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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2019年3月31日

Google Newsでみる医師不足 2019年3月31日
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First 5 in Google in English 


https://www.abqjournal.com/1298000/torres-smalls-bill-aims-to-reduce-doctor-shortage-ex-sponsors-of-legislation-want-to-boost-number-of-medicaresupported-residency-positions.html
Torres Small's bill aims to reduce doctor shortage
Albuquerque Journal Friday, March 29th, 2019 at 11:35pm (ニューメキシコ州)

ALBUQUERQUE, N.M. — U.S. Rep. Xochitl Torres Small has introduced a bill she hopes will address the doctor shortage in rural parts of New Mexico. Torres Small, D-N.M., introduced The Resident Physician Shortage Reduction Act of 2019 along with representatives from Alabama, New York and Illinois, legislation they hope will help reduce nationwide physician shortages, with an emphasis in rural areas, by increasing the number of Medicare-supported residency positions by 15,000. There are currently 90,000 positions.



https://www.turlockjournal.com/news/local/brothers-return-home-amid-doctor-shortage/
Brothers return home amid doctor shortage
The Turlock Journal March 29, 2019, 9:17 p.m. (カリフォルニア州)

Turlock and the surrounding Central Valley are hit harder than other areas in the state by the doctor shortage. For example, the San Joaquin Valley has 39 primary care providers per every 100,000 residents, while Sacramento and the Bay Area have 54 and 64, respectively. In 2017, the Valley’s number was 48 physicians per 100,000.



https://www.forbes.com/sites/miriamknoll/2019/03/07/doctoring-the-doctor-shortage/#417213bc76f3
Doctoring The Doctor Shortage
Forbes Mar 7, 2019, 11:03am (米国)

We need more doctors in private practice. As the U.S. population ages and needs more medical care, there is growing concern this will exacerbate the projected physician shortage. The number of Americans age 65 or older is expected to double over the next 40 years. A report from the American Association of Medical Colleges predicts a dearth of 120,000 physicians by 2030. Without adequate physicians, patients may experience long wait times, receive delayed medical attention, and be limited to care from non-physician providers.



https://www.kgun9.com/news/local-news/bill-would-use-50-million-to-train-and-keep-doctors-in-arizona-amid-shortage
Why Arizona is facing a huge doctor shortage, and how a bill aims to fix that
KGUN 9:56 PM, Mar 26, 2019 (アリゾナ州)

Arizona is facing a statewide primary care physician shortage, and the problem is expected to get worse over the next 10 ... Senate Bill 1354 is being moved through the state legislature that could help alleviate the shortage that's affected all counties.
Research from the University of Arizona Center for Rural Health ranks Arizona near the bottom nationally.
"So many medical students come out in such huge debt, that they have to go look sometimes for the money, rather than the location," Rick Anderson, the Senior Vice President and Chief Medical Officer at Tucson Medical Center said.



https://www.delawarepublic.org/post/bayhealths-planned-residency-program-takes-aim-delaware-doctor-shortage
Bayhealth's planned residency program takes aim at Delaware doctor shortage
Delaware First Media Mar 30, 2019 (デラウェア州)

Bayhealth says it plans to launch a residency program for doctors who have recently graduated medical school. Delaware Public Media's Nick Ciolino spoke with Bayhealth President and CEO Terry Murphy and Bayhealth's Chief Medical Officer Dr. Gary Siegelman about this attempt to address the lack of physicians in the state of Delaware.



(他に10位以内のニュースは、米国(全米、テキサス州、カリフォルニア州)、カナダ・ノヴァスコティア州、イスラエル、からも)




*: Other interesting news
https://www.everythinglubbock.com/news/klbk-news/texas-tech-university-health-sciences-center-tries-to-alleviate-rural-doctor-shortage/1869647694
Texas Tech University Health Sciences Center tries to alleviate rural doctor shortage
By: Mari Salazar
Mar 28, 2019 04:07 PM CDT KLBK News

Lubbock, TX - With a rural doctor shortage impacting several counties in Texas, the Texas Tech Health Sciences Center is trying to help alleviate the shortage by expanding their Rural Health Residency Program in the summer.
In Texas, there are 27 counties without a physician, 157 without OBGYNs, 137 without pediatricians, and 175 without a psychiatrist.
Dr. Billy Philips, the Executive Vice President for Rural and Community Health for TTHSC, said there are a few reasons why there's a rural doctor shortage.
He said one example is physicians not showing interest in rural work because there isn't much access to comforts of urban life. Another example would be a large percentage of physicians who are baby boomers are close to retirement, he said.
Right now, he said there are 8 residents in Tech's rural training track and by July 2019 it will expand to 10 residents.
"We have great people and we save lives," Phillips said. "We improve outcomes and we do it with a lot of fun. It's exciting. It's never boring."
The program is designed to primarily get physician trainees into rural areas where Texas' long-standing doctor shortage is most severe.


https://www.floridaphoenix.com/blog/is-telehealth-and-big-tax-breaks-the-answer-for-floridas-doctor-shortage/
Is “telehealth” – with big tax breaks – the answer for Florida’s doctor shortage?
By Mitch Perry -March 19, 2019 Florida Phoenix
Florida has a a growing shortage of doctors – and lawmakers say “telehealth” is the answer. Legislation proposed by state Rep. Clay Yarborough, a Republican from Duval County, would increase the use of telecommunications – using remote professionals – to provide services where there’s a shortage of medical services. The shortage is so bad, legislative analysts say that it would take 1,577 primary care, 1,242 dental care, and 404 mental health practitioners to fill Florida’s medical services gap.


https://www.ft.com/content/e265604c-4a80-11e9-bbc9-6917dce3dc62
NHS doctor shortages cannot be filled, think-tanks warn
Sarah Neville in London MARCH 21, 2019 Financial Times
Urgent action is needed to tackle severe staff shortages in Britain's National Health Service, including a big expansion in nurse training and deploying other staff to make up for a chronic shortage of GPs, according to three think-tanks.



  1. 2019/03/31(日) 06:21:30|
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3月31日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/663312
シリーズ 平成の医療史30年
もう一つの“医療危機”、基礎目指す医師減少【平成の医療史30年◆大学編】
 
清水孝雄・前東京大学医学部長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月30日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――研究環境悪化に加えて、基礎研究を志向する医学生、医師も減っているとお聞きしています。

 東大医学部の場合、研究者の道に進む医師の割合は、近年では1986年がピークで、約100人の卒業生のうち約2割という状況。ところが、その後は減少し、私が医学部長に就任した2007年度前後には年に1、2人にとどまっていました。


清水孝雄氏は、政府には予算の拡充を求めると同時に、大学自身の努力も必要だと強調。

 他の大学でも同様に、基礎研究者の減少に直面していました。研究医のポストが減るだけではなく、なり手自体が減っていたわけです。その原因の一つは、2004年度の臨床研修の必修化です。臨床に行けば給料がもらえる一方、大学院に進めば授業料を払わなくてはならず、その差は大きいでしょう。その後に続く学会による専門医制度も、2000年代に数多く作られました。専門医制度は、医療の質を高めるために、必要な面もありますが、多すぎます。一種の“不安産業”。「専門医を持っていないと、どこか不安」などと、多くの医師が考えるようになってしまった。

 また以前は最初に臨床に従事し、臨床上の問題意識を持って、その後に基礎研究に入る医師も少なくなかったのですが、2004年度の国立大学法人化に伴い、臨床が忙しくなり、基礎分野に医師を回す現場の余裕がなくなったことも大きい。その上、臨床の内容も高度になっており、事故が起きれば訴訟に発展しやすい時代になりました。「中途半端に研究に携わるよりも、きちんと臨床をやってもらいたい」というプレッシャーはあったでしょう。さらに教員も減少、教える体制が充実していなければ、この分野を目指す人が少なくなるのは当然です。

 さらに大学自身の努力も欠けていたと思います。私は2007年度に東大の医学部長に就任しました。まずは、全国調査を実施。その後、厳しい研究環境について現状を広く知ってもらうため、阪大、京大、名大とともに文科省と議論をしたり、新聞に投稿、テレビにも出演したりしました。2007年当時、産科や救急医療の分野での医師不足として“医療危機”が叫ばれていましたが、研究医が不足しているという認識は、あまり皆さんお持ちではなかった。研究医不足は10年後、20年後の日本の医療にとって危機であることを、私たちの働きかけにより、徐々には理解されるようになったと思います。日本製薬工業協会も私たちを支援してくれました。メディアの力は大きいということを、あの時、実感しました。

――全国の基礎系大学院入学者に占める医師比率も低下しているとのことです。

 臨床系大学院の場合は、9割前後が医師(MD)。これに対し、1990年(平成元年)頃は、基礎系大学院における医師の比率は7割前後だったのですが、2007年当時は3割弱まで減少していました。医学部教授に限ってみるとMDは7、8割だったのですが、助教だと2、3割にとどまります。将来を考えた場合、さらに医師比率は低下するという懸念を持っていました。

 適正な比率は分かりませんが、生命科学分野の研究は、医師とそれ以外の研究者が協同して取り組んだ方がいいのは間違いありません。理学系出身者の方が、生化学や分子生物学などの知識や技術を持っている場合が多い。一方で臨床上の疑問を研究につなげたり、研究成果をどのように臨床に展開していくかを考えた場合、医学の経験や知識を持った医師も必要。例えば、50%ずついて、両方が協力してやっていくのがいいと思うのです。

――研究医不足という“危機”を打開するには、政府、医学界、各大学、それぞれが行動する必要がある。

 政府ができることは、“お金”の問題。研究費や奨学金、人件費のための予算の拡充をお願いしたい。またその配分においても、日本の研究にとって、いったい何が重要なのかを研究者たちが加わって、しっかりと考える枠組みが大切です。研究者は自分のエゴを主張しがちだと言われますが、エゴではなく、次世代を考えて何が必要かを考えられるブレインは必ずいるはずです。

 もっとも、政府ができることには限界があります。大学自身の努力も必要です。米国には、MSTP(Medical Scientist Training Program)という、NIHと各大学が半分ずつ資金を出し合い、協力して研究医を育成するプログラムがあります。また教員は医学生にとって一番近い存在。「研究は面白い」という姿を見せ、いい成果を出す。研究の魅力を伝えることが大切です。この辺りはもっと努力すべきです。

 私自身、医学部の授業を受けながら、研究もできる環境づくりをするプログラムを作るべきではないかと考え、東大で2008年度にMD研究者育成プログラムを作りました。これは医学部の4年間(3年生から6年生)の間に、平日の講義が終わった夕方、あるいは週末のほか、夏休みなどのまとまった期間に研究することができるプログラム。研究成果を論文としてまとめれば、大学院の入学試験は免除される。ジャーナルにも投稿できる。特に優秀な学生には奨学金を出すなど、経済的にも支援するという仕組みです。同窓生からの寄付も受けました。

 従来もMD-PhDプログラムがあったのですが、いったん医学部や同窓生と離れ、大学院に4年間所属するため、ハードルが高く、このプログラムを選ぶ人は数年間に1人程度でした。それに比べてMD研究者育成プログラムは、敷居を下げており、医学部に所属したまま研究ができるメリットは大きいと思います。面白いもので、それなりの成功体験をし、研究者の生活を見ると、「研究をやってみよう」と考える人が出てくるのです。文科省医学教育課も2009年度からは、MD研究者育成プログラムは有効なシステムだとして、経済的支援をするようになりました。このプログラムで良い研究をし、日本学術振興会の「育志賞」を受賞した学生が何人かいます。

 社会全体としても、研究医がどのくらい必要か、またその育成のためには何が必要かをもっと考えるべきでしょう。研究医がいなくなれば、大学の基礎医学教育が崩壊するだけでなく、医薬品や医療機器の産業にも影響が及ぶことは目に見えています。税制などの変更が必要かもしれませんが、企業や個人がアカデミアに寄付ができる枠組みなども構築することが必要です。

――ここ数年は、ノーベル医学・生理学賞の受賞者が続きましたが、今のままでは将来は続かないと見ておられますか。

 それは明らかだと思います。山中伸弥先生の仕事は違うかもしれませんが、(受賞者の研究は)ほとんどが1980年代から1990年代にかけて基盤が作られた仕事です。

――最後に改めて先生が考える生命科学分野の研究の在り方、魅力をお教えください。

 私が医学部を選んだのは、「人を対象とする学問、文系的理系」と考えたからです。卒業後はまず臨床をやってみようということで、東大第三内科に入局したのですが、呼吸器系を中心にいろいろな患者さんを診ていく中で、特に気になったのが肺線維症の患者さん。治る人は自力で治っていくけれども、本当に難しい患者さんはなかなか治らない。この病気のメカニズムを勉強してみたいと考えたのが、研究の道に入ったきっかけです。アウェイの大学で研究した方が自分のためになると考え、京大と阪大の二つのラボに手紙を書き、京大の早石修先生の教室で生化学の研究に取り組みました。何年間か研究をして、博士号でも取って、また臨床に戻ろうと考えていたのですが、「研究にはまってしまった」というのが正直なところです。

 臨床の現場にいて、課題はたくさんあり、しかもオリジナルの物も多い、それに気付かないでいるのは、すごくもったいない。それにはやはり若い頃に、基礎的な研究の経験があるかどうかがすごく大きいと思います。いったん研究を経験すれば、臨床の現場に行っても課題を見付けやすく、その解決のためには誰と相談したらいいかが、どこと協働したらいいかが頭に浮かびやすくなります。自分自身でまた研究に戻ってもいいし、他の研究者に研究課題を託してもいい。基礎と臨床がお互いに行き来したり、相互に交流できるシステムを作ることが理想だと思います。また、MDがもっと製薬企業や医療健康の機器メーカーで仕事をすることも大切かと思います。



https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/121363
9地域で10連休対策 医療態勢 当番医増や自主開院 県が全域調査、来月公表へ 
[2019/03/29] 上毛新聞

 皇太子さまの新天皇即位に伴う10連休(4月27日~5月6日)への対応で、上毛新聞が郡や市ごとに置かれる13医師会を取材したところ、群馬県の少なくとも9地域で、通常の休日より診察する医療機関を増やす対策が取られることが分かった。休診が集中し、地域医療に支障が出る事態を避ける。一方、医師不足などで特別な態勢が難しい地域も存在しており、県は状況を調査し4月に県民へ周知する。

 連休を控え、前橋市医師会は各医療機関の対応方針を確認。例年は平日に当たる4月30日~5月2日について、当番医の引き受け手を多数確保できることが分かり、通常の休日より大幅に増やす方向。

 高崎市医師会は、外来の需要が特に高いとみる小児科(4月30日、5月2~4日)と整形外科(5月2日)の当番医を増やす。小児科、整形外科とも当番医は通常1カ所だが、それぞれ1カ所増やす。自主的に診察する医療機関もあるが、「当番医を確保しておき、日によって施設数が偏らないようにしたい」としている。

 藤岡多野医師会は連休中の4月30日、5月1、6日の計3日、当番医を増やすことを決定。当初は通常通りの編成だったが、県医師会から医療態勢を整えるよう通達を受け急きょ決めた。調整に手間取ったといい、担当者は「国や県が態勢をしっかり決めてくれれば、より早く対応できた」とした。

 このほか、桐生、太田、沼田利根、渋川、富岡甘楽、安中の各医師会が、少なくとも連休の一部で通常の休日より診察に当たる医療機関を多く確保できると見込んでいる。

 吾妻郡でも、独自に開院する医療機関はあるとみられるが、吾妻郡医師会は医師不足を背景に、当番医を増やすことまではしない方針。担当者は「郡内は医療機関が少なく(連休中に)2度担当が回ってくる先生もいる。増やすのは難しい」と説明する。

 一方、伊勢崎佐波医師会は4月30日~5月2日について平日同様に当番医を設定せず、各医療機関の判断に任せる。同医師会病院は外来対応する。同医師会は「過度な患者の集中、医師の負担増などは想定していない」としている。

 県は医師会や市町村、病院を調査し、連休期間に開ける医療機関を集計し、連休前にホームページで公表する。



https://www.yomiuri.co.jp/national/20190328-OYT1T50203/
医師残業 上限1860時間…24年度から適用 地域勤務・研修医が対象 
2019/03/28 15:00 読売新聞

 医師の働き方改革を議論する厚生労働省の有識者検討会は28日、地域医療を担う勤務医の残業時間の上限を年1860時間(休日労働含む)とすることを柱とした報告書の最終案を了承した。月155時間の残業に相当し、「過労死ライン」(月80時間)の2倍近い。2024年度から適用される。

 この上限が適用されるのは、勤務医の中でも地域医療を担う特定の病院の医師と、技能を磨きたい研修医ら。研修医らは本人が希望する場合に限られる。通常の勤務医は年960時間で、休日労働を含めた一般労働者と同じ長さにした。

 対象となる特定の病院は、国が定めた指標を基に都道府県が選定する。救急車の受け入れが年1000台以上の2次救急病院など、1500か所程度になる見通し。国が医師不足の解消を見込む35年度末までの特例として扱われる。

 1860時間の上限が適用される医師について、健康確保のための措置を病院側に義務付ける。当直から日勤など、連続勤務は28時間までに制限。深夜帰宅で早朝出勤といった過重労働を防ぐため、次の勤務まで9時間のインターバル(間隔)を設けるとした。

 また、長時間労働を是正するため、医師の仕事の一部を他職種に任せる「タスクシフト」や、都市部に医師が集中する「偏在」対策の推進が必要だと指摘。安易な受診が医師の負担になっている現状を踏まえ、電話相談の活用を周知することなどを課題に挙げた。

 正当な理由がなければ診療を拒めない医師法の応召義務が、医師の長時間労働の背景にあるとされる問題にも言及。応召義務は、医師に際限のない長時間労働を求めているわけではないとして、厚労省研究班が今年夏頃までに、法律の具体的な解釈を示すとした。

報告書案のポイント

▽地域医療を担う病院の勤務医、研修医らの残業上限は年1860時間

▽通常の勤務医の残業上限は年960時間

▽2024年度から実施する。地域勤務医の年1860時間は35年度末までの特例

▽医師の仕事を他職種に任せるタスクシフト、医師の偏在対策の取り組み推進

▽長時間労働の背景にある応召義務の解釈見直し

【解説】実態は過重労働の追認

 焦点だった勤務医の残業時間の上限は、地域医療を担う特定病院で年1860時間に決まった。一般労働者の2倍近い水準で、長時間労働の是正に向けた道筋が示されたとは言えない。常態化する過重労働を追認する形で、過労死を防げるのか疑問が残る。

 ただ、勤務医の1割が年1900時間を超える残業をしている実態がある。地域の中核病院で残業を大幅に制限すれば、医師確保が難しい現状を考えると、救急医療などに支障が出る恐れがあるのも事実だ。

 まずは医師の労働時間を正確に把握し、問題の所在を探る必要がある。国は労働環境の改善に努める医療機関の支援を急ぐべきだ。医師の偏在対策も、働き方改革の成否に関わる。地域医療を守るため、労働時間の短縮と両輪で進めなければならない。(医療部 加納昭彦)



https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201903_post-15006/
置き去りにされる「医師の働き方改革」…医師の自己犠牲を前提に成り立つ医療の限界 
ビジネスジャーナル 2019年3月29日 20:00 0

 働き方改革により本年4月からは、労働者の残業時間に制限が設けられたり、企業によっては社員の5日間の有給休暇取得が義務付けられます。そのようななか、医師の働き方改革の議論も加速しています。

 医師数を増やすことがよく対策として挙げられますが、産業医としていろいろな企業をみてきた経験からいうと、働く人(医師)を増やしてほしいという社員(医師)の声はたくさんあっても、働く人を増やしたからといって、長い目で見て問題が解決した会社はみたことがありません。

 今回は、医師の働き方改革実現のために、最優先課題を1つ挙げさせていただきます。

 私は、医師の働き方改革にはナース•プラクティショナー(NP)の導入が最優先課題だと考えます。NPとは、米国でみられる資格です。日本語では、上級看護師、診療看護師でしょうか。イメージとしては、医師と看護師の間の位置づけで、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療、薬の処方などを行うことができます。

 実は日本ではこれに似た資格として「特定看護師」というものの創設が2011年頃から議論されたことがあります。行政だけでなく、日本医師会や日本看護協会を巻き込んださまざまな議論があったと思いますが、最終的には「医療行為の質の担保」などのもっともらしい理由で法制化されませんでした。ですので、現在このような資格はありません。

 しかし、当時から5年以上が経過した現代は、医師法が制定された半世紀以上前には予想できなかったような、さまざまなテクノロジーが発達しています。体温、血圧、脈拍だけでなく血中酸素濃度などは、医師ではないと測れないものではまったくなく、街の電化製品店で購入できる機械で誰もが測定可能です。血糖値をはじめとする従来は採血が必要だった数値データも、ウェアラブルデバイスで24時間測定可能になりつつあります。

 画像診断をはじめ、病気の検査方法も質(精度)の向上だけでなく、種類も複数選択することができ、より安全、また確実に異常を知ることができるようになってきました。また、電子カルテによっては、患者のアレルギー既往に基づき処方してはならない薬や、相互作用があり同時に処方されるべきではない薬に対してはアラート機能がついています。医療を取り巻く環境は、より進歩しているのです。

 そのようななか、発達した医療デバイスをすべての医師が使いこなさないといけない必要はなく、一定基準を満たしたNPにも任せることで、医療の専門職種同士が、それぞれの能力を活かして能動的に働くことができる仕組みこそ、まさに働き方改革なのではないでしょうか。

●医療を受ける側のメリット

 NPの導入は医療提供サイドの自己満足だけではなく、医療を受ける側のメリットにもなるはずです。

 例えば毎年冬に流行するインフルエンザ。本当に医師の指示がなくては、インフルエンザの迅速判定を行い、診断してはいけないのでしょうか。NPが問診で同居家族でのインフルエンザ患者の存在、そして診察で一定以上の発熱を確認した場合、インフルエンザの迅速キットで判定をすることは理にかなっていると思います。

 判断を迷ったり紛らわしい場合については、医師と相談することは当然ですが、このようなタスクシフトにより、医師の業務負担軽減だけでなく、患者側にも医療機関に滞在する時間が短くてすむことや、重症の場合にはもっと時間を割いて対応してもらえる、というメリットが生まれるはずです。

 もちろん、どのような医療行為をNPに任せるかは、議論の余地はあります。まずは、医師でなければできない仕事(タスク)、NPに任せても質の落ちない仕事(タスク)を見直さなくてはならないでしょう。場合によっては、NPに任せた方が結果がいい仕事(タスク)もあるかもしれません。

●過重労働が医療事故を招く

 働く人々の幸せのために行われるはずの働き方改革ですが、“医師不足の地域や診療科に勤める医師たち”においては“患者や地域医療への影響を考慮したため”、ますます医師たちの自己犠牲が求められてしまっているのが、多くの医療現場での現状です。

 その背景には単なる医師不足ではなく、医師数の偏在、医療組織における組織マネジメント・経営管理の未熟さ、国民の医療のかかり方のあり方などの問題があります。しかし、労働時間が長い医師には疲労が溜まります。疲労の蓄積は、判断力の低下や些細なミスの増加につながることは、数々の臨床研究が明らかにしているのも事実です。

 3年前にはじまった「こころの健康診断」ともいえるストレスチェック制度、近年の飲食店での受動喫煙防止の動きなどは、実はいきなり始まったものではありません。何度も法制化されそうなところで中止になりましたが、何年かかかって法制化され、現在に至ります。多くの人々は、これらの制度により恩恵を受けていると思います。

 NPの導入に関しても、ぜひ再度多くの場で議題に挙がり、検討され、法制化されることを願ってやみません。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)




https://www.medwatch.jp/?p=25569
医師偏在対策を了承、各都道府県で2019年度に医師確保計画を策定し、20年度から実行―医療従事者の需給検討会 
2019年3月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)が3月22日に、医師偏在対策を柱とする「第4次中間とりまとめ」を了承しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この中間とりまとめをもとに、厚労省は3月中(2018年度中)に「医師確保計画」作成などに関する指針を都道府県に提示(関係省令の公布や通知発出等を行う)。都道府県は来年度(2019年度)に「医師確保計画」を作成し、2020年度から実施することになります。
 
ここがポイント!
1 医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能
2 産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能
3 3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す
4 現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保
5 将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施
6 外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す
7 「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能

 地域の医師偏在が大きな課題として指摘される中で、分科会では改正医療法・医師法に基づく「医師偏在対策」を昨秋(2018年秋)から精力的に議論してきました。対策の内容は、これまでメディ・ウォッチで詳しくお伝えしてきましたが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 都道府県の作成する「医師確保計画」には、(1)医師確保の方針(2)目標医師数(3)具体的な医師確保に関する施策―を盛り込むことになります。
医師需給分科会(2)の2 181024
 
 まず(1)の医師確保方針については、▼「医師多数」の都道府県・2次医療圏▼「医師少数」の都道府県・2次医療圏▼医師多数でも少数でもない都道府県・2次医療圏―でそれぞれ立て方が異なり、次のように整理することができます。

【都道府県(3次医療圏)】
▽医師少数:医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
▽医師多数:他の都道府県からの医師確保を方針に定めることはできない
▽それ以外:管内に「医師少数」の2次医療圏がある場合に、医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
 
【2次医療圏】
▽医師少数:医師多数の2次医療圏(医師多数区域)からの医師確保が可能
▽医師多数:他の2次医療圏からの医師確保は行わない
▽それ以外:必要に応じて医師多数区域からの医師確保を行える
 
これらを組み合わせて、例えば「医師少数県にある医師少数2次医療圏(医師少数区域)」では、他県(医師多数県)から医師確保を行い、「医師多数県にある医師少数区域」では、同県(医師多数県)の医師多数区域から医師確保を行う、などの方針を立てることになります。
「医師多数」「医師少数」は、人口10万対医師数に地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)や性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)などを加味した、新たな「医師偏在指標」に基づいて、上位3分の1を「医師多数」、下位3分の1を「医師少数」と定めています。

どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに「候補」が厚労省から示されており、今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、2019年度早期に最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●医師偏在指標(暫定)

産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能

 なお、産科・小児科については、全国的に医師が不足しているため、「多数」という概念を設けず、相対的に医師が不足している区域(やはり下位3分の1、「相対的医師少数」)を定め、▼医療圏の見直し▼医療圏を超えた連携―による対応をまず進め、その上で医師確保対策(医師派遣調整や産科医・小児科医の養成数増加要請など)を進めます。また、相対的医師少数でない地域においても、将来を見越した「医師確保」策を進めることも可能です。

●産科における医師偏在指標(暫定)
●小児科における医師偏在指標(暫定)
 

3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す

 次に(2)の目標医師数設定は、主に「医師少数」の都道府県・2次医療圏で重要となります。

 具体的には2036年までに偏在対策が解消されることを最終目標とし、まず「3年後に、現在の下位3分の1ラインをクリアできる」ように目標医師数を設定します。医師確保計画は3年を1期としており(2020年度からの当初計画のみ4年計画なので4年後)、当該計画の終了時点で「下位3分の1を抜け出す」ような目標を立てるイメージです(もちろん、各地域で医師確保を進めるので必ず3分の1から抜け出せるというわけではない)。
 
例えば2次医療圏の下位3分の1ラインは「医師偏在指標147.0」となっており、医師少数区域では「147.0」を確保できるように目標医師数を設定します。最下位の秋田県北秋田医療圏(医師偏在指標69.6)では、その差が「77.4」なので、2020-23年度の4年間で約78人分の医師を確保するという目標を立てるというイメージです。

現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保

こうした目標を達成するための施策を(3)に盛り込むことになります。

ところで医師確保策は、大きく医師派遣調整などの「短期的施策」と地域枠設置要請などの「長期的施策」に分けられます。

現時点で医師少数の場合には「短期的施策」のみで対応し(医師の育成には10年近くかかり即効性がないため)、将来(2036年)時点で医師少数の場合には「短期的施策」と「長期的施策」の両方で対応することになります。

短期的施策は、例えば医師多数の都道府県に対し、「医師の派遣」を行ってもらえるよう要請することなどが考えられます。厚労省では、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築する考えです。

また、「医師少数区域等での勤務」(6か月以上が要件だが、1年以上の勤務が望ましい。またベテラン医師では断続勤務も可能)を厚生労働大臣が認定し、この認定資格を「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院の管理者(主に院長)要件とする」仕組みも設けられています。2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師が対象となります。

さらに、医師少数の都道府県では、医師派遣を要請するとともに、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことも求められます。

将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施

長期的施策では、「都道府県知事から大学医学部へ地域枠や地元枠の設置を要請する」ことが中心になり、その概要は次のように整理できます。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:下記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:下記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない
 
 地域枠と地元枠とは次のように性質が異なります。
▼地域枠:専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務する」ことを条件に奨学金等を貸与する
→都道府県の中で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持つ

▼地元枠:地元出身者を対象とした入学枠で、奨学金等の貸与はない(地元出身者は奨学金等がなくとも、地元の医療機関に定着する)
→各都道府県で医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持つ

このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数区域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

●将来時点(2036年時点)における不足医師数等

外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す

 ところで、分科会等では、従前より「医師偏在が大きな問題となっているのは、病院の入院医療である。これは自由開業制が医師偏在を助長していると考えられる」との指摘がありました。このため一部には「自由開業制を一定程度制限すべき」との強い指摘もありましたが、まずは「診療所の設置状況等の可視化から始める」ことで落ち着いています。

具体的には、▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組みが創設されます。

●外来医師偏在指標(精査中)
 
もっとも、こうした仕組みによっても「自由開業が医師偏在を後押ししている」と考えられる場合には、さらなる措置(自由開業制の一部制限など)が検討されることになるでしょう。

「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

 こうした第4次中間とりまとめ内容について、3月22日の検討会・分科会では、主に検討会の構成員から異論が複数出ました。

 相澤孝夫構成員(日本病院会会長)は、「人口当たり医師数でみると、我が国はさほど医師が不足しているわけではない。しかしベッド当たり医師数になると、我が国は極端な医師不足となる。これはベッドが過剰であることを意味しており、医師偏在対策の前に、あるべき医療提供体制の姿を議論する必要がある」「2次医療圏単位の議論を全国一律の指標で行えば、大きな誤りが出るのではないか。2次医療圏単位の議論は都道府県に委ねてはどうか」と指摘。

 また山崎學構成員(日本精神科病院協会会長)も、「我が国には医師が絶対的に多数な地域はないのではないか。さもなくば医師紹介業などは成り立つはずがない。医師派遣もうまく進まないのではないか。外来についての話し合いなどを行っても、新規の開業医がそれを遵守するわけがない」と厳しく指摘しています。

 こうした指摘に対し、厚労省は「医師偏在対策は、地域医療構想の実現、医師の働き方改革と連環し、一体となって進めるものである」旨を説明。

 また分科会のメンバーである今村聡構成員(日本医師会副会長)や小川彰構成員(岩手医科大学理事長)は、「これまで人口10万対医師数のみで議論してきた医師偏在対策について、限られた情報の中で画期的な精緻化を行っており、スタートラインに立つことができた。さらに、医師確保計画は進捗状況を見て3年に一度見直していく」「都道府県が計画を定め医師確保を進める上で、一定の目安が必要となる」旨を説き、相澤構成員や山崎構成員に理解を求めました。

 検討会では最終的に、第4次中間取りまとめを了承しており、厚労省は3月中(2018年度内)に中間取りまとめ内容に沿った「医師確保計画」作成に関する指針などを各都道府県に示します。その後、計画作成(2019年度)・計画実行(2020年度から)段階に入りますが、その時点で的確な計画実行等が進むよう、厚労省は相澤構成員や山崎構成員らの指摘を踏まえたチェック等を行うことになるでしょう。さらに、2023年度の第1期計画終了時点の状況を見て、相澤構成員や山崎構成員の懸念が現実化しているような場合には、より大きな見直し(例えば自由開業制の一部制限など)が検討される可能性もあります。



https://www.medwatch.jp/?p=25626
医師の働き方改革、診療報酬で対応できる部分も少なくない。医師増員に伴う入院基本料引き上げも検討を―四病協 
2019年3月28日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革においては、宿日直の在り方、副業・兼業の取扱いが大きなポイントになり、今後の動きを注視していく必要がある。また、医師働き方改革の推進に向けて、「専従要件の弾力化」「常勤要件の緩和」など診療報酬で対応できる部分が小さくない。また、医師の働き方改革を進めれば「医師の増員」が必要となり、その分のコストを入院基本料などに反映させることも検討すべきではないか―。

 3月27日に開かれた四病院団体協議会(日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会で構成)の総合部会後に記者会見を行った全日本病院協会の猪口雄二会長は、個人的見解も含めて、こうした考えを示しました。
 
ここがポイント!
1 医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い
2 医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を
3 診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は本日(3月28日)、意見とりまとめを行う予定です。すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進めていくとともに、2024年4月から新たに時間外労働の上限を設定するといった内容が盛り込まれる見込みです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 こうした内容について四病協の総合部会では、「概ね了承できるが、今後の▼宿日直許可基準(4月以降に改正通知が示される見込み)▼副業・兼業の取扱い(別の検討会で議論中)―の2点がポイントになる」という点で一致していることが、総合部会後に記者会見を行った猪口雄二・全日本病院協会会長から報告されました。

