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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月28日 医療一般

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131227/crm13122713310014-n1.htm
元教授、架空発注で研究費など1600万流用か 北大の不正経理問題
2013.12.27 13:29 産経新聞

 北海道大は27日、同大遺伝子病制御研究所の西村孝司元教授(60)が出入り業者「関販テクノ」(札幌市)と共謀し、約20万円の腕時計や自家用車の車検費用などに、少なくとも1600万円の研究費などを私的流用していた可能性があると発表した。関販テクノが聞き取り調査に答えたという。

 大学は6月、西村元教授と業者側の3人を詐欺容疑で告訴し、北海道警が捜査を進めている。元教授は大学が処分を出す前の7月に退職した。

 大学によると、元教授は研究用の試薬などを発注したように装い、関販テクノは大学が支払った代金を預かり、元教授の求めに応じて金を渡していたという。

 また、関販テクノは架空請求するたびに請求額の10~20%を報酬として預かり金の中から受け取っていたという。



http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131227-OYT1T00502.htm
高級腕時計などに1600万以上…北大不正経理
(2013年12月27日13時20分 読売新聞)

 北海道大の教員が「預け金」などの不正経理に関与していた問題で、北大は27日午前、記者会見を開き、北海道警に刑事告訴した遺伝子病制御研究所の西村孝司元教授(60)らが研究費1600万円以上を車検代などに私的流用した疑いがあると発表した。


 発表によると、西村元教授は2004年度から07年度の4年間で、公的研究費や民間との共同研究費など計約4915万円で不正経理を行い、うち1600万円以上を車検代や高級腕時計などの購入費に私的流用した疑いがあるとしている。

 北大は西村元教授と、共謀して不正経理を行った疑いがある実験用試薬や器具の販売会社「関販テクノ」(札幌市)の社長ら計3人を6月に詐欺の疑いで道警に刑事告訴し、西村元教授を「懲戒解雇相当」とする処分を決定した。西村元教授はその後、北大を辞職し、退職金の受け取りも辞退した。北大によると私的流用について西村元教授は否定し、「関販テクノ」は認めているという。



http://mainichi.jp/select/news/20131228k0000m040122000c.html
北大:元教授「預け金」1600万円流用 腕時計など購入
毎日新聞 2013年12月28日 00時30分(最終更新 12月28日 03時07分)

 公的研究費など約4億8000万円を業者に管理させた「預け金問題」で、北海道大(札幌市北区)は27日、遺伝子病制御研究所の西村孝司・元教授(60)が高級腕時計(20万円相当)などの日用品購入に少なくとも1600万円の研究費を私的流用していたと発表した。

 北大によると、西村元教授は2004年度から4年間、公的研究費など計約4915万円を取引業者3社に預け金として管理させた。この中から、高級腕時計代のほか、マイカーの車検代やタイヤ購入費など研究とは全く関係のない代金に流用したとみられている。

 また取引業者「関販テクノ」(札幌市東区)は私的流用した代金支払いに10〜20%のマージンを上乗せし、不当な利益を得たとしている。北大は6月中旬、西村元教授と同社社長ら3人の計4人を詐欺容疑で道警札幌北署に告発している。

 他に教員42人も、架空発注で捻出した預け金で備品を購入するなど不適切な経理処理をし、停職などの懲戒処分を受けている。【千々部一好】



http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312170267.html
研究者の倫理研修義務化を提言 不正防止で日本学術会議
2013年12月17日19時40分 朝日新聞

 研究者によるデータの不正操作や研究費の不正使用を受け、日本学術会議(大西隆会長)の検討委員会は17日、不正の防止や対応について提言をまとめた。年内に正式に公表する。

 防止策としては、研究費の申請などの際に、研究者や大学院生への倫理研修の受講の義務化を挙げた。研修に盛り込む行動規範には、データの記録保存の徹底、改ざんや盗用に加担しないことや、利益相反への注意などを列挙。研修プログラムの作成は、学術会議が学術団体などに呼びかけて進める。

 不正の疑いが判明したときに、研究者が所属する大学や研究機関が調査のために設置する第三者委員会は、半数以上を外部の有識者とすることを求め、調査が不十分なら、この調査委とは別に各分野の学会などが第三者機関を設置して調査し、改善措置の勧告などを出すよう求めた。

 検討委は今年7月、高血圧治療薬ディオバンをめぐる論文で不正なデータの操作の疑いを受けて設けられ検討作業を進めていた。



http://biz-journal.jp/2013/12/post_3702.html?utm_source=nikkan&utm_medium=red&utm_campaign=ctr
東大、パワハラで13人辞職、予算不正利用の疑いで調査委員会発足~事業利用者から苦情も
2013.12.25 BUSINESS JOURNAL

 今年7月に秋山昌範教授が東京地検特捜部に逮捕されたばかりの東京大学政策ビジョン研究センター(城山英明センター長/以下、研究センター)で、別のスキャンダル話が勃発し、研究センターは対応に追われている。

 舞台は研究センターの事業の一つ『市民後見研究実証プロジェクト』(以下、後見プロジェクト)だ。「アメリカで市民後見のあり方を研鑽してきた」との触れ込みで、民間シンクタンクであるニッセイ基礎研究所から東大医学部を経て研究センターの特任助教に09年に就任した宮内康二氏が、この問題の中心人物である。

 この外部から招聘された宮内氏が、研究センターや業務団体である「一般社団法人 後見人サポート機構」(以下、サポート機構)にて一緒に働く同僚、部下らに対し、怒鳴り散らすばかりか、無能呼ばわりを繰り返し、辞職に追い込んだケースが4年間で13人にも達した。その退職者の中には鬱状態になり、自殺未遂にまで追い込まれた人もいるという。

 筆者の取材で明らかになったのは、宮内氏の異常なまでの徹底したパワーハラスメント(パワハラ)と、宮内氏が「中心となってすべてを取り仕切っていた」(サポート機構関係者)という市民後見セミナーが極めて独善的で質が低いと評価されていること、そして研究センターおよびサポート機構の予算を不正に利用して研究経費や出張旅費を水増ししていたのではないかとされる疑惑だ。どれも看過することのできない、重大な問題である。

