Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年4月30日

Google Newsでみる医師不足 2018年4月30日

First 5 in Google in English 


Doctor shortage impacted by limited residency slots; Idaho ranks 49th per capita for doctors and residencies
Twin Falls Times-News April 29, 2018 at 5:50 am | By ISABELLA ALVES (アイダホ州)

Idaho, as a state, can be mostly categorized as rural, making access to physicians already difficult.
“Unfortunately, patients are having to travel to receive health care,” Christensen said. “Some patients don't have the resources to be able to do that.”
Patients are experiencing longer wait times and traveling longer distances just to receive basic care because of the doctor shortage. The lack of access to doctors causes patients to live sicker and experience more complications from illnesses that could have been avoided if there were more doctors to go around.



Immigration rules 'causing doctor shortage'
ITV News-2018/04/27 (英国)

Some 100 visas are reported to have been refused for a scheme in the North West that supplies junior doctors to 30 NHS trusts.
Bosses are said to have written to Health Secretary Jeremy Hunt and Home Secretary Amber Rudd with their concerns.
Chief officer of the Greater Manchester Health and Social Care Partnership, Jon Rouse, said: "As we reach the end of a winter where the NHS has been stretched to its very limits, partly as a result of a lack of medical workforce, we find it almost impossible to understand how this decision can have been reached."



Recruit, retain, repeat: Iowa faces doctor shortage
The Gazette: Eastern Iowa Breaking News and Headlines-2018/04/26(アイオワ州)

Health care constantly evolves and shifts, in policy and practice. Iowa providers need to innovate to provide the best care. But you can't do that if you don't have enough doctors. Health care experts and policy makers have found that nationwide, and strikingly in Iowa, there are not enough primary care and specialty physicians to meet the demand for patient care. Of all 50 states, the Hawkeye State ranked 46th in 2016 for the total number of physicians active in patient care per 100,000 people, according to the Association of American Medical Colleges, the not-for-profit that represents all the medical schools in the United States.



Why finding a doctor in SC could get harder
Greenville News-2018/04/22 (サウスカロライナ州)

Despite the nation's efforts to grow the number of doctors in recent years, the projected physician shortage is now greater than even last year's estimates.
The latest prediction from the Association of American Medical Colleges is that the United States could be short more than 120,000 physicians by 2030, up from last year's estimate of 105,000.
And the deficit will be most keenly felt in the South, which already has fewer doctors than other parts of the country.
“It does seem to be worsening,” said Dr. Angela Sharkey, senior associate dean for academic affairs at the University of South Carolina School of Medicine Greenville and a professor of biomedical sciences.



Doctor Shortage May Reach 120,000 by 2030
Inside Higher Ed By Grace Bird (USA)
April 12, 2018 ()

2018/04/12 - The U.S. could see a shortage of up to 120000 physicians by 2030, according to a report published Wednesday by the Association of American Medical Colleges. The association urged medical schools to train more physicians and use different strategies in doing so. It also encouraged the federal government to intervene with funding and legislation.
According to the report, “The Complexities of Physician Supply and Demand: Projections from 2016-2030,” the shortage of physicians in primary care and medical, surgical and other specialties is projected to range from 42,600 to 121,300.



(他に10位以内のニュースは、米国3 アイオワ州2、からも)

下記のAAMC報告の発表に伴う報道が多い
2018 Update The Complexities of Physician Supply and Demand: Projections from 2016 to 2030 Final Report
Prepared for: Association of American Medical Colleges
https://aamc-black.global.ssl.fastly.net/production/media/filer_public/bc/a9/bca9725e-3507-4e35-87e3-d71a68717d06/aamc_2018_workforce_projections_update_april_11_2018.pdf
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  1. 2018/04/30(月) 06:18:03|
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4月29日 

https://www.asahi.com/articles/DA3S13466529.html
(社説)医師偏在対策 医療界は責任の自覚を
2018年4月25日05時00分 朝日新聞

 深刻な地方の医師不足の解消をめざして、医療法などの改正案が国会に提出されている。

 地域に必要な医師の数を算定した医師確保計画を、都道府県がつくる▽それにもとづき、自県や都会の大学医学部に対し、地元出身者枠の拡大や、地域で一定期間働くことを条件に入学を認める「地域枠」の設定を要請できるようにする▽卒業後の臨床研修先や定員を、国ではなく都道府県が決める方式に変える――などが柱だ。

 地方が権限をもち、主体的に考え、責任を引き受けるのは、本来あるべき姿だ。

 とはいえ、これで問題がただちに解決するわけではない。地元の大学、病院、医師会、学会が、それぞれの利害や立場を超えて、自治体と協力してとり組むことが不可欠だ。

 こうした医療関係者も加わる協議会は、すべての都道府県に設けられている。しかし形骸化しているものも少なくない。課題に向きあい、機能する組織に改めていく必要がある。

 医師の数は16年までの10年間で4万人増えた。だが都市部に集中し、同じ県内でも地域によって偏在がある。まずは住民の年齢や世帯構成、いま診療にあたっている医師の専門分布などを踏まえて、今後の医療ニーズを見極めることが肝要だ。

 県をまたいで生活圏が形づくられているところも多く、都道府県の垣根を超えた連携も求められる。調整のしくみを設け、実務を担う人材の確保や育成を急がなくてはならない。

 地方勤務を後押しするための条件整備にも目を配りたい。

 厚生労働省がおととし実施した調査では、医師の4割以上が都市部以外で働く意思を示す一方、ためらう理由として、労働環境や仕事内容、キャリア形成などへの不安を挙げた。

 交代派遣をシステム化して、一人に過度な負担が生じないようにする。地方にいても最新の知識や技術を学べるように、勉学の機会を確保する。そうした手立てに加え、地域医療の意義と魅力を伝える教育の充実にも力を入れてほしい。

 医学部生の3分の1は女性だ。出産や育児をしながら仕事が続けられる環境づくりも、これまで以上に大切となる。

 今年度から、内科や外科などの「専門医」を育てるための新しい制度が始まった。医療の質の向上をめざすものだが、研修への参加や指導で、医師が都市部の大病院に集中するのではないかとの懸念も強い。

 こちらとの両立を図るのもまた、医療界の重い責務である。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201804/CK2018042602000167.html
医師増加 奨学金追い風 「10万人当たり全国最下位」に好転の兆し
2018年4月26日 東京新聞【埼玉】

 人口10万人当たりの医師数が全国最下位の埼玉県に、好転の兆しが見え始めた。2014年から2年間の医師増加数が全国3位であることが判明。県は医大生への独自の奨学金制度や、研修医の受け入れ策が功を奏したとみている。 (井上峻輔)

 「医師や看護職員の確保が順調にいっている。県民に心配をかけているが、良い方向に向かっていると確認してほしい」。上田清司知事は二十四日の定例会見で胸をはった。

 厚生労働省の一六年末時点の調査によると、県内の医療施設で働く医師数は一万一千六百六十七人で全国九位。前回の調査があった一四年から六百九人増えていて、増加数と増加率はともに全国三位だった。

 県が大きな要因とするのは、一〇年度から始めた医学生への奨学金制度だ。六年間で最大約千五百万円を支給する。卒業後に県北や秩父など医師不足の地域で九年間勤務すれば、返還を免除する仕組み。八年間で二百十五人の学生が利用している。

 一三年には県と医師会などが「県総合医局機構」を設立し、医学部卒業後の研修先に県内の病院を選んでもらうための活動に取り組んできた。合同説明会や見学ツアーを企画するとともに、研修後の医師のキャリア形成にも力を入れた。その結果、一七年の初期研修医は〇三年の二倍に増え、増加数と増加率は、ともに全国一位となったという。

 ただ、人口十万人当たりの医師数が全国最下位である状況は変わらない。県は地域保健医療計画で二〇年末までの最下位脱却を目標に掲げている。四十六位の茨城県を抜くには、一六年末時点の数字で仮定しても千五百人ほどを上積みする必要がある。他県も医師確保に力を入れる中で、最下位脱却は「おそらく難しい」(県担当者)という状況だ。

 それでも上田知事は「数字のトリックがある」として、人口当たりの医師数にはこだわらない姿勢を示す。埼玉県は東京都など県外で医療行為を受ける人も多く、県単独での数字の評価が難しいと考えるためだ。

 今後は医師の地域偏在と診療科偏在の解消に力を入れていく方針で、医師数は「時間がたてばおのずから増えていく」としている。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/599851
シリーズ  真価問われる専門医改革
日本専門医機構に偏在対策など要望へ
地域医療を守る病院協議会

2018年4月27日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 5つの病院団体で構成する地域医療を守る病院協議合は4月26日に記者会見し、日本専門医機構に対する要望書案を発表した。適宜微修正を加え、近く同機構理事長の吉村博邦氏に提出する。要望案は、同機構が新専門医制度を通じて地域、診療科偏在対策を講じることができる唯一の団体であるとして、「地方における医療確保に対する危機に応えるべく、対策の検討を要望する」としている。


 記者会見では、全国国民健康保険診療施設協議会会長の押淵徹氏が「専門医制度を改革する過程で偏在の解消になればと思っている」と説明。地域包括ケア病棟協会会長の仲井培雄氏は「人口減少、超高齢化社会では高度急性期のニーズは若干減り、地域包括ケア病棟のニーズが増えていく。そこでは診療科や多職種、病診、介護、福祉、行政の連携が大事で、総合診療医が最も大切だ」と述べ、全体の約2.2%の登録にとどまった総合診療専門医の増加の必要性を訴えた。

協議会を構成する団体は他に全国自治体病院協議会、日本慢性期医療協会、JA全厚連。

要望書案の全文は次の通り。

【地域医療を守る病院協議合の日本専門医機構への要望書案】
 2017年4月から総合診療領域を加えた新専門医制度が新たにスタートしました。期待されていました総合診療領域での登録においては、さまざまな理由があると思われますが、採用・登録者'数は184名と全体の2.2%程度の状況であります。また、従来の他の18領域についても東京など大都市に集中し、診療科によっては登録がゼロや有っても1名又は2名程度といった道県が多数存在するところであります。

 貴機構では「全国から東京に集中しているわけではない」としていますが、我々は都道府県の人口比に対する専門医の応募登録者数で比較議論をいたしました。東京の人口は日本全体の人口比で10.6%でありますが、専門医の登録数は全体の21.6%と大きく上回っております。また、診療科によっても異なりますが、主要な診療科では19%~30%程度といずれも集中と言わざるを得ない数値となっております。このままでは5年後、10年後には、現在も問題となっている地域偏在、診療科偏在が増々拡大し、それどころか地方の基幹病院、大学病院においても医師不足で立ちいかなくなるのではないかと危惧しております。

 仮に過年度の割合と比較して「東京に集中していない」とするならば、上限がなく元々東京に集中していたことを前提として、変わらないということに過ぎず、昨今の医師の地域偏在が叫ばれる中、大都市集中を是認するものであります。

 医師の地域偏在・診療科偏在の解消は、貴機構の役割でないということなのかもしれませんが、新専門医制度を通じて、こうした地域偏在、診療科偏在対策を講じることができる唯一の団体でありますので、地方における医療確保に対する危機に応えるべく、対策のご検討を要請いたします。 総合診療専門医に関しては、新たに創設され、位置づけられた領域であり、中心となる学会が存在していないことから、現時点では、この「総合診療専門医に関する委員会」が他の18領域における学会に相当いたします。「総合訟療専門医に関する運営委員会」を新たに立ち上げ、課題等について議論していくとしていますが、今後、円滑且つ本格的にこの領域の確立を進めるためにも、そして、これから総合診療医を目指す者のためにも、委員会において、具体的な制度設計等の議論を加速して協議頂きますよう要請いたします。

 最後に組織運営のことでありますが、地方の医療機関にとって、医師の確保は死活問題であり、新専門医制度の動向については貴機構からの情報発信が医療確保に重大な影響があることは言うまでもありません。しかしながら、唯一頼りとする貴機構のホームページにおいては、専門医の応募状況や理事会等における議論などの様々な情報が全く提供されず、現在の状況は適時適正な情報発信となっているとはいい難い面があります。また、決定されたことについてもどのような過程を経て決まったのか、わかり兼ねるものもあります。今後、貴機構の運営に際しまして重要な適正な情報をいち早く共有していただけますよう要請いたします。



https://mainichi.jp/articles/20180425/ddm/016/040/027000c
専門医、新制度 各学会の認定基準統一
毎日新聞2018年4月25日 東京朝刊


 医療機関の院内掲示やウェブサイトなどで見かけることもある「専門医」の表示。この「専門医」に関する制度が、4月から大きく変わりました。どのようになったのでしょうか。【野田武】

養成・評価を一元化 2段階の研修と試験

 日本の医学・医療は、体の部位や病気などで分野が分かれ、関係する研究者や医師による学会がある。専門医はこれまで、各学会が研修や認定をしてきた。100種類以上存在し、そのうち半数程度が、「○○科専門医」と看板を掲げるなどの広告をしてもよいと厚生労働省から認められている。

 しかし学会ごとに認定基準が統一されておらず質にばらつきがあり、患者には分かりにくい面もあった。そこで、厚労省の検討会の提言を受け、専門医認定や養成プログラムの評価・認定などを一手に担う一般社団法人「日本専門医機構」が2014年に設立された。

 専門医になれるのは、大学の医学部卒業者で医師国家試験に合格後、実地訓練として必修化されている臨床研修(2年以上)を終えた医師。内科や小児科、産婦人科など19の基本領域から一つを選び、専門医を目指す「専攻医」として各地の病院・診療所で3~5年の研修を受ける。認定試験をパスすると晴れて「専門医」になれる。機構は「患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに、先端的な医療を理解し情報を提供できる医師」と定義する。

 専門医の資格更新は原則5年おきで、診療や学会発表などの実績を基に認定を受けなければならない。これまでの学会ごとの専門医は、資格の更新時期に新制度での認定に切り替わる。

新設された「総合診療」 医療の入り口の役目

 新しい専門医制度で注目されるのは、基本領域の中で新たに設けられた「総合診療」だ。

 体調が悪く医療機関を受診する時には、自分で内科や外科などの診療科を選ぶ。けがをしたら外科、目の痛みなら眼科というように判断しやすい時もあるが、微熱の継続や体のだるさなどは、どの診療科か迷いがちだ。こうした場合に適しているのが総合診療医だ。

 総合診療医は、患者を診察して初期対応をするとともに、より専門的な検査や治療を受けるべきだと思った場合は、他の専門医に相談・紹介する。また、高齢者を介護サービスにつなぐこともある。医療の「入り口」としての役目があることから、「プライマリーケア」と呼ばれる。定義や概念は違うが、日本医師会などが普及を進める、総合的な能力を持つ身近な「かかりつけ医」も、そうした能力のある医師とも言える。

 総合診療医が求められるのには、いくつかの背景がある。一つは、医療の進歩とともに専門分野が細かく分かれてきたことだ。個々の臓器や病気の治療に関する知見が増えた一方で医師それぞれの担当する領域が狭くなり、専門外の病気への対応が不十分になってしまう面も生まれた。加えて、複数の病気を持つ高齢者が増え、幅広い視野で診る医師の養成が期待されている。

都市への医師偏在対策 近県施設へ順次赴任

 専門医制度は17年度から始まる予定だったが、1年延期された。地方での医師不足に拍車がかかり地域医療が崩壊しかねないとの反論が、日本医師会や地方自治体などから相次いだためだった。当初の制度案では「専攻医」への研修をする「基幹施設」の多くを都市部の大学病院が占め、専攻医が都市部に偏ると想定された。

 機構は対策として、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県で、基幹施設で受け入れ登録する専攻医数が、過去5年間の各診療科の採用実績の平均人数を超えないようにする上限を設けたが、実際には都市部への集中は否めない。初年度の全国の専攻医数(3月15日現在)は8394人だが、このうち22%に当たる1811人が東京での登録。5都府県の合計は全体の46%(3850人)に達する。

 ただ、専攻医は登録された都道府県でのみ働くわけではない。専門医制度は専攻医が地域の複数の病院や診療所を回って経験を積むよう義務づけているためだ。大学病院は近県に関連病院を持っており、東京に初年度登録した専攻医は順次関東や静岡、福島、長野などへ赴任する見通し。機構の山下英俊副理事長(山形大医学部長)は「東京の専攻医の1~4割は他県へ行くことになる」とみている。
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http://www.saga-s.co.jp/articles/-/208189
女性医師の両立後押し
非常勤でも常勤扱い

4/22 12:15 佐賀新聞/共同通信

 女性医師数の推移 拡大する
 女性医師数の推移
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 厚生労働省は4月から、小児科や麻酔科など女性医師が比較的多い診療科で常勤医の配置基準を緩め、非常勤でも働きやすい環境づくりに乗り出した。女性医師は増えているが、子育てや家族の介護のためフルタイムで働くことが難しい人が少なくないため、両立に向けた柔軟な働き方を進めることで、離職防止や休職中の人の早期復帰につなげるのが狙い。

 これまでは「非常勤では医療サービスの質を担保できない」として、医療機関には常勤の医師を置く必要があったが、医師不足や働き方改革が叫ばれる中、2018年度の診療報酬改定で基準を緩和。「週3日以上」かつ「週24時間以上」働く複数の非常勤の医師を組み合わせれば、常勤医を配置したと見なすことにした。

 厚労省によると、医師のうち女性の割合は17・2%(06年)から21・1%(16年)と増え、全体の5人に1人を占める。しかし日本医師会の調査では、育児中の女性医師の働き方は26・8%が時短勤務、25・6%が勤務日数を減らしていた。通常勤務は28・8%にとどまっていた。

 今回の基準緩和は主に、小児科や麻酔科、精神科、リハビリテーション科など専門性が高い一方で、夜間・早朝の緊急対応が少ない診療科が対象。ただ、夜間対応が多い産婦人科も女性医師が多い現状を踏まえ、緩和対象にした。

 また、自宅など職場外でのテレワークを進めるため、勤務場所の基準も柔軟化。治療方針などを話し合う院内会議へのビデオ電話での参加も可能とした。自宅でエックス線の画像診断や病理診断をする際、これまでは夜間と休日以外は診療報酬の加算を受け取れなかったが、平日の日中に在宅勤務した場合でも加算を取得できるようにした。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0422e040178/
高松赤十字病院:「残業上限緩和」も協定違反10人
2018年04月22日 11時01分 毎日新聞

 高松赤十字病院(高松市)が2016年末、労使協定(36協定)を結び直し、医師の1カ月の残業を80時間まで延長できる回数を年4回から6回に増やしていたことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。医師の不足や偏在で長時間労働が常態化しているとみられ、同病院は“上限緩和”を「医師の勤務実態に合わせた」と説明するが、関係者は「働き方改革に逆行する改悪だ」と指摘している。

 労働基準法36条は、労使が協定を労働基準監督署に届け出れば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させることができると定める。

 同病院は協定で医師の残業を「月45時間まで」とする一方、特別な事情があれば月80時間までの延長が年4回可能としていた。しかし4回を超える医師が多いとして、労使は16年12月、「年6回まで」と協定を更新した。医師から異論は出なかったという。

 17年の勤務医213人のうち、残業が月80時間を超えたことのある医師は18%の38人。うち10人は年7回以上超えたことがあり、更新した協定にも違反する状態だった。また、年間の残業が計1000時間を上回った医師は8人だった。

 残業が最長だったのは心臓血管外科医の年間計1698時間で、月ごとの残業は117~186時間。夜間の手術や術後管理に追われていたという。

 高松赤十字病院総務課は、医師が診療を原則拒めない「応招義務」が背景にあると強調。1日1000人以上の患者を受け入れ、「負担を減らしたいが医師を十分に確保できず、抜本的な対策は難しい」としている。

 これに対し、日本医療労働組合連合会(東京都)の温井伸二書記次長は「上限緩和は労基法の趣旨に反する。どうすれば協定を守れるか考えるべきだ」と批判する。【岩崎邦宏】



https://www.m3.com/news/iryoishin/599398
「医師少数区域」勤務、「働き方改革にも逆行」とけん制
国立大学附属病院長会議

2018年4月25日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は4月24日に定例記者会見を開き、通常国会で審議が行われている、「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を厚生労働大臣が評価・認定するなどの 「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」について、常置委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)は「へき地には小規模な自治体病院が点在している。勤務環境の過酷な病院を放置して、そこへ半ば強制的に配置するのは、働き方改革にも逆行する」などの意見が出たと述べてけん制した(国会審議は、『「医師少数区域」勤務に「経済的インセンティブ」検討』を参照)。

 この問題については同日の常置委員会で最も議論が白熱したといい、名古屋大学医学部附属病院長の石黒直樹氏も、医師派遣の環境整備機能を有する地域医療支援病院の管理者を、認定医師等にすることを義務化するとの規定について、「勤務医のキャリアパスを考える上で大きな影響がある。勤務医全員が管理者になりたいわけではないが、医師少数区域での勤務経験がなければ、結果として管理者となる道が閉ざされるのでは、デメリットになる」と述べ、慎重な検討を求めた。また、「医師少数区域」の定義についても、「全国一律で枠組みを決めるのは、十分に考えていただきたい」と話した。
 常置委員会では、6月21、22日開催予定の総会に提案する国立大学附属病院長会議としての要望について、以下の4項目を決定した。総会で決議後、政府や関係省庁、地方公共団体などに提言する予定。

 ・ 消費税補填不足に対する抜本的な対応
 ・ 国立大学附属病院予算の確保・充実
 ・ 大学病院の医療安全等の強化に向けた支援の充実
 ・ 大学病院の臨床系教員の働き方改革

 山本氏は、消費税問題について、国立大学附属病院全体では3年間で約514億円の補填不足が生じているとの試算があるとし、「国立大学病院に対する補填不足は明白だ。現状のような不平等な補填はやめていただきたい」と説明。日本病院団体協議会など医療界で足並みをそろえて要望していく意向を強調した。臨床系教員の働き方改革では、「大学病院の医師は日本の医療の進歩に欠かせないと自負しているが、一律に労働時間に規制をかけると、教育、研究の時間を確保できない。臨床系教員は分けて考えてほしい」と述べ、今ある仕組みの中では、専門業務型裁量労働制が最も臨床系教員に合うという意見が常置委員会で大勢を占めたと説明した。

 この他、特定機能病院間相互のピアレビューについて、2017年度は国立大学附属病院と防衛医科大学校病院の43施設で行っていたものを、2018年度は公立大学附属病院が加わって51施設で行うことを発表した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0424514021/index.html?_login=1#_login
佐賀大方式「インセンティブ手当」とは?
2018年04月24日 17:45 Medical Tribune

 わが国における外科医師の不足は深刻である。負担の大きい業務に見合う報酬が支払われないことが、医師が外科離れする一因だ。こうした中、佐賀大学病院では2011年から外科の手術手技をはじめとする収益性の高い行為に対して「インセンティブ手当」を導入。年間総額1億~3億5,000万円の支出増となるにもかかわらず、病院収益は増大した。導入の経緯や方法について、同大学一般・消化器外科教授の能城浩和氏が第118回日本外科学会(4月5~7日)で報告した。

コントロール可能な「報酬」で医師の努力に報いる
 日本の医療水準は世界でも最高レベルと評価されている一方、医師の負担は大きい。専門医の給与を国際比較したデータ(日本医師会雑誌 2010; 139: 86-88)によると、週の平均労働時間と平均年収はそれぞれ、米国では54.3時間、3,162万円、日本では70.6時間、1,228万円と、大差がある。

 特に外科医は、緊急対応の多さや長時間勤務、訴訟リスクなどで肉体的にも精神的にも激務とされる。中でも、国公立大学病院の勤務医が置かれる環境は厳しく、日本外科学会の2012年度のアンケートでは、週の平均労働時間は国公立大学病院勤務医の98.1時間に対し、私立病院勤務医では70.5時間と、約30時間の差がある。一方、国公立大学病院勤務医の平均年収は1,114.5万円で、私立病院勤務医の1706.7万円よりも低い。

 外科勤務医の負担を軽減する策としては、外科医の数を増やすことやチーム医療体制の整備などが考えられるが、能城氏はそれらに加えて「労力の正当な評価が必要である」と強調。医師の労働への対価である「患者からの感謝」「使命感」「報酬」の中で、「唯一コントロールが可能な報酬面で、医師の努力に報いるべき」という考えが、同院のインセンティブ導入の背景にあると説明した。

支給対象は医師だけでなく、看護師や臨床工学技士など多職種に
 同院は2011年、インセンティブ手当の導入に踏み切った。2010年度の診療報酬改定で外科の診療報酬が大幅に引き上げられたことにより、特定機能病院である同院でも収益の増加が見込めたためだ。当時、行革推進法により国立大学に求められていた人件費削減(2006年度から5年間で5%)との整合性を図り、手技料全体の5%を医師に還元することなどを決めた。

 手技料の5%とは、2010年度の診療報酬点数に照らすと、冠動脈バイパス手術(2吻合以上のもの)では約4万5,000円、腹腔鏡下胃全摘術では約4万1,000円、肝門部胆管悪性腫瘍手術(血行再建あり)では約9万円になる。

 インセンティブ手当の支給対象は、術者である外科医だけでなく、手術に加わる麻酔科医、内視鏡術やカテーテル挿入を行う内科医をはじめ、夜間や緊急の手術、特殊業務などに従事する看護師や臨床工学技士などの医療スタッフも含めた。

 初年度(2011年度)のインセンティブ手当の総額は約1億4,000万円。小さくない額だが、合理性のある配分は医師やスタッフから好評を博した。研修医の残留率の向上や看護師の離職率の激減につながり、病院収益も上がった。

 そこで、翌年度は手技料のインセンティブを5%から7%に増加し、助手にも支給。半期だけで計約1億6,660万円を支給した(表、図)。

表. 佐賀大学付属病院のインセンティブ手当(2012年度下半期)
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図. 診療科別に見た佐賀大学病院のインセンティブ手当支給額(2012年度下半期)
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(表、図ともに能城浩和氏提供)

手当は約1億~3億5,000万円の間で収益に応じ調整

 インセンティブ手当の導入において最も重要なことは何か。能城氏は「そのときの病院収益に応じて支給すること」と指摘する。

 同院のインセンティブ手当は緻密な経営分析に基づき微調整されており、開始当初から現在まで手技料に対するインセンティブ手当の割合は4~7%、手当全体の総額は年間1億~3億5,000万円の間で推移している。同氏は「収益が上がればインセンティブも大幅に上げる。一方、収益が下がった場合や設備投資などで支出が増大する場合は、ある程度インセンティブを抑える必要がある」と述べ、実際に過去数年間の同院における診療科別の収益とインセンティブ手当の支給額は、ほぼ相関関係にあることを説明した。

 経営状況を詳細に把握するため、同院では独自の管理会計システム「Sagacious」を活用している。同システムでは、診療科別、診断群分類包括評価(DPC)別の収益をグラフで表示でき、赤字項目が一目で分かる。また支出についても、材料費を医薬品費と診療材料費に分けてグラフ化することで、増加原因を明確にしている。

 こうしたシステムを活用することで、同院では年間3億円以上の原資の獲得を予測。経営の健全性を保ちつつ、インセンティブ手当の支給を継続してきた。

 同氏は「労働に対して感謝の意をもって報いることが、医師の使命感を育てる。患者からの感謝が最も効果的ではあるものの、外科医に誇りを持たせ、人手不足を食い止めるためには、インセンティブを含め病院が正当な評価を行うことが重要だ」と結論した。

(今手麻衣)



https://www.m3.com/news/iryoishin/599862
「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
JCHOが育成する“病院総合医”
外科医も、サブスぺ取得後も研修できる仕組み構築

独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)理事長 尾身茂
オピニオン 2018年4月27日 (金)配信 m3

 われわれ地域医療機能推進機構(JCHO=ジェイコー)は、その名の通り「地域医療の実践」を大きなミッションとして掲げています。JCHOの全国57病院や介護老人保健施設はもとより、地域の多様な医療機関、自治体などとも連携して、わが国の地域医療を支えることが使命です。つまり、地域医療を支える医師の養成も、われわれが担う役割の一つだと考えています。地域医療の現場で、多種多様な人材が活躍できるよう、ちょうど1年前に始めたのがJCHO独自の「病院総合医(Hospitalist)」育成プログラムです。

 JCHOは「病院総合医」について、今春から始まった新専門医制度で19番目の診療領域に位置付けられている「総合診療専門医」のような医師が、200床未満の中小病院で働くようなイメージを基本に考えています。地域のコモンディジーズを治療し、専門医への紹介や医学に基づく生活指導など、医療に関する地域の需要に幅広く対応できる医師です。ただ、JCHO版の「病院総合医」育成プログラムでは入口を狭めず、出口にも幾つかの選択肢を想定して、幅広い人材を多様な医療現場に輩出できるよう工夫しました。新しい専門医制度で対象にならない、既に現場で活躍している医師も対象にできるといいだろうと考えたためです。
外科専門医、サブスペ取得後も「病院総合医」の研修可能
 したがって、対象にする医師は内科や総合診療に関する専門医を取得している医師に限りません。例えば、外科の専門医を取得した医師も、後期研修後さらに専門領域を極めたサブスペシャリティ経験者も、JCHO版「病院総合医」の育成プログラムで研修することが可能です(図1参照)。

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図1

 また、病院総合医の基本イメージを持ちつつも、出口となる研修後の職場については、中小病院で勤務する医師として地域医療に貢献するほかに、離島・へき地での勤務、総合診療を実践する開業医になる道も想定しています。

 研修内容については、JCHOの全57病院が「総合診療重点病院」「地域研修病院」「専門研修病院」のいずれかの形で対応しており、研修プログラムだけでなく、勤務地についても多様な希望に最大限応えられるよう体制を整えています(各病院の特徴などは、JCHOホームページの「研修施設一覧や各研修病院の特徴を参照)。育成プログラムの運用2年目を迎え、現在は地域医療に貢献する医師を目指す計3人(初年度2人)が研鑽の日々を過ごしています。給与は、医学部卒後6年目の場合で年間の総支給額が940万円程度(月超過勤務15時間程度、当直4回程度の概算)に設定しています。

JCHO版病院総合医のキャリアは

 近年、若い人ほど総合診療医、総合診療専門医への関心が高まっていると聞きます。しかし、育成が始まったばかりで明確なキャリアパスがなく、キャリアデベロップメントの例も分からず、漠然とした不安から総合診療の領域を”自分の道”にすると決めきれない医師が少なくないと感じています。JCHO版育成プログラムでは将来に備えて、さまざまな研鑽が積めるよう工夫しました。研修修了後は1年間の海外、もしくは国内留学が可能です。さらに、希望があればJCHO病院での正規雇用、そして将来はJCHO幹部や病院長の道も用意しています(図2参照)。日本プライマリ・ケア連合学会とも連携し、希望者はJCHOの費用負担で同学会の提供する一連の講義に優先的に参加でき、一定数以上の講義を受講するとJCHO版育成プログラムの修了認定証とは別に、同学会の修了証も取得できます。修了証を取得すると、同学会の認定医の試験が免除されます。

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図2

 医師一人一人に、それぞれの個性があり、目指す医師像も違います。人とのコミュニケーションを図るのが得意な人、地域のリーダー役に向いている人、美しい自然にひかれ地方で生活を楽しみたい人、将来は開業を考えている人……等々、十人十色の個性を自ら花開かせる方法をJCHO版育成プログラムの研修を通して見付けてもらいたいと考えています。総合診療の担い手を目指す若手医師にとっては、新しい医療の道を切り開いて、思う存分に力を発揮できる未来が待っている領域でもあると思います。少しでもご興味があれば、今こそ「得手に帆を揚げよ」と踏み出しませんか。

 「病院総合医」のテーマで紹介する医師は5人です。JCHO版育成プログラムの1期生やJCHO病院の総合診療科で勤務する医師など、志を持って日々医療現場で奮闘する医師たちです。育成プログラムの紹介や、病院総合医の魅力や課題など、忌憚のない思い・考えを語ってもらいます。



https://www.asahi.com/articles/ASL4R53HHL4RULBJ00K.html
医師も働き方改革 学会が特別委 医療の質確保が課題
姫野直行、小坪遊 2018年4月23日17時44分 朝日新聞

 医療界が働き方改革に向き合い始めた。日本救急医学会は23日、「医師の働き方改革に関する特別委員会」を設置し、長時間労働の是正について議論を開始した。今年度中に方向性を示し、来年度末までに報告書をまとめる予定という。

 医師法は、正当な理由がなければ医師は診療を拒んではならないとする応召義務を規定する。厚生労働省によると、医師の時間外労働の理由のトップは緊急対応。勤務医全体の41%は労働時間が週60時間以上で、割合は職種別で最も高い。診療科別にみると産婦人科(53%)や救急科(48%)で長時間勤務が多い。

 だが専門性が高い医師の場合、労働時間の短縮は容易ではない。この日の委員会では「労働としての診療と、自己研鑽(けんさん)の時間の区分は難しい」「画一的な残業時間の上限は現実的ではない」などの意見が相次いだ。研修医が過労自殺した新潟市民病院の田中敏春医師は「超過勤務が多いと『働くな』と言われるようになり現場が回らなくなった。しわ寄せは患者にきている」と話す。患者代表として参加する「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の阿真京子代表は「安全性は譲れないが、患者側も多少の不便は受け入れる必要がある」とした。

 委員長の松本尚・日本医科大教授(救急医学)は「医療の質を落とさないよう働き方改革を議論しなければならない。単に国がまとめる働き方改革を医療に落とし込むのではなく、現場の意見を踏まえ、救急医としての適正な働き方を示していきたい」と話す。

 厚労省の検討会は、医師の時間外労働の上限について議論している。今年度末には、具体案をまとめる予定だ。約17万人の会員がいる日本医師会も今月21日、「医師の働き方検討会議」を設け、議論を始めた。4月に日医の検討委が、医師の労務管理や地域医療の維持などについての考え方を盛り込んでまとめた、働き方改革の提言などを受け、意見を出し合ったという。6月までに3回程度開いて働き方改革への意見を集約し、厚労省の検討会へ示す見込みという。(姫野直行、小坪遊)



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t311/201804/555668.html
特集◎走り出した新専門医制度《どうなる?新制度-5》
新専門医制度で専攻医の地域偏在は助長された?