 宿日直のうち、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働時間に該当しません。許可するか否かの基準(宿日直許可基準)は、1949年(昭和24年)に作成されたままであり、今般、現在の医療現場にマッチするような改正が行われます(4月以降の予定)。この点、どういった業務等が「労働時間に該当する」のか、あるいは、どういった場合であれば「労働時間に該当しない」のかが非常に重要となります。

 また、大学病院等の若手医師が、副業・兼業で中小病院の宿直等を行うことが多々ありますが、「副業・兼業でも労働時間は単純に通算(合算)する」のか「一定程度の調整が行われる」のかなども極めて重要なポイントとなります。

現時点では、この2点の取扱いがどうなるのかは不透明であり、四病協では「今後の動きを注視していく」ことを確認しています(関連記事はこちら)。

 
前述したように、今後、5年間(2024年4月まで)の間に、すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進め、まず、原則となる「時間外労働、年間960時間以内」(A水準)を目指します。労働時間短縮等をしてもA水準を満たせない救急医療機関等では、都道府県知事による特定(この場合、年間1860時間(B水準)までの時間外労働が可能となる)を目指します。

この点について猪口全日病会長は、個人的見解であるとした上で、「働き方改革の影響が最も出るのは急性期病院、とくに2次救急病院であろう。連続勤務時間制限や勤務間インターバルが義務化されることから、どうしても医師の増員が必要となる。しかし、医師を派遣してくれる大学病院も働き方改革を進めなければならず(やはり医師増員が必要)、どれだけアルバイト医師を確保できるかが不安である。今後、急性期病院、救急病院は集約されていくのではないか」と見通します。

さらに、副業・兼業の取扱い如何によっては、「宿日直をするアルバイト医師がいなくなり、日本中の中小病院は成り立たなくなる」と危機感を募らせています。

医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を

 また、3月27日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、▼患者の年代別の課題▼働き方改革など昨今の医療と関連の深いテーマ―について、今夏(2019年夏)まで横断的に議論していく方向を固めました(関連記事はこちら)。

 この点について中医協委員でもある猪口全日病会長は、「医師の働き方改革により、全国的に医師不足感が加速し、『効率化』が求められる。そうした中では、人員配置などのストラクチャー評価から、結果・成果に着目したアウトカム評価への移行や、医師の専従要件の弾力化(2018年度改定で緩和ケア診療加算等に導入した、緩和ケアチームでは専従者は1人で良いとするなど)、常勤配置要件の緩和(リハビリ職員なども短時間職員の組み合わせで常勤換算しても良いとするなど)といった、診療報酬で対応できる部分も相当ある。さらに、医師を増員すればコストに跳ね返る。診療報酬改定財源は厳しいが、入院基本料等の引き上げも検討する必要があるのではないか」との見解を示しました。

 4月からの中医協論議が注目されます。

診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

 また、厚労省の「地域医療構想ワーキング」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)では、公立病院・公的病院等について「地域での診療実績を踏まえた機能改革」論議を進め、検証していく方針が固まりつつあります。具体的には、地域の公立病院・公的病院等における、がんなどの診療実績データを分析し、例えば「地域で、一定数以上の診療実績を持つ医療機関が複数あり、近接している」場合や、「診療実績が特に少ない」場合などには、その機能を他の医療機関への集約できないかを検討・検証することが求められます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点について四病協では、「公立病院・公的病院等に限った話」なのか、「民間病院にも影響する話」なのかを注視する必要があると見ています。後者は、「地域に、公立・公的の基幹病院があり、周囲に中小の民間病院があったとして、公立・公的病院で手術等の診療実績が圧倒的に勝っている場合、中小民間病院は手術等機能を公立・公的病院等に集約しなければならない」という点にまで進むのか、という問題です。

地域医療構想ワーキングでは、構成員間で「民間病院は自然淘汰されるのを待つことになるだろう」との議論が行われていますが、明確に確認されたわけではありません。猪口全日病会長は、この点についても「今後の動向を注視する必要がある」との見解を示しています。

このほか、3月27日の四病協・総合部会では▼新専門医制度について、基本領域(19領域)は日本専門医機構がグリップすべきだが、サブスペシャリティ領域については線引きが難しく学会の裁量を認めるべきではないか▼医師の需給について、働き方改革の動きも見て、検証していく必要がある―といった議論も行われています。

 

http://www.saitama-np.co.jp/news/2019/03/29/08_.html
秩父中央病院、4月から入院中止 医師やスタッフ不足続く 外来・訪問診療などに重点 
2019年3月29日(金) 埼玉新聞

 秩父地域で唯一、精神科の病床がある秩父市寺尾の秩父中央病院が4月から、入院機能を中止して診療所へ移行する。医師やスタッフ不足が続いており、入院や外来の診療の質を保ち続けることが困難になったことが大きな要因。

 国も精神科病床を減少させる政策を進めているが、患者の家族には負担も広がっている。

 精神障害への偏見や過去の隔離収容政策の影響で、日本の精神医療は国際的な遅れや人権侵害が指摘されている。人口当たりの精神科の病院ベッド数は先進国最多で、患者の平均入院日数も突出して長い。

 厚生労働省の2017年度調査で、入院患者は全国で約28万4千人に上り、約5万5千人は入院期間が10年以上だった。手足をベッドにくくり付けるなどの身体拘束を受けた患者は1万2千人強。施錠された部屋に隔離された患者も1万3千人近くおり、いずれも10年間で2倍近く増えた。

 秩父中央病院によると、診療所になっても移転はせず、現在の場所で外来診療を実施。デイケアや作業療法室での活動を継続するほか、訪問看護も訪問看護ステーションとなり、継続していく。

 訪問診療(往診)も始める予定で、4月からは外来診療を午後も行う予定。歯科診療は継続するが、内科外来はなくなるという。

 同病院は方針変更で入院を縮小し、外来・訪問診療や地域生活支援に重点を置くこととなり、17年4月に新入院の大部分に対応してきた精神一般病棟を休床していた。

 同病院は「地域全体の医療スタッフ不足や人口減少などの現状を考えた上で、秩父地域に一つしかない精神科医療機関として長く地域に役立つために決断した。秩父地域で精神科医療やケアを受けられ、患者がなるべく入院しないで自分らしい生活が続けられるよう努力していきたい」としている。

 同病院の診療所移行については市議会3月定例会でも取り上げられた。

 議員から精神疾患患者の対応や市立病院での精神科設置について問われた市側は「現在、精神科医療は外来対応が主流であり、日頃より定期受診を励行し、病状の悪化を防ぐよう心掛けてもらうことも必要。市立病院での精神科設置は非常に要件が難しい状態」と答えた。

 同病院から別の病院への転院を余儀なくされた患者の家族は遠方の病院まで定期的に通うことになり、体力的な負担も大きくなったと明かした。

 「精神障害は誰にでも起こり得る病気ではあるが、現在も社会の偏見があるので、声が上げにくい。地元では暮らせなくなったということで、行政には声なき声をくみ上げて、対策を講じてもらいたい」と話していた。

G3註:秩父中央病院 精神科病床数 123床(診療科:精神科、内科、歯科、口腔外科)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668281
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革案「やむを得ない」、四病協
全日病猪口会長、「急性期、救急医療は集約化の方向では」
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は3月27日の総合部会で、28日に結論が出る医師の働き方改革の厚生労働省案などについて議論した。部会後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は「我々にとって、やむを得ないかなという感じだ。何が何でも変えろということではない。宿日直基準や兼業・副業のあり方については今後出てくるものを見ていこうということだ」と説明した(医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへを参照)。


 猪口氏は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の議論も踏まえ、「働き方改革が医師にも適用されて、医師が十分に余ることは絶対にないわけで、ますます厳しくなる。女性医師も増えてきて、(男性医師を「1」とした場合の)0.8で計算しているが、もっと少ないという話もあり、余計不足感が強くなる。数を合わせるという話よりも、現場での不足感をどうするか。(医学部定員の臨時増員が終了する)2022年度以降の話をしなければいけない」と述べた。

 医師の働き方改革の経営面への影響については、「一番影響が出るのは急性期だと思う」と指摘。三次救急や救命救急センターは輪番制を取っているところもあり、二次救急でこれまで当直として扱っていたものを勤務にすることや、勤務間インターバルを取らないといけないことから、「医師の数が余計に必要になってくる。大学病院などがどう厳しくなるかによって、アルバイトの医師がどれくらい出てくるかという話になる」と説明。さらに、四病協ではなく猪口氏個人の意見として「急性期、救急医療が集約化されてくるのは流れとして出てくると思う」と述べた。

 その他、新専門医制度については、基本領域とサブスペシャルティの連動研修4月開始が見送られたことについて、サブスペは多すぎてどこまでやっても整理がつかないとして、「日本専門医機構は基本領域だけきちんとしておいて、サブスペは学会に任せるのがいい」という意見が出た。「最初から見直すべきだ」という意見もあったが、猪口氏は「動いている以上はなかなかそうもいかない」と指摘した(サブスペシャルティの議論は、『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667417
シリーズ 社会保障審議会
医師需給「第4次中間とりまとめ」承認
親会構成員からは異論続出「ビジョンない」
 
レポート 2019年3月25日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)は3月22日、下部組織の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)との合同会議を開き、2月27日の同分科会で了承された「第4次中間とりまとめ」を審議した。検討会の構成員から分科会の取りまとめへの異論が相次いだものの、細かな修文は森田座長に一任の上で了承した。厚労省は医師確保計画の策定方針を3月末までに都道府県に通知し、都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す(資料は厚労省のホームページ、分科会の議論は『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。

 森田座長は、分科会構成員は既に取りまとめについて議論を終えていることから、主に検討会構成員に積極的な発言を求めた。日本精神科病院協会会長の山崎学氏(検討会構成員)は、「将来時点における不足医師数等」の資料に「過剰医師数」との言葉が使われていることについて、「医師が過剰なのはどこなのか。少なくとも精神科医療で過剰なところは全くない。業者に高額な紹介料を払って集めているのが現状だ。どういう現場を知っていて過剰という言葉を使うのか。数字だけで過剰と言われるのは心外だ」と激しい口調で指摘。

 厚労省医政局医事課は「これまでは人口当たりの医師数だけでやっていたが、できるだけ実感に近いものでやりたいということだ」と説明したが、山崎氏は納得せず、「誤解を招くような表現で審議が行われているような気がしてならない。全ての診療科で足りないし、へき地に行けなんて言ったら医師は辞めてしまう。バカみたいなことを書いていて、現実に合っていない。これでやっていけばまた医療が壊れる」と話した。


 分科会座長の片峰氏は「具体的なエビデンスは初めて出てきて、具体的な偏在対策をすることが可能になった」と取りまとめの意義を説明したが、日本病院会会長の相澤孝夫氏(検討会構成員)は、「医師が過剰、不足というのは全ての医師を言うのか。病院医師、大学で研究する医師、診療所の医師も全て含めて多い少ないという指標か。また、需要は入院医療需要ということか」と質問し、医事課は診療に従事する医師だけで研究者は入っていないこと、入院と外来双方の需要であることを回答。相澤氏は「そこから矛盾が生じる。日本の医師数は人口当たりで欧米に比べてあまり少なくないが、ベッド当たりでは極端に少ない。病院で働く者にとって医師が不足するという感覚はだぶんそこに起因する。地域でベッド数が決まれば必要医師数が出るわけで、この議論は逆からやっている。医療提供体制をどうしようかというビジョンが全くない」と厳しく切り捨てた。

 日本医師会副会長の今村聡氏(分科会構成員)は「議論の過程を親会の方々が詳らかに知る機会があまりなかったのかなと思う」と指摘。同じく日医副会長の松原謙二氏(検討会構成員)は「あまりにも仮説の上に仮説を重ねて仮説の結末を出している。これで全てが解決するのではなく、一つの案として謙抑的にやっていただきたい」と述べた。森田座長は「これに基づいて具体化して取り組まなければならないので、ゼロベースでもう一度議論している余裕はない。今回のところはこの形でご承認いただきたい」とまとめ、承認された。



https://www.medwatch.jp/?p=25575
医師の働き方改革に向け、特定行為研修修了看護師の拡充や、症例の集約など進めよ―外保連 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革論議が進む中で、医師から他職種へのタスク・シフティングが重要である。そうした中で「特定行為研修を修了した看護師」への期待が高まっており、まず特定機能病院が指定研修機関となり、自院の看護師が「働きながら研修を受けられる」体制を構築してはどうか―。

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)が3月19日に開催した記者懇談会で、このような考えが示されました。

ここがポイント!
1 特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき
2 産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき
3 消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき

 医師(勤務医)にも働き方改革が求められており、厚生労働省の「医師の働き方改革検討会」で、時間外労働上限の設定とともに、さまざまな労働時間短縮策に関する議論が進められています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 労働時間短縮策の中でとくに重視されている項目の1つとして医師でなくとも可能な業務の他職種への移管(タスク・シフティング)があり、既に制度化されている「特定行為研修を修了した看護師」の拡充はもちろん、新たに「ナース・プラクティショナー(NP)」を制度化していくべきとの指摘もあります。

 「特定行為研修を修了した看護師」は、指定された研修機関で一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を修了した看護師のことで、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38行為(21分野)の診療の補助(特定行為)を実施することが可能です。

 2020年4月からは、研修科目を精査し「研修の質を担保しながら、研修時間の短縮を行う」とともに、▼在宅・慢性期領域▼外科術後病棟管理領域▼術中麻酔管理領域—の3領域において特定行為研修をパッケージ化するなどの見直しが行われます(関連記事はこちらとこちら)。

 パッケージ化研修を修了すれば、例えば「外科術後病棟管理領域」では▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼胸腔ドレーン管理関連▼腹腔ドレーン管理関連▼栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼創部ドレーン管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養及び水分管理に係る薬剤投与▼術後疼痛管理関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整▼循環動態に係る薬剤投与関連―の特定行為を実施可能となり、医療現場でのさらなる活躍が期待されます。さらに、研修を受ける看護師にとっても、看護師を研修に送り出す医療機関にとっても「負担の軽減」が図られ、「特定行為研修を修了した看護師」の拡充も見込まれます。
 
 ただし、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚生労働省の掲げる「2025年度までに研修修了者を10万人とする」との目標達成までには、まだまだ険しい道のりがあります。

こうした状況を踏まえ、日本外科学会の馬場秀夫理事(熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学教授)は、「特定機能病院が、特定行為研修の指定研修機関となり、特定行為研修修了看護師の養成を進めることが重要」と訴えています。
 
 指定研修機関は、2019年2月に追加されましたが、それでも全国で39都道府県113機関にとどまっています(関連記事はこちら)。新たに設けられる「外科術後病棟管理領域」のパッケージ研修でも、短縮されるとはいえ、総研修時間は「365時間(共通科目250時間+区分別科目115時間)+各区分別科目の症例実習(科目によって5-10症例)」と長く、看護業務に携わりながら遠方の指定研修機関で研修を受講することには相当の負担が伴います。
 馬場理事は、特定機能病院が指定研修機関となれば、「当該病院に勤務する看護師が、業務に携わりながら研修を受講するハードルは低くなる」と見通します。

 さらに馬場理事は、外科医師の働き方改革に向けて、「地域の実情に応じた手術症例の集約化」も検討すべきと提案。例えば、▼肝臓がん▼胆のうがん▼食道がん―のような高度手術は、症例を集約することで、効率的な治療や周術期管理が可能となるとともに、治療成績の向上も期待できると馬場理事はコメントしています。一方で、▼大腸がん▼胃がん―などでは「ある程度の症例経験を積めば標準的な手技が実施可能となる」とし、集約化の是非を検討する必要があるとも指摘しています。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」でも、医療機関の集約化を地域で検討する必要があるとの議論が行われており、同じ方向を向いていると考えられます。

産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき

 また、医師の中でも特に負担が大きいとされる産婦人科領域について、日本産婦人科医会の中井章人代議員(日本医科大学教授、同大学多摩永山病院院長)は、宿日直について一般に「宿直は週1回、日直は月1回を限度とする」との厚労省基準の見直しが必要と指摘します。
 
 産婦人科医の即座の増員が不可能(医師の養成には10年単位の時間が必要)な中で、この限度どおりに産婦人科医師を配置した場合、全国の医療機関で運営が困難になると中井代議員は指摘。
 なお、総合周産期医療センターなどで宿日直基準を守り、夜間の医師業務を「夜勤」とすれば、多くの医師で「週あたり2-4日の休日確保が可能」となり、この休日中に市中の産婦人科医療機関での宿日直を担当する(アルバイトなど)ことができます。しかし、こうした場合、当然、総合周産期医療センターなどの平日・日中の医師配置が手薄となってしまい「本末転倒」な状況が生まれてしまいます。

 中井代議員は、当面は「宿日直の基準を緩やかに設定し、段階的に厳格な基準に戻していく」ことが現実的であると訴えています。例えば、総合周産期医療センターでは、夜間でも平均1.15回の分娩等が行われており、「日中に近い労働」となっていることから「宿日直ではなく、夜勤」と扱うことが必要ですが、一般病院の産婦人科では、夜間の分娩等件数は平均0.61回であり、一定程度柔軟な対応(夜勤でなく宿日直とし、回数基準を当面、緩和する)をとることなどが考えられそうです。なお、宿日直許可基準については「内容の現代化」方向が固められていますが、回数緩和方向はこれまでに示されていません(関連記事はこちら)。

なお、中井代議員は総合周産期医療センターや地域周産期医療センターの機能強化を図るために、産科の有床診療所については現行体制を維持したまま、▼総合周産期医療センター▼地域周産期医療センター▼一般病院の産婦人科―について、一定の集約化を図ることも検討すべきと提案しています。

 「医師の働き方改革に関する検討会」では近く意見をとりまとめ、5年後の2024年4月から時間外労働上限規定などが適用されます。こうした働き方改革について外保連の岩中督会長(埼玉県病院事業管理者)は、「医師の地域偏在、診療科偏在が大きく、1860時間を超える医師も少なくない。一方で、病院経営も厳しい」とい現実を紹介し、改革実現に向けた道のりの険しさを強調しています。
 
消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

 さらに、外保連の川瀬弘一手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)は、今年(2019年10月)予定の消費税率引き上げに関し、高額な医療機器等を使用する術式においては「償還されない費用が消費増税で増大し、病院経営がますます厳しくなる」と訴えています。
 
 例えばK046【骨折観血的手術】の1「肩甲骨、上腕、大腿」とK932【創外固定器加算】を実施した場合、診療報酬点数表では前者1万8810点と後者1万点が設定され、入院料等を除いて28万8100円が請求できます。一方で、▼手術用の基本的な医療機器のセット:1万7928円▼創外固定器の一連のシステム(テイラースペーシャルフレーム):137万5000円―などの償還できないコストが発生します(創外固定器については、特定保険医療材料としての価格が設定されず、上記K932【創外固定器加算】で評価)。
消費税率引き上げにより、機器購入に当たっての消費税負担も増加します(特定保険医療材料であれば、償還価格の引き上げが行われる)。また、昨今では医療安全を重視した使い切りの機器(ディスポーザブル製品)が増加しており、病院の負担する控除対象外消費税負担のさらなる増加も予定されます。

この点、日本医師会では「医療に係る消費税問題は、2019年度の消費税対応改定での精緻化で解消した」との見解を示していますが、特に、高度急性期・急性期の償還不可材料等を多く使用する医療現場(特定機能病院や地域の中核病院など)では「控除対象外消費税」は依然として大きな課題であることは間違いありません。クリニック等の状況のみを踏まえて「解消した」とするのではなく、医療現場全体をみた「消費税問題の解決」に向けた再検討が期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668429
シリーズ 真価問われる専門医改革
「新専門医制、国が関与を強めている印象」横倉日医会長
日本専門医機構社員総会、「23のサブスペの必要性、議論を」との指摘も
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「新専門医制度への国の関与がかなり強まっている印象」と述べ、プロフェッショナル・オートノミーで運営する重要性を強調した。同機構認定の23のサブスペシャルティ領域と基本領域との連動研修の4月開始が見送りになったが、同機構が厚生労働省に先手を打ち、専攻医や各学会、地域医療関係者などに説明可能な対策を講じる意味からも、「もう少し整理できないか」と発言したという。

 非公開で行われた社員総会後、横倉氏は、「国民に分かりやすい専門医制度にする必要があり、23のサブスペシャルティ領域についても、必要かということをもう一度、議論してもらうことが求められる」と発言の趣旨を説明した。

 社員総会では、四病院団体協議会の加納繁照氏(日本医療法人協会会長)も、サブスペシャルティ領域の検討を求めたという。

 横倉氏が、「国の関与がかなり強まっている印象」を持つ理由の一つが、連動研修の4月開始が見送りとなった3月22日の厚労省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(『 23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。「サブスペシャルテイ領域と専攻医採用におけるシーリングについて議論されたが、いずれも厚労省の事務局より対応案が提示された」(横倉氏)。

 同機構は3月27日付で、その旨に加えて、「連動研修を行うに当たっては、サブスペシャルティ領域の研修を当初より予定している基幹施設および連携施設での基本領域研修にマイナスの影響がでないように十分に留意する」ことを求める文書を、プログラム統括責任者や各専攻医、関係学会に通知した(資料は、同機構のホームページ)。

 連動研修を予定していた23領域の内訳は、内科15領域、外科6領域、放射線2領域。日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、社員総会後、記者らに対し、「厚労省の医師専門研修部会では、『専攻医に不利益にならないようにする』ことは確認された。社員総会では、(連動研修ではないが)4月からは研修プログラム通りに研修し、J-OSLERやNCDで管理していくことはご理解いただいた。それを報告することによって、(連動研修として)認めてもらう方向で、話は結んだ」と説明した。

 さらに横倉氏の問いかけについて、寺本理事長は、「各学会で相当な議論をして、サブスペシャルティ領域を決めた。日本専門医機構としてもそれを踏まえ、理事会でサブスペシャルティ領域として認めた。23領域についてはそうした流れの中で決まっている」旨を説明したという。「23領域を崩していくのは、厳しいと思う」(寺本理事長)。

 医師専門研修部会では、都道府県が連動研修による地域医療への影響を検証するデータの不足が問題となった。寺本理事長は、サブスペシャルティ領域の現状が分かるデータは学会がまとめていると言い、「できれば4月中にそれを出した上で、それを厚労省に送ることはしたいと考えている」と説明した。

 社員総会には、社員計23団体の代表(もしくはその代理)が出席。サブスペシャルティ領域の問題、2019年度の事業計画や収支予算書、カリキュラム制、事務局体制のほか、2019年度研修開始の専攻医の登録状況等が説明された。3月15日時点で8604人が登録済みだ。



https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201903/0012178017.shtml
市立川西病院が民間運営へ 1日から診療体制は維持 
2019/3/25 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県川西市立川西病院(同市東畦野)が4月1日、これまでの市直営から、指定管理者制度により、医療法人「協和会」(同市)の運営に変わる。長年の赤字体質からの脱却を目指して市が進める再編事業の一環で、現行の診療科は維持。看護師ら職員も一定数が残るものの、民間への移行直前に収支が急激に悪化するなど、不安も抱えながらの船出となる。

 同病院は2002年度から赤字が続く。建物などの老朽化もあり、市は17年春に再編構想案を発表した。現病院を市中心部と現在地の2カ所に分け、本院機能は市中心部に22年秋をめどに完成する新病院に移す。先行して今年4月から、現病院で協和会が運営を始める。

 職員給与は平均2割減(4年間は市が一部補助)となるものの、看護師や准看護師、助産師約190人のうち約100人が残留。さらに新卒採用などで計約140人を確保した。常勤医も今の36人から32人程度への減少にとどまり「診療体制に問題はない」と市。今後も採用は続けるという。

 ただ、収支は厳しさを増している。18年度は資金不足で、市は従来の補助に加えて、補正予算として約9億2千万円の追加支援を計上する事態に陥った。

 主因は入院患者数の減少。1日平均で17年度の約190人から150人台に落ち込む見通しだ。再編構想を受け「病院がなくなるといううわさが広まり、患者の選択肢から外れやすくなった」と市担当者。協和会が示した19~21年度の収支計画では、200人前後の入院患者数で年間4~5億円余りの赤字。市議会では不安の声が相次いだ。

 民間運営への移行後は、病院経営の赤字を市は補てんしない。病院ではチラシなどで診療継続をPRし、他病院からの転院を増やすなどして患者数の確保を図る方針。新病院の完成後は、高度急性期医療の導入や病室の全室個室化などで収支改善が期待できるといい、24年度の黒字化を見込んでいる。

 市の担当者は「しばらくは赤字覚悟。民間運営の下、医師らにも経営の一角を担っている意識を持ってもらうことが必要」と話している。(伊丹昭史)



https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019032902000170.html
【茨城】なめがた地域医療センター 機能縮小を正式決定 高萩でも病床数削減 
2019年3月29日 東京新聞

 行方市の土浦協同病院なめがた地域医療センターが入院病床数の削減や診療時間外の救急受け入れの取りやめを検討している問題で、運営するJA県厚生連は二十八日、水戸市の県JA会館で臨時総会を開き、機能縮小を正式決定した。また、県北医療センター高萩協同病院(高萩市)についても、入院病床数を減らすことを発表した。 (水谷エリナ)

 JA県厚生連によると、なめがた地域医療センターで四月から、入院病床数を百九十九床から四十九床に減らす。夜間や休日の救急受け入れは土浦協同病院(土浦市)で対応する。常勤の医師数も十九人から十人になる。ただ、診療の一部は新しく医師を派遣するなどで強化するという。

 県北医療センター高萩協同病院でも、四月から入院病床数を百九十九床から百四十四床に削減する。

 機能縮小の背景には、患者数減少などによる経営状況の悪化がある。二病院は赤字が続き、本年度は合わせて約十億三千万円の赤字になる見込みという。

 経営管理委員会の佐野治会長は「今後の三年間で、土浦協同病院が黒字化して、経営がある程度安定化すると思う。それまで迷惑をかけることもあるが、理解いただきたい」と話した。

 山田保典理事によると、なめがた地域医療センターの機能の代替などを検討するため、行方や潮来、鉾田の三市や県の関係部署や関係医療機関と四月から協議の場を設ける。

◆職員「命の危険出てくる」 維持求め署名2万筆
 なめがた地域医療センターの大幅な機能縮小に反対しようと、センターの職員らが署名活動し、約二万人分を集めた。職員は「救急受け入れができなくなると、命の危険が出てくる」と訴える。

 職員が機能縮小の方針を知ったのは二月上旬。住民に現状を知ってもらうため、職員で「なめがた地域医療センターを守る職員の会」をつくった。

 系列病院の関係者らと協力し二月中旬から、入院病床数や診療時間外の救急の維持を求め、チラシを配ったり、署名を呼び掛けたりした。

 「脳疾患や心疾患は三十分以内の対応で救命率が高くなる」と職員の一人。夜間や休日の救急は土浦協同病院などで対応することになるが、センターから約二十五キロあり、治療に時間がかかる。「手遅れになる恐れがある」と懸念する。

 職員は「経営者も、まずは住民のニーズに応えてほしい。それでも赤字なら、職員や病院、行政などと協力して解決しないといけない。赤字や患者数などの数字だけを見て、判断できる問題ではない」と説く。

 集まった一万九千八百十三筆の署名は、二十六日にJA県厚生連へ提出。約二百通の住民のメッセージも添えた。(水谷エリナ)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668283
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ
暫定特例1860時間「2035年度廃止検討」を法令に明記
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は3月28日の第22回会議で報告書を取りまとめた。病院勤務医の時間外労働上限を年960時間(A水準)、「地域医療暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)を年1860時間として労働基準法施行規則に明記し、2024年4月から適用する。B水準については、2035年度末の廃止を検討することを同施行規則に書き込む。B、C水準の適用に当たっては労務管理や医師の健康確保策などが義務となることが法令上明確となり、これまでおろそかにしてきた問題に医療界が向き合う「改革」がスタートする(資料は厚労省のホームページ、働き方改革に関する法令や告示などはこちら、前回の議論は『医師の働き方改革、報告書取りまとめへ大詰め』を参照)。

 岩村座長は議論の結びとして、「取りまとめはあくまでこれから何をやっていくかを明らかにし、課題解決を目指していくためのものだ。さまざまな改革や改善を、後戻りすることなく強い決意を持って進めることが大事だ」と述べ、改革の推進を呼びかけた。

 B水準の2035年度末廃止を法令に明記することについては、3月15日の前回会議で労働組合関係の構成員が強く主張する一方、病院団体の構成員は「今の段階でがちがちに固めるのは地域医療を危うくする可能性がある」と反対。結局、「検討を行うことを法令上明記する」との表現に落ち着いた。さらに、「医療計画の策定または変更のサイクルに合わせ、3年ごとに段階的な見直しを行う」ことも法令に明記し、2027年度、2030年度、2033年度に合わせて、検討することになる。


 改正労働基準法は今年4月1日に施行され、時間外労働時間に関する労使協定(36協定)で定めた時間外労働時間を超えて労働させた場合に、使用者を「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処することとされている。医業に従事する医師に関しては適用が5年間猶予されて2024年4月からの適用となるが、この規定を報告書の脚注に書き込んだ。

 B水準適用のための要件としては「地域医療の観点から必須とされる機能を果たすために、やむなく長時間労働となる医療機関である」ことなどを示しているが、前回に出された意見を受け、「実際に医師の時間外労働が短縮していること」や「労働関係法令の重大かつ悪質な違反がないこと」などを加えた。

 A、B、C 各水準の対象となる医師の範囲としては、あくまで「医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医」と明記。医師免許を有していても、行政機関などに所属して医業に従事しない医師は今年4月1日施行の一般則が対象となる。介護老人保健施設と介護医療院の勤務医は診療を行うが、実態からB、C水準は該当しないとして、A水準が適用される。また、血液センターや健診センターの医師は、「疾患を有する患者の治療を直接の目的としない」として、一般則が適用される。

積み残しは「兼業・副業」、タスク・シフティングの具体的業務など

 報告書に具体策を盛り込むに至らなかったものとしては、「兼業・副業」やタスク・シフティングの具体的業務などがある。千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は「大学病院の医師に大きく関わる。しっかり考えてほしい」と指摘。また、日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、法令上どの業務を医師から他職種へ移譲できるかを病院団体で精査していることを明らかにし、「これは現行法では変えられない、これは解釈によっては変えられるかもしれないという切り分けが難しい」と指摘。厚労省医政局医事課は今後検討すると回答した。

 B水準を適用する医療機関を特定する新たな組織については、「評価機能」を設けることが盛り込まれたが、具体的にどのような組織をつくるかは「都道府県から中立の機能であること」「地域医療提供体制の実情やタスク・シフティングの実施状況等を評価するために必要な医療に関する知見を有すること」が必要で、引き続き検討することとなった。C水準についても、適用の前提となる「我が国の医療技術の水準向上に向け、先進的な手術方法など高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要である分野」を指定する「審査組織」を今後検討し、設ける。

 宿日直や研鑽の扱いについては、報告書の参考資料に考え方が記載されており、今後通知などで具体的に示すことになる。これについては日本医師会常任理事の城守国斗氏が「宿日直や研鑽、副業・兼業の取り扱いや評価機能のあり方などが極めて大きな影響を及ぼすことになる。できるだけ早く、しっかりとした検討をしてほしい」と求めた。



https://www.medwatch.jp/?p=25551
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1) 
2019年3月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度において、基本領域(例えば内科)とサブスペシャリティ領域(例えば循環器)との連動研修を認めた場合、「サブスペシャリティ領域の指導医がいないために、基本領域の連携施設となっていた医療機関での研修(勤務)を避ける」といった事態が生じはしないか。こうした点を検討するためのデータが現時点では存在しないため、「連動研修の是非」を検討する段階にない。この4月(2019年4月)からの連動研修は見送るべきである—。

 3月22日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)は、こういった判断を行いました(関連記事はこちらとこちら)。

もっとも連動研修を前提とした研修プログムで研修を行っている専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)に不利益が生じないよう、2019年4月以降も当該プログラムに沿って研修を受け、後にサブスペシャリティ領域の単位として認定(追認)するなどの配慮が行われます。
 
ここがポイント!
1 データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない
2 専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない

新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタート。19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域
医師専門研修部会(1)1 190322
 
サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認定する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認定することとなっています(例えば、地方の中核的病院で標榜されている診療科や、国民の「どこに専門医がいるのか知りたい」とのニーズの強い診療科など)(関連記事はこちらとこちら)。

ところで、内科・外科・放射線科の各基本領域学会では、社会的意義や国民への認知の程度などを踏まえ、以下の23学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推薦し、日本専門医機構でもこれを認定しています。とくに内科・外科領域については、一定の症例について「基本領域での経験症例」と「サブスペシャリティ領域での経験症例」との重複カウントを可能とし、より早期に「基本領域とサブスペシャリティ領域の資格を保有する専門医」を養成する「連動研修」が計画されています。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―議論

 連動研修はこの4月(2019年4月)からスターとする予定でしたが、専門研修部会では「一部(消化器内視鏡など)、国民にとって分かりにくいものがある」「整備基準(サブスペシャリティ領域として認定するための基準)をまず策定し、その上で認定を行うべきである」との意見が出されていました(いわば「待った」がかかった)(関連記事はこちら)。

 さらに3月22日の専門研修部会では、厚生労働省から、連動研修の重要性を確認した上で、「現時点で『地域医療に与える影響』に関するデータが示されていない。連動研修の是非を検討する段階に至っていないのではないか」との指摘もなされました。

