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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2019年4月30日

Google Newsでみる医師不足 2019年4月30日
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https://www.healthleadersmedia.com/welcome-ad?toURL=/clinical-care/how-likely-virginia-dc-are-see-doctor-shortage
How likely Virginia, DC are to see a doctor shortage
BY PATCH HealthLeaders Media | APRIL 29, 2019 (米国 バージニア州、ワシントンDC)

America has a doctor problem, although the extent of the dilemma varies by state. The looming shortage of physicians could be exacerbated by an aging population and an influx of doctor visits since more Americans have access to affordable health care. Some studies have suggested that by 2025, the United States will be short up to 90,000 physicians.



https://www.healthleadersmedia.com/clinical-care/how-likely-virginia-dc-are-see-doctor-shortage
Physician Shortage Continues to Grow, Reaching Up to 122K by 2032
By Jacqueline LaPointe RevCycleIntelligence.com 2019 Apr 29 (米国)

Aging patients and doctors will continue to put pressure on the healthcare industry, resulting in a physician shortage of between 46,900 and 121,900 doctors by 2032, the Association of American Medical Colleges (AAMC) reports.

The fifth annual study, prepared by the Life Science division of IHS Markit for AAMC, reveals that the growing and aging population continues to be a major driver of the updated physician shortage, which is similar to the previous study’s projected shortage range for 2030 of between 42,600 and 121,300 doctors.



https://patch.com/maryland/annapolis/how-likely-maryland-see-doctor-shortage
How Likely Maryland Is To See A Doctor Shortage
By Deb Belt, Patch National Staff | Apr 28, 2019 5:43 pm ET Patch.com (米国 メリーランド州)

MARYLAND — America has a doctor problem, although the extent of the dilemma varies from state to state. More accurately, there is a looming shortage that could be exacerbated by an aging population and an influx of doctor visits because more Americans have access to affordable health care. Some studies have suggested that by 2025, the United States will be short up to 90,000 physicians.

Sluggish birth rates combined with lengthier life-spans mean the number of people older than 65 is outpacing the rest of the country. According to a report by The Senior List, a site that offers advice to older adults, some states are much more likely than others to see a doctor shortage.

(中略)

Here are the 10 states most likely to see a shortfall:

1. Wyoming
2. Montana
3. Mississippi
4. Oklahoma
5. Arkansas
6. Nevada
7. Florida
8. Idaho
9. New Mexico
10. Indiana



https://www.cbc.ca/news/canada/nova-scotia/lower-sackville-walk-in-clinic-to-close-lack-of-doctors-1.5114443
Doctor shortage forces Lower Sackville walk-in clinic to shut down
Anjuli Patil · CBC News · Posted: Apr 28, 2019 6:16 PM AT (カナダノバスコティア州)

A medical clinic in Lower Sackville, N.S., will close its doors this week and a shortage of doctors is to blame.
The Community Care Walk-in Clinic, located in the Lawtons Drugs store on Cobequid Road, will shut down on Tuesday.
A note posted on the door of the clinic reads: "Unfortunately, despite our best efforts to recruit new physicians to work at this clinic, we have been unsuccessful, leaving an untenable work schedule on those of us remaining at the clinic."



https://www.cbc.ca/news/canada/montreal/doctor-shortage-in-lac-brome-leaves-aging-patients-scrambling-to-find-care-1.5109273
Doctor shortage in Lac-Brome leaves aging patients scrambling to find care
Spencer Van Dyk · CBC News · Posted: Apr 27, 2019 6:00 AM ET (カナダ ケベック州)

A doctor shortage in the Eastern Townships community of Lac-Brome has left more than 3,000 patients without a family physician, including McCubbin, whose doctor of more than 40 years recently retired.
With two of Lac-Brome's family doctors retiring on the heels of a third who left last year but hasn't yet been replaced, the number of physicians serving the community has been cut in half — from six to three — in the past 18 months.



(他に10位以内のニュースは、カナダ(ケベック州、ノバスコティア州(2),ノースウエストテリトリーズ)、米国(ミズーリ州、ジョージア州)、からも)



  1. 2019/04/30(火) 06:17:25|
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4月28日 

https://biz-journal.jp/2019/04/post_27606.html
連載 石原結實「医療の常識を疑え!病気にならないための生き方」
厚労省、医師の残業時間上限を「過労死ラインの2倍」案…生活習慣病患者の増加も要因
 
文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士
2019.04.23  Business Journak

 医師の働き方改革に関する検討会は、去る3月28日に「地域医療」を担う勤務医と研修医らの残業時間の上限を年間「1860時間」(一般勤務医の残業時間の上限=年間960時間)という報告書をまとめた(2024年から運用)。

 今年4月から一般労働者に適用される「年間の残業時間=720時間」の2倍以上、1カ月当たりに換算すると「155時間」で過労死ライン(80時間)の約2倍という無茶苦茶なものだ。

 地域医療を担う勤務医の労働時間を急激に減らした場合、「患者らに及ぼす影響が甚大だから」ということで、こういう判断がなされた。

 私が医師になった1970年代の中頃は医師数が約13万人で、医師不足が叫ばれ各県、1医大の施策のもと、医学部(医大)の数は約40校から約80校に増設され、今では医師数は約32万人に増加した。

 それでもなお「医師不足」が続いている。

 2024年に診療科ごとに必要とされる医師数に達するには、現状では内科医が約1万4000人、外科医が約6000人不足している、とする検討結果が去る2月22日、厚労省より発表された。

 医師不足と共に深刻な問題が、毎年高騰していく医療費である。

 1955年に2388億円だった国民医療費は、

・1975年:6兆4779億円
・1995年:26兆9577億円
・2005年:33兆1289億円

と、増加の一途をたどり、2015年には42兆3644億円とまさに天文学的な数字になってしまった。ちなみに1兆円をわかりやすくいうと、2740年前の縄文時代より毎日(毎年じゃない)100万円ずつ使い続けて達成できる金額なのである。

 この40年間で医師数も倍増し、医療機器の精度も向上し、栄養状態も改善したのに、病気、病人は減るどころか、毎年増加していき、医療費が国家の財政を圧迫している。1250兆円にも膨れ上がった日本の借金の一大要因が、医療費の高騰である。

 人口1人当たりの国民医療費は、
・65歳未満:18万4900円
・65歳以上:74万1900円
・75歳以上:92万9000円

となっている。

 現在70歳以上の人たちは毎日平均6種類の薬を服用しており、1947~49年に生まれた「団塊の世代」の人たちが75歳以上の後期高齢者になる2025年には、世界に冠たる日本の国民皆保険制度が崩壊するのではないか、という「2025年問題」が顕在化しつつあり、社会問題化している。
 去年、厚労省の某局長と会食させていただいた折、この「2025年問題」を私が切り出したところ、局長もすでに深い憂慮の念を持っておられた。

予防医学の重要性

 医師たちも当局も、人間は年齢を重ねるごとに病気が増え、その結果医療費が当然かさんでくると思っておられるようだが、必ずしも正解ではない。40代から高血圧、糖尿病、痛風、脳卒中、脳虚血性心臓病で苦しんでいる人が少なくない一方、80代でも90代でも薬なしで元気に生活しておられる人もいらっしゃる。

 今年71歳になる私も、幼少時は風邪をよく引き、肺炎にも数回かかり、高校時代には原因不明の下痢に悩んだ。しかし、大学生になってからウエイトトレーニングを始め、ニンジン2本、リンゴ1個を刻んでジューサーにかけてつくる生ジュースを毎日愛飲し、和食中心の食生活を心がけるようになってから、この50年間病気らしい病気にかかったことはなく、健康保険証も、歯の治療とイボの除去でかかったときに数回使ったのみである。

 高血圧、虚血性心臓病(狭心症、心筋梗塞)、痛風、脳梗塞からがんに至るまで、「生活習慣病」と命名されているくらいなのだから、誤った生活習慣を正せばこうした病気の予防もできるし、改善もできるのである。

 現代医学は誤った生活習慣によって起きた「生活習慣病」の治療に、膨大な費用と時間をかけている。その結果、「天文学的な医療費」と「医師の長時間に及ぶ過酷な労働」という問題が発生していることを認識すべきだ。

 医師たちは「年間1860時間」もの過酷な残業を「強制」される大きな要因が「生活習慣病」であることを肝に銘じて、今後、予防医学にこそ目を向け、力を入れるべきである。

「誤った生活習慣」を端的に言うと、「食べすぎ」と「運動不足(による体温低下)」に要約される。

 私はこの40年間で恥ずかしながら約330冊の拙著を上梓したが、これまでのベストセラーが『「食べない」健康法』(PHP文庫)の約15万部と『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)の約50万部である。

 このことからも、一般の人々も「食べすぎ」と「運動不足(冷え)」こそが病気や不調の原因であると潜在意識下に認識されていることが推察できる。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)




https://www.m3.com/news/kisokoza/669644
医療過疎地に医師を。埼玉県総合医局機構の取り組み-埼玉県保健医療部医療人材課河野貴久氏に聞く◆Vol.1 
2019年4月24日 (水)配信m3.com地域版

 人口10万人あたりの医師数がワースト1位と、医師不足が課題になっている埼玉県だが、実は近年、医師の増加数および増加率は全国トップクラスとなっている。医師数を着実に増やす埼玉県の取り組みについて、埼玉県保健医療部医療人材課の河野貴久氏に話を伺った。(2018年10月27日インタビュー、計2回連載の1回目)

――医師確保に取り組む埼玉県総合医局機構が立ち上がった2013年頃、埼玉県が抱えてきた医療的な課題はどんなものがあったのでしょうか。
 これは全国的にも同様の傾向ですが、「地域偏在」と「診療科偏在」が挙げられます。特に県北エリアや秩父エリアなど都心から遠い地域は、都市部に比べて交通が不便で人口が少なく、そういった場所は医師数も少ないです。これらは、現在でも解消されたわけではありません。

 医師不足を考えるにあたって、本県と他県で大きく違うこととして国公立の医学部がないことが挙げられます。国公立の医学部がない都道府県は、埼玉県と岩手県と栃木県の3県しかありません。ただし、私立であれば、栃木県には2大学があります。埼玉県と岩手県だけは、国公立の医学部どころか、医学部自体が1大学しかないのです。

 国公立と私立では学費が大きく違い、6年間の授業料は、前者が約350万円であるのに対し、後者では平均約3200万円と、10倍近くの開きがあります。そのため、医学部を志望する人でも、家庭の事情などによっては私立を選択できません。すると、どうしても県外の国公立に行くしかないわけです。

 県外の大学に入学すると、そのまま居ついたり、大学の附属病院で勤務したりすることも多く、それが埼玉県にとっては医学生の流出に繋がります。また国公立大学は、都道府県における医師派遣機能の中心となっていることが多く、本県においてはそれらの機能が他県に比べて弱かったのではないでしょうか。

 こうしたことから、医師を育成する土壌が、国公立の医学部がある県より多少不利になっているのは事実だと思います。

――こうした課題を解決すべく、埼玉県総合医局機構が立ち上がったわけですね。
 はい。埼玉県総合医局機構というのは、バーチャルな組織です。県医師会と県が特に中心となって、埼玉医科大学や県内の医療機関などと一体になり、医師の確保を盛り上げていこうということで立ち上げました。事務局は埼玉県庁が担っています。

 厚生労働省の調査によると、埼玉県の医師数は1万1667人で全国9位(2016年12月31日時点)です。ただし、人口10万人あたりの医師数だと最下位となってしまいます。とはいえ、埼玉県の医師数は着実に増えてきているのも事実なのです。2014年から2016年を見てみると、医師の増加数が609人、増加率が5.5%で、ともに全国3位。特に臨床研修医をはじめとした若手医師が着実に増えています。埼玉県総合医局機構の創設が2013年12月なので、我々の取り組みも、多少は医師の流入数増加に寄与できているのかなと考えています。

 埼玉県総合医局機構のトップは、埼玉県医師会の金井忠男会長にお願いしていて、その下に、医局機構の運営を協議する運営協議会と、実質的な医師確保を議論する3つの委員会を設けています。奨学金の対象者をはじめとした医師の確保・派遣に取り組む「医師確保・派遣委員会」、医師の確保には医師のキャリア支援が非常に重要になってきますので、それを検討するための「医師キャリア形成支援委員会」、そしてさいたま新都心駅から徒歩5分の場所にある、地域医療教育センターを運営する「地域医療教育センター委員会」です。

――それぞれの具体的な取り組みを教えてください。
 「医師確保・派遣委員会」では医師の確保・派遣に取り組んでいます。なかでも特に力を注いでいるのが奨学金制度です。月に20万円、6年間で1440万円の奨学金を医学生の方に貸与します。大きく分けて2種類あり、一つは、指定の大学に通う医学生にお貸しする「地域枠医学生奨学金」。埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学に協力していただいています。もう一つが「県外医学生奨学金」で、大学は特に指定せず、県外の大学に進学された方に貸与するものです。ちなみに、前者は出身地を問わず、後者は埼玉県の出身者が対象です。

 返済免除の条件については「県内の臨床研修病院における2年間の臨床研修」。加えて、「県内にある病院の小児科・産科・救命救急センターでの7年間の勤務」もしくは「特定地域(特に医師が不足している地域)の公的医療機関での7年間の勤務」という、合計9年間の勤務となります。この返済免除の条件により、埼玉県で働いていただける医師を確保しようという施策です。2018年度までで約260人に貸与しています。

 またほかにも、医師不足地域の臨床研修病院を回るバスツアーや、医学生向けの交流会などを開催し、埼玉県の魅力を医学生に伝えるさまざまな取り組みを行っています。

――奨学金を利用して、免除の条件を満たさず返金する人もいるのではないでしょうか。
 そういった方も今後出てくる可能性はあると思います。返済免除の条件を、医師不足地域での勤務と定めている県は多く、埼玉県ではまだありませんが実際にそうした事例が出ています。そのための検討を行っているのが「医師キャリア形成支援委員会」なのです。

構成・取材・文 ・撮影=井上良太(シーアール)



https://www.news-postseven.com/archives/20190423_1358391.html
国公立大医学部に異変 「東大・京大より地元医学部」顕著に 
2019.04.23 07:00  NEWSポストセブン

大学受験で地方の国公立大医学部を目指す傾向が年々強まっている

 医師不足が叫ばれて久しいが、近年の大学受験を振り返ってみると、国公立大学の医学部人気が続き、各大学とも定員を増やしているという。その背景とは何か──。大学通信・常務取締役の安田賢治氏が、「国公立大学医学部合格高校ランキング」とともにレポートする。

 * * *
 国公立大医学部人気が続いている。特に西日本を中心に進学トップ校での人気が高い。きっかけとなったのは、医学部の定員増だ。

 2006年に医師不足が深刻な自治体を対象に「新医師確保総合対策」が実施され、さらに2007年に「緊急医師確保対策」により全都道府県での定員増が認められるようになった。その結果、2008年から医学部定員が増え、その後も増加が続いている。

 この対策が始まる前に7625人が定員だったが、今年は9420人になった。この間1555人、20%以上定員が増えたことになる。医学部を新設した東北医科薬科大、国際医療福祉大を除き、全大学が定員を増やしている。

 もっとも増やしたのは順天堂大で90人から50人増えて140人になった。国公立大では福島県立医科大が80人から130人、筑波大が100人から140人に増やしている。

 いうまでもなく医学部は最難関学部だが、定員が増えている一方で、少子化により受験生数は減っていることから、国公立大医学部が以前より入りやすくなった。受験生も難関大の理学部や工学部に進学しても、大学院に進学するのが当たり前になりつつあり、修業年限が6年なら国公立大の医学部に進学しようとの考えが広がっていった。そのうえ、近年の高校生は「困っている人を助けたい」考えが強く、医師はうってつけの職業だ。

 それだけではない。保護者の考えが変わってきたこともある。少子化で子どもの数が少なく、できるだけ手元に置いておきたい気持ちが強くなった。受験生も地元大学進学を第一に考えるようになったが、地方では優秀な理系学生の就職先が限られることも影響し、その結果、東大、京大の医学部を除く理系より、地元の国公立大の医学部を目指す傾向が強くなったのだ。しかも、医師免許を入手すれば、地元に戻って医師として働くことも可能だ。

 難易度でも東大、京大の理系に合格できる力があれば、合格可能な国公立大医学部は少なくない。特に手に職をつけたいと考える女子受験生に、医学部人気が高まっている。その結果、東大、京大より医学部との考えが強くなってきた。東大の地元関東地方からの入学者が増えている。

 また、中高一貫校では保護者が医師という場合も多く医学部人気は高い。最近では難関中高で、文系、理系分けの際に理系を選ぶ生徒が多いという。進路指導教諭が「増えているのは理系というより医系」というほどの人気ぶりだ。山中伸弥京大教授が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことも人気に拍車をかけた。医学の分野で研究という道もあることが分かったからだ。

 その人気の国公立大医学部に強い学校はどこなのだろうか。


 トップは12年連続で東海(愛知)で、今年は116人が合格している。男子校で、日本でもっとも医師を生み出している学校だ。内訳を見ると、地元の名古屋大に29人、名古屋市立大に23人合格している。この2大学では全国トップの合格者数だ。他にも近隣の三重大9人、岐阜大8人で、東海地区の大学で合格者の6割近くを占めている。

 2位は灘(兵庫)の90人。京大26人、東大理III 21人、大阪大10人など。この3大学は全国トップの合格者数だ。今年は卒業生219人中、文系は30人未満だったという。8割以上が理系で、医学部志望者が多かった。医学部現役合格者は58人で、全国トップだった。

 3位は洛南(京都)の78人だ。元は男子校だったが、共学化後、医学部合格者が増えている。洛南は長らく京大合格者数トップだったが、ここ2年は大阪の府立高の北野にトップを奪われている。この4年は国公立大医学部合格者数が京大合格者数(京大医学部合格者を両方とも含んでいる)を上回っている。やはり医学部人気が高い。

 4位はラ・サール(鹿児島)の68人、5位は開成(東京)の65人、6位は甲陽学院(兵庫)の63人だ。ここまではすべて私立の中高一貫校で、洛南を除くとすべて男子校だ。

 7位は公立の札幌南(北海道)と久留米大付設(福岡)の56人。札幌南は北海道大21人、札幌医科大22人で、この2大学の合格者数トップだ。旭川医科大にも9人が合格し、北海道の3大学で合格者の9割以上を占め、強さを発揮している。

 9位は東大寺学園(奈良)、10位は昭和薬科大附(沖縄)で、開成を除くとすべて首都圏外の学校だ。首都圏には国公立大医学部の設置が少ないこともある。東京に2校、千葉に1校、神奈川に1校の4校しかない。近畿の2府4県には、8校も設置されている。この差は大きいようだ。女子校トップは13位の四天王寺(大阪)の46人、次いで20位の桜蔭(東京)の39人だった。

 大学別の合格者トップ校を見ると、医学部のある50大学のうち、地元の学校以外がトップだったのは、東大、京大、大阪大の灘、千葉大の開成、奈良県立医科大の大阪星光学院(大阪)の5大学だけだ。他は地元のトップ校が合格者数1位だ。

 なぜ地元高校が強いかというと、医師不足に悩む自治体にある大学では地域枠を設け、地元の受験生を優遇しているためだ。他県から受験に来て、地元に定着しない医師を減らすことが狙いだ。そのため、今までトップ校からしか医学部合格が厳しかったが、最近では2番手校からの合格者が増え、医学部合格校のすそ野が広がっている。

 国公立大医学部志望者にスベリ止めはないと言われる。それは学費の問題だ。

 初年度納入金が国立大では標準額で81万7800円だが、大学通信によれば、私立大では平均で738万にもなる。およそ国公立大の9倍で、6年間で3000万円を超える。この差を考えると、国公立大志望者が私立大を併願するのが難しいことになる。

 今後も国公立大医学部人気は衰えそうもない。東大は地方からの受験生を増やそうと躍起だが、地元国公立大の医学部に地方の優秀な受験生が進学する限り、なかなか思い通りにいきそうもない。



https://www.ehime-np.co.jp/article/news201904260091
新居浜で県市長会
医師確保など、15項目要望へ
 
2019年4月26日(金)(愛媛新聞)

 県市長会(会長・大城一郎八幡浜市長)の2019年度春期会議が25日、新居浜市垣生3丁目のマリンパーク新居浜であり、医師確保対策や災害の復旧支援など15項目の要望を四国市長会に提出することを決めた。任期満了に伴う役員改選では、新しい会長に新居浜市の石川勝行市長を選んだ。任期は5月1日から2年間。

 要望は10市から16項目が上がり、内容が同じ項目を一括して提出する。地方の医師確保について、大洲市の二宮隆久市長は医師を適正配置する仕組みの構築を求め「全国的に医師数は増加しているが、高齢化や地域偏在が進み、地方の医師不足は深刻化している」と述べた。

 西日本豪雨災害の復旧に関して、宇和島市の岡原文彰市長は「非住家の被害認定に多大な時間と労力を要した。復旧復興の遅れは地域の衰退につながる」と説明し、認定基準の明確化を訴えた。

 大規模災害時に支援する自治体を割り当てる「カウンターパート」方式が効果的に働いたことなどを受け、各市長から積極的な活用や自治体担当者同士の「顔の見える関係」構築の継続を求める声が相次いだ。

 四国市長会は5月21日に高知県安芸市で開かれる。



https://mainichi.jp/articles/20190425/k00/00m/040/013000c
青森の“無医村”に整形外科診療所を開業「医師偏在に風穴を」 
毎日新聞2019年4月25日 07時41分 青森県

 人口約2000人の青森県下北半島・佐井村。2008年から常勤医がいない“無医村”状態が続くこの村に今月13日、整形外科診療所「さいクリニック」がオープンした。開設したのは、青森市で整形外科医院を開く大竹進医師(68)。月1回、片道4時間をかけて赴き、1泊2日で診察にあたる。「月1回では無医村解消にはならないと思うが、医師不足や医師偏在に風穴を開けたい」と話している。【井川加菜美】

 「膝を曲げられますか?」。初日の13日午後、大竹医師は穏やかな声で尋ねながら、病歴や症状を電子カルテに打ち込んでいった。診察を受けていたのは、膝の痛みを訴えて来院した奥本和子さん(81)。これまで2カ月に1度、隣接する大間町の大間病院に出向いて痛み止めなどをもらっていたという。

 高齢化率が4割を超える村では、整形外科は関節の痛みなどを抱える高齢者の需要が高い。「身近なところに専門医がいるのはありがたい。最後の短い人生を『痛い、痛い』と言わずに過ごしたいと思って来たんです」。奥本さんはホッとした様子でそう話した。

 国の地域医療構想に伴う病院の再編統合で、常勤の医師が村からいなくなった。現在は、大間病院の医師が福浦地区を月3回、牛滝地区を月1回訪れて診察を行うほか、平日は大間病院への送迎バスが1日2往復する。だが、診療日が祝日と重なれば医師は来ず、むつ市の病院も遠距離で診察に時間もかかることから受診をためらう人が少なくない。

 樋口秀視村長は「十和田市や(フェリーで)函館市まで通院する高齢者もいる。通院するとしても家族の付き添いが必要で、仕事を休まなければならない。医療や教育を十分に整えなければ人口は流出する。そのためにも、医師の獲得は悲願だった」と話す。

診察は月2日
 診療所は平屋建てで、約132平方メートル。敷地は村が国有地を買い取って無償貸与し、大竹医師が建設費や医療設備費など約6000万円を負担した。第2土曜の午後と翌日の日曜午前が診察日で、看護師や放射線技師らも同行する。大竹医師は「患者をより専門的な病院につなぐのも診療所の役割。整形外科は入り口で、村の健康づくりにも貢献したい」と話す。

 初回の13、14両日には計38人が来院した。大竹医師によると、膝や肩、背中、腰の痛みのほか、中には血圧が200を超える人もいたという。大竹医師は「それでもみんな我慢している。我慢なんですって。何時間もかけて病院に行くよりは我慢する。通販で痛み止めを買って飲んでいるという患者さんもいた」と明かした。

 将来は関西から医師を呼び、短期滞在してもらいながら診療する構想も抱く。「伊丹空港から飛行機で函館空港へ。そこからフェリーでつなげば3時間半で来られる。私が青森市内から車で片道4時間かけて来るより早い」。大竹医師は「あと数年かかるかな」と言いつつも、「どうにか医師偏在を解消できないか、というのが私の夢なんです」と力を込めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/673014
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制、基本領域別のシーリング導入へ、2020年度から
日本専門医機構、地域別も見直し、専攻医募集は遅延予定

 
レポート 2019年4月22日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は4月22日の記者会見で、2020年度研修開始の専攻医募集から、基本領域別のシーリング(専攻医の募集定員の上限)を導入する方針を明らかにした。19の基本領域のうち、外科など、医師不足とされる基本領域には配慮する方向で検討する。現在は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県で14領域(外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療を除く)についてシーリングが設定されているが、神奈川と愛知は外すことを検討するなど、地域別のシーリングも併せて見直す。

 5月に開催予定の厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会で、日本専門医機構としての地域別、診療科別のシーリング案を提示する予定。当初4月中に2020年度分のシーリングを提示する予定だったが、1カ月程度ずれ込むことになるため、専攻医募集も9月1日開始の予定だったが、遅れる見通し。「9月中には開始したい」(寺本理事長)。

 基本領域別のシーリングは、3月22日の医師専門研修部会で厚労省が提案していた(『専攻医のシーリング、「県、基本領域別」への変更検討』を参照)。2016年の医師数が、医師の働き方改革を進めた場合に必要な医師数や将来の必要医師数(例えば、2024年)を上回る「都道府県、基本領域」について、シーリングを設定するという案だ。シーリングの対象となった「都道府県、基本領域」では、「医師少数県」と連携プログラムを組むことなどを求める方針も示した。

 2019年度分のシーリングは、東京都だけ前年度比5%減で設定され、それ以外の県は2018年度分と同じ考え方だった。寺本理事長は3月22日の医師専門研修部会で、その影響を検証した上で、次の検討をすべきだとし、2020年度分からシーリングを見直すのは「時期尚早」と発言していた。

 基本領域別のシーリング導入に方針転換したことについて、寺本理事長は、「医師の診療科偏在は大きな問題。(その解消は)我々日本専門医機構にかなり委ねられている。そこを考える上で、時宜を得たデータが出てきたと思う」と述べた上で、次のように説明した。「私としても数値が出てこない段階で、次々変えていくのは問題だと考えていた。ある程度、皆が納得できるデータがあれば、我々アカデミアとしても受け止めるべきだと考え、検討することになった」。

 4月に2回、基本領域の学会が集まる場を設置、厚労省から説明を受け、各学会の意見を聞いた。「おおむねどの学会も、方向性については了解できるが、問題が内在しているとの意見もあった」(寺本理事長)。厚労省の将来の必要医師数推計はDPCデータを基にしているため、例えば精神科の場合、措置入院に要する医師数が含まれていないほか、放射線科や麻酔科などの中央診療部門の必要医師数の推計方法などが見えないなどの指摘が挙がったという。寺本理事長は「今出ている数値についての検討は、させていただく必要があるのでは、と思っている」と述べた。

 2019年度研修開始の専攻医は8615人
 2019年4月から研修開始の専攻医数は、8615人。2018年4月開始は8410人で、約200人増加した。「シーリングについては、完全に守られた。ただし、残念ながら、総合診療専門医は、2018年度は184人だったが、今年度は179人にとどまった」と寺本理事長は述べた。

 寺本理事長が講演した4月20日に開催された臨床研修研究会でも、総合診療専門医はもっと増やす必要があるが、なぜ増えないのか、という議論があったと紹介(『「卒前・卒後シームレスな医師養成が進展」、厚労省』を参照)。「総合診療専門医のキャリアパスが見えない」という意見があったことから、総合診療専門医と他の基本領域の専門医を取得するダブルボードと、サブスペシャルティ専門医の在り方などを検討していく方針を示した。

 その他、サブスペシャルティ専門医については、整備指針を固めるほか、内科、外科、放射線科の3つの基本領域で予定している計23領域の連動研修については、事前審査のためのレビューシートの内容を精査し、次回の医師専門研修部会に提出して、連動研修を認めるよう求めていく。



https://www.nikkei.com/article/DGXKZO44224190V20C19A4EA2000/
公立病院とは 赤字拡大で財政圧迫の自治体増える  
2019/4/26 日本経済新聞

▼公立病院 公的な病院のうち都道府県や市町村など地方自治体が開設した病院。不採算の救急や小児医療、災害対応などの役割があり、母体自治体が一定の経費を負担している。第2次大戦後に民間病院より先に公立病院の整備が進んだ。市町村立には小規模な病院が多い。近年は病院の赤字拡大で財政が圧迫される自治体が増え、収支改善が課題になっている。

2007年に総務省は「公立病院改革ガイドライン」で経営の効率化や再編、経営形態の見直しなどの改革プラン策定を要請。地方では診療所化、統合再編、独立行政法人への転換などの取り組みが増えた。現在は独法化も含めて約900病院が存在し、日本全体の病院数の11%、ベッド数の14%を占める。

少子高齢化に対応した医療提供体制を描く都道府県の「地域医療構想」にあわせて、15年には新しい改革プランの策定が求められた。公立病院の役割は(1)山間へき地など過疎地での一般医療(2)救急・小児・周産期などの不採算部門(3)がんセンターなど高度・先進医療の提供(4)医師派遣の拠点――の4つと示された。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190424-00000142-kyodonews-soci
公立病院、統合・再編へ 厚労省、医療費抑制狙い 
4/24(水) 20:12配信 共同通信

 国や自治体の公立病院、日赤などの公的病院について、厚生労働省は24日、手術件数などを分析し治療実績が乏しい場合は統合や再編を促すことを決めた。夏にも具体的な病院名を公表し、地域での議論を求める。

 分散している医療機能を集約し、病院ベッド数を減らして医療費を抑制する狙い。効率的な体制にして医師の働き方改革につなげる目的もある。ただ、対象病院は縮小や廃止となる可能性があるため、反発も招きそうだ。

 各都道府県が将来の医療提供体制について定めた「地域医療構想」の一環。



https://www.chunichi.co.jp/article/feature/iryou/list/CK2019042302000273.html
【ホンネ外来発】休日診療「8時間待ち」 善意の当番医「負担限界」
緊急性低い受診も一因
 
中日新聞 2019年4月23日

 二月二十六日付「ホンネ外来」で紹介した投稿「インフル 8時間待ちで受診断念」。休日当番医のクリニックが患者であふれ、受診できなかった状況を伝えた。本紙には「同じような目に遭った」との声が寄せられた一方、医師や看護師からは「休日当番医は過酷。医療機関の事情も分かって」と理解を求める意見もあった。間もなく十連休。混乱を防ぐには? (花井康子)

 投稿したのは、石川県の女性(53)だ。一月末の日曜に発熱し、激しい悪寒と喉の痛みがあった。インフルエンザを疑い、休日当番医の内科クリニックへ。しかし、「八時間待ち」と言われ、受診を諦めたという。「休日、しかもインフルエンザが大流行していた時期。仕方のない部分はあるが、何らかの対応はできないのか」と意見を寄せた。

写真
 愛知県内の男性(46)からも似たような訴えがあった。昨冬の休日、三八度を超える熱で近くの当番医の内科クリニックへ行ったところ、最終受け付けの時間前だったにもかかわらず「インフルエンザの人が多く、診きれないので早めに締め切った」と断られたという。

 一方、医療関係者からは現場の過酷さを嘆く声が。今年一月の日曜、休日当番医を務めたという愛知県内の内科開業医の男性は「インフルエンザの患者が詰めかけ、食事も取れずトイレ以外は休憩もなし。本当に大変だった」。診療開始前の午前八時半ごろから患者が並び、通常の二・五倍もの人が受診。時間内に受け付けを済ませた人の診療は夜十時まで終わらず、看護師ら他のスタッフも立ちっ放しで仕事をこなした。「水分を取る暇もなく、脱水症状を心配するほど」と看護師長。近隣では、朝から翌日未明まで診療が終わらなかったクリニックが何軒もあったという。

 これほど大変でも翌月曜は通常通り開院しないといけない。当番は、二、三カ月に一度、回ってくる。男性によると、当番医の報酬は休日一日当たり二万円程度。スタッフへの休日手当などを考えると決して多くない。「善意で協力しているが限界」と言う。

 こうした大混雑を招く原因の一つが、軽症で緊急性がない患者が受診を求める「コンビニ受診」だ。例えば、インフルエンザでも、水分を取って安静にしていれば、一日待って、かかりつけ医にかかっても命に関わるようなことは少ない。だが、受診者の中には「家族に患者がいるので(症状が出ていない)きょうだいや親も検査を」などと安易に当番医の元にくる人が少なくない。また、症状がそれほど重くなくても「インフルエンザという診断書がないと翌日休めない」といった理由で来院する人も目立つという。

