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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年6月30日

Google Newsでみる医師不足 2018年6月30日
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First 5 in Google in English 


How Trump's Visa Crackdown Worsens The Doctor Shortage
Forbes JUN 3, 2018 @ 09:15 AM(米国)

"Delays or denials of H-1B visas for non-citizen international medical graduates can have a serious downstream impact on patients’ access to care in both the immediate and near future,” American Academy of Family Physicians president Dr. Michael Munger said. “Community health centers, federally qualified health centers and teaching hospitals rely on medical residents to provide care to thousands of patients each year.”.


Doctor Shortage Leads to Long Wait Times
Iceland Review June 22, 2018 11:00(アイスランド)

The wait time to see a doctor in North Iceland has gotten much longer than it was last year, RÚV reports, with wait times of up to six weeks to see a GP in Akureyri and three weeks in Húsavík. Jón Helgi Björnsson, the director of the Health Care Institution of North Iceland, said the situation is unacceptable, but also that there aren’t enough doctors on staff to meet demand.


How Hope is avoiding the rural doctor shortage
Hope Standard Jun. 1, 2018 1:30 a.m(カナダ、ブリティッシュコロンビア州)

With rural communities facing shortages as doctors retire without anyone to take their place, Hope has found a formula where not only are doctors coming here and staying here, they are also expanding their services up the Fraser Canyon.


Residency Programs, Internet Offer Hope for Doctor Shortage
Keith Davis became Lincoln County's only doctor at the stroke of midnight.

US News June 2, 2018, at 2:01 a.m(米国、アイダホ州)

TWIN FALLS, Idaho (AP) — Keith Davis became Lincoln County's only doctor at the stroke of midnight.
It was a late summer night in 1985, and Davis had recently completed his residency, the last month of it spent working at Shoshone Family Medical Center. The center's lone doctor, Royal "R.G." Neher, M.D., was retiring, and he needed a replacement.
Davis had interviewed at clinics in slightly larger cities in Idaho and Washington. But neither city offered the same opportunity for long-term employment that Shoshone did. So when the clock chimed midnight on Aug. 1, Neher stepped down and Davis took his place.


Medical school numbers must double to combat NHS doctor shortage
June 25 2018, 12:01am, The Times (英国)

In a report for the college, he calculated that rates of part-time working that they said meant a headcount of 15,700 consultant physicians equated to just 14,510 full-time equivalent doctors. He said that a current shortage of 2,330 consultants ...


(他に10位以内のニュースは、米国 、米国・アイオワ州、テキサス州、カナダ・ノバスコシア州、英国、からも)



  1. 2018/06/30(土) 08:50:45|
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6月24日 

https://www.asahi.com/articles/ASL6R2QFBL6RUBQU00J.html
地域医療支える公立病院減少、統合や民間譲渡で存続図る
小西正人、大野晴香、豊平森、北上田剛
2018年6月23日17時00分 朝日新聞

 地域医療を支える公立病院が、愛知県内で減っている。経営難や医師不足の問題が背景にあり、各地の自治体は統合や民間譲渡などで存続を図ろうとしている。

 西尾市は今年1月、碧南市に市民病院の統合を持ちかけた。

 両市民病院とも15年以上赤字が続くが、その性質は異なる。2016年度決算によると、短期的な支払い能力を示す「当座比率」(1年以内に返済しなければいけない負債に対する現金預金の割合)は碧南の125・4%に対し、西尾は20・8%。100%以上が望ましいとされ、西尾市の方が厳しい。「財政的に困り始めている。早く手を打ちたいのだろうと感じた」と碧南市の禰宜田政信市長は話す。

 だが碧南市も単独で市民病院を存続させるのは容易ではない。医師不足が深刻で、3月下旬から消化器内科の診療を制限し、4月には小児外科を診療科目から外した。市の調査でも、現場の医師の悲痛な声が相次いだ。「当直医が少なく、50歳を過ぎても当直をしている」「若い人は辞めていく。今後の医療をどうするか」

 碧南市側は「碧南市内への新病院設置を前提とするなら、統合協議に応じる」と条件を付けている。医師を確保できるなどの利点は認めながら統合に慎重なのは、人口が約2・4倍の西尾市に新病院を「奪われる」ことを心配しているからだ。両市の間には矢作川があり、災害時に渡れなくなる懸念もある。

 県がんセンター愛知病院(岡崎市)は来年4月、岡崎市に経営移管され、岡崎市民病院と機能を再編することになった。両病院とも赤字が続いてきたため、市は統合による経営効率化を見込む。だが市の担当者が気をもむのが、20年4月に市南部に開業する藤田保健衛生大学の新病院の影響だ。診療科は22科、一般病床400床の予定で、「患者を奪われかねず、さらなる経営悪化につながる恐れがある」と心配する。

 病院統合の先進事例とされるのが、15年に東海、知多両市の市民病院が統合した西知多総合病院(東海市)だ。総務省が3月にまとめた「地方公営企業の抜本的な改革等に係る先進・優良事例」に挙げられた。

 統合のきっかけはやはり医師不足で、岡田光史事務局長は「大きな病院にしたことで医師が集まりやすくなった」と説明する。常勤医師は旧2病院の合計65人(14年度末)から77人(17年度末)に。入院患者も1日平均263人から327人に増えた。医師は、医療設備が整っていて指導医が多い病院に集まる傾向があるという。入院患者が多いほど症例も増え、医師の育成にもつながる。

 ただ経営はなお厳しい。16年度決算では9億8千万円の純損失で、17年度決算はさらに増える見通しだという。経費削減のため、専門のコンサルタントを入れて月1億円程度の薬品の仕入れ価格の交渉を始めた。17年度は前年度に比べて約3千万円の節減ができたという。岡田事務局長は「(統合で)市民に質の高い医療を提供できるようになった。入院や手術を充実させて経営を改善したいが、効果が出るには時間が必要」と話す。

 県によると、県内の市町村立病院(一部事務組合などを含む)は08年度に32あったが、現在は26。病床数も08年の1万1507床から昨年は1万580床と、9年間で1割近く減った。

 「医師不足で運営できなくなった」(一宮市の担当者)という旧尾西市民病院など、民間に譲渡される事例が目立つ。現在も半田市と常滑市が病院の経営統合も視野に入れた協議をしており、今後も減少が続く可能性がある。

 県の地域医療構想(16年)によると、民間も含めた人口10万人当たりの県内の病院数は4・4で、全国の6・7より少ない。10万人当たりの病床数も全国の74%にとどまっている。

 地域医療に詳しい内海真・県地域医療支援センター長は「公立病院の多くは医師不足が深刻で、解決策の一つに統合があるのは間違いない。ただ効率的な運営が求められる民間病院の方が患者へのサービスが良くなる場合もあり、公立病院が減ることが一概に悪いとは言えない」と指摘。「今後は私立の大学病院などを含め、地域事情に合わせた病院間の連携を深める必要がある」と話している。



https://mainichi.jp/articles/20180620/ddl/k44/040/264000c
中津市民病院
救急と重症に特化 休日・夜間、医師不足深刻で /大分

毎日新聞2018年6月20日 地方版 大分県

 県北部3市や福岡県豊前市など人口24万人をカバーする医療圏で中核的な役割を担う中津市民病院(中津市下池永)が今月から、高次救急対応病院となった。今後、原則として救急搬送患者のほか、他病院から紹介を受けた重症患者のみを受け入れる。医療体制の中で“格上げ”された格好だが、その背景には、深刻な地方の医師不足の問題がある。【大漉実知朗】

 特に変わるのは、中津市の休日・夜間の救急医療体制だ。これまで、医師会が当番を決めて診療に当たる当番医のほか、市民病院を含む七つの救急病院に定められた病院(救急告示病院)が連携して対応していた。今後は、救急車で直接運ばれる重症急患を除けば、まず当番医と市民病院を除く6病院で受診し、対処が困難な場合だけ市民病院で診療することになる。

 体制変更の大きな理由は、市民病院に休日・夜間の患者が集中していたことだ。全ての救急患者に対応するのは困難な状況に陥り、市民病院の医師も疲弊していたという。このため、市や市医師会などと協議。市民病院は症状が重い患者に対応する2次、3次救急に専念することにした。

 地方では、病院勤務医の不足が深刻化している。勤務が自由で患者も確保できる都市部の病院の人気が高く、地方病院に勤務する医師が少ない傾向があるという。医師数が不足しているため、当直など長時間勤務を強いられ、辞める医師も多く、病院側は医師の確保が難しいのが現状だ。

 一方で、患者は「大きい病院の方が安心感がある」という心理が働きがちだ。市などは軽症の場合は診療所でも十分対応できるとして、可能な限り住居に近い医療機関を受診するよう勧めている。市内では開業医の高齢化も進んでいるといい、特に救急告示病院が地域医療を支える重要な位置づけとなる可能性がある。

 市民病院の是永大輔院長は「救急告示病院が1次救急診療の役割を持ち、市民病院は2次、3次救急に専念したい。救急医療の機能分担を明確にし、地域医療体制を支えたい」と話す。ただ、「腹が痛い」と駆け込んでくるなどする患者について、重症と軽症の区別をいかにつけるか。また、市外からの急患をどこまで受け入れるか。課題は多く、今後も医師会や周辺自治体との協議を続ける。

 市民病院は1969年に国立中津病院として開設。その後、市に移管され、2012年に建て替えられた。病床数250、医師は42人。昨年度の救急車搬送は2250台に上る。市内の救急告示病院は、酒井病院▽中津胃腸病院▽梶原病院▽川嶌整形外科病院▽中津脳神経外科病院▽松永循環器病院。



https://mainichi.jp/articles/20180621/ddp/041/040/024000c
当番医「強制」に異議 医師会を提訴 大分・津久見
毎日新聞2018年6月21日 西部朝刊 九州

 医師不足などで夜間や休日に救急患者を診療する「在宅当番医制度」を巡り、大分県津久見市の男性医師が当番医への参加を強制する市医師会決議の無効確認を求め裁判を起こす事態になっている。男性医師は「当番医制度は必要だが強制は行き過ぎで、診療行為の自由を侵害している」と主張するが、市医師会は「決議は地域医療を支えるために必要」と反論。背景には地域医療の危機的状況があり、医師確保など早急な対策が求められる。

 訴状などによると、40代の男性医師は2016年8月、市医師会に土曜夜間の当番医の報酬増額を求めたが応じてもらえず、同年12月の土曜夜間の当番を拒否した。市医師会が当番医を強制する規定を決議すると男性医師はさらに反発。17年10月以降の全ての当番を拒否し、市医師会は男性医師を戒告処分とした。男性医師は今年2月、大分地裁に提訴。市医師会側は請求棄却を求めて争っている。

 市医師会は平日・土曜の夜間と日祝日の日中に当番医制度を導入しており、単科医院などを除く10医院の医師で当番医を振り分けている。報酬は平日・土曜7000円、日祝日8500円。市医師会の担当者は「都市部と比較して会員数は少なく当番医を回すのが窮屈な状況が続いている。協力を得られるよう引き続き努力したい」と危機感を示す。

 男性医師は「医師1人で当番医をせざるを得ず、医療事故のリスクが高い」「看護師ら医療スタッフを確保したくても報酬が少なくてできない」と土曜夜間の当番医を拒否した理由を説明。「安心して医療を受けられる体制にするため、現状を追認せず考えなければならない」としている。

 市内の医療関係者は「任意制にして当番医をやらない医師が出れば、他の医師の負担が増えて地域医療が崩壊しかねない」と男性医師の主張に疑問を示す。男性医師は7月から当番医に復帰する予定だが、あくまで「当番医は必要」との認識を示すためで、当番医の強制への反対姿勢は崩していないという。【田畠広景】

導入地区、10年で1割減

 医師不足や高齢化が進む地方では、在宅当番医制度を含む初期救急医療体制を維持するため、さまざまな取り組みが続いている。

 厚生労働省によると、軽症の救急患者受け入れのため休日や夜間に在宅当番医制度を導入しているのは全国600地区(2017年3月末現在)で、10年前に比べ約1割減った。救急医療体制に詳しい北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長は「在宅当番医は検査機器が限られる中で不特定多数の患者を診療しなければならず、地方では当番医を担う新規開業も少ないため負担が大きい」と指摘する。

 宮崎県延岡市では、09年から市内で新たに開業する医師に休日当番医などの協力義務を条件に奨励金500万円を出す。これまでに内科医や整形外科医など8人が開業し、市は「開業医の若返りにもつながり、現状は良くなった」としている。山口市医師会は昨年、当番医の高齢化などを理由に休日日中の内科患者受け入れを市の急病診療所に集約するよう市に要望。市医師会は「新規開業や後継者もほとんどいない。将来に向けて行政にも対策を考えてほしい」と危機感を募らせる。

 伊藤副院長は「地元医師会を中心にした地域貢献や使命感だけで制度は支えきれない。行政が関わって当番医の利用状況や負担要因を検証し、近隣市町村との連携や病院勤務医から応援を受けやすい急患センター設置などを検討すべきだ」と話す。【青木絵美】



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180622_11024.html
<登米市>8月に診療所休診 住民ら継続求め市に陳情「常勤医確保を」
2018年06月22日金曜日 河北新報

 宮城県登米市登米町の登米(とよま)診療所が医師不足のため8月から休診することについて、同地区の住民らが21日、診療継続を求める陳情書を市と市議会に提出した。
 陳情書は住民3374人分の署名簿を添え、「登米診療所の常勤医を確保して勤務体制を整備し、診療を継続してほしい」と求めている。
 登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長ら15人が市役所を訪れ、熊谷盛広市長、及川昌憲議長に陳情書と署名簿を手渡した。
 熊谷市長は「このような状況に陥り申し訳ない。現段階では医師が確保できる状況になく、8月から休診して送迎バスの運行を検討している。患者さんが不便にならないよう、しっかりと対応していく」と答えた。
 市は7月4日午後7時、登米町の登米公民館で、診療所が休診に至った経緯や市立病院全体の医師不足の現状、他の医療機関への送迎バス運行について説明会を開く予定。



https://mainichi.jp/articles/20180620/ddl/k08/040/116000c
県立中央病院
長時間勤務 知事「短縮へ取り組み」 医師以外に業務委任 /茨城

毎日新聞2018年6月20日 地方版 茨城県

 県立中央病院(笠間市鯉淵)で昨年度、全体の約2割にあたる勤務医23人に時間外労働の「過労死ライン(月80時間)」を超える月があった問題で、大井川和彦知事は19日の定例会見で、「長時間勤務の縮減に向けて取り組みを検討する」と述べ、問題解決に取り組む意向を示した。

 長時間労働の背景について、大井川知事は「医師数が不足しているなか、医師は法律に基づき診療拒否もできない」と、全体的な医師不足が原因と分析。

 医師確保以外の対策として、「(患者への説明など一部の業務を他の職種に任せる)タスク・シフティングや、振り替え休日の促進を組み合わせ、労働時間短縮に向けた取り組みを進めていきたい」と述べ、現場での運用改善を求める方針を示した。

 この問題は、毎日新聞が、勤務医の時間外労働に関する記録を同病院を含む県立3病院に対して情報公開請求して発覚した。【加藤栄】



https://diamond.jp/articles/-/172721
「病院がなくても住民の健康は変わらない!?」
医療と医療費の不都合な真実とは
医療経済の嘘(1/3)

2018.6.20 ダイヤモンドオンライン

森田 洋之:医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表。 

病床の削減、医師不足、医療費の高騰など、医療や医療費に関する報道が後を絶たない。

そうしたなかで、かつて財政破綻後の夕張に医師として赴任していた森田医師が、夕張および全国のデータ、さらに医療経済学的知見から見えてきたのは、医療経済の拡大が必ずしも健康と比例しない現実であった。最近、『医療経済の嘘』(ポプラ社)も上梓した森田医師が提唱する医療と経済のあるべき関係とは?

なぜ私は医者という職業に大きく失望したのか

私は、医者という職業に大きく失望し、職を辞そうとまで考えたことが2回あります。

1回目は、療養病院で意識なく延命されている患者さんたちが病棟を埋めている現実を見たときでした。医療という高度で崇高な技術が、本当に人間のために使われているのか疑われるような光景がそこには広がっていました。

それまでの私は、自分の医療知識を深め医療技術を磨くことこそが「善」だと思っていました。そうすることが患者さんのためになることだ、国民の幸福に貢献することなのだ、とまったく疑っていませんでした。

しかし、療養病院の大部屋で、ただただ白い天井を見つめたまま寝たきりの高齢者がずらっと並んで胃ろうから栄養を入れられている光景を見たとき、それまで自分が磨いてきた胃ろう造設術などの医療技術や医学的知識が「善」に思えなくなってしまったのです。

税金を使って国立大学に通わせていただいたのにもかかわらず、自分のやっている医療が国民のみなさまの幸福に寄与していると思えなくなってしまった。これは本当に辛かったです。

当時、「医療崩壊後」の夕張市で、「住民に近い地域医療」を実践されていた村上智彦先生に頼み込んで夕張市立診療所に勤務したのは、そうした「自分への負い目」もあってのことでした。

夕張では、理想の医療に出合えました。

ベッドが空いているからと言って入院を勧めるわけでもない、老衰としか言えないのならしっかりとその老化の過程に寄り添う、逆に本当にMRIが必要ならしっかりと都市部の病院に紹介する。

医療機関の経営に振り回されることなく、一人ひとりに患者さんに対して「過剰でもなく不足でもない最善の医療」を提供する医療環境が整っていました。

病院が開院しても閉鎖しても、
人々の健康状態はよくも悪くもならない!?


そんな幸せな時間を過ごしていたとき、僕は2回目の衝撃に出会います。

夕張で勤務しながら東大大学院の研究班(H-PAC)で夕張の医療崩壊前後のデータを集め分析していたときです。

分析を進めているうちに、医療崩壊を境に夕張市の高齢者医療費が低下していることがわかりました。しかも夕張市民の死亡率は横ばいで健康被害も出ていませんでした。

私は興奮しました。医療技術の進歩や高齢化の進展に伴い、世界各国で医療費の上昇に歯止めが利かないと言われるなか、夕張市民の「高齢者1人あたりの診療費」は減少したのですから。「これはすごいことだ!」と思ったのです。

ところが私はここで衝撃的な一言を聞くことになります。この夕張の医療費減少について識者に意見を求めたところ、次のようなグラフを提示され、「病床が減れば医療費が減るのは当たり前だ」と言われたのです。
062401.jpg

医療経済学の世界ではこの疑問はすでに研究しつくされていて、一定の結論がでているとのこと。その結論とはだいたいこんな感じです。

「多くの研究の結果、『病院の存在や非存在』と『住民の死亡率』のあいだに因果関係はないことが分かっている。病院が開院しても閉鎖しても、人々の健康状態はよくも悪くもならない可能性が高い」

まさに夕張の実例そのものだと驚きました。

また、先ほどのグラフは、事実として日本の医療の現場では事実として都道府県によって人口あたりの病床数が2~3倍も差があるし、同時に病床が多い県は少ない県と比べて県民1人あたりの入院医療費を2倍も使っている、ということを教えてくれます。

これを提示され、「病床が減ったら医療費が下がるのは、当たり前じゃないか」と言われたのです。

それまでの私は、純粋に「病人がいるから医療がある」と信じていました。しかしこのグラフを見れば、「病床がある分だけ病人が作られる」という、ある意味極論に達してしまいます。

高知県民は滋賀県民より2倍も病気になるのでしょうか。そんなはずはありません。でも事実として、高知県民は滋賀県民より県民1人あたり入院費を約2倍使っています。そして結論として、医療費は病床数に比例しているのです(ちなみに、平均寿命には比例していません)。

調べてみれば、日本の病床数は世界一。日本で最も人口あたりの病床が少ない神奈川県でさえ、アメリカ・イギリスの2倍の病床を持っていて、またCTもMRIも世界一持っていて、さらに外来受診数も欧米先進諸国の約2倍で世界第2位。

「医師不足? それって需要過多なだけなんじゃない?」

そのとき、「医師誘発需要」「医療市場の失敗」という言葉を初めて知りました。

日本の医療は一体何のためにあるのか。私は自分が医師であることが恥ずかしなってしまいました。そして医師をやめたくなりました。

夕張で学んだ「医療への希望」

でも私は決して日本の医療を悲観しているわけではありません。

なぜなら、夕張をはじめとした「医療資源の乏しい離島・僻地」でも、住民同士が支え合いながら元気に生活していることを知ることができたからです。

そして、そうした住民の近くで、「高度な病院医療」とは別に「生活を支える医療」を提供することの重要性を知ることができたからです。

私は、夕張で医療費が減った要因は「病床が減ったから」にもまして「住民の近くで生活を支える医療が整備されたから」というのが大きいと思っています。

夕張では病床が激減した代わりに、村上智彦先生・永森克志先生のご尽力によって「生活を支える医療・介護」が整備されたのです。だからこそ、本人・ご家族の意志を尊重した「延命処置や社会的弱者の収容ありきではない」、本当の笑顔を生み出せる医療が実現できたのだと思います。

そういう意味では、「住民の近くで生活を支える医療」は今後訪れる高齢化社会にとっての救世主になりうる存在だと思います。

今、日本では「在宅医療」をはじめ、住民の生活に近い医療が各地で模索されています。国が提唱する地域包括ケアシステムはそのメインストリームですし、それは欧州をはじめとした世界的潮流でもある「家庭医療」への流れでの一環でもあります。

その中で我々医療者は何ができるのか、そして国民の皆さんがこれをどう考えてゆくべきなのか、そんなことをこの連載で皆さんと一緒に考えられたらと思っています。

森田 洋之(もりた・ひろゆき)
医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表
1971年横浜生まれ、一橋大学経済学部卒業後、宮崎医科大学医学部入学。宮崎県内で研修を修了し、2009年より北海道夕張市立診療所に勤務。同診療所所長を経て、現在は鹿児島県で研究・執筆・診療を中心に活動している。11年、東京大学大学院H-PAC千葉・夕張グループにて夕張市の医療環境変化について研究。14年、TEDxKagoshimaに出演、「医療崩壊のすすめ」で話題を集める。16年、著書『破綻からの奇蹟~いま夕張市民から学ぶこと~』にて、日本医学ジャーナリスト協会優秀賞を受賞する。



https://www.asahi.com/articles/ASL5V4K3WL5VUTIL018.html
医学部地域枠が拡大 条件は地元勤務…なのに県外流出も
松浦新、菅沼栄一郎
2018年6月23日15時43分 朝日新聞

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医学部に地域枠がある大学と定員数の合計

 医師になった後、地元で一定期間働くことを条件に、大学医学部に入学しやすくしたり、医学部生に奨学金を支給したりする「地域枠」が拡大し、医学部の定員の2割近くに達している。地方にとって医師確保の頼みの綱だが、過熱気味の状況に懸念の声も出始めている。

 大学の医局が医師の勤務先を調整する仕組みを変えようと、政府は2004年度に医師が自由に研修先を選べる新臨床研修制度を導入。医師の自由度は高まったが、若い医師が都市部などに流れ、医師の不足や診療科の偏在が広がった。

 対策として地方で広がったのが、大学医学部の地域枠だ。政府も医学部の定員の臨時増員を認めるなどして地域枠を後押しした。文部科学省によると、地域枠の募集人員は08年度に403人分(33大学)だったが、17年度には全都道府県に広がり、全医学部定員の18%の1674人分(71大学)と4倍に増えた。定員に占める地域枠の割合は札幌医大(82%)が最も高く、福島県立医大(59%)、旭川医大(59%)、東北医科薬科大(55%)、弘前大(51%)と続く。東北地方の医学部教授は「地域枠がなければ地域医療は崩壊する」と言う。

 厚生労働省は医師確保を後押ししようと、地方の実情に合わせて知事が大学に地域枠の創設や増加を求められるようにする医療法・医師法改正案を今国会に提出。参議院を通過し、衆議院の審議待ちの状態だ。

 地域枠は医学部入試を変えている。秋田大の地域枠の入試は筆記試験がなく、高校の推薦、センター試験、面接、論文で選抜している。秋田県は入学金と月15万円(自宅生は10万円)の奨学金を貸し、国家試験合格後、県内で原則9年間勤めれば返済を免除する。地域枠の一つの典型だ。

 奨学金の対象者を広げる動きもある。静岡県は年間に、浜松医大(浜松市)の20人と、岡山県内の川崎医科大、東京都内の順天堂大など全国の100人に奨学金を貸す。静岡県内で原則9年間働けば、年間最大240万円の奨学金の返済を免除。将来の選択肢を増やせるよう、一定期間、県外での勤務や留学ができるようにしている。県は年間約12億円を投じており、最近11年間に全国73大学の973人が利用した。うち536人は在学中、303人は既に県内に勤務している。鳥取県も、出身地も学ぶ大学も問わない奨学金の枠を10人分設けるなど幅広く確保に動いている。

大学間で綱引き 縛りに疑問も
 地域枠の医師をめぐる綱引きも起きている。

 弘前大(青森県)の福田真作・付属病院長は昨秋、東北大付属病院(仙台市)に対し、弘前大の地域枠で学んで年度末に初期研修を終える医師2人が東北大で次の専門医研修を受けようとしていると電話で伝え、「善処」を求めた。1人が東北大行きをやめ、もう1人は将来青森に戻ると約束して決着した。福田病院長は「東北大側が対応してくれた」と話す。

 福田病院長によると、弘前大の…
こちらは有料会員限定記事です。



https://mainichi.jp/articles/20180621/ddl/k46/010/490000c
出水市
赤字の病院事業改革へ 市長が給与削減表明 /鹿児島

毎日新聞2018年6月21日 地方版 鹿児島県

 深刻な赤字に悩む鹿児島県出水市病院事業を巡り、同市の椎木伸一市長は、8月~来年3月の自身の給与を2割削減する意向を表明した。医師らを除く236人の病院職員も同期間、18~4%削減し、経営改善を目指す集中改革プランを8月までに作成するという。

 病院事業の核となる出水総合医療センターが約10年前から医師不足となり、経営難に陥った。累積赤字は81億円で九州の公立病院で最多。市一般会計から特別補填(ほてん)していた。

 今年3月、学識者による経営諮問会議は、9月末時点で運転資金7億円を確保できなければ市営から指定管理者制に移行するよう市に答申。病院側は「実情にそぐわず、従えない」と反発していた。