2018/4/23 加納 亜子=日経ヘルスケア

Q.
新専門医制度で専攻医の地域偏在は助長された?

A.
2018年度採用の専攻医の21.7%が東京に集中し、専攻医の採用でも地域偏在が生じることに。ただし、新制度が地域偏在を助長したかを厳密に検証できるデータはなく、議論は平行線をたどっている。

 新専門医制度が医師の地域偏在を助長するのではないか──。数年来の指摘に対する答えとして、日本専門医機構は「初期研修プログラムからみた採用データ」という表を3月27日の厚労省「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」に提出した。

 この表は2018年度採用の専攻医について、A県で初期研修を行った医師の何人がB県に基幹施設を置く専門研修プログラムに移るかを表したもの。そこから都道府県別に専攻医の「出入り」を算出したのが表5だ。東京都に基幹施設を置く研修プログラムの採用者は1825人で、全国の21.7%に当たる。初期研修を行った人数からの増加分も475人と突出している。

表5 2018年度採用専攻医の都道府県別採用状況(図 略)

 東京都の研修プログラムに採用された専攻医の内訳を分析すると、他県から移ってきた専攻医は710人。移動元として多いのは、首都圏と山梨県および長野県、静岡県で、専門医機構副理事長の松原謙二氏(日本医師会副会長)は「全国から東京に集中するという懸念があったが、そうした現象は見られなかった」と説明する。

 さらに松原氏は、この人数はあくまで基幹施設の所在地に紐づけたもので、実際には相当数の専攻医が基幹施設以外で診療を行うことを強調。研修プログラムの基幹施設(都内)へのアンケートから、都外で研修を行う専攻医は「1年目が10%台、2年目は30%弱、3年目は50%近くなる」という見通しも示している。

過去の採用は超えないが……
 専門医機構が示したこのデータは東京の研修プログラムへの一極集中、つまり偏在を示しているわけだが、新制度が偏在を「助長」したか否かを示すものではない。

 新制度では、専攻医が都市部に過度に集中することを防ぐため、大都市を有する5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の研修プログラムには過去の採用数を超えないようにする措置が取られた(医師不足が指摘される外科、産婦人科、病理、臨床検査の4領域に新設の総合診療を加えた5領域を除く)。具体的には、過去5年の後期研修医の採用実績(平均値)を算出し、その値を超えないように各研修プログラムの定員数を設定した(シーリング)。

 専攻医の一次登録の時点で定員数を超える登録があった研修プログラムに対しては、定員数の順守を専門医機構が指示し、学会と研修プログラム間で調整。その結果、2018年度の採用数は採用実績以下に抑えられた(表6)。つまり、偏在は以前からの傾向で、新制度が助長したことを示す根拠はないという理屈になる。

表6 東京都のシーリングに使われた採用実績値と採用結果(図 略)

 ただし、プログラム制以前の後期研修医の採用実績を正確に把握することは不可能な領域がほとんどで、学会への入会者数や専門医試験受験者数などから推計している領域も多い。そのため、学会が設定した採用実績に対しては、「定員を引き上げるために、多めに算出したのではないか」といった指摘もある。2014年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」から東京都における3~5年目の医師数を算出した結果と比較すると、ほとんどの診療科の採用実績がその人数を大幅に上回ることが、そうした指摘の根拠となっている。

 基本領域の担当学会に聞くと、「新制度による地域偏在の助長はなかった」とする回答が大半を占める。日本小児科学会は「制度導入前後に各研修施設を対象に調査を行い、採用実数および採用比率の両面から検証したが、都市部への専攻医集中は起きていなかった」と説明。日本内科学会も「専攻医は指導環境の良い研修施設に集まる。今回の採用結果も、これまでの動向を受け継いでいると考えられる」(同学会認定医制度審議会の横山彰仁氏)。

 偏在の助長は認められないとしても、東京への専攻医の集中は明らかだ。2019年度の採用にも厳しい視線が向けられることになるだろう。とはいえ、地域への派遣状況を考慮せずに都市部の採用数を減らしていけば、「地域への医師派遣ができなくなる研修プログラムが出てくる可能性がある」と日本整形外科学会副理事長の大川淳氏は危惧する。

 専門医機構は、専攻医がどこで研修を行ったかを追跡できるデータベースを作る方針を明らかにしている。追跡結果を適切に解析できれば、新制度が始まった後の偏在の動向を示すことはできるだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596734
シリーズ  いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「新専門医制度の仕組み決定、遅い」「情報不足」◆Vol.6
「特に困ったことはない」は6.5%にとどまる

医師調査 2018年4月29日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度で研修するに当たって「困った」こととして、78.6%の医師が「新専門医制度の仕組み(専門医制度新整備指針など)が決まるのが遅かった」を選んだ(複数回答)。次に多かったのは、「日本専門医機構からの情報不足」(63.4%)。「専攻医登録の仕方が分かりにくかった」(43.1%)も4割を超えた。

 新専門医制度は、初期臨床研修のマッチングとは異なり、プログラム統括責任者が希望者との間で決定した後に登録する。登録できるのは、一つのプログラムのみ。その手続きは、総合診療を除いて、各基本領域学会のホームページから、日本専門医機構の登録システムに入り、行う。その上、同機構が1次登録を開始したのは、2017年10月10日で当初の予定より遅れた。「特に困ったことはない」は6.5%にとどまり、新専門医制度の一期生にとっては、戸惑うことが多かったようだ。

Q1.新専門医制度で研修するに当たって困ったこと(n=276、複数回答)
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【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日


  1. 2018/04/29(日) 09:02:35|
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4月22日 

https://mainichi.jp/articles/20180421/ddm/005/070/062000c
社説
医師不足の地域どうする 医学部の「地元枠」拡大を

毎日新聞2018年4月21日 東京朝刊

 医師不足を解消するため、国は医学部の新設や定員増を図っている。ただ、いずれは人口減少のため、医師が過剰になり、医療費の膨張を招くことが懸念される。

 厚生労働省の推計では、働く医師の総数は2028年に約35万人になり、そのころに必要とされる医師数と均衡する。2年前の推計に比べて医師不足解消は4年遅れる見込みだ。若い勤務医の過労死や過労自殺が後を絶たないことを受け、勤務時間に上限を設けることが検討されていることなどが影響したという。

 琉球大医学部の新設(1979年)以降、国は一貫して医師の抑制策を取ってきた。医学部志望熱は高いが、医師の供給体制を拡大すると、過剰になったときに減らすのが難しいとされるためだ。

 国が方針転換をしたのは、00年以降に病院の閉鎖が相次ぎ、「医療崩壊」が問題となってからだ。

 医師不足といっても、実際には地域差が大きい。人口10万人当たりの医師数で最も多いのは徳島県で316人。埼玉、茨城、千葉各県はその半数程度しかいない。

 このため医師不足の地域の医学部に定員を上乗せした「地域枠」を認め、定員増を図るようになった。地域枠の学生には奨学金を支給し、医学部卒業後の臨床研修はその地域で行うことを義務にした。

 医学部の新設についても16年に仙台市、17年には千葉県成田市の大学で実現した。

 「地域枠」は08年に始まってから導入する大学が増え続け、現在の定員は計1600人を超える。医学部を16カ所新設したのと同じ規模だ。ただ、その半数ほどは他の地域から入学する学生で、義務とされる臨床研修を終えると、都市部の医療機関に移るケースも多い。

 一方、地元で生まれ育った学生は卒業後も地元の医療機関に定着する確率が高い。地域枠を拡充する中で、地元の学生の割合を増やす方策を検討してはどうだろう。柔軟な発想で対策を練ることが求められる。

 地域の医療ニーズは診療科によっても異なる。現在は都道府県が地域の実情に応じて地域医療計画を策定することになった。医師の養成や定着も含めて、実効性のある医療供給体制を整備しなければならない。




https://www.asahi.com/articles/ASL4J3TGJL4JUBQU009.html
医師不足 「応援医師の通勤、ヘリ送迎」青森県へ要望
伊東大治2018年4月16日16時30分 朝日新聞

 青森県下北地域の基幹病院・むつ総合病院の医師不足に対処するため、むつ市など5市町村でつくる「下北総合開発期成同盟会」(会長=宮下宗一郎むつ市長)は12日の総会で、派遣医師をヘリコプターで送迎するシステムの導入を県に求めていく方針を決めた。医師の通勤負担を軽減できるうえ、一刻を争う救急医療にも対応できるとしている。

 ヘリによる医師搬送システムは、離島の多い長崎県で2013年から始まっており、期成同盟会事務局のむつ市は今年3月に視察。ヘリ導入に5億円、格納庫整備に1億円、年間維持費に1億円かかると見込む。このシステムで、例えば片道3~4時間かかっている弘前大医学部からの応援医師は30分程度で駆けつけられるようになるという。

 一方、むつ総合病院には21の診療科があるが、常勤医は41人で20人不足しているという。命に直結する脳神経外科や心臓血管外科を含む9科に常勤医がいない状態だ。宮下市長は「医師確保に取り組んできたが、全く成果を上げることができなかった。このシステムが導入できれば医師不足の特効薬になるのではないか」と話した。




https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/003/070/079000c
質問なるほドリ
医師足りているの? 異常な超過勤務が実態 地域や診療科偏在も深刻=回答・酒井雅浩

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

病院常勤医の週当たりの勤務時間
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 なるほドリ 医師(いし)が足りないってニュースで見たけど。

 記者 医師が働けるのは「週60時間」までとした場合、2028年ごろまで「医師不足」の状態が続くとした厚生労働省(こうせいろうどうしょう)の推計(すいけい)ですね。週60時間は、過労死(かろうし)の労災(ろうさい)が認められる基準(きじゅん)の目安(めやす)となる「1カ月の残業(ざんぎょう)80時間」に相当します。

Q 医師が足りないなら、増やさないとね。

A 将来的に政府は医師の数を減らそうとしています。高齢者(こうれいしゃ)の増加や平均寿命(へいきんじゅみょう)が延びたことで、医療の「需要(じゅよう)」は30年 ...
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https://ryukyushimpo.jp/news/entry-703916.html
腎臓内科の新患制限 北部病院、医師不足改善せず
2018年4月19日 18:29琉球新報

 【名護】沖縄県立北部病院(久貝忠男院長)が医師不足のため4月1日から腎臓内科の新患者受け入れを制限していることが18日、分かった。県立北部病院では医師不足による診療制限が相次いでおり、改善されない状況が続いている。

 腎臓内科は3月31日まで他センターから医師の診療応援があったが、4月1日以降は週1回に減少。医師1人の態勢となり、新患の受け入れ制限を決めた。人工透析についても新患は受け入れないとする。

 北部地域で入院可能な施設は県立北部病院のみで、腎臓に関する疾患で入院が必要な場合は、中南部での診療を余儀なくされる。

 このほか、1日から夜間(午後5時~翌日午前8時)の外科救急診療を週4日から週2日に制限した。日中の一般診療は現状維持できるように検討中だが、今後も医師不足が続くと一般診療も制限される可能性が高いという。

 産婦人科の医師も4月1日には4人から3人になり、緊急性の高い妊婦の受け入れを断っている。消化器内科も同1日から医師が1人減となった。診療制限は行っていないが、扱える患者の数は減少している。眼科は2月1日から休診しており、再開のめどが立っていない。
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https://www.iwate-np.co.jp/article/kyodo/2018/4/21/33531
厚労省、女性医師の両立を後押し
非常勤でも常勤扱い

2018.04.21 岩手日報

 厚生労働省は4月から、小児科や麻酔科など女性医師が比較的多い診療科で常勤医の配置基準を緩め、非常勤でも働きやすい環境づくりに乗り出した。女性医師は増えているが、子育てや家族の介護のためフルタイムで働くことが難しい人が少なくないため、両立に向けた柔軟な働き方を進めることで、離職防止や休職中の人の早期復帰につなげるのが狙い。

 これまでは、医療機関には常勤の医師を置く必要があったが、医師不足や働き方改革が叫ばれる中、18年度の診療報酬改定で基準を緩和。「週3日以上」かつ「週24時間以上」働く複数の非常勤医師を組み合わせれば、常勤医を配置したと見なすことにした。



https://mainichi.jp/articles/20180422/ddm/041/040/102000c
高松赤十字病院
残業緩和、年6回に増加 年1700時間の医師も

毎日新聞2018年4月22日 東京朝刊

 高松赤十字病院(高松市)が2016年末、労使協定(36協定)を結び直し、医師の1カ月の残業を80時間まで延長できる回数を年4回から6回に増やしていたことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。医師の不足や偏在で長時間労働が常態化しているとみられ、同病院は“上限緩和”を「医師の勤務実態に合わせた」と説明するが、関係者は「働き方改革に逆行する改悪だ」と指摘している。(3面に「質問なるほドリ」)

 労働基準法36条は、労使が協定を労働基準監督署に届け出れば、法定労働時間(1日8時間、週40時間)…<中略> ---17年の勤務医213人のうち、残業が月80時間を超えたことのある医師は18%の38人。うち10人は年7回以上超えたことがあり、更新した協定にも違反する状態だった。 残業が最長だったのは心臓血管外科医の年間計1698時間。夜間の手術や術後管理に追われていたという。 同病院総務課は「負担を減らしたいが医師を十分確保できておらず、抜本的対策は難しい」としている。これに対し、日本医療労働組合連合会(東京都)の温井伸二書記次長は「上限の緩和は労基法の趣旨に反する」と批判する。【岩崎邦宏】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/598580
医療維新
「医師少数区域」勤務に「経済的インセンティブ」検討
参院厚生労働委員会、医療法・医師法改正法案を審議

レポート 2018年4月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 参議院の厚生労働委員会は4月19日、今国会に提出された「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」について審議、厚労省医政局の武田俊彦氏は、医師偏在対策として法案に盛り込まれた「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を厚労大臣が評価・認定する制度について、認定医師には経済的インセンティブを設けることも検討すると答弁した。

 経済的インセンティブとしては、若手医師にとって、専門医取得が困難であることが地方勤務を躊躇する一因であることから、当該認定医師の専門医の取得・更新に係る費用支援などが想定されている(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』を参照)。「地方で勤務をする意思を持っている医師が、適切にその選択ができる環境整備と、認定医師への評価を同時に進める」(武田局長)。

 「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」の目的は、医師偏在の解消。さまざまな施策が盛り込まれているが、与野党合わせて、計12人が質問した厚生労働委員会では、「医師偏在指標」や「医師少数区域」の定義、認定医師の仕組みについての質問が相次いだ。

 医師の多寡については、人口10万人当たりの医師数で見ているが、「医師偏在指標」に変更する理由について、武田局長は、医療ニーズや人口構成、患者の流出入を踏まえる必要性を指摘。国が定める「医師偏在指標」を基に、都道府県が、2次医療圏単位で「医師少数区域」または「医師多数区域」を指定。「医師少数区域」に一定期間勤務した医師については、厚労大臣が評価・認定。地域医療支援病院のうち、医師派遣の環境整備機能を有する病院の管理者は、認定医師等にすることを義務化する(法施行日以降に選任する管理者に適用)。診療科別の偏在については、産婦人科や小児科などで医師の多寡を可視化する指標を導入する。

 「医師偏在指標」や「医師少数区域」などについて、「法案成立後、客観的な議論に資するデータを基に、速やかに公開の場での議論を開始する」(武田局長)。2018年度中を目途に結論を得て、厚労省が示す指針に基づき、都道府県は2019年度中に医師確保計画の策定、実施するというスケジュールが予定されている。

 一方、「医師少数区域」で勤務する意思がある医師の不安解消策については、▽定期的に休暇取得ができるように、交代勤務できる医師派遣の支援、▽医師少数区域で勤務を行った後でも、専門的な研修を受けられるように、都道府県、大学、地域の医療機関などが協力して中長期的なキャリア形成プログラムを作成、▽育児休業明けの復職支援、院内保育所の設置――などを例に挙げた。

 また「地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応」策として、(1)外来医療機能に関する情報を可視化、(2)その情報を新規開業者等へ情報提供、(3)地域の医療関係者等において外来医療機関間での機能分化・連携の方針等について協議――という仕組みを想定。地域医療対策協議会、地域医療構想調整会議などが既にある現状で、地域医療、医師確保対策についての会議体が増えることへの懸念も相次いだ。加藤勝信厚労相は、「屋上屋を重ねることを求めているわけではない。地域において弾力的な運用な運用を行うよう、都道府県に周知を図る」と答弁した。

 なお、医師の地域偏在の現状について、武田局長は次のように説明した。2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人当たりの医師数は、最高の徳島県(315.9人)と最少の埼玉県(160.1人)で約2倍の開きがある。その上、同一の都道府県内でも、2次医療圏間で医師偏在があり、47都道府県のうち、34都道府県で、最大の圏域と最少の圏域で2倍以上の差がある。また医学部定員増に舵を切った2008年度から2014年度にかけて医療施設に従事する医師数は、約10%増加しているが、2次医療圏のうち、全国平均以上に医師数が増加しているのは21%の圏域、一方、24%の圏域は医師が減少している。武田局長は、医学部定員増加の効果が、全国各地に及んでいないことが、今回の法案提出の理由だと説明した。



http://www.medwatch.jp/?p=20176
2019年10月の消費増税に向け、「病院団体のメッセージ」をまとめる―日病協
2018年4月17日|医療保険制度 MedWatch

 診療報酬プラス改定による消費増税対応には限界がある。2019年10月には消費税率が10%に引き上げられる予定であり、今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく—。

4月17日の日本病院団体協議会・代表者会議で、こうした点を確認したことが、会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました(関連記事はこちら)。

2018年夏の概算要求、2018年末の税制改正等見据え、迅速にメッセージをまとめる
 診療報酬や介護報酬に係る消費税は「非課税」とされています。このため、医療機関等が物品等を購入する場合の消費税は、患者に転嫁できず、医療機関等が最終負担者となっています(いわゆる控除所対象外消費税)。この医療機関等の負担を放置することはできず、1989年の消費税導入時から「医療機関等における消費税負担を補填するための、特別の診療報酬プラス改定」(消費税対応改定)が行われてきています(消費税導入時の1989年、消費税率引き上げ時の1997年、2014年)。

社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。(表 略)

 1989年、97年の消費税対応改定では「消費税の影響を大きく受けると予想される」診療報酬項目について点数の引き上げが行われましたが、「その後の診療報酬改定で、当該点数項目が廃止されるケースなどもある」「当該点数を算定しない医療機関では、消費税負担への補填がなされないことになり、大きな不公平が生じている」との課題が指摘されました。
 そこで2014年度の消費税対応改定では、「可能な限りの公平性」を確保するために、多くの医療機関等で算定する「基本報酬」(初・再診料や入院基本料、特定入院料など)への上乗せ(補填)が行われました。

 厚生労働省が「2014年度の消費税対応改定の効果・影響」を調べたところ、医療機関等全体で、消費税負担に対し102.07%の補填(診療報酬収入の上乗せ)がなされている」ことが分かり、中医協では「マクロ(医療機関等全体)では概ね補填されている」と結論付けられました(関連記事はこちら)。

しかし、医療機関の種類別に見ると、▼病院:102.36%▼一般診療所:105.72%▼歯科診療所:100.68%▼保険薬局:86.03%―、また病院を種類別に見ると、▼一般病院:101.25%▼精神科病院:134.47%▼特定機能病院:98.09%▼こども病院:95.39%―となっており、補填率にはバラつきがあり、「やはり補填に格差が出てしまう」ことが再確認されています(関連記事はこちら)。

特定機能病院(98.09%)や子ども病院(95.39%)では、消費増税に対する補填が十分なされていない
(表 略)
 
補填率が100%に近いほど「適切な補填」となり、補填率が100%よりも大きければ「益税」(消費税負担を上回る収益増)が、補填率が100%に満たなければ「損税」(診療報酬で消費税負担を補填しきれていない)が発生していることを意味し、山本議長は「急性期病院における補填不足が明らかである」と評しています。
国立大学附属病院長会議や日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会などの病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)では、「診療報酬による消費税補填には限界があり、このままでは困る」という点で一致。今夏(2018年夏)の2019年度予算概算要求や年末(2018年末)の2019年度予算編成・税制改正に向けて、「病院団体としてのメッセージを明確に出せるように議論していく」方針を決定しています。

もっとも消費税問題を含めた税制改正については、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会で要望項目が検討されることとなっており、この動きと連携を取りながら「日病協メッセージ」を作成していくことになります。メッセージがどのような内容になるのか(例えば、ゼロ税率対応などの具体的提案に踏み込みのか)、メッセージをどのような形で活用するのか(例えば、与党の税制調査会などに直接提出するのか)などは、今後の調整を待つ必要があります。

また、4月17日の日病協代表者会議では、「医師の働き方改革」も議題に上がり、その中で「現在、厚労省の『医師の働き方改革に関する検討会』で、医師への時間外労働上限適用に関するルールが議論されている。そのルール策定論議の最中にも関わらず、労働基準監督署が各地の病院に入り、指導等を行っている。これは『停戦協定中に爆撃するようなもの』だ。現場を混乱させないでほしい」との意見が出されたことも紹介されています。医師の働き方改革に関する検討会では、来年(2019年)3月に報告書をまとめる予定で、そこでは、「医師の負担軽減」「働き方改革」に関する提言とともに、「医師に対する時間外労働上限の適用ルール」が固められることになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

さらに財政制度等審議会の財政制度分科会では、「地域別の診療報酬」設定論議が熱を帯びています(関連記事はこちら)。この点について日病協内では「国民皆保険の下で、報酬に地域格差を設けることは好ましいのか」「介護報酬では地域別の単価が設定されているが、これをどう考えるか」といった根本に遡った検討も行われることになりそうです。

山本議長は、「2018年度診療報酬改定論議は終了したが、消費増税対応、働き方改革など、病院経営に大きな影響を及ぼす重要議論がこれから行われる。病院団体の意見を集約し、よりよい病院医療提供を目指したい」と強調しています。



https://toyokeizai.net/articles/-/216699
日本の医療は高齢社会向きでないという事実
「医療提供体制改革」を知っていますか?

権丈 善一 : 慶應義塾大学商学部教授
2018年04月21日 東洋経済

 今、医療と介護の大掛かりな改革が進められている。2018年4月は、大きな改革の中でも特筆すべき日付として歴史に残ることになるはずだ。というのも、2018年4月1日には、「惑星直列」にも例えられていた画期的、いやびっくりするような出来事の重なりがあったからである。

4月に重なった怒濤の改革スタート

 具体的には、医療や介護のサービスのあり方および個々のサービスの公定価格を決める診療報酬と介護報酬の同時改定(前者は2年周期、後者は3年周期)、地域医療構想を含む医療計画・介護保険事業(支援)計画(前者は6年周期、後者は3年周期)の同時スタートがあり、そして1961年の国民皆保険制度の成立以来57年間、市区町村が財政運営していた国民健康保険は、今年の3月に、その財政運営の責任が都道府県に移ったのである。

 この国民健康保険の財政運営主体の都道府県化について、今から5年前の2013年に今の社会保障制度の改革の方向性を示した社会保障制度改革国民会議(以下、国民会議)は、「国民健康保険の保険者の都道府県への移行は、(中略)国民皆保険制度発足以来の大事業」と評していた。

 それだけではない。3月29日には、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」の報告書がまとめられている。この検討会が開かれた目的の1つは、2007年に作成された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(旧「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を2014年に「人生の最終段階に……」へ改称)の改訂であった。改訂の理由は、次のようなものだ。

①病院における延命治療への対応を想定した内容ではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるよう、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称を変更。さらに、医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれることを明確化
②心身の状態の変化などに応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むかなどを、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うこと(ACP=Advance Care Planning〈アドバンス・ケア・プランニング〉)の重要性を強調
③本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族などの信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載
④今後、単身者が増えることを踏まえ、③の信頼できる者の対象を、家族から家族など(親しい友人など)に拡大
⑤繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族などと医療・ケアチームで共有することの重要性について記載

 さらには、先月の3月13日に「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、いま国会で議論されている。この法案の趣旨は、地域間の医師偏在を解消するため、医師の確保や臨床研修病院の指定、研修医定員の決定について、都道府県へ権限を移譲させることだ。

 そして冒頭に述べた診療報酬の改定では、次の図が用いられながら、今回の改定による改革の方向性が示されている。すなわち、現在のように病院と診療所などの間で、入院・外来の機能が未分化である状況から、診療所などでの「かかりつけ医機能」の強化を図り、病院における外来は、専門外来に特化していこうというのである。
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 これらの一見、てんでばらばらに映る政策群には、1つの共通した背景がある。それを理解すれば、医療と介護が今、なぜ目まぐるしく動いているのかがわかるだろう。

超高齢化で求められる医療の質は変わる

 繰り返しになるが、今の医療・介護改革の青写真を描いたのは、2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書である。次に示すのは、改革のスケジュールで、医療と介護で一体的に進められる改革は、国民会議を起点としている。
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 では、医療と介護にどのような改革が求められているのか。その問いについては、この国民会議の報告書の文面を借りるのが最もわかりやすいかと思う。報告書は、20世紀に構築された、これまでの医療とその課題を次のように表している。

 平均寿命60歳代の社会で、主に青壮年期の患者を対象とした医療は、救命・延命、治癒、社会復帰を前提とした「病院完結型」の医療であった。しかしながら、平均寿命が男性でも80歳近くとなり、女性では86歳を超えている社会では、慢性疾患による受療が多い、複数の疾病を抱えるなどの特徴を持つ老齢期の患者が中心となる。
 このあたりはわかりやすい話だと思う。かつての医療は、病気になった人を治し社会復帰させることを目的に掲げて進歩し、実に大きな成果を上げてきた。たとえば、1860年に書かれたナイチンゲールの『看護覚え書』では、病気とは回復の過程であると書かれている。そうした、回復するのが病気であるという定義の下に、医学と、それを社会システム化した医療制度は大幅に進歩し、その成果あって、いずれの先進国でも寿命の伸長を実現することができた。

 しかしながら、そうなれば必然的に、患者の多くは高齢者になり、医療の中心は治す医療から、「治し」、そして患者の生活を「支える」医療に変わらざるをえなくなっていく。こうした状況の下で、1970〜1980年代に欧州諸国をはじめ先進各国が(その中には日本も当然含まれる)、「何かが違うぞ」「患者のニーズと提供体制のミスマッチが起こっているぞ」と悩むことになったのである。では、そうした時代になれば、どのような医療が求められるのか。国民会議の報告書では、次のように表現されている。

医療は病院完結型から治し支える地域完結型へ

 そうした時代の医療は、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指す医療となる。すなわち、医療はかつての「病院完結型」から、患者の住み慣れた地域や自宅での生活のための医療、地域全体で治し、支える「地域完結型」の医療、実のところ医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる医療に変わらざるを得ない。ところが、日本は、今や世界一の高齢国家であるにもかかわらず、医療システムはそうした姿に変わっていない。

なるほど、という感じだろうか。続けて、

 1970 年代、1980 年代を迎えた欧州のいくつかの国では、主たる患者が高齢者になってもなお医療が「病院完結型」であったことから、医療ニーズと提供体制の間に大きなミスマッチのあることが認識されていた。そしてその後、病院病床数を削減する方向に向かい、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築に進んでいった。

 急性期の患者のために整備されていった「病院完結型」の病院に、複数の病気を患い、完治するのが難しい慢性疾患も抱えた高齢者が大勢入院するようになっていった。そうした患者にとって、急性期の患者に適した医療提供体制であった「病院完結型医療」が、はたして本当にフィットしているのかという疑問が出てきたわけである。慢性疾患の患者には、「病院完結型医療」よりもふさわしい提供体制があるのではないだろうかと。そしてほかの先進国はそうした方向に進んでいったのだが、日本はなかなかうまくいかない。国民会議報告書の中の「医療問題の日本的特徴」というところに次の指摘がある。

 日本の医療政策の難しさは、これが西欧や北欧のように国立や自治体立の病院等(公的所有)が中心であるのとは異なり、医師が医療法人を設立し、病院等を民間資本で経営するという形(私的所有)で整備されてきた歴史的経緯から生まれている。公的セクターが相手であれば、政府が強制力をもって改革ができ、現に欧州のいくつかの国では医療ニーズの変化に伴う改革をそうして実現してきた。

 医療提供体制について、実のところ日本ほど規制緩和された市場依存型の先進国はなく、日本の場合、国や自治体などの公立の医療施設は全体のわずか14%、病床で22% しかない。ゆえに他国のように病院などが公的所有であれば体系的にできることが、日本ではなかなかできなかったのである。

 日本の病院の多くは、他国の公的所有とは異なり私的所有である。この日本的特徴の下で、今、「高齢化の進展により更に変化する医療ニーズと医療提供体制のミスマッチを解消する」ために医療提供体制の改革が進められているのである。そうした改革が進められるのと同時進行で、「医療」という言葉そのものの意味も、かつてのような救命・延命、治癒、社会復帰を前提としたものから、病気と共存しながらQOL(Quality of Life)の維持・向上を目指すものへと変えざるをえない状況になっていった。

 そして、医療をQOL の維持・向上と見なせば、医療と介護の境目はなくなり、医療と介護がQOL の維持改善という同じ目標を掲げた医療福祉システムの構築が、今の時代に要請されることになっていく。これが目下この国で進められている、医療と介護の一体改革である。

 医療と介護が同じ目標を掲げた医療福祉システムとして構築される中、そのキーワードとなるのが「地域包括ケア」である。国民会議報告書では、地域包括ケアは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことである。

提供体制改革は2025年までに間に合わせたい

 医療・介護の一体改革は、かなり急ピッチで進められている。その理由は、第1 次ベビーブーム世代、いわゆる団塊の世代が75歳という後期高齢期に達し終えるのが2025年だからである。後期高齢期、すなわち75歳以上になると医療・介護のニーズが急増し、しかも、第1 次ベビーブーム世代が後期高齢者になるあたり以降は、この国の医療・介護ニーズの絶対量は安定的に推移するため、まずは2025年をメドとして、医療・介護の提供体制の整備が図られているのである。

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 こうした目標年2025年を前にして、冒頭に書いたように、医療・介護の提供体制、医療保険制度、医師の養成など、さまざまな改革が重なってきたわけである。

 今進められている医療と介護の改革を理解するための基礎中の基礎の知識は、日本は今、「治す医療」から「治し支える医療」に変わらざるをえず、治し、支える地域完結型の医療には、介護との境はなく、医療・介護の一体改革が必然となっているということである。この一体改革は、地域医療構想と地域包括ケアという両輪で進められているのであるが――このあたりは、いずれ折に触れて論じることにしよう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29594530Z10C18A4EE8000/
医療費歯止め、患者負担の人口連動を議論 社保審
2018/4/19 20:00 日本経済新聞

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は19日、医療保険部会を開き、2018年度中にまとめる社会保障改革案の議論を始めた。経済成長や人口減少の速度などに応じて、医療に必要となる財源を賄うため、患者の窓口負担を自動的に増やす案などが検討課題に浮上した。負担増に抵抗は強いが、高齢化で社会保障費は膨らみ続けており、大胆な見直しに踏み込めるかどうかが焦点だ。

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 社会保障改革の検討項目を盛り込んだ政府の工程表では、75歳以上の後期高齢者の患者負担の引き上げや、薬の種類に応じた自己負担率の設定などについて、18年度中に結論を出すとしている。与党や財務省などと調整し、具体策を詰める。

 今回、初めて議論の対象としたのが、経済成長率や人口動態などに応じて患者負担を自動的、定期的に調整する仕組みだ。自民党の小渕優子氏がトップを務める同党の「財政構造のあり方検討小委員会」の中間報告で提起された案だ。

 年金制度では、現役世代の人口減などに合わせて給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入されており、その医療版だといえる。財政の健全化をより重視する立場から生まれた発想だ。
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 まだ制度設計の具体像を示すまでには至っていない。アイデア段階の考え方だが、例えば、あらかじめ医療費の伸びを経済成長率や賃金の伸びの範囲内に抑える目標を立て、目標を超過するような場合は翌年度以降に患者負担を増やすといったことが想定される。保険制度の支え手である現役世代の人口が減った分、患者負担を上乗せするというのも一案だ。税や保険料で賄う医療保険の給付額を抑える狙いだ。

 背景にあるのが高齢化の進展や、画期的な新薬の登場による医療費の増加だ。国民医療費は16年度に42兆円の見込みで、10年で3割増えた。経済成長率を上回る速度で医療費が膨らんでいるため、医療保険制度と財政の安定に向けて、医療費の伸び率や総額をコントロールする考え方だ。

 もっとも、厚生労働省は今回の部会資料で「医療費や景気変動に応じて頻繁に負担が変わる」「医療費の伸びは診療報酬や保険料などで対応することが適切」などと問題点も挙げた。本来は医療費の抑制に積極的な立場の健康保険組合連合会の委員も「導入には慎重な検討が必要」という。

 政府・与党内で引き続き検討課題となる見込みだが、日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「負担増が患者の受診抑制を招き、かえって健康状態の悪化につながる可能性もある」と指摘する。

 今回の部会では診療報酬を地域別に設定する仕組みも議論になった。診療報酬は医療機関が診療行為の対価として受け取る報酬で、国が全国一律に定めている。ただ法律上は医療費適正化のために必要な場合、都道府県が独自に報酬を定めることができるとしている。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は活用に向けた議論を呼びかけているが、社保審医療保険部会の委員からは、地域別に設定した場合の影響が不明確なことなどから「診療報酬は全国統一が前提」などとする意見が多く出ている。



https://www.asahi.com/articles/SDI201804217312.html
医師の働き方改革、どう進める?
2018年4月22日06時00分 朝日新聞

 医師の「働き方改革」は、どう進めるべきか。命や健康にかかわる専門的な仕事で、長時間労働は珍しくない。高齢社会で医療を必要とする人が増える時代、まず取り組むべきことは。

疲労度、病院側が把握して 三島千明さん(医師)

 多くの医師は、自身の労働環境を後回しにしてきました。医師になったのだから患者を診たいし、診断や治療のスキルを上げるために学びたいと考えがちで、心身の健康を崩してしまう環境になりがちです。このままでは、持続的な医療の提供が困難になると危惧しています。

 若手医師の仲間たちと、昨年11月に大学卒業後10年以内の医師と医学生の821人から回答を得たアンケートでは、若手医師の71%が「現行の労働時間の上限基準を守れていない」と回答しました。理由として挙げていたのが、業務量の多さや医療提供体制の問題、長時間労働を美徳とする慣習です。

 厚生労働省の調査では、勤務時間が週60時間以上の常勤勤務医は、男性が27・7%、女性が17・3%いるという結果も出ています。診療科によって働き方は違いますが、長時間労働は30代から40代の勤務医も同じです。

 私も研修医時代は経験を積み重ねたいために、何かあったら指導医に呼んで欲しいと思って、土日や夜は病棟で過ごすことが多くありました。

 医療の専門的なスキルを身につけるには、10年はかかります。若手医師にとって一つの医療行為は労働と成長のための教育の両面を持ち、長時間労働を問題提起しにくくしています。判断を医師個人に任せている限り、このようなジレンマは解決できません。

 労働時間の上限を設けるための議論が進んでいます。しかし、これだけでは従来の業務が回らず、患者さんにしわ寄せがいくという声が医療現場から寄せられています。

 だからこそ、病院など組織のマネジメントとして、まず一人ひとりの医師の労働時間や心身の疲労をモニタリングし、健康管理を徹底すべきです。病院全体として医師の業務を他の職種に移管したり、共同で取り組んだりする必要があります。燃え尽き症候群対策や自殺対策も重要です。

 患者さんは常に「本番」ですが、24時間365日を医師1人でカバーすることはできません。私が働く在宅医療の現場でも、病院でも、1人の患者さんを複数の医師で診ていくグループ診療を広め、患者さんや家族に理解してもらうことが必要です。それは医療の安全にもつながります。

 女性医師の割合は20代や30代は3割を超えます。出産や子育てをしても、働きたい、学びたい人がいます。「厳しい職場は独身者や男性に任せる」という発想にとどまらず、意欲ある人はだれでも現場で活躍できる文化に変えていかないといけません。

 子育てや介護など抱える事情に応じて、働き方やキャリアの多様性を保証することが大切です。継続的に地域医療を支える医師を育てることに、つながっていくと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 みしまちあき 1985年生まれ。若手医師らによる提言書「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」の執筆メンバー。


サービス水準、まず検討を 三谷和歌子さん(弁護士)

 「医師も労働者です」と言うと、違和感を覚える医師は少なくありません。でも、給料をもらって労務を提供する勤務医が、労働基準法上の「労働者」にあたることは、争いようがありません。

 医師法では「診察治療の求めがあった場合、正当な事由がなければ、拒んではならない」と、応招義務と呼ぶ規定を定めています。「24時間、どんな状況でも応じなければいけない」ことではないと解釈されていますが、医療行為は医師にしかできない。「患者の命を救いたい」という使命感も強く、特殊な仕事であることは確かです。しかし、労働者である以上、労働時間には規制がかかります。

 これまで、こうした状況から、基準を超えた労働はあえて追及されてきませんでした。近年、労働基準監督署が指導や勧告をする事態が相次いでいます。残念なことに、過労で自殺する医師も出ており、放置するわけにはいきません。

 いま厚生労働省の検討会では、医師の労働時間をどう削減するかが議論の中心になっている印象です。時間外労働の時間に上限を設けつつ、書類作成など事務作業は専門の補助スタッフに、一部の医療行為は看護師に移すなどして、全体の業務量を減らすことが検討されています。

 いまの医療は医師個人の犠牲のもとに成り立っているのですから、私は、労働時間の規制を議論する前に、今後の医療サービスをどの程度の水準に保っていくのか、まず国民が選択する必要があると思います。

 アクセスしやすい、すなわち必要なときにどこの病院でも、質が高い医療を、比較的安く受けられることは日本の特徴です。これを支えてきた大きな要因は医師のがんばりですが、労働時間を減らすだけでは、全体の業務量も減らさざるをえない。実際、働き方改革の流れを受け、救急を制限したり、土曜日を休診にしたりという病院がでてきています。アクセスを制限するなど、医療サービスを低下させるのであれば、患者となる国民の理解は欠かせません。

 医療サービスを維持するのであれば、医師の確保に大きな費用を要します。特に足りない地方部でも、最低限の医療を確保するためには、なおさらコストが必要です。国民の負担を増やす必要も出てくるでしょう。医師を増やそうにも、育成には10年はかかりますし、どう地方での勤務を受け入れてもらうかも難題です。一方、大幅に増やせば、人材の質ひいては医療の質が低下するおそれがあり、そうなっては本末転倒です。

 医療サービスを縮小するのか、保険料や税を上げるのか。どういう形で国民に負担を求めるのか。政治が選択肢を示すべきです。(聞き手・山田史比古)

     *

 みたにわかこ 1974年生まれ。労働法を中心に、多くの医療機関に助言する。編著に「病院・診療所経営の法律相談」。

 

患者も学んで医療選ぼう 谷中照枝さん(市民の医療ネットワークさいたま共同代表)
 患者や家族は、疲れ切った医師に診て欲しくないし、寝不足でイライラしている医師とは心を開いた話はできません。命と向き合い、やりがいや満足感がある仕事でしょうが、適正な労働時間でなければ、安心、安全な医療は提供できないと思うからです。

 9年前、息子が未明に大けがを負ったとき、救急病院で緊急手術をした医師が、その日の外来診療もこなしていたと聞き、驚きました。ただ、健康な人は病院に行く機会がないため、医師がどれぐらいハードな勤務をしているのか垣間見ることはできません。

 医師の働き方改革の議論には、利用者である患者や市民の声も採り入れてもらう必要があります。どのような業務をどのような環境で行い、その結果、どれほど忙しく長時間労働になっているのか、わかるようにしてください。

 医師免許がないとできないこと以外は、医師以外の職種が担えるように整理することも必要でしょう。主治医を2人体制にするなど、複数の医師が診ていくようにすることで、医師が休め、患者も安心感が得られることもあります。また、特定の救急病院に救急車が集中して無理な勤務にならないように、地域ごとにどの病院に空きベッドがあるかがわかるような工夫も、もっと進めるべきです。