 事実関係を退職者などから確認するべく、筆者は東大の複数の教授を含め、関係者に取材を申し込んだ。個別の回答には差はあれ、おおよそ「現在調査中であり、詳細についてお話しできる段階にない」とし、また「東大としては被害者のプライバシー保護のためにパワハラやアカハラについて外部にお話しできない」などと一様に口が重い。

 しかし、宮内氏を東大に呼び込むこととなったニッセイ基礎研究所との共同研究に携わった医学部教授は、筆者の取材に対し、匿名を条件に次のように答えた。「一番の問題は、明らかな証拠があり、被害者がいて、後見プロジェクトに協力してくれた自治体からも苦情が上がっているにもかかわらず、証拠不十分として宮内氏への処分を保留する東大のコンプライアンスに対する意識の乏しさです」

 実際、東大本部のコンプライアンス担当である大和裕幸教授にもメールで取材の申し込みをしたものの、本件での回答はなかった。

●発端は秋山教授逮捕の詐欺事件

 周辺の関係者の証言を総合すると、きっかけはやはり冒頭の東京地検による秋山昌範教授の逮捕だ。すでに報じられている通り、秋山教授にかけられた嫌疑は医療情報プロジェクト等で架空請求を東大に対して行った詐欺容疑である。しかし、東京地検の意気込みとは裏腹に、被害に遭ったはずの東大は秋山教授に対して被害届を出すどころか、いまなお研究センターの一員として秋山教授をサイトに掲載している。つまり、逮捕されても東大は公式に被害を訴え出ておらず、処分も行っていない。

 東大の関係者は「秋山教授から出た研究成果は一定の品質であり、支払った研究費に見合う成果が出ている以上、当局がもくろんだような一方的な断罪を東大としてはできない」と説明する。「研究費用の使途には問題はあったが、それは学内で処分するべきことであって、詐欺容疑のような当局介入の事件とするにはハードルが高すぎた」というのが東大関係者の一致した見解のようだ。

 また、秋山教授を知る別の教授も「彼は舌鋒鋭くさまざまな批判を周囲に対して行うので、学内だけでなく医療業界全体で敵が非常に多い。助教や事務員の扱いもぞんざいで、一匹狼のような人間性であったが、研究者としての評価はやはり高く、医療とICTの分野では相応の研究を続けていた」という。

 これは秋山教授に相応の研究実績があったため、大学としても判決を待って最終的な処分を検討するという「保留」の側面がある一方、今回の宮内氏については「処分方針が定まらず、混乱が見られる」(関係者)という。

 一連の話から浮かび上がってくるのは、東大自体の活動に対する適正な監視が行われていないという現実だ。今回、宮内氏の問題が明るみになったのも、前出の秋山教授の事件が発生し、東大の風紀是正を求める一部の関係者が監査を強化して東大内、研究センター内での研究活動の洗い直しを行っていた。その過程でパワハラの被害その他の訴え出があったことが判明したからである。財産を守る後見制度を立案する以前の問題といえよう。そして、この件は今年8月ごろ大学当局の知るところとなって、後見プロジェクトおよび宮内氏に関する調査委員会が研究センターで立ち上がった。

 しかし、どうもそこからの動きが鈍い。双方から事情聴取をしたが、当局に介入された秋山教授の事件で懲りたのか、うやむやに済ませたいという姿勢が垣間見える。

 パワハラで退職に追い込まれた被害者の声は悲惨だ。人格の否定や退職の強要といった、典型的なパワハラの行為が見られ、口頭や電話だけでなくメールによる同行為の記録も多数残っており、一連の調査委員会に提出されている。調査委員会に呼び出された宮内氏は「(退職に至った職員は)業務を遂行するに足る能力を持たなかったため、強く指導を行ったまで」であると説明しているという。もちろん、一般社団法人が雇用契約を交わしている被雇用者が相手である以上、しかるべき手続きを踏まなければ、これは違法解雇であることはいうまでもない。

 宮内氏のパワハラ被害者は東大の調査委員会での処分の結果を待ってから、同氏に対する刑事告訴を検討しているという。

●予算不正利用疑惑も

 しかし、実はパワハラだけが問題ではないと指摘する関係者は多い。もともと後見人サポートを実行するために社団法人であるサポート機構が東大の中に設置されたのだが、そこの資金の使い道に不明朗な点が複数発見された。東大や協力する自治体からの資金もそこに流れており、その資金の扱いを取り仕切っていたのが渦中の宮内氏というわけだ。

 実際に、宮内氏の市民後見人養成講座出席者からの反応は、まったく芳しくない。サポート機構などに寄せられた反応は

「東大公認の講座だというので喜んで参加したが、一方的な内容で実務面のフォローが乏しく、まったくの時間の無駄であった」
「弁護士、司法書士等専門職後見人、行政、社会福祉協議会に対する批判ありきの講座」
「認知症、精神障害、知的障害に対する見識が皆無と言ってよい宮内先生の解説は、単に事例を興味本位で扱い、面白おかしく取り上げているにすぎない」

などと、どれも一様に手厳しい。

 実際に市民後見で既存のNPOで活動している受講生に対して「本件講座を受講したことをきっかけに、市民後見活動を行う(新たに)NPOを設立しないと修了とならない」と宮内氏は講座内で説明したという。市民後見を実施するのにNPOを新設する必要など皆無であるにもかかわらず、「受講当初からNPOの設立とNPOによる市民後見活動を目的としていない受講生に対しても、半ば強制的にNPOを創設させようとするものであった」ようだ。

 これらの活動を、東大というブランドをかぶりながら地方自治体向けに市民後見人養成講座などと称して実施している背後には、カネの問題が付きまとう。予算や経費の支出に厳格な規定がある一方、その外部団体であるサポート機構には、それらの規定は未整備で連動していない。宮内氏はこれを利用して、交際費や高額な飲食費、タクシーなどの利用についてはサポート機構の予算を流用するようメール、口頭で部下に指示をしている。

 また、宮内氏は東大から特任助教として然るべき報酬が支払われているにもかかわらず、サポート機構との兼業規定が宮内氏に設定されており、サポート機構からも「時給1万円」という極めて高額なアドバイザー費、書類作成費を宮内氏自らに支払う仕組みをつくり、給与の二重取りをしたとされる。宮内氏が取り仕切る東京大学の後見プロジェクトそのものが宮内氏個人による不正の温床となっており、事態を問題視した職員を切り捨てるというパワハラ的行動に出たと推測できる。

