FC2ブログ

Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2019年 明けましておめでとうございます

2019年、新年あけましておめでとうございます。
2019.jpg

亥年は英語では豚年のようです。亥なら Boar とするはずです。
亥を野生の猪としているのは日本だけらしく、朝鮮半島、中国本土、いずこも「豚」だそうです。
西遊記の猪八戒もイノシシではなくブタですね。
そんなわけで、豚は富と繁栄の象徴であり、ゆっくりではあるものの勤勉の象徴といわれています。
医療界もゆっくりでいいから、ゆとりのある世界になって欲しいものです。
本年もまた、できる限り医師育成、医療供給に関するニュースを拾って行きます。
医学部定員増はさほどの効果をあげられそうにありません。
新専門医制度は地方の医師不足にますます拍車をかけています。
働き方改革は地域医療に強烈なパンチとなって地域医療崩壊に拍車をかけるのは眼に見えています。
大局的に展望できる人たちが医療政策に関わって欲しいものです。
       ドクター爺さん

          亥猪猪亥 
          亥猪猪亥 
猪猪猪猪猪亥亥亥亥亥亥猪猪亥亥亥亥亥亥猪猪猪猪猪
猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪猪
猪猪猪猪猪亥亥亥亥猪猪猪猪亥亥亥亥猪猪猪猪猪猪猪
    亥   亥猪猪猪   亥亥 
  亥猪猪猪 猪猪猪猪   亥猪猪猪亥 
   亥猪猪猪亥猪猪猪  猪猪猪猪 
     亥猪猪猪猪 亥猪猪猪猪  亥猪亥 
       猪猪猪猪猪猪猪亥  亥猪猪猪亥 
       亥猪猪猪猪猪   亥猪猪猪亥 
     亥猪猪猪猪猪   亥猪猪猪猪 
亥猪猪猪猪猪猪猪猪    亥猪猪猪猪 
 亥猪猪猪猪亥    亥猪猪猪猪亥 
        亥猪猪猪猪猪猪猪猪猪亥 
     亥亥猪猪猪猪猪亥  亥猪猪猪猪亥 
亥亥猪猪猪猪猪猪猪猪亥     亥猪猪猪猪猪亥
 亥猪猪猪猪猪亥          亥猪猪猪猪
  亥亥                亥猪 
  1. 2018/12/31(月) 08:59:44|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

Google Newsでみる医師不足 2018年12月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年12月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 8,410
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 14,200
First 5 in Google in English 


https://www.pe.com/2018/12/01/to-cure-californias-doctor-shortage-look-abroad/
To cure California's doctor shortage, look abroad
Press-Enterprise‎ - December 1, 2018 at 4:00 pm (米国 カリフォルニア州)

The Claremont Colleges, a group of seven schools in Southern California, recently announced plans to open a new medical school focused on training students for careers as primary care physicians in underprivileged communities throughout eastern Los Angeles County and the Inland Empire.
This is welcome news. But California needs many more physicians than one additional medical school can supply. Already, nearly 8 million Californians live in federally designated “health professional shortage areas” that lack a sufficient number of primary care physicians. Those shortages may expand, as the state’s population grows and ages.



https://thehill.com/opinion/healthcare/421105-cure-doctor-shortage-with-aprns
Here's how to cure the doctor shortage
The Hill‎ - 12/14/18 03:00 PM EST (米国)

America has an alarming shortage of primary care physicians, and the problem is worse in rural areas. As the Houston Chronicle noted, new medical schools won't solve the problem. Here in Texas, 54 counties have 27 doctors to care for more than 255,000 people, who are scattered over more than 60,000 square miles.
Advanced practice registered nurses (APRNs) can help.
According to the Texas Department of Rural Affairs, 231 of 254 counties are designated Partly or Whole-County Medically Underserved. Texas ranks 47th out of 50 for adequacy of primary care services. Texas also has the highest uninsured rate in the country at 17.3 percent.



https://pilotonline.com/opinion/columnist/guest/article_b9afea92-0303-11e9-bff9-b73f04de4d11.html
G. Richard Olds: US must look overseas for more doctors
Virginian-Pilot‎ - 2018/12/30(米国 バージニア州)

A DISCOURAGING NEW REPORT by UnitedHealth Group says that 44 million Americans live in counties with a shortage of primary care physicians. This shortage will grow worse as our population ages and thus requires more medical care.
Doctors who have been educated abroad — including many American citizens who went to medical school overseas — are eager to fill the gaps in the U.S. physician workforce. And they're doing so in increasing numbers. Given the depth of the U.S. doctor shortage, the United States will need even more of them.



https://www.heartland.org/news-opinion/news/non-physician-health-care-providers-can-alleviate-doctor-shortage-study-shows
Non-Physician Health Care Providers Can Alleviate Doctor Shortage, Study Shows
The Heartland Institute‎ - DECEMBER 6, 2018 (米国)

At present, 13 percent of Americans live in a county with fewer than one primary care physician (PCP) per 2,000 patients. Over the next decade, the PCP shortage is expected to worsen, as 30 percent of these physicians will retire while the significantly increase as the population ages.



https://www.deccanherald.com/doctors-shortage-hits-services-707261.html
Napoklu CHC: Doctor shortage hits services
Deccan Herald‎ - DEC 09 2018, 22:16PM IST (インド)

The community health centre in Napoklu has only two doctors for all the patients who visit it and this is proving a major problem for the centre.
.. Zilla Panchayat member Padiyammanda Murali Karumbaiah told DH, “At present, two doctors are serving at the CHC. Doctors are not keen on serving in rural areas. The issue of shortage of doctors was raised in the gram sabha and it will be brought to the notice of the higher authorities.


(他に10位以内のニュースは、米国ニューヨーク州、イスラエル、カナダ、オーストラリア、米国、からも)


Should read:
https://qswownews.com/med-school-doctor-shortage/
Free med school won’t solve the doctor shortage
By QS Asia News Network - December 4, 2018

The New York University School of Medicine had recently eliminated tuition for all current and future students in attempt to resolve the challenge of doctor shortage faced by the nation. It is believed that by reducing the immense amount of financial debt will allow more students to seek careers in the medical field. They will also be more inclined to become primary care providers in underprivileged areas. However, student debt is not the real reason for the decline in the number of doctors. According to the latest prediction by the Association of American Medical Colleges, there will be an inadequacy of up to 120,000 doctors by 2030, an increase of approximately 14 percent from 2017. Further, nearly 60 percent of regions that lack primary care are within the rural region.
. . . . .


  1. 2018/12/31(月) 06:00:38|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

12月30日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/646309
北米型救急が根付くまで「ぎらぎらしなくなったら…」- 寺澤秀一・福井大学名誉教授に聞く◆Vol.2
「10年やれると思うところに行きなさい」
 
インタビュー 2018年12月23日 (日)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――福井県立病院での救命救急センターの立ち上げのご苦労については、今回の著書でも書かれていますね。福井県に帰られたのは1982年です。その当時の救急医療はどのようなものでしょうか。
 当時は、各科の医者から内科系1人、外科系1人が当直して、得意なものは受ける、不得意なものは断るという、いわゆる、えり好み救急の時代です。そこに僕が1人、北米型の何でも引き受ける救急医が来たので、かなりバッシングされました。

 僕のやり方は、いわゆる北米型で、全部引き受けるけど、専門的な治療が必要な患者さんは各専門家に依頼していくわけで、最初から途中までしか診ないわけです。外来や救急で自分が引き受けた患者さんは、自分が主治医となって治療するというのが日本の医者のやり方ですので、そんな中途半端な医者を医者として認めるという風潮などなかったです。日本の学会が提唱した救命救急医も、引き受けたら自分たちで手術するというスタイルでした。自分のやっていることが、他の救急医と違うことに気付くのに時間がかかりました。

 みんながほどほどの仕事量でいい感じだったのに、仕事量が一気に増えて、「あいつをつぶして追い出せ」という指令が出ていたらしいです。急患が増えて病院の稼働率や収益は上がり、病院長だけ喜んでいましたけれど。

――いつ頃から軌道に乗り出したのでしょうか。
 実は5年目が一番苦しくて、辞めたくなっていました。多くの救急医が大体5年目でみんな辞めるんですが、その気持ちがよく分かります。僕もあの頃、辞めたい一心でした。でも、その頃に沖縄県立中部病院時代に北米留学を世話してくれたトロント大学の教授と再会しました。「日本では北米型の救急は受け入れられません」と言ったら、「お前を4カ所回した理由が分かってなかったんだな」と叱られました。

 先ほどお話ししたように、4カ所を回りました。トロント、モントリオール、デトロイト、デンバーという順番は北米型救急の進化の過程を見せてくれていたのです。トロントはもっとも後発で、モントリオールでは救急医の交代勤務体制ができていて、デトロイトでは救急医養成カリキュラムも構築されていました。最後に訪れたデンバーでは医師については行くところまでいった感じで、臨床研究も行われていて、救命士や一般住民への救急教育も行われていました。

 北米でも今のように認められるようになるまで30年かかっていました。だから「お前が1人で始めて5、6年で何とかなるはずがないので、何あほなこと言ってるんだ」と。僕はあの順番で4カ所回らされた意味が全然分かってなかったことに気づきました。

 それで、30年かかる仕事なら、自分ががつがつしてもしょうがない。取りあえず10年やって沖縄に戻ろうと考えるようになりました。沖縄県立中部病院の先生にも、「10年やって駄目だったら戻って来なさい。でも、数年で戻りたいと言っても沖縄で働かせないよ」と言われていたんです。

 だから福井に来て5年から10年目ぐらいの間は、もう軽く流していた。最初の5年のようにぎらぎらしないで、他の人ともぶつからないようにおとなしくやっていました。すると「一緒にやりたい」といってくれる先生が出始めたんです。それが、赤本(研修医当直御法度)を一緒に書いている島田耕文先生と林寛之先生です。

 不思議ですよね、がつがつぎらぎら働いている時って誰も寄って来ない。あと4、5年流して沖縄に戻ろうと楽に働いていたら一緒にやりたいという人が出てくる。仲間を増やしたい時に熱過ぎるのは駄目だということもそこで学びました。多くの救急医たちは4、5年働いて、「病院幹部も他科の医者も理解がない、ここは駄目だ」と言って辞めてしまいますが、それでは次のところに行ってもやっぱり同じなんです。これは「外伝」に「デワノカミ」という題で書きました。

 やはり10年ぐらいいると、いろいろな変化が起きてきます。分かりやすく言うと、年齢層が上がるんです。医者は、やっぱり、先輩にはあんまり楯突かないです。その病院で中堅層になると、自分より下の各科の医者は言うことを聞いてくれる。あと、他の医者たちは大学の医局人事で来ていたので3年ぐらいでいなくなりますが、僕はもう大学とは関係なくずっといるつもりだったので、そうすると「ずっといる人なら応援しなきゃ」とパラメディカルの人たちも思ってくれるようになります。

 大学から来た医者は多くの場合、その病院を振り回して帰るんです。例えば、「この手術の機械がないと俺の腕が振るえないから」と言って、機械を買わせる。でも、病院が高いお金を出した機械もその先生が大学に戻ったら使われなくなります。そういうことが続くと、事務の人たちも3年でいなくなる医者の言うことを聞いているのは効率が悪いということに気付きます。

 仲間が増えて、結局、沖縄に帰らないでこのままやれそうだって感じたのは、まさしく10年目です。だから今、門下生たちで県外の施設に出て行く子たちには、「10年やれると思うところに行きなさい」と伝えています。それは、奥さんや自分の故郷、自分が最初に研修したところかもしれないですが、その土地に愛着がない限り、人は10年もいられないんです。10年やれるところを探して、見つかったら、僕がその病院の院長にお願いします。そういう門下生たちが結構あちこちに出て頑張っています。

――福井県立病院には17年間在籍されましたが、その後、福井大学の教授になられましたね。
 そうですね。今、大学に来て18年、ちょうど県立病院と大学病院と同じぐらいいたことになります。移る経緯も「外伝」に「大学教授ができるまで」という題で書きましたが、大学に行くつもりは全くなかったです。市中病院でさえ自分のやり方を浸透させるのがこんなに難しいので、大学ではもっと大変だろうと分かっていたのでだいぶお断りしていました。それでも、大学側が熱心だったというか、他に手がなかったんでしょうね。

 前任のチームが大学側と衝突して年度途中で総辞職することになったんです。前任のチームは、自分たちで救急を引き受けて自分たちで手術するという日本型の救急スタイルでした。突然、救急のチームが辞めることとなり、大学は慌てたんでしょうね。とにかく一番近くにいたやつを、穴埋めに異動させて、新しい教授が決まるまで何とかしようということだったのでしょう。かなり強引な手を使って呼ばれました。

――大学病院でまたゼロから立ち上げるのは大変でしたでしょうか。
 新しい救急医学講座はスタッフがいなくて、僕を含めて2人だけで、またゼロからの立ち上げでした。大変でした。最初の頃は大学教授なのに1カ月で十数回当直していました。ただ、どういうことが起きるかは大体分かっていましたし、なりたくて大学教授になった訳ではないので、いつでも辞めてやるという気持ちもあり、5、6年以上、机の中に辞表が入っていました。

――大学教授の職務は教育、臨床、研究、医師派遣などがありますが、いかがでしたでしょうか。
 全くできないですよね、人がいないんだから派遣どころじゃなく、むしろ自分のところに派遣してほしいくらいでした。最初は仲間が増やせるかどうかしか関心はなかったです。仲間が増えたら交代勤務にして、交代勤務ができたら、専攻医を育てるカリキュラムを作り、それができたら初めて臨床研究をやり、と段階をにらんでいました。北米研修で見せていただいた進化の過程です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/646436
救急と総合診療の合体「現場ニーズに合った良い医者が育つ」 - 寺澤秀一・福井大学名誉教授に聞く◆Vol.3
大学病院の総合診療「不幸な始まり」
 
インタビュー 2018年12月30日 (日)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――その後、総合診療部の教授になります。
 2002年に総合診療部が立ち上がる時に学長が、「寺澤君、総合診療部の教授はどういう人が良い?」と世間話で聞いてきたので「救急部の僕と仲良くやれる人がいいですね」と答えたら、「探してきたまえ」と。何人か候補に当たったのですが、断られました。外国人でも良いとのことだったので海外も当たったのですけど、京都に近いということで興味を示してくれる人達も給料の話をするとみんなどん引きでした(笑)。

 結局、全部駄目で、そうしたら学長が「君が両方やりなさい」と。これは予期しないメリットがありました。救急の医者は肉食、体育会系が多いですが、総合診療は草食系のドクター。総合診療のドクターは比較的、夜は余裕があり、救急のドクターを手伝える。救急の医者は夜は忙しいが、昼は比較的余裕があって総合診療を手伝える。相互補完的で、草食系も体育会系、肉食系もみんな入ってもいい。つまり、特別な体力と気力と意欲のある人だけしかできない救急・総合診療ではなく、ごく普通の体力、気力、意欲があればできる救急総合診療部になりました。


 救急に意欲的な人は9割救急で働き、1割総合診療。総合診療に意欲がある人は9割総合診療部で働き、1割だけ救急、あるいは両方5割ずつやりたいっていう人はそのようにやればいい。要するに、救急部と総合診療部の区別なく勝手に好きなように研修できる場ができて、それからいろんな人が入ってきました。強い人も弱い人も、他科で切られた人も病気の人もみんな受け入れました。

 救急医はテキパキと動けますけど、総合診療医のように優しくないんです。手技は非常に上手で彼らなしには救命は不可能。でも、救命できたのに、患者を傷つけたり家族を怒らせたりする医者も結構育ってしまう。一方で総合診療医は、すごく人の心に敏感で思いやりのある良い診療をするんだけど、救急医のようにテキパキと動けるスキルがない。

 一緒にすると補完し、教え合いとても面白い化学反応が起きます。多くの学会の人たちは、中途半端な医者が育つよくない仕組みだとうちの部署のあり方を非難しましたが、僕は現場のニーズに合った、いい医者が育ったという自負があります。

――大学病院における総合診療はどのような存在だったのでしょうか。
 当時はあちこちの大学で総合診療部が作られた時代です。ただ、非常に不幸な始まりでした。総合診療ができる人がいない時に、総合診療部の教授を誕生させるのは無理です。誰かに押し付けることになりますが、それは大抵、第1内科、第2内科、第3内科の准教授たちの中で一番教授になりたがっている人、肩書だけでも教授になりたい人を選び出すことになる。総合診療がやりたい人が教授になるわけではない、不幸な始まりです。だから、あちこちで総合診療部が立ち上がりましたけど、第1世代はまともなことはできてないですね。

 各科の領域を荒らすわけにはいかないので、最初は初診相談外来で始めざるを得ないですね。紹介状を持って来ない内科的な患者さんを診るというので始まり、やがて、入院患者さんを持つようになったら、各科がやらない隙間を埋める入院を担当することになります。結局、初診相談外来以上のことをやれない大学では総合診療部は消滅していきました。

 第2世代、第3世代とだんだん守備範囲が広いドクターが出てくるにつれて、少し総合内科っぽい病棟ができますけど、大学病院には各科の専門医がいるので、早晩、超高齢者の老年病棟になるわけです。施設から来た誤嚥性肺炎や脳梗塞6回目の92歳とか。つまり、各科が、「うちじゃない」という患者を受け入れるのが総合内科の入院になるわけです。

 総合診療部が総合診療部らしくやっていけるのは、中小規模の病院でこそだと思います。大学のような大きな病院につくる意味はあんまりないんです。でも、残念なことに、最もニーズがある中小病院では、そういう医者を育てるカリキュラムを持てない。学会が専門医カリキュラムを作り、大学は統括できるんだけど、訓練するのにふさわしい病棟を持っていない。だから、いつまで経っても日本の総合診療医養成はもたついている。僕たちも頑張りましたけど、あんまり大したことはできなかったです。次の世代に期待ですね。

――中小病院で活躍する総合診療医はどのような医師でしょうか。
 例えば、今一番そのニーズがあるのは、誤嚥性肺炎を起こしてご飯が食べられなくなって、転倒して腰椎圧迫骨折が起きて痛がって動けないと救急車で来た人を主治医できる医師です。整形外科医は圧迫骨折では手術をしないのでうちがじゃないと言う。内科医を呼ぶと、誤嚥性肺炎はうちが専門じゃないし、骨折は外傷だから整形外科だよと言う。でも、そういう人を、救急部と総合診療部が合体しているうちの医者たちは診られるんです。整形、内科に強い総合診療の医師が育つ。

 あるいは、救急部は結構患者さんが亡くなるので、看取りに慣れた総合診療医が育つ。最後にどんなふうに亡くなっていくかが経験できます。今の日本プライマリ・ケア連合学会のカリキュラムでは、在宅で看取りができる医者は、育たないと僕は思います。人が死ぬ時はすごいことが起きる。血を吐いたり、痙攣したり、ものすごく苦しんだりして、もう家族が救急車を呼ばずにはおれないような変わり方をする。その時に、堂々としていられて、苦痛を取ってあげることができる総合診療医でないと、在宅での看取りなんてできないと思います。だから、救急で多くの死亡患者を看取った経験のある総合診療医が育たないと駄目だと思うのです。

 中小病院では、けがも診られる老年医学に強い総合診療医が必要です。普通の大学の救急部や総合診療部ではそういった医師養成をできないです。救急部と総合診療部を合体させると、できる医者が育つ可能性があると僕は思うんです。でも、救急部と総合診療部のドクターたちはお互い距離を置いて、大抵は仲が悪いというのが定番で(笑)、残念です。

――2010年からは地域医療推進講座の教授に就任されました。どのようなお仕事なのでしょうか。
 いわゆる地域枠の学生、研修医の支援をしています。福井県の研修医がいる全ての病院に出掛けて行ってカンファレンスをしたり、レジデントキャンプという教育イベントをやったり。地域枠の卒業生は、9年ぐらい福井県で働くという義務を背負っていますが、中には、過疎地には行きたくない、過疎地に行かなくてもいいためにどうしたらいいかという不純な行動をする者もいます。それを、また各科の教授も後押しします(笑)。自分の近くに置いといたほうが研究のエネルギーになるので、教授も行かせたくない、本人も行きたくない。

 でも、県民の税金で奨学金をもらったのだから行っていただかないわけにはいかない。そういう調整役みたいな立場です。県の意向もくみ、大学の実情も鑑み、県内の医師不足の状況を把握しながら、県全体で医師が足らないところに医師が少しでも増えるように活動する、そういう教室です。2017年に定年となりましたが、再雇用の特命教授として現在も活動を続けています。若い頃に無駄だと思う勤務が自分を進歩させること(「外伝」の「無駄なこと?」)や過疎地での勤務で得るものが大きいこと(同「過疎地の診療所」)を分かってほしいです。

――現在は診療はされているのでしょうか。
 月に1回だけ大学の総合診療部の外来をやっています。若い人からは「あの人たちは寺澤先生の顔を見に来ているんです、先生。先生が辞めるとあの人たちは急に衰えていきますよ」と脅迫されて(笑)、女性で高齢の方々ばかりを第4木曜日に集めてお顔を見ています。長いお付き合いの人たちで、もう本格的な診療ではなくて、生活のアドバイス、心の応援です。薬を一つでもやめさせようすると「心配だし、私まだ飲みたいの」「もうここまで生きたんだからいいでしょう。じゃあ、1日置きにしましょうか」みたいなことをやっています(笑)。とても診療とは呼べません。

――本来ならば大学病院に来るべきではない患者さんとも言えますね。
 そうですね。普通だと、「近くのお医者さんに行きなさい」と言われてしまう人達ですけど僕はそれが言えないんです。時々、患者さんに優し過ぎると言われます。僕があの人たちを診られなくなったら、若い人たちはあの人たちをどうするんでしょうね。「近くの診療所に行きなさい」と冷たく言って……。まあ、近くに行った方がハッピーかもしれませんね。嫌々診る若い医者より、近くで優しい年配の開業の先生に診ていただく方がハッピーかもしれないなとは思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/649819
シリーズ m3.com意識調査
勤務医の2割強、連続勤務制限も休息取得も「不可能」
意識調査『医師の「連続勤務28時間」「休息9時間」の是非』◆Vol.1
 
レポート 2018年12月29日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 勤務医の2割強は、「連続勤務は28時間まで」に抑えることが「不可能」と考えており、「ハードルが高い」との回答を加えると、6割近いという結果が明らかになった。一方で、現時点でも「連続勤務は28時間以内」との回答も2割弱あり、勤務医の中でも働き方に相違があることがうかがえた。

 「勤務と勤務の間は、9時間のインターバル(休息)を設ける」ことについても、ほぼ同数の結果となった。連続勤務が長時間に及ぶ場合には、インターバル(休息)も取りにくく、両者を一体的に捉えて働き方改革を進める必要性が確認された。

 今回のm3.com意識調査は、佳境を迎える厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論を踏まえて、m3.com医師会員を対象に実施。同検討会では、医師の時間外労働の上限規制を「一般則」よりも緩和する代わりに、「連続勤務は28時間まで」、「勤務と勤務の間は、9時間のインターバル(休息)を設ける」などの提案がされている(『連続勤務は28時間まで」「勤務は9時間のインターバル」』を参照)。

 本調査は、勤務医と開業医を対象に実施。以下、勤務医の回答を見ると、「連続勤務は28時間まで」は実現可能かを聞いたところ、「不可能」(22.5%)と「ハードルは高い」(34.5%)を合わせると計57.0%。これに対して、「可能(現時点でも原則、28時間以内)」(17.6%)と「可能(現時点では28時間を超えることあるが、短縮可)」(18.9%)は合計36.5%だった。


Q1:「連続勤務は28時間まで」は実現可能ですか。
  「勤務と勤務の間は、9時間のインターバル(休息)を設ける」との質問では、「不可能」(22.9%)と「ハードルが高い」(33.2%)の合計は56.1%。一方、「可能(現時点でも原則、9時間以上のインターバル)」(17.9%)と「可能(9時間取れないこともあるが、見直し可)」(19.9%)の合計は37.8%。


Q2:「勤務と勤務の間は、9時間のインターバル(休息)を設ける」は実現可能ですか。
【勤務医の意見】
◆可能かもしれない・ぜひ導入を
・絶対に実現させるべき事項と思います。
・当直明けは24時間以上の勤務になるが、午後1時まで勤務して28時間。これならなんとかなる。インターバルが9時間は午後11時まで働いても翌日は通常勤務になってしまうので、これはもっと長く、できれば12時間は欲しい。夜12時まで働いても翌日は昼の12時に出勤となれば問題ないでしょう。
・「当直明けは昼まで勤務」を、ぜひスタンダードにしていただきたい。当直明けの午後は集中力が急速に落ちてくるので、年休を使わず家に帰れる (帰って眠れる) のはうれしい。
・インターバルが、自宅に戻ってコールなしというのは実現困難な印象。単に、出勤簿上の休み扱い、待機や学術的準備は含まないのであれば実現可能かと思います。
・連続勤務は28時間まで、ということが原則になると、良いなと思います。当直代も、救急患者の診療をしている場合は、きちんと勤務として支払いをしてほしいです。

◆無理
・連続勤務28時間、9時間インターバル。夢というより幻想に近い。
・9時間のインターバルが必要なら、夜24時まで残業したら、翌日の始業時間は朝9時以降にしなくてはならない。この案を考えた人たちは、手術が夜中まで続いたら、翌日の外来や定時の手術を遅らせることができると思っているのだろうか?
・「当直明けは午前中に帰る」が徹底されないと、連続28時間勤務までの上限はクリアできないが、とても無理。インターバル9時間も、夜中に1件でも緊急手術をすれば、すぐに成り立たなくなる。1件手術があれば麻酔担当も含めて最低3人の外科医が必要になるが、3人が9時間休むための代わりがいる病院なんて、日本中どこにもないでしょう。
・手術、当直、明けて外来、昼から手術、という勤務状況で、どうしろと…。
・連続勤務制限、インターバルを設けたら、現在の外来やOP件数を維持しようと思ったら医者が足りない。夜間緊急OPなどもあり、その後の予約外来患者はどうなる?
・現実的には仕事量が減るわけではないので、遵守することは不可能だと思う。
・医師の絶対数が格段に増えて、診療体制が充実していなければ無理。
・医師の応召義務の改正もセットでなければ、不可能と感じる。
・外来の前日には当直ができないことになってしまう。

◆意味なし
・時間外何時間までとか連続勤務何時間までとか、そんな制限したところで、実際目の前に対処しなければいけない患者がいたら帰るわけにはいかない。結局お金にならない時間外が増えるだけだと思います。そもそも仕事は病院でやることだけではなくて、学会準備や抄読会準備、論文作成など、時間外にもやることはたくさんあるので、こんな決まりは面倒ごとが増えるだけで意味がないと思います。
・もちろん、理念としては素晴らしいと思うが、その体制を作れば加算が取れるなどの金銭的な裏付けがなければ、絵に描いた餅になると思う。どうせ、研修医だけに適用されて、中堅医師がさらに疲弊する気がします。
・せざるを得なくて働いているのに。環境整備をしないで時間制限だけするなどナンセンスでしかない。決定している医師はどんな勤務経験があるのか、公表してほしい。きっときちんと働いたことはない方々が机上の空論をしているだけですね。

◆過疎地、中小病院では無理
・絵に描いた餅。都市部の大病院では可能かも知れないが、地方、へき地の医療機関ではまず無理。
・現在のところ過疎地では、日曜日から日当直・日勤・当直・日勤の連続で、56時間連続勤務などざらですから。
・全ての当直業務、救急業務を撤廃すれば可能だろうが……。特に人手不足の地方基幹病院では36時間連続勤務なんでザラ。その翌日も通常通りにみんな働いている。
・地方は常勤医不足であり厳しい。特に民間病院は予算の関係もあり、不足分を非常勤医でカバーするのは困難。
・医師不足の地域ではかなり厳しい内容です。医師数の地域間格差を埋める方法を考えるべきかと思います。
・地方病院で外科医の数が少ない病院は絶対無理。医局制度を崩壊させ、研修医の行き先も自由に選べるようにし、医師の都市集中化を助長した厚労省の責任は重い。

◆診療科で相違
・予定入院などで計画的に診療できる診療科は問題ないだろうが循環器、呼吸器など急変が多い科はインターバルを確保し難いと思われる。比較的病棟が落ち着いていたり、患者数が少ない時期は早あがりするなど、労働時間の裁量性を認めるべきだと思う。
・科によって全く勤務状況異なり、国が専門医数を定めている訳でもないのに、一律の規定は到底無理な話と思われる。
・地方の中核病院の小児科は、最低人員しか採用されないで回しています。それでもいつも不足気味。学会出張時などは、過剰超勤は必至です。
・外科医には難しい。勤務しない分、他の人にしわ寄せがいくし、勤務してる時の仕事量が多くなる。上手い人にしかできない手術もある。医師の勤務時間を減らそうとする前に、常勤医の増加、特に忙しい科の医師の増加を試みる政策が必要。忙しい科と忙しくない科の給料が同じであること、開業医の方が勤務医より給料が良いことがおかしい。楽な科志望の医師が増えるのは必然。開業したくなるのも必然。

◆経営者次第
・勤務の辛さによって変わる、一律というのは問題がある。離島や田舎で1人の診療所での勤務だったら、「インターバル中です」と患者を診ないなんてことはできないだろうし、かといってひっきりなしに来る外来は、たとえ6時間でも連続勤務は辛くインターバルが必要。要は疲れたままの連続勤務は勤務している本人も、スタッフも、病院も、診られている患者にもいいことはないという認識をみんなで共有して、疲れたら休める状態にするべき。こういった勤務調節は、個々の能力と体力を考慮して管理者が本来するべきであり、できていないことに問題がある。そういった管理者を選んだ人の任命責任も考えないといけない。経験年数とか論文の数や地縁・血縁で管理者を選ぶからこうなっているのでは?
・管理者の方に「ワーカホリックな働き方をすべし」との固定観念がある上に、それが経営上の利害関係と一致しているのが一番大きいと思います。

◆周囲・患者の理解が必要
・医師が休みたくても、「うちのセンセは、休みが多いのよー」とか言う患者・スタッフがいると、どうしても休みづらくなる。法律で『連続勤務』『勤務間インターバル』について罰則を設けて、それを周知徹底しないとムズカシイのではないでしょうか。そこまでしないと休めないというのも、悲しい話ですが。
・法律を決めても業務量が膨大なため、結局医師は働き続けます。国民のコンビニ受診などを放置して、医師の労働時間のみを法律で規定し、「医師が過剰に働くのは自己責任」のような態度はかえって腹が立ちます。それならば「医師は奴隷のように働きなさい」と言われた方がすっきりします。
・必要な措置と思う。ただコンビニ受診や、井戸端会議受診?を減らす抜本的な対策が必要。
・現在の主治医制では不可能。患者の理解が必要。メディアでどんなときもベストの医療が受けられることが普通ではないことを啓発してほしい。
・これが導入されたら患者さんがどうなるのかを、国民に分かりやすく説明することが肝要。いつでも医療が受けられて当然と思っている国民の考え方を変えないと、医師の「連続勤務28時間」「休息9時間」は現実化しません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/649820
シリーズ m3.com意識調査
「月に何度も36時間連続勤務」「厳しい規制必要」
意識調査『「医師の連続勤務28時間」「休息9時間」の是非』◆Vol.2
 
レポート 2018年12月30日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 今回のm3.com意識調査は、佳境を迎える厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論を踏まえて、m3.com医師会員を対象に実施。同検討会では、医師の時間外労働の上限規制を「一般則」よりも緩和する代わりに、「連続勤務は28時間まで」、「勤務と勤務の間は、9時間のインターバル(休息)を設ける」などの提案がされている(『連続勤務は28時間まで」「勤務は9時間のインターバル」』を参照)。

 Vol.1『勤務医の2割強、連続勤務制限も休息取得も「不可能」』に続き、勤務医の自由意見を紹介する。

【勤務医の意見】
◆勤務、当直の線引きは可能か

・当院では「当直」の場合は何時間働いても時間外は付かない上に、翌日休みなしで働くようにと院長に言われました。夜勤ではないからだそうです。そんなもんでしょうか。
・当直(外来患者の受診あり)中でも仮眠をすれば、連続勤務にならないと判断するのでしょうか?
・私の勤務先は、当直は勤務扱いではないと認識されている。だから最長で7日間の当直もあるが、連続勤務とはみなされていない。当直を抜け道にすれば、こんなルールを作っても骨抜きになると思う。
・大学の研修中は他の施設にて当直をすることが多いが、その後が連続勤務かどうか分からない。最初はなし崩しで当直も可能だろうが、そのうち指導するための種になる。救急病院以外の市中や地方の一般病院は、当直業務なしで、自宅待機で対応できると法改革が必要。

◆他院で働いた場合は?
・実状を見ていない。医師が一つの場所で働いていないことは周知の事実。複数箇所で働くことが念頭に入っていないので、表向きだけ改ざんしてもどこかに働きすぎる人が出る形になる。現状、他院での働きなしには給与面、医療人材面いずれも成り立たず、これを加味した場合、連続勤務ははるかに長い時間となりますし、インターバルも十分取れません。
・移動時間をはさんでのアルバイトが、実質できなくなるのでは?すると常勤医の勤務時間が、さらに延長されるような気がします。

◆主治医制、勤務体制も見直すべき
・主治医制度を撤廃し、チーム医療に完全移行しない限り、絶対に不可能。チーム医療にしたとしても、若手(ないしは、主要な働き手)を十分に確保できる体力のないところからつぶれていくだけ。
・当院は周産期センターで産婦人科医が集約されたために可能になった。当直明けの手術執刀に条件があり、それを破ると病院への補助金が削減されるため病院上層部より指導が入るようになり、おかげさまで加重労働が減った。
・医師の働き方改革の中で、なぜ連続勤務とインターバルの議論が出てきたのかが不思議である。欧米では、外来診療(ERを含む)のような患者がその場から立ち去る診療と、医療機関に患者がとどまっている入院診療が明確に区別されている。わが国では、外来と入院を同時に病院が担当し、入院患者を担当する医師が、救急外来も担当していることが最大の問題である。入院のみを担当する医師および救急外来を含めた外来診療を担当する医師が明確に区別され、それぞれが24時間絶え間なくシフト制で担当し、その中で連続勤務とインターバルの検討がなされるべきである。多くの医師が日中は外来と入院患者を診療し、夜間は救急外来を診療させられており、両者の区別なく時間のみで働き方改革はあり得ません。
・外来主治医制、病棟主治医制の改善なくしては掛け声倒れに終わるしかない。外来主治医制下では、当直勤務翌日に外来がある場合、外来患者の診察・検査予約を全て変更する必要性が出てくる。病棟患者の病状変化に病棟主治医が24時間365日間対応を必要とされる現状では、勤務間インターバルの掛け声は絵に描いた餅である。
・シフト制にする等、勤務体制を大幅に見直す必要はあるが、地方といった過疎地以外では対応可能と思われる。ただ、上がそういった変革をできるかどうかでしょうか。
・マンパワーによると思います。日中は子育てママさんドクターに任せられるような体制も一つの案かと思います。

◆地域医療への混乱懸念も……
・そんなのホントにやったら病院・病棟が混乱する。医療が成り立たない。でもそんな環境を改善してほしい。医者の数を増やすしかないのでは?そのためには医療費・点数・病院収入、全部上げる必要がある。毎年診療報酬下げてるのに、それでいて休め、というのは、完全に矛盾している。
・勤務間インターバルを実現するのは、医師の数が倍必要ですよ。今の医者は2人前以上に働いているのですから……。今以上に医療崩壊させて、厚労省は何がしたいんでしょうか?
・月に何度も連続36時間勤務をやっている。その勤務数時間後には呼び出され、働くことも。当然翌日も通常業務。現場の惨状を知らない役人の話し合いだけで決まった話であり、医療崩壊必至。
・現場を知らない政治家や肩書きだけの医学博士らがどれだけ議論しても、何を決めても、形骸的なものにとどまり、現場は全く改善しない。上記方針に従えば、治療・検査・処置途中でも診療を中断せざるを得なくなる。さらに医師給与にも上限が課される(職場によるだろうが)ことにもなりかねないため、不都合ばかりが生じると予想される。

◆やらなければいけない
・実現可能かどうかではなくて、これくらいは実現しないと次世代の担い手がいなくなる。自分達が頑張れば頑張るほど、孤独になっていくことをワーカホリック達は心得ておくべき。
・できる、できないの問題ではない。労基局を入れてでもやらねばならん。28時間などと生ぬるいことを言っている場合ではない。

◆もっと厳しい規制必要
・そもそも、過労死しないための法律から例外にされるということは、医療関係者は過労死してもいいという国の方針でしょうか?寝不足の脳は酔っ払いの脳と一緒です。そんな状態で働くのを強要されるというのは事故は起こっても許容範囲ということでしょうか。人が28時間集中力が持つと思っているのでしょうか。人間扱いされてないということでしょうか。
・集中力の無くなった医師は危険なだけの存在。連続勤務12時間、インターバル24時間が最大効率を発揮できる間隔だと思う。
・往復の交通に要する時間、家庭での会話、用事対応等を入れたら、看護協会が提唱する13時間が必要。9時間は休息にならない。医師と一般人の上限に差を付ける根拠が不明。雇用者側に配慮した要求であって、現場の労働者の声を反映していない。
・28時間働いて9時間休んだらまた働け、というのを容認するかのようで、大丈夫なのかと思う。
・連続28時間までとすると、実際は連続30時間程度の労働を強いられることになるであろう。 生理学的に過重が大きく、20年以上前に同様のルールを医局で設けたが、病人続出。 過労死する者もいた。連続勤務時間は24時間までとするべきであろう。 また、勤務間のインターバル9時間も恒常的に続けていたら、人としての尊厳無視ではないか。最低でも12時間は必要であろう。
・本当は欧米並みに11時間ほしいですね。

◆その他
・患者の健康、生命のためにも、医師は、睡眠不足や体調不良にならぬよう。例えば、人の命を預かる国際線パイロットと同じか、それ以上に自己の勤務管理が重要だ。頭脳を使い、手技を用いるためにも、休息は必要。問題は、このような労働法制や医療制度を誰が決めているか?という点。実際に過重労働になっている当事者にこそ、その決定権があるべきだ。本当に必要なのは、上意下達の旧態然たる制度を革命的に改革し、全員の直接民主制度に進化するべし。
・医師はロボットでも奴隷でもない。現場の多忙に規則を合わせるのは論外。ブラックな病院は維持するのではなく、淘汰されるべきである。医師も人間であり、普通に疲労し、普通に疲弊する。疲弊すれば事故も増える。今の働き方改革は医師にとっては奴隷労働合法化にすぎない。もはや現場に出ないおっさん医師が行政に色目を使って若者を犠牲にするのはやめてほしい(特攻隊員を志願させるのと同じメンタリティーである)。
・日本で10年働いたあと、アメリカの大学病院内科でスタッフとして現在まで3年間働いています。最低限この2つを実現しないと、現代においては人間らしい生活とは言えません。そもそも勤務時間の上限が過労死ラインを超えるか超えないか、といった議論がされる時点でおかしいとしか思えない。ミクロのレベル(各医師や医療機関単位)で改善できる範疇ではなく、抜本的に構造を変えなければならないと痛感します。具体的には、専門医の門戸を狭くする(自由の国アメリカですら、厳しいセレクションがある)、高度医療の集約化を進め病院の数を制限する、外来医療およびホームケアの拡充により入院数(最終的にはベッド)を減らす、応召義務の神話的妄信をやめ「できないことはできない」という現実を受け入れる、一定年代以上の「昔はこれだけ働いていたのに今の若い医者は」という意見があっても無視する、など。
・実現可能か不可能か、という視点ありきで取り組むと、実際のところ今まで行っていなかった事柄なのだから「不可能だ」「難しい」となるのは必定ではないでしょうか。それよりも、どうなっていくべきか、として大きな目標地点(残業時間ゼロ、代償休暇の申告制ではなく義務化)を掲げた後に、それを実現するために制度面、(施設の集約化を含めた)ハード面はどうすべきか、と議論していくのが正しい順序ではないかと考えます。そのように大きく捉えることで、将来の保険制度などについての議論へとつながっていくのではないかと思います。
・外科系で、患者診療に対する気力、体力は充実しているため勤務時間自体は個人的に問題ないものの、勤務時間に見合った正当な報酬がもらえない場合もあることに精神的疲弊を感じざるを得ない。

【調査の概要】
調査期間: 2018年12月18日 (火)~12月24日 (月)
対象:m3.com医師会員
回答者数:2070人 (勤務医 : 1696人/開業医 : 374人)
回答結果画面:医師の「連続勤務28時間」「休息9時間」の是非



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201812/559334.html
医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会
医師が多い地域での新規開業に「条件」、2020年度から
在宅医療や初期救急医療など地域に必要な医療機能を担うよう求める
 
2018/12/28 二羽 はるな=日経ヘルスケア

 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会が12月26日に開かれ、地域における外来医療の提供体制の確保のあり方について議論した。外来医療機能の偏在を解消するため、外来医師数が多い地域で新規開業する場合、在宅医療や初期救急医療など地域に必要な医療機能を担うよう求める案が示され、了承された。2020年4月から、新規開業時の届け出様式に「地域で定める不足医療機能を担う」ことに合意した旨を記載する欄を設ける方針だ。

 外来医療では、無床診療所の開設が都市部に集中していたり、救急医療の提供体制の構築や医療機器の共同利用など医療機関同士の連携が地域の自主的な取り組みに委ねられているといった課題がある。そこで今年7月に成立した「医療法及び医師法の一部を改正する法律」には、地域ごとの外来医療機能に関する情報を可視化して外来医療機能の不足や偏在への対応を協議したり、その協議結果を公表する仕組みを設けることが盛り込まれた。改正法は2019年4月に施行され、都道府県が1年かけて外来医療の医療計画を作成。2020年4月から、計画に沿った取り組みがスタートする。

 同日の分科会では、外来医療機能に関する情報の可視化や、新規開業者などへの情報提供の方法、外来医療機能の偏在への具体的な対応について議論した。

 外来医療機能に関する情報の可視化では、新たに「外来医師偏在指標」を導入する案が示された。外来医師に限らない医師全体の偏在については、人口10万人対医師数をベースに、地域ごとの人口構成の違いや医師の性別・年齢分布などを反映した「医師偏在指標」を導入する方向だ(関連記事:医師偏在の評価に人口構成など加味した指標導入)。外来医師偏在指標はこの医師偏在指標を参考に、(1)人口構成等、(2)昼夜間を含めた流出入、(3)医師偏在の種別、(4)医師の労働時間等――を加味して算出する(図1)。

 医師偏在指標に関しては、診療科と疾病・診療行為の対応関係を明らかにして、診療科別の偏在指標を検討することになっている。そこで、外来医療における診療科別の偏在指標についても、この検討結果を踏まえて改めて検討することになった。

 外来医師偏在指標の活用方法として、二次医療圏ごとの指標を集計し、一定の基準(上位○%)を上回る医療圏を「外来医師多数区域」と設定することを厚労省は提案。外来医師多数区域であることを都道府県のウェブサイトなどで周知したり、診療所や病院の所在等を地図上に示すなどの活用方法が想定されている。こうした情報を提供することで、新規開業希望者などに開設地域を見直すといった判断を促し、偏在是正につなげたい考えだ。

 これに対し、日本医師会副会長の今村聡氏は、「情報提供は重要だが、ウェブサイトで周知するだけだと見ない人もいるため不十分では。新規開業時の届け出様式に、『外来医師多数区域であることを確認した』といったチェック項目を加えてはどうか」と提案。ハイズ(株)代表取締役社長の裵英珠氏は、「新規開業には金融機関や医薬品・医療機器卸売業者、調剤薬局チェーンなどが関与するケースもある。これらの関係者への情報提供も必要ではないか」と指摘した。

外来医療提供体制のあり方などを二次医療圏単位で検討・協議
 外来医療機能の偏在への具体的な対応としては、これから必要になる外来医療機能を既存の医療機関にどのように担わせるかや、地域全体での外来医療提供体制のあり方について地域で協議する案が示された。協議は原則として二次医療圏単位で行い、必要に応じて市区町村単位などで行う。協議の場としては地域医療構想調整会議を活用したり、別途作業部会を開催することなどが想定されている。

 さらに、外来医師数が多い地域で新規開業する診療所には「条件」を課す方向だ。

 高齢化の進展を背景に、外来医療の担い手である診療所では、在宅医療や初期救急医療などへの対応が求められている。そこで、外来医師多数区域で新規開業する場合には、在宅医療や初期救急医療など地域に必要な医療機能を担うことを求める案が示された。具体的には、診療所を新規開業する際の届け出様式に、「地域で定める不足医療機能を担う」ことに合意した旨を記載する欄を設け、協議の場で確認する。合意する旨の記載がなかったり、新規開設希望者が地域の外来医療提供方針に従わない場合などは、臨時の協議の場に新規開業希望者を呼んで協議するほか、都道府県医療審議会にも報告する。

 この提案について、厚労省は「新規開業を規制する意図はなく、開業するのであれば外来医師多数区域以外での開業を求めたい。あるいは、もし外来医師多数区域で開業するのであれば、在宅医療など地域に求められている機能を担ってほしい」(厚労省医政局)と説明した。

 これらの提案に対し、目立った反対意見はなく了承された。厚労省は2018年度中に外来医師多数区域の基準(上位○%)などの詳細を詰める。さらに、医師全体の偏在を見る指標のうち、産科および小児科における暫定的な医師偏在指標についても、2018年度中に検討予定だ。



https://www.medwatch.jp/?p=24132
外来医師が多い地域で新規開業するクリニック、「在宅医療」「初期救急」提供など求める―医師需給分科会 
2018年12月27日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 限りある医療資源の有効活用を目指し、外来医師が多数である地域(2次医療圏)においては、クリニック(診療所)を新規開業に医師に、「▼在宅医療▼初期救急医療▼公衆衛生―などの地域で求められる役割を果たす」ことを求めることとする―。

 12月26日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方針がまとまりました。

 来年度(2019年度)に都道府県で外来医療計画の策定などを行い、2020年4月から新規開業の届け出書の中に、上記のような「地域医療に貢献する」旨を記載することになります。
12月26日に開催された、「第26回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」
12月26日に開催された、「第26回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」
 
ここがポイント!
1 2次医療圏ごとに、クリニックが充足しているかどうかを情報提供
2 クリニック充足地域での新規開業、在宅医療や初期救急などの提供を求める
3 外来医療の情報提供などで、「医師偏在の是正」効果があるか

2次医療圏ごとに、クリニックが充足しているかどうかを情報提供

医師の地域偏在対策の具体化に向けた検討が医師需給分科会で続けられていますが、昨年末(2017年末)の第2次中間とりまとめに向けた議論では、「自由開業について一定の制限を検討すべきではないか」との指摘が少なからぬ構成員から提示されました。「医師が不足している地域がある一方で、都市部では診療所の新規開業が事実上、自由に認められている。これが医師配置の不均衡是正を阻害しているのではないか」との考えに基づく指摘です。

しかし、「自由開業の制限」には▼日本国憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する恐れがある(保険指定拒否でも同じ問題が生じる)▼駆け込み開設が増加する恐れがある―といった課題もあり、まず「開業を考える地域のクリニック(診療所)開設状況などのデータを示し、開業すべきか否かを考える機会を示す」「外来医療のあり方について、地域で関係者が協議する」ことから始める、ことで落ち着きました(関連記事はこちら)。例えば、ある医師がA都市での開業を考える際に、「当該地域ではすでにクリニック(診療所)が多数開設されている」「地域の人口は減少傾向に入っている」などといったデータを目にする機会があれば、「A都市での開業は控えたほうがよさそうだ。医師が不足しているB地区で勤務を視野に入れよう」と考えることが期待できるのではないか、という考えに基づくものです。

こうした第2次中間とりまとめを受け、医師偏在対策に向けた改正医療法・医師法では(1)外来医療機能の偏在・不足などを客観的に把握できる「指標」を導入する(2)2次医療圏ごとに外来医療のあり方を協議する場を設置する―という制度的手当が行われました。これに基づき、12月26日の医師需給分科会では、より具体的な仕組みを議論したのです。
 
まず(1)「外来医師の偏在指標」については、既に固められた「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、▼地域住民の年齢・性別の構成(受療率が異なるため)▼地域の昼間の人口(外来患者の多くは診療時間内に外来を受診するため)▼地域の医師の年齢・性別構成(医師の労働時間に違いがあるため)▼患者の流出入—などを加味して設定されます。この指標によって、全国の2次医療圏が「外来診療に携わるクリニック(診療所)の医師が、他の地域に比べて多いのか、少ないのか」を客観的に判断できるようになります。また現在、多くの診療所では「1人の医師」によって運営されているため、この「外来医師の偏在指標」は、すなわち「診療所の設置状況」をも表すことになります。
「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、地域住民の年齢・性別構成や地域医師の年齢・性別構成、患者の流出入などを勘案した「外来医師の偏在指標」を設定。これにより全国の2次医療圏について「外来医師の多寡」を客観的に把握することができる
「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、地域住民の年齢・性別構成や地域医師の年齢・性別構成、患者の流出入などを勘案した「外来医師の偏在指標」を設定。これにより全国の2次医療圏について「外来医師の多寡」を客観的に把握することができる
 
都道府県は、ホームページなどさまざまな機会を通じて、新規にクリニック(診療所)を開業する医師などに2次医療圏ごとの「外来医師の偏在指標」や「診療所・病院の所在マップ」などを情報提供します。地域の患者数は一定程度決まっていることから、クリニック(診療所)の数が多くなれば、「1クリニック当たりの患者数」は少なくなり、当然、収益も相対的に悪くなります。こうした情報を得た医師が、上記のように「この地域はクリニック(診療所)激戦区であるな。ここでの開業は控えよう」などと判断する助けをするものです。
 
クリニック充足地域での新規開業、在宅医療や初期救急などの提供を求める

また、「外来医師の偏在指標」に基づく、上位X%(数字は今後、議論していく)の2次医療圏は【外来医師多数区域】と指定されます(国がX%という数字を示し、都道府県が【外来医師多数区域】を指定する)。この【外来医師多数区域】では、クリニック(診療所)の新規開設に当たり、届け出書の中に「▼在宅医療▼初期救急医療(夜間・休日の診療等)▼公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)―などの地域で求められる役割を果たす」旨を記載することが求められるようになります。いわゆる「ビル診」であっても、自由診療(美容整形など)のみを提供するクリニック(診療所)であっても、同様の手続きを踏むことが求められます。限りある医療資源を有効活用するために、すでにクリニック(診療所)が充足している地域での新規開業には「より大きな地域医療への貢献を求める」という考えです。

「地域医療へ貢献する」旨の記載を拒むこともできますが、その場合には(2)「外来医療のあり方を協議する場」に出席し、地域医療の関係者とともに「地域において果たす役割」などを協議することになります。その際、例えば「乳がんの早期発見において卓越した知識・技術を持っており、在宅医療や初期救急などを担わずとも、地域に大きな貢献ができる」ことなどが明らかになることもあるでしょう。また地域医療の関係者と協議する中で「在宅医療や初期救急などの重要性を認識できた。そうした機能を担うことにする」と方針転換を行うこともあるでしょう。こうした協議結果は公表されることになります。

「外来医療のあり方を協議する場」は2次医療圏ごとに設置されますが、地域の実情を踏まえて「市町村単位のワーキンググループを設置する」など柔軟な運用が可能です。また、既に設置されている「地域医療構想調整会議」を活用することも可能です。

 都道府県は、この「協議する場」と連携して、新たに「外来医療計画」(2次医療圏ごとに外来医療が充足しているのか、不足しているのかを評価などする計画、詳細は今後示される)を作成し、計画に沿った外来医療提供がなされているのか(例えば、在宅医療実施を約束した新規開業医が本当に在宅医療を実施しているのかなど)のチェックなども行います。

外来医療の情報提供などで、「医師偏在の是正」効果があるか

 こうした仕組みは「医療資源の有効活用」を目指すものです。すでにクリニック(診療所)が充足している地域で開業するのであれば、「より大きな地域医療への貢献」(在宅医療や初期救急など)を求め、「その負担が過重である」と考えるならば、別の場(例えば医師少数地域の病院など)で活躍してほしい―、こういう考えに基づきます。結果として、医師偏在対策にもつながってくると期待されます。

