Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月30日 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20140630/CK2014063002000137.html
【千葉】
再建5年目 銚子市立病院は 機能は診療所 事務職数は大病院

2014年6月30日 東京新聞/千葉

 診療所レベルの外来医療なのに、事務職員の数は大病院並み-。医師不足や財政難で運営休止に追い込まれ、再開から五年目を迎えた銚子市立病院を総括する病院評価で、赤字体質も致し方ない経営実態が明らかになった。来年度以降の病院の在り方を検討する市委員会の専門家は「普通の病院ではあり得ない」と一様に厳しい見方を示している。 (小沢伸介)
 病院は、銚子市立病院再生機構が市の指定管理者として二〇一〇年五月に運営を再開し、本年度が業務委託の最終年度となる。
 病院評価は、委員会メンバーが昨年十一月から調査してまとめた。検討委は評価の結果を踏まえ、来月にも結論を出す。
 病院評価によると、医業収益の四割を占める外来医療は、薬を処方してもらうためだけに来院する人が28・5%、うち六十歳以上が79%を占める。患者一日当たりの単価も全国平均を大きく下回る五千円台。「入院治療につながらない診療所の機能」としている。
 昨年十二月一日現在の事務職員数は三十五人で、役職者が十八人。加えて受け付けなど医事委託で十人が勤務する。同規模の病院では職員十~十五人が一般的といい、「事務局は大病院並み」と指摘した。
 この結果、給与水準も全国平均の一・五倍と高騰。その割に「全体を把握する幹部がいない」と弊害を訴える声、診療報酬の請求漏れの疑いがあるほか、本部会計処理を税理士事務所に任せるなど、非効率な事務処理の実態も明らかになった。
 機構が再開時に示した五カ年の事業計画と実績を比べると、医業収益は計画の半分以下に伸び悩む一方、医業費用は計画近くまで拡大。市による赤字穴埋めや指定管理料は五年間で三十三億円を超す見込みだ。



http://www.chibanippo.co.jp/news/politics/201074
千葉県内2517床 非稼働 病院「看護師足りず」 施設老朽、医師不足も響き
2014年06月30日 10:32 千葉日報

 千葉県の許可を受けているにもかかわらず稼働していない病床が千葉県内59病院で計2517床あり、うち38病院が「看護師不足」を理由としていることが県の調査で分かった。非稼働の割合は山武長生夷隅医 ・・・
【残り 649文字】以降 有料記事



http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20140630-1326545.html
御堂筋暴走の運転手、意識障害も
 [2014年6月30日21時55分] 日刊スポーツ

 大阪の御堂筋で暴走した乗用車の男性運転手(65)は、糖尿病を患いインスリン治療を受けていた。

 血糖値を下げる働きがあるため、過去には低血糖による意識障害で事故が起きた例もあり、大阪府警は関連の有無を慎重に調べる。

 糖尿病の患者は血糖値が下がらないため、インスリン注射や投薬で下げる場合がある。注射後に食事しなかった場合、血糖値が下がりすぎて意識が薄れてしまう危険もあるとされる。

 茨城県水戸市では2011年8月、運転中に意識障害となった糖尿病患者の男性が玉突き事故を起こし、7人が死傷。水戸地裁は12年、自動車運転過失致死傷罪で禁錮6年の判決を言い渡した。

 地裁判決は「医師の指示に従わず、インスリン注射後に食事をしなかったため、低血糖による意識障害で事故を引き起こした」と認定した。

 大阪府警のある幹部は、御堂筋の事故について「インスリンを打った後、食事を取るなどして、自ら血糖値をコントロールしていたかどうかが捜査の焦点になるだろう」との見方を示した。(共同)



http://flyteam.jp/news/article/37296
航空局、医師免許証を有する航空医学評価官を1名を募集
配信日:2014/06/30 16:55 - Fly Team

国土交通省航空局は医療職職員、航空医学評価官の募集を開始しました。主な業務は航空身体検査証明審査会の準備作業や結果説明、航空身体検査基準や航空身体検査マニュアルなどの改正内容の検討、指定航空身体検査医や航空身体検査指定医療機関の立入検査と指導、日本の航空会社の健康管理部門に対する監査と指導などです。採用予定は1名で、採用日は10月1日です。

勤務地は東京都・霞が関の国土交通省本省にある運航安全課乗員政策室です。身分は医療職の国家公務員となります。

応募資格は1964(昭和39)年4月2日以降に生まれで、医師免許証を有する方で、指定航空身体検査医と同等以上の航空医学に関する見識を有する方です。

応募には履歴書、医師証明書の写し、「航空身体検査制度の役割について」と題する作文を自筆による800字以内で添えて提出する必要があります。締切は7月28日で、書類審査を通過した方には8月6日に面接試験を行います。

なお、詳しい条件、応募先などは航空局のホームページに掲載されているPDFを参照ください。

期日: 2014/07/28まで



http://www.nara-np.co.jp/20140630091036.html
「病診連携」進まず - 生駒市立病院
2014年6月30日 奈良新聞

 来年6月開院する生駒市立病院(同市東生駒1丁目)と地域の医療機関などとの医療連携について協議する病院事業推進委員会の第4回専門部会(部会長・関本美穂東大公共政策大学院客員研究員)が27日夜に開かれた。この中で、病診連携について、市医師会長の溝口精二委員が、開院まであと1年と迫る市立病院の具体的な診療体制や陣容がいまだ明らかでなく、「市内の診療所も情報がない。(連携に)迷っている」と強い不満を示した。病院指定管理者の医療法人「徳洲会」の今村正敏委員は、小児科救急など「医師集めに苦労している」とし、市医師会にも協力を求めたが、溝口委員は「応援はあり得ない」と述べるなど、両者間の距離は依然縮まってはいない。

 「1年しかない。どんな病院が出来上がるのか、具体案が一切ないから迷っている。それを示すのが市と徳洲会の役割だ…
(以降、有料記事)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101030
ドクターヘリの新配備、医師確保が課題
(2014年6月30日 読売新聞)キャリアブレイン