2018年の改正医療法・医師法により、新専門医制度が地域医療に悪影響を及ぼす恐れのある場合には、厚生労働大臣の意見を踏まえて、日本専門医機構は制度見直しを検討する努力義務を負っています。具体的には、▼「サブスペシャリティ領域の連動研修が地域医療へ悪影響を与えないか」を各都道府県の地域医療対策協議会などで検討する→▼厚生労働大臣が、地域医療対策協議会や専門研修部会の意見を踏まえて、必要な見直しを要請する→▼日本専門医機構で制度見直しを行う―ことが必要ですが、4月までの1週間でこうした一連の業務を完了することは事実上不可能ではないか、との指摘です。

基本領域である内科において「A病院・B病院・C病院を循環する」という研修プログラムが組まれていたとします。「地域医療の確保」という各方面からの強い要請を受け、例えば「基幹病院のみで完結させない」などの配慮・工夫が凝らされています。

しかし、サブスペシャリティ領域との連動研修となった場合、「B病院には当該サブスペシャリティ領域の指導医がいないので、A病院とC病院のみで研修を完結させ、B病院での研修(勤務)を行わない」という事態が生じてしまう可能性が指摘されているのです。この場合、B病院の所在する地域において、医師確保に困難が生じるなど「地域医療への悪影響」が生じる可能性を否定できないのです。
 
この点、日本専門医機構の理事長である寺本民生参考人は、「連動研修を念頭において研修プログラムを組んでおり、プログラム全体を通じて、地域医療に悪影響が出ないような研修(勤務)が行われる」旨を説明しましたが、厚労省は「データが示されておらず、地域医療への影響があるのかないのかを判断・検討できない」と指摘。

医学会や日本専門医機構副理事長ら他の参考人も「専攻医に不安を与えることはできない」とし、この4月からの連動研修実施を認めてほしいと強く要請しましたが、専門研修部会の構成員や遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)らはデータが示されていない点を重くみて、「この4月からの連動研修実施は見送るべき」との結論に達しました。

専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

もっとも、内科や外科で「連動研修」を念頭において研修を受けている専攻医が不利益を被ってはいけません。このため、山内英子構成員(聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)らは「経験した症例は、将来、過去に遡ってカウントするなどの配慮が必要である」と強調しています。この点、寺本参考人も「専攻医に不利益が生じないように配慮する」ことを約束するとともに、個々の専攻医や指導医等に宛てて日本専門医機構から事情とともに「不利益が生じないような配慮を行う」旨を連絡する考えを示しています。

 
今後、専門研修部会において▼サブスペシャリティ領域の在り方▼連動研修の在り方―も検討していくことになります。

なお、上記23領域・学会については、既に日本専門医機構が認定を行っていますが、消化器内視鏡や老年病など一部について「待った」がかかっていました。この点、3月22日の専門研修部会で具体的な議論は行われませんでしたが、片岡仁美構成員(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授)や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らは、「高齢者を診るスキルはすべての医師に求められるが、老年病の専門医がそのリーダー役に就くことなどが期待される」との考えを占めました。寺本参考人は、このように23領域・学会のサブスペシャリティ領域認定に向けて構成員の理解が進んでいる点について「大きな収穫であった」とコメントしています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/667901
宿日直やアルバイトの扱い「大きな問題」、日病会長
医療提供体制「データを整えて提言していく」
 
レポート 2019年3月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は3月26日の定例記者会見で、公明党の厚生労働部会に医師の働き方改革に関する要望書を提出したことを明らかにした。宿日直やアルバイトの扱いなどについて「病院の実態を考慮の上、適正な制度の設計を要望する」などの内容で、相澤氏はこれらをどこまで労働時間として扱うかどうかは「どう考えていくのか、極めて大きな問題だ。(会員病院から)不安の声が上がっている。早い時期に明確化していただかないと困る」と述べた。


 要望書では宿日直で「睡眠時間も十分確保できている場合も多くある」と指摘。また、オンコールは「緊急時の呼び出しに備え、医師個人の自由時間として過ごしている」ため、労働時間とは考えにくいと説明している。アルバイトについては、医師の生活が兼業・副業で成り立っていることや、それによって派遣元の病院経営が成り立っていると指摘。このことが、「長い年月の中で育った日本の教育、医療の現状であることから、労働時間のみをもって対応することは、地域医療の崩壊、派遣元病院の存続など、医療現場に多大な混乱を生ずることになる」とした。

 2019年度の事業計画についても説明した。重点項目は次の通り。

一般社団法人としての基盤整備
適正な医療確保に向けた病院の基盤整備
医療の質と安全の推進
情報提供と広報活動
病院職員の人材育成
国際活動
医療関連団体との連携推進

 相澤氏は、「適正な医療提供体制に向けた取り組みということで、まずはしっかりとデータを整えて提言していこうということだ」と説明。地域、診療圏における人口や患者数、病院機能などのデータを集め、「各病院が地域の状況を見ながら自分の立ち位置を判断しながら、将来の構想をつくっていくのに役立つことをしていきたいと思っている」と述べた。

 医師の働き方改革に関しても、「病院が働き方を変えたときに、いったいどう変化するかは、実行してみてデータを取らないと分からない」と指摘し、こうしたデータも収集していく考えを示した。今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについては、「病院間の格差を生まないのかどうか、できるだけ早く検証した方がいい」と指摘。さらに、今後の病院経営にとって、生活習慣病の予防や、軽い病状の時点で重症化を予防することが非常に重要だとして、「健診や指導、教育は病院の役割で、講習などを行っていきたい」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25585
<オンコール時間を労働時間に含めるのか、副業等の労働時間をどう扱うのか、早急に明確化を―日病・相澤会長(1) 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革に関し、病院経営の面で非常に重要になるのが「宿日直の取り扱い」である。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、「使用者の明示・黙示の指示で、労働者が業務に従事する時間」は労働時間であるとの議論がなされているが、例えば、呼び出しに備え自宅で待機(オンコール)している時間も、使用者の指示に基づく待機であることから「労働時間」として扱うのだろうか。そういった点を明確にしてほしい―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は3月22日に定例記者会見を開き、こうした要望を与党である公明党厚労部会の高木美千代部会長に示したことを明らかにしました。
 
待機時間、使用者の指示を受けての待機だが、自由に過ごせる点をどう考えるのか
 「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が大詰めを迎え、3月中に意見を取りまとめることになっています。

 例えば、36協定を労使で結んだとしても超過できない時間外上限を、原則年960時間、地域医療確保のための特例年1860時間とすることや、医療界を挙げてタスク・シフティングを進め、医師の労働時間を短縮していくことなどの方向性が固まってきています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

そうした中で「宿日直」については、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働基準法上の労働時間等に関する規定が適用されません(労働時間と見做されなくなる)。ただし、許可基準は1949年(昭和24年)のもので「定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温などの業務が稀で、一般的に見て睡眠が十分にとりうる場合には宿直を認めるが、その業務時間は割増し賃金を支払うこと」などとされ、現在の医療現場にマッチしません。このため、厚生労働省は「4月以降に改正を行う」考えを明確にしています(関連記事はこちら)。

この点、ある時間が労働時間に該当するのか、労働時間外と扱われるのかが、極めて重要となります。例えば、夜間の当直が労働時間としてカウントされれば、前述の960時間や1860時間の中に含まれますが、労働時間外と扱われれば、それは960時間・1860時間の外となるためです。

労働時間の定義として「使用者の指揮命令下におかれている時間、つまり使用者の明示・黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされていますが、例えばオンコール時間(呼び出しに対応するための自宅待機時間)はどのように扱うのだろうか、と相澤会長は疑問を呈します。

緊急患者等で呼び出されてから診療に従事する時間は「労働時間である」ことに疑いはありませんが、待機時間については、「使用者の指示を受けている」点を考慮すれば「労働時間」に該当しそうですが、「待機時間の多くは自由に過ごせる」ことを考えれば一律に労働時間と扱うことに疑問も生じます。さらに、病棟で当直をする場合にも類似の疑問が生じます。相澤会長は「こうした点を早急に明確にする必要がある」と強調しています。

 また、医師の働き方改革では、副業・兼業をどう取り扱うのか、という問題も生じます。厚労省は、一般則(一般労働者の副業・兼業の取り扱い)の議論を行っており、そこでの結論を踏まえて「医療の特殊性を踏まえた対応」を検討する考えを示しています。

 この点についても相澤会長は、▼特に大学病院に勤務する若手医師は、市中病院でのアルバイト(当直等)収入が大きな生活の基盤となっている▼アルバイトを受け入れる派遣先の市中病院においては、当直体制等の確保に若手医師のアルバイトが欠かせない▼派遣元となる大学病院との経営は「アルバイトを行っている医師が、アルバイト収入を含めて生活している」ことから、成り立っている―という実態があることを強調。

 その上で、例えば「副業・兼業」(アルバイト)の時間を単純に労働時間として合算(通算)するのか、別の取扱いとするのかを慎重に検討すべきと指摘しています。単純な合算(通算)となれば、上記のように多くの関係者に大きな影響がでることでしょう(若手医師はアルバイトが大幅に制限され、収入が減少する可能性がある。市中病院では当直体制確保が非常に難しくなる。大学病院等においても人件費が大幅に増加する、など)。とくに労働時間の長い若手医師がアルバイトをする機会が多く、その影響は甚大と考えられます。
 
 「医師の働き方改革に関する検討会」では、こうした点については結論を出さず、別途の検討に委ねる見込みです。しかし医療提供体制の確保にとっては、これらも極めて重要な問題であり、今後の検討内容に注目が集まります。

 なお、時間外労働上限などは5年後(2024年4月から)に適用され、今後5年の間に、全医療機関で労務管理の見直し(まず36協定を締結するところから)や労働時間の短縮を進める必要があります。この点についても、相澤会長は「労働基準監督署の指導等において、医療現場に大きな混乱が生じないよう、医療現場の意見を十分に考慮することが必要」と訴えています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/general/668463
医師「できることやった」 意向確認の経緯説明 福生病院、透析中止 
事故・訴訟 2019年3月29日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で腎臓病の女性=当時(44)=が昨年8月、人工透析を取りやめて死亡した問題で、この判断をした同病院の担当医(50)が28日、初めて取材に応じ、透析続行のために必要な手術の準備をしていたが、女性に拒まれ、物理的に透析が不可能になったという経緯を明らかにした。女性側の意思を尊重したとした上で「できることは全部やらせてもらったつもりだ」と述べ、問題はなかったとの見方を示した。

 松山健(まつやま・たけし)院長も取材に応じ、この透析の取りやめについて倫理委員会を開くべきか事前に担当医から相談を受けた際、日本透析医学会の提言を参照した上で開催が必要ないと判断したと説明。「提言に違反も、無視もしていない」と主張した。

 一連の経緯に問題がなかったか都が調べている。

 担当医によると、女性は、透析のために設けられる腕の血管の分路(シャント)の管理のため、半年に1度来院。昨年8月9日に来院した際、分路が閉塞(へいそく)した状態で、医師は手術によって鎖骨付近にカテーテルを入れる治療法を提示。女性は拒否し「元々、シャントがつぶれたらやめようと思っていた」と透析中止の意向を示した。

 担当医は、エックス線撮影を行うなど、事前に女性の手術の準備を進めていた。意向を知り、驚いたという。

 担当医は、夫を呼び、看護師、ソーシャルワーカーの5人で改めて意向を確認した。女性は手術を拒否し、夫も同調。「死期を早めるリスクがある」と記載された意向確認の書面にサインした。

 普段透析をしている診療所に手術を受けるよう説得された女性は10日に再び来院。別の医師が意向を確認し、手術を受けないことになった。

 14日に女性は体調不良を訴え入院。16日未明にパニック状態になり「こんなに苦しいなら透析した方がいい。撤回する」と看護師に話した。担当医は、女性が落ち着いている時に意向を確認すると夫に説明。同日正午ごろ、女性に対し、手術して透析するか、苦しみの症状を軽減するかの意向を改めて確認。女性は軽減を選び、午後5時すぎに死亡した。



https://www.m3.com/news/general/668627
大町診療所、内科だけに 民営化2年 医師退職、改修困難で 
地域 2019年3月29日 (金) 佐賀新聞

 2年前に大町町立病院から民営化された「大町診療所」(杵島郡大町町)の診療科目が4月から、現状の3科から内科だけになる。医師の退職や空調設備など建物の改修が困難なことが理由という。

 町立病院は大町町が2017年、社団法人「巨樹の会」(武雄市)に約3億5千万円で経営譲渡した。同年4月に内科、整形外科、脳外科、耳鼻咽喉科の「大町病院」として開院。入院病床60床を系列の新武雄病院(武雄市)に移した同年9月に「診療所」になった。17年に患者数が少なかった脳外科を休診した。

 病院関係者によると、3月末で整形外科の医師が退職するため4月以降の診療を休止する。空調設備が改修できない耳鼻咽喉科の診療も取りやめる。内科の医師1人が異動するため、診療は現状の週5日から3~4日になる見通しという。関係者は「医師の確保というより施設面の問題が大きい。設計図面がなく耐震診断も簡単にできず、空調設備の改修も容易ではない。そういう現状を総合的に判断した」と話す。



https://www.m3.com/news/general/668507
【福島】檜枝岐診療所 常勤医不在に 来月から 医師退職、後任を募集 
地域 2019年3月29日 (金) 読売新聞

 檜枝岐村の唯一の医療機関である檜枝岐診療所が、4月から常勤医不在となる。現在いるただ一人の医師が今月末に契約満了で退職するためだ。28日が最後の診療日となり、村は後任を急募している。

 村総務課によると、退職するのは2017年から同診療所に勤務していた70歳代の男性医師。昨年10月に、退職の意向を村に伝えていた。今年1月に後任者がいったん内定したものの、最終的に契約には至らなかった。

 村は4月以降、南会津町の県立南会津病院から週1回程度、医師の派遣を受ける方向で調整を進めている。同病院からは現在も月2回の派遣を受けている。

 今月、村ホームページに募集の告知を掲載したが、これまでに応募はないという。橘千春・総務課長は「幅広く診療できる医師に来てもらえれば、村民も安心できる」と話している。

 同診療所は内科・小児科の外来診療のみで、患者数は1日平均11・5人。募集しているのは70歳ぐらいまでの医師。年収は2000万円(税込み)で、医師住宅も用意されている。問い合わせは村総務課(0241・75・2500)へ



https://www.m3.com/news/general/668316
天売 また常勤医不在 島民、根本解決求める声 
地域 2019年3月28日 (木) 北海道新聞

【天売】天売島からまた常勤医が不在となった。島内唯一の医療機関である道立天売診療所の田中耕治所長(60)は、27日を最後に診療を取りやめた。31日付で退職する。道は4月以降、代診の医師を月3回派遣して対応する方針だが、島内では根本的な解決策を求める声が上がっている。

 島内で旅館を経営する男性(61)は「田中先生は親身に診てくれ、いい先生だった。何年もいてくれると思っていたのに」と残念がる。別の男性(41)は「長くいてもらうためには医者の負担を減らすなど何か工夫が必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/668315
血液内科の新患受け入れ休止/八戸赤十字病院 
地域 2019年3月28日 (木) デーリー東北

 八戸赤十字病院(瀬尾喜久雄院長)は、常勤医の減少により、4月1日から血液内科の外来と入院診療を縮小し、新規患者の受け入れを休止する。白血病や悪性リンパ腫など血液疾患の入院設備を備えている施設は、青森県南地方では同病院のみ。黒沢裕之事務部長兼総務課長は「県南、岩手県北地域一帯の患者さんを受け入れてきただけに大変心苦しい。医師を確保でき次第、新規患者を受け入れたい」としている。

 同病院によると、医師の派遣元である岩手医科大付属病院血液腫瘍内科の医師不足の影響を受け、八戸赤十字病院血液内科の常勤医を3人から2人に縮小。これにより、現状の診療体制の維持は困難、と判断した。周辺の医療機関や患者らには既に通知をして、理解を求めている。

 血液疾患の治療には、無菌室など専用の設備が必要。青森県内で現在、血液内科の入院設備を備えているのは、同病院のほか、県立中央病院、弘前大付属病院、つがる総合病院の3病院のみ。

 八戸赤十字病院は今後、入院や通院している患者については従来通り診療を継続するが、経過を見ながら、患者の希望に応じて他の医療機関をあっせんする考え。



https://www.m3.com/news/general/667788
南相馬・小高病院:入院再開へ方針決定 市が病床再編計画で /福島 
その他 2019年3月26日 (火) 毎日新聞社

 南相馬市は、市立小高病院の入院機能について、いったん無床診療所とした後、将来的な入院再開を目指す方針を正式に決定した。

 25日公表した小高病院と市立総合病院(同市原町区)の病床再編計画に盛り込んだ。計画は、現在小高病院のもつ入院病床99床のうち70床を総合病院に集約。総合病院を計300床とし、小高病院は無床診療所とする。その後、医師確保や、見込まれる赤字に対する財源確保など準備が整えば、19床の入院用病床を整備する。

 方針決定を受け、市は来年度、東日本大震災で損傷した病院本館などを解体する。解体中は診療環境を考慮し、今年8月をめどに、小高区内に一時移転。来年の3月定例市議会で関連議案の改廃を目指し、無床診療所としての運営がスタートする。診療所の場所は、小高病院敷地内の他、同区内の医療機関跡などへの移転も検討する。【高橋隆輔】



https://www.m3.com/news/general/667761
竹田のこども診療所「月末で終了」と所長 来月以降の体制未定 
地域 2019年3月26日 (火) 大分合同新聞

 竹田市唯一の小児医療機関、市立こども診療所の所長を務める男性医師(50)が3月末で診療を終えることが25日、医師らへの取材で分かった。「市への不信感が拭えなかった。もう続けられない」と述べた。同日の市議会対策委員会で表明する見通し。

 4月以降、診療所の運営体制は未定で、市は空白が出ないよう対策を急ぐ。

 医師は委員会開会前に「留任の署名をしてくれた約5300人の保護者の思いに応えようと頑張ってきた。市は何ら問題を解決してくれなかった」とコメント。本年度末で所長を辞める考えを明らかにした。

 市内飛田川にある現診療所の玄関には「長らくのご愛顧ありがとうございました」と記した紙が張られている。

 診療所を巡っては、市が市内玉来へ新築移転させるのを機に運営を市直営から外部委託に変更することを計画。指定管理の条件面で医師と溝が生じ、関係が悪化した。

 医師は1月末の委員会で辞意を示唆。市内の母親らが署名を集め、診療継続を求めていた。市は話し合いを重ねたが平行線が続いていた。



https://www.m3.com/news/general/667495
滋賀・野洲市民病院、収支計画二転三転 整備費も膨張、市民疑心 
地域 2019年3月25日 (月) 京都新聞

 2021年開院予定の滋賀県野洲市民病院の事業収支計画が二転三転している。建設費は増加の一途をたどり、黒字になる時期も繰り返し変更されている。市は「大きな目で見て事業の見通しを考えるためのもの。影響はない」とするが、新たに市の一般会計から7億円を支出する計画も示され、市民からは「将来に不安を感じる」との声も上がる。

 新病院の建設に関して初めて収支計画が示されたのは12年5月。市による整備の可能性を探って専門家らの委員会が検討し、開院20年後も赤字が続くという結論だった。以後、病院事業が黒字化するまでの年数は計8回変更された。

 特に市議会での対立が深まった15年は頻繁に修正された。1月には、それまで「5年目で黒字」としていた見通しを、建設費の高騰などで20年後も赤字が続くと発表。しかし3月と10月には一転して「16年目で黒字」「8年目で2400万円の黒字」に変わった。理由としては、14年度の野洲病院の業績の反映▽見込み患者数の増加―などと説明されたが、市議会は病院関連予算を重ねて否決した。

 直近では昨年12月の収支計画で、黒字になる時期を従来の「2年目」から「12年目」に遅れると修正。今年2月に市が示した改善策では、貸付金の予定だった当初資金7億円を返済義務のない「出資金」に変更する▽医療機器の本格的な更新を6年目以降にずらす―などを行うことで「4年目で8万2千円の黒字」となり、7年目以降は黒字が続くとの見通しを示した。

 収支計画の変遷について山仲善彰市長は開会中の市議会などで「情報を全て公開しているため見通しが変動するのは当然。大きな目で見て病院事業が成立可能かどうかを判断するためのもので、数年で(黒字)転換するのであれば問題ない」と説明する。

 一方で、新病院の整備費は膨らみ続けている。11年8月の検討委員会では(民営の)野洲病院の提案通りに実施した場合、整備費は約55億円と試算した。その後建設費は徐々に増加し、15年3月には病床数を減らすなどして費用削減を試みたが、現在は当初と同じ建設面積と約200の病床数で約100億円を見込む。駐車場など周辺整備を含めると約110億円に上る。

 整備費について山仲市長は「用地取得費や駐車場整備費を含まずに整備費を安く見せることもできるが、含むことで国の交付金が得られるなどの利点がある」と説明。また「野洲病院は本来11年に経営不振で閉院していたが、新病院計画があることで保ってきた。市民に適切な医療環境を提供することが何よりも大切」と話し、病院事業に取り組む意義を強調する。

 収支計画の変遷について市民の受け止めは複雑だ。無職男性(69)は「病院があれば便利だが、大きな赤字を抱えるのなら考え直さないといけない。収支計画がころころ変わることには怖さを感じる」と話す。病院整備の中止を求めて提訴した市民団体の山川晋代表(67)は「これだけ頻繁に変動する収支計画は信用できない。(改善策は)お金を一般財源から投入しているだけ。経営改善とは言えない」と指摘する。

■健全な改善策と言えず

 滋慶医療科学大学院大学(大阪市)の宇田淳教授(病院管理学)の話

 収支計画は患者数や職員給与などをどう見るかによってその都度変動するものだが、赤字になるから市が一般会計から7億円を出資するというのは、健全な収支改善計画とは言えない。

 整備費については、建設業の人手不足で上昇傾向にあり、今後も上昇するだろう。2017年11月の実施計画を見ると、病床稼働率は21年度で73・8%、25年度で81・9%。2割の空きがある計算だが、病床数を減らすことで建設費が削減できる可能性がある。

 市は病院事業を進めるなら、市民にとってのメリットやコスト負担を丁寧に説明する必要がある。特に今後は、一つの病院だけでなく地域の病院間で役割分担する「地域包括ケア」が重要になる。湖南地域で新病院がどんな役割を果たすのかも周知していくべきだ。



  1. 2019/03/31(日) 06:19:21|
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Never Forget 11-3-11

8th year after disaster
Never Forget 2011-03-11


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  1. 2019/03/11(月) 05:21:38|
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3月10日 

https://www.afpbb.com/articles/-/3214196
フランス、地方の医師不足に住民の不満噴出  
2019年3月6日 10:00 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ] AFPBB News

【3月6日 AFP】仏パリ南方にある小さな町、モンタルジ(Montargis)で医師や歯科医を受診することは実に難しい──。首都から100キロ程度しか離れていないにもかかわらず、それは月の裏側に住んでいるのと変わらないほど困難を極めるという。

 この町では先ごろ、地域社会の問題について話し合うタウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた。参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 タウンミーティングは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、自身の政策に対する抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応の一環と位置付けて各地で開催されているものだ。

 人口約1万5000人のモンタルジや多くの町で、医師不足は大きな問題となっている。フランスでは第2次世界大戦(World War II)終結以降、ほぼ無料で医療を提供する国民健康保険制度を誇りにしてきたが、すべての患者が平等な治療を受けているわけではない。

 公式統計によれば、フランスの医師の数は現在約22万人。1980年からは2倍に増えている。しかし、その多くは地方部や小さな都市よりも、大都市で働くことを好む。

 例えばパリでは住民10万人当たり約798人の医師がいるが、モンタルジ地区では一般開業医が同76人と、全国でも最低水準だ。

■医療砂漠
 フランスでは、全人口の8%が暮らす約9000か所の小都市で、一般開業医の数が不足している。黄色いベスト運動が大きな支持を集めるモンタルジでは、新たな患者を引き受ける一般開業医は一人もいないと住民らは話す。
 地元出身の国会議員で、自身も心臓専門医であるジャンピエール・ドール(Jean-Pierre Door)氏は「誰もかつての休日なし、1日20時間労働だった医師のようにはなりたがらない」と話す。
 マクロン大統領は最近、医師の増員を目指す医学部改革を発表した。だが、ドール氏によれば「医師の養成には12年かかる」。
 モンタルジでは、地区一帯の住民15万人に対して病院は1か所しかない。130人の医師が働いているが、救急医療は依然、人手が足りない。「15年前、この病院では年間1万5000人の患者を扱っていたが、今では6万人だ。しかも、病院での待ち時間は平均5~6時間だ」とドール氏は話す。
 一般開業医が不足しているため、救急外来を受診する患者の60%以上が、耳の炎症や処方箋の更新といった一般外来で対応できる処置のために来院する。

■診断の遅れ
 数か月前に開業したばかりの若手のがん専門医、フランソワ・カミュ(Francois Camus)氏は、受診後の経過観察が十分に行われていないことに驚いたと明かした。「進行がんの患者を何人か診たが…一般開業医が足りないせいで、診断が遅れてしまった人たちだ」

 婦人科医も、同様に不足している。「女性患者の中には20年以上もの間、医師による経過観察が行われていなかったために、腫瘍が大きくなってから診察に訪れた人もいた」とカミュ氏は語った。
 インターネット上の討論サイトでも、医師不足に関する不満が噴出している。ある女性は、「医大を卒業したばかりの若い医師は、医師を必要としている地域で4~5年経験を積むことを義務化すべきだ」とコメントした。
 だがドール氏は、強制しても解決策にはならないと言う。それよりも過去2年間にわたって試験運用されてきたように、開業可能な医師らに無料で診療所となる場所を提供するよう、地元当局に奨励すべきだと同氏は主張する。
 フランスでは現在、カナダ・ケベック(Quebec)州やスウェーデン北部の遠隔地の例を参考に、モンタルジの町が強く要望しているインターネットを通じたオンライン診療の試験運用を行っている。(c)AFP/Anne CHAON



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190305_13043.html
<地域医療>登米から発信 訪問診療の医師が講演 医師不足・赤字経営「市民が関心を」  
2019年03月05日火曜日 河北新報

 「登米市の未来を創造する講演会」が3日、宮城県登米市迫公民館であり、市内で訪問診療を行うやまと在宅診療所登米院長の田上(たのうえ)佑輔氏が「地域医療は登米市から 地域の声が全て、市民が創(つく)る医療」と題し講演した。
 市民約150人が参加。田上氏は「都市と地方を循環する医師の働き方」をテーマに訪問診療を市内で展開し、現在医師25人が全国から登米市にやって来て、交代で地域医療に携わっている現状を解説した。
 看護師や薬剤師がゲストスピーチし、介護施設など他職種の人々が情報共有し連携して在宅療養ができる体制を市内で構築していることも紹介した。
 医師不足や赤字経営が課題となっている市の病院事業について田上氏は「市民が無関心でいることが一番良くない」と指摘。地域住民、医師、病院、自治体の役割を整理、再考した上で「登米市民病院の良いところを応援していく姿勢が必要だ」と語った。
 田上氏は医療問題を含め「将来のまちづくりには人づくりが大切」と教育の重要性を強調。「頑張っている人を世界一応援してくれるまちに登米がなることを目指そう」と呼び掛けた。



https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/feature/CO038191/20190306-OYTAT50038/
医師確保「寄付講座」拡充  
2019/03/07 05:00 読売新聞

 つくば4位、筑西・下妻328位、鹿行329位――。

 全国に335ある2次医療圏の医師偏在の状況を指標化し、順位をつけるとこんな結果になる。厚生労働省が、今夏の正式導入を前に、先月試験的に算出した「医師偏在指標」(暫定値)だ。

 新指標は、人口構成や医師の年齢分布などを考慮しているため、これまで全国比較に使われていた人口10万人当たりの医師数と比べ、地方の医師不足の実態がより反映されるという。暫定値では、県内に9ある2次医療圏のうち上位3分の1に入ったのは、つくばを含め3。一方で、下位3分の1は、筑西・下妻、鹿行を含め5。本県の医師偏在の深刻さが改めて浮き彫りとなった形だ。

 県庁で2月21日に開かれた県医療審議会。県の木庭愛保健福祉部長は「新年度にこの指標を基に医師確保計画を策定する。本県の医療保健政策を進める上で重要だ」とあいさつし、協力を呼びかけた。

■行動宣言4・83%増

 大井川知事の就任後、県は昨年2月に「医師不足緊急対策行動宣言」を発表、「あらゆる手段を講じる」ことを明らかにしている。宣言に基づく医師の確保や育成などの関係費用は、今年度当初予算の22億7643万7000円から、新年度は4・83%増の23億8648万円に拡充される。予算案には主な事業として▽地域医療支援センターの体制強化(1億1735万円)▽県外からの医師確保(2億401万円)▽県立学校への医学コース設置(883万円)――などが盛り込まれた。

 地域医療支援センターの体制強化では、若手医師への情報提供を通じたキャリア形成支援といった既存の事業に加え、新たにセンター分室を筑波大に設置し、県内唯一の医師養成機関である同大との連携を強化する。

■つくば「一極集中

 県外からの医師確保では、県の負担で大学に期間限定の「寄付講座」を開く事業を拡充する。

 この事業は県内ですでに一定の成果が出ている。県は昨年9月に医師不足を最優先で解消する県北、鹿行、県南地域の5病院を公表。うち県北の中核病院である「日立総合病院」(日立市)の産婦人科には4月以降、筑波大の医師4人が派遣される。県が新年度、同大に寄付講座を追加で開講するためだ。

 ただ、常陸大宮済生会病院や神栖済生会病院など、残り4病院は「(公表から)2年以内の医師確保を目指して水面下で進めている」(県医療人材課)段階で、まだ実現していない。さらに県は今年1月、日立総合病院で新たに小児科医2人の優先的な確保が必要と発表した。

 本県は、人口10万人当たりの医師数で全国ワースト2位が続くが、医師偏在指標では同ワースト6位と、依然“下位ゾーン”ながらもやや改善する。全国4位となったつくば医療圏への「一極集中」の影響が大きいとみられる。

 県医療審議会の委員でもある県医師会の諸岡信裕会長は取材に対し、「(偏在指標で上位3分の1に入った)つくば、水戸、土浦から、県北や鹿行などに、どうやって医師に移ってもらうかが課題。医師本人だけでなく、家族にも配慮した生活環境の整備などが必要だ」と指摘した。(山波愛)

 2次医療圏 手術や入院治療など、一般的な医療を受けられるようにするため、都道府県が設定する地域の単位。圏域内の中核病院に車で1時間以内で到着できるなど、患者の受療動向、地理的条件や交通事情などを考慮して決める。多くの場合、1次医療圏は市町村、3次医療圏は都道府県全域。
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https://japan-indepth.jp/?p=44548
福島に新しい医療の風、吹く  
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長) 投稿日:2019/3/8 Japan in-Depth

2018年3月20日、NPO法人医療・健康社会研究所が日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」を受賞した。東日本大震災以降、メンバーの若手医師が福島県浜通りで診療に従事しながら、国内外に情報を発信してきたことが評価された。

このNPO法人の主要メンバーは4人だ。理事長は坪倉正治医師、理事は尾崎章彦医師と森田知宏医師、幹事は関家一樹氏だ。4人とも学生時代から、当時、東京大学医科学研究所にあった私どもの研究室に出入りしていた。

医師は坪倉・尾崎・森田の3人で、いずれも東京大学医学部の卒業生だ。坪倉医師は2011年4月、尾崎医師は2014年10月、森田医師は2014年4月から浜通りの病院に勤務している。

彼らは、「被災地の役に立ちたい」と自ら進んで飛び込んだ。診療を通じて関係者との信頼関係を構築し、地域の課題を共同で解決した。地元の人に魅了され、気がつけば今でも現地で働いている。その間に現地での活動を臨床研究として発表した。医師は現場で育つ。彼らの存在は新しい医師育成の在り方を体現している。

福島が医師不足であることは言うまでもない。人口10万人あたりの医師数は196人。全国平均の240人を大きく下回り、埼玉(160人)、茨城(180人)、千葉(190人)、新潟(192人)、岩手(194人)に次いで少ない。偏在も深刻だ。3月18日、厚生労働省が発表した「医師偏在指標」は177。全国で岩手(169)、新潟(170)、青森(172)に次ぐワースト4位だ。

福島県内でも特に酷いのが相馬市・南相馬市などの相双地区だ。福島第一原発が位置する双葉郡も含まれる。2016年末現在、この地域の人口10万人あたりの医師数は145人。福島市を含む県北医療圏の266人の半分程度だ。紛争が続くシリア(150人)よりも少ない。

ただ、相双地区の医師不足は悪化の一途を辿っているという訳ではない。興味深いことに、人口10万人当たりの医師数は、震災前(2010年)の120人から2016年の145人に25%も増えている。県北地域の19%増よりも高く、福島県の二次医療圏で最高だ。

勿論、原発周囲の住民が避難し、人口が減少した影響もあるだろう。医師の実数は236人から160人に減っている。ただ、この地域の医師密度が増加したという点は注目に値する。

これは坪倉医師をはじめ、今回受賞した若手医師の存在が大きい。現在、彼らが勤務する相馬中央病院と南相馬市立総合病院には合計13人の40歳以下の常勤医が勤務している。震災前の5人から大幅に増加した。興味深いのは、このうち7人が地元の福島医大の医局員でないことだ。震災前、このような医師は名古屋大学脳外科から来ていた1人だけだった。

