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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年9月30日

Google Newsでみる医師不足 2018年9月30日
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First 5 in Google in English 



https://www.businessinsider.com/us-primary-care-physician-shortage-solutions-2018-9
The US is facing a doctor shortage as the country grays, and nurses could be the answer
Business Insider-2018/09/12 (米国)
The US healthcare system is facing a physician shortage, especially in the field of primary care.
The shortage could impact 44 million Americans, especially those who live in rural areas.
Part of the problem is that not enough medical students and graduates are choosing to go into the primary care field.
UnitedHealth Group suggests in a recent report that there might be two ways to extend access to primary care. One is to allow nurse practitioners to practice primary care independently, and the other is through urgent care centers and retail clinics.



http://www.eagletribune.com/opinion/computer-demands-partly-to-blame-for-looming-doctor-shortage/article_107660d3-99b4-5d72-8ed5-7d8336748531.html
Computer demands partly to blame for looming doctor shortage
Eagle-Tribune-2018/09/27(米国ニューハンプシャー州)
America faces a physician crunch. The American Academy of Medical Colleges projects a physician shortage of between 42,600 and 121,300 doctors by the year 2030. Certainly, there's no shortage of demand for medical care. More of us are living longer, with more complicated health problems. But practicing physicians are accelerating their retirement plans, even as fewer and fewer doctors enter the physician workforce.



https://www.city-journal.org/why-america-faces-doctor-shortage-16194.html
Why America Faces a Doctor Shortage
City Journal-2018/09/26 (米国 ニュージャージー州)
Health outcomes are adversely affected by the shortage. In lower-income areas, which are feeling the impact of too-few physicians already, patients are increasingly being treated by practitioners who attended for-profit medical schools in the Caribbean. These schools, known for their lower standards, are the kinds of institutions that LCME was founded in 1942 to police and prevent. Patients of such doctors tend to have higher mortality rates than those of physicians who attended medical school in the United States.



https://www.forbes.com/sites/sallypipes/2018/09/17/free-med-school-wont-solve-the-doctor-shortage/#4712fd3e42f1
Free Med School Won't Solve The Doctor Shortage
Forbes-2018/09/17 (米国)
The New York University School of Medicine just eliminated tuition for all current and future students. Administrators believe the reform will help solve the nation's doctor shortage. Dean Robert Grossman suggests that "without the prospect of overwhelming financial debt," more people will pursue medical careers. And they'll be more willing to become primary care providers in underprivileged areas, rather than highly paid specialists in affluent communities.



https://www.nj.com/opinion/index.ssf/2018/09/what_new_jersey_can_do_to_address_doctor_shortage.html
What New Jersey can do to address doctor shortage | Opinion
NJ.com-2018/09/06 (米国 ニュージャージー州)
By Lawrence Stankovits. The Star-Ledger recently reported that lawmakers in Washington are looking to close a decades old loophole that is leading to a doctor shortage in New Jersey. While New Jersey's Congressional delegation should be praised for their efforts to overturn the cap on Medicare-funded slots for doctors in training, it is only one of the reasons why New Jersey residents are losing access to medical doctors and surgeons.



(他に10位以内のニュースは、カナダ(全国、ノバスコティア州)、香港、米国*、中国、からも)




*: Educators/Mentors SHOULD READ
https://www.heritage.org/health-care-reform/report/americas-looming-doctor-shortage-what-policymakers-should-do

America’s Looming Doctor Shortage: What Policymakers Should Do
September 5, 2018  The Heritage Foundation

Kevin Pham

SUMMARY - America is faced with the very real threat of a shortage of doctors to serve the needs of a growing and aging population. America’s doctors are under stress, and many are demoralized, burned out, and looking toward an early retirement. Their problems have very little to do with actually delivering medical care to patients. They have much more to do with the non-clinical requirements imposed on them while running a medical practice. The laws, the rules, and the regulations that have interfered with the doctor–patient relationship have driven American physicians’ morale lower, and encourage them to leave medical practice at precisely the time the American public needs them most. For policymakers in Washington and in the states, there is a serious lesson here: Any serious reform must shift the focus back to the patient–doctor relationship, unburden the practice of medicine, and let doctors be doctors.



  1. 2018/09/30(日) 12:37:52|
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9月30日 

https://www.fnn.jp/posts/00367300HDK
半数が60歳以上!フランスの医療改革に立ちはだかる医師の高齢化問題 
小林善
2018年9月27日 木曜 午前11:30 FNN

ヨーロッパでも報じられた日本の不名誉

東京医科大が、女子受験者の得点を一律に減点するなどして合格者数を抑えていた問題。
信頼第一の医師を育てるはずの大学での不祥事は、ヨーロッパでの新聞でも報じられた。日本の医大が不名誉な形で注目を浴びる中、フランスに住む筆者は、フランスの医大が抱える問題とマクロン大統領の医療改革について考えてみた。

フランス医学生の苦悩

フランスの医大入試は以下のようになっている。

まず、大学側で1年目へ入学するために書類審査を行っていて、この審査によって、生徒の能力が適しているかを見極める。去年、医大の1年生に入学した生徒は5万人を超えたが、そこからが大変だ。狭き門をくぐり抜けて入学しても、その後、5分の4が振り落とされる。毎年学年を上がっていくのには、相当な努力が必要となる仕組みだ。

最も恐れられているのが、1年目にあたる、PACES(初年度共同医療学)だ。医療の一般教育を受ける期間で、その1年を経て専門分野の試験を受ける権利が与えられ進学が決まる。
その試験の分野は、医療学部、薬剤学部、助産学部、歯科学部に分かれている。もし試験に落ちたら、何度でも受けられるわけではない。試験を受けるのは、2度までとなっている。3度目以降は、健康に問題があったか、家族に不幸があった場合に、例外的に許可されることもある。

しかし医大に進むものとして博士まで上り詰めるまでに、医学の場合は最短でも9年かかることから、2度試験に落ちると、医学の道を諦めてしまうこともある。日本と同じように、フランスでは分野によって、進学者数の上限が設けられている。2018年度、医大での2年目への進学切符(Numerus Clausus)は、13523枠だった。この数字は毎年見直されていて、増加傾向にある。
最も多い席が用意されているのは医療学部で、8205枠となった。

進まない世代交代

フランス政府は、2016年に、医大に関する資料を発表した。
2014年に、フランス全土の医大のPACES(初年度共同医療学)に進学をした大学生のうち、2年生への試験に合格したのは、わずか10人に1人だった。
試験を2年続けて受けてやっと合格した場合でも22.2%と、比較的低いことがわかる。
一方、試験を初めて受ける学生は、2年続けて受けている学生に比べて不利だという批判もあったため、両者の間に別枠を分けることにしたり、2018年には新たなPACESが登場したりした。

こうして、不公平の問題は改善されたかのように思われたが、フランスの医療界の問題はより深かった。
フランスでは、登録されている医師の数がここ35年で倍増したにも関わらず、農村や都会から離れると、医師の数が足りない問題に直面している。
一番の理由は、医大の1年生試験で振り落とされる数にある、と考えられてきた。

しかし、フランス医学委員会の2017年レポートによると、2007年から2017年の10年間で、医師の高齢化現象が起きていることがわかったのだ。
60歳以上(活動をやめた人も含め)で医学委員会に登録されている医師は、なんと全体のおよそ半数(47%)を占めている。2007年に比べると、プラス20%と、医療界で世代交代ができていない現状が明らかになった。引退しても活動を続けている医師は、2007年に比べて6%も倍増した。
このように、遅々として進まない世代交代が、根深い問題として議論されている。

男女比は?

以下のグラフは、年代による男女の医師の割合を示したものだ。
左の縦軸に年代、男性は青色、女性はピンク色で示されている。
これを見ると、60歳以上の男性医師が全体の69%を占めていることが分かる。
0930.jpg

マクロン大統領が掲げる医療改革

上記だけで説明するのは難しいが、フランスでの医師不足の解消は、進学者数の制限を見直すなど、なんらかの措置をとらなければ難しい。そこで、フランス政府は、9月18日に新たな医療改革を発表。
夏休み明け早々、マクロン大統領は、「今後50年」医療界を支える改革と述べ、この問題に直接関わる進学枠(Numerus Clausus)を2020年までに廃止することを口にした。

マクロン大統領は、「現在、毎年2万5000人もの学生が無駄になっている」と述べ、半世紀も続いた、進学枠の存在に終止符を打つ覚悟を示した。

それに加えて、国立病院の職場改善や、2019年には医療サービスの利用に苦しむ地域に、400人の医者を給料制で派遣することなど、多くの改革を掲げた。
マクロン大統領の支持率が低迷する中、この改革が果たしてうまく進むのかが、今後の焦点になる。
現在、日本で女性医師が2割と、数が少ない状況と異なり、2017年に登録されている40歳未満の医師のうち62%が女性医師であることがグラフによって分かる。
その動きは衰えておらず、今年大学卒業後、医師の国家資格の取得者のうち、6割ほどが女性となっている。
また、これまで男性のみとされていた外科医のうち29%が女性だ。
もちろん、女性が増えてきた背景には、家族がいても仕事ができる環境が整っているという要素もある。
こうした傾向は日本も見倣いたいものだ。

救急病棟が緊急事態

フランスの医療問題においては、地域の医者から国立病院まですべての面で改革が必要だった。にもかかわらず、オランド前大統領も任期中に行った改革では個別具体的な問題に踏み込まなかった。
今年3月には、救急で3人もの患者が死亡し、そのうち1人は2時間半救急病棟で待たされた結果タンカの上で死亡した。こうした事態から、フランス全土の650の救急病棟のうち100ヶ所もの救急病棟が緊急事態=「Hopital en tension」を発動した。

これは、病院が患者であふれて対処できない緊急の場合、休暇中の人材を呼び戻すことや、他の病棟の予定をキャンセルすることが許可される措置だ。しかし、こうした問題は救急だけにとどまらず、通常外来でも指摘されている。
医師が患者にかける時間はより短くなり、人のケアより数をこなすことにならざるを得なくなっている。

今後、患者に必要なものは高度な技術だけではなく、人間同士の会話と時間ではないだろうか。そのためには、十分な数の医師と看護師を確保することが、最優先課題なのだ。

(執筆:FNNパリ支局 小林善)



http://blogos.com/article/327087/
大学病院勤務の医師は稼げない? 「給料は看護師以下」「月~土で働いて月収20万円ほど」 
2018年09月24日 10:39 BLOGOS

ビズリーチが今年6月に発表した「正社員職種別年収ランキング2018(提示年収の中央値 ベスト30)」では、1位に「医師」(1400万円)が選出された。2位「プライベートエクイティ」(899万円)、3位「ファンドマネージャー」「財務アドバイザリー」(850万円)と、2位以下を大きく引き離す結果となった。やはり、我々のイメージ通り医師は高給取りなのだろう。
ただ、どの業界でも稼げる人と稼げない人が存在するように、医師の世界も例外ではなさそうだ。9月19日に放送された『ナカイの窓』(日本テレビ系)では、「ナカイの窓×美人医師」と題し、医療現場で活躍している女医が出演。医師のお金事情についてぶっちゃけトークを展開した。(文:石川祐介)

「週に1回、他の病院で仕事をして、それで生活できる」

番組中、産婦人科医の丸田佳奈さんは「科にもよりますけど全体的に(医師の数は)少ないです。忙しいです」と医師不足のために激務に追われている現状を語る。中居正広さんから「割に合わないですか?」と質問すると、泌尿器科医の友梨香さんは
「私、大学病院(勤務)ですけど、看護師よりもらってないです」
と話した。さらに、同じく大学病院に勤めている丸田さんは
「私は月曜から土曜まで昼間だけ働いたケースですと、月収20(万円)いかないです」
と予想外の月収額を口にする。「結局、大学病院って教育機関だから、学ばせてもらってるので、給料が出てるだけマシなんですよね」と一般的な病院とは根底が違うため、給与が低くなると説明。
さらに、丸田さんは「上司も鬼じゃないので、ちゃんと生活の事も考えてくれる。例えば、週に1回、外の病院に行って、その分の給料は自分に入る。それで生活できる」と他の病院で副業しながら生活できるだけの給与を稼いでいるという。

稼ごうと思ったらフリーランスで「自由診療」をやるといい

歯科医の関有美子さんは「早く豊かになりたい人は大学から早く出て、フリーで病院をいっぱい掛け持ったほうがお金は入ってくる」と稼げる医師の働き方について解説する。『ドクターX?外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)の大門未知子のようにフリーランスとして働くほうが稼げるようだ。
また、この日のゲストMCのハリセンボン・近藤春菜さんから「どの科が一番儲かるんですか?」と科ごとに給与差があるのかを聞かれると、丸田さんが「自由診療をやってる科だと思います」と回答。
「歯列矯正」や「ビタミン注射」などの保険が適用されない診療"自由診療"を多くやっていると稼げるようで「保険診療だけで何億も稼ぐのは無理です」と語った。これに中居さんは「一生懸命勉強して、一生懸命いい大学行って、お医者さんになったらお金持ちになると思った」と意外とシビアな医師の給与事情に驚きの声を上げていた。
キャリコネニュース



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018092402000132.html
【茨城】
県、最優先に医師確保へ 20年春目標 医学部に派遣要請
 
2018年9月24日 東京新聞

 人口当たりの医師数が全国ワースト2位で医師確保が課題になっている県は、日立製作所日立総合病院(日立市)の産婦人科をはじめ、県内五つの医療機関・診療科で計15人の医師確保に最優先に取り組むと発表した。大学医学部への働きかけや予算配分などにより、2020年4月までを目標に確保を目指す。 (鈴木学)

 県医療人材課によると、優先的に医師確保を目指すのは▽日立総合病院の産婦人科四人▽常陸大宮済生会病院(常陸大宮市)の内科三人▽神栖済生会病院(神栖市)の整形外科三人▽土浦協同病院(土浦市)の産婦人科三人▽JAとりで総合医療センター(取手市)の小児科二人-だ。

 産婦人科や小児科、救急医療などは不採算でも維持する必要がある政策医療で、いずれも緊急度の高い医療機関・診療科という。

 日立総合病院は、地域周産期母子医療センターを休止中で、日立市などでリスクを抱える妊婦は水戸市まで来なければ治療できない。センターの早期の再開には、産婦人科の充実が不可欠になっている。

 JAとりで総合医療センターは医師不足で、二十四時間受け入れるべき地域小児救急センターの機能に支障を来している。

 県は各地域で弱い医療を洗い出し、政策医療を担う計百三の病院の求人状況も見ながら選んだ。

 確保に向けては、各医療機関と強い関係の大学を中心に医師派遣を要請する。自治体が大学の医学部に寄付して研究講座を開設し、研究の一環として病院に大学の医師の派遣を受ける「寄付講座」などを検討している。寄付講座には一億円を用意しているという。

 課の担当者は「来年四月の人事を見据えた時、本格化するのがこれから。スピード感を持って取り組み、県の本気度を示したい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631460
シリーズ 社会保障審議会
「急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか」
医療部会、病院団体トップから懸念の声も
 
レポート 2018年9月26日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は9月26日、同省の「医師の働き方改革に関する検討会」の検討状況について議論、病院団体の代表者からは、「働き方改革を急速に進めて、医療現場が崩壊した時に誰が責任を取るのか」(日本精神科病院協会会長の山崎学氏)など、医療提供体制の維持を念頭に置いて、改革を進めるよう求める意見が相次いだ。

 山崎氏は、労働基準監督署の立ち入り調査を受けて、土曜日の外来診療など診療時間の縮小を実施した聖路加国際病院の例を挙げて、働き方改革を急速に進めることで、医療現場が崩壊することに懸念を呈したほか、「今まで医師の過重労働の中で、医療現場が回っていた。労働量を少なくすれば、それに代わる人を配置しなければ、医療は成り立たない。医師不足、かつ後期高齢者が増え、医療ニーズが増えていく中で、その関連について議論しているのか」と質した。日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、山崎氏の意見を支持、医師の働き方と医師需給の問題を関連させて議論することが必要だとした。

 厚労省医政局長の吉田学氏は、「医師の働き方改革に関する検討会」では、地域医療への影響や「改革を通じて、医療を良くしていく」という視点も念頭にあり、患者の受診の仕方も含めて、「複合的な連立方程式を解いていく」との方針で進めていると説明。同省医政局医事課長の佐々木健氏も、「医師需給の議論ともリンクしてくるので、並行して議論を進めていく」と回答した。

社保審医療部会では、「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」、ACPに関する取り組み状況、2019年度概算要求についても議論。

 「病院の収入に直結しない行為」は自己研鑽か
 「医師の働き方改革に関する検討会」はこの9月に2回開催され、応召義務、労働時間の判断基準、宿日直などが議論された(『応召義務は「開業医が往診する時代」の義務』、『後期研修医「自己研鑽の機会奪わないで」』、『応召義務「無制限に働け」ではない』を参照)。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「今の議論で抜けているのは、次の時代を担う若い人を育てていかなければならないという視点だ。机上ではなく、実際に患者を診て、指導していくことが大事で、そのために皆が時間を使っていることを忘れないでほしい」と訴えた。例として専門医取得のための経験症例数を例に挙げ、「(勤務時間外に)経験すべき症例の患者が来た時に、その患者を診るのは強制か、自己研鑽かだが、その中間になるのだろう」と相澤氏は述べ、労働時間と自己研鑽を切り分ける難しさを指摘した。

 山崎氏は自己研鑽についても発言。「病院は、医師と労働契約を結んでいる。病院の収入に直結しない行為は契約外であり、自己研鑽に当たるのではないか」との考えを述べた。

 応召義務については、「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈についての研究」の主任研究者を務める上智大学法学部教授の岩田太氏がコメント。「従来のやり方は、割と広い義務を課していた。医療提供体制が十分ではなかった時代の産物でもあり、(応召義務が免除される)『正当な事由』として認められるか否かは、事後的に法学者や裁判所が決めていた」「応召義務を理由に、際限なく医師に過重労働を求めるわけでもない。ただし、どんどん患者を断っていいわけでもなく、医療倫理の基本として、応召義務を果たす体制を整えることが必要」などと述べた。

 さらに岩田氏は、「応召義務が争われた裁判で、医療機関が負けた事例はある。しかし、応召義務は医師個人に課されたものだが、それが問題になったことはない」などと説明。医療機関が敗訴した裁判では、応召義務の法的な議論ではなく、過失の有無が争点になったことから、応召義務についての法理論はもう少し精緻化する必要があるとした。

 宿日直については、日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長の木戸道子氏が、「結果的に1件も救急搬送がなくても、それに備えるために当直している時は、十分に寝ることはできない。それが医師にとって負担であるなど、(医師の労働時間を計測するための)タイムスタディ調査からは見えない部分も含めて、議論を進めてもらいたい」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631727
労働時間の上限規制、行き過ぎれば医療崩壊
四病協、改めて主張していく考えで一致
 
レポート 2018年9月27日 (木)配信大西裕康(m3.com編集部)

 四病院団体協議会(四病協)の幹事を務めている日本医療法人協会会長の加納繁照氏は9月26日の記者会見で、医師の働き方改革として労働時間の上限規制が行き過ぎてしまえば医師需給がひっ迫し、地域医療の崩壊につながるとの認識で訴えていくと改めて主張した。同日に開いた四病協総合部会で考えが一致したと説明した。

 加納氏は、同日の社会保障審議会・医療部会で、日本精神科病院協会会長の山崎学氏が医療ニーズが増えていく中で、労働時間の上限を強制的に縮めるような施策を打ち出せば医療崩壊につながるとの懸念を表明したことに言及。「医師需給がひっ迫する中で、働き方改革でやり過ぎてしまえば、医師不足などが起こって地域医療の崩壊につながることを、医療団体として訴えていく必要がある」と述べた(医療部会での議論は、『急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか』を参照)。

電カル、互換性や経費負担軽減へ一元化を
 記者会見では、医療機関が負担する電子カルテの経費負担や互換性の問題を解消すべきとも訴えた。「2019年度予算の概算要求に電子カルテに関する要求が入っていなかった事実については、今後も問題視していく。ベンダーが違えば互換性がなく、ビッグデータの活用を進めていかなければならない中で医療機関の経費が増大してしまう」と述べ、厚労省が一元化に向けて役割を果たすべきと主張。「医療部会でも訴えているが、売り上げの1.5%が電カルのイニシャルコストとランニングコストにかかっているとの実態もある。急性期病院では利益率よりも高い可能性があり、しっかり対応してもらわないといけないという認識で(四病協は)一致している」と強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/629479
シリーズ 真価問われる専門医改革
必要なのはシーリングではなく「底上げ」- 寺本民生・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.4
19の基本領域の変更は混乱を招く

インタビュー 2018年9月28日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その一方で、診療科の偏在はいかがでしょうか。勤務地の異動は条件次第で可能であっても、将来の転科は容易ではありません。新専門医制度でより重視すべきは、地域偏在よりも、診療科偏在の解消ではないかとも思います。
 それはその通りだと思います。ただし、診療科の偏在をわれわれの方で何ができるかと考えた場合、領域別のシーリングしかないと思います。新専門医制度では、外科を目指す人が減っているということで、シーリングからは外しています。東京都の今年度の外科専攻医は、以前よりも増えています。産婦人科、病理、臨床検査もシーリングの対象外です。
 ただそれにより、地域の外科医不足にまでは影響を与えておらず、少し心配な点もあります。シーリングにより、医師不足の地域に医師が行くようにならなければ、意味がないわけです。今年度は、「外科専攻医ゼロ」という県もあります。「シーリング検討委員会」では、「上限」ではなく、むしろ「フロア」、つまり「底上げ」を行うことが必要という意見が出ています。これはとても正しい意見だと思います。
――そのためには何らかの方法があるのでしょうか。
 私が今、そのアイデアを持っているわけではありませんが、重要な検討課題。アイデアを持っている人もいるようなので、今後、意見をお聞きしていきます。
――さらに新専門医制度の根本ですが、基本領域はなぜ今の19領域なのでしょうか。本制度スタートのきっかけは、厚生労働省の高久先生の検討会(「専門医の在り方に関する検討会」。『新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.1 』などを参照)ですが、総合診療を基本領域として加える議論は行われたものの、そもそもどの領域を基本領域にすべきかという議論はありませんでした。この辺りを再検討するのは、難しいのでしょうか。
 私もなぜ「今の19領域なのか」とは思っています。専攻医の応募が少ない基本領域がある一方で、基本領域に本来入るべき領域があるのかもしれません。しかし、いったんスタートした制度を下手にいじるのは、混乱を招くだけです。
――総合診療についてですが、他の領域には担当学会があるものの、総合診療については日本専門医機構が運営を担当しており、機構が第三者的に評価する仕組みではないと思います。
 どこかの学会が担保してくれればいいのですが、現時点ではそうは行きません。現在は「総合診療医検討委員会」が、学会的な役割を果たし、専門研修プログラムの審査を担当しています。この委員会には、内科、外科、救急、小児科の先生方のほか、日本プライマリ・ケア連合学会の先生方もおられ、総合診療のバックグラウンドを持つ先生方の集まりとなっています。
 ただ現時点での理想を言えば、「総合診療医検討委員会」が1次審査を行い、「専門研修プログラム委員会」がそれを認定するという、機構内ですみ分けをするというやり方が妥当ではないかと思っています。あるいは「総合診療医検討委員会」の中に、ワーキンググループを作り、そこで1次審査を行い、それを委員会が承認するという案も出ています。
――総合診療領域については、専門研修プログラムの整備指針ができた後も、後付けでさまざまな基準が追加され、昨年の夏頃は現場が混乱しました。今年はそうしたことは起きていないのでしょうか。
 確かに混乱し、本当にそれは申し訳ないと思っています。今年はそこまで戻ることは考えています。
――新専門医制度については、四病院団体協議会が提言をこの8月に公表しています(『四病協、新たに二階建て「専門医制度」を提言』を参照)。日本専門医機構ではどう取り扱う予定でしょうか。
 われわれの中では、そうした提言があったことは真摯に受け止めます。ただし、あまりにも考え方が基本から違うので、議論のしようがなく、「そうしたご意見がある」という捉え方になると思います。ただし、無視するわけにはいかないので、次の理事会あたり(9月21日の理事会)で、受け取ったことだけは皆さんには公表する予定です。



https://news.mynavi.jp/article/20180927-698144/
医師7割が「働き方に男女差がある」と回答 
CHIGAKO
2018/09/27 09:20:09 マイナビニュース

CBコンサルティングは9月26日、運営する「CBnews」にて実施した「医学部受験の点数調整は必要?必要ではない?」と題したアンケート調査の結果を発表した。調査は8月17日~9月3日、病院・診療所などに勤務する医師112名を対象に、インターネットで行われた。

医師の業務・働き方に男女差あり
「医療現場で感じる男女差」について聞いたところ、男性と女性の医師とで業務内容などに差が「ある」と回答した意思の割合は73.2%にのぼり、特に、「当直」や「休みの取り方」「オンコール」などで男女差を感じるという意見が多かった。

具体的には、「女性医師は早く帰宅するのに、給料一緒はおかしい」「(有給の消化が多い女性医師に比べ)こっちは有給消化できない」「女性が働けず不公平という声がほとんどだが、男性が子どもと過ごせないのも不公平だ」など、業務量と報酬の差が見合わない状況を疑問視する意見や、「出産や子育ての時期に夫の協力がなく、妻が対応するしかないため、女性に負担がかかりすぎていることが大きい」との指摘も。


そのほか、「『体力面で女子には無理だ』と教授から入局を断られた」(50歳代・女性)という実体験や、「むしろ女性医師のほうがしっかりとして細やかな配慮がある場合もある」(60歳代・男性)と、女性医師の丁寧さを指摘する男性医師の声などが寄せられた。

医学部受験に点数調整は必要?
また、「医学部受験の点数調整は必要かどうか」を問うと、27.7%が「必要」、72.3%が「必要ではない」と回答。「受験は性、年齢、経験に関わらず公平であるべき」といった意見があがった一方で、「医師が不足している中、その解決のためには男性医師の養成がより有効であると思われる」といった意見も見受けられた。

また、点数調整が「必要」「必要ではない」に関わらず、「調整をするなら受験者に事前に知らせる必要がある」という指摘や、「男女別に定員枠を設定すればよいのではないか」といった提案も多数寄せられた。

医師の業務・働き方に男女差
実際に男女差を感じる業務や働き方では、「当直」や「休みの取り方」「オンコール」などを挙げる医師が多かったです。
 <40歳代の男性>
女性医師は早く帰宅するのに「給料一緒はおかしい」。
さらに、「(有給の消化が多い女性医師に比べ)こっちは有給消化できない」
「女性が働けず不公平という声がほとんどだが、男性が子どもと過ごせないのも不公平だ」
などと、業務量と報酬の差が見合わない状況を疑問視しました。
 <50歳代の男性>
出産や子育ての時期に夫の協力がなく、妻が対応するしかないため「女性に負担がかかりすぎていることが大きい」と指摘しました。
 そのほか、「体力面で女子には無理だ」と教授から入局を断られた(50歳代・女性)など診療科を選択する場面で男女差を感じるという意見や「むしろ女性医師のほうがしっかりとして細やかな配慮がある場合もある」(60歳代・男性)などと、女性医師の丁寧さを指摘する男性医師の声もありました。

 詳しい調査結果は、こちらから
医師の業務・働き方に男女差「ある」が約7割
「女性は早く帰るのに」「外科への入局断られた」
https://www.cbnews.jp/news/entry/20180920194758



https://diamond.jp/articles/-/180357
大学病院のブラック職場化を加速した「総合診療方式」研修の罠 
奥田由意
2018.9.25 ダイヤモンドオンライン

東京医科大学の女子受験生への一律減点が明らかになった件について、女性差別の背景には、大学病院の勤務医の過酷な長時間労働の実態があることや、大学病院の人事権を司る医局が一般企業とは違う原理で動いている現状を前回(「東京医大の女性差別を医師の65%が「理解できる」と答えた真の理由」)レポートした。9月3日に開かれた厚生労働省の第9回「医師の働き方改革」有識者検討会ではようやく残業時間規制のあり方について議論が始まったが、今回はそもそも医局が人員不足に陥った背景や、女性医師に特有の状況、今後の展望などについて続報をレポートする。(ライター/奥田由意)

 東京医科大学の女子受験生への一律減点を行っていた件を受け、文部科学省は全国の医科大学や大学医学部に対し、入試の実態について、緊急調査を行った。ほかの学部に比べ男子優位の傾向が明らかになったが、現時点では東京医科大学以外の全ての大学が「得点操作」については否定しているという。

 文科省の調査はさらに続いているなか、実際に前回の記事で挙げたアンケートからもうかがい知れるように、女性を合格させたがらないという姿勢は多くの医学部で見受けられるようだ。その要因となっている大学病院に勤務する医師の過酷な長時間労働の実態については、前回の記事「東京医大の女性差別を医師の65%が「理解できる」と答えた真の理由」で言及した。

新たな研修「スーパーローテート」必修で
大学病院の医局から人材が流出

 大学病院で、なぜ「長時間労働に耐えられる」医師が必要になるのか、前回挙げた点以外にもさまざまな理由があるようだ。

 ひとつの契機は2004年に遡る。それ以前は、国家試験に合格した医師の多くが、自分が卒業した大学の医局に属し、それぞれの専門の科に配属されて、研修医として研鑽を積むのが一般的だった。内科のなかで、例えば循環器を選択した医師が、同じ内科の医局内の消化器について研修をする機会はあっても、外科や精神科の臨床研修を受けることは基本的にはなかった。

 それが2004年から始まった新医師臨床研修制度では、初期研修として2年間、主要な科を全て順番に経験する総合診療方式(スーパーローテート)の研修が必修となった。内科系、救急、地域保健に加え、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科からも2科目選択し、幅広い診療能力を養うものだ。同時に、2004年からは、自分の出身大学以外の希望する病院での研修を志望することも可能になった。
 この制度によって、地方大学の医学部や医科大学を卒業した医師が、母校の医局ではなく、都市へ流出したり、都市部の大学の医局でも、別の病院にとられてしまったりという事態を招いた。また近年では、必ずしも医局に属さない医師も増えつつある。
 医局での人員確保が従来よりも困難になり、その分人数が減ることは、医局の弱体化を意味する。さらに、人員不足から勤務医の長時間労働を前提としなければ、ますます業務がまわらなくなる。
 かたや医局には有給のポストが少ない。収入は市中病院やクリニックなどのアルバイトで補填し、常勤と同じ勤務をこなしながら、手当が支給されない無給医もまた、その長時間労働のシフトを担う。この2004年のスーパーローテートの初期研修制度により、長時間労働の常態化がますます進み、「離職可能性の高い」女子よりも男子を合格させ、医局に採りたがる風潮が強まったと見ることもできる。

医局の弱体化を受け、
「新専門医制度」で医局の復権へ


 ところで、こうした医局の弱体化が進むなか、2018年4月から、新専門医制度という医師のキャリアの積み方に影響を与える新制度が始まった。
 従来、国家試験の合格者は2年間スーパーローテート方式の初期研修を受けたあと、次の3年ないし5年で、自分で選んだ科の専門医となるべく、研修を受け、資格審査や試験を経て専門医の認定を受けていた。専門医の認定は、学会ごとに行われていた。
 これを新専門医制度では、中立的な第三者機関である「日本専門医機構」が認定することになる。そのための研修プログラムは大学病院や都市部の規模の大きい病院でのみ実施され、その数は絞られている。なお、都市部に医師が偏りすぎないように、都市部の病院での受け入れ数を制限するなど、調整も行われる。
 これまで初期研修を行っていた病院は約1100あるが、新専門医制度の研修が行える病院は大学病院を含め300から400しかない。このことから、新専門医制度の実施は、大学病院の医局の復権をもくろんだものという見方もある。
 以上が医局の事情であり、長時間労働を招くひとつの背景である。

なぜ女性医師は二極化するのか
 さて、ここで、女性医師に特有の状況についても触れておきたい。女性医師の働き方では、二極化が進んでいる。長時間労働が前提となる勤務医を諦めて非常勤バイトに徹するなどしてキャリアから離れてしまうか、あるいは「男性並み」に働くかという二極化だ。

 結婚して子どもがいても、外科や循環器などの「ハード」な科で働き続ける女性医師もいるが、結婚せずにハードな科の業務に邁進するか、あるいは結婚して出産や子育てを前提に、眼科や皮膚科のような急変が少なく比較的ハードではない科を選択するという二極化もある。

 医師向け人材紹介会社エムステージが運営する、女性医師対象のウェブマガジンjoy.net編集長の岡部聡子さんは、これまで同サイトの取材で120名、医師担当のキャリアプランナーとして100名、計220名にのぼる女性医師と向き合ってきたなかで、女性医師の働き方が二極化しがちな要因をいくつか挙げてくれた。

 まず、ロールモデルが少ないことだ。

 2014年の日本医師会の調査によると、学会役員の女性比率は2.7%。大学医学部教授以上は2.5%といずれも低い。ちなみに、経済産業省の調査では、2017年の上場企業の女性役員は3.7%である。もちろん数合わせをすればいいという話ではないが、まず学会役員になっている女性医師の絶対的な数が少ないという事実がある。

女性医師の結婚相手は7割が医師
医師同士の結婚は離婚しやすい?