 そして何より、市民後見人制度は、これから超高齢化社会を迎える日本では非常に重要な制度であり、これに対する研究は同じく高齢化を迎える諸外国に比べてもやや遅れている。弁護士や司法書士など専門家後見人よりも柔軟に、きめ細かな対応ができることから、制度の整備や後見のノウハウの蓄積など研究が必要な分野だ。そんな社会的にも重要な研究領域であるにもかかわらず、政策推進や研究・啓蒙活動の中心組織でパワハラがあって処分も進まないのでは、弱者たる高齢者の権利が守られることは難しいのではないか。

 東大関係者は吐き捨てるように言う。

「東大に限らず、学問の世界で研究に明け暮れてきた人々は外の世界を知らない。アカハラ、パワハラは歯止めが利かず日常茶飯事だ。大学の中のことしか知らないので、外から問題児が来ても、さっさと処分することもできない。コンプライアンス重視と口では言えても、なかなか抜本的な対策は難しいのではないか」

 上記の問題について、筆者は宮内康二氏に取材の申し込みを行ったが、返答を得ることはできなかった。
(文=神田桂一/ライター)



http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131126/waf13112620320036-n1.htm
「慣習としてやった」不正経理1600万円 京大、霊長類研准教授を停職2カ月
2013.11.26 20:30 [westピックアップ] 産經新聞

 京都大は26日、平成16~20年度に架空の発注による「預け金」など計約1600万円の不正経理があり、すでに退職した教員を含めて5人が関与していたと発表。このうち現在も在職している霊長類研究所の50代の准教授を同日付で停職2カ月の懲戒処分とした。

 同大によると、准教授は16~20年度、架空の発注によって代金を取引業者に管理させる「預け金」と呼ばれる手口で、計約520万円を不正に支出。ほかの4人も同様に公的研究費などを不正に支出したが、すでに退職している。預け金はすべて研究に必要な物品の購入にあて、私的流用はなかったとしている。

 関与した5人は、いずれも不正経理の事実を認めており、「研究のためにやむをえなかった」「慣習としてやった」などと説明し、謝罪しているという。

 同大は「国民と関係機関の皆様に深くおわびする。不適切な経理の根絶に向けて全学をあげて取り組む」としており、利息に相当する金額を含めて5人に返還を求める。



http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20131228/news20131228321.html
松山圏の2次救急守れ 開業医ら休日昼診療協力
2013年12月28日(土) 愛媛新聞

 松山市医師会は27日、松山医療圏の2次救急医療で医師不足を緩和するため、市内2カ所の救急病院で、外科系開業医らが休日当番日の昼間診療に協力するモデル事業を2014年1月から始めると発表した。市医師会の村上博会長は「松山圏の2次救急は盤石と思われがちだが、実際はぎりぎりの状態。体制維持に努めたい」としている。
 市医師会や市保健所によると、中予6市町などから入院や手術が必要な急患を受け入れる松山圏の救急病院は02年度に18あったが、現在は14。12年11月には1病院が外科系医師不足などを理由に深夜帯(午前0時~8時半)を辞退した。市医師会は対応を検討、救急病院にニーズ調査をしていた。



http://www.huffingtonpost.jp/mric/post_6548_b_4511324.html
専門職自律の確立、実は「徴医制」
健保連大阪中央病院 顧問 
平岡 諦
2013年12月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 
投稿日: 2013年12月28日 20時58分 HuffPost Japan

日本学術会議は、本年(2013年)8月30日、「全員加盟制医師組織による専門職自律の確立-国民に信頼される医療の実現のために」というタイトルの報告書を公表しました。法律によって「全員加盟医師組織」を作り、「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」を確立し、「国民に信頼される医療の実現」を図ろうとするものであると謳っています。しかし、狙っているのは、「医療を崩壊させないために」、「専門医を含めた医師の地域・診療科による偏在を是正する」ための、全員強制加入で懲罰機能を持たせた新医師会制度(いわば「徴医制」)といっていいでしょう。その内容は拙論(1)で予想した通りのものです。

報告書では、「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」という言葉の誤魔化しによって、本来の狙いを隠しています(日本の科学者が集まって作成 した報告書ですので、この言葉の理解の無さによるとは考えがたいので、判った上での誤魔化しでしょう)。本来の狙いを明かすためには、この誤魔化しの構造を明らかにする必要があります。そのために、「自律(autonomy)」という言葉、「プロフェッショナル・オートノミー(professional autonomy )」という言葉、その本来の意味を確認していきます。
 
まず「自律(autonomy)」の意味です。ご存じのように、これはカント(Immanuel Kant, 1724-1804)の造語です。カントは、神に近付くための、自己規制(self-regulation)による本能からの自立 (independence)、これを自律(autonomy)と呼びました。自律こそが動物と違う人間らしさ(humanity)であり、神に近づき得る自律こそが人間に尊厳(human dignity)を与えるとしました。自己規制の無い自立は単なる自立、自立の無い自己規制は単なる自己規制、どちらも自律の概念には当たりません。自己規制と自立を、コインの裏表のように分けることができないものと見るのが、カントの自律の概念です。

カントの自律の概念は、個人だけでなく、組織(法人のような個人とみなせる組織)にも適用することができます。適用するには第一に、組織の目的達成のため に、「何からの自立(independence)が必要か」を明らかにすること、そして第二に、「自立に必要な自己規制(self- regulation)システム」を構築すること、この二点が必須となります。「何からの自立(independence)が必要か」を明らかにしていな い組織は、自律していない組織であり、自律していない組織の自己規制システムは、単に強制のための懲罰(処罰)システムにすぎません。

次に、「プロフェッショナル・オートノミー(professional autonomy )」の意味です。ナチス・ドイツでのホロコーストに多数の医師が関与していたことを反省して、世界医師会は「患者の人権擁護」のための方策を考えてきまし た。そして、「患者の人権擁護」のためには患者、医師、医師会、それぞれの自律が必要だとして、patient autonomy(患者としての自律)、clinical autonomy(個々の医師としての自律)、professional autonomy(医師会としての自律) と呼んでいます(括弧内は筆者訳です)。