 椎木市長は病院側と意見交換し、答申を保留。一定期間、病院側による自己改革を進めることにした。市長と職員の給与削減により、8カ月で約2800万円の支出カットとなる。【降旗英峰】



https://www.m3.com/news/iryoishin/609693
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度、「日本版ACGME」設立で改善を
第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会、総合診療専門医のサブスペシャルティも議論に

レポート 2018年6月19日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 三重県津市で第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会が開かれ、6月17日の教育講演「日本の総合診療の夜明けと今後の展望」では、同連合学会の前身の3学会トップらが講演。日本専門医機構が専門医認定と研修プログラム認定の両方を担うべきではなく、同機構は前者に特化すべきなど、新専門医制度そのものの問題点が指摘されたほか、総合診療専門医については、サブスペシャルティとして「病院総合医」と「家庭医」を養成する必要性が提起された。


教育講演は4人の講演後、フロアを交えたディスカッションが行われた。
 新専門医制度の問題点を提起したのは、地域医療振興協会副理事長で、元日本家庭医療学会代表理事の山田隆司氏。「専門医認定と研修プログラム認定を、同じ枠組みで行うことには無理があるのではないか。参考にすべきは米国の仕組み。専門医の『Certification』を行うABMSと、研修プログラムの『accreditation』を行うACGMEがあり、それぞれ別の枠組みで実施されている」と指摘し、「日本版ACGME」の創設を提言した。「基本領域やサブスペシャルティなどの在り方や専門医認定は、プロフェッショナル・オートノミーのもとに日本専門医機構が決めていい。一方、研修プログラム認定は、医師の偏在問題など、非常に政治的、政策的なことが絡んでくる。地域医療の視点を持って、関係団体や自治体なども交えた透明性のある議論が必要だろう」。

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日本版ACGMEの考え方(提供:山田氏)

 「病院総合医」と「家庭医」がサブスペシャルティ候補
 三重大学名誉教授で菊川市家庭医療センター(静岡県菊川市)センター長の津田司氏は、2018年度の総合診療専門の専攻医が183人で、2017年度に日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医専門医の専門研修を開始した199人よりも少なく、全専攻医の約2%にとどまることから、「なぜ専攻医募集が少なかったのか」と提起。今後の人口高齢化や人口減少時代を見据えると、医療施設が急性期医療を担う大病院、家庭医療を担う診療所、その間にある中小病院に機能分化していくとし、「ホスピタリストと家庭医がクローズアップされる時代が到来する」と予測。同連合学会が養成すべき「Generalist」は、ホスピタリストと家庭医であり、総合診療専門医のサブスペシャルティとして位置付けるべきと提言。これらの役割をエビデンスで示していくことが、総合診療専門医の魅力を高めることにつながるとした。

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総合診療専門医のサブスペシャルティの考え方の例(提供:津田氏)

 元日本総合診療医学会運営委員長で、七条診療所(京都市下京区)所長の小泉俊三氏は、病院をベースとした「ホスピタリスト」(病院総合医)と、診療所の「家庭医」の必要性は認めたものの、その間に主に中小病院の医療の担い手としての「地域総合医」も求められるとした。「地域総合医というキーワードは、日本の医療の現状に合っているのではないか。日本の病院の約7割は、200床未満の病院。その多くは、地域密着型の医療を行っており、慢性期医療だけではなく、肺炎などの急性期疾患への対応も求められている。これらの病院が今後どんな役割を担うのか、ポジティブな定義付けをしていくと、地域総合医の魅力が出てくると思う」。

 山田氏は、「日本の医療ニーズに適切に応えられるよう、まさにプロフェッショナルとしての対応が求められている。総合診療専門医について言えば、家庭医と病院総合医の問題を整理して議論する必要がある。それぞれかかわる領域、かかわる団体が違う」と指摘した。家庭医については日本医師会のかかりつけ医制度と合同すべきとし、「移行措置を設け、更新制を厳しくするとともに、生涯教育のプログラム作成に対して、学会として協力していく」と提言。病院総合医については、「医師不足に悩む地域の中小病院の在り方が、日本の課題。そこにしっかりとしたトレーニングを受けた医師を送ることが必要。関連学会・病院団体と協議し、病院総合医のプログラムの確立を急がなければいけない」とした。

 これに対し、日本プライマリ・ケア連合学会の初代理事長で、京極町国民健康保険診療所(北海道京極町)所長の前沢正次氏は、「教育の手段としては、ホスピタリストがあっていいと思うが、それは目的ではない。あくまでプライマリ・ケアを担うという精神を忘れないでほしい」として、次のように自身の経験を語った。「7年前に当院は43床の病院だったが、今は有床診療所。さらにベッドをなくすことも考えている。入院医療ができなくなっても、いかにいい医療を提供するかであり、プライマリ・ケア医としての能力をベースに、認知症などの患者にも対応するほか、特別養護老人ホームでの看取りなどもやっている。要は、5年先、10年先を見据えて、どんな力を身に付けていくべきかを考える必要がある」



http://www.sanyonews.jp/article/735060
玉野市民病院、経営統合目指す 三井病院側と近く協議本格化
(2018年06月20日 11時13分 更新)山陽新聞

 玉野市は19日、赤字経営が続く市立玉野市民病院(同市宇野)について、玉野三井病院(同市玉)との経営統合を目指す方針を明らかにした。同病院を経営する三井E&Sホールディングス(旧三井造船)と近く協議を本格化させる。経営母体となる独立行政法人の設立も視野に入れている。

 市の西村薫三病院事業管理者が市議会厚生委員会で説明した。市民病院と同様に医師不足、施設の老朽化といった課題を抱える三井病院側に昨年末、連携を提案。接触を重ねる中で、経営統合に向けた協議入りの了解を得たという。

 黒字経営の三井病院に対し、市民病院は約42億円の累積赤字を抱えている。三井E&Sホールディングス玉野総合事務所は「医療需要が減る中、単独で経営していくのは難しい」とする一方で「市民病院の赤字は巨額。一緒になっても大丈夫なのか慎重に見極めたい」としている。

 西村氏は厚生委で「合併について不安に思う(三井病院の)職員もいるので慎重に議論を進めたい」とした。

 玉野市民病院を巡っては、三井病院、岡山赤十字病院玉野分院(同市築港)と地域医療連携推進法人をつくり、新病院を建設する構想が2016年に持ち上がったが、協議が前に進んでいなかった。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/232304
「非稼働病棟」存廃確認へ 県、病床活用目指し調査
6/19 8:00 佐賀新聞

 佐賀県は、ベッドを使っていない「非稼働病棟」がある診療所などに、病棟を存続させるかどうかの意向を確認する。県内では県保健医療計画で定める基準病床数を、実際の病床数が既に上回っており、原則的に新設や増設ができない状態が続いている。11月までに調査結果をまとめて課題を洗い出し、新増設を必要としている医療機関と、存廃に悩む診療所の調整を図り、病床の有効活用を目指す。

 県医務課によると、8~9月に調査し、病床を再開させるかどうかの見通しや、具体的な後継者がいるかなどを尋ねる。再開や譲渡、病床廃止を希望する施設には、「2年から5年以内」「7年以上」など具体的な対応時期も確認する。

 2015年5月に県医師会が実施した調査では、非稼働病棟があるのは45の診療所(538病床)だった。再開したくても夜勤の看護師が確保できないケースや、高齢になり入院の受け入れが難しくなった医師が、後任への引き継ぎを考慮して病床を残しているところがあるという。

 第7次県保健医療計画(18~23年度)で定める基準病床数のうち、県内全体の療養・一般病床数は7617床。18年4月末の病床数は1万694床と大きく上回っており、県内五つの保健医療圏はいずれも「病床過剰地域」となっている。

 病床数の有効活用を図りたい厚生労働省は今年2月、病床過剰地域で非稼働病棟を維持する必要性が乏しい医療機関に対し、各都道府県の医療審議会の意見を聞いた上で、県が速やかに病床数削減を要請することを求める通知を出した。

 調査結果は11月までに開く県地域医療構想調整会議に報告し、病棟再開に向けた手だてを探ったり、希望する機関が病床数を譲り受けたりする調整に役立てる。県医務課は「一歩踏み込み、具体的な対応時期まで聞く。過不足がない医療環境づくりに向けて、地域全体で考えるきっかけになれば」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/609529
シリーズ 地域医療構想
「実態のない急性期病棟」にメス、客観的基準で「外れ値」除外
厚労省・地域医療構想WG、2018年度病床機能報告の見直し案了承

レポート 2018年6月18日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は6月15日、「2018年度病床機能報告の見直しに向けた議論の整理」(案)について文言修正を座長一任の上、了承した。

 2018年度の病床機能報告から、高度急性期と急性期については、手術や救急医療の実績など定量的な基準を導入し、該当しない場合には高度急性期または急性期として原則報告できないようにする。また病床機能報告では、現時点での病床機能と、「6年後の病床機能の予定」を報告するが、2018年度は「2025年の病床機能の予定」を報告するよう改める。さらに、各構想区域の調整会議での議論活性化のために、2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者との協議を経た上で、定量的な基準の導入を求める。これらを盛り込んだ「議論の整理」(案)は、親会の「医療計画の見直し等に関する検討会」、さらに社会保障審議会医療部会での了承を経て確定する(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、病床機能報告における定量的な基準は、全く急性期医療を提供していないのに急性期機能と報告するなど、「外れ値」を除外する目的での使用であることを確認。

 2017年度の病床機能報告の場合、「高度急性期」もしくは「急性期」と報告した2万1265病棟のうち、「幅広い手術の実施」「がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療」など、「高度急性期」「急性期」に関連した医療を提供していないのは、1076病棟(約5%)。医療内容を把握するための「様式2」が未提出の病棟(1938病棟)を加えた計3014病床(約14%)が、調整会議で医療機能の確認が必要な病棟だった。

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(2018年6月15日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

 さらに中川氏は、調整会議での定量的な基準の活用について、「不足している機能はないかなどを分析する指標として使うもの。ただし、全国一律の基準を用いてはいけない」と述べ、地域医療の実情に合わせた指標を活用するよう、釘を刺した。本ワーキンググループでは以前、佐賀県や埼玉県が独自に作成した定量的な基準を用いている事例が紹介された(佐賀県は『地域医療構想調整会議、成功のカギは「対話と信頼」』、埼玉県は『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』をそれぞれ参照)。厚労省医政局地域医療計画課は、「定量的な基準に使うのは、あくまでも議論の活性化のため。埼玉県や佐賀県のやり方を、全国一律的な方法で実施するのではない」と説明した。

 2018年度で「2025年の病床機能の予定」の報告を求めるのは、経済財政諮問会議の「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する」ことが求められているため。調整会議で2025年の病床機能の予定を共有して議論を進めることを目指す。

 都道府県単位の「調整会議」の設置を推奨
 15日の会議ではそのほか、都道府県単位での調整会議を設置するよう、都道府県に対して推奨していくことも了承した。構想区域(大半は2次医療圏)単位の調整会議の議論が円滑に進むよう支援するのが目的。各構想区域の調整会議の議長などから構成する。現時点では20の都府県で設置しているが、参加者や協議事項などに相違がある。

 構成員からは異論は出ず、健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、構想区域の調整会議は法的に位置付けられていることから、都道府県の調整会議についても、「本来、法的に位置付けることが必要。ただし、法制化は待っていられないので、全国知事会にも要請するなど、スピード感をもって進むようにしてもらいたい」と求めた。

 中川氏は、都道府県単位の調整会議が機能する場合として、構想区域単位の調整では限界がある場合などを挙げた。「例えば、公立病院が新公立病院改革ガイドラインを作っても、普段からお世話になっている公立病院に対しては、物を言いにくいことがある。その際には、県単位の調整会議に代弁してもらう。そのためにも、各構想区域の調整会議の議長全員の参加は必要」(中川氏)。さらに都道府県医師会にその事務局機能を置いて、都道府県が支援する体制を提案し、そのための予算措置も求めた。厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「都道府県で議論が進むように、さまざまな予算の確保に取り組んでいきたい」と回答した。



https://www.asahi.com/articles/ASL6N7SRYL6NUBQU020.html
病床減らす地域医療構想、推進したら補助金増額へ
西村圭史2018年6月21日09時00分 朝日新聞

 病院ごとの役割分担を明確にし、病床数を減らしていく「地域医療構想」の進みが遅い現状を打開しようと、厚生労働省は取り組みの進み具合に応じて都道府県に補助金を出す方針を固めた。来年度からの実施を目指す。

 地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上になる2025年に必要な医療体制を構築するため、全都道府県が16年度にまとめた。それぞれの地域事情を踏まえ、高度な医療や慢性の病気に対応する病院や病床がどのくらい必要かなどが盛り込まれている。構想を元に、病院や診療所は18年度内をめどに自院の対応方針を決めることになっている。

 だが、17年度末で方針を決めた病院・診療所は、約1万4千施設のうち117施設に過ぎない。そのうち108は公立や公的施設だ。全体の約8割を占める民間病院は、ほとんどが未決定。このため厚労省は、都道府県が働きかけを強める必要があると判断した。



https://www.m3.com/news/kisokoza/610066
地域情報(県別)地域情報(県別)
福岡「現場は疲弊し、いらつく」「思いの外手堅い」、地域医療構想の意識調査

2018年6月20日 (水)配信津村育子(m3.com地域版)
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 福岡県の医療資源の状況は、全国と比較すると恵まれた状況にあるが、地域偏在が見られる。福岡市、北九州市と他の人口格差も大きい。一般病床の人口10万人当たりの病床数は全国平均を上回っているが、一方で、宗像、筑紫、直方・鞍手、京築の4区域は全国平均を下回っている。病床数のコントロールについては構想区域ごとに地域の医療関係者や保険者等で構成する「地域医療構想調整会議」において情報を共有し、病床転換や地区での役割分担などを協議している。

 福岡県に関連する先生方に、地域医療構想や進捗についての認識を尋ねたところ、「福岡市、北九州市とその他の地域で人口と医療機関のバランスの現状がかなり違うので、一律には難しい面もある」など地域偏在に関する意見が寄せられた。

Q:福岡県の「地域医療構想」、実際に目を通されましたでしょうか。
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 福岡の医療の行く末を指し示す地域医療構想。「中身を把握していない」が35.0%と一番回答が多かった。次いで多かったのが「なんとなく知っている」の29.7%、「実際に読んで中身を確認した」20.3%で、「読んではいないが、内容は理解」(10.6%)を含めると、半数以上が内容について認識していた。

 「地域医療構想」を基に、福岡県の構想区域別、4つの医療機能別に、2025年の必要病床数と2015年度の病床機能報告を比較すると、県全体では、高度急性期、急性期、慢性期では必要病床数が病床機能報告数を下回る一方、回復期では必要病床数が病床機能報告数を大幅に上回る。
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【構想区域別の2025年「病床の必要量」と2015年度病床数(地域医療構想より)】※単位は「床」


Q:2025年に向けて、不足が見込まれる回復期病床の確保に向け、急性期病床等からの病床機能転換について県内13の構想区域ごとに設置した地域医療構想調整会議において検討されています。推計の妥当性について、急性期、回復期それぞれの認識を教えてください。

       推計通り    推計を上回る  推計を下回る  わからない
急性期の推計 36.6%      32.5%     5.7%      25.2%
n=246
回復期の推計 39.4%      29.7%     7.3%      23.6% 
n=246
         図より表に変換

 急性期・回復期ともに「推計通りになると予想」と認識する回答が多く、ついで「推計より需要は高まる」が多かった。

Q:地域医療構想では「急性期等から回復期への病床機能の転換、高齢者住宅等を含む在宅医療の基盤整備を、10年程度かけて合意形成を図り、推進」するとしています。進捗を実感されますか。
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 病床機能の転換や在宅医療の基盤整備の進捗について尋ねたところ、「実感していない(進捗していない)」が半数を超えた一方で、「実感する」も24.8%だった。

Q:福岡県の地域医療構想について、感想や疑問点があればお寄せください。
・従来からの行政データをキチンとベースにおいており、思いの外に手堅く、空理空論の少ない、とても良い構想を拝見できました。これならば今後も福岡県は安心です。また、県独自財源率が、香川県と並んで高く、財源的な裏付けもある中での論議ですから、頼もしい所でした。

・福岡市を中心に人口増加圏が拡大しつつあるので、ドーナツ状に緊急、療養を含め病床の確保がより必要になってくると思われる。

・土地、医療系の人材、利用者とその家族の負担、沢山の問題が山積みだと思います。現実的には難問があるかと思います。

・急性期の拠点病院の待遇を改善する必要があると感じます。現場は疲弊し、些細なことでもイラついているのが現状だと感じます。

・削減ありきで現場は混乱している。中堅の病院は潰れる。これが目的のようにも見えるが。

【調査の概要】
調査期間:2018年6月
対象:福岡県のm3.com医師会員



https://www.m3.com/news/iryoishin/610724
地域医療連携のコストは、関係機関全体で負担を
日医、医療IT推進に向けた報告書を提言

レポート 2018年6月22日 (金)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の石川広巳氏は6月20日の定例記者会見で、医療IT委員会答申「日医IT化宣言2016 実現に向けた方策―地域医療連携、多職種連携のあるべき姿―」について報告をした(報告書は、日医のホームページ)。地域医療連携に必要なコストは関係機関全体で負担をすること、多職種連携では不可欠となっているソーシャルネットワークサービス(SNS)では専用SNSや業務専用スマートフォンを利用することなどを提言した。

 報告書は、「1.日医IT化宣言2016実現に向けた日本医師会の取り組み」と「2.地域医療連携、多職種連携のあるべき姿」の2部構成。前者では、医療分野のIT政策推進に向け2016年に報告した「日医IT化宣言2016」(『医師資格証の発行数が急増、診療報酬改定で』などを参照)の実現に向けた取り組みをまとめた。

 「1.日医IT化宣言2016実現に向けた日本医師会の取り組み」は「医療等分野専用ネットワーク構築に向けて」「医療等ID創設に向けて」「医療資格証の普及促進」「ORCA 2nd Stage開幕」「次世代医療基盤法への対応」の5項目から成る。

 今年5月に施行された「次世代医療基盤法」では、医療情報の匿名加工を行うことで、医療機関等をまたいだ医療情報の利活用が可能になる。そこで、国は匿名加工を行う事業者を認定する計画だが、日医では今後、匿名化技術や医療情報収集に明るい専門職員を配置し新たな法人を設立して、国から認定を受ける方向で進めているとした。石川氏は、「医療情報の収集や取り扱いで、営利企業が参入してこないように気を付ける必要がある」と話した。

 もう一つの「2.地域医療連携、多職種連携のあるべき姿」では、まず、地域医療連携実現に向けて壁となっている運用コストの課題に対して、その成功事例が取り上げられた。運用コストは医療機関だけが負うべきものではないとし、石川氏は「地域医療連携でメリットがあるのは、医療従事者だけではなく、患者、保険者ら医療を巡る関係者全員だ。コストは全体で負担するべきだ」と述べた。

   また、多職種連携では、医療・介護連携が近年進んでいるが、こうした現場ではコミュニケーションのために、SNSやスマートフォン、タブレット端末の利用が不可欠になっている。日医では以前から、非公開で医療・介護連携用のSNS利用と、事業者が管理する端末での利用を訴えているが、個人の端末を業務に利用する「BYOD」は原則禁止と改めて指摘をした。一方で、事業者による端末購入はコストの問題で導入が進まない実態もある。これに対し石川氏は「端末コストを補助金の対象にしたり、多職種連携に対する診療報酬算定を国に働きかけるなど求めていきたい」とした。

 
オンライン診療の適正な実施に向けた報告書を発刊

 「日医IT化宣言2016 実現に向けた方策―地域医療連携、多職種連携のあるべき姿―」にはオンライン診療の推進も盛り込まれた。これに関して、今年2月に発足した情報通信機器を用いた診療に関する検討委員会の報告書「情報通信機器を用いた診療の適正な実施」についても石川氏が報告をした(報告書は、日医のホームページ)。今年4月の診療報酬改訂で新たに評価されることとなったオンライン診療の実施に向けてまとめたもので、オンライン診療の実施に向けたガイドラインについては、今年3月に厚生労働省が「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会 オンライン診療の適切な実施に関する指針」を取りまとめている(指針は厚労省のホームページ)。

 日医の同委員会では4回に渡り議論を重ね、本報告書をとりまとめた。同委員会での議論は「厚労省の指針に基本的にほとんどが反映されている」(石川氏)としており、厚労省の指針と同様の内容となっている。また、指針は今後検証して変更していくものとしており、石川氏は「そこが重要なところで、オンライン診療は実施しながらエビデンスを積み重ね、よりよいオンライン診療にしていくことが重要だと考えている」とした。

   報告書の構成は以下の通り。

はじめに

1.基本原則

2.論点
 (1)オンライン診療の定義
 (2)オンライン診療を行う者について
 (3)オンライン診療の対象となる地域について
 (4)オンライン診療を行う場所
 (5)セキュリティ対策について
 (6)医師の本人確認について
 (7)患者の本人確認について
 (8)情報通信事業者の第三者認証について
 (9)医師教育について



http://www.medwatch.jp/?p=21141
骨太方針2018を閣議決定、公的・公立病院の再編統合、病床のダウンサイジング進めよ
2018年6月18日|介護保険制度 MedWatch

 2025年の基礎的財政収支(PB)黒字化を目指し、2019-21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、社会保障費の伸びを「高齢化」相当に抑えることとし、健康づくりの推進、地域医療構想の実現、診療報酬・介護報酬におけるアウトカム評価の推進などを行う―。

 安倍晋三内閣は6月15日に、こういった内容を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2018—少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現—」(いわゆる骨太の方針2018)を閣議決定しました(内閣府のサイトはこちら)。社会保障費の伸びに関して具体的な数値は盛り込まれていませんが、2020年度・21年度には高齢化の伸びが鈍化するため、社会保障費の伸びも相当程度抑えられ、厳しい診療報酬・介護報酬改定となりそうです。

 すでにメディ・ウォッチでお伝えした「原案」から大きな見直しはありませんが、改めて社会保障改革に関する事項を眺めてみましょう(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 2019年10月の消費増税に合わせて、介護職員のさらなる処遇改善を行う
2 市町村と都道府県が連携し、健康づくりを推進せよ
3 公立・公的病院の再編統合、病床のダウンサイジング進め、地域医療構想を実現せよ
4 ADL改善などアウトカムに基づく診療報酬や、AI活用したケアプランなど導入せよ
5 外来における「受診時定額負担」、薬剤自己負担割合の見直しなど改めて検討せよ

2019年10月の消費増税に合わせて、介護職員のさらなる処遇改善を行う

 まず、2025年にはいわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護費をはじめとする社会保障費が増大し、財政を強く圧迫するため、「2025年度の基礎的財政収支(PB、「歳入から国債等の借金収入を差し引いた金額」と「歳出から国債費等を差し引いた金額」とのバランス)の黒字化を目指す」との目標を設定。

このため、団塊の世代が75歳に入り始める2022年度の前まで、つまり2019-2021年度を、社会保障改革を軸とする「基盤強化期間」と位置づけ、社会保障関係予算について次のような編成方針を示しています。

▼「社会保障関係費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収める」方針を2021年度まで継続する

▼消費増税とあわせ行う増(社会保障の充実、「新しい経済政策パッケージ」で示された介護人材の確保・社会保障4経費に係る公経済負担など)については、別途考慮する

 前者においては数値目標が定められていませんが、2020・21年度は「75歳以上の後期高齢はとなる人口」の伸び率が鈍化するため、社会保障関係費の増加も「小さく抑えられる」ことになるでしょう。2020年度の次期診療報酬改定、21年度の次期介護報酬改定は厳しいものとなりそうです。

 また後者に関連して、「介護人材の処遇改善を消費税率引き上げ日の2019年10月1日に合わせて実施する」方針も示されています。

市町村と都道府県が連携し、健康づくりを推進せよ

具体的な社会保障改革の内容を見ると、▼健康づくり▼効率化・適正化▼生産性の向上―など幅広い項目が盛り込まれています。

「健康づくり」は、「医療・介護費の伸びそのものを抑える」重要なテーマです。「健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮小」することを目指し、例えば次のような方策が掲げられました。

▼生活習慣病等・慢性腎臓病・認知症の予防
糖尿病等の生活習慣病の重症化予防に関して、県・国民健康保険団体連合会・医師会などが連携する「埼玉県の取り組み」などの優良事例の横展開を、今後3年間で徹底して取り組む

▼がん対策
・早期発見・早期治療(がん検診の見直し、膵がんなど難治性がんの早期発見)
・がん治療と仕事の両立(傷病休暇の導入、活用の促進)

▼データヘルス
医療・介護制度におけるデータの整備・分析、保険者機能の強化、科学的根拠に基づいた施策の重点化、予防・健康づくりに頑張った者が報われる制度の整備

▼認知症対策
研究開発の重点的な推進、予防に関する先進・優良事例の横展開、新オレンジプランの実現、容態に応じた適時・適切な医療・介護提供に向けた「認知症疾患医療センターの司令塔としての機能」強化、相談機能の確立、地域包括支援センター等との連携強化

▼介護予防、フレイル対策
 市町村と都道府県の連携による「高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策」「生活習慣病等の疾病予防・重症化予防」「就労・社会参加支援」の推進

▼アレルギー疾患対策
 アレルギー疾患対策基本指針に基づいた「アレルギー疾患の重症化予防」「症状軽減に向けた対策」の推進

 
健康づくりを進めると同時に、「元気で、働く意欲のある高齢者」には活躍の場を広めてもらうことが重要です。少子化が進む中では、高齢者自身が「社会保障の支え手」となることも期待されるためです。この観点からは、次のような方針が示されています。

▼勤労者が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆保険制度の実現を目指した検討(被用者保険の適用拡大と、それが労働者の就業行動に与えた影響についての効果検証を行う)

▼年金受給開始年齢の柔軟化など

▼既存の施策を含め地方自治体への財政的インセンティブを活用し、「元気で働く意欲のある高齢者を介護・保育等の専門職の周辺業務において育成・雇用する」取り組みの全国展開

▼人生の節目で「人生の最終段階における医療・ケアの在り方」などを本人・家族・医療者等が十分話し合うプロセスの全国展開(関係団体を巻き込んだ取り組み、周知、本人の意思を関係者が随時確認できる仕組みの構築)