 二点目は、女性医師が結婚する場合、相手は約7割が医師である(ちなみに男性医師の結婚相手が医師である割合は約2割)ことだ(参照:東京大学 社会科学研究所:『社会科学研究』女性医師の労働時間の実態とその決定要因―非常勤勤務と家族構成の影響について)。

 医師になると、忙しさから出会いの機会が少ない。そうした理由もあり、大学の同級生や、初期研修などの研修医時代に知り合って結婚する例が多いが、joy.netの行ったアンケートに「研修が始まると非常に忙しくなると先輩医師からのアドバイスがあり、学生のうちに入籍、披露宴をすませた。正解でした」(30代後半・内分泌科)という声が寄せられているように、既婚女性医師には早婚傾向もあるそうだ。

 また、代々医師という医師家庭も多く、女性医師の両親は娘の結婚相手に医師以外を認めないという例も少なくないという。

 そして、医師同士の家庭に子どもが生まれると、一般企業以上に、夫と妻の双方が仕事を調整することが難しい。多くの場合、女性が仕事を調整するか、離職せざるを得なくなる。そうなると、女性が「キャリアを諦めなくてはならなかった」と思い、順調にキャリアを積んで出世する夫に嫉妬や怨嗟を募らせることも一因で、離婚することもあるそうだ。

 医師の母親世代は、専業主婦である場合が多く、夫や子どもや家事を優先している姿を見ていて、男性医師が結婚した女性医師の妻にも同じ「献身」を求めて離婚に至るケースもある。

 岡部さんはさらに、女性医師で出産後も子育てと常勤医としてのキャリアを両立させている人は結婚相手が医師以外の職業であるケースが多いと言う。

「当直中、授乳時間になったら夫に子どもを連れてきてもらうように頼むなど、大変な思いをして育児期間を乗り切るなど、相手が長時間勤務の医師ではなかったから、協力して育児ができたという医師もいる」と話す。

 もちろん代々医師の家庭、医師同士の家庭であっても、それぞれに事情も考え方も違うだろう。医師同士の家庭でうまくいっている例もある。

 ただ、少なくとも、一般企業よりは女性が多様な働き方を選びにくい現場であることは確かだ。そして、もちろんそれは男性医師にとっても同じである。

 現在厚生労働省のもとで、2017年8月から、有識者による、医師の働き方改革に関する検討会が10回にわたって行われており、2019年3月末をめどに最終報告がまとまる予定だ。ここでは聖域となっていた、残業時間の上限がどのように設定されるのかがカギになるだろう。2018年3月末に行われた中間報告では、医師の業務の特殊性を考え、いわゆる過労死ライン(労災認定基準)の1ヵ月100時間・2~6ヵ月の各月平均で80時間を上限にすることについては、慎重に考えるべきという意見が出ている。

 ここで言われている医師の業務の特殊性とは、前回の記事でも指摘した応召義務に基づく「医師は24時間365日医師であるべき」といった医師・患者双方の意識のあり方や、医師自身の生命を預かっているという職業倫理、研修医の期間が労働でもあり、研修や研鑽でもあり、研究でもあるということなどを指す。

 しかし、医師の業務の特殊性といっている限り、患者になる可能性のあるわれわれも含めた双方の意識改革は進まない。長時間労働は正当化され続けてしまうのではないか。

新制度をつくるなど、
多様な働き方の萌芽も


 とはいえ、希望もある。

 前述したとおり、医局に属し、専門医になることだけが医師としてのキャリアではないと考える若手医師も増えているようだ。

 ある産業医によると、かつては現役を引退した医師が担うものと思われていたり、片手間のアルバイトと思われがちだったりした産業医に、健康経営に参画したいという新しいやりがいを求めて、志願する医師も出てきているという。

 岡部さんも「例えば、子育て、介護などの理由により、それまでと同様の勤務内容では勤務継続が困難で無給医となってしまっていた医師のために、短縮勤務制度の有給ポジションとして、准修練医制度を定めた東邦大学の例もあります」と、変わりつつある現場があることを指摘する。

 前述した「医師の働き方改革」に関する検討会の中間発表を受けて、厚生労働省は2月に、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組みを各医療機関でできる範囲で行うことを求めた。その内容とは、労働時間の管理、36協定の自己点検、長時間労働をしている医師への面談など産業保健のしくみの活用、一部の医師の業務を医師以外の職種で分担するタスクシフティング、女性医師への支援、そのほか当直明け勤務負担の緩和など各医療機関の状況に応じた取り組みである。

 そして、5月28日から6月11日にかけて、取り組みがどのくらい行われているかという調査もなされた。調査に回答した全国の1193病院中、何らかの取り組みをしているのは63%という結果となった。実際にどのくらい進んでいるのかは各病院によっても濃淡があるだろう。

 また、アンケートに答えるだけでは、実効性が薄いという指摘もあるかもしれない。しかし、少なくとも、このような調査が行われ、数字を出さなければならない状況になることで、変わらなければならないといういい意味での圧力にはなるだろう。

 男性医師であれ、女性医師であれ、結婚していてもいなくても、子どもがいてもいなくても、健康に働けることこそが、医師にとっても患者にとっても必要なはずだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631577
シリーズ 中央社会保険医療協議会
医師6000人に勤務状況調査、厚労省、改定結果検証で
2018年度改定の「結果検証特別調査」、内容決定
 
レポート 2018年9月26日 (水)配信大西裕康(m3.com編集部)

 厚生労働省が診療報酬の観点から医師の勤務状況の調査に乗り出す。「勤務時間」や「診療時間」、「オンコール回数」、「勤務状況を改善する必要性」などについて聞く調査票を1500施設の医師計6000人に配り、協力を求める。2018年度の「診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」として実施する。9月26日、中医協総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が同特別調査の内容を承認した。10~11月に調査を実施し、来年1~2月に結果を公表する計画だ。

 同特別調査は、2年に1度の診療報酬改定後に毎回実施している。今年度は、▽かかりつけ医機能等の外来医療▽在宅医療と訪問看護▽医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進▽後発医薬品の使用促進策――の4調査を実施する。

 医師の勤務状況については、2018年度の改定で医療従事者の常勤配置や勤務場所に関する診療報酬要件を見直したほか、「医師事務作業補助体制加算」など医師や看護職員の負担軽減を目的にした点数を充実した効果を検証する。

 「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」の調査対象は、「医師事務作業補助体制加算」を算定している医療機関と算定していない医療機関それぞれ750施設ずつ計1500施設を無作為抽出し、調査票を施設と医師個人の双方に配る。医師の対象は1施設当たり4人で、外科系1人、内科系1人、その他2人で構成するよう求める。対象医師数は6000人に上る。

 医師個人に対する主な質問は、(1)医師経験年数や役職、勤務形態、主治医制の状況などを聞く「ご自身について」、(2)1週間の勤務時間、診療時間、事務処理時間や1カ月の当直回数・オンコール回数などを聞く「勤務状況等」(下記参照)、(3)医師の増員状況や勤務間インターバルの導入、予定手術前の当直免除の有無などを聞く「業務とその負担感等」、(4)「病棟薬剤師による業務の負担軽減等」、(5)勤務状況を改善する必要性などを聞く「あなたの勤務状況に関するご意見等」――で構成する。

オンライン診療の実施状況も確認へ

 「かかりつけ医機能等の外来医療」に関する調査では、大病院受診時に患者から一定額を徴収できる「受診時定額負担」の対象範囲を拡大した効果や、かかりつけ医機能の強化として新設した「機能強化加算」や要件などを見直した「地域包括診療加算」「地域包括診療料」「小児かかりつけ診療料」などの影響を検証するほか、「オンライン診療料」の状況も把握する。

 同日の総会では、2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げる場合の備えとして、医薬品と医療材料での対応を検討するスケジュールを決めた。中医協の薬価専門部会と保険医療材料専門部会が10~11月にそれぞれ論点を議論し、12月に各業界から意見聴取し、消費税対応に向けた骨子案をまとめる。診療報酬本体での対応については、既に議論を始めている中医協の診療報酬専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で検討し、骨子案をまとめる。

 消費税率10%への引き上げ時の薬価・医療材料での対応については、全日本病院協会会長の猪口雄二氏が「なるべく簡素な対応が必要」と述べた。

 消費税率引き上げに伴う診療報酬への補てんについては、2014年度に消費税率が8%に上がった際、補てん率のばらつきや補てん不足が生じていたが調査に誤りがあったため、ばらつきや不足がそのままの状態となっており、厚労省も調査の誤りなどを認めている(『消費税対応、初再診・入院料か?個別項目か?』などを参照)。同日の総会では、日本医師会副会長の今村聡氏が、今後は消費税率の引き上げ時だけでなく、定期的に検証すべきと訴えた。

 今村氏は、「消費税導入後26年間の経年変化を検証していない状況が続いてきたことで、厚労省は補てんは十分、医療機関は十分ではないという不満につながっていて、報酬での対応に対する長年の不信感につながった」と指摘。その上で、「税率が上がるか否かに関係なく、定期的に検証しなければならない」と述べ、「定期的に検証すべきものと改めて確認してもらいたい」と要請した。

 これに対し厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、調査の誤りや長年検証してこなかった状態について「深く反省している」と述べた。一方、定期的な見直しを実施する是非に関しては「基本的には、経過に応じて見直しをする必要があれば見直し、検証していくことが必要と思っている」と述べるにとどめた。



https://www.asahi.com/articles/ASL9X4CDLL9XUBQU00C.html?iref=com_apitop
医療機関の被災状況、共有システムへの登録義務化 
阿部彰芳
2018年9月28日19時00分 朝日新聞

 医療機関の被災状況を的確に把握するため、厚生労働省は27日、国が運営する災害時の情報共有システムへの登録を医療機関に義務づける方針を決めた。重症患者を受け入れている病院や診療所を対象とする見通し。水や燃料の残量や給水車の派遣が必要かどうかなども入力内容に加え、医療態勢を維持できるような支援につなげる。

 情報共有の仕組みは広域災害・救急医療情報システム(EMIS)と呼ばれ、23年前の阪神・淡路大震災を契機につくられた。医療機関は、災害時に建物被害や水・電気の不足、患者の受け入れ状況を入力。国や自治体、医師会などが支援チームの手配に役立てる。
 だが今年4月時点で7
%の病院が未登録で、診療所の多くは参加していない。操作が複雑で、停電で固定回線のインターネットが使えなくなると情報が送れない問題もあった。このため、7月の西日本豪雨や9月の北海道地震では情報を入力する医療機関が少なく、厚労省や自治体の職員らが電話や訪問をして状況を聞き取っていた。

 この日の専門家会議で、ライフラインが途絶えると命に危険のある患者を受け入れている医療機関に登録を義務づける対策を提案し、大筋で了承された。今後、医療現場や関係団体の意見を聞いて、登録基準の詳細を詰めていく。

 また、EMISで共有する情報も増やし、平時から自家発電や貯水槽の有無、人工呼吸器の数などを入力してもらう。災害時は電気や水をあと何時間まかなえるかや、電源車や給水車の派遣依頼も発信できるようにする。また、停電時にタブレット端末などで使えるようアプリの開発も進めていくという。



https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/79679
日光地域で医療連携法人設立へ 人口減、需要変化で機能分担 7病院など勉強会 
9/27 9:44 下野新聞

 県は26日、日光地域で異なる法人が運営する病院や介護施設などが連携し、効率的な医療・介護体制を目指す「地域医療連携推進法人」の設立に向けて支援を進めていることを明らかにした。県主催の勉強会に日光市や7病院が参加。人口減少と医療需要の変化に伴い、個々の医療機関での対応が困難になると予測される中、新法人内での医療機能の役割分担、職員の再配置などを模索している。
(以下有料記事)



https://www.asahi.com/articles/ASL9V53JFL9VUBQU00X.html
豪雨で出勤不能「診療できない」岡山の病院、相乗り作戦 
中村通子2018年9月28日06時00分 朝日新聞

 7月、岡山県内各地に大きな被害をもたらした豪雨は、地域医療も脅かした。今回の災害での地域医療の動きと、そこで学んだ「次」への教訓を紹介する。

西日本豪雨(2)高梁中央病院

 岡山県高梁市は、7月の豪雨で広範囲に床上浸水や停電、断水など大きな被害を受けた。災害拠点病院で、市の中心部にある高梁中央病院(192床)はかろうじて浸水を免れ、停電や断水もなかった。だが、意外な事情で、診療機能が脅かされた。

 7月6日(金)午後8時。激しい雨が降り続く中、20代の若手医師が妻と2人でずぶぬれになって病院に現れた。病院から約1・2キロ南、高梁川にかかる橋のたもとにある自宅付近が浸水し始め、水があふれ流れる道路を歩いて病院に避難してきた。「高梁川は、流木だらけです」

 その日、院内には当直医2人のほか、この若手医師に加え、雨で帰宅できなかったスタッフら20人ほどが残り、リハビリ室や処置室、空き病室で夜を過ごした。ダムの放水を知らせる警報音が鳴り響いていた。

 7日(土)。雨は未明にやんだが、スタッフから次々と電話がかかってきた。「出勤できません」

 高梁中央病院は、JR伯備線の備中高梁駅から徒歩5分。高速道路のアクセスも良く、JRでも車でも岡山市から1時間弱の通勤圏内だ。

 そのため、スタッフの多くは岡山や総社から通勤している。中には、兵庫県から通う医師もいる。非常勤医師約50人は全員市外在住。常勤医でも、約15人のうち、病院の近くに住んでいるのは当時、院長を含め4人だけだった。

 岡山や総社などと高梁中心部をつなぐ主要ルートはJR伯備線、岡山自動車道、国道180号の三つ。豪雨ですべて不通となり、病院を動かす人たちの多くが閉め出され、出勤不能に陥ってしまった。また、市内在住職員の中には、自身が被災して出勤できない人もいた。

 前日から院内で「籠城(ろうじょう)」状態だった数人の医師らで、救急などできる限りの診療はこなしたが「これで、週明けからまともに診療できるのか……」。院内災害対策本部に集まったメンバーは頭を抱えた。

 8日(日)。岡山方面から吉備中央町を抜けて高梁に通じる国道484号は無事で、このルートなら通勤できそうだと分かった。

 この日、このルートで岡山から病院に着いた戸田俊介理事長らは、その他の市内道路や天候、高梁川の状況を調べ、午後5時に「週明け9日は通常診療をする」と全職員に連絡した。

 9日(月)朝7時半。伯備線で通勤している医師たちはJR岡山駅西口に集合し、戸田さんらの車3台に分乗して病院へ向かった。

 この日は問題なく1時間余りで病院に着いた。だが、翌日から状況は激変した。県北部に向かうルートが限られる中、無事だった国道484号から高梁市を通る道に交通が集中。さらに、一般の車に加え、支援物資を運ぶトラックや復旧関係の車両などがひしめき、大渋滞になった。「これは、二次災害だ……」

 伯備線が全線開通した8月1日まで相乗り作戦は続いた。曜日によって出勤する医師の顔ぶれも人数も違う。当直シフトなどで朝と帰りの人数も変わる。事務職員は複雑に入り組んだ相乗りダイヤを連日組み続け、診療機能を守った。

 戸田さんは振り返る。「2012年に病院を建て替えた時、災害拠点病院として建物や設備、ライフラインが水害や大地震に耐えられるよう配慮しました。しかし、スタッフの通勤路が断たれて、機能が脅かされるとは想定外でした」

 30年以内に7~8割の確率で起きると見られている南海トラフ巨大地震では、さらに大規模な交通遮断が起きる可能性が高い。どうすれば診療を維持できるのか。戸田さんは、答えを見いだしあぐねている。

 「病院の努力だけでは解決できません。道路や鉄道などのインフラを含めた医療継続対策を、社会全体で考える必要があると思います」(中村通子)

災害時の病院の事業継続 地域を守る

 災害時に病院が機能を維持するにはどんな備えが必要なのか。病院の事業継続計画(BCP)に詳しい九州大大学院の永田高志助教(災害救急)に聞いた。

 病院機能は、電気や水、物流、スタッフの通勤など、高度なネットワークの上で成立している。一つ外れると、一気に回らなくなる。高梁中央病院では通勤路だったし、今月6日に起きた北海道地震では、札幌市の病院の多くが大規模停電で機能を喪失した。

 置かれた状況に応じて素早く判断し、指揮系統を確立し、状況の変化に柔軟に対応することが大切だ。そのために、自院の課題を洗い出し、トップ不在の際の権限付与について事前に計画しておく。これがBCPだ。BCPの目的は病院を守ることであり、それは地域を守ることに他ならない。

 交通の問題など、今すぐ解決できない課題を自覚するのも、BCPの重要な役目だ。病院がすべて解決できるわけではないことを市民に理解してもらい、議会に減災対策を訴えるなどの行動につなげる。BCPはつくって終わりではない。長い旅路の始まりだ。



https://www.asahi.com/articles/ASL9S3FHHL9SUBQU002.html
災害時、患者の命どう守る 停電や断水に病院の備えは 
青木美希 千種辰弥2018年9月24日11時00分 朝日新聞

 台風や豪雨、地震など大規模災害が相次いでいる。そのたびに課題として浮かぶのが、医療機関の「備え」だ。患者や被災者の命を守るため、防水や耐震、飲食料や薬・燃料の備蓄は十分か。被災時に業務を継続するための取り組みが進められている。

長時間停電…自宅の療養、どう備える?
北海道地震の停電、医療に打撃 吸入・透析…自宅療養も


 「今日は透析できません。連絡するので携帯の充電を温存しておいて下さい」。札幌市厚別区の透析医療施設「H・N・メディック(新さっぽろ)」の遠藤陶子内科部長(42)や看護師ら約40人は手分けして、6日朝から7日夕にかけ、人工透析を使う患者164人に電話で伝えた。

 6日未明に北海道を襲った最大震度7の地震で、道内のほぼ全域が停電、「ブラックアウト」した。透析には電気や水が欠かせず、医師たちは移送先の確保に追われた。H・N・メディックでは自家発電機がなく、休日だった職員も駆けつけ、電話で透析患者の安否を確認したり、移送先が決まるまで自宅待機をお願いしたりした。電話はつながりにくく、自宅を訪れ、直接伝えた患者もいた。

 中には3日間透析できなければ心停止になる恐れがある人もいる。7日朝までに停電が解消されなければ、受け入れ先を確保することを決めた。

 事態は変わらず、7日朝から病院を探し始めた。通信環境は悪く、何度もかけ直した。「患者さんに何かあったら」と気はせいたが、「1人なら大丈夫」「10人いいですよ」。少しずつ受け入れ先が見つかっていき、夕方までに計16施設、札幌市と江別市に移送先を確保した。164人はこの日から8日にかけ、H・N・メディックの送迎車4台などで、各医療施設に身を寄せることができた。(青木美希)

北海道地震、発電の燃料確保に課題

 北海道地震で、道内では一時376カ所の病院が停電し、82カ所で水も使えなくなった。災害拠点病院は34カ所全てが停電し、自家発電機で対応した。停電が完全に解消されるまで3日間かかった。

 医療現場は対応に追われた。札幌市内の病院では人工呼吸器が停電で使えなくなり、入院していた0歳児が一時重症となったが、別の病院に移り、手当てを受けることができた。人工透析ができなくなった医療機関も多く、透析患者は別の病院に移ったりした。

 燃料の確保も大きな課題となった。約400人が入院する札幌市内の病院は非常用発電機を作動させたが、燃料の備蓄は8時間分。人工呼吸器を使う患者もおり、病院幹部は「備蓄量が十分だったかなど課題を検討したい」と話した。

西日本豪雨 真備では2カ月半後に診療再開

 7月の西日本豪雨で広範囲に浸水し、51人が死亡した岡山県倉敷市真備(まび)町地区。地域医療を担う民間の「まび記念病院」(80床)も1階が水没し、30時間近くにわたり孤立した。

 「災害に備えたマニュアルや、(災害時に医療を継続するための)業務継続計画(BCP)がなく、お手上げだった」。村松友義院長(60)は振り返る。過去の水害では「水位は膝(ひざ)くらい」と聞き、心配していなかった。

 だが、豪雨は容赦なかった。7月7日朝までに小田川と3本の支流が決壊。病院は午前7時ごろから駐車場が冠水し、約2時間後に停電。近隣住民300人近くが避難してきた。入院患者約80人のうち、人工透析を急ぐ患者が9人おり、翌朝にヘリコプターで他の病院に移った。

 院内での診療を一部再開できたのは豪雨から2カ月半後の9月18日。入院の受け付けは12月になる。村松さんは「地域医療の再開の遅れは、復興の遅れにつながる。地域ぐるみでBCPを作り、災害に備えたい」と話した。(千種辰弥)

熊本地震を機に研修会

 熊本市で8月末、病院のBCP策定のための研修会が開かれた。災害時、病院は入院患者のケアをしつつ、被災者や他院の患者の受け入れで業務が増える。46病院から事務職員や医師ら89人が参加し、はまゆう療育園(苓北町)の佐藤克之医師(64)は「備えがないまま災害に見舞われたら相当混乱することがわかった」と話した。

 研修のきっかけは熊本地震だ。県内の2530の医療施設中、1302施設が被災した。一方、県内214病院のBCP策定率は今年7月1日時点で59病院にとどまる。

 地域医療の要だった熊本市民病院は当時、310人の入院患者全員に転院や退院を求める事態に陥った。蔵原正国総務課長(58)は「災害時に患者を受け入れるべき病院から患者を避難させることはあってはならない」と悔やむ。来秋開業予定の新市民病院では、免震構造などの施設の対策とともに、火災なども想定したBCPを策定する方針だ。

災害時の業務継続計画、拠点病院に義務づけ

 災害時に医療機関が機能を維持し、患者や被災者を受け入れることができるか。様々な検討や見直しが進められている。

 東日本大震災の際、岩手、宮城、福島の災害拠点病院は被災し、入院・外来の受け入れ制限など大きな影響が出た。国は災害拠点病院の指定要件を見直し、通常時の約6割を供給できる自家発電機の設置や災害派遣医療チーム(DMAT)の保有などを盛り込んだ。耐震化に関しては15年、災害拠点病院と救命救急センターの耐震化率を89%とする目標を定め、昨年達成している。

 近年、重要視されているのが、被災時に医療を続けるための準備や行動をまとめたBCPだ。国は災害拠点病院に今年度中のBCP策定を義務づけたほか、一般の医療機関についても協力を呼びかけている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632167
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医採用数「実はシーリング超え」、3都府県、延べ6領域
医師専門研修部会、厚労省が新専門医制度の問題点を指摘
 
レポート 2018年9月29日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年4月から始まった新専門医制度では、東京都など5都府において専攻医採用数にシーリング(過去5年の専攻医採用実績の平均値を超えない)がかかっているが、3府県、延べ6領域でそれを上回って専攻医を採用したことが明らかになった。東京都では小児科、精神科、耳鼻咽喉科、大阪府では耳鼻咽喉科と泌尿器科、福岡県では泌尿器科だ。厚生労働省が、9月28日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会の第1回会議で公表した(本部会の位置付けは、『厚労相「専門医機構+18学会に要請」が可能に』を参照)。

小児科は全国で11人がカリキュラム制で研修。東京都のシーリング上限数130人に対し、採用数は141人。シーリングを上回った分には、このカリキュラム制での採用数分も含まれるとされる(2018年9月28日の「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」資料)

 厚労省はその他、▽5都府県における採用数は、8410人中、3870人(46.0%)、▽47都道府県のほぼ全てが2017年9月頃に、日本専門医機構に要望を提出したが、機構が各都道府県に回答を送付したのは2018年3月31日、▽新整備指針では、「連携施設での研修は3カ月未満とならないよう努める」となっているが、日本専門医機構はこの確認を行っておらず、連携施設で1カ月のみ研修するなどのプログラムが存在、▽採用実績が全国で350人以上の基本領域では、「原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く」こととなっているが、2019年度開始研修プログラムでも、「1つのみ」の都道府県が存在、▽新整備指針でカリキュラム制を位置付けていない基本領域が存在――など、複数の問題を指摘した(資料は、厚労省のホームページ。関連資料を抜粋し、文末にも掲載)。

 「東京都の状況には、怒り心頭」

 新専門医制度の現状に対し、委員からは、地域医療への影響を懸念したり、日本専門医機構のガバナンスを問題視する意見が相次いだ。

 全国市長会会長で、福島県相馬市長の立谷秀清氏は、「東京都の採用数には、忸怩たる思いがある。怒り心頭だ。こんなことになるのであれば、われわれ全国市長会としては、新専門医制度に反対すればよかった」と、専攻医の“東京集中”を問題視。2019年度研修開始分の東京都のシーリングは約5%削減されるが、30%くらいの削減が必要だとした(『専攻医の東京都2019年度シーリング決定、各領域5%減』を参照)。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、日本専門医機構の前副理事長が今年3月の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、「シーリングは超えていない」と発言していたことを挙げ(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)、「実際にはシーリングを超えていた現状がある。なぜこうしたことが起きるのか」と問題視した。

 厚労省医政局医事課は、東京都の2017年度の初期臨床研修医は1350人、卒後3年目の医師の入学年度に当たる2010年度の医学部定員は1446人、2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査の卒後3~5年目の医師数は1162人(全体の16.1%)であるのに対し、新専門医制度の東京都の専攻医採用数は1824人(全体の21.7%)という数字を引用し、「(基幹施設から連携施設への)ローテートの状況を見ないと正確には言えないが、“東京集中”という状況は示唆される」とコメント。

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏の代理で出席した、副理事長の今村聡氏(日本医師会副会長)は、従来の専門医制度では大半がカリキュラム制で運営しており、新専門医制度のスタート時点で、過去の採用実績を正確に把握していなかった学会があるとし、「人口比等で考えても、東京都に集まっている専攻医が多い可能性はあるだろう」と認めた。同機構は、東京都のシーリングを5%削減する方針を決定したが、各学会から「強い反対があった」ことも明かした。「しかし、世間の要請もあり、日本専門医機構がリーダーシップを発揮して、この制度を動かしていく以上、5%削減をお願いし、了承してもらった」。今村氏はこう述べ、シーリングは地域医療への影響も想定されるため、今後データを見ながら対応していく方針も説明。

 さらに立谷氏は、地域の中小病院で診療に従事している場合でも、専門医が取得できるよう、「しっかりと症例経験を積めば、専門医を取得できるよう、プログラム制だけでなく、カリキュラム制も認めていくことが必要」と要望した。

 厚労省医政局医事課は、同省調べで、カリキュラム制については、専門研修の新整備指針で位置付けていても、実際にはカリキュラム制がなかったり、そもそも位置付けていない基本領域があることを踏まえ、新整備指針に位置付け、遵守を求めていくとした。

 今村氏も、「地域枠出身者や、出産・育児中の医師など、さまざまな先生方が専門医を取れないことはあってはならない」と答え、各基本領域を担当する学会に対応を求めていくとともに、日本専門医機構のデータベースでも、プログラム制とカリキュラム制のどちらの研修を受けているのかが分かる形式にすると説明した。

 その他、地域別だけでなく、診療科別の医師偏在対策として、各科別の必要数を出したり、シーリングの設定を検討すべきとの意見も出た。厚労省医政局医事課は、「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」などで検討を進めていることを説明した。

 「都道府県に機構への不信感」
 日本専門医機構のガバナンスについて、山口氏は、2017年度中に出された都道府県の質問への回答が、2018年3月31日だったものの、明確な回答ではなかったことなどを挙げ、「都道府県には、機構への不信感がある。知らない間に募集定員が機構で変更されたり、定員内なのに採用数を減らされた」と問題視。さらに募集定員の情報やシーリングの根拠が提示されないと、都道府県でも議論しにくい現状があるなどとし、「機構が、責任を持って情報提供する必要があるのではないか。どのように改善していくのか」と質した。

 長野県知事の阿部守一氏も、「日本専門医機構からの回答は、そっけないものだった。関係者が何に苦慮しているのかを示してもらいたい」と求めた。

 今村氏は、「何が決まっているのか、いないのかが明らかでないことなどが、日本専門医機構に対する不信感につながっているのは事実。いろいろな手段を使ってできるだけ迅速に情報公開していく」と回答。関係者からの問い合わせにも反省すべき点があったと認め、事務局の体制を強化し、問い合わせ元やその内容、機構内での対応の仕方を整理するなどとして、外部から信頼される体制の構築を目指すとした(『質問に速やかに回答できず、不信感に - 寺本民生・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.1』などを参照)。

 サブスペシャルティと総合診療専門医の議論も
 その他、サブスペシャルティや総合診療専門医の在り方などにも議論は発展。山口氏は、「新専門医制度は、サブスペシャルティの領域があまりにも乱立していて、国民から見た時に明確ではない、ということでスタートしたはず。今、サブスペシャルティの議論はどこまで進んでいるのか」と質問。立谷氏も、「新専門医制度で質的な保証が必要なのは、サブスペシャルティの領域」と指摘した。

 総合診療専門医をめぐっては、立谷氏が、かかりつけ医が総合診療的な診療を担っている現状を挙げ、「総合診療専門医を作るのは、総合診療をやる医師に、松竹梅のレッテルを張るようなもの」と不要論を展開、かかりつけ医の養成を進めている日医の見解を質した。一方で、阿部氏からは、かかりつけ医か、総合診療専門医かを問わず、「地域を総合的に支える人材の存在は不可欠」との意見も出た。

 日医常任理事であり、日本専門医機構理事で、同機構の総合診療医検討委員会も務める羽鳥裕氏は、「日医かかりつけ医機能研修制度」でも、総合診療を担う医師の養成を目指していると説明。総合診療医検討委員会では、「総合診療専門医のアイデンティティーを確立するための議論をしている。将来的には、外科医がメスを置いて地域医療に従事するようになった場合などを想定して、専門医資格を付与できるような仕組みを考えていきたい」などと説明。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、かかりつけ医と総合診療専門医のいずれも、「患者を全体として診ることができる医師の養成」を目指しているものの、総合診療専門医については、「総合的に診ることについて、学問的に掘り下げていく」などの役割もあるとした。羽鳥氏が例に挙げた「メスを置いた外科医に専門医資格を付与」には、反対意見も多いと付言した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180928194959
産科と小児科、医師偏在の暫定指標設定へ
厚労省が分科会に提案
 
2018年09月28日 20:10 CBニュース

 厚生労働省は28日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会に対し、医師偏在の指標に関する対応案を示した。指標は、医師確保計画の目標医師数や医師少数区域の設定などで活用する。診療科別の医師偏在に関しては、産科と小児科で暫定的な指標を設定し、2019年度から都道府県が策定する医師確保計画に反映させたい考えだ。【新井哉】

■都道府県間の患者の流出入も考慮

 厚労省はこの日の会合で、指標について、▽医師確保計画における目標医師数▽医師少数区域・多数区域▽大学医学部における地域枠・地元出身者枠-の設定に活用することを説明。このほか、都道府県内での医師の派遣調整やキャリア形成プログラムの策定、臨床研修病院の定員設定などにも活用できるとした。

 医師偏在指標を導入する理由について、厚労省は、地域ごとの医師数の比較には人口10万人当たりの医師数が一般的に用いられているが、患者の流出入や医師偏在の種別(診療科、入院・外来、区域)、へき地などの地理的条件、将来の人口構成比の変化などが考慮されていないと指摘。「医師偏在の度合いを示すことによって、都道府県内で医師が多い地域と少ない地域が可視化されることになる」とした。

 地域ごとの医療需要についても、人口構成の違いを踏まえ、「受療率を用いて性・年齢調整を行ったものを用いてはどうか」と提案。患者の流出入にも考慮する必要性を挙げた。例えば、人口当たりの医療資源の少ない埼玉県から医療資源の多い東京都に患者が流出するといった都道府県間の患者の流出入が発生しているからだ。

■産科と小児科は「喫緊の対応」

 今後の議論では、産科や小児科の指標の策定を優先する見通しだ。厚労省は「周産期医療、小児科医療については、医療計画上、特に政策的に医療の確保が必要とされている」とし、診療科別の偏在指標を検討することを「基本的な対応」としながらも、産科と小児科に関しては「喫緊の対応」として暫定的な指標を設定する方向性を示した。特に産科については、▽北海道▽山梨▽愛知▽福井▽高知▽宮崎▽鹿児島-の7道県で産科のない二次医療圏があるなど政策的な課題を抱えているからだ。

 ただ、診療科間の偏在を調整するためには、全診療科別の医師偏在指標が必要となる。このため、暫定的な指標は「当面の医師確保計画にのみ活用することとし、医師養成等の将来時点の検討には用いないこととしてはどうか」と提案した。これに対し、委員からは、産科や小児科よりも医師数が減少傾向にある外科を優先すべきではないかとの意見が出たが、厚労省は、産科と小児科は政策的な医療の側面があるとして理解を求めた。

 10月以降は指標に加え、医師少数区域・多数区域、地域枠・地元出身者枠、外来医療提供体制について議論し、19年3月ごろまでに医師偏在対策を取りまとめる。指標などに関する通知も都道府県に出す予定。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632100
シリーズ 真価問われる専門医改革
厚労相「専門医機構+18学会に要請」が可能に
新部会発足、省令案を了承、専攻医募集は10月15日以降
 
レポート 2018年9月28日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、9月28日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会の第1回会議に対し、新専門医制度について医師法施行規則の一部を改正する省令案を提示、同部会は了承した。

 先の通常国会で成立した改正医師法で、新専門医制度において、国が日本専門医機構等に対し、意見を言う仕組みが新設された。地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合など、特に必要があると認めるときなどは、「必要な措置」の実施を要請することができる。その対象は同法上、「医学医術に関する学術団体その他厚生労働省令で定める団体」となっている。省令案では、日本専門医機構だけでなく、基本領域の18学会を加え、計19団体とした。厚労大臣が、同機構を通さず、学会に直接要請ができる枠組みが誕生することになる。

 厚労省は10月第1週からパブリックコメントを募集。期間は数日間の予定。その後、省令を発出するとともに、都道府県に対し、関連の通知を出す予定。

 新専門医制度は、地域医療への影響が懸念されたことから、開始が1年延期されて、2018年4月からスタート。医師専門研修部会は、改正医師法を踏まえて新設された。部会長には、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏が就任。厚労大臣が日本専門医機構等に、「必要な措置」の実施等を要請するに当たっては、都道府県の意見を聞いた上で、本部会に諮り、意見を聞くことが求められる。日本専門医機構等は、当該要請に応じるよう努めなければならない。

 次回10月15日開催の第2回会議では、都道府県からの意見を集約、日本専門医機構等への要請事項を取りまとめる予定。したがって、2019年4月開始の専門研修の専攻医募集開始は、それ以降になる。また東京都など5都府県に設けられた専攻医の採用数の上限(シーリング)を超えていないかどうかを検証するために、専攻医の募集の途中、あるいは終了段階で、第3回会議を開催する予定。

 省令案に対して、日本医師会常任理事で、日本専門医機構の理事も務める羽鳥裕氏は、「日本専門医機構と、18の学会が並列して書かれるのはどうか。機構が一定のルールで動き出したら、機構に任せてもらえるのか」と質問。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「将来的には、日本専門医機構と各学会の関係を見ながら、状況に応じて見直していくことはあり得る」としたものの、「現状は実態を踏まえ、並列で記載する」と答えた。

 第1回会議では、新専門医制度の現状についても資料が提出され、議論した。2018年4月開始の専門研修においても、シーリングが設けられたが、それを超えて専攻医を採用した地域・領域があることなどが明らかになっている(詳細記事は、別途掲載)。



https://www.medwatch.jp/?p=22620
東京都における2019年度の専攻医定員、外科など除き5%削減を決定―日本専門医機構 
2018年9月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 東京都においては、2019年度の専攻医(新専門医資格の取得を目指す後期研修医)定員を▼内科▼小児科▼皮膚科▼精神科▼整形外科▼眼科▼耳鼻咽喉科▼泌尿器科▼脳神経外科▼放射線科▼麻酔科▼救急科▼形成外科▼リハビリテーション科―の各領域について、今年度(2018年度)定員から「5%削減」する。ただし、東京都から関東近県への医師派遣への影響なども考慮し、当面、この定員を維持し、今後、3-4年程度かけて専攻医の動向を分析した上で、改めて定員について検討を行う―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長(帝京大学・臨床研究センター長)は9月25日に記者会見を行い、こうした点を決定したことを発表しました(関連記事はこちらとこちら)。

 なお専攻医登録(募集)スケジュールについては、都道府県からの要望等を踏まえる必要もあり、まだ正確な期日は明らかにされていません(10月中旬から募集開始予定)。
 
2019年度の定数上限は当面維持し、3-4年後に専攻医動向の実態を見て見直しを検討
 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートしました。従前、専門医資格の授与は各学会が独自に行っていましたが、さまざまな学会が乱立するに至り、専門医の水準や内容が不明確という問題が浮上してきました。

そこで、専門医の質を担保し、かつ国民に分かりやすい資格とするために、2018年度から▼専門医の質の担保(研修プログラムなど)は、各学会が責任を持つ(もっとも日本専門医機構の定める方針に則ることが大前提)▼専門医資格の授与は日本専門医機構と関係学会が協働で行う―ことなどを柱とする新専門医制度がスタートしたのです。

しかし、地域医療の現場からは「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などになるためのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった強い指摘があり、日本専門医機構・都道府県・厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けています。その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました(シーリング)(関連記事はこちら)。

この点、今年度(2018年度)の採用実績を見ると、東京都では「初期研修医1350名」に対し、「専攻医1825名」となり、その差475名が「地方から東京」へ流れていることが分かり、各方面から「東京への専攻医集中が助長されているではないか」との批判が出ています。日本専門医機構では、こうした批判に応えなければならないとし、来年度(2019年度)のシーリング(専攻医の定員上限)について、▼東京都では、2018年度採用実績から5%削減する▼東京都以外の4都市(神奈川、愛知、大阪、福岡)では、2018年度と同じ考えとする▼外科・産婦人科・病理・臨床検査—の4領域はシーリングから除外する―方針を固めました。

今般、さらに日本専門医機構と関係学会が協議を行い、東京都における2019年度のシーリングを次のように設定することが決まりました。基本領域(診療科)によって若干異なりますが、2018年度に比べて「概ね5%」の削減を目指したものです(1人未満の端数は切り上げとなっている)。例えば、脳神経外科では「3.4%減」にとどまっており、「5%よりもかなり甘い」と思われがちですが、もう1名定員を削減(3名削減)した場合「5.8%減」となってしまうことから、2名減にとどめているものと考えられます。

▽内科:   2018年度・567名 → 2019年度・541名(26名、4.6%減)
▽小児科:  2018年度・130名 → 2019年度・124名(6名、4.6%減)
▽皮膚科:  2018年度・92名 → 2019年度・88名(4名、4.3%減)
▽精神科:  2018年度・101名 → 2019年度・96名(5名、5.0%減)
▽整形外科: 2018年度・122名 → 2019年度・117名(5名、4.1%減)
▽眼科:   2018年度・78名 → 2019年度・75名(3名、3.8%減)
▽耳鼻咽喉科:2018年度・61名 → 2019年度・58名(3名、4.9%減)
▽泌尿器科: 2018年度・52名 → 2019年度・50名(2名、3.8%減)
▽脳神経外科:2018年度・58名 → 2019年度・56名(2名、3.4%減)
▽放射線科: 2018年度・58名 → 2019年度・56名(2名、3.4%減)
▽麻酔科:  2018年度・116名 → 2019年度・111名(5名、4.3%減)
▽救急科:  2018年度・69名 → 2019年度・67名(2名、2.9%減)
▽形成外科: 2018年度・55名 → 2019年度・53名(2名、3.6%減)
▽リハビリテーション科:2018年度・22名 → 2019年度・21名(1名、4.5%減)

▽上記領域の合計:2018年度・1581名 → 2019年度・1513名(68名、4.3%減)

 寺本理事長は、「東京都への専攻医集中」という指摘には応えなければならない、とした一方で、▼「医療資源・症例の豊富な東京都での研修を望む専攻医が多い」という実態がある▼医療資源・症例が豊富であり、質の高い研修が可能なことも事実である▼「東京都から近隣県(特に北関東)への医師派遣」への影響も考慮する必要がある―ため、「当面は上記の定員上限を維持し、今後、3-4年かけて専攻医の動向実態を詳しく分析した上で、定員上限の在り方を検討する」との考えも明らかにしました。そこでは、診療科(基本領域)ごとの偏在是正に向けて、新専門医制度の枠組の中で何ができるか、という視点、さらには「本当にシーリング設定は正しいことなのか」という視点での検討も行われることでしょう。

 例えば、「年月日単位で、専攻医がどの医療機関に所属しているのか」を把握し、東京都から近隣県等へどの程度の人数が、どの程度の期間、派遣されているのかを3年間(多くの研修プログラムの研修期間)、詳細に追跡し、その後、必要な検証等を行った上で、改めて「専攻医の定員上限(シーリング)」はどうあるべきかを考えることになります。もちろん、毎年度の登録状況を踏まえた微修正などは否定されるものではありません。

