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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日
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Surge in DO students could help ease physician shortage
Crain's Chicago Business‎ - January 11, 2018(米国、イリノイ州)

A report touted this week by the American Osteopathic Association shows an 85 percent increase in osteopathic medical students since 2007. Now, about 1 in 4 medical students attends an osteopathic medicine college—an enrollment figure that has increased an average of 25 percent every five years. The report comes amid concerns that the United States is facing a physician shortage: The gap between physician supply and demand will range between 61,700 and 94,700 physicians by 2025, according to the American Association of Medical Colleges. A chunk of the shortfall is projected to be in primary care, a field in which many osteopaths specialize.


No Physician Shortage Despite Dire Warnings: Zeke Emanuel
Medscape‎ - January 24, 2018 (米国)

We can get into so many topics because you have had a big influence on healthcare policy in the United States with the Affordable Care Act (ACA) and many other things. But today's topic, a "physician shortage," is a special interest. You have had multiple writings on this, including a notable op-ed in the New York Times back in December 2013 with none other than our current Food and Drug Administration Commissioner, Scott Gottlieb.[1]
More recently, your reaction to the Association of American Medical Colleges (AAMC) report [predicting a shortage] was published in JAMA in May,[2] with subsequent correspondence—as you might expect because of controversy—going back and forth in September. Why don't you give us your own sense about a physician shortage in the United States.


Doctor shortage: Population outpacing physicians
IllinoisHomePage.net‎ - Jan 16, 2018 04:28 PM CST (米国 イリノイ州)

ILLINOIS (WCIA) -- The population is quickly outpacing doctors. Medial professionals are bracing for a massive shortage. Experts estimate, by 2025, there could be a shortage of up to 90,000 physicians nationwide. But, there's hope. A new survey shows an increase in medical students. A Chief Medical Officer from Southern Illinois University's medical school offered insight. He says more students are enrolling because there are more opportunities. For the past 20-years, more and more medical schools have opened up around the country; especially in rural areas where a shortage of doctors could have a bigger impact.


Doctors Nova Scotia blames doctor shortage on fee-for-service system
CBC.ca‎ - Jan 06, 2018 5:34 PM AT (カナダ ノバスコチア州)
 
Nova Scotia is losing family doctors to other provinces, notably New Brunswick, because of the "antiquated" way it pays for their services, says the president of Doctors Nova Scotia.
On Saturday, a group of family doctors met in Dartmouth to discuss different options of being paid for their work.
"We're in an antiquated model right now where the majority is fee-for-service, so it's a volume-driven service. Nova Scotia has to consider options other than fee-for-service or salaried models that don't really, frankly, do much for anyone," Dr. Manoj Vohra said.


Estevan hospital wait times rise due to physician shortage
Globalnews.ca‎ - January 24, 2018 7:22 pm (カナダ サスカチュワン州)

“Two of them were departures with virtually no notice. One was a suspension from the [College of Physicians and Surgeons of Saskatchewan] and another one left town to move home to South Africa almost overnight. That left an enormous amount of patients without a physician.”

The shortage of family physicians in Estevan has increased the amount of non-emergency cases in the emergency room and increased wait times. Physicians also aren’t taking on any new patients.

Hoffort says to address the shortage, St. Joseph’s Hospital has stationed a family physician in the emergency room from 8 a.m. to 5 p.m. Monday to Friday. Normally, the emergency room is covered by family physicians on an emergency, call-in basis.



(他に10位以内のニュースは、米国 アイダホ州、カナダ(サスカチュワン州2, ノバスコチア州)、ニュージーランド、からも)


  1. 2018/01/31(水) 08:18:00|
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1月28日

https://news.yahoo.co.jp/byline/takerodoi/20180127-00080935/
「西高東低」を2025年度までに縮小!…これは医療の話 
土居丈朗 | 慶應義塾大学経済学部教授
1/27(土) 18:52 YAHOO ニュース

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「西高東低」は冬の気圧配置だけでない。1人当たり医療費も(厚生労働省資料より)

1人当たり医療費の「西高東低」現象は、長年にわたり起きていて、知る人ぞ知る現象だった。今、初めてご覧になる方もおられるだろう。

厚生労働省が毎年公表している「医療費の地域差分析」によると、冒頭の図のように、都道府県別に1人当たり医療費をとると、概ね西日本の県で全国平均値より高く、東日本の県で低い。図の横軸(値が0)よりも上に棒グラフが伸びると、その県は全国平均値より高いことを意味する。横軸よりも下に棒グラフが伸びると、全国平均値より低いことを意味する。

もちろん、高齢化が他県より進む県だと、1人当たり医療費は高くなる。若年者より高齢者の方が1人当たり医療費は多くなるからだ。都道府県によって異なる年齢構成は、冒頭の図では調整済みである。年齢構成調整済みの1人当たり医療費を、北は北海道から南は沖縄県まで順に並べると、左側(東日本の県)では下側に棒グラフが伸び、右側(西日本の県)では上側に棒グラフが伸びる傾向がある。これを指して、「西高東低」と呼んだ。

2015年度において、1人当たり医療費が最も多い県は福岡県で、最も少ない県は新潟県である。冒頭の図は指数で示しているが、実額でいうと、1人当たり年間医療費は最も多い福岡県で64.1万円、最も少ない新潟県で46.6万円と、17.5万円の差がある。全国平均は53.7万円である。

こうした地域差があることが、なぜ問題なのか。

それは、わが国は「国民皆保険」で、全員が何かの公的医療保険に加入していて、同じように保険料を払っているのに、地域によって費やしている医療費が多いところと少ないところがあるからだ。しかも、あらゆる治療の単価(診療報酬)は、国が決めていてどの地域でも同じなのにである。

医療費を多く費やしたからといって、医療保険料や税金の負担が個人的により重くなることはない(患者負担は多くなるといえども)。でも、医療費の財源は、患者負担は1~3割であって、残りの7~9割は保険料と税金で皆が負担を分かち合っている。医療費をより多く使う県は、同じような負担でたくさん医療の給付を受けていることになり、より少なくしか使わない県は、医療費を多く使っていないのに他県の分までも負担をより多く負わされることになる。それは、公的医療保険制度が都道府県別の完全独立採算にはなっていないことに起因する。

もちろん、健康な人は医療費がかからないが、病弱な人やけがをした人は医療費が多くかかる。そうした個人差は、ここでは都道府県別に分析しているから、この「西高東低」現象には影響しない。なぜなら、どこの地域でも、10万人や100万人という単位でみれば、統計的にみて病弱な人やけがをする人は一定割合いるし、健康な人も一定割合いて、個人差は統計上薄まる(統計学の用語でいうと大数の法則が成り立つ)からである。最も多い福岡県の人が、最も少ない新潟県の人より、平均的にみて顕著に病弱だという話は聞いたことがない。もし、どこの都道府県でも同様の疾病率(病気にかかる確率)であれば、年齢構成調整済みの1人当たり医療費は、ほぼ同じになって不思議ではない。

なのに、現実にはそうではないことを、冒頭の図は物語っている。つまり、保険料や税の負担はほぼ同じなのに、受けている医療の給付(医療費)が都道府県によって異なるということだ。

過疎部で医師不足とか病院の閉鎖とかが問題となっていて、都市部との間で受けられる医療に格差があるという現象もある。ただ、冒頭の図を見ると、過疎部の県で1人当たり医療費が少なく、都市部の都府県で多いというわけでは決してない。だから、僻地医療の問題は別途解決すべきだが、それと「西高東低」とは様相が少し異なる。

医療費の「西高東低」現象の背景には、単純化していえば、同じ傷病で似たような状態でありながら、地域によってその治療法が異なり、割高な治療法を使っている地域もあれば、うまく医療費をかけずに治療ができている地域もあるということである。逆に見れば、1人当たり医療費が高い県では、恩恵を受けているというより、同じ傷病でもより割高な治療費(の患者負担)を払わないと治してもらえないという意味で不幸なことでもある。同じように医療保険料や税金を負担してお互いに支えあっているのだから、せめて医療費で目に余る地域差があれば縮められるようにしてはどうか。

それに、医療保険料は、毎年のように引き上げられ、将来どれほど負担増になるか先行きが見えない。国民に負担に余力があって、こうした地域差に目くじらを立てなくてもよいではないかというならいざ知らず、さすがに負担増にも限界があるというなら、こうした地域差をより良い形で縮小する方策が望まれる。

ここでいう地域差の縮小は、あらゆる差異を遮二無二なくせ、というわけではない。同じ傷病で似たような状態の患者に、うまく医療費をかけずに治療ができる地域があるなら、その好事例を他の地域でも見倣えば、なくせる不合理な地域差を是正できる。つまり、地域差の縮小は、好事例に他地域も倣うということだ。そうすることで、わが国全体の医療費をうまく節約できる。

地域差縮小の方策

医療費を抑制できれば、我々が支払う保険料や税金の負担をより軽くできる。ただ、必要な医療が受けられないことがあってはいけない。必要な医療を適切に残しつつ、患者の健康のためにもなっていない医療費があれば、それを節約してゆく。ではどうすればよいか。

冒頭の図をみると、「西高東低」現象の要因を分解すると、最も大きいのは「入院」(赤色の棒グラフ)によって起きていることがわかる。既に政府もその原因を突き止めていて、入院医療費が1人当たりで多い西日本の県では、人口に比して概ね、病床(病院のベッド)が多かったり、入院患者の割合(入院受療率)が高かったりしていた。だから、病床の配置を患者のニーズにマッチさせるように再編することで、不必要な病床をなくし、必要な病床を整備することができ、全体として医療費を節約できる。この取組みが、「地域医療構想」である。「地域医療構想」についての詳細は、拙稿「少子高齢化社会でも日本の医療費は見直せる 地方の医療を救う『病院再編』とは?」を参照されたい。

「地域医療構想」は、2025年度までに各地域で病床の機能分化と再編を進めるよう、2015~2016年に各都道府県で既に策定された。これを踏まえ各都道府県が策定する「第7次医療計画」が、2018年度から6か年計画でスタートする。「地域医療構想」に盛り込んだ入院医療での地域差を縮小する取組みは、「第7次医療計画」がスタートする2018年度から、いよいよ本格化する。

入院医療だけではない。外来医療についても、「第7次医療計画」と同時期に策定し実行する「第3期医療費適正化計画」で改善に取り組む予定である。「第3期医療費適正化計画」では、特定健診・保健指導の実施率向上、後発医薬品の普及、糖尿病の重症化予防、多剤投薬や重複投与の是正について、具体的な医療費抑制額も含めて、各都道府県で策定し実行することとしている。その中でも、キーワードとなるのが、地域差の縮小である。効能がほぼ同じでより安価な後発医薬品の使用促進や、飲み合わせが悪く副作用が生じる恐れのある多種類の薬を同時に処方しないようにする取組みなどが、他県より遅れていれば、それを是正するよう努力することで、その地域の患者の健康のためにもなるし、医療費を抑制することにも貢献する。

医療費の地域差縮小の先にあるもの

上記の話は、既に昨年までに議論が進んでいるもので、最新ニュースというわけではない。なのに敢えてなぜ、今取り上げたか。それは、1月23日に開催された経済財政諮問会議で、今夏に取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2018」に、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を盛り込むための議論がキックオフしたからである。

同会議で内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算(2018年1月試算)」では、基礎的財政収支の黒字化が後退する姿が示された。その含意は、拙稿「経済成長率低下は、基礎的財政収支にこう影響した:内閣府中長期試算の含意」で述べた通りだが、要するに、2020年代前半にかけてさらなる歳出改革が必要であることが浮き彫りとなった。

内閣府の「中長期試算(2018年1月試算)」には、前掲した「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」の改革効果は織り込まれていない。もちろん、介護や教育など他の歳出改革も織り込まれていない。実は、介護にも、医療と似たような地域差があり、その地域差の縮小が2020年代前半にかけて求められる。介護でも、他県の好事例に倣えば、質を落とさずに介護費を適切に抑制できる。ただ、介護の話は稿を改めることにしたい。

歳出改革は医療だけではないが、関係者も合意の上で「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」が取りまとめられ、その中で地域差の縮小が進められようとしている。これらは、当然ながら、第一義的には国民のQOL(生活の質)向上のためだが、意義ある副次的な効果として基礎的財政収支の改善にも貢献する方策となる。追加的な負担増を避けつつ、国民のQOL向上にも資する方策を、積極的に推進してゆくことが求められる。



https://dot.asahi.com/dot/2018012400075.html
国が推進する「総合診療医」を、現役医師がオススメしない理由 
連載「メディカルインサイト」
上昌広2018.1.26 07:00 dot.朝日

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医学生にも人気の「総合診療医」について解説している。

*  *  *
 近年、厚生労働省は「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師の養成」を目指しています。

 NHKも「総合診療医ドクターG」という番組を放送しており、人気を博しているようです。ホームページには「病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する!」と書かれています。新聞でも、「総合診療医」について好意的な記事が目立ちます。医学生にも、「総合診療医」になりたいという人が珍しくありません。

 しかし、総合診療医の実態は、世間一般のイメージからかけ離れています。

 私は、総合診療医に憧れている医学生に対しては考え直すように勧めています。厚労省が言うように「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師」が養成できれば、実に素晴らしいことです。しかし、医師は一つの診療科に習熟し、一人前になるまでに、10年近くかかるといわれています。いくつかのジャンルで習熟できたとしても、全ジャンルでエキスパートになることは、現実的ではありません。

 厚労省が総合診療医を勧めるのは、患者や医師にとってメリットがあるからではありません。総合診療医が厚労省にとって都合がいいからです。

 私は、その本当の理由を医療費削減だと考えています。 

 総合診療医の議論が始まったのは1980年代です。当時、医師誘発需要説・医療費亡国論が議論されていました。厚労官僚の友人は、「一人の医師が複数の専門領域を診ることができれば、医療費は抑制できると考えたようだ」と言います。

 このように考えるのは、我が国に限った事ではありません。経済協力開発機構(OECD)は「健康増進のための最も費用対効果が高い方法はGeneral Practitioner によるプライマリケアである」と述べています。総合診療医を推進する理由は、患者満足度ではなく、金ということになります。

 医師不足が社会問題化したため、厚労省にとって、総合診療医の価値がさらに上がりました。総合診療医を育成すれば、医師不足を緩和できるかもしれないと考えているからです。つまり、総合診療医推進は、専門医偏重の医療界、特に大学に疑問を持つ医師と、医療費抑制や医師不足対策を進めたい厚労省の思惑が合致した結果と考えられるのです。

 我が国の財政状況を鑑みれば、確かに医療費抑制は課題の一つでしょう。私も、総合診療医を増やすことが医療費の抑制に貢献する可能性は十分にあると思います。ただし、これはあくまで政府の視点です。これが国民にとって、本当にいいことかはわかりません。

 この問題を考える際には、正確な情報を国民と共有し、オープンに議論すべきです。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/388884/
揺れる竹田市の救急医療 医師会病院で「拒否」増 「適正な受け入れ水準に戻した」 [大分県] 
2018年01月25日 06時00分 西日本新聞朝刊

 竹田市医師会が運営する竹田医師会病院(同市)で、元院長の懲戒解雇に端を発し、混迷が続いている。元院長が不在となった2017年12月に救急拒否の件数が増加。市民からの不安の声を受けて、市は病院に救急医療体制の確保を要請した。一方、病院側は「今までが無理をして受け入れており、適正な水準に戻しただけだ」と主張する。竹田市は県内でもとりわけ高齢化が進む自治体だけに、地域医療の危うさも見え隠れする。

 元院長は石井一誠氏(42)。関係者によると、医師会は「看護師へのパワハラや患者情報の漏えいなど、コンプライアンス(法令順守)違反があった」として昨年12月1日から自宅待機とし、同22日付で懲戒解雇にした。石井氏は「事実誤認で不当解雇」と大分地裁竹田支部に地位保全の仮処分を申し立てている。

 病院は内科、外科、整形外科、小児科、リハビリテーション科を掲げ、ベッド数は156ある総合病院。石井氏が16年1月に院長に就任し、同4月に2次救急病院の指定を受けた。竹田市の2次救急指定病院は他に大久保病院(同市久住町)があるが、市中心部からは約11キロ離れている。同市は救急患者の受け入れ数に応じて補助金を出しており、補助金額(16年度)は医師会病院が1660万円で、大久保病院は1400万円だった。

■院長解雇が影響か

 竹田市消防本部などによると、16年4月以降の医師会病院の救急受け入れは、ほぼ100%。毎月の拒否件数は0~2件だった。しかし17年12月は「専門外」「他の患者対応のため」などの理由で23件を断った。受け入れ要請の約3割に当たる。

 医師会側は「医療体制に変化はなく、救急治療も変わらず行う。拒否件数については、そもそもマンパワーが足りておらず、専門外の措置も行って医療過誤の可能性もあったので、適切に受けられる範囲に切り替えただけ」と説明する。24日には市役所を訪れ、非公開で同様の説明をしたという。

 同本部によると、現段階で拒否に伴う深刻な影響はない。ただ、市民からは「救急病院として今後、大丈夫なのか」「救急をやめるのではないか」といった懸念が出ている。「石井氏がいなくなった影響ではないか」という指摘もある。

■熊本県からも関心

 こうした事態について、ある医療関係者は「専門外でも応急処置などできることはある。点滴のルート確保だけでも全然違う」と指摘する。病院関係者の1人は「医師会病院が拒否すれば、場合によっては大分市まで運ばなければならない。けがや病気への対応が地域で完結できなくなり、住民に申し訳ない」と声を潜める。

 竹田市の高齢化率は44・29%(17年3月末現在)で県内では姫島村に次ぐ高さ。住民の男性(70)は「みんな医師会病院を救急病院として頼っている。税金が入っているなら、地域医療を充実させる責任を果たすために行政も対策を練るべきだ」と話した。

 県境を越えた熊本県阿蘇地域でも関心を呼ぶ。同地域は16年4月の熊本地震で熊本市内への交通アクセスが悪くなり、医師会病院と冬季の救急について協力態勢を構築しているためだ。阿蘇地域の医師会や消防の関係者は「今のところ影響はない」としつつも「推移を見守りたい」と状況を注視している。

■市は医師確保要請

 「ドクターヘリやDMAT(災害派遣医療チーム)の出動などで石井院長が果たしてきた役割は大きい。その院長がいなくなると、市民の不安は計り知れないものがある」。同市の首藤勝次市長は、17年12月27日付の自身のブログに書いた。市は18年1月9日付で医師会病院に提出した要請書で石井氏の解雇に伴い医師数が減ったことから、2次救急病院として体制を堅持できるよう速やかな医師の確保に加え、市民の不安の払拭(ふっしょく)などを求めた。

 県医療政策課は「患者の行き場がなくなるような状況ではないと認識しているが、救急態勢の維持に向け、いま一度、関係病院や機関で意思疎通を図りたい」としている。高齢化は進み、社会保障費が膨らむ中、医師の不足や偏在、過重労働の問題も指摘されている昨今。医療サービスの受け手である市民も含め、あらためて地域医療を考えることが求められている。



http://www.medwatch.jp/?p=18436
医師不足地域で勤務した医師を「社会貢献医」として認定、2020年度の施行目指す―社保審・医療部会 第59回(2) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MEDWATCH

 医師不足地域で勤務した医師を、厚生労働大臣が「認定社会貢献医」(仮称)として認定する新制度について、2020年度の施行を目指す―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会で厚生労働省は、このような内容の医療法・医師法改正案の概要を示しました。認定制度の創設には、医師不足地域での勤務を医師個人に促す狙いがあり、認定された医師を雇用する医療機関に「経済的インセンティブ」を与えることで、医師不足地域で勤務したい医師を医療機関も後押しする仕組みにします。厚労省は、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指しています。

 医療部会では、▼早急に実施する医師偏在対策▼地域医療構想の進め方▼救命救急センターの充実段階評価の見直し―などが議題となっています。本稿では、医師偏在対策の概要をお伝えします。

ここがポイント!
1 「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間
2 都道府県の体制強化は3段階で実施
3 医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間

 今般の医師偏在対策の柱は、(1)医師少数地域での勤務を医師に促す環境整備(2)都道府県の体制強化(3)外来医療機能の偏在などへの対応―です。

今般の医師偏在対策は、▼医師の少ない地域での勤務を促す環境整備▼都道府県における体制整備▼外来医療機能の不足・偏在等への対応―3つの柱で構成される (図 略)

 このうち(1)の環境整備は、▼医師不足地域にある医療機関での医師の勤務環境を良くする▼医師個人に、医師不足地域での勤務にメリットを感じさせる―の両面から進めます。

医師不足地域で一定期間以上勤務した医師を「認定社会貢献医」(仮称)に認定する制度が創設される。医療機関には、認定を受けた医師を雇用することなどにインセンティブが付与される (図 略)

 現状、医師不足地域での勤務に対して医師が抱くイメージには、「自分の代わりに働く医師がいないため、休みがとりづらい」「自分の専門外の患者にも対応せざるを得ないが、別の医師からアドバイスをもらいづらい」のようにネガティブなものもあります。

 そこで厚労省は、次のような対策に取り組む方針です(どちらも法改正は不要)。

▼都道府県が医師不足地域に医師を派遣するに当たり、複数人を交代で派遣することで、休みをとりやすくする
▼医師不足地域に派遣された医師が、専門外の患者に対応できるように、地域の中核病院の医師が助言などを行う

 一方で、今般の医療法改正では、「医師不足地域で一定期間勤務した医師」を厚生労働大臣が「認定社会貢献医」に認定する制度を2020年4月に創設。一定の経過期間を置いた上で、この認定を受けた医師でなければ「厚生労働省令で定める病院」の開設者(院長)に就任できないと規定する見通しです。

 「厚生労働省令で定める病院」としては今のところ、地域医療支援病院のうち、医師派遣機能を有する病院が当たると想定されています。ただし、全国に543施設(2016年10月時点)ある地域医療支援病院の多くが、医師派遣機能を有していないのが実情で、「厚生労働省令で定める病院」の範囲は、今後も重要な論点になりそうです(関連記事はこちら)。

 なお、厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長は、認定された医師を雇用する病院などを「予算面や税制面でも併せて評価する」ことにより、認定を目指して医師不足地域で働く医師を増やしたい考えを強調しています。この点、病院に与えられるインセンティブの例には「診療報酬上の評価」も挙がっています。2020年度以降の診療報酬改定で、何らかの加算が創設される可能性もあり、地域医療支援病院以外の病院にとっても注目すべき制度となります(関連記事はこちら)。

都道府県の体制強化は3段階で実施

 (2)の「都道府県の体制強化」について今般の法改正では、「A県出身の医師が、A県内の大学医学部に入り、卒後2年間の臨床研修をA県内の病院で行うと、臨床研修修了後もA県内で勤務する割合が高い」という厚生労働省調査結果を踏まえた対策を、都道府県が講じるための体制整備が、▼第1段階(改正法の公布日に施行)▼第2段階(2019年4月施行)▼第3段階(2020年4月施行)の―3段階で進められる見通しです。

都道府県が大学などとしっかりと連携し、地元出身医師の養成・定着策などを講じることが求められる(図 略)

 まず第1段階(改正法の公布日に施行)では、都道府県の医師確保関係の会議体が、「医師派遣については地域医療支援センター運営委員会」「専門医養成については都道府県協議会」のように乱立している状況を改め、「地域医療対策協議会」で一括して協議する体制に再編します。地域医療対策協議会には、大学医学部やその付属病院、主要な医療機関の関係者を参加させることで、後述する「地元出身者枠」の設置のような医師確保対策を、大学などと連携して実現させやすくします。

 次に第2段階(2019年4月施行)では、都道府県知事が大学医学部に対して「地元出身者枠」や「地域枠」を設けるよう要請できる権限を付与します。また都道府県に、医療計画の中で「医師確保計画」を規定するよう義務付けます。医師確保計画は、「地域の医療需要に見合う医師確保の目標値」などで構成され、その達成に向けた協議は地域医療対策協議会で行うことになります。「医療需要」を計算する際には、▼今後の総人口や人口構成の変化▼患者の流出入▼交通アクセス―などを加味します。なお、施行日から一定の猶予期間が設けられ、例えば、第7次医療計画の中間見直し時期(2021年4月)までに、医療計画に追記することが求められる見通しです。

 さらに第3段階(2020年4月施行)で、都道府県知事に▼臨床研修病院の指定権限▼臨床研修病院ごとの研修医定員の設定権限―を付与し、都道府県自ら「地元出身者らに魅力的な研修医プログラム」を用意できる体制を整えます。ただし、都道府県の裁量をあまりに大きくすれば、臨床研修の質を確保することが難しいため、研修の質を担保するために、大本となる「臨床研修病院の指定基準」や、「都道府県ごとでの研修医定員」は引き続き国が定めます。

 これら都道府県知事の権限強化によって、医師不足地域にある医療機関では、必要な医師数を確保しやすくなると期待されます。

医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

 (3)の「外来医療機能の偏在対策」は、地域医療対策協議会ではなく、医療関係者が地域ごとに集まって検討していくことになります。具体的には、今般の法改正で、外来医療の提供体制に関する「協議の場」(医療提供者や保険者、住民代表などで構成)を、二次医療圏単位で都道府県知事が設置する規定が設けられる見通しです(2019年4月施行)。いわば「外来版の地域医療構想調整会議」に当たり、地域医療構想調整会議を充てることも認められます(関連記事はこちら)。この「協議の場」では、現存する外来医療機関の数や診療科などを踏まえて、「救急の外来患者にどの医療機関が対応するか」や「医療設備・機器などの共同利用をどう進めるか」などを話し合います。さらに、都道府県が医療計画に、外来医療に関する提供体制を確保するための施策などを記載することも求められるようになります(2019年4月施行)。

外来医療の提供体制については、二次医療圏単位で関係者が協議する(図 略)

 ほか、今般の法改正では、来年度(2018年度)から全面スタートする新専門医制度が、医師の地域偏在を悪化させる事態を招かないように、厚生労働大臣に、専門医の認定や養成を行う日本専門医機構に対して「必要な措置の実施」を要請する権限が与えられる見通しです(改正法の公布日に施行)。

厚生労働大臣から日本専門医機構に意見を述べる仕組みを法定する(図 略)

 この点、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は、厚生労働大臣が、日本専門医機構のほか「専門医養成に携わる学会」に対しても、必要な要請を行える体制にしたいとの考えを示しましたが、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「行政が学会に対して権限を持つことは、学会の本来の有り様と相容れない」と慎重な姿勢を表明しました。その一方で、神野正博参考人(全日本病院協会副会長、猪口雄二・全日本病院協会会長の代理出席)は「学会に対する権限も確保した方が、偏在対策には有効だ」と主張しており、学会への関与の在り方が論点となりそうです。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0122512632/
医師が長時間残業、杏林大病院に是正勧告...割り増し不足分3億円を支給〔読売新聞〕 
(2018年1月22日 読売新聞)

 杏林大学病院(東京都三鷹市)が、医師に労使協定(36協定)の上限を超える残業をさせ、残業代の支払いも不十分だったとして、病院を運営する杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。

 同学園は、医師約600人に残業代の割り増し不足分計約3億円を支給した。

 同学園によると、病院に勤務する研修医を含む医師計約700人との間で、特段の事情が発生した場合の残業時間を最大月70時間とする労使協定を締結。

 しかし、同労基署から、医師の残業時間について、厚生労働省が「過労死ライン」とする2~6か月平均80時間を十数人が超え、月100時間を超えた医師も数人いたとの指摘を受けた。体調を崩した人はいなかったという。

 また、医師約600人の残業代の割り増し分も、労働基準法の割増率を下回っていた。同学園は昨年12月、同労基署の調査対象となった昨年4~9月の不足分を一括で支給した。

 担当者は「是正勧告を重く受け止め、改善に着手している」と話している。



https://www.kochinews.co.jp/article/155534/
室戸中央病院が内科外来 医療確保へ高知県室戸市と協定 
2018.01.27 08:30 高知新聞

 高知県室戸市と、室戸中央病院(同市室津)を運営する医療法人「愛生会」は26日、地域医療の提供に関する協定を結んだ。室戸病院(同市元甲)が今月末で閉院するのに伴うもので、愛生会は外来診療の強化や一般病床の確保などに努め、市は必要な機器の整備や医師、看護師らの雇用に対して経費を補助する内容。協定を受け、まずは室戸病院の常勤医師1人を2月から室戸中央病院で雇用し、内科の外来と往診を行う。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582473
日病協議長「7対1、30%はハードル高い」
大学病院は「対策迫られる」
 
レポート 2018年1月26日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏(全国公私病院連盟常務理事)は1月26日の記者会見で、同日の中央社会保険医療協議会総会で入院医療の再編・統合で現行の一般病棟入院基本料「7対1」に相当する「急性期一般入院料1」の「重症度、医療・看護必要度」該当患者割合の基準値が2018年度診療報酬改定での新定義で30%とすることが決まったことについて、「地域や病院によってクリアできないところもある。かなり厳しい、ハードルが高いと受け止めている」と述べて懸念を示した(『入院医療「7対1」相当の患者割合は新定義で30%』を参照)。

 副議長の山本修一氏(国立大学病院長会議常置委員長)は、「公益裁定による結論のため粛々と受け入れて対応しなければいけない」と述べた上で、特定機能病院入院基本料の該当患者割合は新定義で28%になるのではとの見方を示し、重症度、医療・看護必要度の基準として加わる「モニタリング及び処置等に係る得点(A得点)が1点以上、患者の状況等に係る得点(B得点)が3点以上で、かつ『B14 診療・療養上の指示が通じる』又は『B15 危険行動』のいずれかに該当」について、「大学病院は認知症やせん妄の患者が少ない。この基準で現行の25%から3ポイント分増えるかどうか。対策を迫られると認識している」と述べた。

 山本氏によると、1月26日の代表者会議で出た意見は、入院医療に関して「中間的な評価ができ、7対1から下りやすくなった」、「看護師の奪い合いをしなくてよくなる」など。また、働き方改革で医師をはじめとして医療従事者の常勤配置に関する要件が緩和され、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能になることについて、「働き方改革の方向性に一致する」として評価する声もあった。1月26日の中医協総会で提示された附帯意見案については、救急に関する項目がないため、追加してほしいとの意見が上がった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582223
「外科専攻医1人のみ」が3県という現実直視を - 末永裕之・日病副会長に聞く 
新専門医制度による医師偏在、検証データの公表不可欠
インタビュー 2018年1月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度はこの1月に2次募集を締め切り、2月には2018年度から研修を開始する専攻医数が確定するが、2017年12月に1次募集の採用数が判明した時点で、既に医師の地域、診療科偏在が増長する懸念が呈せられている。
 当初は2017年度からスタート予定だった同制度は1年延期されたが、仕切り直す以前の制度に対して早くから地域医療に影響する可能性を指摘していた一人が、日本病院会副会長の末永裕之氏(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。末永氏に、新専門医制度の現時点での受け止めをお聞きした(2018年1月25日にインタビュー。全1回)。

――1次募集の採用結果をどう見ておられますか。

 皆さんが心配されているように、「東京一極集中」「内科、外科の専攻医が減少」などの報道があります。シーリング(東京都など5都府県の14の基本領域の専攻医は、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないとするルール)がかかっているのに、なぜ東京都の専攻医が増えたのでしょうか。「マイナーな科に専攻医が流れている」という話もありますが、シーリングがあるのはマイナー科でも同様です。

 私も「東京一極集中」などの傾向については、恐らくそうかもしれないと思っていますが、過去5年間の専攻医の採用実績などのデータが公表されていません。日本専門医機構がデータを公表しない限り、医師の地域、診療科偏在が増長したのか否か、確たることは言えないのです。

 もっとも、現時点で明らかなことがあります。それは1次募集で採用が決定した外科専攻医数を見ると、5人以下が14県、うち3県は1人のみという事実です。内科専攻医数も、1桁が2県、20人未満が計16県。

  外科専攻医が1、2人しかいない状態が続いたら、その県では中小病院はもちろん、県立中央病院クラス、さらには大学病院ですら成り立たなくなってしまうでしょう。もし私がこうした県の大学教授だったら、暗澹たる気持ちになります。

 内科でも同様です。専攻医数が最小の県は5人であり、9人、11人の県もあります。この程度の数では将来的に、県内の各病院が内科医確保に苦労するのは目に見えています。

  基本領域の中でも、内科と外科の専攻医を確保できない県は、本当に大変です。こうした県で働いている医師たちはとても不安に思うでしょう。それをどう解消していくかも課題です。専攻医が来なければ、「将来の見通しが暗い」と考え、それより上の医師も集まらなくなってしまうでしょう。

 日本専門医機構は問題があれば、早急に対応すると言っていました。仮に日本全体の総数として、内科や外科の専攻医数を問題なく確保できたとしても、専攻医少数の県がある以上、日本専門医機構は検証のためのデータを早く集め、地域医療の崩壊につながるようなことが生じていないかを検討し、必要があれば調整を図る必要があります。各学会も対応を検討する必要があると考えています。

――そもそも新専門医制度の運営の在り方を検証するためのデータが公表されておらず、現時点で比較可能な公のデータは「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)です(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。

 日本専門医機構は、新専門医制度では、「本籍地」(基幹病院)の専攻医数として登録されるため、「現在地」(基幹病院から連携病院に派遣されている専攻医数)を踏まえて分析する必要があると言っています(『「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構』を参照)。

 ただ、(末永氏が病院事業管理者を務める小牧市民病院のある)愛知県の場合には、県をまたいで派遣されている専攻医数はわずかです。「現在地」が重要であれば、それが明らかになるよう調査する必要があります。他にも1次募集による採用数と、2014年三師調査を比較できない理由を説明されていますが、それも推測にすぎません。だからこそ、医師偏在が増長したか否かを検証するためのデータを出してもらいたいと考えているのです(『四病協、専攻医登録で「丁寧な情報開示を」』を参照)。

  新専門医制度が始まり、問題が起きればそれを早く直すことが必要です。修正がないまま数年続いたら、その問題が固定化してしまいます。仮に東京都で研修したいために、内科専攻医の定員がいっぱいでマイナー科を志望した専攻医が多いとしたら、医師養成数を増やしても偏在対策には何の意味もないことになります。

  私は日本専門医機構の理事をしていた時に、「各地域の疾患別患者数を分析、どのくらいの専門医が必要かをシミュレーションし、それぞれの地域で必要な専門医を養成していくことが必要」と言ったことがあります(編集部注:末永氏は2016年6月まで同機構の理事)。その際は、「新専門医制度はより良い専門医を養成することが目的であり、医師偏在の問題を考えるのは行政の仕事」と言われました。しかし、今の状況を見るとそれでいいのでしょうか。これはプロフェッショナル・オートノミーの中で考えていかなければいけない問題だと思います。

 仮に大都市部の大学や病院に専攻医が集中するなら、地方の医療機関にいかに派遣するか、そのシステムを検討していかないと、地方の医療は崩壊しかねません。

――ところで愛知県では、「名大方式」、つまり初期、後期研修は市中病院で行い、その後に大学に戻る医師が多いとお聞きしています。

 はい。だから愛知県には、新専門医制度そのものについて、以前から反対の声がありました。医師は、基幹となる市中病院で5年以上研修して専門医を取得、その後に大学に戻るケースが一般的でした。しかし、新専門医制度では循環型研修のため、市中病院は、専攻医を一定期間、他の病院に派遣しなければならなくなります。その間はどう対応すればいいのでしょうか。

  なお、愛知県の人口10万人当たりの医師数は、47都道府県別で見れば少ないのですが、シーリングの対象になりました(編集注:2016年三師調査で38位)。シーリングはどんな基準でかけ、どんな制御が働いたのかについても、明らかにする必要があります。愛知県の場合、内科専攻医数が減っており、この減少した数値を基に翌年もシーリングがかかれば、どんどん内科専攻医が減少していくことになりかねません。

  循環型研修については、身分保障の問題もあると思います。私が日本専門医機構の理事をしていた時から検討していましたが、まだ規定はできていないと思います。給与や各種保険の扱いなどは病院によって異なってくるでしょう。給与もあまり出ず、生活のために当直のアルバイトなどに行くのは本末転倒です。そうした辺りの詰めも含めて、制度設計が甘いのでは、と思います。

――いまだ基本領域とサブスペシャルティの関係も整理されていません。

 その点も含め、新専門医制度は「見切り発車」と言えるのではないでしょうか。

――プロフェッショナル・オートノミーがうまくいかなければ、行政の関与が強まる可能性があります。 

  だからこそ各学会、各地域の大学、地域の病院の先生方が声を上げ、まずは各種データの公表を求めていく必要があります。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52085
一度は廃院を決めた小さな病院の再生物語
地域包括ケアの重要拠点として専門医も続々参加へ
 
2018.1.26(金) 藤井 雅巳 JB PRESS

 2017年12月14日木曜日、東京都町田市の小高い丘の上に温かな風が吹いた。

 今までは、人気(ひとけ)も全くなかったとある小さな病院のロビーフロアは、地域の医療機関や介護・福祉施設、地元の高校の学生や地域の住民であふれ返っていた。

 それは、東京都町田市の自然豊かな丘陵地帯にひっそりと存在してきた「まちだ丘の上病院」が地域を支える医療機関として蘇生し、2025年問題*1へ挑戦蘇生するを始めた物語の序章である。

 実際にこの病院で起こった小さな奇跡とも言える物語を、事実関係と奇跡の要素要因を分析を踏まえながら紹介したい。キーワードは「夢(ビジョン)を持つこと」そして「有言実行」である。

*1=2025年問題:団塊の世代が75歳以上になり、全国で約43万人が施設と専門人材不足を背景に必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による問題。

類を見ない障害者の治療をする病院

 「まちだ丘の上病院」は、つい半月前までは「南多摩整形外科病院」という名称で呼ばれていた。地域の住民もそこに病院があるのかどうかも知らない、人気(ひとけ)のない丘の上に存在するこの病院は、実は知る人ぞ知る著名な医療機関だった。

 「南多摩整形外科病院」は、脳性麻痺による重度身体障害児(者)の機能改善を手がける、全国や時には海外から患者が指名で集まる医療機関だった。

 故・和田博夫博士の甚大なる尽力により、当時の美濃部東京都知事の政策的な後押しもあり、「南多摩整形外科病院」は産声を上げることとなった。その後、和田博士の急逝もあり、一時期はこの特異な専門医療を中断しなければならない時期があったという。

 しかしながら、病院を必要とする患者の会や多くの支援者の支えもあり、松尾隆前院長を迎えて、機能改善医療を再開するに至ったという歴史を持つ。多くの支えの中で歴史を刻んできた医療機関だった。

 しかし、継承者不在という全国の中小病院が等しく抱える課題は「南多摩整形外科病院」にとっても同様だった。

 しかも、あまりにも特殊な技能を持った医師によって支えられていたこの医療機関にとっては、経営の継承問題は人間国宝の伝統工芸を継承するかのごとく難しい課題だった。

 そんなアキレス腱を抱えながら存続していた「南多摩整形外科病院」に不幸が襲いかかることになる。院長が倒れたのである。2016年暮れのことだった。

 松尾隆院長は一命をとりとめ、その後現場復帰するも、長い休養期間と年齢という生命の限界には抗うことができず、「南多摩整形外科病院」は、かつての活気を取り戻すことはできなかった。

 そればかりではなく、期間損益で大幅な赤字計上を余儀なくされていたため、財政的にも窮状に瀕していた。そんな中、一人また一人と多くの医療専門スタッフは離れていった。

絶望の中訪れた転機、そして蘇生へ

 もはや、この病院が蘇ることはないのだろうか。多くの職員はそう考えていたに違いない。

 職員も含め、皆があきらめそうになりかけた時、この医療機関にとって大きな転機が訪れた。

 医療・福祉で地域を元気にする活動をしている諏訪中央病院名誉院長の鎌田實を所長とする我々「地域包括ケア研究所」との出会いがあり、経営の支援が決まった。

 そして、この厳しい状況下にありながらも未来に向かって歩み始めた医療機関に対して温かい心ある金融機関が現れた。融資実行を決断してくれたのだ。

 それらの出会いは、とても細い細い糸をたどるように偶然の出会いによって訪れた。しかし、その偶然は「夢(ビジョン)を持つこと」、そして掲げた目標を実践するという「有言実行」を成し遂げることを通じた、必然によってもたらされていると言えるのではないだろうか。

 病院の中に一握りの希望を持ち続けた職員がいたことがきっかけとなり、その希望を形にする方針と具体的な行動目標を示し、職員が皆で実行し切ったことが要因にほかならない。もう少し具体的に順を追って説明していきたい。

 2017年12月1日、ひっそりと「南多摩整形外科病院」はその歴史は幕を下ろした。「まちだ丘の上病院」として、蘇ったのだ。名誉院長には地域包括ケア研究所の鎌田實所長が就任した。

 そして、院長には最先端の外科医から教育者を経て、複数の医療機関の病院長を経験した経験豊富な金良一医師が着任した。

 院長は、我々が描く「温かい地域創り」に医療分野から取り組んで行く活動に共感して集まった夢(ビジョン)を共有した仲間だ。初めの「有言実行」は、組織の中心となる医師体制を構築することだ。

 本来なら潰れかけの病院へわざわざ飛び込んで来る医師はいない。ましてや輝かしいキャリアを持った医師であればなおさらだ。地域包括ケア研究所が医師体制構築という実現困難な有言実行を果たしたのだ。

 職員は当日を迎えるまで半信半疑だったに違いない。しかしながら、その日新たな院長を迎えたことは、組織に小さな自信をもたらした。

地域の多くの期待が後押しに

 閉院寸前まで来ていた病院は、こうしたメンバーに支えられて蘇った。そして、「まちだ丘の上病院」を地域にお披露目する12月14日を迎えた。

 これまで、地域の医師会にも入らず、自治会にも顔を出さず、地元の住民ですら知らないような外来患者数人という病院のお披露目などに人々は来てくれるのか。職員の多くはそんな不安を抱えながら当日に向け準備を進めてきた。

 我々が掲げたお披露目会の集客目標は50人だった。50人でもこれまでの経緯を考えると出来過ぎた数字かもしれない。しかし、蓋を開けてみれば、その目標の2倍以上、100人を超える参加者が足を運んでくれた。