 男性は「医師は休日を返上している。『当番医はいるのが当たり前ではない』と分かってほしい」と訴える。

軽症なら平日の時間内に
 休日や夜間に比較的軽症の救急患者を受け入れることを目的とした開業医による「在宅当番医制度」。自治体と郡や市の医師会が協約を結び、会員の医師が輪番で担当する仕組みだ。厚生労働省によると二〇一七年三月末現在、全国六百地区で導入されている。例えば、愛知県では地域の位置関係などを基に、県内を二十七地区に分けて初期救急医療体制を敷いており、うち十八地区で当番医制を取り入れている。

 当番医が回ってくる頻度は地区によって差がある。医師の数が不足している地方ではどうしても負担が大きい。小児科や内科など需要の多い診療科に当番が偏りがちなのではないかという指摘もある。医師にとっては、当日のスタッフ確保も悩みの種だ。

 大分県では昨年二月、津久見市の四十代の男性医師が、市医師会が当番医制度を会員に強制するのは違法として、大分地裁に提訴した。市医師会が一昨年七月、当番医について「特段の事情がない限り、受けなければいけない」という規定を決議したことを受けたものだ。今年三月、医師会が制度の在り方を検討することなどで和解したが、課題を浮き彫りにした。

 特別料金を取る、受診は住んでいる地区の当番医に限る-など、医師の負担を軽くするための方法を求める声もある。しかし、医療費が高くなると、患者が受診をためらう原因に。また、当番医制度を含め休日・夜間の医療体制が手薄な地域もあるため、地区ごとの受診を厳格化すると、患者が重症化する恐れもある。

 医師法で、医師は正当な理由なしに診療を拒むことはできないと定められている。大事なのは、受診する側が常識を持って行動すること。愛知県の担当者は「休日や夜間の体制は医師らの善意で支えられている。軽症の場合は時間内の受診を」と呼び掛ける。

 四月末からの十連休は混雑が予想される。持病がある人は薬をもらっておくなど、前もってかかりつけ医に相談しておくことが必要だ。厚労省などがホームページで公開している各自治体の医療体制リストも参考になる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/672774
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「外科医こそ率先して働き方改革を」、迫井厚労省審議官
第119回日本外科学会定期学術集会「特別企画」、「年2000時間」超は認めず
 
レポート 2019年4月22日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省大臣官房審議官の迫井正深氏は4月19日、大阪市で開催された第119回日本外科学会定期学術集会の特別企画「国民が期待する外科医療―行政の視点も考慮して―」に登壇、外科は産婦人科、救急と並んで長時間労働の“御三家”であり、外科医不足の中核要因は「変わらない職務環境」であるとし、外科医が率先して「働き方改革」に取り組む必要性を訴えた。

 厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論では、時間外労働の上限規制の例外をめぐって、最後まで議論が紛糾。過労死ラインの年960時間の約2倍に当たる、「年1860時間」という結論にも異論がくすぶる。「医師の約1割は、年2000時間を超えている。これを容認するのではなく、まずやろうとしているのは、『年2000時間を超えるようなことは許さない。一切なくす、認めない』ということ」と述べ、将来的には例外なく過労死ラインを下回る水準を目指すと説明。


迫井氏は、審議官の立場で「医師の働き方改革に関する検討会」に関わった。
 働き方改革は、医療界だけではなく、社会全体の問題であるという視点も強調。2040年頃までは高齢者人口が増加する一方、生産年齢人口が減少、医療・福祉分野の就業割合が今は8人に1人だが、2040年には6人に1人になるというデータを示し、医療の生産性向上が不可欠であるとした。具体的な取り組みとしては、特に労働時間の管理、36協定の自己点検、タスク・シフティング(業務の移管)の推進――の3つを強調した。「働き方改革を奇禍とする、チャレンジ(労働時間管理)の徹底を」(迫井氏)。

 迫井氏は厚労省公表のデータを用いつつ、「個人の見解」と断った上で、約25分にわたり講演。医師以外の職種はこの4月から、医師については5年後の2024年4月から時間外労働の上限規制がかかる。「医師の働き方改革に関する検討会」がこの3月に報告書をまとめたばかりであり、フロアからは多くの質問が挙がった。

 ホワイトカラー・エグゼンプションの対象に勤務医はならないのか、との質問には、迫井氏は「労働時間の管理の仕方については例外的な扱いはしない。ただし、時間外労働の上限規制については例外的な扱いをするという制度上の整理だ」と説明した。

 「大学病院の外科医は、術後の患者管理、教育、研究もやっている。もう少し大学に対する手当てが必要」という要望には、迫井氏は「そんなに予算が増えるわけではない。まして人口は今後、増えるどころか、足りなくなる。やり方を変えよう、という話だ。そこを変えてもらわないと、若い人達が来てくれないのではないか」と回答。

 フロアからは、民間病院と異なり、大学病院でタスク・シフティングが進まないのは、「給与体系の問題だと思う。民間病院では医師の給与が一番高いので、安い給料の人達をたくさん雇用してカバーする。一方、大学病院では、看護師などの給与は結構いいが、医師の給与はそれほど高くはない」との意見も挙がった。迫井氏は、「働き方改革を進めるには、時間管理をしていくことになる。長い目で見ていくと、今の給与体系がフィックスされるとは、私は考えていない」と答え、時間管理を実施し、全ての職種で労働時間と仕事の内容の把握ができれば、給与体系の変更にもつながり得るとした。

 さらに、「しらばくれていれば、何とかなると考えている管理者が多い」など、働き方改革に消極的な病院を問題視する意見も出た。迫井氏は、「今までは、(未払いの時間外手当を支払うなど)お金で済んでいたが、労働基準法に違反すれば、5年後には刑事罰の対象になる」と、今回の労基法改正の内容を説明した。

  働き方改革は社会の問題
 迫井氏はまず外科医を取り巻くデータを紹介。1994年と比べた人口10万人当たりの診療科別医師数は、大幅に伸びた診療科がある一方、外科は一時期は減少し、ようやく水準まで戻ってきた。外科志望者が少ないのは、労働時間が長く、時間外労働が多いことなどが理由であるとし、「働き方改革を考えていかないと、外科医の魅力が高まらない」と指摘。

 続けて迫井氏は、働き方改革は社会全体の課題である点も強調した。日本の人口の歴史的推移を提示し、「人類史上、地球史上、異常な時代を生きている」と説明した。明治以降、急速に人口は増加したが、「2010年を100とすると、2090年には半分以下になるという、人口超減少時代が到来している」。

 2040年までを見通すと、「働き手が減っていくにもかかわらず、需要は伸びる」時代。一方で、生産年齢人口は米国、イギリスでは増え、ドイツも維持できる。日本は労働生産性が低い現状もある。

 医療・福祉分野の就業割合は、今は8人に1人だが、2040人は6人に1人になると推計されている。「解決策は、高齢者にもう少し働いてもらうこと。もう一つは、労働生産性を上げること、これこそが働き方改革」。

 「年2000時間を超えるようなことは許さない」
 1週間の労働時間が「週60時間」を超える雇用者の割合を見ると、医師は37.5%で職種別で最も多い。中でも多いのは、外科、産婦人科、救急だ。

 厚労省は、例外的に認める時間外労働の上限について当初、「年1920~2000時間」と提示。最終的には「年1860時間」となった。「医師の約1割は、年2000時間を超えている。これを容認するのではなく、これを変えたいと思って提案した。いろいろ報道されたが、まずやろうとしているのは、『年2000時間を超えるようなことは許さない。一切なくす、認めない』ということ。そして将来的には通常のセクターと同じように、過労死ラインを切るように、と言っている」。

 勤怠管理は「当たり前のこと」
 迫井氏は、働き方改革で取り組むべき課題の中でも、特に労働時間の管理、36協定の自己点検、タスク・シフティング(業務の移管)の推進――の3つに取り組む重要性を強調。

 「時間管理をできるわけはない、とよく聞くが、『普通のことをやってください』と言っているだけ。社会全体で生産性を上げていこうとしている中で、『医師は特別だ、医療は特別だ』といった話ではない。医療サービス自体は特別だと思うが、労働という意味での医療については、しっかり管理していくのが当たり前であり、これを進めていくことが、外科医不足の解決につながる」

 迫井氏は、労働時間の管理の結果、業務の在り方を見直していくことになるものの、「外科系のサービスを減らしていくプライオリティーは低いと思う。外科診療は必要だ、だからもっとやってくれとなり、重点的にやるためにはタスク・シフティングをどう進めるのか、という話になる。メリハリの付いた評価になると思う」と見通した。タスク・シフティングの推進に向け、2020年度から開始する特定行為研修制度の「パッケージ研修」が始まる。迫井氏は、大学病院での取り組みを期待した(『日本外科学会、「大学病院で特定行為のパッケージ研修を」』を参照)。

 診療報酬は治療効果に基づく評価が基軸
 迫井氏は、厚労省保険局医療課長として、2018年度診療報酬改定を担当した。講演では「ロボット支援手術」についても言及。同改定では、12件のロボット支援下内視鏡手術の保険適用が認められたが、点数は腹腔鏡下手術と同点数。

 「相当異論もあり、批判もあった」と迫井氏は明かした。「(ロボット支援手術の実施は)若手外科医のモチベーション効果がある、という話も聞くが、患者から見ると、アウトカムはどう違うのか、何か目に見えるメリットがあるのかという問題」と述べ、診療報酬は治療効果に基づく評価が基軸であり、医療側の事情だけを考慮すべきではないとした。

 最後に、外科医の概念は時代とともに変化するものの、外科医が不要になることはあり得ず、「与えられた条件、与えられたスタッフ、与えられた手術室、機材という条件下で、最善を尽くす治療医。医療の本質であり、永遠に求められるもの」などと総括し、講演を締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/673834
「医師少数区域の支援」全地域医療支援病院の責務、厚労省提案
抜本的見直し論も根強く、「診療報酬で評価を」
 
レポート 2019年4月25日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は4月25日、「第16回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に対し、地域医療支援病院に、医師少数区域等を支援する機能として3つを挙げ、いずれかを満たすことを新たな要件とし、全支援病院の責務とすることを提案した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師偏在対策として、医師少数区域等で勤務した医師を厚労大臣が認定(以下、認定医師)する仕組みが2020年度から始まる。そのインセンティブの一つとして、認定医師であることを「医師少数区域等を支援する機能を有する地域医療支援病院」の管理者の要件とする。対象は当初、「地域医療支援病院の一部」と想定されていたが、全地域医療支援病院を対象とするのが、今回の厚労省案。支援病院の承認を受けているのは、2018年12月現在、全国で607病院。

 「医師少数区域等を支援する機能」とは、下図の2の(1)から(3)の3つ。いずれかを実施しているのは地域医療支援病院の73.7%。厚労省は併せて、「かかりつけ医等の支援機能」も、実情に応じて要件に追加できるよう提案した。

 厚労省提案に対し、構成員の賛否は分かれ、前回会議と同様にそもそも地域医療支援病院の在り方を見直すべきとの議論も展開された(『地域医療支援病院、「2つの機能」追加に向け議論開始』を参照)。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、地域の実情に応じて、少し幅を持たせて地域医療支援病院の要件を考えていく方針は支持。全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏も、地域医療支援病院の今の要件は、都市部の診療所を支援するものになっているとし、「医師少数区域の支援機能を追加することは役立つ」とした。

 一方で、「(前回会議で)抜本的な検討が必要と言ったのに、なぜこうした提案をしたのか」と問題視したのは、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏。日本医師会副会長の中川俊男氏も、「この提案は全然違うのではないか。(地域医療支援病院は)一定の役割を終えたというのは、皆の認識になってきている」と語気を強め、地域医療支援病院に求められる4機能は他の医療機関でも実施しているとし、診療報酬で評価していくべきと指摘した。

 厚労省は第16回会議の議論を踏まえ、引き続き検討を続け、今夏を目途に一定の取りまとめを行う予定。

 地域医療支援病院と地域包括ケア病棟への紹介の流れ

 相澤氏は、診療報酬上で地域包括ケア病棟が評価されて以降、かかりつけ医からの紹介の流れが変わったと指摘。誤嚥性肺炎、軽度の心不全、手術を必要としない骨折などは地域包括ケア病棟に、手術等を必要とする患者は地域医療支援病院に、という流れだ。「これをどう受け止めて地域医療を構築していくかが重要。この視点を持ち、もう一度、しっかり議論しなければいけないと思う」と述べた。ただし、地域医療支援病院の創設により、医療機能の分化が進んだことは評価し、地域の実情に応じて、少し幅を持たせて地域医療支援病院の要件を考えていく方針は支持。

 これに対し、島崎氏は、「個別に診療報酬で評価していく方が、地域ごとに適切な評価ができるのではないか」と述べたほか、例えば福岡県には、10以上の地域医療支援病院を有する2次医療圏もあるとし、「資源配分上もゆがみが生じているのではないか」と指摘した。

 中川氏は、この発言を踏まえ、福岡県の実態を産業医科大学教授の松田晋哉氏に尋ねた。

 松田氏は、「福岡県医師会では、常に話題になっている。一番大きな問題は、要件さえ満たせば、拒否することはできないこと」と回答。また同じような機能を果たしているのに、紹介率の要件などを満たせないために地域医療支援病院として承認されないケースがあることも問題であるほか、2次医療圏をまたいだ支援機能も要件として考えるべきとの意見も出ているという。「名称の問題より、機能の問題」と述べ、地域医療支援病院の有無ではなく、地域の医療機関の支援機能を有する病院があるかどうかが問題であるとした。

 中川氏は、(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)救急医療の提供、(3)医療機器の共同利用の実施、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――という地域医療支援病院に求められる4機能は、「他の病院でもやっている」と述べ、地域医療支援病院には入院診療加算があるが、個別の機能についても診療報酬で評価すべきだとした。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏も、厚労省案に沿って承認要件を見直すとしても、一定の考え方(ビジョン)を示す必要があるとし、「承認要件と診療報酬上の評価の在り方は整理していく必要がある」と述べた。

 「地域医療支援病院は重要」との回答は9割だが……
 
 厚労省が今回の提案の根拠の一つとしたのは、2018年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)「地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究」(研究代表者:伏見清秀・東京医科歯科大学)。2019年1月21日から2月12日にかけて、都道府県(悉皆調査・回答率100%)、地域医療支援病院(同88.4%)、郡市区医師会(同67.6%)を対象に実施。

 「二次医療圏において、今後も地域医療支援病院は重要だと考えられるか」との問いには、「非常に重要」「どちらかといえば重要」の合計が、いずれも9割と高率だった。「地域医療支援病院が担うべき機能」としては、「紹介患者への診療」が最多で、「救急医療」「医師確保に資する体制整備」が続いた。

 しかし、中川氏は「重要か」と聞かれれば、地域医療支援病院という制度そのものではなく、各地域にある具体的病院を想起し、「重要」と答えると指摘、「このまま地域医療支援病院を存続すべきという回答であるとは言えない」とした。日本医師会が2012年に都道府県医師会を対象に実施した調査では、「廃止も含めて制度を見直すべき」という意見が合計 72.3%だったことを紹介した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20190425130730
地域医療支援病院、都道府県の9割が「重要」
厚生労働省の研究班調査結果、在宅や救急に期待も
 
2019年04月25日 13:20

 地域医療支援病院について、都道府県の9割が「重要」と考えていることが、厚生労働省の研究班の調査で分かった。都道府県は地域医療支援病院に対し、かかりつけ医・在宅医療への支援や二次・三次救急医療を担うことなどを期待している。【新井哉】

 地域医療支援病院に関しては、かかりつけ医らを支援し、効率的な医療提供体制の構築を図るため、紹介患者に対する医療提供の整備(紹介率)、救急医療の提供能力(救急車による搬送患者数)などが、都道府県知事が承認する際の要件となっており、全国に約600病院ある。

 調査は1月21日から2月12日まで、都道府県の地域医療支援病院の承認を担当する部局を対象に行われ、全都道府県から回答を得た。地域医療支援病院の重要性を聞いたところ、「非常に重要」と答えた都道府県の割合が53.2%で最も高かった。「どちらかといえば重要」(38.3%)を含めて9割の都道府県が「重要」との認識を示した。

 地域医療支援病院が目指すべき病院像に関する回答(自由記載)については、医療従事者の確保や在宅医療など、地域の実情に応じて不足する機能を提供する中核的な医療機関としての役割を期待したり、循環器を中心とした二次・三次救急を担うことを求めたりする都道府県があった。

 また、承認要件を満たすだけでなく、「かかりつけ医からの紹介患者に対する医療の提供」「かかりつけ医との医療機器の共同利用」などの必要性に言及する回答もあったという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/673580
シリーズ 社会保障審議会
2040年の医療提供体制構築に向け「三位一体」改革推進
「次元が違う局面。多元連立方程式を解くような話」との意見も
 
レポート 2019年4月24日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は4月24日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)で、2040年の医療提供体制の構築に向けて、地域医療構想、医師・医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を「三位一体」で推進していく方針を示し、各検討会・分科会等の進捗状況を説明した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「三位一体」との表現には、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏が、「三位一体かどうかは別として、これらが関連しているのは事実。さらに地域包括ケア、さらに(都道府県化を進めた)国保改革なども関係する。これまでとはディメンジョン(次元)が違う局面に入った。複雑な多元連立方程式を解くような話」と述べ、地域の実情、それに対する解も異なることから、都道府県での対応、それを担う人材育成の重要性などを指摘した。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏は、「三位一体という表現をしたが、相互に連関して、どう対応していくかが課題であると捉えている」とし、島崎氏の指摘の通り、地域の多様性も踏まえて対応していくことが必要であるとし、国としても全国知事会や自治体と積極的に意見交換をするほか、研修会や人材養成などをはじめ、都道府県が主体的に取り組めるよう国として支援していく方針を説明した。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「三位一体の改革と言っているが、全然三位一体になっていない」と問題視。例えば、医師偏在対策は、病院に限らず全体の話である一方、地域医療構想は病院の話であるほか、「地方ではすごい勢いで人口の変化が始まっている」と述べ、2次医療圏同士が合併、あるいは隣接する2次医療圏の連携を考えなければいけないにもかかわらず、2次医療圏単位での議論が進んでいるなどとし、「現実とのギャップがあって、現場は混乱している」と指摘した。医師の働き方改革など、さまざまな改革が相次ぐことも混乱を招いているとし、「収束する方向に取り組んでもらいたい」と求めた。

 地域医療構想の実現に向け、国の支援を求める声
 地域医療構想については「地域医療構想に関するワーキンググループ」(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)、医師の働き方改革については「医師の働き方改革に関する検討会」(『医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ』を参照)、医師偏在対策については「医師需給分科会」(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)でそれぞれ議論している。

 3つの改革の中でも、医療部会で多くの意見が出たのは地域医療構想について。着実な実現に向けて、国の支援を求める意見が出た。2017年度と2018年度の2年間が、集中的な検討を進める期間だった。2年間で合意に至った具体的対応方針の内容を検証するため、手術件数をはじめ「診療実績」などを見える化し、各構想区域の現状を分析する方針。

 ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「地域医療構想の調整会議自体が、都道府県によってばらつきがある。問題点の抽出ができても、調整までには至らない。手術件数などの見える化をされていることは分かったが、さらにもう少し強く調整をやっていかないことには、進まないのではないか」と述べたほか、医療提供体制に関する理解を深めるための地域住民への啓発の必要性を指摘。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、「地域医療構想アドバイザーという第三者を入れて議論を活性化させている。また診療実績の見える化を進めることで、もう少し突っ込んだ議論ができるのではないか」などと述べ、「国としても積極的に関与し、例えば、調整会議にこちらから出向くことを視野に入れながら検討していく」と付け加えた。

 健康保険組合連合会常務理事の河本滋史氏も、「地域医療構想の進捗は不十分であり、今回、診療実績のデータを分析して、再編統合の必要性等を議論するのは意味がある。しかし、厚労省の進捗管理や議論のサポートがないと、なかなか議論が進まない」と指摘。また急性期機能だけでなく、回復期、慢性期機能の議論がどのように進んでいくのかとも尋ねた。

 鈴木課長は、急性期から慢性期まで順に議論していく流れになるとしたものの、「まだ高度急性期、急性期機能の議論が不十分であれば、我々のデータ(診療実績データなど)を基に議論してもらいたい」と求めた。

 その他、医師偏在対策については、日本医師会常任理事の釜萢敏氏が、「診療科別の必要医師数が提示されたが、果たして妥当なエビデンスなのか、幅広く検証し、合意形成していくことが必要」と求めた。日本精神科病院協会会長の山崎学氏からも、必要医師数の算定方法等を質す意見が出た。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「一定の仮定を置いた、いろいろな前提条件を持つ数字。各学会から意見をもらい、さらに精緻化を進める」と回答した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/673287
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「黒船来襲」働き方改革は待ったなし
第119回日本外科学会定期学術集会「特別企画」、外科医の未来は?
 
レポート 2019年4月23日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 「働き方改革は黒船来襲、待ったなし」――。第119回日本外科学会定期学術集会で4月20日に行われた特別企画「外科医にとっての働き方改革とは」で、司会を務めた東京慈恵会医科大学Chairmanの大木隆生氏は、こう言って改革を呼びかけた。医師の時間外労働時間の上限は2024年4月施行だが、それ以外の部分は本来、既に行っている必要がある。大木氏は「36協定締結や客観的な労務管理をやっていなければ、労働基準監督署が今日入ってきたら即アウトだ。待ったなしという理解の上で話を聞いてほしい」と呼びかけた。

 まず、厚生労働省医政局の堀岡伸彦氏(医師養成等企画調整室室長兼勤務環境改善室室長補佐)が登壇。大木氏は、「我々にとってラッキーだったのは、元外科医の堀岡先生が働き方改革のリーダーシップをとって外科医の立場を念頭にやってくださっていることだ」と紹介した。

 堀岡氏は「医師の『働き方改革』のゆくえ」と題して、この3月に取りまとめられた「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書(『医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ』を参照)について解説し、「これで十分とは思っていないが、今までと比べれば大改革だ」と指摘。「地域医療確保暫定特例水準」の年1860時間を超えている医師が会場には多くいるとみられ、全国には約2万人いると説明した上で、「5年後には1人もいてはいけない。1人でもいれば管理者に罰則がかかる」。さらに、連続勤務時間制限や勤務間インターバルについて、「厚労省はこれを厳しく見ていくつもりだ。例えば当直明けでは午後の内視鏡はできない。朝のカンファレンスが午前8時に始まるとすれば、その9時間前には病院から出ていないといけない。これは本当に黒船だ」と強調した(『「外科医こそ率先して働き方改革を」、迫井厚労省審議官』も参照)。

 同検討会で構成員を務めた社会医療法人ペガサス馬場記念病院理事長の馬場武彦氏は、「宿直の在り方が大きな鍵になってくる」として宿日直について解説。宿日直勤務の許可を労基署から取っていれば、宿日直の時間は時間外労働時間から除かれることになるが、1949年(昭和24年)に出された医師、看護師等の宿直の許可基準が「非情に厳しい。いわゆる寝当直以外は、労基署が入ってくると『宿直ではない』と言われてしまう」と指摘。報告書では「基準を現代化する」こととなっており、今後厚労省から出される通知で「少しは改善があるのではと思う」と述べた。

「働き方改革のグラウンド・ゼロ」電通執行役員が講演

 続いて、2015年の末に新入社員が過労自殺し、日本社会に「働き方改革」の嵐を巻き起こす要因となった電通について、大木氏は「働き方改革のグラウンド・ゼロ」と紹介し、執行役員の大内智重子氏が登壇。同氏は2016年10月から午後10時の一斉消灯や、2017年度からは2年間、社長が労働環境改革推進本部長を務めての改革を行い、今年度からは事業とのバランスを取りながら行っていることを説明。「対症療法では無理で、本質的な改革を会社として本腰を入れなければいけないということでスタートした」と述べた。

「ある若手外科医の1週間」が一変

 昭和大学外科学講座消化器・一般外科学部門講師の大塚耕司氏は、同大学の取り組みを紹介。働き方改革の社会的潮流が起こる前から、手術手技のマニュアル化による統一や患者病状説明書の作成によるインフォームド・コンセント(IC)の統一・短縮、若手術者の手術時間調整などの対策を行い、「臨床を重視し、その中で若手教育・時間短縮を考慮」という方針を採ってきた。しかし、なかなか労働時間短縮が実現しない状況で働き方改革の波が押し寄せた。そこで、IC開始時間を午後5時までに制限、日曜のICは禁止し、患者・家族主導ではなく医師の事情に合わせることを説明する文書を作成。医療事務の増員も行った。

 激しい議論を経つつも、2017年からは各病院で順次、シフト表を用いた勤務管理を導入。こうしたさまざまな取り組みの結果、若手外科医の一週間は、当直や時間外が減り、完全休日も月に1日あるかどうかだったのが4~8日取れるようになったという。処遇改善や時間外勤務手当てなどで支出は増えているが、患者1人当たりの収入が増えるなどの理由で収入も増加しているとみられるという。シフト制のメリットとしては、各医師に時間に対する意識の高まりが見られたことや、予定して休みを取れるようになったことなどが挙げられた。

 福島県立医科大学肝胆膵・移植外科学講座教授で看護師特定行為研修センターを担当している見城明氏は、修了者にタスク・シフティングをしていく上での課題として医療機関の風土やマインドの変革、統一基準の設定などによる質の担保や受講者数の増加、PA(Physician Assistant)やNP(Nurse Practitioner)に類似した活動を行うなどの修了者の権限拡大などが必要だと説明。

 2016年6月に労基署の改善勧告を受けて働き方改革を推進してきた聖路加国際病院小児外科部長の松藤凡氏は、課題として医師の適正配置、勤務と研鑽の指標の必要性や、医師のタスク・シフティングを行うには、シフトされる側の看護師のタスク・シフティング、他職種の育成や確保も必要であることなどを挙げた。

 がん研有明病院消化器センター消化器外科副医長の熊谷厚志氏は、スウェーデンで2年間勤務していた経験から、日本では「メスを入れたからには看取りまでするのが外科医」、スウェーデンでは「治療の中の手術という部分を担当するのが外科医」という違いを紹介。スウェーデンのようなやり方をするには、外科医以外のマンパワーを充実させることが必要だと説明。スウェーデンの外科医に「あなたが患者なら日本が最高、医師(外科医)ならスウェーデンが最高だ」と話したエピソードを紹介した。

 慶應義塾大学外科准教授の篠田昌宏氏は、これまでは病棟が点在し、それぞれにチームがあり、チーム毎にそれぞれ患者を診ていたが、2018年に新病棟が完成して一つのフロアに全ての外科の患者が集まり、診療側も臓器ごとの編成になったことを紹介。また、効率化としてあまり意味がないのでは、と思われた慣習の廃止や、休日にICや緊急でない処置・検査などを行うことを禁止し、休日を完全当番制にして担当者以外の来院を禁止するなどの対策も行ったと説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/672787
「卒前・卒後シームレスな医師養成が進展」、厚労省
第37回臨床研修研究会、2020年度にも各種見直し予定
 
レポート 2019年4月21日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室長の岡部渉氏は4月20日、東京都内で開催された第37回臨床研修研究会で、「卒前・卒後の一貫したシームレスな医師養成と2020年度から適用される医師臨床研修制度の見直しについて」をテーマに講演した。


 卒前教育については、診療参加型臨床実習を充実させるため、医学生が実施可能な「医行為」を2018年夏に整理した。医師国家試験は、公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)が行う共用試験(CBT)の合格基準が各大学で2015年度から統一化されたことを踏まえ、2018年度から出題数を500題から400題に変更済み。臨床実習の成果を評価するために6年次に受ける「Post-CC OSCE」は、CATOが実施主体となり、2019年度に試行、2020年度から正式実施される予定。

 卒後の医師臨床研修についても、卒前の臨床実習との整合性を図れるよう、到達目標、方略、評価を変更するほか、必修科目が現行の3科から7科に増加、一般外来での研修追加、地域枠学生についてのマッチングでの限定選考、臨床研修病院の指定等の都道府県への権限移譲、基礎研究医プログラム設定など、多岐にわたる見直しを行う(『2020年度からの初期研修の見直し案を了承、7科必修化へ』などを参照)。

 今後の検討課題として、共用試験(CBT/OSCE)、医学教育のモデル・コア・カリキュラム、医師国家試験、臨床研修の各制度について、よりシームレスな卒前・卒後教育を実践するため、同時改訂ができる方向で検討する。

 フロアからは、臨床実習時間数の増加に伴い、大学病院以外での実習が増えている現状も踏まえ、「一般病院等で、患者の同意を得て、侵襲的な医行為を実施するのは容易ではない」とし、患者啓発の必要性を指摘する声が上がった。岡部氏は、共用試験やスチューデント・ドクターについて、公的な位置付けを求める意見が出ていることから、2019年度に厚労省として検討する方針であると、回答した。

 「卒前・卒後の医師養成がシームレスになればなるほど、臨床研修は2年も要らないのではないか、という議論も出てくるのでは」との質問も出た。岡部氏は個人的な見解と断りつつ、「臨床実習において、臨床研修でやっているようなことができるようになれば、将来的にはそうした議論も出てくるのではないか」と述べつつ、診療参加型の臨床実習が実践できていない大学がある現状も指摘した。

 連動研修できなければ、内科専攻医減少の懸念も
 第37回臨床研修研究会は、「新研修制度のシームレスな運用に向けて」と「研修医の働き方改革:現状と取り組み」という二つのテーマのシンポジウムの後、岡部氏、文部科学省高等教育局医学教育課企画官の荒木裕人氏が講演した。

 「新研修制度のシームレスな運用に向けて」の登壇者の一人が、日本専門医機構理事長の寺本民生氏。新専門医制度が2018年度から開始したばかりであり、サブスペシャルティ専門医の在り方などが議論になっている最中だけに、この問題のほか、総合診療専門医の在り方、専門医取得のインセンティブについて、フロアから複数の質問が寄せられた。

 サブスペシャルティ専門医については、基本領域の専門医との連動研修を認めるか否かが論点(『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。寺本氏は、「連動研修は、例えば内科研修の場合、循環器や呼吸器などでの研修実績をサブスペシャルティ専門医の研修実績としても認めるということ。基本領域の研修を侵して専門研修に入るわけではないことを理解してもらいたい」と説明。

 2018年度および2019年度の専攻医の中には、連動研修ができるとして研修を開始した人もいるとし、「これがダメとなると、専攻医の人生に大きな影響を与える」と指摘、さらに内科専門医に限れば、2年間の初期臨床研修で内科専門医の研修項目の多くを済みであるとし、「連動研修ができないとなれば、内科専門研修としても非常に大きなデメリット。これが続くと、内科専攻医がさらに減ってしまうのではないか」との懸念が呈せられた。

 寺本氏は、内科系ではJ-OSLER、外科系ではNCDで経験症例の登録をしていることから、連動研修が認められた段階で、それらがさかのぼってサブスペシャルティ専門医の研修実績となるのでは、と回答。「現段階で2階建ての部分として認められるという理解でいいか」との確認に、「そう私は望んでいる」と応じた。

 専門医取得のインセンティブ、第一は「広告」
 専門医取得のインセンティブについては、「例えば、専門医を取得した時に、メリットがはっきりしない、取得しないデメリットもはっきりしない」との質問が出た。

 寺本氏は、「日本専門医機構として、広告できるようにもっていくことが第一」と回答。現行法上では、広告が可能なのは、学会認定の専門医。「2021年度からは、日本専門医機構認定の専門医が誕生するので、広告ができる状態になることを望んでいる。両方が広告可能となれば、徐々に機構認定の専門医に移行していくのだろう」(寺本氏)。

 診療報酬で専門医を評価する考え方については、「診療報酬で何らかのインセンティブを考えていかないと、恐らく医師の診療科偏在の解消は難しいだろう。しかし、医療費総額、その配分の問題にもなり、非常に微妙な問題だと認識している」と寺本氏は見通した。

 総合診療専門医、キャリアパス見えないことが課題
 総合診療の専攻医は2018年度と2019年度ともに約180人。寺本氏は、「他の基本領域とは異なり、基本学会がなく、機構自体がこれを担っており、大変」とした上で、人数が伸び悩む理由を述べた。「認知度が十分ではなく、医学教育の中でも総合診療に関する教育が必ずしも多くはない。さらに新専門医制度の中で、ダブルボードあるいはサブスペシャルティ専門医として何が取得できるのかなど、キャリアパスが見えてこないことが、総合診療専門医の課題だろう」。

