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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月27日

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-26/2018052605_03_1.html
医師不足の実態深刻
倉林氏“健康のため増員を”
参院厚労委
 
2018年5月26日(土)しんぶん赤旗

 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、医師の人員不足と長時間労働の問題を取り上げ、医療の安全と医師の健康のために診療報酬引き上げと増員を求めました。

 経済協力開発機構(OECD)調査で、日本の人口1000人当たりの臨床医数は加盟国の下から4番目、病床100床当たり医師数でイギリスは日本の7・5倍、フランス、ドイツは3・7倍です。武田俊彦医政局長は、「日本は諸外国より病床数が多い。近年、医学部の定員を増やしている」などと言い訳しましたが、医師不足を否定できませんでした。

 倉林氏は、フランスの医師は、週の労働時間が48時間、当直後24時間休息の義務付けとなっていると紹介し「これが目指すべき医師の働き方ではないか」と指摘。厚労省が2028年には医師数が充足すると推計していることについて「時間外・休日労働も含めて推計しているのか。多くの医師は労働時間が自己申告制で正確ではない。推計をやり直し、医師を増員すべきだ」と主張しました。

 加藤勝信厚労相は「医師の養成数、時間外労働など、医師の働き方改革に関する検討会での議論を踏まえていく」と述べました。



https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201805/0011296023.shtml
医師不足、赤字穴埋め限界に 三田市民病院再編へ 
2018/5/26 21:30神戸新聞NEXT

 三田市民病院(兵庫県三田市けやき台3)の他病院との統合・再編に向けた動きが、徐々に進んでいる。経営に民間の視点を持ち込んだり、病院の規模を拡大したりして、国主導で公立病院の経営を効率化する動きが加速しているためで、三田でも2018年度中に一定の方向性が決まる見通しだ。

 ■集まらない医師
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3092965024052018L21000/
新潟県村上市、医師不足解消へ新たな奨学金
北関東・信越
 
2018/5/24 23:00 日本経済新聞 

 新潟県村上市はこのほど、地域の医師不足解消を目的とした医学生向けの新たな奨学金の貸与を始めた。2018年度から実施を始めた制度で、将来市内の病院に医師として一定期間勤務した場合は返済を免除する。初年度はまず私立大学生1人を対象に、月30万円の修学資金を無利子で貸与する。

 新たな奨学金制度は村上市内で医師として勤務する意思を持っている人が対象で、国立大学、私立大学の学生にそれぞれ月額15万円、30万円を貸与する。19年度の貸与対象者は今年12月から来年2月頃に若干名を募集する予定だ。

 臨床研修後の12年以内に、市内の病院で4年間勤務すると資金の返還が全額免除になる。市の担当者は「免除要件が過ぎた後も長期間、村上市で活躍し続けてほしい」と話している。

 新潟県内の人口当たり医師数は全国平均を大幅に下回り、村上市は県平均よりも水準が低い。

 新たな奨学金を通じて将来の医師確保につなげる。



https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180525_01.html
医学部定員減へ/医師偏在の解決が先決では 
2018年05月25日金曜日 河北新報

 厚生労働省が全国の大学医学部の定員を削減する方向性を打ち出した。医療従事者の需給に関する検討会の専門部会が2022年以降、定員を削減する方針を承認した。
 医学部定員は06年にそれまでの抑制策から増加策に転じた。その後も地域の医師確保の観点から定員の増加を図ってきた。しかし、東北地方をはじめとして、地方の医師不足の問題は、なお解消には程遠いのが現状だ。
 削減を議論する前に、地域医療を充実させる具体的かつ実効性のある方策を実現に移すのが先決ではないか。医師の地域的な偏在だけでなく、診療科における偏在の問題も残されたままだ。
 地方の医師不足の解消に向けては、国会に医療法などの改正案が提出されている。定員削減を巡る検討は、改正案の成立の後、その実効性が実際に確保されてからでも遅くはない。地域医療に不安を与えるような性急な削減は避けるべきだろう。
 厚労省の推計によると、全国の医学部の定員が現状の約9400人のまま維持されると、28~33年には需給が均衡し、医師不足は解消すると見られる。その後は需給が逆転するため、卒業が28年以降となる22年の入学者から削減する必要があるという。
 確かに、医学部学生の定数は、緊急医師確保対策や学部の新設などで約10年前より1800人近く増えた。近い将来、医師不足が解消するという厚労省の推計は間違っているとは言えない。
 ただ、医師の総数が充足したからと言って、地域間での医師の偏在が容易に解消されるわけではない。現に、厚労省は「医学部の定員が抑制から増加に転じて以降、むしろ地域間での格差が広がっており、その解消が急務」と分析している。
 厚労省のアンケートによると、医師の44%が地方で勤務する意思があると回答。それにもかかわらず、実際には勤務に結びついていない。理由は労働環境や仕事内容の過酷さ、子どもの教育に関する不安などだ。
 改正案は、医師確保のための都道府県の体制強化を中心に、研修病院の指定権限の国から地方への移譲、入学者の地域枠を設定するよう要請する権限の創設など、多様な対策を盛り込んだ。
 目新しいのは、医師不足に悩む地域で一定期間、勤務した医師を「社会貢献医」として認定し、各種の優遇策の対象とする制度の導入だ。効果については賛否があるが、地域医療への貢献の動機付けになり得る新たな制度と言っていいのではないか。
 医師不足に悩む地域の住民はこれまで長い間、都市住民に比べると、健康面での不利益を受けてきた。地域医療に従事する医師など医療従事者の不安を解消し、医療を充実させるさまざまな対策をまずは実行したい。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180524202015
医師の働き方改革、「慎重な検討を」
全自病が厚労省などに要望
 
2018年05月24日 20:40 CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は24日の記者会見で、全国自治体病院開設者協議会と共同でまとめた要望書を、厚生労働省などに提出したことを明らかにした。医師の働き方改革について、医師への時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊につながらないよう、慎重な検討を求めている。【松村秀士】

 要望書は、15日に厚労省や文部科学省、総務省に提出された。その中で、国が医師の働き方改革について検討する際は、医師の応召義務と労働量規制との関係についての十分な議論と整理が不可欠だと強調。また、時間外労働規制の課題をクリアするための医師らの増員は「実現が困難」と指摘している。

 その上で、厚労省の検討会などで医師の働き方改革について議論する際は、「慎重な検討」を行うよう要望。さらに、国が医療機関に対して労働時間に関する指導を行う場合、病院で働く医師の勤務実態などを十分に考慮すべきだとの考えも示している。

 医師の働き方改革をめぐっては、厚労省の検討会の会合が6月末ごろに再開される見通しで、今後、医師への時間外労働規制の在り方などの議論が本格化する。

■開業規制と診療科ごとの医師数規制の導入検討を

 要望書には、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に関する提言も盛り込まれた。医師の需給調整に必要な開業規制と診療科ごとの医師数の規制の導入を検討し、専門医数の制限や医師不足地域で一定期間勤務することを義務付け、医療提供体制の「均てん化」施策を早急に実行することを求めている。

 また、医師不足を解消するため、女性の医師が出産や子育てなどで休職した後、医療現場に復帰できる「働きやすい環境」の整備も必要だとしている。

■医師の偏在対策などで日医と懇談

 邉見会長は会見で、「医師の働き方改革」や「医師の偏在対策」をテーマに、日本医師会と懇談したことを明らかにした。今後も年に2回程度、意見交換する予定だという。




https://mainichi.jp/articles/20180522/k00/00m/040/053000c
厚労省
医学部定員、削減検討 22年以降 報告書まとめ
 
毎日新聞2018年5月21日 19時31分(最終更新 5月21日 19時31分)

 医師不足の問題を検討する厚生労働省の専門家会議は21日、2022年以降の全国の医学部入学定員を削減するよう求める報告書をまとめた。将来的に医師数が過剰になるとみられるためで、削減幅など詳細は20年までに検討する。

 医師不足問題を受け、国は卒業後地元で一定期間働くことを要件とする「地域枠」を設けるなど医師増員を図ってきた。専門家会議は当面、現行の医学部定員(約9400人)を維持することを認めた。この場合、20年の入学者が臨床研修を終える28年ごろまで医師不足が続くが、その後は需給が逆転すると推測される。

 このため専門家会議は、卒業が28年からとなる22年以降の入学定員は削減する必要があるとの考えで一致した。ただ、全国的には医師数が足りても、地域間や診療科間で偏在が解消されない可能性がある。こうした動向を踏まえて定員削減を議論する。【熊谷豪】



http://www.medwatch.jp/?p=20639
2022年度以降、医学部入学定員を「減員」していく方向で検討を―医師需給分科会 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2020・21年度の医学部入学定員は、トータルで現状を維持したうえで、各都道府県や各大学の要望を慎重に精査していくこととしてはどうか。2022年度以降については、将来的に医師供給が過剰になることに鑑み、医師の働き方改革論議や医師偏在対策の効果を踏まえながら、「減員」に向けて検討していくことしてはどうか―。

 5月21日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方向(第3次中間取りまとめ案)が確認されました(関連記事はこちらとこちら)。近く、親会議「医療従事者の需給に関する検討会」と医師需給分科会との合同会議を開き、そこで正式に取りまとめることになります。
 
ここがポイント!
1精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに
2 2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討
3 総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も
4 地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張
5 2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査


精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに

 医師の需給見通しについては、2016年5月の医師需給分科会(以下、分科会)で、地域医療構想に基づき、高度急性期や回復期などの機能ごとに医師の必要数を推計する手法を用いて、「2018年から33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」との結果が導かれました(医師の勤務時間改善状況に応じて、均衡時期がずれる)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 その後、▼「医師人口ピラミッド」を作成し、医師人口の動態を見ていく(長時間労働の多い、若手医師数の変化などを勘案する)▼最新の調査研究に基づき性・年齢階級別の「仕事量」を勘案する▼医師の働き方改革について一定の仮定を置く(医師の時間外労働を▼一般労働者並みの月60時間とする▼過労死ガイドラインに基づき月80時間とする▼米国の研修医並みの週80時間とする―など)―といった「精緻化」を実施。次のように、やはり「2018-33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

【医師の需要がもっとも大きくなるケース1】(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)
→2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要が中程度となるケース2】(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)
→2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要がもっとも少なくなるケース3】(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)
→2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる
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2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討

 このように「将来的に医師の供給過剰となる」ことが予想される中では、医師の養成数、つまり「医学部の入学定員」を徐々に縮小していくことが必要となるでしょう。

医学部の入学定員については、地方の医師不足・医師偏在を是正する観点から、現在、「恒久定員」(下図の青色の部分)に加えて、臨時の定員増(臨時定員)が行われています。臨時の定員増は、▼医師確保が必要な地域・診療科のための暫定増(下図の黄色の部分)▼地域枠などを設定するための追加増(下図の赤色の部分)—に分けられます。
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当面の医学部入学定員
 
分科会では、「将来の医師供給過剰」を踏まえて、「将来的(2022年度以降)な医学定員の『減員』」に向けた議論の必要性が確認されました。もっとも、▼地域・診療科によっては医師不足が生じる(解消できない)▼AIなどの技術進展により、医師を取り巻く環境が短期間に変化していく—ことから、「定期的に医師需給推計を行い、将来的な医学部定員の『減員』に向けて、医師養成数の方針などを見直していく」ことになります。医師配置の直近の状況(つまり偏在対策の効果)を見ることができる医師・歯科医師・薬剤師調査が2年に一度行われることに鑑み、「2年ごとに見直してはどうか」との指摘も出されています。
この点、前者の医師不足については、「何を持って医師不足と判断するべきか」という論点があります。現在は、「人口10万対医師数」を用いて医師の供給状況を判断していますが、今後はより多面的に、例えば▼医療ニーズ▼将来の人口・人口構成の変化(高齢者が増えるのか、高齢者も減っていくのかなど)▼医師偏在の単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の性・年齢(働き方が異なるため)▼へき地や離島等の地理的条件—などを加味した、医師の供給状況を判断するための「指標」を作成することになります。厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「この分科会で、指標作成に向けた議論をしてほしい」との考えを示しました。当該指標に沿って「医師が不足している」と考えられる地域についてはもちろん、各都道府県が「医師が散在しており、特別の対策が必要ではないか」と判断した場合などには、医師供給に向けた対策をとることが求められるでしょう。

総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も

また、将来の医師需給に関して、神野正博構成員(全日本病院協会副会長)や今村聡構成員(日本医師会副会長)、福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)らは「診療科別の偏在」についても十分に検討する必要があると強調しています。例えば福井構成員は、「今は、医師が自由に専門性を選択できるが、『ジェネラリスト(総合医)とスペシャリスト(専門医)のバランス』を勘案し、コンセンサスを得た上で、一定程度の調整を行っていくことも必要になってくるのではないか」と問題提起。神野構成員も「総合医はこれだけ必要となり、領域別の専門医の必要性はこの程度にとどまります」という数字を「強い偏在対策」として打ち出す必要があると訴えています。

こうした指標の作成や、総合医と専門医のバランスを考慮するためには、すべての医師が「どういった専門性を持ち、かつてどこで勤務し、現在はどこで診療を行っているのか」を明らかにする必要があります。分科会でも、今村構成員や羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)が、いわゆる「医師データベース」の構築を厚労省に強く要望。このためには、例えば新専門医制度を統括する日本専門医機構や各学会の全面的な協力が不可欠となるでしょう。

 
ところで、2022年度以降の医師需給を考えるに当たっては、現在、議論されている「医師の働き方改革」の結論、国会で審議中の「医師偏在対策」(医師法改正案)の効果を踏まえる必要があります。しかし、前者「働き方改革」の結論は2019年3月を、後者「偏在対策の効果」確認は早くても2019年12月(2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査結果)を待たなければなりません。一方、2022年度の医学部入学定員に向けた方針は、遅くとも2020年5月には固めなければいけません。この短い検討時間からは「議論が十分に行えないのではないか」とも思われますが、厚労省は「下準備となる議論を早めに進める」などの対策をとる考えです。

 なお、松田晋也構成員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)は、「若手医師や医学生の声、さらに60歳代、70歳代の医師が今後のキャリアをどう考えているのかという声を調査する必要がある」と、裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は「大学医学部の経営・マネジメントを考えたとき、随時の情報提供を行うことはもちろん、急激な方向転換は避ける必要がある」と指摘しています。

 厚労省医政局の武田俊彦局長は、こうした意見を踏まえ「大学関係者等も含めて『予測可能』な形で、かつ全体像が見え(例えば医師需給と偏在対策は表裏一体の関係にある)、堂々巡りにならないように議論が進むよう努力していく」旨のコメントをしています。

地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張

 医学部定員の「減員」を行う際には、順序として「臨時の定員増」の縮小や廃止をまず考えていくことになるでしょう。

 しかし、臨時の定員増のうち「追加増」には、「地域枠」が含まれており、これをどう考えるのかが大きな論点となります。

 分科会では、これまでに「医師の地域偏在解消にとって地域枠は極めて有用である。地域枠は『恒久定員に含める』形としてはどうか」といった意見が多数出されています。ただし、新井一構成員(全国医学部長病院長会議会長)は、「地域枠の設定は、各大学が判断すべき事項であり、一律に『地域枠を恒久定員に盛り込む』ようなことは避けるべき」との考えを示しています。各大学で「本学では、恒久定員の中で地域枠を設けよう」と自主的に考えるべきとの主張で、「地域枠を恒久定員に盛り込んではいけない」とコメントしているわけではない点に留意が必要です(関連記事はこちら)。

2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査

 これまで2022年度以降の医学部定員を見てきましたが、2020・21年度はどうなるのでしょう。2020年度には現在の高等学校2年生、2021年度には現在の高等学校1年生が大学医学部に入学します。

この点について、検討会では「医師の働き方改革に関する結論が出ていない」「医師偏在対策の効果が明らかになっていない(現在、医療法改正案の審議中)」ことなどを踏まえ、暫定的に現状の医学定員を概ね維持する考えを固めています。具体的には、「2019年度の医学定員を超えない範囲で、医学部定員増に関する各都道府県・各大学の要望について必要性を慎重に精査していく」ことになります(具体的な各大学の医学部入学定員は、これから検討)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605066
会長に山下・山形大医学部長、副会長は羽生田・愛知医大病院長、AJMC
「卒前・卒後のシームレスな医師養成で、諸問題の解決目指す」
 
レポート 2018年5月26日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)の新会長に山形大学医学部長の山下英俊氏、副会長に愛知医科大学病院長の羽生田正行氏がそれぞれ就任することが5月25日に決定した。任期は2年。

 AJMCは25日に定例社員総会を開催、任期満了に伴う役員選挙を実施した。全国6つのブロックから推薦された計30人の理事選任を決議。その後の理事会で山下会長、羽生田副会長の選任が決議された。会長推薦候補は、山下氏以外にはいなかった。

 山下氏は、理事会後の取材で、「医学教育を充実することで、医師の地域や診療科の偏在、医師の働き方改革などの問題を解決していきたい。地域医療構想においても、大学の果たす役割は大きく、教育を軸にして社会貢献をしていきたい」と語り、卒前・卒後のシームレスな医師養成に力を入れていくと表明した。AJMCでは、医師養成に関連した長年蓄積したデータ等を有することから、エビデンスを基に、各種提言、対応をしていく方針。AJMC の各種専門委員会の構成や委員の見直しにも着手する。

 羽生田氏は、大学病院が抱える課題として、「医師の働き方の問題は非常に大きい。医師の自己犠牲の上に、医療が成り立っている現実が明らかになってきた」などと述べ、今の局面を乗り切っていく必要性を指摘した。

 山下会長は、「医学教育が非常に大事な時期。医師の卒前教育から卒後の研修まで大改革が進んでいる」と指摘。教育を軸に医療の諸問題を解決していくに当たって、卒前・卒後のシームレスな医師養成、その中での医学教育における臨床実習を充実させる必要性を強調した。「それにより、その後の研修も充実できる。幅広い臨床能力を持った中で、それぞれの専門性を持つような医師を養成していきたい」。

 山下会長は現在、日本専門医機構の副理事長も務める。新専門医制度は医師の地域・診療科偏在の問題と密接に関係するが、「法律で強制的に医師を配置するのではなく、医師が育つプロセスの中で医師の配置を考えていかなければならない。(医師不足などの)地域に医師が定着するためには、循環型の研修で地域にいても専門医が取得できる仕組みが必要」と指摘した。

 地域医療構想についても、「成否は大学をいかに使うかにある」と山下会長は指摘。大学は地域医療をよく知る立場から、実情に合わせた医師派遣を通じて、医療のクオリティー・コントロールができるとし、地域医療対策にも積極的にもかかわっていく方針。



https://toyokeizai.net/articles/-/221256
ピンチ!がん治療の危機を招く「病理医」不足
病気の発見・診断・治療が遅れるリスクを生む
 
小倉 加奈子 : 順天堂大学練馬病院病理診断科先任准教授
2018年05月25日 東洋経済オンライン

今、日本のがん治療が危機的な状況を迎えようとしている。

日本人の死因で最も多いがんの治療には、外科医だけでなく、病気の診断を専門とする病理医の存在も欠かせない。だが、その数が圧倒的に不足しているのだ。

このまま病理医が増えないと、日本の医療の根幹が揺らいでしまう。

■最も不足している「もうひとりの主治医」

昨年、女優の芦田愛菜さんが将来の夢に病理医を挙げて話題をさらったことで、病理医の存在を初めて知った方も多いのではないだろうか。

病理医は、検査で採取された細胞や組織の一部である「病理検体」を顕微鏡で観察して、病気を診断する専門医である。病理医がいる検査室には、頭のてっぺんから足の先まであらゆる細胞や組織が届けられる。

病理診断は病気を確定する最終診断となり、病理診断がないと治療は始まらない。それはがんも同様である。

病理医は、がんの手術で切除された臓器を観察し、ステージを確認する。腫瘍が取り切れているのかどうか、がんがどの程度進行しているのか。こうした視点でも病気の広がりを診断する。手術の方針を決めるための診断も行う。

このように病理医は、患者に直接会うことのめったにない医師であるが、誰よりもその患者の病気を熟知している「姿の見えないもうひとりの主治医」といえる。

だが、病理医は非常に不足しているといわれる。

一般的に病理医を必要とするのは、病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つ「病院」だ。厚生労働省の医療施設調査・病院報告(2016年)によると、病院数は8442。これに対し、病理医数は2405人(日本病理学会調査、2017年10月現在)となり、その差は6037にも上る。

一方で、病理診断件数は増加している。

診療行為の状況を毎年6月に調査する厚生労働省の社会医療診療行為別統計によると、2011年に43万8533件だった病理診断の数は、5年後の2016年には53万948件と9万2千件以上も増えている。単純にこの数を12カ月分で計算すると、年間ベースで100万件以上も増えたことになる。

これは、抗がん剤の開発が非常に進んでいる中、抗がん剤の効き目があるのか否かを病理検査で確認する機会が増えていることが主な理由である。

このようにがん治療において、病理医が大きな役割を担うことが増えているが、がん専門の病理医数は十分とはいえない。

厚生労働省によると、2016年時点でがん診療連携拠点病院に指定されていた400施設うち、50施設で常勤の病理専門医が不在だったという。がん診療拠点病院はいわゆる「大病院」が多い。ところが、その「大病院」ですら病理医を抱えていないという心もとない状況なのである。

■病理医不足は患者にも影響する

病理医が不在の病院は当然、自前で検査できないため、外部の検査センターに病理検体を送る。しかも、わざわざ日常業務以外の時間を割いて別の病院から駆けつけた病理医が診断しているというありさまである。

さらに、検査センターでの診断は歪んだ状況を生んでしまっている。

診断という医療行為は、医師法によって医療施設で行わなければならないと定められている。よって、検査センター経由の病理検査は法律上診断とみなされないが、病理医が不足している現状では、こうした実態を「暗黙の了解」として認めざるをえないのである。

患者にも影響を及ぼす。

検査センターで診断を下す病理医は、依頼主である医師と面識がない場合がほとんどである。こうなると、仮に病理医が診断する上で確認したいことがあっても、医師とうまくコミュニケーションを取れなくなる。

病理診断はかなり専門性が高いため、その内容を病理医と主治医の間で直接ディスカッションする必要が時にある。

筆者が勤める病院では、手術に向けた話し合いを総合外科と週2回行うほか、婦人科腫瘍・皮膚疾患・脳腫瘍・乳がん・肺がん・泌尿器腫瘍・血液疾患の担当医たちとも、治療に向けた話し合いの場を月1回のペースで設けている。

だが、病理医が不在だと、患者の主治医と病理医がさまざまな症例を討議する場すら作れない。

主治医と病理医の連携が取れていないと、病理診断やその後の治療方針などを相談することが難しいといった弊害も起きる。結果、検査に要する時間が長くなり、患者に診断結果を伝えるスピードが落ちる。これに加えて、病院に病理医が不在の場合、手術中に迅速な診断を下せなくなる。

がんの治療は早期発見、早期治療が原則。だが、診断が遅れれば治療も遅れる可能性がある。いわば患者が「病理診断難民」になる恐れがある。

■病理医不足の解消は待ったなし

常勤の病理医が1人しかいない「ひとり病理医」という問題も起きる。病理診断件数が増加し、病理診断の専門性もどんどん高まる中、病理医1人で全臓器、全疾患の病理診断を担うことは負担が大きすぎる。

病理診断は一つひとつまったくケースが異なる。良性の病気なのか悪性の病気なのか非常に慎重に見極めなければならない症例があれば、まれな病気だとエキスパートの病理医に意見を仰ぐ必要がある場合もある。実際、病理医1人では診断をさばききれず、検査センターに病理検査の一部を外注するケースも増えている。

医師である以上完璧な仕事を目指すべきだが、いくら優秀であってもケアレスミスがまったく起こらないとも限らない。こうしたことから病理診断は、2人以上の病理医で行うことが推奨されている。

病理診断の件数が今以上に増えていけば、病理医の日常業務が過密になり、2人以上の病理医で診断を下したとしても、誤診が起こる可能性も否定できなくなる。しかし、病理医の数が圧倒的に増える見通しはない。

病理医は病気の最終診断を下す。医療現場における「最後の砦」ともいえる病理診断で誤診が起きれば、致命的なミスになりうる。必要のない治療がされるか、あるいは必要な治療が行われないという可能性だって出てくる。

病理医不足の解消は待ったなしなのである。



http://www.medwatch.jp/?p=20634
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 来年度(2019年度)の新専門医制度を目指す専攻医の募集に向けて、2018年度の専攻医登録データをより詳細に分析し、早急に5都府県のシーリング(募集定員の上限)などを見直す必要がある。また「地域枠」出身の医師が近く専攻医となるため、適切な専門医研修を受けられるよう、機構でも知恵を出し、都道府県などにも協力を要請する―。

 日本専門医機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は5月18日の定例記者会見で、このような考えを示しました。
 
今年(2018年)9月から、2019年度の専攻医募集開始、シーリングの見直しも検討

 2018年度から、新たな専門医制度がスタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

ただし、「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘があり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省などが重層的に、「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けています。

その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました。

2018年度の状況を踏まえて、機構は「少なくとも医師の地域偏在は助長されていない」と強調していますが(関連記事はこちらとこちら)、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では「医師の東京集中が促進されているのではないか」との指摘もあります(関連記事はこちら)。

機構は、こうした指摘も踏まえ「2019年度の専攻医定員」などを、どのように設定すべきかを検討する考えを提示しています。2019年度の専攻医については、この9月1日(2018年9月1日)から募集開始となる予定です。募集は各基本領域学会が行い、その前に「研修プログラムの設定」などを行う必要があり、「2019年度の専攻医定員をどう考えるか、5都府県のシーリングをどう設定するか」などを早急に決定する必要があります。

5月17日の機構理事会では、「2018年度の専攻医登録状況について、東京都では『1年目、2年目、3年目に、地方にどれだけの医師が派遣されるか』などを分析し、『3年目には半数近くが地方派遣となる』ことを確認した。シーリングをかけている、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県でも同様の分析を行う必要がある」「診療科別に偏在が助長されていないか、まず登録状況を詳しく分析する必要がある」といった意見が出たことが紹介されました。

診療科別の状況について、松原副理事長は「内科、外科では、専攻医全体と同じように『地方から東京都の基幹病院に専攻医として登録している医師は、関東地方やその近隣県からが多く、全国から東京都に医師が集中しているわけではない』ことが明らかになった」(例えば、東京都に5名以上の外科専攻医が移動したのは北海道、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県のみ)とコメント。診療科別に、ローテ―ト状況(例えば、東京都の基幹施設に登録している医師が、1年目、2年目と地方で勤務する状況)を分析する考えを示しています。

また山下副理事長は、「2019年度の定員について、2018年度の状況を踏まえて修正してくことになるのではないか」とも見通しており、上述した5都府県のシーリングについても見直しが行われる可能性があります。

 ところで、2010年度から地域の医師不足解消のために医学部の定員増(追加増員、下図の赤色部分)が行われました。その中では「地域枠」が設けられており、この地域枠で大学医学部に入学した医師が、新専門医制度の専攻医となります。その際、「地域での勤務」と「研修施設」との関係をどう考えるのか、が一つの論点として浮上しています。

地域枠出身医師には「一定期間、地域の医療機関に従事する」ことが求められており、これがために、適切な専門医研修を受ける機会が奪われてしまっては困ります。一方、「どこで研修を受けても構わない」となれば、地域枠の趣旨が失われてしまいます。これを両立するために機構はもちろん、都道府県や基本領域学会がアイデアを出し合い、協力していくことが求められるのです。

 この点について山下副理事長は、専門医制度新整備指針において「地域枠入学や奨学金供与(給与・貸与)を受けている専攻医に関しては、機構は、地域枠や奨学金供与の義務の発生する各都道府県等及び各基本領域学会に対して、専門医制度を適切に行えるように要請する」と定められていることを引き合いに、都道府県等に協力を仰ぐ考えを強調しています。

図:当面の医学部入学定員(既出のため略)
 
 なお、5月17日の理事会では、「消化器内視鏡」専門医がサブスペシャリティ領域として正式に了承されました。近く、「日本臨床腫瘍学会」もサブスペシャリティ領域として認められる見込みです。



http://news.livedoor.com/article/detail/14743365/
過剰医療大国ニッポンの不都合すぎる真実 
2018年5月21日 6時0分 東洋経済オンライン

ほとんどの風邪には抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医者の間では常識だ。風邪の原因の9割はウイルス感染症とされるが、細菌に効き感染症の治療にかかせない薬である抗生物質はウイルスにはそもそも効かない。

だが、風邪で通院すると、今でも「フロモックス」や「クラビット」などの抗生物質が処方されることが少なくない。「抗生物質が風邪の特効薬だと誤解している患者はまだ多い。『なぜよく効く薬をだしてくれないのか?』といぶかしげな表情で迫られると、つい経営のことも考えて希望どおりに処方してしまう」とある医師は打ち明ける。

抗生物質を多用しないよう厚労省も動いた

『週刊東洋経済』は5月21日発売号(5月26日号)で「医療費のムダ」を特集。命や健康を脅かす過剰な検査・検診、あふれる残薬、人工透析、整骨院、終末期医療といった、「聖域」だらけとなっている医療の現実を描いている。