 私が暮らす埼玉県は、医療機関に従事する医師数が、人口10万人当たり160・1人で全国最下位です。全国平均の240・1人と大きな開きがあります。医師の長時間労働と言っても、また同じ勤務医でも、地域や診療科によって忙しさは違うはずです。こうした偏在問題も一緒に是正しないと、根本的な解決につながりません。

 また、市民も医者任せではなく、スムーズなコミュニケーションをとるための努力が大切です。

 私の夫は、会社員時代に難病を発症し、東京都内の大病院で治療していました。症状が安定した後は地元の開業医に切り替えたのですが、選んだのは、将来、寝たきりになった際、訪問診療に応じてくれる医師でした。患者側は「とにかく大病院へ」という考えを改め、自分の病気を学び、今後の状態も考えたうえで選択するように、賢くならなければなりません。このような相談に看護師やソーシャルワーカーがのってくれる病院も、増えてきました。

 高齢になると、終末期にどこまでの医療をするのか、家族で話し合っておく必要があります。小さな積み重ねかもしれませんが、医師の負担軽減につながるでしょう。

 医師や看護師は、よく「聖職」と言われ、その名の下に労使共に長時間労働を許容してきた面がありました。しかし、そういう考えはもうやめたほうがいいと思います。(聞き手・岩崎賢一)

     *

 たになかてるえ 1951年生まれ。市民の医療リテラシー向上のため勉強会を催す。2012年から埼玉県医療対策協議会委員。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597887
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度、開始までの“背景”語る、松原・専門医機構副理事長
臨床内科医会総会、特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」

2018年4月16日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、4月15日に京都市内で開催された日本臨床内科医会総会の特別講演「新たな専門医制度の現状と課題」で、新専門医制度で医師の地域偏在が助長されるとの懸念に対し、「厚生労働省が全ての地域・領域で定数を決めて割り当てていく方法は、現実的ではなく、うまくいかない」と行政による統制をけん制、プロフェッショナル・オートノミーで運営する必要性を強調した。

 「従来の専門研修はカリキュラム制のため、専門医の養成がどこでどのくらい進んでいるか、学会すら分からなかった。新専門医制度では、誰がどこでどの指導医の下で研修を受けているかが明らかになるのが特徴」と松原氏は述べ、研修プログラム制の導入により、専門医の養成状況が把握できることが新専門医制度のメリットであると指摘。研修プログラム制の運営、さらには卒後2年間の初期臨床研修の段階で、地域枠の卒業生が出身大学に確実に残ってもらう仕組みを作ることが、医師偏在対策として重要であるとした。

 松原氏は総合診療専門医のスタートまでの経緯や、2017年度開始予定だった新専門医制度が1年延期になった背景についても、エピソードを交えながら紹介した。

 総合診療専門研修プログラムの基準に、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」、「内科研修は1年以上」が追加されたのは、医師の地域偏在、内科専門医およびサブスペシャルティとの関係からだという。さらに専攻医の都市部集中を避けるために、5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14の基本領域については、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」という専攻医数のシーリング(上限)が設定されたが、「過去の採用実績を実際に持っていたのは、脳神経外科のみ。他は研修カリキュラム制だったので、持っていなかった。それに対応するものは何かをかなり議論した」(松原氏)。

 「専門医取得は必須ではない」も確認

 松原氏はまず新専門医制度の基本的理念について、(1)プロフェッショナル・オートノミーに基づいて専門医の質の保証・維持ができる制度であること、(2)国民に信頼され、受診に当たり、良い指標となる制度であること、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度であること、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮した制度であること――を挙げた。

 その上で当初は2017年4月にスタート予定だったが、1年遅れた理由について、(4)の地域偏在を助長する懸念が生じたためだとした。「(2004年度に)初期臨床研修が始まった時に、マッチングでかなり大都会に研修医が集中した現実があるが、新専門医制度でさらなる偏在が懸念され、いったん停止し、やり直しをした」。5都府県で専攻医数のシーリングを設けたほか、専攻医年度採用実績が350人以上の8学会(内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科)については、「原則として複数の基幹施設を置く」など、運用細則の見直しを行ったことを説明。さらに「専門医は必ず取得しなければならないものではない上、ダブルボードも認めることなども確認した」。

 「僻地・離島等の研修、1年以上」が加わった訳

 総合診療専門医を新設した背景として、2008年度の医学部定員増以降、「地域枠」を中心に増やしてきた現状のほか、自治医科大学の卒業生への対応などを挙げた。「自治医科大学の卒業生には、義務年限があり、『専門医になれない』といった風潮が出てきた。それを高久委員会で検討した結果、そうではない仕組みを作る、僻地等で研修しても、専門医を取得できるように、もう一つ作りましょうとなった」。高久委員会とは、前日本医学会会長の高久史麿氏が座長を務め、2013年4月に報告書をまとめた「専門医の在り方に関する検討会」(『新専門医制度、2017年度開始に向け報告書』を参照)。

 もっとも、総合診療専門医をめぐっては、「総合診療専門研修プログラム整備基準」が2017年7月に公表された以降も、基準が追加されるなど、現場が混乱した経緯がある(『「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める』を参照)。

 計3年間の専門研修プログラムのうち、「僻地・離島、被災地、医療資源の乏しい地域での1年以上の研修が望ましい」という基準を追加し、その基準を満たしたプログラムの採用を優先したのは、「多科にわたった診療が必要なのは、医療資源が乏しい地域」であるという考えからだという。

 ただそれだけでなく、別の事情があったと松原氏は説明。「新専門医制度を始めるに当たって、本当に許可が出たのは(2017年の)8月の上旬、それまではやると言っても、(厚労)大臣がだめだと言っていた。厚労省の検討会(今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会)で、構成員の了解が得られたら、認められると言われた」。結局、新専門医制度の開始についての理事長声明を8月4日付で公表、8月9日から「総合診療専門研修プログラム」の申請受付を開始した。「5都府県でシーリングを設けることになったが、総合診療専門医は過去の採用実績がゼロなので対象外であるため、内科などでいくら絞っても、総合診療専門医に行ってしまったらどうするのか、東京や大阪に総合診療の専攻医が集まることがないように、と指摘された」。

 さらに総合診療専門医については、「もう一つ議論があった」と松原氏は説明。それは内科専門医やサブスペシャルティとの関係だ。「総合診療専門研修プログラム整備基準」では当初、内科研修は「6カ月以上」となっていたが、「1年以上」に変更された。「日本内科学会から、6カ月の研修では十分な内科の素養は身に付かず、1年にしてほしいという要望があった。その代わりに、J-OSLER(専攻医登録評価システム)の使用を認めてもらえるようになった」。

 内科専門医では、13のサブスペシャルティがあり、連動研修が認められている。「内科専門医の資格がなければ、これら13のサブスペシャルティの研修には入れないという通知が、内科学会から来た。ただし、J-OSLERを使って研修をしたら、(総合診療専門医での研修のうち)1年は、内科専門医の研修と同等の扱いにしてもらえることになった。総合診療専門医を取得し、総合診療専門研修II(病院総合診療部門での研修)で幾つかの条件がそろっていれば、さらに1年もあれば、内科専門医を取れるようになるのではないか。その上で、循環器などのサブスペシャルティを取得できるようになるだろう」。

 申請があった総合診療専門研修プログラムのうち、条件の追加等で、「40、50施設が基準に合致しなかった。そこでいろいろと連絡をしたり、対応をお願いした。いろいろ軋轢があったが、大抵は修正していただいたり、あるいは次年度での申請となった」。

 過去実績の把握は脳神経外科のみ

 さらに松原氏は講演で、専攻医登録のシーリングの苦労も語った。5都府県については、14の基本領域について、「過去5年間の採用実績の平均を超えない」というのが条件。「他はカリキュラム制だったので、過去の採用実績を把握していたのは、脳神経外科のみ。(他の基本領域では)それに対応するものは何かをかなり検討した」。検討の結果、専門医試験の受験者数で考える、あるいは学会の入会者数で考えるなど案が挙がったという。内科専門医の場合、最初は認定内科医の受験者数が提示されたが、うち十数パーセントは再受験者数だったため、それを差し引いたという。

 「三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)の結果と比較して、かなり減少したと言われたが、三師調査から分かるのは、卒後3~5年目の医師が、何科の診療をしているかだ。3年目で内科の基幹施設等以外で診療している医師はかなりいる」と松原氏は述べ、全ての医師が専門医を取得するわけではないため、三師調査とのずれが生じるとした。

 さらに専攻医の「東京集中」については、基幹施設は都内の施設であっても、関東、甲信、静岡の連携施設で研修している専攻医が、専門研修1年目、2年目、3年目と年々増える予定であると説明(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』を参照)。「“本籍地”は東京で、東京に集まっているように見えても、実際にはプログラム制で循環している。この循環があるからこそ、うまくいっている。同様のことは、近畿や福岡でも起きている」。



http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180417-OYT1T50012.html
病棟一部休止でも赤字100億円、市立病院苦境
2018年04月17日 09時20


 市立札幌病院(札幌市中央区)が、患者数の伸び悩みや診療報酬の改定などで経営が悪化し、2017年度決算の累積赤字が100億円の大台に達する見通しだ。

 市立病院は経営改善策を盛り込んだ次期中期経営計画(19~24年度)を策定するため、17日に病院経営者らによる専門家検討会を開く。病院経営に詳しい医師は、抜本的な改革が必要としている。
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 ◆病棟休止

 市立病院8階の東病棟(44床)は、今年1月から病室や廊下の電気が消され、人けがない。このエリアから患者や看護師らを別の病棟に集約、配置したためだ。空洞のような8階東病棟は一見、施設の無駄に見えるが、運営効率化の一環だという。

 市立病院はこの頃、診療科ごとに定めていた病床の枠を取り払い、全病床を一元管理する方法に見直した。特定の診療科に入院患者が集中して病床が埋まると、ほかの診療科で空いている病床があっても入院できない無駄があったからだ。宇都宮顕佳・市病院局経営管理部長は「非効率な方法は今後も改めたい」と語った。

 ◆27億円借り入れても

 市立病院は14年度から3期連続で経常収支の赤字が続き、貯金に当たる内部留保金は16年度に使い果たした。17年度は市の一般会計から27億円を借り入れたが、それでも約11億1000万円の赤字が見込まれ、累積赤字は約104億円になる見通しだ。

 赤字の要因の一つに新規入院患者の低迷がある。13年8月に地元の診療所などと連携する地域医療支援病院に指定され、14年9月から初診時に紹介状を持参しないと追加料金を徴収する制度を導入した。国が病院と診療所の役割分担を進める施策の一環だが、同年度の病床利用率は前年度比4・7ポイント減の65・9%となり、初めて70%を下回った。

 15年度は年度途中に798床から51床(6・4%)を削減して747床にしたことで、16年度の病床利用率は70・3%に回復した。それでも現行の中期経営計画で定めた目標を1・4ポイント下回る。

 16年10月には紹介状がない場合の追加料金が2160円から5000円に引き上げられ、収益環境がさらに厳しくなった。これを受け、17年度からガーゼや包帯などの医療用品や薬品の共同購入による費用削減策を始めたほか、夜間の2次救急の受け入れを拡大して新規の入院患者を増やす取り組みにも力を入れている。

 国は市立病院のような急性期病院に在院日数を短縮させる施策を打ち出し、平均日数が増えると診療報酬が下がる制度を取り入れている。市立病院の16年度の平均在院日数は10・7日で、計画(11・5日)より短縮できたが、短縮分を補うだけの入院患者が確保できずに収益減を拡大させた。

 宇都宮部長は「在院日数は短縮させる方向で進める。そのため患者を増やす試みが重要で、地域の診療所との連携を強めたい」と話している。

 17日からの専門家検討会には、市内の医師や学者ら委員4人のほか、アドバイザーとして道医師会の理事や民間病院経営者が参加する。10月に報告書をまとめ、年度内に策定する次期中期経営計画に反映させる。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180418161427
「病床削減に支援金」諮問会議で提案
民間議員ら、社保費の伸び抑制に

2018年04月18日 18:20 CB News

 財政健全化を進める政府の新たな計画をめぐり、経済財政諮問会議が議論をスタートさせた。日本経団連の榊原定征会長ら民間議員は12日、2019-21年度を「構造改革期間」に位置付け、社会保障費の自然増削減にこの3年間、これまで以上に取り組む必要があると主張した。医療や介護ニーズが高まる75歳以上に22年度以降、団塊の世代の人たちが差し掛かるためで、“病床過剰地域”で病床を削減する病院に支援金を交付したり、診療報酬や介護報酬の包括化を拡大したりする具体策を新たに掲げた。ただ、社会保障費の自然増を具体的にどれだけ圧縮させるのかは示されておらず、今後の焦点になる。【兼松昭夫】

■安倍首相「具体的な検討」を指示

 新しい計画は、政府が6月に閣議決定する「骨太方針2018」に盛り込まれることになっており、安倍晋三首相は同日の会合で、「具体的な検討」を関係閣僚らに指示した。また加藤勝信厚生労働相は13日、閣議後の記者会見で、削減額に関する質問に、「これからの議論だと思う」と答えた。その上で、「団塊の世代の方が75歳に入り始める2022年度までをどう見ていくのか。2040年あたりを見る中で、わが国の人口動態がどう変わっていくのか」と述べ、少子・高齢化の状況を2段階で見守る必要があるとの考えを示した。

 一方、日本医師会の横倉義武会長は18日、CBニュースなどの取材に対し、社会保障費の自然増について、「これ以上抑制をかけると、地域医療を維持できなくなる恐れがある」と述べ、慎重な対応を与党などに求める方針を明らかにした。
 医療や介護などの社会保障分野は、16-18年度が集中改革期間の「経済・財政再生計画」でも歳出改革の重点分野とされ、政府はこの3年間の自然増を計1.5 兆円程度に抑えることを「目安」にした。これを達成するため15年末には、「かかりつけ医」の推進や病床機能の再編など計44の社会保障改革を盛り込んだ工程表を策定。その結果、3年間の自然増は計1.9兆円のうち約4400億円が抑制され、政府は診療報酬本体や介護報酬引き上げのための財源も確保した。

 19年度以降の計画に切り替わるのに合わせ、民間議員らは今回、19-21年度を「構造改革期間」と位置付け、社会保障費の自然増を抑えるためにこれまで以上の取り組みを求めた。社会保障費の自然増は、16-18年度の年0.65兆円程度に対し、団塊の世代が75歳以上になり始める22年度以降は、賃金や物価上昇による影響を含めると0.9兆円規模に膨らむとみられているためで、44の改革すべてを推進するだけでなく、新たなメニューの追加も求めた。
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http://www.medwatch.jp/?p=20197
現行労基法と異なる、医師の特殊性踏まえた「医師労働法制」を制定せよ―四病協
2018年4月18日|医療現場から MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」においては、応召義務など医師の特殊性を明確にした上で、現行の労働法制と異なる【医師労働法制】の制定に向けた検討をすべきである。さらに、集中的に研鑽を積まなければならない「初期臨床研修医」「専門医を目指す専攻医」の期間は【医師労働法制】からも除外し、医療界が自主的に運営するシステムの管理下に置くべきである―。

 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、このような要望をまとめ、4月18日に加藤勝信厚生労働大臣に宛てて提出しました(関連記事はこちら)。

医療現場の実態把握を十分に行った上で、医師労働法制を検討せよと厚労相に要望

安倍晋三内閣が進める「働き方改革」においては、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を適用(労働基準法改正)することとなっています。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととなりました。

 厚生労働省は、こうした点を検討する場として「医師の働き方改革に関する検討会」を昨年(2017年)8月に設置。検討会では、これまでに▼委員から出された意見を整理した「中間的な論点整理」▼医療現場で早急に進めるべき「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」―まとめ、近く、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けた本格的な論議が始まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点、四病協では、検討会において次のような点をさらに議論する必要があると進言しています。
(1)労働衛生における十分な配慮、女性医師の勤務環境整備
(2)十分な実態調査に基づく、医療現場の現状把握
(3)医師需給・偏在対策・専門医の在り方などと「働き方改革」との関係
(4)自己研鑽

 このうち(2)について、全日本病院協会の猪口雄二会長は「24時間対応が必要な救急・産科・僻地等の医療では、現在の医師数でも維持が困難な状況である。一方的に医師の勤務時間を制限すれば、これらの医療は崩壊してしまう」と強調します。例えば、地方で「地域の救急医療の砦」の機能を果たす基幹病院で、医師の勤務時間が制限されれば、24時間対応を維持するためには「医師の大幅増員」が必要となります。人件費が急増することはもちろん、その前に「地方でそれだけの医師を確保できるか」という大きな問題にぶつかります。一方、現状と同程度の医師数で対応するためには、24時間対応を放棄しなければなりません。いずれの選択肢をとっても地域の救急医療が大幅に変容することは避けられないでしょう。検討会では、こうした点も議論の俎上に上がりますが、四病協では「真正面から議論する必要がある」と強く求めています。

 
 さらに、こうした検討を進めた上で、来年(2019年)3月の意見とりまとめに向けて、「医師の労働の特殊性(例えば応召義務)を明確にした上で、現行の労働法制とは異なる、独自の【医師労働法制】の制定」に向けた検討を行うべきと四病協は強調します。

 猪口・全日病会長は、「検討会では『医師も一般の労働者であることは明確』『裁量労働制や高度プロフェッショナル制度は医師に適用されない』との前提で議論が進んでいる」と述べ、医師の特殊性を踏まえた議論になっていない点を問題視。

 また、近く「働き方改革の素案」策定論議が医療界(日本医師会・四病協等)で進められますが、これとの関連について日本病院会の岡留健一郎副会長は、「これまでの印象では、日本医師会も『医師の特殊性に鑑みれば、独自の医師労働法制が必要である』という点には同意してくれるのではないか」とコメントしており、今後の医療界内部での調整、さらにその先の検討会論議に注目が集まります。
 
 四病協では、さらに次の点も検討・実現するよう要望しています。

▼医師としての研鑽を積むために重要な「初期臨床研修医」「専攻医(専門医を目指す後期臨床研修医)」の期間は、【医師労働法制】からも除外し、労働時間を総合的・横断的に検証するための「医療界が自主的に運営するシステム」の検討(優れた医療の知識・技術を身に着けるために、集中的な研鑽を積まなければならない期間である)

▼専門医の適正数・適正配置の検討(医療需要を見据え、国全体の適正数・適正配置を検討する必要がある)

▼総合的な臨床医の大幅な増員の検討(超高齢社会を迎え、疾病構造が変化する中で、質が高く、かつ効率的な医療を提供するためには、患者を全人的に診て、術後管理などを行う「総合医」の増員が不可欠である)

▼医師から他職種への業務移管(タスクシフティング)を進めるための、「医師法・医療法の見直し」「医師事務作業補助者のさらなる活用」「特定行為研修を修了した看護師の養成」「救急救命士などの医療従事者の業務拡大」「PA(Physician Assistant:医師の管理・監督下で手術や薬剤処方等の医療行為を行う専門職)制度」「NP(Nurse Practitioner:一定レベルの診断や治療などを行うことが許される看護師)制度」などの整備

 いずれも、医療界内での調整がまだまだ必要な論点であり、「中長期的な検討テーマ」という位置づけです。

 
 なお日本精神科病院協会の山崎學会長は、「医師の働き方改革を検討している最中にもかかわらず、医療現場に労働基準監督署の指導が盛んに入っており、救急医療や時間外外来を制限する病院も出てきている。『近くに24時間救急大病院があるので安心』と考えてマンションを購入した高齢者等には不幸な話であり、研修医から『研鑽・勉強できると思って入職したが、救急等の制限でそれが叶わない』との不満も出ていると聞く。このままでは我が国の医療は崩壊してしまう」とコメントしています。



https://www.m3.com/news/general/598714
公立病院 16年連続赤字
2018年4月20日 (金)配信山梨日日新聞

 山梨県がまとめた県内13公立病院の2016年度事業会計決算によると、本業の医業に関わる経常損益の合計は13億7384万円の損失で、16年連続の赤字となった。外来患者数の減少に伴い、収益が減ったことが主な要因。赤字幅は、薬剤や医療資機材などの費用縮減、設備投資などの減価償却期間が終わった影響で2年連続で縮小し、前年度より3億8128万円(21・7%)減った。

 13病院は甲府、富士吉田、都留、山梨(牧丘)、大月、韮崎、北杜(塩川、甲陽)、上野原、甲州(勝沼)、市川三郷、富士川の12市町立病院と、身延、早川両町の組合立の飯富病院。病院が行う介護施設などの事業も決算に含めた。

 県市町村課によると、甲州と牧丘、飯富を除く10病院で赤字を計上した。塩川は感染症対策として介護施設の利用を制限したことに伴う同施設の赤字が大きく影響。前年度の黒字から3990万円の赤字に転じた。

 赤字額が増えたのは5病院。韮崎は2億6723万円で前年度から7860万円増えた。富士川は1億3416万円(同6456万円増)、上野原は1億7124万円(3369万円増)、甲陽は6417万円(同2536万円増)、都留は2億4826万円(同1616万円増)。

 赤字計上した病院は、大半が患者数の減少を理由に挙げた。13公立病院の16年度の外来患者の延べ人数は99万8386人で、前年度を3万997人(3・0%)下回った。

 赤字幅が縮小したのは4病院。甲府は2億3114万円で3億4864万円(60・1%)の大幅減。回復期の患者の治療などに当たる「地域包括ケア病棟」開設に伴う運営効率化、現在地に移転開院した際の設備投資の一部で減価償却期間を終えたことなどが理由という。富士吉田、大月、市川三郷の3病院も減った。

 病院ベッドの利用状況を示す病床利用率は、塩川が94・0%で最も高く、飯富が91・5%、富士吉田82・0%などと続いた。大月は35・2%、市川三郷は28・7%で5割を下回った。同課は「改善傾向はあるが、経営環境は依然として厳しい状況だ。継続して改善に取り組む必要がある」としている。



https://www.m3.com/news/general/598663
県境またぐ移転で紛糾 住民と医師会、利害衝突 「2025年 超寿社会」「ポスト平成の病院改革」
2018年4月20日 (金) 共同通信社

 2025年に向け国が進める医療提供体制の再編は、自分が住む地域の病院がなくなることも、時に意味する。佐賀県と長崎県では公的病院の移転を巡り、県境をまたいで住民や医師会の利害が激しくぶつかった。

 「松浦中央病院の開設は、地域包括ケアシステムの構築を進める大きな一歩と捉えています」。3月2日、長崎県松浦市議会。施政方針演説に立った市長の友田吉泰(ともだ・よしやす)(54)は、20年にオープン予定の新病院について意義を強調した。

 中央病院は、隣の佐賀県伊万里市にある「伊万里松浦病院」が移転して開設される。運営主体は、旧社会保険病院を引き継いだ独立行政法人「地域医療機能推進機構」。建物が老朽化し、伊万里市内の別地区での建て替えを考えたが、近くに別の公立病院があり、病床が過剰になるとして地元医師会が反対した。

 一方、松浦市には救急病院がなく、救急患者の約7割が市外に搬送されていたため、住民が熱烈な誘致活動を展開。昨年9月に開いた「決起大会」は参加者が会場のホールからあふれ、自治会連合会会長の向井勝正(むかい・かつまさ)(75)が「市民はいつも不安を抱え、安心した生活を送れない」と訴えた。

 ところが、市の医師会からは反発の声が上がった。新病院が救急・重症患者向けのベッドだけでなく、リハビリ向けの回復期病床も設ける計画であることが分かり、民間病院が患者を奪われると懸念したためだ。病院経営者らが集まって地域の医療提供体制を調整する会議は紛糾した。

 会議での承認を2回持ち越した末に、新病院が回復期の病床数を減らすことでようやく決着。向井は「思いが届いてよかった」と喜ぶが、収まらないのが伊万里市側だ。病院の周辺住民は「地域が廃れる」と心配する。

 こうした利害の衝突は今後、各地で起きる可能性がある。25年に向け病院ベッドを再編する各都道府県の「地域医療構想」実現へ議論が本格化するからだ。慢性疾患を抱える高齢者が増えるのに合わせて病院ごとの役割分担を見直さないと、医療費に無駄が生じる。厚生労働省は全国341の「構想区域」で18年度内に具体的な病院名を挙げた議論に入るよう、都道府県の尻をたたく。

 ただ、多くの知事が地元医師会から選挙の支援を受けているため、担当職員は下手に動けず腰が引けがち。思うように進まない地域も多い。厚労省OBの一人は「医療政策を担える都道府県職員の育成が必要だ。知事の姿勢も問われる」と指摘する。(敬称略)



https://www.m3.com/news/general/598271
弘前の中核病院:検討委を中止 桜田市長「廃止含めて」 /青森
2018年4月18日 (水) 毎日新聞社

 弘前市は17日、国立病院機構弘前病院と市立病院の統合による中核病院構想をめぐり、22日に予定していた第3回地域包括ケア検討委員会を中止すると発表した。市は会議の進め方を再検討するためとしており、今後の開催は未定という。

 検討委は、中核病院を中心に住民が地域で安心して暮らせる医療・福祉環境を市が主体となって整備するため、今年2月に設置。学識経験者や医療福祉関係者らで構成し、議論が行われてきた。

 葛西憲之前市長は市が主体となることにこだわってきたが、8日投開票の市長選で初当選した桜田宏市長は、国立病院機構を主体とする整備・運営を打ち出している。市の担当者は「市長の方向性が全く逆なので、従来と同じ議論を継続するのは難しい」と説明。桜田市長は報道陣に対し、「私の方針は委員に伝えているので、廃止も含めて今後どうするかを検討していく」と話した。【藤田晴雄】



https://www.m3.com/news/general/597675
救急出動「不急」集計へ 消防庁、来年から
2018年4月16日 (月) 共同通信社

 総務省消防庁は、救急車出動の必要性が低かった件数を2019年から集計する。救急車の出動は17年速報値で634万2千件に上り、8年連続で過去最多を更新。今後も増える見込みで、タクシー代わりに呼ぶといった「不要不急」の利用実態を把握する。

 出動の増加は高齢化により、病気で運ばれる人が多くなっているためだ。不適切な利用が続くと、緊急時に現場の到着が遅れる事態も心配されている。

 17年の搬送者をみると、48・5%は入院を必要としない「軽症」だった。ただ、119番時点では「激痛で動けなかった」「出血が多く救急車が必要だった」など、出動が必要な事例もある。

 このため、消防庁は新たな基準を設定。搬送後に軽症と分かった人を対象に(1)自力で歩けないなど、見た目の緊急性(2)言語障害といった脳卒中などの疑い(3)救急隊による応急処置の有無―などを隊員がチェックし、すべて該当しない場合は「必要性が低かった事案」として集計する。

 一方、出動後、搬送に至らないケースもあるが「明らかに死亡」「搬送拒否」「誤報」など、理由は多岐にわたる。出動の必要性を判断するのは難しく、今回は理由の分類見直しにとどめる。



https://www.m3.com/news/general/597599
研究者「時間ない、お金ない」…現状に危機感
2018年4月15日 (日) 読売新聞

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は、大学や公的機関の研究者が、研究費や研究時間の確保が著しく不十分だとして研究環境の現状に危機感を抱いているとする調査結果を発表した。

 調査は、日本の科学技術の状況や変化を把握するのが狙いで、2016年度に初めて実施。今回が2回目で、17年9~12月に、大学などの研究者約2100人と産業界の有識者約700人を対象にアンケートをした。回答率は92%だった。

 調査結果によると、「研究費が十分かどうか」と尋ねた問いに対し、研究者の回答は10点満点で平均2・4となり、前回より0・2ポイント低下。「研究時間を確保するための取り組みが十分かどうか」についても同2・2で、前回より0・2ポイント下がった。



  1. 2018/04/22(日) 09:41:23|
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4月15日

https://mainichi.jp/articles/20180413/ddm/012/010/028000c
医師不足
偏在解消見えず 都市部でも深刻化
 
毎日新聞2018年4月13日 東京朝刊

 医師不足が2028年まで続くとする推計を厚生労働省がまとめたが、都市と地方との間で起こる医師偏在に解消のめどは立っていない。労働時間を制限する「働き方改革」で都市部でも医師不足が深刻化していて、医療現場から推計に疑問の声が上がる。

 「医療体制は地域の存亡に直結する」。人口当たりの医師数がワースト2位の茨城県のある議員は危機感を募らせる。

 同県南東部の鹿行(ろっこう)地域は人口10万人当たりの医師数(16年)が95•7人で、全国平均251•7人(同)の4割以下。域内にある鹿島労災病院は災害拠点病院にも指定される地域医療の要だが、10年前に40人いた常勤医は12人まで減少。夜間は当直医の専門外だと救急患者を受け入れられないことも。来年4月には近隣の病院と統合する予定だ。県担当者は「医学部定員は地域の実情に合わせて見直すべきだ」と話す。

 人口当たりの医師数は「西高東低」と呼ばれ、医学部の多い西日本で多く、東日本は東京都を除き軒並み平均を下回る。ワースト1位は埼玉県、2位が茨城県で、東京への医師流出などが原因とみられる。医学部の入学定員に、卒後一定期間の地元勤務を義務付ける「地域枠」を設けるなど国も医師の偏在対策に努めているが、解消できていない。医師偏在は診療科間でも進む。この20年間で、麻酔科や放射線科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばい状態だ。

 聖路加国際病院(東京都)は16年6月に労働基準監督署の指導を受け、1カ月の残業時間を45時間に抑えるよう取り組んでいる。医師数を増やす必要があるが、激務の救急や産婦人科などは募集しても集まらないという。

 働き方改革も医師不足に拍車をかける。同病院は、夜勤や当直の医師数を減らし、土曜の外来診療は救急だけにした。時間外は患者家族に病状説明を断るなど、「患者へのサービスを絞らざるをえない」(同病院)。治療体制を維持したまま残業時間をゼロにするには、今の1・5倍は医師が必要という。今回の推計について、福井次矢院長はこう語った。「患者への影響を第一に考えておらず、非現実的だ」【酒井雅浩、熊谷豪】




https://www.sankei.com/life/news/180413/lif1804130012-n1.html
医師不足は15年後解消 需要低下なら平成40年にも 厚労省推計 
2018.4.13 10:20 産経新聞

 厚生労働省は12日、医学部の定員が現状のままならば、遅くとも平成45年ごろには必要とされる医師約36万人を確保でき、その後は余るとした将来推計を明らかにした。医師の需要をこれより低く見積もった場合は、40年ごろに医師不足が解消され、余剰に転じると試算。同日開かれた有識者検討会で提示した。

 検討会は、32~33年度の定員は現状をおおむね維持する方針を了承したが、今後は定員減も視野に入れた議論が進みそうだ。

 地域によっては医師が不足している問題を受け、政府は20年に定員増を決定。医師は増え続けているが、地域や診療科間での偏りは解消されていない。検討会では偏在対策の必要性を確認するとともに「今後は、定員をある程度減らすことを見据えた議論が必要だ」との声も上がった。

 一方、若手など医師の過酷な労働実態も問題化しており、厚労省は来年3月までに、具体的な時間外労働(残業)の上限規制を含む労働時間短縮に向けた対策を検討する考え。34年度以降の医学部定員数は、医師の働き方改革の進捗(しんちょく)を踏まえ、再度検討するとしている。

 今回、明らかにした将来推計は、労働時間や医師の業務軽減化について、複数のケースを想定。医学部の定員を30年度と同じ9419人と仮定し、病院のベッド数や女性医師の仕事量なども考慮した。

 労働時間の上限を「週55時間」などと設定した場合では、医師の需要が最も増え、45年ごろまでは医師が不足すると推計。ただ、月の残業時間に換算すると過労死ラインに相当する「週60時間」を基にすると、必要となる医師数は減る見込みで、40年ごろには必要とされる約35万人を満たすことができるとしている。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180413-OYT1T50044.html
里帰り出産できません…医師不足で受け入れ休止 
2018年04月13日 13時34分 読売新聞

 兵庫県立淡路医療センター(洲本市塩屋)が10日から、産婦人科の医師不足のため、「里帰り出産」の受け入れを休止した。

 大学の医学部などに医師の派遣を要請していたが、全国的に産婦人科医が不足する中で補充ができず、安全に出産できる態勢を守るため休止を決めた。早期の再開を目指すといい、淡路島内に住む産婦はこれまで通り受け入れる。

 島内では分娩ぶんべん設備や人員を備えた病院やクリニックが減り、現在は同センターと聖隷淡路病院(淡路市)の2か所だけに。2017年度のセンターでの分娩728件のうち、約4分の1を島外からの帰島者が占め、昨年4月から里帰り出産する人は受診を控えてもらうよう呼びかけていた。



http://mainichi.jp/articles/20180413/k00/00m/040/094000c
解消は28年ごろ 働き方改革影響で4年遅れ 
毎日新聞2018年4月12日 21時56分(最終更新 4月12日 22時41分)

 2028年ごろまで医師不足が続くとの推計を厚生労働省がまとめ、12日の同省検討会で示した。「働き方改革」で医師の労働時間の上限を過労死の危険性が高まる週60時間に制限したケース。医学部の入学定員について同省は当面増やさない方針だ。

 推計では、高齢者の増加や平均寿命の延びなど人口動態などによる医療の「需要」について3パターンに分類。その上で、今後の医学部定員を今年度の9419人と定め、労働力などから予測した医師の「供給」と比較した。

 その結果、需要は30年ごろまで増え続け、その後は減少すると予測。医師の労働時間の上限を過労死の労災認定基準の目安である「1カ月の残業80時間」に当たる「週60時間」にした場合、28年ごろに必要な医師数約34万9000人を満たした。一般労働者の労働時間の上限「週55時間」だと、33年ごろに約36万人で需給が一致。米国研修医の労働時間の上限「週80時間」とすると、必要な医師数は32万1000人で今年既に満たし、来年以降は「医師過剰」になるとした。

 前回の推計は16年3月。平均的な医療需要で算定すると、24年に約30万人で需給が一致した。今回は、働き方改革を加味したため医師の仕事量や、労働時間の推計方法が異なるが、平均的な需要と比べると医師不足の解消は前回より4年遅れる結果となった。

 医師数を巡っては、実質的に大学の医学部定員が年間の医師の供給数に相当する。医師不足が社会問題化したため、08年度以降、国は卒後地元で一定期間働くことを義務化する「地域枠」などを設けて医師数を増やしてきた。

 この日の検討会では「更に増員する必要はない」との意見が大勢を占めた。一方で「現状で週60時間を当てはめると、各地で医療崩壊が起きる」(同省医事課)ため、「偏在対策に早急に取り組むべきだ」との声も出た。【酒井雅浩、熊谷豪】
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https://mainichi.jp/articles/20180412/ddl/k45/040/405000c
日向市立東郷病院
2年8カ月ぶり入院再開 住民安心感広がる 老朽化で建て替え要望も /宮崎
 
毎日新聞2018年4月12日 地方版 宮崎県

 医師不足のため2年8カ月間休止していた日向市立東郷病院(同市東郷町山陰)の入院(30床)と休日時間外の救急診療が今月再開され、11日現在9人が入院している。旧東郷町地区で唯一入院できる病院だけに住民に安心感が広がっている。【勝野昭龍】

 病院事務局によると、医師2人が退職して1人になったため、2015年7月から入院と休日時間外の救急診療を初めて休止した。日々の診療は近くの民間医療機関から週1回、内科医を派遣してもらって続けた。

 病院は医師の官舎をリフォームし、給与も1割弱アップするなど待遇を改善。県や民間紹介所の他、地縁血縁も総動員して医師集めに奔走した。こうして院長ら外科医3人と整形外科医1人、アルバイト医師4人を確保。外科▽整形外科▽内科▽リハビリテーション科--の4科が整い、入院と時間外救急の再開にこぎ着けた。

 旧東郷町内には他に内科のクリニックしかなく、特別養護老人ホームの9人が早速入院。時間外救急も連日利用者が来院している。

 しかし、4月末にはまた1人が退職する予定。病院は1974年建設の鉄筋2階建てで老朽化の問題も抱えており、建て替えの強い要望が出ている。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D2VPCL4DUBQU003.html
医師「過労死ライン」超え15% 秋田県医師会調査 
山田佳毅2018年4月12日12時00分 朝日新聞

秋田県内の医師の時間外労働の実態調査
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 秋田県内の病院に勤める医師の6~7人に1人が、月80時間を超す時間外労働、いわゆる「過労死ライン」に達する勤務をしていることがわかった。調査した県医師会は「過労死寸前の勤務環境に置かれているわけではない」としつつ、医師不足を理由に挙げている。

医師の働き方改革、骨子案まとまる
 調査は昨年10~11月、県内の全69病院と、各病院の非常勤を含むすべての勤務医1580人を対象に行われた。回答は52病院(75%)、医師からは888人(56%)から得られた。

 集計の結果、週に40時間以上勤務している医師のうち、昨年9月に時間外労働をした人は9割を超え、91•4%に達した。

ログイン前の続き時間外労働時間の割合をみると、「80~100時間未満」が6•9%、「100時間以上」が8•1%で、計15%が「過労死ライン」を超えていた。中でも、大学病院の40代と公立病院の20代は「100時間以上」が20%を超えていて、それぞれの病院の平均値を上げていた。

