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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日
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Surge in DO students could help ease physician shortage
Crain's Chicago Business‎ - January 11, 2018(米国、イリノイ州)

A report touted this week by the American Osteopathic Association shows an 85 percent increase in osteopathic medical students since 2007. Now, about 1 in 4 medical students attends an osteopathic medicine college—an enrollment figure that has increased an average of 25 percent every five years. The report comes amid concerns that the United States is facing a physician shortage: The gap between physician supply and demand will range between 61,700 and 94,700 physicians by 2025, according to the American Association of Medical Colleges. A chunk of the shortfall is projected to be in primary care, a field in which many osteopaths specialize.


No Physician Shortage Despite Dire Warnings: Zeke Emanuel
Medscape‎ - January 24, 2018 (米国)

We can get into so many topics because you have had a big influence on healthcare policy in the United States with the Affordable Care Act (ACA) and many other things. But today's topic, a "physician shortage," is a special interest. You have had multiple writings on this, including a notable op-ed in the New York Times back in December 2013 with none other than our current Food and Drug Administration Commissioner, Scott Gottlieb.[1]
More recently, your reaction to the Association of American Medical Colleges (AAMC) report [predicting a shortage] was published in JAMA in May,[2] with subsequent correspondence—as you might expect because of controversy—going back and forth in September. Why don't you give us your own sense about a physician shortage in the United States.


Doctor shortage: Population outpacing physicians
IllinoisHomePage.net‎ - Jan 16, 2018 04:28 PM CST (米国 イリノイ州)

ILLINOIS (WCIA) -- The population is quickly outpacing doctors. Medial professionals are bracing for a massive shortage. Experts estimate, by 2025, there could be a shortage of up to 90,000 physicians nationwide. But, there's hope. A new survey shows an increase in medical students. A Chief Medical Officer from Southern Illinois University's medical school offered insight. He says more students are enrolling because there are more opportunities. For the past 20-years, more and more medical schools have opened up around the country; especially in rural areas where a shortage of doctors could have a bigger impact.


Doctors Nova Scotia blames doctor shortage on fee-for-service system
CBC.ca‎ - Jan 06, 2018 5:34 PM AT (カナダ ノバスコチア州)
 
Nova Scotia is losing family doctors to other provinces, notably New Brunswick, because of the "antiquated" way it pays for their services, says the president of Doctors Nova Scotia.
On Saturday, a group of family doctors met in Dartmouth to discuss different options of being paid for their work.
"We're in an antiquated model right now where the majority is fee-for-service, so it's a volume-driven service. Nova Scotia has to consider options other than fee-for-service or salaried models that don't really, frankly, do much for anyone," Dr. Manoj Vohra said.


Estevan hospital wait times rise due to physician shortage
Globalnews.ca‎ - January 24, 2018 7:22 pm (カナダ サスカチュワン州)

“Two of them were departures with virtually no notice. One was a suspension from the [College of Physicians and Surgeons of Saskatchewan] and another one left town to move home to South Africa almost overnight. That left an enormous amount of patients without a physician.”

The shortage of family physicians in Estevan has increased the amount of non-emergency cases in the emergency room and increased wait times. Physicians also aren’t taking on any new patients.

Hoffort says to address the shortage, St. Joseph’s Hospital has stationed a family physician in the emergency room from 8 a.m. to 5 p.m. Monday to Friday. Normally, the emergency room is covered by family physicians on an emergency, call-in basis.



(他に10位以内のニュースは、米国 アイダホ州、カナダ(サスカチュワン州2, ノバスコチア州)、ニュージーランド、からも)


  1. 2018/01/31(水) 08:18:00|
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1月28日

https://news.yahoo.co.jp/byline/takerodoi/20180127-00080935/
「西高東低」を2025年度までに縮小!…これは医療の話 
土居丈朗 | 慶應義塾大学経済学部教授
1/27(土) 18:52 YAHOO ニュース

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「西高東低」は冬の気圧配置だけでない。1人当たり医療費も(厚生労働省資料より)

1人当たり医療費の「西高東低」現象は、長年にわたり起きていて、知る人ぞ知る現象だった。今、初めてご覧になる方もおられるだろう。

厚生労働省が毎年公表している「医療費の地域差分析」によると、冒頭の図のように、都道府県別に1人当たり医療費をとると、概ね西日本の県で全国平均値より高く、東日本の県で低い。図の横軸(値が0)よりも上に棒グラフが伸びると、その県は全国平均値より高いことを意味する。横軸よりも下に棒グラフが伸びると、全国平均値より低いことを意味する。

もちろん、高齢化が他県より進む県だと、1人当たり医療費は高くなる。若年者より高齢者の方が1人当たり医療費は多くなるからだ。都道府県によって異なる年齢構成は、冒頭の図では調整済みである。年齢構成調整済みの1人当たり医療費を、北は北海道から南は沖縄県まで順に並べると、左側(東日本の県)では下側に棒グラフが伸び、右側(西日本の県)では上側に棒グラフが伸びる傾向がある。これを指して、「西高東低」と呼んだ。

2015年度において、1人当たり医療費が最も多い県は福岡県で、最も少ない県は新潟県である。冒頭の図は指数で示しているが、実額でいうと、1人当たり年間医療費は最も多い福岡県で64.1万円、最も少ない新潟県で46.6万円と、17.5万円の差がある。全国平均は53.7万円である。

こうした地域差があることが、なぜ問題なのか。

それは、わが国は「国民皆保険」で、全員が何かの公的医療保険に加入していて、同じように保険料を払っているのに、地域によって費やしている医療費が多いところと少ないところがあるからだ。しかも、あらゆる治療の単価(診療報酬)は、国が決めていてどの地域でも同じなのにである。

医療費を多く費やしたからといって、医療保険料や税金の負担が個人的により重くなることはない(患者負担は多くなるといえども)。でも、医療費の財源は、患者負担は1~3割であって、残りの7~9割は保険料と税金で皆が負担を分かち合っている。医療費をより多く使う県は、同じような負担でたくさん医療の給付を受けていることになり、より少なくしか使わない県は、医療費を多く使っていないのに他県の分までも負担をより多く負わされることになる。それは、公的医療保険制度が都道府県別の完全独立採算にはなっていないことに起因する。

もちろん、健康な人は医療費がかからないが、病弱な人やけがをした人は医療費が多くかかる。そうした個人差は、ここでは都道府県別に分析しているから、この「西高東低」現象には影響しない。なぜなら、どこの地域でも、10万人や100万人という単位でみれば、統計的にみて病弱な人やけがをする人は一定割合いるし、健康な人も一定割合いて、個人差は統計上薄まる(統計学の用語でいうと大数の法則が成り立つ)からである。最も多い福岡県の人が、最も少ない新潟県の人より、平均的にみて顕著に病弱だという話は聞いたことがない。もし、どこの都道府県でも同様の疾病率(病気にかかる確率)であれば、年齢構成調整済みの1人当たり医療費は、ほぼ同じになって不思議ではない。

なのに、現実にはそうではないことを、冒頭の図は物語っている。つまり、保険料や税の負担はほぼ同じなのに、受けている医療の給付(医療費)が都道府県によって異なるということだ。

過疎部で医師不足とか病院の閉鎖とかが問題となっていて、都市部との間で受けられる医療に格差があるという現象もある。ただ、冒頭の図を見ると、過疎部の県で1人当たり医療費が少なく、都市部の都府県で多いというわけでは決してない。だから、僻地医療の問題は別途解決すべきだが、それと「西高東低」とは様相が少し異なる。

医療費の「西高東低」現象の背景には、単純化していえば、同じ傷病で似たような状態でありながら、地域によってその治療法が異なり、割高な治療法を使っている地域もあれば、うまく医療費をかけずに治療ができている地域もあるということである。逆に見れば、1人当たり医療費が高い県では、恩恵を受けているというより、同じ傷病でもより割高な治療費(の患者負担)を払わないと治してもらえないという意味で不幸なことでもある。同じように医療保険料や税金を負担してお互いに支えあっているのだから、せめて医療費で目に余る地域差があれば縮められるようにしてはどうか。

それに、医療保険料は、毎年のように引き上げられ、将来どれほど負担増になるか先行きが見えない。国民に負担に余力があって、こうした地域差に目くじらを立てなくてもよいではないかというならいざ知らず、さすがに負担増にも限界があるというなら、こうした地域差をより良い形で縮小する方策が望まれる。

ここでいう地域差の縮小は、あらゆる差異を遮二無二なくせ、というわけではない。同じ傷病で似たような状態の患者に、うまく医療費をかけずに治療ができる地域があるなら、その好事例を他の地域でも見倣えば、なくせる不合理な地域差を是正できる。つまり、地域差の縮小は、好事例に他地域も倣うということだ。そうすることで、わが国全体の医療費をうまく節約できる。

地域差縮小の方策

医療費を抑制できれば、我々が支払う保険料や税金の負担をより軽くできる。ただ、必要な医療が受けられないことがあってはいけない。必要な医療を適切に残しつつ、患者の健康のためにもなっていない医療費があれば、それを節約してゆく。ではどうすればよいか。

冒頭の図をみると、「西高東低」現象の要因を分解すると、最も大きいのは「入院」(赤色の棒グラフ)によって起きていることがわかる。既に政府もその原因を突き止めていて、入院医療費が1人当たりで多い西日本の県では、人口に比して概ね、病床(病院のベッド)が多かったり、入院患者の割合(入院受療率)が高かったりしていた。だから、病床の配置を患者のニーズにマッチさせるように再編することで、不必要な病床をなくし、必要な病床を整備することができ、全体として医療費を節約できる。この取組みが、「地域医療構想」である。「地域医療構想」についての詳細は、拙稿「少子高齢化社会でも日本の医療費は見直せる 地方の医療を救う『病院再編』とは?」を参照されたい。

「地域医療構想」は、2025年度までに各地域で病床の機能分化と再編を進めるよう、2015~2016年に各都道府県で既に策定された。これを踏まえ各都道府県が策定する「第7次医療計画」が、2018年度から6か年計画でスタートする。「地域医療構想」に盛り込んだ入院医療での地域差を縮小する取組みは、「第7次医療計画」がスタートする2018年度から、いよいよ本格化する。

入院医療だけではない。外来医療についても、「第7次医療計画」と同時期に策定し実行する「第3期医療費適正化計画」で改善に取り組む予定である。「第3期医療費適正化計画」では、特定健診・保健指導の実施率向上、後発医薬品の普及、糖尿病の重症化予防、多剤投薬や重複投与の是正について、具体的な医療費抑制額も含めて、各都道府県で策定し実行することとしている。その中でも、キーワードとなるのが、地域差の縮小である。効能がほぼ同じでより安価な後発医薬品の使用促進や、飲み合わせが悪く副作用が生じる恐れのある多種類の薬を同時に処方しないようにする取組みなどが、他県より遅れていれば、それを是正するよう努力することで、その地域の患者の健康のためにもなるし、医療費を抑制することにも貢献する。

医療費の地域差縮小の先にあるもの

上記の話は、既に昨年までに議論が進んでいるもので、最新ニュースというわけではない。なのに敢えてなぜ、今取り上げたか。それは、1月23日に開催された経済財政諮問会議で、今夏に取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2018」に、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を盛り込むための議論がキックオフしたからである。

同会議で内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算(2018年1月試算)」では、基礎的財政収支の黒字化が後退する姿が示された。その含意は、拙稿「経済成長率低下は、基礎的財政収支にこう影響した:内閣府中長期試算の含意」で述べた通りだが、要するに、2020年代前半にかけてさらなる歳出改革が必要であることが浮き彫りとなった。

内閣府の「中長期試算(2018年1月試算)」には、前掲した「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」の改革効果は織り込まれていない。もちろん、介護や教育など他の歳出改革も織り込まれていない。実は、介護にも、医療と似たような地域差があり、その地域差の縮小が2020年代前半にかけて求められる。介護でも、他県の好事例に倣えば、質を落とさずに介護費を適切に抑制できる。ただ、介護の話は稿を改めることにしたい。

歳出改革は医療だけではないが、関係者も合意の上で「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」が取りまとめられ、その中で地域差の縮小が進められようとしている。これらは、当然ながら、第一義的には国民のQOL(生活の質)向上のためだが、意義ある副次的な効果として基礎的財政収支の改善にも貢献する方策となる。追加的な負担増を避けつつ、国民のQOL向上にも資する方策を、積極的に推進してゆくことが求められる。



https://dot.asahi.com/dot/2018012400075.html
国が推進する「総合診療医」を、現役医師がオススメしない理由 
連載「メディカルインサイト」
上昌広2018.1.26 07:00 dot.朝日

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医学生にも人気の「総合診療医」について解説している。

*  *  *
 近年、厚生労働省は「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師の養成」を目指しています。

 NHKも「総合診療医ドクターG」という番組を放送しており、人気を博しているようです。ホームページには「病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する!」と書かれています。新聞でも、「総合診療医」について好意的な記事が目立ちます。医学生にも、「総合診療医」になりたいという人が珍しくありません。

 しかし、総合診療医の実態は、世間一般のイメージからかけ離れています。

 私は、総合診療医に憧れている医学生に対しては考え直すように勧めています。厚労省が言うように「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師」が養成できれば、実に素晴らしいことです。しかし、医師は一つの診療科に習熟し、一人前になるまでに、10年近くかかるといわれています。いくつかのジャンルで習熟できたとしても、全ジャンルでエキスパートになることは、現実的ではありません。

 厚労省が総合診療医を勧めるのは、患者や医師にとってメリットがあるからではありません。総合診療医が厚労省にとって都合がいいからです。

 私は、その本当の理由を医療費削減だと考えています。 

 総合診療医の議論が始まったのは1980年代です。当時、医師誘発需要説・医療費亡国論が議論されていました。厚労官僚の友人は、「一人の医師が複数の専門領域を診ることができれば、医療費は抑制できると考えたようだ」と言います。

 このように考えるのは、我が国に限った事ではありません。経済協力開発機構(OECD)は「健康増進のための最も費用対効果が高い方法はGeneral Practitioner によるプライマリケアである」と述べています。総合診療医を推進する理由は、患者満足度ではなく、金ということになります。

 医師不足が社会問題化したため、厚労省にとって、総合診療医の価値がさらに上がりました。総合診療医を育成すれば、医師不足を緩和できるかもしれないと考えているからです。つまり、総合診療医推進は、専門医偏重の医療界、特に大学に疑問を持つ医師と、医療費抑制や医師不足対策を進めたい厚労省の思惑が合致した結果と考えられるのです。

 我が国の財政状況を鑑みれば、確かに医療費抑制は課題の一つでしょう。私も、総合診療医を増やすことが医療費の抑制に貢献する可能性は十分にあると思います。ただし、これはあくまで政府の視点です。これが国民にとって、本当にいいことかはわかりません。

 この問題を考える際には、正確な情報を国民と共有し、オープンに議論すべきです。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/388884/
揺れる竹田市の救急医療 医師会病院で「拒否」増 「適正な受け入れ水準に戻した」 [大分県] 
2018年01月25日 06時00分 西日本新聞朝刊

 竹田市医師会が運営する竹田医師会病院(同市)で、元院長の懲戒解雇に端を発し、混迷が続いている。元院長が不在となった2017年12月に救急拒否の件数が増加。市民からの不安の声を受けて、市は病院に救急医療体制の確保を要請した。一方、病院側は「今までが無理をして受け入れており、適正な水準に戻しただけだ」と主張する。竹田市は県内でもとりわけ高齢化が進む自治体だけに、地域医療の危うさも見え隠れする。

 元院長は石井一誠氏(42)。関係者によると、医師会は「看護師へのパワハラや患者情報の漏えいなど、コンプライアンス(法令順守)違反があった」として昨年12月1日から自宅待機とし、同22日付で懲戒解雇にした。石井氏は「事実誤認で不当解雇」と大分地裁竹田支部に地位保全の仮処分を申し立てている。

 病院は内科、外科、整形外科、小児科、リハビリテーション科を掲げ、ベッド数は156ある総合病院。石井氏が16年1月に院長に就任し、同4月に2次救急病院の指定を受けた。竹田市の2次救急指定病院は他に大久保病院(同市久住町)があるが、市中心部からは約11キロ離れている。同市は救急患者の受け入れ数に応じて補助金を出しており、補助金額(16年度)は医師会病院が1660万円で、大久保病院は1400万円だった。

■院長解雇が影響か

 竹田市消防本部などによると、16年4月以降の医師会病院の救急受け入れは、ほぼ100%。毎月の拒否件数は0~2件だった。しかし17年12月は「専門外」「他の患者対応のため」などの理由で23件を断った。受け入れ要請の約3割に当たる。

 医師会側は「医療体制に変化はなく、救急治療も変わらず行う。拒否件数については、そもそもマンパワーが足りておらず、専門外の措置も行って医療過誤の可能性もあったので、適切に受けられる範囲に切り替えただけ」と説明する。24日には市役所を訪れ、非公開で同様の説明をしたという。

 同本部によると、現段階で拒否に伴う深刻な影響はない。ただ、市民からは「救急病院として今後、大丈夫なのか」「救急をやめるのではないか」といった懸念が出ている。「石井氏がいなくなった影響ではないか」という指摘もある。

■熊本県からも関心

 こうした事態について、ある医療関係者は「専門外でも応急処置などできることはある。点滴のルート確保だけでも全然違う」と指摘する。病院関係者の1人は「医師会病院が拒否すれば、場合によっては大分市まで運ばなければならない。けがや病気への対応が地域で完結できなくなり、住民に申し訳ない」と声を潜める。

 竹田市の高齢化率は44・29%(17年3月末現在)で県内では姫島村に次ぐ高さ。住民の男性(70)は「みんな医師会病院を救急病院として頼っている。税金が入っているなら、地域医療を充実させる責任を果たすために行政も対策を練るべきだ」と話した。

 県境を越えた熊本県阿蘇地域でも関心を呼ぶ。同地域は16年4月の熊本地震で熊本市内への交通アクセスが悪くなり、医師会病院と冬季の救急について協力態勢を構築しているためだ。阿蘇地域の医師会や消防の関係者は「今のところ影響はない」としつつも「推移を見守りたい」と状況を注視している。

■市は医師確保要請

 「ドクターヘリやDMAT(災害派遣医療チーム)の出動などで石井院長が果たしてきた役割は大きい。その院長がいなくなると、市民の不安は計り知れないものがある」。同市の首藤勝次市長は、17年12月27日付の自身のブログに書いた。市は18年1月9日付で医師会病院に提出した要請書で石井氏の解雇に伴い医師数が減ったことから、2次救急病院として体制を堅持できるよう速やかな医師の確保に加え、市民の不安の払拭(ふっしょく)などを求めた。

 県医療政策課は「患者の行き場がなくなるような状況ではないと認識しているが、救急態勢の維持に向け、いま一度、関係病院や機関で意思疎通を図りたい」としている。高齢化は進み、社会保障費が膨らむ中、医師の不足や偏在、過重労働の問題も指摘されている昨今。医療サービスの受け手である市民も含め、あらためて地域医療を考えることが求められている。



http://www.medwatch.jp/?p=18436
医師不足地域で勤務した医師を「社会貢献医」として認定、2020年度の施行目指す―社保審・医療部会 第59回(2) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MEDWATCH

 医師不足地域で勤務した医師を、厚生労働大臣が「認定社会貢献医」(仮称)として認定する新制度について、2020年度の施行を目指す―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会で厚生労働省は、このような内容の医療法・医師法改正案の概要を示しました。認定制度の創設には、医師不足地域での勤務を医師個人に促す狙いがあり、認定された医師を雇用する医療機関に「経済的インセンティブ」を与えることで、医師不足地域で勤務したい医師を医療機関も後押しする仕組みにします。厚労省は、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指しています。

 医療部会では、▼早急に実施する医師偏在対策▼地域医療構想の進め方▼救命救急センターの充実段階評価の見直し―などが議題となっています。本稿では、医師偏在対策の概要をお伝えします。

ここがポイント!
1 「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間
2 都道府県の体制強化は3段階で実施
3 医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間

 今般の医師偏在対策の柱は、(1)医師少数地域での勤務を医師に促す環境整備(2)都道府県の体制強化(3)外来医療機能の偏在などへの対応―です。

今般の医師偏在対策は、▼医師の少ない地域での勤務を促す環境整備▼都道府県における体制整備▼外来医療機能の不足・偏在等への対応―3つの柱で構成される (図 略)

 このうち(1)の環境整備は、▼医師不足地域にある医療機関での医師の勤務環境を良くする▼医師個人に、医師不足地域での勤務にメリットを感じさせる―の両面から進めます。

医師不足地域で一定期間以上勤務した医師を「認定社会貢献医」(仮称)に認定する制度が創設される。医療機関には、認定を受けた医師を雇用することなどにインセンティブが付与される (図 略)

 現状、医師不足地域での勤務に対して医師が抱くイメージには、「自分の代わりに働く医師がいないため、休みがとりづらい」「自分の専門外の患者にも対応せざるを得ないが、別の医師からアドバイスをもらいづらい」のようにネガティブなものもあります。

 そこで厚労省は、次のような対策に取り組む方針です(どちらも法改正は不要)。

▼都道府県が医師不足地域に医師を派遣するに当たり、複数人を交代で派遣することで、休みをとりやすくする
▼医師不足地域に派遣された医師が、専門外の患者に対応できるように、地域の中核病院の医師が助言などを行う

 一方で、今般の医療法改正では、「医師不足地域で一定期間勤務した医師」を厚生労働大臣が「認定社会貢献医」に認定する制度を2020年4月に創設。一定の経過期間を置いた上で、この認定を受けた医師でなければ「厚生労働省令で定める病院」の開設者(院長)に就任できないと規定する見通しです。

 「厚生労働省令で定める病院」としては今のところ、地域医療支援病院のうち、医師派遣機能を有する病院が当たると想定されています。ただし、全国に543施設(2016年10月時点)ある地域医療支援病院の多くが、医師派遣機能を有していないのが実情で、「厚生労働省令で定める病院」の範囲は、今後も重要な論点になりそうです(関連記事はこちら)。

