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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/617654
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
医師不足に苦慮、定員増見込めない中で種々の対策を模索
医学部長・医科大学長アンケート-Vol.4- ◆ 地域枠【その2】
 
レポート 2018年7月23日 (月)配信大西裕康(m3.com編集部)

Q.今後の医師不足・偏在対策では、大学が都道府県と連携しながら、取り組む重要性が高まっています。現在もしくは今後、貴大学で実施している取り組みがあれば、教えてください。

 回答からは、各大学が附属病院や関連病院を設けている都道府県内の医師不足に苦慮している状況が垣間見えた。各都道府県とのタッグ強化はもとより、大学の立地圏域だけでなく県境を越えて、全国規模で、施策が必要と訴える意見もあった。

[県境を越えた施策、全国規模の対策が必要]
【東京慈恵会医科大学・松藤千弥 学長】 本学の定員は、一般枠が100人、東京都の地域枠が5人、本学独自の地域枠が5人の計110人です。日本全体で見た場合、医師は充足していませんが、将来の医療費を考えたら、これ以上は医学部定員を増やせないと思います。タスクシフティングなどを進める必要があります。
 また仮に医学部定員を今後、減らす場合、一般枠と地域枠を固定的に考えていたら、医学部の運営は非常に難しくなるでしょう。文部科学省がどちらを減らすかを一律に決めるのではなく、各大学が柔軟に対応できる仕組みにしておいた方がいいと思います。
 今は各大学が自らの地域の医師不足への対応で苦慮しています。医師偏在を法的に対応するのは過渡的には必要かもしれませんが、日本全体で根本的な解決策は、教育にあるでしょう。「日本のどこに住んでいる人に対しても、医療を提供するのが医師の役割、責任」という教育、倫理観の醸成が非常に大事だと思います。

【大阪医科大学 大槻勝紀 学長】 本学では2人の地域枠の入学生を受け入れています。本学の「建学の精神」から高知県本山町立国保嶺北中央病院に1人、くぼかわ病院に2人の医師派遣を行い、医師不足・偏在対策に協力しています。また、多職種連携教育の一環として毎年夏休みに本学医学部・看護学部と同一法人の大阪薬科大学学生の一部が地域医療を高知県で学んでいます。

【産業医科大学・東敏昭 学長】 全国に産業医を輩出する目的大学として、手薄な地域への就職を促すため様々な意見交換を行っている。

【匿名希望・国公立大】 地方では若者の職業選択が極めて限定されているために、その地域の最優秀の高校生が最も安定した職である「医師」を目指す傾向が著しく高まっている。そのために、地方によっては各県トップの進学校の成績トップ層の半数が、医学部に入学するという事態となっている。工学系産業の衰退などに加え、地域枠もこの傾向を助長している。各地域の将来を担うべき優秀な若者を医師不足解消の道具に使うことは避けなければならない。地域枠を各大学所在地の出身者に限定しようとする動き(医師需給分科会)があるが反対である。医師不足の付けを当該県の優秀な若者に課すことになれば医療以外の分野の人材が枯渇し、結果的に地方がさらに疲弊することになるであろう。したがって、所在地限定地域枠以外の方法で医師不足を解消すべきと考える。

【匿名希望・国公立大】 地域特別枠入試として、複数の県が特別定員枠を持っている。地域枠の学生は、各県主催のプログラムに参加することを本学の必修単位としており、各県の研修プログラムへの移行をサポートしている。

【匿名希望・国公立大】 他県にある本学の関連病院は所在県との連携のもとで医師不足に対応できているとは言い難く、本学が独自に対応しているのが現状である。例えば、隣県市立病院に連携講座を設置し、同病院の医師が本学に社会人入学できる制度を整え、若手医師が地域医療に従事しながらキャリアップできる仕組みを整備した。
 地方においては、都道府県単位での取組を推進するだけでは医師不足は解消されない可能性が高く、より大きな枠組み(複数大学の連携)での取組が考えられる。
 本学関連病院と、各協議会との連携を強化し、学部生の教育から関連病院の医師に参画してもらう仕組みを整えようとしている。


[各県とのタッグを強固に]
【旭川医科大学・吉田晃敏 学長】 北海道教育委員会と共催で次の取組を実施している。
1.メディカルキャンプセミナーの開催(2008年度~)
2.医進類型指定校・協力校と連携しての高校生メディカル講座(2008年度~)
3.地域医療を支える人づくりプロジェクト事業における医学部生の招聘事業(2011年度~)

【東北大学・五十嵐和彦 医学部長】 宮城県との連携は以前より強固であり、東日本大震災後の医療復興も宮城県との強い連携のもとで行っている。本学の修学資金付き地域枠奨学生は医学科3年次に募集し選抜する。したがって、学生は医師という職業や地域医療のやり甲斐を理解した上で応募できる。その結果、他大学で問題となっている卒後3年以内の地域枠辞退(辞退率全国平均13.2%)は今年度まで皆無である。
また地域枠修学資金返還免除の資格は、猶予期間4年間を設けた上で、卒後4年間の宮城県地域医療への従事としている。4年間のうち2年間は東北大学大学院での研究活動や大学病院勤務も義務履行として認めている。したがって、本制度では、義務を履行しながら新専門医制度への対応も可能である。
すなわち、キャリア形成も踏まえた資金返還免除資格を設定することにより、卒後辞退率0%を達成している。

【山形大学・山下英俊 医学部長】 山形県では、山形大学医学部で創設し、山形県全体の医療界(大学、行政、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、助産師会が参加)が協力して山形県内での医師の育成、診療、研究を行なう蔵王協議会を中心として、若い医師が勉強しつつ地域医療を支える体制をとっている。地域医療構想にも山形大学医学部から蔵王協議会を通して積極的な提言を行っている。

【福井大学・内木宏延 医学部長】 県からの要望を受け、地域枠の増員について検討している。

【広島大学・秀道広 医学部長】 県地域医療支援センターを設置し、大学教授(現在は医学部長)がセンター長に就任し、県関係者と医師確保、地域枠出身医師の配置等の事業に取り組んでいる。

【徳島大学・丹黒章 医学部長】 県との連携(地域枠学生への入学前から定期的な指導など)、四国内他県との連携(寄附講座等)。

【大分大学・守山正胤 医学部長】 本学では、県内の都市部と僻地の格差が大きいので、その地域偏在を改善することを目的として、内科医療人材育成事業を本年度から開始した。本事業は、大学の内科医局に入局した専攻医を地域の僻地医療拠点病院に派遣した際に、当該医局の助教が週に1.5日専攻医派遣病院に出向き、当該病院のための専門診療ならびに内科専門医取得のために必要な教育を行うしくみである。
 これは通常僻地医療拠点病院では専門医が少なく、当該病院に勤務している指導医のみでは十分専攻医の指導が行えない短所を補うことを目的としている。その際、当該病院には派遣する教員(助教)の人件費を大学に寄付してもらうことで専攻医を派遣する大学医局でも教員不足を解消できる(dutyの1.5日以外は大学での通常の研究・診療が可能である)。
 また、当該病院でも附属した専門領域を2名の医師(専攻医と派遣される教員)によりカバーすることができる。そして、何よりも専攻医が地域の僻地医療拠点病院で都市部に見劣りしない指導をマンツーマンで受けることができるようになる。本事業により僻地における医師不足の改善を目指している。現時点では僻地の病院からは好評を得ている。

【匿名希望・国公立大】 県との連携、特に地域医療支援センターを中心とした県内研修病医院連絡会などを定期的に開催して初期研修医のキャリア形成支援と地域枠等学生の義務履行を支援している。また、専門研修における基幹病院としての役割を担う大学病院内に「医師派遣検討委員会」を設置して専門医取得と医師偏在対策に対応している。

【匿名希望・国公立大】 県との連携強化

【匿名希望・国公立大】 地域枠学生ならびに地域枠卒業医師の育成およびキャリア形成支援について県との協議を重ね、県内における医師の地域偏在・診療科偏在の解消に向けた取り組みを進めている。

【匿名希望・国公立大】 開学以来、県と地域枠入試で実績を上げてきている。

【匿名希望・国公立大】 地域枠入試を実施している。


[キーワードは“地域医療”]
【岩手医科大学・佐藤洋一 医学部長】 地域医療実習を充実化し、地域医療の意義とやりがいを体験してもらう機会を増やします。国家試験の知識的には無駄とそしられかねない実習をあえて増やすのは、本学の使命である「厚生済民」を重視するからです。

【富山大学・北島勲 医学部長】 地域医療を担う人材育成のため、医師不足が深刻な市町村の寄付講座を開講し診療および地域研修・地域医療実習を行っている。この寄付講座を増やしていく計画である。

【匿名希望・国公立大】 附属病院に地域医療研究・支援センターを設置し、その地域医療支援部門が県の地域医療支援センターと密接に連携し、医師不足・偏在対策に取り組んでいます。

【匿名希望・国公立大】 卒業後に医学部や関連病院の地域医療に広く貢献できるよう、特色ある地域医療教育を実施している。

【匿名希望・国公立大】 寄附講座を設置する方法が正しいとは思わないが、自治体の財源不足もありそれ以外の方法が見つけられないのが現状である。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618198
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
勤務時間の的確な把握が急務
医学部長・医科大学長アンケート-Vol.5- ◆ 働き方改革【その1】
 
レポート 2018年7月25日 (水)配信大西裕康(m3.com編集部)

 全国の医学部長・医科大学長を対象にアンケートを実施し、今年は全国25大学の回答を紹介する当企画。Vol.1~2では今年4月開始の新専門医制度に関して、Vol.3~4では医学部定員枠のうち「地域枠」などに関して回答結果を紹介した。Vol.5~6では、医療界として今年最注目の話題、「働き方改革」に関する考えを紹介する。


Q.医師の働き方改革が、医療界では重要課題になっています。大学勤務の医師の場合、臨床、教育、研究に取り組む必要があり、改革の難しさも指摘されています。貴大学・医学部が取り組んでいる内容や、医師の勤務時間などについて提言がございましたら教えてください。

 今回Vol.5では、大学が「働き方改革」の一環として現在取り組んでいる事項、または取り組みの実施に向けて検討中の事項などに関する回答を紹介する。多かったのは、勤務時間を的確に把握する必要性を指摘する意見だ。ただ、どのような手法で「的確に把握する」のかについては、タイムカードの導入を検討している大学がある一方、「タイムカードは意味がない」との考えを表明し、独自の位置情報システムを組み合わせた手法の検証に取り組む大学もあった。業務分担の見直しやタスクシフティングを進めて勤務負担の軽減を図る考えの大学、適切な報酬などで処遇を改善している大学もあった。

[まずは勤務時間を的確に把握する]
【山形大学・山下英俊 医学部長】 医師の勤務時間の把握は、出退勤を機械により把握する体制を整えた。

【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 出勤・退勤時のICカードによる打刻を実施。勤務実態調査を3月に実施、2回目の調査も実施。

【東京慈恵会医科大学・松藤千弥 学長】 (病院における外来・病棟業務など自身で時間をコントロールできない)「Duty」の時間管理は、タイムカードで管理するなど、形式的にやっても意味がないと思います。本学では、分院も含め、計4つの病院で医師にiPhoneを配布しています。iPhoneと位置情報を把握できるシステムと組み合わせ、医師が病院内で勤務している時間を個別に把握できる手法の導入をトライアルしています(なお、iPhone のGPS機能を使えば安価ですが、病院外の行動も把握することになるので、プライバシーの問題があり、使っていません)。

【匿名希望・国公立大】 タイムカード制の導入も一つの方策かもしれない。


[業務分担、タスクシフティングを進める]
【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 タスク・シフティングの推進に関する部会を立ち上げて検討を行う。

【匿名希望・国公立大】 医師の働き方改革の方策と過重労働の改善策として、医師事務作業補助者による診断書の作成、看護師による採血および静脈注射、医師の当直体制の見直しを行っている。

【匿名希望・国公立大】 取り組んでいる内容:タスク・シフティング

【匿名希望・国公立大】 医師の働き方改革の方策と過重労働の改善策として、医師事務作業補助者による診断書の作成、看護師による採血および静脈注射、医師の当直体制の見直しを行っている。

【匿名希望・国公立大】 取り組み:超過勤務管理と長時間勤務者に対する産業医面談。今後勤務時間の把握のためのタイムカードもしくはそれに類したシステムの導入を検討中。


[適切な手当の支給、処遇改善を実施]
【山形大学・山下英俊 医学部長】  医師がリスクを負って診療に取り組んでいることを正当に評価するためのドクターフィーを全国に先駆けて導入している。

【匿名希望・国公立大】 応召義務の問題もあり、対応に苦慮していますが、医師の勤務状況を的確に把握するように努め、手当を支給するようにしています。

【匿名希望・国公立大】 助教と医員との間に特任助教を設け、経験年数の長い医員を教員として採用し、医師のキャリア形成の推進につなげるとともに、短時間勤務を可能とするなど、柔軟な勤務体系を構築することで医師の処遇改善を図っている。


[研究支援、女性支援、患者の理解…]
【富山大学・北島勲 医学部長】 大学勤務医師が研究に参加できる臨床研究管理センターを開設し、研究支援(各種予算申請、研究倫理等)を行う専任教員を配置している。

【大阪医科大学・大槻勝紀 学長】 女性医師支援センターを立ち上げて女性のライフイベントに際して必要となる制度や施設に関する情報の提供等を行う。 医師の労働時間短縮に向けた取組の一環として、患者さまおよびご家族向けに「1.複数主治医制を導入して参ります。2.入院患者様への病状説明等は、緊急時を除きできるだけ勤務時間内に行います」とのお願いを掲示している。