 病院に泊まり込む宿直回数を見ると、昨年9月に2~4回宿直をした医師は44%にのぼった。1回の宿直での平均拘束時間は、14時間超が全体の約7割を占めた。平均の実労働時間は5時間で、「ほとんど実労働を伴わないと規定されている宿直からはほど遠い現状」としている。

 この結果を受け、県医師会は「医師の望ましい働き方」として提言をまとめた。その中で、医師独自の労働時間制度の創設や持続可能な医療提供体制の構築といった行政側の努力に加え、住民や患者側にも、不要な救急搬送を頼まないなどの意識改革が必要だと指摘した。

 県医師会地域医療総合調査室の高橋勝弘室長は「医師の効率的な働き方や、医療体制のあり方を考える時期にきている」と話している。



https://www.asahi.com/articles/ASL4D44MHL4DUBQU00G.html
医師足りない…地域偏在解消へ 群馬県や群大、会議発足 
篠原あゆみ2018年4月12日14時00分 朝日新聞

 群馬県と群馬大学、県医師会など関係団体が参加し、「ぐんま地域医療会議」が発足した。県全体でも全国平均より医師数が不足する中、地域医療を守るため、県内の地域ごとの医師の偏在解消や、人材育成のための医療機関の連携を目指す。

地方で勤務した医師に認定制度 地域偏在の解消へ
 厚生労働省が2016年に実施した医師・歯科医師・薬剤師調査によると、人口10万人あたりの医師数は、群馬県では225•2人で、全国平均の240•1人を下回った。一般的な入院医療を提供できる単位として県内を10区域に分けた二次保健医療圏別では、前橋地域が443•3人の一方、太田・館林地域では141•9人、吾妻地域で144人などと、医療圏単位で約3倍の開きがある。

 県や群大によると、これまでは地域の病院から要請を受けて、群大から医師を派遣するケースが多かった。しかし、医師の総数が不足し、大学病院に残る若い医師が減っている中、群大だけで地域医療を支える医師を確保することが難しくなっているという。
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 そこで県が、県内で働く医師の実態を調査した結果を群大に提供し、派遣に役立てることで医師の偏在を解消していく。若手医師の将来のキャリア形成も考慮し、特色のある医療機関で研修を受けられるようにするなど、教育環境を整えていくという。

 初回の会合が3月26日にあり、議長をつとめる県医師会の須藤英仁会長や県、群大、歯科医師会や薬剤師会などの関係者が集まり、目的などを確認した。

 今年秋ごろまでに、病院ごとの医師数や勤務状況、専門分野などを県が調べ、医師の派遣などの具体的な取り組みを19年度に始める方針。県の担当者は「医師の総数が不足する中でも必要な医療を受けられるよう、医師の偏在を解消したい」。群大医学部付属病院の田村遵一病院長は「県内で連携し、質、量ともに充実した研修環境を作ることが、若手医師に県内に残ってもらうことにつながる」と期待する。


https://www.m3.com/news/iryoishin/597238
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「劇的な労働時間短縮は困難」全自病アンケート
厚労省の「緊急的な取り組み」6項目を調査
 
2018年4月13日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は4月12日、厚生労働省が2月に出した「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」6項目について実施の可否を会員病院に尋ねたアンケートの結果を発表した。特に6番目の「医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み」で、「実施できない」が全項目中、最多の48%に上り、自由記載では「劇的な労働時間短縮は困難」などの意見が寄せられた。会長の邉見公雄氏は「『医師の3偏在』(地域、診療科、病院・診療所)の解決なくしての労働規制は、本末転倒だ」と述べた(関連記事は『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。


 アンケートは2月28日から3月31日に、6項目について「実施できる」か「実施できない」を選択する方式で実施。880の会員病院のうち、28.0%の246病院から回答を得た。

項目ごとの、246病院全体のうち「実施できない」と回答した割合と、自由記載の例は次の通り。

医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み=72%
 ・ICカード、タイムカードを導入しても、在院時間=労働時間とはならないため。
 ・常勤医師の数が少なく、当日直の回数が他の病院に比べどうしても多くなり負担をかけている。常勤医師の確保や非常勤の応援医師の確保に努めてはいるが、まだ十分ではない。
36協定の自己点検=15%
 ・医師は全て管理職であり、36協定の適用除外となるため。
既存の産業保健の仕組みの活用=17%
 ・安価な産業医報酬しか捻出できず、産業医確保に苦慮している。
  ・医師の健診受診率が低く、産業保健に結びつきにくい。
タスク・シフティング(業務の移管)の推進=13%
 ・他業種に業務移管できるほどの人材
 ・予算確保が困難。
 ・どこまでの医療行為を医師ではなく看護師がしていいのかなど、明確な基準もないまま実施に移すことはできない。
女性医師等に対する支援=5%
 ・現状ではマンパワーが不足しており、女性医師のみへの支援は困難である。
 ・今後の女性医師の出産・育児等継続的な業務、キャリアが阻害されることのないよう対策を進めたいと考えている。ただ、小規模病院で女性医師が短時間勤務や当直免除になると、他の医師の負担が大幅に増すため厳しいところがある。
医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み=48%
 ・1人または2人体制の診療科が多く、また、2次医療圏内に救急医療を実施できる医療機関が当院以外にないため、医師の長時間労働を改称することは大変困難な状況。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596638
医師調査
男女を問わず、医師が勤務継続できる環境を
日本外科学会定期学術集会、特別企画「女性外科医のキャリアパス」 ** 
 
レポート 2018年4月10日 (火)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「女性外科医のキャリアパス」が4月6日、都内で開催され、女性外科医のキャリアパス支援について、職場の復帰支援などを行う九州大学病院などの先進的な取り組みが紹介された。同大保健学科教授で循環器内科医の樗木晶子氏は、「根本的には医師の労働環境を改善し、多様な勤務形態が提供され、男女ともにワークライフバランスが取れるようにすべきだが、まだまだそうなっていない」と訴えた。

女性医師には仕事も家庭も求められている
 この特別企画は、同学会の男女共同参画委員会の主催で行われた。女性医師が増加する一方、少子高齢化もあり、女性には妊娠・出産・育児が求められる社会的風潮もある。この現状について、セッションの座長を務めた、日本外科学会の男女共同参画委員会副委員長で東京大学消化管外科准教授の野村幸世氏は、「女性医師は仕事と家庭の両方とも、大変なことをやってもらわないといけない時代」とした上で、「本音は、男性も女性も職種を問わず同様に働くべきだ。家庭の仕事も平等に分担すべきだ。妊娠・出産・授乳以外は男性も同様にできるはずで、できないとしたら努力不足。パートナーと自分が平等であるかどうかは常に考えておくべきだ。以上の権利と義務を遂行しつつ最小ストレスで最大アウトカムを社会全体で模索することが必要だ」とした。

常勤への復帰に向けた就業支援
 九大病院は2017年4月現在、医師の21.4%を女性が占めるが、常勤(助教以上)の女性医師は8.3%にとどまる。内訳を見ると、研修医(非常勤)は女性が49.3%と約半数だが、医員(非常勤)で27.8%、常勤(助教以上)が8.3%と職位が高くなるほど女性医師が少ない。樗木氏は、2007年から九大病院で取り組まれているキャリア支援「きらめきプロジェクト」について紹介した。女性医師は出産・育児でいったん離職する傾向があり、就労率は卒後11年で76%と最低となった後に回復するものの、常勤や専門医としての復帰は難しくなっている。そこで、当初は出産・育児でキャリアが途絶えがちな女性医師のキャリアパス支援として国の助成金を受けて始まった。ただ、2010年からは病院の内部予算で運用されており、出産・育児・介護・自身の病気により離職を余儀なくされる男性医師も対象としている。
 具体的には、離職から常勤への復帰に向けて、医局人事の枠外で就業できる雇用形態として「ステップアップ外来医師」の制度を設けた。医師と歯科医師を合わせて毎年30人弱がステップアップ外来医師に参加しているという。短時間勤務による外来診療のほか、研究の継続も可能となる。この10年でのべ129人の医師がこの制度を利用し、常勤職へ復帰したり、専門医取得や博士号取得をしたりした医師もあった。

 同プロジェクトではほかに、人材登録のためのホームページを立ち上げたほか、院内保育施設の設置、教授らへの啓発講演会の実施、学生講演会・交流会の実施、情報発信、育児中の医師向けのe-ラーニングプログラムを配信したりしている。樗木氏は「一番役に立っていると私が思うのは、短時間勤務の医師と毎月ミーティングをして困っていることなどを話し合ってきたことで、九大病院の中で女性医師のネットワークができたことだ。若手医師が自発的にランチ会を行ったりしている」と話した。また病院内にプロジェクトが浸透したことで「医局長が入局したての若手医師らに、きらめきプロジェクトを紹介するなど、医局の仕組みにきらめきプロジェクトが組み込まれるようになっている」(樗木氏)という。

 特別企画「女性外科医のキャリアパス」では、他に育児中の日本外科学会員医師のストレス状況について調査をした、東京女子医科大学心臓血管外科の冨澤康子氏による、「育児中の日本外科学会会員の仕事とプライベートのストレス―働くドクターストレス調査結果から」など計7講演があった。

 厚生労働省の2016年医師・歯科医師・薬剤師調査によると、国内の医師31万9489人中、女性医師は21.1%と増加しており、また今年の医師国家試験合格者の34.0%が女性と、今後も女性医師は増えると見られている。また、女性医師の専門の上位は内科(15.5%)、小児科(9.0%)、眼科(7.8%)、皮膚科(6.7%)などで、女性の外科医が増えてきたとはいえ、まだまだ多くない。



https://www.fnn.jp/posts/00291950HDK
【働き方改革】診察をしない「産業医」は従業員の敵か?味方か? 
小林晶子
2018年04月13日 金曜 午前6:30  FNN prime

「産業医」とは”診察・治療をしない医師“
 国を挙げて進められる「働き方改革」。
 「働き方改革実行計画」では、「産業医」は権限を強化され、改革の後押しを求められています。
 そして、長時間労働への対策、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援などが重点項目とされています。
 つまり、企業が産業医を選任し、活用することが強く求められている訳です。
 とは言え、「産業医」と言う職業は一般的にはよく知られていないかもしれません。

産業医の仕事には、大きな特徴があります。
それは、病気の診断をしたり、治療をしないこと。 
そもそも産業医は、「診察」という行為を行いません。
そこが、一般のクリニックや病院の医師との大きな違いです。

ミッションと権限
 では、産業医は何を行うのかと言うと、「診察」ではなく、従業員の健康状態や業務への適性を評価する「面談」です。
 その上で、「◯◯病の疑いで治療が必要か否か」「就労が可能か否か」「労働時間の制限や配慮の必要性」などを、産業医の立場から評価します。
 医学的見地から、従業員の健康状態を判断し、中立な立場で、企業と従業員、双方にとって最善の策を出すのが、産業医のミッションなのです。
 正しい判断・評価をするため、産業医には情報収集の権限が与えられました。
 企業には、残業が月100時間超の従業員の氏名などの産業医への報告や、健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員に関する情報提供が義務付けられています。

従業員を追い込む『ブラック産業医』の存在
 しかし昨年来、「メンタルの不調等で休職した従業員が回復してきたにもかかわらず、産業医がさまざまな理由を付けて復職させないために退職に追い込まれた。これでは企業と結託した『ブラック産業医』ではないか」等と、トラブルになるケースがありました。
 昨年、弁護士らが厚生労働省に申し入れを行った事例では、本人と面談を1回しただけの産業医が、「統合失調症」「混合性人格障害」など、本人が一度も受けたことのない病名の診断をし、復職不可との判断をしたとしています。
 しかもこの産業医は精神科の医師ではなかったとのこと。
 これが事実なら極端な逸脱行為と言わざるを得ません。
 先述したように、そもそも産業医は病名の診断はしないからです。
 本来の産業医としての役割を果たしたとも言えないでしょう。

良好な「働き方」を左右する産業医の判断
 多くの産業医は、従業員の今後や生活のことを考慮し、「復職」するにはどうすればいいかを、まずは念頭に置いています。
 しかし、先ほどのような悪質な事例は論外としても、誠実に仕事をしている産業医が「ブラック産業医」では?と誤解される場合もあるかもしれません。
 と言うのも、産業医には「復職したい」と言う従業員の意に反する判定を下さざるを得ない場合もあるからです。
 産業医は、会社組織の中での本人の役割や仕事内容から、復職の可否を判断します。
 場合によっては、従業員がかかっている主治医は復職可能としていても、産業医は復職できないと評価することもあり得ます。
 と言うのも、復職判断が早すぎたために、復帰後 間もなく欠勤が相次ぎ、結果的に休職・復職を繰り返すケースがあるからです。
 早すぎる復職が本人の負担となり、回復しつつあった疾患が悪化したりしたら取り返しがつきません。
 そのため、復職判定には慎重さが必要なのです。
 もちろん、産業医が復職不可とする場合は判断根拠を従業員に示し、それを基に復職に向けてどうしたらいいのかについて、面談を行っていく必要があります。

「働き方改革」推進には、産業医の育成が課題
 「働き方改革」の中で産業医の役割は増していますが、現状では産業医を選任している事業所は全体で87%。
 事業所の大部分を占める50人から100人未満の中小企業では、80.9%に留まっています。
 その要因の1つは、産業医の圧倒的な不足です。
 厚生労働省によると、現在産業医の養成研修・講習を修了した医師は約9万人いますが、そのうち実働しているのは3万人程度。
 一方、産業医を必要としている事業所は、全国に16万カ所以上とされています。
 「働き方改革」を進める中で、今後 産業医をどう育成していくかも重要なポイントかもしれません。
(医師 小林 晶子)



https://ryukyushimpo.jp/column/entry-697051.html
<金口木舌>北部医療、先行者の責任 
2018年4月9日 06:00 琉球新報

 入学式シーズンの真っただ中。名護市為又の北部看護学校でも、黒のスーツ姿の84人が入学し、白衣姿の職員たちが温かく見守った

▼名護市出身の宮里涼奈さんの新入生宣誓が印象的だった。学業専念を誓うとともに、到来する超高齢社会などに触れた。「看護師不足が指摘される中、北部地区は病院も少なく、救急対応も課題です。看護師になって貢献したい」
▼北部は慢性的な医師と看護師の不足に直面し、救急医療体制の脆弱(ぜいじゃく)性が指摘される。県立北部病院では外科や産科などで後任医師が見つからず、週の診療日数が制限されることもしばしば
▼命に直結する医療の充実は、住民の切なる願い。定住するためにも地域完結型の医療は重要だ。県推計によると、2025年時点でも北部住民で入院を必要とする1割が、中南部へ行かざるを得ない
▼人手不足を解消し、安定的な医療体制を目指そうと、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合による基幹病院整備の動きも進む。約220億円と試算される事業費負担、統合後の職員待遇などの課題は多い。何よりも働きやすい医療現場の環境整備は不可欠だ
▼入学式のあいさつでは、看護師への一歩を踏み出した新入生に期待が寄せられた。学生が巣立つ3年後、働く環境は今よりも魅力的だろうか。先を歩む者たちには期待するだけでなく、環境を整えていく責任もある。



http://www.medwatch.jp/?p=20106
軽微な傷病での医療機関受診では、特別の定額負担を徴収してはどうか―財政審 
2018年4月12日|介護保険制度 MedWatch

 公的医療保険・介護保険を持続可能なものとするために、「医療費・介護費そのものの増加を抑える」「保険給付範囲の在り方を見直す」という2つの改革が必要となる。後者では、例えば「軽微な傷病での医療機関受診」について、特別の定額負担を導入してはどうか―。

 4月11日に開催された財務省の財政制度等審議会「財政制度分科会」で、こういった議論が行われました(財務省のサイトはこちらとこちら(参考資料))。

ここがポイント!
1 軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ
2 地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い
3 ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を
4 診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

軽微受診における定額負担、保険制度の在り方にも関連する重要テーマ

 高齢化の進展や、医療の高度化(オプジーボ・キイトルーダなどに代表される画期的で超高額な抗がん剤の登場など)により医療費が増加を続ける一方で、少子化により「支え手」(財政の支え手、医療・介護の担い手)が減少し、公的医療保険制度・介護保険制度の存立基盤が脆くなってきています。

高額な抗がん剤が次々に登場し、医療保険制度の基盤を脆くしつつある(図 略)
 
 このため財務省は、「医療費そのものの増加を抑制する必要がある」(保険制度見直しによる負担の付け替えには限界がある)、「保険給付の在り方を大きく見直す必要がある」との考えのもと、今般、具体的な社会保障改革案を財政制度分科会に提示しました。
 具体案は次のような内容で、すでに提案されている内容が多数を占めますが、目新しい項目も散見されます。ポイントを絞って見ていきましょう。

まず、医療分野における「保険給付範囲の見直し」については、次のような提案が行われました。
(1)新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費⽤対効果を踏まえて公的保険での対応の在り⽅を決める仕組みとする(▼原価計算⽅式:費⽤対効果評価を義務付け、費⽤対効果が悪いものは、「保険収載の⾒送り」「償還可能価格までの引き下げ」を行う▼類似薬効⽐較⽅式:補正加算が付される場合は費⽤対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる―仕組みとする)
(2)▼薬剤の種類に応じた保険償還率の設定▼⼀定額までの全額⾃⼰負担—制度を参考にした「薬剤自己負担率」を導入する
(3)少額受診に⼀定程度の追加負担を求め、「かかりつけ医」等への誘導策として「定額負担に差を設定する」ことも検討する

 このうち(3)は「軽微な傷病」での受診について、定率の自己負担(年齢・所得により1-3割)に加えて、「追加的な定額の自己負担」を求めるというものです。
 
 従前、財務省は「かかりつけ医以外を外来受診した場合に、特別の定額負担を設けてはどうか」との提案を行っていましたが、「かかりつけ医の定義、範囲が明確でない」「かかりつけ医を持たない国民も多い」といった指摘が、社会保障審議会・医療保険部会などで相次ぎ、方向を若干修正したと見ることもできます(もっとも「かかりつけ医等」へ誘導するため、定額負担に差を設ける(かかりつけ医等の場合には定額負担を小さくする)考えも示しています)。

 このテーマは古くから議論される「保険給付の在り方」にも関連する重要論点の1つです。保険給付の在り方を考える際、大きく▼軽微な医療は自己負担とする▼超高額な医療は自己負担とする―という両極の選択肢があり、この中間にさまざまなバリエーションが考えられます(自己負担割合を疾病によって変えていくなど)。財務省は「前者」の考え方に寄っていることが、この提案で明確になったと言えるでしょう。もちろん、▼患者にとって「自分の疾病が軽微なのか重篤なのか」を判断することは難しい▼早期治療を阻害し、かえって医療費が増加する―といった課題もありますが、そろそろ真正面から議論する時期に来ていると言えそうです(関連記事はこちら)。

 また(2)は、例えばフランスにおける薬剤自己負担率「▼抗がん剤等の代替薬のない⾼額医薬品:0%(全額保険償還)▼⼀般薬剤:35%▼胃薬等:70%▼有⽤度が低いと判断された薬剤:85%▼ビタミン剤・強壮剤:100%(全額自己負担)」や、一般用医薬品と医療用医薬品との価格差(湿布薬であれば、医療用は3割負担で36円だが、一般用は1008円など)などを踏まえよ、との提言です。

2018年度の診療報酬改定では「ヒルドイドソフトなど」の保険給付が議題の1つにあがりました。ヒルドイドソフトは、アトピー性皮膚炎患者に対する保湿剤などとして処方されますが、女性芸能人などが「ヒルドイドにはアンチエイジング効果があり、医療保険を使って3割負担で入手できる」といった紹介をし、一部に大量処方されているケースがあることが問題視されたのです。今回の提案は、こうした「不適切事例へのペナルティ」をも視野に入れていると考えられます。モラルハザードが横行すれば、適正化に向けた動きが強くなり、「本当に必要な患者」のアクセスが阻害されてしまいます。医療従事者・国民の双方が「適正な医療保険制度の運用」に協力しなければなりません。

地域別診療報酬や地域医療構想実現に向けた知事権限の強化、課題も多い

 また医療費そのものの増加を抑える方策として、財務省は「公定価格(診療報酬点数や薬価、特定保険医療材料価格など)の適正化」「医療提供体制の改革」が必要とし、次のような具体的な見直しを行うべきと提案しています。
(i)診療報酬本体も含め「改定率」は厳しく抑制していく
(ii)薬価制度の抜本改革の中で「残された検討課題」(費用対効果評価の本格導入など)を着実に検討し、併せて▼創薬コストの低減▼製薬企業の費⽤構造の⾒直し▼業界再編—に取り組む
(iii)かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬⽔準適正化など、調剤報酬の在り⽅を見直す
(iv)地域医療構想の実現に向けて、▼診療報酬・介護報酬改定のフォローアップ▼都道府県への⼿段の付与▼都道府県へのインセンティブ▼適切な進捗管理▼医療・介護を通じた在宅医療・介護施設等への転換—を行う
(v)7対1・10対1一般病棟の再編・統合など、2018年度診療報酬改定が地域医療構想に沿った「病床の再編」「急性期⼊院医療費の削減」につながるか、KPIを設定して進捗を評価し、必要に応じて「更なる要件厳格化」などを2020年度改定で実施する
(vi)介護療養・25対1医療療養から介護医療院などへの転換を促進するが、▼患者の状態像に合わない、高単価の医療療養への転換を防止する▼転換が進まない場合に介護療養の報酬⽔準を検討する(引き下げる)▼⾼齢者住まいへの転換も含めた幅広いダウンサイジング⽅針を策定する―ことなどを進める

介護療養からの医療療養への転換は、「防止せよ」と財務省は考えている(図 略)
 
(vii)▼診療所▼医師数▼⾼額医療機器—など「病床以外の医療資源」に関しても、配置への実効的なコントロール方策を早急に検討する
(viii)都道府県における医療費適正化の取組みに資する実効的な⼿段を付与し、医療費適正化に向けた地域別診療報酬の具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す
 このうち(iv)の地域医療構想の実現に関しては、▼病床再編に向けた都道府県の権限整備▼地域医療構想の進捗に応じた保険者努⼒⽀援制度・地域医療介護総合確保基⾦の配分▼病床機能報告における定量的基準の策定—などが打ち出されています。ただし、「最も多い民間医療機関に対し、都道府県が機能転換命令を行うことなどは、憲法上、難しい」「進捗の低い都道府県への基金配分を薄くすれば、さらに進捗が遅れ、格差が広がる可能性がある」「定量基準を定めることは、病床機能報告制度の否定につながる(基準を定めるのであれば報告の必要はなくなる)といった課題もあり、さらに議論を詰めてく必要があるでしょう。
地域医療構想の実現に向けた、具体的なてこ入れ案(図 略)
 
また(viii)の「地域別診療報酬」には、「かえって医療費を高くするのではないか」との指摘もあります。現在は、オールジャパンという単位で「診療側と支払側との価格交渉」が中央社会保険医療協議会で行われていますが、これを都道府県単位で行った場合、「診療側のパワーが増し、支払側のパワーはさらに下がるのではないか」と考えられるのです(「診療報酬に詳しく、交渉能力に長ける」医師等は全国に多数いるが、「診療報酬に詳しく、かつ交渉能力に長ける」保険者関係者等の状況は未知数)。また、全都道府県で一定水準以上の事務局機能を果たせるか、というテーマについても疑問を持つ識者が少なくありません。効果・運用の双方でまだまだ課題があり、地域別診療報酬は「もう少し先の検討テーマ」と言えるかもしれません。

ケアマネジメントへの利用者負担導入など、近く正面からの議論を

 介護分野の「保険給付範囲の見直し」としては、次の2つの提案が行われました。
▼居宅介護⽀援(ケアマネジメント)への利⽤者負担導入
▼⼀層の総合事業の推進

 双方とも社会保障審議会・介護保険部会を中心に、専門家による議論が行われ「時期尚早」との結論が出ています。例えば、前者の「ケアマネジメントへの利用者負担」には「介護保険利用を阻害する」「利用者・家族によるプラン変更が助長される」といった懸念が、後者には「要支援1・2の訪問・通所介護が総合事業へ移行して間もなく、状況を把握しないままに拡大することは極めて危険である」との指摘が強いためです。

 もっとも前者については、利用者負担導入で「ケアマネジャーの意識も変わり、ケアマネジメントの質が高まる」ことが強く予想され、また後者については、今後データが集積される中で、「他サービスやより重度者の総合事業への移行」が可能かどうか実証されていきます。そう遠くない将来、両者については真正面から議論が行われることになるでしょう。

診療所や介護事業所の再編・統合なども、近い将来重要検討テーマに

高齢化の進行によって、介護費は著しい増加を見せており、「介護費用の伸びを抑える方策」が今後の最重要テーマの1つとなることは間違いありません。財務省は、次のような提案を行っています。
(a)在宅と施設の公平性確保も踏まえ、「多床室の室料相当額」も基本サービス費から除外する
(b)保険者機能強化推進交付⾦(自立支援等に積極的に取り組み市町村・都道府県へのインセンティブ)について、指標の達成状況がよくない⾃治体について、原因を分析し、都道府県・市町村の取組を⽀援する
(c)頻回なサービス利用に対する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を早急に策定・周知し、利⽤者の状態像に応じたサービスの利⽤回数や内容等についての標準化を進める
(d)介護費の地域差縮減に向けて、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービス供給量を⾃治体がコントロールできる仕組みを導⼊する
(e)⼈材の確保・有効活⽤やキャリアパスの形成によるサービスの質の向上などの観点から、「介護サービスの経営主体の統合・再編」等を促す

このうち(d)は、医療でも同様の問題意識が顕在化しています(診療所開業規制の是非など、さらに上記(vii)との関連)。また、これらは(e)の再編・統合とも共通要素があります。例えば、訪問看護ステーションについては、「数の整備」とともに「規模の拡大」が、以前より重要なテーマに据えられています。大規模化によって、個々の看護師の負担が減り、またサービス提供体制を手厚くする(例えば24時間・365日対応など)ことが可能です。また、再編・統合によって総務部門などの共通コストを低廉にすることが可能で、経営的なメリットもあります。さらに、業務負担軽減は「働き方改革」とも同じ方向を向いていると言えます。

高齢化だけでなく、少子化が進行する我が国では、医療・介護サービスの担い手不足が深刻化しており、今後、深刻度は増していきます。近い将来、病院だけでなく、診療所や介護施設・事業所においても「再編・統合」が検討すべき重要テーマの1つとなりそうです。

諸国における診療所開業等の状況(図 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597140
日医「勤務医の健康支援を中心に」
医師の働き方検討委員会が答申
 
レポート 2018年4月12日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は4月11日の定例記者会見で、「医師の働き方検討委員会」(委員長:相澤好治・北里大学名誉教授)が2017年6月以降、計6回の会議でまとめ、横倉義武会長に答申した内容を発表した。日医が主催して「医師の働き方検討会議」を設置し、4月21日に第1回会議を開催することも報告。日医からは松本吉郎氏と今村聡副会長、市川朝洋常任理事が入り、四病院団体協議会の代表や、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員らから成る。6月まで3回程度の会議を予定し、同月頃に再開が見込まれる厚労省の検討会に、医療界としての見解を提示することを目指す。

 答申は、次の4項目による章立てで、最後の「まとめ」として、「地域医療を守るにあたって、勤務医の健康支援を中心に据えることが命題である」などと宣言している。
  勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現
  勤務医の労働安全衛生の充実
  地域医療を守る
  医師会の役割

「労働時間等設定改善委員会」活用を
 松本氏は、「この答申の一番の核」として「2.勤務医の労働安全衛生の充実」を挙げた。2015年の「労働基準監督年報」で、労働基準監督署の定期監督によって、医療保健業では1772事業場のうち78.8%の1396事業場で法令違反が指摘された。全業種平均は69.1%で、医療保健業ではかなり高い割合となっている。特に健康診断では全業種が14.1%に対し、医療保健業では25.6%で法令違反が指摘されており、答申では「医療界全体として反省すべき重要な課題。安全衛生に関わる多くの専門家を有する医療保健業で、法令違反が多く指摘されていることは重く受け止める必要がある」と指摘した。

 対策としては、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」により、労働安全衛生法で規定されている衛生委員会を「労働時間等設定改善委員会」として活用できることが定められていることを紹介。労働者の健康に関して調査や審議をする衛生委員会で労働時間設定の検討が可能であるとして、「長時間労働が問題となっている現状を踏まえた多角的な取り組みを促すための施策であり、大いに活用すべきである」と指摘している。

 「1.勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」では、一般論としての労働時間の定義から始まり、宿日直やオンコール、自己研鑽など医師特有の労働形態や、労働法制との乖離について考察。例えば、宿日直は労働基準法上、「状態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるもので、定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温など」に限るが、実態としては救急患者や容態急変の患者への対応など通常の労働を行っていることを指摘している。対策は、医療勤務環境改善支援センターの充実強化を挙げ、都道府県医師会のアンケートで寄せられた、「診療報酬上の加算」、「医療機関管理者である医師への啓発」などを紹介した。

「時間外労働の上限規制は必要」
 今後、厚労省の検討会でも議論が本格化するとみられる、医師の時間外労働の上限規制については、時間外労働時間に関する「医師の特別条項」を医療界が意見集約して設定することが妥当と主張。その特例を定めるに当たっての基本的視点として、「時間外労働の上限規制は必要」、「医師の労働時間の取り扱いについて共通認識の下で検討される」など7項目を挙げた。具体的な時間については、答申では挙げていない。

「3.地域医療を守る」では、労働時間制限による地域医療への影響について、日医「勤務医委員会」が行った医師へのヒアリング結果として、次の6点を紹介。

(1) 救急医療からの撤退
(2) 外来診療の縮小
(3) 産科・小児科の撤退
(4) 医療機関の経営破綻
(5) 医療の質の低下
(6) アクセスや利便性の低下
 答申は、日医の立場として「医師の勤務環境改善には全面的に賛成であるが、患者や地域住民が健康を害する政策には反対である」ことを強調。応招義務について議論を深め、「現代にあった解釈または法改正を行う」ことの必要性や、タスク・シフティング、タスク・シェアリングなどによる医師の効率的活用、女性医師の離職防止と復職支援、救急車の利用や「コンビニ受診」など、住民の理解と協力などの対策を挙げた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180412133959
都道府県別の診療報酬、「医療の質低下の恐れ」
日医・横倉会長、反対姿勢を改めて表明
 
2018年04月12日 13:55 CB news

 財務省が財政制度等審議会財政制度分科会で「都道府県別の診療報酬」の設定を提案したことを受け、日本医師会の横倉義武会長は11日の記者会見で、「県境における患者さんの動きに変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動によって地域における偏在が加速することで、医療の質の低下を招く恐れがある」とし、反対の姿勢を改めて示した。【松村秀士】

 11日の財政制度分科会で財務省は、医療費の適正化につなげるため、「地域別診療報酬」を設定する仕組みの活用を提案した。

 会見で横倉会長は、「都道府県別の診療報酬」の設定について、「これまで、医療は地域によって分け隔てなく全国一律の単価で提供すべきだと述べ、一貫して反対の姿勢を示してきた」とし、財務省案に反対する姿勢を示した。

 横倉会長はまた、「診療報酬で人事院規則が定める地域に従い、1級地から7級地までの地域加算があり、入院基本料などに加算されている」とし、既に地域の特性を考慮した加算が設けられていると指摘した。

 「都道府県別の診療報酬」の設定については、2017年12月7日の社会保障審議会医療保険部会で「議論の整理案」として示されたが、委員からは「慎重に検討する必要がある」といった意見が出ていた。

 高齢者の医療の確保に関する法律の14条では、「厚生労働大臣は、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」(診療報酬の特例)とされている。ただ、具体的な運用規定がなく、この特例はこれまで適用されたケースはない。

 奈良県が3月に策定した第3期医療費適正化計画では、医療費の削減目標を23年度に達成するのが困難な場合、全国とは異なる診療報酬を設定するよう、国への意見提出の検討を方針として掲げている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596915
シリーズ 社会保障審議会
「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討
厚労省、医療法・医師法改正案の医師不足対策を説明
 
2018年4月11日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局総務課長の榎本健太郎氏は、4月11日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、3月13日に閣議決定した「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」に盛り込んだ「医師少数区域」等で勤務した医師を「認定」する仕組みについて、「例えば、認定を受けた医師が専門医を取得する際や、医療機関を開設する際の支援をしたり、認定医師を雇用する地域の医療機関の税制を優遇するなどが考えられる。認定される医師をしっかりと活用する枠組みを今後、先生方の意見を聞きながら整理していく」と説明した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「医師少数区域」での勤務経験を持つ医師を厚生労働大臣が認定する仕組みは、今回の改正案で打ち出された医師偏在対策の一つ(『医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施』などを参照)。永井座長が「認定医師をどのように使うのか」と質問したのに対し、榎本課長が回答した。

 「医師少数区域」は、国が定める「医師偏在指標」に基づき、都道府県が定める。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」や「医療施設調査」などを基に全国一律に決めることなく、「地域の実情を反映できる仕組みにしてもらいたい」と強く要望した。日本病院会会長の相沢孝夫氏も、「2次医療単位で、必要医師数を決めて確保しようとするのは、非常に融通が利かないやり方。これにより、医療が崩壊することがないように忠告する」と語気を強めた。

 認定 NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、新専門医制度において都道府県が日本専門医機構に問い合わせを行っても返事が返ってこないため、同機構への不信感が募っている現状があると指摘(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。医療法・医師法改正案に「厚労大臣は、日本専門医機構等に対し、必要な措置の実施を要請できる」旨が盛り込まれている点について質問。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で「同機構の代表者から、今後改善していくという発言があった」と紹介、「都道府県から出てきた意見を集約して機構に伝えるなど、改善の取り組みについて国が調整的な役割を果たしていく」と回答した。

 そのほか、永井座長は、「地域枠」で入学した医師の定着を図るため、約20%は臨床研修修了後、「地域枠以外の県」に勤務している実態を踏まえ、「本当にこの制度が機能しているのか。地域枠の県を離れた理由などを詳しく調査するよう求めた。

4月11日の社保審医療部会は、計5つの報告事項について議論。

 オンライン診療料、指針は緩い?

