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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月15日 医療一般

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0FL1J020130715
英グラクソ 、中国で価格つり上げ狙い贈賄=公安当局
2013年 07月 15日 17:06 JST Thomson Reuters 2013 All rights reserved.

[北京 15日 ロイター] - 中国公安当局は15日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン が旅行代理店やコンサルタントを媒介者として政府高官や医師に賄賂を贈り、不法に価格をつり上げていたと公表した。

公安省のGao Feng氏は記者会見で、2007年以来同社が30億元(4億8880万ドル)を700余りの旅行代理店及び企業に送金していたことを明らかにした。

同氏によると、捜査によってグラクソが性的な賄賂も含めた贈賄に主に責任があることが判明した。同社の4人の中国人幹部が勾留されている。

公安当局は、英国人従業員に対しては何も措置は取っていないとし、グラクソの英国本社からは何の情報も受け取っていないと述べた。

グラクソは捜査の根拠について当局から伝えられたのは7月初旬だと明らかにしているが、中国での贈賄や汚職についての証拠は何も見つかっていないとし、当局の捜査には協力すると表明している。

公安省は11日、当局による初期の取り調べでグラクソの幹部が中国において贈賄と、税金に関する法律違反を犯したと話したことを明らかにした。同省によると、大勢のスタッフが関与し多額のお金が長期間にわたって動いており、政府高官や医師会、医療機関や医師らが贈賄の対象となっている。



http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013071500269
賄賂横行、外資系企業に警告=英製薬大手事件で20人拘束-中国
(2013/07/15-17:17)時事ドットコム

 【北京時事】英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の中国現地法人「GSK(中国)投資有限公司」が巨額贈賄容疑で中国公安当局の捜査を受けている事件で、同社中国人幹部4人を含め20人以上が拘束されたことが、15日付の中国紙の報道で分かった。国営新華社通信はGSK事件を「(製薬)業界全体の氷山の一角」と指摘。中国市場で外資系企業の賄賂が横行する事態に警告を発する異例の報道を行った。
 ◇各紙が特集
 15日付の中国メディアは新華社のほか、共産党機関紙・人民日報、新京報、京華時報などが一斉にGSK事件を特集で報道。各紙は12~14日、捜査本部が置かれる湖南省長沙市で、拘束中のGSK中国副総裁らを取材した。
 公安省は11日、「(GSK中国が)医薬品販売ルートを開拓し、販売価格をつり上げる目的で、政府当局者、医薬品業界の協会、病院や医師らに派手な賄賂攻勢をかけた」として捜査を進めていると発表していた。
 「共犯」とされる上海の旅行会社は、GSK中国の医療関係会議や研修を請け負ったが、同社幹部の指示を受け、実際の参加人数を水増ししたり、架空の会議をでっち上げたりした。2009年以降、2000万元(約3億2000万円)以上のリベートを、GSK中国の複数幹部に渡し、この一部が政府当局者らへの賄賂源になったとみられる。
 京華時報によれば、10年以降で約200万元のリベートを受け取ったとされるGSK中国副総裁は昨年、GSK中国が北京で当局の調査を受けた際、旅行会社からの25万元を賄賂として使ったという。また旅行会社も、GSK中国との関係を維持するため同社側に女性をあてがう「性賄賂」を繰り返した。
 ◇習指導部、事件を重視
 一方、中国の庶民は薬価の高騰に大きな不満を持っており、政府も解決に躍起だ。こうした中、同副総裁は「GSKの中国での唯一の収入源は薬品販売。巨額の裏金が薬価に転嫁され、コストがわずか30元の薬も最終的に患者の手元に渡る際には300元に跳ね上がり、(庶民が)ツケを払わされている」と語ったという。
 汚職に厳しい姿勢で臨む習近平指導部は、「公平な競争を壊し、腐敗を繁殖させる」(人民日報)としてGSK事件を重視しているとみられ、外資系企業も容赦しない方針を示した形だ。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03035_02
【寄稿】
チーム医療における信念対立を
思考ツールを用いて解明する試み

清水 広久(埼玉成恵会病院外科・救急科)
週刊医学界新聞 第3035号 2013年07月15日

真のチーム医療とは

 「チーム医療」が声高に叫ばれて久しいですが,皆さんの施設では,多職種間で本当の対話ができていますか? 共通言語・アルゴリズムという名の下,コメディカルが独自の視点を活かせていないのではないでしょうか?