 自民党県連は29日、石川県に要望しているドクターヘリ導入に関する研究会の第2回会合を金沢市内で開き、導入にあたって救命救急医の人材確保が課題となることで県と認識を一致させた。

 県側は配備事例も示したが必要とされる医師数の確保については、より厳しい見通しを崩さなかった。

 非公開で行われた会合で、県側は、県立中央病院(金沢市)と公立能登総合病院(七尾市)へのヘリの配備事例を提示。実現には、現在の医師数から県中病院で2人、能登総合病院で複数人の増員が必要になるとした。

 会合後、報道陣の取材に応じた座長の岡田直樹参院議員は、解決策として、▽金沢大や金沢医科大からの医師の派遣▽県による独自の人材育成――などを挙げた。都内の大学病院勤務で県出身の医師が協力の意思を示していることも紹介し、「(ヘリ)運用の勉強と人材確保は同時並行で進めなければいけない」と語った。

 県の北川龍郎健康福祉部長は、全国的に救命救急医の成り手は少ないとし、「今でもやりくりが厳しく、確保のハードルはかなり高い」と話した。

 次回会合は夏頃に開く予定。



http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=31701
行政・政治 : 4年連続で患者数減少 諏訪地区小児夜間急病センター
更新:2014-6-30 6:03 長野日報

 諏訪広域連合が設置する諏訪地区小児夜間急病センター(諏訪市四賀)の2013年度の患者数は、前年度比9・2%減の3178人で、4年連続で過去最少を更新した。減少の理由について広域連合は「根本的には少子化が挙げられる」とする。患者数が少ないのは良い半面、過度に減って診療報酬が減少すると、諏訪6市町村が負担する管理業務委託料の増大につながることもあり、広域連合は一層の周知へPRに努める考えだ。

 同センターは07年に開所し、センター運営医師会に運営を委託している。患者数は新型インフルエンザが流行した09年度が5014人と最多で、翌年度から減少が続いている。

 昨年度は1日平均8・7人が受診。月別の患者数は5月が336人で最多だった。冬から春にかけてインフルエンザの流行があり、2月が前年度比40人増の262人、3月が61人増の327人だった。

 年間患者数の市町村別の内訳は岡谷市439人、諏訪市1144人、茅野市929人、下諏訪町190人、富士見町108人、原村67人。諏訪地方以外の県内は辰野町など147人、県外は山梨県など154人。運営医師会によると、開設当初はよくみられた再診患者は減少傾向で、急病で受診する適正利用が定着してきているという。

 広域連合は昨年度、患者数が見込みより少なく、収入確保が難しくなったとし、管理業務委託料として250万円を初めて追加補正した。財源は繰越金を充てたが、繰越金は縮減しており、今年度当初予算では6市町村の負担金を500万円から1073万円に増額した。

 広域連合は「病気にならないことは良いこと」とする一方、センターをPRする努力は必要とし、今年度はセンターの概要をまとめた名刺大のカードを増刷し、市町村の健診などで配る予定。「安心して子育てしてもらう施設として役割を果たしたい」としている。



http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140630/dst14063013010007-n1.htm
震災で全壊の病院再建、資材高騰で宮城県に財政支援要望 石巻市
2014.6.30 13:01 産經新聞

 宮城県石巻市は30日、東日本大震災の津波で全壊した市立病院の再建費が資材価格の高騰などで当初試算から倍増する見通しとなったことを受け、県に財政支援を求める要望書を出した。

 村井嘉浩知事と面会した亀山紘市長は「病院再建は震災復興にとって不可欠。予定通り完成できるよう財源措置をお願いしたい」と述べた。

 村井知事は「地域医療を担う重要な病院であり、被災地の方が安心できるよう取り組む」と応じたが、財源については「国の復興財源を充てるべきだ」と述べ、近く国に支援を要請する考えを示した。

 市立病院をめぐっては、平成28年7月の開院を予定し、再建費を当初は約70億円と見込んでいたが、今春の見積もりでは資材価格や人件費の高騰で、2倍の約140億円に上った。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43144.html
来年7月開院、堺市立総合医療センター- 市内初の3次救急、災害時医療に対応も
( 2014年06月30日 21:53 )キャリアブレイン

 大阪府堺市は、市立堺病院の新築移転を受け、建設が進められている堺市立総合医療センター(仮称)について、2015年7月に開院すると発表した。同市内には無かった三次救急医療を担う施設が設けられるほか、大規模災害時の患者の受け入れも想定し、ヘリポートなども整備する方針だ。【真田悠司】

 これまで同市内では、24時間対応できる救命救急センターが無く、重篤な患者は市外の病院に搬送せざるを得なかった。

 こうした状況を受け、堺市立総合医療センターでは、専用の手術室や集中治療室を備え、24時間重篤な患者を受け入れる救命救急センターを整備。新たに30床を割り当てた。

 また、大規模な災害が発生した場合でも拠点病院としての機能を維持するために、建物の揺れを大幅に軽減する免震構造を採用し、屋上にヘリポートを備える。

 堺市立総合医療センターは、堺区の隣の西区の家原寺町に建設されている。地下1階地上9階建てで、延べ床面積は約4万4000平方メートル。診療科は心臓血管外科を新設し全部で27科。ベッド数は、感染症病床の7床と救命救急センターの30床を含めて487床。総事業費は約220億円。同じ敷地内に、堺市こども急病診療センター(仮称)が併設され、休日や夜間の子どもの急な病気の初期診療を提供する。

 堺区にある市立堺病院の建物は、堺市立総合医療センターが完成後、民間の医療機関に引き渡され利用されるという。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140630/k10015611731000.html
「禁忌薬」約40%の病院が使用
6月30日 12時10分 NHKニュース

「禁忌薬」約40%の病院が使用
東京女子医科大学病院で、ことし2月、人工呼吸器を付けた子どもへの使用が原則禁止されている鎮静薬を投与された男の子が死亡した医療事故を受け、NHKが子どもの集中治療を専門に行っている全国の病院を対象に調べたところ、およそ40%の病院が同じ薬を使用していることが分かりました。専門家は「患者へのメリットが大きければ医師の裁量で禁止された薬を使うこともあるが、病院や学会で一定のルールを決めるべきだ」と指摘しています。