 シンポジストの一人、地域医療機能推進機構(JCHO)理事長の尾身茂氏も、「総合診療専門医については、ロールモデルがなく、将来何が起きるかが分からない」などと指摘し、「全ての医師が総合診療専門医になる必要はないが、180人はいかにも少ない。患者のため、そして日本の医療の財源のためになることが分かるようになれば、選ぶ人も増えるのではないか」と述べた。

 フロアからも、総合診療専門医養成の必要を指摘する声が複数上がった。



  1. 2019/04/28(日) 07:31:52|
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4月21日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190417-OYTET50005/
大津市民病院 分娩休止へ…医師不足で6月から  
2019年4月17日 読売新聞

 地方独立行政法人・市立大津市民病院(大津市)で6月1日から当面の間、医師不足を理由に 分娩ぶんべん の取り扱いを休止することがわかった。滋賀県医師会などと連携し、近隣の医療機関で出産できるよう対処する方針。

 産婦人科医6人のうち、1人が3月末に退職し、2人も5月末に辞めるという。近隣の大学に医師の派遣を要請したが、確保できない状況だという。

 同病院の昨年度の分娩実績は218件。6月以降に出産する妊婦66人には他の医療機関を紹介する。分娩以外の診察などは続ける。

 大津市民病院は「迷惑をかけて申し訳ない。態勢が整い次第、再開したい」とコメントしている。



https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190416000028
産科医の半数退職、お産休止へ 全国的不足も影響、大津市民病院印刷用画面を開く  
【 2019年04月16日 10時00分 】京都新聞

 地方独立行政法人・市立大津市民病院(大津市本宮2丁目)が6月1日から当分の間、院内での分娩(ぶんべん)(お産)を休止することが15日、分かった。産婦人科医の退職が相次ぎ後任が確保できないためで、受診者には近隣で分娩できるよう他の医療機関を紹介するという。

 昨年度の分娩実績は218件。同病院は「ご迷惑をおかけする。態勢を整えて、再開できるよう努めたい」としている。

 同病院によると、6人の産婦人科医のうち1人が3月末に退職し、さらに2人が5月末に退職することになった。大学医局に医師の派遣を要請しているが、全国的な産科医不足もあって後任が決まらないという。

 現在受診中で6月以降に出産を予定する妊婦66人には、他病院を紹介する。周産期医療を担当する滋賀県健康寿命推進課は「近隣の医療機関でカバーできる」とみている。分娩以外の婦人科の診療などは続ける。

 同病院は、生活保護受給世帯などを対象に市が出産費用を助成する「助産制度」の指定施設。市内には他に指定施設がないため、休止の間、制度利用者は他市の指定病院で出産することになるという。

 同病院は2017年4月、大津市が100%出資して地方独立行政法人に移行した。分娩の休止は産婦人科を開設した1949年以来初めて。



https://www.m3.com/news/iryoishin/672637
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制、偏在解消に向けマッチング導入すべきか
第119回日本外科学会定期学術集会「特別企画」、演者提案
 
レポート 2019年4月19日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立国際医療研究センター病院医学教育部門の村岡亮氏は、4月18日に大阪市で開催された第119回日本外科学会定期学術集会の特別企画「新専門医制度の開始により見えてきたその現状と課題」で、医師の診療科・地域偏在を緩和するため、将来の適正な専門医数に基づき、医師養成数とほぼ同数の専攻医募集定員を設定した上で、専攻医マッチングを行うべきとの持論を紹介した(『「新専門医制度、募集定員設定しマッチング導入を」』を参照)。偏在問題にできるだけ早く道筋を付け、専門医制度の本質である「専門医の資質・能力向上」にエネルギーを集中すべきと指摘している。

 もっとも、フロアからは診療科へのマッチング導入について、他科を希望していた医師が定員の関係から外科専攻医を選ばざるを得ない場合も想定し得るとして、研修や専門医の質の低下を懸念する声が挙がった。

 村岡氏は新専門医制度の現状の問題点として、(1)専攻医の募集定員総数が採用実員総数の2.2倍(2018年度の場合、外科では2.56倍)であり、診療科・地域偏在が生じる余地がある、(2)一人の専攻医が登録できる研修プログラムが一つのため、応募者側は志望プログラムの選択肢が限定され、病院側も限定された登録者の中から選抜しなければならず、青田刈り、囲い込みが起きる――などを挙げた。

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会では、専攻医数の上限(シーリング)の方法を見直し、「都道府県別、基本領域別」に設定することを議論している(『専攻医のシーリング、「県、基本領域別」への変更検討』を参照)。その方法論として、19の基本領域の必要専門医数を維持するための専攻医数を推計し、臨床研修と同様にマッチングの導入を検討すべき、というのが村岡氏の提案。19の基本領域別、あるいは一括して実施するという2つの選択肢があるとした。「約9000人をいかに19の基本領域に振り分けるかという議論がこれまでなかった」。

 司会を務めた名古屋大学消化器外科教授の小寺泰弘氏によると、新専門医制度のスタートに先立ち、外科専門医の研修プログラムを募集したところ、専攻医の募集定員数は合計4000人を超えていたという。「自分の研修プログラムに人が欲しいという施設が当然多かった。これを減らすのは大変で、とりあえず半分に減らすということで、2000人強となった」。

 外科専攻医は2018年度、2019年度ともに800人強。「外科専攻医の800人が適正かだが、そもそも今足りないのだから、もっと増やさなければいけない。『毎年800人だから、これからも800人』と決められてしまうことは問題」と述べ、新専門医制度の一期生が3年間の研修プログラムの中で、どの基幹病院と連携病院で研修するかを把握、検証し、今後の募集定員の在り方などを検討していく必要性を指摘した。「名前だけは連携していても、全然専攻医が行っていない連携病院があるのではないか、と厚労省は懸念している。その辺りのデータが3年間で出てくる。先生方がプロフェッショナル・オートノミーを発揮し、地域に配慮した研修を指導していくかが、問われる」と注意を喚起した。

 フロアからは、診療科別のマッチングの導入について、「外科の研修は、専攻医の高いモチベーションと決意で支えられている」とし、他科の定員がうまり、外科専攻医になったとしても頑張れないとし、「研修の質、さらには専門医の質の低下を大変懸念する」との指摘が挙がった。

 村岡氏は、「その点は十分に承知している。マッチングは、オールマイティーではなく、そうした問題は出てくる。議論を尽くしていくことが必要。専攻医の定数は必要だと思うが、かなり時間をかけて検討しなければならない」と答えた。

 弘前大、新専門医制度以前から外科は集約
 特別企画では、大学病院や市中病院、都市部や地方など、さまざまな立場の医師が、外科専門医の養成状況を報告した。複数の病院で、従来は別々に実施していた外科系診療科の研修を、連携あるいは統合し、外科領域全般を幅広く学べる体制に変更していた。基幹病院と連携病院が連携するに当たって、専攻医の研修実績を「見える化」して共有するなど、研修の質を上げるさまざまな工夫も行われている。

 弘前大学の現状を紹介したのが、消化器外科教授の袴田健一氏。新専門医制度初年度の2018年度の専攻医は5人、2019年度は11人へと増加した。

 新専門医制度の開始に当たって、従来は旧第1外科系と旧第2外科系が独自に研修していた体制を見直し、両者が連携して研修するために「外科専門研修プログラム管理委員会」を設置した。

 プログラム管理委員会では、(1)手術経験数・内容、(2)修練技能の自己評価、指導医評価、(3)研修施設間の意見交換――などについて検討、実施している。例えば、(1)では、どんな症例をどのくらい経験しているかを詳細に記録。(2)では、経験すべき手技・処置について、専攻医と指導医がそれぞれ5段階で評価、研修施設が移る場合はそれを提供している。「これらは従前になかった非常にいいシステム。専攻医の経験を可視化することで、研修施設群全体で経験症例不足などを把握できる」(袴田氏)。外科系診療科が横断的に研修に取り組むことで、専攻医の満足度が高まっている一方、症例経験が重視され、それ以外の点に目が向きにくくなる側面もあるとした。

 また従来は研修カリキュラム制だったが、新専門医制度のスタートを機に、研修カリキュラム制に移行した。「現時点で、女性医師等からプログラム制の困難さについては指摘されていない」と袴田氏。

 袴田氏によると、青森県では、1989年から約30年間で、手術施設と若手中堅外科医を集約化して、研修・医療の質を高めるための「計画的医療再編」と、人口減少・手術ニーズの減少、外科医や麻酔科医不足による「受動的医療再編」という二つの再編が進んでいた。したがって、「新専門医制度による負の影響は見られていない」と袴田氏は説明。地域医療の責任を専攻医に課すのではなく、ベテラン医師が勤務している地方の病院に、若手医師が日当直や救急の支援などに行く体制で、診療支援をしているという。



https://www.yomiuri.co.jp/local/oita/news/20190415-OYTNT50080/
竹田市、今月中に意思確認 こども診療所 所長の男性医師に  
2019/04/16 05:00 読売新聞

 竹田市立こども診療所の運営にあたる指定管理者が見つからず、所長の男性医師も運営継続に難色を示している問題で、同市の首藤勝次市長は15日、今月中に男性医師に運営継続の意思があるかどうかを確認し、継続意思がない場合は別の医師を探す意向を示した。

 市保険健康課によると、同市飛田川の診療所は3月末で閉鎖され、市が約1億7000万円をかけて同市玉来に建設した新しい診療所で診療ができるよう準備を進めてきた。ただ、男性医師が今月8日以降、欠勤しているため、休診が続いているという。

 15日に記者会見した首藤市長は診療再開の見通しが立っていないことを明らかにし、「指定管理を巡る意見の違いや説明不足でこのような事態を招いたことを市民におわび申し上げる」と謝罪した。



https://oita-press.co.jp/1010000000/2019/04/18/JD0057992608
こども診療所22日再開 竹田市「医師が留任」  
2019/04/18 03:00 大分合同新聞

 竹田市唯一の小児医療機関「市立こども診療所」で所長の男性医師(51)が辞意を表明して今月初めから休診している問題で、市は17日、医師が引き続き所長を務めることになったと明らかにした。留任を求める市の説得に応じたという。診療は22日から再開する。
 非公開で17日に市議会対策委員会があり、首藤勝次市長が経緯を報告した。市議らによると、市長は15日に医師と会って「コミュニケーション不足が誤解や不信感を生んだ」と謝罪。医師は「ご迷惑をお掛けしました」と述べたという。
 市によると、診療所は今月から市内玉来に新築移転。診療予約は18日から受け付ける。
 小児科の再開方針を受け、娘4人を育てる同市玉来の主婦吉住枝里さん(38)は「近くに病院があれば安心。良かった」。医師の留任を求めて署名活動を展開した市民団体の古森佳代代表(50)は「子どもの命を守ることから懸け離れた感情のぶつかり合いに翻弄(ほんろう)された。まだ安心できない」と述べた。
 首藤市長は「問題が長期化して申し訳ない。二度と同じようなことが起きないように組織体制を整える」と話した。




https://www.asahi.com/articles/ASM4K42VDM4KTPJB006.html
休診続いた「こども診療所」22日開所へ 大分・竹田市  
矢鳴秀樹 2019年4月18日14時49分 朝日新聞

 大分県竹田市は17日、新しい建物の完成後も「休診」が続いていた市立こども診療所を、22日に開所させると発表した。所長の男性医師(51)が診療を継続する意思を示した。当初の予定から約1カ月遅れの開所となり、18日から診療予約の受け付けを始める。

 市によると、15日に首藤勝次市長と医師が面会。首藤市長はこれまでの市側の対応について、医師も混乱した現状についてそれぞれが謝罪した。医師からは診療について「継続します」との言葉があったという。

 新築した建物での診療継続をめぐり、医師が市に不信感を持ったことから、開所は当初予定していた3月中旬からずれ込んでいた。医師は22日から診療を行う。市は地域医療を支える態勢づくりへ、大分大医学部にも協力を求める。

 首藤市長は「市民を置き去りにして解決が長引いたことへの不満の声も聞いている。いずれ市と医師がそろっておわびをしたい」と話した。

 診療継続を求める署名を集めた「竹田の小児医療を守る会」の古森佳代代表は「継続できてホッとしている。市は医師をサポートして竹田の医療充実に尽くしてもらいたい」と話した。(矢鳴秀樹)



https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201904_post-15164/
4月から「無駄な医療」根絶の動き本格化…医師の過重労働是正、従来並み医療維持は困難  
ビジネスジャーナル 2019年4月16日 21:00 1

 私は3月に『続 ムダな医療』(日経BP社/以下、「本書」という)を上梓しました。5月、日本では元号が平成から令和へと改まりますが、今年は「ムダな医療」元年ともいえる転換点になるかもしれません。なぜなら、大きな制度変更がたて続けに予定されているからです。今回は本書の内容もひきつつ、「ムダな医療」について改めて考えてみたいと思います。

 前回もお伝えしましたが、私は20年近く医療や生命科学の分野で取材活動をしてきました。獣医学を学び、情報収集の経験もあるため、身近な人から病気について相談を受けることがよくあります。
 
 病気になると、今ではまずインターネットを使って医学的な知識を深めようとする人が多いです。ネット上には玉石混淆の膨大な量の情報があふれています。日本語の医療情報は多いですが、本当に悩む人にとって役立つ情報は多くありません。

 2013年、私は米国で「チュージング・ワイズリー」という、医学会が「ムダな医療」を列挙する動きを知りました。当時、その数はおよそ250項目。CT検査を行うな、特定の薬は使うな、などの内容です。なぜ米国では、こんな有用な情報、しかも米国の医学会にとって自分の首を絞めるような情報が公開されているのか疑問に思い、その実態を追ってきました。

 医療のムダは3パターンに分けて考えられます。1番目は、デメリットがメリットを上回るような医療行為。たとえばCT検査では、検査によって得られる情報の価値よりも、放射線被ばくによる発がんリスク上昇のほうが問題視される場合があります。2番目は、メリットがそもそもないケース。細菌にしか効かない抗菌薬を、ウイルス感染の治療に使うようなケースです。3番目は、デメリットが大きすぎる場合で、医療行為の効果がないのに副作用が大きいケースです。

●「医療技術評価」は一つの転機

 ムダな医療の視点から見ると、転機になりそうな動きがいくつかあります。直接的に影響するかは未知数ですが、注目したいと考えています。
 
 4月11日付日本経済新聞朝刊の社説にも紹介されていましたが、4月から日本で「医療技術評価(HTA)」と呼ばれる、主に医薬品の費用対効果を評価する制度が本格的に始まりました。医療技術評価は世界的にも重要視されるようになっています。例えば、これまでは医薬品は発売後、その効果が厳しく評価されていませんでした。医薬品が本当に命を延ばしたのか、病気を治したのかが今後は評価を受けることになります。

 原則的には、効果のある薬は保険適用されて幅広く使われるべきと判断され、効果のない薬については、必要性が低いと見なされ、場合によっては保険適用外となる可能性もあります。日本において、当初は、一部の医薬品価格の上げ下げが行われるにとどまります。ですが、英国などでは保険適用を外すような動きにまで踏み込んでいます。医療行為の価値に目が注がれ、ムダな医療への関心は従来よりも高まることになります。

 個別の病院や医師に関わる変化も生まれています。一つは、4月以降本格化している「働き方改革」です。かねて日本の医療機関は医師不足が深刻でした。その背景にあるのは、病院数の多さと医師の少なさです。OECDのデータによると2017年、人口1000人当たりの医師数は日本は36カ国中の28位。一方で、人口1000人当たりの病院数は韓国に次いで35カ国中の2位。病院ベッド数は40カ国中の1位。病院1施設当たりの医師の数はどうしても低水準にならざるを得ません。

 過剰なベッドに、少ないスタッフ。しかも、スタッフは働き過ぎ。今後は働き過ぎの部分が是正され、これまでのような医療サービスを提供することは難しくなります。4月に働き方改革関連法が施行され、医師にも2024年から適用されます。適用まで時間はありますが、医療現場も準備に着手することになります。医療の現場でも、人的資源活用の観点からムダが再点検されていくでしょう。

 もう一つは、10月の消費増税です。患者が払う医療費に消費税はかかりませんが、医療機器や医薬品の購入には消費税がかかり、医療機関の経営は圧迫されます。医療機関はムダにより敏感になると考えられますが、医療機関が提供する医療サービスにはムダがむしろ増える恐れもあります。

 このほかにも政府の掲げる地域医療構想の下、2025年に向けて日本の医療提供体制は大きく変わっていきます。さまざまな動きが関係して、医療のムダへの注目はより高まってくると考えています。

●良かれと思った医療に潜む「落とし穴」

 こうした時勢に、米国発の「チュージング・ワイズリー」が国際的にも広がりつつあり、たとえばオーストラリアなどは本腰を入れ始めています。チュージング・ワイズリーにはざっと550項目のムダと考えられる医療が列挙されています。がん、高齢者、子供、妊婦、心臓循環、腎臓、胃腸、脳神経、精神、骨や筋肉、血液など、カバーする領域は多岐にわたる、まさに驚異的なリストです。

 本書においては、最新のおよそ300項目を整理し、99節にわたってまとめています。14年に『絶対に受けたくない無駄な医療』(日経BP社)を刊行したときには250項目程度でしたので、大幅に項目が増えました。「ムダな医療」と言われてもなかなかイメージしづらいですが、それが目で見えるようになるので、具体的な行動を取りやすくなる点は重要です。

「チュージング・ワイズリー」には、次のような項目が見られます。

「定期的に行う検査は慎重に決める」
「入院中の寝たきりや座りっぱなしは禁物」
「妊婦に安易に安静を勧めない」
「古くなったというだけで、歯の詰め物を替えない」
「膝の痛みには手術以外の方法でまず対処する」
「耳や鼻のトラブルは問診や身体検査から十分に判断できる」
「平均寿命マイナス5歳を超えた年齢からはマンモグラフィー不要」
「乳がんの治療で避けるべき医療行為」
「子宮頸がんの治療は絞り込む」
「子宮内膜がんの子宮全摘後の放射線は勧められないこともある」
「甲状腺にはしこりが見つかるが、がんでないことが多い」
「早期がん発見を目的にした検診はやめる」
「病気を防ぐマルチビタミン、ビタミンE、βカロテンはやめる」
「高齢者を認知症と決めつけない」
「十分な強度のトレーニングを行う」
「子供にCTやMRIをやらない」
「子供への安易な薬の使用は禁物」
「出産後の母子を無理に引き離さない」
「5つ以上薬を使っている人にさらに薬を使わない」
「外反母趾や足底筋膜炎で安易に手術しない」
「皮膚の診断や治療にも無駄あり」
「末梢神経に異常があるだけでCTやMRIをしない」
「目覚める必要がないなら無理に起こさない」
「胃腸で必要性を疑うべき検査とは」

 これから日本においても医療行為の効果に関心が集まり、過剰な医療は減らして、余計な費用は削り、入院は減らすような動きが強まるわけです。良かれと思って行う医療に、落とし穴が潜んでいるというのが怖いところです。医学会が自らそれを指摘しており、信頼性の高さもあり、米国中に広がることになったのです。

 私は渡米して現地での無駄な医療をめぐる状況の変化についても取材をしてきました。チュージング・ワイズリーを始めた当事者にも会いました。14年に最初の書籍で問うたときは、日本では医療機関のムダへの意識は今ほど高まっていませんでした。むしろ、一般の人々の間で無駄な医療への関心が高まり始めた時期だったかもしれません。ムダな医療に関連した動きが前述のように続く今年は、チュージング・ワイズリーはより重く受け止められるようになったと思います。今年、ムダな医療の書籍を再び世に問うのは、必然だと考えています。
(文=室井一辰/医療経済ジャーナリスト)



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43974600Z10C19A4L01000/
郡山、民間病院すくすく成長 国公立大手なく独自性競う
(東奔北走)
 
2019/4/19 20:16 日本経済新聞 ヘルスケア 北海道・東北

医師や病院の不足、公的負担の大きさに悩む自治体が多い中、福島県郡山市の民間病院の成長ぶりが目立つ。南東北グループは世界最先端のがん治療に挑戦し、星総合病院、寿泉堂綜合病院などは東日本大震災を乗り越えて自力で病院を刷新した。国公立の大手病院がないことで、民間病院が独自性を競い合う好循環につながっている。

「夢のがん治療の実現に挑戦したい」。3月30日、南東北グループの渡辺一夫理事長は合同入社式に出席した医師、職員らに意欲を語った。

グループ中核の脳神経疾患研究所(郡山市)が進めるのが、ホウ素を取り込ませてがん細胞を狙い撃ちにするホウ素中性子捕捉療法(BNCT)という世界最先端の試験。陽子線治療装置という国内で十数カ所しかない設備を持つが、さらに高度な治療に挑む。

南東北グループは開院から38年で全国100施設、医師職員約8千人に成長した。郡山本部の一般病院(461床)も今後200億円をかけて建て替える計画だ。

郡山市には先端治療で評価を得て業容を拡大した先例がある。1980年代に心臓カテーテルを使った冠動脈の手術を取り入れた星総合病院だ。優秀な医師が集まり、循環器系の専門医を多く育てた。最先端の治療法を医師らの集まった会場にライブ配信する研究会を20年以上続けている。

2013年には土地代を含め総額120億円を投じた430床の新病院を郡山駅の東側に建設して移転した。

「意欲の高い医師に集まってもらえるよう最新の設備を整える努力をしている」と太田綜合病院の太田善雄・副理事長は語る。グループの中心の太田西ノ内病院の許可病床数は1086と県立医科大付属病院(福島市)の778を上回り、県内最大だ。

多くの地方では国公立の病院が中核的な役割を担う。安定感はあるが人材が一極集中したり、大学の医局中心の硬直的なヒエラルキーをつくったりしがちといわれる。

ところが郡山は明治以来、民間病院主体だった。日本赤十字社など公的な大病院もない。04年に国立郡山病院が国の行革で市外の病院に統合され、民間が群雄割拠で競う構図が鮮明になった。

県の担当者は「(郡山のように)民間病院が自力で投資をしてくれるのは自治体の財政上ありがたいこと」と語る。

人口が郡山市と同規模の福島県いわき市の場合、18年開設のいわき医療センター(700床)の投資額は約444億円にのぼった。一部は県の補助があったものの市は大きな負担を抱えた。

郡山市の大手病院で最も長い歴史を持つ寿泉堂綜合病院。2011年開業の新病院は上層階にタワーマンションを併設し関係者を驚かせた。ただ近接の繁華街にもう一棟タワーマンションを建てる当初の計画はリーマン危機後に凍結された。予定地には旧病院の建物が残されたままだ。

そこから徒歩数分の場所には太田綜合病院が09年に閉鎖した旧病院がある。「街づくりの計画があれば協力したい」というが、今のところ周辺に再開発の動きはない。自力開発には数億円とみられる解体費用が足かせだ。

星総合病院も郡山駅西側に旧病院4棟が震災で損壊したまま残る。「大企業」の扱いとされ、震災後の公費解体の対象外になった。解体費用は震災直後に比べほぼ3倍の10億円近くになるもよう。3病院とも遊休不動産の再活用が重い課題だ。

(郡山支局長 村田和彦)



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/180792
弘前市立病院、一般外科医ゼロに  
2019年4月19日 東奥日報

 弘前市立病院の一般外科医が今年4月から不在となり、厳しい運営を強いられていることが18日、同病院への取材で分かった。医師減少に伴い、外来、入院数ともに、さらに減ることが予想される。市立病院と国立病院機構弘前病院は2022年に統合し、新中核病院としてスタートする予定だが、統合まで病院経営の効率化、医療の質の確保が課題となっている。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12280-248731/
「働き方改革」が国を滅ぼす――企業成長に停滞懸念、病院すらも“診療お断り”?  
2019年04月16日 05時59分 デイリー新潮

■「働き方改革」が国を滅ぼす(2/2)

 この4月1日より、働き方改革関連法が順次施行されていく。残業時間などを規制するこの法には、現場から嘆きの声も少なくない。仕事をする場所が会社から家に移っただけ、業務量は変わらないのに“残業するな”は不可能だetc. 一方的な「帰れ」「休め」は、さながら仕事妨害の時短ハラスメントの様相を呈している。

 ***

 仕事があるのに、取り組むことを拒まれる状況が続けば、日本の衰退は避けられないのではないか。

 もっとも、大手商社や保険会社など、財務能力も人的資源も豊富で、実質的に残業を減らせる企業もある。たとえば、大手生命保険会社勤務の40代男性は、

「早く帰宅しても、子供の世話をしろとか皿を洗えとか言われるだけなので、漫画喫茶や飲み屋で時間をつぶし、家族が寝るころに帰るようにしています。そうしておかないと、仕事で疲れたのを言いわけに、土日にゴロゴロすることもできなくなりますからね」

 と愚痴をこぼすが、些細な“痛み”である。だが、こうした企業にも“痛み”の魔の手は迫っている。別の大手生命保険会社の、30代の社員が語る。

「うちは以前から勤務時間の把握には厳しかったのですが、昨年夏からさらに拍車がかかりました。それまで20時をすぎると、社内パソコンが一斉に強制ログアウトする仕組みでしたが、それが30分繰り上がり、19時半に強制ログアウトされ、画面に退社を促すメッセージが出ます。19時をすぎると社員はほとんどいませんね。また、社内会議もスカイプを使ったオンライン会議が中心になって、相手の顔色をうかがいながら相談する機会は減りました。個人が過剰な営業をしないように、社用携帯で新規契約やコンサルティングができるようになった反面、社用携帯の使用時間は制限されている。“これまで人一倍汗をかいて頑張ってきた人もいるのに、営業活動がワンパターン化してしまう”と嘆く人もいます」

 仕事の質の低下については、過労自殺で残業規制の流れを作った電通の社員も、

「クリエイティブな仕事だと、今週はどうしても残業したい、ギリギリまで粘りたい、と思う作業もあるし、夜中に海外と連絡を取る必要があるプロジェクトもあるのに、許されません」

 と訴えるのである。


■能力が身につかない

「働き方改革によって、社員や企業の成長が滞ってしまいかねない、という懸念は、多くの企業の社長から寄せられています」
 と説くのは、経営コンサルタントの横山信弘氏だ。

「いまの40代、50代の社員は、若いころから長時間労働に慣れ、時間をかけたからこそ身につけられた能力をもっています。一方、入社したばかりの新人が最初から時短を目標にした働き方をして、はたして成長に結びつくのか、能力を開発できるのか、非常に疑問です。剣道に喩えれば、達人と呼ばれる人は、どこで力を入れるのか、どこで力を抜くのか、という判断ができます。始めたばかりの人は動きすぎてしまうものですが、徐々に無駄をそぎ落とすことで洗練されていく。でも、最初から“動かない”を前提にしていると、なにが必要な動きであるかさえ判断できません」

 改革の“痛み”として、他人の成長が、ひいては企業の成長が損なわれるとしたら、なんのための改革か。横山氏が続ける。

「若手のなかには、体力があるうちにバリバリ働いて能力を磨きたい、と考える人もいます。そういう人は、日本の企業では、残業を望んでも帰されてしまうので、より融通がきき、海外で働く機会が得られる可能性がある外資系企業に流れます。優秀な人材がどんどん外資に流れてしまうのは、大きな損失です」

 経済産業省はいま、「国際競争力強化」の旗を必死に振っているが、それを横目に、厚労省は、自身にも不可能な数字の達成に遮二無二突っ走る。あまりに滑稽だが、到底笑えない。


■病院に断られる…

 国の発展を阻害する働き方改革だが、実は、国民の命さえも奪いかねない。

 というのも、厚労省の検討会は3月28日、2024年4月から勤務医の残業上限も、一般労働者並みの年960時間にするという方針を決めたのだ。もっとも、地域医療を担う勤務医や、集中して技能を向上させる必要がある研修医にかぎって、しばらく上限を年1860時間にするというが、ともあれ、

「ほとんどの勤務医の残業時間は、年960時間を優に超えているはずです。昨今の医師不足のまま、医師の労働時間を大幅に削減しろということは、単純に診療時間の短縮につながるほかありません。急患や、病院の少ない地方の患者さんは、病院から“うちは今月はもう診ることができません”と、断られることにさえなりかねません」

 と、首都圏のとある病院に勤務する内科医は危惧する。だが、別の病院に勤めるベテランの内科医によれば、すでに危機は始まっているという。

「うちの病院にかぎらず、どこも同じだと思いますが、若い医師たちは土日はまず出勤せず、当直明けも休みます。でも現実には、そうしていたら、入院患者を継続して診療することなど不可能なのですが、若い医師を休ませるのがいま至上命令である以上、出勤を促すことなど、まずできません。ですから、休日や夜遅くに容体が急変したりすると、以前にくらべて厄介だというのが現状です」

 働き方改革のおかげで、日本人はいよいよ、病気にもなれない状況に追い込まれようとしているのだ。内科医である秋津医院の秋津壽男院長が言う。

「患者が減るわけではないのに、医師の残業時間に上限を設けるのは、まったくの見当違いです。残業をなくせば診療時間が減り、患者の生命に関わります。現実には、患者の命を預かっている医師が仕事を減らすことは不可能でしょう。ただ、いままではタイムカードで勤務時間を正確に把握できていたのが、今後、罰則を受けないためにタイムカードを早めに押すことになれば、把握しにくくなってしまいます」

 秋津院長によれば、アメリカなどでは手術中に「これからゴルフ」と帰る医師もいるそうだが、そんな医療現場を、いったいだれが望んでいるというのか。

 折しも安倍総理は、新元号「令和」への思いを語る談話で、「いかに時代が移ろうとも、日本には決して色あせることのない価値がある」と述べた。額に汗して働くことを尊ぶ勤労感謝の精神もまた、長く日本人の美徳の一つであったはずだが、同じ総理の肝煎りである働き方改革によって、その精神や価値が破壊されようとしているのは、なんという皮肉であろう。

 働き方改革を通じて、日本人はいま、総じて、イソップ寓話の「アリとキリギリス」におけるキリギリスになろうとしているかのようである。しかし、キリギリスの末路については、あらためて本を開いてみるまでもないだろう。

「週刊新潮」2019年4月11日号 掲載



https://www.iga-younet.co.jp/2019/04/15/14278/
13期ぶり黒字の見通し 上野総合市民病院  
2019年4月15日 1828 伊賀タウンニュースYOU

 上野総合市民病院(伊賀市四十九町)の2018年度決算は、純損益が約1億3千万円の黒字となる見通しとなった。黒字は05年度以来13期ぶり。政府が定めた基準の他に、市が一般会計から経費を投入する「基準外繰入金」分を純損益から除いた実質単年度収支でも、約4千万円の黒字を見込む。【繰入金推移のグラフを示す諦乗事務部長=伊賀市四十九町で】

 昨年4月から入院費の計算方法を出来高払い方式から、最も医療資源を投入した一つの傷病を選んで計算するDPC(診断群分類包括評価)方式に転換。診療行為の標準化と、収益の増加を目指してきた。

 同時に、西館3階の療養病棟を、退院後の生活に不安のある患者に対し、在宅復帰に向けた医療の管理やリハビリを行う「地域包括ケア病棟」(40床)として新たに開設。入院期間60日以内という制限の中、院内の一般病棟から移動してくる患者の他、転院してくる患者も増え、稼働率が向上したという。

基準外繰入金ゼロを目標
「職員の意識変化」

 同病院では2005年から、医師や看護師の不足などにより病棟の一部を閉鎖し始め、12年までの8年間で、68%だった病床稼働率が23%まで低下。5病棟のうち3病棟が閉鎖する状況下、12年には純損益が最大8億2631万円の赤字となった。その後、周辺地域の医大などから支援を得て、医師数、看護師数ともに徐々に回復。16年には全病棟の稼働再開を果たし、徐々に赤字を減らしてきた。

経営状況を共有
 現在、同病院の常勤医師数は18人。18年4月から19年2月までの1日平均入院患者数は約199人で、病床稼働率の平均は70・9%となっている。

 経営が改善してきた要因として、「経営改善会議の活用で職員の意識が変化した」ことが大きいという。会議は以前から開催されていたが、数年前からは医師や看護師を含む各部署の担当者約40人に出席を呼び掛け、図や表などを交えた経営実績についての詳細な資料を配布。単月ごとの数値やキャッシュフローの推移などを確認し合い、経営状況を全部署が共有した。結果、診療報酬の算定に関する知識が向上、DPC方式の特徴を踏まえ、診療内容を算定に反映させたことも収益上昇につながったという。

 また16年3月から、看護師1人に対する入院患者の割合を7人から10人に変更。現場の負担増に対応するため業務内容を見直し、配膳やシーツ交換など委託可能なものを仕分け、効率化を進めた。