 これまで「事実上、自由」であったクリニック(診療所)開設に、▼外来医師の可視化▼外来情報の提供▼外来医療を協議する場の設置―という一定の公的介入を行う画期的な仕組みに、多くの構成員から「歓迎」の声が上がりました。

もっとも、いくつか注文・指摘もあり、目立ったのは「実効性がどこまであるのか」という指摘です。これらの仕組みは、決して「新規開業を制限・抑制する」ことを目的としたものではありませんが、結果として「医師の充足している地域(都市部)でクリニック(診療所)の新規開業を行うよりも、医師不足地域の病院等で自身のスキルを活かそう」と考える医師が増え、それが医師偏在の是正に向けた動きとなる期待されています。

「情報提供」や「協議の場への出席」などでは、そうした期待に十分に応えることができないのではないかと考える構成員も少なくありません。例えば、森田朗構成員(津田塾大学総合政策学部教授)は、「社会資源を適正に配分する手法には、大きく▼規制▼情報提供▼経済的インセンティブの付与―の3つがあり、今般の手法は『情報提供』にあたる。『規制』は憲法問題などがあり難しそうだが、とはいえ『情報提供』だけでは心もとない。経済的インセンティブ、つまり診療報酬による誘導なども考えるべきではないか」旨を述べ、医師需給分科会から中央社会保険医療協議会に要望・提案などを行ってはどうかとの考えを示しました。

もっとも、「供給が需要に追い付いていない」(例えば、在宅医療ニーズに、在宅医療提供が追いついていないなど)ケースでは、診療報酬での加算設定などが一定の効果を生みますが、「供給が需要を上回っている」ケースに診療報酬での対応がどこまで有効かは慎重に検討する必要があるでしょう。例えば、「大病院への外来受診」を抑制するために、選定療養の設定などが行われていますが、「十分な効果をあげている」とは言いにくい状況です。診療報酬等の特性なども踏まえた検討が求められます。

実効性に関連して、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「効果などを踏まえ、さらなる方策の検討も継続してほしい」と要望。また今村聡構成員(日本医師会副会長)は、「新規開業に当たっては、安定した収益を得られるかどうかに最も関心が集まる。できれば市町村ごとに『1クリニック(診療所)当たりの平均患者数』や『分散の度合い』などを提示してはどうか」とも提案しました。今村構成員の提案は非常に重要ですが、どこまでそうしたデータを示せるのか(非常にセンシティブな情報でもある)、厚労省内で検討されます。

また、クリニック(新規)開業は、医師個人が主導するケースもありますが、▼いわゆる開業コンサルタント(卸業者など)▼大手調剤薬局チェーン▼金融機関―が主導するケースも決して少なくありません。例えば、卸業者や大手調剤薬局などが市場拡大のために「医療モール」を開設し、そこでの開業を促すといったケースなどです。裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「後者の行動・意識を理解し、手当をしなければ、実効性に欠ける」とも指摘しています。

さらに羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は、「開業届け出の時には、すでに開設準備がほぼ済んでいる。開業の1年前などに『事前申請』『予備申請』などを求め、地域医療への貢献について合意してもらう必要があるのではないか」と具体的に提案しました。

なお、神野正博構成員(全日本病院協会会長)をはじめ多くの構成員から、「診療科別の外来医師偏在指標」設定を求める声も出されました。この点については、例えば「診療科と傷病の紐づけ」など、膨大な作業が必要となるため、「今後の検討テーマ」に位置付けられています(医師偏在対策における「新たな医師偏在指標」でも同じく、今後の検討テーマとされている)。

いくつかの注文は付いたものの、▼外来医師偏在指標設定とそれに基づく情報提供▼外来医療のあり方に関する協議の場の設定―などは医師需給分科会として概ね了承されました。厚労省は、今年度(2018年度)中に、別途議論されている医師偏在対策と併せて、外来医療計画等に関するガイドライン(作成基準)を提示。都道府県では、このガイドラインに沿って、外来医療計画を来年度(2019年度)中に策定。2020年4月から、「情報提供」や「協議の場」の設置、さらに「外来医師多数地域で新規開業を行う場合の、地域医療への貢献」などが稼働することになります。



https://www.medwatch.jp/?p=24183
2019年度に医学部入学定員を特例増員し「不適切な不合格者」救済、2020年度以降の減員で調整―厚労省・文科省 
2018年12月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年度(2018年度)入学分の大学医学部入試において不適切な事例があった。不適切な不合格者を救済するため、2019年度に特例的に「医学部入学定員を拡大(増員)」する。ただし、将来の医師需給に影響が出ないよう、2020年度入学分から最長5年間をかけて「医学部入学定員を調整(減員)」する―。

 根本匠厚生労働大臣と柴山昌彦文部科学大臣は、12月25日にこういった方針を固めました。詳細は、各大学において決定されます。

 なお、12月26日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、この方針に関連して「これまで充足してこなかった地域枠分も、特例的な拡大(増員)を認めるべきではないか」との指摘が構成員から出されています。

医師需給分科会では「地域枠の充足」に向けた臨時特例増員を求める声も
 一部の大学医学部において、入学生の選考にあたり「女学生や浪人生を不利に扱う」という不適切な事例が明らかになりました。この不適切な取り扱いで不合格となった学生については、2019年度に「追加合格」として救済することになります。

ところで医学部の入学定員については、「将来の医師供給数」にダイレクトに影響します。入学定員が少なすぎれば「医師不足」となり、医療提供体制の確保ができず、逆に多すぎれば「医師過剰」となり、「医療機関等経営への影響」や「医療費の増加」などの問題が生じます(医療に置いては供給が需要を喚起する側面がある)。そこで、医師需給分科会で、▼医師偏在対策▼地域医療構想(将来の患者数や疾病構造がどのように変化していくのかを見る)▼医師の人口ピラミッド(医師の年齢構成がどう変化するのかを見る)▼医師の性別・年齢別人口(性・年齢により仕事の量が変わってくる)▼医師の働き方改革―などの要素を加味して、「医師の需給」を推計。その結果を踏まえて、厚生労働省・文部科学省で毎年度の入学定員を精緻に決めています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

このため、本来であれば「追加合格」分は2019年度の入学定員の中で確保すべきなのです。この場合、実際の「合格枠」は少なくなります(追加合格分の減少)。しかし、2019年1-2月を中心に行われる入学試験の直前に、高等学校3年生ら(もちろん浪人生なども含みます)に「直前で申し訳ありませんが、合格枠が少なくなりました」などと伝えることは余りにも酷です(各大学で入試内容などが異なるため、志望校変更なども当然、困難)。

そこで、根本厚労省と柴山文科相は、2019年度の入学分について、「通常の合格枠」に「追加合格」分を上乗せした定員とする増員措置を決定しました。ただし、「教育環境に不都合が出ない」(例えば、実習などの教育環境が適切に確保される)ことなどが条件となります。

さらに、将来の医師需給に影響が出てはいけないため、2020年度の入学分から、最長5年間をかけて「医学部入学定員」を臨時的に減少させます。
 
2019年度の入学分で、どの程度の増員となるかはまだ明らかになっていません。2018年度入試でA大学医学部を不適切に不合格となった学生が、2019年度に追加合格を希望するのか、あるいは別の大学を希望するのか、などの詳細は掴みきれていないためです。今後、各大学において▼2019年度に何名の増員を行うのか▼2020年度以降、何年かけて減員を行うのか―を決め、来年(2019年)1月の早い段階で、受験生等に「募集定員」を公表し、周知することになります。

こうした方針は12月26日の「医師需給分科会」にも報告されましたが、そこでは新井一構成員(全国医学部長病院長会議前会長)らから、「地域枠についても学生の充足がなされていないことが明らかになった。臨時特例的な増員で、この分を充足させるべきではないか」との意見が出されています。
 
大学医学部入試の地域枠は、「将来、一定期間、地域の医療機関で勤務する」ことを条件に奨学金貸与などを行う仕組みで、「医師偏在対策として、現時点で最も効果的な方法の1つ」と目されています。
この点、厚労省と文部科学省が全大学の状況を調査したところ、「地域枠と一般枠とを分けずに入試を行い、入学後に『地域枠を希望する学生』を募る」などの形で実施していると大学が一定程度、あることが分かりました。この方式では、地域枠を設定して医学部の入学定員を増加したにも関わらず「十分に学生を確保できていない」(地域枠が充足していない)ケースが少なくなく、また「奨学金を返済し、地域枠から離脱する」(地域医療への一定期間従事を放棄する)学生の割合も高く、地域枠設定の効果が薄れてしまっています(このため、今後は「地域枠選抜は、一般入試と別枠で行う」ことになりました)。

この「充足していない地域枠」について、臨時特例的な医学部入学定員増で対応すべき、と新井構成員らは要請しているのです。2019年度の入学試験は目前に迫っているため、今から新たな対応を行うことは困難ですが、2020年度以降の入学試験に向け、こうした議論が本格的になされる可能性も否定できません。

 

https://www.medwatch.jp/?p=24114
「我が国の医療のあり方」を腰を据えて考えなければ、いずれ諸問題が大噴火―日病・相澤会長 
2018年12月25日|医療現場から MedWatch

 医師の偏在対策などの議論が進んでいるが、根底にある「我が国の医療のあり方」についての青写真が明確にならないまま、目の前の議論を行っている感がぬぐえない。「立ち止まる」にとどまらず、「腰を据えて」我が国の医療のあり方について議論し、共通認識を持つ必要がある―。

 日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、12月25日の定例記者会見でこのような考えを示しました。

 なお、医師の「需給」「偏在対策」に関連して、「診療所の自由開業」について一定の制限を検討すべきではないか、との意見が日病内部で徐々に大きくなってきていることも相澤会長は付言しています。
 
医師働き方改革、医師偏在対策を進める中で、「自由開業の制限」を求める声も
 現在、厚生労働省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)において、「医師の偏在対策」の具体化に向けた議論が進んでいます。例えば、▼データ(新たな医師偏在指標)に基づいて医師少数地域・区域を設定し、比較的、医師が多数の地域からの医師派遣等を促す(短期的方策)▼大学医学部の地域枠・地元枠などを活用して、医師の地域定着を促す(長期的方策)▼医師少数地域等での1年以上勤務した医師を「認定」し、将来、地域医療支援病院の院長となるには、この「認定」を要件化する―などの具体化が議論されています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

それぞれ一定の効果が現れることが期待されますが、例えば「医師多数地域から医師少数地域への医師派遣」について相澤会長は「派遣しようにも、医師を派遣するゆとりがない」と指摘します。「医師の働き方改革」によって勤務医の労働時間短縮が進められますが、従前と同程度の医療提供を行おうとすれば、「より多数の医師」を確保しなければなりません。このため、「医師多数地域」であっても、医師派遣のゆとりが、現在以上になくなっていくと相澤会長は見通します。

また、▼大学医学部は文部科学省が所管する▼医師国家試験や初期臨床研修は厚生労働省が所管する▼専門医研修は日本専門医機構と関係学会が所管する―という「縦割り」がある中で、効果的な「医師の地域定着」策が実行できるのか、という懸念もあるようです。

相澤会長は、こうした「非常に難しい問題」について1つ1つを解決策を検討していくことの重要性はいささかも否定しませんが、「より根本的に、我が国の医療をどうしていくのかというテーマについて青写真がないまま、細部の議論をしているのではないか。『立ち止まる』にとどまらず、『腰を据えて』我が国の医療のあり方を議論しなければ、積み重なった問題が近く大噴火してしまうのではないか」と危機感を募らせました。

例えば、一方に「我が国の医療は民間・公立・公的といった多様な主体で担ってきたが、設立主体を制限するような統制医療を目指しているのではないか」と考える医師がおり、他方に「医療提供をこれまでのように自由に行っていてはもたない。一定の統制が必要」と考える医師がいます。いずれの考えにも頷けるところがありますが、こうした論点を放置し、皆が疑心暗鬼の中で「医師の偏在対策」などを検討しても、効果的な「解」は見いだせない可能性があります。相澤会長は「根本的な問題を放置し、個別の諸問題を議論しても根本的な解決にならない。近く大噴火する恐れもある」と指摘しています。

こうした点を議論する場の1つといて、厚労省の「社会保障審議会・医療部会」があります。そこでの議論にも期待が集まります。
 
また、前述したように、働き方改革などによって「多くの病院では、これまで以上に医師が不足する」事態が生じると予測されます。そうした中で、日病内部では、これまで以上に「自由開業の制限」について検討する時期に来ているのではないか、という意見が大きくなっていることも相澤会長から紹介されました。例えば、地域医療構想の実現に向けて「公立・公的病院をはじめとした再編・統合」論議が盛んになっています。これは「医療提供のあり方を地域・社会で考える」方向へのシフトと言えますが、一方で「クリニック(診療所)の開業は事実上、自由に行える」仕組みに何らの手直しを行わない、という点に少なからぬ違和感を覚える人が増えてきているとも考えられます。

医師需給分科会でも、昨年(2017年)秋から冬にかけて「自由開業の制限」を求める声が大きくなりましたが、「まず、外来医療の見える化から始めてはどうか」というところで落ち着きました。まず「地域の外来医療提供体制を明らかにし、そのデータを踏まえて、開業の是非を医師自身に考えてもらう」ところから始めるべき、との考え方です。近く、医師需給分科会で「外来医療の見える化」が議論されますが、その効果等が十分でなければ(データを提示しても、開業動向に変化がなければ)、再び「開業制限」が議論の俎上にあがってくる可能性が十分にあります。自由開業制は、我が国の医療提供体制の特徴の1つですが、現在の我が国にマッチしているのか、考え直す時期に来ていると指摘する識者も少なくありません。



http://news.livedoor.com/article/detail/15797221/
日本の大学の医学部教育は何が問題なのか? 
2018年12月27日 6時10分 東洋経済オンライン

2018年7月に成立した「医療法・医師法改正」。国会に提出された法案の文書を項目ごとに仕切るために挟まれている「仕切り紙」には、サーモンピンクの紙が使われていた。

その理由として、この法案には、サーモン(鮭)が強く関わっているらしい。

Homecoming Salmon仮説
この法律は、医師の偏在問題を扱う厚生労働省の「医師需給分科会」が議論してきた内容をまとめたものである。医師需給分科会では、homecoming salmon 仮説――鮭は生まれた母なる川に回帰するという鮭の母川回帰仮説――が、幾度となく話題になっていた。

医師需給分科会に提出されていた資料より
「地方への医師の定着に関する研究(ノルウェーの例)」
●ノルウェーの地方都市であるトロムソ(北部ノルウェー)に位置するトロムソ大学の医学部卒業生について、出身地等を調査し、卒業後の北部ノルウェーへの定着率を評価。
●北部ノルウェー出身者の北部ノルウェーへの定着率は、1979~1983 年の卒業生は82.9%、1984~1988 年の卒業生は82.5% であるのに対し、南部ノルウェー出身者の北部ノルウェーへの定着率は、33.7~42.9% であった。
●本研究は、地方で教育された地方出身の医学生は、卒業後、地元に定着する確率が高いことを示している(homecoming salmon 仮説)。

WHO(世界保健機関)による遠隔地・地方での医療従事者確保のためのガイドラインでも、homecoming salmon 仮説に符号して、地方出身の学生を対象とした入学者の受け入れが強く推奨されている。

医療法・医師法改正では、医師偏在問題の長期的施策として、医学部の入学者の受け入れ時に、(その地域出身の)地元枠を用いることが前面に打ち出されている。そこには、homecoming salmon仮説が影響していることは明らかであり、法案を作成していた関係者たちが、思いを込めて法案の仕切り紙にサーモンピンク色の紙を用いたという話は、うなずけるものがある。

次は、医学部の入試に関する私の発言である(2016年3月31日第4回医師需給分科会)。

1県1医大構想と自由競争の帰結
私は以前(2006年ごろ)、医学部の偏差値を調べたことがあります。どうして地域医療の崩壊などという問題が起こってくるのかと思って調べてみたわけですけれども、1990 年代に医学部の偏差値がものすごく上がっている。

これは1990 年にバブルが崩壊して、日本のエリート層がたたかれていく中で、親が子供をどう育てていこうかというようなことになっていくと、やはり手に職をという感じになっていくのだろうと思う。1997 年に金融危機を経験した韓国も、それ以降、国がなくなっても子供が生きていけるように、労働市場が不安定な社会でも子供が生きていけるようにという形で医学部偏重が起こってきます。

“ そういう環境変化が起こった中で、1973年の1県1医大構想の大学入試のところをずっと自由化していると、地方のほうは10月ぐらいまで運動会をやっていますので、都心の進学校に入試の段階で負けていきます。大学入試の側面でこうした大きな構造変化が起こっている中では、地域枠といっても地元出身者の地域枠でないと、これは機能しないというのを私はもう10年近く前から言っている。
“ 1県1医大が構想された1973年とは社会構造が大きく変わっておりますので、1県1医大構想の医学部入試のところを自由化していると、かつては想像していなかった問題が生じてきたことになるので、文部科学省は少し考えてもらいたい。
都心の進学校の卒業生は、地方の医学部に自動車合宿免許を取得しに行くような気持ちで入学し、免許を取ったら都心に戻る。これでは1県1医大構想の理念はたまったものではなく、そういうことが起こっているだろうと予測して、医学部偏差値を調べたわけである。

そうした中、2008年から、医学部の期限を定めた臨時的な定員増として、県が自県の地域医療の担い手を育てるために奨学金を貸与する「地域枠」が導入されている。しかし、この地域枠がどのように運営されているのかに関しては、誰もフォローアップしておらず、その実態はよくわかっていなかった。

本来、文科省が把握しておくべきなのであるが、待てど暮らせどその様子を見せなかったので、おそらく業を煮やしたのであろう厚生労働省が、2018年9月~10月に初めて調査した。

すると、地域枠学生の選抜方法については大別して2種類ある――一般枠と別枠の募集定員を設ける「別枠方式」と、一般枠等と共通で選抜し、 事前または事後に地域枠学生を募集する「手挙げ方式」――ことがわかった。

そして地域枠については、別枠方式の場合、募集数の95%に奨学金の貸与実績があるのに対し、手挙げ方式だと69%しか貸与実績がなく、離脱の状況についても、別枠方式の場合、94%が義務履行すると推定されるのに対し、手挙げ方式だと84%しか義務履行されないという結論であった。

これが報告された医師需給分科会では、手挙げ方式というのは、地域枠という名目で入学定員を水増ししたズルなのではないか、詐欺のような話ではないかとの声も出ていた。そして、この件に関して、メディアは医学部の問題であるように報道していた。

この点、私は、会議で次のように発言していた。「この中で社会科学者は私1人だけなのですけれども、おそらく医学部が偏差値を守ろうとするシステムを考えていくと、こういうもの(手挙げ方式)が生まれてくるのだろうと思います」。

医師の養成問題と医療介護の一体改革
臨時定員増として認められた地域枠を、閣議決定をも経た政策の目的に沿うように執行していく責任は、会議の中で「文部科学省がきちんと精査する義務があると思います」との意見もあったように、文科省にある。文科省も、「これまで私どもはフォローアップをきちんとやっておりませんでした。そこは私どもが至らなかった部分だと思っております」と答えている。

ただし医師需給分科会に出席している文科省担当者に、どうして地域枠が目的外の使われ方をしたのかという質問がなされたとき、文科省担当者は、「大学の自治」という言葉を使って答えていた。

このあたり、いったい何が起こっているのかを理解するためには、どういうふうにひもといていけばいいのか。この問題を理解するためには、今、医療が大きく転換しようとしていることを押さえておく必要があるようにも思える。

まず、この国――というよりも、世界中の先進国は、従来の医療から高齢社会に向けた医療に変わろうと努力していること、そのために、高齢社会ゆえの医療ニーズに見合った提供体制の改革を行っていることをスタートとして押さえておこう。

この改革は、日本流の言葉、つまり2013年に医療改革のビジョンを示した『社会保障制度改革国民会議』の中での表現を用いれば、病院で治す「病院完結型医療」から、地域で治し支える「地域完結型医療」への転換である。

地域完結型医療では、医療そのものが、単に治癒することを目的とするのではなく、複数の疾患を抱えた人たちのQOL(生活の質)の維持向上を図ることが目的となり、その先には、QOD(死に向かう医療の質)を高める目的も視界に入ってくる。すなわち、そこでの医療では、死は敗北などではない。

そしてそうした医療は、実のところ医療と介護の境界はなく、医療介護の一体改革が必要となってくる。そうした方向に、かつて主流であった「病院完結型医療」という性質を強く残す日本の医療を改革していくことを主導しているのは、厚労省である。ところが、医療を担う医師の養成は文科省の管轄下にある。実は、このあたりの矛盾が、今回の問題の根底にあるとも言えるのである。

たとえば、先に紹介している私の発言のように、医学部が偏差値を守ろうとする、つまり、企業が利潤極大化行動を取り、消費者が効用極大化行動を取るように、医学部が偏差値極大化行動を取るとする。そうした行動を取る医学部に、地域枠という名前で増員枠を利用できることを伝えるだけであれば、医学部は、「手挙げ方式」のような偏差値に影響を与えない方法を編み出すことは予測できる。

しかしそうした方法では、地域枠によって医師の地域定着を図るという政策目標を満たすことが難しいことも事前にわかるはずである。ゆえに、文科省が、地域枠の増員を決めた法律の目的を果たすためには、相当の行政努力が必要であったはずである。ところが、そうした行政責任を持つ文科省は、この国の医療が今、地域で治し支える地域完結型医療に変わろうとしていることに、関心と、ひょっとすると知識がないのかもしれない。

そうなると、医療と介護の一体的改革を進め、日本の医療を、ニーズに見合うように地域完結型医療に変えていくためには、医学教育の責任者も、大きく変わらなければならないところに来ているのではないかということになる。

先日、日本病院会というところで、医師需給分科会における偏在対策の議論の説明をする機会があった。そのとき、「慶應大学の医学部も、日吉にいる間は文科省、そして医学部がある信濃町に移ったらそこでのカリキュラムは厚労省が関わっていくという方向を考えてみたいものです」と話してきた。

それは、2013年の社会保障制度改革国民会議で描かれた医療改革のビジョンの実現が、医学部のガバナンス問題が障害となって、なかなか厳しい局面に来ているようにもみえるからである。本当のところ、こういう問題は当事者たちには変えることは無理で、政治による解決こそが求められているようにも思えるのだが。

医療教育の現場で起きていること
より具体的には医学教育の現場では、どういうことが起こっているのかを端的に示すために、聖路加国際大学の学長である福井次矢先生が医師需給分科会でなされた発言を紹介しておこう。

“ 内面的なインセンティブというか、地域医療をやりたいという心持ちに医学生がなるよう、そもそも医学教育がそういう方向で行われていないというのが実情です。(中略)私はかつて17年間総合診療をやっていましたが、ある大学で入学時には医学生の50%がプライマリケアを将来やりたいと答えていたのですけれども、卒業時には2、3人になりました。
“ それはなぜかと言うと、私も経験がありますけれども、総合診療部なんか入るなと、そういうメッセージをいろいろな臓器別専門診療科の先生方は学生に言い続けるわけです。
“ したがって、ジェネラルをやる、全身的に診るという理想に反して、高度な医療機器も使えない、そういう診療をやるのはレベルが低いというメッセージを6年間ずっと伝え続けられますので、心の底から地域医療をやりたいと思う人は、よほど芯の強い人だと思います。ちょっとした外形的なインセンティブでは行動変容は起こらないのが実情だと思います。
“ 学生が6年間で地域医療に興味を持たなくなる理由の最大のものは、臓器別専門の教授が非常に多くて、その先生方のネガティブキャンペーンです。

 今、この国の医療がどのような改革の途中にあるのかについては、「日本の医療は高齢社会向きでないという事実――『提供体制の改革』を知っていますか? 」(2018年4月21日)や、「喫緊の課題、「医療介護の一体改革」とは――忍びよる「ポピュリズム医療政策」を見分ける」(『中央公論』2019年1月号)を参照されたい。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201812/559264.html
記者の眼◎土田絢子=日経ヘルスケア
公立病院の改革を左右する首長の存在
 
2018/12/26 土田絢子=日経ヘルスケア

 これから人口減少と少子高齢化が急速に進む日本において、急務とされているのが、医療ニーズの激変に合わせた地域医療体制の再構築だ。人口減少によって患者数が減るばかりでなく、少子化・高齢化によって医療ニーズの中身も変わる。2055年に向けた疾患別の入院患者数の推計によると、悪性新生物はほぼ現状と変わらないが、肺炎・心疾患・脳血管疾患といった高齢者に多い疾患は入院患者数が大幅に増えることが分かっている(図1)。


図1●入院患者数の将来推計(2015年を1とした場合の増加率) 日経ヘルスケア2018年1月号より ※7対1・10対1一般病棟入院基本料は2018年度診療報酬改定で再編されて急性期一般入院基本料となった

 そこで、地域の医療関係者間の協議を通じて適切な医療提供体制を構築する「地域医療構想」の策定に向けた取り組みが2015年にスタートした。2016年度には全国の都道府県で地域医療構想の策定が完了し、2017年度からは二次医療圏を基本単位とする全341構想区域で「地域医療構想調整会議」(調整会議)が始まっている(図2)。


図2●地域医療構想の基本的な枠組み 日経ヘルスケア2018年12月号より

 ここ1年、調整会議で中心的なテーマの一つとなってきたのは、公立病院・公的病院の将来像の検討だ。現状と将来における医療機能、病床稼働率、紹介・逆紹介率、医師数といった経営情報を記載した「新公立病院改革プラン」(公立病院向け)や「公的医療機関等2025プラン」(公的病院向け)を策定して、2018年度中に調整会議で合意を得る方向となっている。2018年9月末時点では新公立病院改革プランの対象病院の39%、公的医療機関等2025プランの対象病院の52%が合意に至った(図3)。


図3●新公立病院改革プラン、公立医療機関等2025プランの議論の進捗状況(2018年9月末時点) 厚生労働省の資料より

年5000億円近くの補助金などが投入される公立病院

 公立病院・公的病院の改革が優先されているのは、それらが補助金や税負担などで手厚い優遇措置を受けているからだ。特に公立病院では、自治体など他会計からの繰入金が毎年5000億円近くにも上り(図4)、法人税(国税)や事業税(地方税)なども非課税だ。こうした公立病院の役割が、優遇措置のない民間病院では担えない分野(へき地医療や救急、小児。周産期などの不採算部門など)に重点化されているかについて、調整会議で確認しなくてはならない。


図4●2012~2016年度の公立病院の損益収支 総務省ウェブサイトより、2016年度の他会計繰入金は4938億円

 この調整会議の議論によって、一部の都道府県では、公立病院が病床規模を維持したまま急性期病棟の一部を回復期病棟へ転換しようとする動きに一定の歯止めがかかってきた。

 例えば、2010年から2025年に向けて総人口が約8.8%減少し、75歳以上の後期高齢者の人口が約25.5%増える佐賀県。その東部区域の調整会議において、国立病院機構東佐賀病院(佐賀県みやき町、356床)が、「民間病院が回復期機能を担わなければ、休棟中の55床を回復期として再開したい」という方針を表明した。しかし調整会議では、「民間病院の今後の取り組みで、回復期機能は充足が見込まれる」との見解で一致。これを受けて、東佐賀病院の休棟55 床は許可病床から削減することとなった。

 民間中小病院が多い東京都でも、医療関係者の間に認識の変化が見られる。ある公立病院が地域包括ケア病棟を運営していることについて、調整会議で「民間病院が担える分野ではないか」との指摘が相次いだ。その議論を契機に、「公立病院で急性期病棟に空床が生じた場合、地域包括ケア病棟に転換するのではなく病床の返上を考慮すべきだ」という考えが調整会議の関係者の基本認識になった。地域医療構想の取り組みによって、公立病院の機能拡大への抑止力や病床削減を求める動きが表れてきたわけだ。

 とはいえ、こうした変化が見られる地域はまだ一部。「公立病院から退院患者を引き受けるなど日常的に協力関係にある民間病院側が、調整会議で公立病院の方針に反対することはできない」という声が少なくない。その結果、「調整会議ではほとんど何の意見も出ないため、そのまま合意されたことになっている」と多くの関係者は話す。

 さらに12月21日に開催された厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、山形大学医療政策学講座教授の村上正泰氏が公立病院の改革は政治的影響で進みにくいケースがあることを指摘した。公立病院の経営トップである首長(県知事、市長村長)の意向によって公立病院のあり方が左右され、地域の関係者間での合意事項が変更されるケースがあるのだという。

 ある地域では、関係者の話し合いで公立病院の病床削減、機能縮小の方針が決まったにもかかわらず、首長の方針で重装備の救命救急センターを新設することとなった。同様の事例は、ワーキンググループの複数の構成員からも挙がっている。公立病院の改革の方向には地域住民の関心が高く、公立病院の機能拡大を選挙公約で掲げる首長もいる。そうした場合に医療ニーズを無視した計画が打ち出されがちなのだそうだ。

 財政状態がひっ迫する日本では、地域の医療ニーズにマッチしないにもかかわらず大幅な補助金が投入されている公立病院の改革が必須だが、このように一筋縄ではいかない。それでも中には、公立病院の抜本的な統合再編が行われる地域があるのも事実だ。そこではどのような協議がなされたのか、どのような取り組みによって改革に至ったのか、事例をよく研究して横展開していく工夫が必要だろう。



https://this.kiji.is/451303893102822497?c=39546741839462401
医師不足で腎臓移植中断へ
北海道・市立旭川病院
 
2018/12/28 17:39 ©一般社団法人共同通信社

 脳死した人や心停止した人からの腎臓移植をする医療機関に指定されている北海道旭川市の市立旭川病院が、担当医師の退職を理由に来年4月以降、当面手術を中断することが28日、病院への取材で分かった。

 病院によると1995年以降、生体移植も含め92例の腎臓移植手術をしてきたが、担当医師が来年3月末に一身上の都合で退職することになり、後任の確保のめどが立たないという。来年4月以降、実施可能な移植手術は骨髄移植のみになる。

 病院は、腎臓の移植手術を待つ患者に他の医療機関を紹介し、今後、医師が確保できれば手術の受け付けを再開したいとしている。



  1. 2018/12/30(日) 23:10:03|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

12月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/649357
消費税問題「解決してない」、地域医療を守る病院協議会
「偏在対策、働き方改革より先に取り組んで」
 
レポート 2018年12月21日 (金)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は12月21日、記者会見を開き、消費税補填問題に関して、「我々は解決したとは思っていない」と見解を示した。同協議会は9月、消費税補填方法の再検討を求める要望書を厚生労働省に提出しており、「追加で要請が必要なものはタイミングを見て再度提出する」としている。

 自民党・公明党が公表した「2019年度与党税制改正大綱」で、診療報酬での補填と特別償却制度の拡充・見直しが行われることを受け、日本医師会は「消費税問題は解決と考えている」などの見解を示していた(『「非課税下での消費税問題は全体で解決」、三師会と四病協が合同会見』を参照)。

 全国自治体病院協議会副会長の中島豊爾氏は、「補填率がほぼ100%になると言っているが、計算式が示されておらず納得できない。我々の団体としては解決したとは思っていない」と強調。全国厚生農業協同連合会理事長の中村純誠氏は、「損税が医師不足に輪にかけて経営の負担になっている。抜本的な改善を望んでいたがまるで改善できず遺憾であり、大変残念」と述べた。

 また、医師の偏在問題にも言及。同協議会は医師の働き方改革に関しても要望書を提出している(『消費税問題、働き方改革で要望へ』を参照)。中村氏は「医師の働き方改革が偏在をより助長する」と指摘し、「一定の地域の勤務を義務化する管理者要件やタスク・シフティングなど、要望した10項目と検討結果を精査していきたい」とした。全国国民健康保険診療施設協議会会長の押淵徹氏は、「医師の働き方改革より先に医師の偏在対策に取り組むべきではないか」と要望した。



https://www.medwatch.jp/?p=24090
医療の消費税問題、「非課税」の中での対応には限界、「次の方策」を早急に検討―日病協 
2018年12月21日|医療現場から MEDWATCH

 医療の消費税問題について、「消費税非課税の中で診療報酬での補填で対応する」現在の仕組みには限界があることが明確になった。2019年10月の補填状況を詳しく見ていくとともに、早急に「次の方策」を検討していく―。

 12月21日に開催された日本病院団体協議会の代表者会議において、こういった点で意見が一致したことが山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から報告されました。
 
消費税非課税の中では、消費税負担の償還(いわば還付)は税理論上不可能
 保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することはできず、医療機関等が最終負担しています(いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれる)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担が大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度、2014年度)。

 しかし、診療報酬の算定状況は個別医療機関で異なるため、「個別医療機関の補填の過不足」がどうしても生じてしまいます。このため三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院会協会で構成、以下、四病協)は、「医療界が一致団結できる具体的対応」として次のような仕組みを導入することを今年(2018年)8月29日に提言(関連記事はこちら)。厚生労働省も同様の税制改正要望を行いました(関連記事はこちら)。

(1)特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填を維持する

(2)個別の医療機関ごとに、▼診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額▼控除対象外消費税の負担額(医薬品・特定保険医療材料を除く)—を比較し、医療機関の申告に基づいて「個別の過不足」に対応する

 しかし12月14日にまとめられた与党税制改正大綱では、「診療報酬の配点を精緻化することで、医療機関種別の補填のバラつきは是正されるが、実際の補填状況を継続的に調査し、必要に応じて診療報酬の配点方法を見直すことが望まれる」旨を記載するにとどめ、医療界の要望については言及を避けました(自由民主党のサイトはこちら)。

 この点について、四病協に加え国立大学附属病院長会議や全国公私病院連盟、全国自治体病院協議会、国立病院機構、日本慢性期医療協会なども参画する「日本病院団体協議会」の代表者会議では、「消費税非課税制度の中では、やむを得ない。ベストな解決であった」との見解で一致しました。

 上記の医療界の要望は、個別医療機関が収めた消費税について、いわば「還付」を求めるものです。しかし、税理論上「非課税のままで還付を認めることはできない」とされています。したがって、(2)のような仕組みの創設はそもそも不可能であった、とも考えられ、「非課税制度の中では、やむを得ない」という見解につながっています。

 もっとも、現行の診療報酬による手当では「個別医療機関の補填のバラつき・過不足」を解消することはできません。2019年10月の消費税率引き上げに向けて消費税対応改定を検討する中央社会保険医療協議会では「配点の精緻化」を行い、医療機関種類別の補填バラつきは相当程度解消される見込みですが、上述のとおり「点数の算定状況が個別医療機関で異なる」ために、個別医療機関における補填のバラつきは解消できない、つまり「消費税非課税の中で、診療報酬での対応には限界がある」のです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 今後、高齢化が進行し、社会保障の充実などが求められる中では、安定財源である消費税に着目した税率のさらなる引き上げが検討されます。このため日病協では「消費税非課税の中での対応に限界があることが明確になった。『次の方策』について早急に検討していく」考えでも一致しています(関連記事はこちら)。

 『次の方策』は、医療の消費税問題を抜本的に解決するための方策と言え、どのようなものなのか、いつまでに方針を固めるのか、などは未確定ですが、例えば、従前より病院団体内部で検討されている「ゼロ%の消費税を診療報酬に『課税』する」仕組みなどが考えられそうです。この場合、消費税が「課税」されているため、消費税負担の償還(還付)を求めることが理論上可能になります。もちろん、ゼロ税率課税とし還付を求めるためには、「支払った税額を正確に把握するために、▼帳簿の保存▼取引の相手方が発行した請求書などの客観的証拠の保存―が必要となる」(いわゆるインボイス制度)など、検討・解決すべき課題も多々あります。今後の検討に注目が集まります。なお、日医は12月14日に「長年の懸案が解決された」との見解を示しており、「次の方策」についてはコメントしていません(日医のサイトはこちら)。

 また前述のとおり2019年10月には消費税率が引き上げられ、これに伴った消費税対応改定が行われる予定です。これについて日病協では、「来年(2019年)6月頃には2018年度の病院決算状況が明らかになる。これに新点数(2018年度中に告示される見込み)を適用し、医療機関種類別の補填バラつき・過不足が本当に解消しているのか検証する」考えも示しています。
 


https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181219-OYTET50067/
医師の働き方改革巡り、健康確保策を点検…第三者機関設置へ 
2018年12月19日 読売新聞

 長時間労働が常態化している医師の働き方改革を巡り、厚生労働省は19日、残業時間の上限を一般労働者より緩和する代わりに健康確保策が確実に実施されているかチェックする第三者機関を設ける方向で検討に入った。年明けにも具体的な議論を始める方針だ。


 来年4月施行の働き方改革関連法で、労働者の残業の上限は最大年720時間となる。医師については医師不足地域に配慮し、5年の経過措置を設けたうえで、上限は省令で別に定める。

 厚労省は今年度内に残業の上限を決める方針で、現在、一般の医療機関で働く医師は年960時間とする方向で調整中だ。地域の中核的な医療機関の医師や、経験を積む必要がある研修医ら特定の医療機関の医師は上限をさらに緩和する。

 ただし、健康確保のため、終業と始業の間に9時間の休息を求める「勤務間インターバル」や、連続勤務は28時間までとする制限を設ける。上限を緩和する特定の医師には義務化を検討している。

 しかし、健康確保策の実施が順守されるか疑問視する声もある。このため、自民党のプロジェクトチームが18日、実施を促す第三者機関の創設を求める中間提言案を公表。日本医師会も必要性を指摘していた。

 第三者機関は、都道府県などが地域の医療機関の労務管理を支援する「医療勤務環境改善支援センター」などで検討する。



https://biz-journal.jp/2018/12/post_25995.html
連載 上昌広「絶望の医療 希望の医療」
山形大学医学部、女子合格率が男子の半分以下…国立大医学部の調査をしない医学界の闇
 
文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
2018.12.22 Business Journal.

 医学部入試における男女差別が社会の関心を集めている。今夏、東京医科大学の不正入試が発覚して以降、不祥事が続出した。11月22日には神戸大学で、奨学金と引き換えに、卒業後9年間を県内の医師不足地域で勤務することが義務づけられている地域枠で、へき地出身者に最高で25点(入試は1200点満点)も加点されていたことが明らかとなった。神戸大学は同日に記者会見を開いたが、地域枠の定員は10人で、今年は38人が応募したという。当落線上の受験生にとって大きかっただろう。神戸大学は来春以降、この優遇措置を止める。

 来年度の医学部受験は、これまでとは大きく変わりそうだ。入試シーズンが迫り、医学部を目指す受験生は気が気ではないだろう。では、医学部受験はどうなるだろうか。もちろん、男女差別はなくなり、卒業生の子弟やへき地出身者への優遇措置はなくなるだろう。果たして、これでよくなるだろうか。私は、そうは思わない。それは、世論の反発を受けて、「不正入試」をやめても、医学部のガバナンスは何も変わらないからだ。それを象徴するのが、11月16日、全国医学部長病院長会議が開いた記者会見だ。
 東京新聞は「性別や浪人年数、年齢といった属性により、医学部入試の合否判定で扱いに差をつけることは認められないとする規範を公表した。強制力はないが、これに反する行為が判明した場合は同会議からの除名を含む処分の対象にし、来春の新入生を対象とした入試から適用するとした」と報じた。

 前出の神戸大学の記者会見は、全国医学部長病院長会議の記者会見の1週間後に開かれており、後者が圧力となった可能性が高い。ただ、私は前出の東京新聞の記事を読み、この記者会見こそ、医学部のガバナンスの欠如を象徴していると感じた。

決定プロセスへの疑問

 違和感を抱いたのは以下の3点だ。

 第一は、記者会見の主体である全国医学部長病院長会議とは何かということだ。

 そのホームページには、「全国における国公私立大学医科大学長、医学部長又は附属病院長を会員として、医育機関共通の教育、研究、診療の諸問題及びこれに関聨する重要事項について協議し、相互の理解を深めるとともに意見の統一をはかり、わが国における医学並びに医療の改善向上に資することを目的」とすると明記されている。今回も「意見の統一」をして、その結果を記者会見したのだろう。

 ただ、これは異様だ。大学の意志決定機関は理事会である。当然だが、受験対応は理事会マターである。単科の医科大学では、医学部長が理事会を仕切っていることもあろうが、総合大学は違う。医学部長だけで医学部受験のやり方はきめられない。
 東京大学では、医学部長は理事会のメンバーですらない。また、東京大学の受験生は一旦、教養学部に入学するため、入試対応は教養学部の教員が中心となる。医学部長が独断で理科三類の入試のあり方を変えることはできない。理科一類と工学部、理科二類と理学部、農学部などの関係を考えれば、ご理解いただけるだろう。

 いったい、医学部長たちはどのような議論を経て、今回の声明に名を連ねたのだろうか。それぞれ所属する組織で議論し、機関決定したのだろうか。学問と組織運営は違う。学問は大いに自由に議論すべきだが、組織決定は所定の手続きを経なければならない。大学という組織の中間管理職にすぎない医学部長が、個人の資格で徒党を組んで、外部に発表することは、まともな大人のやることではない。

医学部のガバナンス改革が急務

 第二は、なぜ、女性差別について、国立大学を調査しないかだ。医学部入試では、国公立大でも男女の合格率に大きな差があったことが知られている。ハフィントンポストによると、2018年度の入試で、女子の合格率が男子の半分以下だった大学が6つ存在し、このうち3つは国立(山梨、岐阜、新潟大学)だった。この数字は異様だ。多くの読者は、女性受験生差別があったと考えるだろう。

 また、今回の記者会見には、2人の山形大学関係者が出席した。山下英俊・医学部長と嘉山孝正・山形大医学部参与だ。10月19日に河北新報は、以下のように報じている。

「山形大医学部の男女の合格率格差は過去6年間の平均で1.29倍と東北の国公立大医学部の中で最大だった。単年度では2015年度に女子の合格率がわずかに上回り0.95倍となったが、13年度には全国79国公私立大で最大の1.99倍となっていた。」

 山下氏、嘉山氏がまずやるべきは、自らが所属する大学を調査し、その結果を公表することだ。第三者による調査が望ましい。そして、他の大学にも検証を呼び掛けることだ。

 このような背景を知ると、彼らの動きの見え方も変わる。知人の全国紙の記者は「(山下氏、嘉山氏は)今回の記者会見で、この件は解決済みにしたいのでしょう」と批判する。もちろん、問題を指摘された他の国立大学も同様だ。全国医学部長病院長会議は、なぜ自主的に調査しないのだろうか。
 第3の疑問は、記者会見で説明した嘉山氏だ。嘉山氏は山形大医学部参与だ。医学部長ではない。彼が医学部長を務めたのは2010年までだ。なぜ、このような人物が会見するのだろうか。私は嘉山氏とは旧知だ。実力・実績ともに申し分ない。現在も山形大学や全国医学部長病院長会議を仕切っているのは医学界で有名だ。もし、嘉山氏に意見があるなら、彼個人が自分の意見として発表すればいい。全国医学部長病院長会議のような「肩書」に頼る必要はない。

 このような背景を知ると、全国医学部長病院長会議の実態がわかる。特定の人物が組織の権威をかたり、自らの意見を訴えているだけだ。大した議論をすることなく、声の大きいものの意見が通る。これこそ、医学部や大学教授が仕切る医学界が抱える問題だ。

 組織のガバナンスとは、リーダーがダメな時に、被害を最小限に食い止めるためのものだ。だからこそ、手続きが大切なのだ。ところが、医学部では一部の人間が正式な機関決定を経ず、徒党を組んで決めてしまい、それを記者会見まで開いて世間に訴える。この滑稽さをメディアも報じない。11月21日付日経新聞は社説で「医学部の入試指針を順守せよ」と掲載し、嘉山氏たちの主張を支持した。

 こうして時代錯誤の男女差別が続いてきた。いまこそ、医学部および医学界のガバナンスを考え直すべきときだ。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)

●上昌広(かみまさひろ)
1993年東大医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。 虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の診療・研究に従事。
2005年より東大医科研探索医療ヒューマンネットワークシステム(後に先端 医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年3月退職。4月より現職。星槎大学共生科学部客員教授、周産期医療の崩壊をくい止める会事務局長、現場からの医療改革推進協議会事務局長を務める。



http://blog.livedoor.jp/dannapapa/archives/5003980.html
今の医師の働き方 現状の無理を通そうとしていることが全て 
中村ゆきつぐのブログ2018年12月16日 07:50

ついに10大学になった医学部不正入試問題。皆さんは一体どう思いでしょう。この問題に対しあの川越救急クリニックの上原先生がFBでコメントされています。

>さて、この一連の報道で一番の問題は何なのでしょう?合否判定が不正だった?女性軽視??多浪生軽視?医学界の闇???

今マスコミが一番問題にしているところです。特に女医問題含めてこの手の話は弱者に対する強者の差別という焦点ではっきりしやすいテーマです。また入試平等の正当性については補助金ももらっていますから叩きやすいですよね。(それでも金曜日の夕方NHKが少し総合的に報道していたことは期待してます)

>どうも世間やマスコミ各社の論調を見ているとこの辺りを問題視しているようですが、根本に迫る報道は皆無です。一番問題にして欲しい部分・・・『なぜどの大学も男子を確保したがっているのか?』『なぜ多浪生は避けられるのか?』を検討していないのです。

上原先生があげたこの問題、なぜこのようなある意味差別がまかり通っていたのか。今の医師の働き方問題になります。

人件費が高い医師を最低人数で回している大学病院含む総合病院。それこそ途中で休んで欲しくないし、そして長期間、いや短期間でも健康被害をおこさずにギリギリまで働いてほしいと利益上常に考えています。50台で入学し60前に卒業して36時間不眠不休の当直業務をこなしている最中に倒れてしまっては、それこそ労働管理上絶対に困るわけです。

またはっきり言えば男性と女性は生理学的に異なります、生理が月に1回存在しますし、妊娠すればある程度の長期離脱が余儀なくされます。今回の女性選別、かなりの大学が共通しておこなっていたというのは一部の悪徳業者が特殊にやっていたわけではありません。ツイッター界で有名な産婦人科医ダビトラさんのツイートです。

タビトラ
@tabitora1013
受験差別をしてきた医学部各位、長時間オペに向かう体力がないとかコミュ力がどうとかわけのわからない大喜利釈明してないで、女医は妊娠や結婚、子育てで抜ける、早退欠勤するから迷惑なんだよって実際に医療の現場で言ってるそのままを言ってええんやで?
13,637 10:52 - 2018年12月12日

8,164人がこの話題について話しています

そう、今の医療における労働環境、利益環境を特に変えたいと思わない上層部たちが、この女性含めた若手医師の労働ブラック環境を経営者の当然の権利と続けているのです。

地方の医師の働き方、以前書いた記事の内容が報道されている記事です。(勤務医、残業上限を年960時間 働き方改革、厚労省調整)医師不足の地域で一所懸命働いている医師を犠牲にして、労働時間も守ってあげずに奴隷のようにとりあえず黙って働けという今の状況を続ける、まさにこのような地方の奴隷のような医師を今後もつくるための入試における女性と多浪選別なのです。

なぜ現場の声が届かないのか。それは若手を守ろうという上司の行動が出てこないからでしょう。自分の立場を守り、組織の改善を行わなかった歴史が、このような理不尽な行為を当然と思う思想を生んだのです。(日大アメフト部事件、レスリング事件と同じ構図かもしれません)

そこには病院学会、医師会も関与しています。正直自分たちは汗をかかず、楽して下を働かせれば今までどおりなんの問題もない。自分たちの時代はそうだった、何を甘えたことを言ってるんだという経験則からきています。そして自分たちはもう時間がそれほどないから無理して変えなくていい。

はっきり言います。あなたたちの時代の臨床の仕事量と、今の若い人の臨床の仕事量は全く違うからね。昔は一晩かからなきゃ出ない検査が今は1時間で出る時代だよ。

昔は家で休めた時間に病院に待機しなければいけない今の先生たち。それを昔と同列に考えてはいけないんだよ。人間は生き物。ロボットじゃないからね。

時代は変わっている。医学も変わっている。そんな中働き方を変えないと心や体がもうもたないんですよ。その結果事故が起きたら、当たり前だけど患者を守ることができない、だから医師は逃げる。そして残る焼け野原を必死に守る中年医師。

都会だけ良くてもどうしようもないんだけど、団塊の高齢者が少なくなるのを待って、そして田舎の生活を捨てさせればいいと思っているのかな?多分絶対厚労は言わないだろうけど。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/474383/
不適切医大入試 医学界全体で差別なくせ 
2018年12月20日 10時49分  西日本新聞朝刊=

 医学部医学科を置く大学の9校に1校が、特定の受験生を優遇するなど不適切な措置を実施していた。不当な入試の横行に憤りを禁じ得ない。

 文部科学省が全国81校に実施した緊急調査の結果を発表した。不適切とされたのは、最初に問題が発覚した東京医科大のほか、順天堂大(東京)、福岡大など9校に上る。聖マリアンナ医科大(神奈川)も不適切な可能性が高いと指摘された。

 9校のうち東京医科大など3校で、男性に一律に加点するような「女性差別」が確認された。浪人生を不利に扱う措置は福岡大など6校が行っていた。

 各校は早急に、不当に不合格とされた受験生の救済や補償に誠実に取り組んでほしい。

 他にも国公立を含め10校以上で、面接評価に「保護者が同窓生」のコメントがあるなど、疑惑を招きかねない事案が見られたという。今回の発表で、医学部入試の不透明さが一掃されたとは言えまい。指摘を否定した聖マリ医大を含め全大学で改めて過去の入試を検証すべきだ。

 全国医学部長病院長会議は11月、性別や浪人回数で差を設ける入試を不適切とする一方、一定の条件で同窓生の子弟枠を容認する規範を示した。

 子弟枠が寄付金目当てに使われる懸念はないのか。医師の養成には公費が投じられる。特定の受験生を有利にする措置に国民の理解が得られるのか。さらに議論を深める必要があろう。

 不適切入試の背景には医療現場のさまざまなひずみがある。

 女性医師は結婚や出産に伴い離職しがちで、それが現場の医師不足を招く一因との指摘がある。仮に事実としても女性差別で解消を図るのは言語道断だ。

 厚生労働省の2014年のまとめでは、日本の女性医師の比率は、経済協力開発機構(OECD)の加盟国で最低である。現状を直視し、医療現場のワークライフバランスの是正など、女性医師が無理なく定着できる環境整備を急ぐべきだ。

 神戸大は地域特別枠で過疎地域の出身者に、金沢医科大は北陸3県の高校出身者らに加点していた。九州も医療過疎地を抱えており、地域医療体制を守りたいという意図は理解できるが、募集要項にない基準に基づく得点操作は明らかに不当だ。

 どんな人材を入学させるのか。大学には自治に基づく裁量がある。ただ、「公正かつ妥当な方法」で行われるべき入試が、医療現場の都合で内密に操作されていいはずがない。医学界全体で問題を重く受け止め、医療を志す受験生、現場の医師、信頼できる医療を望む国民の誰もが納得できる、適正な入試実現の努力を求めたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/648390
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「連続勤務は28時間まで」「勤務は9時間のインターバル」
時間外労働の上限緩和は「医師の健康確保措置」が義務
 
レポート 2018年12月17日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は12月17日の第14回「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、医師の時間外労働の上限を「一般則」よりも長時間とする条件として、「勤務時間と次の勤務時間までには、9時間のインターバル(休息)を確保」「連続勤務は28時間までとし、当直明け後の勤務間インターバルは9時間×2日分の18時間」とすることを提案。

 管理者の立場の構成員は、「現場感覚から言うとかなり厳しい」などと述べ、地域医療への影響を懸念した一方、現場の医師などからは、「過労死水準」を容認する時間外労働の上限設定を問題視したり、「ブラック認定されたら、さらに医師が集まりにくくなる」との声が上がった(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は、2024年4月から適用する医師の時間外労働の上限として、(1)「達成を目指す水準」を定めるとともに、(2)地域医療確保、(3)医療の質の維持・向上の観点(技能向上)から、経過措置としてさらに長時間の時間外労働を認めることを検討している(『医師の時間外労働上限「地域医療確保」「技能向上」で2階建て提案』を参照)。勤務間インターバルと連続勤務時間制限は、(1)では「努力義務」、(2)と(3)では「義務」となる。健康が維持されているかを把握するため、面接指導・健康状態の個別的モニタリングも必要。

 17日の会議で厚労省は、医師の負担軽減策として、「民間保険会社が医療機関に求める診断書等の簡素化等に関する研究会」の進捗状況を報告したほか、看護師の特定行為研修制度に、研修の質を確保しつつ、効率的に研修ができるよう、2019年度から頻度が高い特定行為をパッケージ化して研修できるようにすることも提案。

 診断書等については、研究会の議論を踏まえ、一般社団法人生命保険協会が「診断書様式作成にあたってのガイドライン」を2018年度末を目途に改定する予定だ。

 特定行為研修制度のパッケージ化について、厚労省は「外科術後管理領域」「術中麻酔管理領域」「在宅・慢性期領域」の3案を提示。この案は支持されたが、特定行為は「医師の包括的な支持の下」で行うため、より主体的に行為が行えるよう、米国のナース・プラクティショナーのような新たな資格の検討を求める声が上がった一方、あくまで現行の法制度内でできることを検討すべきとの意見が対立。厚労省医政局総務課長の北波孝氏は、「現行法の中で、何ができるかを中心に考えていく必要がある」と述べた。

 本検討会は、今年内に骨子をまとめる予定。第13回までの議論をまとめた「骨子案のたたき台」も提示された。医師の時間外労働の上限を3区分で考えることについては賛否が分かれており、両論併記となっている。12月19日に予定されている検討会では、これをさらに深めるとともに、17日の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の「国民プロジェクト5つの方策」も説明予定(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。

 「現場感覚から言うとかなり厳しい」
 勤務間インターバルや連続勤務時間制限は、医師の時間外労働で例外を認める代わりに、医師の健康確保措置として導入される。インターバルの間に、オンコールを受けた場合などは、別途休暇を取得する「代償休暇」の対象とする。連続勤務時間制限は、米国卒後医学教育認定協議会(ACGME)を例に、「24時間+引き継ぎ4時間」=「28時間」とした。

 社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏は、「勤務間インターバルや連続勤務時間制限は、医師の健康確保からは必要だが、現場感覚から言うと、かなり厳しい。診療への影響がかなり大きく出るのではないか」と述べ、「地域医療を守ることができるのか」と疑問を呈した。

 千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏も、必要性は認めたものの、「難易度が高い手術は長時間に及び、翌日も朝早くから患者を診なければいけない。いきなり導入されても難しい」などと指摘し、「目標値としてはいいが、どのようにしてこれを徹底していくかという議論を並行して進めてもらいたい」と求めた。

 「今の勤務時間と変わるのか」
 一方で、現場の医師の立場から、東京女子医科大学東医療センター救急医の赤星昂己氏は、「現場で働いているからこそ、(勤務間インターバルの)9時間が適用されると、厳しいということは分かる」と述べた一方、「今の勤務と何が変わるのか」と疑問を呈した。厚労省案では、経過措置の期限が明確ではない上に、時間外労働が具体的に進むかは未知数。経過措置を認める代わりに、タスク・シフティングを義務化するなどの検討も必要だとした。

 順天堂大学付属病院医師の猪俣武範氏も、経過措置を設けるのは、やむを得ないとしても、タスク・シフティング、医師の偏在や医療提供体制などについて強力に見直さないと「あまり変わらない」と指摘。「経過措置の対象となる医療機関には、働き方改革を推進していることを『見える化』してもらいたい」。

 “ブラック認定”されたら?