【産業医科大学・東敏昭 学長】 多項目に及ぶさまざまな改革を試行すべく準備をしている。

【匿名希望・国公立大】 医師の労働時間管理について、労働基準法に基づき適正に管理できるよう継続して検討している。

【匿名希望・私立大学】 検討中です。



https://www.m3.com/news/kisokoza/617959
「最大の課題は医師不足」、千葉・東葛北部圏域における救急医療事情-松戸市立総合医療センター救命救急センター長、村田希吉氏に聞く◆Vol.1
2018年7月25日 (水)配信m3.com地域版

 千葉県・東葛北部保健医療圏(松戸市・野田市・柏市、流山市・我孫子市)における地域災害拠点病院の松戸市立総合医療センターで救命救急センター長を務める村田希吉氏に東葛北部保健医療圏の救急医療について伺った。

(2018年7月19日インタビュー、計3回連載の1回目)

――東葛北部保健医療圏の救急医療の特徴についてお教えください。

 まず、東葛北部保健医療圏の最大の課題は、人口に対する医師数が不足しています。これは、東葛北部の固有の問題ではなく、千葉県全体の問題であり、千葉県の人口に対する医師数は、全国ワースト3位です。特に、東葛北部は東京23区の約半分という面積の広さもあり、医療機関へ搬送されるまでの時間も長くなっています。

 本院の救命救急で働いていて感じているのは、消化管出血が原因で救急搬送されてくる患者さんで手術が必要になる人が少ないと思いました。大規模な疫学調査をしているわけではありませんが、消化管出血の患者さんは病院に運ばれてきたときにはすでに心肺が停止しているケースが他地区に比べても多いのではないかと感じています。

――GIBネットワークがあるとお聞きしました。
 GIBネットワークは、千葉県松戸市、 柏市、 流山市の3市において、2010年3月より運用を始めました。急性吐・下血症例に対し、 内視鏡による止血治療を含む夜間・休日救急当番制度です。

 このネットワークは当該地区で休日・夜間に内視鏡を扱える医師を全部の病院に配置をすることが難しいため、東葛北部3市においては、休日・夜間でも、1カ所は内視鏡を扱える医師を配置するという市民のセイフティネットとして創設されたものです。

 ただ、GIBネットワークはありますが、東葛北部圏域は面積が広く、心肺機能停止後に運ばれてくる消化管出血の患者さんの件数から考えても、対応できていないのが現実でしょうか。これは誰が悪いということではなく、地域の医師不足が、もたらす現実です。医師が足りない影響がこういうところに出ているのではないでしょうか。

――東葛北部保健医療圏の今後の課題はなんでしょうか。
 東葛北部は、医師不足に加え、2025年にむけて、回復期の病床が3000床不足し、2040年に向けて松戸市は後期高齢者が増え続けることが予想されています。また、これに伴って、2030年代前半には救急搬送件数がピークを迎えることも予想されています。この状況をどう乗り切るかは、今のうちに地域全体で話していかなければいけないと思っています。

 当院は3次救急の病院ではありますが、地域連携にも積極的に取り組んでいます。今、地域で解決する力が試されていると思っています。

取材・文・撮影=津村育子

◆村田希吉(むらた・きよし)
東京都出身。弘前大学医学部卒業後、同大学外科勤務。国立病院機構災害医療センター救急科、東京医科歯科大学医学部付属病院救命救急センターを経て、2016年9月より松戸市立総合医療センター 救命救急センター長。



https://www.m3.com/news/iryoishin/619004
シリーズ 社会保障審議会
「医師の働き方、まずは改革が先」、今村日医副会長
医療部会で「医師の働き方改革に関する意見書」説明
 
レポート 2018年7月27日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で7月27日、参考人として出席した日本医師会副会長の今村聡氏は、「医師の働き方改革に関する意見書」について、「現状の医師の働き方を100%認めて、それに法令を合わせるという意味ではなく、やるべき改革を実施した上で、それに合った法令を、という考え方」と説明した。

 同意見書は、日医が主導した「医師の働き方検討会議」がまとめたもの。7月9日の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で発表した(『時間外労働「医師の特別条項」など提言、日医主導会議』を参照)。

 連合総合政策局長の平川則男氏が、意見書の最後に、「働き方改革を法令に合わせるのではなく、法令を働き方に合わせる」との記載について、「安心・安全の医療のために、働き方改革を行うのではないか」などと疑義を呈した。今村氏は、この表現が誤解を招いているとし、冒頭の発言のように説明した (資料は、厚労省のホームページ)。

 意見書についてはそのほか、その実効性を担保する方策や医師の働き方改革を進めるには、国民の理解を得る必要性を指摘する声が挙がった。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、同センターには、「なぜ重篤な患者がいるのになぜ夏休みを取るのか」「夜中に駆け付けてこないのは、主治医としてあり得ない」などの電話相談があると紹介した。夜間や休日での患者説明を避けたり、チーム主治医制を認めることが必要であり、そのためには医療提供側だけではなく、関係者全体で国民への啓発を進める必要性を指摘。さらに今村氏に意見書の今後の取り扱いについても質問した。

 今村氏は、「(厚労省の)医師の働き方改革に関する検討会で、具体的な議論になっていくのだろう」と述べ、検討会の進み具合によっては、医療界として再び検討の場を設けることもあり得るとした。

 医師の働き方改革の関連では、全日本病院協会会長の猪口雄二氏が、救急応需や時間外の対応などが社会医療法人の認定要件になっているほか、診療報酬上でも救急医療の実績が施設基準となる点数もあることから、「医師の働き方改革の議論と整合性が取れるよう、考慮してもらいたい」と求めた。


 地域医療構想、「定量的な基準」は「外れ値」除外のため

 27日の医療部会ではそのほか、地域医療構想の進捗状況、医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況、「骨太の方針2018」「未来投資戦略2018」「規制改革実施計画」、「医療法及び医師法の一部を改正する法律」について報告されたほか、事故報道が昨今相次いだ「画像診断報告書の確認不足」について議論した。

 地域医療構想の進捗状況について、日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」の6月の取りまとめで、地域医療構想調整会議の議論を活発化するために、「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議を経た上で、(定量的な基準を導入することを求める」とある点について、「その目的は何か」と質した。「病床機能報告による(4つの医療機能の)病床数と、2025年の病床の必要量は、もともと基準が違うのだから、両者を合わせる必要はないという議論を何度もしてきた。基準とするのはおかしく、判断の目安などとすべきではないか」(相澤氏)。

 厚労省医政局地域医療計画課は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、調整会議で議論を円滑に進めていくために、定量的な基準を活用している事例として、佐賀県と埼玉県の事例を紹介したと説明。「一律に国の方で基準を定める段階ではないが、地域の事情に合った議論を活発化するための材料として、そうしたものを活用することが必要ではないか」(同課)。

 「地域医療構想に関するワーキンググループ」の構成員である日本医師会副会長の中川俊男氏は、「定量的な基準」は、あくまで「外れ値」についての基準であり、「全国で佐賀県や埼玉県のような基準を導入することではないことを確認している」と説明。「外れ値」とは、急性期医療を担う病棟であれば、本来担うべき医療を全く実施していないケースを指す(『「実態のない急性期病棟」にメス、客観的基準で「外れ値」除外』を参照)。

 さらに中川氏は、相澤氏の発言を支持し、「地域医療構想の大前提は、地域で不足している病床機能を補うことにある。病床機能報告の病床数と、2015年の病床の必要量を単純に比較するな、と言い続けているが、いまだに比較されている。全く異なるものを比較してどうするのか」と語気を強め、地域医療構想を担当する地域医療計画課長がこの夏の厚生労働省の人事異動で交代することから、「後任に引き継いでもらいたい」と求めた。

 電子カルテ、「国が統一規格を」

 「未来投資戦略2018」で議論になったのが、医療等のデータの利活用について。猪口氏が、電子カルテの企画が統一されていないことが不便さを生じているとし、国が統一規格を定めるよう求めた。日本医療法人協会会長の加納繁照氏、中川氏、山口氏、国立病院機構理事長の楠岡英雄氏も、医療費の低減という視点も踏まえ、猪口氏の意見を支持。

 永井部会長も、データの利活用は、各種研究やイノベーションにつながってくることから、データの利活用の基板整備に向け、「ぜひ国のプロジェクトとして立ち上げてもらいたい」と求めた。さらに永井部会長は、「画像診断報告書の確認不足」を防ぐ意味でも、「要注意報告」についてはアラートを出すなど、システム的な対応の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618170
シリーズ 中央社会保険医療協議会
中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス
特定機能病院61.7%、精神科病院129.0%、2016年度消費税補てん率でもバラツキ
 
レポート 2018年7月25日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月25日の中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長:荒井耕・一橋大学大学院商学研究科教授)で、2014年度の「控除対象外消費税の診療報酬による補てん状況」について再調査したところ、病院の補てん率に誤りがあったことを明らかにした。2015年11月公表データでは、病院全体の補てん率は102.36%だったが、新たな調査では82.9%と補てん不足に転じた。DPC病院の調査において、不正確な点があったためだ。病院、診療所、歯科診療所、薬局を含めた全体の補てん率は、102.07%ではなく92.5%で、全体でも補てん不足。

 今回新たに実施した2016年度の調査では、特定機能病院の補てん率は61.7%にとどまり、こども病院71.6%、一般病院85.4%でいずれも100%を下回った一方、精神科病院では129.0%で、病院種別により補てん率に大きなバラツキが見られた。一般診療所の補てん率は111.2%で100%を超えたが、歯科診療所は92.3%、薬局では88.3%であり、共に100%を下回った(資料は、厚労省のホームページ)。


 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「厚労省の二重、三重の不手際。猛省を求めたい。事は極めて重大だ」と語気を強め、誤りが生じた原因分析と今後の対応を厚労省に質した。「二重、三重」の意味の第一は、消費増税対応した2014年度診療報酬改定での補てん不足。第二は2014年度調査で誤りがあったこと、第三はもっと早く調査結果が出ていれば、2018年度改定等で対応できたが、補てん不足の状態が4年以上も放置されていることだ。

 これに対し、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の矢田貝泰之氏は、第一の点については、同様の補てん不足が起きないよう2019年10月の消費増税に向けて対応していくと説明。第二の点は、誤りが生じたのはDPC病院の包括部分の補てんの把握にミスがあったためであり、さらに補てん率が100%に近かったことから、誤りに気付かなかったとした。第三の点については、「なるべく早く提出すべきということだが、作業の過程で修正に時間を要したため、本日になってしまった」と詫びた。

 中川氏はさらに、2015年11月の本分科会における「2014年の消費税率8%への引上げによる医療機関等の控除対象外消費増税(3%)分については、診療報酬改定による対応により、補てん状況にばらつきは見られたものの、マクロでは概ね補てんされていることが確認された」との総括の撤回を求めた。

 矢田貝室長は、全体の補てん率は、102.07%ではなく、92.5%であるのが、「現在の認識」であるとし、「なぜそうしたことが生じたのかという要因分析を行い、どうすれば補てん率のバラツキを補正できるかを検証し、きちんと反省した上に、(2019年10月の消費増税に向けて)準備をしていきたい」と答えた。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏、日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏からは、そもそも基本診療料に上乗せする形での補てん方法の妥当性、さらには消費税対応を診療報酬で行うことの限界を指摘する意見も出た。

 支払側から、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、病院種別の補てん率のバラツキを問題視。「単なる技術的な見込み違いがあったのか、あるいは補てん方法に本質的な問題があったのか。まずバラツキの要因をしっかりと検証して、2019年10月の消費増税に臨むべき」として、補てん不足の要因となり得る課税経費率と算定回数等がどう見込みと乖離があったのかについて、精査を求めた。

 保険診療は、消費税非課税。医薬品と特定保険医療材料以外の仕入れにかかる消費税は、患者に転嫁できず、医療機関の負担になるため、診療報酬で補てんしている。2014年4月の消費税率5%から8%への引き上げの際、診療報酬改定で通常の改定分に、消費税率を上乗せした改定が実施された(『初診12点・再診3点増で決定、「苦渋の決断」と会長』を参照)。負担分を診療報酬で100%補えば、補てん率は100%となる。

 消費税率は、2019年10月に10%への引き上げが予定されている。2016年度分の調査は、消費増税対応に向けた議論のたたき台の資料作成が目的。厚労省は今後、病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局などの医療機関の種別ごとに補てん率のバラツキの要因分析を進めるとともに、バラツキを是正するための具体的な配点の在り方について検討を進める方針。

 複数月の入院データ抽出に誤り
 消費税の補てん率調査は、収入はNDBデータ等を、支出は医療経済実態調査によるサンプル調査データを用いているほか、消費増税対応をした2014年度改定後、2016年度と2018年度に改定を行っているなど、正確な把握には幾つかの限界がある。

 1989年度の消費税導入時、1997年度の消費税率の3%から5%へのアップ時は、いずれも一部の個別の診療報酬に上乗せする形で、補てんが行われた。これらとは異なり、2014年度改定時は、初再診料や入院基本料などの基本料に上乗せする形で、幅広い補てんがなされた。

 2014年度調査のデータが誤っていたのは、DPC病院の包括部分の補てんの把握に誤りがあったため。NDBデータによる入院日数に、非DPC病院の補てん点数(例えば、7対1入院基本料の場合は25点など)を乗じて推計していた。しかし、NDBデータ抽出の際、複数月にまたがる入院の日数について、重複してデータを抽出していた(例えば、4月末に10日間、5月初めに10日間、それぞれ入院。本来は計20日の入院だが、4月は10日間、5月は20日間、計30日間とカウント)。結果として収入が多くなるケースがあり、補てん率が高くなっていた。

