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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月23日 

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20171223-00079612/
産婦人科・産科医と小児科医、都道府県別の「密度」を探る
不破雷蔵 | 「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
12/23(土) 9:03  Yahoo News

・該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は鳥取県。女性人口10万人対で61.2人。一番少ないのは埼玉県で28.9人。

・小児科は鳥取県がもっとも多く15歳未満人口10万人対で174.0人、次いで東京都の152.3人。一番少ないのは茨城県の78.7人で次いで埼玉県の81.9人。

少子化や医療環境整備の問題で特に注目される産婦人科や小児科。それらの診療科の医師の過不足度合いを、医師の対該当属性の人口比の観点で、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の最新版の公開値から確認していく。

次に示すのは、産婦人科・産科及び小児科について、その資格を有する主たる医師数(その診療科のみの医師と、複数の診療科に従事しているが主には対象となる診療科に従事している)を、それぞれの都道府県別で、産婦人科・産科は「15~49歳女性人口10万人比」・小児科は「15歳未満人口10万人比」で算出したのが次のグラフ。

例えば産婦人科・産科では東京都は51.5人。これは産婦人科・産科を利用する可能性が高い15~49歳女性10万人あたり、該当医師は51.5人いることになる。逆算すれば該当人口約1942人あたり産婦人科・産科の医師が1人。

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↑ 15~49歳女性人口10万人対「産婦人科・産科」資格取得医療施設従事医者数(2016年末)

該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は鳥取県。次いで秋田県、和歌山県が続く。少ないのは埼玉県で28.9人となり、2倍強の開きがある。とはいえ、その鳥取県でも人数は61.2人。産婦人科医1人あたりで逆算すると約1634人にもなる。

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↑ 15歳未満人口10万人対「小児科」資格取得医療施設従事医者数(2016年末)

小児科は鳥取県がもっとも多く174.0人、次いで東京都の152.3人。一番少ないのは茨城県の78.7人で次いで埼玉県の81.9人。鳥取県は産婦人科・産科でも最上位にあり、埼玉県は産婦人科・産科では一番少ない都道府県。多様な事情がありそうな雰囲気だ。

今件はあくまでも単純な人口比率で、実際には人口の過密感や交通の便宜性、医療そのものの質など、多様な要素を加味した上で「医療の密度」を考察する必要がある。また、該当する対象の人すべてが一度に、同時に妊娠状況や発症となり、対象診療科への診察を必要とする場面がくるはずも無い。一方で概要的な指標としては、十分に役立つ値ではある。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。



https://dot.asahi.com/dot/2017122000066.html?page=1

平等な医療は「もはや建前」 現役医師が教える「信頼できる主治医を見つける方法」とは?

連載「メディカルインサイト」
上昌広2017.12.22 07:00 dot.asahi

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、「主治医の条件」について持論を展開する。

*  *  *

 医療を取り巻く現在の状況は、食料難に喘いだ終戦直後に似ています。

 絶対的な医師不足のため、医師と患者の力関係は医師が有利になり、「コネ社会」になっています。厚労省が主張する、平等に医療を受ける権利はもはや建前に過ぎません。終戦直後、政府は食糧管理制度を通じて、食料を「適切に」配分しようとしました。ところが、実際は配給だけでは足りず、国民は縁故を頼って農家を訪ね、闇市で食料を調達しました。1947年10月には闇米を拒否し、配給食料だけを食べ続けた裁判官の山口良忠氏が栄養失調に伴う肺浸潤(結核)のために34歳で亡くなっています。食糧難が改善するには、米国が緊急援助し、日本が復興するまで待たねばなりませんでした。食料の供給量が増えるまで、事態は改善しなかったのです。

 医療でもおそらく同じ事が起こるでしょう。厚労省は、「かかりつけ医制度」や「在宅医療」を推進していますが、これは、「配給制度」により、サービス供給の効率を上げようとしていることに他なりません。

 ところが、官僚の計画通りには現場は動いていません。

 77歳になる私の母も、かかりつけ医の限界を、身を以って知った一人です。彼女は祖母(母の実母)が97歳で亡くなるまで、兵庫県尼崎市の自宅で介護していました。祖母は認知症・陳旧性心筋梗塞・高血圧・逆流性食道炎・甲状腺機能低下症など多くの病気があり、近所の開業医に診てもらっていました。要介護5と認定され、介護サービスも受けていました。

 ある日の夜中、祖母は呼吸困難を訴えました。母はかかりつけ医に電話しましたが、「すぐに救急病院に運びなさい」と言われただけでした。困り果て、京都市内の病院に勤める弟に電話して、大阪市内の病院を紹介してもらい、タクシーで祖母を連れて行きました。タクシー代は1万円以上かかったそうです。ところが、受診した病院の救急外来で「なぜこの程度で、遠くの病院まで来るのですか」と言われ、自宅に帰されました。

 その後私に電話がかかってきたため、尼崎市で在宅医療を行う旧知の長尾和宏医師を紹介しました。長尾医師はすぐに往診し、心不全と判断し、すぐ関西ろうさい病院を紹介してくれたのです。祖母は適切な治療を受け、速やかに状態は改善しました。

 医師が比較的多いとされる阪神間でさえ、夜間に具合が悪くなった場合、引き受けてくれる病院を探すのは容易ではありません。そして、いざという時に、かかりつけ医は機能せず、面倒をみてくれたのは、「コネ」を辿ってお願いした長尾先生だったのです。

 この経験が相当堪えたのでしょう。母は、救急対応をしてくれる病院との関係を維持しようとしています。また、長尾医師のサポートに感激したのでしょう。長尾医師やそのスタッフを、近所の人たちに宣伝してまわっています。

■主治医の条件「柔軟性はあるか」

 どうすれば、頼りになる、信頼できる医師に出会うことができるのでしょうか。

 結論からいえば、自分で探すほかありません。

 学校の同窓生や地元の地域会で探してもよいのです。医師の知り合いはいなくても、看護師など医療従事者の知り合いから情報を得て、信頼できる医師を探し、自分の主治医になってもらい、もしもの時には自分の立場にたってアドバイスをもらうことです。

 主治医に求められる資質は、医学的知識の多寡や医者としての腕だけではありません。

 問題が起こったとき、状況を適切に判断し、適当な専門医に紹介する対応能力です。主治医には「エージェント」としての役割が求められているのです。

 この能力には個人差があります。重要な点は3つです。柔軟な思考力、コミュニケーション力、ICT機器を使いこなせることです。

 ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術を指し、ICT機器とはITに加え、コミュニケーション性を備えた機器のことです。具体的には、パソコンや携帯電話などが挙げられます。柔軟に考えることは、主治医として極めて重要な素養です。主治医はエージェントとして、自分の価値観を押しつけず、患者の希望に沿って対応しなければなりません。

 ところが、エビデンスに基づく医療(Evidence-based Medicine)が全盛の昨今、患者の価値観よりも、エビデンスを優先する医師が珍しくありません。昨今の医療界で、柔軟に考えることは、皆さんが想像するよりもずっと難しいのです。

 医師に柔軟性が求められるのは、全人的なケアが求められる時です。終末期の患者にとって、病気は人生の一部です。残された時間の中で、家族、仕事、人生の総括など、さまざまなことを考えねばなりません。医師は、患者がこのような問題に折り合いをつけていくことをサポートします。

 患者は単なる病人ではなく、職業人、妻、母、地域住民などのさまざまな顔を持っています。全人的に患者を理解しようとすれば、医師には多岐に亘る教養が必要です。私が「柔軟な対応」をしていると感じる医師は、ほぼ例外なく読書家で、普段から貪欲に学んでいます。主治医にするなら、「エビデンスに基づく医療」として医学的に正しい情報だけを伝える医師と、柔軟に対応できる医師、どちらがいいか、言うまでもないでしょう。

 次回は、さらなる「主治医の条件」をお伝えします。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.asahi.com/articles/ASKDP347HKDPUBQU00Q.html
医師の地方勤務 問われる環境整備
林義則2017年12月21日15時00分 朝日新聞

 全国的な医師偏在の影響が青森県内の医療現場を直撃している。そんな現状を目の当たりにした。

 下北地方の中核病院として地域医療を支えるむつ総合病院(むつ市)では、医師不足で外来の待ち時間が平均2~3時間。内科の診療後に話を聞いた70代男性は、午前9時半に受け付けを済ませたが、診察室に入ったのは午後3時過ぎ。「月1~2回の通院はいつも1日がかり。待つのは慣れた」という。

 県の昨年時点のデータでは、同病院の常勤医数57人に対し、1日あたりの外来患者は約1100人。一方、患者数がほぼ同じ八戸市立市民病院には、142人の常勤医がいる。八戸市立市民病院には重症患者に対応する救命救急センターが設けられるなど多くの常勤医が必要になるが、それにしても、むつ総合病院は少数の医師が多くの患者を懸命に支えている姿が浮かぶ。

 同病院では今年、脳神経外科と皮膚科で唯一の常勤医が退職。眼科も常勤医不在が続く。退職したのはいずれも60歳を前にしたベテラン医師で、橋爪正院長は「一定の経験を積み、次の世代を引き継ぐ30~40代の医師が特に不足している。県内の中小自治体病院でも同様な状況」という。

 2004年に始まった新卒医師の臨床研修制度で、研修先の病院を自由に選べるようになったことも一因だ。設備が充実し、豊富な診療経験を積めそうな首都圏などの大病院に希望が集中。上十三や西北五、下北地域では、人口10万人あたりの医師数が118~130人と、全国平均の234人を大きく下回っている。

 同病院は下北で唯一の総合病院。患者に寄りそう初期診療や重症の救急患者など、臨床研修で多彩な治療を経験できる環境や診療科を超えた指導体制をアピールしたところ、近年は募集数とほぼ同数の研修医が集まる人気ぶりだという。

 とはいえ、研修医が一線で活躍できる医師に育つまでは時間がかかる。地域で踏ん張る医師が疲弊して現場を去れば、残った医師にさらに負担が集中する悪循環に陥る恐れもある。

 厚生労働省は今月、医師が少ない地域での勤務経験を医療機関の管理者になる際の評価基準に加える優遇策など、偏在解消に向けた対策案を打ち出した。医師が地方で勤務する魅力を伝え、その後のキャリアに生かせる環境をどう整えるか。国や県の制度作りが問われている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>
http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/

(林義則)



https://www.m3.com/news/iryoishin/576366
医師偏在対策、「1歩進んで2歩下がった」
地域医療を守る病院協議会が見解


レポート 2017年12月21日 (木)配信 水谷悠(m3.com編集部)

 五つの医療団体から成る「地域医療を守る病院協議会」が12月20日に記者会見し、12月18日の「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」の合同会議で了承された医師偏在対策の「第2次中間取りまとめ」について、全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「(2016年5月の)第1次中間取りまとめより後退している。1歩進んで2歩下がった気がする。いつ終着駅にたどり着くのか」との懸念を示した(第1次は『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』、第2次は『厚労省、医師偏在対策で関連法案、来年国会提出へ』を参照)。


 邉見氏は、全自病などが求めてきた、医師不足地域での勤務実績を医療機関の管理者要件とすることが、「第2次中間取りまとめ」では要件ではなく「評価」とし、地域医療支援病院の一部とするなど規制色が弱い形になったことについて「地域医療支援病院の一部では、ほとんどゼロで、誤差の範囲だ」と指摘。「国費を使って養成した医師が私益のために働き、田舎の人に医療を提供しない状態がずっと続いている」と批判した。

 一方で、地域別の外来医療機能の偏在・不足等に関するデータの可視化が盛り込まれたことについては、「データを『見える化』する方向性は悪くない。議論のベース、共通認識ができるのはいい」と一定の評価もした。

 全国国民健康保険診療施設協議会副会長の籾井眞二氏は、医師不足地域では支払う保険料に対して十分な医療が提供されていないとの考えで、「医療費が(都市部に)流出している。中山間地域は医療における植民地という印象を持っている。医療を受ける機会を奪われ、あるいは遠ざけられている」と嘆いた。日本慢性期医療協会の武久洋三氏は、「国民の健康を守ろうとは、医師がしていないのではないか。皆が都会に集中しては、地方の人はどうなるのか」と指摘。全自病副会長の中島豊爾氏も「自分のことだけを考える医師が増えてきたという危機感がある」と続いた。

 日本専門医機構が11月17日に公表した専攻医の1次登録者数で、新たに基本領域となった総合診療が7989人中158人にとどまったことについては、「サブスペシャルティがないからではないか。(全自病理事の)金丸吉昌先生が『出口のない入り口に入る人はいないだろう』と言っていた。総合診療の専門は『地域』だ。地域、家庭、人を診る。そこがゴール、目標だ」と指摘(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。武久氏は、「全身を診るなら総合医だ。専攻医の半分くらいは総合診療で育ってくれないと、国民のためにならない」と述べた。



http://www.huffingtonpost.jp/yuuki-shimada/doctor-network_a_23311418/
医師不足の解決には医師同士の「使える」ネットワークが不可欠
ネットワークを広げていくためにはどうしたらよいだろうか。

2017年12月21日 14時08分 JST | 更新 2017年12月21日 14時08分 JST ハフィントンポスト
嶋田裕記 南相馬市立総合病院脳神経外科後期研修医

救急患者の受け入れ拒否、救急搬送のたらい回しが問題となっている。断る理由として当直医の専門外であるというのがよくあげられる。しかし、専門外の疾患だったとしても、各疾患ごとに相談することができるネットワークを当直医が持っていれば状況は変わるかもしれない。

ある日曜日の夜、福島県南相馬市立総合病院脳神経外科で勤務する筆者の携帯電話に大町病院に一人内科常勤医で働く山本佳奈医師から連絡があった。

「80代の女性が現在入院中なのですが、意識レベルが悪化していて困っています。麻痺はなさそうです。」という。

まず脳卒中であるかどうかを判断する必要があり、そのためには画像検査が不可欠であることを伝えた。休日の夜間であったため放射線技師は病院内に待機していなかったが、彼女はすぐさま放射線技師を呼び出して画像検査を行い、結果をスマートフォンで送ってきてくれた。その画像から脳梗塞で致命的な状態であることがすぐわかり、急いで転院させるように伝えることができた。その甲斐もあり、一命をとりとめ、現在は食事を口から取り、話すことができるまでになった。患者様のご家族も「ここまで回復できてよかったです」と安堵されていた。

今回のケースは専門外のことでも気軽に相談できるネットワークがあることで、院内急変が救えた事例である。こうしたバックアップがあれば、院内急変だけでなく万が一専門外"かもしれない"ということで救急車、救急患者も断る必要がなくなるのではないだろうか。