 医師以外の第三者の立場からも、異論が相次いだ。早稲田大学法学学術院教授の島田陽一氏は、「一般則」でも時間外労働の上限の例外が認められるが、「医師の場合は、恒常的なこと」と指摘し、勤務間インターバル等では、「上乗せの追加的な措置として、弱いのではないか」と述べた。

 保健医療福祉労働組合協議会事務局次長の工藤豊氏は、医師の健康と地域医療の両方を確保していかなければいけないと認めたものの、「きつい病院に医師が来るのか、そこに対する配慮が必要だろう」とコメント。地域医療確保の観点から、時間外労働の上限時間数の経過措置を設ける場合、その「対象医療機関」は特定される。「過労死水準を超えるような時間数を認めるのは論外。いかに一般則に近い時間外労働とするかが重要」と付け加えた。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏からは、「(経過措置対象として)“ブラック認定”されると、ただでさえ医師が集まらない病院は厳しくなる。経営努力不足による場合は致し方ないが、地方ではいかに努力しても難しい場合がある」との意見も上がった。

 「将来を見据えた働き方の議論を」
 特定行為研修制度のパッケージ化について、山本氏は、「外科医や麻酔科医の負担が軽減されるので、期待している」と述べたものの、研修指導に当たる医師にあまり負担のかからない制度設計を求めたほか、特定研修を受ける看護師へのインセンティブなども求めた。

 「この程度のタスク・シフティングでいいのか、もう少し真剣に現場の方のことを考えてもらいたい。この検討会が若い医師に希望を与える提言をしないと、現場が疲弊しきってしまう」と危機感を募らせ、より踏み込んだタスク・シフティングを求めたのが、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏。「医師を増やせないなら、もっと薬剤師や看護師が能動的にできる仕組みを」と述べ、ナース・プラクティショナーなどの検討を提言。塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士の福島通子氏も、渋谷氏の意見を支持。

 これに対し、日本医師会副会長の今村聡氏は、「新しい資格については大事な議論なのでやってもいいが、そもそも今ある資格をきちんと活用するのが大前提」と釘を刺した。対象となる特定行為を徐々に広げることは支持したものの、「新たな資格を作る議論と、今ある資格を活用していくことは別の議論」。

 福岡県済生会福岡総合病院名誉院長で、日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、救急救命士、臨床工学技士、薬剤師など、医師に近い職種について、「何を移譲できるか、本格的な議論に入る」と説明した。各資格法は、各種行為を実施する際に、「医師の指示の下」という条件があることも指摘。

 これらの意見を受け、北波課長は、米国と日本は制度が異なっているなどと断った上で、「日本は、現行法で基本的には医師の指示がなければ、診療の補助行為はできないという制度になっている。医療従事者の教育体制も含めて、総合的に考えなければいけないので、タスク・シフティングという文脈だけでは検討できない」と述べ、「現行法の中で、何ができるかを中心に考えていく必要がある」と求めた。

 それでも渋谷氏は、「現行制度の下で、というのは分かるが、将来に向けた働き方の議論をすべき。検討課題の中に、将来の方向性を入れることは大事だろう。それが若い人へのメッセージになる」と譲らなかった。



https://www.medwatch.jp/?p=23975
将来、地域医療支援病院の院長となるには「医師少数地域等での6-12か月の勤務」経験が必要に―医師需給分科会 
2018年12月17日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在を是正する方策の1つとして、「医師少数地域・区域で一定期間勤務した医師を認定し、将来、医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院等の管理者(院長)となるための要件とする」制度が2020年4月からスタートします。

 12月12日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、この制度の詳細に関する議論が本格的に始まりました。医師少数地域等での勤務期間について「6-12か月」とする考え方や、妊娠・出産・育児などで当該勤務が中断した場合には、前後の期間を通算することを認める考え方などが、厚生労働省から示されました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 医師少数地域等での勤務経験を「認定」する仕組みが2020年4月からスタート
2 医師少数地域等での勤務期間中に、地域医療連携や在宅医療などの経験を
3 地域医療支援病院以外にも、院長要件に「医師少数地域等での勤務」を盛り込むべきか

医師少数地域等での勤務経験を「認定」する仕組みが2020年4月からスタート

 医師の地域偏在・診療科偏在が大きな課題となり、今年(2018年)7月に成立した改正医療法・医師法には、例えば次のような医師偏在対策が盛り込まれています。

(1)医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度の創設
(2)都道府県における医師確保対策の実施体制の強化(新たな「医師確保計画」の策定など)
(3)医師養成過程を通じた医師確保対策の充実
(4)地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応
 
 このうち(1)は、「医師少数地域・区域で一定期間勤務した医師を認定し、将来、医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院等の管理者(院長)となるための要件とする」制度で、2020年4月からスタートします(関連記事はこちら)。12月14日の医師需給分科会では、▼医師少数地域等での勤務期間をどの程度とすべきか▼認定するためにどのような経験を求めるべきか▼認定医師を管理者要件とする仕組みはどうあるべきか―という点について議論を行いました。議論は始まったばかりで、構成員の意見を踏まえながら制度の詳細を固めていくことになります。

 まず「医師少数地域等での勤務期間」について、厚労省は「連続する6-12カ月の間で設定してはどうか」との考えを示しました。先進的な実事例(沖縄県立中部病院等から離島への派遣期間:2年)や自治医科大学による医師派遣事業(1年)、新専門医制度における総合診療専門医の僻地等研修期間(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では12か月、その他の地域では6か月)などを勘案したものです。

 この期間設定については、「地域住民・患者と顔の見える関係を構築する必要があり、同じ医療機関に最低でも1年以上の勤務経験を求めるべきではないか」といった、長期間の勤務を求める意見(松田晋也構成員:産業医科大学教授、鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長ら)と、「東日本大震災の折には、さまざまな医療支援チームに交替で来ていただいたが、長くても2週間程度であった。しかし、地域の住民・患者は心から感謝した。医師少数地域では、1人でも短期間でもよいので医師に来てほしいと考えている」といった、派遣される医師の負担を考慮し、短期間の勤務でよしとする意見(小川彰構成員:岩手医科大学理事長)とか出ています。

また今村聡構成員(日本医師会副会長)は、「地域枠で医学部に入学し、医師少数地域等で勤務する経験の浅い若手医師では、1年程度の勤務が必要となるが、臨床経験を積み、次のキャリアとして院長の要件を得るために、医師少数地域等に勤務するベテラン医師では、より短期間の勤務でよいのではないか」と指摘し、一定の弾力的な運用を認めるべきと提案しています。

いずれも頷ける意見で、今後、さらに検討が深められます。また、後述する「認定資格を院長要件とする対象病院の範囲」とも大きく関係します(対象病院が少なければ長期間の勤務は逆効果となり、対象病院が多ければ長期間の勤務を課すほうが効果的となる)。

また、勤務期間の計算に当たっては、原則として、「同一の医療機関に週32時間以上(育児・介護休業法の短時間勤務の場合には30時間以上)勤務する」との考えも示されました。地域準民・患者との顔の見える関係構築のためと言えます。なお、初期臨床研修(臨床医となるための卒後2年間の研修)では、「複数の診療科をまわる(スーパーローテート等)」ことが原則となるため、この期間は「医師少数地域等の勤務期間」に含めない方向で検討が進められています。

ただし、こうしたルールをあまりに厳密に適用することは、例えば子育て中の女性医師などにとって非常に高いハードルとなってしまいます。このため厚労省は、▼妊娠▼出産▼育児▼傷病―などで中断した場合、「中断前後の期間を合算できる」仕組みも設ける考えです。この場合、勤務期間を、連続勤務よりも一定程度長くすることが考えられそうです。

これに関連して、山内英子構成員(聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)は、「例えば心臓外科の名医が、将来、地域医療支援病院の管理者(院長)を目指す場合などに、手術を待つ患者を置いて、同様に、連続数か月の医師少数地域等での勤務を求めるべきだろうか。『数年間、週末を利用して医師少数地域等に赴き、自身のスキルを活かして心臓病患者の手術を行う』といった形態も認めてよいのではないか」との提案を行いました。後述する「医師少数地域等での経験」にも関連する重要な提案と考えられます。

医師少数地域等での勤務期間中に、地域医療連携や在宅医療などの経験を

 また、医師少数地域等での勤務期間に、次のような経験を積むことを認定の要件する考えが厚労省から示されています。

▽個々の患者の生活背景を考慮し、幅広い病態に対応する継続的な診療や保健指導に関するもの(地域の患者への継続的な診療、診療時間外の患者の急変時の対応、在宅医療など)

▽他の医療機関との連携や、患者の地域での生活を支援するための介護・福祉事業者等との連携に関するもの(退院カンファレンスや地域ケア会議への参加など)

▽地域住民に対する健康診査や保健指導等の地域保健活動に関するもの(健診や保健指導など)

いわゆる「総合診療」経験を求めるもので、これらの項目に対し、下記のような注文こそついたものの、構成員から反論は出ていません。これらを軸に整理していくことになるでしょう。

こう考えると、上記の山内構成員の提案した「週末に自身の専門性を活かす」業務は、やや方向性が違うようにも思われ、本制度とは別の枠組みを検討することが必要になりそうです。

注文としては、小川構成員が強調した「臨床判断」が注目されます。小川構成員は、「例えば、高齢者が草刈り中に鎌で顔を切ってしまった場合、専門外であっても、地域の医師がすぐに縫合するほうがよい。しかし、同じことが10代の少女に起こった場合、専門外であれば、地域の医師は何もせず、時間をかけても形成外科の専門医のもとに搬送して処置しなければならない。こうした臨床判断を行える能力が求められる」と強く訴えています。

また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、将来、地域医療支援病院の管理者要件となることに鑑み「限られた医療スタッフを、どうマネジメントしていくか」という点を必要な経験の1つとすべきと提案しています。

なお、神野正博構成員(全日本病院協会副会長)は、「医師少数地域等で(上記のような)経験を積むというよりも、そうした能力を身につけてから医師少数地域等に赴いたほうがよいのではないか」とも提案しています。

 ところで、医師少数地域等では「一時的ではなく、交替等によって継続して医師が勤務してくれる」ことが重要でしょう。今後、都道府県で作成する「医師確保計画」の中で、継続した医師確保が可能となるよう、大学等からの医師派遣に、この認定制度等も組合せ手、重層的に盛り込み、取り組むことが期待されます(関連記事はこちら)。

地域医療支援病院以外にも、院長要件に「医師少数地域等での勤務」を盛り込むべきか

 このように「医師少数地域等で一定の勤務をした医師」は、厚生労働大臣に「認定」されます。将来、「医師派遣・環境整備機能を有する地域医療支援病院」の管理者(院長等)に就くためには、この「認定」資格が要件の1つとなります。ある側面からは「インセンティブ」(院長になれる道が開ける)となり、別の側面から「義務」(経験をしなければ院長になれない)となるものです。

 どういった病院が「医師派遣・環境整備機能を有する地域医療支援病院」に該当するのかは、厚労省の別の検討会(特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会)で議論が始まったばかりで、まだ具体的な要件や施設数などは見えてきません(今年(2018年)9月末時点で地域医療支援病院は571施設あり、これが上限となる)。

医師需給分科会では、「医師少数地域等での勤務」をより推進するよう、「地域医療支援病院以外の病院にも、認定資格を管理者(院長)要件に据えるべきではないか」といった声も少なくありません。厚労省は、「医師需給分科会で、どこまで対象病院を広げるべきか、データ等も踏まえて議論してもらう」考えを示しています。今年度(2018年度)中に、医師少数地域等の設定がなされるため、おそらく来年度(2019年度)からこうした議論も行われることでしょう。ただし、あまりに対象病院を広げることは、改正医療法・医師法の射程から外れることになります(例えば「すべての医療機関について、管理者(院長)は認定医師でなければならない」とすることなどは、改正法を審議した国会でも想定されていない)。

この点、例えば「対象病院があまりに少ない」場合には、「医師少数地域等で勤務するメリット」が小さくなる(もちろん地域医療での勤務自体が、重要な経験であることは疑いがない)ため、前述の「期間」や「経験」を厳しくすることは逆効果(医師少数地域等での勤務を希望する医師が増えない)となりかねません。逆に「対象病院を多くする」ことは、「医師少数地域等で勤務するメリット」の増加につながります(院長になるために、医師少数地域等での勤務を希望する医師が増えると考えられる)が、あまりに広げることは、上記の問題とともに、「後継者問題」等にも大きな影響を及ぼします。多面的な議論が必要でしょう。

なお、地域医療支援病院等の院長において「認定」資格が要件化されるのは、認定制度がスタートする2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師からとなります(数十年後に院長職に就くイメージ)。これまでに初期臨床研修を終えた、あるいは来年(2019年)から初期臨床研修を受ける医師については、「医師少数地域等での勤務経験」がなくとも、医師派遣・環境整備機能を有する地域医療支援病院の管理者に就くことが可能です(もっとも、要件化はされていないが、医師偏在等を是正するために医師少数地域等に赴くことは推奨される)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/649506?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD181222&dcf_doctor=true&mc.l=369953964
シリーズ 地域医療構想
地域医療構想、実現を阻むのは「首長」
地域医療構想WG、村上山形大教授「公立病院で政治的影響」と指摘
 
レポート 2018年12月21日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第17回会議で12月21日、山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授の村上正泰氏は、地域医療構想の協議で感じる課題として、「公立病院においては政治的影響があり、首長などの意向に判断が左右される」ことを挙げ、調整会議で話し合っても、それが実現しにくい現状があると指摘した(資料は、厚労省のホームページ)。

 村上氏は、「病床利用率が低下しても、少ない人口の範囲内でそれぞれが病院の体裁の維持に固執し、ダウンサイジングや再編・統合には消極的」と説明。依然として「拡大路線」を志向する首長の存在が、地域医療構想実現の阻害要因になっているとした。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏も、「ほぼ同じ課題を感じている」と述べ、「首長にどこまで踏みとどまってもらえるかだ」と指摘した。ダウンサイジングや再編・統合の協議が始まると、反対運動、さらには落選運動が起きたり、反対派が首長に当選したりするという難しさがあるとした。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏からは、「信じられない。そんな首長がいるのか」との声も上がった。「今は人口減だから、ダウンサイジングしようという動きがある。地域に必要な医療を維持するには、再編統合等が必要。自分の一存で決めるなんて、考えられない」(小熊氏)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏も、村上氏が紹介したような公立病院の動きは、「地域医療構想策定ガイドラインに抵触しているのではないか」と問題視。さらに「公立病院の改革は、首長の権限の範囲内にしなければいけないのか、と思ってしまう」と述べつつ、「しっかりと考える首長もいれば、次の選挙を気にする首長もいる。いくら新公立病院改革プランを出して協議を求めても、『無理だな』と考えてしまいがちだが、諦めずに頑張る必要がある」と関係者に呼びかけた。

 地域医療構想は2016年度中に全都道府県で策定を終え、地域医療構想調整会議において2017年度と2018年度の2カ年程度、集中的な検討を進めることが求められている。来年度以降、その具体的な対応方針の検証や構想実現に向けた課題等を整理していくことになる。

 第17回会議では、村上氏と同様に地域医療構想アドバイザーを務める産業医科大学公衆衛生学教室の村松圭司氏、大阪府私立病院協会会長の生野弘道氏へのヒアリングを行った。次回以降、都道府県担当者や公立・公的医療機関本部等へのヒアリングを実施、今年度内に、検討・課題等の整理のための考え方を整理する予定。厚労省はヒアリングの視点の例として以下を挙げた。


ヒアリングの視点の例
・ 構想区域の実情を踏まえた公立病院・公的医療機関等の具体的対応方針の評価をどのような手法で行うか。
・ 民間医療機関との競合や、医療機能の散在等、将来の病床数の必要量と病床機能報告の集計結果の単純比較では測ることができない地域の課題をどのように把握し、評価に反映するか。
・ 公立病院・公的医療機関等でなければ担えない医療機能への重点化を進める上での課題は何か。


 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、今後の進め方は了承、「公立・公的医療機関でなければできない役割について、定量的なデータを示すことができないか。合意されたプラン(新公立病院改革プラン、公的医療機関等2025プラン)が地域医療構想に資するものかを検証する必要がある。そのためにも関係者の課題が分かりやすくなる一定の指標が必要」と要望。

 中川氏も、「公立・公的と民間が競合しているのか否かが分かる指標が必要」と述べ、例として主要な術式を挙げた。「公立・公的と民間で、それぞれ何例実施しているかが分かり、民間でも十分にこなせるなら、競合していることになる」。ただし、指標は、あくまで実態把握が目的であり、病床機能報告制度の際の目安等にしないよう釘を刺した。実態把握の結果は、調整会議に参加していない医療機関等にも伝わるよう、公立医療機関を所轄する総務省等にも速やかに伝える必要があるとした。

  DPCデータを基に患者動向で「競合」を分析

 地域医療構想アドバイザーは、地域医療構想調整会議の事務局が担うべき機能を補完する役割を担う立場で、都道府県からの推薦に基づき、厚生労働省が養成する。

 村上氏は、地域医療構想に関する山形県での取り組み状況と課題を紹介。DPCデータ活用し、患者動向を把握するなど、地域ごとの受診行動の特性なども踏まえた議論を重ねているほか、従来からある「蔵王協議会」と連携して進めているのが特徴だ。

 山形県には、4つの2次医療圏(構想区域)があるが、例として挙げたのが、「置賜2次医療圏」。急性期医療を担う4つの病院について、DPCデータを基に、「全入院」「救急搬送入院」「予定入院・手術」に分け、患者動向を分析。その結果、競合する米沢市立病院と、民間の三友堂病院が「地域医療連携推進法人」を設立し、米沢市立病院が急性期医療、三友堂病院が回復期医療を担うという役割分担を進める計画となった。市立病院の改築に合わせ、三友堂病院が同じ敷地に移転、一体的な運営を予定しているという。「開設主体は違うので、完全な統合にはハードルが高いことから、連携法人を作って協力体制を構築した」(村上氏)。

 「蔵王協議会」は、山形大学をはじめ、県下の医療機関で組織する団体で、臨床研修体制の整備、医師の適正配置などが主な事業。「医療提供体制の検討に当たっては、人材の問題と切り離せない。特に医師をどれだけ配置するかによって病院の機能が大きく変わってくる」と村上氏は述べ、医療提供体制と医師の配置をリンクさせながら、議論していると説明した。

12231_20181223090321505.jpg
(2018年12月21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」、村上氏資料)
12232_20181223090323d0c.jpg
(2018年12月21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」、村上氏資料)

  「単なる報告会になりがち」「分っていても、当面は様子見」

 村上氏は、「地域医療構想の協議で感じる課題」として、(1)制度的問題、(2)公立病院における政治的影響、(3)調整会議の機能――に分けて、提示。(2)の中で挙げたのが、「首長などの意向に左右される判断」。

 「地域の患者数自体が減少し、病床利用率が低迷していても、『それは医師が少ないから』と言って、医師の増員を求めるなど、ダウンサイジングには消極的」と指摘。

 ある公立病院の事例では、新築、移転の際に、話し合いの場では、「現状維持、あるいはダウンサイジングが必要」という意見が出ていた。しかし、病院を設置している自治体の長の最終的な判断によって、病床は減らしたものの、救命救急センターを新設、診療科も10近く増やす予定になったという。「地域医療構想と、ややずれると感じられることが、首長の意向によって出てくる」。

 日本病院会副会長の岡留健一郎氏が、「地域医療構想アドバイザーとして強く言えないのか」と尋ねると、村上氏は「病床利用率が低下している中小規模の公立病院について、再編統合を急がなければいけないという共通認識が医療関係者の間に出ていても、首長の選挙前だからといって動かない。選挙が終わってもなかなか動かず、結局、また次の選挙の時期が来てしまう。公立病院のガバナンスは大きな問題」と指摘した。

 その他、村上氏は、県の医療政策担当部局と病院事業担当部局の連携不足で、足並みが揃わないことも指摘。「医療政策担当部局の職員も、ローテーションで変わるので、あまり詳しくない人が担当になると、また基本的なところからやらなければいけないという問題もある。ノウハウの蓄積と部局間の連携が必要だが、それができていない」。

 調整会議の問題については、「単なる報告会になりがち」「分っていても、当面は様子見」などを挙げた。「議題が病床機能報告の結果報告や、病床の削減や機能転換の方針を決めた病院からの報告に終始してしまい、中身のある調整ではなく、単なる報告会になりがち。地域全体での整合的な検討にならない」と村上氏は述べた。「オフィシャルな調整会議で議論しようとしても、なかなか率直な意見交換になりにくい。それを補うために議論しているのが蔵王協議会。調整会議で話し合えないところを、一歩踏み込める枠組みが必要ではないか」。



https://www.medwatch.jp/?p=24065
公立・公的病院の機能分化、調整会議での合意内容の適切性・妥当性を検証―地域医療構想ワーキング 
2018年12月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年度(2018年度)中に、各地域医療構想調整会議において「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」に関する議論を終え、改革内容に関する合意を得ることになっている。ただし、その合意内容が、「議論が尽くされた十分なもの」なのか、それとも「形式的な議論を経ただけのもの」なのかを検証していくことも重要となる。その検証に当たっての評価軸を固める必要がある―。

 地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった議論が始まりました。
 
12月21日に開催されたワーキングでは、議論の素材を得るために、地域医療構想アドバイザーや医師会・病院団体などからヒアリングを行い、そこでは「地域の特性等を踏まえる必要がある」「単なる数合わせに終わってはいけない」といった意見が出されています。
さらに、「関係者で改革に向けた合意を行っても、自治体病院の開設者である首長が『選挙』を意識して、合意をひっくり返してしまう」というケースもあることに、多くの構成員から批判も出されました。

ここがポイント!
1 地域の特性を踏まえた公立・公的病院改革の検証が必要
2 構想区域の類型化を進め、類型ごとに評価指標を設定してはどうか
3 公立病院改革、首長がネックとなるケースもある

地域の特性を踏まえた公立・公的病院改革の検証が必要

 冒頭に述べた通り、地域医療構想の実現に向けて今年度(2018年度)中に、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」に関する議論を終え、改革内容に関する合意を得ることになっています。骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されたことを受けたものです(関連記事はこちらとこちら)。

 今年(2018年)9月末の合意状況を見ると、ベッド数ベースで公立病院では39%、公的病院等では52%となっています。残された期間で各調整会議の議論を加速していく必要があり、これまでに「都道府県単位の調整会議を設置し、都道府県での方向を揃える」「地域医療構想調整アドバイザー(例えば地元大学医学部の社会医学研究者など)を配置し、調整会議の議論を活性化する」「地域の実情を踏まえた、高度急性期や急性期等の定量的基準を定める」ことなどの方策がワーキングで打ち出されました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。厚生労働省は「今年度(2018年度)中に合意を得なければならない点について、改めての周知等を行う」ことも検討しており、100%の合意が得られることが期待されます。
 
 ただし、「合意」がゴールではありません。その「合意」に基づいて、実際に機能分化・機能転換や病床削減(ダウンサイジング)、再編・統合などが進み、各地域の医療ニーズにマッチした医療提供体制が構築されることが重要です。

しかし、調整会議の中には「具体的方針の策定を急ぐあまり、機能転換等を多数決で決定している」事例もあるようです。これでは、「真の合意」とは言えず、その内容が実現されるのか疑問も生じます(実現段階で異論が出て頓挫してしまう可能性もある)。また地域のパワーバランスで「不適切な合意」がなされる可能性もあるかもしれません(関連記事はこちら)。

そこでワーキングでは、「合意」内容について、例えば「調整会議の議論のプロセスは適切であったか」「内容が適切か」などを事後に検証する必要があると判断。現場の意見を踏まえて、「検証のための評価指標・評価軸」を検討していくことになりました。12月21日のワーキングでは、▼山形大学大学院医学研究科医療政策学講座の村上正泰教授(地域医療構想アドバイザー)▼産業医科大学公衆衛生学教室の村松圭司講師(地域医療構想アドバイザー)▼大阪府私立病院協会の生野弘道会長―の3参考人から現場の意見を聴取しました。

3参考人からは、地域医療構想の実現や調整会議の議論活性化、公立病院改革の推進も含めた幅広い意見が出されましたが、注目すべきは「地域の特性を十分に配慮すべき」という点で一致している点です。ワーキングの構成員からも同様の指摘が出ており、今後の重要なキーワードになることでしょう。

山形大の村上参考人は、「地域によって▼地理▼歴史▼所属する医師―の状況は区々であり、公表データや厚労省からのデータブック(非公表)だけでなく『地域独自のデータ』に基づいた議論を行うこと。地域の状況を熟知した地元の専門家を活用すること」が重要と強調しています。その際には、地元大学医学部の社会医学・公衆衛生学等の研究者をアドバイザーなどとして招聘し、「医療提供体制の整備」と「医師確保・配置」とを一体的に検討することも有用です。「医師の配置」は「病院の機能」を大きく左右するため、重要な医師供給源となる地元大学医学部との連携が重要となるのです。

また、村上参考人は、地域医療構想を実現するためには「全体最適」の視点が欠かせないとも指摘します。例えば「地域医療構想の実現に向けて、急性期のベッドを回復期・慢性期に転換していくことが必要」とされたとして、「各病院の急性期病床を回復期等に転換していく」手法も考えられますが、「A病院とB病院を再編・統合し、急性期機能に特化したX病院と回復期・慢性期機能を持つY病院とする」という大胆な手法も考えられます(すでに山形県や奈良県をはじめ、再編・統合が進んでいる自治体も少なくない)。

ただし再編・統合に当たっては、非常にセンシティブな議論も必要となるため、「オフィシャルな調整会議」では難しい面もあります。そこで山形県では、山形大学・医師会・病院団体・自治体などで構成される「蔵王協議会」でフランクな議論を行い、「オフィシャルな調整会議」の議論を補完していると言います。再編・統合に限らず、こうした「オフィシャルな調整会議」を補完する会議体の設置を村上参考人は提唱しています。

なお、再編・統合に関連して山形県米沢市では、公立の「米沢市立病院」と民間の「三友堂病院」とが、「地域医療連携推進法人」を設立し、米沢市立病院側が急性期に特化、三友同病院サイドが回復期・慢性期機能を充実させる計画が進んでいることも報告されました。再編・統合には、「合併」だけでなく、「地域医療連携推進法人の設立」という方策もあり、さらに「連携推進法人を設立せず、機能分化を連携して進める」だけでも大きな効果があり、その好事例となりそうです。 

構想区域の類型化を進め、類型ごとに評価指標を設定してはどうか

 産業医大の村松参考人は、すでに厚労省が公表しているデータをもとにするだけでも「相当な分析が可能」であることを紹介。例えば、厚労省は構想区域(主に2次医療圏)ごとに、個別病院の機能別病床数や流入・流出患者割合、「5疾病5事業および在宅医療」実施状況などを一覧で示しており、ここから「公立・公的病院を中心とした機能分化・連携がどれだけ進んでいるか」を一目で把握するグラフを作成することができます。これを地域の関係者で共有することで、「どこで進捗が遅れているのか」などがより分かりやすくなり、円滑な議論が進むと期待されます。

また村松参考人は、「構想区域」の類型化を行うことを提案しています。例えば、公立・公的病院には「救急医療」機能を持つことが期待されます(もちろん民間も重要な役割を果たしている)。そこで、地域によっては、「人口規模や救急搬送体制などが似通った地域の先進事例」を参考に、救急医療機能の整備などを考えることがあるでしょう。

しかし、類似した地域であっても、さまざまな要素が関係し「実は状況が大きく異なる」ことも少なくないのです。その場合、いかに先進事例とは言え、十分な参考資料とならないこともあります。この点について、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「構想区域の類型化を国で検討しようと考えている」ことを明らかにしています。全国のデータをもとに「A県のa区域と、B県のb区域は、●●機能については同じグループに属するので参考にしてほしい」といった情報を示すイメージです。
地理的には医療圏AとCが近いが、さまざまな要素を考慮すると、実は「AとDが類似している」ことなどが判明する。その場合、「AとD」(水色部分)、「BとG」(薄橙色部分)、「CとF」(緑色部分)、「E」(橙色部分)などと医療圏を類型化し、類型ごとに評価指標を考えていくことが有用である
地理的には医療圏AとCが近いが、さまざまな要素を考慮すると、実は「AとDが類似している」ことなどが判明する。その場合、「AとD」(水色部分)、「BとG」(薄橙色部分)、「CとF」(緑色部分)、「E」(橙色部分)などと医療圏を類型化し、類型ごとに評価指標を考えていくことが有用である
 
さらに村松参考人は、▼病床機能報告データを核とした構想区域内の医療資源▼DPC・NDBデータを用いた診療実績▼人工配置や地理的情報▼「離接する区域の医療提供体制」などの外部環境(流入・流出などを考える際に極めて重要)▼将来推計人口▼将来患者推計―など、さまざまなデータを活用した「指標」の作成も提唱しています。例えば、「地域の医療職の平均年齢」を見れば、「●●地域では高齢の医師が多く、2025年には相当数の医師がリタイヤする」ことなどが分かるかもしれません。この場合、地域医療構想の実現に向けて、「医師確保」を最重要テーマの1つに掲げなければならない、といった評価等が可能になるでしょう。
 
上記の「類型」毎に指標を定めることも考えられそうです。
 
一方、生野参考人は、「大阪府では、全国に比べて民間病院の比率が大きい」ことを改めて紹介。こうした地域では、「民間の地域医療支援病院等が担う部分」を除いた部分を、公立・公的病院が担う、補う、といった姿勢で、地域医療構想の実現に向けた検討を行っていく必要があると強調しました(関連記事はこちら)。

この点に関連し、小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は「都市部など、民間病院と競合する公立・公的病院は高度先進的な医療に特化せよ、との指摘もあるようだ。しかし、高度先進的な医療を支える、いわば『裾野』の医療も併せて提供しなければ病院は成り立たない」と指摘。これには中川俊男構成員(日本医師会副会長)も「いわゆる『裾野』の医療も提供しながら、その中で高度先進的な医療も相当程度担う、というのがあるべき公立・公的病院の姿である」とコメントし、一律「公立・公的病院は高度先進的医療に特化しなければならない」とすることは誤った考えであることを明確にしています(関連記事はこちら)。

なお、中川構成員は「公立・公的病院と民間病院が競合する」場面を明確化する必要があるとも指摘しています。公立・公的病院は「公立・公的でなければ担えない機能への特化」が求められていますが、例えば、ある術式の手術について、地域における民間病院と公立・公的病院とのシェアを見て、「民間病院も十分に実施しており、かつ余力がある」場合には、「公立・公的病院と民間病院とが競合している」とも考えられ、こうしたデータを集積・解析していくべきと中川構成員は提唱しているようです(関連記事はこちら)。

この点、厚労省は中川構成員の指摘・提唱に理解を示したものの、どこに焦点を合わせるべきか(心臓疾患であればどの術式を対象にするのか、など)を検討する必要があるとの考えも示しています。

公立病院改革、首長がネックとなるケースもある

 ところで村上構成員(山形大学大学院教授)は、調整会議の議論の中でも、とくに「公立病院の改革」においては「首長」(市町村長や県知事)の存在がネックになるケースもあると指摘しています。

 例えば調整会議において、医療ニーズ等を踏まえ「●●市立病院はダウンサイジングが必要である」「●●市立病院と▲▲町立病院とを統合し、機能分化を促すべきである」という方針が固まったとしても、首長が次の選挙等を勘案し、この方針をひっくり返すことがあるのです。

 選挙等においては、「我が自治体でも、高度急性期医療を提供するために●●市立病院を改築し、最新の医療機器を整備する」などと公約で打ち出すことがあり、また、それが集票に効果的であったりします。しかし、地域全体、県全体、日本全体にとって、そうした高度急性期医療の確保が適切かどうかは、専門家が集う調整会議でこそ決めるべきでしょう。

 多くの構成員からも、「自分の地元でもそうした事例がある」とのコメントがあり、多くの医療関係者が「将来の医療提供体制のあり方」を真剣に考える中で、「票欲しさ」の首長の判断に忸怩たる思いを持っているようです。中川構成員は冗談交じりに「公立病院改革は首長権限の外におくしかない」などと述べています。

 もっとも小熊構成員は「今どき、そういったことを言い出す首長がいるのだろうか。地域の人口減少(患者減少)を受け、公立病院はダウンサイジングを進めている」とも指摘。現に山形県では、2008年4月に、市立の「旧市立酒田病院」と、県立の「旧日本海病院」が再編統合するなど、地域医療提供体制を真剣に考えている首長も、決して少数派ではないことにも留意が必要です(関連記事はこちら、メディ・ウォッチでは合併の立役者となった日本海総合病院の栗谷義樹院長(当時)から詳しいお話しを伺っています)。
 
ワーキングでは、年明けにも都道府県担当者や公立・公的病院本部からヒアリングを行い、その後、「検証」に向けた論点整理などを議論します。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/648938
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
働き方骨子案たたき台「現場の医師の声盛り込むべき」副座長が苦言
次回会議で具体的な上限時間と骨子案提示へ
 
レポート 2018年12月20日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は12月19日の第15回会議で、17日の前回会議で示した骨子案のたたき台について引き続き議論した。事務局資料の「第14回までの議論のまとめ(骨子案たたき台)」について副座長の渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授 が、前回会議で出た若手医師や看護師らの構成員の意見が盛り込まれていないことについて「なぜ反映されていないのか、誰の意見を尊重するのか。現場ではないか」と問題視した。岩村座長はこの日の議論を踏まえ、次回会議で骨子案を示すよう事務局に指示。ただし、時間外労働上限を骨子案に盛り込むのは難しいとして、別に議論のための数字の案を出すよう求めた(資料は、厚労省のホームページ。第14回の会議は『「連続勤務は28時間まで」「勤務は9時間のインターバル」』を参照)。

 渋谷氏が問題視したのは、次の記述。

 タスク・シフティングの推進に向けて、現行資格制度を前提とせずに今後の検討を行っていくべきとの指摘があった一方で、医師の働き方改革のために資格制度を検討することへの疑問も示された。

 渋谷氏は、「これは前回の議論をまとめたものなのか」と切り出した。東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師・戎初代氏の「目の前の患者を救うのに、医師の指示がないからどうしようかと躊躇している」という発言や、特定非営利法人架け橋理事長・豊田郁子氏による「医療界がNPを含め本当にタスク・シフトをやるなら国民は協力するはずだと確信を得た」との発言、また東京女子医科大学東医療センター救急医・赤星昂己氏の「中間整理が出されて1年経つが、自分の働き方は変わっていない」といった発言を挙げ、「こういう重要な意見をあえて入れないのは意図的なのか」と事務局に問い質した。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏は「つづめれば両論あったということを書かせていただいた」と答弁したが、渋谷氏はさらに「厚労省はどこを向いているのか。両論併記というが現場の声が入っていない。『何も変わらない』というメッセージを与えかねない」と苦言を呈した。日本医師会副会長の今村聡氏は、「現行の資格を持っている人が本当に役割を果たせているか。まずは現行の資格でやれることを議論していただきたい。その上で将来的には、ということだと思うが、そこまで踏み込むとなかなか議論がまとまらないのではと思っていることはご理解いただきたい」と述べた。

「改革のため経済的な支援」、「現場でどうにもならない、集約化を」

 千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は、「管理者の意識改革」との記述について、非常に重要だと指摘。「戦後の長い医療制度の整備の中で、初めて医師個人の働き方にスポットライトが当たった。この機会を逃すべきではない」と述べる一方で、「どう考えても経費は増えるという不安はものすごく大きい。まして消費税があのような形で決着をしてしまった。不安は非常に大きい。改革を推し進めるための経済的な支援はぜひ入れていただかないと」と要望した。

 社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏(日本医療法人協会副会長)も、17日の会議後、団体へ持ち帰って議論したところ、「勤務環境改善のために努力して受け入れるべきだ」とおおむね意見をまとめることができたが、「経過措置の上限は緩やかで、高い水準であることが必須だと考える。将来あるべき水準に持って行くのは大事だが、当面は柔軟性を持たせた水準でなければ地域医療に大混乱をもたらす」と述べた。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、医療機関向けのコンサルティング事業で地方を回っている立場から、「ミクロ、つまり経営現場・臨床現場でなんとかなるレベルではないと感じる。マクロのレベルで、機能分化や連携は当然ながら、集約化、地域医療提供体制の再構築に則った推進力がないと」と指摘した。


 会議冒頭では、関連する「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の結論について、座長を務めた渋谷氏が報告。「国民総力戦」と銘打ったパンフレットの市民、行政、医師/医療提供者、民間企業それぞれのアクションのうち、民間企業について、今村氏が「企業にどうやって働きかけるかが非常に重要だ」と指摘。保健医療福祉労働組合協議会事務局次長の工藤豊氏も「企業の社会的責任という点から、さらに取り組みを進めてほしい」と述べた。渋谷氏は、両者の意見に賛意を示し、「企業にはともすれば従業員の健康を守るのは『コスト』だという意識があるが、今はむしろ投資の対象に健康そのものがなりつつある。健康を守ることで企業の価値が上がる、そういう時代になりつつある」と応じた(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。



  1. 2018/12/23(日) 09:12:37|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

12月18日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38898180T11C18A2EE8000/
医師の残業、月100時間超容認へ 160時間案も浮上
2018/12/14 1:31日本経済新聞 電子版

厚生労働省は2024年4月から適用する医師の残業時間の上限規制について、医師不足の地域の病院などでは月100時間超を容認する方向で検討している。月平均160時間(年1920時間)まで認める案も浮上。地域医療の体制を維持するためとするが、極度の長時間労働を認めることになり、今後の議論が難航するのは必至だ。

働き方改革法で一般労働者には休日労働を除き年720時間の残業上限の適用が決まった。ただ医師は診療を原則拒めない「応召義務」などがあり、働き方も特殊だ。厚労省は医療関係者や労働組合などの検討会で医師の制度の検討を進めてきた。

厚労省はまず一般の医師に適用する上限を設ける。休日労働込みで年960時間とする案がある。そのうえで地域医療の確保に欠かせない病院の医師や、研修医など技能向上が必要な医師向けにさらに緩い上限をそれぞれ設定する。

このうち地域医療を担う医師への上限は月100時間超とする方向。病院の勤務医のうち残業が月平均160時間(年1920時間)超は約1割おり、厚労省内にはこのラインを上限とする案がある。単月160時間の残業はうつ病など精神疾患で労災認定される基準とも重なる。

この上限が適用される医師には、終業から次の始業まで一定の休息を確保する「勤務間インターバル制度」などを義務付ける。将来は一般の医師と同じ上限時間に移行する。ただ一般労働者より大幅に長い残業を容認する案には労組などが反発する可能性がある。



https://blogos.com/article/345073/
医師不足地域では残業上限「年1920時間」も 勤務医の働き方改革案に医労連「労働者として扱って」
キャリコネニュース2018年12月13日 15:19

根本にあるのは人員不足

厚労省は、勤務医の年間時間外労働時間の上限を960時間に設定する方針だという。12月12日に共同通信が伝えた。

一般労働者は2019年4月、改正労働基準法の施行により、年間の時間外労働時間の上限が最大720時間となる。しかし、医師は業務の特殊性から5年の猶予期間が設けられ、上限規制は2024年から適用されることになっていた。

国は「医師の働き方改革に関する検討会」で、医療関係者の参加の元、具体的な規制のあり方を検討してきた。今回出た案では、一般労働者より長い960時間を年間の残業上限とした上で、勤務間インターバルの確保や連続勤務時間制限を行うとしている。地域医療の確保や若手医師の技能向上を目的とした残業は、更に緩めた上限が設置される見込みだ。

「960時間は長い。もっと上限時間を少なくすべきだ」と厚労省案に難色を示すのは、日本医療労働組合連合会だ。上限設定そのものは肯定的に受け止めるものの、月平均80時間という過労死ラインと重なる数値に、効果があるのか首をかしげる。

「地方では医師不足がさらに進むことが懸念される」

更に問題視しているのは、国が医師不足の地域で例外的に設けようとしている上限時間だ。医労連の担当者によると、地域医療の確保を理由にした上限時間は、960時間を更に上回る1920時間で検討に入っているという。

「1920時間というと月160時間です。『そんなところにいたくない』と医師が別の場所に移り、さらに医師不足が進むことも懸念されます。上限時間を設けるなら、もっと短くすべきです」

国は今後、AIの活用や高齢化などの要因で、医師の需要は減ると予測している。今年5月に出された「医師需給分科会第三次中間とりまとめ」では、医師の需要が最も大きいケースを想定した場合でも、2040年には2.5万人の過剰供給になると見込んでいた。現在一時的に増やしている医学部の定員は今後、減らす方向で議論されることになる。

「過労死が起こるのは医師の絶対数が少ないから。医師を増やして」
しかし、医労連の担当者はこの方針に疑問だ。医師数の増加に踏み切らなければ医師の労働環境は改善しないと考える。
「特に勤務医の絶対数が足りません。数が足りないから過労死が起きるんです。当直後に通常業務をするなどの働き方は、医師・患者双方の安全が担保できません。交代制勤務を導入するなどの対応をすべきで、そのために医師の増加が必要です」
医師数の増加は勤務医が要望することでもある。2017年、勤務医で作る労働組合「全国医師ユニオン」が実施した調査では、「働き方改革で医師の労働環境は改善する」と答えたのは18.1%で、「ほとんど改善しない」(58.1%)が大半を占めた。改善を望む労働条件として最も多く支持されたのは「完全休日を増やす」(50%)ことで、そのための手打ちとして望むこと1位は「医師数を増やす」(63.7%)だった。
医労連の担当者は、医師の時間外労働の上限設定について「医師法の考え方を全面に押し出し、『来られたら断れない』状態にするのではなく、医師を労働者として扱っていく必要がある」と主張していた。検討会は、2019年3月に最終的な取りまとめを決める予定だ。



https://www.asahi.com/articles/ASLDD4VLKLDDUBNB00K.html
青森)むつ総合病院、応援医師バス送迎の実証実験

伊東大治2018年12月13日03時00分 朝日新聞

 慢性的な医師不足に悩む青森県むつ市のむつ総合病院がこの秋、応援医師のため無料の送迎車を走らせる実証試験をした。弘前大学医学部付属病院など遠くから派遣される医師の通勤負担を軽くすることで、応援で来てくれる医師を増やすのが狙いだ。

 試行初日の午前11時、黒塗りのワゴン車で病院に到着したのは、午後の手術の麻酔科医として駆けつけた弘前大の木村太医師だった。付属病院を午前8時に出発し、移動に約3時間かかった。所要時間は鉄路とほぼ変わらなかったが、青森駅と野辺地駅の2回の乗り換えがない分、快適だったといい、「車内で論文を1本読むことができた」と感想を話した。

 試験運行は11月の平日に実施され、弘前大とむつの病院間をワゴン車と小型バスで2往復した。ただ、利用者数はあまり芳しくなかった。むつ総合病院を運営する一部事務組合下北医療センターによると、送迎車は期間中21日運行されたが、16人の医師が7日間利用しただけだった。

 下北医療センターはこの送迎事業を来年度から正式に始める予定だが、応援医師に使ってもらえる運行ダイヤとするため、アンケートをもとに検討している。

 下北の基幹病院となっているむつ総合病院には内科や外科など23科があり、常勤医が53人いるものの、なお20人の医師が不足しているという。これを穴埋めするため、平日では7人前後の医師を弘前大などの病院から派遣してもらってきた。ただ、青森市からでも2時間かかる「痛勤」状態。下北医療センターでは、同病院の医療水準の向上と外来患者の待ち時間短縮に、応援医師の通勤対策は欠かせないと考えている。(伊東大治)



https://blogos.com/article/345066/
多様化する「患者ニーズ」「サービス」に対応する「医師養成システム」改革を
新潮社フォーサイト2018年12月13日 15:43 上昌広


 大学病院の不祥事が止まらない。東京医科大学、昭和大学では男女差別などの入試不正が発覚した。医療事故も、群馬大学の腹腔鏡事件、千葉大学や慈恵医科大学のCT(コンピューター断層撮影)検査見落とし事件、東京女子医科大学の麻酔死亡事故など、後を絶たない。

 さらに最近、東京大学病院循環器内科で、カテーテルを用いた心臓手術での医療ミスの隠蔽疑惑が指摘された。どうして、こんなことになるのだろう。

「時代遅れ」「競争力低下」の大学病院

 私は、大学病院の在り方が時代と合わなくなり、競争力が低下しているためと考えている。意外かもしれないが、患者は大学病院を見放し始めている。特に都心部でその傾向が強い。

 2016年度の全国のDPC病院を対象とした調査結果を用いて議論しよう。厚生労働省が発表したデータをもとに解析したものだ。

 DPC病院とは、診療行為の出来高ではなく、疾病や重症度などに応じた定額支払が認められている病院だ。厚労省が認定し、高度な医療水準を満たしていることが求められる。つまり、一流病院の証しだ。

 ではDPC病院で、循環器疾患の患者数が多かったのはどこだろうか。小倉記念病院(8769件)、千葉西総合病院(7616件)、仙台厚生病院(6375件)、新東京病院(5830件)、湘南鎌倉総合病院(5345件)と続く。すべて民間の循環器疾患を中心とした病院だ。大学病院の名前はない。

 大学病院は高度医療機関だ。先端医療では、いまでも優位を保っているとお考えの方が多いだろう。ところが、実態は違う。

 例えば、最先端の医療技術である大動脈弁のカテーテル治療(TAVI手術)の実施数は、『朝日新聞出版』が独自の調査でまとめた『手術数でわかるいい病院 2018』(2018年2月刊)によれば、仙台厚生病院(162件)、小倉記念病院(112件)、榊原記念病院(107件)、新東京病院(76件)、湘南鎌倉総合病院(72件)となる。すべて専門病院である。

 消化器疾患はどうだろう。患者数は、倉敷中央病院(5634件)、東京大学医学部附属病院(5574件)、仙台オープン病院(5520件)、国立がん研究センター中央病院(5381件)、仙台厚生病院(5273件)と続く。大学病院でランクインしているのは、東大病院だけだ。

 高度医療の代表的存在である胃がんの内視鏡手術の場合、トップは県立静岡がんセンター(492件)、がん研究会有明病院(420件)、国立がん研究センター中央病院(380件)、大阪国際がんセンター(342件)、仙台厚生病院(290件)と続く。

 ちなみに、東京医大の胃がんの手術数は内視鏡手術が99件で、開腹・腹腔鏡手術を合計して80件だ。前者は関東地方で28位、後者は49位である。

 東京医大は入試で男性を優先的に合格させていたことに対し、「外科医が不足するのに、女性は外科勤務を嫌がるから」と説明していたが、このような事情を知ると見方は変わってくる。外科志望者が少ないのは、専門病院との競争に負けて、患者が少ないからだ。

示唆に富む「仙台厚生病院」

 前述したように、東大病院でも医療事故があった。循環器内科に入院し、マイトラクリップというカテーテルを使った手術を受けた患者が医療事故で死亡した。ところが、そのことを遺族に正確に説明せず、第三者機関である「医療事故調査・支援センター」にも報告しなかった。この患者については、心機能が悪く、マイトラクリップ手術の適格基準も満たしていなかったことがわかっている。「医療界でのプレゼンスを高めるため、マイトラクリップ手術で症例数を稼ぐ必要があった(東大循環器内科医局員)」ことが影響したようだ。専門病院との競争に負けた東大病院が、先進医療の実績を上げるために無理をしたとみるのが妥当だ。

 ところで、ここまでご紹介したすべてのランキングで仙台厚生病院が入っていた。この病院は、これからの高度医療の在り方を考える上で示唆に富む存在だ。循環器・呼吸器・消化器疾患に特化した専門病院である。今回、取り上げなかったが、呼吸器疾患の患者数は全国1位である。

 筆者はご縁があって、目黒泰一郎理事長と知りあった。その経営方針に共鳴し、非常勤職員として勤務している。

 仙台厚生病院における患者の平均在院日数は9.1日で、年間の退院患者数が1万5000人以上の大規模病院の中で最短だ。病床稼動率は99.6%で、これも全国で最も高い。専門とする3領域に関しては、「救急や開業医からの紹介は絶対に断らない」と表明している。そして、それ以外の疾病については他の専門施設に紹介する。

 医師に対する労務管理も徹底しており、目黒理事長は「(部下にサービス残業を強いて)時間外まで診療を行い、収入を上げるような部長は断じて評価しない」と明言している。

 当然かもしれないが、このようなやり方をすれば、医師も患者も集まる。量は質に転化する。手術数は多いのに、医療事故は起こらない。合併症も減るため、在院日数は短縮し、病床稼動率は高まる。収益性も高まり、それが再投資へ向かう好循環を生んでいる。