東京・新宿区の東京女子医科大学病院では、ことし2月、当時2歳の男の子が、人工呼吸器を付け集中治療が行われている子どもへの使用が原則禁止されている鎮静薬「プロポフォール」を投与され、死亡しました。
この医療事故を受け、NHKは今月、子どもの集中治療を専門に行っている全国29の病院を対象に同じ薬の使用状況などについてアンケート調査を行い、24の病院から回答を得ました。
その結果、全体のおよそ40%に当たる9つの病院がプロポフォールを使用していると回答し、その理由として、ほかに使用できる薬がないことや薬の効き目がよいことを挙げました。
ほとんどの病院が、薬を使用する際は複数の医師や看護師や薬剤師なども含めたチームで判断していましたが、1つの病院が1人の医師で使用を決めると回答しました。
さらに、プロポフォールと同じように原則使用が禁止されている薬を使う際に、具体的なルールを設けていないと答えた病院は全体の70パーセント近くに当たる16の病院に上っていました。
調査結果について、日本集中治療医学会の小児集中治療委員で、大阪府立母子保健総合医療センターの竹内宗之医師は「患者へのメリットが大きければ医師の裁量で禁止された薬を使うこともあるが、病院や学会で一定のルールを決めるべきだ」と指摘しています。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101039
「子どもホスピス」公的医療機関で初設置へ
(2014年6月30日 読売新聞)

 難病の子どもと家族が家庭的な環境で安心して過ごせる「第二のわが家」が国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)に創設される。

 いつでも医療を受けられる安心感の中で、子どもは遊びや学びを楽しみ、家族は休息を取れる場で、欧米で「子どもホスピス」と呼ばれる施設の日本版。公的な医療機関による設立は国内初で、2016年のオープンを目指す。

 「わが家」は、英国の子どもホスピスを参考に、人工呼吸器を使って在宅療養する重症の難病児と家族を主な対象にする。重症の子どもは預け先が限られ、家族は看護や介護の負担で疲弊し、子ども本人は楽しみの機会が少なく、地域で孤立しがち。そんな子どもと家族を支えるため、短期滞在型のケアを提供する。がんなどで終末期を迎えた子どもが家族と穏やかな時を過ごすこともできる。

 建物は延べ床面積2100平方メートルの鉄筋3階建て。個室6室と4人部屋2室で、遊び場や学習室、屋上庭園を備える。子ども1人当たり1回7日以内、年間20日の利用を想定、料金は1日3000円程度の予定。

 同センターの阪井裕一・総合診療部長は「医療の進歩で重症の子どもも救えるようになったが、その後の療養生活の支援が足りなかった。全国で新しいケアの場が広がるよう努力したい」と話している。



http://www.kanaloco.jp/article/73804/cms_id/88993
秦野赤十字病院産婦人科医引き揚げ問題 昭和大と神奈川県が調整へ
2014.07.01 03:00:00【神奈川新聞】

 秦野赤十字病院が産婦人科医の派遣元である昭和大から2014年度限りで医師の引き揚げを通告されている問題で、県は30日、県と昭和大が15年度以降の同病院での周産期医療に影響を及ぼさないよう調整する方向で一致したことを明らかにした。県議会厚生常任委員会で報告した。

 県によると、昭和大は数年前から、医師不足により派遣継続が困難であるとの意向を同病院側に伝えていたといい、今年5月1日に15年度以降の派遣は困難であると通告した。

 県は同病院で対応している年間約700件の分娩(ぶんべん)をすべて他の病院で受け入れるのは困難と判断。市などと連携して秦野地域の周産期医療確保を検討する一方で、昭和大に対し5月27日と6月19日に再考を要請してきた。

 要請を受け、昭和大は同病院での周産期医療に影響を及ぼすことがないよう対応することが必要との認識で県と調整することを決めたという。

 県保健福祉局の中島正信局長は「大きな前進だ」と評価する一方、「まだスタートライン。仮に医師を派遣してもらえても今までと同じ形は厳しい」と説明。その上で「正常分娩には助産師の対応を強めるとともに、ハイリスクのお産には周辺のサポート態勢を構築することで初めて昭和大の理解を得られる可能性が出てくるのではないか」との見通しを述べ、6月から分娩予約を見合わせている現状を踏まえて早急に調整に入る考えを示した。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140701/k10015636851000.html
薬の論文データ改ざん 手動入力の形跡
7月1日 4時51分 NHKニュース

大手製薬会社、ノバルティスファーマの高血圧治療薬の論文データ改ざん事件で、論文の基になったデータの中に自動的に計算されるはずの数値を手動で入力した形跡が残されていたことが関係者への取材で新たに分かりました。
特捜部は元社員によるデータの改ざんを裏付ける証拠の一つとみて1日、薬事法違反の罪で起訴するものとみられます。

ノバルティスの元社員、白橋伸雄容疑者(63)は高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究で、研究データを不正に操作し京都府立医科大学の研究チームに虚偽の論文を発表させたとして先月、薬事法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
特捜部は白橋元社員の自宅などの関係先を捜索し論文の基となった研究データを押収していますが、このデータの中に統計ソフトで自動的に計算されるはずの数値を手動で入力した形跡が残されていたことが関係者への取材で新たに分かりました。
特捜部は、データの解析を担当していた白橋元社員がデータを改ざんしていたことを裏付ける証拠の一つとみて1日、薬事法違反の罪で起訴するものとみられます。
また、特捜部は白橋元社員が京都府立医科大学のほかの論文のデータの改ざんにも関わっていた疑いがあるとみて捜査を進めています。白橋元社員の弁護士は取材に対し、「複数の医師と相談し、データを手動で入力し直したのは事実だが、改ざんには当たらない」としています。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41092
あきれるほど自浄作用が欠如した東大病院
東大病院のSIGN研究ノバルティス社不正関与事件「最終報告」を読む

関家 一樹
2014.07.01(火) JB Press

6月24日、東大病院は「SIGN研究に関する調査(最終報告)について」と題して、記者会見を行った。


東大病院が開いた記者会見(筆者撮影)
 この記者会見では、表題となっているSIGN研究のほかに、ノバルティス社(以下ノバ社)が不正関与したSIGN研究以外の4臨床研究、アルツハイマーの大規模調査研究「J-ADNI」、さらにブリストル・マイヤーズ社の臨床研究不正関与についても公表がなされた。