抗生物質の多用が続くと、薬が効かない耐性菌の広がりにつながりかねない。厚生労働省は昨年、重い腰を上げ、抗生物質の適正使用の手引を作成。細菌感染が疑われる重症のときに使用を限り、軽い風邪や下痢には用いないよう勧めている。今年4月の診療報酬改定では、乳幼児の風邪や下痢に際し、適切な説明により抗生物質の処方を避ければ、医師に報酬が支払われる仕組みが新設された。

風邪に抗生物質を処方するような「過剰診療」「効果の薄い医療」が医療現場では蔓延している。過去の慣習や医療関係者の既得権益、世間の無理解などが背景として複合的に絡み合う。日本の医療費が膨張の一途をたどる中、このままでよいのだろうか。

過剰な医療を見直す動きは、今や世界的な潮流だ。代表的なのは、北米の医師が中心となり治療や検査が過剰になってないかを検証する「チュージングワイズリー(賢い選択)」運動である。2012年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団が、賛同した専門学会からそれぞれ提示されたムダな医療の「五つのリスト」を公表し、本格的にスタートした。

運動はカナダや北欧、豪州などにも広がり、70超の学会が約500項目のムダな医療のリストを打ち出している。2016年10月には佐賀大学名誉教授の小泉俊三医師(特集内でインタビュー)を代表に日本支部も立ち上がった。『週刊東洋経済』の特集「医療費のムダ」では医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力を得て、同リストの中から、日本の医療現場でもよく行われている60項目をピックアップし解説している。

米国で始まったキャンペーンに呼応し、日本でも総合診療指導医コンソーシアムが日本におけるムダな医療の「五つのリスト」を公表した。「通常の腹痛で腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査を勧めない」「無症状で健康な人にMRI(磁気共鳴断層撮影)検査による脳ドックを勧めない」など5つのうち4つが検査・検診に関する提言となっている。

「過剰医療は先進国の共通課題だが、中でも日本では検査や検診の過剰が深刻だ」。コンソーシアムの世話人を務める、群星沖縄研修センターの徳田安春センター長は語る。

実際、日本医学放射線学会が指針で推奨していない「通常の頭痛を訴える人への頭部CT、MRI検査」を頻繁に行っている病院は、調査対象の半数を占めた――。昨年1月、順天堂大学の隈丸加奈子准教授がそんな調査を行った。隈丸准教授は「CTのような被曝を伴う検査のデメリットへの認識が、現場に浸透していない」と危惧する。経済協力開発機構(OECD)加盟各国中でも、日本のCT、MRIの台数は圧倒的だ。人口100万人当たりの機器台数は両者とも加盟国中トップに立つ。

検査するだけ収入が増す出来高払い

日本の外来診療は検査をするだけ収入が増す出来高払いとなっており、病院経営者からすれば、こうした高額な機器を入れた以上、稼働率を上げようとなりがちだ。過剰検査の弊害は患者本人の不利益にとどまらない。検査が重なると、本当に必要な検査が後回しになったり、重要な指摘を見落としたりしかねないためだ。それは特定の病気の有無を調べるための検診でも同様で、典型的なのが胃がん検診だ。

胃がん検診は1982年に開始され、2015年に内視鏡検査が選択肢に加わるまで、40歳以上を対象に年1回、胃部X線検査(バリウム検査)で行うものとされてきた。胃がん死亡者数は年約5万人と50年近くほぼ変わらず高止まりする中、国が一貫して推奨してきたバリウム検査だが、患者からも医師からも評判は芳しくない。

患者にとっては発泡剤を飲み検査台上で無理な体位を求められる身体的苦痛に加え、バリウムによる排便障害もある。何より「胸部X線検査の数十倍から100倍近くの被曝量」(複数の医師)のデメリットは無視できない。

医師にとっても現在、消化器内科の臨床現場で活躍するのはもっぱら内視鏡検査であり、バリウム検査はそれこそがん検診の場でしか扱うことはない。特に若手医師はほとんどが、学生時代にも臨床現場でもバリウム検査を学んでいない。

そのため「経験がないから不安で、つい内視鏡での再検査に回してしまう。結果はほとんどが異常なし」(若手医師)。患者にとっては二度手間のうえ、医療保険財政にも負担をかけることになる。「内視鏡が未発達だった時代は、外からでも工夫して見ようとするバリウム検査の意義は確かにあった。だが内視鏡技術が著しく進歩した今もバリウム検査に頼っているのはおかしい」。NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構事務局長の笹島雅彦医師は話す。

実は内視鏡検査を新たに推奨した現行の「胃がん検診ガイドライン2014年版」(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)の当初案では、推奨するのは引き続きバリウム検査のみで、内視鏡検査は推奨しないとなっていた。だが、臨床医たちからの猛反発を受けて、ようやく盛り込まれた経緯がある。数千万円するX線装置を積んだ検診車や検診センター、放射線技師など、バリウム検査にかかわる利害関係者への配慮が働いていたといわれている。

ただ胃がん検診で内視鏡検査を行っている自治体は今も少数だ。内視鏡医の人手不足の問題が大きく、医師不足の地域ではより厳しい。そもそも全国民が一律に毎年胃がん検診を受ける必要性があるのか、という根本的な疑問の声も専門家からは上がっている。「胃がんは生活習慣病ではなく、99%がピロリ菌による感染症だと判明している。危険度が診断できるようになった以上、一律の検診は合理的ではない」。北海道医療大学の浅香正博学長は力を込める。

ピロリ菌と胃粘膜委縮双方が陰性なら?

そのため一部の先進的な自治体や健康保険組合は「胃がんリスク層別化検査」(胃がんリスク検診)を導入している。ピロリ菌感染の有無と、胃粘膜萎縮の程度を血液検査で確認して、胃がん発症の危険度をグループ分けする。ピロリ菌と胃粘膜萎縮双方が陰性なら、胃がんのリスクはほぼゼロで内視鏡検査は基本必要ない。

いずれかが陽性ならば内視鏡検査を受け、胃炎があれば保険適用で除菌治療を行う。ピロリ菌陽性率は4割弱とみられ、「検査が必要な人を絞り込むことで、確かな診断力を持った内視鏡医による対応が可能になる」(国立国際医療研究センター国府台病院の上村直実名誉院長)。

「もし、もっと早い時期に胃がんリスク検診を経て、内視鏡検査を受けていたら、夫は助かったかもしれない」。スキルス胃がんの患者・家族の会「NPO法人希望の会」理事長の轟浩美さんは話す。轟さんの夫は毎年自治体の実施する住民検診でバリウム検査を受けていたが、見つかった時はすでに末期のスキルス胃がんだった。「全員検査でリスク分けもされず、流れ作業のようになっているバリウム検査では救える命も救えない」(轟さん)。

大手企業の健康保険組合では、胃がんリスク検診への切り替えが続々進むが、市区町村の住民検診ではまだ限定的だ。厚生労働省が「死亡率減少効果が明らかになっていない」(健康局がん・疾病対策課)などとして、住民検診などでは胃がんリスク検診を「推奨しない」としているためだ。自主判断できる企業健保とは異なり、行政の実施する住民検診では「国の推奨と異なる選択には相当の覚悟がいる」(複数の医師)のが現実だ。

厚労省が推奨しないとする根拠となっているのが、先の国立がん研究センターの胃がん検診ガイドラインだ。内視鏡検査こそようやく推奨に転じたが、胃がんリスク検診をほぼ名指しする形で「科学的根拠不明な検診」などと強い調子で批判している。

胃がんリスク検診導入を働きかけた医師の末路

『バリウム検査は危ない』(小学館)著者でジャーナリストの岩澤倫彦氏によれば、関西のある市では基幹病院の検診担当部長だった消化器内科医が、胃がんリスク検診の導入を自治体に働きかけて実現手前までこぎつけた。だが突然理由も告げられず、検診担当部長の職を解かれ閑職に追いやられた。結果、同市でのリスク検診導入は白紙に戻った。この直前に、「国立がん研究センター検診研究センターの幹部が市を訪れていた」という複数の証言があるという。

ただ、胃がんリスク検診を強く批判していた当時のガイドライン作成の担当者2人は、今春そろって退任。後任となった国立がん研究センターの中山富雄検診研究部長は「検診というかは別にして、リスク分類することの有用性は高い。どう検査としてシステム化するのか、運用面での支援を含め、対話を深めていきたい」と話す。

旧来のシステムやしがらみに固執することなく、国民の命や健康を守るためにできることは何なのか。広く医療者に問われている。



http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20180522-OYTNT50017.html
津島市民病院 黒字に…昨年度 
2018年05月22日 読売新聞 愛知

病床減らし「V字回復」…専門性高いHCU稼働も

 2001年度から赤字が続いていた津島市民病院の経常収支が、17年度は約1億7700万円黒字の見通しとなることが21日わかった。過大な増床などの結果、市と金融機関から限度額ギリギリまで借金するなど“経営破綻”も心配されていたが、病床数を減らし、専門性の高い「重症患者専用病床(HCU)」を本格稼働させるなどして「V字回復」を遂げた。病院の担当職員は「収益を増やし、地域医療の拠点として安定させていきたい」と話している。


 市民病院は、1943年に津島町立病院としてスタート、47年から市民病院となった。

 97~2005年度に、診療科を充実させて患者数の増加を目指そうと、増改築などを行い、同年度には440床の病院となった。

 しかし、周辺の市にも病院があり、名古屋にも近いことから、患者数は伸び悩み、赤字経営が続いた。

 累積赤字は17年度で約95億円の見込み。市の規定で、市と金融機関からの一時借入金の限度額は20億円と決まっているが、16年度末には19億円。担当職員は「20億円を超えれば一般企業でいう破産。綱渡り状態だった」と振り返る。市は17年に運営資金の不足を補うため6億円を出資した。

 同年夏から病院内に医師や看護師らのプロジェクトチームを作り、10月に51床を休止して389床とすることを決めた。

 同時に、余裕のできた人員を振り分け、重症患者専用病床(HCU)を本格稼働。循環器内科医を新たに採用し、それまでは難しかった平日の昼間の救急搬送も常時受け入れた。HCUや救急搬送は、診療報酬が高く、17年度の収支は一気に黒字へと転換を果たした。

 病院によると、医師や看護師ら現場のスタッフが危機意識を共有したことが大きいという。医師たちは、地域の開業医を訪問して、市民病院で行っている専門的、高度な医療を説明するなど、市民病院をPRする活動にも力を入れる。

 今後も約2億円の黒字を確保できる見込みで、病院の担当職員は「経営が安定すれば、不足している専門医の採用にも弾みが付く」と期待している。(沢村宜樹)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597532
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」◆Vol.10
新専門医制度への自由意見、情報不足・少なさへの不満も多数
 
医師調査 2018年5月25日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.comの新専門医制度一期生への調査で、同制度についての意見を聞いたところ、「初年度ということもあり、後期研修のイメージが付きづらく多少不安だったが、始まったものは仕方ないのでしっかり経験を積んで頑張りたいと思う」と前向きな意見もあったが、圧倒的に多かったのが制度への不満、不安の声だ。「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」「単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じる」「全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた」などだ(調査のバックナンバーはこちら)。

 「とにかく情報が少ないし、来るのが遅い」「制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた」など、制度決定の遅さや情報公開への不満も目立った。

 新専門医制度は、5都府県の14の基本領域で専攻医数のシーリング(上限設定)が設定されたのが特徴の一つ。「各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず、落とされた人がいて、いかがなものかと思った」「人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録」などの実例が挙がり、「最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは」との指摘も。

 その他、内科専門医については、「研修ローテートの負担がかなり大きく、マイナー科に転向した」などの意見も挙がった(『内科専門医、「取得が厳しくなった」』を参照)。

◆制度決定、情報開示
・新専門医制度の概要が確定したのは昨年9月であり、これに伴い各病院とも専門研修プログラムの公表が遅くなった印象がある。私は研修医2年目になる段階で、内科に進むことをほぼ決めており、現在所属している出身大学の附属病院で専門医研修も行うことを考えていたため、悩むことは少なかったが、それでもこのように曖昧な部分の多い専門研修過程については、不安を抱かざるを得なかった。
 新専門医制度はまだ走り出したばかりであり、これまでの迷走ぶりを見るに、今後も制度にさまざまな改変が加えられるのではないかという懸念がある。無論改善すべき点は残っているのだろうが、個々の医師が自身のキャリアパスについて考える上で、支障の無いようにしていただきたいと強く願う。

・情報がまとまってなく混乱を招いていたにもかかわらず、見切り発車になった。ある程度基盤を固めてからの開始ではないと、手探り状態ではお互いにメリットはないと思う。今後新しいルールや、「やはりなかった」的なことが出てくると予想されるので、内容にもよるが、改正等がある場合は、早期に情報の公開、流布を期待します。一期生として今後どうなっていくか、不安しかないです。

・あまりに拙速に始まり、十分な情報が開示されることなく、単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じます。現場の意見を全く反映する気のない制度設計で辟易しています。結局、全て今まで通り学会が専門医試験などを管理するのであれば、そもそも機構にお金を払わなければならない理由も分かりません。日本の医療衰退に拍車をかけただけではないでしょうか。

・とにかく情報が少ないし、来るのが遅い。後期研修を決める時点で今後10年先を考えて計画を立てようというのに、こんな混乱した状態で強行するのは無理があるし、あまりに失礼。現場の人間を全く無視している。子供じゃないんだからもっと人の意見を聞いて、前持って計画してほしい。

・詳細を詰めていないのに、日本専門医機構のメンツのためだけに見切り発車された印象が強い上に、情報の公開が遅かったり、後出しで先行枠の調整がされたりと、全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた。控えめに言って最悪の運営だった。いい大人の仕事とは思えない。

・とにかく後手後手で、不安の多い始まり方。運営が中学校の生徒会レベルであった。 また、そもそも制度開始の意義がよく分からない(明確な説明もされていない)。必要な制度だとしても、当事者への不安や負担が小さくなるようにちゃんと準備してほしかった。

・制度設計ができていないのに、よく分からない理由で振り回されて迷惑きわまりない。結局、専門医の質については何も改善されていない。医師偏在の道具として医局復権させようとしているが、時代はもう戻らない。失敗に終わるのは見えている。

・制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた。自分はもともと地元での研修を希望していたので今回は混乱はなかったが、今後何らかの制度変更が起きた際に同様のグダグダがあっては困る。

・制度ちゃんと決定していない間にプログラム決定を急かされたように感じ、選択を後悔した同期がいます。私自身も本当にこれで良かったのかと思っています。

・新専門医制度の目的とそれを達成するための手段があいまいに感じた。一期生に対する説明もほとんどないままのばたばたとしたスタートであった。

・とにかく一貫した情報がなく、公表もされていないため、研修医側も施設側も大混乱だった。 他の業界ではあり得ないことだなと感じた。

◆専攻医数のシーリング、医師の地域偏在対策
・情報公開が遅く、非常に困りました。また、眼科を代表とした人数調整では、各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず落とされた人がいて、いかがなものかと思った。そうなるのなら、最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは。

・人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録しました。日本専門医機構の登録上、入局先の所属ではなくなり、今後が非常に不安である。このような制度の撤廃を祈らずにはいられません。

・とにかく導入決定から制度の流れまでの公開も遅く、準備不足が目立ったと思います。地域偏在に対する対策として都市部の応募人数を制限すると言っても、結局は応募人数に対して母数が多すぎるから意味なかったです。

・混乱が多いのが気になりました。首都圏に研修医が集まったため、首都圏外の病院の機能が保てなくなる可能性が高いと思います。首都圏の研修医の定員を、さらに減らす必要性を感じました。

・募集定員に達していないのに人数を制限したり、2次募集の際に急に5都府県を制限するなど、最初から提示しておいてほしい。

◆専攻医の登録方法
・開始時期が遅れたこともあり、登録が慌ただしく1次に募集できなかった人もいると聞いているため、もっと早期から登録システムについては練られているべきだった。 また、1施設しか応募できない現状では、自分の望む科での研修ができない可能性もあり、改善してほしいと思う。また、施設ごとの募集定員の枠は、施設ごとに自由設定の方が良いと思う。

・初期研修のマッチングと異なり情報が少なすぎるし、1病院しか応募できず、都市の病院で2次募集をかけないことがどこからも情報がなかったので、漏れた人たちがかわいそうと感じた。

◆研修プログラム制
・マイナー科なので大きな影響はなかったが、自分が所属したプログラムでは、基幹病院に1年目にローテーションしなくてはいけないことになってしまい、半年で異動の予定になった。専攻医側も雇う病院側もメリットが乏しいように思った。

・副病名での登録も可とするべき。病院によっては現状の新内科専門医制度ではローテートが必要になってしまうが、ローテートして経験する疾患、言い換えると、将来的に専門家に紹介するであろう疾患を、たった1カ月ほど主治医として診療することに大きな意義があるとは思えない。

・サブスペシャルティに早く進めるプログラムにしてほしい。半年間、周囲の連携病院での研修を廃止してほしい。

・プログラムに参加しなくては専門医取得する資格がないというのは、医師の質の均一化に寄与する半面、職業人としての選択の自由を狭めることにつながると思います。

・何しろさまざまな決定がころころと変わり、しかも遅くとても負担でした。また、プログラム制ではなく、カリキュラム制も選べるようにしてほしかったです。

◆新専門医制度と大学
・教授の一任で専門研修のメンバーが決まってしまうことに疑問を覚え、昔の教授権力が偉大な時代にさかのぼったように思えた。

・出身大学の関係と新専門医制度のしがらみで、これまでより専門医取得が厳しい状況です。本来の目的を再考する必要があります。

◆その他
・無駄。症例数や就業期間、学会参加回数などではなく、一括で試験すれば良い(外科手技はまた別)。専門医として知っておかなければならない知識を確認するためには、厳格な試験が最も正確かつ効率的。 時代遅れの徒弟制度なぞまだ残しているのなんて医療業界含めたごく少数の業界だけですよ。

・時間の無駄でした。専門研修先を選ぶのに、現在の研修そのものに支障をかなり来したものの、メディアで公表されるほどの充実した説明や安心感等は皆無でした。各学会認定に戻してほしいです。

・初期研修先が基幹病院に指定されるかどうかで初期研修病院の選択も変わっていたはずだが、既に働いているために受け入れるしかなかった。制度の移行期間が必要だと感じた。

・日本専門医機構に責任感が感じられない。何を問い合わせても「それぞれの学会判断です」としか帰ってこなかった。

【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男性217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



http://www.medwatch.jp/?p=20684
新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協 
2018年5月23日|医療現場から MesWatch

 新専門医制度のサブスペシャリティ領域を、「あいまいな基準で、五月雨式に追加する」ことは好ましくない―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、近く発足する日本専門医機構の新執行部にこのような要請を行う方針を固めつつあることが5月23日の定例記者会見で明らかにされました(関連記事はこちらとこちら)。

 また来年度(2019年度)予算の概算要求に向け、四病協は同日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて「控除対象外消費税問題の解決」「働き方改革への対応に伴う医師確保」「介護療養や医療療養から介護医療院への転換」などに関する予算措置を行うよう要望しています。
 
ここがポイント!
1「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である
2 2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である

 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートとなりました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

 新専門医制度は、「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となります。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

この4月(2018年4月)から、19基本領域で新専門医の資格取得に向けた研修が始まっています。

2階部分のサブスペシャリティ領域は、基本領域学会の上に設置される(内科領域などでは基本領域とサブスペシャリティ領域が一部融合する形もある)ことになり、現在、学会からの申請をもとに、日本専門医機構での認証が進められています。

サブスペシャリティ領域は、「国民への分かりやすさ」をいう新専門医制度の基本方針に基づき、「全国の平均的な都市での中核病院に掲げてある診療科、診療部門とする」こととされ、日本専門医機構で(1)いずれかの基本領域学会が認めている(2)関連する基本領域学会またはサブスペシャルティ領域学会がある場合は、その学会の合意を得る(3)機構理事会(出席委員)の過半数の承認がある―ことを確認して、認証します(機構のサイトはこちら)。これまでに▼内科13領域▼外科6領域▼放射線科2領域▼消化器内視鏡—がサブスペシャリティ領域として認証され、近く「日本臨床腫瘍学会」も認められる見込みです(関連記事はこちら)。

この点について、四病協では「平均的な都市とはどこを指すのか?中核病院とは何を指すのか?サブスペシャリティ領域の認証基準が曖昧ではないか」という意見が出ており、「曖昧な基準のまま、五月雨式にサブスペシャリティ領域が認証されることは好ましくない。抑制的に、国民の目線で認証すべきである」との要望を近く日本専門医機構に行う予定です。

ところで、日本専門医機構は近く役員の改選が行われ、6月には新執行部が誕生します。四病協の要望は、新執行部に宛てて行うことになる見込みです。

2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

また、四病協では5月23日に、加藤厚労相に宛てて次のような要望を行いました。来年度(2019年度)予算概算要求に向けて、必要な予算の確保を求めるものです。

(1)消費税(関連記事はこちら)
▽消費税率引き上げ(2019年10月予定)による増収分を、医療をはじめとする社会保障財源に確実に充当すること
▽医療界が要望する「仕入税額相当額を上回る仕入消費税についての還付(税額控除)」を実現するとともに、必要な財源を確保すること

(2)働き方改革(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)
▽地域医療の維持に伴う医師確保と、厳密な勤怠管理のための仕組みづくりを補助すること
▽タスク・スフティング、タスク・シェアリングに必要な人材を要請し、採用を支援すること
▽育児・介護等で離職した医師、看護師等の復職支援に向けた研修を行う医療機関を支援うること
ほか

(3)医療従事者の能力向上
▽病院において「医師の総合的診療技能」を高めるためのキャリア支援事業などに財政的支援を行うこと

(4)介護施設、介護従事者
▽介護療養や医療療養から介護医療院へ転換するために必要な修繕工事などに財政支援を行うこと
ほか

(5)地域医療介護総合確保基金
▽「消費税率10%」による増収分から基金に手当を行い、公私の隔たりなく適切に配分すること

(6)医療機関のICT化
▽電子カルテ等のICT技術を積極的に導入する医療機関に財政的支援を講じること
▽電子カルテはベンダー間で互換性に乏しいため、標準マスタ、標準データフォーマットの普及に関する財源を確保すること

(7)国際化等への医療の対応
▽がん患者以外の難病患者や若年性認知症患者等の幅広い層を対象とした「治療と仕事の両立」に向けた予算措置を講じること(関連記事はこちら)
ほか

(8)障害保健福祉
▽精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に必要な予算を確保すること
ほか

(9)災害対策(関連記事はこちら)
▽全日本(全国)病院医療支援チーム(AMAT)の平時からの訓練や資材準備などに要する資金や、派遣費について補助を行うこと
▽災害派遣精神医療チーム(DPAT)についても、事務局事業費を拡充すること
▽病院の耐震化に向けた費用を補助すること
ほか



https://www.m3.com/news/iryoishin/604077
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」
第3次中間取りまとめ案を了承、「週60時間勤務に制限」が前提
 
レポート 2018年5月21日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、5月21日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第20回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」にし、2022年度以降は、「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とする第3次中間取りまとめ(案)を提示、修文等は座長一任の上で、構成員の了承を得た。

 2008年度以降の医学部の臨時定員増では、「地域枠」を中心に増やしてきた。第3次中間取りまとめ案では、「臨時定員を削減する場合でも、地域間で医師偏在がある場合には、その偏在に応じた程度まで、地域枠のニーズは残ることになる」と指摘。第3次中間取りまとめ(案)は、5月28日に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」で議論し、了承が得られれば確定する(資料は、厚労省のホームページ)。

 これらの結論のベースとなったのは、第19回会議で提示された、労働時間別の医師需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。3つのケースが示されたが、中位の「ケース2」(週60時間を超す医師の勤務時間を、週60時間以内に制限)でも、医学部定員が2018年度の9419人のまま推移すれば、2028年頃には約35万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約3.5万人過剰となる。2022年度の医学部入学生が臨床研修を終えるのは2030年度以降であること、また3つのケースのいずれでも長期的には供給が需要を上回ることなども踏まえて、結論を得た。

 医師需給分科会は、医学部の臨時定員増の期限を迎える2020年度と2021年度分については、早急に結論を出すことが求められていた(『2020年度以降の医学部定員、5月にも結論』、『医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」』を参照)。

 医学部定員の問題は、2019月3月末までに結論を出すことが求められている「医師の働き方改革」や、今国会に法案提出された医療法改正法案に盛り込まれた医師偏在対策と密接に関係する。第3次中間取りまとめ(案)では、「マクロの医師需給が均衡することは、必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することは意味しない」とし、2022年度以降の医学部定員については、「働き方改革や労働実態、医師偏在対策や医師偏在の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべきである」としている。

 構成員から主に出たのは、2022年度以降の医学部定員の検討に当たって、医師偏在対策等についての議論を深める必要性だ。今後の議論の進め方についても、幾つかの注文が付いた。

 東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師の戎初代氏は、医師の働き方改革の結論が2019年3月末まで、また2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)の結果が2019年12月公表予定であることを踏まえ、「2022年度以降の医学部定員については、その2年前、(2020年度と2021年度の例に倣えば)2020年5月頃には結論を出さなければならないことになる。(2019年12月から)5カ月という短いスパンで、議論をするのか」と質問。厚労省医政局医事課は、「数値が出る前に、準備しておくことは当然できる」と回答した。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「(第3次取りまとめ案には)暫定的という言葉が幾つもある。本検討会は息が長く、当初は2016年12月に結論を出す予定だったが、(議論が途中で中断したことなどから)暫定的とせざるを得ない状況になった。次の際にはそうしたことがないようにしてもらいたい」と議論の進め方に釘を刺した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医師の働き方改革、医師需給、医師養成などについて、厚労省内で複数の検討会があることから、バラバラに議論していくのではなく、厚労省が全体を見渡してコントロールし、有意義な議論とするように要望した。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「これからの議論では、当事者がどう考えているかが重要なポイントになる」と指摘し、若手医師への意識調査の実施を要望。さらにフランスでは医師に定年制があり、団塊世代がリタイアした後、医師が減り、医師養成数増になったことから、60、70代の医師への意識調査も併せて要望した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医師の働き方、医師需給、医師養成などの議論は、相互に網の目のように関連しており、整合性を持って進めなければいけない。とかく医師需給をめぐる議論は、『昔と同じ議論をしている』という指摘もあるが、データ等に基づく議論は着実に進化している。さらに進化した議論を続けてきたい」と受け止めた。

 「医師偏在指標」、医師需給分科会で検討

 権丈氏は、「医師偏在問題を何とかしなければ、どうしようもない。ようやくスタート地点に立っているというのが、今の状況」とも指摘した。医師偏在対策についての意見は、地域ごとの医師偏在の度合いを示す医師偏在指標など、今後の議論のたたき台になる資料と、医師の診療科偏在に関するものが多かった。

 医療法改正法案では、医師偏在指標を基に、都道府県が「医師少数区域」等を設定して、対策を講じることになっている。聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「この指標が非常に重要」と指摘し、その検討の進め方について質問。

 厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健氏は、「医師偏在指標は、法案が成立したら、本分科会で議論していく予定になっている」と説明。医師偏在指標は、人口10万人当たりの医師数ではなく、患者の流出入など、地域の実情を踏まえたものになるとした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「医師の診療科偏在も当然あり、新専門医制度の医師偏在対策にも絡んでくる。診療科偏在も、医師偏在指標に入るという理解でいいか」と質問。厚労省医政局医事課は、「そうした方向で議論していきたい」と回答した。

 今村氏は、厚労省が構築を進めている医師データベースの進捗について質問。これは三師調査を基に、医師の卒業大学からその後の勤務先など、医師のキャリアを経時的に調査できるデータベースだ。厚労省医政局医事課は、「構築を進めており、今後、都道府県に提供できるように検討していく」と答えた。日本医師会常任理事で、日本専門医機構理事の羽鳥裕氏は、同機構で「地域枠」出身者も分かる専攻医データベースを構築していると説明、「医師の履歴が分かるデータベースを本気で厚労省は作るべき。今後の議論がなし崩し的にならず、データを基にした議論ができるよう、悉皆性を持つデータベースを作るのが厚労省の役割」と要望した。

 医師の診療科選択、「調整が必要」との意見も

 医師の診療科偏在対策について、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「医師需給は、現在の診療パターンの継続を前提としているが、国全体としてジェネラリストとスペシャリストはどのくらいの割合が妥当であり、それを目指して国がどう取り組んでいくかによって変わってくる」と述べた。「今のように、専門性を自由に選択できる状況は、国全体としての効率的な医療の提供という視点がない。個々の選択に今後も任せるのか否かによって、医師の需給や専門性の分布が変わってくる。国全体として望ましい専門性の分布を考え、そこを目指して調整していくことも必要ではないか」。

 神野氏は、「今のままで(臓器別の)専門医志向は強いので、専門の選択が自由のままであれば、まだまだ医師数は足りない。強い診療科別の偏在対策を視野に入れないと、将来的な医師不足対策にはならない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605012
消費税問題「診療報酬での手当限界、無理」
医療界の意見一本化目指す、日病協
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の山本修一氏(国立大学附属病院長会議常置委員長)は5月25日の定例記者会見で、控除対象外消費税問題について同日の代表者会議で「従来の、診療報酬で手当する方法は不完全で限界、無理だ」との見方で意見が一致したと明らかにした。正式に決議したものではないが、医療界として今後の方向性について早急に意見を一本化するべきだとの認識も共有したという。