 大学病院は対照的だ。高度医療機関だが、専門病院ではない。この状況は簡単には変わらない。なぜなら、医学部は附属病院を設置することが、法令で義務づけられているからだ。この結果、「どんな診療科もやっているけど、すべて中途半端(元国立大学医学部長)」な状況になる。経営は苦しくなり、医療安全などへの投資は削減せざるを得ない。

大学病院延命のための新機構設立

 私は、今後の大学病院を考える上で、流通業界の変遷が参考になると考えている。

 かつて、「三越伊勢丹」「そごう・西武」などの総合百貨店は、わが国の流通業界をリードしてきた。しかしながら1990年代以降、総合百貨店は衰退する。ピークの1991年に12兆円だった売上は、2017年は6兆円を割った。以降、合従連衡を繰り返すことになる。

 百貨店の衰退とは対照的に、「洋服の青山」などの紳士服専門店、「ビックカメラ」などの家電量販店が台頭した。専門店が、顧客のニーズに合う多様な商品を提供したのに対し、総合百貨店は「どの店も同じような商品が並ぶ『同質化』に陥った(大西洋・前三越伊勢丹ホールディングス社長)」のだ。高級品は売るが専門店ではないあたり、現在の大学病院と酷似する。

 溺れる者は藁をも掴む。困難に直面した大学病院が頼ったのが、専門医制度の「改革」だった。従来、専門医制度の認定が各学会に委ねられて質が保証されないことを問題視し、第三者機関が認定するように制度を変更した。こうやって立ち上がったのが、一般社団法人日本専門医機構だ。

 厚労省も支援した。今年の通常国会で成立した改正医療法では、厚労省や都道府県は日本専門医機構と連携して、地域や診療科毎の医師の配分を決めることになった。

 一見、国民にとって有り難い話だが、利害関係者だけが密室で決めると、国民不在の結論になる。今回の場合、「日本専門医機構が研修病院を認定し、地方の病院にはそこから若手医師を派遣する」ことで合意した。勿論、研修病院の多くは大学病院だ。この制度では、大学病院は労せずして若手医師を確保でき、低賃金で雇用できる。例えば、東京医大の後期研修医の月給は20万円だ。更に医師不足の地域に派遣することで、大きな権限を得る。

 これは時代に合わなくなった大学病院の延命策に他ならない。ゾンビ企業を規制で守るのと同じだ。

 このような結論になるのは、日本専門医機構の構成をみれば一目瞭然だ。28人の幹部(理事長・副理事長・理事・監事)のうち、23人は医師で、このうち14人は医学部教授かその経験者だ。7人が東大医学部を卒業している。この中には、世間を騒がせた東京医大、昭和大学の教授および教授経験者もいる。

 大学教授たちは当然、自らの所属する組織の延命を第一に考える。更に、彼らの多くが「いまでも大学病院が一番」と信じ込んでいる。情況が変わってしまったことを認識していない。

 症例数の多い専門病院には、大勢の若手医師が勤務を希望する。大学医局からの派遣に頼る必要はない。経験を積みたければ、大学に入局せず、いきなり専門病院に就職した方がいい。ところが、新専門医制度ができてしまった。「専門医資格」にこだわらず、真の専門家を目指すか、「肩書き」にこだわるか、二者択一を迫られるケースが続出している。

 若手医師が辛いのは、腹を据えて専門病院での研修を選択しても、その将来がバラ色ではないことだ。それは、専門病院で研修してもその後の就職口がないからだ。専門病院には大勢の患者が受診する。医師1人あたりの経験数は増え、技量は向上するが、わが国で必要とされる専門医の数自体は減少する。企業が合併することで、リストラされる社員が出ることと同じだ。日本の医療費を抑制すべく、「選択と集中」という合理的な経営がなされれば、専門医も「リストラ」の対象となる。

「コンビニクリニック」の登場

 若手医師が生き残るには、ニーズが高まる分野に進まなければならない。高齢化が進むわが国で、ニーズが高まるのはプライマリケア(身近にある、何でも相談可能な総合的医療)や慢性期医療の領域だ。IT技術の進歩もあり、この領域の在り方が変わってきている。

 この点でも、流通業界の変遷は参考になる。多様化したニーズに合わせて、コンビニ、宅配サービス、ネットビジネスが発達した。医療界でも同様の動きが生まれつつある。

 例えば、コンビニだ。代表的存在は、立川・川崎・新宿の駅ナカで診療する「ナビタスクリニック」だ。私も毎週月曜日に新宿で診察している。

 ナビタス新宿の場合、平日は午後9時まで(皮膚科は除く)、土曜は午後2時、日曜祝日は午後5時まで受け付けている。会社帰りのサラリーマンやOL、さらに新宿の駅ナカで働く人たちが受診する。受診者の平均年齢は約30歳で、7割は女性だ。

 受診する患者の多くは、風邪や花粉症だ。高血圧や糖尿病でかかりつけの患者は多くはない。むしろ、若年女性特有の問題として、貧血、性感染症、緊急避妊などで受診する患者の方が多い。風疹や麻疹や子宮頸がんワクチンの接種を希望する人も多い。彼らは「名医」や「丁寧なサービス」以上に「便利さ」を追求する。ナビタスクリニックは、このニーズを捉えている。

 この状況はわが国に限った話ではない。米国ではオバマケア(医療保険制度改革)施行後、薬局やスーパーに併設されるリテール・クリニックが急成長した。オバマケアにより中間層が医療にアクセスしやすくなったからだ。流通業界で起こった変化が、日米の医療界で生じている。世界共通の現象といっていい。

 ナビタスクリニック新宿で勤務する山本佳奈医師(29)は、新専門医制度のプログラムに参加せず、独自に女性を総合的に診ることが出来る医師を目指してトレーニングを始めた。山本医師は、「新しいタイプの専門家を目指す。そのためには、ナビタスクリニックで研修するのが一番経験を積める」と言う。すでに幾つかの臨床研究に参画し、2本の英文論文を筆頭著者として発表した。

医療の「宅配サービス」も

 Amazonのような「宅配サービス」も出現した。日本各地で増加している在宅医療専門クリニックだ。筆者が注目しているのは、「オレンジホームケアクリニック」(福井市)や「おひさま会」(神戸市)だ。 オレンジホームケアクリニック(福井市)については、当欄で以前にも報告した(2018年2月1日「福井市『在宅専門クリニック』で再認識した『教育』の地域格差」)。

 約300人の在宅患者をフォローし、毎年100人程度を看取る。さらに障害児施設(オレンジキッズケアラボ)や 地域住民の交流の場(みんなの保健室)も設けている。

 理事長を務める紅谷浩之医師(42)は、救急専門医から、この分野に転進した。「在宅医療が『病気』をみるツールだとすると これらの場所や仕組みは、『生活』そのものを支え、つながりを創るものだと考えています」と言う。

 紅谷医師のグループの総勢は60人で、医師不足の中、常勤医は5人だ。全国からやる気のある若手が集まっている。

 おひさま会は、兵庫県と神奈川県で5つの在宅クリニックを経営する。理事長の山口高秀医師(44)も紅谷医師同様、救急専門医から転進した。

 山口医師が重視するのは、地域の医療や介護サービスの連携を深めることだ。これまで在宅医療・介護も「縦割り」だった。医療はクリニックと病院、介護は介護支援事業所、看護は訪問看護ステーション、薬は薬局が提供し、利用者からアプローチしなければならなかった。これは高齢者には負担が大きい。

 一方で、サービス提供者の多くは零細業者で、ITを導入したり、大勢の事務職員を抱えることは出来ない。

 山口医師は、自ら事務職員を養成し、情報システムを整備し、別会社(グローバルメディック、神奈川県海老名市)から周辺施設へ提供している。山口医師は「地域に適合した情報基盤と人的サービス提供システムを確立させ、高品質で高効率な在宅医療ネットワークを創出したい」と言う。

 最近、生活の場での看取りは、居宅よりも介護施設が増えている。「介護施設に対するサポートを更に強化することは喫緊の課題(山口医師)」らしい。

 現在、おひさまグループは、5つの在宅クリニックで地域の住民約2300人をフォローする。3分の2は介護施設に入所しており、残りは自宅で暮らしている。毎年450人程度を看取るが、300人程度は自宅で亡くなる。常勤医は9名、非常勤医師20人で、スタッフは総勢130人である。彼らが、患者に合わせて、周辺の医療・看護サービスの利用プログラムを作成している。

 繰り返すが、紅谷医師、山口医師のもとには、全国から多くの若者が集う。彼らは、自らの試みを学術発表しており、英文論文としても投稿中だ。紅谷医師、山口医師ともに、「医師の学びの拠点をつくる」べく、研究機関との共同研究にも投資している。私は、大学病院が今のまま無策を続ければ、このような組織が医局を代替していくと考えている。

さまざまな形の「オンライン診療」

 最後は、オンラインを用いた遠隔診療だ。従来、医師法で診療は対面で行うことが規定されていた。

 2017年7月、厚労省は局長通知で、「テレビ電話や、電子メール、ソーシャルネットワーキングサービス等の情報通信機器を組み合わせた遠隔診療」について、「直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合」には認められると規制を緩和した。

 ところが、今年4月の診療報酬改定では、対象は再診の患者に限定され、3カ月に1度は対面診療を組み合わせることが要件となった。日本医師会の反発に配慮したためだろう。「メドレー」社や「MRT」社など複数の企業がオンライン診療のシステムを販売しているが、普及は進んでいない。

 このような医師・患者間の遠隔診療は、万が一のリスクを考えれば、厚労省は規制緩和に二の足を踏む。日本医師会が圧力をかければ尚更だ。

 遠隔診療が進んでいるのは、医師・医療のコンサルテーションだ。筆者が注目しているのは北村直幸医師だ。情報誌『選択』2018年9月号で、「グーグルが支配を狙う日本の医療 クラウドとAIの『黒船』は目前に」という記事を掲載し、北村医師をキーマンとして紹介した。以下、この記事をベースに、幾つかの事実を追加する。

 北村医師は放射線診断専門医で、広島市内に「霞クリニック」という放射線画像診断の専門施設を運営する。一方、同じビル内で遠隔画像診断をサポートする「エムネス」という会社も経営している(2018年7月27日「遠隔医療『画像診断』サービスの未来」=「MRICの部屋」参照)。

 エムネスの読影システムでは、契約する医療機関で撮影されたCTやMRI(磁気共鳴画像)がクラウドにアップされ、エムネスと契約する放射線診断専門医が読影する。結果は、画像に読影レポートをつけ、クラウドを介して医療機関に戻される。

 エムネスの売りは料金が安いことだ。医療機関が負担する費用はMRIやCT1台あたり月額3万円で、読影は1件で3000円だ。画像情報のやりとりには、インターネット回線を使うので、医療機関は初期費用を負担する必要がない。

 これは破格の安さだ。放射線科の常勤医がいない医療機関では大学病院などに専用回線を引いて、読影を依頼している。知人の病院経営者は「専用回線費用は月額150万円、読影料は1件あたり4000円程度」という。

グーグルも参入

 エムネスが価格を安く出来るのは、グーグルクラウドプラットフォームを利用し、画像データをクラウドに集約しているからだ。

 それが新たな付加価値を生む。エムネスはクラウドに蓄積された画像と読影データを用いて、東京大学発のベンチャーであるAI(人工知能)画像解析クラウドサービス会社「エルピクセル」と共同で、AI診断システムも開発した。すでに臨床現場に導入されている。エムネスでは、専門医がダブルチェックしているにもかかわらず、AI診断システムにより、過去に3人の見落としを発見したそうだ。AI診断システムの導入が、すでに医療ミスを減らしていることがわかる。

 前出の『選択』によれば、グーグルがエムネスに目をつけたのは、「グーグルが日本の電子カルテ市場への進出を考えているから(グーグル関係者)」らしい。

 グーグルはエムネスを「テクノロジーパートナー」に認定し、今年の7月に米国サンフランシスコで開催された「グーグルネクスト2018」に招聘し、グーグルクラウドのアリエ・マイヤー氏と50分にわたり対談するセッションを設けた。破格の扱いだ。

 知人のグーグル関係者は「北村医師は遠隔診断で世界の最先端を行く」と言う。グーグルは東京大学のような権威や厚労省のお墨付きではなく、自らがリーチ出来ない現場のリアルなノウハウを有する企業を重視しているのがわかる。

 グーグルは、グーグルクラウドに大量の検索履歴やGメールのデータを保管している。やがてクラウド上に蓄積された日常情報と、診療情報やゲノム情報を併せてAIが分析し、医師・患者の双方に適切な治療法を提示するようになるだろう。

 現在、電子カルテのクラウド化が急速に進んでいる。研究や商業利用では、個人情報保護がネックとなり、このような利用は難しい。ところが、患者視点に立てば、診療記録もメールデータもいずれも自分のものだ。AIが解析し、自ら適切な提案をしてくれることを有り難いと感じる人もいるだろう。終末期医療の意思確認など、患者や家族の意思決定のサポートになるかもしれない。患者の選択肢を増やすことになる。

旧態依然の医師養成システム

 大学病院の苦境を尻目に、コンビニクリニック、在宅診療、遠隔診療は急成長している。これは、高齢化社会で高度医療からプライマリケアにウェイトが移っていることを反映したものだ。従来、もっぱら開業医が担っていた「主治医」の在り方を、ITを用いた若い医師たちが変えようとしている。

 問題は、現在の医師養成システムが、このような仕組みに対応していないことだ。若手医師は大学医局に属し、消化器外科や呼吸器内科など臓器別の専門トレーニングを受ける。トレーニングを終えると、地域の総合病院に就職する。首都圏などでは、高度医療は一部の専門病院に集約化が進み、大学病院すら競争力を失っている。多くの自治体病院は慢性的赤字に悩むし、聖路加国際病院、三井記念病院、亀田総合病院のような名門病院ですら、経営難であることが知られている。このような病院は、早晩、総合病院の看板を掲げ続けるためだけに、不採算な診療科を維持出来なくなるだろう。

 一方、患者が集中する専門病院は、独自に若手医師を育成するため、医局に人材を求めない。この結果、若手医師は、折角、高度技術を身に付けても、実力を発揮できない。専門医のニーズは低下する。

 少なからぬ若手医師は、新しいプライマリケアに参入したいと考えている。ところが、前述した新専門医制度が、その障壁となっている。新専門医制度については、日本専門医機構を巡る数々の不祥事が表面化している。規制が利権を生み、利権が腐敗を招く典型例だ。

 日本の医療に必要なのは、患者視点での議論だ。社会の変化に合わせ、医療提供体制は柔軟に変わらねばならない。いまこそ、オープンに議論すべきである。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20181213154419
公営の病院事業「経営改革の取組を一層加速」
総務省が地方財政審議会の意見公表

2018年12月13日 15:55 CBニュース

 総務省は、地方財政審議会がまとめた地方財政に関する意見を公表した。公営企業の経営改革の推進が盛り込まれており、病院事業については、少子高齢化による医療需要の変化に対応するため、「経営改革の取組を一層加速すべき」としている。【新井哉】

 病院事業の経営改革に関しては、地域医療構想を踏まえ、▽再編・ネットワーク化▽地方独立行政法人化▽指定管理者制度―の導入といった経営形態の見直しを進めていく必要性を挙げている。

 また、深刻な医師不足によって地域医療の確保が「極めて厳しい状況になっている」とし、国や地方における医師確保対策の強化を検討するよう要望。「国には地方自治体の取組を、とりわけ財政面で裏付ける体制を確立することを強く求めたい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/647813
「大学病院で最新の医療提供、無理」増税に危惧
補てん不足に財政支援要望、国立大学附属病院長会議

レポート 2018年12月14日 (金)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は12月13日に記者会見を開き、消費税の補てんに関して、大型医療機器などの投資が大きい病院ほど不足が顕著であり、国立大学附属病院では最大5.3億円に上ると発表した。42の国立大学附属病院間で補てん不足に約5億円の差異が生じており、同会議常置委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院病院長)は、「診療報酬によるばらつきの補てんはおよそ不可能」と指摘。「大型医療機器には補助金を出すなど、別途の財政的な支援策が不可欠だ」と訴えた。

最先端の医療提供がおぼつかない

山本氏は、「大型医療機器等、投資額が大きいほど補てん不足が顕著になる」とし、「増税に当たり、どれほど精緻に診療報酬による補てんをしても、ばらつきを補てんすることは不可能だ」と強調した。

 同会議の調査によると、2017年度の投資経費にかかる消費税額(3%相当額)が3億円を超える附属病院では、上乗せされた診療報酬から診療経費と投資経費の消費税額(3%)を差し引いた補てん不足額が4億円を超えた。最大は5憶3000万円で、42病院の消費税補てん不足額で最も少ない3000万円と、約5億円の差が生じていた。

 山本氏は、今後消費増税によりさらに補てん不足が増加し、状況が改善される目途が立たないとすると、「機器の更新をしないか、更新を極力遅らせるしか自衛策がない」と指摘。「本来最新鋭の機器を装備すべき大学病院の診療機器が老朽化し、私たちに期待されている最先端の医療を提供することがおぼつかない時代になることは間違いない」と窮状を訴えた。

働き方改革、臨床系教員は別に

 また、医師の働き方改革に関して、「大学病院の臨床系教員は、一般病院の医師とは異なる研究者の観点からの労働管理の検討が必要」と、一律の働き方改革に対して警鐘を鳴らした。

 山本氏は、大学病院の臨床系教員の勤務時間で診療活動時間の割合が伸び、研究時間を圧迫している現状を示した。「労働時間に規制がかかるとさらに研究の時間を確保できなくなる。日本の研究力の低下は免れず、将来のノーベル賞の芽を潰すことになりかねない」と強調した。

 大学病院の臨床系教員の現状に関して山本氏は、「極めて厳しい環境にいながらも、医師主導治験件数や研究論文数が近年増えるなど、なんとか研究レベルを維持している。研究がやりたくて大学病院に勤務しているからだ」とも述べ、「研究は研究者個人の自由な意思に基づくもの。研究者に労働時間規制はなじまない」と説明した。

 一方で、医師の診療時間を削減するためのタスク・シフティングが研究時間の確保には重要だとし、「診療看護師や特定研修修了者の養成費、採用に伴う人件費増加に対して財政支援をお願いしたい」と要望した。
12182_20181216095516b62.jpg



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181210-00010000-benesseks-life
医学部の入学定員、どう考えるか
12/10(月) 10:20配信 ベネッセ 教育情報サイト

東京医科大学が文部科学省幹部の息子を不正に合格させていた汚職問題をきっかけに、医学部の入試不正問題がクローズアップされています。
国公私立80大学でつくる全国医学部長病院長会議は、性別や浪人年数で受験生を不利に扱わないようにするなどの規範を策定しました。医学部の入学定員をめぐっては、特定の都道府県で地域医療に携わることを前提とした「地域枠」の在り方も課題になっています。医学部の定員を、どう考えればいいのでしょうか。

「地域枠」などで1,000人以上の増

医学部の定員は、普通の学部と違って、国が医師の需給動向を見通して増減を決める「計画養成」が行われています(他に歯学部なども)。医師の数は、国民の健康的な生活はもとより、社会保障費にも大きな影響を与えるためです。
ピーク時には8,280人あった入学定員も、医師が過剰になったとされる1985年度以降は徐々に削減され、2003年度からは7,625人となっていたのですが、都市部への偏在による地域での医師不足の深刻化を受けて、08年度からは地域枠などの形で定員の拡充などが図られてきました。2019年度までは恒久定員8,409人(新設2大学の240人を含む)、臨時定員1,010人の計9,419人とされています。
地域枠には、一般枠と違う定員を設ける「別枠方式」だけでなく、入学後に募集する「手挙げ方式」もあります。さらに、別枠方式にも(1)先行して地域枠を選抜してから一般枠を選抜する「先行型」 (2)地域枠希望者を一般枠とは区別して選抜する「区別型」、手挙げ方式にも(1)選抜に先立って地域枠の希望を募る「事前型」 (2)入学後に希望を募る「事後型」……という類型があります。
そうなると、地域枠のために拡大したはずの定員が、一般枠に化けてしまうような運用もあり得ます。また、地域枠で入学した学生には奨学金が給付される代わりに一定期間その地域で働くことを条件にする形が一般的ですが、途中や卒業後に辞退して奨学金を返還してしまえば何にもなりません。厚生労働省によると、既に別枠方式で7%、手挙げ方式で18%の「離脱」が出ており、今後は各大学に別枠方式を要請するなどの対策を講じるとしています。

重い社会的責任
一方、医学部の合否判定をめぐっては、一部の大学で女子や浪人生に差を付けたり、募集要項には記載がないのに同窓生を優遇していたりしている不正な実態が、文部科学省の緊急調査から明らかになっています。柴山昌彦文部科学相は、不適切な可能性の高い取り扱いについて各大学に公表や受験生への丁寧な説明とともに、公正な入試となるような見直しを求めています。
どのような学生を受け入れて教育するかは、大学の裁量に委ねられているのも事実です。全国医学部長病院長会議の規範にしても、違反すれば同会議から除名処分となるものの、強制力はありません。

しかし普通の学部と違って、医学部定員は国の計画養成の下に置かれているということも忘れてはなりません。医学部受験の在り方は入試全体への影響が大きいのも実態です。不正を行った一部の大学には、その重い社会的責任を十分に自覚してほしいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※全国医学部長病院長会議の規範
https://www.ajmc.jp/pdf/20181116_01.pdf

※厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第23回)配布資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208863_00003.html

プロフィール
渡辺敦司
1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3890376013122018CC1000/
「10連休」に悩む医療現場 人手不足で救急・手術に支障も
2018/12/13 19:20日本経済新聞 電子版

来春のゴールデンウイーク(GW)に予定される10連休に医療機関が頭を抱えている。異例の長期休みとなるため、救急治療や手術を行う医療スタッフの確保が難しく、退院する患者がいないため、新規の入院患者を受け入れるのも困難だ。日本医師会は都道府県医師会にアンケート調査を実施中で、医療現場への影響と政府への要望をとりまとめる方針だ。

「救急患者の受け入れを断らざるをえない可能性もあり、大問題だ」。横浜新緑総合病院(横浜市)の向井恵一院長は危機感を抱く。

12月の国会で成立した特別法は新天皇が即位される来年5月1日を祝日とした。祝日法の規定で来年は4月27日から5月6日までが10連休となる。

一方、同病院ではこれまで年末年始でも休みは最長で6日間だった。病院には毎日、脳卒中や肺炎、骨折などの患者が8人ほど救急搬送されるほか、休日は夜間や早朝も十数人が来院する。緊急手術や入院にいたる患者も多いが、休日の手術は当番医師が行うため、主治医が決まらないまま症状を申し送る形になる。

「情報伝達が難しく、他の科の医師と連携しにくいため、チーム医療も維持しにくい」と向井院長。常勤医らに連休中の休日出勤を割り振ると、労務管理上、別の日を代休とし所定の休日数を消化する必要が生じ、「月末にしわ寄せが来て、勤務シフトを組めなくなる」という問題も起きるという。

入院病床にも限りがある。全236床のうち空きベッドは常時20床ほど。回復期の77床はほぼ満床で、他病院や介護施設への転院や退院のメドがたたなければ、新たな急患は受け入れられない。

混乱を防ぐため、連休のうち5月2日は外来診療を行う検討も進めているが、患者への周知に加え、手術器具や医薬品の調達に納入業者の協力を得られるのかも不透明だ。「医療の安全を保てるのか」と向井院長は不安を口にした。

休日の人手確保や人件費の負担は大きい。「すでに医師や看護師の争奪戦が始まっている」と話すのは日本介護医療院協会(東京)の鈴木龍太会長。慢性的な人手不足にある医療業界では11月上旬以降、来年のGWに向けて当番に入れる非常勤医師を確保しようと動き出す医療機関が出てきているという。

鈴木会長は「病院に行くのを控えて病状が悪化する人が出たり、スタッフ不足で医療事故が起きたりするような患者の不利益になる事態は避けなければいけない」と言い、すでに連休中の一部を営業する準備を始めた医療機関もあるという。

医師らの声を受けて、日本医師会は11月、10連休への対応を考えるプロジェクトチームを発足。都道府県医師会にアンケート調査を行っている。在宅患者の急変や災害やテロに備え、総務省消防庁などと連携して救急車の適正利用の啓発や小児救急電話相談(#8000)の周知などもする。担当者は「国民生活に支障がでない体制作りを考えたい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/647444
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
「医師少数区域等で6~12カ月勤務」で医師認定、厚労省案
「認定に必要な経験」など提示も、意見多々でまとまらず

レポート 2018年12月12日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は12月12日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第25回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、医師偏在対策の一環として2020年度から導入する「医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度」について、「認定に必要な経験」や「認定医師を一定の医療機関の管理者として評価」という2つの視点からたたき台を提案したが、さまざまな意見が出て継続審議となった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 この認定医師制度は、今年の医療法・医師法改正に盛り込まれた医師確保対策の一つ。

 厚労省は、「認定に必要な経験」としては、患者への継続的な診療・保健指導、他の医療機関や介護・福祉事業者等との連携、健診などの地域保健活動という3つの業務に、6~12カ月従事することを挙げた。「認定医師を一定の医療機関の管理者として評価」の対象は、「地域医療支援病院のうち、医師派遣・環境整備機能を有する病院」が該当するとし、具体的要件は、同省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」での議論を踏まえると提案。

 これに対し、会議の冒頭から、異議を唱えたのが座長の片峰氏。2017年12月の本検討会の第2次中間取りまとめの際に、認定医師を管理者に求められる基準の一つとする対象として、地域医療支援病院以外にも加えるべきとの議論があったことを踏まえ、「地域医療支援病院だけに限定するのは実効性に問題があるとして、この議論は持ち越しとなったと理解している」などと指摘し、厚労省の考えを質した。「(地域医療支援病院の)管理者になることが(医師少数区域等に勤務する)インセンティブになるのか、弱いのではないか。それ以外の病院についても議論すべき」(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏)など、他の構成員からも同様の意見が上がった。

 この論点については会議中、何度もやり取りがあった。厚労省医政局総務課は、地域医療支援病院は2018年9月時点で586病院、うち「医師派遣・環境整備機能を有する病院」については現在、調査中であると説明。地域医療支援病院以外を追加するか否かについては、医師需給分科会で議論すると回答した。

 「認定に必要な経験」や「認定医師を一定の医療機関の管理者として評価」について、データに基づいた議論が必要と指摘したのは、日本医師会副会長の今村聡氏。「どのくらいの医師が来れば医師少数区域等が解消されるのか」と述べ、586病院のうち対象となる地域医療支援病院数の推計も合わせて必要だとした。岩手医科大学理事長の小川彰氏も、医師少数区域等での必要医師数や、認定医師制度の候補となる地域枠の卒業生数などを基に議論しないと、「絵に描いた餅になるのではないか」との懸念を呈した。

 「認定に必要な経験」について、小川氏は、「臨床判断が明確にでき、適切な紹介ができる能力が重要」と追加を求めた。
  ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、医師少数区域等での勤務は、「限られた医療資源をいかに活用するかという視点が必要」と指摘し、プレーヤーだけでなく、マネジャーとしての経験の両方の視点が必要だとした。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「具体的に動く仕組みを作る必要がある。地域によって足りない医師は違う。各地域でどんな医師が必要かを見ていかないと、ニーズと供給が合わない可能性も出てくる」と述べ、「医師少数区域等はどんな地域なのか、具体的なデータを作る必要がある」と求めた。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏からは、「認定に必要な経験」は、医師少数区域等で経験すべき内容というより、「こうしたことを勉強した医師が、医師少数区域等に行く方が現実的ではないのか」といった意見も出た。

 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏は、「医師を育てようと思っている制度なのか、あるいは短期間、医師少数区域等に行った医師を評価する仕組みなのか」と問いかけ、2つのパターンで考える案もあると提示。

 「認定医師の候補は誰か」という関連では、今村氏は、「医師偏在対策に一番大きな影響があるのは地域枠だろう。それを補完するためにこの仕組みがあると理解している」と述べ、地域枠の医師の方が、一定の経験を積んだ医師よりも圧倒的に多くなるのではないかと予測した。

 一方で、片峰氏は、「地域枠の医師は当然だろうが、眼目はそれ以外の医師にいかに医師少数区域等に行ってもらうかではないか」と指摘した。

 「ニーズに見合った供給を」

 厚労省が「医師少数区域等で6~12カ月勤務」と提案したのは、自治医科大学や地域医療振興協会の医師派遣事業が原則1年単位であるからだ。構成員からも「最低1年くらいはいて、地域住民と顔が分かる関係にしていくことが必要ではないか」といった意見が出た。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、妊娠、出産、育児等などのライフイベントを踏まえ、「医師のキャリアプランに応じた弾力的な対応をしてはどうか」と述べ、期間を「通算」で考えることも検討すべきだとした。

 堀之内氏は、「最初から6カ月や1年とかの長期では、若手医師が行かないのではないか」と述べ、スタート時はより短くすることもあり得るとした。



https://www.yomiuri.co.jp/national/20181215-OYT1T50002.html
医師の勤務間休息9時間、医療機関に義務づけへ
2018年12月15日 06時14分 読売新聞

 長時間労働が常態化している医師の働き方改革として、厚生労働省は、地域医療を担う医師らの残業を一般の医師よりも長く認める一方で、終業から次の始業まで9時間の休息を確保する「勤務間インターバル制度」を導入するよう、医療機関に義務づける方針を決めた。2024年度の導入を目指しており、17日の有識者検討会に提示する。
 厚労省は、一般の医療機関で働く医師の残業については上限を「年960時間」とする方向で調整している。これに対し、地域の中核的な医療機関の医師や、診療経験を積む必要がある研修医は、残業時間の上限を大幅に緩和する代わりに、インターバルの取得を義務づける「二段構え」の仕組みを検討している。関係者によると、インターバル制度では、泊まり勤務後は18時間の休息を確保するよう定める予定。連続勤務時間の上限は28時間とする。



https://www.m3.com/news/iryoishin/647301
シリーズ 真価問われる専門医改革
東京など5都府県の「シーリング」、実は過大
「研修2、3年目は東京以外で」も保証なく

レポート 2018年12月12日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 東京都の2018年度の専攻医採用のシーリングは、過去5年間の専攻医実績の平均値よりも高めに設定された可能性があり、2年目、3年目の専攻医は都内の基幹病院ではなく、他府県の関連病院で研修するとされていたが、現時点でその保証はない――。

 厚生労働省と日本専門医機構が12月11日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に提出した、新専門医制度の地域医療への影響を検証するための資料で、このようなことが示唆された(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は過去3回(2012年、2014年、2016年)の三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)を用いて、「医籍登録3年目」の医師数を都道府県別、診療科別に分析。日本専門医機構は、今年11月13日から11月22日にかけて、全国の専門研修プログラム責任者を対象に実施した調査結果を公表した(速報版。2018年度専攻医がプログラム期間中に研修を行う都道府県とその期間を調査。回収率は85.7%で、採用数8410人のうち、7205人分を回収)。

 東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県については、14の基本領域について「過去5年間の専攻医採用実績の平均値を超えない」というシーリングが設定された。シーリングの根拠となったのは、各基本領域の学会からのデータ。

◆シーリングについて
・東京都の2018年のシーリング:1581人
・東京都の三師調査による平均人数(シーリング対象科分):1077人

・5都府県の2018年のシーリング:3745人
・5都府県の三師調査による平均人数(シーリング対象科分):2646人

 卒後3年目に専門研修を開始すると仮定する。シーリングに用いた過去5年間(2013年~2017年)の卒後3年目医師の医師免許取得時期は、2011年~2015年(医師国試合格者数の平均は年7829.6人)。過去3回(2012年、2014年、2016年)の三師調査の卒後3年目医師の医師免許取得時期は、2010年、2012年、2014年(医師国試合格者数の平均は年7682人)。

 シーリングと三師調査の対象年の相違や、三師調査の回答率(90%台)を勘案して、「三師調査による平均人数」から10%増という数字と比較しても、2018年のシーリングはそれを大幅に上回っている。

 また日本専門医機構は、3月27日に開催された厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、「東京都への専攻医集中」という批判に対して、都内の基幹施設へのアンケートを基に、「専門研修1年目では、13.6%が都外の施設で研修。2年目は30%弱、3年目は50%近くが、都外の施設で研修する」などと説明していた(『専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 しかし、日本専門医機構が今回提出した資料によると、下記の通り。2、3年目は「未定」「無回答」が多く、その動向次第では、東京都で研修する専攻医の割合は増減する可能性がある。

◆専攻医の研修地
1年目4月時点:東京都が全体の19.7%、「未定」「無回答」が計1.0%
2年目4月時点:東京都が全体の12.5%、「未定」「無回答」が計38.5%
3年目4月時点:東京都が全体の8.7%、「未定」「無回答」が計54.6%

 「プログラム制で2、3年目の研修先は未定」は問題

 全国市長会会長で、福島県相馬市長の立谷秀清氏は、日本専門医機構の調査で、研修プログラム制であっても、専攻医2、3年目の研修先が「未定」「無回答」との回答が多いことを問題視。「研修プログラム制で、(研修先を)がちがちにするのは、よくないと思っている」と断りつつ、研修プログラム制を採用することで、地方の連携病院に専攻医が行くと想定していたと指摘。

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、研修先が未定なのは、「かなり問題」としつつ、連携病院が複数あっても、実際にどこに行くのかが決まっていないケースについて、「未定」「無回答」と回答したとの見方をした。

 立谷氏は、回答に納得せず、「これまでの説明と、現実とが違う」と指摘。さらに都道府県が医師確保対策について議論する場である地域医療対策協議会で、大学病院などの基幹病院から派遣される専攻医を把握しきれていない現状も問題視した。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「研修プログラム制で各都道府県に行く医師を把握することは必要。情報がきちんと取れるようにしていくことは大事なので、具体的な方法を検討していく」と答えた。

 日本専門医機構理事で、日本医師会常任理事の羽鳥裕氏も、「正確なデータベースを作っていくことが必要」と述べ、医籍番号を活用して追跡していけば把握が可能だとした。

 専攻医2、3年目、「未定」を問題視

 一方で、研修プログラムを運営する立場から、聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内英子氏は、「現場では、地域との連携を図る研修プログラムを組み、地域に医師を出すように努力している」とし、日本専門医機構、各研修病院、地域医療対策協議会との連携はこれからの課題であるとした。さらに厚労省が「地域貢献率」(文末の図)を出したことについて、「地域に医師を出してもらいたい」という啓発、それに取り組んでいる現場への評価であると前向きに受け止めた。

 日本外科学会理事の池田徳彦氏は、専攻医1年目は都内で研修しても、2、3年目は他の地域で研修しているというデータは、実感と合っているとした。その上で、2、3年目の研修先が決定していない理由として、専攻医の研修状況を踏まえて研修先を検討することを挙げ、「必ず地域の病院に送っている」とした。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、データを基に議論する重要性を指摘した上で、「地域医療を壊さない形で、研修の質を上げて行くことが必要」と指摘した。「東京からあちこちに回る仕組みが本当にいいのか、をしっかり検討しなければいけない。基本は各都道府県で、地域枠を活用しつつ、将来必要な医師を養成することが必要ではないか。地方を回ることが先になり、研修がおろそかになってはいけない」(釜萢氏)。

 日本内科学会認定医制度審議会副会長の宮崎俊一氏からは、診療科偏在を問題視する声が上がった。「それまで内科系の専攻医は38%だったが、今年は31.7%まで減っている。内科の立場からすると、実感に合っている。内科に進む医師が減っていることを危惧している。診療科の偏在も含めて議論をしてもらいたい」(宮崎氏)。



https://www.medwatch.jp/?p=23915
2019年度中に「病床ダウンサイジング」を支援する追加的方策を検討し、20年度以降順次実施せよ―経済財政諮問会議
2018年12月12日|医療・介護行政全般 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、「病床のダウンサイジング」を支援するため、来年度(2019年度)中に追加的方策を検討し、2020年度以降、順次実施していく。また「医師の働き方改革」を下支えするため、来年度(2019年度)中に時間外労働の上限規制に係る制度上の措置を講じる(実施は2024年4月1日予定)とともに、▼医師の労働時間短縮に向けた総合的な取り組み▼タスク・シフティング(他職種への業務移管)など、勤務環境改善の先進的な取り組みを行う医療機関への補助—などを実施する―。

 12月10日に開催された経済財政諮問会議で、「新経済・財政再生計画改革工程表2018」の原案が示され、そこにはこういった内容が盛り込まれています(関連記事はこちらとこちら)。

2019年度中に「地域医療構想調整会議」で半数の病床の機能転換等を合意せよ
 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その一方で、2040年にかけて、高齢者を支える「生産年齢人口」が急激に減少していくため、社会保障制度の基盤が極めて脆くなっていきます。

このため、給付と負担の見直しにとどまらない、総合的な「社会保障改革」が求められているのです。経済財政諮問会議では、今年(2018年)6月に「経済財政運営と改革の基本方針2018—少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現—」(いわゆる骨太の方針2018)を取りまとめた後も(関連記事はこちら)、社会保障改革に向けた議論を進めており、現在、▼具体的な取り組み内容▼スケジュール▼取り組み状況を評価するための指標(KPI:key performance indicator)―を一覧できるよう整理した「新経済・財政再生計画改革工程表2018」の作成を行っています(従前から取り組まれている「44項目」も包含される)。

改革項目は多岐にわたりますが、社会保障改革のうち「医療・福祉サービス改革」では、例えば次のような項目が目を引きます。

【ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の推進】
▽ACP(人生の最終段階において、自身がどのような医療・ケアを受けたいかを家族等と繰り返し話し合うこと)の普及に向けて、2019年度までに「人生の最終段階における医療に関する患者の相談に適切に対応できる医療・介護人材を育成する研修」を累計12回実施し、参加者を960人とする。また研修参加者が所属する医療機関を240施設とする

→このため、来年度(2019年度)には、研修実施を的確に行うほか、「本人の意思に反した救急搬送」について問題意識を持つ自治体に、先進事例を紹介するなどして、「本人の意思を関係機関間で共有・確認するための連携ルール」策定支援などを実施する
 
【地域医療構想の実現】
▽地域医療構想調整会議で、具体的対応方針について合意に至った医療施設の病床の割合を、▼2019年度末までに50%▼2025年度までに100%―とする

▽「公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」対象病院について、地域医療構想調整会議で具体的方針について合意に至った医療施設の病床の割合・施設の割合を、2018年度末までに100%とする

→このため、2019年度には▼地域医療構想調整会議における2017・18年度の集中的な検討の成果の検証▼都道府県に対する2019年度以降の地域医療介護総合確保基金配分の大幅なメリハリ付け等▼骨太方針2019における「地域医療構想調整会議の議論に関する追加的方針策」の提示▼実効性のある「新たな都道府県知事の権限の在り方」についての検討▼2020年度診療報酬改定に向けた検討▼地域医療介護総合確保基金の活用状況の検証結果を踏まえた「病床のダウンサイジング支援の追加的方策」の検討—などを行う
 
【医師の働き方改革】
→「医師の働き方改革に関する検討会」の議論(2018年度中に結論を得る)を踏まえ、2019年度には、▼「時間外労働の上限規制」(2024年4月から適用予定)に係る制度上の必要な措置▼医師の労働時間短縮のための勤務環境改善策などの総合的な推進▼タスク・シフティング等の勤務環境改善の先進的な取り組みを行う医療機関への補助—などを実施する

【データヘルス改革】
▽NDB、介護DBの連結解析、提供に関する基盤について、2020年度に運用を開始する

▽コンピュータ審査で完結するレセプトの割合を、社会保険診療報酬支払基金のシステム刷新(2020年度予定)後2年以内に9割程度とする

▽社会保険診療報酬支払基金における「支部設定コンピュータチェックルール」(既存分)について、新システム稼働時までに移行・廃止する

▽2020年度末までに、重点領域(▼ゲノム医療▼画像診断支援▼診断・治療支援▼医薬品開発▼介護・認知症▼手術支援—)のすべてについて「AI構築に必要なデータベース」を構築し、うち1領域で「AI技術の製品化」などの実用化を図る

【事業所マネジメント改革】
▽2020年度までに、特定行為研修の指定研修機関を150機関とし、「研修を修了し医療機関で就業している看護師」を3000名とする

▽2019年度までに、「病院長に対する労務管理に関するマネジメント」研修の受講者数を1000名とする
 
【かかりつけ医等の普及】
▽「かかりつけ医の普及」に取り組む都道府県の割合を、2020年度までに100%とする

▽400床以上の大病院における「紹介状なしで受診した患者」の割合を、2020年度までに40%以下とする

 このほか、2019年度中に▼後期高齢者における医療機関の窓口負担▼薬剤自己負担▼外来受診時の定額負担▼医療給付費と保険料率とのバランス確保策(いわゆる医療版マクロ経済スライド)―などについて検討を行い、「骨太方針2020」にその結果を盛り込む方針も示されています。



https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20181210-OYTNT50031.html
岩手医大「痛恨の極み」…不適切入試
2018年12月09日 読売新聞

歯学部出身者ら優遇

 文部科学省による医学部入試に関する緊急調査で、岩手医科大(盛岡市)でも編入試験と一般入試で一部の受験生を優遇していたことが8日、明らかになった。同大は記者会見で「社会の信頼を揺るがす事態になったことは痛恨の極みで心からおわびする」と謝罪し、運用を見直す方針を示した。

 同大によると、文科省の指摘を受けた一つが、今年2月の歯科医師免許取得者らを対象にした医学部への編入試験。2013年頃から募集要項に明記せずに同大歯学部出身者の合格枠を設け、34人が応募した今年は合格者7人のうち3人を占めた。

 編入試験の応募者には、卒業後に県内の地域医療に従事することを確約する誓約書の提出を求めており、佐藤洋一医学部長は「地域医療への意欲や信用性に比重を置いている。(同大歯学部出身者の優遇は)大学の裁量の範囲内だと思っていた」と釈明した。

 また、今年度の医学部一般入試(募集定員90人)では特定の受験生を優先的に合格させたと指摘された。

 同大は1月の入試で当初135人に合格を出したが、100人弱が辞退したため、繰り上げで51人を追加合格とした。この際、当初の合格者に近い評価だった受験生が含まれず、面接の点数が明らかに下回っていた受験生を追加合格とした点を文科省は不適切だと指摘。その経緯を記した書類が残されていないことも問題視した。

 同大は「性別や浪人生など、特定の属性で差別はしていない」と説明。今後は成績順位を順守して合格者を選抜し、記録を残すなど合格に至った経緯の透明性を確保するとした。

 祖父江憲治学長は「透明性の担保などを粛々と進める。岩手をはじめ東北の医療を担うために多くの人材を育てたい」と話した。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181208-00000069-asahi-soci
医学部不正、3大学で同時会見…福大副学長「びっくり」
12/8(土) 23:48配信 朝日新聞デジタル

 岩手医科大、金沢医科大、福岡大の3私立大が8日、一斉に各大学で会見を開き、医学部入試で「文部科学省から不適切な点があると指摘された」と公表した。募集要項で明記せずに現役生や地元高校の卒業生ら、特定の受験生を優遇していたが、いずれも「問題ないと思っていた」と釈明した。

 文科省は同省幹部の汚職事件をきっかけに、東京医科大の医学部入試で不適切な得点操作が発覚したことを受け、全国81大学の医学部入試を調べている。10月に「複数の大学で不適切な入試が行われている」と発表し、大学の自主的な公表を求めていた。

 岩手医科大は、34人が受験して7人が合格した今年の編入試験で、同大歯学部の出身者3人を優遇した。地域医療に貢献する人材育成のために出願時に約束させている、付属病院や関連病院で卒業後6年以上、勤務する条件を守る可能性を重視したという。佐藤洋一・医学部長は「出身者に優位性を持たせるのは、私学の裁量の範囲内と考えていた」と話した。

 今年度入学の一般入試で不合格となった7、8人より、評価が明らかに低かった1人を追加合格させた点も、不適切と指摘されたという。判断の基準について問われた佐藤医学部長は、「公表を差し控えたい。特定の属性で合格させておらず、不都合な点はないと考えていた」とした。

 金沢医科大は今年度のAO入試で同窓生の子ども、北陸3県(石川・福井・富山)の高校の卒業生、現役生と1浪生に加点していた。同窓生の子は10点、石川の高校出身者には5点、富山、福井については3点、現役・1浪生には5点を加えていた。編入試験でも北陸3県の高校出身者や年齢に応じて得点を調整。これらの操作によって約10人が不合格になったという。さらに、一般入試の補欠合格者を決める際にも年齢を考慮していた。

 会見した神田享勉(つぎやす)学長は「大学の機能を保ちながら、北陸の医療を支えていくのは困難。同窓生の子どもや現役・1浪生、北陸3県出身者の方が地域に残るというデータがある」と得点調整の理由を説明した。

 福岡大では、高校の調査書の評価を点数化する際、現役生を有利にしていた。一般入試の評価では、1浪は現役生の半分で、2浪以上は0点だった。2浪以上は受験できない推薦入試でも、同様に差をつけていたという。「高校時代の学力・成績も評価したかったが、卒業から年数が経つと基礎学力評価の有効性が下がる」として、2010年度入試から始めたという。11月下旬に文科省から不適切との指摘を受けて再検討し、高校側の保存期間を過ぎて調査書を提出できない浪人生もいることなどから「不適切」と結論づけた。月内に第三者を含む調査委員会を設け、追加合格などを検討するという。

 会見はいずれも午前11時に開始された。この日になった理由を問われ、3大学とも「近く、一般入試の出願が始まるため」と同様の説明をした。会見日時が重なったことについて、福岡大の黒瀬秀樹副学長は「びっくりしている。示し合わせているわけでは全くない」と話した。(渡辺朔、沼田千賀子、竹野内崇宏)


     ◇

■3大学が公表した不適切入試の内容

■岩手医科大
・編入試験で同大歯学部出身の受験生を優遇
・一般入試の追加合格で、特定の受験生を優先

■金沢医科大
・AO入試で同窓生の子、北陸3県の高校出身者、現役・1浪生に加点
・編入試験の書類審査で、北陸3県の高校出身かどうかや、年齢に応じて得点調整

■福岡大
・高校の調査書の評価を点数化する際、1浪は現役生の半分、2浪以上は0点に



https://www.m3.com/news/iryoishin/641583
シリーズ 一介の外科医、憧れの人に会いに行く:中山祐次郎・対談企画
診療科偏在「働き方改革で絶対に解決するべき」 - 堀岡伸彦・厚労省医師養成等企画調整室室長◆Vol.3
「プロフェッショナル・オートノミーは無理?」

スペシャル企画 2018年12月9日 (日)配信まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

中山:堀岡さんのもう一つのテーマは「専門医制度」ですが、それと密接に関係するのが医師の偏在対策だと思います。私は都立病院に長くいて、現在は福島県の民間病院に所属しています。先の国会で改正された医療法改正では、医師の偏在対策も盛り込まれましたよね。

堀岡:医療法・医師法は古い法律で、改正は繰り返しているのですが、今回、初めて「偏在対策」を大々的に銘打って法律改正がなされました。偏在対策は「強制性」と「実行性」がアンビバレントな部分のある世界です。フランスのように全診療科の細かい人数まで決めて、各地方に配置すれば、偏在対策としては完璧ですけど、「強制性」は最高です。

 日本ではそこまでできないですし、それでなにより今みたいな日本の医療の良い文化が守れるかどうか。例えば自分が選択したわけでもない診療科で、自分をなげうった医療をできるのかという問題もあります。一方で完全に自由だと、大都市に人が集まってきてしまう。どの程度がいいのかは人によって千差万別です。

 今の法律はそのバランスの中で成り立っていて、優等生的に言うと、日本医療の良い文化を消さない範囲できちんと偏在対策をやらないといけないと思っています。


堀岡伸彦 2005年 順天堂大学卒業・多摩南部地域病院で初期研修医、2007年 厚生労働省入省・保険局医療課(診療報酬改定)、2009年 同保険局総務課(被爆者援護)、2011年 内閣府原子力被災者支援チーム(医療班)、2012年 厚生労働省健康局疾病対策課(難病法制定)、2013年 山梨県健康福祉部健康増進課長、2016年~厚生労働省医政局医事課(医師確保対策)、医学博士

中山:強引な質問ですが、そのバランスでいうと今回の法律はどの辺りのイメージなのでしょうか。例えば「強制性」を10段階で表すと。

堀岡:正直、だいぶ自由だと思います。

中山:そうなんですか。ちょっとそれは意外でした。

堀岡:そうですか。現場のイメージはもっともっと非常に強制性のあるイメージなんですね。

中山:最近にわか知識で公衆衛生を学んだからだと思いますが、現場の医師としてもうちょっと強制性を持った配置が必要ではと思うようにもなりました。自分がプレーヤーとしていたとしても、強制性はある程度は必要なのではと。

堀岡:今の法律は、医師の自由な選択性をほとんど侵さない範囲での法律だと思っています。

中山:僕は短期間だけですけど、へき地で病院長や勤務医をやった経験もあり、ある程度の強制性は必要だろうと実感があります。ですから、より強制力を強めていく方向に行くんだろうと勝手に予想しておりました。

堀岡:0から10だと、今回は偏在対策のためにみんなで知恵を絞ろうということになったので、2ぐらいになったとも言えるかもしれせん。今まではそういう法律はなかったわけですから、完全に0ですよね。

中山:なかったときと比べると、ある程度の強制性は発生したということですかね。

堀岡:どうでしょうかね。少なくとも医師が行きたくないのに行かされることはないので、そういう意味では0のままとも言えます。

中山:なるほど。強制性が0という状況で、偏在はどれぐらい改善するのでしょうか。

堀岡:ここで官僚答弁をしてもしょうがないですが(笑)、前よりは良くなると思っています。意思に反して強制的に配置をする方法ではない偏在対策というのは可能だと思うので、その範囲で目いっぱいアイデアを出してやっているところです。

 この法案で「医師少数区域勤務認定医師」のことばかり話題になりますが、入院だけでなく外来でも地域医療構想を作ることを打ち出しています。具体的な議論の場、前提ができるという意味では、改善は進むと思っています。

中山:診療科間の偏在で、私はある意味では“マイナー科”と⾔ってもいいぐらい新しく選ぶ⼈が減っている外科にいます。全体としては⼥性医師数が増えていますが、働きやすい科に⼈が流れている印象があります。

堀岡:データでも明らかです。

中山:そこら辺にも介入していくのでしょうか。

堀岡:それは働き方改革でしか絶対に解決できないと思います。

中山:強制的な配置という、海外の諸国のように定員を決める、という議論はないのですか。

堀岡:それは働き方改革で絶対に解決するべきだと思います。女性が外科医を選ぶことができる職場環境を整備する改革をしないといけない。最大のポイントは「タスク・シフト」だと思います。逆に中山先生の実感としては、強制的に外科に来るんだったら、それはいいのでしょうか。

中山:いいか悪いかで言われると、女性外科医は仕事がきっちりしてオペがうまいので、患者さんの利益を考えたら良い面もあるかなと思います。若干強制だとしても、来たら来たで面白いから、そのままたぶん染まる人も多いのではないかなと。

堀岡:たぶんそれも一つの真実だと思うんですよね。今でも、部活の先輩が「あの人いい人だから」といって選んでいるのが実態だったりしますよね。

中山:私は先日、所属している南東北病院で高校生イベントというのをやりました。県内の高校生を集めて手術室に連れて行って、外科のかっこよさをアピールしました。10年後にその高校生たちが外科や当院に興味を持ち、それらで働いてくれればと期待を込めています。なんと学生のうちの半分が女子でした。

堀岡:若干雑談になりますけど、国としては診療科偏在というのは極めて大きな問題ですが、実は外科医を選ぶ人は年800人ぐらいでずっと変わらない。学会に所属する人は減っているようですが。外科が大変だということを知らない研修医はいないと思います。それでもこれだけの数の一定数が必ずいるのは外科医は何よりも格好良いですから。

中山:「格好良くなければいけない」みたいな議論は、よく外科系の学会でもされていますね(笑)。最近の外科系学会では「矜持」「美学」がよく聞かれます。

m3.com編集部:先ほど中山先生が「混乱している」と言ったように、医療を良くしていこうという時に、国に決めてもらった方がいいのか、医療現場、プロフェッショナル・オートノミーで変えていけるのか、どのようにお考えでしょうか。