信頼関係の構築
 その他、地域の開業医からの紹介を積極的に受け、専門治療によって患者の状態が改善したら、速やかに開業医に患者を紹介するよう徹底。信頼関係の構築により入院患者数が増え、病床稼働率の上昇に貢献した。

 経営改革を担う諦乗正事務部長は「20年度には基準外繰入金をゼロとするのが目標。新院長のもと、キャッシュフローを改善して基準内繰入金のみで安定した病院経営を進めていきたい」と話した。

2019年4月6日付745号1、10面から



https://gentosha-go.com/articles/-/20812
廃院には1000万円以上のコストも…地方開業医の後継者問題  
井元 章二2019.4.16 幻冬舎ゴールドオンライン

地方開業医の後継者不足が問題となっている。最終的に、病院解散・廃院になると、1000万円以上のコストがかかるケースもあるようだ。また、地域によっては、「病院にかかりたいけど諦める」という医療難民の増加も懸念される。本記事では、井元章二著『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から一部を抜粋し、地方開業医の後継者問題について取り上げる。

息子が後継を拒否 宙に浮いた承継問題の行く末は…
地方都市で内科を開業しているDさんには息子が2人います。長男は東京の医学部に進み、そのまま大学病院に残って勤務医をしています。専門はDさんと同じ内科です。二男は医学部の4年生です。

Dさんは前々から自身の引退は70歳と決めており、そのつもりで準備を整えていました。70歳を数年後に控え、病院を長男に継がせる時期だと思ったDさんは、正月で家族全員が揃った機会をみて、長男に「そろそろこっちに戻ってきて病院を手伝ってくれないか」と持ちかけました。

ところが、長男から返ってきた答えは「NO」でした。長男の言い分は、「今では結婚もして、生活の基盤はすでに東京になっている。家族を養っていくのに十分な収入もあるし、何より勤務医は気楽でいい。今さらこっちに戻って、経営の苦労を背負い込みたくない」というものでした。

てっきり長男が継いでくれるものと思っていたDさんは、「それは話が違うだろう。ゆくゆくはこっちに戻ってくるという約束だったではないか」と言いましたが、「それは昔の話で、今は事情が違う」と言い返されてしまいました。

それなら二男にと話を向けましたが、二男は二男で「自分も無理だ」と言います。なぜなら、「自分は心臓血管外科の道に進みたい。多くの症例に触れて腕を磨くには、やはり東京でなくてはならないし、将来的には海外留学も考えている。そもそも父の病院は内科で、自分が継ぐには無理がある」というのが理由でした。

息子は2人とも間違ったことは言っていません。むしろ自分の生き方や使命というものを真面目に考えています。Dさんはそういう息子たちを頼もしく思い、また、その意思を尊重してあげたい気持ちもありました。

突然、後継者のあてを失ってしまったDさんは、自分のリタイアどころではなくなってしまい、病院の存続に頭を抱えてしまいました。

その後、私はDさんから相談を受け、「息子さんに継がせることは諦めて、誰か病院を欲しいという人に譲る方向に切り換えませんか」と提案しました。Dさん自身もそれは考えていて、知人の医師などに声をかけたりはしていたのですが、やはり一個人の情報網では限界があり、適当な候補者を見つけることができませんでした。

そこで、私もお手伝いをして各方面の協力を得ながら情報を集めました。すると、幸いなことに、地元出身の30代の若い医師が、東京から地元に帰って開業したいと希望していることが分かりました。しかも診療科目も内科と理想的でした。

さっそくM&Aの専門家を紹介し、Bさんの側に立って具体的な譲渡の話し合いを進めてもらっているところです。両者とも前向きな交渉ができており、近々M&Aが成立する見込みです。

70歳引退という当初の予定よりは少し遅れてしまいますが、Dさんのハッピーリタイアはもう間もなくです。

病院解散・廃院は地域全体を巻き込む大問題
Dさんは息子からの想定外の承継拒否に遭って、危うく後継者不在になってしまうところでした。一時はDさんも「自分が続けられるところまで続けて、死んだら病院は閉じる」と覚悟を決めていました。

最初に紹介したAさんもそうでしたが、病院を閉じるということは、世の中にとって実は開業医自身が考えているより、ずっと大きな問題です。

都会なら近くに別の病院があるかもしれませんが、田舎に行けば病院の数は減ります。地域に1軒あるだけで、その次に近いのは車で20分以上離れたところという町村も多いと思います。そういう地域では、「そこに病院がある」「何かあったら駆け込める」ということが、人々にとってとても大きな安心材料になります。

特に、これからはますます少子高齢化が進み、ひとり暮らしの老人が増えていきます。今まで歩いて通っていた病院がなくなると、彼らは車やバスや電車で遠くの病院まで行かなければなりません。若い人ならいざ知らず、高齢者にとっては大きな負担となるでしょう。

ただでさえ「病院にかかりたいけれど諦める」という医療難民が増えていくことが懸念されているのです。後継者不在で病院を潰してしまうことで、こうした問題に拍車をかけてしまうことになります。

病院はもちろん開業医のものではありますが、それと同時に〝地域の財産である〟ということをいま一度、心に留めていただきたいと思います。

廃院するには、1000万円以上のコストがかかることも
病院を潰すにも次のようなお金がかかります。

登記や法手続きの費用

廃業にあたっては各方面に届け出をしなくてはなりません。従業員を雇用していて、社会保険の適用を受けている場合は、その手続きも必要です。医療廃棄物の処分費用医療器具や薬剤などは専門業者に依頼して、医療廃棄物として処分してもらわなくてはなりません。

医療用検査機器の処分費用

CTやMRI、レントゲンなどの検査機器は、まだ使えるものは中古品として買い取りしてもらえますが、古いものは廃棄になります。リース代が残っているものについては、その清算もする必要があります。

建物の取り壊し、原状回復の費用

テナントを借りて開業している場合などは、建物を元の状態に戻して返還しなくてはなりません。土地を借りて自前の建物を建てている場合は、建物を取り壊して借地を返還することになります。契約の内容によっては、解約金・違約金などがかかってきます。

従業員の退職金

雇っていたスタッフを解雇することになるので、各人に退職金を支払わなくてはなりません。

借入金の残債の清算

病院に借金があれば、廃院までに清算が必要です。

病院の規模や診療科目などにもよりますが、場合によってはトータルで1000万円以上かかるケースもあります。

病院を潰すよりは第三者への承継を考えるべき
後継者不在になってしまう理由として、Dさんのように「医師の子が跡を継ぎたがらない」というほかに、「医師免許を持つ子がいない」「そもそも子がいない」ケースがあります。

そういうときは、
① 養子をとって医師に育てる
② すでに医師になっている者を養子に迎える
③ 子が医師と結婚し、配偶者に継がせる
といったこともできます。ただし、養子を迎える場合は、実子との間で感情のもつれが生じやすいという問題があります。

親族のなかに医師免許を持つ人がいれば、その人を招いて理事長になってもらうとか、まったくの他人に理事長を継いでもらうことも可能です。そういう場合は、役職だけ「理事長」を継いでもらいます。いわゆる、雇われ理事長です。そして、出資持分は相続人に持たせます。理事長は医師免許がないとなれませんが、平理事なら免許がなくてもなることができます。

これらができない場合は、DさんのようにM&Aという選択肢もあります。M&Aは、希望する相手に出資持分を買い取ってもらうことで、病院を承継する方法です。これなら廃院にかかるコストが必要ないだけでなく、病院の売却利益が入ってきます。また、病院を潰すことなく地域に存続させられます。

ほかにもM&Aをすることにはいくつものメリットがあり、最近は積極的・前向きな意味合いで〝あえてM&Aを選択する〟開業医も増えてきました。近い将来、M&Aは医業承継のトレンドになるだろうともいわれています。

親子で承継できないからと病院を潰してしまうより、誰か第三者に病院を継いでもらうほうが多方面でメリットが大きいですから、最後まで承継を諦めないことが大切です。



https://blogos.com/article/371021/
自治体病院が破綻する日  
藤田哲朗2019年04月15日 10:44 BLOGOS

旭川市が運営する旭川病院で、赤字を理由に職員給与の削減が行われるという報道があった。一般に、自治体病院は一般会計からの繰入れで赤字が補填されるため、職員給与に手を付けてまで収支改善しようとするケースはあまり聞いたことがない。

北海道旭川市は11日、市立旭川病院の医師や看護師らの給与を2年間、削減する方針を決め、関連議案を定例市議会に提出した。同病院は深刻な赤字が続き、経営改善が喫緊の課題だ。給与削減で年約1億3千万円の節減を見込む。

市立旭川病院の損益状況
総務省が取りまとめている病院事業決算状況から旭川病院の経営状況を見ると、平成29年度は医療の提供による売上である医業収益が97億円に対し、医業費用が109億円であり、一般企業でいえば12億円の営業赤字となっている。これは、100円稼ぐのに費用が110円かかっている計算で、確かに大きい問題。

旭川市内の病院市場環境
病床機能報告をみると、旭川市を含む上川中部医療圏は高度急性期病床の比率が高く、急性期病院がタブついている地域となっている。

旭川市内には400~500床規模の急性期病院が旭川病院を含めて4病院ある。公開情報から病床稼働率を計算すると、旭川医科大病院や旭川赤十字病院が稼働率90%前後なのに対し、旭川病院は70%を下回る水準。供給過多の中で、市場シェアを獲得できていない状況にある。

給与削減の妥当性は
先のP/Lに戻ると、旭川病院のコスト構造を見ると人件費率が売上対比で53.8%となっている。一般に病院の適正な人件費率の目安は50%と言われており、それと比較すると若干高いものの、コスト高体質になりがちな自治体病院としては必ずしも高い数値ではない。

今回の給与削減による支出の抑制効果は1.3億円ということなので、人件費率の引き下げ効果は1%程度。確かに小さい額ではないものの、これによって12億円の赤字が抜本的に改善できるわけもない。

また、医師・看護師・薬剤師等の医療専門職は技能がポータブルで雇用の流動性が高いため、給与水準には一定程度の相場観がある。今回、最大で基本給20%程度の削減ということで、かなり踏み込んだ内容になっているが、一時の収支改善のために相場から外れた給与をセットしてしまうと大量離職の引き金にもなりかねない。

旭川病院は現在7:1看護*1で、かなりの数の看護師を確保しておかないといけない状況なので、仮に離職者が多発して7:1を維持できなくなると単価が下がって収支がさらに悪化するリスクもある。

病院経営の王道は一にも二にも稼働率をどう高めるか。旭川病院は許可病床数の1/3が稼働していない状況なので、人件費に手を付けて不稼働病床を増やすリスクを負うよりも、回復期病棟への転換も含めて既存の病棟を埋めることにエネルギーを注ぐべきだったのではないかと思う。

そう考えると、今回の給与引き下げは、リスクが大きい割に大したリターンが見込めないので、あまりいいアプローチではないと思う。給与カットからの大量離職⇒病棟運営困難⇒収入激減⇒補填不可能なほどの赤字⇒経営破綻という最悪のストーリーも視野に入りかねない。

自治体病院が破綻する日
旭川市は2019年度の予算で自治体の「貯金」にあたる「財政調整基金」から13億円を財源不足の穴埋めに取り崩す予定という。2018年度の財政調整基金の残高が約30億円のはずなので、このペースではあと3年で基金が底をつくことになる。母体である旭川市の財政がおぼつかなくては市立病院の支援もできない、というのが背景にあるのだろう。

自治体病院がこれまで「公益性」を錦の御旗に放漫経営をできていたのは、最後に赤字を補填してくれる自治体があったから。ところが、昨今の自治体財政の状況は、たとえ「公益性」があったとしても無限の赤字補填を許容できなくなってきているということだろう。

「自治体病院は絶対につぶれない」という神話はいつまで守られるか。自治体が自治体病院をこれまでどおり維持できなくなったとき、自治体病院がどうあるべきか。「破綻の日はいつかやってくる」を前提に考える時期がやってきている。

*1:看護師1人あたり7人の患者を看る体制。入院基本料では最も手厚い配置で最も入院単価が高い。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201904/560556.html
リポート◎ついに動き出す「医師の働き方改革」
医師の労働時間短縮と地域医療維持は両立するか
 
2019/4/15 満武里奈=日経メディカル

 3月28日、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が最終報告書を取りまとめた。これを受け、医療界は残業時間の削減など、働き方の改革にようやく動き出すことになる。医師の過重労働解消の一方で、地域医療の崩壊を懸念する声も根強い。

 医師の働き方改革が議論されるきっかけとなったのは、2017年3月に安倍晋三首相の肝煎りで策定された「働き方改革実行計画」だ。それまで36協定※を結べば事実上、青天井だった時間外労働に制限が設けられるようになった。だが、応召義務のある医師については別途議論が必要として、厚労省に「医師の働き方改革に関する検討会」を設置。検討会では「医師も労働者である」と確認した上で、医師の労働時間短縮に向けた議論を進めてきた。

 1年8カ月の議論を経て、2019年3月28日に取りまとめられた報告書では、原則として勤務医の時間外労働の上限時間を年間960時間・月100時間(休日労働含む)とした。遵守できない場合は雇用する医療機関に対して6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられることになる。ここまでは一般の会社員の時間外労働の規定と同等だ。

 ただし医師には一部例外が認められた。例外は(ⅰ)から(ⅲ)の3種類。(ⅰ)地域医療に影響があると認められる場合、(ⅱ)初期・後期研修中や(ⅲ)6年目以降の医師で高度技能習得など技能向上のための診療が必要な場合─については特例として、年間の時間外労働を1860時間(月155時間)以下と基準を緩めた。また、罰則を伴う働き方改革法案は、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から施行されるが、医師は2024年4月。医師だけが4~5年遅れで改革が進むことになる。

 もっとも、厚労省は2018年2月末、法改正を待たずに今すぐ全医療機関で取り組むべき事項をまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」を提示。医療機関の管理者に対し、(1)医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み、(2)36協定などの自己点検、(3)既存の産業保健の仕組みの活用、(4)タスク・シフティング(業務の移管)の推進、(5)女性医師などに対する支援、(6)医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み─の6項目を求めている。

特例「1860 時間」が認められるのはどんなとき?
 地域医療特例(ⅰ)や、初期・後期研修中の医師に適用される特例(ⅱ)の対象医療機関は、どちらも都道府県が指定する。

 特例(ⅰ)の認定要件は右の通りで、約1500の医療機関が対象となる見込み。特例が適用される施設は2023年度中に設定され、2035年度末を「終了目標年限」とする。

 特例(ⅱ)については、病院ごとの臨床研修プログラムや専門研修プログラムにおける時間外労働の想定最大時間数(直近の実績)が参照される。

 特例(ⅲ)は、医師本人が「高度特定技能育成計画」を作成し、所属医療機関に申し出た後、医療機関が承認を受ける形式。今後指定される第三者機関に申請し、審査を受けた上で認められることになる。

 これらの特例では例外的に、長時間の時間外労働が認められるが、その代わりに勤務間の休息時間の確保や連続勤務時間に制限を設けるなど、健康に配慮する措置が義務付けられる。

 具体的には、連続勤務は28時間までに制限され、勤務間のインターバル時間は9時間(当直時は18時間)を確保。連続勤務時間制限とインターバル時間が確保できなかった場合、遅くともその翌月末までに時間単位での休息の取得を義務付けた。

 ただし、特例(ⅱ)が適用されている初期研修医については、連続勤務時間を15時間に制限(勤務間インターバルは9時間。指導医の勤務に合わせ24時間の連続勤務が必要な場合は24時間)。連続勤務時間制限、勤務間インターバルを徹底する。

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表A  地域医療特例(ⅰ)が認められる医療機関

地域の「1860時間」は10年限定
 3月末の報告書を受けて今後、各医療機関は具体的なアクションを開始することになる。期限は2024年3月末。まずは自院の現状を分析し、年間の時間外労働時間が960時間以下となるよう「医師労働時間短縮計画」を作成し、短縮を図っていく。各医療機関における労働時間短縮の達成を支援するため、都道府県は地域内の医療機関の役割分担を再考するなど、医療提供体制のあり方を検討する。

 今後は報告書をベースに細部を詰め、2024年3月末までに、医療法・医師法のなどの改正が行われたり、労働基準法の省令が発出される見込みだ。また、今のところ労働時間に含めるかどうか曖昧なところが残っている「宿日直」や「自己研鑽」についても明確に定義し、早ければ今年4月にも厚労省通知として発出される。

※用語解説
【36(サブロク)協定】 労働基準法第36条に基づく労使協定。法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超える場合や休日に労働させる際には、36協定を結ぶことで、1カ月45時間、1年で360時間を上限に時間外労働をさせることが可能になる。さらに、「特別条項付き36協定」を結ぶと、例外的に45時間を超える形で上限時間を設定可能で、年間6カ月間まで適用できる。

 今回の報告書に対して、現場の医師の反応はどうか。一部の例外の扱いとはいえ、労災認定される過労死ラインである「月80時間(複数月平均)」を大きく上回る「月155時間」が示されたことで、若手産婦人科医師を中心とした「医師の働き方を考える会」などが反対の署名活動を実施した。一方で、現場の医師からは「アルバイトの時間を入れると妥当な時間」「今よりは労働環境が間違いなく改善する」「今まで支払われていなかった残業代が支払われる」と好意的に捉える向きもある。

 医師の労働環境が白日の下にさらされることで、診療科間の医師偏在が加速するとの意見もある。「産婦人科のように夜勤が多く、時間外労働が960時間では収まらない診療科を志望する医師は減ってしまうだろう」(大学に所属する産婦人科医)。

大学病院から医師が逃げ出す?

 偏在のリスクを抱えるのは診療科だけではない。医療機関ごとの労働環境が明らかになれば、「働きやすい病院」に医師が集中する可能性があるからだ。例えば、聖路加国際病院(東京都中央区)は労働基準監督署の立ち入り調査が入ったことを契機に、救命救急センターを残して土曜外来を廃止したり、夜間に配置する医師数を縮小するなどの改革を行った。結果、医師の時間外労働平均時間は、月95時間から35時間まで縮小。それを受け、「これまで十分数集められなかった救急部、集中治療科、麻酔科にも計8人の医師が入職し、今春からはシフト制を敷くことができるようになった」(病院長の福井次矢氏)。ただ、裏返せば、それ以外の病院から医師が抜けたということでもある。

 働き方改革に伴う医師の移動で影響を受けそうなのは大学病院だ。時間外労働の上限時間は、アルバイト時間を含んだもの。年間960時間以下の時間外労働を達成するために、外勤が制限される可能性がある。大学の薄給をアルバイトで補ってきた大学勤務医が、収入減を避けるため、市中病院に大移動する可能性もある。国立大学附属病院長会議で代表理事を務める千葉大学病院病院長の山本修一氏は、「大学の使命は診療だけでなく、教育と研究もある。研究と教育に十分に携われる環境を整えることで大学の魅力をアピールしたい」と話す。

 医療提供体制への影響も懸念される。時間外労働時間を960時間以内に抑えるために、夜間の救急対応を中止する病院が出てくると、「それだけで地域医療が崩壊する可能性がある」と相澤病院最高経営責任者で日本病院会会長の相澤孝夫氏は懸念を示す。救急対応を中止することで、特定の病院に救急患者が集中。その病院は医師数を増やすことが必要になる。だが、「救急患者増加に伴う収入よりも人件費による支出の方が多くなり、救急体制の維持が困難になる病院が続出するのではないか」と相澤氏は指摘する。

 病棟の医師数を減らすことによる医療安全面への悪影響もある。昭和大学病院では労務管理を徹底し、17時以降に一般病棟で当直する医師数を20人から4人に減らした。結果、医師の残業時間は削減できたものの、「これまでは察知できていた急変前に患者の変化が分からなくなった」と副院長の小林洋一氏と大嶽浩司氏は口をそろえる。結果として、患者の容態が急変してから対応する例が増えてしまったという。

 そこで昭和大ではICU専門医を中心とした「迅速対応チーム(RRT)」を結成。急変しそうな患者を予め拾い上げて報告し、RRTが巡回・重点的に対応する体制を整備した。RRTの整備により、月平均3.5例だった急変後の対応例を月3.2例に減らすことができたという。ただ、これは改革前の月2.2例には届いていない。働き方改革を実践する上では、こうした医療安全体制への配慮も必要となる。

残る、揺り戻しの可能性

 医師自身の健康を守るためにも働き方改革を進めるのは必須だ。だが、これまで日本の医療は、医師の長時間労働という表に出てこない犠牲の下に成り立っていた。医師の長時間労働を制限することで、地域医療の崩壊などの問題が噴出すれば、改革の流れが揺り戻される可能性もある。

 事実、自由民主党厚生労働部会「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」の座長を務めた羽生田俊氏は、上限時間を含め、報告書の内容をこれから変更する可能性についても含みを持たせる。「せっかく2024年3月末まで猶予があるのだから、他職種への業務移管など、2月末に示された『緊急的な取り組み』の効果を含めて検証した上で修正していけばよいのではないか」(羽生田氏)。

 今回の報告書は、医師の働き方改革の方向性を示したにすぎない。今後の議論や取り組みに注目したい。 

「医師の働き方改革」報告書を理解するための6つのポイント
(1) 労務管理が各医療機関で徹底されるようになる
(2) 2024年4月からは時間外労働年間1860時間を超える医師がゼロに
(3) 2024年4月からは、特例(ⅰ)~(ⅲ)を除き、時間外労働を上限年間960時間に(アルバイト勤務を含む)
(4) 「地域医療提供体制確保の観点からの特例(ⅰ)」や「一定期間、集中的に技能向上のための診療が必要な場合の特例(ⅱ)(ⅲ)」を適用された場合は、年間の時間外労働の上限時間が1860時間(休日労働含む)になる
(5) 特例(ⅰ)~(ⅲ)で時間外労働1860時間が認められた場合は代わりに、勤務間インターバルの確保(9時間、当直時は18時間)や連続勤務時間制限(28時間まで)などの追加的健康確保措置が義務付けられる
(6) 地域医療特例(ⅰ)の適用は暫定的なもの。終了目標は2035年度末



https://www.m3.com/news/iryoishin/672556
自治体病院、10連休の開院は2日間が最多
4月30日、5月2日に集中
 
レポート 2019年4月19日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は4月18日の記者会見で、10連休中の開院状況についてのアンケート結果を発表し、通常通りの開院は「2日間」が165病院中82病院で最多だった。外来の一部や入院、透析、手術などの「一部開院」も合わせると10連休中に何らかの形で開院するのは355病院中283病院で、うち「2日以上」は220病院だった。開院日別では4月30日が199病院、5月2日が253病院で、この両日に集中していた。アンケートは3月7日に開始し、4月16日時点で1093のうち406施設から回答があり、回答率は37.1%。

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提供:全自病
 10連休中に全く開院しないという回答もあったが、いずれも通常の救急対応は行うとの回答だった。また、化学療法や放射線治療など患者の必要に応じた対応をする病院もあった。

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提供:全自病
 開院日別では、例年であれば平日の4月30日、5月1日、2日のうち新天皇が即位する5月1日を除く2日間が最も多かった。

「中小病院の経営を考える事務PT」設置

 記者会見では事務部門の活性化や質の向上策を練る「中小病院の経営を考える事務プロジェクトチーム」の設置も発表した。事務部門の長や職員などから公募して集まった6人に地域バランスなどを考慮して全自病が選んだ6人を加え、外部から経営の専門家もアドバイザーとして招いた。3月21日に準備会合を開き、委員長に公立神崎総合病院(兵庫県)事務長の藤原秀明氏が就いた。4月12日には事務部門の課題などを問うアンケートの依頼を会員病院に出しており、この結果も踏まえて今年度中に何らかの事業を企画する。全自病会長の小熊豊氏は「自治体病院の約6割が200床以下だが、なかなか経営がうまくいかないし、人も集まらない。それを解決する一端として行う」と話した。

偏在解消、働き方改革の提言を提出

 4月4日には全自病も加盟している「地域医療を守る病院協議会」から根本匠厚生労働大臣宛ての提言を、同省医務技監の鈴木康裕氏に提出した。総合診療医の育成や管理者要件の全ての医療機関への拡大などの6項目で、鈴木氏からは「成果を見ながら取り組んでいきたい」などの回答があったという。



https://www.medwatch.jp/?p=25920
入院日数の短縮、病床ダウンサイジングを支援し、医療費の地域差縮小を―経済財政諮問会議で有識者議員  
2019年4月15日|医療・介護行政全般 MedWatch

 医療費・介護費の地域差縮小に向けて、▼消費税財源を活用した病床ダウンサイジング支援の拡充▼入院日数の短縮▼介護医療院への計画的な転換支援―などを実施せよ―。

 4月10日に開催された経済財政諮問会議で、有識者議員からこういった提言が行われました。

ここがポイント!
1 次期診療報酬改定(2020年度改定)や次期介護保険制度改革に向けた提言も
2 2040年までに医師の生産性を7%、他職種の生産性を5%以上改善


次期診療報酬改定(2020年度改定)や次期介護保険制度改革に向けた提言も

 画期的な抗がん剤をはじめとする医療技術の高度化、高齢化の進行(2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる)などに伴って医療費を含めた社会保障費は、今後も増加を続けます。

一方、2025年以降、高齢者人口の増加度合いそのものは鈍化しますが、社会保障を支える「生産年齢人口」が急激に減少していきます。このため社会保障制度の基盤が極めて脆くなることから、安倍晋三内閣では、さらなる「社会保障改革」の検討を進めています。

 経済財政諮問会議の有識者議員(▼竹森俊平議員:慶應義塾大学経済学部教授▼中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役▼新浪剛史議員:サントリーホールディングス代表取締役社長▼柳川範之議員:東京大学大学院経済学研究科教授)は、4月10日の会合で、「新経済・財政再生計画の着実な推進に向けて―社会保障制度改革―」として、次のような事項を進言しました。

(1)地域医療構想の実現
(2)2020年度診療報酬改定
(3)介護保険制度の見直し
(4)次世代型行政サービスの推進
(5)保険者機能の強化

 このうち(2)「2020年度診療報酬改定」に関しては、とくに「調剤」「医薬品」に焦点を合わせ、▼薬価制度抜本改革の推進▼院内・院外の調剤報酬の価格差是正、調剤料などの技術料、かかりつけ薬局、健康サポート薬局などの検証に基づく適正化(正当性が疑われる場合)▼病状が安定している患者等への「リフィル処方」(一定期間内に反復使用できる処方箋の活用など)推進の検討▼医薬品産業構造の転換(高い創薬力の保持)に向けた「長期収載品の価格引下げまでの期間の在り方」などの検討―などに言及しています。

 中央社会保険医療協議会でも、2020年度の次期診療報酬改定に向けた議論が本格スタートしており、今後、各所でさまざまな「提言」が行われることでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 また2021年度に改正が予定される(3)「介護保険制度」については、第8期介護保険事業(支援)計画期間中(2021-23年度)に団塊の世代が後期高齢者となり始め、介護サービス利用者が急増すると見込まれることから、▼ICT、AIなどの活用による介護現場の生産性向上▼予防・自立支援を軸としたサービス給付・報酬体系の構築(要介護度の維持・改善につながる取り組みや、ADL改善などのアウトカムに基づく支払いを大胆に推進する)▼住所地特例制度(施設に入所した場合、元の住居で介護保険料の納付や給付管理などを行うことで、施設住所地の過重負担を抑える仕組み)の利用実態等把握と在宅介護への適用範囲拡大―などを検討するよう求めています。

 こちらも社会保障審議会・介護保険部会で、制度改革に向けた議論が始まっており、今後の動きに注目が集まります(関連記事はこちらとこちら)。


 さらに(1)「地域医療構想の実現」についても、2018年度で公立病院・公的病院等の機能改革論議が完了することになっており、議論が次のフェーズに入ることになります。有識者議員は、「医療・介護費の極めて大きな地域差の縮小に取り組む必要がある」とし、▼消費税財源を活用した病床のダウンサイジング支援の拡充▼入院日数の短縮(とくに精神病床について)▼介護医療院への計画的な転換に向けた支援―を行うよう求めています(関連記事はこちらこちらとこちら)。

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経済財政諮問会議1 190410
 
このうち介護医療院については、「療養病床から転換した場合、介護給付費が増加し、介護保険料の高騰につながってしまう」として転換にストップをかける市町村(介護保険者)もあるといいます。ただし、医療療養から介護医療院への転換は、社会保障費という面でみれば「適正化」につながるものであり、市町村関係者の正しい理解に向けて厚労省が全国ブロック会議等を実施しています。この会議の中で「必要な支援策」が浮上してくるかもしれません。

 
 このほか、(4)では「全国保健医療ネットワークの本格稼働」(2020年度からスタート予定の、保健・医療・介護データの連結と、その活用)、(5)では「働き盛りの 40~50 歳台の特定健診・がん検診受診率の向上」などが重要と強調しています。

2040年までに医師の生産性を7%、他職種の生産性を5%以上改善

 なお、臨時議員として出席した根本匠厚生労働大臣は、▼健康寿命延伸プラン(2019年夏策定予定)で「2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し(2016年比)、75歳以上とする」▼医療・福祉サービス改革プラン(2019年夏策定予定)で「2040年時点において、医療・福祉分野の単位時間当たりのサービス提供(生産性)を5%(医師では7%)以上改善する―考えを提示しました。

 前者(健康寿命延伸プラン)では、(I)次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成等(II)疾病予防・重症化予防(III)介護予防・フレイル対策、認知症予防―に取り組み、とくに後2者では「保険者インセンティブ(医療保険者へのインセンティブ、介護保険における市町村・都道府県へのインセンティブ交付金など)」を拡充していく方向性が示されています。

 また後者(医療・福祉サービス改革プラン)では、まず介護現場の業務を「介護の専門職でなければ担えない部分」と「間接業務」とに仕分けし、後者については「元気高齢者」や「ロボット・センサー・ICT」などが担当することで、介護専門職が本来業務に専念し(介護サービスの質公助にもつながる)、その負担を軽減していく方向性が明確にされています。



https://www.medwatch.jp/?p=25942
3割程度の救急病院で医師の働き方改革が「困難」、医師増員での対応は実現可能か―日医  
2019年4月16日|医療現場から MedWatch

 2024年4月から医師の時間外労働上限(原則960時間以下、救急病院等では1860時間以下など)が適用される。しかし、「年間960時間以下」が適用される、年間救急車受け入れ台数1000台未満の2次救急では、3割程度が「年間960時間以下の達成」が難しい。また3次救急等の3割程度では「9時間以上の勤務間インターバル確保」が難しい―。

 日本医師会が4月10日に公表した「医師の働き方改革と救急医療に関する日本医師会緊急調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました(日医のサイトはこちら http://www.med.or.jp/nichiionline/article/008560.html)。

 多くの救急医療機関では「医師の増員」で対応する考えを示していますが、医師の少ない地域では難しく、また多くの医療機関で「医師の増員」に動くため、競争が激化する可能性もあります。地域で「医療提供体制の再編・統合」等を進めていくことが、これまで以上に求められそうです。

ここがポイント!
1 救急車1000台未満の2次救急、3割程度で年間960時間以下の達成が困難
2 半数近くの救急病院が「医師増員で対応」するとしているが、実現可能性は?
3 3次救急等の3割、「9時間以上の勤務間インターバル確保」が困難
4 救急病院の3-7割、大学病院の医師引きあげで救急医療に支障が出る可能性
5 7割の救急病院、タスク・シフティングについて「十分な検討が必要」との考え


救急車1000台未満の2次救急、3割程度で年間960時間以下の達成が困難
 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針が明確になりました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする

▽2024年4月までの間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める
 
 日医では、▼2次救急医療機関等(救急告示病院などを含む)▼3次救急医療機関および小児救命救急センター▼総合周産期母子医療センターおよび地域周産期母子医療センター―を対象に、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」などの点について緊急調査を実施。1739施設が回答を寄せています(2次救急等:1568施設、3次救急や周産期母子医療センター:171施設)。

 まず「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすることは可能か」という点については、次のように40-70%の医療機関で「すでに概ね対応できている」と答えていますが、難しい医療機関、さらに「分からない」との回答も少なくありません。

【すでに概ね対応できている】
▼救急車1000台未満の2次救急等:70.9%
▼救急車1000台以上の2次救急等:48.4%
▼3次医療救急・小児救急:41.4%
▼周産期母子医療センター:44.4%
▼その他:70.1%

【医師の半数程度は可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:7.8%
▼救急車1000台以上の2次救急等:18.2%
▼3次医療救急・小児救急:20.4%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:11.9%

【医師の3分の1程度は可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:3.1%
▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%
▼3次医療救急・小児救急:3.7%
▼周産期母子医療センター:11.1%
▼その他:1.5%