 余ったら職員の夕食にでもしようかと思い、かなり余裕をもって用意していた弁当が足りず、用意した椅子も足りず、ついには立ち見の人々までが出るほどだった。

 これだけ多くの人が集まったのは、準備した職員が一丸となって決めた役割を果たしたこと、地域の住民や医療機関からの大きな期待(ニーズ)があったからにほかならない。

 2週間足らずの準備期間で、リストアップした約300の地域の医療機関や介護・福祉施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センターへの案内を行い、地域住民には職員が手分けして個別訪問も行った。

 「ここで頑張らないでいつ頑張るのか」。職員の想いは1つになった。潰れかかり活気を失っていた職員の間に自然と笑顔と充実感が現れてくるようになった。

 また、地域を支える医療機関として「温かな医療」と「確かな医療」そして「共に歩む医療」という理念を掲げた「まちだ丘の上病院」が目指す医療は、まさに地域に求められているものだった。

 町田市は多摩丘陵の南端に位置し、古くは街道があり宿場として栄えた町だった。南北に長く古い町並みが残ることから交通の便が悪いことに加え、多くのほかの地域と同様に少子高齢化問題を抱える地域である。

 さらに丘陵地であるために坂道が多い地形は、地域の高齢者にとっても医療機関への通院は深刻な問題となっていた。そんな地域住民の抱える課題からくる期待は大きく、掲げた夢(ビジョン)が確かに地域の届いたのだろう。

 1つの出来事に過ぎないが、病院の職員には「有言実行」を果たした小さな成功体験になった。

 そして、何よりこの日を境に患者さんが病院に集まりだした。病床稼働は、新たな体制でスタートした12月1日から1か月で約30%増加し、1か月半経過したところで約45%の改善が実現した。

2025年問題への挑戦

 町田の丘の上に吹き始めた温かな風は、追い風となってくれたようだ。一度は潰れかけた病院を辞めていった職員が、再び戻ってきた。

 そして、新たに「まちだ丘の上病院」が取り組む医療を目指す仲間になりたい専門家が少しずつ集まり始めた。


 病床稼働改善によって必要になる看護師の採用計画は当初今年度3月末までに5人を計画していた。これは医療機関として充足させなければならない必達の基準だ。

 それが、2か月弱で5人の看護師が仲間になってくれ、採用計画を前倒しで達成した。この規模の病院ではいかに難しいことか。

 アベノミクスによる好景気と少子高齢化による生産年齢人口の減少もあり、人手不足は全国的にも深刻な問題だ。

 さらに、医療・介護の分野についていうと有効求人倍率は3倍以上にもなる。医療機関や介護施設は看護師集めに大変な苦労を強いられ、看護師や専門スタッフが集まらないという理由で潰れていく医療機関や介護施設は後を絶たない。

 そんな苦しい採用市場の中で、とても立地上利便性が良いとは言えない古ぼけた医療機関に専門スタッフが集まり始めたのだ。

 そこには、2025年問題を乗り越えるために地域を支えるという明確な夢(ビジョン)を掲げ、それを実行する有言実行型の組織へと変化し始めていたことが背景として挙げられる。

 夢(ビジョン)を持ち有言実行できる組織は、医療・介護の専門家の成長のための場としても望ましい環境と言える。

 まだ「まちだ丘の上病院」は、小さな小さな一歩を歩み始めたに過ぎない。まずは入院患者をもっと増やして、次に外来患者も増やしていかなければならない。融資を受けた借入金を、責任もって返済していかなければなない。

 まだマイナスからのスタートを切ったばかりで、一(いち)医療機関として自立しているとはとても言えない状況だ。

 しかし、この病院が立ち向かっていく課題は、病院と言う小さな単位でも、町田という地域に限ったことでもない。

 我が国は全国で約43万人が必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による2025年問題という大きな坂道に向かっていかなければならない。

 私たちの小さな一歩は、そんな日本の未来に向けた坂道を上る第一歩にほかならない。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180125202441
医師臨床研修、精神科など4科目を必修化へ
医道審の部会が報告書素案を大筋了承
 
2018年01月25日 20:45 CB NEWS

 厚生労働省は25日、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に対し、医師臨床研修制度の見直しに関する報告書の素案を示し、大筋で了承された。精神科と外科、産婦人科、小児科の4科目については、「必修分野とする」と明記した。厚労省は報告書を踏まえて研修制度を見直す方針で、2020年度からの必修は、従来の3科目(救急、内科、地域医療)に、精神科などの4科目が加わり計7科目になる見通し。【新井哉】

 精神科などの4科目をめぐっては、10年度に必修科目から外されたため、4科目の関連団体や関係者らが必修化を求めていた。

 素案では、「外科や小児科、産婦人科、精神科を含む複数の診療科をローテートすることで、研修医の基本的な診療能力に一定の向上が見られた」と指摘。一般的な臨床で頻繁にかかわる負傷・疾病に対応できるようになるため、4科目の必修化によって基本的な診療能力を身に付ける方向性を示している。

 また、「地域保健」とされている選択研修については、地域医療との混同を防ぐため、「保健・医療行政」とし、「国際機関、行政機関、矯正施設、産業保健等での研修も可能であることを明確化する」としている。次回の会合で、素案を修正した報告書案について議論する。早ければ3月中にも報告書が公表される予定。



http://www.medwatch.jp/?p=18453
公立・公的病院の役割、調整会議で見直せるのか?―社保審・医療部会 第59回(3) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公立・公的病院が2025年に担う役割や、機能ごとの病床数について、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で今年度(2017年度)中に協議し、明確化させる―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会では、厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木健課長が、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)が整理した「地域医療構想の進め方」を踏まえ、このような内容の通知を都道府県に宛てて発出する考えを示しました(関連記事はこちらとこちら)。

 医療部会では、公立・公的病院の将来の役割などを調整会議で優先的に話し合う方向性に複数の委員が賛同した一方で、公立病院などの役割を見直すことが本当にできるか疑問視する声も上がっています。

ここがポイント!
1 公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認
2 公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も
3 将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ
4 准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認

厚労省は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」が整理した「地域医療構想の進め方」の内容を通知にまとめて、都道府県に宛てて発出する方針だ(図 略)

 地域医療構想に関するワーキンググループが整理した「地域医療構想の進め方」についてはメディ・ウォッチでお伝えしています。おさらいすると、調整会議で次のような協議を行うよう求めています。

▼公立・公的病院の2025年時点の役割などについて、調整会議で今年度(2017年度)中に協議する
▼医療機能などを大きく変更する予定のある医療機関の役割についても、速やかに協議する
▼遅くとも来年度(2018年度)末までに、全医療機関の2025年時点の役割について協議する

 このうち、公立病院に関する協議では、公立病院が策定した「新公立病院改革プラン」(地域医療構想を踏まえた自院の役割などを明記)を基に、公立病院が2025年に、地域でどのような役割を担うべきかを話し合います。

 公立病院には「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされていることから、「民間医療機関では担えない分野」に重点的に取り組むことが求められます。そこで、例えば「近隣にある民間医療機関のA病院が救急医療に力を入れているが、公立B病院でも同様の役割を担うべきか」といった観点で検討し、「B病院ではA病院が対応できない患者をカバーする」のように公立病院の役割を見直す必要があります。

公立・公的病院の役割を協議するに当たっては、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」の状況も重視することが求められる(図 略)

 一方、「公的医療機関等2025プラン」は、公立病院以外の公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会などが開設する医療機関)や、地域医療支援病院などが策定することになっています。

 これら医療機関にも「税制上の優遇」などがなされていることから、「公的医療機関等2025プラン」に記載された「自院の今後の役割」が、ほかの医療機関で担えない内容か調整会議で確認し、「税制上の優遇」などに見合う役割にする必要があります。

公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も

 今般の医療部会では、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が、「公立病院や公的医療機でなければ担えない分野に重点化すべきことが明記され、非常に良いことだ」と述べたほか、中川俊男委員(日本医師会副会長)も、「民間との役割分担を踏まえて公立病院などの役割を確認する良い仕組みになった」と述べ、公立病院などの役割をめぐる議論が、各地の調整会議で進むことへの期待を示しました。

 ただし加納委員は、「繰入金の規模が、公立病院の役割を見直す上での重要な資料となるが、調整会議に示していない都道府県もある。繰入金情報を出すようにお願いしたい」と要望。中川委員は、「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」が調整会議で議論されない懸念があると訴え、佐々木課長は「全国で議論が進むように、さまざまな形で取り組みたい」と応じました。

 また、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、自身が理事長を務める地域医療支援病院が策定した「公的医療機関等2025プラン」について調整会議で今月協議したところ、「プランに対して何の意見も出なかった」ことを紹介しています。その理由を相澤委員は、「病院が『こうしたい』と言えば他の病院は『おかしい』と言えないし、『頑張る』と言われれば『頑張って』と言わざるを得ない」ためと考察し、厚労省から調整会議で協議するよう求めるだけでは、公立・公的病院の役割を適切に見直すことが、実際にはできないのではないかと問題提起しています。公立・公的病院の役割見直し論議を実際に進めるために、どのような方策が有効なのかが、今後の重要な検討課題となりそうです。

将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ

 今般の医療部会には、2025年時点の必要病床数を超える病床新設を「許可しない権限」を都道府県知事に付与する方針も佐々木地域医療計画課長から報告され、了承されています(関連記事はこちら)。

赤枠の部分の権限を都道府県知事に付与するため、厚労省が、医療法などの改正を目指す(図 略)

 現行制度では、地域における病床数上限となる「基準病床数」を、現在の病床数が上回る地域(病床過剰地域)で、増床や病院新設を認めない権限が、都道府県知事に付与されています。ただし、「基準病床数」が直近の人口をベースに計算されているために、人口が今後大きく減少すると見込まれる地域(東京都の「島しょ医療圏」など)では、「2025年時点で必要とされる病床数<現在の病床数<基準病床数」という状況になっています。そうした地域では、知事が病床新設を認めざるを得ず、2025年時点で「実際のベッド数が、必要病床数よりもかなり多い」(過剰)状態になってしまいかねません。

 そこで、厚労省は医療法などを改正し、「2025年時点の必要病床数<現在の病床数<基準病床数」となっている地域で、病院新設が実質的に認められなくなるように、都道府県知事の権限を強化する方針で、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指します(関連記事はこちら)。

准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

 今般の医療部会では、准看護師試験の事務(出願受付や、試験・合格発表の実施など)を、都道府県が外部の「指定試験機関」に委託することを認める方針が、厚労省医政局看護課の島田陽子課長から示され、了承されています。

都道府県に掛かる准看護師試験の事務負担を軽減するため、厚労省は、保助看法改正を目指す(図 略)

 現行制度では、准看護師試験を他の都道府県と共同で行うことが可能で、昨年度(2016年度)は全国6グループに分かれて実施され、1万7841人が受験しています。しかし、共同で実施しても都道府県側の事務負担が大きいままという指摘があることから、厚労省は、2019年度の試験から、外部の「指定試験機関」への委託を認める考えで、今年(2018年)の通常国会への保助看法(保健師助産師看護師法)改正案の提出を目指します。日本医師会や病院団体は「准看護師の重要性」を以前より強調しており、この見直しで「都道府県の負担が減り、准看護師育成が継続される」ことを歓迎しているとみられます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581973
医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施 「医師少数区域等」勤務医師にインセンティブ 
レポート 2018年1月25日 (木)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 厚生労働省は1月24日に開催した社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)で、医師偏在の解消を目指し、医師少数区域等で勤務した医師の評価制度創設を盛り込んだ医療法・医師法の改正法案の概要を示した。同省は医師法・医療法の改正法案の今年通常国会への提出を目指す。医師少数区域等で勤務した医師の評価制度など一部については2020年度から、その他は2019年度からと、2段階に分けて施行する予定だ。

 新設する医師少数区域等で勤務した医師に対する評価制度は、医師少数区域等で一定期間勤務した医師に対してインセンティブを与えるもの(『医師偏在対策、「一歩踏み込んだ」「全然進んでいない」』などを参照)。厚労省が評価・認定し、認定された医師でなければ厚労省令で定める病院の開設者になれない。一方で、「30歳くらいで地域で勤務して認定されたとして、(病院開設者になる時期の)20年後や25年後に新たに開設される地域医療支援病院は100施設くらいだと思うが、これはものすごく小さなご褒美だと感じる」(部会長代理の慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏)とインセンティブが低いのではという意見のほか、この「医師少数区域等」の定義についても明確にすべきとする意見があった。

 また、改正法案には医学部、臨床研修、専門研修の医師養成過程を通じた医師確保対策も盛り込込む。臨床研修病院の研修医の定員数を都道府県知事が定めるなどとした臨床研修関連の対策については、2021年度研修開始分(医師臨床研修マッチングは2020年に実施)から適用する。

 専門研修では、国から日本専門医機構等に対して研修機会の確保の要請権限や、地域医療の観点から必要な措置実施を意見する仕組みを創設するとしている。日本専門医機構等には学会等も含まれるとの同省の説明に対して、委員からは「学会はそのような性質のものではない」(日本医師会常任理事の釜萢敏氏)とした異論が相次いだ。一方、改正法案で日本専門医機構の位置付けを明記することについては、同機構理事も務める、参考人で全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「機構に情報公開を求めているが、なかなか出てこない。ガバナンスが利いていないのは非常に問題。厚労省から機構に対する権限を法的にも確保した方が、医師の偏在対策にも重要だと思っている」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=18420
地域包括ケア病棟、自宅等患者を多く受け入れる中小病院の評価を手厚く―中医協総会 第386回(2) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、地域包括ケア病棟のうち、「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などが高い200床未満の病院に設置された病棟を高く評価する―。

 1月24日の中央社会保険医療協議会・総会に示された「短冊」には、こういった内容も盛り込まれています。同じ地域包括ケア病棟でも、病院の規模や自宅等患者割合で評価が異なることになり、今後の病床戦略にも影響が出てきそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実
2 回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価
3 看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も
4 療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実

 2018年度には、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料の再編・統合という歴史的な診療報酬改定が行われます。急性期(7対1・10対1)の再編・統合については既にメディ・ウォッチでお伝えしており、今回は後方病床(地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、13対1・15対1、療養病棟)の再編・統合案に焦点を合わせてみます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 まず地域包括ケア病棟については、看護配置13対1を基本部分とし、診療実績として「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などを勘案した4種類の入院料に再編・統合される方針が示されました(病室単位の地域包括ケア入院医療管理料も同様の再編・統合が行われる)(関連記事はこちら)。

 基本部分の基準を見ると、▼看護配置13対1以上▼一般病棟用の重症度、医療・看護必要度IまたはIIを満たす患者割合が一定以上▼院内への在宅復帰支援者の配置▼病棟への常勤PT・OT・STの配置▼疾患別リハビリテーション料の届け出—などが盛り込まれます。

 ここに診療実績を組み合わせ、次の4種類の入院料が設定されます。

【地域包括ケア病棟入院料1】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料2】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上

【地域包括ケア病棟入院料3】:▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料4】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 現在の【地域包括ケア病棟入院料1】及び【地域包括ケア病棟入院料2】のうち、診療実績(「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上など)が高い200床未満のところを新たな【入院料1】【入院料3】として高い報酬を設定することになります。

地域包括ケア病棟の再編統合、「自宅等からの患者受入割合」などに応じ実績評価を行い、自宅等患者割合の高い200床未満の中小病院の地域包括ケア病棟で手厚い評価が行われる (図 略)

また【救急・在宅等支援病床初期加算】を、▼急性期一般病棟からの転院・転倒患者の受け入れを評価する【急性期患者支援病床初期加算】▼自宅や介護施設などからの入院患者に対する、患者や家族の「治療方針に関する意思決定」支援を評価する【在宅患者支援病床初期加算】—に細分化し、後者を手厚く評価する方針も明確にされました。
これらから、「自宅などからの急性増悪患者・救急患者をより多く受け入れる」「200床未満の病院に設置される」地域包括ケア病棟では収益が増加(基本料のアップ+加算のアップ)することが予想されます。逆に、点数や基準値の設定如何によっては、「大規模病院に設置され、7対1の受け皿として機能している地域包括ケア病棟」では収益減少の可能性もあります。今後の病床戦略に大きな影響を与える見直し内容であり、詳細に注目する必要があります。

回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価

回復期リハビリ病棟では、看護配置15対1以上、PT2名・OT1名配置などの基本部分と、リハビリ実績指数(リハビリ提供によるADL改善度合いを指数化したもの)や重症患者割合、自宅等退院患者割合などの診療実績に応じた段階的評価を組み合わせた報酬体系への見直し(6種類の入院料を設定)が行われます(関連記事はこちら)。

基本部分の基準を見ると、▼回復期リハビリの必要性が高い患者割合80%以上▼回復期リハビリが必要な患者への1日2単位以上のリハビリ提供▼病棟への専任・常勤医師1名以上配置▼看護配置15対1以上(回復期リハビリ病棟入院料1・2では13対1以上)▼看護職員に占める看護師割合4割以上(同、7割以上)▼看護補助配置30対1以上▼病棟への専従常勤PT2名以上、常勤OT1名以上配置(同、専従常勤PT3名以上、常勤OT2名以上、常勤ST1名以上配置)▼データ提出加算の届け出(回復期リハビリ病棟入院料5・6では200床以上の病院のみ)—などとなっています。

ここに診療実績を組み合わせ、次の6種類の入院料が設定されます。

【回復期リハビリ病棟入院料1】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料2】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(4点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料3】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料4】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料5】:▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料6】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 【入院料1と2】【入院料3と4】【入院料5と6】は、それぞれセットで、「重症患者の受け入れ割合」や「リハビリ体制の充実度合い」に応じて階段が設けられます。各セットの中で、リハビリ実績指数に応じた階段が設定される形です。より効果的なリハビリを提供し、ADL改善効果が高い回復期リハビリ病棟が経済的にも高く評価される形になります。

回復期リハビリ病棟の再編統合、看護配置15対1以上、PT2名配置などを基本部分とし、「重症患者受入割合や重症患者のADL改善度合い」、さらに「リハビリ実績指数」に着目した実績評価を行う (図 略)

 こうした見直しに伴い、現在のリハビリテーション充実加算(1日6単位以上の濃厚リハビリ提供などを評価している)は廃止されます。
このほか回復期リハビリ病棟については、▼リハビリ実績指数が一定以上などの要件を満たす場合には、専従のPT・OT・STであっても「回復期リハビリ病棟退院から3か月以内の患者」に対し外来リハビリの提供、在宅患者訪問リハビリの提供を可能とする(専従要件の緩和)▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に、管理栄養士のリハビリ実施計画作成への参画、管理栄養士・医師・看護師らによる計画に基づく栄養状態の定期評価と計画見直しなどを盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に「病棟への専任・常勤管理栄養士配置が望ましい」旨を盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】において、入院栄養食事指導料を包括から除外する(出来高算定可能)—といった見直しも行われます。

看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も

13対1・15対1一般病棟入院基本料は、次の3種類の【地域一般入院料】に再編・統合されます。

【地域一般入院料1】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内▼入院患者について、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Iの評価を行う

【地域一般入院料2】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内

【地域一般入院料3】:▼看護配置15対1以上▼看護職員に占める看護師割合4割以上▼平均在院日数60日以内

13対1・15対1の再編統合、15対1を基本部分とし、看護配置13対1以上とし、さらに重症度、医療・看護必要度の測定を行っているとこを手厚く評価する (図 略)
 
 【地域一般入院料1】では、重症度、医療・看護必要度Iの測定が必要となり(現在の一般病棟看護必要度評価加算を入院料に組み込む形)、このデータに基づいて2020年度以降の診療報酬改定で「重症患者割合」が導入される可能性があります。今から、「より重症な患者を受け入れる」ための取り組み(重症患者を紹介してくれるクリニックや介護施設などとの連携強化、必要に応じた救急患者受入、急性期を脱した患者の在宅復帰や介護施設への退院支援の充実など)を進めることが重要です。

療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

 療養病棟については、看護配置20対1に一本化し、ここに医療区分2・3患者割合に応じた実績評価部分が組み合わされます(療養病棟入院料1と2)。看護配置25対1などの療養病棟は「経過措置」として存続が可能ですが、「看護体制の強化、重症患者の受け入れ強化によって医療保険の療養病棟としての存続」を図るのか、「介護医療院などへの転換」を図るのか、などを早期に決断する必要があります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

【療養病棟入院料1】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【療養病棟入院料2】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【経過措置1】(当面2年間、減額された入院料を算定可能):療養病棟入院料2の基準のうち、▼看護配置20対1以上(ただし看護配置25対1以上は満たすこと)▼医療区分2・3の患者割合が一定以上—のいずれかのみ満たさない場合(現行の看護配置25対1である療養病棟入院基本料2が相当する)

【経過措置2】(2年間、さらに減額された入院料を算定可能):▼看護配置25対1—を満たさない場合(ただし看護配置30対1以上は満たすこと)(現行の療養病棟入院基本料2の経過措置が相当)

療養病棟入院料の1と2は、看護配置などは同じで、「医療区分2・3の患者割合」によって区分されます(例えば、入院料1では80%以上、入院料2では50%以上など)。

療養病棟の再編統合、医療区分2・3患者割合に応じた実績評価を行い、現在の療養病棟入院基本料2は経過措置としての存続のみ認められる (図 略)
 
 このほか療養病棟に関しては、▼医療区分3のうち「医師・看護職員により、常時、監視・管理を実施している状態」については、他の医療区分3・2の項目に1つ以上該当する場合に限り医療区分3として取り扱う▼在宅復帰機能強化加算について、点数および「一般病棟等から入院し、在宅へ退院した患者」割合の基準値を見直す▼日常生活の支援が必要な患者(ADL区分3)を多く受け入れ、手厚い夜間看護配置(16対1以上)を行い、身体拘束を最小化する病棟を評価する【夜間看護加算】を新設する▼救急・在宅等支援病床初期加算について地域包括ケア病棟と同様の見直しを行う(上述)▼200床以上の病院でデータ提出を義務付ける―などの見直しが行われます。



http://www.medwatch.jp/?p=18400
7対1・10対1を再編した急性期一般入院料、重症患者割合をどう設定するか—中医協総会 第386回(1) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 7対1・10対1一般病棟入院基本料を再編・統合し、7種類の「急性期一般入院料」を新設する。10対1看護配置・平均在院日数21日以内をベースとし、重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合に応じた段階的な点数設定とする—。

1月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、厚生労働省はこういった内容を盛り込んだ2018年度診療報酬改定の個別改定項目(いわゆる短冊)を提示。ただし、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合」をどの程度に設定するのかについて、診療側と支払側の意見には大きな隔たりがあり、今後の調整に注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定
2 現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張
3 看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当
4 DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定

 2018年度改定に向けた議論がいよいよ佳境を迎え、短冊に基づく「点数や基準の詰め」に関する議論に入りました。1月24日には、改定内容のうち「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」に関する項目が議論の対象となり、「質の高い医療の実現・充実」や「医療従事者の負担軽減・働き方改革」などに関する項目は次回(1月26日)に議論されます。

 改定項目は膨大なため、ここでは「急性期入院医療」に関連の深い事項にポイントを絞って見ていきましょう。

 すでにメディ・ウォッチで何度かお伝えしているとおり、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料について、「看護配置などに基づく基本部分」と「診療実績に基づく段階的評価部分」とを組み合わせ再編・統合が行われます。急性期入院医療(7対1・10対1一般病棟入院基本料)については、次の7種類の「急性期一般入院料」に再編されます。もっとも高い「急性期一般入院料1」については、現在の7対1からの移行が見込まれるため、「看護配置7対1以上」「平均在院日数18日以内」という7対1の施設基準が設定されますが、ほかの入院料では「看護配置10対1以上」「平均在院日数21日以内」という10対1の施設基準がベースになります。しかし、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、統一基準・指標に基づく5段階の入院料を「急性期入院医療の将来イメージ」として提示しており、現在の7対1の施設基準を踏襲している「急性期一般入院料1」の基準も2020年度以降の改定で見直されていくことになりそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

【急性期一般入院料1】(現行7対1相当):▼看護配置7対1以上▼平均在院日数18日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上▼自宅等退院割合が一定以上▼常勤医師配置10対1以上

【急性期一般入院料2】(7対1と10対1の中間その1):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料3】(7対1と10対1の中間その2):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料4】(10対1+看護必要度加算1のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料5】(10対1+看護必要度加算2のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料6】(10対1+看護必要度加算3のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料7】(現行10対1相当):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度Iを測定している
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
 なお、2018年3月31日時点で「7対1を届け出ている病院」は【急性期一般入院料1】を、「200床未満で25%以上を満たさず、23%以上となっている7対1病院」「病棟群単位の入院基本料を選択している病院」は【急性期一般入院料2】を、「看護必要度加算を届け出ている10対1病院」は【急性期一般入院料4-6】を、一定期間取得できる経過措置が設けられる見込みです。

現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張

 今後の議論で最大の争点となるのが「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)を満たす患者割合」(以下、重症患者割合)をどの程度に設定するかです。

 このテーマに関しては、(1)患者割合のそもそもの基準値を引き上げるべきか(2)項目の見直しを行った場合、基準値をどう見直すのか(3)計算方法として、現在の看護必要度評価票に代えて「DPCデータ(EF統合ファイル)」を用いた場合の基準値をどう設定するか—という3つの論点があります。それぞれについて見ていきましょう。

まず(1)は「現在の7対1の重症患者割合【25%以上】そのものを引き上げるべきか」という論点で、当初から診療側は「現状の25%を維持すべき」、支払側は「引き上げるべき」との姿勢を崩していません。

1月24日の中医協総会で支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、厚労省の提示した資料から▼現行の7対1病床を、重症患者割合に応じて3種類(7対1相当の急性期一般入院料1、中間的評価の急性期一般入院料2および3)に区分していくことになるが、現在の重症患者割合の基準値【25%以上】を維持したのでは、実績評価として妥当ではない(25%をクリアできない病院は12.8%程度にとどまり、9割近くの7対1病院が最も高い評価を得ることができてしまう)▼7対1と10対1とで重症患者割合の分布をみると、【25%】程度では混在しており、評価にメリハリを利かせることができない―とし、「30%以上」に引き上げるべきと改めて強調。同じく支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「25%を維持したのでは、再編・統合の課題などを見極めることができない」と述べ、やはり「引き上げ」が必要と訴えています。

これに対し、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)、今村聡委員(日本医師会副会長)、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、▼報酬体系の大幅な見直しが行われ、ここに重症患者割合の見直しまで伴えば医療現場は大混乱する、現行並みの評価である「急性期一般入院料1」(7対1相当)と「急性期一般入院料7」(10対1相当)では現状の基準を維持するべき▼支払側の主張するように重症患者割合の基準値が30%以上に引き上げられば、68.8%程度の7対1病院は7対1の基準を満たせなくなり、病院経営が圧迫される—などの点をあげ。「25%の維持」を強く求めています。

なお、診療側の主張する「30%に引き上げられれば68.8%程度の7対1病院が7対1の基準を満たせなくなる」点について幸野委員は、「現在の報酬体系であれば7対1と10対1の格差が大きく、30%への引き上げは非現実的だが、新たな報酬体系では『7対1と10対1の中間的評価』(急性期一般入院料2と3)が設けられ、弾力的に対応可能となる」と反論しています。

両側の主張は、いまだ平行線を辿っており、「診療側と支払側のいずれかの主張を取り入れるのか」「両者の中間を探るのか」、今後の調整が注目を集めます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

現在の看護必要度項目で重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合26.5%以上」と設定したときである (図 略)

看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当

看護必要度に関する(2)の論点は、評価項目について次の2点の見直しを行うというもので、これは中医協・総会で既に了承されています(関連記事はこちら)。

▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う

▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する

 厚労省は1月24日の中医協・総会に、この2点の看護必要度項目見直しで、重症患者割合がどの程度変化するのかを示しました。

上述したように、現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないことが分かりました(単月分データ、1割以内の変動では救済措置があるため、直ちに7対1を取得できなくなるわけではない点に注意)。上記2項目の見直し後に、「12.8%程度が基準を満たさなくなる」(つまり現在の25%と同水準の基準値となる)数値を探ると「27.9%」であることが分かりました。

また、現在の重症患者割合の基準値を支払側の主張する「30%以上」とした場合、7対1病院の68.8%程度が基準を見たさないことも分かっています(同)。上記2項目の見直し後に「12.8%程度が基準を満たさなくなる」数値は、「35.2%」となります。

このため、仮に診療側の主張するとおり「現在の25%は維持する」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「28%」に、支払側の要求する「現在の基準値は30%に引き上げる」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「35%」に、引き上げられるものと見込まれます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直して重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合29.8%以上」と設定したときである (図 略)

DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

看護必要度に関する論点(3)は、現在の「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」に代えて、DPCデータ(EF統合ファイル、診療実績データ)に基づいて計算した重症患者割合を用いるケースです。

上述のように「7対1と10対1の中間的評価」(急性期一般入院料2と3)では、DPCデータによって重症患者割合を計算することが義務付けられますし、また他の病棟でも「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」と「DPCデータに基づく重症患者割合」とを選択できることになります。

迫井医療課長は、この点について▼現在の看護必要度評価票に基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度I』(以下、看護必要度I)とする▼DPCデータに基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度II』(以下、看護必要度II)とする—考えを明示。看護必要度IIについては、次のような考え方も示しています。

▼届け出前3か月間の平均値を用いる(看護必要度Iは現行通り1か月の平均値)

▼看護必要度IIを選択できるのは、「看護必要度Iに基づく重症患者割合」と「看護必要度IIに基づく重症患者割合」の差が一定の範囲内にある病院に限る(詳細は、今後示される)

▼看護必要度IIを選択する場合には、地方厚生(支)局への届け出が必要(一定期間をおいてIとIIを変更することも可能)

 
 ところで、看護必要度の評価票と診療報酬項目(DPCデータ)とは内容が異なるため、看護必要度Iと看護必要度IIとで重症患者割合は異なります。これまでに、厚労省は「7対1病棟全体で見た場合、現行の基準(看護必要度I)に基づくと重症患者割合は28.8%だが、DPCデータに基づくと重症患者割合は23.3%になる」との分析結果を示していました(関連記事はこちら)。

1月24日の中医協総会には、さらに詳細な次のような分析結果が示されました。

▼現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「23.0%」である

▼現在の重症患者割合の基準値を「30%以上」に引き上げると、7対1病院の68.8%程度が基準を満たさなくなるが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「31.5%」である

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直し、DPCデータを用いて重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合25.3%以上」と設定したときである (図 略)
 
今後、(1)の「現在の7対1の施設基準である重症患者割合25%以上」を維持するか、引き上げるかの議論を集中的に行い、その結果に基づいて、(2)(3)への対応は「機械的に行われる」見込みです。さらに、急性期一般入院料2-7のそれぞれいついて、「なだらかな傾斜」になるように重症患者割合と点数が設定されることになるでしょう。



https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/180123/cpb1801231919003-n1.htm
医師に時間外労働100時間超 日赤和歌山が労使協定違反で是正勧告  
2018.1.23 19:19 メッセンジャー登録 Sankei Biz

 日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)が労使協定(三六協定)で定められた1カ月100時間を超えて医師に時間外労働をさせたなどとして、和歌山労働基準監督署から昨年8月、是正勧告を受けていたことが23日、分かった。

 センターは医師との間で特段の事情がある場合、月100時間の残業を可能とする協定を締結。しかし、平成28年11月~29年4月、常勤医約200人のうち毎月10~20人の残業時間が上限を超過し、最長で150時間に達した。宿直勤務の医師に対し、時間外手当の未払いもあったという。

 同センターは勧告を受け、宿直勤務にかかる未払い分の計数千万円を支払った。同センターは「地域医療の質を担保しつつ、労働環境の改善にも努めたい」としている。



http://www.huffingtonpost.jp/tetsuo-ando/new-medical-system_a_23340706/
なぜ新専門医制度が地域医療を崩壊させるのか
実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。
 
安藤哲朗 安城更生病院 副院長/神経内科部長
2018年01月23日 16時26分 JST | 更新 2018年01月23日 16時26分 JST ハフィントンポスト

新専門医制度で公表された一次募集の結果は、内科激減、東京の大学一極集中という衝撃的なものであったが、これは十分予想された結果であった。少なからぬ研修医は、内科の新専門医制度が自分の将来にとって不具合であることや、地方では専門医資格を取得するのに苦労しそうなことを察知して、合理的な選択をした。まさに「上に政策あれば、下に対策あり」である。私の病院や近隣病院の研修医で、進路を内科とマイナー科を迷っていた研修医のほとんどがマイナー科を選択した。内科は専門医取得まで無意味にハードルが高くなったのに対して、マイナー科は従来とそれほど変わらないと考えたようだ。今までならば内科を選択してくれそうな素養を持っている研修医が、ことごとくマイナー科を選んだことに私は衝撃を受けた。

専門医機構と内科学会は、この結果を真摯に受け止めて、速やかに大胆な改善をするべきである。ところが、専門医機構は「偏在はない」と、内科学会は「内科志望者は減っていない」と合理的根拠を示さずに主張している。これでは制度の改善はままならない。

専攻医の内科激減、東京の大学一極集中による直接的な地域医療への悪影響も重大であるが、実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。

一つめは、地域医療に役立つ医師を育てるのが難しくなったことである。バトルフィールドに役立つ能力を身につける最も効果的な方法は、そのバトルフィールドに入って学ぶことである。忙しい地域医療現場では、たくさんのcommon diseaseの患者を効率よく診療する能力が必要で、その能力を身に着けるには、地域医療の現場に直接入って学ぶのが効果的である。都会の大学病院に入れば都会の大学で役立つ能力は身に着けやすいだろう。しかしその能力が必ずしも地域医療の現場で役立つ訳ではない。もちろん指導医の存在は重要で、地方の病院の中でも指導医の能力によって、研修効果は差があるだろう。その点で都会の大学病院には指導医が豊富にいるからよいという反論も予想される。しかし都会の大学病院の少なからぬ指導医は、専攻医教育よりも自分の研究業績をあげることに関心がある。総体的に、地域医療現場で後期研修をする医師が減少したことは、将来の地域医療を担う人材が減少したと言ってもいい。

二つめは、使命感を持って地域医療を担いながら研修医教育に努力してきた指導医達の士気を奪っていることである。日本各地の市中病院には多くの志の高い指導医がいる。しかし、新専門医制度によって施設基準のハードルが上がり、後期研修医を採用できなくなる場合もあり、強制的な循環型プログラムやローテートで教育や診療がしにくくなる。また新専門医制度のために大量の書類仕事の増加が見込まれ、時間を奪う形式的な委員会も増える。このような状況ですでにやる気をなくしつつある医師もいるだろう。社会共通資本としての医療は、医師集団の使命感、志に支えられているところが大きい(1)。かつてサッチャー政権時に医師達がmotivationを失ってイギリスの医療が崩壊したように、日本の医師達がこのままmotivationを失ったら、それを取り返すのは容易ではない。

超高齢社会、縮小社会に突き進む日本は重大な転換点に来ている。この局面でこの新専門医制度は日本の医療に致命的なダメージを及ぼす危険性がある。今後の日本の医療を守るために、速やかな制度の再検討が必要である。

参考文献
(1)宇沢弘文:人間の経済.新潮新書、2017.
(2018年1月15日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://mainichi.jp/articles/20180125/ddm/008/070/157000c
解説
働き方改革と医療=国家公務員共済組合連合会理事長・松元崇
 
毎日新聞2018年1月25日 東京朝刊

 この正月、大阪府医師会の新春互礼会で会長が「働き方改革を突き詰めると、医療ができなくなる」と話したと報じられていた。「医師には応招義務(患者を診る義務)があり、研究や診療の時間など、いろいろな時間がある。その中で自分で勉強しながら医療・医学を学ぶ仕事だ」。働き方改革の議論にも、その理解が不可欠というのだ。

 私が勤めている国家公務員共済組合連合会も、年金事業などと並んで全国33カ所で病院経営を行っている。霞が関近くの虎の門病院などで、国家公務員に限らず地域の人々に頼られる医療を提供すべく、約1万8000人の職員が日夜励んでいる。医師たちは、研究熱心で、高度で良質な医療を提供するとの使命感にあふれている。まさに「自分で勉強しながら医療・医学」を実践している。

 そんな医師の働き方改革で悩ましいことの一つが、救急医療対応の宿日直だ。病気やけがは時を選ばない。そこで、夜間や休日にも医師が宿日直している。ところが、働き方改革ということで、宿日直の時間もすべて勤務時間にするようにといった指導が行われることがある。それでは、医師の勤務時間はすぐに時間外労働の限度を超えてしまう。また、残業代を支払うと病院経営は大幅なコスト増から赤字になりかねない。勤務医の給与は開業医より少ないとはいえ、年収で1000万円から2000万円なのだ。

 そんなこともあり、厚生労働省も「医師の働き方改革に関する検討会」を設置して2年後をめどに結論を出すことにしている。もちろん、医師のワーク・ライフ・バランスも大切だ。そういったことを踏まえたバランスの取れた議論によって、患者にとっても医師にとっても病院にとってもより良い医療の実現を期待したい。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0125512649/
専門医機構、医師数の比較報道に異議
登録者数と三師調査結果の違いを説明
 
2018年01月25日 11:45 Medical Tribune

 1月15日に専攻医の2次登録の募集が終了し、新専門医制度下における各診療科の登録者数がおおむね明らかになった。日本専門医機構は1月19日、東京都内で記者会見を行い、副理事長の山下英俊氏が現在の登録状況について説明した。また、同機構で算出している登録者数は、研修プログラムの基幹病院が所在する都道府県に基づいている点を強調。一部報道で今回の登録者数と、厚生労働省が実施している三師(医師、歯科医師、薬剤師)調査の結果を比較していることについて、同副理事長の松原謙二氏が「両者は精度や算出方法が異なるため、その数値で新旧の同制度における医師数を比較するのは不適切である」と述べた。(関連記事:「新専門医、大都市圏で定員調整完了」)

三師調査の限界を指摘

 山下氏は2次登録の登録者数が約570人で、1次登録者数と合計すると約8,500人前後に達したと報告。

 2次登録の採否は2月15日に登録者へ通知される予定であるが、大都市圏とされる東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県において、専攻医の偏りが助長される状況は避けられているとの見解を示した。なお、1次登録終了後、大都市圏では既に専攻医の定員を満たした研修プログラムに対して2次登録の申請を受け付けない措置が取られている。

 また松原氏は、一部報道において今回の登録者数と、厚労省が2年置きに公表している三師調査の結果を用いて新旧の専門医制度下における医師数の増減を比較していることを問題視。その比較は不適切であるとの考えを示した。

 同氏は論拠として三師調査の精度に限界があることを示し、「同調査の回答割合は8割程度で、医学部卒後3年目の若手医師でも約1割はこの調査に回答していない。よって、この数値は実数より過少になる傾向が強い」と解説した。

登録者数は基幹施設ごとに集計

 さらに山下氏は、地域別の医師数についても今回の登録者数と三師調査では算出方法が異なることに言及。

 新専門医制度下での登録者数は研修プログラムの基幹施設ごと、三師調査では医師が現在業務に従事している施設ごとに集計されているため差異が生じると説明した。

 例えば、同制度下における東京都の登録者数は約1,800人だが、三師調査では約1,200人と算出されている。

 この差異について、山下氏は「新専門医制度の専攻医(登録者)は、研修プログラムの基幹施設が所在する都道府県にとどまることなく、各地域の連携施設でも研修を受けながら地域医療を支えることになる」と強調。「数字だけに注目すると、新専門医制度によって東京都などの大都市に専攻医が集中しているように見えるが、実状は異なる」と補足した。

 なお、同機構は今後、各地域で実際に研修を受けている専攻医の数などを、そのときの状況に近い形で把握できるようなシステムの構築を目指しており、各学会に協力を要請しているという。

(陶山 慎晃)



  1. 2018/01/28(日) 10:34:58|
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1月21日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201801/554415.html?n_cid=nbpnmo_mled_html-new-arrivals
専攻医募集で総合診療が「惨敗」、その理由は?
 