東日本大震災以降、彼らは自ら進んで浜通りにやってきた。それは、この地域で働くことがキャリアアップに繋がるからだ。今春、南相馬市立総合病院は3人の初期研修医を受け入れるが、このうち2人は志望動機を「論文が書けるようになるから」と言ったという。

昔から医師教育の両輪は診療と研究だった。近年、「やり方」が変わりつつある。かつて医学研究は大学にいなければ出来なかった。大学には大勢の患者だけでなく、文献、実験器具、さらに研究をサポートするスタッフがいた。ところが、状況はかわった。高齢化が進み、大学病院で高度医療を受けたい患者は減り、自宅での終末期医療や介護の需要が高まった。

医学研究の中心は基礎医学から臨床研究、さらに公衆衛生研究や情報工学などと共同した学際的な研究にシフトした。このような研究では高価な実験器具を揃える必要はなく、SNSなどIT技術を駆使すれば、どこにいても論文は書けるようになった。

近年は地球温暖化が進み、世界中で豪雨や干ばつが生じている。災害医療は世界のトピックとなった。中国をはじめとした新興国で原発の建設が進み、原発事故の情報は貴重だ。このように考えると、東日本大震災後の浜通りには世界の医療が抱える問題が凝縮されている。坪倉医師たちは、この地で診療を続け、その結果をまとめていった。

2011年から2018年までの間に、彼らは合計115報の英文論文を発表している。うち95報は福島関係だ。図1に示すように2017年を除き、毎年発表数は増えている。
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▲図1:坪倉グループの英文医学論文数の推移

筆頭著者として発表したのは、坪倉医師19報、尾崎医師8報、森田医師7報だ。これ以外には、彼らの「仲間」である野村周平氏10報、西川佳孝氏9報、澤野豊明氏8報、村上道夫氏7報、レポード・クレア氏4報だ。8人で全体の76%を占める。

特記すべきは、この8人全員が40歳以下の若手だ。坪倉・尾崎・森田・西川・澤野氏は臨床医で、残る3人は公衆衛生学を専門とする研究者だ。臨床医は全員が浜通りの病院で診療を続けている。研究者も福島県で活動している。村上氏は震災後、勤務していた東京大学から福島医大に移籍した。

クレア氏はエジンバラ大学の修士課程に在籍中に南相馬市立総合病院に約1年間勤務して、研究に従事した。彼女の修士課程の論文は東日本大震災が浜通りの住民の健康に与えた影響だった。

野村氏は震災直後に東京大学医学系研究科修士課程に入学した。指導教員は渋谷健司教授(国際保健政策学)。渋谷教授は筆者とともに震災直後から被災地で活動を続けていた。野村氏は渋谷教授とともに被災地で活動し、修士課程の学位論文を書いた。その後、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程に進んだが、そこでも原発事故の健康影響について研究を進め、博士号を取得した。

彼らは、論文を書くために被災地を「利用」した訳ではない。全員が腰を据えて福島で活動し、その活動を世界に発表したのだ。

例えば、2012年8月に坪倉医師がアメリカ医師会誌『JAMA』電子版に発表した内部被曝に関する論文だ。

相双地区で、まっさきに内部被曝検査を始めたのは南相馬市立総合病院だった。この論文では2011年9月~2012年3月までに同院で内部被曝検査を受けた住民9,498人の検査結果をまとめた。小児の16.4%、成人の37.8%で内部被曝が確認されたが、被曝量の中央値は小児で590ベクレル(範囲210-2,953)、成人で744ベクレル(210-12,771)だった。預託実効線量(放射線被曝をした場合の生涯での被曝量の推計)が1ミリシーベルトを超えたのは1人だけで、多くは問題となるレベルでなかった。

これは福島第一原発事故による内部被曝の実態をはじめて世界に報告したものだ。『JAMA』は世界でもっとも権威がある医学誌の1つである。この論文が発表されると、世界中のメディアが紹介した。「福島原発事故の被曝は問題とならないレベル」と報じられ、福島の風評被害対策に貢献した。

私はこの論文を高く評価する。それはインパクト・ファクター47.6という超一流誌に掲載されたからではない。内部被曝に悩む住民を支えるための活動の結果だからだ。

南相馬市立総合病院で内部被曝検査を立ち上げるのは至難の業だった。政府は、専門家集団である放射線医学総合研究所や日本原子力研究開発機構に指示して、原発事故被災地の支援に従事させたが、対象の中心は原発周辺の高度汚染地域だった。南相馬市立総合病院の内部被曝検査をサポートする余裕はなかった。

南相馬市立総合病院での内部被曝検査立ち上げの中心的な役割を担ったのは坪倉医師だった。ノウハウを有する自衛隊や早野龍五・東大理学系研究科教授(当時)らと相談し、試行錯誤を繰り返した。

内部被曝検査開始後は、検査に立ち会い、検査結果が出たあとは希望する住民の相談に乗ってきた。坪倉医師は「立ち会った検査は10万件、個別相談に応じた住民は数千人を超える」と言う。

地道な活動は坪倉医師に限らない。2013年4月、野村氏は米『プロスワン』誌に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。この研究では、避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。

この研究は世界の原発事故対策に大きな影響を与えた。この論文が発表されるまでは、原発事故が起これば避難することが最優先された。ところが、福島では避難が死亡を招いた。チェルノブイリやスリーマイル島と比較して、福島では高齢化が進んでいたからだろう。長時間に渡る移動および見知らぬ土地でのストレスが寿命を縮めた可能性が高い。

野村氏の研究成果は、国際原子力機関(IAEA)の「福島事故最終事故報告書」にも盛り込まれ、高齢化社会では避難がリスクを伴うことがコンセンサスとなった。

野村氏は、この論文を東京で書いたわけではない。相双地区に入り、坪倉医師とともに全ての介護施設をまわった。南相馬市立病院で泊り込み、震災後の記録をデータベースに打ち込んだ。

論文が発表されたあとは、結果を持って協力してくれた介護施設に回った。あるスタッフからは「感じていた通りの結果だった。これで後世に記録が残せました。まとめて頂いてありがとう」とお礼を言われたという。

尾崎医師の活動も興味深い。昨年、彼は英『QJM』誌に故高野英男・高野病院院長の生涯についての論文を発表した。

高野病院は広野町の唯一の入院施設で、故高野院長は震災後も現地にとどまり診療を続けた。ところが2016年末、たった一人の常勤医である高野院長が急逝した。この状況で尾崎医師は「高野病院を支援する会」を立ち上げ、仲間の医師とともに高野病院をサポートした。その記録がこの論文だ。

坪倉チームは、このスタンスを貫いている。長期間にわたり、被災地での活動を続けている。大学の医局から医師不足の病院に派遣される若手医師とは対照的だ。彼らの在勤機関は通常1-2年間だ。これでは病院スタッフは勿論、地域住民と信頼関係が構築出来た頃に異動することになる。

では、なぜ、浜通りではこのような若手医師が活動を続けられるのだろうか。それは、地元が彼らを迎え入れ、応援してくれるからだ。その筆頭が立谷秀清・相馬市長だ。福島医大を卒業した内科医で、坪倉医師や森田医師が勤務する相馬中央病院の理事長でもある。この病院には、森田医師と東大医学部で同期の藤岡将医師も常勤の消化器内科医として勤務する。

本項で詳述はしないが立谷氏は東日本大震災の被災地の復興の象徴的存在だ(上昌広『今知る、震災市長のリーダーシップ』)。そのリーダーシップのもと、相馬市の復興は速かった。実績を評価され、昨年、全国市長会会長に選出された。相馬市の人口は3万5,307人(2月1日現在)。地方の小都市から初めての選出だ。

立谷氏は平素より「復興したければ、自分たちでやらないとだめ。政府や県を批判しても事態は改善しない」という。実力のある政治家だ。私は東日本大震災直後、仙谷由人氏から「被災地の医療を応援してやってほしい」と立谷市長を紹介されたが、携帯電話で少し話しただけで、その力量がわかった。

立谷市長に最初に紹介したのが坪倉医師だった。当時彼は29歳。4月から東大医科研の大学院に進み、私が指導することになっていた。若者は苦労を経験することで成長する。必要なのはメンターだ。坪倉医師にとって、立谷市長は得がたいメンターとなった。彼は4年間の大学院生活を福島と東京を往復して過ごした。

立谷市長の支援もあり、坪倉医師は福島で多くの「人財」と知り合った。数人をご紹介したい。

まずは、産婦人科医である故高橋亨平・原町中央産婦人科医院院長だ。地元を愛し、行動する医師だった。坪倉医師は、高橋医師とともに空間放射線量を測定し、地元の幼稚園の除染作業に従事した。彼は亡くなるまで「この地域に生まれてくる子ども達は、賢く生きるならば絶対に安全であり、危険だと大騒ぎしている馬鹿者どもから守ってやらねばならない」と言い続けた。この言葉は、坪倉医師に強烈な印象を残した。

高橋氏以外にも、南相馬市には気骨がある医師が大勢いた。既に、他の媒体でも広く報じられているため、本稿では詳述しないが、南相馬市立総合病院の金澤幸夫院長(当時)、及川友好副院長(現院長)がいなければ、この地域の医療は崩壊していた(参考:『FACTA』上昌広「南相馬 名もなき『赤髭』物語」)。

同院は福島第一原発から23キロに位置する基幹病院だ。原発事故後、この病院には医薬品はもちろん、食糧も入ってこなくなった。避難を余儀なくされる医師・看護師も大勢いた。残った医師は4名だった。金澤院長のリーダーシップのもと、彼らは獅子奮迅の活躍をする。5人目としてやってきたのが坪倉医師だった。短期的なボランティアではなく、まずは非常勤医師として定期的に勤務することになった。それから8年にわたる長いお付き合いの始まりである。

南相馬市の学習塾経営者である番場さち子先生にもお世話になった。「ベテランママの会」というお母さんたちの集まりを組織し、地元住民を対象とした「正しい放射能のお話し会」を繰り返した。講師は坪倉医師だ。この会を通じて、病院では知りあうことができない住民の声に耳を傾ける機会を得た。また、彼が実際に測定した内部被曝検査の結果を住民に直接伝える貴重な機会となった。

相馬中央病院を支える事務方の佐藤美希さんもかけがえのない存在だ。病院には多くの専門家や事務職が勤務している。多くは旧知の地元の人だ。余所者である坪倉医師や森田医師が働きやすいよう細心の注意を払ってくれた(参考:『HUFFPOST』上昌広「事務方に学べ 若い医師にとっての『先生』は、院内のいたるところにいる」)。

地元紙である福島民友の五阿弥宏安社長の存在も大きかった。2015年1月より坪倉医師に連載のチャンスを与えてくれた。毎週日曜日の「坪倉先生の放射線教室」だ。この連載は現在も続いているが、これを通じて坪倉医師たちの研究が福島県民にとどくようになった。

最後は竹之下誠一・福島医大理事長だ。昨年4月、彼の推薦で坪倉医師は福島医大公衆衛生学教室の特任教授に就任した。現場の診療・活動の傍ら、大学院生も指導するようになった。福島医大は社会人大学院があり、病院で働きながら学びたい医師・看護師が坪倉医師の元に集っている。今年4月には大学院生は9名となる。

大学院生の研究内容は福島関連だけでなく、人工知能を用いた病理診断、在宅医療など多岐にわたる。また、エジンバラ大学博士課程に進学したクレア氏など海外との交流も進めている。ネパール、フィリピン、イギリス、フランス、ロシアなどとも共同研究が進行中だ。坪倉チームは福島原発事故問題に留まらず、多分野かつ国内外に活動の幅を拡げている。

変革は常に辺境から起こる。東日本大震災後に集った若手医師を中心に、福島から新しい医療が生まれようとしている。



https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019030802000324.html
<東日本大震災8年>山谷-福島 魂の医療往復 労働者支え35年・本田さん  
2019年3月8日 夕刊 東京新聞

 東京・山谷地区(台東、荒川区)で日雇い労働者らを35年間、支えた内科医本田徹さん(71)が、先月から東日本大震災の被災地、福島県広野町の高野病院で働き始めた。東京電力福島第一原発の30キロ圏内で唯一、事故後も診療し続けた病院だ。本田さんは「一人一人が居場所を見つけて暮らせる社会に」と思いを新たにしている。 (中村真暁)
 「医師がいれば、故郷に戻ろうという人がいるかもしれない」
 原発から南に約二十キロの高野病院。白衣姿の本田さんが思いを打ち明ける。
 本田さんは三人目の常勤医で、福島と東京を行き来しながら週四回勤務する。医師不足は深刻で、七十代の本田さんも当直に入る。「在宅で生き通したい人を支えたい」と抱負を語り、訪問医療にも取り組むつもりだ。
 高野病院の高野己保(みお)理事長(51)は「高齢者が高齢の家族をみる『老々介護』が問題になっている。本田さんが私たちの病院を見つけてくれたことは、住民のためになると喜んでいる」と歓迎する。
 青年海外協力隊の医師としてアフリカに赴任した経験を経て、本田さんが山谷の街と出合ったのは一九八四年のこと。低料金の簡易宿泊所が立ち並び、日雇い労働者や路上生活者が多い。地域を支援するNPO法人「山友会」が運営する無料診療所で、ボランティアで医療を担い始めた。
 医師不足で診察が受けられない矛盾を目の当たりにする一方、たくましく生きる人々に魅了された。
 「過去の人生に悔いがある人も、充実していたころがある。明るさ、精神的な強さ、多くのことを『人生の先生たち』から教えられた」
 未曽有の原発事故が起きた二〇一一年の東日本大震災。その翌年からは「わずかでも役に立ちたい」と、被災地の福島県いわき市の病院で週一回の勤務も始めた。もともと医師の少ない地域だったが、津波被害と原発事故で医療者は激減していた。
 患者の中には、「なぜこんな目に…」と精神的に追い詰められたり、十分な栄養が取れずにひどい糖尿病で命を削る除染作業員もいた。さまざまな健康被害を眼前にし、「余生は福島で医療をしたい」との思いを強めてきた。
 本田さんは高野病院に勤め始めた今年二月以降も、山谷にある山友会の診療所にも、週一回通っている。高度経済成長期などの日本経済を支えてきた日雇い労働者たちが集まった山谷と、日本の原発政策の舞台となった福島。いずれも国策の陰に置かれた場所として重なって見えるという。
 「住人を大切にしているか」「本当の福祉国家とは何か」。こう問い掛け、国策の果てに苦しむ人々と向き合い続ける。



https://special.sankei.com/a/life/article/20190309/0001.html
医師の残業「過労死ライン」の2倍容認へ 学会など反発 
2019.3.9 産経新聞

 厚生労働省が、一部医師の残業時間の上限「年1860時間」を含む医師の働き方改革の報告書案を13日に開かれる有識者検討会に提出し、今月内に決定することが分かった。「過労死ライン」の2倍となる上限案は既に前回の検討会に示されているが、「納得できない」として会の副座長が辞任したことも判明。各医療学会も相次いで抗議声明を出しているものの、厚労省側は「地域医療を守るため」として押し通す方針だ。
 4月から施行される働き方改革関連法では、罰則付きの残業上限規制が規定される一方、医師はその特殊性から5年間猶予されている。同法による一般労働者に定められた残業上限は、労使協定を結び特別条項を設ければ、年720時間となる。
 医師の残業上限を決める際に考慮されたのは、勤務医約1割の残業が実際に年1920時間を超えていることだ。このまま一般労働者と同様の規制になれば、患者の診療に影響が出る。特に医師が不足している地域では深刻な状態になることを懸念した。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190305-00010000-socra-pol
【舛添要一の僭越ですが】
医学部定員の増加策は反故にされた

舛添 要一 (国際政治学者)
3/5(火) 14:01配信 ニュースソクラ / 産経新聞

いまだに医師は足りていない
 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を(1)医師多数、(2)中程度、(3)少数に分類した。
 (1)は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀
 (3)は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを伝える新聞記事は、いずれも「医師偏在」という大きな見出しである。そこから読者が受けるのは、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するというメッセージである。

 しかし、それは本当であろうか。医師の数は既に十分なのであろうか。次のようなことを考えてみる必要がある。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 また、医師免許を持つ医師が永遠に働き続けるわけではない。高齢で引退する者も、結婚・出産・育児で医療の現場を去る女医もいる。とくに近年、医師全体に占める女性医師の比率が増えていることを忘れてはならない。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 私が厚労大臣になったとき、妊婦のたらい回し事件などが起こり、医師不足や医療崩壊が大きな社会問題となっていた。しかし、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。

 そこで、私は方針を転換して医師数を増やすべきだと考えたが、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭ってしまった。開業医にとっては、医師が増えれば、商売敵が増えて減収につながるからである。また、役人にとっては、医学部定員を制限することが、私学や病院に対する自らの規制権力を強めることになるからである。

 しかし、世論やマスコミの支持もあって、2008年6月17日、私は、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80~90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。激務でも自分の希望する診療科で頑張るという学生のほうが多いと思うが、診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならない。そうなると、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 どの診療科を希望するか、どの地域で医療を行うかは、個人の自由であり、憲法で定められた基本的人権である。厚労省や日本医師会の思惑で医学部定員を決めるべきではない。

 厚労省は、地域枠制度などを活用して偏在を是正することを考えているが、それには限界がある。開業医も、過当競争で減収になれば、稼ぎの多い医師不足地域に移るインセンティヴは増す。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展をとげることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。要は、「この国のかたち」に深く関わっているのである。



https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/808813
論説 医師偏在、国が新指標
地方と連携し具体策示せ
 
2019年3月5日 午前7時30分  福井新聞

 【論説】厚生労働省が、医師が足りているかを示す新たな指標をつくり、都道府県ごとの数値を初めて公表した。「医師偏在指標」で、従来の目安である「人口10万人当たりの医師数」に比べ、より実態に即した数字になる。ただ、同省が医師の効果的な確保策を持ち合わせているのかは疑問だ。国は地方と緊密に連携し、具体策を示す必要がある。

 医療ニーズの充足状況を地域ごとに把握するには、少子高齢化の進展、他地域との間での患者の流出入、医師の年齢構成などを踏まえる必要がある。

 例えば、高齢化がより進んだ地域は医療ニーズが高まることが想定される。医師数が同じでも平均年齢が高くなった場合、提供される医療サービスに影響することも考えられるという。

 10万人当たり医師数はシンプルな半面、地域実情を表せなかった。医療ニーズにかかわる各種の要素を数値化し、それを特定の計算式にあてはめたのが医師偏在指標である。これなら、より地域実態を反映しているといえる。

 厚労省は、指標の数値の下位16県を「医師少数県」と位置付けた。福井は25位でこの中には入っていないが、四つある2次医療圏のうち丹南、奥越が医師少数区域とされた。指標は、こうした地域課題を整理する材料にできるだろう。

 しかし、医師偏在解消への道のりは遠い。同省は2036年度までの医師偏在解消を目指し、医師少数県に対応を求めている。だが、地方の医師不足対策の切り札といわれた大学医学部の「地域枠」制度は、全国的に欠員が目立つのが現状。医師総数そのものは過去最高なのに、「医師不足の地域は勤務が過酷」として若手医師が避ける悪循環も起きている。診療科ごとの偏在もある。

 こうした課題に医療現場からは国の具体的な施策を知りたい、との要望が聞かれる。国はこの声に応えなくてはならない。

 医師偏在問題には、働き方改革の行方も絡む。24年4月から勤務医に適用される時間外労働(残業)上限の特例を、厚労省が1月、最大年2千時間とする案を示したところ、過労自殺した医師の遺族や労働組合の強い反発を受けた。過労死ラインの約2倍の水準で、批判はもっともだ。ただ、同省によると、特例を設けなければ地域医療体制が持たない現実もあるという。

 医師の負担軽減へ、地方も知恵を絞る必要がある。例えば、識者には、緊急性の低い軽症者がコンビニへ行くような感覚で救急医療機関を利用する「コンビニ受診」を減らすため、救急車の有料化を訴える意見がある。全国では実際に、導入を始めた自治体も出てきているという。

 医療ボランティアが活発だったり、地域医療を考える住民団体が活動していたりする地域では、医療に関する理解が進み、医師の働きやすさに結びつくことも考えられる。国と地方が連携し、それぞれの役割を果たしながら、医師確保の具体策を練り上げたい。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42159300X00C19A3000000/
産業医の3割が「対応する自信ない」 4月の働き方関連法施行で民間調べ
働き方改革 ヘルスケア
 
2019/3/7 17:29 日本経済新聞

産業医の3分の1が長時間労働を受けた面談の増加に「対応する自信がない」――。4月施行の働き方改革関連法で、労働者が医師の面談を受ける残業時間の要件が引き下げられる。メドピアが7日発表した産業医を対象としたアンケート調査によると、多くの医師が現状のままでは面談の需要増に対応できないと感じている現状が浮かび上がった。

調査は2月中旬にインターネットを通じて実施した。産業医519人(常勤120人、非常勤399人)の回答を得た。

産業医は企業内で従業員の健康管理について指導や助言をする役割を担う。現行の法制度では1カ月の残業時間が100時間を超えると医師の面談が受けられる。4月の法改正で同要件は80時間に引き下げられ、長時間労働やメンタル不調に関する面談数の増加が予想される。

これに対してアンケートでは常勤医師の32%、非常勤医師の30%がそれぞれ「対応しきれる自信がない」と回答した。理由としては「面談者が増えており、今の勤務時間では不足する」「常勤医での仕事が忙しく、面談が多くなれば対応できない」といった声が相次いだ。「メンタルヘルスへの対応に自信がない」といった言及も目立った。

医師側の時間の不足と専門性の不足――両面での問題解決が、働き方関連法の施行に伴い、課題となりそうだ。
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詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000010134.html



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15517854072706
なめがた地域医療センター 入院機能を縮小し継続
県厚生連方針 救急・休日夜間休止へ
 
2019年3月6日(水) 茨城新聞

土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市井上藤井)の規模縮小問題で、運営するJA県厚生連が4月から、同病院の入院機能を約5分の1に縮小して継続する一方、診療時間外の救急は休止する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。救急や休日夜間の患者は、道路距離で約25キロ離れた「本院」扱いの土浦協同病院(土浦市)と連携して対応する。

同センターの規模縮小は当初、今年4月からの休日夜間の救急受け入れ休止のほか、入院病棟の将来的な閉鎖などが浮上。地元自治体などから機能を継続するよう要請を受け、県厚生連は地域医療に与える影響を最小限にする方向で、医師派遣元の筑波大や自治体などと協議している。

複数の関係者によると、同センターの病床数は199床から40床に大幅縮小するが、入院機能は「地域包括ケア病棟」として継続する見通しとなった。

一方で、診療時間外の休日夜間や救急の患者受け入れは休止し、本院機能を担ってきた県南地域の基幹病院の一つ、土浦協同病院が代替する形で調整を進めている。常勤医は16人から8人程度に半減する見込みだが、土浦協同から非常勤医の派遣を得て診療機能の維持強化を図る。通院患者の利便性を図るため県厚生連は両病院間を結ぶシャトルバス運行も検討している。

同センターは2000年6月に開院。全国最下位レベルの医師不足に悩む鹿行地域の拠点として役割を担ってきた。土浦協同が16年3月、土浦市の中心部から約4・5キロ東側の同市おおつ野に移転し、鹿行地域寄りとなったのを機に、土浦協同との連携を強化し、18年10月からは土浦協同の「分院」に位置付け機能分担を図ってきた経緯がある。

同センターは、24時間365日体制で重症の救急患者を受け入れる3次救急に指定されてきたものの、実際は医療体制が整わず、重篤な患者は水戸地区や土浦協同に運ばれているのが実態だった。規模縮小後は土浦協同との役割分担をより明確にした上で、鹿行地域の救急患者の扱いなどに関し県厚生連が関係機関と協議している。

県厚生連の財務事情は、土浦協同の移転新築に伴う設備投資で悪化した。さらに、なめがた地域医療センターは開院以来一度も単独で黒字を計上できず、近年は患者数の減少が進み、18年度収支は赤字が5億円を超えるまで膨らむ見通しとなった。同センターは199床のうち稼働が179床にとどまり、実稼働病床はさらにその半数程度に低迷しているという。

「働き方改革」による人件費の増加や今年10月の消費増税などコスト高も今後見込まれるため、県厚生連は経営状況のさらなる悪化を防ぐため、最小限の入院機能を残した上で、同センターの規模縮小を判断したとみられる。

規模縮小について県厚生連は、茨城新聞の取材に「関係機関と協議中で、方針は正式に決まっていない」としている。(成田愛、石川孝明、黒崎哲夫)



https://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20190309-OYTNT50170/
<震災8年>地震想定 護衛艦に医療施設  
2019/3/9 05:00 読売新聞

府や舞鶴市など初の設置訓練
 東日本大震災から11日で8年を迎えるのを前に、府と舞鶴市、海上自衛隊舞鶴地方隊は9日、府北部での大規模地震を想定し、海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「ひゅうが」に負傷者の搬送拠点となる臨時医療施設(SCU)を設置する初の訓練を実施した。

 約30機関1200人が参加。午前7時30分、府北部を震源とするマグニチュード7の地震が発生し、舞鶴、綾部両市で震度6強を観測、140人の負傷者が出たとの想定で行われた。

 府が海自にSCU設置を要請し、海上保安庁などが、周辺の海域を漂流していた負傷者役の海上保安官をヘリでつり上げて救助し、ひゅうがの格納庫に搬送。災害派遣医療チーム(DMAT)が、ほかの負傷者役の女性らに「せきをしていますが大丈夫ですか」などと話しかけ、氏名を確認するなどした。海保の巡視船から、陸上自衛隊などの車両に給水する訓練もあった。

 参加した西脇知事は、「『ひゅうが』なら同時に(複数の)ヘリが着艦できるので、救急救命に有効だと実感した」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25254
東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例、福島では継続するが、宮城・岩手は最長2021年3月で終了―中医協総会(2)  
2019年3月7日|医療保険制度 MedWatch

 東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例について、福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続けるが、宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末まで(最長2021年3月まで延長)とする。また熊本地震および北海道胆振東部地震に伴う被災地特例は、この3月(2019年3月)末で終了し、西日本豪雨に伴う被災地特例については、2019年9月末まで延長する―。

 3月6日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点も了承されました。
 
ここがポイント!
1 診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断
2 2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始
3 「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断

 大地震などの大きな災害に見舞われた地域では、▼多くの傷病者が発生する▼医療機関の中にも通常診療が行えないところが出てくる▼医療スタッフが十分に確保できなくなる―などの事態が生じます。

 こうした事態に、「入院患者に対しスタッフが不足しているので、診療報酬を減額する」などといった対応をとることは人道に悖るでしょう。そこで、厚生労働省では▼一時的な定員超過入院▼平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの施設基準の一部欠如―などが起きた場合でも、通常の診療報酬算定を認めるなどの特例(被災地特例)を設定しています。

 現在、次の4つの「被災地特例」が設けられており、「半年に1度、現地の状況を中医協で確認し、特例の延長を認めるか否かを判断する」ことになっています。
(1)東日本大震災に伴う特例
(2)熊本大地震(平成28年)に伴う特例
(3)西日本豪雨(平成30年7月)に伴う特例
(4)北海道胆振東部地震(平成30年)に伴う特例

 このうち(1)の東日本大震災特例に関しては、▼岩手県の1医療機関では2019年12月中に特例解消▼宮城県の1医療機関では2020年3月に、同じく宮城県の1医療機関では2021年3月に特例解消―が見込まれています。一方、福島県の1医療機関では「帰還困難地区の入院患者を受け入れており、特例解消の時期が見込めない」状況にあることが報告されました。

これを受け、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、▼福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続ける▼宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末までとする(最長2021年3月末まで延長)―ことを提案しました。

 また、(2)の熊本地震特例に関しては、現在1医療機関が利用していますが、この3月末(2019年3月末)までに「閉院」が決まっており、(3)の北海道胆振東部地震に関しては、現在、利用している医療機関がないことから、森光医療課長は「2019年3月末で被災地特例を終了する」ことを提案しました。

 一方、(4)の西日本豪雨特例に関しては、現在、7医療機関等が利用しており、継続の要望も強いことから、「2019年9月まで延長し、再延長の可否を改めて判断する」ことを森光医療課長が提案しています。

 特例の実際の活用状況を十分に踏まえた対応案で、中医協ではこれらを了承しています。

2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始

 また3月6日の中医協総会では、森光医療課長から「2020年度の診療報酬改定」に向けた検討スケジュールが報告されました。

 夏頃まで「医療全体、入院・外来・在宅等に関する総論」(第1ラウンド)の議論を行い、秋以降「個別改定項目」(第2ラウンド)の議論を行う、というものです。第1ラウンドでは、まず「医療全体」に関連する幅広い事項についての検討が行われる見込みです。医療提供体制に目を向ければ、▼医師の働き方改革▼医師の偏在対策▼地域医療構想の実現―という3つの連環する動きがあり、診療報酬もこれを下支えしていく(少なくとも方向を合わせる)ことが求められるでしょう。2020年度改定に向けたスタートの議論は、こうした点もにらんだ「幅広」なものとなると考えられます。

 もちろん、併行して下部組織(診療報酬調査専門組織等)で▼入院医療やDPC制度の改革▼2018年度改定の結果検証―などに関する議論も行われ、逐次、中医協総会に検討状況や中間とりまとめなどが報告されることになります。

「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

 このほか、2016年度・18年度の診療報酬改定に倣い、2020年度の診療報酬改定に合わせて「選定療養の拡大」なども検討されます。

 選定療養は、快適な療養環境を求める患者の要望に応えるために、「保険診療と保険外診療を組み合わせ」を認めるものです。例えば▼特別の療養環境(個室などの差額ベッド)▼予約診療▼時間外診療▼大病院の紹介状なし患者に対する初診・再診▼180日超の入院(入院料が減額され、その減額分を患者から徴収可能)▼制限回数を超える医療行為―などが選定療養として認められています。

 厚労省は、医療関係団体や関係医学会、国民から広く「新たな選定療養」要望を募り(2019年3月から1-2か月程度)、中医協に示す(2019年7月予定)考えを提示しました。あわせて「医療通訳」など「『療養の給付』とは直接関係なく、実費徴収が可能な事項(テレビ貸与料金などもこれに該当)」の拡大も検討することになりそうです。



https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/201903/0012119999.shtml
洲本の鮎原診療所10月から閉鎖 建物は民間公募へ  
2019/3/6 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県洲本市は、同市五色町鮎原西の「洲本市国民健康保険鮎原診療所」を10月1日から閉鎖する方針を固めた。近年、医師が減って入院事業を休止するなど診療体制の見直しを進め、年々利用者は減少。ほかの診療所を含めた累積赤字は約5億3千万円に上り、危機的な経営状況に陥っていた。今後、民間医療機関への施設移譲を目指す。平成の大合併により現在の3市体制になって以降、島内で市立診療所の廃止は初めて。(上田勇紀)

 市は1日に開会した市会3月定例会に関連議案を提出した。

 洲本市立診療所は2種類5カ所。鮎原のほか、五色(同市五色町都志大日)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の国民健康保険診療所と、応急診療所(同市港)で、鮎原は旧五色町が1988年に現在の場所に開設し、市合併後も引き継がれた。

 五色地域の基幹的な診療業務を担い、医師2人体制で内科などの診察や19床の入院も受け入れてきた。だが、退職に伴い2010年度からは医師1人になり、14年度に入院事業を休止。16年度から通所リハビリテーション事業を休んだ。

 週2回は診療時間を延長するなど地域医療の確保に努めたが、近隣の専門的な医療機関の利用もあり、13年度に9808人いた外来患者数(延べ)は、17年度には5082人に半減。診察による診療報酬に対して人件費や施設維持の費用がかさみ、17年度決算で4国保診療所の累積赤字は約5億3千万円に膨れ上がった。旧五色町地域では、鮎原診療所の外来患者数の減り幅が、五色診療所より大きいという。

 市は4月以降、約1300平方メートルの鮎原診療所の建物を利用する民間医療機関を公募する。貸与か譲渡かなど詳しい条件は未定だが、民間による20年4月の開業を目指す。市健康福祉部は「住民サービスが低下しかねず、苦渋の判断となった。利用者に不安を与えないよう、民間医療機関を見つけたい」としている。

 淡路市は三つ、南あわじ市は五つの市立診療所があるが、いずれも市発足後に廃止されたケースはないという。



https://www.medwatch.jp/?p=25163
病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日で、依然大きなバラつき―2017年・患者調査  
2019年3月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2017年の1日当たりの入院患者数(推計)は131万2600人で、3年前(2014年)に比べて微減。人口10万対の入院受療率も1036で同じく微減。入院患者の年齢構成など見ると、高齢者が大きく増加しており、各医療機関においては「地域の医療ニーズ」を十分に勘案する必要がある。なお、平均在院日数は短縮が続くが、都道府県間のばらつきが依然として大きい―。

厚生労働省が3月1日に公表した2017年の「患者調査」結果から、こうした状況を伺うことができます(厚労省のサイトはこちら(概要)とこちら(詳細な統計表、e―Statサイト https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001124800&tclass2=000001124802&second2=1))。

ここがポイント!
1 入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要
2 精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%
3 入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差
4 病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日
5 在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要

 患者調査は、医療機関を利用する患者の傷病などの状況を明らかにするもので、3年に1度行われます。「どの地域に、どのような疾病が多いのか」「年齢によって、どのように疾病構造が異なるのか」などを詳細に知ることができます。病院にとっては、地域のニーズを把握するために極めて重要なデータと言えます。