【ほぼ不可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:4.9%
▼救急車1000台以上の2次救急等:7.2%
▼3次医療救急・小児救急:12.3%
▼周産期母子医療センター:―
▼その他:7.5%

【わからない】
▼救急車1000台未満の2次救急等:13.3%
▼救急車1000台以上の2次救急等:20.1%
▼3次医療救急・小児救急:22.2%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:9.0%

 年間960時間以下が適用される「救急車1000台未満の2次救急等」でも、3割が「5年間での960時間以下達成が難しい」状況が再確認できます。国や都道府県、医療勤務環境改善支援センターによる支援が求められるほか、地域の医療提供体制の再編を進めていく必要がありそうです。例えば、地域において、患者のアクセスに配慮した上で、複数の「救急車1000台未満の2次救急等」の救急医療機能を特定の病院に集約(救急医も集約)することなどを、地域医療構想調整会議などで検討していくことが重要でしょう。
 

半数近くの救急病院が「医師増員で対応」するとしているが、実現可能性は?
 「5年間での960時間以下の達成が難しい」救急部門に対し、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:25%▼医師の増員:48%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:17%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:6%―となっています(2次救急等に限定しても同様の傾向)。
 
 また、多くの勤務医は「他院での勤務」(アルバイト等)を行っています。この点、「自院と他院の勤務時間を通算するのか」という点については今後の検討課題に位置付けられていますが、仮に「通算」が行われた場合には、「今後5年間で、医師の時間外労働を年間960時間以下にすること」への見通しは少し厳しいものとなり、▼現状維持:17%▼医師の増員:52%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:21%▼救急医療機関の返上:0%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):3%▼未回答:7%―となっています。
 
医師の増員を検討している救急部門がありますが、地域によっては医師確保が困難なこともあり、また多くの病院で「医師確保」競争を行うことになるため、今後、救急医療の制限(患者受入れ制限や救急医療機関の返上)をする医療機関が増えてくることも予想されます。これは、地域の住民・患者にとっては不幸な状況を生むことになります。個別医療機関ではなく、地域の医療機関・行政(広域の都道府県や国も含めて)全体で適切な医療提供体制の確保に向けた検討を急ぐ必要があるでしょう。

3次救急等の3割、「9時間以上の勤務間インターバル確保」が困難
 また、医師の時間外労働上限は一般の労働者より長くなる(年間960時間であっても、いわゆる過労死ラインに近い)ことから、医療機関には▼連続勤務時間は28時間以内とする▼勤務と勤務との間に9時間以上のインターバルを設ける―ことが求められます(年間960時間以下の医療機関では努力義務、年間1860時間以下の医療機関では義務)。

 「9時間以上の勤務間インターバル」の実現可能性については、次のような状況が分かりました。

【すでに概ね対応できている】
▼救急車1000台未満の2次救急等:68.2%
▼救急車1000台以上の2次救急等:51.5%
▼3次医療救急・小児救急:51.2%
▼周産期母子医療センター:44.4%
▼その他:62.7%

【医師の半数程度は可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:6.5%
▼救急車1000台以上の2次救急等:12.2%
▼3次医療救急・小児救急:14.2%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:4.5%

【医師の3分の1程度は可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:2.0%
▼救急車1000台以上の2次救急等:6.2%
▼3次医療救急・小児救急:6.2%
▼周産期母子医療センター:―%
▼その他:1.5%

【ほぼ不可能】
▼救急車1000台未満の2次救急等:10.7%
▼救急車1000台以上の2次救急等:12.9%
▼3次医療救急・小児救急:6.8%
▼周産期母子医療センター:11.1%
▼その他:19.4%

【わからない】
▼救急車1000台未満の2次救急等:12.6%
▼救急車1000台以上の2次救急等:17.3%
▼3次医療救急・小児救急:21.6%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:11.9%
 
 「救急車1000台以上の2次救急等」「3次医療救急・小児救急」「周産期母子医療センター」の多くでは、「9時間以上の勤務間インターバル」が義務化されると考えられますが、現状では3割程度で「難しい」状況が伺えます。
 
 
勤務間インターバルの確保が難しいと答えた医療機関を対象に、今後の対応方針を聞いたところ、▼現状維持:28%▼医師の増員:46%▼救急患者の受入制限、救急対応時間の制限:13%▼救急医療機関の返上:1%▼その他(医師間の業務調整、タスク・シフティングなど):2%▼未回答:10%―となっています。
 
しかし、前述のように「医師増員」はそう容易ではなく(医師数がそもそも少ない地域もあり、また各医療機関が医師増員を考えるため競争が激化する)、やはり救急医療の制限を考える医療機関が今後増加してくる可能性があります。

救急病院の3-7割、大学病院の医師引きあげで救急医療に支障が出る可能性
 また、大学病院からは多くの医師が地域の医療機関へ派遣されています。この点、大学病院でも時間外労働上限規制や勤務間インターバルの確保などが求められることから、医師の増員が必要となり、「地域への医師派遣を制限する(医師を引きあげる)のではないか」とみられています。

この点について救急医療機関の3-7割程度で、「救急医療に支障が出るような引きあげが行われるおそれがある」と見通していることが分かりました。

【医師引きあげで自院の救急医療が成り立たなくなる恐れあり】
▼2次救急等:11.4%
▼3次救急等:2.4%
▼周産期母子医療センター:0%
▼その他:4.5%

【医師引きあげで自院の救急医療を相当程度縮小せざるを得ない恐れあり】
▼2次救急等:17.8%
▼3次救急等:12.1%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:10.4%

【医師引きあげで自院の救急医療に支障を来す恐れあり】
▼2次救急等:27.4%
▼3次救急等:21.2%
▼周産期母子医療センター:22.2%
▼その他:23.9%

【影響なし、大学からの医師派遣なし】
▼2次救急等:29.6%
▼3次救急等:32.7%
▼周産期母子医療センター:33.3%
▼その他:47.8%

【自院が大学病院で派遣元である】
▼2次救急等:0.8%
▼3次救急等:15.1%
▼周産期母子医療センター:11.1%
▼その他:―%

【不明】
▼2次救急等:13.0%
▼3次救急等:14.5%
▼周産期母子医療センター:11.1%
▼その他:13.4%

 この点、個別医療機関と大学病院との交渉・依頼等に委ねていたのでは、地域の救急医療が確保できなくなる恐れもあり、自治体等も交えた協議等が必要となってきそうです。
 

7割の救急病院、タスク・シフティングについて「十分な検討が必要」との考え
 さらに、労働時間短縮に向けたタスク・シフティング(医師でなくとも可能な業務を看護師等の他職種へ移管する)の可能性については、下図のように、7割程度の医療機関が「どのような業務を、どのように委ねるのか、十分な検討が必要」と考えていることが分かりました。
 
 この点、「特定行為研修を修了した看護師」へのタスク・シフティングが注目を集めていますが、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚労省の目標値「2025年までに10万人」とは大きな隔たりがあります。

 研修機関は2019年2月には39都道府県・113機関に増えていますが、さらなる研修施設の増加等が待たれます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20190419125557
医薬品プロモーションと距離置く学術講演を
神奈川県内科医学会、学術組織を設立
 
2019年04月19日 13:20 CB News

 製薬企業による医薬品のプロモーションを目的とした講演会とは一線を画した医師の“本音”による学術講演会の実現と展開を目指す―。神奈川県内科医学会が18日に開いた記者会見で、宮川政昭会長はこうした意気込みを語った。学会独自の学術組織を設立し、スポンサーを付けずに講演会を継続開催していく。【吉木ちひろ】

 神奈川県内科医学会が立ち上げた学術組織「知の羅針盤」は、学会を構成する「糖尿病対策委員会」「肝・消化器疾患対策委員会」「認知症対策委員会」など疾患に対する活動を行う委員会と、「禁煙推進委員会」「医薬品評価検討委員会」「在宅医療委員会」など地域医療や医師と患者の関係の問題に関わる委員会が、単独あるいは連携して講演会を開催していくという。製薬企業との共催による講演会でも、企業による事前のスライドチェックなど、日本製薬工業協会が定める医療用医薬品プロモーションコードの適用を認めない。

 宮川会長は学術組織の設立の経緯について、呼吸器の疾患をテーマとした講演会を例に取って説明。一般的に行われている製薬企業協賛の講演会では、患者の状態に合わせた呼吸器疾患治療薬の吸入器の選択についての提案や意見交換が困難であるとして、医薬品の情報について「広告」と「情報」を区別して論じ、必要な情報を医師に届ける必要性を訴えた。

 約70人が参加したという3月の初の講演会(肝疾患がテーマ)について宮川会長は、医薬品の副作用の問題など「真に迫るような質問が飛んでいた」と手応えを口にした。今年度は5月、6月、7月、9月、11月に講演会を開催する。呼吸器疾患やリウマチ・膠原病対策をテーマにした講演のほか、秋下雅弘東京大教授や田村功一横浜市立大教授を講師に招いた「日常診療への本音」をテーマとした企画を予定している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/671280
シリーズ m3.com意識調査医師の勤務環境「変わらない」54%
働き方改革「予定なし」が33%
 
レポート 2019年4月15日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は3月28日の第22回会議で、「地域医療確保暫定特例水準」と「集中的技能向上水準」として時間外労働上限を年1860時間、それ以外の医師は年960時間とするなどの報告書をまとめた。4月1日に施行された改正労働基準法は医師に関して適用が猶予され、2024年4月からこれらの上限時間が適用される。「働き方改革」について、今後の勤務環境変化の見通しをm3.com勤務医会員に聞いたところ、54.4%が「変わらない」と回答した。「良くなる」は13.1%にとどまり、「悪くなる」も15.2%という結果だった。

Q1:勤務先では既に医師の時間外労働の短縮に向けた取り組みが始まっているでしょうか。
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 「3月から始まっている」、「4月から始まった」、「今後始まる予定」を合わせても半分に満たず、「予定はない」が最多の33.1%に上った。

Q2: 今後、ご自身の勤務環境は良くなるとお考えでしょうか。
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Q3: 医師の働き方改革について、ご自由にご意見をお書きください。

【賛成】
賛成。家庭やプライベートな時間が確保されると、心にゆとりができ良い医療につながる。収入を得たい場合は、余った時間を副職や別のスキルアップに費やせばよい。遠隔医療などもっと積極的に取り入れてほしい。【35歳女性内科】

【なんとかしたい】
当直明けの連続勤務の異常さや不必要な長時間労働などを少しでも改善できるように、自分でも改善に向けた取り組みをしていきたい。【42歳男性内科】

【良くなってはいる】
ようやくだが、20年以上前より時間に関して意見が言えるようにはなっていて良いと思います。【57歳男性外科系】
休みは取りやすくなった。【66歳男性外科系】

【変わらない】
医師数を増やして計画的に休日を取らせるしかないので、今のままでは全然変わらないと思っている。【55歳女性外科系】

【悪くなる】
医師不足の地方医療機関にとって、働き方改革の導入は医療の質の低下につながりかねないです。【57歳男性外科系】
ママさんだけ既に始まり、我々は改悪されている。【54歳女性外科系】
結局、報告する見た目の勤務時間だけが減り、自己研鑽という名のサービス残業が増えるだけの「働き方改悪」です。【34歳女性外科系】
バイト制限が厳しくなって、時給単価の安い病院で働く時間が増えそう。【31歳男性外科系】
机上の改革のみで 医師不足の地域には改善どころかしわ寄せが来る(つてを頼りに来ていたアルバイトの医師が働き方改革を上司から言われ、4月よりアルバイトを辞退された)。【61歳男性内科】

【無理】
各領域の医師が充足していないのに、「働くな」と言っても、そりゃあ無理。【53歳男性外科系】
理想を掲げるのはよいが、実現は困難と思える。【64歳男性外科系】
一人医長で病院からのバックアップがないので夏休みすら取れない。有給5日は絶対に取れないと思う。【49歳男性外科系】
高齢者が増え患者が多すぎ、医療が高度化し、コンビニ受診も増えて時間内に診療が終わらないことが問題。【54歳男性内科】
一般職とは異なり生命に直接関与するため、主治医として自分の納得の行く医療を行いたいと思うので、信頼のおける医師にも自分と全く同じことを行うことは不可能であるので、最終的に自分で最後まで診療を行うので時間的に制限はできない。【64歳男性小児科系】

【代償は?】
勤務環境改善に伴い時間外の救急医療の質は下がる可能性高い。が、仕方ないのかもしれない。【54歳男性外科系】
コメディカルがどんどん休み始めるから大変です。【59歳男性循環器科系】

【賃金支払え!】
賃金を正しく支払う。必要なのはこれだけです。【34歳男性呼吸器科系】
完全にブラックカンパニー。働いても給料も出ない。【35歳男性呼吸器科系】
今さら感がありますが、欧米と比較して時間給にして考えると雲泥の差がある給与体系が変わらないとダメでしょうね。背負わされている責任に対してあまりにも給与が安いでしょう。自由診療の拡大も含めて考えないといけないかもしれませんね。【47歳男性外科系】
どこの病院でもしっかり残業代、オンコール代を出すようにしてほしい。電話による問い合わせも勤務時間外は補填をするべきである。【52歳男性内科】

【対策は?】
医師に限らず、総合病院の看護師、薬剤師も働きすぎ。勝手に働いてくれていたので、それを基に診療報酬も決まっている面があると思う。医師・看護師・薬剤師に、急性期病院が適正に給与を払えば、急性期病院の診療報酬を上げざるをえなくなる。どんぶり勘定で、なんとなく病院というところから、人的資源を投入せざるを得ない急性期病院とそうでない病院を分けていくようになるのではないでしょうか?【42歳男性腎泌尿器科系】
ただ勤務時間を短くしろというのは無理な話。そのための体制をどうやって整えるかに力を注いでほしい。【31歳男性循環器科系】
主治医制をなくして複数体制による診療を定着させれば、定時で帰れるかもしれない。【58歳男性外科系】
主治医制度の廃止、グループ主治医制、開業医ではカルテ共有(閲覧)がカギと考えます。【60歳男性呼吸器科系】
患者の意識が改革されないと働き方は大きく変わらないと思う。入院時以外は時間外のICは有料にするとか禁止する、書類は、医師は了承するのみで良いなどしないと無理だろうと思う。【35歳男性小児科系】
病院の集約化、チーム主治医制の徹底、当直の夜勤認定などが必要と考えます。【33歳女性外科系】
勤務医の賃金を上げるのと同時に、開業医の必要経費を勤務医並みに変更して勤務医⇨開業医の流れを止めること。【64歳男性糖尿病】
医療事務が代行できる業務を増やして、医師免許の要らない作業はさせないでほしい。【37歳女性内科】
仕事の重みを加味したインセンティブ付与含む勤務医の給与体制の見直し、開業医主体の予防医療の強化、その他同時に解決すべき問題が山積です。【49歳女性循環器科系】

【論点が違う】
医師や働き方だけをフォーカスするのではなく、無駄の多い社会保障制度を見直すことが必要。【38歳女性外科系】

【医師は特殊】
医師の仕事は、他の分野のものとは異なるので、働き方改革は当てはまらない。【45歳男性内科】

【調査の概要】
調査期間:2019年4月1日 (月)~4月8日 (月)
対象:m3.com勤務医会員
回答者数:1946人
回答結果画面:「医師の働き方改革」展望は?



https://www.m3.com/news/iryoishin/672234
医師の働き方改革、四病協「慌てて動かない」
供給過多のPT・OT、開業は「反対」
 
レポート 2019年4月17日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は4月17日に総合部会を開き、医師の働き方改革や医師の需給、PTやOTの在り方について議論した。部会後に記者会見した日本病院会会長の相澤孝夫氏は、医師の働き方改革については今後宿日直や研鑽の扱いで通知が厚生労働省から出るため、「今慌てて動かない方がいいのではないか。病院団体としてはこれから通知を見て、この5年間でどうしていくかを決めていくのがいいのではないかということだ」と話した。

 医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会については、2022年度で大学医学部定員の臨時増員が終了することや女性医師が増加している状況から、「今後どうやっていくのか、注視していかなくてはいけない」と述べた。医師の偏在だけでなく、外来医療と入院医療のすみ分けをどうしていくかも重要だと指摘した。

 PTやOTに関しては、4月5日の「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士分科会」で需給推計が厚労省から出されているが、供給過多となっており、部会では「地域偏在のデータはないのか」という意見が出た。また、供給過多となって「開業」という方向に行くと、「病院団体としてはゆゆしき事態。反対していく」という意見がまとまった。現状は訪問看護ステーションで勤務するPT、OTが多いが、開業できるようになるとそちらに流れて病院でリハビリテーションに従事する人が少なくなることを懸念しているという。



https://www.m3.com/news/general/671977
地域医療向上に貢献を 熊本大病院が天草市に拠点  
大学 2019年4月16日 (火)配信熊本日日新聞

 熊本大病院は、熊本県天草市の天草地域医療センターに「地域医療・総合診療実践学寄付講座天草教育拠点」を設置、13日に開所式があった。

 同拠点は天草の地域医療と同大の教育体制を、ともに充実させるのが狙い。2015年の公立玉名中央病院(玉名市)に続き、2カ所目。

 さまざまな症状がある患者を特定の疾患と限定せず、多角的に診察する「総合診療科」を設置。寄付講座特任助教の高杉香志也さんと鶴田真三さんの2人が常駐し、研修医らを指導しながら診療に当たる。

 開所式で、高杉さんら2人が「一緒に学びながら天草の地域医療の向上に貢献したい」などとあいさつ。玄関前の看板除幕もあった。同講座の松井邦彦特任教授は「高齢化が進んでいる地域では、高血圧や糖尿病など複数の病気を抱える患者が多い。広い視野を持った医師を育てたい」と話した。


  1. 2019/04/21(日) 10:47:12|
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4月14日 

http://news.livedoor.com/article/detail/16305600/
産婦人科医不足で分娩休止 北海道・市立旭川病院  
2019年4月12日 12時34分 共同通信

 北海道旭川市の市立旭川病院の産婦人科が、医師不足のため4月から分娩や手術を休止していることが12日、病院への取材で分かった。

 病院によると、産婦人科はこれまで3人の医師で運営してきたが、3月末で60代の男性医師と30代の女性医師が退職。4月からは臨時職員の60代の男性医師と50代の男性医師の2人体制になり、人手が足りないため分娩と手術を当面、休止することを決めた。

 6月末には、50代の男性医師も退職する予定で、7月以降は外来診療のみ受け付ける。現在入院している患者には6月末までに、市内の他の医療機関を紹介する。



https://www.sanyonews.jp/article/888531
美咲「西川診療所」業務スタート 民間から町運営、週3回医師診察  
(2019年04月10日 19時16分 更新)山陽新聞

 本年度、運営母体が民間から岡山県美咲町に変わった「西川診療所」(同町里)の診療業務が9日スタートした。金田病院(真庭市西原)を指定管理者とし、週3回(火、木、金)の午前中、同病院などから派遣された医師が診察に当たる。

 診療所は2018年度まで一般財団法人が運営していたが、国民健康保険診療所として運営を引き継いだ。診療は従来通り内科のみで原則予約制。町によると、旧診療所には旧旭町地域の高齢者を中心に約40人が通院していたという。

 町は金田病院と診療所をオンラインで結ぶ電子カルテのシステム構築や心電図などの医療機器購入といった開設準備費用に3200万円を充てた。建物などの施設は同法人から寄付を受けた。

 診療再開に当たり、青野高陽町長が診療所を訪問。「医師不足の中、指定管理者を受けていただきこの日を迎えることができ、ひと安心。住民の命と安全な生活を守る施設の運営をよろしくお願いします」と呼び掛けた。

 一方、町は18年度限りで国民健康保険大垪和診療所(大垪和西)を閉院した。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190411_33060.html
<いわてを考える>第4部・県内格差(2)医師の偏在/半数超 盛岡周辺に集中  
2019年04月11日木曜日 河北新報

<一歩間違えば>
 2017年1月11日午前9時15分ごろ、岩手県久慈市から岩手県立二戸病院に向かっていた救急車が久慈市大川目町の国道281号でスリップし、前方に停車していたトラックに接触。救急車には出産直前の妊婦が乗っていた-。
 妊婦は別の救急車で二戸病院に運ばれて出産。母子ともに無事だったが、一歩間違っていれば最悪の事態もあり得た。
 事故の背景には、2次医療圏を形成する久慈・二戸地域にあって帝王切開、多胎児などの高リスク出産は二戸病院でしか対応できないという事情があった。
 久慈・二戸地域の産科医は計7人。出産を取り扱えるのは久慈病院と二戸病院に限られ、しかも産科医が1人だけの久慈病院は自然分娩(ぶんべん)にしか対応できない。
 久慈市の会社員三河真知子さん(36)は現在妊娠3カ月。県境を越えて八戸市の病院で出産する予定だ。
 「帝王切開なので、久慈では産めない。二戸は車で1時間以上かかる上、緊急事態になれば、さらに盛岡まで運ばれる可能性もある」と嘆息する。
 県中南部の中核医療を担う奥州市総合水沢病院では18年12月、小児科が休診に追い込まれた。常勤小児科医が退職したためだ。
 補充しようにも県内で最も小児科医が手薄な地域とあって、代わりの人材は見つからない。市医療局は「募集はしているが、再開のめどは立っていない」と頭を抱える。
 厚生労働省は2月、地域人口の年齢構成などを反映させて医師の充足度合いを数値化した医師偏在指標を発表。47都道府県や2次医療圏ごとの順位を示した。
 岩手の医師充足度は全国最下位。医療施設で働く医師2458人のうち半数超の1305人が盛岡周辺に集中しており、偏在が著しい。

命守れぬ現実
 県内で最も医師が不足している宮古周辺は、全国335地域中330位だった。18年度のドクターヘリ出動要請は115回で県内最多。地元の医療機関だけでは住民の命を守れない現実を物語る。
 県は06年度以降、医学部卒業後に県内の公的医療機関で働くことを条件にした奨学金貸与制度を打ち出したが、対策は奏功していない。
 18年度も産科診療所のない市町村で新規開業する産科医に1000万円を助成する制度を創設したものの、応募はなかった。
 県は19年度、助成額を2000万円に倍増するが、久慈市の開業医は「新規開業しようにも緊急搬送先が近くになければ難しい」と県の施策に疑問を投げ掛ける。
 県医療政策室は「医師を増やすのは長い時間がかかる地道な作業。できるものは全て手を付ける」と説明するが、全国最下位を脱する新機軸は見いだせていないのが実情だ。



https://www.m3.com/news/kisokoza/666230
広域分散型・積雪寒冷な北海道における医療人材確保の現状-夕下司・北海道保健福祉部地域医療推進局地域医療課医療政策グループ主査(総括)に聞く◆Vol.1  
2019年4月10日 (水)配信m3.com地域版

 北海道保健福祉部地域医療推進局は2018年9月「北海道医療人材確保ポータルサイト」を公開した。北海道医療計画に基づき、北海道において良質かつ適切な医療サービスの提供を目指す同局。そこから生まれたポータルサイトの背景にある、北海道の医療人材確保の課題や現状について、同局地域医療課医療政策グループ主査の夕下司氏に話をうかがった。
(2019年2月7日インタビュー、計3回連載の1回目)

▼第2回はこちら(近日公開)
▼第3回はこちら(近日公開)

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北海道の医療人材の偏在を表す医師数の状況(2016年12月末)、 北海道医療計画(平成30年度~平成35年度)

――北海道の特性と、それに関わる医療分野の課題について教えてください。
 北海道の地域性についてよく用いられるのは、「広域分散型」と「積雪寒冷」という二つの言葉です。北海道の総面積8万3457㎢は日本の約22%を占める一方で、人口は538万1733人で日本の総人口の4.2%となります。また、気候は他都道府県と比べて冷涼で、年の平均気温が6度から10度程度。特に冬季はマイナス30度に至る地域や、年間最大積雪深が3メートルを超える多雪地域も存在します。

 こうした地域性を持つ北海道では、大都市への人口集中に伴う少子高齢化と生活関連サービスの減退が進んでいます。医療分野においても同様の問題は起こっており、医療従事者の地域偏在の解消や地域の実情に即した医療提供体制をどのように構築していくかが課題となっています。

 医療圏ごとの適切な医療提供体制の構築を図るためには、医療人材の確保や地域偏在の解消が不可欠です。北海道では、広域分散型であることが医療圏の設定にも影響を与えています。

――医療圏の概要と、医療圏という視点で見た北海道の特殊性を教えてください。
 医療圏とは、地域医療の配置や体制を体系化するための圏域を指し、各都道府県で設定されています。第一次医療圏は、地域密着型の健康相談やかかりつけ医、かかりつけ薬剤師などによる初期医療を提供するための基本的な地域単位で、北海道では179圏域(179市町村)が指定されています。第二次医療圏はこれより広域のものを指し、専門性の高い医療サービスの提供を扱う圏域です。北海道では21圏域がこれにあたります。そして、さらに広域となる第三次医療圏については、通常は県が1つの圏域として指定されていますが、北海道は広域のため6圏域が設けられています。

 北海道の特殊性は、広域での医療サービスの提供を目的とした、複数の第三次医療圏にあります。第三次医療圏では、救急医療体制の確保対策が主となりますが、範囲が広域であることに応じた対応が求められます。救命救急センターを各圏域合計で12施設指定しているほか、全国に先駆けて2017年7月に本格運航を開始したメディカルウイング(住民の誰もが必要に応じ、高度・専門的な医療が受けられるようにするための、医師等の搭乗が可能な医療機器等を装備した「北海道患者搬送固定翼機」)は、北海道の地域特性を踏まえた取り組みです。

 また、北海道における医療人材の地域偏在については、第二次医療圏単位での現状分析を行っています。北海道全体で考えた場合、データ上は医師数が増加していますが、一部の地域では人口10万人あたりの医師数が全道平均の2分の1以下と、顕著な医師不足が課題になっています。引き続き圏域単位での調査や分析を行い、課題を抽出して施策を考えることが課題解決の基本となります。

――医療人材の偏在について具体的な現状を教えてください。
 例えば、第二次医療圏をもとに道内の医師数(人口10万対)を比較した際、全道平均との対比において100%以上となる地域は札幌と上川中部のみです。中空知や西胆振、後志(しりべし)など8地域が70%以上100%未満、釧路や留萌(るもい)、富良野など8地域が50%以上70%未満と続き、根室、日高、宗谷地方は50%未満になります。同様の傾向は歯科医師数、薬剤師数、看護職員就業者数においても見られ、地域偏在が深刻であることを表しています。道全体の医師数の確保と、医療人材の不足が顕著な地域に対する施策は、それぞれ異なるアプローチが必要であると言えるでしょう。

 こうした問題の根本にあるのは、あらゆる機関の都市集中です。例えば医師の場合、医療施設や専門教育機関がある都市に必然的に進路が集中します。つまり、医大や大病院がある札幌市(札幌圏域)と旭川市(上川中部圏域)に医師が集まるということです。こうした現状を変えるためには、医療従事者に医療人材の少ない地域に対して興味を持っていただくことや、医療人材の少ない地域に生まれた方が幼少期から医療に携わることをこころざし、生まれ育った土地で地域医療に貢献する意志をもっていただくことが重要になってきます。

――北海道の医療人材に関わる課題に対して、どのような施策を打ち出していますか?
 例えば、リソースに余裕のある医大や都市部の医療機関から短期、中期的に医師不足の地域に医師を派遣するケースがあります。また、僻地の医師の休暇取得に伴い、都市部の医師が代診(出張)することもあります。こうした派遣制度は事業として体系化されており、北海道側から金銭的なサポートをする事業もあります。

 一方で、これらの医師派遣は根本的な解決策とは言えず、僻地に住まう医療従事者の総数を底上げしていくことが大切です。そのため、北海道医療計画における医療従事者確保対策では「将来の医療を担う人材の確保」、「医療機関における勤務環境改善」、「道外からの移住促進や潜在有資格者の掘り起こし等」という3点を骨子として、具体的な施策を進めるよう方針を定めています。

 具体的な施策内容については多岐にわたり、道庁だけで完結するものは少なく、医師会、医大、医療機関や市町村等と連携して進めている取り組みがほとんどです。また、こうした医療人材確保の施策は人口減少や住民流出など他の課題を解決する可能性もあり、町づくりの観点からも北海道の将来に関わるものだと認識しています。



https://www.m3.com/news/kisokoza/665326
地域情報(県別)
茨城県西地域における医療資源の活用と展望-茨城県西部メディカルセンター・病院長、梶井英治氏に聞く◆Vol.2
 
2019年4月10日 (水)配信m3.com地域版

 2018年10月1日、公立2病院の機能を統合して誕生した、新たな中核病院「茨城県西部メディカルセンター」。その背景にあった医師不足を解消するため、メディカルスタッフという医療資源をどのように確保し、活用しているのか。「すべてを医療圏内で完結させる必要はない」と話す病院長の梶井英治氏に、力を入れているという若手育成や、現状の体制、将来展望についてお話を伺った。 (2019年2月13日インタビュー、計2回連載の2回目)

▼第1回はこちら

――開院から約4カ月が経ちましたが、現在の1日あたりの患者数はどのくらいでしょうか。
 2019年1月のデータでは、外来患者数は1日平均331人、入院患者数は1日平均133人となっています。年齢層としては65歳以上が多く、外来のピークは75~80歳です。入院患者は少し年齢層が違い、男性のピークは80~85歳、女性は85~90歳です。入院患者の症状としては、肺炎、心不全、脳血管障害、大腿骨頚部骨折、脊椎圧迫骨折などの患者が多くなっています。

 救急患者は1日平均29人で、そのうち救急車での来院は7人です。旧・筑西市民病院と旧・県西総合病院の救急車受け入れ数は、両院合わせて1日平均3.4件でした。茨城県西部メディカルセンター設立時の目標として、救急車の受け入れ数を2倍の6.8人にすることがありましたが、おおむねクリアできているのではないかと思います。以前は、筑西・下妻保健医療圏内での救急車応需率は60%程度でした。当院が旧2病院の2倍受け入れると、救急車の約80%が医療圏内の搬送で対応できる計算になります。救急車を呼んでもなかなか搬送先が決まらないということでは、地域のみなさんの医療不信につながりますから、1人でも多くの救急患者を受け入れるようにしています。

――茨城県西部メディカルセンターでは受け入れが難しい3次救急患者には、どのように対応しているのでしょうか。
 そこに筑西・下妻保健医療圏の特殊性があります。じつはこの地域には、30キロ圏内に筑波大学附属病院、筑波メディカルセンター病院、茨城県立中央病院、土浦協同病院、茨城西南医療センター病院など、大学病院や複数の救命救急センターがあります。さらに隣接する栃木県まで含めると、自治医科大学附属病院も入ってきます。救急搬送のすべてを医療圏内で完結させようとすると、医師の数も揃えなければなりませんし、さまざまな設備も必要です。筑西・下妻保健医療圏の現状では、それは難しいでしょう。しかし医療圏外まで視野を広げることで、「医療圏内で完結させる必要はないのでは」という考えに至りました。

 急性心筋梗塞など明らかに高度な医療が必要な患者さんの場合は、医療圏にこだわらず、救急隊から高度医療機関に直接連絡をとって搬送します。そのために、当院の開院までの3年間に各医療機関との連携を図り、医療圏を越えた受け入れの了承をいただきました。脳梗塞の場合は、初期治療は当院で行いますが、血管内治療などが必要な場合は、当院から高度医療機関に搬送しています。心不全に関しては、高齢化に伴って今後は増加が予想されますので、重点課題として心不全治療に取り組んでいます。

 患者さんやご家族にとっては、搬送されるならできるだけ近隣の病院が望ましいことでしょう。しかし疾患によっては、症例数の多い高度医療機関に搬送したほうが、治療成績が良いという報告もあります。30キロ圏内であれば、救急車なら30分程度、ドクターヘリなら10分程度で搬送が可能です。当院は災害拠点病院として屋上にヘリポートを設置していますし、地域のみなさんにも納得していただける医療体制を整備し充実させていきたいと思います。

――茨城県西部メディカルセンター設立の理由として、この地域の医師不足の問題がありました。今後ますます医師数が減っていく可能性も否定できませんが、対策はお考えでしょうか。
 まず考えられるのは、メディカルスタッフとなる若い層を育てていくことです。そのためには教育体制を整えなければなりません。当院でも筑波大、自治医科大と協力して、研修医や学生の実習を積極的に受け入れられるように整備を進めています。その一環として、筑波大と自治医科大による地域臨床教育センターが、当院内に設置されました。2大学合同の教育センターというのは、日本でも初めてのことではないでしょうか。