 今回の記事では、SIGN研究に絞って「最終報告」の内容を検討していきたい。

2倍以上の期間、3分の1以下の内容

 SIGN研究は東大病院に事務局を置く研究会組織TCCが主導して行った、慢性骨髄性白血病治療薬「タシグナ」に関する医師主導臨床研究である。研究責任者は東大病院血液腫瘍内科の黒川峰夫教授であり、運営を進めたのは黒川教授の部下A医師である(最終報告書ではA医師は実名であるが、研究代表者は黒川教授であることから仮名とする。引用部分も適宜修正する)。

 今年の1月17日、この医師主導臨床研究であるSIGN研究に、当該薬の製造元であるノバ社が不正関与していたとNHKに報道される。3日後の1月20日、ノバ社は社内調査を終え、不正関与があったとする記者会見を行う。

 東大病院は報道後、長らく沈黙するが3月14日に予備調査委員会の中間報告(以下中間報告書)として記者会見を行い、不正関与があった事実を認める。

 その後、東大病院はまた長い沈黙を再開する。この間4月2日にノバ社は社外調査委員会の最終調査報告書(以下ノバ社報告書)を公表し、翌4月3日には人事処分を行った。

 そして今回、最初の報道から5カ月を経て、東大病院はSIGN研究についての最終報告(以下最終報告書)を行った。

 つまりSIGN研究の一方の当事者であるノバ社は報道から2カ月半で、社外調査委員会の最終調査報告と人事処分も終えているのに、東大病院はその2倍の5カ月以上をかけて内部調査を行ったことになる。

 また内容量については、ノバ社報告書が96ページであるのに対して、東大病院の最終報告書の主要部分は28ページであり約3分の1である。もちろん報告書は長ければ良いというものではないが、この最終報告書は内容的にも問題が多い。以下内容を検討していこう。

そもそもこの最終報告書はどの程度信用できるのか?

 この最終報告書は、ノバ社報告書や実際の資料に照合すると、内容の信用性に疑いを抱かせる部分がある。それどころかこの最終報告書内だけでも、信用性を傷つける不自然な個所が存在する。

 その最大の点が黒川教授のノバ社不正関与への認識と関わりである。

 最終報告書の「SIGN研究特別調査 予備調査委員会報告書」(以下特記なきは同書)22ページでは「黒川教授は(中略)病棟にN社社員が出入りしていることやTCC の事務局機能が代行されていることを認識していなかった」(N社はノバ社)と記述されている。

 これは最終報告書の地の文の部分である。つまり予備調査委員会は以上の事実を認定した、ということになる。

 ところが黒川教授が上記のように「認識していなかった」とは到底考えられないような事実が、この最終報告書内にはたくさんある。

 一例を挙げると11ページでは「発信者TCC 事務局、黒川教授名及びA医師名のメールは、N社社員がその原案を作成し、それぞれの確認、了解のもと、N社社員が黒川教授名又は、A医師名で発信していた」との事実があったとされている。

 つまり黒川教授は、TCCで発信する自分名義のメール文面をノバ社MR(医薬情報担当者、実態は製薬企業の営業担当)に作成させ、その内容を確認し発信の許可まで与えていながら、TCCの運営にノバ社MRが関わっていたとは認識していなかった、ということになる。

 このあまりにも異常な点について記者会見で質問をしたところ、予備調査委員会の斉藤延人委員長は、黒川教授がノバ社MRの関与について知らなかったとしている部分は黒川教授がそう主張したにすぎない、との趣旨の回答をした。

 またこちらの質問終了後、門脇孝病院長が自発的に、この点については自分も不自然に思い黒川教授に問い質したが、ノバ社の関与を知らなかったとの回答しか得られなかった、との趣旨の発言をした。

 なお記者会見には黒川教授のほか、実際の事件当事者は参加しておらず、また今後も彼らが記者会見等を行う予定はない、との回答を苫米地令コンプライアンス担当理事からいただいた。

 つまり22ページの「黒川教授は(中略)病棟にN社社員が出入りしていることやTCC の事務局機能が代行されていることを認識していなかった」の部分は地の文でありながら、黒川教授がこのように主張した、という記述にすぎないらしい。

 通常、関係者から聴取した内容と、その発言が信用できるかを検討した結果認定する事実、とは厳に峻別されねばならず、こうした調査報告書ではなぜ信用できるのか否かの理由まで書く。ノバ社報告書や、他の製薬企業でも社外調査委員会作成の調査報告書はいずれもそのようになっている。

 黒川教授がこの期に及んで、このような主張をしているということには驚きを禁じ得ない。もしこれが真実でないのなら、黒川教授は今すぐ記者会見を開き自らの口で事情を説明した方がいい。

 話がそれたが以上のような事実からもこの最終報告書の信用性については、ある程度割り引いて考え読む必要がある。

何をやったのか全く不明な特別調査委員会

 先ほどから最終報告書における予備調査委員会の記述について、検討してきたが、今回の東大・東大病院の調査の構造は、

●東大病院の予備調査委員会(活動期間2月26日~5月19日)の調査を経て、
●東大本部の特別調査委員会(活動期間4月17日~6月12日)が調査を行い、
●東大本部がその報告を受け取り今回の記者会見を行った、

 という建前になっている。

 本来この記事でも、特別調査委員会の報告について検討すべきなのだが、特別調査委員会の「調査結果の報告について」と題する文章は4ページしかなく、その内容もほぼ予備調査委員会の調査結果の要約にすぎない。

 実際、特別調査委員会は3回しか開かれておらず、うち1回に至ってはメールのやり取りで、残りの2回も予備調査委員会の報告を受けたのが中心であったようだ。2回目には黒川教授からの聞き取りを行った旨が記載されているが、特段聞き取り内容や聞き取りに基づく評価は記載されていない。