 このためには、専攻医の登録システム等を、「ある専攻医が、実際にどの医療機関に勤務しているのか(派遣されているのか)」を追跡できるように改修する必要があります。月の半ばに他医療機関に派遣されるケースもある(例えば9月14日までは基幹のA病院で研修を受け、15日から3か月間、地方のB病院に派遣されるなど)ことから、寺本理事長は「できれば『年月日』単位で追跡できるようなシステムが望ましい」と付言しています。

関連し、来年度(2019年度)からの登録システムでは、▼研修が通常のプログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行う仕組み)なのか、妊娠・出産・介護・留学などのためにカリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)とならざるを得ないのか▼地域枠出身の医師であるか否か―を選択できるようになる見込みです。

 
 ところで、気になる専攻医の募集スケジュールですが、寺本理事長は「10月中旬から募集開始を目指す」と述べるにとどめています。この背景には、新専門医制度に対する「都道府県の地域医療対策協議会(いわば「地域医療の課題を吸い上げる場」)からの意見・要望」があります。厚生労働省は9月28日と10月中旬に「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」を開催し、そこでは都道府県の地域医療対策協議会からの意見を踏まえ、新専門医制度の改善に向けた議論が行われます。その議論の行方によっては、来年度(2019年度)の研修内容や枠組みに大きな見直しが迫られる可能性も否定できないのです。寺本理事長は「●月●日に募集開始と宣言した後に、一定の制度・枠組の見直しが要望され、日程変更をせざるを得なくなれば、医師の間に大きな混乱を招いてしまう。それは避けなければならない」とコメントしています。

 
 
https://www.m3.com/news/iryoishin/632229
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定
2019年度から医師確保計画策定、産科・産婦人科、小児科で指標導入
 
レポート 2018年9月30日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省は9月28日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、2019年度から都道府県で策定作業が始まる医師確保計画で設定される「医師少数区域(仮称)」と「医師多数区域(仮称)」を決めるための「医師偏在指標」の計算方法を提示、大筋で合意を得た。診療科別の偏在指標も必要とし、まずは産科・産婦人科、小児科で取り組む考えを示した。

 2018年7月に成立した改正医療法・医師法では、▽新たな医師の認定制度の創設(2020年4月施行)、▽医師確保計画の策定(2019年4月施行)、▽外来医療機能の可視化/協議会における方針策定(2019年4月施行)、▽都道府県知事から大学に対する地域枠/地元枠増加の要請(2019年4月施行)、▽都道府県への臨床研修病院指定権限付与(2020年4月施行)――が予定されている。

 都道府県ごとに策定する医師確保計画では、二次医療圏を基本として「医師少数区域(仮称)」と「医師多数区域(仮称)」を設定し、医師の派遣調整を行うことが求められる。ただし、「医師の確保を特に図るべき地域」の定義には「医師少数区域」だけでなく、二次医療圏より小さい区域で「無医地区」「準無医地区」「知事が厚労大臣と協議の上で定める地域(離島や山間部等のへき地)」も指定できるようにする考えを示している。

 区域の設定に当たっては、全国共通の指標を使って一律に比較し、一定の上位、下位の地区を指定する方針で、その基準は今後、同検討会で議論していく。


 そこで、重要になるのが、「統一的・客観的に把握できる、医師偏在の度合いを示す指標」の導入だ。現在、一般的に使われている「人口10万対医師数」では診療科や年齢分布、患者流出入などが考慮されておらず、統一的な「ものさし」にはなっていないという指摘があった。新たに導入する指標は、医師の性別、年代による労働時間の違いを調整した「標準化医師数」と、人口10万人対医師数をベースに地域ごとに性年齢階級による受療率の違いを調整したもので勘案するというもの。


 計算式については概ね合意が得られ、厚労省は2018年度中に結果を公表する。慶應大学教授の権丈善一氏は「ニーズに基づくのは一歩も二歩も前進。ニーズの代理指標は人口と年齢がベースになり、同じ年齢の人たちは、どこに住んでいても同じアクセシビリティを保障していこうと考え。標準的な平均値が普通で、そこから外れる地域は、挙証責任として理由を言ってもらうようにすべき」と指摘した。聖路加国際大学学長の福井次矢氏は「理想的な分布、受療行動をグランドビジョンとして考えていただき、理想に向けての働きかけも必要」と述べた。厚労省は「基本的には全国均一の受療率があり得るべきものとして平均化する。それが理想かどうかは難しいところだが、過剰な受療行動があれば是正しなくてはならない」と説明した。

産科、小児科で偏在指標
 医師偏在対策においては、診療科ごとの偏在状況を明らかにする必要があるという指摘も根強い。厚労省は基本領域の診療科ごとに偏在指標を作成する方針を示し、その上で「医師数の増加割合が低く、政策的に医療の確保が必要とされる」産科・産婦人科、小児科の2診療科を先行して、「暫定的な指標」を作成することを明らかにした。

 診療科ごとの指標化に当たっては、代表的な疾病・診療行為を抽出し、対応表を作成することが求められる。産科においては「分娩件数」、小児科においては「小児外来診療料」「初診料/再診料の乳幼児加算、夜間加算」などで、比較的明確にひも付けることができるとしている。一方で、ひも付けが明確でない診療科では指標化に時間がかかることが見込まれる。委員からは「増加の傾向が最も低い外科を急ぐべき」「総合診療専門医はどう扱うべきか」という意見も寄せられた。

地域枠のあり方も議論に
 同検討会では、医師偏在指標以外についても、医学部における地域枠、地元出身者枠の在り方、外来医療提供体制、医師少数区域勤務認定制度などについても議論し、2019年3月までに取りまとめる予定。

 地域枠を巡っては、日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「例えば千葉大ではかつては地域枠は15人ぐらいいたが、今年は1人しかいないという。ある程度、地域枠を強く志望する人には優先的にする入学試験を導入すべきでは」と問題提起した。厚労省担当者は「今回、医療法改正では、別枠にするべきという付帯決議がでており、強力に推進していきたい」と回答すると、文部科学省の担当者が「具体的な選抜方法は大学の自治もあり、やり方を強制するのはなかなかできない。我々としては大学に促すという形を考えていきたい」と牽制した。順天堂大学学長で全国医学部長病院長会議前会長の新井一氏は「大学によってやり方がばらばらで自主性を持って行うが、大本の趣旨からは上手く運用されていないことが確かにある。大学側の課題と認識している」と指摘した。



  1. 2018/09/30(日) 12:34:10|
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9月23日 

https://www.kobe-np.co.jp/news/touban/201809/0011658519.shtml
高砂市民病院めぐり検討委設置へ 経営見直しなど
2018/9/20 20:00神戸新聞NEXT

 厳しい経営が続く高砂市民病院(兵庫県高砂市荒井町紙町)について、市は20日までに経営形態の見直しを含めて検討する諮問機関「高砂市民病院のあり方検討委員会」を設置する方針を決めた。同日の市議会本会議で市は「10月にも初会合を開き、本年度中の答申を見込んでいる」とした。(本田純一)

 同市民病院は、医師不足や患者数の減少が深刻。2016年に「新改革プラン」を策定し経営改革に取り組んでいるが、単年度の資金不足が続いている。

 市は一般会計からの繰入金で赤字分を補っており、17年度は約4億8千万円に上った。18年度は前年度を上回る資金不足を見込み、現在のペースが続くと、補てん額は6億円を超えるという。市は「加古川中央市民病院の開設などで、高砂市民病院の利用者が減っている」と説明する。

 市は安定的な経営が維持できないと判断し、検討委の設置方針を決定。18日の定例会初日に設置に関する条例案を提出した。検討委の委員は11人で、大学病院の教授や医療関係者、学識経験者らを想定。10月に第1回会合を開き、3、4回程度話し合うという。市の直営にこだわらず、独立行政法人や民営への移行などを含め、病院が持続する方法を模索する。

 本会議で提案理由を説明した市に対し、市議からは「もっと早く取り組むべきだったのではないか」「市民の声を盛り込むことができるのか」などの声が上がった。

 登幸人市長は「専門家の意見を真摯に受け止め、答申後はできるだけ早く対策を講じたい」と強調した。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201809/CK2018091702000138.html
【茨城】
県西の再編、2病院竣工 「救急」「外来」役割を分担

2018年9月17日 東京新聞

 県西地域の三病院の再編に伴って新設された「県西部メディカルセンター」(筑西市)と「さくらがわ地域医療センター」(桜川市)で十六日、竣工(しゅんこう)式があり、関係者が地域医療体制の整備を祝った。いずれも十月開院で、メディカルセンターは救急、地域医療センターは外来を中心にして、役割を分担する。

 県西地域では「筑西市民病院」と「県西総合病院」(桜川市)の公立二病院が急性期の医療を担ってきたが、医師不足などにより、いずれも機能維持が困難になっていた。

 このため、両市や県が協議し、二病院を筑西市内のメディカルセンターに統合。桜川市内には、外来やリハビリが中心の地域医療センターを開設することを決めた。

 地域医療センターは公設民営方式で、桜川市内の医療法人「隆仁会」が指定管理者となる。隆仁会の「山王病院」(桜川市)は閉院する。

 中核病院のメディカルセンターは、早期の手術や入院が必要な患者を主に受け入れる。病床数は二百五十床で、診療科は内科や外科、皮膚科・形成外科など九科目。開院後は独立行政法人「県西部医療機構」が運営する。

 筑西市の須藤茂市長は竣工式で、「地方の医療を取り巻く環境は大変厳しいが、メディカルセンターは地域に必要とされる病院になると確信している」と語った。

 一方、北東へ約十キロ離れた桜川市の地域医療センターは、病床数は百二十八床で、診療科は内科や耳鼻咽喉科など九科目。

 竣工式で大塚秀喜市長は「メディカルセンターをはじめ、地域の医療機関とより一層、連携を深める」とあいさつした。 (越田普之)
map2_20180923113901fb0.jpg(G3作成)



https://www.m3.com/news/iryoishin/623288
シリーズ 改革進む医学教育
昨今の医学生気質、“幼さ”が気になる - 札幌医科大学◆Vol.2
三浦医学部長「健全な批判に耐え得る医師を養成」

スペシャル企画 2018年9月17日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――札幌医科大学では、医学部の「2023年問題」に対応するために、臨床実習の時間を延長するだけでなく、それを実効性のあるものにするために、さまざまな工夫をされています。

 これは本学だけ、また医学生だけに限らない問題だと思いますが、最近は過保護に育ったのか、“幼い学生”が多いように思います。医師国家試験に合格した後に、彼らを待ち受けているものが何かをあまり理解していないと思うこともあります。そうした学生に、さまざまな課題に気付くようになってもらうためには、どのような工夫や仕掛けが必要かを日々考えています。


札幌医科大学医学部長の三浦哲嗣氏
――「彼らを待ち受けているものが何かをあまり理解していない」とは、どのような意味なのでしょうか。

 今進められている「医師の働き方改革」などの議論次第で、医師の必要数は増減しますが、厚生労働省の医師需給推計によると、2028年頃に約35万人で需給は均衡するとされています(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。

 医学部の学生定員は、あと2年はおおむね現状維持というのが国の方針ですが、その後は減員も検討されることでしょう(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。歯学部の入学定員については、既に削減が始まっています。今の学生たちは、大学を卒業して医師免許を取得しさえすれば、就職先には困らないと思っているようですが、医師需給が均衡すれば、医師が各施設から選ばれるようになる時代が来ることは間違いありません。

――札幌市内の医師数は多いものの、北海道全体で見れば、医師不足に悩んでいる地域が多いのではないでしょうか。

 確かにそうですが、状況は徐々に変わってきています。例えば、以前は言動に問題のある医師がいても、医師を派遣してもらう側の市町村は「背に腹は代えられない」と黙っていたものの、最近は「○○医師をやめさせてもらいたい」という声が上がるようです。

 医師の需給でもう一つ重要なのは、社会が必要とする診療科が変化してくること。例えば、形成外科。札幌医大の形成外科には、小耳症の手術のために、全国の患者さんが受診してきます。乳がん術後の乳房再建も含め、今後も症例が減少しないと思われる形成外科手術がある一方で、少子高齢化社会に伴ってニーズが減る手術もあるのではないでしょうか。また、ウイルス感染に対するワクチンや治療薬の開発によって、発症頻度が今後減少する疾患も少なくありません。

 また内科は、一般内科の担当範囲が広くなり、サブスペシャルティ領域はより特化されて狭くなっていく可能性があります。私の専門について言えば、拡張型心筋症による心不全などは循環器内科が診るべき疾患として残るものの、高血圧や加齢を基盤とした高齢者の心不全の多くは、一般内科が主体的に診る病気となると思います。そうしたことは認知症も同様で、一般内科は、頻度の高い内科系症例のより多くをカバーしていくことになるでしょう。今年から開始された内科の新専門医制度のプログラムも、こうした流れに合致しています。一方、サブスペシャルティはさらに専門化、細分化が進んでいくと思います。

――加齢が原因と思われる疾患の多くは、内科で診るようになるということですか。

 はい。加齢や生活習慣と関連が深い疾患の多くは、これまで以上に一般内科が診療することになっていき、サブスペシャルティの専門医との協力関係も変わっていくように思います。また、将来的にはAI(人工知能)もますます発展してきます。AIが担えず、医師がやるべき診断学とは何なのかを考える必要もあります。

 このような医師、医療を取り巻くさまざまな環境の変化と将来の見通しを、いかに学生に理解してもらうかが、医学教育において重要と考えています。しかし、最近の医学生は、社会的な問題への関心はそれほど高くはない上に、彼らのキャリア形成や社会的役割が、現状のものとは異なっていくことについて、認識があまりないようです。

――医学知識を教えること以上に、知識の学び方、物事の考え方、時代の変化をつかみ取る力などをいかに教えるかが重要になってくる。

 その通りです。社会への関心の低さは、学生自身のキャリアだけでなく、患者さんの捉え方でも障害を生んでいるように思います。臨床実習を見ていても、学生たちは、患者さんの背景をあまり考察していないような気がします。疾患についての知識を教えると同時に、患者さんや家族を取り巻く社会的な問題、つまり「病人」を形成する病気以外の部分にも、学生に気付かせることが重要と思います。

 例えば、患者さんの背景にある家庭環境や職業歴と疾患との関係。一般に頻度的には、社会経済的階層が低い人ほど病気になりやすく、怪我を負いやすい傾向にあります。また入院でも、外来でもそうですが、家族が病気になったり、あるいは介護が必要な状態になると、家族間や医療者との間にもさまざまな葛藤や軋轢が生じてきます。それが患者の病気や家族のQOLに影響を与えるわけです。病気の説明への理解や受け止め方も、患者さんの背景によって大きく異なります。こうしたことも、学生のうちから臨床実習で学んでもらわなければなりません。

 また最近、初期研修や後期研修を始めたばかりの医師の言動、さらには患者さんのクレームから気付くのは、立場の異なる他者の意見をよく聞こうとする姿勢が十分ではないということ。シンプルに言えば、担当医自身の「私の」患者さんという意識が強すぎてしまう。患者さんの意向と、自分の意向がぶつかると、極端なこと言えば、「私の(期待する)患者さん」ではなくなってしまう。彼らは、自分なりに一生懸命で、病気について考えてよく勉強しているのですが、自分とは異なった背景や立場にある患者さんが希望することを理解し、共感することがおろそかになりがちです。その結果、一生懸命に考えて患者さんに提案したことが受け入れてもらえないと、医師患者関係を損なうような言動を取ってしまうようなことになる。

 学生には、「『自分がしてほしいことを、隣人にもしなさい』とよく言われるが、『相手がしてほしくないことは、相手にしない』というルールを優先しないと、倫理的ではなくなる」というシンプルな説明をしています。患者さんを含めて他人とのコンフリクトの解決の仕方が、あまり上手ではない若い人が多いように思います。健全な批判に耐え、自分を成長させられる医師をいかに育成するかが課題だと思います。



https://www.medwatch.jp/?p=22491
「看護師の特定行為」実施の拡大に向けて、日看協に全面協力―日慢協・武久会長
2018年9月18日|医療・介護行政全般 MedWatch

 高齢化が進展する中では、「特定行為研修を修了した看護師」(以下、特定看護師)の活躍の場が広がっていきます。ただし、日本慢性期医療協会(日慢協)で特定看護師にアンケートをとったところ▼特定行為の対象となる症例がいない▼医師の理解が進んでいない―などの課題も明らかになってきています。

 日慢協の武久洋三会長は、9月13日に定例記者会見を開き、日本看護協会(日看協)に全面協力して、制度の拡充に努めるとともに、10月27・28日に特定行為研修の修了者に対する大規模なフォローアップ研修を実施する方針を明らかにしました(関連記事はこちら)。
 
特定看護師を対象に、日慢協で10月にフォローアップ研修を実施

 一定の研修(特定行為研修)を修了した特定看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で、病院が独自に定めた手順書(プロトコル)に基づいて21区分・38行為の診療行為補助(特定行為)を実施することが可能になります(関連記事はこちらとこちら)。「医師の働き方改革」が強く求められる中では、医師等から看護師へのタスク・シフティング(業務移管)が必要とされ、極めて重要な取り組みとなります。厚生労働省の調べでは今年(2018年)3月末時点で1006名の看護師が特定行為研修を修了し、日慢協でも119名(さらに今年(2018年)9月には、さらに29名)の特定看護師を養成しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
 今般、日慢協は119名の特定看護師にアンケート調査を実施(105名が回答)。今年(2018年)7月の1か月間に実施した特定行為としては、▼気管カニューレの交換(64.4%)▼中⼼静脈カテーテルの抜去(41.7%)▼褥瘡または慢性創傷の治療における⾎流のない壊死組織の除去(37.9%)▼脱⽔症状に対する輸液による補正(24.8%)▼感染徴候がある者に対する薬剤の臨時投与(19.2%)▼創傷に対する陰圧閉鎖療法(18.1%)—など、幅広い分野に及んでいることが分かりました。さらに、研修で身に着けた特定行為以外にも、「患者の異常を早期に発⾒し、主治医へ報告する」「連携施設入所者の⾎液データのチェック」「主治医・家族・スタッフ間の中⼼的役割として相談・説明等を⾏う」「看護師特定⾏為の実習受け入れやサポート」「院内指導、院外講師活動」などの取り組みも行っています。日慢協の特定行為研修では、21区分・38行為のうち9区分・16行為をカバーしており、慢性期医療や在宅医療においてオールラウンドに活躍する特定看護師が多い状況が伺えます。
 
ただし、アンケート結果からは、例えば次のような課題も浮かび上がってきました。

▽特定看護師業務について医師の理解が得られない(常勤医師の理解は得られてきたが、非常勤・当直医師の理解が得られない。訪問看護の場合、外部医療機関の主治医などに理解してもらえない)

▽患者や家族に特定⾏為自体を拒否される

▽通常業務中に特定⾏為ができない(決められた業務以外には時間がなく、実施できない)

▽特定⾏為を⾏うことに不安がある(実施できていない⾏為に対する知識・技術不⾜などもあり、医師から任せてもらいにくい)

 また研修で特定行為を身に着けたとしても、対象症例が少ない病院では、「知識・技術が薄れていってしまう」という不安もあるようです。

 日慢協は、こうした状況を踏まえ、10月27・28日に東京都内で「フォローアップ研修」を実施することを決定しました。武久会長は、「主に日慢協で特定行為研修を修了した特定看護師を対象にしたいと考えているが、もちろん、他機関で研修を修了した特定看護師の参加も歓迎する」考えです。フォローアップ研修では、▼実施できている⾏為の再確認▼実施出来ていない⾏為のシミュレーション▽新たに追加となった区分(PICC挿入、中⼼静脈カテーテル抜去)の研修▼特定看護師同士の情報交換▼事例検討—などが予定されています。また、矢野諭副会長は「実施した特定行為の評価」も重要テーマの1つになると指摘しました。上述したように、特定看護師は「医師の包括的指示」の下で、手順書(プロトコル)にそって医療行為の一部を実施しています。特定看護師の知識・技術水準が上がっていけば、当然、「看護師に任せられる範囲」も広がり、手順書も見直していく必要があるためです。
 
 さらに武久会長は、「日看協に全面協力し、より良い制度にしていく」考えも強調しています。日看協も、当然ではありますが特定行為研修を実施し、これまでに226名の特定看護師を輩出する、最大の養成機関です。両協会が手を取り合い、厚労省と歩調を合わせて特定行為・特定看護師制度を改善することで、より多くの、かつレベルの高い特定看護師が生まれ、それは患者・国民の利益にもつながると期待できます。
 
 特定看護師が活躍する分野は、ICUなどの高度急性期医療から、慢性期・在宅医療まで多岐にわたっていますが、とくに力を発揮するのは「慢性期・在宅医療分野ではないか」と武久会長は指摘。逆に、その分野で活躍するためには、多くの知識・技術が必要となり、可能な限り多くの区分・行為の特定行為研修を受けることが求められます。両協会が合同で特定研修を実施することなどにも期待が寄せられそうです。この点に関連して武久会長は「1つの特定行為しか実施できない看護師も、多くの特定行為を実施できる看護師も、同じ特定看護師である。これをどう整理していくかも今後の検討課題になろう」と見通します。
 
 また、「医師の理解不足」について矢野副会長は、「特定看護師について病院医師の理解は相当進んできているが、診療所医師にはまだまだ理解不足の先生もおられる。地域の医師会も巻き込み、『特定看護師?それは何か?』という医師がいなくなるよう、努力していく必要がある」とコメントしました。せっかく看護師が優れた知識・技術を身に着けても、医師が「包括的指示」をしなければ、それを発揮することはできず、「宝の持ち腐れ」になってしまいかねません。厚労省・医師会が中心となった「周知」にも期待が集まります。



https://www.medwatch.jp/?p=22564
「医師の自己研鑽が労働に該当するか」の基準案をどう作成し、運用するかが重要課題―医師働き方改革検討会(2)
2018年9月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 宿日直の許可基準を「現代の医療現場」にマッチしたものに見直していくとともに、例えば「宿日直明けの勤務について、一定のインターバルを置く」などの勤務環境改善策を講じることで、医師の長時間・過重労働を是正していく必要がある。また、症例検討や学会準備などの、いわゆる「自己研鑽」について、近く厚生労働省が「労働に該当するのか、純粋な自己研鑽なのか」の切り分け案を示し、これに基づいて「切り分けの妥当性」や「運用の確保」などに関する議論を行っていく—。

 9月19日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった点についても議論になりました。

ここがポイント!
1 宿日直の許可基準を現代版に見直すとともに、勤務環境改善もセットで議論
2 労働と自己研鑽との切り分け基準、厚労省が近く具体案を示し、それをベースに議論

宿日直の許可基準を現代版に見直すとともに、勤務環境改善もセットで議論

 お伝えしているように、医師の働き方改革の実現に向けて、(1)タスクシフトや患者の受診の仕方など「今後目指していくべき医療提供の姿」(2)応召義務など「医療の特殊性」(3)宿日直の取扱いや時間外労働の上限など「制度」—という3分野の議論を併行的・総合的に進めています。

 9月19日の検討会では、(2)の応召義務、(3)の宿日直・自己研鑽について議論を深めました。今回は「宿日直」「自己研鑽」に関する議論を眺めてみましょう。

 このテーマは、9月3日の前回会合でも議題に上がり、宿日直については「まず、許可基準を現代の医療現場にマッチするよう見直してはどうか」との方向が厚生労働省から提示されています。構成員からは、この方向に異論は出なかったものの「医師の健康確保も併せて検討していくべき」「宿日直の問題は、人員不足や賃金などとは別のテーマとして捉えるべき」などといったなど注文が付いていました(関連記事はこちら)。厚労省は、こうした注文も踏まえ、例えば、次のように検討の方向をブラッシュアップさせています。

▽「医師の長時間・過重労働の是正が重要」との指摘を受け、今後、「当直明けの勤務の在り方」など勤務環境改善を通じた医師の健康確保についても議論を深める

▽宿日直許可基準について、現代の医療の実態を踏まえて、「何が業務(労働)に当たるのか」という切り分けを整理していく。その際、具体的な医療行為等が「業務に該当するか否か」を予め類型化しておくことが必要となる

▽宿日直許可基準の見直しについては、「例えば5年間程度の猶予期間を設けるべき」などの指摘を受け、見直し時期についても併せて検討する

▽「人手が不足している」「賃金支払いが過重になってしまう」という理由・観点で「宿日直許可基準を見直す」(いわば宿日直許可基準を緩めたり、特例を設ける)ことは、今般の改正労働基準法の趣旨(労働者の健康確保等)に照らして認められない

▽ただし、医師の少ない地域等では、医療政策上の対応を進めつつ(例えば医師確保対策など)、かつ医師の健康確保に配慮した上で、当面「時間外労働の上限を高く設定する」などの対応が図れないか、という面での検討も行う

 
 今後、こうした検討方向に沿って、例えば「宿日直明けの勤務に対する配慮(インターバルの設定など)」など勤務環境改善策も含めて、さらに議論を深めていくことになります。

労働と自己研鑽との切り分け基準、厚労省が近く具体案を示し、それをベースに議論

 自己研鑽については、▼労働に近いもの▼自身の知識・技術の向上のためのもの▼両者の性格を併せ持つもの―があり、この切り分けをどのようにしていくのか(基準の設定)、さらに、その基準に沿ってどのように運営していくのか、が重要論点となっています。

「労働に近い」ものが、「それは自己研鑽であり、労働とはみなさない(時間外に行っても割増賃金は支払わない)」とされれば、それは医師に不当な労働を強いることにつながります。一方、「医師個人のスキルアップのため」のものが、「これも労働であり、割増賃金を支払え」となれば、医療機関経営に悪影響をもたらします。また、曖昧な基準で「労働時間が増えては困るので、自己研鑽等はしないでほしい」とされれば、医師のモチベーション低下、知識・技術水準の低下につながり、結果として患者・国民が不利益を被ってしまいます。

 さらに、仮に基準が明確にされたとしても、ある業務が「労働に該当するのか」「自己研鑽に該当するのか」の判断は、医師でなければ判断が困難な部分もあり、労働基準監督署などが適切に運用できるのか、という問題もあります。

 厚労省は前回会合に、「労働とは言えないのではないか」という項目案を示しており、さらに詳細な「基準」案を作成し、近く検討会での議論に供する考えを示しています。この点、今村聡構成員(日本医師会副会長)らは「厚労省の基準案をスタート地点として、運用なども含めた議論を行うことになる。基準案を早急に示してほしい」と要請しています。

 また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、基準の運用について「ある行為が労働に該当するのか、純粋な自己研鑽なのか、国などで一元的に管理する必要がある。労働基準監督署によって、監督官によって判断が異なれば現場は大混乱に陥る」と指摘。

 ところで「自己研鑽」との文言からは、初期臨床研修医や専門医を目指す専攻医が対象になると思われますが、山本修一構成員(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)は「医学・医療は常に発展しており、例えば特定機能病院の病院長であっても、常に自己研鑽して知識・技術を磨く必要がある」と指摘し、対象は医師全般とすべき旨を指摘しています。

 厚労省の基準案が待たれますが、とくに「労働の性格と、自己研鑽の性格とを併せ持つ」ものについては非常に切り分けが難しいでしょう。これをどのように取り扱っていくのか注目が集まります。



https://www.medwatch.jp/?p=22541
2014年度消費増税への補填不足、入院料等の算定回数や入院料収益の差などが影響―消費税分科会
2018年9月19日|医療保険制度 MedWatch

 2014年度の消費増税(5%→8%)に対応するために特別の診療報酬プラス改定が行われたが、「補填不足」「補填のバラつき」があることが明らかになったが、その背景には課税経費率や診療報酬の算定回数などに関する「見込みと実績とのズレ」や、「入院料等が収益に占める割合を考慮していなかった」ことなどがある―。

 9月19日に開催された、診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の樋口俊宏室長はこのような分析結果を報告しました。

 来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げ(8%→10%)時に、診療報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)を行うとなった場合には、こうした点を踏まえ、例えば「医療機関等の消費税負担額を、より細かく的確に把握する」「病院の収益における入院料のシェアなどを考慮する」などの工夫を行うことなどが論点として浮上していますが、具体的な議論はこれからです。
 
ここがポイント!
1 2014年度の消費税対応改定、補填不足・補填のバラつきが判明
2 医療費シェアや課税経費率について、見込みと実績にズレがあった
3 上乗せを行った点数の算定回数について、見込みと実績にズレがあった
4 収益に占める入院料等のシェア(割合)を考慮していなかった
5 補填不足・バラつきの要因を踏まえて、今後、改善方策を具体的に議論

2014年度の消費税対応改定、補填不足・補填のバラつきが判明

 保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関や薬局(以下、医療機関等)が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる「控除対象外消費税」)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担もz増加することから、1989年の消費税導入時より「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度と2014年度)。
 
 2014年度には消費税率が5%から8%に引き上げられたため、初診料や再診料、各種入院料といった「基本診療料」を引き上げる、消費税対応改定が行われました。厚生労働省が、この2014年度の消費税対応改定の効果を調べたところ、当初は▼医療機関等全体では、消費税負担に対し102.07%の補填(診療報酬収入の上乗せ)がなされた▼個別医療機関ではバラつきがある(例えば、一般病院では101.25%、精神科病院では134.47%の補填がなされたが、特定機能病院では98.09%、こども病院では95.39%にとどまる)—と分析されました(2015年11月、関連記事はこちら)。

 しかし、最新の補填状況を調査・分析する過程で、上記データに誤りがあることが判明(複数月にまたがる入院で入院日数を重複してカウントしており、入院料収益が見かけ上大きくなっていた。このため、入院料に上乗せされた消費税対応改定分が大きく見積もられていた)。厚労省の再調査・分析では、例えば、▼病院全体の補填率は2014年度82.9%(訂正前は102.36%)、2016年度85.0%にとどまる▼特定機能病院の補填率は、わずか2014年度61.4%(訂正前は98.09%)、2016年度61.7%であった―など、急性期病院を中心とした「大幅な補填不足」「医療機関ごとの大きなバラつき」が生じていることが分かりました(関連記事はこちら)。
 
医療費シェアや課税経費率について、見込みと実績にズレがあった

 厚労省が、「補填不足」「補填のバラつき」の原因を調査・分析したところ、次のような背景が浮かび上がってきました。

(1)課税経費率について、見込みと実績との間にズレがあった
(2)診療報酬の算定回数について、見込みと実績との間にズレがあった
(3)「収益に占める入院料等の割合」を考慮していなかった

 消費税対応改定は、▼医科(さらに病院と診療所)・歯科・調剤に、どの程度の財源を配分するか▼配分された財源の中で、どの基本料に何点の引き上げを行うか―という大きく2段階で検討されます。

 前者の「財源配分」については、「医科(さらに病院・診療所)・歯科・調剤の医療費シェア」と、「各分野の課税経費率」とを勘案して行われます。
 
 この点、(1)のように、とくに「病院:診療所」の比率が、▼2012年度は73.0:27.0→▼2014年度は76.1:23.9→▼2016年度は75.8:24.2—と変化していることが分かりました。ここから「病院に配分されるべき財源が、相対的に小さくなり、診療所に相対的に多くの財源が配分されてしまった」ことが伺えます。これが「病院において補填不足が生じ、診療所において過度の補填が生じた」こと(バラつき)の要因の1つになっていると言えます。
 
 さらに、病院については、「一般病棟入院基本料」1つをとっても、当時、7対1から15対1まで4種類ありましたが、サンプル数が少ない入院基本料もあったことから、2014年度改定では、「看護配置別に課税経費率を勘案することなく、例えば▼一般病棟入院基本料▼療養病棟入院基本料▼特定機能病院入院基本料―という具合に、いわば大くくりに課税経費率を見込み、それに基づいて財源配分を行う」こととなりました。しかし、例えば7対1と15対1では購入する物品の種類や量も異なるため、課税経費率には違いがあると想定されます。これが勘案されずに財源配分がなされたことが、「病院間の補填のバラつき」に結びついていると考えられます。

上乗せを行った点数の算定回数について、見込みと実績にズレがあった

 一方、後者の「点数設定」については、過去の診療報酬算定データ(2014年度改定では2012年の社会医療診療行為別調査)から、初診料や再診料、各種入院料の算定回数を見込み、それをもとに「何点の引き上げを行うことで適切に補填できるか」が判明します。この点、(2)のように、見込みと実績との間にズレが生じていたことが分かりました。

 例えば、一般病棟入院基本料では、見込みに対する実績の比率は78.2%、特定機能病院入院基本料では、同じく88.7%にとどまりました。算定回数が少なければ、消費税対応の「上乗せ分」の算定(=収入)も減ってしまいます。これが「補填不足」に大きく影響しているのではないか、と樋口保険医療企画調査室長は分析しています。
 
収益に占める入院料等のシェア(割合)を考慮していなかった

 ただし、例えば、療養病棟入院基本料の算定病院については、「算定回数の実績が見込みよりも小さい」(補填不足になる可能性大)にも関わらず、補填状況は100%を上回っており、課税経費率や算定回数だけでなく、別の要因によって補填のバラつきが生じていることが示唆されました。

 この点、樋口保険医療企画調査室長は(3)のように「『収益に占める入院料等の割合』を考慮していなかった」ことが、病院間の補填バラつきに関係しているのではないかと分析しています。療養病棟のように、収益に占める入院料等のシェアが大きければ、点数の上乗せ効果が大きく、補填が十分に行えることになりますが、特定機能病院などの急性期病院では手術や麻酔などの点数シェアが大きく、結果として「収益に占める入院料等のシェアが低い」場合には、点数の上乗せ効果は小さく、補填不足になりがちです。

補填不足・バラつきの要因を踏まえて、今後、改善方策を具体的に議論

 樋口保険医療企画調査室長は、こうした点を踏まえ、来年(2019年)10月に予定される消費増税への対応として、消費税対応改定を行うに当たっての「改善に向けた論点」を次のように提示しました。

●主に(1)の「課税経費率等に応じた財源配分」に関する改善

(a)病院・診療所の財源配分を行ったうえで、▼診療所の初診料・再診料の引き上げを行う▼病院の初診料・再診料を、診療所と同点数まで引き上げる▼残りの財源を入院料等の引き上げに充てる―という方式が「バラつき」の一因となっていることも考えられ、何らかの工夫ができないか
(b)看護配置をも勘案した課税経費率の把握などができないか
(c)基本料以外にも「個別診療報酬項目への配点」が考えられないか
(d)病院・診療所の課税経費率の比が変動していることをどう考えるか

●主に(2)の「算定回数」に関する改善

▽最新のデータ(2017年度のNDBデータを基にした、診療報酬の通年算定データ)を用いてはどうか

●主に(3)の「収益に占める入院料の割合」に関する改善

▽入院料への配点にあたり、「収益に占める入院料等の割合」などを考慮できないか

 このうち(a)では、「病院と診療所で初診料・再診料の上げ幅を変えるのだろうか」といった点も考えられそうですが、長年「病院と診療所で点数が異なる。一物二価は好ましくない」という議論を中央社会保険医療協議会で行い、2012年度にようやく統一することができた経緯などを考えると、極めて難しいと考えざるを得ません。どのような工夫が考えられるのか、今後の分科会論議に注目する必要があるでしょう。

 この点に関連して、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、診療所の補填率が111.2%、病院の補填率が85.0%となっている過不足の原因が「初めに診療所の初診料等を引き上げ、それに合わせて病院の初診料等を引き上げ、残りを入院料に充てた」という仕組みにあると指摘しました。しかし、補填の過不足は、当初の「財源配分」によるところが大きく、課税経費率の補足等に主な問題があると考えるべきでしょう。厚労省保険局医療課の森光敬子課長も「点数の配分によって、財源が病院から診療所に移転するわけではない」と理解を求めています。

 なお、厚労省保険局医療課の担当者は、「『8%→10%』分においても、『5%→10%』分においても、補填率が100%に近づくように設定する」考えを強調しています。

 また(c)の「個別点数項目への配分」については、診療側委員はこぞって「反対」姿勢を強調しています。1989年度・1997年度の消費税対応改定では「個別点数への配分」がなされましたが、その後の改定により点数の改廃が行われ、「消費税対応分は、どこに何点乗っているのか」が見えなくなってしまいました。また、当該点数を算定しない医療機関等では、実質的に「補填されない」状況にもなってしまうのです。こうした点を踏まえて、2014年度改定で「基本料に上乗せする」方針が固まったため、診療側委員は「方針を崩すべきではない」と強調しています。

 一方、幸野委員は「診療所において初診料・再診料への上乗せ、いわば過補填(111.2%)の原因になっているのではないか」とし、個別点数項目への上乗せも考えるべきと主張しています。しかし、診療所の、いわば過補填は上述したように「財源配分」の問題であり、上乗せする点数項目を見直したとしても解消されるものではありません。また、上記の「点数統一化」の経緯を考えた場合、幸野委員の提案を診療側が受け入れる余地は極めて小さいでしょう。