2018/1/15 加納 亜子=日経メディカル

 4月の新専門医制度のスタートに向けた専攻医の1次募集が昨年11月15日に締め切られた。12月16日には日本専門医機構が、専攻医登録をした約7800人のうち総合診療領域のプログラムを選んだ専攻医は153人にすぎなかったと発表。さらに、11県で専攻医の応募が1人もいなかったことを明らかにした(参照記事)。

 筆者はこの結果を聞いて、非常に驚いた。2013年ごろ、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」で総合診療領域の創設が決まった当初は、「総合診療専門医は英国のGP(一般医)のようなゲートキーパーの役割を果たす医師。全医師の3~4割程度がこの機能を担わなければ、日本の医療が持たない」(同検討会座長を務めた高久史磨氏)などといわれていたからだ。

 専門医制度における総合診療領域の新設は、今後各地域で増える複数疾患を抱えた高齢者に対応する必要性から、長年の議論を経て準備が進められてきた。地域の医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮しつつ、在宅医療や緩和ケア、高齢者ケアなどを包括的に提供することが期待され、新専門医制度の目玉として注目されていた。その注目度と制度創設までの経緯を考えれば、総合診療領域が専攻医の募集で「惨敗」したのは明らかだ。

専攻医はなぜ総合診療を選ばなかったのか

 なぜ惨敗したのか。幾つか理由は考えられるが、最大の要因は、総合診療領域の医師像の構築、プログラムの策定、取得可能なサブスペシャリティーの決定、専攻医の応募を担う日本専門医機構の準備・調整不足だろう。さらに、公平性・透明性を欠く形で制度の構築、審査を機構が進めたことで、研修施設や総合診療専門医を目指す専攻医の不信を強めた結果、応募者が非常に少なくなったのではないかと筆者は考える。

 新専門医制度は、学会や病院団体などで構成する「中立的な第三者機関」の機構が、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う仕組みだ。機構が関連学会の協力の下で、認定・更新基準、養成のための研修プログラム、研修施設の基準の骨子となる「整備指針」を診療科ごとに作成。この整備指針に基づき、各研修施設は研修プログラムを作る。それを適切なキャリアパスを築ける内容か、診療科間や地域で偏在が助長されないかなどの観点から関連学会と自治体、機構が確認・調整をして認定することで、専門医研修の質を担保する仕組みだ。

 だが、総合診療領域だけは関係学会の協力を得る形ではなく、認定・更新基準、養成プログラムの基準の策定から研修プログラムの認定、専攻医の募集、定員数の調整の全てを機構が行うことになっていた。総合診療専門医の医師像や研修要件、研修体制などを固める過程で、関連学会と日本医師会などの間に意見の相違が見られ、その調整には第三者機関である機構が当たるのが適切とされたためだ。

 議論の過程で日本プライマリ・ケア連合学会は「学術的に高いレベルを目指すべき」「地域のニーズに合わせた診療を行えるよう大都市部での研修も重要」と主張。一方、日本医師会は「今、活躍しているかかりつけ医が、総合診療専門医の姿。主に一般内科を中核として、基本的なレベルの医療を行う医師」と総合診療専門医を定義して「総合診療は僻地・過疎地域など多科にわたる診療をしなければならない場所での診療が想定されている診療科」と述べていた。その他、専攻医の流出などを懸念する関連学会なども様々な意見・要望を主張していた。

研修プログラムの審査で起きた波乱

 しかし、機構が全ての行程を担うことで、逆に問題が生じてしまった。昨年9月に機構が公表した総合診療専門研修プログラムの審査基準と1次審査結果を見て、研修プログラムの審査プロセスを問題視した複数の医療関係団体が、機構に対して反発する要望書や意見書を相次いで公表したのだ。

 研修プログラムの募集時には「優先する」としか記載されていなかった要件「半年以上の僻地・過疎地域、離島、被災地、医療資源の乏しい地域での研修」が、審査結果とともに示された審査基準では、実質的な必須要件になっており、それを組み込んでいなかった研修プログラムはこぞって不合格となっていた。この審査基準の変更はプログラム募集時には示されておらず、さらには不合格となった研修プログラムの責任者に判定理由の説明が行われなかったため、研修施設からの不信感は審査結果が発表された後にも一層募ることになった。

 全日本民主医療機関連合会は9月27日、機構理事長の吉村博邦氏宛てに「総合診療領域のプログラム1次審査の結果をうけての意見と緊急要望」を提出。10月3日には四病院団体協議会もプログラム認定のプロセスが公正さに欠けるとする意見書を提出し、審査に関する疑義への説明を求めた。

 しかしその後、公の場でこれらの疑義に対する日本専門医機構からの返答はされていない。研修プログラムを申請した医療機関の担当者らも、「文書やメールで説明を求めたがその返答は得られなかった」と口々に不満を訴えていた。

「審査基準は7月末の理事会で決定していた」

 この経緯について、総合診療専門研修プログラムの審査を行った機構副理事長の松原謙二氏(日本医師会常任理事)に尋ねたところ、僻地・過疎地域などでの研修を実質的な必須要件とすることは「7月末の理事会で決定しており、8月10日や8月28日に(機構のウェブサイトで)公開した研修プログラム作成者宛ての文書では、その決定事項を踏まえて僻地などでの研修をプログラムに組み込むように求めていた」という答えが返ってきた。

 8月10日には、確かに総合診療専門研修プログラム申請者宛ての文書が機構のウェブサイトに掲示されていた。その文書には「総合診療専門研修プログラムについては、地域医療に配慮し、さらに1年以上の僻地等の専門研修が含まれるものを優先すること」と記載されている(機構ウェブサイト)。半年以上の僻地などでの研修が事実上の必須要件になったと、この文章から読み取るのは困難だ。

 また、審査基準変更の情報提供について松原氏は、「理事会で『大学病院には伝えるべき』という意見が出たため、大学病院を中心とした一部の医療機関には、審査基準の変更を伝えたり、プログラムの修正を依頼する電話をかけた。そして(研修プログラムの1次審査は)審査基準に合致しているかどうかを私が確認した上で、事務局がダブルチェックをする形で行った。審査に落ちたプログラムの大半は整備基準に記載された要件を満たしていなかった」と説明している。

 どの医療機関が総合診療専門研修プログラムを策定するかが分からない状況で、想定される全ての医療機関に情報提供をするのが難しいという理由は理解できる。とはいえ、大学病院を中心とした一部の医療機関という枠は狭過ぎる。せめて情報提供の公平性を考慮して、ウェブサイトで掲示するだけではなく、プログラムを作る可能性が高いと考えられる臨床研修施設には伝えるべきだったといえる。

 さらに言えば、機構には総合診療専門医の在り方について議論する目的で設置された「総合診療専門医に関する委員会」が存在し、整備指針についてはこの委員会で検討されていた。それを考えれば、プログラムの審査基準の策定や審査は、複数団体の担当者が集うこの委員会に任せるべきだったのではないだろうか。

 だが、同委員会の委員は「整備指針の策定前には数回開催されたが、その後は開催されておらず、審査基準を変える話や具体的な審査方法についての話は議論されなかった」と話している。この委員会には日本医師会の意見と異なる意見を持つ日本プライマリ・ケア連合学会の委員が参加している。「松原氏は相対する意見を持つ委員と議論になることを嫌い、委員会での検討を避けたのではないか」とみる関係者もいる。

 結果としてプログラムの審査基準は閉じられた場の議論で決められ、公平性を担保したとは言い難い形で情報提供が行われていた。さらに、多くの医療機関、病院団体から説明を求められてもそれに返答をしていないことを踏まえると、病院団体からプログラムの審査が「公平性・透明性を欠く」といった批判を受けても仕方がない状況だったといえる。

 診療科選択は医師人生における大きな選択の1つだ。どんなに魅力的なプログラムがあったとしても、上記のように制度設計時の議論に不透明性が残るのであれば、専攻医が他の診療科を選ぶ気持ちも理解できる。

 将来の地域医療の担い手たる総合診療専門医は新専門医制度の目玉とされていた存在だ。その診療科の制度設計と研修プログラムの審査を、公平性・透明性を欠くと批判を受けるような形で進めた日本専門医機構の責任は重い。

 機構の取り組みは理事会での決定を経る形で進められたが、多くの医療団体の委員が機構の理事に名を連ねているにもかかわらず、事が起きた後に疑義を唱える意見書・要望書が出る事態こそが、理事会が適切に機能していない表れだ。今一度、機構の意思決定方法を見直す必要があるだろう。

 専攻医の応募は既に始まっている。まずは、総合診療領域の研修プログラムに応募をした専攻医を、確たる診療技術を身に付けた総合診療専門医に育て上げるために、関連学会や病院団体が協力し、専攻医を支える体制を築くことが求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581029
「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構
2018年度新専門医制度の専攻医数、8300人超の見通し
 
レポート 2018年1月20日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、1月19日の理事会後の記者会見で、2018年度開始予定の新専門医制度の専攻医の2次募集状況を報告、「5都府県については、過去5年間の採用実績を超えて採用することはない。大都市圏への専攻医集中を増長しないことが担保できた」と説明した。1月15日に締め切った2次募集で登録したのは569人で、その採否は2月15日までに決定、通知する。1次募集で採用された7791人のほか、その後に辞退をした人、2次登録で採用された人を加減すると、現時点では8300人超が2018年度からの新専門医制度の専攻医になると想定される(1次募集の結果は、『198人、専攻医1次登録で研修先決まらず』を参照)。

 さらに2月15日の後に1次、2次募集でも採用されなかった医師について、専攻医の追加募集を行う。ただし、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の14の基本領域(19の基本領域から、外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療を除く)では募集が行われない見通し。

 新専門医制度については、地域医療への影響が懸念されたため、5都府県の14の基本領域については、過去5年間の採用実績を超えないことが条件とされた。現時点ではその採用実績は公表されていないが、各学会の了解が得られれば公表する予定だという。

 山下副理事長は、会見で「三師調査と比較して、(大都市圏に)専攻医が集中したというのは誤解であり、論理的に間違い。(過去5年間の採用実績を超えないという)5都府県のシーリングはきっちりと守られている」と強調した。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏も、「三師調査と比べて、内科が激減したというのは大きな間違い。データの検討の仕方が間違っている」と指摘した。

 三師調査とは、「医師・歯科医師・薬剤師調査」。厚生労働省が2017年3月にまとめた2014年三師調査に基づく卒後3~5年目の医師数が、現時点で入手可能な各都道府県、各基本領域の1年次当たりの専攻医の参考数だ(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。


記者会見は、日本専門医機構副理事長の山下英俊氏(右)と松原謙二氏(左)が実施。理事長の吉村博邦氏は、病気療養中で、2017年10月以降、理事会を欠席。1月末には退院し、2月の理事会には出席予定だという。(写真略)

 山下、松原両副理事長は、2018年度からの新専門医制度の専攻医数と、2014年三師調査のデータを比較できない理由として、二つを挙げた。一つは、三師調査には全ての医師が回答しているわけではなく、実際の医師数は三師調査の数字よりも多いこと。もう一つは、新専門医制度では研修プログラム制を採用しているため、専攻医数は、基幹施設の所在地、つまり「本籍地」でカウントされる一方、三師調査では、基幹施設から関連施設等にローテーションしている場合、その「現在地」でカウントされるという相違がある点だ。

 松原副理事長は、「三師調査は、調査に全員が答えているわけではなく、きちんとした数字ではない。免許を取った医師の数の方がかなり多い」と説明。2014年三師調査では、東京都の卒後3~5年目の1年次当たりの医師数は1171人。松原副理事長は、「(新専門医制度で)1800人前後が東京都での研修を希望され、採用される」としたものの、新専門医制度における専攻医数はあくまで「本籍地」のデータであると説明、実際には連携施設で研修する専攻医もいるため、「現在地」の専攻医数を把握できるよう、その調査を各基本領域の学会に依頼したという。「本籍地だけで調べると、びっくりするデータになるかもしれないが、そこから他の都道府県に専攻医を送っている」と松原副理事長は述べ、「現在地」のデータを見なければ、「どこにどんな医師がいるかを言うことはできない」と強調した。

 また今回専攻医として登録、もしくは採用された医師の大半は、この4月から卒後3年目を迎える医師が大半だが、卒後4年目以降に当たる医師も含まれている。その数は、関東だけで100人程度はおり、今後精査する予定だという。

 さらに、松原副理事長は、内科の現時点での専攻医予定数は2658人である一方、三師調査による内科の卒後3~5年目の1年次当たりの医師数は2650人であり、「8人増えた」と説明。卒後3年目に当たる医師は、医学部定員増に伴い、2018年では2014年よりも1000人前後は増えていると推計される上、三師調査が全数把握でなければ2014年の内科医師数は2650人よりも多いと考えられるが、この点についての質問に、「内科に専攻医が来なかったのは事実だが、内科は減っていない。総合診療専門医は183人の予定であり、そこに内科から流れ、相殺された可能性がある」と松原副理事長は答えた。

 なお、内科の場合、過去5年の採用実績として参考にしたのは、認定内科医の資格認定試験の受験者数だが、そこから、複数回受験した医師や既に他領域で専門医を取得した医師を除いた数をベースにしているという。

 「確かに東京におけるマイナー科の専攻医が増えているのは事実」と松原副理事長は述べたものの、全国では、外科は807人で、三師調査の763人よりも増加、産婦人科も442人で三師調査の350人よりも増えていると説明した。

 総合診療専門医の専攻医数について、松原副理事長は、専攻医には医学部地域枠の卒業生が約400人含まれることなどを踏まえ、「もともと200人前後だと考えていたので、予想通り。地域枠の卒業生全員が総合診療専門医になるわけではない。総合診療専門医のスタートとしては教えやすい数であり、良質な研修ができるとして期待している」との見解を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=18221
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病 
2018年1月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度の2018年度からの全面スタートに向け、専攻医登録が進められているが、地域間・診療科間の偏在が助長されているように見える。10数年後には大学病院でも外科手術ができくなるといった事態が起こるかもしれない―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、1月11日に開催した新年初の記者会見でこのように述べました。

ここがポイント!
1 群馬、山梨、高知では、外科専攻医が大学病院を含めて1名(1次登録結果)
2 公的・公立の精神科病院で構成する「日本公的病院精神科協会」を設立

群馬、山梨、高知では、外科専攻医が大学病院を含めて1名(1次登録結果)

 2018年度から全面スタートする新専門医制度は、これまで各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指しています。ただし、「質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘などがあります。

 このため日本専門医機構や都道府県、厚生労働省らが重層的に「医師偏在を助長させない仕組み」を設けており、その1つとして「各基本領域学会の5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)のそれぞれにおける専攻医の登録総数は、▽外科▽産婦人科▽病理▽臨床検査—の4領域を除いて、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限値が設けられました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

2018年度の専攻医募集が始まっており、12月15日には日本専門医機構から第1次登録の採用数が公表されました(日本専門医機構のサイトはこちら)。その中で、邉見会長は外科領域に着目。オールジャパンでは767名の専攻医がいますが、▼群馬県▼山梨県▼高知県—で、大学病院を含めて、専攻医1が1名にとどまっています。この点いついて邉見会長は、「今の専攻医が働き盛りになる10数年後には、大学病院でも外科手術ができないという都道府県が現れるかもしれない」と危惧し、地域偏在・診療科偏在が助長されているのではないかと訴えています。

厚生労働省は「地域医療への影響が懸念される場合には、厚労省から日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する」こととしています。今後、2018年度からの専攻医登録確定を待ち、「地域医療への影響が懸念されるのか」も含めた検討が行われることになりそうです。

公的・公立の精神科病院で構成する「日本公的病院精神科協会」を設立

 なお、中島豊爾副会長氏(岡山県精神科医療センター理事長)からは、精神科病棟を持つ公立・公的病院で構成される「一般社団法人日本公的病院精神科協会」(公精協)を設立することも発表されました(1月26日に設立総会を開催)。当面、▼自治体病院▼国立病院機構▼日赤▼済生会▼厚生連—の5団体の病院(当初は128病院が参加)でスタートし、将来的に「精神科外来を持つ病院」「大学病院」にも参画を呼びかけます。

中島副会長は「我が国の精神科医療は諸外国に比べて20年ほど遅れていると指摘される。精神科医療の質の向上・改善に向けて政策や診療報酬に関する要望をしていきたい」と抱負を語っています。厚労省への政策等要望ルートとして四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)があります。しかし、中島副会長は「公的・公立病院は、日本精神科病院協会には事実上加盟できない」とし、新たな要望ルート確立のために新団体を設立したと説明しています。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0118/jbp_180118_8220256997.html
新専門医制度、医療崩壊を招く驚きの新事実 
上 昌広
1月18日(木)6時0分 JBpress

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図1:新専門医制度が診療科選択に与えた影響

 日本の地域医療が崩壊の瀬戸際にある。きっかけは、今春から始まる新専門医制度だ。
 昨年12月15日、日本専門医機構は4月から始まる新専門医制度の1次募集の結果を公開した。この時応募したのは7791人の医師だ。
 この制度は、主に初期研修を終える3年目の医師が対象となる。2016年の医師国家試験に合格したのは8630人だから、約9割の医師の進路が決まったことになる。

地域偏在の是正どころか拡大

 研究職や行政職に進む一部の医師を除きほぼ全員が、この制度に沿ったカリキュラムに従い研修する。
 日本専門医機構が公開した結果を仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が分析した。
 当初、日本専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。
 遠藤医師らは、2012〜2014年の間に後期研修医を始めた医師数と、今回、内定した医師数を比較した。
 まずは診療科の比較だ。図1をご覧いただきたい。内科が激減し(123人減少)、麻酔科(93人増)、眼科(82人増)、精神科(64人増)などのマイナー科が増加していることがお分かりいただけるだろう。
 内科は2012〜2014年と比較し、約1割減少した。
 舛添要一氏が厚労大臣の時、医学部定員を増やしたため、今年度、専門研修を始めるのは、2012〜2014年の平均(6926人)よりも12%も多かった。内科は実質的に2割減である。
 外科も同様だ。専攻医の数は764人から767人とほぼ横ばいだったが、全専攻医に占める割合は11%から10%に低下した。

内科と外科が減りマイナー診療科が増加

 内科と外科が減り、マイナー診療科が増えた。
 さらに、医師不足対策の切り札として、厚労省が進めてきた「総合診療医」に至っては、登録者はわずか153人だった。形成外科の希望者と同数だ。誰も想像しない結果となった。
 診療科の偏在悪化も問題だが、地域偏在に与える影響は、さらに深刻だった。
 すべての診療科で東京一極集中が加速した。図2は2012〜2014年の平均と比較した場合の各都道府県の医師の増減の状況を示す。東京への一極集中が一目瞭然だ。
 東京では585人増加した。次いで増加したのは、京都(92人)、岡山(59人)、大阪(43人)だ。いずれも戦前からの名門医学部がある地域だ。
 一方、減少したのは静岡(60人)、千葉(22人)、香川(20人)だ。東京や岡山に医師が「吸収」されたのだろう。
 この傾向は診療科別でも変わらない。内科の場合、東京は77人増加した。周辺の千葉(30人減)、埼玉(10人減)、神奈川(5人減)から医師を吸い寄せたことになる(図3)。(図 略)


内科志望医が15人以下の県も

 深刻なのは全国で内科志望医が15人以下の県が11(秋田、富山、福井、鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮﨑)もあることだ。高知に至っては5人である。
 外科も同様だ。
 東京は69人増加した一方、静岡は20人、神奈川は10人、千葉は7人減少した。14の県で志望者は5人以下だ(青森、山形、群馬、山梨、福井、奈良、島根、山口、徳島、愛媛、香川、高知、佐賀、宮﨑)。群馬、山梨、高知に至っては1人である。
 志望者が激増した眼科ですら、一極集中だ。東京は36人増加し、2位の京都(12人増)を大きく引き離す。
 一方、16の県で志望者が減少し、青森・山形・新潟・山梨・長野・奈良・徳島・大分・長崎では志望者はいなかった。他のマイナー診療科も状況は変わらない。このままでは、地域医療は間違いなく崩壊する。


日本専門医機構の幹部に大きな責任

 新専門医制度については、全国市長会をはじめ、多くの関係者から懸念が表明されていた。日本専門医機構は、このような懸念を「無視」して、強引に進めた。
 彼らの「公約」は守られなかった。吉村博邦理事長以下幹部は原因を究明し、制度を見直すこと、および責任を取る必要がある。
 最近になって、この問題が一部の関係者の間で議論されるようになった。
 知人の与党議員が厚労省を呼び出して、質問したところ、「地方の医師不足は以前からです。問題ですが、日本専門医機構が独自にやっていて、私たちは介入する権限がありません」と説明したという。
 新専門医制度は、日本専門医機構と厚労省が二人三脚で進めてきたこと、そのガバナンスに問題があったことは周知の事実だ(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49835)。改めて厚労官僚の厚顔無恥ぶりに驚いた。
 このことを知人の政府関係者に伝えたところ、「権限がないとは呆れ果てました。厚労省の得意な「行政指導」や「技術的助言」など駆使されたらいかがでしょう。補助金の交付要綱を変えるのも可能です」とコメントした。
 新専門医制度を放置すれば、我が国の医療に深刻な後遺症を残す。ところが、大手メディアはこの問題を報じず、国会も取り上げない。
 日本専門医機構、それを支援する日本医師会や厚労省は、失敗の責任を取らず、頬被りを決めている。「日本人は十二才」のままだ。我々、大人の覚悟が問われている。
筆者:上 昌広



http://www.medwatch.jp/?p=18302
【病院総合医】養成する施設、2018年度は91病院を認定―日病 
2018年1月18日|医療現場から MedWatch

 複数疾病をもつ高齢患者などに総合的な診療を行い、チーム医療、ひいては病院全体を牽引する力を持つ「病院総合医」の養成が来年度(2018年度)から開始されるが、初年度は91病院を認定する—。

 日本病院会は1月12日にこのように決定し、公表しました(関連記事はこちら)(日病のサイトはこちらとこちら)。

将来の病院幹部候補となる【病院総合医】を、病院自ら養成

新たな専門医制度の中で「総合診療専門医」の養成が始まりますが、「病院において複数疾患を抱える患者への総合診療提供や、術後管理などを行う医師」の養成が可能か、という点には疑問を持つ医療関係者も少なくありません。

このため日本病院会(日病)では、「病院において総合診療を行う医師である【病院総合医】」を、総合診療専門医(新専門医制度)とは別に養成する方針を固めました。

【病院総合医】は、(1)多様な状態を呈する患者に包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療能力を持つ(2)全人的に対応できる(3)地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携の中心的役割を担う(4)多職種をまとめチーム医療を推進できる(5)地域医療にも貢献できる—医師で、日病の相澤孝夫会長と末永裕之副会長は「将来、病院経営幹部の1ルートとなることが期待される」と強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

まず日病会員病院の中で、「自院の中堅医師を【病院総合医】として育成したい」と考えている施設や、「【病院総合医】を目指す医師が勤務している」施設が手をあげ、必要な研修を行えるかどうかが審査されます。

審査をパスした施設(病院総合医育成プログラム認定施設)において、【病院総合医】を目指す医師(卒後6年目以上の医師を対象)に必要な指導を行います(医師からすれば研修を受講する形、もちろん他施設との連携指導も行われる)。2年間、必要な症例などを経験した上で、日病で「要件を満たすかどうか」の審査を受けます。審査では、▽インテグレーションスキル(包括的診療の展開・実践)▽コンサルテーションスキル(必要な場合に専門診療科へ速やかな相談・依頼)▽コーディネーションスキル(多職種の連携・調整)▽ファシリテーションスキル(チーム医療の促進・実践)▽マネジメントスキル(地域包括ケアシステムや日本全体を考慮した病院運営)―の5能力を評価し、「要件を満たす」と判断されれば、晴れて【病院総合医】の資格を手に入れることができます。
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病院総合医認定・更新にかかる大きなスケジュール概要
 
日病では、研修期間中に▼ショック▼急性中毒▼意識障害▼全身倦怠感▼心肺停止▼呼吸困難▼身体機能の低下▼不眠▼食欲不振▼体重減少・るいそう▼体重増加・肥満▼浮腫▼リンパ節腫脹▼発疹▼黄疸▼認知脳の障害▼頭痛▼めまい▼失神▼言語障害▼けいれん発作▼視力障害・視野狭窄▼聴力障害・耳痛▼鼻漏・鼻閉▼鼻出血▼嗄声▼胸痛▼動悸▼咽頭痛▼誤嚥▼誤飲▼嚥下困難▼吐血・下血▼肛門・会陰部痛▼熱傷▼外傷▼褥瘡▼背部痛▼腰痛▼関節痛▼歩行障害▼四肢のしびれ▼肉眼的血尿▼排尿障害(尿失禁・排尿困難)▼乏尿・尿閉▼多尿▼不安▼気分の障害(うつ)―といった幅広い症例を経験することが必要と考えています。またチーム医療を牽引していく能力を養うために、さまざまなチーム医療活動、とくに「医療安全」「感染制御」チームへの参画は必須となります。
さらに、将来の「病院経営幹部」候補であることも踏まえ、病院経営・管理に関する各種講習会やセミナーに積極的に参加することも求められます。末永副会長は【病院総合医】資格を取得した医師が、次の病院総合指導医になることを期待し、「臨床研修指導医講習会には必ず参加してほしい」と求めています。

今般、公表された「病院総合医育成プログラム認定施設」は91施設。【病院総合医】が医療関係者に浸透していけば、「【病院総合医】を目指しており、認定施設に勤務したい」という医師が増えていくことでしょう。2019年度以降、認定施設が増加していくと予想されます。

【北海道】 ▽市立札幌病院 ▽砂川市立病院 ▽北見赤十字病院 ▽札幌徳洲会病院

【青森県】 ▽十和田市立中央病院 ▽八戸市立市民病院

【岩手県】 ▽岩手県立中央病院

【福島県】 ▽かしま病院

【茨城県】 ▽水戸済生会総合病院

【栃木県】 ▽足利赤十字病院 ▽済生会宇都宮病院

【埼玉県】 ▽埼玉県済生会川口総合病院 ▽戸田中央総合病院 ▽丸山記念総合病院 ▽埼玉医科大学国際医療センター ▽自治医科大学附属さいたま医療センター

【千葉県】 ▽千葉市立海浜病院 ▽成田赤十字病院 ▽柏厚生総合病院(千葉県) ▽幸有会記念病院

【東京都】 ▽東京山手メディカルセンター ▽杏雲堂病院 ▽玉川病院 ▽多摩南部地域病院 ▽小豆沢病院 ▽藤﨑病院

【神奈川県】 ▽湘南鎌倉総合病院 ▽湘南藤沢徳洲会病院 ▽総合川崎臨港病院 ▽東名厚木病院 ▽葉山ハートセンター ▽山近記念総合病院

【新潟県】 ▽新潟県立十日町病院 ▽糸魚川総合病院 ▽上越総合病院(新潟県)

【富山県】 ▽富山市民病院 ▽石川県立中央病院

【長野県】 ▽市立大町総合病院 ▽飯山赤十字病院 ▽諏訪赤十字病院 ▽相澤病院 ▽相澤東病院

【岐阜県】 ▽総合病院中津川市民病院 ▽美濃市立美濃病院

【静岡県】 ▽藤枝市立総合病院 ▽静岡済生会総合病院 ▽NTT東日本伊豆病院

【愛知県】 ▽春日井市民病院 ▽小牧市民病院 ▽名古屋第一赤十字病院 ▽名古屋第二赤十字病院 ▽海南病院 ▽大同病院 ▽東海記念病院 ▽トヨタ記念病院

【三重県】 ▽伊勢赤十字病院 ▽田中病院 ▽津生協病院

【滋賀県】 ▽市立大津市民病院

【京都府】 ▽京都民医連中央病院 ▽武田総合病院 ▽洛和会丸太町病院 ▽三菱京都病院

【大阪府】 ▽阪南市民病院 ▽大阪府済生会泉尾病院 ▽松下記念病院 ▽淀川キリスト教病院

【兵庫県】 ▽加古川中央市民病院 ▽姫路赤十字病院 ▽兵庫医科大学ささやま医療センター ▽三菱神戸病院

【島根県】 ▽浜田医療センター(島根県)

【岡山県】 ▽倉敷中央病院

【広島県】 ▽広島共立病院

【山口県】 ▽昭和病院

【徳島県】 ▽徳島県立中央病院 ▽徳島赤十字病院

【香川県】 ▽四国こどもとおとなの医療センター ▽KKR高松病院

【愛媛県】 ▽HITO病院

【福岡県】 ▽福岡赤十字病院 ▽福岡記念病院

【熊本県】 ▽熊本赤十字病院 ▽済生会熊本病院 ▽済生会みすみ病院 ▽宇城総合病院 ▽菊池中央病院 ▽くまもと森都総合病院 ▽にしくまもと病院 ▽谷田病院

【鹿児島県】 ▽種子島医療センター



https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201801/0010915249.shtml
疲弊の勤務医 当直後に通常業務、救急呼び出し… 
2018/1/21 06:30神戸新聞NEXT

 過労死が社会問題となる中、厚生労働省は長時間労働が常態化している医師の働き方改革を目指すが、実現までの道のりは多難だ。兵庫県内でも救急対応や緊急手術で疲弊する勤務医は少なくないが、医師には正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」が課せられ、残業時間の削減はハードルが高い。「目の前に苦しむ患者がいれば、睡眠不足でも診療せざるを得ない」との声も根強く、医師不足や高齢化を背景に現場は使命感とのはざまで揺れている。(末永陽子、佐藤健介)

 医師の過労死は後を絶たない。2016年1月、新潟市民病院で女性研修医が過労自殺した。東京都内の病院に勤務していた産婦人科の男性研修医が15年に自殺した件も、17年7月に労災認定された。兵庫県内でも養父市の公立病院で07年、当時34歳の男性医師が長時間労働やパワハラを苦に宿舎内で自殺した。

 全国医師ユニオンなどが昨秋公表したアンケート結果によると、常勤医約1600人のうち当直後にそのまま通常業務を行う医師は78%に上り、8%が直近1カ月に休日を1日も取れなかった。

 「人ごとではない」。兵庫県内の病院で働く30代男性研修医は強調する。

 多い時で週2回の宿直に入るが、診療していない時間は労働ではなく「学習」とみなされる。宿直明けで通常業務に就き、36時間連続で働くこともある。勤務記録上の残業は過労死ラインの月80時間を下回るが、「その倍の時間は病院にいる。医師も人間。それを病院にも患者にも分かってほしい」と訴える。

 神戸市内の30代研修医は、毎日数時間の残業が当たり前という。容体の悪い入院患者を診療しようとした矢先、救急対応に呼び出されることも。疲労で心電図の異常を見落としかけたこともあった。「地域や診療科によって医師数に偏りがある」と感じ、「いつミスが出てもおかしくない」と表情を曇らせる。

 「過重労働の最大要因は救急」。県内基幹病院の幹部は断言する。地域の救急患者の大半を抱え、「軽症者を扱う1次救急は個人病院でお願いしたいが、医師の高齢化でマンパワーは不十分だ」と嘆く。自院も赤字で「増員すれば経営が持たない」と打ち明け、「病気を減らす視点も大切。医療費をもっと予防医学に割くべきだ」と語る。

 厚労省は緊急対策の柱として医師以外へのタスク・シフティング(業務移管)などを掲げるが、現場レベルで先行実施する動きもある。

 兵庫医科大病院(西宮市)の血液内科は約5年前、診療業務をできる限り夕方で終える方針を打ち出した。さらに、電子カルテの入力や研究データ収集を担う事務スタッフを雇った。同科の小川啓恭(ひろやす)教授(65)は「医者しかできないことに仕事を限れば、睡眠や研究の時間が確保でき、良質な治療にもつながる」と話す。

【医師の働き方改革】政府は昨年3月に罰則付き残業規制の実行計画を作成したが、医師法上の「応召義務」がある医師には適用を5年間猶予する方針を打ち出した。厚生労働省は有識者検討会で残業時間の上限や勤務環境改善策などを議論し、2018年度末をめどに意見をまとめる予定。検討会では「勤務時間制限を守り、かつ医療の質を担保する資金や医師数が確保できていない」との指摘があった。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2595271020012018CC1000/
杏林大、医師に長時間労働 労基署勧告  
2018/1/20 16:47 日本経済新聞

 東京都三鷹市の杏林大医学部付属病院が、労使協定(三六協定)の上限を超えて医師らに時間外労働(残業)をさせ、割増賃金も不十分だったとして、運営する学校法人「杏林学園」に対し三鷹労働基準監督署が是正勧告と改善指導をしていたことが分かった。杏林大が20日、明らかにした。勧告や指導は昨年10月で、杏林大の担当者は「勧告を真摯に受け止め、是正に着手している」と話している。
 杏林大によると、就業規則と協定により、医師は週39時間の所定労働時間、月最大70時間の残業時間が定められている。労基署の調査で、約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる月80時間超の残業をし、100時間を超えた医師も数人いたことが判明した。
 さらに、一部では残業に対する割増賃金が法定の割増率を下回っていた。大学は昨年末、同年4~9月の不足分として、医師数百人に計数億円を支払ったとしている。
 長時間労働について、杏林大の担当者は「医師には、診療を求められたら拒めない応召義務がある。救命救急もやっており、分厚い態勢を取らざるを得ない面もある」と説明した。
 同病院は高度医療を提供する「特定機能病院」の一つ。2016年度は1日平均の外来患者が2205人、入院患者が809人だった。〔共同〕



https://www.asahi.com/articles/ASL1N4DJRL1NUTIL00F.html
東京)杏林大、診療縮小の懸念も 付属病院で残業不正 
河井健 2018年1月21日03時00分 朝日新聞

 三鷹市の杏林大学医学部付属病院で複数の医師が労使間の時間外労働の取り決め(36協定)を超える残業をさせられていたなどとして、開設者の杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けた。杏林大は「真摯(しんし)に受け止める」として働き方の見直しを進めているが、医師の大幅な増員は困難とみられ、診療態勢の縮小など地域医療への影響を懸念する声も出ている。

 同病院は高度な医療を提供する施設として国が承認する全国85の「特定機能病院」の一つ。2016年度の外来患者は約64万9千人、入院患者は約29万5千人に上る。全国39カ所、都内でも4カ所だけの「高度救命救急センター」を備え、16年度は1500人超の重篤な患者を受け入れた。生命に関わる病気やけがの患者を24時間態勢で広域から受け入れ、「救急医療の最後の砦(とりで)」とされる。

 政府の「働き方改革」を踏まえ、近年、各地の大規模病院が労基署から長時間労働の是正などを求められるケースが相次いでいる。医師の残業時間が月平均95時間に達すると16年に指摘された聖路加国際病院(中央区)では、シフト調整だけでは対応できず、土曜日の診療を一部取りやめた。

 昨年10月26日付で勧告と指導を受けた杏林大は、約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる残業月80時間を超え、100時間を超える医師もいるとされた。朝日新聞の取材に対し、杏林大は「地域医療に引き続き貢献する立場で、さまざまな角度から対応策を検討する」として、診療態勢の縮小については明言していない。

 一方、地域医療の関係者からは、過労死の恐れがある長時間労働は望ましくないとした上で、仮に診療態勢が縮小されれば「影響は大きく、救える命が救えない事態が生じる可能性もある」との懸念も出る。

 厚生労働省は有識者会議で医師の働き方についての議論を進めており、18年度末までに具体案を取りまとめる予定だ。担当者は「労働時間の規制により、医療の質の確保や提供態勢が維持できなくなるのでは本末転倒。両立できる取り組みを進める」と話している。(河井健)



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011700881
医師の勤務時間定めず=北里大病院に是正勧告 
(2018/01/17-16:30)時事通信

 北里大学病院(相模原市)が就業規則で医師の勤務時間を定めていないなどとして、相模原労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告と指導を受けていたことが17日、分かった。同病院を運営する学校法人北里研究所がホームページ(HP)で明らかにした。
 同研究所によると、医師の勤務時間などを就業規則で定めていなかったほか、職員と労働契約を締結する際、労働条件を書面で交付していなかった。また、時間外労働や休日労働に関する三六協定を労働者の過半数を代表する者と結んだが、代表者選出のプロセスが法令の手順を踏んでいなかった。
 各部署の労務管理者や人事担当者の教育不足も指摘され、法令知識を改めて教育することなどを指導されたという。



http://www.medwatch.jp/?p=18290
医師の労働時間規制、働き方を変える方向で議論深める―医師働き方改革検討会(2) 
2018年1月18日|医療計画・地域医療構想MedWatch


 医師の今後の労働時間規制は、現状の長時間労働を是正する方向で議論する。具体的な上限は、医師の「診療科」や「勤務先医療機関の役割」に応じてきめ細かく設定する―。

 1月15日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)では、厚生労働省が、このような内容の「中間的な論点整理」の骨子案も示しました(関連記事はこちら)。骨子案には、他職種への業務移管のような「医師の労働時間短縮策」に関する論点も盛り込まれています。検討会は、次回会合で「中間的な論点整理」を取りまとめた後、「医師の労働時間規制」と「医師の労働時間短縮策」の具体案を来年(2019年)3月末までに取りまとめるため、議論を本格化させます。

ここがポイント!
1 医師の労働時間規制の在り方、今後の検討に向けて論点を整理
2 診療科別の分析進め、多様性を踏まえた上限設定
3 労働時間に当たる自己研鑽の基準も論点に
4 医師の業務見直し、実効性ある働き方改革に

医師の労働時間規制の在り方、今後の検討に向けて論点を整理

 現在の労働基準法では、労働時間を「1日8時間・1週40時間」内と規定しています。しかし、使用者(病院の管理者ら)が労働者(勤務医ら)などと協定(労働基準法36条、ゆえに36協定と呼称される)を結んで労働基準監督署に届け出れば、この基準を超える長時間労働が、「年360時間まで」のような範囲内で認められるため、実際のところ、病院勤務医の40.6%が週60時間以上勤務しています(単純計算で、時間外労働時間が月80時間以上)。
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勤務時間が週60時間以上である割合が5割を超える診療科もある

 政府は「働き方改革」として長時間労働の是正などを推進しており、厚労省が今年(2018年)の通常国会への提出を目指している労働基準法改正案は、▼時間外労働時間の上限を原則、月45時間・年360時間とする▼臨時的に特別な事情がある場合でも、年720時間・単月100時間未満(休日労働含む)・複数月平均80時間(休日労働含む)を限度とする▼来年(2019年)4月から施行する―といった内容になる見込みで、上限規制に違反した使用者には罰則が科されます。

 ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼上限規制の適用を5年間猶予する▼「医師に適用する規制の具体的な在り方」や「医師の労働時間短縮策」を、検討会で議論し、来年(2019年)3月末までに結論を得る―ことが決まっています。検討会は昨年(2017年)8月に設置され、【1】今年(2018年)の「年明け」に中間整理を行う【2】来年(2019年)3月末までに結論(規制などの具体的な在り方)を得る―スケジュールで検討を進めてきました。

 【1】の中間整理に当たる「中間的な論点整理」は、これまでに委員から出た意見(論点)をまとめたもので、【2】の最終取りまとめに向けた議論の土台となります。本稿では、「中間的な論点整理」の骨子案の中から、今後の検討の注目ポイントとなる、(a)医師に適用する規制の具体的な在り方(b)医師の労働時間短縮策―に関連する論点に焦点を当ててお伝えします。

診療科別の分析進め、多様性を踏まえた上限設定

 まず(a)の「上限規制の在り方」について骨子案では、働き方改革関連法案で上限とされる「単月100時間未満・複数月平均80時間」を超えた長時間労働を医師に認めることには「慎重であるべき」だと強調。長時間労働が常態化する現状に合わせた規制を設けるのではなく、「医師の労働時間をできるだけ短くする」ことを前提として議論していくべきと指摘します。

 その上で、現状から大きくかけ離れた「画一的な上限時間」を設定すれば医療提供体制の崩壊を招く恐れがあることから、「『医療機関の役割』や『診療科』ごとの多様性を踏まえて、時間外労働の上限時間を設定する」方向性を示しています。

 この点、昨年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、2016年12月に実施)では、「救急科」(平均勤務時間が週63時間54分)や「外科系」(同59時間28分)、「産婦人科」(同59時間22分)などの診療科で病院勤務医の労働時間が長いことが分かっています。ただし、単純に救急科や外科系で上限を緩く設定するのでは、「現状の働き方に制度を合わせる」ことになってしまいます。そこで検討会では今後、救急科や外科で労働時間が長期化してしまう原因を明らかにした上で、医療提供不足を招かない「適正な上限時間」を、診療科ごと・医療機関の役割ごとに、きめ細かく検討することになります。
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現状、病院常勤勤務医の平均勤務時間には診療科ごとにばらついている。医師の労働時間の上限も、診療科別に設定される可能性がある

 骨子案では、「診療科ごと分析にも資する追加的な調査を行い、10万人調査の結果と併せて分析することで、議論の前提となる『医師の勤務実態の詳細』を明らかにする必要がある」とも指摘しています。厚労省は現在、勤務医のタイムスタディ調査を行い、▼診療時間(外来診療や入院診療など)▼診療外時間(教育や研究、会議など)▼待機時間(通常の勤務時間外に、応急患者に備えて院内に待機する時間)―の構成などのデータを集めています。このデータを、勤務先(大学・大学以外)や診療科ごとに分析し、長時間労働の原因究明の手がかりにすることが期待されます。
1月15日の検討会に、タイムスタディ調査の結果が一部示された。データの集積が進めば、勤務医の労働時間に関する課題を診療科ごとに解明できる可能性がある(解像度低く、解読困難のため図 略)

労働時間に当たる自己研鑽の基準も論点に

 勤務医の労働時間をめぐっては、▼診療ガイドライン改訂をキャッチアップしたり、論文を執筆したりする自己研鑽時間▼宿日直―が労働時間に該当するかどうかも重要な論点です。このうち自己研鑽時間について検討会では、「具体的にどのような内容であれば労働時間に該当するか、関係者間で共通認識がない」と指摘。今後の検討で、「労働時間に当てはまる自己研鑽時間」の考え方を示す方針です。

 一方、宿日直には、現在、「応急患者の診療または入院、患者の死亡、出産などがあり、昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなもの」は労働時間に当たるという基準があります。ただし、この基準ができた1949年から医療現場が変化していると想定されることなどから、見直しに向けて議論することになりそうです。
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宿日直の許可基準の見直しも重要な論点となる

医師の業務見直し、実効性ある働き方改革に

 骨子案では、「医療機関における働き方改革の実効性を確保するためには、時間外労働規制だけでなく勤務環境改善策も重要である」と指摘し、上述した(b)の医師の労働時間短縮策として次の4点を挙げています。

(1)医師の業務の整理
(2)他職種への業務移管
(3)医師同士での業務の共同化
(4)ICT(情報通信技術)の活用

(1) の「医師の業務の整理」については、▼医師の参加が要件となる会議(介護保険制度のリハビリテーション会議など)▼医師が作成しなければならない書類(死亡診断書など)―を洗い出して医師の業務の全体像をまず明らかにし、効率化を図る必要性が指摘されています。

この点、死亡診断書については、ICTを活用して遠隔で交付する仕組み(この場合、患者宅を訪問した看護師が代筆)の整備が進んでいます(関連記事はこちら)。また、医師の業務見直しは、(2)の業務移管も密接に関係します。例えば静脈注射などは、看護職員に移管可能であることを、厚労省は2007年に発出した通知「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」で明示しています。なお、医師の業務負担を軽減する効果が期待できることから、検討会では、検討結果の取りまとめを待たずに業務移管を徹底するよう、医療機関に呼び掛ける方針です(関連記事はこちら)。

 一方、(3)の業務共同化の具体策としては例えば、複数主治医制やシフト制の導入が想定されます。ただし、一定程度の医師数がいなければ負担を分散できず、検討会では、「医療機関の集約化の議論をしなければならない」とも指摘しています。この点、複数の病院が統合して全体として医療の質を高める米国の「IDS」(Integrated Delivery System:統合型医療提供システム)の手法が、医師の働き方改革を進める上でも重要な手法と言えます(関連記事はこちら)。