 2016年度調査の結果、一般病院の補てん率は、非DPC病院90.0%、DPC病院80.1%で差がある。

 一般病院の補てん率は、開設者主体別、看護職員基準別でも異なる。補てん率が低いのは、開設者主体別では公立、看護配置基準別では7対1、10対1など。



http://www.medwatch.jp/?p=21649
2014年度消費増税対応改定の検証誤り、「厚生労働行政の根本」が揺らぐ大問題—四病協 
2018年7月25日|医療保険制度 MedWatch

 メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、7月25日の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(以下、消費税分科会)で、2014年度の消費増税(5%→8%)に対応するための特別の診療報酬プラス改定(以下、消費増税対応改定)の検証結果に誤りがあることが報告されました(関連記事はこちら)。

 同日に開催された、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会でも、この点が大きな議論となり、「厚生労働行政の根本が揺らぐ大問題であり、『単なるミス』と簡単に考えてほしくない」「2014年度の消費増税対応改定で十分な補填がなされず、それが現在の報酬でも継続している。急性期病院等への補填が必要なのではないか」といった意見が出ています。
7月25日の四病院団体協議会・総合部会後に記者会見に臨んだ、日本精神科病院協会の山崎學会長(写真中央)、全日本病院協会の猪口雄二会長(写真向かって左)、日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行(写真向かって右)
7月25日の四病院団体協議会・総合部会後に記者会見に臨んだ、日本精神科病院協会の山崎學会長(写真中央)、全日本病院協会の猪口雄二会長(写真向かって左)、日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行(写真向かって右)
 
ここがポイント!
1 病院全体では85%、特定機能病院では60%程度の補填にとどまる
2 「消費増税への診療報酬での対応には無理がある」との声が四病協で多数
3 急性期病院では入院基本料と診療単価との差が大きいため、補填不足になったのでは
4 病院に対する「過去の補填不足分」を別途、補填せよとの声もあるが・・・

病院全体では85%、特定機能病院では60%程度の補填にとどまる

 2014年度には、消費税率が5%から8%に引き上げられたため、医療機関の消費税負担増を補填するために、特別の診療報酬プラス改定が行われました(通常の改定とセットで実施)。診療報酬算定項目の不公平などを勘案し、基本料(初診料や再診料、入院基本料、特定入院料)などに消費増税分の「上乗せ」(点数の引き上げ)が行われています(例えば、初診料では12点、再診料・外来診療料では3点、7対1一般病棟入院基本料では25点、10対1一般病棟入院基本料では21点、7対1特定機能病院入院基本料(一般)では33点、10対1特定機能病院入院基本料(一般)では28点、など)。

 この2014年度の消費増税対応改定の効果について、厚生労働省が調査を行ったところ▼マクロ(医療界全体)では概ね補填されている(102.07%)▼病院の種別等で補填状況にバラつきがある―との結果が出ました(2015年11月公表)(関連記事はこちら)。

 しかし、今般、最新の補填状況を調査する中で「2015年11月公表データにおいて、複数月をまたぐ入院では『入院日数が重複してカウント』される、という誤りがある」ことが分かり、厚労省は急きょ、再調査(集計)・分析を実施。その結果、例えば▼病院全体では102.36%(2014年度)の補填とされていたが、実際には85.0%(2016年度)であった▼一般病院では101.25%(2014年度)の補填とされていたが、実際には85.4%(2016年度)に過ぎなかった▼特定機能病院では98.09%(2014年度)の補填とされていたが、実際には61.7%(2016年度)にとどまった—などの状況が明らかになりました(関連記事はこちら)。

「消費増税への診療報酬での対応には無理がある」との声が四病協で多数

7月25日の四病協総合部会後に記者会見に臨んだ、消費税分科会の委員でもある全日本病院協会の猪口雄二会長は、「厚労省データへの信頼が揺らぐ。7月25日の消費税分科会には『修正後のデータ』が報告されたが、これも『正しいのか』と心配してしまう」と指摘。また日本精神科病院協会の山崎學会長も、「厚生労働行政の根本が揺らぐ大問題であり、『単なるミス』と簡単に考えてほしくない」と問題視しています。

 さらに猪口全日病会長からは、「2014年度の消費増税対応改定では、医療界全体で補填率が92.5%にとどまり、医療機関の種類で大きなバラつきが出ている。これは消費増税に診療報酬で対応することが『無理である』ことを証明するものだ。また建て替えなどを行った場合には、巨額の控除対象外消費税が発生するが、それには対応がなされないという問題もある。根本的な見直しが必要である」との声が四病協内部で多数出ていることも紹介されました。今後、四病協の内部、さらには日本医師会との合同協議などでどのような「根本的な見直し案」がまとまるのか注目が集まります(関連記事はこちらとこちら)。

 他方、やはり消費税分科会の委員でもある日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、「実は2015年2月に四病協と日本病院団体協議会との合同調査(303病院が有効回答)を行い、▼病院全体の補填率は84.2%▼大規模病院ほど補填率が低い(200床未満では平均99.2%、200-399床では87.2%、400床以上では70.5%)—などといった結果が出た。その後、厚労省の補填率調査結果で『マクロでは補填されている』と大々的に発表されたが、今にして思えば、我々病院団体の調査結果の方が正確であった」とコメント(関連記事はこちら)。

2014年度の消費税対応診療報酬改定、65.3%の病院では消費増税に対する補填が100%に満たない
病床規模の大きな病院ほど、消費増税に対する診療報酬プラス改定の補填率は低い傾向にある
 
 さらに伊藤医法協会長代行は、データ誤りが2014年度の消費増税改定から4年も経過してから明らかになった点に注目し、「元データなども公開し、誰もが検証できる仕組みとしておく必要がある」と提案。例えば、2015年11月に厚労省が検証データを示した際に誤りが分かれば、2016年度の前回診療報酬改定あるいは2018年度の今回診療報酬改定で一定の対応が図られたのではないかと指摘しています。医療機関の経営データであり、すべてを公開することは困難ですが、検証可能性を確保する何らかの仕掛けは検討に値しそうです。

急性期病院では入院基本料と診療単価との差が大きいため、補填不足になったのでは

 また、猪口全日病会長は、「急性期病院では、入院基本料と診療単価(患者1人1日当たりの請求額)との開きが大きい(手術料や麻酔料など)。一方で、精神科病院や慢性期病院では、入院基本料と診療単価の開きが小さい。この差が『急性期病院の補填不足』『バラつき』の原因ではないか」と分析しています(関連記事はこちらとこちら)。来年(2019年)10月に予定される消費増税(8%→10%)に診療報酬改定で仮に対応するとなれば、「病院を、種類別・入院基本料別などに分類し、それぞれにおいて、消費税負担がどの程度発生しているのか(課税経費率などから)を調べ、細かく、丁寧に上乗せ(点数引き上げ)を行っていく」ことが現実的な対応の1つとなることが、猪口全日病会長の分析からも裏付けられます。

病院に対する「過去の補填不足分」を別途、補填せよとの声もあるが・・・

 ところで、山崎日精協会長と伊藤医法協会長代行は、「厚労省の修正データでは、2016年度には1病院当たり314万5000円の補填不足があることが示された。ここから病院全体(2016年度は8500施設弱)で1年間に260億円程度の補填不足があると試算される。さらに2014年度改定以降、現在まで補填不足が続いているので、病院全体で1000億円程度の補填不足になっている」と指摘。この過去の補填不足分1000億円について「病院側への補填を行うべきではないか」とも要望しています。

もっとも、7月25日の消費税分科会では、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室の矢田貝泰之室長が「診療報酬制度では、『不足していたので後から補填する、逆に多かったので国に戻してもらう』といった仕組みとしていない」ことを確認。また、仮に「過去の補填不足分を医療機関等に別途補填する」ことになれば、理論的には100%を超える補填がなされている一般診療所(111.2%)、精神科病院(129.0%)、療養病棟入院基本料算定病院(107.5%)は、「多く補填された分を国に返還しなければならない」こととなってしまいます。「過去の補填不足分を、別途補填する」仕組みの導入には大きな障壁がありそうです。
 


http://www.medwatch.jp/?p=21610
地域医療構想調整会議、本音で語り合うことは難しい、まずはアドバイザーに期待―地域医療構想ワーキング(2) 
2018年7月23日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議では、メンバー間で本音を言いあうことが難しく、議論の活性化に向けた方策が求められる。そのために、例えば「地域医療構想アドバイザー」を養成し、議論のファシリテート役を担ってもらったり、都道府県が事前に具体的な論点整理をしておくことなどをまず進めてはどうか―。

 7月20日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった地域医療構想調整会議の議論活性化に向けた方策の検討が続いています。
 
地域医療構想アドバイザー、7月27日までに都道府県から厚労省へ推薦を
医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。例えば、骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」などの指示が出されています。

地域医療構想の実現に向けては、なんといっても地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で関係者が集い、データを踏まえて率直な議論を行い、納得の上で各医療機関が自主的に機能分化を目指すことが求められます。このためには、「活発かつ率直な議論」が各調整会議で行われることが必要で、ワーキングでは次のような方策によって調整会議の議論活性化を狙ってはどうかといった議論が進められています(関連記事はこちらとこちら)。

(1)都道府県単位の調整会議を設定する
(2)都道府県主催の研修会を設ける
(3)学識者を「地域医療構想アドバイザー」とし、調整会議を支援してもらう

 このうち(1)は、各調整会議(主に2次医療圏単位)の議論の足並みを揃えるために、調整会議の全議長が参画する「都道府県単位」の調整会議を設置するよう努めてほしいといった内容です。

 また(2)は、各都道府県においても、厚労省の研修会・勉強会のような会を主催し、地域の関係者の知識・スキルの向上を狙うものです。

 さらに(3)は、各都道府県において「地元大学医学部の公衆衛生学研究者」などを地域医療構想アドバイザーとして推薦し、厚労省による知識・スキルの水準を高める研修を経た上で、各調整会議の議論を支援することなどを期待するものです。

  
 厚労省は、これらに関連して7月20日のワーキングに、各区域における▼個別医療機関ごとの具体的な対応方針の協議に関する状況(個別医療機関の人員配置や病床機能の状況など)▼基本情報(人口動態、高齢化率、ベッド数、病床利用率、患者の流出入の状況など)▼公立・公的医療機関の状況(再編統合の協議事例も含む)—などを整理した膨大な資料を提示。「2017年における地域の現状」と「2025年における地域の状況予測」を一目で把握し、かつ個別医療機関の状況を詳しく見ることが可能です。

◆厚労省のサイト(以下)から「構想悔いの公立・公的病院等を中心とした機能分化・連携の状況」に関する資料をダウンロードできます。
○その1(北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県)
○その2(群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県)、
○その3(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
○その4(和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県)
○その5(熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
 
  
また、この日は、調整会議の議論が芳しくない沖縄県から状況報告も行われました。沖縄県では、地域医療構想の策定が昨年(2017年)3月に行われ、その後1年間は、関係者への構想内容の周知期間となり、公立病院・公的病院等に関する議論がまだ始まっていません。

沖縄県では、調整会議での議論について「本音を言いにくい」点があると説明。今後、活発化に向けて、公立・公的等の個別医療機関からヒアリングを行い、医療機関の抱える課題などを事前に確認し、協議の素材とする考えなどを示しました。

この点、「本音を言いにくい」状況は、どの構想区域でも同様と考えられます(患者の紹介逆紹介などを行う中では、連携先病院の将来像に疑問を持っても、言いにくいのが実際でしょう)。一方、例えば佐賀県などでは、非常に活発に調整会議の議論が進んでおり、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は「県の担当者が、医療関係者と顔の見える関係を構築するとともに、データ等をもとに詳細に、事前に論点整理を行っている結果ではないか」と分析します。たしかに、「ざっくりとした」データ等を提示された場合、構想会議のメンバーは、どこから議論すればよいのか分からないことになりかねません。上述のデータなども活用した、事前準備が不可欠です。

もっともワーキングの岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「本音を言いにくい状況は、各地域でこの先も続く。なんとか良いアイデアを出さなければ、おざなりな会議で終わってしまうとこも少なくない」と危機感を述べ、皆で知恵を出し合っていくことが重要と指摘しています。

 
ここで、調整会議の議論活性化の鍵を握ると考えられているのが、(3)の地域医療構想アドバイザーです。例えば、「言いにくい」ことなども手伝い、議論が停滞した場合、アドバイザーが口火を切ったり、メンバーに話を振ったりするなど、いわば、会議のファシリテーターとして機能することが期待されるのです。

各都道府県では7月27日までに、アドバイザーの推薦書を厚労省に提出することが求められます(多数の調整会議を1人のアドバイザーで担当することは難しく、複数人の推薦が待たれている)。義務ではありませんが、調整会議の活性化に向けて多くのアドバイザーが誕生することが期待されます。この点、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「都道府県医師会の事務局や、都道府県の保健医療担当部局員もアドバイザーとして推薦すべき。医師に限るべきではない。地域の実情と地域医療構想をきちんと理解している人材が求められる」と指摘し、多様な人材の参画に期待を寄せました。
 



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072601334&g=soc
病院の補助金減額へ=地域枠学生の条件外採用-厚労省 
(2018/07/26-21:56)時事通信