まずpatient autonomy(患者としての自律)の内容です。医師に「お任せの医療」から患者の「自己決定の医療」(すなわち、医師からの independence)に変わったのは、患者が自身の人権を守るためです。いろいろ考えた(self-regulationの)末での自己決定です。 つぎにclinical autonomy(個々の医師としての自律)の内容です。「患者の人権擁護」のためには、医師が「患者第一;To put the patient first」を考えた(self-regulationの)末での診療を行う必要があります。そのためには「第三者の意向からの自立 (independence)」が必要です。自立していなければ、第三者の意向を優先させて、患者の人権問題を起こすことになりかねないからです。最後に professional autonomy(医師会としての自律)の内容です。第三者の意向が強い時、個々の医師だけでは「患者の人権擁護」は難しくなります。そこで医師会は個々 の医師をバックアップする必要があります。そのためには、医師会も「第三者の意向からの自立(independence)」が必要です。また時には、第三 者の意向を介して、あるいは介さずに「患者の人権問題」をひき起こす医師が出現します。「患者の人権擁護」のためには、このような医師を教育、あるいは排 除するための懲罰(処罰)システム(a system of self-regulation)が必要になります。

以上の世界医師会の考えは各国の医師会に受け入れられて、「世界の常識」になっています。残念ながら日本医師会はprofessional autonomy(医師会としての自律)の考えを受け入れず、片仮名のプロフェッショナル・オートノミーを「個々の医師のself- regulation」の意味で使っています。

以上が、「自律(autonomy)」および「professional autonomy(医師会としての自律)」の本来の意味、「世界の常識」です。

本来の意味を確認したところで、報告書にもどります。報告書は全員加入の新組織を作って「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」を確立すると言っています。しかし、新組織が「何から自立(independence)するのか」、「何から自立(independence)する必要があるのか」を 示していません。これが新組織の在り方を変えてしまいます。自立(independence)を明らかにしていない組織は自律した組織ではありません。自律していない組織の懲罰(処罰)システムは単に強制のためのシステムとなります。その結果、新組織の狙いは、全員強制加入で懲罰機能を働かせるための新医師会制度(いわば「徴医制」)となってしまうのです。

報告書の中の「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」は、「個々の医師としての自律」を示しているようにも受け取れます。組織の自律を意味す るのか、個々の医師の自律を意味するのか、報告書は曖昧です(科学者が書いた報告書とは思えません)。いずれにしろ、個々の医師が「何から自立 (independence)するのか」、「何から自立(independence)する必要があるのか」を示していません。報告書(p.14)では、《 ■(医師の臨床上の判断の自由が)保証されていることが不可欠である」■》と言っています。第三者から保証されると言うことであれば、第三者からの自立 (independence)は有り得ません。社会から保証されることが不可能であることは後述します。

以上で、報告書の「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」が、世界医師会のprofessional autonomyとはまったく異なるものであり、カントの自律の概念にまったく当てはまらないものでることを示しました。このような「誤魔化した言葉の使 用」は本来の狙いを隠すためでしょう。このような「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」の使いかたは日本医師会も同じです。日本医師会も 「何から自立(independence)する必要があるのか」を示さずに(示せずに)使っています。その結果が医療不信、医療崩壊をもたらしていること は、拙著(2)で論じた所です。参考にしてください。

報告書の「専門職自律(プロフェッショナル・オートノミー)」がカントの自律の概念に当たらなくしている理由、すなわち本報告書の問題点の根本は、新組織 設立を必要とする、その第一理由(p.9)にあります。
第一に、医師が専門職として患者の利益を自らの利益の上に置き、専門職としての能力と倫理の水準 を維持し高めるために、専門職自律の原則に立って自己規律を行う全員加盟制医師団体を設立することは、国民にとって医療の質保証の基本的土台であり、これ は医師の「プロフェッショナル・オートノミー」として世界に普遍的な考え方である。

これが「世界に普遍的な考え方」でないことは、もうお判りいただけると思います。そうです、足りないものがあるからです。それは医師としての自立 (independence)、医師団体としての自立(independence)です。「国民にとって医療の質保証の基本的土台」として、ここに書かれている内容は必要なことです。しかし、「第三者の意向からの自立(independence)」を宣誓・宣言すること、すなわち「患者の人権擁護」を宣誓・宣言することが、最も必要なのに欠けているのです。「世界の常識」が最も重要とする自立(independence)が抜けているので、この考えは 「世界の非常識」となります。そして、カントの自律の概念とは異なるものとなるのです。

報告書の考えを「世界の非常識」にしている点を、もう一つ挙げます。それは、「オートノミー」の考え方についての補足の中に現れています(p.14-15)。
オートノミー(autonomy)という概念は、患者の側からも「患者のオートノミー」として主張され、ここでは患者の自己決定の尊重が医師の側にとっ ての倫理原則にならなければならない。このような理解に立ってはじめて、医師の専門職自律は社会的に承認されると考えられる。

「患者の自己決定の尊重が医師の側にとっての倫理原則にならなければならない」、この考え方は日本医師会の医の倫理と同じで、「世界の非常識」です(上述の拙著参照)。「世界の常識」は「患者の自己決定(人権)の「擁護」が医師の側にとっての倫理原則にならなければならない」です。「世界の非常識」となっ ている理由の第一は、(医師という状態の)人間が、(患者と言う状態の)他の人間の人権を尊重することは当たり前のことです。患者の人権(自己決定)を無視すれば法律違反で罰せられます。当たり前のことは倫理原則になりません。第二に、単に「尊重」するだけでは「時には、第三者の意向を優先させる」ことが 起きて「患者の人権問題」になります。これでは「社会的に承認される」ことは考えられません。報告書(p.14)では、上述したように、基本的考え方の第一に《(医師の臨床上の判断の自由が)保証されていることが不可欠である」》を挙げています。しかし、「社会から保証される」ことは有り得ないのです。

「医師の専門職自律およびそれを担う全員加盟制組織の必要性」、その基本的考えがそもそも「世界の非常識」だと言う事です。

「世界の非常識」を基本的考えにして作ろうとしている新医師組織、その狙いは報告書の中には出てきません。隠されています。厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」(会長は高久史麿・日本医学会会長)の報告書の中でも、「新たな専門医の仕組みは、プロフェッショナルオートノミー(専門家による自律性)を 基盤として設計」するとしています。ここでも「何からの自立(independence)が必要か」ということは述べられていません。専門医の在り方を 「自律的に」決めようとするなら、本来は日本医学会が決めるべきです。それを厚労省の検討会で(すなわち、他律的に)決めようとしています。「プロフェッショナルオートノミー(専門家による自律性)」という言葉を、誤魔化して使っていることを意味します。