 厚労省は、省内で検討した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」、「検体検査の精度管理等に関する検討会」、「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」、「無痛分娩の実態把握および安全管理体制の構築」についても報告した。

 特に意見が出たのは、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」と「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」について。

 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は3月30日に公表された(『「対面診療なしオンライン診療」も条件付きで許容』を参照)。

 国立病院機構理事長の楠岡英雄氏は、2018年度診療報酬改定で新設されたオンライン診療料は、初診から6カ月が経過した患者が対象であり、30分以内に患者が対面診療を受けられる医療機関に限るなどの条件がある一方、指針はそれより緩い条件になっているとし、「最初から自由診療を前提としている場合、緩やかな体制で実施する可能性があり、十分に注意してもらいたい」と指摘。

 それを受け中川氏が改めて、オンライン診療料と指針の関係について、「公的医療保険下と自由診療下で、オンライン診療に違いはあるのか。自由診療だから何をやってもいいわけではない」と質問。

 武井課長は、「オンライン診療全体についての基本的な考え方を整理したものが指針であり、有効性、安全性、必要性の観点からまとめている。オンライン診療料の算定に当たっては、指針を踏まえることが当然であり、エビデンスがある一部について報酬が付いたという整理になる。保険診療上の取り扱いと、衛生法規としての指針は、ともに同じ方向性を向き、整合性を取りながらやっていく」と答え、保険診療か自由診療かを問わず、同じ考え方に基づいて進める方針を示した。中川氏は、「今回のオンライン診療料の施設基準は、ストイックですばらしいと思っている。この精神が指針で緩むことがあってはならない。この点についてはぜひ気を付けてもらいたい」と釘を刺した。

 日医常任理事の釜萢敏氏は、オンライン診療は対面診療が基本であるものの、「禁煙外来など、定期的な健康診断等が行われる等により、疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る」とある点について質問。武井課長は、記載の条件を全て満たすことが大前提であると答えた。

 ACP、課題は普及・啓発

 「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」は3月末に報告書をまとめた(『ACP普及へ、厚労省検討会が報告書で大筋合意』を参照)。3月14日には、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が改訂された。これらを評価する声が相次いだ一方、普及・啓発の難しさのほか、死生観についての教育の必要性なども指摘された。

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、ガイドラインやACPについての医師や国民の医療者の認知度は低いと指摘、これらが普及すれば、マンパワーや医療費を有効に使うことが可能になるとした。政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、在宅から救急搬送される場合などを念頭に、「救急車を呼べば、延命治療を希望していると受け取られる」などと述べ、地域で患者の意思を共有する仕組みの必要性を指摘。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、延命治療を中止した場合の法的責任ついて質問。厚労省医政局医師確保等地域医療対策室長の松岡輝昌氏は、「指針は、法律ではなく、あくまでも標準的なやり方を示したもの。法的なものが阻却されるような効力はない。しかし、これを指針に則り実施することにより、結果として患者家族とのコミュニケーションがよくなり、法的な争いがなくなるという効能は指摘されている」と答えた。

 猪口氏は、「終末期」と「人生の最終段階」という言葉の使い分けについても質問。松岡氏は、2015年から「人生の最終段階」に名称変更したと説明。「終末期というより、最後まで尊厳を持って生きていただくというイメージを持ってもらうため」であるとし、行政としては「人生の最終段階」を使う方が圧倒的に多いが、「終末期」という言葉の使用を禁じているわけではないとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597508
シリーズ 真価問われる専門医改革
東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%
サブスペシャルティ認定基準決定、「当面は抑制的に」
 
レポート 2018年4月14日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は4月13日の会見で、東京都の基幹施設に登録した専攻医の1年目から3年目の勤務地に関する調査結果を公表、1年目は東京都以外が13.6%、2年目は33.6%、3年目は43。8%に増加する見通しであることが分かった。同機構副理事長の松原謙二氏は、「東京に一極集中したのではないかと言われるが、3年目には半分近くが関東、甲信、静岡に行くことになる。東京に集まっているように見えても、(周辺地域への)循環がうまくいっている」と説明した。同機構副理事長の山下英俊氏も、「東京集中を増長はしていない」とし、東京都への医師の集中は、新専門医制度のみではなく、初期臨床研修の在り方も含め、総合的に検討する必要性を指摘した。

 この4月から新専門医制度に基づき研修を開始するのは、計8378人。日本専門医機構の吉村博邦理事長名で、「新専門医制度の開始に当たって」という声明を近く同機構のホームページに掲載する予定。

 都内の基幹施設に登録した専攻医の勤務地は、以下の通り(各年で総専攻医数が異なるのは、現時点で未定の場合があるため)。

・1年目:東京1317人、神奈川65人、千葉51人、埼玉29人、静岡24人、栃木14人、茨城12人、福島5人、長野3人、群馬2人、北海道1人、山梨1人
・2年目:東京779人、神奈川98人、千葉84人、埼玉76人、茨城30人、静岡29人、栃木28人、福島16人、長野10人、群馬5人、北海道4人、鹿児島4人、沖縄2人、山形2人、宮城1人、富山1人、山梨1人、広島1人、愛媛1人、宮崎1人
・3年目:東京621人、埼玉115人、千葉97人、神奈川85人、静岡56人、茨城40人、福島22人、栃木19人、長野12人、群馬9人、鹿児島6人、山梨5人、山形3人、沖縄3人、北海道2人、新潟2人、青森1人、岩手1人、岐阜1人、兵庫1人、高知1人、大分1人、宮崎1人

 13日の理事会では、日本専門医機構の一組織である「基本問題検討委員会」で、今後の専攻医のシーリング(募集定員の上限)の在り方を検討することも決定した。山下副理事長は、「都道府県協議会で、(専攻医数などについて)審議できる時間を取れるようにする」と述べた。2019年4月開始の専門研修の専攻医登録は、9月1日から始める予定であり、それ以前にシーリング数について情報提供する方針。

 サブスペシャルティの認定基準も承認した。山下副理事長は「サブスペシャルティは、全国の平均的な都市の中核病院に掲げている診療科、診療部門のイメージ」であると説明。内科であれば、循環器や呼吸器など、国民にとって分かりやすいサブスペシャルティを目指す。「しばらくの間、認定する数は抑制的に考えていく」(山下副理事長)。サブスペシャルティ学会から研修内容などの書類提出を求め、審査する。既に認定されている内科13、外科6、放射線科2、計21のサブスペシャルティについても、書類の提出を求めるべきとの意見があったという。(1)単数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、当該基本領域学会が認める、(2)複数の基本領域学会と関わるサブスペシャルティ領域学会の場合、基本領域学会と関連する学会が認める――ことが認定基準で、いずれの場合にも、理事会で最終的に認定する。

 19の基本領域のうち、総合診療専門医については、日本専門医機構が運営する。「Adhoc委員会」として、「総合診療専門医に関する委員会」を設置していたが、今後、運営委員会を設置し、総合診療専門医についての議論を月1回程度、議論していくことも決まった。

 「専攻医の移動の把握が可能に」、意義強調
 東京都の基幹施設への調査は、321施設を対象に実施、287施設から得た回答を集計した。詳細に研修先を把握している小児科以外の専攻医の勤務地を聞いた。その結果、東京都以外で研修する専攻医数は、1年目は13.6%(1524人中207人)、2年目は33.6%(1173人中394人)、3年目43.8%(1104人中、483人)。

 松原副理事長は、調査の回答が集まってきた当初は、1年目でも都外が20%を超えていたが、集計が進むにつれ、その割合が下がったことから、「東京都外に専攻医を出す施設が、調査に協力的だったのだろう」と見る。「パーセンテージではなく、(都外で研修する専攻医数の)絶対数に意味がある。絶対数は増えることはあっても、減ることはない」。また反対に、地方の基幹施設から東京都の連携施設で研修する専攻医も存在する。「これまで専攻医の移動を把握する仕組みがなかった。今回初めてデータで把握できるようになったことに意味がある」と強調した。

 なお、日本専門医機構については、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、都道府県への情報公開の在り方が問題視された(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。松原副理事長は、「連携施設になっていない病院について、『入れてもらいたい』という問い合わせが多かった。学会とのやり取りに時間がかかっていたのは事実。3月31日までに全ての問い合わせに対し、返事を出した」と述べ、各学会に職員派遣を依頼するなどして、事務局体制を強化する方針を説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596278
「他ができる仕事をなぜ医師が」、外国で指摘も
日本外科学会定期学術集会、特別企画「働き方改革」
 
2018年4月10日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「外科医の働き方改革:現状と改善方策」が都内で4月5日、開催された。登壇者は異口同音に、医師の中でも労働環境が過酷な外科医の負担を軽減する対策として、「外科医でなくてもできる仕事を移管すること」の重要性を力説。東京慈恵会医科大学外科学講座准教授の川瀬和美氏は、フィンランドの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を、医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている」と指摘されたことなどを紹介した。

 北海道大学循環器・呼吸器外科教授の松居喜郎氏は、「外科医が比率からすると一番減っている。外科専攻医もどんどん減り、特に新専門医制度で外科を専攻する人がかなり減っている のは問題だ。真剣に考えないといけない」と指摘。女性医師の比率が他科より小さいことや、手術以外の仕事が外科医の主なストレスになっていること、当直明け勤務の疲労がインシデントの一因となっていることなどを説明した上で、「外科医の働き方改善方策」として、「外科医の中心的仕事が手術であるようにする」、「教育体制を含む施設集約化により、個々の症例数を増やし外科医の質を担保する」ことなど、6項目を提言した。

「なぜ医師以外ができる仕事を医師が」指摘
 川瀬氏は、日本外科学会男女共同参画委員会が2007年と2014年に行ったアンケートの結果を基に発表。過剰労働を生む要因の一つとして、アルバイトをしなければ生活が成り立たない場合があるという問題を取り上げた。アルバイトをしていないグループ(G1)と「年収の30%以上をアルバイトに頼っている」グループ(G2)に分けたところ、G2は大半が大学病院勤務。週の労働時間が60時間を超えるのは、G1では60%弱なのに対してG2では約80%で、90時間以上も約20%いた。一方で、大学病院の医師がアルバイトをしなくなった場合、地域の病院、診療所、健診センターなどの多くの医療機関が成り立たなくなることや、地域医療に貢献するためにアルバイトをする医師も多いことを指摘した。

 フィンランドのヘルシンキの医療機関を視察した際に、「なぜ医師以外の人ができる仕事を医師が行わなくてはいけないのか。高給を支払って、時間を無駄遣いしている。他の職種に任せて患者を診療した方が割に合う」と指摘されたことも紹介した。

外科医の労働環境改善にはPA
 防衛医科大学校名誉教授の前原正明氏は、米国で1960年代に導入された、フィジシャンアシスタント(PA)やナースプラクティショナー(NP)が効果的に機能していることを説明した。それによると、導入の目的は外科医の労働環境改善と、外科医の専門性を高め、一人の外科医がたくさん手術をして、技術を高めることなどがあった。

 日本での中間職種に関するこれまでの経緯も紹介。厚生労働省の検討会が2010年3月に、国家資格を持つ新たな職種として特定看護師を創設する報告書をまとめたが、2013年3月には「特定行為に係る看護師の研修制度」として、日本医師会や日本看護系大学協議会の反対を受けて「骨抜きになった」と説明した。

 今後については、現行の「特定行為に係る看護師の研修制度」を2年以上のプログラムを組んで発展的にやっていくか、全く新しいPAやNPを職種として導入していく必要があることを提言。「現在の医師の働き方改革も追い風になっている。何とか先に進んでいきたい」と話した。

 東京女子医科大学講師の西田博氏は、タスクシフティングの重要性について講演し、タスクシフティングを「各医療職のコア業務に専念できるようにし、『その医療職にとっての雑用から解放して専門性を高めること』」と説明。今後目指すべき方向性としては、現在の「特定行為に係る看護師の研修制度」の枠組みの中で特定行為を増やすのではなく、「周術期PA確立に向けて新しい枠組みをつくる」ことだと指摘。医学部医学科の修士課程での教育で、(1)「特定行為に係る看護師の研修制度」を行う、(2)看護師をベースにしたPA教育制度を確立する、(3)臨床工学技士など看護師以外の医療職も参加可能なPA教育制度を確立、(4)米国型PA(基礎となる医療職なし)=新しい職種――を提案。これらを実現するためには、日医など関係各方面との利害調整のための恒常的な相談の場をつくる必要も挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594779
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「東京集中」の是正、初期臨床研修から要検討の余地◆Vol.3
「初期研修医⇒専門研修」、移動先を都道府県別に分析
 
医師調査 2018年4月8日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度では、東京都など都市部に専攻医が集中したか否かが議論になっている。初期臨床研修と専門研修の実施場所(都道府県別)について、4月から専門研修を開始すると回答した計276人の医師に聞いたところ、トップは東京都で63人(22.8%)。日本専門医機構が、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で公表したデータでは、専攻医8394人中、東京都での専門研修実施は1811人(21.6%)だった(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 専門研修で増えた都道府県も、東京都が19人で最多だった。以下、福岡県(8人)、宮城県(5人)、大阪府(5人)などとなった。回答数が限られた調査であるものの、各地域ブロックの中心地に多い傾向が見て取れた(Q1)。

Q1.初期臨床研修と専門研修の実施場所(n=276、都道府県別、表中の数字は人数)
(表 略)

 今回の調査で初期研修医が多かった上位3都県について、初期研修医がどこで専門研修を行うかという視点から分析したところ、東京都では44人中、37人(84.1%)が東京都と回答。神奈川県では、28人中、16人(57.1%)が残るものの、7人が東京都に移動する(Q2)。愛知県は22人中、17人(77.3%)が愛知県に残るが、次のQ3 の回答結果と併せて見ると、愛知県に移動した研修医はゼロだった。

 東京都は初期研修医が多い上に、専門研修も引き続き東京都に残る割合が今回の調査では高かった。初期臨床研修と専門研修において、医師の地域偏在是正を進めるのであれば、初期臨床研修のマッチングの在り方も含め、検討する必要がありそうだ。

Q2.初期臨床研修医から見た、専門研修の実施場所(東京都:n=44、神奈川県:n=28、愛知県:n=22、表中の数字は人数)
(表 略)

 一方、専門研修医が多い上位3都県について、初期臨床研修をどこで実施したかを分析した結果、63人中、37人(58.7%)が東京都でトップ、以下、神奈川県7人、埼玉県4人、千葉県3人と周辺県からの流入が多かった(Q3)。神奈川県については、22人中、16人が神奈川県。

Q3.専門研修医から見た、初期臨床研修の実施場所(東京都:n=63、神奈川県: n=22、愛知県: n=17、表中の数字は人数)
(表 略)

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男217人、女性29人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人   (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2923818010042018EE8000/
地域別に医療費下げ 財務省、社会保障費の抑制案
診療報酬の特例活用
 
2018/4/11付日本経済新聞 朝刊

 6月に政府がまとめる新しい財政健全化計画に向け、財務省は計画の柱となる社会保障費の抑制策の議論に入る。病院や薬局などの医療機関が受け取る「診療報酬」を都道府県がそれぞれ設定するよう促したり、訪問介護サービスの過剰な利用を減らしたりする。医療関係者などの反発も予想されるなか、どこまで改革に踏み込めるかが焦点になる。

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 11日に開く財務相の諮問機関、財政制度等審議会に具体的な改革案を示す。まず、厚生労働相や都道府県知事が特例で決められる「地域別診療報酬」の活用を打ち出す。

 診療報酬は公的医療保険で受けられる医療サービスの一つ一つに定められた公定価格。全国一律が原則だが、法律上は都道府県が独自に設定できる。点数制で表示され、1点は10円で換算する。

 例えば1点10円の報酬を9円にすれば、医療費は10%削減できる。奈良県が先行して導入を議論しており、財務省はこうした取り組みを全国に広げることをめざす。

 社会保障費を切り詰めるため、外来患者に受診ごとに一定額を支払ってもらう「定額負担制度」も論点にする。現在は患者が紹介状なしで大病院を受診した場合、5千円以上を医療費に上乗せするが、この仕組みの対象を大幅に広げる。

 財務省は新しい薬や医療技術に自動的に保険を適用する仕組みを見直し、費用対効果から判断する必要性も訴える。市販薬と同じ成分の一部の医薬品を保険適用から外すこともテーマにする。

 訪問介護サービスの適正化も進める。例えば高齢者を訪問して掃除や買い物など身の回りの世話をする生活援助サービス。平均の利用回数は月10回程度だが、100回前後使う人もいる。過剰な利用を抑えるため、要介護度の低い人向けのサービスは保険給付から外すことも想定する。

 一連の見直しには反発も予想される。診療報酬を一部の地域だけ下げれば、その地域の医療関係者から反発を招く可能性が大きい。外来患者の負担増も、患者が必要な受診まで抑制して病状が悪化する事態をどう防ぐかなどが課題となる。

 学者や経済人らでつくる財政制度等審議会は、11日に財務省が提示する改革案をもとに議論に着手。5月をめどにまとめる意見書を麻生太郎財務相に提言する。6月の新しい財政健全化計画に反映させたい考えだが、厚生労働省や内閣府などとの調整も必要になる。

 政府は税収などで政策経費をまかなえているかを示す国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、2020年度までに黒字化する従来の計画の撤回を余儀なくされた。

 今後、新たな黒字化目標を設定するが、団塊世代が後期高齢者になる25年にかけ社会保障費の膨張は避けられない。予算を効率配分する具体策が欠かせなくなっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/597210
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
2022年度以降の医学部定員、「削減」の方向で検討
2020年度と2021年度の定員は「現状を維持」

レポート 2018年4月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、4月12日の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部の入学定員について、「現状の9419人をおおむね維持する」と提案、構成員は提案を支持した。各都道府県、各大学の臨時定員増員等の要望に対しては、全体として現状程度の定員を超えない範囲で慎重に精査する。

 さらに2022年度以降については、医学部定員は減らす方向で議論が進み、ほぼ意見の一致を見た。2008年度以降の医学部定員増は、「地域枠」を中心に増やしてきたが、現行の暫定増員は2019年度に終了する。定員削減に当たっては、「地域枠」を減らさないような仕組みを求める声が相次いだ。同分科会は今後、1、2回の議論を経て、5月末に第3次中間取りまとめを行う予定。

 厚労省提案の根拠になったのが、新たな医師の需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。医師の労働時間を「週60時間程度(月の時間外労働は80時間相当)に制限」等による推計では、2020年度の医学部入学者が臨床研修を修了する2028年頃に約35万人で需給は均衡。「週55時間程度(年間の時間外労働は720時間相当)に制限」等による推計では、2033年頃に約36万人で需給は均衡する。厚労省は2016年6月の第1次中間取りまとめに先立つ、同年3月にも医師需給推計を公表していた(『医師需給、「2024年に約30万人で均衡」との推計も』を参照)。

 医師の需給推計には、医師の働き方改革が影響するが、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の結論は2019年3月に予定されている。また、医師の需給推計には、「医師・歯科医師・薬剤師調査」のデータも必要だが、2018年調査の結果公表は、2019年12月頃。医学部受験生への配慮もあり、「医師需給について検討が可能なのは、最短で2022年度以降の医師養成数」(検討期限は2020年5月頃)というのが厚労省提案の背景だ。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、厚労省提案について、「方向性については、おおむねいい」と支持。さらにその先の方向性として、将来は医師の需要が減少していくことは間違いない事実であるとし、「医師の養成数は減らしていく方向性を見据えながら、議論していくことを、(第3次中間取りまとめに)ぜひ記載してもらいたい」と求めた。「今、暫定定員増で地域枠を増やしているが、それを減らすと、医師偏在対策の大きな柱がなくなってしまう。恒久定員の中に地域枠を確保できる枠組みにしてもらいたい」(今村氏)。その他の構成員も厚労省提案を支持。

 片峰座長は、今村氏の発言を受け、「今後、働き方改革の帰趨(きすう)がどの程度、医師の需給にインパクトを与えるのか。それで多少変動があっても、(厚労省が示した医師需給推計の)トレンドは変わらないのではないか。将来的には医師養成数を減らすという方向性をどのように第3次中間取りまとめに書き込むかがポイントではないか」とコメントした。

 医師数、医学部定員で調整

 医師需給分科会は2016年5月に第1次取りまとめ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)、2017年12月に第2次取りまとめ(『「第2次中間取りまとめ案』を参照)をそれぞれ行った。

 構成員の多くが、2022年度以降の医学部定員減を求める中、慎重な検討を求めたのが、国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏。医学部定員のみならず、医学部の卒業試験、医師国家試験の段階のほか、専門医定数によっても医師数の調整が可能であると指摘。緊張感ある医学教育を行うためにも医学部定員は一定数確保し、医学部定員数のみではなく、どこで医師数を調整すべきかを一度、議論すべきではないかと提案した。

 これに対し、慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、厚労省の医師需給推計を基に、「将来、医学部定員を減らす方針がここで認められたということでいいのではないか」と述べ、その上で「いかに減らしていくかだが、医学部に入学する学生の偏差値はものすごく高い状況。どんなテストをやれば、(その卒業生を対象とした)医師国試の合格率が8割となるのか。それはロスではないか。その段階の調整は考えなくていいのではないか」と付け加えた。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏も、「その論点は、重要。しかし、ロースクールの多くは、閉鎖に追い込まれている。同じようなことが起こり得る」と述べた。厚労省医政局医事課も、「医師を養成していくためには社会資源が必要であり、その点も踏めて検討しなければいけない」とし、医学部定員の段階での調整が必要との見方を示した。

 医師需給推計、「働き方改革」と密接に関連

 医師需給推計、今後の医学部定員をめぐって、多くの構成員から出たのは、医師の需給に関係する医師の働き方改革と並行して進める必要性と、医師需給推計の精緻化だ。

 医師の働き方改革の関連で、今村氏は、看護師や事務だけでなく、薬剤師も医師のタスクシフティングの対象になり得るとし、薬剤師の需給の検討について質問。厚労省医政局医事課は、薬剤師の需給等も推計することを考えているが、その検討の場は未定とした。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、自院の緩和ケア病棟の事例を紹介。夜間は同病棟の主治医ではなく、内科当直医が診る体制に変更したものの、患者家族からのクレームはなかったとし、「日本的な主治医制を変えていくことは、われわれが思っているほどには難しくないのではないか」と述べた。さらに医師需給推計について、医師・歯科医師・薬剤師調査の結果がまとまるたびに検討するなど、検討する機会を設ける必要性を指摘。

 その他、医師需給推計については、患者の受診行動、診療科による男女比率の相違、応招義務の在り方など、さまざまな要素を勘案して精緻化を求める声が相次いだ。しかし、森田氏は、政策決定に必要な推計は、科学的推計とは異なる難しさがあると指摘。「例えばある推計をしても、何らかの政策が出た途端、人々の行動は変容するので、推計はほぼ確実に外れる」とした上で、「社会が上向きの場合はいいが、そうではない場合はかなり固めに推計する。医師については供給が需要を上回ってくることは間違いない。細かい方策として何が必要かという調整をしていくことが必要」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/596674
「国際的に十分な成果出ていない」 研究者の認識増える 
その他 2018年4月14日 (土)配信朝日新聞

 文部科学省の科学技術・学術政策研究所は10日、研究者や有識者らへのアンケートで、「国際的に突出した成果が十分出ていない」とする認識が、前年度より増えたと発表した。大学の研究環境などに対する強い危機感も示されたという。

 アンケートは研究機関のトップや大規模プロジェクトの責任者ら研究者約2100人と、産業界の有識者ら約700人が対象。2016年度から5年間の継続調査で、2年目の今回は17年9~12月に実施し、全体の92%から回答を得た。

 「基礎研究で国際的に突出した成果が十分出ていると思うか」についての回答を10点満点に換算すると、研究者の平均は4•1で、前年度より0•6ポイント低下。有識者は同4•0で、0•5ポイント下がった。

 研究者を対象に、研究費が十分にあるか尋ねると、答えは平均2•4で、前年度より0•2ポイントの低下。研究時間を確保する取り組みについても平均2•2で、0•2ポイント下がったという。

 成果で大学を競わせる文科省の政策が基礎研究の衰退を招くとの指摘もあるが、研究所は「むだを省き、限られた経費でできるだけ多くの研究費を確保」などの事例を挙げ、「(改革は)少し長い目で見る必要がある」としている。(小宮山亮磨)



https://www.m3.com/news/general/596406?id=mrank
増えぬ医学部「地域枠」なぜ 公立大で最少の京都府立医大 
大学 2018年4月9日 (月)配信京都新聞

 地域医療に従事する意向がある地元出身者などを優先的に入学させる大学医学部の「地域枠」で、京都府立医科大(京都市上京区)の枠が自治体設置の公立医大8校の中で最少の7人となっている。全国的には枠を拡大し、医療過疎地へ医師を送る自治体も目立つが、府は「府立医大は全国の医療充実に貢献している実績がある」と増員に慎重な姿勢を崩さない。

 医師偏在が問題になる中で地域枠は、国が2008年度、導入する医大に定員増を特別に認めたことで急速に増え、10年間で約9倍になった。札幌医科大は定員の8割を地域枠に充てるなど、特に地域医療を担う自治体設置の公立大が積極的に活用している。

 府は府内の中高出身者などを対象に、在学6年間で奨学金計1080万円を貸与し、研修後に6年間、南丹市以北の医療機関に勤務すれば返済免除にしている。ただ枠は医学部定員の約6%で、地域枠を導入する国公立・私大の計71大の17年度平均(20%)より低く、国公立45大では東京医科歯科大(4人)、名古屋大(5人)に次いで少ない。

 府立医大によると、17年度入学者のうち府内の高校出身者は43%で、例年も3~4割程度という。府内病院で研修を終えた卒業者が、府内の病院に勤務した割合は68%(16年度までの3年平均)と、全国平均(85%)より低い。地域枠を増やせば京都府北部が悩む医師不足が改善する可能性がある。

 府医療課は「奨学金は府民の税金で予算上の問題がある」とした上で、「地域医療に加え、全国の病院で活躍する医師の養成も重要。定員が増えないまま地域枠を拡大すると、一般受験者の門戸を狭めてしまう」と説明する。定数増が認められた7人分の地域枠を充て、一般枠100人を変えていない。

 京都府内の病院が研修医から人気が高いことも理由という。他府県からの希望者が多く、国から都道府県に割り当てられる研修医定員は毎年、ほぼ満員になる。研修医流出に悩む他県から削減を求める声があるといい、「地域枠を増やしても、府内で研修できない恐れもある。研修医定員の死守が先決」(医療課)という。

 府の10万人当たりの医師数は314•9人(16年12月末現在)と全都道府県で2番目に多いが、京都市周辺の京都・乙訓医療圏に集中し、他の医療圏は全国平均以下。地域間格差が顕著で、市町村からは府に医師派遣を求める声が強い。

 「大学の自治」で医大の医師には知事の人事権が及ばない難しさもあるが、8日の府知事選投開票を控え、府民は府立医大の役割をどう考えるのか。



https://www.m3.com/news/general/595736?id=mrank
【愛媛】医学生奨学金 応募ゼロ 
2018年4月5日 (木) 読売新聞 愛媛

◇新居浜市

 新居浜市が2017年度に新設し、昨年4~10月に定員3人で募集した医学生向け奨学金制度で、一人も応募がなかったことがわかった。「市内の高校卒業」など条件が厳しかったためとみられ、市は応募期間を3月29日まで延長したが、申請はなかったという。18年度も同じ条件で希望者を募るが、今後は条件の緩和も検討する方針だ。

 奨学金制度は市内の医師の減少に歯止めをかけようと市が創設。入学金(上限50万円)と月20万円の奨学金を最大6年間貸与し、奨学金を受けたのと同じ年月だけ、愛媛労災病院など市内の指定病院3施設に勤めれば返還が免除される。

 貸与の条件は<1>市内の高校を卒業<2>国内の大学医学部に通学<3>本人か保護者が市内在住――など。市によると、市内に住む医学生の保護者2人から相談があったものの、学生が松山市にある私立高出身で応募がかなわなかったという。



  1. 2018/04/16(月) 06:25:26|
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4月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/596080
真価問われる専門医改革
減少続いた外科専門医数、「新専門医制度で回復傾向に」
日本外科学会定期学術集会、特別企画「サブスペシャル領域を見据えた新専門医制度のあり方」

2018年4月6日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第118回日本外科学会定期学術集会の特別企画「サブスペシャルティ領域を見据えた新専門医制度のあり方」が4月5日、都内で開催され、同学会専門医制度委員会委員長で慶應義塾大学外科教授の北川雄光氏は、外科専攻医は2018年度805人であり、最近減少傾向にあったものの、「今回の新専門医制度で少し回復の傾向が見えてきた」と語った。外科研修を開始した医師数は、過去5年間は減少傾向にあり、2013年度832人、2014年度816人、2015年度787人、2016年度816人、2017年度740人だった。

 ただし、「外科専攻医の地域偏在はある」と認め、「今後取り組まなければいけない課題」であるとした。外科専攻医の募集定員は、204プログラムで計2044人。最終登録した専攻医は805人。大学病院のプログラムに集中することはなかったものの、204プログラムのうち、専攻医の応募がなかったのは44プログラムで、うち大学病院のプログラムが7プログラム。「専攻医3人以下」が8県で、うち2県は1人のみだった。

 外科専門医については、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺、内分泌外科の6領域が、日本専門医機構認定のサブスペシャルティとなる。北川氏は、「外科系専門医制度グランドデザイン」も提示。「外科専門医を取得した人が、6つのサブスペシャルティのいずれかを取得し、その上に主に技術的なものを中心として、高度の技能をリンクさせた3階部分の高次専門医を取得する。外科医がこの縦の方向に、努力して上っていけば、報われる構造を作らなければいけない」(北川氏)。外科系の症例データベースであるNCD(National Clinical Database)で各段階の必要専門医数を算出し、医療経済効果を勘案しながら、専門医へのインセンティブを設ける必要性も強調した。

 特別企画では、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が基調講演を担当。「サブスペシャルティについての検討は遅れている」と断りつつ、この4月中にはサブスペシャルティの新規認定基準を決定するなどの意向を示した。「基本領域学会の推薦がある」「日本専門医機構理事会の過半数の承認を得る」などの基準を想定しているという。

 吉村氏は、新専門医制度全般についても講演。3月15日現在での専攻医数は8394人(『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。「こんなにも多くの若い先生方に、新専門医制度に参加してもらうことは、日本の医療レベルを向上させるという意味ではよかったと思っている」(吉村氏)。「大都市圏への医師偏在」を加速させないために、5都府県の専攻医の募集定員のシーリングを設けたとし、対象となった14基本領域全て「シーリング内に収まった」と説明した。吉村氏は、新専門医制度をプロフェッショナル・オートノミーで運営する重要性も強調。学会が主体的に運営することが基本であるとし、「国が出てくると厄介なことになる」とも述べ、学会と日本専門医機構が連携して統一的な制度を構築する必要性を強調した。

 特別企画では、6つのサブスペシャルティの代表者も講演。2016年度外科専門医試験合格者とその指導責任者を対象にした「外科専門医制度の改善に向けて日本における外科研修の現状に関する全国アンケート調査」の結果も報告された。

 外科系は初期から「3階部分」まで連続して研修

 北川氏は、「専門医制度のあるべきグランドデザイン構築と外科医の将来像」というテーマで講演。講演の冒頭で、「一時、新専門医制度から脱退するという話もあったが、新制度に建設的に参画する方向に舵を切ったのは、外科医が不利益を被らないようにするため」と説明。その背景要因として、(1)日本専門医機構認定の専門医は、公的な資格となる、(2)将来は診療報酬上の加算、インセンティブの獲得に必要となる可能性がある、(3)全基本領域一斉スタートに遅れることはできない――などを挙げた。

 「サブスペシャルティの乱立」と言われる中、外科系の6つのサブスペシャルティでは、重複していないと説明。NCDの活用で、初期臨床研修、外科の専門医研修、サブスペシャルティにわたり、症例登録が可能で、連続した研修が可能であるとした。さらに、日本外科学会では、2018年4月から、NCDと連動した「研修実績管理システム」を構築、指導医と専攻医の相互評価が可能で、学会等の実績も生涯にわたり登録できるという。

 外科の専門研修では、2年目以降、サブスペシャルティとの並行研修が可能なことが特徴。ただ、例えばサブスペシャルティの一つである消化器外科の場合、「3階部分」の専門医として内視鏡外科技術認定医、食道外科専門医、肝胆膵高度技能専門医があるが、内科系の消化器病専門医から内視鏡外科技術認定医を取得するルートはあり得ない。「このように3階部分がデザインされた時に、外科系のサブスペシャルティを通過することで、しっかりとしたキャリアパスを構築できるようにしていく」(北川氏)。それ以外にも、感染症、がん薬物療法などの横断的な専門医と、外科系の専門医は区別して考えていくことが必要だとした。

 最後に北川氏は、「外科専門医の未来のためになすべきこと」として、「地域偏在の問題も重要だが、それをなくすための道具ではない。研修、育成内容の質の向上が大事」と強調。その他、(1)外科医のキャリアパスと合致した明確な専門医制度グランドデザインを社会に向けて示す、(2)労働、安全環境の整備、(3)それぞれのステージで適正な専門医数を算定し、専門医の技能、労力を正当に評価する仕組みの構築――を課題として挙げた。

 「学会専門医の整理・標準化」「質の高い専門医養成」が目的

 吉村氏は、「改めて新専門医制度の目的を考えていただきたい」とし、日本専門医機構の設立目的として、(1)学会専門医が乱立し、各学会が個別に、専門医制度を制定している現状を、整理・標準化、(2)専門医を養成する仕組み(卒後の研修制度の確立)を構築し、質の高い専門医を育て、日本の医療レベルの向上――を挙げた。「医師偏在是正がミッションのように言われているが、医師偏在を悪化させないで、(1)と(2)を達成することが目的」(吉村氏)。

 日本専門医機構は、サブスペシャルティのうち、内科13領域、外科6領域については、既に認定済みで、内科研修と外科研修との連動研修が可能。それ以外の(1)基本領域から分化したサブスペシャルティ12領域、(2)区分未定の52領域(細分化した領域、技術・診断・治療・病名・症状等に関する領域)――がある。

 サブスペシャルティについて、吉村氏は、「基本領域のスタートを優先したので、検討は遅れている。早急に確定したいと考えている」と語った。内科と外科以外の領域で、基本領域が複数にまたがる場合などの調整に難しさがあるとした。「一つの領域について認定すると、なぜ私のところで認定しないのか、となる」と述べ、「当面は非常に限定的に認定していくことになっている」と説明。

 その上で、新規のサブスペシャルティの基準として、(1)基本領域学会の推薦がある(ただし、基本領域の推薦があるからと言って、必ずしも機構認定されるわけではない。他領域に関連する場合、関連領域の合意を得る)、(2)日本専門医機構理事会の過半数の承認を得る(あらかじめ機構の基本問題検討委員会等で審議)――などという基準を検討していると説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/596169
始動する“医療事故調”
医療事故調査制度、「センター調査は上級審」は誤解
日本外科学会定期学術集会、特別企画「外科医に求められる医療安全―医療事故調査制度開始2年を経て―」

2018年4月7日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第118回日本外科学会定期学術集会が都内で開催され、4月6日の特別企画「外科医に求められる医療安全―医療事故調査制度開始2年を経て―」で、日本医療安全調査機構の総合調査委員会委員長を務める山王病院・山王メディカルセンター血管病センター・センター長の宮田哲郎氏は、医療事故調査制度の院内調査とセンター調査について、「誤解がある」と指摘した。「裁判と同じように、センター調査は、上級審に当たるのでは、という意見もあるが、決してそうではない。両者の結果が異なることもあるが、それぞれの調査が尊重され、相互の調査が相まって、今後の再発防止に役立っていく」と説明した。

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院内調査とセンター調査の考え方(提供:宮田氏)

 宮田氏の講演テーマは「センター調査の標準化の試み」。2015年10月にスタートした医療事故調査制度は、院内調査が基本だが、医療機関もしくは遺族が第三者による調査を希望した場合には、医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に、センター調査を依頼することが可能。院内調査は、自律的な取り組みであり、「自らの組織における医療の安全の問題点を見直し、さらに発展させる重要なプロセス」と説明。一方、センター調査は、「院内調査結果を引用に、その是非を問うのではなく、第三者としての専門的立場から、事故についての可能な範囲で事実確認や調査・分析・再発防止策を提言する」役割を担うとした。

 医療事故調査・支援センターの2017年年報によると、2016年と2017年の2年間の院内調査結果報告数は547件で、うちセンター調査依頼は58件(10.8%)。約8割が遺族側からの依頼で、「院内調査結果に納得できない」が主な理由。センター調査依頼時期は、「院内調査結果報告前」(33%)と「院内調査結果報告から1カ月未満」(33%)を合わせると、全体の約3分の2。「恐らく事故が発生した直後から、医療機関と患者側とのコミュニケーションが難しくなっている事例ではないかと考えている」(宮田氏)。58件中、34件が手術(分娩を含む)。

 宮田氏は、センター調査の進め方も説明。まずセンター調査の依頼があった時には、総合調整委員会(日本医師会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議、各学会からの推薦、遺族代表、法律家、有識者の18人で構成)で調査の方向性を検討、その後に事例ごとに設置する個別調査部会(専門学会から推薦された委員で構成)で検討する。個別調査部会から報告書案が提出され、総合調査委員会とやり取りをしながら、最終的にセンター調査報告書をまとめる。「総合調査委員会と個別調査部会は、対等な立場で一緒に報告書を作り上げる。個別調査部会は、医学的、専門的な立場からまとめる。総合調査委員会は、センター調査報告書として一定の基準(マニュアル)に則っているかを確認したり、院内調査と結論が異なる場合はその点を丁寧に説明しているか、理解されやすい文章になっているかなどをチェックする」(宮田氏)。

 2018年2月までにセンター調査依頼は62件で、センター調査結果報告は4件。「センター調査の課題と対策」として、宮田氏は、(1)センター調査報告書の標準化、(2)センター調査と院内調査の結果の差異、(3)センター調査報告書交付までの時間、(4)患者・遺族に寄り添った対話推進――を挙げた。

 (1)に挙げた標準化を目指し、マニュアル作成と改訂、調査支援員のトレーニングに取り組んでいる。(2)について、宮田氏は、「センター調査と院内調査の結果が異なる場合、医療機関と遺族の関係を悪化させるのではないか、という指摘もある。しかし、センター調査は、院内調査の結果や、解剖結果など後から分かる情報を踏まえて実施する。両者の差異は、センター調査で検討した内容や根拠を丁寧に説明することで、解決できるのではないか」と述べた。(3)の時間短縮のため、分担執筆していた調査報告書の執筆者を絞るなどの工夫をしているという。

 さらに、宮田氏は、センター調査の目的の一つに、「診療担当者と遺族の相互理解を促進させること」があるものの、「院内調査あるいはセンター調査の結果が出たとしても、身内が突然なくなった場合、遺族は事実を『理解』できるかもしれないが、『納得』はできないと思う。あるのは一つの『区切り』だろう。区切りを付けるためには、十分なコミュニケーションが必要」と説明。「センター調査は当該医療機関と遺族に郵送するだけなので、今後の制度運営を考えるに当たって、患者・遺族に寄り添った対話推進者の必要性も考えていかなければいけないのではないか」(宮田氏)。

 特別企画に登壇したのは、宮田氏を含め、計5人。日本医療機能評価機構常務理事の木村壮介氏、日本医療機能評価機構理事の後信氏、奈良県総合医療センター総長の上田裕一氏、読売新聞医療部の高梨ゆき子氏だ。

 木村氏は、医療事故調査制度の2年強の現況を紹介(『第三者機関への調査依頼、院内調査終了の1割』を参照)。同制度の課題と今後の展望として、「自ら考えて調査するこの制度をぜひとも発展させていきたい。外部からの規制がある制度では、十分に発展していかないと思う」と述べ、制度に伴う医療者の責務として、「医療者側から調査し、結果の説明をする。情報を共有し、次の再発を防ぐ」ことなどが求められるとした。