 それどころか、先述のような黒川教授に関する異常な記載や、その他の不自然な部分が予備調査委員会の調査結果には多々あるにもかかわらず、特別調査委員会は「本特別調査委員会は、別添医学部附属病院の予備調査委員会による『SIGN 研究特別調査予備調査委員会報告書』(中略)における種々の事実の認定に関し、研究代表者からの聞き取り調査を含め専門的かつ客観的な審議を行い、上記2つの報告書の認定に不合理な点はないと判断した」そうだ。

 特別調査委員会は松本洋一郎副学長を含め5人で構成されており、うち弁護士は三宅弘弁護士1人である。ちなみにノバ社の社外調査委員会は弁護士約30人で構成されている。

 なお、特別調査委員会の山口厚委員は法律業界では知らない人がいない日本刑事法界の第一人者であるが、証拠と事実認定の区別もできていないような調査報告書を「不合理な点はない」と言う程度の人物であることが今回明らかになった。これは特記しておく。

 さらに問題なのは、この最終報告書にはSIGN研究に関わった研究者の責任関係についての記述が一切なく、当然処分案についての記述もないということだ。

 このあたりは各委員会をどのように切り分けるかという制度設計の問題にもなるが、昨今話題になっている理研でも明らかなように、通常は調査委員会が当事者の責任関係まで明らかにし、懲戒委員会は処分の内容についてのみ決定し、非違行為の事実認定は行わない。

 東大は今後関係者を懲戒委員会に付議するということだが、東大の切り分けだと、この懲戒委員会で当事者の責任関係も明らかにしていくことになる。

 つまり世間一般の常識では今回の最終報告書は「最終」とは言えず、今後の懲戒委員会の結果まで最終的な結論は持ち越されたという状況だ。

 東大のこのような制度への認識の甘さと妙な縦割り主義が、研究不正を生み出す原因の1つになっていることは、最終報告書自身が婉曲にではあれ述べているところなのだが、パラドクスとしては興味深い。

本質に迫れていない内容

▽利益相反

 東大病院がなかなか本質に迫れていないことは利益相反に関する記述から如実に分かる。

 「本研究関係者の利益相反申告に関しては、学内や学会発表における現行の利益相反規定に基づいて申告されており、明白なルール違反はなかった。しかしながら透明性の観点から、N社からTCCへの役務提供があったことや、研究代表者がタシグナ適正使用推進アドバイザー等に就いていたこと等は、この研究自体に関する利益相反として倫理審査申請時や学会発表時に開示しておくべきであった」(4ページ)

 このように一見すると「利益相反がなかった」かのように思える書きぶりをしている。この点についても記者会見で質問をしたところ、斉藤委員長は「利益相反があった」ものと認識している、と明言した。

 そもそも東大病院は中間報告書の段階では、最大の問題であるMRの役務提供を検討せず、なぜか一番緩い学会発表時の利益相反基準に照らして利益相反がなかったと結論づけていた。その後、様々な方面からの指摘やノバ社報告書の記述により、最終報告書では以前はなかった記述が追加されている。

 「そもそも医師主導臨床研究において利益相反関係にあるN社社員による役務提供があったこと自体が不適切である。また同様に、研究代表者(黒川教授)がタシグナ適正使用推進アドバイザー等に就いていたことは、利益相反関係にあったと判断されるが、その事実が本研究の倫理委員会申請時に申告されていなかった。以上の様な利益相反関係に関しては、インフォームド・コンセントの手続に必要な事項であったが、臨床研究計画及び患者説明・同意文書に記載されていなかった」(19ページ)

 東大病院がなかなか自発的に本質的な問題点に切り込めていないことが、東大病院自身の報告書を比較することで見えてくる。

▽奨学寄付金

 奨学寄付金について最終報告書は「本研究が計画されてから今年度までの寄付額は2011 年度200万円、2012年度300万円、2013年度300万円であった。本研究に直接関する奨学寄付金はない」(11ページ)と記述しノバ社の奨学寄付金が、SIGN研究の見返りとして支払われたものではないと認定している。

 しかし寄付をした側であるノバ社報告書70ページでは様相が異なる。少し長いが研究不正が生まれる本質が表れている場所なので引用したい。

 「支出の制約がなく手続も簡易なことから、営業現場では、奨学寄附金を営業活動の手段または医療機関にMRが出入りするための前提として用いていることがうかがわれる。実際、一部の医療機関等から、露骨な奨学寄附金の要求が行われている事実がうかがわれる記載を含む資料もあった。こうしたことからも、医療機関等が製薬企業に財源的に依存している実態がうかがわれるところである。また、NPKKの医薬品を使用したIITを実施してもらうこととの見合いで寄附されることが多かった模様である」(NPKKはノバ社、IITは医師主導臨床研究)

 このように奨学寄付金が実際には製薬企業の営業ツールとして使われ、医療機関の側もそのことを認識したうえで奨学寄付金を求め、見返りとして寄付元の企業に便宜を図る、という研究不正の構図が出現する。

 このことを正面から認めず、使途が自由な奨学寄付金は中立的な資金である、という建前を唱えるだけでは、研究不正の本質から目を背けていると言わざるを得ない。

▽TCCの運営費用

 最終報告書ではTCCとSIGN研究の運営費用について、

 「研究経費は、TCCの会費から支弁されている」(7ページ)

 「会の運営資金は、TCCの開催する研究集会への参加費を持って会費とし、参加費は一人1,000円。TCC が設置された年からの各年収入は、2008年43,000円、2009年60,000円、2010年42,000円、2011年28,000円、2012年28,000円、2013年35,000円であった。その使途のほとんどがSIGN研究である」(8ページ)

 と記載し、あたかもTCCが年数万円の資金で細々と運営していたように書かれているが実態は異なる。本来TCCが支払うべきであった経費は役務提供を含めてノバ社が大幅に肩代わりしているからだ。

 このことは最終報告書自体も認めている。

N社はTCC講演会を共催し、その開催に要する会場借料、講師謝金、交通費、懇親会費として以下の額を支弁していた。

 2008年1,541,152円、 2009年1,953,208円、 2010年1,870,148円、
 2011年1,791,246円、 2012年1,890,678円、 2013年2,196,328円