 なお、厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長は、認定された医師を雇用する病院などを「予算面や税制面でも併せて評価する」ことにより、認定を目指して医師不足地域で働く医師を増やしたい考えを強調しています。この点、病院に与えられるインセンティブの例には「診療報酬上の評価」も挙がっています。2020年度以降の診療報酬改定で、何らかの加算が創設される可能性もあり、地域医療支援病院以外の病院にとっても注目すべき制度となります(関連記事はこちら)。

都道府県の体制強化は3段階で実施

 (2)の「都道府県の体制強化」について今般の法改正では、「A県出身の医師が、A県内の大学医学部に入り、卒後2年間の臨床研修をA県内の病院で行うと、臨床研修修了後もA県内で勤務する割合が高い」という厚生労働省調査結果を踏まえた対策を、都道府県が講じるための体制整備が、▼第1段階(改正法の公布日に施行)▼第2段階(2019年4月施行)▼第3段階(2020年4月施行)の―3段階で進められる見通しです。

都道府県が大学などとしっかりと連携し、地元出身医師の養成・定着策などを講じることが求められる(図 略)

 まず第1段階(改正法の公布日に施行)では、都道府県の医師確保関係の会議体が、「医師派遣については地域医療支援センター運営委員会」「専門医養成については都道府県協議会」のように乱立している状況を改め、「地域医療対策協議会」で一括して協議する体制に再編します。地域医療対策協議会には、大学医学部やその付属病院、主要な医療機関の関係者を参加させることで、後述する「地元出身者枠」の設置のような医師確保対策を、大学などと連携して実現させやすくします。

 次に第2段階(2019年4月施行)では、都道府県知事が大学医学部に対して「地元出身者枠」や「地域枠」を設けるよう要請できる権限を付与します。また都道府県に、医療計画の中で「医師確保計画」を規定するよう義務付けます。医師確保計画は、「地域の医療需要に見合う医師確保の目標値」などで構成され、その達成に向けた協議は地域医療対策協議会で行うことになります。「医療需要」を計算する際には、▼今後の総人口や人口構成の変化▼患者の流出入▼交通アクセス―などを加味します。なお、施行日から一定の猶予期間が設けられ、例えば、第7次医療計画の中間見直し時期(2021年4月)までに、医療計画に追記することが求められる見通しです。

 さらに第3段階(2020年4月施行)で、都道府県知事に▼臨床研修病院の指定権限▼臨床研修病院ごとの研修医定員の設定権限―を付与し、都道府県自ら「地元出身者らに魅力的な研修医プログラム」を用意できる体制を整えます。ただし、都道府県の裁量をあまりに大きくすれば、臨床研修の質を確保することが難しいため、研修の質を担保するために、大本となる「臨床研修病院の指定基準」や、「都道府県ごとでの研修医定員」は引き続き国が定めます。

 これら都道府県知事の権限強化によって、医師不足地域にある医療機関では、必要な医師数を確保しやすくなると期待されます。

医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

 (3)の「外来医療機能の偏在対策」は、地域医療対策協議会ではなく、医療関係者が地域ごとに集まって検討していくことになります。具体的には、今般の法改正で、外来医療の提供体制に関する「協議の場」(医療提供者や保険者、住民代表などで構成)を、二次医療圏単位で都道府県知事が設置する規定が設けられる見通しです(2019年4月施行)。いわば「外来版の地域医療構想調整会議」に当たり、地域医療構想調整会議を充てることも認められます(関連記事はこちら)。この「協議の場」では、現存する外来医療機関の数や診療科などを踏まえて、「救急の外来患者にどの医療機関が対応するか」や「医療設備・機器などの共同利用をどう進めるか」などを話し合います。さらに、都道府県が医療計画に、外来医療に関する提供体制を確保するための施策などを記載することも求められるようになります(2019年4月施行)。

外来医療の提供体制については、二次医療圏単位で関係者が協議する(図 略)

 ほか、今般の法改正では、来年度(2018年度)から全面スタートする新専門医制度が、医師の地域偏在を悪化させる事態を招かないように、厚生労働大臣に、専門医の認定や養成を行う日本専門医機構に対して「必要な措置の実施」を要請する権限が与えられる見通しです(改正法の公布日に施行)。

厚生労働大臣から日本専門医機構に意見を述べる仕組みを法定する(図 略)

 この点、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は、厚生労働大臣が、日本専門医機構のほか「専門医養成に携わる学会」に対しても、必要な要請を行える体制にしたいとの考えを示しましたが、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「行政が学会に対して権限を持つことは、学会の本来の有り様と相容れない」と慎重な姿勢を表明しました。その一方で、神野正博参考人(全日本病院協会副会長、猪口雄二・全日本病院協会会長の代理出席)は「学会に対する権限も確保した方が、偏在対策には有効だ」と主張しており、学会への関与の在り方が論点となりそうです。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0122512632/
医師が長時間残業、杏林大病院に是正勧告...割り増し不足分3億円を支給〔読売新聞〕 
(2018年1月22日 読売新聞)

 杏林大学病院(東京都三鷹市)が、医師に労使協定(36協定)の上限を超える残業をさせ、残業代の支払いも不十分だったとして、病院を運営する杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。

 同学園は、医師約600人に残業代の割り増し不足分計約3億円を支給した。

 同学園によると、病院に勤務する研修医を含む医師計約700人との間で、特段の事情が発生した場合の残業時間を最大月70時間とする労使協定を締結。

 しかし、同労基署から、医師の残業時間について、厚生労働省が「過労死ライン」とする2~6か月平均80時間を十数人が超え、月100時間を超えた医師も数人いたとの指摘を受けた。体調を崩した人はいなかったという。

 また、医師約600人の残業代の割り増し分も、労働基準法の割増率を下回っていた。同学園は昨年12月、同労基署の調査対象となった昨年4~9月の不足分を一括で支給した。

 担当者は「是正勧告を重く受け止め、改善に着手している」と話している。



https://www.kochinews.co.jp/article/155534/
室戸中央病院が内科外来 医療確保へ高知県室戸市と協定 
2018.01.27 08:30 高知新聞

 高知県室戸市と、室戸中央病院(同市室津)を運営する医療法人「愛生会」は26日、地域医療の提供に関する協定を結んだ。室戸病院(同市元甲)が今月末で閉院するのに伴うもので、愛生会は外来診療の強化や一般病床の確保などに努め、市は必要な機器の整備や医師、看護師らの雇用に対して経費を補助する内容。協定を受け、まずは室戸病院の常勤医師1人を2月から室戸中央病院で雇用し、内科の外来と往診を行う。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582473
日病協議長「7対1、30%はハードル高い」
大学病院は「対策迫られる」
 
レポート 2018年1月26日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏(全国公私病院連盟常務理事)は1月26日の記者会見で、同日の中央社会保険医療協議会総会で入院医療の再編・統合で現行の一般病棟入院基本料「7対1」に相当する「急性期一般入院料1」の「重症度、医療・看護必要度」該当患者割合の基準値が2018年度診療報酬改定での新定義で30%とすることが決まったことについて、「地域や病院によってクリアできないところもある。かなり厳しい、ハードルが高いと受け止めている」と述べて懸念を示した(『入院医療「7対1」相当の患者割合は新定義で30%』を参照)。

 副議長の山本修一氏(国立大学病院長会議常置委員長)は、「公益裁定による結論のため粛々と受け入れて対応しなければいけない」と述べた上で、特定機能病院入院基本料の該当患者割合は新定義で28%になるのではとの見方を示し、重症度、医療・看護必要度の基準として加わる「モニタリング及び処置等に係る得点(A得点)が1点以上、患者の状況等に係る得点(B得点)が3点以上で、かつ『B14 診療・療養上の指示が通じる』又は『B15 危険行動』のいずれかに該当」について、「大学病院は認知症やせん妄の患者が少ない。この基準で現行の25%から3ポイント分増えるかどうか。対策を迫られると認識している」と述べた。

 山本氏によると、1月26日の代表者会議で出た意見は、入院医療に関して「中間的な評価ができ、7対1から下りやすくなった」、「看護師の奪い合いをしなくてよくなる」など。また、働き方改革で医師をはじめとして医療従事者の常勤配置に関する要件が緩和され、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能になることについて、「働き方改革の方向性に一致する」として評価する声もあった。1月26日の中医協総会で提示された附帯意見案については、救急に関する項目がないため、追加してほしいとの意見が上がった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582223
「外科専攻医1人のみ」が3県という現実直視を - 末永裕之・日病副会長に聞く 
新専門医制度による医師偏在、検証データの公表不可欠
インタビュー 2018年1月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度はこの1月に2次募集を締め切り、2月には2018年度から研修を開始する専攻医数が確定するが、2017年12月に1次募集の採用数が判明した時点で、既に医師の地域、診療科偏在が増長する懸念が呈せられている。
 当初は2017年度からスタート予定だった同制度は1年延期されたが、仕切り直す以前の制度に対して早くから地域医療に影響する可能性を指摘していた一人が、日本病院会副会長の末永裕之氏(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。末永氏に、新専門医制度の現時点での受け止めをお聞きした(2018年1月25日にインタビュー。全1回)。

――1次募集の採用結果をどう見ておられますか。

 皆さんが心配されているように、「東京一極集中」「内科、外科の専攻医が減少」などの報道があります。シーリング(東京都など5都府県の14の基本領域の専攻医は、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないとするルール)がかかっているのに、なぜ東京都の専攻医が増えたのでしょうか。「マイナーな科に専攻医が流れている」という話もありますが、シーリングがあるのはマイナー科でも同様です。

 私も「東京一極集中」などの傾向については、恐らくそうかもしれないと思っていますが、過去5年間の専攻医の採用実績などのデータが公表されていません。日本専門医機構がデータを公表しない限り、医師の地域、診療科偏在が増長したのか否か、確たることは言えないのです。

 もっとも、現時点で明らかなことがあります。それは1次募集で採用が決定した外科専攻医数を見ると、5人以下が14県、うち3県は1人のみという事実です。内科専攻医数も、1桁が2県、20人未満が計16県。

  外科専攻医が1、2人しかいない状態が続いたら、その県では中小病院はもちろん、県立中央病院クラス、さらには大学病院ですら成り立たなくなってしまうでしょう。もし私がこうした県の大学教授だったら、暗澹たる気持ちになります。

 内科でも同様です。専攻医数が最小の県は5人であり、9人、11人の県もあります。この程度の数では将来的に、県内の各病院が内科医確保に苦労するのは目に見えています。

  基本領域の中でも、内科と外科の専攻医を確保できない県は、本当に大変です。こうした県で働いている医師たちはとても不安に思うでしょう。それをどう解消していくかも課題です。専攻医が来なければ、「将来の見通しが暗い」と考え、それより上の医師も集まらなくなってしまうでしょう。

 日本専門医機構は問題があれば、早急に対応すると言っていました。仮に日本全体の総数として、内科や外科の専攻医数を問題なく確保できたとしても、専攻医少数の県がある以上、日本専門医機構は検証のためのデータを早く集め、地域医療の崩壊につながるようなことが生じていないかを検討し、必要があれば調整を図る必要があります。各学会も対応を検討する必要があると考えています。

――そもそも新専門医制度の運営の在り方を検証するためのデータが公表されておらず、現時点で比較可能な公のデータは「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)です(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。

 日本専門医機構は、新専門医制度では、「本籍地」(基幹病院)の専攻医数として登録されるため、「現在地」(基幹病院から連携病院に派遣されている専攻医数)を踏まえて分析する必要があると言っています(『「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構』を参照)。

 ただ、(末永氏が病院事業管理者を務める小牧市民病院のある)愛知県の場合には、県をまたいで派遣されている専攻医数はわずかです。「現在地」が重要であれば、それが明らかになるよう調査する必要があります。他にも1次募集による採用数と、2014年三師調査を比較できない理由を説明されていますが、それも推測にすぎません。だからこそ、医師偏在が増長したか否かを検証するためのデータを出してもらいたいと考えているのです(『四病協、専攻医登録で「丁寧な情報開示を」』を参照)。

  新専門医制度が始まり、問題が起きればそれを早く直すことが必要です。修正がないまま数年続いたら、その問題が固定化してしまいます。仮に東京都で研修したいために、内科専攻医の定員がいっぱいでマイナー科を志望した専攻医が多いとしたら、医師養成数を増やしても偏在対策には何の意味もないことになります。

  私は日本専門医機構の理事をしていた時に、「各地域の疾患別患者数を分析、どのくらいの専門医が必要かをシミュレーションし、それぞれの地域で必要な専門医を養成していくことが必要」と言ったことがあります(編集部注:末永氏は2016年6月まで同機構の理事)。その際は、「新専門医制度はより良い専門医を養成することが目的であり、医師偏在の問題を考えるのは行政の仕事」と言われました。しかし、今の状況を見るとそれでいいのでしょうか。これはプロフェッショナル・オートノミーの中で考えていかなければいけない問題だと思います。

 仮に大都市部の大学や病院に専攻医が集中するなら、地方の医療機関にいかに派遣するか、そのシステムを検討していかないと、地方の医療は崩壊しかねません。

――ところで愛知県では、「名大方式」、つまり初期、後期研修は市中病院で行い、その後に大学に戻る医師が多いとお聞きしています。

 はい。だから愛知県には、新専門医制度そのものについて、以前から反対の声がありました。医師は、基幹となる市中病院で5年以上研修して専門医を取得、その後に大学に戻るケースが一般的でした。しかし、新専門医制度では循環型研修のため、市中病院は、専攻医を一定期間、他の病院に派遣しなければならなくなります。その間はどう対応すればいいのでしょうか。

  なお、愛知県の人口10万人当たりの医師数は、47都道府県別で見れば少ないのですが、シーリングの対象になりました(編集注:2016年三師調査で38位)。シーリングはどんな基準でかけ、どんな制御が働いたのかについても、明らかにする必要があります。愛知県の場合、内科専攻医数が減っており、この減少した数値を基に翌年もシーリングがかかれば、どんどん内科専攻医が減少していくことになりかねません。

  循環型研修については、身分保障の問題もあると思います。私が日本専門医機構の理事をしていた時から検討していましたが、まだ規定はできていないと思います。給与や各種保険の扱いなどは病院によって異なってくるでしょう。給与もあまり出ず、生活のために当直のアルバイトなどに行くのは本末転倒です。そうした辺りの詰めも含めて、制度設計が甘いのでは、と思います。

――いまだ基本領域とサブスペシャルティの関係も整理されていません。

 その点も含め、新専門医制度は「見切り発車」と言えるのではないでしょうか。

――プロフェッショナル・オートノミーがうまくいかなければ、行政の関与が強まる可能性があります。 

  だからこそ各学会、各地域の大学、地域の病院の先生方が声を上げ、まずは各種データの公表を求めていく必要があります。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52085
一度は廃院を決めた小さな病院の再生物語
地域包括ケアの重要拠点として専門医も続々参加へ
 
2018.1.26(金) 藤井 雅巳 JB PRESS

 2017年12月14日木曜日、東京都町田市の小高い丘の上に温かな風が吹いた。

 今までは、人気(ひとけ)も全くなかったとある小さな病院のロビーフロアは、地域の医療機関や介護・福祉施設、地元の高校の学生や地域の住民であふれ返っていた。

 それは、東京都町田市の自然豊かな丘陵地帯にひっそりと存在してきた「まちだ丘の上病院」が地域を支える医療機関として蘇生し、2025年問題*1へ挑戦蘇生するを始めた物語の序章である。

 実際にこの病院で起こった小さな奇跡とも言える物語を、事実関係と奇跡の要素要因を分析を踏まえながら紹介したい。キーワードは「夢(ビジョン)を持つこと」そして「有言実行」である。

*1=2025年問題:団塊の世代が75歳以上になり、全国で約43万人が施設と専門人材不足を背景に必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による問題。

類を見ない障害者の治療をする病院

 「まちだ丘の上病院」は、つい半月前までは「南多摩整形外科病院」という名称で呼ばれていた。地域の住民もそこに病院があるのかどうかも知らない、人気(ひとけ)のない丘の上に存在するこの病院は、実は知る人ぞ知る著名な医療機関だった。

 「南多摩整形外科病院」は、脳性麻痺による重度身体障害児(者)の機能改善を手がける、全国や時には海外から患者が指名で集まる医療機関だった。

 故・和田博夫博士の甚大なる尽力により、当時の美濃部東京都知事の政策的な後押しもあり、「南多摩整形外科病院」は産声を上げることとなった。その後、和田博士の急逝もあり、一時期はこの特異な専門医療を中断しなければならない時期があったという。

 しかしながら、病院を必要とする患者の会や多くの支援者の支えもあり、松尾隆前院長を迎えて、機能改善医療を再開するに至ったという歴史を持つ。多くの支えの中で歴史を刻んできた医療機関だった。

 しかし、継承者不在という全国の中小病院が等しく抱える課題は「南多摩整形外科病院」にとっても同様だった。

 しかも、あまりにも特殊な技能を持った医師によって支えられていたこの医療機関にとっては、経営の継承問題は人間国宝の伝統工芸を継承するかのごとく難しい課題だった。

 そんなアキレス腱を抱えながら存続していた「南多摩整形外科病院」に不幸が襲いかかることになる。院長が倒れたのである。2016年暮れのことだった。

 松尾隆院長は一命をとりとめ、その後現場復帰するも、長い休養期間と年齢という生命の限界には抗うことができず、「南多摩整形外科病院」は、かつての活気を取り戻すことはできなかった。

 そればかりではなく、期間損益で大幅な赤字計上を余儀なくされていたため、財政的にも窮状に瀕していた。そんな中、一人また一人と多くの医療専門スタッフは離れていった。

絶望の中訪れた転機、そして蘇生へ

 もはや、この病院が蘇ることはないのだろうか。多くの職員はそう考えていたに違いない。

 職員も含め、皆があきらめそうになりかけた時、この医療機関にとって大きな転機が訪れた。

 医療・福祉で地域を元気にする活動をしている諏訪中央病院名誉院長の鎌田實を所長とする我々「地域包括ケア研究所」との出会いがあり、経営の支援が決まった。

 そして、この厳しい状況下にありながらも未来に向かって歩み始めた医療機関に対して温かい心ある金融機関が現れた。融資実行を決断してくれたのだ。

 それらの出会いは、とても細い細い糸をたどるように偶然の出会いによって訪れた。しかし、その偶然は「夢(ビジョン)を持つこと」、そして掲げた目標を実践するという「有言実行」を成し遂げることを通じた、必然によってもたらされていると言えるのではないだろうか。

 病院の中に一握りの希望を持ち続けた職員がいたことがきっかけとなり、その希望を形にする方針と具体的な行動目標を示し、職員が皆で実行し切ったことが要因にほかならない。もう少し具体的に順を追って説明していきたい。

 2017年12月1日、ひっそりと「南多摩整形外科病院」はその歴史は幕を下ろした。「まちだ丘の上病院」として、蘇ったのだ。名誉院長には地域包括ケア研究所の鎌田實所長が就任した。

 そして、院長には最先端の外科医から教育者を経て、複数の医療機関の病院長を経験した経験豊富な金良一医師が着任した。

 院長は、我々が描く「温かい地域創り」に医療分野から取り組んで行く活動に共感して集まった夢(ビジョン)を共有した仲間だ。初めの「有言実行」は、組織の中心となる医師体制を構築することだ。

 本来なら潰れかけの病院へわざわざ飛び込んで来る医師はいない。ましてや輝かしいキャリアを持った医師であればなおさらだ。地域包括ケア研究所が医師体制構築という実現困難な有言実行を果たしたのだ。

 職員は当日を迎えるまで半信半疑だったに違いない。しかしながら、その日新たな院長を迎えたことは、組織に小さな自信をもたらした。

地域の多くの期待が後押しに

 閉院寸前まで来ていた病院は、こうしたメンバーに支えられて蘇った。そして、「まちだ丘の上病院」を地域にお披露目する12月14日を迎えた。

 これまで、地域の医師会にも入らず、自治会にも顔を出さず、地元の住民ですら知らないような外来患者数人という病院のお披露目などに人々は来てくれるのか。職員の多くはそんな不安を抱えながら当日に向け準備を進めてきた。

 我々が掲げたお披露目会の集客目標は50人だった。50人でもこれまでの経緯を考えると出来過ぎた数字かもしれない。しかし、蓋を開けてみれば、その目標の2倍以上、100人を超える参加者が足を運んでくれた。

 余ったら職員の夕食にでもしようかと思い、かなり余裕をもって用意していた弁当が足りず、用意した椅子も足りず、ついには立ち見の人々までが出るほどだった。

 これだけ多くの人が集まったのは、準備した職員が一丸となって決めた役割を果たしたこと、地域の住民や医療機関からの大きな期待(ニーズ)があったからにほかならない。

 2週間足らずの準備期間で、リストアップした約300の地域の医療機関や介護・福祉施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センターへの案内を行い、地域住民には職員が手分けして個別訪問も行った。

 「ここで頑張らないでいつ頑張るのか」。職員の想いは1つになった。潰れかかり活気を失っていた職員の間に自然と笑顔と充実感が現れてくるようになった。

 また、地域を支える医療機関として「温かな医療」と「確かな医療」そして「共に歩む医療」という理念を掲げた「まちだ丘の上病院」が目指す医療は、まさに地域に求められているものだった。

 町田市は多摩丘陵の南端に位置し、古くは街道があり宿場として栄えた町だった。南北に長く古い町並みが残ることから交通の便が悪いことに加え、多くのほかの地域と同様に少子高齢化問題を抱える地域である。

 さらに丘陵地であるために坂道が多い地形は、地域の高齢者にとっても医療機関への通院は深刻な問題となっていた。そんな地域住民の抱える課題からくる期待は大きく、掲げた夢(ビジョン)が確かに地域の届いたのだろう。

 1つの出来事に過ぎないが、病院の職員には「有言実行」を果たした小さな成功体験になった。

 そして、何よりこの日を境に患者さんが病院に集まりだした。病床稼働は、新たな体制でスタートした12月1日から1か月で約30%増加し、1か月半経過したところで約45%の改善が実現した。