医療が崩壊すれば、社会から非難されるのは厚労省です。医療崩壊は現場からの医師の「立ち去り」から起きます。医療崩壊を起こしている(起こしそうな)現場に医師を強制的に張り付けるためにはどのようにすればよいか、厚労省は考えました。その一つが専門医制度を利用した「医師の偏在の是正」です(「専門医の在り方に関する検討会」報告書)。もう一つが官僚統制の強化が図れる新医師会制度です(日本学術会議からの報告書)。すでに日本医学会は法人化により日本医師会からの独立をきめました。これら一連の動きから考えられる新組織とは、「医療を崩壊させないために」、「専門医を含めた医師の地域・診療科による 偏在を是正する」ための、日本医師会から独立した日本医学会を中心とした、全員強制加入で懲罰機能を持たせた新医師会制度(いわば「徴医制」)と言う事に なります。

厚労省の下、日本学術会議、日本医学会、日本医師会、それぞれの上層部が一団となって、現場の医師の孤立を招く医療不信を利用しながら(3)、現場の医師 の官僚統制の強化を図ろうとしています。その手段は「専門職の自律(プロフェッショナル・オートノミー)」という言葉の誤魔化した使い方です。これに誤魔化されないことです。そして現場の医師として出来ることは何でしょうか。それは「患者の自己決定(人権)を尊重する」ことを当然のこととし、「われわれ医師は、患者の自己決定(人権)を擁護する」と宣言することです。個々の医師としても、それぞれの医師集団としても、「われわれ医師は、患者の自己決定(人権)を擁護する」と宣言することです。そうして初めて、社会から信用され、医療不信が解消し、官僚統制を撥ね退けることができるようになるのです。

ちなみに、日本看護協会の「看護者の倫理綱領」(2003年)は次のように宣言している。
第4条:看護者は、人びとの知る権利及び自己決定の権利を尊重 し、その権利を擁護する。第6条:看護者は、対象となる人々への看護が阻害されているときや危険にさらされているときは、人々を保護し安全を確保する。 (解説)対象となる人々の生命、人権が脅かされると判断した場合には、害を為さないために、疑義の申し立てや実施の拒否を行う。

これこそが「世界の常識」であり、世界医師会のジュネーブ宣言の第10項に相当する内容です。
ジュネーブ宣言;第10項:I shall not use my medical knowledge to violate human rights and civil liberties, even under threat. 私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や国民の自由を犯すために、自分の医学的知識を利用することはしない。

医師として、出来るだけ早く、看護者の倫理レベルに追い付きたいものです。

医療界の一連の動きの中心人物は高久史麿・日本医学会会長でしょう。今後は、ご高齢の高久史麿会長から若い金澤一郎・日本学術会議・元会長にバトンタッチ されていくようです。両氏の動向を見守って行く必要があります。本稿に対するご批判、ご意見など、また、動向に関する情報など、 bpcem721@tcct.zaq.ne.jpまで頂ければ幸いです。

(1)「日本医学会の法人化と、全員加入で懲戒処分機能を持つ新医師会構想」(2013.2.20. MRIC Vol.47.)
(2)「医師が『患者の人権を尊重する』のは時代遅れで世界の非常識」(ロハス・メディア、2013)
(3)「医療事故に係わる調査の仕組み等のあり方に関する検討部会『とりまとめ案』に対する反対意見」(2013.6.21. MRIC Vol.153.)

(※この記事は、2013年12月26日発行のMRIC by 医療ガバナンス学会 Vol314「「専門職自律の確立」、実は「徴医制(全員強制加入・懲罰機能を持つ医師会制)より転載しました」



http://mainichi.jp/opinion/news/20131229k0000m070102000c.html
社説:診療報酬改定 安心できる医療体制を
毎日新聞 2013年12月29日 02時40分 毎日新聞

 医療費が増える要因は高齢化と医療技術の革新だ。わが国は民間の医療機関が多く、診療報酬は個々の検査や治療や医薬品ごとに値段を決める出来高払い制を基本にしている。治療や投薬をやればやるほど医療機関の収入が増えるわけで、高齢者数が増えていく中で医療費の膨張に歯止めを掛けるのは容易ではない。

 来年度予算の焦点だった診療報酬改定は、医療機器などを仕入れた際の消費税負担への特別措置として当初は1.36%上げることになっていた。しかし財務省などの抵抗で抑制へと傾き、結局は0.1%の微増となった。特別措置分を差し引くと実質的には1.26%減になる。大幅増を求めていた医療現場からは反発も聞かれるが、診療報酬が1%上がれば医療費は4000億円増え、企業や個人が払う保険料や窓口負担が重くなる。消費増税に加え所得税や保険料も上がることを考えれば、この程度の抑制は当然であろう。財政規律や経済成長を考えればもっと削減すべきだという意見は強い。

 ただ、小泉政権時代から4期連続して診療報酬が下げられ、地方を中心に病院や診療科の閉鎖が相次いだことを考えると大幅削減には賛成できない。今や病院閉鎖は都市部でも起きている。平均して75歳を過ぎたころから受診機会は増える。首都圏をはじめ都市の高齢者人口は急激に増えており、早く対策を取らないと大変なことになる。

 医療費総額を抑えながら医療供給体制を整備するには、年明けから始まる診療報酬の配分が重要になってくる。救急、小児科、産科などの勤務医不足は以前から問題になっている。また、高齢者については疾患ごとにいくつもの診療科で受診するのではなく、地域のかかりつけ医が複数の慢性疾患を診る方向へ重点配分すべきだ。看護や介護も含めた「地域包括ケア」の拡充も急務だ。高齢者の在宅医療は現行の出来高払い制を見直し、包括的な報酬体系にすることも検討すべきではないか。

 診療報酬とは別に医療提供体制の改革のために900億円の基金が来年度予算案に盛り込まれた。都道府県ごとに病院や診療科の偏在を是正するには地域の医師会の協力が欠かせない。巨額の債務を積み増しながら医療に予算をつぎ込むことの意味を忘れないでほしい。