▼「住み慣れた場所での在宅看取り」の優良事例の横展開を推進する

公立・公的病院の再編統合、病床のダウンサイジング進め、地域医療構想を実現せよ

 健康づくりによる「社会保障費の伸びの鈍化」効果が現れるには相当の時間がかかります。一方、高齢化の進展による医療・介護費の増加は続いていくため、「効率的・効果的な医療・介護提供体制」の構築が不可欠です。この点いついては、次のような施策の推進が行われます。

▼地域医療構想の実現
・「個別の病院名」「転換する病床数」などの具体的対応方針を集中的に検討し、2018年度中の策定を促進する
・公立・公的医療機関について、「地域の民間医療機関で担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化する」よう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める
・病床の機能分化・連携が進まない場合に、都道府県知事が役割を適切に発揮できるような「権限」の在り方の検討促進
・「病床の転換」「介護医療院への移行」などが着実に進むよう、地域医療介護総合確保基金や入院基本料等の見直しなどの効果やコストの検証を行い、必要な対応を検討するとともに、「病床のダウンサイジング」支援の追加的方策を検討する
・高額医療機器について共同利用を推進するなど、効率的な配置、稼働率向上を促進する方策を検討、実施する

▼1人当たり医療費・介護費の地域差縮減
・「1人当たり医療費の地域差半減」「1人当たり介護費の地域差縮減」に向けて、国・都道府県が積極的に「地域別の取組や成果の見える化」「進捗遅れの要因分析」などを行い、保険者機能の一層の強化を含め、更なる対応を検討する

▼地域独自の診療報酬について、都道府県の判断に資する具体的な活用策の在り方を検討する

▼レセプト情報を活用した「医師や薬剤師が投薬歴等を閲覧できる仕組み」の構築、「診療報酬による多剤投与適正化」、「介護予防等への取り組みの見える化」などを推進する

ADL改善などアウトカムに基づく診療報酬や、AI活用したケアプランなど導入せよ

 少子化が進展する中では、医療・介護従事者の「生産性」向上が不可避であり、次のような方向が明確にされました。

▼「予防・健康づくり」「データヘルス」「保健事業」について、多様・包括的な民間委託を推進し、サービスの質と効率性を高める

▼診療報酬・介護報酬においては、適正化・効率化を推進しつつ、安定的に質の高いサービスが提供されるよう、「ADL改善などのアウトカムに基づく支払いの導入」等を引き続き進める

▼被保険者番号の個人単位化とオンライン資格確認を導入するとともに、「保健医療データプラットフォーム」について、2020年度の本格運用開始を目指し取り組む

▼少ない人手で効率的に医療・介護・福祉サービスが提供できるよう「AI実装に向けた取り組みの推進」「ケアの内容等のデータを収集・分析するデータベースの構築」「ロボット・IoT・AI・センサー」の活用を図る

▼「科学的介護」「栄養改善を含めた自立支援・重度化防止等に向けた介護」を推進する。特に、「自立支援・重度化防止等に資するAIも活用した科学的なケアプラン」の実用化に向けた取り組みを推進し、ケアマネジャー業務の在り方を検討する

外来における「受診時定額負担」、薬剤自己負担割合の見直しなど改めて検討せよ

 また保険制度改革に関しては、「必要な保険給付をできるだけ効率的に提供しながら、自助、共助、公助の範囲についても見直していく」ことが必要とし、次のような改革項目が固められました。

▼団塊の世代が後期高齢者入りするまでに、世代間の公平性や制度の持続性確保の観点から、後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する

▼介護のケアプラン作成、多床室室料、軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する。

▼新規医薬品や医療技術の保険収載等に際して、「費用対効果」「財政影響」などの経済性評価や保険外併用療養の活用などを検討する

▼薬剤自己負担の引上げについて、「市販品と医療用医薬品との価格バランス」「医薬品の適正使用の促進」等の観点を踏まえつつ、対象範囲を含め幅広い観点から検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる

▼かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の普及を進めるとともに、外来受診時等の定額負担導入を検討する

▼勤労世代が減少しその負担能力が低下する中で、社会保障改革に関する国民的理解を形成する観点から「保険給付率(保険料・公費負担)と患者負担率のバランス」等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討する

 
 今後、例えば社会保障制度審議会の医療保険部会や医療部会、中央社会保険医療協議会を中心に、これらの方針・項目の制度化・具現化に向けた検討が進められることになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/604042
新卒医師・匿名座談会2018
医師国試対策、前倒して臨床実習との相乗効果を◆Vol.4
勉強への本腰時期はそれぞれ- 新卒医学生座談会

スペシャル企画 2018年6月22日 (金)配信司会:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:大西裕康(m3.com編集部)

座談会出席者は、計5人。

司会:医師国試対策は、いつ頃から、どのように進めたのでしょうか。
Eさん 5年生の時に大学が提携している予備校の模試があり、結果が悪かったのでそこから勉強し始め、その予備校のテキストやビデオ講座を使い始めました。今振り返ると、臓器別テキストが5年生の終わりくらいに配られたのですが、もっと早ければ、実習との兼ね合いで相乗効果も期待でき、勉強の効率も上がったと感じています。

司会:今年から試験期間が3日から2日に変わったり、問題数が減ったりというのは意識しましたか。

Eさん 5年生の時には噂のような感じで確定ではなく、結局は難易度が変わるわけでないのであまり影響はなかったと思います。

Aさん 大学では、5年生の最後に実力テストがあり、補習の合宿があって対象になりましたが、行きませんでした(苦笑)。まずいと思いながらも映像授業などは見ず、6年生の5月に外部実習で市中病院へ行った際、空き時間に国試の過去問解説集を見始めました。待機しているにしても、医師がいるところにいなければならないなどの決まりはあったものの、空いている時間が結構あったためです。

Bさん うちの大学では国試を意識した勉強を始めるのが結構早く、ネット講座も4年生くらいから契約するような感じで、5年の始めくらいからやっていました。5~6年生の時も、今はテストをするようになったようですが、私の代ではテストもなく、「自分でやらなきゃまずいよね」という雰囲気があり、臨床実習の空き時間に入れる100人くらい入る部屋があり、皆でやっていました。

Cさん 提携予備校のテキストが5年生の最初に配られたので、基本的にはそれを使っていました。また、5、6年生時の大学の定期テストが国試に準じていたので、レベルは高いですが、定期テスト対策と国試対策が重なっているような部分があり、無駄がないような感じはありました。新出題基準についてはガイドラインを読み始めたりしたのが、6年生の10月くらいでした。

Dさん 5年生の最初にビデオ講義が見られるようになったので、臨床実習の空き時間に見ていました。6年生になるくらいからは休みの日も本格的に勉強し始めました。また、面倒見の良い大学なので、模試などで成績下位になると補講があったり、休みの日まで先生が教えに来てくださったりしていました。

司会:実際に受けてみて、直後の手応えと結果については感想などありますか。

Eさん 1日目は自己採点しなかったのですが、必修問題が難しく感じて青ざめていました。前回第111回国試が「必修の年」と言われていたので、必修で落ちるんじゃないかと思いましたが、ふたを開けてみると、ぱんりん(「一般」「臨床」)落ちの方が多かった。そっちは割と余裕を持って臨めたので結果につながったと思っています。

Cさん 手応えはありましたが、「こんなんで人生が決まるんだ」と拍子抜けしました。「模試みたいだな」「こんなもんなんだ」と感じました。しかも、設問も、結構重なっている疾患が多いなど、診療科も、解きながら「血管炎、呼吸器内科、出すぎじゃない?」などの偏りを感じながらだった。「もっといろいろ勉強したのに」とも思いました。

Bさん 成績は良い方ではなかったので結構心配でした。本番では1日目の自己採点はしない方がいいと言われていたが、してしまい……。ただ意外と良くて、これは大丈夫だなと自身を持って2日目に臨めたので結果的に良かったです。ただマークミスもあるので合格発表までは心配でした。

Aさん 初日に皆で採点した際に結果が悪かったので悲惨でした。ギリギリ通ったんだと思います。

司会:大学側に、こういった授業、生活が送れたらよかったなど、医学教育への提言はありますか。また現役医学生に「こういう工夫をすればいい」といったことや、やり残したことは。

Cさん 提携している予備校講師の講義などをもう少し低学年からやってほしかった。基礎医学の講義は専門性が高くチンプンカンプンで、マニアック。予備校講師の方が分かりやすかった(笑)。予備校講師の講義を受けて、間違って覚えていたことに気付いた内容もありました。海外では教育専門の先生がいると聞いたので、そういう取り組みをもっと推進して、私立大学であればアピールしていったらいいと思います。

Eさん 私の大学でも予備校提携していて、5年生の夏休みに成績が悪い人は呼ばれて、特訓がそこから始まりました。予備校講師の指導はやはり分かりやすいので、「今までの講義は、何だったんだろう」と思いました(笑)。基礎から国試に沿って教えてくれるし、1~4年生時は、先生の趣味っぽい内容があり、学生の私ですら「それいる?」と感じる内容もあったので、やりがいを欠く場面もありました。予備校講師だと均一に大事なところとかを教えてくれるので良かったです。

司会:公立では予備校との提携はありませんよね。

Bさん そういうのはありませんでしたが、大学が、5人で1部屋使えるなどの勉強専用スペースを準備してくれました。進級も厳しくなく、大学自体が和気あいあいというか、うちの学年は県内外出身者と県外が半々で、8割が卒業後、県内に残ります。つながりを大事にするような雰囲気で、大学の先生も実習で各科が飲み会やってくれたり、マッチングの結果が地元紙の1面になったり、県全体、地元全体で盛り上がる感じもあり、勉強も連帯感があります。

Aさん うちは留年が毎年20人くらいいるそうで多すぎます。今年も同じくらいでした。1学年2回までしか留年が認められないので、毎年のように10人ずついなくなっていきます。この状況は問題かなと思っています。卒業試験も、訳が分からない問題を出すので、誰も受からない(苦笑)。皆合格までいきませんが、下30人を再試にして、そのうち20人は留年。国試は、今年がとても良くて、受験を申し込んだうち20人は落とて2人しか落ちなかった。でも、“本当”の国試合格率は下の方です。

納得がいかないのは卒業試験です。絶対やらない治療が解答になっていたりしました。質問状のような形で学生が疑義照会できるのですが、「やることはあります」という回答で、勉強する人もしない人も点数が変わらない。先輩方などに話を聞くと、毎年、合格点に誰もいかず、下を切るだけのような感じだそうです。卒試は皆から大きく外れなければ通るからと、国試の勉強をやっていました。社会人経験のある50歳の方がいたのですが、成績は学年1位。国試対策委員もその人がやっていて、皆のために過去問などをインターネットで共有してくれたりしました。ただ本人も臨床実習の時に「大腸ポリープを取る」など話していたり、ボロボロになっていました。

司会:大学の医学教育は、米国で医業を行う資格を審査する団体ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が「2023年以降は国際的な基準で評価・認定を受けている医学部出身者に限る」と、審査の申請について通告したのをきっかけに、卒業前の教育の質の保証や卒前卒後一貫した教育の重視、臨床実習の時間を増やすなどの改革が進んでいます。ご自身が受けてきた医学部教育を振り返って、国試対策との関係についてのご意見やご感想はありますか。

Dさん うちの大学は臨床実習期間が長いものの、実習しないと医学部に来た感じがしないので、患者と接する機会が増えるのは良いと思います。勉強面と兼ね合いでは、実習まで講義だけだとイメージがわきませんが、実習すると、接した患者さんのことを振り返るような機会もあり、学習にも身が入りました。国試で問題を解く面でも、医者になる自覚の面でもすごく良かったです。実習は大学病院本院が主でした。

司会:大学自体の医療機能は高度急性期中心なので、診る患者に偏りはないでしょうか。

Dさん すごく難しい病気で、「大学病院でしか診ないだろう」という症例もありましたが、数カ月間市中病院で実習する機会もあったので、カバーになっていたと思います。

Bさん うちは地域研修が低学年から結構あります。希望すれば1年生から行けます。医学知識や技術も大事ですが、地域に実際に行ってみて、どういうことに困っているのかという話を聞くのも大事だと思います。私は神奈川県と同じくらいの面積にもかかわらず、医者が10人くらいという地域に行きました。昼間は病院、夜は地域の人たちと飲み会と、あまり窮屈な感じはありませんでした。「医者」であれば身構えるかもしれませんが、「若い人が来た」と言って皆、喜んでくれました。大学だけで実習するのでも満足度は高いものの、見学中心で、主体的な部分が少ないと感じます。私は、地域の方々と触れ合って、医師としての使命感を得ました。難しい疾病の知識も重要ですが、コモンディジーズをいかに分かりやすくかみ砕いて説明するかなども意外に難しく、勉強になりました。

Cさん 私は国試の勉強が重要と考えていたので、臨床実習は楽しかったですが、例えば、産婦人科に行くならその前に勉強しておき、分からない問題があれば、実習で確認するなどの流れを徹底しました。実習では、患者さんとのファーストタッチが学生というのも多く、初診で患者が訴えることはめちゃくちゃだったりして、いかに整理するか、何が言いたいのかを考えるのは「実習しているな」と感じました。「ここも痛いし、あそこも痛い、結局何しに来たのですか」というのを引き出していく力を磨くことができました。実習は、基本的には4年生の2月から本院で、5年生の最後の6週間は大学が指定した病院の中から選んで行く。その後、6年生の4、5月はどこでも好きなところで実習できました。

Aさん 5年生の4月から臨床実習でした。5年生の時は別の大学の救急で、6年生の4、5月は自分でアポを取って、1カ月ごとに実習。ちゃんと自分でやれる科の方が印象に残りましたが、5年生の時に行った救急がさかんな病院では、地獄のような日々でした。朝から晩までいつでも起こされ、起こされたら死にそうになりながらすぐ行って、救急車の呼び入れなどをやりました。期間は3週間。当直ではない日の帰りはそれほど大変ではなかったですが、自宅から遠かったので、朝は始発の電車に乗り2時間半くらいかけて通っていました。特につらかったのは救急のトップが理事長で、週1回「向かい合う時間」があり、すごく怖いし、しょっちゅう怒鳴られました。“試問”みたいな感じで学生が並び、色々質問され、答えられないと激怒され学生は退出。全員いなくなったら終わり、という感じでした(笑)。終わると皆で謝りに行き「来週また頑張ります」と伝えるんです。

  市中病院の実習では小児科も回りましたが、風邪、頭痛、腹痛などばかりで、研修医の人も、「自分で外来やって」というところだったので、ペアで振り返ったりしながらやっていました。もう少し市中病院の期間があっても良かったと思います。

Eさん 私の臨床実習は5年生の4月からで、1つの科を1カ月回るので、回れない科もありました。私の場合は、消化器内科、呼吸器内科です。

司会:臨床実習で回っておきたかった科ですよね。

Eさん そうなんです。試験などで「実習で診た……」と書いてあっても、診ていないので国試に向けて困りました。実習する病院の選択肢は複数ありましたが、有名どころは抽選で漏れてしまう。希望があれば海外にも行けますが、私は行きませんでした。逆に、糖尿病部門に1カ月もいる必要があったのかは、いまだに不明です。2型の方ばかりなので、ただ痩せていくのを見ているだけ。血糖コントロールで多様な症例ではない。ただ、患者の心理面には詳しくなった気がしています。仲良くなって深いお話を聞けたりしたので、良い面もありました。それでもやはり国試対策を考えると困りものだと思います。メジャーな診療科をきちんと回れるプログラムであるべきです。昔はそうだったらしいけれど、「臨床現場には1カ月くらいはいないと」「深く知らないと」というわけで、昔は7人くらいだった1班当たりの人数は4人くらいの少人数にして、1診療科当たりの期間も長くなった。2週間だけは、大学から外に出て、都心の市中病院で実習をやらせていただいた。夜のお仕事の方々が、アル中で次々と運ばれてくる現場でした。



https://www.m3.com/news/general/610994
抗認知症薬の効果「不十分」 仏、4種類を保険適用外に
2018年6月24日 (日)配信朝日新聞

 認知症の治療に日本でも使われている4種類の薬が、フランスで8月から医療保険の適用対象から外されることになった。副作用の割に効果が高くなく、薬の有用性が不十分だと当局が判断した。日本で適用対象から外される動きはないが、効果の限界を指摘する声は国内でもあり、論議を呼びそうだ。

 仏連帯・保健省の発表によると、対象はドネペジル(日本での商品名アリセプト)、ガランタミン(同レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)、メマンチン(同メマリー)。アルツハイマー型認知症の治療薬として、これまで薬剤費の15%が保険で支払われていたが、8月からは全額が自己負担になる。

 東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)によると、フランスは薬の有用性に応じて価格や保険で支払われる割合を随時見直している。今回の薬は7年前にも専門機関から「薬を使わない場合と比べた有用性が低い」との評価を受け、保険で支払われる割合が引き下げられた。機関は2016年にさらに低い「不十分」と評価し、今回の決定につながった。

 4種類の抗認知症薬は病気の症状が進むのを抑えるが、病気自体はくい止められない。効果は各国で実施された臨床研究で科学的に確認されている。とはいえ薬から得られる恩恵は「控えめ」(米精神医学会のガイドライン)だ。また、下痢や吐き気、めまいといった副作用がある。

 日本でアリセプトに続いて実施された3種類の薬の治験では、認知機能の指標では効果があったものの、日常生活動作を含む指標では効果が確認されなかった。それでも承認されたのは、アリセプトだけでは薬の選択肢が限られるなどの理由からだ。

 東京都医学総合研究所の奥村泰之主席研究員らの調査では、日本では15年4月~16年3月にかけて、85歳以上の高齢者の17%が抗認知症薬の処方を受けた。処方された量はオーストラリアと比べ、少なくとも5倍多いという。

 兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦(はるひこ)・認知症疾患医療センター長は「欧米はケアやリハビリをより重視する。日本では安易に抗認知症薬が使われている印象だ」と話す。

 ただ、薬を自己判断でやめると症状が悪化する恐れがある。日本老年精神医学会理事長の新井平伊(へいい)・順天堂大教授は「抗認知症薬は病気の進行を1年ほど遅らせることができ、薬がなかった以前と比べればそれなりの価値はある。薬をどう使うかは主治医とよく相談してほしい」という。(水戸部六美、編集委員・田村建二)



  1. 2018/06/24(日) 11:25:06|
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6月17日 

https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/11/16196
総合診療医、県内の専攻ゼロ 4月開始新制度 
2018.06.11 岩手日報

 岩手医大の下沖(しもおき)収(おさむ)教授(総合診療医学分野)は9日、盛岡市内で講演し、4月開始の新専門医制度で、新たに養成が始まった総合診療領域を選択した県内の専攻医がゼロだったことを明らかにした。総合診療医への理解不足や、他領域に比べ医師像が捉えにくいことなどが影響したとみられる。高齢化や医師不足が進む本県で多様な疾患に対応できる総合診療医の需要は高く、その役割や魅力の発信が求められている。

 下沖教授によると、県内では同大のほか県立病院など計7機関で総合診療専門医の研修プログラムがあるが、いずれの機関も専攻医はゼロ。全国では専攻領域の19診療科で約8400人が専攻医登録をしたが、総合診療を選んだのは全体の2・2%にとどまった。

 総合診療医は病院のほか、地域保健や在宅医療など診療の場が多様なため、下沖教授は「特定診療科に比べて医師像が定まりにくく、分かりにくい」と考察。研修で内科やへき地での勤務が必須とされていることなども専攻医の不安を招いたのではないかと指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607513
シリーズ 大学医学部「地域枠」の今
離島医療・保健実習、医学生全員が必修 - 長崎大学◆Vol.1
「地域枠」区別なく、1年次から地域医療教育
 
スペシャル企画 2018年6月11日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師不足・偏在対策の一環として、2008年度以降、全国の大学医学部が「地域枠」を設置、定員数は年々増加し、2017年度では医学部入学定員9420人のうち、1676人を占める。「地域枠」を生かすには、単に入学定員枠を設けるだけでなく、卒前・卒後の教育、研修をいかに行うかがカギとなる。シリーズで各大学の「地域枠」の現状をお届けする。

 その第一弾は長崎大学。同大は、「地域枠」か「一般枠」かを問わず、地域医療教育を医学部の1年生から実践しているのが特徴。2004年度から長崎県と五島市の寄附講座として「離島・へき地医療学講座」を開講し、離島での活動拠点として「離島医療研究所」を設置したのがきっかけだ。日本で最も離島が多い都道府県である長崎県。その地域医療を支える立場として、離島の保健医療の各施設を臨床実習の場とするほか、実習を実のあるものにするための“予習”として、1年次から保健医療福祉の各施設での体験学習、症例検討などを重ねる。学内の歯学部と薬学部に加え、福祉系人材養成の長崎純心大学の学生との共修に取り組んでいることも注目点だ(2018年6月1日に取材。全3回の連載)。

 「長崎大学は『地域枠』制度が導入される前から、地域医療教育に取り組んできたため、『地域枠』の学生か否かを分け隔てなく、医学部の1年生から地域医療教育に力を入れる体制を作り上げてきた。さらに福祉系の学生も含め、多職種を交えた教育も実践している。臨床実習では、本土の中核病院だけでなく、離島の医療機関などが教育の場となっている。高齢社会における地域医療の担い手の養成は、医学部だけでは限界があり、“社会の総力戦”で取り組まなければいけない」――。

 こう語るのは、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏だ。

 2008年度から導入した「地域枠」の入学者も増えているものの、入学者全体に占める長崎県内出身者は3割強にとどまる。「地域枠出身者はほぼ100%、長崎県内で研修する。それに加えて、地域枠以外でも、卒業後、県内で研修する学生が増えている。臨床実習を受けた病院を卒後の臨床研修先として選ぶ傾向が、年を追うごとに高まっている」(前田氏)。長崎大学医学部の卒業生のうち長崎県内で研修する割合は、2012年度は47.6%だったが、年による変動はあるものの、2016年度は58.2%、2017年度は54.3%と5割を超えるようになった。これにも地域医療教育の影響が現れているのではないだろうか。

 1年生から地域医療教育の“実習”

 長崎大学が地域医療教育を充実させたのは、2004年度からだ。長崎県と五島市が、自治体初となる大学医学部への寄附講座として「離島・へき地医療学講座」を開講し、その活動拠点として長崎県五島市の五島中央病院内に「離島医療研究所」を設置したのがきっかけ。前田氏が教授として赴任、その後、2012年に大学内に正規の講座として地域医療学分野が設置されたため、前田氏は同分野の教授も兼務する。

 離島医療・保健実習の実習体制は順次拡充し、現在は4コース。医学部4、5年生は、いずれかのコースで1週間泊まりがけで臨床実習する。その後の5、6年生の高次臨床実習(4週間以上)でも、離島実習を選択でき、希望者は地域枠以外の学生も年々増加している。

 地域医療教育を担当するのは、「離島・へき地医療学講座」と地域医療学分野のほか、2013年度に文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」としてスタートした、長崎大学医学部地域包括ケア教育センターだ。同センター長の永田康浩氏は、「5年生の離島医療・保健実習は、いわば地域医療教育のアドバンスコース。いきなり離島に行っても、単に見学だけに終わってしまいかねない。そうしないためには1年生から積み重ねる“予習”が必要」と指摘する。

 “予習”、つまり準備教育として充てているのが、1年生から4年生までの「医と社会」の講義と実習、そして演習である。地域医療関連のカリキュラムは、下図の通りだ。「徐々にステップを上げて、現場を見せる」(永田氏)という考えから、1年生はリハビリテーション病院などの病院体験実習、2年生は高齢者福祉施設の体験実習、3年生は診療所体験をそれぞれ取り入れ、医療に限らず、保健、福祉の現場を幅広く見てもらうことを目指している。4年生は、長崎大学の歯学部と薬学部の学生とともに、症例検討などのグループワークを行う。

 さらに離島医療・保健実習に行く直前の1週間の“予習”では、地域包括支援センター、訪問看護ステーション、消防署の3施設を拠点として地域包括ケア実習を行う。救急車同乗実習では、救急要請する高齢者宅に出向き、医療機関に搬送されるまでのプロセスを実体験する。

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6年間を通じて、地域医療教育を実践(提供:永田氏)

 福祉系の他大学学生とも共修

 長崎大学の地域医療教育の特徴は、4年生のグループワーク以外にも、“予習”を実践するさまざまな機会で、多職種による教育を取り入れていることだ。福祉系の人材養成に実績のある長崎純心大学とも連携して、異なる大学の学生同士による共修も開始した。

 2年次に取り入れているのは、週2コマ、3週間にわたる講義と共修グループワーク。「“医療モデル”から“生活モデル”へと理解を広げるために、“医療モデル”の思考が固まるのと並行して、若いうちから医療と福祉の垣根を越えた、“生活モデル”の視点を学ぶと、吸収は早い」(永田氏)。講義を担当する長崎純心大学人文学部学部長の潮谷有二氏は、「医師にとって、将来パートナーとなる福祉系の学生とともに学ぶことは、日本の医療の将来を見据えた教育」と語る。プログラムや教材などは、2大学が共同で開発した。

 永田氏が医学部1年生から4年生に、2015年度と2017年度に調査した結果、地域医療教育を通じて、地域医療への関心が高まったことが示された。地域枠と一般枠を分けた分析でも、有意差はないものの、関心は高まったという結果だった。

地域医療教育への関心を5段階で評価した結果、授業後に関心が高まったという結果が表れている(提供:永田氏)

 さらに任意参加の「長崎地域医療セミナー」を五島と平戸の2カ所で、毎年夏に開催。2泊3日の合宿形式で、両大学から40~50人参加する。ここで医学生はより多くの刺激を受ける。長崎大学の医学生は1、2年次の参加が多いが、長崎純心大学の学生は3、4年生が中心。「医学部のカリキュラムは6年間だが、われわれは4年。その中で、1年生の頃から現場に行くなど、福祉系の専門性を早くから形成している上、医学系の学生とは視点のフレームが違う。医療系の知識がそれほどまだない1、2年次の医学生が、どんな社会サービスを活用して患者を包括的に支援していくかなどを学べる好機となっている」(潮谷氏)。



http://www.medwatch.jp/?p=21051
剖検の意義は依然大きく、剖検教育の成否は「上級医」が握っている―病理学会、内科学会 
2018年6月12日|医療現場から MedWatch

 Ai(死亡時画像診断)などの技術が進む中でも、剖検でしか検証しえない病態があり、依然として剖検の意義は大きい。遺族から病理解剖(剖検)の許諾を得るために行う説明について、研修医は「上級医の説明の場に同席して見学する」形で学ぶことが多く、剖検に関する教育の成否の鍵は上級医が握っていると言える―。

 日本病理学会と日本内科学会が6月11日に公表した「病理解剖の許諾 剖検合同アンケート」結果から、こういった状況が明らかになりました(日本内科学会のサイトはこちら)。

ここがポイント!

