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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年10月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年10月31日
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New primary care centre in Langford just the first step to address doctor shortage says B.C.’s Health Minister
October 29, 2018 CHEK, News (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

On Friday Premier John Horgan announced a new urgent primary care centre in Langford to try to close the doctor shortage gap on the West Shore. It will be run similar to a walk-in clinic where you don't make appointments or see the same doctor but B.C.’s Health Minister insists it will help thousands find the care they need.



Critical shortage of doctors prompting range of solutions
By: Gina Mangieri
Posted: Oct 29, 2018 03:39 PM HST KHON (米国 ハワイ州)

The neighbor islands and parts of rural Oahu are suffering a critical doctor shortage. Whether it's older doctors retiring sooner, or young doctors driven out of Hawaii by high costs or lured by mainland incentives, it's been an uphill battle finding a cure for a physician workforce that's way too small.



FOX 11 Investigates a growing doctor shortage in Wisconsin
Fox11online.com‎ - 2018年10月1日 (米国 ウィスコンシン州)

MADISON (WLUK) -- Wisconsin is facing a doctor shortage forcing patients to wait longer for treatment, and in some cases prompting residents to go without medical care. Hardest hit by the shortage are rural communities, like those that dot Northeast Wisconsin.



Republicans' Drive To Tighten Immigration Overlooks Need For Doctors
BY KAISER HEALTH NEWS | OCTOBER 30, 2018 (米国)

The U.S. is grappling with a doctor shortage that's expected to grow to as many as 120,000 physicians by 2030. Foreign-born doctors are vital to the national healthcare delivery system. Doctors there hesitated to grant the family practitioner and general surgeon privileges to the local hospital when he arrived in 1981.



N.S. health authority hopes new recruitment website will help decrease doctor shortage  (カナダ ノバスコティア州)
By Graeme Benjamin
October 3, 2018 3:29 pm Global News

The Nova Scotia Health Authority (NSHA) has launched a new physician recruitment website, with hopes of chipping away at the family doctor shortage facing the province.
The website was launched on Wednesday, using feedback from physicians about their decisions to work and live in Nova Scotia.



(他に10位以内のニュースは、オーストラリア2、米国 (全米, ニューヨーク州)、からも)


参考(#10)
Facing a doctor shortage, NYC looks to Grenada
The city's struggling public hospitals have a partnership with a controversial med school in the Caribbean.
By JEFF COLTIN
OCTOBER 16, 2018 City & State NY

Eric Behar was an aspiring doctor with a master’s degree in neurobiology under his belt when he saw the subway ad that would save him $62,000.

The eye-catching advertisement was for CityDoctors, a partnership between New York City’s public hospital system and St. George’s University School of Medicine, which is based in the Caribbean island nation of Grenada. New York City residents pursuing a medical career can have their tuition covered at SGU if they pledge to work a certain number of years as a primary care doctor at New York City Health + Hospitals, the city’s struggling public hospital system.

“Why not?” Behar thought after seeing the ad. “There’s no better place to give back, and I’m from here, and I want to stay here.”

He returned to New York after completing his studies at SGU in 2017, working as a resident psychiatrist at Metropolitan Hospital Center close to where he grew up on Manhattan’s Upper East Side. He received a two-year scholarship, so he’ll owe the city two years of employment once he completes his residency and becomes an attending physician.



  1. 2018/10/31(水) 08:54:46|
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10月28日 

https://this.kiji.is/426925911802610785?c=39546741839462401
新制度で医師不足の拍車懸念 長崎県内医療者がシンポ 
2018/10/22 11:1010/22 11:11updated 長崎新聞

 若手医師が分野ごとの高度な知識や技術を身に付けるため、本年度導入された新専門医制度について、県内の地域医療関係者が意見を交わすシンポジウムが13日、長崎市内であった。同制度では若手医師の研修先が大都市圏に集中しており、県内の医師不足や偏在に拍車が掛かることを懸念する声が上がった。
 同制度は2年間の初期臨床研修を終えた医師が、内科や外科など19の基本領域(診療科)から1領域を選び、専門医を目指す。全国で、大病院を基幹施設に複数の病院が連携する各領域の養成プログラム(3~5年程度)を用意しており、毎年度、専攻医を募集する仕組み。ただ、大病院が多い大都市に研修先が集中すれば地方の医師確保が一層難しくなるとの指摘があり、東京など5大都市圏では募集定員の上限がある。
 シンポは14日まで開かれた第40回県地域医療研究会(県病院企業団主催)の一環。同企業団運営の離島・へき地の病院などに勤める医師、看護師ら約200人が参加した。同制度では、長崎大学病院(長崎市)や長崎医療センター(大村市)が企業団の病院と連携したプログラムを展開しており、シンポでは関係者ら4人が講演した。
 同企業団が運営する県上五島病院(新上五島町)の八坂貴宏院長は、初年度の研修先が予想どおり東京などに集中したことを指摘。本県については専攻医83人が研修先に選んでいるが、眼科や皮膚科など誰も選ばなかった診療科があったことなども課題として挙げた。「地域偏在がどんどん進むかもしれず、医療が崩壊しない形の専門医制度にすべきだ」と述べた。
 県内で質の高い研修を展開することも課題。長崎医療センター総合診療科・総合内科の和泉泰衛医長は、連携先の同企業団側に対し「(医師や看護師、事務職員らが)制度に理解を深めると、専攻医はより良い研修ができる。専攻医がスムーズに専門医を取得できるよう協力していきたい」と呼び掛けた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637310
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
必要医師数「2036年」時点で推計、「地域枠」は別枠の入試で
「地域枠」義務年限履行、別枠方式95%、手挙げ方式86%
 
レポート 2018年10月24日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は10月24日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、将来的な「医師確保計画」について、「2036年」をターゲットとして「医師偏在指標」や「必要医師数」を設定、対策を講じる方針を提示し、おおむね了承を得た(資料は、、厚労省のホームページ)。

 将来的な計画は、「地域枠・地元枠設定の政策効果が一定程度蓄積」するのが前提。「地域枠」については、入試段階でそれ以外の入試枠と分け、特定の地域における診療義務がある「別枠方式」を原則とすべきだと提案している(下図の②で、「XX」年が2036年)。

 「地域枠」には、入試は同じ枠で行い、入学前後に地域枠希望者を募る「手挙げ方式」もある。2008年度以降の医学部の臨時定員増関連の「地域枠」を見ると、「手挙げ方式」の義務年限の推定履行率は86%で、「別枠方式」の95%よりも低い。24日に開催された自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」でも、「別枠方式」とすべきだと決議した(『「医学部の地域枠、一般枠と峻別を」、自民議連が決議』を参照)。

 「医師確保計画」は、早期に効果を発揮する短期的な対策も策定する(上図の①)。三次、二次医療圏間の医師偏在については、2019年度から各都道府県が「医師確保計画」(初回は2020~2023年度、以降は3カ年サイクル)を策定する。三次、二次医療圏のいずれについても、「計画終了時点」の医師偏在指標の値が、計画開始時点の医師少数医療圏の基準値(下位○%)に達することとなる医師数を、「目標医師数」として設定。都道府県内での医師派遣調整をはじめ、各種の対策を実施して偏在解消に努め、段階的に三次、二次医療圏間の医師偏在の解消を目指す。


 「地域枠」見直しの効果が十分に出るのは2036年度以降

 2036年度をターゲットとして将来時点の「医師偏在指標」や「必要医師数」を設定するのは、「地域枠」に「別枠方式」を2022年度から徹底しても、その効果が十分に出るのは2036年度以降と想定されることなどが理由だ。2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」とすることが決まっている(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。

 将来時点において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の「医師偏在指標」の値(全国値)を算出し、地域ごとに将来時点の「医師偏在指標」が全国値と等しい値になる医師数を「必要医師数」とする方針。一方、都道府県別の供給推計は、「各都道府県の性・医籍登録後年数別の就業者の増減が、将来も継続するものとして推計をすることとしつつ、都道府県別の供給推計が、マクロの供給推計と整合するよう必要な調整を行う」ことなどを基本的な考え方とする。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「区切りはいいが、その間に何らかの中間的な評価のポイントを設けるのはどうか」と発言。産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「マクロはいいが、高齢者自体が減っている地域がある。医療需要のピークは、都道府県によって差があるので、都道府県別の推計とモニタリングが必要」と指摘した。


 「地域枠」と「地元出身者枠」、区別して活用

 2017年7月に成立した改正医療法により、「都道府県知事から大学に対して、地対協の協議を経た上で、地域枠または地元出身者枠の創設、増加を要請できる」仕組みが新設された(2019年4月1日施行)。「地域枠」は、都道府県内でも特定の地域での勤務義務があるため「都道府県内の偏在調整機能」、一方、「地元出身者枠」は、当該大学の所在地である都道府県内に、長期間にわたり8割程度の定着が見込まれているが、特定の地域等での診療義務があるものではないため「都道府県間の偏在調整機能」がそれぞれ期待される(「地元出身者枠」は、他の都道府県の大学に創設・増加を求めることが可能)。

 これらの特性を踏まえ、厚労省は「地域枠」は都道府県内に「医師少数区域がある場合」に、「地元出身者枠」は都道府県が「医師少数都道府県である場合」に、都道府県知事が大学に対してそれぞれ要請できるようにすることを提案。さらに「地域枠」については、「原則、大学に対して、特定の地域における診療義務のある別枠方式を要請することとしてはどうか」とした。

 厚労省提案はおおむね支持されたが、問題視する声が相次いだのは、「地域枠」の現状について。厚労省がこの9、10月に都道府県に調査したところ、暫定的な集計結果として、「地域枠」で「手挙げ方式」の場合、義務年限の推定履行率は86%にとどまるなどのデータが提示された。

 臨時定員増の2008年度から2018年度までの11年間で、「地域枠」は合計で6533人。奨学金貸与実績は5689人。その差、844人は一般枠扱いとなった。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「普通の人が、日本語として理解できる仕組みにすることは賛成」と述べ、「地域枠」を「別枠方式」とすることを支持した。「モチベーションが高い人が入学すると、国家試験の合格率も高いので、その辺りのことも考慮して取り組むことが必要」。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「地域枠がこれまで有効に機能していなかった部分を検証する必要がある」と指摘し、厚労省調査の結果が都道府県単位だったことから、個別大学の「地域枠」のデータを基に、今後の方針を議論することが必要だとした。認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「地域枠は、もともと別枠(の入試枠)だと思っていた。地域枠の名前で確保した学生を一般枠で教育してきたことではないか」と指摘した。

 文部科学省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「別枠方式でなければいけないわけではない」と断りつつ、地域枠のフォローアップが十分ではなかったことは認め、「大学の状況を今、調査している。地域枠の設定の仕方や、(2008年度以降の)臨時定員増との関係も議論できるよう、調査結果を報告する」と回答した。

 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、入試要項に「地域枠」の定員を明記していなかったり、定員が充足していないケースがある現状を挙げ、「文科省にも責任があるのではないか」と質した。

 西田課長は、「別枠方式」の場合は、入試の段階で選抜を行っているので、募集要項に記載している一方、「手挙げ式」で入学後に選抜する場合であれば、「入試要項」に記載しないこともあり得るとした。文科省は今年8月、厚労省とともに各大学に対して、2019年度の入学定員について、「別枠方式」で定員を充足するよう努力することや、2020年度については「地域枠」の充足率の状況を踏まえ、入学定員を精査する旨を通知したと説明した。


 「まず医師が少ない地域をどうするか」

 短期的な施策は、「医師偏在指標の算出」⇒「医師多数区域・医師少数区域の設定」⇒「医師確保計画」を策定、その後、PDCAサイクルで回しながら計画を実行していく。「まず医師が少ない地域をどうするか、という議論をしていく」(厚労省医政局医事課長の佐々木健氏)。「医師多数区域・医師少数区域」の設定の仕方は、前回会議で議論した(『医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定』を参照)。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「流れとしては賛成。うまくデータを活用することが必要」と述べた上で、三次医療圏(基本は都道府県単位)では充足していても、不足している二次医療圏がある都道府県もあることから、三次医療圏と二次医療圏で医師の多寡をマトリックスにして、施策を検討していくことが必要だとした。小川氏も、神野氏の指摘を支持。さらに大学病院のある二次医療圏から、医師不足の地域に診療応援に行っていることなども踏まえて、医師確保計画を策定するよう求めた。福井氏も同様の意見を述べた。

 具体的施策の一つが、今年7月に成立した改正医療法で新設された「医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度」。山口氏は、この制度を利用するインセンティブとして、「地域医療支援病院等の管理者として評価」等では不十分ではないかと問いかけ、再度議論をするよう要望した。今村氏からは「医師少数区域に派遣される医師のキャリア形成は重要だが、誰が責任を持つのか、それをある程度、明確にしていくことが必要」といった意見も上がり、厚労省は改めて議論すると回答。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181025-OYTET50012/
医学部「地域枠」、入試段階で「一般枠」と別枠に…厚労省が大学に要請へ 
2018年10月25日 読売新聞

 地方の医師確保を目的に、大学医学部の定員増を認める「地域枠」が、一部で「一般枠」扱いになっていた問題で、厚生労働省は24日、入試の段階で一般枠と分ける「別枠方式」でなければ認めないことを決めた。今後、実施時期を検討し、各大学に要請する。同日開かれた有識者会議で了承された。


 国は医学部定員の抑制策を閣議決定しているが医師不足が深刻な地域もあるため、臨時措置として2008年度から原則、地域枠に限り定員増を認めている。

 定員増の対象になるのは、地域で一定期間、勤務することを条件に奨学金を貸与する地域枠。厚労省が地域枠の実態を調べたところ、08~18年度の11年間で、定員の1割を超える800人余が埋まらず、その分、一般枠の学生が増えていた。

 調査で、定員が埋まりにくいのは、入試の段階では一般枠と区別せずに選抜し、入学後に地域枠の希望者を募る「手挙げ方式」と判明。厚労省と文部科学省は、これまで各大学に任されていた募集方法を別枠方式に統一すべきだと判断した。

【解説】地域枠の厳格運用だけでなく…魅力ある教育の充実を

 医師不足対策の切り札として設けられた地域枠の一部が、実際には機能していなかったことがわかった。定員が埋まりにくい「手挙げ方式」を大学が採用するのは、高い学力の学生を確保したいためだ。ただ、それでは、必ずしも地域医療に貢献する意志のある学生が集まるとは限らない。

 手挙げ方式を採用し、地域枠の欠員が多かった大学の中には、地域医療より研究に重点を置いている主要大学もある。希望者が集まらないなら、そもそも定員を増やす必要があったのか。ほかにもっと増やすべき大学はなかったのか。

 この地域枠の仕組みが始まって10年以上になるが、医師が都市部に集中する「医師偏在」は解消していない。地域枠で学びながら、都市部に流れる医師がいることも問題になっている。

 地域枠の厳格運用だけでなく、地域に関心を持つ受験生にとって魅力があり、しかも、実際に選択した場合に満足できる教育の充実も不可欠だ。学生や大学にとっても、よりよい仕組みづくりが求められている。

(医療部 加納昭彦)



https://japan-indepth.jp/?p=42624
仏で女性医急増、男性超えへ 
Ulala(ライター・ブロガー)
2018/10/26 Japan in Depth

フランスでは、現在、女性医師の割合が年々増加しています。2022年には女性医師の人数が男性医師の人数を追い抜くと予測される(参照:LA CROIX)ほど急速に増えており、「医者は女性向けの職業」と言われるほどです。30年前にはそんな状況は考えられないことでした。なぜそこまで女性医師が増えることになったのでしょうか?そこで、フランスで女性の医師が増加している理由を探ってみたところ、実は、政府が行った二つの改革が大きく関係していることが浮かび上がってきました。

■ 女性医師の割合増加要因となった改革

女性医師の割合が増加する要因の一つは、過去に医学を学ぶ学生数に制限を設けたことが大きく関係しているようです。

1972年以前は、研修を受ける医学生の数に制限はありませんでした。医学部に入るためには、試験に合格する実力があれば十分だったのです。しかし、制限しなかった結果、医者の数があまりにも増加してしまい、予算削減のためにも医学を学ぶ学生の数に制限を設けることとなったのです。

1972年に大学一年目の試験に合格した医学生は、現在60歳代の医者となっていますが、この年には8,588人の学生が試験に合格し、2年目に進んでいます。しかし、それでは多すぎるとされ、徐々に定員が削減されていきます。1982年には6,409人、1993年にはとうとう3,500人にまで減らされていきました。(参照:Cris et Chuchotements Médicaux)この厳しい定員の削減数と反比例するかのように、女性の占める割合が増加していきます。

図1は、2016年における年齢層別の医師の数のグラフです。これを見ると、定員削減により、数が激減したのはあきらかに男性であることが見てとれます。

女性の人数も確かに減ってはいますが、どちらかと言えば一定の数を保ち続けているとも言えるのではないでしょうか。55歳~60歳未満の男性医師が16,407人おり、同年代の女性医師の8,100人の約2倍の数であったのにもかかわらず、定員制限が行われた後の40代になると、男性医師は11,349人減少し、5,058人となっています。一方、女性医師は4,692人と、減少したのは3,408人で、割合にして男性医師は約70%減少しているのに対し、女性医師の減少は約40%に過ぎないのです。

これはいったいどういうことでしょうか。
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▲図1 フランスの 2016年における年齢層別の医師の数のグラフ 出典:CARMF

女性の方が男性よりも試験の結果がよく、男性の合格数が少なくなっただけでは?とも考えられますが、もちろんそうではありません。実際の話、女性の方が男性よりも合格率が低いのは事実です。

例えば、2010年頃から一年目の年にいる女性の割合は65%ほどですが、2年目に上がるための試験を受けた後は50%台にまで落ちます。(参照:資料のgraphique 2を参照)これは、35%しかいない男性の方が優秀で、多くが試験に受かることができており、女性の方が合格率が低いと言えます。

それならば、なぜ、男性が少なくなったのか。

その大きな疑問を、ナントのCNRSの研究員、アーディー・アン・シャンタル氏は、当時の男性が医学ではなく、金融や経営など他の分野に行ったからだと説明しています。(参照:仏Canal-U)

当時は景気も良くなってきており、男性にとっては狭き門の医学を目指すよりも、他の分野で管理職として活躍する方が魅力的だったのでしょう。

しかし、反対に多くの頭脳明晰な女性には医学の道に行くことの方が魅力的でした。自分の人生を考えた時に、会社の管理職になるよりも、医者の方が長く確実に使える資格であり、子供を育てながら働くのに適していると判断されたからでもあります。


■ 「一般医」資格取得方法の見直し

また、もう一つ女性の進出に大きく影響を与えた改革がありました。1982年に行われた改革は、さらに女性が医師として働く場を大きく広げたのです。その改革は、医学部での「一般医」の資格取得方法の見直し、及び「病院医」と「専門医」が二つに分かれていたものを、一つに編成し直したものです。

この頃は、「一般医」と「病院医」はとても男性が多い傾向にあり、反対に「専門医」は女性が多い傾向にあったため、同じ医師と言っても、男女が働く場に境界線のようなものが存在していたような形でした。しかし、改革後は一般医の試験がなくなり、あわせて病院医と専門医が同じ教育となったことで、男女の働く職場の境がなくなったのです。

この結果、女性医師の活躍する場が多様に広がり、男性を基準に作られていた職場も、女性も働きやすい環境やシステムに変えられるようになっていきます。一般医にしても、土日や深夜に出かけることがある職業であったのものを、何人かの一般医のグループで診療所を回すことで一人にかかる負荷を軽減させるなど経営形態を変えていき、女性向きの仕事に変えたり、フルタイムで働く代わりに女性は80%で働くシステムを採用したりすることで、子育て時間の確立と仕事を両立することを可能にしたのです。

そして、現在では、医者と言う職業は、すっかり女性に適した職業だと言われるようになり、さらに人気は高まりつつあるのです。


■ 女性医師は増加していくか?