2017年の患者調査は、6427の病院、5887の一般診療所、1280の歯科診療所を対象に行われました。

 まず2017年の1日当たり推計患者数(2017年10月17日から19日のいずれか1日)を見てみると、入院131万2600人(3年前の前回調査に比べて6200人減少)、外来719万1000人(同4万7400人減)となりました。

 年次推移を見ると、入院では2008年調査から概ね「減少」を続けています。さまざまな理由(入院医療から外来医療へのシフト(例えば抗がん剤治療など)、入退院支援の充実、人口減少など)で入院医療ニーズが減少しており、病床規模が適切なのかを再検証することが重要です。

 
一方、外来では2005年調査からほぼ横ばいとなっていますが、病院では「減少」傾向にあります。外来医療の機能分化(一般外来は診療所で、病院は専門・紹介外来を担う)が進んでいることが伺えます。
 
なお、年齢階級別に見ると、65歳以上の高齢者で入院・外来ともに患者数の増加が続いています。医療ニーズの内容についても、「回復期・慢性期」のニーズが増加していることが伺え、とくに病院において「機能転換」を積極的に考える必要性がさらに高まっていると言えるでしょう。
 

精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%

 次に、入院患者の傷病に着目してみましょう。

入院患者数のトップ4は、依然として▼精神及び行動の障害:25万2000人(前回調査比1万3500人減)▼循環器系の疾患:22万8600人(同1万1500人減)▼新生物:14万2200人(同1900人減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:13万7700人(同6400人増)―です。

それぞれが入院患者全体に占める割合は、▼精神及び行動の障害:19.2%(前回調査比0.9ポイント減)▼循環器系の疾患:17.4%(同0.8ポイント減)▼新生物:10.8%(同0.2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:10.5%(同0.5ポイント増)―となっており、これら4分類で入院患者全体の57.9%を占めています。4大傷病のシェアは徐々に低下しており、傷病が多様化している状況が伺えます。

 
 入院患者の重症度合いを見てみると、全体では(1)生命の危険がある:5.9%(前回調査比0.2ポイント増)(2)生命の危険は少ないが入院治療を要する:75.2%(同0.9ポイント増)(3)受け入れ条件が整えば退院可能:12.9%(同0.7ポイント減)(4)検査入院:1.0%(同0.1ポイント減)(5)その他:4.9%(同0.5ポイント減)―という状況で、入院患者の重症化が進んでいるように感じられます。

また(3)のいわゆる「社会的入院」の割合を年齢階級別に見ると、▼全体:12.9%(同錠)▼0-14歳:7.0%(前回調査比0.6ポイント増)▼15-34歳:9.7%(同増減なし)▼35-64歳:11.8%(同0.8ポイント減)▼65歳以上:13.6%(同0.8ポイント減)▼75歳以上(再掲):14.0%(同0.9ポイント減)―と、前回調査から減少傾向にあるようです。今後の推移を注意深く見守る必要があるでしょう。

入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差

 次に人口10万対の受療率を見てみましょう。患者数そのものは、人口の多い都市部で必然的に多くなるため、人口規模の差などを除外して地域比較をすることが重要なためです。

 全国の受療率は、入院1038(同2ポイント減)、外来5675(同21ポイント減)となりました。入院・外来とも微減、あるいは横ばいと見ることができそうです。

 年齢階級別に見ると65歳以上で高くなることが再確認できます(これが高齢者の医療費が高騰する大きな要因です)。ただし、年次推移を見ると65歳以上の受療率は入院・外来ともに下がってきていることが分かります。
 
 傷病分類別に見ると、患者数と同様に▼精神及び行動の障害:199(前回調査比10ポイント減)▼循環器系の疾患:180(同9ポイント減)▼新生物:112(同2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:109(同6ポイント増)―の4大分類で受療率が高いことが分かります。

 さらに都道府県別に受療率を見てみると、入院では、▼高知県:2101(前回調査比114ポイント減)▼鹿児島県:1880(同5ポイント減)▼長崎県:1803(同9ポイント減)―などで高く、逆に▼神奈川県:706(同23ポイント増)▼東京都:745(同14ポイント減)▼埼玉県:753(同30ポイント増)―などとなっています。

 全国平均との乖離状況を見ると、高い方では▼高知県:2.03倍(前回調査から0.8ポイント低下)▼鹿児島県:1.81倍(同増減なし)▼長崎県:1.74倍(同0.1ポイント低下)―と、低い方では▼神奈川県:0.68倍(同0.2ポイント上昇)▼東京都:0.72倍(同0.1ポイント低下)▼埼玉県:0.73倍(同0.3ポイント上昇)―となっています。最高の高知県と最低の神奈川県との格差は2.98倍で、前回調査に比べて0.26ポイント縮小しましたが、いわゆる「西高東低」の状況に変化はありません。

 一方、外来の受療率は、▼佐賀県:7115(前回調査比265ポイント増)▼香川県:6952(同443ポイント増)▼長崎県:6812(同307ポイント増)―などで高く、▼沖縄県:4586(同269ポイント増)▼京都府:5014(同36ポイント増)▼長野県:5033(同89ポイント減)―などで低くなっています。最高の佐賀県と最低の沖縄県との格差は1.55倍で、前回調査から若干縮小しています(0.04ポイント減)。

病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日

 また2017年9月中に退院した患者について平均在院日数を見ると、慢性期や精神科病院なども含めた病院全体では30.6日となりました。3年前の前回調査に比べて2.6日減少しており、年次推移を見ても着実に減少していることがわかります。
 
 傷病分類別に平均在院日数(診療所も含めた全体)を見ると、▼精神及び行動の障害:277.1日(前回調査比14.8日短縮)▼神経系の疾患:81.2日(同1.0日短縮)▼循環器系の疾患:38.1日(同5.2日短縮)―などで長くなっています。より細かく見ると、▼統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日(同14.3日短縮)▼血管性及び詳細不明の認知症:349.2日(同27.3日短縮)▼アルツハイマー病:252.1日(同14.2日短縮)▼気分[感情]障害(躁うつ病を含む):113.9日(同0.5日短縮)▼脳血管疾患:78.2日(同9.3日短縮)▼慢性閉塞性肺疾患:61.5日(同6.6日短縮)―などが長い状況です。
 
 次に、一般病床について在院期間別の推計退院患者数の構成を見ると、▼0-14日:71.9%(同1.3ポイント増)▼15-30日:15.9%(同0.6ポイント減)▼1-3か月:10.5%(同0.4ポイント減)▼3-6か月:1.3%(同0.2ポイント減)▼6か月以上:0.3%(同0.2ポイント減)―となっており、在院日数の短縮化が進んでいることが分かります。

 さらに、退院患者について「入院前の居場所」と「退院後の行き先」をクロス分析してみると、「家庭に帰る」人の割合は、「家庭から入院した人」では90.2%(前回調査比0.1ポイント増)なのに対し、「他の病院・診療所から入院(転院)した人」では43.2%(同0.4ポイント増)にとどまることが分かりました。「転院患者(他院からの入院患者)の自宅復帰は難しい」ことが患者調査でも裏付けられた格好です。
 
2018年度の診療報酬改定では、▼急性期一般病棟1における「在宅復帰率」の見直し(「在宅復帰・病床機能連携率」と名称変更等)▼地域包括ケア病棟、療養病棟における「救急・在宅等支援(療養)病床初期加算」の見直し(急性期患者支援(療養)病床初期加算と在宅患者支援(療養)病床初期加算との2分し、後者を高く評価)―などの見直しが行われました。こうした報酬改定が、患者の流れにどのように影響するのか、今後の調査結果にも注目する必要があります。
 
 ところで、都道府県別の平均在院日数(病院のみ)を見てみると、▼高知県:56.2日▼佐賀県:48.1日▼長崎県:44.1日―で長く、逆に▼宮城県:20.9日▼神奈川県:23.9日▼愛知県:34.6日―で短くなっており、依然として大きなばらつきのあることが分かります。受療率の高い地域で、在院日数が長い傾向があり、「不適切な入院の長期化」あるいは「入退院支援の努力放棄」(消極的な入院の長期化)などが生じていないか、詳しく見ていく必要があるでしょう。在院日数の不適切な長期化は、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者や家族のQOL低下(職場復帰等が遅れることによる経済的な損失なども含めて)▼高齢者における認知機能の低下―などのデメリットが大きく、厳に慎むべきでしょう。

在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

 最後に在宅医療の状況を見てみると、2017年10月17から19日のいずれか1日に在宅医療を受けた患者数は18万100人で、前回調査に比べて2万3700人増加しています。

 2008年以降、とくに「訪問診療」が急増していることが分かります。厚労省は、患者自身が医師等の適切なアドバイスを受けて「入院医療を選択するのか、在宅医療を選択するのか」を選べる環境の整備を進めています。あわせて、地域医療構想の中では「2025年には、『療養病床に入院する医療区分1の患者』の7割を、在宅や介護施設等で受け入れる」こととなっており、高齢化による在宅・介護施設ニーズ増に加えて、「約30万人分のニーズ増」が新たに生じる計算です。在宅医療提供体制のさらなる整備が期待されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25215
2018年、病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄していないか―全国公私病連  
2019年3月6日|医療現場から MedWatch

 2017年から18年にかけて、病院の平均在院日数は延伸している。病床利用率を維持するために「在院日数短縮の努力」を放棄している可能性も考えられ、各病院において「病床の規模は、地域の医療ニーズに照らして適正か」を客観的に考えていく必要がある。また病院経営は依然厳しく、全体の75%近くの病院が「赤字」である―。

 こういった状況が、全国公私病院連盟が2月26日に公表した2018年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(全国公私病連のサイトはこちら(概要)とこちら(図表1)とこちら(図表2))(前年の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 病院の平均在院日数は短縮しているが、、、
2 病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も
3 2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行
4 赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る
5 入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

病院の平均在院日数は短縮しているが、、、

 この調査は、全国公私病連に加盟している病院等について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2018年調査では915病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▼自治体:443(調剤客体の48.4%)▼その他公的:215(同23.5%)▼私的:225(同24.6%)▼国立・大学付属等:32(同3.5%)―となっています。

 まず平均在院日数を見てみると、病院全体では14.92日で、前年(14.84日)から0.08日延伸してしまいました。

 一般病院の平均在院日数を病床規模別に見ると、次のような状況です。
▽全体:14.32日(前年から0.11日延伸)
▽700床以上:12.94日(同0.34日延伸)
▽600-699床:11.34日(同0.45日短縮)
▽500-599床:12.10日(同0.32日延伸)
▽400-499床:12.70日(同0.18日短縮)
▽300-399床:14.35日(同0.38日延伸)
▽200-299床:17.32日(同0.14日短縮)
▽100-199床:23.35日(同0.08日短縮)
▽99床以下:22.03日(同1.41日短縮)
 
 前年に比べて、とくに大規模の病院で「延伸」が目立ちます。大規模な病院では急性期入院医療を提供しているケースが多く、今般の結果から「急性期入院において在院日数の短縮に限界が来ている」と見ることもできます。しかし、先進諸国と比べて我が国の急性期入院医療の平均在院日数が長いことが知られており、次項の「病床利用率」とあわせて考えると、違う景色も見えてきそうです。

病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も

 次に病床利用率を見ると73.37%で、前年同月(73.18%)に比べて0.19ポイント向上しました。

 一般病院の病床利用率を、病床規模別に見ると次のような状況です。
▽全体:72.39%(同0.29ポイント低下)
▽700床以上:77.44%(同0.63ポイント向上)
▽600-699床:75.86%(同0.53ポイント向上)
▽500-599床:75.99%(同0.01ポイント向上)
▽400-499床:72.52%(同0.39ポイント向上)
▽300-399床:68.90%(同3.64ポイント低下)
▽200-299床:69.90%(同1.42ポイント低下)
▽100-199床:71.64%(同0.25ポイント低下)
▽99床以下:67.54%(同0.16ポイント低下)
 
 400床以上では向上、400床未満では低下とくっきり分かれています。利用率だけを見れば「大規模な病院で新規患者獲得等の努力が実を結んでいる」と見ることができるかもしれません。

 しかし、前述した平均在院日数の動向と併せて見てみると、「大規模病院では、病床利用率を維持するために、平均在院日数を調整している(少なくとも短縮に向けた努力を抑えている)」のではないかという可能性が考えられるのです。

 メディ・ウォッチでは、たびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です(在院日数短縮のみで、病床利用率向上を目指さなければ単なる減収になってしまう)。利用率向上のためには「重症な紹介患者の獲得」や「救急搬送患者の積極的な受け入れ」などが重要ですが、地域によっては人口減少傾向に入っており、限界があります。このため、病床利用率の低下を抑えるために、平均在院日数の短縮に向けた努力を放棄してしまうケースもあります。

在院日数の短縮、つまり早期退院には▼ADL低下の防止▼院内感染リスクの軽減▼患者のQOL向上(経済的な面も含めて)―などのメリットがあり、すべての入院医療で進めるべきテーマです。ただし、「病院の経営を二の次にして、在院日数短縮を進めよ」と求めることも非現実的です。

この点、医療現場では「地域の医療ニーズを踏まえたダウンサイジング、再編・統合」を進めると同時に、行政(厚生労働省)では「DRG/PPS」などの1入院当たり包括支払い方式の検討を進める必要があると考えられます。

2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行

 次に患者数の動きを見てみましょう。2018年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月(7531人)に比べて209人減の7322人、外来患者も929人減の1万1337人となっています。

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見てみると、次のようになっています。在院日数の延伸によって、入院患者が見かけ上増加していると考えられるでしょう。
▽700床以上:2万987人(同836人増)
▽600-699床:1万5795人(同116人増)
▽500-599床:1万3078人(同166人減)
▽400-499床:1万625人(同289人減)
▽300-399床:7702人(同101人減)
▽200-299床:5707人(同95人増)
▽100-199床:3552人(同46人増)
▽99床以下:1514人(同77人増)
 
 また外来患者数は、次のようになっています。
▽700床以上:3万4209人(同553人減)
▽600-699床:2万5170人(同247人減)
▽500-599床:2万1303人(同1639人減)
▽400-499床:1万6869人(同319人減)
▽300-399床:1万2120人(同454人減)
▽200-299床:8777人(同282人減)
▽100-199床:5577人(同349人減)
▽99床以下:2972人(同320人増)

 99床以下を除き、外来患者数が前年から減少していることが分かります。厚労省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という外来機能分化の方向を描いており、また病院経営という面で見ても、スタッフの負担や収益性などを考慮すれば「大病院で軽症の外来患者を多く受け入れる」ことは好ましいことではありません。

今般の結果から見られる「大規模病院の外来患者減少」は、こうした方向に沿っていると見ることができます。ただし、中小規模の病院における外来患者の減少は、「地域ニーズにマッチしていない」ことや、そもそも「地域ニーズが減少している」可能性もあるため、十分な分析が必要です。

赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る

 さらに、病院の規模の違いを除外するために、2018年6月における「100床当たりの収支」を見てみましょう。

総収益は1億9836万7000円で、前年(1億9896万1000円)に比べて60万円・0.3%の微増となっています。一方、総費用は2億1117万6000円で、前年(2億1095万円)に比べて22万6000円・0.1%の微増です。赤字基調(赤字額は1280万9000円)で、赤字幅は前年に比べて82万円拡大しています。

 収益の内訳を見ると、▼入院収入:1億2963万7000円(前年に比べて44万6000円・0.3%増)▼外来収入:5778万3000円(同99万3000円・1.7%増)―など。

 一方、費用の内訳としては、▼給与費:1億792万6000円(同67万5000円・0.6%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5256万8000円(同9万円・0.2%減)▼委託費:1607万円(同8万円・0.5%増)▼減価償却費・1393万1000円(同31万8000円・2.3%増)―などとなっています。
 
2018年6月の医業収益を100とした場合、医業費用は106.7(前年より0.5ポイント増加)で「医業だけに絞っても赤字」となり、また、給与費は55.6(同0.5ポイント増)、材料費(医薬品・医療材料)は27.1(同0.1ポイント増)という状況です。
 
 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2018年は黒字26.4%、赤字73.6%となっています。赤字病院の比率は、前年に比べて4.6ポイント減少しており、病院経営の厳しさが増していると考えられそうです。
 
 なお、「医師の働き方改革」に関連して、「医師の負担」をどう軽減するかが重要課題となっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。この点、「医師1人・1日当たり患者数」を見てみると、入院の平均は4.3人で前年から増減ありません。患者数が多いのは、▼精神科:14.3人(同0.3人減)▼リハビリ科:13.7人(同1.2人増)▼整形外科:7.9人(同0.2人減)—などの診療科となっています。
 
またDPC病院における「医師1人・1日当たりの診療収入」(入院)を見てみると、平均では22万6000円で、前年から増減ありません。診療科別で見ると、▼心臓血管外科:52万4000円(同2万4000円増)▼リハビリ科:45万7000円(同3万円減)▼整形外科:44万6000円(同2000円減)▼循環器内科:41万1000円(同9000円増)▼脳神経外科:40万5000円(同1万7000円減)―など、診療科によってバラつきがあります。

入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

 最後に、DPC病院について、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入(つまり単価)を見てみると、次のような状況です。自院の状況と平均とを比較してみてください。
▽総数:6万500円(同900円増)
▽内科:4万8100円(同増減なし)
▽呼吸器内科:4万7000円(同1500円増)
▽循環器内科:9万4100円(同700円減)
▽消化器内科:5万300円(同800円増)
▽皮膚科:4万3000円(同増減なし)
▽小児科:6万6600円(同100円減)
▽外科:6万7300円(同1100円増)
▽呼吸器外科:9万6400円(同7200円増)
▽心臓血管外科:15万5600円(同4100円増)
▽消化器外科:7万5100円(同2200円増)
▽脳神経外科:6万6600円(同3300円増)
▽整形外科:5万9800円(同1600円増)
▽小児外科:10万9400円(同3300円増)
▽産婦人科:6万6900円(同2500円増)
▽リハビリ科:3万8100円(同6000円減)
 
診療科によってバラつきがあり、「呼吸器外科では大幅向上」「リハビリ科では大幅減少」などが目立ちます。



https://globe.asahi.com/article/12171782
英国のお医者さん
家庭医ってどんな医者?トリブリッドな視点が生み出す調和とバランス
 
2019.03.04 朝日新聞 GLOBE

みなさん、家庭医というと、どんな医者をイメージしますか?

家族を診る医者、町医者、幅広く診る医者...。

これらは決して間違いではありませんが、必ずしもそうとは限りません。前回お話ししたプライマリ・ケア同様、家庭医がどういった医師であるかをご存知の方は少ないと思いますし、ご存知でも、誤解されていることがある印象です。今回はそんな家庭医の知られざる姿についてお話しします。

一言で言うと、家庭医は、「プライマリ・ケアを専門とする医師」です。世界で関心が高まっているプライマリ・ケアを強化していく上で欠かせないピースの一つと国際的に言われています。聞き慣れないかもしれませんが、内科や外科などの医師と同様に重要な役割を担う、専門の研修を受けた医師です。日本でも家庭医としての働きが期待される「総合診療専門医」の育成がいよいよ始まろうとしています。

ただ、この家庭医という医師を分かりやすく説明するのは簡単ではありません。なぜなら、家庭医の本質は「患者・地域のニーズに応える」ことで、これらニーズは千差万別であるため、これが家庭医!とひとくくりのイメージで表現するのは難しいのです。家庭医は自分が診る問題を自分で定義しません。加えて、家庭医の仕事は国の制度にも影響を受けるので事はより複雑です。水が注がれた器によって形を変えるように、また家庭医も状況に合わせてその姿を変えていく存在です。

こうした専門性をより良く発揮するために、家庭医は以下のように「部分」「全体」「自分」を見る3つの視点を持ち、状況に応じてこれらを使い分けるがことできる「トリブリッド型」とも言える医師です。

(1)部分を見る視点(細胞・臓器・病気・治療など)
(2)全体を見る視点(患者を人としてまるごと・家族・地域社会・システム・国・世界など)
(3)自分を見る視点(医師としての知識・技術のみではなく、自己の感情・姿勢・価値観など)

なぜ家庭医にとってこの3つの視点が重要なのか?

医療の専門家としてはまず、部分を診る(1)の視点は不可欠です。けれども、家庭医の専門性である「患者・地域のニーズに応える」ことをより良く行うためには、ものごとの一部にとらわれず全体にも目を配る(2)の視点も必要になります。また、患者のことをより良く知るためには、(3)の自分を診る視点が欠かせません。なぜなら、自分の外をより良く知るためには自分の中を知ることが必要になるからです。例えば、医師自身の感情や姿勢、価値観という内面によっても患者が医師に伝える情報は変わってくる上、医師によるその情報の解釈さえも変わってきます。

健康問題の原因やその影響の多くは単純ではなく複雑です。そのため、部分を見て、全体を見て、自分を見て、それらの結びつきを理解することが重要です。

ここまではやや抽象的な話になりましたが、では、家庭医の専門的な能力とは具体的に何でしょうか?家庭医は、その柔軟性を持ってニーズに応えようとすることで、前回でまとめた現代医療の課題のすべてに対応できるよう発展してきました。そのため、現代版プライマリ・ケアのすべての要素にフィットする専門性を持っています。ここでは主な6つを紹介します。

(1)あらゆる相談に乗り、適切なサービスへと導くゲートオーブナー

家庭医は、保健医療サービスの玄関口として、すべての人のあらゆる健康上の問題や相談に対応します。どの問題を何科で相談すればいいのか、迷う必要はありません。また、外来診療の他にも電話相談や在宅診療など、サービス利用者のニーズに合わせた多様な受診方法を提供します。

もちろん家庭医がすべての問題を解決できるわけでも、すべきでもありません。けれども、複雑で専門性の高い保健医療という世界の中で患者が適切なサービスを受けられるよう、責任を持ちます。

チームケアを基本とし、他の様々な職種や各科医師と連携を取り、必要に応じて、他科の医師や他の医療機関はもちろん、介護・福祉など、適切なサービスへと導いていく「ゲートオープナー」とも言える存在です。チームが役割分担し、連携し合うことによって、お互いの専門性をさらに高めていくことができます。

これを適切に行うには、自分が何を知っているかよりも、何を知らないかを知ることが重要で、家庭医はこのマインドを大切にする文化を持っています。一方で、前回お話ししたように、いつ医療を提供しないべきかを理解し、判断することも大切で、家庭医はこれに長ける医療者でもあります。

(2)当事者本人を中心に据えたケア

医療に絶対的な正解はありません。ですから、医学的な視点、患者の視点、両方を大切にしながら、何が問題なのか、それぞれのシチュエーションにあった解決策は何かを一緒に考えます。二人三脚で事を進める医療のパートナーの存在によって、医療がもっと身近で主体的なものになります。患者が本当に伝えたいことを伝えられるように、医師は聞き上手、引き出し上手である必要があります。また、難しい医学情報をわかりやすく伝えられるように説明上手である必要もあります。こうしたコミュニケーションスキルを専門的に学び、それと同時に自分自身を知るトレーニングも受けます。

(3)環境に応じた適切な臨床アプローチ

第6回で、地域や病院といったリスクの違う環境によって、求められる臨床アプローチが本質的に異なることについてお話ししました。家庭医はそれを理解し、環境に応じた適切な臨床アプローチを取ることができます。加えて、地域は基本、患者が初めに医療サービスを受診する場であり、曖昧な症状が早期に、かつ多様に訴えられる環境です。また、複数の慢性的な病気や複雑な問題の対応も求められます。家庭医はこうした状況にも適切に対応できる専門のトレーニングを受けます。

(4)生活や地域の目線を持った包括的なケア

生活や地域の目線に沿った広い視野も家庭医には求められます。食生活、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣に関するアドバイスや、予防接種や検診などの予防も含めて、個人だけではなく地域全体に健康を広める役割を持ちます。また、必要に応じて地域の介護支援専門員などとも情報を共有しながら、介護と医療の連携を図ります。

(5)安全性と高い質を保ち、個人と地域のニーズのバランスを取る

患者を第一に考える家庭医は、提供するサービスの質と安全性にこだわります。だからこそ、その科学的裏づけ(エビデンス)を大切にします。一方で、地域のニーズにも応えるため、その地域で利用可能な資源の分配にも気を使います。結果、家庭医は患者個人のニーズと地域のニーズが相反する際に上手くバランスを図るバランサーでもあるのです。

(6)患者を人としてバランス良くサポート

現代医療で見失われがちな、患者を一人の人間として診ることを家庭医は大切にします。人間が人としての感情を内に秘め、家族、社会といった集団の中で生活する心理的・社会的存在でもある以上、訴えられる身体的問題のみに表面的に対応するだけでは、健康における重要な側面を見逃してしまいます。例えば、風邪の症状で頻繁に医療機関にかかる一人暮らしの高齢患者に対し、その影にある社会的孤立や寂しさ、メンタルヘルス、喫煙といった状況にも注意を払うことができなければ、問題のより良い解決は難しいでしょう。

このように家庭医は、患者・地域のニーズにより良く応えることを専門とするゆえの多面性を持っていて、調和とバランスを大切にします。家庭医が本当はどういった医師であるのか、少しでもお伝えできたら幸いです。

次回からは、話の内容をイギリスに移していきます。

澤憲明 英国GP
1980年富⼭県⽣まれ。英国GP(General Practitioner)。レスター⼤医学部卒業。英国初期研修を経て、2012年英国GP専⾨医研修・試験を修了。現在、英中部リーズ近郊の診療所にて勤務。NHK『視点・論点』、NHKスペシャル⽇本新⽣『⽇本の医療は守れるか?〜“2025年問題”の衝撃〜』などに出演。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664435
<シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
時間外「1920時間以上」、産婦人科医の4人に1人
筑波大・石川氏らの調査、厚労省水準6割が「長い」
 
レポート 2019年3月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの石川雅俊氏は、「全国の産婦人科医師の勤務実態等を踏まえた医師の働き方改革の推進に向けたアンケート調査結果(暫定値・速報)」をこのほど公表、時間外労働が過労死水準に当たる年960時間以上の医師が65.5%、年1920時間以上の医師も27.1%で、月5回以上当直をしていた医師は52.7%と半数を超えるなど、過酷な勤務実態が改めて明らかになった。

 「勤務環境を理由に病院をやめたい」あるいは「勤務環境を理由に産婦人科をやめたい」と1年以内に考えたことのある医師はそれぞれ63.0%、40.2%。「希死念慮あり」と回答した医師も3.0%おり、勤務環境の改善が急務なことが確認された。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、時間外労働の上限を「年1900~2000時間」(2月の調査開始時点。現時点では年1860時間)を軸に検討しているが、39.1%が「とても長い」、19.0%が「やや長い」と回答、合計で約6割に上った。一方で、「ちょうどよい」「短い」と回答したのは計22.0%。「分からない」は20.0%。

 適正な勤務時間については、「週60時間以下」という過労死水準以下の水準を求めていたのは計77.4%。

 厚労省は、時間外労働上限の特例として「年1860時間」を認めるのは、「勤務間インターバル」と「連続勤務時間制限の導⼊」などが条件。「とても厳しい」「やや厳しい」の合計は、「勤務間インターバル」82.1%、「連続勤務時間制限の導⼊」82.0%で、いずれも8割を超えた。

 石川氏は、「厚労省において現在、医師の働き方改革に関する検討が進められている。しかし、診療科別に見ると、産婦人科医は最も時間外労働が長い水準にあるにもかかわらず、公の場で現場医師の意見が表明される機会は限定的」と述べ、「暫定値・速報」ながら、結果を公表したのは、議論が佳境を迎える厚労省の検討会の議論に間に合わせるためだと説明。

 「働き方改革を本当に推進するためには、過労死水準に十分に配慮した時間外労働時間の上限を設定するとともに、勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏は指摘する。労働時間の短縮や医師の健康確保に係る施策、労働に対する対価の支払いなどに加えて、タスク・シフティング、医療機関の集約化や医師の地域・診療科偏在対策などを強力に進めていく必要があると考えている」(石川氏)。

 調査は、2018年度の文部科学省科学研究費補助金による研究。2019年2月18日から開始、全国の分娩取り扱い施設893病院を通じて、個々の産婦人科医にWebアンケートへの回答を依頼した。労働時間等は、直近の1週間(外勤・アルバイトを含む)について聞いた。

 今回の暫定値・速報では、3月3日時点で、194施設、864人から得た回答を集計した。回答者の属性は男性49.8%、女性50.2%。年齢は、30歳未満8.5%、30歳代42.3%、40歳代24.3%で、50歳未満が計75.1%を占める。本記事で紹介した時間外労働の項目以外にも、調査項目は多岐にわたる。

 タスク・シフティング「労働時間1時間以上短縮可」は65.8%

 「勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏が指摘するのは、現在厚労省から示されている宿日直の定義を踏まえた「労働時間」を試算したところ、時間外労働にカウントされない宿日直が一部あることから、年1920時間以上の医師は、「勤務時間」ベースより7%少なかったからだ。「厚労省は、時間外労働時間の上位10%を上限とする提案をしている。仮に厚労省の宿日直の定義を踏まえると、上位10%の水準はもう少し下がるはずだ」と石川氏。

 もっとも、そもそも「過労死水準」以下に抑えるべきだというのが石川氏の考え。そのための方策として、重要視されるのがタスク・シフティング。今回の調査では、事務作業系、診療行為系の両方について選択肢を提示し聞いたところ、「今後は移管すべき」項目、「今後も移管すべきでない」項目、「両者が拮抗した」項目は、以下の結果だった。

・今後は移管すべき:オーダー代行、紹介状や退院サマリーの代行入力、症例登録、造影剤や化学療法のラインの確保、オンライン診療、患者からの問い合わせへの対応、胎児エコー、ルーチンの薬の処方、陣発時や破水時の内診など。
・今後も移管すべきでない:電子カルテの代行入力、陣痛促進薬の開始、手術の助手、会陰切開・会陰縫合、術中の麻酔・呼吸・循環管理など。
・両者が拮抗:胎児スクリーニング、陣痛促進薬の調節、産後1カ月健診、術後の創部管理

 「働き方改革による医療の質・安全への影響」は、「かなり向上する」「やや向上する」が計37.9%、「変わらない」20.2%、「やや低下する」「かなり低下する」が計26.2%(残りは、「分からない」)。

 タスク・シフティングによる労働時間の短縮は、「2時間以上」20.2%、「1時間以上2時間未満」45.6%。タスク・シフティングで、時間外労働の短縮は期待できるものの、さらなる短縮を進めるために、医療機関の集約化などの必要性を石川氏は説く。



https://www.m3.com/news/general/664465
東京・公立福生病院:透析中止 「独断専行、事実ない」 福生市長、問題受け  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をやめる選択肢を示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、病院は8日、「(女性の)家族を含めた話し合いが行われ、記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はない」とするコメントを発表した。

 病院を運営する「福生病院組合」の管理者である加藤育男・福生市長と、松山健院長の連名。女性の死亡について「悪意や手抜きや医療過誤があった事実もない」と主張している。また、都が6日に実施した病院への立ち入り検査や日本透析医学会が設置した調査委員会の調査を念頭に、「第三者機関の検査結果等も待ちつつ、早急な事実関係の把握に努め、適正に対応する」としている。

 一方、東京都の小池百合子知事は8日の定例記者会見で「患者の意思確認が適切にされていたのかどうか、一連の経緯を含めて確認を進めている」と述べた。

 また、立ち入り検査の結果などを踏まえ、「医療法に基づき適切な指導を行っていく」との考えを示した。【梅田啓祐、森健太郎】

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 ◇情報をお寄せください

 人工透析治療に関する情報、疑問や悩み、記事へのご意見をお寄せください。郵便は〒100―8051(住所不要)毎日新聞生活報道部。メールは表題を「透析治療」としてkurashi@mainichi.co.jp。ファクス(03・3212・0256)でも受け付けます。



https://www.m3.com/news/general/664462
東京・公立福生病院:透析中止で女性死亡 「腹膜透析」示さず 治療法限定  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で外科医(50)から人工透析治療をやめる選択肢を提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、女性に対して「腹膜透析」という別の治療法の説明はなく、「血液透析」をやめるか続けるかという二つの選択肢しか示されなかった。透析治療に詳しい関係者は「医療を受ける患者の権利が奪われている」と指摘している。

 透析治療には(1)腕などに針を刺したり首周辺から管(カテーテル)を入れたりして血液を浄化する血液透析(2)腹腔(ふくくう)内に透析液を入れて毒素や老廃物を取り除く腹膜透析――の2種類がある。女性は腕からの血液透析が難しくなったため、昨年8月9日、福生病院を受診。外科医は、首周辺に管を挿入する治療法と、「死に直結する」という説明とともに透析治療をやめる選択肢を示した。同席した夫(51)によると、外科医はこの際、腹膜透析を女性に示さなかった。翌10日には腎臓内科医(55)も女性と面談したが、説明はしなかった。

 腹膜透析は腹部に管を一度埋め込む必要があり、血管ほど長期間は使えず、10年程度が限界とされる。一方で、針を刺す必要はなく、透析液の交換も1日1~4回。生活の自由度は比較的高いといわれる。厚生労働省は「外国と比べ、腹膜透析や腎移植が普及していない」として、普及・推進が必要との立場だ。日本腎臓学会や日本透析医学会などによると、血液透析と腹膜透析は相互移行ができる。