これらはTCC収入に入らない形でN社の会計で処理されていた(11ページ)。

 この点についてノバ社報告書72ページはより直接的に書いている。

 「TCCが行う講演会は年に1回だけであり、その唯一の講演会がNPKKとの共催としてNPKKの費用負担で賄われている。また、講演会に参加した医師の負担が1人1000円にすぎないのに対し、NPKKの負担は220万円を超える。また、講演会の準備や受付・誘導等も全てNPKKの従業員が行っている実態に照らせば、このような講演会は、まさにNPKK丸抱えの講演会と評価せざるを得ない」

 TCCがノバ社の丸抱えの団体であることはSIGN研究に参加した医師たちには周知の事実であるのに、その点について東大病院の最終報告書は切り込み切れていないのである。

▽小括: 不正関与を招く本質とは

 以下は私見を述べるが、研究者の側から見たときに医師主導臨床研究への不正関与を招く原因は、

(1)「資金」として奨学寄付金・役職就任・講演料を製薬企業に依拠しており、研究室の運営・大規模研究の遂行・自身の収入のためには製薬企業の意向を無視できず、また製薬企業を利用する必要があること。

(2)「人員」として書類作成等の単純作業・統計解析等の高度作業・研究参加依頼や進捗管理に必要な営業担当が研究室におらず、MRがそれを補う慣習が存在していたこと。

(3)「ノウハウ」として研究で使用する各種書式・実施計画書の策定・研究事務局の運営を、海外などを含め当該薬の研究に関わっている製薬企業の方が保有していること。

 ではないかと考えられる。

 そして本来「医師主導臨床研究」でなければ許容される行為が多い中、それでも「医師主導臨床研究」を選択していた理由は、倫理委員会や製薬企業内での承認に手間がかかることと、製薬企業が営業に利用し研究者が業績として発表する際に「医師主導臨床研究」の方が聞こえがいいからであろう。

 このあたりの原因を認識しなければ、対策を立案し研究不正の事前抑制を行うことは難しいように思えるが、この最終報告書では既に見たようにいま一つの状況である。当然次に見ていく改善案も、どこか上滑りした内容になっている。

上滑りする改善案

 特別調査委員会が示した改善案は大きく分けて3系統である。

(1)倫理教育
(2)倫理申請・監査の改善
(3)MRの入館制限

 それぞれ問題点が多いので見ていこう。

▽倫理教育について

 特別調査委員会は「医学部附属病院では研究倫理教育を行っていたにもかかわらずこのような問題が発生した背景には、臨床研究、特に研究者(医師)主導の臨床研究に関する知識の不足と心構えの甘さが根底にあり、また、利益相反に関する自己申告に具体的な例示が乏しく、自主的に判断して行わなければならないところにある。より具体的な事例に基づいた教育が必要と考えられた」と述べ、最終報告書の5ページでは「再発防止のために、利益相反の管理と臨床研究の信頼性確保に関する教育を職員に徹底する。『東大研究倫理セミナー』を改善し、e-learningも併用して臨床研究者の教育を行う」としている。

 既に再三指摘しているが黒川教授はこの倫理セミナーの講師を務めていた。

 3月14日の中間報告書の段階でも、倫理セミナーの活用が掲げられていたが、当時の記者会見で質問した際に門脇病院長は黒川教授が講師を務めていた事実を認識していなかった。

 今回の最終報告書ではさすがに以下の記載が加えられている。

 「特に黒川教授は臨床試験審査委員会委員長や東大研究倫理セミナーの講師を歴任し、十分に知識や情報を持ち他に範を示す立場にありながらこのような事態が生じたことは誠に遺憾である」(22ページ)

 またA医師は本来SIGN研究の倫理申請をすべきIRBという審査の厳しい委員会を意図的に回避し、別の倫理委員会に申請を行った可能性が疑われる。

 さらにA医師は最終報告書記載のメールのやり取りからも、ディオバン(バルサルタン)に関する不正関与事件のニュースを見て、SIGN研究が問題にされる可能性があることを認識していた。

 つまりSIGN研究事件は十分に知識のあった人たちが引き起こしている。したがって同様の事例は教育により回避できるものではない。

▽倫理申請・監査の改善

 倫理申請の改善については以下のような記述がなされている。

 「利益相反申告書作成時に、詳細な自己点検チェックリストを利用することにより、不適切な利益相反関係の存在を申請者自身が自己点検できるようにする。またこのチェックリストを申請書に添付するようにして、倫理審査時や利益相反管理で適切な対応をするために活用することとした」(24ページ)

 「利益相反アドバイザリー機関は利益相反自己申告の内容によっては、利益相反の観点から研究計画自体を不承認とする助言を与えたり(後略)」(24ページ)

 「倫理審査申請時に個人情報の扱いに関するチェックリストを記載するようにして、個人情報の問題を研究者が自ら認識する様にし、また、その適正性を倫理審査委員がチェックし、審査の過程で直接研究担当者に確認できるように改定する」(25ページ)

 そもそも各種書類作成の手間をMRに代行させていたことが、今回の不正関与の一形態である。にもかかわらず改善案でさらに手間を増やすというのはどういうことなのだろうか?

 また誰が「不承認」とされるようなチェックリストを提出するのだろうか?