 例外はあるものの,現状の「チーム医療」の大半は,医師がチームリーダーとなり,他職種はリーダーの考え(医学寄りの信念)の下,サポートに徹しているのが実際ではないでしょうか。コメディカル(この言葉自体が医師の中心性を示していますが)は医師の指示のままに動くだけで,多職種が集まる強みが活かされていないことが多く見られます。

 今までのチーム医療は,クラシックのオーケストラに例えられるような「同質性を前提としたチームワーク」,いわゆるMultidisciplinary Teamでした。このようなチーム形態は,心肺蘇生が行われるような超急性期医療においては効果的です。しかし,多種多様な臨床現場が存在する中,果たしてこのようなチーム形態だけで十分に役割を果たせるのでしょうか。

 めざすべきは,多職種がそれぞれの特性を活かしつつ,相乗的に協働してミッションを達成するチーム医療。それぞれのパートを活かして共通コードの上で臨機応変に対応していく,まるでJazz Sessionのような「異質性を前提としたチームビルディング」なのです。

信念対立の存在と,その解明のための考え方

 しかし,理想と現実の間にはギャップが存在します。それが職種間の「信念対立」という壁です。本来,多職種連携の強みであるはずの「視点の違い」が,時として障壁となり得るという経験は,皆さんにもありませんか?

 チーム医療においてよく見られる「信念対立」には,(1)治療方針をめぐる対立(患者の意向を尊重すべきか,専門医に一任すべきか),(2)チームリーダーをめぐる対立(医師であるべきか,看護師であるべきか,その他の職種あるいは患者か),(3)コミュニケーションの価値をめぐる対立(逐一報告か,個々の判断で報告か)などがあります。

 この対立を解消するために,しばしば会議の場が設けられます。ただ,声が大きい者(階層が上の者・議論に長けている者)が己の持論を展開し,相手を打ち負かし,結果的に現場は変わらないことが多々あります。

 しかし,それでは問題は解決しません。「話がまとまる」とは,決してそのような状態を指すのではなく,「望ましい未来を創造する」ことなのです。

 そのためには,論理的に物事を考えること,つまり"ロジカル・シンキング"が求められます。ただし,論理的に物事を解き明かしただけでは解決にはなりません。現場を動かしていくには,人間の心理・組織の力学にまで踏み込んでいく必要があります。

 重要なのは,「方法論」でなく「目的」から入り,それを共有すること。「望ましい未来を創造する」には,まず到達点(目的)を決め,出発点(現状)を見極め,そして最後に到達点までの経路(方法)を決めます。実際の現場では「きっかけは何?」「状況は?」「何のために?」「目的は?」といった問いかけをチーム内で絶えず繰り返すことで,共通の目的・現在の状況を共有し,そこから(確実な実践は存在しないため)"さしあたって"有効なやり方を探っていくことになります。

思考ツールを用いた問題解決

 筆者は,この思考過程への理解を深めるため,京極真氏(吉備国際大)の提唱する「信念対立解明アプローチ」を参考に,さまざまな思考ツールを組み合わせたワークショップを設計・開催しています。基本的な構成は以下のとおりです。

1)多職種の視点の違いを明らかにする
 Mind Mapを用いて多職種の「異質性」を明らかにします。Mind Mapは同時進行する複雑な思考・行動を表すのに適していると言えます。また,右脳も活用することから,行動に表れない水面下のスキルや思考経路を表現でき,本人たちも気付かない職種ごとの思考経路・視点の違いなどを表出するのに適しています(写真1)。