 また、(b)の「看護配置別の課税経費率把握」には「医療経済実態調査におけるサンプル数の限界」があり、どこまで精緻化できるのか、今後のデータを待つ必要があります。さらに「収益に占める入院料等の割合」は医療経済実態調査からは直接把握できず、診療報酬算定回数等の積み上げなどをしなければなりません(つまり相当の労力が必要)。この点、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は「どのように入院料等に反映させるのかのイメージが十分にわかない」旨の疑問を示し、具体案を待つ姿勢を示すにとどめています。

 このように「精緻化」には、大きな「労力」が必要となる一方で、「どこまで精緻化しても、完全に過不足のない補填はできない」という限界もあります。各医療機関等が納得できる形で、「精緻化」と「労力」のバランスをどのようにとっていくのか、さらに、三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)との合同提言(消費税対応改定を行った上で、補填の過不足を税制で調整する仕組み)なども絡み、今後の分科会論議に注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



https://www.medwatch.jp/?p=22517
北海道大地震を受け、看護必要度など診療報酬算定上の当面の特例措置などを設定―厚労省
2018年9月18日|医療保険制度 MedWatch

 北海道で発生した大地震により、医療機関も大きな被害を受け、また患者の動向も通常とは大きく異なっています。このため厚生労働省は、「保険診療」「診療報酬」について通常とは異なる、特例の救済措置を行うことを9月14日に決めました(厚労省のサイトはこちら)(関連記事はこちらとこちら)。

西日本の豪雨被害における取扱いと同様の内容です(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 仮設建物での診療等、従前からの継続性が認められれば「保険診療」可能
2 一時的に要件を満たさずとも、従前どおりの診療報酬請求が可能

仮設建物での診療等、従前からの継続性が認められれば「保険診療」可能

 今般の大地震により、建物等が損壊するなどし、やむを得ず「仮設の建物」で診療等を行う場合もあることでしょう。この点、▼場所的な近接性▼診療体制―などから保険医療機関等としての継続性が認められれば、仮設建物で実施した診療行為などを「保険診療」「保険調剤」として取り扱うことが可能です。原則論に立ち返れば、改めての保険指定が必要となり、それまでは自由診療とせざるを得ませんが、今般、柔軟な対応が図られています。

一時的に要件を満たさずとも、従前どおりの診療報酬請求が可能

 また、今般の大地震により「診療報酬の届け出に係る施設基準」などを満たせない医療機関が出てくると予想されます。例えば、▼職員が被災して通勤等できず、必要な看護配置が十分に満たせない▼被災者の緊急受け入れをせざるをえず、許可病床数を超えた入院医療を提供しなければならない―など、さまざまなケースが生じると考えられます。

 保険診療の原則に立ち返れば、こうした場合には「診療報酬の減額」「変更届け出」などを行わなければいけませんが、厚生労働省は被害の甚大さなどに鑑み、当面の間、たとえば次のような柔軟な対応をとること可能としています。

▼定員超過入院であっても診療報酬の減額措置は適用しない、DPC病院においても診断群分類点数表による算定を可能とする

▼被災者の受け入れにより、入院患者が一時的に急増等し入院基本料の施設基準を満たすことができない、あるいは被災地への職員派遣により職員が一時的に不足し入院基本料の施設基準を満たすことができない医療機関については、当面、「月平均夜勤時間数」(いわゆる72時間要件)については、当面、1割以上の一時的な変動があっても、変更の届け出を行わなくてよい(ただし、その旨を記録・保管する。被災地以外の医療機関にも適用)

▼被災者の受け入れにより入院患者が一時的に急増等、または被災地への職員派遣により職員が一時的に不足した医療機関については、「1日当たり勤務する看護師、准看護師または看護補助者(看護要員)の数」「看護要員の数と入院患者の比率」「看護師・准看護師の数に対する看護師比率」については、当面、1割以上の一時的な変動があっても、変更の届出を行わなくてもよい(ただし、その旨を記録・保管する。被災地以外の医療機関にも適用)

▼被災者の受け入れ、職員派遣等でDPCの参加基準(データ/病床比が0.875以上など)を満たせなくなったとしても、届出を行わなくてよい(ただし、その旨を記録・保管する。被災地以外の医療機関にも適用)

 
 また、厚労省は次のような取扱いを行うことも示しています。

▼被災地の医師等が、各避難所等を自発的に巡回し、診療を行った場合、保険診療として取り扱うことはできず、「都道府県知事の要請に基づき、災害救助法の適用となる医療」については、都道府県に費用を請求する

▼被災地の保険医療機関の医師等が、避難所に居住する疾病、傷病のため「通院困難」な患者に対し、当該患者が避難所にある程度継続して居住している場合に、定期的な診療が必要と判断され、患者の同意を得て継続的に避難所を訪問して診察を行った場合には、訪問診療料等を算定できる。

▼被災前から【在宅時医学総合管理料】【施設入居時等医学総合管理料】の対象となる医学管理を行っている患者が避難所に避難し、当該患者に当該医学管理を継続して行う場合でも、在総管等は「被災前の居住場所に応じた区分」に従って算定できる。ただし、避難場所が分散し、被災前の居住場所と比べて「単一建物居住患者の人数」が減少した場合には、減少後の人数に基づいて算定する

▼従前、定期的に外来診療を行っていた患者が、避難所等に避難し、そこである程度継続して居住している場合、その患者からの求めに応じて被災地医療機関の医師等が避難所等に赴き診療を行った場合には、【往診料】を算定できる。ただし、2人目以降は【再診料】を算定する(通常の往診料と同じ取り扱い)

▼被災地の保険医療機関において、透析設備が豪雨で使用不可能となっている場合、当面の間、被災地医療機関に豪雨前から継続して入院している慢性透析患者の転院を受け入れ、それが真にやむを得ない事情があった場合には、透析目的の他医療機関受診日でも入院料の控除は行わない

●定員超過入院等の取扱い
▼被災地の保険医療機関が、災害等やむを得ない事情で許可病床数を超過して入院させた場合、次のように入院料を算定する。
○原則
→「実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料」を算定する
○会議室など「病棟以外」への入院
→速やかに入院すべき病棟へ入院させることを原則とするが、必要な診療が行われている場合に限り、当該患者が入院すべき病棟の入院基本料を算定する(診療、看護内容を具体的に記録する)
○医療法上、本来入院できない病棟への入院(精神病棟に精神疾患でない患者が入院するなど)、診療報酬上の施設基準の要件を満たさない患者の入院
→入院基本料を算定する病棟では、入院した病棟の入院基本料を算定する(例えば、精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定する)
→特定入院料を算定する病棟では、医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により、算定する入院基本料を判断する(一般病床の回復期リハビリ病棟に、回復期リハの施設基準を満たさない患者が入院した場合には、13対1・15対1看護配置が求められているので【地域一般入院基本料】を算定する)

▼被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関から、医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合、次のように入院料を算定する
○原則
→実際に入院した病棟(病室)の入院基本料・特定入院料を算定する。
○医療法上、本来入院できない病棟への入院(精神病棟に精神疾患でない患者が入院するなど)、診療報酬上の施設基準要件を満たさない患者の入院
→入院基本料算定病棟では、入院した病棟の入院基本料を算定する(例えば、精神病棟に入院の場合は精神病棟入院基本料を算定)
→特定入院料を算定する病棟では、医療法上の病床種別と当該特定入院料が施設基準上求めている看護配置により、算定する入院基本料を判断する(一般病床の回復期リハビリ病棟に、回復期リハの施設基準を満たさない患者が入院した場合には、13対1・15対1看護配置が求められているので【地域一般入院基本料】を算定する)

 
●平均在院日数の計算方法
▼被災地の保険医療機関において、他医療機関で診療継続が困難となったために、転院患者を受け入れた場合、「転院患者を含めて」平均在院日数を計算する。この場合、施設基準(例えば【急性期一般入院料1】では18日以内)を超えた場合であっても、当面の間、従前の入院基本料を算定できる

▼被災地以外の保険医療機関において、被災地の保険医療機関から医療法上の許可病床数を超過して転院の受け入れを行った場合に、当面の間、「当該患者を除いて」平均在院日数を計算する

 
●要件を満たさない入院患者の取扱い
▼被災地の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリ病棟に回復期リハビリを要しない患者が入院するなど)した場合には、当面の間、「当該患者を除いて」施設基準の要件を満たすかどうかを判断する

▼被災地以外の保険医療機関において、災害等やむを得ない事情により、特定入院料の届出を行っている病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院(例えば回復期リハビリ病棟に回復期リハを要しない患者が入院するなど)した場合に、当面の間、「当該患者を除いて」施設基準の要件を満たすかどうかを判断する

 
●重症度、医療・看護必要度を満たさなくなる場合の取扱い
▼被災地の医療機関が、災害等やむを得ない事情により患者を入院させたことにより、「平均在院日数」「重症度、医療・看護必要度」「在宅復帰率」「医療区分2・3患者割合」を満たさなくなった場合でも、当面の間、直ちに施設基準の変更届け出を行う必要はない。なお、ICU・HUCにおいて、やむを得ず「本来、当該治療室への入院を要さない患者」を入院させた場合、当該医療機関の「入院基本料」を算定した上で、これらの患者は「重症度、医療・看護必要度」を計算から除外する

▼被災地以外の保険医療機関において、当該被災地の保険医療機関から転院の受け入れを行ったことにより、「平均在院日数」「重症度、医療・看護必要度」「在宅復帰率」「医療区分2・3の患者割合」については、当面の間、「被災地から受け入れた転院患者を除いて」算出することができる。ICU・HCUに、やむを得ず「本来、当該治療室への入院を要さない患者」を入院させた場合については、当該医療機関の「入院基本料」を算定した上で、これらの患者を「重症度、医療・看護必要度」の計算から除外する



https://www.constnews.com/?p=57668
近大医学部附属病院等移転後の地域医療機能の確保で基本協定/医療法人などへの経営移譲を軸に検討/大阪府、大阪狭山市、近畿大学
2018.09.19 建設ニュース

大阪府、大阪府大阪狭山市、学校法人近畿大学の3者は、「大阪狭山市における近畿大学医学部附属病院等移転後の地域医療機能の確保に関する基本協定書」を結んだ。大阪狭山市は同病院移転後の跡地に医療機能を確保することが重要と位置付けている。協定は、跡地での医療について医療法人などへの経営移譲を軸に医療機能の確保に努めることや、近畿大学は、移転後も南河内医療圏における基幹病院としての役割を確実に果たすことなどの内容となっている。

近畿大学は2017年12月に同大学医学部附属病院を大阪狭山市から完全撤退すると公表、市などは病院の存続を求めていたが、ことし5月29日に、「移転後の跡地には、経営移譲を軸として医療の確保に努める」と回答していた。



https://www.medwatch.jp/?p=22559
医師は応召義務を厳しく捉え過ぎている、場面に応じた応召義務の在り方を整理―医師働き方改革検討会(1)
2018年9月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 応召義務は、倫理的規定に過ぎず、医師は厳しく捉え過ぎている嫌いがあり、これが長時間労働を招く一因になっている可能性がある。今後、▼救急医療▼勤務時間外の対応▼病状等に応じた適切な医療機関への転院▼患者の迷惑行為―など、場面に応じた「応召義務の在り方」を体系的に示していく—。

 9月19日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で、厚生労働省研究班の岩田太参考人(上智大学法学部教授)から、こういった考え方が示されました(関連記事はこちら)。

 検討会では、年内には取りまとめに向けた骨子を固める予定であり、それに間に合うようなスケジュールで研究結果(体系的な整理)が報告される見込みです。
 
ここがポイント!
1 医師は応召義務を厳しく捉え過ぎ、これが長時間労働に結びついている可能性も
2 国民・患者の「医療機関へのかかり方」の在り方も、応召義務とセットでの検討が必要

医師は応召義務を厳しく捉え過ぎ、これが長時間労働に結びついている可能性も

 安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の一環として、勤務医も「罰則付き時間外労働規制」の対象となります。ただし、医師には応召義務が課されるなどの特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

 検討会では、労働時間だけでなく、勤務環境の改善などさまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討することとし、来年(2019年)3月の報告書取りまとめに向けて、次の3分野を併行的かつ統合的に議論していくことになっています(関連記事はこちら)。
(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)
(2)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)
(3)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)

 9月19日の検討会では、(2)の応召義務、(3)の宿日直・自己研鑽について議論を深めました。ここでは「応召義務」に関する議論を眺めてみます。

 医師法第19条第1項では「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ拒んではいけない」旨が規定されています。これがいわゆる「応召義務」です。

 厚労省研究班(「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈についての研究」班)の主任研究者を務める岩田参考人は、法制度上、「応召義務は、医師(勤務医・開業医)が国に対して負担する公法上の義務」に過ぎないことをまず指摘しました。いわば「訓示的」「理念的」な規定であり、「応召義務違反を根拠に刑事責任・民事責任をとわれた事例や行政処分が行われた事例などは見当たらない」とも付言しました。

 もちろん、昭和20年代、30年代の医療提供体制が十分でない時代には、国民の生命・健康維持のために応召義務が十分な意味を持っていましたが、救急医療を初めとする医療提供体制が充実し、機能分化が進んでいる現代では、かつてとは応召義務の意味合いが変わってきているとも岩田参考人は指摘します。

 翻って、医師側は、応召義務を「極めて厳格な規定」であると感じており、これがために過度な長時間労働が発生している可能性があります。例えば、夜間救急の輪番制が敷かれている地域において、当番以外の医師のもとを診療時間外夜間に来院した患者に対して、「急を要しないと判断したため、当番医は●●病院である」と告げることが「応召義務違反に当たるのではないか」と恐れ、自らが時間外診療に従事してしまうようなケースが思い浮かびます。

 研究班では、こうした事態を解消(山本修一構成員:全国医学部長病院長会議「大学病院の医療に関する委員会」委員長・千葉大学病院長曰く「応召義務の呪縛からの解放」)するために、▼救急医療▼勤務時間外の対応▼病状等に応じた適切な医療機関への転院▼患者の迷惑行為―など、場面に応じた「応召義務の在り方」を体系的に示していくことになります。例えば、「●●のようなケースでは、診療時間外を理由に診療を断っても、応召義務違反とはならない」「○○といった代替の医療提供が確保されていれば、救急医療の現場であっても、受け入れを断ることが必ずしも応召義務違反となるわけでない」といった具体例を整理することが期待されます。

 検討会では、年内に報告書の「骨子」を固める予定としており、それに間に合うスケジュールで研究班から成果物(場面に応じた応召義務の体系化)の報告を受ける考えです。11月下旬頃までには、一定の成果が報告されることになるでしょう。

国民・患者の「医療機関へのかかり方」の在り方も、応召義務とセットでの検討が必要

 ところで応召義務と「対」で考えなければならないのが、「患者・国民の医療機関のかかり方」です。例えば、上述したように「夜間救急の輪番制が敷かれている地域であれば、当番医にかかる。またその情報を自らも求める」「緊急を要しない時間外診療などは避ける」など、国民・患者サイドが、適切な医療機関のかかり方をしなければ、いくら応召義務の体系化をしても画餅に帰してしまいます。この点、今村聡構成員(日本医師会副会長)は「患者に断りを伝えることも、医師の負担になる」と見通し、国民・患者の意識改革が不可欠との考えを強調しています。厚労省では、近く有識者の検討会議を設置する予定です。

 なお、豊田郁子構成員(特定非営利法人架け橋理事長)は、患者の立場から「受療の必要性が高いにもかかわらず診療を受けられなくなるのではないか」という点への不安を示しました。岩田参考人は「応召義務は、医師と国との関係を縛るもの」であると整理しており、医師と患者とが、一般の商取引などと同様の「契約」関係となれば、確かに豊田構成員の不安は理解できます。

 しかし、例えば医療法第15条第1項では、医療機関の管理者(院長など)に「勤務医等を監督し、医療機関の管理・運営につき、必要な注意をする」よう指示するなど、別途の規定で「適切な医療提供を行う」ことが義務付けられていると厚労省医政局医事課の担当者は説明しています。また、応召義務の有無に関わらず、医師が現に持っている高い倫理性に鑑みれば、「緊急対応等が必要な患者を前に、特段の理由なく診療を断る」ような事態は容易には想像できないでしょう。



https://www.m3.com/news/general/630771
弘前市:津軽・新中核病院 7市町村に順次説明 /青森
地域 2018年9月23日 (日) 毎日新聞

 津軽地域の新中核病院を巡り、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院の統合による整備で弘前市と同機構などが合意したことを受け、弘前市は20日から津軽地域7市町村長への説明を始めた。21日は、桜田宏市長が黒石市役所を訪れ、新病院の整備に地域一体で取り組むよう高樋憲市長に理解を求めた。

 高樋市長との面談で、桜田市長は合意に達したことを伝えた上で「市長に就任後、中核病院を最優先事項として調整してきた」と説明。高樋市長は「津軽圏域の医療の充実はもちろん、県全体の医師補充対策にも大きな力になる」と歓迎した。説明は10月1日まで順次、行われる。

 合意内容によると、新病院は2022年早期の開設を目指す。病床規模は450床程度で、24の診療科で対応。整備費は総額約126億円を見込む。弘前市はこのうち40億円と、運営費として開設後40年間にわたり年2億5000万円を負担し、2次救急医療体制の強化や、若手医師の育成に取り組む。

 市は、28日の市議会で了承を得て、10月上旬に同機構などと基本協定を結ぶ予定。【藤田晴雄】



https://www.m3.com/news/general/630621
熊本市民病院、赤字37億円 地震被害で特別損失
地域 2018年9月21日 (金) 熊本日日新聞

 熊本市は2017年度の病院事業会計決算を公表した。熊本地震で病棟3棟のうち2棟が使用不能となっている市民病院(東区湖東)は、純損益37億6439万円の赤字だった。赤字は4年連続。

 地震があった16年度よりも、赤字幅が1億3306万円広がった。外来患者の減少や地震被害の特別損失を17年度に計上したためとしている。 地震があった16年度よりも、赤字幅が1億3306万円広がった。外来患者の減少や地震被害の特別損失を17年度に計上したためとしている。

 延べ患者数は入院が前年度比3・3%増の6617人だったものの、外来が14・9%減の6万6815人。「被災者に対する医療費減免が終了したことや、MRI(磁気共鳴画像装置)が使えないことが外来患者減につながった」と同病院。

 事業収益は共済見舞金の特別利益を計上したため13・8%増の54億5598万円。事業費用は施設被災に伴う特別損失が48億2802万円に上ったため9・4%増の92億2037万円だった。

 移転新築する新病院(東区東町)の開業は19年秋。市は18年度も厳しい経営が続くとみて、24億円の赤字を見込む。新病院の総事業費は約224億円で、起債残高は124億7327万円。起債償還に伴う17年度の収支不足5億1557万円は内部留保を充てた。

 一方で、植木病院の純損益は1億6625万円の赤字。一般入院患者が3・2%減の2万6110人、療養入院患者も8・9%減の9219人で、いずれも前年度を下回った。芳野診療所は一般会計で赤字を補填[ほてん]するへき地医療のため純損益はない。



https://www.m3.com/news/general/630089
八代市立病院 廃止へ 「外来」は現地譲渡 公立での存続望む声も
2018年9月19日 (水) 熊本日日新聞

 熊本県八代市が、本年度末に予定する市立病院(同市妙見町)の廃止に備え、病床の再編移転や外来診療の現地譲渡に向けた準備を進めている。しかし、宮地地域で唯一の医療機関であり、現地での診療が継続されるのか、住民の間では心配する声が消えない。

 市立病院は1952年開設。内科や外科など6診療科目があり、一般病床66床、結核病床30床を備える。熊本地震後は入院病棟を閉鎖し、現在は敷地内の仮設棟で外来診療のみ実施。1日の利用者は約30人という。

 市が廃止方針を示したのは昨年12月。「再建に約40~50億円掛かり、今後も年間約4~5億円の赤字が見込まれる」(市市長公室)ためだ。建物の地震被害が確認されなかったため、返済額の多くを国が実質肩代わりする災害復旧事業債が使えない事情もあった。

 医業収支の赤字額は熊本地震前の2015年度まで、1億円前後で推移。稼働率の低い結核病床の不採算分を補うなどの名目で、市の一般会計から年に1億数千万円を繰り入れて黒字を保っていた。

 市市長公室は「市立病院を再建しても、県内に過剰にある結核病床を残すのは難しく、一般会計から繰り入れる根拠がなくなる」と説明する。

 市などが7月に策定した再編計画では、一般病床65床を八代地域の2医療機関に分けて移す。結核病床は全廃するが、市内の熊本労災病院が診療環境を整備する予定だ。

 外来診療は公的医療機関に譲渡し、現地の仮設棟を引き継いでもらう。同市の熊本総合病院が継承に前向きな姿勢を示しており、運営法人や県、国を交えた協議が続いている。

 地元の関心は、現地での診療体制が維持されるかどうかだ。市が地元向け説明会を開いたのが7月末だったこともあり、不安解消には至っていない。

 7月に発足した「市立病院の存続を求める会」は宮地地域を中心に、公立での存続を求める署名活動を展開。代表世話人の塩崎重則さん(74)=古麓町=は「地域住民の命を守ってきた身近な病院。外来が残っても、採算が取れずに将来撤退されることはないのか」と話す。説明会の開催時期についても「署名を求めた時に初めて廃止方針を知った人もいる。正確な情報発信が不足している」。

 宮地、東町両校区のまちづくり協議会は市の方針に一定の理解を示しつつ、「整形外科を新設するなど、診療内容が充実した外来機能の現地での運営を実現させてほしい」と要望。公的医療機関に強く働き掛けるよう市に求めている。



https://www.m3.com/news/general/630076
中条第二病院の入院病棟閉鎖を発表 JA新潟県厚生連
2018年9月19日 (水) 新潟日報

 JA新潟県厚生連は18日、十日町市の中条第二病院(180床)の入院病棟を2019年3月末をめどに閉鎖する方針を正式に発表した。菊池正緒代表理事理事長は十日町市、津南町の両議会で説明した後、報道陣に「総合的に判断し、入院病棟の継続は困難」と語った。

 両議会への説明は非公開。出席者によると、厚生連は人口減少による収益悪化、医療スタッフの不足、建物の老朽化を閉鎖の理由に挙げ、外来のみの診療所とするとした。議員側から存続に向けた協議を求める意見が出たが、厚生連は「閉鎖は決定事項」などと応じなかったという。

 説明後、菊池理事長は取材に対し、約150人の入院患者の受け入れ先について「今後、個別に相談を始める」とした。

 存続を求める4万人分の署名が集まったことを「重く受け止める」としながらも、「再考は難しい」と強調。閉鎖までの期間が短く、転院先の確保が難しいとの見方に関しては「来年3月末とめどを示し、理解を得ながら進めたい」と述べるにとどめた。

 十日町市議会を訪れた「地域医療を守る住民の会」の大嶋育未代表世話人は「患者や家族に説明がないまま、方針が決定される。情報を隠さずに説明してほしい」と訴えた。



  1. 2018/09/23(日) 11:41:38|
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9月16日 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180914-00000056-mai-sctch
<粗悪学術誌>投稿の准教授「査読素通り」 背景に教授圧力
9/14(金) 18:49配信 毎日新聞

 インターネット専用の学術誌の中で粗悪な「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、粗悪とされる学術誌に化学分野の論文16本を投稿していた近畿地方の国立大の男性准教授が、毎日新聞の取材に応じた。「内容チェック(査読)は素通りだった」と感じながらも、すぐに論文が載る手軽さから投稿を続けたことを明かし、業績作りを急がせる教授の圧力が背景にあったことを証言した。

 男性は同じ大学の研究員だった2010年12月、中国にあると自社サイトで明示する出版社の学術誌に初めて投稿した。研究室は博士号取得を目指す社会人学生を多数受け入れ、博士号の学位審査には国際誌への論文掲載の実績が有利に働く。博士号取得者を多く輩出すれば研究室と大学の実績につながる。指導を受けていた教授から「早く掲載される学術誌に論文を出せ」と求められ、複数の出版社から不特定多数の研究者に送られた勧誘メールの一つに応じた。

 論文を送ると「良い内容だ」と掲載を認める返信が来た。男性は「すぐに論文が載るし、好意的な学術誌だと思った」と振り返る。

 その後、研究室では学位審査の時期が近づく度に「書けば載る」「どんどん論文を出せ」と教授の指示が飛ぶようになり、男性は社会人学生と連名で論文を出し続けた。しかし、4~5本目の投稿で「学術的な議論もデータも不足した質の低い論文を投稿しているのに、査読者のコメントがあまりに短い。本当にチェックしているのか」と疑問を感じ始めたという。

 男性がハゲタカジャーナルの存在を知ったのは海外留学中の15年夏。ネット上で別の研究者がこの学術誌を「ちゃんと査読していない」「業績数を稼ぐためだけに投稿している人がいる」と批判していることを知った。男性は「同じように思われたくない。投稿はやめる」と決め、16年を最後に投稿を中止した。当初、論文1本につき約3万円だった掲載料は10万円近くに跳ね上がっていたという。

 男性は「学術的に意味がない論文を投稿し続けて『業績』が増えている。恥ずかしい」と悔やむ。「すぐ掲載されるからと投稿を続けていると、研究者としての能力は衰え、粗悪な学術誌から抜け出せない悪循環に陥る」と警鐘を鳴らす。【鳥井真平】



https://mainichi.jp/articles/20180903/k00/00m/040/110000c?inb=ys
粗悪学術誌
論文投稿、日本5000本超 業績水増しか

毎日新聞2018年9月3日 06時35分

 インターネット専用の学術誌の中で、質が十分に保証されていない粗悪な「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、こうした学術誌を多数発行する海外の出版社を調べたところ、日本から5000本超の論文が投稿されていた。九州大と東京大、大阪大、新潟大からは各100本以上を確認した。専門家は「研究者が業績の水増しに使っている恐れがある」と懸念する。

 この出版社は、本社所在地を中国と自社サイトに表記。医学や化学、物理学、経済学など幅広い分野でオープンアクセス型の320誌以上を発行し、米国の研究者が粗悪な学術誌を発行する世界の「ハゲタカ出版社」をまとめたリストに名を連ねる。2010年には、研究者に無断で過去の論文を掲載したり、無許可で複数の研究者を編集委員にしたりしていたことを英科学誌ネイチャーが紹介した。この出版社は取材に「リストは認められない。我々は有力な出版社の一つだ」と主張した。

 同社の学術誌の論文掲載数は03~18年5月末で計約8万4000本。毎日新聞がハゲタカジャーナルに詳しい和田俊和・和歌山大教授(視覚情報処理)の協力を得て全論文を分析した結果、日本と関係する論文は5076本あり、筆頭著者が大学・研究機関に所属する論文は3972本あった。九大からが147本と最多で、東大132本▽阪大107本▽新潟大102本▽名古屋大99本▽日本大87本▽北海道大74本▽広島大73本▽京都大66本--と続いた。

 九大はハゲタカジャーナルに論文を投稿しないよう所属研究者の指導に着手。東大は「現時点で対策は考えていないが、今後の動向を見たい」、阪大は「状況を十分に承知していないため、回答は控えたい」とコメントした。

 分析では、特定の研究者が繰り返し投稿するケースが目立った。30回以上投稿した研究者もおり、意図的に選んだ可能性が高い。20回以上投稿していた九大の男性教授は取材に「中国人留学生が投稿を希望した。中国での就職時に業績として使えるという理由に尽きる」と説明した。

 この問題に詳しい栗山正光・首都大東京教授(図書館情報学)は「有名大からの投稿が多いのは驚きだ。国際誌で成果を発表したという業績を積むため、意図的にハゲタカジャーナルを使う研究者が存在すると考えざるを得ない。氷山の一角かもしれない」と指摘する。【鳥井真平】



https://mainichi.jp/articles/20180903/k00/00m/040/109000c?inb=ys
ネット専用
粗悪学術誌、九大が対策 学内で投稿自粛指導

毎日新聞2018年9月3日 06時30分

 九州大は学内の研究者や学生を対象に、インターネット専用の学術誌の中で「ハゲタカジャーナル」と呼ばれる粗悪な学術誌に論文を投稿しないよう指導を始めた。こうした学術誌が世界的に増えて投稿も後を絶たず、研究成果に疑念が生じる事態を防ぐためで「研究者の見識を高める必要がある」としている。文部科学省によると、国内の大学がハゲタカジャーナル対策で直接指導に乗り出すのは初めて。

 ハゲタカジャーナルは、別の研究者による論文内容のチェック(査読)が不十分▽出版社の所在地など基本情報を明示しない▽無許可で著名な研究者を編集委員として記載--など質の保証が十分でない学術誌の呼称。著者が費用を払うだけで論文を掲載できるものもあり、掲載料目的の運営業者もいるとみられる。2013年ごろから世界で年間数百誌以上のペースで増えているとされ、日本の研究者による投稿も多い。

 こうした学術誌に論文が掲載されても、学術的に妥当でないと疑われる恐れがある。九大は今年度に入り、一部の研究者に対し、大学が導入したオランダの学術出版大手「エルゼビア」の分析システムを活用し、一定の質がある学術誌か確認した上で論文を投稿するよう説明。今後は所属する約3000人の研究者全員に対象を広げ、学部長らが集まる会議などを通じて周知するという。新たに着任した研究者には研修で伝え、学生にも入学時にこのシステムの使用方法などを説明する機会を設ける。

 ただ、憲法は「学問の自由」を保障し、研究者は成果の発表手段を自由に決められる。大学が論文の投稿先を指定することはできないため、九大は研究者の自己責任で投稿先などを決めるべきだとの立場を保ちつつ、成果に疑念を抱かれないような対応を求める。

 研究倫理に詳しい榎木英介・近畿大講師(病理学)は「科学的に内容のない論文が本当の論文のように流通することは研究の阻害要因になり、科学をおとしめる。研究者は深刻な事態と受け止め、ハゲタカジャーナルの存在を常識として知っておく必要がある。他の大学や研究機関も研究者を教育すべきだ」と述べ、九大の対応を評価する。【鳥井真平】

掲載に国費も
 ハゲタカジャーナルへの論文投稿は、学術的に妥当と言えない成果に「お墨付き」が与えられる恐れがある。一般的な学術誌は複数の専門家が数カ月かけて論文を査読し掲載可否を判断するが、ハゲタカジャーナルは査読がずさんで学術誌のランクを示す指標「インパクト・ファクター」を偽る例もある。また、ネット専用学術誌の中でも誰でも論文を閲覧でき、広く成果を共有できるオープンアクセス(OA)型が主流で、妥当でない「成果」が世界に拡散するリスクもある。

 掲載料が国の科学研究費補助金(科研費)で支払われている事例もあるとみられ、日本学術会議はこの問題を審議課題とする方針を示している。



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15367574696972
医師確保急務5病院 産科や小児科15人 茨城県、2年以内を目標
2018年9月13日(木) 茨城新聞

深刻な医師不足への対策として、県は12日、最優先で医師確保に取り組む必要のある県内五つの病院を発表した。産婦人科や小児科など4診療科で計15人の医師確保を目指す。5病院は二次救急やハイリスク分娩(ぶんべん)、小児救急の受け入れ先として各地域の中核病院に位置付けられているが、医師不足により役割が十分に果たせていない現状がある。県は医師派遣元大学との交渉や、大学への寄付講座設置などで、2年以内の医師確保を目標に掲げた。

選定されたのは、日立製作所日立総合病院(日立市)▽常陸大宮済生会病院(常陸大宮市)▽神栖済生会病院(神栖市)▽土浦協同病院(土浦市)▽JAとりで総合医療センター(取手市)-の5病院。

県は、診療報酬の明細書の分析などにより地域ごとの医療の特色を加味し、二次救急や周産期医療などを担う県内103の医療機関に求人情報(6月末現在)を確認、不足医師数を把握した。木庭愛県保健福祉部長は「地域住民が安心できる生活を送れるよう、産婦人科、救急科、小児科が特に不足するエリアで、その診療分野を担う病院を選んだ」と話した。

県医療人材課によると、日立総合病院は産婦人科医が不足し、低体重の出生児などのハイリスク分娩を扱う「地域周産期母子医療センター」が2009年以降休止。影響でハイリスク分娩時は妊産婦を水戸市まで搬送する必要がある。

JAとりで総合医療センターは、小児科医の不足により、深夜時間帯の小児患者受け入れが救急搬送のみに限定され、地域の中核として24時間小児医療を担う「地域小児救急センター」の役割が不十分だという。

ほかの3病院も、近隣の産科の分娩休止に伴い患者が集中していたり、内科・整形外科医の不足で事故などによる救急の受け入れに対応しきれていなかったりする現状がある。

今後、県と各病院は、寄付講座設置などにより医師確保を図る。県は本年度、寄付講座の設置費として計上した約1億円を活用する考え。加えて医師確保に向けた政策パッケージを2月に策定しており、県内全域の医師確保を並行して実施する。

砂押道大県医療人材課長は「今後、県内の病院の状況に大きな変化があれば、優先度や人数を変えていきたい」と、柔軟に対応する姿勢を見せている。
(成田愛)


【最優先で医師確保に取り組む医療機関・診療科】
日立製作所日立総合病院 産婦人科 4人
常陸大宮済生会病院 内科 3人
神栖済生会病院 整形外科 3人
土浦協同病院 産婦人科 3人
JAとりで総合医療センター 小児科 2人
----------------------------------------
計 15人



http://ascii.jp/elem/000/001/740/1740701/
外科医不足を解消するための特設サイトが開設
2018年09月12日 20時15分更新
上代瑠偉 / ASCII Health Tech

 メディカルノートは9月12日、ヘルスケアプラットフォーム「メディカルノート」において、 京都大学外科交流センターと連携し、外科医不足に歯止めをかけることを目的とした共同企画の開始を発表。

 京都大学外科交流センターに所属し、外科の第一線で活躍する医師たちにフォーカスを当てたインタビュー記事を掲載する特設サイトを開設。外科医の仕事の魅力や、外科医がどのような気持ちで医療に臨んでいるのかを広く伝えることを目的としている。メディカルノートに掲載されている「ストーリー」記事や「疾患」記事が京都大学外科交流センターに所属する外科医の氏名で検索可能にした。

 厚生労働省発表の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、医療施設に従事する外科医数は2006年は2万1574人だったが、2016年には1万4423人と3分の2となっているという。将来的な外科医師不足および、良質な医療の提供維持が懸念されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/629120
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
全自病、医師の働き方の指針を作成、10月半ば
「医師のあるべき姿」、「自己研鑽の考え方」など

2018年9月13日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は9月13日の記者会見で、医師の働き方について会員病院向けの指針作成を進めていることを明らかにした。副会長の望月泉氏を委員長とする医師の働き方委員会を8月24日に設置して内容の検討を始めた。小熊氏は「医師が医療を担う上でどう働いたら良いのか、おおまかな基準を示したい」と述べた。10月半ばごろには会員病院に配布する予定。

 指針の内容は、前文で「医師としてのあるべき姿」を示した上で、労働と自己研鑽の考え方、労働基準監督署の指導の内容と対応方法、宿日直許可基準などについて検討。さらに、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」に対して時間外労働の考え方などについての提言をすることも検討している。

 望月氏は、労働と自己研鑽の在り方について、「問題は研修医。労働者であると同時に学習者でもある。彼らは今頑張らないと良い医師になれない。一般的な医師の自己研鑽と同時に、若い医師の目安も示す」と説明。宿日直許可基準については、「昭和24年(1949年)の通知は、当時の急性期病院ならばあの基準でいいだろうが、今の病院医療は成り立たない」と指摘した。

 なお、全自病は9月22日に現在の剛堂会館(千代田区紀尾井町)から、砂防会館(千代田区平河町)へ移転する。

ブロック会議では「医師がいない」と問題提起
 全自病は5月から9月にかけて、全国7ブロックごとに会員病院が集まる「ブロック会議」を開催。小熊氏は、全国共通の議題として「医師の働き方改革」を取り上げたところ、「印象的なのは、どこも『医師がいない』。その状況で働き方改革は大変だということだ。医師不足と偏在を一体に考えないといけない」と説明。その他、地域医療構想や病床機能分化、新専門医制度、自治体病院の経営状況、控除対象外消費税問題などを議論した。

へき地医療貢献者20人を表彰
 全自病は15年以上山村、離島などで医療に尽力した医師を全国自治体病院開設者協議会とともに表彰する「へき地医療貢献者表彰」の2018年度の受賞者20人を発表した。一覧は以下の通り。氏名、現職の次の年数は、へき地の自治体病院で貢献した年数。