 世界で最も高齢化が進みながら国民医療費は低いのが日本の医療の良い点だ。持続可能な医療体制を構築するためには、高度医療機器の過度な普及や、軽い風邪でも大学病院で受診できる過剰な利便性について見直すことも必要だ。安易に医療に依存するのではなく、医療にしかできないことは何かを真剣に考えたい。



http://www.huffingtonpost.jp/yoshiomi-unno/post_6547_b_4511772.html
東京大学でパワハラ問題、論文捏造... ガバナンスを締め直し再出発して期待に応えよ
東京大学関係者  海野吉臣
投稿日: 2013年12月28日 23時17分 HuffPost Japan

■ 問題が続発する東京大学では何が起きているのか

 東京大学が続発する不祥事で揺れに揺れている。

 故・山崎豊子女史の名作小説『白い巨塔』が鋭く医療業界の暗部を抉り、組織と権力の構造に悩む人たちの共感を呼び評判になったことは読者の多くが知っているだろう。小説だけではなく、テレビドラマや映画にもなった。

 舞台は大学医学部の附属病院であり、とても1960年代の作品とは思えないほど、現実の医局の状況にとてもよく似ている。どうも閉鎖的な仕組みは往々にして同じような状況を生み出すものらしい。別に、人間誰しも腐敗したくて腐り切るわけではない。ただ腐敗する個人は、個々の心に持つ倫理観と相互チェックによる自己規律を欠く環境があるからこそ発生する。

 東京大学の場合、一医学部の問題だけではない。国から支給される平成25年度の科学研究費助成事業(いわゆる科研費)だけで232億円あまり、自治体・研究助成財団等学外からの寄付や共同研究、ファンドからの繰り入れ等も含めれば研究予算だけで500億円の大台を超える。そこに、教授以下研究に従事するものが千名以上、それを支えるスタッフもまた千名という、まさに日本に冠たるブランドと実態を備えた国内学問の頂が東京大学なのだ。

 しかし、このところ信じがたいようなスキャンダルに立て続けに見舞われている。

 改めて蒸し返された分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授の捏造論文は51本におよび、16年間で国から支給された研究費を30億円返上する話になっている。加藤元教授の論文に不審な点があることは、それこそ研究開始当初から東京大学の心ある研究者の間では周知の事実になっていたが、意を決して告発を行った研究者が逆に査問を受けて東京大学を追われるという事態に陥り、文字通り問題に蓋をされて、体制是正の仕組みは働かなかった。

 東京大学本部の肝いりでスタートした政策ビジョン研究センターでは今年7月に外部招聘の秋山昌範教授が医療ICT方面の研究費詐取の疑いで東京地検特捜部に摘発されるという事態に発展した。東京大学内でも調査委員会が立ち上がったが、結局支出した研究費に見合う研究成果は提出されているということで処分は見送り、2014年の教授任期満了と共に秋山氏の退任ですませ、処分を行わない方針になっている。

 そして、同じく政策ビジョン研究センターでは、市民後見プロジェクトのプロジェクトマネージャーとして起用されていた外部招聘の特任助教・宮内康二氏が重篤なパワーハラスメントを行い、3年間で17名の職員が退職に追い込まれた。研究費用の着服も含めた不正使用が明るみに出て、これもまた調査委員会が立ち上がるなどの問題を起こしている。

 一連の問題は、どれも東京大学医学部が係わり合いを持ち起きた問題だが、外部に漏れ問題を指摘され調査委員会が立ち上がり処分を検討するという泥縄的対応に発展する主たる理由は、東京大学の執行部のコンプライアンスが機能せず立ち行かないことだ。


■パワハラで職員17名の退職者を出した政策ビジョン研究センター

 加藤教授の論文捏造や秋山教授の摘発はすでに多数報道されているのでそちらでご覧いただくとしても、市民後見プロジェクトの問題は、もちろん東京大学内部の処理だけでは済まない。プロジェクト遂行のために一般社団法人『後見人サポート機構』まで立ち上げ、東京大学とは本来無関係のNPOその他団体を巻き込んだり、高齢化対策に悩む地方自治体とも連携して活動資金を確保している。東京大学が選任したプロジェクトマネージャーが、そこで活動していた職員に対しパワハラで人格否定を繰り返し、退職を強要して精神的に失調をきたして療養を余儀なくされる者や、自殺未遂者まで出したというのは尋常ではない。

 その宮内康二氏は、もともとは老年学の専門家としてニッセイ基礎研究所に所属しており、共同プロジェクトとして東京大学医学部から特任助教のポジションを与えられて市民後見の普及、啓蒙を行う役割を担っていた。しかし、プロジェクトに従事している東京大学政策ビジョン研究センターの関係者や社団法人の職員から、パワハラについての苦情、告発が本部に寄せられ、実際に退職者を出している。

 この告発があった時点で、海外の研究機関では即日出勤停止になる事案だ。

 しかも、市民(成年)後見人制度というのは極めて日本社会にとって喫緊に取り組まなければならない重要な問題のひとつだ。高齢化が急速に進む我が国にとって、老人がその経年的な判断力の低下と共に社会性を一部喪失し、詐欺や強引な営業といった犯罪のターゲットになりやすい。しかし、問題が起きない限りなかなか専門家である弁護士や司法書士を雇うこともむつかしい。よって、健全かつ善良な判断力を有する国民の協力を得て、これらの老人がみだりに不利益を蒙ることのないよう地域や親族に然るべき知識を持ってもらい、国民に安寧な社会生活を送れるよう契約その他の周知、啓蒙、充実へと導くのが市民(成年)後見人制度である。

 何しろ「振り込め詐欺」や「リフォーム詐欺」といった犯罪の餌食になりやすいだけでなく、財産管理や一般的な納税その他の作業さえもままならない認知症の高齢者は2012年時点で約462万人、さらに予備軍が推定400万人と言われる。裁判所が認める後見人の大多数はこれらの高齢者の親族だが、これがまた曲者で、往々にして相続前の財産横領といった問題に事欠かない。相続権を持つ親族のほうが、第三者よりも実は老人にとって危険な場合があるのだ。倫理観を持った第三者の成年後見人が必要とされ、地域支援をしているNPOは幾つも立ち上がっているが、とても足りているとは言えない。

 そのような重要政策を具体的活動に結びつけ、地域活動と一体となって制度の普及啓蒙の推進母体となるべき役割を担っている東京大学は、少なくとも現在は日本のトップクラスのエリート教育の場となっているという信頼があるからこそである。