2025年問題への挑戦

 町田の丘の上に吹き始めた温かな風は、追い風となってくれたようだ。一度は潰れかけた病院を辞めていった職員が、再び戻ってきた。

 そして、新たに「まちだ丘の上病院」が取り組む医療を目指す仲間になりたい専門家が少しずつ集まり始めた。


 病床稼働改善によって必要になる看護師の採用計画は当初今年度3月末までに5人を計画していた。これは医療機関として充足させなければならない必達の基準だ。

 それが、2か月弱で5人の看護師が仲間になってくれ、採用計画を前倒しで達成した。この規模の病院ではいかに難しいことか。

 アベノミクスによる好景気と少子高齢化による生産年齢人口の減少もあり、人手不足は全国的にも深刻な問題だ。

 さらに、医療・介護の分野についていうと有効求人倍率は3倍以上にもなる。医療機関や介護施設は看護師集めに大変な苦労を強いられ、看護師や専門スタッフが集まらないという理由で潰れていく医療機関や介護施設は後を絶たない。

 そんな苦しい採用市場の中で、とても立地上利便性が良いとは言えない古ぼけた医療機関に専門スタッフが集まり始めたのだ。

 そこには、2025年問題を乗り越えるために地域を支えるという明確な夢(ビジョン)を掲げ、それを実行する有言実行型の組織へと変化し始めていたことが背景として挙げられる。

 夢(ビジョン)を持ち有言実行できる組織は、医療・介護の専門家の成長のための場としても望ましい環境と言える。

 まだ「まちだ丘の上病院」は、小さな小さな一歩を歩み始めたに過ぎない。まずは入院患者をもっと増やして、次に外来患者も増やしていかなければならない。融資を受けた借入金を、責任もって返済していかなければなない。

 まだマイナスからのスタートを切ったばかりで、一(いち)医療機関として自立しているとはとても言えない状況だ。

 しかし、この病院が立ち向かっていく課題は、病院と言う小さな単位でも、町田という地域に限ったことでもない。

 我が国は全国で約43万人が必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による2025年問題という大きな坂道に向かっていかなければならない。

 私たちの小さな一歩は、そんな日本の未来に向けた坂道を上る第一歩にほかならない。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180125202441
医師臨床研修、精神科など4科目を必修化へ
医道審の部会が報告書素案を大筋了承
 
2018年01月25日 20:45 CB NEWS

 厚生労働省は25日、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に対し、医師臨床研修制度の見直しに関する報告書の素案を示し、大筋で了承された。精神科と外科、産婦人科、小児科の4科目については、「必修分野とする」と明記した。厚労省は報告書を踏まえて研修制度を見直す方針で、2020年度からの必修は、従来の3科目(救急、内科、地域医療)に、精神科などの4科目が加わり計7科目になる見通し。【新井哉】

 精神科などの4科目をめぐっては、10年度に必修科目から外されたため、4科目の関連団体や関係者らが必修化を求めていた。

 素案では、「外科や小児科、産婦人科、精神科を含む複数の診療科をローテートすることで、研修医の基本的な診療能力に一定の向上が見られた」と指摘。一般的な臨床で頻繁にかかわる負傷・疾病に対応できるようになるため、4科目の必修化によって基本的な診療能力を身に付ける方向性を示している。

 また、「地域保健」とされている選択研修については、地域医療との混同を防ぐため、「保健・医療行政」とし、「国際機関、行政機関、矯正施設、産業保健等での研修も可能であることを明確化する」としている。次回の会合で、素案を修正した報告書案について議論する。早ければ3月中にも報告書が公表される予定。



http://www.medwatch.jp/?p=18453
公立・公的病院の役割、調整会議で見直せるのか?―社保審・医療部会 第59回(3) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公立・公的病院が2025年に担う役割や、機能ごとの病床数について、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で今年度(2017年度)中に協議し、明確化させる―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会では、厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木健課長が、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)が整理した「地域医療構想の進め方」を踏まえ、このような内容の通知を都道府県に宛てて発出する考えを示しました(関連記事はこちらとこちら)。

 医療部会では、公立・公的病院の将来の役割などを調整会議で優先的に話し合う方向性に複数の委員が賛同した一方で、公立病院などの役割を見直すことが本当にできるか疑問視する声も上がっています。

ここがポイント!
1 公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認
2 公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も
3 将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ
4 准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認

厚労省は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」が整理した「地域医療構想の進め方」の内容を通知にまとめて、都道府県に宛てて発出する方針だ(図 略)

 地域医療構想に関するワーキンググループが整理した「地域医療構想の進め方」についてはメディ・ウォッチでお伝えしています。おさらいすると、調整会議で次のような協議を行うよう求めています。

▼公立・公的病院の2025年時点の役割などについて、調整会議で今年度(2017年度)中に協議する
▼医療機能などを大きく変更する予定のある医療機関の役割についても、速やかに協議する
▼遅くとも来年度(2018年度)末までに、全医療機関の2025年時点の役割について協議する

 このうち、公立病院に関する協議では、公立病院が策定した「新公立病院改革プラン」(地域医療構想を踏まえた自院の役割などを明記)を基に、公立病院が2025年に、地域でどのような役割を担うべきかを話し合います。

 公立病院には「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされていることから、「民間医療機関では担えない分野」に重点的に取り組むことが求められます。そこで、例えば「近隣にある民間医療機関のA病院が救急医療に力を入れているが、公立B病院でも同様の役割を担うべきか」といった観点で検討し、「B病院ではA病院が対応できない患者をカバーする」のように公立病院の役割を見直す必要があります。

公立・公的病院の役割を協議するに当たっては、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」の状況も重視することが求められる(図 略)

 一方、「公的医療機関等2025プラン」は、公立病院以外の公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会などが開設する医療機関)や、地域医療支援病院などが策定することになっています。

 これら医療機関にも「税制上の優遇」などがなされていることから、「公的医療機関等2025プラン」に記載された「自院の今後の役割」が、ほかの医療機関で担えない内容か調整会議で確認し、「税制上の優遇」などに見合う役割にする必要があります。

公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も

 今般の医療部会では、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が、「公立病院や公的医療機でなければ担えない分野に重点化すべきことが明記され、非常に良いことだ」と述べたほか、中川俊男委員(日本医師会副会長)も、「民間との役割分担を踏まえて公立病院などの役割を確認する良い仕組みになった」と述べ、公立病院などの役割をめぐる議論が、各地の調整会議で進むことへの期待を示しました。

 ただし加納委員は、「繰入金の規模が、公立病院の役割を見直す上での重要な資料となるが、調整会議に示していない都道府県もある。繰入金情報を出すようにお願いしたい」と要望。中川委員は、「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」が調整会議で議論されない懸念があると訴え、佐々木課長は「全国で議論が進むように、さまざまな形で取り組みたい」と応じました。

 また、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、自身が理事長を務める地域医療支援病院が策定した「公的医療機関等2025プラン」について調整会議で今月協議したところ、「プランに対して何の意見も出なかった」ことを紹介しています。その理由を相澤委員は、「病院が『こうしたい』と言えば他の病院は『おかしい』と言えないし、『頑張る』と言われれば『頑張って』と言わざるを得ない」ためと考察し、厚労省から調整会議で協議するよう求めるだけでは、公立・公的病院の役割を適切に見直すことが、実際にはできないのではないかと問題提起しています。公立・公的病院の役割見直し論議を実際に進めるために、どのような方策が有効なのかが、今後の重要な検討課題となりそうです。

将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ

 今般の医療部会には、2025年時点の必要病床数を超える病床新設を「許可しない権限」を都道府県知事に付与する方針も佐々木地域医療計画課長から報告され、了承されています(関連記事はこちら)。

赤枠の部分の権限を都道府県知事に付与するため、厚労省が、医療法などの改正を目指す(図 略)

 現行制度では、地域における病床数上限となる「基準病床数」を、現在の病床数が上回る地域(病床過剰地域)で、増床や病院新設を認めない権限が、都道府県知事に付与されています。ただし、「基準病床数」が直近の人口をベースに計算されているために、人口が今後大きく減少すると見込まれる地域(東京都の「島しょ医療圏」など)では、「2025年時点で必要とされる病床数<現在の病床数<基準病床数」という状況になっています。そうした地域では、知事が病床新設を認めざるを得ず、2025年時点で「実際のベッド数が、必要病床数よりもかなり多い」(過剰)状態になってしまいかねません。

 そこで、厚労省は医療法などを改正し、「2025年時点の必要病床数<現在の病床数<基準病床数」となっている地域で、病院新設が実質的に認められなくなるように、都道府県知事の権限を強化する方針で、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指します(関連記事はこちら)。

准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

 今般の医療部会では、准看護師試験の事務(出願受付や、試験・合格発表の実施など)を、都道府県が外部の「指定試験機関」に委託することを認める方針が、厚労省医政局看護課の島田陽子課長から示され、了承されています。

都道府県に掛かる准看護師試験の事務負担を軽減するため、厚労省は、保助看法改正を目指す(図 略)

 現行制度では、准看護師試験を他の都道府県と共同で行うことが可能で、昨年度(2016年度)は全国6グループに分かれて実施され、1万7841人が受験しています。しかし、共同で実施しても都道府県側の事務負担が大きいままという指摘があることから、厚労省は、2019年度の試験から、外部の「指定試験機関」への委託を認める考えで、今年(2018年)の通常国会への保助看法(保健師助産師看護師法)改正案の提出を目指します。日本医師会や病院団体は「准看護師の重要性」を以前より強調しており、この見直しで「都道府県の負担が減り、准看護師育成が継続される」ことを歓迎しているとみられます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581973
医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施 「医師少数区域等」勤務医師にインセンティブ 
レポート 2018年1月25日 (木)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 厚生労働省は1月24日に開催した社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)で、医師偏在の解消を目指し、医師少数区域等で勤務した医師の評価制度創設を盛り込んだ医療法・医師法の改正法案の概要を示した。同省は医師法・医療法の改正法案の今年通常国会への提出を目指す。医師少数区域等で勤務した医師の評価制度など一部については2020年度から、その他は2019年度からと、2段階に分けて施行する予定だ。

 新設する医師少数区域等で勤務した医師に対する評価制度は、医師少数区域等で一定期間勤務した医師に対してインセンティブを与えるもの(『医師偏在対策、「一歩踏み込んだ」「全然進んでいない」』などを参照)。厚労省が評価・認定し、認定された医師でなければ厚労省令で定める病院の開設者になれない。一方で、「30歳くらいで地域で勤務して認定されたとして、(病院開設者になる時期の)20年後や25年後に新たに開設される地域医療支援病院は100施設くらいだと思うが、これはものすごく小さなご褒美だと感じる」(部会長代理の慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏)とインセンティブが低いのではという意見のほか、この「医師少数区域等」の定義についても明確にすべきとする意見があった。

 また、改正法案には医学部、臨床研修、専門研修の医師養成過程を通じた医師確保対策も盛り込込む。臨床研修病院の研修医の定員数を都道府県知事が定めるなどとした臨床研修関連の対策については、2021年度研修開始分(医師臨床研修マッチングは2020年に実施)から適用する。

 専門研修では、国から日本専門医機構等に対して研修機会の確保の要請権限や、地域医療の観点から必要な措置実施を意見する仕組みを創設するとしている。日本専門医機構等には学会等も含まれるとの同省の説明に対して、委員からは「学会はそのような性質のものではない」(日本医師会常任理事の釜萢敏氏)とした異論が相次いだ。一方、改正法案で日本専門医機構の位置付けを明記することについては、同機構理事も務める、参考人で全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「機構に情報公開を求めているが、なかなか出てこない。ガバナンスが利いていないのは非常に問題。厚労省から機構に対する権限を法的にも確保した方が、医師の偏在対策にも重要だと思っている」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=18420
地域包括ケア病棟、自宅等患者を多く受け入れる中小病院の評価を手厚く―中医協総会 第386回(2) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、地域包括ケア病棟のうち、「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などが高い200床未満の病院に設置された病棟を高く評価する―。

 1月24日の中央社会保険医療協議会・総会に示された「短冊」には、こういった内容も盛り込まれています。同じ地域包括ケア病棟でも、病院の規模や自宅等患者割合で評価が異なることになり、今後の病床戦略にも影響が出てきそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実
2 回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価
3 看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も
4 療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実

 2018年度には、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料の再編・統合という歴史的な診療報酬改定が行われます。急性期(7対1・10対1)の再編・統合については既にメディ・ウォッチでお伝えしており、今回は後方病床(地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、13対1・15対1、療養病棟)の再編・統合案に焦点を合わせてみます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 まず地域包括ケア病棟については、看護配置13対1を基本部分とし、診療実績として「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などを勘案した4種類の入院料に再編・統合される方針が示されました(病室単位の地域包括ケア入院医療管理料も同様の再編・統合が行われる)(関連記事はこちら)。

 基本部分の基準を見ると、▼看護配置13対1以上▼一般病棟用の重症度、医療・看護必要度IまたはIIを満たす患者割合が一定以上▼院内への在宅復帰支援者の配置▼病棟への常勤PT・OT・STの配置▼疾患別リハビリテーション料の届け出—などが盛り込まれます。

 ここに診療実績を組み合わせ、次の4種類の入院料が設定されます。

【地域包括ケア病棟入院料1】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料2】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上

【地域包括ケア病棟入院料3】:▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料4】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 現在の【地域包括ケア病棟入院料1】及び【地域包括ケア病棟入院料2】のうち、診療実績(「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上など)が高い200床未満のところを新たな【入院料1】【入院料3】として高い報酬を設定することになります。

地域包括ケア病棟の再編統合、「自宅等からの患者受入割合」などに応じ実績評価を行い、自宅等患者割合の高い200床未満の中小病院の地域包括ケア病棟で手厚い評価が行われる (図 略)

また【救急・在宅等支援病床初期加算】を、▼急性期一般病棟からの転院・転倒患者の受け入れを評価する【急性期患者支援病床初期加算】▼自宅や介護施設などからの入院患者に対する、患者や家族の「治療方針に関する意思決定」支援を評価する【在宅患者支援病床初期加算】—に細分化し、後者を手厚く評価する方針も明確にされました。
これらから、「自宅などからの急性増悪患者・救急患者をより多く受け入れる」「200床未満の病院に設置される」地域包括ケア病棟では収益が増加(基本料のアップ+加算のアップ)することが予想されます。逆に、点数や基準値の設定如何によっては、「大規模病院に設置され、7対1の受け皿として機能している地域包括ケア病棟」では収益減少の可能性もあります。今後の病床戦略に大きな影響を与える見直し内容であり、詳細に注目する必要があります。

回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価

回復期リハビリ病棟では、看護配置15対1以上、PT2名・OT1名配置などの基本部分と、リハビリ実績指数(リハビリ提供によるADL改善度合いを指数化したもの)や重症患者割合、自宅等退院患者割合などの診療実績に応じた段階的評価を組み合わせた報酬体系への見直し(6種類の入院料を設定)が行われます(関連記事はこちら)。

基本部分の基準を見ると、▼回復期リハビリの必要性が高い患者割合80%以上▼回復期リハビリが必要な患者への1日2単位以上のリハビリ提供▼病棟への専任・常勤医師1名以上配置▼看護配置15対1以上(回復期リハビリ病棟入院料1・2では13対1以上)▼看護職員に占める看護師割合4割以上(同、7割以上)▼看護補助配置30対1以上▼病棟への専従常勤PT2名以上、常勤OT1名以上配置(同、専従常勤PT3名以上、常勤OT2名以上、常勤ST1名以上配置)▼データ提出加算の届け出(回復期リハビリ病棟入院料5・6では200床以上の病院のみ)—などとなっています。

ここに診療実績を組み合わせ、次の6種類の入院料が設定されます。

【回復期リハビリ病棟入院料1】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料2】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(4点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料3】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料4】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料5】:▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料6】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 【入院料1と2】【入院料3と4】【入院料5と6】は、それぞれセットで、「重症患者の受け入れ割合」や「リハビリ体制の充実度合い」に応じて階段が設けられます。各セットの中で、リハビリ実績指数に応じた階段が設定される形です。より効果的なリハビリを提供し、ADL改善効果が高い回復期リハビリ病棟が経済的にも高く評価される形になります。

回復期リハビリ病棟の再編統合、看護配置15対1以上、PT2名配置などを基本部分とし、「重症患者受入割合や重症患者のADL改善度合い」、さらに「リハビリ実績指数」に着目した実績評価を行う (図 略)

 こうした見直しに伴い、現在のリハビリテーション充実加算(1日6単位以上の濃厚リハビリ提供などを評価している)は廃止されます。
このほか回復期リハビリ病棟については、▼リハビリ実績指数が一定以上などの要件を満たす場合には、専従のPT・OT・STであっても「回復期リハビリ病棟退院から3か月以内の患者」に対し外来リハビリの提供、在宅患者訪問リハビリの提供を可能とする(専従要件の緩和)▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に、管理栄養士のリハビリ実施計画作成への参画、管理栄養士・医師・看護師らによる計画に基づく栄養状態の定期評価と計画見直しなどを盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に「病棟への専任・常勤管理栄養士配置が望ましい」旨を盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】において、入院栄養食事指導料を包括から除外する(出来高算定可能)—といった見直しも行われます。

看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も

13対1・15対1一般病棟入院基本料は、次の3種類の【地域一般入院料】に再編・統合されます。

【地域一般入院料1】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内▼入院患者について、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Iの評価を行う

【地域一般入院料2】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内

【地域一般入院料3】:▼看護配置15対1以上▼看護職員に占める看護師割合4割以上▼平均在院日数60日以内

13対1・15対1の再編統合、15対1を基本部分とし、看護配置13対1以上とし、さらに重症度、医療・看護必要度の測定を行っているとこを手厚く評価する (図 略)
 
 【地域一般入院料1】では、重症度、医療・看護必要度Iの測定が必要となり(現在の一般病棟看護必要度評価加算を入院料に組み込む形)、このデータに基づいて2020年度以降の診療報酬改定で「重症患者割合」が導入される可能性があります。今から、「より重症な患者を受け入れる」ための取り組み(重症患者を紹介してくれるクリニックや介護施設などとの連携強化、必要に応じた救急患者受入、急性期を脱した患者の在宅復帰や介護施設への退院支援の充実など)を進めることが重要です。

療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

 療養病棟については、看護配置20対1に一本化し、ここに医療区分2・3患者割合に応じた実績評価部分が組み合わされます(療養病棟入院料1と2)。看護配置25対1などの療養病棟は「経過措置」として存続が可能ですが、「看護体制の強化、重症患者の受け入れ強化によって医療保険の療養病棟としての存続」を図るのか、「介護医療院などへの転換」を図るのか、などを早期に決断する必要があります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

【療養病棟入院料1】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【療養病棟入院料2】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【経過措置1】(当面2年間、減額された入院料を算定可能):療養病棟入院料2の基準のうち、▼看護配置20対1以上(ただし看護配置25対1以上は満たすこと)▼医療区分2・3の患者割合が一定以上—のいずれかのみ満たさない場合(現行の看護配置25対1である療養病棟入院基本料2が相当する)

【経過措置2】(2年間、さらに減額された入院料を算定可能):▼看護配置25対1—を満たさない場合(ただし看護配置30対1以上は満たすこと)(現行の療養病棟入院基本料2の経過措置が相当)

療養病棟入院料の1と2は、看護配置などは同じで、「医療区分2・3の患者割合」によって区分されます(例えば、入院料1では80%以上、入院料2では50%以上など)。

療養病棟の再編統合、医療区分2・3患者割合に応じた実績評価を行い、現在の療養病棟入院基本料2は経過措置としての存続のみ認められる (図 略)
 
 このほか療養病棟に関しては、▼医療区分3のうち「医師・看護職員により、常時、監視・管理を実施している状態」については、他の医療区分3・2の項目に1つ以上該当する場合に限り医療区分3として取り扱う▼在宅復帰機能強化加算について、点数および「一般病棟等から入院し、在宅へ退院した患者」割合の基準値を見直す▼日常生活の支援が必要な患者(ADL区分3)を多く受け入れ、手厚い夜間看護配置(16対1以上)を行い、身体拘束を最小化する病棟を評価する【夜間看護加算】を新設する▼救急・在宅等支援病床初期加算について地域包括ケア病棟と同様の見直しを行う(上述)▼200床以上の病院でデータ提出を義務付ける―などの見直しが行われます。



http://www.medwatch.jp/?p=18400
7対1・10対1を再編した急性期一般入院料、重症患者割合をどう設定するか—中医協総会 第386回(1) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 7対1・10対1一般病棟入院基本料を再編・統合し、7種類の「急性期一般入院料」を新設する。10対1看護配置・平均在院日数21日以内をベースとし、重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合に応じた段階的な点数設定とする—。

1月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、厚生労働省はこういった内容を盛り込んだ2018年度診療報酬改定の個別改定項目(いわゆる短冊)を提示。ただし、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合」をどの程度に設定するのかについて、診療側と支払側の意見には大きな隔たりがあり、今後の調整に注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定
2 現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張
3 看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当
4 DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定

 2018年度改定に向けた議論がいよいよ佳境を迎え、短冊に基づく「点数や基準の詰め」に関する議論に入りました。1月24日には、改定内容のうち「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」に関する項目が議論の対象となり、「質の高い医療の実現・充実」や「医療従事者の負担軽減・働き方改革」などに関する項目は次回(1月26日)に議論されます。