 厚生労働省は26日、地域医療従事などを条件とした「地域枠」で大学医学部に入学した学生を、他の地域の病院が研修医として採用した場合、病院の補助金や研修医の採用枠を減らす方針を決めた。同日の医道審議会の医師臨床研修部会に案を示し、大筋で了承を得た。来春の採用から適用する見通し。
 地域枠は、地域医療に従事する医師の養成を主目的に学生を選抜する。都道府県が奨学金を貸与し、地域内の医療機関に一定期間従事した場合、返還が免除される例が多い。2017年度の医学部入学定員9420人のうち、地域枠は17.8%の1674人を占める。
 しかし、奨学金を返還して地域枠を「離脱」し、地域外の病院で研修医になるケースが見られる。18年度開始の臨床研修では、地域枠の学生805人のうち、9人が地域外で研修している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/618863
シリーズ 医師臨床研修部会
「地域枠離脱者」採用病院に公開ヒアリング、臨床研修部会
「制度を破壊する」「大学、国立病院に驚きを禁じ得ない」
 
レポート 2018年7月27日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は7月26日、2018年度から臨床研修を始める新卒医師で、従事要件があるにもかかわらず、地域枠を離脱した地域枠制度利用者を採用した9病院に公開でヒアリングを行った。構成員からは「制度の根幹を揺るがす」「奨学金を返済すれば良いというものではない」「大学病院や国立病院機構が含まれているのは驚きを禁じ得ない」などと、厳しい指摘が相次いだ(資料は厚労省のホームページ)。

 厚労省では地域枠離脱学生への対応を進めており、2017年度からマッチング参加病院に対して、地域枠学生一覧を送付したり、地域枠かどうかの確認をすることなどを求める通知を発出したりするなどしている。

2018年開始地域枠研修医、1.3%が離脱

 2018年度開始の臨床研修において、地域枠学生の採用結果について調査したところ、都道府県が認識している地域枠制度利用者(以下、利用者と表記)805人だった。そのうち初期研修での従事要件がある利用者は764人。そのうち要件に従って研修しているのは702人(従事要件対象者764人を分母として91.9%、以下同様)、従っていないのが62人(8.1%)だった。地域枠非離脱者は52人(6.8%)で、内訳は国試不合格者41人、卒試不合格者9人、既卒(病気療養中)1人、無期停学1人だった。

 地域枠離脱者は10人(1.3%)で、そのうち1人は2年連続不合格で対象から外れた利用者。問題となったのは、残りの9人だった。厚労省の調査による、離脱に関する事情は以下の通り。

■病院側の採用理由
・本人から地域枠離脱について申告があったため(7人)
・地域枠であることが確認できなかったため(1人)
・制度の誤認識のため(1人) 

■本人の離脱理由(都道府県への申告)
・自己都合(希望する研修、実家、結婚等)(7人)
・健康上の問題(2人)

■地域枠の離脱時期
・採用決定前に離脱(3人)
・採用決定後に離脱(6人)

 9人を採用した病院に対してヒアリングを実施した。各病院の説明は以下の通り。※ヒアリング順

愛媛生協病院(愛媛県)
 定員2人の採用を予定していたが、1人が国試不合格となった。空き枠に対して、2018年3月に当該学生から「研修先が決まっていないので4月から研修させてほしい」と電話があった。大分大学を卒業後、1年間国試浪人をしていた。父方の実家が愛媛県にあり、研修は愛媛で希望していたとのこと。他の愛媛県内の病院を受験していたが、アンマッチだった。大分県の地域枠であったが、本人は「大分県担当者とは早いうちから相談をしていたが、国試を合格しないと話が具体的に進められなかった。合格後に地域枠離脱の了承を得た」と説明した。以上を聞いた上で、3月に採用試験を実施し、採用となった。3月27日に大分県の担当者に直接確認し、地域枠離脱の証明書を発行してもらった。

いわき市立総合磐城共立病院(福島県)
 2017年7月に申し込みがあった。申込書類には修学資金の借入状況を記載する欄を設けており、そこで地域枠かどうかを判断しているが、「借り入れなし」と記載してあった。面接でも地域枠の話がなかった。マッチングでは15人中4位で登録した。その後、厚労省から地域枠一覧を受け取った。福島県以外の地域枠の学生が申し込むことはないと思い込み、県外の学生には確認を行わず気づかなかった。翌年3月に合格の報告があり、採用した。

熊谷総合病院(埼玉県)
 2017年6月に見学があった。8月に書類提出があったが、地域枠の記載がなかった。9月に行った面接で、「栃木県の地域枠離脱を相談している」との申し出があった。採用枠は6人で、当該学生は優秀であり、奨学金を返済しているとのことで、2位で登録した。10月に大学に地域枠離脱の書類を提出したと報告があり、採用した。

昭和大学藤が丘病院(神奈川県)
 産婦人科、小児科キャリアパス支援プログラムは4人が定員だったが、1人が国試不合格で空いていた。2月に当該学生から希望があった。本人から富山大に地域枠の推薦で入学し、富山県の従事要件、返済義務があることを伝えられた。本人から、「富山県内のマッチングが上手くいっていない場合は、他県でも問題ないと説明を受けた」と説明された。大学から都道府県に照会はしなかった。

日野市立病院(東京都)
 採用枠2人。当該学生からの書類では、地域枠であることは確認できなかった。地域枠の学生が応募してくるとは考えていなかった。4人の応募があり、面接で当該学生を含めて2人を採用と判断した。厚労省からの一覧で、地域枠であることを知り、その日に富山県庁に確認した。県庁からは「本人とは面談しており、県として了承済み」との回答だった。本人とも電話をし「家庭の都合で東京に戻ることになった。奨学金は返済済みで、大学、県庁とも話し合いをして了承済み」と説明を受けた。

国立病院機構京都医療センター(京都府)
 2017年8月に面接をしたが、当該学生から地域枠という申し出はなかった。厚労省からの一覧で把握したため、院内で対応を検討した結果、マッチング対象にしないと決定し、本人に通知をした。翌日、本人から「滋賀県の従事要件では4年間の猶予がある」と説明があり、滋賀県に確認したところ「県外で受験することは制限していない」とのことだった。非常に優秀であり、マッチング上位で登録した。その後、12月に近畿厚生局に相談したところ、「文書の形で残すべき」とのアドバイスを受けた。再度、滋賀県に要請したところ、「初期研修は猶予に入っていない」と判明した。その結果、本人と県で話し合いがあり、最終的に修学資金を返還するため「やむを得ない」と判断したと聞き、採用に至った。

近畿大学医学部奈良病院(奈良県)
 近畿大は本院が大阪、分院が奈良県にある。当該学生は8月に面接した。マッチング登録後に地域枠一覧が送られてきて、そこで地域枠であることを初めて知った。大阪府の地域枠であり、本人に「奈良県での研修は困難」と伝え、大阪府にも連絡をした。大阪府から「奈良県で研修するなら全額返納してもらう必要がある」と言われた。本人に県と相談するように伝えた。その後、本人が本院での研修を熱望し、奨学金を返済したので採用した。本人のバックグラウンドだが、当該学生は地域枠に申し込んだ時点では、大阪府で産婦人科医を目指していた。当該学生の父は耳鼻科を開業しており、当該学生の弟、もしくはいとこが継ぐ予定だったが、2人とも医師になる見込みがなくなり、当該学生が耳鼻科を継承しなくてはならなった。耳鼻科の臨床実習を奈良病院で行っており、それで分院を強く希望した。

太田記念病院(群馬県)
 当該学生は群馬県出身、高知の大学に進学した。当初から臨床研修は群馬県を希望した。5年生の夏に、見学に来た。6年生でも2回見学が来た。3回目の見学時に話したところ、「高知県の担当から問題がないと言われている」と説明があった。今回の厚労省からの連絡を受けて、2018年7月に本人にヒアリングをしたところ、「県庁や医学部長、地域医療担当教授の了承を得ている」と説明があった。

神戸掖済会病院(兵庫県)
 当該学生は2次募集の学生。最初のマッチングでフルマッチではなく、2次募集をしたところ、問い合わせがあった。電話をした際に、「地域枠の学生だが、離脱するので受験したい」と説明があった。こちらからは「それが確定しないといけないよ」と伝えた。10月に再び連絡があり、「高知県と話し合いを行い、地域枠を離脱した。在籍する兵庫医大にも相談したところ、良いと言われた」と説明があった。

桐野座長「地域枠が破壊される」

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「『お金を返したからいいのでは』という回答が多すぎる。道義的責任を問うべき。(地域枠の) 推薦枠で医学部に入った人もいる。(一般試験なら)合格点に達していない人がいる可能性もある。明らかに不公平である」、順天堂大学学長の新井一氏は「国立病院や大学病院が受けいれるのは驚きを禁じ得ない。原則論としても何らかの介入が必要だと思った」などの厳しい指摘が相次いだ。

 和歌山県立医科大学理事長・学長の岡村吉隆氏は「制度の整備が必要だが、根本的には地域枠学生がルールを守らないことがあり、それを受け入れる病院がある。9つの病院のホームページを見たが、どこも地域医療の重要性を言っている。しかし、それぞれの先生が言っているのは自分の地域のこと。日本全体を考えてほしい。個々の例を見ると確信犯。”犯”と言っていいか分からないが。病院へのヒアリングでは、大変優秀な学生という意見があったが、倫理観から見たら最下位であり、考えてほしい」と病院側の対応を問題視した。座長の桐野氏も「金を返せば良いという風潮が広がると、地域枠が破壊される」との危惧を示した。

 構成員にはその場限りで、個別の理由を記した紙が配られた。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「『精神科の診断書がある』とあったが、いい加減な精神科医もいるのでそれだけでは理由にならない」と指摘。公開ヒアリングについては「これも一つの抑止力として働く。9人は微妙な数字。大きく増えていく可能性もあるのでちゃんとした対応が必要」と強調した。

 横浜市立大学附属病院長の相原道子氏は「不謹慎かもしれないが、離脱者1.3%でこんなに少ないのかと思った。地域枠の制度はそれなりにちゃんと動いたのだと思う」と指摘。地域枠の在り方を巡っては、岡本氏は「一般枠の学生にとって、地域は彼らに任せればよいとなると良くない。地域枠の魅力づくりも必要」、社会医療法人財団董仙会理事長の神野正博氏は「一般枠で地域に残る学生にメリットがあるべき」と提案した。

都道府県「法的に阻止できず、道義的責任を」

 9人の離脱者に関連した都道府県からの意見の一部は以下の通り。

・離脱に関しては、県と貸与者とは民法に基づき金銭貸借契約を結んだ関係にすぎず、償還の意思があれば法的に阻止することはできず、認めざるを得ない。一方、地域枠で入学した事実は変わらず、その道義的責任は問われるべき。

・県および大学からの問いかけに対して非常に攻撃的な態度を取り、時には県および大学の発言を隠れて録音するなど、信頼関係が崩壊している状況が続いた。

・推薦入試であったため、出身高校に対して地域枠の趣旨を理解して推薦してほしい旨の文書を送付し、出身高校からは推薦を取り消す処理をしたこと、今後、このようなことがないようにするとの謝罪があった。

地域枠離脱者採用病院にペナルティ

 厚労省は地域枠離脱者対策として以下の3つを論点として提示した。

(1)地域枠で入学している者について、県や大学がその地域枠の従事要件からの離脱に合意していない場合には、地域枠制度の趣旨や地域医療の安定的確保を尊重する観点を鑑み、臨床研修病院等が趣旨に反した採用をすることは望ましくない旨を周知することについて、どう考えるか。

(2)上記取り組みにも関わらず望ましくない者に対して、希望順位登録や二次募集等における採用を行った臨床研修病院については、医師臨床研修部会でのヒアリングを行った上で、必要に応じて補助金の減額、採用人数の減員または指定の取り消しを検討することについて、どう考えるか。

(3)地域枠の従事要件からの離脱が行われていない研修希望者に対して、臨床研修病院が誤って希望順位登録を行うことができないようシステム等改修を行うことについてどう考えるか。

 いずれも了承された。(1)については近く通知を出す。(2)と(3)については、2020年度研修開始の採用において実施していく方針を示した。



https://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20180728-OYO1T50009.html
72医療機関、建物被害…西日本豪雨被災3県
2018年07月28日 読売新聞

 西日本豪雨の被災地の広島、岡山、愛媛の3県で、少なくとも72の医療機関が浸水や土砂崩れによる建物の被害を受けていたことが、各県などへの取材でわかった。補修や再建、高額な医療機器の買い替えが必要なケースも多く、厚生労働省は被災地の自治体に医療機関の被害実態の詳細な調査を指示した。

 読売新聞が3県や各県の医師会などに取材したところ、水や土砂が流入した医療機関(病院、診療所)は、広島県で29施設、岡山県14施設、愛媛県29施設。一部は今も休診中で、復旧のめどが立たないところもある。

 厚労省は、3県からの報告を基に計87医療機関が被災したと発表した。だが、一時的な停電や断水だけで、すぐに診療を再開できた施設を含む一方、入院機能のない診療所は調査の対象外で、「被災の全容はつかめていない」としている。

 岡山県では、川が氾濫した倉敷市真備まび町で、地域の2病院10診療所のうち1病院を除く医療機関が浸水被害を受けた。まび記念病院では約1億円の磁気共鳴画像装置(MRI)や数千万円のコンピューター断層撮影装置(CT)が水没。敷地内に止めた検診車で外来診療や薬の処方などを続けており、村松友義院長は「地域の中核を担うべき医療機関が機能を失い、強く反省している」と唇をかむ。