 代表者会議では、や財務省の財政制度等審議会で議題に挙がった都道県別の診療報酬についても議論し、否定的な意見が支配的だったという。山本氏は「はっきり言って無理でしょうというのが皆さんの意見だ。同じ県内でも(医療の)事情は 異なる」と述べた。実務者会議からは「医師の働き方改革」の議論の行方について、会員の病院から不安が上がっていることが報告された。



https://www.m3.com/news/iryoishin/604903
偏在や働き方改革などで要望、全自病
日医と意見交換の懇談会を開催
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は5月24日に定例記者会見を開催し、全国自治体病院開設者協議会と連名の厚生労働省と総務省宛ての要望書を、同月15日に厚労大臣官房審議官の椎葉茂樹氏に提出したと発表した。医師偏在対策や働き方改革、東日本大震災の被災地などでの医療提供体制の確保など13項目から成る内容だ(項目の一覧は記事の末尾に掲載)。

 全自病会長の邉見公雄氏は会見で、全自病と日本医師会の懇談会を5月16日に開催し、今後は1年に2回程度行っていくことになったことを報告。全自病からは邉見氏や副会長ら、日医からも横倉義武会長や中川俊男、今村聡両副会長らが出席し、地域包括ケアや地域医療構想などについて意見交換した。邉見氏は、例えば自身が名誉院長を務める兵庫県の赤穂市民病院と赤穂市医師会ではほとんど意見が一致するが、「兵庫県医師会との間では10%くらい、麹町と駒込(全自病と日医)では20%くらい意見が違う」との認識を披露。「われわれの意見を日医にも反映してもらえるようにしていきたい」と述べた。

 医師の働き方改革に関連しては、5月29日に自民党の「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」に出席して意見陳述を行う。自治体病院議員連盟の会員数が、2017年10月の第48回衆議院議員総選挙後の133人から2018年5月末で162人に増加したことも報告した。

厚労省、総務省への要望書の項目は次の通り。

1. 東日本大震災の被災地等における医療提供体制の確保
2. 地域医療構想について
3. 医師確保、医師偏在解消について
4. 医師の働き方改革について
5. 新専門医制度について
6. 医療事故調査制度について
7. 医療機関に対する消費税制度の改善について
8. 精神科医療について
9. 看護師等確保対策について
10. 薬剤師確保対策について
11. 財政措置等について
12. がん医療提供体制の充実について
13. 医療分野におけるICT化の推進について



https://www.m3.com/news/general/605096
医療連携:2病院同じ敷地に 23年度までに建て替え 米沢 /山形 
地域 2018年5月26日 (土)配信毎日新聞社

 施設の老朽化や経営効率化などの観点から、建て替えの検討や医療連携を進めている米沢市立病院(同市相生町、322床)と民間の三友堂病院(同市中央、190床)をめぐり、同市は25日、現在の市立病院の敷地内に両病院を建設する方針を公表した。三友堂のリハビリテーションセンター(同市成島町、120床)も同じ敷地内に移す計画。

 市立病院の敷地面積は3万6250平方メートル。連携の中で高度・急性期を担う米沢市民病院(仮称、300床)、三友堂病院とセンターを集約した回復期の病院(250床)を建設し、2023年度までの開院を目指す。1000台分の駐車場も整備する。

 同市によれば、同一敷地内に複数の病院が建つのは県内では初めて。医療機器、エネルギー設備、会議室などの共同利用が可能になる。施設間での患者の誘導や、1カ所への集約による交通渋滞などが課題になる可能性があるという。

 25日の市議会全員協議会で市立病院事務局が説明した。三友堂病院側から4月に同一敷地内での建設意向が示され市側と協議していた。【佐藤良一】



  1. 2018/05/27(日) 10:41:52|
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5月20日

https://www.m3.com/news/iryoishin/603172
外科系医師、「手当」充実で着実に確保、山形大
「努力すれば報われる」、最高額は768万円
 
2018年5月18日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 「3K」と言われる外科系診療科でも、着実に入局者を確保している大学がある。その一つが山形大学だ。例えば、産婦人科医の場合、過去10年間の入局者数は計30人。多い年では6人入局。心臓外科などを含む第二外科などでも入局者がゼロの年はない。

 旧帝大でも外科系医師不足に悩む中、山形大学が外科系医師を着実に採用しているのは、勤務時間外や休日の手術・麻酔・処置や、時間内でも高度な技術を必要とする難易度が高い手術について、「診療従事特別調整手当」という名称で医師手当を充実させるなど、2000年代後半以降、医師の待遇改善を図ってきたことが大きい。今年4月の第118回日本外科学会定期学術集会で、山形大学医学部参与兼特任教授の嘉山孝正氏が現状を紹介した(『山形大の“ドクターフィー”、最高は年間760万円』などを参照)。

 第二外科の常勤医の場合、所定の給与に加え、医師手当の最高は、2017年度の場合、年約768万円にも上る。最少でも年200万円近い。嘉山氏の専門である脳神経外科では、最高が年約508万円、最少は年約50万円だ。

 外科系以外でも、観血的処置を行う内科系医師にも手当が付くため、医師手当の恩恵を受ける医師は多い。宿日直手当、オンコール手当、緊急時診療従事調整手当なども従事させている。

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山形大学の医師手当の一覧(提供:嘉山氏)

 医師手当には当然原資が必要であり、導入は容易ではないと思われる。しかし、「診療従事特別調整手当」を導入した2006年7月当時、同医学部長を務めていた嘉山氏は、「努力すればするほど報われ、かつ医療費の増大に歯止めをかけられる医師手当の導入は、工夫すれば可能と考えている」と語る。

 山形大学医学部附属病院の2017年の医業収益(医療費)は、202億3923万円、うち医師手当のうち、時間外手当(宿日直、オンコール手当など)の合計は2億1104万円(医業収益の1.0%)、技術料(診療従事特別調整手当など)の合計は1億9043万円(同0.9%)だ。

 『High risk, High return』を目指す

 嘉山氏は、医師手当を充実させた背景として、外科医不足とその対策としての医師の技量や仕事に見合った正当な処遇を挙げる。「外科系は3K 職場であり、一人前になるまでに長い修練生活が必要。しかも、医療事故発生時に医師個人の責任を問われやすいなどの問題もあり、『High risk, Low return』の世界」(嘉山氏)。

 もっとも、医師手当を充実させようとしても、日本の診療報酬制度は、米国とは異なり、「ドクター・フィー」と「ホスピタル・フィ-」は分かれておらず、医師個人に報酬を直接支払うスキームにはなっていない。その上、山形大学は国立大学法人であり、病院で臨床に従事する医師は、医学部の教員の立場であり、他の学部にも影響することから給与体系そのものの変更は困難という事情もある。

 そこで考案したのが、医師手当を充実させるという方法だ。「診療従事特別調整手当」は、手術・麻酔・処置に分かれる。例えば、勤務時間外・休日に緊急手術を実施した場合、診療報酬の10分の1を執刀医、第一助手、第二助手に分配する仕組みだ。

 教授会、「外科系医師厚遇」でも異論出ず

 内科系医師も対象となるものの、「診療従事特別調整手当」の主たる対象は外科系医師。しかし、嘉山氏が教授会で同手当の導入を提案した際、反対意見は出なかった。「医学部長は、各医師の外勤のほか、講演、原稿執筆などによる副収入の状況を把握できる。外科系医師は、外勤の回数が内科系医師よりも少ないなど、副収入は内科系医師よりも少ないというデータを提示した」。不公平感は生じなかったのは、「診療従事特別調整手当」以外にも、宿日直手当、オンコール手当、オンコールの際に対応した場合の緊急時診療従事手当など、内科系、外科系を問わず、医師の技量や仕事量に見合った手当を受け取れる仕組みを並行して充実させたという事情もある。

 診療科偏在解消のためにもインセンティブ必要

 嘉山氏は、「どの病院でも、医師手当を導入できるはず」と指摘する。嘉山氏が中央社会保険医療協議会の委員を務めていた2010年度改定では、高難度の手術料(D、E区分に相当)が30~50%アップした。前述のように、時間外手当(宿日直、オンコール手当など)、技術料(診療従事特別調整手当など)の合計は、医療収益の約2%にとどまる。

 「努力すればするほど報われ、かつ医療費の増大に歯止めをかけられる技術料の設定は、工夫すれば可能と考える」と嘉山氏が考えるのは、米国の「ドクター・フィー」に用いられているRBRVSという仕組みを念頭に置いているためだ。RBRVSは、(1)医療サービスに要する時間(time spent)、(2)専門技術の肉体的尽力(technical skill and physical effort)、(3)専門技術の精神的尽力(mental effort)、(4)患者のリスクからの精神的ストレス(stress)――という4つの視点を基に、医師の仕事量を相対評価する手法だ。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30694320Y8A510C1EA4000/
医療法改正案、参院本会議で可決  
2018/5/18 20:00

 医師偏在の是正を目指す医療法・医師法の改正案が18日、参院本会議で可決した。法案は先に参議院で審議されたため、今後衆院に送付される。法案では医師を確保するための計画の策定を都道府県に義務付けるほか、偏在の度合いを示す新しい指標もつくる。医師不足地域での勤務経験を一定の病院の院長に就くための要件とする項目も盛り込んでいる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/603107
地域医療構想
進む病院の再編統合、ネックは「給与体系の相違」
厚労省・地域医療構想WG、茨城と徳島では公的と民間の統合も
 
レポート 2018年5月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)が5月16日に開かれ、茨城県と徳島県における病院の再編統合の事例が紹介された。医師不足や医師の高齢化、今後の医療ニーズの変化などを踏まえ、公立病院同士に限らず、済生会病院と労災病院、公立病院と医師会立病院などの再編統合も進んでいることが注目点だ。半面、再編統合しても医師不足が解消されなかったり、経営母体が異なる場合、給与体系の相違が問題となるなどの難しさも示された。

 岩手県保険福祉部技官兼副部長兼医療政策室長の野原勝氏は、「徳島県のように医師が多い県でも、医師の地域偏在が大きな課題になっていることが分かった。将来の必要な医療機能への転換を議論するに当たって、それを担う人材をいかに確保するかが重要になる。調整会議においても、医師の偏在対策についての議論が必要」と指摘した。

 全国の341の構想区域のうち、病院の再編統合についての議論を行っているのは、24構想区域。各構想区域では、公立病院では「新公立病院改革プラン」、公的病院等では「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、地域医療構想の調整会議で協議することになっている。茨城県や徳島県など、一部の都道府県では公立病院等の再編統合まで進んでいるが、再編統合の必要性について十分な議論ができていない構想区域も多い。「地域医療構想に関するワーキンググループ」では今年度、構想区域ごとの取り組み状況の分析、再編統合の事例の見える化を進める予定。

 再編統合の際、毎年行う病床機能報告の結果と、地域医療構想における2025年の4つの医療機能別の「病床の必要量」を単純比較し、議論されることが少なくない。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「地域医療構想は、不足している医療機能の手当てが目的」と指摘、厚労省の提示資料について、「病床の削減の方策に向かっているように見えるものがあり、違和感を覚える」と問題視した。日本医師会副会長の中川俊男氏も、「単純に比較して、騒がないこと。その一言に尽きる」と述べ、地域医療構想の正しい理解に基づく議論の必要性を指摘した。

 茨城、労災病院と済生会病院の再編統合も
 茨城県は、9つの2次医療圏(構想区域)から成る。深刻な医師不足と地域偏在が問題になっており、人口10万人当たりの医師数は全国ワースト2位。2次医療圏別の医師数の最大格差は4倍以上。筑西医療圏では2018年10月に、鹿行医療圏では2019年4月に、それぞれ再編統合した新病院がオープンする予定。水戸医療圏でも、再編統合に向け、ワーキンググループの議論が5月15日から始まった。「各病院が抱える課題や将来像について議論し、来年3月末を目途に、一定の結論を出す予定」(茨城県担当者)。

 筑西医療圏では、県西総合病院(299床)、筑西市民病院(173床)、民間の山王病院(79床)の3病院を再編統合し、地方独立行政法人の茨城県西部メディカルセンター(250床)、公設民営のさくらがわ地域医療センター(128床)にする。

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(2018年5月16日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

 鹿行医療圏では、神栖済生会病院(179床)と鹿島労災病院(199床)を再編統合、神栖済生会病院の本院350床、分院10床とする。「苦労したのは、職員の処遇。公立病院同士では給与体系の格差はあまりないが、労災病院と済生会病院は格差が大きく、それをどうするかが課題だった。済生会病院が労災病院を引き取ることになったが、給与は労災病院の方が高かった。一定期間は現給保障をせざるを得ない」(茨城県担当者)。また、臨床検査技師以外の医療従事者は再編統合後でも不足しているという。「350床を稼働させるには、60~70人の医師は必要だが、現在は30人強」(茨城県担当者)。

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(2018年5月16日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、再編統合の議論における民間病院の関与について質問。茨城県の担当者は、再編統合に向けたワーキンググループには、民間病院も参加して議論したと回答した。

 徳島県は、3つの2次医療圏から成る。人口当たりの医師数は全国1位だが、東部医療圏に集中するなど、県内での偏在が大きく、医療施設に従事する60歳以上の医師の割合は32.8%で、全国平均(25.1%)よりも高く、高齢化が進んでいる。

 南部医療圏では、JA徳島厚生連阿南共栄病院(343床)と阿南医師会中央病院(229床)を再編統合し、JA徳島厚生連阿南医療センター(398床)とする。全体では174床の減床。2019年春にオープンの予定だ。

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(2018年5月16日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)



http://www.medwatch.jp/?p=20572
再編・統合も視野に入れた「公立・公的病院の機能分化」論議が進む―地域医療構想ワーキング(1) 
2018年5月16日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 高齢化の進展に伴って医療・介護ニーズが増加する側面がある一方で、我が国は人口減少社会に突入しており、地域によっては「患者数そのものが減少」しているところもある。また医師不足・地域偏在について、一定の対策は講じられているものの、解決にはまだ時間がかかる。そうした中で、病院の安定運営を含めた適切な医療提供体制を確保するためには、「病院の再編・統合」も検討していく必要がある―。

5月16日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった視点に立った議論が行われました。
 
ここがポイント!
1 公立・公的病院の地域医療構想での位置づけ、17県で議論に着手済
2 医師不足などの課題に対応するために、病院の合併を選択する事例も
3 秋田・福島・京都・大阪・沖縄では、公立・公的病院論議が始まらず

公立・公的病院の地域医療構想での位置づけ、17県で議論に着手済

 2025年における医療ニーズに適切に対応するために、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の機能ごとの必要病床数などを定めた地域医療構想の実現に向けて、各構想区域(主に2次医療圏)で地域医療構想調整会議が開かれ、病院・病床の機能分化・連携の推進に向けた議論が進められています。

 議論は、(1)まず公立病院や公的医療機関等2025プランの策定対象となっている公的医療機関などの協議を、2017年度中に開始し、具体的な対応方針を速やかに決定する(2)事業計画を大幅に変更するような事情(例えば、開設者の変更など)民間医療機関についての協議を速やかに始める(3)その他の病院についての協議を今年度(2018年度)中に始める―という、大きく3ステップ(もちろん重複した議論となる)で進められ、あわせて「非稼動病棟を有する医療機関」「新設や増床の許可申請」への対応も行います(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

(1)の公立病院・公的医療機関などの協議は、多くの自治体で順調に進められていることが分かりました。管内の全公立・公的医療機関に関する議論が始まっているのは、▼山形▼群馬▼神奈川▼石川▼福井▼山梨▼長野▼岐阜▼滋賀▼兵庫▼和歌山▼広島▼徳島▼香川▼愛媛▼宮崎▼鹿児島―の17県にのぼり、他の多くの自治体でも相当程度、議論に着手できている状況が伺えます。

 さらに、福井県では全公立・公的医療機関について、各医療機関が策定した改革プランをベースに、地域医療構想会議の中で「具体的対応方針」(例えば、病床の機能転換やベッド数の見直しなど)が取りまとめられています。全国ベースでは823の公立病院のうち38病院について、834の公的病院等のうち70病院について、具体的対応方針が固められています。

 ところで、「地域医療構想の実現」について、一部には「過剰な急性期病床を削減し、不足する回復期に機能転換する」という単純な構図と捉える向きもありますが、地域によって疾病構造・人口動態・地理的状況・医療資源は区々であり、一律の議論はできません。

 「医療資源が豊富、かつ急性期病床が過剰」な地域では、前者のように「急性期から回復期への転換」が中心課題になると思われますが、「医療資源が不足しており、地域の医療ニーズに応えるために、急性期を含めて医療提供体制の強化を行わなければならない」地域や、「同じ機能を持つ病院が複数あるが、人口の減少などが進み、資源の集約化が必要となる」地域などでは、分散した資源(医師、看護師などのマンパワーも当然含む)を集約するために、「病院の再編・統合」が重要な選択肢の1つとなります。

 5月16日のワーキングでは、茨城県と徳島県から、「病院の再編・合併」事例に関する報告が行われました。

医師不足などの課題に対応するために、病院の合併を選択する事例も

 茨城県の筑西・下妻医療圏では、公立の2病院が急性期医療を担っていましたが、医師不足によって診療機能の縮小をせざるを得ず、これがために半数程度の患者が近隣医療圏・近隣県の医療機関受診を余儀なくされていました。こうした状況を改善するため、2つの公立病院と1つの民間病院が再編統合し、2つの公立病院(1病院は地方独立行政法人化、1病院は再編に参加した民間病院が指定管理者となる、ベッド数はトータルで173床減)に生まれ変わります(今年(2018年)10月開院予定)【公立の県西総合病院、公立の筑西市民病院、民間の山王病院→公立の茨城県西部メディカルセンター、公立のさくらがわ地域医療センター】。

 また同じ茨城県の鹿行医療圏では、深刻な医師不足による公的2病院(済生会と労災)が2次救急医療を十分に担えず、同医療圏にある神栖市では7割の患者が市外の医療機関を利用せざるを得ない状況でした。これを改善するために、両公的病院を再編統合し、1つの本部病院(350床)と1つの分院(10床)に再編し、本部病院に資源・機能を集約することが決まっています(ベッド数はトータルで18床減、2019年4月に分院を開院し、早期日本院を増築する予定)【神栖済生会病院、神栖労災病院→神栖済生会病院の本院と分院】。

 設立母体の異なる後者の合併事例について茨城県は、「マンパワー確保のために、一定期間、済生会の高水準の給与保障が必要となった。こうした点への支援(補助金や地域医療介護総合確保基金の活用など)があるとよいのではないか」と付言しています。

 また後者の合併に向けた協議に実際に参画した岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「地域医療構想のはるか前に、『医療資源が乏しく、かつ散在している地域で、どう医療提供体制を確保していくか』という問題意識から、自然発生的に再編・統合の議論が始まった。地域の特性を十分に踏まえた議論が必要である」と述べ、全国一律の地域医療構想実現論を牽制しています。

 一方、徳島県の南部医療圏にある阿南市には、老朽化・医師の高齢化に悩む阿南共栄病院(JA徳島厚生連)と、深刻な医師不足・高齢化という問題を抱える阿南医師会中央病院(阿南市医師会立)とで、「地域の基幹病院」設立に向けた協議が進められてきました。協議には難しさも伴いましたが、阿南市が参加し、「阿南市医師会が、医師会中央病院の資産・経営権をJA徳島厚生連に無償譲渡する」ことが決まり、JA徳島厚生連「阿南医療センター」に生まれかわります(ベッド数はトータルで174床減)。阿南医療センターでは、従前に両病院が有していた▼地域医療支援病院▼救急告示病院▼災害拠点病院▼臨床研修指定病院―などの機能を引き継ぐとともに、「救急患者受け入れ体制の充実」「緩和ケア病棟の設置」「リハビリの充実、訪問診療の充実」などの機能強化も行います。

 どのように「医師会からJA徳島厚生連への資産・経営権の『無償』譲渡」が実現したのか、その背景が注目されそうです。

 なお、厚生労働省が341構想区域について調べたところ、少なくとも24区域で、病院の再編・統合論議が進んでいることが分かりました。例えば、▼青森県:国立弘前病院と弘前市立市民病院の合併▼宮城県:栗原市立栗原中央病院と宮城県立循環器・呼吸器病センターの合併▼愛知県:岡崎市民病院と愛知県がんセンター愛知病院の合併▼鹿児島県:鹿児島医療センターと鹿児島逓信病院―などです。

 病院の合併を含む再編・統合には、上述のような「給与」のほかにも、「県立病院が合併後に市立病院となる場合の身分をどう考えるか」、「役職はどうなるのか(例えば新看護部長はA病院とB病院のいずれの看護部長が就くのか)」、「地域住民の賛同は得られるのか」など、考慮しなければならないテーマ・課題が多数あり、これらに十分に配慮せずに議論を進めた結果、十分な効果が得られないケースも少なくありません。メディ・ウォッチでは、病院合併が成功した好事例の代表ケースである「日本海総合病院」の栗谷義樹院長(当時、現在は山形県・酒田市病院機構理事長)に、合併を検討・実行する際のポイントを伺っています。是非、ご覧ください(当該記事はこちら)。

秋田・福島・京都・大阪・沖縄では、公立・公的病院論議が始まらず

 前述のように、地域医療構想調整会議では、公立・公的医療機関に関する議論が行われていますが、▼秋田県▼福島県▼京都府▼大阪府▼沖縄県―では「手つかず」となっています(宮城県は精査中)。

未着手の理由は、「公的医療機関等改革プラン策定が年度末となり、調整会議の論議に間に合わなかった」(秋田県)、「民間病院が多く、公民あわせて議論をしていく必要があった」(大阪府)などさまざまですが、各府県とも今年度(2018年度)中に議論を開始するととしており、早急なスケジュール調整などの準備が求められます。



http://blogos.com/article/297333/
医師の“働き方改革”で複数主治医制 患者にメリットも 
NEWSポストセブン2018年05月16日 07:00

【主治医がコロコロ変わる事態にどう対処?】

 政府は今国会で「働き方改革関連法案」の成立を目指しているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。

 医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。複数の医師でチーム医療体制を敷いて患者を診る方式で、シフトの時間を短くするなどして休みを取りやすくする。これを導入した病院では“主治医がコロコロ替わる”状態になる。

 労働時間を減らす分、医師の数を増やせばこうした問題は起きないが、都心部は別にして、地方では医師不足が慢性化している実態がある。医師の数を増やさずに、長時間労働を是正しようとすれば、診る患者の数を減らすしかないのが現実である。

 患者を減らすため、救急患者の受け入れを選別するだけでなく、土日や夜間の外来診療を減らす病院は多い。一部の医療行為を看護師に任せたり、医師の事務作業を補助スタッフが代行することも今後はあり得ると考えられる。

 こうした事態に患者としてはどう対処すべきか。医療ジャーナリストの油井香代子氏はこう話す。

「一人の主治医にこだわらなければ逆に予約は取りやすくなり、受診を断念することがなくなります。それには、病気と向き合う際に主治医任せにせず、どんな医師に対してもきちんと自身の症状や希望する治療方針などを伝えられるようにすることです」

 そこには患者側のメリットもありそうだ。

「複数主治医制では、図らずも患者が別の主治医からセカンドオピニオンを自動的に得ることになります。複数の医師がカルテなどを共有して今後の診察・治療方針を相互検証することによって、診断や治療ミスを防げるという利点があります。2人目、3人目の主治医が初めの医師と違う治療法などを提案してきた場合は、きちんと初めの主治医にフィードバックすることも必要です」(同前)

 ただし、主治医間で連携が取れていなければ意味がない。診察の際に同じことを繰り返し聞かれていないか注意するなど、患者の情報が共有されているか冷静に見極めたい。患者側も意識を変える必要があるということだ。

 もはや「行きつけの病院」や「あうんの呼吸で伝わる主治医」を持てると期待するのは難しくなる。

※週刊ポスト2018年5月25日号



http://www.news-postseven.com/archives/20180514_673426.html
医師の働き方改革 導入で主治医がコロコロ変わる状態に 
2018.05.14 07:00 週刊ポスト2018年5月25日号

間もなく医師の働き方改革が始まる

 政府は今国会で「働き方改革関連法案」の成立を目指しているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。激務で知られる医師の労働時間削減はかねて課題とされてきたが、これまでは医師不足に悩む病院の事情もあってなかなか実現しなかった。医学界が時代の流れを受けて医師の労働時間削減に踏み切ったのは、一大転換だといえる。

「働き方改革関連法案」は、早ければ2019年度にも施行されるとみられており(医師の場合は2024年まで、5年間の猶予期間がある)、医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。

 残業100時間というのはかなりの“過重労働”だが、現実の医師の勤務実態は限りなく“ブラック”だと医療ジャーナリストの油井香代子氏は指摘する。

「厚労省の資料(2017年8月)によると、1週間の労働時間が60時間を超える雇用者全体平均が14%なのに対し、医師は41.8%と職種別で最も高い割合になっています。月換算すると、残業が80時間を超えている医師が4割以上という計算になります」

 この状況を是正するために「医師の働き方改革」が進められているわけだが、この改革は患者側にも大きな影響を及ぼすことになる。

 医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。複数の医師でチーム医療体制を敷いて患者を診る方式で、シフトの時間を短くするなどして休みを取りやすくする。これを導入した病院では“主治医がコロコロ替わる”状態になる。東北地方の公立病院に勤務する現役医師は、複数主治医制についてこう語る。

「治療効果には、医療的な技術だけでなく、医師との相性や医師への信頼感といったものも影響を与えるので、担当医師の数が多くなるほど難しい面が出てくる。医師は患者の不安感に対するケアを増やす必要があり、結局、労力が増える。あるいは適切な治療効果が出にくいということになりかねない」

 複数の主治医のなかに、自分に合う医師がいたとしても、その医師が週3日しか勤務していなければ、それに合わせるしかない。

※週刊ポスト2018年5月25日号



https://www.hokkaido-np.co.jp/article/189142
「地域枠医師」北大生応募ゼロ 勤務に不安? 道、締め切り延長 
05/14 05:00 北海道新聞

 地域医療を担う医師を養成する「地域枠医師制度」で、道が新たに北大医学部に配分した奨学生5人分に対する応募が、3月末の締め切り時点でゼロだった。道は、地方勤務に不安を抱く北大の学生が多いとみて、制度の周知を図りながら、6月上旬まで締め切りを延ばして募集を続ける。

 制度は、医学生に授業料や生活費として6年間で約1200万円を貸与。卒業後は9年間の道内勤務と、このうち5年間を知事が指定する医師不足地域の医療機関で勤務すれば、返還が免除される。2008年度に札幌医大、09年度に旭川医大で始まった。

 昨年度までの1学年の定員は札医大15人、旭医大17人の計32人。しかし、旭医大は「将来の医師供給が過剰になる」として、本年度から定員を12人に削減。道は、減った5人分を急きょ北大に引き受けてもらい、今春の医学部新入生102人を対象に募集をかけたものの、応募はなかった。

 一方、旭医大は12人の定員に21人の応募があり、面談による選考も終了した。現状では、旭医大に希望者がいるにもかかわらず、北大の枠は空いたまま。それでも道は「旭医大側が定員削減を決めた以上、北大の5人分を再び戻すことはできない」と話す。

 札医大は、入学者から募る北大、旭医大と異なり、入試の段階で地域枠の希望者を募っており、定員は充足している。

 北大で応募がなかった理由について、道は学内で先例がなく、相談できる相手が少ないためではと分析。札医大、旭医大と比べ、研究者志向の学生が多い北大ならではの要因もあるとみられる。

残り:229文字/全文:872文字



https://mainichi.jp/articles/20180512/ddl/k07/010/182000c
南相馬市
開業医募集 小児など4科対象 最大5000万円補助 /福島
 
毎日新聞2018年5月12日 地方版

 南相馬市は、市内で不足している小児科、産科、耳鼻咽喉(いんこう)科、泌尿器科の診療所を開業する医師を募集する。募集期間は6月15日~8月31日で、開業資金を最大5000万円補助する。

 相双地区は震災以前から、人口当たりの医師数が全国平均を大きく下回る医療過疎地。医師不足や一部の診療科の不足が住民帰還を阻害する要因となっている。市内の開業医は現在、小児科はゼロ、産科、耳鼻咽喉科、泌尿器科もそれぞれ1軒だけだ。

 市は2016年度、小児科などの診療科が開業する場合、工事費や備品購入費の半額を補助する事業を始め、16年度は整形外科1軒が開業した。17年度は子育て世代の帰還に直結する産科と小児科だけを募集したが、応募はなかった。このため今年度は4科に対象を拡大した。

 相馬郡医師会への加入や、10年以上の事業継続などが条件となる。問い合わせは市健康づくり課(0244・24・5336)。【高橋隆輔】



https://digital.asahi.com/articles/CMTW1805161100001.html?rm=150
順天堂要望 県の想定超える
2018年5月16日10時18分