写真1 Mind Map
07151_20130716062817.jpg

ある症例について職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士・検査技師など)ごとにMapを記入。医師が臨床推論に基づく疾患の診断に関心が向くのに対し,看護師は「重症度と緊急度」を軸に思考を組み立てる傾向が見えてくることも。
2)問題の本質をとらえる
 対立の本質をとらえ,解決へ導くアプローチも学びます。既成概念にとらわれた方法論に終始するのではなく,例題を通して「問題を抱えているのは誰か?」「問題の本質は何か?」と問いを突き詰め,解決につなげていきます。思考法によってさまざまな解決の仕方がありますが,ここでは端的に例題で説明します。

例題)板チョコ5枚を,チョコが大好きな子ども4人に喧嘩しないように配るには,どうしたらよいでしょうか?
⇒ロジカル・シンキング:板チョコを1+1/4枚ずつ配る。
⇒ラテラル・シンキング:板チョコ5枚を湯煎で溶かし,4等分する。
⇒クリティカル・シンキング:板チョコを1枚ずつ,子どもたちに渡し,残り1枚は黙って自分が食べる。(問題の本質を「子どもたちがけんかしないこと」ととらえた回答)

3)信念対立解明のレバレッジポイントを見つける
 「共感マップ」(写真2)という「デザイン思考」(試行錯誤型アプローチで,問題解決のためのプロトタイプを作って即実施し,フィードバックにて改善していく手法)で使われるツールを用います。


写真2 共感マップ
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あるワークショップにて,NSTを推進する上での対立相手とされたのは,いつも「忙しい」が口癖の40代の消化器内科医。彼の趣味/趣向を明らかにし,「忙しい」の真の意味を探っていく。彼は内視鏡専門医だが,病院が小規模であるため,専門外の患者を診察しなければならず,サポートしてくれる同僚もいない。「忙しい」は単純に「仕事が多い」のではなく,組織内で他者と連携がとれない苛立ちや不安の表れだった。それがわかると彼への見方も変わり「サポート体制の改善」から始めようという意見が上がった。
 ワークショップでは,問題のステークスホルダー(チーム医療を推進する上で対立する相手で,上司,同僚,他職種など多様)を設定。彼/彼女が「何を見て」「何を聴き」「何を考え・感じ」「何を言っている」かを事実・想像の両面から抽出します。また「痛み(苦手・苦痛)となるもの」「望んでいるもの」なども描出していきます。こうして掘り下げていくことで「共通・共感する想い」などを見いだし,解明につなげます。



 現場の対立を解明していく作業は,個々のスキルアップだけでは限界があり,施設全体の"文化"を変えていく必要があります。受講者からは「今までの自分の考えがいかに固定観念にしばられていたかわかった」「多職種によるチーム医療の見方が変わった」「臨床現場での問題解明に役立つ」などの感想が寄せられており,こうした取り組みが,"草木を育てる"だけでなく,いずれは"土壌(Social Field)から耕す"教育につながればと考えています。

◆参考書籍
・奥出直人.デザイン思考の道具箱――イノベーションを生む会社のつくり方.早川書房,2007.
・京極真.医療関係者のための信念対立解明アプローチ: コミュニケーション・スキル入門.誠信書房,2011.
・酒井穣.これからの思考の教科書――論理・直感・統合 現場に必要な3つの考え方.ビジネス社,2010.
・ゼックミスタ EB,他.クリティカル・シンキング(入門編).北大路書房,1996.同(実践篇).北大路書房,1997.
・吉澤準特.ビジネス思考法使いこなしブック.日本能率協会マネジメントセンター,2012.