これだけ高い女性の医学部の学生割合と、この何年かで多くの男性医師が退職をしていく状況の中、フランスでの女性医師の割合は男性を追い抜くことは間違いないと思われます。しかしながら、今年になって、もしかしたらその状況は長く続かないかもしない可能性がでてきました。

というのも、医師が多かった時代の60代以上の世代の医師が次々と退職し始めた結果、現在フランスでは医師不足に悩まされることとなり、マクロン政権は医学生の定員制限を撤廃するなどの改革を行い、医師を増やしていくことを発表したのです。

この改革が行われれば、決められた人数だけが医学を学べるのではなく、ある一定のレベルに到達していれば医学を学べるという、より自然な選抜が実施されることになります。また、他の分野にも行ける道を増やし、もし医師の試験に受からない場合でも容易に他の分野に進めるようになるとしています。

そうなると気になるのは男子学生の動向です。現在はすっかり女性が多い職場になったフランスの医学界ですが、学生の定員制限が撤廃され、失敗したとしても他の道にも行きやすいとなれば、もともと実力のある男子学生がまた医学の道を志すようになる可能性もでてくるのではないでしょうか。

実際どうなるかは蓋を開けてみなければわかりませんし、結果を知るのはまだまだ先の話になりますが、12年~15年後には男性医師が増大する可能性が大いに出てきたということです。しかし、いずれにしても、すでに作られた女性が働きやすい環境がこれからも持続する限りは、女性からの人気も衰えることがないことは間違いないでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637274
「医学部の地域枠、一般枠と峻別を」、自民議連が決議
文科・厚労両省に提出、地域枠の一般枠への振り替えを問題視
 
2018年10月24日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 自民の衆参両院の国会議員約180人で組織する「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」(会長:河村建夫・衆院議員)は10月24日の総会で、大学医学部入試において、地域枠は「別枠方式」、つまりそれ以外の入試枠と峻別して募集を行い、必要な地域枠学生の確保を確実にすることなど、3項目から成る医師偏在対策の決議文を採択した(文末を参照)。来週、柴山昌彦文科相、根本匠厚労相に提出予定。

 医学部の地域枠の定員は、2008年度の医学部定員増に伴い、増加してきた。医師偏在対策が目的だが、決議文では「地域枠による臨時定員増と称しながら、一部の大学において地域枠が充足されていない上、その不足分を一般枠等に用いてきたという実態が明らかになった」と問題視している。

 地域枠には、入試段階から別に行う「別枠方式」と、入試は同じ枠で行い、入学前後に地域枠希望者を募る「手挙げ方式」に大別できる。厚生労働省が都道府県に対して、この9月から10月にかけて実施した調査では、「別枠方式」は、募集数の91%に奨学金貸与実績(確保率)があり、義務年限(卒後9年相当)の推定履行率は95%(2008年度以降の医学部の臨時定員増関連)。一方、「手挙げ方式」の確保率は79%にとどまり、推定履行率も86%。決議文で、「別枠方式」を求めているのはこのためだ。同日開かれた厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会でも、都道府県知事は大学に対して、「別枠方式」の地域枠を要請することで意見の一致を見ている。

 議連後、事務局長を務める自見はなこ・参院議員は、「地域枠に関する実態が明らかになるのは今回が初めて」と断った上で、「地域枠卒の医師は、地域医療に従事していると思っていたが、手挙げ方式では思ったほど高くはなかった」と語った。地域枠として定員増が認められた部分を一般枠に振り替えることは「不誠実」であり、定員が埋まらなかった場合にはその分を返上すべきだと指摘。「文科省には、突っ込んだ対応をしてもらうことが必要」(自見氏)。

 議連では、宮下一郎・衆院議員は「地域枠として上乗せした分なので、希望者がなかったからといって、定数はそのまま(一般枠への振り替え)とするのは、焼け太り」と指摘し、別枠方式を求めた。一方で、「まず入学させて、その中から地域枠の学生を選ぶ方が、公平性が担保されるのではないか。医学部6年間でいろいろ考えも変わってくる」(三ツ林裕巳・衆院議員)といった意見もあったが、決議文は了承された。

 古川俊治・参院議員は、2021年度までは現行の医学部定員がほぼ維持される見通しであることから、「早く減らさないと大変」と指摘し、地域枠とそれ以外をどんな割合で減らすべきかを議論する必要性を強調(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。厚労省医政局長の吉田学氏は、地域枠の現状などを踏まえて、検討していく方針を示した。

 冨岡勉・衆院議員は、「長崎県では、医師が余っている現状がある」と指摘し、医師不足や医師偏在の現状認識を質した。厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「将来的には医師が過剰になっていくのは明らかだが、地域や診療科の偏在があるのは確かなので、偏在問題については引き続き是正をしていくことを考えている」と回答した。

「地域枠に関する入試のあり方について」
一、 文部科学省及び厚生労働省は、地域枠の充足や定着の状況について、引き続き精査をし、個別都道府県及び大学ごとの状況を早急に明らかにすること。

一、 臨時定員の要件である地域枠については、地域枠以外の入学枠と峻別した上で学生の募集を行うことにより、必要な地域枠学生の確保が確実になされるよう、文部科学省は大学に対して指導を行うとともに、厚生労働省は、各都道府県において今後の地域枠の需要を明らかにし、必要な地域枠が確実に設置されるよう、当道府県に対し指導及び支援を行うこと。

一、 これらは医学部医学科の入試に関わることであることから、地域医療に従事したい学生に対して公平な選択の機会が与えられるよう、現在入試の公平・公正なあり方について議論されている全国医学部長病院長会議・大学医学部入学試験制度検討小委員会においても、地域枠についての整理も行うこと。



https://resemom.jp/article/2018/10/25/47379.html
医学部の地域枠、2,594人定員割れ…厚労省調査 
リセマム 2018.10.25 Thu 13:15

 地域の医師不足解消を目的とした医学部の地域枠は、2008年度から2018年の11年間の合計募集数1万835人のうち、2,594人分が埋まらず定員割れしていたことが、厚生労働省の調査結果より明らかになった。

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地域枠の履行状況

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地域の医師確保を目的とした都道府県地域枠

 地域の医師不足解消を目的とした医学部の地域枠は、2008年度から2018年の11年間の合計募集数1万835人のうち、2,594人分が埋まらず定員割れしていたことが、厚生労働省の調査結果より明らかになった。

 地域枠は、地域の医師確保を目的に、都道府県が大学医学部の学生に奨学金を貸与する制度。医師免許取得後、都道府県内の特定の地域や医療機関に貸与期間のおおむね1.5倍(9年間)の期間従事した場合、奨学金の返還が免除される。

 地域枠履行状況等調査は、各都道府県が奨学金を貸与する代わりに地域医療へ従事する「地域枠」の履行状況を調べたもの。調査対象は47都道府県、調査対象期間は2008年度から2018年度の11年間。

 地域枠学生の選抜方法は、一般枠と別枠の募集定員を設ける「別枠方式」と、一般枠などと共通で選抜し、事前または事後に地域枠学生を募集する「手挙げ方式」とに大別される。

 地域枠の履行状況は、11年間の合計募集数1万835人のうち、貸与実績は8,241人(76%)で、2,594人分が埋まらず定員割れした。方式別にみると、別枠方式は募集数5,956人、貸与実績5,290人(89%)、手挙げ方式は募集数4,879人、貸与実績2,951人(60%)だった。

 地域枠の離脱状況は、別枠方式では93%が義務履行すると推定されるのに対し、手挙げ方式だと82%しか義務履行されないと推定される。手挙げ方式は、地域枠の履行状況や離脱状況がよくないことから、厚生労働省の検討会では、都道府県や大学に対して「別枠方式」による地域枠を要請するとしている。
《工藤めぐみ》



https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018102400004.html
東京医科大学「性差別」入試から見えるもの
女性医師が増えて困ることは何もない
 
上野千鶴子 社会学者
2018年10月25日 朝日新聞

 東医大不正入試によって、ようやく医師の「働き方」が、問題視されてきた
拡大東京医大の不正入試によって、医師全体の「働き方」も問われるようになってきた

 医師が過重労働になるのは、人口当たりの病床数が多く、外来受診数が多く、保険診療点数が抑制されており、医師が不足しているからである、と日本の医療システムの構造的な原因を指摘するひともいる。個人的な問題の背後には構造的な問題が横たわっている。だが、その構造を厚生官僚と共に長期にわたるなれ合いのもとで維持してきたのは、医師会自身ではないのか。開業医と勤務医とのあいだには大きな格差がある、医師会は開業医主導だったというなら、それを放置してきたのは誰なのか。

 八つ当たりのように、医師の過重労働は国民健康保険制度のせいだという人すらいる。日本の医療は質が高く、相対的に安価で、病院のアクセスへのハードルが低い、だから病院へ患者が押し寄せる、と。だが5時間待ち3分診療の現実が、ほんとうに「質が高い」医療と言えるかどうかは疑問だし、何より病院へ好きで行くひとはいない。安価で民主的な国民皆保険は、日本の誇るべき財産だ。患者に診療抑制を求める前に、安易な診療行動を誘発したのは、これも誰なのか?

 診療の完全予約制を採用すれば、医療現場は医師にとっても患者にとっても劇的に改善するだろう。できないはずはない。歯科診療の多くはとっくにそうなっているのだから。予約がとりにくくなれば、自ずと診療行動は抑制される。今でもすでに専門病院の敷居は高くなっている。緊急性の判定は、家庭医が行えばよい。


つくられる医師不足

 医師が足りない、という。なら増やせばよい。だがそうすれば医療費が高騰する、という。「医師の賃金が現状のままならば」という前提なら、そうなる。医師の働き方改革を唱えるひとたちが、触れようとしないのは、医師の報酬問題だ。

 医師と並んで高給取りの専門職は弁護士だが、司法改革で弁護士業界は激変した。アメリカなみの司法サービス需要が増えると見込んで始まった司法改革によって司法試験合格者が増えたにもかかわらず、見通しを誤り、法曹市場は拡大しなかった。そのため、現在ではかえって司法試験合格者の引き締めに入った。法曹人口が増えても法曹市場が拡大しなければ、1人あたりの分配が減る。

 法曹養成のために導入した法科大学院は、合格率にばらつきが大きく、一部はすでに閉校に追い込まれた。苦労して合格した後にも、司法修習生は就職難に苦しむようになった。法曹のプロの平均所得は、これから低下するだろう。そうなれば弁護士は特権的な職業ではなくなる。弁護士がもうかる職業でなくなれば、経済動機ではなく、社会貢献動機で法曹を志す若者たちが参入してくれるだろう。これは弁護士に限らない。税理士、公認会計士など、士業一般のサービスの価格破壊は進行中である。(以後有料記事)



https://www.medwatch.jp/?p=23066
「成長なしコスト増時代」が到来、増収・増益戦略ない病院は生き残れない―GHCコンサルタントが警鐘 
2018年10月24日 | GHCをウォッチ MedWatch

 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC、ホームページはこちら)は10月20日、急性期病院の幹部向け講演会「GHCマネジャーが徹底解説!急性期病院経営、増収・増益セミナー―単価アップ・患者増の秘訣―」を開催しました。

 イントロダクションでGHCマネジャーの森本陽介は、「コンサルタントとして全国の病院の財務状況を俯瞰すると、コストが年々増加している一方で、収益がゼロ成長、マイナス成長という病院の事例が後を絶たない」と指摘。「こうした厳しい状況の中で、明確な増収・増益戦略がない急性期病院は生き残れない」と警鐘を鳴らしました。

ここがポイント!
1 5つの背景で厳しい環境を突破する3つの戦術
2 ハードとソフトに分け「改善できること」を推進
3 冷静なデータとウエットな関係の両輪が必要
4 聖域「職員の生産性」に踏み込む2つの切り口


5つの背景で厳しい環境を突破する3つの戦術

 本講演会は、「成長なしコスト増時代」には増収・増益の戦略が欠かせず、そのための具体的な戦術を提案。森本は、収益伸び悩みの背景として、▼市場規模の頭打ち・制度厳格化(顧客:Customer)▼競争環境の激化(競合:Competitor)▼医師等確保の難しさ・業務非効率(自院:Company)―のマーケティングにおける3Cが主因と指摘。費用増大の背景には、▼過剰投資(人・設備・IT)▼医療の高度化(薬剤・診療材料費率高騰)―の2点があると指摘しています。
 
 その上で、こうした環境下で増収・増益を実現するための戦術を、(1)医療の質向上と両立する「コスト削減」(2)急性期症例の「徹底的な集患」(3)院内マンパワーを最大限に活用する「生産性向上」―の3つに整理。それぞれを、多数の改善事例を支援してきたGHCコンサルタントが解説しました。

ハードとソフトに分け「改善できること」を推進

 (1)医療の質向上と両立する「コスト削減」については、マネジャーの冨吉則行が「診療部を巻き込んだコスト削減の手法(パスによる薬剤適正化、コスト削減)」について解説しました。
 
 診療部を巻き込んだコスト削減手法は、他病院の診療情報と比較するベンチマーク分析を用いて、在院日数の短縮や材料コストの最適化などを進めていく活動です。これについて冨吉は、ハード面(どこで)とソフト面(どのように)の大きく2つに分けて解説。例えば、ベンチマーク分析の結果に課題があれば、自院の入院医療の状況をチェックする機関としても機能するDPC委員会が、課題への対応を協議するのに最も適した場となります。その際、医事課職員などが同委員会に参画していれば、「医事課の一職員の意見にとどまらず、DPC委員会を代表した意見になる」(冨吉)ため、現場の医師たちも無視しづらくなります。こうしたハード面を意識することは、診療部を巻き込んだ活動をするには欠かせません。
 
ソフト面で重要となるのはパスの見直しなどです。DPC制度下では、「経営的にマイナス」のインパクトとなる要素は、(1)在院日数が長すぎる(1入院での複数疾患、合併症、過剰な検査や画像)、(2)在院日数が短すぎる(化学療法など)、(3)標準化できる疾病で診療にバラつきがある(パスが浸透していない)、(4)診断を要するまでに時間がかかる(救急患者の検査や画像など)、(5)DPCコーディングが間違っている(病名の選択、処置1と2漏れなど)――に集約できます。ただし、これらの課題には、(a)標準化、パス推進(エビデンスやベンチマークなどで)、(b)診療ガイドライン遵守、(c)適切なDPCコーディング―などの明確な改善策を明示することができるのです。これらは「改善すべきであり、改善が可能なこと」ゆえ、理解さえしてもらえれば、医師の関与と協力を格段に得やすくなります。自院の状況を再確認してみてください。

冷静なデータとウエットな関係の両輪が必要

 (2)急性期症例の「徹底的な集患」については、シニアマネジャーの塚越篤子が「患者増に直結する戦略的地域連携」について詳説しました。
 
「医療連携を実践するための8つのステップ」のテーマを軸にし、大きく▼データ分析▼ウエットな関係強化▼紹介先と患者を直接結び付けられる関係強化―の3つを重点項目として解説しました。
 
 まず欠かせないのが、勘や経験、度胸に頼らない「データ分析による診療内容の可視化」です。例えば、疾患ごとに入院患者がどの医療機関から紹介されているのか、その患者は手術あり症例なのか、などを可視化した上で、どの医療機関との連携を強化すべきかを判断します。その上で、手紙やメールだけではなく、電話や対面で直接、連携先の医療機関の医師と自病院の医師が話し合える関係を構築できれば、信頼を得て次につながるきっかけにもなりえます。これは逆紹介においても同じで、こうした「ウエットな関係」を下地に、逆紹介する患者と紹介先が電話で直接話をする場などをセットできれば、その患者が紹介先医療機関へ確実に訪れる可能性も高まります。
 これらを踏まえつつ、実践的な医療連携を推進するための8つのステップを解説していきました。中でも塚越は院内の「つまり」の解消が重要であると強調。「つまり」とは、在院日数の長期化などでベッドが埋まってしまい、新患を受け入れられないような状況を指します。経皮的冠動脈形成術(PCI)の症例が年間84件だったところ、データを可視化した上で在院日数の短縮などに取り組んだところ、症例数が182件に倍増した事例に触れて、地域連携と言えども「課題は院外だけではなく、むしろ院内にあることの方が多い」と塚越は強調しています。