 ほか、▼応召義務を含む患者との関係性の見直し▼勤務時間以外の勤務環境改善策(例えば健康管理の着実な実施)―なども、今後の重要な論点となります。



http://www.medwatch.jp/?p=18340
2018年度診療報酬改定で、機能分化や地域包括ケア構築を進めよ―中医協・公聴会 
2018年1月19日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、「医療機能の分化・強化、連携の推進」や「地域包括ケアシステムの構築」に力を入れる必要がある―。

 1月19日に開催された中央社会保険医療協議会の公聴会で、支払側・診療側を問わず、現場関係者からこういった要望が出されました。

ここがポイント!
1 7対1の重症患者割合、病院代表から「現行の基準値を維持せよ」との要望
2 クリニック代表からは「再診料の2点増点」の要望も
3 患者代表から「看護師やMSWも交えた、治療と仕事の両立支援」を求める声
4 オンライン診察や医学管理、支払側は積極推進を求めるが、診療側は慎重姿勢

7対1の重症患者割合、病院代表から「現行の基準値を維持せよ」との要望

公聴会は、中医協委員と厚生労働省保険局医療課の担当者が地方に赴き、診療報酬改定に関する一般市民の意見を聞き、改定内容に反映させることが狙いです。2018年度改定に向けた公聴会は、1月19日に千葉県千葉市で開催されました。

意見発表を行ったのは10名で、▼健康保険組合▼労働組合▼協会けんぽ▼国民健康保険―の関係者に患者代表を加えた支払側5名、▼クリニック▼病院▼歯科医院▼薬局▼訪問看護ステーション―の診療側5名、という構成です。

意見は多岐にわたりますが、診療側・支払側双方に共通する内容として、(1)我が国の公的医療保険制度の維持が重要であり、何らかの手を打たなければならない(2)機能分化の推進(3)地域包括ケアシステムの構築(4)治療と仕事の両立支援(5)医療安全の確保―の5点があげられます。

このうち(2)の機能分化に関しては、中医協において「急性期から長期療養に至るまでの入院基本料・入院料の再編・統合」案が議論されています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。とくに急性期については、7対1と10対1を統合し、看護配置などに応じた【基本部分】と重症患者割合などに応じた【実績評価部分】(段階的評価部分)を組み合わせ、7段階の「急性期一般入院料」(仮称)を創設してはどうかとの考えが厚労省から提示されました。

この点について病院代表という立場で出席した川越一男氏(医療法人芙蓉会五井病院理事長)は、「医療経済実態調査結果では7対1病院の経営が極めて厳しい。統合・再編後に最も高い評価となる『急性期一般入院料1』の重症患者割合については、現在の7対1の基準値『25%以上』から引き上げるべきではない」と求めています。

川越氏は、▼地域包括ケア病棟は、当初「中小病院での設置」を想定していたはずであり、この考えに立ち返った「中小病院の地域包括ケア病棟」の評価充実を行うべき▼医療安全に係るコストを踏まえた医療安全対策加算の引き上げを行うべき—とも要望しました。

クリニック代表からは「再診料の2点増点」の要望も

また(3)の地域包括ケアシステム構築に向けては、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の推進が重要になりますが、クリニック代表の立場で出席した佐藤孝彦氏(医療法人社団孚誠会浦安駅前クリニック院長、千葉県医師会理事)は「2010年度の診療報酬改定で再診料が2点引き下げられたままである(消費増税対応で引き上げが行われているが)。地域医療・地域包括ケアシステムの要であるクリニックの再診料について、基に戻して(2点引き上げて)ほしい」と訴えました。

さらに佐藤氏は、▼医療機関の大きな負担となっている医療廃棄物の処理費用を診療報酬でみてほしい▼残薬につながる長期処方をさらに是正してほしい—とも要望しています。

患者代表から「看護師やMSWも交えた、治療と仕事の両立支援」を求める声

(4)の治療と仕事の両立については、患者代表として出席した香川由美氏(NPO法人患者スピーカーバンク理事長)から、「2018年度改定に向けて主治医と産業医との連携が評価される見込みだが、これにとどまらず、看護師や医療ソーシャルワーカー(MSW)も参画した多職種による患者支援(医療だけでなく、生活面を含めた支援)を診療報酬で評価してはどうか」と提案しました。香川氏はI型糖尿病に罹患していますが、認定看護師が自身の悩みを聞き「●●の問題は◆◆職が担当する、○○の問題は◇◇職が担当する」との振り分けを行ってくれたことが非常に助かったと振り返り、こうした支援が広まることに期待を寄せました。

オンライン診察や医学管理、支払側は積極推進を求めるが、診療側は慎重姿勢

ところで、次期改定では、「ICTの利活用推進」を診療報酬で後押しする方針も明確になっています。その中で注目されているのが、テレビ会議システムなどを活用した「オンライン診療・医学管理」の評価です。例えば、外来医療を受けている慢性疾患患者について、状態が安定してきたことから「毎月の外来受診」を「2か月ごとの外来受診と、2か月ごとのオンライン診察」に置き換え、通院負担を軽減して、治療継続からの脱落を防ぐ、といった考えが浮上しています。

この点について、支払側代表として参画した上野洋一氏(千葉銀行健康保険組合常務理事)は、「例えば生活習慣病患者について、医師・保険者・行政が連携し、治療から脱落しないような環境を整えるべきである。ICTツール(上記オンライン診察など)も活用して、より効率的な医療提供を行う必要がある」と指摘。

一方、クリニック代表の佐藤氏は、「ICTの利便性ばかりが強調されれば、かえって患者に不利益が生じる。診療の原則は『対面』であり、ICTを活用した遠隔診療については安全性・有効性を慎重に見極める必要がある」と述べ、やや慎重な構えを見せました。

 
2018年度の次期改定に向けた国民の意見聴取は「パブリックコメント募集」という形でも行われています(1月19日締め切り)。中医協の田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、公聴会とパブリックコメントの双方の意見も踏まえて、これから「詰めの協議」を行っていく考えを述べています。



https://www.j-cast.com/2018/01/20318641.html
病院の食堂、地域に開放してみたら・・・ 地域包括ケア座談会で提案 
2018/1/20 13:00 J-CAST news

厚生労働省は医療・介護機関が連携する地域包括ケア制度を推進しているが、現状やあり方をめぐる新春座談会が2018年 1月10日、東京で開かれた。
一般社団法人医療介護福祉政策研究フォーラム (中村秀一理事長) の主催。司会の田中滋・慶応大学名誉教授 (医療経済学) はじめ厚労省、日本医師会、病院、大学病院らの代表 7人が意見を述べ、よりよい制度になるよう提言もした。

地域の医療、介護の連携は大きな課題
医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでない


厚労省は病院を高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分け、高度・急性期を減らし、回復期を増やそうとしている。

猪口雄二・全日本病院協会会長は
「病院は現実には様々な患者が入院しており、回復期の極端な不足論は疑問」
「都道府県 (医療) と市町村 (介護) の連携が不十分だ」
と指摘した。

後藤隆久・横浜市大市民総合医療センター病院長は
「大学職員の目的は急性期の研究業績で他との連携が乏しく、学生や医師に地域包括ケアを教えることも難しい」
と、率直に懸念を述べた。

医師で弁護士の古川俊治・参議院議員は近年の医療の動向を鋭く批判した。
「医療は病院でなく医師で成り立つ。知事が公的病院に指示しても、医師は教授や先輩でない知事に従わない」
「医局の力を弱めた臨床研修制度の廃止も検討すべきだ」
「技術を高める専門医制度で地域医療充足はできない」
などなど。

座談会では、往診義務や研鑽が伴う医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでないことでは一致した。「労基署の介入で救急や産科が崩壊する」 (猪口さん) 、「外科は手術したがり麻酔医が過労、と診療科でも違う」 (後藤さん) 、「フランスでは一般には週35時間で医師は39時間労働」 (松田晋哉・産業医大公衆衛生教授) 。
地域ケアを担当する職員は「地域差が大きく、市町村と医師会の連携必要」 (伊原和人・厚労働省審議官、今村聡・日本医師会副会長)。
だが、「医師会・行政・大学合同の勉強会が多い福岡は模範例」 (松田さん) 。
「病院は食堂も開放、周辺にいろんな施設ができて町づくり、生活の中心になるのが望ましい」 (古川さん、田中さん) といった未来像も示された。
(医療ジャーナリスト・田辺功)

G3註: 現場を知らない人のおとぎ話と感じます



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2018/0120512296/?_login=1#_login
医療経営の観点で考える地域連携 
ハイズ株式会社 加納 一樹、裵 英洙
2018年01月20日 06:00 Medical Tribune

地域連携室にはエース級の人材を配置しよう

 地域医療連携が必要不可欠な時代だ。医療の高度化が進み、平均寿命が延びたことにより、複数疾患を抱える高齢患者が多くなった。今後の複雑な医療ニーズに対応するためには、個々の医療機関の取り組みだけでは不十分で、地域における多様な医療機関がお互いに手を取り合い(連携)、患者を"面"で支えなければならない。これからは「病院完結型」から「地域完結型」への転換の必要性は加速していくだろう。

 まず、連携先として地域から選ばれる医療機関になるためには、自院の強み弱みをしっかりと認識し、効果的かつ効率的にそれらを地域に情報発信していくことがスタートとなる。その情報発信基地が「地域連携室」である。効果的な連携を実現するためには、地域連携室は一昔前の"よろず相談所"的な位置付けとは異なるものでなければならない。地域に対する情報発信基地として、病院ブランディングの戦略策定部門でもあるのだ。だからこそ、院内のエース級の優秀な人材を配置し、広報や営業活動に積極的に力を入れる必要がある。いまだに地域連携室を重要と考えず、人員を割くことを考えない医療機関があり、場当たり的に引退間近の看護師や事務員が兼任しているケースをしばしば目にする。

 診療報酬上でも、紹介・逆紹介率などの地域連携のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が評価される流れにあり、今後も地域連携の推進が加速していくのは間違いないだろう。今後の病院経営を考える上で、地域連携は経営戦略の中枢に位置する重要成功要因と考えられるからこそ、地域連携室が取るべき具体的アクションには注目したい。

 今回は、病院経営の視点、つまりマネジメント視点から見た地域連携の3つのポイントをお伝えしよう。


ポイント1:連携医療機関リストの整備

 近隣の医療機関全てと全方向性の良好な関係を築くことができれば最良だが、それには膨大な時間と労力が必要となる。まずは、自院がどの医療機関と良い関係性を築いておくと、患者と自院の経営面に良い効果を挙げることができるかを整理する必要がある。いわゆる、"お得意様"はどの医療機関か、というように自院が深くお付き合いする優先順位を明確にしていく。そのためには、連携医療機関リストの整備が不可欠である。医療機関名、自院からのアクセス、病床数、得意科目、紹介率、逆紹介率、紹介された患者の入院率、重症度、入院単価、窓口担当者の人柄などさまざまな要素をリスト化していく。

 リストができ上がったら、自院の経営にプラスになる順にSランク、Aランク、Bランク、Cランクと分類する。次に、Sランクを維持するための策、下位ランクを上位ランクに格上げするための策をそれぞれ考えていくのだ。例えば、「Sランクは関係性維持のために最低でも月に1回訪問しよう」「今月はCランクをBランクにするための強化月間にしよう」などのアクションを考えていく。もちろん、お得意様でない医療機関をないがしろにする、という話ではない。やみくもに近隣の医療機関と連携するのではなく、限られた資源である時間と労力を効率的かつ効果的に配分するためのステップである。

ポイント2:オフラインとオンラインの情報発信を行う

 自院の良さを伝えるための情報発信のポイントは、「相手がどのような情報なら耳を傾けてくれるか」である。地域連携室のみならず、医療機関からの情報発信は相手を考えない一方的な情報発信がまだまだ多い。

 自院の情報を発信する場合、相手に合わせた文脈を理解することは必須であり、かつ情報発信の手段も相手に合わせて使い分けたい。ある医療機関の担当者はFAXより電子メールがよいかもしれない。別の担当者はメールよりもパンフレットを持参して、口頭での説明を好むかもしれない。もしくは、SNSでの簡単なやり取りでよいという担当者もいるだろう。「どのような情報を好むか」「どのような媒体を好むか」などの視点を持って、連携先の医療機関の担当者に会った際に擦り合わせをすることをお勧めする。

 つまり、「私たちの病院はこの形でしか情報発信しません」と思考停止に陥るのではなく、"相手"に気に入られるにはどの媒体がよいか?どのような情報か?と常に柔軟に考えるようにしたい。

ポイント3:「3つの共有」を意識する

 地域連携はある意味、コミュニケーションでもある。もし、地域連携室がコミュニケーション下手な場合、その病院の窓口が閉鎖しているに近い。だからこそ、コミュニケーションの達人になってほしい。

 一般的に、人は「3つの共有」があるときに、コミュニケーションが深まるといわれている。「時間」「空間」「経験」の3つだ。この3つのバランスを取ることが良好なコミュニケーション関係を築くためのポイントである。

 例えば、電話をかけるという行為を考えよう。電話をすることでお互いの「時間」は共有できるが、実際に会ってはいないため、「空間」の共有はできない。よって、会って話すという行為に比べて、電話はお互いの理解の深まりに時間を要する。「経験」の共有とは、「一緒に何か同じ経験をする」というものだ。一例を挙げると、懇親会や旅行などで一緒の体験を共有することだ。共有体験の頻度が高いと人は親密になりやすくなる。"同じ釜の飯を食う"とは、この3つがそろっている状況を創ることであり、コミュニケーションは深化しやすい。地域連携でも、地域で開催される症例検討会などの一緒にディスカッションする場で、「時間」「空間」「経験」の3つを積極的に持つようにしたい。

 さて、読者の皆さんの職場の地域連携室は、この3つの共有を積極的に取得するように動いているだろうか。管理者は「連携先と密なコミュニケーションを取りなさい」とお題目だけを唱えるのではなく、Howの部分もセットでマネジメントすることが大切である。



 今回ご紹介したのは、マネジメントでいうところのマーケティング、広報、営業に当てはまる。それぞれを単体で実践しても効果はあるが、同時に行うことでより大きな効果を発揮する。地域連携はつかみどころがない概念かもしれないが医療経営にとっては核心でもある。地域連携室の特別の職員だけが"人間力"で地域連携を推し進めるパターンもあるが、その担当者がいなくなると連携力が低下するのは経営管理としてはいただけない。だからこそ、属人的でない地域連携室の構築が大切なのである。そのためにもマネジメント視点で地域連携業務を眺める視点を身に付けたい。

【まとめ】
 地域医療連携に「マーケティング、広報、営業」などのマネジメント視点を取り入れて、より効果的に実践をしよう。

G3註: 現場を知らない人のおとぎ話と感じます



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554409.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《5》
2040年、医療機関と医師の動きはこう変わる
 
2018/1/17 満武里奈、加納亜子、三和 護=日経メディカル

 ■ 病院の統廃合と機能再編が進む
 ■ 診療縮小の地域は遠隔診療で対応
 ■ 在宅担う診療所は複数医師体制に

 人口や医療需要が大きく変化する地域では、需要に見合った形で各医療機関の診療機能を見直したり、病院を統廃合するなど、診療機能の再編が進むのは必至。それに伴い医師の働き方が変わるケースも増えそうだ。

 2040年に先駆けて人口減に直面した結果、既に病院の統廃合に踏み出した地域もある。長崎県の五島列島では、2009年から2014年にかけて2つの二次医療圏にあった6つの公立病院を3つに集約。残りの3施設は診療所に転換した(図8)。

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図8 五島医療圏と上五島医療圏における医療機関の再編(取材を基に編集部作成)

 五島列島の五島医療圏と上五島医療圏は、人口がそれぞれ3万7327人、2万2278人で、高齢化率は36.7%、38.5%に達する(2015年時点)。若年人口ばかりか65歳以上人口の減少も止まらず、2010年から2015年にかけての人口減少率はそれぞれ8.11%、10.61%という状況だ。

診療所への転換で勤務負担減

 人口減に伴い入院患者数が減少。空床も目立ち、診療所に転換した3病院の病床稼働率は奈留病院が43.6%(2013年)、奈良尾病院が12.6%(2010年)、有川病院は10.8%(2009年)にまで落ち込んでいた。

 再編は、6病院の経営主体だった長崎県病院企業団が断行した。「『おらが町から病院がなくなる』ということで住民からは当然、不満の声が上がった。だが、3~4人の医師で50床規模の病院を運営し続けるとなると、毎日の当直配置を含め医師の確保は難しく、さらには人口減少のため患者は減り続け赤字を免れない。10年後も変わらず必要な医療を提供し続けるためには病院再編が不可欠と考え、皆に理解を求めた」と同企業団企業長の米倉正大氏は振り返る。

 五島医療圏では、基幹病院である五島中央病院(304床)が奈留病院を吸収し、奈留病院は19床の有床診療所に改組。高機能診療所として夜間救急にも対応できるようにした。

 一方の上五島医療圏では、有川病院と奈良尾病院を無床診療所に転換。看護師が基幹病院である上五島病院(186床)に移ったことで、同病院では休止していた療養病床を再開したほか、一般病棟の看護配置を10対1に引き上げた。

 無床診療所に転換した2病院で働く医師は、当直や病棟業務の負担がなくなったことで長時間労働が是正され、残業がなくなった。「医師の負担は大きく減った」(米倉氏)。

若手医師が集まる病院に変貌

 こうした再編が、2040年には全国至るところで見られるようになるだろう。そして機能再編の動きは、都道府県の「地域医療構想」の運用により加速することになりそうだ。

 地域医療構想とは、各地域の実情に応じた医療提供体制を再構築するプラン。原則として二次医療圏を単位とする「構想区域」ごとに診療機能別の病床数を明らかにして、病床配置の見直しを図るとともに、在宅医療・介護など受け皿の整備を目指す。現在、2025年に向けた構想が出そろったところで、今後も定期的に見直していく。

 奈良県では既に、地域医療構想に基づく病院再編が進んでいる。県南部の南和医療圏で、急性期医療を担っていた町立大淀病院(常勤換算医師数13.0人)、県立五條病院(同25.7人)、国保吉野病院(同9.7人)の3つの公立病院を2016年に再編、統合。大淀病院を廃止して232床の南奈良総合医療センター(同58.2人)を開設した。同センターに各病院の急性期の診療機能を集約し、「重症患者を断らない医療機関」として機能強化を進める一方で、吉野病院と五條病院は回復期・慢性期入院医療などに特化した。

 この病床再編により、地域全体の急性期入院機能が向上。3病院の医師数は計48.4人から60.8人に、救急搬送の受け入れ件数は年間2086件から4104件に増えた。症例集積や研修機能の向上に伴い若手医師が集まり、病院の役割が明確になったことで大学医局からの医師派遣協力も得やすくなった。圏内で急性期から慢性期まで切れ目のない医療提供が可能になったという。

 このように病院の統廃合や機能再編は、勤務医師の負担軽減に加え、その確保にもプラスに働き得る。国は現在、都道府県ごとに「医師確保計画」を策定し、医療計画に盛り込む検討を進めている(後日公開記事参照)。医師不足の地域で一定期間、勤務した医師を厚労相が認定し、経済的なインセンティブを付与する方向だ。これから医療現場に出てくる医師が対象となるため、その効果が現れるまでには時間がかかりそうだが、2040年には地方の医師不足が今よりも改善している可能性は高い。

ヘリや遠隔診療システム活用も

 病院の統廃合を進めると、診療機能が縮小する地域の住民にとっては、専門的な医療を受けるために遠方の病院への受診を余儀なくされるなどの不利益が生じる。2040年までには、そうしたマイナスの影響を和らげる様々なツールの活用が進みそうだ。

 五島列島では、長崎大学や長崎医療センターなどの専門科の医師をヘリコプターで輸送する「NIMAS」(Nagasaki Island Medical Air System)を利用して、診療所に転換した施設に専門医を派遣している。

 「診療体制を縮小した分、医療の質を維持するためにNIMASを活用する体制にした」(米倉氏)。例えば、上五島病院の付属診療所2施設には、長崎大学病院から泌尿器科、精神科の医師が毎週、循環器内科医が隔週、内科、眼科、耳鼻咽喉科の医師が月2回、神経内科の医師が月1回派遣されるといった具合だ。

 遠隔診療も、診療機能の縮小を補う有力な手段となる。長崎県では2017年、以前から運用している患者情報共有システム「あじさいネット」を活用し、離島を含む過疎地の患者に専門的な医療を提供し始めた。

 まずは睡眠時無呼吸症候群の診療に導入。患者は井上病院(長崎市)の睡眠センターを受診し、1泊入院して睡眠時のポリグラフ検査を受ける。その後は自宅に戻り、かかりつけ医のいる地元病院を訪れる。そこでかかりつけ医同席の下、あじさいネットのテレビ会議画面で、井上病院副院長の吉嶺裕之氏から検査結果と今後の治療方針の説明を受ける仕組みだ(図9)。

図9 井上病院と上五島病院間における遠隔診療の様子(提供:井上病院・吉嶺氏)(図 略)

 あじさいネットの運用に関わる長崎大学医療情報学准教授の松本武浩氏によれば、今後は、他の疾患についても遠隔診療の実施を検討しているという。「睡眠時無呼吸症候群や神経内科疾患などは潜在患者数が多いにもかかわらず、過疎地にはなかなか専門の医師がいない。将来的には各離島にある基幹病院に遠隔診療外来を開設し、専門科の医師とネットワーク回線を通してやり取りをしてもらうことで、住み慣れた場所で診断と治療をできるようにしていきたい」と話す。

携帯型分娩監視装置が標準に

 患者の状態を離れた場所でチェックする遠隔モニタリングも、2040年には導入が広がっていることだろう。その効果は、現時点でも実証済みだ。鹿児島県奄美市の名瀬徳洲会病院で産婦人科常勤医として働く小田切幸平氏は、遠隔モニタリングを駆使して、奄美群島の産科医療を支える活動を続けている。

 同病院は常勤の産婦人科医1人、助産師3人の体制で、遠方の妊婦にまで対応するには限界がある。そこで小田切氏が導入したのがモバイルCTG(持ち運びできる小型分娩監視装置)システムだった。

 自宅で妊婦が自己装着し、得られた胎児心拍数と子宮収縮のデータは通信回線を通じて医療機関のパソコンや医師の携帯電話に送信される。「おかげで胎児仮死や切迫早産のケースも、何とか救命もしくは早めに対処することができるようになった」。

 名瀬徳洲会病院では、このシステムを、通院が困難な遠方の妊婦でかつ頻回のCTGチェックが必要なケースに導入している。例えば、羊水過少や胎児発育不全、出産予定日超過などの胎盤機能不全が懸念される症例、あるいは切迫早産などの子宮収縮のモニタリングが必要な症例などだ。送られてくるデータは、産科医1人と助産師2人でチェックし続けている。

 モバイルCTGを利用した妊婦からは、「わざわざ病院に行かなくても医師とつながっている安心感があった」「胎児への愛おしさが強まった」という声が寄せられている。小田切氏らの遠隔分娩監視の取り組みは、他の地域にも十分に応用が可能だろう。

 地方では、一般診療は身近な医療機関で受けつつも、集約化が不可欠な専門診療は遠隔受診する──というスタイルが2040年には標準になっているかもしれない。


在宅は複数医師対応が当然に

 一方の大都市やその周辺部で、在宅医療の需要が急増していくことは、これまで述べてきた通り。当然のことながら病院だけでは対応しきれず、診療所も訪問診療などに取り組まなければ地域医療は崩壊しかねない。

 だが、医師が1人しかいない診療所では、多様な疾患を有する高齢者への対応には限界がある。《3》で紹介したホームケアクリニック横浜港南が、医師5人体制を敷いているのはそのためだ。実際、高い診療報酬が算定できる機能強化型の在宅療養支援診療所は「常勤医師3人以上」が要件となっている。2040年に在宅診療に携わる診療所は、複数医師体制が当たり前になっているだろう。

 そして地方か都市部かを問わず、これからの医師に求められるのが、患者を「総合的に診る力」だ。今後は急性期後の回復期・慢性期医療の入院需要や、在宅医療需要が高まっていく。入院患者の在宅復帰を支援したり、高齢者の様々な合併症に対応するには、生活環境も含め幅広く診る能力が欠かせない。

 「国民の医療ニーズに応えるには、将来的には医師の半数以上が総合診療医になるような政策を採ることを考えてもいい」と元内閣官房社会保障改革担当室長の中村氏は指摘する。

 こうした将来の医療需要に対応するため、2018年4月に始まる新専門医制度では、総合診療科を19番目の診療科に追加した。また、日本医師会は「日医かかりつけ医機能研修制度」を実施。全日本病院協会も、10年以上の臨床経験を持つ医師がどのような疾患・病態の患者にも対応できるようにするため、不足しているスキルを補う研修「全日本病院協会総合医育成事業」を始める方針を示している。

 これらの研修が実臨床に合った形で実施され普及すれば、総合的な診療能力を持つ医師は着実に増えていくことが見込まれる。

 2040年に向け、各病院が担う診療機能や地域の医療提供体制は大きな変貌を遂げていくだろう。現場の医師としては、自身が勤務する地域の人口や医療需要などの予測値を把握し、今後の変化に対応する手立てを早めに講じておきたいところだ。



http://www.medwatch.jp/?p=18338
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長 
2018年1月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省は1月18日に、全国厚生労働関係部局長会議を開催し、次年度(2018年度)における厚生労働行政の重要事項を、都道府県などの保健福祉担当者に説明しました(厚労省のサイトはこちら)。

 医政局の重要事項については、厚生労働省医政局の武田俊彦局長が、地域医療構想や医師偏在対策を中心に説明しました。

ここがポイント!
1 地域医療構想調整会議での議論、「2018年度までが特に重要」
2 地域医療構想調整会議を外来医療についても検討する場に

地域医療構想調整会議での議論、「2018年度までが特に重要」

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となることから、医療(特に回復期・慢性期)・介護ニーズが飛躍的に高まり、地域における医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となります。このため、各都道府県が「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などを推計し、地域医療構想(いわば「2025年における医療提供体制像」)として昨年(2017年)3月までに策定・公表しています。

 地域医療構想の実現に向けては、都道府県が地域ごとに開催する地域医療構想調整会議(以下、調整会議)などで医療関係者らが話し合い、医療提供体制を再編して「2025年における医療提供体制像」に近づけるために「各医療機関がどのような役割を担えばよいのか」を具体化していきます。

 厚労省は、「都道府県が何をしなければいけないのか」「どういう点から検討していけばよいのか」などを、これまでも通知の発出や研修会開催などで都道府県に伝えてきましたが、昨年(2017年)12月、「都道府県がすべきこと」がより明確になるように、地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)での議論を整理しています(関連記事はこちら)。武田局長は、この「議論の整理」の中で、調整会議での協議の進め方が次のように明確化されたことを説明しました。

▼公立病院や公的医療機関などの具体的な対応方針(2025年時点の医療機能ごとの病床数など)について、調整会議で今年度(2017年度)中に協議する
▼医療機能などを大きく変更する予定のある医療機関の対応方針も、速やかに協議する
▼遅くとも来年度(2018年度)末までに、全医療機関の対応方針を協議する
▼調整会議で関係者の合意が得られた対応方針を、都道府県が毎年度取りまとめる

 また武田医政局長は、昨年(2017年)6月に閣議決定された「骨太方針2017」(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)の中で、「2年程度かけて、調整会議で集中的な検討をする」よう促されていることを挙げ、「今年度(2017年度)から来年度(18年度)が重要な年になる。議論を加速化してほしい」と都道府県担当者に呼び掛けました。
地域医療構想調整会議では、地域にある全医療機関の対応方針について、2018年度末までに協議することになる(図 略)

地域医療構想調整会議を外来医療についても検討する場に

 医師の偏在対策については、医師需給分科会が昨年(2017年)12月にまとめた「早急に着手すべき対策」に基づいて、医療法や医師法の改正案を厚労省が準備しています(2018年通常国会に提出予定)。武田医政局長は、今般の医師偏在対策の柱は、(1)医師少数地域での勤務を医師に促す環境整備(2)都道府県の体制強化(3)外来医療機能の偏在などへの対応―であることを確認(関連記事はこちら)。

 医師少数地域の診療所などで医師が働くに当たっては、現状、「自分の代わりを務める医師がおらず、休暇が取れない」「自分の専門外の患者を診療することになった場合に、相談できる医師が身近にいない」といった不安を感じるかもしれません。そこで、偏在対策の(1)では、▼医師が交代で勤務できるように、医療機関からの医師派遣を複数人セットで行うを派遣する ▼地域の中核病院が、専門外の症例に関する助言などを行う―ことで、安心して診療できる勤務環境を整えていきます。医師派遣や助言提供を行い、勤務環境整備に貢献する医療機関には、経済的なインセンティブ(補助金など)が付与されることになります。

 また、そもそも医師不足地域での勤務を希望する医師の数を増やすために、「医師少数地域で一定期間勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度」を新設。武田局長は、「認定を得た医師に対しては、さまざまなインセンティブを検討したい」と述べています。

今後、医療法や医師法などが改正され、医師に医師不足地域での勤務を促す仕組みが設けられる見込みだ(図 略)

 一方、(2)の「都道府県の体制強化」では、3か年の「医師確保計画」の策定が都道府県に義務付けられます。「医師確保計画」には、「地域の医療ニーズに見合う医師確保の目標値」などを盛り込み、目標達成に向けて、都道府県が大学医学部やその付属病院などと連携しながら、医師派遣や医師の地域定着策に取り組めるように、都道府県に権限(例えば、医学部に「地元出身者枠」を設けるよう大学に要請する権限)を与えます。

医師偏在対策では、地域ごとの医師偏在の度合いを示す指標も導入される
都道府県では今後、医師確保計画を策定して医師偏在解消に取り組むことになる見通しだ
都道府県には、「地元出身者枠」の設置を大学に要請する権限などが付与される見通しだ
診療科偏在の解消に向けて、厚労省は都道府県から日本専門医機構に意見を述べる仕組みが法定される見通しだ
(解像度が低く、文字情報が解読できないため、上記4点図 略)

 また、(3)の「外来医療機能」の関連では、無床診療所の開設場所が都市部に偏ってしまっている現状を踏まえて、「外来医療の需要があるにもかかわらず供給が不足している地域=開業が成功しやすい地域」の情報 を、開業を希望する医師に提供する仕組みを設けます。「外来医療の供給が不足している地域」での開業を促す狙いがあり、どのような情報を提供するかは、二次医療圏ごとに医療関係者らが話し合って決めることになります。この外来医療に関する協議の場について武田局長は、「地域医療構想調整会議も活用してはどうかと考えている」と述べています。
地域医療構想調整会議では今後、外来医療の提供体制についても話し合うことになりそうだ
(解像度が低く、文字情報が解読できないため、図 略)



https://mainichi.jp/sunday/articles/20180115/org/00m/010/003000d
社会保障
「国民健康保険」「介護保険」 これは許せん! “大改悪”が家計を破壊する!
 
2018年1月17日  Texts by サンデー毎日

 2018年は「惑星直列の年」と呼ばれる。惑星が一列に並ぶように、社会保障の制度改正が重なるためだ。医療や介護などの「負担増」「給付減」の波が、ますます家計を圧迫する。安心して医療や介護を受けるために何を知り、備えておくべきなのか。

「2018年は、2年に1度の診療報酬と3年に1度の介護報酬の“ダブル改定”が実施されるほか、4月からは地域の医療機関の病床再編が本格化する『地域医療構想』がスタートします。同じく4月からは国民健康保険(国保)の財政運営が市町村から都道府県に移管されるなど、重要な改革が目白押しです。これだけ大規模な制度改正が一斉に行われるのは珍しく、私たちの暮らしや家計に大きな影響を与えます」

 そう話すのは、三原岳・ニッセイ基礎研究所准主任研究員だ。

 これらの改革は、団塊の世代のすべてが75歳以上の後期高齢者になる25年に向け、膨らみ続ける社会保障費を抑制するために行われる改正だ。何がどう変わるのかみていこう。

国保の都道府県化で保険料がさらに高騰
「家賃5万円を払い、子どもに食べさせるお米や野菜を買えば手元に残るお金はほとんどありません。これ以上何を削ればいいのか……。とても保険料に回せるお金はありません」(東京都足立区・38歳自営業女性)

「勤めを辞めて会社の健康保険から国保に移ったら、1カ月に3万円もの保険料になり、高いことにビックリした」(横浜市・66歳男性)

 定年退職した人や自営業者らが加入する市町村の国保は、年々保険料(税※)が高騰し、「高すぎて払えない」との悲鳴が上がっている。

 たとえば、所得が年250万円の3人家族(30歳代の夫婦と子ども1人)の場合、国保料は東京23区で35万2800円、大阪市34万7100円、福岡市35万2100円など、所得の1割を大きく上回っている。1カ月の給与が吹き飛んでしまうほどの高負担は限界だろう。

 高騰を招いている要因は、加入世帯の低所得化と国の予算削減だ。国民健康保険制度に詳しい立教大コミュニティ福祉学部の芝田英昭教授はこう話す。

「かつての国保加入者は、農林水産業や自営業者が多かったのですが、現在は年金生活などの無職者や非正規雇用者が約8割となり、所得なし世帯が約3割、所得100万円未満の世帯が半分を占めています。所得に占める1人あたりの保険料負担は会社員らが加入する組合健保の約2倍で、最も所得の低い層が最も重い負担を強いられている状況です」

 被用者保険の保険料は会社と折半なので自己負担は半分で済むが、国保は全額自己負担だ。また、給与によって保険料が決められている被用者保険は扶養家族が何人いても保険料は同じだが、国保は家族が多いほど保険料が比例して高くなる、という構造的問題もある。

「加えて、1984年には約45%だった国庫補助が、2015年度には20・3%にまで削減され、その結果、高すぎる保険料を払えなくなる人が続出しているのです」(芝田教授)

 16年度の滞納世帯は312・5万世帯と全加入世帯(1968万世帯)の約16%が滞納しているのだ。

 財政難にあえぐ自治体は、未納者や滞納者を「差し押さえ」などの処分で締め上げる。国保料を払えずに差し押さえられた世帯数は、06年の9・5万件から29・8万件とこの10年で3倍にも増えている。

 こうした赤字財政の国保を立て直すため、今年4月から、国保は市町村と都道府県の共同運営に変わる。1961年の制度開始以来の大改革だ。

 都道府県化して規模を大きくすれば財政基盤が安定し、移管に伴い国から財政支援(2018年度約1700億円)も受けることができる、というのが国の説明だ。保険料の払い方は変わるのだろうか。

「新制度になっても、国保料の額を決め、住民から保険料を徴収するのは引き続き市町村の仕事です」(芝田教授)

 では都道府県はどのような仕事をするのか。

「これまでは、市町村が医療費の推計や保険料の決定、徴収を行っていましたが、今後は、都道府県が医療医の推計を行い、市町村に『納付金』を割り当てます」(同)

 次のような流れになる。

(1)都道府県が市町村に対して「納付金」の金額を提示する

(2)「納付金」の提示を受け、市町村は「納付金」がまかなえる保険料率を決める

(3)加入者から保険料を徴収する

(4)市町村は、都道府県に「納付金」を納める

「納付金は100%完納が義務づけられ、減額は認められません。そうなると市町村は住民から集める国保料の徴収を強化するしかありません。納付金とあわせて、都道府県は各市町村の『標準保険料率』も公表することになっていて、この標準保険料率を参考に市区町村が実際の保険料を決めるのです」(同)

 標準保険料率はあくまで“参考”であって市町村は従う義務はない、とされている。しかし、芝田教授はこう話す。

「建前はそうなのですが、県から提示された“あるべき保険料”の提示が、市町村への圧力となって働きます」

 さらに保険料アップに影響を及ぼすのが、保険料を抑制するために、一般会計から国保会計に投入している「法定外繰入金」だ。

「政府・厚労省は繰り入れを『計画的に解消していくべきだ』という方針で、その“指導役”の役割を都道府県に果たさせようとしているのです」(同)

 税金の補てんがなくなれば急激な保険料上昇を招いてしまう。

 今でも多くの市町村は、国保料の収納率を上げるために正規の保険証を取り上げたり、預金や財産を差し押さえするなど強権的な手法をとっている。具合が悪くても病院を受診できず、治療が手遅れになって命を落とすケースも相次いでいる。

「国保が抱える構造的問題を放置したまま、市町村に徴収強化を促すような都道府県化を導入すれば、加入者はますます貧困に追い込まれ、医療を受けられない人たちも増えるでしょう」(同)

 市町村でバラバラの保険料を統一すべきかどうかは、都道府県によって対応が分かれている。現状通り、財源不足分を一般会計から補てんし続ける予定の自治体もある。自分が住む自治体の保険料がどうなるのか、注視していきたい。

病床削減で医療難民が出る!?
 国保の都道府県化に限らず、今後はあらゆる医療行政において「都道府県の役割」が強まっていく、と先の三原さんは言う。

「一律の財源対策が難しくなってきた国は、病床を削減したり、保険料上昇を抑えるために都道府県の役割と責任を強化しようとしています。都道府県によって異なる診療報酬(医療の公定価格)が導入される可能性もあります。後で振り返ると18年は医療行政の都道府県化が進んだ元年と言われるかもしれません」(三原さん)

 昨年末までに、47都道府県は、医療提供体制の将来像(ビジョン)を示す「地域医療構想」を策定した。それによると、現状約127万4500床の全国の病院のベッド(病床)数は25年に約119万床に減る見通しだ。

 特に、重い病気で入院している患者向けの「急性期病床」が削減される。

「急性期病床は病院にとって採算性の高い部門なので、政府はこれが医療費増大の原因とみて、減らそうとしているのです。急性期病棟には現在、患者7人に対して看護師1人が配置されていて、最も報酬が高いのですが、政府はこの算定方法を見直して報酬を引き下げ、再編を促そうとしているのです」(全国保険医団体連合会の寺尾正之さん)

 介護施設や在宅介護ができる態勢が整っていなければ、病院から追い出されて行き場をなくす“医療難民”や“介護難民”が出かねない。

「在宅に戻されても、生活援助の利用が制限されるなど介護保険サービスも十分に使えなくなっている現状です。途切れない医療介護体制を国の責任でつくるべきです」(寺尾さん)

 一方、前出のニッセイ基礎研究所の三原さんは、こう話す。

「地域医療構想は病床削減目標だけでなく、地域の医療提供体制と、その理念を描くことを求められています。都道府県が発表した地域医療構想を子細にみていくと、地域特性を生かした独自の医療体制を構築しようとしている自治体も見受けられます」

 つまり、都道府県の“やる気”“意欲”によって、医療体制の格差が広がる可能性が出てくるということだ。

「高齢者が増えていくなか、『治す医療』だけでなく『生活を支える医療』の重要性が増していきます。住民もいきなり大病院に行くのではなく、身近に相談できる医師を探したり、そうした医師の情報を提供している医療機関や自治体の情報を収集したりして、自ら能動的に考え動いていくことが大事になります」(同)

介護保険からの「自立」「卒業」という非道
「年金から高い保険料を天引きされながら、いざ介護サービスが必要になると、『要支援の人の調理や掃除はヘルパーじゃなくボランティアにやってもらえ』なんておかしいですよ」

 要支援2で週1回の訪問介護サービスを利用している75歳の男性は憤る。

 膨張する介護給付費に歯止めをかけるために、サービスを使いにくくしたり、利用者負担を重くする施策がここ数年、次から次へと繰り出されてきた。

 (1)要支援1、2のホームヘルプ(訪問介護)、デイサービス(通所介護)は保険からはずされ市町村の事業に(2)特別養護老人ホームへの入居は原則要介護3以上の人に(3)所得にかかわらず1割だった自己負担は一定所得以上の人は2割に(4)非課税世帯でも預貯金が一定額あれば、介護保険施設の食費や部屋代の補助(補足給付)は打ち切り――。

 そして今、盛んに言われているのが介護保険利用者の「自立支援」だ。介護保険サービスの利用が必要なくなった状態を「自立」と呼び、介護保険から「卒業」させる動きが全国の自治体で広がっている。

 身体機能を高めて要介護度を改善した市町村には、財政的に優遇する「インセンティブ」(動機づけ)の制度が改正介護保険法に盛り込まれた。

「ヨボヨボになっているのにリハビリを一生懸命やって自立しよう、なんてハッパをかけられるのは拷問に近い」と76歳男性(要介護1)は憤る。

 リハビリなどを行った高齢者が「元気」になることは喜ばしいことに違いないし、多くの人の要介護度が下がれば介護給付費も抑えられて一石二鳥ともいえるが、「大きな危険性をはらんでいる」と前出・三原さんは指摘する。

「すべての高齢者が、リハビリなどによって要介護度を下げられたり、介護保険を卒業できるわけではありません。そもそも介護保険制度は、高齢者のニーズに応じて自らサービスを選択し、その人らしく暮らすことを支援する、という理念だったはずです。次々行われる見直しをみていると、利用者の選択権を奪い、行政が使うサービスを決めていた介護保険導入前の『措置』制度に戻りつつある気がします」

 ヘルパーが料理や掃除などを手助けする「生活援助」についても、使いすぎないように利用を制限する仕組みが今年10月から始まる。生活援助を行うヘルパーの資格を短い研修でも可とする基準緩和が4月の介護報酬改定で盛り込まれた。いずれも“軽度者”を介護保険から切り捨てる意図が透けてみえる。

「介護保険は保険である以上、保険料を払った人には反対給付を伴う必要があります。要支援や要介護状態の人に介護サービスの利用を制限したり取り上げたりするのは、約束違反であるし、詐欺のようなものです。国保も同じですが、財源が厳しいとか、保険料を払える、払えないとは関係なく受給権を保障するのが社会保障です」(芝田教授)

 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利「生存権」が脅かされつつあることに私たちはもっと声を上げていかなければいけない。

(本誌・藤後野里子)