堀岡:興味深い質問ですね。

中山:極めて難しい質問です。正直私も日によって、時間によって立ち位置が変わってしまっています。とはいえ、勤務医をやりながら、公衆衛生を学び、短い期間ですが院長もやって、その経験から考えると、やっぱり現場から改善というのは限界があると感じています。

 単純に現場の医師には時間がないのもありますが、現場から声を上げる人はすごく少ない。なぜなら病院や医局内部のピラミッドがあって、部長に文句は言えない、院長に文句は言えない、教授に文句は言えないという文化があるからだと思っています。ですから、厚労省からの通達や経済原理という外力が必要なのではと思います。

 プロフェッショナル・オートノミーを期待するのは、ちょっと無理なのではと思っています。働き方もずっと30年変わらなかったわけですから。

m3.com編集部:高野病院の院長をされた時の取材では、「地域の魅力やその病院に来るインセンティブ(金銭的・キャリアアップ的)を付けることで、人の移動を促すことが自然であり、継続性が高いはずだと考えています」と答えていました(『36歳外科医が高野病院院長に就任したわけ―中山祐次郎氏に聞く◆Vol.2』を参照)。

中山:矛盾するようですが、その発言も真実だと思っています。魅力が出れば人は自然と集まってくる。ただ、実効性という意味では、時間がかかっている間に地域が衰退してしまうかもしれない。強制的な配置をした方がいいのではと思ったり、行ったり来たりしています。

 「専門医制度」についてはいかがでしょうか。

堀岡:医療法改正で、日本専門医機構に対して、厚生労働大臣から「地域医療の確保という観点からは、専門医機構に対し意見を言える」という非常に弱い権限が書き込まれました。もちろんそれを聞く義務はないのですが、専門医機構だけで対応が難しいことがあるならば、厚生労働省としても法的な権限を使ってちゃんとしていきたいと思っています。これまでは国の制度である初期研修を議論する臨床研修部会がありましたが、専門研修部会も新たに立ち上がるので、そこでも議論をしていきます(編集部注:2018年9月に発足)。

中山:なるほど。「地域医療の観点から」というただし書きが付いているんですね。それはつまり医者たちだけが考えた専門医の像と、国が考える専門医像がちょっと違うかもしれないからでしょうか。

堀岡:質と地域医療の維持というのは、さっきの強制と偏在みたいなアンビバレントな関係ではないと考えます。東京の一極集中を是正することで、質が下がることにはならないようにしなければならないと考えています。

中山:なるほど。国全体で見たらそうだと思うんですけども、例えば福島県でしたら、比較的人口が多い地域で、病院規模が大きい限られた市中病院、あるいは大学病院で研修せねば専門医は取れないとなるのではという心配がされています。

堀岡:それはそうですが、運用の問題なんですよね。中核病院でなければ経験できない症例が、専門医の要件に入ってないですよね。

中山:症例で言ったらそうですけれども、現実的に取ろうと思うとやはり大規模病院が有利になると思います。

堀岡:だから運用の問題ですよね。例えば産婦人科では緊急帝王切開を数十例経験する必要があります。確かにへき地ではできないと思いますが、3年基幹病院にいなくてはいけないという話ではないはずです。もちろん、実態としてはいろいろなことがあるとは思いますが。

 仕組みとしては、基幹病院は都道府県で最低1つ以上になるということ、連携病院でできるだけ長く研修できること、を整えていただきました。正直、僕らができるのはここまでで、そこから先、運用になると各地域でご議論いただきたいと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/647035
シリーズ 真価問われる専門医改革
東京都の専攻医7領域でオーバー、7府県は「20人以上減」
2019年度専攻医1次応募8217人、 診療科別での増減も

レポート 2018年12月11日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の12月11日の会議で、2019年度専攻医の1次募集の応募状況が明らかとなった。合計では8217人。今後、採否を決定後、2次募集が行われるが、2018年度の8410人よりは193人少ない(資料は、厚労省のホームページ)。

 専攻医のシーリング(採用数の上限)がかかる5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の合計は3876人。うち東京都は1824人。シーリングは14の基本領域でかかり、2018年度のシーリングより5%削減される。シーリングを超えた7基本領域(小児科、皮膚科、精神科、泌尿器科、脳神経外科、形成外科、リハビリテーション科)で56人減らす必要が生じている。

 他府県でも、神奈川県では眼科、愛知県では皮膚科、眼科、泌尿器科、形成外科、福岡県では皮膚科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科でそれぞれ応募数がシーリングを超えている。大阪府ではシーリングを超えた基本領域はない。

 5都府県も含め、47都道府県別の増減を見ると、開きは大きい。2019年度1次募集の応募数が、2018年度採用数よりも、20人以上減少しているのは、宮城県(159人⇒125人)、福島県(86人⇒65人)、岐阜県(98人⇒75人)、京都府(284人⇒257人)、愛媛県(88人⇒55人)、高知県(50人⇒25人)、沖縄県(108人⇒72人)の7府県。

 一方、20人以上増えたのは、千葉県(267人⇒299人)、静岡県(114人⇒145人)、愛知県(450人⇒476人)、兵庫県(338人⇒366人)、長崎県(84人⇒104人)の5県。

 19の基本領域別では、2019年度1次募集の応募数が、2018年度採用数を既に上回っているのは、内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、臨床検査、形成外科の6領域。

 専攻医の1次募集は10月22日から開始、11月19日の時点での応募数は7652人だった(『2019年度専攻医の1次登録、現時点で7652人』を参照)。今後、採用を経て、12月21日に1次募集での採否が決定、12月22日から2次募集が始まる。

 新専門医制度では、都市部への専攻医集中が懸念され、東京都の専門研修プログラムに登録した専攻医が、他府県の関連病院でどの程度、研修しているかが注目されている。厚労省と日本専門医機構は、11日に関連資料を提出した(詳細は、別途記事掲載)。


12月11日の専門研修部会では、専攻医の地域偏在についても議論。

 「新専門医、広告可能に」、賛否分かれる
 厚労省は11日の医師専門研修部会に、新専門医制度による日本専門医機構が認定する専門医を、医療法で定める広告対象にするための検討を始めることを提案した。検討の場は、同省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」だ。しかし、賛否が分かれ、医師専門研修部会でさらに新専門医制度についての検討を続け、同検討会には、「今後、新専門医の広告に関する議論が起り得ることを紹介する」(厚労省医政局医事課長の佐々木健氏)ことにとどめることで落ち着いた。

 広告の対象とすることを、「時期尚早」として反対したのは、全国市長会会長で、福島県相馬市長の立谷秀清氏。「専門医であるという看板をかけられるほど、(新専門医制度は)市民権は持っていない」。その理由として、更新の在り方、研修カリキュラム制の導入など、新専門医制度をめぐる課題が多いことを挙げた。

 その他の委員からも、特に専門医の更新をめぐって、地域医療に従事する医師が取得しやすいよう、e-ラーニングの導入、更新の単位取得のための学会参加負担軽減などを求める声が多数出た。

 日本専門医機構副理事長で、日本医師会副会長の今村聡氏は、「機構の脆弱性はその通りだ。いかにしっかりとした組織を作るかという努力しなければいけない。それは(広告対象とすることと)表裏一体の関係にあって、広告できる専門医を作っていくことが、機構をしっかりとしていかなければいけないというプレッシャーになる」と述べ、新専門医を広告できなければ、専門研修を行っている専攻医が不安になり、意欲をそいでしまう懸念があるとし、「今回は、検討を始めるという提案であって、広告可能とすることではない」と理解を求めた。

 現行では、学会認定の専門医は広告可能。専門医の更新に当たっては、今のところ学会と日本専門医機構の両方の認定のために広告は可能だが、3年後には日本専門医機構認定の新専門医が誕生するため、それを見据えた議論が求められる。



https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181213-OYT1T50119.html
社説 : 医学部入試不正 女性が働きやすい医療現場に
2018年12月14日 06時04分 読売新聞

 不適切な入試の是正は医療現場の実態を見据えて進める必要がある。

 医学部入試で、次々と問題が判明している。順天堂大や北里大は、女子や浪人年数の多い受験生を不利に扱っていた。日本大では同窓生の子が優遇されていた。

 各大学は文部科学省の書面調査には、不適切な事例はない、と回答していた。反省を求めたい。

 順大は、女子寮の部屋が足りずに、女子数を抑えてきたと釈明した。女子寮を増設しても他学部生を入れて、医学部生は抑制し続けたのだから、釈明は通らない。

 面接で女子を一律に減点したのは、対人能力が未熟な男子のための「補正」だとも主張している。女子の数を絞りたいがための強引な理屈だと言うほかない。

 全国医学部長病院長会議は先月、医学部入試の規範を定めた。女子や浪人生の得点を、一律に操作する選抜方法を禁じた。属性で一括ひとくくりにせず、一人一人を評価するのは、入試の大前提である。

 推薦入試や内部進学、地域枠などの特別枠でも、各大学の学生受け入れ方針に基づき、合格条件を事前に公表するよう求めた。

 金沢医科大や神戸大は、特定の地方出身者をひそかに優遇していた。公表した上で行えば、地域で一定の理解を得られただろう。

 今後、規範の実効性を確保するには、各大学の選抜状況を開示する仕組みが必要だ。男女別や浪人年数ごとに合格率を公表し、受験生の疑念を払拭ふっしょくするしかない。

 医学部には、医師の供給に直結するという特殊事情がある。不公平な入試の是正には、大学病院などと連動した対処が肝要だ。

 「従来、女性医師の産前産後の休業中は周囲の医師がカバーしていたが、女性医師の増加で物理的に難しくなった」。入試規範に記された背景説明の一節からは、現場の苦悩がうかがえる。

 東京医科大が女子入学者を絞った得点操作に、理解を示す医師が6割以上を占めるという調査結果もある。無論、不正な手法は許されないが、女性医師が増えて生じた問題の改善を図る狙いには、うなずける面もあるのだろう。

 定時で帰りやすく、休日勤務も比較的少ない診療科に、女性医師が集中しがちだ。医学部の入り口となる入試を公平にしても、卒業した先の診療科が偏っては、医療体制に歪ひずみが生じる。

 過酷な診療科の医師に待遇で報いるような措置で、人員を充足させられないか。女性医師をカバーできる体制の構築が急務だ。



https://www.medwatch.jp/?p=23870
DPC対象の病床数を大幅変更する場合には6か月前までに申請、遅れた場合のペナルティ検討も―中医協総会
2018年12月10日|医療保険制度 MedWatch

 ▼2018年10月より、重井医学研究所附属病院(岡山県)のDPC対象病床数を2分の1以下とする(80床→40床)▼2019年5月より、さいたま北部医療センター(埼玉県)のDPC対象病床数を2分の1以下とする(118床→54床)▼2018年12月より、防府消化器病センター防府胃腸病院(山口県)のDPC対象病床数を2分の1以下とする(120床→60床)―。

 12月5日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった点が報告されました。いずれも、DPC制度への継続参加が認められています。

ところで、こうした「大幅な病床数変更」や「合併」については、「DPC制度への参加継続が妥当か否か」を判断するために病床数変更や合併の6か月前までの申請が求められていますが、遺漏が目立ちます(今回は3件中2件)。このため、「遺漏があった場合にペナルティを課す」べきか否かについて、今後、検討される可能性が出てきました。大幅な病床数変更等を検討中の病院では、留意が必要です。

 
DPC対象病床数が2倍以上、2分の1以下となる場合には、変更の6か月前までに申請
 地域医療構想の実現等に向けて、各地で病院の再編・統合等が進んでいます。再編・統合等により、病院の機能が変化するケースもあります。例えば、「急性期のA病院と急性期のB病院」において、「急性期機能をA病院に集約し、B病院では回復期・慢性期に機能転換する」ケースなどです。

この場合、B病院が合併後にもDPCへの参加継続を認めるかどうかが、重要な論点の1つとなります。そこで中医協では、今年(2018年)3月に次のようなルールを決定し、個別に「DPC制度への参加継続が妥当か否か」を判断することとしています(関連記事はこちらとこちら)。

【DPC病院の合併】
▽DPC病院同士が合併する場合には、急性期同士の合併であり「今後も急性期入院医療を提供する」と考えられ、さらに提出されているデータ(DPCデータ)から合併後の診療内容を推測できる。このため、「DPC制度への参加継続に関する特段の審査は不要」で、合併後もDPC制度への参加基準を満たしていれば、参加継続が可能となる。

▽係数は、▼基礎係数は「合併前の主たる病院」の医療機関群のもの▼機能評価係数IIは「両者の加重平均値」(症例数ベース)▼激変緩和係数(2018年度診療報酬改定で新設される改定年度限り(1年度限り)の激変緩和措置)は「両者の加重平均値」(症例数ベース)—を適用する。

【DPC病院の分割】
▽DPC病院の分割では、▼一方が急性期医療を継続し、他方が慢性期等に機能転換するケース▼「両者ともに急性期医療を継続するケース▼両者ともに慢性期等に機能転換するケース―など、さまざまなパターンが考えられ、事例ごとに審査を行った上で、DPC制度への参加継続の可否を判断する。

▽「分割後、複数のDPC病院となる」ことが認められた場合の係数は、▼基礎係数は「DPC標準病院群」(旧III群)のもの▼機能評価係数IIは「分割前」のもの▼激変緩和係数は「分割前」のもの—を適用する。

【DPC病院の大幅なベッド数変更】
▽大幅な病床数変更をするケースでも、▼ベッドを減らしたまま急性期を維持するパターン▼ベッドを減らし、さらに慢性期等に機能転換するパターン―など、さまざまであり、事例ごとに審査を行った上で、DPC制度への参加継続の可否を判断する。

▽なお「大幅な病床数変更」は、▼同一年度に「200床以上増減」する▼同一年度に「2倍以上」または「2分の1以下」となる―ことを指す。

▽この場合の係数は、▼基礎係数は「ベッド数変更前」の医療機関群のもの▼機能評価係数IIは「ベッド数変更前」のもの▼激変緩和係数は「ベッド数変更前」のもの—を適用する。

 
 今般、以下の3病院について、大幅な病床数変更(DPC対象病床数が2分の1以下となる)が行われます(行われたものも)が、DPC制度への参加を継続するが認められました。

▼重井医学研究所附属病院(岡山県):2018年10月よりDPC対象病床数を80床から40床とする
▼さいたま北部医療センター(埼玉県):2019年5月よりDPC対象病床数を118床から54床とする
▼防府消化器病センター防府胃腸病院(山口県):2018年12月よりDPC対象病床数を120床から60床とする

 ところで、個別病院のDPC参加継続を認めるかどうかの判断には一定の時間が必要なため、中医協では「合併や大幅な病床数変更等の6か月前までに厚労省に申請すること」を決めました。しかし、今般の3件中2件について「遺漏」(6か月前までに申請がなかった)ことから、個別ケースを審議するDPC合併・退出等審査会において「次回診療報酬改定(2020年度改定)に向けて、手続きに遺漏があった場合の取扱いについて整理すべき」との意見が出ていることが、厚労省保険局医療課の森光敬子課長から報告されました。端的に「ペナルティを課してはどうか」という意見と考えられます。

DPC制度は、係数や点数などについて、「全DPC病院のデータ」を集計して「相対評価」を行って設定します。ここの一部の病院についてデータに不備があれば、設定した結果に狂いが生じる可能性が出てきます。合併等の手続きに遺漏があった場合でも同様の可能性が出てきます。

今後、地域医療構想の実現に向けた議論が進み、また地域人口の減少などが進む中では、「急性期ベッド数の削減」を選択する病院が増加すると考えられます。そうした病院について手続きの遺漏が続けば、「ペナルティを課すべき」との声も大きくなってくることでしょう。合併等や大幅な病床数変更を検討中の病院は、早めに手続きの内容等を確認し、漏れなく厚労省へ申請等を行うことが必要です。
 
 なお、12月5日の中医協総会では、次の点について了承されています。

▼新薬(HIV-1感染症治療薬「ドルテグラビルナトリウム/リルピビリン塩酸塩」、販売名:ジャルカ配合錠、1錠:5350.90円)の薬価収載(12月12日予定)

▼高コレステロール血症治療薬の「アリロクマブ(遺伝子組換え)」(販売名:プラルエント皮下注75mgペン、同150mgペン、同75mgシリンジ、同150mgシリンジ)における、最適使用推進ガイドラインの改訂および、保険診療上の留意事項通知の改訂(スタチンによる治療が適さない患者への使用に関する改訂)(厚労省のサイトはこちら(ガイドライン)とこちら(留意事項通知))(関連記事はこちら)

▼来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げ(8%→10%)に伴う、特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)の考え方(2014年度の消費税対応改定と同じく基本料の引き上げを行うことで対応するが、補填の過不足等を可能な限り解消するために「病院の入院基本料等の引き上げに充てる財源をより多く確保する」などの見直しを行う)(関連記事はこちらとこちら)



https://www.m3.com/news/iryoishin/647681
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医シーリングは2019年春に決定、9月募集開始
日本専門医機構記者懇談会、不在の事務局長、早ければ年内決定

レポート 2018年12月13日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、12月13日に開催した第1回記者懇談会で、2020年度研修開始の専攻医のシーリングは、2019年3月頃に「シーリング(定員問題)検討委員会」を開催し、各学会と協議して決定する方針を説明した。4月中に基本領域学会にシーリングについて連絡。5月中に専門研修プログラムの1次審査を終え、各都道府県の地域医療対策協議会での協議を経て、7月25日までに2次審査を行い、9月初旬の専攻医募集開始というスケジュールを予定している。

 サブスペシャルティ領域については、年内には認定要件をまとめ、その要件に則り、既に認定済みの23領域については2019年4月頃、追加領域については同年8月中までにそれぞれ認定、同年9月初旬にサブスペシャルティ領域の専攻医研修について公表予定。追加領域は約50領域を想定しているという。

 2年以上不在が続いている日本専門医機構の事務局長は、公募・面接を終え、12月21日に予定している次回理事会で承認されれば、決定する方針。

 2019年度のシーリング、見直さず

 シーリングとは、5都府県の14の基本領域について、専攻医の都市部集中を避ける目的で設定する専攻医採用数の上限。過去5年間の採用実績の平均を基に決定される。

 初年度の2018年度(専攻医募集は2017年10月から2018年3月にかけて実施)のシーリングについては、12月12日の厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会で、三師調査のデータとの乖離が明らかになった(『東京など5都府県の「シーリング」、実は過大』を参照)。

 現在募集している2019年度のシーリングも、約5%削減する東京都以外の4府県は2018年度と同数。寺本氏は、「既に専攻医の募集が始まっており、(シーリングの)変更はできない」と説明。

 乖離が生じた理由として、「(三師調査は)新専門医制度が始まっていない時点での医師の動き」であるとし、2018年の登録専攻医数は8410人である一方、三師調査は7085人分のデータであり、両者に開きがあること、専攻医数が少ない基本領域は年度ごとに変動があることなどを挙げた。今後、新専門医制度でデータを蓄積しないと、「本当の意味での数字が出てこない」と寺本氏は語り、専攻医の登録・異動を把握するためのデータベース(専攻医研修施設管理システム)構築を進めるとした。2019年度の早い時期の完成を目指す。

 医師専門研修部会では、新専門医を広告可能とするための検討を開始することにも異論が出た(『東京都の専攻医7領域でオーバー、7府県は「20人以上減」』を参照)。寺本氏は、8410人が専門医取得に向けて既に動き始めているとし、「学会認定の専門医であれば、広告できるのに、機構認定の専門医が広告できないのは問題」と指摘。新専門医制度発足の根拠となった、厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」でも、「第三者機関で認定した専門医を広告可能とする」としているとし、「それを否定する材料までは揃っていない。できれば検討に入ってもらいたい」と求めた。

 サブスペシャルティ領域、「ある一定の枠内で考えていく」

 2019年4月頃から内科系や外科系では、基本領域とサブスペシャルティ領域との連動研修が始まることから、内科系13領域、外科系4領域、その他6領域の計23領域については、4月頃には認定する。寺本氏は、乱立を避けるために、「ある一定の枠内で考えていく」と説明。今年内に各学会にレビューシートを配布、それを基に認定要件に合致しているか否かを審査し、最終的には総合的な判断で、23領域以外のサブスペシャルティ領域の認定も進めていくとした。

  「問い合わせに十分に対応できていない」

 日本専門医機構については、事務局体制の脆弱さが問題視され、さまざまな問い合わせへの対応の遅れなどが問題視されている。

 寺本氏は、「機構自体が透明性をもって運営していくことが必要だろう。理事会で最終決定をして、それを発信していく流れを作っていくことで透明性を図りたい。事務局も強化していく」と表明。

 日本専門医機構副理事長の今村聡氏は、「(日本専門医機構の)第2期(2016年7月)が始まった当初から事務局長が不在の時期が続いていた。今回公募して理事会で決定」と説明。公募者の中から、理事長と副理事長が面接をした。事務職員も、常勤・非常勤合わせて17人だったが、一時は11人まで減少したため、17人まで徐々に戻すとした。今後、サブスペシャルティ領域などの業務が増えれば、さらに増員するなど、着実に事務局機能を強化していく方針。

 「問い合わせに対して十分に対応できていないという反省に立ち、膨大な質問に対して責任をもって答えられる体制も構築する」と今村氏は述べ、質問内容等を情報共有するとともに、どんな質問には誰が回答するかという仕分けをする仕組みも現在作っていると説明した。

 専攻医が少ない地域への対応、難しく

 新専門医制度は、地域医療への影響も懸念されている。寺本氏は、専門研修の中でローテートして地域を見ることで、地域医療に従事したいというマインドを持ってもらいたい、と期待した。ただし、新専門医制度では、シーリングで「多いところは抑える」ことが可能であるものの、少ない地域に医師を移動等させる権限は日本専門医機構にはないとした。

 日本専門医機構副理事長の兼松隆之氏も、「多いところにシーリングをかけることは必要だが、少ないところにどのような手を打っていくのか。機構、学会、地域が力を合わせて取り組んでいかなければいけない」と指摘。内科や外科などメジャーな基本領域の専攻医数にも懸念を呈した。

 診療科偏在については、寺本氏も言及。「内科や外科が減っていて、マイナー科が増えているという事実は重要であり、真摯に受け止めなければいけない」としたものの、今の日本専門医機構には対応が難しいとした。医師の偏在対策は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で議論しており、仮に同分科会で診療科別のシーリングの話が出てくれば、機構が対応するという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/647940
「医療に係る消費税問題は解決」、日医
2018年度与党税制改正大綱の公表を受け見解

レポート 2018年12月14日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会は12月14日、自民党・公明党が「2019年度与党税制改正大綱」を公表したのを受け、診療報酬での補填と特別償却制度の拡充・見直しが行われることから、「長年の懸案であった『医療に係る消費税問題について解決』と考えている」との見解を発表した(資料は、日医のホームページ)。ただし、日医らが要望していた「補填の過不足を申告、還付」という新たな仕組みは大綱には盛り込まれていない。

 与党税制改正大綱では、以下のように記載された(資料は、自民党のホームページ)。

「2019年度与党税制改正大綱」
 「社会保険診療等に係る医療は消費税非課税である一方、その価格は診療報酬制度による公定価格となっている。このため、平成元年の消費税導入以来、仕入れ税額相当分を診療報酬で補填する措置が講じられてきたが、補填にばらつきがある等の指摘があった。今般の消費税率10%への引き上げに際しては、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補填のばらつきが是正されることとなる。今後、所管省庁を中心に、実際の補填状況を継続的に調査するとともに、その結果を踏まえて、必要に応じて、診療報酬の配点方法の見直しなど対応していくことが望まれる。

 なお、長時間労働の実態が指摘される医師の勤務時間短縮のため必要な器具および備品、ソフトウエア、また地域医療提供体制の確保のため地域医療構想で合意された病床の再編等の建物およびその付属設備、さらに共同利用の推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器の3点において、特別償却制度の拡充・見直しを行う」

 三師会と四病院団体協議会は8月、「控除対象外消費税問題解消のための新たな税制上の仕組みについての提言~消費税率10%への引き上げに向けて」を公表(『消費税率10%「新たな仕組み」で対応、三師会と四病協が提言』を参照)。(1)現状の診療報酬による補填を維持しつつ、(2)個別の医療機関等ごとに、診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額と、実際に負担した控除対象外仕入れ税額を比較して、補填の過不足を申告して対応――という仕組みを求めていた。

 与党税制改正大綱は、診療報酬での補填は打ち出したものの、(2)は盛り込まれず、特別償却制度の拡充・見直しを行うとした。

 日医の見解では、「まず控除対象外消費税については、消費税率が5%から8%へ引き上げられた時と同様の方法により、全額補填され、基本診療料へのきめ細やかな配分が精緻に行われる」と説明。その根拠として、厚労省が補填方法を見直し、シミュレーションした結果、「補填率はいずれもほぼ100%となり、補填のバラツキは相当程度是正されると見込まれる」ことを挙げた(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 さらに高額な医療機器の購入について、法人税・所得税に対し、設備投資への支援措置が行われることになったほか、「医師および医療従事者の働き方改革の推進のための器具・備品、ソフトウエアの特別償却」、「地域医療構想の実現のための病院用等の建物およびその附属設備の特別償却」の2つが新たな仕組みとして導入され、従来の「高額な医療用機器特別償却制度」の延長を含めた3点において、特別償却の拡充・見直しがなされると説明。「これにより、医療機関の設備投資が促進され、患者が新たな医療の恩恵を受けやすくなることが期待できる」。

 精緻な配分と定期的な検証による「控除対象外消費税への対応」と新たな仕組みを含めた「設備投資への支援措置(特別償却の拡充・見直し)」はそれぞれ別の観点だが、「この2つによって税制を含めて全体で医療に係る消費税問題が解決された」としている。

 その他、事業承継税制についても、「国税の相続税等において一定の措置が取られたことにより、地域を支える全国約4万2000の個人立病院・診療所の円滑な事業承継がなされるものと考えている」としている。中小医療機関は中小企業の支援から外れることが多かったが、中小企業と同等の扱いが受けられるようになったと一定の評価をした。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181213-13250000-cbn-soci
医師の勤務環境改善、病院経営への影響を研究へ - 厚生労働省が厚科研課題案公表、ギャンブル依存症も
12/13(木) 13:25配信 医療介護CBニュース

 厚生労働省は12日、2019年度厚生労働科学研究費補助金(1次公募)の課題案を明らかにした。同省の検討会で議論している医師の勤務環境改善については、病院経営への影響を研究する方向性を提示。国が対策に力を入れているギャンブル依存症に関しても治療プログラムの情報を収集する方針だ。【新井哉】

 課題案では、医師の勤務環境改善に関する研究の「求められる成果」として、▽勤務環境改善を実施することによる経営上のメリットを客観的に示す▽経営上に大きなメリットを与え、さらに医師の勤務環境改善に資する具体的な方法を提示する―ことを要望。経営上のメリットについては「具体的な金額」で示すことも求めている。

 また、医療機関の病棟単位での医療機能の分析や適正な人員配置に関する研究を行う方向性を示している。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)やDPCデータ(地域包括ケア病棟などが提出する類似の診療行為データを含む)、病床機能報告のデータを用いることを想定しており、病棟単位での▽医療内容▽医療機能▽人員配置―の関係性を明らかにするという。

 このほか、ギャンブル依存症の治療や家族支援を推進するための研究を行う必要性を提示。認知行動療法に基づくギャンブル依存症治療プログラムを医療機関や精神保健福祉センター、民間支援団体といった「性質の異なる機関」で実施し、ギャンブル問題に関する評価尺度の介入前後の変化や治療継続の状況などを含む中長期の予後や支援者の知識向上、忌避的感情の軽減について「情報を収集する」としている。今後公募を行い、大学や研究者に補助金を交付する予定。


https://www.m3.com/news/iryoishin/646990
定年退職後の再就職「仕組みあれば登録」が4割
「全く何も考えていない」は15~18% - 意識調査「定年退職後どうする?」◆Vol.1

レポート 2018年12月16日 (日)配信大西裕康(m3.com編集部)

 WHO西太平洋地域事務局長などを歴任し、現在は地域医療推進機構理事長を務める尾身茂氏らが代表理事のNPO法人全世代が、定年退職した医師の再就職を支援する事業の立ち上げに向けて検討を始めた(『退職医師の再就職支援事業、立ち上げを検討へ NPO法人全世代』を参照)。民間企業では定年を60歳、65歳と徐々に延長していている中、医師の退職についてm3.comの医師会員に改めて聞いたところ(回答数=勤務医2327人、開業医673人)、病院勤務医の妥当な定年については「65歳」との回答が最多(勤務医45%、開業医41%)だった。退職後に再就職する仕組みがあった場合については、4割程度の医師が「登録する」と回答。退職後に関する回答では、「全く何も考えていない」の選択肢を勤務医で18%、開業医で15%が選んでいた。

Q1. 病院勤務医の定年は何歳が妥当とお考えですか。
12183_20181216095516fd7.jpg

 定年については、「70歳」(勤務医25%、開業医25%)や「定年を設けず」(同14%、同18%)との回答も一定数を集めた。一方、「60歳」(同8%、同8%)と「それ(75歳)以上」(同6%、同6%)の回答は1割にとどかなかった。

Q2. 定年退職になった後のご自身について、現時点で最も近いお考えをお選びください。
12184_20181216095518344.jpg

 勤務医では「伝手や再雇用制度などを活用して、何らかの形で診療に従事」(50%)が最も多く、次いで「定年退職の年齢まで働いた後は、引退して悠々自適の余生を送る」(20%)、「全く何も考えていない」(18%)などが続きました。

 開業医では、「現在開業、もしくは今後開業して定年退職など関係なく働く」(30%)が「伝手や再雇用制度などを活用して、何らかの形で診療に従事」(29%)をわずかに上回った。次いで「定年退職の年齢まで働いた後は、引退して悠々自適の余生を送る」(16%)などが続いた。

Q3. 再就職を支援するシステムとして、登録すると各地の医療機関が出している求人などが分かる場合、先生は将来的に登録しますか。
12185_20181216095519a92.jpg

 「はい」と答えたのは勤務医の45%、開業医の28%。開業医で最も多かった答えは「分からない」で41%。「いいえ」は勤務医で14%、開業医で23%。

【調査の概要】
調査期間: 2018年11月13日 (火)~11月19日 (月)
対象:m3.com医師会員
回答者数:3000人
回答結果画面:定年退職後どうする?
https://www.m3.com/research/polls/result/521



https://www.m3.com/news/iryoishin/646991
「老害にならないように働く」との声も
「引退」多数も「経験を生かしたい」が大勢 - 意識調査「定年退職後どうする?」◆Vol.2

レポート 2018年12月16日 (日)配信大西裕康(m3.com編集部)

 医師の退職に関するm3.comの医師会員(回答数=勤務医2327人、開業医673人)への調査では、定年退職後の生活について多数の自由記述の意見が寄せられた。60歳や65歳で完全に引退するとの回答も多数見られたが、「週2日勤務」「週3日勤務」のように休みが多い形で診療は続け、年に数回は旅行に出るなど余暇を楽しめる生活スタイルを築きたいという意見が大勢を占めた。医師にとっての「悠々自適」には、「何らかの形での診療」も含まれる場合があることも分かった。「当直は避けたい」「体力的、精神的に負担の少ない仕事をやりたい」などの意見もあった。

Q4、 医師が定年退職後、どのような働き方が理想か、どのような引退生活を送りたいかなど、医師としてキャリアの終盤に関するご意見をご自由にお寄せください。
[任意]

【何らかの形で経験を生かしたい】
経験を生かしてややこしい患者外来で、一人一人の話をゆっくり聞いてあげて前向き解決を相談する外来、どうでしょう?きっとどの病院でも数は少ないけど数人はいて、切りたくても切れない人を、多忙な部長などの代わりに話を聞いてあげたら、双方から喜ばれるんじゃないかと思う。売り上げには貢献できないけど、間接的に貢献できると思います。後はみんなでカンファレンスをやっている時の救急、病棟当番。若手がカンファレンスを抜けずに済むので、発表とディスカッションに集中できます。[勤務医]
人生100年時代、キャリアを生かして元気ならそれなりに働きたい。しかし若い世代の邪魔となるような老害人生にはしたくない。[開業医]
お小遣い稼ぎにアルバイト程度に働いて、悠々自適に過ごしたいと思います。しかし必要とされたら、しっかり働いてしまうかもしれない。[勤務医]
今までの手技・経験が生かせる仕事をパートタイムで行う。[勤務医]
フルタイムでの勤務は難しいが、曜日や時間を限定しての勤務であれば、それまで培ってきた臨床経験を生かせるのではないかと考えています。[勤務医]
歳を取ると新しいことが苦手になるので、今まで、専門に行ってきたことが、役立つ仕事を探したい。[勤務医]
ハードワークはできないが、自分の専門を生かした仕事ができると良いと思う。[勤務医]
できれば勤務医時代と何ら関係のない仕事ではなく、何らかのつながりがある業務に従事したい。[勤務医]

【週3日程度の勤務で】
週2、3日非常勤で日々の生活費を賄いたい。生活のリズムにもなるし。[勤務医]
週3日ぐらい半日の健診などで、月35万ぐらいもらいながらゆっくり生活したい。[開業医]
週2~3回の外来診療。[勤務医]
週3回程度、若手の助手、指導をするなど臨床にかかわりつつ余暇を楽しみたい。[勤務医]
勤務医は転職が多く、年金に期待できない。週2-3回のアルバイトで良いから今の生活レベルを維持しつつ、気楽に残りの人生も楽しみたい。[開業医]
健診業務や週3回勤務などの非常勤を希望。[勤務医]
週3日くらいの地域医。[勤務医]
週3日くらい、時短で働きたい。[開業医]

【具体的に考えてます】
週4日の日勤のみの勤務でゆったり過ごしたい。週3日の休日は1日運動、1日ぶらぶら散策、1日完全休養で1週間を過ごし、年に1度は10日間~2週間くらいの旅行を楽しみたい。[勤務医]
私は来年3月に75歳となり、医者を辞することを決めている。65歳で定年。別の病院で70歳まで常勤。内科医、消化器専門医であったが、内科以外の領域も勉強せざるを得ない立場。70歳から5年間非常勤。個人差はあろうが、私の場合、73歳から白内障悪化、認知症も自覚。あと4カ月余、どうにか届きそう。年金をベースに預貯金から補填することになるが、どれだけ預貯金を貯められたかが問題。[開業医]
勤務時間は選択制、専門分野に限って診ることができるようになってほしい。シフト制が柔軟に施せる病院が増えるだろうとも思う。[勤務医]
常勤職の定年後は、急変のあり得ない、健診や献血センターで医師業務を週3日程度して、それが週2日、週1日、1カ月当たり数日……と減り、代わりに地域ボランティア等が徐々に増え、70歳代半ばで、楽隠居。[開業医]
各病院の人件費削減、医療資源の効率的な活用、医師の定年後の生活の質の向上の意味でも、アルバイトでの就労システムを国を挙げて整えると良いと思います。[勤務医]
地域医療への貢献、経験を生かしたカウンセラー的な業務など、高齢医師が貢献できる領域がたくさんあると思う。バリバリの病院業務は若手に譲り(定年近くの高齢医師は若手医師の活躍を邪魔してはいけない)、隙間や国民が困っていることに対しボランティア的な発想で応えていくべき。[勤務医]
一部働き、自分の時間も作りたい。魚釣り、野菜作りなどの趣味、身体が許せば旅行に出たい。[勤務医]
週休3~4日とし、宿直に変わり、週末も含め、6日に1回自宅待機とする。その日は、酒は飲まず、いつでもオンコールで駆けつけられるようにし、慣れない若手の宿直医を支援する。[開業医]
週のうち、半分働くだけのアルバイト感覚でいいのでは?たぶんそれだけでも月100万くらいにはなる。初年度は税金対策で大変だが、2年目以降は楽だと思う。[勤務医]
週2日働き、後は趣味の生活をします。ちなみに私は70歳ですが、元開業医で65歳の時に閉院して現在そのような暮らし方をしています。[開業医]
在宅や老人ホームの看取りを行う。[開業医]
楽なアルバイト、老健施設、形成外科的治療等。[勤務医]
健診センターやアルバイトを探す。常勤ではなく非常勤を探す。[勤務医]
悠々自適、健診や産業医など。[勤務医]

【若手の邪魔にならず、指導・サポートで】
若い人がのびのび働けるようなサポートができれば理想的。[勤務医]
若い人の邪魔をしないで、若い人がのびのび働けるように支援する。[開業医]
無理をするとかえって迷惑をかけることになると思われるので、ほどほどの協力程度にし、基本方針は若い人に任せ、相談された時に助言する姿勢でいたい。[勤務医]

【できる限り現役を続けたい】
精魂込めて尽力してきた専門領域の診療は、勉強を重ねただけで代わりが務まるほど簡単なものとは思えない。看取りも含め、人生経験あっての充実した診療を老後引き続き行いたい。[勤務医]
現在は定年がない産業医として働いているが、働ける限り、迷惑をかけずに貢献できる限りは働き続けて社会との接点を持っていたい。[開業医]
産業医と臨床を両立している今のままの働き方の維持。[勤務医]
身体的にOKなら長期に働きたい。[開業医]
認知症になるまでは仕事をしたら良いと思う。[開業医]
キャリアを積んで進化していく。「終盤」という言葉は当たらない。[勤務医]
働けるだけ働くつもりです。[勤務医]
体力・気力・知力が続く限り生涯医師であり続けたい。[勤務医]
現役と変わらず働きたい。[勤務医]
電池が切れるまで頑張る。[開業医]

【もう当直は嫌だ】
これからの時代は、働けなくなるまで働かなければいけなくなると思います。当直以外でお役に立つつもりです。[勤務医]
当直がなく、週3日程度の外来診療くらいが良いと思っています。[勤務医]

【何もしないのはダメ】
既に世間では定年となっている人が多い年齢となった現在も、仕事に従事している今の自分を良いと思うのか残念と思うのか……。これといった趣味を持たない身からすれば、毎日が日曜日となれば体力も気力も精神活動もみるみる衰えていくであろうことは明らかなので、仕事ができることはありがたいことだと思っています。若い頃は、「60歳過ぎからは仕事を辞めてあちこち旅行に行きたい」と漠然と思っていた時期もありましたが、そうするためには若い時からキチンとした計画を立てておかないと難しい。でも、若い頃はそんなに真剣に老後のことなんて考えていませんでした。悠々自適の余生を送るためにはそれなりの能力が必要で、そんな能力のかけらもない私にはボケないように適度な刺激のある現在の状態が幸せです。おそらく多くの人たちも同じではないでしょうか。[勤務医]
特に健康面や価値観の違いから、人それぞれと思うが、人生100歳時代に、65歳程度の定年後は全く医療から離れるのは、社会資源としてもったいない。産業医や健診医、審査委員など、不定期でも、わずかな時間でも、分けていただければ、その分、現役世代の負担が減るので、自分はボケ予防と経済的な面で、皆様には社会貢献のために、可能な限り医療にかかわっていただきたい。[開業医]
今65歳で1億円以上貯めたけど、何もしなかったら気が狂いそうでやはり働いています。この仕事が好きなんでしょう。[勤務医]
気の済むまで働くか、身体が医師としての体力知力を保てなくなったらリタイアし、その後は自由に過ごす。ただ、頭を使わなければ衰えるので、何らかの医療を生かした仕事を細々と続ける。[勤務医]

【やむを得ず……】
悠々自適にゆっくりできればよいけれども、もともと資産などもなく、また子どもがまだ学生であることなどがあり、定年後も働かないと食べて行けません。[開業医]

【完全引退】
身体が動けるうちに引退し、海外旅行するなどのプランを今のうちに考えておく。引退の時期は、やりたいことの量と収入の確保の見通しが立てば自然と決まります。健診や外来のバイトもありますが、身体が動くうちは今のままの生活を続けた方が気楽です。不安を取り除くために収支のバランスシートを一度作ってみれば、毎月どのくらいの出入りがあるか分かります。節約できる範囲を認識して、このままでは減るばかりで増えない「貯金」の株分散投資運用で、自動的に毎年配当収入が得られるかを試算してみると良いでしょう(2~4%の銘柄を選び、平均3%の配当を目指す)。引退生活に関しては、無報酬のボランティアも気分が良いものです。刺激を求めて美術館・博物館めぐりや映画(65歳以上は1100円で観られます)・コンサートも、現役ではなかなか行けなかったものです。早く不安を取り除き、楽しいことを考える。これが一番です。[勤務医]
定年後もさらに勉学に励み新しい知識を蓄え、最新の診療をするような医師を見たことがない。医師も運転免許のように60歳以上は審査が必要だと思うし、できない医師はさっさと辞めるべき。[勤務医]
かなり神経をすり減らしているので、定年後は即引退したい。[勤務医]
お金が十分にあれば完全にリタイアしたい。なければ医療関係以外の仕事を趣味程度にやりたい。そのため若い頃からある程度の貯蓄をしておきたい。[勤務医]
65歳まで働いたら、あとは残りの人生を好きなことをして過ごしたい。[勤務医]
ハッピーリタイアメントが理想。働くのは嫌です。[勤務医]

【別の道を】
その時が来てみないと何とも言えないが、理想的には、医療ではない別のことを学んでみたい。例えば通信講座で物理学、など。[勤務医]
退職まで勤めた上でなお、医療に携わっていたい思いがあれば、もしくは働かなければならない理由があれば外来診察を中心に働きたいが、今は別のことにチェレンジしたいと思っています。[勤務医]
退職後は、医療とは別のバイトをしようと思っています。リフォーム屋さんや債権回収業とかをやってみて、社会経験を積んでみたいと思っています。[開業医]
政治家に転身するのもいいかと思っています。[勤務医]
農業。[勤務医]
喫茶店でも経営したい、、。[開業医]

【うーん……】
働きたいような、働きたくないような。[勤務医]
働かないと、捨てられるし、生きていけない。[勤務医]

【調査の概要】
調査期間: 2018年11月13日 (火)~11月19日 (月)
対象:m3.com医師会員
回答者数:3000人
回答結果画面:定年退職後どうする?
https://www.m3.com/research/polls/result/521



https://www.m3.com/news/iryoishin/647823
シリーズ 医学部不適切入試
大学入試、罰則含むルール検討へ―文科省
「不適切」は9大学、見解相違で「不適切可能性」が1大学

レポート 2018年12月14日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 柴山昌彦文部科学大臣は12月14日の記者会見で、東京医科大学の不正入試に端を発して医学部を置く81大学に行っていた緊急調査の最終結果を発表するとともに、他学部を含めた大学入試のルール策定に着手することを明らかにした。

 2020年度入試に向けて2019年6月頃に発出する「大学入学者選抜実施要綱」に盛り込めるよう2019年春までの結論を目指し、省内に大学関係者や法曹らから成る検討の場を設置する。柴山文科相は「違反した場合には一定のペナルティが必要になってくるのではないか。運営費交付金や補助金の在り方を含めて検討したい」と述べ、罰則も検討する方針(中間まとめは、『複数の大学医学部で不適切入試の可能性、文科省調査中間まとめ』を参照)。


 調査結果では、文科省が「不適切の可能性が高い」と指摘し、自主的に公表した東京医科、昭和、神戸、岩手医科、金沢医科、福岡、順天堂、北里、日本(大学による公表日順)の9大学について「不適切な事案」とし、文科省の指摘と大学側の見解に相違がある聖マリアンナ医科大学を「不適切である可能性が高い事案」として発表。10大学について柴山文科相は「非のない受験生に、不適切入試による影響が生じていることは大変遺憾。速やかな情報提供に努めるなど、受験生の立場に立って丁寧な対応をしてほしい」と求めた。

 聖マリアンナ医大については「第三者委員会の設置によって判断していただくしかないのではないか。今後の対応を注視していきたい」と指摘。同大はm3.com編集部の取材に対して内部調査、第三者委員会とも「必要がないと考えている」と回答した。

 調査結果では不適切な入試について、次の二つの考え方を提示し、それぞれについて大学名とともに概要を示した。

(1)合否判定に際して、合理的な理由なく、特定の受験者を合格または不合格とすること(合理的な理由なく、成績の順番を飛ばして合格または不合格とすることも含む)。

(2)合否判定に際して、合理的な理由なく、性別、年齢、現役・浪人の別、出身地域、居住地域などという属性を理由として一律的に取り扱いの差異を設けること。

 聖マリアンナ医大については、3年分の調査書の点数化結果で毎年男女とも現役・浪人で最高点、最低点とも大きな差があり、平均点も女性より男性が1.8倍から2.6倍高く、21歳以上より18歳以下が3.5倍から15倍と「顕著に高い点数」であり、性別や年齢等の属性により一律の差異を設けていることが疑われると指摘した。これに対し、同大は「出願書類(調査書・志願書等)の評価に関する部分について順位を付す関係から、点数化した上で総合評価していたが、その際好転が全体の約4分の1程度と高すぎたことから疑念を招いたものと考えている」との見解を示したという。

 中間まとめに続き、「不適切」「不適切疑い」以外にも「疑惑を招きかねない事案」も、大学名は伏せて公表した。

調査書や出願時の書類等を審査して評価する際の、評価基準が明確化されておらず、または評価作業を教員1人で担当しており、評価基準の客観性や評価結果の公平性に疑問が残る事案
集団面接の際に、年齢や高校卒業後の年数に応じて班分けしている事案
面接評価票において、「保護者が同窓生」や「保護者が教員」などのコメントがあり、公平性が疑われる事案
同窓会や大学幹部からの推薦のあった受験者のリストを作成し、入試委員長に渡している事案



  1. 2018/12/16(日) 10:06:00|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

12月9日 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00000052-asahi-soci
医師不足の地域、残業時間の上限を緩和 厚労省が提案
12/5(水) 15:26配信 朝日新聞デジタル

 厚生労働省は5日、医師の働き方に関する検討会で、2024年4月をめどに罰則つきで適用される、医師の残業時間の上限の設定方法を提案した。医師不足地域の診療に大きく影響するため、一部の医師の長時間労働を認める内容で、一般労働者に適用される上限より規制を緩和する。その一方、終業と始業の間に一定の休息を確保する「勤務間インターバル」や連続勤務の時間制限を義務付ける。

 対象となるのは、地域医療への影響が懸念される特定の医療機関に勤める医師や、集中して技能向上のための診療が必要な研修医ら。厚労省によると、インターバルの義務づけを条件に残業の上限規制を緩和するのはこれまでにないという。

 「上限の例外を今から考えないといけないのか、違和感がある」(連合の村上陽子総合労働局長)、「過労死基準を超えての設定には賛同できない」(自治労の森本正宏総合労働局長)など厳しい意見も出たが、大半の出席者が理解を示し、今後詳細を詰める。

 6月に成立した働き方改革関連法では、罰則つきの残業時間の上限が初めて導入され来年度から順次施行する。原則月45時間、年360時間。例外でも年720時間、月の上限は休日労働を含めて100時間未満とする。

 医師については、正当な理由がないと診療を拒めない「応召義務」があるほか、長時間労働によって診療が維持できている地域や病院もある。このため働き方改革法では医師の残業時間の上限は省令で別途決め、5年後に適用することにして検討会で議論してきた。

 今回示された省令の上限となる案は、年間は休日労働込みで2~6カ月の平均月80時間以内、月間は100時間未満を考慮して決める。これは一般労働者と同じで、過労死ラインの水準とされる。「勤務間インターバル」や連続勤務の時間制限を努力義務にする。さらに医師の面接などの健康確保措置を条件に、月上限を超えることも例外的に認める。
120901_2018120911595801b.jpg



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00000099-mai-soci
医師の残業上限、3類型で規制 働き方で有識者検討会で方針
12/5(水) 20:58配信 毎日新聞

 医師の働き方改革を巡り、厚生労働省は5日の有識者検討会で、残業時間の上限を3類型に分けて規制する方針を示した。一般労働者の上限「年720時間(休日を除く)」を超える見通しで、地域医療の中心となる病院の医師と、高い技能を身につけようとする若手医師はより高い上限として長時間の残業を容認する。具体的な上限時間案は年内にも示す予定。

 2016年の厚労省調査によると、病院常勤医の4割が休日を含め週60時間以上働いていた。法定労働時間は週40時間のため、残業は月80時間以上になる。6月に成立した働き方改革関連法は一般労働者の残業時間上限を「年720時間(休日を除く)」と定めている。同様に規制すると地域医療が崩壊する恐れがあることなどから、医師は24年4月まで規制の対象外として、個別に検討している。

 3類型は「一般的な医療機関の医師」「地域医療に従事する医師」「技能などを高めたい若手医師」。1カ月と年間の上限時間(休日を含む)を定める。

 上限を最も低くする一般医療機関の医師は、過労死の労災が認められる基準の月80時間(休日含む)を目安に、年間上限を定める。一方で、仕事を終えてから次に働き始めるまで一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル」を設けることを、雇用主の努力義務とする。

 地域医療を担う医師は、より高い上限を設定。医療機関の再編・統合により効率的な医療提供ができるまでの「経過措置」で、将来的に一般の医療機関の上限時間に合わせる。

 若手医師も高い技量を身につける経験を積めるよう、別に上限を設定。医療機関を定めた上で医師本人の申し出を要件とする。地域医療、若手医師ともに、インターバルは義務付ける。

 月の上限を超えた場合は別の医師の面談を受けさせ、健康状態に応じて労働時間や当直を控える措置も義務付ける。【酒井雅浩】
120902_201812091200006af.jpg



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00050130-yom-soci
医師の連続勤務を制限へ、次まで一定間隔求める
12/5(水) 23:50配信 読売新聞

 長時間労働が常態化している医師の働き方改革の一環として、厚生労働省は5日、医師が連続して勤務できる時間を制限する方針を決めた。次の勤務まで一定の間隔(インターバル)を設けることも求める。医師の健康確保対策として2024年度から実施する。

 対策の柱は〈1〉日中から続けて当直に入る時は勤務時間を制限する〈2〉深夜帰宅、早朝出勤といった過重労働を防ぐために一定のインターバルを設ける〈3〉救急患者の対応などでつぶれた休みを取り直せる「代償休暇」を与える――の三つ。

 いずれも原則、医療機関に自主的な導入を促す「努力義務」との位置付けだ。救急患者の受け入れなどで地域医療の中核となる医療機関で働く医師や、短期間で診療経験を積む必要がある研修医など、特に長時間労働になりやすい場合は、対策の実施を義務付ける。

 詳細は海外の例などを参考に、来年3月までにまとめる。米国の場合、研修医の連続勤務は28時間以内、インターバルは8~10時間とされる。厚労省は、最低6時間の睡眠を確保できるように定める方針だ。

 国内では長時間労働是正のため、来年4月以降、残業の上限を最長で年720時間などとする規制が導入される。医師など一部の業種は、業務の特殊性と人手不足などを考慮し、規制が5年先送りされた。

 厚労省はこの日の有識者検討会で、医師の残業の上限を720時間超に緩和する代わりに、健康確保対策を導入する方針を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/646046
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外労働上限「地域医療確保」「技能向上」で2階建て提案
「追加的健康確保措置」の実施が条件、厚労省

レポート 2018年12月6日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月5日の第13回「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、2階建てで医師の時間外労働の上限を設定することを提案した。まず「達成を目指す水準」として、脳・心臓疾患の労災認定基準(2~6カ月平均80時間以内、単月100時間未満)を考慮し、休日労働込みで年間・月間の数字を設定し、さらにその上に「地域医療体制確保」と主に若手を念頭に「技能向上」のために、経過措置として例外的な上限設定をする。

 時間外労働の上限を「一般則」よりも緩和する一方、勤務間インターバルや連続勤務時間制限など「追加的健康確保措置」を、「達成を目指す水準」では努力義務、例外的な上限設定では義務として医師の健康確保を図る(資料は、厚労省のホームページ)。

 構成員からは「医療提供体制に鑑みると、特例は設けざるを得ない」(東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏)などと賛意が示された一方で、「過労死基準を恒常的に超えなければいけないのは問題だ」(自治労総合労働局長の森本正宏氏)と懸念も提示された。岩村座長が「事務局案は将来的には医師の健康確保・医療安全という観点から、理想に近い形に近付けていくことを基本とするものだ。提示された図(下部に記載)の肝は一番左があくまで達成を目指す水準だと理解している。」と結び、今後も数回にわたり議論していく予定だ。