聖域「職員の生産性」に踏み込む2つの切り口

 (3)院内マンパワーを最大限に活用する「生産性向上」については、シニアマネジャーの湯原淳平が「生産性の向上による収支改善」を詳しく紹介しています。
 
 生産性は、「アウトプットを高めながら、コストを下げる」ことで向上します。つまり病院経営において、生産性を向上させるには、職員1人当たり収益を増やしながら、患者1人当たりのコスト減らすことが必要となるのです。
 
 職員1人当たりの収益は、人手不足で悩む病院経営者が多い中、踏み込みづらい領域とも言えます。ただし、医師1人が1日に何人の患者を診療しているのか、薬剤師1人が何件の薬剤管理指導料を算定しているのかなどをベンチマーク分析すると、明確に他病院と比較することができます。比較の結果、平均から大きく下回っている場合には、「現場がいくら多忙にみえても、さまざまな視点で業務を見直していくことで、改善点が浮かび上がってくる」と湯原は指摘します。こうして患者数を増やし、ケースミックスを重くしたり、加算など出来高収益を増やすことで、職員1人当たりの収益増につながっていきます。

 他方、患者1人当たりコストを削減するためには、医師や看護師など人件費の高い職種の業務を軸に「業務移譲」(タスク・シフティング)することが欠かせません。また、仕組みによってコストを削減する手法も重要で、その代表的な例が、外来時点から患者の入退院を支援する「Patient Flow Management」(PFM)の導入です(関連記事『外来から患者の入退院を支援するPatient Flow Management(PFM)が急性期病院の将来を救う』)。

 PFMは、入退院支援センターを設置するなどし、在院日数の短縮や入院時の検査の外来化など「入院医療の最適化」を目指す手法です。外来時から予定入院患者に介入することで、直前の手術中止などの無駄を最小化することにもつながり、医療の質向上にも貢献します。こうした業務移譲や業務最適化を目指した仕組み化による人件費削減のほか、薬剤や医療材料コストの削減など、コスト削減の切り口は一つではありません。

 湯原は、こうした一連の生産性向上の流れを説明した上で、本セミナーの増収・増益戦略の重要性を改めて強調するため、近代看護教育の母であるフローレンス・ナイチンゲールの言葉を引用し、「あなた方は進歩し続けない限りは退歩していることになるのです。目的を高く掲げなさい」として、講演を締めくくりました。

 講演会では、高度急性期病院の4割が導入(DPC特定病院群を経験した病院と定義して算出)する「病院ダッシュボードχ(カイ)」の体験コーナーを設置。多数の人たちが訪れました。病院ダッシュボードχは近く、塚越の集患をテーマにした講演と大きく関係する新機能「地域連携」をリリース予定です。詳細については追ってご案内しますので、是非、ご検討ください。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637826
シリーズ 地域医療構想
地域医療構想調整会議、「多数決で採決」はNG
厚労省WG、「役割変更なしの民間病院」は議論の対象外
 
レポート 2018年10月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第16回会議が10月26日開催され、地域医療構想調整会議について、「多数決」による採決ではなく、全会一致で進める方針が確認された。「担うべき役割」を大きく変更する以外の民間病院も調整会議に諮るが、「議論」ではなく、役割の「確認」にとどまるなど、調整会議の進め方について幾つかの認識合わせが行われた(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、「進行を早めることに重きを置いて、多数決を採用している県もあるようだが、それはない。調整会議は自主的に医療機能を収れんさせることを目的としており、こうしたことが出ると、ゆがんだ形になる」と指摘。

 日本医師会副会長の中川俊男氏も、「調整会議の性質上、全会一致で合意しなければ、『合意できなかった』という結論。例えば、ある公立病院が方針を出し、合意をできなかったら、それを返すことになる。自主的に医療機能を収れんさせることが調整会議の目的なので、多数決は問題」と続いた。

 厚労省医政局地域医療計画課は、調整会議の趣旨にそって、適切な運用を都道府県に求めていくと説明。伊藤氏は、「合意をしないという考え方があることを伝えてもらいたい」と念を押した。

 その他、調整会議の進め方として、「地域医療構想の定量的な分析に当たっては、各都道府県の実態を把握した形で進めるべき。また病床機能報告と診療報酬とのリンクを危惧し、調整会議で議論が進まないことがあるので、リンクはないという指導をしてもらいたい」(伊藤氏)、「定量的な分析はあくまで例であり、必ず実施しなければならないわけではない。誤解のないようにしてもらいたい。定量的という言葉を安易に使わないでもらいたい」(中川氏)など、「自主的な収れん」で地域医療構想の実現を目指すべきとの意見が相次いだ。


 公立・公的と民間の扱い異なる

 地域医療構想の実現に向け、現在、各地域で調整会議が開催されている。その際、(1)公立病院、公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、2017年度中に協議、(2)その他の医療機関のうち、担うべき役割を大きく変更する病院などは、今後の事業計画を策定し、速やかに協議、(3)上記以外の医療機関は、遅くとも2018度末までに協議――が求められている。

 (1)については、協議を終えて「合意済み」が、公立病院は39%にとどまり、公的病院等はやや多いが52%(いずれも病床数ベース)。

 全日本病院協会副会長の織田正道氏は、(3)について、「役割を大きく変更する病院以外も、対象になるのか」と質問。厚労省医政局地域医療計画課は、「(調整会議で)病院の中身について一度、議論してもらうということ」と回答。

 これに対し、中川氏は、「議論というと、『A病院はどうするのか』といった話になる。県によっては、(状況を把握するために)あせってアンケートをやっているところもある」と指摘。「変更なく今の病床機能をやっていくことを確認」することが、「協議」に当たるとの解釈を示し、厚労省医政局地域医療計画課は中川氏の意見を支持した。


 中川氏「自由診療の病院増床、けん制」

 2019年4月から施行される改正医療法では、地域医療構想の達成を図るために、都道府県知事の権限が強化される。「既存病床数が基準病床数を下回るような地域であっても、許可病床数が既に将来の病床の必要量に達している場合には、必要な手続を経た上で、都道府県知事が許可を与えないこと(民間医療機関の場合には勧告)ができる」権限が加わった。

 尾形座長が、「これはあくまでも都道府県知事の権限。民間病院に対しては、勧告にとどまるので、追加的な整備(増床)ができないわけではないとの解釈か」と確認。厚労省医政局地域医療計画課は、保険医療機関の指定をしないといった対応は可能なものの、増床も可能とした。

 これを受け、中川氏は、本ワーキンググループの議論の範囲をやや超えると断りつつ、「全国で自由診療はどのくらい実施されているのか、その医療費はどのくらいなのかを、構想区域ごとに実態把握をしてもらいたい。最近、自由診療として、病床を作る動きがあるので、ぜひ関連部署と早急に考えてもらいたい」と要望した。伊藤氏は自由診療の病床の扱いを確認。厚労省医政局地域医療計画課は、地域医療構想の4機能のいずれに該当するかなどは、調整会議の議題になるとした。


 介護医療院への転換、2017年報告では低調

 26日の会議では、地域医療構想が定める4つの医療機能のうち、「慢性期機能を有する病床の機能分化・連携」についても議論した。2017年度病床機能報告では、約35万床の慢性期病棟のうち、「6年後」に介護保険施設等へ転換予定とした病床の詳細は、「介護医療院」約1万6000床、「介護老人保健施設」約1100床、「その他の介護サービス」約500床という内訳。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏は、介護医療院への移行数が少ないことを指摘。市町村が策定する介護保険事業計画に介護医療院が位置付けられていないことが、その理由として挙げた。第7期の同計画は2018年度から3カ年のため、次の計画策定まで3年待たなければいけない。「移行したくても、移れない状況は非常に問題。対策を取ってもらいたい」と求めた。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、医療療養型から介護医療院への転換は介護保険事業計画の整備数の枠外になるという通知を発出していると説明。一方で一般病床からの介護医療院への転換は、事業計画の対象となるので、次の第8期の計画で検討することになるとした。また2017年病床機能報告は、2018年度介護報酬改定で、介護医療院の報酬が決まる前だったことから、2018年の病床機能報告の分析を進めるほか、転換事例を先行事例として分析し、対策を立てていくとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/636706
シリーズ 真価問われる専門医改革
「厚労相の16の意見・要請」に回答・了承得る、日本専門医機構
東京の専攻医採用数の上限、今後2カ年は削減せず
 
2018年10月22日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は10月22日の記者会見で、同日12時から2019年度専門研修開始の専攻医の登録を開始したことを公表した。それに先立つ10月19日の理事会では、厚労相からの新専門医制度に対する意見・要請について議論、回答し、了承を得たという。1次登録は10月22日から11月21日まで(詳細は、『2019年度専門研修、専攻医登録は10月22日から』を参照。資料は同機構のホームページ)。

 厚労相からは16の意見・要望があり、情報提供の徹底のほか、シーリング(5都府県、14の基本領域の専攻医採用数の上限)体制、研修プログラム制と研修カリキュラム制の在り方、事務局体制の強化などについて回答した。

 理事会で最も議論になったのは、シーリング体制。5都府県のうち、東京都については、今年度のシーリングが昨年度から5%削減された。寺本理事長は、「機構として危惧しているところがある。5%減として理解してもらったが、東京都からも要請は来ており、これ以上の削減は厳しいという印象を持っている。2019年度と2020年度に行う専攻医登録の際のシーリングについては、現状を維持することを、厚労省に理解してもらっている」と説明。シーリングとして設定している数は適切なのか、シーリングが有効なのかを今後、専攻医のデータベースを使うなどして検証していく方針。

 「シーリングを遵守していなかった」とされる領域・地域がある点については、研修カリキュラム制を選んだ専攻医数を的確に把握できていなかったことが要因として考えられることから、2018年度の専攻医登録からは、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれを選択したか、またシーリングの在り方と関係する地域枠の出身者であることが分かる形で行う。

 研修プログラム制については、専門医制度新整備指針の中で、連携施設でも「3カ月以上の研修」としているが、3カ月未満のケースがあることが指摘されている。寺本理事長は、「ある程度、柔軟な対応をするとしている」と断った上で、多くの事例が出てきた場合は事情を聴取した上で対応する方針。一方、研修カリキュラム制については、十分に理解されていない、あるいは採用していない基本領域もあることが問題視されている。「学会によって、研修カリキュラム制の捉え方が違うので、カリキュラム制の要件を整備する」と寺本理事長は語る。

 事務局体制の問題については、今年度中に、現在は不在の事務局長を採用するとともに、事務職員も増員する方針。「理事会では、ある一定の期限を決めて事務局体制を整備してもらいたい、という意見があった。この点についてもしっかりと対応していきたい。それ故(事務局体制が弱い故)に情報提供の徹底ができず、いろいろなところからの要望に対する対応も十分ではなかった」(寺本理事長)。

 事務局体制関連では、日本専門医機構の情報漏洩も問題になっており、第三者委員会で検証を進める。9月25日に委員が最初の顔合わせを行い、その場で今後の方針などを議論したという。「年内に報告してもらいたいと考えている」(寺本理事長)。

 さらにサブスペシャルティについては、サブスペシャルティ領域検討委員会で議論を進めている。今年内に基準を決め、今年度内には、研修プログラムの認定を行い、来年4月から募集を開始するスケジュールを想定している。

 新専門医制度については、今年の通常国会で成立した改正医師法・医療法に伴い、地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合などは、厚労相が「必要な措置」の実施を要請できる仕組みが創設された。10月15日の厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会でその内容を決定、日本専門医機構に通知され、同機構はその回答を求められていた(『厚労省、専門医機構に16の意見・要請を通知へ、基本領域学会にも』を参照)。


 「補助金の不正利用」は否定

 日本専門医機構は10月12日、ホームページ上で「補助金の取り扱いについて」との情報を掲載した。「この度、本機構が厚生労働省から受領致しました『補助金』につきまして、一部雑誌に誤った情報が掲載されましたが、下記のとおり、交付確定額と振込額(送金額)の相違はありませんのでお知らせいたします」との説明だ。

 問題視しているのは、9月28日付の業界紙(FAX)と10月1日発行の月刊誌の記事。日本専門医機構副理事長の今村聡氏は、「機構が、厚労省の補助金を不正に利用しているのではないか、という指摘がされた。機構に対する信頼性を失いかねず、誤解を招くことから、訂正記事を出した」と説明。厚労省から同機構に対しては、データベース構築費用として補助金が出ている。今村副理事長は、次のように補足した。「対象となる事業の2分の1の補助を受けている。例えば、4800万円の交付額が決定しても、実施した事業の額が少なく、補助額が4500万円になった場合は、確定額は4500万円となる。交付額と決定額の差は補助されないだけだが、機構に振り込まれた額と交付決定額との間に差額があるので、誤解を招いたのだろう。私は、財務担当の副理事長として責任を持っている。責任ある立場に確認してもらえば、こうした誤った認識にはならなかっただろう」。



https://www.medwatch.jp/?p=23034
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会 
2018年10月23日|2020年度診療報酬改定 MedWatch



 2018年度の診療報酬改定で再編・統合された【急性期一般入院基本料】や【地域包括ケア病棟入院料等】【回復期リハビリテーション病棟入院料】【療養病棟入院基本料】により、医療現場にはどのような影響が出ているのか―。

 10月17日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういった点を把握するための調査票が概ね固められました(関連記事はこちら)。親組織である中央社会保険医療協議会の了承を待って、近く調査が開始されます。
 
ここがポイント!
1 入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の調査・議論がベース
2 「医師の指示の見直しの頻度」は、患者の状態とは相関しない


入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の調査・議論がベース

 2018年度の診療報酬改定では、さまざまな見直しが行われました。とくに、入院料については、「看護配置などに基づく基本部分」と「重症患者の受け入れ状況などに基づく実績評価部分」を組み合わせた評価体系に再編・統合するなど歴史的な大改定と言えます。

 また、急性期病棟における「重症患者」を評価するための「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)についても、▼基準の見直し(認知機能を低下した患者の評価)▼DPCのEF統合ファイルに基づく評価(看護必要度II)の導入—など、大きな見直しが行われています。

 こうした入院医療に関する診療報酬の見直しに関しては、中医協病棟で議論を行う前に、入院医療分科会で詳細な調査を行い、技術的な課題の整理等を行っていきます。例えば、上述の看護必要度IIについては、「看護必要度評価票に基づく評価結果」と「EF統合ファイルを用いた評価結果」の突合などを行い、実現可能性を慎重に検討していました。

 このように、入院医療に関する診療報酬改定について、入院医療分科会の議論は極めて重いものとなっており、2020年度以降の次期診療報酬改定でも、同様の構図になると考えられます。

 10月17日に開催された入院医療分科会では、2018年度改定によって医療現場にどのような影響が出ているのかを把握するために、次の4項目に関する調査(2018年度調査)の調査票が概ね固められました(関連記事はこちら)。

(1)急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系の見直しの影響(その1)
(2)地域包括ケア病棟入院料および回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系の見直しの影響
(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その1)
(4)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態

 
 調査内容は多岐にわたりますが、例えば(1)のうち【急性期一般入院基本料】(従前の7対1・10対1一般入院料→新たに7種類の【急性期一般入院料】に再編)を眺めてみると、▼各病棟の届け出内容(急性期一般入院料1-7のいずれか、など)とベッド数、入院患者数▼過去3か月間における新入棟患者数・新退棟患者数と在院患者延日数▼看護必要度の種別(I、IIのいずれか)と選択の理由▼過去3か月間における重症患者割合▼過去3か月間における在宅復帰・病床機能連携率▼改定前後における病床利用率の変化▼夜間の看護体制、看護補助体制▼他病棟への転換意向とその理由▼入退院支援の状況(体制や加算の算定状況、入退院支援が困難なケースなど)▼患者の要介護状態や介護保険の活用状況―などを詳しく調べることになります。

 とくにメディ・ウォッチが注目したのは、「7対1一般病棟入院基本料→急性期一般入院料1」という届け出をした病院に対し、「急性期一般入院料1を届け出ている理由」を聞いている点です。

 2018年度改定では、いわば「旧7対1と旧10対1の中間に位置する、【急性期一般入院料2】【急性期一般入院料3】」の新設が行われました。7対1からの転換を促すための措置であり、例えば「看護配置を8対1や9対1として、急性期一般入院料2や3に転換する」という選択をした場合、旧7対1相当の【急性期一般入院料1】よりも利益率が向上します。地域での看護職員確保が困難さを増す中では、急性期一般入院料1(旧7対1)への固執は病院運営上、厳しさを増していくため、急性期一般入院料2・3は「極めて魅力的な選択肢」となります。

 この点、厚生労働省は、▼7対1看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)▼他に転換すると、地域の連携先医療機関からの要請に応えられない▼施設基準を満たしており、転換の必要性がない▼転換した場合、余剰人員が発生してしまう▼収益を上げやすい▼転換した場合、職員のモチベーションが低下する▼転換した場合、職員負担の増加が懸念される―といった選択肢を用意し、【急性期一般入院料2や3】に転換しない理由を探る考えです。


「医師の指示の見直しの頻度」は、患者の状態とは相関しない

 また、入院患者の状態については▼疾患▼入院時のADL▼認知機能▼栄養状態▼褥瘡▼医療提供▼手術▼リハビリ▼ケアマネジャーの有無▼今後の見通し―などを調べます。

 このうち「医療提供」については、前回改定より「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」や「医師の指示の見直しの頻度」が調べられていますが、入院医療分科会委員からは「指示の見直しの頻度は、診察の頻度に包含される。調査する必要はない」との指摘が相次ぎました。
 