 既に倫理教育の部分で検討したが、SIGN研究ではそもそも意図的に虚偽の申請書が提出されているのである。いくらチェックリストを増やしたところで歯止めにはならない。

 次に監査機能の強化は、ぜひ行われるべきだろう。しかしこちらも注意が必要である。

 対策案を見ると、利益相反アドバイザリー機関に「専任の職員」を配置したり「平成26年度中に監査・信頼性保証室を新設」するなど、予算と人員のかかりそうなことばかりが書かれている。

 文科省から予算がついたのか、もしや天下りのポストになるのではないかと勘繰りたくなる。

 実効性のある機関になるのか、十分に監視していく必要があるだろう。

▽MRの入館制限

 東大病院では4月から、アポなしのMRの病院内への入館を禁止し、面会する場合も区域を制限しているとのことだ。

 しかしそもそも先に見たように、研究責任者である黒川教授は「病棟にN社社員が出入りしていること」を認識していなかった、と主張しているのである。

 また東大病院の最終報告書ではなぜか記載されていないが、ノバ社報告書によると、SIGN研究の実施計画書の検討会議はノバ社の会議室でA医師を交えて行われており、実施計画書の発表はノバ社のイベントで黒川教授とA医師が行っている。

 MRの入館制限がどの程度研究不正の抑止に役立つのか疑問である。

▽小括: 結局どうすべきなのか

 こうした研究不正は既に検討した本質からして、事前抑制で完全になくすことが難しい。事後抑制となる処分を粛々と進めていくことが肝要である。

 既に東大病院と東京大学にはちゃんとした内規があるのだから、それに従って運用を進めていけばよいだけである。「e-learning」よりも「○○教授はこれをやって処分されました」の方が具体的であり、身につまされるだろう。

 また最終報告書に記載されているように「東大病院においては以前より、臨床研究に対し企業から直接研究資金や試験薬の提供がある場合には、寄付ではなく受託研究契約により受領し、当該企業から独立して計画・実施・解析することを、契約書中に明記するように対応してきた」(25ページ)という、契約型研究への交通整理を進めていくことも、現状の研究が製薬企業への依存体質から脱せない中で、不正関与が起きないようにするための策ではないだろうか。

東大病院の考える患者さんへの「適切な対応」とは

 最終報告書は冒頭で「臨床研究の信頼性を損ねる事態を起こしたことは遺憾である。患者の個人情報の流出に関して、患者保護の観点から説明と謝罪を含めた適切な対応を行っている」(5ページ)と述べている。

 また患者さんの臨床研究参加の同意について瑕疵があったことも、先だって倫理教育の箇所で引用した部分で認めている。

 そして最終報告書は後半部分で「当院から患者個人データが流出したことは極めて遺憾である。まず患者へ状況の説明と謝罪を早急に完了する必要がある。(中略)当院の患者に関しても報告と謝罪を4 月中に行なっている」(20ページ)と述べている。

 SIGN研究の研究不正が一般に報道されたのが1月17日であることからすると、東大病院は患者への報告と謝罪に3カ月かかったということになる。

 これが東大病院の考える「適切な対応」である。

まだまだ研究不正が出てきそうな東大病院

 この記事では扱わなかったが、東大病院では1月25日と3月23日に任意でアンケートを研究者に対して行い、ノバ社関係でSIGN研究のほかに4件の不正関与事件があること、新たにブリストル・マイヤーズ社関係で1件の不正関与事件があることを明らかにした。これらはいずれも黒川教授が率いる血液腫瘍内科で行われていた研究である。

 また血液腫瘍内科以外のものとして、今回の記者会見では急遽認知症研究の「J-ADNI」についての報告もなされた。

 門脇病院長は記者からの質問に「これ以外に不正事件はない」と答えていたが、武田薬品工業の降圧剤を扱った「CASE-J」や、エーザイが関わる「J-ADNI」を見るにそれぞれの診療科のヒット薬剤に関わる研究では、ことごとく同様の不正関与が行われていた可能性が高い。

 今後も上市薬に関する主要研究を、再確認していく必要がある。

 「医師主導臨床研究」が、真に「医師主導」の臨床研究になるよう、この記事が資すれば幸いである。



http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20140630000151
滋賀県全域で患者情報共有 医療ネット、7月開始
【 2014年06月30日 23時10分 】京都新聞

 滋賀県各地の病院と診療所などをネットワークで結び、患者の電子カルテなどを共有する「県医療情報連携ネットワーク(びわ湖メディカルネット)」の運用が7月から始まる。医療情報だけでなく在宅介護に関する情報も含めた県全域でのネットワーク構築は全国初という。

 超高齢社会に備え、地域を超えて在宅での適切な医療を提供できる連携体制を整えるため、2011年度から検討を開始。県内の大規模病院や県医師会などでつくるNPO法人県医療情報連携ネットワーク協議会が運営主体となった。

 がんや脳卒中などの急性期医療から在宅医療へ円滑に移行できるよう、大規模病院が患者の同意を得て診察履歴や検査結果などの情報を提供、地域の診療所の医師らが閲覧する。従来に比べ、より迅速に詳細な情報を把握し、診療に生かすことができる。診療所から病院を紹介した場合も、紹介先での医療内容や検査結果などをすぐに確認できるのが利点だという。

 ネットは診療所や薬局、介護事業所などが参加する県医師会の在宅療養システム「淡海あさがおネット」とも連結しており、患者の状態に合った介護サービス提供につなげることができる。

 また、県立成人病センターの遠隔病理診断システムや滋賀医科大の脳卒中データベースシステムとも連結し、高度専門医療から在宅医療・介護までの情報を一括して共有できるようにした。

 運用開始に当たって、大津赤十字病院、済生会滋賀県病院など県内の主な大規模病院21カ所が情報提供病院として参加。閲覧できるよう登録したのは県内の診療所のほぼ半数の約400に上る。

 同協議会の笠原吉孝理事長(県医師会長)は「人生の最後を家で過ごしたいという患者の願いをかなえるためには、1人の医師だけでなく多職種のチームの力が必要で、情報の共有が欠かせない。より多くの病院や診療所の参加を呼び掛けたい」としている。



http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20140630/361880/?ST=ndh
「医療ビッグデータ」の萌芽
構築進む「東北医療情報ハイウェイ計画」――巨大な医療情報を起点に“情報サークル”を形成
「第18回 医療情報学会」の特別講演から

増田 克善=日経デジタルヘルス協力ライター
2014/07/01 00:00 日経デジタルヘルス

 「東北医療情報ハイウェイ計画」――。5つの医療情報基盤を同時並行で整備し、巨大な医療情報を起点とした情報サークルを形成する仕組みの構築が進んでいる。

 東北大学大学院医学系研究科教授の中谷純氏は、2014年6月5~7日に岡山市(岡山県)で開催された「第18回日本医療情報学会春季学術大会」(主催:日本医療情報学会)の特別講演に登壇。「東北医療情報ハイウェイ計画」と題して講演し、巨大な医療情報の生成や最適活用の仕組みにより、地域医療連携の礎を作るとともに最先端研究拠点の下地の形成を目指すと述べた。