※「国民健康保険税」として徴収している自治体もある。本誌では、以下「保険料」と表記

(サンデー毎日1月28日号から)



http://www.medwatch.jp/?p=18240
2025年に向けて、地域の医療・介護提供体制の再構築を最大限支援する―加藤厚労相 
2018年1月16日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2025年に向けて、地域医療構想の実現、医師偏在の解消、働き方改革の実現、地域包括ケアシステムの構築などに国を挙げて取り組んでいく—。

四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)が1月12日に開いた2018年の賀詞交歓会で、加藤勝信厚生労働大臣はこのような考えを述べました。

ここがポイント!
1 医療・介護ニーズの多様化に対応するため、医療・介護提供体制の再構築が不可避
2 保険医療サービスに係る消費税問題、抜本解決を求める
3 自院の等身大の姿を見極め、地域の事情も踏まえながら、地域での役割を考える

医療・介護ニーズの多様化に対応するため、医療・介護提供体制の再構築が不可避

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に高まるとともに、そのニーズが多様化していきます。加藤厚労相は、この多様なニーズに対応するために「地域の医療・介護提供体制を再構築していかなければならない」点を強調。

さらに、今年(2018年)は、▼新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートする▼6年に一度の診療報酬・介護報酬同時改定が行われる—という重要な節目の年となるため、次のような施策を通じて、2025年に向けた医療・介護提供体制の再構築を、国を挙げて支援していくことを強く訴えました。

▼地域医療構想の実現に向けて、データ分析を推進し、医療提供における役割分担(機能分化)の好事例を共有するとともに、地域医療介護総合確保基金をはじめとして、進捗状況に応じたきめ細かな支援を行う

▼医師偏在という大きな課題に対応するために、都道府県が主体的に医師確保を行える体制を確保し、医師の地方勤務を後押しできるように、今通常国会に医療法等の改正案を提出する

▼医師の働き方改革を実現するために、地域医療への影響を考慮した上で、関係者の議論を深化させていく

▼2018年度の診療報酬・介護報酬改定において、地域包括ケアシステムの構築、医療・介護連携の推進、ICT活用も含めた医療現場の負担軽減などによって、質の高い効率的な医療提供体制を再構築する」ことになります。

保険医療サービスに係る消費税問題、抜本解決を求める

また日本医師会の横倉義武会長の代理として来賓挨拶を行った今村聡副会長は、四病院団体協議会と日本医師会とがこれまで以上に連携し、「医政を正し、国民の信頼の応えていかなければならない」と訴えました。
 
とくに保険医療サービスへの消費税問題について、来年(2019年)10月には消費税率が10%に引き上げられ、このままでは医療機関の負担がさらに増してしまうことから、「抜本解決を主張していく」考えを強調しています。医療機関が購入する物品やサービスについては消費税が「課税」されますが、医療機関が患者に提供する保険医療サービスでは消費税が「非課税」となっているため、医療機関が負担した消費税は、最終消費者となる患者・保険者に転嫁することはできません。このため、消費税導入時・消費税率引き上げ時には、特別の診療報酬プラス改定で対応されてきましたが、医療現場からは「医療機関の消費税負担を十分に賄えていない」との強い批判があります。消費税率が引き上げられれば、医療機関の消費税負担はさらに重くなるため、経営がさらに厳しくなってくるのです。日医らは「保険医療サービスについて、消費税をゼロ%で課税し、医療機関が収めた消費税が償還される仕組みを設けるべき」ことなどを提案しており、今後の税制改革論議がさらに熱を帯びてきそうです。

自院の等身大の姿を見極め、地域の事情も踏まえながら、地域での役割を考える

さらに、主催者として挨拶した日本病院会の相澤孝夫会長は、今年(2018年)を「将来に向けた改革の重要な第一歩である」と位置づけ、▼自院の等身大の姿をきちんと見極める▼周辺がどのような状況になっているかをきちんと把握する▼時代の潮流を見て、自院が地域で何をしなければならないかをしっかりと考える—という3つの取り組みに、覚悟をもって踏み出さなければならないと、出席者に檄を飛ばしました(関連記事はこちらとこちら)。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554399.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《3》
「入院難民」「在宅難民」が深刻な社会問題に
 
2018/1/15 三和護=編集委員、満武里奈、加納亜子

救急患者が4年で40%も減少

 産科や小児科の患者は減る一方だが、現状では高齢患者が増えているため、全体的に見れば医療ニーズの明らかな減少は見られない。しかし、2040年の日本を先取りする形で人口減が進む地域では、既に医療ニーズの縮小が顕在化している。市場としての医療が縮みつつあるのだ。

 「私が当地に赴任したのは5年ほど前だが、それから毎年のように患者数が減っていった」。青森県南津軽郡大鰐町で町立大鰐病院の院長を務める佐藤新一氏はこう話す。

 大鰐町が2017年3月にまとめた「町立大鰐病院新改革プラン」を見ると、同病院の患者の減少ぶりが明らかだ。町で唯一、夜間の救急診療に対応してきた同病院だが、救急患者数は年々減少。2013年度には延べ747人だったが、翌年度以降は569人、453人と推移し、2016年度は423人にとどまると見込まれている(図6)。つまり、4年間で4割以上の患者がいなくなってしまったことになる。

図6 町立大鰐病院の救急・入院患者数の推移 (図 略)

 入院患者数も、2010年度をピークに減少に転じた。2013年度に延べ1万3727人だった入院患者数は、2016年度には1万人を割り9500人になると予想されている。

 患者減少の原因は、言うまでもなく少子高齢化の進展と人口減だ。大鰐町の人口は2015年度に1万701人だったが、2016年度は1万人を下回る見通しだ。2016年末現在の高齢化率は39.4%に達しており、若年層人口はもとより高齢者人口も既に減少に転じている。

 こうした事情から大鰐病院には、地域の病院再編プランの中で、病床規模の縮小とともに、救急から手を引き回復期・慢性期医療に特化する方針転換が求められている。しかし、転換後に救急患者が発生した場合、弘前市内まで30分から1時間をかけて搬送する必要が出てくる。冬場であれば、さらに時間が必要だ。救急に対応する病床を完全になくしてしまうことには、佐藤氏も抵抗感を抱いている。

 減少したとはいえ、いまだに外来患者数が毎年3万3000人(1日平均114人)規模で推移していることから、再編プランも病院廃止までは想定していない。「有床診療所への転換も検討項目に挙がっている」。こう話す佐藤氏は、夜間救急対応や中核病院から退院してくる患者への回復期リハビリテーションの提供、さらには訪問診療の継続を担う医療機関として、病院を残すべきとの立場だ。「幸いにも大鰐町は温泉が豊富であり、リハビリにはもってこいではないかと思う」。

 今後の方針が定まっていない町立大鰐病院だが、2040年には同様の選択を迫られる病院が、どの地域にも少なからず存在しているはずだ。

患者減への危機感から県外へ

 大鰐病院ほどではなくとも、外来患者の減少に見舞われ始めた病院は少なくない。兵庫県赤穂市の赤穂はくほう会病院も、その1つだ。外来患者数は2006年には17万8127人だったが、5年後の2011年には17万4538人へと2.0%減少。さらに2016年には2011年比で7.8%減の16万952人となり、患者数の減少スピードは加速している。

 赤穂市を含む西播磨医療圏の高齢化率は2015年時点で30.4%に達しており、2010年から2015年にかけて人口は4.46%減少。この人口減少が、赤穂はくほう会病院の外来患者減少に結びついている。同病院を経営する医療法人伯鳳会理事長の古城資久氏によれば、入院患者が減少する傾向はまだ見られないということだが、医療需要の減少に対する同氏の危機感は強い。

 「赤穂市は今後も人口が減っていき、患者も減っていくことが予想される。高齢化によって疾病構造も変化するため、特に小児科の患者が減少していくだろう。他にも最近の患者動向から、心筋梗塞や脳梗塞が減っていくのではないかとみている。そのため人口増加が見込めて、かつ高齢化率が高くない地域に事業を展開していかないと、じり貧になる」。

 こうした考えから伯鳳会では、2005年から2007年にかけて、同じ兵庫県内の明石市と姫路市の2病院をM&Aによってグループ傘下に収めた。さらに2010年には、事業承継の形で大阪市内の2病院を、2013年には東京都墨田区にある病院をグループ化した。

 各地で医療ニーズの縮小が顕在化する2040年に向けて、人口減少地域の医療機関が、高齢化率が相対的に低い都市部に打って出るケースが増えていくことになりそうだ。

回復期病床の需要が増加

 これとは対照的に、大都市やその周辺部では、増大する高齢者の入院医療需要に応えきれなくなるケースが増えてくるとみられる。

 図7はPART1にも出てきた、青森、岡山、神奈川の特徴的な二次医療圏における必要病床数の推計値を予測したものだ(メディチュアの渡辺氏による)。このうち神奈川の川崎南部医療圏(川崎市幸区など)は、2040年には高齢化率が28.2%に達し、2050年ごろまで医療需要が増え続けると見込まれている。

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図7 青森、岡山、神奈川の必要病床数推計予測(メディチュア・渡辺氏による)

 入院医療でとりわけ需要が増えるとみられるのが、高齢者の在宅復帰支援や在宅患者の急性増悪時の受け入れに対応できる病床だ。実際にこの予測でも、必要病床数が最も増えるのは「回復期」とされている。

 国は今、機能別の病床数を定める「地域医療構想」(詳しくは後日公開記事参照)によって、二次医療圏ごとに必要とされる病床の適正配置を進めようとしている。だが、どの病院がどのような機能を担うかは関係者の話し合いによって決まるため、必ずしもスムーズに事が運ぶとは限らない。

 地域医療構想に基づく病床配置が首尾よく進まなければ、2040年には「入院難民」が発生しかねない。「都市部で入院先が見つからなくなり、それが社会問題化することで、空床がある地域に高齢者が移住する動きが出てくる可能性もある」と国際医療福祉大学医療経営管理分野教授の高橋泰氏は指摘している。

団地は都市部の高齢化の縮図

 2040年に向けて高齢者が増え続ける大都市と周辺部では、病床数に限りがあることから、在宅医療のニーズも急増すると予測されている。既に、その兆候が見られる地域も現れてきた。

 高度成長期に建てられた大規模団地は、その代表的な存在だ。住民が完成時に一斉に入居するため、団地の世帯主には同世代が多い。そのため年月を経て子どもたちが独立すると、高齢化率が一気に跳ね上がる。

 横浜市港南区は、昭和40年代以降に建てられた大規模団地が多く、市内でも高齢化が一足早く進行中の地域だ。大規模団地における高齢化率は35%を超えるが、これは神奈川県の将来推計による2040年時点の県全体の高齢化率35.0%とぴったり一致する。つまり団地は、都市部の高齢化の縮図なのだ。

 そんな団地を診療圏に抱える同区の機能強化型在宅療養支援診療所、ホームケアクリニック横浜港南は現在、常勤医師5人体制で約720人の在宅患者に訪問診療を行っている。隣接する横浜市栄区で2004年に開業した際は、定期訪問する患者は30人程度にすぎなかったが、「癌やALS(筋萎縮性側索硬化症)などの在宅患者がどんどん紹介されて受け入れられなくなり、移転して体制を拡充した」(院長の足立大樹氏)という。それでも人員体制などの面から受け入れができず、依頼を断ることもあった。

 その後、港南区内の在宅療養支援診療所が増え、在宅医療の需給バランスは幾分緩和した。ただ、依然として予断を許さない状況が続いている。

 足立氏が挙げる問題の1つが、後方支援病床の不足だ。港南区内や近隣地域には急性期の大病院が多い一方、地域包括ケア病棟や療養病床を有する中小病院が少なく、急性増悪した在宅患者の受け入れ先を探すのに苦労することもある。「現状では基幹病院に受け入れをお願いしているが、これが断られるようになったら厳しい状況だ」と足立氏。

看取りを担う?在宅医療

 もう1つの問題は、いわゆる「困難事例」や、在宅医療の支援が届いていない高齢者の存在だ。

 高度成長期に建てられた高蔵寺ニュータウン(愛知県春日井市)の中で開業し、春日井警察署の依頼を受けて2005年~2015年に577例の検死を行ってきた田島クリニック院長の田島正孝氏は「高齢化が進み、独居の高齢者が増えているからか、死後24時間以上経過してから発見される高齢者が目立つようになってきている」と言う。独居の高齢者では、地域の民生委員などの積極的な介入を拒む人も少なくなく、「外出の機会が減りやすく、医療を自ら受ける機会も減るため生活指導や医療的な介入もしづらい。また、認知症などの疾患の拾い上げや治療、生活習慣病のコントロール、不摂生な生活の是正が困難なケースは少なくない」(田島氏)。

 高齢者のみの世帯が増えたことで、本人、家族とも認知症を有するなど対応が難しい事例も増えている。しかし、在宅医療を手掛ける診療所が全てのケースを拾い上げ、対処できるわけではない。

 前述のホームケアクリニック横浜港南では、ソーシャルワーカーなどを配して困難事例も積極的に受け入れている。だが、同様の体制の診療所が他にも出てこなければ、これから増大するであろう在宅医療の需要をカバーしきれなくなる。その先に待っているのは、「在宅難民」の発生だ。

 PART1でも触れた通り、2040年には都市部を中心に、49万人分の看取りの場所が不足するとみられている。しかし、病床数や介護施設の定員数が大幅に増えることは考えづらく、現実的には高齢者住宅などへの訪問も含めた在宅医療に頼らざるを得ないだろう。2040年に向けて、在宅医療のニーズは増えこそすれ決して減ることはないはずだ。

 これまで述べてきた医療ニーズの変化によって、医療機関や医師の動きがどう変わっていくのか。それを、次ページからのPART3で考察する。



https://mainichi.jp/articles/20180116/rky/00m/040/004000c
県立北部病院
眼科休診へ 来月から、医師不足で /沖縄
 
2018年1月16日 毎日新聞

 【名護】名護市大中の沖縄県立北部病院が、医師不足のため2月1日から眼科を休診することが分かった。知念清治院長は「医師不足が危機的状況だ。一生懸命探しているが見つからない状態だ」と述べた。北部病院では産婦人科の救急休止や外来外科診療の制限も続いており、やんばる全体で医師不足が深刻化している。
 県立北部病院によると、これまで対応していた眼科医1人が退職するため、1月31日が最終診療となる。眼科の休止で、未熟児網膜症の診断ができなくなるため、7月末までは必要に応じて名護市内の眼科医を派遣して対応することが決まっている。8月以降は白紙で、医師確保のめどが立っていない。
 未熟児網膜症は重症になると網膜剥離が起き、視力障害につながる可能性がある。過去には、眼科休診により未熟児網膜症の診断ができなくなり、30週未満の妊婦の受け入れを制限していた病院もある。
 北部病院では妊婦の受け入れの制限は現段階では行わない。知念院長は「県が全国の大学病院や施設から医師の派遣を模索しているが、後任医師の確保が非常に難しい状態だ」と話した。
(琉球新報)



http://www.mutusinpou.co.jp/news/2018/01/49739.html
浪岡病院建て替え 病床数35床に

2018/1/21 日曜日 陸奥新報

 青森市は20日までに、浪岡病院を現在地に建て替える方針を決めた。病床数は35床規模で2021年度の開院を目指しており、精神病床は廃止する。市民病院は病床数を削減するほか、がん診療支援室の設置などを検討している。両病院の経営改善に向けて、今後取り組みを加速していく。
 市は17年5月に「市公立病院改革プラン2016―2020」を策定。地域医療に関する有識者会議での協議を本格化させ、市民病院と浪岡病院の経営改善に向けた取り組みを模索している。これまでの協議を踏まえ、早急に取り組むべき課題として浪岡病院に関しては4項目、市民病院については6項目をまとめた。
 浪岡病院については、近年の利用状況から、病床数92床(うち稼働病床50床)を18年度から35床とし、35床規模で現在地に建て替え、21年度の開院を目指す。同病院は1970年に建設され、老朽化が進み設備も古くなっているという。

G3註:浪岡病院 総病床数 199床(一般病床数 92床 精神病床 107床)、青森市中心部と弘前市中心部のほぼ中間点



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52096
「医療崩壊」を防ぐには混合診療規制を撤廃せよ
破綻の危険性が高いのは東京の総合病院
 
(文:上 昌広)
2018.1.19(金) 新潮社フォーサイト

 2018年が明けた。今年、医療はどうなるだろう。私は医療崩壊が加速すると考えている。その理由は、我が国の医療制度が高齢化・情報化・グローバル化した世界に適合しなくなっているからだ。

 我が国の医療は、官僚がグランドデザインを描き、価格統制と供給量の規制を通じて現場を統制する。手足となるのは、医師会や大学医局だ。高度成長期、潤沢な補助金と高価な診療報酬に支えられ、医療機関の経営は安泰だった。典型的な護送船団方式だった。

 ところが、状況は変わった。財政難に喘ぐ我が国に、護送船団を支え続ける余力はない。医療システムを維持するには、1990年代末に金融界が経験したような大改革を避けては通れない。当面は、試行錯誤を繰り返しながら、新しい仕組みを作り上げるしかない。

 では、今年どこに注目すべきだろう。私は、今春に予定されている診療報酬改定と、今春から始まる新専門医制度だと思う。本稿では、前者を解説しよう。

有名・名門病院も大赤字

 昨年末の予算編成で、診療報酬本体が0.55%引き上げられたことが話題になった。医療界にとっては福音だ。ただ、医師・看護師不足などの理由で人件費が上がっている昨今、この程度では焼け石に水だ。このままでは、立ちゆかなくなる医療機関がでてくる。意外かもしれないが、最初に破綻するのは東京の病院だ。

 なぜ東京かと言えば、我が国の診療報酬が厚生労働省によって全国一律に決められているからだ。診療報酬が抑制されれば、物価が高い東京の医療機関がもっとも影響を受ける。

 では、どのような医療機関が特に危険なのだろうか。それは総合病院だ。不採算の診療科を切り捨てる経営上の「選択と集中」ができないし、すべての診療科を揃えるために、逆にすべてが中途半端な結果になってしまう。

 例えば、2014年度の胃がん治療数ランキングの首位はがん研有明病院の1417件。そして静岡県立静岡がんセンター(1348件)、国立がん研究センター中央病院(1310件)、国立がん研究センター東病院(867件)と続く。上位陣にはがん専門病院が名を連ね、東京の大学病院でもっとも症例数が多い東京大学は611件で16位だ。

 症例数がこんなに違えば、収益性は変わってくる。かつて総合百貨店が専門店に淘汰されたのと同じ状況が既に起こっている。実際、東京女子医科大学、日本医科大学、聖路加国際病院のような有名病院でさえ、大赤字を出している。最近になって、名門三井記念病院も債務超過であることが判明した。

 収益性の低下は、設備投資・人的投資の抑制を招く。東京女子医大で医療事故が続くのは、このような背景を考えれば納得がいく。

 この状況は危険だ。なぜなら、東京の急性期医療を担ってきたのは、私大附属病院を中心とした民間病院だからだ。

 東京には13の医学部があるが、11は私立だ。ちなみに、埼玉県の埼玉医大も私立だし、神奈川県に4つ存在する医学部のうち3つは私立だ。この状況は西日本とは対照的だ。近畿地方以西に位置する33の医学部のうち、25は国公立である。

 民間病院は、赤字が続けば「倒産」するしかない。補助金で穴埋めされる国公立病院とは違う。どうすれば、東京の医療を守ることができるか、本気で考える時期がきている。

どの施策も実現せずに5年以内に崩壊へ

 医療関係者の間では診療報酬の増額を要求する声が大きいが、現実的でない。我が国の財政にそんな余裕はない。

 まずやるべきは、コストの削減だ。だが悲しいかな、医療業界は合理化に抵抗する。

 医療のコストの大部分は、医師や看護師の人件費だ。人件費を下げるには、低賃金国から医師や看護師を受け入れるのが、世界の医療の常道だ。この方法は毀誉褒貶があるものの、私の知る限り、外国からの医師や看護師をほぼ完全に閉め出している先進国は日本しかない。

 例えばフィリピンの看護師の月給はおおよそ6万円、外科医でも20万~30万円程度。日本人と同じだけ給料を出せば、優秀な人材を招聘できる。みな英語が堪能で優秀、かつハングリーだ。外科や放射線科など、日本語を使わないで済む診療科から受け入れればいい。これまで世界最大の医師・看護師受け入れ国であった米国が、移民受け入れ制限政策を進めつつあるトランプ政権となったいまこそチャンスだ。このまま無策を決め込めば、中国に囲い込まれるだけである。

 ただ、現在の政治状況を鑑みれば、このような規制緩和が実現することはないだろう。医師にとってもっともありがたいのは、医師不足の状況が続くことだからだ。

 現状で医療費を抑制しながら、東京の医療を救うには、診療報酬を東京は1点12円、僻地は1点9円のように傾斜配分するのも1つの解決策だ。しかしながら、これもまた政治的に困難だ。

 医療機関は、基本的に地方ほど儲かる。医師不足の地方都市は、医師さえ確保できれば規模を拡大できる。東京の病院が経営難に喘ぐ中、東北地方や九州の病院が都心に進出しているなどが、その証左だ。

 地方の医療機関の経営者の多くは、地元の名士だ。カネも名誉も併せ持つ。国会議員の有力な支援者であることも多い。この状況は自民党に限ったことではない。2009年の民主党への政権交代で、中央社会保険医療協議会の日本医師会推薦メンバーが一新されたが、代わって入ったのは、民主党を支持する医師会メンバーだった。地方都市の診療報酬を下げるような、後援者の不利益となる政策を国会議員に期待する方が無理だ。

 このままでは近い将来、医療財政は破綻する。いまのままでは、ある日突然、病院が閉鎖されるようなハードランディングしかない。ある厚労官僚は、そのタイミングを「5年以内」と言う。

保健から外す範囲を決めるのは国民

 コストも下げられなければ、医療費の傾斜配分もできない。どうすればいいのだろう。厚労省は、健康保険がカバーする範囲を制限(免責)しはじめた。ただ、厚労省が主導すれば、政治が関与する。真っ先に免責されるのは、政治力が弱い中小の民間病院が担っている慢性期医療になる。

 製薬企業が開発した抗がん剤には、一部の高齢者を数カ月延命するくらいしか効果がないのに、薬代として年間に数千万円の健康保険適用を認めている。一方、慢性期病院に入院する患者には「在宅医療推進」というかけ声のもと、退院を強いる。このやり方のおかしさに、多くの国民が気づき始めている。

 私たちがやるべきは、国民視点に立った免責の議論だ。どこまでの医療を公的保険でカバーし、どれを外すかという個別具体的な話だ。風邪薬、先進医療、高齢者の慢性期ケアのどれを保険から外すかは、官僚、医師会、製薬企業でなく、国民が決めるべきだ。

 おそらく、高額な抗がん剤はまっさきに免責されるだろう。抗がん剤の新薬の承認や保険償還では、費用対効果を考慮することが世界的な流れになっている。

 ただ、新薬などの先進医療を免責すれば、「有効性が証明された医療行為は、すべて健康保険でカバーされている」という前提が崩れる。一部の患者から「有効だが優先順位が低い医療」を受ける権利を奪う。

 これは命に関わる問題だ。このような患者に治療の機会を提供するためには、保険診療と保険外診療を自由に併用できるよう「混合診療」の規制を緩和しなければならない。

「混合診療の解禁は富裕層優遇」は誤り

 私は、混合診療規制の緩和が、東京の医療を再生するきっかけになる可能性があると考えている。

 それは、東京には多くの医療ニーズがあり、付加価値に対して対価を払おうとする大勢の患者がいるからだ。

 ところが現在の保険制度は、このようなニーズに応えることができていない。混合診療が原則として禁止されているため、少しでも保険外の医療を併用すれば、本来は保険がカバーする分まですべて自費で支払わなければならないからだ。

「混合診療を解禁すれば、金持ちしか医療を受けられなくなる」と反対する人もいるが、現実は反対だ。混合診療が禁止されているからこそ、保険外の医療サービスを受けることができるのは富裕層だけという皮肉な結果になっている。現に、都内では富裕層を対象とした「完全自費医療サービス」が急成長している。

 例えば、私が社外取締役を務めるワイズ社(東京都中央区)は、健康・介護保険でリハビリがカバーされない回復期の患者を対象に、自費でのリハビリサービスを提供している。まさに、医療費抑制のために免責された領域だ。

 ワイズ社は首都圏を中心に9施設を展開しており、利用者は3年間で2000人を超えた。「パソコンができるようになりたい」、「料理ができるようになりたい」といった個々の目標に応じたパーソナルなリハビリを提供している。費用は月額約30万円で、多くの利用者の状態が改善している。自費なので、状態が改善しなければ、すぐに来院しなくなる。ワイズに勤務する理学療法士は、「病院時代より遙かに真剣です。やりがいもあります」と言う。

 また、私が理事長を務める「医療ガバナンス研究所」の研究員である坂本諒さん(看護師)は、在宅看護を研究している。自費の訪問看護を受ける場合、メニューは本人が決めるため、利用時間は1日数時間から24時間まで様々だ。24時間であれば、1日で10万円以上の費用が請求されるが、坂本さんは「『いいケアが受けられるならいくらかかってもいい』と話す人は珍しくない」と言う。

 都内では、このように高付加価値サービスの「市場」が急成長している。興味深いのは、このようなニッチ領域に飛び込んだのが、これまでのところ大学病院や有名病院でないことだ。これら既存の大学・有名病院は、保険医療と自費医療を併用することで混合診療の規制にひっかかることを怖れている。患者の医療ニーズは変わりつつあるのに、厚労省の規制のために、変化にまったく対応できていないのである。

医療制度崩壊を防ぐことが次世代への責任

 前述したように、保険財政はすでに破綻目前となっており、厚労省による「護送船団システム」はもはや継続できないことは明らかだ。このままでは、体力の弱い病院から破綻する。そうした状況下では、医療機関は自らの努力で生き残るしかない。そのためには、患者から評価される高付加価値サービスを開発し、提供するしかない。

 繰り返すが、病院は「混合診療禁止」という規制で手足を縛られている。この規制は患者のためにも、病院のためにもなっていない。

 混合診療規制を緩和すれば、「悪徳医師が患者を騙す」と主張する人もいる。確かに、そのような医師が皆無とは言わない。ただ、私はそのリスクは低いと考えている。その理由は、メディアの医療報道が増え、患者の医療知識が増えていること、医師が多い東京では、医師間の競争が熾烈で悪徳医師は淘汰されること、混合診療を対象とした民間の保険商品が開発されるはずで、保険加入者が悪徳医師をチェックするようになるからだ。

 私は、混合診療規制が緩和されれば、むしろ医療費は下がる可能性が高いと考えている。現在、都心部の医療機関は激しく競争している。各種媒体に広告を出し、マーケティングに詳しいコンサルタントに依頼するなど、様々な手を使って患者を集めようとしている。

 ところが、患者集めも厚労省が規制している。最大の規制は、「値下げを認めない」ことだ。クリニックを受診した際、患者は2~3割の自己負担を支払う。不思議なことに、医療機関はその自己負担分を「値引き」できない。患者に負担をかけたくない院長がいて、この自己負担を受け取らなければ、厚労省から処分される。

 現在、風邪の診察は数分で4000円程度の収入となる。もし、混合診療規制が緩和されれば、2000円でやろうとするクリニックが出てくるだろう。赤字に悩む健康保険組合は、組合員をこのようなクリニックに誘導するだろうから、結果として医療費は抑制される。

 このような規制緩和には、日本医師会が猛反対し、厚労省も同調せざるをえない。記者クラブ制度が続く限り、マスコミからもこのような問題意識は出てこないだろう。

 もう、こんなことはそろそろ止めてはどうだろう。何もしなければ、日本の医療制度は確実に崩壊する。私たちは現代社会に適合した医療システムを確立し、次世代に渡さねばならない。その責任は重い。



  1. 2018/01/21(日) 12:05:09|
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1月14日 

https://www.asahi.com/articles/ASL1C5VPGL1CUBQU00Z.html
海外医学部卒の研修医、医師不足の解消につながるか 
松浦新2018年1月12日06時00分 朝日新聞

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大総合診療内科で専門医の研修をする横山央(まどか)医師(38)は4年前の会話を忘れない。

 「実習ができたら一生、俺のところに来い」

 「はい。一生、先生についていきます!」

 相手は同科の中元秀友教授。中元教授は「律義なやつです」と笑う。

 横山医師がそこまで思い詰めたのは、中国の大学医学部卒だからだ。高校時代に修学旅行で行った中国が好きになり、高校を卒業した後、北京に2年間、語学留学をした。その後、上海の大学医学部を受験して合格した。

 それからが大変だった。授業も教科書も中国語。中国の医学部は5年制だが、2回留年して卒業した。2007年に帰国したが、日本の医師国家試験の前に「予備試験」を受けなければならなかった。書類を整えるだけでも苦労し、何度も落ちて12年に予備試験に受かったが、さらに国内で「実習」も求められた。

 相談できる人がおらず、途方に暮れてたどりついたのが埼玉医大の中元教授。13年9月から1年間実習後、15年の医師国家試験に合格。日本で7年半かけてようやく医師として働くことができた。横山医師は「日本の医学部のほうが早かっただろう」と話す。

 とはいえ、医学部は難関だ。埼玉医大で研修医をしている小澤純一医師(31)は、日本の国立大学医学部の入試に3回落ちた。

 小澤医師は、中学の時から医師として海外で国際貢献することを夢見てきた。そこで、父が教えてくれたハンガリーの医学部に行く決意をして07年に同国に渡り、翌年、首都ブダペストにある国立センメルワイス大学医学部に合格した。学費は父が出したが、月10万円ほどの生活費は日本で奨学金を借り、いまも月約13万円を返済する。

 授業も教科書も英語。小澤医師によると、入学は比較的簡単だが、進級が大変で、同期入学の日本人11人のうち、留年せず6年で卒業したのは小澤医師含め3人だけだったという。

 ハンガリーの医学部卒だと予備試験なく医師国家試験が受けられる。小澤医師は1度落ちたが、16年に合格し、埼玉医大の研修医になった。

 海外の医学部卒業生が大学病院で働く背景には、国家試験に合格した医師が自由に研修先を選べる、04年からの「新医師臨床研修制度」がある。教授が研修医らの人事権を握ってきた大学の「医局」に医師が残らなくなった。埼玉医科大病院の織田弘美病院長は「外国で学んだ医師の受け入れには医師確保の期待がある」と話す。埼玉医大では現在、中国で学んだ2人、ハンガリーで学んだ3人が働いており、日本各地でも同様の動きがある。



http://www.kochinews.co.jp/article/151453/
高知県内で若手医師が増加 奨学金貸与など支援が結実 
2018.01.12 08:15 高知新聞

 長らく減少が続いていた高知県内の40歳未満の若手医師数が増加に転じたことが11日、県のまとめで分かった。国の統計によると、2014年の517人から2016年は552人に増加。県は「医学生への奨学金貸与やキャリア形成の支援などが実を結んだ」としている。

 全国の医師数は2年ごとに厚生労働省が発表しており、最新の16年の医師数がこのほど発表された。県医師確保・育成支援課によると、40歳未満の医師数は県が把握する最も古い1996年の818人以来、減り続けていた。

 特に2004年度に臨床研修制度が新しくなり、「都市部の病院で多くの症例を経験したい」と考える研修医が増加。郡部を中心に県内の医師不足に拍車が掛かった。

 このため、県は医師確保対策に着手し、2007年度に「医師養成奨学貸付金」を創設。医学生に月額15万円を貸与し、卒業後に県内の指定医療機関で貸与期間の1・5倍勤務すれば返済が免除される制度を作った。さらに高知大学、高知県医師会などと「高知医療再生機構」を設立し、専門医養成支援事業などのキャリア形成支援策を打ち出した。

 この結果、県内の病院に採用される初期臨床研修医が増加。2009年の36人から、2014年以降は50人台が続き、17年は58人となった。

 高知県健康政策部の家保英隆副部長は「支援策が周知され、若手医師に高知でもしっかりとキャリア形成ができると認知されてきたことが大きい」と増加要因を分析し、「高知市など県中央部に医師が集中し、郡部で不足する地域偏在はまだある。引き続き医師確保を進めたい」。

 高知医療再生機構の倉本秋理事長は「研修医や若手医師のグループが自主的に勉強会を開催したり、高知大で地域医療教育に取り組んできたことも要因」と指摘。「若手医師の増加は当直態勢が充実するなど地域医療の質の向上にもつながる」と話している。



http://www.yomiuri.co.jp/local/shimane/news/20180111-OYTNT50199.html
県内医師充足率77% 
2018年01月12日 読売新聞 島根

◇昨年1.5ポイント改善も不足続く

 県内で2017年に医療機関が必要とする勤務医数1260人に対して、実数は969・7人(前年比29・5人増)で、充足率が77%だったことが県のまとめでわかった。調査を始めた2006年以降で最低だった前年より1・5ポイント上昇しわずかに改善したものの、医師不足が続いている。(中筋夏樹)

 県が島根大付属病院を除く県内の50病院と40診療所の17年10月時点の医師の必要数と実数を調べた。
 県内を7地域に分けた2次医療圏別では、73・7%(前年比4・1ポイント減)の益田以外は前年を上回った。前年比4・5人増の隠岐が最も高い92・4%(前年比1・1ポイント増)。雲南は70・1%で2・5ポイント改善したが、最も低かった。
 16の診療科別では、眼科(53・9%)、リハビリテーション科(58・7%)、救急(60・1%)、耳鼻咽喉科(68%)、泌尿器科(68・3%)が70%に満たなかった。
 診療科を2次医療圏別にみると、松江の救急が17・5%と6年連続で著しく低い。松江市医療政策課は救急医療の激務が背景にあるとして「軽症の場合は救急を利用しないよう呼び掛けたり、休日診療所を設けたりしている」と話す。
 常勤医師数は前年比26人増の1138人で、06年以降で最多となったが、病院機能の充実や医療の専門化などで必要数も増加傾向にあり、充足率は07年に8割を超えた以外は70%台が続いている。
 県は19年での充足率80%を目指しており、今年度は不足している産婦人科と小児科の専門医などを目指す医師らに研修資金を貸与する制度を2年ぶりに復活させた。県内で勤務すれば年240万円の貸与金は返済不要で、現在3人が利用している。県内での勤務に関心を持つ全国の医師を登録する「赤ひげバンク」の登録者のうち、16年度までの15年間に149人が県内での医療に携わった。
 県医療政策課は充足率の微増について「取り組みの成果が表れた」と話す。一方、産婦人科や小児科など診療科別の偏在が解消されないのは、厳しい勤務実態や訴訟リスクが高くて医師が集まらないためとみられ、同課は「医学部のある山陰の大学や医療機関、市町村と連携して医師の養成と確保に努めたい」としている。

◇看護職員は96・4%

 県は県内全51病院の看護師や助産師、保健師ら看護職員の2017年10月時点の調査結果もまとめた。必要な看護職員6513人に対して充足率は96・4%で、10年の調査開始以降、最低だった前年より1・2ポイント増だった。
 2次医療圏ごとでは、松江以外で前年を上回った。前年最低だった隠岐は2・4ポイント改善して92・3%になった。
 県は19年に97%を達成するため、院内保育所の運営費として16年度は12医療機関に計約4800万円を補助したほか、過疎地域や離島に5年間就職すれば返済を免除する看護学生向け修学資金の貸与制度を開始。16年度は20人、今年度は19人が利用した。



https://mainichi.jp/articles/20180110/dde/041/040/023000c
長時間労働
過重労働、悩む若手医師 上限基準を「守れず」7割、制限だけでは医療崩壊 厚労省に環境整備求め提言
 
毎日新聞2018年1月10日 東京夕刊

 医療現場の長時間労働問題を考える医師らのグループが、若手医師や医学生を対象に実施したアンケートで、労働時間の上限基準が守れていないと感じている医師が7割に上ることが明らかになった。人手不足などが要因で、現場からは「疲れていては医療の質も保てない」と悲鳴が上がる。一方で「若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量を減らさず、時間だけを制限すれば医療崩壊につながる」との声もあり、苦悩する医師らの姿がうかがえる。【古関俊樹】

 医師の長時間労働は、一昨年1月に新潟市民病院で37歳の女性研修医が過労自殺するなど大きな問題となっている。政府は働き方改革で残業時間の上限規制を検討しているが、医師には原則診療を拒めない「応招義務」があるため、規制のあり方の検討が必要だとして適用を5年間猶予する方針を示している。

 アンケートをしたのは、東京などの若手医師を中心とするグループ。厚生労働省の有識者検討会で進む医師の働き方についての議論に同世代の意見を反映させようと昨年11月、大学卒業後10年以内の医師と医学生を対象にインターネットで調査を実施。約2週間で約800人から回答を得た。

 調査結果によると、労働時間の上限基準について医師の約77%が「守るべきだ」と答える一方、現状について約71%が「守れていない」と回答した。理由では、業務量の多さや人員不足など医療体制の問題に加え、長時間労働を美徳とする医師の慣習を挙げる意見があった。残業や休日勤務などを取り決める労使協定(36協定)などのルールについては、医師も医学生も6割前後が「理解していない」と回答した。

 調査では900件を超えるコメントも寄せられた。「疲労を少なくすることで質の高い医療を提供できる」と長時間労働の是正を求める声の一方、「時間を規制されて技術が向上する機会を奪われる方が嫌」という意見も。「残業している方が評価されやすい」と現場の雰囲気を問題視する声も多かった。

 グループは調査結果を踏まえて「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」と題する提言書をまとめ、先月22日に有識者検討会に提出した。国民や行政、医師会などが協力して長期的な目標を設定し、医師が労働基準法を守れるような環境を段階的に実現していくよう求めている。

 提言書の取りまとめで中心となった東京大大学院医学系研究科の医師、阿部計大さん(35)は「若手医師が国民の健康を第一に考えながらも、自身の健康状態が患者に及ぼす影響などに大きな危機感を抱いていることが伝わってきた」と話した。

寄せられたコメント(抜粋)
・救急外来の呼び出し、患者の急変など自分ではコントロールできない業務がある(外科男性)

・自主的に、休日に患者の回診をすることが暗黙のルールになっている(小児科男性)

・医師は24時間365日働くものだと考えているベテラン医師、患者が存在する(内科男性)

・気合とプライドで乗り切れるとみんな思っている雰囲気がある(麻酔科女性)

・若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量の軽減を考えずに時間だけを制限すれば医療崩壊につながる(救急科男性)

・病院にいてこそ症例が拾える面がある。オンとオフを区別することが重要(整形外科女性)

・医師も家族を持つ一人の人間。自分を大事にできなければ患者さんも大事にするのは難しい(総合診療科男性)

・自分が患者なら、寝不足で判断力が低下した医師の治療を受けたくない(眼科男性)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180110-OYTET50006/
ニュース・解説
新人医師の臨床研修に産婦人科必修…2020年度から
 
2018年1月10日 読売新聞

 勤務環境の厳しさなどから産婦人科医が不足するなか、厚生労働省は2020年度から、新人医師の臨床研修で産婦人科を必修にすることを決めた。

 10年度に必修科目から外れたが、研修医全員に産婦人科の現場を経験してもらい、志望者を増やすきっかけにしたいと、関係学会が再び必修化するよう求めていた。

 国家試験合格後に受ける臨床研修は、医師法で2年以上と定められている。現在、内科、救急、地域医療が必修で、産婦人科は選択可能な科目の一つ。20年度からの必修は、従来の3科目に、産婦人科、外科、小児科、精神科が加わり計7科目になる。

 日本産婦人科医会の調査によると、昨年の産婦人科医の人数は1万1573人。10年以降、微増傾向が続くものの、不足は解消していない。同医会の昨年の推計では、リスクが高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が、労働基準法を守る上で必要な人数を確保できていなかった。

 日本産科婦人科学会は「産婦人科医が増えるきっかけになることが期待される。受け入れ体制を整えて産婦人科の魅力を伝えたい」としている。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011402000120.html
【社会】
日赤、月200時間残業協定 渋谷のセンター 過労死基準2倍
 
2018年1月14日 朝刊 東京新聞

 日赤医療センター(東京都渋谷区)が医師の残業時間を「過労死ライン」の二倍に当たる月二百時間まで容認する労使協定(三六協定)を結んでいることが十三日、分かった。医師二十人は二〇一五年九月からの一年間で月二百時間の上限を超えて残業。渋谷労働基準監督署は昨年三月、センターに協定を順守するよう是正勧告した。
 政府は働き方改革の一環として次期通常国会に、残業時間を罰則付きで規制する法案を提出する方針だが、医師への適用は五年間猶予される。適用の前倒しを巡る議論も必要となりそうだ。
 労災の過労死が認められる目安は月百時間の残業とされているが、現行では労使間合意があれば残業時間の上限に制限はない。
 日赤医療センターは日本初の赤十字病院で常勤医師約二百六十人、約七百床の大型総合病院。月二百時間の上限を過重だったと認め、協定を見直すとしている。非常勤を含めた医師の補充や近隣医療機関との連携で「まずは全医師の残業月百時間以内を目指す」と説明している。
 労使協定では、特段の事情が発生した場合に限り時間外労働を「一カ月二百時間(年六回まで)、年間二千時間」まで延長できると規定。ただ、センターによると、二百時間超えも頻繁に発生し、一五年九月からの一年間で四回超えた医師が二人、二回が三人、一回が十五人いた。昨年一月以降も、毎月四十~五十人の医師が百~百五十時間の残業をしている。残業が多いのは外科や小児科、救急科だった。厚生労働省は「医師の働き方」に関する検討会を設置している。病院の労使協定を巡っては、国立循環器病研究センター(大阪府)が残業月三百時間を可能にする協定を結んでいたことが昨年九月、明らかになっている。