◇着工遅れる付属病院

 埼玉高速鉄道の浦和美園駅から歩くこと約10分。柵に囲まれた広い草むらに「順天堂大学附属病院等整備予定地」の看板が立つ。

 医師不足の解消をめざす県が3年前に誘致を決め、ベッド数は800と県内最大級。大学院や看護学部も併設し、3月に着工、2020年度に開業するはずだった。ところが土地の取得に手間取り、予定より建物が大きくなり環境アセスメントをする必要も出てスケジュールが狂った。いつ、どんな病院ができるのか、いまだに具体像は見えてこない。

 人口減少や医療費の伸びを抑える国の方針などで病院の経営が厳しさを増すなか、病院誘致は、用地の無償貸与や建設費の補助など破格の条件を示すことでようやく実現した。ただ、順天堂側からの要望は県の想定を超えていた。

 「緑に囲まれた癒やしの空間にしたい」。順天堂側は新病院のイメージをこう説明し、予定地の目の前に車の販売店があることに難色を示したこともあったという。周辺は区画整理が行われ再開発が進むエリアで、街路樹などもあまり整備されていない。「どこか殺風景な街並みを、洗練された『文教都市』にしたいようだ」(県幹部)。

 近くの埼玉スタジアムでサッカーの試合がある日は周辺道路が渋滞する。「車を運転してやってくる急患が間に合わないのでは」と改善を望んでいるほか、スタジアムの周りに新駅をつくることや、病院の入り口の前にバスが着くようにすることも要望しているという。

 学校法人順天堂の担当者は「私利私欲でわがまま言っているわけじゃない。せっかく作るのだから患者さんにとって使い勝手のいい病院にしたいだけです」。

 上田清司知事は開業時期を「23年がひとつのめど。1年早いか1年遅れるか」と説明する。

【順天堂側の主な要望】
・快適で清潔な街づくり
・病院用地の無償貸与
・建物の建設費、機器・備品の整備に必要な費用の半額補助
・救急など政策医療についての経常費助成
・病院開設までに、埼玉スタジアムの周辺に新駅をつくる
・建設予定地の中にある道路を廃道にする
・敷地の間を流れる川の上に上空通路を設置



http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180517/KT180516ATI090017000.php
大町総合病院、284床から199床へ 大町市が削減方針 
(5月17日)信濃毎日新聞

 大町市は16日の定例会見で、運営する市立大町総合病院の病床を284床から199床に削減する方針を明らかにした。市によると、昨年度は多い時でも195床程度しか使われていないなど、空いた病床が目立っていた。病棟は維持し、病室ごとの病床数を減らすという。関連条例改正案を23日に開会する市議会6月定例会に提出する。

 同病院によると、昨年は平均で173床程度が稼働。医師不足で診療科が減ったことや人口減少などを背景に、入院患者数は1994年をピークに徐々に減少している。

 国の診療報酬制度は、200床以上で緊急時の体制を整えるなどの条件を満たす病院を「在宅療養後方支援病院」に位置付けており、同病院も該当。200床未満は外来が中心で在宅医療の担い手となる「在宅療養支援病院」としており、病床の削減で同病院は在宅療養支援病院に切り替わる見通し。

 同病院の勝野健一事務長は「これまで通り、急性期から慢性期までの患者の入院を受け入れ、在宅医療にも力を入れる点は変わらない」と説明。在宅療養支援病院になることで診療報酬が加算されるなどの利点があるとしている。

 県は在宅医療の推進などを目的に、25年度に各地域で必要と見込まれる病床数をまとめた県地域医療構想を昨年3月に作成。大北地域は、15年度の許可病床数より127床少ない403床が必要数と推計している。勝野事務長は「構想も念頭に、県と協議を進めてきた」としている。



http://www.medwatch.jp/?p=20577
学識者を「地域医療構想アドバイザー」に据え、地域医療構想論議を活発化―地域医療構想ワーキング(2) 
2018年5月16日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議の議論は着実に進んできているが、必ずしも十分とは言えない。調整会議の議論を活性化させるために、都道府県単位の地域医療構想調整会議の設置を推奨するほか、公衆衛生学等の研究者に「地域医療構想アドバイザー」に就任してもらってはどうか―。

 5月16日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった方向が概ね了承されています。あわせて、2018年度の病床機能報告制度に関する見直し論議も進められています(関連記事はこちら)。
 
ここがポイント!
1 地元大学の公衆衛生研究者などを、地域医療構想アドバイザーに推薦
2 病床機能報告の「定量基準」導入に向けて議論続く

地元大学の公衆衛生研究者などを、地域医療構想アドバイザーに推薦

 地域医療構想の実現に向けて、地域医療構想調整会議が各区域で、2017年度には平均3.1回(1-14回)開催され、17の県では全公立病院・公的医療機関等の改革プランが地域医療構想と整合しているかなどの議論が始まるなど、議論が活発化しています。

 一方で、厚生労働省は「調整会議は年4回開催してほしい」と要請しているものの、「実態は平均で0.9回少ない」こと、▼秋田県▼福島県▼京都府▼大阪府▼沖縄県―では公立・公的医療機関に関する論議が「手つかず」なこと、などを踏まえると、まだまだ調整会議の議論が十分に進んでいるとは言い難いのも事実です。

 この点、調整会議で活発な議論が進んでいる佐賀県や奈良県の取り組みを踏まえ、厚労省は次の3つの活性化策を提案しました。

(1)「都道府県単位の地域医療構想調整会議を設置する」ことを推奨する
(2)国が都道府県主催の研修会を支援する
(3)地元に密着した「地域医療構想アドバイザー」を育成する

 地域医療構想調整会議は、主に2次医療圏をベースとする「地域医療構想区域」毎に設置されます。会議の議長は、地域医師会(群市医師会)が担っているケースが多く(71%)、また事務局は「都道府県の保健所」が担っているケースが多く(74%)なっています。このため、各調整会議では「他の調整会議ではどのように議論が行われているのか」「県の方針はどうなっているのか」という疑問を持つことも多いようです。この点、佐賀県では「各調整会議の議長」が集い、併せて▼県医師会▼病院代表▼県(行政)▼特定機能病院・地域医療支援病院長—らが参加し、全県的事項を協議する「佐賀県の地域医療構想調整会議」を自主的に設置し、各調整会議の疑問を解消しているといいます。

 この好事例を全国展開するために、(1)の「都道府県の地域医療構想調整会議」設置が今般提案されたものです。義務ではなく、「推奨」にとどまりますが、佐賀県では基幹病院の代表者が、「都道府県の調整会議」構成員と「構想区域の調整会議」構成員とを兼務することで、議論が活発化・円滑化していると報告されており、積極的な設置が望まれます。

 また(2)は、都道府県自ら、あるいは都道府県と都道府県医師会が共催で、地域医療構想の進め方に関する研修会を開催し、「データの活用方法の提示」「好事例の共有」「グループワーク」などを行うことを求めるもので、講師派遣などを含めて厚労省が都道府県をサポートする考えを示しています。

 さらに(3)は、地元の大学医学部で公衆衛生学などを研究し、データ分析などの高いスキルを持ち、地域医療構想の実現に向けた助言を行える研究者を「地域医療構想アドバイザー」として選定・任命するものです(活動経費は、地域医療介護総合確保基金の対象となる)。都道府県からの推薦をもとに、厚労省が任命する形となる見込みです。この点、奈良県の地域医療構想調整会議に研究者の立場で参画している今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「厚労省の調べによれば、調整会議に学識経験者として大学関係者が参画しているケースは、全体の8.8%・30構想区域にとどまっている。学識経験者は、さまざまな利害対立の中で『叩かれ役』になるが、1年も叩かれると利害関係者も落ち着いてくる」とコメント。中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「叩かれることも、アドバイザーの役目かもしれない」と期待を寄せています。

 ただし、昨年(2017年)6月のワーキングでは、大学医学部関係者の中にも「病床機能報告における高度急性期は、1日当たりの医療資源投入量が3000点以上である」と誤解しているケースがあることが判明するなど、地域医療構想や病床報告への理解の度合いはさまざまなようです。このため、中川構成員は「独特の考えを持たれている方がアドバイザーになると困ってしまう」と、また邉見公雄構成員(全国自治体病院協議会会長)は「地域によっては適任者がいないこともある」と指摘。この点について厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、「アドバイザーを育成していく」視点も重視している旨を示しています。

 厚労省は、今後、都道府県向けの研修会(直近では6月1日開催予定)や通知などを通じて、上記(1)から(3)について周知を促す考えです。

 また、併せて公立・公的医療機関等の機能分化を推進するために、「各構想区域における取組内容の分析」や「再編・統合事例などの見える化」も進められます(関連記事はこちら)。

病床機能報告の「定量基準」導入に向けて議論続く

 地域医療構想は、調整会議において、各種データから地域の実情や将来をしっかりと把握したうえで、各医療機関が自院の役割を再考して「自主的に機能分化を進める」ことや、地域の医療機関同士が協議することで実現に向けて進んでいきます。

 このベースとなるのが、病床機能報告制度です。病床機能報告制度は、一般病床・療養病床を持つ全病院・有床診療所が、自院の構造・設備・人員に関するデータや、各病棟の機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)などを毎年、都道府県に届け出る(義務)ものです。

 この点、各病院では「自院のこの病棟は、果たしてどの機能として報告すべきだろうか」と頭を悩ませることが少なくないと指摘されます。病床機能報告制度では、各機能についての厳密な定量基準を設けていないためです(診療報酬上の入院料と機能との紐づけは相当程度行われている)。

 このため、一部には「定量基準を定めるべき」との指摘もありワーキングでも、議論が続けられています(関連記事はこちら)。

 5月16日のワーキングでは、厚労省から、高度急性期・急性期と報告しながら、▼幅広い手術▼がん・脳卒中・心筋梗塞などへの治療▼重症患者(ハイリスク妊娠管理加算・分娩管理加算、救急搬送診療料、経皮的心肺補助法、頭蓋内圧持続測定などの算定患者)への対応▼救急医療▼全身管理(中心静脈注射、観血的動脈圧測定、人工呼吸、経管栄養カテーテル交換など)—などのいずれも行っていない病棟について、地域医療構想調整会議で、その機能を確認することが改めて確認されました。2017年度報告では14%・3014病棟が、上記の「高度急性期・急性期」であれば、いずれかは実施している医療行為について、一つも実施していないことに驚かされます。

 また埼玉県からは、独自の「各機能を報告する際の目安」として、例えば次のような方針が採られていることが紹介されました。高度急性期であれば、「救命救急入院料やICUのほとんどがクリアする」ような、急性期であれば「旧7対1の多くが合致し、多くの有床診療所などではクリアできない」ような要件となっています。

▽一般病棟などが高度急性期と報告する際の目安(1か月・稼働病床1床当たり)
 ▼手術2.0回▼胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.5回▼悪性腫瘍手術0.5回▼超急性期脳卒中加算の算定▼脳血管内手術の実施▼経皮的冠動脈形成術0.5回▼救急搬送診療料の算定▼救急医療(救命のための気管内挿管、カウンターショック、心膜穿刺、非開胸的心マッサージなどの合計)0.2回▼重症患者への対応(観血的肺動脈圧測定や3時間以上の頭蓋内圧持続測定、持続緩徐式血液濾過、人工心肺、人口尊像などの合計)0.2回▼全身管理への対応(1時間を超える観血的動脈圧測定、胸腔穿刺、ドレーン法、5時間以上の人工呼吸の合計)8.0回―のうち1つ以上を満たす

▽一般病棟などが急性期と報告する際の目安(1か月・稼働病床1床当たり)
 ▼手術2.0回▼胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回▼放射線治療0.1回▼化学療法1.0回▼予定外の救急医療入院の人数10人▼一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(2016年度改定版)を満たす患者割合25%以上―のうち1つ以上を満たす

 これらは「目安」に過ぎませんが、中川構成員や織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は、「『病棟をベースにした病床機能報告制度』と『患者数をベースにした地域医療構想』を比較し、急性期が過剰、回復期が不足という議論になり、両者の整合をはかるために、データをひねっている。各病院が自主的に機能を判断するという根本を崩してはいけない」と述べ、埼玉県のような定量基準導入には慎重な構えを崩していません。

 今後、さらに検討を深め、可能な範囲で2018年度の病床機能報告に「定量的基準を盛り込む」ことになりそうです。今夏(2018年8月頃)には、2018年度の病床機能報告マニュアルを公表しなければならないため、検討の時間はそう多くなく、どこまで調整が進むのか調整が待たれます。

 なお、2018年度の診療報酬改定を受け、病床機能報告の内容が一部修正されることになります。例えば、これまでの「一般病棟7対1・10対1」は「急性期一般入院料の1-7」に、「退院支援加算」は「入退院支援加算」に名称や内容が修正されており、病床機能報告でもこれらに沿った名称での報告を求める(レセプトデータから抽出するため、病院では「確認」と必要があれば「訂正」を行うことになり、個別に「自院は急性期一般入院料2を届け出ている」などと報告することはない)ことになります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/603108
シリーズ 地域医療構想
「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ
厚労省・地域医療構想WG、調整会議の体制強化で3施策
 
レポート 2018年5月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、5月16日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)に対し、地域医療構想調整会議を活性化させるため、地元に密着した「地域医療構想アドバイザー」育成のほか、都道府県単位の地域医療構想調整会議の設置、都道府県主催の研修会開催を支援――という3施策を提案、構成員の了承を得た。同省は、これらについての通知等を今後、都道府県に対して発出予定。

 「地域医療構想アドバイザー」は、都道府県が、選定要件を参考に、都道府県医師会と協議しながら選ぶ。選定要件は、(1)地域医療構想や医療計画などの制度を理解、(2)医療政策、病院経営に関する知見を有する、(3)各種統計、病床機能報告などに基づくアセスメントができる――など。要件を満たすのは、大学の公衆衛生学の教員などが想定される。厚労省内に「地域医療構想アドバイザー組織(仮称)」を設置し、アドバイザーへの助言などを行う。日本医師会副会長の中川俊男氏は、選定要件について、「地域医療構想の推進に向けて、独特の考えを持った人ではなく、正しい理解を持った人を選任することが必要」と釘を刺した。

 調整会議は構想区域単位での設置が求められるが、中には都道府県単位でも設置しているケースがある。構想区域間の情報共有、構想区域を越えた調整が必要な高度急性期についての議論などを行うためだ。尾形座長は、都道府県単位の調整会議の役割や構成メンバーを明確化するよう求めた。

 3施策以外に、中川氏は調整会議の事務局を充実させる必要性を指摘。「都道府県の調整会議の事務局は、本庁ではなく都道府県医師会に置き、それを本庁が全面的に支援する形にしてもらいたい」と提案した。さらに調整会議は、年4回程度の定例開催のほか、大きく役割を変更する予定の病院がある場合には、その計画を議論するため「随時開催」の追加も可能。「『定例開催まで待っていられない』との声も聞く」と中川氏は述べ、随時開催が可能な旨を関係者に浸透させるよう、厚労省に求めた。

 病床機能報告の「客観的な基準」、埼玉県の事例紹介
 16日のワーキンググループでは、2018年度の病床機能報告制度についても議論した。報告事項について2018年度診療報酬改定を踏まえて変更するほか、高度急性期、急性期、回復期、慢性期という4つの医療機能を報告する際の定量的な基準の例として、埼玉県の取り組みが紹介された。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、「やはり一定の目安がないと、(どの医療機能に当たるかどうか)判断しにくい」と述べ、埼玉県では合意が得られているかを質した。「合意が得られている定量的な指標については、今後も例示してもらいたい」(本多氏)。埼玉県担当者は、指標は都道府県単位の調整会議で議論し、合意を得て活用していると説明した。

 もっとも、病床機能報告に当たって、定量的な指標の設定には慎重な意見も多く、中川氏は「埼玉県の事例は、医療提供体制の現状分析ツールであり、この指標を踏まえて病床機能報告を行うわけではない、ということでいいか」と念を押した。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「いつもこの議論は回らず、悩む。いずれにせよ、地域医療構想を進めていく上で、4つの医療機能について、地域でどのような分担で進めていくかを議論していかなければいけない。そのために今あるデータを改良していきたい」と述べた。定量的な基準については、引き続き検討課題に挙がる見通し。

 埼玉県が用いている客観的な基準は、診療報酬の算定回数などと4つの医療機能を関連付けて作成したもの。例えば、高度急性期と急性期の区分は、10項目を基に設定する。

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(2018年5月16日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)



http://diamond.jp/articles/-/170251
今春スタートした研修医の新制度は「地域医療崩壊」の序曲だ
島田眞路・山梨大学学長に聞く
 
週刊ダイヤモンド 2018.5.17

『週刊ダイヤモンド』5月19日号の第1特集は「20年後も医学部・医者で食えるのか? 医歯薬看の新序列」。国家試験に合格した医学部卒業生が初期臨床研修(2年)を経て進む後期研修が形を変え、「新専門医制度」として今春始まった。新制度で資格を取得できる施設は大学病院が中心。専門医の質の向上と共に、医師の地域偏在が是正されると一部で期待されたが、都市集中は変わらず。地方から憤りの声が上がる。怒れる一人、日本皮膚科学会理事長で山梨大学学長の島田眞路さんに話を聞いた。(『週刊ダイヤモンド』編集部 土本匡孝)

新専門医研修で約500人が東京都に流入
地方は相当怒っている


――新専門医制度(下表参照)が今春始まりました。
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若手医師のキャリアと新専門医制度の図

 東京都で今春までに初期臨床研修を受けた人数が1350人だったのに対し、今春に新専門医研修で採用された人数は1825人。つまり、約500人も東京都に流入しました(次ページ表参照)。

 第1回の結果をみて、地方は相当怒っていると思いますよ。喜んでいるのは東京や被害を受けなかった府県だけ。地方で本当に地域医療を心配している人は、怒っています。

危惧したことが現実に
山梨県で新制度の外科の研修医たった1人


――山梨県はどうでしたか?

 山梨県は当然出ていく人の方が多いです。いわゆる旧帝、旧六、新八と呼ばれる国立大学(病院)が研修先としてある都府県ぐらいがまあ増えました。

 国立大学には全部格があるんですよ。その格に応じて文部科学省の役人も配置されている。下克上なんてないんですよ。普通の競争を阻害している要因があるんです、既に。それが国立大学が発展しない本当の理由。東京大、京都大、大阪大……と。何段階もあって、うちなんか底のほう。

――新専門医制度の課題は何だと思いますか。

 結局、各学会がプログラム(≒各都道府県の定員)をたくさん作りすぎました。要するにその地域に必要なぶんだけじゃなくて、過剰にあるのです。

 プログラムを作っても応募がゼロだったら意味がありません。地方のプログラムには必ず何人は入れるとか、強制性を持たせれば行きわたるのに。

 危惧したことが現実になりました。山梨県で新制度の研修医になった外科はたった1人。これが続いたら医療崩壊です。今までだってこれに近いことが起きていて、ロートル(年寄り)の医師が頑張っていた。大学が好きで残っているからまだ医療が成り立っていました。

――なぜ研修医は東京に行きたいのでしょうか?

 そりゃ魅力ある街だからでしょう。医師の卵の望み通りにやるとこういうことがずっと続いてきたわけで、何とかしなきゃいけない。でもその意識が少ない。日本専門医機構(以下、機構)の柱は「プロフェッショナル・オートノミー(職業的自律性)」。要するに、「医師が自分たちだけで運営して決めたい」ということ。それを変えたくないのだったら、どうやって自己犠牲してやるんだという案を出さないといけません。

医療は公益的な事業
職業選択の自由、医師に認められるのか


――機構は今回、都市部である5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の14基本領域については、「過去5年間の平均採用実績を超えない」との条件(シーリング)を課していました。その結果、すべて枠内に収まったと発表しています。

 地方に医師を回すためには、過去の平均採用実績以下に上限を定めるべきです。でもそうすると反対理由として、憲法22条の職業選択の自由が必ず出てくる。医師に本当にそれが認められるのでしょうか。医療は公益的な事業。本当に個人の自由をそこまで認めていいのでしょうか。公益が優先するのではないでしょうか。

――今年3月末にあった機構の社員総会でも、島田さんはシーリングの提案をされた?

 例えばとして、「過去の平均採用実績×0.8」と提案しました。

 社員総会で機構は「東京都への集中は防げた」みたいなことを言いましたから、「集中は防げていないよ」と言い返しました。今までも東京都に集中はありました。そして東京都は医者であふれている。一方私たちのような地方は本当に大学病院の運営が厳しい。新専門医制度が始まると、少しは地方に医師が回るようになるんじゃないかとの期待感はゼロではありませんでした。

――でも、社員総会では反対意見が上がったと。

「東京都が減れば、東京都の大学医局から地方に派遣する医師が減る」と。でもそれって詭弁ですよね。東京都の大学病院には関連病院というのがあって、そこに行かせるという話なんだから。山梨県まで来ないんですよ。地方の隅々までは行かないんですよ。派遣って2、3ヵ月とかで、しかも派遣される医師はぐちぐち不満を言いながら。そういうのがいいのか、本当にその県の医療事情が分かっている国立大学病院に最初から研修医を入れるのがいいのか。山梨県も、山梨大学附属病院に入れてくれれば地域の医療事情を分かっているからちゃんと回せる。

 東京都は集まりすぎるから適当に関連病院に回して、その結果研修医が辞めちゃう。東京都の指導医は若手医師を本気でケアしないからです。ぐるぐる回されたら、良い研修もできるわけないです。それよりも地方のことは地方に任せたらっていうのが私の考えです。「なんでもかんでも俺に任せろ」と中央集権的なことを言って、「関連病院をかわいがりますよ」と。無責任なことを言っているんですよ。

2004年に始まった初期臨床研修制度
地域医療の崩壊の引き金


――そもそも、島田さんは2004年に始まった初期臨床研修制度(新研修医制度、医師臨床マッチング制度)を問題視している。

 国は壮大な制度を作ったつもりでしょうが、結局都会に医師を集める制度だったんですよ。なぜ作られたかというと、それまでの研修制度では、研修してもあまりにもレベルが低い。その結果、当直の研修医が担当した患者が亡くなったりすると、これはなんだと。だから最低2年は基本の科を回って研修しましょうよと。それはいいですが、皆さん出身大学に残らないでどこいっても自由ですよとなった。一大事。地域医療の崩壊の引き金になりました。

 医学部にいくような人はやはり都会から来ています。受験戦争に勝ち抜く人しか通らないからです。それで初期臨床研修制度が始まって何が起こったかと言うと、皆故郷、すなわち都会に帰るんですね。

推薦制度で地域枠
35人確保しないと地域医療が崩壊


――山梨大学で言いますと。

 初期臨床研修制度が始まる前は、結構な数が残ってくれました。100人いたら50人とか60人とか。

 制度が始まっても、私たちは優秀な大学になりたかったものだから、山梨県の学生をというより優秀な学生をとるポリシーを続けました。まあ残ってくれるだろうという思いもありました。だから結果的に山梨県からは5人ぐらいしかとっていなかった。制度が始まると、その人たちが残っても他の人は皆帰るみたいなことが起こりはじめました。これは危機です。

 なので、私たちは推薦制度で山梨県の学生をできる限りとる地域枠を作りました。過去には山梨県で将来働くと約束してくる県外学生の推薦枠もありましたが、結局残ってくれないのでやめました。今は1学年125人のうち35人が地域枠、90人が一般入試です。35人確保しないと地域医療が崩壊する。いろいろ議論しましたが、医療崩壊を防ぐにはこれしかないと。

 90人の一般入試枠は研究者になったり海外に出て行ったり。日本のためになる医師を育てたい。その中から少しは山梨県に残ってほしいと思いますが、なかなか現れてくれません。もうトレンドだから。「残るとダサい」みたいな感じのようです。

島田眞路(しまだ・しんじ)
1977年東京大学医学部卒業。山梨医科大学(現山梨大学医学部)皮膚科学教室助教授、東京大学医学部附属病院分院皮膚科科長・助教授、山梨大学医学部附属病院病院長などを経て、2015年から山梨大学学長。現在、日本皮膚科学会理事長なども兼務。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597515
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「マイナー科志向、大学病院志向が強まる」、7割超◆Vol.8
「専門医の質向上、分かりやすくなる」の期待薄

医師調査 2018年5月13日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度については、さまざまな効果や影響が指摘されているが、代表的な8項目を挙げて、5段階で評価してもらった結果、「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計が最も多かったのは、「マイナー科志向が強まる」(73.9%)だった。以下、「大学病院志向が強まる」(72.1%)、「都市部志向が強まる」(67.0%)の3項目で、5割を超えた。

 そもそも新専門医制度の第一義的な目的は、「専門研修、専門医の質」の向上。しかし、「あまり当てはまらない」と「当てはまらない」は計42.8%で、「当てはまる」と「やや当てはまる」の計17.8%を大きく上回った。「国民にとって専門医制度が分かりやすくなる」「地域の医療の質向上につながる」も「当てはまらない」の回答が大勢を占めた。

Q1.新専門医制度の影響は?(n=276)
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【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男性217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.m3.com/news/general/603488
老年病内科を総合診療科に改組、医科歯科大 
大学 2018年5月18日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 東京医科歯科大学の吉澤靖之学長は5月17日の記者懇談会で、「大学運営の新しい取り組みについて」と題して、今年度の方針を説明。7月にも老年病内科を改組して、新たに「総合診療科」を立ち上げることを報告した。

 教授には7月1日付で三重大学医学部臨床医学系講座 家庭医療学・地域医療学の竹村洋典氏が着任する。新たに開始する総合診療専門医の研修プログラムでは、東京都内だけでなく、三重県や長野県の医療機関でも研修ができるようになる。老年病内科についても、総合診療科の一部分として継続する。

 大学病院には新たに「国際医療部」を設置。「受け入れ体制を整備することにより、診療の負担を軽減するとともに、外国人患者に安全安心な医療提供を整備する」と説明。メディカルツーリズムにも力を入れていく考えを示した。

 総合研究機構長先端医歯工学創成研究部門長の渡辺守氏(理事・副学長)は5月14日に開催された「創生医学コンソーシアム」キックオフシンポジウムを報告。「創生医学」は「真に有効な治療法となる『臓器創出』を視野に入れた新しい医学研究領域への展開」と説明。従来の再生医療の対象とされてきた臓器(心臓・神経等)と異なり、「本来再生能力が高い臓器(腸・肝臓・毛包)における重篤な組織・機能の再生不全に起因する難治性疾患の治療を目指す」としている。

 若手研究者育成にも力を入れ、「次世代若手研究者育成ユニット」(仮称)を新設する。



https://www.m3.com/news/general/603531
静岡大、浜松医科大再編へ 1法人2大学体制を検討 
2018年5月18日 (金) 静岡新聞

 静岡大(静岡市駿河区)と浜松医科大(浜松市東区)が両大学法人の統合を視野に大学再編の検討を始めていることが17日、関係者への取材で分かった。数年内に浜松医科大と静岡大浜松キャンパス(同市中区)の統合を核に新たな2大学に再編し、一体化した大学法人の下で2大学の連携を図る。両大学は今後、協議会を設置し、具体的な検討に入るとみられる。県内国立大の再編が進展することで、他大学へも影響を及ぼす可能性もある。

 関係者によると、現在検討されている構想では、国が検討中の国立大学法人法の改正などを受けて、両大学の国立大学法人を統合。浜松医科大と工学部、情報学部などがある静岡大浜松キャンパスで構成する浜松市の大学、人文社会学部、教育学部、理学部、農学部などがある静岡大静岡キャンパスを中心にした静岡市の大学の2大学に再編する。現在の2法人2大学体制から、1法人2大学体制への移行を目指す。

 地域的、機能的にも一体性のある2大学への再編により、経営資源を効率的に運用し、各大学の独自性を生かした機能強化につなげる考え。

 両大学はセンサーやレーザーなどの光技術を医療に生かす人材の育成を目指し、2018年度、共同大学院「光医工学共同専攻」を開設するなど、連携強化を進めていた。浜松の大学では、光医療や医工連携などの強みを生かす狙いもある。

 <メモ>少子化による地方大学などの経営難を見据え、文部科学省は大学間の連携・統合を促す制度変更や法改正の検討を進めている。現行の1法人1大学方式から、1法人で複数の大学運営が可能になる「アンブレラ方式」や、国公私大のグループ運営を可能にする新運営法人の導入などが議論されている。国の動向を捉えて大学再編の議論が全国で始まっていて、近隣では、国立の名古屋大と岐阜大が法人統合の検討を始めている。



http://mainichi.jp/articles/20180519/ddl/k44/040/298000c
当番医
「強制は違法」 40代医師、会の決議無効求める 地裁で第1回口頭弁論 津久見 /大分
 
毎日新聞2018年5月19日 地方版大分県

 夜間や休日に救急患者を受け入れる「当番医」を強制するのは違法だとして津久見市医師会所属の40代男性医師が、会の総会決議無効確認を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、大分地裁(鈴木和典裁判長)であった。【田畠広景】

 原告は、医師会の取り決めを「負担は極めて大きく、医師の診療行為の自由を侵害し違法で無効だ」と主張。医師会側は「無効になれば当番医制が実施できず津久見市の救急医療体制が崩壊する」と請求却下を求めた。