阿部昌彦氏 北海道立羽幌病院長 19年11カ月
増子詠一氏 増毛町立市街診療所長 20年8カ月
佐藤清彦氏 つがる西北五広域連合鰺ヶ沢病院副院長 17年2カ月
佐藤元美氏 一関市国民健康保険藤沢病院長 31年11カ月
嶋崎茂氏 大崎市民病院鳴子温泉分院長 16年7カ月
佐藤明裕氏 大崎市民病院鳴子温泉分院副分院長兼在宅医療センター長 19年3カ月
室岡久爾夫氏 町立真室川病院長 29年
武田隆氏 西川町立病院外科医長 28年
都倉昭彦氏 北杜市立塩川病院長 19年1カ月
福成博幸氏 新潟県立十日町病院副院長 22年9カ月
鈴木善幸氏 新潟県病院局参事 23年4カ月
瀬川安則氏 公立つるぎ病院医療情報部長兼診療部眼科部長兼手術室長 15年2カ月
飯嶌章博氏 長野県立木曽病院副院長兼診療部長 17年2カ月
小出博己氏 隠岐広域連合立隠岐病院院長 15年9カ月
和田昌幸氏 町立奥出雲病院内科部長 17年1カ月
服部文子氏 神石高原町立病院副院長 23年4カ月
長谷部宏氏 徳島県立三好病院副院長 15年4カ月
福井聡氏 市立宇和島病院放射線科主任科長 29年2カ月
村瀬邦彦氏 長崎県五島中央病院長 18年2カ月
古庄耕史氏 豊後大野市民病院整形外科部長 15年10カ月



https://digital.asahi.com/articles/ASL9B541TL9BUBNB00G.html?_requesturl=articles%2FASL9B541TL9BUBNB00G.html&rm=312
青森)弘前の中核病院、2022年開設めざす
佐藤孝之2018年9月11日03時00分 朝日新聞

 青森県弘前市の市立病院(250床)と国立病院機構弘前病院(342床)を統合する津軽地域の中核病院構想を巡り、同市、同機構、県、弘前大学は基本協定書案をまとめた。同機構が整備運営の主体となり、病床規模は450床程度。4者は10月上旬に正式に協定を結ぶ予定で、2022年早期の開設を目指す。

 桜田宏市長が10日、市議会の議員全員協議会で4者の合意内容を説明した。

 中核病院は同機構弘前病院(同市富野町)の敷地に整備する。整備費の総額は約126億円の見込みで、市が約40億円、残りを同機構が負担。市は開設以降40年にわたって年2億5千万円の運営費も負担するが、中核病院の次期建て替え整備の費用については市の負担はないという。

 ログイン前の続き医師不足などで喫緊の課題となっている2次救急医療体制の強化については、24時間365日体制とし、3次救急の弘前大高度救急救命センターや1次救急と連携する。また24の診療科を設ける予定で、精神科や救急科、総合診療科、歯科など市立病院にない科もできる。

 中核病院の開設に伴い市立病院を廃止することも合意された。患者は本人の意向を踏まえ、中核病院に引き継ぐ。また、市立病院の医療職正職員が希望すれば、同機構が採用する。

 同構想は地域医療の充実を図るため、県が一昨年10月、同機構が主体となって運営するという形で提案した。しかし昨年12月に当時の市長が市主体で整備運営し、地域包括ケアシステムを構築するという方針を打ち出し、議論が沸騰。今年4月の市長選の争点にもなり、「県の提案に沿うのが最良」と主張した桜田市長が現職を破り初当選した。

 桜田市長は協議会後、報道陣に「津軽広域の住民の命を守るためにどういう病院を整備するかという目的を4者で共有し、一日も早く整備したいという思いで議論を重ねた。10月上旬に基本協定を結び、整備を進めたい」。県医療薬務課の奈須下淳課長は合意について「地域医療の実情や課題を踏まえ、最善策として示した県の提案に沿った形で合意でき、ホッとしている」と話した。(佐藤孝之)

中核病院について4者の主な合意内容
・国立病院機構が主体となり整備運営する
・2022年早期の開設を目指す
・病床規模は450床程度
・弘前市立病院は廃止する
・整備費総額は約126億円で弘前市が40億円負担
・弘前市は年2億5千万円の運営費を40年間負担
・2次救急は24時間365日体制
・地域医療を担う病院や診療所と連携する
・地域の医療、介護、福祉の関係機関と連携し、地域包括ケアシステムの構築に貢献する
・診療科は24(呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、内分泌代謝内科、神経内科、消化器外科、乳腺外科、整形外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、臨床検査科、救急科、麻酔科、総合診療科、歯科)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180910-OYTET50021/
燃料確保に奔走、患者の転院準備…北海道の病院、停電に対応
2018年9月10日 読売新聞

 北海道で最大376施設に及んだ病院の停電は9日朝までに解消された。多くの医療機関が、6日未明の停電発生から、患者の命を守ろうと、懸命の努力で綱渡りの状況を切り抜けた様子が明らかになってきた。

 札幌ライラック病院(札幌市豊平区)は、筋肉が 萎縮いしゅく する筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで、人工呼吸器が欠かせない入院患者73人の対応に追われた。職員がガソリンスタンドに走り、非常用電源の燃料を確保した。

 しかし、病院は24時間以上、電源を使い続けた経験がなく、状態が悪化しやすい20人をまず札幌医科大病院に搬送する準備を進めた。7日朝、患者を救急車に乗せようとしたまさにその時、電力の供給が再開されたという。

 森永万佐夫事務長は「とにかく患者さんの命を守ろうと職員全員が必死だった」と振り返る。今回の経験を教訓に電源増強や電気なしで使える簡易な人工呼吸器を増やすなどの対策を検討する方針だ。

 手稲いなづみ病院(同市手稲区)は、院内で必要な電力が電源で賄いきれず、人工呼吸器の患者対応を優先した。腎臓病患者46人の人工透析は後回しにせざるを得なかった。職員は「透析の患者さんに我慢してもらうしかなかった」と話す。

 小樽市では、非常用電源のなかった市夜間急病センターに代わり、市立病院が夜間救急を担った。必要な医師らを確保するため、日中の外来診療を担当する人手が不足し、市民から苦情も寄せられた。

 災害医療に詳しい佐々木勝・前東京都立広尾病院長は「停電が広域かつ長時間に及ぶという事態は、多くの病院にとって想定外。災害時の診療継続計画を充実させる必要がある」と指摘している。



https://www.m3.com/news/general/629123
燃料確保の体制作り、災害拠点病院の要件に追加
2018年9月14日 (金) 朝日新聞

 災害でライフラインが長期間途絶える事態に備え、厚生労働省は全国に731ある災害拠点病院に、燃料の確保ができる態勢づくりを求めることを決めた。配送が困難になる災害時にも優先的に燃料が供給されるよう、地域の関係団体などと協定を結ぶことを指定要件に加える。

 災害拠点病院は、被災地の患者の受け入れ拠点となる。災害時すぐに診療にとりかかれるよう、施設の耐震構造や、3日分ほどの水や食料の備蓄、自家発電設備などが要件になっている。6日に起きた北海道地震では、道内34の全災害拠点病院が一時停電し、いずれも自家発電で対応した。

 ただし求められている燃料の確保は、3日分程度。停電が長引き、道路の被害や配送業者の被災が重なれば、燃料不足に陥る事態が懸念されていた。

 水、食料、薬については、災害時の優先的な供給態勢の整備が要件となっている。厚労省はこの項目に「燃料」を追加。5日付で都道府県に通知を出し、災害拠点病院に来年度末までに整備するよう求めた。取引がある業者が配送できなくなっても必要な情報共有ができる関係づくりも求めた。

 一方、一般の病院も災害時にダメージを受ける。北海道地震や7月の西日本豪雨でも、停電や断水で診療に支障が出る病院が相次いだ。厚労省は全国に約8400ある全ての病院を対象に、業務継続計画(BCP)の作成状況を調べる方針も決めた。BCPは起きうる事態を分析し、準備態勢を整えておく取り組み。東日本大震災後の2012年、全国の病院に作成に努めるよう求め、災害拠点病院には17年に作ることを義務づけている。(阿部彰芳)



https://www.m3.com/news/general/628926
長引く断水、戻らぬ日常 医療機関、対応に四苦八苦
2018年9月13日 (木) 共同通信社

 北海道厚真町では断水が続き、復興の足かせになっている。浄水場が損壊したためで、解消まで1カ月かかる見通し。医療機関は対応に四苦八苦し、多くの飲食店は営業できていない。「日常を早く取り戻したい」と願う住民たちは途方に暮れている。

 「水もないのに、いつも通り開いていて本当に助かった」。12日、地震の際の落下物で足を負傷した石橋久子(いしばし・ひさこ)さん(84)は「あつまクリニック」を訪れ、胸をなで下ろした。診察の結果、骨折などはなかったという。

 クリニックは地震発生の6日から診療を続けている。自衛隊の給水を町職員やボランティアに運んでもらい、手洗いはその水を少しずつ使うほか、ウエットティッシュや消毒液も活用する。トイレは1回ごとに10リットルの補充が必要という。石間巧(いしま・たくみ)院長(57)は「避難生活が長期化すると水を使った衛生管理がより重要になる」と指摘する。

 一方、町内の多くの飲食店は閉店している。「皿洗いができない」「食材を洗わずに出せない」など、理由は断水がほとんどだ。

 そんな中、居酒屋「江戸っ子」はたこ焼きや焼きそばなど、炊き出しではあまり食べられない料理を出そうと、営業再開に向けて準備している。自衛隊が提供する水のほか、必要に応じて近所で余った分を分けてもらい、紙製の食器を使い捨てるつもりだ。店主の麻生敏和(あそう・としかず)さん(45)は「みんなの気分転換になれたら」と意気込む。

 厚真町商工会の藤井隆之(ふじい・たかゆき)副会長は「水が出ない限り町民は自宅で調理もままならず、避難も長引く。復興への次のステップには、まず水が不可欠だ」と力を込めた。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180910-OYTET50021/
燃料確保に奔走、患者の転院準備…北海道の病院、停電に対応
2018年9月10日 読売新聞

 北海道で最大376施設に及んだ病院の停電は9日朝までに解消された。多くの医療機関が、6日未明の停電発生から、患者の命を守ろうと、懸命の努力で綱渡りの状況を切り抜けた様子が明らかになってきた。

 札幌ライラック病院(札幌市豊平区)は、筋肉が 萎縮いしゅく する筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで、人工呼吸器が欠かせない入院患者73人の対応に追われた。職員がガソリンスタンドに走り、非常用電源の燃料を確保した。

 しかし、病院は24時間以上、電源を使い続けた経験がなく、状態が悪化しやすい20人をまず札幌医科大病院に搬送する準備を進めた。7日朝、患者を救急車に乗せようとしたまさにその時、電力の供給が再開されたという。

 森永万佐夫事務長は「とにかく患者さんの命を守ろうと職員全員が必死だった」と振り返る。今回の経験を教訓に電源増強や電気なしで使える簡易な人工呼吸器を増やすなどの対策を検討する方針だ。

 手稲いなづみ病院(同市手稲区)は、院内で必要な電力が電源で賄いきれず、人工呼吸器の患者対応を優先した。腎臓病患者46人の人工透析は後回しにせざるを得なかった。職員は「透析の患者さんに我慢してもらうしかなかった」と話す。

 小樽市では、非常用電源のなかった市夜間急病センターに代わり、市立病院が夜間救急を担った。必要な医師らを確保するため、日中の外来診療を担当する人手が不足し、市民から苦情も寄せられた。

 災害医療に詳しい佐々木勝・前東京都立広尾病院長は「停電が広域かつ長時間に及ぶという事態は、多くの病院にとって想定外。災害時の診療継続計画を充実させる必要がある」と指摘している。



https://www.medwatch.jp/?p=22441
医療に係る消費税、2014年度の補填不足を救済し、過不足を調整する仕組み創設を―日病協
2018年9月12日|医療保険制度 MedWatch

 2014年度に行われた消費増税(5%→8%)に対応するための特別の診療報酬プラス改定の補填不足等の原因を詳しく調べ、これへの救済措置を創設してほしい。また、来年(2019年)10月に予定される消費増税時には、補填不足が生じないような新たな仕組みを創設してほしい―。

 国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」は9月12日、こういった要望を加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました。

ここがポイント!
1 2014年度の消費税対応改定で生じた補填不足の「救済」を
2 2019年10月の消費増税に合わせ、「個別医療機関の過不足を調整」する仕組み創設を

2014年度の消費税対応改定で生じた補填不足の「救済」を

 日病協の要望は、大きく(1)2014年度に行われた消費税対応改定の補填不足の救済(2)2019年10月に予定される消費増税への適切な対応―の2点に分けることができます。重なる部分もありますが、分けて見てみましょう。

 保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関や薬局(以下、医療機関等)が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる「控除対象外消費税」)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担もダイレクトに大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度と2014年度)。
社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。
社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。
 
2014年度には消費税率が5%から8%に引き上げられたため、初診料や再診料、各種入院料といった「基本診療料」を引き上げる、消費税対応改定が行われました。厚生労働省が、この2014年度の消費税対応改定の効果を調べたところ、当初は▼医療機関等全体では、消費税負担に対し102.07%の補填(診療報酬収入の上乗せ)がなされた▼個別医療機関ではバラつきがある(例えば、一般病院では101.25%、精神科病院では134.47%の補填がなされたが、特定機能病院では98.09%、こども病院では95.39%にとどまる)—と分析されました(2015年11月、関連記事はこちら)。
しかし、最新の補填状況を調査・分析する過程で、上記データに誤りがあることが判明(複数月にまたがる入院で入院日数を重複してカウントしており、入院料収益が見かけ上大きくなっていた。このため、入院料に上乗せされた消費税対応改定分が大きく見積もられていた)。厚労省の再調査・分析では、例えば、▼病院全体の補填率は2014年度82.9%(訂正前は102.36%)、2016年度85.0%にとどまる▼特定機能病院の補填率は、わずか2014年度61.4%(訂正前は98.09%)、2016年度61.7%であった―など、急性期病院を中心とした「大幅な補填不足」「医療機関ごとの大きなバラつき」が生じていることが分かりました(関連記事はこちら)。

 この問題について、日病協では、「補填不足、計算違いの原因を詳細に調べ、結果をすべて公表する」とともに、「2014年度以降の補填不足に対し、有効な救済措置を創設する」ことを要望しています。修正後データからは、単純計算で「病院全体・4年間(2014-17年度)分で888億円の補填不足がある」ことになります(「特定機能病院の不足額9239万8000円×病院数」+「子ども病院の不足額3161万9000円×病院数」・・といった計算)。日病協の代表者会議では、「病院経営は非常に厳しい。その厳しさの背景には、消費税負担の補填不足もあるのではないか」という意見が多数出されており、今回の「補填不足分に対する救済措置」要望につながったものです。

2019年10月の消費増税に合わせ、「個別医療機関の過不足を調整」する仕組み創設を

 (2)は来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げにおいて、「公平な補填」「過不足のない補填」を求める内容です。

 日病協では、▼診療報酬での対応が必要となった場合、すべての医療機関、とくに病院機能別に公平な補填を行う▼診療報酬での対応では、必ず補填のバラつきが残るため、各医療機関の「消費税補填相当額」(補填額)と「控除対象外仕入税額」(負担額)とを比較し、過不足には税制上での対応を可能とする仕組みを創設する―ことを求めています。

 これは、8月29日に三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院会協会で構成)とが、「医療界が一致団結できる具体的対応」として提言した内容、さらに厚生労働省が行った税制改正要望とも一致する内容です。

 今後、12月初旬から中旬の2019年度税制改正に向けて、どのような調整が行われるか注目が集まります。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20180915419499.html
知事、医師確保の努力継続を要請
JA新潟県厚生連理事長との面会で

2018/09/15 09:10 新潟日報

 JA新潟県厚生連が十日町市の「中条第二病院」(180床)の入院病棟を閉鎖する方針を地元自治体に伝えた問題で、花角英世知事と厚生連の菊池正緒・代表理事理事長が14日、新潟県庁で面会した。菊池理事長が閉鎖理由として医師不足の状況を説明したのに対し、花角知事は医師の確保に引き続き努力するよう求めた。

 中条第二病院は十日町市・津南町で唯一の精神科専門病院。十日町市議会での市側の説明によると、厚生連は2019年3月末までに入院病棟を閉鎖し、外来診療のみとする方向で検討している。現在、150人が入院しているが、閉鎖後の受け入れ先は決まっていない。

 面会は非公開で行われた。出席者によると、菊池理事長は閉鎖方針を説明した上で「医師確保へ努力したが、それでも足りない」と理由を語った。花角知事は「医師を探す努力を続けてほしい」「閉鎖するなら、患者や家族に万全の対応をしてほしい」などと要請し、菊池理事長は「分かりました」と応えたという。

 面会後、花角知事は新潟日報社の取材に対し、「物理的に一生懸命努力した上で医師の確保が難しいならやむを得ないということになるだろうが、引き続き最大限の努力をしてほしい」と語った。

 菊池理事長は取材に対し、医師確保の努力が限界に近づいているとの認識を示した上で「地元や患者、家族に丁寧に対応していきたい」と話した。来週、十日町市と津南町の議会にそれぞれ説明するという。



https://www.m3.com/news/general/629347
報告会:医療支援20年、外科医の本音 8カ国で手術3000件、堺の岩田さん 体験と展望、本町で17日 /大阪
2018年9月15日 (土) 毎日新聞

 依頼を受けて執刀に出向くフリーランスの医師、岩田雅裕さん(58)=堺市西区=が海外での医療支援を始めて20年が過ぎ、17日午後2時、大阪市中央区本町2のメットライフ本町スクエア(旧大阪丸紅ビル)で初めての報告会を開く。岩田さんの活動を支える妻宏美さんと講演し、無償で3000件以上の手術をしたアジアやアフリカでの体験をありのまま伝える。【平川哲也】

 岩田さんは口内や顔の疾患を手がける顎顔面口腔(がくがんめんこうくう)外科医。海外での支援は1997年の中国から始まった。現地のNGOが運営する小児科病院の見学を機に、100回以上足を運んだカンボジアでは大学で講義するなど後進の育成にも力を注いだ。

 2013年に府内の総合病院を退職した後は、フリーランスの医師として日本各地からの執刀依頼も受ける。

 海外での半数は、1970年代の内戦激化で医師不足に陥ったカンボジアで手術した。大所帯のNGOとは異なる身軽さから、人づてで支援に赴いた国はラオスやナイジェリアなど計8カ国に広がった。その一方で「うまくいかなかった」と振り返る経験も。自立を妨げると考えた過度な援助とは一線を画したが、習慣や考え方の違いからたもとを分かった現地の医師もいた。

 各地で講演を重ねる岩田さんは、そうした赤裸々な体験を披歴することはなかったが、報告会では今後の活動展開と合わせて伝える。耳に心地の良い話ばかりではなく、支援の実相を知ってもらう考えで、「地道で正直な活動を続けてきた自負がある。支援の現場で感じた本音にもぜひ耳を傾けてほしい」と話している。

 参加費1000円。収益は渡航費などの活動資金に充てる。終了後の午後5時半からは近くのカフェで懇親会(2000円)もある。問い合わせは岩田さんの活動をサポートする一般社団法人「ウィズアウトボーダー」(06・6271・0005)へ。



https://www.m3.com/news/general/629200
座って大腸検査「苦痛少ない」自ら試しイグ・ノーベル賞
2018年9月14日 (金) 朝日新聞

 人々を笑わせ、考えさせた研究に贈られる今年のイグ・ノーベル賞の発表が13日(日本時間14日)、米ハーバード大(マサチューセッツ州)であった。座った姿勢で大腸の内視鏡検査を受けると苦痛が少ないことを自ら試した昭和伊南(いなん)総合病院(長野県駒ケ根市)の堀内朗医師(57)が、医学教育賞を受けた。日本人の受賞はこれで12年連続となった。

 受賞理由は「座位で行う大腸内視鏡検査―自ら試してわかった教訓」。堀内さんは内視鏡の専門医で、同病院消化器病センター長。13日夜(日本時間14日午前)にハーバード大の劇場で開かれた授賞式に出席した。堀内さんは渡米前、取材に「地域から大腸がんをなくしたい、その試行錯誤を評価してもらったと思う」と語った。

 大腸がん検診などで受ける内視鏡検査は、通常は横に寝た状態で肛門(こうもん)から管状の内視鏡を体内に入れていく。堀内さんは、痛みや不快感を減らす方法を探していて、座った姿勢のままで受ける方法を思いついた。イスに腰掛けて少し股を開き、口径の小さな内視鏡を自分の肛門にゆっくり入れてみたところ、「驚くほど容易にできた」という。

 2006年、米消化器内視鏡学会誌に体験談を発表。腸内をきれいにする前処置をした上で、右手で内視鏡の端をつまんで肛門に挿入しながら、左手でカメラを動かすつまみを操作。モニターに映し出された自分の腸内を見つめる姿をイラスト付きで紹介した。計4回試し、内視鏡の入れにくさと、感じる痛みや不快感がそのたびに異なることも発見した。

 堀内さんによると、内視鏡検査で見つかった大腸ポリープを切除すれば、大腸がんの発症を9割抑えられるという。堀内さんたちの病院では、日帰りで手軽に検査を受けてもらおうと覚めやすい鎮静剤を用いるなど工夫。検査数は地方の病院としては異例の年1万5千人に達し、全国的に注目されている。ただ、座った姿勢で医師が内視鏡を入れる検査は、恥ずかしがって受けたがらない人が多く、採用していないという。



  1. 2018/09/16(日) 08:56:51|
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9月9日は救急の日 

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  1. 2018/09/09(日) 10:11:57|
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9月9日 

http://news.livedoor.com/article/detail/15252189/
厚労省、医師の過重労働を招く「患者」問題も検討へ 休日夜間のコンビニ受診に懸念 
2018年9月3日 17時58分 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が9月3日、東京・霞が関の厚生労働省で開かれた。正当な理由(事由)なく診療を拒めない「応召義務」など、医師の過重労働の原因とされる問題が取り上げられた。厚労省は、医療にかかる国民側の理解も十分得ていく必要があるとして、今後、医療のかかり方について集中的に検討する懇談会を新設する方針を示した。

●応召義務、救急医療では「厳格な判断」

応召義務は、医師法19条1項に規定されている。この日はまず、三谷和歌子弁護士が過去の判例や通達などをもとに、法的解釈を述べた。応召義務に違反した場合に直接的に処分する刑事罰はなく、行政処分を受ける可能性はあるものの、実際に行政処分を受けたという事例はないことを紹介した。

「正当な事由」をどう捉えるかについては、いくつかの判例を踏まえて見解を示した。通常時の医療では患者による迷惑行為や医療費の不払いなどもあり、裁判所が実態に沿った判断をする傾向にあると指摘。一方、裁判所は救急医療では厳格な判断に立ち、事実上、診療が不可能である場合に限って、診療拒否が認められるとした。

具体的には、入院治療の依頼を受けた医師が、交通事故で重傷を負い出血が激しい別の患者への治療に追われていた際、他の専門医が診療した方が適切と判断して入院診療を拒んだ事例について、裁判所は応召義務違反ではないと認定した判例などを紹介した(名古屋地判・昭和58年8月19日)。

●「タスク・シフティング」は単なる医師の下請けか

また、日本外科学会(理事長=森正樹・大阪大教授)からは、長時間労働が嫌がられ、外科医になろうとする若手が減っていると指摘があった。森理事長は「我々、外科医は土曜日曜も病院に行っている。体に染み付いている。ただ、ずっとこれをしていては働き方改革はあり得ない」。国の方針として、外科医の働き方改革を推進してほしいと求めた。

日本外科学会は、手術後の病棟管理業務などを他の職種に任せる「タスク・シフティング」について、十分な医学的臨床能力を担保しつつ、進めていく重要性を改めて強調した。また、働き方改革の対策のひとつとして、患者の個人的理由による安易な休日夜間の受診(コンビニ受診)を減らすため、国民への啓蒙活動が必要であることも指摘した。

会場の検討会のメンバーからは、「シフトされる側が、単なる医師の下請け作業ではなく、モチベーションを保ってできるようにするべきではないか」などの声が上がった。森理事長は「おっしゃる通り。きわめて重要な問題」と応じた。

●2019年3月、議論を取りまとめ

厚労省の検討会は、来年3月末までをメドに議論の取りまとめをする予定としている。そこに向けて今後は(1)国民の医療のかかり方やタスク・シフティングなど今後目指していく医療提供の姿(2)応召義務などを含む医療の特性(3)時間外労働の上限時間など制度上の論点、の三つの柱について検討を深めたい考えだ。

特に、国民がどう医療にかかるかについては、今後、新たな懇談会を発足させて議論を進める。厚労省は「事務局で立ち上げの準備を進めている」と報告した。



http://news.livedoor.com/article/detail/15248622/
外科医不足 解消遠く 若手、女性 敬遠鮮明に 研修医呼び込みへ活動も
2018年9月3日 6時0分 西日本新聞

 手術室で華麗にメスをさばき、患者の命を救う-。漫画「ブラック・ジャック」に象徴されるような外科医が花形だった時代も今は昔。きつい勤務や訴訟リスクから、若手医師が外科を敬遠する傾向が続いている。高齢化が進み、がんなど外科手術が必要な患者の増加が予想される中、担い手不足が深刻化している。

 「針先を自分の方に向けないとうまくいかないよ」。8月31日夜、九州医療センター(福岡市中央区)が若手医師を対象に開いた外科技術を競うコンテスト。ベテランの指導を受けながら、医師1、2年目の研修医ら若手11人が、縫合や切開など外科医に求められる繊細な作業に挑戦した。

 若手に外科への興味を持ってもらおうと、今回初めて企画。自身も心臓外科医の森田茂樹院長は成績上位者に表彰状を渡し「ぜひ外科に来て」と呼び掛けた。

 日本外科学会によると、医師全体の数は毎年増加しているのに外科学会入会者は減少。30年ほど前は入会者が2千人を超える年もあったが近年は800~900人台にとどまっている。

 3年目以降の若手医師が希望の診療科と研修場所を選ぶ「専門医養成制度」で今年、外科を選んだ人数は福岡39人(定員127人)▽佐賀3人(同12人)▽長崎6人(同25人)▽熊本12人(同20人)▽大分8人(同11人)▽宮崎3人(同12人)▽鹿児島11人(同29人)-など、全都道府県で定員を大きく下回った。学会内では「今は中堅・ベテランに支えられているが、10年、20年後に外科医不足が深刻になる」との危機感が広がっている。

 コンテストに参加した研修1年目の田中里佳さん(25)は「外科は格好よくてやりがいがある一方で、大変だというイメージもある」。病院に勤務する外科医は、緊急の患者に対応するための当直や呼び出しがあり、他の診療科よりも長時間勤務になりがちだ。患者の命を左右する手術の重圧にもさらされる。

 福岡市のベテラン外科医は「かつては命を救いたいという単純な思いで外科を目指す若手が多かった。毎晩病院に泊まり込んで1件でも多く手術を任せてもらい、経験を積もうと必死だったが、働き方改革の風潮で今の若手は勤務時間が終わると帰るし、無理強いもできない」と嘆く。

 外科医が少ない傾向は、特に女性医師に顕著だ。厚生労働省の調査によると、2016年末時点で全国の医師のうち女性の割合は約21%だったが、外科に限ると約9%。長時間労働と出産・子育ての両立の難しさが要因とみられる。女性が外科など特定の診療科目を敬遠せざるを得ない現状が、東京医科大で明るみに出た「男子優遇」問題の背景にあるとも指摘される。

 コンテストを企画した九州医療センターの竹尾貞徳統括診療部長は「外科医が減れば一人一人の負担が増え、労働環境がさらに過酷になる悪循環に陥ってしまう。昔のように根性論で教育するのではなく、子育て支援など若手が働きやすい環境づくりを進める必要がある」と話している。

=2018/09/03付 西日本新聞朝刊=
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201809/CK2018090502000142.html
医学部8割 男子合格率高く 女子との差、最大1.67倍
2018年9月5日 朝刊 東京新聞

 女子受験生などの点数を一律に低くして合格を抑制していた東京医科大(東京都新宿区)の不正入試問題を受けて文部科学省が行った調査で、全国八十の国公私立大医学部医学科のうち約八割で男子の合格率が女子を上回っていたことが分かった。東京医科大より男子の合格率の高い大学も十三校あった。得点操作など不正を行っていたとの回答はなかったが、男性優位の実態が明らかになった。 (原尚子、原田遼)

 全八十一大学から回答があり、文科省が速報値として発表した。最終報告は十月中にまとめる。

 二〇一三~一八年度の過去六年間の全受験者のうちの全合格者の割合を男女別に計算し合格率を出したところ、男子の合格率は11・25%、女子は9・55%で、女子を一とすると男子は一・一八倍。不正のあった東京医科大は一・二九倍で、それより高かった大学が私立七校、国公立六校の計十三校あった。

 募集が女子のみの東京女子医科大を除くと、男子の合格率が女子より高かったのは、八十校のうち六十三校で、78・8%を占めた。いずれの年度も男子の合格率が高い大学の方が多く、本年度は71・3%に当たる五十七校で男子の合格率が女子を上回った。

 最も高かったのは順天堂大の一・六七倍。同大広報担当者は取材に「最終的な調査結果を待ってコメントする」と回答した。〇・七五倍と最も低かった弘前大は「公正な入試をすれば女子の方が成績がよく正直な結果」とコメントし、「成績表の名前、性別、受験番号を全て隠して選抜している」と説明した。

 文科省は「全体として男子の合格率が高い傾向があった」としたが、理由については「今後、数字をもとに、個別に訪問調査などで入試の中身についても聞き、分析したい」とした。

 調査は同省の管轄外である防衛医科大を除く全八十一大学に対し八月十日から二十四日までアンケート方式で行われ、入試に関する学内規則とマニュアルの有無、過去六年間の男女・年齢別の受験者数や合格者数などを質問した。特定の受験者や性別、年齢、属性によって事前の説明なく加点を行ったことがあるかについても尋ねた。

◆大学の意に沿う選抜

<NPO法人医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長の話> 8割の大学で男子合格率が女子を上回った結果で、国公立も含め大学が自分たちの意に沿うような選抜をしてきたことが歴然と分かる。大学が教育ではなく経営しか考えていない証拠。安く長時間働かせられる男性研修医が必要で、出産や育児で離れてしまう女性は経営効率上要らないということ。現状は面接でどうにでもできてしまうため、質問や選抜方法を公表させるなど透明性の確保が必要だ。

◆納得できる説明必要

<医学部受験予備校「プロメディカス」の武林輝代表の話> 不正をしたか問われて正直に答える大学があるのか疑問。不正を行ったという回答がないなら、なぜ男子の合格率が高い状態が続いているのか、納得できる説明がほしい。調査では、一般入試と、地域枠や指定校などさまざまな条件で行われる推薦入試の結果を一緒に計算しているため、推薦で女子が多く合格した場合に一般入試で男子有利に操作されても数字が相殺され、女子の不利な扱いの実態が埋もれてしまう可能性がある。
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https://dot.asahi.com/wa/2018090700082.html?page=1
医学部入試の女子差別問題 東京医大以外でも男女の合格率に格差
吉崎洋夫2018.9.7 19:03週刊朝日

 東京医科大の不正入試で明るみに出た女子差別問題。文部科学省はほかでも行われていないか、医学部医学科がある全国81大学に調査を指示し、結果を9月4日に発表した。

 男女別の過去6年間の平均合格率(合格者数/受験者数)は、男子の方が女子より1.18倍合格率が高かった。2018年度の結果を見ると、不正のあった東京医科大では男子の方が女子より3.11倍高。次いで、日本大が2.02倍、順天堂大が1.93倍、新潟大が1.79倍となった。

 教育関係者によると、医学部を目指す男女の学力差は大きくないという。合格率に2倍近い差があるのは不自然だとの見方もある。しかし文科省によると、得点操作などを認めた大学はなかった。

 文科省は「結果を踏まえて追加調査も検討していく」とするが、調査に積極的だとは言いがたい。教育関係者は「本気で問題に切り込む気があるのか」と疑問の声も上がる。

 そもそも文科省の調査は、十分とは言えないものだ。各大学に調査票を送って回収したというが、大学の自主的な回答に任せており、仮に大学側が虚偽の回答をしても見抜けるかどうかはわからない。

 調査に積極的とは言いがたい姿勢は、今回公表されたデータを見ても透けて見える。調査では一般や推薦、AOなどそれぞれの入試方式における受験者数や合格者数を尋ねているが、公表した合格率は、入試方式をまとめて扱っているためだ。本来は入試方式ごとに、1次試験と2次試験を含め、男女の合格率や得点分布の違いを細かく分析しないと実態は見えてこない。

 例えば、文科省の調査では聖マリアンナ医科大は男子の合格率が女子よりも1.47倍高くなっている。これだけでも男女の開きはあるが、実は一般入試ではさらに差が広がる。大学側がホームページで公開している推薦入試の合格者数をもとに編集部が一般入試の合格率を推計すると、男子は7.4%、女子は3.6%で、男女の格差は約2倍になるのだ。

 聖マリアンナ医科大は、「得点操作はしておらず公正、公平な試験の結果だ」と主張している。

 全ての大学は不正を否定しているので、このままだと女子差別問題は十分な調査がなされないまま、うやむやになってしまう。大手教育事業会社の幹部もこう批判する。

「文科省の調査結果を見ても、大学が本当に正しい情報を出しているのか疑わしい。長年受験生を見てきたが、男子より女子の方がまじめで成績もいい傾向がある。男子の方が女子より合格率が高いのは、小論文や面接など客観的でない試験で得点調整をしている可能性がある。文科省はこの機会にきちんと調べるべきだ」

 文科省が積極的に調べにくい背景には、医学界の一部に女性差別が根強いこともある。女性合格者が増えると、女性が敬遠しがちだとされる外科などで医師が足りなくなり、医療に悪影響が出るとの考え方だ。

「女性は外科などハードな職場を選ばない。医療現場を維持するためには、女性の比率をある程度抑える必要がある。東京医科大がやったことも理解できる」(男性医師)

 女性医師の中でも、こうした考えに賛同する人も少なくない。

 だがこうした医学界の一部の“常識”は、多くの国民にとっては“非常識”だろう。東京医科大は得点操作の事実を隠しており、女子受験生は不利な扱いを受けたことが分からないまま“だまされた”かっこうだ。

 東京医科大の問題を受けてできた「医学部入試における女性差別対策弁護団」には、元受験生らの相談や問い合わせが160件以上来ているという。今後、東京医科大に受験料の返還などを求めていくという。

 文部科学省は、10月をめどに最終的な調査結果を公表するという。女子差別問題を調べるつもりがあるのか、文科省の対応が問われている。

(本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日オンライン限定
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https://www.yomiuri.co.jp/national/20180905-OYT1T50033.html
医学部不合格、女子予備校生「不信感が募る」
2018年09月05日 08時56分 読売新聞

 文部科学省が4日発表した医学部・医学科を持つ大学への調査結果で、男子の平均合格率が女子よりも高かった大学は「厳正な選抜の結果」などと説明した。しかし、医師の人材不足が課題となっている地方に比べ、都市部の大学は男子の合格率が高い傾向にあり、女子に不利な状況を指摘する声も上がる。


 文科省の調査では、男子の合格率が6年連続で女子を上回った19校のうち、東京都、大阪府、政令市の大学が15校を占めた。

 「性別や年齢による調整は行っていない」。その一つの慶応大(東京)の担当者はそう説明する。

 合格率は男子12・5%、女子9・2%で1・37倍の開きがあったが、「性別をふせて採点している」と強調した。男女格差が1・36倍の大阪市立大(大阪)は、2次試験の筆記で配点の高い数学と理科で男子の方が平均点が高く、「結果的に男子が有利になっている可能性はある」と説明した。

 格差が1・67倍と最大だった順天堂大(東京)は「文科省の最終調査を待ってコメントしたい」とした。

 だが、医学部専門予備校の可児良友講師によると、男子の合格率が高い医学部・医学科入試では、面接で「子育てと仕事の両立をどう考えるか」など女子受験生が答えにくい質問が出ることも多く、女子に不利な傾向がみられるという。

 医学部・医学科の入試は、卒業後に働くことになる付属病院などの採用試験の意味合いもあり、可児講師は、「出産で休むこともある女子より、男子を優先しがちだ」と指摘する。

 一方、過去6年の平均合格率で女子が男子を上回った16校のうち14校は弘前大(青森)や岐阜大(岐阜)など、東京都、大阪府や政令市以外にある。島根大(島根)の担当者は「女子は入試結果も入学後の成績も良好」、徳島大(徳島)は「成績順に合格判定した結果」と話す。

 医師でNPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は「都市部では病院間の競争が激しく、働き続けられる男子を確保したい思惑がある」と語る。また、駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「地方の女子は地元の医学部を目指す傾向にあり、女子が苦手とされる理科を2次試験で課さない大学もある」と話す。

 調査結果には受験生から厳しい目が向けられた。今春、医学部を不合格となった都内の女子予備校生(19)は、「これだけ合格率に差があると不信感が募る。採点基準など透明性を高めてほしい」と訴えた。
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http://news.nicovideo.jp/watch/nw3827982
医師の残業時間
特定の診療科や地域などで規制に特例も

毎日新聞2018年9月3日 20時30分(最終更新 9月3日 23時53分)

 医師の残業時間の上限規制を巡って、地域医療の確保と過労死防止との間で医療界は板挟みになっている。日本医師会の専門家会議も、特定の診療科や医師不足の地域などで規制を緩めるよう提言する一方、長時間労働是正を訴えている。