1 剖検許諾に関する指導、「上級医の説明」を見学する形が多い
2 遺族への説明は「実地で学ぶ」しかない、剖検の意義の再確認を

剖検許諾に関する指導、「上級医の説明」を見学する形が多い

剖検は、個々の症例の死因や病態などを検討することで、医師の「相互検証力」を高めるために極めて重要でが、その件数は減少傾向にあります。こうした状況について「Ai(死亡時画像診断)の普及により、剖検の必要性が低下しているのではないか」「病理医の不足が原因ではないか」「遺族から許諾を得ることが難しくなっている」などの指摘がありますが、いずれも十分な説明とは言えないようです。

両学会では、教育的側面も含めて剖検件数を増やすことが重要との認識に立った上で、まず「剖検に関する取り組みの現状」を把握する必要があるとし、「遺族へ剖検を許諾してもらう」点について研修医にどのような教育が行われているのかを明らかにするため、内科学会の認定教育施設を対象としてアンケート調査を実施しました。492施設(大学病院55施設、臨床研修指定病院である一般病院390施設、臨床研修指定病院でない一般病院47施設)から回答が得られています(日本内科学会のサイトはこちら)。

まず、病床規模別に剖検件数を見ると、当然とも思われますが「規模が大きな病院ほど件数が多い」のですが、大学病院と臨床研修指定病院で若干の相違(1000床超の臨床研修指定病院では必ずしも剖検が多いわけではない)があるようです。

【大学病院】
▼201-500床:10件以下が100%
▼501-1000床:10件以下が5.6%、11-20件が25%、21-50件が69.4%
▼1000床超:10件以下が0%、11-20件が7.7%、21-51件が61.5%、51-100件が30.8%

【臨床研修指定病院(一般病院)】
▼200床以下:10件以下が88%、11件-20件が12%
▼201-500床:10件以下が70%、11-20件が29.2%、21-50件が1.1%
▼501-1000床:10件以下が37.2%、11-20件が53.2%、21-50件が11.7%、51-100件が1.1%
▼1000床超:10件以下が33.3%、11-20件が33.3%、21-51件が33.3%

 
 次に、「遺族に剖検の許諾依頼をする」ことに研修医がどの程度関与しているのかを見ると、初期研修医(医師免許取得から2年間)と後期研修医(初期研修終了後、専門医取得を目指す専攻医)とで状況が異なり、後期研修医では「遺族に説明を行う」ケースが多くなっています。

 また大学病院と臨床研修病院とを比べると、大学病院では「後期研修医であっても自分自身で遺族に説明する」ケースが少なく、逆に「説明には立ち会うが、上級医を見学するのみで、自分自身で説明は行わない」ケースが多くなっています。両学会では「大学病院では、教員などが説明を行う頻度が高い」と見ています。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)1 180611
 
 さらに、病理解剖に関する研修医への指導について見てみると、▼初期研修医・後期研修医ともに指導を行う病院が多く、大学病院では後期研修医へも指導を行うところが多い▼剖検件数の多い病院では、初期研修医・後期研修医ともに指導を行うところが多い―状況が伺えます。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)2 180611
 
 指導内容としては▼病理解剖の意義▼CPC(臨床病理症例検討会)—が多く(病理解剖関連法規への指導は少数派)、また「病理解剖許諾」に関する指導については「上級医の説明の場に立ち会う」という実地指導が圧倒的多数を占めています(講義などは少数派)。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)3 180611
 
また「病理解剖許諾」において苦労している点としては、やはり「遺族の心情への配慮」「遺族からの剖検拒否」をあげる声が多くなっています(日本内科学会のサイトはこちら)。

一方、「病理解剖許諾」を得るために行っている工夫としては、▼病院長名での「剖検お願い」の文書作成▼内科学会による「剖検の際の説明例」の活用—などが参考になるでしょう(日本内科学会のサイトはこちら)。

遺族への説明は「実地で学ぶ」しかない、剖検の意義の再確認を

両学会が、調査結果を踏まえて特筆しているのは、剖検の許諾を得るための説明力などについては「実地で身につけるしかない」といったコメントが剖検件数の言い施設からも寄せられている点です(日本内科学会のサイトはこちら)。上述のような「病院長名のお願い文書」や「学会による説明の雛形」などは参考にはなるものの、それだけで十分な説明を行えるものではなく、実際に遺族に寄り添い、その心情に配慮した上で説明を行うという経験こそが重要なようです。

一方で、「内科学会の認定教育施設(内科剖検体数10体以上、CPC5症例以上などの基準あり)になるためだけに剖検を実施している」との声が指導医クラスからも出ている点にも触れ(日本内科学会のサイトはこちら)、「剖検の意義」(体内の状態を直接確認し、形態にとどまらないさまざまな情報を手に入れられる)を再確認する必要がありそうです。上述のように研修医への指導の圧倒的多数は「上級医の説明の見学」形式(実地指導)となっており、上級医が剖検の意義を十分に理解し、研修医に伝えなければ、研修医は剖検の重要性を理解できず、剖検の必要性・重要性を遺族に適切に説明できません。これでは遺族の理解を得られず、剖検件数が増えていくはずもありません。

こうした結果を受けて両学会では、▼「剖検の許諾から死因説明」といった指導は上級医の見学という形で行われることが多く、剖検に関する教育の成否の鍵は指導医である「上級医」が握っている▼剖検に携わる人材の確保、費用面での支援が急務である▼剖検でしか検証しえない(Ai等ではなしえない)病院もあり、剖検とCPCの役割は依然として大きい―ことを強く訴えています(日本内科学会のサイトはこちら)。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53314
内部資料流出で追いつめられる日本専門医機構 
6月14日(木)6時0分 JBpress

 「正しい数字を書けと言われてもちょっと困るので、一応こうやってしたんですけど」(本田浩理事、九州大学教授)

 「(理事会提出の資料を回収するという指示を受けて)出ちゃうとまずいです」(栄田浩二事務局長代理)

 「(厚労省の)検討会でどうやって言い逃れるか」「黙っとこう」(吉村博邦理事長・北里大学名誉教授)


流出した内部資料
 一般社団法人日本専門医機構(吉村博邦理事長)の内部資料が出回っている。筆者のところにも送られてきた。

 その資料に目を通し、呆れ果てた。冒頭にご紹介したように、幹部たちが自らの責任を回避するための隠蔽・改竄を認めるコメントのオンパレードだ。

 知人の日本専門医機構関係者に資料を見せたところ、「それは本物でしょう」と言われた。どうやら、大変な事が起こっているらしい。

 では、日本専門医機構とは、いったいどのような組織なのか。その前に、日本専門医機構が推進する新専門医制度が導入された経緯について解説しよう。

 迷走ぶりも含め、既に多くの媒体で報じられている。筆者も過去に紹介したことがある(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49835)。簡潔に述べる。

 従来、専門医の資格は、日本内科学会や日本外科学会、あるいはその下部組織である日本循環器学会や日本心臓血管外科学会などが独自に認定してきた。

 学会によって認定の質にバラツキがあることが問題視され、中立の第三者機関が認定することが求められた。

 そのために立ち上がったのが、日本専門医機構だ。日本専門医機構は、主要な19領域の診療科を対象に、専門医を認定することとなった。

 厚労省も補助金を出し、審議会での議論を通じて「お墨付き」を与えることで、この組織を支援してきた。その目的は、地域ごとの専門医育成の枠を制限することで、医師の地域偏在や診療科の偏在を是正することだった。

 「日本専門医機構を裏で操っているのは厚労省(医療業界誌記者)」という声まである。

 今国会で成立した改正医療法では、都道府県等の調整に関する権限を明確化し、診療領域ごとに、地域の人口、症例数に応じた地域ごとの枠を設定する方針が明示されている。


日本専門医機構とはどのような組織なのか
 その際、厚労省や都道府県は日本専門医機構と連携する。

 では、どんな人たちが日本専門医機構を構成しているのだろう。それは、基本的に大学教授の集まりだ。

 27人の幹部(理事長・理事・監事)のうち、16人は医学部教授か経験者だ。9人は東京大学医学部を卒業している。

 残りは知事、日本医師会、全日本病院協会の代表、あるいは医療事故被害者だ。いずれも厚労省の審議会の常連である。

 行政と業界団体が協力して、資源の分配を決めるのは、20世紀の産業政策の遺産と言ってもいい。厚労省や日本専門医機構は旧来の手法を強行したが、上手くいかなかった。

 3月5日、日本専門医機構は3次にわたる専攻医の募集を締め切り、その結果を公表した。

 新制度には8394人の若手医師が応募した。初期研修を終える医師の9割を超える。基礎研究や厚労省など行政職に進む一部の医師を除き、今春3年目を迎える若手医師のほとんどが、新専門医制度のカリキュラムに応募したことになる。

 この結果を当研究所および仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が共同で分析した。

 日本専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。

 我々は、今回の応募者と、厚労省が発表している「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」を比較した。

 この調査では、比較対象を何にするかが難しい。従来の学会は任意参加だ。日本内科学会の会員数が内科医の正確な数を示しているわけではない。私もそうだが、日本内科学会に所属しない内科医が大勢いる。


内科・外科を目指す医師が減る
 ところが、新専門医制度が始まり、内科医を志す若手医師は、日本内科学会への加入が実質的に強制されることとなった。このため、過去数年間の日本内科学会の新規登録会員数と、今春の応募者を比較することは妥当ではない。

 我々が用いた「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」とは、厚労省が2年に1度実施している「医師・歯科医師・薬剤調査」の結果だ。

 これは統計法に基づく悉皆調査で、「性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名等による分布を明らかに(厚労省ホームページより)」することを目的とする。限界もあろうが、現存するデータの中では、今回の研究で比較対象とするに最も相応しい。

 まずは診療科の比較だ。2012〜2014年の平均と2018年の応募者を比較したところ、内科は2650人から2671人へと21人、外科も764人から807人へと43人の微増だった。

 一方、増加が著しかったのは麻酔科(134人)、眼科(121人)、精神科102人などのマイナー診療科だ。

 舛添要一氏が厚労大臣の時(2007年8月〜09年9月)、医学部定員を増やしたため、今年度、専門研修を始めるのは、2012〜14年の平均(6926人)よりも21%も多かった。医師増の影響を考慮すれば、内科は実質的に2割減と言っていい。

 このことは全医師に占める内科医の割合をみれば一目瞭然だ。38%から32%へと低下した。同じように、低下した診療科は、外科(11%から9.6%)だ。まさに、医療の中核を担う診療科を志す医師が減り、マイナー診療科が増えたことになる(下の図1)。
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図1:新専門医制度が診療科選択に与えた影響

 地域偏在に与える影響は、さらに深刻だった。

 すべての診療科で東京一極集中が加速した。図2は内科の状況を示す。

 東京は93人増加した。周辺の千葉(27人減)、埼玉(7人減)などから医師を吸い寄せたことになる。従来から首都圏では東京への医師の一極集中が問題視されていた。

 新専門医制度が始まり、医師の偏在は益々加速した。

 深刻なのは首都圏だけでない。従来、医師数が比較的多いとされてきた西日本などの地方も、新専門医制度によって重大な影響を受けた。

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図2:新専門医制度が医師の偏在に与えた影響

 例えば、12の県(青森、秋田、富山、福井、鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮﨑)では内科志望医が20人以下である。高知に至ってはわずか8人だ。このような状況が数年間続けば、間違いなく地域医療は崩壊する。

 外科も同様だ。東京は76人増加した一方、静岡は20人、神奈川は6人、千葉は5人減少した。内科同様、東京が周辺の都道府県から外科医を志望する若手医師を吸い寄せたことになる。

 さらに、13の県で志望者は5人以下だった(山形、群馬、山梨、福井、奈良、島根、山口、徳島、愛媛、香川、高知、佐賀、宮﨑)。群馬、山梨、高知に至っては1人である。

 実は、この状況は内科、外科に限った話ではない。志望者が激増した眼科ですら、一極集中が加速した。

 東京は36人増加し、2位の京都(14人増)を大きく引き離す。一方、12の県で志望者が減少した。青森・山梨・長野・徳島・長崎では志望者はいなかった。他のマイナー診療科も状況は変わらない。

 調査結果(今回の最終報告の前の中間発表に基づくもの)は、1月29日に共同通信を介して、全国の地方紙で報じられた。事態の深刻さを知った地方自治体や国会議員から、厚労省や日本専門医機構に問い合わせが殺到した。

 新専門医制度については、医師はもちろん、多くの関係者から懸念が表明されていた。

 昨年4月14日には、立谷秀清・全国市長会会長代理が「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」を公開し(http://www.mayors.or.jp/p_opinion/o_teigen/2017/04/290414shinsenmoni-kinkyuyoubou.php)、塩崎恭久厚生労働大臣(当時)に手渡した。

 立谷氏は、「医師の適正配置を決めるのは国民であり、大学教授ではない。市民の代表である市長の立場から懸念を表明した」という。


事実をねじ曲げた日本専門医機構
 このような動きを受け、塩崎厚労大臣は、厚労大臣在任の最終日である昨年8月3日に、日本専門医機構の吉村理事長と面談し、地域医療にマイナスの影響を与えないよう、改めて要望した。

 内科医である立谷氏は、厚労省の検討会のメンバーにも任命された。さらに6月6日、全国市長会会長に就任した。引き続き、この問題に取り組んでいくことになるだろう。

 ところが、日本専門医機構は、このような懸念を「無視」して強引に進めた。彼らの「公約」は守られなかった。

 窮地に陥った日本専門医機構は、内科医は減っていないし、地方の医師不足は悪化しないという主旨の説明を繰り返した。

 例えば、彼らは5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14基本領域については、「過去5年間の専攻医の採用成績は超えない」という上限を設定し、松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「おおむね今回はうまくいった」とコメントした。

 彼らが提示したデータを見ると、その主張も一理あるように見えた。

 ところが、前述したように、5月半ばから日本専門医機構の議事録、速記録などの内部情報が外部に漏洩するようになった。

 内部資料を詳細に読むと、日本専門医機構がどのようにして、事実をねじ曲げたかがよく分かる。ここでは東京都の内科医のケースをご紹介しよう。

 今春から都内で内科研修を開始するのは536人。この数字が多いか少ないかは、比較対象によって異なる。

 我々は「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」を比較対象としたが、東京都の内科医は93人増加していた。おそらく、この数字は皆さんの実感にあうだろう。

 多くの診療科で東京一極集中が進んだのに、内科だけ反対というのは、常識的に考えにくい。


都内では内科崩壊が避けられない
 一方、日本専門医機構は各学会に制度導入前の数字を報告させ、比較対象とした。日本内科学会は、過去5年間に内科認定医資格を受験した人数を報告した。

 この調査によれば、東京の受験者数の平均は709人。新制度導入により173人も減ったことになる。我々の調査とでは、比較対象が265人も違うことになる。このような比較は、コントロールを何に置くかで、どんな結果も導き出せる。

 ただ、日本専門医機構の数字を信じれば、都内の内科診療の崩壊は避けられない。

 11月17日の会合では、本田理事は「東京に絞ってみますと、トータルの医師数はマイナス50人。専攻医数。ただし、内科が150人減って、その他の領域で全部増えて、で、トータルでマイナス50人」と発言し、「内科医の数が減ると、やはりダイレクトにその地域医療に影響してきますからね」と認めている。

 そして、ここから長く議論が続き、最後で「ここは議事録残さないよね。今の話は。一応、『終了します』と言った後の議事録はなし。フリーディスカッションだね」で締めている。

 問題を指摘された日本専門医機構は、1月末に日本内科学会に再調査を依頼した。そして、2月9日の理事会に提出された資料では過去5年間の東京都の内科認定受験数の平均は567人に変更されていた。

 これについて、松原副理事長は「再受験の方と、それから小児科などから受けた先生たちも入っていた」ので、それを除いた数字を再提出したと説明した。

 筆者は、この説明に納得できない。過去5年間の内科認定医試験の合格率は88%。全国での不合格者は毎年約400人だから、東京に限れば50人程度だ。

 小児科医を目指すのは年間に約600人。都内では130人程度だ。松原氏の主張が正しければ、全員が内科に転向していることになる。

 関係者も、この説明には納得していないようだ。

 理事会に参加した市川智彦理事(千葉大学教授)も「数字が極端に変わっている理由を説明できるように考えておかないと、何となく、ちょっとまずいような気がする」と述べている。


当事者もデータの誤りを知っていた
 この問いかけに対し、松原氏は「あとは全部きれいに収まったので、これが、正確な数字・・・なんだそうです」と回答している。松原氏も、この数字を信頼していないのが分かる。嘘の上に嘘を積み重ね、収拾がつかなくなっている。

 松原氏らのやり方は、最初から間違っている。日本内科学会を含め、各学会は1人でも多くの定員が欲しい。一部の地域で過去5年間の平均を超えないと言う上限が設定されていたら、過去の実績を多めに申請していたとしてもおかしくない。

 単純比較すれば、マイナー診療科の増加や東京への一極集中が過小評価されるだろう。松原氏が初回の調査で慌てる結果になったのも当然だ。

 この影響を減らすには、前述したように割合で比較するしかない。この方法は過大申告の程度が学会ごとに大きな差がないという前提に立っている。その影響は否定できないが、単純な前後比較よりははるかに正確だろう。

 日本専門医機構の理事たちの多くは大学教授だ。誰も、この程度のことを思いつかないとは考えにくい。

 ところが、誰も意見しない。ここに日本専門医機構の問題がある。このあたり、人事権者である政治家の意向を忖度し、データを改竄した財務官僚に相通じる。

 新専門医制度は日本の医療の根幹に関わる。果たして、こんな連中に任せておいていいのだろうか。

 今回の不祥事は、第三者による検証を行うべきだ。そして組織・制度を抜本的に見直す必要がある。

筆者:上 昌広



http://www.medwatch.jp/?p=21130
都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」定め、調整会議の議論活性化を―地域医療構想ワーキング(1) 
2018年6月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論を活性化し、病床機能報告制度の精緻化することなどを目指しに、▼都道府県単位の調整会議を設置し、県内の各調整会議の議長全員の参画を求めることを推奨する▼各都道府県で医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準とも言える)を、医療関係者と協議して導入することを求める▼高度急性期・急性期機能を全く果たしていない医療機関は高度急性期・急性期として病床機能報告することを認めない▼各医療機関に「2025年度の病床機能」に関する報告を求める―などといった見直しを行う―。

 6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が概ね固まりました。今後、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」と社会保障審議会・医療部会の了承を経て、省令改正などが行われます。

 今回は、「医療機能を考えるに当たっての目安・指標」の導入などに焦点を合わせ、都道府県単位の調整会議設置などは別稿でお伝えします。

ここがポイント!

1 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を
2 地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない


佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になり、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくため、こうしたニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制の再構築が求められています。

その一環として「地域医療構想の実現」が重要テーマとなっており、骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨を指示しています(関連記事はこちら)。

機能転換は「医療機関が自主的に進める」ことが基本であり、調整会議の議論活性化が何よりも重要となります。

この点について、埼玉県や佐賀県、奈良県では医療関係者と協議し、「医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を考える上でも目安・指標」(ある意味で機能に関する定量的基準とも言える)を独自に設定しています。地域医療構想においては、病床の必要量を設定するために「1日当たりの資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」などの全国基準が置かれましたが、これは各地域における機能分化を考える上での物差しではなく、現実的には「高度急性期から慢性期を考えるに当たっての特段の目安・指標」は存在しないのです。目安・指標がないところで機能分化の議論をすることは難しく、「調整会議の議論を活性化する」ために目安・指標を置くことが重要となるのです。

埼玉県では、高度急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの手術件数が2.0回以上」などの、急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回以上」などの基準値を設定しています(あくまで目安にとどめている)(関連記事はこちら)。
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地域医療構想ワーキング(1)の1(埼玉の定量基準) 180615
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地域医療構想ワーキング(1)の2(埼玉の定量基準) 180615
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地域医療構想ワーキング(1)の3(埼玉の定量基準) 180615
 
また佐賀県では、「平均在棟日数が22日を超える急性期病棟」は「回復期に近い急性期」と考えるとの目安を設置(関連記事はこちら)。

一方、奈良県では、「50床当たりの手術+救急入院件数が1日2件」という目安を設け、これを超える病棟を「重症急性期を中心とする病棟」、そうでない病棟を「軽症急性期を中心とする病棟」と区分けして考える方針を立てています(関連記事はこちら)。
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奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている
 
6月15日のワーキングでは、こうした先進事例を踏まえ、他の都道府県でも「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標を導入する」ことを求めるとの方針が概ね了承されました。
ここで留意すべきは、目安・指標は「病床機能報告制度において強制力を持つものではない」「調整会議の議論において強制力を持つものではない」という点です。

病床機能報告は、毎年度1回、「自院の各病棟が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれの機能を持ち、将来、持たせる予定か」を医療機関の「自主的な判断」によって都道府県に報告する、というものです。これまでに「診療報酬の特定入院料・入院基本料と機能との紐づけ」(例えば特定集中治療室管理料は、その施設基準に照らし高度急性期であることが明確である)が行われていますが、各機能の選択は「医療機関が自主的に行う」ことが基本であり、今後、都道府県が設定する(あるいは既に設定している)目安・指標が報告内容を縛ることにはなりません(ただし、別稿で述べるように、急性期等の機能をまったく果たしていない医療機関では、急性期等と報告することが今後認められなくなる)。

また、調整会議においても「●●病院は目安・基準を満たしていないので、機能転換を図ること」といった強制的な議論は行われません。

これらの目安・指標は、例えば、「自地域では、急性期が多く、回復期が不足している。まず、各医療機関において目安・指標をどの程度満たしているか全体を見てみよう。その上で、客観的・俯瞰的な視点で機能分化が必要かどうかを検討してはどうか」といった活用方法が期待されます。

したがって目安・指標は「全国一律」ではなく、都道府県ごとに「医療関係者と協議し、合意を得た上で設定する」ことが重要です。この点について佐賀県の目安・基準作りで中心的な役割を果たした織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は「50回にもわたる議論を行った。目安・基準の内容よりも、議論のプロセスが重要である」と強調しています。

地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない
 ところで、6月15日のワーキングでは、こうした目安・指標の設定に関し、構成員の間で激しい意見の衝突がありました。

口火を切ったのは織田構成員。現場では、「2025年における病床の必要量」(地域医療構想)と「毎年度の病床機能報告結果」とを比較し、機能転換に向けた議論をしていきます。しかし病床の必要量は「患者数」をベースに設定しているのに対し、病床機能報告は「病棟」をベースとしており、両者の比較は難しいのです(病床機能報告で1病棟・40床を急性期と報告しても、その病棟には回復期患者などもいるため)。そこで織田構成員は「病床機能報告を見直し、例えば『急性期』と報告する際に、あわせて『うち回復期相当のベッドが●割』などと報告してもらうことで、病床機能報告結果を補正し、病床の必要量との比較が容易になる」と提案しました。

これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「病床の必要量と、病床機能報告結果は、性質が異なり、そもそも比較してはならないものである。仮に織田構成員の提案が導入されれば、『急性期病棟では重症患者割合が60%・70%いなければならない』といった診療報酬や施設基準の議論につながってしまう可能性がある」旨を述べ、織田構成員の提案に強く反対しました。もっとも、上述の「調整会議の議論を活性化するための目安・指標を設定する」ことには賛意を示しています。

この議論・論点は、調整会議で実際に機能分化を検討していく際にも非常に重要なもので、織田構成員の「円滑な病床機能報告や調整会議論議のために目安・指標が必要」と言う意見にも、中川構成員の「病床機能報告と病床の必要量を単純比較することは好ましくない」との意見にも頷けるものがあります。今後、各都道府県や各地域医療構想区域(主に二次医療圏)においても、こうした点にまで議論を深め、その上で個別病院の機能転換に向けた具体的な議論が展開されることが期待されます。

 
なお、冒頭に述べたように、調整会議の議論活性化に向けては「都道府県単位の調整会議設置」、病床機能報告の精緻化に向けては「高度急性期・急性期機能を全く果たさない場合の報告方式(急性期等での報告を認めない)」なども方針が固められており、それらは別稿でお伝えいたします。
 



https://www.m3.com/news/iryoishin/607514
大学医学部「地域枠」の今
「地域枠、イコール総合診療医」にあらず - 長崎大学◆Vol.2
“2023年問題”、コアカリキュラム改訂などの追い風
 
スペシャル企画 2018年6月17日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――長崎大学では「地域枠」の学生を分け隔てなく、地域医療教育を実践されています(地域医療教育の詳細は、『離島医療・保健実習、医学生全員が必修』を参照。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏と、長崎大学医学部地域包括ケア教育センター・センター長の永田康浩氏へのインタビュー。文中、敬称略)。

前田 「地域枠、イコール総合診療医」というイメージはありますが、「地域枠」と「一般枠」を分け隔てなく教育しているのは、臓器別専門医も含め、どんな臨床医を目指すとしても、地域医療には裾野が広い臨床知識や経験、総合診療的なマインドが求められるからです。「地域枠」を創設したのは2008年度で、それまでの地域医療教育の中に、「地域枠」の医学生の教育を組み込んでおり、1年生での五島や平戸での「長崎地域医療セミナー」を必修とし、5年生の後半から6年生にかけて行う高次臨床実習で、6カ月のうち、1カ月以上は学外での研修を組み入れる以外は、カリキュラムは一般枠の医学生と変わりません。

――改めて今の体制を作るまでの経緯をお教えください。

前田 長崎県の医学修学資金貸与制度は1970年度からスタート、1982年度からは県養成医師の離島勤務が始まっています。その後、2004年度から長崎県と五島市の寄附講座「離島・へき地医療学講座」を開講以降、われわれは地域医療教育の充実を図ってきました。寄附講座の教員は現在、教授の私(兼務)と助教2人の3人体制です。

 2004年度当時は文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム」にも、まだ地域医療教育が入っておらず、どんな臨床実習をすればいいのか、最初は手探りの状態でした。一方で、臨床実習を受け入れる医療機関の側にも、「特別なプログラムを用意しなければならないのか」などの戸惑いがありました。「日常の業務を見せてほしい」とお願いし、(医学生ができる医行為を定めた)「前川レポート」を基にどんな医行為ができるかを説明、訪問看護やデイサービス、住民向けの健康講話などでは、できるだけ一員として参加させてもらいたいと要請しました。なお、医療機関へのファカルティ・ディベロップメント(FD)は、今でも毎年1回実施し、医学生の声を伝えたり、現場の指導医の声を聞く機会を設けています。