 また原告は「当番医を担当しなかったことで戒告にされており、さらに処分される可能性がある」などと訴えているが、当番医制度の必要性は認めており、7月には当番医に復帰する意思があるという。

 医師会側は「戒告などの懸念は懸念に過ぎない。また戒告に伴う不利益に関する規定もない」として取り決めの無効を確認する利益がないと主張。「月3、4回の当番医の負担が極めて大きいとはいえない」とした上で「原告は当番医を拒否しながら、佐伯市の救急医療を担当している」と指摘した。

 原告の医師は「当番医制度は必要だが、強制は行き過ぎだ。地域の皆様が安心して医療を受けられる体制にするには現状を追認せず、真剣に考えなくてはいけない」とのコメントを出した。

医師会「地域医療崩壊も」
 津久見市医師会には、市内の15医療機関の医師28人が在籍している。当番医は平日・土曜の午後5時~10時、日祝日の午前8時半~午後5時について、眼科などや70歳以上の医師らを除く9医院と市医師会立津久見中央病院で回している。しかし、都市部と比べて会員数は少なく「当番医を回すのが窮屈な状況」が続いているという。このため、医師会は2017年に「特段の事情がない限り受けなければならない」と規定を決議した。

 男性医師は16年から市医師会と制度の見直しを求めて協議していたが折り合えず、提訴に踏み切った。これに対し他の医療関係者からは「任意にして当番をしない医師が出てくれば、他の医師の負担が増え地域医療が崩壊しかねない」と懸念の声が上がる。市医師会は「裁判の中で解決策を見つけていくしかない」と話している。【田畠広景】



https://www.m3.com/news/iryoishin/603622
シリーズ 真価問われる専門医改革
消化器内視鏡専門医、日本専門医機構認定のサブスペに
役員改選期迎える、6月末の社員総会で決定
 
レポート 2018年5月18日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は5月18日の理事会で、消化器内視鏡専門医を同機構が認定するサブスペシャルティとすることを承認した。消化器内視鏡専門医の基本領域は、内科、外科、救急科、臨床検査科、小児科、放射線科の6領域。2018年2月末現在の同専門医数は、1万8520人。既に内科13領域、外科6領域、放射線科2のサブスペシャルティが決まっているが、いずれも基本領域は単独であり、複数の領域にまたがるサブスペシャルティは初めて。

 日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医についても、次回の理事会で承認する見通し。その他、産婦人科2領域、整形外科3領域のサブスペシャルティ申請の準備も進められている。18日の理事会後の記者会見で公表された。

 日本専門医機構の役員改選をこの6月に行う。その「役員選任規定」も18日の理事会で了承した。前回の2016年6月の選任時と同様に、「役員候補者選考委員会」を設置、理事候補者(25人以内)を選出する。最終的には6月29日に予定されている同機構の社員総会での決議を経て、理事を選任する(前回の選任は、『日本専門医機構、24人の新理事決定、医学会連合枠は1人未定』を参照)。「役員候補者選考委員会」は、同機構設立時社員等(日本医学会連合、日本医師会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会)の4団体推薦が各1人、内科系社員学会推薦3人、外科系社員学会推薦3人の計10人で構成する。

 5都府県、14基本領域のシーリングも再検討
 理事会では、2019年度開始の専門研修の専攻医募集のシーリングについても議論。2018年度の専攻医の採用数は、5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14の基本領域については、「過去5年間の専攻医の採用実績を超えない」という上限(シーリング)が設定された。

 日本専門医機構構副理事長の山下英俊氏は、「必要なことについては見直していく」と説明した。2018年度研修開始の専攻医登録に関する各種データを集め、シーリングの対象となる都道府県と基本領域、シーリングの方法を検証する方針。「どんな方法で専攻医を募集するのか、改変するのか、今回の方法を踏襲するのか、いろいろなアイデアが出ているが、現時点ではまだ煮詰まっていない。まずはエビデンスを集め、何が起きたのか、問題は何かを調べ、検討する」(山下副理事長)。同機構副理事長の松原謙二氏は、「おおむね今回はうまくいった」とし、シーリングの在り方については「1カ月以内には結論を出したい」との見通しを述べた。

 同機構は「専攻医の東京集中」という指摘に対し、東京都の基幹施設から他道府県に派遣する専攻医数についてのデータは既に公表済み(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』を参照)。4府県および基本領域別にも同様の分析などを実施する予定。松原副理事長は、「内科は全体と同じ動き」と説明。外科については詳細を紹介、東京都の専攻医は177人で、うち111人は初期臨床研修も東京都だった。初期臨床研修が他道府県だったのは、北海道5人、埼玉県9人、千葉県14人、神奈川県5人、静岡県7人などで、「全体の傾向とあまり変わりがなかった」(松原副理事長)。

 そのほか今後増加する医学部の「地域枠」の卒業生の扱いについて、各都道府県に配慮を求める文書を送付することも決定した。「地域枠卒業、奨学金の供与や貸与を受けているなど、義務年限を果たす必要がある専攻医については、地域で育成しながら、医師の定着を図る努力をしてもらいたい」(山下副理事長)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597531
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
内科専門医、「取得が厳しくなった」◆Vol.9
「内科を選ぶのに勇気」「ローテは負担、マイナー科に転向」
 
医師調査 2018年5月20日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 「マイナー科志向が高まる」とされる中、その原因を探るため、内科専門医の在り方を質問した結果、「取得要件が厳しくなった」が22.7%、「サブスペシャルティにすぐに進めず、総合内科の研修が必要となった」(20.3%)との回答が2割を超えた(複数回答)。「一人前になるのに、時間がかかる」も、18.7%。内科専門医には、13のサブスペシャルティがあり、連動研修も認められている。ただし、従来は1年で認定内科医の資格を取得した後に、サブスペシャルティの研修に進めただけに、内科専門医取得のハードルが高くなったと受け取られていると見られる。

 自由意見では、「プログラムの詳細が決まらず、内科も考えていた同期が転科して行く中で、内科を選ぶのはかなり勇気が要った。しかし、内科にはそれを上回る魅力がある」とポジティブに捉える意見もあったが、「研修ローテートの負担がかなり大きく、マイナー科に転向した」などネガティブな意見が目立った。女性医師からは、「内科志望だったが、専門領域で働く前にまた研修医のローテートのような期間が生まれ、正直将来の結婚出産を考えると無駄な時間だと思い、マイナー外科へ進むことを決めた」との意見も寄せられた。

Q1.内科専門医への影響は?(n=276、複数回答)
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◆内科専門研修について自由意見
・プログラムの詳細が決まらず、内科も考えていた同期が転科して行く中で、内科を選ぶのはかなり勇気が要りました。しかし、内科にはそれを上回る魅力がありますし、パイオニアとして我々の意見を今後の改善に反映してもらいやすいのではないかと考えることにしました。
 今回のプログラム改正は、総合診療できる内科医師を増やすことを目的とされています。総合診療は症候学を中心としており、詳細な問診や限られた検査から鑑別を挙げる訓練が必要と考えます。また、大きな病床を持たない病院では、外来業務が大部分を占めると思いますので、外来で研修する時間も必要と考えます。
 ですから、初期研修と同じように入院業務をする期間を長くしただけでは、決して修得できないと思います。 また、もっと総合診療の専門性が認められるべきではないかとも考えます。4月からのローテでは、外来業務や検査にも顔を出して臨床力を高めていきたいと思います。

・専門性をより求めている研修医の場合、内科ローテはただのお客様状態であり、初期研修の延長でしかない。各科の先生にとってもお客様を指導するのは時間の無駄であり、何の生産性も生まれない。各科ローテは選択制にすべきであり、そして3年という研修期間も長すぎる。

・内科志望だったが、研修ローテートの負担がかなり大きく、マイナー科に転向した。初期研修で2カ月ずつそれぞれの内科を回っているのに、さらに後期でも研修するのは、負担がかなり大きく、結婚や子育てを考えている自分にとっては、科の転向が有意義な選択となった。

・女性医師です。学生の頃から内科を志望していました。しかし専門領域で働く前にまた研修医のローテートのような期間が生まれ、正直将来の結婚出産を考えると無駄な時間だと思い、マイナー外科へ進むことを決めました。

・研修医のスーパーローテと同じ。内科系は雑用係が常にローテして来てくれて、都合がいいのかもしれないけど、医療の質は上がらないと思う。日本の医療の問題はそこじゃない。

・内科専門医の敷居が高く、マイナー科へ流れた人をちらほら聞きます。内科専門医と総合内科が別にしてある点もいまいちよく分かりません。

【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



  1. 2018/05/20(日) 06:49:32|
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5月13日 

https://news.careerconnection.jp/?p=53795
深刻な地方の医師不足、年収2200万円でも採用できず 青森県深浦町 
2018.5.9 キャリコネ編集部

地方における医師不足が深刻だ。青森県深浦町が年収2200万円で医師を募集していたにも関わらず、結局採用できなかったことが5月8日までにわかった。

深浦町の人口は男性3972人、女性4449人の計8421人(2018年2月末)。同町には現在、町営の診療所が2つある。唯一残っていた民間の診療所は2017年3月に閉院した。

町営の診療所には、2013年まで3人の医師がいた。しかしそのうちの2人が退職したため、同町は医師を追加で募集していた。

医師の偏在が深刻に

待遇は悪くない。年収2200万円で住宅完備、光熱水費・通信費も無料。学会や研修参加のための旅費も町が負担するというものだった。しかしそれでも新しい医師の採用には至らなかったという。診療所の担当者は、次のように話す。

「公募と紹介の双方で医師を探しており、何人かの応募もありました。しかし希望よりも年収が少なかったり、家庭内の事情があったりと折り合いがつきませんでした。そこで元々診療所に勤めていた76歳の医師に戻ってきてもらうことになりました」

ひとまず医師を1人確保できた形だが、いずれまた医師不足に陥ることが目に見えている。同担当者は、「1町村単独で医師を確保するのは難しく、地域の枠組みの中で医師を派遣してもらいたいと思っています」という。

深浦町は、五所川原市やつがる市、鰺ヶ沢(あじがさわ)町など2市4町で構成する「つがる西北五広域連合」に加わっている。市町村が連携して行政運営にあたるための枠組みだ。

同連合では、つがる総合病院(青森県五所川原市)を中核病院とした地域医療連携に取り組んでいる。普段は地元の診療所で受診するが、必要があれば、つがる総合病院やさらには弘前大学附属病院等に紹介するというものだ。この連携の中に同町の診療所を組み込み、医師の派遣を求めていくという。

人口10万人に対する医師の数は全国平均240.1人、青森県では198人

近年、医師の偏在が問題になっている。厚生労働省が発表した「医師・歯科医師・薬剤師の概況」(2016年)によると、人口10万人に対する医師の数は全国平均で240.1人。東京都や西日本の各府県には平均を上回る医師がいる一方で、青森県は10万人当たり198人と全国平均を大きく下回っている。岩手・茨城・埼玉・新潟なども平均以下だ。

医師がいない、医療機関へのアクセスが難しいという地域は少なくない。山梨県鳴沢村は2017年10月まで診療所も病院もない「無医村」だった。同村が6000万円の補助金を出したことでやっと医師が1人移住を決めたという。



https://mainichi.jp/articles/20180512/ddl/k07/010/182000c
南相馬市
開業医募集 小児など4科対象 最大5000万円補助 /福島
 
毎日新聞2018年5月12日 地方版

 南相馬市は、市内で不足している小児科、産科、耳鼻咽喉(いんこう)科、泌尿器科の診療所を開業する医師を募集する。募集期間は6月15日~8月31日で、開業資金を最大5000万円補助する。

 相双地区は震災以前から、人口当たりの医師数が全国平均を大きく下回る医療過疎地。医師不足や一部の診療科の不足が住民帰還を阻害する要因となっている。市内の開業医は現在、小児科はゼロ、産科、耳鼻咽喉科、泌尿器科もそれぞれ1軒だけだ。

 市は2016年度、小児科などの診療科が開業する場合、工事費や備品購入費の半額を補助する事業を始め、16年度は整形外科1軒が開業した。17年度は子育て世代の帰還に直結する産科と小児科だけを募集したが、応募はなかった。このため今年度は4科に対象を拡大した。

 相馬郡医師会への加入や、10年以上の事業継続などが条件となる。問い合わせは市健康づくり課(0244・24・5336)。【高橋隆輔】



http://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2018/05/180508-35207.php
医師の大都市集中打開を 地域医療を守る病院協が要望一覧へ 
2018.05.08 農業協同組合新聞

 地域医療を守る病院協議会(五病協、議長・雨宮勇厚生連会長)は4月27日、日本専門医機構に対して「新専門医制度に関する要望書」を提出した。

 今年4月から総合診療領域を加えた新専門医制度が新たに始まった。新制度ではこれまで18領域あった専門医に加えて、
基本領域の専門医となる「総合診療専門医」が19番目として創設された。
 厚生労働省の定義によると、総合診療専門医とは「それぞれの診療領域で十分な知識と経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師である」とされている。そして、その総合的な能力により、特に地域での医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮し、多様な医療サービスを提供できる医師としての役割が期待されている。
 しかし、制度の中心を担い、専門医を養成する日本専門医機構(吉村博邦理事長)によれば、新制度の下で4月1日付けで19領域8378名の専攻医が採用されたが、そのうち「総合診療専門医」として採用・登録されたのは全体の約2.2%の184名に過ぎない。しかも、従来の18領域でも東京などの大都市に集中し、診療科によっては、登録数がゼロ、もしくは1名か2名程度の道県が多数存在している。
 地域を守る病院協議会は、こうした医師の大都市集中の現状打開とその是正を求めて、機構に対して要望書を提出したもの。協議会は厚生連をはじめ、全国自治体病院協議会、全国国民健康保険診療施設協議会、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会で組織され、要望書は各会長名で出された。
 協議会では、都道府県別の人口比に対する専門医の応募登録者数などを独自に調べた。それによると、東京の人口は日本の人口の10.6%だが、専門医の登録数は全体の21.5%と人口比率を大きく上回っている。また診療科によっては異なるが、内科や外科、小児科など主要な診療科では19%から30%程度となっており、協議会はこの数字を「集中と言わざるを得ない」と指摘し、是正を求めている。
 そして、このまま現状を放置すれば、現在も問題となっている「地域偏在と診療科偏在」がますます拡大するだけではなく、地方の基幹病院や大学病院においても医師不足によって「立ちいかなくなる」との危惧感を示した。協議会はその上で、機構の中に新設される「総合診療専門医に関する運営委員会」での議論深化と課題解決に向けた協議の加速化を求めている。
 協議会は機構の組織運営のあり方についても触れ、特に機構のホームページにおいて、(1)新制度についての情報発信不足、(2)専門医の応募状況や理事会などの動きが適時適正に情報提供されていない、(3)機構の中で決定されたことの経緯が不透明だとして、その改善を強く求めた。



https://news.careerconnection.jp/?p=53625
年収1000万超えも割に合わない勤務医の日常「ほぼ24時間拘束」「休みは一年間で2週間もない」 
2018.5.6 キャリコネ編集部

これまでキャリコネニュースでは様々な有名企業で働く人の口コミを紹介してきたが、当記事では、キャリコネに寄せられた勤務医たちの口コミを紹介したい。

長時間労働は当然で、6割が過労死の危機とも言われる勤務医たちの世界にも、働き方改革が及んでいる。政府が昨年3月にまとめた「働き方改革実行計画」を受け、厚労省は同8月、医師の働き方改革に関する検討会を設置。今年1月には看護師など他職種への業務移管の徹底などを盛り込んだ、緊急対策案を示した。

「100時間残業しても給料に全ては反映されない。働いている時間や責任を考えると不満はある」

厚生労働省によると、医師の時間外労働の理由のトップは緊急対応だという。口コミでも「24時間365日拘束状態であり、自分の時間が全くもてず、とうとう体調に変調をきたすようになりやむなく退職した」(医師・歯科医師・獣医 30代後半男性 1150万円)といった声はやはり多かった。

「労働時間の長さ。休みのなさ。休みは一年間で2週間もない。権利意識の高い患者が増えている。夜中にきて、医者を出せと怒鳴る患者。医療費が高いと文句をいう患者。病状説明を行うように医師に要求する患者。外科系であるので、肉体的、精神的ストレスがともにある」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 732万円)

「外来患者数が多く、入院も多いため夜遅くなってしまうことが多く、睡眠時間の確保が大変です。医師数がさほど多くないため週末2日休めるということは少ないです。また、急変などの場合には休み・深夜問わず駆けつける必要がある」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 600万円)

「残業は100時間にもおよびますが、給料には全ては反映されず、常に呼び出されても病院にかけつけられるように旅行にもいけません。当直後には普通に勤務があるので何十時間も寝ないこともあります。実質働いている時間や責任の重さを考えるとやはり不満はあります」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 1560万円)

年収1000万超えの投稿者も多いが、「現在の報酬は安いとは言えないが決して高くはない。ほとんど24時間拘束状態。給与は年功序列なので若手が激務の割に恵まれていない」(医師・歯科医師・獣医 30代後半男性 1150万円)など、労働環境や責任の重さを鑑みると、むやみに高給とも言い切れない。

また、一括りに医師といっても勤務形態や科、病院などによって処遇には大きな差がある。「研修医の給与は安いです。月4回の当直の手当てを合わせても手取りで27万位です。当直の場合は徹夜で救急外来を診ても翌日普通に仕事で診察です。遅いとその日の夜十時まで帰れません」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 330万円)と、見習い時代は特に大変そうだ。

「常勤と非常勤では圧倒的に時間対給料で不公平感がある。常勤医は受け持ち患者を持ち、それに対して24時間責任を持つ体制であるため、夜中においても呼び出されることはしばしばである。にもかかわらず基本給は60万程度と抑えられている。一方非常勤医は外来の定時診療で一日だけでも7-8万程度の給料が出ており、単純換算10日程度出勤すれば常勤医と同等で、時間外勤務もほとんどない状況になる」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 1160万円)

「報酬については、基本給は40万程度であり、時間外勤務が部門にもよりますが、自分の部署では月80時間程度で、トータル年収900万程でした。派遣社員にはボーナスはありませんが、都内の他の病院と比べると、恵まれている方だと思います。ただ、時間外手当が青天井でないことなど、個人的にはもう少し報酬は上がってよいかとも思いますが…」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 900万円)

「やりがいがないと続けられない仕事」「24時間オンコールの科だと育児との両立はきつい」

医師の働き方改革では、女性医師が出産や子育てをしやすい環境の整備も求められている。高給バイトに事欠かず常にポジションは確保されているという指摘や、保育所の整備やワークシェアによって外来勤務なら両立例もあるという話もある一方、育児などとの両立は厳しい内容が目立った。

「基本的に育児休暇が1年取れますが、医師の場合はまず取っている人はいませんでした。だいたい産休明けに働き始める女医さんが多かったです」(医師・歯科医師・獣医 30代後半女性 1100万円)
「レジデントいう立場だと産休も、育休もとれませんでした。労働環境としては決していいものではありません。中には24時間オンコールの科もあるので、そういう所だと育児しながらはきついと思います」(医師・歯科医師・獣医 20代後半女性 600万円)

ただ、「ひとりとして同じ患者様はいなくて、その人にあった方法で命を救うことで大きなやりがいを感じます。同時に感謝されることで精神的にも充実すると思います。逆にこのやりがいがないとこの職業は続けられないのではないかと思います」(医師・歯科医師・獣医 20代後半男性 1560万円)というように、多くの医師がやりがいを持っているのも事実だ。

「仕事の面白みは、高度な医療技術を常に身につけ、さらなる改善を模索できるということ。人を救うための技術に日々磨きをかけていくことには特に面白みを感じる」(医師・歯科医師・獣医 30代前半男性 1160万円)

医療サービスの低下を覚悟で診療体制を見直しても、患者や家族の事情が壁になる例もある。たとえ病院が医師を増やし対応しても、病院経営が医療保険制度の上に成り立つ以上、コスト増は保険料を払う国民に跳ね返る。安心できる医療体制と医師の働き方改革は両立できるのか、今後の動向にも注視したい。



http://www.chunichi.co.jp/article/feature/iryou/list/CK2018050602000231.html
「働き方」 揺れる医療現場 地域の病院支える長時間労働 
2018年5月6日 中日新聞

「患者を放っておけない」
 安倍政権の「働き方改革関連法案」が、中部の主要病院に波紋を広げていることが、本紙のアンケートで明らかになった。成立すれば、医師の残業は制限されるが、多くの病院は必要な医師を確保できるか、見通せないでいる。各病院は、救急患者受け入れなどで地域医療を支えるが、長時間労働に頼っているのが現実。識者は医師の労働環境改善の必要性を唱えるが、病院側からは「地域医療が崩壊する恐れがある」といった困惑の声が聞かれる。(安田功)

■義務
 法案が成立すれば、医師の時間外勤務は原則として、月四十五時間に規制される。現行では、労使協定(三六協定)を結べば、医師の時間外勤務は事実上、制限はない。月百時間を超す協定を結ぶ病院もあるが、それさえも守られないケースがある。

 名古屋市立東部医療センターは月百五十時間を上限としていたが、これを超えて医師四人を働かせていたとして、昨年十一月、労働基準監督署から是正勧告を受けた。このうち一人の時間外勤務は、最大で月百七十八時間に達していた。

 医師法が、医師に原則、診療を拒否できない「応召義務」を課している上、職業倫理から「患者を放っておけない」と考える医師が多いことも、長時間労働の背景とされている。働き方改革に関連し、厚生労働省内では、応召義務のあり方の議論も始まっている。

■制限
 既に医療体制の見直しに着手した病院もある。

 諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)は昨年十二月から、急患などを除き、医師が患者に対し、手術や病状の説明をするのは原則、平日午前八時半~午後五時に限る方針を打ち出した。案内文を院内に掲示している。

 以前は急を要さない場合でも、患者の都合を優先し、医師が非番の日に出勤して、説明することがあったという。病院の担当者は「地域医療を守るため、一定の基準を示し、患者や家族の理解を得たい」と話す。

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は、現場での医師の指示なしに、一定の医療行為ができる「特定看護師」制度を活用。十七人が動脈採血や人工呼吸器の操作、エコー検査などを担当する。

 守瀬善一副院長(55)は「病棟に行くなどの作業が減り、医師の負担軽減に役立っている」と説明。増員を図りたい考えだが、看護師が資格を得るために大学院で二年間学ぶ際、無給になることが難点という。名古屋市立大病院では医学部の学生らが心電図移動や患者の家族対応などで、救急の医師を補助する取り組みを始めた。

■本音
 ただ、大半の病院は具体的な対策を打ち出せていない。制度改革に乗り出した政府への恨み節も漏れる。

 岐阜県内のある病院の担当者は、医師法の応召義務に触れ、「昼夜を問わず患者への対応が求められているのに、長時間労働の是正は困難」と明かす。

 中山間地域では既に医師不足が深刻。ある病院担当者は「都市部に医師が集中しており、十分な交代勤務ができる体制がない」と嘆く。愛知県内の病院幹部は「国から改革を押しつけられ、どこの病院も困っている。このままでは地域医療が崩壊しかねない」と心配している。

医師増員が不可欠
 医師の労働問題に詳しい松丸正弁護士の話 過労死ラインを超える時間外労働(月八十時間)は医師の心身の健康を損ね、大きな問題だ。医師も他の職種と同様、労働者であることを病院も認識するべきだ。医師の労働時間削減と現在のサービス維持を両立するために、必要な地域に医師の増員を図ることが不可欠。国は緊迫感を持って対策を進めるべきだ。



http://www.medwatch.jp/?p=20478
医学部教育における「臨床実習」が年々充実、3000時間近い医学部も―医学部長病院長会議  
2018年5月10日|医療現場から MedWatch

 医学部の教育カリキュラムについて経年比較を行うと、「臨床実習」の充実が著しく、2017年度には3000時間近い臨床実習を行っている医学部が14大学もある。もっとも1500時間未満しか実施していない医学部が5つあり、さらなる充実が期待される―。

 全国医学部長病院長会議は5月9日に記者会見を行い、こういった状況を明らかにしました。

 なお、2020・21年度の医学部入学定員について、大学側や受験者の不安を払拭するために、全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)が文部科学省・厚生労働省に対し「早急に指針を示してほしい」との要望を同日に行っています。

ここがポイント!
1  医学教育の改革進む、臨床実習の充実に向け「県・医師会・大学」の連携も重要
2  2022年度以降の医学部入学定員、地域枠の在り方などは各大学の特性・意見を踏まえよ

医学教育の改革進む、臨床実習の充実に向け「県・医師会・大学」の連携も重要

 日本国憲法第23条は「学問の自由」を保障しており、各大学では自由に教育課程を構築することが可能です。一方、大学医学部は「生命・健康を守る医師」を養成する機関でもあり、質の確保と言う観点で、全く自由に教育課程を構築することは好ましくありません。

 両者のバランスをとる観点で、全国医学部長病院長会議では、1975年から各大学医学部の教育課程を調査(2年に一度)し、それを比較分析することで、「各大学の教育内容のブラッシュアップ」を行っています。

 また、より優れた医師の養成を目指し、医学教育全体の改革(例えば5年生からの臨床実習開始前に学生の能力をチェックする共用試験(CBT、OSCE)の導入など)が行われるとともに、国際水準の医学教育を確保するための体制構築(米国での医師申請資格を確保するために、JACME(日本医学教育評価機構)の組織・WFME(世界医学教育連盟)からの認証)も進められています。後者は、WFMEが認証した各国の評価機関(日本ではJACME)が認定した大学医学部の修了者でなければ、米国で医師資格を取得できないという仕組みにで、JACMEはWFMEから2017年3月に認証を受けています。

 医学教育の改革は、▼学部卒業までに修得しなければならない実践的診療能力を明確化したモデル・コア・カリキュラムの制定・改訂▼5年生からの臨床実習開始前の共用試験(知識習得状況をみるCBT、臨床能力を評価するOSCE)の導入▼学生が実施できる「医行為」の明確化―といった学部教育改革のほか、初期臨床研修制度の必修化、専門医制度改革などからなり、21世紀に入ってから急速に進んでいます。
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全国医学部長病院長会議 会見 180509の図表
 
 全国医学部長病院長会議では、こうした改革が、どの程度、現場医学部で実施されているのかを2年に一度調べ、各大学にフィードバック。その調査分析結果をもとに、各大学で自主的な教育課程改革が進め、全体として継続した教育水準の向上が図られています。

実際の調査分析を行っている全国医学部長病院長会議カリキュラムワーキンググループの奈良信雄座長(順天堂大学客員教授)は、2014年度に15医学部、15年度に20医学部、16年度に32医学部、17年度に14医学部の合計69医学部でカリキュラム改訂が行われ、他医学部でも近く改訂が行われることを明らかにしています。

また、具体的な改革内容を見ると、2017年度までに▼6年間を通じて教養を高め、基礎と臨床の連携を強化する「統合型・学習成果基盤型」教育が76医学部で▼学部の1年生からの医療体験実習は66医学部で▼学部の1年生からの「医師としてのプロフェッショナリズム教育」は26医学部で▼PBL(問題解決学習法)は71医学部で▼TBL(チーム基盤型学習法)は48医学部で―それぞれ導入されています。

さらに、臨床医においても研究能力を高めることが求められる中で、研修室への学生配属状況を見ると、▼65医学部で全員配属▼6医学部で希望者配属―を実施。学部生に対する海外実習の実施状況は、基礎医学については平均8.1週(約2か月)、臨床医学については平均6.8週(約1か月半)となっており、中には、基礎21週(約5か月)、臨床28週(約7か月)という長期間の海外実習を実施している医学部もあります。

奈良座長は「臨床実習の充実」に特に注目。年々、臨床実習時間が各医学部で長くなっており、2017年度には平均で2174.1時間、その内訳は▼2750-3000時間:14医学部▼2500-2750時間:6医学部▼2250-2500時間:9医学部▼2000-2250時間:18医学部▼1750-2000時間:16医学部▼1500-1750時間:12医学部▼1500時間未満:5医学部―という状況です。学部生の間に充実した「臨床実習」を受けることで、医師免許取得後の初期臨床研修で、より充実した臨床研修を受け(積極的に診療に携われる)、その後の後期臨床研修(専門医研修)も充実すると期待され、さらなる「臨床実習の充実」に期待が集まります。

学部における臨床実習を行う場として「大学病院」がまず頭に浮かびますが、多様な症例に接するためには、学外の医療機関等での実習も重要です。この点に関連して新井会長は、「各大学で地域医療の素晴らしさを学生に肌で感じてもらうために、学外の実習も充実してきている。ただし、実習先については、地域医師会や卒業生(OB)に協力を仰ぐなど、教育担当教官が苦労している。少なくとも『1県1大学』の地域では、県・医師会・大学が連携して実習先を確保できるような体制を構築することが、医師偏在の解消にもつながっていくのではないか。日本医師会も、この点、前向きに考えてくれている」旨をコメントしています(関連記事はこちら)。
 