特に高齢者にとっては地域で救急を受け入れてもらえ、医療を簡潔させることができることは非常に助かることである。遠い大病院に搬送された場合、帰宅する足がなくて困ったり、入院する場合でも家族の見舞いが困難なことがある。

こうしたネットワークが「使える」ためにはただ知っているだけではなく、電話相談などを行うための敷居の低さが不可欠である。今回のケースでは以前同じ病院で働いていた経験があったため、気兼ねなく電話一本で相談できる環境が整っていた。

ならばネットワークを広げていくためにはどうしたらよいだろうか。一つの方法としては病院間での医師などの交流や診療応援などが考えられる。ただ、現時点では南相馬市立総合病院の医師は地方公務員で基本的に兼業禁止である。

しかし、診療応援として例外的に認めることが深刻な医師不足の緩和につながると考えられる。医師不足や救急車のたらい回しが叫ばれる中、医師が少ない地域でこそ、積極的に患者を診察し、適切な医療を提供できるようにネットワークを構築し、有効に活用していかなければならない。

(2017年12月19日「MRIC by 医療ガバナンス」より転載)



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1220512011/

医師偏在対策、都道府県に「医師確保計画」義務づけ〔読売新聞〕

2017年12月20日 17:40 Medical Tribune

 厚生労働省の有識者会議は18日、医師が都市部に集中し、地方で不足する地域偏在問題への対策を盛り込んだ報告書をまとめた。

 都道府県に対し、確保すべき医師数の目標や具体策を盛り込んだ「医師確保計画」の策定を義務づける。

 厚労省は、各地域で医師がどの程度足りないかを示す新たな指標を導入する。これを基に都道府県は「医師少数区域」を設定し、偏在対策を進める。医師不足の地域で一定期間勤務した医師を国が認定する制度の創設なども盛り込んだ。

(2017年12月20日 読売新聞)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171220152205
専攻医一次登録、内科の採用数が最多
専門医機構が公表

2017年12月20日 15:35 CB news

 日本専門医機構は、専攻医一次登録の採用数を公表した。領域別では内科の採用数が最も多かった。16日から二次登録が始まったが、都市部に集中することを防ぐため、東京や大阪など5都府県については、過去5年間の後期研修医の採用実績などの「平均値」を超えた領域の二次登録を実施しない。【新井哉】

 同機構によると、総合診療を含めた19領域の採用数は7791人。領域別では、内科が2527人で最も多かった。以下は外科(767人)、小児科(526人)、整形外科(516人)、麻酔科(457人)、産婦人科(410人)、精神科(392人)、眼科(288人)などの順だった。

 19領域を合わせた都道府県別の採用数は、東京が1756人で最多。大阪(619人)や神奈川(472人)、愛知(441人)などでも多かった。最も少なかったのは宮崎(30人)だった。

 同機構は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県については、医師不足などが指摘されている外科と産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く各領域で「平均値」を超えた場合、二次登録を行わない方針を示していた。今のところ二次登録を行っていない領域は公表していない。



https://mainichi.jp/articles/20171220/dde/041/070/051000c

憂楽帳
働き方改革の現場

毎日新聞2017年12月20日 東京夕刊

 過労死や過労自殺の防止に、長時間労働の縮減など働き方改革が注目を集めている。だが、医療、教育の現場はこれまで正面からこの問題に向き合ったことがなく、戸惑いも広がる。

 先日、新潟県医師会の幹部に長時間労働をどうするかを聞いた。幹部は「働き方改革を本当にやったら大変なことになる」と後ろ向き。背景に、同県が10万人当たりの医師数が約205人(2016年末)と全国でワースト5という医師不足がある。労働時間を減らせば現場が回らないという。ある自治体の首長は「医療現場で36協定(残業時間の規制)を守っていたら市民サービスができなくなる」とまで。

 だが、そんな中で研修医が過労自殺する悲劇も起きている。ある医師は「医師不足のツケは現場が負うべきものなのか。国や医師会はその解消に何をしてきたのか」と疑問を呈し、首都圏の条件の良い現場に職を求めている。多くの医師、教師が疲弊している。

 幹部の発言とは逆に、「何もやらなければ大変なことになる」ことが浮かび上がるのだ。【東海林智】



http://www.medwatch.jp/?p=17803
医師確保対策は進めるべきだが、支援病院要件の見直しは拙速を危惧―日病・相澤会長
2017年12月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在対策の中で「地域医療支援病院の管理者要件として、医師不足地域での一定期間以上の勤務経験を付与する」案や「医師派遣機能を持つ地域医療支援病院へ経済的インセンティブを付与する」案などが浮上しているが、日本病院会の常任理事会でも賛否が分かれている。拙速に対策案を取りまとめれば、将来、対策を実行する際に見直しが必要となってしまうのではないか—。

日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、12月19日の定例記者会見でこういった考えを明らかにしました。

ただし相澤会長は、「医師に都道府県内にとどまってもらう策は積極的に進めなければいけない」旨も強調しており、12月18日の「医療従事者の需給に関する検討会」・「医師需給分科会」の合同会合での取りまとめそのものを否定しているわけではありません。

地域医療支援病院の要件見直しなどの対策案、日病会内でも賛否は割れている
「医療従事者の需給に関する検討会」・「医師需給分科会」では、働き方改革などを踏まえて「将来の医師養成数を推計する」ことを主な目的として議論していますが、その中で「医師偏在を放置して、将来の医師数を議論することはできない」という点で意見が一致し、「実効性のある医師偏在対策」が重要な議題に追加されました。

昨年(2016年)春の中間取りまとめで、▼医学部地域枠の在り方▼初期臨床研修医の募集定員配分などに対する都道府県の権限強化▼医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)▼管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)—など14項目の対策案を決定。さらに今年(2017年)9月からより具体的な議論を行い、12月18日に座長一任で第2次中間取りまとめ案を了承しています。

第2次中間取りまとめ案では、医師偏在対策の具体案として次のような項目が提唱されています。

(1)都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
▼「医師確保計画」の策定
▼地域医療対策協議会の実効性確保
▼効果的な医師派遣等の実施に向けた見直し

(2)医師養成過程を通じた地域における医師確保
▼医学部▼臨床研修▼専門研修—のそれぞれについて都道府県の権限強化などを図る

(3)地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
医師偏在の度合いが指標により示され、地域ごとの外来医療機能の偏在・不足などが客観的に把握できるようになることを踏まえ、この情報を新規開業予定医などへの有益情報として「可視化」する

(4)医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進
▼医師個人に対する環境整備・インセンティブ
▼医師派遣を支える医療機関等に対する経済的インセンティブ等
▼認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価

 
日本病院会の常任理事会では、これら(1)から(4)の偏在対策についてさまざまな意見が出されたといいます。とくに(4)の「医師の少ない地域での勤務を促す環境整備の推進」では、医師不足地域で一定期間以上の勤務を経験した医師を「認定医師」とし、これを地域医療支援病院の管理者要件の1つに据えることや、医師派遣機能を持つ地域医療支援病院に経済的インセンティブを与える具体案が示されていますが、「医師派遣を行える地域医療支援病院は全国に200から300程度にとどまり、偏在対策としての効果が薄いのではないか」「若手医師の中には、管理者にはならず、専門性を極めたいといの人もあり、効果は期待できない」という否定的意見が多数出された一方で、「半強制的に医師少数地域での勤務を求めなければ、偏在は解消していかない」という賛成意見も出ており、日病としての見解をまとめることは難しい状況のようです。

相澤会長はこうした状況から、今般の医師偏在対策取りまとめ(第2次中間とりまとめ)について、「日病の会内でもさまざまな意見がある。個人的には拙速が心配である」との見解を示しています。

また、例えば「地域医療支援病院の管理者要件に、認定医師であることを盛り込む」という策に関しては、これから初期臨床研修を受ける医師が対象となるため、直接の効果が現れまでに数十年かかります(間接の効果は改正法適用後から徐々に現れると見込まれる)。ただし、数十年経てば地域の人口構成は大きく変化する可能性もあり、「地域医療支援病院への要件化」などの偏在対策を実施する段になって、「対策を見直さなければならない」事態も生じかねないと相澤会長は心配しました。

なお、医師派遣機能を持つ地域医療支援病院への経済的インセンティブ付与については、「インセンティブ目当てに医師を数多く抱えようとする病院が現れたりしないだろうか」との懸念も示しました。

 
一方、(1)「都道府県における医師確保対策の実施体制の強化」や(2)「医師養成過程を通じた地域における医師確保」といった、「当該都道府県の中に、医師がとどまる」ような方策については、積極的に進める必要があると相澤会長は指摘。「拙速に地域医療支援病院の要件見直しを行うよりも、▼大学医学部▼初期臨床研修▼専門医研修―の中で、しっかりとフォローし、当該県にとどまってもらうことを一生懸命行うほうが大事ではないか」とも指摘しています。

さらに相澤会長は、偏在対策の重要性を認めた上で、「細かいところまでがちがちに法律で縛れば、人口や社会の変化についていけなくなる可能性もある」と述べ、一定の弾力性・柔軟性を持たせるべきとの考えも示しています。

 
なお、12月18日に正式決定された診療報酬改定率(医科プラス0.63%、歯科プラス0.69%、調剤プラス0.19%など)について、「ほっと一息つくこともできない。病院経営は厳しく、1%程度のプラス改定が必要である」とコメントしています(関連記事はこちら)。



http://www.medwatch.jp/?p=17819
「医師不足地域での勤務経験ある医師」が働く病院に経済的インセンティブ―医師需給分科会
2017年12月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」と、下部組織の「医師需給分科会」は12月18日、「早急に着手すべき医師偏在対策」の検討結果(第2次中間取りまとめ)を大筋で取りまとめました。対策は主に、(1)勤務環境の整備やインセンティブ付与による「自発的な医師不足地域での勤務の推進」(2)都道府県の権限強化などによる「医師養成過程を通じた地域定着の推進」―に分けられます(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 早急に着手する医師偏在対策、来年の通常国会に法案提出
2 医師不足地域で働く医師の不安を解消
3 医師不足地域での勤務に医師がメリットを感じる仕組みに
4 認定受けるための期間や勤務地は「医師不足の度合い」を可視化しつつ検討
5 医師養成過程を通じて、医師定着を促す仕組みに


早急に着手する医師偏在対策、来年の通常国会に法案提出
 (1)のインセンティブ付与に向けては、「医師不足地域にある医療機関で一定期間勤務した医師」を、厚生労働大臣が認定する制度(認定医師制度)を設けた上で、「認定医師を雇用して、質の高いプライマリ・ケアを提供させている」医療機関などに経済的インセンティブを与える方向性も盛り込まれています。

 医療法や医師法の改正が必要となり、厚生労働省は、12月22日の社会保障審議会・医療部会に報告の上、来年(2018年)の通常国会に、これらの改正案を提出したい考えです。

 12月18日には、「医師偏在は喫緊の課題なので、まず対策を実行し、必要に応じて見直すべき」との声が構成員から相次いだ一方で、「検討が不十分なまま実行すれば状況がさらに悪化する」と慎重姿勢を崩さない構成員もおり、対策の具体化に向けた医師需給分科会などでの今後の検討が注目されます。

医師不足地域で働く医師の不安を解消
 ここからは、12月18日に大筋で取りまとめられた医師偏在対策を解説していきます。

 まず(1)の「医師不足地域での勤務の推進」に向けた施策は、医師不足地域で勤務することの魅力を高めるもので、医師の自発的な勤務を促す狙いがあります。医師需給分科会では、「単に『若手医師を強制的に医師不足地域で働かせる』という対策は避けるべき」という考え方にのっとって検討してきたため、若手・ベテランを問わず、あらゆる医師に医師不足地域での勤務を促す施策が示されています。

 「勤務環境の整備」と「インセンティブ付与」の2つの対策があり、前者の勤務環境の整備では、医師不足地域で働く際の不安の払拭を目指します。例えば、「代わりに働く医師がいないので、休みが取れないかもしれない」「幅広い患者の診療が求められるが、周りに相談できる医師がおらず、専門外の患者に適切な診療ができないかもしれない」といった不安です。

 こうした不安を解消するために、医師複数人によるグループ勤務や交代勤務を推進して、医師不足地域で働く医師が「働き詰め」になることを防ぎます。また、▼専門外の症例に対応できるように、地域の中核病院が、助言や患者受け入れなどの後方支援を行う▼医師不足地域で働く前や働いている間に、プライマリ・ケアの研修・指導を受けられる体制を確保する―方策もとられます。

 さらに、「医師不足地域で一定期間働くことはよいが、その後のキャリアに不安がある」若手医師のために、▼都道府県▼大学病院・医学部▼地域医療を支援する立場の医療機関―などが協力して、中長期的なキャリアパスを作成。それに基づいて医師派遣を行います。

医師不足地域での勤務に医師がメリットを感じる仕組みに
 さらに上述のとおり、「医師不足地域にある医療機関で一定期間勤務した医師」を、厚生労働大臣が認定する制度(認定医師制度)を創設。この認定に医師がメリットを感じられるように、(a)認定医師であることを広告可能事項に追加(b)医師派遣を支える医療機関等に経済的インセンティブを付与(c)一定の医療機関の管理者として認定医師を評価―します。

 (b)の経済的インセンティブとしては、税制優遇や補助金のほか、「診療報酬による対応」も検討します。このインセンティブの対象は、例えば「医師派遣要請に応じて医師を送り出す医療機関」や「認定医師によって質の高いプライマリ・ケア等を提供する医療機関」です。

 とりわけ地域医療支援病院には、「医師派遣機能」だけでなく、上述した「環境整備機能」(医師に対するプライマリ・ケアの研修・指導体制の確保など)を果たすことを条件に、経済的インセンティブが付与されます。

 この点、医師需給分科会の神野正博構成員(全日本病院協会副会長)は、「地域医療支援病院ではないが、医師派遣・環境整備機能を持つ病院も、それなりに評価してはどうか」と指摘。経済的インセンティブの対象を、地域医療支援病院に限るべきではないと強調しています。

 一方で、(c)の管理者としての評価は、「地域医療支援病院のうち、医師派遣・環境整備機能を有する病院」に限り導入します。具体的には、「認定医師であること」や「マネジメント能力を身に付けるための研修を受講したこと」などを、管理者(院長)の要件に据えます。

 「認定医師であること」を管理者要件に据える施策には、「院長を目指す医師が、認定医師になることにメリットを感じられるようにする」ほかに、「病院が持つ医師派遣機能や環境整備機能を、適切に機能させる」狙いがあります。認定医師であれば、「医師不足地域に派遣する医師に対して、病院からどのような支援を行うべきか」が、経験的に分かると考えられるためです。