◆過酷な労働実態を反映

 勤務医の過労死問題に詳しい松丸正弁護士の話 月二百時間の労使協定は過労死ラインの二倍で異常だが、救急医療に携わる勤務医の過酷な労働実態と懸け離れたものではない。現実を見ながらやむを得ず結んだ協定だろう。行政も日本医師会自身も長時間労働の議論を十分にしなかった結果、勤務医の残業を減らせば、医療が崩壊するという二律背反の状況が生まれている。勤務医の過労は医療の安全にもつながる問題で、早急な解決が必要だ。
<三六協定と過労死ライン> 労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定するが、同法36条に基づく労使協定(三六協定)を結べば、企業は労働者に時間外労働(残業)を命じることができる。厚生労働省は三六協定の残業を月45時間、年360時間までとの基準を示すが、労使で合意すれば上限はない。厚労省は脳・心臓疾患を労災認定する目安として、発症前1カ月に100時間、または2~6カ月にわたり月80時間超の残業を設定。「過労死ライン」と呼ばれる。



http://www.medwatch.jp/?p=18208
医療介護の地域別データの2017年度版を公表―日医総研 
2018年1月12日|医療・介護行政全般 MedWatch

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は1月10日、ワーキングペーパー「地域の医療介護提供体制の現状(2017年度版)」を公表しました。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」と「市区町村別データ集」があり、▼都道府県▼二次医療圏▼市区町村―の単位で、人口動態や医療需要、介護保険施設の設置状況などを把握できます。病院経営者が自院の将来像を描く際の参考になりそうです(日医総研のサイトはこちらとこちら http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_553.html)。

日医総研のワーキングペーパーでは、人口分布を地図上に示すなど、情報が分かりやすく提示されている(図 略)

自院の将来像を模索する上で参考になるデータ集の最新版


 人口減少社会に入った我が国では、入院患者数そのものも減少していきます。また少子・高齢化の進展に伴い、疾病構造も変化します(肺炎や骨折での入院需要が増え、大手術が必要な急性疾患での入院需要は減る)。このため病院には、▼地域医療構想(地域の将来の医療提供体制像)▼病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▼自院の実際の姿▼地域の医療需要(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉え、将来の姿を模索することが求められます。

 高齢化は介護サービスの需要増大も引き起こすため、「治療によって状態が落ち着いたが、介護サービスを利用するめどがつかず退院できない」高齢患者が増える恐れもあります。病院経営者は、「地域にどの程度の医療・介護資源があり、どの程度の供給不足(もしくは過剰)が見込まれるか」を把握することが求められます。

 日医総研が今般公表したワーキングペーパーは、医療・介護資源の現状や、今後の人口動態などを地域別に示すもので、病院経営者には、最低限このデータを活用して「自院の歩むべき道」を考えることが求められます。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」は2012年、「市区町村別データ集」は2015年から毎年公開しています。2017年度版では、各地の人口データを2015年の国勢調査に基づいて更新するなどして、現状により近い値を示しています。

 上述した2つのデータ集で確認できる情報を、都道府県→二次医療圏→市区町村という具合に、焦点を絞りながら見ていきましょう。北海道→札幌二次医療圏(札幌市など6市1町1村)→札幌中央区を例にとると、次のようなことが確認できます。

【北海道】
▼人口は、▽2005年:562万7737人→(4%減少)→▽2015年:538万1733人→(8%減少)→▽2025年:495万9984人と推移する
▼患者の受療行動が大きく変わらなければ、高齢化の影響により医療需要が2015年から2025年にかけて4%程度増える
▼介護保険施設やサービス付き高齢者向け住宅の定員数は、現状では75歳以上人口に対して比較的多い(偏差値にすると60)ものの、75歳以上人口が増える2025年までに現状の1.1倍程度に増やさなければ不足してしまうので、施設・住宅の増設か、在宅療養のためのインフラ整備が求められる

【札幌二次医療圏】
▼人口は、▽2005年:231万15人→(3%増加)→▽2015年:237万5449人→(3%減少)→▽2025年:229万3364人―と推移する
▼医療需要は2015年から2025年にかけて12%程度増加する
▼75歳以上人口に対する介護保険施設などの定員数の偏差値は現在69で、全国平均レベルを大きく上回っているが、現状の1.3倍程度まで増やさなければ、やはり2025年には不足する

【札幌市中央区】
▼人口が、▽2015年:23万7627人→(1%増加)→▽2025年:24万488人→(1%減少)→▽2040年:23万8093人―と推移する
▼人口当たり病床数の偏差値は現在、一般病床が81と非常に高く、▽回復期病床:57▽地域包括ケア病棟:57▽療養病床:57―の偏差値も高い
▼サービス付き高齢者向け住宅の75歳人口当たり戸数が、1000人当たり92.6と多く(全国平均は13.5)、偏差値は119に達し、飽和状態にあると想定される
▼75歳以上人口当たりの通所介護事業所数と短期入所事業所数の偏差値はどちらも43で、地域の需要に対して不足している可能性がある

これらは、病院経営者が「自院の病床戦略を立てる」際や、「介護サービスへの参入を検討する」際などに必要な最低限の情報となります。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180112142123
【中医協】18年度診療報酬改定を諮問、厚労相
12日から1週間程度でパブコメ募集
 
2018年01月12日 15:49 CB News

 加藤勝信厚生労働相は12日、中央社会保険医療協議会(中医協)に2018年度診療報酬改定を諮問した。中医協は同日の総会で、これまでの議論をまとめた整理案を大筋で了承。厚労省はこれを受け、整理案のパブリックコメントの募集を同日にも開始し、1週間程度の日程で意見を受け付ける。これらで集まった意見を踏まえ、診療報酬点数の配分を決める議論を今月下旬以降、本格化させる。2月中旬の答申を目指す。【越浦麻美】

 この日の総会で厚労省は、昨年12月に決めた診療報酬の改定率や同月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会が取りまとめた「診療報酬改定の基本方針」に基づいて、従来通り答申を行うよう求めた。

 整理案は、中医協によるこれまでの審議結果を基本方針に沿ってまとめたもの。18年度診療報酬改定では、入院医療の評価体系を抜本的に見直す。一般病棟入院基本料や療養病棟入院基本料などを、▽急性期一般入院料(仮称)▽地域一般入院料(同)▽療養病棟入院料(同)-に再編・統合し、入院医療の基本的な診療の「基本部分」と、診療実績に応じた「実績部分」への評価を組み合わせた体系に再編・統合することなどが盛り込まれている。

 厚労省は、18年度診療報酬改定をめぐる整理案について、医療現場や患者などから意見を募集し、それらを踏まえて中医協で議論を深めていくとしている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554391.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《2》
外来需要は2025年に減少に転じ入院需要は増加

2018/1/12 三和護=編集委員、満武里奈、加納亜子 Medical Tribune

 ■ 外来需要が減少に転じ入院需要は増加へ
 ■ 肺炎や心・脳血管疾患が増えるも癌は横ばい
 ■ 都市部は看取り場所不足で在宅需要が急増

外来需要のピークは2025年

 2040年に向けて、医療ニーズはどのように変化していくのか。それを示す格好のデータがある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」(座長:慶應義塾大学教授の土居丈朗氏)がまとめた、外来・入院別の医療需要推計がそれだ。

 2015年に設置された同研究会は、高齢化や人口減少がさらに進行する2040年までを見据えた将来の医療需要を地域ごとに推計。現状の医療提供体制を踏まえて、地域ごとに医療の需給ギャップを可視化している。

 それによると今後、外来の医療需要は微増して2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる。一方、入院の医療需要は2040年までハイペースで増加を続け、ピークを迎えた後はおおむね横ばいで推移すると推計されている(図4)。

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図4 外来・入院医療需要の推移


 推計の根拠には、高齢化率の上昇と人口減が挙がっている。入院の医療需要は、加齢に伴いほぼ直線的に増加する。また、外来の医療需要は80歳を超えると減少に転じる傾向があるが、それまではやはり増え続ける。そのため、団塊の世代が後期高齢者となる2025年にかけては、外来・入院ともに医療需要は増加する。

 2025年以降も高齢化が引き続き進行するため、入院の医療需要はさらに増加する。これに対して外来の医療需要は、団塊の世代が80歳代に差し掛かるとともに、それより若い世代の人口減が進行するため、減少に転じるとみられている。

 こうした外来と入院の医療需要の推計を基に同研究会は、「将来的に多くの地域において、診療所をはじめとする外来医療需要に対応している医療資源を、在宅による訪問診療・看護に活用し、回復期・慢性期機能病床の医療需要の増加へ対応していくことが考えられる」と見通している。

肺炎や心・脳血管疾患が増加

 では、疾病の種類別に見た医療需要はどのように変化するのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計と患者調査から厚労省が作成した入院患者の将来推計によれば、肺炎や心疾患、脳血管障害などが大幅に増加する(図5)。一方で意外なことに、癌(悪性新生物)は2025年まで微増で推移した後、減少に転じると予測されている。

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図5 入院患者の原因疾患の将来推計

 さらには高齢化の進展に伴い、認知症の患者も急増する。認知症について長期的・縦断的に調査した久山町研究を基にした内閣府の将来推計では、2012年に462万人だった認知症患者数は2040年には802万~953万人まで増加し、65歳以上の有病率は21.4~25.4%に達するとみられている。「高齢化のスピードが速い日本では、認知症の患者数も急速に増加する」と九州大学大学院医学研究院附属総合コホートセンターの二宮利治氏は指摘する。

 このような疾病構造の変化を踏まえ、奈良県立医科大学で公衆衛生学講座教授を務める今村知明氏は次のように語る。「今後は急性期よりも急性期後や回復期、慢性期の医療の比重が大きくなる。それに伴って、介護保険における要支援・要介護認定者数も大幅に増えていくことが見込まれる」。

産科・小児科は集約化が加速

 診療科別に見ると、少子高齢化と人口減の進展の影響を最も大きく受けるのが産科と小児科だろう。2016年の医療施設調査・病院報告によれば、産婦人科または産科を標榜する診療所は、2008年の3955施設が2014年には3469施設と12.3%減少した。病院も同様で、2008年の1496施設から2016年には11.0%減となる1332施設にまで減っている。

 分娩に着目すると、日本産婦人科医会のまとめでは、2016年の分娩取扱病院数は1063施設まで落ち込んだ。2007年の1281施設から9年間で2割近くの減少となった。この間の合計特殊出生率は、1.34から1.45へと増えていた。にもかかわらず分娩取扱病院数が減少したのは、施設の集約化が進んだことが影響している。1病院当たりの分娩数を見ると、2007年の446人が2016年には531人と2割ほど増えている。

 では、2040年代の産科医療はどうなっているのか。日本の将来推計人口によると、2040年の出生率(中位推計)は1.43となっており、現状とそれほど変わらない。ということは、分娩取扱病院数が増える可能性はまずない。むしろ人口減の影響で、各地域で産科施設の集約化がさらに進むと考えられ、分娩取扱病院数は減るばかりというのが現実的な予測といえそうだ。

 産科ほどではないが、小児科も標榜施設数の減少や患者減が著しい。先の医療施設調査・病院報告によれば、小児科を標榜する診療所は2008年の2万2503施設から2014年には2万872施設へと7.2%減少した。病院も2008年の2905施設から2016年の2618施設へと9.9%も減っている。

 また、厚労省の研究班が日本小児科学会に登録されている医療機関924施設を対象に実施した調査によると、2005年から2014年までの10年間で、小児の外来患者は23.6%、入院患者は15.9%、それぞれ減少したことが明らかになっている。

 その後も少子化には歯止めがかかっておらず、2015年に1589万人だった14歳以下の小児人口は、2040年には1194万人にまで減る見込みだ。小児患者の減少がさらに進んでいくことに疑いはない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/579386
「大学病院こそ地域包括ケアを理解、教育する場」
医療介護福祉政策研究フォーラムが新春座談会
 
レポート 2018年1月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人「医療介護福祉政策研究フォーラム」は1月10日、「地域医療構想と地域包括ケア」をテーマに新春座談会を都内で開催した。司会を務めた慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏は、2018年度診療報酬改定の基本方針として、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」が掲げられた一方、介護報酬改定でも「医療」という言葉が頻出するなど、2000年度の介護保険制度の創設当初は、医療と介護の間には非常に距離があったが、今は密接に関係するようになった点を強調、その上で、「急性期病院は、世間から孤立して急性期医療をやっていればいい時代ではない」と指摘した。

 約3時間にわたった新春座談会の最後のあいさつでも、田中氏は、「医療機関が地域に期待される役割は何か。入院、外来、訪問機能、介護関係職種への教育機能など、さまざまな機能を果たし得る。その中で一つの機能にすぎないベッドを埋めることにこだわっていてはいけない」と述べ、多世代共生の町づくり、地域づくりという視点も踏まえ、医療の在り方を再考する必要性を強調し、関係者の意識改革を促した。

 横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長で、同大麻酔科教授の後藤隆久氏は、「大学病院は、地域包括ケアシステムをきちんと学生に見せ、学生が進路を考える場を提供していかないと、大学が病院を持つ意味がない」と強調、「特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」と述べ、大学自体も地域医療構想や地域包括ケアシステムの構築が進む中で変革を迫られている現状を紹介した。

ディスカッションでは、医師の働き方改革・新専門医制度・医師偏在対策、地域医療構想等における都道府県が果たす役割への期待、地域創生の在り方について、各シンポジストが発言。

 「地域医療構想と地域包括ケア」は、行政や経営者の視点から語られることが多いが、現場の医師の意識改革、関与の必要性を指摘する声が挙がり、産業医科大学公衆衛生学教授の松田晋也氏も、「地元福岡のケアマネジャーに聞いたところ、一番連携しなければいけないのは医師だが、最も連携しにくいのも医師とのこと」とエピソードを紹介。

 「地域医療構想と地域包括ケア」がターゲットとするのは、団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年。松田氏は、75歳以上人口の推移と予測データも提示。75歳以上人口が増え始めたのは、1985年くらいからであり、その後、急速に増加しており、「“2025年”の意味はただ一つ。それは、後期高齢者の激増が止まる時期。そこから15~20年はほぼ横ばいになる。この時期を乗り切るために、2025年までにメドを付けておく必要があり、そのために地域医療構想、地域包括ケアなどがあることを理解してもらいたい」(松田氏)。

 松田氏は、現状および将来の医療の在り方を考える際に必要なデータも示した。その一つが、広島県の医療と介護のレセプトを連結して分析した「脳梗塞のために急性期病院で入院利用を受けた患者の入院前後のサービス利用状況」であり、介護保険のサービスを利用していたのは、入院6カ月前は約4割、入院後6カ月後には7割以上が利用していた。「介護の現場から急性期病院に入院し、また介護の現場に帰っていく」と松田氏は述べ、医療・介護を総合的に考える重要性を強調した。

「なぜ大学病院は急性期病院か」、横市大

 シンポジウムには、田中氏、後藤氏、松田氏のほか、厚生労働省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏、日本医師会副会長の今村聡氏、全日本病院協会会長の猪口雄二氏、参議院議員の古川俊治氏の各氏が登壇。

 地域医療構想や地域包括ケアは、制度論や一般病院経営の立場から語られることが多いが、地域医療の現状を踏まえ、大学病院の立場から発言したのが後藤氏。

 後藤氏が院長を務める横浜市立大学附属市民総合医療センターは、大学病院分院の位置づけ。726床でDPCII群。病院のある横浜市は人口約370万人だが、400床以上の急性期病院が計16病院ある。2025年には急性期の病床の必要量は減る見通しであり、「既に急性期病院は、“レッドオーシャン”で、患者の取り合いが起きている」(後藤氏)。2年前に後藤氏が病院長に就任した際に、病床機能の転換も考えたものの、大学病院は急性期以外にはダメだとされたと言い、「なぜ大学病院は、急性期病院なのか」と思ったという。

 「大学病院の医師のインセンティブとは何か。なぜ大学病院の医師は、安月給なのに、あえて大学にいるのか」と問いかけた後藤氏は、その一つの理由として、次のように説明。「医師同士の間でとにかく認められたい。そのためには困難な患者をより多く見て、その診療成績を発表したり、論文を書く。それにより学会の中での地位を上げていくことを追求する。困難な患者は診療密度が高いので、大学病院はやはり急性期病院になる」。

 さらに医学部教授には、“領土問題”、つまり担当科の病床数や医師数の減少に対する抵抗感は強いという事情もあり、「大学病院的な手厚い人員配置で、回復期・慢性期病床の経営が成立するのか」という現実も踏まえ、結果的に「大学病院の病床転換は困難」「急性期病院としての地域での大学病院の在り方を、教授をはじめ医学部教員に理解してもらわないと、大学病院としてはやっていけない」との結論に至ったという。

 2016年の秋頃から、最重要課題として取り組んだのは、「頼まれた救急患者、紹介患者、当院に受診歴がある患者は必ず診る」ことだった。「『大学病院で診るべき患者ではない』と言って、門前払いをすれば、われわれが本来診るべき患者も送ってもらえなくなる」。こうした話を臨床部長会で繰り返した後藤氏。

 今年の課題は、近隣病院と連携を深めること。「高機能、重装備だが、高コストでもある大学病院で診なくてもいい患者は、他に紹介する。そのために顔の見える関係を構築していくことが課題」。

 「なぜ大学は附属病院を持っているか」「なぜビジネススクールは附属会社を持っていないのか」。その答えとして、後藤氏は次のように説明。「大学は、医学、医療を教える場。昔は急性期医療を教えていればよかったが、今は地域包括ケアシステムを教える必要がる。それを学生に見せ、学生が自分の進路を考える場を作ることができなければ、大学病院である意味がない。特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」。

 横浜市立大学では、文部科学省補助金による「課題解決型高度医療人養成プログラム」として、2018年度から、大学病院のマネジメントの在り方や、都市部の医療システム構築に貢献できる人材育成に取り組むことになっている。



http://www.medwatch.jp/?p=18177
2016年から17年にかけて在院日数が短縮し、利用率も低下―病院報告、2017年9月分 
2018年1月11日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 ここ5年における「9月分」の平均在院日数・病床利用率を見ると、「平均在院日数」の減少傾向が続く中で、2015年まで月末病床利用率が上昇していたが、2016年以降は低下してしまっている—。

 このような状況が、厚生労働省が1月10日に公表した2017年9月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

安定経営と在院日数短縮を両立させる難しさが際立つ

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2017年8月分の状況はこちら、17年7月分の状況はこちら、17年6月分の状況はこちら)。

 昨年(2017年)9月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院124万3329人(前月比7261人・0.6%減)、外来134万7495人(同1万5268人・1.1%減)となり、入院・外来ともに前月から減少しています。病床種別(医療法)に入院患者数の動向を見ると、▼一般病床:66万8005人(同5421人・0.8%減)▼療養病床:28万6177人(同1165人・0.4%減)―などと全種別で前月を下回っています。

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.1日で前月から0.7日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床16.0日(前月比0.4日延伸)▼療養病床150.9日(同1.6日延伸)▼療養病床のうち介護療養病床326.9日(同10.8日延伸)▼精神病床265.5日(同1.2日延伸)▼結核病床69.3日(同2.5日短縮)―となり、残念ながら全病床種別で前月より延伸してしまっています。

一般病床の平均在院日数は、2017年8月から9月にかけて0.4日延伸した(図 略)

 また(3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では77.0%で、前月に比べて3.0ポイント低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床70.5%(前月比4.7ポイント低下)▼療養病床87.1%(同0.8ポイント低下)▼療養病床のうち介護療養病床91.0%(同0.1ポイント低下)▼精神病床85.7%(同0.5ポイント低下)▼結核病床34.2%(同0.8ポイント低下)―という状況です。

 在院日数が延伸しているにもかかわらず、病床利用率を維持できておらず、後述するように「新患獲得」などに苦労している状況が伺えます。

 次に一般病床における「9月分」の平均在院日数を5年前から見てみると、▼2012年:17.8日→(0.3日短縮)→▼2013年:17.5日→(1.0日短縮)→▼2014年:16.5日→(変化なし)→▼2015年:16.5日→(0.3日短縮)→▼2016年:16.2日→(0.2日短縮)→▼2017年:16.0日―と推移しています(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。少しずつではありますが、短縮が着実に進んでいる状況が伺えます。

 一方、月末病床利用率は、▼2012年:70.9%→(2.1ポイント上昇)→▼2013年:73.0%→(0.1ポイント上昇)→▼2014:73.1%→(0.9ポイント上昇)→▼2015年:74.0%→(1.1ポイント低下)→▼2016年:72.9%→(2.4ポイント低下)→▼2017年:70.5%―という状況です。こちらは、2015年まで上昇が続いた後に低下してしまっています。

 メディ・ウォッチで度々お伝えしているとおり、「平均在院日数の短縮」は、▼7対1や10対1病院における重症患者割合の向上▼DPCのII群要件の1つである「診療密度」向上―などに大きく寄与するなど、経営面では極めて重要なテーマの1つとなります。また経営面から離れて、院内感染・ADL低下のリスク低減といった「医療の質向上」にもつながります。つまり、在院日数短縮の努力は急性期に限らず、すべての医療機関で進めていくべきテーマであり、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定でも、例えば早期退院に向けた介護サービス事業者との連携が促されている見通しです。

 とはいえ、単純に在院日数を短縮するだけでは、「病床利用率の低下」(空床の発生)につながり、経営状況の悪化を招く恐れもあります。そこで、▼かかりつけ医と連携する▼救急搬送患者を受け入れる―といった新入院患者の獲得策とセットで在院日数を縮めることが重要と言えます。この点、2016年8月と2017年8月とを比較すると、平均在院日数が0.1日短縮する一方で月末病床利用率が0.6ポイント上昇し、困難な「両立」を実現していました。しかし、2016年9月と2017年9月とを比較すると月末病床利用率が低下しており、「両立」の難しさが際立ちます。

 なお、人口減少社会に入った我が国では、地域の患者数そのものが減少しています(近い将来、大都市でも人口が減少していく)。その中では、▽病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▽自院の実際の姿▽地域の医療ニーズ(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉えて、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」を視野に入れることも必要となるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59387/Default.aspx
中医協総会 かかりつけ医機能を初診時に加算で評価へ 機能分化、病診連携を後押し 
公開日時 2018/01/11 03:51 ミクスOnLine

厚生労働省保険局は1月10日の中医協総会で、次期診療報酬改定の焦点である“かかりつけ医”について、初診時の加算新設を提案した。地域包括ケアシステム構築が求められる中で、かかりつけ医が予防から入院、在宅までのステージで中核を担うことが期待されている。患者にとって気軽に相談でき、必要に応じて専門医へ紹介するなどの機能を担う医療機関の評価を新設することで、かかりつけ医の機能を明確化。あわせて、大病院との病診連携を推進し、医療機関の機能分化、地域包括ケアシステム構築に向けて後押しする考えだ。

高齢化が進み、在宅で治療を受ける生活習慣病患者が増加する中で、かかりつけ医は、①日常的な医学管理と重症化予防、②専門医療機関等との連携、③在宅療養支援、介護との連携―と予防・外来、入院、在宅の各ステージにかかわることが求められている。

かかりつけ医を評価する点数としては、地域包括診療料、地域包括診療加算などの点数があるが、初診の機能を重視し、新たに評価する方針を打ち出した。専門医療機関との連携として具体的には、合併症の入院が必要な場合などで精密検査や治療が必要なケースや急性増悪への対応などが想定される。ただし、異なる疾患での再診となる患者については、診療報酬上での区分が難しいことから、初診時に限ることも提案した。

2018年度診療報酬改定の議論では、大病院受診時の定額負担については、現行の一般病床500床以上の地域医療支援病院との対象範囲を400床以上に拡大する方向で議論が進められている。今回要件に示された、専門医療機関への紹介機能はこうした観点からも重要性を増すこととなる。

診療側は提案を歓迎した一方で、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「初診で、患者が気軽に相談できるというのは当たり前。必要であれば専門医療機関を紹介できるのも当然のことだ。患者にとっては、そういった機能があるところに行くときは高いお金を払わないといけないことになる」と指摘するなど、支払側からは、患者負担の増加を懸念する声もあがった。

◎急性期の入院基本料は7段階に 重症患者割合が今後の焦点に

この日の中医協総会では、一般病棟入院基本料(看護配置7対1、10対1)の見直しについても議論がなされた。7対1入院基本料と10対1入院基本料を再編・統合。7対1と、10対1の間の中間的な評価を2段階新設し、7段階の評価とすることを提案した。

今後、急性期医療のニーズは減少傾向となることが推計されており、急性期病床から地域包括ケア病棟などへの転換が求められている。一方で、現行の7対1入院基本料(1591点)と10対1入院基本料(1332点)との間には診療報酬点数上に格差があり、病院経営の観点からも転換を阻んでいる現状があった。こうした中で、看護配置などの基本部分に加えて、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を評価する診療実績に応じて段階的な評価とすることで、医療機関の「弾力的で円滑な選択・変更」を後押しする見直し方針が示されていた。

中医協に示された具体案では、現行の7対1入院基本料に相当する「入院料1」、10対1入院基本料に相当する「入院料4、5、6、7」に加え、両者の中間的な水準となる基本料として、「入院料2」、「入院料3」を新設する。この新たな基本料は、入院料1の届け出や診療情報データ(DPCデータ)を用いた判定が必須であることなどを要件化する。

診療実績の基準に用いられる「重症度、医療・看護必要度」も見直す。重症度、医療・看護必要度は、A項目(モニタリング及び処置等)、B項目(救急搬送後の入院)、C項目(手術等の医学的状況)を基準に判定することになる。①A得点が2点以上かつB得点が3点以上、②A得点が3点以上、③C得点が1点以上―について、毎日測定し、直近1か月の該当患者の割合を算出する。7対1入院基本料を算定するには、該当患者が25%以上となることが必須要件。10対1入院基本料では、12%以上、18%以上、24%以上と重症患者の割合に応じて段階的な評価がなされている。

厚労省は、見直し案を2案提示したが、診療・支払各側ともに、①「A得点1点以上かつB得点3点以上」かつ「診療・療養上の指示が通じる」または「危険行動」のいずれかに該当している患者を該当患者に追加、②開腹手術の所定日数を5日から4日へ変更――を支持した。

今後焦点となるのが、現行の7対1入院基本料を取得できる重症患者の割合だ。認知症患者の影響もあり、見直し後は重症患者の受け入れ割合が増加することとなる。支払側は、これまで30%以上への引上げを求めてきた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、基準の見直しにより、「該当患者が3~4%増加する新たな付加的な要素が出てきた」とし、「現行7対1入院基本料の基準を34%に引き上げる」ことを求めた。

一方、支払側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、現行制度でも赤字に陥っている急性期病院があると指摘。10対1入院基本料に相当する基本料については、該当患者割合の基準引き下げを求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=18163
かかりつけ機能持つ診療所など、初診料の評価アップへ―中医協総会 第382回(2) 
2018年1月10日|2018年度診療・介護報酬改定

 かかりつけ医機能を持つ医療機関について、初診に係るコストを考慮した評価を行ってはどうか。また、薬価調査の正確性を担保するために、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか―。

 1月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点についての議論も行われました。

ここがポイント!
1 かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的
2 単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的

 2013年8月に取りまとめられ、現在進められている社会保障・税一体改革のベースとなっている「社会保障制度改革国民会議報告書」では、外来医療の機能分化を進める方針が打ち出されています。

「診療所や中小病院が一般外来を受け持ち、大病院は紹介・専門外来に特化すべき」との方針で、これまでの診療報酬改定等でも▼紹介状なしに大病院外来を受診した患者の特別負担(初診5000円以上、再診2500円以上)▼主治医機能を評価する【地域包括診療料】や【地域包括診療加算】などの創設・拡充―など、外来医療の機能分化に向けた見直しが行われてきています。

2018年度の次期改定においても、当然、同じ方向が打ち出されており、▼紹介状なし外来受診患者から特別負担を徴収する病院の拡大▼【地域包括診療料】などの要件緩和▼オンライン診察・医学管理の診療報酬上の評価新設―などが既に議論されています。

1月10日の中医協総会では、これらに加えて、「かかりつけ医機能のさらなる評価」案が厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長から提示されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた基本方針や、政府の財政再建に向けた計画(経済・財政再生計画)の改革工程表に盛り込まれた「かかりつけ医機能の推進」をさらに強化していく狙いが見て取れます。

かかりつけ医機能については、昨年(2017年)2月の中医協総会で議論されており、そこでは、次のような機能を診療報酬で評価していくことが重要であるとの共通認識が醸成されています(生活習慣病の指導管理を例に)。

(1)日常的な医学管理と重症化予防:▽疾病教育▽生活指導▽治療方針の決定▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師と連携)▽治療効果の評価▽重症化の予防・早期介入―など
(2)必要に応じた専門医療機関などとの連携:▽専門医療機関への紹介、助言▽合併症に応じた療養指導▽急性増悪への対応―など
(3)在宅療養支援・介護との連携:▽在宅医療を行う場合の管理・療養指導▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師との連携)▽要介護状態などに応じた療養指導▽介護との連携▽急性増悪への対応▽看取り支援―など
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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その1)

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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その2)
 
 こうした機能を評価する診療報酬項目として、上述した【地域包括診療料】【地域包括診療加算】などがありますが、算定対象は「高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち2疾患以上を有する患者」(地域包括診療料など)、「認知症と他疾患を合併する患者」(認知症地域包括診療料など)に限られています。また、そもそも「施設基準などが厳しい」と指摘され、2016年度の前回診療報酬改定で緩和したものの、届け出医療機関数は2016年7月時点で6000施設に届いていません(2018年度改定で緩和される見込み)。
 また2016年度の前回診療報酬改定では、小児患者に総合的な診療・医学管理を提供する医療機関を評価する【小児かかりつけ診療料】が創設されましたが、こちらも施設基準の厳しさなどにより、届け出医療機関数は2016年7月時点で876施設にとどまっています(同じく2018年度改定で緩和される見込み)。

 さらに在宅版のかかりつけ機能を評価する診療報酬項目として【在宅時医学総合管理料】が設定されるなど、「かかりつけ医を評価する診療報酬」はありますが、「限定的な評価」にとどまっているとの指摘もあります。

 そこで迫井医療課長は、初診に係るコスト(診療時間が再診に比べて若干長め)に着目し、「初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価してはどうか」との論点を提示しました。具体的な制度設計は、今後の議論を待つ必要がありますが、例えば、「患者が気軽に相談できる機能」や「専門医療機関へ紹介できる機能」を持つ医療機関(診療所や中小病院)について、【初診料の加算】(かかりつけ医機能加算など)を新設することなどが考えられそうです。

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初診のほうが、再診に比べて、診療時間が長くコストがかかる傾向にある
 
この提案を診療側委員は歓迎。松本純一委員(日本医師会常任理事)は「継続的な診療を行っている再診患者でも、新たな病気を発見した場合には、初診患者と同様にコストがかかる。今後は、この点の評価も検討してほしい」と求めています。
 
これに対し支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「かかりつけ医機能の推進」という方向性には異論を唱えていないものの、「対象医療機関の要件」を厳格に規定するよう要望。

また幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「同じ診療行為について、医療機関の基準などで報酬が差別化されることに違和感を覚える」と述べ、「慎重な制度設計」(厳格な施設基準設定など)を求めています。

さらに間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』は、かかりつけ医として当然の機能ではないか。そこを評価して患者に負担増を強いることに違和感を覚える」と指摘しました。

このように、方向性そのものは「概ね了承された」と言えますが、具体的にどう点数をつけ、施設基準などをどう設定するかでは、診療側・支払側で意見の隔たりもあり、今後の詰めの議論に注目が集まります。ちなみに、2016年の初診料算定回数は2億1300万件(6月の1か月分で1770万件あり、これを12倍)程度と推測されます。「全診療所が対象となる」と仮定した場合、新加算が1点であれば21億円余り、2点であれば43億円弱、3点であれば64億円弱、の医療費増が見込まれる計算です。

2016年6月、診療所では1777万回程度、初診料が算定されている(図 略)

単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

 現在は2年に一度、医薬品の公的価格の見直し(薬価改定)が行われています(今後は毎年度)。医療機関や薬局が、卸業者から購入している価格(市場実勢価格)と、公定価格(患者や保険者の負担)である薬価との乖離を、合理的な範囲で埋めていくことが薬価改定の重要な目的の1つです。

 その際、「価格交渉の途中で、まだ購入価格・販売価格が決まっていない」という医療機関・薬局が多ければ、市場実勢価格を適切に把握できません(薬価改定も適切に行えない)。

このため、2014年度の診療報酬改定において、「価格妥結率の低い医療機関や薬局では、基本診療料(初・再診料、外来診療料、調剤基本料)を減算する」規定(未妥結減算)が導入され、スピーディな価格交渉が推進されています。

医薬品の価格妥結率が50%に満たない場合、初・再診料、外来診療料、調剤基本料が減額される(図 略)

未妥結減算の導入で、妥結率そのものはアップしたように見える(図 略)
 
しかし価格交渉を急ぐあまり、本来であれば「A医薬品は●円で、B医薬品は◆円で」という「単品単価取引」が阻害され、「X医療機関は、まとめて薬価から●%引きで購入する」などといった、いわゆる「総価山買い取引」が増えてきてしまったとの指摘もあります(関連記事はこちらとこちら)。

医薬品の単品単価取引(青部分)は十分に進んでいないことが分かる(図 略)

 
そこで今般、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか、との提案を行いました。
上記の未妥結減算とセットの減算規定となる見込みで、「価格妥結率50%未満」または「▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務懈怠」の、いずれか、あるいは双方に該当する場合には、初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額されます(減額されないためには、価格妥結率を50%以上とし、報告義務を果たすことが必要)。

この報告状況を分析し、2020年度改定以降に「▼単品単価契約率が低い▼一律値引き契約が多く行われている—医療機関・薬局における減算」(いわば総価山買い減算)が導入される可能性もあります。
 
このほか、未妥結減算に関連して、▼留意事項に「原則、全品目を単品単価契約とする」「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎む」旨を明記する▼妥結率の報告期間について、現在の「10月の1か月間」から「10-11月の2か月間」に緩和する▼調剤報酬における、「未妥結減算」(25%減算)と「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を発揮していない場合の減算」(50%減算)とを、後者に統合する形で簡素化する—との見直し案も提示され、概ね了承されています。


  1. 2018/01/14(日) 12:52:22|
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1月7日

https://www.m3.com/news/iryoishin/578074?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180105&dcf_doctor=true&mc.l=268276684&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
真価問われる専門医改革
「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合
新専門医制度、1次登録採用数の結果を分析◆Vol.1 
 
2018年1月4日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構が12月15日に公表した2018年度新専門医制度の1次登録領域別採用数をm3.com編集部が分析した結果、「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)から把握できる卒後3~5年目の領域別医師数(2014年12月31日現在数)と比較して、内科では人数で4.6%減(2650人から2527人)となったことが明らかになった。

 専攻医の候補となる医師国家試験合格者数は、この間に約13%増加(2010~2012年の平均合格者数7637人、2016年合格者数8630人)。基本領域に占める割合(領域別割合)が同一で、卒後3年目に専攻医となると仮定すれば、約13%増加すると試算されるが、内科の1次登録採用数の領域別割合は15.2%減(38.3%から32.4%)となったことが、人数減につながった。

 外科でも人数は0.4%増だが、領域別割合は10.7%減。領域別割合は、整形外科0.5%減、小児科0.2%減の微減だが、それ以外の領域では増加しており、「専攻医の内科、外科離れ」が生じていることが分かる。人数が増加したのは形成外科、眼科、耳鼻咽喉科など。内科志望者の選択肢となり得るのが、基本領域に加わった総合診療だが、領域別割合は2.0%にとどまる。

 現在1月15日まで2次登録が行われている。1次登録領域別採用数は7791人であり、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たるため、最終的な人数や領域別割合は変わるが、基本的な傾向は今回の分析と大差ないと見られる。

 「1次登録で決まらず」、眼科がトップ
 1次登録者は7989人、1次登録領域別採用数は7791人(『198人、専攻医1次登録で研修先決まらず』を参照)。差し引き198人が1次登録で研修先が決まらなかったが、m3.com編集部が独自に入手したデータによると、「1次登録の採用先未定数」が最も多かったのは、眼科の36人。2桁を超えたのは、内科(27人)、小児科(24人)、精神科(24人)、耳鼻咽喉科(14人)、皮膚科(13人)、泌尿器科(10人)。 (※表の後に本文続く)

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「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」3~5年目医師数:厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料による。

 専攻医増のトップ3、「形成外科、眼科、耳鼻咽喉科」

 新専門医制度では、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)においては、18の既存基本領域のうち、「外科、産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く領域について、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限規制が設けられた。「1次登録領域別採用数」を決定する際、上限規制の対象となった都府県と領域のほか、過去の採用実績数などのデータは、2018年1月4日現在、公表されていない。

 また、日本専門医機構の調査による18の基本領域の後期研修医採用実績数の5年間(2010~2014年度)の平均は、年8300人で、専攻医数の目安となる国試合格者(2008~2012年の年平均合格者数は7663人)を大幅に超える(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料。厚労省のホームページ参照)。

 そのため本分析では、1次登録領域別採用数を、「2014年三師調査」に基づく「主たる診療科・従業地による都道府県別医籍登録後3~5年目の医療施設従事医師数」(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料)と比較した。本調査の3~5年目の医師総数は2万1536人。うち総合診療を除く18の基本領域のいずれかに属している医師は2万778人(1年次平均6926人)。

 その結果、人数が減少したのは、内科(4.6%)のみで、それ以外の領域では増加している。なお、前述の日本専門医機構調査の内科の5年間の平均(年3147人)を基に計算すると、人数で19.7%減になる。

 一方、人数が少ない臨床検査、転科するケースが多い病理やリハビリテーション科を除くと、人数の増加率の最多は形成外科(44.8%)で、以下、眼科(40.0%)、耳鼻咽喉科(31.0%)、泌尿器科(30.5%)、麻酔科(25.7%)などと続いた。

 領域別割合が最も多いのは内科だが、2014年調査の38.3%から32.4%へと15.2%減少している。外科も人数では0.4%増だが、領域別割合は10.7%減(11.0%から9.8%)。一方、形成外科(28.7%)、眼科(24.5%)、耳鼻咽喉科(16.5%)、泌尿器科(16.0%)、麻酔科(11.7%)では2桁の増加。

 1年延期された新専門医制度が2018年度開始に向けて準備が可能になったのは、2017年8月2日の『新たな専門医制度」に対する厚生労働大臣談話』がきっかけだ(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。本談話では、「厚生労働省においては、新たな専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、基本領域ごとに確認をする」という意向を表明している。

 そのためには、「過去の実績と大差はない」という検証が第一。今回は入手可能な中で、最も信頼性が高いと思われる「2014年三師調査」のデータを用いたが、地域および基本領域ごとの最新の「過去5年の後期研修医の採用実績数」など、検証に必要なデータの公表が、今後の制度改善のためにも求められる。



http://www.medwatch.jp/?p=18100
公立病院改革に向け、経営人材の確保、統合・再編など進めよ―総務省研究会  
2018年1月5日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今後、人口の減少、高齢化が急速に進む中で、公立病院には▽地域医療構想を踏まえた役割の明確化▽経営の効率化▽再編・ネットワーク化▽経営形態の見直し―などの点で課題がある。今後、こうした課題の解決に向けて、▼事務局の強化▼経営人材の確保・育成▼経営指標の見える化▼財政支援▼再編・ネットワーク化—などを進める必要がある。

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(以下、研究会)が昨年(2017年)12月28日、こういった報告書を取りまとめ公表しました(総務省のサイトはこちら(概要版)とこちら(本文))。

研究会報告書の概要(全体像)
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ここがポイント!
1 公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題
2 地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を
3 経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ
4 再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に
5 総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき


公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題

 公立病院においては、地域医療構想と整合性のとれた「新公立病院改革プラン」の策定が求められ、すでに2016年度末時点で全体の92.7%でプラン策定が完了しています。今後、各病院の策定した改革プランに沿った改革を、地域医療構想調整会議の議論と並行して進めることになりますが、研究会では改革を進めるに当たり、次の4つの課題があると指摘します(関連記事はこちらとこちら)。

(1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化の視点では、「地域医療構想調整会議に際し、公立病院としてのミッション(使命、任務、目標)やポジショニング(位置づけ)を踏まえた役割の明確化」が課題である
(2)経営効率化の視点では、「事業管理者や事務局に医療制度・実務等の専門的な知識や経営能力が求められるが、公立病院特有の『短期間での人事異動』サイクルなどから、知識・能力の蓄積」、さらに「公金による支援を受けながら医療サービスの質や採算性の向上といった改革意欲をより向上させるため、全職員の意識改革が必要となる」といった課題がある
(3)再編・ネットワーク化の視点では、「相手先医療機関との合意形成」「地域住民等の関係者の理解促進」といった課題がある
(4)経営形態見直しの視点では、「経営形態見直しの先に、何を目指すか」「地方公営企業と地方独立行政法人との間の退職給付引当金の計上方法の相違や、事業廃止などの場合に生じる多額の財政負担といった制度面」での課題がある

 さらに、とくに地方部の公立病院には「地域医療の砦」という重要な使命がありますが、地方の医師不足は深刻です。

こうした課題を放置したまま改革を進めることはできず、研究会では課題解決に向けた具体的な提言を行っています。

地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を

 まず(1)の「地域における役割の明確化」という課題には、▼経営比較分析表の導入などに基づく「見える化」の推進▼経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開—によって対処することが求められます。

 前者の経営比較分析表は、例えば▼経営の健全性(経常収支比率、医業収益比率、病床利用率など)▼老朽化の状況(有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率、1床当たり有形固定資産)—などの経営指標について、「自院の経年比較」「類似団体(同規模の公営企業)との比較」、さらに「これらのクロス分析」を可能にするものです。この経営比較分析表の導入により、「等身大の自院の姿」を確認できるようになります。その上で、単なる現状分析に終わらせないよう、【病院幹部による目標設定(収支改善などの経営目標だけでなく、コンプライアンス、公立病院として果たすべき役割などの目標も含む)】→【目標達成のための具体的な手法や行動の検討】→【これらを日常業務に結びつけるための、組織や構造の主体別に検討(部門別のアクションプランなど)】に落とし込み、これらの検証・改善につなげていくことが重要です(PDCAサイクル)。
 
 研究会では、一例として【大目標:収支改善】→【手法:医業収支の改善、職員給与費対医業収益比率の引き下げ】→【部門別アクションプラン:医師では「初診や所見時間の効率化に向けた、所見目標時間の設定」「手術開始時間の厳守」、看護師では「業務時間の効率化に向けた、バーコード管理による定型的な看護行為時間データの分析」「看護必要度と看護実施データを用いた業務量の比較」など】→【部門ごとのフィードバック】→【アクションプランの改善】というサイクルを紹介しています。