 この点については、過去に次のような変遷がありました。

▽2014年度・16年度改定に向けた調査:「医師の指示の見直しの頻度」を調べた
  ↓
改定論議の中で、「『指示の見直しの頻度が低い患者』=『状態が安定している患者』との誤解を生む。診察の結果、現在の指示を見直す必要はないと判断し、結果、指示の見直しの頻度が低くなるケースは往々にしてある」との指摘
  ↓
▽2018年度改定に向けた調査:「医師の指示の見直しの頻度」に加え、「医師による診察の頻度」を調べた(関連記事はこちら)

 さらに、今般の調査に関しては、神野正博委員(全日本病院協会副会長)や石川広己委員(日本医師会常任理事)らから、上記のような指摘があり、おり、「医師による診察の頻度」に包含して調査されることになったものです。この点、10月19日の日本病院団体協議会・代表者会議でも「指示の見直しの頻度は、決して患者の状態とは相関しない」ことが再確認されています。

 
調査結果は来年(2019年)6月頃から順次公開される見込みですが、その際の議論に注目が集まります。

 
 なお、入院医療分科会の調査では「回答率が低い」(3割程度のときもある)ことが問題視されており、委員からは「病院団体に早期から調査協力を依頼するべき」「調査項目を精査して負担軽減を図るべき」といった声が出ています。入院医療の診療報酬見直しに向けて、非常に重要な調査であり、多くの病院の協力に期待が集まります。



https://www.medwatch.jp/?p=23090
2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ 
2018年10月24日|医療保険制度 MedWatch

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2018年)6月時点で76.3%となり、前月から0.3ポイント上昇した。都道府県別に見ると沖縄県・鹿児島県・岩手県の3自治体で、政府の第2目標「80%以上」をクリアし、第1目標「70%以上」を達成できていないのは徳島県のみ(67.3%)となった―。

 こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が10月24日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)1月に後発品割合80%をクリア
2 80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手、70%未達は徳島のみ


直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)1月に後発品割合80%をクリア

 高齢化の進展や医療技術の高度化などによって医療費が増加する一方で、現役世代が減少していくため、公的医療保険制度の基盤が脆弱になってきています。公的医療保険制度が崩壊、つまり「誰でも保険証1枚あれば低額の自己負担で医療を受けられる」仕組みがなくなれば、医療へのアクセスが大きく阻害され、我が国の健康水準は大きく低下してしまいます。

 そこで、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(適正化)が非常に重要なテーマとなってきています。例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化▼後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼健康寿命の延伸―などさまざまな角度から取り組みが進められています。

 このうち後発品については、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定するとともに、診療報酬・調剤報酬において各種加算の設定や充実などを行うなど、使用促進策が講じられています。

 「協会けんぽ」の運営主体である全国健康保険協会でも、従前から積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば、医療機関を受診し医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、あなたの自己負担額は○○円軽減されます」といった通知の発出や、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。10月24日には、今年(2018年)6月の後発品使用割合が公表されました(前月(2018年5月)の状況はこちら)。

 まず全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)は、前月(2018年5月)から0.3ポイント上昇し、数量ベースで76.3%となりました。
 
 第2目標「80%以上」との間には、3.7ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年7月から2018年6月)では、単純計算で「1か月当たり0.56ポイント」のペースで後発品割合が上昇しています。仮に、このペースが継続すると仮定すれば、計算上は来年(2019年)1月に第2目標「80%」をクリアできることになります。ただし、昨年(2017年)1年間のように「後発品の使用が思うように進まない」状況に陥る可能性も決して否定できず、今後の動向を注視していく必要があります。


80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手、70%未達は徳島のみ

 後発品割合は協会けんぽ全体では着実に上昇していますが、都道府県別に見ると、まだまだ大きなバラツキがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で86.3%(前月から0.4ポイント上昇)、次いで鹿児島県の82.3%(同0.1ポイント上昇)、岩手県の82.2%(同0.2ポイント上昇)で高くなっています。第2目標「80%以上」をクリアしているのは3自治体のままです(2018年3月から3自治体)。

 逆に、最も低いのは徳島県で67.3%(同0.1ポイント上昇)で、第1目標「70%以上」すらクリアできていない自治体は、ついに徳島県のみとなりました(山梨県は前月から0.5ポイント上昇し70.4%となった)。
 
 最高の沖縄県と最低の徳島県との間には、19.0ポイントの差があり、格差は広がってきています。医療費の膨張は、前述のように「医療保険制度の崩壊」をも引き起こす可能性があり、徳島県における一層の努力に注目が集まります。今年度(2018年度)からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されることから、「医療費適正化」はまさに「我が事」となります。先進県(沖縄県や鹿児島県、岩手県)の取り組みも参考に、後発品の使用促進に取り組むことが期待されます。



https://www.m3.com/news/general/637865
望まぬ受験生排除…根深い不正、あらゆる場面で 
2018年10月27日 (土) 読売新聞

 東京医科大が23日に公表した第三者委員会(委員長・那須弘平弁護士)の中間報告は、同大にはびこる不正入試の根深さを改めて浮かび上がらせた。受験生に対する差別は、性別や浪人回数にとどまらず出身校にも及び、特定の受験生を合格させる「個別調整」は一般、推薦入試を問わず、あらゆる場面で行われていた。同大は来週にも、不正によって不合格となった受験生の救済策を決める見通しだ。

 「自分たちが望まない受験生を内々に排除しようとしている」。医学部進学予備校「エースアカデミー」の高梨裕介代表はそう話す。

 同大は2006年から一般入試や大学入試センター試験利用の2次試験で小論文の得点を操作し、女子と浪人回数の多い男子を不利に扱ってきた。中間報告によると、今年と昨年は、合格ラインに達していたのに得点操作で不合格となった受験生が、女子55人と浪人回数の多い男子14人の計69人に上った。



  1. 2018/10/28(日) 09:30:31|
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10月7日 

https://www.medwatch.jp/?p=22737
消費税問題、税率が20%、30%に上がることも踏まえ「抜本的な対応」も検討すべき―日病・相澤会長 
2018年10月3日|医療保険制度 MedWatch

 医療に係る消費税問題について、病院経営が逼迫している点を踏まえて、当面は三師会(日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)の提言に沿って「特別の診療報酬プラス改定を維持した上で、個別医療機関の補填の過不足を調整する」ことで対応すべきだが、消費税率が今後20%、30%と上がっていくことも見据え「抜本的な対応」についても協議していく必要がある―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は10月2日の定例記者会見で、このような考えを述べました。
 
ここがポイント!
1 当面は、病院経営の厳しさ踏まえて三師会・四病協の提言に沿った対応が必要
2 医師の働き方改革、安易に結論を急がず、慎重な検討が必要

当面は、病院経営の厳しさ踏まえて三師会・四病協の提言に沿った対応が必要

 保険医療については「消費税は非課税」であることから、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担しています(いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれる)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担が大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度および2014年度)。
 
しかし、診療報酬の算定状況は個々の医療機関等で区々であることから、個別医療機関の消費税負担を過不足なく調整することは極めて困難です。2014年度の消費税対応改定の結果分析でも、▼病院全体の補填状況は85.0%にとどまる(2016年度)▼特定機能病院に至っては61.7%の補填しかなされていない(同)—ことが明らかになっています(関連記事はこちらとこちら)。

来年(2019年)10月には「8%から10%への消費税率引き上げ」が予定されており、この状況を放置すれば、ますます「病院経営の逼迫」「補填のバラつき」が進む恐れがあります。そこで三師会と四病協では、こうした問題を解消するために、次のような仕組みを新たに創設することを提言。厚生労働省も来年度(2019年度)の税制改正に向けて同様の要望を行っています(関連記事はこちらとこちら)。

(1)特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填方法を維持する

(2)その上で、個別の医療機関ごとに、▼診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額▼控除対象外消費税の負担額(医薬品・特定保険医療材料を除く)—を比較し、医療機関の申告に基づいて「個別の過不足」に対応する

 相澤会長は、昨今、病院経営状況が極めて厳しくなっている背景には、2014年度消費税対応改定による「補填不足・バラつき」が大きく影響しているとし、当面、「三師会・四病協提言に沿った対応をとるしかない」と強調しました。

 その一方で、消費税率が将来20%、30%と引き上げられていった場合、「診療報酬プラス改定の維持は難しくなる」とも見通し、「抜本的な対応」について改めて検討していくことが必要との考えも示しています。

 消費増税に対応するために診療報酬のプラス改定を行えば、それは患者負担・保険者負担にも跳ね返りますが、これは「消費税非課税」の趣旨と矛盾する側面もあります。このため、日病内部には「診療報酬プラス改定での対応には限界がある。別の手法を考えた方がよい」との指摘も強いと言います。相澤会長は、「『消費税率を大幅に引き上げる』となってから検討したのでは遅い」とし、国民も交えて、抜本的な検討を早急にしていくことの重要性を強調しています。

医師の働き方改革、安易に結論を急がず、慎重な検討が必要

 また「医師の働き方改革」について、厚労省の検討会(医師の働き方改革に関する検討会)では、これまでに▼宿日直許可基準を現在の医療実態を踏まえて見直す▼自己研鑽について「労働に近いもの」「純粋な自己研鑽に当たるもの」などに区分けしていく—方向が示されていますが、相澤会長は「ある程度の幅を持たせるべき」と指摘しています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 例えば、前者の宿日直許可基準に関しては、仮に「救急外来でどこまでの処置は業務に該当しない」「入院患者の急変について、どこまでの対応は業務に該当しない」などと厳密なラインを引いたとしても、医療現場では「救急外来にも夜間の患者急変時にも必要な対応を必ずとる」(「看護師に指示を出すのみ」などの対応はあり得ない)ため、そうしたラインは「極めて非現実的である」と相澤会長は指摘。

 また、業務の内容などは、医療機関等の立地条件(都市部で医療資源が豊富なのか、地方で医療資源が少ないのか、など)や病院の種類(急性期か慢性期か、など)に応じて大きく異なり、一律のラインを引くことは極めて難しいでしょう。さらに、例えば後者の自己研鑽については、さまざまな要素が複雑に絡み合っており、一律に●●は労働、●●は純粋な自己研鑽と言いきることは難しく、「安易にラインを引いた場合、医師の業務範囲が狭くなり、現場が回らなくなる(さらに医療の質も下がってしまう)」懸念もあると相澤会長は指摘します。

相澤会長は、医師の働き方改革には、このような難しい問題があり「安易に結論を急げば将来に禍根を残す」とし、慎重に議論していく必要性を訴えています。



https://www.medwatch.jp/?p=22797
「ここに行けば正しい医療情報が得られる」サイト構築等の検討を―厚労省・上手な医療のかかり方広める懇談会 
2018年10月5日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 患者・国民が「正しい医療の情報」を入手するためのサイトなどを構築することで、患者側も安心でき、不要・不急な医療機関受診などを減らし、医師の負担軽減が一定程度はかれるのではないか。ただし、「分かりやすく」「おしゃれなデザイン」であることが必要不可欠であり、国・医療機関・患者団体・マスメディアなどが協働していくことが求められる―。

 厚生労働省が10月5日に開催した「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」(以下、懇談会)の初会合で、構成員からこういった意見が多数出されました。
 
ここがポイント!
1 「医師の働き方改革」と同時に、国民に「適切な医療のかかり方」を広めることが必要
2 医療情報が氾濫する中で、「正しい情報」を入手できるサイト等の必要性高まる
3 まず#8000、#7119のPRを充実してはどうか

「医師の働き方改革」と同時に、国民に「適切な医療のかかり方」を広めることが必要

 医師の過重労働を減らし、医療の質の維持・向上を図り、医療安全を確保するために「医師の働き方改革」が求められています。その際、患者側が「上手に医療機関にかかる」ことが同時に求められます(関連記事はこちら)。
 
 「医師の時間外労働の上限を●時間までとする」「医師の業務の一部を他職種に移管する」などの制度的手当を行っても、患者・国民側が「医療機関が空いているので、夜間に受診しよう」などと考えていたのでは、医師が過重労働からは解放されないからです。

10月5日の懇談会では、こうした患者側の意識・行動変容をどう促していくか、と言う観点で自由討議が行われました。そこでは、「適切な医療情報提供」の必要性を指摘する声が数多くでています。

医療情報が氾濫する中で、「正しい情報」を入手できるサイト等の必要性高まる

医療に関する情報はネット上にあふれるほどあります。しかし、実態は玉石混交で「何が正しい情報なのか」「どこに知りたい情報が掲載されているのか」が極めて分かりにくくなっています。佐藤尚之構成員(ツナグ代表取締役)は、「震災の折に行政からは非常に重要な情報が発信されたが、検索しにくく、かつ表現が難しすぎた。そこで、コピーライターにわかりやすく翻訳してもらい、『助け合いジャパン』のサイトに載せるなどした」旨の経験を紹介。

また鈴木美穂構成員(マギーズ東京共同代表理事)も、「●●という疾病にはこういうタイプがあり、こういう治療法がある、などの情報を整理し、ワンストップで提供できるようなサイトが必要」と指摘。ただし、鈴木構成員は「おしゃれで、分かりやすい」サイトにしなければ国民側はアクセスしないとも述べています。

さらに医療提供者の代表として参画する城守国斗構成員(日本医師会常任理事)も、こうした意見に賛同し、「ここに行けば正しい医療情報が入手できる」というサイトを、行政・医療機関・国民が協働して構築すべきとコメントしました。

 
ところで、医療機関情報を網羅的に入手できるツールとして、各都道府県の「医療機能情報提供制度」(医療情報ネット)があり、ここの医療機関検索サイトでは、都道府県内の病院・診療所の詳細な情報(機能、設備、診療報酬の届け出状況など)を入手できます。まさに、構成員が提案する「正しい医療情報」サイトと言えるものです。しかし、当該サイトの認知度はあまりに低く、また厚労省や各都道府県のコーポレイトサイト(ホームページ)のトップページから当該サイトにたどり着くことは、そう容易ではありません。「情報の正しさ」「既存資源の活用」などを考えれば、「医療機能情報提供制度」(制度内の医療機関検索サイト)のリニューアルが現実的な選択肢となり、今後の予算確保などが期待されます。

もっとも、佐藤構成員は「SNSのコアユーザーは900万人程度と推計され、実は1億人あまりの日本国民は、それほど活用していない。インターネットの検索サイトも、地方ではあまり活用されていないというデータもある。ネットを過信してはいけない」とも指摘。また吉田昌史構成員(宮崎県延岡市健康福祉部地域医療対策室総括主任)は、「高齢者の中にはネットを使いこなせない人も少なくない。世代に応じた情報提供方法を検討する必要がある」とコメントしており、適切な医療情報の提供に当たって、「ネット情報は医療情報を提供する1つのツールに過ぎない」点をきちんと認識しておくことが重要です。

なお、いかに「おしゃれで」「わかりやすい」医療情報サイトを構築したとしても、その運用には多くの苦労が伴います。たしかに新サイト等の構築時には、関係者も熱心に参画します。しかし運用段階になると、その「熱」も冷め、一部の人のみが運用に携わりますが、限界もあり、「情報の更新などが疎かになる」→「利便性が下がる」→「利用者・閲覧者が減る」→「運用担当者のモチベーションが下がる」→「さらに情報更新が疎かになる」という負のスパイラルに陥りがちです。こうした点についても、事前に十分に検討しておくことが必要でしょう。

 さらに、いかに優れたサイトを構築・運用しても、「本当に見てほしい、知ってほしい無関心層」に情報を確実に届けることは非常に難しいのが実際です。こうした「情報提供の限界」も踏まえた議論が期待されます。

まず#8000、#7119のPRを充実してはどうか

 不要・不急の医療機関受診を適正化するために、国と各都道府県は「子ども医療電話相談事業(#8000)」と「救急相談センター(#7119)」を開設しています。例えば、夜間に子どもの具合が悪くなった際、「様子を見るべきか、医療機関を受診すべきか、救急車を要請すべきか」が一般人にはなかなか判断できず、「大事に至ってはいけない」と考え、救急搬送の要請等をしてしまいがちです。その際、まず#8000に電話することで、担当の小児科医・看護師から「どう対応すればよいか」の指示を得られるものです。

この仕組みについても認知度が低く、デーモン閣下構成員(アーティスト)は「厚労省から聞いて初めて知った。まず、この素晴らしい仕組みのPR・周知を行うべきではないか」との考えを述べています。
 
なお、「医師の負担軽減のために、患者にも上手な医療機関へのかかり方を考えてもらう」となれば、一部の患者や国民は「受診抑制をするのか」と誤解しがちです。この点、根本匠厚生労働大臣は「決して受診抑制を目指すものではない」と強調していますが、豊田郁子構成員(患者・家族と医療をつなぐ特定非営利活動法人架け橋理事)は、「都市部で医師不足ではない地域で、『医師の負担が過重』と伝えても患者や国民には理解されにくい。丁寧に説明していくことが必要」と訴えました。豊田構成員は「高齢者等ではインターネットを十分に活用できない人も少なくない。医療機関の多職種による患者支援を充実する必要がある」とも指摘しています。
 
懇談会では、月1回程度のペースで議論を深め、今年(2018年)12月頃に議論の経過などを「医師の働き方改革に関する検討会」に報告する予定です。その際、例えば都道府県の「医療機能情報制度における医療機関検索サイト」のリニューアル案などができていれば、そうした成果物を報告することなども考えられそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631952
労基署の介入、医療不信時の警察と同じ違和感 - 山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長に聞く◆Vol.2
働き方改革「医療の特殊性を踏まえて」
 
インタビュー 2018年10月5日 (金)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――改めて審議会の委員の活動についてお話をお伺いします。2017年度は国で29、医療団体なども含めると、95の委員会に参加していたとのことですね。
 患者会の方は、自分たちの疾患に対してプラスになる施策を得ることが目的だと思いますが、COMLは特定の疾患に対する団体ではないのでお声がけいただくことが多いのだと思います。