認定受けるための期間や勤務地は「医師不足の度合い」を可視化しつつ検討
 認定医師となるには、「どのような医療機関」で「どの程度の期間」勤務すればよいのでしょう。今回の「第2次中間取りまとめ」では、この認定基準についても整理されています。

 まず、対象とする医療機関は都道府県知事が指定します。その際、「地域ごとの医師不足の度合い」が適切に判断できなければいけません。このため、患者の流出入状況や医師数、将来推計人口などを織り込んだ指標を国が示し、それを踏まえて都道府県が、全国的に見て医師不足の地域を「医師少数区域」に設定します。認定医師になるための勤務経験を積める医療機関は、この「医師少数区域」にある医療機関の中から都道府県知事が指定します。

 また、認定を受けるための勤務期間は、上述した指標を設定する段階で検討します。この指標を基に、深刻な医師偏在を解消するために必要な医師の総勤務時間を算出し、「認定医師になりたい医師」が1人当たり何日間働けばよいか設定するイメージです。

 ちなみに、認定医師制度が施行された後に臨床研修を開始した医師に対しては、「医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院」の管理者を務める場合であっても、「認定医師であること」は求められません。したがって、実際に地域医療支援病院の管理者に「認定医師」であることが求められるまでには時間がかかると考えられます。

 医師需給分科会の構成員からは、診療所などの管理者の基準にも「認定医師であること」を据えるべきだという主張が聞かれています。今回の取りまとめでは、まず「医師派遣機能等を持つ地域医療支援病院」に限って導入することになりましたが、対策を講じても医師偏在が解消されない場合、「認定医師であること」を管理者要件とする医療機関が拡大される可能性もあります。

医師養成過程を通じて、医師定着を促す仕組みに
 (2)の「医師養成過程を通じた地域定着の推進」は、次のような傾向を踏まえて対策を講じられるように、都道府県の権限を強めるものです。

【1】地域枠の入学者と、地域枠以外の地元出身者(大学と出身地が同じ都道府県)は、臨床研修修了後に出身地で勤務する割合が高い(地域枠80%、地元出身者78%)
地元出身医師の定着率は、地域枠医師と同じくらい高い
地元出身医師の定着率は、地域枠医師と同じくらい高い
【2】出身地の大学に進学し、出身地で臨床研修を行った場合、臨床研修終了後に出身地で勤務する割合が最も高い(90%)。出身地以外の大学に進学した場合であっても、臨床研修を出身地で実施した場合、臨床研修修了後に出身地の都道府県で勤務する割合が高い(79%)
大学が出身地と別でも、卒業後、出身地の病院で臨床研修を受けた医師は、8割近く定着している
大学が出身地と別でも、卒業後、出身地の病院で臨床研修を受けた医師は、8割近く定着している
 まず【1】のデータからは、地域枠や地元出身者枠を設けると、医師の定着率が高くなると考えられます。そこで都道府県が、医学部を持つ大学に対して、地元出身者を対象とする入学枠を設定するよう要請できる制度を設けます。この点、「大学側が、要請を無視する懸念がある」ことから、医療従事者の需給に関する検討会の荒井正吾構成員(奈良県知事)や山口育子構成員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、大学側への対応の義務付けも検討すべきだと主張しています。
 また【2】からは、大学医学部を卒業した研修医が、初期研修を出身地で受けると、定着率が高くなると考えられます。そこで、研修医と臨床研修病院とのマッチングについて、地域枠などの研修医は別枠で選考することも可能にし、「研修医が出身地での研修を希望したが、選考の結果、別の地域にある臨床研修病院で研修を受ける」ことを防ぎます。

 さらに、臨床研修病院の指定・定員設定権限を、都道府県に移管します。研修の質を担保するために、指定基準は国が引き続き定めますが、都道府県が把握している「地域の病院の実情」を踏まえて、研修医にとって魅力的な研修プログラムを用意しやすくします。

 また、都道府県の医療計画の中で、3か年の「医師確保計画」を策定する仕組みを創設します。「医師確保計画」は、(I)二次医療圏ごとの医師配置状況や人口などを踏まえた「都道府県内における医師の確保方針」(II)(I)の方針に基づいて設定する、計画期間中に「都道府県内において確保すべき医師数の目標」(III)(II)の目標の達成に向けた「施策内容」―で構成され、「施策内容」は例えば、「医師少数区域」への医師派遣や、「医師養成過程を通じた地域定着策」を指します。

 都道府県では現在、「地域医療対策」としても医師確保対策を定めていますが、「医師確保計画」の中に組み込みます。また、「医師確保計画」で定めた対策の具体化に向けた協議は「地域医療対策協議会」で行うことを原則とし、「へき地医療支援機構」や「専門医協議会」などは廃止する、あるいは「地域医療対策協議会」の下部組織にすることが求められます。

 これらの対策に対して、医療従事者の需給に関する検討会の相澤孝夫構成員(日本病院会会長)からは、「議論が不十分。このままスタートすると、地域の病院が大変になる」といった慎重意見もありましたが、医療従事者の需給に関する検討会の森田朗座長(津田塾大学総合政策学部教授)と医師需給分科会の片峰茂座長(長崎大学前学長)に一任する形で、大筋で了承されています。




https://mainichi.jp/articles/20171219/ddl/k09/040/052000c
佐野市民病院
譲渡基本協定を締結 市、支援継続 民営化問題に決着 /栃木

毎日新聞2017年12月19日 地方版 栃木県

 佐野市民病院の民営化問題で、同市は18日、一般財団法人「佐野メディカルセンター」(大坪修理事長)と病院譲渡に関する基本協定を結んだ。病院名と施設を引き継ぎ、来年4月から民間病院になる。法人側は2021年4月をめどにへき地医療など公益性の高い医療を担う社会医療法人としての認定を目指しており、認定後は現地で新病院を建設する方針だ。

 基本協定によると、病棟や医療機器などの施設、敷地は当面、法人に無償貸与し、社会医療法人化後に無償譲渡する。現在の病床数(258床)、診療科目(17科)は診療報酬改定に伴い再検討するが、改廃する場合には同市との協議を義務付けた。

 病院は昨年度約3億1000万円の赤字を計上し、今年度決算でも約3億円の赤字が見込まれる。赤字分は同市が補填(ほてん)しており、民営化後も5年間、15億円を運営補助金として交付する。また、法人が21年度に着工予定の新病院の建設費も10年間で30億円を補助する方針。

 病院は深刻な医師不足による経営難を背景に08年10月、指定管理者制度を導入し、医療法人財団「青葉会」が運営を引き継いだ。指定管理協定が来年3月末で満了することから、同市は昨年5月、民間譲渡を目指す方針を打ち出し、青葉会を最優先に譲渡交渉を進めていた。青葉会本体は譲渡受け入れを否決したが、青葉会の理事だった大坪氏らが受け皿となる新法人「佐野メディカルセンター」を今月8日、設立した。

 佐野市の岡部正英市長は「地域医療を守り続けてくれることを確信している」と期待感を表明。大坪理事長は「地域住民に良質な医療を提供し、市民の安心、安全、満足を確保したい」と抱負を語った。【太田穣】



https://www.m3.com/news/iryoishin/575731
医療従事者の需給に関する検討会
厚労省、医師偏在対策で関連法案、来年国会提出へ
都道府県の責任・権限強化、「医師確保計画」「地元出身者枠」も

レポート 2017年12月19日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は12月18日、医師偏在対策に関する「第2次中間取りまとめ案」を、第5回「医療従事者の需給に関する検討会」(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)と第17回「医師需給分科会」(座長:片峰茂・長崎大学前学長)の合同会議に諮り、文言修正等は座長一任の上、了承された。同省は、関連法の改正法案の来年通常国会への提出を目指す。

 「第2次中間取りまとめ案」は、12月8日の第16回「医師需給分科会」で了承済み(資料は、厚労省のホームページ。詳細は、『規制色弱まる、医師偏在対策の第2次中間取りまとめ案』を参照)。

 「医師偏在対策に有効な客観的データ」を整備し、「見える化」を図るほか、医師偏在対策として都道府県の責任と権限を強化したことが特徴だ。都道府県は「医師確保計画」を策定し、その実現に向け、2008年度以降の医学部定員増に伴い、今後増える「地域枠」の卒業生の地元定着を図るため、「キャリア形成プログラム」の策定、医師派遣の調整などを行う地域医療支援センターの業務について実効性を伴うように見直す。

 医師養成過程においても、臨床研修病院の指定・定員設定の権限を国から都道府県に移管する。医師の地元定着を図るため、都道府県知事が地元医学部に「地元出身者枠」の設置・増員を要請することを可能とする。新専門医制度についても、国や都道府県が日本専門医機構の運営に一定の関与が可能な仕組みを設けるほか、「医師少数区域」で勤務した医師を国が認定(以下、「認定医師」)、医師派遣等の機能を有する地域医療支援病院の管理者となる際に評価するなどのインセンティブも新設する。

 18日に出た意見を踏まえ、「医学教育における地域医療教育の重要性」「医師偏在対策における職能団体の役割」についても追記される予定。

 森田座長は、「強力な医師偏在対策を講じるのは喫緊の課題。今回はエビデンスに基づき、規制的な施策についても検討し、これまでにない医師偏在対策を議論したのは、大きな一歩。今回の案に基づく法律が早期に成立することを期待する」と述べ、新専門医制度について都道府県別・診療科別定員を設定するなど、賛否が分かれ両論併記にとどまった点もあることを踏まえ、「今回の対策の効果が不十分であれば、速やかに次の対策を検討することを要望する」と厚労省に求めた。片峰氏も「全体としてかなり踏み込んでいる。ここに盛り込んだことをいかにスピード感を持って実行するかカギとなる」とコメントした。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏も、会議の最後に、「医師偏在対策についての大きな第一歩」と述べ、関連法案提出を目指すほか、2018年度以降は2020年度以降の医学部定員について議論すると説明した。


「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」は、第2次中間取りまとめ案を了承した。

相澤日病会長、「認定医師」を問題視
 第2次中間取りまとめ案は、第16回「医師需給分科会」でほぼ固まっていたが、18日の会議でも幾つかの意見が出た。

 各論への要望が多かった中、数多くの反対意見を述べたのが、日本病院会会長の相澤孝夫氏。「日病内では、激烈な議論が交わされた。これらを全て性急に実施したら、地域医療の崩壊を来しかねない。細かい部分についてはもう一度、議論すべきではないか」と述べ、都道府県単位の医師の地元定着策は必要なものの、2次医療圏単位の偏在対策については、「患者は移動する。何をもって偏在と見なすのか、その判断は難しい」と指摘。「認定医師」についても、(1)半強制的に、医師少数区域に行け、というのはおかしい、(2)医師少数区域での勤務経験と経営能力を持つこととは別問題、(3)認定医師に対し、病院は高い給与を支払わなければいけないのか――など、「かなり厳しい意見があった」と紹介した。日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、「認定医師には違和感を覚える」とコメント。

 これらの意見に対し、厚労省事務局は、医療提供体制を考える上で重要な圏域である2次医療圏単位で医師偏在対策を考えていくことが基本であり、例えば医学部定員の調整など、都道府県を越える課題については、国も検討していくと説明。「認定医師」についても、「強制的に医師少数区域に行かされるような仕組みにはしていない」と説明、税制、診療報酬、補助金などの経済的なインセンティブを付ける方向で検討していくとした。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「医師需給分科会として意見が違った部分は両論併記しており、全体としてはこうした方向性でいいのではないか、ということでまとまった。今までの医師偏在対策と比べると、かなり踏み込んだ内容になっているのではないか」などと述べ、第2次取りまとめ案を支持。

 他の構成員からも、「まずは可能な施策から実施して、PDCAサイクルを回す。医師偏在対策が奏功しなければ、次なる対策を検討」という考えでの意見が相次いだ。「過去において、いろいろな議論を重ねても、地域や診療科の医師偏在が改善していない状況にあり、ここで実効性のある方向性を出さない限り、これからも偏在が続いていく」(岩手医科大学理事長の小川彰氏)、「医師偏在を早く解消しなければいけないとして、議論してきた。意見がまとまらなかった部分は、賛否両論を併記している。できるところから進めるために、取りまとめてもらいたい」(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏)、「認定医師については後退したイメージがあるが、まずはこの形で進めてもらいたい」(読売新聞東京本社医療ネットワーク事務局次長の本田麻由美氏)、「PDCAサイクルを回しながら、効果がないなら、また見直していくことが必要」(慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏)などだ。

「地元出身者枠」、実効性のある法整備求める声
 各論で要望が挙がったのは、医学部の「地元出身者枠」について。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は、「地域枠」の卒業生でも県外に就職する例があることから、「抜け穴がたくさんある」と指摘し、卒業生が地元に定着するための法整備を求めた。同様の指摘は、山口氏や小川氏からも挙がった。

 もっとも、片峰氏が、「地域枠の学生が将来地元に残るように、法的に強制するのはかなりハードルが高いように思う」と問うと、厚労省事務局は「ハードルは高いのはその通り」と回答。実効性のある法整備の在り方が今後の検討課題となる。

 国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏からは、地域枠の学生でも奨学金を返上したり、地域枠と一般枠の学生が混在すると、一般枠学生は「地域枠学生が地元に残るなら、都市部に行く」と考えるなど、「逆のマインド」を持ちかねないことから、「地域枠に対する過大な評価ではないか」との指摘も挙がった。自治医科大学のように、全員が地域医療従事の義務を持つ医学部を作るなど、今後の地域医療対策の検討に当たっては、「もっと根本的な改革も含めて議論をしてもらいたい」と求めた。「第2、第3の自治医科大学」構想は、邊見氏も支持。


「医師需給分科会」の座長を務めた、片峰茂・長崎大学前学長は、第2次中間取りまとめ案を了承するに当たって、「座長談話」を公表した。
 
都道府県からは不安・要望も
 今回の医師偏在対策では、都道府県の責任と権限が強化される。奈良県知事の荒井正吾氏は、文書で、(1)臨床研修病院の指定権限を都道府県に移管するとされているが、どんなメリットがあるのか、(2)都道府県間の偏在対策については、国の役割を期待――などについて質問、要望を寄せた。