清水広久氏
1996年東京医大卒。2006年より現職。「U理論」アドバンスチェンジオリジネーター,オープンスペーステクノロジーファシリテーター,「学習する組織」リーダーシップ研修修了。



http://www.bengo4.com/topics/577/
日本は遅れている? 「がん登録」の法制化は必要なのか?
2013年07月15日 17時30分 弁護士ドットコムトピックス

 患者がかかったがんの種類や進行の程度、治療後の経過などの情報を集める「がん登録」。法制化することで、これを押し進めようという動きが進んでいる。超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」がこのほど、新法の要綱案を公表した。国会への提出へ向け、現在広く意見を募集している。

 がんは、いまや国民の2人に1人がかかるといわれる病気だ。情報収集や研究なども相当進んでいる分野なのではないかと思えるが、これまで通りのシステムではどこがいけないのだろう。「がん登録」は現在どんな仕組みで行われていて、それを法制化することでどのような違いが生まれてくるのだろうか。医療過誤裁判にも力を入れている坂野智憲弁護士に聞いた。

●国レベルの「登録」がない日本は、アメリカやEUに比べて遅れている

――「がん登録」の狙いは?

 「『がん登録』は、診断や治療、その結果など、がん患者に関する情報を収集して、整理、解析する仕組みです。

 がんの発生状況やがん治療の実態を把握することで、治療の質を向上したり、がん対策の資料を整備するというのが、その目的です。

 たとえば、がんの臨床病理学的特徴・進行度・治療方法ごとの生存率など、臓器ごとに分類された情報が適切に把握されていれば、より良い治療指針を立てるために大いに役立ちます」

――日本の取り組みは遅れている?

 「がん登録は、アメリカ、EUをはじめ世界各国で実施されており、その約半数では、法律で登録を義務付けています。

 ところがわが国では、国レベルのがん登録は行われていません。自治体レベルでは『地域がん登録』が行われていますが、国の予算措置はありません。実施されているのも31道府県、1市にとどまります」

――ということは、現在、地域によってかなりのバラツキがある?

 「そうです。登録方法や作業手順、情報処理、担当部局の体制なども、自治体によって異なります。この方法の違いは、がん統計の内容とその信頼性に大きく影響します。

 また医療機関から地域がん登録への届出は、個々の医師の協力に依存しています。そういう状況では、多忙な医師から全症例について協力を求めることは困難です」

――つまり、この法整備は必要?

 「そうですね。がん登録の信頼性、実効性を担保するには、作業の標準化、マニュアル整備、登録実務担当者の育成が必要です。

 これを実現するためには、がん登録を国家レベルのがん戦略と位置づけ、標準的な方法でがん登録が実施されるための法整備が必要と思われます」



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03035_05
〔連載〕続 アメリカ医療の光と影  第249回
医療倫理フリー・ゾーン

李 啓充 医師/作家(在ボストン)
(3033号よりつづく)
週刊医学界新聞 第3035号 2013年07月15日

 6月12日,名著『患者の権利』で知られるボストン大学教授ジョージ・アナスが,『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)』誌オンライン版に,「グアンタナモ・ベイは医療倫理フリー・ゾーンか?」と題する怒りの論説を寄稿した。医療倫理・患者の権利についての大家であるアナスは,いったい,何に怒ってこの論説を書いたのだろうか?

収容所における集団ハンストと強制的経管栄養

 読者もよくご存じのように,米国が,グアンタナモ・ベイ海軍基地に,アフガニスタン・イラク等から強制連行したテロリスト被疑者用の収容所を開設したのは2002年のことだった。以後,同収容所に拘留される被疑者は,「(通常の犯罪者でもなく戦争捕虜でもない)不法敵性戦闘員(unlawful enemy combatant)」として,犯罪者に適用される米国内法および戦争捕虜に適用されるジュネーブ条約の保護を受けない存在として処遇されてきた。9.11同時多発テロ事件後,アルカイダ等のテロ組織に対する米国民の反感は強く,ブッシュ政権が「不法敵性戦闘員」というこれまでにない法的カテゴリーを発明して被疑者に対した背景には,「テロリストに基本的人権など認める必要はない」とする怒り・憎しみの感情があったのである。