 救命救急など高度医療を担う特定機能病院85病院を対象に、毎日新聞が6月に行ったアンケート(有効回答は49病院)で、一般労働者と同じ上限規制を導入した場合、現在の診療体制を維持できるか尋ねたところ、約3割に当たる14病院が「維持できない」と答えた。救急など「診療科によっては維持できない」も3病院あった。

 西日本のある病院は、医師の働き方改革について「医療の質の劣化につながらないか。若い医師に勤務時間を守るよう指導すると、学ぶ意欲を低下させる可能性もある」と懸念を示した。首都圏のある病院も、望ましい上限について、一般労働者の上限(2~6カ月の平均で80時間)の倍近い150時間と答えている。

 だが、一般労働者の上限ですら過労死の危険性が高まる「過労死ライン」に設定されている。医師の上限規制の緩和については、現場にいる医師や過労死遺族らからは批判の声も上がりそうだ。



https://www.medwatch.jp/?p=22304
医療に係る消費税、「個別医療機関の補填の過不足」を調整する税制上の仕組みを―2019年度厚労省税制改正要望
2018年9月3日|医療・介護行政全般 MedWatch

 厚生労働省は8月29日に、来年度(2019年度)の税制改正に関する要望をおこないました(厚労省のサイトはこちら(主要項目)とこちら(全体の概要))(関連記事はこちら)。

注目される「医療に係る消費税」については、「個別の医療機関等の補てんの過不足について、新たな措置を講ずる」よう求めています。三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)・四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の提言と同じ方向性と言えます。年末にかけて、財務省とどのような調整が行われるのかますます関心が集まります。

社会医療法人でも「訪日外国人の診療」においてコストに見合った費用徴収を可能とせよ
 「医療に係る消費税」については、特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)によって医療機関等(病院、診療所、薬局など)の負担(いわゆる控除対象外消費税)に対する補填が行われています。

 2014年度(消費税率5%→8%)には、医療機関等による不公平ができるだけ生じないよう、基本診療料(初診料、再診料、入院料など)への上乗せが行われましたが、その後の調査で「医療機関等ごとに、大きなバラつきが生じている」ことが分かりました。医療機関等によって、診療報酬の算定状況が異なるためです(関連記事はこちら)。

消費税率が引き上げられれば、医療機関等の負担も大きくなる(社会保険診療は消費税非課税であり、引き上げ分を患者・保険者に転嫁することができない)ため、こうしたバラつきが医療機関等の経営に与える影響も大きくなります。そこで厚労省は、2019年10月に予定される消費増税(8%→10%)において、「医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせ、▼医療機関の仕入れ税額の負担▼患者等の負担—に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ検討を行い、『個別の医療機関等の補てんの過不足』について、新たな措置を講ずる」よう求めているものです。

詳細な措置内容には言及していませんが、「消費税対応改定を維持した上で、個別医療機関等の補填の過不足を申告によって調整すべき」という三師会・四病協の提言と同じ方向性を言えるでしょう。

 
このほか厚労省は、医療・介護に関連する税制について、次のような見直しも要望しています。

▽社会保険診療報酬における「事業税非課税性措置」を存続する

▽医療法人の社会保険診療報酬以外の部分に係る「事業税の軽減措置」を存続する

▽訪日外国人の診療において、「診療報酬と同一の基準で計算された額を請求する」という社会医療法人等の認定要件を見直し、社会医療法人等が費用に見合った額を請求できるようにする(訪日外国人が増加し、多言語対応などのコスト増に見合った費用請求を可能とする)

▽▼社会医療法人▼特定医療法人▼認定医療法人—の「社会保険診療収入等が全収入の8割超」という要件において、「社会保険診療収入等」の中に、▼社会保険診療収入▼介護保険収入等—に加えて「障害福祉サービス収入」を追加する

▽医療機関等が500万円以上(取得価格)の高額医療用機器(高度な医療の提供に資するもの、または医薬品医療機器等法の指定から2年以内のもの)を取得した場合の特別償却制度(特別償却割合を12%とする)を2年延長する。あわせて「高度な医療の提供」という観点から、対象機器を見直す
 
▽サービス付き高齢者向け住宅の住宅供給促進税制(固定資産税について、3分の2を参酌して「2分の1以上、6分の5以下」の範囲内で市町村の条例で定める割合を軽減する、不動産取得税については、家屋では1戸あたり「課税標準から1200万円」を軽減し、土地についても一定額を軽減する)を、2021年3月31日まで延長する

▽研究開発税制を、次のとおり延長・拡充する
・総額型の控除率・控除上限の拡充(最大15%の控除率を実現)
・2018年度末で適用期限を迎える措置(▼試験研究費の対売上高割合10%超の場合▼総額型の控除上限特例)—を3年間延長し、拡充する
・オープンイノベーション型の適用要件を拡充し、ベンチャー・中小企業への控除率・控除上限を引き上げる



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0907515785/
北海道内の376病院が停電...断水は82病院で
2018年09月07日 17:42〔読売新聞〕

 厚生労働省によると、7日午前5時半現在、北海道内の376病院が停電している。11の災害拠点病院も含まれるが、自家発電で対応している。断水は82病院で生じている。停電が続く地域では、在宅の難病患者が生活を脅かされている。

 全身の筋力が衰え、電動車いすを使う筋ジストロフィー患者の男性(58)は、札幌市北区の自宅マンションのエレベーターがストップし、外出もままならない状態だ。

  誤嚥(ごえん)を防ぐ電動の吸引機が使えないため、喉を詰まらせないようにジュースやお茶、チーズなどで食事を済ませている。電動車いすのバッテリーが切れないように、室内での移動も最小限にとどめているという。

 男性は「とにかく一日も早く電気が戻ってほしい」と訴える。

 日本透析医学会などによると、道内で人工透析が必要な患者は約1万5000人、医療機関は約260か所に上る。7日午後0時半現在、14か所で患者の受け入れを停止している。



https://www.medwatch.jp/?p=22319
勤務医の宿日直・自己研鑽の在り方、タスクシフトなども併せて検討を―医師働き方改革検討会(1)
2018年9月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の働き方改革を巡る議論が、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で熱を帯びてきました。今年度(2018年度)末の最終取りまとめに向けて、岩村正彦座長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、(1)タスクシフトや患者の受診の仕方など「今後目指していくべき医療提供の姿」(2)応召義務など「医療の特殊性」(3)宿日直の取扱いや時間外労働の上限など「制度」—という3分野の議論を併行的・総合的に進めていく方針を示しています。

9月3日の検討会では、(1)のタスクシフトや(2)の応召義務に関し、有識者や学会からヒアリングを行うとともに、(3)の宿日直や自己研鑽について突っ込んだ議論を行っています。今回は、(3)の宿日直・自己研鑽に焦点を合わせてみましょう。
 
ここがポイント!
1 勤務の時間外労働上限、タスクシフトや患者の受診行動などを合わせた検討が必要
2 宿日直の許可基準、現代の医療に合うように見直す案を厚労省が提示したが・・・
3 時間外労働には割増賃金、「診療体制の確保」や「賃金原資の確保」などをどう考えるか
4 「時間外労働」と「自己研鑽」を切り分けられるのか?

勤務の時間外労働上限、タスクシフトや患者の受診行動などを合わせた検討が必要

安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の目玉の1つに「罰則付き時間外労働の上限規制導入」があり、時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」と定め、これに違反した場合には罰則が科されることになります(労使合意による上限超過も可能だが、そこにも厳格な制限を課す)。勤務医も、この時間外労働規制の対象となりますが、医師には応召義務が課されるなど医療には特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

検討会では、さまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討していますが、例えば「地域医療を守りながら、医師の時間外労働に上限を設ける」ためには、「医師でなくても可能な業務を他職種に移管していく」(タスクシフト)ことや、「患者にも『適正受診』についてしっかりと考えてもらう」ことの重要性が再確認されました。そのため、岩村座長は次の3分野を併行的かつ統合的に議論していく方針を示したのです。9月3日の検討会でも、「宿日直」に議論をする中で、「タスクシフト」や「応召義務」に議論が及ぶ場面が度々ありました。
(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)
(2)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)
(3)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)


宿日直の許可基準、現代の医療に合うように見直す案を厚労省が提示したが・・・

このうち「宿日直」は、労働基準法において「労働密度がまばらで、労働時間規制を適用しなくとも、必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働」として、労働基準監督署長の「許可」を受けた場合には労働時間規制の適用から除外される(時間外労働に該当しない)こととされています。逆に、労働密度がまばらでないなどの場合には、宿日直としては許可されず、時間外労働と扱わなければなりません。

この点、医療(医師、看護師等)においては、▼病室の定時巡回▼異常患者の医師への報告▼少数の要注意患者の定時検脈、検温—など、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務に限る」といった基準(宿日直許可基準)が1949年に設けられています。しかし、医療が高度化した現代社会には、この基準は医療現場の実態に合っておらず、「基準の見直しを行うべき」との強い指摘があります。この基準のままでは医療現場で実効性のある「宿日直」の実施ができないとの悲鳴に似た声も聞かれます。
 
一方、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の調べでは、今年(2018年)7月30日から8月3日の5日間において、「宿日直の許可を得ながら、長時間の患者対応を実施している」病院が一部にあることが分かりました(一過的に救急患者等が集中し、長時間の患者対応が発生してしまった可能性も否定できないが)。1949年の基準に照らせば、長時間の患者対応は「宿日直」には該当せず、時間外労働と扱うのが本来の姿です。
 
こうした点を総合的に踏まえ、厚労省はまず「宿日直許可基準」について、現在の医療現場の実態に合うよう、次のような見直しを行ってはどうかと提案しました。法規の面で、現実的な対応をまず行う考えと言えるでしょう(適正な宿日直の運用は、その後に検討する、とも思われる)。

▽▼病棟当直において、少数の要注意患者の状態の変動への対応について、問診等による診察、看護師などの他職種に対する指示、確認を行うこと▼非輪番日等の外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと―などは、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務」に該当する(これらの業務は宿日直の範囲に含まれ、時間外労働には該当しない)

▽結果として「休日・夜間に入院となる」ような対応が生じる場合もあるが、昼間と同態様の労働に従事することが稀であれば、宿日直許可は取り消さない

 
この提案に対し、馬場武彦構成員(社会医療法人ペガサス理事長)らは「検討会とりまとめとは別に早急な見直しをしてほしい」と歓迎。対して、村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は、否定こそしないまでも「基準の見直しが、勤務医の負担軽減につながるのか見えない」と慎重姿勢を見せました。また、今村聡構成員(日本医師会副会長)も、基準見直しを否定しないものの、「医師でない労働基準監督署長が、医療内容に関する判断を適正に行えるのだろうか」と運用面での課題に言及しています。

さらに、島田陽一構成員(早稲田大学法学学術院教授)らは「医師の宿日直は、救急患者や急変患者への対応という側面がある。労働基準法の宿日直とは分けるべきではないか」と指摘し、宿日直許可基準の見直しにとどまらず、より根本的な議論をすべきと求めています。

引き続き、宿日直許可基準の見直し・根本的な宿日直の在り方を含めた議論が行われます。

時間外労働には割増賃金、「診療体制の確保」や「賃金原資の確保」などをどう考えるか

ところで、宿日直許可基準の見直しの有無に関わらず、基準を厳格に運用すれば、長時間の患者対応などは「時間外労働」に該当し、病院側は宿日直の担当医に割増賃金を支払わなければなりません。この点について厚労省は、次の3つの論点を示しています。
▼十分な医療(診療体制)を確保した上で、現行の給与体系に沿って割増賃金を支払うためには「賃金原資の確保」が必要となる
▼現行の給与体系に沿うが、賃金原資の確保が困難となれば「診療体制の縮小」が必要となる
▼賃金原資の確保が困難な中で、診療体制を確保するためには「給与体制の見直し」(基本給の引き下げ)が必要となる

しかし、これらはいずれも困難な選択です。例えば「賃金原資の確保」は、社会保障費の適正化が求められる中では困難であり、「診療体制の縮小」は地域医療の確保と矛盾します。また「給与の引き下げ」は、医師の生活・モチベーションを損なうことになってしまいます。3者のバランスをどう図っていくのか、今後、慎重に検討していくことが求められます。

「時間外労働」と「自己研鑽」を切り分けられるのか?

働き方改革の根底には、「長時間の時間外労働を是正し、労働者の健康を守る」ことがあります。この点、医師については「時間外労働の中に、『労働に該当する』ものと、『自己研鑽に該当する』ものとか混在している」という特殊性があります。

これを放置したままでは、例えば▼すべてを時間外労働と扱えば、割増賃金が膨大となり医療機関経営がままならなくなる▼すべてを自己研鑽と扱えば、医師のモチベーションが著しく低下する(自己研鑽を阻害し、医療水準の低下につながりかねない)―という大きな弊害が生じてしまいます。そこで、「どういった行為が労働に該当し、どういった行為が自己研鑽に該当するのか」の切り分けを行うことが考えられますが、両者の性質を併せ持つものも少なくありません。厚労省は、切り分けの第1弾として、例えば次のような行為は「使用者の指揮命令下になく、明らかに労働には該当しない」のではないか、との考えを示しました。

▼病院外で行われている学会や勉強会で、使用者の指示がなく業務時間外に任意に参加しているもの
▼使用者の指示がなく、業務時間外に任意に行っている執筆活動
 
この切り分け案には、明確な反論こそ出ていないものの、「切り分けは事実上、不可能ではないか」という意見が多くの構成員から出されたほか、次のような具体的な提案もなされています。

▽ドイツのように、個別医師がオプトアウト(いわば、医師側からの申告)で自己研鑽を行い、それに対し一定の手当てを認めることとしてはどうか(遠野千尋構成員:岩手県立久慈病院副院長)

▽使用者の指揮命令下にあるもののみを「時間外労働」と扱い、自己研鑽については「丸めでの評価」としてはどうか(例えば1か月当たり●時間の自己研鑽をするものとし、一定の手当てを支給するなど)(黒澤一構成員:東北大学環境・安全推進センター教授)

 両提案には頷ける部分も大きいのですが、「指揮命令下にあるかどうか、を客観的に判断しなければならないが、困難も伴う」という問題もあり、運用面での課題は残りそうです。例えば「○○業務を行いなさい」という明示の指示があれば、時間外労働であることは明確です。しかし、こうした指示こそないものの、いわゆる「黙示の指示」による業務については、「どのように時間外労働と認定するのか」という問題がどうしても残ってしまうのです。

 このテーマについても、引き続き「さまざまな角度からの検討」が行われます。
 


https://mainichi.jp/articles/20180902/k00/00m/040/146000c
超党派
「医療基本法」制定を 議員連盟発足へ

毎日新聞2018年9月2日 08時00分(最終更新 9月2日 08時00分)

 国民の医療を受ける権利などを定めた「医療基本法」を作ろうと、超党派の国会議員連盟が今月にも発足する。近年、医療の地域格差是正や医師と患者の信頼関係構築には「大黒柱」となる基本理念の法制化が必要だとの声が、医療界と患者側の双方で高まっていた。関係者は来年の通常国会で議員立法による提案・成立を目指す。

 国内には教育、原子力、消費者など「基本法」の名の付く法律が40以上あるが、医療全体に関わる基本法はない。このため、治療のインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)の規定が病院の施設基準などを定めた医療法の中にあるといった法令の「継ぎはぎ」への異論や、理念が欠如して医師の偏在や過重労働などに有効な手が打てていないとの批判も出ている。

 日本医師会の検討委員会は2014年、医療基本法の条文案を示した報告書を取りまとめた。「医療提供者と患者の信頼関係に基づいた医療」を基本理念に掲げ、横倉義武会長も早期制定に意欲を見せる。

 一方、患者団体や有識者のグループも、患者の権利擁護の立場から基本法の必要性を訴えている。12年に法案の共同骨子を発表し、今年5月には参院議員会館で初の院内集会を開いた。

 超党派議連は、双方の案を土台に議論していく構えで、設立に向け各会派と調整している羽生田俊参院議員(自民)は「医療の崩壊を食い止め、患者に安心して医療を受けてもらうという目的は一致している」と話す。市民団体「患者の権利法をつくる会」常任世話人の鈴木利広弁護士は「実効性ある法案にするには、関係団体からの意見聴取が必要だ」と指摘する。【清水健二】



https://www.m3.com/news/iryoishin/627701?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180907&dcf_doctor=true&mc.l=322047566&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
後期研修医「自己研鑽の機会奪わないで」
医師の働き方改革検討会、宿日直も議論

レポート 2018年9月7日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 9月3日に開催された厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、応召義務などのほか、長時間勤務の問題で大きなテーマとなっている宿日直や自己研鑽についても議題となった(応召義務の記事は、『応召義務は「開業医が往診する時代」の義務』を参照)。厚労省は、時間外の勤務は細切れなことや、宿日直中の勤務時間も医療機関によってばらつきが大きいことを示す資料を提示。自己研鑽では、労働法制上の取り扱いや医療水準の維持などの論点を示した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師・看護師などの宿日直に関する通知 1949年3月22日基発第352号

(1)通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

(2)夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外に、病院の定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温等、特殊の措置を必要としない軽度の、又は短時間の業務に限ること。(応急患者の診療又は入院、患者の死亡、出産等があり、昼間と同態様の労働に従事することが常態で あるようなものは許可しない)

(3)夜間に十分睡眠がとりうること。

(4)許可を得て宿直を行う場合に、(2)のカッコ内のような労働が稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分にとりうるものである限り許可を取り消さないが、その時間については労働基準法第33条、第36条による時 間外労働の手続を行い、同法第37条の割増賃金を支払うこと。

 医師の宿日直は、上記の許可基準に基づいて各医療機関が所管の労働基準監督署に申請して許可を受けるが、医療機関ではこの通知の内容とは違う宿日直の実態もある。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は「宿日直にすれば時間外労働より手当が少なくて済むので、そのようにしてきたところが多いと思う」と指摘。ここ数年は労基署の指導で宿日直とは認められず、遡及して時間外勤務手当を支払う医療機関が多くなっており、「労働基準法では時間外勤務として支払わなければいけなかった。ただ、現実に全部支払うと病院が立ちゆかないので、国として支払ってもらうしかないのではないか」と述べた。

 早稲田大学法学学術院教授の島田陽一氏は「医療法の宿日直は夜間の診療を確保する観点だが、労基法ではそこは考えていない。医療法と労基法の宿日直は分けて考えるべきではないか」と指摘。岩手県立久慈病院副院長の遠野千尋氏は、「当直の先生に救急の対応をしてもらっている病院は多いと思う。寝当直の医師と救急の医師をダブルで待機させると医師の少ない地域では負担が大きい。制度変更の議論が必要だと思う」と述べた。

自己研鑽、「規制だけはないように」
 自己研鑽については、さまざまな見方が提示された。遠野氏は「自己研鑽にも時間がかかる。それを労働時間として見ず超過勤務手当が出ないとなると、モチベーションの問題がある。自己研鑽の規制だけはないようにしてほしい」と訴えた。日本医師会副会長の今村聡氏も、職場で時間外に自己研鑽をすることが、一般の労働者ではあまりないのではないかと指摘。その上で、「患者から学ぶこと、病院にいて得られる情報から得られるものは多い。自己研鑽は自分のためでもあるが、医療の向上、社会的な要請でもある。自己研鑽の機会を奪うことがないようにするのが大事だ」と述べた。黒澤氏は、「指示があるかないかの一点で分けるのがいいのではないか」と提案。遠野氏と同様、自己研鑽を全く認めないのではモチベーションが上がらないとして、「『自己研鑽手当』のような形で包括的にやるのもあり得るのではないか」と述べた。
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2018年9月3日医師の働き方改革に関する検討会資料

 東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センターで後期研修中の赤星昂己氏は、「私が労働と思っていても使用者は自己研鑽だと思っているものが、トラブルの原因になる」と指摘。また、使用者も医師もともに自己研鑽だと思っていても、院内にいるという点で労働と見なされてしまうことを避けてほしいと訴えた。例として、勤務時間が終わったところで、専門医取得に必要な手技を要する患者が来たときに希望し、上司も了承して手術に加わるようなケースを紹介。これを「時間外労働になってしまうから」として帰宅を命じると、「自己研鑽の機会を奪ってしまうことになる。使用者の指示はなく、主体的に行う場合には自己研鑽として扱ってほしい」と訴えた。ただ、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦座長は「非常に面白いお話だ」と述べた上で、法律の観点からは「病院が赤星先生の手技を了承してしまった以上、それは労基法上の労働時間になってしまう。非常に微妙な難しい問題だ。それをどうするかは個別の議論だ」と説明した。



https://www.asahi.com/articles/DA3S13671187.html
(社説)女性医師 働く環境の整備を急げ
2018年9月9日05時00分

 東京医科大が入試の際、得点調整をして女性を合格しにくくしていたことが判明して1カ月余。背景にある女性医師を取りまく環境の見直しが、社会の課題に浮上している。

 出産や育児で現場を離れるケースが多い。それが同医大による女性差別の理由とされる。

 宿直ができなかったり途中退職したりすれば、周囲が穴を埋めなければならないとして、理解を示す声もある。だがそれは、女性に家事や育児の負担を一方的に負わせている現状を追認し、あわせて男性医師については「私生活を犠牲にして長時間労働する」という生き方を当然視することに通じる。志ある若者を医療界から遠ざけ、質の低下を招きかねない。

 大切なのは、男女を問わず、家庭や個人を大切にしながら仕事ができる状況をつくることだ。女性医師が働き続けられれば、他の勤務医の労働条件の改善にもつながる。医療界は地方の医師不足や診療科による偏在なども抱えていて、「解」を見いだすのは容易でないが、着実に歩を進めるしかない。

 宿直の免除や短時間勤務の導入。夜間早朝でも利用できる保育制度。職場を一時離れても、最新の知識や技術を習得できる研修や実習の充実――。

 どの職場にも通じる対策だが、医師にはより高い専門性が求められることを考えれば優先度は高い。財政支援もためらうべきではない。

 仕事そのものの見直しも欠かせない。例えば複数主治医制の導入だ。主治医は、休日や時間帯を問わずに起きる患者の急変に対処せざるを得ないことも多い。だが複数の医師がチームで責任を共有する体制にすれば、臨機応変の対応が可能になる。

 医師の業務のうち、看護師や薬剤師、病院スタッフで担えるものを洗い出し、ゆだねる取り組みも、もっと進めるべきだ。単なる下請けにならないよう、新たな資格や職種を設けることも検討されていい。複数主治医制にせよ業務移管にせよ、患者の側も、長い目でみれば質の高い医療につながると理解して、後押しする必要がある。

 東京医大問題を受けて文部科学省が全国81大学の医学部を調べたら、この6年間のいずれの年も、6~7割の大学で男性の合格率が女性を上回っていた。

 不当に扱いの差をつけたと答えたところは同医大以外にないというが、「不自然」との指摘は少なくない。文科省は調査を尽くすとともに、こうしたデータを大学が自ら開示して、透明性を高めていかねばならない。



  1. 2018/09/09(日) 09:35:45|
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9月2日 

https://www.sankei.com/west/news/180828/wst1808280080-n1.html
大分・国東の市立病院、医師勧誘で違法賞与 背景に医師不足も
2018.8.28 20:41 産経新聞

 大分県国東市などは28日までに、同市立国東市民病院で条例の定めがないのに医師の勧誘に携わる臨時職員に違法に賞与を支払うなど、少なくとも数百万円の不適切な公金支出があったと発表した。医師同士の意見交換会の2次会費なども公費で賄っていたという。

 地方の医師不足が深刻化する中、現場で必要な医師を確保しようと判断したとみられる。適切な待遇の在り方も含め、議論を呼びそうだ。

 市などによると、医師の市民病院への勧誘などを担っていた臨時職員の60代男性は平成27年4月に採用され、条例に定めのない年96万円の賞与を受け取っていたという。この臨時職員は医師不足を補うため、休日診療などに携わる医師二十数人を他の病院から集めていた。

 市民病院は他に、高額な交際費や病院職員の慶弔費なども公費で支払っていたという。

 市監査委員会の報告を受け、市が6月に組織した第三者委員会が調べていた。市は9月中旬までに聞き取り調査などで実態を把握し、関係者の処分などを検討する。



http://blogos.com/article/320677/
医師はブラックな労働状態を我慢しろ!医療の崩壊の流れをメディアはしっかり報告を!
中村ゆきつぐ2018年08月27日 00:00 BLOGOS

日経新聞記事です。(残業規制、医師は緩く 厚労省方針 救急・産科は上限見送りも)

医療の値段を絶対あげたくない日経ですからある程度仕方ないのですが、特に会議もなかった厚労省、どのような策略でこのような情報を日経にながしたのでしょうか。

“一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断した。”

まあ医師会と病院学会の意見です。繰り返しますが正直医療費を絶対にあげるわけにはいかない厚労省として、残業代含めて人件費を適正化することは絶対に認められないのはわかりますが、勤務医を全然代表していないこの学会のお偉いさんの意見を取り入れて、さらに現場と乖離させて一体どうするつもりなんでしょう。

“厚労省は医師の残業上限は一般労働者の年720時間よりも緩くする方向だ。厚労省内では「最大でも年960時間」との意見がある。”

いや医師の仕事は睡眠不足の状態でも、疲労している状態でも安心、安全に患者の治療をおこなえるのね(棒)

“さらに業務の性質上、長時間労働になりがちな救急や産科などで働く医師には例外規定を設け、規制を一段と緩める方向だ。こうした診療科には上限そのものの設定を見送る可能性がある。”

ああ、これでさらに全国の救急、産科が潰れる!いい、身の安全を守ってもらえない医師たちが患者の安全を守れる仕事ができる?いやそんな専門科をどんな医師が希望する?学会声明出さなきゃ!

“ただ例外扱いになる場合でも、産業医との面談など健康確保措置を義務付け、労働時間の正確な把握など長時間労働を抑える仕組みを整える。”

今まで通り我慢しなさい。その代わり法律の規制がない仕組みは作ります。そんな性善説で今までのブラック企業問題、長時間労働は抑えられたの?
一般労働者向けの枠組みでは努力義務となっている勤務間インターバル制度の導入も積極的に促す。

だから促しても法律、罰則なければ意味がありません。今でも出産明けで給料なしで働かされている大学病院の医師がいることを普通の人は信じられる?医師たちはそうやって教育のために我慢する人種なんだよ!だからブラックな状況を与えられても、心の優しいいい医師に限って上にこき使われるんだよ。
“厚労省は応召義務を「組織として果たすべき義務」に改める。複数の医師や看護師などが連携して対応するチーム医療を想定し、医師個人への負担を和らげる。”
医師の仕事の分配です。ここは評価したいと思いますが、ただ具体策が少し見えません。
“医療界の一部が要望している医師向けの裁量労働制などの仕組みの創設は見送る方向だ。”
当たり前だ!今より悪くしてどうする!

他のメディアの方にお願いします。NHKはじめ東京医大の女性入試問題で開放された医師の働き方問題。現状を変化させないで潰れることを良しとする厚労省の動き、医療界重鎮をしっかり報じてください。



https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180830/KT180829ATI090016000.php
医師派遣「拠点病院」 県が10病院指定 小規模医療機関支援へ
(8月30日)信濃毎日新聞

 県は29日の県地域医療対策協議会で、県内の医師確保に向けた本年度の新規事業「地域医療人材拠点病院支援事業」を巡り、小規模な病院や診療所に医師を派遣する「地域医療人材拠点病院」に10病院を指定したと明らかにした。拠点病院には派遣実績に応じて補助金を出し、県外の医師を紹介するなどして支援する。ただ、県内10の2次医療圏のうち、上田小県、木曽、大町北安曇の3医療圏は拠点病院の指定はない。

 同事業は医師の派遣を活発化させることで、特に医師不足が深刻な過疎地の医療を支える狙い。拠点病院は「病床数がおおむね400床以上」「後期研修医がおおむね10人以上在籍」などが条件。「病床数がおおむね200床以下」の小規模病院や診療所といった医療機関に医師を派遣し、医師の確保や養成に取り組む場合に補助対象となる。県は事前に該当する病院に意向調査を行った上で10病院を指定した。

 拠点病院に指定された10病院はこれまでも地域の医療機関に医師を派遣しており、本年度は延べ29の小規模病院や診療所といった医療機関に医師を派遣する計画。このうち、5医療機関は本年度から新たに医師の派遣を受ける診療科(計7診療科)がある。派遣日数は受け入れ先の医療機関によって異なり、多い医療機関では336日に上る。

 拠点病院のない3医療圏について、上小と木曽は他の医療圏にある拠点病院から医師派遣を受けるが、大北は医師派遣を受ける医療機関が現時点ではない。

 県は、県内での勤務を希望する医師と病院・診療所を結び付ける「ドクターバンク」を活用して拠点病院に医師を紹介。本年度は8人の紹介を見込んでいるという。県医師確保対策室は「拠点病院を支援することで、過疎地でも安心して医療を受けられるような支援のネットワークを構築したい」としている。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/446249/
九大、熊大女子合格率低く 九州10大学の医学部調査得点操作は否定
2018年09月02日 06時00分=西日本新聞朝刊=

 東京医科大による不正入試問題を受け、西日本新聞は医学部医学科のある九州の10大学を対象に、2013年度~18年度入試の男女別の受験者数や合格者数などについてアンケートを実施した。九州大と熊本大は6年度全てで女子の合格率が男子の合格率を下回っていた一方、残る8大学は年度によってばらつきがあった。10大学とも、東京医科大が認めた不正な得点操作は否定した。

 調査は8月中旬から実施。九州の7国立大、3私立大に(1)過去6年度の一般入試や推薦入試の男女別の受験者数と合格者数(2)男女の合格率に差が生じた理由(3)女子受験者の減点や卒業者の子の優遇といった得点操作の有無-を聞いた。

 それによると、本年度の一般、推薦など全ての試験の受験者は男子6554人、女子3802人に対し、合格者は男子885人、女子466人。合格率は男子13・5%、女子12・2%となり、男子の合格率を1とすると女子は0・91倍だった。

 大学別の合格率を同様に比較すると、九州大と熊本大が6年連続して女子が男子を下回り、それぞれ九州大が0・53~0・9倍、熊本大は0・64~0・94倍で推移。九州大の担当者は「男女の区分なく選抜している。男女別に分析しておらず、理由は把握していない」。熊本大も「得点調整は行っておらず、学力に基づく公平・公正な選抜結果」と回答した。

 女子の合格率が最低だったのは16年度の鹿児島大で0・52倍。最高だったのは同年度の産業医大で1・54倍だった。両大学の他の年度をみると、鹿児島大0・94~1・32倍、産業医大0・88~1・35倍と変動があった。鹿児島大は「受験生の質によるものと考える」、産業医大は「公正に試験を実施している」と回答した。一般入試に限ると17年度の佐賀大は0・6倍だが、推薦など全ての試験を加味すると0・91倍だった。

 東京医科大が特定の受験生の点数を不正に加算し、女子や3浪以上の合格を抑制する得点操作をしていた問題を受け、文部科学省は医学部医学科を置く全国の国公私立大81校を対象に緊急調査を実施。近く結果を公表する方針。東京医科大も、改めて事実関係や原因を調査するための第三者委員会を設置した。

   ◇    ◇

「男子優遇?」疑心暗鬼 女子離職の懸念根底に

 東京医科大入試で明らかになった不正な得点操作について、九州の10大学は西日本新聞のアンケートで明確に否定した。九州の現役医師らの間で不正への反発が広がる一方で、「入試における男子や卒業者の子の優遇は、暗黙の了解事項だ」という声もくすぶる。背景には女性医師の離職への過度な懸念や、過疎地域の医師確保の問題が浮かぶ。

 「入試が公正に行われなければ、受験生の努力は報われない。非常識だ」。30代の女性内科医は憤る。

 九州の国立大に現役で合格し、卒業後は内科医になった。「患者の容体によっては夜間も休日も呼び出される」。自らを顧みる余裕もなく働き体調を崩した。それでも「人の役に立ちたい、能力を生かしたいという一心で医師を目指した。自分がもし得点を操作されて不合格になっていたとしたら、絶対に許せない」。

 一方、福岡県内の私立大卒の女性医師の場合、東京医科大の不正発覚に驚きはなかったという。「根拠はないが、以前から何らかの得点操作が行われているのでは、と思っていた」

 九州10大学アンケートで分かるように、受験者自体は女子より男子の方が多いが、「一般に、男子よりも女子の方が成績は良い」(九州の大学幹部)という声は少なくない。単純な比較はできないが、文部科学省の2017年度学校基本調査によると、全国の社会科学系学部や工学系学部の志願者に対する入学者の割合はいずれも女子が男子を上回ったが、医学部は男子が上だった。

 女子の合格を抑制していた理由について、東京医科大の内部調査結果は、結婚や出産を念頭に「女性医師は年齢を重ねるごとに活動が低下する」と指摘した。

 医学部専門予備校の代表は、入試が系列病院も含めたグループの“入社試験”も兼ねていると説明。「まともに採点すれば女子の合格者が多くなるが、結婚や出産で離職する可能性が高い女子は働き手として計算できないとして敬遠されてきた」と打ち明ける。

 東京医科大のように点数を直接操作しなくても、例えば男子が得意な傾向にある数学、物理の試験を難しくすれば、女子の合格率は自然と下がるという。「科目設定などで男子に優しく、女子に厳しいと評される大学は昔からある」

     ××

 東京医科大は、卒業生の子も優遇していた。西日本の国立大学を卒業した福岡県在住の男性脳外科医は「受験生も織り込み済みのはず。必要悪だ」との見方を示す。

 過疎地域などでは医療機関が限られている。後継者不在を理由に病院の存続が難しくなれば、住民にとって影響は大きい。「医師の子どもだからといって、十分な学力があるわけではない。金を払えば合格できるのであれば、その地域にとってはプラスになる」

 さらに卒業生は母校への寄付を惜しまないといい「私立大学はいわば民間企業。ウィンウィン(相互利益)だ」と分析する。

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 医師数の不足や医療の質が問われる中、東京医科大のような不正があるとすれば「時代遅れ」との印象は拭えない。九州の国立大で働く女性内科医は「今や女性を確保しないと現場は回らない。女性差別を続けると、大学や病院は苦しくなるだけだ」と強調する。

 医師不足の問題に詳しい信友浩一九州大名誉教授(医療システム学)は「離職を理由にした得点操作は単なる問題のすり替えであり、言語道断」と指摘。女性医師の出産などを踏まえたワークシェアリングを進めることで、医療のレベルは維持できると断言する。高額寄付者の子の優遇制度がある欧米の大学も参考に「各大学は疑いを持たれないためにも、入試のルールを明確にすべきだ」と話している。

   ×    ×

【ワードBOX】東京医科大入試不正問題

 私大支援事業を巡り、文部科学省の前局長が東京医科大側に便宜を図る見返りに、息子を不正に合格させてもらった疑いが浮上。その他にも卒業生の子を優遇したり、女子受験生や3浪以上の男子の得点を一律減点したりしていたことが発覚した。内部調査委員会の報告書によると、少なくとも2006年度入試以降は、男子の現役受験生らを優遇する不正が行われており、背景には寄付金集めの狙いや結婚、出産を踏まえた「女性の敬遠」があったとした。



https://www.zakzak.co.jp/lif/news/180828/lif1808280002-n1.html
【中原英臣 あの医療情報 ウソ?ホント!】過酷すぎる医師の勤務実態 「皮肉」に映る働き方改革
2018.8.28 ZakZak

 6月29日に正式には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」と呼ばれる働き方改革関連法案が、自民、公明、維新の会、希望の党、無所属クラブの賛成多数で成立しました。

 この働き方改革関連法案には重大な欠陥があります。それは医師の働き方についてほとんど検討されていないことです。

 総務省の調査によると、1週間の労働時間が60時間を超える割合がもっとも高いのは医師で40%を超えています。病院勤務医の割合が高く、とくに医師不足が問題になっている産婦人科、救命救急科、外科、小児科の数字が高いようです。

 ある大学病院が労働基準監督署から「宿直や日直は常態としてほとんど労働する必要のない勤務のこと」という是正勧告を受けました。

 このことは救急で搬送されてきた患者さんや時間外の患者さんの診察は、宿直や日直として認められないことを意味します。医師の宿直や日直は驚くほど多忙です。

 この勧告によれば、勤務医が当直を一晩したら2日分の業務とみなされますから、その勤務医は2日分の有給休暇をとらなくてはなりません。看護師は当直明けが休日ですが、医師は当直明けでも朝から診療しています。

 別の病院では、労働基準監督署からカンファレンスと呼ばれる早朝の勉強会や、患者さんの病状を説明する家族が仕事を終えてから来院するのを待つ時間も超過勤務にするという指導を受けています。

 そもそも医師の労働を時間だけでチェックするのは無理があります。昔の若い医師は「無休で無給」といわれたことを思うと隔世の感がしますが、それでも勤務医の仕事は昼休みもとれないほど過酷です。働き方改革関連法案の産業医の強化という項目が皮肉に感じるのは、私が医師だからなのでしょうか。(山野医療専門学校副校長・中原英臣)



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180901/CK2018090102000031.html
市立湖西病院「3病棟に」 改革委会合
2018年9月1日 静岡新聞

 市立湖西病院の改革プラン評価検討委員会が三十一日、同市鷲津の同病院で開かれた。病院側は、全四病棟のうち二病棟が休止しているため、一病棟分の病床数を県に返還する案を出した。委員からは「一度返すと増やすことはできない。慎重な議論が必要」との意見も出た。

 同病院には百九十六床あるが、現在は百三床のみ稼働する。三月末に受けた全国自治体病院協議会の経営診断で、病床数や診療科数の多さが収支不均衡を招いていると指摘されている。

 医師不足で病棟再開は難しいため、一棟分の五十四床を返還し、将来的には三病棟体制で百二十五床ほどを稼働させる考えを示した。同病院の杉浦良樹事業管理者は「休眠病棟があるのは、県西部でここだけ。返還して空いたスペースを活用する方が効率的」と話した。本年度中に最終的な病床数を決定する方針。

 病床稼働率を上げるため、在宅療養を目指す患者を受け入れる地域包括ケア病棟の導入についても話し合った。ただ病院のシミュレレーションによると導入が収益アップにつながるとは限らないため、今後も検討を続ける。

 改革プランの見直しについては、市との連携、病院内での情報共有の強化、委託事業の見直しで経費節減を図ることなどを明記すると確認した。この日は、病院関係者や全国自治体病院協議会、自治会連合会などから九人が出席した。次回は十一月に開く予定。

(片山さゆみ)



https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20180829-00091924/
女性医師は「迷惑な存在」なのか?女性医師率45%ドイツのキレイゴトではない妥協
市川衛 | 医療の「翻訳家」
8/29(水) 7:30 Yahoo news

 今月、東京医大が、入学試験の際に女性受験生を一律に減点した問題が大きな話題になりました。この25日にも、被害対策弁護団が緊急ホットラインを開設したと報じられるなど、いまだに波紋を広げています。

 大学に対する厳しい指摘の声が多く出る一方で、いわば「必要悪」、つまり女性医師が増えると医療現場が回らなくなり、医療の質が保てなくなる、との意見も報じられました。

 実際のところ、どうなのでしょうか?