 同県新見市では診療所が土砂崩れで倒壊。高梁たかはし市と矢掛やかげ町でも各1診療所が浸水した。

 広島県では、三原市の本郷中央病院1階が医療機器とともに水没し、建物の大規模改修が必要。東広島市の県立病院でも電気設備が壊れた。愛媛県では大洲おおず市の20施設が浸水するなどした。



  1. 2018/07/29(日) 06:44:32|
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7月15日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/615477
シリーズ 医師の働き方改革
「医師の労働と自己研鑽」、線引きの指針作成へ、全自病
今夏を目途、働き方改革や新専門医制度など4つが「重要課題」
 
2018年7月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国自治体病院協議会は7月12日に記者会見を開き、この6月に新たに会長に就任した小熊豊氏は、「変革の荒波が強く、自治体病院も苦しい状況に陥っているが、荒波に負けず、一歩一歩進んでいきたい。医療政策自体にはさまざまな課題があるが、しっかりと取り組んでいかなければならない」との抱負を述べた。全自病は、地域医療構想、医師確保・医師偏在解消、医師の働き方改革、消費税制度の改善――の4つの重要課題を中心に取り組んで行く方針。

 医師の働き方改革について、小熊氏は、「国の判断が出るのはまだ先になると思うが、自治体病院としてどう考えて、どのように対処していけばいいかを会員病院に提示できるような形でなるべく早く対応していきたい」と説明。具体的内容については、担当副会長の望月泉氏が説明。「医師の労働時間については、労働と自己研鑽をいかに切り分けるかが課題」と指摘し、その切り分けについて全自病では現在検討を進めており、考え方を整理し、ガイドライン的なものとして公表する予定だという。早ければ8月中にも取りまとめ、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」にも参考資料として提出する予定だ。

 小熊氏は会見で、自治体立病院を取り巻く環境として、「全自病の会員には、大都市の大きな病院と、地方の中小病院があるが、全体では200床以下が約半数。その上、政令指定都市と地方の拠点地域以外にある病院が約8割であり、これらの病院が大変な半面、大都市の自治体病院はその役割、存在意義が問われている」などと述べ、少しでも問題解決につなげていきたいとした。

 続いて副会長の原義人氏が、公明党の「自治体立病院対策推進プロジェクトチーム」について説明。この6月と7月に開催され、全自病として、先の4つの重要課題について考え方や要望などを述べたという。

 望月氏は、日本医師会が主導となり進めた「医師の働き方検討会議」のメンバーでもある(『松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」』を参照)。同提言について、「勤務医の環境を良くしたい一方、医療の質を落とさないという、両方のバランスが重要という視点からまとめたもの」と説明し、今の労働基準法が成立したのは1949年(昭和24年)であり、宿日直の定義は実態にそぐわないことから、今の病院事情に合った形で制度改正を行う必要性を指摘。

 さらに医師の労働時間と自己研鑽の切り分けも問題になるとした。「病院の中にいる時間が、全て労働というわけではない。若い医師ほど自己研鑽をしている。その辺りの切り分けをどうするかが課題」と述べ、両者の切り分けの例示なども交え、ガイドライン的なものの作成を進めていると説明した。「これら二つの課題の根底にあるのは、医療の質を落としてはいけないということ。そのためには、良質の医師を育てていかなければならず、こうした視点も重要」(望月氏)。

 新専門医制度「東京一極集中をさらに助長」

 新専門医制度について、原氏は、(1)東京一極集中をさらに助長、(2)診療科によっては既に深刻な影響、(3)期待された総合診療専攻医は184人(全体の2%)――が問題であると指摘した。「総合診療専門医については、スタートが遅れたことが影響しているのかもしれないが、われわれとしてはもう少し今後は増えてくる必要があると考えている」(原氏)。

 これらの課題解決に向けて、前全自病会長の邉見公雄氏が、日本専門機構の理事になっていることから、邉見氏を通じて働きかけていく方針。小熊氏は、「邉見氏は、医師の偏在解消に向け、シーリングの在り方など、直すべきところは直すべきと提言していくという。われわれはそれをサポートしていく」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/615193
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」
日医主導「医師の働き方検討会議」の意見書を説明
 
レポート 2018年7月11日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は7月11日の定例記者会見で、日医主導で開催した「医師の働き方検討会議」がまとめた意見書について説明し、「改革するべきはまず改革することが前提。医師に合った制度自体を検討するという発想だ」と基本的な考え方を述べた。時間外労働の上限設定については、「過労死ラインで設定すると、現時点では対応が難しく、地域医療が崩壊し、命を救える患者も救えない状況になる。過労死ラインを超えたような働き方も認めていただきたい」として、過労死ラインにとらわれない設定を慎重に検討する必要性を訴えた(関連記事は『時間外労働「医師の特別条項」など提言、日医主導会議』を参照)。

 意見書は次の13の項目で構成。まとめとして、「現行法令の枠に拘らない柔軟な議論を」と結んでいる。

  1 医師と医療の特殊性
  2 医師の健康確保対策
  3 医師の自己研鑽
  4 医師の宿日直
  5 院外オンコール待機
  6 長時間労働是正のための仕組み
  7 医師における専門業務型裁量労働制
  8 研修医等について
  9 第三者機関の設置
 10 女性医師支援
 11 地域住民における医療への理解
 12 労働関連法令の幅広い見直し・医事法制との整合性確保
 13 今後の進め方

上限設定には「非常に慎重な議論必要」

 「長時間労働是正のための仕組み」では、医師の時間外労働の上限について、「医師の特別条項」と、さらに「医師の特別条項の『特例』」を設けることを提言。具体的な時間は盛り込んでいないが、「医師の特別条項」は脳・心臓疾患の労災認定基準(いわゆる「過労死ライン」、発症前1カ月に100時間または2~6カ月間平均で月80時間)を基にし、それを超えざるを得ない場合の「医師の特別条項の『特例』」として、精神障害の労災認定基準(発病直前の1カ月に概ね160時間、または3週間で120時間などこれと同程度の時間外労働)や海外の事例を手がかりとして検討することを求めている。

 松本氏は、社会的な長時間労働抑制の潮流について、「確かにこれを求めるのは厳しいと認識している」と述べた上で、「現実的に医療現場の働き方を考えると、(1カ月の時間外労働が)160時間以上の医師も10%程度、200時間を超える医師も数%いる。どういった健康確保策をすれば、そういった働き方ができるのかも焦点だ」 と指摘。一方で、あまり上限を高いところに設定すると、改革が進まなくなることも懸念されるとして、「設定には非常に慎重な議論が必要だ」と述べた。

宿日直「現実に合わせた働き方、賃金を」

 「医師の宿日直」では、いわゆる「寝当直」に当たる「許可を受けた宿日直」(断続的・監視的労働で労働時間の適用除外)、と「通常業務と同じ宿日直」の間に「中間業務」を設けることを提案。全国医師ユニオンが2017年に実施した勤務医労働実態調査で、宿日直の業務内容が「通常よりは少ない」との回答が47.2%あったことから、試案として、「全拘束時間に占める労働時間が○%の場合に、全拘束時間の25%を勤務時間とし、それに相当する賃金を支払う」ことを示している。

松本氏はこの試案の意図として、昨今は「寝当直」よりは働いているが、通常業務よりは業務量が少ないような勤務の場合にも、全拘束時間分の賃金を支払うことを求められているが、「現状はAll or Noneの考え方になっている。現実に合わせた働き方や賃金もあるのでは、という提案だ」と説明した。当直明け勤務の負担軽減や、勤務間インターバルとの関係でどのような扱いをするかについては、今後の検討課題だとした。

 「医師の自己研鑽」では、「まずは『明らかな労働』と『純粋な自己研鑽』を明確化」した上で、これらの両方の側面を持つ活動の取り扱いについて、研鑽を妨げず、また健康にも配慮した制度を検討することを提案。これらの定義については厚生労働省医政局のガイドラインで明確化することを求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614775
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「緊急的な働き方改革」、実施は大学30.3%、大学以外26.8%
「36協定なし」病院も存在、「危機感を覚える」との指摘も
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は、7月9日の医師の働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の第8回会議で、今年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」についての自主的中間フォローアップ調査の結果を公表した。

 「緊急的な取組」について、院内での検討や具体的取り組みを「実施」したのは、大学病院30.3%、大学病院以外では26.8%、「今後実施を予定」は大学病院55.7%、大学病院以外33.7%。合計で大学病院86.0%、大学病院以外60.5%にとどまった。調査では、法定労働時間を超えて労働させる場合などに必要な「36協定」を締結していなかった病院もあるなど、医療現場での労働基準法への対応、労働環境改善の遅れが浮き彫りになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 構成員からは、「緊急的な取り組みとして打ち出したにもかかわらず、実施したのが3割や2割で満足しているのはどうか。『予定、検討中』などは、誰でも答えられる。(2月から調査時期までの)4カ月経っても、やってないのでは危機感がないと思う。この先、現状維持的になってしまうリスクがある」(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏)などと問題視する声が上がった。 

 調査は5月28日から6月11日にかけて、厚労省から、医療関係団体(全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、全国自治体病院協議会)を通じて、全国の病院管理者を対象に実施。調査対象は大学病院122件、大学病院以外が1071件。「緊急的な取組」は、以下の6項目(『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。全病院を対象としたフォローアップ調査は、今年10月頃に実施予定。

「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」
(1)労働時間管理の適正化
(2)「36協定」の自己点検
(3)既存の産業保健の仕組みの活用
(4)タスク・シフティング(業務の移管)の推進
(5)女性医師等に対する支援
(6)医療機関の状況に応じた取り組み

 (1)の「労働時間管理の適正化」のうち、「客観的な在院時間管理方法等の導入」は、「従前より実施している」病院(大学病院50件、大学病院以外565件)がある一方、いまだ導入していない病院のうち、「緊急的取組を受け導入」(同7件、同32件)は1割に満たず、「導入を予定または検討中」(同63件、同319件)、「導入の予定なし」(同1件、同102件)が大半で、病院による開きは大きい。

 「36協定等の自主点検」についても、「既に適正に適用しているため、自主点検の必要なしと判断」した病院(大学病院27件、大学病院以外296件)がある一方、それ以外の病院のうち、そもそも「未締結であったために、新たに締結・届出をした」(大学病院6件、大学病院以外22件)病院が存在した。

 タスクシフティング、一定程度進む

 医師の働き方改革では、医師の業務の看護師等へのタスクシフティングなども重要なテーマ。「緊急的な取組」にも盛り込まれており、その実施状況を見ると、10項目のうち、大学病院では最も多いのは「静脈採血」で122件中、116件、次が「静脈採血」で115件。一方、最も少ない「初診時の予診」でも42件。大学病院以外では最も多いのは「静脈採血」で1071件中、976件。最も少ない「診断書等の代行入力」でも497件であるなど、タスクシフティングは一定程度、進んでいる現状が分かった。

 「女性医師等の支援」について、「推進の予定なし」が大学病院3件、大学病院以外21件という結果に対しては、青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏が、「まだまだ必要な部分と改めて感じている」と述べ、管理者と現場レベルでそれぞれ何が障壁になっているかについて意見を聞く必要があると指摘した。

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は、調査結果を踏まえ、「こういう労働環境で医療が成り立っていることをまず理解いただければと思う」と述べるとともに、「一部、あまり考えてない方々もいるかもしれないが、恐らくは大多数はやりたくてもできない、身動き取れないという状況で、次の一手が打てない、ということもあるだろう」と理解を求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614699
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
大学病院の臨床系教員は「裁量労働制」を
2019年度概算要求見据え、国立大学附属病院長会議が要望公表
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信大西裕康(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は7月9日の記者会見で、国の2019年度予算概算要求を念頭に置いた要望として、「大学病院の臨床系教員に対する裁量労働制の適用」を含む計6項目を公表した。同会議の常置委員長を務める山本修一氏(千葉大学医学部附属病院病院長)は、「関係者への説明を始めている」と説明した。

 要望事項は下記の6項目。

 (1) 国立大学附属病院の機能維持と事業の継続性確保
 (2) 大学病院関係予算の確保・充実
 (3) 消費税補填不足に対する抜本的な対応
 (4) 地域医療構想の実現に向けた財政支援
 (5) 大学病院の医療安全等の強化に向けた支援の充実
 (6) 大学病院の臨床系教員の働き方改革

 (6)では、臨床系教員への裁量労働制適用のほか、「客観的な勤怠管理の仕組み導入」「職員の健康管理の徹底」「タスク・シフティングの推進にかかる支援」を挙げた。(4)では、大学病院が地域の拠点としての機能を維持・充実させるため、地域医療構想の実現に向けた積極的な取り組みに対する財政的な支援を要望。(5)では、医療安全管理を専門とした医師などを安定的に確保するための仕組みやサポート体制の構築を求めた。

 (1)には2004年度に国の管理から国立大学法人へと移行した際に承継した、債務に関する財政措置や大学病院の借入金償還額に対する財政支援を盛り込んだ。(2)では、減額傾向にある運営費交付金について、「病院機能強化分」として充実を図るよう要請。(3)では2019年10月に消費税率10%への引き上げが予定されていることを取り上げ、「特定機能病院に対する診療報酬による適切な評価」や「非課税還付などの仕組み導入」「消費税補填不足の解決に向けた抜本的な対応」の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614698
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
国立大学病院の借金返済、2020年度に滞る?
「今そこにある危機」、国立大学附属病院長会議が試算公表
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信大西裕康(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は7月9日の記者会見で、国立大学附属病院の収益構造が悪化し2020年度には借入金の返済が滞る可能性が生じるとの試算結果を公表した。同会議の常置委員長を務める山本修一氏(千葉大学附属病院病院長)は会見で、「冗談では済まない話だ。すぐそこにある危機とわれわれは認識している」と述べた。より具体的なシミュレーション結果などをまとめ次第、文部科学省などの関係省庁や国会議員などに説明する機会を求める考え。