 そのような立場で、どのような働きをすべきかを試行錯誤してきましたが、一番大きな変わり目が2015年3月に群馬大学と東京女子医科大学が特定機能病院承認取り消しになったことを受けて設置された「大学病院等の医療安全に関するタスクフォース」です(『6月から集中立ち入り検査、特定機能病院』を参照)。

 3人の顧問のうちの1人として参加し、22病院の集中立ち入りに同行。厚労省や地方厚生局の職員も含めて誰よりも多く行ったのだそうです。その全てでリポートを作り、最終的には総合的なリポートを3枚にまとめて提出しました。2017年度から特定機能病院では医療安全監査委員会を設置することが求められるようになり、委員には「医療を受ける者その他の医療従事者以外の者」が外部から参加することが義務付けられました。私も8病院で委員を務めています。

――いわゆる団体選出の委員だと、その組織の事務方や調査担当とともに発言内容を検討することも多いと思います。山口さんもブレーンと相談したりするのでしょうか。
 定まったブレーンがいるわけではありませんが、さまざまな方から情報をいただきます。また、意識していろいろな立場の人の意見を聞くようにはしています。患者代表のような位置付けで呼ばれますが、これまでに2万件の相談を聞いてきたことが私の発言の基礎になっています。

 ただ、患者の声としても、いろいろな方が発言する方が健全だと思って、現在は発言する人を養成する取り組みもしています。それまであった「医療で活躍するボランティア養成講座」をリニューアルする形で、基礎コース「医療をささえる市民養成講座」を開催しています。基礎コースを修了した人を対象に「医療関係会議の一般委員養成講座」を昨年度から始めました。7回の講座で、最後に模擬検討会で合否判定をして、合格者の中から希望者を「COML委員バンク」に登録するようにしています。模擬検討会には厚労省の医系薬系技官の課長補佐レベルの方々が協力してくださっています。既に7人がバンクに登録されて、実際に委員会などでも活動し始めています。委員会に参加する際の肩書は「COML委員バンク登録会員」で通用しています。

――厚労省の使い勝手のいい委員が選ばれる可能性はないでしょうか。
 見ていただくと分かると思いますが、現在の厚労省の審議会などは形ばかりのアリバイ作りの場ではなく、侃々諤々議論が行われていると思っています。私も厚労省が嫌がる意見を出すこともあります。それでも委員になってくれと言われるわけです。最後の模擬検討会での採点基準も、その人の考えの内容を採点しているのではなく、きちんと的を射た内容をタイミングよく、分かりやすく適切に発言できるかということに視点を置いています。

――COMLができてから28年間、または山口さんが理事長になってから日本の医療はどのように変わってきたとお感じでしょうか。
 全体的には良く変わってきたと思っています。私が患者になった頃は情報が完全に閉ざされていた時代で、患者のことより医療者の都合が優先されて、全部決められていたわけです。しかし、時代とともに情報提供が積極的に行われるようになり、コミュニケーションや接遇にも意識が向くようになりました。今はふんぞり返っている医師なんてほんとに減りました。

――著書のタイトルでもある「賢い患者」には、どのようにしたらなれるのでしょうか。
 子どもの頃からの意識付けだと思っています。その一翼を担えればと思い、仲間たちと2014年に「いのちとからだの10か条」を作成しました。

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――医師の働き方改革など医療提供体制に関連する委員会でもご発言されていますね。
 例えば当直明けの手術など患者から見ても危険なことは、改善する必要があるだろうと思います。ただ、今の働き方改革の議論を聞いていると時短ばかりに目が行きすぎていて、もっと多様な働き方を認めることが大事だと思うのです。やはり私は医師であれば研修医や専攻医のときなど集中的に学ばないといけない時期が必ずあって、それを一律時間でくくってしまうと成長にブレーキがかかってしまうことになるのではと思います。

 他の職業と同じようなことを医療に求めたときに、医師不足の地域では完全に崩壊してしまいます。だから、医療の特殊性を踏まえて、具体的に考えていく必要があると思います。現在、労基署が医療機関に入っているというニュースが多いですが、医療への不信感が高まったときに、医療のことを理解してない警察がズカズカ医療現場に入っていった際に抱いた違和感と同じものを感じています。

 地域偏在も何とかしないといけない。同じ日本の中にいて医師がころころ代わっても、来てもらえるだけましという地域もあります。どの地域でも安心して医療が受けられる仕組みづくりができるかが求められています。

 もちろん働く人の環境も整えなくてはならず、そのためには、患者も医師の実態を知らなくてはいけないです。電話相談でも「何でこんな重症の患者がいるのに夏休み取るんだ」とか、「夜中でも何で駆けつけてこないんだ」と言う人もいますが、それを求めていたら医療制度自体がつぶれてしまいますよね。それに、夜遅くや土日に説明を求めて医師の負担を増やしていることも見直し、「家族が病気で医師から説明を受けるので、仕事を抜けさせてください」と言えるように、社会全体として理解していく必要があると思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631949
シリーズ 2018秋◆著者インタビュー
29の政府審議会で委員「医療を受ける側の声を」-山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長に聞く◆Vol.1
電話相談は月150件、医療不信ピーク時の3分の1
 
インタビュー 2018年10月1日 (月)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 「賢い患者になりましょう」と呼びかけ、医療に関する電話相談や病院訪問などを行う認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏がこのほど、岩波新書で『賢い患者』を発刊した。COMLは1990年に発足、電話相談や病院訪問などだけでなく、医療政策を決める検討の場にも患者代表として参画することが多い。山口氏は2017年度、29の政府審議会委員、95の医療関連の委員を務めた。新刊に込めた思い、患者の医療参加のあり方、創始者・辻本好子氏の思い出などを聞いた(2018年9月8日にインタビュー。全3回の連載)。

――m3.comの記者は日々、厚労省の審議会などを取材していますが、山口さんがいつも参加しているような印象があります。どのくらいの委員会に参加しているのでしょうか。
 昨年度は厚労省、文科省を合わせて、政府の審議会などでは29の委員会に呼んでいただいております。そのほか、医療関係団体の役員や、倫理審査委員会の委員、特定機能病院の医療安全監査委員会などを合わせると年間95の委員会で委員を務めていました。京大病院の医療安全監査委員会では委員長を仰せつかっており、依頼があったときは「何かの間違いですか」と驚いて電話したほどです。

――たくさんの委員への依頼が来るのはなぜでしょうか。

山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
 1990年代後半ぐらいから、ちらほらとCOMLに依頼が届くようになりました。最初は大阪府の会議などでしたが、次第に厚労省からも依頼が来るようになりました。だんだん医療政策を議論する場に、患者の立場の委員を誰か入れなくてはという空気になってきました。

 私はこのような会議に出るまでに、医療に関する2万件以上の電話相談を受けてきました。一般の人がどう考えるか、どんなことに不安を持つのか、今までどんな迷いがあったか、山のようにお聞きしてきていることを私の中の基礎にして、発言しています。

 国の会議では傍聴者が100人以上になることもあり、最初の頃は「患者の立場の人間が何を言うんだ」と刺すような視線を感じていました。私自身も「ずれたこと言っていないだろうか」「流れの中でこのタイミングでいいんだろうか」と悩みながら、試行錯誤してきました。

 一般の立場での参加が私1人しかいないという会議も多いので、必ず1回以上発言することを自分に課してきました。私が発言しなかったら、医療を受ける立場の者の発言が一切入らないことになってしまうから。今まで1回も発言しなかったのは、残り15分しか参加できなかった会議だけです。

――改めてですが、COMLはどのような団体なのでしょうか。
 1990年9月に活動をスタートしました。「賢い患者になりましょう」と呼びかけて、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指しています。患者と医療者が対立するのではなく、“協働” する医療の実現が目的です。創始者・辻本好子が「医療を受けるときも、ほかの消費活動と同じように、しっかり吟味、選択しよう」と、Consumer Organization For Medicine and Law の頭文字を取って「COML(コムル)」と名付けました。

 ただ、活動を続けて行く中で、「お金を払っているのだから、良い医療を提供して」みたいな風潮が世間で出てきて、そういう意味で使っていたわけではないので、今は英語名称は使っていません。強いて言うなら、ConsumerよりはCommunicationの意味が強いです。

 辻本はもともと愛知県在住だったのですが、知り合いだった大阪の弁護士さんたちが「大阪に出てくるなら支援するよ」と言ったことがきっかけで、本気にして大阪で立ち上げました。大阪はNP0活動においても「やってみなはれ精神」が生きていて、何となく面白そうなことやっているというだけで話が進むところもあります。東京に姉妹グループを作ろうとした際は、組織の裏付けや規約を求める声が多くて、なかなか進みませんでした。

――活動経費はどのようにまかなっているのでしょうか。
 現在は認定NPOなので、会員からの会費と、寄付金扱いになる賛助会員費、あとは事業収入です。一番多いのは私の講演による収入ですが、それだと不安定なので、今は団体賛助会員の拡大を目指しています。

――どのような活動をしているのでしょうか。
 活動の柱は電話相談で、これまでの総数は6万件を超えています。現在は月150件前後ですが、医療不信が過熱していた2003、2004年頃は月500件を超えていました。1999年から目に見えて不信感を訴える相談が増え始めて、ピークが2003年、2004年でした。最近は本を出版し、メディアで紹介される機会が増えた影響で少し増える傾向にあります。電話相談を受けているのはボランティアも含めて、研修を受けたスタッフ10人程度です。

――新刊『賢い患者』では、たくさんの相談事例が具体的に紹介されています。
 その人が“医療”だと思ったことで電話をかけてこられるので、内容はとても幅広いですね。最近、多いのは症状について相談。特に精神疾患の方の相談は10年前からすると倍増して、全体の2割を超えるようになりました。情報社会になったことで逆に基本的なことを相談してくる方も増えている印象です。次に多いのはやはりドクターへの不満です。

 年に2回、医療者の協力を得ながら「COML110番」という集中相談をやっていますが、7月に開催したときに毎日放送がお昼のローカルニュースで紹介してくれ、放送が流れた瞬間から5台の電話が一斉に鳴り出しました。何であんな一瞬にして相談したいことが思い浮かぶのか不思議なぐらい。2日間で130件も届きました。ニーズはあるんだなと感じています。相談は無料で、ご負担は電話代だけです。医療者からの相談も届くのですよ。

――普通の人にとっては、医療について相談できる場がないということでしょうか。
 病院の患者支援室、健保組合・ 生命保険などの健康ダイヤル、がんだったらがん診療連携拠点病院の中の相談センターなどもあります。行政機関では都道府県や保健所に設置されている医療安全支援センターも相談を受けていますが、そこの初任者研修には長年COMLから講師を派遣しています。

 それらこれらの相談機関との違いですが、私どもは時間を制限せずに十分にお聞きすることにしています。もちろん私たちが医療に介入した答えを出すわけではなく、「何でお医者さんに質問できないのか」「聞いたけど分からないというなら、どんな聞き方をしたのか」をお聞きして、相談に至った背景を把握していくと、次にどんな行動を取ればいいかというアドバイスはできます。

 本来、医療者とコミュニケーションを取ってそこで解決できるのが一番良いと思いますが、やっぱり今は医療現場が忙しすぎることや、患者さんの側もちょっと遠慮しすぎていたり、不信感を持っていたりで、直接のやり取りができてないことはあると思います。

――他にも「模擬患者の研修」や「病院探検隊」などもされていますね。
 OSCE(オスキー:客観的臨床能力試験)の中には医療面接があり、模擬患者役をする人を派遣しています。2020年度からは臨床実習修了後のOSCEも予定され、そのトライアルも始まっています。そこに派遣する模擬患者は標準化されてマニュアル的ですが、もっとコミュニケーション能力を高めてもらうためのSimulated Patientと呼ばれる模擬患者も派遣しています。これは、患者の症状や背景を詳しく設定して演技をするということになりますが、台詞があるわけではなく、その人のキャラクターがにじみ出てきます。設定の数は100を超えています。

 演技やアドリブ力も重要ですが、相手とのコミュニケーションで自分がどんな気持ちになったか、自分の心の動きをしっかりと捉えて、きちんとフィードバックできることが求められます。自分の心の動きに鈍感だったらできないことに加え、俯瞰して自分を見られるような人でないとつとまらないです。

 最盛期は年間120回ぐらい派遣していましたが、最近は60回ほどでしょうか。私ども以外にも大学を中心に模擬患者を養成しているところは増えてきています。

――「病院探検隊」はどのような活動でしょうか。
 これまで88の医療機関から依頼を受けて“出動”しました。大学病院では8病院、診療所なども多いです。患者視点で医療機関を改善しようとしているのは時代の変化だと感じます。待合室一つをとっても、実際に患者として待つのと、働いている人が見ているのとでは感じ方が違いますよね。医療者が見えてないところが見えるのです。

 2015年には慶應義塾大学病院から「臨床研究中核病院に名乗りを上げたら、厚労省から待ったがかかった。患者目線の欠落と言われた」とのことでした。そこで立ち上げられた病院改革タスクフォースの委員になり、病院側の強い要望で1カ月後に病院探検隊を実施。フィードバック内容をポイントにして改革が進められました。2016年には慶大病院の院長の勧めもあり、千葉大学医学部附属病院の院長からもお声がかかりました。

 さまざまな地域で、地域の人たちで病院探検隊を結成し、患者の視点を入れて改革する病院が増えることが夢の一つでもあります。



https://www.medwatch.jp/?p=22692
新たな指標用いて「真に医師が少ない」地域を把握し、医師派遣等を推進―医師需給分科会 
2018年10月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

地域における「医師の多い少ない」は現在、「人口10万対医師数」を用いて判断しているが、ここに「地域住民の年齢・性別」「医師の年齢・性別」「患者の流出入」などを加味して「真に医師が不足している」区域を適切に把握する。その上で、相対的に医師多数区域から、医師少数区域への医師派遣などを促していく—。

9月28日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方向が概ね了承されました。

また診療科偏在の是正も重要テーマとなっていますが、▼まず「産科・小児科」について暫定的な偏在指標を定めて、医師確保対策を進める▼外科を初めとする他の診療科についても、偏在指標の検討を進め、将来的に「医師養成計画」などにも反映させていく—方針が概ね固められています。
 
ここがポイント!
1 地域の人口だけでなく、「性別・年齢別の受療率」や「患者の流出入」なども勘案
2 医師偏在指標に基づき「真に医師が少数の地域」を抽出、そこに重点的に医師派遣
3 診療科別の医師偏在指標も今後検討、ただし産科・小児科について「暫定指標」を設置
4 医学部の地域枠、「趣旨に沿わない運用」をしている大学も一部に

地域の人口だけでなく、「性別・年齢別の受療率」や「患者の流出入」なども勘案

医師の地域偏在・診療科偏在が大きな課題となっています。「医師需給分科会」と「医療従事者の需給に関する検討会」では、昨年(2017年)後半に偏在対策是正案を検討し、それをもとにした改正医療法・医師法が今年(2018年)7月に成立しました。

改正法では、▼医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度▼都道府県における医師確保対策の実施体制の強化(新たな「医師確保計画」を策定など)▼医師養成過程を通じた医師確保対策の充実▼地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応—などに関する枠組みを設けており、今後、施行にむけて具体的な仕組みを医師需給分科会などで詰めていくことになります。

 
9月28日の医師需給分科会では、まず都道府県における「医師確保計画」の策定に向けて、(1)医師偏在指標の策定(2)医師少数区域・医師多数区域の設定―を議題としました。今年度(2018年度)中に厚労省で、偏在指標などを定めた「医師確保計画」作成のための指針を設け、来年度(2019年度)に各都道府県で「医師確保計画」を策定。翌2020年度から具体的な医師確保対策を稼働させるスケジュールになります。

まず(1)の「医師偏在指標」について見ていきましょう。

現在でも、医師の地域偏在を是正するために「2次医療圏における人口10万対医師数」を指標とし、さまざまな取り組みが行われています。ただし、この「人口10万対医師数」だけでは、地域の医療ニーズを的確に把握できておらず、「真に医師が少なく、医療ニーズに対応しきれていない」地域のあぶり出しが十分になされていない(結果として医師偏在対策が十分に機能していない)との指摘があります。

そこで厚労省は、「人口10万対医師数」に次のような要素を加味した、新たな「医師偏在指標」を設け、これを基にした偏在対策を進める考えを提示しました。

(i)年齢や性別によって受療率は大きく異なる(乳幼児・高齢者では受療率が高く、地域の医療ニーズは多くなる)ため、「地域の年齢・性別の構成」を調整する

(ii)患者の流出入(例えば、東京都では、「昼間の人口は多いが、夜間の人口は少ない」、さらに「近隣県から多くの患者が受診する」といった患者の移動がある)を勘案する

(iii)「医師が比較的多い2次医療圏」の中にも、「医師が少数の区域」がある点を勘案する

(iv)医師の年齢・性別によって医療提供量が異なる(例えば、高齢になると労働時間が短くなりがちで、高齢医師の多い地域では、より多くの医師が必要となる)ため、「医師の年齢・性別の構成」を勘案する

 
 2次医療圏ごとに、次の計算式で「医師偏在指標」を算出し、比較することで「A医療圏では、B医療圏に比べて相対的に医師数が多い(少ない)」と判断し、「真に医師が少ない(多い)地域」を抽出することが可能となります。

●医師偏在指標=標準化医師数/[地域の人口 ÷ 10万 × 地域の標準化受療比

・標準化医師数とは、「年齢・性別の平均労働時間を調整した勘案した医師数」である[Σ性年齢階級別医師数×(生年齢階級別平均労働時間÷全医師の平均労働時間)]

・地域の標準化受療比とは、「受療率について、地域の年齢・性構成の違いを調整したもの」である[地域の期待受療率÷全国の期待受療率(Σ【全国の生年齢階級別受療率×地域の性年齢階級別人口】/地域の人口)]