 高邁な精神と理想があっても、現実に行われている調査委員会での報告内容はお粗末の限りだ。地方自治体での後見人育成講座での受講者評価は悪く、宮内助教の独断で作成された後見人育成関連のカリキュラムは決して質の高いものではない。内容をチェックし、然るべき講座内容へ質的担保を指導できなかった東京大学の責任は重い。そして、明るみに出たのは社団法人勤務の女性研究員S氏と不要不急の同伴出張を複数回行うなどのカラ出張や経費の水増し、2012年度末には規定にはない法外な報酬を宮内氏自身とこの女性研究員S氏に支払った実態だ。もちろん、この報酬は横領の疑いが強いことは言うまでもない。

 これらの問題は、研究費詐取の容疑での秋山教授逮捕を契機に、一部の関係者の調査によって発覚したものだと言われている。いままで充分な監査が行われてこなかった中で、体制の締め直しを行った結果発覚した不祥事であり、ようやくチェック機能が働き始めたということには、一定の評価はできよう。ただ、問題の中心人物である宮内康二氏の処分はまだ行われておらず、退職に追い込まれたパワハラ被害者の救済もなされていない。民間企業であれば、とっくに刑事告訴され裁判沙汰となって、企業側は多大な慰謝料の支払いを余儀なくされているだろう。

 そして、パワハラがプロジェクトマネージャー一個人の資質の問題であったとしても、政策的に重要な課題である市民後見人制度の研究までもが東京大学の判断で中止されるとなると、東京大学の過失による社会的責任は重い。コンプライアンス的には、当然問題となった人物だけを処分するのが筋で、新しい然るべき人物とプロジェクトの巻き直しを東京大学が責任もって関係者に説明し納得させてこそ問題が解決され得るはずだ。しかし、現実には学内がこれだけの大騒動に陥っておきながら、問題を起こした人物への処分はなかなか進まない。

 確かに重要政策の研究を行っていたチームでの不祥事は深刻だ。
 しかし、これらは恐らくは氷山の一角であって、東京大学全体の抱える風土の問題は根深い。


■ 東京大学はマネジメント体制を整備し、期待に応え再出発を果たせ

 現状での東京大学の病理は、突き詰めればチェックが働かずコンプライアンス改善のためのインセンティブが働かない部分にある。一部には濱田純一総長の責任を問う声も東京大学内に聞かれ始めたが、正直なところ研究機関のパワハラ問題は私が知る限り20年以上前からずっと続いてきていた。研究チームを率いるにあたって、自分が一番偉い権威ある学者だと自認している人が、大学当局のマネジメントをすんなり受け入れるはずがない。

 その結果、外の世界をほとんど知らない研究者が、より若い人たちを率いてタコツボ化している図になり、その研究室やプロジェクトでどのような問題が起きているのか、東京大学が組織として把握、改善する方法が存在しないのだ。だから、一連の監査においても問題発見の基点となるのが本部に寄せられた若手研究者や職員からの苦情であり、それさえも、本部が手を突っ込んで調査をしようとすると教授陣からは妨害と見て調査に協力的ではない。そして、早期に手を入れていれば問題は解決していたはずが、何年も処分を先延ばしにした結果として、大量の捏造論文や、大勢の職員のパワハラ退職が発生するのだ。

 然るべき研究環境や待遇を与えられていない研究者からの苦情や告発があったとしても、これを汲み上げて解決を促す仕組みが東京大学という巨大組織の中にはマネジメントとして存在していないことに他ならない。そして、上がってきた告発の大多数は、行うべき調査も関係者の処分も行われることのないままに放置され、問題はその教授や関係者が行動を自主的に改めない限りずっと継続していくのだ。下手をすると、謂れのない指導教官からの圧迫や見逃せない不正を前にして苦しんで通報してきた若者たちを、むしろ我慢の足りない問題児として門前払いしたり辞めさせたりするようなことさえも起き得る。

 国立大学法人化後は、当時の東京大学総長であった佐々木毅氏が東京大学広報誌『淡青』でその高い理想を掲げた精神を書き記している。それはまさに「世界最高水準の研究教育の実現」だ。目的を達成するためにガバナンスを徹底するため総長以下執行部の権限は強化されたはずだが、濱田総長は充分なリーダーシップを発揮しているのだろうか。役員の間で迅速に情報を共有し、学内が一体として課題に取り組む体制を整備しているのか。役員名簿を見ると、やたら多数の副学長や副理事、顧問の名が並んでいるが、誰がどの問題を管轄しているのかはっきりしないままに為すべき業務が重複するところも多い。同じ問題への解決を、複数の役職にいる人物が進めようとし、職員がどの命令を聞いて実行すればよいのか分からないといった組織上の問題を解決していかなければならない。

 結局、巨大組織の通弊として、マネジメントが行き届かず、異様に効率の悪い仕組みのままになっている。そこへ膨大な科学研究費が国家から落ちてきて、それを教授陣や研究室が縦割りで奪い合うという構図にメスを入れない限り、東京大学は現場で支える若手研究者や職員から疲弊していくことだろう。パワハラや研究費の不正利用に限らず、東京大学本部に寄せられる学生諸君や研究者、職員からの申し出はどれも真剣なものだ。これへの充分な組織的ケアが東京大学の中でしっかりとできているのだろうか。

 東京大学で行うべきことは、問題の発生とそれへの批判を真摯に受け止めるだけでなく、チェック機能の充実と問題発見の兆候である内部からの相談、苦情、告発に対して解決を推進すること、そして告発者を保護する仕組みの徹底だ。海外の大学事情と現状の東京大学をそのまま比較するべきではないが、研究の世界で生きてきた教授にそのまま大学全体のマネジメントを担わせても、そのようなトレーニングを積んでいない以上は機能しないのも当然のことだという最低限の理解から積み上げて、合理的にどのように改善していくのか早急に検討しなければならなかろう。

 この少子化の時代に、閉塞した日本社会の問題を解決に導く貴重な研究者の卵を、非効率で理不尽な組織の論理でみすみす使い潰すことなく必要とされるイノベーションを先導できるよう東京大学は努力しなければならないのだ。