  厚労省はまず、医師の時間外労働規制について基本的な考え方として、(1)医師の労働時間の短縮を進める、(2)労働時間管理の適正化、(3)医療機関内のマネジメント改革、地域医療提供体制の機能分化・連携の推進、(4)上手な医療のかかり方の周知――を提示。その上で、下図のイメージのような2階建ての上限規制案を示した。

120903_20181209120001e7e.jpg
(2018年12月5日医師の働き方改革に関する検討会資料)

「一般則」超え設定、「追加的健康確保措置」を努力義務に
 厚労省案では、医師の上限も2019年4月施行の改正労働基準法で定められた「月45時間、年間360時間以内、臨時の場合2~6カ月の平均80時間以内(休日労働を含む)年間720時間以内(休日労働は含まない)」の「一般則」と同水準を目指すべきだが、24時間365日のニーズがあり、休日診療の必要もあることから、医師は休日労働込みの上限を設定する。その上限は脳・心臓疾患の労災認定基準の水準(2~6カ月平均80時間以内、単月100時間未満)を考慮して決める。これを「達成を目指す水準」とする。

 この場合に「一般則」を超えることになるため、「追加的健康確保措置1」として連続勤務時間制限や勤務間インターバル確保、代償休暇などに努めるよう求める。ただし、この場合でもいわゆる「36協定」の上限設定は「一般則」を超えないことを条件とし、一定の歯止めをかける。

「地域医療提供体制確保」「技能向上」で特例
 2016年度に実施した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によれば、病院勤務医の勤務時間は、約4割が「一般則」を超える年間960時間をさらに上回り、2倍の水準の1920時間以上も1割、3倍となる2880時間以上も約2%いる。厚労省は、労働時間短縮に取り組んだとしても、時間外労働の上限規制が医師にも適用される2024年4月までに医師の労働時間を調査の半分や3分の1まで削減することは困難と想定。無理に労災認定基準を考慮した時間数を設定すると、地域医療提供体制への影響が懸念される。また、労働時間短縮により、若い医師が知識や手技を身に付けるための期間が長期化してしまう可能性もあり、医師養成の遅れ、医療の質や医療提供体制への影響もあり得る。

 そのため、これら二つの観点から、「対象となる医療機関を特定」し、若い医師の技能向上の目的の場合は「本人の申し出」も条件として、「達成を目指す水準」を上回る上限設定も可能とする。地域医療体制確保の目的の場合は将来的には「達成を目指す水準」まで上限を下げることを求める。いずれも場合も、月当たり時間数の上限を超える場合は「追加的健康確保措置1」と、「2」として面接指導と「ドクターストップ」をともに義務付ける。

連合の構成員、水準に懸念
 連合総合労働局長の村上陽子氏が、経過措置として特例を設けることについて、「一般則の前に『達成を目指す水準』を置き、さらに経過措置がある。そもそも2024年までの5年が経過措置なのではないか。経過措置は5年よりさらに先なのか。違和感がある」と懸念を表明。厚労省は「5年の適用猶予の間に達成を目指す水準に近付けるのが大前提だが、地域医療への影響がないかという観点での提案だ」と答弁した。

 塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士の福島通子氏は、「段階的に(時間外労働時間を)減らしていく必要がある。5年で難しいのであれば10年などのスパンも必要になると思う」と指摘し、黒澤氏は「医療提供体制に鑑みると、特例は設けざるを得ないが、特例がずっと走ってしまうのはいけない」と述べ、特例はあくまで特例として時限的な措置に限るべきだとの考えを示した。「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の構成員も務める特定非営利法人架け橋理事長の豊田郁子氏は、患者の立場から「国民の理解は後ろから出発している。まだ理解を得られていないので、急なスピードでやると受け入れられるのか心配だ。段階的に理解を得ながら進めないといけない」と述べた。

 順天堂大学付属病院医師の猪俣武範氏は、技能向上のための特例が本人の申し出によるものとされていることについて、「一律でない水準設定に賛成だが、『本人の申し出』が形骸化する、例えば全員が申し出ないといけない雰囲気になることのないようにしなければいけない」と釘を刺した。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38483150T01C18A2L83000/
民間病院の医師不足支援 都、離職者研修で復職促す
東京

2018/12/3 22:00日本経済新聞 電子版

東京都は民間病院の医師不足対策に乗り出す。免許を持ちながら育児や介護などで離職中の医師を都立病院で受け入れ、復帰に必要な医療技術を指導する研修を施す。修了者には民間の医療機関への復職を促す。人口が集中する都内では高齢化が急速に進み、医療の需要も増える見通し。小児医療など専門性の高い都立病院の知見を生かし、復職を後押しする。

小児総合医療センター(東京都府中市)や精神科を持つ松沢病院(世田谷区)、救急医療が充実する広尾病院(渋谷区)など都立8病院で離職者向けに研修を実施する。出産や育児、介護などを理由に離職している医師を対象にこのほど募集を開始。研修を希望する科目などを都が聞き取り、配属する病院を決める。

研修では離職で自信を持てなくなった技術などを、都立病院の医師らが指導する。最新の磁気共鳴画像装置(MRI)の読影や麻酔管理の方法を学んだり、小児、精神科で担当医の診察に同席し臨床経験を増やしたりすることを想定している。

研修期間は2カ月程度で、5カ月まで延長を受け付ける。研修中は非常勤の臨時職員とし、都が給与を支払う。研修を終えた医師には民間の医療機関に復職するよう求める。

研修を通じて民間病院の医師確保を支援する事業は、18年度から複数年実施する方針だ。希望者が多ければ予算の増額も検討するという。

都は都立病院の医師不足対策として2008年度に「東京医師アカデミー」を創設。医学部卒業後3年目の医師に公費で3~4年間研修を施し、都立病院での勤務を増やしてきた。「今後は高齢化による医療ニーズが増え民間病院の医師不足が深刻化する」(病院経営本部)と見て、私立病院などへの支援策を講じることにした。

事業では特に出産や育児などで離職者が多い女性に参加を促す方針だ。厚生労働省の調べでは、全国の女性医師の就業率は推定年齢で30歳代後半が73%と、20歳代の95%から大きく落ち込む。都は「医師会にも事業周知への協力を呼びかけ、少しでも医師の復職を増やしたい」(病院経営本部)という。

医師不足対策に必要な情報収集も進める。将来の医療の需要に対して医師がどれだけ足りないかを示すデータが不足していることから、19年度中の作成を目指す。



https://www.sankei.com/life/news/181205/lif1812050037-n1.html
いばらき医療大使、新たに杏林大名誉学長の跡見裕氏
2018.12.5 17:57ライフくらし 産経新聞

 茨城県の大井川和彦知事は5日、県内で深刻化している医師不足の解消に向けて、杏林大名誉学長の跡見裕(ゆたか)氏(74)に「いばらき医療大使」を委嘱した。

 茨城県は平成28年の人口10万人当たりの医師総数が189・8人と全国平均より約60人少なく、医師不足解消のため、医療界に豊富な人脈を持ち、県にゆかりのある医療関係者にいばらき医療大使を委嘱している。いばらき医療大使は今年度創設され、跡見氏で3人目。


 同大入学者の中に茨城県地域枠を設置するなど県と関わりを持つ跡見氏は、県庁で行われた委嘱式後、記者団に対し、「医師不足を解消する『特効薬』はない」とした上で、「AI(人工知能)の活用など未来を見据えた魅力的な技術があれば、若手医師はどこの病院でもひかれる」と話した。

 大井川知事は跡見氏に「(人口10万人当たりの医師総数が)全国ワースト2位という不名誉を解消できるように力を貸していただきたい」と語った



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181202-00000020-khks-soci
<どうする登米の医療>開業医はいま(上)上休診の余波 「1日20人増」カバー
12/2(日) 15:40配信 河北新報

 宮城県登米市は本年度、深刻な医師不足のため、運営する3病院4診療所のうち二つの診療所を休止した。その一つ、同市登米町の登米(とよま)診療所に通っていた患者1073人は、約3分の1が地元医院で診察を受ける選択をした。地域医療の最前線で住民の健康と命を守る同市の開業医の現状と課題を探る。(登米支局・小島直広)

 「きょうは人が多いね」。待合室で男性患者が受け付けスタッフに声を掛けた。11月下旬の朝、登米市登米町の「小出(こいで)医院」。インフルエンザの予防接種の時季でもあり、診察開始30分前にもかかわらず20人以上がいすに腰掛けていた。

  300人が2医院へ

 内科・小児科の同医院は小出佳代子医師(49)が2016年10月に開業。小出さんはその前の13年4月から約3年間、市立の登米診療所に勤務した。

 人口約4800の登米町域に個人医院は2カ所ある。今年8月の登米診療所休診の影響で、2医院に約300人が移った。うち小出医院は9割の約270人の外来患者を引き受けた。前年より1日平均約20人患者が増えたという。

 「月に1度、薬の処方をする方が多い。医師は私1人なので若干お待たせする時間が長くなってはいるが、スタッフの頑張りで何とか受け入れることができている」と小出さんは語る。

 佐賀県出身、自治医科大卒。九州の離島やへき地を複数回り、東日本大震災直後に、鹿児島県種子島の病院から岩手沿岸の県立釜石病院にボランティア医師として派遣された。

 「震災で東北の医療現場にかかわり、西日本に比べて医師不足が深刻なことに気付いた。見ず知らずの土地だが大学の同級生が市立病院勤務医だった縁もあり働くことにした」と語る。

 3年間登米診療所で働いた後に開業した理由は、同診療所にはない、ライフワークの小児科分野の仕事を続けたかったからだ。

 「0歳から100歳以上まで、この地域の人たちを自分のペースで診続けたいと思った」と小出さん。登米町域の小、中、高校、幼稚園などの健診のほか、約20人の在宅高齢者の訪問診療も行う。

  進む高齢化懸念

 小出さんのような開業医が地域医療を支えると同時に、市内では開業医の高齢化が進んでいる。

 市医師会によると、人口約8万に対し市内の開業医は35医院41人(11月末現在)。平均年齢60.9歳で、70歳以上は11人。最高齢は85歳になる。地域的分布では市役所がある人口約2万の迫町域に、約半数の17医院21人が集中する。

 医師会理事の八嶋徳吉医師(63)は「開業医は中核の登米市民病院の防波堤。この人は通院で済む、この人は病院へ入院させた方がいいなど、患者を振り分ける機能を果たす」と説明。その上で「このまま開業医の高齢化が進めば、どこまで役割を果たせるか分からない」と警鐘を鳴らす。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181203_13017.html
<どうする登米の医療>開業医はいま(中)過疎地の担い手 体続く限り「支える」
2018年12月03日月曜日 河北新報

 宮城県登米市は本年度、深刻な医師不足のため、運営する3病院4診療所のうち二つの診療所を休止した。その一つ、同市登米町の登米(とよま)診療所に通っていた患者1073人は、約3分の1が地元医院で診察を受ける選択をした。地域医療の最前線で住民の健康と命を守る同市の開業医の現状と課題を探る。(登米支局・小島直広)

 「どう、お母さん、最近の息子さんの様子は?」。10月下旬の月曜朝、登米市東和町米川(よねかわ)地区。この地区唯一の民間医院「米川診療所」で2歳男児が健康診断を受け木村康一医師(63)が優しく声を掛けていた。

<50歳を過ぎ独立>

 健診を終えた母親(42)は「自宅から一番近い小児科。平日夕方や土曜も診察していて働く身にはとても助かる。先生は子どもの顔と名前、健康状態をきちんと覚えてくれているので、安心できる」と話した。
 米川地区は915世帯、2280人(10月現在)。市北東部の中山間地にあり、かつては林業で栄える宿場町だったが、太平洋戦争後の5800人をピークに人口が激減した。現在も少子高齢化が著しく、毎年約50人ずつ人口が減る。
 木村さんは気仙沼市出身、自治医科大卒。登米市に合併する前の旧東和町立「国民健康保険米川診療所」に1988年、33歳で勤務医として着任した。
 50歳を過ぎたころ、独立するかどうかで悩んだが、「この地に医者が一人いれば、地域はあと20年は持つ」と考え、公務員の職を辞して米川地区と共に歩むことを決断。合併2年後の2007年、診療所の建物を市から借り受ける「公設民営型」で開業した。当時は家族を仙台に残す単身生活だった。
 「赤ん坊からみとりまで全てを診てきた。人間の死という荘厳な場にご家族と共に立ち会い、医師としての経験を積ませていただいた。お世話になった住民がいるこの地で骨をうずめたいと思った」と振り返る。

<週2回訪問診療>

 木村さんは内科と小児科の外来患者を月曜から土曜まで診察。学校や企業の健診と予防接種、週2回は約15人の訪問診療もこなす。
 診療所にはお年寄りの姿も多い。木村さんが開業した07年度から、市内で唯一のデマンド型乗り合いタクシーが同地区で運行を開始。年会費3000円を支払うと1回300円で乗車でき、自家用車を運転できない高齢者が通院に利用する交通システムも整う。
 木村さんは市内の医師計3人で在宅診療のネットワークをつくり、休日や夜間の相互バックアップ体制を取る。中核病院の登米市民病院に対しては「在宅患者が突然入院が必要になった場合には、いつでも引き受けてもらえる態勢がほしい」と要望する。
 木村さんが「あと20年」と考えた時期は9年後に迫る。「体が持つ限り診療所を続けたい。でもいつかは若い人にバトンタッチしなければならない日が来る。過疎地の医療は誰かが支えなければならないのだから」と強調する。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181204_13016.html
<どうする登米の医療>開業医はいま(下)在宅診療に新風 交代制都市と行き来
2018年12月04日火曜日 河北新報

 宮城県登米市は本年度、深刻な医師不足のため、運営する3病院4診療所のうち二つの診療所を休止した。その一つ、同市登米町の登米(とよま)診療所に通っていた患者1073人は、約3分の1が地元医院で診察を受ける選択をした。地域医療の最前線で住民の健康と命を守る同市の開業医の現状と課題を探る。(登米支局・小島直広)

 「都市部に集中する医師を地方に循環させ、医師不足を解消できないか」。東日本大震災後、在宅診療の分野で、医師の新しい働き方を模索する挑戦が登米市で行われている。

<遠くは関西から>

 月曜から水曜は登米市で、木、金曜は神奈川県で。地方と都市の診療所を行き来する。訪問診療専門の「やまと在宅診療所登米」(登米市)院長の田上(たのうえ)佑輔さん(38)の働き方は、これまでの概念を覆すスタイルだ。
 同診療所は2013年、田上さんが開業した。「慢性期からみとりまで」「365日24時間態勢」をモットーに、通院が困難な人や退院後に自宅療養を望む人、自宅で最期を迎えたい終末期の人らを対象に、訪問診療する。
 首都圏や関西、仙台などから通う医師約20人で勤務シフトを組み、市全域と周辺の在宅患者約350人を担当している。
 「医療は何のためにあるかを考えると、患者とその家族の幸せに行き着く。安心できる自宅で療養したいという人が多い地方だからこそ、お手伝いが必要」と田上さんは話す。
 国が推進する「地域包括ケア」を意識。医師や看護師、薬剤師、栄養士のほか、ケアマネジャーや行政担当者も連携して患者の事例検討を重ねる。クラウド型電子カルテなど最新のIT技術も使って情報を共有。地域で支える全員参加型のチーム医療を目指す。

<循環モデル提唱>

 熊本市出身、東大医学部卒。東大付属病院の外科医だった頃に震災が起き、南三陸町や登米市で被災地支援に当たった。登米市民病院で非常勤医として、夜間の当直や週末の日直を、東京の医師仲間10人と交代で1年半ほど担った。
 「登米は住民の高齢化が進んで医療需要が高いはずなのに、医師が足りず十分な医療を提供できていないと感じた」と田上さん。
 「首都圏在住でも地域医療に興味を持つ若い医師はたくさんいる。移住せずとも週に数回、登米で勤務できる人が一人でも増えるよう活動している」と話す。
 医師を対象に東京でイベントを開き、都市から地方へ医師が循環するモデルを訴える。都市部の医師が地方の医療を学ぶ一方、地方の医師不足と医療再生を図る取り組みを提案する。
 実践は実を結びつつある。田上さんは大崎市に16年11月、県内で二つ目の在宅診療所を開業。東京から単身赴任する医師らが5人前後で、大崎地域約200人の患者を診ている。
 在宅診療所登米は「総合診療医」のへき地医療研修プログラムに組み込まれ、東京の病院から若手医師が研修に来るようになった。
 「若い医師が地方に来やすい環境を整備することが必要。開業医の立場で医師の働き方改革を実践し、地方の医師不足解消の一助につなげたい」と語る。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12145-141527/
地方3医学部で不適切入試=特定受験者を優遇-文科省指摘
2018年12月08日 16時19分 時事通信

 岩手医科大(盛岡市)、金沢医科大(石川県内灘町)、福岡大(福岡市)は8日、それぞれ記者会見し、医学部の不正入試問題を受けた文部科学省の緊急全国調査で、特定の受験者に有利な扱いをしたとして「不適切」と指摘されたと発表した。

 岩手医大によると、今年2月の医学部への学士編入試験で、募集要項に明記せず同大歯学部の出身者枠を設け、優遇していた。佐藤洋一医学部長は、県内の医師不足に対応するためと説明。「明記していなかったのは反省に値する」と述べた。一般入試でも、面接の評価が一部の不合格者より低かった受験生を追加合格させたケースがあった。

 金沢医大は、今年度に実施した特別推薦入学試験(AO入試)で、北陸3県の高校出身者や同大の卒業生の子供、現役と1浪の受験生に最大20点を加点。一般入試の補欠合格者の選考基準にも年齢を加味していたが、いずれも要項に記載していなかった。神田亭勉学長は「卒業後も地域に残る人を募集する意図だった」と釈明。不適切な加点の影響で最大9人が不合格となっており、希望者は入学を認める方針という。

 福岡大は2010年度以降、医学部の入試で高校が作成する調査書の評定を点数化する際、長期浪人生を不利に取り扱っていた。現役生は最大で20点、1浪は10点を加点する一方、2浪以上は加点の対象外としていた。黒瀬秀樹教学担当副学長は「受験生に不安を与え申し訳ない。今後は公正、透明になるよう心掛ける」と謝罪した。 【時事通信社】



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181209_33012.html
岩手医大、低評価の1人追加合格か 文科省入試調査で指摘
2018年12月09日日曜日 河北新報

 岩手医科大は8日、本年度の医学部一般入試で追加合格者を決める際、面接などを含めた総合評価が他の受験生より低い受験生を合格させていた疑いがあると発表した。また医学部編入試験では、岩手医科大出身者の優遇措置を募集要項に明記していなかった。文部科学省の緊急調査で指摘された。金沢医科大(石川県内灘町)、福岡大(福岡市)も同日、入試時の得点操作などを明らかにした。

 岩手医科大によると、医学部一般入試(定員90人)の追加合格者は51人。このうち1人の評価が、一般入試で合格ラインに達していたにもかかわらず不合格となった受験生7人より明らかに低く、文科省から意図的に合格させた疑いを指摘された。
 学内で記者会見した佐藤洋一医学部長は、追加合格は成績順と説明したが、7人に合格の連絡をしたかどうかは「記録が残っていないため、文科省の疑念を払拭(ふっしょく)できなかった」と述べた。
 佐藤医学部長は、合否判定に疑いを指摘されている1人は大学関係者の親族ではなく、性別や年齢による恣意(しい)的な判定も否定した。
 7人は追加合格の連絡を受けた上で入学を辞退した可能性もある。岩手医科大は近く第三者委員会を設置し、7人が追加合格の連絡を受けたかどうかを確認して救済措置を検討する。
 歯科医師免許を取得見込みか取得済みの人を対象とした医学部編入試験(定員7人)では2013年度以降、半数前後を岩手医科大歯学部出身者枠としていたが公表していなかった。
 佐藤医学部長は「岩手の地域医療を支えてきた本学の実績を踏まえ、裁量の範囲と捉えていた。要項に明示しなかった点は反省に値する」と謝罪。文科省の指摘を受け、来年度以降は成績順に合格者を選抜する方針を示した。



https://www.sankei.com/life/news/181208/lif1812080024-n1.html
評価低い受験生を追加合格 岩手医大、編入試験も優遇
2018.12.8 12:22ライフ教育 産経新聞

 岩手医科大は8日、文部科学省による医学部入試の緊急調査で、合格者の最終決定時に不適切な運用をした疑いがあると指摘されたと発表した。面接などを含めた総合評価で不合格者より評価が低い受験生を追加合格にしたり、編入試験で同医大歯学部出身の受験生を優遇したりしていた。

 記者会見で佐藤洋一医学部長は、歯学部出身者の優遇について「在学中の学習姿勢や地域医療への定着率を評価したもので、大学の裁量の範囲。ただ、募集要項に明記していなかったのは真摯に受け止める」と釈明した。

 緊急調査は東京医科大の不正入試の発覚を受け、医学部を持つ全国の大学を対象に実施。文科省は中間報告で、募集要項で説明せずに、特定の受験生の合否を操作することなどを不適切とする判断基準を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/646575
シリーズ 医学部不適切入試
岩手医大、金沢医大、福岡大で「不適切入試」
属性等で差別、女子差別なし、金沢医大は追加合格検討

レポート 2018年12月8日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 文部科学省が実施した医学部入試の調査結果を受けて12月8日、岩手医科大学、金沢医科大学、福岡大学の私立3大学がそれぞれ会見し、不適切入試を行っていたことを公表した。岩手医大は、学士編入試験で歯学部出身の受験生を優遇したほか、2018年度入試の追加合格で優遇、金沢医大は「同窓生子女、北陸三県高校出身者、現役生・一浪生」に加点、福岡大は「高校卒後年数」による差異を設けていた。

 各大学は、不適切な入試方法を今後改めるとともに、再調査を行うと表明。金沢医大は、不利益を被った受験生に対応することから、追加合格者により、「2019年度医学部一般入学試験(前期)の募集人員(65人)が減員となる可能性がある」と公表している。

 文部科学省は東京医科大学の医学部不正入試問題を受け、8月に「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」、続いて各大学に訪問調査を実施した。東京医大のほか(『東京医大追加合格44人、2019年度一般・センター定員は46人』などを参照)、昭和大学が既に不適切入試を公表(『昭和大、入試で現役や卒業生の親族らを優先』を参照)、順天堂大学も近く第三者委員会の調査結果を公表予定。

 文科省が各大学に指摘した不適切事項は、以下の通り。

◆岩手医科大学(詳細はこちら)
・学士編入学試験で卒業後、地域医療に従事することを出願資格(誓約書提出)とし、その確実な履行の可能性を重視する観点から本学歯学部出身者に優位性があった。
・2018年度一般入学試験の追加合格者の中に、正規合格判定において面接等を含む総合的な評価から不合格と判定された者よりも、結果的に判定基準以上ではあったが評価が低いと思われる追加合格者が発生していた。

◆金沢医科大学(詳細はこちら)
・特別推薦入学試験(AO入試)における推薦書の評価において、同窓生子女、北陸三県高校出身者、現役生・一浪生に対して加点。
・編入学試験(第1学年次後期編入)における書類審査において北陸三県出身者に加点や年齢に応じた点数の加点や減点。
・一般入試における補欠合格者への電話連絡に際して、年齢も加味していた。

◆福岡大学(詳細はこちら)
・時間的な経過(卒業年度)を考慮した評定平均値の評価において、高校卒後年数により一律的に差異を設けていた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/646069
日医、10連休の対応年内に取りまとめ「地方行政に危機感を」
産業医組織化を日医主導で推進、マッチングの場にも

レポート 2018年12月6日 (木)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

小玉弘之氏
 日本医師会は12月5日の定例記者会見で、2019年のゴールデンウィークを10連休とする法案が成立する見通しであることを受け、関連する常任理事5人でプロジェクトチームを立ち上げたと発表した。常任理事の小玉弘之氏は、「医療界を代表する立場から、10連休が国民生活の支障にならないよう対応する」と説明。都道府県医師会へのアンケート調査などを踏まえて、年内に日医としての考えを表明する。

 11月27日に開かれたプロジェクトチームの第1回会議では、救急医療体制が大きな課題となるとの認識で一致したという。小玉氏は「10連休で医療機関がパンクする可能性は十分にある」と危惧を示し、通常より手厚い初期、二次救急体制の整備や、救急車の適正利用や#8000番の周知啓発、救急機関から患者を受け入れる出口問題への対応、在宅医療患者の急変対応の体制づくり──などの課題を挙げた。

 都道府県医師会に対するアンケート調査では、都道府県行政がどの程度連休の医療体制に危機感を持っているかを確認。また、「我々が知らない地域医療の課題を吸い上げる必要がある」(小玉氏)とし、各医師会の課題と、連休に向けた現状の対策などを質問項目に盛り込んだ。

 12月21日のアンケートの締め切り後、プロジェクトチームで議論し、考えられる危険や可能な対策などを日医として示す予定。日医は厚労省や消防庁とも10連休に関し情報交換を進めているといい、小玉氏は「対応が必要な課題を問題提起することで、都道府県行政への注意喚起を進めたい」と述べた。


松本吉郎氏
 さらに、日医主導で産業医の組織化に取り組む方針も明らかにした。常任理事の松本吉郎氏は、「労働人口の高齢化や働き方改革で、産業医に求められる職責が高まっている」と述べ、「中立性を保つためには産業医を守る体制が重要であり、連携や情報交換の組織づくりが急務」と組織化の意義を説明した。

 日医が1990年から開始した認定産業医の登録数は2019年1月で10万人に達する見込み。10年前に比べ、60代以上の産業医の割合が16%増加するなど、産業医の高齢化も課題となっている。

 日医は今後、産業保健委員会の中で組織化に向けた具体的な方策を議論。日医や各都道府県医師会に産業医部会を設置して関連団体と協力し、多職種との連携や情報交換、産業医と職場のマッチングに関わることを目指す。
 松本氏は「産業医が安心して活動に専念できる環境体制づくりの担い手となるような全国ネットワーク作りを、日医主導で取り組んでいく」と意気込み、「将来的には、医師会員のみならず、すべての産業医にネットワークに加入してもらうことが目的」と述べた。

 また、5日の会見では、ACPの愛称が「人生会議」に決定したことに関して、選定委員会委員を務めた副会長の松原謙二氏が報告(『ACPの愛称「人生会議」に決定、11月30日は「人生会議の日」』を参照)。 「いろいろな意見があったが、商標登録との兼ね合いが(難しかった)。良い単語はほとんど商標登録されていた」、「マスコミの選定委員の方々から『四字熟語』が良いと発言があり、(最終候補に)なかった人生会議が提案され、ずいぶん議論した」などと背景を説明。「医師の中でもACPの認知度は2割ない」とし、「日医としても広報活動に努力したい」と話した。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20181208/CK2018120802000004.html
市民病院の建設中止求め提訴 野洲の住民グループ
2018年12月8日 中日新聞 滋賀

 野洲市がJR野洲駅南口で計画する市民病院の建設は違法だとして、反対派の住民が七日、山仲善彰市長を相手取り、公金支出の差し止めを求める訴訟を大津地裁に起こした。

 訴えたのは、住民グループ「野洲市民病院整備を考える会」の山川晋代表(66)らメンバー六人。訴状によると、財政状況の困難な市にとって、多額の費用がかかる病院建設は経済的合理性を欠き、開院後は医師不足などで赤字経営が避けられないと主張。患者は車での移動が多く駅前に建てる利点は少なく、地形的に大雨で浸水する危険性があるとしている。

 市内で記者会見したメンバーは、同市ではこれが初めての住民訴訟になると強調。山川代表は「子どもや孫に恥じない対応をしておきたい」と話した。

 一方、山仲市長は同日の市議会一般質問で提訴への見解を問われ「訴状を見ていないので、何ともコメントできない」と述べた。

 市が計画する病院は鉄骨造六階建て、延べ床面積一万六千平方メートル。九診療科、百九十九床。資材の高騰などで、病院本体の建設費は当初の試算額から六億四千万円膨らんで、七十九億三千万円になる見込み。二〇二一年春ごろの開院を目指している。

 (平井剛)



https://univ-journal.jp/23830/
大学医学部の地域枠、定員未充足が半数、厚生労働省調査
大学ジャーナルオンライン編集部2018年12月3日

 医師不足解消のために大学卒業後の一定期間、地域医療に従事することを義務づける医学部の地域枠で、臨時の増員が認められた66大学のうち、半数の33大学で2018年度の地域枠定員が満たされなかったことが、厚生労働省と文部科学省の全国調査で分かった。欠員の多くが一般学生の入学枠に流用されたとみられる。

 調査は両省が9月から10月にかけ、全国の都道府県を対象に奨学金を貸与する地域枠の医学部生と卒業後の勤務状況について聞き取った。
それによると、地域枠は医師不足に苦しむ地方自治体が奨学金を出し、返済を免除する代わりに卒業後の数年間、指定した地域で医療に従事してもらう制度で、2018年度の定員は全国で合計1,014人に上る。

 しかし、自治体が貸与する奨学金を全体の18%に当たる187人が受け取っていなかった。厚労省は奨学金を受け取っていない学生を地域枠の学生と見なしていない。このうち、東北大学など22大学は2割を超す定員割れを起こしている。厚労省は地域枠の定員を一般枠で埋める不適切な運用をしていたとみている。

 定員割れの数は東北大学、信州大学、千葉大学が各16人、近畿大学が15人、筑波大学が13人、山形大学、長崎大学が各12人、北里大学が9人、帝京大学が7人、川崎医科大学が6人など。厚労省は2020年度入試から各大学に運用の是正を求める。

参考:【厚生労働省】医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会(第24回)> 資料3地域枠の状況等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208863_00004.html



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181203-OYTET50010/
救急医の宿直数、基準超…愛知の病院に労基署が2度指導
2018年12月3日 読売新聞

 愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターが、救急医に基準を超える回数の宿直をさせていたとして、半田労働基準監督署から2度にわたって行政指導を受けていたことがわかった。

 県病院事業庁によると、医療機関は月4回程度を限度に医師に宿直させることができるが、同センター救急科では2016年2月以降、医師5人が交代で宿直。月6回以上の宿直が常態化していたことが昨年11月の同労基署の立ち入り調査で判明し、同12月に改善するよう指導を受けた。

 同科では医師を1人増やし、研修医2人も加えた8人の宿直体制を組んだが、研修医の宿直の際には、サポートする別の医師がセンター内で待機することが常態化。今年4月に再度調査に入った同労基署から、実態は改善されていないとして同8月に指導を受けた。サポート役の医師には、宿直手当より安い待機手当が支払われており、指導を受けて差額も支払われた。

 センターでは、他の診療科でも月4回超の宿直が散見され、同労基署からセンター全体の改善を指導されたという。県の担当者は「小児の医師は全国的に不足しており、対応に苦慮している。確保の努力を続け、医師の健康管理にも一層配慮したい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/641583
シリーズ 一介の外科医、憧れの人に会いに行く:中山祐次郎・対談企画
診療科偏在「働き方改革で絶対に解決するべき」 - 堀岡伸彦・厚労省医師養成等企画調整室室長◆Vol.3
「プロフェッショナル・オートノミーは無理?」

スペシャル企画 2018年12月9日 (日)配信まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

中山:堀岡さんのもう一つのテーマは「専門医制度」ですが、それと密接に関係するのが医師の偏在対策だと思います。私は都立病院に長くいて、現在は福島県の民間病院に所属しています。先の国会で改正された医療法改正では、医師の偏在対策も盛り込まれましたよね。

堀岡:医療法・医師法は古い法律で、改正は繰り返しているのですが、今回、初めて「偏在対策」を大々的に銘打って法律改正がなされました。偏在対策は「強制性」と「実行性」がアンビバレントな部分のある世界です。フランスのように全診療科の細かい人数まで決めて、各地方に配置すれば、偏在対策としては完璧ですけど、「強制性」は最高です。

 日本ではそこまでできないですし、それでなにより今みたいな日本の医療の良い文化が守れるかどうか。例えば自分が選択したわけでもない診療科で、自分をなげうった医療をできるのかという問題もあります。一方で完全に自由だと、大都市に人が集まってきてしまう。どの程度がいいのかは人によって千差万別です。

 今の法律はそのバランスの中で成り立っていて、優等生的に言うと、日本医療の良い文化を消さない範囲できちんと偏在対策をやらないといけないと思っています。


堀岡伸彦 2005年 順天堂大学卒業・多摩南部地域病院で初期研修医、2007年 厚生労働省入省・保険局医療課(診療報酬改定)、2009年 同保険局総務課(被爆者援護)、2011年 内閣府原子力被災者支援チーム(医療班)、2012年 厚生労働省健康局疾病対策課(難病法制定)、2013年 山梨県健康福祉部健康増進課長、2016年~厚生労働省医政局医事課(医師確保対策)、医学博士

中山:強引な質問ですが、そのバランスでいうと今回の法律はどの辺りのイメージなのでしょうか。例えば「強制性」を10段階で表すと。

堀岡:正直、だいぶ自由だと思います。

中山:そうなんですか。ちょっとそれは意外でした。

堀岡:そうですか。現場のイメージはもっともっと非常に強制性のあるイメージなんですね。

中山:最近にわか知識で公衆衛生を学んだからだと思いますが、現場の医師としてもうちょっと強制性を持った配置が必要ではと思うようにもなりました。自分がプレーヤーとしていたとしても、強制性はある程度は必要なのではと。

堀岡:今の法律は、医師の自由な選択性をほとんど侵さない範囲での法律だと思っています。

中山:僕は短期間だけですけど、へき地で病院長や勤務医をやった経験もあり、ある程度の強制性は必要だろうと実感があります。ですから、より強制力を強めていく方向に行くんだろうと勝手に予想しておりました。

堀岡:0から10だと、今回は偏在対策のためにみんなで知恵を絞ろうということになったので、2ぐらいになったとも言えるかもしれせん。今まではそういう法律はなかったわけですから、完全に0ですよね。

中山:なかったときと比べると、ある程度の強制性は発生したということですかね。

堀岡:どうでしょうかね。少なくとも医師が行きたくないのに行かされることはないので、そういう意味では0のままとも言えます。

中山:なるほど。強制性が0という状況で、偏在はどれぐらい改善するのでしょうか。

堀岡:ここで官僚答弁をしてもしょうがないですが(笑)、前よりは良くなると思っています。意思に反して強制的に配置をする方法ではない偏在対策というのは可能だと思うので、その範囲で目いっぱいアイデアを出してやっているところです。

 この法案で「医師少数区域勤務認定医師」のことばかり話題になりますが、入院だけでなく外来でも地域医療構想を作ることを打ち出しています。具体的な議論の場、前提ができるという意味では、改善は進むと思っています。

中山:診療科間の偏在で、私はある意味では“マイナー科”と⾔ってもいいぐらい新しく選ぶ⼈が減っている外科にいます。全体としては⼥性医師数が増えていますが、働きやすい科に⼈が流れている印象があります。

堀岡:データでも明らかです。

中山:そこら辺にも介入していくのでしょうか。

堀岡:それは働き方改革でしか絶対に解決できないと思います。

中山:強制的な配置という、海外の諸国のように定員を決める、という議論はないのですか。

堀岡:それは働き方改革で絶対に解決するべきだと思います。女性が外科医を選ぶことができる職場環境を整備する改革をしないといけない。最大のポイントは「タスク・シフト」だと思います。逆に中山先生の実感としては、強制的に外科に来るんだったら、それはいいのでしょうか。

中山:いいか悪いかで言われると、女性外科医は仕事がきっちりしてオペがうまいので、患者さんの利益を考えたら良い面もあるかなと思います。若干強制だとしても、来たら来たで面白いから、そのままたぶん染まる人も多いのではないかなと。

堀岡:たぶんそれも一つの真実だと思うんですよね。今でも、部活の先輩が「あの人いい人だから」といって選んでいるのが実態だったりしますよね。

中山:私は先日、所属している南東北病院で高校生イベントというのをやりました。県内の高校生を集めて手術室に連れて行って、外科のかっこよさをアピールしました。10年後にその高校生たちが外科や当院に興味を持ち、それらで働いてくれればと期待を込めています。なんと学生のうちの半分が女子でした。

堀岡:若干雑談になりますけど、国としては診療科偏在というのは極めて大きな問題ですが、実は外科医を選ぶ人は年800人ぐらいでずっと変わらない。学会に所属する人は減っているようですが。外科が大変だということを知らない研修医はいないと思います。それでもこれだけの数の一定数が必ずいるのは外科医は何よりも格好良いですから。

中山:「格好良くなければいけない」みたいな議論は、よく外科系の学会でもされていますね(笑)。最近の外科系学会では「矜持」「美学」がよく聞かれます。

m3.com編集部:先ほど中山先生が「混乱している」と言ったように、医療を良くしていこうという時に、国に決めてもらった方がいいのか、医療現場、プロフェッショナル・オートノミーで変えていけるのか、どのようにお考えでしょうか。

堀岡:興味深い質問ですね。

中山:極めて難しい質問です。正直私も日によって、時間によって立ち位置が変わってしまっています。とはいえ、勤務医をやりながら、公衆衛生を学び、短い期間ですが院長もやって、その経験から考えると、やっぱり現場から改善というのは限界があると感じています。

 単純に現場の医師には時間がないのもありますが、現場から声を上げる人はすごく少ない。なぜなら病院や医局内部のピラミッドがあって、部長に文句は言えない、院長に文句は言えない、教授に文句は言えないという文化があるからだと思っています。ですから、厚労省からの通達や経済原理という外力が必要なのではと思います。

 プロフェッショナル・オートノミーを期待するのは、ちょっと無理なのではと思っています。働き方もずっと30年変わらなかったわけですから。

m3.com編集部:高野病院の院長をされた時の取材では、「地域の魅力やその病院に来るインセンティブ(金銭的・キャリアアップ的)を付けることで、人の移動を促すことが自然であり、継続性が高いはずだと考えています」と答えていました(『36歳外科医が高野病院院長に就任したわけ―中山祐次郎氏に聞く◆Vol.2』を参照)。

中山:矛盾するようですが、その発言も真実だと思っています。魅力が出れば人は自然と集まってくる。ただ、実効性という意味では、時間がかかっている間に地域が衰退してしまうかもしれない。強制的な配置をした方がいいのではと思ったり、行ったり来たりしています。

 「専門医制度」についてはいかがでしょうか。

堀岡:医療法改正で、日本専門医機構に対して、厚生労働大臣から「地域医療の確保という観点からは、専門医機構に対し意見を言える」という非常に弱い権限が書き込まれました。もちろんそれを聞く義務はないのですが、専門医機構だけで対応が難しいことがあるならば、厚生労働省としても法的な権限を使ってちゃんとしていきたいと思っています。これまでは国の制度である初期研修を議論する臨床研修部会がありましたが、専門研修部会も新たに立ち上がるので、そこでも議論をしていきます(編集部注:2018年9月に発足)。

中山:なるほど。「地域医療の観点から」というただし書きが付いているんですね。それはつまり医者たちだけが考えた専門医の像と、国が考える専門医像がちょっと違うかもしれないからでしょうか。

堀岡:質と地域医療の維持というのは、さっきの強制と偏在みたいなアンビバレントな関係ではないと考えます。東京の一極集中を是正することで、質が下がることにはならないようにしなければならないと考えています。

中山:なるほど。国全体で見たらそうだと思うんですけども、例えば福島県でしたら、比較的人口が多い地域で、病院規模が大きい限られた市中病院、あるいは大学病院で研修せねば専門医は取れないとなるのではという心配がされています。

堀岡:それはそうですが、運用の問題なんですよね。中核病院でなければ経験できない症例が、専門医の要件に入ってないですよね。

中山:症例で言ったらそうですけれども、現実的に取ろうと思うとやはり大規模病院が有利になると思います。

堀岡:だから運用の問題ですよね。例えば産婦人科では緊急帝王切開を数十例経験する必要があります。確かにへき地ではできないと思いますが、3年基幹病院にいなくてはいけないという話ではないはずです。もちろん、実態としてはいろいろなことがあるとは思いますが。

 仕組みとしては、基幹病院は都道府県で最低1つ以上になるということ、連携病院でできるだけ長く研修できること、を整えていただきました。正直、僕らができるのはここまでで、そこから先、運用になると各地域でご議論いただきたいと思っています。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181205-00010000-jij-hlth
地域社会のリーダーを育成 医師国試合格率は「日本一」―自治医大
12/5(水) 17:11配信 時事通信

 へき地医療を担う医師の育成を目的として、1972年に自治医科大学が創設されて以来、自治医大は地域医療のリーダーを全国各地に送り出してきた。2012年に第3代目となる永井良三学長が就任してからは、へき地医療と総合医療の両方を担う地域社会のリーダーの育成に取り組んでいる。医学にとどまらず、幅広い知識と教養が求められる地域社会のリーダーをいかにして育成していくのか。教育理念とこれからの医療を担う医学生への期待を聞いた。

 ◇「地域枠」の先駆け
 自治医大は自治省(現・総務省)が公設民営大学として設置。医学部の入学試験は各都道府県の定員枠から選抜し、卒業後原則9年間、地域医療に従事すれば学費が免除される。ここ数年、医師の地域偏在を是正するために「地域枠」を設ける医学部が増えてきたが、自治医大が先駆けといえる。

 へき地医療のリーダー育成を目指した初代学長の中尾喜久氏、総合医の育成に取り組んだ第2代目学長の高久史麿氏の後を引き継いだ永井学長は、時代の移り変わりとともに、「医療を通じた地域社会のリーダーの育成」へと自治医大の役割を変えてきた。「地域医療を実践していくには、住民や行政、医師会などいろいろな人と交渉し、協力していくことが不可欠。そのために医学だけでなく幅広い知識と教養が必要」と強調する。

 自治医大の医師国家試験の合格率の高さは目を見張るものがある。13年から6年連続で全国第1位を維持し、18年の合格率は99.2%と全国平均の90.1%を大きく上回る。入学時の偏差値ランキング24位からの大躍進である。

 ◇4年次から臨床実習
 「入学試験の成績と入学後の伸びは一致しない」と永井学長は断言する。自治医大が求めているのは「伸び代のある学生」。各都道府県での選考を経て、大学が合格者を絞り込むが、その基準は「企業秘密」として明らかにしないが、「経験とデータに基づいて入念な研究を重ねている」という。最近、世間の注目が集まっている女子学生への入試差別も無縁。女子学生は40%を超え、むしろ今年は女子の合格率の方が高かった。「卒業式で優等生を表彰しますが、演壇に上がってきたのが全部女性という年もありました」

 伸び代のある学生を伸ばすのは、大学の教育の力に他ならない。高偏差値の学生を集めても、卒業時にバラツキが生じるのが一般的だ。自治医大は、もともと学力にバラツキのある学生を6年間でトップレベルに育て上げていく。学力に不安がある学生がいれば、教育担当の教師が補習する。個人レッスンの時間は年間260時間に及ぶという。

 学生には常に学ぶチャンスを与えている。医学部では唯一、3年次に臨床実習の前提となる共用試験を実施。また、多くの大学では5年次から始まる臨床実習を4年次と5年次の2年間かけて行う。さらに、5年生で6年生と同じ卒業判定試験を受けさせ、5年生の時点で国家試験合格ラインを越えている学生には、6年次の秋まで授業出席を免除して自由な時間を与える。

 ◇100%が当然

 「臨床でも研究でも何でも好きなことを自由にさせます。研究成果を学会で発表する学生もいれば、哲学を学ぶ学生もいる。海外に行く学生も多い」。そういった学生が毎年十数人に上る。「そのような優秀な学生が必ずしも入学試験で優秀だったとは限らないのです。本当にギリギリで入った学生もいます」。伸び代のある学生を選び、教育した成果だ。

 「医師国試も、例えば各県2人のところに1人落ちると、その県にとっては50%の合格率なのです。影響が非常に大きいから、われわれは100%が当然と思っています」

 自治医大に入学した学生は、各地の地域医療の担い手となる貴重な人材。「われわれは各県から預かってお返しする立場ですから自然に力が入ります。とにかく迷惑は掛けないというのが基本ですから」。学長自ら教壇に立ち、学生たちと議論も交わす。「学内で会うと、学生たちはみんなあいさつをしてくれます。学生と教員の距離が近いのです」

 ◇積極的に女性医師を支援
 自治医大の学生は卒業後、出身地で研修を受ける。自治医大で研修を受けるのは、他大学の卒業生と自治医大と付属病院がある栃木県と埼玉県出身の卒業生。研修医たちに求めるのは、専門分野を持った上での総合医。「やはり病院の勤務医になる場合、専門を持つことが不可欠。自治医大に行くと専門医になれないと思われがちですが、全くそのようなことはない」と念を押す。ゆとりある環境、豊富な症例数、熱心な指導体制に魅力を感じて研修希望者が全国から集まってくる。

 女性医師への支援に積極的に取り組んでいる。キャリア支援センターでは、出産、育児から復帰した女性医師に対して、リハビリテーション指導を行うほか、保育ルームでは夜間保育や病児保育にも対応する。2015年には「看護師特定行為研修センター」を設置、医師と看護師の仕事のはざまとなる特定行為を行う人材を毎年60人育成している。単なる女性医師支援にとどまらず、医療職全体の働き方改革に結び付く本質的な取り組みといえる。

 ◇地域社会のリーダーでもあれ

 永井学長が医師を目指したのは、「社会とかかわりを持つサイエンスに魅力を感じたから」。医学は社会の縮図であり、仕事を通じて社会全体を見られるのが面白い、と話す。一方、「日本で医療者としてフラストレーションを抱えずに生きていくためには、かなり幅広い学びが必要」だという。

 思ったような医療ができない、長時間働いても給料が少ないなど不満を挙げればきりがない。「日本の医療はアメリカのような市場原理でもなく、ヨーロッパのような国家管理でもない、ある意味一つの理想を追求している。矛盾だらけの世界だが、地域に根差して患者さんのことを思えば喜びがある」。目の前の問題の背景に何があるのかを知るために、幅広い勉強が必要なのだ。

 少子高齢化が進み、東京一極集中がさらに進んでいく日本で、地域医療がしっかりしていなければ地方からの人口流出がさらに加速する。自治医大の卒業生が地域医療を担うことは地域社会を守るということでもある。永井学長が、地域医療のリーダーだけではなく、地域社会のリーダーでもあれ、というゆえんなのだ。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

【自治医科大学の沿革】
1970年 秋田大助自治大臣がへき地医療の充実を目指し「医学高等専門学校設立構想」を表明
  72年 学校法人自治医科大学開学、医学部設置
  74年 自治医科大学附属病院開院
  87年 自治医科大学看護短期大学開学
  89年 自治医科大学附属大宮医療センター開院
2002年 自治医科大学看護学部設置
  06年 とちぎ子ども医療センター開設
  07年 自治医科大学附属大宮医療センターを自治医科大学附属さいたま医療センターに名称変更



https://www.ehime-np.co.jp/article/news201812030041
町、後任確保まで巡回診療
常勤医不在 募る不安 愛南・西海地域、民営診療所閉院

2018年12月3日(月)(愛媛新聞)

 愛南町西海地域で唯一の医療機関だった民営の福浦診療所(同町福浦)が、医師の体調不良により9月末に閉院した。高齢化が進み町中心部からも遠い同地域は常勤医が不在の状態となっており、住民は不安を募らせている。町は後任の開業医を募っているが、めどは立っておらず、つなぎとして国保一本松病院による巡回診療を始めた。

 福浦診療所は1991年に開業。無医状態を解消しようと福浦地区が医師募集を呼び掛け、神奈川県の勤務医だった大川恭矩さんが応じた。「着任のお礼に遊漁船1隻を贈る」という地区の募集PRも話題を集めた。

 大川さんは、西海地域の別地区の病院が閉院となった2006年以降は地域ただ一人の医師として週6日診察。だが、体調を崩して9月末で閉院、11月下旬に78歳で亡くなった。

 町によると、西海地域の人口は約1990人。高齢化率は55%で、独居世帯も4割を超す。町中心部の病院まで車で30~50分かかり、バスで行くには乗り換えが必要な地区も多く、高齢者の負担は大きい。

 住民から対応を求められた町は、後任医が見つかるまでの暫定措置として、11月中旬に国保一本松病院による巡回診療を始めた。診療は火曜の午後に福浦公民館で行い、2回目となった11月27日は嶋本純也副院長(35)や看護師、薬剤師、事務員らスタッフ9人が対応。約2時間で、予防接種を含め約30人が訪れた。

 福浦地区の福田久区長(75)は「地域医療に尽くしてくれた大川先生には本当に感謝している」と話し、「週1回でも医師が来てくれてありがたい」と町の対応を歓迎。一方で「急患を考えると、常に医師がいてくれたら」と訴える。

 町も「常勤医体制が望ましく、後任探しに努める」としており、地元出身の県外在住医師を当たり、町や県のホームページでも募集している。

 住民には常勤医の不在が長期化する懸念もある。「巡回診療の回数を増やしてくれれば」との声も聞こえるが、一本松病院の常勤医は2人で、巡回診療は同病院が午後に週2回行う訪問診療をやりくりしており、「現状の人員だけでは難しい」(同病院)。町は後任医の確保と並行し、電子カルテの整備や情報通信技術(ICT)を使った遠隔診療の検討など診療体制の向上を図る考えだ。



https://www.asahi.com/articles/ASLD543KYLD5UBQU00K.html
岩手の水沢病院、内科の常勤医2人も退職へ
泉賢司2018年12月5日15時00分 朝日新聞

 常勤の小児科医の退職に伴い今月から小児科外来が休診中の奥州市総合水沢病院で、さらに内科の常勤医2人が来年2月末までに退職することを4日、市側が明らかにした。3医師の代わりが確保できない場合、年間6億~7億円の減収になる可能性があるという。

 4日の市議会一般質問で柏山徹郎・病院事業管理者が明らかにした。常勤内科医4人のうち2人が、来年1月末と同2月末に相次いで退職するといい、小児科医を含めた3人の退職で外来と入院の診療態勢が縮小することから、年間に換算した減収試算額は「6億円から7億円」と説明した。

 退職で人件費の支出も減るが、外来・入院の医業収入全体の約25~29%減る計算になる。医師が確保できない状態が数年続いた場合、預金なども取り崩すことになり、柏山管理者は「(経営は)危機的な状況になる」と述べた。

 医師確保について小沢昌記市長は「岩手医大に協力を要請し、県にも医師派遣をお願いしている」としたが4日現在、見通しが立っていない。一方、新病院建設の前提となる地域医療計画の作成作業が続く中、市長が6月に表明した現病院の耐震補強工事は、医師らが「工事の効果が不明確」「工事中は病院機能が維持できなくなる」などとして反発し、実施できない状況となっている。



https://www.asahi.com/articles/ASLCH2Q03LCHULFA002.html
医療のカイゼン、オランダ先行 官民が連携、データ活用
松浦祐子2018年12月7日11時33分 朝日新聞

 高齢化に伴う医療費の増加を抑える対策の一つとして、厚生労働省は個人の医療情報を病院が変わっても確認できる「医療等ID」の2020年度の本格運用を目指している。オランダでは、こうしたICT(情報通信技術)を活用した医療の効率化に先行して取り組み、その動きを加速させている。現状を取材した。

 首都アムステルダムで家庭医をしているバート・メイマンさんの診療所。現代美術の絵画が飾られたくつろいだ雰囲気の診察室で、机に置かれたパソコンをみて、「今はこれを通して、病院での検査の結果や薬局での薬に関する情報を見ることができる」と話した。

 オランダの医療制度は家庭医が中心だ。病気になるとまず、登録している地域の家庭医で診察を受ける。専門の治療が必要だと診断されると専門医を紹介され、病院で治療を受ける。

 その際に活用されているのが、家庭医、病院、薬局などみんなが診療録(カルテ)や薬の処方箋(せん)などの情報をパソコンで見られるネットワークだ。X線検査の放射線被曝(ひばく)や複数の薬の服薬による副作用などが指摘される中、不必要な検査や大量の薬の投与を防ぐ。

 オランダは早くから電子カルテの導入を進めていたが、その取り組みを加速させたきっかけは国の財政悪化だ。12、13年にマイナス成長に陥り、13年に即位したウィレム・アレキサンダー国王は議会で「20世紀型の福祉国家は終わった」と演説。国民の自助努力を促す参加型社会をめざすとした。