 試算では、全45病院(歯科系2病院、研究所附属の1病院を含む)における借入金の実績に基づき、機能を維持するための借入金見込み額、毎年度の収支差額から投資などに使うことができる資金として「経常利益と減価償却費」(借入金整備分)などを算出し、借入金償還額の見込み額と比較した。その結果、2020年度の借入金見込み額は600億円で、借入償還額である621億円を下回った。2020年度以降も、2028年度までこの逆転現象が続くとの予測だ(図1参照)。

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図1(国立大学附属病院長会議提供)

 その最大の原因は増収減益傾向が続いている状況だ。各病院が診療の機能強化などに取り組んだ結果として収入が増えている一方、国の運営費交付金は減り続け、高額薬剤の使用や医療材料の上昇などの診療経費が増加、消費税率8%への引き上げによる負担も増している。同日の会見で公表した資料によると、運営費交付金は2017年度が45病院全体で1216億円と2010年度比で183億円減った。2017年度の診療経費は、2010年度比1751億円増の7221億円にまで膨らんでいる。

 消費税負担については、8%に上がった2014年度からの4年間で累積748億円が補填不足との試算を報告。山本氏は、「現状のまま10%に上がれば、さらに年間100億円超の負担増になる」と説明。「経営が成り立たないことは明確。抜本的な見直しを強く求める」とも述べた。

2017年度は赤字6病院、3病院は2年連続

 同日の会見では、国立大学附属病院の2017年度決算概要も公表。全45病院中、赤字は6病院で、うち3病院は2年連続の赤字だった。全体の収益は1兆3006億円(前年度比422億円増)、人件費、診療経費、教育研究費などを合わせた支出は1兆2710億円(同439億円増)、経常利益は296億円(同18億円減)。

働き方改革で人件費増を懸念

 人件費については、医師の働き方改革に関する結論次第で増加するとの懸念を表明。山本氏は、医師の労働時間に関する規制について、2019年3月までに結論が出ることに触れつつ、「正直、現状は十分に(残業代など)その辺りが手当てできておらず、客観的な勤怠管理ができているとは言えない」と指摘。その上で、「現状の診療内容を維持しつつ、労働時間規制を守るとなると、医師を増やさなければならないなど、人件費の増加要因の方が多くなるのではないかと懸念している」と述べた。

 国立大学附属病院における人件費は、2017年度が4900億円と2010年度比で1095億円増。一方、収益に占める人件費率は2017年度が44.4%と、2010年度比では0.4ポイント減になるなど、ほぼ横ばい状態が続いている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614502
倉敷市のまび記念病院、患者・職員ら救出完了、西日本豪雨
DMATは81隊が展開、9日午前5時時点
 
レポート 2018年7月9日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 西日本豪雨について厚生労働省がまとめた7月9日午前5時時点 の被害状況によると、岡山県倉敷市真備町のまび記念病院が一時は孤立状態にあったが患者は他院へ転送、職員と住民も全員が救出された。その他、長崎、京都、福岡、広島、愛媛の各府県で医療機関に被害が出ている。

 DMATは岡山、広島、兵庫、高知、島根、鳥取、愛媛、香川、徳島、福岡、山口の11県で81隊が活動、または移動中。全日本病院協会によると、全日本病院医療支援班(AMAT)は先遣隊が岡山県に2チーム、愛媛県に1チーム入って情報を収集し、後続隊派遣の必要性を判断する。日本医師会のJMAT(日本医師会災害医療チーム)に対しては、岡山県から9日に派遣要請があり、今後派遣を検討する。

 その他の主な被害状況は次の通り。

◆医療機関
岡山県:倉敷市のまび記念病院で停電、断水、ガス停止、電話不通、床上浸水。患者、職員、避難住民は救出、転院を完了。
京都府:亀岡市の1診療所で床下浸水があるが、診療可能。1病院が冠水のため孤立していたが、道路が開通し解消。
広島県:1病院で水が不足したため1人を転院搬送。1病院で停電があるが自家発電機で対応中。27医療機関で断水があるが、うち15医療機関で貯水槽により対応中。
愛媛県:1病院で停電があったが、1病院は電源車で対応中。1病院で停電があったが復旧、水不足に対し応急給水手配中。2病院で職員不足があり、診療支援のためDMATを派遣。

◆精神科病院など
広島、岡山両県でDPAT(災害派遣精神医療チーム)調整本部設置。
広島県:広島市の1病院で床上浸水、患者を別棟に移動、診療可能。1病院が河川氾濫で周辺道路が浸水したが、孤立状況ではなく、給水等の支援を受けているところ、7日に念のため4人の患者をDPATが別の病院へ搬送協力。病院被害なし。
岡山県:高梁市の1病院で断水、応急給水で対応、9日以降に食糧不足の懸念があったが、他病院から救援物資などを受け、数日は心配なし。医療的な問題なし。



https://www.m3.com/news/iryoishin/615608
「岡山・真備の医療が壊滅状態」、松山・岡山県医師会長
被災者健康支援連絡協議会、「平成30年7月豪雨」受け開催
 
レポート 2018年7月13日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会をはじめ、医療関係の21組織(40団体)で組織する、「被災者健康支援連絡協議会」が7月13日、日本医師会館で開催され、岡山県医師会会長の松山正春氏は、「岡山・真備の医療が壊滅状態であり、いかに復旧して、住民に戻っていただくかが一番の課題」として、全国の関係者に支援を要請した。

 松山氏のほか、広島県医師会会長の平松恵一氏、愛媛県医師会会長の村上博氏が、テレビ会議システムを通じて参加。JMAT(日医災害医療チーム)を日医に要請したのは、今のところ岡山県のみ。ただ豪雨から約1週間が過ぎ、3県からいずれも、避難生活の長期化と暑さに伴う被災者の健康被害を懸念する声が上がり、感染症、DVT(深部静脈血栓症)、不眠への対策や、心のケアなど、多角的かつ継続的な支援の必要性が浮き彫りになった。また医療機関については、建物は使用可能でも、上下水道設備が被害を受け、断水が続き、平松氏と村上氏は、異口同音に「水の供給が最大の優先事項」と訴えた。

 岡山県倉敷市真備町は、「平成30年7月豪雨」で甚大な被害を受けた地域。11の医療機関のうち、精神病院は水の確保に苦慮しているものの診療は可能だが、患者が全員避難した「まび記念病院」と9つの診療所は診療不能の状態だ。真備町の多くの住民も、「12日現在で44カ所、約3600人が避難生活を送っている」(松山氏)ため、11日に日医に対し、JMATの派遣を要請。日医は12日、岡山県医師会による2チーム、他都道府県からのJMAT6チーム、常時8チーム体制で、14日から2週間派遣することを決定した。13日から福岡県医師会のJMATが現地入りし、統括JMATの兵庫県医師会が14日から活動する予定。

 平松氏は、「多くの医療機関は断水による水不足にあるが、懸命の努力により、必要な診療機能は確保している」と説明。広島県医師会によるJMATで今のところ対応しているものの、「避難所生活の長期化に伴い、暑さなどもあり、医療ニーズがどう変化していくか。県内チームで対応できなくなった場合には日医に対応を依頼することもあり得る」と述べた。

 村上氏は、「7月11日の17時時点で、診療所は8施設が断水で診療不能、病院は全て診療可能。おおむね機能回復の過程あるものの、職員の被災に伴う人員不足、上下水道の復旧の遅れがあり、水提供の支援が必要」と状況を説明。JMATについては、愛媛県医師会で対応しており、他都道府県への派遣要請は今のところない見通しだという。

 その他、松山氏は、医療費の窓口負担の対応に苦慮している現状を説明。厚生労働省は7月12日、「平成 30 年7月豪雨」による被災者に係る一部負担金等の取り扱いについて、事務連絡を発出している(資料は、厚労省のホームページ)。

 まび記念病院、患者等329人を救出

 「被災者健康支援連絡協議会」は、2011年の東日本大震災を機に発足。2016年の熊本地震の際にも開催された。今回は「平成30年7月豪雨」を受けての開催で、被災各県の医師会から現状の説明を受けるとともに、厚労省や同協議会の参加団体が現状および支援状況を説明した。

 同協議会の代表を務める日医会長の横倉義武氏は、会議の冒頭、「被災されている方々の生活が1日も早く改善し、より良い生活ができるように関係団体と行政が連携することが必要」とあいさつ。

 松山氏は7月6日からの豪雨の状況を説明。7月7日の午前中に、県内の24の各郡市医師会会長と連絡を取って、被災状況を確認したという。「一部の病院が被害を受けたとは聞いたが、まだ確実ではなく、これほどとは思っていなかった」(松山氏)。その後、まび記念病院が冠水し、孤立しているという情報が入り、透析患者などの搬送のため、DMAT派遣を要請したが、病院にたどり着けず、自衛隊等に救助要請をし、月8日中に搬送を終えた。同じく7月8日に、県医師会内に災害対策本部を設置し、対応に取り組んできたと説明した。

 岡山県医師会としては、JMATを2チーム派遣。「7月12日現在で44カ所、約3600人が避難生活を送っている。確認されていない自主的な避難などもあり、その確認も急がなければならない」(松山氏)。避難所は当初は暑さが問題になっていたが、クーラーの設置が進み、今は避難生活の長期化に伴い、被災者の医療ニーズが変化してきているとした。また避難所にいても、日中は自宅に戻り、後片付けなどを行い、その際に負傷するケースもあるという。医薬品についても最初は「お薬手帳」がなく、服用薬確認に苦労したものの、今は倉敷市保健所に仮設薬局が設置され、災害処方箋調剤に対応している。現在は、冒頭のように「岡山・真備」の医療復旧が課題であるとした。

 倉敷市で病院等を運営、岡山県医師会理事を務めていた日医常任理事の江澤和彦氏は、協議会後の記者会見でまび記念病院と介護老人保健施設「ライフタウンまび」の避難状況を説明した。7月8日の朝の時点で、下記の患者・職員が残っており、住民も病院に避難したため、江澤氏が「病院では、日曜日(8日)で食料と水が尽きてしまい、全員を搬出することがミッションだった」と説明。自衛隊と消防署がボートで患者等を救出しても、ボートから陸路で各病院に搬送する際に手立てがなく、急きょ、各民間病院が持つ救急車なども出動して患者搬送に当たったという。病院の患者は倉敷市内の複数の医療機関に、介護老人保健施設の入所者は、母体の倉敷成人病センターなどにそれぞれ搬送された。7月8日から搬送作業が始まり、「まび記念病院の患者等は8日の午後8時30分頃までに、ライフタウンまびの入所者等は午後3時頃までに全員を救出した」(江澤氏)。

◆まび記念病院からの救出者
・計329人:患者76人、職員25人、避難住民212人、併設のサービス付高齢者住宅入居者等16人

◆「ライフタウンまび」からの救出者
・計75人:入所者54人、職員6人、併設のサービス付高齢者住宅入居者9人、避難住民6人



https://www.m3.com/news/iryoishin/613354
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「時間外上限300時間」報道の国循、勤務実態は!?-小林順二郎・国立循環器病研究センター病院長に聞く◆Vol.1
労災申請に報道、「2回の波」があった
 
レポート 2018年7月8日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 2017年9月に、時間外勤務・休日勤務に関する労使協定(いわゆる「36協定」)で特別な場合の1カ月の時間外勤務の上限を300時間と設定していることが報じられた国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)。批判を浴びたこともあり、同年10月1日付で上限を100時間とする協定を結び直したのだが、では実際に現場の医師の勤務はどのようなものだったのか。院長の小林順二郎氏に聞いた(2018年6月14日にインタビュー。全2回の連載)。

――上限が300時間であれば、時間外勤務がこれに達してしまうことはないと思いますが、100時間とすると超えてしまうこともありうるのではないでしょうか。
 それが、その前後では超えていないのですよ。変化もないです。実はその1年前、2016年7月に看護師がストレス障害で労災申請をしたときに、労働基準監督署がきて、勤務の管理簿と電子カルテのログインの記録にかい離があり、勧告がありました。未払いの賃金は払い、いろいろなことを整理したのです。その前の2年間分の勤務時間を確認して、サービス残業がないかをチェックしなさいということで、一人一人聞き取りをしたのです。対象は全職員、約1700人。

――かい離にはどのような理由があったのでしょうか?
 ログインして放っておいても、自動でログオフされる仕組みになっていなかったのですが、今は15分か30分かで自動的にログオフされるようになっています。当時は医師がログインして放っておいて、ほかの人が操作することもあったのです。

 時間外勤務は、12カ月のうち6カ月は、1カ月当たり45時間以内にしなさいという命令も一緒に出ています。それを受けて超過勤務を見直すと、170時間くらいの人がいました。順番に指導しながら、2017年4月からの平均は11.8時間で、48時間から59時間くらいが一番多いです。今のところ45時間超えは月に2~3人ですね。医師だけの数字ではないですが。それは300時間の報道が出る前からそうです。それは2016年7月に労基署から指導を受けたからですね。

――170時間の方はどのような事情だったのでしょうか。
 これは2016年の7月のことで、医師です。CCUに若い先生がローテーションしますが、救急が終わって、勉強するために残っていた人がそのまま書いているのですよ。それまでは、その分も払っていたのです。逆に言えば、払っていたからサービス残業はありませんでした。一方で、面倒くさいので全然書かない人もいまして、それではおかしいですよね。もう後からは把握できないので、こんなのは駄目ですよと指導して、そういうのはなくなりました。