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経営状況改善という大目標に向かい、各部門がどう動くかまでに落とし込んだプランを立てることが必要

経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ

また(2)の「経営人材」の課題に対応するためには「公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成」を行うことが必要不可欠です。このため、▼地方公営企業法全部適用の場合、事業管理者に対し人事・予算等の権限が付与されるので、▽高い知見▽経営意識▽実務能力—を有する者を選定する▼地方公営企業法一部適用の場合、知見のある現院長を事業管理者に、若手副院長を院長に登用することで、人材育成を図る▼経営実務を担う事務長・事務職員について人事異動サイクルを見直し、医療制度や病院経営に関する研修体制を構築する▼医事業務などに関しては、全てを外部委託するのでなく、中心ポストに継続的に事務職員を配置し、診療報酬改定などに的確に対応する▼事業管理者や病院長、事務長と、自治体の首長や人事部局との間で協議し、「組織・定員の適正化」を行う▼看護師その他の医療職員で経営感覚・改革意欲に富む人材を経営幹部へ登用するなどの、人事運用の弾力化を検討する—ことを提案しています。院内で可能なこと、自治体サイドとの協議が必要な事項など、さまざまですが、速やかに「検討」を開始すべきでしょう。

再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に

 また(3)の再編・ネットワーク化に関しては、総務省による「再編・ネットワーク化に伴う病院事業債の活用」を推奨しています。これは、再編・ネットワーク化では、通常の施設・設備整備よりも多くの経費がかかることを踏まえ、「通常は元利償還金の25%である地方交付税措置を、40%に拡充する」(病院事業債・特別分)ものです。

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公立病院の再編・ネットワーク化で必要となる経費について、病院事業債(特別分)で措置が行われる
 
あわせて、再編・ネットワーク化や経営形態見直しなどに伴う精算等に要する経費について、▼再編・ネットワーク化に伴う新たな経営主体の設立等に際し、病院経営基盤の強化のために行う出資(不良債務額を限度)について、病院事業債(一般会計出資債)で措置する▼医療提供体制の見直しに伴って不要となる病院等の施設除却等に要する経費の一部を特別交付税で措置する—ことなどが講じられており、自治体はもとより公立病院の財政負担軽減にもつながるため、研究会では「これらの措置を活用できるか否か確認すべき」と強く求めています。
もっとも地方財政措置の手厚さを求め、▼対象となる病院間の距離や立地▼交通条件—などを考慮しない再編・ネットワーク化は「地域医療の崩壊」につながることも忘れてはいけません。また再編によって、結果的に「病院がなくなる(病院までの距離が遠くなる)」、「規模・機能の縮小などで、これまでどおりの医療サービスが受けられなくなる」「診療所になってしまう」という点で地域住民からの反対が生じることもあるため、「当事者間はもとより、自治体内・関係自治体間・地域の医療関係者等でしっかり認識を共有し、地域住民への丁寧な説明を行い、住民の不安を払拭し、その理解を得ることが重要」と強調しています。

総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき

 一方、(4)の課題について研究会は、国に対して、「公立病院と公立病院以外の病院との統合等で『公営企業を廃止する』場合には、不良債務等に対する地方債などの発行は現行制度ではできない」といった制度面での不都合を解消するよう努めることを要望しています。

 なお、いわゆる不採算地区病院(150床未満で、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる一般病院、150床未満で、直近の国勢調査に基づく当該病院の半径5km以内の人口が3万人未満の病院)では、「とくに病院経営が厳しい」状況を踏まえ、研究会では「財政支援の充実」「医師確保措置」を要望。

また、2020年の東京オリンピック開催などの影響で建築単価が上昇していることを踏まえて、「公立病院の施設整備に係る地方交付税措置の単価について、建築単価の実勢を踏まえ、定期的な見直しの仕組みを検討すべき」と要請したものの、一方で「公立病院の建築単価が、公的病院等に比べて全体的に高い」ため、建築単価抑制策なども検討するよう求めています。

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公立病院(上段)では、公的病院等(中断および下段)に比べて、建築単価が高い傾向にある



https://mainichi.jp/articles/20180105/k00/00m/040/071000c
<へき地勤務医>厚労省が「お墨付き」 地域偏在解消図る 
1月4日(木)19時49分 毎日新聞

 厚生労働省はへき地など医師不足が深刻な地域での勤務経験を評価した認定医制度を創設する。厚労省の「お墨付き」を与えることで地方での勤務を促し、医師の偏在の緩和を期待する。今月召集の通常国会に医療法改正案を提出する。

 厚労省は今後、医師不足地域の判断基準について、人口10万人当たりの医師数や高齢化の状況、近隣地域の医療機関の利用しやすさなどを考慮した新たな指標も設定する。

 その上で、医師不足地域の診療所などに派遣された若手研修医や病院勤務医らの経験を評価する。勤務経験が一定の年数を超えると、申請に基づいて厚労省が認定証を交付し、看板などへの記載を認める。

 医師不足問題について議論している厚労省の有識者検討会は2016年5月の中間とりまとめで、診療所などの開業前に医師不足地域での一定期間の勤務経験を義務づける方針を示した。その後、厚労省の調査で医師の44%は県庁所在地などを除く地方で勤務する意向があるとの結果が判明。省内で「強制的に地方に行かせる必要はない」との意見が強まり、開業要件という強い規制策から地方勤務経験者の優遇に方針転換した。

 現在、専門医・認定医の多くは各学会が独自に認定しており、厚労省が認定しているのは、強制入院に携わる「精神保健指定医」などわずか。このため厚労省では、同省の「お墨付き」を受けることは医師にとってのメリットとみている。

 名称については、医療界の意見を聞いたうえで決定する方針だ。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/general/578214
弘前市立病院外科、1月から1人体制  
2018年1月4日 (木)配信 東奥日報

 弘前市立病院の外科の常勤医1人が31日付で退職することが28日、病院への取材で分かった。2018年1月からは非常勤医師の診察もなくなり、残る常勤医が1人で外科の診療、手術を行うことになるため、手術件数や入院患者数の減少は避けられないとみられる。弘前市の外科の2次救急輪番の割当数も変更になる。

 市立病院によると、退職するのは、消化器外科を専門とする30代の男性医師。16年10月から勤務し、12月に入って依願退職を申し出たという。外科は、常勤医2人と非常勤の弘前大学医学部付属病院医師の計3人が担当し、平日の午前中に医師2人で外来診療を行っている。

 市立病院の常勤医は、12月1日時点で29人(うち研修医7人)。このうち外科医は、退職する医師を含む外科と乳腺外科の3人で、17年3月末時点の6人から半減していた。

 櫻田靖事務局長は「市立病院で対応できないような複雑な手術を要する場合は、他の病院を紹介することになる。医師確保に向け、引き続き派遣要請や公募を行う」と話している。内科、小児科、整形外科など外科以外の科の診療体制は変わらないという。

 市立病院は、外科の2次救急輪番を担っているが、市健康福祉部の赤石仁部長は「参加病院間で割り当てを調整してもらった。1月以降も輪番制は維持される」と説明する。外科の輪番はほかに、国立病院機構弘前病院、健生病院、弘大高度救命救急センターが参加している。

 市立病院をめぐっては、県が16年10月に国立弘前との統合による中核病院整備を提案したが、17年6月以降は協議が停滞。12月5日、葛西憲之市長が「県の構想は市民の立場に立っていない」などと主張、市主体で整備運営したい考えを示している。



https://www.m3.com/news/general/578259
看護職員の7割が「辞めたい」 病院で深刻な人手不足  
地域 2018年1月4日 (木)配信 紀伊民報

 和歌山県内の病院で、深刻な人員不足のため、看護職員の仕事量が増え、健康状態悪化や医療ミス・ニアミスなどにつながっている現状が日本医療労働組合連合会(医労連)の調査で明らかになった。県医労連が27日に発表した。看護職員の7割が「仕事を辞めたい」と考えながら働いていることも分かり、県医労連は職場環境改善の緊急性を訴えている。

 医労連が5、6月、全国を対象に看護職員の労働実態調査を実施し、県医労連が県内結果をまとめた。

 県内では10病院の看護職員205人を対象にアンケートした。前回は4年前の2013年に調査しているが、当時から労働実態の改善は見られないという。

 1年前と比べた仕事量を聞いたところ「大幅に増えた」が34・0%、「若干増えた」が29・0%で、合計は63・0%。増えたと答えた人の割合が前回調査より6・5ポイント上がった。

 医療ミス・ニアミスの経験が「ある」と答えたのは83・0%で、要因で最も多かったのは「慢性的な人手不足による忙しさ」(82・4%)で、次に「交代制勤務による疲労の蓄積」(29・1%)だった。また、患者への十分な看護が「できている」と答えたのは10・0%しかなく、できていない理由で最も多いのが「人員が少なく、業務が過密」だった。

 仕事を辞めたいかについては「いつも思う」が20・0%、「ときどき思う」が51・0%。合計は71・0%で前回並みとなった一方、その理由(三つまで選択)については「人手不足で仕事がきつい」が59・3%と、前回の41・8%から20ポイント近く上昇。次に「思うように休暇が取れない」も52・4%と、34・9%から大幅に上がった。一方「賃金が安い」は29・0%で44・0%から大きく減った。



  1. 2018/01/07(日) 09:27:05|
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謹賀新年2018

dog.jpg

新年あけましておめでとうございます。
医療供給体制、医師育成体制、等々
様々な問題が山積したまま年を越しました。
戌 という字に dog の意味はないそうです。
戊(生い茂ったもの) を束ねる 一 の字を加え
みのりを束ねるという説と
減 という意味という説 とがあるようです。
個人的には 成 に繋がるみのりと解釈したいです。
将来に夢が広がるいい年になることを期待しています。

ドクター爺さん


  1. 2018/01/01(月) 10:41:12|
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Google Newsでみる医師不足 2017年12月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年12月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 4,590件
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 11,100
First 5 in Google in English 


BC doctor shortage about to get worse as more physicians reach
Globalnews.ca-2017/12/12 (カナダ)

It is a constant refrain across B.C.'s health care system: too many people end up in an emergency room or a walk-in clinic because they don't have family doctors. About 15 per cent of British Columbians don't have access to a regular family physician and a new report published in the Canadian Medical Association Journal suggests the problem will only get worse as a wave of physicians near retirement age. “About 40 per cent of physicians are over age 55 so we are looking at quite a large number that could be retiring in the next few years based on the study that we did,” Lindsay Hedden of UBC’s School of Population and Public Health said.


Doctor shortage dented, but report says still more funding needed in Florida
Naples Daily News-2017/12/14 (米国フロリダ州)

Florida's teaching hospitals are making progress against a widespread physician shortage by creating more residency positions, but population growth will outpace the gains without additional funding, according to industry leaders. In a report released Wednesday by the Safety Net Hospital Alliance of Florida, 1,113 new residency slots were created as a result of the Florida Legislature investing in 2013 in expanding graduate medical education. The funding resulted in a 29 percent boost from 3,896 residency positions in 2013. There are 5,009 full-time residency positions this year, the alliance’s report says. The research was done in collaboration with the Teaching Hospital Council of Florida.


BC doctor shortage to worsen as more physicians near retirement: study
CTV News-2017/12/11 (カナダ)

The prognosis is bleak for those British Columbians searching for a family physician amid the province's doctor drought.
A new study out of the University of British Columbia suggests B.C.'s serious shortage of doctors is only going to get worse.
The study determined that the average age of retirement for doctors in B.C. is 65 years old – and 40 per cent of practicing physicians are at or are approaching that age.


Doctor Shortage Seen Ongoing, But For Nurses, Not So Much
MedPage Today-2017/12/08 (米国)

WASHINGTON -- The physician shortage may be continuing apace, but when it comes to nurses, the healthcare system might be training too many, Tim Dall, managing director for healthcare at IHS Markit, a market research firm, said Friday.
Under various scenarios that Dall and his colleagues modeled for the future, "demand for physicians is above supply; that leads us to believe over time, there will be a growing shortfall of physicians at the national level, which will tend to exacerbate problems at the local level," Dall said at a briefing here on the delivery system and the healthcare workforce sponsored by the Alliance for Health Policy.


OPINION: Health authority committed to solving physician shortage
TheChronicleHerald.ca-2017/12/30

The concern over access to primary care in our province is top of mind for Nova Scotians. Addressing that problem is the key priority for us at the Nova Scotia health authority.
Those who are without a primary care provider, such as a doctor or nurse practitioner, and those who do have a family practice but wait too long to be seen, are understandably worried.
So are we. It's a problem we've been working to solve from Day 1 of our organization. The approach has evolved in that time, but we’d like to speak about the key pieces.


(他に10位以内のニュースは、米国 (全米、フロリダ州)、カナダ(全国、ブリティッシュコロンビア州)、英国、からも)



  1. 2018/01/01(月) 10:23:52|
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12月31日

https://www.m3.com/news/iryoishin/569347
「医師不足地域の医療に貢献」「無駄な検査はしない」◆Vol.8
日本の医療、課題は何か?他人任せでなく各自が課題解決を ** 

レポート 2017年12月30日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2017年度医師臨床研修マッチングに参加した、医学生等に聞いたアンケートで最後の質問として聞いたのが、「日本の医療が抱える課題」について。

 寄せられた自由意見を、【医師の診療科・地域偏在】【専門医制度】【医師の働き方】【女性医師問題】【大学の在り方】【医療費問題】【医療の在り方】【その他】に分類し、主なものを紹介する。

 意見が多かったのは、【医師の診療科・地域偏在】と【医療費問題】について。【医師の診療科・地域偏在】では、みずから率先して偏在解消に貢献したいとの意見が複数挙がった。【医療費問題】では、高齢社会での医療費の高騰を懸念し、制度設計などの提言ではなく、過剰な検査や治療を自身が控えたり、予防医療に力を入れるなど、自身が目指す医師像と関連付けた意見が多かったのが特徴的だ。

 以下、テーマ別に主な意見を紹介する(属性に記載した大学病院もしくは市中病院は、内定した研修先)。

【医師の診療科・地域偏在】
・地域医療活動をしていて、医師の診療科偏在や地域で働くことの難しさ(キャリアにつながらない、給料が安い、出身でない地域の田舎で働くこと)などを感じた。また、医学部入学における難易度が高すぎることも非常に問題で、志ある社会人が入学できなかったり、勉強だけできる人が多すぎる。そしてそういう人たちでも簡単に通ることができる医師国家試験も見直されるべき。米国のように成績によって大まかにでも科が限定されるのは、考えものだが、診療科ごとの人数差が大きすぎる。公共性のある科に人が流れる仕組み作りをしてほしい。後期研修では各県に何科何人と決まった数しか入れなくなるようなので期待している。それらの課題に対して自身でどのように動けば良いか分からないし、自分は関与しないつもり。ただ、考え続けることは続けていきたい。(大学病院、男性)
・医師不足というより、診療科・地域の遍在が問題 地域(に残る)枠(診療科も指定)で入学しているので、ゆくゆくは貢献できると思っています。(大学病院、女性)
・診療科を選択する際に、QOLを重視して診療科を選ぶ傾向にある学生・医師が多いこと。自分の興味・医学部入学時代の動機などの初心を大切にすること。(大学病院、男性)
・都市部にのみ医師が多いなど、医師の偏在が問題だと思う。私は医師の少ない地域の医療に貢献したいと思う。(大学病院、女性)

・医師不足は依然としてあると思う。偏在も含めて改善していかなければならないと感じる。クリニックが安易に増えすぎなのも問題だと思う。大学偏重になることは悪いことではなく、研究などに従事して行く医師が少なく、諸外国に比べやや劣っている分野の今後の発展も考えて対応すべきだし、自分も何かしら関われたらと考える。(市中病院、男性)
・診療科や地域の医師偏在が問題であり、どのような地域で働いても対応できる医師となるために、診療科の垣根を超えた知識や技術を身に付けていきたいと思う。(市中病院、男性)
・専門性が高まったことによる医師の偏在。プライマリケアをしっかりできる医師になるべく学んでいきたいと思っています。(市中病院、女性)
・『地域枠』出身の卒業生は確かに出身大学の県に残ってはいると思うが、その県の都市部の病院にばかり就職して、本当に医師の必要なへき地には結局人が足りていないのではないだろうか。 新専門医制度が始まろうとしている今、医師は皆経験を積むことができる大病院へ行ってしまい、医師の偏在を助長しているのではないだろうか。そのことをもっと勉強し考えたい。(市中病院、男性)
・5年生の時に離島の病院で2週間実習を行いました。その時から離島、僻地の医師不足には強く関心を持つようになりました。ただやはり地元(都市部)で働きたい気持ちも強く、若手~中堅のうちの数年間(5年以内)は経験を積むという意味でも僻地に貢献して、その後は地元で働きながらも週末の当直応援などで貢献できれば良いと考えています。(市中病院、男性)

【専門医制度】
・専門医制度が変わり、ますます専門志向が高まっていると感じているが、これからの日本には専門医はそんな多数必要とは思わない。 これからの日本に必要なのは全身を幅広く見ることができ、そして介護とのつなぎ目をシームレスにできる医師であると考えている。(市中病院、男性)
・専門医取得について 専門医の立ち位置がはっきりしないし、絶対に必要なのかどうかも分からない。専門医必須と言われた場合、女の人はいつ子供産めるんだ? 過渡期ゆえ、自分で道を見付けるしかないんだろうなと。(市中病院、女性)
・専門医制度は、女性医師にとって、医療業界を働きにくい社会にしていると思う。(市中病院、女性)

【医師の働き方】
・外科の不遇さ。待遇を改善すべき。医師も当直ではなく夜勤という働き方の導入。(大学病院、男性)

・医療業界に限った話ではないが、ワークライフバランス。先の未払い残業代の判決も出た通り、今後医師の働き方改革は進んでいくと思う。残業ありきの現状から、適切な人員配置とオンオフの切り替えへ。医療圏再編等、抜本的改革も必要かもしれない。 この問題に関して自分にできることは限りなく少ないが、仕事の効率を高め、そのための無駄なプロセスを省くこと。ドイツに留学した際に医師達のライフスタイルを聞いて驚いた。いつか日本もそうなればと望んでやまない。(市中病院、男性)
・医師の働きすぎはあると思います。医師も人間ですし、女医も増えつつあるので、どの科でも家庭との両立が今よりしやすくなるように、当直体系などをもっと改善すべき。もちろん患者は大事ですが、それより家族をもっと大事にできる医者が増えてほしいし、自分はそうなりたい。(市中病院、女性)
・医師のワークライフバランスは課題の一つであり、解決に近づきたい問題である。研修医の過労自殺などは大きな問題だと思う。また、意志のある女性医師の結婚率の上昇、未婚率や離婚率の低下のため、結婚支援の充実を全国的に普及させたい。まずは若手中心に意見交換や出会いイベントを行っていくのがいいかと思う。徳島県のように医師会主催なら信頼性が高そうだ。これは医療と直接関係ないが、1人でも多くの医師が幸せな家庭を築くことが、巡り巡って患者により良い医療を提供することにつながると思うのである。(市中病院、女性)
・医師が家庭と仕事を両立させるのは、いまだ難しいのが現状だと思う。 どういう環境になれば働きやすいのか、という点で、若いうちから職場を観察していきたい。将来自分が上の立場になったときは、それを少しでも生かせたらと思う。(市中病院、男性)

【女性医師問題】
・医師(特に女性←なぜか)に降りかかる、仕事と家庭の両立問題。働き方改革は応招義務のある医師については5年の猶予期間を持たせるとのことだが、早急に手を打たなければ、いつかどこかで限界が来るのでは。研修医など、ある意味、電通よりブラックな病院もあると聞くので、ちょっと怖い。(大学病院、女性)
・女性医師の働き方について:自分も女性なので、ロールモデルを探したい。また勤務病院の育児支援体制が充実するように意見していきたい。 診療科ごとの医師の偏り:研修を通して、さまざまな科を将来の進路として検討すること。(市中病院、女性)

【大学の在り方】
・自大学の問題ではあるが、医学生の教育に関わる教員の評価が低いように思う。また、卒業後の医師像を考えた教育プログラムになっておらず、各教室の意向が統合されていないように感じる。後学の教育を通して自身も成長できるように努めたい。(大学病院、男性)
・医師の基礎研究への従事の壁がもっと低くあるべきだと思う。大学院での指導体制、研究費などをもっと充実させてほしい。臨床の知識がある医師だからこそ、熱意を持って取り組める分野の研究が多くあるはず。私は大学院に進学して神経分野の基礎医学をより深く勉強し、将来の患者さんに還元できる研究がしたい。(大学病院、女性)
・大学、医局同士の垣根の高さが課題だと思う。 自分が働く上で、できればこのような対立の少ないところで働くようにしたい。(市中病院、男性)

【医療費問題】
・医療費の高騰が問題だと思う。少子高齢化に拍車がかかり、現行の制度では今後もそれは続いていくので、それをどうしていくかが課題。 国民皆保険制度の廃止もやむを得ない状況かと思う。そんな状況になっても生き残っていける医師になりたい。(大学病院、男性)
・膨大な医療費が社会全体、特に若い世代の生活を圧迫しており、停滞感や子育て意欲の低下を引き起こしている。AIなどの新しい技術を一般に馴染むように尽力し、人件費削減・必要十分な医療提供を行い、専門医を各自の専門性を極めることに集中させる環境を整えたい。(大学病院、男性)
・高齢者に医療費を多く割いている現状だと医療制度が崩壊するので、不必要な投薬や検査は避けたい。(大学病院、男性)
・高齢者に対する過剰な治療介入により、医療費を圧迫している。また、当直明けの医師が次の日にオペをやらなければならない状況はどうかと思う。2つとも自分1人ではどうしようもない問題なので、SNS等で声を上げていきたい。(大学病院、女性)
・医療費の膨らみ、画像検査の過剰に対して、身体診察を充実させて不要な検査をしないようにすることを取り組もうと思っています。(大学病院、女性)

・医療分野においては2025年問題が迫りつつあり、一方、研究分野においても予算不足のツケが回り、徐々に世界のトップから引き離されてきている。資金の分配に関して大きなパラダイムシフトが必要であり、医療行政が適切に機能することを願う。自分としては、目の前の医療の実践に尽くすに尽きる。研究面でも何か成果を残せればと思うので、研究に関するアイデアや勉強は継続していきたいと思う。(市中病院、男性)
・高齢化および医療費の高騰が相まって、社会保障が立ち行かなくなっている。政府は消費税増税などで、何とか税収を上げようとしているが、限界があるように見えてならない。一人一人ができることをしていく必要があると思う。無駄な検査はしないようにするなど、気を付けていく必要があるであろう。(市中病院、男性)
・医療費の増加(特に公費)が止まらないこと。できる取り組みがあるとすれば、むやみやたらの検査、必要のない人の受診を減らすことが挙げられる。具体的には適切な患者教育など。(市中病院、女性)
・医療費が莫大であり今後も高齢化が進むにつれてより多くの医療費が必要となると考えられる。生活習慣病を減らすなど予防医学にも関心を持っていきたいと思う。(市中病院、女性)
・高齢化社会で医療費が増えている。政府は診療費を下げる傾向にある。診断力を高めて質の良い医療を行う。(市中病院、男性)
・今後、人口減少に伴い患者が減少するかもしれないことについて何も考えていない。高額医療を税金で賄いすぎ。(市中病院、男性)
・医療費の増加が著しく国の財政を圧迫している。疾病予防をすることで医療費の削減は少なからず可能であると考えるため、地域住民に予防医学の知識を広めて行く活動をしていきたい。(市中病院、男性)
・医療費の増大に歯止めがかからないこと。 予防の概念が大切になると思い、アメリカの家庭医療的な考えの下、適切なタイミングで必要な健診を勧めることや、リハビリの積極導入で三次予防を推進していくことが解決の糸口になるのでは、と現時点では考えている。この二つの分野をそれぞれの国で学んでいければと思う。(市中病院、男性)

【医療の在り方】
・この先、保険診療制度、人工知能、ロボットなどの変化が待ち受けていると思う。時代遅れの医師にならないよう、常にアンテナを張っていたい。(大学病院、男性)
・最近ただ経過を見るのではなく、遺伝子レベルで解析して治そうという流れが強いと思うので、置いていかれないように興味を持って積極的に関わっていきたい。(大学病院、女性)
・健康な生活を送るため、予防医療、早期発見・早期治療、患者に納得してもらい治療を確実に進めていくこと(服薬アドヒアランスの向上など)にもっと力を入れるべきだと思う。医師として働くようになったら患者教育に力を入れたい。(大学病院、女性)
・不安を感じている患者さんへの説明が足りない医師が多い。いろんな現場を見学する際に、自分だったら患者さんにどういった説明をするかを考えている。(大学病院、男性)
・体も動かなくなって、食事も胃瘻からの患者さんがあまりにも多いと思う。脳梗塞の後遺症が改善できるようなものを発見できたら一番だが、そう簡単にはいかないと思うので、予防を呼びかけるようにしたい。(市中病院、女性)
・訴訟等を恐れるあまり、本当に患者さんに寄り添うような声の掛け方や接し方がしづらいこのご時世ですが、自分なりにできるだけ患者さんにとって親身な医師になりたいとは思う。(市中病院、男性)

【その他】
・初期研修にしても医師本人のやる気のあるなしなどで、医療の質が変わります。ある程度の質の担保には、昨今医療界でも話題となっているAIの介入点を考えていかなくてはいけません。例えば経験の浅い我々は、聴診すら上級医に比べるとスキル不足です。そこで患者のある一定の部位にデバイスを当てると、その部位でのHzやdBを拾う装置を作れば、医師による誤差は軽減するはずです。
 診断も患者の主訴から鑑別を自動的に挙げ、確率論的に必要な理学所見や検査項目を自動的に示してくれるものがあれば、確率論に従い、診断が下せます。上記の聴診と診断についての例から、私が個人的に思っているAIの介入点は『数値化できること』が最初に挙げられます。こんなことは他の人も想像するのは容易だと思いますが、まだAIが導入されてこないのは経済的な問題なのか、それとも医者集団の保守的な態度が問題なのか、といった感じでしょうか? 医療界は常に過渡期であり、今ですと、こんな感じに課題を考えております。(AIがはやりだから、その周辺事項に食い込んでいくことが、課題です。経済・政治的なことも含め)。 いずれにしても常に課題を挙げ、患者さんのために頑張りたいです。(市中病院、男性)

・bystanderCPRに立ち会ったことがあるが、自分が行くまで救急車を呼ぶだけで何も処置がされていなかった。一般市民はやはりどうすればいいか分からなくなってしまうのが現実なのだと知った。人が倒れていたら救急車、胸骨圧迫、AEDの準備という大事なことをもっと民間に普及させなければいけないと感じた。(市中病院、男性)
・医者の息子娘のぼんぼんが多くて、医療ドラマ以上の汚い世界であることがよく分かった。権力が大きすぎて立ち向かえない。自分なりに信念をブラさないように、一生ヒラでいいので医療の最前線で頑張りたいと思う。(市中病院、男性)

【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



https://www.m3.com/news/iryoishin/569345
2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
「研修医の自殺」「後期研修もこのまま残るか」◆Vol.6
研修先の面接内容、時勢を反映した質問も ** 
 
レポート 2017年12月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 臨床研修先を決めるに当たって、医学生は研修を希望する病院の筆記・面接試験を受けるのが、一般的。面接試験で何を聞かれたかを聞いたところ、研修先を問わず、「大学時代に力を入れていたこと」「志望動機」「他の病院の併願状況」「目標とする医師像や将来ビジョン」といった基本的な事項が挙がった。

 最近の時勢を反映して、「研修医の自殺」についての意見を求められたり、医師不足の折、「後期研修もこのまま残るか」と聞かれたとの回答もあった。男性よりも、女性の方が、ワークライフバランスについて質問されたとの回答が多かった。

 大学病院と市中病院の比較では、市中病院では「なぜ大学病院ではなく、市中病院か」、一方で大学病院では「大学院への進学、留学意向」のほか、市中病院との“たすき掛け”の希望研修先などを聞かれたとの回答が挙がった。

 以下、臨床研修先(市中病院と大学病院)別、男女別に、主な意見を紹介する。

【市中病院】
男性
・自己紹介(志望科含む)と自己PR、部活でがんばったこと(部活でキャプテンやっていたこと書いていたから) 、キャプテン期間中に自分が変えたシステム、医師を志した理由、 最近気になるニュース、バドミントンの公認審判員の資格を持っているが、それはなぜなのか、自炊してるか、また自炊で気を付けていること、医療事故を減らすために、病院は組織としてどのような取り組みをするべきか(事前に送った小論文の内容と関連している)、医療事故の絶対数を減らすためにはどのような対策をするべきか、 自分の直したいところ(短所)。
・学生時代に達成したこと、達成した理由、学生時代に成果を挙げられなかったこと、その理由、人間関係のトラブルはあったか、どうやって解決したかを細かく聞かれた。
・1.再受験の入学だったのでその辺を少し、 2.志望動機、3.手先は器用かどうか、手技はどうやったら上達すると思うか、 4.チーム医療の中での医師の役割、5.最近のニュースで気になったものを2つ、 6.他にどの病院を受けているか。
・病院志望理由、人との関わりで学んだこと、余命告知について、最近気になったニュース、大学時代に頑張ったこと、病院のよいところ悪いところ。
・志望科、サブスペシャルティ、なぜ大学病院ではないのか、他に受けた病院はあるのか、第一希望はどこか (学会発表したことをエントリーシートに書いたので)研究の概略。
・志望動機、ジェネリック薬品についてどう思うか、 自分の特徴を教えてください、将来は何科を希望しているか、見学の際に当院にどういう印象を受けたか、体力に自信はあるか。
・大学を地元ではなく、○○県にした理由、最近気になったニュース、履歴書の資格欄について。
・○○県に残る予定か、将来の志望科、自信があるポイントなどで、総じて穏やかな面接でした。
・上級医と意見が対立した場合はどうするか。自分はリーダー向きかそれともサポート役に徹するタイプか。当直に対しての意気込みは。
・長所・短所、高齢化が進んでるけど、高齢者の医療で何が必要だと思う? 家は医者か? 他どこ受けた? 質問ある? 何科志望?理由は?
・研修医として必要なことは何か、後期研修医としてのビジョンは何か、10~15年後のビジョンは何か。
・初期研修で病院に求めること、自分の強み、ストレスへの対応の仕方 、同期にどのような好影響を与えることができると思うか、インフォームドコンセントとは何のためにするのか。

女性
・大学時代の困難にどのように解決してきたか、どうして麻酔科、産婦人科なのか、留年はどうしてか、どうしたのか、どうしてここの病院なのか、これから将来の先はどうするのか、将来の展望、女性として働くのは難しいこともあるがどうするか、看護師と関わる上でどのようにしていくつもりか。自己PR。
・臨床実習時に患者さんと接する際のポリシーは何でしたか? 当病院で初期実習するとして、特に回りたい診療科を3つ挙げてください、など。
・チーム医療について:自分がチーム医療に向いているかどうか、医師はチーム医療のリーダーとなるが、自分にできるか、なぜ地元に残ったのか、将来の希望診療科、他にどこの病院を考えているか。
・医師を目指した理由、病院を希望した理由、女性としてイベントを乗り越え医者を続けていくつもりか。
・ヒポクラテスの誓いをどれでもいいので述べよ。なぜ大学病院ではなく当院を選んだのか、違いを述べよ。後期研修も当院で行うつもりか。
・当院は第何志望か、息抜き法、語学に自信はあるか、医師として大切なことは何と思うか、医師を志した理由。
・志望動機、志望科、奨学金の有無、○○県に残るかどうか、研修医の自殺に関してどう考えるか。
・基本、事前提出していた履歴書の内容にそって質問されました。 それ以外だと、「他の受験病院と比べて、うちにしかない特徴は何か」というのも聞かれました。
・志望動機、ポリクリで当院で実習したときの内容と感想、長所、短所を含めた自己紹介、その短所を補うために努力していること、他に病院見学した場所はあるか。
・病院の志望理由、医師の志望理由、志望科とその理由、長所・短所、再受験の理由、成績について、後期研修も残るか、部活動などがんばったこと、趣味や気晴らし、併願状況。
・当院志望理由、どのような時にストレスを感じるか? その対処法、地域医療と聞いて何をイメージするか? 都会と田舎の病院の違いは?(メリット、デメリット) 、自分の長所。
・医学部を選んだ理由、 (学士編入なので)前の大学での生活について、研修病院の志望動機、学生時代に取り組んだこと、持っているスキルをどう生かすか、研究内容、チームワークはできるか。

【大学病院(出身大学)】
男性
・初期研修中にどんなことを意識したいか、初期研修の同期との関わり方はどうしたいか、志望診療科。
・将来、地域に出るときのために、どんなことを準備するか、今まで卒業生が積み上げてきたものがあると思うが、新たな世代としてチャレンジしたいことは。
・研修先として選択した理由、研修先に求めること、研修先に貢献できることは何か、研修医としての自分の強み、併願病院、賃金が高くないにもかかわらず、このプログラムを選択した理由。
・なぜこの病院を希望したのか、消化器外科志望なのはなぜか、体力には自信があるとのことだが、仕事にどのように生かしていきたいか、医療ミスを減らすにはどうすればいいか、大学の部活での役職は何だったか、小中高大とずっと野球部とのことだが、大学で新しいことを始めなかったのはなぜか。
・志望理由、たすきがけ病院の希望、アンマッチになったらどうするか、自分の長所。
・志望理由、たすきがけ先の病院での生活に不安はないか、将来の希望診療科、健康面で問題はないか、大学時代部活はやっていたか。
・なぜこの病院を選んだか、もし教授と自分の意見が違ったらどうするか。
・志望理由、最近の医学界で気になる出来事はないか、1分で自己アピールしろ、など。

女性
・なぜこの病院を選んだのか、○○県を出たいと思わないか、どのような医師になりたいか、自分の長所と短所を含め、1分程度で自己アピールせよ、医師は足りてないと思うか、医師の偏在をなくすためにどうしたらいいか、などです。
・医師を目指した動機、病院の志望動機、どんな医師になりたいか、留学経験について(語学留学経験があるので)。
・後期研修も残るか、博士号取りたいか。
・部活、なぜ医学部を目指したのか、なぜ○○科志望なのか、研修医の間、プライベートで頑張りたいこと。
・今までで挫折を味わったことがあるか、理想の医師像は何か、将来どんな医者になっているか。
・医師、病院志望理由。大学生活について。自分の性格について。読書について。
・病院の魅力、希望するローテーションについて、専門科について。

【大学病院(出身大学以外)】
男性
・履歴書に書いた内容、最近の医療ニュースで気になったこととそれに対する自分の意見、好きな科、3年目の進路、自分の性格について、部活動について、CBTの結果、再試験の有無など学力面。
・志望動機、事前提出課題であった小論文について、チーム医療とは、大学時代に頑張ったこと、どんな医師を目指したいか。
・病院の印象、働くに当たっての心構え、地域医療についてどう思うか、大学ではどんなことを頑張ったか。
・なぜ医者になりたいか。 コミュニケーションに自信があるか。 見学時の病院の印象。 ポリクリで心に残ったこと。
・併願病院との比較、趣味、ストレスの対処方法、将来希望する診療科とその理由、自身の性格を一言で、国試に向けての勉強で工夫していること、CBTの成績、身内に医療従事者はいるか、研修修了後の進路。
・県内に残る意思はあるか?将来は何科に進むか?大学生活はどうだったか?
・初期研修修了後に後期研修を行う意思があるか?

女性
・学生時代バイトはしていたか、なぜこの病院にしたか、趣味は何か、何科の医師になりたいか、医師を目指した理由、将来のビジョン。
・大学で辛かった、苦労した経験。体力気力ともにあるか。初めての地での生活は大丈夫か。
・留学に興味はあるか、研究に興味はあるか、部活のこと。
・病院志望理由 研修医の過重労働と自殺について。
・将来なぜ神経内科に進みたいか、医局説明会はどうだったか、人生の大変な局面ではどのように乗り切ってきたか。
・志望科の理由、親は何科か、大学院に行きたいか、大学院で行いたい研究テーマは。
・なぜ地元に戻ってこようと思ったのか、チーム医療における医師の役割について、大学生活で一番頑張ったこと。


【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



http://www.medwatch.jp/?p=17983
タスク・シフティングは段階的に進める方向で議論―医師働き方改革検討会 
2017年12月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の労働時間を大幅に削減する効果が期待できるため、他職種への業務移管(タスク・シフティング)を進める必要があるが、現状でもできる業務移管が十分に進んでいるとは言い難い。まずこうした業務から、段階的に移管を進める方向で議論すべきではないか―。

 12月22日に開催された「医師の働き方に関する検討会」(以下、検討会)で厚生労働省は、このような考え方を示しました。この日は「他職種への業務移管」のほか、「AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などを活用した生産性向上策」などについても構成員が意見交換しています。

ここがポイント!
1 まず「現状でも可能な業務移管」が進まない原因を解消
2 AIなど新技術の活用、医師の労働時間短縮の目玉策にするのは時期尚早
3 医師の今後の働き方は、一定の「地域偏在」「診療科偏在」を前提に検討すべき

まず「現状でも可能な業務移管」が進まない原因を解消

 政府が推進する「働き方改革」では、医師に対しても、「罰則付きの時間外労働の上限規制」(▼1か月当たり45時間・1年当たり360時間の上限を違反した場合には罰則を科す▼労使が合意しても年720時間(月平均60時間)の上限を超えてはならない▼労使合意による特例の上限を、2か月から6か月の平均で80時間以内、単月で100時間未満、年6回までとする)を適用することが決まっています。しかし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があるため、検討会で「規制の具体的な在り方」や「労働時間の短縮策」などを議論し、2019年3月ごろまでに結論を得ることとされています。

 医師は、医学的判断を要する医行為のほかに、カルテ記載など、さまざまな事務作業も行っています。そこで、医師の負担を軽減するために、カルテ記載を事務職員(医師事務作業補助者)が代行することが進められ、診療報酬でも【医師事務作業補助体制加算】として代行を下支えしています。また医行為の一部についても、▼あらかじめ定められたプロトコルの中で▼医師が包括的な指示を行うこと―という条件付きではあるものの、一定の研修(特定行為研修)を受けた看護師が、創傷に対する陰圧閉鎖療法や持続点滴中の糖質輸液・電解質輸液の投与量の調整といった「特定行為」を、看護師自らの判断で実施することを認める制度が、2015年10月にスタートしています。

 今年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、2016年12月に実施)の結果からは、▼患者への説明・合意形成▼血圧などの基本的なバイタル測定・データ取得▼医療記録(電子カルテの記載)▼医療事務(診断書等の文書作成、予約業務)▼院内の物品の運搬・補充、患者の検査室等への移送―の計5つの業務に、医師が1日240分程度を費やしており、このうち20%弱(約47分)は、他業種に分担可能だと考えていることが分かっています。つまり、看護師や医師事務作業補助者への業務移管をさらに進めれば、治療のアウトカムなどに悪影響を及ぼすことなく、医師の労働時間を短縮できると期待できます。

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10医師の業務時間1

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11医師の業務時間2

 しかし、他職種への移管が認められている業務の一部が、実際には移管されていない実態が、四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成)や全国医学部長病院長会議の調査結果から分かります。

 これらの調査では、医師事務作業補助者等や看護師等への業務移管の実情を聞いていますが、まず医師事務作業補助者等には、「診断書の代筆及び代行入力」や「民間保険会社からの診断書等の代筆及び代行入力」「主治医意見書の代筆及び代行入力」を移管している病院が多い一方で、「患者の退院に係る調整業務」の移管は、一部の病院しか行っていません(四病院団体協議会の調査では27.4%、全国医学部長病院長会議の調査では16.4%)。

04クラーク四病協(図 略)
05クラーク病院長会議(図 略)

 一方、看護師への業務移管の調査結果を見ると、「点滴の実施」や「静脈ラインの確保」「尿道カテーテルの留置」「静脈注射の実施」のそれぞれを、看護師が原則実施、あるいは一部実施している割合が高く、四病院団体協議会の調査では90%以上、全国医学部長病院長会議の調査では85%以上を占めています。

06勤務環境改善の状況 四病協調査(図 略)
07勤務環境改善の状況 病院長会議調査(図 略)

 しかし特定行為に限ると、特定行為研修を修了した看護師を採用している病院でも、一部でしか実施されていない状況です。例えば「気管カニューレの交換」は、四病院団体協議会の調査では26.0%、全国医学部長病院長会議の調査では16.7%にとどまります。

08勤務環境改善の状況 四病協調査(図 略)
09勤務環境改善の状況 病院長会議調査(図 略)

 こうした状況を踏まえて厚労省は、「業務移管等は労働時間削減等の効果が期待できるものの、段階的に進めていくことを前提に議論すべき」と指摘。「まずは、現状でも認められている業務の移管が進まない理由」について議論するよう促しました。

 これを踏まえた意見交換では、中島由美子構成員(医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)が、特定行為研修を修了した看護師が勤務している病院で業務移管を進める方策として、「医師の業務負担の状況や看護師の業務負担の状況、患者側の特定行為のニーズをしっかりと探った上で、病院の組織全体での合意の下で実施する」といったプロセスを徹底させるべきだと主張しました。

 一方、今村聡構成員(日本医師会女性医師支援センター長)は、特定行為研修の修了者らに業務を移管するとしても、「日本の医師全体の業務を軽減できるだけの人数が養成されているか」と疑問を呈しています。

 この点、厚労省は、特定行為研修の修了者数を10万人以上に増やす方針を掲げていますが、現状(2017年6月現在)は583人にとどまります。修了者数を増やす方策として、厚労省は都道府県に対して、来年(2017年)4月からの医療計画中に、特定行為研修を行う「指定研修機関」の確保などに関する計画を記載することなどを求めています(関連記事はこちら)。研修修了者数の確保は、医師の労働時間短縮とも密に関連する重要な課題と言えそうです。