 改定項目は膨大なため、ここでは「急性期入院医療」に関連の深い事項にポイントを絞って見ていきましょう。

 すでにメディ・ウォッチで何度かお伝えしているとおり、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料について、「看護配置などに基づく基本部分」と「診療実績に基づく段階的評価部分」とを組み合わせ再編・統合が行われます。急性期入院医療(7対1・10対1一般病棟入院基本料)については、次の7種類の「急性期一般入院料」に再編されます。もっとも高い「急性期一般入院料1」については、現在の7対1からの移行が見込まれるため、「看護配置7対1以上」「平均在院日数18日以内」という7対1の施設基準が設定されますが、ほかの入院料では「看護配置10対1以上」「平均在院日数21日以内」という10対1の施設基準がベースになります。しかし、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、統一基準・指標に基づく5段階の入院料を「急性期入院医療の将来イメージ」として提示しており、現在の7対1の施設基準を踏襲している「急性期一般入院料1」の基準も2020年度以降の改定で見直されていくことになりそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

【急性期一般入院料1】(現行7対1相当):▼看護配置7対1以上▼平均在院日数18日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上▼自宅等退院割合が一定以上▼常勤医師配置10対1以上

【急性期一般入院料2】(7対1と10対1の中間その1):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料3】(7対1と10対1の中間その2):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料4】(10対1+看護必要度加算1のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料5】(10対1+看護必要度加算2のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料6】(10対1+看護必要度加算3のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料7】(現行10対1相当):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度Iを測定している
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
 なお、2018年3月31日時点で「7対1を届け出ている病院」は【急性期一般入院料1】を、「200床未満で25%以上を満たさず、23%以上となっている7対1病院」「病棟群単位の入院基本料を選択している病院」は【急性期一般入院料2】を、「看護必要度加算を届け出ている10対1病院」は【急性期一般入院料4-6】を、一定期間取得できる経過措置が設けられる見込みです。

現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張

 今後の議論で最大の争点となるのが「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)を満たす患者割合」(以下、重症患者割合)をどの程度に設定するかです。

 このテーマに関しては、(1)患者割合のそもそもの基準値を引き上げるべきか(2)項目の見直しを行った場合、基準値をどう見直すのか(3)計算方法として、現在の看護必要度評価票に代えて「DPCデータ(EF統合ファイル)」を用いた場合の基準値をどう設定するか—という3つの論点があります。それぞれについて見ていきましょう。

まず(1)は「現在の7対1の重症患者割合【25%以上】そのものを引き上げるべきか」という論点で、当初から診療側は「現状の25%を維持すべき」、支払側は「引き上げるべき」との姿勢を崩していません。

1月24日の中医協総会で支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、厚労省の提示した資料から▼現行の7対1病床を、重症患者割合に応じて3種類(7対1相当の急性期一般入院料1、中間的評価の急性期一般入院料2および3)に区分していくことになるが、現在の重症患者割合の基準値【25%以上】を維持したのでは、実績評価として妥当ではない(25%をクリアできない病院は12.8%程度にとどまり、9割近くの7対1病院が最も高い評価を得ることができてしまう)▼7対1と10対1とで重症患者割合の分布をみると、【25%】程度では混在しており、評価にメリハリを利かせることができない―とし、「30%以上」に引き上げるべきと改めて強調。同じく支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「25%を維持したのでは、再編・統合の課題などを見極めることができない」と述べ、やはり「引き上げ」が必要と訴えています。

これに対し、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)、今村聡委員(日本医師会副会長)、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、▼報酬体系の大幅な見直しが行われ、ここに重症患者割合の見直しまで伴えば医療現場は大混乱する、現行並みの評価である「急性期一般入院料1」(7対1相当)と「急性期一般入院料7」(10対1相当)では現状の基準を維持するべき▼支払側の主張するように重症患者割合の基準値が30%以上に引き上げられば、68.8%程度の7対1病院は7対1の基準を満たせなくなり、病院経営が圧迫される—などの点をあげ。「25%の維持」を強く求めています。

なお、診療側の主張する「30%に引き上げられれば68.8%程度の7対1病院が7対1の基準を満たせなくなる」点について幸野委員は、「現在の報酬体系であれば7対1と10対1の格差が大きく、30%への引き上げは非現実的だが、新たな報酬体系では『7対1と10対1の中間的評価』(急性期一般入院料2と3)が設けられ、弾力的に対応可能となる」と反論しています。

両側の主張は、いまだ平行線を辿っており、「診療側と支払側のいずれかの主張を取り入れるのか」「両者の中間を探るのか」、今後の調整が注目を集めます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

現在の看護必要度項目で重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合26.5%以上」と設定したときである (図 略)

看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当

看護必要度に関する(2)の論点は、評価項目について次の2点の見直しを行うというもので、これは中医協・総会で既に了承されています(関連記事はこちら)。

▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う

▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する

 厚労省は1月24日の中医協・総会に、この2点の看護必要度項目見直しで、重症患者割合がどの程度変化するのかを示しました。

上述したように、現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないことが分かりました(単月分データ、1割以内の変動では救済措置があるため、直ちに7対1を取得できなくなるわけではない点に注意)。上記2項目の見直し後に、「12.8%程度が基準を満たさなくなる」(つまり現在の25%と同水準の基準値となる)数値を探ると「27.9%」であることが分かりました。

また、現在の重症患者割合の基準値を支払側の主張する「30%以上」とした場合、7対1病院の68.8%程度が基準を見たさないことも分かっています(同)。上記2項目の見直し後に「12.8%程度が基準を満たさなくなる」数値は、「35.2%」となります。

このため、仮に診療側の主張するとおり「現在の25%は維持する」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「28%」に、支払側の要求する「現在の基準値は30%に引き上げる」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「35%」に、引き上げられるものと見込まれます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直して重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合29.8%以上」と設定したときである (図 略)

DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

看護必要度に関する論点(3)は、現在の「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」に代えて、DPCデータ(EF統合ファイル、診療実績データ)に基づいて計算した重症患者割合を用いるケースです。

上述のように「7対1と10対1の中間的評価」(急性期一般入院料2と3)では、DPCデータによって重症患者割合を計算することが義務付けられますし、また他の病棟でも「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」と「DPCデータに基づく重症患者割合」とを選択できることになります。

迫井医療課長は、この点について▼現在の看護必要度評価票に基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度I』(以下、看護必要度I)とする▼DPCデータに基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度II』(以下、看護必要度II)とする—考えを明示。看護必要度IIについては、次のような考え方も示しています。

▼届け出前3か月間の平均値を用いる(看護必要度Iは現行通り1か月の平均値)

▼看護必要度IIを選択できるのは、「看護必要度Iに基づく重症患者割合」と「看護必要度IIに基づく重症患者割合」の差が一定の範囲内にある病院に限る(詳細は、今後示される)

▼看護必要度IIを選択する場合には、地方厚生(支)局への届け出が必要(一定期間をおいてIとIIを変更することも可能)

 
 ところで、看護必要度の評価票と診療報酬項目(DPCデータ)とは内容が異なるため、看護必要度Iと看護必要度IIとで重症患者割合は異なります。これまでに、厚労省は「7対1病棟全体で見た場合、現行の基準(看護必要度I)に基づくと重症患者割合は28.8%だが、DPCデータに基づくと重症患者割合は23.3%になる」との分析結果を示していました(関連記事はこちら)。

1月24日の中医協総会には、さらに詳細な次のような分析結果が示されました。

▼現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「23.0%」である

▼現在の重症患者割合の基準値を「30%以上」に引き上げると、7対1病院の68.8%程度が基準を満たさなくなるが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「31.5%」である

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直し、DPCデータを用いて重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合25.3%以上」と設定したときである (図 略)
 
今後、(1)の「現在の7対1の施設基準である重症患者割合25%以上」を維持するか、引き上げるかの議論を集中的に行い、その結果に基づいて、(2)(3)への対応は「機械的に行われる」見込みです。さらに、急性期一般入院料2-7のそれぞれいついて、「なだらかな傾斜」になるように重症患者割合と点数が設定されることになるでしょう。



https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/180123/cpb1801231919003-n1.htm
医師に時間外労働100時間超 日赤和歌山が労使協定違反で是正勧告  
2018.1.23 19:19 メッセンジャー登録 Sankei Biz

 日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)が労使協定(三六協定)で定められた1カ月100時間を超えて医師に時間外労働をさせたなどとして、和歌山労働基準監督署から昨年8月、是正勧告を受けていたことが23日、分かった。

 センターは医師との間で特段の事情がある場合、月100時間の残業を可能とする協定を締結。しかし、平成28年11月~29年4月、常勤医約200人のうち毎月10~20人の残業時間が上限を超過し、最長で150時間に達した。宿直勤務の医師に対し、時間外手当の未払いもあったという。

 同センターは勧告を受け、宿直勤務にかかる未払い分の計数千万円を支払った。同センターは「地域医療の質を担保しつつ、労働環境の改善にも努めたい」としている。



http://www.huffingtonpost.jp/tetsuo-ando/new-medical-system_a_23340706/
なぜ新専門医制度が地域医療を崩壊させるのか
実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。
 
安藤哲朗 安城更生病院 副院長/神経内科部長
2018年01月23日 16時26分 JST | 更新 2018年01月23日 16時26分 JST ハフィントンポスト

新専門医制度で公表された一次募集の結果は、内科激減、東京の大学一極集中という衝撃的なものであったが、これは十分予想された結果であった。少なからぬ研修医は、内科の新専門医制度が自分の将来にとって不具合であることや、地方では専門医資格を取得するのに苦労しそうなことを察知して、合理的な選択をした。まさに「上に政策あれば、下に対策あり」である。私の病院や近隣病院の研修医で、進路を内科とマイナー科を迷っていた研修医のほとんどがマイナー科を選択した。内科は専門医取得まで無意味にハードルが高くなったのに対して、マイナー科は従来とそれほど変わらないと考えたようだ。今までならば内科を選択してくれそうな素養を持っている研修医が、ことごとくマイナー科を選んだことに私は衝撃を受けた。

専門医機構と内科学会は、この結果を真摯に受け止めて、速やかに大胆な改善をするべきである。ところが、専門医機構は「偏在はない」と、内科学会は「内科志望者は減っていない」と合理的根拠を示さずに主張している。これでは制度の改善はままならない。

専攻医の内科激減、東京の大学一極集中による直接的な地域医療への悪影響も重大であるが、実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。

一つめは、地域医療に役立つ医師を育てるのが難しくなったことである。バトルフィールドに役立つ能力を身につける最も効果的な方法は、そのバトルフィールドに入って学ぶことである。忙しい地域医療現場では、たくさんのcommon diseaseの患者を効率よく診療する能力が必要で、その能力を身に着けるには、地域医療の現場に直接入って学ぶのが効果的である。都会の大学病院に入れば都会の大学で役立つ能力は身に着けやすいだろう。しかしその能力が必ずしも地域医療の現場で役立つ訳ではない。もちろん指導医の存在は重要で、地方の病院の中でも指導医の能力によって、研修効果は差があるだろう。その点で都会の大学病院には指導医が豊富にいるからよいという反論も予想される。しかし都会の大学病院の少なからぬ指導医は、専攻医教育よりも自分の研究業績をあげることに関心がある。総体的に、地域医療現場で後期研修をする医師が減少したことは、将来の地域医療を担う人材が減少したと言ってもいい。

二つめは、使命感を持って地域医療を担いながら研修医教育に努力してきた指導医達の士気を奪っていることである。日本各地の市中病院には多くの志の高い指導医がいる。しかし、新専門医制度によって施設基準のハードルが上がり、後期研修医を採用できなくなる場合もあり、強制的な循環型プログラムやローテートで教育や診療がしにくくなる。また新専門医制度のために大量の書類仕事の増加が見込まれ、時間を奪う形式的な委員会も増える。このような状況ですでにやる気をなくしつつある医師もいるだろう。社会共通資本としての医療は、医師集団の使命感、志に支えられているところが大きい(1)。かつてサッチャー政権時に医師達がmotivationを失ってイギリスの医療が崩壊したように、日本の医師達がこのままmotivationを失ったら、それを取り返すのは容易ではない。

超高齢社会、縮小社会に突き進む日本は重大な転換点に来ている。この局面でこの新専門医制度は日本の医療に致命的なダメージを及ぼす危険性がある。今後の日本の医療を守るために、速やかな制度の再検討が必要である。

参考文献
(1)宇沢弘文:人間の経済.新潮新書、2017.
(2018年1月15日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://mainichi.jp/articles/20180125/ddm/008/070/157000c
解説
働き方改革と医療=国家公務員共済組合連合会理事長・松元崇
 
毎日新聞2018年1月25日 東京朝刊

 この正月、大阪府医師会の新春互礼会で会長が「働き方改革を突き詰めると、医療ができなくなる」と話したと報じられていた。「医師には応招義務(患者を診る義務)があり、研究や診療の時間など、いろいろな時間がある。その中で自分で勉強しながら医療・医学を学ぶ仕事だ」。働き方改革の議論にも、その理解が不可欠というのだ。

 私が勤めている国家公務員共済組合連合会も、年金事業などと並んで全国33カ所で病院経営を行っている。霞が関近くの虎の門病院などで、国家公務員に限らず地域の人々に頼られる医療を提供すべく、約1万8000人の職員が日夜励んでいる。医師たちは、研究熱心で、高度で良質な医療を提供するとの使命感にあふれている。まさに「自分で勉強しながら医療・医学」を実践している。

 そんな医師の働き方改革で悩ましいことの一つが、救急医療対応の宿日直だ。病気やけがは時を選ばない。そこで、夜間や休日にも医師が宿日直している。ところが、働き方改革ということで、宿日直の時間もすべて勤務時間にするようにといった指導が行われることがある。それでは、医師の勤務時間はすぐに時間外労働の限度を超えてしまう。また、残業代を支払うと病院経営は大幅なコスト増から赤字になりかねない。勤務医の給与は開業医より少ないとはいえ、年収で1000万円から2000万円なのだ。

 そんなこともあり、厚生労働省も「医師の働き方改革に関する検討会」を設置して2年後をめどに結論を出すことにしている。もちろん、医師のワーク・ライフ・バランスも大切だ。そういったことを踏まえたバランスの取れた議論によって、患者にとっても医師にとっても病院にとってもより良い医療の実現を期待したい。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0125512649/
専門医機構、医師数の比較報道に異議
登録者数と三師調査結果の違いを説明
 
2018年01月25日 11:45 Medical Tribune

 1月15日に専攻医の2次登録の募集が終了し、新専門医制度下における各診療科の登録者数がおおむね明らかになった。日本専門医機構は1月19日、東京都内で記者会見を行い、副理事長の山下英俊氏が現在の登録状況について説明した。また、同機構で算出している登録者数は、研修プログラムの基幹病院が所在する都道府県に基づいている点を強調。一部報道で今回の登録者数と、厚生労働省が実施している三師(医師、歯科医師、薬剤師)調査の結果を比較していることについて、同副理事長の松原謙二氏が「両者は精度や算出方法が異なるため、その数値で新旧の同制度における医師数を比較するのは不適切である」と述べた。(関連記事:「新専門医、大都市圏で定員調整完了」)

三師調査の限界を指摘

 山下氏は2次登録の登録者数が約570人で、1次登録者数と合計すると約8,500人前後に達したと報告。

 2次登録の採否は2月15日に登録者へ通知される予定であるが、大都市圏とされる東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県において、専攻医の偏りが助長される状況は避けられているとの見解を示した。なお、1次登録終了後、大都市圏では既に専攻医の定員を満たした研修プログラムに対して2次登録の申請を受け付けない措置が取られている。

 また松原氏は、一部報道において今回の登録者数と、厚労省が2年置きに公表している三師調査の結果を用いて新旧の専門医制度下における医師数の増減を比較していることを問題視。その比較は不適切であるとの考えを示した。

 同氏は論拠として三師調査の精度に限界があることを示し、「同調査の回答割合は8割程度で、医学部卒後3年目の若手医師でも約1割はこの調査に回答していない。よって、この数値は実数より過少になる傾向が強い」と解説した。

登録者数は基幹施設ごとに集計

 さらに山下氏は、地域別の医師数についても今回の登録者数と三師調査では算出方法が異なることに言及。

 新専門医制度下での登録者数は研修プログラムの基幹施設ごと、三師調査では医師が現在業務に従事している施設ごとに集計されているため差異が生じると説明した。

 例えば、同制度下における東京都の登録者数は約1,800人だが、三師調査では約1,200人と算出されている。

 この差異について、山下氏は「新専門医制度の専攻医(登録者)は、研修プログラムの基幹施設が所在する都道府県にとどまることなく、各地域の連携施設でも研修を受けながら地域医療を支えることになる」と強調。「数字だけに注目すると、新専門医制度によって東京都などの大都市に専攻医が集中しているように見えるが、実状は異なる」と補足した。

 なお、同機構は今後、各地域で実際に研修を受けている専攻医の数などを、そのときの状況に近い形で把握できるようなシステムの構築を目指しており、各学会に協力を要請しているという。

(陶山 慎晃)



  1. 2018/01/28(日) 10:34:58|
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1月7日

https://www.m3.com/news/iryoishin/578074?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180105&dcf_doctor=true&mc.l=268276684&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
真価問われる専門医改革
「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合
新専門医制度、1次登録採用数の結果を分析◆Vol.1 
 
2018年1月4日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構が12月15日に公表した2018年度新専門医制度の1次登録領域別採用数をm3.com編集部が分析した結果、「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)から把握できる卒後3~5年目の領域別医師数(2014年12月31日現在数)と比較して、内科では人数で4.6%減(2650人から2527人)となったことが明らかになった。

 専攻医の候補となる医師国家試験合格者数は、この間に約13%増加(2010~2012年の平均合格者数7637人、2016年合格者数8630人)。基本領域に占める割合(領域別割合)が同一で、卒後3年目に専攻医となると仮定すれば、約13%増加すると試算されるが、内科の1次登録採用数の領域別割合は15.2%減(38.3%から32.4%)となったことが、人数減につながった。

 外科でも人数は0.4%増だが、領域別割合は10.7%減。領域別割合は、整形外科0.5%減、小児科0.2%減の微減だが、それ以外の領域では増加しており、「専攻医の内科、外科離れ」が生じていることが分かる。人数が増加したのは形成外科、眼科、耳鼻咽喉科など。内科志望者の選択肢となり得るのが、基本領域に加わった総合診療だが、領域別割合は2.0%にとどまる。

 現在1月15日まで2次登録が行われている。1次登録領域別採用数は7791人であり、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たるため、最終的な人数や領域別割合は変わるが、基本的な傾向は今回の分析と大差ないと見られる。

 「1次登録で決まらず」、眼科がトップ
 1次登録者は7989人、1次登録領域別採用数は7791人(『198人、専攻医1次登録で研修先決まらず』を参照)。差し引き198人が1次登録で研修先が決まらなかったが、m3.com編集部が独自に入手したデータによると、「1次登録の採用先未定数」が最も多かったのは、眼科の36人。2桁を超えたのは、内科(27人)、小児科(24人)、精神科(24人)、耳鼻咽喉科(14人)、皮膚科(13人)、泌尿器科(10人)。 (※表の後に本文続く)

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「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」3~5年目医師数:厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料による。

 専攻医増のトップ3、「形成外科、眼科、耳鼻咽喉科」

 新専門医制度では、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)においては、18の既存基本領域のうち、「外科、産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く領域について、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限規制が設けられた。「1次登録領域別採用数」を決定する際、上限規制の対象となった都府県と領域のほか、過去の採用実績数などのデータは、2018年1月4日現在、公表されていない。

 また、日本専門医機構の調査による18の基本領域の後期研修医採用実績数の5年間(2010~2014年度)の平均は、年8300人で、専攻医数の目安となる国試合格者(2008~2012年の年平均合格者数は7663人)を大幅に超える(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料。厚労省のホームページ参照)。

 そのため本分析では、1次登録領域別採用数を、「2014年三師調査」に基づく「主たる診療科・従業地による都道府県別医籍登録後3~5年目の医療施設従事医師数」(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料)と比較した。本調査の3~5年目の医師総数は2万1536人。うち総合診療を除く18の基本領域のいずれかに属している医師は2万778人(1年次平均6926人)。

 その結果、人数が減少したのは、内科(4.6%)のみで、それ以外の領域では増加している。なお、前述の日本専門医機構調査の内科の5年間の平均(年3147人)を基に計算すると、人数で19.7%減になる。

 一方、人数が少ない臨床検査、転科するケースが多い病理やリハビリテーション科を除くと、人数の増加率の最多は形成外科(44.8%)で、以下、眼科(40.0%)、耳鼻咽喉科(31.0%)、泌尿器科(30.5%)、麻酔科(25.7%)などと続いた。

 領域別割合が最も多いのは内科だが、2014年調査の38.3%から32.4%へと15.2%減少している。外科も人数では0.4%増だが、領域別割合は10.7%減(11.0%から9.8%)。一方、形成外科(28.7%)、眼科(24.5%)、耳鼻咽喉科(16.5%)、泌尿器科(16.0%)、麻酔科(11.7%)では2桁の増加。

 1年延期された新専門医制度が2018年度開始に向けて準備が可能になったのは、2017年8月2日の『新たな専門医制度」に対する厚生労働大臣談話』がきっかけだ(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。本談話では、「厚生労働省においては、新たな専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、基本領域ごとに確認をする」という意向を表明している。

 そのためには、「過去の実績と大差はない」という検証が第一。今回は入手可能な中で、最も信頼性が高いと思われる「2014年三師調査」のデータを用いたが、地域および基本領域ごとの最新の「過去5年の後期研修医の採用実績数」など、検証に必要なデータの公表が、今後の制度改善のためにも求められる。



http://www.medwatch.jp/?p=18100
公立病院改革に向け、経営人材の確保、統合・再編など進めよ―総務省研究会  
2018年1月5日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今後、人口の減少、高齢化が急速に進む中で、公立病院には▽地域医療構想を踏まえた役割の明確化▽経営の効率化▽再編・ネットワーク化▽経営形態の見直し―などの点で課題がある。今後、こうした課題の解決に向けて、▼事務局の強化▼経営人材の確保・育成▼経営指標の見える化▼財政支援▼再編・ネットワーク化—などを進める必要がある。

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(以下、研究会)が昨年(2017年)12月28日、こういった報告書を取りまとめ公表しました(総務省のサイトはこちら(概要版)とこちら(本文))。