 『白い巨塔』では、独善的で優秀な医師が、自らの癌で命を落とし物語は終わっている。しかし、現実の東京大学で起きている事態は深刻だ。矛盾を解消する力もなく、各々の狭い世界で権勢を奮うミニ君主が野放図のまま鈴なりになっているという、終わりなき悲劇になっていることは、良く理解しておかなければならない。



http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20131228_11
看護師、追加で定員確保 県立病院、今後の対策急務
(2013/12/28) 岩手日報

 7~9月に行われた採用試験で定員割れが生じていた県立病院の看護師は、追加試験によって来春の定員確保にめどがついたことが県医療局への取材で分かった。看護師の定員割れはデータが残る1992年以降初めてだった。追加試験は50人の募集に対し72人の応募があった。最終的な採用数は流動的だが、退職者数との兼ね合いなどから2014年度必要な人数は確保されそうだ。

 追加試験は既に1次を終え、来年1月の2次を経て合格者が決まる。7~9月の試験では定員172人に対し128人が受験。121人が合格している。

 医療局は定員割れを受け、追加試験では通常36歳未満としている年齢条件を40歳未満に引き上げた。Uターンにも照準を定め、県外で働く本県出身者に追加募集の案内を送った。被災地支援の志を持つ人向けに採用後3年間は原則沿岸部勤務とする区分も設けた。

 医療局職員課の菊池儀(のりお)総括課長は「今回の試験で門戸を広げた部分の効果の検証や研修体制の充実を含め、次年度の対応を今後検討していく」と課題を重く受け止める。



http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131227-OYT1T01259.htm
体内にメスの先端、手術中にとれた?…大学病院
(2013年12月28日11時37分 読売新聞)

 青森県弘前市の弘前大学付属病院で手術をした女性患者の体内に、使用したメスの先端部分が残っていたことが分かった。

 すでに摘出手術を終え、女性に健康上の被害はないという。

 同病院によると、女性は2005年、子宮筋腫の手術を受けた。12年に別の病院の検査で腹部に異物があることが発覚。異物は手術した際に使用したとみられるメスの先端部分で、同大病院は今月にメスを摘出した。手術中、何らかの衝撃で先端部分がとれた可能性があるという。

 女性とは和解しているといい、同病院は「手術後の確認を徹底し、再発防止を行う」としている。



http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/218435/
猪瀬氏に徳洲会の借り入れ先が浮上
2013年12月28日 11時00分 東京スポーツ新聞

 医療法人徳洲会グループから5000万円を受け取っていた猪瀬直樹氏(67)は都知事を辞職したが、これで終わったワケではない。焦点となっている5000万円に手をつけていた新たな疑惑が浮上し、立件の決め手となりかねないからだ。

 猪瀬氏に特捜部の手が及ぶ材料の一つは、東電病院の売却に奔走していた点だ。徳洲会は23区内への病院開設を狙っており、猪瀬氏に5000万円を渡す前に、その意思を伝えていたことが明らかになってきている。

 さらにもう一つ関係者の間でささやかれている疑惑が“別の借金”だ。徳洲会に近い関係者は「猪瀬氏が9月に徳洲会へ5000万円を返却する前に別の支援者A氏が猪瀬氏へ数千万円を貸し付けていたとの話が飛び交っている」と指摘する。

 猪瀬氏は5000万円を「(落選した場合の)生活のため。一切、手をつけていない」と選挙資金ではないと主張していたが、新たに別の支援者から借金していたとなれば5000万円の一部を都知事選で使った疑惑が出てくる。都議会の集中質疑で猪瀬氏は別の借り入れを否定していた。

 選挙運動費用収支報告書に記載されていない“裏金”は、公職選挙法違反に問われる。5000万円の返済が大幅に遅れていた点や貸金庫に入れたままで、出し入れする必要がないのに利用履歴に都知事選2日後と今年2月に不可解な履歴が残っていたことも説明がつく。特捜部が押収した際に帯封が解かれていたのも一部が使われていた可能性を示す証拠となる。

 特捜部は収賄と同時にこの別の借り入れ疑惑にも着目。

 猪瀬氏は辞職後、ツイッターで「しばらくは自ら深く反省し、静かに振り返る時間を持ちたい」とつぶやいたが、落ち着いて年末年始を送れそうにはない。



http://www.kobe-np.co.jp/news/miki/201312/0006600839.shtml
北播磨総合医療センター 産科の外来診療、1月6日から
2013/12/28 05:30 神戸新聞

 北播磨総合医療センター(兵庫県小野市市場町)は27日、産婦人科の外来診療を来年1月6日から始めると発表した。三木、小野両市の旧市民病院では2005年から産科が休診となっており、8年半ぶりの再開。既にある婦人科を産婦人科に名称変更する。


 加古川東市民病院(加古川市平岡町)から、西井弘・産婦人科部長と中野宏城・同科主任医長の2人が着任。月~水曜は西井医師が、木、金曜は中野医師がそれぞれ担当する。外来診療の受け付けは午前8時半~11時半(木曜は10時まで)。

 センターの全診療科数は30のまま変わらない。婦人科の入院は1月から、産科の分娩は3月から始める予定。同センターTEL0794・88・8800

(中川 恵)



http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/12/26/188316/
「英語論文、年間70本以上」が新要件、特定機能病院
池田宏之(m3.com編集部) 2013年12月26日(木) 配信

 厚生労働省は12月25日、「第9回特定機能病院および地域医療支援病院の在り方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)を開いた。特定機能病院の承認要件では、「年間100件以上」との案が提示された英語論文の件数は、委員から「多すぎる」との指摘を受け、「年間70件以上」でまとまった(資料は、厚労省のホームページ。「特定機能病院の更新制見送り、厚労省検討会」を参照)。厚労省は、新たな要件について政省令を改正し、2014年度の初めからの適用を目指す。

 前回の委員会で、質の担保に向けて根強かった特定機能病院の更新制導入については、「今後の検討事項」として明示されたものの、今回の変更には盛り込まれなかった。主導的な臨床研究や医師主導治験の数値目標については、臨床研究に関する法制度の制定を待って対応する方針。

 地域医療支援病院は、今回から救急受入要件として「2次医療圏の救急搬送件数を5%以上担うこと」が追加されたが、救急計画に位置付けられている医療機関については、都道府県知事の裁量で承認できる仕組みになっている。



  1. 2013/12/29(日) 05:38:59|
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