 さらに、スタッフが働きやすい体制・環境作りも行っています。例えば内科診療ではチーム制を採用し、各チームで協力して診療を行うようにしました。医師1人で患者を抱え込んでしまうと、なかなか休暇をとることができません。チーム制にして患者さんの情報を共有することで、「担当の医師が休みだから診察が受けられない」といったことがなくなりました。チーム制には、さまざまな視点から複合的に患者を診ることができるので、治療成績が上がるという利点もあります。


スタッフエリアには、2大学合同の地域臨床教育センターの看板が掲げられている
 また、院内にスタッフ向けの保育室を設置しました。さすがに希望者全員を受け入れるのは難しいのですが、夜勤時の一時保育によく利用されています。病児保育室も併設いたしました。昔は家庭を顧みずに医療に邁進することを尊ぶ風潮がありましたが、今はそんな自己犠牲は通用しません。スタッフの生活が充実していてこそ、よりよい医療が提供できるのではないでしょうか。もちろん、ご家族の理解を得なければならない部分は少なからずありますが、長く勤めたいと思える環境をスタッフみんなで作っていければと思っています。

――今後の課題や展望についてお聞かせください。
 超高齢社会が進むにつれて、在宅医療の需要も増してくるでしょう。在宅医療については筑西診療所が対応していますが、ニーズに十分対応できているとは言いがたい状況です。しかし1医療機関の努力のみでは、解決につながりません。地域の医療機関、介護施設、福祉施設が連携協力して当たらなければならない問題です。当院は地域中核病院として、そういった連携体制のコントロールタワーにならなければと考えています。そのために現在、地域医療支援病院の認定を目指しています。

 地域医療の充実には、住民の皆さまのご理解、ご協力も欠かせません。開院までの間に、住民の皆さまに向けての説明会を50回近く開催しましたが、今では住民グループが主催する地域医療についてのグループディスカッションが行われるまでになっています。私も何度かお邪魔して、車座になって膝をつき合わせて、忌憚のない意見交換をしました。与えられた環境をそのまま受け入れるのではなく、限られた医療資源を活用し、よりよい地域医療体制を作っていこうという思いが、住民の皆さまの中にも根付いてきているのではないでしょうか。その勢いを推進するためにも、現状に満足することなく、さらなる連携を図っていきたいと思っています。

◆梶井 英治(かじい・えいじ)氏
1978年、自治医科大学卒業。鳥取県立中央病院でのローテート研修を経て、地域医療に従事。その後母校に戻り、血液学、人類遺伝学等の研究に勤しむ。1995年に自治医科大学法医学・人類遺伝学教授、1998年に地域医療学教授、2001年に総合診療部長、2008年に地域医療学センター長に就任。2017年自治医科大学退職、筑西市医療監に就任。2018年10月より茨城県西部メディカルセンター 病院長。所属学会は日本プライマリ・ケア連合学会、日本内科学会、日本血液学会、日本輸血・細胞治療学会。

取材・文=浜田望生



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/178575
無医村状態の佐井村に診療所開業 月1回診察  
2019年4月13日 東奥日報

 2008年から無医村状態だった青森県佐井村に13日、整形外科診療所「さいクリニック」が開所した。初日は受け付け開始前から多くの村民が訪れ、診察開始時刻を40分程前倒しして診察を始めた。村民からは「これまでは大間町やむつ市への通院が大変だったから助かる」と喜びの声が聞かれた。



https://mainichi.jp/articles/20190409/ddl/k04/010/161000c
大橋・涌谷町長
「病院運営、財政圧迫」 生前、知事に相談 /宮城
 
会員限定有料記事 毎日新聞2019年4月9日 地方版

 村井嘉浩知事は8日の定例記者会見で、4日に死亡が確認された涌谷町長の大橋信夫さん(当時69歳)から2月上旬に携帯電話へ町立病院の運営などについて直接相談があったと明らかにし、「病院経営をいかに立て直すか話し合っている最中の訃報。大変ショックを受けている」と述べた。

 大橋さんは4日午後、同町の山林で見つかった。(以降有料記事)


(参考)
https://mainichi.jp/articles/20190201/ddl/k04/010/205000c
涌谷町
「財政非常事態宣言」 2年後、赤字転落のおそれ /宮城
 
会員限定有料記事 毎日新聞2019年2月1日 地方版

 涌谷町は1月30日、積み立てから財政危機時に取り崩す財政調整基金(財調)の残高が2年後になくなり、赤字転落が予想されるとして、「財政非常事態宣言」を出した。税収が増えない中、10年あまりで倍増した医療関連費など住民生活に欠かせない部分の負担拡大が、町財政を圧迫している。【山田研】

 町企画財政課によると、2017年度の町一般会計の歳出(決算額)は、07年度の1・3倍の約78億円に膨らんだ。障害者自立支援事業や民間保育所委託費などの「扶助費」がこの間に1・7倍に増えた。また、一般会計から公設公営の病院を運営する病院事業会計への繰出金は同期間で2・5倍の4億7988万円にまで増加した。この間、町は職員給与などの「人件費」などを削減してきたが、効果は限定的だ。

 一方、歳入のうち町税は減り、地方交付税も伸び悩んでいる。これら一般財源の不足を補うため、町は近年、…(以降有料記事)


(参考)- - - - - - - - - - - - - - - -
https://www.m3.com/news/iryoishin/655646
私の医歴書◆前沢政次・初代日本プライマリ・ケア連合学会理事長
目指せ御調町!目指せ「御三家」!◆Vol.17
 
スペシャル企画 2019年2月17日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――涌谷町町民医療福祉センターのオープンは1988年11月。モデルとした広島県御調町に近づくため、どのような取り組みを重ねていったのだろうか。

 当時、地域包括ケアの先駆け的な取り組みをしていたのは、広島県のみつぎ総合病院、長野県の諏訪中央病院、新潟県のゆきぐに大和総合病院。これら「御三家」に続け、と号令をかけ、スタートしました。
 涌谷町には、箟岳という標高200メートルくらいの低い山があり、その麓にあるのが、涌谷町町民医療福祉センター。涌谷町国民健康保険病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど医療・介護サービスの拠点のほか、涌谷町の保健、医療、介護、福祉の関係課も全て揃っています。

 1988年11月、病院は40床でスタート。翌1989年4月には健康推進員制度が発足、増床(62床)、1991年1月に在宅介護支援センター開設、3月には増床(100床)という形で、段階的に体制を整えていきました。

 当初力を入れたのは職員の採用ですが、苦労しましたね。医師は私と、自治医大の1期生2人、2期生1人の計4人。内科系2人、外科系2人という内訳でした。整形外科の患者さんが多かったので、東北大に派遣を依頼しに行ったりしましたが、なかなか相手にしてもらえませんでした。自治医大時代の教え子たちも10年選手くらいになり、脂が乗ってきた時期なので、整形外科や産婦人科を中心に交代で来てもらったりしました。

 幸い保健師は5人くらいいたので、順次増やして10人程度の体制にしました。病院の中にいて、患者さんを待つのではなく、自分たちから町に出て行き、公民館などで、予防的リハビリなど早期の健康維持のための体操教室を開催するなど、幅広い保健活動に取り組んでもらうためです。

 「予防から看取りまで、きちんと時間をかけて継続的にお付き合いをしていく看護の面白さをぜひ経験してみませんか」――。そんな言葉で、看護師養成校を回っては、採用活動をしていました。今では当たり前ですが、当時では先駆的な取り組みを念頭に置いていたのです。リハビリ職など、その他のコ・メディカルの養成校にも、時間を見付けては回っていました。


涌谷町町民医療福祉センター
――涌谷町で何より力を入れたのが、予防活動だ。
 「前沢さん、私の理想としては、病人を作らない病院を新たに作ってほしい」

 住民の健康問題に理解がある本間八郎町長からは、こう言われていました。保健、医療、福祉まで幅広く手がける。その中核としての病院を目指していたのだと思います。

 予防の面でモデルにしたのは、長寿かつ低医療費で有名な長野県の取り組み。今でも続いていると思いますが、「保健補導員」という制度を、涌谷町でもやってみよう、ということになりました。「小さなソーシャルキャピタル」とも呼ばれてますが、住民組織が予防活動に従事し、地域住民と医療をつなぐ役割を果たし、高い在宅死亡率などにもつながっています。

 もともと涌谷町には、栄養指導などを行う食生活改善推進員と、住民健診で受付などを手伝ってくれる保健協力員が住民の手で組織されていました。私が両者を発展的に解消させて統合させて、涌谷町健康推進員協議会をつくり、健康推進員制度の発足を提案したところ、町長が了承してくれました。保健活動を幅広く担う住民組織です。

 町として予算も付けてくれました。子どものお小遣い程度ですが、最初は健康推進員一人当たり年8600円。2年の任期で採用。各地域健康推進員が、町内会単位でいろいろなイベントが企画できるよう、各町内会組織からまんべんなく集めました。1989年4月の発足当初、203人に上りました。一つの町内会に年4万円の活動費も支給。健康教室や運動会を開催するなど、使い方は自由。草の根的に健康への意識が広がるように、いろいろな仕掛けを設けたのです。

 当時の厚生省から、「ヘルスパイオニアタウン」という補助金を受け、「健康づくり町民会議」といったワークショップも開催するなど、一定の下地はありました。私は涌谷町健康推進員協議会のサポーターという立場でした。保健師さんたちと、保健活動や地域包括医療については、何度も話し合いました。また地域健康推進員の活動に先立ち、皆で温泉に泊まり込みで合宿し、夜を徹しての話し合いなども行いました。地域健康推進員は、保健について専門的教育を受けたわけではありません。月1回は集まっていただき、保健師たちは、とても熱心に健康教室の開き方などを指導していました。

 当時の涌谷町は、30代後半から40代ぐらい、子育てが一段落するくらいの世代が結構多かったと思います。地域健康推進員は主に女性で、仕事を持っておられる方も少なくなかったですが、教員や農協職員をリタイアされた方など、いろいろな立場の方に関わっていただきました。3年目には300人にまで増えました。当時、見学に来た後輩からこう不思議がられたことがあります。

 「先生、僕には涌谷町の保健活動がなぜうまく行ってるのか、よく分かりません」

 私自身の感触ですが、病院では、24時間体制で救急医療を行い、何でも相談に乗るという医療を実践していました。「そんなにちゃんとやってくれてるんだったら、先生方には恩返ししないといけない」――。そんなギブ・アンド・テイクの信頼関係が住民との間に構築されていったのではないでしょうか。

 「私たちにできることがあるのなら」となり、住民の活動につながった。私が各町内会の健康教室に顔を出すと、「先生、お疲れのところ、わざわざ来てくださって」、「この前、父がお世話になりました」などとお礼を言われることが多かった。「先生、昼間の顔と違う」と、親近感を持って話しかけられたりもしました。

 お子さんの健康づくり、働き盛りのご主人のたばこやお酒の問題など、いろいろな問題を抱えておられる方が多かった。医療に対する考えも、すぐに薬に頼るなど依存的だったり――。地域健康推進員自身が、住民と同じ悩みを抱えていたりするので、皆が同じ目線で相談に応じていたのが、よかったのかもしれません。

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https://www.medwatch.jp/?p=25803
高収益病院は総じて増収傾向、低収益病院では大幅増益から大幅減益までバラつき―厚労省  
2019年4月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

病院の1施設当たり医療費は、2017年度には平均は27億2000万円で、前年度に比べて8400万円・3.2%増加した。ただし、収益の多い病院では総じて増収傾向にあるが、収益の少ない病院では、大幅増収となるケースから大幅減収となるケースまでバラつきが大きい―。

厚生労働省が3月28日に公表した2017年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収益のバラつき度合いは年々拡大傾向
厚生労働省は、「医療費の動向」(MEDIAS)を毎月公表し、医療機関1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。しかし、このデータは医療費÷医療機関数」で1施設当たりの数値を算出しており、医療機関の規模や状況を勘案したものとはなっていません。そこで医療機関の規模(病床数ではなく、「1施設当たりの医療費階級」)別に医療費の状況を分析し、「施設単位でみる医療費等の分布の状況」を示しています(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、2017年度の1施設当たり医療費は平均で27億2000万円となりました。2011年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり(▼11年度:23億4900万円→▼12年度:24億1600万円→▼13年度:24億6400万円→▼14年度:25億2200万円→▼15年度:26億円→▼16年度:26億3600万円▼→17年度:27億2000万円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています(▼11年度:37億3900万円→▼12年度:39億900万円→▼13年度:40億600万円→▼14年度:40億9800万円→▼15年度:42億8100万円→▼16年度:43億7100万円→▼17年度:45億3400億円)。

1施設当たり医療費は「病院の収入」と読み替えることができます。バラつきが大きくなっているということは、「収入の多い病院はより高収入となり、収入の少ない病院はより減少している」可能性が高い、つまり「地域における競争が激化している」と考えることができるでしょう。

平均在院日数の短縮が進み、その中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。そこで「より広範な地域からの新規患者獲得」を目指すことになりますが、すべての病院が同じ状況に置かれているため、地域での患者獲得競争が激化していくのです。

自院の等身大の姿を確認した上で、▼競合となる近隣の他院の状況▼全国における自院の状況▼地域での立ち位置(今後果たすべき機能)▼地域の患者動向―などを総合的に把握し、病床削減(ダウンサイジング)や統合・再編も視野に入れた経営戦略を練っていく必要があります。

 
また「1施設当たりの医療費階級」別に「1施設当たり医療費の伸び率」を見てみると、次のような傾向を伺うことができます。

▽1施設当たり医療費の少ない病院(つまり収益の少ない病院)では、医療費の伸び率に大きな幅がある

▽1施設当たり医療費の多い病院(つまり収益の多い病院)では、医療費伸び率の幅が小さく、かつ医療費伸び率が大きい
 
ここから次のような点が推測できます。

▽収益の少ない病院(医療費の少ない病院)では、大幅増収となっている病院もあれば、大幅減収となっている病院もある(伸び率の幅が大きい)。例えば、1施設当たり医療費が2億円未満の病院では、上位25%は医療費伸び率が8%近い(つまり8%近い増収)が、下位25%では医療費伸び率がマイナス6%を超えている(つまり6%超の減収)

▽収益の多い病院(医療費の多い病院)では、安定的に増収となっている(伸び率が高く、幅が小さい)。とくに1施設当たり医療費が70億円以上の病院では、下位25%であっても、医療費伸び率がプラス(つまり増収)になっている。

 
 入院と入院外に分けてみても同様の傾向にあります。とりわけ収入の少ない、小規模な病院では、地域における、いわば「勝ち負け」がさらに明確になってきており、経営戦略の見直しを急ぐ必要があります。例えば▼機能転換(比較的競争力の強い分野への機能集中など)▼近隣医療機関との再編・統合―などを真剣に考える時期に来ていると言え、とくに「公立病院」「公的病院等」においては、地域医療構想調整会議の議論も踏まえた経営戦略の見直しを考えることが重要でしょう(関連記事はこちらとこちらa>とこちらとこちらとこちら)。

 
さらに、機能別に病院の「1日当たり入院医療費」(患者単価)を見てみると、病院全体では2万6000円ですが、▼特定機能病院:7万4000円(前年度から4000円増)▼地域医療支援病院:5万9000円(同2000円増)▼DPC対象病院:5万円(同増減なし)▼それ以外の病院:2万3000円(同増減なし)—などとなっています。

また、▼特定機能病院では単価のバラつきが極めて小さい▼一般の非DPC病院でバラつきが大きい―などの特徴もあります。



https://www.asahi.com/articles/ASM4B71TXM4BULBJ01W.html
救急病院の半数、残業上限時間に対応出来ず 日医調査  
有料記事 姫野直行 2019年4月11日06時00分 朝日新聞

 日本医師会は10日、医師の働き方改革に関する緊急調査の結果を公表した。2024年度から罰則付きで勤務医に残業の上限規制が導入され、特例の一部の医療機関では年1860時間となる。だが今後5年の間に対応できるとした医療機関は約半数だった。

 調査は3月、救急病院など全国の4243施設に実施。41%の1739施設が答えた。このうち、地域医療の維持に必要とされる特例の対象になり得る821施設に、5年間に残業を1860時間以下にすることについて聞くと、できると答えたのは50%の408施設。ほぼ不可能、医師の半数程度は可能など、対応が困難としたのが計18%の150施設だった。

 特例が適用されると、次の業務までに9時間以上の休息を取るなどの健康確保措置が義務付けられる。このため、医師不足が加速すると心配されている。今回の調査で、大学から医師を引きあげられる恐れを聞くと、2次救急を担う1501施設のうち11%が救急医療が成り立たないほど、18%は相当程度縮小せざるをえない程度と答えた。

 横倉義武会長は「手段を講じな… (以降有料記事)



https://www.data-max.co.jp/article/28853
【統合医療の現状と課題】「病院完結型」医療から「地域完結型」医療へ CAMは予防医療の分野でも重要な役割を担う(中)  
2019年04月10日 09:00 Net IB News

がん拠点病院での免疫療法、厚労省が実態調査

 ただ、免疫療法と称されるもののなかには、有効性(治療効果)が科学的に証明されていない治療法がいまだに多く存在する。効果が明らかになっていない治療法は、当然保険診療として認められず、治療費は患者が全額支払う自由診療として行われている。これらのなかには商業主義で、高額な治療費を請求するケースもある。ネット上で広告されるがん専門クリニックなどでは、温熱療法やリンパ球療法のように効果が確認されていない療法があり、主にクリニックなどで自由診療として施行されている。

 その一方で、厚労省が注視しているのが、高度ながん治療を行う医療機関として国が指定する、がん診療拠点病院や地域がん診療病院で、科学的根拠が明確になっていない免疫療法が行われていた問題だ。報道によれば、一部のがん拠点病院では、「5回実施で157万円と公表している病院もある」(読売新聞)ことから、がん細胞の増殖を抑える免疫細胞を培養して体内に戻す活性化自己リンパ球療法が施行されていたと考えられるが、実態は定かではない。

 拠点病院などは2006年に成立した、がん対策基本法に基づき策定された「がん対策推進基本計画」の1つとして創設されたもの。18年4月1日現在の地域がん診療連携拠点病院は348施設。都道府県がん診療連携拠点病院は50施設。これに、がん診療連携拠点病院などを加えると現在434病院が指定されている。厚労省が事態を重く見たのは別の理由もある。拠点病院の指定を受けていた群馬大学病院で、10年から14年の間に、腹腔鏡による肝臓切除手術を受けた患者8人が相次いで死亡した事故を受けて、厚労省が、がん拠点病院の指定要件の見直しを進めているからだ。

 厚労省検討会の議論では、医療安全管理責任者の配置や、専従の医師・薬剤師らを医療安全管理部門へ配置させることを新要件に盛り込む方針が示されている。安全性が確認されていない治療法は、排除される方向にあり、要件見直しを進めるなかで、保険外診療の実態を探る狙いもある。

 厚労省が17年10月に実施した「保険適用外の免疫療法に関する実態調査」(対象:拠点病院など434施設)では、保険外の免疫療法を行っていたのは84施設で、うち79施設は保険診療を目指す臨床研究として行われていた。残り5施設は、個別の症例の適応などを考慮して医師の判断で行っていたが、このうち1施設は院内の倫理委員会の審査を行っていなかったという。

統合医療的治療の免疫学的評価を

 免疫療法は、がん治療の有望な手段と見られているが、がん治療にともなう副作用・合併症・後遺症による症状を軽減させる「支持療法」としても期待されている。

 18年3月9日に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」では、免疫療法の科学的根拠の形成に努めることや、免疫療法に関する適切な情報を患者や国民に届けるための情報提供のあり方を検討することが明記されるなど、免疫療法の確立と普及が推進計画の柱に据えられている。このため、一般のクリニックやがん拠点病院の違いに関わらず、治療手段に用いる際のルールや支持療法としての枠組みづくりを早急に整備する必要があるだろう。その前提には、科学的な評価法の確立が必須であることはいうまでもない。

 とくに、統合医療のなかで免疫療法を施行するケースでは、免疫学的エビデンスのしっかりした統合医療的治療法を選別して、これを既存のがん治療に組み合わせることが重要となる。統合医療という新たな集学的治療によって、がん治療の効果を高めていくためにも、がん患者の免疫学的モニタリングが不可欠となる。

 この点について、(一社)日本統合医療学会で免疫部会長を務める赤木純児医師(熊本県・玉名地域保健医療センター院長)は、「当学会は、統合医療的治療法を免疫学的に評価し、いかにすれば免疫力をさらに増強することができるかに最も熱心でなければならない立場にあるが、現状では統合医療的治療が実際に免疫を改善するというエビデンスを出していく体制が整っているとは言い難かった。統合医療の発展ばかりではなく、がん治療の成績向上のためにも、日本統合医療学会内に免疫部会を立ち上げて、統合医療的治療の免疫学的評価を行い、それに基づいてエビデンスのある統合医療的治療を既存のがん治療と組み合わせていくことは大変有意義なことだと考えている」と話す。

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(つづく)
【取材・文・構成:吉村 敏】



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/igakusei/report/201904/560514.html
2019年度から「総合診療専門研修」を開始
若手が総合診療を選ばない理由が見えた
 
2019/4/8 横田 雄也(岡山大学病院 総合内科・総合診療科) 日経メディカル Cadett.jp

横田雄也(よこたゆうや)氏:2017年、岡山大学医学部卒。岡山協立病院での初期研修を経て岡山大学病院総合内科・総合診療科に。総合診療専門研修プログラムを専攻。日本プライマリ・ケア連合学会所属で、中四国若手医師フェデレーション副代表を務める。第1回レジデンピック優勝チームのメンバーでもある。

 私は卒後3年目の医師です。学生時代から、患者を総合的に診療できるジェネラリストに憧れておりました。そして地域に根ざした中小規模病院で初期研修を行い、全人的に患者を診療する「総合診療医」になりたいと思いました。そこで、2019年度より日本専門医機構の総合診療専門研修プログラムで研修を始めております。

 総合診療専門研修プログラムでは、訪問診療や継続外来診療、総合診療部門を有する病院での病棟診療を行い、さらに救急科と小児科をローテートすることとなっています。臓器横断的に、地域のあらゆる患者を多角的に診療できる医師となることが目標とされています。私は将来、地域の中小規模病院で病棟医として働きながら家庭医療を実践し、地域のコミュニティ形成にも関わっていけるような総合診療医になりたいと考えております。

 しかし、総合診療専門研修に進むことを決断するまでには、様々な不安や葛藤がありました。そして、総合診療に進もうと考えている同年代の研修医の声を聞いてみて、「もしかしたら、同じように不安を感じる研修医が多いのではないか」ということに気が付きました。また、実際に研修を始めるに至って、なぜ若手医師が総合診療専門医を選ばないのかが見えてきました。日々尽力して総合診療部門の運営に頑張っておられるベテラン指導医の先生からすれば的外れな意見かもしれませんが、一研修医の考えを発信させてください。

総合診療専門研修の選択は「ハードルが高い」
 結論から言うと、2018年度よりスタートした総合診療専門研修プログラムは、現時点では専攻を決断するにはハードルが高過ぎると、個人的には感じます。

 日本専門医機構による新専門医制度は、「専門医の質を高め、良質な医療が提供されること」を目的として創設されました。そして、世界に類をみない超高齢化社会に突入している日本の医療を支えていく上で、全人的に診療できる医師の必要性が強調され、専門医制度の19番目の基本領域として「総合診療科」が新設されました。紆余曲折を経て、ようやく2018年度より新専門医制度研修がスタートしました。ですが、新専門医制度で目玉とされた総合診療専門研修を始めた専攻医は、全国で184人という結果でした1)。今年度も150人余と低迷しています。「他の領域と異なり運営を専門医機構の直轄としたために制度設計が遅れ、総合診療医像を明確に描くことができず、専門医となった後のキャリアを示せなかったことなどが影響したとみられる」との指摘1)もあり、まさにその通りだと思いました。

 かくいう私も、日本専門医機構の研修プログラムの応募が始まる数カ月前まで、総合診療専門研修プログラムに進まずに1~2年間ほどはトランジショナル・イヤー(Transitional year:専門研修に入る前のインターン期間)として初期研修病院に残り、プログラムに縛られずに自由に研修を積むことも考えました。無理に、何かの専門研修プログラムに乗る必要もないと考えていたためです。また、専門医資格を持たずとも、実際にジェネラリストとして非常に高いレベルで診療されている先生方をこの目で多く見てきたという事実もあります。

 そんな私が、最終的に総合診療専門研修に進むことを決めた理由の1つは、自分がこの専門研修プログラムにチャレンジし、修了後に総合診療専門医となることで、その医師像やキャリアパスを後輩達に明確に示すことができるのではないか、と思ったことです。

 また、自分はある程度、自律的に自学自習し成長できるタイプの研修医であると、初期研修の経験から自己分析していたので、まだ総合診療専門研修を終えた先輩医師がいない中でも、一定のレベルまで成長できるのではないかとも考えました。

 総合診療専門医の資格を持っておくことのメリットも考えました。それは、自分のことを知らない第三者からみて、その医師がどのような研修を積んできたのかを客観的に示すことができる点が挙げられます。そして研修を積むことで、ある一定レベルの能力を身に付けられる点が、総合診療専門研修に進む利点の1つと思います。

 また、専門医の資格を取った先にある総合診療医のキャリアパスも考えてみました。一言でいうなら、総合診療医のキャリアパスは多彩です。役割も、その医師が置かれている環境によって様々です。急性期病棟においては、医学的な問題にフォーカスした対応が求められることが多くなります。一方、診療所などで診療にあたる場合には、医学的側面だけでなく心理・社会的側面からのアプローチも必要とされることが多いと思います。

 後者については「心理・社会的にと言う前に、まずは医学的な対応ができるようになるべき」との意見もあります。個人的には、どれを優先して身に付けるべきとかいう話ではなく、いずれの視点も並行して持ちながらそれぞれの技術を養っていくことが重要だと思います。そして、それは実際に可能だと思います。

 皆さんご存知の生物心理社会モデル (Bio Psycho Social:BPS)は、生物的側面、心理的側面、社会的側面という3つの視点から、患者さんに接していくことを求めています。全人的に診療できる医師を育てることを目的としている総合診療専門研修プログラムでは、この3つのどれかに偏ることなく、満遍なく研修することができます。このことが総合診療専門研修へ進むことのもう1つの利点ではないでしょうか。

 ただ現状は、こうした利点が分かりにくく、実際にプログラムとしての質が担保されているかどうかが不透明であることも問題であるように感じます。総合診療専門研修を選択する際の「ハードルが高い」と考える理由です。

自ら作り上げないといけないキャリアパス
 また、キャリアパスの多様性が総合診療の強みであるのに、多様であるがゆえに、とらえどころのなさや分かりにくさが生じています。これも、総合診療の道へ進むことのハードルを高めている原因なのではないかと思いました。可能性を多く秘めている領域ではありますが、決められたレールがなく自由であるために、キャリアパスをそれぞれが自分自身で一から作り上げていかないといけない状況になっています。

 私は、医学生や研修医に向けて総合診療医としてのキャリア選択に必要な情報を発信している「総合診療医という選択」2)を参考にしています。日本プライマリ・ケア連合学会が運営しているウェブサイトで、情報にアクセスしやすく、総合診療の説明や総合診療医のキャリアパスを提示しています。自分のキャリアパスを描く際の判断材料になりますので、ご覧になってください。

 必ずしも総合診療に興味がある人が、自ら道を切り開いていく情熱とパワーを持った人とは限りません。総合診療へ興味を持ちながらも悩める医学生・研修医に対して、総合診療専門研修の先にあるキャリアパスを具体的に提示することが重要であると思います。

 ところが残念ながら、現時点での総合診療専門研修プログラムは、総合診療医像を明確に描くことができていません。また研修医の側からすれば、一定レベルの能力を身に付けることを担保できていることが見えにくく、総合診療専門医となった後のキャリアが示されていないことも不安要因になると感じます。「総合診療医を増やしたい」という目的の下、専門医の質を担保するために始まった総合診療専門研修であるにもかかわらず、先行きが不透明でリスクが高いように感じるプログラムでは、自ら進んで選択する研修医は少ないと思います。ともすれば、研修プログラムの指導医側も不安に感じている様子が見て取れ、なおさら専攻しようと考える研修医は少なくなるはずです。
安心して総合診療を志すことのできる専門研修プログラムへ
 好き好んでフロンティアに飛び込んでいこうとする変わり者や、チャレンジャーしか選ばない(選べない)ような専門研修プログラムでは、国が掲げる総合診療医の拡充は難しいでしょう。総合診療の道に進もうと考える若手医師が、大きな不安を抱えることなく、総合診療専門研修プログラムに進もうと思えるようなプログラムである必要があります。そのためには、研修プログラムに進むことで得られる経験や技術、専門医となった後のキャリアパスを明確に示す必要があります。これらが十分に示されることによって初めて、門戸の広い専門研修プログラムとして総合診療科を拡充していけるのではないでしょうか。

 まだ専門医制度として走り出したばかりの状態なので不安定な要素はあるかと思いますが、何より一番不安に感じているのは、当事者である若手医師です。私たち若手医師が少しでも声をあげることは、小さいようで大きな意味があるのではないでしょうか。
■参考記事
1)加納亜子.「特集◎走り出した新専門医制度《プロローグ》 新専門医制度、期待と不安の中で8400人が船出」
2)一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会。「総合診療医という選択」



https://www.m3.com/news/iryoishin/671078
2次救急病院の5割、大学の医師引き揚げ懸念
日医「働き方改革と救急医療」で緊急調査
 
レポート 2019年4月11日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 医師の働き方改革の影響で、大学が自院のため医師を引き揚げる――。日本医師会が行った緊急調査で、2次救急病院の56.6%がこうした懸念を抱いていることが分かった。日医常任理事の石川広己氏は「何年間かで現実にこういうことが起こったら大変なことになる。問題意識を持っている。大学の医局だけで集めて、他に派遣できないということのないようにしないといけない。専門医にも関係してくる。 5年間できっちり考えないといけない」と述べた。

 調査は3月4日から31日にかけて、インターネットで実施。回答数は2次救急医療機関等が3954施設中1568施設(39.7%)、3次救急医療機関、小児救命救急センター、周産期母子医療センターが計289施設中171施設(61.2%)で、総計4243施設中1739施設(41.0%)だった(「2次救急医療機関等」には上記いずれにも該当しないが、救急告示医療機関等である場合を含む)。

 「医師の労働時間規制や勤務間インターバルが導入されたとき、貴院に医師を派遣している大学が自院の医師充足のため、派遣医師を引き揚げる恐れはあるか」との質問に対し、2次救急医療機関(1501施設)のうち171施設が「当院の救急医療が成り立たないほど、医師の引き揚げがある恐れ」、267施設が「当院の救急医療を相当程度縮小せざるを得ない程度の恐れ」、412施設が「当院の救急医療に支障を来す程度の恐れ」とそれぞれ回答。合わせて56.6%の850施設に上った。人口30万人までの地域に立地し、当該地域に他の2次救急医療機関が0から3カ所のケース(411施設)に絞ると、それぞれ13%、18%、29%で計60%だった。救急車を年間1000台以上受け入れている3次救急医療機関ではそれぞれ4施設、20施設、35施設の計59施設で36.4%だった。

 救急部門の医師について、今後5年間に時間外労働時間を年960時間(月換算で80時間)以内にすることについては、2次救急(救急車年1000台未満、918施設)で70.9%の651施設が「おおむね可能、既に対応できている」と回答したが、2次救急(救急車年1000台以上、583施設)では48.4%、3次救急(162施設)では41.1%と半数を割った。

 他院との兼業の扱いは今後議論されることになるが、「他院での勤務も含め、今後5年間で時間外労働時間を年1860時間以下とすること」については、2次救急(救急車1000台以上、583施設)で「おおむね可能、既に対応できている」は305施設(52.3%)で、「医師の半数程度は可能」が54施設(9.3%)、「医師の3分の1程度は可能」が32施設(5.5%)、「ほぼ不可能」が37施設(6.3%)だった。

 タスク・シフティングについては、「どの業務をどのように委ねるか、十分な検討が必要」との回答が2次救急(救急車年1000台未満、918施設)の616施設(67.1%)をはじめとして全ての種別で半数を超えた。医師以外の職種についてはこの4月1日に働き方改革関連法が施行されており、石川氏は「他職種も業務過多になってしまうこともあり得る。現場では議論がまだまだ難しいと思っている」と述べた。