 われわれとしてはある程度、成功したと思っていたのですが、2004年度の開始から2年後に受けた外部評価では、当時の長崎純心大学の学長から、「社会福祉の視点が欠けている」ことを指摘されたのです。これを受け、臨床実習の準備段階から、社会福祉の視点を入れるための講義、見学やグループワークなどを充実してきました。

永田 医療・介護・福祉の資源が凝縮されており、課題を含めて地域医療を学ぶのにふさわしいのが離島です。離島医療・保健実習は2004年度に下五島コースからスタート、その後、上五島、対馬、壱岐コースを追加しました。

 2013年度には、文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」として、長崎大学に地域包括教育センターを設置。センターの事業として、1年生から6年生までの一貫したこれまでの地域医療教育プログラムを整備しました。要は、5、6年生の時点で、いきなり離島実習に行っても、何も響きません。何のために実習をするのか、その目的を理解してもらうためにはさまざまな教育上の仕掛けが必要であることに気付かされました。

 長崎純心大学の学生との共修の機会を設けているのも、長崎大学の特徴です。学内の他学部との共修を行う大学は増えていますが、他大学との共修は全国的にも珍しいでしょう。毎年夏に五島で開く「長崎地域医療セミナー」は当初、県外の医学生や研修生が長崎に来てもらうことを目的としていましたが、今は長崎大学医学部1、2、3年生と長崎純心大学の学生が中心。症例検討などを行い、地域包括的なマネジメントの視点を学ぶ機会になっています。

 両者の視点が全く違うのが、興味深いところです。例えば、訪問診療を見学した学生たちに「今日、何を見てきたか」と聞くと、例えば医学生は在宅患者の疾患や状態などを語り始める。一方で長崎純心大学の学生は、「独居だったけれど、いったい誰がケアをしているのか」と指摘する。地域医療を支えるには、介護や福祉も必要なことは、実際に従事すると痛いほど分かりますが、両者が混じり合うことで、学生の時代から自然と気付き、自ら考える力を持ってもらうことが共修の狙いです。

――地域医療教育に関する講義や臨床実習を始めるに当たって、学内でのコンセンサスは得られたのでしょうか。

前田 幸い、さまざまな“風”が吹きました。一つは、2007年度の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂で、「地域医療臨床実習」が新たに加わったこと。また“2023年問題”、つまり医学教育が国際認証を受けるためには、臨床実習の充実が必要になりましたが、学内での実習時間を増やすのには限界があり、学外実習への理解が得られやすい状況にありました。1、2年生の教養教育に少し余裕があったため、講義などを組み込むことが可能だったのです。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/501533.html
地域医療確保へ県に名称申請 伊東市民病院、圏域初 
(2018/6/13 08:54) 静岡新聞

 静岡県や熱海、伊東両市の医療、行政関係者らでつくる熱海伊東地域医療協議会の会合が11日夜、熱海市の県熱海総合庁舎で開かれた。伊東市民病院がかかりつけ医らの支援などを通じ、地域医療の確保を図る「地域医療支援病院」の名称承認を静岡県に申請することなどを了承した。
 地域医療支援病院は中小病院や診療所から紹介を受けた患者への専門的な医療の提供、他施設の医療従事者を対象とした院内医療機器の共同利用といった役割を果たしている施設。承認には紹介患者の割合や病床数、設備などで一定の要件を満たす必要がある。県は県保健医療計画で、県内に八つある2次保健医療圏域すべてで整備を進めるとしていて、伊東市民病院が承認を得れば熱海伊東圏域で初となる。このほか、がんのターミナルケアを担う医療機関などとして熱海市のさくら医院を追加することも了承した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/609374
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医の “シーリング”、対象領域含め見直しを検討
がん薬物療法専門医、内科・外科等のサブスペシャルティに
 
レポート 2018年6月15日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月15日の理事会で、日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医を同機構認定のサブスペシャルティとして了承した。基本領域は、内科、外科、小児科をはじめ、計14領域。サブスペシャルティは、内科系13領域、外科系6領域、放射線科2領域のほか、5月の理事会で消化器内視鏡専門医が新規に了承されていた(『消化器内視鏡専門医、日本専門医機構認定のサブスペに』を参照)。

 注目される2018年度募集の専攻医のシーリングの在り方は、同機構の基本問題検討委員会で検討しているが、15日の会議でも決まらなかった。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「9月初旬の専攻医の募集開始は決まっているが、それ以外のスケジュールは未定。どのようにシーリングすれば目的を達することができるか、今議論している」と説明した。

 専攻医のシーリングとは、外科などを除く14の基本領域(2017年度の場合)について、5都府県では「過去5年間の専攻医の採用実績を超えない」ように調整する仕組み。日本専門医機構は、基幹施設が都内であっても、都外の連携施設で研修する専攻医数などを踏まえると、「東京都への専攻医集中」との指摘は当たらないとしてきた(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』などを参照)。神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の基幹施設についても、他の都道府県の連携施設で研修する専攻医数などを現在調べている。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、その調査結果を踏まえてシーリングの在り方を検討するとし、「変えるべきところは、変えるべきという意見が出ている」と紹介、「9月スタートに合わせて、今後は検討スケジュールを加速していく必要がある」とも語った。外科、産婦人科、病理、臨床検査の4基本領域以外に、シーリングから外す基本領域を追加すべきという意見も出ているもようで、この点も含め、2018年度のシーリングの在り方が検討されることになる見通し。

 15日の理事会後の記者会見には、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏も顔を見せた。6月末で2年間の任期が満了になるため、過去2年間を振り返った上で、理事会の内容について、2017年度の事業報告と決算報告、6月29日の開催予定の日本専門医機構社員総会の議題などを議論したと説明。同機構の役員の任期は1期2年。現在、「役員候補者選考委員会」で選考を進めており、6月27日に役員候補者が決定する予定(『日本専門医機構の新役員の選考開始、6月末に決定』を参照)。

【吉村博邦・日本専門医機構理事長の6月15日の記者会見冒頭のあいさつ】
 2年前に理事長に就任した際、基本方針として、機構と学会が連携して制度を運営することを確認した。各学会が専門医の制度設計をして、機構の理事会がそれを認定してオーソライズする仕組みにした。開始は1年遅らせ、2018年4月からということで準備を進めてきた。途中、昨年の4月から、国に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」が設置され、全国市長会や知事会など、各方面から「地域医療が崩壊するのではないか」という意見が出され、新しい制度のスタートが危惧されたが、幸い各学会、関係者の努力により、今年4月から、8378人の専攻医が参加してスタートすることができた。多数の若手医師が専門研修を行うということは、わが国の高い医療レベルを維持し、発展させる上でも、大変意義深かったと思っている。

 また地域の医師の偏在も今以上に増長させないということで、5都府県で専攻医の採用数に、過去5年間の採用実績の平均を超えないように、シーリングをかけた。初年度だったので、必ずしも正確な数値ではなかったが、幸い各学会の尽力により、かなり調整された学会もあるが、過去5年間の採用実績の平均を超えないよう設定した数値をクリアすることができた。(シーリングの対象から)外科や産婦人科、病理、臨床検査は除いたが、外科も50人くらい増え、産婦人科も増加した。シーリングから外すことは、診療科偏在を解消する一つの方策だろう。

 ただ、本機構の本来の設立の目的は、乱立気味の学会専門医、学会が個別に認定する専門医の仕組みを何とか統一的にしたいということ。また医師の卒後の研修としては、初期臨床研修しか制度がなかったが、ぜひ若い先生方には専門研修をしっかりと行ってもらい、わが国の医療レベルを維持、発展させる仕組みを作りたい。これら二つの目的があった。その過程で、医師が偏在しないような配慮は必要。確かに東京に偏在しているが、過去5年間の平均値を考えると、それ以上に偏在したわけではない。東京に集中はしているが、偏在を加速させなかったということで、よかったのではないかと思っている。もっとも、東京に集中しているのは望ましいことではないので、何らかの方策を考えていく必要がある。次回の理事会に申し送りたいと思っている。若い先生方は一生懸命に専門研修をやっており、なぜそれに反対するのかと思っている。ぜひご理解いただきたい。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201806/556467.html
総合診療専門研修プログラムの審査基準が変更
5都府県はへき地などの研修を12カ月以上に
 
2018/6/14 加納亜子=日経ヘルスケア

 日本専門医機構は6月11日、新専門医制度における総合診療専門研修プログラムの一次審査の基準と総合診療専門研修プログラム整備基準の変更を、日本専門医機構のウェブサイトで公表した。

 専門医資格取得における研修期間に変更はないが、審査の新たな「条件」としてへき地・過疎地域、離島、医療資源の乏しい地域での研修を、「東京、神奈川、愛知、大阪、福岡(の研修プログラム)では12カ月以上」とすることを定めた。

 なお、へき地・過疎地域とは、総務省の指定する過疎地域、厚生労働省の指定するへき地、都道府県が指定するへき地。過疎地域を合併した市町村については、県庁所在市および人口30万人以上の市を除き過疎地域とした。また、過疎地域として指定された町村を含む郡部は、過疎地域としている。

 「医療資源の乏しい地域」は、自治体・医師会の意見を参考にして、「日本専門医機構が定める」という方針を示した。都道府県の地域医療対策協議会から医療資源の乏しい地域として認定を求められた場合には、その市町村、二次医療圏及び医療機関における研修は、「医療資源の乏しい地域における研修として機構が定める」こととなる。

 新専門医制度は、日本専門医機構が専門医の認定と研修プログラムの評価認定を担う仕組み。総合診療科以外の基本領域は、関連学会が中心となり、認定・更新基準、養成プログラムの基準の策定などを担い、研修プログラムや専攻医の認定、専攻医の定員数の調整を機構が担っている。だが、総合診療領域だけは、これら全てを機構が担当しており、今回は研修プログラムを認定する上での審査基準に加え、総合診療専門研修プログラム整備基準を変更した。

大学病院に対する基幹施設基準の緩和措置は2023年まで
 総合診療専門研修プログラム整備基準では、大学病院に対する研修基幹施設の施設基準に関する緩和措置に期限を設けた。大学病院を基幹施設とする研修プログラムは現在、研修全体の統括組織としての役割を果している場合や、適切な病院群を形成できる場合、大学病院が基幹施設の施設基準を満たさなくてもよいことになっている。しかし、大学病院を特別に扱うことへの批判が寄せられたため、その緩和措置を2023年までとする方針を示した。

 また、総合診療専門研修を行う環境として、一定期間以上の研修を求めていた、へき地、離島、医療資源の乏しい地域に「過疎地域」を追加した。さらに、「3年毎に適宜見直し・更新を行う」としていた総合診療専門研修プログラム整備基準は、「理事会決定に基づき適宜見直し・更新を行う」ことと定めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/606432
シリーズ Dr.木川の「川越救急クリニックから見えた医療の現実」
救急クリニックからみた川越、そして埼玉の医療
医療従事者に優秀な人材が多い
 
オピニオン 2018年6月11日 (月)配信木川英(川越救急クリニック副院長)

 「世に小京都は数あれど、小江戸は川越ばかりなり」と謳われた埼玉県川越市にある全国初となる救急科で開業した「川越救急クリニック」に勤務しております木川英(きがわあきら)と申します。

 設立8年目の当クリニックは、夜間専門で診療を行っており、診療時間は16時から22時まで救急・一般外来行い、翌9時まで救急車を含めた急患を診療しております。救急車の受け入れは1年間に1600台から1700台。埼玉県の救急指定病院の平均が1病院あたり700台程度で、倍以上の台数を受け入れていることになります。私は5年前に青森県八戸市から移って参りました 。

 m3.comで執筆するにあたり、第1回では私が勤務する埼玉県の川越地区の救急医療、特に一次、二次の状況について、思うところを記したいと思います。自虐的ではありますが、この救急クリニックが成り立っている時点で問題山積と思われます。

 夜間休日診療所がどの自治体にもあるかと思いますが、川越市ではまずそれが機能していません。あることはあるのですが、ほとんど診察もしてくれないようで、患者さんから「今、休日夜間診療所にいるのですが、ここでは診れないと言われました。そちらでは診察可能でしょうか?」といった電話が当院に来ます。このような状況が日常茶飯事ですので、(緊急性はともかく)夜間や休日に受診できる医療機関がないのも同然です。

 夜間休日に救急受入の病院群輪番制度を敷いている地域がほとんどだと思いますが、川越市は大小様々な病院はあるからか、それもありません。数があるゆえにたらい回しになるケースが多いです。A~J病院があったとして、A病院に救急要請があった場合、「まあB~Jまであるし他が診てくれるだろう」と考えます。同様にB病院も同じように考えます。それで、5-6件以上断られて当院に要請がきます。

 また、市内の病院で週一でアルバイト、月に2回当直もしていますが、そこで実感するのは常勤医が当直している病院がほとんどありません。基本的に東京からのアルバイトの先生でやっています。常勤医は当直免除の病院が多いようです。専門外の救急要請が来たら断る、「自分の病院」のような帰属意識が弱い感じでの当直になってしまっており、専門であっても断ってしまうケースが多々あります。

 市内には、3次救急医療機関の埼玉医大総合医療センターERおよび高度救命救急センターがありますが、基本的な役割はやはり「高度」な医療を提供していただけることです。特に外傷にはめっぽう強い救命センターとして機能しています。それ故、2次以下の救急事案ですと、場合によっては、(3次救急に支障を来たす可能性があるため)受け入れ困難のこともあります。限りある人材の資源を生かすためにも、最後の砦を守るためにも、当院を含め他の医療機関でできることはしていかねばなりません。

 私の認識では、「当直」というのは全科当直であり、もし自分が手に負えない、分からない患者の診察に出くわした場合はその病院で分かる先生に電話して指示を仰ぐ、または来てもらう。さらにその病院で手に負えそうもなければ近隣の大病院にコンサルトする、というものだと思っていたので、埼玉県に来た時は衝撃しかありませんでした。しかし、これは長い年月をかけて構築されてきた伝統のようなものですので、個々人の力ではどうにもならないことと思われました。

 そして、これは川越だけでなく、埼玉の都市部全体に言えます。少なくとも、近隣市(さいたま市、富士見市、坂戸市、鶴ヶ島市、東松山市)および東京都接している市(川口市や戸田市)では間違いなく川越市と同じです。群馬や山梨に近い田舎の所では問題にはなっていません。

 こんな状況を理解して受け入れてしまっている自分がいるのも情けない気持ちですが、このクリニックが機能しているのもこのような現状だからという面も否定できません。他の地域の話や私自身がかつて勤務した、茅ヶ崎市(神奈川県)や八戸市(青森県)でこのクリニックが通用するとは到底思えません。つまり、夜間休日に患者さんが受診する病院または診療所が機能している地域では、救急クリニックは必要ありません。また、輪番制度が構築されている、またはその地域に救急病院が一つしかない、などといった場合はいわゆるたらい回しは起きないでしょう。

 その現状を打破すべく、日々奮闘していますが、そのような活動を通して見えてきた良いところもありました。救急車を呼んだはいいが、病院選定でなかなか決まらず、救急隊の現場滞在時間が長いことは問題ですが、このことを通して、救急隊の現場での能力が格段に高くなっている印象があります。救急隊の把握力や処理能力は他の地域をはるかに凌駕していると思います。

 それと共に看護師さんや技師さん、リハビリテーションスタッフなど医療従事者に優秀な人材が多いと思います。私は、昔ながらの医師としてのプライドがまるでないので、何でも聞いてしまうのですが、期待以上の回答や行動をしてくれることが多々あります。これは、本当に埼玉県の財産です、宝です! また、患者さんもいわゆるモンスターペイシェントみたいな人は少ないと思います。人口当たりの医師数が少ないことを理解していただいているのか、我々医療者側のことを思ってくれている人たちが多いと感じています。

 以上、埼玉県の現状をお伝えすべく思うままに書いてしまいましたが、5年以上もここで働いていることを考えるとここが好きなんでしょうね(笑)。


※m3.com編集部 m3.com埼玉版にご投稿いただいた内容を全国向けにリライトしていただきました。木川先生にはこれから救急医・地域医療の視点から、医療を取り巻く問題について考察していただきます。ご期待ください!

木川英(川越救急クリニック副院長)
2005年東海大学医学部卒後、神奈川県茅ケ崎徳洲会総合病院初期研修医、2008年青森県八戸市立市民病院救命救急センター。2013年から川越救急クリニック。院長の上原と共に、地域の救急医療を変えようと日夜色々なモノやコト(行政や法律、病魔や睡魔)と戦っている。



  1. 2018/06/17(日) 10:49:52|
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6月10日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180609_11056.html
<登米市>市民病院新築移転へ 医師確保へ環境整備 
2018年06月09日土曜日 河北新報

 宮城県登米市は同市迫町佐沼の市民病院(257床)を新築移転する方針を固めた。慢性的な医師不足を解消するため、新人医師の実習を独自に行える国の制度の指定を目指し、施設整備する。熊谷盛広市長は8日開かれた市議会6月定期議会で、建設財源確保のため国や県と折衝を進めていることを明らかにした。
 市は、新築移転の時期と場所、規模は未定としている。関係者によると、市内一円からアクセスしやすい交通の利便性の高い場所が有力候補地として挙がっているという。
 市議会一般質問で熊谷市長は「あらゆる選択肢を視野に入れ、県や国と相談し多種多様な財源メニューを検討している。病院環境の整備はラストチャンスだと思っている。早急に示したい」と答弁した。
 同病院は市内7カ所にある市立3病院4診療所のセンター機能を果たすが、新人医師が2年間、幅広い診療経験を積む場となる「基幹型臨床研修病院」の指定を受けていないため独自に研修医を募集できず、その後の若手の地元定着が望めない状態が続いている。
 加えて建物の一部は築43年で老朽化が著しく、非常用電源や調理施設などの重要設備が地下にあり、水害などの災害時に機能を失うリスクがある。研修先は新人医師が選択するため、市は古い医療設備のままの増改築だと敬遠される恐れもあるとみている。
 市立病院の医師は2005年の広域合併による登米市誕生時は計45人いたが、現在の3病院4診療所体制で計30人に減少。うち60歳以上が11人と高齢化が著しく今後も減少する見通し。
 常勤医が足りず、津山診療所は今年4月に休診に追い込まれ、登米(とよま)診療所も8月から休診する方針を決めている。



http://blogos.com/article/302815/
「地方に医師がいないなら、医師を増やせばいいじゃない」というマリー議論  
やまもといちろう
2018年06月07日 21:30 BLOGOS

 「地方に医師がいない? 医師が都市に集まりすぎている? なら医師を増やせばいいじゃない」って話は、前厚生労働大臣であった塩崎恭久さんの時代に議論が出ました。なんかこう、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない (byマリーアントワネット)」みたいな感じです。もちろん、塩崎大臣自身が既存の厚労省や某分科会での議論に同意する立場ではないので、いったんその会議を止めてまで「働き方ビジョン検討会」を作り進めてきたわけなんですけど、そこでも必ずしも「医師を増やせばいいじゃない」という単純な結論には至らなかったわけであります。

地方都市から医者がいなくなる!?戦略的な“無医村”づくりが進んで「急病になっても安心」という自治体はどんどん減っていくことになります https://www.minnanokaigo.com/news/yamamoto/lesson23/
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html

 そんなこんなで、この辺の議論を「みんなの介護」に書いたところ、反応で少なくない数「医師を増やせばいいじゃない」っていうのが出てきます。この辺は、医療業界にいる人にもいろんな考え方があり、また医療については「べき論」と医療従事者の負担の議論が並行して進むので、どうしてもごっちゃになりやすいって点はあります。

 整理すると、現状すぐにでもどうにかしなければならないのは2つあります。

・医師が偏在していて、無医村ができまくる。
・医師を含め、とりわけ勤務医は非常に労働条件が悪く、ブラックな職場になっている。

 なので、高齢者が増える現状において、医療環境を整えつつ僻地医療も充実させようとなると、都市部で働いている医師を高給や好環境で「釣って」地方医療を担わせるか、医学部の地元採用枠から地方勤務期間を義務付けるかしか方法がないよなあって結論になるわけであります。

 ところが、医療の現場においては僻地医療は高級でもやりたくないというのがもっぱらで、その最たるものは「とにかく僻地の医療は患者のモラルが低く、医師が勤務時間を終わっても診療しろと平気で言う地域住民が後を絶たず、プライベートの時間が持てずやっていられない」という話であり、先日も東北某県自治体が高報酬でも医師が集まらないとか、医師の過去の些細な問題を市議が市議会で問題視したため心が折れて医師が辞めてしまうなどの問題を続発させます。

 そんなところに市立病院を建てても医療圏を支えられるほどの人口もないところでは医師も集められないということで、文字通り自壊していくことになるのです。

 一方、問題の解決のために「医師を増やせばいいじゃない」という話が進まない理由は、少子化にあります。単純にこれ以上増やすと医学部定員から毎年1万人以上の医師が生まれかねないわけですが、2017年の日本人の子供の出生数は94万人であって、ぶっちゃけ100人に1人以上医師ができる社会になります。これらは普通に知的エリート層を担う人材となるのであって、いろんな分野で優秀な若者を奪い合う中で医師だけが高いコストをかけて育成され続け、その稼ぎ口はたいして国富に貢献しない地方都市や僻地で高齢者を診察するために投入されるというのは亡国の道筋を辿ることになりかねないだろうという話であります。

 また、どちらにせよ日本の高齢化問題は2040年をピークに解消に向かっていくため、近い将来都市部においても病床あまり、医師あまりを起こす可能性が高くなります。2025年から2033年ぐらいまでが一番医療と高齢者の点ではしんどいという話であって、いまから定員数増やしても研修医を終えてまずまず一人前になるころには高齢者問題がピークアウトしちゃっているわけであります。

 当面苦しいのであれば、ビジョン検討会でも話し合われ、また厚生労働省も省内で準備してきた歯科医師、衛生士、看護師などが簡便な医療行為を代行できる仕組みの創設や、人工知能や遠隔医療などを用いた外来診療の自動化なども視野に入れて、医師の診療負担を極力減らすしか方法はないだろうと思います。

 ところが、中期医療計画や都道府県の検討しているプランを並べてみていると、一様に「地域医療構想で患者を巻き取る」話が出てきます。地域って誰のことなんですか、ってのはもう少しちゃんと議論したほうがいいと思うんですが、要するに町内会や互助会などの地域で暮らす人たちの集まりや、家庭・家族で傷病者、高齢者は面倒見てよ、医療や介護への負担を減らしてよという筋道になります。これはもうその通りなんだけど、でも読者の方でも思い返していただきたいのですが、地域に医療といって、いままで皆さんどなたか町内会やボランティアで地域の高齢者をお世話したりしたことありますか。ないんじゃないかと思います。特に都市部は「地域や家庭で患者を支える地域医療構想を」と言われても、地域って誰よ、家族ったって結婚できない男女めっちゃ増えてるよ、ってことで、かなり本気で誰も助けてくれない社会になりかねないよね、ってのが正直怖いわけであります。

 解決策はないのか? ってのは、たぶんないんだと思います。結婚が一番優れた制度だと言い切るつもりはありませんが、何らかパートナーや集団で住むようなコミュニティ、疑似家族のような仕組みを社会が用意し、容認していかないと、体調悪くして通院しようにも誰も助けられないとか、自宅で倒れて誰も気づかず死後数カ月異臭騒ぎで死亡しているのが確認されるとか、そういうのは避け得ない状況になるわけでしょう。伴侶がいて子供がいて初めて生物として存続し遺伝子が遺されて… というすんごい哲学的というか身もふたもないレベルの話をしなければならなくなるのが現代です。

 やはり、この手の話をすると「衰退する日本はもう駄目だ」という話になりやすいし、一方で「医師を増やせばいいじゃない」ってのがどれだけ優秀な日本人を生産性の低くなった高齢社会対策に割り当てるつもりなのかってことの裏返しで、優秀な人を生産性の低いところに張り付けるのが日本の衰退を推し進めることになりかねないことは気づいてほしいと思うわけです。健康で長生きしてほしいというのは、社会にとってその人が生産的である限りという留保付きになる時代がもうすぐ来ると感じます。健康寿命の延伸も生活習慣病の予防中心の医療にしようという議論も、いずれも働いて自力で生活できる割合を少しでも増やして社会を富ませ、人々が安心して暮らせるようにするための医学・公衆衛生にシフトしているということの裏返しでもあります。

 オブジーボが高額医療で月額かなりの金額の治療費を公的保険で支払い本人負担は数万円です、でも本人は80歳ですってのが、果たしてそれが生産的な社会になるんだろうかというのはどっかで考える必要があるんですよね、正直なところ。



https://www.asahi.com/articles/ASL663CTXL66UBQU005.html
産科医増員の医療機関に補助金 山口市が制度開始 
金子和史2018年6月6日13時00分 朝日新聞

 子どもを産みやすい環境づくりにつなげようと、山口市は、産婦人科医の増員や新たに産科診療所の開設をした病院や医療法人に費用の一部を補助する制度を始めた。背景には全国的な産科医不足がある。

 市健康増進課によると、市内でお産を取り扱う医療機関は三つで、そのうち、ハイリスクな出産に対応する病院は山口赤十字病院だけという。5年前には五つあった。

 「昼夜を問わない勤務体系や医療訴訟に発展するケースが多いことから産科医のなり手が少ない」と同課の担当者は話す。加えて産科医の高齢化も重なり、全国的に産科医の数は減少傾向にあるという。

 こうした状況をうけ、市は4月から医療機器の購入や増員した医師に支払う給料などの経費の3分の2(上限2千万円)を補助する制度をはじめた。

 新たに診療所を開くか、産科医を増員した医療機関が対象。市内で継続して10年以上お産を取り扱う見込みがあることなどが条件になる。

 市内の産婦人科「ながやレディースクリニック」の長屋寿雄院長は「補助金制度は現状改善に向けた追い風になる」と期待を寄せる。一方で「補助金で全てが解決するわけではない。医師不足などの問題解決の足がかりになれば」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/602627
大学病院における総合診療医育成の在り方 - 古屋大典・埼玉医科大学国際医療センター総合診療・地域医療科教授に聞く◆Vol.2
「これからは、初めから総合医を目指すのが良い」
 