 後氏は、日本医療機能評価機構が行う医療事故情報収集等事業と、医療事故調査制度は相互補完的に機能すると説明。医療事故情報収集等事業は、「医療事故、ヒヤリ・ハットの全て」を対象とするが、医療機関からの報告は詳細なものも可能だが、「簡単~中程度」の報告が基本。患者・家族へのフィードバックはない。一方、医療事故調査制度は、「医療に起因し、予期しなかった死亡・死産のみ」が対象だが、医療機関の調査は「簡単~中程度~詳細」であり、患者・家族へのフィードバックがあるとした。

 上田氏は、群馬大学腹腔鏡死亡事故の外部調査委員会の委員長を務めた(『“名大事件”が群大事故調査の手本 - 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く』を参照)。医療事故調査制度が対象とする医療事故ではなく、「広義」の医療事故には、(1)不可抗力による事故、(2)明白な過誤による事故、(3)現在の医療水準から見てはるかに低い水準の医療が行われたことに伴う事故――があると説明した。(3)では、現在の医療水準とその許容限界が問題になるが、医療水準の把握・評価には難しさが伴う。英国ではデータベースを活用して、施設別、医師別の術後90日以内の死亡率データなどが把握できる仕組みになっていると紹介。日本心臓血管外科データベース機構のデータベースでも、リスク調整した死亡率で手術の質を評価することが可能だという。過失の有無にかかわらず、診療中に生じた「望ましくない結果」は、常に一定の基準をもって、M&Mカンファレンスや委員会などで調査し、その経験が蓄積されるべきだと強調した。

 高梨氏は、「医療事故の取材から見えてきた課題」というテーマで、群馬大学腹腔鏡死亡事故や千葉県がんセンター、千葉市立海浜病院などの医療事故取材から、医療者と患者の認識の相違や情報不足が不信感につながるとコメント。海浜病院については、事故調査報告書の「おわりに」から、「リスクの高い医療は、その医療が患者に本当に有益であるか、そして患者が幸せになれるかどうかを真剣に考えて、真実を患者に話して、患者の納得のもと、提供しなければならない」という記述を引用。「再認識した重要なこと」として、(1)患者と医療者の情報共有、(2)判断の基軸は「患者のため」、(3)客観的で公正な事故調査――を挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/595751
「現場から過度に医療費が伸びない提案を」横倉・日医会長
専門医機構に対し「公正性、公平性、透明性の担保を」

2018年4月5日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は4月4日の定例記者会見で、新年度の所感として、6月にも公表される「骨太の方針2018」に社会保障関連の数値目標が作られるかについて「政府は数字を出してくると思うが、必要な医療費はしっかり確保する必要がある。持続可能な国民皆保険をどう作り上げていくか皆で知恵を出さなくてはいけない。そのためには現場から、過度に医療費が伸びない提案をしていく」と強調した。

 混乱が続く専門医養成の在り方では、「新たな専門医の仕組みは質の向上と標準化という目的に加え、医師の地域偏在を助長することがないように地域医療に配慮したものであることが求められる。この異なる2つの目的を一体的に実行することが日本専門医機構の責務であると認識されているところである。中立的な第三者機関として機構の運営に当たっては公正性、公平性、透明性が担保されなくてはならない。速やかな情報公開とともに適切なものになるよう日医としてもさらにに支援をしていく」とした上で、2019年度の専攻医登録に向けて早急に対応策を検討することを要望した。

 2018年度改定については、「地域包括ケアシステムの構築に向けて、きめ細やかな配慮がされた」と評価した。入院医療の評価体系の再編については、「基本的な診療に関わる評価と診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編統合する方向となったことは、地域の医療ニーズと資源投入のバランスを取る上で好ましいと考える」と指摘。一方で、「改定の度に変わると医療現場は混乱し、『慣れたら次の改定になる』の繰り返しである。今回は評価体系をどのように判断するかはある程度の時間がかかると思われるが、中長期的な改定がなされたと認識している」として頻繁な改定は望ましくないとの認識を示した。

 新設されたオンライン診療料については「あくまで対面診断の補完。あくまで最終的な責任を取るのはわれわれ医師であり、オンライン診療は対面診療に取って代わるものではない。中医協の審議やガイドラインを踏まえて今後、適切な運用がされていくだろう」と述べた。

 検討が進む「医師の働き方改革」については「医師自らがその働き方を考え、変えていく時期に来ている」と強調。「この議論の要諦は地域医療の継続と医師の健康への配慮をいかに両立させるかとし、「会内の『医師の働き方検討委員会』で鋭意検討を行ってきたが、勤務の特殊性に鑑み現行の労働基準法に当てはめるのが適切かどうかも含めて検討することが必要ではないかという提言をいただいている」と説明した。

 医療機関の健康経営が重要として、「医療機関には全国300万人以上が従事している。医療従事者自らが未来投資戦略に基づく日本健康会議による健康経営を意識し、健康増進に率先して努める取り組みを進めていくことも重要だ」と指摘した。

 「かかりつけ医のための適正処方の手引き」について、高血圧、脂質異常症、糖尿病、認知症の4疾病についても発刊する予定であることを報告した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/595638
医療事故で刑事事件化、「軽率性」「未熟性」の傾向
厚労省検討会、過去事例を分析、2018年度も検討継続

2018年4月4日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の委託事業である「医療行為と刑事責任に関する研究会」は、2017年度に計6回の会議を開き、収集した約430の医療事故事例の半数を分析した結果、医療行為が刑事事件化する事例は、「軽率性」あるいは「未熟性」に類型化できる傾向があるとの認識に至った。

 ただし、「軽率性」と「未熟性」の定義を明確にした分析ではないため、刑事事件化して有罪になったうち、何割が「軽率性」あるいは「未熟性」に該当するかなど、定量的な分析には至っていない。あくまでいずれか、もしくは両方の類型に当てはまる傾向があるという認識だ。

 研究会の座長は、樋口範雄・武蔵野大学法学部教授が務め、医師、法学者、元検察官や元裁判官など、計10人で構成(『「医療行為と刑事責任に関する研究会」、厚労省初会合』を参照)。2018年度も同じメンバーで継続して議論を重ねる。厚労省医政局医事課によると、中間的な取りまとめを行うか否か、最終的な報告書の体裁や内容などは、現時点では未定。「まず残る半分の事例の分析を行い、その結果、どんな結論が導き出せるか次第で、その次にやることが変わってくる。事例収集の結果、刑事事件化する医療行為の件数は、最近減ってきていることは分かってきた。この辺りの推移を含めて、可能な限り、議論の結果を取りまとめて共有したいと思っている」(同課)。

 1999年以降、約20年分の起訴事例を検討

 本研究会は、自民党の「医療事故調査制度の見直し等に関するワーキングチーム」(WT)が、2016年6月に「医療事故調査制度等に関する見直しについて」を取りまとめたのがきっかけ。2015年10月にスタートした医療事故調査制度は、法施行から2年に当たる2016年6月に見直すことが求められていたことから、同WTは議論を重ねた。取りまとめでは、医師法21条と「医療行為と刑事責任」の在り方について検討するよう求めていた。前者については自民党内で議論、後者についての検討の場が、本研究会となった。

 まず医療事故の事例として、(1)1999年以降、医療行為がきっかけで医師または看護師が起訴された約280事例、(2)「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(日本医療安全調査機構が、2014年10月の医療事故調査制度開始前に実施していた事業)の対象となった約150事例――を収集した。(1)については、主に法務省を通じて資料を得た。1999年以降に刑事事件化した医療事故事例をほぼ網羅しているという。一方、(2)は、大半は刑事事件化していないといい、(1)との比較対象として用いた。2017年度には、これらの約半数を分析した。

 収集した事例について、刑事事件で有罪、あるいは無罪と判断する際に、どんな因子が考慮されているかを分析した結果、浮かび上がったのが、「未熟性」あるいは「軽率性」だった。「悪質性もあったが、これは当然有罪になるので、考慮しても仕方がないと判断した。未熟性か、軽率性かを明確に切り分けられるかは別として、そうした要素を持っている事案が多かった。中には、両者が合わさったものもある」(厚労省医政局医事課)。

 「未熟性」あるいは「軽率性」については、まずは刑事事件化する傾向を把握するのが目的であり、客観的な定義を定めず、主観的に切り分けをした。厚労省医政局医事課によると、「未熟性」には、診断が正しくできなかったりするなど、医師等としての能力が影響しているケース、「軽率性」には、患者の取り違えなどの事例が、それぞれ該当するという。個人的な技量の問題が原因の場合もあれば、医療機関の運営管理面に問題がある場合もあり、「両者の切り分けが必要」などの意見はあったという。

 モデル事業の事例の中でも、「未熟性」あるいは「軽率性」に該当するものが含まれるが、刑事事件化して有罪になったものよりは、その程度が低い傾向にあるという。ただ仮に同程度の「未熟性」の事例であっても、遺族が刑事事件化を望まず、告訴等をしないケースも想定される。「その点は、議論になった。有罪になるラインを超えた事例が全て刑事事件化し、有罪となったわけではない。それが分かれば、一つのメッセージになるだろう。法曹界に対してはどんな事例が刑事事件化するのかについての理解、医療界に対しては配慮してもらいたい点についての理解になれば、双方にとって意味のあることだと思う」(厚労省医政局医事課)。

 前述のように、「未熟性」と「軽率性」の考え方等を明らかにした報告書をまとめるかどうかは未定であり、慎重に検討するという。仮に曖昧なまま、考え方等を明らかにすれば、該当事例が刑事事件化しやすくなるなど、医療界に悪影響を及ぼす懸念もある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594876
自民「医師の働き方改革PT」、診療報酬の課題も議論
全日病臨時総会で羽生田座長あいさつ、「36協定締結なら加算を」

2018年4月1日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 自民党厚生労働部会「医師の働き⽅改⾰に関するプロジェクトチーム(PT)」の座長を務める参議院議員の羽生田俊氏は、3月31日に開催された全日本病院協会の第6回臨時総会の来賓あいさつで、今までの医師の働き方改革で最も効果があったのは診療報酬の「医師事務作業補助体制加算」であるとし、「診療所も含め、36協定を結んでいるところは全て算定できるように、厚生労働省に要望している」と説明。

 労働基準監督署の是正勧告の中で、時間外手当の未払いが指摘される病院がある中、「限られた診療報酬の中で運営している病院としては、時間外手当を全て支払うには原資が足りない。医師の働き⽅改⾰に関するPTでは、(厚労省の)保険局にまで物を言えるところまで、結論を導いていきたい」と語り、医師の働き方改革では、診療報酬での対応も重要課題になるとの認識を示した。

 他に来賓のあいさつした二人も、医師の働き方改革を今の医療界の重要課題として取り上げた。参議院議員の自見はなこ氏は、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の取りまとめに反映させるためには、「医師の働き⽅改⾰に関するPTでは、ヒアリングなどを重ね、今年の12月くらいには、おおよその方向性を出していくことになる」とのスケジュール感を語った。「地域医療そのものにかかわる問題なので、しっかり取り組んでいく」。

 日本医師会会長の横倉義武氏の代理であいさつした、日医常任理事の鈴木邦彦氏は、近く日医の働き方検討委員会の答申を公表すると説明。医療界の意見集約を目指して、「医師の働き改革検討会議」を近く設置する予定であることも紹介し、鈴木氏は「同答申などを基に、医療機関経営者や勤務医を交え、医療界が考える具体的な医師の働き方改革案としてまとめ、各方面に提言していく」と語った。

 「各職種ができる範囲でやらなければ、ワークシェアできず」

 羽生田氏は、「医師の働き方改革は、今の医療費の倍を出すつも
りでやれば、すぐに解決する話だ。医師数は今の1.5倍から、2.0倍は必要。しかし、それはできず、いかに今の人数で、勤務医の給与を減らさず、かつ経営者としては出費を増やさず、医師の勤務時間を短縮していくかが非常に大切」とコメント。

 医師の働き⽅改⾰に関するPTは、3月30日に役員会を開催した。他の職種に対するワークシェアリングが議論になったと紹介。「看護師ができるはずの予防接種や採血を実施していないケースが多いという意見があった。各職種が自分のできる範囲について、きちんとやってくれなければワークシェアリングにはならない。今後のヒアリングで、日本看護協会などには、要望という形で出していかなければならないだろう」。

 「医師事務作業補助体制加算」については、算定のハードルが高いとし、「病院でも、十数パーセントは36協定を結んでいないところがあるという。36協定を結んだところは、診療所も含め、全て算定できるようにしていきたい」と述べた。労基署の立ち入り調査については、「公立病院を中心に入っており、億単位の時間外手当を支払わなければいけないことも起きている。当然、民間病院にも入ってくるだろう。そうなる前に何とか考えていかなければいけない」とし、「限られた診療報酬の中で運営している病院としては、時間外手当を全て支払うには原資が足りない。その点を何とかしなければいけない。このPTの検討会で、保険局にまでいろいろ言えるところまで、結論を導いていきたい」と語った。

 「一番関心が高いのは、消費税問題」

 自見氏は、医師の働き方改革のほか、さまざまな政策課題に言及。中でも「一番関心が高いのは消費税の問題だろう」と語り、「今夏を目途に、厚労省が省内で税制要望まとめ、その後、財務省に提出、交渉していくことになる。その提出前が一つの山場になってくるだろう」とした。消費税問題については、この3月から厚労省での議論もスタートした(『消費税分科会、2年ぶりに開催、薬価・材料調査の実施了承』を参照)。「消費税法の改正すら入ってくるのか、否かを検討していく必要がある。民間と公的の医療機関との間に、不公平感が正直なところある。そこをいかに解決するかも課題」であるとし、日医、厚労省、財務省とも連携を取りながら、取り組んでいくとした。

 自民党内では、外国人観光客への医療に関するプロジェクトチームが発足したことも説明。医療費の未払い問題や医療提供体制などについて議論し、6月に政府がまとめる予定の成長戦略に反映させるために、ゴールデンウイーク前には提言をまとめる予定だという。

 その他、「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」(『「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」、加藤厚労相に決議文』を参照)の事務局長を務める立場から、2018年度診療報酬改定では、「総合入院体制加算」算定に必要な「医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に盛り込むべき項目候補の一つに、「院内保育所の設置(夜間帯の保育や病児保育の実施が含まれることが望ましい)」が加わったことを紹介。

 今通常国会に提出された医師法・医療法改正案は、地域医療対策協議会への都道府県の影響⼒を弱めたほか、民間医療機関の管理者を入れるなど、厚労省の当初案から変更になったと説明し、「地域医療は公的医療機関のみで支えるものではない」と民間病院への期待を込めた。



https://www.m3.com/news/general/596044
県立3病院:引当金大幅に不足 未収診療費 包括外部監査で指摘 /香川
2018年4月6日 (金) 毎日新聞

 県立3病院の未収診療費について、県の包括外部監査人を務める公認会計士が民間並みの会計基準に基づいて精査・試算したところ、回収できない恐れのある債権に応じて計上すべき貸し倒れ引当金が大きく不足していることが5日、分かった。債務者が破産したのに引当金を計上していない例もあり、試算額は県計上額の24~9倍に達した。【植松晃一】

 浜田恵造知事に提出された2017年度の包括外部監査結果報告書で指摘を受けた。

 県県立病院課によると、15年度までに実施した診察による未収診療費(予算ベース)は総額約8952万円(中央約7253万円、丸亀約267万円、白鳥約1432万円)。県は過去3年に債権放棄するなど欠損とした平均実績の4・1%にあたる約366万円(中央約297万円、丸亀11万円、白鳥約58万円)を貸し倒れ引当金に計上した。

 ところが、数年前から未収となっている分のほか、債務者が破産していたり、行方不明になって連絡がつかなかったりするケースも一律で扱っていた。このため、包括外部監査人が回収できない恐れが特に強い債権について、未収発生からの経過年数も考慮しつつ、債務者の破産や住所不明(行方不明)といった場合は全額、その他は半額のルールで試算。全体で計上すべき貸し倒れ引当金は、約4242万円(中央約3444万円、丸亀約268万円、白鳥約530万円)に達した。

 県は新年度予算でも、従来と同水準の貸し倒れ引当金しか計上していない。包括外部監査人の指摘に対し、県県立病院課は「貸し倒れ引当金をどの程度積むかという課題について検討していきたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/596022
地域医療維持へ広島大が医師派遣
2018年4月6日 (金) 中国新聞

 尾道市の島しょ部などの医療を支える因島総合病院(因島土生町)に今月、広島大からの非常勤医師が赴任した。同病院は岡山大の関連病院で、約100年の歴史で同大関連ではない医師が派遣されるのは珍しい。リウマチ治療などの充実を目指す。
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https://www.m3.com/news/general/595816
陸前高田・広田診療所に待望の常勤医 岩井医師が着任
2018年4月5日 (木) 岩手日報

 常勤医師が不在となっていた陸前高田市広田町の国保広田診療所所長に岩井直路(なおみち)医師(62)が就任し、4日に診療を始めた。千葉県松戸市の東松戸病院長を務めた岩井医師は「被災地のために仕事がしたかった。人情味あふれる地域で市民と一緒に歩みたい」と意欲。市民は温和な雰囲気の医師着任を喜んだ。

 「岩井です、これからよろしくお願いします」。診療前に笑顔で患者にあいさつすると、患者に気を配って自身の椅子と患者用の椅子を交換。落ち着いた口調で診察に臨んだ。

 受診した同市広田町の菅野ヨウ子さん(84)は「とても優しい印象。常勤医がいてくれると安心して生活できる」と感謝した。



https://www.m3.com/news/general/595787
秋田県内勤務医15%、過労死ライン超 24時間以上拘束は半数
2018年4月5日 (木) 秋田魁新報

 秋田県内の病院で時間外労働をした勤務医のうち15%が、月80時間の「過労死ライン」を超えていたことが、県医師会の調査で分かった。全体のほぼ半数は、勤務日の最長拘束時間が24時間以上だったと回答。医師の長時間労働が社会問題となる中、県内でも勤務医が厳しい労働環境に置かれている実態が浮かび上がった。

 調査は昨年10~11月、勤務医の労働実態を把握するため、県内の全69病院の勤務医1580人を対象に実施。56・2%に当たる888人が回答した。

 法定労働時間は1日8時間、週40時間だが、労使協定(三六協定)を結び、労働基準監督署に届け出れば時間外労働ができる。調査で昨年9月に「時間外労働をした」と回答した勤務医は91・4%で、「していない」が7・6%、「分からない」が1・0%だった。

 時間外労働をした医師に時間を尋ねたところ、80時間以上と答えたのは15%で、このうち8・1%は「100時間以上」だった。割合が最も高かったのは「20時間以上40時間未満」で26・6%。平均は40・3時間だった。

 時間外労働の理由(複数回答)は「緊急対応」が最多で、「病棟業務」「記録・報告書作成や書類の整理」と続いた。

 昨年9月のある勤務日の最長拘束時間は「24時間超~36時間以下」が41・6%、「36時間超」が10・3%と24時間以上が5割を超えていた。宿直翌日は75・7%が通常勤務をしていると回答。多くの医師が宿直を挟んで連続勤務を余儀なくされている状況がうかがえる。

 就労時間に対する負担感は「かなり過重」「少し過重」が合わせて53・1%で、「ちょうどよい」の37・1%を上回った。負担感は時間外労働時間と相関が見られた。

 医師には診療の求めを原則拒めない「応召義務」があり、長時間労働の背景には医師不足のほか、宿直やオンコール(院外待機)があるとみられる。政府の働き方改革に伴う残業規制は、医師への適用が5年間猶予される予定で、県内各病院は医師の負担軽減に向けた取り組みをどう進めるかが課題となる。

 県医師会は今回の調査結果を踏まえ、「医師の望ましい働き方について」と題した提言をまとめ、厚生労働省に送った。「医師の働き方を考慮せずに時間外労働規制が行われれば、患者サービスの低下は避けられず、医療崩壊につながる可能性がある」と訴え、裁量労働制に準じた医師独自の制度創設を求めた。

 県医師会の小玉弘之会長は「働き方改革を進めるには、県内の医療提供体制をどうすべきかについても議論していく必要がある」と話している。



https://www.m3.com/news/general/595103
東郷病院受け入れ再開へ 入院、救急体制を確保
2018年4月2日 (月) 宮崎日日新聞

 日向市は2日から、医師不足により医療体制を縮小していた市立東郷病院(佐藤大亮(だいすけ)院長)の入院、救急診療を再開させる。2年8カ月ぶりに元の医療体制が整う。

 同病院は2015年に医師の退職が相次ぎ常勤医1人となったため、入院、救急患者の受け入れを休止した。市は医師確保に奔走し、昨年5月には休止前と同じ常勤医3人体制に。入院、救急診療再開に向け、宿直医や看護師の確保、入院病床の給食業務委託などの準備を進めてきた。市議会3月定例会に病床再開を見込んだ18年度病院事業会計補正予算を提案し、可決されていた。

 病床数は休止前と同じ30床。常勤医3人に加え、非常勤医4人が交代勤務する。外来診療は外科、整形外科を専門とする常勤医3人が総合診療に当たる。医師の入れ替わりにより、小児科はなくなる。宮崎大医学部の非常勤医による毎週水曜の整形外科は継続される。

 十屋幸平市長は「東郷病院は地域医療を担う重要な医療機関。今後も医師確保に努め、地域に必要とされる病院として役割を果たしていく」とコメントした。



https://www.m3.com/news/general/594965
不安定な任期制、一因か 若手研究者に大きな重圧 防げなかったiPS研究不正
2018年4月2日 (月) 共同通信社

 論文著者の助教が懲戒解雇となり、監督者として山中伸弥(やまなか・しんや)所長も処分を受けた京都大iPS細胞研究所の捏造(ねつぞう)問題は、実験ノートの保管などの対策を取っていたにもかかわらず防げなかった。科学研究を巡る不正は京都大以外でも相次いでおり、背景には任期制という不安定な立場で採用された若手研究者が、短期間に成果を出すよう強いられている問題があると指摘されている。

 ▽ノート検査

 著者の山水康平(やまみず・こうへい)元特定拠点助教は昨年、米科学誌に血中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って作ったと発表。アルツハイマー病の治療にも将来役立つ可能性があるとしていた。

 だが京都大内部の指摘で、数値の書き換えがありグラフが再現できないことや、補足図5点に不正があると判明。論文は撤回された。

 不正を防止し、知的財産管理を徹底するため、研究所は2010年の開所以来、研究者に専用の実験ノートを配布。3カ月に1度、ノートを提出させ、論文掲載が決まったら実験データ自体も提出させていた。全国的にも先進的な取り組みだったが、結果的には不正を見抜けなかった。

 山中氏は不正が発覚した1月22日の会見で、この制度が「一部で形骸化していた」と認めた。ノートの内容まで確認できておらず、未提出者の管理も不十分だった。

 ▽国策研究

 研究不正は国内各地で相次いでおり、14年に起きた理化学研究所のSTAP細胞問題をはじめ、東京大でも12年と17年に明らかとなった。若手研究者が不正に手を染めるケースも目立つ。

 京都大によると、山水氏は調査に対し「論文の見栄えを良くしたかった」と話したという。だが若手研究者の現状に詳しい榎木英介(えのき・えいすけ)・近畿大講師は、短期間に大きな成果を求められる任期制の雇用体制を一因に挙げる。山水氏の任期は今年3月までだった。

 iPS細胞特有の事情もあるとみられる。山中氏のノーベル賞受賞で注目度が高く、国はiPS細胞研究を成長戦略の柱の一つとして10年間で1100億円もの予算を投入。再生医療などでの実用化が目標とされ、高い成果を求められる。山中氏の「(所内の研究者は)全員任期があるし、研究費も競争的資金で行っている。プレッシャーのもと、毎日努力している」という言葉は重い。

 ▽広い視野を

 京都大は再発防止策として、実験ノートや論文データの提出を厳格化し、倫理教育の徹底を図るとした。山中氏は「所長として事態を未然に防げなかった責任を痛感し、自主的に当面の給与相当額を寄付する」とのコメントを発表した。

 一方、榎木氏は、若手研究者が教授などの少ないポストを奪い合う現状を問題視する。「海外では大学の研究者として成功しなくても、企業に就職したり教育者になったりして活躍する場がある。日本は終身雇用制度が根強く、研究者以外の道を目指しにくい。広い視野で対策を考えなければならない」



https://www.m3.com/news/general/594886
臨床研究法:きょう施行 「薬とカネ」適正化に期待 企業に情報公開義務化
2018年4月1日 (日) 毎日新聞

 資金提供した製薬企業の医薬品を使った臨床研究などについて、不正を防止するための臨床研究法が1日、施行された。研究者側にデータの点検を義務付ける一方、製薬企業は資金提供に関する情報を公開しなければならない。製薬企業と大学との「薬とカネ」を巡る不祥事が相次いだ臨床研究の適正化が期待される。

 同法は、医薬品などの臨床研究のうち、製薬企業から提供を受けた資金や、未承認や適応外の薬などを使って行うものを「特定臨床研究」と規定。研究者に対し、データを操作するなど不正が行われないようモニタリングや監査を義務付けた。大学など研究機関に設置した専門家らによる「認定臨床研究審査委員会」に研究計画を提出し、モニタリング方法などが適正か審査を受けなければならない。データは5年間の保存を義務付けた。

 製薬企業などには、特定臨床研究を行う研究者側に提供した資金に関する情報の公開を義務化。内容は▽研究資金▽寄付金▽原稿執筆料や講師謝金――など。毎年度公表し、期間は5年と定めた。違反すると国が企業に勧告し、従わないと企業名が公表される。

 研究に参加した患者が予期せず死亡したり、障害が発生したりするなど重篤な症状が出た場合、国への報告も義務付けた。国による研究の中止命令に違反した研究者には、懲役3年以下、罰金300万円以下の罰則が科せられる。

 医薬品の臨床研究を巡っては、製薬大手ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)を使った臨床研究でデータ改ざんなどが相次いで発覚。不正防止のため同法が2017年4月に成立した。【河内敏康】



http://www.sakigake.jp/news/article/20180330AK0011/
社説:地方の医師不足 1県では解消策に限界
2018年3月30日 秋田魁新聞

 「いま、岩手の、そして日本の地域医療は崩壊の危機にさらされています」。こんな内容の岩手県の意見広告が今月、週刊誌などに掲載された。医師不足と医師偏在の解消が急務とし、(仮称)の制定を提言している。

 医師不足は岩手にとどまらず地方共通の課題で、各県が懸命に医師確保に取り組んでいる。本県なら医学生向けの奨学金を設け、医師として県内に一定期間勤務することで返還を免除するといった対策を講じている。

 岩手県医療政策室は「医師不足に対応するのに、1県の取り組みでは限界がある。国と地方が協力し、国全体の問題として考える必要がある」と指摘する。同県が策定した基本法草案は、医師の計画的養成や偏りのない配置を実現するため、国や地方公共団体の責務を定めた。

 人口10万人当たりの医師数(2016年)を見ると、岩手県は207・5人で全国平均251・7人を大きく下回る。特に東日本大震災で被災した沿岸部で医師不足が深刻という。医師数は1位の京都府が334・9人、2位徳島県が333・3人など西高東低で、都道府県間で大きな差が生じている。

 本県は236・0人で岩手より多いが、全国平均には届かない。さらに、県内八つの2次医療圏(主に郡市単位)別に見ると、秋田周辺が311・2人と突出する一方、北秋田は106・0人、湯沢雄勝124・9人、大館鹿角156・5人と地域による偏りが大きい。医師不足には、県全体の医師の不足と、県内地域間の偏り(偏在)という二つの問題がある。

 新卒医師が幅広い診療技術を学ぶため国が04年度に導入した臨床研修制度が、地方の医師不足に拍車をかけた。研修先が都市部の病院などに集中し、県内に残る新人医師が減少。秋田大学の医局が担う医師派遣機能も大きく低下した。その後、同大医学部の入学定員増や、知事が指定する医療機関など一定期間の県内勤務を義務付ける「地域枠」が設定されるなどした。

 まだ時間はかかるが、知事が指定する施設に勤務する医師は4、5年後に100人規模になる見込みという。県医師確保対策室は「医師不足が深刻な地域で、対策の成果をある程度実感してもらえると思う」と話す。

 だが、4月にスタートする専門医養成制度が新たな懸念材料になっている。医師の希望する研修先が大都市に集中しており、地方の医師確保の努力を打ち消しかねないためだ。医療の質の向上は重要で制度の意義は理解できるが、そこに地方に配慮した仕組みを組み込むことが求められる。

 国全体の制度との兼ね合いで1県にできる対策には限りがある。県は岩手県などと連携し、地方の言い分をしっかり主張してほしい。国と地方が同じ方向を向き、より強力に医師不足の解消を目指す必要がある。



http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/312662
新専門医制度で医師不足解消なるか
福井は専攻医採用に苦戦

2018年4月2日 午前10時43分 福井新聞

 4月からスタートした新専門医制度で、従来の後期研修医に当たる専攻医の登録がまとまり、福井県内の医療機関の採用は計39人となった。特に専攻医の大部分が希望する研修先を決めた1次登録の採用は計33人にとどまり、人口10万人当たりで「全国30位台半ば」(県地域医療課)と苦戦した。研修を受けながら現場で診療に当たる専攻医は、将来的な医師確保につながるとみられ、県は新制度の影響を注視している。

 新制度は、医師国家試験に合格し免許取得後に、国が義務付けている2年間の初期臨床研修を終えた人が対象。専攻医として研修プログラムの基幹施設に採用され、連携する複数の医療機関も回りながら専門領域の知識や技術を学ぶ。これまで各学会が独自に認定していた専門医を、第三者機関の「日本専門医機構」が統一的な基準で認定する。

 福井県内では福井大医学部附属病院、県立病院、県済生会病院、福井赤十字病院、福井総合病院、市立敦賀病院、杉田玄白記念公立小浜病院、国立病院機構あわら病院の8病院が基幹施設に選ばれた。18の専門領域で計約150人の専攻医を募集した。

 県も福井大医学部の教員を中心にした手厚い指導・相談体制や、専門医の資格取得に対する助成制度、住みやすさをアピールし、県内基幹施設での研修を促してきた。1次登録では、外科で東京での研修希望者が170人に上る一方、福井県が2人など27県は10人未満。内科でも東京が520人に対し、福井県が11人など9県は15人以下となった。福井県は18領域全体でも計33人にとどまった。

 県地域医療課によると近年、医師免許を取得した50~60人が県内の医療機関で2年間の初期研修を受け、後期研修医はその6~7割の傾向だった。同課は「若手が確保できなければ医療体制の維持が難しくなる」と指摘する。

 新制度を巡り、指導医の数など研修機関の基準を満たす医療機関が多い大都市部に専攻医が集中し、地方の医師不足に拍車をかける恐れがあるとの懸念は根強い。西川一誠知事が会長を務める全国自治体病院開設者協議会も、国に医師の偏在是正を繰り返し要請してきた。

 1次登録の状況を踏まえ、日本専門医機構は東京や大阪など5都府県で一定の採用があった診療科の2次登録を行わない措置を取った。同課は「県内の初期研修医の動向や新制度の影響を分析した上で、(同機構の)措置が妥当だったかも検証し、必要ならば医師偏在を助長しないよう国に働き掛けていく」としている。



http://kyoto-np.co.jp/top/article/20180407000020
増えぬ医学部「地域枠」なぜ 公立大で最少の京都府立医大印刷用画面を開く
2018年04月07日 08時13分 京都新聞

公立医科大の「地域枠」
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 地域医療に従事する意向がある地元出身者などを優先的に入学させる大学医学部の「地域枠」で、京都府立医科大(京都市上京区)の枠が自治体設置の公立医大8校の中で最少の7人となっている。全国的には枠を拡大し、医療過疎地へ医師を送る自治体も目立つが、府は「府立医大は全国の医療充実に貢献している実績がある」と増員に慎重な姿勢を崩さない。

 医師偏在が問題になる中で地域枠は、国が2008年度、導入する医大に定員増を特別に認めたことで急速に増え、10年間で約9倍になった。札幌医科大は定員の8割を地域枠に充てるなど、特に地域医療を担う自治体設置の公立大が積極的に活用している。

 府は府内の中高出身者などを対象に、在学6年間で奨学金計1080万円を貸与し、研修後に6年間、南丹市以北の医療機関に勤務すれば返済免除にしている。ただ枠は医学部定員の約6%で、地域枠を導入する国公立・私大の計71大の17年度平均(20%)より低く、国公立45大では東京医科歯科大(4人)、名古屋大(5人)に次いで少ない。

 府立医大によると、17年度入学者のうち府内の高校出身者は43%で、例年も3~4割程度という。府内病院で研修を終えた卒業者が、府内の病院に勤務した割合は68%(16年度までの3年平均)と、全国平均(85%)より低い。地域枠を増やせば京都府北部が悩む医師不足が改善する可能性がある。

 府医療課は「奨学金は府民の税金で予算上の問題がある」とした上で、「地域医療に加え、全国の病院で活躍する医師の養成も重要。定員が増えないまま地域枠を拡大すると、一般受験者の門戸を狭めてしまう」と説明する。定数増が認められた7人分の地域枠を充て、一般枠100人を変えていない。

 京都府内の病院が研修医から人気が高いことも理由という。他府県からの希望者が多く、国から都道府県に割り当てられる研修医定員は毎年、ほぼ満員になる。研修医流出に悩む他県から削減を求める声があるといい、「地域枠を増やしても、府内で研修できない恐れもある。研修医定員の死守が先決」(医療課)という。

 府の10万人当たりの医師数は314・9人(16年12月末現在)と全都道府県で2番目に多いが、京都市周辺の京都・乙訓医療圏に集中し、他の医療圏は全国平均以下。地域間格差が顕著で、市町村からは府に医師派遣を求める声が強い。

 「大学の自治」で医大の医師には知事の人事権が及ばない難しさもあるが、8日の府知事選投開票を控え、府民は府立医大の役割をどう考えるのか。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20180402/CK2018040202000005.html
質の高い医療提供へ 済生会守山市民病院で開所式
2018年4月2日 中日新聞 滋賀

 守山市民病院(守山市守山四)が一日、指定管理者制度の導入で公設民営の「済生会守山市民病院」に生まれ変わり、院内で開所式があった。

 一九八二年に開設された同病院は、診療報酬の改定や医師不足で赤字経営が慢性化。市直営での存続は困難として、全国八十カ所で病院事業を展開する社会福祉法人「恩賜財団済生会」(東京)に経営が引き継がれることに決まった。

 病床数や診療科目は変わらず、常勤医も従来と同じ十六人体制。午後の診療を完全予約制で始め、患者にとって便利になる。

 式には関係者七十人が出席。同法人の炭谷茂理事長、野々村和男院長=写真(中)=があいさつし、急性期から慢性期までの質の高い医療を提供していくと誓った。来年秋にはリハビリセンター、回復期病棟、健診センターを備えた新館が完成し、病院機能が強化される。

 (平井剛)



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2889508002042018L72000/
順天堂大付属病院 2020年度開業不透明に
浦和美園 県の用地取得に遅れ

2018/4/3付日本経済新聞 

 埼玉県が浦和美園地区(さいたま市)に誘致している順天堂大学(東京・文京)医学部付属病院の開業時期が不透明になってきた。当初は2020年度の予定だったが、県の用地取得が遅れたうえ、環境影響評価(環境アセスメント)も未着手のためだ。県内有数の大規模病院の整備遅れは、同地区の街づくりや、県内の医師不足対策にも影響を与えかねない。

 県は3月下旬に開いた医療審議会で、18年3月末までの着工時期を延期するなどの計画変更を了承した。県は同審議会で「着工に向けた行政手続きで、県の見込み違いが原因となった。整備スケジュール通りに進められず、おわびする」(保健医療部)と陳謝した。

 県内の人口10万人当たりの医師数は全国でも最低水準にとどまる。県は不足する医師を確保する狙いもあり、15年に同大医学部付属病院の誘致を決めた。埼玉高速鉄道の浦和美園駅の北側にある計約7.3ヘクタールの3区画に、病床数800床の病院や大学院、看護学校を設ける計画だった。

 ただ、建設予定地のうち、県が取得する分の手続きが遅れた。取得予定地が都市再生機構(UR)による区画整理事業地にあったことが響き、手続きを進められなかったことが要因という。

 同大が整備方針を見直したことも、開業時期を遅れさせる要因となってしまった。

 同大は建設工事を3期に分け、第1期工事は延べ床面積が計約5万3000平方メートルの病院を整備する方向で検討している。当初は同5万平方メートル未満に抑えることを検討したが、5万平方メートル超に方針を転換。さいたま市の条例では5万平方メートル未満ならば環境アセスは不要だが、5万平方メートル超になったため、環境アセスを行う必要が生じた。

 県の審議会で計画変更が了承されたことを受け、同大は整備計画を改めて立てる。同大は「新たなスケジュール案をできるだけ早めに出したい」としている。ただ、県関係者の間では「着工は1~2年程度遅れるのでは」との見方が強い。



http://news.nicovideo.jp/watch/nw3406754
都心部の総合病院、経営危機が深刻化…臓器別の外科医、食えない時代へ
2018/04/03 19:50 Business Journal