 4月1日から医師以外の職種について施行された働き方改革関連法で、最も課題が大きいと思われるものについて、「ほとんど影響はない」や未回答を除く630施設のうち34%が「時間外労働の上限規制(年360時間、月45時間」と回答。27%が「年次有給休暇の時季指定義務」、19%が「勤務間インターバル導入の努力義務」、15%が「正規職員と非正規職員の不合理な待遇差禁止」だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/670983
「医師の生産性、2040年までに7%以上改善」医療・福祉サービス改革プラン
根本厚労相、経済財政諮問会議で説明、プランは今夏に
 
レポート 2019年4月10日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 根本匠厚労相は4月10日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、2040年を展望し、本年夏を目途に「健康寿命延伸プラン」と「医療・福祉サービス改革プラン」を策定する方針を説明した。健康寿命については、2040年までに男女ともに2016年と比べて3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指す。医療・福祉分野の生産性は、少ない人手でも回るようにするため、全体として5%以上の改善を図る。

 この5%以上の改善は、2018年5月21日の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」に基づくマンパワーのシミュレーションでも打ち出されていたが、医師については「7%以上」の数値が新たに加わった。医師の働き方改革を念頭に置いた目標設定と見られる(資料は、内閣府のホームページ)。

 二つのプランは、(1)1億総活躍、(2)イノベーション、(3)社会保障の枠組みを超えた他分野との連携――という3つの視点で検討を進める方針。「健康寿命延伸については、ナッジの考え方など、個人の行動変容の視点を新たに取り入れていくとともに、特定健診とがん検診の同時実施など、好事例の横展開を進める。保険者インセンティブについては配点基準のメリハリ強化とともに、成果指標の導入拡大も検討する。医療・福祉サービス改革については、ロボット、AI、ICT等の活用を進める」(根本厚労相)。

 4人の民間議員は連名でこの日の経済財政諮問会議に、「新経済・財政再生計画の着実な推進に向けて~社会保障制度改革~」との資料を提出。その中で、第一に掲げたのが、「地域医療構想の実現等」だ。「消費税財源を活用し、病床のダウンサイジング支援を拡充すべき。地域によって進捗が遅れている要因の検証と成果につながる追加的方策を諮問会議に報告すべき」などと求めた。

 民間議員の一人は、「社会保障改革の問題は喫緊の課題だ。期限を区切ってスピード感をもって取り組むことが重要。とりわけ、地域医療構想の実現、次世代型医療サービスにおけるデジタル化を通じた生産性の向上が重要になる」と指摘。これを受け、根本厚労相は、経済財政諮問会議で次回、社会保障について議論する際に地域医療構想の進捗状況等を説明すると答えた。

 麻生太郎財務相は、「今後の社会保障を取り巻く環境を考えると、必要なサービスを効率的に提供していくことが重要な課題だ。本日議論になった過剰な病床の削減や調剤報酬などの公定価格の適正化、医療や介護の保険者向けのインセンティブ施策のメリハリ強化などをしっかり進めていく必要がある。こうした取り組みで、社会保障制度の持続性を確保するため、今後、給付と負担の見直しを含めた社会保障全般にわたる改革に取り組んでいかなければいけないと考えている」と発言した。

 経済財政諮問会議では、根本厚労相と民間議員による資料説明の後、出席議員と民間議員が議論を交わした。

 石田真敏総務相は、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めることが重要」と述べ、2020年度からの実現を目指すとした。「転職によって職場が変わっても、新たな保険証の発行を待たずに医療機関で受診できるとともに、過誤請求や保険者の未収金やなりすましの防止、高額医療費の限度額認定証の発行等の削減などの効果が期待される。また医療分野のデータの正確性、信頼性が向上することで、効果的な保健事業の実施などにも貢献できると考える」。

 世耕弘成経産相は、3月20日の未来投資会議で、「疾病・介護の予防・健康インセンティブ」をテーマに議論したことを紹介した(『「保険者へのインセンティブ強化で疾病予防」未来投資会議で安倍総理』を参照)。



https://www.m3.com/news/general/671033
大学無償化、今国会成立へ 衆院委で法案可決  
行政・政治 2019年4月11日 (木)配信共同通信社

 低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育機関の無償化を図る法案は10日の衆院文部科学委員会で、与党や国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。11日の衆院本会議でも可決、参院審議を経て今国会で成立する見通しとなった。

 法案は、消費税増税分を財源に、国や自治体が学生の授業料や入学金を減免するほか、生活費などに充当できる返済不要の「給付型奨学金」を支給する。対象は住民税非課税世帯とそれに準じる世帯で、夫婦と子ども2人(1人が大学生)の家庭の場合、年収380万円未満が目安になる。

 高校卒業から2年を過ぎた学生は対象外となり、停学や留年になれば支援は打ち切る。また進学先の大学などにも、理事や教員への外部人材活用や、情報公開の状況などに一定の要件を設ける。

 採決に先立つ質疑や討論では、立憲民主党の初鹿明博氏が「国が線引きをして支援対象を決めるべきではない」と批判。消費税増税分を使わず、ほかの安定財源を確保すべきだとの指摘も野党から上がった。

 衆院文科委では、一つの国立大学法人が複数校を傘下に収め運営できるようにする国立大学法人法改正案なども可決された。



https://www.m3.com/news/general/670660
医師の偏在問題新指標 意見交換 福井県医療審議会  
地域 2019年4月9日 (火)配信福井新聞

 福井県医療審議会がこのほど、福井市の県国際交流会館で開かれた。医師が都市部に集中する偏在問題で国が策定した新たな指標について意見交換。複数の市町がまとめて指定される「2次医療圏」をより細分化して医師の充足状況を把握するよう県に求めた。

 厚生労働省は、住民の年齢や性別から導き出される受診率、医師の年齢などから推定される労働量、患者の流出入状況などのデータを基に算出される医師偏在指標を策定。都道府県、2次医療圏ごとの暫定的なデータを2月に公表した。

 福井県の医師偏在指標は暫定値で全国25位となり、2次医療圏別では福井・坂井が医師の「多数区域」、奥越と丹南は「少数区域」とされた。会合では、事務局の県がこうした状況を説明。出席した委員からは「もう少し狭い地域で考えないと、地区の中でも偏在が出る」といった意見が出た。

 県は本年度、改正医療法に基づく医師確保計画を策定、2020年度からの具体的な取り組みにつなげる考え。



https://www.m3.com/news/general/670627
ネパールで医師がスト 配置転換の法案に抗議  
その他 2019年4月9日 (火)配信共同通信社

 【カトマンズDPA=共同】ネパールでは5日から、国立病院の医師らが公務員の配置転換を行う法案が可決したことに抗議しストライキを実施、8日までに患者数千人が診療などを受けられない事態となっている。救急患者を除き、一般の患者の受け入れが停止されている。

 1400人の国立病院医師からなる組織の責任者によると、法案により多くの医師らがネパール全土7州の病院に配置転換されるという。この結果医師としてのキャリアを積み、新しい技術を学ぶ機会が奪われるとして反対の声を上げている。



  1. 2019/04/14(日) 10:42:40|
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4月7日 

https://biz-journal.jp/2019/04/post_27229.html
ジャーナリズム
医師不足が深刻になる都道府県マップ…5年後、全国で2万人も不足に
 
文=山田 稔/ジャーナリスト
2019.04.01 Business Journal

 少子高齢化、人口減が進むなか、将来的な医師不足が大きな問題になっている。厚生労働省がこのほど、将来の地域の医師数を新たに試算した結果をまとめて公表した。医師の偏在を解消する目標年である2036年で見た場合、全国で約2万4000人の医師の不足が見込まれる。

 厚労省の試算データには、先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する三次医療圏(ほぼ都道府県単位)と、一般的な保健医療を提供する二次医療圏(県内をブロック分け)ごとの不足医師数が表記されている。それによると、36年に医師不足となっていないのは奈良県のみだった。

 二次医療圏の合計でみた都道府県別の医師不足上位10都道県は次の通り。

 愛知県2250人、埼玉県1563人、新潟県1540人、北海道1406人、茨城県1402人、千葉県1112人、群馬県1110人、静岡県995人、栃木県959人、東京都929人。

 厚労省は、現時点での都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」(推計)も明らかにした。医師数や医師の労働時間、人口などを基に算出した「医師偏在指標」の全国平均は238.3。この指標の下位33.3%未満の三次医療圏(都道府県)を「医師少数三次医療圏」(医師少数県)とした。

 医師少数県は全部で16県ある。下位から順番に並べると以下のようになる。

 岩手県、新潟県、青森県、福島県、埼玉県、茨城県、秋田県、山形県、静岡県、長野県、千葉県、岐阜県、群馬県、三重県、山口県、宮崎県。

 2つの指標を比較すると、現時点でも医師少数で、将来的にも医師不足が解消されない県は新潟県、埼玉県、茨城県、静岡県、千葉県、群馬県となる。一方、東京都は医師偏在指標が329.1で全国トップだが、36年には929人の医師不足となってしまう。

10万人当たりの医師数、看護師数、一般病院数の上位は西日本

 さまざまなデータを加味した医師偏在指標とは別の、都道府県別の単純な医療実態をみてみよう。

 まずは「人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数」(厚労省の医師・歯科医師・薬剤師調査=2016年)。

 全国平均は240.1人。多い順に、徳島県315.9人、京都府314.9人、高知県306.0人、東京都304.2人、岡山県300.4人となっている。近畿以西で全国平均を下回っているのは宮崎県のみ。西日本各県は270人を超える県が多い。

 一方、少ないのは、埼玉県160.1人、茨城県180.4人、千葉県189.9人、新潟県191.9人、岩手県193.8人の順。下位5県はすべて「医師少数県」に入っている。東北、関東圏に200人を切る県が目立つ。

 看護師数はどうか。

「人口10万人当たりの医療施設に従事する看護師・准看護師数」(厚労省の衛生行政報告例=2016年)によると、全国平均は953.3人。上位は高知県1574.8人、鹿児島県1535.4人、佐賀県1506.0人、長崎県1480.8人、熊本県1457.9人。九州と四国で上位を独占している。四国、九州は、沖縄県を除くすべての県が1100人を上回っている。

 下位は埼玉県665.4人、神奈川県666.8人、千葉県701.6人、茨城県740.9人、東京都748.0人となっている。

 もうひとつ、一般病院数をみてみよう。
「人口10万人当たり一般病院数」(厚労省の医療施設調査=2016年)によると、全国平均は5.8。多い順に、高知県16.5、鹿児島県13.1、徳島県12.9、大分県11.4、佐賀県・宮崎県11.2。病院数も四国、九州が上位を独占だ。

 病院数が少ないのは、神奈川県3.2、滋賀県3.5、愛知県3.8、埼玉県・千葉県4.0と続く。東京都も4.4で平均以下だ。人口の多い大都市圏や周辺部は、10万人当たりの病院数は少なくなる。

 10万人あたりの数値となると、どうしても高知県のように人口の少ない県が優位になりがちである。そこで、より実態に即すために医師の労働時間などを加味した「医師偏在指標」をつくったのだろう。

5年後の医師不足、診療科別では内科が1万4468人でトップ
 厚労省は医師不足の推計値について、診療科別のデータも公表した。24年、30年、36年の3段階の数値があるが、ここではもっとも近い5年後、24年の不足数をみてみよう。主な診療科別の数値は次の通り。

診療科、24年の必要医師数(A)、(A)と16年の医師数との差
内科、  12万7446人、1万4468人
小児科、 1万7813人、  1227人
皮膚科、  7999人、   -686人
精神科、 1万4919人、  -772人
外科、  3万4916人、  5831人
整形外科、2万4374人、  2345人
産婦人科、1万3624人、   992人
眼科、  1万2336人、  -388人
耳鼻咽喉科、8621人、   -554人
泌尿器科、 8599人、   1173人
脳神経外科、9789人、   2077人

 もっとも医師不足となるのが内科で、次いで外科、整形外科の順となっている。逆に、精神科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科の4科は現時点で5年後の必要医師数を超えている。なお、このデータに歯科医は入っていない。

 都道府県別、診療科別の医師不足の実態をみてきたが、目標年度の36年においても医師不足解消のめどは立っていないのが現状だ。不足の解消に何が必要なのだろうか。

 地方における医師不足、医師偏在の原因として、「研修医の都市部への集中」「都市部での開業医の増加」「診療科別の偏在」などが指摘されている。私立医大を中心とした入試不正問題で、入試が医局就職のステップになっているといった指摘もあった。大学病院による青田買いのようなことを放置していたら、問題解決にはほど遠い。過疎地域勤務医へのインセンティブ、医師が充足している地域から医師不足地域への派遣制度などの対策を早急に打ち立てていくべきだろう。

 一方で、患者側にも問題はないのか。不要な診療、救急要請などで医療現場の負担を重くしている面も見受けられる。医師の過重労働につながる問題だ。

 今回の「医師偏在指標」で、状況の可視化はできた。必要なのは、医師不足や偏在を解消するための効果的な具体策である。国は一日も早く、国民にわかりやすいかたちで提示すべきだ。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)



https://www.asahi.com/articles/ASM307TDKM30UBQU001.html
消化器外科を縮小、医師不足のため 姫路医療センター  
直井政夫 2019年4月1日09時00分 朝日新聞

 国立病院機構「姫路医療センター」(兵庫県姫路市本町)が、消化器外科の業務の縮小を決めた。3月25日に一部の外来患者に他の医療機関へ移るよう要請した。センターは「医師不足のため、対応できなくなった」としている。

勤務医の残業「一般並みに」 一部除き年960時間上限

 センターによると、消化器外科は12人の医師がいたが、3、4月に転勤などで5人の医師が退職して7人となり、補充もできなかったという。退職した医師が受け持っていた外来患者188人に対し、和田康雄院長名で、他の医療機関での受診などを求める通知を25日に郵送した。

 センターは引き続き、医師の派遣などで支援を受けている京都大などに医師の補充を求めるという。広報担当は「今後、大きな手術を続けられるかについても検討する」としている。

 センターでは、脳神経外科でも医師不足のため、2017年秋から手術をやめ、入院も受け入れていない。

 センターは27診療科があり、411床で、1日あたりの外来患者が約650人の地域の中核病院。(直井政夫)



https://www.m3.com/news/iryoishin/669255
シリーズ 日医代議員会
「医師確保、カギは地域・地元枠の活用」城守日医常任理事
第144回日医臨時代議員会、「医師偏在指標」への関心高く
 
2019年4月2日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、医学部の地域・地元枠出身の医師は地元定着率が高いことから有効に活用する必要性を指摘した。特に「地元出身者の地域枠」の医師では、地元枠の定着率が8割を超えているというデータも挙げ、地域医療対策協議会でその活用の在り方を十分に議論するよう求めた。

 医学部の臨時定員増が2021年度に期限が切れ、2022年度以降の在り方が注目される中、厚生労働省の医師需給分科会のこの3月の第4次中間取りまとめで、恒久定員の中にも一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示されたことも紹介した(『医師需給「第4次中間とりまとめ」承認』を参照)。

 医師不足対策について質問したのは、岩手県代議員の小原紀彰氏。関連で出た「医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい」との質問には、城守常任理事は今後の課題であるとし、日医副会長の今村聡氏は、支援の一環で今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたと説明した。

 この4月から、都道府県で医師確保計画の策定が始まり、2020年度から実行に移される。新たに導入された「医師偏在指標」、それに基づく医師確保対策への代議員の関心は高く、第144回臨時代議員会の計16の「代表質問」のうち、3つを占めた(他の質問については、『外来医師偏在指標「管理統制にあらず」松本日医常任理事』、『「医師養成数の増加、将来に深刻な影響」松本日医常任理事』を参照)。

医師確保対策に関する質問と答弁の概要

質問:岩手県代議員の小原紀彰氏
 岩手県の3次医療圏の医師偏在指標は全国最下位で169.3であり、最も高い東京都はその1.94倍(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。岩手県では地域枠の定員を順次拡充してきたものの、医師確保は喫緊の課題であることから、医師養成の一律の抑制ではなく、医師不足県においては(1)医学部定員数を減らさない、(2)地域枠存続――のほか、県境を越えた医師の配置調整にも取り組むことが必要だ。岩手医科大学は、定員130人で、そのうち地域枠は28人分、うち15人分は岩手県出身者が対象。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 2018年5月に公表された医師需給分科会の第3次中間取りまとめにおいて、全国レベルの医師需給推計結果が示された。医師の働き方改革により、年間の時間外・休日労働を960時間に制限することを前提とした場合、2028年に国全体では医師の需給は均衡するとしている。その上で、暫定的な方針として、2020年度、2021年度の医学部定員数は、2018年度の9419人をおおむね維持するする方針が示された。2022年度以降の医学部定員数については、医療計画や医師の働き方改革、医師偏在対策の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の適正化に向けて方針等を見直すとしている。
 しかし、これらはあくまで国全体の方針であり、必ずしも各地域や診療科での需給均衡を意味するものではない。2018年度の医学部定員9419人の定員のうち、臨時定員増による地域・地元枠は1010人に達している。地域・地元枠の医師は地域への定着率は高く、特に地元枠は、2次医療圏間や診療科間の偏在調整機能があり、地域への貢献がより期待できる。2021年度でこれら臨時定員増はいったん解消される予定だが、地域・地元枠医師の地域への貢献度の高さに鑑み、医師需給分科会の議論の中で実効性のある医師偏在対策を行っていくためには、臨時定員の見直しによって、地域・地元枠をなくすのではなく、恒久定員の中で確保するよう主張してきた。3月22日の第4次中間取りまとめでは、医学部の恒久定員内に一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示された。
 さらに2018年の医療法改正によって、各都道府県の地域医療対策協議会の協議を経た上で、知事から大学に対して、地域・地元枠の設置・増員について要請できる仕組みを構築することができた。
都道府県医師会においては、地域への貢献がより期待できる地域・地元枠医師が十分に活用されるよう、地域医療対策協議会で議論を尽くしてもらいたい。
 県境を越えた医師の配置調整については、国において、専門研修等の個別医師のキャリア等を可視化した全国データベースを構築し、地域医療支援センターが機動性を高めた上で、このデータベースを活用することが打ち出されている。この考え方は、日医が全国医学部長病院長会議とともに2015年12月に取りまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」によって提案された、「医師キャリア支援センター構想」を盛り込んだものだ。都道府県の地域医療対策協議会では、このデータベースを有効に活用し、派遣調整機能を発揮してもらいたい。
 日医としても、県間の調整が円滑に進むように、厚労省に適切に支援することを求めており、今後、都道府県が医師確保計画を作成するに当たって、国が示す予定である基本方針には、国が県間の調整を支えるための役割が明記されるよう、求めていく。
 なお、都道府県間の配置調整を検討する際、医師法に基づく医師の届け出票のデータを有効利用することも必要。日医の要請により、主たる勤務先に加え、従たる勤務先、つまり兼務先も記載することになった。日医総研のリサーチエッセイでも分析を行っている。日医として、医師が地域を超えて勤務している状況など、各種データを十分に活用した議論ができるよう、厚労省に求めていく。

質問:岡山県代議員の武田正彦氏
 過疎という問題が、医師の偏在に大きな影を投げかけている。医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 人口が少ない地域では、医師偏在指標は正確ではないと言われている。特に外来医師偏在指標については、僻地等は考慮に入っていないところもある。地域枠で入ってきたドクターでも、義務年限が終わると、県外に去っていくという話だが、地域枠と地元枠を組み合わせて、「地元出身者の地域枠」という形にすると、地元枠の定着率が8割を超えているので、そうした形での取り組みを地域医療対策協議会で検討していただければと思う。
 また僻地において、どんな形の医療提供体制を取るかだが、巡回診療などの体制が取れればいいが、できない場合は、インセンティブとしては、診療報酬は全国一律なので、何らかの財政的、税制的支援も政策的には必要になってくると思うので、この辺りは今後検討していく。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師需給分科会でも、そうした支援の必要性が強くうたわれている。日医から、医療事業の承継なども強く要望し、今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたのは、こうした支援の一環だ。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 長崎県は、医師多数区域。ただし、離島が多く、県内の格差が大きい。指標を今後、どのように活用していくかだが、医師過剰県では、他から医師を引っ張ってこないように、とされている。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 医師多数区域(都道府県)においては、他都道府県から医師を調整してもってくることは駄目であるという建て付けになっている。一方で、医師少数区域であっても、実施には機能している2次医療圏もあると思う。各先生には、2次医療圏で医師少数区域と認定しても、医療の実態として困っていることは何かを正確に分析して国に報告することをお願いしたい。実態とマクロの医師偏在指標との乖離のファクターとしてどんなものがあるかも見えてくる。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師多数県と医師少数県の話と、県内の2次医療圏の医師多数区域と医師少数区域の話が混同されがちだ。都道府県が医師確保計画を策定するに当たっては、都道府県内の医師少数区域の医師をどう確保するかが大前提。それを踏まえた上で、都道府県全体としての医師をどう確保するかという話になった時に、医師多数県と位置付けられている場合、積極的に外に向かって医師を確保することはしないという前提。例えば、もともと外の病院に行って、戻ってくることを前提にしている人に、そうしたことを働きかけてはいけないという話ではない。まず都道府県がやるべきことは、都道府県内の医師少数区域をなくす、標準的なところまで引き上げる計画をしっかり作る。その時に地域医療対策協議会が中心となるので、医師会の役割が大きい。

質問:栃木県代議員の稲野秀孝氏
 日本の人口10万人当たりの医師数は、約230人で諸外国と比べて少ない。また医師の働き方改革で、時間外労働上限の暫定特例水準が2035年度末まで延長することを考えると、日本の医師数が不足していることは間違いない。人口10万人当たり何人の医師を目標としているのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 従来、医師の偏在指標として、人口10万人当たり医師数が使用されてきた。しかし、この数字には、将来の人口の変動、患者流出入、地理的な要素、またドクターの性・年齢分布などの要素が欠けている。正確な医師偏在を表わす指標ではないという考えの下に、今回新たに医師偏在指標が提案された。
 その中で、(マクロの)医師の供給推計と需要推計が34万人辺りで均衡するのは、2028年という形になっている。現在の計算式、数値は、三師調査と医師の勤務実態の厚労科研の調査などを用いている。今後の医師の働き方改革の詳細な設計によって医師の推計値は異なってくる。2036年度の必要医師数の推計値の精度を、国としても高めていく。2036年度には、全国値と各都道府県の医療圏ごとの偏在指標が合致する、つまり医師偏在が解消されることになっている。

質問:兵庫県代議員の坂本泰三氏
 地域・地元枠を作ると、入試の際の合格点が変わり、その点が問題になる。地域・地元枠を作った場合、事前に公表していたら問題はないのか。合格者を出した後に、地域・地元枠に割り振ると問題なのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 地域・地元枠を各都道府県、各大学がどのように設定していたかだろうが、実は文科省が調査をしたところ、受験をする前の段階で分ける別枠方式で採っている場合、あるいは一般枠と同様に受験し、後から決める手挙げ方式があった。今後、厚労省、文科省は、手挙げ方式は原則認めず、別枠方式とし、地域・地元枠の意義を学生に理解して、受験、入学してもらう建て付けになっている。



https://www.asahi.com/articles/DA3S13965233.html
(社説)医師の働き方 偏在対策にも踏み込め  
2019年4月5日05時00分 朝日新聞

 医療機関の勤務医に24年度から適用される残業時間の規制案がまとまった。

 一般の勤務医は過労死の労災認定の目安である「過労死ライン」を上回らない月100時間未満、年960時間を上限とする。ただし、地域医療のためにやむを得ない場合と、研修医や専門医をめざす医師など技能向上のために集中的な診療が必要な場合には、特例で年1860時間まで認める。

 「過労死ライン」の2倍近い残業を認めることに対し、厚生労働省の検討会では「非常識な数字」といった批判も出た。しかし一律に残業を制限すれば、地域で医療を受けられない患者が出かねないという医療関係者の声に配慮した。

 忘れてならないのは、本来改めるべきは、勤務医の過重労働に依存する、そうした地域医療の現状の方だということだ。

 最大の課題は、地域の医師不足などの構造的な問題である。その解消に本気で取り組み、特例なしで成り立つ地域医療を早期に実現しなければならない。

 厚労省は従来、研修医などの特例は将来的に縮減し、地域医療確保のための特例は35年度末を目標に終了するとしていた。しかし最終段階で「35年度目途に廃止することについて検討」との表現に後退した。

 35年度末という目標は、厚労省が進める地域の医療提供体制の見直しや医師偏在是正対策が前提だ。それなのに、こんなあいまいな表現しかできないのでは、自らその実現性に疑問符をつけたようなものではないか。医療機関の集約化や地域・診療科ごとの医師の偏在是正が思うように進まなければ、特例もずるずると続く。そんなことは許されない。

 医療現場ではこれまで、労働時間がきちんと管理されておらず、議論の前提となるデータも十分ではなかった。

 厚労省は今後、医療機関の業務の効率化や勤務環境改善への支援、労働時間などの実態把握に乗り出すという。そうした施策も踏まえ、特例で認める残業時間を適宜短くするべきだ。

 特例の対象となる医師の健康を守るため、連続勤務を28時間以下にする、次の勤務までに9時間の休息を確保する、残業が月100時間以上になる場合は産業医らが面接指導することなどを医療機関に義務付ける。

 疲労の状況を客観的にどうチェックするのか。ドクターストップがかかった場合に代わりの医師をどう確保するのか。実効性のある仕組み作りも課題だ。

 医療現場で働く人たちを守るために、必要があればさらに踏み込んだ施策を考える。それが厚労省の責任だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25709
医療計画中間見直しに向け、2019年中に指標追加などの見直し方向を固める―医療計画見直し検討会  
2019年4月2日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2021年度の医療計画見直しに向けて、今年(2019年)中に見直し事項を固め、来年度(2020年度)いっぱいをかけて都道府県で見直し作業を固めることとする―。

 3月29日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういったスケジュール等が確認されました。
 
ここがポイント!
1 2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業
2 在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業

 2018年度から、新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしています。

 2014年施行の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、▼地域包括ケアシステムの構築▼病院・病床の機能分化・連携の推進―が極めて重要な課題であることが再確認され、医療・介護連携を進めるために、従前の「5年を1期とする」計画から「6年を1期とする」計画に改めるとともに、介護保険事業(支援)計画(3年を1期とする。2018年度から第7期計画がスタート)と歩調を合わせることとなりました。

もっとも6年間は長期間であり、その間に地域医療を取り巻く状況も大きく変化すると考えられることから、「3年後」(第7期計画では2021年度)に中間見直しを行うこととなっています。

2021年度に中間見直しを行う(見直し後の指標等に沿って計画等を進める)ためには、▼2020年度に各都道府県で見直し作業を進める → ▼2019年度中に見直し事項等を固める―必要があります。このため、厚生労働省は3月29日の会合で「2019年中(2019年12月まで)に検討会の意見を取りまとめる」考えを提示し、了承されました。

もっとも「中間見直し」において、それほど大きな見直しをすることは好ましくありません。医療計画では、5疾病5事業および在宅医療の各項目について、いくつかの指標を定めます(全国統一指標に加えて、都道府県が独自の指標を一部定めることも可能)。各都道府県は、その指標に基づいて自地域(都道府県および2次医療圏)の状況を確認し、必要な対策を打っていきます。

たとえば5疾病のうち「がん」対策については、例えば▼がん診療連携拠点病院数(ストラクチャー指標)▼末期がん患者へ在宅医療を提供する医療機関数(同)▼がん検診受診率(プロセス指標)▼がん患者指導の実施件数(同)▼緩和ケア(入院・外来)の実施件数(同)▼がん性疼痛緩和の実施件数(同)▼がん年齢調整罹患率(アウトカム指標)▼がん患者の年齢調整(同)―などが重点指標に据えられており、ほかに▼がん認定看護師を配置しているがん診療連携拠点病院割合(ストラクチャー指標)▼診療ガイドラインに基づく治療実施割合(プロセス評価)▼がん診療連携拠点病院の5年生存率(アウトカム評価)―なども指標となっています。

これらに基づいて、各都道府県では医療計画の中に、例えば「がん患者指導の実施件数」について「2023年度に年間●●件を目指す」などの目標を立てるとともに、達成に向けた施策とその実施方法などを定め、実施していくことになります。

中間見直し時点で、こうした指標を大幅に見直せば「医療計画の前提が崩れ、これまでの取り組みが水泡に帰してしまう」こともありうるため、厚労省では「中間見直しでは、指標の追加等の小幅見直しにとどめる」考えです(関連記事はこちら)。

具体的には、これまで(2018年度の1年度分)の取り組み状況、検討会(例えば「がん対策推進協議会」など)やワーキンググループ(地域医療構想、在宅・医療介護連携)などの下部組織の検討状況などを踏まえて、「指標の追加」などを検討します。

この点に関連し尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は、「第7次医療計画からは、医療・介護連携の強化に向けた大きな見直しが行われた。中間見直しに当たっては、介護保険事業(支援)計画との整合性についても重視すべきである」旨を要請しています。

在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

また3月29日の検討会では、医療計画に関連の深い▼医師偏在対策(医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の第4次中間とりまとめ)▼地域医療構想の実現▼在宅医療の充実―に関する報告等も行われました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

このうち「地域医療構想の実現」に向けては、下部組織である地域医療構想に関するワーキンググループで、地域の医療機関の診療実績を勘案し「公立病院・公的病院等の改革プラン内容」を検証する方向が示されるとともに、厚労省で診療実績データに関する分析を進めることとなっています。3月29日の検討会ではこの方向を正式に了承しており、厚労省は急ピッチで各地域の医療状況の分析を進めます(関連記事はこちらとこちら)。

また在宅医療の充実に関しては、地域医療構想の実現に伴って生じる新たな在宅医療ニーズ(例えば「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を在宅等に移行することとなっている)に応えるために、都道府県が市町村の取り組み支援していく方針が示されています(関連記事はこちらとこちら)。

この点、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)から「杓子定規な対応はすべきでない」旨の指摘がありました。例えば、上記で言えば、「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を、在宅医療や介護施設等で受け入れることになりますが、都道府県・市町村によっては「在宅医療の整備が思うように進まない」「介護医療院への転換が進まない」ところもあるでしょう。こうした患者を「療養病棟に入院することはできません。在宅医療の整備はまだですが、頑張って在宅で生活してください」などと放り出すことはできないことから、城守構成員は「一定の柔軟性を認めるべき」と訴えているのです。厚労省では、こうした指摘も踏まえながら、都道府県や市町村の在宅医療推進をサポートしていくことになります。
 


https://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20190402/CK2019040202000229.html
【開院】 地域医療のモデルへ 富山まちなか病院  
2019年4月2日 中日新聞 富山

 富山市が新たに運営する「富山まちなか病院」(旧富山逓信病院)が一日、開院し、開院式が同市鹿島町の同病院で開かれた。

 まちなか病院は、市が日本郵政から逓信病院の事業を引き継いで運営。将来的に在宅医療や回復期医療の提供を基本とし、高度専門医療や急性期医療を強みとする市民病院(同市今泉北部町)と機能を分けることで中心市街地に医療拠点を維持し、住み慣れた地域で市民が医療サービスを受けられる地域完結型医療を目指す。

 式には、市の関係者や病院スタッフ三十人が出席。森雅志市長は他医療機関との連携を強化して「全国から注目される新たな富山市型の医療モデルへ」とあいさつ。樋上義伸院長は「地域包括ケアの核として成果を出し、市民がいつまでも健康に暮らせる豊かな社会に貢献したい」と誓った。

 診療科は逓信病院と同じ内科、外科、整形外科、婦人科、眼科で、一般病床は五十床を設置する。 (柘原由紀)



https://tanba.jp/2019/04/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%94%AF%E3%81%8884%E5%B9%B4%E3%80%80%E3%80%8C%E6%9F%8F%E5%8E%9F%E8%B5%A4%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%97%85%E9%99%A2%E3%80%8D%E3%81%8C%E9%96%89%E9%99%A2%E3%80%80%E7%97%85/
地域医療支え84年 「柏原赤十字病院」が閉院 病院ボランティアに感謝状/兵庫・丹波市  
2019年4月3日 丹波新聞

 兵庫県丹波市柏原町柏原の「柏原赤十字病院」で3月29日、閉院式が行われた。前身病院を含め明治時代から地域密着型の医療を提供してきた同病院。関係者50人ほどが出席し、「84年の軌跡」を振り返るスライドショーが上映され、慣れ親しんだ病院の閉院を惜しんだ。今夏、柏原赤十字病院と県立柏原病院(同市柏原町柏原)が統合移転し、同県丹波市氷上町石生に新病院が開院する。

前身病院は明治30年開院

 同病院は、明治30年に開院した氷上郡立柏原病院が前身。明治41年に財政上の理由で柏原町に移管され、昭和10年に日本赤十字社兵庫支部柏原診療院となった。当時は病床30床、職員25人だった。