また(ii)の患者の流出入については、都道府県ごとに「昼間・夜間人口の実態に応じた重み付け」「患者住所地を基にした流出入の調整」を行います。(iii)の「2次医療圏の中にある医師少数区域」については、後述する別途の対応を行うことも提案されました。

 なお、無床診療所の地域偏在という問題もあります。無床診療所は都市部に多く、医師数は多くなりますが、入院医療ニーズは対応できません。こうした問題について厚労省は、まず「診療所の地域偏在に関して現状分析」を行い、それをもとに対応策を検討する考えを改めて説明しました。

  
 こうした考え方に医師需給分科会の構成員からは、特段の異論は出ていませんが、いくつか「将来を見据えた提案」がなされています。

 例えば山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「患者に適切な受療を促すような取り組みをしなければならない(さもなければ医師が何人いても不足してしまう)」と指摘。この点、医師働き方改革の一環として、厚労省で別途の検討が進められます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 また、医師偏在指標では「相対的な医師の多い少ない」は分かりますが、「絶対量」は明らかになりません。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)は、将来的に「本来、医師が何人必要なのか」という点も検討課題とするよう要請しています。後述するように「医師の多い地域」から「医師の少ない地域」への医師派遣等が進められますが、「医師の多い地域」で医師が「充足しているのか、本来、必要な人員が確保されているのか」は明らかになっておらず、こうした点も将来的に考慮しなければならないと福井構成員は強調しているのです。仮に「医師の多い地域でも、本来必要な人員は確保されていない」のであれば、そこから医師を派遣すれば、当該地域の医師にも「さらに過度の負担」が強いられることにつながってしまうことから、将来的には重要な検討テーマになってきそうです。

 一方、北村聖構成員(国際医療福祉大学医学部長)は、「臨床に携わる医師養成には8年(学部教育6年、初期臨床研修2年)かかるが、8年後には人口動態や疾病構造も変わる。そうした点も考慮すべき」と提案。今後検討テーマとなる「将来の医師養成計画」などの中で、こうした点が勘案されることになるでしょう。また、各都道府県の作成する「医師確保計画」は3年単位となっており、定期的に最新の人口動態等を踏まえたアップデートが行わることになります。

医師偏在指標に基づき「真に医師が少数の地域」を抽出、そこに重点的に医師派遣

 前述の医師偏在指標(計算式)によって、全国335の2次医療圏すべてについて、医師の「相対的な多い少ない」が、数値化されます。厚労省は、この数値に基づいて、▼上位の地域を「医師多数区域」▼下位の地域を「医師少数区域」—と設定。医師多数区域から医師少数区域への医師派遣等を促していくことになります。具体的に、医師少数区域を「下位●か所」とするのか「下位●%」とするのか、などは、今後、施策の詳細なども踏まえて検討していくことになります。

 また、前述(iii)のように、「2次医療圏全体では医師少数ではないが、その中にある『真に医師が不足している区域』」については、都道府県と厚生労働大臣が協議した上で、「医師少数区域」と設定できる仕組みとなる模様です。「市町村単位」や、より小さな「中学校区単位」など、協議によって柔軟に「医師少数区域」を設定できるような仕組みが期待されます。

 この考え方も医師需給分科会で了承され、今後、具体的な「基準」(上記の「下位●%」など)を詰めていくことになります。その際、「道路事情なども勘案すべき」(神野正博構成員・全日本病院協会副会長)、「実際に医師派遣が行われるよう、『週単位での医師派遣』などの好事例を各都道府県に示していく必要がある」(永井康徳構成員・医療法人ゆうの森理事長)といった提案がなされています。

診療科別の医師偏在指標も今後検討、ただし産科・小児科について「暫定指標」を設置

 医師偏在は「地域」だけではなく、「診療科」でも大きな問題となっています。ただし、前述の医師偏在指標では、「地域の医師数が多いか、少ないか」を把握できますが、例えば「外科医が少ないのか、小児科医が少ないのか」などは把握できません。

そこで厚労省は、「診療科別の医師偏在指標」策定にも取り組む考えを示しています。そこでは、診療科ごとに「関連の極めて高い疾患や診療行為」等を設定し、当該疾患の受療率や、人口動態、将来の技術進展などの要素を総合的に勘案していくことになります。ただし、データ取集や分析には時間がかかるため、2019年度に各都道府県が作成する「医師確保計画」には盛り込まず、「将来の医師養成計画」などに反映させることになりそうです(例えば、新専門医制度における基本領域ごとの専攻医定員上限などに反映させる)。

ただし、▼産科▼小児科―の2診療科については、医療計画における「5疾病・5事業および在宅医療」の中に盛り込まれた政策医療であることや、地域の医療ニーズが高いことなどを踏まえ、「暫定的な医師偏在指標」を設定し、これを都道府県の作成する「医師確保計画」(2019年度に作成)に盛り込むことになりました(将来の医師養成計画などにおいては、前述した「診療科別の医師偏在指標」を、精密に検討して設定し、これを用いる)。

産科では、地域における▼15-49歳女性人口当たりの分娩件数▼性・年齢等による平均労働時間—を基準とし、小児科では、地域における▼性・年齢調整を行った15歳未満人口▼性・年齢等による平均労働時間—をベースに「暫定的な偏在指標」を設定する方向が確認されています。

医学部の地域枠、「趣旨に沿わない運用」をしている大学も一部に

ところで、現在でも地域偏在是正に向けた重要施策の1つとして「大学医学部の地域枠」がありますが、羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は「一部大学では、入学後に『地域枠』への手上げをさせるなど、地域枠を十分に活用していない(例えば地域枠として10名の定員増を行うが、実際の地域枠は1、2名とするなど)」ことを問題視。

この点、医療法・医師法改正案の審議において、衆議院では「地域枠は、地域枠以外の入学枠と『峻別』した上で学生の募集をすることにより、必要な地域枠学生の確保が確実になされるよう厚労省と文部科学省が必要な対応を行う」旨の附帯決議(いわば宿題事項)がなされており、羽鳥構成員の指摘したような大学の対応は好ましくありません。

全国医学部長病院長会議の前会長である新井一構成員(順天堂大学学長)も「一部大学において地域枠の趣旨に添わない運用がなされている事例があり、課題と認識している」とコメントしており、今後、必要な是正対策がとられそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/633717
「2018年、後世に影響が及ぶ重要な議論の年」
第60回全日本病院学会、吉田厚労省医政局長が特別講演
 
2018年10月6日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 10月6日に東京都で開催された第60回全日本病院学会で、厚生労働省医政局長の吉田学氏が、「より良い医療に向けて~医療をめぐる最近の動きから」と題して特別講演。「当面の主な課題」として、地域医療構想の着実な推進、医師偏在対策、「医師の働き方改革」の具体化などを挙げ、「2018年は、後世にまで影響を及ぼす重要な議論が行われている年」と位置付けた。

 さらに2025年に向けた議論と、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年に向けた議論を並行して進めるために、「少し先を見ながら、物事を進めていかなければいけない」と長期的な視点の必要性を指摘。これらの議論を進める際、「改めてより良い医療とは何かを少し立ち止まって考える必要がある。大きな文脈の中で、より良い医療に向けて、何が具体的な課題であるかを考えていかなければいけない」との見解も述べた。

 吉田局長が「当面の主な課題」として挙げたのは、地域医療構想の着実な推進、医師偏在対策、「医師の働き方改革」の具体化、医薬品産業の振興・医薬品流通の改善、技術進歩への対応・研究開発の進行、情報通信技術の実装「データヘルス」――の6つだ。「もちろん、2019年度税制改正・ヨハン編成に向けた対応も」「さらに2040年に向けた、さらなる議論も」と付け加えた。

 地域医療構想「進捗は地域差が大きい」

 地域医療構想は、47都道府県で策定を終え、地域医療構想調整会議で現在、実現に向けた議論が進められている。吉田局長は、「骨太の方針2018」で、「地域医療構想の実現に向けた個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針について、昨年度に続いて集中的な検討を促し、2018年度中の策定を促進する」とされ、特に公的・公立医療機関について、先行して議論を進めることを政府決定していると紹介。調整会議の進捗は、(1)議論がキックオフしているか、(2)具体的に物事が進んでいるか――という2段階で見ていく必要があるとした。47都道府県別の進捗状況には「地域差が大きい」と指摘し、前に進めていくために、各地域の取り組み状況を「見える化」するなどの工夫をしている。地域医療構想は、在宅医療や介護施設等の整備とも関係してくることから、「地域医療構想は、都道府県が進めていくが、実際には(介護保険を担当する基礎自治体である)市町村と一緒にやっていくことが必要」とも指摘した。

 医師偏在対策「マクロの数より地域偏在対策」

 医師偏在対策については、今年の通常国会で医療法・医師法を改正した。「医学部入学定員は、2008年度から増員を続け、2017年度は9420人で、過去最高になった。地域枠も増え、その卒業生が積み上がっていくので、2025年には、1万人くらいの地域枠出身者が働くというボリュームになる」(吉田局長)。しかし、増えた医師は大都市部に集中する傾向があることから、「医師の偏在は前よりも厳しくなっている。マクロの数を増やすよりも、地域や診療科の偏在に取り組んでいくことが必要ではないか」と述べた。

 その上で、改正医療法・医師法に盛り込んだ医師偏在対策を紹介。「医師偏在指標」については、吉田局長は、「できれば今年度中に取りまとめを行い、各都道府県で、二次医療圏単位で、どこが医師少数区域、医師多数区域かを検討してもらう」と説明(『医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定』を参照)。

 さらに、都道府県における医師確保対策の実施体制、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実などの施策も紹介。新専門医制度については、国が日本専門医機構に意見を言う仕組みが法改正で導入された(『専攻医採用数「実はシーリング超え」、3都府県、延べ6領域』を参照)。「最適解は難しいかもしれないが、関係者とコミュニケーションを取りつつ、かつプロフェッショナル・オートノミーも発揮していただきながら、うまくいくようにしていきたい」(吉田局長)。

 「医師の働き方改革」、労働時間だけの問題にあらず

 吉田局長は、「働き方改革」は、医師に限らず、オールジャパンでの取り組みであると説明。週60時間を超えて働いている医師が少なくない中、「オールジャパンで改革を進める中で、どう調和を図っていくかが課題」であるとした。

 厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」は、今年2月に「中間論点整理」と「緊急的な取り組み」を取りまとめた(『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。働き方改革は、労働時間だけの問題では終わらないとし、(1)今後目指していく医療提供の姿(医療のかかり方、タスク・シフティングなど)、(2)医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務の制度など)、(3)医師の働き方に関する制度上の論点(時間外労働の上限時間数の設定等)――という3つの柱で議論を進めていると説明。「できれば年内、あるいは年明けに一定の取りまとめ案を出し、年度末に意見を集約していきたい」(吉田局長)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632851
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
安易な働き方改革「禍根を残す心配ある」
日病・相澤会長が懸念、消費税問題も
 
レポート 2018年10月2日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は10月2日の定例記者会見で、議論が進む医師の働き方改革について「あまり安易にやると禍根を残すのでは、という心配がある」と述べ、宿日直や自己研鑽の扱いをどのように決めるか、慎重な議論が必要という見解を示した。9月29日の常任理事会では、働き方改革と、控除対象外消費税問題を主に議論した。

 働き方改革では、「医師の健康を守り、同時に地域医療を守る」ことは当然だが、現実には病院ごと、地域ごとの事情など、さまざまな問題があることは出席者間で共通の認識だったという。宿日直については、いわゆる手待ち時間をどうするか、これを全て勤務時間にするとなると「そのままやれば病院が持たない。基準をきちんとつくるのがいいか、おおよその時間でくくるのがいいか」という懸念が出た。また、細かく規定しすぎると、「狭い範囲でしか医師が行動できなくなる」という声もあったという。また、多くの医師がアルバイトで他院の当直を行うが、これは勤務時間に入るのか、という疑問も上がった。

 自己研鑽についても、研修医や専攻医をどう捉えるのか、OJTの時間があるために、勤務時間をどう設定するのかなど、相澤氏は「よほど議論をしないと、医師の健康と地域医療の確保の両立は難しいのではないか」との見方を示した。

 控除対象外消費税問題では、「三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会の提言でいくしかないのではないか。病院間の差があまり出ないようにしてほしい」との意見があったという(『消費税率10%「新たな仕組み」で対応、三師会と四病協が提言』を参照)。相澤氏は、今後消費税率が20%や30%に増税されることもあり得るとして、現在の初診料や入院基本料に上乗せする方式では額も大きくなり、病院ごとの差も大きくなっていく危険があるため、「これ以上増えるとなると、限界がある」と説明。そのため、「将来的にどうするかを早めに議論していく必要がある」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=22706
2020年度の「第7次医療計画中間見直し」に向け、5疾病5事業等の進捗状況を確認―医療計画見直し検討会 
2018年10月1日|医療計画・地域医療構想 MED WATCH

 2020年度の「第7次医療計画の中間見直し」に向けて、都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」における指標の活用状況などを把握し、課題を抽出する。また「中間見直し」においては、指標の見直しは、追加など小幅にとどめ、2024年度からの第8次医療計画に向けて、大幅な見直しを検討する―。

 9月28日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方向が確認されました。
 
ここがポイント!
1 2019年度に国で「見直し指針」を定め、2020年度に各都道府県で医療計画を中間見直し
2 5疾病5事業等の評価指標、都道府県での活用状況は項目によって大きなバラつき

2019年度に国で「見直し指針」を定め、2020年度に各都道府県で医療計画を中間見直し

 2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしました。従前は「5年」計画でしたが、地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律、2014年)により「6年」計画に改められました。3年単位の介護保険事業(支援)計画と足並みを揃えるためです(関連記事はこちら)。

 ただし、「6年」は長期間であるため、医療現場の実態を踏まえ3年目に「中間見直し」を行うこととなりました。第7次計画については、2020年度が中間見直し年にあたります。厚生労働省は9月28日の検討会に、▼各都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」の状況などを定期的に把握する▼2019年度中に国で「医療計画作成指針」を見直す▼2020年度に各都道府県で医療計画の中間見直しを行う―というスケジュール案を提示し、了承されました。

 なお2020年度の「中間見直し」では、都道府県の負担等も考慮して、それほど大規模な見直しを行わず、主に「5疾病5事業および在宅医療」に関する指標の追加などがメインとなる見込みです。さらに、その後の状況なども踏まえて、2024年度の第8次医療計画において、大規模な見直しも検討されます。

5疾病5事業等の評価指標、都道府県での活用状況は項目によって大きなバラつき

 9月28日の検討会では、各都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」に関する指標の策定状況なども報告されました。

 医療計画では、病床数の整備目標などのほかに、「5疾病5事業および在宅医療」の整備目標なども定めます。その際、一定の指標をおいて目標の進捗状況を確認し、PDCAサイクルを回していくことが求められます。

例えば5疾病のうち、がん医療については、予防・早期発見に関して「がん検診受診率」や「年齢調整罹患率」など、治療に関して「がん診療連携拠点病院数」「がん患者の年齢調整死亡率」など、療養支援に関して「末期のがん患者に対し在宅医療を提供する医療機関数」「がん患者指導の実施件数」「入院緩和ケアの実施件数」「外来緩和ケアの実施件数」「がん性疼痛緩和の実施件数」などが指標となっています。取り組み状況を、統一指標に基づいて評価することで、各都道府県において「自県は近隣県に比べて進捗が遅れている。さらなる取り組みを進めるために病院団体や関係学会と一層の連携を強めよう」などの行動変容につなげることが期待されているのです。

しかし、各都道府県における指標の設定状況を見てみると、例えば「がん検診受診率」(全都道府県の77%で設定)、「がん患者の年齢調整死亡率」(同64%)などは、多くの自治体で活用されていますが、「年齢調整罹患率」(同17%)や「がん診療連携拠点病院数」(同15%)、「入院緩和ケアの実施件数」(同2%)、「外来緩和ケアの実施件数」(2%)などは限られた活用にとどまっています。

「脳卒中」や「心血管疾患」など他の疾病・事業でも、同様の状況にあることも明らかとなっています。

一定程度統一された指標に基づかなれば、都道府県間の取り組み状況の比較は難しく、多くの都道府県で指標の設定が望まれます。また、状況を総合的に把握するためには、細かい指標設定が必要となりますが、それは都道府県・医療機関等の負担増にもつながります。検討会では、「都道府県によって医療資源の状況なども異なる」(城守国斗構成員:日本医師会常任理事)、「細かな指標を定めれば、そこにばかり目が行っています。大枠の指標にとどめてはどうか」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)という指摘も出ており、2024年度の第8次医療計画に向けて「指標の在り方」を改めて検討していくことになりそうです(「中間見直し」で、大幅な見直しをすることは困難)。

 
なお、関連して厚生労働省は「地域医療構想調整会議において、5疾病5事業および在宅医療の体制に関する議論が行われているか」という資料も提示しました。例えば、がん医療については、20の自治体で議論が行われています。この点、織田構成員や加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)らは、「地域医療構想調整会議では、まず公立病院や公的病院等の機能分化について議論を進めることになっている。詳細な医療機能に関する議論を求めているように見え、混乱を招くのではないか」と指摘。厚労省も「各都道府県において『地域医療構想調整会議において、5疾病5事業および在宅医療の詳細を議論しなければならない』と誤解しないよう努める」との考えを示しています。

ただし、一昨年(2016年)12月の検討会意見では、「将来の医療提供体制を構築していくための方向性を共有するため、構想区域における医療機関であって、地域における救急医療や災害医療等を担う医療機関が、どのような役割を担うか明確にすることが必要である。その際に、『構想区域の救急医療や災害医療等の中心的な医療機関が担う医療機能』などを踏まえ、地域医療構想調整会議で検討を進める」旨が確認されており、5疾病5事業および在宅医療の中でも、▼救急医療▼災害医療—については、地域医療構想調整会議において、中心となる医療機関の機能などを確認しておく必要があることを忘れはいけません。