研究会報告書の概要(全体像)
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ここがポイント!
1 公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題
2 地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を
3 経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ
4 再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に
5 総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき


公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題

 公立病院においては、地域医療構想と整合性のとれた「新公立病院改革プラン」の策定が求められ、すでに2016年度末時点で全体の92.7%でプラン策定が完了しています。今後、各病院の策定した改革プランに沿った改革を、地域医療構想調整会議の議論と並行して進めることになりますが、研究会では改革を進めるに当たり、次の4つの課題があると指摘します(関連記事はこちらとこちら)。

(1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化の視点では、「地域医療構想調整会議に際し、公立病院としてのミッション(使命、任務、目標)やポジショニング(位置づけ)を踏まえた役割の明確化」が課題である
(2)経営効率化の視点では、「事業管理者や事務局に医療制度・実務等の専門的な知識や経営能力が求められるが、公立病院特有の『短期間での人事異動』サイクルなどから、知識・能力の蓄積」、さらに「公金による支援を受けながら医療サービスの質や採算性の向上といった改革意欲をより向上させるため、全職員の意識改革が必要となる」といった課題がある
(3)再編・ネットワーク化の視点では、「相手先医療機関との合意形成」「地域住民等の関係者の理解促進」といった課題がある
(4)経営形態見直しの視点では、「経営形態見直しの先に、何を目指すか」「地方公営企業と地方独立行政法人との間の退職給付引当金の計上方法の相違や、事業廃止などの場合に生じる多額の財政負担といった制度面」での課題がある

 さらに、とくに地方部の公立病院には「地域医療の砦」という重要な使命がありますが、地方の医師不足は深刻です。

こうした課題を放置したまま改革を進めることはできず、研究会では課題解決に向けた具体的な提言を行っています。

地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を

 まず(1)の「地域における役割の明確化」という課題には、▼経営比較分析表の導入などに基づく「見える化」の推進▼経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開—によって対処することが求められます。

 前者の経営比較分析表は、例えば▼経営の健全性(経常収支比率、医業収益比率、病床利用率など)▼老朽化の状況(有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率、1床当たり有形固定資産)—などの経営指標について、「自院の経年比較」「類似団体(同規模の公営企業)との比較」、さらに「これらのクロス分析」を可能にするものです。この経営比較分析表の導入により、「等身大の自院の姿」を確認できるようになります。その上で、単なる現状分析に終わらせないよう、【病院幹部による目標設定(収支改善などの経営目標だけでなく、コンプライアンス、公立病院として果たすべき役割などの目標も含む)】→【目標達成のための具体的な手法や行動の検討】→【これらを日常業務に結びつけるための、組織や構造の主体別に検討(部門別のアクションプランなど)】に落とし込み、これらの検証・改善につなげていくことが重要です(PDCAサイクル)。
 
 研究会では、一例として【大目標:収支改善】→【手法:医業収支の改善、職員給与費対医業収益比率の引き下げ】→【部門別アクションプラン:医師では「初診や所見時間の効率化に向けた、所見目標時間の設定」「手術開始時間の厳守」、看護師では「業務時間の効率化に向けた、バーコード管理による定型的な看護行為時間データの分析」「看護必要度と看護実施データを用いた業務量の比較」など】→【部門ごとのフィードバック】→【アクションプランの改善】というサイクルを紹介しています。

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経営状況改善という大目標に向かい、各部門がどう動くかまでに落とし込んだプランを立てることが必要

経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ

また(2)の「経営人材」の課題に対応するためには「公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成」を行うことが必要不可欠です。このため、▼地方公営企業法全部適用の場合、事業管理者に対し人事・予算等の権限が付与されるので、▽高い知見▽経営意識▽実務能力—を有する者を選定する▼地方公営企業法一部適用の場合、知見のある現院長を事業管理者に、若手副院長を院長に登用することで、人材育成を図る▼経営実務を担う事務長・事務職員について人事異動サイクルを見直し、医療制度や病院経営に関する研修体制を構築する▼医事業務などに関しては、全てを外部委託するのでなく、中心ポストに継続的に事務職員を配置し、診療報酬改定などに的確に対応する▼事業管理者や病院長、事務長と、自治体の首長や人事部局との間で協議し、「組織・定員の適正化」を行う▼看護師その他の医療職員で経営感覚・改革意欲に富む人材を経営幹部へ登用するなどの、人事運用の弾力化を検討する—ことを提案しています。院内で可能なこと、自治体サイドとの協議が必要な事項など、さまざまですが、速やかに「検討」を開始すべきでしょう。

再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に

 また(3)の再編・ネットワーク化に関しては、総務省による「再編・ネットワーク化に伴う病院事業債の活用」を推奨しています。これは、再編・ネットワーク化では、通常の施設・設備整備よりも多くの経費がかかることを踏まえ、「通常は元利償還金の25%である地方交付税措置を、40%に拡充する」(病院事業債・特別分)ものです。

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公立病院の再編・ネットワーク化で必要となる経費について、病院事業債(特別分)で措置が行われる
 
あわせて、再編・ネットワーク化や経営形態見直しなどに伴う精算等に要する経費について、▼再編・ネットワーク化に伴う新たな経営主体の設立等に際し、病院経営基盤の強化のために行う出資(不良債務額を限度)について、病院事業債(一般会計出資債)で措置する▼医療提供体制の見直しに伴って不要となる病院等の施設除却等に要する経費の一部を特別交付税で措置する—ことなどが講じられており、自治体はもとより公立病院の財政負担軽減にもつながるため、研究会では「これらの措置を活用できるか否か確認すべき」と強く求めています。
もっとも地方財政措置の手厚さを求め、▼対象となる病院間の距離や立地▼交通条件—などを考慮しない再編・ネットワーク化は「地域医療の崩壊」につながることも忘れてはいけません。また再編によって、結果的に「病院がなくなる(病院までの距離が遠くなる)」、「規模・機能の縮小などで、これまでどおりの医療サービスが受けられなくなる」「診療所になってしまう」という点で地域住民からの反対が生じることもあるため、「当事者間はもとより、自治体内・関係自治体間・地域の医療関係者等でしっかり認識を共有し、地域住民への丁寧な説明を行い、住民の不安を払拭し、その理解を得ることが重要」と強調しています。

総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき

 一方、(4)の課題について研究会は、国に対して、「公立病院と公立病院以外の病院との統合等で『公営企業を廃止する』場合には、不良債務等に対する地方債などの発行は現行制度ではできない」といった制度面での不都合を解消するよう努めることを要望しています。

 なお、いわゆる不採算地区病院(150床未満で、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる一般病院、150床未満で、直近の国勢調査に基づく当該病院の半径5km以内の人口が3万人未満の病院)では、「とくに病院経営が厳しい」状況を踏まえ、研究会では「財政支援の充実」「医師確保措置」を要望。

また、2020年の東京オリンピック開催などの影響で建築単価が上昇していることを踏まえて、「公立病院の施設整備に係る地方交付税措置の単価について、建築単価の実勢を踏まえ、定期的な見直しの仕組みを検討すべき」と要請したものの、一方で「公立病院の建築単価が、公的病院等に比べて全体的に高い」ため、建築単価抑制策なども検討するよう求めています。

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公立病院(上段)では、公的病院等(中断および下段)に比べて、建築単価が高い傾向にある



https://mainichi.jp/articles/20180105/k00/00m/040/071000c
<へき地勤務医>厚労省が「お墨付き」 地域偏在解消図る 
1月4日(木)19時49分 毎日新聞

 厚生労働省はへき地など医師不足が深刻な地域での勤務経験を評価した認定医制度を創設する。厚労省の「お墨付き」を与えることで地方での勤務を促し、医師の偏在の緩和を期待する。今月召集の通常国会に医療法改正案を提出する。

 厚労省は今後、医師不足地域の判断基準について、人口10万人当たりの医師数や高齢化の状況、近隣地域の医療機関の利用しやすさなどを考慮した新たな指標も設定する。

 その上で、医師不足地域の診療所などに派遣された若手研修医や病院勤務医らの経験を評価する。勤務経験が一定の年数を超えると、申請に基づいて厚労省が認定証を交付し、看板などへの記載を認める。

 医師不足問題について議論している厚労省の有識者検討会は2016年5月の中間とりまとめで、診療所などの開業前に医師不足地域での一定期間の勤務経験を義務づける方針を示した。その後、厚労省の調査で医師の44%は県庁所在地などを除く地方で勤務する意向があるとの結果が判明。省内で「強制的に地方に行かせる必要はない」との意見が強まり、開業要件という強い規制策から地方勤務経験者の優遇に方針転換した。

 現在、専門医・認定医の多くは各学会が独自に認定しており、厚労省が認定しているのは、強制入院に携わる「精神保健指定医」などわずか。このため厚労省では、同省の「お墨付き」を受けることは医師にとってのメリットとみている。

 名称については、医療界の意見を聞いたうえで決定する方針だ。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/general/578214
弘前市立病院外科、1月から1人体制  
2018年1月4日 (木)配信 東奥日報

 弘前市立病院の外科の常勤医1人が31日付で退職することが28日、病院への取材で分かった。2018年1月からは非常勤医師の診察もなくなり、残る常勤医が1人で外科の診療、手術を行うことになるため、手術件数や入院患者数の減少は避けられないとみられる。弘前市の外科の2次救急輪番の割当数も変更になる。

 市立病院によると、退職するのは、消化器外科を専門とする30代の男性医師。16年10月から勤務し、12月に入って依願退職を申し出たという。外科は、常勤医2人と非常勤の弘前大学医学部付属病院医師の計3人が担当し、平日の午前中に医師2人で外来診療を行っている。

 市立病院の常勤医は、12月1日時点で29人(うち研修医7人)。このうち外科医は、退職する医師を含む外科と乳腺外科の3人で、17年3月末時点の6人から半減していた。

 櫻田靖事務局長は「市立病院で対応できないような複雑な手術を要する場合は、他の病院を紹介することになる。医師確保に向け、引き続き派遣要請や公募を行う」と話している。内科、小児科、整形外科など外科以外の科の診療体制は変わらないという。

 市立病院は、外科の2次救急輪番を担っているが、市健康福祉部の赤石仁部長は「参加病院間で割り当てを調整してもらった。1月以降も輪番制は維持される」と説明する。外科の輪番はほかに、国立病院機構弘前病院、健生病院、弘大高度救命救急センターが参加している。

 市立病院をめぐっては、県が16年10月に国立弘前との統合による中核病院整備を提案したが、17年6月以降は協議が停滞。12月5日、葛西憲之市長が「県の構想は市民の立場に立っていない」などと主張、市主体で整備運営したい考えを示している。



https://www.m3.com/news/general/578259
看護職員の7割が「辞めたい」 病院で深刻な人手不足  
地域 2018年1月4日 (木)配信 紀伊民報

 和歌山県内の病院で、深刻な人員不足のため、看護職員の仕事量が増え、健康状態悪化や医療ミス・ニアミスなどにつながっている現状が日本医療労働組合連合会(医労連)の調査で明らかになった。県医労連が27日に発表した。看護職員の7割が「仕事を辞めたい」と考えながら働いていることも分かり、県医労連は職場環境改善の緊急性を訴えている。

 医労連が5、6月、全国を対象に看護職員の労働実態調査を実施し、県医労連が県内結果をまとめた。

 県内では10病院の看護職員205人を対象にアンケートした。前回は4年前の2013年に調査しているが、当時から労働実態の改善は見られないという。

 1年前と比べた仕事量を聞いたところ「大幅に増えた」が34・0%、「若干増えた」が29・0%で、合計は63・0%。増えたと答えた人の割合が前回調査より6・5ポイント上がった。

 医療ミス・ニアミスの経験が「ある」と答えたのは83・0%で、要因で最も多かったのは「慢性的な人手不足による忙しさ」(82・4%)で、次に「交代制勤務による疲労の蓄積」(29・1%)だった。また、患者への十分な看護が「できている」と答えたのは10・0%しかなく、できていない理由で最も多いのが「人員が少なく、業務が過密」だった。

 仕事を辞めたいかについては「いつも思う」が20・0%、「ときどき思う」が51・0%。合計は71・0%で前回並みとなった一方、その理由(三つまで選択)については「人手不足で仕事がきつい」が59・3%と、前回の41・8%から20ポイント近く上昇。次に「思うように休暇が取れない」も52・4%と、34・9%から大幅に上がった。一方「賃金が安い」は29・0%で44・0%から大きく減った。



  1. 2018/01/07(日) 09:27:05|
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謹賀新年2018

dog.jpg

新年あけましておめでとうございます。
医療供給体制、医師育成体制、等々
様々な問題が山積したまま年を越しました。
戌 という字に dog の意味はないそうです。
戊(生い茂ったもの) を束ねる 一 の字を加え
みのりを束ねるという説と
減 という意味という説 とがあるようです。
個人的には 成 に繋がるみのりと解釈したいです。
将来に夢が広がるいい年になることを期待しています。

ドクター爺さん


  1. 2018/01/01(月) 10:41:12|
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Google Newsでみる医師不足 2017年12月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年12月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 4,590件
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 11,100
First 5 in Google in English 


BC doctor shortage about to get worse as more physicians reach
Globalnews.ca-2017/12/12 (カナダ)

It is a constant refrain across B.C.'s health care system: too many people end up in an emergency room or a walk-in clinic because they don't have family doctors. About 15 per cent of British Columbians don't have access to a regular family physician and a new report published in the Canadian Medical Association Journal suggests the problem will only get worse as a wave of physicians near retirement age. “About 40 per cent of physicians are over age 55 so we are looking at quite a large number that could be retiring in the next few years based on the study that we did,” Lindsay Hedden of UBC’s School of Population and Public Health said.


Doctor shortage dented, but report says still more funding needed in Florida
Naples Daily News-2017/12/14 (米国フロリダ州)

Florida's teaching hospitals are making progress against a widespread physician shortage by creating more residency positions, but population growth will outpace the gains without additional funding, according to industry leaders. In a report released Wednesday by the Safety Net Hospital Alliance of Florida, 1,113 new residency slots were created as a result of the Florida Legislature investing in 2013 in expanding graduate medical education. The funding resulted in a 29 percent boost from 3,896 residency positions in 2013. There are 5,009 full-time residency positions this year, the alliance’s report says. The research was done in collaboration with the Teaching Hospital Council of Florida.


BC doctor shortage to worsen as more physicians near retirement: study
CTV News-2017/12/11 (カナダ)

The prognosis is bleak for those British Columbians searching for a family physician amid the province's doctor drought.
A new study out of the University of British Columbia suggests B.C.'s serious shortage of doctors is only going to get worse.
The study determined that the average age of retirement for doctors in B.C. is 65 years old – and 40 per cent of practicing physicians are at or are approaching that age.


Doctor Shortage Seen Ongoing, But For Nurses, Not So Much
MedPage Today-2017/12/08 (米国)

WASHINGTON -- The physician shortage may be continuing apace, but when it comes to nurses, the healthcare system might be training too many, Tim Dall, managing director for healthcare at IHS Markit, a market research firm, said Friday.
Under various scenarios that Dall and his colleagues modeled for the future, "demand for physicians is above supply; that leads us to believe over time, there will be a growing shortfall of physicians at the national level, which will tend to exacerbate problems at the local level," Dall said at a briefing here on the delivery system and the healthcare workforce sponsored by the Alliance for Health Policy.


OPINION: Health authority committed to solving physician shortage
TheChronicleHerald.ca-2017/12/30

The concern over access to primary care in our province is top of mind for Nova Scotians. Addressing that problem is the key priority for us at the Nova Scotia health authority.
Those who are without a primary care provider, such as a doctor or nurse practitioner, and those who do have a family practice but wait too long to be seen, are understandably worried.
So are we. It's a problem we've been working to solve from Day 1 of our organization. The approach has evolved in that time, but we’d like to speak about the key pieces.


(他に10位以内のニュースは、米国 (全米、フロリダ州)、カナダ(全国、ブリティッシュコロンビア州)、英国、からも)



  1. 2018/01/01(月) 10:23:52|
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12月31日

https://www.m3.com/news/iryoishin/569347
「医師不足地域の医療に貢献」「無駄な検査はしない」◆Vol.8
日本の医療、課題は何か?他人任せでなく各自が課題解決を ** 

レポート 2017年12月30日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2017年度医師臨床研修マッチングに参加した、医学生等に聞いたアンケートで最後の質問として聞いたのが、「日本の医療が抱える課題」について。

 寄せられた自由意見を、【医師の診療科・地域偏在】【専門医制度】【医師の働き方】【女性医師問題】【大学の在り方】【医療費問題】【医療の在り方】【その他】に分類し、主なものを紹介する。

 意見が多かったのは、【医師の診療科・地域偏在】と【医療費問題】について。【医師の診療科・地域偏在】では、みずから率先して偏在解消に貢献したいとの意見が複数挙がった。【医療費問題】では、高齢社会での医療費の高騰を懸念し、制度設計などの提言ではなく、過剰な検査や治療を自身が控えたり、予防医療に力を入れるなど、自身が目指す医師像と関連付けた意見が多かったのが特徴的だ。

 以下、テーマ別に主な意見を紹介する(属性に記載した大学病院もしくは市中病院は、内定した研修先)。

【医師の診療科・地域偏在】
・地域医療活動をしていて、医師の診療科偏在や地域で働くことの難しさ(キャリアにつながらない、給料が安い、出身でない地域の田舎で働くこと)などを感じた。また、医学部入学における難易度が高すぎることも非常に問題で、志ある社会人が入学できなかったり、勉強だけできる人が多すぎる。そしてそういう人たちでも簡単に通ることができる医師国家試験も見直されるべき。米国のように成績によって大まかにでも科が限定されるのは、考えものだが、診療科ごとの人数差が大きすぎる。公共性のある科に人が流れる仕組み作りをしてほしい。後期研修では各県に何科何人と決まった数しか入れなくなるようなので期待している。それらの課題に対して自身でどのように動けば良いか分からないし、自分は関与しないつもり。ただ、考え続けることは続けていきたい。(大学病院、男性)
・医師不足というより、診療科・地域の遍在が問題 地域(に残る)枠(診療科も指定)で入学しているので、ゆくゆくは貢献できると思っています。(大学病院、女性)
・診療科を選択する際に、QOLを重視して診療科を選ぶ傾向にある学生・医師が多いこと。自分の興味・医学部入学時代の動機などの初心を大切にすること。(大学病院、男性)
・都市部にのみ医師が多いなど、医師の偏在が問題だと思う。私は医師の少ない地域の医療に貢献したいと思う。(大学病院、女性)

・医師不足は依然としてあると思う。偏在も含めて改善していかなければならないと感じる。クリニックが安易に増えすぎなのも問題だと思う。大学偏重になることは悪いことではなく、研究などに従事して行く医師が少なく、諸外国に比べやや劣っている分野の今後の発展も考えて対応すべきだし、自分も何かしら関われたらと考える。(市中病院、男性)
・診療科や地域の医師偏在が問題であり、どのような地域で働いても対応できる医師となるために、診療科の垣根を超えた知識や技術を身に付けていきたいと思う。(市中病院、男性)
・専門性が高まったことによる医師の偏在。プライマリケアをしっかりできる医師になるべく学んでいきたいと思っています。(市中病院、女性)
・『地域枠』出身の卒業生は確かに出身大学の県に残ってはいると思うが、その県の都市部の病院にばかり就職して、本当に医師の必要なへき地には結局人が足りていないのではないだろうか。 新専門医制度が始まろうとしている今、医師は皆経験を積むことができる大病院へ行ってしまい、医師の偏在を助長しているのではないだろうか。そのことをもっと勉強し考えたい。(市中病院、男性)
・5年生の時に離島の病院で2週間実習を行いました。その時から離島、僻地の医師不足には強く関心を持つようになりました。ただやはり地元(都市部)で働きたい気持ちも強く、若手~中堅のうちの数年間(5年以内)は経験を積むという意味でも僻地に貢献して、その後は地元で働きながらも週末の当直応援などで貢献できれば良いと考えています。(市中病院、男性)

【専門医制度】
・専門医制度が変わり、ますます専門志向が高まっていると感じているが、これからの日本には専門医はそんな多数必要とは思わない。 これからの日本に必要なのは全身を幅広く見ることができ、そして介護とのつなぎ目をシームレスにできる医師であると考えている。(市中病院、男性)
・専門医取得について 専門医の立ち位置がはっきりしないし、絶対に必要なのかどうかも分からない。専門医必須と言われた場合、女の人はいつ子供産めるんだ? 過渡期ゆえ、自分で道を見付けるしかないんだろうなと。(市中病院、女性)
・専門医制度は、女性医師にとって、医療業界を働きにくい社会にしていると思う。(市中病院、女性)

【医師の働き方】
・外科の不遇さ。待遇を改善すべき。医師も当直ではなく夜勤という働き方の導入。(大学病院、男性)

・医療業界に限った話ではないが、ワークライフバランス。先の未払い残業代の判決も出た通り、今後医師の働き方改革は進んでいくと思う。残業ありきの現状から、適切な人員配置とオンオフの切り替えへ。医療圏再編等、抜本的改革も必要かもしれない。 この問題に関して自分にできることは限りなく少ないが、仕事の効率を高め、そのための無駄なプロセスを省くこと。ドイツに留学した際に医師達のライフスタイルを聞いて驚いた。いつか日本もそうなればと望んでやまない。(市中病院、男性)
・医師の働きすぎはあると思います。医師も人間ですし、女医も増えつつあるので、どの科でも家庭との両立が今よりしやすくなるように、当直体系などをもっと改善すべき。もちろん患者は大事ですが、それより家族をもっと大事にできる医者が増えてほしいし、自分はそうなりたい。(市中病院、女性)
・医師のワークライフバランスは課題の一つであり、解決に近づきたい問題である。研修医の過労自殺などは大きな問題だと思う。また、意志のある女性医師の結婚率の上昇、未婚率や離婚率の低下のため、結婚支援の充実を全国的に普及させたい。まずは若手中心に意見交換や出会いイベントを行っていくのがいいかと思う。徳島県のように医師会主催なら信頼性が高そうだ。これは医療と直接関係ないが、1人でも多くの医師が幸せな家庭を築くことが、巡り巡って患者により良い医療を提供することにつながると思うのである。(市中病院、女性)
・医師が家庭と仕事を両立させるのは、いまだ難しいのが現状だと思う。 どういう環境になれば働きやすいのか、という点で、若いうちから職場を観察していきたい。将来自分が上の立場になったときは、それを少しでも生かせたらと思う。(市中病院、男性)