 厚労省事務局は、臨床研修病院の指定について、「例えば、地域の病院の研修体制は、国では把握できない。『このような病院群を組んでほしい』と依頼するなど、きめ細かな対応がやりやすくなる」と答えるとともに、臨床研修について一定の質を担保する観点から、指定基準自体は国が定めると説明した。また都道府県間の調整についても、例えば新専門医制度については、国が必要な意見を述べることができる仕組みになっていると述べ、理解を求めた。

 
特徴の一つが「医師偏在の可視化」
 都道府県が「医師確保計画」の策定・実行に活用することなどを目的に、「医師偏在対策に有効な客観的データ」を整備することも特徴だ。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、フランスでは、周産期医療などへのアクセス時間が可視化されていることを紹介。「クリティカルな医療について、どれだけアクセスが阻害されているかを指標化しきれていないことが問題」と述べ、客観的データを作り、住民から改善要望が挙がってこないと、医師偏在対策にはつながりにくいと示唆。職能団体が医師偏在対策に関わる必要性も指摘した。

 客観的データは、外来医療の医師偏在対策のため、医師が新規開業等の判断材料に使うことも想定。ただし、「診療所と病院という医師の偏在もある」(加納氏)、「病院には基準病床数はあるのに、診療所になぜ基準診療所数がないのか。それはおかしい」(日本精神科病院協会会長の山崎学氏)などの指摘も挙がった。

 その他、医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏からは、「自治医大が、一人の医師を派遣しているような国保診療所は少なくなっている。従来と同じような医師不足地域の医療をやっていたのでは、成り立たない。グループで対応したり、教育研修機能も持つなど、医師不足地域に勤務する医師が疲弊しない仕組みを作らないと、単に医師の数だけを考えていたのでは、解決という方向に行かないのではないか」との意見も出た。



http://www.medwatch.jp/?p=17860
医師偏在対策の具体策を議論する医師需給分科会に参画させよ―地域医療を守る病院協議会
2017年12月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師需給分科会などが取りまとめた医師偏在対策は、昨春(2016年)と比べて後退してしまった。対策の具体化に向けた分科会での検討に参画し、医師偏在を解消させたい―。

 ▼全国自治体病院協議会▼全国厚生農業協同組合連合会▼全国国民健康保険診療施設協議会▼日本慢性期医療協会▼地域包括ケア病棟協会—の5団体で構成される「地域医療を守る病院協議会」が12月20日に開いた記者会見で、邉見公雄議長(全国自治体病院協議会会長、赤穂市民病院名誉院長)は、こうした考えを示しました。

ここがポイント!
1 偏在対策が後退し、「非常な憤り」
2 医師偏在の度合い「見える化」は高く評価

偏在対策が後退し、「非常な憤り」
 医師の地域偏在や診療科偏在の是正に向けた対策は、主に、厚生労働省の「医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織、以下、検討会)で検討されています。昨春(2016年)に14項目の対策案が示された後、働き方改革なども踏まえた具体的な議論を行い、今年(2017年)12月18日に「早急に着手すべき対策」を大筋で取りまとめました(第2次中間取りまとめ)。

 14項目の対策案の中には、(a)医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)(b)管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)—も含まれていましたが、「第2次中間取りまとめ」では、(a)の「自由開業の制限など」は、将来に向けた検討課題に位置付けられ、(b)の「管理者としての評価」は、地域医療支援病院の一部に限定して導入することに落ち着きました。

 この点について邉見議長は、「偏在問題には従前から関わっている」とした上で、「非常な憤りを持っている。いつになったら解決するのか」といら立ちを隠していません。邉見議長は、親会議である「医療従事者の需給に関する検討会」の構成員ですが、分科会で決まったものを「医療従事者の需給に関する検討会」で議論するにとどまっている点を指摘。具体的な議論を行う分科会への参画が必要であるとし、「われわれ5団体は、医師偏在に困っている地域の住民の代表である。分科会の構成員としてほしい」と要望していく考えを示しました。

医師偏在の度合い「見える化」は高く評価
 邉見議長は、第2次中間取りまとめの個別項目についてもコメントしています。

 例えば、「都道府県が3か年の医師確保計画を策定し、計画期間中の医師確保数の目標を立て、大学病院・医学部と協力して医師の地域定着策や医師派遣などに取り組む」点については、「都道府県は大学に強く要望できず、実効性が乏しい」と指摘。また、医師確保計画は、PDCAサイクルを回して3年ごとに見直されますが、「誰がチェックをするのか。都道府県自身がチェックするのであれば意味がない」との見方を示しました。

 その一方で、医師偏在の度合いを、▼人口▼患者の流出入▼医師数▼交通アクセス—などのデータから「見える化」する対策については高く評価し、「対策を話し合う者の中で共通認識ができる。議論は進んではいないものの、方向性は良い」と述べました。



http://www.medwatch.jp/?p=17837

新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

2017年12月20日|医療現場から MedWatch

 新専門医制度のスタートによって、地域間・診療科間の医師偏在が助長されないように▼東京都▼神奈川県▼愛知県▼大阪府▼福岡県—の5大都市では専攻医総数の上限を「過去5年の採用実績の平均値を超えない」ように設定することになっている。ただし上限値や採用実績などの詳細が明らかになっておらず、情報公開を日本専門医機構に求めていく—。

12月20日に開催された四病院団体協議会の総合部会で、こういった方針が固まりました。

四病協から、日本専門医機構に「情報公開」求める意見書

2018年度から全面スタートする新専門医制度は、これまで各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指しています。

ただし、「質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域医療に悪影響を及ぼすのではないか。地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘などがあり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省らが重層的に「医師偏在を助長させない仕組み」を設けています(関連記事はこちらとこちら)。

その1つとして「各基本領域学会の5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)のそれぞれにおける専攻医の登録総数は、▽外科▽産婦人科▽病理▽臨床検査—の4領域を除いて、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限値が設けられています(関連記事はこちら)(日本専門医機構のサイトはこちらと)。

すでに2018年度の専攻医募集が始まっており(関連記事はこちら)、12月15日には日本専門医機構から第1次登録の採用数が公表されました(日本専門医機構のサイトはこちら)。19領域全体について都道府県別の採用数を見ると、多いほうから東京都(1756名)、大阪府(619名)、神奈川県(472名)、愛知県(441名)、福岡県(421名)、兵庫県(326名)、京都府(274名)、北海道(260名)などで、上記の5都府県が多いことが分かります。
 
この状況について12月20日の四病協(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)・総合部会では「上限の数値が公表されず、また過去の領域別の採用実績なども明らかになっていない」点が問題視され、四病協として日本専門医機構に情報公開を求める意見書を近く提出する方針が固められました。
同日に記者会見を行った日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)は、「地域間(都道府県間)でバランスのとれた専攻医採用を目指しているが、バランスがとれていない可能性もある。医師の需給にも関連する事項であり、上限値の在り方なども含めて検討していく必要があるのではないか」とも指摘。ただし、すでに募集は始まっており、近く採用が決定する(第1次分は12月15日、第2次分が年明け2月15日)ため、仮に上限値の見直しなどが行われるとしても、2019年度からの専攻医が対象になるでしょう。



http://www.medwatch.jp/?p=17778
地域医療支援病院の承認要件見直しへ議論開始―厚労省・検討会
2017年12月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」は12月15日、地域医療支援病院の承認要件の見直しに向けた検討に着手しました。現行要件は、主に「かかりつけ医との連携体制」などに着目して設定されていますが、「地域医療を支える病院」に求められる役割を見つめ直して、より適切な要件を探っていきます。地域医療支援病院の実態調査を年明けに行い、実態を把握した上で議論を進めます。

ここがポイント!
1 地域医療を支える病院に、どのような役割が求められるか
2 へき地への医師派遣も論点に
3 地域医療支援病院や都道府県の調査を年明けに実施

地域医療を支える病院に、どのような役割が求められるか
 地域医療支援病院は、「医療は、患者に身近な地域で提供されることが望ましい」という観点から、必要な病診連携などを推進する目的で、1997年の第3次医療法改正で創設されました。名称の通り、「第一線の地域医療を担うかかりつけ医」を支援する能力を備えた、原則200床以上の病院を、都道府県知事が承認しています(2016年10月時点で543病院)。

 具体的な役割としては、主に、(1)かかりつけ医から紹介された患者を治療し、治療後には、かかりつけ医に逆紹介する(2)院内の医療機器などを開放し、かかりつけ医らが共同利用できる体制を確保する(3)救急医療を提供する(4)地域の医療従事者に研修を実施する―の4つを担います。これらを踏まえて現在、次のような要件が設けられています。

【1】「紹介率80%超」「紹介率65%超かつ逆紹介率40%超」「紹介率50%超かつ逆紹介率70%超」のどれかを満たす
【2】施設や設備を地域の医師・歯科医師に開放し、共同利用に関わる運営規程を明示するなどして利用を促す
【3】年間救急搬送患者数が「1000人以上」「救急医療圏人口の0.2%以上」のどちらかを満たす
【4】地域の医療従事者に対する研修を年12回以上主催する

 こうした要件は前述のとおり、「地域医療を支える病院には、かかりつけ医を支える役割が必要ではないか」という観点から設定されています。しかし、地域医療支援病院に求められる主な役割が、今なお「かかりつけ医を支えること」であるかは、検討の余地があると厚労省は考えているようです。

 例えば、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、回復期や慢性期の医療ニーズが増大していきます。これからの医療提供体制の整備では、2025年時点の医療ニーズに対応できる体制への再編が重要なテーマとなり、再編後には、異なる医療機能を持つ病床間の連携も強く求められます。

 こうした方向性を踏まえて地域医療支援病院の在り方を考えれば、かかりつけ医との連携だけでなく、「病院同士の連携の評価」も重要ではないかと厚労省は指摘しています。新たな承認要件を固めるために、まずは「地域医療支援病院に求められる連携」を具体化していく必要があります。

へき地への医師派遣も論点に
 加えて厚労省は、「へき地の医療機関への医師派遣」といった観点からも、承認要件の在り方を検討してはどうかと提案しています。

 この点、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」と下部組織の「医師需給分科会」では現在、「医師の地域偏在や診療科偏在の解消に向けて早期に実行に移す具体策」の一環として、「医師派遣機能などを持つ地域医療支援病院に、経済的インセンティブを与える仕組みづくり」が検討されています(関連記事はこちら)。

 より具体的には医師派遣機能のほか、「派遣された医師が診療に不安を感じずに済むように、研修・指導などでサポートする機能」も持つ地域医療支援病院が、経済的インセンティブの対象病院として挙げられています。

 このような、地域医療支援病院が「経済的インセンティブによって評価されるべき医師派遣機能」と、「承認要件として課されるべき医師派遣機能」との関係は、今のところ明らかになっていませんが、今後、両者がリンクする可能性もあります(例えば、年間一定回数以上の医師派遣がインセンティブの要件となり、一定の経過期間を経て承認要件となる)。

 「経済的インセンティブを付与する仕組みづくり」を含む偏在解消策については、地域医療支援病院の承認要件よりも早くから検討されてきており、早ければ12月18日に取りまとめられます。その後の、具体化に向けた議論の行方を注目すべきでしょう。

 ちなみに、医師派遣を実施している地域医療支援病院は現状、少数にとどまります。例えば、地域医療支援病院のうち「へき地医療拠点病院」(へき地の医療確保に取り組む病院)でもある83施設に限って医師派遣の状況を見ても、50施設(60.2%)では派遣実績がありません(医師の派遣日数が「0日」)。地域医療支援病院全体では、派遣実績ゼロの割合がさらに高いと考えられます。

 医師派遣ができない個別の理由は定かでありませんが、医師派遣に関する承認要件を設ける場合には、こうした実情を踏まえる必要があります。また、「医師派遣の実績を承認要件に加えるべきだが、既存の地域医療支援病院がすぐに満たすのが困難」と考えられる場合には、一定の経過措置も求められます。このため厚労省は後述のとおり、地域医療支援病院の実態調査を行う方針です。

地域医療支援病院や都道府県の調査を年明けに実施
 厚労省は、地域医療支援病院数に地域格差があることや、上記4つの役割の実績に差(病院間格差)が見られる点も論点に挙げています。前者については、二次医療圏ごとの地域医療支援病院数を見ると、大阪府の「大阪市医療圏」(12病院)や兵庫県の「神戸医療圏」(11病院)、福岡県の「福岡・糸島医療圏」(同)など6医療圏で10病院以上が承認されている一方で、1病院もない医療圏が、全医療圏の32.3%(111医療圏)を占めます。

 そもそも地域医療支援病院には、「全医療圏に1つ以上必要」のような整備目標がありません。地域に医療を確保する上で必要な場合に、都道府県が独自に「地域医療支援病院を設置する目標」を医療計画の中で掲げることになっており、例えば長野県や静岡県が具体的な目標を設定しています。

 長野県では、「地域医療支援病院がある二次医療圏数」(現状は10医療圏中7医療圏)を、今年度(2017年度)末までに増やす目標を掲げています。しかし、地域医療支援病院がない医療圏は、中山間地域などに位置します。そもそも医療機関の数が少ないために病診連携が行われず、紹介率・逆紹介率の低さが、承認する上でのネックになっています。

 そこで山本英紀構成員(長野県健康福祉部長)は、「中山間地域等に限り、病院が救急医療を実施していれば、紹介率の要件を満たさずとも地域医療支援病院として取り扱ってはどうか」などと提案。また、地域医療支援病院に関する意見を、他の都道府県からも募ってほしいと要望しています。

 一方、後者の病院間格差は、地域医療支援病院が都道府県に毎年提出する業務報告書である程度把握できています。ただし、実際に果たしている「医療機能や地域での役割」までは分からず、厚労省は、地域医療支援病院に対するアンケート調査を、年明けに実施し、実態把握を目指す方針を示しています。



http://www.medwatch.jp/?p=17769
療養病棟の死亡退院率を「半減させよ」―日慢協・武久会長
2017年12月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床が持つ医療機能を、「急性期」「地域包括期」「慢性期」の3つに分類し、どの病床でもリハビリテーションを充実させるべきである。また「慢性期」の機能を有する療養病棟では、治療による在宅復帰を増やすなどして、死亡退院率を半減させる必要がある―。

 日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は、12月14日に開いた定例記者会見でこのような提言を行いました。

ここがポイント!
1 病床の医療機能を3つに分け、「急性期」は高度急性期と広域急性期のみに
2 療養病棟と介護医療院の両方を持つ病院は、多様な患者ニーズに対応しやすい
3 急性期病棟では看護配置を緩める分、看護補助者を厚く配置してはどうか