 外科医と腎臓内科医は「(腹膜透析を)やってできないことはなかった」としたうえで、「女性の容体を考えた時、数カ月で血液浄化に不具合が出る。かなり困難と判断したので提示しなかった」と説明している。

 女性の長男(28)によると、女性は血液透析の針を刺す痛みを嫌がっていたという。長男は「母は生前、『痛くないなら透析を受けたい』と話していた」と話す。透析治療に詳しい春日井市民病院(愛知県)の渡辺有三院長は「すべての治療法が提示されておらず、患者の権利が奪われている」と指摘する。

 一方、遺族によると、女性は1999年に抑うつ性神経症を発症し自殺を図ったことが3回あったという。外科医は当時、この病歴を把握していなかったことを毎日新聞の取材に認めた。【斎藤義彦、田口雅士】



https://www.m3.com/news/general/664424
透析中止で死亡「密室で独断専行してない」 病院が反論  
地域 2019年3月8日 (金)配信朝日新聞

 腎臓病患者の40代女性が人工透析治療を中止し、死亡していた公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)で、医師が終末期ではない患者に透析治療をしない選択肢を提示していたことがわかった。透析をしない選択をした約20人のうち複数が死亡したとみられる。このほか、透析中止後に死亡した患者が女性以外に3人以上いることも判明。日本透析医学会の提言から逸脱している可能性もあり、学会は来週後半にも病院に立ち入り調査に入る方針だ。

 福生病院は8日、透析治療をめぐる手続きについて「多職種で対応し、家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はございません」とのコメントを公表し、病院の対応に問題はないとの考えを示した。

 都などによると、福生病院では2013年以降、腎臓病患者149人が受診。透析を始めるかどうかの相談の際に、医師が透析をしない選択肢も示していた。学会の提言では、透析を中止もしくは始めないことを検討できる状況について、全身の状態が極めて悪い場合などに限定。しかし福生病院では、終末期のように極めて悪い状態でなくても透析をしないことを検討し、実際に約20人が透析を選ばなかった。病院側はいずれのケースでも、患者の同意書をとっていると説明しているという。



https://www.m3.com/news/general/664399
東京・公立福生病院:医師から透析中止提示 「命諦めろ」感じた 治療継続の患者親族  
2019年3月8日 (金)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、外科医は昨年、終末期ではない80代女性と70代男性に治療中止の選択肢を示し、いずれも断られていた。分路(シャント)に障害が発生した場合などに「(治療中止の選択肢を)必ず提示している」と外科医は話している。【斎藤義彦】

 関係者によると、腹腔(ふくくう)に透析液を入れ、腹膜を利用して老廃物を除去する「腹膜透析」をしていた80代女性は昨年3月、腹膜が使えなくなったため外科医に相談。外科医は女性の親族に対し、首周辺に管(カテーテル)を入れて透析を継続する治療法とともに「中止する選択肢もある」と話したという。

 親族は「『透析する人は国のお金をたくさん使っているので、もう透析はしないでほしい』『命を諦めろ』と言われたように感じた」という。結局、女性は管にしたが、ショックを受けた親族は治療中止の選択肢を示されたことを女性に明かせなかったという。

 また昨年11月、40年以上透析を続けている70代男性が、血液交換のために針を入れる血管の分路の検査で病院を受診したところ、外科医から「透析をそのままやっていくのか?」「今後分路が使えなくなった時、透析をしない選択もある」と中止の選択肢を示された。男性は承諾しなかった。

 妻は「今までそんなことを言われたことは一度もなかった。医療が変わったのか」と振り返り、男性も「(家族もいて)自分だけで決められない」と戸惑ったという。

 分路に障害が出た場合などに「(透析中止の選択肢を)必ず提示する。(透析継続という)選択肢を取らない決定も当然あるべきだ」と外科医は話す。そのうえで、透析は延命治療で、腎不全は治らないことを理解した上で患者が治療法を選ぶべきだと主張。「適正な選択の話を聞いていないから患者は衝撃を受ける。最初から聞いていれば普通に考えられる」とし、「『さじを投げられた』と感じる患者もいるが仕方ない」と話している。



https://www.m3.com/news/general/664334
来週にも学会が病院調査へ 透析中止の女性死亡で  
2019年3月8日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で昨年8月、腎臓病の女性=当時(44)=に医師が人工透析治療をやめる選択肢を示し、治療中止を選んだ女性がその後死亡した問題で、日本透析医学会が設置した調査委員会が来週にも、病院に調査に入る見通しであることが8日、関係者への取材で分かった。

 医師だけでなく病院が組織としてどう対応したか、患者の生命に関わる判断をチェックする仕組みが院内にあったかなどを確認。2014年に学会の作業班が作成した透析治療の継続や中止に関する提言に沿って今回の手続きを行ったかどうかも調べる見通しだ。

 調査委員会は委員長の土谷健(つちや・けん)・東京女子医大教授のほか、腎臓が専門の医師委員6人、国会議員や弁護士などの外部委員5人で構成し、結果のまとめを急ぐ。

 根本匠厚生労働相は8日の閣議後記者会見で、病院を立ち入り検査した東京都や日本透析医学会の対応について「注視していきたい」と述べた。

 病院の運営組合を構成する福生市と羽村市、瑞穂町も8日までに事実関係の把握に乗り出した。病院側は「2市1町に説明する機会をつくる」と説明しているが、時期の見通しは立っていないという。

 福生病院では昨年8月、医師が腎臓病を患った女性に、治療継続と治療をやめる選択肢を両方提示、治療中止のリスクも説明した。女性は治療をやめることを決め、意思確認書に署名。その後、体調が悪化し死亡した。東京都は今月6日、病院の管理運営体制を確認するため、医療法に基づき立ち入り検査した。



https://www.m3.com/news/general/664264
病院「透析選ばなかった患者20人」…死者も  
2019年3月8日 (金)配信読売新聞

 東京都福生市の「公立福生病院」の医師が、腎臓病患者の女性に人工透析治療をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した問題で、同病院がほかにも、透析治療を検討するために来院した患者に対し、透析治療を行わない選択肢を示していたことがわかった。病院側は都に「透析治療を選ばなかった患者は約20人」と説明。死亡した患者がいるとみられ、都は事実関係を調べている。

 都によると、同病院は過去に、他の医療機関からの紹介で来院し、これまで透析治療をやったことのない患者に対して、透析をしなければ命に関わるとの説明をした上で、今後の治療で透析治療を行わない選択肢を示していたという。

 病院側は都に、透析治療を受けないと決めた患者約20人は大半が高齢者と説明しているという。

 日本透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析治療の見合わせを検討する状況について、「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を著しく損なう危険性が高い」などとしている。

 都は今後、約20人についても、カルテや患者の生死の確認、関係した医師の聞き取りなどを行い、一連の医療行為が適切だったかどうかを慎重に調べる。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。



https://mainichi.jp/articles/20190305/k00/00m/040/249000c
複数主治医制が必要 医師の働き方改革で自民PT提言  
毎日新聞2019年3月5日 20時29分(最終更新 3月5日 20時29分)

 医師の働き方改革を巡り、長時間労働是正のために「複数主治医制」の普及や救急車利用の適正化が必要だとする提言を5日、自民党のプロジェクトチーム(PT)が大筋でまとめた。厚生労働省は一連の働き方改革で、地域の医療体制維持のため、一部医師の残業時間を一般労働者の2倍の年1860時間まで容認する方針で、PTは負担軽減には患者側も意識を変える必要があるとしている。今月末に厚労省に提出する。

 提言案では、医師の長時間労働を改善するために「医療機関への正しいかかり方の啓発と、国民の意識改革が必要」と指摘。日本の医療は入院患者の診察から手術、術後の経過観察まで1人の主治医が担う形が一般的だが、診察と手術に別々の主治医を置くことを検討すべきだとした。軽症での夜間・休日の受診を控えることや、軽症と判断した場合は救急搬送を見送ることなども課題に挙げた。

 厚労省は医師の負担軽減策として、一部の医療行為や患者への説明を看護師に移管する「タスク・シフティング」の導入を目指している。PTは人員確保に向けた財政措置や、医療機関への人工知能(AI)などのシステム導入の支援を求めた。【酒井雅浩】

自民PTの主な提言内容
・複数主治医制
・救急搬送の適正化
・タスク・シフティングに向けた環境整備
・AIなどのシステム整備の支援



  1. 2019/03/10(日) 15:57:55|
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3月3日 

https://www.carenet.com/news/general/carenet/47580
会員医師が感じる医師不足・偏在の問題 
ケアネット  2019/02/28

 2月15日に厚生労働省において「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)」が開催され、将来の医師数不足、診療科による医師数偏在に関する資料が公開された。CareNet.comでは、この発表をうけ、「現在・将来の医師不足、偏在について」をテーマに緊急アンケートを会員医師に行った。今回、その結果がまとまったのでお伝えする。

 調査は、2019年2月20日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は340名。

約6割の医師が「医師不足、診療科偏在を実感」
 Q1で「今回発表された医師不足や偏在、将来の推計の数字への実感の有無」を質問したところ、「実感できる」という回答が58.2%、「実感できない」という回答が41.8%だった。

 Q2でそれぞれの理由について聞いたところ、「実感できる」と回答した会員医師では、「東京一極集中への懸念」「医師の都会志向」を危惧する声が一番多く、続いて「外科、小児科、産婦人科医の成り手不足」「小児科医の高齢化、産科の閉院」「開業する医師の増加」など診療科の偏在を心配する声が多かった。また、「医局人事の崩壊」「地方での医療崩壊」「医師の就業環境が悪化の一途」など医療全般や労働環境からの声もあった。

 一方、「実感できない」と回答した会員医師では、「医師数だけは足りている」「患者の過剰受診が問題」「医師が医療に専念できない環境に問題」など医師の人数よりもその働き方や偏在への是正を求める声が多かった。

医師不足はマイナー診療科を超えた!
 Q3で「医師が不足していると思う診療科」を質問したところ、「産婦人科」(175)、「外科」(155)、「小児科」(139)、「内科」(136)、「救急科」(119)、「病理科」(77)、「麻酔科」(58)、「脳神経外科」(57)の順番で多かった(以上は複数回答)。少子化による人口減少社会の中で「産婦人科」「小児科」の担い手が減少、多忙な勤務環境や訴訟リスクなどから「外科」「救急科」を目指す医師が少なくなっているだけでなく、地方の医療機関では高齢者医療の担い手である内科医師の不足も顕在化しつつあることが示唆された。

地方で勤務する医師には特別な配慮を
 Q4で「医師不足・偏在」への解決策について質問したところ、「病院・診療所・クリニックの適正配置」(155)、「診療報酬で地域差を設ける」(119)、「医師の就業の流動性」(107)、「患者の診療抑制の実施」(100)、「専門医制度の改革」(76)などの順番で多かった(以上は複数回答)。

 また、具体的な提言について質問したところ「地方勤務医師の専門医資格の緩和」「地域枠採用の医師の拡大と固定化」「医師免許の2段階化」など、地方と都会で働く医師に差を設ける施策を求める声が多かった。また、医療制度全般では「外科の診療報酬増額」「患者の多い診療科の診療報酬減額」「大学医学部の再編成と地域義務医療の創設」など診療報酬制度や医学教育制度への変革を求める声があった。

 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントなどはCareNet.comに掲載中。

■参考
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)

■関連記事
推計1万6,226人の内科医が2030年に不足
16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?
(ケアネット 稲川 進)



https://www.medwatch.jp/?p=25136
医師偏在対策まとまる、2019年度に各都道府県で「医師確保計画」定め、2020年度から稼働―医師需給分科会(2) 
2019年3月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 お伝えしているように、厚生労働省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)が2月27日に医師偏在対策に関する意見とりまとめを行いました(第4次中間とりまとめ)(関連記事はこちら)。

 医師偏在の解消に向け、法律の改正を行い(医療法・医師法)、膨大なデータを駆使した精緻な議論の結果である今回の第4次中間とりまとめには、構成員からも「画期的である」との賞賛の声が出ています。
 
ここがポイント!
1 医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める
2 医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可
3 将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定
4 外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に


医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める

 医師偏在対策は、都道府県が新たに作成する3年を1期とした「医師確保計画」(2020年度からの当初計画のみ4年計画)に沿って進めます。第4次取りまとめの内容をもとに、偏在対策の概要を眺めてみましょう。

 医師確保計画には、▼医師確保に向けた方針▼医師確保の目標値▼具体的な医師確保策―を盛り込みますが、「医師が少数の地域」と「医師が多数の地域」とでは、そもそもの方針の立て方が異なってきます。医師の養成数には限りがある(2017年度の医学部入学定員は9420人)ため、「医師が多数の地域」が「もっともっと医師が必要だ」と考えて医師確保を進めれば、「医師が少数の地域」での医師確保がますます難しくなってしまうためです。
 
そこでまず、1つ1つの都道府県・医療圏について「医師が多数なのか、少数なのか」を客観的に把握することが求められます。このため、「人口10万対医師数」に▼地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)▼地域医師の性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)―などを加味した、新たな「医師偏在指標」を設定。これを用いて全国の都道府県・医療圏の「医師配置状況」に順位をつけ、▼上位3分の1を医師多数3次医療圏・医師多数区域▼下位3分の1を医師少数3次医療圏・医師少数区域―と定めました(関連記事はこちらとこちら)。

医師少数とされた地域では、3年後(1期の医師確保計画終了時点、当初は4年後)に「現在の下位3分の1ラインに到達できる」ように、医師確保の方針・目標数を設定し、医師確保施策を進めていきます。
医師需給分科会(2)の4 190130
 
一方、医師少数でない地域では、医師確保計画の中に「他地域からの医師確保」方針などを盛り込むことは原則としてできません(偏在が進んでしまうため)。ただし、医師多数と判断された都道府県でも、一部に医師少数の地域が存在することもあり、また将来は医師が少数になる可能性もあります(人口増等で医療ニーズが増加するなど)。こうした場合には、もちろん「医師確保」に向けた施策などを盛り込むことが可能です(関連記事はこちら)。

 どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに候補が厚労省から示されています。今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●全体の状況(候補)はこちら

 なお、産科・小児科については「特別の考えに基づく対策」を採ることを、既にメディ・ウォッチでお伝えしています(関連記事はこちら)。


医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可

 医師確保のための施策は、「他地域からの医師派遣」などの短期的施策と、「大学医学部での地域枠・地元枠設定」などの長期的施策に分けられます。医師の不足状況に応じて、これらを組み合わせていきます。

 後者の地域枠等については、効果が出るまでに時間がかかる(医学部入学から医師免許取得・初期臨床研修修了まで早くでも8年間が必要)ため、「今、医師が不足している」という状況には対応できません。一方、前者の「医師派遣」では、「いずれ派遣を終えて帰ってしまう」ため、継続的な仕組みが構築されない限りは、一時的な効果しかありません。このため、「現在の医師不足」へは短期的施策によって、「将来の医師不足」へは長期的施策と短期施策の組み合わせによって対応することが原則となります。

 このため、短期的施策は、「医師多数3次医療圏・医師多数地域」では採用できず(医師偏在が進んでしまうため)、「医師少数」の地域などでのみ実施できます。その際、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように、国において「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築することになります。
 医師多数区域では、偏在の助長を防ぐために、「他地域からの医師派遣など」を医師確保計画に盛り込むことはできない(好ましくない)(その1、2次医療圏)
 
 また「医師少数区域等での勤務」を認定する仕組みも、短期的施策の1つと考えることができそうです。
 6か月以上(1年以上が望ましい)、医師少数区域等で勤務した医師を厚生労働大臣が認定するもので、2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師では、この「認定」がない限り、「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院」の管理者(主に院長)になることができません。なお、卒後10年以上のベテラン医師では、「断続的な勤務」(例えば週に2日、医師少数区域等で勤務する)の合計が180日となれば、この認定を受けることができます(関連記事はこちらとこちら)。

 医師少数区域等を抱える都道府県では、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことが必要です。

 また、医師需給分科会では、各団体が自ら「病院管理者の要件として、認定制度を活用する」と考えることへの期待も寄せています。


将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定

 長期的施策(地域枠等)は、「将来の医師不足」に対応するものです(今般の改正医療法・医師法で、都道府県知事が大学医学部に地域枠等設定を要請できることとなった)。将来、医師がどれだけ不足するかは、地域ごとに「将来の医療ニーズ」と「将来の医療供給数」とを勘案して把握することができます。

 ところで、医師を無計画に増員していけば、人口減少社会にある我が国では、いずれ医師過剰となり、例えば「医師の生活維持が困難になる」「不適切な過剰な医療提供を行う」といった弊害がでてしまいます。そこで、医療ニーズを勘案して、精緻に「医学部の入学定員」を設定しています(恒久定員、医師偏在に対応するための臨時定員)。このうち臨時定員については2021年で一旦廃止され、2022年度以降は、医師の働き方改革などを踏まえた需給バランスを踏まえて検討しなおすことになっています。

 こうした点を踏まえ、医師需給分科会では次のような方針を固めました(関連記事はこちらとこちら)。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:上記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:上記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない

 なお、地域枠は、専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務することを条件に奨学金等を貸与する」もので、都道府県内で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。一方、地元枠は、「地元出身者には奨学金貸与等をせずとも、地元の医療機関に定着する」というエビデンスから、各都道府県において医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。

 このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数地域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

 厚労省の試算では、「将来も医師少数」となる都道府県は限られており(▼北海道▼青森県▼岩手県▼秋田県▼福島県▼群馬県▼埼玉県▼新潟県▼長野県▼静岡県▼山口県▼宮崎県―の12道県)、ここが「地元枠」「臨時定員を活用した地域枠」の設定候補になると考えられます。

 一方、「将来も医師少数」となる区域(2次医療圏)はほとんどの都道府県にあり、「恒久定員における地域枠」の設定は、ほぼ全都道府県で可能になると思われます。
●全体のデータはこちら(厚労省、医師需給分科会のサイト)


外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に

 なお、「自由開業制が医師偏在を助長している」との議論もあり、医師需給分科会では、まず▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組み創設を提言しました(関連記事はこちら)。

 こうした仕組みの効果を見て、将来、「より強力に自由開業に一定の制限を加える必要がある」といった議論が行われる可能性もあります。

 
 近く、親組織(医療従事者の需給に関する検討会)との合同会議で正式とりまとめを行い、これをもとに厚労省で「医師確保計画」作成のための指針(ガイドライン)等を策定します。各都道府県は指針(ガイドライン)等に基づいて2019年度中に「医師確保計画」を作成し、2020年度から各種の医師確保策を進めることになります。

 取りまとめにあたり、「大学医学部での教育過程において、地域医療の重要性をより強力に伝えるべき」(福井次矢構成員:聖路加国際大学学長ら多数)、「国民の『上手な医療のかかり方』の重要性等をより強く説いていくべき」(権丈善一構成員:慶應義塾大学商学部教授)などの意見が出ています。

 
 なお、診療科別・都道府県別の地域偏在対策に関する研究も厚労省で進められています。そこでは、「医師の働き方改革」の方向に合わせ、診療科別に「年間960時間を超える時間外労働を行っている医師を、960時間までに抑える」形で医療ニーズを把握していく考えが示されています(関連記事はこちらとこちら)。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/662417
医療従事者の需給に関する検討会
2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ
医師需給分科会第4次取りまとめ、「医師偏在の見える化」がカギ
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第29回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)が2月27日に開催され、二次、三次医療圏の医師偏在指標や医師確保計画の方針などを盛り込んだ「第4次中間取りまとめ(案)」を、修文を座長一任の上、了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は3月下旬に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」との合同部会に諮った後、医師確保計画の策定方針を作成、3月末までに都道府県に通知する。都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す。マクロ、つまり全国平均では2028年頃に医師需給は均衡すると推計されるが、医師の偏在解消、つまり全ての都道府県において医療ニーズを満たす医師を確保するのは2036年度が目標となる(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。


 今後の医師偏在対策の一番のポイントは、「医師偏在」の実態の見える化だ。医師が多い地域から少ない地域へと医師が移動することを期待する。その際に活用するのが、「医師偏在指標」。人口10万人当たりの医師数に、将来の人口構成の変化や患者の流出入などを加味して、二次、三次医療圏(都道府県)単位で算出する。その下位33.3%を「医師少数区域」、上位33.3%を「医師多数区域」に設定する(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。

 医師偏在解消に取り組む主体は都道府県で、大学なども参加する地域医療対策協議会を開催し、「医師偏在指標」などを基に、地域医療支援センターが行う医師の派遣調整などについて議論する。医師少数区域等に6カ月以上勤務する医師を厚労大臣が認定する仕組みや、医学部地域枠の卒業生なども活用して、医師確保を進める。「医師偏在」の見える化は、外来医療のほか、診療科別では産科・小児科でも行う(『「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく』、『産科医と小児科医、都道府県で2.2倍の格差』を参照)。

 医学部定員は、2008年度から続いてきた臨時定員増の全てが2021年度に期限を迎える。2022年度以降の臨時定員は、医師の働き方改革に関する検討会などの結論も踏まえ、今後、改めて議論の場を設ける。

 「第4次中間取りまとめ(たたき台)」は2月18日の第28回医師需給分科会で提示され、おおむね了承を得ていた(『医師偏在対策、第4次中間取りまとめ(たたき台)を提示』を参照)。

 大学教授にも医師少数区域での勤務経験求める声
 「第4次中間取りまとめ(案)」はおおむね了承、幾つか修正、追加意見などが出た。

 医師確保対策の一つとして新設されるのが、医師少数区域等における勤務経験を厚生労働大臣が認定する仕組み。地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院の管理者要件とすることが、認定のインセンティブの一つ。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「対象病院の範囲を拡大していくことが重要」と述べ、地域医療支援病院等以外でも、病院側が自発的に認定医師を管理者要件にできるような表現にするよう求めた。

 過去の議論で、大学関係者の要件にも加えるべきだとの意見が出ており、この日の会議でも同様の議論があった。全国医学部長病院長会議の前会長の新井一氏は、「将来的な方向性として、大学に残る医師であっても、地域医療にエクスポージャーすることは必要だろう。そうした方向で検討してはどうか」と提案。

 文科省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「認定医師を大学病院の病院長の要件とすることは、将来の検討対象となり得るだろうが、医学部教授全体について、となると、大学の人事そのものの話になるので、難しいのではないかと考えている」と回答した。

 地域枠、「別枠方式」の把握、公表へ
 医学部地域枠の卒業生をいかに地元に定着させるかも、重要になる。2020年度以降は、臨時定員における地域枠は、一般枠とは別枠の募集定員を設ける「別枠方式」しか認められなくなる。別枠方式の方が地元定着率が高いためだ(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「手挙げ式はやめて、別枠方式とすることにより、どれだけ地域枠が埋まるかを確認する必要がある」と述べ、実態を継続的に把握するだけでなく、その公表を求めた。

 医師確保計画においては、都道府県知事が大学に対し、地域枠の創設または増員を要請できる。恒久定員枠、あるいは臨時定員枠に設けることになるが、新井氏は、恒久定員に占める地域枠の割合については「5割という数字が独り歩きしないよう、慎重になってもらいたい」と要望した。過去の議論で、「5割程度までは可能ではないか」といった意見があったからだ。

 厚労省医政局医事課は、2022年度以降の医学部定員については、恒久定員に地域枠を設け、それでもなお地域枠が足りない場合に臨時定員を認めるかどうかという議論になると説明した。文科省によると、地域枠には幾つかの種類があり、広義の地域枠の占める割合は平均1割程度だという。

 適切な受診呼びかける国民への啓発も必要
 「第4次中間取りまとめ(案)」の「地域住民に対して、医療のかかり方に関する啓発を行っていくことも、限られた医師で医療を提供していくうえで重要」との一文について、権丈氏は、国民が適切に医療機関を受診するよう国民の努力義務を定めた、2014年6月に成立した改正医療法第6条2の3の一文を追加するよう提案。本改正は、2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書が基になっているとし、「疲弊おびただしい医療現場を守るためにも、フリーアクセスを『必要な時に必要な医療にアクセスできる』と理解する」という説明の追加も求めた。

 その他、今回の取りまとめは、医師の地域偏在対策が主眼だが、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、診療科偏在を是正する必要性を強調。特に総合的な診療を担う医師の養成数を議論し、提示することを求めた。「どのくらいジェネラルな医師を養成するかによって、他科の必要医師数などが変わってくる」とした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「問題は診療科偏在が解消されていないことであり、ここがものすごく医師需給に影響してくるのではないか」と述べ、早急な検討を求めた。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、福井氏の発言に対し、総合診療の専攻医はさほど多くはない一方、地域には、総合的な診療能力を発揮しているかかりつけ医がいるとし、「できるだけ多くの医師にそうした力を発揮してもらうかが重要ではないか」と述べ、総合的な診療能力を持つ人がどのくらいか、という議論はいいが、総合診療の専攻医の割合を決めるのは問題だと釘を刺した。

 「画期的な取りまとめ」との指摘も
 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、地域医療対策協議会の役割が重要になるものの、現状では温度差があるとし、「同じスタンダードで、できるのか。厚労省が介入しないとやっていけないのではないか」と指摘。厚労省医政局地域医療計画課は、丸投げではなく、都道府県の医師確保計画を把握するほか、具体的な助言、好事例を共有、担当者レベルの人材育成支援などに取り組んでいくと回答。

 小川氏は会議の最後に、次のように発言した。「過去の医師需給推計では、(医師不足対策等の)方法は打ち出されなかったが、今回はかなり突っ込んだ議論をし、第4次中間取りまとめになった。多少不満は残るが、今回の医師需給分科会の議論ほど着実に進んだものはなく、その意味では画期的な取りまとめになった」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/661496
真価問われる専門医改革
47都道府県別の「診療科別、2036年の必要医師数」暫定版公表
診療科偏在解消に向け「専攻医数でコントロール」を検討
 
レポート 2019年2月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は2月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、47都道府県別の「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」を公表した。18の基本領域別の医師数の2036年までの将来推計で、全国推計は2月18日の医師需給分科会で公表されていた(『内科、外科など10科は必要数増、精神科など8科は減』を参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/660394)。

 厚労省は「今後、専門医制度を通じて専攻医の診療科偏在や地域偏在を是正するために、都道府県別診療科別の必要医師数の活用を具体的に検討してはどうか」と提案、委員からは異論は出なかった(資料は、厚労省のホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03730.html)。


内科と小児科の推計例(2019年2月22日「医師専門研修部会」の参考資料7 https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000482825.pdf)
 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、専攻医の募集人数(定員数)は、研修を希望する医師数の約2倍になることから、「好きな領域に行けるので、不足する領域の医師はいつまで経っても不足する。不足する領域で医師を確保できる募集の仕方を今後、考えるべきではないか」と提案した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「いつどんな形で、これから専門医を目指す人に情報提供していくのか」と質問。厚労省医政局医事課は、今回のたたき台はあくまで暫定版であり、医師需給分科会で出された意見を踏まえて修正を加えていくことから、「具体的な時期はまだ言えない」と答えた。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、医師需給分科会についての報道で、「医師が足りなくなり、養成しなければいけない、といった論調の報道が多かったが、これまでのマクロの医師養成数と整合性が取れているのか」と確認した。厚労省医政局医事課は、診療科別の将来推計とマクロの推計は整合性が取れていると回答。同省は、医師需給分科会で医師不足対策の議論を進めているが、その際、「将来時点(2036年)において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、地域ごとに、将来時点の医師偏在指標が全国値と等しい値になる医師数を必要医師数とする」などとし、2036年までには医師需給が均衡することを前提としている。

 「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」は、従来の人口10万人当たりの医師数という指標ではなく、(1)診療科ごとの医師の需要を決定する代表的な疾病・診療行為を抽出し、診療科と疾病・診療行為の対応表を作成、(2)現状の医療の姿を前提とした人口動態・疾病構造変化を考慮した診療科ごとの医師の需要の変化を推計し、現時点で利用可能なデータを用いて、必要な補正を行った将来の診療科ごとの医師の需要を推計――という手法で実施(詳細は、2月22日「医師専門研修部会」の資料3を参照)。



https://www.m3.com/news/kisokoza/661899
埼玉県、医師確保事業に7億7000万円、2019年度予算案 
2019年2月27日 (水)配信m3.com地域版
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 埼玉県は2月20日、2019年度当初予算案を発表した。保健医療部全体では昨年度比マイナス1.1%の1750億2041万円の予算を計上。医師確保事業に7億6916万円を計上する。県の予算全体では、1兆8884億6000万円で、前年度より227億円、1.2%の増となっている「医師確保対策の推進」として7億6919万円を計上した。

事業の概要は

 (1)埼玉県総合医局機構の推進 1億156万円

  臨床研修医の県内医療機関への誘導、若手医師が安心して地域医療に従事できるキャリア形成支援、地域医療教育センターの運営など、埼玉県総合医局機構において一元的・総合的な医師確保対策を実施する。

 (2)医学生・研修医の誘導・定着促進 6億5519万円

  医学生や研修医に奨学金や研修資金を貸与することにより、医師が不足している診療科や医師不足地域(特定地域)への医師の誘導・定着を促進する。

 (3)医師にとって魅力ある「埼玉ブランド」の構築(新規)1243万円

 最先端の知識・技術を習得するための留学支援制度の創設や、外部機関による臨床研修プログラム評価制度の県内臨床研修病院への導入促進により、研修医等の若手医師にとって魅力的な「埼玉ブランド」を構築し、医師の確保・定着と質の高い医師の育成を図る。


 医師の不足及び医師の偏在を解消するため、医学生に奨学金を貸与すること等により医師の確保を図るとともに、若手医師へのキャリア形成支援や地域医療教育センターによる医師等の教育・研修環境の向上により、医師の県内医療機関への誘導・定着を図る狙いだ。

 看護職員確保対策の推進として予算総額10億4447万円を計上した。

事業概要は

 (1)看護職員の養成  6億5338万円

看護職員を新たに育成するため、看護師等養成所の運営に必要な経費の一部を補助するとともに、看護学生の実習受入れを拡充する施設を対象に実習指導者の養成などを支援する。

 (2)潜在看護職員の復職支援  3129万円

 ・ナースセンターにおいて、資格を持ちながら就業していない方を対象に、 無料の職業紹介を実施するとともに、離職時の届出制度を活用した情報提供・相談体制を強化する。

 ・ 離職している方の技術的な不安を解消し復職を支援するため、県内各地の病院など医療現場での講習会や個人の希望や経験に応じた採血などの基礎技術に特化した講習会を実施する。

 (3)離職防止・職場定着の促進  3億5979万円

 ・子どもを持つ看護職員等の離職防止と復職を支援するため、病院内保育所を運営する医療機関に対して、その運営に必要な経費の一部を補助する。

 ・新人看護職員の早期離職の防止、職場定着及び看護の質を向上させるため、看護実践能力の修得を図る新人看護職員研修の実施を支援する。
 急速な高齢化による医療ニーズの増大が見込まれており、看護職員の更なる確保を図るため、看護職員の養成、復職支援、離職防止・職場定着を促進する。

 保険診療部の担当者は、新規事業である埼玉ブランドの構築について、「留学支援」、「外部評価制度の導入支援」の2つの事業を柱としていると説明。「留学支援に関しては海外留学を対象とし、1人最高1年間、最大300万円で2名の支援を予定している。外部評価制度の導入支援については、臨床研修の第三者機関による評価の導入を目的として、県内の臨床研修病院36カ所の内、今年度は10カ所への支援を目標としている。初回費用の50万円を支援する予定」とコメントした。

 新規事業では地域医療体制を充実させるため「医療提供体制のあり方の検討」「救急医療体制の充実」「移行期医療支援体制の整備」の3事業を策定した。

 「医療提供体制のあり方の検討」では2317万円を計上。国保データベースを活用し、県内の医療需要を把握。需要を踏まえた医療提供体制と保険・医療・介護予防をすすめる取組を検討する。

(1)有識者等を含む検討プロジェクトチーム  45万円
(2)国保データベース(KDB)加工及び分析業務委託 2205万円
(3)ビッグデータ分析ОJT研修参加費  66万円
が主な事業。データの分析により、医療課題の見える化と対応策を目標とする。

 「救急医体制の充実」には予算総額  920万円を計上。

(1)救急医療情報システム機能強化費  600万円
(2)救急医療機関外国人対応サポート事業 320万円
の2事業を柱としている。救急医療情報システムにスマートフォンなどを活用した新たな機能を追加し、救急搬送の更なる迅速・円滑化を図るとともに、救急病院から後方病院への円滑な転院を支援する。 また、ワールドカップ開催などで急増が見込まれるため、救急病院等における外国人患者の円滑な受入れも推進する。

 「移行期医療支援体制の整備」には590万円の予算をあて、移行期医療支援センター(県内医療機関を想定)を開設し、以下の事業を行う。

(1)小児期医療機関と成人期医療機関の連携促進
(2)在宅介護や緊急時対応も含めた、受け入れ医療機関の確保
(3)各医療機関の取組支援及び患者の自立(自律)
 支援在宅緩和ケアの推進には2186万円の予算をあて

(1)在宅緩和ケア地域支援事業 1301万円
(2)在宅緩和ケア地域連携構築事業  885万円 を行う。

 患者のための薬局のかかりつけ機能の強化推進に予算総額 490万円を計上し、2つの事業を行う。

 (1)認知症対応薬局の推進(新規)