【女性医師問題】
・医師(特に女性←なぜか)に降りかかる、仕事と家庭の両立問題。働き方改革は応招義務のある医師については5年の猶予期間を持たせるとのことだが、早急に手を打たなければ、いつかどこかで限界が来るのでは。研修医など、ある意味、電通よりブラックな病院もあると聞くので、ちょっと怖い。(大学病院、女性)
・女性医師の働き方について:自分も女性なので、ロールモデルを探したい。また勤務病院の育児支援体制が充実するように意見していきたい。 診療科ごとの医師の偏り:研修を通して、さまざまな科を将来の進路として検討すること。(市中病院、女性)

【大学の在り方】
・自大学の問題ではあるが、医学生の教育に関わる教員の評価が低いように思う。また、卒業後の医師像を考えた教育プログラムになっておらず、各教室の意向が統合されていないように感じる。後学の教育を通して自身も成長できるように努めたい。(大学病院、男性)
・医師の基礎研究への従事の壁がもっと低くあるべきだと思う。大学院での指導体制、研究費などをもっと充実させてほしい。臨床の知識がある医師だからこそ、熱意を持って取り組める分野の研究が多くあるはず。私は大学院に進学して神経分野の基礎医学をより深く勉強し、将来の患者さんに還元できる研究がしたい。(大学病院、女性)
・大学、医局同士の垣根の高さが課題だと思う。 自分が働く上で、できればこのような対立の少ないところで働くようにしたい。(市中病院、男性)

【医療費問題】
・医療費の高騰が問題だと思う。少子高齢化に拍車がかかり、現行の制度では今後もそれは続いていくので、それをどうしていくかが課題。 国民皆保険制度の廃止もやむを得ない状況かと思う。そんな状況になっても生き残っていける医師になりたい。(大学病院、男性)
・膨大な医療費が社会全体、特に若い世代の生活を圧迫しており、停滞感や子育て意欲の低下を引き起こしている。AIなどの新しい技術を一般に馴染むように尽力し、人件費削減・必要十分な医療提供を行い、専門医を各自の専門性を極めることに集中させる環境を整えたい。(大学病院、男性)
・高齢者に医療費を多く割いている現状だと医療制度が崩壊するので、不必要な投薬や検査は避けたい。(大学病院、男性)
・高齢者に対する過剰な治療介入により、医療費を圧迫している。また、当直明けの医師が次の日にオペをやらなければならない状況はどうかと思う。2つとも自分1人ではどうしようもない問題なので、SNS等で声を上げていきたい。(大学病院、女性)
・医療費の膨らみ、画像検査の過剰に対して、身体診察を充実させて不要な検査をしないようにすることを取り組もうと思っています。(大学病院、女性)

・医療分野においては2025年問題が迫りつつあり、一方、研究分野においても予算不足のツケが回り、徐々に世界のトップから引き離されてきている。資金の分配に関して大きなパラダイムシフトが必要であり、医療行政が適切に機能することを願う。自分としては、目の前の医療の実践に尽くすに尽きる。研究面でも何か成果を残せればと思うので、研究に関するアイデアや勉強は継続していきたいと思う。(市中病院、男性)
・高齢化および医療費の高騰が相まって、社会保障が立ち行かなくなっている。政府は消費税増税などで、何とか税収を上げようとしているが、限界があるように見えてならない。一人一人ができることをしていく必要があると思う。無駄な検査はしないようにするなど、気を付けていく必要があるであろう。(市中病院、男性)
・医療費の増加(特に公費)が止まらないこと。できる取り組みがあるとすれば、むやみやたらの検査、必要のない人の受診を減らすことが挙げられる。具体的には適切な患者教育など。(市中病院、女性)
・医療費が莫大であり今後も高齢化が進むにつれてより多くの医療費が必要となると考えられる。生活習慣病を減らすなど予防医学にも関心を持っていきたいと思う。(市中病院、女性)
・高齢化社会で医療費が増えている。政府は診療費を下げる傾向にある。診断力を高めて質の良い医療を行う。(市中病院、男性)
・今後、人口減少に伴い患者が減少するかもしれないことについて何も考えていない。高額医療を税金で賄いすぎ。(市中病院、男性)
・医療費の増加が著しく国の財政を圧迫している。疾病予防をすることで医療費の削減は少なからず可能であると考えるため、地域住民に予防医学の知識を広めて行く活動をしていきたい。(市中病院、男性)
・医療費の増大に歯止めがかからないこと。 予防の概念が大切になると思い、アメリカの家庭医療的な考えの下、適切なタイミングで必要な健診を勧めることや、リハビリの積極導入で三次予防を推進していくことが解決の糸口になるのでは、と現時点では考えている。この二つの分野をそれぞれの国で学んでいければと思う。(市中病院、男性)

【医療の在り方】
・この先、保険診療制度、人工知能、ロボットなどの変化が待ち受けていると思う。時代遅れの医師にならないよう、常にアンテナを張っていたい。(大学病院、男性)
・最近ただ経過を見るのではなく、遺伝子レベルで解析して治そうという流れが強いと思うので、置いていかれないように興味を持って積極的に関わっていきたい。(大学病院、女性)
・健康な生活を送るため、予防医療、早期発見・早期治療、患者に納得してもらい治療を確実に進めていくこと(服薬アドヒアランスの向上など)にもっと力を入れるべきだと思う。医師として働くようになったら患者教育に力を入れたい。(大学病院、女性)
・不安を感じている患者さんへの説明が足りない医師が多い。いろんな現場を見学する際に、自分だったら患者さんにどういった説明をするかを考えている。(大学病院、男性)
・体も動かなくなって、食事も胃瘻からの患者さんがあまりにも多いと思う。脳梗塞の後遺症が改善できるようなものを発見できたら一番だが、そう簡単にはいかないと思うので、予防を呼びかけるようにしたい。(市中病院、女性)
・訴訟等を恐れるあまり、本当に患者さんに寄り添うような声の掛け方や接し方がしづらいこのご時世ですが、自分なりにできるだけ患者さんにとって親身な医師になりたいとは思う。(市中病院、男性)

【その他】
・初期研修にしても医師本人のやる気のあるなしなどで、医療の質が変わります。ある程度の質の担保には、昨今医療界でも話題となっているAIの介入点を考えていかなくてはいけません。例えば経験の浅い我々は、聴診すら上級医に比べるとスキル不足です。そこで患者のある一定の部位にデバイスを当てると、その部位でのHzやdBを拾う装置を作れば、医師による誤差は軽減するはずです。
 診断も患者の主訴から鑑別を自動的に挙げ、確率論的に必要な理学所見や検査項目を自動的に示してくれるものがあれば、確率論に従い、診断が下せます。上記の聴診と診断についての例から、私が個人的に思っているAIの介入点は『数値化できること』が最初に挙げられます。こんなことは他の人も想像するのは容易だと思いますが、まだAIが導入されてこないのは経済的な問題なのか、それとも医者集団の保守的な態度が問題なのか、といった感じでしょうか? 医療界は常に過渡期であり、今ですと、こんな感じに課題を考えております。(AIがはやりだから、その周辺事項に食い込んでいくことが、課題です。経済・政治的なことも含め)。 いずれにしても常に課題を挙げ、患者さんのために頑張りたいです。(市中病院、男性)

・bystanderCPRに立ち会ったことがあるが、自分が行くまで救急車を呼ぶだけで何も処置がされていなかった。一般市民はやはりどうすればいいか分からなくなってしまうのが現実なのだと知った。人が倒れていたら救急車、胸骨圧迫、AEDの準備という大事なことをもっと民間に普及させなければいけないと感じた。(市中病院、男性)
・医者の息子娘のぼんぼんが多くて、医療ドラマ以上の汚い世界であることがよく分かった。権力が大きすぎて立ち向かえない。自分なりに信念をブラさないように、一生ヒラでいいので医療の最前線で頑張りたいと思う。(市中病院、男性)

【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



https://www.m3.com/news/iryoishin/569345
2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
「研修医の自殺」「後期研修もこのまま残るか」◆Vol.6
研修先の面接内容、時勢を反映した質問も ** 
 
レポート 2017年12月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 臨床研修先を決めるに当たって、医学生は研修を希望する病院の筆記・面接試験を受けるのが、一般的。面接試験で何を聞かれたかを聞いたところ、研修先を問わず、「大学時代に力を入れていたこと」「志望動機」「他の病院の併願状況」「目標とする医師像や将来ビジョン」といった基本的な事項が挙がった。

 最近の時勢を反映して、「研修医の自殺」についての意見を求められたり、医師不足の折、「後期研修もこのまま残るか」と聞かれたとの回答もあった。男性よりも、女性の方が、ワークライフバランスについて質問されたとの回答が多かった。

 大学病院と市中病院の比較では、市中病院では「なぜ大学病院ではなく、市中病院か」、一方で大学病院では「大学院への進学、留学意向」のほか、市中病院との“たすき掛け”の希望研修先などを聞かれたとの回答が挙がった。

 以下、臨床研修先(市中病院と大学病院)別、男女別に、主な意見を紹介する。

【市中病院】
男性
・自己紹介(志望科含む)と自己PR、部活でがんばったこと(部活でキャプテンやっていたこと書いていたから) 、キャプテン期間中に自分が変えたシステム、医師を志した理由、 最近気になるニュース、バドミントンの公認審判員の資格を持っているが、それはなぜなのか、自炊してるか、また自炊で気を付けていること、医療事故を減らすために、病院は組織としてどのような取り組みをするべきか(事前に送った小論文の内容と関連している)、医療事故の絶対数を減らすためにはどのような対策をするべきか、 自分の直したいところ(短所)。
・学生時代に達成したこと、達成した理由、学生時代に成果を挙げられなかったこと、その理由、人間関係のトラブルはあったか、どうやって解決したかを細かく聞かれた。
・1.再受験の入学だったのでその辺を少し、 2.志望動機、3.手先は器用かどうか、手技はどうやったら上達すると思うか、 4.チーム医療の中での医師の役割、5.最近のニュースで気になったものを2つ、 6.他にどの病院を受けているか。
・病院志望理由、人との関わりで学んだこと、余命告知について、最近気になったニュース、大学時代に頑張ったこと、病院のよいところ悪いところ。
・志望科、サブスペシャルティ、なぜ大学病院ではないのか、他に受けた病院はあるのか、第一希望はどこか (学会発表したことをエントリーシートに書いたので)研究の概略。
・志望動機、ジェネリック薬品についてどう思うか、 自分の特徴を教えてください、将来は何科を希望しているか、見学の際に当院にどういう印象を受けたか、体力に自信はあるか。
・大学を地元ではなく、○○県にした理由、最近気になったニュース、履歴書の資格欄について。
・○○県に残る予定か、将来の志望科、自信があるポイントなどで、総じて穏やかな面接でした。
・上級医と意見が対立した場合はどうするか。自分はリーダー向きかそれともサポート役に徹するタイプか。当直に対しての意気込みは。
・長所・短所、高齢化が進んでるけど、高齢者の医療で何が必要だと思う? 家は医者か? 他どこ受けた? 質問ある? 何科志望?理由は?
・研修医として必要なことは何か、後期研修医としてのビジョンは何か、10~15年後のビジョンは何か。
・初期研修で病院に求めること、自分の強み、ストレスへの対応の仕方 、同期にどのような好影響を与えることができると思うか、インフォームドコンセントとは何のためにするのか。

女性
・大学時代の困難にどのように解決してきたか、どうして麻酔科、産婦人科なのか、留年はどうしてか、どうしたのか、どうしてここの病院なのか、これから将来の先はどうするのか、将来の展望、女性として働くのは難しいこともあるがどうするか、看護師と関わる上でどのようにしていくつもりか。自己PR。
・臨床実習時に患者さんと接する際のポリシーは何でしたか? 当病院で初期実習するとして、特に回りたい診療科を3つ挙げてください、など。
・チーム医療について:自分がチーム医療に向いているかどうか、医師はチーム医療のリーダーとなるが、自分にできるか、なぜ地元に残ったのか、将来の希望診療科、他にどこの病院を考えているか。
・医師を目指した理由、病院を希望した理由、女性としてイベントを乗り越え医者を続けていくつもりか。
・ヒポクラテスの誓いをどれでもいいので述べよ。なぜ大学病院ではなく当院を選んだのか、違いを述べよ。後期研修も当院で行うつもりか。
・当院は第何志望か、息抜き法、語学に自信はあるか、医師として大切なことは何と思うか、医師を志した理由。
・志望動機、志望科、奨学金の有無、○○県に残るかどうか、研修医の自殺に関してどう考えるか。
・基本、事前提出していた履歴書の内容にそって質問されました。 それ以外だと、「他の受験病院と比べて、うちにしかない特徴は何か」というのも聞かれました。
・志望動機、ポリクリで当院で実習したときの内容と感想、長所、短所を含めた自己紹介、その短所を補うために努力していること、他に病院見学した場所はあるか。
・病院の志望理由、医師の志望理由、志望科とその理由、長所・短所、再受験の理由、成績について、後期研修も残るか、部活動などがんばったこと、趣味や気晴らし、併願状況。
・当院志望理由、どのような時にストレスを感じるか? その対処法、地域医療と聞いて何をイメージするか? 都会と田舎の病院の違いは?(メリット、デメリット) 、自分の長所。
・医学部を選んだ理由、 (学士編入なので)前の大学での生活について、研修病院の志望動機、学生時代に取り組んだこと、持っているスキルをどう生かすか、研究内容、チームワークはできるか。

【大学病院(出身大学)】
男性
・初期研修中にどんなことを意識したいか、初期研修の同期との関わり方はどうしたいか、志望診療科。
・将来、地域に出るときのために、どんなことを準備するか、今まで卒業生が積み上げてきたものがあると思うが、新たな世代としてチャレンジしたいことは。
・研修先として選択した理由、研修先に求めること、研修先に貢献できることは何か、研修医としての自分の強み、併願病院、賃金が高くないにもかかわらず、このプログラムを選択した理由。
・なぜこの病院を希望したのか、消化器外科志望なのはなぜか、体力には自信があるとのことだが、仕事にどのように生かしていきたいか、医療ミスを減らすにはどうすればいいか、大学の部活での役職は何だったか、小中高大とずっと野球部とのことだが、大学で新しいことを始めなかったのはなぜか。
・志望理由、たすきがけ病院の希望、アンマッチになったらどうするか、自分の長所。
・志望理由、たすきがけ先の病院での生活に不安はないか、将来の希望診療科、健康面で問題はないか、大学時代部活はやっていたか。
・なぜこの病院を選んだか、もし教授と自分の意見が違ったらどうするか。
・志望理由、最近の医学界で気になる出来事はないか、1分で自己アピールしろ、など。

女性
・なぜこの病院を選んだのか、○○県を出たいと思わないか、どのような医師になりたいか、自分の長所と短所を含め、1分程度で自己アピールせよ、医師は足りてないと思うか、医師の偏在をなくすためにどうしたらいいか、などです。
・医師を目指した動機、病院の志望動機、どんな医師になりたいか、留学経験について(語学留学経験があるので)。
・後期研修も残るか、博士号取りたいか。
・部活、なぜ医学部を目指したのか、なぜ○○科志望なのか、研修医の間、プライベートで頑張りたいこと。
・今までで挫折を味わったことがあるか、理想の医師像は何か、将来どんな医者になっているか。
・医師、病院志望理由。大学生活について。自分の性格について。読書について。
・病院の魅力、希望するローテーションについて、専門科について。

【大学病院(出身大学以外)】
男性
・履歴書に書いた内容、最近の医療ニュースで気になったこととそれに対する自分の意見、好きな科、3年目の進路、自分の性格について、部活動について、CBTの結果、再試験の有無など学力面。
・志望動機、事前提出課題であった小論文について、チーム医療とは、大学時代に頑張ったこと、どんな医師を目指したいか。
・病院の印象、働くに当たっての心構え、地域医療についてどう思うか、大学ではどんなことを頑張ったか。
・なぜ医者になりたいか。 コミュニケーションに自信があるか。 見学時の病院の印象。 ポリクリで心に残ったこと。
・併願病院との比較、趣味、ストレスの対処方法、将来希望する診療科とその理由、自身の性格を一言で、国試に向けての勉強で工夫していること、CBTの成績、身内に医療従事者はいるか、研修修了後の進路。
・県内に残る意思はあるか?将来は何科に進むか?大学生活はどうだったか?
・初期研修修了後に後期研修を行う意思があるか?

女性
・学生時代バイトはしていたか、なぜこの病院にしたか、趣味は何か、何科の医師になりたいか、医師を目指した理由、将来のビジョン。
・大学で辛かった、苦労した経験。体力気力ともにあるか。初めての地での生活は大丈夫か。
・留学に興味はあるか、研究に興味はあるか、部活のこと。
・病院志望理由 研修医の過重労働と自殺について。
・将来なぜ神経内科に進みたいか、医局説明会はどうだったか、人生の大変な局面ではどのように乗り切ってきたか。
・志望科の理由、親は何科か、大学院に行きたいか、大学院で行いたい研究テーマは。
・なぜ地元に戻ってこようと思ったのか、チーム医療における医師の役割について、大学生活で一番頑張ったこと。


【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



http://www.medwatch.jp/?p=17983
タスク・シフティングは段階的に進める方向で議論―医師働き方改革検討会 
2017年12月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の労働時間を大幅に削減する効果が期待できるため、他職種への業務移管(タスク・シフティング)を進める必要があるが、現状でもできる業務移管が十分に進んでいるとは言い難い。まずこうした業務から、段階的に移管を進める方向で議論すべきではないか―。

 12月22日に開催された「医師の働き方に関する検討会」(以下、検討会)で厚生労働省は、このような考え方を示しました。この日は「他職種への業務移管」のほか、「AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などを活用した生産性向上策」などについても構成員が意見交換しています。

ここがポイント!
1 まず「現状でも可能な業務移管」が進まない原因を解消
2 AIなど新技術の活用、医師の労働時間短縮の目玉策にするのは時期尚早
3 医師の今後の働き方は、一定の「地域偏在」「診療科偏在」を前提に検討すべき

まず「現状でも可能な業務移管」が進まない原因を解消

 政府が推進する「働き方改革」では、医師に対しても、「罰則付きの時間外労働の上限規制」(▼1か月当たり45時間・1年当たり360時間の上限を違反した場合には罰則を科す▼労使が合意しても年720時間(月平均60時間)の上限を超えてはならない▼労使合意による特例の上限を、2か月から6か月の平均で80時間以内、単月で100時間未満、年6回までとする)を適用することが決まっています。しかし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があるため、検討会で「規制の具体的な在り方」や「労働時間の短縮策」などを議論し、2019年3月ごろまでに結論を得ることとされています。

 医師は、医学的判断を要する医行為のほかに、カルテ記載など、さまざまな事務作業も行っています。そこで、医師の負担を軽減するために、カルテ記載を事務職員(医師事務作業補助者)が代行することが進められ、診療報酬でも【医師事務作業補助体制加算】として代行を下支えしています。また医行為の一部についても、▼あらかじめ定められたプロトコルの中で▼医師が包括的な指示を行うこと―という条件付きではあるものの、一定の研修(特定行為研修)を受けた看護師が、創傷に対する陰圧閉鎖療法や持続点滴中の糖質輸液・電解質輸液の投与量の調整といった「特定行為」を、看護師自らの判断で実施することを認める制度が、2015年10月にスタートしています。

 今年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、2016年12月に実施)の結果からは、▼患者への説明・合意形成▼血圧などの基本的なバイタル測定・データ取得▼医療記録(電子カルテの記載)▼医療事務(診断書等の文書作成、予約業務)▼院内の物品の運搬・補充、患者の検査室等への移送―の計5つの業務に、医師が1日240分程度を費やしており、このうち20%弱(約47分)は、他業種に分担可能だと考えていることが分かっています。つまり、看護師や医師事務作業補助者への業務移管をさらに進めれば、治療のアウトカムなどに悪影響を及ぼすことなく、医師の労働時間を短縮できると期待できます。

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10医師の業務時間1

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11医師の業務時間2

 しかし、他職種への移管が認められている業務の一部が、実際には移管されていない実態が、四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成)や全国医学部長病院長会議の調査結果から分かります。

 これらの調査では、医師事務作業補助者等や看護師等への業務移管の実情を聞いていますが、まず医師事務作業補助者等には、「診断書の代筆及び代行入力」や「民間保険会社からの診断書等の代筆及び代行入力」「主治医意見書の代筆及び代行入力」を移管している病院が多い一方で、「患者の退院に係る調整業務」の移管は、一部の病院しか行っていません(四病院団体協議会の調査では27.4%、全国医学部長病院長会議の調査では16.4%)。

04クラーク四病協(図 略)
05クラーク病院長会議(図 略)

 一方、看護師への業務移管の調査結果を見ると、「点滴の実施」や「静脈ラインの確保」「尿道カテーテルの留置」「静脈注射の実施」のそれぞれを、看護師が原則実施、あるいは一部実施している割合が高く、四病院団体協議会の調査では90%以上、全国医学部長病院長会議の調査では85%以上を占めています。

06勤務環境改善の状況 四病協調査(図 略)
07勤務環境改善の状況 病院長会議調査(図 略)

 しかし特定行為に限ると、特定行為研修を修了した看護師を採用している病院でも、一部でしか実施されていない状況です。例えば「気管カニューレの交換」は、四病院団体協議会の調査では26.0%、全国医学部長病院長会議の調査では16.7%にとどまります。

08勤務環境改善の状況 四病協調査(図 略)
09勤務環境改善の状況 病院長会議調査(図 略)