インタビュー 2018年6月6日 (水)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――古屋先生のもともとのご専門は何でしょうか。
 脳卒中です。神経内科で脳梗塞を主に診ていて、t-PA静注などをやっていました。(医学部がある)毛呂の埼玉医大では神経内科でしたが、国際医療センターが10年前にできて、脳卒中センターを開設する時に救命救急センターに移りました。例えば秩父からヘリコプターで搬送された超急性期の脳梗塞を起こしたばかりの患者さんに、アルテプラーゼを使ったt-PA静注療法をしたり、血管内治療をしたりというのを4年ほど担当しました。

 その後、飯能市東吾野の医療介護センターにいました。もともとは飯能市立病院だったのですが、指定管理者制度が導入されたときに、上司から「行ってこい」と白羽の矢が立てられました。有床診療所19床と小規模老人保健施設29床を合わせた小規模多機能施設 で、医療と介護の両方の経験を積むことができました。老健と有床診療所、在宅医療もやりました。医師会の先生に教えてもらいながら、何とかやってきました。その経験を買われて今こういう仕事をさせてもらうことになりました。

―――医療介護センターではどのようなご経験をされたのでしょうか。
 看取りは、高齢者の場合、夜中の2時や3時に亡くなることがあります。まず訪問看護師さんが呼ばれて、先に浴衣に着替えさせてもらって「朝になったら先生を呼ぼうね」と、朝の6時頃に電話がかかってくることが多かったですね。訪問看護の方も家族の方も医師不足なので気を使ってくださっていました。

 地域の特徴かもしれませんが、“お互い様”の雰囲気がありました。僕は毎月、飯能市で開催されるケア会議にも出ていましたので、訪問看護師さんやケアマネさんから、「こんな人がいて困っている」という相談を受けては、実際に診せてもらっていました。その中で気遣う意味での“お互い様”の関係が生まれたように思います。

―― 日頃からそういう勉強会にいるのといないのとでは違うのでしょうか。
 痛感したのは、「医者は患者のことを全然診れていない」ということでした。例を挙げると「週末になると患者さんが吐いてしまう」という話がありました。原因を胃カメラや超音波で調べたり、地域の先生も一生懸命だったのですが、なかなか解明には至りませんでした。

 原因は薬の副作用でした。その患者さんは認知症で、アリセプトが処方されていました。普段は一人でお住まいで、ご自身ではなかなか薬を飲むことができず、娘さんが帰ってくる週末にだけ薬を飲ませてもらう。認知症の薬は急に飲むと副作用で吐くんです。普段から少しずつ飲んでいれば、嘔吐などの症状は少ないのですが、週末だけ飲むとなると、副作用が強く出てしまう。

 判明したのはケアマネさんからの情報です。ケアマネさんと普段から仲良くしておくと、「家に行くとタンスに薬がたくさんありますよ」とか患者さんの話を聞ける。民生委員の方とも普段から接しておくと情報を得られます。患者が生活する環境や家族の背景といった情報が入らないと、実は薬の副作用だったという診断はすぐにつかないですよね。こういうケースなんかは、ケア会議に出ないと分かりません。こうしたことを学べるよう、研修医や学生を連れて行けたらと思います。

――先生は最初は神経内科で、現在は総合診療を担当されています。総合的な医師養成の在り方についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
 これからは、初めから総合医を目指すのが良いのではないでしょうか。これだけ医師不足が叫ばれる時代なので、総合的にある程度標準的な治療ができる医者がたくさんいないと対応できないですよね。専門医療はやりたい人がやればいいわけで。

 ただ、総合診療に関心の高い学生は僕たちのような病院には残らず、地域の病院に行ってしまいます。そうすると、コモン・ディディーズばかりを診ることになって、逆に専門治療や最新の医療に触れたいという思いも出てくるみたいです。

 総合診療と専門領域を学べるよう、何年かは大学にいてもらって、論文も書いてもらう仕組みができると若い医師にとっては良いと思います。大学の中にいると、救命救急科にいても「意識障害や脳に関しては、あの先生に聞こう」ということができます。

 これからの人材は、総合的な力を付けることが求められるでしょうし、一つの専門性を磨くことに集中しないにしても、その時代によって色々と必要な知識って変わってくると思います。実際に僕が専門の脳卒中の患者は減り、癌が増えています。癌の患者さんの精神面をケアすることが欠かせない課題になっています。どこの臓器の内科であろうと、癌のメンタルは切っても切り離せない。そうするとそれに見合った知識が必要になりますよね。総合診療の中で時代のニーズに合わせた知識を、勉強し続ければいいのではないでしょうか。

――総合的な医師の必要性はどのような時にお感じになるのでしょうか。
 これだけ専門が細分化されてきたら、脳の領域や脳血管のこと、どんな薬を使えば良いかは分かっても、患者さんが送ってきた社会生活にどれだけ近い状態に戻せるかを考えるのが難しくなります。そうすると、「あの先生は、脳は診ても患者は診ない」って言われてしまう。脳の治療ばかりをやっていて、全身を診ていないから、足の爪の病気とかに気が付かない。そのまま地域の先生に紹介してしまうというのは、ありがちですよね。回復期の病院に移ってから、「足の爪の治療もしてもらってなかったね」と言われてしまったり。

 やはり全身くまなく診ないといけないし、社会的背景であったり、家庭環境であったりを含めないと患者さんを診たことにはならないと、僕は思っています。

――どのような教育をされているのでしょうか。
 総合診療や地域医療に強い医者を育てることもしなければいけないのですが、現実はなかなかできていないですね。本当は一緒に往診に行きたいのですが、紹介患者さんを学生と診るくらいのことしかできていません。ただ、埼玉医大の学生さんは、自ら地域に足を運んで色々な経験してきていますよ。地域のミーティングに出たり、何日間かお邪魔させてもらったり。系統立てて授業に取り込むのはまだまだこれからです。

 いろんな専門科の“寄せ集め”が総合診療ではないと思います。自分一人の力である程度の診察ができて、どれくらい緊急性があるのかを見極める力が求められるのが総合診療。そういう人材をどんどん育成して、総合診療の医者を増やしていきたいですよね。

 僕らのところに、一時的に在籍してもらうだけでもいいかなと思っています。親御さんが地方で開業していて、在宅医療をやらないといけないからとか今まで専門は心臓内科をやっていたけれども、全身の病気だとか癌の治療、麻薬の使い方なんかも勉強したいとかという人が来てくれてもいい。そういう中で大学の中で役に立っていただければ、一石二鳥になります。



http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2018/20180607036458.asp
自治体病院の医師確保、30町村長が青森県に要望 
2018年6月7日(木) 東奥新聞

 県は6日、青森市のラ・プラス青い森で本年度の市町村長会議(町村の部)を開き、県内30町村長(三戸町は代理)と、三村申吾知事ら県幹部が健康づくりの強化や医師確保対策などについて意見交換した。町村長からは、県内で医師数は増えている一方、自治体病院では充足されていない現状を受け、地方の医師不足解消に向け、県がより強い関わりを持つよう求める意見が相次いだ。



https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/8/16023
協定超える時間外労働 県立中央病院に是正勧告 
2018.06.08 岩手日報

 盛岡市の県立中央病院(宮田剛院長)が、適正な手続きを踏まずに労使間の協定(三六協定)を超える時間外労働を職員にさせたなどとして、盛岡労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが7日までに分かった。医師の超過勤務手当が不足しているとの指摘もあり、県立病院の給与制度の在り方の検討も必要になりそうだ。

 県医療局によると勧告は4月16日付。内容は▽同協定を超えた時間外労働▽同協定を超えた休日労働▽臨床工学技士の待機時間への賃金不払い▽医師の超過勤務手当ての不足▽衛生管理者らの選任報告の遅れ▽衛生工学衛生管理者の不配置-の6項目。是正報告の提出期限は20日。

 同病院によると、協定で定めた上限時間を超える残業を命令する際に病院側が行うべき手続きを取らずに職員に残業させていた。

 同病院は勧告を受けて手続きを適正化し、職員に出退勤時間を記入させるなど、勤務実態の把握を始めた。



http://www.kanaloco.jp/article/337251
逗子の病院開院2年超遅れ 病床数確保見通せず 
2018/06/08 02:00 更新:2018/06/08 02:00 神奈川新聞

 逗子市は、医療法人社団「葵会」(東京都千代田区)と進める総合的病院の整備計画で、開院時期を2年以上後ろ倒しした。当初「早ければ2020年度中」としていたが、構想段階で200床以上とする病床数を思うように確保できていないことから、「最短でも22年度中を目標に手続きを進める」に見直した。これまで3度頓挫してきた、市の悲願でもある総合的病院の整備は、先行きが不透明になっている。

 市は16年12月、総合的病院の運営法人を葵会に決定したと発表。葵会に市有地(同市沼間3丁目)を無償貸し付けし、開設時200床以上、最終的に300床規模で、小児科や婦人科など13の診療科目を有する「(仮称)葵会逗子病院」を整備する構想だ。

 そもそも今回のきっかけは、県が16年7月、横須賀・三浦二次保健医療圏の基準病床数(5334床)に対し、「175床不足している」と示したことだった。

 これを受け、市は総合的病院を誘致することを決断。公募で選ばれた葵会に対し、県が109床を割り当てた。構想より少ないものの、同医療圏の病床数が今後も足りなくなるとの見通しから、18年度以降に増床を申請することで不足分を補うことにした。

 だがことし2月、事態が変わる。同医療圏の医療、福祉などについて話し合う会合の場で、出席者から「圏内の既存の病院に利用されていない病床が349床あり、その活用を優先すべきだ」「この地域でも医師や看護師不足が深刻で、増床しても対応できない」などの意見が出された。

 こうした意見を踏まえ、県は3月同医療圏の18年度の基準病床数(5307床)に対し、現状は「不足」ではなく、50床の「過剰」と判断。増床の見込みがなくなった。

 増床が見通せなくなったことで、構想や開院までのスケジュールも流動的で、不確定なものに。市は「市民に現状を丁寧に説明する必要がある」とし、早期開院を目指して簡略化していた関係条例の手続きを原則に戻し、住民説明会や計画の縦覧などを行うことを決めた。これにより、開院が少なくとも2年以上遅れることが確実になったという。

 市が今月3日に開いた市民説明会。市民からは「どんな病院ができるのか、形が見えない」「良いものを建ててほしいと待っているのに遅れる一方だ」などと不満の声が上がった。平井竜一市長は約30人の参加者に向かい、力を込めた。「多少時間がかかっても、高齢化が進む逗子で病院を実現することを、諦めるべきでないと思っている」



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180610/CK2018061002000053.html
県東部の医師確保へ 清水町で研修医ら合同研修 
2018年6月10日 中日新聞 静岡

 新人医師として県東部の病院に配属された初期臨床研修医の交流や技術向上を図る合同研修が九日、清水町長沢の静岡医療センターで開かれた。

 合同研修は、県東部の医師確保に取り組む「ふじのくに地域医療支援センター東部支部」が年2回行っており、沼津市立病院や富士市立中央病院など六病院から研修医31人が参加。地元医師らの指導を受けながら、災害時に負傷者の治療の優先度を判断するトリアージ訓練や、縫合や超音波診断の演習を行った。

 県東部の医師数は2016年末現在で人口10万人当たり191人と、全国平均の240人よりも少なく、医師確保が課題となっている。合同研修の担当者は「初期研修が終わった後も医師に東部地域に残ってもらうため、いろいろな経験が積めてスキルアップできる環境をアピールしていきたい」と狙いを語った。 

(杉原雄介)



https://www.m3.com/news/iryoishin/607761
シリーズ 「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
医師の意識が変われば進む、「地域包括ケア」は“時代”の要請
全国57病院、公的医療・介護グループの考え
 
オピニオン 2018年6月8日 (金)配信独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 尾身茂理事長

 医師の多様なキャリアを紹介する「卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~。今回からは「地域包括ケア」をテーマに、病院の内外で活躍するさまざまな医師たちが登場します。JCHO理事長の尾身茂氏は、57病院を持つ医療・介護グループであるJCHOが実践している地域包括ケアについて語っています。
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 地域医療機能推進機構(Japan Community Health care Organization=JCHO、ジェイコー)は、全国57病院を中心に訪問看護ステーション(訪看ST)や介護老人保健(老健)施設、居宅介護支援事業所など、多様な施設を持つ公的医療・介護グループです。病院の半数には老健施設が隣接しているほか、地域の多様な医療機関、自治体などと連携しているため、国が推奨する“地域包括ケア”の概念を実践する能力が備わっているグループです。

 しかし、JCHOは旧社会保険病院、旧厚生年金病院、旧船員保険病院をそれぞれ運営していた、全国社会保険協会連合会、厚生年金事業振興団、船員保険会という3つの団体を統合して誕生した組織のため、統合直後はJCHOの組織全体で能力を発揮し、地域包括ケアを実行するためには、さまざまな障壁がありました。

まず医師の意識改革に着手

 私が理事長としてまず必要だと感じたのは、各病院の院長をはじめとする医師たちの意識改革でした。社会保障制度国民会議が2013年8月に公表した報告書でも指摘しているように、日本の医療は高齢化に伴って、「病院完結型」から「地域完結型」へと移行すべき時期に直面しています。医療の進歩などで、疾病に罹患した状態でも長生きする人が増え、医学に基づいて「治す」だけでなく、地域全体で患者・療養者の生活を支えなければなりません。病院の内外で、医療従事者だけでなく介護従事者、福祉関係の方々、行政、そして地域住民のみなさんにも参加してもらうことが必須なのです。

 ところが、これまでわが国の医学・医療のメインストリームは急性期です。現在の医療提供体制を支えている多くの医師たちは、疾病の診断方法や治療法は学んできていますが、リハビリテーションが中心の医療や、疾病と長く付き合っていくような慢性期医療、さらには介護の領域などには、ほとんど関心がないのが実態でした。特に介護は、医療従事者が関わる領域ではないと考えられがちだったと思います。しかし、時代が、急性期医療に加えてリハや慢性期医療を含めた地域包括ケアを求めているのです。

 意識改革に取り組んだ結果、今では医師の意識はずいぶんと変わってきました。定例ミーティングなどでの発言からも、地域包括ケアに対する理解は深まってきており、各病院の実績からも明確に地域への貢献が見て取れます。地域に出ていくと、関係者間での信頼関係が面で築けているため、「いざという時はJCHOに頼もう」という関係になってきた。地域との連携については、国も診療報酬などで促進していますので、結果的に各病院の経営もプラスになっています。

訪看など実践ツールの強化、人材育成強化、好事例の共有

 JCHO組織全体として、地域包括ケアの観点では主に、以下の3点に取り組んでいます。

・地域包括ケアを実践するためのツール(事業所)を充実させる
・従事者の育成強化
・好事例の横展開

 事業所の充実としては訪看STを強化してきました。2014年度は、事業所数15カ所の訪問件数は延べ8万3000件だったのに対し、2017年度は事業所数を26カ所にまで増やし、訪問件数も延べ14万件にまで増えました。JCHO老健施設全体の在宅復帰率も、2014年度のおよそ34%から50%超にまで引き上げることができています。

 従事者の育成強化では、病院の看護部長や師長などを育成するため、認定看護管理者教育課程を採用しています。訪看ST事業で中核を担う人材育成にもつながるためです。また、公的医療グループとしては初めて、看護師の特定行為研修機関の指定を受け、昨年から研修を始めました。現在は80数人が受講中です。

 好事例の横展開については、組織のスケールメリットを発揮できるよう、各病院が地域で取り組む好事例を共有できるよう「医療機関が地域包括ケアに取組むための事例集」を発行するなど、工夫しています。ホームページで「地域包括ケアことはじめ五か条」も共有しています。

 今後は、リハビリ、老健施設、介護領域も含めた“見える化”を実現したいと考えています。既にDPCのベンチマークに基づく評価などは実行しており、JCHO組織全体として地域包括ケアに関する評価を可能にする、効果的な取り組みにつなげていきたいと考えています。

「先のものが後になり、後のものが先になる」

 私はキリスト教の信仰者ではありませんが、聖書には「先のものが後になり、後のものが先になる」という言葉があります。今まで医療界においては、ともすれば“お荷物”のような存在として光があまり当たってこなかった、リハビリや介護も含んだ領域が、今や時代の最先端になっています。ある意味では、われわれJCHOと同じような状況です。社会保険病院など、多くの病院は売却を前提に事業を整理していていく方向で検討が進んでいましたが、今では地域医療の一角を担う存在になっています。これからも「うちの地域にはJCHOがあるから安心だよね」と言ってもらえる存在でなければなりません。



http://www.medwatch.jp/?p=20911
都道府県担当者は「県立病院改革」から逃げてはいけない―厚労省・医療政策研修会 
2018年6月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、都道府県担当は「県立病院等の機能明確化、再編・統合」などから逃げてはいけない。そこで公平なジャッジが行われるかを、公的病院や民間病院は見ている。また、地域医療構想調整会議の議長等と、都道府県(本庁)の担当者との間で「ざっくばらんに議論できる」関係を構築できるかが、地域医療構想の実現に向けた重要な要素となる―。

 6月1日に厚生労働省が開催した「都道府県医療政策研修会」では、こういった議論が行われました。

ここがポイント!
1 県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要
2 公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要
3 調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要

 地域医療構想は全都道府県で策定され、その達成に向けて「如何に、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で実のある議論を進めるか」というフェーズに入っています。厚労省は定期的に調整会議の開催状況などをチェック(4半期に一度)しており、そこからは都道府県によって調整会議の進捗状況等に非常に大きなバラつきがあることが分かっています。

 会議冒頭、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「地域医療構想の業務は、地域の医療提供体制を守る大きな仕事である。これに携わることは宿命・運命であると捉え、真剣に取り組んでいただきたい。現在、国会で医療法・医師法の改正法案を提出し、医療政策に関する業務を都道府県に担っていただくことが増える。この点、厚労省も『都道府県が医療政策を担える』と考えており、そのための研修会でもある」と檄を飛ばしました。

 さらに佐々木地域医療計画課長は、想調整会議では、まず公立・公的病院の機能について「公立・公的病院でなければ担えない機能」に重点化・明確化していく点に触れ、「自治体病院を抱える都道府県もあると思うが、その取扱いを他病院はしっかり見ている。逃げずに、公平なジャッジをお願いする」と強く要請しました。自治体病院については、後述するように「首長の選挙公約マター」になっているケースもあり、ベッド数の削減や再編・統合に向けて都道府県が物を言いにくいこともあるようです。しかし、ここから逃げてしまうと、他の公的病院や民間病院から信頼を失い(身内に甘いと見られてしまいかねない)、地域医療構想調整会議の議論が進まなくなってしまうのです。佐々木地域医療計画課長は「覚悟をもって取り組んでほしい」と強調しています。
 
公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要

 都道府県医療政策研修会では、主に地域医療構想の実現に向けて、厚労省から都道府県や地区医師会の担当者等に対し「地域医療構想ワーキンググループ」や「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(いずれも「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)における議論の最新動向や、データ活用のためのスキルなどが伝授されるとともに、先進的な取り組みを行う都道府県からの事例報告と意見交換などが行われます。

 今般の研修会でも、5月16日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(関連記事はこちらとこちら)、5月23日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」における議論の状況が詳しく報告されました(関連記事はこちら)。

 前者の地域医療構想ワーキングでは、▼公立・公的病院の機能分化▼公立・公的病院の再編・統合▼都道府県単位の「調整会議」の設置と開催▼調整会議のアドバイザー育成―などが議題となりました」(関連記事はこちらとこちら)。

 このうち「公立・公的病院の再編・統合」については、参加者の関心も高く、活発な意見交換が行われています。

 例えば奈良県では、3つの公立病院を▼1つの救急病院(急性期機能)▼2つの地域医療センター(回復期・慢性期)―に機能分化。急性期機能を担う病院(南奈良総合医療センター)に医師配置を重点化したところ、急性期機能や医師派遣機能の向上、若手医師への魅力向上などの効果が出ているといいます。この点について厚労省担当者は「再編・統合のメリットを地域住民に丁寧に説明した」ところが大きいと分析。特に公立病院では、開設者である首長(県知事や市町村長)が、選挙の際に「公立病院の維持、さらには新規開設や増床」などを公約で打ち出すケースがあります。その中で、「病院の再編・統合」を病院側が単独で唱えれば、住民から猛反発を受けることもあります。そこで、例えば県知事が大所高所に立ち「現在のベッド数を維持することのデメリット」「再編・統合し、病床削減などすることのメリット」「再編・統合後の医療機関へのアクセス保障」などを丁寧に説明し、理解を得ることで、地域医療構想の実現に向けた大きく動きだせると考えられます。

 また茨城県では、例えば、▼筑西・下妻医療圏において、公立の2つの急性期病院と、1つの民間病院を再編・統合し、「2つの公立病院」(1病院は地方独立行政法人化、1病院は再編に参加した民間病院が指定管理者)とする【公立の県西総合病院、公立の筑西市民病院、民間の山王病院→公立の茨城県西部メディカルセンター、公立のさくらがわ地域医療センター】▼鹿行医療圏において、公的の2つの病院(済生会と労災)を再編・統合し、「本部病院」(350床)と「分院」(10床)として、本部病院に資源・機能を集約する【神栖済生会病院、神栖労災病院→神栖済生会病院の本院と分院】—ことが決まっています。

 
 後者については茨城県の担当者から、「済生会病院が労災病院を引き取る形になったが、給与等の格差が大きく(労災病院の給与>済生会病院の給与)、人員確保のために労災病院については現在の給与保障をせざるをえなかった。再編・統合を進めるために、こういった部分への支援も必要になるのではないか」との提案が改めてなされています。
 ちなみに、「病院が自主的にダウンサイジング(ベッド削減)」を行う場合、不要となる建物や医療機器の処分に係る損失(財務諸表上の特別損失に計上されるものに限り)について、2018年度から地域医療介護総合確保基金の対象事業に含まれています。病院が再編・統合する場合、病床規模を削減するケースも少なくなく、その場合、基金の活用によってハードルが少し低くなると言えそうです。厚労省担当者は「今後も、基金の対象事業について必要な拡大を行っていく」考えを示しています。

 もっとも、後者の統合事例では、現在の「合計378床」から新たに「合計350床」となり、わずかなベッド数削減しか行われません。この点について茨城県サイドは▼筑波大学病院からの医師派遣を受けるために、必要な教育環境を整える必要がある▼圏外の流出患者を圏内で診ることを想定している―と説明しましたが、会場(他の都道府県や医師会等の担当者)からは「合併した場合、医師数が減る可能性が高い。医師確保の見通しを立ててからベッド数を決めるべきではないか」として「再編・統合後の350床は多すぎる」との指摘が数多く出されています。この点、茨城県も「最終的に350床すべてをオープンできるかどうかは不透明である」ともコメントしています。

調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

 ところで、大学病院や大規模な公立・公的病院では「高度急性期」機能を持つ病棟を抱えることが多くなります。地域医療構想では、地域(構想区域、主に2次医療圏)ごとに▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―の必要病床数を定めますが、「高度急性期は都道府県全域の患者の診ることになり、都道府県単位での検討が必要なのではないか」との意見も出ています。

 この点について厚労省担当者は、「地域医療構想を策定する段階で、高度急性期の機能等を織り込んでいるはず」と指摘した上で、「想調整会議で議論を進める中で見えてくる課題もある。そこで、都道府県単位の調整会議を設置し、例えば各調整会議の議長や基幹病院の管理者等が出席し、意見を調整することが期待される」とコメント。例えば、仮に「高度急性期病棟を持つ大学病院が、県全域の高度急性期医療を一手に引き受ける」方針が都道府県単位の調整会議で固まれば、アクセスの問題等は残るものの、各調整会議では「高度急性期を除く、急性期から慢性期に至る医療機能」について議論すればよく、より効率的な議論を円滑に進めることが期待されます。

 なお、関連して厚労省担当者は、調整会議の議論を円滑に進めるための重要な要素の1つとして、「調整会議の議長と、都道府県本庁の担当部局等がざっくばらんに議論できる関係の構築」を掲げました。この点からも、都道府県単位の調整会議を設置することで、各調整会議の議長等と、これまで以上に「顔の見える関係」を築けると期待されます。すでに県単位の調整会議を設置している佐賀県では、通常の調整会議以外にも、2年間で50回以上の懇談会、研修会、意見交換会を開催。公立病院の再編論議なども円滑に進んでいるといいます。
 
 なお、厚労省は8-9月に第2回研修会を開催する予定で、同時に各都道府県から推薦された地域医療構想アドバイザー(地元大学医学部の研究者などを想定)への最新情報提供なども行う考えです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607404
「2040年問題」、主眼は給付費増より医療福祉従業者数
医療部会、社会保障給付費の将来推計等について議論
 
レポート 2018年6月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)が6月6日開かれ、厚労省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏は、2040年度の社会保障給付費の将来推計について、「とても負担できないのではないか、という意見があったが、社会保障給付費が対GDP比24%という水準は、今のドイツに近く、フランスではもっと高い。世界に類を見ない水準というわけではない」と説明した。

 厚生労働省は5月21日、経済財政諮問会議に対し、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を提示した。日本の高齢者数がピークを迎えるのが2040年頃だ。医療・介護給付費については、「現状投影」と、病床機能分化や後発医薬品の普及などを実施した「計画ベース」で推計。「計画ベース」と「現状投影」の差は、医療給付費はマイナス1.6兆円、介護ではプラス1.2兆円で、全体ではマイナス0.3兆~0.4兆円。年金等を含む社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%から、2040年度には23.8~24.0%に増加すると推計(『2040年度の医療費、66兆7000億円、政府推計』を参照)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、伊原審議官の説明を評価、「社会保障の持続可能性を危ぶむという議論ばかりだったが、久しぶりに安心した。ぜひその雰囲気で話してもらいたい」とコメントした。中川氏は、「医療給付費がマイナス1.6兆円という推計は、地域医療構想を進めても、あまり変わらないという認識か」とも質問。厚労省保険局調査課長の山内孝一郎氏は、「見方はいろいろあると思うが、介護と合わせてみればそれほど変わらない」と答え、今回の推計は給付費の増減ではなく、将来の給付費の規模感を示すのが目的であると説明した。

 これに対して、将来推計で危惧されたのは、医療福祉分野における就業者数の見通し。日本の就業者数全体に占める割合は、2018年度は12.5%だったが、2040年度は18.8%と推計(計画ベース)。医療・介護の需要が一定程度低下し、ICT等の活用により、医療・介護の生産性が向上した場合は、16.5%となり、「規模感としては、2025年度の14.7%と同程度の水準」(山内課長)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、社会保障給付費については「アンコントローラブルではないという印象」とした一方、経済財政諮問会議で在留資格を緩和して、外国人人材の受入拡大方針を打ち出していることを踏まえ、「外国人の介護労働力を受け入れるべきではないと言っているわけではないが、東南アジアの特殊出生率は急激に減少しており、若年の労働者は減っている。在留資格を緩和すれば、外国人が来てくれると考えるのは間違いで、その点を考慮する必要がある」と指摘した(『介護分野で外国人人材の受入拡大、経済財政諮問会議』を参照)。

 経団連常務理事の井上隆氏は、「就業者数に占める割合が2割くらいになれば、日本経済の重要な産業分野になる。産業としての社会保障を前向きに捉えてもらいたい」と述べ、成長の可能性がある産業という側面に光を当てた前向きな議論を求めた。

 地域医療構想と5疾病5事業の調整は?