病床の医療機能を3つに分け、「急性期」は高度急性期と広域急性期のみに
 病床が持つ医療機能は現在、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つに分類されています。2014年6月公布の「改正医療法」(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)で、「地域医療構想」や「病床機能報告」を導入するに際して採用された分類方法です。それぞれ、次のような機能を指します。

【高度急性期】急性期の患者の状態を安定化させるため、診療密度が特に高い医療を提供する
【急性期】高度急性期以外で、急性期の患者の状態を安定化させるために医療を提供する
【回復期】急性期を経過した患者に、在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する
【慢性期】長期療養が必要な入院患者を受け入れる

 各都道府県の地域医療構想には、「2025年時点の医療ニーズに見合う医療機能別の病床数」(必要病床数)を、地域ごとに推計した結果が盛り込まれています。これが、いわば「2025年における入院医療提供体制像」に当たります。

 一方で、入院医療機関は毎年度、自院が担う医療機能を病棟ごとに選んで都道府県に報告しています(病床機能報告)。この報告結果から「地域の医療提供体制の現状」を把握し、「2025年における入院医療提供体制像」に近づけていくことが求められていますが、武久会長は、医療機能を4つではなく、(1)急性期(2)地域包括期(3)慢性期—の3つに分類してはどうかと指摘しています。

 いわば、病床機能分類の日慢協案を示したわけですが、この中で(1)の「急性期」病床は、「高度な医療機能を提供する」「県全域から急性期患者を集めて治療する」ような役割を持ちます。武久会長は、こうした機能の病床を持つ病院が、二次医療圏ごとに1―2つくらい必要だと言います。

 一方、(2)の「地域包括期」は、「近隣の急性期患者を治療する『地域急性期機能』」や「急性期治療後の患者に、在宅復帰に向けたリハビリテーションを提供する機能」を含みます。 いわば、現在の4機能分類における「急性期」の一部と「回復期」を統合させたイメージ です。

 「地域包括期」という言葉は聞き慣れませんが、武久会長は、「回復期」という医療機能を設けると、さまざまな弊害が生じるために「地域包括期」を採用したとコメントしています。例えば、「回復期」はリハビリテーションを連想させる言葉であることから、「回復期機能以外の病床ではリハビリテーションをしなくてもよい」という誤解が生じるかもしれません。本来は「急性期」や「慢性期」の医療機能を担う病床であっても、患者の心身機能の改善に向けたリハビリテーションに取り組むべきだと武久会長は主張します。

療養病棟と介護医療院の両方を持つ病院は、多様な患者ニーズに対応しやすい
 (3)の「慢性期」は、「高齢患者らが急性増悪を起こした際に受け入れ、治療して在宅復帰させる」療養病床などの機能です。「高齢患者らを看取りまで長期入院させる」機能は含まれず、そうした機能は、医療・介護の複合的ニーズに対応できる新たな介護保険施設の「介護医療院」(2018年4月創設)に委ねるべきだといいます。

 この点、厚労省が行った病棟単位の実態調査(2016年度の入院医療等の調査)では、現状、「療養病棟 に入院していた患者が入院中に亡くなった割合」(死亡退院率)は40.1%で、7対1病棟(3.4%)や地域包括ケア病棟・病室(3.2%)と比べて高いことが分かっています。
療養病棟に入棟した患者の死亡退院率は40.1%で急性期の病棟等と比べて高い。武久会長は、自宅等へ退院する患者を増やすなどして半減させるべきだと主張した


 一方、療養病棟に入院した患者の半数超(53.5%)は「自院・他院の7対1病棟から転棟・転院した」患者であり、自宅から直接入院した患者は1割程度(11.0%)です。これらを踏まえて「療養病棟で亡くなった患者像」を推測すれば、「急性期の治療が終わったが、在宅復帰するには医療ニーズが高過ぎるため、亡くなるまで長期入院する」患者が多く、「在宅療養中に急性増悪を起こし、療養病棟に入院して治療を受けたが亡くなった」患者も一部いると考えられます。
 武久会長は、こうした療養病棟の状況を改めて、「急性増悪を起こした慢性期患者を治療して、状態を軽快させ、在宅復帰させる」比率を高めていくことで、死亡退院率を半減させるべきだと強調しています。

 半減は高いハードルにも感じますが、池端幸彦副会長は、「例えば、一部の療養病棟を介護医療院に転換させ、一つの病院の中にある療養病棟と介護医療院の役割を分ければ、多様な患者ニーズにバランスよく対応できる」との考えを示しています。

急性期病棟では看護配置を緩める分、看護補助者を厚く配置してはどうか
 また武久会長は、急性期病棟 での「看護職員と看護補助者との役割分担」を、さらに進めていく必要性も指摘しました。

 現在、急性期患者を受け入れる7対1病棟では、専門的なケアが必要だと考えられることから、「看護職員を1日平均して患者7人に対して1人以上配置」した勤務体系を毎月組んでおり、そのためには「患者1.4人に対して1人以上」の看護職員を確保する必要があります。

 ただし、7対1病棟に入院する急性期患者の5割近くは75歳以上の高齢者で、おむつ替えなどにもマンパワーが必要です。そうした業務は看護の専門性を必ずしも必要としませんが、ほかに対応する人がいなければ看護職員が対応せざるを得ません。一方で、看護職員と看護補助者の両者を厚く配置する病棟では、役割分担が図られ、看護職員は専門性を生かす業務に専念できます。

 これを踏まえると、「看護配置7対1で、看護職員がおむつ交換なども行う病棟」と「看護配置は10対1や13対1だが、おむつ替えなどは看護補助者が担当する病棟」では、看護の専門性を生かしたケアが、同程度提供されるかもしれないと武久会長は指摘。少子高齢化の進展に伴い、「介護ニーズを持つ高齢患者の増加」と「若い働き手の不足」が並行して起こっていることも踏まえて、「専門職が、専門性を生かす業務に専念するための役割分担」を一層進めるべきだと訴えています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/575347
地域医療支援病院、果たして必要か、議論本格化
特定機能病院の承認要件、再び承認


レポート 2017年12月16日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月15日、地域医療支援病院の承認要件見直しの議論を本格化させた。社会保障審議会医療部会で、確認を求められた特定機能病院の承認要件については、事務局がこれまでの議論を改めて整理することで了承した。

 地域医療支援病院は1997年の第3次医療法改正で創設。承認要件を(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)医療機器の共同利用の実施、(3)救急医療の提供、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――としており、診療報酬では入院初日の地域医療支援病院入院診療加算(1000点)として評価している。

 事務局は現状を

・年々増加傾向にあるものの、所在しない医療圏も3分の1程度存在している。
・承認要件に対する病院の取組状況は、項目や病院によってばらつきがある。2014年度時点で、定量的な承認要件を満たしていない病院が一定程度見られた。
・提出される業務報告書のみでは、医療機能や地域における役割を把握することは難しい。

として、以下のように議論の方向性(案)を提示した。

・医療計画や地域医療構想等の制度動向を踏まえ、地域医療において地域医療支援病院が果たす役割や位置づけについて、どのように考えるか。
・地域医療支援病院の機能を強化していくためには、承認要件をどのように見直したら良いか。
例えば
 ・へき地の医療機関への医師派遣実績の評価
 ・専門医、総合診療医の養成
 ・病病連携等の評価 等
・地域医療支援病院の業務報告書のみでは、地域医療支援病院の医療機能や地域における役割を把握することは困難なことから、承認要件の見直し検討に資する基礎データを入手することを目的として、実態調査をしてはどうか。

 業務報告書やDPCデータを使った地域医療支援病院に関する研究をしている東京医科歯科大学教授の伏見清秀氏は参考人として出席、中間報告を行った。DPCデータからは、地域医療支援病院の「在院日数」「救急搬送率」などが、その他の病院よりも高いことなどを報告した。委員からは、救命救急センターや地域癌診療連携拠点病院が含まれていることから、より詳細な分析が必要との指摘や4機能を併せ持つことのシナジー効果を明らかにしてほしいと要望があった。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「医療法上、地域医療支援病院という類型を設ける必要がないという意見。個別に診療報酬上の評価をすれば良く、一体的に評価して、1000点もの報酬を付けるのはラフなやり方だと思う。2次医療圏で10以上ある場所もあればないところもあるのは、配分として適切でないと思う」と指摘した。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、自身の病院が地域医療支援病院であると断った上で、「制度創設時は、外来において、病院と診療所の役割分担をしようと始まった。外来の問題なので、DPCを分析しても分からない。紹介率の要件は厳しかったが、これによって(役割分担が)相当できてきたと考えている」と述べた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は「地域医療支援病院がどのような役割を果たすかは、地域医療構想調整会議のど真ん中の議論。それを全国に一律に議論するのは違和感がある。みなさんはどうお考えか」と問題提起した。

 自治医科大学地域医療学センターのセンター長の松村正巳氏は、自治医大卒業生が働く診療所がかつての230施設程度から200施設を切っているなどの事例を挙げながら、地域の医療事情が大きく変化してきていると説明。「(紹介、逆紹介をする)診療所の数が減ってきており、地域ごとの手当てをすべき」、 筑波大学附属病院病院長の松村明氏は「近隣の関連病院を見ていると、がん、救急でかなり性格が違う。4機能を一体にするのはどうなのかと思う」と述べた。

 相澤氏は「介護と医療を総合的に見ることが地域医療の支援をする病院ではないか。手術や救急で評価するのはもう十分では」と提案。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「大賛成。私たちの団体も地域包括ケア支援病院を制度として提案している」と応えた。

 遠藤座長は「地域医療支援病院の在り方は多様な議論ができる。じっくり議論していきたい」と締めくくった。

特定機能病院の取りまとめ、再び了承
 11月30日の検討会後に取りまとめた「特定機能病院の承認要件」に関しては、12月6日の社会保障審議会医療部会で再度の確認が求められていた(11月30日の議論は『「第三者評価の受審」、特定機能病院の承認要件にすべき?』を参照)。事務局は指摘事項と対応の考えを以下のように整理した。

・開設者と管理者の関係、管理者と医学部(教授会)の関係について明確化すべきでは
 ⇒今回の改正においては、開設者と管理者の権限を明確化するとともに、管理者の選任方法を透明化し、開設者と管理者の関係について、整理を行ったところ。医学部(教授会)との関係についても、必要に応じて、これらの対応の中で整理されるものと考えている。

・管理者が有する人事・予算権限について、具体的に明示すべきではないか
 ⇒管理者が有する権限を一律に定めることは、法人の形態が異なり困難である。しかしながら、管理者が必要な指揮力を発揮し、医療安全等を確保できるよう、必要な権限を有するべきである旨、通知で明示することとする。

・ガバナンス改革が適切に行われるよう、改革の状況について確認が必要では
 ⇒まずは、各病院の取組について、毎年病院から提出される業務報告書や、年に一度以上の立入検査時に、確認することとする。今後、状況を整理した上で、社保審医療部会へ報告する。

 幾つかの質問の後、再び了承を得た。



https://www.m3.com/news/general/576219
当直の医師は働いてはいけない?!田村編集委員の「新・医療のことば」
2017年12月21日 (木)配信読売新聞

 「病院の当直医」という言葉に、どんなイメージをお持ちですか?

 「救急車の到着に備え、一晩中診察室で待機」

 「入院患者の容体が急変すると、直ちに駆けつける」

――なかなか睡眠など取れずに診療に追われる医師の姿を想像する人が多いのではないでしょうか。

 研修医の過労自殺が相次いで明るみに出て、長時間労働の是正が医師にも求められています。その際、しばしば問題になるのが、一般的に使われる病院の「当直」(いわゆる泊まり勤務)の実際と、法律上の規定とのズレです。

病院の「当直」≠労基法の「宿直」
 私たちの働き方を定めている法律は、労働基準法(労基法)です。労基法の中には、「当直」という言葉はありません。夜の泊まり勤務は「宿直」、日曜日などの休日勤務は「日直」と言われます。

 医師も労働者であり、労基法の適用を受ける――との考え方は、裁判の判例などを通じて定着しつつあります。

 1日8時間、週40時間という法定労働時間や、時間外労働(残業)時間の制限などの規定のほかに、労基法は残業時間に含まれない勤務として、「宿直」と「日直」を認めています。

 この「宿直」や「日直」は、ほとんど働かずに過ごすのが条件です。労働基準監督署が認めた場合に限り、宿直は週1回、日直は月1回を上限に許可されます。

 「当直」の医師が、日中と同じくらい忙しく働いていたら、労基法上は「時間外労働」ですので、その分の割増賃金も生じますし、残業時間の制限にも関わります。

 日常的に、寝る暇もなく診療にあたっているのなら、それは「宿直」ではありません。労基署が、こういうケースで病院側に未払い賃金の支払いを命じるニュースは、よく目になさっていると思います。

「寝当直」や「連直」も
 医療法は、病院の管理者が入院患者の急変などに対応できるよう「宿直」をおくよう、義務づけていますが、その働き方については規定していません。でも、実態は、一般に言う当直です。このように「宿直」という言葉の意味が、労基法と医療法で異なるというのが、話をややこしくしている一因でもあります。

 さて、宿直は、病院の種類や規模に関係なく義務づけられていますが、現場の忙しさはピンきりです。その実態を裏返した形で教えてくれるのが、業界用語の「寝当直」です。

 寝当直は、急患を受けない慢性期の病院などの、夜中に起こされる可能性の少ない病院での宿直を指す言葉です。本来の「当直」はぐっすり寝てなんかいられない、ということになりますね。

 常勤医の少ない小規模病院の多くは、「当直」にアルバイトの医師を雇うとされます。かつて、バイトの研修医による当直が安全面から問題になったことがありました。これは、2004年に初期研修の義務化に伴い、研修期間中に十分な収入を保証することと引き換えに禁止されました。

 最後は、「連直」という言葉です。「2日続けての当直」を意味します。

 「大学病院の給料だけでは足りないから」と、バイト先の病院で土日をぶっ通しで泊まる医師の話を聞き、月曜日の手術は大丈夫なのか、と心配になったことがあります。

「医師の偏在」問題とも直結
 「当直」の実態は、労基法上の「宿直」と必ずしも一致しない。かといって、それを実態に合わせて労働時間とみなせば、賃金の支払いも増える。新たに医師を雇う必要があるが、財政的にも医師不足の面からも、増やすに増やせない……。地方の病院からはこういったジレンマを嘆く声が聞こえてきます。

 24時間対応の救命救急センターには、日勤、夜勤の交代勤務を導入しているところもあります。しかし、診療態勢を維持するには、これまでよりも多くの医師が必要です。

医師の働き方改革は、地域や診療科によって医師の数に格差がある「偏在」の問題と切り離して考えることはできないのです。 (田村良彦 読売新聞東京本社編集委員)