 2月7日、中央社会保険医療協議会(中医協)は、加藤勝信厚生労働大臣に対して、2018年度の診療報酬改定を答申した。

 中医協は、さまざまな医療行為の価格(診療報酬)を決める場だ。物価や人件費は大きな国内格差があるのに、我が国の診療報酬は中医協で全国一律に決められる。神ならぬ人間が価格を適正に決めることができるはずがない。さまざまな利権が生じる。2004年に発覚した日歯連事件をはじめ、中医協には不祥事・汚職がつきものだ。

 では、今年の診療報酬改訂の目玉はなんだろう。

 まずは、医師の技術料に相当する診療報酬本体が増えたことだ。今回の答申に先立ち、昨年末の予算編成で0.55%増で決着した。横倉義武・日本医師会(日医)会長は「一定の評価」とコメントした。我が国の財政状態を考えれば、日医の大勝利だ。

 今回の中医協の答申では、メディアは在宅医療やテレビ電話を用いた遠隔診療を推進するため、その診療報酬を増やすことを強調した。ただ、このような論調を真に受ける医療関係者はいない。年末に決まった診療報酬本体の増額は、あくまで予算であって、決算ではない。予算さえ増額すれば、マスコミが大きく報じ、安倍政権の有力支持者である横倉・日医会長の面子は保てるが、予算執行は別次元の問題というわけだ。

 現実には、中医協での議論を通じ、算定できない加算をつくることで診療報酬の増額が骨抜きにされる。たとえば、パソコンやスマートフォン(スマホ)を用いたオンライン診療が解禁されるが、対象は慢性疾患で継続的な治療を受けており、状態が安定している患者に限定される。初診は対象外で、3カ月に1回は対面診療が義務づけられる。診療報酬は、医療機関は「オンライン診療料」として月に700円、オンライン医学管理料として月に1000円を請求できるだけだ。

 これでは多忙で医療機関を受診できない若年世代になんの恩恵もないし、こんなに診療報酬が安ければ、オンライン診療を推進する医療機関はごく少数だろう。加算の条件付けを通じた典型的な「空集合」だ。

 厚労省が誰に気を使ったのかは明らかだ。今回の改定では、身近な「かかりつけ医」の役割を強化するため、夜間・休日対応などの「かかりつけ医」として患者を診療した場合、初診料に800円を加算できる「機能強化加算」が新設された。これで利益を得るのは開業医で、患者や保険者にとっては負担が増える結果となった。

 中医協は医療費というパイの分捕り合いを行う場だ。強い奴が勝つ。現状でもっとも強いのは日医だ。開業医の利益を代弁する。急性期、慢性期を問わず、病院が割を食うことになる。知人の病院経営者は「今回の改訂でも病院は大幅なコストダウンを求められるでしょう」という。

●総合病院の経営は悪化

 私は、我が国の財政状況を考えれば、診療報酬を抑制するのはやむを得ない。ただ、このまま規制を緩和することなく、全国一律に診療報酬を引き下げれば、やがて「倒産」する病院が出てくる。まっさきに倒産するのは、物価の高い都心部の病院だ。

 都市部の病院はコスト削減のため、さまざまな努力を積み重ねてきた。その代表が「選択と集中」だ。たとえば、首都圏の場合、がんではがん研有明病院、心臓病では榊原記念病院、甲状腺疾患では伊藤病院のような専門病院に患者が集中し、このような病院の経営は概して良好だ。

 一方、「選択と集中」が困難な総合病院の経営は悪化している。学生教育のため、患者が激減している産婦人科や小児科を閉鎖できない東京女子医大、日本医科大学などの大学病院の経営難は、すでに多くのメディアで報じられている。最近、三井記念病院が債務超過に陥ったという報道まであった。このままの状態が続けば、都心部の病院の再編は避けられそうにない。

 では、地方都市の医療機関はどうなるだろう。こちらも診療報酬抑制に合わせて、その在り方が変わりつつある。

「これからの地方病院経営の肝はコストダウン」と内科医で相馬市長(福島県)を務める立谷秀清氏は言う。立谷氏は、この地域の医療の「責任者」だ。公立相馬総合病院の管理者、自らが設立した医療法人社団茶畑会の理事長、さらに経営難に陥った地元病院の理事も務める。

 感心するのは、地域内で医師の配置をうまく誘導していることだ。その基準は患者のニーズと病院の経営状況だ。相双地域には4つの公立病院と8つの民間病院が存在する。人口減が続くこの地域で、将来的には集約化されるだろうが、現状では、いずれも地域に必要不可欠だ。赤字が補助金で穴埋めされる公立病院はともかく、民間病院は稼がなければならない。

 ところが、これが難しい。どう対応しているのだろうか。私は民間病院が内科・透析・整形外科、公立病院が外科・救急・産科、開業医が眼科・皮膚科と棲み分けが進みつつあるように感じる。もちろん、棲み分けの理由は経済性だ。整形外科や透析施設の収益性が高いことはいうまでもない。意外なのは内科だ。内視鏡などの技能がない「普通の内科医」の売上は少ないと考えられている。

●地方でも「選択と集中」

 では、なぜ相双地域の病院は収益が上がるのだろうか。それは、相双地区は医師不足のため、1人当たりの患者受持数が多いからだ。今年1月、南相馬市立総合病院の尾崎章彦医師(写真1)が、同じく南相馬市内の民間病院である大町病院に移籍した。

 彼が大町病院に赴任したのは、南相馬市立総合病院の後輩の内科医で、昨年9月に大町病院に出向した山本佳奈医師をサポートするためだ(http://japan-indepth.jp/?p=37556)。山本医師は常勤内科医が退職し、誰も内科医がいなくなった大町病院の惨状を見かねて、自ら出向することを立候補した。ところが、その仕事は彼女ひとりでカバーできるボリュームではなかった。彼女を助けたのが尾崎医師だ。

 尾崎医師は東大医学部を卒業し、「外科」専門医資格を有する人物だ。相双地区の地域医療に従事しながら、46報の英文論文を発表している。将来の日本の医学界を担う逸材だ。ところが、大町病院での尾崎医師の肩書きは「内科医」だ。

 彼が「内科医」を名乗った、あるいは名乗らざるを得なかった理由には、大町病院に外科医を派遣している大学医局との関係がある。必ずしも、尾崎医師自ら「内科医」と名乗ることを希望したわけではない。私も浜通りの医療を目の当たりにして、被災地の医療は綺麗事だけではすまないことを実感する。ご興味のある方は、『選択』(3月号)の以下の記事をお読み頂きたい。大町病院が取り上げられている。一読し、私も衝撃を受けた。ただ、経緯はどうであれ、結果的に尾崎医師の経験は、今後の地方病院の外科医の在り方を考える上で示唆に富む。

 彼は15名程度の入院患者と週8コマの外来を担当する。さまざまな疾病を有する患者を、自分の判断で治療している。もちろん、外科のスキルを有すため、外科的処置は対応できる。彼は大町病院で働くことで、外科以外の多くの臨床経験を積むことができる。将来リーダーになることを嘱望されている医師には貴重な経験だ。

 尾崎医師は、今年半ばにはいわき市内の病院に移籍し、本来の専門である乳腺外科に従事する。人口34万人のいわき市内には、乳腺外科の専門医は1人しかいない。尾崎医師にとって、いわき市は多くの臨床経験を積める理想的な環境だ。仕事を求めて、移籍するのは合理的だ。

 話を大町病院に戻そう。大町病院のような地方病院が外科を維持するのは容易ではない。外科は病棟以外に手術室を維持しなければならない。人件費・固定費が高い。ところが、患者は多くない。特にがんなどの待機手術だ。その理由は、患者がハイレベルの専門病院を選ぶからだ。冒頭にご紹介したように、都心部の病院は生き残るために、「選択と集中」を進めている。東北地方も例外ではない。

 たとえば、仙台厚生病院だ。目黒泰一郎理事長のもと、徹底した「選択と集中」を掲げてきた。循環器・消化器・呼吸器では全国屈指の病院に成長した。胃がんの内視鏡手術は236件(2016年度)で、東北地方で1位、全国10位だ。

 相双地区は歴史的に仙台との交流が深い。南相馬市立総合病院の藤岡将医師(消化器科)は「がんと診断された患者の多くが仙台厚生病院を希望します」という。この結果、同院で手術を受けるのは、仙台厚生病院がやっていない診療科や、緊急対応が必要になる患者だ。症例数も少ない。大町病院の手術数は週に1~2件という。これでは、どうしてもコスト高になる。地元の病院経営者は「外科は赤字を垂れ流す。このままでは維持できない」という。この地域で外科を維持するためには、赤字を補助金で穴埋めできる公立病院で、救急医療と一緒にやるしかない。

●変わる外科医の在り方

 今後、ますます外科手術は集約化されるだろう。相双地区のような都市近郊の地方都市でがんと診断されれば、専門病院を受診するようになるだろう。この結果、がんを扱う病院の数は減少する。

 これは外科を志す若者、特に臓器別の従来型の外科医を志望する若者にとっては、就職が難しくなることを意味する。大学や専門病院で先端技術を学んでも、専門施設には就職できないし、多くの民間病院は外科専門医を抱える余裕がない。雇用できるとすれば公立病院だろうが、彼らが期待するのは救急医療と外科の一般診療だ。肺がんの名医として有名な土屋了介・前神奈川県立病院機構理事長は「肺や大腸などを専門とする従来型の臓器別外科医の時代は終わった。地域のニーズを汲み取り、変化できる外科医だけが生き残れる」という。その典型が尾崎医師だ。彼は乳がんという専門性と、何でも屋の内科医の役割を担っている。まさに地域のニーズに応える「総合医」だ。

 高齢化、財政難が進むわが国で、医療の在り方は変わる。従来型の外科医のニーズは激減している。外科を志す若手医師は変わらねばならない。社会のニーズを捉え、適応することだ。狭い専門領域に閉じこもることなく、自分の頭で考えるしかない。尾崎医師は、その格好の事例である。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180405103201
ストレスチェック制度、「依然として疑問」
日医が「提言」を公表

2018年04月05日 14:05 CB News

 日本医師会(日医)は4日、ストレスチェック制度の在り方や産業医の活動などに関する「提言」を公表した。日医の産業保健委員会が取りまとめたもので、ストレスチェック制度に関するアンケートの結果を分析。この制度の有効性について、「多くの認定産業医から依然として疑問があるとする意見が示された」としている。【新井哉】

 ストレスチェックの開始に伴い、産業医の契約や活動にどのような影響があったかを把握しようと、日医は2017年3月から4月にかけて認定産業医(無作為抽出の5000人)を対象としたアンケートを実施し、2040人から有効回答を得た。

 このうち、産業医活動をしている認定産業医(1332人)の活動内容(複数回答)を調べたところ、「健康相談」(1174人)が最も多く、以下は「職場巡視」(954人)、「衛生委員会出席」(934人)、「高ストレス者面接指導」(893人)、「長時間労働者面接指導」(803人)などの順だった。

 嘱託産業医として活動する事業場への訪問頻度も調べた。「月に1回」と回答したのは639人で全体の半数超を占め、「月に2回以上」も2割弱の217人いた。

 ストレスチェックの開始に伴い、産業医の契約更新を拒否された認定産業医が56人いた。このうち、「ストレスチェック委託先の医師に取って代わられた」(25人)との回答が最も多く、「報酬面で折り合いがつかなかった」と答えた医師も13人いた。

 ストレスチェック制度の課題や改善を求める意見についても、「肯定的な意見」と「否定的な意見」に分類した。「否定的な意見」が過半数を占め、「負担が過大」「有効性に疑問」「報酬に問題」「事業者が理解不足」などの意見があった。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20180402-257558.php
「ふたば医療センター病院」開院 双葉地方の2次救急医療拠点
2018年04月02日 09時00分  福島民友新聞
  
 双葉地方の2次救急医療拠点となる「県ふたば医療センター付属病院」の開院式が1日、富岡町の現地で行われた。24時間365日対応で救急医療を担うほか在宅診療や住民の健康づくりを支え、帰還した住民や復興事業従事者、進出企業の安心を医療面で支援する。23日から診療を始める。

 双葉郡では震災前、四つの病院が2次救急医療を担っていたが、原発事故で全て休止。地元の強い要望を受け、県が新たな2次救急医療機関の整備を進めてきた。避難指示解除が進む中、新病院の開院で帰還を検討する住民の安全・安心につながる効果が期待される。

 診療科は救急科と内科で原則、救急車で搬送された患者や地域の医療機関が開院していない時間に急病で来院した患者などが対象。救急医療のほか、東京電力福島第1、第2原発に近い立地を生かした緊急被ばく医療も担う。院内に設けた除染室で初期対応を行い、ドクターヘリや新たに導入する「多目的医療用ヘリ」で適切な医療機関に搬送し、早期治療につなげる。

 高齢者の帰還が多い現状を踏まえ、訪問診療や訪問介護も行うほか、自治体や医療機関、介護福祉施設と連携した「地域包括ケア」の仕組みを構築。健康を支える取り組みでは、健康教室や出前講座で疾病予防や健康増進を図る考えだ。

 新病院は鉄骨2階建てで1階に全室個室の病室30床や救急治療手術室など、2階は医局や会議室を設置。医師は福島医大から派遣を受け19人が交代で勤務。平日の日中は4~5人、休日の日中は3~4人、夜間は2人体制を検討する。看護師や診療放射線技師、理学療法士らを合わせると医療スタッフは約70人となる。

 開院式では内堀雅雄知事が「住民の安心には地域医療確保が不可欠。今後も帰還に向けた環境整備を進める」とあいさつ。加藤勝信厚生労働相、吉野正芳復興相(衆院福島5区)が祝辞で双葉郡の医療再生への継続的な支援を約束した。式後は関係者に病院内を公開。16日午後2時~同3時には住民向け内覧会も開かれる。住所は富岡町本岡字王塚817の1。



  1. 2018/04/08(日) 10:03:52|
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4月1日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/594833
全日病の総合医育成事業、定員40人に対し、既に半数の応募
第6回臨時総会で説明、30代~70代と年齢層は幅広く
 
2018年3月31日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全日本病院協会常任理事の井上健一郎氏は3月31日の第6回臨時総会で、2018年7月から全日病が開始する総合医育成事業に対し、現時点で既に40人の定員の約半数の応募があると説明した。年齢は40、50代が中心だが、30代から70代にわたる。病院院長も少なくないという。募集期間は3月1日から5月31日まで。研修開始は7月14日から。

 総合医育成事業は、外国人技能実習生の受け入れ事業、介護医療院協議会の組織と並んで、全日病が2018年度から開始する三大新規事業の一つ。高齢患者が増加する中、幅広い診療能力を持つ医師が病院においても求められる。2018年度からスタートする新専門医制度により、総合診療専門医の養成が始まるが、病院の現場に行き渡るまでには時間を要する状況であるため、本事業が発足した。新たなキャリア形成を指向する医師を支援する狙いもある。井上氏は、「キャリアチェンジ、あるいはキャリアアップのために、ぜひ本研修プログラムを活用してもらいたい」と求めた。

 総合医育成事業は、全日病が、日本プライマリ・ケア連合学会および筑波大学の協力を得て取り組む。おおむね医師経験6年以上の医師が対象。定員は40人、2年目からは50人を予定。研修期間は2年間が推奨されるが、職場や個人の状況により、1年間から5年間での修了を求める。受講料は、全日病の会員が40万円(税別)、会員外が50万円(税別)。

 研修プログラムは、自院における診療実践、e-learning(プライマリ・ケア実践に役立つレクチャーをオンデマンドで配信)、スクリーニングで構成。スクリーニングは、(1)診療実践コース(全22単位)、(2)ノンテクニカルスキルコース(全10単位)、(3)医療経営コース(全2単位)――から成る。総合的な診療を実践していることに関する修了レポート提出、e-learningを4回以上視聴、スクリーニングを所定回数以上履修(診療実践コース12単位以上、ノンテクニカルスキルコース6単位以上、医療経営コース2単位以上、合計20単位以上)により、認定証を交付する(資料は、全日病のホームページ)。



https://www.m3.com/news/general/594821
県立中央病院:HCU運用めど立つ 看護師採用増で来年度から 開始時期は未定 /香川 
地域 2018年4月1日 (日)配信毎日新聞社

 2014年3月の県立中央病院の移転・開院時、病院機能拡大の目玉の一つとされながら、看護師不足のために一度も使われていなかった高度治療室(HCU)が新年度から運用される見通しとなった。看護師採用試験を改革したところ、志願者が増えて4月採用者も増加することになり、運用のめどが立ったという。【植松晃一】

 2月定例県議会で、松本祐蔵・県病院事業管理者が答えた。県の県立病院課によると、看護師不足が深刻な県立中央病院では、患者2人に看護師1人を配置する集中治療室(ICU)が10床整備されたが、運用は8床のみ。このため、患者4人に看護師1人と一般病棟(患者7人に看護師1人)より多くの看護師配置が必要なHCUは移転時に整備されたが、運用できない状態が続いている。

 県は今年度、県立3病院の看護師採用試験で志願者の負担となっていた専門知識を問う学科試験を廃止し、看護師への思いなど人間性を問う小論文に代えた。看護師として必要な知識は国家試験でも問うため、重複を避けた形だ。

 この結果、昨年度は計75人が志願して計56人が合格したのに対し、今年度は計130人が志願し、計80人が合格した。このうち、昨年4月(51人)を上回る74人を採用する予定で、運用開始の方針を固めた。

 ただ、12床あるHCU全てを運用するには、二十数人の看護師が必要なため、一部にとどめるほか、運用開始の時期も新採用の看護師の習熟状況などを見極めながら決める。

 HCUは、容体急変の恐れもある患者を24時間態勢で集中的管理するICUより軽症の患者を収容する施設。ICUの患者を一般病棟へ移す前に収容するケースを想定するが、運用できない県立中央病院では、ICUが混雑する状況となっているという。

 県立病院課は「ICUが満床で重い症状の患者を受け入れられないこともあったが、HCUを運用すれば、そういう事態を減らせるのではないか」と期待している。



https://www.m3.com/news/general/594834
徳島市民病院:医療機器を再使用 17年度175件 使い捨てを滅菌 /徳島 
地域 2018年4月1日 (日)配信毎日新聞社

 徳島市民病院(同市北常三島町2)が2017年度、使用後の廃棄が定められている医療機器を、約175件の手術で再使用していたことがわかった。9月に厚生労働省が通知するまでに複数の医師が行っていた。健康被害は確認されていない。

 同病院によると、再使用されたのは骨を切断する「ブレード」と、骨に穴を開ける「ドリルバー」。17年4~8月に整形外科約170件、脳神経外科5件の手術で再使用された。16年度以前は「調査対象ではない」として明らかにしていない。

 昨年9月に県外の病院で再使用が明らかになった後、同病院でも同じ問題の存在が浮上したという。手術の際は多数の機器をそろえるが実際に使用するのは数本で、残りは廃棄する必要がある。同病院では、封を開けただけのものやほとんど使っていないものを含め、全ての廃棄は非効率と考えた医師が、安全のため専用装置で洗浄、滅菌した上で使っていた。

 三宅秀則院長は「国の通知は以前から周知してきたが、十分に行き届いていなかった。再発防止を徹底する」との談話を出した。

 同病院の問題発覚以前も、厚労省からは04年以降、使い捨て機器の再使用を禁止する通知が出ていた。同病院は通知の度に院内へ文書で通知し、専用サイトや会議の議題でも取り上げてきたものの防げなかった。

 県外では17年8~9月、兵庫医大病院や大阪市立大病院で同様の問題が発覚した。【大坂和也】



https://www.m3.com/news/general/594716
福島、内科医院が破産、負債総額約1億6000万円 
2018年3月30日 (金)配信東京商工リサーチ

 医療法人相﨑医院(郡山市笹川2、設立1989年8月、理事長:相﨑雄二氏)は3月22日、福島地裁郡山支部へ破産を申請した。申請代理人は隈部泰正弁護士ほか1名(はる総合法律事務所)。負債総額は約1億6000万円。

 1968年に創業し、JR安積永盛駅近くで「相﨑医院」を運営していた。内科を中心とした診療所として地域住民に定着し、1992年7月期にはピークとなる売上高約1億6200万円を計上していた。

 2007年には「ささがわ居宅介護支援事業所」を開設し、介護事業にも進出したが、患者数の減少などから近年の年間売上高は1億円を下回り、赤字経営が続いていた。2017年19月までに相﨑雄二理事長が死去し、理事の相﨑一雄氏が引き継いで事業を継続していたが、資金面の悪化で先行きの見通しも立たず、今回の措置となった。



https://www.m3.com/news/general/594817
日本海ヘルスケアネット:設立へ 医師など3師会参加 /山形 
地域 2018年3月31日 (土)配信毎日新聞社

 医療や介護、福祉などのサービスを将来にわたり地域内で安定的に切れ目なく提供できるシステムの構築を目指す地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」の設立が、このほど県庁で開催された県医療審議会で適当と判断された。4月初旬にも吉村美栄子知事から認定される見通し。

 認定されれば、愛知、広島、鹿児島、兵庫県の法人に次いで5番目の組織になるが、地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会がそろって入るのは全国で初めてで、精神科の専門病院が加わるのも前例がないという。設立に向け中心となって取り組んできた県・酒田市病院機構の栗谷義樹理事長は「社会保障制度が厳しさを増す中、各サービスを継続して提供するための“足腰”を整備するスタートラインに立てる」と意義を話す。

 同ネットは、日本海総合病院(酒田市)を運営する同機構、酒田地区医師会、同歯科医師会、同薬剤師会など庄内北部地域の関係9法人で構成。参加各法人の個性や特徴を生かして役割を分担し、急速に進む少子高齢化、過疎化に対応した高い品質の医療サービスなどを住民が住み慣れた地域の中で安定的、効率的に提供することを目指す。医療連携推進区域は、将来の人口減などを考慮して庄内全域とした。

 医療法の一部改正に伴って創設された地域連携医療法人制度を活用して計画を進め、今年1月に設立総会を開催。県に認定を申請していた。

 栗谷理事長は先駆的な法人が設立される背景として、県立日本海病院と酒田市立酒田病院の統合(2008年)とその後の運営が順調で、設立の下慣らしができていることを挙げた。

 医師会など地元3師会がそろって参加したことについては「地域連携を進めるために3師会は必ず必要な役者」との認識を示し、理念を共有できたことから実現したと説明。精神科専門病院の参加を求めたのは「これから爆発的に増える認知症患者をどうマネジメントするか考えた場合、欠くべからざるものと当初から思っていた」と語った。【高橋不二彦】



https://www.m3.com/news/general/594810
【大阪】子ども心臓手術、器具使い回しか…3年100件 
2018年3月31日 (土)配信読売新聞

 大阪府立病院機構は30日、運営する大阪母子医療センター(和泉市)で2015年1月以降、幼い子どもの心臓手術計100件で、再使用が禁じられている医療器具を使い回していた疑いがあると発表した。

 今のところ、健康被害の報告はないという。

 発表によると、再使用していた医療器具は、脳動脈瘤りゅう手術用のクリップ。子どもの細い血管を挟むのに便利なため、子どもの心臓手術でこのクリップを使うことは同センターの倫理委員会が認めている。

 ただ、感染の恐れがあることなどから、メーカーは再使用を禁止している。

 同センターの心臓血管外科では、6、7歳ぐらいの子どもに行った心臓手術で、滅菌処理しながら再使用していたという。大人の心臓手術で血を止める際に使う器具は再使用可能なため、同科の医師や看護師が「クリップも再使用できる」と誤って認識していたという。



https://www.m3.com/news/general/594508
医療事故4千件、最多更新 17年、評価機構への報告 
2018年3月31日 (土)配信共同通信社

 日本医療機能評価機構(東京)は29日、2017年に全国の医療機関から報告があった医療事故は前年比213件増の4095件で、年単位の集計を始めた05年以降、最多を更新したと発表した。

 事故情報の収集事業に参加している1049の医療機関のうち、375施設から報告があった。機構は「事故が起きたら報告するという流れが定着しつつある」としている。

 法令に基づき報告を義務付けられた大学病院や国立病院機構の病院などからの報告が3598件と、9割近くを占めた。このうち死亡事例が261件(7・3%)、障害が残る可能性が高い事例は361件(10・0%)。ほとんどのケースで治療などを受けていた。

 内容別では、転倒や転落を含む「療養上の世話」が最多の1475件(41・0%)、治療や処置に関するものが960件(26・7%)だった。

 地域別での最多は関東甲信越の1111件。他に中国四国607件、東海北陸599件、九州が508件、近畿451件、東北223件、北海道99件となっている。

 機構は、医療行為に関連して患者が死亡したり、当初予期された水準を上回る処置が必要になったりしたケースを医療事故として情報収集。年間の報告件数をまとめている。



https://www.m3.com/news/general/594835
くらて病院:内科「常勤医3人」体制へ 外来診療は8割カバー /福岡 
2018年4月1日 (日) 毎日新聞社

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の河野公俊理事長(68)は、内科常勤医6人の退職後の4月からの診療体制について報道各社の取材に応じた。新病院長には田中宏明整形外科診療部長(62)が就き、内科の外来診療は従来の約8割はカバーできるという。

 河野理事長は「この地域にとって重要な病院なので、なんとか再生、再建できるよう頑張りたい」と話した。

 内科の新体制は、河野理事長が常勤内科医として診療にあたる他、老健施設の内科医(58)が病院常勤医を兼務する。また、透析は、担当医と九州大からの非常勤医派遣で週6日できるようになり、実質「常勤医3人」体制となる。その他、九州大や久留米大から非常勤医を派遣してもらうことで、診療枠(1枠4時間)39のうち32をカバーできる体制が整った。

 一方、1日平均約50人いた内科系入院患者は、今月末までに全員が退院、転院している。4月以降の受け入れは「分からないが、見られる範囲で見たい」としている。救急患者は、4月中は受け入れを辞退し、5月以降は新体制での運営を見て判断するという。

 また、病院の新築、移転について、4月に第三者委員会を発足させたいとしている。【武内靖広】

〔筑豊版〕



https://www.m3.com/news/general/594668
後発薬の使用8割を目標 2018~23年度医療費適正化計画 
2018年3月31日 (土) 高知新聞

 高知県は3月29日、生活習慣病対策などの数値目標を盛り込んだ「第3期医療費適正化計画」(2018~23年度)を策定した。後発医薬品の使用割合80%以上などを掲げており、目標を達成すれば県民医療費を約29億円抑制できると見込んだ。

 08~12年度、13~17年度に続く今回の計画では、県民医療費(15年度)が3233億円で、1人当たりでは全国1位の44万4千円などと説明。平均在院日数は全国2位の41・8日(15年)で、医療費のうち75歳以上の後期高齢者医療費の割合が高いなどの高知県の特徴を挙げた。

 23年度の目標には、後発医薬品の使用割合80%(15年度=54・3%)のほか、特定健診実施率70%(同46・6%)▽特定保健指導実施率45%(同14・6%)▽メタボリック症候群の該当者・予備軍を08年度比25%以上減―の4項目を掲げた。

 目標を達成すれば、23年度の県民医療費は約3508億円。施策を講じなかった場合は約3537億円だという。



https://www.m3.com/news/general/594651
後発薬シェア、20%へ加速 日医工・田村社長が意欲 エーザイと提携 
地域 2018年3月31日 (土) 北國新聞

 ジェネリック医薬品(後発薬)最大手の日医工(富山市)の田村友一社長=写真左=は29日、都内のホテルで会見し、新薬メーカーのエーザイ(東京)と資本・業務提携に関する戦略提携契約を締結したことを受け、後発薬の国内シェア20%に向けた動きを加速させる考えを示した。2021年3月期の達成を目標に掲げているが、田村社長は会見後、記者団に「1年ぐらい前倒しできればいい」と語った。

 田村社長とエーザイの内藤晴夫代表執行役最高経営責任者(CEO)が会見した。

 提携では日医工がエーザイ子会社で後発薬を手掛けるエルメッドエーザイ(東京)を約170億円で買収し、完全子会社化する。これについて田村社長は「規模の拡大でコスト競争力が高まる。シェア20%へのアプローチがスピードアップできる」と強調した。

 エーザイのインド工場で原薬(API)の共同開発、調達を進めることに関しては「安価で良質なAPIの調達が可能となり、収益に大きく影響する」と期待を寄せた。地域医療など新たな市場の開拓を強める方針も示した。

 日医工は1千品を超える製品をエーザイに提供する予定で、エーザイは新薬と後発薬を組み合わせて医療機関などに提案したい考えだ。内藤氏は「日医工の豊富な品ぞろえを活用したい」と力を込めた。田村社長については「経営者としてリスクを取りながら、果敢に新しい事業にチャレンジしている」と評価した。



https://www.m3.com/news/general/594405
県立病院機構:理事長に康井氏 知事が任命へ /神奈川 
2018年3月29日 (木) 毎日新聞社

 黒岩祐治知事は28日、空席となっている地方独立行政法人県立病院機構の理事長に、康井制洋副理事長を任命すると発表した。同機構を巡っては運営する県立がんセンター(横浜市旭区)で医師が相次いで退職の意向を示すなどの混乱の末、理事長の解任に至っていた。知事は「要職を長年務め現場を熟知し課題にも対応できる」と理由を述べた。当初は固辞されたが承諾を取り付けたという。

 知事は外部人材も模索したが、年度末のため確保が難しかった。康井氏は県立こども医療センター総長などを歴任。先月、土屋了介前理事長の解任を求める緊急声明を他幹部らと知事に共同提出していた。康井氏は県との連携を強化する方針で、県が推薦した県下水道公社理事長の藤井良一氏を副理事長に起用する。

 また県は放射線治療科の医師の確保について、4月以降は群馬大や横浜市立大などの医師を加え12人の体制を確保した。知事は「安堵(あんど)しているが人材育成を安定的継続的に行う仕組み作りが重要」と横浜市大や医療機関との連携に意欲を見せた。【堀和彦】



https://www.m3.com/news/general/594379
魚沼基幹病院の新運営計画決まる 全面稼働は2021~22年度 
2018年3月29日 (木) 新潟日報

 魚沼基幹病院(南魚沼市)を運営する県地域医療推進機構は28日、新潟市中央区で理事会を開き、全面稼働の時期を2021~22年度に先送りし、単年度決算は20年度から黒字化を見込むとする新たな運営計画を決定した。17年度決算は4億7900万円の赤字になる見通しも明らかにした。

 公設民営方式の魚沼基幹病院は15年6月に県が設置し、9病棟454床を備える。当初計画では開院3年目の17年度に全面稼働、18年度に単年度黒字化を達成するとしていた。

 しかし、看護職員の不足により、これまで稼働したのは最大328床。17年度は308床にとどまる。

 病床の稼働が進まないことで入院診療収入など事業収益も計画を下回り、15年度決算では12億1800万円、16年度は7億6200万円と2年連続で純損失を計上。17年度の損失見込みを含め、累積赤字は24億5900万円に膨らむ見通しだ。累積赤字が30億4700万円を上回ると、県地域医療推進機構は債務超過に陥る。

 新計画では、全面稼働に必要な看護職員を17年度より99人増の423人と設定。今後の採用目標を毎年50人程度とし、半数は経験者としたい考えで、早ければ21年度内に確保する。

 収支見通しでは、19年度まで赤字が続き、累積赤字は最大で29億4400万円に達する。看護職員が391~411人となる20年度に最大425床が稼働することで、2300万~3億7100万円の黒字に転じると試算した。

 魚沼基幹病院の内山聖・病院長は理事会後の取材に、全面稼働が遅れることについて「現実的な計画に見直した」と説明。看護職員の確保と収支改善に向け「計画の通りに1年1年数字を積み上げられるよう、現場で努力する決意だ」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/594161
ぐんま地域医療会議:初会合 医師偏在解消策 県が派遣を要請へ 各地域の実態調査 /群馬 
2018年3月28日 (水) 毎日新聞社

 県内の医師の偏在解消策などについて、県と群馬大、医師会などが話し合う「ぐんま地域医療会議」の初会合が26日、県庁で開かれた。これまで群馬大医学部が中心になって担っていた各医療機関への医師の配置について、県が各地域の患者数や医師数などを調査・分析し、必要な医師の派遣を要請する方式に改めることなどを確認した。2019年度の医師配置から導入する予定。

 県によると、県内の各医療圏の人口10万人あたりの医師数にはばらつきがあり、最多の前橋地域が443・3人に対し、最少の太田・館林地域は141・9人(厚生労働省調べ、16年12月末現在)。前橋地域を除く9地域で全国平均(240・1人)を下回り、偏在の解消が急務になっている。

 そのため、若手医師の適正配置に向け、県がまず県内130病院を調査し、各地域の医療ニーズや医師の勤務条件などの情報をまとめて18年秋までに群馬大に提供する。群馬大によると、若手医師にとって勤務先の環境や条件などを理解したうえで赴任できるメリットがあるという。群馬大医学部付属病院の田村遵一院長は「若手の育成が質量共に安定するのではないかと期待している」と述べた。

 同病院は、同じ男性医師の肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題を受け、17年度から「地域医療への貢献」を掲げ、三つの改革に着手した。その一つが「地域医療研究・教育センター」の設置で、医師配置の適正化に取り組むとしている。【鈴木敦子】



https://www.m3.com/news/general/594137
松阪市民病院在り方答申 2病院統合、選択肢に 三重 
2018年3月28日 (水) 伊勢新聞

【松阪】「地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会」(7人)の末永裕之委員長(全国自治体病院協議会参与)は27日、三重県の松阪市役所で竹上真人市長に答申した。市内の3基幹病院のうち2病院の統合を選択肢に挙げた。

ベッド数を減らす国の地域医療構想を受けて諮問され、昨年6月から5回審議した。

市内3病院は松阪中央総合病院(川井町、440床)▽済生会松阪総合病院(朝日町一区、430床)▽松阪市民病院(殿町、328床)。

答申では(1)3病院の連携強化による併存(2)3病院の統合(3)2病院の統合の3パターンを示し、(1)は「厳しい状況になる」、(2)は「困難」、(3)は「将来におけるこの地域の医療を守っていくために十分検討していくことに値する」「あまり時間をかけずに議論していく必要がある」とした。

ただ、「影響が大きく、一つの具体的な方向性を示すまでには至らなかった」「議論を深めていくことが重要であると考え、その中から一定の方向性が導き出されることを期待する」とした。

末永委員長は「3つの基幹病院はいかにも多すぎる。一番小さい市民病院と新しく病棟を建てる済生会病院の統合が一番現実的。議論のポイントが決まってきた。いたずらに時間をかけるのは得策ではない」と述べた。

竹上市長は「3病院でやっていくのは難しいだろうというのは確か。さらに議論を深める」と話した。



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180327/CK2018032702000030.html
診療科多く常勤医不足 静岡・湖西病院を経営診断 
2018年3月27日 (火) 中日新聞

 経営難が続く静岡県湖西市立湖西病院の経営診断を実施した全国自治体病院協議会が26日、同市古見の健康福祉センターで市側に診断結果を報告した。常勤医師不足や、病床規模に見合わない診療科数の多さなどを問題点として挙げ、休止中の病棟の再開か縮小かについても検討の必要を指摘した。

 年間10億円以上の市からの繰入金に頼り続ける病院経営を立て直そうと、市が同協議会に診断を委託していた。この日は同協議会経営調査課の和田光貴主任が市、病院幹部と市議らに報告した。

 同病院には現在、22の診療科があるが、常勤医師は16人のみ。非常勤医師を外部から招いており、診断の結果では、その報酬が経営を圧迫していると説明した。診療科数も、ほかの同規模の病院と比べて多く、経費が膨らんでいると示した。市民が病院に何を望んでいるか調査し、必要な診療科を検討するようアドバイスした。

 病床数は196床あるが、2015年から4病棟のうち2病棟が医師不足で休止しているため、103床のみ稼働している。病棟再開か縮小か、早めに方向性を決めて職員の配置などを考える必要があると指摘した。

 湖西病院は診断結果を受け、昨年3月に策定した改革プランの見直しを4月以降に進める。



https://www.m3.com/news/general/593633
増える訪問診療…在宅医の負担軽減を 福井県と東京大の共同研究 
2018年3月27日 (火) 中日新聞

 超高齢化社会を見据えて県と東京大が進めるジェロントロジー(総合長寿学)共同研究の中間報告会が22日、福井市宝永3丁目の県国際交流会館で開かれた。医療関係者を対象にした実態調査結果などが報告され、予想される訪問診療の需要増に備えて在宅医の負担を軽減する必要性を指摘する声が上がった。

 実態調査は09~15年の第1、2期に続く第3期の共同研究として実施。坂井、あわら両市の調査では、在宅医療を担う医師の8割以上が1人の慢性期患者を月1~2回訪問し、平均で移動と診療にそれぞれ15分程度かけていた。

 在宅対応をしていない医師も、不在時に受け入れてくれる病院や副主治医が確保できれば在宅対応を前向きに検討するとの回答が多く、皮膚科などの医師に在宅医療を分担してもらう視点が必要との声が紹介された。

 県長寿福祉課は、坂井、あわら両市でモデル的に構築した副主治医や後方支援の医療機関を決めて介護事業者などと連携する仕組みを県内全域に拡大したと報告。船木麻央課長は「医師の負担を軽くして労働の質を上げ、患者の生活の質を向上する施策を進めたい」と語った。