 患者が増え昭和17年に増築、日赤兵庫県支部柏原病院となり、後に柏原赤十字病院と改称した。200床を超えた時代もあったが、閉院時は59床、職員数は約120人だった。

「赤十字精神、新病院へ」

 閉院式で、2017年4月から、県立柏原病院と兼務で16代目の柏原赤十字病院長を務めてきた秋田穂束氏は「私自身、日本赤十字社の地域社会への奉仕に対する真摯な取り組みなど、非常に感銘を受けながら学ばせていただいた。柏原赤十字病院は閉院するが、赤十字精神を受け継ぎながら、新施設でも地域社会に貢献していくものと確信している」などとあいさつした。

 また、日本赤十字社長の代理で、同社医療事業推進本部統括副本部長の矢野真氏は「84年に渡る歴史に幕を下ろすのは残念だが、地域住民のための医療を続けてきたことを誇りに思う」と述べた。

 丹波市の谷口進一市長は「日赤がなくなるのは寂しいが、(新しく開院する)市健康センターミルネにその機能がしっかりと引き継がれる。地域に根付いた日赤の精神はそこでより大きく育まれていくと思う」とあいさつした。

病院支えたボランティア「旅立ちは希望。新病院でも継続を」

 前日の28日には、同病院を支えた「病院ボランティア」への感謝状贈呈式があった。急激な医師減少による病棟縮小が行われた2008年に始まった「病院ボランティア」は、来院する患者のサポートや、清掃、洗濯、夏祭りやクリスマスなど季節のイベントの手伝い、伝票運びなどを担った。感謝状贈呈式には対象者23人中18人が出席し、感謝状を受け取った。

 他病院で行われている活動を参考に立ち上げを提案した元丹波市連合婦人会長で、氷上郡(現丹波市)時代から日赤奉仕団の委員長を務めた荻野美代子さん(83)は、「私たちにできることをと始めた。家族も自分もお世話になった一番身近な病院」と言い、30年以上ドライフラワーを贈り続けた川上朋子さん(81)は、「職員の息子が交換してくれるので年に6回ほど新作を渡していた。喜んでもらえていたのなら幸い」と話した。

 式典に出席したリハビリ科長で理学療法士の石原直幸さん(56)と井上恭子看護師長は、ともに同病院勤続30年超。「細かいことに良く気づいてもらった」「手が回らないところを助けてもらった」と感謝。閉院について石原さんは「職員は仲が良く、いい病院だった。寂しい」と言い、井上さんは、「とうとうこの日が来てしまったという思い。寂しいが私たちがやってきたことを新病院に引き継ぎたい」と前を向いた。

 雛倉恵美看護部長は、「看護師が全然足りないなかで、患者の側で助けてもらった。みなさんに来てもらって、地域とつながった気がした。今日までありがとう」と涙ながらに謝辞を述べた。

 ボランティア代表の増南文子さん(71)は、「長い柏原日赤のわずかの期間だが病院と共にあった。別れ、旅立ちは希望。たくさんの希望を持ち新病院でもボランティア継続を」と締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/669007
シリーズ 日医代議員会
「公立・公的病院、代替・再編の可能性を議論」中川日医副会長
第144回日医臨時代議員会、「地域医療構想、働き方改革、新専門医制は一体」
 
2019年4月1日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、「他の医療機関による役割の代替可能性」「再編統合の可能性」がある公立・公的医療機関等について、期限を切って地域医療構想調整会議で議論する仕組みが今後導入されると説明した。

 さらに地域医療構想の実現に向けて、公立医療機関を有する地方自治体の首長が調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを防ぐ手立てのほか、公立・公的医療機関等への補助金等の投入状況の「見える化」も検討しているとし、公立・公的等と民間の医療機関が役割分担しながら、地域医療構想の実現を目指す方針を表明した。


日医副会長の中川俊男氏
 地域医療構想において、公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、その役割を明確化し、2019年3月末までに調整会議の合意を得るとされていた。ただし、形式的な合意で終わるケースが少なくないことから、新たな仕組みの導入につながった。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論を踏まえたもので、同省は具体的作業を進めている(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)。「例えば、『民間と、公立・公的が競合している』『公立・公的しかない』『民間しかない』などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい」。

 中川氏はその他、調整会議で医療機能に関する「定量的な基準」を導入する動きがある中、「病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握するだけのことだ」と説明。

 地域医療構想との関連で、都道府県別の診療報酬の導入も浮上するものの、現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」(高確法)の下では導入のハードルは高い上に、「両者の関連はないと認識してもらいたい」と説明。ただし、「高確法を改正して、都道府県別の医療費抑制を狙う人達もいる」と述べ、注視していくとした。

 さらに地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、努めていく方針も表明した。

 地域医療構想について質問したのは、三重県代議員の馬岡晋氏。それに対し、日医常任理事の釜萢敏氏が答弁した後、関連質問が相次ぎ、中川副会長が回答した。

地域医療構想に関する質問と答弁の概要

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 (1)1年ごとの地域医療構想の策定、厚生労働省への報告は変更を検討できないか、(2)医療区分1の在宅への移行は、各地域に自由に設定させることは考えられないか、(3)病床区分における基本ルールの策定の是非の検討を含め、地域医療構想調整会議の活性化に取り組む意思は日医執行部にあるか――の3点を質問。

答弁:日医常任理事の釜萢敏氏
 調整会議では、年4回会議を行うことが示されている。協議内容は、地域の不足する医療機能の確認、それを補うための具体策、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用などになる。こうした年間スケジュールを毎年繰り返すことで、各地域における病床の機能の構成が、自主的に収れんされ、地域医療構想で描いた姿に近付くことになる。
 調整会議は、定期開催と随時開催ができるよう、地域医療構想策定ガイドラインに記載されている。コアメンバーによる随時会議をあらかじめ行い、論点を整理するなど、医療職以外の委員の負担を軽減し、会議の効率を高めるようにしてもらいたい。2025年を見据え、議論を掘り下げていくことも必要。都道府県が短期的な目標のみならず、中期目標などを設定できるよう、国に働きかけていく。
 「医療区分1の70%」は、各地域において病床機能の分化により、在宅医療の追加的需要がどれだけ発生するか、その一つの目安にすぎず、それに縛られる必要はない。それから得られる数値は参考値にすぎない。病床の削減、在宅への移行を強いるものではない。高齢化に伴う在宅医療の需要の自然増にも対応しなければいけない。地域の実情に応じて、実現可能な方法で体制を構築していくことになるが、在宅での受け入れは、かかりつけ医の確保にかかっている。中小病院や診療所の医師偏在解消、在宅医療を担う医師の育成、介護施設の整備など、基盤が整って初めて在宅での受け入れが可能となる。これらの現状を確認し、地域の自主性をもって在宅医療を進めることになっている。
 病床の区分割り当てに関する各都道府県独自の判断基準の作成とは、昨年厚労省が通知で示した、地域医療構想調整会議の活性化のための地域の実情に応じた定量的な基準のことだと思う。都道府県独自の基準が診療報酬の都道府県化につながることを懸念しているが、そのようなことを決してない。日医は、国民皆保険の理念に合致しない、都道府県別診療報酬算定には断固反対する。
 日医は、急性期機能を全く発揮していないのに、急性期機能の病棟と報告するような極端な場合を除き、全国一律の定量的な基準を入れることにあまり意味がないと、一貫して主張してきた。この考え方は、厚労省からも了承されている。地域の実情に応じた定量的な基準は、厚労省が通知で説明している通り、調整会議の議論を活性化させる観点のもの。あくまでも各構想区域の実態を把握するツールであり、必ずしも導入しなければいけないものではない。
 最後に、公立・公的医療機関等は、「それらでなければ担えない機能」に重点化すべきである。一方、これらのプランがさしたる議論もないまま、調整会議で合意される実態もあると聞いている。日医は、その点を公の場で厳しく指摘してきた。その結果、厚労省も調整会議に対し、病床数に固執した機械的、形骸化した議論ではなく、公立・公的医療機関等の実績をしっかりと分析評価し、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向。

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 調整会議の本質は、今まで中川副会長が何度も言われていたが、地域医療の再生、在宅医療の充実に向けて、いかに皆で手を携えるかという観点であり、住民全員を巻き込んだ議論をしなければいけないと思う。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は、ガイドラインの策定時から、定例会議と臨時会議に分け、地域住民も含めて大きな会議(定例会議)では、その構想区域のデータを共有する。しかし、踏み込んだ議論はたくさんの人が参加する会議では難しいので、利害関係者も含めて、(臨時会議で)しっかりと議論することから始まる。その使い分けを上手にやっていただきたい。
 また「定量的な基準」のことだが、2018年8月に(厚労省医政局)地域医療計画課から課長通知が出されたのは、当時、全国の構想区域で「回復期機能が不足している」ということが頻発したので、それに対して危機感を持ったため。独自の定量的基準を導入して、しっかり実情を把握してもらいたいという意味だ。その結果、全国で次第に回復期が不足しているという認識が改められてきたと思う。「定量的な基準」を導入する目的は、病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握する、それだけのことだ。

質問:岐阜県代議員の川出靖彦氏
 一番、今問題になっているのは、新専門医制度が始まり、医師が急激に不足しつつあること。中小病院では、医師の引き揚げが起きている。医師の働き方改革でも医師の不足が生じる。医師の確保と医師の働き方改革も、調整会議で議論してもらいたいが、これらを把握、評価するためのデータはない。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 医師がどのくらい必要なのかという把握が難しい状態。三師調査では、今回から「主たる勤務先」と「従たる勤務先」の両方を書くようにした。「従たる勤務先」で何日間働いているかも含めて、分析を始めている。精緻なことを始めているので、ぜひご提供したい。地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、しっかりと詰めていきたい。

質問:宮城県代議員の橋本省氏
 釜萢常任理事は「都道府県別の診療報酬にはつながらない」と回答したが、地域医療構想、現状には都道府県による差が大きい。そのような状況下だと何が出てくるか分からない。奈良県では昨年、都道府県別の診療報酬が出た(『地域別診療報酬の検討、奈良県が事実上凍結』を参照)。本当に大丈夫か。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 都道府県別診療報酬の特例に関する根拠法は、高齢者の医療の確保に関する法律、すなわち高確法だ。その中で、関係しているのは第13条と第14条だ。「第13条に基づいて都道府県が診療報酬の特例を要望して、第14条で厚労大臣が許可する」と考えている方も多いが、それは誤解。第13条は、都道府県が全国一律の診療報酬について、意見を提出することができるというだけの条文。一方、第14条は、厚生労働大臣が、医療費適正化を推進するために支障がある、都道府県別の診療報酬を導入した方がいいと判断した時に、実行ができる。厚生労働大臣の判断の基準は、全国の医療費適正化計画がうまく行っているかどうかだ。全国と都道府県の計画目標の両方がうまく行かない時に、初めて都道府県別の診療報酬導入の可能性が出てくる。
 この法律は、非常に精緻になっており、都道府県間の給付に不公平になってはいけないとまで書いている。実質的に導入は不可能。このことも認識して、地域医療構想と都道府県別の診療報酬の関連はないと認識してもらいたい。
 しかし、問題は、高確法を改正して、都道府県別まで医療費抑制を狙う人達もいる。日医は、しっかりと警戒して、注視していく。

質問:愛媛県代議員の久野梧郎氏
 民間に先立ち、公立・公的医療機関等の病床の議論が進んでいる。休床になっていることが多々ある。人口が減少する地域では、隣接地域の中間に基幹病院を作った方がいい場合もある。公立・公的医療機関等の問題は、調整会議のみに任せるのではなく、もう少し国として指導力を発揮してもいいのではないか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は法律上、強大な権限を持っているが、なかなか機能しにくいのはその通りだ。なぜ公立・公的医療機関を問題にするかだが、公立・公的医療機関と、民間病院の機能が競合する場合には、公立・公的医療機関がひくという文書が厚労省から出ている。公立病院には年間5000億円以上の税金が投入されているからだ。公的医療機関も県によって違うが、補助金や税制優遇など、いろいろな形で支援をしている。
 (厚労省の)地域医療構想に関するワーキンググループで、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、全国の調整会議で「合意された」とされるが、ほとんどさしたる議論もなかった。それを検証し直すことにした。例えば、一般的な術式の手術について、競合していないかどうかを類型化して、そのデータを構想区域に返すことにした。
 さらにもっと踏み込み、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」という名前を付けて分類し、そのことを調整会議で調整して、期限を切って結論を出すことにした。
 「他の医療機関と再編統合の必要性について、特に議論が必要な公立・公的医療機関等」という分類も行い、これについても期限を切って議論し、方策を得ることになっている。
 さらに大事なことは、補助金が公立・公的医療機関等にどのくらい入っているのか、トータルの額は分かるが、内容は全く分からない。それを「見える化」することも考えている。公立医療機関を有する地方自治体の首長が、調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを何とか防ぐ手立てを考えようとまで踏み込んでいる。

質問:兵庫県代議員の大江与喜子氏
 「新公立病院改革プラン」等の合意だが、3月末までに合意しないと、補助金が減額されるという脅しがあり、あまり議論しなかった経緯がある。また公立病院等の医師は、地域医療構想をほとんど理解せず、勝手に自分たちが作りたい病院を作っているという姿勢がある。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 日医は、公立・公的医療機関等に対する何のうらみも持っていない。地域医療構想を進めていくのは、東京都や大阪府といった地域を除いて、ほとんど病床が間違いなく余ってくるからだ。その最初の役割、ダウンサイジングする、統廃合する役割は、公立・公的医療機関等が担うべきだと一貫して主張している。また基金等を減額することがないよう、厚労省に厳しく言っている。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 公立・公的医療機関等しか担えないような機能を担っているかを判断するとされているが、それは誰が判断するのか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 法的には地域医療構想調整会議が判断する。ただ判断すると言っても、基準がないと判断できない。先ほど言ったように、類型を作り、例えば「民間と、公立・公的が競合している」「公立・公的しかない」「民間しかない」などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668858
シリーズ 日医代議員会
「平成の次の時代の医療、構築は我々の責任」横倉日医会長
第144回日医臨時代議員会、23のサブスペ「見直すよう要望」
 
2019年3月31日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月31日の第144回日医臨時代議員会で、「平成の次の時代の医療制度を、医師と患者・国民との信頼関係の上に、持続可能なものとして築き上げていくことは、未来に対する我々の責任」との決意を表明した。

 「かかりつけ医の心」を全国の医師が涵養した上で、地域医療構想を通じた医療機能の分化・連携等の促進をはじめ、5つの取り組みを高度に相関させながら、人生100年時代に即した医療の在り方を模索する方針。高齢社会のネガティブなイメージを払拭し、一元的に捉えられてきた健康概念を、個々人の価値観に即した多元的なものへと提言していく構えだ。

 横倉会長が挙げた5つの取り組みとは、地域医療構想のほか、▽医師確保対策を通じた医療資源の地域間格差の是正、▽医師の働き方改革を通じた医師の健康確保と地域医療を支える各医療機関の継続性の両立、▽医師の養成を通じた医療の質の向上と医師偏在の是正、▽地域包括ケアシステムを通じた切れ目のない医療・介護提供体制の構築――だ。

 直近の話題として、新専門医制度にも言及。同制度は、プロフェッショナル・オートノミーが基本であることを指摘した上で、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「23のサブスペシャルティ領域を見直すことを要望した」ことを紹介。「新専門医制度は、国民にとって分かりやすい制度にすることが目的。しかし、23領域を見ると、領域の一部が重なっているなど、国民に分かりにくい部分があるという危惧を覚える」(横倉会長)。「制度設計に当たっての混乱は、国の関与を強める結果にもなりかねない」との懸念を呈し、「丁寧な議論を基に、目的にかなった早期の制度実現に向けて、日医は引き続き、日本専門医機構を支援していく」との方針を示した。

 「グランドデザイン2030」策定を説明
 横倉会長は、まず「国民生活にとって欠かせない医療は、いつの時代も政治に大きく影響されてきた」と述べ、4月の統一地方選挙、7月に予定されている参議院選挙を控え、「医療政策を政治家の方々にも十分ご理解していただく必要がある」と指摘。その考えの下、日医総研が新たな「グランドデザイン2030」をまとめたと説明した(『「日本の医療のグランドデザイン2030」、日医総研まとめる』を参照)。具体的な提言と行動計画については、今後、日医総研のワーキングペーパー等を通じて公表する予定であり、その中から、高齢化する日本社会全体の活性化につながるようなものを選択し、日本医師会の政策に取り入れていく方針。

 医師偏在指標「数字が独り歩きしないように」
 具体的施策として、この4月から都道府県による医師確保計画の策定が始まることから、「医師偏在指標の数字が独り歩きしないよう注視しつつ、医師偏在対策の実効性の確保に寄与していく」とした。

 地域での医師確保対策は、地域医療構想や医師の働き方改革の議論とも密接に関係するとし、3月28日の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の取りまとめについては、次のように解説。「過度な長時間労働で地域医療を支えてきた医師達の健康管理、労働環境の改善等について議論されるとともに、地域医療への影響を考慮した暫定特例水準のほか、臨床研修医や専攻医など、一定期間集中的に技能向上に務める際の水準も示された。これらの水準はいずれも要件に適合する医療機関や、希望する医師にのみ適用される」。「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」の両立を訴えてきたとし、引き続き、勤務医の健康確保に向けた医療機関の取り組みを支援しつつ、地域の実情に柔軟に対応可能な制度設計に寄与していくとした。

 医師の働き方改革実現のほか、良質な医療提供のためにも、医療におけるAI(人工知能)やICTを活用する必要性も指摘。集まった医療データ分析により、地域の医療ニーズに見合った医療提供体制を構築していく際のエビデンスにすることも可能であるとした一方、その活用に当たっては安全性を担保しつつ、医師と患者の信頼関係が脆弱になることがあってはならないとした。

 かかりつけ医機能研修制度は2期目
 その上で、横倉会長は「かかりつけ医」の普及、定着、充実に向けた取り組みの重要性を強調。「日医かかりつけ医機能研修制度」は、この4月から2期目を迎えることから、応用研修の講義内容を刷新し、かかりつけ医の社会的機能の充実を図ったという。「かかりつけ医の心」は、「寄り添う心」「和の心」であるとし、こうした心なくしては超高齢多死社会で医療は立ちゆかなくなるのでは、との考えを述べた。

 全ての団塊の世代が後期高齢者となる2025年、また高齢者人口がピークとなる2040年に向けた社会保障の在り方を考えることが必要だとしたほか、今年10月に消費税率が引き上げられた後も、しっかりとした議論の場を作り、国民全体で合意の上、納得を得られる負担と給付を導き出すべきではないかと考えていると表明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25754
医師等の労働時間短縮に資する機器やソフト、共同利用するCT・MRIなど購入費の一部を特別償却可能―厚労省  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医療従事者の働き方改革に資する機器等の購入、地域医療構想の実現に向けた病院の改築等、共同利用を推進する場合の全身用CT・MRIの購入にかかる費用について、一定割合を特別償却することを認める―。

 厚生労働省は3月29日に通知「地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度について」を発出し、こうした点を明らかにしました。

ここがポイント!
1 医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象
2  地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象
3  稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象

 本年(2019年)の税制改正において、(1)医師、その他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等(2)地域医療提供体制の確保のために地域医療構想調整会議で合意された病床の再編等に資する建物・その附属設備(3)共同利用推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器―について「特別償却」の対象拡充・見直しが行われました(関連記事はこちらとこちら)。「医師の働き方改革」「地域医療構想の実現」「高額医療機器の適正配置」などといった医療提供体制改革を進めるため、また厳しさを増す病院経営における設備投資負担への配慮を行うための見直しと言えるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、これらの詳細を明らかにしています。

まず(1)「医師等の労働時間短縮に資する機器」の特別償却制度について見てみましょう(関連記事はこちら)。

制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、医師等の勤務時間短縮やチーム医療推進に資する未使用の器具・備品・ソフトウエア(勤務時間短縮用設備等)を取得・製作して、医療保健業の用に供した場合に、普通償却限度額に加えて「特別償却限度額(取得額の15%に相当する額)まで償却する」ことを認めるものです。

具体的な勤務時間短縮用設備等の要件としては次のとおりで、1台・1基の取得価額が30万円以上のものに限定されます。

【類型1】労働時間管理の省力化・充実に資する勤務時間短縮用設備等
▼ICカード、タイムカード、勤怠管理ソフトウエアなど「客観的に医師の在院時間等の管理が行える」設備▼勤務シフト作成支援ソフトなど「医療従事者の効率的な配置管理が行える」設備―

【類型2】医師の行う作業の省力化に資する勤務時間短縮用設備等
▼AIによる音声認識ソフトウエアやその周辺機器など「医師が記載(入力)する内容のテキスト文書入力が行える」設備▼画像診断装置(CT)など「救命救急センター等の救急医療現場において短時間で正確な診断を行う」ための設備▼ベッドサイドモニター、患者モニターなど「呼吸回数や血圧値、心電図等の病態変化を数日間のトレンドで把握する」ための設備―

【類型3】医師の診療行為を補助・代行する勤務時間短縮用設備等
▼手術支援ロボット手術ユニット▼コンピュータ診断支援装置▼画像診断装置等(核医学診断用検出器回転型SPECT装置やX線CT組合せ型ポジトロンCT装置、超電導磁石式全身用MRなど)▼在宅診療用小型診断装置―など「医師の診療行為の一部を補助・代行する」設備

【類型4】遠隔医療を可能とする勤務時間短縮用設備等
▼遠隔診療システム▼遠隔画像診断迅速病理検査システム▼医療画像情報システム▼見守り支援システム―など「医師が遠隔で診断することに資する」設備

【類型5】チーム医療推進等に資する勤務時間短縮用設備等
▼院内搬送用ロボット、患者の離床センサーなど「医師以外の医療従事者の業務を補助する」設備▼通信機能付きバイタルサイン測定機器やタブレット等活用システムなど「予診」のための設備▼電子カルテ、カルテ自動入力ソフトウエア、レセプトコンピューター、医療画像情報システム、画像診断部門情報システム、医療情報統合管理システムなど「診断情報と医師の指示を管理できる」設備▼医療機器トレーサビリティ推進のためのUDIプログラム、画像診断装置等のリモートメンテナンス、電子カルテ、レセコンのリモートメンテナンスなど「医療機器等の管理効率化」のための機器・ソフト等―

 こうした勤務時間短縮用設備等を取得等した医療機関では、次のような手続きを行うことで特別償却制度を利用できます。

▽都道府県の医療勤務環境改善支援センター(いわゆる勤改センター)の助言をもとに「医師等勤務時間短縮計画」を作成する
  ↓
▽「医師等勤務時間短縮計画」の中に勤務時間短縮設備等を記載して、都道府県医療勤務環境改善担当課(室)長の確認を受ける
  ↓
▽勤務時間短縮用設備等を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)して、医療保健業の用に供する
  ↓
▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、勤務時間短縮用設備等について「通常の償却費の額」と「取得価格の15%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、医師等勤務時間短縮計画の写しを添付する

現時点では、取得等および医療保険業の用に供した期間が「2019年4月1日-2021年3月31日」のものが特別償却制度の対象となります。

 医師の時間外労働時間上限(年間960時間以下、1860時間)は2024年4月から適用されますが、それまでの間、すべての医療機関で「労務管理の徹底」と「労働時間の短縮」を強力に進めていく必要があります。また医師以外のスタッフ(看護師等のメディカルスタッフ、事務職員など)については、この4月から新たな時間外労働上限が設定されています。この特別償却制度も活用し、労務管理の徹底・労働時間短縮に直ちに取り組むことが重要でしょう。

地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象

 次に(2)「病床再編等の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちらとこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、地域医療構想の実現に向けて、2019年4月1日-2021年3月31日の間に▼新築・改築▼増築▼転換―に該当する工事で建物・附属設備を取得・建設して医療保健業の用に供した場合、取得価額の8%について特別償却を認めるものです。

例えば地域医療構想調整会議において「病床機能の転換」や「回復期機能を持つ病床の新設」などに関する合意が得られた後に、▼病室の新設▼病床の設置▼廊下幅の変更▼入浴介助設備の設置―などを行うケースが想定されます。減築や廃止(単なる解体撤去)は対象に含まれません(なお、地域医療介護総合確保基金において、病床削減等で発生する費用が助成対象となっている、関連記事はこちら)。

このような工事等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽特別償却制度の対象となる建物・附属設備であることを証明する書類(▼工事計画等の工事の概要や範囲が特定できる書類▼具体的対応方針(病床転換の方針など)―で、医療機関の開設許可申請等書類や地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出して、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の8%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

 さらに(3)「医療用機器の効率的配置の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、2019年4月1日-2021年3月31日の間に、以下の要件に該当する高額医療機器を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)し、医療保健業の用に供した場合に「取得価額の12%」の特別償却を認めるものです。

▽「租税特別措置法第12条の2第1項及び第45条の2第1項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件」(2009年厚労省告示第248号)に定める医療用機器(従前から特別償却対象)のうち、「病院」の全身用CT・MRI(▼超電導磁石式全身用MR装置▼永久磁石式全身用MR装置▼全身用X線CT診断装置(4列未満除く)▼人体回転型全身用X線CT診断装置(4列未満除く)―)は、次のいずれかの条件を満たす場合に限り特別償却の対象とする(診療所の全身用CT・MRIは従前どおり特別償却の対象となり、次の条件を満たす必要はない)

【買い換えの場合】(既存の全身用CTを廃止して、別の全身用CTを発注・購入する場合、既存の全身用MRIを廃止し、別の全身用MRIを発注・購入する場合)
→買い替え前年の1-12月までの各月における「買い替え前の全身用CT・MRIの利用回数」が、全身用CTでは20件(1か月当たり)、全身用MRIでは40件(1か月当たり)を上回っていること

【新規購入の場合】(▼既存の全身用CTを廃止せず、追加で全身用CTを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用CTを発注・購入する場合▼既存の全身用MRIを廃止せず、追加で新たに全身用MRIを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用MRIを発注・購入する場合)
→他の病院・診療所と連携して共同利用を行う(紹介患者のための利用を含む)予定であることが外形的に確認できること

【上記以外の場合】
→地域医療構想調整会議で協議を行い、「当該構想区域等における医療提供体制の確保に必要なものとして買い換え・新規購入が適当」と認められること

高額機器の購入等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽全身用CT・MRIについて、上記条件のいずれかを満たすことを証明する書類(▼利用回数を示す書類▼連携先医療機関と連名で作成した共同利用合意書などの「特定の医療機関と共同利用を行う予定について連携先医療機関と合意している」ことを示す書類▼地域医療構想調整会議で全身用CT・MRIに係る協議を行った際の資料などの「地域医療構想調整会議で協議を行い、適当と認められた」ことを示す書類―で、医療機関の開設許可申請等書類や外来医療提供体制の協議の場・地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出し、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の12%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/669780
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
働き方改革「皆が対等に協議する場が重要」、日医・今村副会長
厚労省検討会報告書「日医の主張が反映された」と評価
 
2019年4月4日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の今村聡副会長は4月3日の定例記者会見で、3月末に取りまとめられた、厚生労働省の医師の働き方改革の報告書について、「日医が主張してきた『医師の健康への配慮』と『地域医療の継続性』の両立という観点から取りまとめられたと理解している」との見解を示した。同時に、「中身について、現場の医療機関がご理解いただいていない部分がある」として、病院団体などと連携して説明会などを開催していく考えを示した(報告書の詳細は『医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ』を参照)。

 「医師の働き方改革に関する検討会」には、日医からは今村氏ら2人が委員として参加したほか、2018年7月には日医が主導した「意見書」を提出するなどしていた(『松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」』を参照)。

 今村氏は報告書について、日医の見解が反映されたと評価し、「中でも勤務間インターバル、連続勤務時間規制の一部義務化という従来にない方法が取り入れられた。月々の労働時間管理だけに頼り、結果として休息が確保できないという事態を回避する手段として、極めて有効だと思う」と指摘した。

 同時に医療機関に求められる36協定の締結や労働時間短縮計画の策定などのマネジメントシステムの構築については、「勤務医に長時間働いてもらうための必要条件であり、医療機関の責務である。皆が対等な立場で協議する場の設定が重要になることを医療機関の管理者は認識する必要がある」と述べた。

 「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)で、年1860時間となった時間外労働上限時間については「実現の難しい低い上限目標を設定することで、隠れて残業を行うような事態を招いてはならない。1860時間は高い上限ではあるが、罰則適用で医療提供が過度に制限されたり、罰則適用で地域医療が崩壊したりすることのない制度設計になっている」と評価。B水準であっても2036年4月から960時間を目指すことになった点を「960時間という最終目標の認識を強く持つことになった」と述べた。

 C水準については、「研修医には現場での十分な研鑽が求められ、学びたいという意志を持っている医師も多い」と指摘しつつ、「効率的な研修をすることで労働時間を短くしていくことが求められる」と強調した。

 今後もC水準の審査組織の設計や兼業管理などさまざまな論点が残っていることを指摘しつつ、「これまでにない大改革で、一定の時間をかけて慎重に取り組まなくてはならない。将来の地域医療提供対策は『偏在対策を含む医師確保計画』、『地域医療構想』、『医師の働き方改革』が三位一体になって形作られていく。個々の医療機関では不可能で、地域医療機関の連携が不可欠」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25743
「12月」分データを追いかけると、2012年以降、在院日数短縮と新規患者獲得を一定程度両立―病院報告、2018年12月分  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「12月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを一定程度両立できているのではないか―。

 こうした状況が、厚生労働省が4月3日に公表した昨年(2018年)12月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1   2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減
2  12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減

 厚労省は、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として、毎月、公表しています(2018年11月末の状況はこちら、2018年10月末の状況はこちら、2018年9月末の状況はこちら)。

 昨年(2018年)12月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万6039人で前月比1万2551人・1.0%減▼外来:130万7197人で同じく8万6099人・6.2%減―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万6511人(前月比1万1365人・1.7%減)▼療養病床:27万5923人(同86人・0.0%減)▼精神病床:28万1967人(同1093人・0.0%減)▼結核病床:1570人(同7人・0.4%減)―などとなっています。
病院報告(2018年12月)1 190403
  
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では27.4日で、前月から0.3日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:15.9日(前月から0.1日延伸)▼療養病床:138.0日(同1.3日延伸)▼介護療養病床:318.9日(同15.6日延伸)▼精神病床:272.1日(同7.8日延伸)▼結核病床:62.2日(同0.6日短縮)―となり、結核病床を除き延伸してしまっています。
病院報告(2018年12月)3 190403

  
 さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では71.9%で、前月から7.7ポイントも低下しました。病床種別に見ると、▼一般病床:62.0%(前月比13.2ポイント低下)▼療養病床:86.7%(同0.2ポイント低下)▼介護療養病床:90.5%(同0.1ポイント低下)▼精神病床:85.4%(同0.2ポイント低下)▼結核病床32.6%(同0.9ポイント向上)―という状況です。一般病床で著しい低下が目立ちますが、「年末年始はなんとか自宅に戻りたい」という患者の要請に応えているという背景もあり、例年も同様の傾向にあることからさほど驚く必要はありません。
病院報告(2018年12月)2 190403


12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

 このような暦月の変動を除外するために、一般病床における「12月分」の平均在院日数の動向を見てみると、2012年から15年にかけて減少が続きましたが、その後、横ばい状態となっています。

▼2012年:17.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2013年:16.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7日短縮)
  ↓
▼2014年:16.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2015年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2016年:16.0日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.2日短縮)
  ↓
▼2017年:15.8日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2018年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)

  
 一方、月末病床利用率は、次のように低下と上昇を繰り返しながら、緩やかに上昇しているように見えます。

▼2012年:61.4%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.1ポイント低下)
  ↓
▼2013年:60.3%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.6ポイント上昇)
  ↓
▼2014:60.9%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.4ポイント低下)
  ↓
▼2015年:59.5%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.3ポイント上昇)
  ↓
▼2016年:60.8%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.9ポイント上昇)
  ↓
▼2017年:62.7%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7ポイント低下)
  ↓
▼2018年:62.0%(厚労省のサイトはこちら)

 
 大きくみると、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」とを一定程度実現できているように思われます。

 
 メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院においては「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結します。

 もっとも、「在院日数の短縮」は「空床」発生・増加にもつながり、出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため経営悪化につながりかねません。そこで、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に採る必要があります。

 「12月分」の状況をみると、2012年以降、この難しい両立を一定程度実現できていると考えることができます。

 もっとも、地方によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、新規患者の獲得が難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。各病院におかれては、やはり「ダウンサイジング」(病床の削減)や共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を早急に進める必要があります(関連記事はこちら)。


  1. 2019/04/07(日) 10:47:37|
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