  

https://www.medwatch.jp/?p=22745
2016年度1人当たり医療費の地域差、最大の要因は「後期高齢者の入院受診率」—厚労省 
2018年10月4日|医療保険制度 MEDWATCH

 2016年度の1人当たり医療費(市町村国保+後期高齢者医療)は全国では54万3931円だが、都道府県別に見ると最高の福岡県(64万6488円)と最低の新潟県(47万1857円)との間では1.37倍の格差がある。医療費の地域差には、入院における受診率と1件当たり日数(つまり在院日数)、入院外における1件当たり日数が大きく関係している—。

厚生労働省は9月28日に、2016年度の「医療費の地域差分析」を公表し、こういった状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)(前年度の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 医療費「西高東低」の傾向は依然継続
2 入院医療費の地域差、「受診率」が大きく影響、不要な入院がないか検証が必要
3 入院外医療費の地域差、「1件当たり日数」が大きく影響、不要な受診や訪問はないか
4 入院医療費には「後期高齢者の受診率」が大きく影響、社会的入院が生じていないか
5 年齢調整後の1人当たり医療費、市町村別に見ると北海道雨竜町が最高


医療費「西高東低」の傾向は依然継続

 2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、今後、医療・介護ニーズが急速に増加するため、「医療費の適正化」対策が重視されています。この点、「1人当たり医療費には大きな地域格差があり、これを是正していく必要がある」ことが骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)でも指摘されています(関連記事はこちら)。

地域別の医療費は、「地域の人口」と「当該地域の1人当たり医療費」に分解することができます。ただし、1人当たり医療費は年齢との関係が強く、また地域によって年齢構成は区々であるため、「1人当たり医療費の地域差」を分析するにあたっては、「地域ごとの年齢構成(高齢者割合など)の差」を調整することが重要です。

市町村国保加入者と後期高齢者医療制度加入者を合計した「1人当たり年齢調整後医療費」は2016年度には、全国54万3931円となりました。都道府県別に見ると、最高は福岡県の64万6488円(全国の1.189倍、前年度に比べて0.005ポイント低下)。次いで、高知県64万1114円(同1.179倍、同0.007ポイント低下)、佐賀県63万5168円(同1.168倍、同増減なし)と続きます。

また、最も低いのは新潟県の47万1857円(同0.867倍、同増減なし)。次いで、岩手県48万1479円(同0.885倍、同0.007ポイント低下)、千葉県48万6182円(同0.894倍、同0.006ポイント上昇))、静岡県47万8000円(同0.890倍)などと続きます。最高の福岡県と最低の新潟県では1.37倍の開きがありますが、前年度からわずかですが地域差が縮小している状況が伺えます。

医療費の地域差を、日本地図を色分けした医療費マップで見てみると、「西日本で高く、東日本で低い」(西高東低)傾向が依然として継続しています。
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市町村国保+後期高齢者医療における都道府県別の「年齢調整後の1人当たり医療費」をマップ化したもの。西日本と北海道で高く、東日本で低い
 
入院医療費の地域差、「受診率」が大きく影響、不要な入院がないか検証が必要

 では、1人当たり医療費の地域差が生じる原因はどこにあるのでしょう。この考察には、医療費を次の3要素に分解することが有用です。

▼1日当たり医療費:単価(単価の高低の評価は容易には行えませんが、例えば「不必要な検査をしていないか」「後発品の使用は進んでいるか」などを考えるヒントになります)

▼1件当たり日数:1回の入院や外来でどれだけの日数、医療機関にかかるのか(例えば、同じ疾病、同じ重症度の患者間で入院日数が大きく異なれば、「退院支援がうまくきのうしているのか」などを考えるヒントになります)

▼受診率:どれだけの頻度で医療機関にかかるのか(例えば「頻回受診、重複受診がないか」などを考えるヒントになります)

また医療費の地域差に、「入院」「入院外」「歯科」がどれだけ影響しているのかを見ると、「入院」の影響が大きいことが分かりました。
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市町村国保+後期高齢者医療の地域差への寄与度は、入院医療費が最も大きいことがわかる
 
そこで、入院医療を3要素に分解して、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、入院医療費の高い地域(高知県、福岡県、鹿児島県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向があることが分かりました(前年度と同じ傾向)。また、入院医療費の小さな地域(静岡県、新潟県、岩手県など)では「受診率が医療費を低くする方向に寄与している」ことも分かります(やはり前年度と同じ傾向)。
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市町村国保+後期高齢者医療における「入院医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「受診率」の要素が強く影響していることがわかる
 
大づかみに、次のような傾向があると言えそうです。
▽「1日当たり医療費」は、医療費の高い地域では「医療費を低くする」方向に、医療費の低い地域では「医療費を高める」方向に寄与する(1件当たり日数の低い地域では、短い入院期間中に濃密な医療を行うため、必然的に単価が高くなる)

▽「1件当たり日数」は、医療費の高い地域では「医療費を高める」方向に、医療費の低い地域では「医療費を低くする」方向に寄与する

▽「受診率」は、医療費の高い地域では「医療費を高める」方向に、医療費の低い地域では「医療費を低くする」方向に寄与する

 とくに「受診率」が入院医療費の地域差に大きく寄与していることが分かります。「入院医療が必要な疾病の罹患率に違いがある」のか、「入院が不要であるにもかかわらず、入院医療を提供している」のか、など詳細な分析が待たれます。

入院外医療費の地域差、「1件当たり日数」が大きく影響、不要な受診や訪問はないか

 次に、入院外医療費(調剤を含む)について、同様に▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解した寄与度を見てみると、入院外医療費の高い地域(広島県、大阪府、佐賀県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院外医療費の小さな地域(新潟県、沖縄県、富山県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります(入院と同じ構造)。
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市町村国保+後期高齢者医療における「入院外医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「1件当たり日数」の要素が強く影響していることがわかる
 
入院外については、「1件当たり日数」が地域差に大きく寄与していることが分かり、「一連の治療において、不必要な外来受診・訪問診療などが行われていないか」確認する必要がありそうです。

入院医療費には「後期高齢者の受診率」が大きく影響、社会的入院が生じていないか

 また医療費において、「どの年齢層の医療費が地域差に寄与しているのか」を見ると、高齢者、とくに75歳以上の後期高齢者の影響が大きなことが分かります。

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市町村国保+後期高齢者医療における「医療費の地域差」を年齢階層に分解したもの、「高齢者」の要素が強く影響していることがわかる
 
 そこで、高齢高齢者に限定して、入院医療費(やはり地域差への寄与度は入院外や歯科に比べて入院で大きい)を3要素に分解し、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、「市町村国保+後期高齢者医療」と同様に、▼受診率▼1件当たり日数―が、地域差に大きく影響している、つまり「入院医療費の高い地域では、後期高齢者の受診率が高く、入院日数も長い」ことが分かりました。
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後期高齢者医療における「入院医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「受診率」の要素が強く影響していることがわかる
 
「本当に入院医療が必要な医療で、入院をしているのか」「いわゆる社会的入院などの是正は進んでいるのか」などを適切に分析する必要があるでしょう。

年齢調整後の1人当たり医療費、市町村別に見ると北海道雨竜町が最高

 次に、市町村別に「市町村国保+後期高齢者医療の1人当たり実績医療費」(年齢調整をしていない)を見てみると、最も高いのは高知県大豊町の93万1830円。次いで高知県馬路村92万1224円、北海道雨竜町90万7190円、北海道積丹町89万456円、高知県北川村87万3927と続きます。前年度は高知県の自治体が上位を独占していましたが、やや様相が変わってきています。

 逆に1人当たり実績医療費が低いのは、下から東京都御蔵島村27万9309円、長野県川上村31万169円、東京都青ヶ島村31万6262円、沖縄県北大東村32万9493円、福島県檜枝岐村33万2012円となっており、離島や山間地が目立ちます(医療資源が少ないため、必然的に医療費が低くなる)。

 また年齢構成を調整した上で、医療費が全国平均からどれだけ乖離しているのかを示す「地域差指数」を市町村別に見てみると、もっとも高いのは北海道雨竜町の1.469で、北海道積丹町1.391、北海道壮瞥町1.384、高知県奈半利町1.356、高知県芸西村1.354と続きます。

逆に地域差指数が低い自治体は、長野県売木村0.640、長野県天龍村0.648、新潟県津南町0.657、山形県大蔵村0.662、東京都小笠原村0.665となっています



https://www.medwatch.jp/?p=22775
地域包括ケア病棟の質向上を目指し、「急性期大病院の地域包括ケア病棟」の実態把握が必要―地ケア病棟協・仲井会長 
2018年10月5日|医療保険制度 MEDWATCH

 「急性期の大病院内に設置された地域包括ケア病棟」の中にも、「自院の急性期後患者の受け入れ」だけでなく、「在宅や介護施設からの患者受け入れ」に力を入れているところがあるかもしれない。地域包括ケア病棟でもっとも重要な「在宅復帰支援・在宅医療提供」をより充実・向上させるため、実態を把握し、細分化などを検討する必要がある―。

 地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は10月4日に定例記者会見に臨み、こういった要望を厚生労働省に宛てて行ったことを明らかにしました(関連記事はこちら)。
 
200床以上の急性期ケアミクス型の地域包括ケア病棟では、質の低下が懸念される

 2018年度の診療報酬改定では、入院料の再編・統合が行われ、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料(以下、地域包括ケア病棟入院料)についても、例えば次のような見直しが行われました(関連記事はこちら)。

(1)200床未満の病院に設置され、診療実績が高い(自宅等からの入棟患者割合:10%以上、自宅等からの緊急患者受け入れ件数:3か月で3人以上、在宅医療の提供など)病棟については、高額の基本報酬を設定する(入院料1・3)
 
(2)救急・在宅等支援病床初期加算(1日につき150点)を、急性期病棟からの患者受け入れを評価する【急性期患者支援病床初期加算】(1日につき150点)と、在宅や老健施設、介護医療院などからの患者受け入れ、治療方針に関する患者・家族等の意思決定を支援することを評価する【在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点)とに区分する
 
(3)在宅復帰先から「老人保健施設」を除外する
 
 仲井会長は、とくに200床未満の病院に設置された地域包括ケア病棟等では、「在宅復帰先が狭まった」(3)ことや、「在宅患者の受け入れを強化して高い加算を取得する」(2)ことが、post acute患者のより積極的な受け入れと、在宅復帰促進・在宅医療提供につながり、結果として「診療実績の充実」(1)に結びついている状況を説明。これらはすべて関連して、地域包括ケア病棟において最も重要な「在宅復帰支援・在宅医療提供機能」が充実してきていると分析しています。
 
 ところで、地域包括ケア病棟協会では、かねてから地域包括ケア病棟を次の3つに分類(独自分類)し、それぞれの動向を調査するとともに、進むべき方向等を模索しています(関連記事はこちら)。
▼急性期一般入院料(従前の10対1・7対1)病棟と併設し、病院全体で急性期機能を最重視している【急性期ケアミクス型】

▼施設全体として、他病院からの「高度急性期・急性期の治療を終えた患者」が概ね半分以上を占める【post acute連携型】

▼急性期ケアミクス型・post acute型のどちらでもない【地域密着型】

 このうち【地域密着型】との【post acute連携型】は、ほとんどが200床未満の病院に設置されており(地域密着型の9割、post acute型の8割5分弱)、上記の2018年度改定の効果が如実に現れています。地域包括ケア病棟協会の調査(500病院が回答)では、【地域密着型】の76.9%、【post acute連携型】の75.4%が、上記(1)の入院料1・3取得または取得予定となっています。在宅復帰に力を入れ、かつ在宅医療等に力を入れることで診療実績を高め、高い基本報酬を算定するものです。今後も、在宅復帰支援・在宅医療提供に力を注いでいくことが期待されます。

一方、【急性期ケアミクス型】では、200床以上の病院も多く(4割強)、また「自院の高度急性期・急性期病棟での治療を終えた患者」が大半を占めているため、上記(1)の入院料1・3を取得または取得予定の病院は46.8%と半数に届きません。さらに(2)の【在宅患者支援病床初期加算】も取得していない場合には、「在宅復帰支援・在宅医療提供などの実態が見えず、post acute機能に関する検証が行われない。結果として機能・質の低下が懸念される」と仲井会長は不安視します。
 
この点、そもそも【急性期ケアミクス型】には、「地域の急性期基幹病院で、旧7対1(現在の急性期一般入院料1)を維持するために重症度、医療・看護必要度の低くなった患者を、回復期機能等の他院に転院させたいが、医療資源が少ない(近隣に病院がない)ため、それが叶わない。そこで、自院の急性期病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換した」という病院が多く、新設された入院料1・3との親和性は低いようにも思えます(大規模で、自院の急性期病棟からの転棟患者がほとんど)。
しかし、仲井会長は、「200床以上の病院では入院料1・3を取得できず、これは『在宅復帰支援』機能などの地域包括ケア病棟の質を評価・検証していないに等しく、機能・質が低下してしまいかねない」「200床以上の病院でも、在宅復帰機能を強化し『ときどき入院、ほぼ在宅』を支える病院もあるのではないか」と推測。今後、200床以上の急性期ケアミクス型病院の実態を詳しく調べた上で、▼診療実績▼質の評価―を検討してはどうか、と厚労省に提言を行っています。

200床以上病院の地域包括ケア病棟でも、在宅や介護施設で急変した患者を積極的に受け入れ、上記(2)の【在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点)を算定することは可能です。しかし、この加算の取得よりも「自院の急性期一般入院料1(旧7対1)の維持のほうが、より重要である」と考え、事実上、自院の急性期後患者の受け入れのみに特化する病棟では、地域包括ケア病棟に求められる機能の1つ(sub acute機能:地域の急変患者の受け入れ機能)を満たしていないことになります。これでは、2014年度の診療報酬改定で地域包括ケア病棟が創設された際の、▼post acute機能(急性期後患者の受け入れ)▼sub acute機能(地域の急変患者の受け入れ)▼在宅復帰支援機能―の「すべてを提供することが求められる」との厚労省保険局医療課の創設趣旨に反することになってしまいます。
 
今後の実態調査により、例えば「200床以上の急性期ケアミクス型の中にも、sub acute機能に力を入れている病棟がある」ことなどが明らかになった暁には、上記(1)(2)とは異なる、別途の評価の道が整備される可能性も出てくることでしょう。今後の、地域包括ケア病棟協会の調査に注目が集まります。



http://blogos.com/article/329610/
医療の東西格差 西日本に医学部が偏在している理由とは 
NEWSポストセブン2018年10月05日 07:00
※SAPIO2018年9・10月号

国民皆保険の制度下では病院に支払う受診料は全国一律。提供される医療サービスも同じと考えがちだ。だが、実際は東日本と西日本の医療環境は厳然たる格差がある。医療行政などを研究する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が問題の本質に迫る。

***
人、モノ、金……あらゆる面で東京を中心とする「首都圏一極集中」が指摘されて久しい。だが、こと医療に関しては西日本のほうが整っているのが実情だ。

まず、関東には医師が少ない。ひとりの医師が診察できる患者数は物理的に限界があるから、絶対数でなく人口比で見るべきだ。

厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数が最も多いのが徳島県の315.9人、次いで京都府314.9人、高知県306.0人、最も少ないのが埼玉県160.1人、次いで茨城県180.4人、千葉県189.9人となっている(「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査」より)。

なぜ関東に医師が少ないのか。最大の要因は大学医学部が圧倒的に西日本に偏在していることだ。

例えば、人口約398万人の四国には4つの医学部があるが、人口約4260万人の関東には25しかなく、人口比では2倍近い差がある。国立大学医学部に限れば、関東には5つで四国はすべてが国立大だから、実に9倍もの差がある。

筆者らの調べでは、医学部卒業生は出身大学の近くで就職する「地産地消」の傾向が強いことがわかった。医学部が多い地域ほど医師が多くなる。就職後に地域をまたいで移動する医師もいるが、それは一部であり影響は限定的だ。

西日本に医学部が偏在しているのは、明治政府を仕切ったのが西国雄藩だったことが関係している。鹿児島大や九州大など歴史が古い九州の国立大学医学部は、幕藩体制下の教育機関である藩校を前身としている。一方、戊辰戦争の戦後処理により、佐幕派の東北・関東周辺諸藩は武装解除させられると同時に、藩校も廃止の憂き目に遭った。

さらに1970年代に進められた「一県一医大構想」もその状況に拍車をかけた。戊辰戦争で勝者となった西国雄藩は、薩摩藩=鹿児島県、土佐藩=高知県のようにそのまま独立を維持したが、敗者は11の藩が合わさった福島県のように、周辺の諸藩と合併させられた。そのため、人口が少ない西日本の県にも医学部がつくられたというわけだ。

医療の東西格差の背景にはこうした賊軍差別があるのだ。

●かみ・まさひろ/1968年兵庫県生まれ。1993年、東京大学医学部卒業。1999年、同大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所特任教授などを経て2016年よりNPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、研究活動を続けている。『日本の医療格差は9倍』(光文社新書)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など著書多数。



  1. 2018/10/07(日) 10:48:28|
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The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018

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https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2018/summary/
The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018  


James P. Allison
Prize share: 1/2

Tasuku Honjo
Prize share: 1/2


The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018 was awarded jointly to James P. Allison and Tasuku Honjo "for their discovery of cancer therapy by inhibition of negative immune regulation."

Press release
2018-10-01

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet
has today decided to award
the 2018 Nobel Prize in Physiology or Medicine
jointly to

James P. Allison and Tasuku Honjo

for their discovery of cancer therapy by inhibition of negative immune regulation


SUMMARY
Cancer kills millions of people every year and is one of humanity’s greatest health challenges. By stimulating the inherent ability of our immune system to attack tumor cells this year’s Nobel Laureates have established an entirely new principle for cancer therapy.