 筆者は去年、このヤフー個人の記事の中で、医療の質の高さなどを世界195か国で調べた研究を取り上げました。

 その研究によれば、確かに日本(女性医師率20%)の医療の質は、世界でも高いレベルに位置づけられています。

 しかし日本より「高い」とランクされた国、例えばスウェーデンの女性医師率は47%、フィンランドに至っては57%と、女性医師の割合が日本よりはるかに多くなっています。(※1)

 データを見る限りは、「女性医師が増えると医療の質が下がる」という因果関係は成立しないようです。

 もし、日本の医療界で「女性の比率が増えると質が下がる」という意見が根強いのであれば、それは「性別」ではなく「システム」に原因があるのではないか?ということが考えられます。

 何が背景にあるのか?それを考えるヒントとして、女性医師の比率が日本より高い国の医療機関で働く人にお話を伺いました。

女性医師率45%のドイツ 実態は

 お話を伺ったのは、ドイツのブランデンブルグ心臓センター(Brandenburg Heart Center)で働く、岡本真希さんです。

 岡本さんは、日本で循環器内科医として働いたのち、現在はドイツでリサーチ・フェロー(研究職)として勤務しています。

Q)働かれている病院の、現在の状況について教えてください

 いま所属しているブランデンブルグ心臓センターは、ドイツの首都ベルリンから北に電車で1時間ほどいった場所にある、ベッド数237床の病院です。心筋梗塞や狭心症、弁膜症、不整脈と言った循環器疾患の患者さんを主に受け入れており、外科/カテーテル手術や内科的な治療を行っています。

 循環器科に所属する医師は31人ですが、うち男性が12人、女性が19人と、女性のほうが多くなっています。

Q)女性と男性で、医師の働き方は変わりますか?

 女性の医師と男性の医師の働き方に違いはない、というのが実感です。

 通常、朝7時30分に全員が出席するカンファレンスがあり、夜勤の医師からの引継ぎを受けた後、手術や外来の業務を始めます。16時には業務を終えて帰宅します。

 そのほかに、月2~4回の当直があります。朝9時に出勤してそのまま当直業務に入り、翌朝9時に帰宅します。

Q)なるほど、通常の業務では、女性と男性で働き方に変わりはないのですね。では、出産や育児のタイミングではどうしているのでしょうか?

 ドイツでは、家事・育児の分担が徹底していて、育児休暇をとる男性が少なくありません。休暇の取り方も柔軟性があり、この月は父親が1か月休暇をとって母親が働き、次の月は父親が働く…。というように、夫婦で代わりばんこに育児休暇を取る人もいます。

 ワークシェアリングを行っている人も多いです。同じような年齢のお子さんがいる女性医師2人で話し合い、それぞれ週2.5日勤務することにして、1人分の給料を2人で分ける、という方法です。子どもが急に熱を出したら、もう1人の医師に急きょ代わってもらうとか、子育て中の若手の医師にはそんな働き方をしている人も多いですね。

 それから「パートタイム制度」のようなものもあって、勤務時間や仕事量を減らすこともできます。その場合、例えば普通の勤務の6割という人は、給料も6割になる代わりに、担当患者さんの数や当直の回数を減らせたり、残業にならずに早く帰れたりします。この制度を使って幼稚園が終わる15時までの仕事にしている人もいます。

 重要なのは女性だけでなく、男性も同様の制度で働くことが可能だということです。男女平等に、個人の状況に合わせて働き方を選択できる環境はとても素敵だと思います。

Q)妊娠や育児のときに、働く時間を短くしながらも働き続けることができれば、キャリアが分断されることを防げそうですね。

  ただワークシェアなどがあると、全体として働ける人数は減ってしまうわけですから、職場で問題が起きないのでしょうか?

 実は、ドイツでもその点は問題になっています。というのも、いまドイツでは女性医師の割合がどんどん高まっているんです。職業としての医師の人気が高まっていることと、ドイツの入試制度が関係しているように思います。

 こちらの場合、大学入試は日本のような一発受験ではなく、高校時代を通じての成績で評価されます。

 よく言われているのは、女性はコツコツまじめに授業を受ける人が多いので、入試に通りやすい傾向があるということです。先日聞いた講演では「いま大学の医学生は6-7割が女性」と言っていました。

 女性医師が増えてきたことで、妊娠出産や育児期に減るマンパワーをどうするかは問題になりつつあります。人気のある都市部の医療機関では、男性医師のほうが就職しやすいという話も聞きます。

海外パワーへの依存も

Q)人員が足りないところでは、どのような対策が行われているんですか?

 ドイツでも田舎では特に医師不足が深刻です。そういったところでは、海外出身の医師を採用しているところが多いです。

 ドイツでは海外で教育を受けた医師の資格を認定するシステムが整備されており、出身国の医学部の卒業証明書や、ドイツ語の語学試験の成績、さらに州ごとに行う医療面接の試験などを経れば働くことが認められます。

 最近では、ドイツ以外からのEU各国に加えて、ロシアやトルコなどの出身の医師も増え、海外出身の医師の割合は13%にまで達しています。ただ現実問題として言語の壁は大きく、「電話のやり取りでは何を言っているのかわからない」「手術中に、とっさのコミュニケーションがとれず困る」という話も聞かれます。

Q)すべてが理想的に回っているわけではない、ということなんですね。日本とドイツの両方の医療現場を体験して、印象に残ったことはありますか?

 日本との文化の違いは、強く感じます。こちらでは、女性医師が働くことによって生じる問題がある場合に、理想論を戦わせるのではなく、みんなで「妥協する」ことによって乗り越えようとする意識を感じます。

 たとえばドイツの病院では、予定されていた手術の開始時刻が何かの事情で遅れて、16時(医師の終業時間)までに終わらなさそうだとすると、緊急のものでなければ翌日以降に延期になります。

 日本の感覚からすると違和感があるかもしれませんが、ドイツでは当然のことと受け止められています。医療者だけでなく、患者を含めた皆の協力と理解があってこそ成り立っているんです。

 また医師側の文化も違います。日本では、仕事が終わらない場合は助け合う雰囲気があり 、仕事の遅い私は何度も上司の先生方に助けていただいた思い出がありますが、ドイツでは上下関係なく自分の仕事は自分の、他人の仕事は他人の、とドライに分担している印象があります。

Q)なるほど。日本とドイツ、医療に対する意識が、医師側も患者側も違うということですね。あえて伺いますが、岡本さんが患者側の立場になったとして、どちらで治療を受けたいですか?

 だんぜん日本です。ドイツでは、医療職と言ってもあくまで「仕事」と割り切って分担している感じを強く受けます。

 入院すると、担当の医師が毎日違う人に替わるのはよくあることです。手術についても、病棟や外来での担当医と、実際に手技を行う医師は異なることが少なくありません。

 ときには、手術の内容を説明した医師から「私は明日から休暇なので、執刀は別の人にお願いしておきますね」と言われることまであったりします。

 日本にいたころは、命に関わる手術に臨むのだから、患者さんは医師との信頼関係を結んだうえで信頼して身をゆだねる。だからこそ医師も、忙しい中に無理をしてでも手術をねじ込む、という意識があったように思います。

みんなで「妥協」する 理想論に陥らないことの大切さ

Q)日本において、ドイツのような働き方は導入可能でしょうか?

 パートタイム制度は導入出来たら良いと思います。日本では育児のために外来のみを担当して当直はしない医師も、当直をバンバンしている医師も基本的に給料(基本給)は一緒です。そのことで、不公平さが感じられることも少なくないと思います。

 パートタイム制度では、短時間の勤務の人は給料(基本給)もその分少なくなります。また、当直やオンコールも、少なくなるとはいえ決められた分を担当します。こうした、仕事量とその対価が明確で、平等性を感じられる制度があれば、かえって気兼ねしないで済むかもしれません。

 しかし、ドイツのような働き方を完全に導入することは、いまの日本の社会環境では難しい気もします。根本のメンタリティが違うというか…。

 例えば、ドイツでは子どもが病気になったとき、母親ないしは父親が休んで面倒を見るのは当然だし、それが「親としての義務」だと考えられています。一方、日本では家族より仕事が優先される風潮にあり、同僚や職場の上司からどう思われるか、患者さんに迷惑をかけていないか、やっぱり気になってしまうと思います。

 でも日本の医師が今のままの働き方を続けていたら、それこそ安全な医療を提供すること自体が難しくなってくると思います。男性医師を増やす、のではなく既存の女性医師も含めて、男女にかかわらず働きやすい環境を模索していくことが必要だと思います。

 医師側も、患者側も、そして日本社会全体としての要求水準も、全体として落としどころを見つけて「妥協」する、ということが出来なければ、女性医師の活用を進めていくのは難しいのではないでしょうか。不正を行った大学だけを悪者にして解決する問題ではないと感じます。

*****

取材協力  岡本真希さん
2005年に佐賀大学医学部入学。2011年に卒業後、洛和会音羽病院(京都府)で循環器内科医として働く。2017年4月からブランデンブルグ心臓病センター(ドイツ) リサーチ・フェロー

※1 女性医師率のデータはOECDのHealth at a Glance 2015より



https://www.sankeibiz.jp/econome/news/180901/ecd1809011600001-n1.htm
「制限より変革」を 東京医科大の合格抑制問題、女性医師はどう思う
2018.9.1 16:00 Sankei BIZ

 東京医科大(東京都新宿区)が、医学部医学科の一般入試で女子受験生の合格者数を抑制していたことが明らかになった。関係者によると、同大出身の女性医師が結婚や出産で離職し、系列病院の医師が不足する恐れを考慮した措置だったという。女性医師の「抑制」は広く行われているのか、また女性医師自身はどう思っているのか。

 根強い「3割まで」

 3人の子供を育てる大阪府内の小児科医の女性(35)は、かつて大学病院に勤務していた経験から大学側の“事情”を明かしてくれた。

 外科や小児科、産科などには当直勤務やオンコール(呼び出し)があるが、「人数が足りず、医師の体力と熱意に頼ってギリギリでやっている状況」。だが産後は、当直やオンコールに対応できない期間が必ずあり、他の医師に負担がかかる。当直ができないからと、病院を辞めたり、非常勤になったりするケースも多く、「それなら『最初から女性を入れない方がいい』となる。大学病院では『女性医師は3割まで』という考え方を、多くの人から聞く」と打ち明ける。

 自身の1人目の妊娠は大学病院の研修医時代。産後5カ月で復帰し小児科で研修したが、月6回以上の当直があり、「両親の全面的な協力がなければできなかった」。現在はサポートが手厚い地域の病院で小児科医として勤め、昨年3人目を出産した。当直はないが「当直医が足りず、大学病院から来てもらっている。結局カバーしてもらわなければならない」。

 超過勤務が常態化

 日本医師会が昨年2、3月、女性医師を対象に行った調査によると、1週間の勤務時間が40時間以内でおさまっているのは、時短、非常勤を含めても3分の1だけ。月の超過勤務は80~100時間が12%、100時間以上が13%など、過酷な実態が浮かび上がる。

 昨年の臨床研修修了者アンケートでは、子育てと勤務の両立に必要なものとして「職場の雰囲気・理解」がトップにあげられた。「当直や時間外勤務の免除」「子供の急病などの際に休暇がとりやすい」なども上位にランクされたが、現在の病院で、こうした状況に「満足している」とした女性の割合はいずれも30%を下回った。


 環境は変えられる

 病院の中には、女性医師が働きやすい環境を整えているところもある。岡山大学病院(岡山市)は、平成20年度から、子育てでいったん現場を離れた女性医師を子供1人につき最長3年間、短時間勤務で受け入れている。昨年度までに約130人を受け入れ、期間終了後は約8割の女性が同大病院や地域の病院などに就職した。

 ポイントは、短時間勤務の女性を、各科の定数にプラスする形で配属すること。フルタイムでなくても他の医師の負担は減り、本人も「迷惑を掛けている」という罪悪感を抱かずにすむ。復帰のハードルが下がり、育児休暇の取得者も増えたという。

 女性医師を支援する「岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT」センター長で臨床総合内科の片岡仁美医師(45)は「女性がどの科でも働けるように環境を工夫する方が、よほど生産的な解決方法では」と話す。

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 女性医師でつくる「日本女医会」(東京)の会長で、昭和大学病院泌尿器科の前田佳子医師は「離職するから雇わないというのは完全に間違っている」と強調する。同会では12年前から毎年、女性医師が働き続けるために必要な環境について考えるシンポジウムを開催。業界の意識改革を訴え続けてきた。

 前田医師は「医師は長時間労働が多く、子育てをしながら働き続けにくい。男女を問わず、全員が適正な時間で働けるシフト制度をきちんと確立すれば、現状は変えられる」と指摘。その上で、「母親に家事や育児の負担が偏っているのも問題。子育てをみんながサポートできるよう、社会全体を変えていく必要がある」と訴えている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/625419
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医採用、2019年度も5都府県のシーリング継続
「東京のみ」「東京、神奈川のみ」優先削減、情報漏洩の第三者委員会も設置

レポート 2018年8月27日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は8月24日開催の理事会で、2019年度の専攻医採用においても、2018年度と同様に、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、シーリング(上限設定)を行うことを決定した。東京都では、2018年度の専攻医採用数から5%を目途に調整、それ以外の4府県については2018年度の専攻医採用に用いたシーリング数を使用する。東京都については、「東京のみ」「東京と神奈川のみ」で完結している専門研修プログラムから優先的に削減を依頼する。8月27日に開催した記者会見で、理事長の寺本民生氏(日本医学会連合理事)が明らかにした(資料は、同機構のホームページ)。

 寺本理事長は、各基本領域学会への意見聴取を踏まえ、「東京都の削減については、おおむね了解が得られたが、一律の5%削減については反対意見もあった」と説明。「私の感触としては、かなりのところまでは調整は可能なのではないかと考えている」と語った。

 専攻医登録開始のスケジュールは、現時点では「10月中旬」のままで、確定していない。今通常国会で成立した医療法・医師法改正で、都道府県が地域医療対策協議会(地対協)で新専門医制度による影響等を議論、厚生労働省が新たな審議の場で意見集約し、同省から日本専門医機構に意見を伝えるプロセスが加わったためだ。寺本理事長は「専攻医のことを考えると、忸怩たる思いがあり、できるだけ早く決めたいと思っている」と語った。

 8月24日の理事会では、今年5月に報道された日本専門医機構理事会の議事録などの情報漏洩問題を調査する、第三者委員会の設置も決定した。弁護士やITの専門家などから構成する。寺本理事長は、情報漏洩の報道について、「驚くとともに、非常に遺憾であり、深刻な問題と受け止めた」と説明。

 「全てが機構の情報なのかどうかは分からないが、一部は機構の情報」と漏洩を認めた上で、「きちんとした対応をすべきと考えている」と述べ、第三者委員会には情報漏洩の原因等についての独立した調査を依頼、“犯人捜し”をするのではなく、機構の在り方の議論につなげていく方針。「最終的な答申ができた段階で、委員会委員長から私の方に答申していただく形になる。その時に名前を出すかもしれいなが、委員に迷惑がかかることもしたくないため、委員名は当面伏せ、まっさらな形で検討していただく」(寺本理事長)。漏洩した情報を精査するため、時間がかかるとし、大変な作業としたものの、「希望としては、今秋までに調査を終えてもらいたい」と寺本理事長は述べた。

 「東京5%調整、達成可能な範囲」

 日本専門医機構は8月3日の理事会でも、シーリングについて議論、東京都については5%調整の方針で検討していた(『2019年度、東京の専攻医5%減が努力目標を参照』)。

 寺本理事長は、「東京都に一極集中したのではないかとされ、できるだけ少なくする方向にしたいが、数値目標がないと難しい。そのラインを決める時に、達成可能な範囲と考え、5%と数字が出てきた」と説明。東京都の医師の割合は、医師・歯科医師・薬剤師調査では、卒後3~5年目の医師の約15%であるのに対し、2018年度の専攻医採用では約20%。その差の5%も、後付けの根拠となったという。

 8月19日開催の「2018年度シーリングについての基本領域会議」において、各基本領域学会から意見を聞き、さらに23日までに各学会から回答を得、ある程度の理解が得られた。

 各基本領域学会からは、(1)5%調整の根拠は何か、(2)東京都から関東等の他県に医師を派遣しており、東京都の医師を減らすことは、これらの県の医師不足を招くのではないか、(3)専攻医数がかなり少ない基本領域については、一律に考えるのではなく、年次変動なども考えるべき、(4)さらなる東京都の専攻医数の削減案が出てくるのではないか――といった懸念や疑問が呈せられたという。

 そのほか8月24日の理事会では、各種委員会の委員等についても議論。9割程度は委員が決定しており、9月に予定している2回の理事会(9月7日と21日)までに、第1回の委員会開催を目指す。「まず委員会で議論。その意見を運営委員会で集約し、理事会に上げるという流れ(意思決定プロセス)を作っていきたい」(寺本理事長)。寺本理事長自身も、複数の委員会に加わる予定。

2018年度の専攻医採用数のシーリングについて(2018年8月27日)
・5都府県のシーリングは継続して行う。
・地域偏在については、特に東京への偏在を助長する恐れがあることから、他県等へのローテートの状況調査も踏まえながら、調整して行う。
・さまざまな調査結果を総合的に勘案し、今年度の東京の専攻医採用数から5%を目途に調整を行い、東京以外の4府県については前年度のシーリング数を使用する。5%の調整については、東京のみ、あるいは東京と神奈川のみで完結しているプログラムを優先的に削減のお願いをする。
・新専門医制度整備指針運用細則に基づき、外科、産婦人科、病理、臨床検査については、引き続きシーリングの対象としない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/624809
シリーズ m3.com意識調査
「周知の事実」「問題外、働き方改革を」- 意識調査「女子受験生の点数一律減点」◆Vol.3-女性医師の回答編
「女性医師の支援体制が整っていない、医師の勤務体系がハードすぎる」

レポート 2018年8月26日 (日)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 東京医科大学が医学科の一般入試で、女子受験者の点数を一律減点し、合格者数を調整したとされる問題(『シリーズ 東京医大・入試操作疑惑』などを参照)について、医学部(医学科)入試で女子受験者の点数一律減点についてどう思うか、自由回答でm3.com会員に聞いた(回答数=4657人、うち医師は3466人)。Vol.3では「女性医師」の回答を紹介する。

 医学部医学科入試で女子受験者の点数を一律減点し、合格者数を調整することについて女性医師の45.9%が「あり得ると思う」、42.9%が「あり得ないと思う」と回答した(『医師46.9%「あり得る」、42.5%「あり得ない」 - 意識調査「女子受験生の点数一律減点」◆Vol.1』を参照)。自由回答では、男性医師では「募集時に告知なしで一律減点をするのは良くないが、医療現場の現状を鑑みると女性合格者数の調整は仕方がない」とする意見が多かったのに対し、女性医師では、自身の経験を踏まえた上で「仕方がない」とする一方で、そもそもの医師の働き方改革を求める意見も見られた。

 主な自由回答は以下の通り。

【あり得ると思う】

皮膚科や眼科医が増えて外科系が不足してしまう現状からある程度、仕方ないのではないでしょうか。女子医大は女子のみというのがあるので、そちらは不公平ではないでしょうか。私学なので、最初から定員に男女比を設定していれば、問題ないのではなかったでしょうか。【開業医】
入試要項に明記すれば、私学ならありと思う。世間からたたかれて、入学希望者の数も質も落ちると思うが、それでも女性の合格者を減らしたいのならすればいい。【開業医】
働き方改革をしてこなかったツケを、女子学生に回すとはいかなる了見か。世界の笑いものです。【開業医】
女子受験生の減点は東京医大だけではな無く、特に私立医科大学では普通に行っていることだと思います。私が受験したかなり昔から普通にあったことです。その当時の受験指導でも、女子は不利であると言われていました。今は医学部受験の半数は女子なのに、入学するとせいぜい3割程度が女性です。今回のことは他の医大でも暗黙の了解で行われていることだと思います。【開業医】
女子は勤勉で成績もよいが、医学部には私立であっても莫大な私学助成金が投入されるのに、女性医師は途中で辞める者も出るから仕方ないと思う。【開業医】
女医は結婚相手によっても考え方が変わる。大学卒業した時に優秀だった女医さんがあまり仕事をバリバリやってないのを見ると、人数調整は必要かと思う。【開業医】
公立は不可、私立なら可。ただし、男女別定員を公表するべき。【開業医】
私の時代は1割に制限されていました。成績順にすると過半数を超えると言われていました。【開業医】
どこでもやっていると思います。今さら騒ぐ必要はないと思います。どうせ何をやっても、医者の社会は男性社会なんだから、合格者数は調整する方がいいです。【開業医】
その減点に打ち勝つ女子に入学してほしい。現役女医からの要望です。【開業医】
良くないことだとは思うが、そもそも今の現場にママさん女医を抱えるほどの余力がないので仕方ないとも思う。【開業医】
離職が多すぎて、女性上司の立場でも男性医師の方がいいです。【開業医】
不当。女子の入学 制限をするなら理由、定員、採点基準など募集要項に明記すべき。今や男子学生だってきつい、汚い、危険、給料安い診療科には行きたがらない。女子学生の入学制限をしても、地方の医師不足や、外科系の医師不足改善にはつながらないのは明らか。【勤務医】
抜本的な働き方改革を。医師もシフト制とか。それが無理なら今の働き方では家事育児を押し付けられた女子は出産後働けなくなるから、制限せざるを得ないのは分かる。医学部に入る前に制限してくれた方が、女子にとっても幸せなのでは。【勤務医】
通常通りに採点すると60%など過半数の合格者が女性となることが予想されます。それだと病棟が回らないから、人数を抑えているのでしょう。それをなぜ発言しないかが不思議です。女性医師が働きやすい環境を作らなければ、調整はやむを得ないように思います。差別とは違う問題だと思います。【勤務医】
男女で合格点数基準が違うのは、昔から周知の事実だと思っていた。明記すれば良いのでは。【勤務医】
大学病院などの診療体制を維持するには仕方ない。これは一大学の問題ではなく、日本全体の医療体制を見直さないと行けない。やはり、内科医や外科医になる女医が少ないのは事実である。【勤務医】
多くの学費補助を得て医師となることを意識している女子医学生が少なく、離職率が高い最近の傾向から、このような事態は、女医自体が招いているのが現実だと思っています。たくさんの頑張っている女医さんには、本当に認められないことだと思います。【勤務医】
全員ではないとしても女子の立場からすれば妊娠、出産など加味しても少なからず医療に貢献できない期間があるわけなので、女性合格者数を制限するのは分かる。国公立大は減点するなと言いたいが、私立ならいいと思う。【勤務医】
女性にのみ訪れる妊娠・出産時期である20歳代から40歳前後は、どうしても大学の勤務医として最前線で活躍は中々できなくなるのが現状である。その期間にモチベーションを保ち続けることは、競争も激しく、進歩が著しい外科系の世界で生き抜くには現実的には厳しいとは思う。 また、日本の患者意識として主治医制が根付いていることもあり、いつ何時何かあったときには駆けつけてほしいという期待が強い。医師も家庭を持っていて、生身の人間であることをあまり良しとされない風潮もいまだに根強くある。そのような世界で果たしてどれだけ多くの女性が一生嬉々として仕事を全うできるかどうか、である。 男女関係なく、妊娠・出産・育児に関わらない全ての医師にどうしても負担がかかるのは当然であるのは理解できる。 ただ、その分の給料の勾配は曖昧だし、大学の勤務医は給料が安く、それこそ一律なので、苦労したものの負け、損する仕組みになっている。それでは不公平感がどうしても出てくる。仕組みがないまま、今後女性医師が増えた結果、結局妊娠出産育児で現場を離れてしまうと、それ以外の人間に余計負担がかかって、疲弊してしまうのではないかと心配である。医学部受験して入ってくるのならば、ある程度自分の人生を犠牲にするくらいの覚悟がなければ、男性も女性も長くは大学に残らないと思う。【勤務医】
実際にあったことなので、「あり得る」と回答しましたが、本来あってはならないことだと思います。私は昭和の時代に医学部を卒業した女性医師ですが、当時は「女子学生は国費の無駄遣い」と実習中などに教官からたくさん言われました。出産・育児で離職せざるを得なかった時期もありました。 しかし、今となっては女性ならではの視点も重要と思いますし、70代、80代まで働けば、離職の時期はほんの一時のことです。逆に、「下駄をはかせてもらい、優遇されることに慣れ切った男性医師」には、もちろん個人的資質の差はあるものの、弱い立場の患者さんの気持ちが分かりにくいのではと思います。女性も男性も、無理なく仕事と生活が両立できる状況を目指すべきです。【勤務医】
現実問題として、出産・育児で休んだり時短で働く女性も多く、働く人数はそれなりにいても、当直は数人で回していたりする。当直・オンコールを担当する人への負担が大きくなることを考えれば、夜も働ける人を増やしたいと思うのは当たり前のことだと思う。【勤務医】
渦中の東京医大出身の女医ですが、まあ大学みたいな気持ちも分かる。しかしバレてしまったら大変ですね。【勤務医】
暗黙の了解だったはず地方国公立でも、女子の合格率を下げるために数学や物理の配点を高くしたり、面接で男子に加点しているので。減点したから目立っているだけです。これを機会に全て見直すべきです。【勤務医】

【あり得ない】

東京医大に限らず、どの医大でも良く聞く話です。【開業医】
男性の意識改革、サポート制度を整えるべき。【開業医】
世界中から女性の人権問題として非難を浴びてもおかしくないこの事件自体も恥ずかしいですが、それよりもこの事件に対して「面接でやればバレなかったのに」などと思っているドクターが少なくないという事実こそが、同業者として非常に恥ずかしい。【開業医】
女医ですが、私から見ても目に余る女医が多数いるので気持ちは分からないではないですが、入試での加点操作、原点操作で解決するべきものではないと思う。【開業医】
現代社会において、このような男女差別による不公平な採点が医学部入試でされていたとは、非常に驚き遺憾と思う。絶対にあってはならないことで、屁理屈を並べて言い訳をしている東京医科大学の方も猛省していただきたい。【開業医】
そんなことが存在するとは知りませんでした。女性が出産育児で一時期仕事から離れるのは仕方ないことです。諸外国のようにパートタイムでの労働が可能となるよう医師としての絶対数を増やし、いろいろな働き方ができるよう国が制度を整えるべきです。【開業医】
この現代において、あり得ないことであるはず。それを容認するかの意見もおかしい。やはり日本の医療界は、男性中心で、遅れている。【開業医】
論外です。女医が逃げる環境ならいずれ男の医者も逃げますよ。その反省もなく奴隷やれる男の医者だけが欲しいというのはいかがなものですかな。男性医師は人間以下の扱いでも逃げないと見くびられているのだから怒るべきですし、若い人は昔の女性医師ほども仕事に執着しません(まっとうな人間らしい生活を送りたいという当然の欲求を隠さないということです)。どんなに権威を振りかざしても、職業的魅力がなく若手が来ないというのは滑稽ですね。【勤務医】
優秀な女子が増えることにより、それでもやっていけるシステムが構築され、その結果男子も働きやすい環境になっていくと予想される。なぜなら、医師における女子率が高い国が存在するのだから。【勤務医】
問題外です。女医が増えると結婚とか出産とか仕事ができなくなりますので、仕事を回すのが難しくなると言うのはあるにしても、ワークライフバランスを考える上でもちゃんとやっていけるようなシステムを構築する方が先でしょう。【勤務医】
内容に問わず、非公開での点数調節は論外。そうすることが正義だと考えるなら、募集要項で公開すべき。陰でこそこそ行う=やましいところがあるから。男性何名・女性何名との募集ならばそもそも問題ない。個人的には東京医大は女子医大の存在をどう思っているのか興味があるが。【勤務医】
同じ受験料を払って受験しているのに、女子だけ受かりにくくされているのは納得できない。女子を3割に抑えたいなら、男女の定員を大学側が堂々と公表すればいい。陰で総裁選するのはフェアじゃない。女子が不利なのを分かった上で同大をどうしても志望する人だけ受験すればいいと思う。そもそも女性医師が働きやすい職場環境を整えていないから離職者が増えるのではないか。【勤務医】
恥ずべき男女差別。徹底的に調査し、女医がキャリアを全うできる制度確立を。【勤務医】
男女平等の社会であり、あってはならないことだと思う。女性医師が働きさす環境を整えることで解決可能だと思う。【勤務医】
大学の事情で女子の割合を抑えたいのならば、入試の募集要項に記載するべきです。裏で操作することが受験生やその関係者への裏切りです。【勤務医】
正直どこの医学部もやっているのだろうと思う。本来であれば女性も働き続けられるよう、環境の方を調整するべき。女性の数を調整してしまおうと考えるのは、その方がラクだからなのでしょうか。減点しようと考えた方は、ご自分が今人生を謳歌できているのは、母親の妊娠出産があってこそだということをもう一度よく考えてほしい。【勤務医】
人として平等に扱われないのが悲しい。【勤務医】
女性医師を差別しているように見えるが、本当は男性医師が差別されていることに気が付くべき。東京医科大学病院では、男性医師は奴隷のように働き、プライベートの充実を認められていないということである。【勤務医】
女性医師は実際、男性医師のようにずっと全力で働けません。私自身がそうであるように、出産育児で、出産前のような体制では働きたくても働けない状況です (そうでない女性医師も多数いると思いますが) 。男性医師が多くないと、業務が回らないのは事実だと思います。自然に医学部に男性合格者が多いならいいのですが、減点されたなんてひどいです。それなら、募集要項で男子何人、女子何人と記載されている方が良いと思います。【勤務医】
女性が結婚や出産のために休まなきゃならないからと、戦力にならないから採らないというのは今の時代には全くそぐわない考え。だから働きたい能力のある女性は、年々結婚しなくなるし、出産しなくなる。そうすると今度は、少子化は女のせいだ、子供を産めという。日本にはこのような男女差別の考えが根強く残っているから、欧米には負けるのだ。なんなら男が出産できるようにしてやればと思う。そういう自分も女性医師ですが、こういうことがあると結婚や出産は益々したくなくなります。結婚して出産したら女性は馬鹿になるとのたまった教授もいた。腹が立って仕方ない。【勤務医】
女医は(私も子育て中の女医)、確かに出産やら子育てやらで休むことはあるけれど、せいぜい半年くらいで復帰するし、出産前と同じレベルで働けないからみんながあまりやりたくない仕事も引き受ける。一般外来とか。こだわり強すぎて患者選ぶような男性医師よりよほど使えると思うが…。【勤務医】
女医が生涯勤務できる期間が男性医師と比較して短くなるのは妊娠出産の期間は仕方がないことであるが、出産後もフルタイムで働く女医が少ないのは、女性医師を取り巻くサポート体制が整っていないことや、そもそも医師の勤務体系がハードすぎることにあると思います。当直翌日も勤務があり、どんなに眠れなくても普段通りのパフォーマンスが求められ、そのアウトカムが生命に直結することは、年齢性別を問わずどの医師にとっても、多かれ少なかれ耐え難いのではないでしょうか。【勤務医】
事前に説明なくそのようなことをしてはいけない。男性医師が多い方が、当直も助かるし、整形外科・外科など体力勝負の科の存続がかかっていることも理解できる。東京医大の事件でも、減点されても合格できるほどの高い点数を取った女子学生がいる。結局、男性医師よりも3倍頑張らないといけない、男性医師と同じことをしていてもだめだと先輩女医から言われたことは本当だったと思う。【勤務医】
学生に対しては男性女性関係なくフェアであるべきだと思う。学生あるいは子供の時から、社会が女性に対しハードルを挙げていることを表している証拠だと思う。結婚、妊娠を契機に離職するからというのが理由とは問題だと考える。それだけ家庭に関して女性が束縛されていることを認めているわけで、男性ももっと関わるのが本来あるべき姿だと思う。ただ、女性も社会人として医師という仕事を生涯し続けることは当たり前のことであり、結婚、育児が理由で仕事をしないのは問題である、そのような女性医師が増えればこのような事件を助長させることになると思う。【勤務医】
もともと定員数を明示しておけばいいとは思うが、それでも働く環境を変えることが重要と思う。男性医師も労働環境を変えてあげるべきでは。【勤務医】

【どちらとも言えない】
入試要項に記載があれば、それも可かな 。【開業医】
女性医師です。批判されること覚悟で申しますと、男子学生を多く取りたいとの思惑が働くのは(時代に逆行しても)仕方がない選択だったのかもしれません。テスト勉強は女性の方が一生懸命やるので、何もしなければ女性ばかり増えるリスクがあります。女性医師は、患者さんが話しやすい、ガイドラインを順守する傾向が強いなど良い点もあります。 しかし同時に女性医師は妊娠出産を機に離職したり、体力がありません。病院で不足しがちな外科医や救急医師は女性医師では少ないのは事実です。また要領がよくて働かない女性医師も一定数存在し、私が以前基幹病院勤務していた際の同僚で循環器内科の女性医師は、救急を断ったり、緊急の心臓カテーテルを嫌がるので、心不全の患者のみ診ることになり輪番専門医と言われていました。他の女性医師で、脳梗塞の救急を嫌がる神経内科医は不勉強のためか不真面目なためか、肺がんに伴うイートンランバート症候群を見逃し糖尿病内科で診断するといった事態も発生したこともありびっくりしました(当の本人も平然としていることも驚いたことを記憶しております)。 私の卒業した大学では、男性医師以上に自覚を持って研究と仕事を頑張るといった先生が多くいらっしゃったのですが、時代の流れでしょうか。頑張ってもらいたいと思います。【開業医】
私立医大なら、どのような学生を求めるか、自分たちで選んでいいと思うが、女子の定員を明記してくれれば何も問題はないと思う。【開業医】
女性医師、男性医師の割合はある程度考慮する必要はあるが、公表せずにすることは問題。【勤務医】
私立大学であれば、その大学の経営方針や理念により調整することも可能と思う。ただし、それを受験生に事前に公表すべきと考える。【勤務医】
公表するか否か、明るみになるか否かの問題であり、現実には、大学医学部だけでなく、中高受験や就職にしても、かなりの頻度でそうしている、そういう世の中であると理解していました。急に今さら何を?ようやくやっとそれを問題視する社会に?でも一時的に盛り上がって、これからもそれは続くでしょう。残念ながら、今回の件を全く驚かない自分がいます。【勤務医】
ただいま産休中の眼科医です。大学に入った時は外科に憧れていました。研修していくうちに、女として当たり前と言われている妊娠出産という未来がある以上、メジャー外科に入るのは無理と実感し、眼科に入局しました。 妊娠は何が起こるかが分からず、予定日まで働くつもりでしたが、切迫早産になり医局に多大な迷惑をかけました。女性医師が増えれば増えるほど男性医師にしわ寄せが行く現状、痛いほど理解しているつもりです。ただ、人間として当たり前である女医の妊娠出産による負担を男性医師個人に押し付けることで回っているこの医師という労働環境を見直さなければこの問題は解決しないと思います。何も関係のない男性医師に仕事を押し付けざるを得ない、キャリアを積めないとレッテルを貼られる女医の立場も辛いのです。同じく人手不足と言われながらも妊娠出産が普通であり、男性も育児休暇を取れる看護師のような男女平等の環境が作られることを望みます。【勤務医】