 こうした状況を踏まえて厚労省は、「業務移管等は労働時間削減等の効果が期待できるものの、段階的に進めていくことを前提に議論すべき」と指摘。「まずは、現状でも認められている業務の移管が進まない理由」について議論するよう促しました。

 これを踏まえた意見交換では、中島由美子構成員(医療法人恒貴会訪問看護ステーション愛美園所長)が、特定行為研修を修了した看護師が勤務している病院で業務移管を進める方策として、「医師の業務負担の状況や看護師の業務負担の状況、患者側の特定行為のニーズをしっかりと探った上で、病院の組織全体での合意の下で実施する」といったプロセスを徹底させるべきだと主張しました。

 一方、今村聡構成員(日本医師会女性医師支援センター長)は、特定行為研修の修了者らに業務を移管するとしても、「日本の医師全体の業務を軽減できるだけの人数が養成されているか」と疑問を呈しています。

 この点、厚労省は、特定行為研修の修了者数を10万人以上に増やす方針を掲げていますが、現状(2017年6月現在)は583人にとどまります。修了者数を増やす方策として、厚労省は都道府県に対して、来年(2017年)4月からの医療計画中に、特定行為研修を行う「指定研修機関」の確保などに関する計画を記載することなどを求めています(関連記事はこちら)。研修修了者数の確保は、医師の労働時間短縮とも密に関連する重要な課題と言えそうです。

 また今村構成員は、「医師が本来行う必要のない事務作業は、医師以外にやってもらう環境をしっかりと整備すべきだ」と指摘し、医師事務作業補助者らへの業務移管を進めていく必要性を強調しています。

 一方、戎初代構成員(東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)は、「医師がどんな仕事をシフト(移管)もしくはシェア(共同化)したいと思っていて、それをどんな学習をした者に任せたいと思うのかを明らかにしていく必要がある」と述べ、特定行為に定める医行為や、研修内容の見直しを含めて検討すべきだと指摘しています。

 こうした構成員の意見を踏まえると、今後は、(1)医師事務作業補助者らでも実施できる事務作業(2)看護師が「診療の補助」として実施できる医行為(3)特定行為研修を修了した看護師が実施できる特定行為(4)現在は医師にしか認められていない医行為―に分けて、それぞれの業務移管の在り方(移管すべきか否かや、移管の進め方)を検討していくことになりそうです。

 ところで、医師の労働時間を減らす方策としては、他職種への業務移管のほかに、医師複数人での業務の共同化(例えば複数主治医制など)も挙げられます。山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)は、その普及に当たっての課題が「1病院に勤める医師数の少なさ」であると指摘し、「病院の集約化も議論していかないと、『1人1人の勤務時間を制限すると医療の提供が不十分になる』問題を解決できないのではないか」と主張しています。この点、病院の集約化は「働き方改革」だけでなく、「症例数の集約化→医療の質の向上」につながることがグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンと米国メイヨ―クリニックの共同研究で明らかとなっており、積極的に検討すべきテーマといえるでしょう。

AIなど新技術の活用、医師の労働時間短縮の目玉策にするのは時期尚早

 また検討会は、「AIやICTなどを活用した生産性向上策」についても意見交換しましたが、「こうした技術が生産性を高める効果等が実証されるまでには時間がかかることから、医師の労働時間を短縮させる目玉策に据えるのは時期尚早である」という意見が複数の構成員から上がっています。

 例えば、猪俣武範構成員(順天堂大学付属病院医師)は、将来的にはAIが医師の業務を補助するようになり、労働時間が短縮されると期待できるものの、治療アウトカムへの影響などは、現時点では検証が不十分だと指摘しました。また、渋谷健司構成員(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)も、「効果検証をしっかりしていかないといけない」と述べ、医療機関の管理者による勤務環境の改善などを優先させるべきだと主張しています。

 この点、厚労省の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」が今年(2017年)6月にまとめた報告書では、AIを活用した医師の診断・治療支援技術が実用化されるのは2020年度以降だと見通しており、今後の技術開発が期待されます。

 なお、米国では、幾つかの病院の集中治療室の患者を、1か所で遠隔管理する「eICT」が導入されていることが、山本構成員から紹介されました。「各病院に重症患者がいて、それぞれに医師がいると大変だ。導入すれば、重症な症例に対する管理が効率化されるのではないか」と我が国でも導入に向けた検討を行うべきと提案しています。

医師の今後の働き方は、一定の「地域偏在」「診療科偏在」を前提に検討すべき

 また厚労省が12月22日、人口当たり医師数を都道府県別に見ると最大1.97倍の差が生じているといった「地域格差」や、診療科別の医師数の増加率に開きが生じているといった「診療科格差」を示すデータを紹介しました。

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都道府県別の人口当たり医師数
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診療科別の医師数の増加率

 医師不足地域で、医師1人1人の負担が重くなることは当然で、1994年からの増加率が低い「外科」や「産科・産婦人科」では、病院常勤医師の労働時間が長い(週60時間以上)割合が高く、「診療科格差」も医師の働き方と直結する課題だと言えます。
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週60時間以上勤務する医師の割合(診療科別)

 こうした状況を踏まえて厚労省では、来年(2018年)の通常国会に医療法や医師法の改正法案を提出し、「都道府県と大学医学部・付属病院の連携による、実効性ある医師確保対策」や、「医師不足地域での勤務環境の整備と、一定期間の勤務へのインセンティブ付与」などの偏在対策を講じる方針です(関連記事はこちら)。
 とはいえ、「特定の地域で働くことや、特定の診療科を選ぶこと」を国が医師に強制することは困難なため、「一定の地域偏在や診療科偏在が存在すること」を前提に、医師の今後の働き方を考える必要があると、厚労省は指摘しています。



https://this.kiji.is/318211550903403617?c=92619697908483575
地域医療、学生に学ぶ機会を 自治体病院の医師確保 
2017/12/26 10:10 ©株式会社熊本日日新聞社

◇なかもと・こうさく 自治医科大卒。熊本赤十字病院を経て、蘇陽病院、公立多良木病院、河浦病院、椎原診療所などに勤務。2008年から県へき地医療支援機構専任担当官。12月から上天草総合病院の非常勤内科医として週1回診療に当たる。旧牛深市出身、熊本市在住。53歳。

 遠隔地の医療を担う県内自治体病院で医師が不足し、確保が難しくなっている問題について、県医療政策課審議員で県へき地医療支援機構専任担当官の中本弘作医師に聞いた。(大倉尚隆)

 -県内の遠隔地医療の現状をどう見ていますか。

 「国や県が『医師不足』の定義や基準を定めていないので、どんな状態を『医師不足』とするか統計的に示すことはできないが、地域の高齢化と同時に医師の平均年齢も上がってきていると感じる。一方、若手医師は遠隔地での仕事を避ける傾向にある。民間の開業医でも、医師になった子どもが地元に戻ってこないため、後継者がいないケースが目立つ」

 「上天草総合病院(上天草市)の場合、常勤の小児科医が高齢で退職したため、産科医がいても出産ができなくなり、年間50~60件あった出産が0になった。医療環境が悪化すれば、過疎化が進行することもあり得る」

 -若手医師を中心に、遠隔地への赴任を避ける要因として、衣食住以外で考えられることは何ですか。

 「医学部生に『どんな条件なら遠隔地に赴任できるか』というアンケートを取ったところ、子どもの教育環境を挙げる声が多かった。自分の経験を基に、幼児期から高校まで、学習塾などの充実した教育環境を望んでいるようだ」

 「文科省の統計では医学部生の47%が女性という。今後、地域で医師を確保していくには、女性医師が働けるような住環境整備が必須になるのではないか。妊娠、出産など女性ならではの課題もある」

 -医師に地域医療を志してもらうには何が必要ですか。

 「学生が総合診療や地域医療に接する機会が少ない。大学や医療機関が連携して、夏休みなどに遠隔地の医療の現場や訪問診療に立ち会う機会をつくる事が大事。都市部を離れると十分な医療機器がそろっていないという先入観を持つ学生もいるが、実際にはやれることが多いことを理解してもらえるはずだ」

 「研修医であっても、医療現場に若手の医師がいるだけで全体的に活気づいてくる。若手医師にはぜひ地域での医療を体験してほしい」

(2017年12月26日付 熊本日日新聞朝刊掲載)



http://www.medwatch.jp/?p=17940
2018年度予算案は前年度比0.3%増の97.7兆円に―厚労省分は1.4%増の31.1兆円 **  
2017年12月25日|医療・介護行政全般 MedWatch

 一般会計歳出として97兆7128億円(前年度当初予算と比べ2581億円・0.3%増)を計上する来年度(2018年度)政府予算案が12月22日に決まりました。このうち厚生労働省の予算案は、31兆1262億円(同4389億円・1.4%増)となっています。

ここがポイント!
1 社会保障関係費は4997億円増、薬価引き下げ等で「目安」を遵守
2 地域医療介護総合確保基金の積み増し額アップ

社会保障関係費は4997億円増、薬価引き下げ等で「目安」を遵守

 政府全体の社会保障関係費は32兆9732億円で、一般会計歳出の3分の1に当たります。前年度当初予算と比べて4997億円・1.5%の増加となり、「社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑える」(2016-18年度の3か年で1兆5000億円の増加に抑えるため、単年度で5000億円増となる)という、政府の財政健全化に向けた目安が守られています。

一般会計歳出の3分の1を、社会保障関係費が占める(図 略)

 社会保障関係費の内訳は、「年金給付費」が11兆6853億円(社会保障関係費全体の35.4%)、「医療給付費」が11兆6079億円(同35.2%)、「生活扶助等社会福祉費」が4兆524億円(同12.3%)、「介護給付費」が3兆953億円(同9.4%)、「少子化対策費」が2兆1437億円(同6.5%)などで、前年度当初予算からの伸び率は、「介護給付費」の2.7%(823億円)や「年金給付費」の1.8%(2022億円)と比べて、「医療給付費」は0.9%(1068億円)と低い状況です。
 「医療給付費」の伸び率が低いのは、2018年度診療報酬改定で、薬価等の価格が大きく引き下げられるためです。改定率については、メディ・ウォッチでお伝えしたとおり、12月18日の加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣の折衝を経て、▼本体プラス0.55%▼薬価マイナス1.65%▼材料価格マイナス0.09%―と決定しています(関連記事はこちら)。

 このうち、薬価の改定率を詳しく見ると、(1)市場実勢価格との乖離を埋めること等でマイナス1.29%(2)市場拡大再算定の通常分でマイナス0.05%、高額薬剤に対する特例再算定(いわゆる巨額再算定)でマイナス0.02%(3)【新薬創出・適応外薬解消等促進加算】見直しなどの「薬価制度の抜本改革」でマイナス0.29%―となります。改定率を国費に換算すると、(1)と(2)で計1456億円、(3)で310億円が圧縮されます。また、材料価格のマイナス改定で99億円を縮減しています。

2018年度診療報酬改定では、薬価・材料価格が大きく引き下げられる
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 今年(2017年)8月時点の概算要求時点では、高齢化等によって社会保障関係費が6300億円程度伸びると想定されていました(関連記事はこちら)。上述の薬価・材料の価格引き下げで1800億円超を圧縮(その時点で、社会保障関係費の伸びを5000億円程度に抑える目安を達成)し、診療報酬のプラス0.55%改定(国費ベースで588億円増)などに財源を充てた形です。
 これらの改定率を踏まえて、来年度(2018年度)の医療費の国庫負担として、11兆4839億円(前年度当初予算比381億円・0.3%増)が計上されています。医療費の25%が国庫負担と仮定すると、「2018年度の医療費は46兆円程度になる」と政府が見込んでいることが伺えます。

地域医療介護総合確保基金の積み増し額アップ

 次に、2018年度厚労省予算案の主要事項を見ていきましょう。一般会計の予算額は31兆1262億円(前年度当初予算比4389億円・1.4%増)で、ほとんどを社会保障関係費の30兆7073億円(同4590億円・1.5%増)が占めます。

厚労省の2018年度予算案では、一般会計で前年度当初予算比1.4%増の31兆1262億円を計上している(図略)

 安倍晋三内閣が、▼人づくり革命:人材育成などのための施策拡充▼生産性革命:企業などの生産性アップを目指す施策推進―に関する事業に予算を重点的に配分する方針を掲げていることを踏まえて、厚労省の予算案では、「働き方改革」や「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供」に向けた事業に予算が計上されています。
 「働き方改革」の関連では、新規事業として、【医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援】(7億5800万円)や【医療従事者の勤務環境の改善】(5800万円)の予算が計上されています。前者は、医師不足地域に派遣される若手医師に、休暇や自己研鑽の時間が十分与えられるように、「週4日勤務制」や「休日代替医師の派遣」「テレビ電話等を活用した診療支援」などをモデル的に実施するための経費を支援するもので、医師の地域偏在解消に向けた事業とも言えます。

 後者の【医療従事者の勤務環境の改善】では、病院実態調査を行い、その結果を「医療勤務環境改善支援センター」(医療従事者の勤務環境を改善させたい医療機関を支援するために、各都道府県が設置)による効率的・効果的な支援につなげます。

 一方、「質の高い効率的な保健・医療・介護の提供」に向けては、都道府県ごとの地域医療介護総合確保基金(医療分)への積み増し金額を、622億円(前年度当初予算比20億円増)に増額しています。基金は、(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備(2)在宅医療の提供体制の整備(3)医師や看護師等の医療従事者の確保・養成―を対象に、費用助成を行うものですが、(2)の「在宅医療の提供体制の整備」のための積み増し額が、前年度当初予算と比べて20億円(地方が負担する分を含めた公費ベースでは30億円)増え、各地での在宅医療提供体制の整備が強く後押しされます。ちなみに、介護分の同基金への積み増し金額としては、前年度当初予算と同じ483億円(公費ベースで724億円)が計上されています。

 地域医療介護総合確保基金を積み増すための予算は、消費税率8%への引き上げによる増収の一部などを活用した、「社会保障の充実」のための財源1.87兆円の中から充てられます。

地域医療介護総合確保基金の積み増しなどには、消費税率8%への引き上げによる増収などが活用される(図 略)

 このほか、医療・介護に関係する事項を見ると、次のような項目が計上されています。

▼データヘルス改革の推進のための予算を85億円(前年度当初予算は17億円)計上し、健康・医療・介護のビックデータを連結したプラットフォーム(保健医療データプラットフォーム)の構築に向けた、データ分析環境の整備等を行う(関連記事はこちら)

▼最先端技術を活用したゲノム検査装置や、AI(人工知能)を活用した診断プログラムなどを適切・迅速に評価するために、4800万円を計上し、評価指標を作成するための体制や、承認審査の体制を整備する

▼「分娩取扱施設がない二次医療圏」などに新規開設する分娩取扱施設等に対して、施設・設備の整備費用や産科医師の派遣を受けるための費用を助成する必要があることなどから、小児・周産期医療体制の充実に向けた予算4.2億円を計上(前年度当初予算は2.6億円)する

▼患者からの相談に適切に対応できる医師らの養成など、国民が人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境の整備を進めるために8300万円(同1億円)を計上する(関連記事はこちら)

▼特定行為に係る看護師の研修制度の推進に4.1億円(同4.3億円)を計上し、指導者育成のための費用や、eラーニングの導入経費などを支援する(関連記事はこちら)

▼薬剤耐性(AMR)対策を推進するために7.1億円(同6.1億円)を計上し、AMRに関する情報を医療専門職らにオンラインで提供したり、研修を行ったりする「臨床情報センター」の運営などに充てる

▼がん対策の予算358億円(同314億円)を計上し、今年(2017年)10月に策定された「第3期がん対策推進基本計画」に基づき、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する「がんゲノム医療中核拠点病院」の整備(3.3億円)などに充てるほか、仕事と治療の両立支援のための研修を受けた相談支援員を専任配置する「がん相談支援センター」のモデル事業を実施(3100万円)する(関連記事はこちら)

▼新たな難病の医療提供体制を推進するために予算5.5億円(前年度当初予算は1.9億円)を計上し、都道府県における医療機関の連携体制構築などを支援する(関連記事はこちら)

▼200億円を計上して、介護保険の保険者(市町村など)を対象とする「保険者機能強化推進交付金」を創設し、高齢者の自立支援や重度化防止などに関する取り組みを推進する(関連記事はこちら)

▼介護サービス事業所が、生産性向上や業務改善に組織的に取り組みやすくするためのガイドライン作成と普及啓発に、3.2億円を計上する

▼介護ロボットなどの開発・普及の加速化を図るための予算を3.7億円(前年度当初予算は3億円)計上する

▼「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)に基づく認知症施策の推進などに15億円(前年度当初予算は14億円)を計上し、認知症の早期診断などを行う「認知症疾患医療センター」の整備などを促進する



https://www.m3.com/news/iryoishin/576965
医師の働き方改革とキャリア
年明けに中間整理、厚労省「医師の働き方検討会」
若手医師が提言「上限規制、労使協定遵守を」 ** 
 
レポート 2017年12月25日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月22日に第5回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、年明けにも開催する次回会議で、これまでの議論やヒアリングを受けた中間整理と、緊急に行うべき取り組みをまとめることを決めた。22日の会議では、勤務医の健康確保について、3人の参考人からヒアリングを行い、東京大学大学院公衆衛生学博士課程の阿部計大氏が、若手医師、医学生を対象に行った調査を基に「医師は、原則として国の定める労働時間の上限規制と労使協定を遵守する必要があると考える。それは患者の医療安全と医師の安寧を保ち、医療の持続可能性を高めることにつながる」などと提言した(資料は厚労省ホームページ)。

 阿部氏は、検討会構成員で青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏、東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター医師の赤星昂己氏らとともに、「Advocacy team of Young Medical Doctors and Students」を組織。日本医師会ジュニアドクターズネットワークなどの協力を得て、11月に卒後10年以下の若手医師と医学生を対象にインターネットで調査し、821人から回答を得た。

 調査では、若手医師が現行の労働時間の上限や労使協定を遵守できない理由として、「日本の保険制度、日本人の価値観」や「勤務医不足、管理者の理解不足」、「社会的要望、遵守しようとする風潮がない」、「長時間勤務を善しとする文化、事務仕事の多さ」などの声が自由記述で寄せられた。

 提言では、こうした風潮に対し、「日本の人口構造の変化やさまざまな医療提供体制の問題、業務量の多さ、⾧時間労働を美徳とする医師の慣習や封建的な風潮によって⾧時間労働を余儀なくされている」と危機感を表明。また、現行の労働時間の上限や労使協定について「理解していない」との回答が若手医師で59%、医学生で68%に上ったことから、卒前、卒後の教育研修で労働基準法を理解し、それを遵守する必要性を学ぶ機会を設けることを提案。「医師が労働環境を守れるような労働環境を段階的に実現していくよう求める」としている。

 1999年に小児科医の夫を亡くした、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏は、労基法では、「当直」は定時の巡回など軽微な業務に限り認められる一方、病院の「当直」は通常の労働そのものである現状を強調。「交代制勤務がないことが、医師の心身をむしばんでいる」などと訴えた。

 労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所産業疫学研究グループ部長の高橋正也氏は、「睡眠と疲労」とのテーマで発言。徹夜が飲酒と同程度に作業能力を低下させることや、短い睡眠の日が続くと「睡眠負債」がたまった状態になって誤りが増えるなどの研究結果を示し、「睡眠を確保できる労働環境、条件の整備が必要」と訴えた。

応招義務考えるいい機会

 討論では、日本医師会副会長の今村聡氏が「産業保健から最も取り残されているのが医療者だ。36協定や勤務時間の管理、面談の実施など、今ある仕組みの中でやるべきことができていない」と指摘。中原氏も、夫の事例では「36協定も面談も、産業医の指導もなかった。年に一度の健康診断も多忙で受けられなかった。医師は労働者であるという原点を守ってほしい」と訴えた。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は、「背景には医療機関の経営や、患者が来たら断れない状況がある。突き詰めれば応招義務だ。これが決まった時代と、今のシステムは違う。応招義務について考えるいい機会だ」と、医師の働き方に関する議論で繰り返されてきたテーマを、改めて指摘した。

 千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏は、勤務終了から次の勤務開始までに時間を空ける「勤務間インターバル」についての考えを、高橋氏に質問。高橋氏は、「キーワードの一つだ。睡眠時間以外も重要で、家族と過ごすなどして心と体をリフレッシュする時間が重要だ。働く時間も大事だが、『働いていない時間』も大事だということを伝えたい」との視点を提示した。

 赤星氏は、夜間に勤務することも多い医療者の特性から、夜間と日中では睡眠の質が違ってくるかどうかを質問。高橋氏は、「いつ睡眠を取るかで全然違う。体内時計があり、昼に働いて夜に休むように据え付けられており、夜に働く職種でも、夜に睡眠をできるだけ取れるような対策が必要だ」と述べた。

 事務局の厚労省が論点として医師の負担軽減につながる業務移譲についても提示。今村氏は「タスク・シフティングやタスク・シェアリングという言葉が独り歩きしている感がある。本来医師がやらなくてもいい行為はやってもらえばいいが、医行為をどうするかだ」と述べ、訪問看護ステーション愛美園所長の中島由美子氏は「看護師の特定行為の周知、理解に不足がある。どんな医行為でニーズがあるか見極めが必要だ」と指摘。社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏は、「タスク・シェアリングは効果があると思うので推進したいが、医療界の風土や意識もあり、効果が出るまでには時間がかかると思う。(労働時間の上限規制の猶予期間である)5年間で効果が出るかは疑問だ」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=17919
医師偏在対策の関連法案、2018年の通常国会に提出へ―社保審・医療部会 第58回 **  
2017年12月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 12月22日に開催された社会保障審議会・医療部会では、医師需給分科会が前日に取りまとめた「早急に着手すべき医師偏在対策」の報告を受けました。委員からは、対策が踏み込み不足であるとの指摘が相次ぎましたが、「偏在を放置せず、まず対策を講じる」方向性に異論はなく、厚生労働省は、来年(2018年)の通常国会への関連法案提出を目指します。