  1. 2017/12/23(土) 11:31:31|
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12月16日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/575228
中央社会保険医療協議会
麻酔科医、「常勤」を高く評価
日医今村氏、「やむを得ず非常勤活用」

レポート 2017年12月15日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 外部から派遣される非常勤の麻酔医の活用が広がっていることについて、厚生労働省は12月15日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に常勤の麻酔医への評価を充実させることを提案し、了承を得た。日本医師会副会長の今村聡氏は、「業者から派遣される麻酔科医への高い対価が負担になっている。医療の質、安全の面からも問題だ」と述べ、手術前も含めた医学管理を含めて常勤の麻酔医を重視する方向性を歓迎した(資料は厚労省のホームページ)。

 厚労省が提示した論点と、委員の主な意見は次の通り。

・麻酔科においては、外部から派遣される医師の活用が進んでいる一方で、その課題も指摘されている。また、麻酔科における診療の質を高める観点からは、
(1)手術前後も含めた総合的な医学管理
(2)院内における他の診療科および他職種との連携
の視点からの診療をより推進すべきと考えられる。

・これらを踏まえ、常勤の麻酔科医による総合的な医学管理をより重視するよう、麻酔科の診療に係る評価の在り方を見直してはどうか。

今村氏:方向性に賛成する。本来的には質、安全性を考えると常勤医が麻酔をするのが望ましいが、やむを得ず非常勤を活用している。麻酔科医は比較的増えているが、女性が多いことや、対象疾病が多い事から、医師不足感が強い。

 麻酔科医は術前にどういう麻酔を使うか、どう管理するかなどプランを作って麻酔に臨むものだ。術前の管理を見直す方向は大事だ。外部からの麻酔科医を使うにしても、病院のネットワークの中の麻酔科医と、業者からの派遣では違う部分もある。切り分けるのは難しいが、検討してほしい。

全日本病院協会会長・猪口雄二氏:大学病院でも40%が外部の麻酔科医を使っている。不足しているのは明らかだ。中小の病院では常勤の麻酔医を雇うのは厳しい。非常勤の麻酔科医と、手術をする医師の連携も大切だ。



http://www.medwatch.jp/?p=17742
麻酔科医の術前術後管理の重要性を勘案し、麻酔管理料の評価充実へ―中医協総会 第379回
2017年12月15日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 麻酔科医において、術中の管理はもとより、「術前術後の総合的な医学管理」や、「執刀医を含めた他職種、さらには他診療科との連携」も極めて重要であることから、2018年度改定において「常勤の麻酔科医による総合的な医学管理」を重視すべき、手厚い評価を行ってはどうか―。

 12月15日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、こういった方向が概ね了承されました。常勤の麻酔科医配置を施設基準に据えている【麻酔管理料】の評価充実などが予想されます。

 また、がん患者の主治医が、産業医からの助言を踏まえて治療計画の見直しや再検討を行うことを評価する新点数の創設も行われます。

ここがポイント!
1 術中の麻酔管理だけでなく、術前術後の医学管理、執刀医との連携なども重視
2 がん治療の主治医、産業医の助言踏まえた「治療計画の修正・再検討」を評価
3 かかりつけ医からかかりつけ薬剤師への患者情報提供、診療報酬で評価すべきか

術中の麻酔管理だけでなく、術前術後の医学管理、執刀医との連携なども重視


医療現場においては「麻酔科医の不足、確保の難しさ」が大きな課題となっています。一般病院の6割、大学病院でも4割の施設で「外部からの麻酔科医」を要請していることが、日本麻酔科学会の調査で明らかになっています。

(図 略)
一般病院の6割、大学病院の4割で外部に麻酔医を要請しており、高額な報酬を支払うケースも少なくない
 
こうした「外部からの麻酔科医」には、▼要請しても常に来てもらえるわけではない▼謝金が高額である—などの問題点が指摘されており、一般病院では「1日当たりに換算して20万円」という高額な謝礼を支払うことで、どうにか麻酔科医を確保しているところもあります。この背景の一つに、「フリーランスの麻酔科医」の存在が指摘されます。特定の病院に所属せず、手術の都度に業務医薬契約を結ぶなどし、麻酔業務のみを行う医師のことです。

(図 略)
外部からの麻酔医には、さまざまな課題がある
 
ところで、麻酔科医の業務は「術中の麻酔」以外にも、「術前・術後の総合的な管理」や、「執刀医を含めた他職種・他診療科との連携」などさまざまありますが、外部からの麻酔科医では、こうした業務を円滑に行うことは困難です。診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「例えば、患者の身体状況などを勘案して、術前に、『どういった麻酔が最適か』『トラブルが発生した場合にどのように対応するか』など計画することが麻酔科医には求められる」点を強調しています。
厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は、こうした状況を踏まえ、「麻酔科医の診療の質を高めるためには、▼術前・術後の総合的な医学管理▼執刀医を含めた他職種・他診療科との連携—と言う視点に立った診療を推進する必要がある」との考えを明示。こうした総合的な診療は、「常勤の麻酔科医」でこそ十分に行うことが可能であることから、「常勤の麻酔科医による総合的な医学管理をより重視するよう、麻酔科の診療に係る評価の在り方を見直す」考えを提示しました。

具体的な点数設計は年明けの議論を待つ必要がありますが、例えば「常勤の麻酔科医配置」が施設基準に盛り込まれているL009【麻酔管理料(I)】とL010【麻酔管理料(II)】の点数を引き上げることなどが考えられそうです(管理料(I)は「常勤の麻酔科医が麻酔前後の診察を行い、かつ常勤の麻酔科医が全身麻酔などを行う」ことを、管理料(II)は「常勤の麻酔科医の指導の下で、麻酔担当医が麻酔前後の診察を行い、全身麻酔などを行う」ことを評価する)。

(図 略)
麻酔管理料では、常勤麻酔医の総合的な医学管理などを評価している
 
この見直し方向を診療側・支払側委員ともに支持しました。ただし、診療側の今村委員からは「派遣業者に麻酔医派遣を要請している場合と、医療機関ネットワークを組み、その中で他医療機関に麻酔医派遣を要請する場合とで、状況は異なると考えられ、評価も切り分けてはどうか」との、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)からは「中小病院では常勤麻酔医の確保は難しい。適切なルートで麻酔医の派遣を受けることを前提として、非常勤の麻酔科医と執刀医とが連携して、術前・術後の医学管理を行うことも評価してはどうか」との要望が出されています。年明けの点数設計論議の中で、どのように調整されるのか、注目する必要があるでしょう。

がん治療の主治医、産業医の助言踏まえた「治療計画の修正・再検討」を評価

 医学・医療の進歩により、がんの5年生存率・10年生存率は高まっています。このため「仕事を辞めずに治療を継続する」ことが重視されています(治療と仕事の両立)。しかし、がんと診断されただけでも「死」を意識したり、治療で仕事を中断せざるを得ないことへの職場の理解不足などもあり、「治療と仕事の両立」はまだ難しいのが実際です。

厚労省は、こうした状況の改善を目的に、昨年(2016年)2月に「事業上における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表。そこでは、企業に▼両立支援に関する意識啓発(同僚の理解が重要)▼相談窓口の明確化▼休暇や短時間勤務制度—などの環境整備を進めることや、主治医からの「治療と仕事の両立に向けた意見書」(●●の症状が出るので上司は配慮すべきなど)や、職場の産業医の意見などをもとに、事業主が「就業上の配慮」を行うことなどを求めています。

(図 略)
「事業上における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の概要(その1)

(図 略)
「事業上における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の概要(その2)
 
迫井医療課長は、この「治療と仕事の両立」を医療保険でもサポートする必要があるのではないかと考え、次のような「主治医と産業医との一連の連携」を診療報酬で評価する考えを示しました((1)から(3)のすべてがなされた場合にのみ診療報酬を算定できる)。
(1)主治医が、患者を通じて「文書で診療情報」を産業医に提供する
(2)産業医は、患者を通じて、就労状況を踏まえた「治療継続のための助言」を主治医に提供する
(3)主治医が、産業医からの助言を踏まえて、治療計画の見直しや再検討を行う

(図 略)
主治医と産業医の「連携」を評価する仕組み
 
 「治療と仕事の両立」は、さまざまな傷病で問題となりますが、医療保険でサポートするべきは、▼治療継続が生命予後に大きく影響する▼治療継続のために就労上の配慮が必要である▼就労継続のために治療上の配慮が必要である▼職業病や作業関連疾患でない―などの要件を満たす疾患に限るべきでしょう(例えば「過労で精神疾患を患った」ような場合には、配慮が必要ですが、労働災害保険でサポートされる)。迫井医療課長は、「2018年度改定では、まず『がん』を対象疾患とする」考えを明確にしています。今後、運用状況を見ながら、対象疾患の拡大について2020年度改定以降に検討されることになります。

(図 略)
主治医・産業医連携が評価される対象疾患について、当面は「がん」に限定
 
 こうした提案を、診療側・支払側委員は強く支持。2018年度改定で新たな診療報酬項目が創設されることになりますが、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、早くも具体的な点数設計を見据え「厚労省ガイドラインの遵守を要件に据えてはどうか」と提案しています。
ところで、(1)から(3)の連携では「主治医」と「産業医」のみが対象となっていますが、小規模な企業などでは産業医配置がないところも少なくありません。将来的に「小規模事業場への産業医配置の拡大」が重要となってきます。

(図 略)
50人未満の規模の事業場には産業医配置が義務付けられていない
 
また、主治医とは「当該がん患者の治療責任者」を意味すると、厚労省保険局医療課の担当者は説明しています。治療医療機関の設備や患者の希望などを踏まえ、「手術と放射線治療は高度な設備を有するA病院で受け、外来化学療法は通いやすい近隣のB病院で受ける」というケースもあります。しかし、A病院の治療とB病院の治療がまったく別個に行われるものではなく、通常、治療責任者は1人となり、この医師が産業医と連携した場合に診療報酬で評価されることになります。
なお、(1)の「主治医意見書の産業医への提出」だけでは、当該費用は「療養の給付と直接関係ないサービス等」として、全額患者負担となる点に留意が必要です。

 
 ところで、指定難病である▼スティーブンス・ジョンソン症候群(告示番号38)▼中毒性表皮壊死症(同39)—に対する「治療用コンタクトレンズ」治療の保険収載も了承されています。具体的には、当該コンタクトレンズ装用に必要な個別眼科学的検査の報酬算定を2疾病でも認めることとし、コンタクトれンスの費用は療養費の支給対象となります。

かかりつけ医からかかりつけ薬剤師への患者情報提供、診療報酬で評価すべきか

 このほか12月15日の中医協総会では、次のような項目も議題にあがりました。委員からは否定的な意見が強く出されています。

▼かかりつけの医師が、患者の診療データなどをかかりつけ薬剤師に提供することを診療報酬で評価すべきか
→支払側委員は厳格な要件を付与することを条件に、評価に理解を示したが、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や島弘志委員(日本病院会副会長)、今村委員らは「医薬連携は進めるべきだが、薬局で患者データをもとにした不要な保険外商品の勧めなどがなされる危険が高い。医療機関から薬局に直接提供するような信頼関係は醸成されていない」と猛反発

▼外来受診患者の多岐にわたる相談・要望に対する支援について診療報酬で評価すべきか
→診療側の猪口委員は「相談に真摯に文書で回答する」ことは評価に値するかもしれないと一定の理解を示したが、支払側の平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「診療報酬での評価となれば医療関連の相談に限定されるだろう。それでは他の相談内容が切り捨てられないか」と懸念を示した

▼「個人の病理医」と連携した病理診断を診療報酬上、認めるべきか
→支払側・診療側の双方が「検査の質の確保」「責任所在の明確化」などの観点から明確に反対した(関連記事はこちら)



https://www.m3.com/news/iryoishin/575090
70.6%が専門医 取得、総合内科専門医が急増
2016年医師・歯科医師・薬剤師調査、女性医師21.1%に増加
レポート 2017年12月15日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省が12月14日に公表した「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」で、医療法上で広告可能な専門医を取得している医師は、70.6%に達し、前回調査(2014年)の56.9%から約10ポイント上昇したことが明らかになった。特に総合内科専門医が6858人増と大幅に増加した(資料は厚労省のホームページ)。

 調査は医師法6条に基づき、厚労省が2年ごとに行っている。2016年12月31日時点での全国の届出「医師数」は31万9480人で、男性が25万1987人(78.9%)、女性6万7493人(21.1%)だった。女性医師は2014年比で8275人増加した。人口10万人当たりの医師数は251.7人で、6.8人増えた。

 医療法上は計56の専門医を広告可能としており、取得していない医師は2014年の12万7932人(43.1%)から2016年は11万9964人(39.4%)に減少していた。専門医取得状況の内訳を見ると、最も多いのは総合内科専門医で2万2522人。2014年から6858人増加していた。新専門医制度開始に向けて、2014年度から認定内科医から総合内科専門医への移行措置が始まったことが増加につながった背景にあるとみられる。

 次いで専門医数が多いのは、外科専門医で2万1168人(2014年比773人増)、消化器病専門医1万7814人(同1443人増)、整形外科専門医1万6 463人(同1094人増)、小児科専門医1万3551人(同1057人増)だった(2つ以上の資格を取得している場合は、それぞれで集計)。男女別では、男性では外科専門医が医師総数の8.1%、女性では小児科専門医の7.1%が、それぞれ最多だった。

 医療施設の従事者は30万4759人。男性78.9%、女性21.1%で、女性は2014年よりも0.7% 増加している。勤務先別では「病院(医育機関附属の病院を除く)」が14万7115人、「診療所」10万2457人、「医育機関附属の病院」5万5187人だった。

 平均年齢を見ると、病院と診療所を合わせた全体では49.6歳で2014年よりプラス0.3歳。病院全体では44.5歳。医育機関附属の病院では38.8歳、それ以外の病院では46.7歳と7.9歳の差がある。診療所の平均年齢は59.6歳だった。

 「従事する主たる診療科」では、最も多いのは内科20.0%。次いで整形外科7.0%、小児科5.6%だった。男女別の内訳では、男性は内科(21.2%)、整形外科(8.4%)、外科(5.6%)、女性は臨床研修医(8.4%)が最多で、内科(15.5%)、小児科(9.0%)、眼科(7.8%)となっている。主たる診療科別に平均年齢を見ると、肛門外科が58.5 歳と最も高く、臨床研修医を除くと、救急科が41.4歳で最も低くかった。