 介護が必要になる前の「フレイル」と呼ばれる心身の虚弱化を予防する取り組みも紹介され、東京大高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授は「福井のモデルを日本のモデルに」と呼び掛けた。



https://www.m3.com/news/general/593912
千葉市:病院局が改革案 「青葉」「海浜」黒字化目指す /千葉 
2018年3月27日 (火) 毎日新聞社

 経常赤字が続いている千葉市病院局は、市立の青葉病院(中央区)と海浜病院(美浜区)の健全経営確立を図るため、2018年度からの3カ年計画「市立病院改革プラン(第4期)」(案)を策定した。公立病院の機能見直しを求める総務省の「新公立病院改革ガイドライン」(15年3月)に沿ったもので20年度までの病院事業黒字化を目指す。4月2日までパブリックコメントを実施している。

 病院局は13年度以降、経常赤字が続いており、一般会計からの繰入金が14~16年度は毎年度40億円以上にのぼり、今年度は60億円を超える見込みだ。昨年度は初めて資金不足が発生した。今年度の経常赤字は56億4800万円を見込む。

 同局経営企画課によると、16年度の病床利用率は青葉病院が全国平均並みの76・6%に対し、海浜病院は62・7%。15年4~6月に心臓血管外科で手術を受けた患者8人が死亡した問題を受け、同科での患者受け入れを中止したことなどが影響しているとみられる。プラン案は病床利用率を20年度までに青葉病院で80・2%、海浜病院で69・4%に引き上げることを目標とし、海浜病院では小児科医、形成外科医、泌尿器科医の増員で小児医療や高齢者医療などを充実させるとしている。

 給与費削減のため、人員配置の見直しも盛り込まれた。定年退職に対する補充を行わないことで、海浜病院では19年度に看護師5人、医療技術員3人、20年度には医療技術員1人を削減する。業務見直しにより、時間外勤務手当も削減する。

 また、1984年開院の海浜病院は施設が老朽化しており、市は民間コンサルティング会社に委託し、市内の医療ニーズの把握や経営課題の整理を行い、統廃合も含めた病院のあり方について本格的な検討に入る。

 プラン案は市ホームページのほか、各区役所地域振興課や市図書館などで閲覧できる。意見は、経営企画課(千葉中央コミュニティーセンター)か各区役所地域振興課に持参するか、経営企画課にファクス(043・245・5257)、メール(kikaku.HO@city.chiba.lg.jp)。問い合わせは同課(043・245・5744)。【信田真由美】



https://www.m3.com/news/general/593652
 医師残業 福山市民病院に勧告 
2018年3月26日 (月) 中国新聞

 福山市民病院(福山市)が、勤務医6人に労使協定の上限を超える残業をさせたとして、福山労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが23日、分かった。医師不足で増員が困難な中、救急患者の受け入れなどで長時間労働を解消しにくいとしている。



https://www.m3.com/news/general/593380
長時間労働:勤務医に上限超える残業 広島市民病院に是正勧告 中央労基署 /広島 
2018年3月25日 (日) 毎日新聞社

 広島市民病院(中区)が勤務医38人に労使協定の上限である月80時間を超える残業をさせたとして昨年11月、広島中央労働基準監督署が病院を運営する市立病院機構(中区)に是正勧告を出したことが分かった。同病院が23日、明らかにした。

 同病院によると、広島労基署から昨年8月、同1~8月の勤務時間実績の提出を求められた。最も残業時間の多かった昨年4月は、管理職を除く常勤医270人のうち38人が労使協定で定められた月80時間(年6回まで)の上限を超える残業をしていたことが判明。38人の平均残業時間は月94時間で、うち8人は100時間を超え、最も多い医師は134時間だった。

 同病院は残業が多い理由に外来が1日平均1800人、入院も700以上ある病床がほぼ埋まっているなど患者数が多く、軽症から重症まで24時間体制で救急患者を受け入れていることなどを挙げる。勧告を受け、患者への説明を原則平日の日中に限るほか、時間差出勤などさらに負担軽減を図るとしている。【竹内麻子】



http://www.sakigake.jp/news/article/20180330AK0011/
社説:地方の医師不足 1県では解消策に限界 
2018年3月30日 秋田魁新聞

 「いま、岩手の、そして日本の地域医療は崩壊の危機にさらされています」。こんな内容の岩手県の意見広告が今月、週刊誌などに掲載された。医師不足と医師偏在の解消が急務とし、(仮称)の制定を提言している。

 医師不足は岩手にとどまらず地方共通の課題で、各県が懸命に医師確保に取り組んでいる。本県なら医学生向けの奨学金を設け、医師として県内に一定期間勤務することで返還を免除するといった対策を講じている。

 岩手県医療政策室は「医師不足に対応するのに、1県の取り組みでは限界がある。国と地方が協力し、国全体の問題として考える必要がある」と指摘する。同県が策定した基本法草案は、医師の計画的養成や偏りのない配置を実現するため、国や地方公共団体の責務を定めた。

 人口10万人当たりの医師数(2016年)を見ると、岩手県は207・5人で全国平均251・7人を大きく下回る。特に東日本大震災で被災した沿岸部で医師不足が深刻という。医師数は1位の京都府が334・9人、2位徳島県が333・3人など西高東低で、都道府県間で大きな差が生じている。

 本県は236・0人で岩手より多いが、全国平均には届かない。さらに、県内八つの2次医療圏(主に郡市単位)別に見ると、秋田周辺が311・2人と突出する一方、北秋田は106・0人、湯沢雄勝124・9人、大館鹿角156・5人と地域による偏りが大きい。医師不足には、県全体の医師の不足と、県内地域間の偏り(偏在)という二つの問題がある。

 新卒医師が幅広い診療技術を学ぶため国が04年度に導入した臨床研修制度が、地方の医師不足に拍車をかけた。研修先が都市部の病院などに集中し、県内に残る新人医師が減少。秋田大学の医局が担う医師派遣機能も大きく低下した。その後、同大医学部の入学定員増や、知事が指定する医療機関など一定期間の県内勤務を義務付ける「地域枠」が設定されるなどした。

 まだ時間はかかるが、知事が指定する施設に勤務する医師は4、5年後に100人規模になる見込みという。県医師確保対策室は「医師不足が深刻な地域で、対策の成果をある程度実感してもらえると思う」と話す。

 だが、4月にスタートする専門医養成制度が新たな懸念材料になっている。医師の希望する研修先が大都市に集中しており、地方の医師確保の努力を打ち消しかねないためだ。医療の質の向上は重要で制度の意義は理解できるが、そこに地方に配慮した仕組みを組み込むことが求められる。

 国全体の制度との兼ね合いで1県にできる対策には限りがある。県は岩手県などと連携し、地方の言い分をしっかり主張してほしい。国と地方が同じ方向を向き、より強力に医師不足の解消を目指す必要がある。



http://www.medwatch.jp/?p=19842
新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会 
2018年3月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門制度の2018年度全面スタートに向けて、専門医を目指す専攻医の登録が各研修プログラムで進められています。

 3月27日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、日本専門医機構から専攻医の登録状況に関する詳細なデータが提示されましたが、これを巡り「新専門医制度によって医師の都市部集中が増悪しているか、否か」について、検討会構成員と日本専門医機構との間で大きな見解の相違があることが分かりました。

 今後、都道府県と日本専門医機構が「医師配置状況」について話し合う中で、増悪の有無について検討していくことになります。

日本専門医機構と検討会構成員とで、「医師偏在の動向」について大きな見解の相違

 3月27日の検討会には日本専門医機構の松原謙二参考人(日本専門医機構副理事長)が、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長)の代理として出席。各都道府県における▼初期研修医の配置状況と専攻医の登録状況との比較▼診療科別の専攻医登録状況と過去の専攻医(後期研修医)採用実績との比較—データを提示しました(厚労省のサイトはこちら(検討会提出資料))。

 前者はメディ・ウォッチで既にお伝えしたもので、松原参考人は「都市部に一定の専攻医集中が見られるが、各研修プログラムで近隣県に医師が派遣されることを考えれば、大きな混乱などは生じていない」とコメント(関連記事はこちら)。

都道府県別に見た、初期臨床研修医の配置状況と、専攻医の登録状況(表 略)
 
また、5大都市圏(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)においては「専攻医集中が進まない」ように採用数上限(過去5年間の専攻医採用実績の平均)が規定されていますが(医師不足が懸念されている外科等は除く、関連記事はこちら)、後者のデータからは「上限規定が効果をあげている」ことが分かります。

都道府県別に見た、診療科別の専攻医登録実績(表 略)

5大都市圏における専攻医採用上限数と、その根拠(過去5年の採用実績)(表 略)

 
しかし、このデータに対し検討会構成員からは「都市部集中が増悪している」との指摘も出されました。

立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は、「専攻医8409名のうち、21.7%・1825名が東京に勤務している。人口比率(総務省統計局によれば東京都には日本全体の10.6%が居住している)に比べても、東京都への医師集中は明らかである。初期臨床研修制度の抜本的見直し、医師の地方勤務へのインセンティブ付与などを検討しなければ、我が国の医療は崩壊してしまう」と強調。

また渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)も、「東京への医師集中は『増悪』している。まずここを認め、その上で原因分析、対策法の検討へと進まなければいけない」と強い調子で指摘しました。

さらに、荒井正吾構成員(奈良県知事)の代理として出席した林修一郎参考人(奈良県医療政策部長)は、2016年度の初期臨床研修医採用状況(厚生労働省調査)と2018年度の専攻医採用実績(日本専門医機構調査)とを比較し、「日本専門医機構は『東京都が近隣県圏をカバーする』というが、関東ブロックで見ると、初期研修医シェアは34.9%であったが、専攻医シェアは37.3%に上昇している。関東以外の静岡県等を加味しても、関東ブロックのシェアは増加しており『都市部への医師集中』が進んでいることは疑いようがない」と指摘。

医師のブロック別シェアをみると、初期臨床研修から専攻医にかけてバラつきがある。関東ブロックでは2.4ポイントも増加しており、「東京が近隣県をカバーしている」だけでは説明が付かないとの指摘もある(表 略)

 
また林参考人は、この原因の一つとして「5大都市圏の採用数上限」が甘く設定されているのではないか、との指摘も行っています。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」による後期研修医の配置状況と、各学会による専攻医採用実績とを比べると、多くの診療科で「前者のほうが小さく、後者の方が大きい」ことが分かります。専攻医採用実績が大きければ、採用数上限が高めに設定され、「医師集中是正効果」は働きにくくなります。林参考人は、「採用数上限が高めに設定され、都市部への医師集中が『増悪』したのではないか」と分析しているのです。

医師の都市部集中が進行・増悪した要因の1つとして「5大都市圏の専攻医採用実績の甘さ(実際よりも上振れ)」があるのではないかとの指摘も(表 略)
 
このように、日本専門医機構と検討会構成員との間で、「新専門医制度によって、医師の都市部集中が『増悪』したか、否か」について大きな見解の相違があります。
この点については、実際に各都道府県において医師の勤務状況がどう変化していくかを確認しながら判断していかなければいけません。現在、国会に上程されている医療法・医師法等改正案(医療法及び医師法の一部を改正する法律案)では、医師偏在対策の一環として、専門医制度に関し▼国から日本専門医機構等に対し、必要な研修機会を確保するよう要請する権限の創設▼国・都道府県から日本専門医機構等に対し、地域医療の観点から必要な措置の実施を意見する仕組みの創設―を規定しています。

とくに後者では、「専門医の研修計画が地域医療に大きな影響を与える場合には、日本専門医機構は、あらかじめ国・都道府県の意見を聴かなければならない」こととされる見込みで、今後、都道府県が「日本専門医機構の推測のように、都市部の基幹病院の研修プログラムによって、近隣県の医療機関へ医師が派遣されている」のかを確認していくことになります。ここで、医師偏在が助長され、地域医療に重大な影響が生じかねないことが判明すれば、国が日本専門医機構に是正を求めてくことになるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

このため厚労省は、現時点で「専門医制度により医師偏在が助長されている」とも「されていない」とも判断することは難しい、と考えているようです。

 
なお、日本専門医機構では2018年度の採用実績をもとに「2019年度の採用数(5大都市圏の上限を含めて)を見直す必要があるか」などを検討する考えを示していますが、林参考人は「新専門医制度の採用実績が積み重ねられれば既得権益化してしまう。学会の採用実績を検証し、2019年度分から採用数見直しを行うべき」と強い調子で求めています。今後の日本専門医機構の動きにも、改めて注目する必要がありそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/594446
シリーズ 真価問われる専門医改革
日本専門医機構の社員総会、地域医療への懸念少なく
厚労省検討会と “温度差”、2018年度予算案承認し終了
 
2018年3月29日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構の社員総会が3月29日に開催され、地域医療への影響を懸念する声は一部から上がったものの、全体としては滞りなく議論が進み、2018年度の予算案も承認された。「専攻医の東京一極集中」か否かをめぐって活発な議論が行われた、3月27日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」と比較すると、現状に対する問題意識に温度差があったようだ(厚労省の検討会は、『「専攻医の東京一極集中」、増悪か否かで意見対立』を参照)。

 社員総会で機構側は、この4月から開始する新専門医制度について、「都市部への専攻医集中は避けられた」などと説明。その他、総合診療専門医に関する運営委員会、新専門医制度を検証するプロジェクトチームの設置など、これまで理事会で決定した事項を報告した。

 地域医療への影響について問題提起したのが、日本皮膚科学会理事長の島田眞路氏。地域医療の危機を訴え、東京都の専攻医のシーリングを「1.0」よりも低く設定するなどの提案をしたが、反対意見も出て、議論は深まらなかった。それ以外に、新専門医制度の地域医療への影響を懸念する発言は出ず、社員総会は1時間30分の予定だったが、約1時間で終了した。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「社員総会では、『うまく行きましたね』という意見の一方、『(専攻医のシーリングについて)東京を0.8掛けにすべき』との声もあった。それに対しては、『東京の専攻医が減れば、地域に派遣する専攻医が少なくなる』との反対意見もあった」と説明。

 新専門医制度のシーリングの「1.0」とは、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)では、14の基本領域について、「過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えない」という条件。非公開で行われた社員総会後、島田氏は、m3.comの取材に対し、「シーリングが1.0であれば、従来通り、東京に専攻医が集まるのは明らか。0.8や0.9にすることが必要」との考えを説明。島田氏はガバナンスの在り方も問題視した。「新専門医制度を適切に運営するには、日本専門医機構を適切に運営する必要がある。プロフェッショナル・オートノミーでやるなら、よほど強いリーダーシップを発揮できる人材が必要。そうした人材はいないのなら、行政の関与もやむを得なくなるのではないか」との危機感を社員総会で呈したという。

 3月25日の日本医師会の第141回臨時代議員会でも、新専門医制度の在り方が問題になった(『新専門医制「地方への配慮、十分でなかった」、松原副会長』を参照)。日医会長の横倉義武氏は、m3.comの取材に対し、「社員総会では、もっと透明性を高めて運営するよう求めた。また医師の地域偏在解消と専門研修の在り方は、両立が難しい課題。日本専門医機構だけで十分にできないので、臨床研修の在り方も含めて、機構からも提言をしてもらいたいという話をした」と説明した。

 サブスペシャルティの問題も含め、新専門医制度をめぐり検討課題が多い中、同機構のガバナンスと事務局体制の強化を求める声は、臨床現場には根強い。日本専門医機構はこの6月、役員の改選を迎える。「役員候補者選考委員会」を設置し、役員候補者を決定、社員総会の決議によって選任する。現時点でそのスケジュールは未定。現執行部がどの程度、交代するか否かが注目される。




http://www.medwatch.jp/?p=19819
2020年度以降の医学部定員、仮に暫定増が全廃となれば「800人弱」定員減―医師需給分科会 
2018年3月27日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医学部の定員は、2019年度までは「暫定増」措置によって9400人程度となっている。この暫定増が仮にすべて廃止されれば8629人となり、800人弱の減となるが、2020年度以降の医学部定員をどのように考えるべきか―。

 厚生労働省の医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)が3月23日に開催され、こういった検討を開始しました。2020年度には、現在の高等学校2年生が大学を受験するため、今夏には具体的な医学部定員を示す必要があり、検討会では5月までに結論を出すことになります。

ここがポイント! [非表示]

1 この5月までに「2020年度からの当面の医学部定員」方針を決定
2 医師偏在対策・働き方改革については、仮定・幅を置いて定員検討の要素とする
3 将来の医学部定員を考えるに当たり、例えば「医師充足度合いの指標」などを検討

この5月までに「2020年度からの当面の医学部定員」方針を決定

 我が国は人口減少社会に入っており、この点だけを考慮すれば「人口に対する医師数が過剰にならないように、養成数を抑制していく」必要があります。一方、我が国の医療提供体制においては、地域間・診療科間の「医師偏在」という大きな課題があり、これを解消するためには「一定程度、医師数を増やしていく」方向で検討する必要もあります。

 そこで安倍内閣が昨年(2015年)6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015」では、「人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について検討する」よう厚労省に指示。

厚労省は「医療従事者の受給に関する検討会」「医師需給分科会」で検討を行い、一昨年(2016年)5月に、▼医師不足が特に深刻な青森県など10県における増員は「当面延長」する▼医師確保が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するための都道府県ごとの増員は「当面延長」する▼地域医療に従事する明確な意思をもった学生などに配慮した増員は「慎重に精査」する―方針を固めました(第1次中間取りまとめ、関連記事はこちらとこちらとこちら)。

当面の医学部入学定員(表 略)

将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に(上位推計でも2033年以降は医師供給過剰になる見込み)(表 略)
 
その後、検討会・分科会では「医師偏在対策」について議論を行い、昨年末(2017年12月)に第2次中間とりまとめを行っています。
検討会・分科会では、さらに「2020年度以降の医学部定員」についてどう考えるかというテーマを議論することになっています。2020年度には、現在の高等学校2年生が大学医学部に入学することとなるため、志望校選定等のために、遅くとも今夏には医学部定員を明確に定める必要があり、検討会・分科会では「5月中」に結論を出します。

 2017年度の医学部定員は9420名、18年度の医学部定員は9419名(仮定)ですが、ここには上記の「暫定増」が含まれており、仮にすべての暫定増が廃止されれば、2020年度の医学部定員は8269名となります。高等学校3年生になってから「現在より医学部定員は800名近く減る」ことが分かったのでは、大きな混乱を招いてしまいます(定員が減れば難易度も上がる)。このため、遅くとも今夏に定員を固め、高等学校2年生の夏に「進路選択」を行えるような配慮を行う必要があるのです。

医師偏在対策・働き方改革については、仮定・幅を置いて定員検討の要素とする

医学部定員を定めるに当たっては、例えば次のようなさまざまな要素を考えなければいけません。
▽今後の医療需要(高度急性期から慢性期までの入院医療、外来、介護老人保健施設、行政機関、研究機関等)
▽今後の医師供給
▽医師偏在対策の効果
▽医師の働き方改革の効果

 しかし、「偏在対策」については現在、医療法・医師法等の改正法案が準備されている段階で(関連記事はこちら)、また「働き方改革」については議論中(2019年3月に結論、関連記事はこちらとこちらとこちら)であり、この5月時点では、これらの効果は全くの未知数です。このため、検討会では、偏在対策や働き方改革については、一定の仮定・幅を置くこととし、さらに「2020年度から短期間」の医学部定員のみをターゲットに議論する方針が固まっています。

偏在対策・働き方改革における仮定・幅としては、例えば次のような考え方が示されました。
▽医師の労働時間上限について、▼一般労働者と同様に「週55時間」とする▼脳・心臓疾患の労災認定基準に照らし「週80時間」とする▼米国のレジデントに適用される「週88時間」とする―との3パターンを置く
▽医師の労働時間について、タスクシフト(特定行為研修を受けた看護師等への業務移管)などを考慮して、3パターンを置く

偏在対策や働き方改革については、一定の仮定・幅を置いて試算に盛り込むこととする(表 略)
 
厚労省では、こうした仮定・幅を置いた上で、第1次中間とりまとめと同様に「医療需要」「医師供給数」を試算し、検討会・分科会の「医学部定員」論議に供する考えです。
なお、今村構成員は「新たな裁量労働制などを組み込んだ仮定・幅も置くべき」と要望しています。

将来の医学部定員を考えるに当たり、例えば「医師充足度合いの指標」などを検討

構成員からは、より将来を睨み「偏在対策・働き方改革の効果を踏まえた医学部定員」の議論を求める声も出ていますが、これは「2020年度以降の当面の医学部定員」について結論を出したのちに議論することになるでしょう。この点に関連して構成員からは「2020年度の医学部定員を5月までに固め、毎年度、偏在対策や働き方改革の効果を見て定員を議論していってはどうか」(今村聡構成員:日本医師会副会長)という意見も出ていますが、データの精査時間などを考慮すれば「2年度ごとに医学部定員を検討する」と一定の幅を置いた議論が現実的かもしれません(この場合、まず2020年度・21年度の医学部定員を議論する)。

なお、3月23日の検討会では「より将来の医学部定員」を議論する際の視点についても議論が行われ、「医師の充足度合いを評価する指標について、現在は『人口10万人当たり医師数』だが、これでよいのか検討する必要がある」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)、「安易に医師の労働時間上限設定がなされないよう、分科会と『医師の働き方改革に関する検討会』の意見交換会などをすべきである」(小川彰構成員:岩手医科大学理事長)、「現状で『医師不足』という認識が多くの病院である。この前提に立って、つまり医師不足のままで将来需給を考えてよいものか、検討する必要がある」(神野正博構成員:全日本病院協会副会長)といった意見も出ています。これらは、早くとも「5月以降」の検討テーマとなるでしょう。

 



https://mainichi.jp/articles/20180329/ddl/k46/010/345000c
出水市
病院事業、指定管理提案巡り溝 病院トップ拒否、市は困惑 /鹿児島
 
毎日新聞2018年3月29日 地方版 鹿児島県

 赤字が膨らむ出水市病院事業を巡り、市が設置した経営諮問会議が条件付きながら指定管理者制移行を提案したのに対し、病院トップが「実情にそぐわない」と拒否する考えを示し、事業の在り方を巡る溝が表面化してきた。市は「何とも言えない」と困惑しており、問題の行方は4月での退任を決めている渋谷俊彦市長の後任市長に託されることになりそうだ。

 市民グループが18日に開いた「病院問題を考える対話集会」に病院事業トップの今村純一管理者と、事業の核である出水総合医療センターの瀬戸弘院長が出席し、参加者に「答申に対する批判書」を配り、考えを伝えた。批判書は「指定管理者制は必ずしも黒字化が見込めない」と主張し「管理者は出水郡医師会で決まっていたような答申。受けようがない」と反論している。

 出水市の病院事業は医療センターが医師不足に陥り、患者と収入も落ちて赤字が膨らんだ。18年度予算編成時点で累積赤字は86億円を見込んでいる。

 これに対し、経営諮問会議は昨年11月から4回の協議を重ね、3月に答申をまとめた。今年9月末で事業継続に必要と考えられる現金7億円を確保できない場合、指定管理者制に移行せよとの内容に加え「出水郡医師会広域医療センター(阿久根市)と連携を図った上、将来は統合を進めていくこと」と郡医師会を重視した内容だ。

 経営諮問会議は委員名を含め非公開で、郡医師会関係者が含まれるかは不明だが、今村管理者は「バイアスのかかった答申だ」と批判する。一方で、大橋勇太副市長は「答申は最大限尊重すべきで、批判書を出すのは拙速だ」と話す。

 市民グループは後日、改めて対話集会を開くことにしている。【降旗英峰】



https://www.m3.com/news/iryoishin/594183
医療維新 シリーズ 地域医療構想
地域医療構想調整会議、「郡市医師会の役割が重要」
日医「地域医療対策委員会」報告書を公表
 
2018年3月28日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は3月28日の定例記者会見で、地域医療構想調整会議の重要性などを盛り込んだ「地域医療対策委員会」報告書、「地域医療構想に基づく将来の医療提供体制に向けて」を公表した。報告書の「はじめに」で、「地域医療構想は既に策定が完了し、運用する段階にある。中でも、地域医療構想調整会議は郡市医師会の役割が非常に重要であり、それを支援する立場にある都道府県医師会、そして日本医師会の連携が必要不可欠である」と記載している(資料は、日医のホームページ)。

 報告書は、(1)地域医療構想の課題、(2)在宅医療等について、(3)地域医療構想調整会議の求められる役割について、(4)地域医療構想に影響を与える施策――という4つの大枠で構成。

 釜萢氏は、「地域医療構想については、病床削減のための制度ではないことを繰り返し発信してきた」と説明。(1)の「地域医療構想の課題」では、病床機能報告制度の報告数と地域医療構想の「病床の必要量」を機械的に比較することなく、2025年のあるべき医療提供体制についての議論を進めるためにも、調整会議の役割が重要であると強調している。

 さらに調整会議では、公立・公的医療機関等が策定する「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、地域の実情に合っているか否かの議論も重要になる。釜萢氏は「調整会議のメンバーが、日頃からお世話になっている公立・公的医療機関等に対して指摘は言いにくいという声もあるが、地域に必要な医療を踏まえて、適切な議論をしなければならないことも、報告書ではうたっている」と説明した(『域医療構想「公私の競合なら、公が撤退」、石川常任理事』を参照)。

 (2)の「在宅医療等について」では、在宅医療のサービス必要量は、一定の仮定を置いた「推計値」として考えるべきであり、今後整備すべきサービス量として捉えるべきものではないと指摘。

 (3)の「地域医療構想調整会議の求められる役割について」の中で、改めて公立・公的医療機関等について言及。「プランを作成して、調整会議に提出したら、それで終わりではない」(釜萢氏)。報告書では、「対象医療機関でなければ担えない分野へ重点化されているかどうかについて確認する必要があり、具体的対応方針を決定した後に、見直す必要が生じた場合には、改めて地域医療構想調整会議で協議できることを指摘していく必要がある」と記載している。

 とかく「回復期機能が不足」と指摘される現状についても、「病床の必要量と病床機能報告の結果は、単純に比較できるものではない。その比較も構想区域単位で傾向を把握する程度にとどめるべきである。回復期病床イコール回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟の病床であるとの誤解がある。単純に回復期機能が足りないとするのではなく、内容を踏まえなければいけない」と釘を刺している。

 さらに(4)の「地域医療構想に影響を与える施策」では、医療従事者の確保、地域医療連携推進法人、地域医療介護総合確保基金、報道機関の関係について提言。釜萢氏は、「地域医療構想と病床機能報告制度を比較し、『2025年までに病床を減らさなければいけない』という報道がなされた」などと指摘し、病床機能報告制度や地域医療構想の「病床の必要量」の意味を理解するなどして、「今後も正しく適切な報道をしてもらいたい」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/593709
医療維新 シリーズ 日医代議員会
地域医療構想「公私の競合なら、公が撤退」、石川常任理事
第141回日医臨時代議員会、「心を鬼にして物を言って」中川副会長
 
2018年3月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の石川広己氏は、3月25日の第141回日医臨時代議員会で、地域医療構想の実現に当たって、「民間医療機関が、公立・公的医療機関等よりも、先に淘汰される事態が起きてはならない」と強調した。地域医療構想調整会議の協議の方向性と、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」の内容に齟齬が生じた場合には、プランの方を見直すことになっていると説明、「公立・公的医療機関等しか担えない分野に重点化しているかを検証し、公私の医療機関の競合があれば、公の方を撤退させることになる」と述べ、その調整を行う調整会議が非常に大きな役割を担うと説明した。

 この答弁に対し、山口県代議員の弘山直滋氏は、プランは出そろったものの、調整は2018年度に行うと説明した上で、「中には、『自分たちはこれをやるんだ』という感じもあり、今のところ調整に応じるような状況ではない。一方で、調整会議の議長は、郡市区医師会の会長であり、普段お世話になっている公立・公的医療機関等に対して、あまり強く言えないという現状がある」と現状を説明。

 日医副会長の中川俊男氏は、「地域医療構想がうまく進むかどうかは、医療法上で強い権限を持つ地域医療構想調整会議が機能するかどうかに尽きる」と述べ、調整会議の活性化を求めた。その上で、「普段お世話になっている公立・公的医療機関等になかなか物を言えない、というのはまさにその通りかもしれないが、『公的な仕組みとして言う』という形をぜひ作っていただきたい。公立・公的医療機関等よりも先に、中小民間病院が倒れるようなことが、絶対にないような仕組みになりつつある。ぜひ調整会議で、心を鬼にして物を言っていただきたい」と答弁した。

 関連で質問した奈良県代議員の大澤英一氏は、「県によっては調整会議が機能していない」と問題提起。奈良県ではホームページで、地域医療構想の目的として、病床削減等を明確に明記しており、急性期病床を40%削減する一方、在宅医療推進を挙げていることを紹介した。その在宅医療等の必要量も、現実的には対応が難しい数値であるとし、「県は国の定めた計算式でしか対応しないため、理想と現実には大きなギャップがある」とも指摘した。

 中川副会長は、「仮にホームページにそう書いてあるなら、それは間違い」と指摘。病床機能報告制度の病床数と、地域医療構想の「病床の必要量」を比較して、前者の方が多い場合、それは「削減」ではなく、「病床が余る」という認識を持つ必要があるとした。「病床の必要量は推計値であり、将来の推計患者数を病床の稼働率で割り戻した数。病床が余る場合、それをどうするかを話し合うのが調整会議」。さらに在宅医療等の必要量については、在宅医療に移行可能な数であり、無理矢理に移行させるわけではないなど、地域医療構想への正しい理解を求めた。

 「調整会議、医療法上の強い権限を持つ」
 弘山氏は、地域医療構想と救急医療について個人質問した。第7次保健医療計画の中の救急医療については、3次救急医療等については施策が記載されているものの、1次救急医療についてはわずかであると指摘。「地域医療構想が進捗していけば、急性期病床が減り、その結果、1次、2次救急医療の混乱を招きかねない事態が危惧される」とし、日医の考えを質した。

 石川常任理事はまず、「地域医療構想によって、その地域から医師や病床が減っていくのではない。人口変動等によって、医療ニーズが減少した結果、病床や医療機関、医師が減っていく事態に、どのように対応していくかだ」と基本的考えを説明。地域医療構想を推進していくことは、「各医療機関が病床の必要量や、他院の病床機能報告制度の報告内容も参考にしながら、自主的に自院がその地域でどのような方向性を持つべきかを考えていくこと」に当たるとした。

 その結果、その地域で不足している病床が手当てされていくことになるが、その過程で重要になるのは、医療法上、強い権限を持っている地域医療構想調整会議。「同会議の重要議題として、公私の役割分担がある。これからの超高齢社会、人口減少社会においては、特に地域の中小病院や診療所が重要になる。そうした民間医療機関が、公立・公的医療機関等よりも、先に淘汰される事態が起きてはならない」。

 さらに「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」の内容が、調整会議の協議の方向性と齟齬が生じた場合には、プランの方を見直すことになっていると説明。「公立・公的医療機関等がそこしか担えない分野に重点化しているかを検証し、公私の医療機関の競合があれば、公の方を撤退させることになる。したがって、調整会議が非常に大きな役割を担うことになる」。

 救急医療については、次のように答弁した。「超高齢社会の下、65歳以上の救急搬送が増加している。特に85歳以上は、前年比6%増となっている。高齢の救急搬送患者は入院が必要なケースが6割近くになる。入院が必要なかった場合でも、転倒、ヒートショック、脱水症状などでは救急搬送しなければ重症化する。そうした患者を受け入れる医療機関は、地域に密着し、2次医療や在宅支援を担っている中小病院や有床診療所であり、また初期救急を実施している地域の医師会や会員の先生方だ」。

 一方、人口が減少し、医療資源が少ない地域では、救急医療体制の弱体化も危惧される。このような地域においても、医療の切り捨てが起きないよう、国に対し、公私を問わず、地域医療を守っている地元の医療機関への財政的支援を訴えていくとした。「さらにドクターヘリーやメディカルジェットの充実、拡大、柔軟な運用を要請し、医療へのアクセスに地域差が生じないようにしていく」とした。

 最後に石川常任理事は、「地域包括ケアシステムを構築していく中で、地域に密着した中小病院や診療所は、在宅急変患者受け入れの体制作り、ひいては住民が安心できるこれからの町作りに欠かせない。日医としてその重要性を国に強く主張していく」と述べた。



https://digital.asahi.com/articles/ASL3W44RCL3WONFB00B.html?_requesturl=articles%2FASL3W44RCL3WONFB00B.html&rm=370
三重)病院統合も視野 松阪市検討委 
高木文子2018年3月28日03時00分 朝日新聞

 2025年に団塊の世代が75歳以上になるのを踏まえて、松阪市民病院のあり方を話し合ってきた検討委員会が27日、松阪市に答申した。市民病院など市内の基幹3病院が併存し、このまま救急対応の機能を維持し続けるのは難しいと指摘。近い将来の課題として病院の統合を挙げた。市は新年度、市民や医師会関係者らを交え検討を続ける。

 25年を見据えて、県は昨年3月、県内を8エリアに分けて地域医療構想を策定。松阪区域(松阪市と多気、明和、大台、大紀の4町)では人口減少や高齢化に伴い、救急対応を担う高度急性期・急性期の病床が16年度より578床過剰になるとされた。一方、リハビリなど回復期の病床は304床不足するという。

 松阪区域では市民病院(326床)、済生会松阪総合病院(430床)、松阪中央総合病院(440床)の3病院が、病床全体の約6割を占める。

 答申書は「医療機関などに与える影響が大きい」として再編案に具体的に踏み込まなかったが、答申書を竹上真人市長に渡した検討委の末永裕之委員長(小牧市病院事業管理者)は「市民病院と済生会病院の統合が一番現実的ではないかと考える」と語った。

 済生会病院は現在地の近くに新病院(400床)を2020年に開院させる計画があったが、現在は中断している。済生会病院は取材に「市民病院との統合も選択肢の一つ。統合の方向性によっては新病院が400床以上になる可能性もある」と話した。(高木文子)



  1. 2018/04/01(日) 11:20:07|
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Google Newsでみる医師不足 2018年3月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年3月31日
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Central Okanagan testing solution to ease BC doctor shortage
Globalnews.ca-2018/3/30 (カナダ)

Some relief may be on the way for B.C. residents without a family doctor thanks to a new program involving nurses. Finding a family doctor in the Okanagan and around B.C. can be very challenging. According to the Central Okanagan Division of Family Practice (CODFP), 20 per cent of Okanagan residents do not have a family physician. Recently the Central Okanagan became a testing ground for a new program funded by the Ministry of Health that involves nurses working in doctor's offices.


Bush doctor shortage in the spotlight, Turnbull government says
The Australian‎ - March 28, 2018 (オーストラリア)

While the number of medical graduates is increasing, there are serious challenges getting doctors into some areas and training programs for specialist positions. That has left Australia heavily reliant on overseas-trained doctors, while patients face long waits and high gap fees depending on where they live or what condition they have.
The Australian has learned the Department of Health has embarked on a new mapping project for GPs, separate to the District of Workforce Shortage measured used to determine, among other things, where overseas-trained doctors are allowed to work.


Employers Should Act Now to Deal With Looming Doctor Shortage
Inside INdiana Business‎ - Mar 28, 2018 (米国インディアナ州)

Today's healthcare landscape is changing rapidly, and it should come as no surprise that these changes are steadily impacting every single facet of the industry. From diagnostic tests to pharmaceutical costs to post-acute services, prices are steadily rising, and skilled workers are hard to come by.
Unfortunately, that worker shortage now includes primary care providers. In fact, there could be a shortage of up to 100,000 physicians by 2025, according to the American Colleges of Medicine. There are several factors contributing to this staggering shortage, including an increasingly competitive medical school application processes, regulations that cap the number of residency positions at hospitals, and an entire generation of providers aging out of practice faster than new physicians can enter.


Terrace doctor shortage getting worse
Upcoming resignations will push GP numbers below half of what’s needed
Terrace Standard‎ - Mar. 28, 2018 (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

For now, Northern Health and local general practitioners are relying on signing up out-of-area doctors called locums working on short and long-term contracts to provide primary care. The most visible sign of the physician shortage is the daily early morning line up of people on the sidewalk outside of the Lazelle Ave. Medical Clinic who are hoping to see a doctor that day.
With the number of GPs now on the decline, there are more specialists than GPs in Terrace, a total of 15. A further 16 specialists now visit from elsewhere.


How a team approach may help curb nationwide doctor shortage
WCPO‎ - Mar 26, 2018 (米国 オハイオ州)

It used to be so simple: You made an appointment with a doctor and would almost certainly see an M.D., someone who spent four years in medical school and then had at least three years of additional training, usually in a hospital.
But today you're likely to encounter a veritable alphabet soup of healthcare degrees: D.O., P.A., N.P., R.N., and N.D., to name a few. Who are all these people? What training do they have? Which one is best for you? And where's your good old M.D., anyway ?


(他に10位以内のニュースは、中国 (2)、カナダ(ブリティッシュコロンビア州、ノバスコティア州)、インド、からも)



  1. 2018/04/01(日) 11:19:22|
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