ここがポイント!
1 医師不足地域での勤務の魅力アップなどで偏在解消目指す
2 診療科偏在の対策不足などを委員が指摘
3 特定機能病院の承認要件見直し、年度内にも省令改正

医師不足地域での勤務の魅力アップなどで偏在解消目指す

 医師の地域偏在・診療科偏在の是正に向けた対策については、厚労省の「医師需給分科会」(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)で検討されてきました。昨春(2016年)には「第1次中間まとめ」として14項目の対策案を提示。その後、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の意見なども踏まえて、今年(2017年)9月から【早急に着手すべき具体策】や【将来に向けた課題】などをより詳細に検討。12月21日に「第2次中間取りまとめ」を行いました(関連記事はこちら)。

 このうち【早急に着手すべき具体策】は、主に次のとおりです。

(1)3か年の「医師確保計画」の策定を都道府県に義務付け、都道府県が、地域の医療ニーズに見合う医師確保の目標値を掲げて、大学医学部・付属病院などと連携しながら医師の派遣や、医師の地域定着策に取り組むことを国から促す
(2)新専門医制度によって医師偏在が助長されないよう、国や都道府県に権限を与えて、日本専門医機構や学会に対して、研修を受ける医師の募集方法の改善などを求めやすくする
(3)全世代の医師が、医師不足地域での勤務に魅力を感じやすくなるように、勤務環境の整備やインセンティブ付与を行う。例えば「医師不足地域での一定期間の勤務経験」を、「地域医療支援病院のうち医師派遣機能等を担う病院」の管理者(院長)要件の一つとする
(4)都道府県ごとに、将来必要となる診療科別医師数などを明示することで、ニーズが高い診療科に進む医師を増やす

 他方で、【1】専門研修の定員に、都道府県ごと・診療科別の上限を設けること【2】診療所を含む全医療機関の管理者(院長)に対して、医師不足地域での一定期間の勤務経験を求めること【3】無床診療所の開業場所に制約を設けること―については、上述した対策を講じても医師偏在が解消しない場合に、導入の是非を検討すべき【将来に向けた課題】と位置付けています。

診療科偏在の対策不足などを委員が指摘

 医師需給分科会の「第2次中間取りまとめ」の報告を受けて、医療部会の委員は、幾つかの課題を指摘しています。例えば、木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長)は、「地域偏在の是正に向けた具体策が多い一方で、診療科偏在の是正を目指す施策が少ない」と訴えました。邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)も同調しています。

 地域偏在の是正に向けた具体策に対しても、中川俊男委員(日本医師会副会長)が、より踏み込んだ対策が必要だと主張しました。特に、上述した【2】の「医師不足地域での勤務経験を、医療機関の管理者要件として広く求めていくこと」が見送られたことについて、「診療所を対象にすれば、医療現場が混乱する可能性はある」と理解を示した上で、「少なくとも、公的医療機関等すべての管理者の要件」にしなければ、医師不足地域での勤務の魅力を高める効果が全く望めないと訴えています。山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)と神野正博参考人(全日本病院協会副会長、猪口雄二委員:全日本病院協会会長の代理出席)も、管理者要件を課す医療機関を「地域医療支援病院の一部」に限れば、実効性ある偏在対策にならないとの考えを示しています。厚労省は、「地域医療支援病院の一部」に限って導入する姿勢を崩していませんが、早期の効果検証をした上で、将来的には対象拡大の検討も必要になってくることでしょう。

 そのほか相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、そもそも医師不足地域では、「地域で働く医師数が少ないままであっても、医師の短期間の派遣や近隣の中核病院との連携によって、医療を十分に提供できるシステム」をつくる必要もあるのではないかと問題提起しています。

 こうした意見は出たものの、医師偏在の是正に向けて、医師需給分科会が取りまとめた【早急に着手すべき具体策】を施行すべく、厚労省が関連法の改正案を準備することが了承されています。同省は、来年(2018年)の通常国会への法案提出を目指しており、医療部会では年明けの1月にも、法案を踏まえた意見交換が行われます。

特定機能病院の承認要件見直し、年度内にも省令改正

 12月22日の医療部会では、今年(2017)6月に成立した改正医療法に基づく「特定機能病院の承認要件見直し」についても議論しました(関連記事はこちら)。

 この見直しは、特定機能病院の開設者(理事会等)と管理者(院長)の関係を整理して、▼開設者が管理者を選任するに当たり、外部有識者を含む選考委員会の審査結果を踏まえること▼開設者が管理者に、病院の人事・予算執行権限を一定程度与えていることを明示すること―などを承認要件に加えるものです。

 12月6日の医療部会で、「開設者が審査結果を無視して、院長としての資質に欠ける者を選任するかもしれない」「一部の大学病院では、学部長などと比べて院長の地位が低い。このままではガバナンスが効かないかもしれない」といった懸念が示されたことから、厚労省はこれを踏まえて12月22日の医療部会に、「開設者が院長に与える権限が、『病院の管理運営に必要な指導力を発揮し、医療安全等を確保できるものであるべきこと』などを、通知で明確化する」方針を示し、了承されました。

 厚労省では今後、厚生労働省令(医療法施行規則)の改正や通知の発出を年度末(2018年3月末)までに行った上で、周知のための期間を設け、特定機能病院の新たな承認要件を来年(2018年)6月から適用したい考えです(管理者の選任プロセス見直しは2019年4月から)。



http://japan-indepth.jp/?p=37556
「上昌広と福島県浜通り便り」
崩壊寸前の地域医療 福島県大町病院の場合
 
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
投稿日:2017/12/25 Japan in Depth

【まとめ】
・福島県南相馬市大町病院で常勤内科医退職により診療継続が困難に。
・大町病院の危機に市内の他病院の若手医師が手を上げ始めた。
・地域医療を守るのは志のある若者。厚労省や都道府県、大学医局に依存しても何も解決しない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37556のサイトでお読みください。】


今回も青空会大町病院(福島県南相馬市)のことを書きたい。この病院は南相馬市内の基幹病院の一つだ。ところが、唯一の常勤内科医の退職をきっかけに診療継続が困難となっている。詳細は既報の通りだ(http://japan-indepth.jp/?p=35381)(http://japan-indepth.jp/?p=36518)。

最近になって、さらに事態は悪化した。前回もご紹介したが(http://japan-indepth.jp/?p=37215)、12月2人の非常勤の内科医が退職した。これで、内科の患者は、9月に自ら志願して、南相馬市立総合病院から異動した山本佳奈医師が一人で診ることになった。

外来は毎日。患者数は100名を超えることもある。これに加え、15~20人程度の入院患者を担当する。これに月に5回の当直が加わる。こんな状況は、いつまでも続けられない。

猪又義光院長をはじめ、病院幹部は必死で医師を探した。猪又院長は慈恵医大卒。震災前から、医師派遣は慈恵医大の医局に依存してきた。当然、慈恵医大に頼んだだろうが、この原稿を書いている12月20日現在、同大学からの内科医の派遣はない。

この状況をみて動いたのは、南相馬市立総合病院の消化器内科医である藤岡将医師だ。藤岡医師は2012年に東大医学部を卒業。南相馬市立総合病院で初期研修をおえ、そのまま消化器内科を専攻した。学生時代から、当研究室で学び、山本佳奈医師とは旧知だ。

「このまま放っておく訳にはいかない」と、彼は南相馬市立総合病院幹部と相談し、毎週月曜日に年休をとって、大町病院の外来を担当することになった。このような面倒くさい形式をとったのは、彼が地方公務員だからだ。病院幹部から指示されたようだ。

この話を聞いたいわき市内の病院長が「私たちもお手伝いします」と声がけしてくれた。非常勤医師を派遣すべく調整が進んでいる。

ただ、これだけで不十分だ。やはり常勤の医師がいる。この状況をみて動いたのが、同じく南相馬市立総合病院の乳腺外科医である尾崎章彦医師だ。2010年に東大医学部を卒業し、千葉県旭市、福島県会津若松市の病院で勤務後、2014年10月に南相馬市立総合病院に異動した。私たちの研究室には東大医学部在学中から出入りしている。前出の山本医師、藤岡医師とは旧知だ。

彼は、南相馬市で地域医療に従事する傍ら、多くの医学論文を発表し、日本の医学界が注目する若手医師となった(https://career.m3.com/contents/lab/akihiko_ozaki.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=sem_adpcareer__cmr_dr-lab_cv9000089_20170703)。

大町病院の窮状を見た彼は「誰かが行かねばならない」と言い、南相馬市立総合病院に辞表を提出した。1月から大町病院で働く。大町病院には尾崎医師と同年配の外科医がいる。慈恵医大の医局から派遣された医師だ。

猪又院長によれば「手術は月に4件程度」で、外科医として十分な経験は積めない。車で一時間程度のところに、仙台厚生病院、宮城県立がんセンターなどの全国的に有名ながん専門病院、さらに東北大学、福島県立医大がある。胃がんや乳がんなどの患者は、このような病院に行ってしまう。外科の修練を積むという意味では、大町病院に赴任することは、尾崎医師にとってデメリットにしかならない。

なぜ、彼は大町病院に赴任するのだろうか。それは、医師としての義務感に加え、崩壊の瀬戸際にある地方病院に勤務することで、得がたい経験を積み成長することができるからだ。

2016年末、福島県広野町の唯一の病院である高野病院で、たった一人の常勤医である院長が亡くなった。この時、『高野病院を支援する会』を立ち上げ、事務局長に就いた。自らも非常勤医師として診療に従事した。その後の活躍はメディア報道の通りだ。彼自身、体験記を公開している(http://www.huffingtonpost.jp/akihiko-ozaki/takano-hospital-and-fukushima-prefecture_b_14277516.html)(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48855)。

その後、自らの専門領域である乳がんの臨床研究不正では、中外製薬や乳癌業界の重鎮を相手に、たった一人で問題を社会に問うた(https://news.yahoo.co.jp/byline/enokieisuke/20171202-00078706/)。その勇気に敬意を表したい。一連の活動を通じて、彼は成長した。視野が拡がり、腹が据わった。

私は、尾崎医師に乳がん領域に拘らず、世界をリードする医師に成長してもらいたいと願っている。今回の件で相談を受けたときには、「病院マネジメントとは何か、地域医療とは何か、間近でみることが出来る貴重な機会だ。是非、飛び込めば」と勧めた。彼は、すでに決心していたのだろう。「外科に拘りません。内科でも事務でも雑巾がけでもなんでもします」と言ってきた。私は、彼の覚悟を猪又院長に伝えた。

大町病院の危機では、厚労省も福島県も何の役にも立っていない。飛び込んだのは山本・藤岡・尾崎という3名の若手医師だった。彼らに、このような行動を取らせたのは、南相馬という地域に対する愛着、住民への感謝、さらに苦境をともに乗り越えてきたという仲間意識だ。

最近、医師偏在を是正するために、厚労省は医師の計画配置を準備している。都道府県および日本専門医機構と連携し、専門医の研修病院の定員を決めることで、医師偏在や診療科の偏在を是正すると主張してきた。来春から開始予定だ。

12月15日、日本専門医機構が、一次募集の内定状況を公開した。この結果を仙台厚生病院の齋藤宏章医師、遠藤希之医師が分析した。その結果は凄まじいものだった。

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(図3:新専門医制度が診療科偏在に与えた影響 2018年度と2014年度の各診療科の希望者を比較)

厚労省や日本専門医機構の思惑とは反対に、診療科の偏在が加速した。内科医が激減し、麻酔科・眼科などが増加したのだ。

さらに、地域偏在も悪化した。全ての診療科で東京一極集中が加速したのだ。図4は内科の状況だ。2014年度と比較して、東京は77人も増えた。医師不足に苦しむ東京近郊の千葉、埼玉は激減した。

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(図4:新専門医制度が内科の地域偏在に与えた影響 2018年度と2014年度を比較)

ちなみに、来年度、福島県内で内科専門医を目指すのはわずか20人。東京(527人)の26分の1だ。この状況が続けば、福島の地域医療は崩壊する。

このような状況の中、大町病院は何とか診療が継続されている。大町病院の経験は示唆に富む。地域医療を守るのは志のある若者だ。厚労省や都道府県、大学医局に依存しても何も解決しなかった。地域医療を守りたければ、当事者が本気で考えねばならない。

G3註:画像は鮮明に加工することも可能ですが、筆者の意図があってのものと判断し、そのままコピペしています。



http://www.iza.ne.jp/kiji/column/news/171231/clm17123105020002-n1.html
【主張】医師の偏在 政府挙げて根本解決せよ 
2017.12.31 05:02 IZA / 産経新聞

 医療は、生活に欠かせない社会基盤である。医療機関がなくなれば、地域全体がいずれ成り立たなくなる。

 その存在は、地方創生の要諦の一つだ。だが、医師は診療科や勤務先を原則自由に選ぶことができる。それによる偏在が地方を危うくする。

 専門的な医療を目指す医師が増えた。自分の子供の教育環境を考え、医師数が少ない地域での激務を嫌う。結果として大都市部に医師が集中する。都道府県間の差も大きいが、同じ県内でも地域により開きが生じる。

 厚生労働省は地域医療構想を都道府県に描かせ、医療機関同士の連携と役割分担を進めている。だが、肝心の医師が不足したのでは画餅に帰す。

 このままでは多くの地域で医療崩壊が進みかねない。根本的な解決に向け、安倍晋三首相のリーダーシップを期待したい。

 医師偏在の解消について、検討を進めてきた厚労省の有識者会議が報告書をまとめた。

 「医師不足地域での勤務経験」を、地域の核となる一部の病院で管理者に就任する際の基準に加えるなどの内容だ。小手先の対策を列挙した印象である。これでは効果を発揮するとは思えない。

 医療団体の代表者など、利害関係者が議論を重ねている。そこに抜本策を望むのは難しい。いたずらに時間を費やす間に地方の人口減少の方が進んでしまう。

 そもそも、これまでの医師偏在解消の議論が、日本の人口激減をどこまで織り込んできたのか疑問である。

 人口の激減に対応するには、人が集まり住み、社会基盤そのものをコンパクト化することが避けられない。

 現在の医療機関の維持を前提としているのでは実現できまい。地域ごとに拠点を定め、政府の責任で重点的に充実を図る思い切った発想の転換を求めたい。

 患者の通院の足を確保し、コンピューターを活用した遠隔診断を普及させるなど、総合的な施策の展開も重要である。

 「地方」とはどこを指し、何をもって偏在というのか、その尺度についても根本的な見直しを行うべきだろう。

 厚労省任せではできない。人口減少対策の先例となるよう、安倍首相は省庁を横断して政策を総動員し、取り組んでもらいたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/576875
「Heals」設立、医療者個人を責めない「公正な文化」を
シンポ開催、活動の柱はピアサポートシステム導入支援
 
レポート 2017年12月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)が12月23日、都内で設立シンポジウムを開催した。Heals代表理事で早稲田大学法学学術院教授の和田仁孝氏は、「医療事故等が起きた時は、患者・家族、医療者の両方が辛い思いをする。それぞれがいろいろな思いを抱いており、お互いが分かり合えていない部分もある。両方を救うために何とか対話の場を作れないかと考え、その実現に向けて立ち上げたのがHealsだ」と設立趣旨を説明した。(Healsのホームページを参照)。

 同じく代表理事の永尾るみ子氏は、自身が子どもを出産直後に亡くした遺族、かつ看護師として医療に従事するという双方の立場から、「医療事故を起こした医療者の支援は、患者家族を救うことと不可分」と語り、医療機関におけるピアサポートシステムの導入支援を活動の柱に据える方針を説明した。「医療者へのピアサポートには、医療機関トップの理解が求められ、組織全体で取り組むことが必要」と永尾氏は呼びかけた。

 Healsの設立メンバーは、医療者、法律家、学者、患者・家族など。ピアサポートとは、簡単に言えば、「同僚、あるいは同じような立場にある人による初期対応としての心のケア」であり、既に米国では取り組みが活発化している(『「第二の犠牲者を防げ!」、大磯・浜松医大教授』を参照)。

 米国の事情に詳しい浜松医科大学地域家庭医療学講座教授の井上真智子氏は、ピアサポートの概念について、「所属部署でのサポート」と「専門職種によるサポート」の間に位置付けられると説明した上で、「医療事故の経験は、医療者に大きなインパクトを与え、バーンアウトなどを招く。システムエラーの『第二の被害者』でもある。心身に問題を抱えたままでは最高のパフォーマンスができない。個人を責めない『公正な文化』に基づく職場内での支援が必要」と述べ、ピアサポートの必要性を訴えた。

 Heals は、医療機関におけるピアサポートシステムの導入支援について、2017年度中には体制を整え、2018年春頃から具体的活動に入る予定であり、既に大学病院などから支援依頼を受けているという。そのほか、(1)遺族と医療者の対話推進と心理ケアのための講演会・シンポジウム、研修、(2)有害事象等に直面した患者、医療者からの相談対応、(3)患者・医療者対話カフェの開催――などの活動を予定している。

ピアサポートシステムの導入支援例(カッコ内の時間は目安)
1. 施設におけるサポート体制等についての現状調査・アセスメント
2. 当該施設に適合的なシステム・モデルと導入手順への提案・相談
3. 関連各部署管理者への研修(2時間)
4. ピアサポートシステム管理者への研修(半日)
5. ピアサポーターへの研修(1日)
6. 全職員への周知のための講演(90分)
7. 一定期間後のフォローアップ・評価
8.提携外部機関としての継続的外部相談サポートの提供

ピアサポートで変わる医療機関の組織文化

 シンポジウムでは、Healsのメンバーが、ピアサポートの意義、米国での現状、Healsの活動予定を説明したほか、現場の医療者がピアサポートの事例を紹介した。

 曽根美恵氏は、臨床心理士の立場から医療事故を起こした医療者の心理について解説。「医療者としての自信を失い、自分を責め、自罰的になるほか、情緒不安定になり、中には医療行為を行うことに恐怖感を持つようになることもある」などの心理面のほか、身体面、社会生活面においてさまざまなASD(急性ストレス障害)が生じ、これらがケアされないとPTSDに移行すると指摘。この移行を防ぐための「ファーストエイド(First aid)」としてのピアサポートの必要性を強調した。

 井上氏は、「ピアサポートのしくみと過程」というテーマで講演。米国の一例として、2004年からピアサポートへの取り組みを準備し、開始した、米ハーバード大学関連病院であるブリガム&ウィメンズ病院の事例を紹介。同病院では、2012年にレジデント・指導医(救急、麻酔、外科)108人の医師に調査した結果、半数以上が過去1年に、担当患者の重篤な有害事象を経験していた。しかし、産業保健やEAP(従業員支援プログラム)など公的な支援の利用法を知る医師は3割にとどまるほか、キャリアへの影響を懸念するなど「サポートを受ける障壁」もあることから、医師らが「1対1」で相談できる体制などが求められるとした。

 井上氏は、ピアサポートを行う「ピアサポーター」の「役割」と「しないこと」について、以下のように整理。「予期しない事態は誰でも経験し得る。ピアサポートへの取り組みは、医療機関の組織文化を変えることにつながる。個人を責めない『公正な文化』に基づく職場内での支援が必要」(井上氏)。
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(提供:井上氏)

「ピアサポーター、メモも取らず、話を聞くだけ」

 和田氏は、Healsの活動予定や米国の事情を紹介。Healsに近い組織が、非営利組織のMITSS(Medically Induced Trauma Support Services)。注目されるのはニューヨークのベス・イスラエル病院では、180人のピアサポーター(基本は兼務)を抱え、有害事象の事案以外も含めた「あらゆるストレス」を抱える医療者への支援を行っている点だ。

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(提供:和田氏)

 和田氏は長年、医療メディエーターの養成にも取り組んできた。「医療事故が起きた直後、医療者と患者側が対立構造にならないように取り組んできたが、事故が大きければ大きいほど、医療者のショックも大きい」とし、医療メディエーターが関与する前段階として、ピアサポーターによる支援が必要になるとした。

 米国の事情を視察した和田氏は、「印象に残っているのは、ピアサポーターは、当事者から話を聞く際に、メモを取らないこと。何が起きたのかも尋ねない。当事者のつらさなどをただ聞くだけ」と語った。ピアサポーターが病院幹部等に報告するには、支援を担当した件数のみだという。「『ピアサポートにはどんな効果があるのか』とよく聞かれるので、米国視察の際に質問したところ、どの病院でも『ファーストエイドを行う場合と、何もしない場合とでは、どちらがいいかは明らかだろう』という答えだった」(和田氏)。

「患者、一般人の理解は得られるのか」

 シンポジウムの後半のパネルディスカッションでは、ピアサポートの実例も紹介された。

 議論になったのが、ピアサポートの体制を整えても、医師らが支援を求めるようになるのか、また患者や一般社会から「医療事故を起こした医療者を支援する」という取り組みが理解され得るか、などだ。

 和田氏は、「最初はなかなか相談に来ず、時間がかかるものの、認知度が高まれば、自然と相談が来るようになる」、井上氏は「ノーマライズしていくことだと思う。医療事故を起こした医療者が、自己を責めるといった感情を抱くのは、当然であることを広めていく。またピアサポートを受けることが普通であるという、文化を醸成していくことが必要」とそれぞれコメント。

 フロアからは、「一般の方に、『医療者も被害者』と言っても、受け入れられるのか」という質問が出た。永尾氏は、「遺族によって医療者が救われる、あるいは医療者によって遺族が救われることがある。それを支えるのが、ピアサポーター。認知フレームの違いを克服できるように、一般向けの勉強会を開いていくことが、われわれに課せられた課題であり、最も難しいと思っているところでもある」と答えた。

 シンポジウムの司会を務めた、浜松医科大学医学部医療法学教授の大磯義一郎氏は、「今までは何かが起きると、個人を攻撃しがちだった。そうではなく、時間がかかるかもしれないが、ケアの対象になるという方向に文化を変えていくことが必要」と総括した。



  1. 2018/01/01(月) 10:18:51|
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