 そのほか6日の社保審医療部会では、地域医療構想の進捗状況(『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』を参照)、医師需給分科会の第3次中間取りまとめ(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)、検体検査の精度管理等についての省令改正、医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の施行などについても報告された。

 地域医療構想について、島崎氏は、「医療計画の5疾病5事業は、どのように整理されていくのか」と質問。「地域医療構想は、構想区域、ほとんどが2次医療圏であり、その中での医療機能を議論している。一方、5疾病5事業を医療計画に定めたのは、2次医療圏という単位に必ずしもこだわらない仕組みを構築していくのが目的だった」。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、医療法に基づき、各都道府県に医療審議会が設置されており、医療計画および5疾病5事業については、同審議会やそのワーキンググループで議論していると説明。地域医療構想の構想区域ごとの調整会議は、医療審議会とキャッチボールしながら検討していくことが必要であるとした。

 奈良県福祉医療部長の林修一郎氏は、「医療計画、地域医療構想などは、それぞれ別々の会議体で議論し、県庁内でも所管が異なるため縦割りになる。そこをいかに調整するかが県の腕の見せどころ。奈良県では、集約化すべき医療と、均てん化すべき医療を考えながら進めている」と述べ、5疾病5事業と地域医療構想の調整は県に委ねられている現状を説明した。

 地域医療構想についてはそのほか、中川氏が次のようにコメントした。「地域医療構想における公立病院、公的医療機関等の扱いについて、私はこれまで『新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランを策定して、民間病院と競合していたら、公立病院等は引くべきだ』を発言してきたが、少し舌足らずだった。たとえ競合していても、医療レベルによっては、公立病院等が頑張るべき場合もある。税金を投入しているからと言って、『公立病院等、イコール悪』と決め付けるべきではない」。

 医療放射線、線量の把握が第一

 医療放射線の適正管理については、その推進を求める声が複数出た。日本では単純X線撮影やX線CTの検査件数が多く、有益性と有害性を踏まえ、医療被ばくをいかに適正管理するかが課題となっている。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「患者は複数の医療機関を受診している場合もある。(全体で)継続的にどのくらいの線量を浴びているかというデータを把握していないと、適正化を図ることができないのではないか」と質問。佐々木課長は、「現時点では各医療機関レベルで医療被ばく量を記録するルール自体がないことから、それを記録していくことが優先」と説明。継続的な医療被ばく量の管理については、引き続き検討していくとした。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「日本の医療被ばく量が多いことは分かるが、それによって診断性が向上し、早期発見につながっている面もある」と指摘し、有害性についてのデータの有無などについて質問。佐々木課長は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告の「診断参考レベル」などを基に検討していくと回答した。



https://mainichi.jp/articles/20180606/ddl/k11/040/046000c
増床計画を公募 不足7医療圏で 来月から /埼玉 
毎日新聞2018年6月6日 地方版 埼玉県

 県は7月から、今後3年で不足すると推計される医療機能に対応する病院などの整備計画を公募する。県内10の「2次保健医療圏」(入院医療体制を整備するため、医療法に基づき都道府県が設定する地域単位)のうち、7医療圏で計1638床の増床を目指す。

 昨年3月末の県内の病床数は5万375床。医療法に基づく基準病床数4万3598床は上回っているが、県の地域医療構想では2025年には5万4210床が必要になると推計されるため、県は国と協議。20年度末までの必要数として7141床の加算が認められた。このうち、病床不足が見込まれる地域の整備計画を医療機関などから公募することにした。

 公募する病床の機能は、地域包括ケアや回復期リハビリテーションなどに必要な病床▽がんや脳卒中、心血管疾患に対応する高度専門医療や救急、周産期、緩和ケアなどの病床。21年3月末までの着工が条件。対象地域は、医療機関が不足していないさいたま(さいたま市)▽北部(熊谷市など3市4町)▽秩父(秩父市など1市4町)--以外の7医療圏。

 7月23日~8月24日に受け付け、地域医療構想調整会議で協議の上、来年1月に採用する計画を決定する予定。【内田幸一】



https://this.kiji.is/376751300249207905?c=39546741839462401
長崎大病院が「医療人育成室」 民間病院内に開設 地域医療維持と研修医教育を両立 
2018/6/6 00:136/7 00:13 長崎新聞

 長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)は、研修医が学外で地域医療を学ぶ教育拠点「長崎医療人育成室」(N-MEC)を、同市南部の民間病院、長崎記念病院(深堀町1丁目)内に開設した。市中心部から離れた南部地区は人口減少地域で、十分な医療人材が確保しにくい状況。このため、長崎大学病院の医師が長崎記念病院に常勤しながら研修医も指導。地域医療の維持と教育充実を両立させ、人材育成を進めるのが狙い。
 長崎大学病院として初の試みで、全国的にも珍しい。研修医は、2年間の初期研修期間中に地域の医療機関で最低1カ月間の地域医療研修が義務付けられている。N-MECは、この受け入れ拠点で、長崎大学病院医療教育開発センター(濱田久之センター長)の下部組織として1日発足。小出優史副センター長が同日付で室長(教授)に就いた。
 N-MECは長崎記念病院が人件費を負担。小出室長は同病院で診療に従事しながら研修医の教育に当たる。今月中旬から本格始動し、本年度は研修医5人を順次配属。地域医療を学びたい大学病院の看護師も受け入れ、既に2人が勤務している。
 高齢化の進展で全国的に医療需要が増大する中、医師や看護師は都市部に集中し、過疎地などでは確保が困難な傾向。長崎記念病院は救急から在宅医療まで担う地域の中核病院だが、近年、医師や看護師の確保に苦慮していた。
 一方、研修医の研修先も大都市部に人気が集まる傾向。長崎大学病院は研修医確保のため、教育内容の充実に努めてきた。N-MEC開設については、費用負担が抑えられる上、教員のポストを増やせるという大学病院側の運営上の利点もある。今後、県北地区にも拠点を1カ所設ける方向で検討している。
 濱田センター長は「地域医療の崩壊を防ぎながら、地域に根差した若手の医療人が育つことを期待したい」。長崎記念病院の福井洋会長は「優れた医師や研修医により病院を活性化できる。地域ぐるみで若い医師、看護師を育てたい」と話している。



  1. 2018/06/10(日) 09:25:04|
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6月3日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180602_21054.html
<青森・深浦>町営診療所苦難の門出 公募不発医師不足の懸念続く 
2018年06月02日土曜日 河北新報

 青森県深浦町が直営する深浦診療所が1日、開所した。少ない医師で町全体の医療体制を確保するのが目的。新設と並行して実施した、医師の公募は好条件にもかかわらず、不発に終わった。医師不足は今後も続くことが見込まれる。

 深浦町は南北に約80キロある海岸線に沿って、集落が点在している。以前は町の北部と南部に町の診療所があるほかに、中心部に民間の診療所があった。だが、民間の診療所は2017年3月に閉院し、町中心部から医者がいなくなった。
 深浦診療所は中心部の高台に建てられた。勤務する医師は常勤2人。1日約80人の外来患者を見込む。入院施設はないが、在宅での診療にも取り組む。
 町内の各地区に停車する無料の送迎バスも整備した。開所に伴い、南部の診療所は今年4月に閉じた。
 診療所を新設した目的は少ない医師で、南北に距離がある町全体の医療を確保するため。町の診療所は14年6月から、常勤の医師は1人しかいない状態が続いていた。
 町は診療所新設計画と並行して、同年7月から医師の公募も始めた。年収は2200万円に設定し、光熱水費などのかからない一戸建ての住宅を用意。年間40万円を上限に、医師が学会に参加する旅費にも補助を出すことを決めた。
 それでも医師は見つからなかった。16年に北海道の60代と関東地方の50代の医師から内諾を得たが、体調不良や家族の健康問題を理由に辞退された。結局、13年度に退職し県内の別の病院に勤務していた山田悦輝医師(76)が、町の診療所に戻ることを決めた。
 山田医師は「事情を知って見て見ぬふりはできなかった。医療の専門性が高まっているため、若い医師は地方で勤務しづらいのだと思う。若手が自分を高められる環境をつくっていきたい」と語った。町は今後も医師の公募を続ける。



https://www.sankei.com/region/news/180601/rgn1806010011-n1.html
医師公募、破格条件でも集まらず断念 青森・深浦町 年収は2200万円 
2018.6.1 07:10 産経ニュース

 深浦町が過疎地の医師不足に直面した。1日から業務を始める新たな診療所「深浦診療所」に勤務する医師を3年かけて破格の条件で公募したものの1人も採用できないまま断念。結局、町内に勤務経験のある医師に依頼し、開業にこぎつけた。全国的にも医師が1人もいない「無医村」や医療機関へのアクセスが難しい地域は少なくない。地方や過疎地が抱えている医療の現実をこの町のケースが如実に映し出している。 (福田徳行)

 ◆常勤1人のまち

 人口8300人余(4月末)の同町には平成25年度まで町営の2つの診療所に3人の医師が勤務していたが、26年度から常勤医(69)1人の状態が続いていた。

 医療体制の整備が喫緊の課題となる中、町は27年、中心部の高台に複数医師体制の新診療所整備基本プランを策定し、公募で医師を確保することになった。

 町が提示したのは年収2200万円、無料の住宅提供、家賃以外に光熱費、学会への参加費と旅費ともに町が負担するという厚遇ぶり。いったんは2人の医師が応募したが「家庭の事情など条件が合わなかった」(同診療所の小山司事務長)ことから辞退されたという。

 ◆待遇よりも実績

 町は公募を断念。新診療所の開設が控えていたことから、25年度まで勤務していた76歳の医師に戻ってもらい、現在の常勤医と合わせて2人体制を確保、内科と外科の診療に当たってもらうことになった。

 だが、2人の医師は経験値が高い一方、高齢であることに変わりはなく、先行きへの不安も残る。

 「若い医師は都市部の設備が充実した医療機関で腕を磨き、専門分野を極めたいと思っている。郡部ではやはり無理だ」

 小山事務長は過疎地の医療が抱える問題を訴える。ある開業医も「若い医師は将来に備えて実績を積みたがる。待遇ではない」と意識の違いを強調する。

 ◆広域連合に期待

 都市部に比べ交通アクセスや教育環境が整っていないことも若い医師が二の足を踏む理由だ。「自然景観という魅力はあるが、それだけで若い人は集まらない。特に子供がいる人ならなおさら」と小山事務長。

 同町は五所川原市など2市4町でつくる「つがる西北五広域連合」を構成する自治体の一つで、小山事務長は「町だけで医師を集めるのには限界がある。広域連合からの医師派遣や情報提供などをしてもらい、医師確保に努めていきたい」と話す。

 医師不足や偏在は深刻な問題だ。28年の厚生労働省の統計によると、青森県の人口10万人当たりの医師数は198人で、全国平均の240・1人を大きく下回る。

 県は弘前大の学生に対し、卒業後の県内勤務を条件に医師修学資金の免除やU、I、Jターンによる医師確保などの対策を進めているが、効果は未知数だ。



https://mainichi.jp/articles/20180601/k00/00e/040/274000c
茨城県立中央病院
勤務医23人 過労死ライン超える
 
毎日新聞2018年6月1日 11時02分(最終更新 6月1日 13時02分)

 2次救急指定されている茨城県立中央病院(笠間市鯉淵)で2017年度、全体の約18%にあたる勤務医23人に時間外労働の「過労死ライン(月80時間)」を超える月があったことが毎日新聞が情報公開請求で入手した文書で分かった。時間外労働が年間計1146時間に上った医師もおり、医師の不足や偏在を背景に、24時間対応の総合病院で過酷な労働が常態化している現状が浮かんだ。【加藤栄】

 毎日新聞は今年4~5月に、同病院のほか、「県立こころの医療センター」(同市旭町)と「県立こども病院」(水戸市双葉台3)の県立3病院に対して、勤務医の時間外労働に関する記録を県条例に基づき情報公開請求した。

 開示された時間外勤務実績によると、17年度に県立中央病院で勤務した医師は130人。同病院によると、免許を取ったばかりの研修医や、地域医療支援と研究を兼ねた「寄付講座」で大学から派遣された医師も含まれている。

 このうち過労死ラインを超える月があったのは23人だった。診療科別にみると、整形外科が4人(全体8人)で最も多く、産婦人科3人(同10人)、循環器内科3人(同9人)、麻酔科医3人(同9人)--と続く。最も多かった医師は整形外科医で、年間累計は1146時間。10カ月で過労死ラインを超えており、138時間を記録した月もあった。勤務時間はタイムカードではなく、自己申告に基づき算出しているという。

 同病院は2次救急に指定されており、24時間対応するため、夜間も当直体制を敷いているほか、緊急手術が必要な場合に呼び出す「オンコール」の制度も実施している。特に整形外科は交通事故などに伴う緊急手術のほか、入院患者の包帯の交換などで勤務が長引きやすいという。

 労働基準法では、労使協定を結んで労働基準監督署に届ければ、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働が認められる。同病院の協定では「月60時間、年540時間未満」まで認められるが、64人にこれを超える月があった。

 一方、県立こども病院は2人が過労死ラインを超える月があった。こころの医療センターはゼロだった。

 県立中央病院の担当者は「大きな問題と考えている。医師不足の一方で、医療の高度化に伴い仕事が増えている。作業補助者を増やすことで負担軽減を図りたい」としている。



http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2018053002000120.html
社説
医師の偏在対策 都道府県は腰を据えよ
 
2018年5月30日 中日新聞

 地方は医師不足が深刻だ。都市部などに医師が集まる偏在が問題となっている。その対策を盛り込んだ医療法などの改正案が国会で審議されている。対策を担う主役となる都道府県の責任は重い。

 医療は生活に不可欠だ。医師はそれを支える重要な存在であり、医師がいなくて必要な医療が受けられなければ地域は成り立たなくなる。地方ではその問題に直面している。

 医師は約三十二万人いる。大学医学部定員枠を広げてきたことで増えてきた。これからの人口減社会を考えると医師数を増やすことには限界がある。

 問題は、専門的な医療に携われる都市部に集中していることだ。地方間にも偏在はある。都道府県別の人口十万人当たりの医師数は最多の徳島県や京都府と最少の埼玉県では二倍の開きがある。同じ県内でも地域で違う。診療科も産科、外科が少ないなど偏りがある。

 実は医師の四割が地方で働く意思がある。二十代では六割になる。大学医学部の入学者で地元出身者は卒業後もその地域への定着率は高い。一方で、労働環境やキャリア形成への不安が定着を阻んでいる。こうした不安を取り除き、地方勤務に魅力を感じられたら地域で働く医師を増やせる。

 厚生労働省の解消策は、国がデータを基に偏在の「見える化」をする。都道府県がそれを活用し「医師確保計画」を作る。それに基づき地域の大学医学部に対し、地元出身者の入学枠や、地域で一定期間働くことを条件に入学できる「地域枠」の設定を要請できる。卒業後の研修先を決める権限も国から都道府県に移す。

 偏在解消の役割を都道府県に託すことで対策を進めることを狙う。地方が権限を持ち主体的に取り組むことは当然である。

 自治体の力量が問われるが、人材育成など課題が残る。医療関係者との協議での調整力を持ち、県域を超えた連携などを実現する人材が不可欠になる。都道府県はその責任の重さを自覚してほしい。人材確保に国も支援すべきだ。

 医師が働きやすい環境整備も求められる。働き過ぎ防止のための交代派遣や周囲の医師の相談支援、出産・育児などへ配慮した勤務形態の実現などにも取り組む。こうした支援も都道府県の役割は大きい。個々の医師のニーズに応える目配りが必要だ。

 医療関係者も地域医療に責任を持っている。その魅力を若い医師に伝える努力をしてほしい。 



http://president.jp/articles/-/25266
連載 先見力の授業 AI時代を勝ち抜く頭の使い方
マスコミが「外科医不足」を報じない事情
数字で示せる「不都合な真実」とは
 
掛谷 英紀
筑波大学システム情報系准教授 掛谷 英紀
政治・社会 2018.6.1 プレジデントオンライン

今後、数十年のうちに、日本では外科医の数が半数近くまで落ち込むことが見込まれています。なぜ外科医が劇的に減るのか。ハッキリと数字で示せる答えは「女医の増加」です。女医が増え続けている一方、外科を選ぶ女医は極めて少ないため、診療科に偏りが生じているのです。しかしこうした事実はほとんど報じられません。筑波大学の掛谷英紀准教授は「マスコミに頼らず、自分の力で調べることが重要だ」といいます――。(第3回、全4回)
※本稿は、掛谷英紀『先見力の授業 AI時代を勝ち抜く頭の使い方』(かんき出版)の一部を再編集、加筆したものです。

外科医不足が深刻化していることを知っていましたか?
まずはクイズから始めましょう。


今後、数十年のうちに、日本では外科医の数が半数近くまで落ち込むことが見込まれています。外科医がそこまで劇的に落ち込むと見込まれる理由は何でしょうか?

講義でこのクイズを何度か出したことがありますが、仕事がハードだからだとか、医療事故による訴訟リスクがあるなどの答えがほとんどです。たしかに、その影響はあるかもしれませんが、統計的にはっきりした数字を出せる答えがあります。

外科医が今後急激に減るのは、女医の増加が主要因です。以下の議論は、吉田あつし著『日本の医療のなにが問題か』(NTT出版)からの引用です。図1に示すとおり、戦後女医の割合は一貫して伸び続けており、医師に占める割合はかなり大きくなっています。ところが、図2に示すとおり、女医の診療科選択は皮膚科、眼科などに集中しており、逆に外科を選ぶ率は極めて低いのです。この2つの事実を組み合わせれば、今後外科医が急激に減少していくとの予測が導かれます。

吉田氏の著書によると、この事実は「医師の間でひそかに語られている」だけで、表には出てこないとのことです。なぜ、表には出てこないのか。ここではあえて書きませんので、皆さんでその理由を考えてみてください。
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胎児の染色体異常の出生頻度は
続いて、もう1つクイズを出しましょう。


45歳で出産する場合、25歳で出産する場合と比較すると、染色体(遺伝子)異常児の出生頻度は何倍になるでしょうか?

A 2倍
B 5倍
C 10倍
D 20倍
E 50倍

この質問を講義ですると、よく出てくる答えはA、B、Cあたりです。しかし、正解はEです。図3は染色体異常の1つであるダウン症の母体年齢別出生頻度です。このように、指数関数的な上昇が見られます(他の染色体異常も同様に指数関数的に増加します)。そのため、25歳と45歳では大きな差が生まれます。過去40年の間に出産年齢の高齢化が進んでいます。1975年には第一子出産の平均年齢は25.7歳でしたが、2014年には30.6歳になっています。ダウン症の子供が生まれる頻度は25歳では0.08%、30歳では0.12%で、リスクは5割増しなのですが、このことはあまり知られていません。

福島第一原発の事故の後、放射性物質の拡散が胎児に与えるリスクが盛んに報じられました。しかし、放射線によって胎児の染色体異常発生の確率が有意に上昇するのは、100ミリシーベルト以上被曝した場合であることが疫学調査で分かっています。

もちろん、今後標本数が増えると、それ以下でも統計的有意差が出る可能性はあります。ただ、これまで広島・長崎やチェルノブイリなど、相当数の標本があった中で有意差が出ていないということは、今後標本が増えて有意差が出るとしても、確率がたかだか数%上昇する程度の影響でしかないことは既に確定的に言えます。その数%のリスクで大騒ぎしている人が、ダウン症の5割増しのリスクには口を閉ざすのがこの世の中です。

こうした情報の偏りが、人々に間違った判断をさせていることがあります。たとえば、2012年5月17日、読売新聞は妊娠を先延ばしにする妊婦についての記事を掲載しました。その記事によると、いわき婦人科で行ったアンケート調査の結果、福島の不妊治療中の女性(27~46歳)の約7割が「放射線被曝の心配をせずに妊娠・出産できるのは『3年以上後』」と回答したそうです。また、50人中40人が「今後の妊娠・出産で被曝を心配する」、50人中21人が「周りに被曝を心配して妊娠を控えている人がいる」と回答したとのことです。高齢出産のリスクについて知っていれば、この判断が非合理的なことはすぐにわかるはずです。3年待つことのリスクが、放射線のリスクをはるかにしのぐからです。

高齢出産には、胎児の染色体異常以外にも、自然流産率の上昇、不妊の割合の上昇、体外受精の成功率低下など、様々なリスクを伴います。こうした高齢出産のリスクに関する情報は、一般にはほとんど知られていません。本来ならば、中学校の保健体育で教えるべき高齢出産のリスクを、学校で一切教えてこなかったからです。なぜ、こうした大事なことを学校で教えないのか。その理由についても、ぜひご自分で考えてみていただければと思います。

日本の大学では、最近中国人留学生が増えています。私も研究指導や演習などを通して、多くの中国人留学生を指導してきました。そこでいつも聞くのが、天安門事件を知っているかです。せっかく言論の自由がある国に来たのですから、今まで検閲で遮断されていた情報を知ってもらおうという意図です。

検閲がある以上、知らない学生が多いと思っていたのですが、聞いてみるとほとんどの学生が知っていると答えました。どうやって情報を入手したかと聞くと、天安門事件の動画が入ったUSBメモリを回して見ているとのことでした。

ある時、中国人留学生とそういう会話をしていると、横から日本人学生がこう聞きました。「天安門事件って何ですか。」それをきっかけに、多くの日本人学生に天安門事件を知っているか聞いてみたのですが、名前は聞いたことがあるという学生はそれなりにいるものの、事件の内容まで知っている日本人学生はほとんどいないことが分かりました。

中国人学生は、マスコミや学校の先生が大事な情報を隠していると知っています。だから、真実を知ろうと思って自分でいろいろ調べるわけです。一方、日本人学生は、マスコミや学校の先生を信じていて、大事な情報は漏らさず教えてもらえると思っている。そのため、自分で調べようとしないのです。

これはある意味恐ろしいことです。マスコミや学校に対する信頼が著しく高い社会では、それらの情報発信源さえ特定の思想に染め上げてしまえば、出版物やネットの検閲がなくても、中国よりもはるかに強固な情報統制社会が実現するのです。

今回紹介した例から分かる通り、現実にマスコミや学校が人々の人生にかかわる大事な情報を伝えないこともあります。ですから、マスコミや学校の先生の言うことだけに頼って生きてはいけないのです。

本来、学校教育で一番大事なことは、そうした健全な懐疑の精神を身に着けさせることです。ところが、その肝心な知的態度が今の日本人学生には身についていません。私は、自分の講義で必ず言うことがあります。「ぼくの言っていることもウソかもしれないから、後でちゃんと自分で調べて、自分で考えるように」。みなさんも、ぜひ実践していただければと思います。

掛谷 英紀(かけや・ひでき)
筑波大学システム情報系准教授
1970年大阪府生まれ。93年東京大学理学部生物化学科卒。98年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究員を経て、現職。専門はメディア工学。NPO法人「言論責任保証協会」代表。著書に『学問とは何か 専門家・メディア・科学技術の倫理』『学者のウソ』など。近著に『「先見力」の授業』(かんき出版)がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605448
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承
2020年度と2021年度は現行範囲、2022年度以降は減員に向け議論
 
レポート 2018年5月28日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「第6回医療従事者の需給に関する検討会」(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)は、その下部組織に当たる「第21回医師需給分科会」(座長:片峰茂・前長崎大学学長)との合同会議を5月28日に開催し、同分科会による第3次中間取りまとめ(案)を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医学部定員について、2020年度と2021年度は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」にし、2022年度以降は、「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とする内容だ。医師の需給を推計、将来的には需給が均衡することを前提としている(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。第3次中間取りまとめ(案)は、5月21日の医師需給分科会で了承していた(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。

 森田座長は会議の最後に、今回の取りまとめの経緯について、「医師の働き方改革についての結論がまだ出ない段階で、暫定的に医学部の定員を早く決める必要があった」と述べ、「将来的な方向性については、人口減が進む中で、現実的なものだと考えている」とコメント。その上で、「ミクロの議論については、さまざまな意見がある」とし、医師偏在対策について引き続き議論していくとした。

 医師需給分科会の「第2次中間取りまとめ」を基に、医師偏在対策を盛り込んだ医師法・医療法改正法案が今通常国会に提出されている(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』などを参照)。「医師少数区域」を設定し、対策を講じることなどが対策の柱であり、医師需給分科会では法案成立後、具体的な施策の検討に入る予定。

 さらに、医師需給は医師の働き方改革とも関連するため、2018年3月に最終的な結論を得ることになっている医師の時間外労働規制等、2019年12月公表予定の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2018年12月分)の結果などを踏まえ、2022年度以降の医学部定員の在り方についても議論する。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「通常は2年くらい前までに議論して方向性を出すため、2022年度の医学部定員については、2020年5月くらいには結論が必要。2019年のしかるべきタイミングに、医学部定員に関する議論を再開する」と説明した。