 本調査では不足が指摘される診療科の医師数の年次推移を分析しているが、小児科は1994年以降一貫して増加しており2016年は1万6937人。産婦人科・産科は2006年の1万74人を底に1万1349人まで増加している。外科も2006年の2万6470人を底に2万8012人になっている。



http://www.medwatch.jp/?p=17724
医師偏在対策の「管理者要件化」、このままでは実効性なくなる―全自病・邉見会長
2017年12月14日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在対策の一案として挙がっていた「医師不足地域で勤務した経験を医療機関の管理者要件とする」方策について、後退してきている。このままでは、実効性が全くなくなってしまう―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、12月14日の定例記者会見で、このような危機感を改めて示しました。医師偏在対策については、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」と下部組織の「医師需給分科会」が12月18日に合同開催され、「早期に実行に移す具体策」が取りまとめられる見通しですが、邉見会長は、「このままでは、医師不足でお産ができない、手術が受けられない地域が増えてしまう」と警鐘を鳴らしています。
12月14日に記者会見を行った全自病の役員ら。向かって左から、原義人副会長(青梅市病院事業管理者兼青梅市立総合病院長)、中島豊爾副会長(岡山県精神科医療センター理事長兼名誉院長)、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)、小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)、末永裕之参与(小牧市病院事業管理者)
12月14日に記者会見を行った全自病の役員ら。向かって左から、原義人副会長(青梅市病院事業管理者兼青梅市立総合病院長)、中島豊爾副会長(岡山県精神科医療センター理事長兼名誉院長)、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)、小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)、末永裕之参与(小牧市病院事業管理者)
 医師の地域・診療科偏在の是正に向けては、「医療従事者の需給に関する検討会」と「医師需給分科会」が昨年(2016年)6月3日、「特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所等の管理者の要件とすることが考えられないか」と問題提起(関連記事はこちら)。この案は、医師に対して、「医師不足地域などで勤務しておけば、将来、管理者になりやすい」というインセンティブを与えることで、医師不足の地域・診療科での勤務を促せないかとの観点に基づくものです。
 こうした問題提起を基に、医師需給分科会で具体的な検討が進められ、今年(2017年)11月8日には、厚生労働省が、「医師少数区域」(全国的に見て医師が不足しているエリア)で一定期間勤務した医師を「認定」し、何らかのインセンティブを与える制度を設けてはどうかと提案(関連記事はこちら)。さらに11月22日、▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)が開設する病院―を挙げ、これらの「一部」を対象に、管理者が「認定」を受けていることを評価してはどうかと提案しました(関連記事はこちら)。

 こうした提案を、そもそも問題提起された「診療所等まで含めた管理者要件化」と比べると、対象医療機関の範囲は限定されています。また、「評価する」という表現は難解ですが、「認定を受けていなければ管理者になれない」とする(要件化)考え方から、「認定を受けた医師が管理者になるのが望ましい」とする考え方まで、幅広い内容が含まれているようです。

 しかし、こうした案に「医師自らの意に反して地方での診療を促す仕組みで、医師本人に不利益だ」と慎重な姿勢を示す構成員もおり、医師需給分科会が12月8日に大筋で取りまとめた「早期に実行に移す具体策」では、管理者が「認定」を受けたことを評価する対象医療機関が、「地域医療支援病院の一部」とさらに限定されています(関連記事はこちら)。

 地域医療支援病院は全国に543病院(2016年10月時点)あり、全病院(8442病院)の6.4%に当たります。邉見会長は、このままでは「早期に実行に移す具体策」が行われても、医師の地域偏在を解消できないと主張。「私たちは“旗”を下ろさない」と述べ、医師不足地域で勤務した実績を、より広範な医療機関の管理者要件とするよう今後も主張していく考えを強調しています。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2464222014122017CR8000/
医師数の地域格差2倍、徳島が最多 2016年末時点
2017/12/14 18:49 日本経済新聞

 人口10万人当たりの都道府県別の医師数の地域差が、2016年末時点で最大約2倍だったことが14日、厚生労働省の調査で分かった。人口増減の差が地域によって大きいことや、医師がどこでも開業できる「自由開業」などが要因とみられる。14年からやや改善したとはいえ、地域差がある実態が改めて浮き彫りとなった。厚労省は医師派遣などの対策をまとめ、医療法や医師法の改正案を来年の通常国会に提出する方針。

 厚労省が発表したのは「医師・歯科医師・薬剤師調査」で、2年ごとに実施している。医師数は31万9480人(前回比2.7%増)で過去最多を更新した。

 調査によると、都道府県別の人口10万人当たりの医師数で最も多かったのは徳島県(315.9人)。これに対し、最も少なかったのは埼玉県(160.1人)で、両県の地域差は1.97倍だった。14年は2.02倍だった。

 厚労省は要因を分析していないが、全国の医師数は増えているものの都市部の人口増加に追い付かず、地域格差が大きくなっているとみられる。

 医師数の地域差があると、特定の地域で医療が受けにくくなる恐れもある。厚労省は一定規模の病院で院長になるための基準の一つとして医師不足地域での勤務経験を有することを求める。さらに、大学病院などから医師派遣などの偏在対策を勧める計画策定も都道府県に義務付ける方針という。

 厚労省の担当者は「住民が医療を受けられなくなる事態を防ぐため、解消する対策をまとめ、実行していきたい」としている。



https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20171213_7
県北、沿岸勤務を義務化 本県奨学金養成医師
(2017/12/13) 岩手日報

 本県の奨学金養成医師の配置調整を担う配置調整会議(座長・小林誠一郎岩手医大副学長)は、2021年度以降に義務履行が始まる奨学生医師に対し、履行期間中に県北、沿岸地域での勤務を義務付ける方向性を固めた。慢性的な医師不足は全県の課題で、県北、沿岸部と県央、県南部の医師の地域偏在も生じている。現在配置されている養成医師25人の内訳は19人が内陸、6人が県北・沿岸と地域差があるのが実態。計画的な人員配置が診療体制維持の一助となることが期待される。

 該当の奨学金を借りている現在5年生の医学生から適用。配置ルールによると、6~9年の義務履行期間中はおおむね2年単位で規模の大きい基幹病院や、中小規模の病院で勤務する。対象者には、いずれかの期間で県北、沿岸地域での勤務を義務付ける。

 奨学生医師の配置調整に関する基本方針に医師不足が深刻な沿岸等を優先する理念が盛り込まれており、取り組みを具体化。地域と関わり魅力を感じてもらうことで、義務履行後の定着につなげたい考えだ。



http://www.medwatch.jp/?p=17607
地域医療支援病院、医師派遣機能などに応じて経済的インセンティブ付与―医師需給分科会
2017年12月12日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療支援病院のうち、医師派遣機能やプライマリ・ケアの研修・指導体制などを有する病院に対して経済的インセンティブを与える。この病院の管理者(院長)が、幅広いマネジメント能力の一環として、「全国的に見て医師が足りない地域」(医師少数区域)での勤務経験を持っていれば、さらに評価する―。

 厚生労働省・医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会は12月8日、このような医師偏在対策を大筋で取りまとめました。厚労省は、関連する医療法や医師法の改正案を、来年(2018年)の通常国会に提出したい考えです。医師偏在対策については、12月18日の医療従事者の需給に関する検討会(医師需給分科会との合同開催)でも話し合われます(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 医師派遣や派遣前研修の実施がポイント
2 医療計画の中で、3か年の「医師確保計画」を策定
3 知事の権限を強め、「地元出身者に定着促す施策」講じやすく
4 派遣される医師の不安を「交代派遣」などで解消
5 認定医師へのインセンティブ強化策など「将来に向けた課題」も

医師派遣や派遣前研修の実施がポイント

 地域医療支援病院は、▼患者の紹介率・逆紹介率が一定以上である▼救急医療を提供できる▼建物や設備、機器を、地域の医師らが共同利用できる―といった要件を満たす病院で、都道府県知事が承認しています(2016年10月時点で543病院)。名称の通り、地域医療を提供する医療機関(診療所や中小病院)を支援する「基幹病院」の役割を果たすことが求められ、診療報酬でもA204【地域医療支援病院入院診療加算】(入院初日1000点)として評価されます。

 今後は、さらに医師偏在にも一定の役割を果たすことが期待され、その役割に応じてインセンティブが与えられることになります。インセンティブの内容は決まっていませんが、例えば、▼地域医療介護総合確保基金や補助金▼診療報酬▼税制優遇措置―が考えられ、分科会の構成員からは「診療報酬による評価」を求める声が多く上がっています。この点、中央社会保険医療協議会の会長を務めた森田朗構成員(津田塾大学総合政策学部教授)は「今の医療保険の財政では、プラスだけのインセンティブは無理だ」と指摘しており、「取り組みが不十分な医療機関の診療報酬(例えば【地域医療支援病院入院診療加算】)が引き下げられる」可能性もあります。

 インセンティブが与えられるポイントは2つあり、1つ目は、医師の地域偏在解消に向けた医師派遣機能を持つことです。単に医師を派遣するだけでなく、派遣された若手医師らが不安なくプライマリ・ケアを提供できるように、派遣前に研修を実施したり、派遣期間中に指導したりすることも求められます。

 2つ目のポイントは、医師派遣機能を持つ地域医療支援病院の管理者が、一定の基準を満たすことです。具体的には、「全国的に見て医師数が足りない医師少数区域で一定期間勤務したとして、厚生労働大臣から認定された医師(認定医師)」であり、「マネジメント能力を培う研修などで管理者に必要な力を身に付けている」場合に、さらに高く評価されます。

 つまり、地域医療支援病院に与えられる経済的インセンティブは今後、高い方から順に、(1)管理者が認定医師で、医師派遣機能などを持つ病院(2)管理者は認定医師でないが、医師派遣機能などを持つ病院(3)医師派遣機能などを持たない病院―と設定される見込みです。

 ただし、(1)の「認定医師であること」などへの評価は、「管理者が、この仕組みが施行された後に臨床研修を開始した医師であること」も要件です。認定医師になるために必要な「医師少数区域での勤務期間」は決まっていませんが、当面は、(2)と(3)の2区分で評価にメリハリが付けられると考えられます。

医療計画の中で、3か年の「医師確保計画」を策定

 そもそも、医師偏在への対策が改めて求められる背景には、医学部の定員(医師の養成数)を増やすだけでは地域や診療科ごとの偏りを解消できていない実態があります。

 例えば、昨年度(2017年度)の医学部定員は9420人で、2007年度の1.24倍です。しかし、2014年度の都道府県別の人口当たり医師数を見ると、最多の京都府と最低の埼玉県との間に、依然として2.02倍の格差があります。また同年の診療科ごとの医師数を1994年と比べると、医師数が1.34倍に増えているのに、外科は微減(0.64%減)しており、産婦人科は微増(3.97%増)にとどまっています。

 そこで厚労省はさらに実効性のある偏在対策を講じる必要があるとして、(a)都道府県による医師確保対策の実効性を確保する(b)医師不足の地域での勤務環境を整備する―方針で、前述の地域医療支援病院の評価見直しは、(b)の一部に当たります。ここからは、(a)と(b)それぞれのポイントを見ていきましょう。

 (a)では、都道府県が医療計画の一部として、3か年の「医師確保計画」を策定します。この計画は、「都道府県内における医師の確保方針」と「医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標」「目標の達成に向けた施策内容」で構成されます。

 策定に当たっては、まず、都道府県内の現状を表すデータ(二次医療圏・診療科別医師数や医療施設・医師配置状況)と、人口や医療ニーズの変化などのデータを分析して、医師偏在の是正に向けた医師確保の方針を定めます。

 次に、この方針に基づいて、計画期間中に都道府県内で確保すべき医師数の目標を設定。さらに、この目標を達成するための対策として、「医師が少ない地域への医師派遣の在り方」などを決めます。計画期間終了後は、PDCAサイクルを回して計画の内容を順次見直していきます。

 都道府県知事は、全国的に見て医師が不足している「医師少数区域」や、過剰な「医師多数区域」も設定しておき、「医師少数区域への医師派遣を優先する」などして、実態に即した医師確保策を進めます。

知事の権限を強め、「地元出身者に定着促す施策」講じやすく

 出身地と大学の所在地が同じ「地元出身の医師」は、卒後長期にわたって地元に定着する割合が高いことが分かっています。これを踏まえて都道府県知事に、医師の出身地に着目した医師確保策を講じる権限が付与されます。

 具体的には、地元出身者に限った入学枠(地元出身枠)を設定するよう、知事が大学に要請できる制度を設けます。さらに、臨床研修病院の指定権限や、募集定員の設定権限を知事に与え、都道府県の中でのキャリアパスを整備しやすくします。募集定員には、「地元出身者らが入りやすい別枠」を設けることで、「地元出身者が、地元の病院での初期研修を志望したにもかかわらず、アンマッチになる」のを防ぎます。

 ただし、臨床研修の質を担保する必要もあることから、臨床研修病院の指定基準は従前どおり国が示します。また、都道府県ごとの募集定員上限は段階的に厳しく設定され、研修医の都市部集中が抑制されます。

 地元出身者枠の設定要請や、臨床研修病院の指定の前に、都道府県知事は、都道府県に設置された地域医療対策協議会(医師確保策を協議する場)を開き、「具体的な人数」などについて意見を聴きます。

 医師確保策に関わる会議体としては現在、この協議会だけでなく、「地域医療支援センター運営協議会」や「へき地医療支援機構」「専門医協議会」なども設置されています。“会議体の乱立状態”で、結果として地域医療対策協議会が機能していないケースもあることから、今後は、地域医療対策協議会に機能を統合し、ほかの会議体は原則廃止します。構成員も見直し、「具体的な医師確保対策の実施を担う医療機関」(例えば大学病院)を中心に据えます。

派遣される医師の不安を「交代派遣」などで解消

 一方、(b)の医師不足の地域での環境整備には、「勤務に関する不安解消」と「勤務へのインセンティブ付与」によって進められます。

 まず不安の解消に向けては、「医師不足の地域で働く間、代わりの医師がいないので休暇が取れない」といった事態を避けるために、「医師複数人での交代派遣」を支援します。交代派遣の仕組みでは、「医師が都市部に住みながら、グループ診療などで、医師不足の地域で週数回のみ診療する」ことも可能にします。

 また、「専門外の症例について他の医師に相談できない」状況では不安が生じるため、地域の中核病院などがバックアップし、派遣された医師に対する助言や後方支援を行います。上述した「医師派遣機能を持つ地域医療支援病院」が行う事前研修なども、こうした不安を払拭するための施策です。