薬局での窓口対応で薬剤師が認知症の疑いのある人に早期に気付き、受診を勧めたり、 地域包括支援センターやかかりつけ医などと連携したりすることにより、早期に対応 できる体制を築く。
 (2)ポリファーマシー対策の推進(継続)

 複数の疾患を抱え多剤を処方される高齢者を対象に、保険者、医師及び薬剤師が連 携してポリファーマシー(多剤併用による薬物有害事象の発生)対策を実施することにより、患者本位の安全な薬物療法と医療費の適正化を推進する。

 病院事業会計全体では昨年比7.8%増の707億8822万円の予算を計上。新規事業として、
1.循環器・呼吸器病センターにおける「脳神経センター」の設置 2億1609万円
2.がんセンターにおける総合診療体制の構築 2億4256万円
の取り組みを行う。

 県立病院の診療体制の強化を行う。医療ニーズの高度化、多様化に対応する必要から、県立病院の診療体制を整備・強化し、脳血管内治療を必要とする救急患者や心臓疾患等の合併症があるがん患者の受入体制を構築し、高度で専門的な医療を提供する。

 経営形態の見直しを目的として、地方独立行政法人化の準備 1億9392万円を計上した。



https://blogos.com/article/360171/
医大入試の男女別枠は是か非か 
日本財団2019年02月25日 15:01
(産経新聞【新春正論】2019年2月21日掲載)
日本財団会長 笹川陽平

医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科、眼科に偏る女性医師
合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、日本の医師数は2016年、約31万9500人。女性医師は約6万7500人、全体の21.1%に上る。

全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。以下、産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2000時間とする案を示している。

一般労働者の約2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も何度か耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。

「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇
それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした“応急策”の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」、「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除する、などの優遇措置も採られている。

2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言っても過言ではない。

日本の女性医師の比率はOECD(経済協力開発機構)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、2018年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2%〜3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療の確保
要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。

院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳いながら、現実の入試で差別をしたのは各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのは止むを得ない。メディアの報道も不正入試を追求するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190226-00010000-jij-sctch
奨学金・修学資金はお得か=医学部「地域枠」の特徴は? 
2/26(火) 17:15配信 時事通信

 医学部の奨学金・修学資金は、どのような大学で給付がされるのか。大学時代に奨学金を利用した場合、貸与型給付金であれば卒業後に返済しなければならず、苦労をしている人も多いようで、たびたびニュースにも取り上げられています。では医学部の場合は、学費が高額になりますが、これらのことがどのようになっているのか。

 ◇地域医療を支える入試枠
 その説明の前に、ほぼ医学部だけに存在する「地域枠入試」という入試区分に触れる必要があります。ご存じの方も多いかと思いますが、「地域枠入試」は、主に地方での医師不足や診療科の偏在が問題となっている地域で、将来、地元の医療を支えてくれる受験生のために行われる入学試験枠です。
 「地域枠入試」には、主に次のような特徴が考えられます。

(1)医師不足の解消
(2)地元占有率が高まる(他県からの受験者が減少)
(3)本当に医師になりたい人が合格する(面接試験も重視)
(4)地方においては、少し入りやすい大学も出てきた
(5)現役合格率のアップ(出願資格を現役生に限った場合)
(6)奨学金・修学資金の貸与によって、一般家庭からの進学者の増加

 今回の話では(6)の内容が関係します。

 国公立、私立を問わずにほぼ全ての大学が「地域枠」での入学者に対して、奨学金・修学資金の貸与を行っています。「一般入試」や「推薦入試」「センター利用入試」の中で「地域枠」を募集する大学が多いですが、入学後に希望者を募る大学もあります。大学によって異なるため注意が必要です。

 ◇生活費の支給も
 例えば、先述の順天堂大学を例に挙げると、「東京都地域枠」「新潟県地域枠」「千葉県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」の五つの地域枠があります。「東京都地域枠」の奨学金=正式名称「東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度」=は、6年間総額の学納金に加えて、月額10万円の生活費も支給されます。これだと一般家庭の受験生でも順天堂大学に通うことは可能です。

 一般的な奨学金と医学部地域枠の奨学金は、どのように違うのか。

 ほとんどの「地域枠入試」は、『貸与』という形式で奨学金を支給しています。それでは医学部卒業後に全額を返済しなければならないかと言えば、その限りではありません。一定条件を満たせば返還が免除されます。順天堂大学の「東京都地域枠」の場合には、大まかには次の二つの条件を満たすことです。

(1)大学を卒業した日から2年以内に実施される医師国家試験に合格し、合格後は速やかに医師免許を取得すること。
(2)医師免許取得後、直ちに、東京都内の地域で、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療を担う医療機関において、奨学金貸与期間の1.5倍の期間、医師として従事すること。

 ◇9年間は大学に拘束
 「奨学金貸与期間の1.5倍の期間」ですから、通常は大学に6年間在籍しますので、卒業後に9年間は卒業した大学に拘束されることとなります。

 なお返済免除に関する条件などは大学ごとに異なります。地域枠に関しては、各大学のホームページや、公益財団法人へき地ネットをご参照ください。

 参考までに、支給金額の大きな大学のみをまとめています。

 学納金が支給・貸与される「地域枠入試」は、経済的理由から医学部受験を諦めなければならない人にとっては朗報ではないかと思います。ただし、「地域枠入試」の場合には、出願の際には多くの大学で出身高校や出身地の制限がある場合があります。順天堂大学の場合には、「東京都地域枠」や「千葉県地域枠」の場合には出願条件の制限がありますが、「新潟県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」については制限がありません。

 ◇「地域枠入試」は、よく考えて受験を!
 そして、本当に地域医療のために尽力したいとの気持ちがなければいけませんが、これに関しては、面接試験で医師志望の理由とともに、しっかりと面接官にアピールできなければなりません。

 一般枠入試で入学した場合、医学部卒業後は初期の研修先として全国から自分の希望する医療機関を選択することができます(臨床研修マッチングプログラム)。また、例えば、将来は研究医となりiPS細胞を研究したいと考えていた場合、そのような進路の選択が可能です。しかし、「地域枠入試」で入学・卒業した場合は、少なくとも9年間は自分の進路を自分自身で決定できない可能性があります。

 「地域枠」での入学を考えている場合には、自分が受験を考えている大学について、卒業の条件などがどのようになっているのかを調べた上で、受験をしなければなりません。

 それでも「地域医療への貢献」と「学納金」また、大学によっては志願者倍率や合格に必要な偏差値が一般入試よりも低い大学も多いことから、「地域枠入試」は一考の余地があると思います。(医系専門予備校メディカルラボ 山本雄三)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190228-OYTET50039/
医師充足度、最大2・2倍差…産科・小児科の都道府県別推計 
2019年2月28日  読売新聞

 医師が都市に集中し、地方で不足する「偏在」の解消を目指している厚生労働省は27日、産科医と小児科医の都道府県別の充足度について、両科とも最大2・2倍の開きがあったとの推計結果を明らかにした。

 単純な人口比の医師数ではなく、医師の性別や年齢、患者の需要などの影響も加えた指標で示した。値が大きい方が充足度が高い。

 産科で1位は東京(18・4)で、秋田(15・8)、和歌山(14・3)と続いた。最下位は新潟(8・2)で、熊本(8・6)、福島(8・8)の順だった。

 小児科では1位が鳥取(173・8)で、東京(142・4)、京都(140・6)が続いた。最下位は茨城(78・3)で、埼玉(79・0)、鹿児島(82・7)の順だった。

 医師全体の偏在指標でみると、1位は東京で、最下位の岩手とは1・9倍の開きがあった。値はいずれも暫定値としている。

 厚労省は、この日開かれた有識者検討会に産科、小児科の推計結果を示すとともに、医師の偏在解消策などを盛り込んだ中間とりまとめ案について大筋で了承を得た。
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https://gentosha-go.com/articles/-/20156
連載勤務医の「キャリア&資産形成」戦略【第3回】
「医局ブランド」ではもう稼げない!? 医学部教授の懐事情
藤城 健作2019.2.28医師向け勤務医キャリア設計資産形成開業医
 

今回は、医学部教授というブランド力の変遷と、2004年に施行された「新研修医制度」が医局に与えた影響を考察します。※医師を取り巻くキャリア環境が激変しています。医局に頼ってきた従来とは異なり、自らキャリアを形成し、開業医を目指す医師が増えているのです。しかし、安易な開業が取り返しのつかない失敗を招く場合もあります。本連載では、開業医を志す医師に向け、開業を成功に導くポイントと、開業を磐石なものにする資産形成の方法を解説します。

かつては様々な収入源があった「医局の教授」だが…
大学病院の医局は、多くの人がドラマの「白い巨塔」でイメージするように、医学会の頂点に君臨する存在として認識されていました。

大学病院のなかには、外科医局、産婦人科医局など数十の「医局」と呼ばれる組織が存在し、それぞれの医局には数十人から数百人の医師が所属。医局のなかにもピラミッドが存在していました。

医師としての出世コースにおいてゴールになる「教授」を頂上として、助教授(准教授)、講師、助手(助教)、医員、研修医という明確な序列があったのです。

一般的に大学病院で教授のポストに収まるには、大学を卒業してから20年から30年ぐらいかかると言われています。長年かけてようやくたどり着ける教授の地位。医局におけるその力は絶大でした。

有力な大学医局は多くの関連病院を持っており、医局員は自分で就職先を探す必要がありません。それは就職先に困らないということを意味しています。

ただし、それは医局のサポートがある場合だけ。医局を牛耳る教授に睨まれれば一転して就職先が閉ざされ、医師であるのにもかかわらず職にあぶれてしまう危険性と表裏一体だったのです。

医局は関連病院の人事権をも掌握しており、博士号を授けるだけではなく、市中病院への就職も教授の推薦が重要という時代もありました。このような絶大な権力を持った医局では教授同士の派閥争いも激しく、派閥争いに負けると地位を追われることも珍しくありませんでした。

大学病院から支給される給料は第2回でご紹介した通りさほど多くはなく(関連記事『医師の年収…開業医と勤務医ではどのくらいの差があるのか?』参照)、教授になってもそれほど高給取りというわけではありません。

しかし、教授の年収は給料で決まるのではなく、教授の肩書きを利用したアルバイトによって決まります。

有名な教授ともなれば、大学病院だけでなく、他の病院にアルバイトに出かけることもあります。そうしたアルバイトの年間報酬が500万円以上になることも珍しくないのです。

たとえば、大学病院でも特別診療として特別な患者に対して回診することで1回5万円から10万円の報酬を得られるという話もあります。そのほかにも、人手が不足している病院に対して教授の力で若手医師を配置することで、その病院から大きな報酬を得ることもできていたそうです。また、芸能人や政治家などを相手にした完全個室の病院などでは、教授のブランドを求めて半日で10万円ぐらいのアルバイト料を払ってくれるケースもあったといいます。

他にも、医局の絶対君主制が機能していた時代には、医師が博士号を取得する際、研究費の名目で教授に数十万円を渡すこともざらにあったようです。

地方病院に医師を派遣するときの謝礼や仲人のお礼、製薬会社からの袖の下、講演料や原稿料・・・医局の頂点に立つ教授になれば、さまざまな収入源を駆使して懐を暖めることができたのです。

「新研修医制度」施行で、医局に属さない研修医が急増
しかし、近年、大学医局の衰退によって教授のブランド価値は大きく低下し、アルバイトの収入も減っているといわれています。

そのきっかけとなったのが2004年4月、新研修医制度の施行です。新研修医制度とは、医師免許を取ったばかりの新人医師が、2年間特定の医局に属さずに多数の科を回るという制度です。

この制度に合わせて導入されたのが、医師臨床研修マッチング制度です。臨床研修を受けようとする研修医と臨床研修を行う病院の研修プログラムをお互いの希望を含めて、一定の規則に従って、コンピューターでマッチングするシステムです。

自分自身や研修先の希望に基づいてマッチングする研修の仕組みが導入されたおかげで、出身大学の大学病院の医局に属さずに、待遇の良い市中病院で研修を行う研修医が増えたといわれています。

新研修医制度が導入された2004年、大学病院で研修する研修生の数は4216名だったのに対して、臨床研修病院の研修生の数は3784名でした。ところが、それから13年後の2017年、臨床研修病院の研修生の数が5285名であったのに対して、大学病院の研修生の数は3738名。臨床研修病院の研修生の数が大きく増えたのです。

藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長



https://www.medwatch.jp/?p=25046
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から全面スタートした新専門医制度について、基本領域の2階部分となる「サブスペシャリティ領域」をどう認定するかが議論になっている。これまでに内科学会等から推薦されている23領域のうち、「消化器内視鏡」や「老年病」については、「国民への分かりやすさ」という視点からサブスペシャリティ領域として妥当と言えるだろうか―。

12月11日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)で、こういった議論が行われました。

日本専門医機構と関係学会で、「サブスペシャリティ領域としての必要性」などを改めて精査し、3月の次回専門研修部会で改めて検討されます。
 
ここがポイント!
1 サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘
2 カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき
3 診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示


サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘

 新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタートしています。従前、各学会が独自に専門医を認定していたため、「質の担保が難しく、国民に分かりにくい」との批判があり、学会と日本専門医機構とが連携し、研修プログラムの設定や専門医の認定等を行う仕組みを設けています。

 以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

 サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認証する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認証することとなっています。

現在、サブスペシャリティ領域への認証を希望する学会に対し、「研修体制は整っているか」「国民への認知はなされているか(基幹的な病院に当該分野の診療科はあるか)」などの項目について自己レビューを求め、そのレビューシートに基づく事前審査が始まっています。今後、「認証する基準」(整備基準)を設定し、その基準をクリアしているかを審査(本審査)することになります(関連記事はこちらとこちら)。

事前審査の希望は、約90の学会・領域から出されており、その中には、すでに基本領域学会である内科・外科・放射線科の各基本領域から「サブスペシャリティ領域とすべき」とされた23学会・領域も含まれています。例えば、「消化器病」については、基本領域である「内科」と連動して研修ことで、より効率的に症例経験を積むことができるとされ、この4月(2019年4月)からサブスペシャリティ領域としての研修が始まることになります(関連記事はこちら)。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―

 
しかし、2月22日に開催された専門研修部会では、この23学会・領域の一部に「待った」がかかりました。

例えば、「消化器内視鏡」領域。この領域について、▼日本肝臓学会▼日本消化器病学会▼日本消化器内視鏡学会―の3学会が連名で「サブスペシャリティ領域」を希望し、基本領域学会である内科学会が「消化器分野は非常に幅広く、患者数も多く、すべてをカバーすることは難しい。消化器内視鏡の分野は、社会的にも既に存在が確立している。行政の行う健診でも『内視鏡使用』が必須とされてきている」といった状況を踏まえ、サブスペシャリティ領域として認証する方針が固められているものです。

これに対し、専門研修部会では、「一般国民からは、『消化器病』と『消化器内視鏡』とどう違うのは分からないのではないか」(棚野孝夫構成員:全国町村会副会長、北海道白糠町長)、「学会の要請を1つ1つ聞いていれば、サブスペシャリティ領域が乱立し、国民に分かりにくくなってしまう」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)という意見が相次ぎました。山内構成員は、「乳腺外科分野では、マンモグラフィの技術等に関する研修・試験を行い、それを専門医とは別に認定する仕組みを設けている。内視鏡に関しても、消化器病分野の専門医資格とは別の認定としたほうがよい」とも提案しています。

また、老年病についても、「若人とは異なる薬剤治療などを行う必要がある」「複数の疾患を抱えることが多く、臓器別でなく、全人的に診る必要性が高い」「小児が成人のミニチュアではないことと同じように、老年者も若人の延長というわけにはいかない」といった点を考慮して、内科分野のサブスペシャリティ領域として認証する方針が固められていますが、「医師であれば老年の診察は誰でもできるはずである」(立谷秀清委員:全国市長会会長、福島県相馬市長)、「かえって患者はかかりにくいのではないか」(棚野構成員)といった厳しい声が出ています。

さらに専門研修部会では、「サブスペシャリティ領域とは何か」を明確にした上で、「認証の基準」を設け、その基準に合致する学会・領域をサブスペシャリティ領域として認証すべき、との指摘も数多くだされました。

牧野憲一構成員(日本病院会常任理事)は、「基本領域は、その分野について標準的治療を習得した『詳しい医師』レベルなのに対し、サブスペシャリティ領域の一部では、相当な『エキスパート』のイメージを持つ。一般国民に同じ『専門医』として理解できるだろうか」と指摘。この点、寺本民生参考人(日本専門医機構理事長)は「専門医制度で育成する専門医はエキスパートではない。取得領域について標準的治療を習得し、ある程度の知識を持つ医師である」旨を説明しています。基本領域のみの専門医もいれば、サブスペシャリティ領域も習得した専門医もおり、少し一般国民には難しいかもしれず、十分な「説明」「PR」が必要でしょう。

また立谷構成員は、「内科や外科といった基本領域がメインであり、サブスペシャリティ領域はあくまで補完である。『自分の専門分野しか診ない』という医師の存在が地域医療確保における大きな課題となっている。サブスペシャリティ領域に重きを置けば本末転倒になるのではないか」との見解を示しています。

こうしたさまざまな指摘を踏まえ、日本専門医機構と関係医学会では、サブスペシャリティ領域の「認定の基準」(整備基準)を早期に設定するとともに、上記の23学会・領域についての審査を行うことが求められるでしょう。その結果を専門研修部会にあげ、構成員の了承を得ることが必要になります。

 なお、サブスペシャリティ領域については、次のように類型化して、「認定の基準」(整備基準)の在り方を考える方向も探られています。

【A型】日常診療を担い、医療需要が高く、偏在対策が講じられるべき領域(例えば、循環器内科などのイメージ)→研修体制は都道府県単位で整備する(各都道府県に研修施設を設定するなど)

【B型】専門性が高く集約化が進むものの、単独領域として一定の患者数が見込まれる領域(例えば、小児がんなどのイメージ)→研修体制はブロック単位で整備する(関東ブロックに1つ専門研修施設を整備するなど)

【C型】特殊性が高く、研修を行える施設が限られる領域(例えば、臨床遺伝など)→研修体制に地理的要件は設けない(全国に数か所の専門研修施設を整備するなd)

一部のサブスペシャリティ領域では、上述の「連動」研修が、この4月から行われることになっており、専攻医(新専門医の資格取得を目指す後期研修医)に不安・混乱が生じないようにしなければなりません。なお、仮に専門研修部会の了承が得られず、連動研修部分のサブスペシャリティ領域としての認証が4月に間に合わない場合について、釜萢敏構成員(日本医師会常任理事)は「遡及して単位取得を認めることが必要」と提案しています。


カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき

 また2月22日の専門研修部会では、「カリキュラム制」の整備についても議論が行われました。

 新専門医制度では、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行う「プログラム制」による研修が原則となっています。基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行うもので、「初めての基本領域の研修では、集中的に必要な標準治療を学ぶ必要がある」と説明されています。

 ただし、医師免許取得後に定められた医療機関での勤務が求められる自治医大出身の医師や、出産・育児・介護などで一時休職しなければならない医師では、このプログラム制に沿った研修が困難となります。そこで、期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医資格取得を可能とする「カリキュラム制」(単位制)による研修も認められています。

日本専門医機構では、カリキュラム制の対象となる医師について、▼義務年限を有する医科大学卒業生、地域医療従事者(地域枠医師など)▼出産、育児、介護等のライフイベントにより、休職、離職を選択する医師▼海外、国内留学する医師▼その他領域学会と日本専門医機構が認めた「相当の合理的理由」のある場合(パワーハラスメントを受けたなど)―とし、また、「1か月フルタイムでの勤務を1単位とし、プログラム制研修と同等以上の単位取得等を新専門医資格取得試験の要件とする」などの方針を固めています(関連記事はこちら)。

この方針に対して大きな異論は出ていませんが、「カリキュラム制選択をより柔軟に行えるようにすべき」「カリキュラム制の研修認定施設は、柔軟に認定すべき」との指摘が立谷構成員や牧野構成員らから出されています。カリキュラム制堅守はすべての学会で設けることとなっていますが、現状では、十分な整備がなされていないようであり、早急な検討・整備が求められます。


診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示

なお、厚労省からは「診療科別の必要医師数の見通し」(たたき台)も報告され、都道府県別の数値も示されました(関連記事はこちら)。

現状でも「大きく不足している」と試算された、外科と内科について見てみると、2036年(医師偏在解消の目標年)の医療ニーズを満たすための「年間の医師養成数」は、次のようになっています。また2018年度の専攻医登録状況と比較し、不足分・過剰分をカッコ内に単純計算で示しました。カッコ内が「不足●」となっている場合には、2018年度の専攻医登録が、2036年の医療ニーズ充足までに「●名の医師不足」状態となっていることを示します(あくまで単純計算ですが)。なお、全体と都道府県合計とは、ここでは合致しません。

【内科】全体で2978名(不足307)
▼北海道:137名(不足40)▼青森県:39名(不足21)▼岩手県:37名(不足16)▼宮城県:56名(不足5)▼秋田県:28名(不足12)▼山形県:32名(不足11)▼福島県:57名(不足36)▼茨城県:85名(不足44)▼栃木県:50名(不足15)▼群馬県:55名(不足30)▼埼玉県:214名(不足144)▼千葉県:175名(不足90)▼東京都:222名(過剰314)▼神奈川県:224名(不足46)▼新潟県:66名(不足22)▼富山県:28名(不足9)▼石川県:22名(過剰17)▼福井県:20名(不足7)▼山梨県:22名(不足3)▼長野県:61名(不足26)▼岐阜県:47名(不足17)▼静岡県:111名(不足67)▼愛知県:187名(不足54)▼三重県:45名(不足5)▼滋賀県:34名(不足6)▼京都府:37名(過剰48)▼大阪府:163名(不足54)▼兵庫県:130名(過剰17)▼奈良県:30名(不足2)▼和歌山県:16名(不足7)▼鳥取県:13名(過剰2)▼島根県:13名(不足1)▼岡山県:35名(過剰31)▼広島県:67名(不足20)▼山口県:36名(不足22)▼徳島県:14名(不足5)▼香川県:23名(不足10)▼愛媛県:34名(不足12)▼高知県:14名(不足6)▼福岡県:84名(過剰73)▼佐賀県:17名(過剰2)▼長崎県:26名(過剰8)▼熊本県:35名(不足7)▼大分県:25名(不足過剰なし)▼宮崎県:31名(不足22)▼鹿児島県:34名(不足4)▼沖縄県:35名(不足4)―

【外科】全体は1217名(不足410)
▼北海道:51名(不足17)▼青森県:12名(不足6)▼岩手県:12名(不足4)▼宮城県:19名(過剰1)▼秋田県:9名(過剰1)▼山形県:10名(不足5)▼福島県:17名(不足6)▼茨城県:26名(不足15)▼栃木県:17名(不足2)▼群馬県:20名(不足19)▼埼玉県:73名(不足56)▼千葉県:56名(不足30)▼東京都:123名(過剰54)▼神奈川県:88名(不足46)▼新潟県:24名(不足16)▼富山県:10名(不足4)▼石川県:10名(不足4)▼福井県:7名(不足5)▼山梨県:7名(不足6)▼長野県:19名(不足5)▼岐阜県:19名(不足3)▼静岡県:34名(不足27)▼愛知県:75名(不足24)▼三重県:16名(不足9)▼滋賀県:13名(不足4)▼京都府:16名(過剰7)▼大阪府:74名(不足3)▼兵庫県:49名(不足19)▼奈良県:12名(不足9)▼和歌山県:8名(不足2)▼鳥取県:5名(過剰2)▼島根県:6名(不足3)▼岡山県:15名(過剰10)▼広島県:23名(不足5)▼山口県:11名(不足7)▼徳島県:6名(不足1)▼香川県:9名(不足5)▼愛媛県:11名(不足6)▼高知県:6名(不足5)▼福岡県:41名(不足2)▼佐賀県:7名(不足3)▼長崎県:10名(不足4)▼熊本県:16名(不足4)▼大分県:10名(不足2)▼宮崎県:9名(不足6)▼鹿児島県:14名(不足3)▼沖縄県:14名(不足5)―



https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20190226-OYTNT50186/
小高病院「赤字でも継続」 入院機能 南相馬市 住民向け説明会 
2019/02/27 05:00 読売新聞

 東京電力福島第一原発事故後に入院機能を休止している南相馬市立小高病院について、市は26日、小高区内で住民説明会を開催した。市の担当者は、集まった帰還住民ら約100人に、将来的な入院機能の再開を目指す考えを改めて示した。


 同病院を巡っては、地元医師会などでつくる委員会が、人手不足の解消を図り19床の入院機能を整備するとした素案を、門馬和夫市長に提出している。一方、市側と考えが異なるとして、ただ1人の常勤医が退職届を提出する事態となっている。

 会場の住民からは、「病院があれば不安も解消される、と思って帰還した。病院が今後どうなっていくのか不安だ」との意見が出た。また、「病院の赤字を市の財政で負担できるのか」との質問もあり、門馬市長が「赤字でも市民に必要ならば、国の補助を受けたり、市の税金の一部を回したりしても継続しないといけない」と述べて理解を求めた。

 市は原町区でも2月27日、説明会を開催する。3月12日までは、住民からの意見を公募している。



https://www.medwatch.jp/?p=25051
2019年の10連休、診療報酬に関する施設基準等の一時的な緩和を―日病協 
2019年2月25日|医療現場から MedWatch

 今年(2019年)の10連休において、一部の医療機関に患者が集中することも予想される。その際に診療報酬に関する施設基準を一時的に満たせなくなる可能性もあり、一定の要件緩和をしてほしい―。

 日本病院団体協議会は2月22日の代表者会議で、厚生労働省に宛てて近くこうした要望を行う方針を固めました。
 
一時的な定員超過などが生じる可能性あり、診療報酬上の配慮を

 今上天皇陛下が今年(2019年)4月30日に退位され、皇太子殿下が5月1日に新たな天皇に即位されます。これに伴い、政府は4月27日から5月6日まで「10連休」とすることを決定しました(天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律)。

 10連休の間には、医療機関の稼働が縮小することになると考えられるため、救急患者などが一部の稼働医療機関に集中することが予想されます。その際、一時的に入院患者数が増加し、診療報酬の施設基準(例えば、看護配置など)を満たせなくなる可能性もあります。

 また、急性期病院から回復期・慢性期機能を持つ病院への転院等が一時的に困難になることも予想され、この場合、急性期病院において「重症度、医療・看護必要度」の基準を一時的に満たせなくなる可能性もあります。

国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、こうした可能性を踏まえ、一時的な「診療報酬に関する施設基準等のな緩和」を厚労省に要望する考えをまとめました。

具体的な要望内容は今後さらに詰められますが、山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から、▼10連休中の人員配置基準緩和▼救急患者の集中による定員超過入院にかかる減算緩和▼レセプト提出期限の延長―などが例示されました。

10連休中の医療確保に関しては、すでに厚労省から「都道府県ごとに救急医療機関などの稼働状況を調べ、必要な連携体制を確保するとともに、十分な情報提供を行う」、「休日加算などについては、従前どおり算定でき、投与日数制限を超える医薬品投与などを可能とする」旨の通知が発出されています。今般予定される日病協要望は、さらなる配慮を求めるものと言えるでしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=25113
病院の人材確保・育成費用、厳しい経営環境の中で「医業費用の1.52%」と大きなシェア占める―日病 
2019年2月28日|医療現場から MedWatch

 医療の質向上のためには、「医療人材の確保・研修」に係るコストを投下する必要がある。日本病院会の会員病院を対象に行った調査では、病院の医業費用の「1.52%」を研究費、研修費、福利厚生費、諸会費、寄付金に充てていることが分かった。病院経営が厳しく、限られた財源しかない中で、比較的高額な費用を人材・確保に投下している現状が伺える―。

 2月26日の日本病院会・定例記者会見において、万代恭嗣副会長(JCHO東京山手メディカルセンター名誉院長)と医業税制委員会の安藤文英委員長(西福岡病院理事長)から、こういった状況が報告されました(日病のサイトはこちら)(関連記事はこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷
2 認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷

 医療の質向上は、すべての医療機関にとって永遠の命題と言え、その一環として「優秀な医療人材の確保」が極めて重要となります。このためには相応のコストが必要ですが、病院経営が厳しさを増す中では、このコスト捻出にも大きな苦労を伴います。

 こうした背景を受けて日病では、会員病院を対象に「医療人材確保と育成に係る費用」に関する調査を実施。321施設から有効回答が得られました(有効回答率は12.9%)。

回答病院の内訳を見ると、我が国の病院全体とは大きく異なる構成(▼全体では公的等の割合が18.9%だが、今回調査では62.0%と公的等の割合が大きい▼全体では200床以上病院の割合が小さい(31.5%)が、今回調査では74.1%と大きい―など)となったため、結果分析に当たっては「日本の病院の状況に近い姿」への補正が行われています。

補正を行ったうえで、321病院の「100床当たり医業収入」合計を見ると7296億7491万円。対して「100床当たり医業費用」合計は、7555億8188万円で、収支差額はマイナス259億円余り(マイナス3.43%)の赤字となっています。先頃発表された日病・全日本病院協会・日本医療法人協会合同の「2018年度 病院経営定期調査」では、病院の医業損益はマイナス6.46%となっており、安藤委員長は「近しい数字である」とし、今般の調査結果の信頼性を強調しています(関連記事はこちら)。

さらに日病では、「医療人材確保と育成に係る費用」として▼研究費▼研修費▼福利厚生費▼諸会費(学会費用など)▼寄付金―に着目。これら費用の合計は114億5116万円で、あり「100床当たり医業費用」の1.52%を占めています。

医業税制委員会では、この「1.52%」という数字について「ほとんどの病院の収支差額がマイナス(赤字)である中、全費用の1.52%をこの領域に充当するのは経営上、大変な負荷である」とし、病院が多大な努力をしている現状を強調するとともに、人材確保・育成に向けたさらなる支援の必要性(助成など)を訴えています。なお、現在の各種助成(地域医療介護総合確保基金や人材開発支援助成金など)については、交付を受けている病院が少なく、ハードル(交付要件)の高さが妥当かどうかも検証していく必要がありそうです。


認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


次に、人材確保・育成に関する費用の中身を少し見てみると、▼95.3%の病院が雑誌、書籍等の購読料を負担している▼90.3%の病院が各種学会年会費を負担している▼98.1%の病院が各種学会等参加費を負担している▼97.5%の病院が各種学会等旅費を負担している▼64.2%の病院が研究経費を負担している▼94.1%の病院が内部研修会・勉強会の費用を負担している▼95.0%の病院が外部研修会・勉強会の費用を負担している―ことが分かりました。また8割程度の病院が住宅費等の補助を行う一方で、従業員の慰安や懇親会等の費用については、補助を行っている病院は4割程度にとどまっており、内容に応じた傾斜を付けていることも分かります。

 
さらに、外部研修・技術習得への支援状況について「認定看護師」「専門看護師」を例にとって見てみましょう。

まず認定看護師については、321医療機関中、272医療機関・84.7%に総数2951人が配置されています。認定されるためには、一定期間(6か月以上)、日本看護協会の所定プログラムを受講する必要などがあります。つまり病院を離れることとなりますが、▼75.7%の病院では、その期間中「研修扱い」(33.0%)または「出張扱い」(42.7%)とする▼期間中の給与・賞与について、71.0%の病院では「全額支給」する▼受講費用(入学金、受講料、旅費など)について、60.1%の病院が「公費として全額・一部負担」をし、9.3%の病院が「奨学金として助成」をし、4.7%の病院が「補助金として助成」をする―など、さまざまな形でバックアップをしています。なお、認定資格取得のために「退職」を求める病院はありませんでした。医業税制委員会では、優秀な看護師確保とともに診療報酬の獲得に向けて多くの病院が努力していると見ています。

また専門看護師については、321医療機関中、117医療機関・36.4%に総数288人が配置されています。やはり資格取得のための研修受講などに対し病院のバックアップが一定程度ありますが、認定看護師に比べて履修期間が長い(2年)ため、▼期間中「研修扱い」(11.8%)または「出張扱い」(15.0%)とする病院は28.3%にとどまる▼期間中の給与・賞与を「全額支給」する病院は27.7%で、給与等の支払いを「なし」とする病院も12.1%ある―状況です。ただし、受講費用(入学金、受講料、旅費など)については、回答のあった病院(152%)のうち3分の2で何らかの支援(公費として病院負担:78病院、奨学金で助成:14病院、補助金で助成:3病院)が行われています。

なお、「特定行為研修を修了した看護師」については、まだ若い制度(2015年10月からスタート)であるため、配置は56病院・17.4%にとどまり、費用助成などを行っている病院も少数派にとどまっています。

 
また、人材確保・育成全般に関する病院の考え方を見ると、▼45.8%が「人材の過不足で病院経営が阻害されている」と感じている▼31.8%が「自院のみでの人材育成に限界があると感じている▼人材育成ツールとしては、「院内研修」「育成プログラム実施」「院外セミナー」などが多く用いられている▼42.1%がグループ病院、39.3%が外部病院、20.2%が教育専門機関に人材育成への連携を求めている▼離職防止策としては「医師事務作業補助者や看護補助者の配置」(88.5%)、「子育て・介護中の職員への配慮」(87.9%)、「メンタルヘルス対策、ハラスメント対策等」(72.6%)、「ワークライフバランスの確保に向けた風土づくり」(72.0%)、「多職種による役割分担等」(68.8%)などが多い―ことなどが明らかになりました。