 構成員からは第3次中間取りまとめ(案)に関する異論は出ず、今後の議論のスケジュールや内容について幾つかの意見が出た。

 順天堂大学学長の新井一氏は、前全国医学部長病院長会議会長の立場から、第3次取りまとめの内容を迅速に大学等に周知することを要望。日本病院会会長の相沢孝夫氏は、第3次中間取りまとめで「定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべき」と求めていることから、今後の検討スケジュールについて質問。その答えが前述の武井課長の発言だ。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医師需給に関係する医師の働き方改革において、他職種へのタスクシフティングが進められると想定されることから、薬剤師などの需給の議論についての進捗を質問。厚労省医政局医事課は、理学療法士と作業療法士について、「1年前に需給推計の方法まで議論したが、今は止まっている。適切なところで議論を再開したい」と回答。同局看護課長の島田陽子氏は、「看護職員の需給推計は、医師の需給推計と考え方を揃えるということで中断していた。医師と同じ前提での推計が可能になったので、看護職員についても議論を再開したい」と答えた。

 医師偏在対策、総合医数の設定求める声も

 第3次取りまとめでは、「マクロの医師需給が均衡することは、必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することを意味しない」と記載。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「今後、医師少数区域などの議論が進む。国全体としての基準を示すことは必要だが、各地域の医師不足の実感を反映して、関係者の意見を集約しないとうまくいかない」と指摘。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、「病院医療の現場では、まだ医師不足が続いているのが現実。ミクロの部分を各都道府県でしっかり対応していくことが必要」と述べた。

 総合医(総合診療医)も議論になった。聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、効率的に医療を提供するため、臓器別専門医と総合医の割合を推計することを提案。日本精神科病院協会会長の山崎学氏も、総合医が地域包括ケアシステムの中心になるべきとし、総合医養成のほか、卒後の臨床研修と専門研修を併せて検討し、医師が地域に残る仕組み作りの検討を求めた。一方で、釜萢氏は総合医を養成する趣旨は「理解する」としたものの、卒後すぐに総合医の道に入るのではなく、専門領域にかかわらず、日医が実施するかかりつけ医研修などを受けて、幅広い診療能力を涵養するという道筋がふさわしいとした。

 医師偏在対策、総合医数の設定求める声も

 今後の医学部定員について、相沢氏は、「2040年頃には、人口が40万~50万人くらいになる県が出てくる」と述べ、まず医療提供体制の将来をしっかりと議論した上で、医師需給を推計する必要性を指摘。また人口が40万~50万人の地域では、「1県1大学(医学部)」を運営することが難しくなってくると見通した。釜萢氏も、「若年人口が減少してくる中で、医療従事者数を大きく増員するのは、極めて厳しい状況になることを、今後の議論の基礎、共通認識としておく必要がある」とコメント。

 山崎氏は、「ここ10年、15年は高齢者が増えてくるので、医療ニーズは増えてくるので、それほど急減に減らすと混乱のもとになる」と慎重な検討を求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=20778
2020・21年度の医学定員は全体で現状維持、22年度以降は「減員」―医療従事者の需給検討会 
2018年5月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2020・21年度の医学部入学定員は「暫定措置」として現状を概ね維持し、2022年度以降については「医師の働き方改革」や「医師偏在対策」の結果などを踏まえ、「減員」に向けて定期的に検討していく—。

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)は5月28日に、こういった方針を盛り込んだ「第3次中間とりまとめ」を大筋で了承しました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 遅くとも2033年以降は医師供給が過剰に、2020・21年度は全体で現状を維持
2 医師供給過剰を踏まえて、地域の状況に配慮した上で、2022年度以降は「減員」方向

遅くとも2033年以降は医師供給が過剰に、2020・21年度は全体で現状を維持

 厚生労働省は今般、▼高齢化の進展による医療ニーズの増加▼人口減少に伴う医療ニーズの減少▼医療提供体制の再構築(地域医療構想の実現)▼医師の高齢化▼医師の働き方改革等による業務の効率化▼ICT・AI等の活用による医師の業務効率化▼性・年齢に基づく「医師の仕事量」—などさまざまな要素を考慮し、将来の医師需給について精緻な推計を行いました。

もっとも「医師の働き方改革」については、検討会(医師の働き方改革に関する検討会)の議論がまとまっていないこと、ICT・AI等の活用については技術が今後も進展していくこと、などから一定の仮定を置いたものとなっています。それによると、「2018-33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

【医師の需要がもっとも大きくなるケース1】(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)
→2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要が中程度となるケース2】(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)
→2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要がもっとも少なくなるケース3】(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)
→2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる

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医師需給分科会3 180412

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医師需給分科会2 180412
 
 検討会および分科会では、こうした見通しを踏まえて「将来的に、医師の養成数、つまり医学部の入学定員を『減員』していく」方向性を確認しています。

ただし、「医師の働き方改革」については、「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が2019年3月まで続くこと、さらにクローズアップされている「医師偏在」対策を規定した医療法・医師法等の改正案が、現在、国会で審議中であること、などを踏まえ、▼2020・21年度▼2022年度以降―に分けて、医学部入学定員に関する考え方を示しています。

まず、前者の「2020・21年度」については、▼近い将来、医師供給が過剰になる(上述)▼すでに過去最大級の医学部入学定員の増員を行っている―ことを踏まえ、「暫定的に現状の医学部定員を概ね維持し、各都道府県・各大学の要望は、2019年度の医学部定員を超えない範囲で慎重に精査する」ことを示しています。

この方針をもとに、2020・21年度における各大学医学部の入学定員が設定されます。現在の高等学校2年生が、2020年度に医学部に入学することとなり、進路決定などに支障が出ないよう、早急に調整が行われます。

医師供給過剰を踏まえて、地域の状況に配慮した上で、2022年度以降は「減員」方向

後者の「2022年度以降」については、▼「医師の働き方改革に関する検討会」の意見(2019年3月予定)▼医師偏在対策の効果(直近では、2019年12月に示される「2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査」結果)—を踏まえて検討することになります。ただし、「働き方改革」や「偏在対策」については、一気に課題が解決するわけではなく、時間をかけて徐々に改善が進んでいきます。また、前述したICTやAIの技術はめまぐるしく進展していくと予想されます。このため、検討会および分科会では「医師養成数(医学部入学定員)について定期的に検討していく」ことを確認しています。

また「減員」の方向は示されているものの、「地域別・診療科別の偏在」をいう現実から目を背けることはできません。検討会および分科会では「地域間で医師偏在がある場合には、地域枠のニーズは残る」点を強調しています。

5月28日の検討会・分科会では、こうした方針に異論は出ていませんが、「2022年度以降の議論」に対する注文が数多出されました。

例えば「減員」の方向について加納繁照構成員(日本医療法人協会会長、検討会の構成員)は、「地域別・診療科別などミクロに見ていけば、医師が不足しているところもある。今後、医療ニーズを定期的に見直し、ミクロにおいて医師の適正配置がなされるようにする必要がある」旨を強調。

地域偏在を是正する方策として「地域枠」の重要性が指摘されます。この点について新井一構成員(前全国医学部長病院長会議会長、分科会の構成員)は、「地域枠の学生は一般の医学部生よりも優秀である、との報告もある」ことを紹介し、地域枠の重要性を再確認。その上で、「各大学にアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)があり、それを無視した、都道府県等からの『地域枠を設け、拡充せよ』との要請は好ましくない。大学には、それぞれ使命があり、意思を確認したうえで地域枠等を進めていく必要がある」と述べています。地域枠については、現在「臨時の定員増」の中で設定されていますが、分科会では「恒久定員の中に盛り込む」方向も出ています。全国医学部長病院長会議では、この点についても「各大学の意思を尊重すべき」と要請しています(関連記事はこちら)。
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当面の医学部入学定員
 
また、山崎學構成員(日本精神科病院協会会長、検討会の構成員)や釜萢敏構成員(日本医師会常任理事、検討会の構成員)は、地域においては「幅広い領域を診れる医師」(総合医)のニーズが高いことを改めて強調。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長、分科会の構成員)は「専門医と総合医の適正比率(いわば黄金比)を国が示す必要がある」と提言しています。

さらに荒井正吾構成員(奈良県知事、検討会の構成員)は、▼医師養成を独立して議論するのでなく、医療を「産業組織」として捉え、さまざまな要素を含めて「最適化」を図る視点を持つ必要がある▼医師需給の前に「医療需給」を客観的に把握する努力をする必要がある▼ミクロ(地域別)の「医療需要」を客観的に図る手法(例えば、地域のニーズとウォンツを図り、後者が前者を上回る場合には「医療需要が過大」と判断する、など)を開発する必要がある解を図る必要ある▼医師が果たさなければならない役割の明確化、医療従事者の業務分担、医療行為の標準化・適正化などを行った上で「医師の能力の最適配分」を考える必要がある―と提言しています。

このうち「医療従事者の業務分担」(タスク・シフティング)については、検討会の下部組織である「看護職員需給分科会」と「理学療法士・作業療法士需給分科会」が近く再開され、それぞれの需給について検討を行いますが、今村聡構成員(日本医師会副会長、分科会の構成員)は「我が国は先進諸国に比べて薬剤師が多い。しかし、必要とされる病院の現場に勤務する薬剤師は少ないという。この点も検討すべきではないか」と提案しています。

なお、相澤孝夫構成員(日本病院会会長、検討会の構成員)は「地域の人口が大きく減少していく中では、『今後とも、医学部できちんとした教育がなされるのか』という視点・議論が欠かせず、『1県1医大構想』も見直していく必要性があるのではないか」と指摘し、今後の急速な変化を踏まえて、検討会・分科会でも「短いスパンで議論していくべき」と訴えています。

 今後の検討スケジュールについて詳細は固まっていませんが、「2020年度以降の医師養成」に関する議論は、早くとも「働き方改革」の方向が明確になる2019年3月以降になりそうです。

また「医師不足地域か否か」を判断するための指標論議については、国会における医師法・医療法改正案の成立を待つ必要があり、今夏から今秋以降になると予想されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605304
シリーズ 安倍政権の医療制度改革
「地域別の診療報酬は“伝家の宝刀”」、荒井奈良県知事
社会保障制度改革推進会議、地域医療構想と国保改革を議論
 
レポート 2018年5月28日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障制度改革推進会議(議長:清家篤・慶應義塾大学商学部教授)が5月28日に開催され、地域医療構想や国民健康保険改革の進捗等について議論、国保改革の取り組みを紹介した奈良県知事の荒井正吾氏は、「受益と負担を総合的にマネジメントしていく」と説明、受益と負担が均衡しない場合、「地域別の診療報酬設定の活用は、最終的な選択肢の一つ」と説明した(資料は、内閣府のホームページ)。

 荒井知事は、「診療報酬の引き下げありき、という政策ではない。むやみに“伝家の宝刀”を抜くことはしないが、法律で規定された権能であり、抜けないのもおかしい。どんな時に刀を抜くべきか、法律の趣旨をいかに解釈するかが重要」と述べた。地域別の診療報酬設定は、「高齢者の医療の確保に関する法律」に規定された権限であり、診療報酬の1点10円という単価を変更できる規定。都道府県の申請を受け、最終的には厚生労働大臣が定める。

 国保の都道府県単位化は、2018年度から全国でスタート。奈良県では、2018年度には国保の赤字補てんのため一般会計からの法定外繰り入れを解消、2024年度には各市町村で異なる保険料水準の統一を目指す。その実現に向け、(1)医療費適正化の推進、(2)国保事務支援センターの設置、(3)国保事務共同化の推進――を3つの施策の柱に据える。医療費適正化では、後発医薬品の普及推進、医薬品の多剤投与・重複投与の適正化、糖尿病性腎症の予防、レセプトデータやKDB(国保データベース)を活用した医療費分析と分析結果の具体的活用――などに取り組む方針。

 慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏は、「地域別の診療報酬については、賛否があると承知している。法定外繰り入れが解消され、保険料の県内統一という大前提が達成された後に、受益と負担の調整方法として、保険料をアップするか、地域別の診療報酬を“伝家の宝刀”を使うのかを判断するのだろう」と受け止めた。「負担には限界がある。給付について国が決めれば、その負担はするものだと考えるのは問題。負担できる限界に対して、どこまで給付するかという、給付と負担の間でより良いけん制関係を構築することが必要であり、その方法の一つとして地域別の診療報酬があるのだろう」(土居氏)。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、奈良県の施策は、2013年の社会保障制度改革国民会議報告書で提言していることであり、これらを実施しないことには「国保改革が実現できない」と指摘。権丈氏は同会議の委員も務めた立場から、国保の保険料水準統一は重い責任を伴うことであり、地方であっても、都会と同様に、医療を受ける機会を提供できることを保障しつつ、水準統一を進めていくことが報告書の趣旨であると説明した。

 地域医療構想については、茨城県と奈良県の事例が紹介された(『地域医療構想8府県は未設定、医療計画「原則記載」の在宅目標』を参照)。

 安倍晋三首相は、5月21日の経済財政諮問会議で、地域医療構想について、「今年秋を目途に、全国での策定状況を中間報告し、先進事例を横展開するなど、対応方針の策定を後押ししてほしい」と発言している。清家議長はこの発言を引用し、「まさに今日の事例は、大変貴重であり、好事例の横転換を図っていく必要がある」と指摘した。

 「なぜ地域医療構想が進んでいない地域があるのか」という委員の質問に、茨城県の担当者は、「地域医療の崩壊の危機が迫っているかどうかで、進捗状況が決まってくるのではないか」と回答した。



https://mainichi.jp/articles/20180529/ddl/k12/040/032000c
深掘りちば
鴨川市立国保病院再建問題 市と院長「亀田」対決 いとこ同士、市長選のしこり /千葉
 
毎日新聞2018年5月29日 地方版

 赤字が続く鴨川市立国保病院の再建を巡り、市と、同市に本拠を置く亀田総合病院が対立している。病床数を維持したまま約20億円を投じて新病棟の建設を目指す市に対し、亀田病院側は現在の規模を縮小し、近隣の病院とともに新たに作る「地域医療連携推進法人」の元で介護も含めた地域サービスに当たるべきだと主張。人口減のなか地域医療のあり方が問題となるが、対立の背景には昨年の市長選を巡るしこりが尾を引いているようだ。【中島章隆】

 鴨川市立国保病院は戦後間もない1948年、旧吉尾村の無医村解消のため診療所として開設。数次の町村合併を経て73年に現在の場所で70床の市立国保病院となった。海岸沿いの市中心部から約10キロ内陸に入った人口まばらな地域のため、過疎化に伴い来院者が年々減少し、2013年度に経常赤字に転落した。

 施設も築40年を超え、老朽化したことから前市長時代の15年、学識経験者を交えた「国保病院あり方検討委員会」を設置し、病院の再建策を練った。しかし、結論は「施設整備の前提として、医師・看護師の積極的な雇用により収支の改善を図るべきだ」。施設改修は先送りされた。

 流れが変わったのが昨年3月の市長選だった。亀田郁夫氏が国保病院の機能強化を公約に掲げ、現職を破って初当選した。亀田氏は市長就任後直ちに全面改築計画に着手。現施設の南隣に鉄筋3階建ての新病棟(延べ床面積5000平方メートル)を造り、70床全てを個室とする新病棟建設計画を今年3月、発表した。総工費20億円で、20年度オープンを目指している。

 亀田市長は亀田総合病院の亀田信介院長のいとこで、同じ「亀田一族」だが、市長選で亀田病院は落選した現職を全面的に応援していた。亀田病院側は市長が掲げる国保病院の改築計画に猛反発。昨年9月には、亀田院長が「国保病院の建て替えは、現在県が進めている地域医療構想策定のプロセスに反し、負の遺産を残すことが予想される。白紙に戻すべきだ」と国や県、市の関係者に訴えた。

 亀田院長は社会福祉法人「太陽会」の理事長を兼ねる。太陽会は館山市の安房地域医療センターを経営し、昨年から、南房総市立富山国保病院と県内初の「地域医療連携推進法人」を結成する準備を進めている。

 この連携法人は、鴨川国保病院と鋸南町国民健康保険鋸南病院との連携も視野に入れ、安房地域が一体となって、医師や看護師を派遣したり、病床を融通したりする構想を持つ。それだけに、お膝元の鴨川国保病院の離脱は、連携法人の設立に水を差す結果になりかねない。

 亀田市長は国保病院の内陸部という立地を強調し、「大津波が襲った場合、救急体制の拠点になる」と主張。海岸線に施設が集まる亀田病院をけん制する。

 一方、亀田院長は「70床維持なら現在の医師5人では無理。病床利用率も60%以下で、経営的に行き詰まるのは目に見えている。連携法人のもとで介護や在宅支援に特化するなど役割分担すべきだ」と反発している。

市保健医療参与「全国のモデルに」

 鴨川市は鴨川国保病院の整備を含む保健医療行政の総合的な推進を図るため、4月から千葉大付属病院地域医療連携部長の竹内公一医師(51)を非常勤特別職「保健医療参与」に迎えた。任期は1年。亀田病院側と対立している状況を打破するため、医療の専門家を招いた形だ。

 竹内氏は自治医大出身で、国や県が進める地域医療構想の策定に当たり要職を務めてきた。着任後、亀田院長や南房総市立富山国保病院の鈴木孝徳院長と面談するなど、安房地域全体の医療体制整備に向け、ニュートラルな立場を示し、精力的に活動している。

 竹内氏は毎日新聞の取材に「安房地域は人口減少が続く中、医師や看護師が手厚く配置されている特異な環境にある。医療機関の連携により、全国のモデル地域になる可能性もあり、精力的に取り組みたい」と意欲を語った。

 ■ことば
地域医療連携推進法人
 人口減少が進む中、同じ地域にある複数の病院や診療所、介護施設などが役割を分担しながら連携して設置する法人。2015年の医療法改正で創設が可能になった。法人内で病床数や職員などの再配置ができ、患者情報の一元化、医薬品の共同購入などを通じて、効率的な医療・介護体制を整備するのが狙い。今年4月現在、山形、兵庫、鹿児島など6県の6法人が国に認定されている。



https://www.sankeibiz.jp/business/news/180530/prl1805301722133-n1.htm
<医師1,637人調査>「専門医の取得理由やメリット」に関する最新アンケート結果を公表 
2018.5.30 17:22 SankeiBIZ

専門医に関する医師1,637人の最新アンケート

 地域医療への影響の懸念などから1年延期されていた新専門医制度が2018年4月から開始された中、医師向けキャリア支援サービスなどを提供している株式会社メディウェルが、専門医の取得理由やメリットに関する最新のアンケート結果(回答医師数1,637人)を公表しました。

専門医に関する医師1,637人の最新アンケート

 URL: https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 若手医師の9割以上が専門医の取得を目指している状況の中で、医師が取得を目指すことへのモチベーションや、実際に専門医取得後に感じたメリットなど、専門医をめぐる医師の本音が明らかになる内容となっています。

 本調査は、専門医のメリットに関する医師への調査として過去最大規模であるとともに、新制度開始前後での医師の意見が反映された最新の調査となっています。

 調査では、医師の専門医の取得理由で最も多かったのが「自身のスキル・知識の向上のため」で、専門医の取得を「自己研鑽」の機会として捉えている医師が多い一方で、実際に取得してからの専門医のメリットについては、「見合っていない」が半数以上を占めており、専門医の取得や維持にかかる費用・労力の負担感が医師にとって大きいことが窺える結果となりました。

 調査の概要については、以下のようになっています。

 ■調査概要
調査内容 : 専門医の取得とメリットに関する医師へのアンケート調査
調査対象 : 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 : 2018年3月20日~2018年5月7日
有効回答数: 1,637件
公開URL : https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 ■結果の概要
・専門医を取得した理由は「自己研鑽」が最多で7割以上が挙げていた。
・専門医取得後のメリットは「自己研鑽」を除くと、「特にない」が28%と最多だった。
・専門医の取得や更新の労力・コストに対するメリットは「見合っていない」が53%と半数以上を占めた。
・他の医師を評価する際には6割以上が「専門医の有無は参考になる」と回答した。
・専門医以外に自身のキャリアアップや他の医師の評価において重要視していることで、多かったのは「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」だった。
・自由回答では専門医のメリット・デメリット、専門医のスキルとしての指標の是非などについて医師間で意見が分かれた。診療報酬に反映して欲しいという声や、制度・運営上の問題を挙げている意見も多く見られた。

 ■専門医制度・運営に関する自由回答(一部)
・申請料が高すぎる、学会参加誘導しすぎている
・専門医の維持は、権力とお金の維持でなく、専門医個々の経験と実力の維持であるべき。専門医から見て、専門医機構は何をしたいのか全く分からない。
・新専門医制度は迷走していて研修医が振り回されすぎ今のままで問題ない。機構は即刻解体すべし
・労力に見合う対価、インセンティブがあるべき。学会のお偉いさんの集金手段になっている新制度もあらたな利権が生まれるだけで、医師にも患者にもメリットがない。
・専門医更新において専門医機構の介入があったことで、単位の取得が以前より複雑かつ手間が多くなった。既に学術集会でもそちらに気を取られ、聴講する議題がそれに左右されて、本末転倒となっている現状に辟易している。

 株式会社メディウェルでは本調査の結果を受け、専門医をめぐってキャリア上の不安や不満を抱えている医師一人一人に対して、新たな選択肢の提案など、より一層のキャリア支援に取り組むべく邁進してまいります。

 本調査の詳細に関しましては以下のURLをご参照ください。
https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 ■引用・転載時のお願い
・本調査結果の引用・転載時には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記をお願いいたします。

 ・WEB上での引用・転載を行なう場合には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記と、引用元のURL( https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/ )へのリンク付与をお願いいたします。

 ■サービス・会社概要
【医師転職ドットコム】
URL : https://www.dr-10.com/
サイト概要: 2004年より運営している会員数35,000人以上の医師向け転職支援サイト

 【会社概要】
企業名 : 株式会社メディウェル( https://www.mediwel.net/ )
所在地 : 〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西5丁目2番地 興銀ビル9階
事業内容: 医療機関を対象とした経営コンサルティング事業、
病院経営に関する情報発信、
医療従事者の紹介事業、医療関係職員の研修、
セミナー並びに各種イベント企画、立案
代表者 : 代表取締役 中村 知廣



https://www.m3.com/news/iryoishin/605677
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「医師の働き方、ベテランと若手で意識に差」
自民・医師の働き方改革PT、四病協と全自病にヒアリング
 
レポート 2018年5月29日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 自民党の厚生労働部会「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」は5月29日、四病院団体協議会と全国自治体病院協議会へのヒアリングを実施した。会議後、座長を務める参議院議員の羽生田俊氏は、「意見はかなり出尽くしている」とし、「若手とベテランの医師では、考え方や意識の違いがあり、この辺りをどう考えるかが大きな問題」との認識を示した。

 さらに「病院や地域によっても異なるため、『医師の働き方』として一括りにすることができるのか」とも述べ、現状の問題は明らかになってきたものの、その解決策を見いだすのは容易ではないと示唆した。

 次回の医師の働き方改革PTでは、全国医学部長病院長会議と日本私立医科大学協会へのヒアリングを行う。さらに次回以降、若手医師の意見も聞く方針。


 5月10日の会議では、日本医師会へのヒアリングを実施している。また羽生田氏自身、直近では秋田県と新潟県を視察したという。医療者から出てくる意見として、仕事と自己研鑽との関係、宿日直の定義とその扱い、労働時間をどのように把握するかなど。「時間外の自己研鑽でも、上司から命令された場合には時間外労働に含め、自らが実施する場合には含めない、といった考え方も出ている」(羽生田氏)。

 さらに羽生田氏は、「また医師の働き方改革をめぐる議論は現在進行中であるため、労働基準監督署の立入調査は、『少し考えてもらいたい』というのが、(厚労省)医政局の立場。一方、労働基準監督署は、医療機関に集中的に調査しているわけではないが、情報が入ってくると労基署は法律に則って、行かざるを得ない状況」と現状を分析した。

 四病協は、加藤勝信厚労相に4月18日に提出した「医師の働き方改革」についての要望を説明、「医師の働き方については、医師の労働の特殊性を明確にした上で、現行の労働法制とは異なる医師労働法制を制定する」ことなどを求めた(『「独自の医師労働法制」を要望、四病協』を参照)。

 全自病は、2017年7月から8月にかけて会員病院を対象に実施したアンケートを基に、医師の働き方の実態を紹介(『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』を参照)。「医師に対する時間外労働の上限規制の適用が、地域医療の崩壊を招くことにならないよう、慎重な検討が必要」と要望。労基署に対しては、さまざまな諸課題が検討会で議論されているところであるため、謙抑的に対応するよう要請した。


  1. 2018/06/03(日) 10:08:07|
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Google Newsでみる医師不足 2018年5月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年5月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 8,250
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 17,900
First 5 in Google in English 


Residency Programs, Internet Offer Hope for Doctor Shortage
U.S. News & World Report - June 2, 2018, at 2:01 a.m.(米国、アイダホ州)

With just one practicing physician, Lincoln County is one of seven counties in south-central Idaho that's a federally designated Health Professional Shortage Area (HPSA) for primary care physicians. And it's not just the Magic Valley —a recent report by the Association of American Medical Colleges placed Idaho 49th in the nation for the number of physicians per capita.


With physician shortage looming, hospitals turn to telehealth tools
Healthcare Finance News - 2018/06/01 (米国)

Telehealth is beginning to mature as a viable arm of the healthcare industry, and it couldn't be happening at a better time. Thanks in part to an aging baby boomer population, many experts are predicting a physician shortage in the coming years -- one that can be addressed through telehealth technology, which allows doctors and specialists to be anywhere, anytime.


How Hope is avoiding the rural doctor shortage
Hope Standard - 2018/06/01 (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

With rural communities facing shortages as doctors retire without anyone to take their place, Hope has found a formula where not only are doctors coming here and staying here, they are also expanding their services up the Fraser Canyon.


New grads offer hope during local doctor, psychiatrist shortage
WBAY - 2018/06/01 (米国 ウィスコンシン州)

It's viewed as a step to address a doctor shortage in Wisconsin and keep doctors in the Badger State. "We know that when you build a campus in a region, students will come back and practice," said Dr. Matthew Hunsaker, Dean, Medical College of Wisconsin-Green Bay. "The historical data in Wisconsin shows about 80 percent of the students who do both medical school and practice in the area return to the area."


Fiji in talks with Australian uni to plug doctor shortage
Radio New Zealand - 2018/05/29 (ニュージーランド/フィジー)

Fiji is in talks with a university in Australia to recruit experienced doctors. The Fiji Times reports a recruitment campaign is underway to counter the country's doctor shortage. The Permanent Secretary for the Civil Service, Bernadette Welch, told the newspaper an international recruiter was assisting in the search for doctors.


(他に10位以内のニュースは、カナダ、米国、アラバマ州、アイダホ州(2)、からも)



  1. 2018/06/03(日) 10:02:16|
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