――そのくらいの時間外勤務で収まるのでしょうか。
 2010年4月に独立行政法人化(2015年4月からは国立研究開発法人)するときに、当直を申請し直さなければいけなかったので(編集部注:労働基準法施行規則第23条「使用者は、宿直または日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によって、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第32条の規定にかかわらず、使用することができる」)、そのときに当直は寝るだけにしなければいけないということで、それではまずいとなって、部署によっては交替性勤務を採用しました。

 あとは、勤務後も院内に残っていた場合、それは翌日までに、業務命令に基づいてやったということで必ず上司にハンコもらいなさいとしました。労基署の指導でも、超過勤務は「これとこれ、こういうものですよ」と但し書きがありまして、それに従ってやりました。それからレジデントや、勉強したい若い人はもちろん、院内にいてもいいけど、仕事をした分は業務命令として、必ず上司の許可を得なさいということですね。

 交替性勤務は、ICUなどで行っています。私の心臓血管外科などは交替制ではないので、オンコールで行っています。緊急で手術が入ったら、オンコールを呼ぶ。電話が来たときには、当直が受けて、ファーストタッチまではやりますが、そのまま手術には入りません。当直の医師がそのまま手術に入るときは、オンコールと当直を交代します。当直がそのままやってしまうと、(診療報酬上の手術料の)加算が取れない。この加算が大きいですよ。休日、時間外、深夜加算で「予定手術前の当直(緊急呼び出し当番を含む)の免除を実施していること(年12日までは実施しなくてもよい)」となって、年12回以上、手術前に当直したら加算を取れないようになったので、それに対応しました。病院全体、全診療科で12回までですからね。うちは、大動脈解離やバイパスがあって、年間1億円近くなるのかな。そこをクリアしないといけないので、前々から対処はしていました。

――診療時間が終わって残って勉強して、その後また何か仕事というケースもあると思いますが、その辺りの管理はどうしていますか。
 手術など記録に残るものであれば、勤務ですよ。自己申告ではありますが、管理者、医長や部長の責任です。管理しなければ、極端に言ったら(時間外勤務が)150時間や200時間になっているのに、身体も休めず学会に行くなんていうのはおかしな話なのでね。

――医師の文化として、働く側も管理者もあまりきちんと考えてなかったのでしょうか。
 そうですね、そういうところがあったのではないかなと思います。そこをきっちりやろうということで、それがもう、(2017年9月に)新聞に載る1年前。早めに労基署が入って、指導を受けていて、300時間が報道されたときには全部片付いていました。後で出ていたら困ったな、逆に良かったなと思います。その2回の波があったのです。



https://www.asahi.com/articles/ASL7B436GL7BUBQU009.html
研修病院指定で医師不足打開? 宮城・登米市の休診問題 
角津栄一2018年7月10日15時00分 朝日新聞 宮城

 医師不足で8月から市立登米診療所の休診を決めた宮城県登米市。現在の3病院4診療所を維持するには、医師確保に加えて、老朽化した施設や医療機器の更新も課題だ。市は病院再編や民間への運営移管なども視野に、事業再建の具体策を模索している。

宮城・登米診療所、8月から休止に 医師確保めどたたず

 「若い医師の受け入れ態勢が整っていなかったことが最大の要因」

 6月市議会の一般質問。診療所の勤務医を確保できなかった原因を問われた市側は、こう答弁した。

 打開策として示したのが、中核病院である登米市民病院を、初期研修医を受け入れる「基幹型臨床研修病院」に指定させること。研修を終えた若手が、勤務先に選んでくれると期待するからだ。

 指定の条件は①年間の新規入院患者3千人以上②基幹型臨床研修病院に協力して研修医を通算2年間以上受け入れ――の2点。昨年度、市民病院の入院患者数は2684人、研修受け入れ実績は14カ月だった。病院事業管理者の大内憲明氏は「来年度中にはクリアできる見通しがある」と述べた。

 ソフト面と同時にハード面の整備も不可欠だ。市医療局によると、医療機器の9割程度が耐用年数を過ぎている。「最新の設備を備えた環境で教育を受けてきた若い医師が、ここで働きたいと思える環境とは言いがたい」と大内氏。

 ただ、病院事業の累積赤字は約150億円を抱え、昨年度決算も約12億円の赤字を見込む。毎年度、一般会計から15億円超を繰り入れているのが現実だ。

 熊谷盛広市長は7月の定例会見で、「今の経営状況では起債も制約を受ける。財源確保について県と相談し、国にも足を運びながら努力したい」と述べた。

「高齢者はタクシー運行を」住民不安も

 登米市は市立登米診療所の休診についての住民説明会も開き、熊谷盛広市長が「医師の配置がかなわず、いったんは休まざるを得ない。何とか再開させたい」と理解を求めた。

 市医療局の千葉勝範次長が①県派遣の診療所長が2年間の期限を迎えたが、後任の配置ができなかった②他病院からの応援診療も医師の心身の疲労が強く、診療自体が成り立たなくなる恐れもあった、などと休診に至った経緯を説明した。

 出席した住民からは「なぜ休診を決める前に意見を聞かなかったのか。医師の確保も協力できたのに」「高齢の患者向けにタクシーの運行を」など、不満や要望が相次いだ。

 6月下旬、診療継続を求める住民の署名約3300人分を市に提出した、登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長は「この地区は交通弱者の高齢者が多い。身近にかかりつけ医がいるからこそ、安心して生活できる」と訴えた。



http://blogos.com/article/311077/
お偉いさんが崩れてる 医師会の理事の発言 若手の先生誰も賛同しない! 
中村ゆきつぐ 2018年07月14日 14:19 BLOGOS

ヤフー記事です。過労死ラインが上限なら「救える患者も救えない」 - 日医、医師の働き方改革に関する意見書を公表。念のため元サイトも。

>松本常任理事は、医師の働き方の実態を踏まえると、「過労死ライン」での上限設定は医療現場が努力しても対応が難しく、医師不足などで地域医療が崩壊する恐れを指摘した。その上で、「命を救える患者さんも救えない状況になる」と訴え、上限を超えることを「特例」として認めるべきだとの認識を示した。意見書では具体的な上限を提言していないが、医師の健康への配慮が必要になる一方で、上限が高過ぎると働き方改革の取り組みが進まなくなることも考えられるため、松本常任理事は、「慎重な議論が必要だ」と述べた。

日本医師会の常任理事というお偉いさんのこの言葉に大きな問題があります。

1 偉い医師でありながら実際厳しい現場で働いている医師の状況がわかっていない
 開業医代表と勤務医との違いはあるのですが、他人を思いやる医師としての能力が?

2 医師も人間であることをわかっていない
 今の地方の医師の現状、仕事がわかっていないのが根本でしょうか。それとも今の利益のため?それとも医師は普通の人間以上に働ける?死亡事故があったことをわかっていない?

3 現状を変える事なく他の若手の医師に患者を助けるために我慢しろという提言しかできていない
 これが自分勝手と思わないことが悲しい。慎重な議論は今までいっぱいやってきたでしょう。で結果は出てるの?

結論として現状を変えるつもりはないという本当常任理事として非常に程度の低い提言です。

医師としてわかる部分はあります。学会準備、医学の勉強、自分の社会的研鑽、病院敷地に残って行う全ての行動を労働と捉えることは間違いだという要素はあると思います。であるからこそ、当直だとか実際の勤務時間外の労働をしっかり定義しそこへの絶対的制限をかけることを提言すればいいのに、今の若手、大病院の医師たちに今のままで我慢しろというのは反発しか生みません。

もちろん記事の内容以外にもきっと話されているとは思います。今回のこの報道に対し医師会のさらなる説明を期待します。

なんか日大とか東京医大とか本当にお偉い人が崩れてます。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201807/CK2018071102000184.html
【群馬】 県北部で医師の負担大 適正配置向け地域医療会議 
2018年7月11日 東京新聞  群馬

 医師不足や地域の医師偏在化が指摘される中、県と群馬大学、県医師会など関係団体が医師の適正配置などを協議する「ぐんま地域医療会議」が九日夜、県庁であった。県の実態調査で、吾妻地域など県北部で常勤医の人数が少なく一人当たりの負担が大きいことや、地域によって勤務医の高齢化や特定の専門診療科の医師不在などの課題が明らかになった。今後、群大が新設する医師や医療機関の相談窓口「ぐんま医療人ネットワーク」などと連携し、医師偏在の解消や人材確保を目指す。 (石井宏昌)

 地域医療会議は三月に発足し、県医師会の須藤英仁会長が議長、群大病院の田村遵一病院長らが副議長。今回が本年度の第一回で、県が群大に委託して県内百三十病院を対象に行った医師勤務実態等調査(昨年四月一日現在、回答百二十六病院)の結果を示した。

 それによると、一般的な入院医療を提供できる二次保健医療圏別で、県内十地域のうち、前橋地域は常勤医が七百七十九人で突出して多く、専門診療科の常勤医も満遍なく分布しているが、吾妻地域は常勤医が五十三人と県内最少で、耳鼻咽喉科、脳神経外科、精神科の常勤医は不在。利根沼田地域も常勤医八十五人と吾妻に次いで少なく、耳鼻咽喉科、泌尿器科、精神科の常勤医が不在だった。他地域でも耳鼻咽喉科や眼科の不在、小児科の受け入れ困難などがあった。

 入院担当常勤医一人当たりの病床数では、県平均九・六床に対し、吾妻地域は一九・三床で、最少の前橋地域七・四床の二・六倍になった。東毛地域でも桐生地域一二・二床、太田・館林地域一一・八床と県平均を上回った。

 県や群大によると、以前は群大医学部が中心になって地域の病院へ医師を派遣するケースが多かったが、近年では大学病院だけで担うのは難しくなっているという。こうした医師不足や偏在などの課題解消のため、群大は学内の地域医療研究・教育センター内に「ぐんま医療人ネットワーク」を設置し、県内で就業を考えている医師や、医師を求める医療機関の相談に対応する。群大病院の田村病院長は「県内で就業するにしても医師によってさまざまな希望がある。単に就職のあっせんではなく、群大医学部と連携することで、医師の意向を踏まえて厚みのある支援ができると思う」と話した。



http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180711000044
災害拠点病院に医師6割出勤できず 豪雨で京都の交通遮断 
2018年07月11日 11時20分 京都新聞

 西日本豪雨では降り始め翌日の6日に、京都府亀岡市以北と京都市を結ぶ交通網がすべて遮断され、地域災害拠点病院に指定されている京都中部総合医療センター(南丹市)の医師の約6割が出勤できない事態となった。京都市在住の医師が多いためで、5診療科が休診を余儀なくされた。被災者は搬送されなかったが、今後の災害対応に不安を残す形となった。住民らは「地元に住んでほしい」と要望するが、同センターは「医師確保に悪影響が出る」と慎重で、地域の医師不足の課題も浮き彫りとなった。

 5日夜から6日にかけ、JR山陰線、京都縦貫自動車道、国道9号老ノ坂峠が不通となり、京都市-亀岡市間の行き来ができなくなった。このため、同センターの常勤医74人中44人が出勤できず、残りの医師で救急や外来患者に対応した。麻酔医も不在で、予定していた手術は見送られた。

 同センターは亀岡市、南丹市、京丹波町が共同設置し、3市町の「南丹医療圏」では唯一の災害拠点病院。幸い南丹医療圏で甚大な被害はなかったが、3カ月ごとに通院している南丹市の松本史郎さん(71)は「地元に住む医師を増やすなどの対応をしてほしいという願いもある」と話す。

 同センターには災害マニュアルがあるが、これだけ多くの医師が通勤できない事態は想定していなかった。このため、マニュアルの見直しに着手し、大雨が予想される場合は病院近くの医師宿舎などでの宿泊を検討している。

 ただ、地元在住の医師を増やすのは難しいという。川野一男事務局長は「『京都、大阪から通勤圏』という点が、医師集めに有利に働いている。地元居住を強制すれば、医師に来てもらえず、地域医療に影響が出る」と頭を抱える。

 また、亀岡市立病院も常勤医15人のうち、2人しか出勤できなかった。非常勤1人を加えた計3人で対応したが、外来診療は中止。救急体制もとれず、2件の受け入れを断った。

 府医療課は「地域の開業医が災害拠点病院へ駆けつけるなど、地元医師会との連携を検討したい」とする。



https://www.hokkaido-np.co.jp/article/208104
京極診療所 無床化検討 町、8月にも結論 常勤医不足、赤字続き 
07/12 05:00 北海道新聞

 【京極】町は、町国保診療所「ひまわりクリニックきょうごく」(19床)について、来年4月からの無床化を検討している。常勤医の1人体制が続き入院患者の管理が難しくなっていることと財政難が主な理由で、8月中にも結論を出したい考え。正式決定されれば町内唯一の診療所で入院ができなくなる。

 同診療所は町国保病院(43床)が2012年に縮小して開業。一時は医師4人体制だったが独立などで退職が相次ぎ、昨年12月からは前沢政次所長が1人で入院患者に対応している。町は随時医師を募集しているが、1年以上応募がない。

 町によると病床稼働率はここ数年35%前後と低迷しており、毎年実質1億~1億5千万円の赤字を町の一般会計で負担している。無床化した場合の赤字額は現在より数千万円減る見込みという。