 なお、医学教育にはさらなる改善の余地があり、奈良座長は私見も交えながら、▼アウトカム基盤型教育(期待される医師の能力から遡って、教育内容を考える)の充実▼統合型教育(基礎と臨床、基礎間、臨床間での連携)の充実(上述のように多くの医学部で導入されているが、一部のみで実施という医学部も少なくない)▼診療参加型臨床実習の充実▼学部生の自己学習力の強化(医学教育が広範となり、教官がすべてを教授することは難しくなってきている)▼教育プログラムの定期的な評価―などを今後、さらに進めていくべきとの考えを示しています。
 
2022年度以降の医学部入学定員、地域枠の在り方などは各大学の特性・意見を踏まえよ

 ところで、医学部の入学定員設定に関する議論が、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」で進んでいます。

 2019年度までの医学入学定員は決定していますが、2020年度以降には「医師不足が特に深刻な青森県などの定員増をどのよう扱うか」などの問題が解決していないのです。2020年度の大学医学部受験者の多くは現在、高等学校2年生であり、早期に入学定員が固まらなければ、進路決定が困難になります。また大学側も「どの程度の学生を受け入れる体制を整えればよいのか」を早期に決めておく必要があります。

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当面の医学部入学定員
 
新井会長は「本来であれば、今年(2018年)初めに定員数の考え方を示しておくべきだった」とし、文科省と厚労省に宛て「2020年度・21年度の医師養成数の方針が医師需給分科会等でまとめられた後、速やかに政府方針として示してほしい」と強く要望しました。医師需給分科会等では「5月にも意見をまとめ、夏には方針を固める」考えです(関連記事はこちら)。
また、2022年度以降の定員については、▼拙速な決定は差し控えてほしい(医師の働き方改革などを踏まえて検討する必要がある)▼一律に「地域枠を恒久定員に盛り込む」ようなことは避けてほしい(各大学が判断すべき事項である)▼地域枠設定などの際には、財政支援などの必要な環境整備してほしい―との要請も併せて行っています。

医師需給分科会では、「将来、医師の必要数を供給数が上回るため、養成数を削減する」方向が概ね固められており、一方、地域医療を確保するために「現在、臨時定員増の中に設定されている地域枠を恒久定員に盛り込むべき」との方向も固まりつつあります(関連記事はこちら)。この点、新井会長は、「一律に地域枠を全大学医学部に設ける」ことは乱暴であり、大学ごとの特性・希望を踏まえるべきと求めています。



https://www.asahi.com/articles/ASL5C42FFL5CUBQU00H.html
順大新病院の整備計画に遅れ 地域医療構想に影  
増田愛子、長谷川陽子2018年5月11日17時00分 朝日新聞

 埼玉県がさいたま市内に誘致する順天堂大医学部付属の新病院整備計画の遅れが、地域の医療提供体制の将来を巡る議論にも影響を及ぼしている。2017年度、同市域の医療構想を話し合う会議を、同大の法人は新病院の概要が未定として欠席。関係者からは、困惑といらだちの声も上がる。

 「順大新病院の医療機能がはっきりしないと、議論できない」「県が順大を指導してほしい」。3月、さいたま市地域医療構想調整会議で、救急医療などを担う市内の病院長や医師会長から意見が相次いだ。

 会議は、団塊世代が75歳以上となる25年に必要な病床数や医療機関の役割をまとめた「県地域医療構想」の実現に向け、地域の医療関係者が協議する場。国は、新規整備予定の医療機関にも出席を求めている。だが17年度、同市全域にあたる、さいたま保健医療圏で4回開いた会議を、学校法人順天堂は全て欠席。朝日新聞の取材に対し「医師の出席を求められているが、まだ新病院の院長候補者が決まっていない」と欠席理由を説明する。

 構想の推計では、25年に同圏で必要な病床数は7664床で、15年度に比べ約660床不足する見通し。医療機能別に見ると救急対応の「高度急性期」や「急性期」よりも、リハビリの提供などを行う「回復期」が約2千床の大幅な不足を見込むなど、増床と共にこれらの再編も課題となる。

 一般的に大学病院は高度急性期や急性期の医療を担うため、800床を計画する順大の新病院は、将来の機能再編に向けて「大きな影響要因」(市地域医療課)。県保健医療部の三田一夫参与は、「まず既存病院で話を進めて頂き、新病院の基本計画が出た段階で整合性を取っていかなければいけない」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/602145
「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
ふつうの内科医が目指す“総合内科的医療”の普及
“うちじゃないと言わない”“それ本当?”を大事に
 
JCHO星ヶ丘医療センター総合診療部 医長 小嶌 祐介
オピニオン 2018年5月11日 (金)配信

小嶌 祐介 Yusuke Kojima
【略歴】奈良県出身。2005年滋賀医科大学医学部卒業後、医仁会武田総合病院初期研修医・消化器内科後期研修修了を経て、2012年から洛和会丸太町病院総合診療科で医員として勤務し、2016年から現職。
 所属学会・取得資格は日本内科学会認定内科医、同学会総合内科専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医、同プライマリ・ケア認定医。

 私は大阪府枚方市にある星ヶ丘医療センター総合内科に勤務しています。急性期とリハビリ病床を合わせて580床の総合病院です。当科では複数の問題を抱える高齢者や主訴が特定の専門科に該当しにくい初診、診断のつかないケース、救急受診、院内からのコンサルテーションへの対応などを担当しています。よく言われることですが患者さんが診断名をぶら下げてやってくるわけではありませんので、結果として多様な疾患を初期対応から診断まで担当し、続いて院内他科への紹介、大学病院への紹介、場合によっては当科で治療を提供することになります。

 現在医師数は7人、入院患者数は平均して20人前後です。疾患名として誤嚥性肺炎や尿路感染が多いことは当然ですが、いわゆるサブスペシャルティでいうところの内分泌疾患や血液疾患、感染症、膠原病、神経疾患などを診療する機会もあります。総合病院といっても専門科のない領域も多く、なるべく院内の隙間を埋めるよう努力しています。一方で肺炎以外の呼吸器疾患や典型的症状で発症する脳梗塞、稀な神経変性疾患、手技的治療の対象となるような消化器および循環器疾患は院内の専門科にお任せすることが多くなっています。もう少し救急や集中治療の領域での仕事が増えることが当面の目標です。

 私がここに就職したのは2年前になりますが特別な経緯はなく、どこかと比較して選んだわけでもなく、単に自宅から通勤できる範囲にある「総合内科」だったからです。前職では上田剛士先生で有名な丸太町病院の総合診療科にいましたが、家庭の都合で転居したため通勤できなくなり、不本意ながら転勤を選びました。有名どころに所属してはいましたが私自身はふつうの内科医であり、総合内科を指揮するつもりも特になく、求められるものに応じて臨機応変に働くことを想定していました。

 星ヶ丘の総合内科は数年前から存在はしていたものの、スタッフ・症例・教育・院内での認識などすべてが不足していて、そのままでは潰れてしまいそうな状態でした。当時は徳田安春先生がJCHOの顧問だったのでときどき教育回診に来られていましたが、院内や地域に告知をしても若手医師は集まらず、熱心な学生が徳田先生目当てでイベントには参加するものの当院自体は研修先に選ばれないままでした。日常の業務においては専門科の狭間に埋没して魅力がない、ということが気の利いた若者にはお見通しだったのかもしれません。

 それでもJCHOと病院の上層部は地域の需要に応じるために総合内科を維持発展させるという意向を示していました。そこで私は総合内科の人員と仕事を増やすことを目標に、まずは自分の知る総合内科らしさを実行することにしました。丸太町病院の真似事ではありますが、少ないスタッフと一緒に回診をして病歴を聴取し身体診察を行い、検査の前に鑑別を挙げて無駄な検査を減らし、夕方には集まってカルテの確認をして、すべてのプロブレムを挙げて、治療には根拠を求め、基本的な知識について教育を提供し、ネットに掲示板を作って参考資料を共有し、製薬会社からの情報提供は受けず、常に英語情報を参照するという態度を見せ、勉強会で症例提示をして院外にも発信しました。最近では多くの病院で同様の実践がなされているようなので、「総合内科はじめました」と言うためには、ここがスタート地点なのだろうと思います。

“うちじゃないと言わない”“それ本当?”を大事に

 総合内科やこういう仕事をしている自分が生き残るために、私は“うちじゃないと言わない”受容的態度と“それ本当?”という批判的精神、この二つの要素を大事にしています。いずれも尊敬する二人の先輩医師からそれぞれ聞いた言葉です。前者については、専門科の隙間で自分の仕事を確保するために取るべき態度です。ふつうの内科医であって特定の専門分野を持たない私には“うち”という領域がないので、“うちじゃない”と言うと仕事が無くなるからです。

 念のために申し上げますが、専門分野に特化して診療している医師を批判する意図はまったくありません。正確に言うと、個人的には外傷と小児と産婦人科は診られないので、すべての初期対応に“うちじゃないと言わない”わけではないし、内科疾患を診断したとしても自分たちで治療を提供してよいかどうかは常に慎重に判断しているので、最終的には“うちじゃないと言っている”場合もあることになります。そのような留保のある受容的態度ではありますが、結果として院内や地域からのいろいろな需要に応じている(と思う)し、無用な軋轢や衝突を未然に防いでいる(かもしれない)し、一人の患者さんに複数の問題があるときに、そのうち一つだけではなく、多くをまとめて扱うことができます。多様な診療機会によって研修医を教育することもできます。もう一つ重要なことですが、そのような態度で得られる経験と知識の蓄積こそが、将来も“うちじゃないと言わない”自分を育てているのであって、他の方法はないと思います。

 二つ目の“それ本当?”という批判的精神は、診断や治療の妥当性を常に吟味するために持ち合わせるべき心構えです。ある診断や治療について“それ本当?”と聞かれたら、

・どんな患者さんに(P)
・どのような検査あるいは治療を実施したら(I)
・しない場合あるいは別の手段を実施した場合と比較して(C)
・何がどうなる?(O)

と聞かれていることになります。文脈としておかしいことを言ってるかもしれませんが、そういうことなのです。「誰かが言っていた」とか「前の病院ではそうしていた」では答えになりません。周囲に倣って行っている医療が実は無意味であったりコストが高いだけだったり根拠がいつの間にか覆されていたり、場合によっては有害だったりすることはしばしばあります。
 高齢の患者さんは複数のプロブレムが相互に影響していることも多く、知識が充実したとしても適用する文脈が一致しないこともあります。正しい意思決定を自立して行うためには、具体的に問題を設定し、教科書や文献を確認し、情報を取捨選択して、それを読み解くリテラシーが必要です。個別の価値観へも配慮しないといけません。つまり根拠と患者の要望に基づく医療です。などと偉そうに言っていますが、いまだに英語や統計の理解に困難を感じることがあるし、すべての問題について正解を知ることはできないし、ガイドラインに目を通すだけでやっと、という場面もしばしばあります。それでも年数が経つほど肝腎なことは自分で判断しなければならないので、以上のような意思決定の作法を繰り返して修得することは重要だと思います。

 総合診療科あるいは総合内科という部門に所属する以前の私は、ふつうの総合病院で初期研修を受け、消化器内科の後期研修を修了した後に内視鏡ばかり握っているのが嫌になって市中の一般内科を転々としていました。明確なビジョンがあったわけではありませんが、同じく医者である父親が自分のことを内科医としか言わなかった(言えなかっただけかもしれないが)という影響と、正しいことを広く知りたい、という気持ちが強かったことで特定の専門内科を選べなかったといえます。

スーパーDr.Gじゃない、ふつうの内科医が取り組む意義

 専門を選ばずにやりたいことを優先してきて現在の仕事をしていますが、総合診療や総合内科というものが、数少ないスーパーDr.Gによって布教されるものばかりでなく、ふつうの内科医によって普及されることはそれなりに意義があると思います。高齢者を総合的に診る、専門科の隙間を埋める医師は多くの病院や地域で需要があり、どこにでもいる内科医で対応することが、いくらかの努力を要するもののいちばん簡単ではないでしょうか。その努力の内容についても、自分のようなふつうの内科医にこそよくわかることがあります。直腸診やグラム染色を初めて経験しました、論文など読んだことありません、意思決定は上司の言う通りにしていました、と言う若手医師は過去の自分と同じだからです。

 すべての研修医が有名病院でスーパーDr.Gの教育を受けられるわけではありません。そのような環境を経験しなかった医師が10年程度をかけて総合内科を実践していくために、自分がこれまでに感じたこと、行動したこと、必要な知識、などを提供していくことで、この分野の裾野というか間口を広げることができると思います。

 なお、総合診療とか総合内科という用語は自分の所属してきた部門に応じて適当に使用しています。紛らわしくてすみませんが、新専門医制度に付随して議論の対象となっている「総合診療」という専門領域の定義とは関係ありません。病院の総合内科を専門領域と認定するべきかどうかという議論にもあまり興味はありません。専門家と認定されなくても仕事は成立するし、多様な問題への正しいアプローチを検討する毎日は楽しくやりがいがあります。

 当科は一部の有名な総合診療科に比べるとものたりない部分もありますが、有名病院で教育を受ける機会のなかった人や、興味の対象を特定の専門分野に絞れない人、専門科へ進む前に内科の基礎を広く経験したい人、うちじゃないと言いたくない人、それ本当?って思っている人、自称“ふつうの内科医”の人、等々は、当科での勤務を検討していただければ嬉しいです。一緒に勉強しましょう(とはいえ、新しい制度で枠組みの設定された総合診療専門研修をしたいという方のために、近隣の協力施設とともに認定されたプログラムもあります)。

 本稿のおしまいに中期的な目標を掲げてみます。まず組織としての目標は、人材の流動性を保ちながら科が存続することです。とてもありがたいことに奈良医大感染症科や阪大総合診療科からも協力をいただき、現在は複数人の後期研修医がいます。このまま総合内科が成長しつつ、患者アウトカムの向上や地域医療への貢献を達成し、若い医師が経験を積むことができればよいと思います。そして個人的な目標は、これまでやってきたこととの連続性を大事にして40代を生きること、人生の後半に向けて自分の社会的価値を稼ぐことです。そのため勤務地域に限らず総合内科の普及に関与したいと考えます。たとえば居住している京都府南部は僻地というほどではないものの高齢者は多く、医師は少なく、総合内科的医療の発展する余地があると思います。私に出来ることは限られていますが、住人のひとりあるいは内科医として、地域を支えている医師の方々と協力して勉強会などを開けないかと思います。地域の関係者の方がもしこの記事を読んでいれば声をかけてください。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596735
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「カリキュラム制も柔軟に」「ダブルボードも」◆Vol.7
「改善すべき点はない」は1.1%にとどまる
 
医師調査 2018年5月6日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度は、2018年度は初年度だったこともあり、試行錯誤が続き、結局、開始が1年遅れた。制度を設計する立場ではなく、当事者である本制度一期生に改善点を複数選択で尋ねたところ、最も多かったのは、「研修プログラム制と研修カリキュラム制を柔軟に選べるようにする」(58.3%)、次が「ダブルボード(複数専門医取得)を容易にする」(51.8%)でいずれも5割を超えた。

 新専門医制度では、あらかじめ研修する基幹施設を定め、所定のスケジュールにしたがって研修する「プログラム制」が基本。症例数やレポート提出などの結果のみではなく、研修プロセスの管理を通じて、専門研修の質向上を図るのが狙いだ。しかし、複数の施設をローテーションしたり、出産・育児をはじめ、さまざまな事情で研修施設を変更したい場合には対応しにくい。新制度でも、地域医療従事者や女性医師等への配慮からカリキュラム制も可能だが、より柔軟に選択できるように望む声が多かった。また19の基本領域のいずれかを登録する仕組みであり、複数の専門医資格を取得するダブルボードは可能だが、現時点ではそのハードルは高い。

 3位は、「サブスペシャルティとの相互乗り入れプログラムの充実」(43.8%)。内科と外科については、サブスペシャルティが決まっており、相互乗り入れのプログラムが用意されているが、それ以外では、基本領域とサブスペシャルティの関係は未定だ。

 その他、さまざまな改善点が挙がり、「改善すべき点はない」は1.1%にとどまった。

Q1.新専門医制度の改善点は何か(n=276、複数回答)
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https://www.m3.com/news/iryoishin/597515
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「マイナー科志向、大学病院志向が強まる」、7割超◆Vol.8
「専門医の質向上、分かりやすくなる」の期待薄
 
医師調査 2018年5月13日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度については、さまざまな効果や影響が指摘されているが、代表的な8項目を挙げて、5段階で評価してもらった結果、「当てはまる」と「やや当てはまる」の合計が最も多かったのは、「マイナー科志向が強まる」(73.9%)だった。以下、「大学病院志向が強まる」(72.1%)、「都市部志向が強まる」(67.0%)の3項目で、5割を超えた。

 そもそも新専門医制度の第一義的な目的は、「専門研修、専門医の質」の向上。しかし、「あまり当てはまらない」と「当てはまらない」は計42.8%で、「当てはまる」と「やや当てはまる」の計17.8%を大きく上回った。「国民にとって専門医制度が分かりやすくなる」「地域の医療の質向上につながる」も「当てはまらない」の回答が大勢を占めた。

Q1.新専門医制度の影響は?(n=276)
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【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.m3.com/news/iryoishin/601924
医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」
全国医学部長病院長会議、2022年度以降は「減らさざるを得ない印象」
 
レポート 2018年5月10日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議は5月9日、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」で議論が行われている2020年度以降の医学部定員の取り扱いについて、「2020年度、2021年度の医師養成数の暫定的な方針を速やかに示していただきたい」などとする、厚労相、同省医政局長、文部科学大臣、同省高等教育局長宛ての要望書を同日に提出したと発表した。全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は記者会見で「前回は(対象年度の)2年前の暮れくらいに方針が出て、大学や受験生、予備校から不満が出た。今の時点で2020年度分は出ているべきだ」と述べた(要望書の全文は記事の末尾に掲載)。

 医師需給分科会の構成員でもある新井氏は、2022年度以降の定員については、「一般論としては、減らす方向にならざるを得ないという印象だ」と説明。減員の方法として「全体の定員を減らして地域枠を残すとなると、地域枠を恒久定員に組み込むという議論が出てくる可能性がある」と指摘し、要望書にも盛り込んだ通り慎重な検討を求めた(同分科会の議論は、『2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討』を参照)。

 会見では、同会議カリキュラム調査ワーキンググループが行った「全国医学部教育カリキュラムの現状」の2017年度調査について座長の奈良信雄氏が報告した。臨床実習の総時間数は2000時間以上2250時間未満が18の医学部で最も多く、次いで1750時間以上2000時間未満が16医学部、2750時間以上3000時間未満が14医学部となっており、「臨床実習の時間数は明らかに増えている。ECMFGの(2010年の)アナウンスがきっかけと考えている」と指摘。臨床実習後のOSCEについては、ステーション数が平均4.45との調査結果で、「不十分だ。増やしていかないといけない」と述べた。

 調査結果のまとめとしては、医師としてのモチベーションを高めることやプロフェッショナリズム教育の充実、自己学習力の涵養などを通して「国民に信頼される医師の養成に重点を置いている」と説明。臨床医としての教育を充実させる一方で、80のうち65大学で研究室への全員配属が行われるなど「研究マインドの涵養を忘れない」ことや、医療英語の教育や海外実習などでグローバル化への対応も行われていると指摘した。

要望書の全文は以下の通り。

2020度以降の医学部定員の取扱について(要望書)

 現在、厚生労働省が設置する「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において、2020年度以降の医学部定員の取扱についての検討がなされております。医学部の定員については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、社会的関心も極めて高く、各高校や各大学をはじめとする関係者間で懸念されているところであります。本件については、関係各所において精力的にご議論が進められていると承知しておりますが、下記の事項について強く要望いたしますので、所管官庁として適切なご対応をお願い申し上げます。

 2020年度、2021年度の医師養成数についての暫定的な方針については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において取りまとめられた後に、これを政府方針として速やかに示して頂きたい。

 2022年度以降の医師養成数、医学部定員の在り方については、今後示される医師偏在指標、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論の結果等を踏まえて議論する必要があることから、拙速に医学部定員の在り方について決定するようなことは差し控えて頂きたい。

 大学における地域枠の設定については、地域医療対策協議会において各都道府県が各大学との間で事前に十分な協議を行い、また、各大学が定める admission policy、教育・研究・診療に関するミッションとの整合性等を踏まえた各大学の判断を尊重することを原則とし、例えば地域枠定員を恒久定員に組み込むといった施策を大学ごとの特性や希望を踏まえず画一的に行うことについては慎重に対応頂きたい。

 その上で、大学も各都道府県と連携して引き続き地域偏在対策に取り組んでいきたいと考えているが、各都道府県から地域枠の設定に関する要請を受けた場合に、各大学が積極的に協力することができるよう、財政支援等の必要な環境整備をお願いしたい。



https://www.asahi.com/articles/ASL5631TML56UBQU003.html
病床不足対策、公募で増床へ 3年後に向け
埼玉県
 
小笠原一樹
2018年5月6日11時00分 朝日新聞

 病床が不足し今後の高齢化に対応できない恐れがある地域について、埼玉県は新たな病床や医療機関の増設を募る。特に春日部市や越谷市を含む「東部保健医療圏」、川越市や東松山市を含む「川越比企保健医療圏」で300床以上足らず、在宅療養の患者の急変などに備える病床や、リハビリテーションを提供する「回復期機能」を担う病床の整備が必要だという。

 2020年度末時点で、全県で1638床が足りないとされ、県は7月23日から8月24日まで、病院と診療所から増床計画を受け付ける。

 県医療整備課によると、県内はすでに5万375床あるが、団塊の世代がみんな75歳以上となる2025年には5万4210床が必要となる。今年度から6年間の「第7次県地域保健医療計画」に基づいて整備を目指すが、3年後に向けた不足分を募集する。

 増設が必要なのは、回復期機能を担う病床や緩和ケア病床、がんや脳卒中、心血管疾患に対応する高度専門医療で、21年3月までに着工することが応募条件。

 一方で、現在の病床数がすでに必要数を上回っている熊谷市、深谷市、秩父市などを含む医療圏は対象外。さいたま市についても、県は、着工予定時期が未定の順天堂大医学部付属の新病院の800床を見込み、増床の対象外とした。

 高齢者が減って病床の削減に悩む地方が多い中、埼玉のようなケースは珍しいという。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/60829/Default.aspx
日医・横倉会長 超高額医療「主治医以外が必要性判断する仕組みの検討を」 
公開日時 2018/05/07 03:51 ミクスonline

日本医師会の横倉義武会長は5月1日の定例会見で、欧米で承認されたCAR-T療法に要する費用が1回で4000万円超となることを引き合いに、「審議会で、担当の医師以外の第三者の目を通すことで、本当に必要かどうか判断をしていく仕組みがあってもいいのではないか」との考えを示した。財務省主計局が提案する「高度・高額な医療技術や医薬品」と保険財政のバランスに一石を投じたもの。さらに財務省が4月25日の財政審財政制度分科会に提案した医療費の給付率の自動調整案について、「財務省や財政審の提案はあまりにも無責任」と反発。欧米諸国に比べて国民の負担率が低いことなどから、「患者だけでなく、社会全体の負担率を調整することでカバーすべき」と主張した。

抗がん剤・オプジーボを契機に明るみとなった高額薬剤問題だが、遺伝子治療など、革新的技術の登場で新たな局面を迎えることになる。ノバルティスファーマのCAR-T療法は、日本もすでに申請段階にある。政府部内では、CAR-T療法に代表される医療技術のイノベーションと保険財政のバランスについて喫緊の課題と位置づけており、厚労省の社保審医療保険部会や経済財政諮問会議でも議論となっている。なかでも財務省は2025年度以降の社会環境の変化と社会保障制度の持続性に強い問題意識を示しており、特に「高度・高額な医療技術や医薬品」について、一歩踏み込んだ改革案を提示したところ。これに対し日本医師会の横倉会長は5月1日の会見でクギを刺す場面が見られた。

◎横倉日医会長「新しい医療技術は有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載を」

横倉会長は会見で、「費用対効果評価は保険償還の可否に用いるべきではない」と反発。「新しい医療技術は、有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載されることが重要だ。有効性・安全性が確認できているにもかかわらず、価格が高いという理由で保険償還の対象外に置かれ続けるということであれば、国民が医療技術の革新を受け入れられないという不幸な事態になる」と危機感を示した。希少疾患などで、対象患者が少なく、高額になる場合でも、「有効性・安全性が確立されたものは、保険診療の対象とすべき」との考えを示した。

また、厚労省が生活習慣病治療薬や抗がん剤などについて最適使用推進ガイドラインを策定していることに触れ、「医療側も患者の症状や特性に応じてコスト意識を持った上で、まずはプロフェッショナル・オートノミーに委ねるべき」との考えを表明した。その上で、さらに極めて高額な医療を行う場合に、「更生医療給付のように、医学的・社会的観点も踏まえた意見を聞くことも必要ではないか」との考えを示した。更生医療の給付に際しては、主治医の意見書を添付して患者が市町村に申請。市町村役場で身体障害者更生相談所の判定に基づく審査を行い、必要性が認められた場合に患者が給付を受けられる流れとなっている。

◎財務省の給付率自動調整案に反発

横倉会長はこのほか、財務省が財政制度等審議会に示した医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入について、「経済成長ができなかった場合、給付率のみで、患者に負担を押し付けようとしている」と反発。一方で、金融資産を考慮した負担については、「日本医師会は所得や金融資産の多寡に応じた応能負担を行うべきと主張してきた。低所得者に十分配慮した上で、金融状況を考慮した負担の在り方についてきめ細やかな対応が必要だ」と述べた。

一方で、社会全体で支えるための働き方改革や一億総活躍の実現により、健康な高齢者が活躍社会を作り、支え手を増やすことの重要性を強調した。健康寿命の延伸に向け、日本医師会として、日本商工会議所や保険者、自治体らと「日本健康会議」の取り組みを進めていることを紹介。2018年度に都道府県が国保の保険者となったことなどから、連絡協議会の開催などを通じ、都道府県へと取り組みを波及させることに意欲をみせた。横倉会長は、「日本健康会議の取り組みを国民運動にしていくことが重要。大手企業では徹底され始めている中で、中小企業にいかに広げていくか。協会けんぽの取り組みを後押ししたい」と述べた。すでに、宮城県や静岡県では、都道府県版の健康会議が設置されている。横倉会長は、「先に医療費削減ありき、ではなく健康増進を目指した施策の結果として、医療費が削減されることを地域で進めていくことが重要」と強調した。

◎地域別診療報酬「地域偏在加速で医療の質低下を招く」

このほか、地域別診療報酬の活用について、「県境での患者の行動に変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動により、地域による偏在が加速することで医療の質低下を招く恐れがある」と指摘した。

また、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局以外受診時の定額負担の導入について、「かかりつけ医の普及に水を差すことになる」と反発した。一方で、かかりつけ薬剤師・薬局については、「まず薬局の在り方自体を議論することが必要」と指摘。「国民の保険料、税金が原資となっている社会保障費が社会保障の再生産に回るのではなく、株主に還元されるのは大きな問題」と述べ、医薬品医療機器等法(薬機法)改正議論の中で、社会保障財源で事業を行う非営利の“薬局法人”の在り方や、保険薬局の収支決算の公開などを検討すべきと主張した。



  1. 2018/05/13(日) 06:46:22|
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5月6日

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-713420.html
体制や負担で温度差 医療安定へ協議継続
2018年5月6日 05:00琉球新報

 【北部】深刻な医師不足で診療制限が相次ぐ本島北部地域。医療体制を立て直そうと、県は県立北部病院と北部地区医師会病院を統合し基幹病院を整備する計画を示し、関係する北部地域の首長や医師会との協議を進めている。病院整備の思いは双方一致しているが、経営体制や地元負担の在り方などの考えには大きな差がある。北部市町村会は国に基幹病院整備の予算を要請するなど、今秋の知事選を見据えた動きも出てきた。

 「今の経営形態でこの問題は解決しない」。1日に開かれた県と12市町村長らとの協議後、医師会の宮里達也理事は強調した。医師会は基幹病院の経営形態が現行の地方公営企業法の全部適用になれば、予算や人事などの面で融通が利きにくいと問題視する。医師会は県に対し「自由度のある経営形態が望ましい」とする意見を伝え、経営形態の見直しを重要視した。本部町の高良文雄町長は「医師会の考え方に100パーセント賛成する」と強調した。
 県はこれまでの協議で、病院整備費を約220億円と試算し、国庫補助金などを差し引いた額の5分の2を北部12市町村に負担するよう提示した。経営形態の在り方や地元負担を疑問視する首長は多い。當眞淳宜野座村長は「他の県立病院には自治体負担を求めていないのに、なぜ北部だけ負担しないといけないのか。住民に説明できない」と語気を強めた。
 県保健医療部の砂川靖部長は、さまざまな経営形態を想定して協議していくことを歓迎し、「基幹病院はどうしても必要。力を合わせてやっていかないといけない」と力説した。
 北部の基幹病院整備が今秋の県知事選で「大きく流れが変わる」と関係者は指摘する。「知事選で政府が支援する候補者が勝てばいい。そうなれば国が予算を付けられる」と自民党関係者は語る。別の関係者は「名護が渡具知市長になったから国も支援したいと言っている」として、北部の基幹病院整備は国の手厚い支援が可能だとみている。自民党の武見敬三氏が沖縄入りし意見交換するなど、国も基幹病院整備に動き出している。
 名護市の渡具知武豊市長は「医師会の意見は理解できる。12市町村で意見をとりまとめて、その中で合意形成していきたい」と、今後の病院整備には慎重な姿勢を見せた。(阪口彩子)