 その柱の一つが、医療情報のネットワーク化だった。ただ、過去に医療情報を国の主導で管理することに対して、プライバシー保護の観点から反対の声が上がり、同様の計画が頓挫した経緯があった。

 このため、新たな計画では、民間組織を設立してネットワークを運営する方式に変更。ネットワークへの医療情報の提供については、国民一人一人の同意を必要とするほか、自分の情報を医療機関などの第三者が見た場合には記録が残り、国民の側から確認できる仕組みを入れるなど対策を強化した。今では人口約1700万人のうち約1300万人が同意している。

 ただ、患者側は自分の情報を見られない。そこで、さらに医療情報を国民の健康向上にいかせるようにと官民プロジェクト「MedMij」(メドマイ)が16年に立ち上がった。「私の健康」という意味だ。

 保健・福祉・スポーツ省や国立医療ICT研究所、患者の団体を中心に、民間の保険会社やヘルスケア分野でインターネットサービスを提供するプロバイダーなどが参加する。国民が自身の情報を見られるようにするだけでなく、自分で計測した血圧値などを追加で記録できるようにする計画だ。糖尿病などの慢性疾患の患者や健康に不安を抱える高齢者の健康管理、在宅ケアでの活用が見込まれている。

 日本の「医療等ID」も将来的にはこうした仕組みを描く。メドマイ広報のマルゴ・ブランズさんは、患者が病院に行く前に自分の検査結果を見ることができれば、事前に医者への質問を考えられ、効率的に受診できると説明。「自分の健康を医師と一緒に考えるきっかけにもなる」と話す。

 調査機関は、不必要な検診の防止や遠隔モニタリングでの重症化予防などで年46億ユーロ(約5900億円)の医療費が削減できると試算する。

 だが、普通の人がカルテなどを理解するのは難しい。家庭医のメイマンさんは「情報が多かったり、悪い検査結果だったりした場合は、患者がパニックに陥る可能性もある」と懸念する。情報を読み解くには医師らの助言といったソフト面の支援も不可欠とみる。

 ICT活用で住民の健康を支える社会の実現をめざす「日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会」の森田朗代表理事(津田塾大教授)は、医療情報をビッグデータ化すれば薬の副作用や新しい治療法を見つける可能性にもつながり、多くのメリットがあると強調。「プライバシーへの対応を強化しながら官と民が連携し、医療情報を活用する仕組みづくりを進めるオランダの取り組みは日本でも参考になる」と話す。(松浦祐子)



https://www.m3.com/news/iryoishin/641572
シリーズ 一介の外科医、憧れの人に会いに行く:中山祐次郎・対談企画
働き方改革、医療現場からの改革は可能か? - 堀岡伸彦・厚労省医師養成等企画調整室室長◆Vol.2
官民が入り交じる「日本には三つの医療制度」も

スペシャル企画 2018年12月2日 (日)配信まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

中山:「働き方改革」と「専門医制度」が堀岡さんの現在の2大テーマとのことですが、どちらもすごく伺いたいことがたくさんあります。主語が大きすぎるかもしれませんが、厚生労働省が考える「医師の働き方」はずばりどんなものですか。


堀岡伸彦 2005年 順天堂大学卒業・多摩南部地域病院で初期研修医、2007年 厚生労働省入省・保険局医療課(診療報酬改定)、2009年 同保険局総務課(被爆者援護)、2011年 内閣府原子力被災者支援チーム(医療班)、2012年 厚生労働省健康局疾病対策課(難病法制定)、2013年 山梨県健康福祉部健康増進課長、2016年~厚生労働省医政局医事課(医師確保対策)、医学博士
堀岡:普通の会社、普通の労働基準局的観点から見ると、医師の文化は良いところ、悪いところがたくさんあります。良い文化というのは、正直、医療界の外の人からは理解されづらいですが、患者さんのために何でもなげうつし、直接的にメリットがなくてもみんな自分で研究をして、アメリカの学会で発表したりする。僕でさえ行政官で、自分で研究する能力はないかもしれませんが、それでも少しでも研究をして何か日本の医療に役立てばと思ってしょぼい研究ですが、論文を書いて医学博士号を取りました。医師の方々はみんな自分の経済的インセンティブではなく、日本の医療を良くする、すごく遠い未来の医療に関係するかもしれないと思って献身的にやっていることが山のようにあると思うんですよね。それはいい文化です。

 悪い文化は、一番分かりやすいのは、タスク・シフトが全然進んでいなこと。特になぜか医師も看護師もたくさんいるはずの大学病院で、最も医師の働き方が悪い。きちんと他職種にタスク・シフトすれば、僕の同期の友達も大学ですごく働いていますが、そこまでしなくてもすむはずです。官僚も同じですが縦割りの悪い文化です。

 自己研さんが特に重要ですが、一般の社会の人はそのことを知らないです。だから例えば論文は教授に無理矢理書かされていると思う人もいる。夜、救急でベッドが空いていたら修業中の外科医はチャンスだと思う人もいませんか。

中山:そうですよね。張り付きますよね。

堀岡:自分が患者さんを通してさまざまな臨床経験を積むことを目指す志。これは患者さんにとっては失礼なことかもしれないけど、日本の医療を支えてきた原動力ですよね。そういう文化は理解されてないです。もちろん悪い文化もたくさんあって、それを正していこうというのは正しいのですが、良い文化も壊してしまわないように、制度をきちんとまとめていかないといけないと思っています。ちょっと抽象的な答えになってしまいますが。

  
中山:ありがとうございます。すごく面白くて、堀岡さんが話したことは「自己研さんと労働の間のどこで線を引くか」のような話にもなるかと思います。医師のほとんどが「良い医者になりたい、腕を持ちたい、能力を高めたい」と思いますよね。夜中まで手術の練習をしたら、労働なのか自己研さんなのかって非常に難しい。当直が割り当てられていないのに、救急外来で当直する若手もたくさんいます。それは今後もできるようにしたい。

 でも、それでくたくたになって死んだらどうするのか、という視点もとても大切です。極めて難しい議論ですよね。

堀岡:「自らが高いプライドを持って能力を磨いていくんだ」という人に関する視点も重要ではないでしょうか。労働者保護で弱い労働者を守るというのは非常に大切で、過労死はなんとしても防がなくてはなりません。現状はそれすらできていない面があるのも確かですが、そうでない医師がいるということはあまり理解をされてない。

中山:その辺りはとても難しいですよね。自分で頑張りたいから頑張った結果、過労状態にいる医師もいる。なぜ頑張るかも、教授のプレッシャーかも、人がいないからかも、同期との競争意識かもしれません。

堀岡:これは厚労省の見解とまでは言えませんが、働き過ぎの部分では、タスク・シフトで解決できる部分も大きいのではと思っています。厚労省の調査でも非常に多くの時間を、例えば外科医だったら手術ではない仕事に取られています。僕も病院で働いていた時、当時は手書きでしたが、診療が終わったあとに民間保険会社の診断書や診療情報提供書を毎日2時間、3時間ずっと書いていたのを思い出します。そこをまず改善したあとに、残ってくる問題は何なのかということもあると思います。

中山:なるほど。タスク・シフティングは、現場のドクターたちはみんな思っていたことですよね。行政主導、厚労省主導で変わっていくのでしょうか。

堀岡:それは非常に難しいです。本来、タスク・シフトというのは現場から行われるもので、実際に民間病院の方が進んでいるという調査結果も出ています。ただ、今でも大学病院で働く同期に聞きますけど、今でも夜間の点滴のために、36時間働いている当直医を起こすような実態は変わらないようです。ただ、現場の働き方を国が指示するのはおこがましいですけれども、対策を打つべきと思っています。

 厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の中間取りまとめの中で「緊急対策」が出ており、その中で「原則、医師以外の職種がすべき」という業務を国が大きく書きました。もちろん国が言っただけでそれが変わるとは思ってはいませんが、少なくとも現場で大変な思いをしている先生が「何でこの業務を医師がしなくてはいけないのか。厚労省も医師以外がやるようにと言ってるぞ」と、病院の中でお話ができて、体制を組むような議論が始まることのきっかけになるとは思います。

 僕が研修医のときなんて当然、点滴もバルーンも何もかも全部医師の業務で、看護師はやってはいけないことになっていると言われていました。でも、そんなことを厚労省は指示していなかったことが、入省して分かりました。現場の人が誤解していることが意外にあって、それを説明することで、改革での一助になったらいいなと思っています。

中山:現場の実感としては、医療業界では「ボトムアップで現場から改革を」と言われてもそれで変わる気が全くしなくて、やっぱりお上が「点滴は看護師がやるべし」と、「診断書もクラークさんがやるべし」というお触れを出さないと、とうてい動かないのではと。僕は公立病院に10年いたので、すさまじく強い看護師さんとかを実感していて……。

堀岡:それ、僕言ってないですからね(笑)。中山先生のコメントですからね。

中山:大丈夫です。僕の意見です(笑)。タスク・シフティングをトライしては失敗したことが何度もありました。やっぱり「安全性」と「責任」という2つのお札を出されると、医者がもう全部やりますと言わざるを得ないのが現場の感覚でした。たぶん公立だったからということもあると思いますが。

堀岡:そうかもしれませんね。

中山:現在は私立の病院である南東北病院(福島県)に移りましたが、やはり圧倒的に違います。効率化ということを病院全体で考えおり、そのためには医者には医業をやらせて、点数をちゃんと取るというのは当然の考えですよね。

堀岡:実は医療業界全体にまん延する「ガバナンス」の問題なんだと思っています。おそらく、公立病院は院長のガバナンスが利きづらいのだと思います。例えば大きい病院の院長は、各診療科の教授、部長が実権を握っており、ただ外の会議に出席するだけの人になっていることもありますよね。公立病院だと人事権もない状況もあると思います。本来、院長がタスク・シフトを進めるべきでしょうけど、難しい面もあるのでしょうね。

中山:公立病院院長は2、3年ごとに代わりますし、何をやったのか全くわからない病院幹部もいます。ガバナンスについてぜひ伺いたい。だからそのガバナンスについても、お触れを出すのはやはり厚労省ではないかと思っているんですが、いかがですか。

堀岡:現場の感覚としてはそうなんだなと思います。国から示しているものが、改革の一助になればいいなと思いますけども。

中山:「一助」というお言葉、すみません、しつこいようですけれども、「きっかけ」というようなイメージでいらっしゃるのでしょうか。

堀岡:壮大な話にしてごまかすつもりではないですが、医療行政は結構国によって違うところがあります。イギリスはNHSで基本的には国営で、逆にアメリカはほぼ完全に民間です。国営だったら国が先頭を切って再編成やタスク・シフトについて指示できますし、民間だけだったら、経済学的インセンティブ以上のもので動きようもないわけです。

 では、なぜ日本で「地域医療構想調整会議」という枠組みがあるかというと、日本は公立、民間が複雑に入り交じっていて、その病院のガバナンスも違います。なので、そこで話し合う以外に解決策がないというところがあります。民があって公があって国があるという中で、“お触れ”で無理矢理というやり方はすべきではないですし、実効的にもできないと思っています。

中山:民と公が入り乱れているとそういう問題はあるんですね。

m3.com編集部:中山先生は常日頃、「医療は規制が強すぎる」ということを発言したりもしますが、現場としてはもっと自由にさせてほしいのか、国に枠組みを決めてほしいのか、どちらなのでしょうか。

堀岡:中山先生は、実は矛盾したことをおっしゃっているんですよね。

中山:僕は今、本当に混沌のさなかにおりまして。と言うのも、現場で11年医者やって、現在は公衆衛生大学院で医療政策、医療経済、臨床研究などを勉強しているところです。両者を知った結果、おっしゃる通り矛盾、混乱しているところです。医療が規制産業であるということはよく分かったのですが、一方で国がお触れを出せば変わるというものでもないことを今日理解できました。

堀岡:確かに、ほかの国ではあまりない体制ですしね。日本の中でも面白いんですよね。東日本と西日本は全然違います。東は公立が強くて、西は民間が主体。あとは東京という別の国があって、3つの国があるとも言えます。

中山:3つの医療制度。

堀岡:本当にそう感じていますね。

中山:面白いです。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181128-OYTET50022/
医療事故調査制度 導入3年、想定下回る報告件数…調査ためらう病院 遺族不満
2018年12月5日 読売新聞

 医療事故調査制度が導入されてから、今年10月で3年が過ぎた。報告件数は相変わらず当初の想定を大きく下回る。報告するか否かの判断が病院側の裁量に任される仕組みで、医療界には事故調査に消極的な傾向が残るためとみられる。医療事故の遺族の間には、制度への不満がくすぶっている。

 「公正で信頼される医療事故調査制度を求める署名にご協力お願いします」

 医療事故の遺族らでつくるグループが月1回ほど、制度の改善を求めて街頭に立つ。制度創設を目指して2008年に始まり、今に続く署名運動だ。106回目の先月で丸10年となり、計3万9890人分が集まった。

 制度は15年10月にスタート。患者の「予期せぬ死亡」があった場合、第三者機関である医療事故調査・支援センター(東京都港区)に報告し、院内調査委員会を設置して調べることが医療機関に義務づけられた。

 制度実現を巡っては、医療者の一部が反発して意見がまとまらず、創設論議が出始めてから10年以上かかった。医療側に、責任追及につながることへの不安があったためだ。そこで、幅広い意見に折り合いをつける内容で導入にこぎ着けた経緯がある。

 報告するかどうかの判断が医療機関にゆだねられたのも、そうした事情が影響した。このことが、予想より報告が少ない背景にある。

 「調査してもらえない、説明に納得できない、などと、制度の現状に不満を持つ遺族からの相談は多いです」と話すのは、「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」代表の永井裕之さん(77)。東京都立広尾病院で1999年、点滴ミスにより妻を亡くした永井さんは、医療事故について遺族の相談にのってきた。制度の導入前は、具体的な運用を検討する厚生労働省の有識者会議で委員も務めた。

 永井さんは「制度の導入当初から、『小さく産んで大きく育てる』という気持ちでした。このままでは制度が国民から信頼されない。見直しが必要になっています」と話す。

 2016年6月に娘(当時32歳)を亡くした母親(60)は、病院による事故調査の経緯に不信を抱く。「病院が作った調査報告書を見たとき、まるでバカにされているような気がして悲しくなりました」。報告書は本文3ページ。「これではなぜ娘が亡くなったかわからない。きちんと検証されたのか、かえって疑念を持ちました」という。

 娘は同5月、埼玉県蕨市内の病院で出産時に脳出血を起こした。他の病院に搬送された頃には深刻な容体で、脳死状態のまま約1か月して亡くなった。当初、病院側は報告の必要なしと判断。遺族が要望した結果、調査することになった。

 同病院は「第三者の意見も聞いてしっかり調査した。報告書のページ数が少ないから簡単に扱ったというわけではない」と説明する。

 院内調査の結果に不服がある場合、遺族から同センターに独自調査を求めることもできる。この遺族はセンターに調査を申請したが、「期待できない」と言う。調査結果を待たず、このケースは今年10月、民事訴訟に至った。

 同センターを運営する日本医療安全調査機構の常務理事で医師の木村壮介さんは「現状は、一般の皆さんが満足できない状態になっているとは聞いています。何年かかるかわからないが努力したい。制度をもっと発展させるためには、社会全体の努力と理解と時間が必要だと思っています」と話している。

地域で対応格差
 制度がスタートしてから、報告は今年10月末現在で計1169件。平均すると年400件に満たない。

 医療事故がどれくらい発生しているのか、正確なデータはない。ただし、厚生労働省は年1300~2000件と試算しており、現状の報告件数とは大きな開きがある。熱心な病院もあるが、病院間で対応に格差がある。

 地域的な差も目立ってきた。同センターがまとめた人口100万人あたりの報告件数を見ると、最も多いのは宮崎県の年6.9件、次いで三重県5.4件、大分県5.0件。報告が少ないのは高知県0.6件、鹿児島県1.4件、宮城県1.5件などとなっている。

 「三重県は、基本的に医療事故全例について県医師会が調査を支援し、医療安全のため、積極的に報告するスタンスでいるからでしょう」と、三重大学病院(津市)副院長で、医療安全管理部長の 兼かね児こ 敏浩さんは、県内の報告が多い背景を説明する。同病院も、これまでに計3件を報告した。

 全体の報告件数が低迷している理由について、兼児さんは、「報告対象の基準があいまいで、病院側が報告をためらう面もあるのでは」と見ている。

 (高梨ゆき子)



https://www.sankei.com/life/news/181207/lif1812070031-n1.html
東京医大の追加合格、5人は認めず 来年は募集大幅減
2018.12.7 18:16ライフ教育 産経新聞

 東京医科大は7日、昨年と今年の医学部入試で不正の影響により不合格となった受験生101人のうち、44人を追加合格にしたと発表した。49人が入学を希望していたが、残りの5人については受け入れ上限を超えたとして、改めて不合格とした。補償などは今後検討するとしている。

 追加合格の影響で、来年入試の募集人数は大幅に減らされる。同大によると、一般入試は定員の75人から41人減の34人に、大学入試センター試験利用入試は15人から3人減の12人になる。


 同大では、女子と多浪生に不利な得点操作をした昨年と今年の入試について、不正を排除した得点で合否の再判定を実施。計101人を追加合格対象者とし、入学の意思確認を行った。

 その結果、追加合格となったのは男子15人、女子29人で、来年4月の入学を認める。一方、不合格とされた5人はいずれも今年の一般入試を受験した女子で、入学意思を示していたが、同大が設定した上限を超えたため受け入れられなかった。

 同大は6日付で合否結果を通知。「5人を含め不利益を受けた受験生に対する補償などについては、第三者委員会の第2次報告書を待って検討する」と説明している。

 柴山昌彦文部科学相は7日の閣議後記者会見で「落ち度がないのに不安定な状況に置かれ、その上で不合格となった方がいるのは大変残念だ」と述べた。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38659290X01C18A2CC0000/
東京医大、希望者5人の入学認めず 追加合格判定で
社会

2018/12/7 10:40 (2018/12/7 11:35更新) 日本経済新聞

医学部の入試不正問題で東京医科大は7日、2017、18年度の入試で本来は合格ラインを越えていた受験生計101人の追加合格を判定した結果、44人を合格にしたと発表した。入学を希望したのは49人で、残りの5人は不合格とした。

受験生の支援団体などはこれまで希望者全員の追加合格を認めるよう求めており、反発の声が上がりそうだ。

東京医大では女子や多浪生らを不利に扱うといった得点操作が判明。同大は第三者委員会の調査を踏まえ、合格ラインを超えたのに不合格になっていたのは17年度に32人、18年度に69人の計101人だったと公表。追加合格の判定では入試方法ごとに成績順で在校生と希望者の上位から埋め、定員に達したところで打ち切るとしていた。

同大は11月末までに追加合格判定の対象者に入学意向の確認書を送付。返送したのは78人で、このうち入学を希望したのは49人だった。追加合格の判定では17年度の一般入試、センター試験利用入試、推薦入試の合計で男子8人、女子6人が合格。18年度は男子7人、女子23人を合格とした。不合格になったのは、18年度に一般入試を受けて判定対象だった女子5人。

追加合格者は19年4月の入学が認められる。これを受け19年度入試の募集人員は、一般入試を当初予定の75人から34人、センター試験利用入試を15人から12人に減らす。追加合格者から入学辞退者が出た場合は、両入試区分の19年度の募集人員を増やす。

また17年度、18年度の成績も開示する。希望者向けに近く特設サイトを設け、申し込みを受け付ける。開示するのは得点と順位。

柴山昌彦文部科学相は7日の閣議後記者会見で「落ち度がないのに不安定な状況に置かれ、その上で不合格となった方がいるのは大変残念」と話した。一方で合格者の判定は各大学の判断で、同大の決定を尊重する考えを示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/646292
シリーズ 医学部不適切入試
東京医大追加合格44人、2019年度一般・センター定員は46人
2018年度受験の女性5人「入学意向」も再度不合格

レポート 2018年12月7日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 東京医科大学は12月7日、2017年度と2018年度入試で不正に不合格としていた受験生について、44人に対し追加合格者として12月6日に発送したと発表した。

 内訳は2017年度が男性8人、女性6人、2018年度が男性7人、女性23人。入学手続きを取れば、2019年4月に第1学年に入学する。2019年度入試の定員からこの人数を差し引くため、一般入試34人、センター利用12人の計46人が2019年度入試の定員となる。2019年度推薦入試は調整が間に合わず、予定通り30人を定員として12月1日に実施、5日に合格発表済みのため、定員調整は一般入試とセンター利用のみで行った。

 11月に行った合否再判定で追加合格の意向確認対象者となった101人のうち、78人から期日の11月30日までに入学意向確認書が返送され、49人が入学の意向を示した。しかし、既に東京医大に入学している学生との合計で定員に達するまでの人数を判定した結果、2018年度一般入試の女性5人は不合格となった。44人から入学辞退者が出た場合、この5人を繰り上げることはせず、2019年度入試の定員を増員する。


 第三者委員会が10月に発表した第一次調査報告書に基づき、東京医大は11月、新たに入学の意思を表明した受験生と、既に入学して在学中の学生の合計が2017年度、2018年度それぞれの募集人員(一般75人、センター試験利用15人、推薦20人以内、地域枠特別推薦茨城8人以内、山梨2人以内)を満たすまでを合格者とすると発表。当該年度の繰り上げ合格者の最低順位よりも順位が上であって、意向確認の連絡に対し入学の意向を示しても、不合格となる場合もあり得、意向確認対象者の上位から全員入学を希望した場合は、63人が追加合格となると説明していた(詳細は『東京医大、2019年度入試は追加入学者引いた定員で実施』を参照)。第三者委員会の最終報告書は年内をめどに公表を目指している。



  1. 2018/12/09(日) 12:15:19|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

12月2日 

https://www.cbnews.jp/news/entry/20181129201451
医師不足地域への勤務義務付けや専門医数の制限を
全国自治体病院協議会などが要望書

2018年11月29日 20:35 CB News

 全国自治体病院協議会は、医師の確保などに関する国への要望書を公表した。同協議会や全国知事会を含めた10団体が取りまとめたもので、医師の地域偏在を解消するため、「専門医数の制限や一定期間医師不足地域への勤務の義務付けなどを講じ、医療提供体制の均てん化施策を早急に実行することが必要」としている。【新井哉】

 医師の地域偏在については、医師不足地域での「一定期間の勤務」を、病院・診療所の管理者や診療科長になる要件として定めることを要望。また、地域ごとの診療科別の必要医師数を明らかにし、偏在解消の実効性を高める必要性を挙げている。

 精神科医の地域偏在も取り上げている。「精神科病床は、在宅医療とともに二次医療圏での取り組みが不可欠」とし、深刻化している病院勤務医の不足や地域偏在について、「抜本的な対策」を講じるよう求めている。

 医師の働き方に関しては、▽医師の偏在是正▽医師の応召義務の解釈と範囲の明確化▽自己研鑽と労働時間を区別する基準の明示▽医師の勤務負担軽減と国民の理解―などを検討するよう要望。女性医師の勤務環境に関しては、「出産、子育てなどで休職復帰するための働きやすい環境の整備を図る」とし、医師不足の解消につなげる方向性を示している。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181201_11032.html
<栗原市>文字診療所廃止へ 医師不足、12年から休診
2018年12月01日土曜日 河北新報

 宮城県栗原市は30日、2012年10月から休診していた同市栗駒の文字診療所を12月末で廃止する方針を明らかにした。恒常的な医師不足と施設の老朽化が原因。関連の条例案を市議会12月定例会に提出する。
 市議会全員協議会で発表した。市によると、今年秋に地元の行政区長や自治会長に説明し、同意を得た。患者については既に実施している鶯沢診療所(栗原市鶯沢)への送迎を続ける。
 文字診療所は1932年に旧文字村が開設し、現在の施設は72年に改築。医師の不足に伴い92年に診療態勢が週1回となり、12年から休診していた。
 市の担当者は「医師確保が難しい現状では廃止はやむを得ないと判断した。送迎バスの運行を継続するなど、患者に配慮していきたい」と述べた。
 12月定例会で市はこのほか、小中学校のエアコン設置費など8億5908万円を追加する18年度一般会計補正予算案、市発注工事で発生した官製談合の管理監督責任として千葉健司市長を減給20%(1カ月)、千葉章副市長を減給10%(同)とする条例案など48議案を提出する。



https://www.asahi.com/articles/ASLCY046CLCXUBQU018.html
医学部の地域枠、2割が欠員 医師不足の解消狙うも
阿部彰芳2018年11月29日09時00分 朝日新聞

 地域で働く医師を確保する「地域枠」のために臨時的に医学部増員が認められた66大学のうち、半数の33大学で今年度の地域枠定員を満たさなかったことが、厚生労働省と文部科学省の調査でわかった。欠員は2割近くに上り、多くが一般学生の入学枠に流用されたとみられる。

新専門医制度で東北の医師不足に拍車 研修で若手が流出
 臨時増員による今年度の地域枠定員は計1014人。調査によると、地域で一定期間働くことなどを条件に都道府県が貸す奨学金を187人(18%)が受け取っていなかった。厚労省は、奨学金の貸与がなければ、基本的に地域枠の学生とみなせないとしている。

 国は地域の医師不足を解消するため、2008年度から医学部を臨時的に増員して地域枠を増やせる制度を開始。厚労省によると、臨時定員の地域枠の募集数は08~18年度で計8956人で、うち1393人(16%)は奨学金を受け取っていなかった。

 地域枠は、一般枠とは別に募集定員を設ける「別枠」と、一般枠と共通で選抜した人の中から募る「手挙げ」がある。奨学金貸与は別枠が95%だった一方、手挙げは69%と低く、厚労省は20年度入試から地域枠の募集方法は別枠に限る方針を決めている。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3828500028112018CR8000/
22医学部で2割超の欠員、地域枠 半数で未充足
2018/11/28 17:48 (2018/11/28 22:01更新) 日本経済新聞

地方での医師不足解消に向け、都道府県から奨学金の貸与を受ける代わりに、卒業後、その地域で一定期間働く大学医学部の「地域枠制度」に関し、厚生労働省は28日、2018年度分を調べた結果、全国の22大学が設けた募集枠で定員の2割を超える欠員が出ていたことを明らかにした。地方勤務を希望する学生が少ないことなどが原因。地方と都市部の医師偏在を解消するための措置が問題解決に結び付いていない現状が明らかになった。

地域枠がある66大学のうち、半数の33大学で計187人分の枠が埋まっていなかった。

制度が導入された08年度から18年度の通算では、学生を勤務地の制限のない「一般枠」に振り分ける不適切な運用もみられた。医学部定員は地域枠に限り、臨時の定員増が認められており、厚労省と文部科学省は制度の趣旨に反するとして、改善とともに制度の厳粛な運用を求めている。

厚労省によると、定員の8割未満だったのは、東北大(定員33人中17人、充足率52%)、千葉大(20人中4人、20%)、信州大(18人中2人、11%)、久留米大(5人中0人、0%)など。

地域枠入試では、地域枠と一般枠を区別して選抜する「別枠方式」と、一緒に選抜し入試前後に希望者を募る「手挙げ方式」がある。今回の調査で、別枠方式だと、地元出身者に限定しない募集でも、9割以上が埋まっていることが判明。充足率が低かった信州大や千葉大、東北大は手挙げ方式で、入学後に希望者を募る「事後型」だった。

厚労省は10月、過去11年間で計約2600人分の地域枠が埋まっていなかったと発表。文科省と合同で調査し、今回初めて大学名まで明らかにした。厚労省は既に、20年度以降に入学する学生の選抜に関して、別枠方式に一本化するよう都道府県へ通知。文科省も、充足率が低い医学部の地域枠については、定員を削減する方針を決めている。

調査結果は、28日に東京都内で開かれた、医師の偏在対策を議論する厚労省の有識者会議で報告された。〔共同〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/644465
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師確保「少数区域は多数区域から」、可能か?
厚労省、医師確保計画の「医師確保の方針」等を提案

レポート 2018年11月28日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月28日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第24回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、都道府県が策定する医師確保計画における医師確保の方針や、医師偏在対策の実効性確保策を提案、構成員から異論は出なかったものの、「医師が多い区域から少ない区域へと、医師を駒のようにもってくることができるのか」などの指摘が挙がった。医師確保計画は、基本的には個々の医療機関の採用活動を縛ることはできないことも判明、計画の実効性が不安視された(資料は、厚労省のホームページ)。

 都道府県は2019年度から、二次、三次医療圏について医師確保計画を策定する。その内容は、医師数が「少数」「中程度」「多数」のいずれの区域に該当するかによって異なる。医師偏在指標を算出し、二次医療圏別、もしくは三次医療圏別に、指標が「下位○%」、もしくは「上位○%」という基準を定め、いずれの区域に該当するかを判断する。「○%」の数字は今後決定される。「少数」と「多数」の中間に位置するのが、「中程度」区域(『必要医師数「2036年」時点で推計、「地域枠」は別枠の入試で』を参照)。

 厚労省案は、医師少数三次医療圏の医師確保計画は、他の医師多数三次医療圏からの医師確保を可能とするもの。反対に、医師多数三次医療圏の場合は、他の三次医療圏からの医師確保は行わない。また「現時点」と「将来時点」という時間軸を踏まえ、「現時点」のみ医師少数区域である場合には、短期的な施策のみを、「現時点」と「将来時点」のいずれも医師少数区域の場合には、短期的・長期的両方の施策を用いる。

 二次医療圏の医師確保計画も、同様の考え方で進める。その際、二次医療圏単位では、医師少数区域に該当しない圏域内に、離島や山間部等のへき地などを「医師少数地区」と定めることが可能。
12021_20181202055105d78.jpg
(2018年11月28日医師需給分科会資料)
12022_2018120205510764c.jpg
(2018年11月28日医師需給分科会資料)
12023_20181202055108664.jpg
(2018年11月28日医師需給分科会資料)
 日本医師会副会長の今村聡氏は、「全体としての方針は賛成したい」と述べた上で、「三次医療圏間の調整は、実際にはどのように行うのか」と質問。厚労省医政局地域医療計画課は、「(医師確保に関連する)データベースは厚労省が構築するが、調整は各都道府県が行う。国としてどんな支援が可能かをもう少し考える」と回答。今村氏は、「そこが大事であり、具体的にどの県にお願いするのかなど、現実的には難しい。そこが機能しないと意味がない。しっかりとした仕組みを作ってもらいたい」と要望した。

 日本精神科病院協会常務理事の平川淳一氏も、「医師が多い区域から少ない区域にもってくるのが基本的な考え方だが、医師を駒のように動かすことができるのか」と指摘した上で、例えば、医師多数区域にある医療機関が、医師少数区域に勤務する医師を採用することが可能かと質問。厚労省は、「個々の医療機関が行う医師の確保の話ではない。都道府県単位で動かしていく場合の計画」と説明し、個々の医療機関の医師採用活動に制限や禁止を加えるものではないとした。

 医療法上、医療機関は「都道府県の地域医療対策協議会で、協議が整った事項(医師確保計画の実施に必要な事項)等について、協力する努力義務(公的医療機関は義務)がある。「個別医療機関の医師採用活動も、医師確保計画に従う」との「協議」が整わない限り、制限や禁止を加えることはできない。

 なお、この点については、岩手医科大学理事長の小川彰氏から、「二次医療圏、三次医療圏のいずれでも、構成しているのは、個々の医療機関。医師多数区域にあっても、医師不足の病院が、医師少数区域から医師を採用することが許されるなら、全体のスキームが崩れてしまうのでは」との指摘も挙がった。

 「医師少数区域に指定せず」は例外的か?

 医師確保計画には例外もあり、医師が少ない医療圏でも、周辺の医療圏で対応が可能な場合、「医師少数区域」に指定しないことも可能だ。厚労省医政局地域医療計画課は、「あくまでも例外的」と説明。医師確保計画については都道府県が説明責任を負うことから、指定しないことはハードルが高いと見られる。

 これに対して、慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「長期的には、(人口減少時代には)コンパクトシティーを考えなければいけない。医師少数区域でも、医療へのアクセスを担保できることについて説明責任は果たさなければいけないものの、いい方向に向かう規定ではないか」と指摘。

 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏も、「医師を集約化して、タスクシェアができて、なおかつ医療へのアクセスを確保する。これを良い方向に発展させる仕組みが欠けている」と指摘し、「例外的ではなく、好事例を取り上げていくことが必要ではないか」と提案した。

12024_20181202055110d9b.jpg
(2018年11月28日医師需給分科会資料)

 地域偏在対策、カギは地域枠

 医師確保計画は、2018年度内に厚労省が策定ガイドラインを作成、公表。都道府県は2019年度内に計画を策定、公表し、2020年度から医師偏在対策を開始する。その後、PDCAサイクルを回し、改善を図っていく。医師偏在対策は、(1)短期的な対策(医師派遣や定着促進など、医師養成以外の施策)、(2)長期的な対策(大学医学部に対する地域枠・地元出身者枠の増員等)――に大別できる。

 意見が出たのが、地域枠の在り方。今村氏は、地域枠の卒業生が地域に定着するために、都道府県が地域枠の学生や医師に働きかけ、相談やアドバイスに応じる必要性を指摘。

 堀之内氏は、医師偏在対策としてインパクトがある施策は何かと質問。厚労省医政局医事課は、臨床研修を実施した都道府県でその後も勤務する傾向があることから、地域枠の学生に対し、出身大学の地元に残るよう働きかけていくことの大切さを説明した。

 続けて堀之内氏は、「臨床研修から、リタイアするまで、その地域に骨を埋める覚悟が若い人にできるか。敬遠されるのではないか」と質問。厚労省医政局医事課は、医師不足等の地域に限らず、3次医療機関などの基幹病院で勤務したり、国内外の施設に留学できるようなキャリアプランを都道府県が作成するなどの工夫が必要だと回答した。



https://www.medwatch.jp/?p=23674
医師多数の3次・2次医療圏では、「他地域からの医師確保」計画を立ててはならない―医師需給分科会(1)
2018年11月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新たな医師偏在指標に基づき、今後、3次医療圏単位・2次医療圏単位で「医師多数地域」「医師少数地域」「医師中程度地域」(多数地域・少数地域以外)を定め、各都道府県において「医師確保計画」を定めることになる。その際、「医師多数地域」が、さらに他の地域から医師を確保することになれば、医師の地域偏在が助長されてしまうため、「医師多数地域」の計画では「他地域からの医師確保をしてはならない」こととしてはどうか―。

 11月28日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方針が概ね固められました。後述するように、個別病院のリクルート活動などを規制するものではありませんが、医師偏在がまったく是正去れない状況が続けば、「別の規制」を求める声も出てきそうです。

 医師需給分科会は、さらに詳細に医師偏在対策の内容を詰め、厚生労働省は、それをもとに今年度(2018年度)内に「医師確保計画」策定ガイドラインを固める考えです。
 
ここがポイント!
1 地域の医師配置状況に応じた「医師確保計画」を策定
2 「他地域からの医師確保」不可は医師確保計画の話で、個別病院を縛るものではない
3 将来の医師配置状況も踏まえ、「医師派遣」や「地域枠」などを組み合わせて医師確保
4 地域医療構想とマッチするように「医師確保計画」を定めることが必要

地域の医師配置状況に応じた「医師確保計画」を策定

 医師の地域偏在・診療科偏在が大きな課題となっています。政府(厚生労働省)は、「医師需給分科会」と「医療従事者の需給に関する検討会」の議論を踏まえた、改正医療法・医師法(今年(2018年)7月成立)に、次のような医師偏在対策を盛り込みました。

▼医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度の創設
▼都道府県における医師確保対策の実施体制の強化(新たな「医師確保計画」の策定など)
▼医師養成過程を通じた医師確保対策の充実
▼地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応

このうち「医師確保計画」は「医療計画」の一部として、都道府県が作成し、実行するものです。2020年度から稼働する(医師確保計画に沿って、各都道府県で医師確保対策を進める)予定で、▼今年度(2018年度)中に、厚労省が「計画作成」のための指針(ガイドライン)を定める▼来年度(2019年度)に、ガイドラインを拠り所に各都道府県で計画を作成する▼2020年度から実行する―というスケジュールが描かれています。
 
日本全国で見ると、▼地域ごとに「勤務する医師が、相対的に多数なのか、少数なのか」(充足しているかは別問題とされる)を客観的指標に基づいて把握し、「医師が相対的に多数配置されている地域」と「医師が相対的に少数しか配置されていない地域」を定める → ▼各地域において「医師確保の目標値」と「具体的な医師確保策」を計画の中に盛り込み、医師確保を実行する―という流れで、医師偏在対策を進めていきます。これまでに、前者に関する「医師が多数過少数かを把握するための客観的指標」(新たな医師偏在指標)、「医師が多数の地域、少数の地域の設定に関する考え方」などが既に固められており(関連記事はこちらとこちらとこちら)、11月28日の会合では、後者のうち「具体的な医師確保策」の考え方について議論を行いました。

医師の養成には時間がかかる(学部教育に6年、初期臨床研修に2年、後期臨床研修(新専門医研修)に3年など)ため、現時点では、医師に「医師が多数いる地域」から「医師が少数しかいない地域」へ移動してもらうことが「具体的な医師確保策」の主軸となります(短期的施策)。その際、当然のことですが、「医師多数地域が、さらに他の地域から医師を確保する」ようなことがあれば偏在が助長されてしまいます。

このため医師需給分科会では、各地域の医師配置状況(多数なのか少数なのか)に応じて、次のように「具体的な医師確保策」の策定方針を変える必要性を確認しました。

(1)医師少数の3次医療圏・2次医療圏においては、「他の地域からの医師確保(派遣など)」を可能とする(下2図の向かって左側の地域)
(2)医師多数の3次医療圏・2次医療圏においては、「他の地域からの医師確保(派遣など)」は認めない(下2図の向かって右側の地域)
(3)医師中程度(少数・多数以外)の3次医療圏・2次医療圏においては、必要に応じて「他の地域からの医師確保(派遣など)」を可能とする(下2図の中央の地域)
 
 例えば、東京都などは(2)の「医師多数」と判断されると思われますが(未確定、多数と判断されない可能性もある)、その場合、医師確保計画の中に「近隣県から医師派遣を求めていく」方策などを盛り込むことは認められなくなるでしょう(ただし計画は認可されるものではないので、そうした計画は立てないでほしいとの要請が行われる見込み)。
 また(3)の医師中程度となる県では、県内に「医師多数」の地域や「医師少数」の地域が混在することが考えられますが、「県内での医師移動だけでは、医師少数2次医療圏の医師確保が難しい」場合には、「近隣県等からの医師派遣を求める」といった方策を医師確保計画に盛り込むことになるでしょう。

 一方、(1)の医師少数となる県では、他自治体からの「医師確保」などを積極的に求める計画を作成することになります。厚労省では「全国の医師データベース」を構築し、「どの地域に医師派遣を要請すればよいか」(専ら医師多数地域へ派遣等を要請することになる)などを把握しやすくする環境を整えるとともに、少数地域の取り組みを支援していくことになります。詳細は、今後さらに検討されます。

「他地域からの医師確保」不可は医師確保計画の話で、個別病院を縛るものではない

 なお、これらは「医師確保計画」に関するものであり、個別医療機関の医師確保に関する行動が縛られるものではありません。例えば、ある病院が、医師多数地域に所在していたとしても、「●●科の医師が不足している」「◆◆科を新設しよう」などと考え、他地域(それが医師少数地域であっても)から医師をリクルートしてくることなどは可能なのです。この点について小川彰構成員(岩手医科大学理事長)から「個別病院の動きを規制できないのであれば、医師偏在の是正は全く進まないのではないか」といった指摘がありましたが、厚労省は「現時点で規制等は考えていない」とコメントしています。

たしかに、「どういった経営方針を立て、どういった人事計画を立てるのか」などは個別病院の極めて広範な自由裁量が認められ(日本国憲法第22条から導かれる「営業の自由」で保障される)、個別病院の医師リクルート行動を規制することは非常に難しいと考えられます。しかし、個別病院があまりに自由に行動し「医師確保計画が全く意味をなさない」事態が明らかとなれば、「別の規制を求める」声も出てくるかもしれません。地域医療構想も含めた「医療提供体制の確保」(当然、医師偏在の是正も包含される)を勘案した人事計画なども考えていくべきでしょう。

将来の医師配置状況も踏まえ、「医師派遣」や「地域枠」などを組み合わせて医師確保

 また「医師確保の進展」や「地域の患者数の変化」などにより、例えば、現時点では「医師少数」地域であるが、将来は「医師少数」でなくなると予想される地域が出てきます。

 こうした地域では、現時点の「医師少数」状態を改善するために、▼医師の派遣▼医師の定着促進—といった医師確保策(短期的施策)を実施することが必要ですが、将来は医師が一定程度充足するため「大学医学部の地域枠・地元枠設定」などの長期的施策の必要性は低くなります。

 このように、地域ごとに「現時点」と「将来時点」とを勘案した「具体的な医師確保策」が必要となり、医師需給分科会では次のような整理を行いました。

(i)現在「医師少数」で、将来も「医師少数」にとどまると想定される地域
→短期的施策(医師派遣等)と長期的施策(地域枠・地元枠等)を組み合わせて実施する

(ii)現在「医師少数」だが、将来は「医師多数」や「医師中程度」になると想定される地域
→短期的施策(医師派遣等)を実施する

(iii) 現在「医師多数」「医師中程度」だが、将来は「医師少数」に陥ると想定される地域
→長期的施策(地域枠・地元枠等)を実施し、将来に備える

(iv)現在「医師多数」「医師中程度」で、将来も「医師多数」「医師中程度」にとどまると想定される地域
→短期的施策・長期的施策のいずれも実施する必要性は低い

 もっとも、(ii)や(iv)のように「将来、医師多数等になる」と想定される地域であっても、その圏域の中に「医師不足地域(例えば無医地区や準無医地区など)があり、そこに医師を配置しなければならない」といった場合には、地域枠や地元枠を設け(長期的施策)、医師を養成していくことは十分に認められます。例えば、「医師多数」と判断されると思われる東京都の大学医学部でも、「離島などで地域医療に従事する医師を養成する必要がある」と考えて地域枠・地元枠を設けることは否定されません。決して(ii)や(iv)の地域で「地域枠・地元枠を設定してはならない」わけではない点に留意が必要です。

なお、地域枠・地元枠の中には、「他県からの要請を受けて」設定されるケースもあります。例えば、医師が不足する青森県から、東京都の医学部に「将来、青森県の医療機関に従事する医師を地域枠として養成してほしい」と要請する場合などです。今後、地域枠はさらに複雑になっていくと想定され、「設置状況、学生の充足状況、将来の地域医療への従事状況」などをしっかり把握していく必要がありそうです。この点、別稿で述べるように「2020年度選抜から、地域枠は一般枠とは『別枠』とする」ことが定められています。

地域医療構想とマッチするように「医師確保計画」を定めることが必要

 医師が少数な地域(医師が少数となる2次医療圏を「医師少数区域」、より小さな地域で医師が少数となる場合(市町村単位など)には「医師少数地区」と呼ぶ)については、一般に、上記のように医師確保策を講じることが考えられますが、地域によっては、医師確保が必ずしも「医療機能の分化・強化、連携を進める地域医療構想とマッチしない」ケースも出てきます(関連記事はこちら)。

例えば、ある県で「急性期医療機能をY地域にあるA病院とB病院に集約して、充実を図る。他地域(X地域とする)には、交通集団の確保やサテライト病院・診療所で対応する」といった内容の地域医療構想が策定され、関係者間で合意されたとします。その場合、必然的に医師についてもA・B病院(Y地域)に集約することとなり、他地域(X地域)が「医師少数」となってしまう可能性があります。これに対し、機械的に「X地域は、医師偏在指標に基づければ『医師少数区域』となる。Y地域からの医師派遣が必要となる」と判断したのでは、当該県の地域医療構想と矛盾することになってしまいます。
 
厚労省は「地域医療構想の実現に沿った医師確保計画を認める」としており、こうした場合、県で「X地域は医師少数地域に指定しない」と判断することが認められます。ただし、逆に「医師少数地域の要件を満たさないが、県で医師少数地域に指定する」ことは認められません。
この考え方について、堀之内秀仁構成員(国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長)や権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)は「医療機能の分化、連携の強化、医師の改革などの視点で、医療資源集約は好ましい方向とも思える。例外ではなく、推進すべき」旨の見解を述べています。医療資源の均てん化は重要な視点ですが、一方で「我が国は、先進諸国に比べてベッド数が多く、それが『病床数当たりの医師数不足』『症例の分散』を招き、医師の過重労働を生み、医療の質向上を阻んでいる」という指摘もあります。グローバルへルスコンサルティング・ジャパン(GHC)と米国メイヨークリニックやスタンフォード大学との共同研究では、「症例数と医療の質(例えば医療安全)は相関する」ことが明らかになっており、両構成員の指摘は今後の重要テーマの1つとなることでしょう。
  
なお、医師少数地区(医師が少数な町村など)での医師確保については、医師派遣などを進めると同時に、「移動診療」や「遠隔診療」(神野正博構成員:全日本病院協会副会長が提案)なども活用していくことになります。当該地区では「患者が少数で医療機関経営が困難」なことが強く想定されるためです。

こうした医師確保計画を各都道府県が作成した後には、「それをいかに実行し、成果を上げていくか」が重要となります。11月28日の医師需給分科会では、この点も議論されており別稿でお伝えします。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38368720Q8A131C1CN0000/
救急医の宿直回数基準超え 愛知県病院に労基署指導
2018/11/30 13:03 日本経済新聞 中部 社会

愛知県大府市のあいち小児保健医療総合センターが救急医に基準を超えた回数の宿直をさせていたことが30日、分かった。労働基準監督署の指導を受け、センターを運営する県は医師を増やして改善する方針だが、救急医のなり手は不足しており確保の見通しは立っていない。

厚生労働省の通達で、労基署の許可を受けた医療機関は、待機や病室巡回など軽度な業務に限り、医師らに週1回宿直させることができる。

センターによると、救急棟を整備した2016年2月以降、5、6人の救急医が日替わりで宿直を担当。多い人は月6回以上になることが常態化しているとして、17年12月に半田労基署から指導を受けた。

センターは研修医2人を加えた8人体制に変えたが、実際には研修医の宿直時は緊急事態に備えて別の医師1人が院内で待機していた。同労基署は今年8月、回数超過が改善されていないとして再度指導した。

現在センターは医師を募集しているが見つからず、月4回を超える宿直は時間外勤務としている。担当者は「幅広い診療内容に対応できる救急医は確保が難しい」としている。〔共同〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/643738
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医「改善に努力」「医療崩壊の序曲」「現場の声聞いて」
「現場からの医療改革推進協議会」第13回シンポジウム

レポート 2018年11月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人医療ガバナンス学会が事務局を務める「現場からの医療改革推進協議会」の第13回シンポジウムで11月25日、新専門医制度をテーマに医師ら4人が講演した。

 日本専門医機構副理事長で、日本医師会副会長の今村聡氏は、同機構の事務局体制について、「事務局長が不在で、(事務局のトップが)事務局長代行のままであるなど、事務局体制が脆弱だという指摘は、その通りだ」と認め、今後、改善に努める方針を示した。新専門医制度に対しては、出産・育児中の医師などでは、研修プログラム制に代わり、研修カリキュラム制も可能だが、「利用されていない現実があり、改善点は多いと考えている」と述べた。専門医の広告、専門医の更新、サブスペシャルティの認定要件、広報という課題にも早急に取り組んでいくと表明した。

 仙台厚生病院(仙台市青葉区)の医学教育支援室長の遠藤希之氏は、地域医療の関連から新専門医制度を問題視した。外科専門医には6つのサブスペシャルティがあるが、2018年度の場合、47都道府県中、18県では外科専攻医が6人以下、内科でも13県では専攻医が20人以下であるなど、専攻医の地域偏在を示すデータを紹介。「地域医療崩壊の序曲が始まっている」と警鐘を鳴らした。遠藤氏は日本専門医機構の事務局体制も問題視したほか、「研修プログラム制を全面的に見直し、循環型研修は廃止」を提言した。

 坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏は、新専門医制度では研修プログラム制や循環型研修が導入され、所定の期間内で基幹施設と連携施設を循環しなければいけないことから、出産・育児中の女性医師などでは、専門医取得が難しくなっていると指摘。研修カリキュラム制の柔軟な運用、循環型研修の原則の廃止などを求め、脚気やハンセン病の歴史などを振り返り、現場からの意見が「権威」に潰されれば、「同じ轍を踏むことになる」と警鐘を鳴らした。

 そのほか、ハンガリーSemmelweis大学医学部6年の濱田通果氏が、「ヨーロッパでの専門医制度の在り方」とのテーマで講演した。

 今村氏「広告、更新、サブスペシャルティ、広報活動」が課題

 最初に登壇した今村氏は、まず新専門医制度をめぐるこれまでの経緯を振り返った。制度初年度に当たる2018年度については、妊娠・出産・育児、介護などの事情を抱えていたり、地域枠で入学した医師などでは、研修カリキュラム制も可能だが、「それができることを知らない医師が多い。きちんとした情報発信ができていなかったと改めて感じた」と受け止めた。日本専門医機構からの各種データ公表が遅いことも認め、「現場の先生方からは、どんな状況になっているのか、という指摘をいただいている。きちんとフィードバックしなければいけないという認識は持っている」とコメント。

 2019年度研修開始分については、専攻医の採用人数の上限であるシーリングが、5都府県のうち、東京都のみが約5%減になった(『専攻医の東京都2019年度シーリング決定、各領域5%減』を参照)。「やはり東京都に集中する傾向が見られた。5%が今回ギリギリの調整で、東京都以外は前年と同じ」(今村氏)。

 専攻医募集開始は、10月22日からとなり、当初予定の9月よりも遅れた一因としては、通常国会で成立した医師法・医療法改正を挙げた。同改正では、厚労大臣が、都道府県の意見を踏まえ、日本専門医機構に意見・要請を行うことが可能になった(『「厚労相の16の意見・要請」に回答・了承得る、日本専門医機構』を参照)。もっとも、厚労大臣の意見・要請は、医療提供体制に重要な影響がある事項等に限られ、専門医の質そのものに関するものは対象外だ。

 厚労大臣から今年度に出された意見・要請は、計16項目。これに加えて、(1)専門医の広告に関する課題(大臣告示の改正)、(2)更新の課題(学会専門医から機構専門医への移行)、(3)サブスペシャルティの認定要件の決定、(4)広報活動(専門医制度の国民への周知)――にも早急に取り組んでいくと表明した。

 遠藤氏「地域医療崩壊の序曲が始まっている」

 続いて登壇した遠藤氏は、地域医療の観点から、新専門医制度への影響を考察。例に挙げたのが、岩手県の両磐医療圏(一関市、平泉町)と奥州市、および隣接する宮城県の地域で、人口約35万人が住むエリア。岩手県立胆沢病院(奥州市)には産婦人科の常勤医はおらず、小児科は常勤医1人。岩手県立磐井病院(一関市)が、「岩手県南唯一の産婦人科入院が可能で、小児科ICU施設を持つ病院」(遠藤氏)。

 医師不足の状況にある中、「新専門医制度にものすごく期待していたようだが、2018年度の岩手県の産婦人科専攻医は1人、小児科専攻医も1人。これでは循環型研修で大学等から回ってくる専攻医も期待できない。これが地方の実態」と遠藤氏は指摘。2018年度研修開始分については、小児科専攻医が3人以下は11県、産婦人科3人以下は12県、内科20人以下が13県、外科6人以下が18県であるなど、「地域医療崩壊の序曲が始まっている」と警鐘を鳴らした。

 遠藤氏は、日本専門医機構の事務局体制についても、「機構から流出した内部資料によると、機構には山ほどの問い合わせや意見が来ている。ところが大部分は、いい加減な回答、もしくは無視」と問題視。47都道府県、基本領域の各学会、各学会に所属する基幹・連携施設、指導医、専攻医などから多数の問い合わせがあるにもかかわらず、事務局体制が脆弱であり、対応できていないと指摘した。