5つの医療情報基盤を同時並行で整備

 宮城県では東日本大震災の被災を契機として、震災前よりもよい社会を目指した“復興”を実現するために、医療情報に関連した5つの社会情報基盤構築整備プロジェクトを並行して進めている。具体的には、次の5つである。

(1)医師会を中心とした地域医療連携基盤である「みやぎ医療福祉情報連携基盤」(MMWIN)
(2)未来型医療確立を目的とした研究情報基盤の「東北メディカル・メガバンク情報基盤」
(3)東北大学病院の医療情報ネットワーク「東北大学病院情報基盤」
(4)東北大学医学部の研究用情報基盤「東北大学大学院医学系研究情報基盤」
(5)基礎研究を臨床現場に橋渡しする「臨床試験中核病院TR(トランスレーショナルリサーチ)医療情報基盤」

 このうち(1)のMMWINでは地域の医療および介護連携による臨床情報、(3)の東北大病院情報基盤では院内だけでなく東北地方全域の臨床情報が蓄積される。こうした臨床情報は情報パイプラインで匿名化などに対応する統制が行われ、研究サイドに渡される。

 その研究機関の情報基盤が、前向きコホートと全ゲノムシーケンスを組み合わせた研究を行う(2)の東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)の情報基盤であり、(4)の東北大学大学院医学系研究情報基盤だ。そこでの研究成果である未来型医療情報や多視点の最先端医療情報は、(5)のような還元パイプラインを通じて臨床試験を実施したうえで東北大病院や地域医療介護における診療に還元されることになる。

 中谷氏は、こうした一連の情報サークルを形成する仕組みを統一的視点で構築しているのが東北医療情報ハイウェイだと説明した。「宮城における統一的視点とは、社会情報循環を作り、生成される巨大な医療情報を最適活用する仕組みを作ること。それは地域医療連携の礎を作ると同時に、最先端研究の下地を形成することを目指している」(同氏)。

 この統一的視点を実現するための技術戦略として中谷氏は、次のように述べた。「まずは、巨大情報に対応できる多視点・多階層オントロジーによる知識情報インデックスが必須。そして、それと意味的連結する広域を対象とし、かつオミックス情報を扱えるEHRとクリニカル・オミックス・データベースによって、多視点で情報を検索/利用/活用できる仕組みを構築する」。

日本発の医療情報ハイウェイとして輸出産業へ

 続いて中谷氏は、それぞれの情報基盤についての概要を紹介した。まず(1)のMMWINは“災害に強い、平時でも役立つ”地域医療福祉情報連携基盤であり、県域レベル、地域医療圏レベル、日常生活圏レベルの3階層モデルで構築する。このうち日常生活圏レベルでは医療と介護のシームレスな連携を、地域医療圏レベルでは地域中核病院を中心とした病診連携を、県域レベルでは県の基幹病院を中心とした病病連携を支援することを基本コンセプトとしている。

 中谷氏は、「ICTによる医療連携の前提としてヒューマンネットワークが重要であり、医師会や歯科医師会、介護福祉協会、看護協会、薬剤師会、検査技士会などあらゆる職種、すべての地方からメンバーが参加する協議会を発足し、オール宮城体制で取り組んでいる」と強調。現在、2012年度に構築・運用を開始した石巻・気仙沼医療圏で97施設、翌年度には仙台医療圏で206施設が参加し、106万人の患者をバックアップしている。2014年度末までには県内全域をカバーする計画だという。

 (2)の東北メディカル・メガバンク情報基盤は、試料(検体)とデータからなるバイオバンク情報に、前向きコホートと全ゲノムシーケンスを組み合わせた解析研究を行う分子連携型の情報基盤で、未来型医療の確立を支援する。それを支えるICT基盤は3つあり、それぞれ連携する。「健診・コホート情報基盤によって健康管理とコホートデータが収集され、メディカル・メガバンク解析保存情報基盤に送られて解析されたうえでデータ保存される。これを、バイオバンク公開情報基盤を通じて公開していく。ここで扱われる情報は参加者の同意を得たもので、さらに追跡情報としてMMWINの協力を得て次世代生命医療情報研究基盤を構成する」(中谷氏)と説明した。

 (3)の東北大学病院情報基盤は、2014年3月末に電子カルテへ移行したが、将来的な次世代型電子カルテを構築していくという。「我々が考える次世代型とは、病院内だけでなく、すべての医療圏を細部まで見渡せる広域電子カルテであり、生涯電子カルテ(PHR)を視野に入れている。また、オミックス情報を扱えるオミックス電子カルテ、臨床試験電子カルテ機能を備える次世代統合臨床情報基盤を目指して構築していく」(中谷氏)。

 (4)の東北大学大学院医学系研究情報基盤は、多視点・多階層のオントロジー知識情報基盤機能や標準形式共有データベース機能など8つの機能を備えるものだが、特に重要なのがデータハウスウエア機能だとした。「病院情報基盤など他の基盤と連携する基盤間連携、基盤横断的な意味連携の実現によって、さまざまな研究の効率化が図られると考えている」(中谷氏)と述べた。

 一方、臨床研究推進センター内に構築している(5)のTR医療情報基盤の主な役割は、臨床と研究を結ぶ情報パイプラインである。そのために、標準化されたインタフェースやアクセスコントロール、情報遷移プロセスをコントロールするといった交通整理機能を備えていく。

 中谷氏は最後に、こうした統一的視点による医療情報基盤構築事業の先に、『未来永劫続く国家の医療情報基盤』『日本発信の国際標準』『新輸出産業創出』という3つの展開を見据えていると述べた。「我々の実証事業をモデルとして、国内の他のプロジェクトと連携や補完、統合などを進めることで1つの標準化パッケージにすることを考えている。低コスト化によりパッケージが普及し、連結すれば未来永劫続く国家の医療情報基盤になる。そこで利用される技術要素は国際標準になる可能性を秘めており、それらを基にした新たな医療の輸出産業の創出につながる」と展望した。


  1. 2014/07/01(火) 05:36:03|
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