 しかし,「テロリストである」という確たる証拠があって連行された被疑者は少なく,多くは,戦争状態の混乱の下でただ「怪しい」と目されたがために拘留・連行された人々だった。以下,彼らがこれまで置かれてきた状況をご理解いただくために,ニューヨークタイムズ紙(4月14日付け)に掲載されたイエメン国籍収容者,サミル・ナジ・アル・ハサン・モクベル(35歳)の「手記」の概略を紹介する。

 モクベルが2000年にアフガニスタンに渡った理由は,いい「出稼ぎ」先があると友人に勧められたことにあった。しかし,アフガニスタンに職はなく,イエメンに帰りたくとも飛行機代が払えなかったためずるずると滞在を延ばしているうちに,01年の米軍侵攻が始まった。パキスタンに逃げたものの,「イエメン人だから怪しい」と逮捕された後米軍に引き渡され,グアンタナモ行きの飛行機に乗せられてしまった。その後,容疑が晴れて「テロリストではない」とされた後も釈放されずにいた理由は,「米国政府がイエメンへの収容者引き渡しを拒否しているから」だった(註)。たまたま米軍侵攻時にアフガニスタンにいたがために,10年以上にわたって,「不法敵性戦闘員」として基本的人権を否定されることになったのだった。

 この間,モクベルのような状況に置かれた収容者が「非人間的な扱いから解放されて国に帰れる」とする希望を抱いた時期がなかったわけではなかった。08年に「グアンタナモ収容所閉鎖」を公約したバラク・オバマが大統領に当選したときである。就任2日目,公約通り,オバマは「1年以内に収容所を閉鎖せよ」とする大統領令を発令した。しかし,連邦議会は,軍予算関連法案に「収容者移送に政府予算を使ってはならない」とする条項を書き加えるなどの手段で,収容者の釈放を阻み,大統領令を死文化させてしまった。「収容者はみなテロリスト」と思い込んでいる米国民は多く,議員とすれば,「テロリストに甘い」とする評判を立てられたら選挙に負ける可能性があったからである。

 釈放の目途が立たないまま,将来への希望が断ち切られた状況に置かれたモクベルにとって,「人間としての尊厳を認めよ」と訴える手段はハンガーストライキ以外になかった。他に手段がないだけに収容者によるハンガーストライキは珍しくなく,これまで,グアンタナモでは,大規模な「集団ハンガーストライキ」が幾度となく繰り返されてきたのである。

 一方,同収容所の「非人道性・違法性」は,これまで,米国内に限らず国際社会からも強く非難されてきただけに,収容所管理者としては,ハンガーストライキで収容者を死亡させてさらなる非難を招くわけにはいかなかった。死亡者が出ることを防止するために,強制的経管栄養がルーティーンに実施されてきたのである。

 強制的経管栄養の実際と「苦痛」についてはモクベルの「手記」に詳述されているが,同収容所における手技の特徴は,経管栄養の際に「拘束椅子」を使用することにある。臥位ではなく座位とすることで「意図的」嘔吐を困難にする目的からであるが,ハンガーストライキはしばしば集団で行われるために,同収容所には大量の拘束椅子が用意されているという。さらに,集団発生に対応するために24時間体制が敷かれ,収容者が真夜中に起こされて拘束椅子にくくりつけられた上で経鼻チューブを入れられることも珍しくないという。

医療倫理の大家アナスが怒った理由

 さて,話をはじめに戻すと,アナスがなぜ怒ったのかというと,それは,「強制的経管栄養は,世界医師会マルタ宣言でも明瞭に述べられているように,医療倫理の根本に違反する」からに他ならなかった。医療行為は患者の同意の下に実施されるのが原則であり,判断能力が備わっている成人に対して「強制的」に行われる行為は,「強制的」となった時点で医療ではなく「傷害」となるからである。