 また今村構成員は、「医師が本来行う必要のない事務作業は、医師以外にやってもらう環境をしっかりと整備すべきだ」と指摘し、医師事務作業補助者らへの業務移管を進めていく必要性を強調しています。

 一方、戎初代構成員(東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)は、「医師がどんな仕事をシフト(移管)もしくはシェア(共同化)したいと思っていて、それをどんな学習をした者に任せたいと思うのかを明らかにしていく必要がある」と述べ、特定行為に定める医行為や、研修内容の見直しを含めて検討すべきだと指摘しています。

 こうした構成員の意見を踏まえると、今後は、(1)医師事務作業補助者らでも実施できる事務作業(2)看護師が「診療の補助」として実施できる医行為(3)特定行為研修を修了した看護師が実施できる特定行為(4)現在は医師にしか認められていない医行為―に分けて、それぞれの業務移管の在り方(移管すべきか否かや、移管の進め方)を検討していくことになりそうです。

 ところで、医師の労働時間を減らす方策としては、他職種への業務移管のほかに、医師複数人での業務の共同化(例えば複数主治医制など)も挙げられます。山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)は、その普及に当たっての課題が「1病院に勤める医師数の少なさ」であると指摘し、「病院の集約化も議論していかないと、『1人1人の勤務時間を制限すると医療の提供が不十分になる』問題を解決できないのではないか」と主張しています。この点、病院の集約化は「働き方改革」だけでなく、「症例数の集約化→医療の質の向上」につながることがグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと米国メイヨ―クリニックの共同研究で明らかとなっており、積極的に検討すべきテーマといえるでしょう。

AIなど新技術の活用、医師の労働時間短縮の目玉策にするのは時期尚早

 また検討会は、「AIやICTなどを活用した生産性向上策」についても意見交換しましたが、「こうした技術が生産性を高める効果等が実証されるまでには時間がかかることから、医師の労働時間を短縮させる目玉策に据えるのは時期尚早である」という意見が複数の構成員から上がっています。

 例えば、猪俣武範構成員(順天堂大学付属病院医師)は、将来的にはAIが医師の業務を補助するようになり、労働時間が短縮されると期待できるものの、治療アウトカムへの影響などは、現時点では検証が不十分だと指摘しました。また、渋谷健司構成員(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)も、「効果検証をしっかりしていかないといけない」と述べ、医療機関の管理者による勤務環境の改善などを優先させるべきだと主張しています。

 この点、厚労省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」が今年(2017年)6月にまとめた報告書では、AIを活用した医師の診断・治療支援技術が実用化されるのは2020年度以降だと見通しており、今後の技術開発が期待されます。

 なお、米国では、幾つかの病院の集中治療室の患者を、1か所で遠隔管理する「eICT」が導入されていることが、山本構成員から紹介されました。「各病院に重症患者がいて、それぞれに医師がいると大変だ。導入すれば、重症な症例に対する管理が効率化されるのではないか」と我が国でも導入に向けた検討を行うべきと提案しています。

医師の今後の働き方は、一定の「地域偏在」「診療科偏在」を前提に検討すべき

 また厚労省が12月22日、人口当たり医師数を都道府県別に見ると最大1.97倍の差が生じているといった「地域格差」や、診療科別の医師数の増加率に開きが生じているといった「診療科格差」を示すデータを紹介しました。

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都道府県別の人口当たり医師数
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診療科別の医師数の増加率

 医師不足地域で、医師1人1人の負担が重くなることは当然で、1994年からの増加率が低い「外科」や「産科・産婦人科」では、病院常勤医師の労働時間が長い(週60時間以上)割合が高く、「診療科格差」も医師の働き方と直結する課題だと言えます。
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週60時間以上勤務する医師の割合(診療科別)

 こうした状況を踏まえて厚労省では、来年(2018年)の通常国会に医療法や医師法の改正法案を提出し、「都道府県と大学医学部・付属病院の連携による、実効性ある医師確保対策」や、「医師不足地域での勤務環境の整備と、一定期間の勤務へのインセンティブ付与」などの偏在対策を講じる方針です(関連記事はこちら)。
 とはいえ、「特定の地域で働くことや、特定の診療科を選ぶこと」を国が医師に強制することは困難なため、「一定の地域偏在や診療科偏在が存在すること」を前提に、医師の今後の働き方を考える必要があると、厚労省は指摘しています。



https://this.kiji.is/318211550903403617?c=92619697908483575
地域医療、学生に学ぶ機会を 自治体病院の医師確保 
2017/12/26 10:10 ©株式会社熊本日日新聞社

◇なかもと・こうさく 自治医科大卒。熊本赤十字病院を経て、蘇陽病院、公立多良木病院、河浦病院、椎原診療所などに勤務。2008年から県へき地医療支援機構専任担当官。12月から上天草総合病院の非常勤内科医として週1回診療に当たる。旧牛深市出身、熊本市在住。53歳。

 遠隔地の医療を担う県内自治体病院で医師が不足し、確保が難しくなっている問題について、県医療政策課審議員で県へき地医療支援機構専任担当官の中本弘作医師に聞いた。(大倉尚隆)

 -県内の遠隔地医療の現状をどう見ていますか。

 「国や県が『医師不足』の定義や基準を定めていないので、どんな状態を『医師不足』とするか統計的に示すことはできないが、地域の高齢化と同時に医師の平均年齢も上がってきていると感じる。一方、若手医師は遠隔地での仕事を避ける傾向にある。民間の開業医でも、医師になった子どもが地元に戻ってこないため、後継者がいないケースが目立つ」

 「上天草総合病院(上天草市)の場合、常勤の小児科医が高齢で退職したため、産科医がいても出産ができなくなり、年間50~60件あった出産が0になった。医療環境が悪化すれば、過疎化が進行することもあり得る」

 -若手医師を中心に、遠隔地への赴任を避ける要因として、衣食住以外で考えられることは何ですか。

 「医学部生に『どんな条件なら遠隔地に赴任できるか』というアンケートを取ったところ、子どもの教育環境を挙げる声が多かった。自分の経験を基に、幼児期から高校まで、学習塾などの充実した教育環境を望んでいるようだ」

 「文科省の統計では医学部生の47%が女性という。今後、地域で医師を確保していくには、女性医師が働けるような住環境整備が必須になるのではないか。妊娠、出産など女性ならではの課題もある」

 -医師に地域医療を志してもらうには何が必要ですか。

 「学生が総合診療や地域医療に接する機会が少ない。大学や医療機関が連携して、夏休みなどに遠隔地の医療の現場や訪問診療に立ち会う機会をつくる事が大事。都市部を離れると十分な医療機器がそろっていないという先入観を持つ学生もいるが、実際にはやれることが多いことを理解してもらえるはずだ」

 「研修医であっても、医療現場に若手の医師がいるだけで全体的に活気づいてくる。若手医師にはぜひ地域での医療を体験してほしい」

(2017年12月26日付 熊本日日新聞朝刊掲載)



http://www.medwatch.jp/?p=17940
2018年度予算案は前年度比0.3%増の97.7兆円に―厚労省分は1.4%増の31.1兆円 **  
2017年12月25日|医療・介護行政全般 MedWatch

 一般会計歳出として97兆7128億円(前年度当初予算と比べ2581億円・0.3%増)を計上する来年度(2018年度)政府予算案が12月22日に決まりました。このうち厚生労働省の予算案は、31兆1262億円(同4389億円・1.4%増)となっています。

ここがポイント!
1 社会保障関係費は4997億円増、薬価引き下げ等で「目安」を遵守
2 地域医療介護総合確保基金の積み増し額アップ

社会保障関係費は4997億円増、薬価引き下げ等で「目安」を遵守

 政府全体の社会保障関係費は32兆9732億円で、一般会計歳出の3分の1に当たります。前年度当初予算と比べて4997億円・1.5%の増加となり、「社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑える」(2016-18年度の3か年で1兆5000億円の増加に抑えるため、単年度で5000億円増となる)という、政府の財政健全化に向けた目安が守られています。

一般会計歳出の3分の1を、社会保障関係費が占める(図 略)

 社会保障関係費の内訳は、「年金給付費」が11兆6853億円(社会保障関係費全体の35.4%)、「医療給付費」が11兆6079億円(同35.2%)、「生活扶助等社会福祉費」が4兆524億円(同12.3%)、「介護給付費」が3兆953億円(同9.4%)、「少子化対策費」が2兆1437億円(同6.5%)などで、前年度当初予算からの伸び率は、「介護給付費」の2.7%(823億円)や「年金給付費」の1.8%(2022億円)と比べて、「医療給付費」は0.9%(1068億円)と低い状況です。
 「医療給付費」の伸び率が低いのは、2018年度診療報酬改定で、薬価等の価格が大きく引き下げられるためです。改定率については、メディ・ウォッチでお伝えしたとおり、12月18日の加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣の折衝を経て、▼本体プラス0.55%▼薬価マイナス1.65%▼材料価格マイナス0.09%―と決定しています(関連記事はこちら)。

 このうち、薬価の改定率を詳しく見ると、(1)市場実勢価格との乖離を埋めること等でマイナス1.29%(2)市場拡大再算定の通常分でマイナス0.05%、高額薬剤に対する特例再算定(いわゆる巨額再算定)でマイナス0.02%(3)【新薬創出・適応外薬解消等促進加算】見直しなどの「薬価制度の抜本改革」でマイナス0.29%―となります。改定率を国費に換算すると、(1)と(2)で計1456億円、(3)で310億円が圧縮されます。また、材料価格のマイナス改定で99億円を縮減しています。

2018年度診療報酬改定では、薬価・材料価格が大きく引き下げられる
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 今年(2017年)8月時点の概算要求時点では、高齢化等によって社会保障関係費が6300億円程度伸びると想定されていました(関連記事はこちら)。上述の薬価・材料の価格引き下げで1800億円超を圧縮(その時点で、社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑える目安を達成)し、診療報酬のプラス0.55%改定(国費ベースで588億円増)などに財源を充てた形です。
 これらの改定率を踏まえて、来年度(2018年度)の医療費の国庫負担として、11兆4839億円(前年度当初予算比381億円・0.3%増)が計上されています。医療費の25%が国庫負担と仮定すると、「2018年度の医療費は46兆円程度になる」と政府が見込んでいることが伺えます。

地域医療介護総合確保基金の積み増し額アップ

 次に、2018年度厚労省予算案の主要事項を見ていきましょう。一般会計の予算額は31兆1262億円(前年度当初予算比4389億円・1.4%増)で、ほとんどを社会保障関係費の30兆7073億円(同4590億円・1.5%増)が占めます。

厚労省の2018年度予算案では、一般会計で前年度当初予算比1.4%増の31兆1262億円を計上している(図略)

 安倍晋三内閣が、▼人づくり革命:人材育成などのための施策拡充▼生産性革命:企業などの生産性アップを目指す施策推進―に関する事業に予算を重点的に配分する方針を掲げていることを踏まえて、厚労省の予算案では、「働き方改革」や「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供」に向けた事業に予算が計上されています。
 「働き方改革」の関連では、新規事業として、【医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援】(7億5800万円)や【医療従事者の勤務環境の改善】(5800万円)の予算が計上されています。前者は、医師不足地域に派遣される若手医師に、休暇や自己研鑽の時間が十分与えられるように、「週4日勤務制」や「休日代替医師の派遣」「テレビ電話等を活用した診療支援」などをモデル的に実施するための経費を支援するもので、医師の地域偏在解消に向けた事業とも言えます。

 後者の【医療従事者の勤務環境の改善】では、病院実態調査を行い、その結果を「医療勤務環境改善支援センター」(医療従事者の勤務環境を改善させたい医療機関を支援するために、各都道府県が設置)による効率的・効果的な支援につなげます。

 一方、「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供」に向けては、都道府県ごとの地域医療介護総合確保基金(医療分)への積み増し金額を、622億円(前年度当初予算比20億円増)に増額しています。基金は、(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備(2)在宅医療の提供体制の整備(3)医師や看護師等の医療従事者の確保・養成―を対象に、費用助成を行うものですが、(2)の「在宅医療の提供体制の整備」のための積み増し額が、前年度当初予算と比べて20億円(地方が負担する分を含めた公費ベースでは30億円)増え、各地での在宅医療提供体制の整備が強く後押しされます。ちなみに、介護分の同基金への積み増し金額としては、前年度当初予算と同じ483億円(公費ベースで724億円)が計上されています。

 地域医療介護総合確保基金を積み増すための予算は、消費税率8%への引き上げによる増収の一部などを活用した、「社会保障の充実」のための財源1.87兆円の中から充てられます。

地域医療介護総合確保基金の積み増しなどには、消費税率8%への引き上げによる増収などが活用される(図 略)

 このほか、医療・介護に関係する事項を見ると、次のような項目が計上されています。

▼データヘルス改革の推進のための予算を85億円(前年度当初予算は17億円)計上し、健康・医療・介護のビックデータを連結したプラットフォーム(保健医療データプラットフォーム)の構築に向けた、データ分析環境の整備等を行う(関連記事はこちら)

▼最先端技術を活用したゲノム検査装置や、AI(人工知能)を活用した診断プログラムなどを適切・迅速に評価するために、4800万円を計上し、評価指標を作成するための体制や、承認審査の体制を整備する

▼「分娩取扱施設がない二次医療圏」などに新規開設する分娩取扱施設等に対して、施設・設備の整備費用や産科医師の派遣を受けるための費用を助成する必要があることなどから、小児・周産期医療体制の充実に向けた予算4.2億円を計上(前年度当初予算は2.6億円)する

▼患者からの相談に適切に対応できる医師らの養成など、国民が人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備を進めるために8300万円(同1億円)を計上する(関連記事はこちら)

▼特定行為に係る看護師の研修制度の推進に4.1億円(同4.3億円)を計上し、指導者育成のための費用や、eラーニングの導入経費などを支援する(関連記事はこちら)

▼薬剤耐性(AMR)対策を推進するために7.1億円(同6.1億円)を計上し、AMRに関する情報を医療専門職らにオンラインで提供したり、研修を行ったりする「臨床情報センター」の運営などに充てる

▼がん対策の予算358億円(同314億円)を計上し、今年(2017年)10月に策定された「第3期がん対策推進基本計画」に基づき、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する「がんゲノム医療中核拠点病院」の整備(3.3億円)などに充てるほか、仕事と治療の両立支援のための研修を受けた相談支援員を専任配置する「がん相談支援センター」のモデル事業を実施(3100万円)する(関連記事はこちら)

▼新たな難病の医療提供体制を推進するために予算5.5億円(前年度当初予算は1.9億円)を計上し、都道府県における医療機関の連携体制構築などを支援する(関連記事はこちら)

▼200億円を計上して、介護保険の保険者(市町村など)を対象とする「保険者機能強化推進交付金」を創設し、高齢者の自立支援や重度化防止などに関する取り組みを推進する(関連記事はこちら)

▼介護サービス事業所が、生産性向上や業務改善に組織的に取り組みやすくするためのガイドライン作成と普及啓発に、3.2億円を計上する

▼介護ロボットなどの開発・普及の加速化を図るための予算を3.7億円(前年度当初予算は3億円)計上する

▼「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)に基づく認知症施策の推進などに15億円(前年度当初予算は14億円)を計上し、認知症の早期診断などを行う「認知症疾患医療センター」の整備などを促進する



https://www.m3.com/news/iryoishin/576965
医師の働き方改革とキャリア
年明けに中間整理、厚労省「医師の働き方検討会」
若手医師が提言「上限規制、労使協定遵守を」 ** 
 
レポート 2017年12月25日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月22日に第5回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、年明けにも開催する次回会議で、これまでの議論やヒアリングを受けた中間整理と、緊急に行うべき取り組みをまとめることを決めた。22日の会議では、勤務医の健康確保について、3人の参考人からヒアリングを行い、東京大学大学院公衆衛生学博士課程の阿部計大氏が、若手医師、医学生を対象に行った調査を基に「医師は、原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守する必要があると考える。それは患者の医療安全と医師の安寧を保ち、医療の持続可能性を高めることにつながる」などと提言した(資料は厚労省ホームページ)。

 阿部氏は、検討会構成員で青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏、東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター医師の赤星昂己氏らとともに、「Advocacy team of Young Medical Doctors and Students」を組織。日本医師会ジュニアドクターズネットワークなどの協力を得て、11月に卒後10年以下の若手医師と医学生を対象にインターネットで調査し、821人から回答を得た。

 調査では、若手医師が現行の労働時間の上限や労使協定を遵守できない理由として、「日本の保険制度、日本人の価値観」や「勤務医不足、管理者の理解不足」、「社会的要望、遵守しようとする風潮がない」、「長時間勤務を善しとする文化、事務仕事の多さ」などの声が自由記述で寄せられた。

 提言では、こうした風潮に対し、「日本の人口構造の変化やさまざまな医療提供体制の問題、業務量の多さ、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮によって⾧時間労働を余儀なくされている」と危機感を表明。また、現行の労働時間の上限や労使協定について「理解していない」との回答が若手医師で59%、医学生で68%に上ったことから、卒前、卒後の教育研修で労働基準法を理解し、それを遵守する必要性を学ぶ機会を設けることを提案。「医師が労働環境を守れるような労働環境を段階的に実現していくよう求める」としている。

 1999年に小児科医の夫を亡くした、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏は、労基法では、「当直」は定時の巡回など軽微な業務に限り認められる一方、病院の「当直」は通常の労働そのものである現状を強調。「交代制勤務がないことが、医師の心身をむしばんでいる」などと訴えた。

 労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長の高橋正也氏は、「睡眠と疲労」とのテーマで発言。徹夜が飲酒と同程度に作業能力を低下させることや、短い睡眠の日が続くと「睡眠負債」がたまった状態になって誤りが増えるなどの研究結果を示し、「睡眠を確保できる労働環境、条件の整備が必要」と訴えた。

応招義務考えるいい機会

 討論では、日本医師会副会長の今村聡氏が「産業保健から最も取り残されているのが医療者だ。36協定や勤務時間の管理、面談の実施など、今ある仕組みの中でやるべきことができていない」と指摘。中原氏も、夫の事例では「36協定も面談も、産業医の指導もなかった。年に一度の健康診断も多忙で受けられなかった。医師は労働者であるという原点を守ってほしい」と訴えた。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は、「背景には医療機関の経営や、患者が来たら断れない状況がある。突き詰めれば応招義務だ。これが決まった時代と、今のシステムは違う。応招義務について考えるいい機会だ」と、医師の働き方に関する議論で繰り返されてきたテーマを、改めて指摘した。

 千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏は、勤務終了から次の勤務開始までに時間を空ける「勤務間インターバル」についての考えを、高橋氏に質問。高橋氏は、「キーワードの一つだ。睡眠時間以外も重要で、家族と過ごすなどして心と体をリフレッシュする時間が重要だ。働く時間も大事だが、『働いていない時間』も大事だということを伝えたい」との視点を提示した。

 赤星氏は、夜間に勤務することも多い医療者の特性から、夜間と日中では睡眠の質が違ってくるかどうかを質問。高橋氏は、「いつ睡眠を取るかで全然違う。体内時計があり、昼に働いて夜に休むように据え付けられており、夜に働く職種でも、夜に睡眠をできるだけ取れるような対策が必要だ」と述べた。

 事務局の厚労省が論点として医師の負担軽減につながる業務移譲についても提示。今村氏は「タスク・シフティングやタスク・シェアリングという言葉が独り歩きしている感がある。本来医師がやらなくてもいい行為はやってもらえばいいが、医行為をどうするかだ」と述べ、訪問看護ステーション愛美園所長の中島由美子氏は「看護師の特定行為の周知、理解に不足がある。どんな医行為でニーズがあるか見極めが必要だ」と指摘。社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏は、「タスク・シェアリングは効果があると思うので推進したいが、医療界の風土や意識もあり、効果が出るまでには時間がかかると思う。(労働時間の上限規制の猶予期間である)5年間で効果が出るかは疑問だ」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=17919
医師偏在対策の関連法案、2018年の通常国会に提出へ―社保審・医療部会 第58回 **  
2017年12月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 12月22日に開催された社会保障審議会・医療部会では、医師需給分科会が前日に取りまとめた「早急に着手すべき医師偏在対策」の報告を受けました。委員からは、対策が踏み込み不足であるとの指摘が相次ぎましたが、「偏在を放置せず、まず対策を講じる」方向性に異論はなく、厚生労働省は、来年(2018年)の通常国会への関連法案提出を目指します。

ここがポイント!
1 医師不足地域での勤務の魅力アップなどで偏在解消目指す
2 診療科偏在の対策不足などを委員が指摘
3 特定機能病院の承認要件見直し、年度内にも省令改正

医師不足地域での勤務の魅力アップなどで偏在解消目指す

 医師の地域偏在・診療科偏在の是正に向けた対策については、厚労省の「医師需給分科会」(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)で検討されてきました。昨春(2016年)には「第1次中間まとめ」として14項目の対策案を提示。その後、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の意見なども踏まえて、今年(2017年)9月から【早急に着手すべき具体策】や【将来に向けた課題】などをより詳細に検討。12月21日に「第2次中間取りまとめ」を行いました(関連記事はこちら)。

 このうち【早急に着手すべき具体策】は、主に次のとおりです。

(1)3か年の「医師確保計画」の策定を都道府県に義務付け、都道府県が、地域の医療ニーズに見合う医師確保の目標値を掲げて、大学医学部・付属病院などと連携しながら医師の派遣や、医師の地域定着策に取り組むことを国から促す
(2)新専門医制度によって医師偏在が助長されないよう、国や都道府県に権限を与えて、日本専門医機構や学会に対して、研修を受ける医師の募集方法の改善などを求めやすくする
(3)全世代の医師が、医師不足地域での勤務に魅力を感じやすくなるように、勤務環境の整備やインセンティブ付与を行う。例えば「医師不足地域での一定期間の勤務経験」を、「地域医療支援病院のうち医師派遣機能等を担う病院」の管理者(院長)要件の一つとする
(4)都道府県ごとに、将来必要となる診療科別医師数などを明示することで、ニーズが高い診療科に進む医師を増やす

 他方で、【1】専門研修の定員に、都道府県ごと・診療科別の上限を設けること【2】診療所を含む全医療機関の管理者(院長)に対して、医師不足地域での一定期間の勤務経験を求めること【3】無床診療所の開業場所に制約を設けること―については、上述した対策を講じても医師偏在が解消しない場合に、導入の是非を検討すべき【将来に向けた課題】と位置付けています。

診療科偏在の対策不足などを委員が指摘

 医師需給分科会の「第2次中間取りまとめ」の報告を受けて、医療部会の委員は、幾つかの課題を指摘しています。例えば、木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長)は、「地域偏在の是正に向けた具体策が多い一方で、診療科偏在の是正を目指す施策が少ない」と訴えました。邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)も同調しています。

 地域偏在の是正に向けた具体策に対しても、中川俊男委員(日本医師会副会長)が、より踏み込んだ対策が必要だと主張しました。特に、上述した【2】の「医師不足地域での勤務経験を、医療機関の管理者要件として広く求めていくこと」が見送られたことについて、「診療所を対象にすれば、医療現場が混乱する可能性はある」と理解を示した上で、「少なくとも、公的医療機関等すべての管理者の要件」にしなければ、医師不足地域での勤務の魅力を高める効果が全く望めないと訴えています。山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)と神野正博参考人(全日本病院協会副会長、猪口雄二委員:全日本病院協会会長の代理出席)も、管理者要件を課す医療機関を「地域医療支援病院の一部」に限れば、実効性ある偏在対策にならないとの考えを示しています。厚労省は、「地域医療支援病院の一部」に限って導入する姿勢を崩していませんが、早期の効果検証をした上で、将来的には対象拡大の検討も必要になってくることでしょう。

 そのほか相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、そもそも医師不足地域では、「地域で働く医師数が少ないままであっても、医師の短期間の派遣や近隣の中核病院との連携によって、医療を十分に提供できるシステム」をつくる必要もあるのではないかと問題提起しています。

 こうした意見は出たものの、医師偏在の是正に向けて、医師需給分科会が取りまとめた【早急に着手すべき具体策】を施行すべく、厚労省が関連法の改正案を準備することが了承されています。同省は、来年(2018年)の通常国会への法案提出を目指しており、医療部会では年明けの1月にも、法案を踏まえた意見交換が行われます。

特定機能病院の承認要件見直し、年度内にも省令改正

 12月22日の医療部会では、今年(2017)6月に成立した改正医療法に基づく「特定機能病院の承認要件見直し」についても議論しました(関連記事はこちら)。

 この見直しは、特定機能病院の開設者(理事会等)と管理者(院長)の関係を整理して、▼開設者が管理者を選任するに当たり、外部有識者を含む選考委員会の審査結果を踏まえること▼開設者が管理者に、病院の人事・予算執行権限を一定程度与えていることを明示すること―などを承認要件に加えるものです。

 12月6日の医療部会で、「開設者が審査結果を無視して、院長としての資質に欠ける者を選任するかもしれない」「一部の大学病院では、学部長などと比べて院長の地位が低い。このままではガバナンスが効かないかもしれない」といった懸念が示されたことから、厚労省はこれを踏まえて12月22日の医療部会に、「開設者が院長に与える権限が、『病院の管理運営に必要な指導力を発揮し、医療安全等を確保できるものであるべきこと』などを、通知で明確化する」方針を示し、了承されました。

 厚労省では今後、厚生労働省令(医療法施行規則)の改正や通知の発出を年度末(2018年3月末)までに行った上で、周知のための期間を設け、特定機能病院の新たな承認要件を来年(2018年)6月から適用したい考えです(管理者の選任プロセス見直しは2019年4月から)。



http://japan-indepth.jp/?p=37556
「上昌広と福島県浜通り便り」
崩壊寸前の地域医療 福島県大町病院の場合
 
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
投稿日:2017/12/25 Japan in Depth

【まとめ】
・福島県南相馬市大町病院で常勤内科医退職により診療継続が困難に。
・大町病院の危機に市内の他病院の若手医師が手を上げ始めた。
・地域医療を守るのは志のある若者。厚労省や都道府県、大学医局に依存しても何も解決しない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37556のサイトでお読みください。】


今回も青空会大町病院(福島県南相馬市)のことを書きたい。この病院は南相馬市内の基幹病院の一つだ。ところが、唯一の常勤内科医の退職をきっかけに診療継続が困難となっている。詳細は既報の通りだ(http://japan-indepth.jp/?p=35381)(http://japan-indepth.jp/?p=36518)。

最近になって、さらに事態は悪化した。前回もご紹介したが(http://japan-indepth.jp/?p=37215)、12月2人の非常勤の内科医が退職した。これで、内科の患者は、9月に自ら志願して、南相馬市立総合病院から異動した山本佳奈医師が一人で診ることになった。

外来は毎日。患者数は100名を超えることもある。これに加え、15~20人程度の入院患者を担当する。これに月に5回の当直が加わる。こんな状況は、いつまでも続けられない。

猪又義光院長をはじめ、病院幹部は必死で医師を探した。猪又院長は慈恵医大卒。震災前から、医師派遣は慈恵医大の医局に依存してきた。当然、慈恵医大に頼んだだろうが、この原稿を書いている12月20日現在、同大学からの内科医の派遣はない。

この状況をみて動いたのは、南相馬市立総合病院の消化器内科医である藤岡将医師だ。藤岡医師は2012年に東大医学部を卒業。南相馬市立総合病院で初期研修をおえ、そのまま消化器内科を専攻した。学生時代から、当研究室で学び、山本佳奈医師とは旧知だ。

「このまま放っておく訳にはいかない」と、彼は南相馬市立総合病院幹部と相談し、毎週月曜日に年休をとって、大町病院の外来を担当することになった。このような面倒くさい形式をとったのは、彼が地方公務員だからだ。病院幹部から指示されたようだ。

この話を聞いたいわき市内の病院長が「私たちもお手伝いします」と声がけしてくれた。非常勤医師を派遣すべく調整が進んでいる。

ただ、これだけで不十分だ。やはり常勤の医師がいる。この状況をみて動いたのが、同じく南相馬市立総合病院の乳腺外科医である尾崎章彦医師だ。2010年に東大医学部を卒業し、千葉県旭市、福島県会津若松市の病院で勤務後、2014年10月に南相馬市立総合病院に異動した。私たちの研究室には東大医学部在学中から出入りしている。前出の山本医師、藤岡医師とは旧知だ。

彼は、南相馬市で地域医療に従事する傍ら、多くの医学論文を発表し、日本の医学界が注目する若手医師となった(https://career.m3.com/contents/lab/akihiko_ozaki.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=sem_adpcareer__cmr_dr-lab_cv9000089_20170703)。

大町病院の窮状を見た彼は「誰かが行かねばならない」と言い、南相馬市立総合病院に辞表を提出した。1月から大町病院で働く。大町病院には尾崎医師と同年配の外科医がいる。慈恵医大の医局から派遣された医師だ。

猪又院長によれば「手術は月に4件程度」で、外科医として十分な経験は積めない。車で一時間程度のところに、仙台厚生病院、宮城県立がんセンターなどの全国的に有名ながん専門病院、さらに東北大学、福島県立医大がある。胃がんや乳がんなどの患者は、このような病院に行ってしまう。外科の修練を積むという意味では、大町病院に赴任することは、尾崎医師にとってデメリットにしかならない。

なぜ、彼は大町病院に赴任するのだろうか。それは、医師としての義務感に加え、崩壊の瀬戸際にある地方病院に勤務することで、得がたい経験を積み成長することができるからだ。

2016年末、福島県広野町の唯一の病院である高野病院で、たった一人の常勤医である院長が亡くなった。この時、『高野病院を支援する会』を立ち上げ、事務局長に就いた。自らも非常勤医師として診療に従事した。その後の活躍はメディア報道の通りだ。彼自身、体験記を公開している(http://www.huffingtonpost.jp/akihiko-ozaki/takano-hospital-and-fukushima-prefecture_b_14277516.html)(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48855)。

その後、自らの専門領域である乳がんの臨床研究不正では、中外製薬や乳癌業界の重鎮を相手に、たった一人で問題を社会に問うた(https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20171202-00078706/)。その勇気に敬意を表したい。一連の活動を通じて、彼は成長した。視野が拡がり、腹が据わった。

私は、尾崎医師に乳がん領域に拘らず、世界をリードする医師に成長してもらいたいと願っている。今回の件で相談を受けたときには、「病院マネジメントとは何か、地域医療とは何か、間近でみることが出来る貴重な機会だ。是非、飛び込めば」と勧めた。彼は、すでに決心していたのだろう。「外科に拘りません。内科でも事務でも雑巾がけでもなんでもします」と言ってきた。私は、彼の覚悟を猪又院長に伝えた。

大町病院の危機では、厚労省も福島県も何の役にも立っていない。飛び込んだのは山本・藤岡・尾崎という3名の若手医師だった。彼らに、このような行動を取らせたのは、南相馬という地域に対する愛着、住民への感謝、さらに苦境をともに乗り越えてきたという仲間意識だ。

最近、医師偏在を是正するために、厚労省は医師の計画配置を準備している。都道府県および日本専門医機構と連携し、専門医の研修病院の定員を決めることで、医師偏在や診療科の偏在を是正すると主張してきた。来春から開始予定だ。

12月15日、日本専門医機構が、一次募集の内定状況を公開した。この結果を仙台厚生病院の齋藤宏章医師、遠藤希之医師が分析した。その結果は凄まじいものだった。

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(図3:新専門医制度が診療科偏在に与えた影響 2018年度と2014年度の各診療科の希望者を比較)

厚労省や日本専門医機構の思惑とは反対に、診療科の偏在が加速した。内科医が激減し、麻酔科・眼科などが増加したのだ。

さらに、地域偏在も悪化した。全ての診療科で東京一極集中が加速したのだ。図4は内科の状況だ。2014年度と比較して、東京は77人も増えた。医師不足に苦しむ東京近郊の千葉、埼玉は激減した。

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(図4:新専門医制度が内科の地域偏在に与えた影響 2018年度と2014年度を比較)

ちなみに、来年度、福島県内で内科専門医を目指すのはわずか20人。東京(527人)の26分の1だ。この状況が続けば、福島の地域医療は崩壊する。

このような状況の中、大町病院は何とか診療が継続されている。大町病院の経験は示唆に富む。地域医療を守るのは志のある若者だ。厚労省や都道府県、大学医局に依存しても何も解決しなかった。地域医療を守りたければ、当事者が本気で考えねばならない。

G3註:画像は鮮明に加工することも可能ですが、筆者の意図があってのものと判断し、そのままコピペしています。



http://www.iza.ne.jp/kiji/column/news/171231/clm17123105020002-n1.html
【主張】医師の偏在 政府挙げて根本解決せよ 
2017.12.31 05:02 IZA / 産経新聞

 医療は、生活に欠かせない社会基盤である。医療機関がなくなれば、地域全体がいずれ成り立たなくなる。

 その存在は、地方創生の要諦の一つだ。だが、医師は診療科や勤務先を原則自由に選ぶことができる。それによる偏在が地方を危うくする。

 専門的な医療を目指す医師が増えた。自分の子供の教育環境を考え、医師数が少ない地域での激務を嫌う。結果として大都市部に医師が集中する。都道府県間の差も大きいが、同じ県内でも地域により開きが生じる。

 厚生労働省は地域医療構想を都道府県に描かせ、医療機関同士の連携と役割分担を進めている。だが、肝心の医師が不足したのでは画餅に帰す。

 このままでは多くの地域で医療崩壊が進みかねない。根本的な解決に向け、安倍晋三首相のリーダーシップを期待したい。

 医師偏在の解消について、検討を進めてきた厚労省の有識者会議が報告書をまとめた。

 「医師不足地域での勤務経験」を、地域の核となる一部の病院で管理者に就任する際の基準に加えるなどの内容だ。小手先の対策を列挙した印象である。これでは効果を発揮するとは思えない。

 医療団体の代表者など、利害関係者が議論を重ねている。そこに抜本策を望むのは難しい。いたずらに時間を費やす間に地方の人口減少の方が進んでしまう。

 そもそも、これまでの医師偏在解消の議論が、日本の人口激減をどこまで織り込んできたのか疑問である。

 人口の激減に対応するには、人が集まり住み、社会基盤そのものをコンパクト化することが避けられない。

 現在の医療機関の維持を前提としているのでは実現できまい。地域ごとに拠点を定め、政府の責任で重点的に充実を図る思い切った発想の転換を求めたい。

 患者の通院の足を確保し、コンピューターを活用した遠隔診断を普及させるなど、総合的な施策の展開も重要である。

 「地方」とはどこを指し、何をもって偏在というのか、その尺度についても根本的な見直しを行うべきだろう。

 厚労省任せではできない。人口減少対策の先例となるよう、安倍首相は省庁を横断して政策を総動員し、取り組んでもらいたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/576875
「Heals」設立、医療者個人を責めない「公正な文化」を
シンポ開催、活動の柱はピアサポートシステム導入支援
 
レポート 2017年12月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)が12月23日、都内で設立シンポジウムを開催した。Heals代表理事で早稲田大学法学学術院教授の和田仁孝氏は、「医療事故等が起きた時は、患者・家族、医療者の両方が辛い思いをする。それぞれがいろいろな思いを抱いており、お互いが分かり合えていない部分もある。両方を救うために何とか対話の場を作れないかと考え、その実現に向けて立ち上げたのがHealsだ」と設立趣旨を説明した。(Healsのホームページを参照)。

 同じく代表理事の永尾るみ子氏は、自身が子どもを出産直後に亡くした遺族、かつ看護師として医療に従事するという双方の立場から、「医療事故を起こした医療者の支援は、患者家族を救うことと不可分」と語り、医療機関におけるピアサポートシステムの導入支援を活動の柱に据える方針を説明した。「医療者へのピアサポートには、医療機関トップの理解が求められ、組織全体で取り組むことが必要」と永尾氏は呼びかけた。

 Healsの設立メンバーは、医療者、法律家、学者、患者・家族など。ピアサポートとは、簡単に言えば、「同僚、あるいは同じような立場にある人による初期対応としての心のケア」であり、既に米国では取り組みが活発化している(『「第二の犠牲者を防げ!」、大磯・浜松医大教授』を参照)。

 米国の事情に詳しい浜松医科大学地域家庭医療学講座教授の井上真智子氏は、ピアサポートの概念について、「所属部署でのサポート」と「専門職種によるサポート」の間に位置付けられると説明した上で、「医療事故の経験は、医療者に大きなインパクトを与え、バーンアウトなどを招く。システムエラーの『第二の被害者』でもある。心身に問題を抱えたままでは最高のパフォーマンスができない。個人を責めない『公正な文化』に基づく職場内での支援が必要」と述べ、ピアサポートの必要性を訴えた。

 Heals は、医療機関におけるピアサポートシステムの導入支援について、2017年度中には体制を整え、2018年春頃から具体的活動に入る予定であり、既に大学病院などから支援依頼を受けているという。そのほか、(1)遺族と医療者の対話推進と心理ケアのための講演会・シンポジウム、研修、(2)有害事象等に直面した患者、医療者からの相談対応、(3)患者・医療者対話カフェの開催――などの活動を予定している。

ピアサポートシステムの導入支援例(カッコ内の時間は目安)
1. 施設におけるサポート体制等についての現状調査・アセスメント
2. 当該施設に適合的なシステム・モデルと導入手順への提案・相談
3. 関連各部署管理者への研修(2時間)
4. ピアサポートシステム管理者への研修(半日)
5. ピアサポーターへの研修(1日)
6. 全職員への周知のための講演(90分)
7. 一定期間後のフォローアップ・評価
8.提携外部機関としての継続的外部相談サポートの提供

ピアサポートで変わる医療機関の組織文化

 シンポジウムでは、Healsのメンバーが、ピアサポートの意義、米国での現状、Healsの活動予定を説明したほか、現場の医療者がピアサポートの事例を紹介した。

 曽根美恵氏は、臨床心理士の立場から医療事故を起こした医療者の心理について解説。「医療者としての自信を失い、自分を責め、自罰的になるほか、情緒不安定になり、中には医療行為を行うことに恐怖感を持つようになることもある」などの心理面のほか、身体面、社会生活面においてさまざまなASD(急性ストレス障害)が生じ、これらがケアされないとPTSDに移行すると指摘。この移行を防ぐための「ファーストエイド(First aid)」としてのピアサポートの必要性を強調した。

 井上氏は、「ピアサポートのしくみと過程」というテーマで講演。米国の一例として、2004年からピアサポートへの取り組みを準備し、開始した、米ハーバード大学関連病院であるブリガム&ウィメンズ病院の事例を紹介。同病院では、2012年にレジデント・指導医(救急、麻酔、外科)108人の医師に調査した結果、半数以上が過去1年に、担当患者の重篤な有害事象を経験していた。しかし、産業保健やEAP(従業員支援プログラム)など公的な支援の利用法を知る医師は3割にとどまるほか、キャリアへの影響を懸念するなど「サポートを受ける障壁」もあることから、医師らが「1対1」で相談できる体制などが求められるとした。

 井上氏は、ピアサポートを行う「ピアサポーター」の「役割」と「しないこと」について、以下のように整理。「予期しない事態は誰でも経験し得る。ピアサポートへの取り組みは、医療機関の組織文化を変えることにつながる。個人を責めない『公正な文化』に基づく職場内での支援が必要」(井上氏)。
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(提供:井上氏)

「ピアサポーター、メモも取らず、話を聞くだけ」

 和田氏は、Healsの活動予定や米国の事情を紹介。Healsに近い組織が、非営利組織のMITSS(Medically Induced Trauma Support Services)。注目されるのはニューヨークのベス・イスラエル病院では、180人のピアサポーター(基本は兼務)を抱え、有害事象の事案以外も含めた「あらゆるストレス」を抱える医療者への支援を行っている点だ。

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(提供:和田氏)

 和田氏は長年、医療メディエーターの養成にも取り組んできた。「医療事故が起きた直後、医療者と患者側が対立構造にならないように取り組んできたが、事故が大きければ大きいほど、医療者のショックも大きい」とし、医療メディエーターが関与する前段階として、ピアサポーターによる支援が必要になるとした。

 米国の事情を視察した和田氏は、「印象に残っているのは、ピアサポーターは、当事者から話を聞く際に、メモを取らないこと。何が起きたのかも尋ねない。当事者のつらさなどをただ聞くだけ」と語った。ピアサポーターが病院幹部等に報告するには、支援を担当した件数のみだという。「『ピアサポートにはどんな効果があるのか』とよく聞かれるので、米国視察の際に質問したところ、どの病院でも『ファーストエイドを行う場合と、何もしない場合とでは、どちらがいいかは明らかだろう』という答えだった」(和田氏)。

「患者、一般人の理解は得られるのか」

 シンポジウムの後半のパネルディスカッションでは、ピアサポートの実例も紹介された。

 議論になったのが、ピアサポートの体制を整えても、医師らが支援を求めるようになるのか、また患者や一般社会から「医療事故を起こした医療者を支援する」という取り組みが理解され得るか、などだ。

 和田氏は、「最初はなかなか相談に来ず、時間がかかるものの、認知度が高まれば、自然と相談が来るようになる」、井上氏は「ノーマライズしていくことだと思う。医療事故を起こした医療者が、自己を責めるといった感情を抱くのは、当然であることを広めていく。またピアサポートを受けることが普通であるという、文化を醸成していくことが必要」とそれぞれコメント。

 フロアからは、「一般の方に、『医療者も被害者』と言っても、受け入れられるのか」という質問が出た。永尾氏は、「遺族によって医療者が救われる、あるいは医療者によって遺族が救われることがある。それを支えるのが、ピアサポーター。認知フレームの違いを克服できるように、一般向けの勉強会を開いていくことが、われわれに課せられた課題であり、最も難しいと思っているところでもある」と答えた。

 シンポジウムの司会を務めた、浜松医科大学医学部医療法学教授の大磯義一郎氏は、「今までは何かが起きると、個人を攻撃しがちだった。そうではなく、時間がかかるかもしれないが、ケアの対象になるという方向に文化を変えていくことが必要」と総括した。



  1. 2018/01/01(月) 10:18:51|
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