 その他、新専門医制度が混乱している例として、都内での研修にいったんは内定したものの、他県への変更を余儀なくされたりした専攻医の事例なども紹介。最後に遠藤氏は、「解決の第一歩」として、「機構は即解散、基幹施設のプログラム制を全面的に見直し、循環型研修は廃止」を挙げた。

 坂根氏「子育てしながらの研修が難しくなった」

 坂根氏は、自身のパートナーも医師で、自らが3人の子育てをしながら、循環器専門医を約16年かけて取得した経験を紹介。医師同士の結婚が多く、かつ働き方改革がいまだ途上の医療界では、子育てや家事の負担が女性医師に偏りがちであることから、「女性医師にとっては、結婚して子どもも持つがキャリアは諦めるのか、あるいは結婚をしないのかという二者択一しかない」と現状を問題視した。

 新専門医制度においては、研修カリキュラム制の代わりに、研修プログラム制が原則となった。「これまでは何年かかってもカリキュラム基準を充足した時点で専門医試験の受験が可能だったが、研修プログラム制では、年次ごとに定められた一定のプログラムに則って研修することが求められる。子育てしながらの専門医研修が非常に難しくなった」。2018年9月時点で、「内科、皮膚科、外科、産婦人科、眼科、脳神経外科では、研修カリキュラムを用いた研修者数は0人」というデータも紹介。

 さらに基幹施設と連携施設をローテーションする循環型の研修体制も問題視。「米国の例を参考に、研修プログラム制が採用されたが、米国は90%が単独施設での研修だと聞いている」と坂根氏は述べ、日本の場合、循環型研修では大学病院が中心となっているケースが多いことから、「良質な民間の研修病院を潰した」とも指摘した。

 日本専門医機構の事務局体制については、遠藤氏と同様にその脆弱性を問題視。同機構の理事長、副理事長、理事計25人のうち、女性は1人であることから、「子育てをしながら、研修することについて、リアリティーを持って考えることができるのかと懸念している」。

 最後に坂根氏は、脚気やハンセン病の歴史などを振り返り、新専門医制度でも、現場からの意見が「権威」に潰されれば、「同じ轍を踏むことになる」と警鐘を鳴らした。

 そのほか、濱田氏は、「ヨーロッパでの専門医制度の在り方」と題して、ハンガリー、スロバキア、チェコ、ドイツ、そして日本の5カ国で医師1人ずつインタビューした結果を紹介。EUでの研修制度の良い点として、「EU内であれば、専門医資格を他国でも使える」などを挙げる一方、「給料が安い国も多い。残業は多めの科が多く、医師の社会的地位が低い国もあり、都市部や経済の豊かな国に若い医師が移動する可能性もある」ことから、「何を求めるかで働く国を変えるという発想は、日本国内で医師の偏在が生まれるのと同じかもしれない」と指摘した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20181130202207
消費税問題、「全ての医療機関に公平な仕組みを」
日病協

2018年11月30日 20:35 CB News

 日本病院団体協議会(日病協)の代表者会議は30日、控除対象外消費税の問題を解消するための「考え方」をまとめた。全ての医療機関に公平な対応策が講じられるよう新たな仕組みを求める内容で、2019年度の与党税制改正大綱の取りまとめに向けて、日病協は与党などに要望として働き掛ける方針だ。【松村秀士】

 「考え方」では、医療界が個々の医療機関に対応可能な新たな仕組みを創設することで合意しているとした上で、病院団体として、全ての医療機関に公平な仕組みがつくられ、それが速やかに実現することを強く要望するとした。

 また、法人税によって控除対象外負担を控除する方法については、法人税が非課税の公立病院や社会医療法人といった公益性が高く、地域医療の中核を担う医療機関には対応できないと指摘。この方法を取った場合、それらの公益性の高い医療機関の存続が難しくなるとし、「不公平にならないような実効性のある対策が必要」と強調した。

 さらに、こうした対応が実現しない場合は、控除対象外消費税の問題を抜本的に解決するため、引き続き検討するよう求めている。

 この問題の解消を巡っては、日病協を含めた四病院団体協議会と三師会(日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会)が8月、新たな仕組みの創設を盛り込んだ提言書を公表。個別の医療機関で診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額と、控除対象外消費税の負担額を比較した上で、医療機関の申告に基づいて補填の過不足に対応することを提言している。



https://www.medwatch.jp/?p=23730
医療の消費税問題、「法人税で個別医療機関の補填過不足を調整する」仕組みは認められない―日病協
2018年11月30日|医療現場から MedWatch

 医療における「控除対象外消費税」問題を抜本的に解決するために、現在の「特別の診療報酬プラス改定による補填」を維持した上で、個別医療機関等ごとに「補填の過不足に対応する」仕組みの創設が必要だが、その際「法人税によって控除対象外消費税を控除する」ことは、法人税非課税となっている公立病院や社会医療法人病院などにおいて問題は解消されないため、認められない―。

 多くの病院団体で構成される日本病院団体協議会の代表者会議は、11月30日にこういった声明「控除対象外消費税問題解消に向けての考え方」を取りまとめました。近くまとまる2019年度の税制改正に向けて、自由民主党などに早急に働きかけていくことになります。
 
法人税での対応では、法人税非課税の公立病院や社会医療法人病院では補填がなされない

 保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することはできず、医療機関等が最終負担しています(いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれる)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担が大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度、2014年度)。

 しかし、診療報酬による対応では、例え初再診料や入院基本料などの「基本料」に増点を行ったとしても、算定状況が個別医療機関で異なるために、「個別医療機関の補填の過不足」を解消することはできません。今般、2019年10月予定の消費税率引き上げ(8%→10%)に向けて、消費税対応改定の精緻化が中央社会保険医療協議会で議論され、「病院種別の補填の過不足」には相当程度対応できることが明らかになりましたが、「個別医療機関の補填の過不足」は調整のしようがないのです(関連記事はこちら)。

このため三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院会協会で構成、以下、四病協)は、「医療界が一致団結できる具体的対応」として次のような仕組みを導入することを今年(2018年)8月29日に提言しました(関連記事はこちら)。厚生労働省も同様の税制改正要望を行っています(関連記事はこちら)。

(1)特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填を維持する

(2)個別の医療機関ごとに、▼診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額▼控除対象外消費税の負担額(医薬品・特定保険医療材料を除く)—を比較し、医療機関の申告に基づいて「個別の過不足」に対応する

 このうち(2)の「個別の過不足への対応」について、一部では「法人税によって控除対象外消費税負担を控除する仕組み」が議論されているようです。しかし、法人税が「非課税」となっている公立病院や社会医療法人など、「公益性が高く、地域医療確保の中核をなす医療機関」では、この仕組みによっては対応がなされないことは火を見るよりも明らかです。

 そこで四病協に加えて、国立大学附属病院長会議や全国公私病院連盟、全国自治体病院協議会、国立病院機構、日本慢性期医療協会なども参画する「日本病院団体協議会」の代表者会議では、「すべての医療機関が不公平とならないような実効性のある対策が必要」との声明をとりまとめました。さらに、こうした実効性のある対策が実現しない場合には、「引き続き、控除対象外消費税問題の抜本的な解決に向けて検討する」よう求めています。

 2019年度の税制改正大綱が近く取りまとめられるため、日病協では、早急に自由民主党(12月3日に党としての税制改正大綱をまとめる予定)をはじめとする関係者に、この声明を伝達し、対応を求める考えです。

 なお、医師の働き方改革に向けて、厚生労働省は11月19日の「医師の働き方改革に関する検討会」において、勤務医の行う「研鑽(自己研鑽)」と「労働」とを峻別するとともに、「勤務終了後に病院内にとどまり、研鑽を行う場合には、上司の許可を得る」などといった手続きを行うことで、過重労働に歯止めをかける考え方を提示しました(関連記事はこちら)。しかし、日病協の代表者会議では「現場が混乱しかねない」という意見が相次ぎ、厚労省に「より簡便な手続きについて、具体的な案を提示してもらうよう、再考を求めていく」点で一致しました(関連記事はこちら)。

 

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/307224
赤字の伊万里有田共立病院、健全化へ負担増
伊万里市と有田町

11/27 9:30 佐賀新聞

 伊万里有田共立病院(西松浦郡有田町)を共同運営する伊万里市と有田町は、7億円余りの累積赤字を抱える病院の収支改善計画をまとめた。経営健全化の取り組みに向け、市町それぞれの年間負担金を約4200万~3200万円増額する。

 病院は2012年の開院初年度から赤字経営が続き、17年度決算での累積赤字は7億1870万円に達している。開院当初は17年度から黒字転換する計画だったが、黒字化の見通しが立たないことから改善計画の策定に取り掛かっていた。

 計画では19年度からの黒字化を目指し、収入確保や経費節減に取り組む。不足している医師の確保も課題で、安定した収益を出すためには市町負担金の増額が必要とした。

 年間負担額は伊万里市が1億7137万円から2億1382万円、有田町が1億7186万円から2億462万円に増額される。本年度から適用し、両市町は12月議会に提案する補正予算に追加負担分を計上する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/644493
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」
厚労省調査、義務年限終了率高いのは「別枠方式」

レポート 2018年11月28日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月28日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第24回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、「地域枠履行状況等調査」(確定版)の結果を公表した。2018年の臨時定員増員と関連する地域枠の定員、計1014人のうち、奨学金貸与者数は827人で、充足率は81.6%にとどまることが明らかになった。充足率が8割に満たないのは、47都道府県中、24府県(22大学、38プログラム)に上る。臨時定員増員と関連する地域枠を持つのは、66大学(資料は、厚労省のホームページ)。

 臨時定員増員が始まった2008年度以降の地域枠の実績を見ると、定員に対する奨学金貸与実績は、入試を一般枠と別に行う「別枠方式」95%、入学前後で地域枠希望者を募る「手挙げ方式」69%、義務年限終了までの推定履行率は、「別枠方式」94%、「手挙げ方式」84%。いずれも「別枠方式」の方が高く、地域枠卒業生の地元定着策としては、「別枠方式」の方が有効であることが示された。

 「別枠方式」の内訳を見ると、義務年限終了までの推定履行率は、地元の高校卒業生等に限定する場合は96%、限定しない場合でも91%で、「手挙げ方式」よりも高い。

 厚労省は10月、2020年度以降の臨時定員増員は、「別枠方式」により選抜を行う場合のみ認める方針を通知済み。地域医療介護総合確保基金を地域枠学生の奨学金として使用する場合、地元出身者に限定されている。今回の調査結果を踏まえ、基金の使途も再検討される可能性がある。

 「地域枠履行状況等調査」は、厚労省が今年9月から10月にかけて、47都道府県を対象に実施した。その暫定結果は、10月の医師需給分科会で報告された(『必要医師数「2036年」時点で推計、「地域枠」は別枠の入試で』を参照)。

 神戸大地域枠の過疎地出身者加点、「募集要綱未記載で不適切」

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、10月の医師需給分科会で、「手挙げ方式」を問題視した自身の発言について、「埼玉医科大学では、手挙げ方式でも100%充足していると聞いた」と補足説明。その上で、神戸大学で、医学部推薦入試の地域特別枠で、募集要項に明記せずに過疎地等の出身者に加点していたことについて、「文部科学省は、不適切だと言っているが、過疎地等出身者の優遇は不適切だと言っていいのか。募集要項に書けば許されるのか」と質問。

 文科省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「神戸大学が実際に行っていたことについて、不適切と考えているのは、第一に募集要綱に記載していなかったからだと思っている」と回答した。文科省は、地元出身者の方が、地元に定着し、地域医療に従事する率が高いことから、「地域枠で、地元出身者を選抜することを推進している立場」であると説明。全国医学部長病院長会議が11月に発表した「大学医学部入学試験制度に関する規範」から、「地域枠といえども性差で一律的に合否判定に差異をつけることは不適切となります。しかし、その他の要件に関しては、社会に説明できる範囲内で、入学試験要項に明確に記載すれば施行できます」との記載を引用した(『AJMC、「大学医学部入学試験制度に関する規範」公表』を参照)。



https://www.medwatch.jp/?p=23669
病床過剰地域で「大胆なダウンサイジング」を進めよ―経済財政諮問会議
2018年11月29日|医療・介護行政全般 MedWatch

 病床過剰地域における「医療機関の大胆な病床のダウンサイジング支援」を講じるとともに、地域医療介護総合確保基金の配分について大胆なメリハリをつける必要がある―。

 11月20日に開催された経済財政諮問会議では、有識者議員からこういった提言が行われました。

地域の人口動態などを客観的に勘案し、「真に必要な病床規模」を考えることが重要

医療技術の高度化、高齢化の進行などに伴って医療費をはじめとする社会保障費は、今後も増加を続けると予想されます。一方、2040年にかけて高齢者人口の増加は鈍化するものの、「生産年齢人口」が急激に減少していくことから、社会保障制度の基盤が極めて脆くなってしまいます。このため、安倍晋三内閣では、さらなる「社会保障改革」の検討を進めています。

 経済財政諮問会議の有識者議員(▼伊藤元重議員:学習院大学国際社会科学部教授▼高橋進議員:日本総合研究所チェアマン・エメリタス▼中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役▼新浪剛史議員:サントリーホールディングス代表取締役社長—)は、11月20日の会合において、「社会保障改革に当たっての当面の重点事項」として、次のような事項を改めて進言しました。

▽地域医療構想の実現に向けて、「機能分化等の合意協議が遅れている公立・公的病院」への対応を促進するとともに、病床過剰地域における「医療機関の大胆な病床のダウンサイジング支援」を講じる

▽地域医療介護総合確保基金の配分について大胆なメリハリをつけるとともに、取り組みや成果の見える化を求め、PDCAサイクルを機能させる

▽調剤報酬を「サービスに応じた」体系にシフトすべく、薬剤師に対する生活習慣病予防、栄養学等の研修を強化する

▽国民健康保険における「法定外繰入」などの解消方策を可視化するとともに、民間事業者等に「予防・健康づくり等に係る包括委託や運営権」を与える仕組みを導入する

▽「人生の最終段階の医療・ケア」の在り方について、ITを活用し、本人の意思を関係者間で随時、共有・確認できる仕組みを構築する

このうち「病床のダウンサイジング」については、地域医療介護総合確保基金において▼自主的なダウンサイジングに伴い不要となる病棟・病室等を他の用途へ変更(機能転換以外)するために必要な改修費用▼自主的なダウンサイジングに伴い、不要となる建物(病棟・病室等)や不要となる医療機器の処分(廃棄、解体、売却)に係る損失(財務諸表上の特別損失に計上される金額に限る)—が助成の対象となっています。「大胆なダウンサイジング支援」「地域医療介護総合確保基金の大胆な配分のメリハリ」という有識者議員の指摘を踏まえれば、こうした部分への大幅な傾斜配分が来年度(2019年度)以降、行われる可能性もあります。
 
地域によっては既に、さらに近い将来、日本全国で「人口減少」が進んでいきます。こうした状況の下では、新規患者の獲得が困難となるため、「病院等の病床稼働率を維持するために、退院を伸ばす(つまり在院日数を短縮させない)」という操作が行われがちです。不要な在院日数の延伸は、医療費の高騰につながる(現在の入院料は1日当たりで設定されているため)だけでなく、▼ADLの低下や院内感染のリスクを向上させる▼患者の社会復帰・職場復帰を遅らせ、経済的な困難をもたらす―という弊害もあります。

 基金の活用も視野に入れて、「真に必要な病床数はどの程度なのか」を、▼地域の人口動態(つまり将来の患者数)▼自院の状況▼近隣の他院の状況―を踏まえて、客観的に推計しなおすことが重要でしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=23693
入試要項に明記してあれば、地域枠における地元の「僻地出身者優遇」などは望ましい―医師需給分科会(2)
2018年11月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 各都道府県で2019年度に作成し、2020年度から実行する「医師確保計画」について、その実効性を確保するために、例えば「都道府県と地域医療対策協議会による立案段階からの情報共有」「地域枠学生のフォロー」「的確・迅速な効果の把握と、次期計画への反映」などを行うこととする―。

 11月28日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、こういった点も確認されています。

 また地域枠学生について、「入学試験要項に明記」してあれば、例えば「地元の僻地出身者を優先的に入学させる」ことなどは、医師偏在の是正に向けて「望ましい」方向であると確認されています。
 
ここがポイント!
1 「医師確保計画」、都道府県と地域医療対策協議会で立案段階から情報共有を
2 地域医療対策協議会で定めた「医師確保策」、地域医療関係者はこれに協力を
3 地域枠は「一般入試とは別枠」で実施を

「医師確保計画」、都道府県と地域医療対策協議会で立案段階から情報共有を

 お伝えしているように、医師の地域偏在・診療科偏在が大きな課題となる中で、医師需給分科会では「医師確保計画」の策定に向けた議論を続けています。地域ごとに「勤務する医師が、相対的に多数なのか、少数なのか」(充足しているかは別問題とされる)を客観的指標に基づいて把握し、各都道府県で「医師確保の目標値」と「具体的な医師確保策」を盛り込んだ「医師確保計画」を作成し、医師確保を実行するというものです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

医師確保については、次のようなサイクルを回しながら進めていくことになります。

(1)各都道府県において、国の定める指針(医師確保計画策定ガイドライン)を拠り所に、「医師確保計画」を作成する(最初は2019年度)
   ↓
(2)計画に沿って、具体的な医師確保策を実行する(2020年度から)
   ↓
(3)医師確保策の効果などを把握、検証し、次期計画に活かす
 
11月28日の医師需給分科会では、「医師確保計画」の考え方とともに、(1)から(3)の各段階で「実効性を確保するために、どのような方策をとるべきか」という議論も行いました(前者の「医師確保計画」の考え方については、既に(関連記事は別稿でお伝えしています)。

 まず(1)の計画作成段階では、当然とも思われますが、▼国において的確な指針(医師確保計画策定ガイドライン)を策定する▼都道府県において指針を的確に踏まえて、計画を作成する―ことが重要です。厚労省は、都道府県が2019年度から計画作成作業を円滑に行えるよう、▼今年度(2018年度)中に医師需給分科会で議論を取りまとめ、指針(医師確保計画策定ガイドライン)を作成する▼2019年度には、さまざまな機会(医師確保計画作成研修会など)を活用して国が都道府県を支援する―考えを示しました。

 地域において「医師が客観的に多数なのか、少数なのか」を判断するための「新医師偏在指標」については、早急に各種調査結果を取りまとめ、やはり今年度(2018年度)中に都道府県に示されます。ここに、各都道府県における「患者の流出入」状況を加味し、「どの地域が医師少数区域や医師多数区域に該当するか」を設定することになります。
 
 また実効性のある計画を作成するために、厚労省は「医師確保計画の『立案』段階から、地域医療対策協議会と情報共有を行う」ことを求めています。地域医療対策協議会(地対協)は、各都道府県の▼特定機能病院▼地域医療支援病院▼公的医療機関▼臨床研修指定病院▼診療に関する学識経験者の団体(医師会、歯科医師会)▼大学等▼社会医療法人▼国立病院機▼構、地域医療機能推進機構▼地域の医療関係団体(病院団体、薬剤師会、看護協会等)▼関係市町村▼地域住民を代表する団体—が参画し、「地域の医療従事者の確保・育成に関する事項」について協議する組織です(新専門医制度に関する意見なども取りまとめる)。地域の実情を踏まえた計画作成に向けて、地対協の役割がますます重要になってきます。

地域医療対策協議会で定めた「医師確保策」、地域医療関係者はこれに協力を

 また(2)の計画実行段階では、「どれだけ効果のある医師確保策を講じられるか」が鍵となります。厚労省は、医師確保策を▼医師派遣や地域定着などの「短期的施策」▼大学医学部における地域枠・地元枠設定などの「長期的施策」—に区分けし、地域に状況に応じて両者を効果的に組み合わせることが重要としています。
 
 具体的な医師確保策については、前述の地対協などでも議論されることになりますが、改正医療法では、医療関係者に対し「地対協で協議が整った事項に協力する」努力義務を課しています。例えば、ある県において「医師多数のA地域から、医師少数のB地域へ医師を派遣する」旨の計画が定められた場合、A地区の大学病院などは「医師の派遣」についてできる限りの協力をすることが求められることになります。

 この点、「大学病院や地域の基幹病院に対し、一定の強制力をもって医師派遣を求めるとともに、財政支援を行ってはどうか」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)、「地域枠のキャリア形成プログラムの中に、国内・海外留学などを盛り込むなど、『地域に縛られるわけではない』点を強調すべき」(堀之内秀仁構成員:国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長)などの提案も行われています。

さまざまな好事例をもとに、各都道府県で工夫を凝らすことが重要でしょう。

地域枠は「一般入試とは別枠」で実施を

 また厚労省は、医師確保効果の高い「地域枠・地元枠」の学生が、より地域に定着してくれるよう、例えば▼一般の学生とは「別枠」で選抜する▼地域枠のブランド化を図る▼都道府県担当者が個々の地域枠・地元枠学生と「顔の見える関係」を構築し、希望に沿ったキャリア形成プログラムを作成する▼地域枠・地元枠学生の「同窓会組織」を設立し、不安や悩みの解消に努める▼学部時代から、地域医療の意義や魅力を伝える―ことなどを行ってはどうかと提案しました。

 この点に関連して、地域枠選抜について、厚労省と文部科学省が「全大学の状況」を調査したところ、「地域枠と一般枠とを分けずに入試を行い、入学後に『地域枠を希望する学生』を募る」などの形で実施しているところが一定程度、あることが分かりました。こうした方式では、地域枠を設定して医学部の入学定員を増加したにも関わらず「十分に学生を確保できていない」(地域枠が充足していない)ケースが少なくなく、また「奨学金を返済し、地域枠から離脱する」(地域医療への一定期間従事を放棄する)学生の割合も高いため、厚労省では「地域枠選抜は、一般入試を別枠で行うこと」を要請しています(関連記事はこちら)。

 なお、地域枠学生への奨学金貸与について、地域医療介護総合確保基金を活用することも可能ですが、現在は「地元(都道府県)出身者であること」が要件の1つとなっています。ただし、厚労省の分析によれば「地元出身者でなくとも、『一般入試と別枠の地域枠』で選抜された学生は、離脱率などが低く、医師偏在対策としての効果が高い」ことが分かりました。将来的に「地元出身者」以外にも、地域医療介護総合確保基金を活用した地域枠学生への奨学金貸与が認められるかもしれません。

 ところで、一部大学では「地域枠選抜において、僻地などの出身者を優遇する」仕組みが導入されているようです。この点について厚労省・文科省は「地元出身者の優遇などを改正医療法などでも推進している。入学試験要項などに明記すれば、僻地出身者の優遇などは合理的であり、望ましい方向である」との考えを示しています。

一方、(3)の「効果の把握・検証」は、PDCAサイクルを回す上でも非常に重要です。効果の低い策を漫然と実施することは許されません。

厚労省は、▼地域の医師数をできるだけ正確・迅速に把握できるような調査・集計方法を検討し、「新医師偏在指標」に反映する▼好事例に関する情報共有の仕組みを構築する▼国が都道府県の医師偏在対策をフォローアップし、改善状況を可視化する―などの考えを示しています。

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181130-00010005-nishinpc-soci
「ぎりぎり」週の勤務100時間も…医師の働き方改革、鍵握る患者側の理解
11/30(金) 10:40配信 西日本新聞

 医師の長時間労働是正に向け、論点の一つとなっているのが患者の意識改革だ。厚生労働省は10月、「上手な医療のかかり方」を考え、広めるための懇談会を初めて設置した。正当な理由なく診療を拒めない「応召義務」がある医師の働き方改革には、不要不急の受診を減らすなど、患者側の理解が鍵を握る。

 「救急医療の維持はぎりぎりです」。10月中旬、厚労省であった第2回懇談会。東京女子医大東医療センター救命救急センターで後期研修中の赤星昂己(こうき)医師は訴えた。

 救急センターでは、8人の医師が365日24時間態勢で患者を診ている。赤星さんの場合、週の勤務時間が100時間に及ぶこともあり、完全な休日は月に2日程度。連続24時間以上働いても仮眠や食事がほとんど取れないこともある。

「ぎりぎり」週の勤務100時間も…医師の働き方改革、鍵握る患者側の理解

 ある日の夜間当直。日中は50人以上を診て、救急車4台を受け入れた。夜間も10~30分おきに急患に対応した。明け方に交通事故で右腕を負傷した人が救急搬送されてきた際、右と左を間違えてエックス線検査を依頼しそうになった。

 「夜間受診した11人中10人は風邪や下痢症状だった。本当に夜間でなければならなかったのか。左右を取り違えそうになったのは単純ミスなのか」と、過労による医療ミスへの不安をにじませた。

「時間外受診は患者も医師もお互いに損です」

 赤星さんは「時間外受診は患者も医師もお互いに損です」と続けた。受診料は割り増しで、完璧に検査はできない。薬も数日分しか処方できず、疲弊した医師が診る可能性もある。「救急医療を安全なものとするため、皆さんの理解と協力が必要です」

 医師の疲弊によって地域医療が崩壊する-。そんな危機的状況を、市民の意識改革で変えたケースがある。宮崎県延岡市では2002年以降、県立延岡病院で医師の退職が目立ち始め、診療科の閉鎖が相次いだ。夜間・休日の急患が10年あまりで約3倍に増えたことが大きな要因だった。

 09年、自治会や商工会議所が中心となり、署名活動をスタート。県に医師の補充を求めた上で、市民には安易な時間外受診を控えることなどを呼び掛けた。署名は1カ月で人口約13万人(当時)を超える約15万筆が集まった。

 市は「地域医療を守る条例」を全国で初めて制定し、かかりつけ医を持つ、適正な受診-などを市民の責務として明記した。同時に、不安を解消するため、医師や看護師による「救急医療ダイヤル」を設置し、受診の必要性を相談できるようにした。この結果、時間外受診はピーク時から半減したという。

 市地域医療対策室の吉田昌史総括主任は「市民による啓発で危機感が広がり、医療はサービスではなく、限りのある資源だと伝わった。地域医療を守ることが自分ごとになり、行動につながった」と説明する。

 「突然の高熱や嘔吐(おうと)で、不安になるのは当たり前。子どもの病気について知らないからです」

 10月、東京都杉並区の子育て支援施設に集まった母親約40人に、森さくらさん(37)は語りかけた。一般社団法人「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の副代表。07年から乳幼児の保護者向けに子どもの病気を学ぶ講座を開いており、約5千人が受講した。

 きっかけは、代表の阿真(あま)京子さん(44)が友人の小児科医から「寝ないで24時間働き続けるパイロットの飛行機に子供たちを乗せたいでしょうか」というメールを受け取ったこと。休日や夜間の救急外来に来る小児患者の9割以上が入院の必要のない軽症者だ。

受診抑制の心配も

 「子どもに安全な医療を受けさせるためにも、不要不急な受診は避けたい。時間外に受診するのは親たちが不安だから。救急にかかるべき時と、家で様子を見ていい時を学び、判断できるようになることが大切」と阿真さん。会が協力して作った受診の目安を示す冊子を乳児健診で手渡したところ、急患が大きく減った自治体もある。

 厚労省は12月、懇談会の議論をとりまとめる。今後は上手な医療のかかり方を広めるウェブサイトをつくるほか、小児救急電話相談「#8000」などの周知徹底、働く人が診療時間内に受診できるように企業に協力を求める‐などの取り組みを進める方針だ。

 ただ、こうした動きに懸念の声もある。「日本難病・疾病団体協議会」の代表理事で、膠原(こうげん)病患者の森幸子さん(58)は「受診抑制につながらないよう、啓発の方法を工夫してほしい」と訴える。難病の診断は難しく、森さんも診断まで4年かかり、病院を転々とした。

 森さんは「秩序を守った受診姿勢は大切だが、症状が急変しやすく、時間外受診が欠かせない人、大きな病院でなければ診断がつかない人もいる。患者に配慮した視点を忘れないでほしい」と話した。



(参考12.1付けの米国のニュース)
https://www.nbcnews.com/nightly-news/burnout-among-physicians-pervasive-problem-can-lead-major-medical-errors-n941346
Burnout among physicians a pervasive problem that can lead to major medical errors
Dec. 1, 2018 / 5:41 AM GMT+9
By Kate Snow and Alexa Keyes NBC News

"We've created a system that's taking people who care a lot, and ... making them angry, and apathetic and depressed."

When Dr. Cori Poffenberger curls up on her couch after a long day at work, there's no relaxing. She is an emergency room physician, and at night spends hours filling in patient charts and reviewing test results.

Poffenberger's evening electronic record keeping comes after a full day of seeing patients, teaching medical students, preparing dinner for her family, and putting her children to bed. This after office hours work is what doctors call "pajama time," and experts say it is a leading cause of physician burnout.

"I went into emergency medicine because I wanted to help people," said Poffenberger. "And we've created a system that's taking people who care a lot, and who really feel passionately about this, and making them angry, and apathetic and depressed."

Doctor burnout is a pervasive issue, with more than half of U.S. physicians experiencing "substantial symptoms" of job burnout, according to a 2017 National Academy of Medicine paper.

Dr. Tait Shanafelt, a co-author of the paper, has become a national leader in efforts to curb physician burnout. In 2017, Stanford Medicine hired him as its first chief wellness officer. His job is to find solutions — how do you balance demanding patient portals, long hours and unrelenting record keeping — and still keep up staff morale?

"They're no longer really being empowered to be a doctor, they're becoming a clerk," said Shanafelt. "The answer is not yoga, granola, and getting more sleep."

Shanafelt is taking a holistic approach, with the goal of allowing doctors to focus primarily on their patients as opposed to administrative work.

"We are losing the connection to the meaning and purpose in what we do, which is trying to provide care for patients," he said. "Instead of that, we're actually trying to please an insurance company."

Shanafelt recommends leaders in the medical industry design organizational systems in a way that encourages staff engagement, build and cultivate a community among physicians, remove sources of frustration and inefficiency, and bolster individual wellness.

Poffenberger is all too familiar with burnout. She left a previous job at a community hospital after realizing she was starting to feel apathy toward her patients — a sign of burnout.

"I felt like I had nothing left to give," she said. "A lot of times, that feeling of being appreciated for all you're giving is not there. And then you just, you know, you wonder what's the point?"

Combatting burnout is a high-stakes effort for doctors and patients alike. The suicide rate for physicians is among the highest of any profession, according to a survey by Medscape; more than twice that of the general population.

"We send this message oftentimes that we expect you to be superhuman," said Shanafelt. "That often prevents physicians from asking for help, being vulnerable. And we do need to create safe spaces with low stigma, low barrier, to seek help for physicians."

Physician burnout is dangerous for patients, too.

"Doctors feel that there's a very strong relationship between burnout and the quality of the care they provide patients," said Shanafelt.

According to an analysis of a national study of physicians led by Stanford, more than 10 percent of the doctors admitting they had committed what they considered to be a "major medical error" in the three months before taking the survey.

Hospitals around the country are making changes. At Stanford, Dr. Megan Mahoney oversaw a revamp of family medicine clinics. Now, a so-called scribe deals with records and takes notes during patient visits.

"For the first time in my career I'm able to actually have direct eye contact with my patients," said Mahoney, saying the change has been "transformational."

Allowing doctors to be doctors again, says Shanafelt, is an important step in reversing burnout.

One of Shanafelt's goals is to reduce the clerical burden physicians face, and "allow the physician to focus their time and attention on caring for patients."

Back in the Stanford ER, there's a new reward system for doctors who work extra hours. Poffenberger signs up for ready-to-make meal kits, which means more time with her family.

"I don't want to leave emergency medicine, because I love it," she said. "I just want to make it better."



https://www.m3.com/news/kisokoza/642828
県医師会の役割「郡市区町村の在宅医の課題を行政へつなげること」-神奈川県医師会 在宅医療担当久保田毅理事に話を聞く◆Vol.1
2018年11月28日 (水)配信m3.com地域版

 「誰もが元気でいきいきと暮らしながら、必要なときに身近な地域で質の高い医療・介護を安心して受けられる神奈川」とスローガンを掲げている神奈川県。県医師会として在宅医療にどのように取り組んでいるのか。神奈川県医師会の在宅医療担当の久保田毅理事に伺った話を2回にわけて紹介する。

(2018年10月25日インタビュー、計2回連載の1回目)
――在宅医療の取り組みで、県医師会として力を入れていることをお聞かせください。

力を入れているということではなく、ごく当たり前のことですが、郡市町村と県の行政をつなぐ、ということです。政令指定都市はそこで自己完結できますが、そうではない郡市町村で抱えている問題や課題、意見を県へ届け、アピールするということです。県医師会というのは県行政との窓口の役割であるのです。当たり前のことですが、最も重要なことですね。

 例えば、地域包括ケアシステムの推進は、県行政が主体としてやっています。県医師会は県と定期的に面談をして情報共有をしています。大事なのは担当者をはっきりさせることです。郡市医師会はすでに担当理事が決まっていることが多いのですが、行政では、医療と介護の担当は大抵分かれて運営されています。基礎自治体では地域包括ケアシステム推進課も作られており、まずは窓口を明らかにすることからですね。

 在宅医療は喫緊の問題ですので、県医師会では昨年11月に在宅医療担当理事を配置し、今年の4月から在宅医療対策委員会を設置しました。この委員会には、郡市医師会の在宅医療担当理事だけではなく、県庁の高齢福祉課課長と医療及び地域包括ケアの課長、県病院協会の副会長と理事に出席していただくように、強く希望し、調整しました。行政や関係団体と情報を共有し、問題や課題を共有する。これは初めのステップですね。

――神奈川県が推進している事業とはどのように関わっているのでしょうか。
 県が進めている事業の1つに、2015年10月からスタートしている在宅医療トレーニングセンター事業があります。県の運営補助により、県医師会が事業を進めています。県医師会と県行政で、何とか在宅医療を増やそうとして一生懸命に連携して取り組んでいます。

 在宅医療に携わる多くの職種の方々に活用してもらえるように研修プログラムを用意し、運営しております。内容、回数ともに、年度を重ねるごとに充実し、現在、50種類ほど準備しております。多職種連携がテーマの場合もあれば、単一職種での研修プログラムもあります。在宅トレーニングセンターのスケジュール表はぎっしり詰まっており、2017年度は約70回の研修が開かれました。

 よく言われている顔の見える関係づくり、有機的な連携というのは、現場の方が活発にされていますし、自治体レベルで行う方が現実的です。県が提供するのは、スキルアップのための研修の場という意味合いの方が大きいですね。

 スキルアップ研修に加えて、在宅トレーニングセンターの研修企画の1つとして、研修医や若手の勤務医向けの研修会を、県内の研修指定病院とともに進めております。これは、なかなか在宅医療にまで目を向ける機会の少ない若手に向けて、多職種と一緒に、どのように在宅医療にかかわっていくかを学んでいただく研修会です。

 若手のときから、在宅医療にかかわる機会をもち、在宅医療で何ができるかが分かっていれば、在宅医療を目指す医師が増えるだけでなく、病院から在宅医療へ患者さんを戻すときにも役に立つ研修にもなっていると思いますね。

◆ 久保田毅(くぼた・たけし)
内科久保田医院(平塚市)院長。1984年三重大学医学部卒業、脳神経外科医・救急医として横浜市立大学医学部病院、神奈川県立こども医療センター、平塚共済病院、横浜市立大学救命救急センターなどを経て、地域のかかりつけ医として開業。



https://www.sankei.com/region/news/181201/rgn1812010023-n1.html
きょうから休診の「石川島記念病院」、来年9月に診療再開 東京
2018.12.1 07:01地方東京 産経新聞

 中央区内に3カ所ある第2次救急指定病院の一つで、12月1日から休診を決めている「石川島記念病院」(中央区佃)が、来年9月に診療を再開する見込みであることが30日、分かった。

 同病院は、医療法人社団「健育会」が運営しているが、経営悪化を理由に診療休止を決めていた。

 同病院によると、休診期間は、新しい診療体制を整えるために必要な施設設備の改修、準備などに充てるという。

 これまでの心臓循環器疾患を中心とした診療から、内科・整形外科・リハビリテーション科を中心とした診療を行うことになる。

 同病院は昭和6年、「石川島造船所健康保険組合病院」として開設。平成20年に「IHI東京病院」へ改称し、24年に健育会が承継した。第2次救急指定病院として、年間約800人の救急患者を受け入れている。

 同病院は「新たな診療体制で、これまで以上に地域に必要な医療を推進していく」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/644350
シリーズ m3.com意識調査
医学部入試の同窓子弟枠、賛否が拮抗
内部進学生枠は52.3%が「あり」

レポート 2018年11月30日 (金)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 医学部入試をめぐって、全国医学部長病院長会議(AJMC)は11月16日、「大学医学部入学試験制度に関する規範」を公表した(『AJMC、「大学医学部入学試験制度に関する規範」公表』を参照)。性差で一律に差異を設けることは「不適切」とする一方、同窓生子弟枠と内部進学生枠は、「公正に行われた場合」実施可能とした。本調査では、同窓生子弟枠に関して、m3.com医師会員の40.8%が「あり」、45.4%が「なし」と回答し、賛否が拮抗していることが明らかとなった。内部進学生枠は52.4%が「あり」と回答した。

Q 大学医学部入試の同窓生子弟枠は?
12025_20181202055111f8c.jpg
 同窓生子弟枠に、m3.com医師会員の40.8%が「あり」、45.4%が「なし」と回答。「あり」と回答した会員の34.2%は「基準を明確にしなくても可」だった。開業医と勤務医では回答に差が見られ、開業医は「あり」が44.8%で、「なし」の41.7%を上回った。一方、勤務医は「なし」が46.5%と、39.5%の「あり」を上回り、「なし」と答えた割合が全体より高かった。薬剤師とその他医療従事者、歯科医師は、過半数が「あり」と回答した。

Q 大学医学部入試の内部進学生枠は
12026_2018120205511211d.jpg
 内部進学生枠には、m3.com医師会員の52.4%が「あり」と回答。「あり」と回答した会員の26.7%は「基準を明確にしなくても可」とした。開業医と勤務医は、「あり」が約52%、「なし」が約34%と、回答比率がほぼ同数だった。薬剤師、その他医療従事者、歯科医師は「あり」と回答した割合がいずれも6割を超えた。

Q 同窓生子弟枠と内部進学生枠について、ご意見があればお書きください

【同窓生子弟枠「あり」】
・家の事情で医師になる人の場合、診療科や勤務先が明確になっていることが多い印象。つまり、医師としてしっかり働いてくれるので、それはそれでいいのかな、と思います。【その他医療関係者】
・地方の過疎化が進んでいる中で、地域医療を支える開業医の子どもの枠がほしい。はっきり言って、地方での新規開業はほとんどなく、既存の医院も後継者がなく廃業をしている現在、継承をする後継者を育てないと地域医療の崩壊はますます進むと思われる。【開業医】
・表沙汰にならなかっただけで、昔から普通にあった話でしょう。メリットがあるから続いていると思います。【開業医】
・同窓生子弟枠を完全になくすと、代々続く開業医は死滅することになるのでは?それが地域医療に良いこととは思えないのですが……。国はそんなこと関係ないのでしょうねぇ……。【勤務医】
・あって当然。ないと考えられていた方が不自然。【開業医】
・あっても、特に問題ではない。要は、卒業できることと、国家試験に合格すること。【勤務医】
・基準が明確なら医学部という特殊性につき問題ないと思う。【勤務医】
別にいいんじゃないでしょうか……。ただ、出身大学を明確にする義務は生じると思いますが。【勤務医】
・地方の大学医局は、同門の子弟が医局員の大きな割合を占めている、というより、そこをあてにしないと地方大学は回らない。内部進学は知りませんが。【勤務医】

【私立なら「あり」。寄付金もあるし…】
・私学であれば、一定要件を満たせば、進学優遇はありと思います。税金が投入されていても、同窓生も同様に、投資してますので。【開業医】
・私立の学校なら基準を明瞭かつ公表しておけば、運営方針は自分で決定する権利があると思う。【勤務医】
・私立校に関しては多大な寄付金等を納めているのである程度は仕方なし。【勤務医】
・やはり寄付金とかは必要でしょうから、私立なら公にすればありでしょう。【勤務医】
・私立は、ある一定の学力があればどの受験生を合格させようと大学内の裁量で決めてよいと思います。それが不満ならば、国公立を目指せばよいだけ。【勤務医】
・同窓や内部進学の何が問題なのか。一般の私立中高でも同窓優先入学はある。【看護師】
・私立としては、寄付金を集めるために同窓生枠を作るのもやむなしと思う。【勤務医】
・私立のカラーでもあり、特に悪いことではないと思う。あえて明確にすることでもない。【開業医】

【私立は「あり」でも国公立は「なし」】
・同窓生子弟枠と内部進学生枠に関しては、私立大学では適切に行われていれば、容認できる。公立大学では容認できない。【開業医】
・私立の医学部であればある程度は許容されると思う。国公立は公平性を保つべきである。【開業医】
・国公立大学では認められないが、私学では認められるべきことであり、私学で認められなければ、「何のための同窓」ということになるのではないだろうか。【勤務医】
・大学が欲しい人材を選ばなければ、大学自体の信用が落ちる。一般企業なら、そうしていても当たり前だと思う。国公立はだめ。【その他医療関係者】

【同窓生子弟枠は「なし」】
・ともに不要。一般試験一本で行くのが公正。お手盛りの端緒である。【開業医】
・国立大学の入学試験は、さまざまな不公平がある世の中で唯一といっていい公平なものであったと思うし、これからもそうであってほしいです。【勤務医】
・公平性に欠ける。堂々と試験で勝負したらよい。【勤務医】
・そんなものが必要な人物に医者になってほしくない。【勤務医】
・同窓生子弟枠と内部進学生枠──。言葉のあやにすぎない。要は裏口入学を認めるか、認めないかに尽きる。どんな理由を付けても、裏口に入学は良くない。【開業医】
・そもそも大学医学部は、国家資格の医師を育成する機関であり、その入り口は公平かつ、実力で、その候補者を選ぶべきであると思います。特に同窓生子弟枠などは、国家試験受験資格の抜け穴的斡旋としか思えません。【開業医】
・贈収賄や不正入試の温床になるでしょう。あってはいけないと思います。【開業医】
・そういう訳の分からないものを設定すると、また入試汚職の温床になる。【勤務医】
・どのくらいまで認めるかなど基準を決めがたい部分も多く、また言葉で規制しても不正が入り込む温床となる可能性が否定できない。またそのような制度の必要性についても、学生を受け入れる大学側の論理にすぎないものであり、社会一般には理解されがたいものと考える。【勤務医】
・国民に広く理解が得られる基準があるとは思えないので、「なし」という選択肢が最も現実的だと考えます。【勤務医】
・同窓生子弟枠について認めるなら、拡大解釈すれば出生で人生が左右されることになる。中国共産党の世界と同じでないか。【その他医療関係者】

【税金投入しているのだから…】
・税金投入されているのでまずいです。【開業医】
・国から補助金を受けている以上、優遇枠を設けることは許されない。【開業医】
・学校としては良いと思います。ただし、国からの補助金は辞退すべき。【開業医】
・純粋に「私立」で、補助を受けていない施設だけであれば、考えなくもない。国公立は幾分かの割合で税金を使用されているはずなので、個人が能力以外で優遇される根拠はないと思う。【勤務医】

【内部進学生枠は「あり」】
・内部進学に失敗し、翌年外部受験で他大学医学部に入学した経験あり。内部進学もトップ3%に入らないと医学部に行けなかったため熾烈な競争だった。決して外部受験生に劣るとは思わない。【開業医】
・医学部以外でも系列の大学に進学できる制度は普通にあるので、問題ないと思います。【開業医】

【その他】
・同窓生子弟枠と内部進学生枠は全く次元の違う話では?【勤務医】
・何とも言えない。不公平だとは、思う。しかし、目くじら立てすぎのとことろもある。その背景として、医学部をそんなにありがたがる風潮にも問題があると思う。【勤務医】

【調査の概要】
調査期間:2018年11月19日(月)~26日(月)
対象:m3.com会員
回答者数:3248人(開業医:655人/勤務医:2088人/歯科医師:19人/看護師:39人/薬剤師:298人/その他の医療従事者:149人)
回答結果画面:医学部入試、同窓生子弟枠と内部進学制枠はあり?



https://www.m3.com/news/iryoishin/642406
シリーズ 無給医の実態2018
無給医「無給どころか金払え」「奴隷であることを認識」◆Vol.6
「2004年度以前」に無給医をしていた医師の意見

医師調査 2018年11月25日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q:無給医にまつわる諸問題についてご意見をお聞かせください。

「現在」無給医の経験が「ある」と回答した医師のコメントを紹介する。
※m3.com編集部:編集部として確認が取れていないため大学名、病院名は、伏せ字にしました。ご了承ください。

・仕事をしている人間に対して経済的対価が支払われない、医療保険や雇用保険などの制度の適応外になることがおかしい。【2004年度以前・卒後23年目】

・賠償保険は学会のものに加入済み。一番下っ端で受け持ちはするけど何の権限もなく執刀もさせてもらえない丁稚の時代でした。土日も順番で日直してました。毎朝の採血点滴当番があるので、早朝から晩まで勤務でした。まともに常勤で給料が貰えたのは関連病院に出た40前からです。大学研究室勤務は非常勤(日雇い)の身分でした。文部教官には任用されませんでした。【2004年度以前・卒後35年目】

・ただ働きするのが当たり前であった時代です。そのため、逆に今の世代がうらやましくもあることが問題となり、ひいては世代間の問題となります。(よく言う我々の頃は・・・などの前時代を肯定的に取る発言など)労働環境の改善は当たり前ですので、いいのですが、それによるしわ寄せ(前時代勤務者が逆に負担が増え、収入が減ること)はやめていただきたいと思います。【2004年度以前・卒後24年目】

・バイトがあるからやっていけた。無ければ生活は無理である。【2004年度以前・卒後19年目】

・開業医に比較し高度医療への報酬が少ない事、教育への投資が少ない事が原因だと考える。【2004年度以前・卒後18年目】

・医学部附属病院の診療は、医師のボランティア労働で成り立っている。他のコメディカル(看護師、放射線技師、事務職)は公務員常勤であるが、医師で常勤なのは、教授、准教授、講師、助手だけで、常勤医のマンパワーだけで、病院の外来、病棟、学生への教育をこなすことは不可能です。現在は、多少は労働環境が改善されたとは思いますが、今も、土日や夜間の医療業務は、非常勤医師のボランティア労働によって、医学部附属病院は成り立っていると思います。【2004年度以前・卒後22年目】

・医師定数が決まっていて、高度医療機関で働きたい医師が多くなり、一人でも「タダでも良いから勉強させて欲しい」と言ってしまうとこうなってしまうと思う【2004年度以前・卒後21年目】

・大学院生が大学に学費を納付して、その附属病院で無給無休で診療している――というのは、世間一般の人には理解しがたいと思う。【2004年度以前・卒後17年目】

・研修医制度が始まった頃で、地方の大学病院での勤務を希望する研修医が非常に希少だったためか、大学院生として実験動物の世話(えさやり、掃除など)や集計・統計処理などの学会・論文のための作業をしながら、病棟で主治医をしていました。患者さんの病態が悪ければ病院に泊まるのは主治医だから当たり前、もちろん時間外給や当直料ももらえませんでした。学会出張も自腹で、家族に仕送りしてもらったり、貯金を切り崩して生活していました。「医者なんだから(お金をもらえなくても)患者を診れるだけでも幸せと思え」当時の帝王型の教授がよく言ってました。【2004年度以前・卒後19年目】

・外勤先の給与からも「医局が紹介してるんだから」と言う理由で8%搾取されていました。多分法に触れるんじゃないでしょうか。無休医の問題は労働力の搾取、ピンハネによる金銭的な搾取など、色々な面で大きな問題を抱えていると思います。【2004年度以前・卒後23年目】

・大学院時代はやむを得ないを思って働いていました。【2004年度以前・卒後17年目】

・大学院生が無給どころか、学費を払ってただ働きするのは、どこでも一緒でしょう。嫌でしたが、学位のために我慢していました。バイト先である程度いい条件をつけるように、大学と関連病院とで話はついていたのだと思います。【2004年度以前・卒後24年目】

・5月に医師免許をもらってからの研修医時代は、研修医の給与総額÷病院全体の研修医の数で給与が支給されていたので、研修医の数が多い5月には給与が少なく16万円くらい、3月になるに従って研修医が他の病院に派遣されて研修医の数が減り給与が20万円くらいまで増えてました。毎年3月30日に退職させられて、3月31日は無給で働いて、また4月1日再雇用されていました。なので研修医になってからも年1日は無給でした。【2004年度以前・卒後22年目】

・バイトで何とか維持できていたが、体はしんどかった。若かったので(能力も低いし)こんなものかなとも思う。でも、今この年になってオンコール(呼ばれた時だけ時間外手当が付く。救急車とカーチェイスしながら病院へ行く)のほうがしんどいです。【2004年度以前・卒後25年目】

・医学部を卒業し大学院への進学を強くすすめられた。実態は、学生の身分で通常診療を行うため、報酬を払う必要がない無給医要員であった。関連病院でのアルバイトと奨学金で生活を維持したが、アルバイト先の病院で当直し徹夜になり、帰りの運転で事故にあったとしても何の保証も得られなかった。結婚し子供もできたが、年収は200万円程度で、児童手当をもらっていた。妻の年収が350万。そこから国民年金、国民健康保険、学会年会費、医局費、さらには学位取得時のお礼として教授に50万円程度渡す慣習も残っており、自分は奴隷である事を認識させられた。【2004年度以前・卒後23年目】

・慣習的なもので議論すら出来ない状況でした。【2004年度以前・卒後21年目】

・大学では研修という名の無給・無休勤務でした。休みは1年で一日のみでした。【2004年度以前・卒後23年目】

◆調査の概要
調査期間:2018年11月13日~11月16日
調査送付対象:49歳以下のm3.com医師会員
回答者数:431人



https://www.m3.com/news/general/644896
社説:医学部地域枠 医師確保へ抜本改革を
地域 2018年12月1日 (土) 京都新聞

 地方での医師確保のために設けられた大学医学部の「地域枠制度」が機能不全に陥っている。

 厚生労働省などの2018年度分調査で、地域枠がある全国66大学のうち、半数の33大学で計187人分の枠が埋まっていなかったことが分かった。

 22大学では、定員の2割を超える欠員が出ていた。地方勤務を希望する学生が少ないことなどが原因という。

 地域にとって医師の存在は、まさに命綱だ。現状では、地方と都市部の医師偏在の解消につながっておらず、抜本的な見直しが必要と言わざるを得ない。

 08年度に導入された地域枠制度は、都道府県から奨学金の貸与を受ける代わりに、卒業後、その地域で一定期間働く。各大学の医学部は近年、地域枠に限り、定員増を認められてきた。

 だが、地域枠を満たすことができなかった一部の大学では、学生を勤務地の制限のない「一般枠」に振り分けたところもあった。制度の趣旨と反した運用が続けられてきたといえる。

 選抜方法にも問題があり、入学後に希望を募る「手挙げ方式・事後型」では、08~18年度通算の充足率が6割にとどまった。不適切運用の温床になっていた可能性があり、早急に対策が求められる。

 一方で、地域枠と一般枠を区別する「別枠方式」だと、今回調査では地元出身者に限定しない募集でも9割以上が埋まっていた。厚労省は別枠方式への一本化を都道府県に通知している。

 問題の背景には、医学部を志望する若者たちのへき地での勤務を忌避する意識がある。だが、もっと学生目線に立った制度の在り方も問われるのではないか。

 厚労省の有識者会議では「地域枠は学生の立場に立っていない。そもそも高校生に30代までの進路を決断させることに無理がある」との指摘があった。

 「入り口」だけでなく「出口」の改善にも目を向けたい。

 本年度から新しい専門医養成制度が始まったが、大都市に比べて地方には専門医の経験を積める研修先が少ない。若手医師は研修終了後も「即戦力」として都市部にとどまりやすいとされる。

 医師不足の地方では、1人で何役もこなさねばならず、過酷な労働環境が不安視されている。

 そうしたことが若い人に地方医師として働く展望を持ちにくくさせていないか。待遇改善を含め、より力強い誘導策を検討する必要もあるだろう。



  1. 2018/12/02(日) 05:59:01|
  2. 未分類
  3. | コメント:0