 こうした状況から町は来年度から診療所を無床化した上で指定管理とし、外部の事業者に新たな常勤医探しを委託することを検討。診療所と町議会、住民でつくる「ひまわりクリニックサポーターの会」には既に検討内容を伝えた。



http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180714000119
唯一の常勤医退任、診療所ピンチ 京都の山間地、後任探し難航 
【 2018年07月14日 22時10分 】京都新聞

 京都府南丹市美山町の美山診療所で1人しかいない常勤医が退任することになり、後任探しが難航している。山間地の医療を守る拠点だけに、存続への危機感を募らせた住民や行政が医師の確保に努力しているが、見通しは立っていない。

 昨年11月に開かれた診療所の理事会で、約15年にわたり常勤医を勤めてきた尾嵜博所長(74)が7月限りで退任する意向を示した。体力の衰えなどで「75歳の誕生日を区切りに」と考えたという。

 美山診療所は、町内にあった民間診療所の閉鎖を受け、旧美山町と医療法人財団・美山健康会が公設民営方式で1999年に建設した。内科や外科、心療内科などがあり、入院用ベッドも備える。

 町内にはほかに週1~3回診察する医療機関が2施設あるが、美山診療所は夜間を含め週6日診ており、町民の半数に当たる約2千人が年1回以上受診している。「高齢化が進む美山町になくてはならない医療機関。住民の命を守る砦(とりで)」。住民でつくる美山まちづくり委員会の大野光博委員長は強調する。

 住民たちは2月に医師確保対策委員会を結成し、診療所とともに市や府などに支援を求めた。町内5地区(振興会)で説明会を開いたり、地元出身の医師に協力を求めたりしたが成果は出ていない。

 確保が難しい背景には、医師の地域偏在がある。10万人当たりの医師数は府全体で314人と全国2位だが、南丹市を含む南丹医療圏では177人で全国平均(240人)を下回る。府医療課は「若い医師は技術を学ぶため、都市部の病院を希望する傾向がある。山間部では家族の生活面なども考慮しなければならない」と話す。

 常勤医の多忙さ、施設運営の難しさも課題だ。尾嵜所長は週6日の診療日のうち、夜間を含めて5日間を担うなど負担は大きい。経営面では昨年度約1700万円の赤字となった。人口減で利用者は年々減少し、今後も見通しは明るくない。

 原龍治事務長は「常勤医を招くには、負担軽減や業務に見合った報酬の再検討に加え、住民に提供できる医療内容の検討も必要」と指摘する。

 市は6月の定例市議会で、医師確保への支援費として、千万円の補正予算を計上した。しかし、市議からは恒常的な支援を求める声が相次いだ。西村良平市長は「診療所の灯を消さないのが最大の目標」として支援に前向きな姿勢を示したが、民営の性格を踏まえ「市民全体の理解を得られる方策を考える」と答えるにとどめた。

 大野委員長は「民営の施設だが、住民も懸命に努力する」と気を引き締め、原事務長も「厳しい状況を乗り越え、地域医療の先進地にする思いで取り組む」と意気込む。

 後任が決まらないため、尾嵜所長は退任を予定していた今月以降も勤務を継続する意向だが、医師の確保は住民が安心して暮らすため、早急に解決すべき課題に変わりはない。



http://www.medwatch.jp/?p=21407
医師の労働時間上限、過労死ライン等参考に「一般労働者と異なる特別条項」等設けよ―医師働き方改革検討会(1) 
2018年7月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師は労働者であるとともに、「患者の生命を守る」責務を負い、またその働き方は極めて複雑・多様である。このため一律の上限規制を設定することは難しく、▼医師の労働時間上限に関する特別条項を設け、過労死ライン等を参考に労働時間上限を設定する▼「特別条項」を超えた労働をしなければならない時期等もあり、「特別条項の特例」を設け、第三者機関で特例の対象としてよいかの承認を得る―といった仕組みを検討する必要がある。

 こういった提言・意見書が、7月9日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」に医療界の統一見解として提出されました(検討会に関する厚労省のサイトはこちらとこちら(参考、日医委員会の答申))。

意見書では、このほかにも「自己研鑽の在り方」「宿日直の在り方」「研修医等の在り方」などについて基本的な考え方を示すとともに、今後、具体的な検討を行うべきと提言しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!

1 医療界の総意として、「医師の働き方改革」に関する意見・提言
2 医師の労働時間、過労死ライン等踏まえた特別条項と、さらなる特例を
3 医師の働き方改革には、「国民の理解・協力」が不可欠
4 労働者サイドからは意見書への疑問や、応召義務の根本的な見直しを求める声も


医療界の総意として、「医師の働き方改革」に関する意見・提言

 安倍晋三内閣が進める「働き方改革」の一環として、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入(改正労働基準法)することになりました。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

 このため、厚生労働省は「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)を設置し、医師の労働時間上限に関する「特例」の設定などに向けた議論を行っており、そこでは、今村聡構成員・日本医師会副会長から「医療界で、新たな労働時間制度(例えば、医療版の裁量労働制のような仕組みが考えられないか)を提案する」考えが示されていました(関連記事はこちら)。

 今般、今村構成員や岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)、馬場武彦構成員(日本医療法人協会副会長)、山本修一構成員(全国医学部長病院長会議「大学病院の医療に関する委員会」委員長、千葉大学病院長)といった医療界の重鎮に、赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)ら現場の医師も加わり、医療界の統一提案と言える「医師の働き方改革に関する意見書」(以下、意見書)が取りまとめられ、検討会に報告されたものです。いわば、今後の検討会論議のたたき台の1つと言えるでしょう。

医師の労働時間、過労死ライン等踏まえた特別条項と、さらなる特例を

 意見書ではまず、▼医師には「学ぶこと」そのものが職業の中に組み込まれている▼医療は個別性・複雑性が高く、治療方針やリスクなどについて、個々の患者・家族に「説明と同意」を行うことが求められる▼医師は、その働き方が厳しくなろうとも、「地域医療の質と量」を維持しなければならない責務を負っている▼「地域医療の継続」と「医師の健康への配慮」とのバランスをとることが求められている―などといった点をまず確認。

 また「学ぶこと」に関連して、医師には日々自己研鑽を行うことが求められていますが、その内容はカルテ作成や地域連携業務など「労働」に該当するもの、学会参加など「純粋な自己研鑽」に該当するもの、さらに論文作成や文献検索など「労働と自己研鑽の二面性を持つ」ものが存在し、この「二面性を持つ業務」をどう取り扱うのか(研鑽を妨げることはできないが、医師の健康にも配慮しなければならない)という重要な課題があることを指摘。

 こうした、一般労働者と異なる「医療、医師の特殊性」に鑑みて、医師の労働を、例えば次のように考えてはどうかと提言しています。検討会の議論の行方によっては、「医師の労働法制」に関する更なる法改正なども行われることになるでしょう。

【労働時間上限の考え方】
 一般労働者では「時間外労働を原則として月45時間・年360時間までとし、特別に月100時間・年720時間までなどの例外を認める」こととされているが、医師について、その特殊性に鑑み、次のような仕組みを設ける
(1)脳・心臓疾患の労災認定基準(過労死ライン、「発症前1か月間の時間外・休日労働が概ね100時間超」「発症前2-6か月間の月平均時間外・休日労働が概ね80時間超」など)を基にした、医師の労働時間上限に関する「特別条項」を設ける(厚労省令)
(2)(1)の「特別条項」を超えざるを得ない場合には、精神障害の労災認定基準(「発病直前2か月間連続して月当たり概ね120時間以上の時間外労働」「発病直前3か月間連続して月当たり概ね100時間以上の時間外労働」など)を手掛かりに、「特別条項の特例」を設け、そうした労働を認めてよいか否かを、都道府県の医療勤務環境改善支援センターや地域医療支援センターを中心とした第三者機関で判断し、承認を得ることとする

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医師の労働時間に関する「特別条項」および「特別条項の特例」のイメージ(その1)

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医師の労働時間に関する「特別条項」および「特別条項の特例」のイメージ(その2)

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医師の適正労働等を担保するために、第三者機関を設置し、そこが監視・支援を行うべきとの提言

【宿日直の在り方】
 現在の宿日直許可基準(1949年の厚生省通知)では、宿日直業務を「病室の定時、検脈、検温」としているが、医師の業務実態に合わず、次のように内容を見直す
▼「許可を受けた宿日直」(断続的・監視的労働で労働時間の適用除外)と「通常業務と同じ宿日直」との間に、「中間業務」を設ける
▼中間業務については、(1)拘束時間のX%(例えば25%)が労働である「中間業務1」は、X%(同25%)を勤務時間とし、相応の賃金を支払う(2)拘束時間のY%(例えば50%)が労働である「中間業務2」は、Y%(同50%)を勤務時間として、相応の賃金を支払う―といった基準、賃金ガイドラインなどを定める
▼各医療機関・診療科が「労働時間等設定改善委員会」(衛生委員会を活用)で中間業務に関する取り決めを行い、労働基準監督署に届け出る
▼都道府県の第三者委員会(上述)で個別医療機関の実態を確認し、適切な運用を担保する(アドバイスを行うなど)

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医師の宿日直と一口に行っても、大きく分けて「通常業務と同程度の業務を行う」ケース、「通常業務はほとんど行わない」ケース、「通常業務を少なく実施する」ケースの3パターンがある
 
【専門業務型裁量労働制の在り方】
 現在、大学病院において▼教授▼准教授▼講師―が専門業務型裁量労働制の対象であるが、「2023年以降、世界標準の教育レベルを公的に認証された医学部卒業者でなければ米国で医療に従事できなくなる」ことを踏まえて、「助教」についても対象に加える
【研修医等の在り方】
 上述の「医師の特別条項の特例」の枠組みの中で、別途、制度を定める

 さらに意見書では、医師の「長時間労働」を是正するための仕組みづくりが、医師の健康確保のために重要であると強調し、例えば「休日、勤務時間インターバル」「連続勤務時間規定」を導入することも提案しています。例えば、医療機関の実情に応じて、A医療機関では「連続勤務の基準時間をa時間と定め、これをb時間超えた勤務を行った場合には、勤務明けから次の勤務に入るまでのインターバルとしてc時間を確保する」といった規定を設け、これを遵守していく仕組みです。
 
医師の働き方改革には、「国民の理解・協力」が不可欠

こうした仕組みを作ることそのものは、議論に時間などは要しますが、それほど難しくはありません。難しいのは、これを適切に運用していくことです。例えば、医師の時間外労働上限を●時間と決めたとしても、患者の家族が「勤め先を抜けられない。インフォームドコンセントの時間は夜9時以降にしてほしい」と要望したり、一部の住民が「平日の日中は外来が込み合っている。夜間の救急外来を利用しよう」などと不適切な行動を続ければ、医師の負担は一向に減りません。責任感の強い医師ほど、患者・家族から、いわば「サービス残業」を強いられることになってしまいます。医師の負担軽減、ひいては地域医療の確保に向けて、我々国民全員が「適切な受診」等を心がける必要があります。

このため意見書では、「各地域の医療事情、医師の勤務実態、医療機関への適切なかかり方について、地域準の理解と協力を得ることが必要。そのための啓発活動に積極的に取り組む必要がある」と指摘。例えば「学校保健や産業保健の活用」(高等学校等で、我が国の医療の現状、それを踏まえた適正受診の在り方などを教育する)などに期待を寄せています。もっとも、国民サイドが過度に反応し、「医療を必要とする人が受診を控える」ことになっては本末転倒であり、保険者か国民へ適切に働きかけることも提案しています。

さらに、こうした制度改革には「財源が必要となる」点にも言及。診療報酬や地域医療介護総合確保基金などでの対応を検討するよう要請しています。

今後、これらの諸課題についてより具体的な検討を行い、可能なものは前倒しで進める(医師に関する働き方改革の施行は2024年4月施行)こと、施行後5年程度で状況を踏まえた見直しを検討すること、なども求めています。

労働者サイドからは意見書への疑問や、応召義務の根本的な見直しを求める声も

この意見書については、7月9日の検討会では具体的な議論は行われませんでしたが、いくつかのコメント・感想が寄せられています。

今般の意見書作成に深く携わった岡留構成員は「医師、医療の特殊性」について、改めて強調。医師の特殊性に十分配慮した労働法制となければ、医師のプロフェッショナリズムを阻害し、「ひいては患者に悪影響が出る」と強く指摘しました。

一方、労働者の立場で参加している村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は、宿日直の在り方などは検討に値するとしたものの、「意見書の方向性には疑問を感じる」と述べました。

また「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の座長も務めた渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は、「医師の健康確保と、地域医療確保は『どちらをとるか』というトレードオフの関係にはない生産性を高めることで、両立可能な部分もある。また、時間外労働については、割増賃金を適切に支払うよう厳しく指導すれば減っていくのではないか」とコメントするとともに、「必ずしも医療の必要性がない人のアクセスをどう制限するかが重要である。意識改革では変わらない」と述べ、応召義務の見直しの必要性を強調しています。

なお、「国民の理解が重要な鍵となる」点には多くの構成員が賛同していますが、「国がイニシアチブをとって周知していく必要がある」(馬場構成員)、「国民の意識改革には時間がかかる。現在、医療現場への労働に関する指導等が行われているが、本末転倒な対応となりがちである。長期の改善計画と、それに向けた支援などが必要」(福島通子構成員・塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士)、「子供の授業参観などには親は会社を休んで出席するので、医療に関しても『診療時間内の説明』などは可能なはずである。有給休暇などをしっかり使えるような意識改革が必要である」(戎初代構成員・東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)といった指摘がなされています。

今後の論議に備えた「ジャブ」の応酬が始まっています。
 


  1. 2018/07/15(日) 10:59:39|
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