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/212533
医師確保へ佐賀県が奨学金 本年度4人募集
5/3 7:46 佐賀新聞

 佐賀県は、産科や小児科などの医師不足の改善に向けて、条件付きで返還を免除する奨学金の利用者を募集している。

 県が「県医師修学資金」として2005年から実施している。対象は全国の大学で小児科、産科、救急科、麻酔科の医師を目指す学生(4年生以上)と臨床研修医で、本年度は計4人を募る。奨学金は大学生が年額122万8千円、臨床研修医が150万円。貸与年数の1・5倍の期間、県内の公的医療機関の対象科で働けば返済を免除する。

 県医務課によると、これまで79人が制度を利用し、現在は小児科医11人、産科医11人、救急医10人、麻酔医4人の計37が県内で勤務している。医務課は「事業の成果と捉えているが、継続的な人材育成が欠かせない」と話している。県内の出生児1千人当たりの産科医数は9・7人(16年末現在)で、全国の11・6人を下回っているという。

 申し込み締め切りは31日。問い合わせは医務課、電話0952(25)7033。



https://www.m3.com/news/iryoishin/600012
シリーズm3.com意識調査
医学部定員、半数が「減員するべき」
これまでの増員も半数が「適切でない」

レポート 2018年5月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省が、4月12日の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会に対し、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、「現状の9419人をおおむね維持する」と提案。それ以降については削減する方向で議論が進んだ。2008年度以降増員が続いてきた医学部定員。m3.com医師会員に今後の定員をどうするべきかを聞いたところ、49.2%が「減員するべき」と回答。これまでの増員についても51.5%が「適切ではなかった」とし、定員増に懐疑的な意見が半数を占めた(関連記事は『2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討』)。

Q1:2022年度以降の医学部定員の増減について、どうお考えですか?
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 開業医、勤務医とも半数前後が「減員するべき」と答えたが、開業医の方がやや割合が高い。

Q2:これまでの増員は適切だったとお考えですか?
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Q1と同様、開業医の方がやや医師数の増加を「不適切」と考える会員の割合が高い。

Q3:その他、医学部定員や医師需給についてのご意見を、ご自由にお書きください。
【増員に懐疑的】
医学教育という面から考えると増員は慎重に考えるべきだ。出身大学の教育スタッフを見ると増員に伴い無理に教育スタッフを増やしているような感じがあり「後輩のあいつが?」という感じがします。【勤務医】
都会に集中しすぎて、質の悪い医師も多い。出産後の女性医師に対する制度の充実が必要。 【勤務医】
医学部の定員を安易に増やす前に、資格を獲得した医師の良質なレベルを維持することと、医師の根本的な心得や効率や収益優先ではなく病気を治すのではなく、人を治すことの基本的な見識と技量の取得を推進すべきと感じています。【開業医】
長時間労働是正するなら、増員すべきだが、責任感の強い医師を減らしていくことにつながるのでは危惧します。【開業医】
専門医数をはじめ、ドイツ的なギルドが望ましい。全ての医師が加入する医師会が国の介入のない医療制度に全責任を持ち、医師の一生を保証する制度が理想です。【勤務医】
そもそも新設の医学部は必要がなかったのでは?【勤務医】
大学病院における指導体制が十分に整えられていない印象があり、これ以上の定員増は無理があると思います。【勤務医】
行政の方針がはっきりしないので、何とも言えない。悪貨が良貨を駆逐しているような気がするけれど。【開業医】
定員増で質が低下した副作用は問題。【勤務医】
医学部の定員を増やしても、僻地医療の医師不足が改善するとは思えない。【勤務医】
中途半端に新しい医学部を作ったのも大きな間違い。20年、30年先の人口動態等を全て想定した上で適正な医師数を判断すべきで、現状判断で定員増や新医学部設立を許可したのは明らかに失策。【開業医】
新設したり、減員したり、行政には問題があると思う。【勤務医】
【増員するべき】
医師偏在の問題は根強く、続けて医師を生み出す必要あり。【勤務医】
【現状維持】
個別化医療への対応等、最低でも現状維持だと思う。【勤務医】
医師は臨床医だけでなく基礎医学、行政などに広く活動している。女性医師の増加はライフスタイルの変化、産休育休有給の取得と週休2日労働時間短縮化、とともに休養できるゆとりが持てるように供給は維持すべき。【開業医】
【減員は時期尚早】
いずれ医師過剰となると思われるが、医師不足にあえぐ地方にとってはまだ医学部定員を削減するのは時期尚早と思う。【勤務医】
【調査の概要】
調査期間: 2018年4月17日 (火)~4月23日 (月)
対象:m3.com医師会員
回答者数:2029人(開業医524人、勤務医1505人)
回答結果画面:医学部定員削減の方向、どう思う?



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180425-OYTET50028/
ニュース・解説
助産師主体の介助「院内助産」…専任担当チーム、産科医不足に対応

2018年5月1日 読売新聞

 病院や診療所で、助産師が主体になって出産を介助する「院内助産」が増えている。経過が正常な出産のみが対象で、妊娠中から産後まで切れ目なく寄り添って妊産婦の不安を和らげ、満足のいくお産につなげる。産科医不足に悩む地域の出産を支える仕組みとして、国も普及を後押しする。(藤本綾子)

妊産婦の満足度も高く…

 「顔見知りの助産師さんが付いていてくれ、心強かった」。大阪市内の千船病院で3月下旬、第2子となる長女を出産した原田由梨花さん(21)は話す。医師が立ち会わず、和室の 分娩ぶんべん 室で夫と助産師に励まされての出産だった。

 長男(2)の出産時も「和室のリラックスした雰囲気で産みたい」と院内助産を希望。分娩中に血圧が上昇し、医師が立ち会って分娩台で出産することになったが、「初産で心配なことも助産師さんが丁寧に説明してくれた」と振り返る。今回も院内助産を選択、「妊婦健診では上の子の育児の相談にも乗ってもらえ、ありがたかった」という。

 大規模な医療機関での出産では、その日の当番の助産師が立ち会うため、妊婦は初めて顔を合わすことも珍しくない。同病院が約10年前に始めた院内助産では、専任の助産師チームが健診から分娩、産後まで一貫して担当。昨年度は1618件の出産のうち2割を占めた。

 助産師の川又睦子さんは「経過が順調でも出産に不安を感じる人は多い。どんな出産をしたいかを一緒に考えることで、育児への前向きな気持ちを引き出すこともできる」と話す。産婦人科部長の岡田十三さんによると、責任の大きさが助産師たちの成長にもつながっているという。

 院内助産は産科医不足対策として、厚生労働省が2008年に発表した「医療確保ビジョン」に盛り込まれた。正常な出産を助産師が担うことで、産科医不足の要因の一つとされる過重労働の軽減につなげる狙い。国は助産師外来室の設置や研修のための財政支援もし、実施する医療機関の数は08年の31か所から14年は166か所にまで増えた。

 神戸大教授(母性看護学・助産学)の斎藤いずみさんは「院内助産の実施には、慎重に合併症や妊娠中のリスクなどを見極めることが重要だが、リスク管理が適切ならば、医師立ち会いの出産と安全性に差はなく、妊産婦の満足度も高い」と評価する。

 地域に欠かせない存在になっている例もある。兵庫県 養父やぶ 市の公立 八鹿ようか 病院は08年に導入。現在は受け入れを正常分娩に限定し、院内助産を基本に据える。産科医が1人だけの時期もあったが、妊婦を受け入れてきた。

 同市を含む但馬地域は約17万人が暮らすが、出産ができる医療機関は同病院を含めて2か所しかない。当初は医師が立ち会わないことへの不安の声もあったが、今は家族や友人の勧めで来る人や、「2人目もここで」という“リピーター”も多いという。

 ただ、地方では助産師の確保すら難しい地域もある。看護師資格も持つ助産師が産科以外の様々な業務を担い、院内助産を始める余裕がない病院も少なくない。斎藤さんは「助産師が出産に集中し、活躍できる環境を作る必要がある」と指摘する。

         ◇

【院内助産】  緊急時の対応が可能な医療機関で、助産師が主体となって妊婦健診や出産の介助を行う仕組み。陣痛促進剤の使用や会陰部の切開などの医療行為を必要としない、正常な経過の出産だけを扱う。妊娠・出産中に異常が現れた場合などは医師が対応する。


妊婦が望む「バースプラン」取り入れる医療機関も

 出産に対する妊産婦の満足感を高めるため、「バースプラン」を取り入れる医療機関も多い。妊婦自身がどんな出産をしたいかを書き記して医師や助産師らに伝えるもので、院内助産を行う病院で採用する例もある。

 日用品メーカー「ユニ・チャーム」(東京)の2010年の調査では、出産経験者の半数が書き記し、うち8割が肯定的な評価をしていた。

 特に決まった形式があるわけではない。バースプランに詳しい毛利助産所(神戸市)の毛利多恵子さんは、「初めての出産の場合は、どう書いていいのか分からない人も多い。まず、医療機関や自治体が開く妊婦講座などに参加し、出産について勉強してほしい」と勧める。知識が深まれば、希望も明確になってくるという。

 一人で完成させようと思わず、助産師らと相談しながら具体化していくといい。毛利さんは「書いて終わりではなく、運動や食事に気をつけるなど、希望の出産を実現するための努力も忘れないで」と話す。ただ、「出産は思うようにはいかないこともある。母子の安全が最優先なので、かなわないことがあると理解しておいて」と念を押す。


選択肢の一つに…取材を終えて

 2年前に長男を出産した時には陣痛促進剤などの力を借りた。私は「それなりに頑張った」という満足感があるが、自然でない出産を「産んだというより産まされた」と感じる人もいるそうだ。出産へのニーズや感じ方は多様だ。

 院内助産の取材のため訪れた病院では、こうした異なるニーズや感じ方に助産師ならではのきめ細かな心配りで対応していた。選択肢の一つとして広まる可能性を秘めていると思う。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2810698014032018EA7000/
働き方、一律規制に限界も 医療の現場から
2018/5/4 20:00 日本経済新聞

 政府が進める長時間労働解消の法的な根拠となる労働基準法。無理な残業を減らすことは職場の生産性向上のために欠かせない。ただ、同法は戦後間もなく、主に工場や炭鉱での作業を想定して制定されており、一律に当てはめることが難しい職場や職種も多くなっている。

 例えば医療の現場――。「ほぼ24時間働きっぱなしの日が何日も続くことなんてざらにある」。北関東の医療機関に勤める30代の救急医は打ち明ける。周辺の病院と比べて設備が充実しており、遠方からの患者も多く、過去には2日しか休めない月もあったという。

 医師の数が足りず休日を返上したり、勤務時間を大幅に超えたりすることは日常茶飯事。勤務記録上の月の残業時間は80時間以下だが「その倍以上は院内にいる」。

 勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」が2017年7~9月に大学病院の医師を対象にした調査では、労働時間がタイムカードなどで客観的に管理されていると答えたのはわずか5.5%。「労基法が守られていると思うか」という質問では59.4%が「守られていない」と回答した。

 医師の数の不足と地域ごとの「偏在」がこうした実態の背景にある。当直や急患への対応時間を含めれば、労基法で定められた1日8時間の法定労働時間と労使協定で取り決めた時間外労働の合計を軽く超えてしまうケースも少なくない。

 医師には正当な理由なく診療を拒めない「応召義務」があり、少人数で診療にあたる病院では医師らの負担は必然的に大きくなる。労基法の順守と、診療体制の維持の両立が難しい現実が今の医療現場にはある。雇用主である病院側が労基署の是正勧告を受けないようにするため、勤務時間を「調整」すれば、違法残業の温床にもなりかねない。

 医師や介護職などでつくる日本医療労働組合連合会の森田進書記長は「過労死してでも患者を診ろというのはナンセンスだが、時間外労働の規制は、まず勤務医の人手不足を解消しないと実現は難しい」と指摘。先述の30代救命医は「勤務医に労基法をそのまま適用することに無理がある。医師独自の法的基準が必要。応召義務も見直してほしい」と話す。

 厚生労働省は医師の働き方改革に向けた検討を始めている。17年3月にまとめた働き方改革実行計画では、医師は罰則付きの時間外労働規制の対象とするが、患者への対応などを踏まえて改正労基法施行から5年は適用を見送るとした。今年2月には「緊急的な取り組み」として医師の正確な在院時間の把握や、医師の業務の一部を看護師が担う新たな役割分担の採用などを求めた。

 労基法による労務管理は労働時間に時間あたりの単価を掛け合わせた賃金を支払うのが鉄則。残業時間の上限は同法36条に基づいた労使間の協定で決められる。労働者を過大な負担から守る重要な制度だが、専門性が高い職種や勤務形態が不規則な人にとっては、柔軟な働き方ができなくなる要因にもなりかねない。

 医師の長時間労働対策でも専門家の意見は割れる。労働法制に詳しい神戸大の大内伸哉教授は「医師もほかの職種と同じように時間外労働の規制対象とし、労働に見合ったしかるべき対価が支払われなければならない。医療サービスの供給体制にかかるコストは医師ではなく、国民が負担すべきだ」と強調する。

 一方で、17年8月に開催された厚労省の検討会では、参加した医師から「質の高い医療を確保するためには自己研さんや研究活動、学会活動なども重要になる。画一的な労働時間の制限は設けるべきではない」とする意見も示された。

 中津川市民病院(岐阜県)の間渕則文・病院前救急診療科部長は「24時間常にスタンバイ状態になったりするなど、医師の働き方はかなり特殊」と指摘。「例えば、勤務医も自由業とし、労働請負制で年俸制にして年単位の契約で働くという形も考えられる」と提言している。

(社会部 石原潤)



https://www.jiji.com/jc/article?k=000000001.000033619&g=prt
日本初のドクターシェアリングアプリ「LEBER」を運営する株式会社AGREEが、医師や市中銀行ファンドなどから約1億円の第三者割当増資を実施
[株式会社AGREE]
スマホで安心、ドクターシェアリングLEBER
時事通信-2018/05/01

日本初のドクターシェアリングアプリ「LEBER」を運営する株式会社AGREE(代表取締役 伊藤俊一郎 茨城県つくば市)は、医師4名(林健太郎・竹村克己・野村誠・鈴木淳司)、医師が個人経営する会社2社(株式会社MARC・合同会社S.K.Company)、個人投資家3名(Khullar Rajesh・今川美明・畠山淳也)、つくば地域活性化ファンドを引受先とする第三者割当増資により、約1億円の資金調達を実施しました。
※医療相談アプリLEBER: https://leber11.com

■ドクターシェアリングアプリ「LEBER(リーバー)」について
LEBERは2018年1月にリリースした、「24時間・365日スマホで医師と相談できる」医療相談アプリケーションです。近年、話題となっている「遠隔医療」のカテゴリーの「遠隔医療相談」に属します。業界で唯一医師が症状に合った「近隣の医療機関のMAP表示」や「市販薬の紹介」を行うことにより、ヘルスリテラシーの向上とセルフメディケーションの推進を図り、日本の医療費削減と持続可能なヘルスケアシステムの構築を目指しております。

【LEBERの特徴】
1) 「医師のすきま時間」と「相談者」を繋ぐドクターシェアリングプラットフォーム
2) 症状に合わせた自動問診システム(チャットボットのリーバー君が自動で問診)
3) 医師が症状に合った医療機関または市販薬を紹介(MAP表示、ルート案内も可能)
4) 複数アカウントの作成が可能で家族の相談も可能(アカウント毎のカルテ作成)
5) 企業への福利厚生や、保育園・高齢者施設への医療相談サービスの提供も開始
▼ダウンロードはこちらから(無料) ※現在、iOSのみの配信となります
https://goo.gl/t4kFYZ

■資金調達の背景と目的
日本においては高齢化を背景に医療費の増大が大きな問題となっております。その結果、病床数の抑制、そして地方を中心とした医師不足などから、医師と私たちの距離は非常に遠くなっており、医療崩壊に近い状況といえます。この問題に対し理解のある医師を始めとした投資家らにより、今回の資金調達は実現しました。
今回の資金調達により、医療相談アプリ「LEBER」のユーザビリティの向上、B to B向けサービスの開発を行います。「LEBER」は従来からのB to C向けのサービスに加え、法人向けサービスの充実を図ることで、企業の健康経営、高齢者施設・保育園などへ「医師が側にいる安心感」を提供し、結果として持続可能なヘルスケアシステムを実現させます。

■実績
2017年10月10日:「つくばSociey 5.0社会実装トライアル支援事業」採択
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000028199.html
2017年11月11日:第17回 MITベンチャーフォーラム事業プランコンテスト最優秀賞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23465620U7A111C1XY0000/
2017年12月2日:AI.Accelerator採択(3期生)
http://ainow.ai/accelerator/

■株式会社AGREEについて
所在地 : 茨城県つくば市谷田部6251-9
代表者 : 代表取締役 伊藤俊一郎
事業内容:ドクターシェアリングアプリ「LEBER(リーバー)」の提供

■本リリースに関するお問い合わせ先
担当: 鈴木 雄貴
メール: info@leber11.com
電話: 0298-96-6263

企業プレスリリース詳細へ (2018/05/02-11:01)



http://www.medwatch.jp/?p=20376
高収入の病院はより収益が増加し、低収入の病院では大幅減となるところも―厚労省
2018年5月3日|医療保険制度 MedWatch

病院の1施設当たり医療費は、2016年度には平均は26億3600万円で、前年度に比べて3600万円・1.4%増加した。ただし「収入の多い病院ではより高収入となり、収入の少ない病院では、大幅な収入減となる」とのバラつきがさらに拡大してきている―。

厚生労働省が5月2日に公表した2016年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収入のバラつきは年々拡大、収入の大きな病院では、より収入が増加

厚生労働省は、毎月公表している「医療費の動向」(MEDIAS)の中で医療機関1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。しかし、医療機関の規模や状況はさまざまで、単純に「医療費÷医療機関数」で1施設当たりの数値を出しても実態とかけ離れてしまいます、そこで医療機関の規模(病床数ではなく、「1施設当たりの医療費階級」)別に医療費の状況を分析し、「施設単位でみる医療費等の分布の状況」を示しているのです(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、2016年度の1施設当たり医療費は平均で26億3600万円となりました。2011年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり(11年度:23億4900万円→12年度:24億1600万円→13年度:24億6400万円→14年度:25億2200万円→15年度:26億円→16年度:26億3600万円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています(11年度:37億3900万円→12年度:39億900万円→13年度:40億600万円→14年度:40億9800万円→15年度:42億8100万円→16年度:43億7100万円)。

病院の1施設当たり医療費は、2016年度には26億3600万円で、バラつきは前年度よりも拡大している (図 略)

1施設当たり医療費は「病院の収入」に読み替えることができます。このバラつきが大きくなっていることは、「地域における競争が激化している」、つまり「収入の多い病院はより高収入となり、収入の少ない病院はより減少している」可能性の高いことをうかがわせます。平均在院日数の短縮が進み、その中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。このため「より広域での新規患者獲得」を目指すことになりますが、この状況はすべての病院で同じであり、競争が激化するのです。自院の等身大の姿を確認した上で、「競合となる近隣の他院の状況」「全国における自院の状況」「地域での立ち位置」(今後果たすべき機能)「地域の患者動向」などを総合的に把握して、病床削減や統合・再編すらも視野に入れた経営戦略を練る必要があります(関連記事はこちら)。
また「1施設当たりの医療費階級」別に「1施設当たり医療費の伸び率」を見ると、医療費の少ない病院では医療費の伸び率に大きな幅があり、逆に、医療費の多い病院では、伸び率の幅が小さいこと、また医療費の多い病院のほうが医療費の伸び率が高くなることも分かりました。1施設当たりの医療費とは、病院収入を意味するので、次の点が浮かび上がってきます。

▼収入の少ない病院(医療費の少ない病院)では、収入が大きく増加している病院もあるが、大幅に減収となっている病院もある(伸び率の幅が大きい)

▼収入の多い病院(医療費の多い病院)では、安定的に収入が増加している(伸び率が高く、幅が小さい)

病院を「収入規模別」に階層化して、1施設当たり医療費の伸び率を見ると、大規模、つまり収入の大きな病院では、比較的安定して、収入が増加している状況が伺える
(図 略)
 
 入院と入院外に分けると、2016年度も「入院外においてこの傾向がより強い」ようです。こうした差が、前述の「収入のバラつき拡大」につながっていると考えられます。とりわけ収入の少ない、小規模な病院では経営戦略の見直しを急ぐ必要がありそうです。

入院の「収入規模別」に階層化した、1施設当たり医療費の伸び率 (図 略)
入院外の「収入規模別」に階層化した、1施設当たり医療費の伸び率 (図 略)
 
 
また、機能別に病院の「1日当たり医療費」を見ると、▼特定機能病院:7万円▼地域医療支援病院:5万7000円▼DPC対象病院:5万円▼それ以外の病院:2万3000円—となっており、施設数の関係もありますが、特定機能病院でバラつきが小さく、一般の非DPC病院でバラつきが大きな状況が伺えます。

病院の機能別に見た、2016年度における1日当たり医療費の状況(その1)(図 略)
病院の機能別に見た、2016年度における1日当たり医療費の状況(その2)(図 略)
 


https://www.m3.com/news/general/600334
ベッド削減3・5%どまり
5年後、病床再編消極姿勢に 厚労省集計

5/1 15:38 共同通信

 全国の病院・診療所のベッド数
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 人口減や高齢化に合わせた医療提供体制の再編で、全国の病院が5年後の2023年に予定しているベッド削減数は現状の3・5%にとどまることが、厚生労働省のまとめで分かった。各都道府県が医療の将来像を定めた「地域医療構想」では、人口減などにより25年に必要な病床数は全国で10%程度減ると推計されているが、削減に消極的な病院の姿勢が浮き彫りになった。

 高齢者が増えるため、重症患者向けの急性期病床をリハビリ向けの回復期病床などに換える必要もあるが、転換の意向も低調。人口構造の変化に合わせて病床の再編が進まないと、医療費の抑制が進まない恐れがある。

 厚労省は、全国の病院と診療所の計約1万4千カ所が機能別の病床数などを都道府県に提出する「病床機能報告」の17年分の速報値を集計。全国で計約132万床の病床(精神科などを除く)のうち、報告のあった約127万4千床についてまとめた。

 23年の予定病床数は約122万9千床で、17年比で約4万5千床(3・5%)の削減。地域医療構想では、25年に必要な病床数は約119万1千床と推計されており、未報告分も含めると、さらに8万床程度の削減が求められる。

 高度急性期は25年までに約3万2千床減らす必要があるが、各病院の意向では23年には逆に今より約5千床増えてしまう。急性期も25年までに約30%の削減が求められるが、23年時点では3%減にとどまる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/600705
シリーズ  安倍政権の医療制度改革
日医横倉会長「患者に負担押しつけ、財務省は無責任」
給付率自動調整などの提案に反対

レポート 2018年5月2日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会会長の横倉義武氏は5月1日の記者会見で、財務省が4月25日の財政制度等審議会財政制度分科会に提案した社会保障制度改革の23項目について、「経済成長ができなかった場合に給付率で患者に負担を押し付けようという財務省や財政審の提案は余りに無責任だ」と批判した(財政審は『後期高齢者の窓口負担を2割に、財政審が議論』を参照)。

 横倉氏は、日医の政策判断基準として「国民の安全な医療に資する政策か」、「公的医療保険による国民皆保険を維持できるか」の二つを強調。財務省提案の23項目のうち、特に「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」、「地域別診療報酬の活用」、「受診時定額負担の導入」について、「二つの判断基準に照らして非常に問題が大きい」と指摘した。

 「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」について、日本では欧州諸国に比べて国民負担率が低いとして、「経済成長ができなかった場合には、患者だけでなく社会全体の負担率を調整することでカバーするべきだ」と主張。また、経済成⻑が進まない場合や、医療費が高騰した場合のリスクを全て負担者が負う仕組みとなっているとの財務省の主張に対しては、70歳から74歳の自己負担の2割への引き上げや高額療養費制度の見直しなど、患者負担も上昇していると反論した。

 地域別診療報酬の活用については、4月11日の定例記者会見で既に反対を表明しており、改めて強調した(『日医横倉会長、都道府県別の診療報酬に改めて反対』を参照)。

 「受診時定額負担の導入」についても、かかりつけ医普及に向けた制度的裏付けが始まったばかりで、定額負担導入はこれに水を差すなどと述べて、「日医ではこれまでも繰り返し反対してきた。わが国の特徴であるフリーアクセスは守らなければいけない」と強調。かかりつけ薬剤師、薬局以外への定額負担は、3月25日の日医代議員会での答弁と同様の見解を述べた(『「保険調剤薬局、非営利法人に限定も」横倉会長』)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/600687?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180505&dcf_doctor=true&mc.l=291818141
シリーズ  医療裁判の判決詳報
医師の時間外労働、どう認定するのか? - 一審~差戻し控訴審詳報◆Vol.1
横浜地裁での前提事実と双方の主張

2018年5月5日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 神奈川県内の民間病院に勤務していた40歳代の男性医師が、未払いの時間外手当の支払いなどを求めた訴訟の差し戻し控訴審の判決が2月22日、東京高等裁判所であり、白石史子裁判長は付加金を含めて546万3290円の支払いを命じた。

 解雇無効と、時間外手当が年俸に含まれるか否かが争われていたこの裁判。差戻し前の審理では、一審の横浜地方裁判所判決(2015年4月)、二審の東京高裁判決(同年10月)とも解雇は有効とし、時間外手当は年俸に含まれるとして、原告側の請求の大部分を棄却。それに対し、2017年7月、最高裁判所第二小法廷は解雇に関しては上告を受理せず、時間外手当については「年俸支払いによって、時間外手当が支払われたと言うことができない」として一、二審判決を破棄(『医師の時間外手当で最高裁判決』を参照)。審理を東京高裁に差し戻していた。時間外手当はなぜ年俸に含まれないと判断されたのか。そして、未払いとされた手当の金額はどうように算出されたのか。横浜地裁、東京高裁、最高裁、差戻し控訴審東京高裁判決を全5回の連載で詳報する。

注:付加金とは、労働基準法に基づく賃金を支払わないなどの違反があった使用者に対し、未払い金と同額の支払いを命じるもので、「罰金」の性格を持つ。同法第114条にある規定。

横浜地裁判決(田中寿生裁判長) 2015年4月23日

主文

被告は、原告に対し、56万3380円を支払え。
被告は、原告に対し、11万2334円を支払え。
原告のその余の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用はこれを50分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実および理由

請求
原告は、被告に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
被告は、原告に対し、2012年10月から本判決確定の日まで、毎月末日限り各120万1000円を支払え。
被告は、原告に対し、172万円を支払え。
被告は、原告に対し、438万1892を支払え。
被告は、原告に対し、438万 1892円を支払え。
被告は、原告に対し、642万337円を支払え。

事案の概要
 本件は、医療法人である被告との間で雇用契約を締結し、被告が運営する病院に医師として勤務していた原告が、被告から2012年9月30日付けで解雇されたが、当該解雇は解雇権の濫用であり無効であると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、

同年10月以後本判決確定の日まで毎月120万1000円の未払給与の支払いを、
2012年12月支給分の賞与172万円およびこれに対する遅延損害金の支払を、
時間外割増賃金438万1892円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めるとともに、
労働基準法114条に基づき上記時間外労働割増賃金と同額の付加金および遅延損害金の支払を求め、
被告による解雇などによって精神的苦痛を被ったと主張して不法行為に基づく損害賠償として642万337円および遅延損害金の支払を求める事案である。

前提事実(争いのない事実)
(1)当事者
(ア)原告は、1997年に医師免許を取得後、関東の複数の病院での勤務を経て、先端腹腔鏡下手術である単孔式腹腔鏡下術式(以下、単に「単孔式」という)で施術するようになり、被告の運営する神奈川県内の病院(以下「被告病院」という)の消化器外科に勤務した医師である。
(イ)被告は、複数の病院や介護老人保健施設などを運営する医療法人である。

(2)雇用契約の締結
原告は、2012年4月1日、被告との間で、下記の条件で雇用契約(以下「本件雇用契約」という)を締結した。
(ア)雇用期間:定めなし
(イ)休日および休暇:原則として週2日
(ウ)就業時刻:午前8時30分から午後5時30分まで(休憩 1時間)
(エ)所定労働時間:1日8時間
(オ)給与:月120万1000円
    基本給86万0000円
    役付手当3万0000円
    職務手当15万0000円
    調整手当16万1000円
    初月調整8000円
(カ)支給日:毎月15日締め当月末日払い
(キ)本給月額の3か月分相当額を基準とし、成績により勘案する。
   夏期(本給月給の1か月分)
   冬期(本給月給の2か月分)