 さらに,アナスは,「軍の医師も一般の医師も同一の倫理規範に従わなければならず,軍医は医療倫理にもとる強制経管栄養の命令を受けたら拒否しなければならない。拒否したことが軍による処罰の対象となる場合,医療界を上げて支援しなければならない」として,グアンタナモ収容所が「医療倫理(が適用されない)フリー・ゾーン」化しつつある現状を改めるべく,医療界が立ち上がることを呼びかけた。実は,米国医師会は,すでに4月の時点で米国防省に対し「強制経管栄養は医療倫理違反だから即刻中止せよ」とする意見書を送付していたのだが,アナスはそれだけでは足りないとして,医療界として政治家に働きかけるなど具体的な行動を起こすべきであると促したのだった。

(つづく)

註:現時点での収容者166人中,米政府が「釈放すべし」と認定した収容者は86人に上る。



http://biz-journal.jp/sankeibiz/?page=fbi20130715501
中国臓器移植の深い闇 中国赤十字会が見返り要求「欲しいなら礼金払え」
2013.07.15(SANKEI EXPRESS)

 中国政府が運営する人道団体の「中国赤十字会」が、臓器移植を斡旋する見返りとして、移植手術を行う病院に礼金を要求し徴収していたと、中国紙が11日までに報じた。倫理的に透明性と公平性が不可欠な臓器移植をめぐる金銭授受は、国際的なタブーであり、中国の法律でももちろん禁止されている。だが、生まれ変わりの「輪廻転生」を信じる人が多い中国では臓器提供者が少なく、慢性的に臓器が不足。国際的に批判されている死刑囚からの提供が行われ、臓器売買も横行するなか、移植仲介の中核を担う団体の金銭授受という不透明な実態がまた一つ明らかになった。

 礼金徴収問題は、北京のタブロイド紙「新京報」が、病院職員や赤十字会職員の証言として報じ、中国国営新華社通信(英語電子版)やフランス通信(AFP)などが一斉に伝えた。

 報道によると、広州にある病院の職員は新京報に対し、臓器斡旋に対する礼金の平均額は10万元(約160万円)だと証言。「礼金がどう使われるのかは、一般の人々には分からない」と話した。

 江蘇省の病院職員も、臓器提供者であるドナーの家族宛てとして、5万元(約80万円)を赤十字会に渡したと明かした。

 さらに広州陸軍病院の職員、ヤオ・リンさんは「深セン市の赤十字会の臓器提供コーディネーターはいつも、提供者の死が近くなると連絡してきて、直後に移植手術がアレンジされた。しかし病院側が礼金の支払いをやめるとコーディネーターは何の情報もよこさなくなった」と、暴露。「赤十字会から礼金の使い道の説明はなかった」と付け加えた。

 これに対し、中国赤十字会の職員は新京報に対し、「礼金は地域によって異なり、その大半は臓器提供者の医療費に充てられている」と述べ、礼金徴収を認めた。

 金銭授受の背景には、ドナーの家族に礼金を渡さないと、慢性的に不足する臓器を確保できないという事情があるとみられる。中国では急激な高齢化の進展で臓器移植の需要が高まる一方、輪廻転生を信じ死後も完全な体を保つ必要があると考える人が多いため、自発的な臓器提供者は極めて限られている。

 在外華人向け米日刊紙エポック・タイムズ(大紀元)電子版によると、中国では毎年、150万人の患者が臓器移植を希望するものの、実際に提供を受けられるのは100分の1にも満たない1万3000人にとどまる。

 その臓器も大半が死刑囚からの提供とされる。国際的な批判を受け、中国衛生省は昨年、死刑囚からの提供を停止する方針を打ち出したが、今後1~2年は続けるとしている。

 違法な臓器売買も後を絶たず、昨年8月には北京市や河北省など18省・市にまたがる臓器密売組織が摘発され、医師18人を含む137人が拘束された。ネットで臓器提供者と患者を募集し、提携病院で移植手術を行っていたという。

 政府は臓器移植の透明性を高めるため、2010年3月から新たな臓器移植制度を導入。その一環として、礼金徴収を報じられた中国赤十字会が今年1月に「中国臓器提供管理センター」を設立したばかりだった。中国の臓器移植の闇は深い。


  1. 2013/07/16(火) 06:29:10|
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