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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月27日 震災関連

http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20121127ddlk04040016000c.html
つむぐ:2012・11 開成仮診療所 訪問し家庭と向き合う 治療に加え生活支援 /宮城
毎日新聞 2012年11月27日 地方版 宮城

 ◇数年先の患者減らす予防活動を

 「下手すると命にかかわるから受けた方がいいですよ」

 石巻市中心部から30分ほど車を走らせた河北地区の民家。11月上旬、石巻市立病院開成仮診療所長の長純一さん(46)は、60代男性にインフルエンザの予防接種を勧めていた。

 男性は2度の脳梗塞(こうそく)で右半身に強いまひが残った。会話をしようにもろれつが回らず、発する言葉は短い。現在はケアマネジャーなどに支えられての独り暮らし。長さんは月1回、男性宅を訪れて診察している。

 高齢者は、インフルエンザになると肺炎などを併発して重症になる可能性が高いため、予防接種を受けることが望ましい。しかし強制はできず、患者本人の承諾が必要だった。

 予防接種を勧める長さんの明るく大きな声がしばらく部屋に響いたが、注射を怖がる男性は左手を横に振り、頑として受け入れようとしなかった。やがて自宅にいたケアマネジャーや台所で夕飯を準備していたホームヘルパーも一緒に説得し始めた。「注射が怖いの?」「デイサービスに行かれなくなるよ」。根負けした男性が小さくうなずくと、長さんは「注射よりヘルパーさんの方が怖いよね。じゃあ、ちょっと我慢だ」と笑顔で話しかけ、男性の右腕に素早く注射針を刺した。

 訪問診療で話を聞く相手は、患者だけではない。患者をつきっきりで支える家族の声にも耳を傾け、ねぎらいの言葉を忘れない。

 「ぐっすり寝ると心配です」。寝たきりの夫を介護する千葉栄子さん(60)は不安そうな表情を浮かべた。就寝中に夫の容体が急変しないかが気になっていることを打ち明けると、長さんは「あまり心配しないで。お母さんが疲れるとお父さんを看(み)られる人はいない。お父さんは本当によく看てもらっている」と優しく語りかけた。診察後、千葉さんは「長先生に診ていただいて本当に助かってます。私も安心して介護ができます」とホッとした表情で話した。

 開成仮診療所は5月、約4600人が暮らす被災地最大規模の仮設住宅団地近くで開所した。長さんは地域医療への取り組みで知られる佐久総合病院(長野県佐久市)を退職し、石巻市に移り住んだ。火曜と木曜の午後、診療所の外来窓口を訪れることができない患者の自宅を訪れる訪問診療を行っている。

 訪問診療は、看護師とともに車で患者の自宅を訪れる。避難所で転倒して足を骨折し、入院した際に認知症が進行して体力が落ちた女性など、震災によって訪問診療が必要となった患者もいる。

 診察では、食事の有無や体調などの問診や、聴診器での心音確認など、時間は1件当たり30分程度。薬の処方もする。「震災でかかりつけの医療機関を失い、身体状況が悪化する患者や、投げやりになって健康に留意する気持ちを失ってしまったような人は多い」と長さんは言う。

 訪問診療は移動距離が長いため、1日に3件ほどが限界だ。効率がいいとは言えない。だが「在宅の患者は今後ものすごい数で増えるはず」と指摘する。だからこそ「医学的な治療よりも生活支援をしっかりすることで、数年先の認知症や閉じこもりを減らすことの方が優先順位は高い」と、訪問診療が必要にならないための予防活動の重要性を訴える。

 石巻市で診察を始めてから間もなく6カ月。仮設診療所の医師は、被災地に山積する課題と向き合い、奮闘している。【須藤唯哉】



  1. 2012/11/28(水) 05:27:07|
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