James P. Allison studied a known protein that functions as a brake on the immune system. He realized the potential of releasing the brake and thereby unleashing our immune cells to attack tumors. He then developed this concept into a brand new approach for treating patients.

In parallel, Tasuku Honjo discovered a protein on immune cells and, after careful exploration of its function, eventually revealed that it also operates as a brake, but with a different mechanism of action. Therapies based on his discovery proved to be strikingly effective in the fight against cancer.

Allison and Honjo showed how different strategies for inhibiting the brakes on the immune system can be used in the treatment of cancer. The seminal discoveries by the two Laureates constitute a landmark in our fight against cancer.

Can our immune defense be engaged for cancer treatment?
Cancer comprises many different diseases, all characterized by uncontrolled proliferation of abnormal cells with capacity for spread to healthy organs and tissues. A number of therapeutic approaches are available for cancer treatment, including surgery, radiation, and other strategies, some of which have been awarded previous Nobel Prizes. These include methods for hormone treatment for prostate cancer (Huggins, 1966), chemotherapy (Elion and Hitchins, 1988), and bone marrow transplantation for leukemia (Thomas 1990). However, advanced cancer remains immensely difficult to treat, and novel therapeutic strategies are desperately needed.

In the late 19th century and beginning of the 20th century the concept emerged that activation of the immune system might be a strategy for attacking tumor cells. Attempts were made to infect patients with bacteria to activate the defense. These efforts only had modest effects, but a variant of this strategy is used today in the treatment of bladder cancer. It was realized that more knowledge was needed. Many scientists engaged in intense basic research and uncovered fundamental mechanisms regulating immunity and also showed how the immune system can recognize cancer cells. Despite remarkable scientific progress, attempts to develop generalizable new strategies against cancer proved difficult.

Accelerators and brakes in our immune system
The fundamental property of our immune system is the ability to discriminate “self” from “non-self” so that invading bacteria, viruses and other dangers can be attacked and eliminated. T cells, a type of white blood cell, are key players in this defense. T cells were shown to have receptors that bind to structures recognized as non-self and such interactions trigger the immune system to engage in defense. But additional proteins acting as T-cell accelerators are also required to trigger a full-blown immune response (see Figure). Many scientists contributed to this important basic research and identified other proteins that function as brakes on the T cells, inhibiting immune activation. This intricate balance between accelerators and brakes is essential for tight control. It ensures that the immune system is sufficiently engaged in attack against foreign microorganisms while avoiding the excessive activation that can lead to autoimmune destruction of healthy cells and tissues.

A new principle for immune therapy
During the 1990s, in his laboratory at the University of California, Berkeley, James P. Allison studied the T-cell protein CTLA-4. He was one of several scientists who had made the observation that CTLA-4 functions as a brake on T cells. Other research teams exploited the mechanism as a target in the treatment of autoimmune disease. Allison, however, had an entirely different idea. He had already developed an antibody that could bind to CTLA-4 and block its function (see Figure). He now set out to investigate if CTLA-4 blockade could disengage the T-cell brake and unleash the immune system to attack cancer cells. Allison and co-workers performed a first experiment at the end of 1994, and in their excitement it was immediately repeated over the Christmas break. The results were spectacular. Mice with cancer had been cured by treatment with the antibodies that inhibit the brake and unlock antitumor T-cell activity. Despite little interest from the pharmaceutical industry, Allison continued his intense efforts to develop the strategy into a therapy for humans. Promising results soon emerged from several groups, and in 2010 an important clinical study showed striking effects in patients with advanced melanoma, a type of skin cancer. In several patients signs of remaining cancer disappeared. Such remarkable results had never been seen before in this patient group.

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Figure: Upper left: Activation of T cells requires that the T-cell receptor binds to structures on other immune cells recognized as ”non-self”. A protein functioning as a T-cell accelerator is also required for T cell activation. CTLA- 4 functions as a brake on T cells that inhibits the function of the accelerator. Lower left: Antibodies (green) against CTLA-4 block the function of the brake leading to activation of T cells and attack on cancer cells.Upper right: PD-1 is another T-cell brake that inhibits T-cell activation. Lower right: Antibodies against PD-1 inhibit the function of the brake leading to activation of T cells and highly efficient attack on cancer cells.

Discovery of PD-1 and its importance for cancer therapy
In 1992, a few years before Allison’s discovery, Tasuku Honjo discovered PD-1, another protein expressed on the surface of T-cells. Determined to unravel its role, he meticulously explored its function in a series of elegant experiments performed over many years in his laboratory at Kyoto University. The results showed that PD-1, similar to CTLA-4, functions as a T-cell brake, but operates by a different mechanism (see Figure). In animal experiments, PD-1 blockade was also shown to be a promising strategy in the fight against cancer, as demonstrated by Honjo and other groups. This paved the way for utilizing PD-1 as a target in the treatment of patients. Clinical development ensued, and in 2012 a key study demonstrated clear efficacy in the treatment of patients with different types of cancer. Results were dramatic, leading to long-term remission and possible cure in several patients with metastatic cancer, a condition that had previously been considered essentially untreatable.

Immune checkpoint therapy for cancer today and in the future
After the initial studies showing the effects of CTLA-4 and PD-1 blockade, the clinical development has been dramatic. We now know that the treatment, often referred to as “immune checkpoint therapy”, has fundamentally changed the outcome for certain groups of patients with advanced cancer. Similar to other cancer therapies, adverse side effects are seen, which can be serious and even life threatening. They are caused by an overactive immune response leading to autoimmune reactions, but are usually manageable. Intense continuing research is focused on elucidating mechanisms of action, with the aim of improving therapies and reducing side effects.

Of the two treatment strategies, checkpoint therapy against PD-1 has proven more effective and positive results are being observed in several types of cancer, including lung cancer, renal cancer, lymphoma and melanoma. New clinical studies indicate that combination therapy, targeting both CTLA-4 and PD-1, can be even more effective, as demonstrated in patients with melanoma. Thus, Allison and Honjo have inspired efforts to combine different strategies to release the brakes on the immune system with the aim of eliminating tumor cells even more efficiently. A large number of checkpoint therapy trials are currently underway against most types of cancer, and new checkpoint proteins are being tested as targets.

For more than 100 years scientists attempted to engage the immune system in the fight against cancer. Until the seminal discoveries by the two laureates, progress into clinical development was modest. Checkpoint therapy has now revolutionized cancer treatment and has fundamentally changed the way we view how cancer can be managed.



Key publications
Ishida, Y., Agata, Y., Shibahara, K., & Honjo, T. (1992). Induced expression of PD-1, a novel member of the immunoglobulin gene superfamily, upon programmed cell death. EMBO J., 11(11), 3887–3895.

Leach, D. R., Krummel, M. F., & Allison, J. P. (1996). Enhancement of antitumor immunity by CTLA-4 blockade. Science, 271(5256), 1734–1736.

Kwon, E. D., Hurwitz, A. A., Foster, B. A., Madias, C., Feldhaus, A. L., Greenberg, N. M., Burg, M.B. & Allison, J.P. (1997). Manipulation of T cell costimulatory and inhibitory signals for immunotherapy of prostate cancer. Proc Natl Acad Sci USA, 94(15), 8099–8103.

Nishimura, H., Nose, M., Hiai, H., Minato, N., & Honjo, T. (1999). Development of Lupus-like Autoimmune Diseases by Disruption of the PD-1 gene encoding an ITIM motif-carrying immunoreceptor. Immunity, 11, 141–151.

Freeman, G.J., Long, A.J., Iwai, Y., Bourque, K., Chernova, T., Nishimura, H., Fitz, L.J., Malenkovich, N., Okazaki, T., Byrne, M.C., Horton, H.F., Fouser, L., Carter, L., Ling, V., Bowman, M.R., Carreno, B.M., Collins, M., Wood, C.R. & Honjo, T. (2000). Engagement of the PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation. J Exp Med, 192(7), 1027–1034.

Hodi, F.S., Mihm, M.C., Soiffer, R.J., Haluska, F.G., Butler, M., Seiden, M.V., Davis, T., Henry-Spires, R., MacRae, S., Willman, A., Padera, R., Jaklitsch, M.T., Shankar, S., Chen, T.C., Korman, A., Allison, J.P. & Dranoff, G. (2003). Biologic activity of cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4 antibody blockade in previously vaccinated metastatic melanoma and ovarian carcinoma patients. Proc Natl Acad Sci USA, 100(8), 4712-4717.

Iwai, Y., Terawaki, S., & Honjo, T. (2005). PD-1 blockade inhibits hematogenous spread of poorly immunogenic tumor cells by enhanced recruitment of effector T cells. Int Immunol, 17(2), 133–144.



James P. Allison was born 1948 in Alice, Texas, USA. He received his PhD in 1973 at the University of Texas, Austin. From 1974-1977 he was a postdoctoral fellow at the Scripps Clinic and Research Foundation, La Jolla, California. From 1977-1984 he was a faculty member at University of Texas System Cancer Center, Smithville, Texas; from 1985-2004 at University of California, Berkeley and from 2004-2012 at Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York. From 1997-2012 he was an Investigator at the Howard Hughes Medical Institute. Since 2012 he has been Professor at University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, Texas and is affiliated with the Parker Institute for Cancer Immunotherapy.

Tasuku Honjo was born in 1942 in Kyoto, Japan. In 1966 he became an MD, and from 1971-1974 he was a research fellow in USA at Carnegie Institution of Washington, Baltimore and at the National Institutes of Health, Bethesda, Maryland. He received his PhD in 1975 at Kyoto University. From 1974-1979 he was a faculty member at Tokyo University and from 1979-1984 at Osaka University. Since 1984 he has been Professor at Kyoto University. He was a Faculty Dean from 1996-2000 and from 2002-2004 at Kyoto University.


Illustrations: © The Nobel Committee for Physiology or Medicine. Illustrator: Mattias Karlén

The Nobel Assembly, consisting of 50 professors at Karolinska Institutet, awards the Nobel Prize in Physiology or Medicine. Its Nobel Committee evaluates the nominations. Since 1901 the Nobel Prize has been awarded to scientists who have made the most important discoveries for the benefit of humankind.

Nobel Prize® is the registered trademark of the Nobel Foundation



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018100100978&g=soc
本庶氏にノーベル賞=がん免疫療法開発-医学生理学、2年ぶり 
(2018/10/01-22:05)時事通信

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学生理学賞を、がんの免疫療法を開発した京都大の本庶佑・特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授(70)に授与すると発表した。研究に基づいて新薬が開発され、人間が本来持っている免疫力を使った新たな治療法として期待されている。

【特集】本庶佑氏にノーベル賞

 日本人のノーベル賞は16年の大隅良典東京工業大栄誉教授以来、2年ぶり。医学生理学賞は大隅氏に続き、5人目。日本の受賞者は米国籍取得者を含め計26人となる。
 本庶氏は京都大で記者会見し、「驚いた。このような賞をいただき、幸運な人間だと思う」と話した。
 がん治療では、外科手術と放射線療法、抗がん剤などの化学療法が主流。本庶氏らが開発した免疫療法は、第4の治療法として近年注目されている。カロリンスカ研究所は授賞理由で「2人の発見はまったく新しいがん治療を打ち立てた」と評価した。
 人間には、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃する免疫の仕組みが備わっている。T細胞などの免疫細胞は、体内で正常な細胞から変化したがん細胞も異物と見なして攻撃するが、がん細胞は免疫の働きにブレーキをかけ、攻撃を阻止する。

 本庶氏は、研究室の大学院生が1992年にT細胞の表面で偶然発見した分子「PD-1」の研究を進め、T細胞のブレーキ役になっていることを突き止めた。がん細胞の表面にある「PD-L1」がT細胞のPD-1と結合することで、免疫の働きが抑制されていた。
 結合を阻止してブレーキを解除し、T細胞を活性化させれば新たながんの治療法になると考えた本庶氏は、小野薬品工業(大阪市)と協力。PD-1を標的とした世界初の皮膚がん治療薬「オプジーボ」は2014年7月、製造販売承認を取得した。患者によっては大きな効果があり、肺がんや腎臓がんの治療にも使われている。アリソン氏も同様に働く分子を発見し、がん治療薬につながった。
 授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。賞金900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は2人で等分する。



https://www.asahi.com/articles/ASL9D5TKHL9DPLBJ00B.html
本庶さん、がん治療「第4の道」導く 衝撃の新薬に結実 
2018年10月1日21時03分 朝日新聞

 スウェーデンのカロリンスカ医科大は1日、ノーベル医学生理学賞を京都大の本庶(ほんじょ)佑(たすく)特別教授(76)と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン教授(70)に贈ると発表した。2人は、免疫をがんの治療に生かす手がかりを見つけた。新しいタイプの治療薬の開発につながり、がん治療に革命をもたらした。

 本庶さんの成果は、「オプジーボ」などの免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬に結びついた。

 体内では通常、免疫が働いてがん細胞を異物とみなして排除する。しかし、免疫細胞には自身の働きを抑えるブレーキ役の分子があるため、がん細胞はこれを使って攻撃を避け、がんは進行してしまう。

 2人はそれぞれブレーキ役の分子の役割を発見し、この働きを抑えてがんへの攻撃を続けさせる新しい治療を提案した。

 がん治療は従来、外科手術、放射線、抗がん剤が中心だったが、「免疫でがんを治す」という第4の道をひらいた。

 1日の会見で本庶さんは、「回復して『あなたのおかげだ』と(患者から)言われると、自分の研究が意味があったとうれしく思う。これからも多くの患者を救えるよう研究を続けたい」などと話した。

 本庶さんのグループが見つけたブレーキは「PD-1」という分子。京都大医学部教授だった1992年、マウスの細胞を使った実験で新しい分子として発表した。さらに、PD-1をつくれないマウスの体内ではがんの増殖が抑えられることを確認。この分子の働きを妨げる抗体をマウスに注射し、がんを治療する効果があることを2002年に報告した。

 PD―1の働きを抑える薬は、本庶さんと特許を共同出願した小野薬品工業と、米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブが開発。末期のがん患者でも進行をほぼ抑え、生存できることがあり、世界中に衝撃を与えた。薬は「オプジーボ」と名付けられて14年、世界に先駆けて日本で皮膚がんの悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として承認された。肺がんや胃がんなどでも効果が確認され、現在は60カ国以上で承認されている。

 ジェームズ・アリソン教授は90年代半ば、PD-1とは別の病原体を攻撃する免疫細胞の表面にある「CTLA-4」という分子が、免疫のブレーキ役を果たしていることを解明。この分子の働きを妨げることで免疫を活性化し、がん細胞を攻撃できると発案。マウスの実験で証明した。

 CTLA-4については、「ヤーボイ」というメラノーマの治療薬として60カ国以上で承認されている。

 日本のノーベル賞受賞は、16年の医学生理学賞の大隅良典・東京工業大栄誉教授に続き26人目。医学生理学賞は87年の利根川進・米マサチューセッツ工科大教授、12年の山中伸弥・京都大教授、15年の大村智・北里大特別栄誉教授、16年の大隅氏に続いて5人目。授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は受賞者で分ける。



https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/01/honjyo-tasuku_a_23546981/
本庶佑氏、ノーベル生理学・医学賞を受賞。京都大学の特別教授
がん治療法に関する発見の功績で受賞しました。
 
2018年10月01日 18時50分 JST | 更新 2018年10月01日 19時42分 JST ハフポスト
濵田理央(Rio Hamada)

2018年のノーベル生理学・医学賞に、京都大学の特別教授の本庶佑氏が選ばれた。スウェーデンアカデミーが10月1日に発表した。

本庶氏は、がん免疫治療に関する発見をした功績で、ジェームズ・P・アリソン氏と共同で受賞した。

本庶氏は、免疫をつかさどる細胞の表面にある「PD-1」という新たな分子を発見。この分子が、免疫活動のブレーキ役を果たすことを突き止めた。この発見が、新しいタイプのがん治療薬「オプジーボ」の開発につながった。

京都大学院医学研究科の公式サイトによると、本庶氏は京都市生まれ。京都大学医学部を卒業後、大阪大学医学部や京都大学医学部などで教授を務めた。免疫ゲノム医学を専門とし、2012年に受賞したドイツで最も権威のある「ロベルト・コッホ賞」など、名だたる数々の賞を受賞した。

京都大学の公式サイトによると、日本人がノーベル賞を受賞するのは24人目(受賞時に日本国籍でなかった人を除く)で、ノーベル生理学・医学賞の受賞は、2016年の大隈良典氏についで5人目となる。




https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/05/honjotasuku-cancer-medical_a_23552540/
ノーベル医学生理学賞の本庶佑さん、根拠ない免疫療法に苦言「金もうけ非人道的」
「わらにもすがる思いの患者に証拠のない治療を提供するのは問題だ」
 
2018年10月06日 09時39分 JST | 更新 23時間前 ハフポスト
朝日新聞社提供

本庶さん、根拠ない免疫療法に苦言「金もうけ非人道的」

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)が5日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大で講演した。受賞決定後、初めての講演となり、集まった同大の研究者や学生ら約2千人から、大きな拍手で迎えられた。本庶さんは研究の過程や、がん治療薬「オプジーボ」の開発までの経緯などを紹介。「21世紀は、免疫の力でがんを抑えられるのではないか」と語った。


 本庶さんらは、免疫細胞の表面にあるブレーキ役の分子「PD―1」を発見し、この分子の働きを妨げる「オプジーボ」の開発につながった。ただ、これらの研究はネイチャー、サイエンスなどの有名科学誌に載ったものではないとし、「そういう雑誌に載らないからだめだと思うのは間違い」とし、外部からの評価にこだわらないことの大切さを学生らに訴えた。

 本庶さんは「免疫力こそががんを治す力だが、オプジーボが効く効かないの判断は、まだ十分でない。副作用への対応の仕方も課題だ」とも指摘した。



  1. 2018/10/07(日) 10:24:25|
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