【調査の概要】
調査期間:2018年8月2日(木)~8日(水)
対象:m3.com会員(医師、歯科医、看護師、薬剤師、その他医療従事者)
回答者数:4657人
回答結果画面:「医学部入試で女子受験生を一律減点、どう思う?」



https://www.m3.com/news/iryoishin/617885
シリーズ NCDで医療現場はどう変わったか?
外科医の働き方改革にもNCDデータ活用 - 馬場秀夫・日本外科学会理事に聞く
データ分析で改革に手術施設の集約化の検討も可能

スペシャル企画 2018年9月1日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 長時間労働の代表格が外科医であり、「医師の働き方改革」の議論が進む中、外科医の労働時間短縮は急務だ。NCDは、その改革を進める際にも役立つという。NCDを含む各種データの分析で、改革が必要な部分を同定したり、例えば手術時間の短縮に取り組む場合に、手術成績を落とさないことを確認しつつ進めることができるからだ。データの“見える化”で、手術施設の集約化を進める際に、関係者の理解を得ることにもつながる。日本外科学会の理事で、同学会の「外科医労働環境改善委員会」委員長を務める馬場秀夫氏(熊本大学大学院消化器外科学教授)に、外科医の働き方改革の視点からNCDについてお聞きした(2018年7月17日にインタビュー)。

――日本外科学会で、医師の働き方改革を担当されているとのことです。

 私は日本外科学会の理事で、この4月から「外科医労働環境改善委員会」委員長という立場で、外科医の働き方改革を担当することになりました。

 本委員会はこれまで、外科医の労働実態を調査し、問題点を浮き彫りにすることが中心でしたが、今やるべきことはその対策です。一時はなり手が減少していた小児科医や産婦人科医は増加傾向に転じた一方、外科学会の入会会員は減少傾向にあり、今後も急に増えることが予想しにくい状況です。

 「外科医」という言葉には、他の診療科と比べて労働環境が厳しく、医療訴訟のリスクを伴うイメージがあり、若い医師が避ける傾向があります。また今、女性医師が増えていますが、外科は多くの女性が目指す診療科ではありません。一方で、外科医の高齢化という問題もあり、40代、50代が今後、現役で働き続けられる時間を念頭に置いておく必要があります。

 その上、外科医療は非常に多様化しています。従来は開腹・開胸手術がメーンでしたが、腹腔鏡や胸腔鏡による手術、さらにはロボット支援手術が増えてきました。これら新たな術式は、出血量が少なく、患者からの痛みの訴えが少なく、在院日数が短いなどのメリットがある一方、手術時間は長くなる傾向にあります。外科医を目指す医師は減少しているにもかかわらず、手術は多様化、かつ併存疾患を持ち手術リスクが高い高齢の患者が増加しているのが現状です。

 労働基準監督署の指導が厳しくなる中、外科医のリクルートと健康管理、そして医療安全の面からも、外科医の労働環境を改善していくことが必要です。一朝一夕で、かつ個々人で対応できる問題ではなく、各施設で、また地域を挙げた体制整備、仕組みづくりが求められます。

――「今やるべきは対策」とのことですが、具体的にはどんな方法が考えられるのでしょうか。

 各施設レベルでは、例えば主治医制からチーム担当医制、あるいは交代勤務制への移行などのほか、会議の時間をできるだけ勤務時間内に実施するなど、さまざまな改革に取り組んでいます。

 手術時間についても、短縮に向けた工夫が進んでいます。例えば、手術では全身麻酔と硬膜外麻酔を併用することが多いですが、低侵襲手術であれば、術後の痛みはそう強くはないので、硬膜外麻酔をやらなくても済むケースがあり、それにより手術時間が短くなります。術式もできるだけ定型化し、時間をかけず、かつ安全・確実にできる手技の工夫にも取り組んでいます。一方で、外科医が手術に入る際には、その時間に病棟にいる医師が不足するので、タスクシフティングにより、必ずしも医師がやらなくてもいい仕事は、他の職種ができるようなシステムの構築を進めています。

 さらに地域という視点で見れば、外科医の働き方改革を考えると、手術施設の集約化も検討課題になります。

――そうした改革を進める際に、NCDデータやその他のデータをどのように活用されるのでしょうか。

 手術時間等を短くして、労働時間を短くするには、手術時間の短縮が必要。しかし、それに伴い、医療の質や患者満足度などを落としてはいけません。

 例えば、私の熊本大学では、電子カルテ等のデータを基に、全手術症例について一例ずつ、手術時間や麻酔時間、出血量、合併症発症率などを検討し、当院における平均からの外れ値の症例があれば、その原因分析をしています。なぜ手術時間が長くなったのか、若手に手術をさせたのか、あるいは手術の既往があり癒着を伴っていたのかなどを検討し、改善につなげています。

 こうした取り組みを進めるためには、全国平均との比較も必要です。NCDのデータを用いれば、術式ごとに手術時間をはじめ、各種データについて、全国平均と自施設の実績を比較することができます。それにより、「手術時間や麻酔時間を短縮する余地があるのはどの術式か」などを検討できる上、改善を進めていく過程で手術成績が悪くなっていないかなどを確認することが可能です。

 さらにNCDのデータを用いたこれまでの分析で、消化器系の癌の短期成績に最も影響するのは、各施設の手術症例数(ホスピタルボリューム)であることが分かっています。日本は、米国などと比較して、手術症例数の割には、手術を行う施設数が多く、結果として1施設当たりの症例数が少なくなっています。チーム担当医制などの体制を組むには、複数の外科医が必要であり、手術成績の向上や外科医の働き方改革の観点からも、手術施設の集約化が必要になってくるでしょう。NCDや人口動態の将来予測などのデータを使えば、地域別に年間の手術症例数と外科医数について、現状把握と将来推計が可能であり、集約化を検討する材料を揃えることが可能です。ただし、日本の医療機関の設立母体はさまざまあり、また患者さんの利便性も考える必要があり、集約化は慎重に検討する必要があります。

――「外科医労働環境改善委員会」では、今後、どんな取り組みを予定されているのでしょうか。

 委員会では、安全な医療を提供しながらも、時間外労働を減らすための取り組み事例を各施設から出してもらっています。これを成功事例として共有、この4月から新専門医制度が始まったので、その影響なども把握するため、来年度辺りに新たな勤務実態調査を実施する予定です。

 なお、できるだけ診療時間内に手術や患者説明などを終え、外科医の働き方改革を進めるためには、患者・家族の教育や、国民理解を得ることが必要です。メディアも、医療機関をバッシングするのではなく、今の医療界や医師の現状を報道していただきたいと考えています。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t301/201808/557563.html
シリーズ◎「医師の働き方改革」
杏林大病院、12診療科の夜間勤務体制を縮小
4月からはスマホで出退勤管理も

2018/8/28 満武 里奈=日経メディカル

 2017年7月に労働基準監督署による立入調査が行われ、同年10月に医師に対する長時間労働の改善と、割増賃金の不足分の支払いに関する是正勧告と指導を受けた杏林大学医学部付属病院。2018年2月に全医師に変形労働時間制を導入し、改革に着手したことは既報(関連記事:杏林大病院、診療体制維持での働き方改革に挑戦)の通り。その後の動きを追った。

 杏林大学医学部付属病院では2018年から、抜本的な働き方改革に乗り出している。2018年1月には、医師の業務の一部を看護師などの他職種に委譲するタスクシフティングに着手。高度救命救急センターでは、それまで研修医が行っていた採血の一部を1月から看護師が実施し、患者搬送は看護助手も補助する体制にした。医師事務作業補助者を17人配置し、書類作成などを担当。今後は、未読の検査結果がないかのチェックを行うことも検討している。

 翌2月には全医師にいわゆるシフト制である変形労働時間制も導入。週38時間20分の労働時間になるよう各診療科が毎月、医師の勤務予定表を作成するようにした。また、患者への説明を原則、診療時間内に行う方針に変更し、患者向けの貼り紙を各病棟の入り口に掲出、入院説明資料と一緒に渡している。

12診療科では1~2人を病棟に配置する形に

 4月からは、医師の勤務時間をより正確に把握するため、勤怠管理方法を変更した。それまで紙で管理していた出退勤時間を、医師個人のスマートフォンもしくは病院備え付けのパソコンで管理できるようにした。スマホからのアクセスで、「出勤」「退勤」のボタンを押すとGPSで位置情報も把握される。また、これまで用紙で申請していた時間外労働も、同じシステム(パソコンとスマホ)でできるようにした。紙ベースで計算してきたものが電子管理できるようになり、上長や事務職員の確認作業もスムーズになった。

 当初から検討していた夜間勤務体制の見直しは、5月のゴールデンウィーク明けに実行した。夜間の救急患者が比較的少ない12診療科(泌尿器科、眼科、腎臓内科、神経内科、腫瘍内科、糖尿病・内分泌・代謝内科、血液内科、呼吸器外科、リウマチ膠原病内科、乳腺外科、小児外科、皮膚科)で1、2次救急の夜間受け入れ(22時~翌8時)を原則中止。夜間帯はこれまで、各科から2~3人の夜間勤務医を配置してきたが、12診療科については1~2人を病棟に配置する形に変更した。

 同病院は東京・多摩地区の救急の中核施設。都内に4カ所ある高度救命救急センターの1つである同病院は、多摩地区では唯一のセンターで、都の人口の3分の1をカバーしている。同病院には軽症から重症まで1日に100人ほどの救急患者が搬送され、年間3万6000人を診療。「重症患者に適切に対応し、地域の救急医療の最後の砦としての使命を継続的に果たす観点から、全34診療科のうち、比較的緊急性の少ない診療科や患者数がさほど多くない診療科について夜間受け入れ中止を検討した。地元医師会にも理解をいただいた上で12診療科の夜間受け入れを中止することにした」と杏林大学医学部付属病院長の市村正一氏は説明する。ただし、救急総合診療科で対処できない患者がいた場合は病棟勤務医が診るようにしているという。

 その結果、12診療科の夜間患者はそれまで月平均で合計85人ほどだったものが、月50人台にまで減少した。

 ただし、もともと夜間勤務では救急患者だけでなく、病棟患者も診ている。12診療科の中には夜間、他科の病棟患者に対応することもあり、いったん縮小した診療科でも、実態に即し今後も夜間の勤務体制について検討を続ける方針だ。

「全体として時間外労働時間は減少傾向にある」

 いずれにせよ変形労働時間制や夜間勤務体制の変更で、「全体として時間外労働時間は減少傾向にある」と市村氏は話す。特に研修医の時間外労働時間が減少したという。「改革に着手してまだ間がなく、患者数の変動もあり、まだ様子を見ているところで具体的な数値としては示せないが、着実に成果は上がってきている。今後は研修医のスキルアップに影響が出ないようにすることが課題だ」。

 変形労働時間制も診療科ごとに徐々に最適化されつつある。「それまで自由裁量だったのに時間管理されることになるので戸惑いの声もあったが、説明会を繰り返し行い、意識改革をしてもらうようにした。当初は選択できる勤務シフトが限られていたが、医師の勤務実態にあわせて30分刻みで、かつ1日当たりの勤務時間も変更できるようにシフトを組んだところ、『働きやすくなった』とのリアクションも得られるようになった」(市村氏)。意識改革は業務全体にも好影響を与えており、院内の会議やカンファレンスも時間内に終わらせようという意識が徐々に浸透しているという。

 改革着手から半年。各診療科の特性を把握でき、勤怠管理についてある程度、見通しが立ったと市村氏は話す。経営面では、労基署からの勧告を受け、時間外労働の割増賃金を支払ったことで一時的に赤字になった。だが、システム導入のコストを抑えたほか、トータルの時間外労働時間に対する賃金支出も昨年よりも減少しており、今年度以降は収支も改善すると見ている。また、夜間の救急体制を一部制限するからといっても、以前から行っている土曜診療は今後も中止する予定はない。「患者さんのニーズあってこその病院だと思っている。今後も土曜診療を続ける方針だ」(市村氏)。

 今後はこれらの改革の定着を図ることが、目標だという。「医師が忙しいことを国民に理解してもらい、緊急でなければ夜間でなく通常診療時間内の日中に受診するなど、社会の理解が広がることも大切。心臓外科や救急科など診療負担の大きい分野については、診療報酬を引き上げることも必要だろう。例えば診療負担が大きい科の医師に給料として還元することで医師のモチベーションを上げる。その結果、診療負担が大きい科の医師数の増加につながり、1人当たりの時間外労働時間を減らせるだろう」(市村氏)。

「全体として時間外労働時間は減少傾向にある」

 いずれにせよ変形労働時間制や夜間勤務体制の変更で、「全体として時間外労働時間は減少傾向にある」と市村氏は話す。特に研修医の時間外労働時間が減少したという。「改革に着手してまだ間がなく、患者数の変動もあり、まだ様子を見ているところで具体的な数値としては示せないが、着実に成果は上がってきている。今後は研修医のスキルアップに影響が出ないようにすることが課題だ」。

 変形労働時間制も診療科ごとに徐々に最適化されつつある。「それまで自由裁量だったのに時間管理されることになるので戸惑いの声もあったが、説明会を繰り返し行い、意識改革をしてもらうようにした。当初は選択できる勤務シフトが限られていたが、医師の勤務実態にあわせて30分刻みで、かつ1日当たりの勤務時間も変更できるようにシフトを組んだところ、『働きやすくなった』とのリアクションも得られるようになった」(市村氏)。意識改革は業務全体にも好影響を与えており、院内の会議やカンファレンスも時間内に終わらせようという意識が徐々に浸透しているという。

 改革着手から半年。各診療科の特性を把握でき、勤怠管理についてある程度、見通しが立ったと市村氏は話す。経営面では、労基署からの勧告を受け、時間外労働の割増賃金を支払ったことで一時的に赤字になった。だが、システム導入のコストを抑えたほか、トータルの時間外労働時間に対する賃金支出も昨年よりも減少しており、今年度以降は収支も改善すると見ている。また、夜間の救急体制を一部制限するからといっても、以前から行っている土曜診療は今後も中止する予定はない。「患者さんのニーズあってこその病院だと思っている。今後も土曜診療を続ける方針だ」(市村氏)。

 今後はこれらの改革の定着を図ることが、目標だという。「医師が忙しいことを国民に理解してもらい、緊急でなければ夜間でなく通常診療時間内の日中に受診するなど、社会の理解が広がることも大切。心臓外科や救急科など診療負担の大きい分野については、診療報酬を引き上げることも必要だろう。例えば診療負担が大きい科の医師に給料として還元することで医師のモチベーションを上げる。その結果、診療負担が大きい科の医師数の増加につながり、1人当たりの時間外労働時間を減らせるだろう」(市村氏)。



https://hc.nikkan-gendai.com/articles/236439
年間600万円がタダに NY大学医学部「授業料無償化」の衝撃
2018年08月30日 by シェリー めぐみ 日刊ゲンダイ

 ニューヨーク大学医学部が、授業料を完全無償にすると発表しました。

 一部の優秀な学生に与えられる奨学金でもなければ、経済的に厳しい環境にある学生へのサポートでもありません。これから入学する学生約100人、そして在学中の学生約400人全員の授業料が免除されるのです。ニューヨーク大学医学部の授業料は年間約600万円ですから、その驚きが分かると思います。

 全米の医学部トップ10位以内にランキングされている大学として、無償化は初めての試み。踏み切った背景には、今後ますます深刻になると予測される医師不足があります。「高過ぎる授業料こそが、優秀な学生が医師になるのを妨げている」と、大学側は説明しています。

 たとえばアメリカの医学部の学生の4人に3人は、授業料をローンを組んで支払うために、多額の借金を抱えて卒業します。その平均額は2000万円とも報告されています。

「こうした負債を恐れて、学生が医学部を敬遠する傾向にある。その中にはがんの治療法を発見できる者が含まれているかもしれない。最高の能力を持った学生に入学してもらうために、無償化に踏み切った」

 ラファエル・リベラ医学部長はこうコメントしています。

 高額な授業料は医師になる学生の数を減らすだけでなく、卒業後の借金返済のために、報酬が少ない小児科医や内科医のなり手が減る傾向も懸念されています。これらが少しでも改善されることを、大学側は期待しているのです。

 アメリカでは医学部に限らず、大学授業料の高騰は社会問題となっており、公立の大学を中心に無償化に踏み切るところが少しずつ出てきています。

 そして今回のニューヨーク大学の英断に刺激されて、他のトップクラスの大学医学部も同じように無償化を打ち出すのではないかという推測もされています。



https://www.medwatch.jp/?p=22207
控除対象外消費税問題、「診療報酬で補填の上、個別に過不足を申告する」仕組みを提言―三師会・四病協
2018年8月29日|医療保険制度 MedWatch

 消費税に関する医療機関や薬局(以下、医療機関等)への補填について、現在の「特別の診療報酬プラス改定による補填」を維持した上で、個別医療機関等ごとに「診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額」と「消費税負担額」(医薬品・特定保険医療材料を除く)とを比較し、申告に基づいて補填の過不足に対応してはどうか―。

 三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院会協会で構成、以下、四病協)は8月29日に、医療界が一致団結できる具体的対応として、こういった仕組みを提言しました(日医のサイトはこちら)。

2014年度の消費税率8%までの補填状況を、丁寧に検証し、是正を

 保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することはできず、医療機関等が負担しています(いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれる)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担が大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度、2014年度)。
 
しかし、診療報酬では個別医療機関の消費税負担を過不足なく調整することは極めて困難であり、また「結果的に患者負担増につながる」ことなどから、医療界ではかねてから「税制の見直しも含めた、抜本的な対応」の必要性を訴えてきました。あわせて三師会と四病協では、共同してこの問題について検討を行ってきており、今般、提言をまとめたものです。
提言の骨子は、冒頭に述べたように次のような仕組みを新たに創設するというもので、消費税非課税を維持したまま、還付を求める内容となっています。税制上、還付を求めるためには「消費税の課税」が前提となりますが、提言では「診療報酬に消費税を課税することは国民の理解が得られない」ことを訴え、本提案への理解を求めています。

(1) 特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填を維持する

(2) 個別の医療機関ごとに、▼診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額▼控除対象外消費税の負担額(医薬品・特定保険医療材料を除く)—を比較し、医療機関の申告に基づいて「個別の過不足」に対応する

 
 このうち(1)の消費増税対応改定については、「消費税率10%への引き上げ時」(来年(2019年)10月予定)に、2014年度と同様、「基本診療料(初診料や再診料、各種入院料など)への上乗せ」で対応することを求めています。

ただし、その前提として、過去の消費増税対応について「医療機関等の種類別の補填のバラつきを丁寧に検証し、是正する」とともに、2020年度以降の診療報酬改定の折にも必要に応じて検証・是正を行う、ことを提案しています。

例えば、2014年度の消費増税(5%→8%)時には、基本診療料(初診料や再診料、各種入院料など)の引き上げを行うという消費税対応改定が行われましたが、その後の厚生労働省の検証により「医療機関の種類ごとに補填状況に大きなバラつきがある」ことなどが分かりました。例えば、2016年度で見ると、精神科病院では129.0%の補填がなされていますが、特定機能病院では、わずか61.7%の補填にとどまっています(関連記事はこちら)。

こうしたバラつきなどを検証・是正した上で、消費増税改定を適切に実施することを求めるものです。さらに、その後の診療報酬改定で点数に変動が起きた場合、補填状況に変化が生じる可能性があるため、これにも丁寧に対応するよう求めています。

なお、消費税率5%までに行われた消費税対応(1989年、1997年)については個別点数に上乗せがなされており、その後の点数の変動(改廃を含む)によって「消費増税対応分がどの程度なのか」が見えなくなっています。このため、例えば次のように補填額を算出して、補填状況を把握するなど、「マクロ的な比率での把握」を求めるにとどめています。

▼1989年度(消費税率3%、診療報酬本体への上乗せ率0.11%)の補填状況を把握する方法の1例
→診療報酬収入×診療種類別修正上乗せ率(不明であるため、新たに修正上乗せ率を計算する手法を確立したり、1997年度分と合わせて、2014年度の修正上乗せ率である「医科:0.48%、歯科:0.59%、調剤:0.12%」を用いる方法などが考えられ、早急な合意、決定が必要)

▼1997年度(消費税率5%、診療報酬本体への上乗せ率0.32%)の補填状況を把握する方法の1例
→診療報酬収入×診療種類別修正上乗せ率(例えば、1997年度の修正上乗せ率である「医科:0.32%、歯科:0.43%、調剤:0.15%」を用いる方法や、2014年度の修正上乗せ率である「医科:0.48%、歯科:0.59%、調剤:0.12%」を用いる方法などが考えられ、早急な合意、決定が必要)

一方、2014年度(消費税率8%、診療報酬本体への上乗せ0.63%)の消費増税対応改定については、個別医療機関ごとに、「基本診療料の上乗せ分(初診料であれば12点、再診料であれば3点など)×個別医療機関の該当基本診療料の算定回数」と言う計算式で、補填状況を正確に把握することができます。さらに、2019年度の消費税10%への引き上げ時以降も、同様に補填状況を把握することが可能でしょう。

 
 提言では、この新たな仕組みの適用対象を「消費税・所得税について実額計算で申告している医療機関等」に限定することとしており、次のいずれかに該当し、実額計算で申告しない医療機関等は、新たな仕組みではなく、現行通りの診療報酬での対応を行うよう求めています(実額計算を選択して新たな仕組みを選択できる道を用意すべきとも付言)。

▼消費税免税事業者(自由診療等収入が年間1000万円以下)
▼消費税の簡易課税事業者(自由診療等収入が年間5000万円以下)
▼所得税の概算経費特例(いわゆる4段階制)を利用している事業者(医業収入が年間7000万円以下、かつ診療報酬収入が年間5000万円以下)



https://www.m3.com/news/iryoishin/626182
中川日医副会長が厚労省に抗議「消費税補てん状況集計ミスは重大事案」
樽見保険局長「真摯にお詫び」、次回の分科会で回答

レポート 2018年8月30日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は8月30日、厚生労働省保険局長の樽見英樹氏と面談し、「控除対象外消費税補てん状況の集計ミスに対して厳重に抗議する」との文書を提出した。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際に補てん率に集計ミスがあるなど、「各医療機関は過去4年にわたって、機会損失を被り、経営難にあえぐこととなった重大事案」であるとし、厳重に抗議するとともに、それを償うために速やかに対策を講じることを求めた内容だ。

 中川副会長は、樽見局長との面談後、記者団に対し、「大変な負担をかけたことに対して、真摯なお詫びをいただいた。一方で、今回の補てん率集計が大幅に間違っていたことは、言い訳はできず、そうしたことが今後ないように指導していくという強い決意もいただいた」と説明した。

 抗議文は、消費税担当副会長である中川氏の個人名だが、「もちろん横倉(義武)会長の指示に基づくものであり、三師会、四病協(四病院団体協議会)を代表してきたつもりだ」と説明。抗議文に対する回答は、次の中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」の冒頭で、保険局長から出される予定だという。

 日医を含む三師会と四病協は8月29日、2019年10月の消費税率10%に向けた提言を公表した(『消費税率10%「新たな仕組み」で対応、三師会と四病協が提言』を参照)。「消費税率が10%になるまで、この状態が5年半続くが、さかのぼって個別の医療機関に対応することは事実上、不可能。昨日、三師会と四病協が一丸となって提言した新たな仕組みに対しては、厚労省として全力を挙げて努力をする、という答えもいただいた」(中川副会長)。

 「十分償うべく、速やかに対策を」

 補てん率の集計ミスは、今年7月の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で明るみになった(『中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス』を参照)。

 抗議文では、2014年度の全体補てん率は、2015年に102.7%だったが、今回約90.6%だったと報告され、特に病院の補てん率は102.36%から82.9%と約20ポイントも下方修正されたと問題視。「2015年時点で、丁寧な確認作業が行われ、補てん不足が認識されていれば、2016年度、2018年度の診療報酬改定で適切な対応が取られたはずであった」と指摘。しかし、現実には厚労省は、「マクロでは概ね補てんされている」として、2017年11月にできたはずの2016年度の補てん率把握も行わなかったことから、「各医療機関は過去4年にわたって、機会損失を被り、経営難にあえぐこととなった重大事案である」と抗議、十分償うべく、速やかに対策を講じるよう求めた。

 さらに、2015年の集計ミスは、入院日数の重複カウントによるものとされるが、補てん率(102.36%)が想定範囲内の結果であったことから、確認作業がおろそかにされたとし、「貴管下の業務全体への信頼性をも揺るがすものであることから、「本件に限らず広く業務プロセスをチェックし、 再発防止に万全を期す」ことも求めている。

 抗議文では、「十分償うべく」としているが、具体的な要求はしていない。中川副会長は「三師会と四病協の提言が実現しても、100%償ったことにはならない」と断った上で、「どのようにしてもらいたいかは、あえては言わないようにした。政策や税制面での償い方もあり、まず向こうに考えてもらいたいということ。選択肢の幅を狭めたくはない」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/626491
消費税問題、働き方改革で要望へ
地域医療を守る病院協議会が厚労省宛てに提出

レポート 2018年9月1日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は8月31日の記者会見で、控除対象外消費税問題と医師の働き方改革に関する要望を近く厚生労働大臣宛てに提出することを明らかにした。9月の早い時期に提出することを目指し、内容は今後詰める(関連記事は『中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス』を参照)。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、消費税問題について「全自病には課税にするべきという意見を言う会員もまだいるが、次善の策として三師会と四病院団体協議会の提案に歩調を合わせるのがいいのではないか」と述べ、要望書は新たな仕組みでの還付を求める内容になると説明した(『消費税率10%「新たな仕組み」で対応、三師会と四病協が提言』を参照)。

 働き方改革については、要望項目の一つに「総合診療医の養成」が入っており、地域包括ケア病棟協会会長の仲井培雄氏が「重要なポイントの一つ。セカンドキャリアとしての総合診療医を目指す方が増えれば、日本の医療が変わっていくと思う。ひいては、医師の労働時間にも影響を与えるのではないか」と指摘。

 全国国民健康保険診療施設協議会副会長の籾井眞二氏は、医師が4人程度の国保病院にも労働基準監督署が指導に入り、勤務医の当直を減らすために院長が週に3日も当直に入らざるを得ない例があると紹介。「院長は過労死してもかまわないというのが労基署の話のようだ。地域医療を守りながら医師の健康も守っていこうと進み始めている。その方向性を誤らないよう、拙速に決めないようにしていただきたい」と述べた。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3480376030082018L60000/
日光7病院で連携法人 栃木県が設立準備
北関東・信越  2018/8/30 21:30日本経済新聞 電子版

 栃木県が日光市内の7つの民間病院を核に地域医療連携推進法人を設立する準備を進めていることがわかった。同市では県全体を上回るペースで人口減、高齢化が進み、将来の医療需要の変化が予想される。県は急性期から慢性期まで切れ目ない医療体制を維持するため連携が必要だと判断した。ただ、経営の自由度が狭まると懸念する病院もあり合意形成には時間がかかりそうだ。

 日光市では6法人が7病院を運営している。県の構想では、この6法人を核に地域医療連携推進法人を設立する。将来の医療需要の変化を見据えて病院間の役割分担を明確にするほか、医師・看護師らスタッフの共同研修や医薬品・医療機器の共同購入にも取り組む。

 市の人口は2060年までに6割近く減少する一方、高齢化率は5割に達する見通しで、人口減少、高齢化ともに県平均を大幅に上回るペースで進行する。県は急性期や慢性期の患者は減り、がんや脳卒中といった疾患の回復期の病床の需要が高まると予測する。

 こうした医療需要の変化に個々の病院だけで対応するのは難しく、病院の廃業など医療機関の淘汰を招く可能性もある。県医療政策課は「病院間の役割分担をはっきりさせ、各病院の連携を深める必要がある」とみる。

 地域住民にとっても、連携推進法人の設立で地域医療の維持・向上が期待できる。

 ただ病院側の足並みはそろっていない。経営基盤が強化される半面、経営の自由が制限されると懸念しているからだ。県は18年に入り、7病院に医師会や日光市も交えた勉強会を5回開催。データを示しながら地域医療連携推進法人構想の趣旨を説明し、理解を求めてきた。

 勉強会に参加している病院関係者は「7病院が一堂に会して危機感を共有できた意義は大きい」と評価する。その一方で「法人設立後に経営の自由度がどこまで保障されるのか。機能のすみ分けをどう実現するのか道筋が見えない」と不安を隠さない。

 急性期医療を担う独協医科大学日光医療センターと今市病院がともに市内で移転を検討していることも合意形成を難しくしている。移転に合わせて市内の医療体制を再構築できる半面、患者の奪い合いにつながる懸念があるためだ。

 県は今後、市内の診療所などにも地域医療連携推進法人の設立趣旨を説明し参加を呼びかける。7病院については病床機能や診療科ごとに分かれて議論を深める。県は18年度中の法人設立を目標に掲げていたが、時間をかけて合意形成を図る方針だ。

     ◇

 ▼地域医療連携推進法人 医療機関が機能分担など連携を深めて地域の医療体制を維持するために設立する一般社団法人で、都道府県知事が認定する。2017年4月に制度が創設された。傘下に病院や介護施設などを経営する法人が入り、協議に基づいて診療科の再編や病床の融通、医療スタッフの共同研修、医薬品の共同購入などを主導する。国内では鹿児島、広島、兵庫など6県で設立されている。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/623287
>臨床実習72週、充実に向け多彩な“仕掛け” - 札幌医大◆Vol.1
1年生はボランティア活動や刑務所見学、3年生は2泊3日で地域実習

スペシャル企画 2018年8月31日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国の医学部・医科大学が今、直面している課題の一つが、「2023年問題」、つまり世界医学教育連盟(WFME)の国際認証を取得するための対応だ。
 札幌医科大学では、認証取得の準備の一環として、2017年度の医学部4年生から臨床実習を計72週とした。時間の拡充だけでなく、実習に先立ち、臨床現場に触れ、医師としての素養を涵養することなどを目的に、1年生からさまざまなカリキュラムを取り入れている。同大医学部長の三浦哲嗣氏に、同大の取り組みを取材した(2018年8月1日に取材。全3回の連載)。

 医学部の1年生から、医療の現場に触れたり、医師を目指すモチベーションを高めるため「アーリー・エクスポージャー(早期体験学習)」をカリキュラムに取り入れる大学は多い。札幌医科大学でも早期体験学習に「地域滞在実習」として、道内各地域に学生が出向き、地域の医療体制、健康課題などについて、住民と交流する機会を設けている。

 同大の特徴は、それだけにとどまらず、医療に限らず、広く社会に目を向けてもらう機会を設けている点だ。 1年生では、カリキュラムの一環として、札幌医大附属病院内での市民ボランティア活動に参加する。病院ボランティアの会であるフローレンスの会員の方々とともに、外来患者の案内や支援、入院患者向けの移動図書館の運営などの活動を通じて、「患者として病院に来て遭遇する障害や、それを支援する人々の立場に気付いてもらう」(三浦氏)。

 また、1年生を対象に、4年前から「刑務所見学」の機会も設けている、受刑者と接することはしないが、刑務所の施設や隣接する医療施設などを、約3時間かけて見て回る。普段は目にしない社会の一端に触れることにより、さまざまな物事を考える契機、ヒントになると大学側は期待する。「受刑者という立場の人々の健康や疾病、さらには人権問題などについて、考察してもらいたい。医師のキャリアの一つとして、矯正医官という仕事を考える契機にもなる。今後も継続し、事前に十分なオリエンテーションを行うなど、見学をより実のあるものにしていきたい」と三浦氏は語る。

 2年生になると、チーム医療実践、多職種連携に取り組む前段階として、看護師の業務をシャドウィングする。「看護師の実際の仕事と、医師と看護師の患者に対する視点の違いを知ってもらうことが目的だ。『医師になるのだから、看護師の仕事を体験する必要があるのか』と考える学生もいる一方で、『大変意義がある、良い経験』と受け止める学生もいる」と三浦氏は語る。学生の受け止め方にも相違があり、それを学生同士で共有することでも、教育効果が生まれる。

 3年生全員、2泊3日の泊まり込みで実習

 3年生の実習はより実践的になり、「地域滞在実習」を組み入れている。3年前からスタートした。実習先は、道南、道央を中心に19施設で、その多くは200床未満という規模の小さい病院だ。

 その狙いについて、三浦氏は二つあると説明する。一つは、病院を拠点に、介護老人保健施設などの施設系サービスや在宅医療の現場を見ることで、地域包括ケアが現場でどのように展開しているかを肌で感じてもらうこと。もう一つは、実習先の地域の方となるべく接点を持つことだ。「実習を通じて、地域における医師の仕事や医療の有り様を理解してもらうだけでなく、地域に住む人たちとふれあい、その地域が抱える課題や人々の社会や生活背景などについて考えてもらうことを期待している」(三浦氏)。

 実習先訪問に先立ち、まずオリエンテーションを行う。医療保険や介護保険の仕組みなど、制度についての講義も組み込んでいる。その後、バス数台に分乗し、道南、道央の実習先に向かう。地域での実習期間は3日間。「実習の受け入れ先によって、体制や実施している医療はさまざま。大学としては実習の目的と基本的な内容、スケジュールの大枠を設定し、具体的な実習内容は、各病院の実情に合ったものをお願いしている」(三浦氏)。

 地域滞在の2日目には、地域の人々を相手に、健康教育セミナーを担当し、年度ごとに設定した基本テーマ(認知症、転倒予防など)について、学生がシナリオを考えてセミナーを行う。滞在最終日には、医療施設や介護施設の入所者との質疑応答の時間がある。実習先から大学に戻った後に、全体討論の場を設け、実習の振り返りを行う。

 各実習先には、教員も同行。実習が円滑に進むようサポートするほか、何らかのトラブルがあった場合に対応するためだ。「今年からは、実習のアウトカムを何らかの形で評価し、今まで以上に良い方法に変えることができないかを検討する予定」(三浦氏)。

 臨床実習は「ユニット制」で

 4年生の最後の8週間から始める臨床実習自体のカリキュラムも、2018年度から見直した。従来は全ての診療科を1~2週間ずつ回る臨床実習で、診療科間の関連性については余り配慮されていなかった。

 これに対して、新たな臨床実習は、関連する診療科を一つの「ユニット」としてまとめ、各ユニットを4週間ずつローテーションする仕組みだ。ユニットは計11ある。各ユニット内の診療科は2~3で、その中で特定の診療科を多めに実習したいとの希望があれば、対応している。「1人の患者に対する診療の全てに参加するには、診療科をまたがった一定の期間を必要とすることが多いが、これまでの方式では、それが難しかった。新たに導入した方式では、1人の患者を場合によっては最長で4週間診ることができる」(三浦氏)。

 新方式への変更に当たっては、カリキュラム委員会や教務委員会の議論に約1年かけて準備を行った。「これまで別々に実習を担当していた診療科をユニットにまとめることで、本当に実効性が高まるのか、という意見も出た」という。札幌医大附属病院の平均在院日数は約12日と短い。以前は、内科での検査・診断から外科での手術、退院という一連の流れで入院していたケースでも、今は内科で診断したらいったんは退院し、また手術の前日に入院するなど、患者の入退院の流れが変わっている。「学生が同じ一人の患者を継続的に診ることは確かに容易ではないが、各ユニットで実習することで、各患者の疾患の診療の流れについての理解が向上すると考えている。診療への参加を増やすことと、ユニット制の導入で学生のモチベーションが高まることを期待している」(三浦氏)。

札幌医大、「地域枠」は3種類

 札幌医科大学の医学部医学科の定員は110人で、3つの地域枠がある。一般入試の「北海道医療枠」55人、推薦入試の「地域枠」20人と「特別枠」15人だ。
 このうち北海道の修学資金貸与制度の対象は「特別枠」のみで、「初期臨床研修修了後7年間のうち、5年間、北海道知事が指定する道内の公的医療機関に勤務」が条件。
 一方、「北海道医療枠」は全国の高校の出身者、「地域枠」は道内の高校出身者が対象。それぞれ初期臨床研修の縛りはなく、後期研修において、札幌医大のプログラムに7年間従事することを確約するのが条件。「両プログラムには、『7年間を通して、道内の医療機関で勤務しなければいけない』といった誤解がある。本学のプログラムでは、道外の病院で研修、海外留学なども可能。北海道の医療を向上させるためには、道内のみで勤務し続けることが必ずしもいいとは限らず、他の研修医達と是非『他流試合』もしてもらいたい」(三浦氏)。
 入学後のカリキュラムは、一般枠か地域枠かを問わず、同じだ。また2018年度から、新専門医制度がスタートしたが、開始の数年前から、北海道、道医師会、道内の3医学部・医科大学が集まって、新専門医制度の運用の在り方を検討したという。「2004年度に臨床研修が必修化された際、大学から道内の医療機関に派遣できる医師が減り、道内の病院は医師不足に陥った。今回はそれを避けるための準備が行われ、今のところ大きな混乱は起きていない」(三浦氏)。



  1. 2018/09/02(日) 12:14:30|
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