なお、医業税制委員会では、公立病院等には補助金が投入されている状況を横目で見ながら、「人材の育成・確保において設立母体の違いによる差があってはならない。人材育成・確保に関するコストの補填は、診療報酬本体の中に組み込んでいくべき」旨も提言しています。今回の調査からは、「公立病院等と私的病院等との間で、人材育成・確保に投下する費用には明確な差はない」ようです。補助金等の投入に鑑みれば、「民間病院において人材の育成・確保により大きなコストを投下しなければならない(大きなコストを投下しなければ医療従事者が確保できない)」と見ることもでき、それが今般の提言につながっているものと推察されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25083
医師の働き方改革論議、「地域医療をどう確保するか」などの議論なく遺憾―日病・相澤会長 
2019年2月26日|医療現場から MedWatch


 医師の働き方改革に向けた議論が進められ、原則960時間以内(いわゆるA水準)、救急など地域医療確保に不可欠な場合には当面1860時間以内(いわゆるB水準)などの時間外労働上限案が提示されている。しかし、病院側では「想像を絶する努力」をしなければ、これをクリアすることはできない。またB水準医療機関として特定される要件として、「救急車受け入れ台数が年間1000件以上」などが示されているが、病院団体への事前のすり合わせもなく、非常に遺憾である。怒りすら覚える―。

日本病院会の相澤孝夫会長は、2月26日の定例記者会見でこのような見解を述べました。
 
 なお、同日の記者会見では、ほかに▼医療人材確保・育成費用に関する調査結果▼新専門医制度に関するアンケート調査結果―の報告も行われており、これらは別稿でお伝えします。
時間外上限クリアには、医師増員が必要だが、地域には医師がいない
厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が大詰めを迎えています。これまでに、勤務医の時間外労働上限(いわゆる36協定を結んでも超過できない基準)について、▼原則として年960時間以内・月100時間未満(いわゆるA水準)▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1860時間以内(いわゆるB水準)▼研修医など医療技能獲得のために必要な水準として年1860時間(いわゆるC1・C2水準)―という案が厚労省から示されています(関連記事はこちらとこちら)。
 
これら上限は2024年4月から適用されることとなり、すべての医療機関で「労働時間の管理」を徹底した上で、「労働時間の短縮」を可能な限り進め、A水準(年間960時間以内)クリアを目指すことになります。

ただし、救急医療機関などでは、労働時間短縮をしてもなおA水準をクリアすることが難しいと考えられるため、一定の要件を満たすことを条件に都道府県知事の特定を受けた上で、B水準(年間1860時間以内)クリアを目指すことになります(関連記事はこちらとこちら)。
 
2月23日の日病常任理事会では、「こうした上限をクリアするためには医師の増員が必要となるが、費用が嵩むことは当然として、そもそも地域に医師がいない。タスク・シフティング(業務移管)の必要性も言われるが、業務のシフトを受ける看護師等の教育も必要となり、そこでも費用が嵩むと同時に、やはり地域での看護師確保も難しい。想像を絶する努力をしなければ上限クリアはできない」との悲鳴が出ていることを相澤会長は紹介しました。

また、個別病院の努力には限界があるため、地域で、例えば「救急患者が各病院に分散されるような体制を組む」(1病院に救急患者が集中すれば、当該病院の医師負担が過重になってしまうため)などの、機能分化・連携の強化がどうしても必要となります。しかし、「病院の機能分化・連携の強化は20年以上も前から指摘されているが、十分には進んでない。これをあと5年間(2024年3月まで)で進められるのか」といった疑問の声も多数出ているといいます。

さらに、上限クリアにおいては、「宿日直」が労働と扱われるのか、労働ではないと扱われるのかが、非常に重要となります。例えば、週に1回、16時間の宿日直があったとして、これが「労働である」とされれば、それだけで時間外労働が768時間になってしまいます。この点について、検討会では「労働とみなされない宿日直許可の基準」を、現代の医療実態に沿ったものに改訂することが決まっていますが、その見直し内容は必ずしも明確になっておらず、医療現場での不安は非常に大きいようです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

こうしたことを考えれば、上限クリアをするために「診療時間の縮小」や「救急搬送患者の受け入れ制限」などをしなければならない病院の出てくる可能性も小さくありません。これでは、「地域医療を守る」ことはできず、また病院によっては「経営の維持」が困難になるところも出てきそうです。相澤会長は、「時間外労働の上限をはじめとする働き方改革の制度づくりの議論はなされているが、その上で、どう地域医療を守るのか、といった議論がまったくなされていない」と指摘。

さらに、B水準(1860時間以内)として特定されるための要件として、「2次・3次救急医療機関」で、かつ「年間の救急車受け入れ台数が1000件以上」などの要件案が示されていますが、「同じ救急車受け入れでも、夜間と日中、平日と休祭日では、まった意味合いが異なる。1000件の根拠はどこにあるのか」と疑問を呈した上で、「要件案を示す前に病院団体と、実現可能性などをすり合わせるべきだが、そうしたことが一切ない。極めて遺憾であり、怒りすら覚える」と強い調子で述べました。

検討会では、「医師の健康確保」と「地域医療の確保」とは、トレードオフの関係(一方を求めれば、他方を犠牲にしなければならない)にはない、ことが確認され、「両立」が不可欠とされています。しかし、「労働時間の短縮」論議は、その必要性も含めてさまざま指摘・提案がされますが、「どのように地域医療を確保していくのか、どういった体制を組んで救急患者に対応するのか」などの議論は活発とは言い難い状況です。検討会では、「働き方改革」に関する制度を固める(2019年3月までに結論を得なければならない)場であり、後に、別の場などで「地域医療確保」論議を行うことになると思われますが、この議論が不十分な点に医療現場の不安は大きくなっているようです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/662413
「二次医療圏の考え方を整理しないと」四病協
働き方改革、2024年度までの対応を懸念
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は2月27日の総合部会で、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」や「医師の働き方改革に関する検討会」の内容について議論した。終了後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「公立・公的と民間の役割分担になるであろうということはみんな理解しているが、約300の二次医療圏、構想区域を一つの規則で動かしていくのは無理なのではないか。そもそも二次医療圏の考え方を整理しないといけないのでは」などの意見が出たことを紹介した(地域医療構想に関するWGについては『病床機能報告「稼働病床数」は廃止、3項目を見直し』などを参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/661408 )。


 WGで厚労省が提出した資料では、「公立・公的病院等」と「民間医療機関」で色分けした図やグラフが多くあった。地域医療支援病院は「公立・公的病院等」に分類されているが、民間の地域医療支援病院もあるため、総合部会では「不正確ではないか」との指摘があったという。また、大半が構想区域と一致する二次医療圏自体が人口数万人から数百万人まで幅があることや、ある医療圏に急性期病院が集中して隣にはない、これは良くないという議論になったとしても、「交通網が整備されて患者が行き来できれば何の問題もないではないか」という意見も出た。

 猪口氏は「調整会議で話して公立は公、民ができることは民でという考え方は出ているが、実際には人口が減っているところで公のベッドを減らしましょうと書いていても全然減らないで、地域包括ケア病棟に鞍替えをするとかいう話もある」と指摘。調整会議でそうした指摘が出ても、医療機関が減らすことを拒否しても法的拘束力がないため、「あと6年で2025年だから、本当に有効な動きになるのかどうか」という危惧が出席者からは上がったという。

働き方改革「5年間でどうなるか」

 医師の働き方改革に関する検討会については、最終的な結論がまもなく出る見通しだが、2024年度に時間外労働時間の上限などが適用されることになった場合に「(それまでの)5年間でどうなるのか」という危機感が示されたという。

 猪口氏は例として、これまで大学病院などで当直に対し時間外勤務手当は付けずに、それよりも少ない当直料で運用してきているが、「これを整理しないといけないが、そうすると今よりも医師の数がうんと必要になる。大学病院も基幹病院的なところも医師がふんだんにいるわけではないので、大変だ」と指摘。2016年に労働基準監督署から是正勧告を受けて診療体制を縮小するなどの対策をした聖路加国際病院を例に挙げ、「東京は急性期の病院がいっぱいあるので、他の病院がカバーする形で社会問題にはならないが、全国一斉に始まるとどうなるか」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25040
公立病院等の機能、▼代表的手術の実績▼患者の重症度▼地理的状況―の3点で検討・検証せよ―地域医療構想ワーキング 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 全国の地域医療構想調整会議において、今年度(2018年度)中にまず「公立病院および公的等病院の機能改革」に関する合意を行い、その合意内容の妥当性等を検証していくことになる。その際、(1)がんなどの代表的な手術等の診療実績(2)手術以外の診療実績や患者像(3)地理的条件―を確認し、公立病院・公的病院等(以下、公立病院等)が民間病院ではなしえない機能を担っているかを見ていくこととしてはどうか―。

 2月22日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が概ね固められました。
 
ここがポイント!
1 手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる
2 人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要
3 病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に


手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと見込まれます。そうした中では、より効果的かつ効率的な医療提供体制を構築することが求められ、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において「地域医療構想の実現」に向けた議論が進められています。

調整会議では、まず「公立病院等の機能改革等」について、今年度(2018年度)中に合意を得ることとなっています。そこでは、「公立病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が1つの指針として掲げられており、具体的な公立病院等が担うべき機能として、▼高度急性期・急性期機能▼山間へき地・離島など過疎地等における一般医療▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門の医療▼がんセンター、循環器病センターなどの高度・先進医療▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣拠点機能―など例示されています。

 前回(1月30日)のワーキングでは、各地域医療構想区域(以下、構想区域)において、「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院がどの程度実施しているかという診療実績を見ていく方向が確認されました。代表的な手術実績を厚労省で分析したところ、多くの構想区域は次の4パターンに分類できそうなことが分かってきています(他のパターンも存在する可能性がある)(関連記事はこちら)。

【パターン(ア)】手術(例えば胃がんや乳がんなど)を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが存在する構想区域

【パターン(イ)】手術を一定程度実施する病院(公立・公的等、民間の双方)が数多く存在する構想区域(東京や大阪などの大都市に多いパターン)

【パターン(ウ)】複数の公立・公的等病院が一定程度の手術を実施する構想区域

【パターン(エ)】複数の病院に手術が拡散し、いずれの病院でも手術実績が低い構想区域
地域医療構想ワーキング(1)の3 190130
 
 ただし、【パターン(ア)】のような構想区域でも、例えば「公立病院等と民間病院とが『競合』している」構想区域もあれば、「公立病院等が重症患者を引き受け、民間病院では比較的軽症患者を診ている、という具合に『棲み分け』をしている」構想区域もあるでしょう。

そこで厚労省は、「手術以外の診療実績や患者の状態(患者像)を確認する」必要があると考えています。

例えば、実在のB構想区域では、代表的な手術の1つとされる「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」実績について、民間のA病院と公立病院等のB病院とか拮抗していますが(【パターン(ア)】に該当)、患者像を見ると「A病院が重症の患者(観血的動脈圧測定や人工呼吸器を実施)を多く受け入れている」ことや、手術以外の化学療法や放射線治療について「A病院がより多く実施している」ことが分かりました。B病院では、「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

一方、別の実在するA構想区域では、複数の公立病院等が存在し、代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」についてそれぞれ一定の実績を持っています(【パターン(ウ)に該当】。しかし、患者像や手術以外の化学療法等の実績を見ると、「A・B・C3つの公立病院等では、重症患者を受け入れ、化学療法等も実施している」のに対し、公立病院等のD病院では「重症患者等の受け入れ実績が低い」ことが分かりました。この場合、D病院では、やはり「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

 さらに厚労省では、「各病院の地理的状況を勘案する必要がある」と考えています。

 例えば上記のA構想区域では、実績のやや低いD病院は、A病院・B病院と近接しており(自動車で10-15分程度の距離)、D病院の手術機能等をA・B病院に移管したとしても、患者のアクセスを大きく阻害する可能性は小さいでしょう。

 また上記のB構想区域では、重症患者等の受け入れ実績がやや低い公立病院等のB病院と、A病院(重症患者を多く受け入れ)とは、一定程度近い場所に位置しています(自動車で25分程度)。この場合、民間のA病院のキャパシティが許せば、公立病院等のB病院が持つ手術機能等をA病院に移管することも選択肢の1つに入ってきそうです。

一方、別の実在するC構想区域では、多くの病院がありますが、2つの公立病院等が代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」を数多く実施(【パターン(ウ)】に該当)。重症患者等の受け入れも、両病院ともに積極的に行っていることが分かります。さらに、地理的状況を見ると、両病院は自動車で80分もかかる離れた場所に位置しており、A・Bいずれかに機能を集中した場合、例えば急性心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの緊急を要する患者に、適切な医療提供をできなくなる恐れが出てきます。こうした場合には、安易に「再編・統合」を考えることは危険でしょう。

このように、「公立病院等の機能改革等」に当たっては、次の3つの視点で検討・検証していくことが重要となります。

【視点1】:「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院が、どの程度実施しているかという診療実績を見ていく(パターン(ア)から(エ)のいずれか、あるいは別のパターンとなるか)

【視点2】:手術以外の診療実績や患者像を確認し、「棲み分け」をしているのか、「競合しているのか」を見ていく

【視点3】:地理的条件(位置関係や移動に要する時間など)を確認し、再編・統合等による医療提供体制への影響を見ていく

 こうした方向はワーキングでも確認されましたが、例えば「地理的条件については、近隣の構想区域(2次医療圏)も併せて考えるべきである」(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)、「構想区域はもちろん、より広域的な都道府県単位での医療提供体制の確保も重要だ。そのため、都道府県単位の構想区域でも、十分な検討をする必要がある」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)といった注文も付いています。

 さらに中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「個別医療機関のキャパシティや、担当医師の状況などは、各調整区域でなければ把握しきれない。視点1-3を指標として、地域の状況を十分に勘案する必要がある」と強調。厚労省も同じ考えを示しています。


人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要

調整会議で議論を進め、「病院の再編・統合が必要になる」との結論が出た場合でも、実際の再編・統合には大きな課題があります。とくに、経営母体が異なる場合には、「職員の身分・待遇をどう考えるのか」などの調整が難しくなります。

この点に関連し、2月22日のワーキングでは、▼自治体立の弘前市民病院と国立病院機構の弘前病院の再編(2022年の新病院スタートを目指す)▼市立の酒田市立酒田病院と県立の山形県立日本海病院の再編(日本海総合病院として2008年スタート)―の事例についてヒアリングが行われました。

後者は、稀有な「市立病院と県立病院との合併『成功』事例」として知られ、メディ・ウォッチでも、栗谷義樹理事長にインタビューを行っています。日本海総合病院では、統合後に診療実績が大きく向上するとともに、経営も改善。結果として自治体からの法定外繰入金が大幅に縮小しています。

さらに栗谷理事長は、今後、地域で人口減少が加速度的に進むことを踏まえ、▼急性期基幹病院の集約化(症例の確保による医療の質の向上はもちろん、働き方改革においても重要な要素となる)▼医療圏の見直し(より広域から患者を受け入れなければ、急性期病院の経営基盤が安定しない)▼行政によるアクセスへの予算確保(集約化により、患者のアクセスは一定程度悪化するため対策が必要)―が緊急に必要であると訴えています。

また、前者では、250床の市立病院(弘前市民病院)と342床(国立病院機構弘前病院)を再編・統合し、142床ダウンサイジングした中核病院を新設することになりますが、「統合までの間に、看護師等の退職が続く。新中核病院の発足までに、どのように両病院の機能を維持するかが当面の重要課題である」ことが紹介されました。

さらに、設立母体の異なる病院同士の再編・統合では、個別病院間の協議・調整(人事やクリニカルパス、使用薬剤など)はもちろん、設立母体同士(ここでは国立病院機構や自治体)の協議・調整の重要性も指摘されています。そこでは「住民への十分な説明」も重要となるでしょう。一般の住民は「医療機関へのアクセス」を重要事項と捉えがちですが、実は「医療機関が複数あり、症例が拡散すれば、医療の質が下がってしまう」という点を、丁寧に説明していくことが非常に重要と考えられます。


病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に

なお、2月22日のワーキングでは、病床機能報告制度の見直しに関する議論も行いました。一般病床・療養病床を持つすべての医療機関(病院・有床診療所)は、毎年、自院の機能と、将来担おうと考えている機能、さらには診療実績などを都道府県に報告することが義務付けられています(病床機能報告)。この報告内容は、調整会議の論議においても極めて重要となるため、適切な報告が求められます。

一方で、報告を実施する医療機関の負担にも配慮する必要があります。過重な負担では正確な報告ができなくなってしまうためです。

厚労省は、こうした点を勘案し、▼2019年度の報告から「病棟ごとの築年数」の報告を求める(建て替え時期の目安を把握するため)▼2020年度の報告から「稼働病床数」の報告を廃止する(許可病床数と近似するため)▼2021年度から「通年データ」の報告を求める(6月単月の診療実績では、季節変動を勘案できないため)―という3点の見直しを提案しています。

見直し方向に異論は出ていませんが、「稼働病床数の報告廃止」について中川構成員は「2019年度から見直すべき」と提案。厚労省では「廃止の影響などを踏まえ、2020年度見直しとしたい」と考えており、今後の調整が待たれます。



https://www.medwatch.jp/?p=25092
<新専門医制度スタート後、地域の基幹病院で専攻医(研修医)数は激減―日病・末永副会長 
2019年2月27日|医療現場からMedWatch

 新専門医制度がスタートし、地域の基幹病院での専攻医数は激減した。大学病院での研修が増加していると考えられ、新専門医制度の改善に向けた幅広い議論が今なお必要である―。

 日本病院会の末永裕之副会長は、2月26日の定例記者会見で、こういった考えを明らかにしました(日病のサイトはこちら https://www.medwatch.jp/?p=25083)。
 
ここがポイント!
1 日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施
2 基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき


日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施

 今年度(2018年度)から新専門医制度が全面スタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定について、学会と日本専門医機構が協働して、統一的な基準で行うことで、「専門医の質の担保」「国民への分かりやすさ」を目指すものです。

 もっとも、「質を追求するあまり、専門医を養成する施設の基準が高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。例えば、「従前、後期研修施設であった医療機関を、新制度下での連携施設等に組み込む」「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」などの対策が図られています。

ただし、こうした対策にもかかわらず、医療現場では「新専門医制度により、医師の地域偏在等が進んでいるのではないか」との指摘が後を絶ちません。このため日本病院会では「感覚ではなく、データに基づいて新専門医制度を検証する必要がある」と考え、日病役員が所属する病院を対象にアンケート調査を実施。73病院(回答率9割超)からの回答を分析した結果が、末永副会長から発表されたものです。

まず、2017年度の後期研修医(専門医資格取得を目指す研修医)数と、2018年度の専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)数とを比較すると、次のように大きく減少していることが分かりました。

【全 体】  2017年度:615名 → 2018年度:387名(マイナス228名・37.1%)
【内 科】  2017年度:238名 → 2018年度:151名(マイナス87名・36.6%)
【小 児】  2017年度:49名 → 2018年度:27名(マイナス22名・44.9%)
【皮膚科】  2017年度:11名 → 2018年度:4名(マイナス名7名・63.6%)
【精神科】  2017年度: 7名 → 2018年度:4名(マイナス3名・42.9%)
【外 科】  2017年度:99名 → 2018年度:67名(マイナス32名・32.3%)
【整形外科】 2017年度:39名 → 2018年度:20名(マイナス19名・48.7%)
【産婦人科】 2017年度:28名 → 2018年度:18名(マイナス10名・35.7%)
【眼 科】  2017年度:18名 → 2018年度:8名(マイナス名10名・55.6%)
【耳鼻咽喉科】2017年度:15名 → 2018年度:2名(マイナス13名・86.7%)
【泌尿器科】 2017年度:17名 → 2018年度:12名(マイナス5名・29.4%)
【脳神経外科】2017年度:14名 → 2018年度:13名(マイナス1名・7.1%)
【放射線科】 2017年度:14名 → 2018年度:9名(マイナス5名・35.7%)
【麻酔科】  2017年度:19名 → 2018年度:10名(マイナス9名・47.4%)
【病 理】  2017年度: 3名 → 2018年度:5名(プラス2名・66.7%)
【臨床検査】 2017年度: 0名 → 2018年度:0名(プラスマイナス0名)
【救急科】  2017年度:29名 → 2018年度:21名(マイナス8名・27.6%)
【形成外科】 2017年度: 8名 → 2018年度:8名(プラスマイナス0名)
【リハビリテーション科】2017年度:1名 → 2018年度:2名(プラス1名・50%)
【総合診療】 2017年度: 6名 → 2018年度:6名(プラスマイナス0名)

 この大幅減少について末永副会長は、「従前は地域の病院で専門研修(後期研修)を受けていたが、相当数が大学病院で研修を受けるようになったと考えられる。特に内科と外科の減少は大きく、このままでは地域で内科・外科を担う医師がいなくなってしまう。非常に大きな危機感を持っており、待ったなしの対策が必要である」と強調しました。

 新専門医制度のスタート前には病院団体を中心に、「大学病院が、地域の基幹病院からも医師(指導医)を引き挙げ、また研修医の確保もままならなくなるのではないか」との危惧がありましたが、これを裏付けるデータとなってしまいました。地域の基幹病院で医師確保がさらに難しくなっている状況が明らかになったと言えるでしょう。なお、ここからは地域偏在が進んでいるのかを見ることはできません。


基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき

 このように、病院団体の懸念が一部実際のものとなっていることも手伝い、新専門医制度に対し、病院経営者は次のように厳しい評価を行っています。

▼43.8%が新専門医制度の開始は「時期尚早」と考えている

▼74.0%が新専門医制度で「地域偏在・診療科偏在が進む」と考えている

▼43.1%が新専門医制度の「新整備指針」(基本規定)を全面的に見直すべきとし、52.8%が修正の必要ありと考えている(問題なしはわずか4.2%)

▼基本領域については84.9%が、サブスペシャリティ領域については86.1%が、「見直し」「再検討」が必要と考えている

▼78.1%が「日本専門医機構に問題あり」と考えており、具体的には「学会主導である」「事務局体制に不備がある」などと考えている

 
また「専門医」の在り方については、現在、3年間の基本領域に関する研修を終えた医師から「専門医」を名乗れる(広告できる)方向で検討が進められていますが、26.4%は「サブスペシャリティ領域を終えてから名乗るべきではないか」と考え、中には「少なくとも10年以上の臨床経験がなければ『専門医』を名乗るべきではない」「基本領域の専門医と、サブスペシャリティ領域の専門医を分けた呼称とすべきではないか」との指摘もあります。

一般国民からすれば、専門医という呼称からは、どうしても「エキスパート医師」を想像しがちであり、今般のアンケート結果からも、「国民に分かりにくい部分がある」と考えている医師も相当程度いることが分かりました。今後の、広告に関する検討(医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会での議論)においても、こうした問題・課題が浮上してくる可能性があります。

 
もっとも批判ばかりではありません。今回のアンケートでは、新専門医制度の改善に向けて、次のような提案も行われています。相反する提案もありますが、まさに「意見が割れている」部分であり、医道審議会・医師分科会「医師専門研修部会」も含めた検討が期待されます。

▼地域・診療科偏在を解消するために、「地域ごとの、基本診療科ごとの医療需要把握を行う」「医師の計画的配置を行う」「総合医を育成する」「自由開業を制限する」ことなどを検討すべき

▼専門医はどのような医師かと言う議論を、「国民から見て理解しやすい専門医」といった原点に立ち返って議論するべき(あわせて能力に応じた呼称設定なども)

▼専門医や指導医にも診療上の利点(診療報酬上の加算など)を付与すべき

▼専門医制度と地域偏在対策とは切り離して考えるべき

▼各領域の地域ごとのニーズを算出し、それに合わせた専攻医の定員上限を設けるべき

▼専攻医数のせいぜい1.1-1.2倍を定員上限とすべき(現在は2倍超)

▼3年の研修で、本当に専門医レベルに達しているのか疑問も残り、十分に検討すべき

▼専攻医の給与体系を含めた処遇の在り方を明確にし、身分保障を行うべき



https://www.m3.com/news/iryoishin/660324
シリーズ 佐々江龍一郎の「英国GP、日本に戻る」
「病気ではなく患者を治療しろ」人生に関わる英国GP
なぜ日本は高度医療を提供しているのに患者の満足度が低いのか
 
オピニオン 2019年3月2日 (土)配信
佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部総合診療医)

 英国の家庭医の診療所で勤務していると机の上にある沢山の書類、絶え間ない患者からの電話と家庭訪問の要求などで忙殺されそうになることがある。英国の家庭医ひとりにつき登録患者は平均約1500人、フルタイムの家庭医がひとつの診療所に4~5人勤務しているとすると、診療所単位では大体6000~8000人を受け持つことになる。この数には近年大きな変化はないのだが、日本と同様に高齢化社会の到来、そして従来総合病院で診ていた患者を可能な限りプライマリーケア(家庭医)にシフトする長年の政策の結果、家庭医が担当する疾患の範囲は明らかに拡大し、また患者個々の病態も複雑化してきている。

 英国では勤務時間が増えることはないが、昨今では社会からの安全性、医療および接遇の質、EBMに対する期待も増し、患者と触れ合う時間が相対的に削られて来ている印象を受ける。診療以外の仕事に忙殺されそうな時には原点に戻り、何故自分が家庭医になったのかを考えることにしていた。

 私が2005年に英国ノッティンガム大学医学部を卒業した年に、英国でも研修制度改革があった。従来の制度では研修医が労働者として扱われ教育の側面が不十分であったことが問題視され、Modernising Medical Careerという機関のもと、研修制度は一新された。その結果、日本の初期研修と似たFoundation programという二年間の初期研修プログラムが必修化された。そして、私たちはその新プログラムの第一期生であった。2段階のマッチングを経て、私は、母校の関連病院を選択、勤務する事になった。新制度では旧制度とは異なり、家庭医療(GP)が選択科の中に積極的に組み込まれていたことも特徴的だった。

 私が家庭医療の初期研修を行なった診療所は5人のパートナーで経営されており、そこは家庭医療専門研修医の研修施設でもあった。初期研修医は通常家庭医が患者ひとりに対して10分の診察を行うところ、30分ほどの時間を与えられ、問診、診察、指導医への報告、フィードバック、そして必要があれば指導医とともに患者を診察して学ぶという実質的な研修をする。家庭医寮を肌で触れる経験するには、理想的な環境である。私の指導医はDr H、普段は笑顔が印象的な優しい先生だったが、ある日私が診た患者についてプレゼンテーションをしたところ、彼は珍しくきつい口調でこう言った。

 「Practicing General practice requires you treating a patient and not just the disease. We need to go back and listen to the patient」(家庭医寮では病気を治療するだけではなく、患者を治療をする必要がある。戻ってもう一度患者の話を聞こう)。

 この時診察をした48歳の女性患者は、長年原因不明の動機や息切れなどに苦しみ、様々な症状を訴えていた。これまで総合病院にも紹介されあらゆる検査を受けていたが、いずれも明らかな異常が指摘されず、途方に暮れていた。そんな患者に対し、私は症状や鑑別疾患ばかりに気をとられ、彼女の精神的や社会的な背景について何一つ問診を行なっていなかった。

 その後Dr Hとともに患者を再度診察したが、衝撃的だったのは彼女がDr Hを見た瞬間、私としゃべっていた時とは打って変わり、昔からの友人を見たかのような笑顔になったことだった。Dr Hは患者から彼女の不幸な結婚生活、叶わなかった夢や自己表現の難しさといった悩みを限られた時間の中で巧みに聞き出していた。診察が終わる頃には患者は笑顔になり、特に薬も要することなく満足な笑みを浮かべて帰って行った。病院での先進医療だけでは救えない患者がいることを身に染みて感じた瞬間であった。

 私が家庭医療に惹かれたのはこうした人間的な側面である。英国の病院は日本の様にフリーアクセスではないため、全ての患者は近所のいくつかの家庭医診療所から選択・登録する。緊急でない限り、患者はまずこの診療所の家庭医にかかることになり、必要があれば病院への紹介を受ける。つまり、家庭医は継続的に同じ患者を診る環境にあるため、医師と患者は常に二人三脚の関係となり、医師の患者に対する理解度は病気のみならず私生活にまで及び、深い。沢山の患者に対して医療以上に彼らの人生に関わり、地域へ貢献しているという実感も湧きやすいのだ。

 例えば看取りの時である。長い間を知っている患者を家で看取ることは医師にとって非常につらいことではあるが、同時に患者や家族が普段は見せない感情を垣間見ることができる。安らかに死を迎える患者の周りに輪になり、家族の方々が口を揃えて私に言うのだ、「長い間家族を支えてくれてきた先生には心から感謝しています、彼も天にいっても感謝をしているはずです」と。こうした何気ない言葉が、私にとって大変な時の支えであった。クリスマスの時期になると家庭医の診療所は決まって患者からのギフト、手紙で埋め尽くされる。地域の患者からの満足感と喜びが、まさに英国家庭医の活動の原動力となっていると感じる。

 英国では家庭医に対する患者の満足度は非常に高い。英国政府が2018年に220万人の患者を対象にしたGP Patient survey という大規模調査によると、診療所受診の総合評価に、「よい」と答えたのは83.8%(回答数75万人)にのぼる。一方、2014年のNHKの国際比較調査グループの調査によると、日本の医師の治療に満足している人は70%、医師を信頼している人は62%。統計に参加した31カ国中22位と、順位は高くない。

 ある日本人の医師がこんなことを言っているのを思い出す。「なぜ日本はこんなに高度医療を提供して、医療アクセスは良好なにも、患者満足度は低いのだろうか」と。これについて私は、「患者が求めているのは、単に高度医療やアクセスの良い医療だけではないからだ」と考える。継続的な関係から築かれた揺るぎない信用と安心感、患者中心のコミュニケーションや全人的なアプローチなど、人間的な側面が患者の満足度につながっていると英国の家庭医の経験から私は感じている。私も家庭医後期研修医時代には患者との診療をビデオで撮り、指導医と共にそれをよく振り返っていた。このため、現在英国の家庭医療では標準化されたコミュニケーションスタイルが定着している。

 日本ではかかりつけ医制度が広がりつつあるが、医療連携の「継続性」だけではなく、医師患者の関係を「継続」し、それをもとに包括的な「人間味」のある医療を提供できるようになれればと考える。


佐々江龍一郎
NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部 総合診療医

1981年4月生まれ。2005年英国ノッティンガム大学医学部卒業。英国の家庭医診療専門医の資格を取得し、キングスミル病院、ピルグリム病院、テームズミードヘルスセンター、WEST4家庭医療クリニックなど、英国内の医療機関で約12年間家庭医として活躍。2016年に日本の医師免許を取得し、帰国。2017年からNTT東日本関東病院総合診療科、国際診療部に勤務。



  1. 2019/03/03(日) 11:16:54|
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Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日

Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 14,900
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 18,900
First 5 in Google in English 


https://www.columbiavalleypioneer.com/news/b-c-medical-students-call-for-more-residency-spots-to-curb-doctor-shortage/
BC medical students call for more residency spots to curb doctor shortage
Columbia Valley Pioneer‎ - Mar. 2, 2019 (カナダ ブリティッスコロンビア州)

Now, a group of students and alumni are calling on the B.C. government to fund more residencies to increase the number of practicing doctors, especially as the province deals with a doctor shortage. No Docs Left Behind, organized by members of the Medical Undergraduate Society, estimates that for every unmatched graduate, 1,875 patients in the province lose out on stable health care. That’s 26,250 patients each year.



https://www.star-telegram.com/news/local/community/fort-worth/article225525290.html
Why does it take so long to get a doctor's appointment?
Fort Worth Star-Telegram‎ - MARCH 01, 2019 07:00 AM (米国 テキサス州)

Ashley's experience is a common symptom of the physician shortage in Texas, where there are 63,871 practicing doctors serving a population of 28 million. The results are often long wait times for patients to get appointments and limited access to healthcare.



https://www.reviewjournal.com/life/health/las-vegas-hospitals-add-residencies-to-ease-doctor-shortage-1608396/
Las Vegas hospitals add residencies to ease doctor shortage
Las Vegas Review-Journal‎ - March 1, 2019 (米国 ネバダ州)

The Valley Health System will welcome 26 new resident physicians in general surgery and family medicine in July as the Las Vegas-based hospital chain aims to make its mark in graduate medical education. The hospitals will enroll 10 will enroll 10 first-year family medicine residents and 16 general surgery residents in their first and second years of residency, said Dr. Andrew Eisen, chief academic officer for Valley Health.



https://www.star-telegram.com/living/health-fitness/article226862939.html
Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas
Fort Worth Star-Telegram‎ (米国 テキサス州)

Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas ... Texas is facing a doctor shortage. ... of Health and Human Services predicts that the state could see a shortage of 3,375 primary care physicians by 2030.



Doctor shortage being felt in Nova Scotia ERs: Sydney doctor
Cape Breton Post‎ Feb 27 at 6:07 p.m. (カナダ ノバスコシア州)

With increasing numbers of people showing up at emergency departments who don't have family doctors, ER physicians are having to deal with people who have much more serious health concerns, a Sydney doctor says. The NDP this week released figures it obtained through Freedom of Information on increases in the numbers of patients presenting at regional hospital emergency departments from 2013-2018 who identified as being without family doctors.



(他に10位以内のニュースは、米国 フロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州、カナダ ノバスコシア州、インド、からも)



  1. 2019/03/03(日) 11:06:31|
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