(3)解雇通告
(ア)被告は、2012年8月31日、原告に対し退職勧告を行い、退職届の提出がなされない場合には、解雇する旨を伝えた。これに対し、原告は、自主退職する意思はない旨を回答した。
(イ)被告は、2012年9月3日、原告に対し、解雇通告書を交付しようとしたが、原告はその受領を拒んだ。
(ウ)被告は2012年9月5日頃、原告に対し、職場での医師および看護師をはじめとするスタッフに対する威嚇するような言動や暴力ともとれる行為がたびたび見られ、これに対し再三注意や改善を求めたが、いっこうに改善されないため、被告病院の医師としてふさわしくないとして、就業規則54条に基づき、同月30日付けで解雇する旨の同年8月31日付け解雇通告書を送付した。

争点

 本件の争点は、(1)解雇の有効性、(2)不法行為に基づく損害賠償請求権の成否、(3)時間外割増賃金の有無およびその額であり、各争点に関する当事者の主張は次の通りである。

争点(1)解雇の有効性について

被告の主張

ア:普通解雇
 原告に対する解雇は、就業規則第54条1(1)「第53条によって勧告された者が退職届の提出を拒んだ場合」、同条1(2)「勤務成績が著しく劣り、職員として不適格と認められた場合」、同条(6)「その他前各号に準ずると認められた場合」に該当することを理由とするものである。
(ア)医師としての技量不足
a:原告は、単孔式に関する施術実績があると誇張し被告に採用されたものであるが、原告が行った単孔式は、その多くの手術でトラブルを生じた。すなわち、原告は2012年4月から同年6月までの間に、合計12件の単孔式の手術を行っているが、同年5月21日の手術では尿管を切断し、同年6月8日の手術では患者が手術後ICUで対応せざるを得ない状況となり、手術後ドレーン抜去部より腹水が生じるなどして縫合処置をせざるを得ない事態を惹起している。また、同年5月28日の手術では術後創離開が生じ、同年6月22日の手術では創感染から再入院を余儀なくされるなど、手術後のトラブル数は原告が突出していた。
b:原告は2012年8月10日、SILSでのヘルニアの手術中、通常、患者の気腹圧を20気圧まで上げることはないにもかかわらず、麻酔科医に確認することなく、患者の気腹圧を20気圧まで上げた。その結果、患者の血圧上昇などがあり、A医師が減圧をした。患者は、術後に胸部と陰嚢部に気腫が発生したが、原告は、患者に対し、「こんなの普通だから」と説明した。
c:このように、原告には、原告が主張する程度の症例を経験した医師として有すべき技量は全くなく、消化器外科の専門医としての資質すらなかったと言わざるを得ない状況であった。

(イ)医療職員への責任転嫁など
 原告は、指導していた後期研修医であるB医師に対して暴力をふるったり、看護師を始めとする職員に対し、その人格を否定するかのような暴言を繰り返したりした。さらに、自らのミスを日常的に他人に責任転嫁していた。

(ウ)緊急状態下で連絡がつかない状態であったこと
 C看護部長は、2012年7月4日、原告の担当患者が急性腹膜炎となった可能性を疑い、危険を回避する目的で、緊急避難的に ICUに移動させた。C看護部長は、患者の移動に先立ち原告のPHSに何度も確認の連絡をしたが、原告は当該PHSを電池切れの状態で放置しており、連絡がつかなかった。院内で緊急連絡用に使用するPHSを電池切れの状態で放置すること自体、患者の生命を預かる医師としての重大な責務を放棄するものである。
 また、原告は、C看護部長に対し、医師の指示なく独断での行動であると非難し、「あなたはそんなで部長ですか。あなたがそうだから看護師は馬鹿ばかりです」などとC看護部長の人格を否定するような発言を行った上、生検用錯子をパチパチと開閉させながら威嚇を続けた。以上の点からすれば、原告に解雇事由が認められることは明らかである。

イ:懲戒解雇事由にも該当すること
 原告の行為は、懲戒解雇事由に該当するものであり、この点から言っても原告に対する普通解雇は有効である。

(ア)被告医療法人の信用を失墜させたとき
 原告は、患者の面前で職員を罵倒するなどしており、かかる原告の行為は、いたずらに患者に不安感を生じさせるものであり、被告の信用を失墜させる行為と言わざるを得ない。

(イ)命令違反
 被告では、口頭指示が厳格に禁止されていたにもかかわらず、原告は口頭で不適切な指示を繰り返し、その責任の全てを、看護師を始めとする医療従事者に転嫁していた。指示簿への記載は、医療事故を防止するため厳守されなければならないものであったが、原告は日常的に禁止事項に違反する行為を繰り返していた。

(ウ)職場放棄
 原告は、緊急連絡用のPHSを電池切れの状態で放置し、緊急状態において、迅速かつ適切に対処しなければならない医師としての重大な責務を放棄していた。
(エ)各号に準ずる程度の不都合な行為
 原告は、自らが指導するB医師に対し暴力をふるっただけではなく、看護師を始めとする職員に対し、人格を否定するかのような暴言を度々繰り返していた。原告の行為を放置することは、かえって被告が職員からパワーハラスメントとして責任追及を受けることにもなりかねず、原告の行為は、懲戒事由として列挙されている行為に準ずる程度の不都合な行為と言わざるを得ない。

原告の主張

ア:原告の技量などについて
 被告は、原告が医師として被告の要求する技量を有していなかったと主張し、その証拠として、「原告医師実績」と題する書面を提出する。しかしながら2012年6月8日に腹水が生じた件は、周術期合併症の一つであり、同月22日の創感染についても一定割合で生じうるものであり、いずれも原告の技量に左右されるものとは断定できない。また、原告において手術後のトラブルが突出していたものではない。

イ:解雇権の濫用
 被告は、原告において、威嚇するような言動と暴力ともとれる行為が度々見られ、再三にわたり注意や改善を求めたが改善されなかったことを理由に解雇を主張しているが、原告は、被告から再三にわたり注意を受けたことはないし、看護部長を含む看護師や総務担当者に対して業務上重大な問題につながりかねない誤りを注意したに過ぎない。またB医師の胸部を突いた行為も解雇を正当化するほどの行為ではない。よって、原告に対する解雇には理由がなく、解雇権の濫用に当たり無効である。

争点(2)不法行為に基づく損害賠償請求権の存否について

原告の主張


ア:原告の解雇は理由のない無効なものであり、原告は解雇の撤回を求めていたにもかかわらず、被告はこれに応じず、一方的に困難な手術の担当から外すなどしていった。また外来患者の不可解な配てんや9月以降原告に単孔式を中止させたことは、消化器外科の専門家として単孔式を実践するため、被告病院に入職した原告に対し、多大な精神的苦痛を与えるものである。そして現在は原告を全く就業させない状態が続いており、解雇が無効であるとしても、このような不安定な状態に置くことによる原告の精神的苦痛は計り知れないものがある。これらの事情を基に原告の精神的苦痛を金銭に評価するとすれば500万円は下らない。

イ:原告が本請求をするのに要する弁護士費用は、被告に対する請求額の1割である142万337円を下らない。

ウ:よって原告は被告に対し、642万0337円の損害賠償請求権を有する。

被告の主張

 原告に解雇事由が認められることは明らかであり、被告は原告に対して損害賠償責任を負うことはない。

争点(3)時間外割増賃金の有無およびその額について

原告の主張


ア:労働時間について

(ア)原告が本件雇用契約に基づいて被告から支払を受けていた賃金のうち時間外労働賃金を算定する基礎となる賃金は、(1)本給および(2)諸手当(初月調整を除く)の 120万円である。そして、原告の所定労働時間および所定休日および休暇を踏まえると、原告の1カ月の平均所定労働時間は162時間40分であり、原告の1時間当たりの労働賃金は7383円となる。

(イ)被告病院においては、被用者が出勤した際に、静脈認証により出勤・退勤を記録するか、備え付けの「静脈未承認記録簿」に出勤・退勤を記録することとなっているところ、原告は主に静脈未承認記載簿に出勤・退勤を記録していた。また、原告が本件病院内で被告が設置したパソコンを使用した際のログイン・ログアウト記録から、原告が記録された時間に勤務していたことが明らかである。これらの資料によると、原告は所定労働時間のほか、被告の業務命令に基づき、2012年4月3日から同年9月30日までの間、合計323.38時間労働したことになり、これにより発生する時間外労働割増賃金は、495万7192円となる。ここから、被告が支払済みであると主張する57万5300円を差し引くと438万1892円になる。

 (ウ)被告は、これらの資料に信用性がない旨主張するが、静脈未承認記載簿について原告と被告との紛争が発生する前から記載していたものであり、かつ原告が被告に勤務していた期間に静脈未承認記載簿の記載内容を根拠として時間外割増賃金の請求をしたこともないのであるから、原告が虚偽の記載をする理由はなく、当該記載内容は信用することができる。また、ログイン・ログアウト記録については、原告が記録された時間に勤務していた事実を示すものであり、静脈未承認記載簿への記入を失念した場合や、原告の勤務が終わり静脈未承認記載簿への記入が終わった後に呼び出しを受けたような場合を補充するものである。なおログイン・ログアウト記録について、原告が他の職員に IDを教えたような事実はない。

イ:時間外割増賃金が本給・諸手当・賞与に含まれるかについて

 本件では、本給・諸手当・賞与のうちどの部分が時間外手当に当たるか明確に区別されず、役付手当、職務手当、調整手当についての算出方法も不明確であり、どの手当が時間外手当に相当するかの説明は一切なく、就業規則などにも手掛かりとなる条項が存在しない以上、時間外手当が本給・諸手当・賞与の中に含まれていると考えることはできない。また、被告は役付手当、職務手当および調整手当が定額の時間外労働手当としての性質を有するとも主張するが、これらの手当が全て時間外労働の手当というのであれば、3種類の手当に分ける理由が見当たらないし、時間外労働手当として支給する旨を雇用契約書や就業規則などで明記するべきである。よって、時間外割増賃金が本給・諸手当・賞与に含まれることはない。

ウ:管理監督者の該当性について

 原告は、静脈承認又は静脈未承認記載簿により労働時間を管理され、少なくとも医師時間外勤務給与規程(以下「本件時間外規程」という)で定められた範囲内においては時間外手当が支給されることは被告も認めている。また、所定勤務時間内において出退勤の自由が認められていなかった。
 原告は、被告の従業員に対する人事権や労務管理についての権限は一切なく、院長や副院長と異なり、経営会議に出席する権限もなかった。原告が所属していた消化器センターに限っても、その部門を統括する立場にあるのは部長であり、原告はその立場になかった。
 被告は、原告が高額の給与を受けていたことをことさらに強調するが、原告の給与は原告の職種や経験などに照らすと特別高額なわけではなく、被告の現在の求人情報でも給与の最高額が3000万円となっている。よって、原告は管理監督者には該当しない。

被告の主張

ア:労働時間について

(ア)原告が時間外労働したとして主張する時間について、被告から原告に対する業務上の命令は全くなく、原告が単孔式の研究という私的な活動のため、所定勤務時間外に被告病院に滞在していたにすぎない。

(イ)被告における勤務時間の記録は、静脈認証により行われていた。静脈未承認記載簿は、静脈承認を行うことができない極めて例外的な場合にのみ活用することとされており、原告は、正規の手続きを踏むことなく静脈未承認記載簿に出勤・退勤を記録していたにすぎない。

(ウ)被告病院における診療開始時刻は午前9時とされており、原告を含む勤務医の始業時間が午前8時30分とされているのは、診療開始時刻の30分前に被告病院に出勤し、診療の準備を行うためであった。午前8時30分から午前9時の間の30分間は、診療開始のための手待ち時間にすぎず、当該30分およびそれ以前の時間について、被告による業務上の指示はない。なお、被告病院には、医師のための仮眠室と休憩室があり、手待ち時間・休憩時間においては、勤務医は仮眠室・休憩室などを自由に広く利用していた。

(エ)原告が通常の業務において使用する可能性のあるパソコンは複数あり、それらパソコンを他の医師が使用することは頻繁にあり、特に当直勤務の担当者が使用する頻度は極めて高かった。
 よって、原告が通常の業務において使用する可能性のある被告のパソコンから、原告の IDおよびパスワードにて、患者別の電子カルテにアクセスがなされた際のログイン・ログアウトの履歴であるログイン・ログアウト記録における日時の記載をもって、原告の時間外労働時間を立証することはできない。

イ:時間外割増賃金が本給・諸手当・賞与に含まれるかについて

(ア)本件時間外規程に、時間外手当の対象となる業務は原則として、病院収入に直接貢献するか、必要不可欠な緊急業務に限られ、時間外手当の対象となる時間は、午後9時から翌日午前8時30分までと規定されており、それを前提に雇用契約を締結した。
 原告の基本給は月額 120万 1000円であり、これに加え、当直手当として当直1回につき3万円が支払われ、本給月額の3カ月分相当額を賞与として支払われる見込みであったことを鑑みると、被告における原告の給与は、極めて高額であったといえる。
 被告は、原告の勤務時間を厳格には管理しておらず、原告は自らの判断で診療を行い、業務上の必要性がある場合を除き、被告はこれに対し何らの制約も加えていなかった。 被告が運営するような民間病院では、一般的に専門家たる医師に対し、所定時間外労働に対する対価も含めたものとして極めて高額の報酬を支払っており、別途時間外手当名目での支払がないのが一般的である。
 これらの事実からすれば、原告被告間において、本件時間外規程に定める条件に該当しない時間外割増賃金は存しないとの合意があり、仮に原告が所定時間外に労働をしていたとしても、その対価は原告の給与に含まれていたというべきである。

(イ)また被告は、原告を含む常勤医師のみに対し、役付手当・職務手当・調整手当を支給しているところ、常勤医師の労働時間の管理が極めて困難であることからすれば、これら手当は、本件時間外規程において時間外手当の対象となる勤務日の午後9時から翌日の午前8時30分までの間および休日を除く時間外労働に対する対価というべきであり、いわば定額の時間外労働手当であるから、原告において、時間外割増賃金は存しない。

ウ:管理監督者該当性について

(ア)原告は、極めて高度な専門知識を有し、看護師をはじめとする医療従事者を管理監督する指導医的立場の医師であり、消化器外科の職員に対し、指導・監督する広範な権限があった。

(イ)被告における原告の所定労働時間は、午前8時30分から午後5時30分までであるが、所定勤務時間内であっても、業務上の必要性がない限り、原告には出退勤の自由がある程度認められていた。

(ウ)また、原告は、被告から基本給だけでも月額 120万1000円(2012年4月のみ 120万9000円)および当直手当として当直1回につき3万円が支払われることに加え、年間258万円の賞与が支払われることが見込まれており、その合計は年間1699万2000円となる。
 この点、42歳である原告と同年代の男性の平均年収は、賃金センサスによると 549万9400円であり、日本医師会の資料によると、常用労働者1000人以上の規模の企業で働く医師の平均年収は、814万9000円であることからすれば、被告における原告の待遇は、管理監督者としてふさわしいものである。

(エ)これらの事情からすれば、原告は、労働基準法41条2号の定める管理監督者に該当し、被告は、時間外手当の支払義務を負わない。

エ:一部弁済

 被告が、原告に対し、本件時間外規程の定める要件を満たす時間外勤務を行った者として、時間外労働手当を支払ったのは、2012年6月10日付けの7時間30分、同年6月16日付けの 3時間30分、同年7月9日付けの5時間(うち30分は深夜手当も支払われている)、同年7月、15日付けの11時間30分(うち7時間は深夜手当も支払われている)の時間外勤務である。被告は、原告に対し、2012年7月31日付けで3万9651円、同年8月31日付けで11万5649円の時間外労働手当を支払っており、その合計額は15万5300円である。
 また、同年5月31日付けで15万円、同年6月30日付けで6万円、同年7月31日付けで6万円、同年8月31日付けで6万円、同年9月28日付けで9万円の当直手当を支払っている。 よって、原告の時間外労働手当の請求の一部が認められるとしても、上記金額の合計である 57万5300円については支払い済みである。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596735
シリーズ  いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「カリキュラム制も柔軟に」「ダブルボードも」◆Vol.7
「改善すべき点はない」は1.1%にとどまる

医師調査 2018年5月6日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度は、2018年度は初年度だったこともあり、試行錯誤が続き、結局、開始が1年遅れた。制度を設計する立場ではなく、当事者である本制度一期生に改善点を複数選択で尋ねたところ、最も多かったのは、「研修プログラム制と研修カリキュラム制を柔軟に選べるようにする」(58.3%)、次が「ダブルボード(複数専門医取得)を容易にする」(51.8%)でいずれも5割を超えた。

 新専門医制度では、あらかじめ研修する基幹施設を定め、所定のスケジュールにしたがって研修する「プログラム制」が基本。症例数やレポート提出などの結果のみではなく、研修プロセスの管理を通じて、専門研修の質向上を図るのが狙いだ。しかし、複数の施設をローテーションしたり、出産・育児をはじめ、さまざまな事情で研修施設を変更したい場合には対応しにくい。新制度でも、地域医療従事者や女性医師等への配慮からカリキュラム制も可能だが、より柔軟に選択できるように望む声が多かった。また19の基本領域のいずれかを登録する仕組みであり、複数の専門医資格を取得するダブルボードは可能だが、時点ではそのハードルは高い。

 3位は、「サブスペシャルティとの相互乗り入れプログラムの充実」(43.8%)。内科と外科については、サブスペシャルティが決まっており、相互乗り入れのプログラムが用意されているが、それ以外では、基本領域とサブスペシャルティの関係は未定だ。

 その他、さまざまな改善点が挙がり、「改善すべき点はない」は1.1%にとどまった。

Q1.新専門医制度の改善点は何か(n=276、複数回答)
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【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.m3.com/news/iryoishin/598422
シリーズ  未来の医師たちへ―医師のリアルと2035年の医療
医師の収入「1200万-1599万円」で3割強◆Vol.14
男性の最多は「1400万-1599万円」、女性は「1200万-1399万円」

スペシャル企画 2018年5月6日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 現在の年収はどのくらいでしょうか。
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 本調査の対象医師(平均年齢41.9歳)では「1200万-1399万円」「1400万-1599万円」がそれぞれ16.4%で、最多だった。
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 男女別に見ると、男性の最多は「1400万-1599万円」、女性は「1200万-1399万円」だった。この金額を境に、1399万円以下は女性、1400万円以上は男性が、それぞれ占める割合が高くなっていた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/598912
シリーズ  島田悠一の「米国流、医師の“育て方”、“鍛え方”」
米国研修医の働き方改革、「振り子の揺り戻し」の段階へ
「1年目研修医の16時間連続勤務時間制限」は廃止

2018年4月30日 (月)配信島田悠一(コロンビア大学病院循環器内科指導医)

 m3.com会員の皆様、はじめまして。現在ニューヨークのコロンビア大学病院で循環器内科指導医をしております島田悠一と申します。内科レジデント(初期研修医)として2008年に渡米して以来、チーフレジデント、循環器内科フェロー(専門研修医)、そして指導医として米国のいろいろな病院のさまざまな立場の医師の働き方を実際に体験してきました。日本ではこの4月から新専門医制度が始まり、臨床研修や医師の働き方の改革も進むなど、医師養成の在り方が注目されていると伺っております。米国の最新事情をご紹介することで、日本における現状と将来像を考える一助になれば幸いです。

 今回は米国における初期(3~7年)と専門(1~3年)の研修医(以下、「研修医」)の働き方を実例を交えながら紹介していきます。


(提供:島田氏) 米国における勤務時間・受け持ち患者数制限 (図—略)

 米国では、医学部(メディカルスクール4年)卒業後、初期研修(希望者は専門研修も)を行います。初期研修は内科・外科・産婦人科・小児科などの領域ごとにマッチングが行われ、日本の基本領域の専門医研修に相当するものと考えられます(2017年6月現在、28領域)。

 米国の研修医の勤務時間は1981年に設立されたACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education、卒後医学教育認定評議会)という民間の非営利団体によって細かく規定されています。最初に確立された規則は週当たりの勤務時間の上限で、例えば内科では4週間の平均で週80時間に制限されています。さらに厳しい週70時間や60時間制限が課されている科(産婦人科、救急救命科など)もあります。

 この他にも、連続勤務時間は引き継ぎのための4時間を含めて、連続28時間(1年目研修医は16時間)以内にしなければいけない、シフトとシフトの間には必ず8時間以上の休みがなければいけない、週1回24時間以上の休みがなければいけない、などの決まりがあります。ちなみに、この場合の「休み」というのは原則的に病院に呼び出される可能性がない時間で、たとえ受け持ち患者さんが急変したり亡くなったりしても連絡が入らないことがほとんどです。

 勤務時間のみならず受け持ち患者数にも上限が設けられており、例えば1年目研修医は受け持ち入院患者数10人まで、新規入院1日5件と転科2件まで、というように細かく規定されています。さらに、米国では指導医の監督の下に卒後1年目から継続して外来を担当するのですが、外来で診る人数は午前と午後、それぞれ6人までと決められています。初診は60分、再診は30分と、かなりじっくり診療できる時間が割り当てられています。

 ACGMEによる調査の実態と罰則規定

 それでは、研修プログラムは本当にこのような規則を遵守しているのでしょうか。ACGMEは研修プログラムの評価・認定機関でもあるので、規則に違反したことが明らかになった場合には、さまざまな罰則を科すことができます。まずは警告、改善が見られなければ新たな研修医の募集停止、最悪の場合では認定の取り消しに至ることもあります。ACGMEの査察は抜き打ちで行われ、直接研修医と面接したりアンケート調査をしたりします。

 さらに夜勤の研修医から聞き取りを行うために夜間にも査察が行われ、オンラインでACGMEに匿名で違反を知らせることもできます。このように違反があるとすぐに分かる仕組みができています。このためか、ほとんどの研修プログラムでは規則違反にならないように勤務スケジュールを組み、もし違反が起こりそうな状況になったらすぐに介入するなど、規則遵守の姿勢を鮮明に打ち出しています。

 勤務時間制限の緩和への動き

 このように、米国の初期・専門研修にはACGMEによるさまざまな規則があり、違反すると厳しい罰則があるため、かなり厳密にこれらの規則が適用されている印象を受けます。しかしながら、このような勤務時間や受け持ち患者数制限による弊害も指摘されており、これらの規則がない時代に研修をした世代からは「最近の研修医は守られすぎている」とか、「これでは必要な経験が十分に積めないのではないか」といった意見も聞かれます。

 実際、時間制限とこれを緩和した時間制限を比較したランダム化比較試験(4330人の外科研修医が参加、14万件の手術を解析)では、勤務時間制限を緩和しても死亡と重度合併症に関して非劣勢であるとの報告がなされました。この研究における研修医アンケートでは、時間制限が緩和された群の方が患者の安全性、ケアの継続性、プロ意識の形成、教育への満足度といった項目の印象が良い一方で、手術中や急変時に引き継ぎを行う頻度が減ったという結果が出ています(NEJM.2016 Feb;374(8):713-727)。これを考慮してか、前述の「1年目研修医の16時間連続勤務時間制限」は2017年に廃止され、2年目以降と同様に28時間を上限とする連続勤務が可能になりました。

 勤務時間や受け持ち患者数が多すぎることの弊害が問題となった1984年のリビー・ジオン事件以来、米国医学界は研修医を保護する方向に規制を強化し続けてきましたが、最近になっていわば「振り子の揺り戻し」とも言えるような規制緩和への動きが始まっています。米国が30年以上にわたる試行錯誤の過程で培ってきた知見が、少しでも日本の医師の働き方改革の役に立つことを願っています。

 次回は研修医教育の質がどのように確保されているかについて紹介する予定です。



https://www.m3.com/news/general/600901
消滅予想都市、人口減加速…8割の713自治体
2018年5月4日 (金) 読売新聞

 民間の有識者らでつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が2014年5月、「40年に消滅する可能性がある」(消滅可能性都市)と指摘した全国896市区町村のうち、約8割の自治体で人口減がより加速することが読売新聞社の分析でわかった。

 想定以上の速さで行政サービスなどの維持が困難な自治体が現れる可能性が高まっており、政府などによる抜本的な対策が求められる。

 創成会議は、国立社会保障・人口問題研究所が13年に公表した地域別将来推計人口のデータを基に、消滅可能性都市という考えを提唱した。今回は、それから5年後の18年に新たに公表された同推計人口を基に、40年時点の消滅可能性都市の人口の変化を比較した。

 この結果、北海道や東北・九州地方など過疎地域の713自治体で、40年時点の人口が減少していた。東京など3大都市圏を中心に181自治体では逆に増加した。減少した自治体の平均減少率は11・3%で、最も大きかったのは奈良県上北山村の48・9%、市では北海道歌志内市の32・9%で529人減少した。

https://ganbarustars.info/nandemo/archives/196#4
日本創生会議 消滅可能性都市一覧(2010〜2040年の若年女性減少率)



https://www.m3.com/news/general/600712
(司法解剖) 現場の自助努力に限界 人、予算不足「時間ない」
2018年5月2日 (水)配信共同通信社

 「解剖だけで精いっぱい」「時間がない」。司法解剖を担う法医学の現場からは、慢性的な人材不足で鑑定書作成に手が回らない窮状を訴える声が上がる。専門職員を雇ったり、解剖所見を音声入力できる装置を導入したりする「自助努力」での改善の動きはあるが、予算による限界も。関係者は、国による体制整備の必要性を強調する。

 「脳の腫脹(しゅちょう)を認めない」「表皮剥脱あり」。解剖医は一般的に所見を声に出して録音。後で起こして薬毒物や血液の検査結果も加味し、数カ月かけて鑑定書を仕上げる。

 法医学の関係者によると、解剖を担う医師は全国で150人程度で、県に1人という地域も多い。「深夜までかけて何とか解剖をこなしている上、授業などもある」(秋田大)、「事件性がありそうなケースは鑑定書を作る。全件作成が基本だが、時間がない」(宮崎大)。担当者は切実な状況を明かす。

 鑑定書をほぼ100%作成する千葉大では、書記などの専門職員7人を雇い、解剖医は最終確認するだけにしている。国や大学から出る人件費はわずかで、解剖に伴う収入で賄う。岩瀬博太郎(いわせ・ひろたろう)教授は「十分な体制がないと全数作成は厳しい」と指摘。自腹で職員を雇う教授もいるという。

 長崎大は音声認識技術開発会社「アドバンスト・メディア」(東京)と共同で、解剖医が身に着けたマイクに所見を話すと文字入力されるソフトを開発し、運用。同社によると、和歌山県立医大など11大学も導入する。長崎大の池松和哉(いけまつ・かずや)教授は「負担は減ったが、適正と思う件数の3倍近い解剖をこなしている」と話し、国が抜本的対策を打ち出すよう求めている。



https://www.m3.com/news/general/600711
(司法解剖)  鑑定書、年間千件未作成か 司法解剖、全国の委託先 法医学、人材不足が背景
2018年5月2日 (水) 共同通信社

 犯罪死が疑われる場合に行う司法解剖が2015年と16年、全国で計1万6750件実施された一方、捜査当局の委託を受けた大学などの解剖医による当局への鑑定書提出件数は両年度で計1万3530件だったことが2日、警察庁の開示資料などで分かった。統計が暦年と年度で単純比較はできないが、3千件以上の違いがあり、年間、千件単位で鑑定書が未作成だった可能性がある。

 複数の大学は背景として法医学分野の人材不足を挙げる。作成は法律で義務付けられていないが、専門家は「鑑定書がなければ解剖医の死亡などで過去の事例が検証できず、犯罪を見逃す恐れがある。早急に改善すべきだ」と指摘する。

 開示された、鑑定書提出に伴う謝金支払い件数の資料などによると、岡山県は15、16年の司法解剖が計270件だったのに対し、支払いは16年度の1件。愛媛、福井、香川、秋田、宮崎各県も解剖数に対する支払いが1割を切り、352~126件少なかった。

 鑑定書には死因や死亡推定時刻、外傷の部位が写真入りで記載される。ある検察幹部は「容疑者の供述の合理性も推定でき、起訴時や公判の重要な資料になる」と話す。

 大学の解剖医らによると、一般的に作成には数カ月かかる。作成しないのは事故死や孤独死など事件性がない場合が多いが、事件性があっても結果を口頭や簡易なメモで伝えることもある。岡山大は「解剖を相当数こなし、教員の職務もおろそかにできない。鑑定書作成の時間まで取れない」としている。

 警察庁によると1998年以降、検視や解剖などで事件性なしとされた遺体が後に犯罪死と判明したのは54件。同庁は「早期に提出を受けるよう指導している」という。

 内閣府の死因究明等推進計画検討会元専門委員の福武公子(ふくたけ・きみこ)弁護士は「大学にポストがなく、法医学分野は人材が集まりにくい。政府が死因究明の専門機関をつくるべきだ」と話している。

 ※司法解剖

 警察に届け出があった遺体のうち、事件性が高い場合に裁判所の令状に基づいて行われる。捜査当局が委託し、大半は法医学講座がある大学が担う。解剖所見をまとめた鑑定書は、捜査や刑事裁判で重視されることが多い。警察庁によると、近年は年間8千件以上が対象となり、2017年は8157件。10年前に比べ2千件以上増えている。


  1. 2018/05/06(日) 11:18:17|
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