認定医師へのインセンティブ強化策など「将来に向けた課題」も

 一方、「勤務へのインセンティブ」は、医師少数区域などにある医療機関(都道府県知事が、認定医師になるための勤務先として指定)で、一定期間以上勤務した医師を、厚生労働大臣が指定する認定医師制度を指します。

 上述の通り、地域医療支援病院の一部には、「管理者が認定医師であること」にインセンティブが与えられるため、「こうした病院の管理者になることを目指す」医師に対しては、認定医師制度が間接的にメリットをもたらします。

 ただし、医師需給分科会の構成員からは、「『認定医師が管理者であること』が評価される医療機関の対象を広げなければ、医師が認定を受けることにメリットを感じない」といった指摘もあり、対象医療機関の拡大が、「将来に向けた課題」に位置付けられています。

 「将来に向けた課題」には、このほか、▼臨床研修後の専門研修で、診療科ごと・都道府県別に定員を設定する▼無床診療所の開設に対して何らかの規制を設ける―ことがあります。いずれも、一部の構成員が、導入に慎重な姿勢を示したことから、すぐ実行に移されることにはなりませんが、医師の偏在が今後も解消されなければ、医師需給分科会などで、導入の是非を改めて検討することになります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568988
2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
地域枠の医学生、「2年以上でも医師不足地域に勤務可」は16.7%◆Vol.5
「勤務期間」「給与など待遇」「代替医師」が左右

レポート 2017年12月12日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師の地域偏在対策の議論が、厚生労働省をはじめ、さまざまな場で議論される昨今、医学生等は医師不足地域(山間へき地、離島など)での勤務をどのように考えているのだろうか。

 「一般枠」と「地域枠」別で見ると、「地域枠」の方が、より長期でも医師不足地域での勤務を厭わない傾向が見られた。大きく差が付いたのが、「長期間でも勤務(2年以上)」で、「地域枠」16.7%に対し、「一般枠」は7.7%。「短期間なら勤務(2年未満)」も、「地域枠」(25.0%)の方が、「一般枠」(21.9%)よりも多い。

 一方、「どんな条件でも勤務したくない」は、「一般枠」(8.2%)が、「地域枠」(2.1%)の約4倍だった。

 「地域枠」の医学生は、入学の時点から地域医療への関心を持ち、大学側も医学部カリキュラムに「early exposure」として、低学年から地域医療の実習を組み込むなど、「地域枠」の医学生の地元定着策に取り組んでいる。医師偏在対策では、「地域枠」や「地元出身枠」を拡充する方向にあるが、これらの施策が一定の効果があることがうかがえる。

Q1.今後、医師不足地域(山間へき地、離島など)での希望を指示されたら、どう対応されますか?一番近いものをお選びください。(一般枠、地域枠別)
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 男女別では、男性と比べ、女性の方が、医師不足地域での勤務にやや消極的な結果だった。男性の回答で最も多かったのは、「短期間なら勤務(2年未満)」で25.2%、一方、女性の最多は「短期間なら勤務(1年未満)」で23.5%。

 また男性では、「給与など待遇が良いなら勤務」(16.8%)の方が、「出張時には代替医師がいるなど、自由度があるなら勤務」(11.7%)よりも高かったが、女性では逆で、前者は12.7%、後者は18.1%だった。

Q2.今後、医師不足地域(山間へき地、離島など)での希望を指示されたら、どう対応されますか?一番近いものをお選びください。(男女別)
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 さらに大学病院と市中病院の別で見ると、全体的な傾向はほぼ同じだが、大学病院の方が、「出張時には代替医師がいるなど、自由度があるなら勤務」「勤務後に留学などのインセンティブがあるなら勤務」を重視する回答が多かった。

Q3.今後、医師不足地域(山間へき地、離島など)での希望を指示されたら、どう対応されますか?一番近いものをお選びください。(大学病院、市中病院別)
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https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171211-OYTET50002/
医師偏在対策、地方勤務医師の認定制度創設を…厚労省会議が報告書案
2017年12月11日 読売新聞 ニュース・解説

 厚生労働省の有識者会議は8日、医師が都市部に偏り、地方で不足する地域偏在問題への対策を盛り込んだ報告書案をまとめた。

 医師不足の地域で一定期間勤務した医師を国が認定する制度を創設し、地域勤務を後押しすることなどが柱だ。これを踏まえ、厚労省は医療法や医師法の改正案を来年の通常国会に提出する。

 認定制度は、若手やベテランを問わず全ての医師が対象で、勤務期間は今後検討する。全国約550の地域医療支援病院の一部では、認定医師であることを病院長に就く際に求めるが、対象をこれから臨床研修を受ける医師に限定する。診療所を開業する際の要件にすることについては、将来に向けた課題として意見があったことを盛り込むにとどめた。地方に医師を送り出す病院は、診療報酬などで経済的なメリットを得られる仕組みを検討すべきだとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574086
医療従事者の需給に関する検討会
規制色弱まる、医師偏在対策の第2次中間取りまとめ案
「医師少数区域」勤務の評価拡大、将来の検討課題

レポート 2017年12月10日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第16回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)は12月8日、第2次中間取りまとめ案を議論、おおむね了承をした。注目された「医師少数区域」での勤務実績のある医師を厚労省が認定する仕組みについては法制化するが、対象は若手に限らず全ての年代の医師とし、医師個人あるいは派遣する医療機関へのインセンティブで進めることを基本とする。インセンティブの一つとして、認定医師を医療機関の管理者の基準の一つとして評価する仕組みは、対象を地域医療支援病院の一部に限るなど、当初の議論よりは、規制度合いが弱まる取りまとめとなった(資料は、厚労省のホームページ。前回の議論は『「新規研修開始の医師」が対象、へき地等勤務が管理者要件』を参照)。

 第2次中間取りまとめ案の具体的な医師偏在対策は、以下の4つの柱から成る。

(1)都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
 「医師確保計画」の策定、地域医療対策協議会の実効性確保など。
(2)医師養成課程を通じた地域における医師確保
 地元出身者枠の設定、臨床研修病院の指定・定員設定等の都道府県への移管・関与、臨床研修医の募集定員上限の抑制(2025年に1.05倍)、新専門医制度における行政の役割の明確化、都道府県別・診療科別の必要医師数の明確化など。
(3)地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
 地域別の外来医療機能の偏在・不足等に関するデータの可視化など。
(4)「医師少数区域」での勤務を促す環境整備の促進
 医師が疲弊しない持続可能な勤務環境の整備、「医師少数区域」に勤務する医師の認定制度の創設とインセンティブの整備、認定医師に対する一定の医療機関(地域医療支援病院の一部)の管理者としての評価など。

 さらに第2次中間取りまとめ案では、「将来に向けた課題」として、①専門研修における診療科ごとの都道府県別定員の設定、②認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価、③無床診療所の開設に対する新たな制度の枠組みの導入――を挙げた。②については、「診療所を含めた他の医療機関も対象にすべき」と「仕組みの導入そのものが、医師本人、患者にとっても不利益がある」という両論併記となった。

 8日の会議で、最も議論になったのは、上記の(4)と②について。制度施行日以降に、臨床研修を開始する医師が将来、医療機関の管理者になる際に、「医師少数区域」の勤務経験を評価するか否か、評価する場合にその対象医療機関の範囲をどこまで広げるかが論点だ。

 「全ての医療機関が対象になると、(医師少数区域での勤務が)義務に近いものになる。これまでの議論で意見が分かれているので、一部の地域医療支援病院に限るとイメージ的に後退しているとは思うが、まずはこの形でスタートするのが妥当ではないか」(日本医師会副会長の今村聡氏)など、第2次中間取りまとめ案を支持する意見の一方、「診療所も含めて、全ての医療機関の管理者要件に入れる必要がある」(岩手医科大学理事長の小川彰氏)など医療機関の対象拡大を求める意見が対立した。

 片峰座長は、「少なくとも一部の医療機関を対象とすることで、大きく一歩を踏み出すことについてコンセンサスが得られれば、この分科会の案としてまとめさせてもらいたい」と提案、議論を収束させた。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、認定医師に関する経済的インセンティブとして、「医師個人に対するのみならず、送り出す側の医療機関への手当ては診療報酬で可能だと思う。また受け入れる側への経済的インセンティブも付けるなど、さまざまな制度設計は可能だろう。経済的なインセンティブは最も強制感が少なく、効果がある方法だと思っている」とコメント。

 診療報酬での対応は厚労省保険局の管轄だ。厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「さまざまな意見をなるべく集約化する方向で報告書をまとめ、関係局と議論をすることになると思う。ただ、(診療報酬での対応は)中心的なテーマとしてはなかなか書きにくい。その点を斟酌の上、報告書をまとめた上で、真摯に受け止めていく」と引き取った。

 第2次中間取りまとめ案は、8日に出た意見を踏まえて修正の上、12月18日開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」で議論。さらに社会保障審議会医療部会に諮り、2018年通常国会での医療法と医師法の改正法案の提出を目指す。医師需給分科会は、来年以降、2019年度に期限切れを迎える大学医学部の地域枠の在り方も含め、医学部定員の議論を行う予定。

 並行して厚労省医政局は、医師偏在対策に必要な各種データの整備も進める。同省は「改正法案が国会で通った後くらいまでには、用意したいと考えている」としているが、議論を深める意味から早期の公表を求める声も上がり、前倒しで仮データを公表する可能性もある。

 「認定医師」と医療機関管理者との関係、意見対立

 厚労省医政局は、認定医師と、医療機関の管理者との関係について、「管理者要件には、悪いイメージが先行しているので、『要件』という言葉は使っていない。医療機関の管理者に求められるマネジメント能力の一つの指標として、認定医師という基準を入れるという考え方」と説明する。

 第2次中間取りまとめ案では、管理者として評価する医療機関は、「まずは地域の医療機関と連携しながら地域医療を支えるという制度上の目的を有する地域医療支援病院のうち、医師派遣・環境整備機能を有する病院」とされた。全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「地域医療支援病院の今の要件に、医師派遣機能は入っていない」と述べ、地域医療支援病院について、医師派遣機能を持つか否かで二分類するイメージになるのでは、と指摘した。

 議論になったのが、管理者として評価する医療機関の範囲。小川氏は、「最初は地域医療支援病院等となっており、『地域医療支援病院+アルファ』と考えていた。しかし、今回の案では、地域医療支援病院のごく一部となり、今までの議論から後退することになる。本来は、診療所を含めた全ての医療機関を対象にすべき。これは強制ではなく、将来開業するつもりもない医師については何ら強制力を持っているものではない」と対象施設の拡大を要望。

 神野氏も、「医療は医学の社会的に適用とされる。医学部を卒業した医師が社会と向き合うためには、地方の状況も見て将来の医師のキャリアを考えることが必要ではないか。社会を一定期間見るという意味で要件に入れてもいい」とコメント。

 これに対し、今村氏は、前述のようにまずは地域医療支援病院の一部からスタートすることを支持。

 日本精神科病院協会常務理事の平川淳一氏は、「強制的なイメージを伴うので、今の時代に合っていない。僻地で医師が少ない地域に、国民を住まわせるなら、医師へのインセンティブでやるのではなく。国の責任として医療を提供する仕組みを作るべき。医師に“一肌脱げ”という仕組みを作るのはやはり違うと思う」、医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏も、「医療機関の管理者になるなら、医師不足区域に行くべきだ、という仕組みが、強制と取られるのは無理がない」と、それぞれ述べた。

 国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏は、「『卒後の研修期間が4年で、うち2年程度は地方勤務。それが終わると開業権を得る』という制度になると言われかねない。こうした制度設計は慎重にやってもらいたい。いろいろな副作用が起きかねず、2年程度の地方勤務を義務とすると、多くの医学生は『2年間で、いかに楽に開業権を得るか』と考える。本来、地域で働く喜びを感じてもらいたいと思い作った制度なのに、そうではなくなってしまう」との懸念を呈した。

 そのほか、「医師少数区域」への勤務を促す情報提供の在り方も議論になった。

 神野氏は、「個人の行動変容に足りる情報提供」の必要性を指摘。ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、「『こんな技術の研さんができた、こんな症例を経験できた』など、医師少数区域への派遣が、『行かされた』のではなく、『行ってよかった』と思えるような情報を出していくことが行動変容につながる」と指摘した。

 医師偏在対策の実効性、都道府県の担当者の能力に左右

 第2次中間取りまとめ案における医師偏在対策は、都道府県の役割が大きい。8日の会議では、その実効性なども議論された。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「都道府県が効果的な医師派遣に向けて大学と話し合うとされているが、『持ち駒』がなく、実効性がない」と指摘。厚労省医政局は、地域枠の卒業生が今後増加していくと説明、それ以外の卒業生も合わせ、地域医療支援センターを強化していくなどして対応していくと説明。

 実効性のある対策を講じることができるか否かは、都道府県担当職員にも左右されるとの指摘もあった。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、これまでは都道府県が医療政策に関わる責任を果たしていなかった一面があるとしたものの、2018年度以降は国保の財政責任は都道府県が持つなど、状況が変わってきているとの見方を示した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171214204358
医師の地域偏在解消進まず、都道府県の格差2倍
昨年末、厚労省調べ

2017年12月14日 21:10 CB news

 人口10万人に対する医師の人数(医療機関の従事者ベース)が最も多い県と最も少ない県との間に2016年末現在、最大で約2倍の格差があることが、厚生労働省の調べで明らかになった。この値の全国平均は240.1人で、2年前に結果を公表した前回の調査から6.5人増えたが、都道府県間の格差はほとんど解消していない。特定の診療科や地域への医師の偏在を解消するため同省では、抜本的な対策を年内に固める。【兼松昭夫】

 調査は、厚労省が2年ごとに実施している「医師・歯科医師・薬剤師調査」で、16年の調査結果(概況)を14日に公表した。

 それによると、人口10万人に対して医師がどれだけいるかを示す「人口10万対医師数」(医療機関の従事者ベース)の全国平均は240.1人で、2年前の233.6人から6.5人、06年の206.3人からでは33.8人増えている。

 一方、今回の結果を都道府県別に見ると、人口10万対医師数が最も多いのは徳島の315.9人で、以下は京都(314.9人)、高知(306.0人)などの順だった。これに対し、最少は埼玉の160.1人。茨城(180.4人)、千葉(189.9人)でも少なく、下位3県を関東各県が独占した。

 今回の調査では、徳島と埼玉の格差は約2.0倍だった。2年前の調査でも、最多の京都(307.9 人)と最少の埼玉(152.8人)の格差は約2.0倍。さらに、06年の調査でも、最多の京都(272.9人)と最少の埼玉(135.5人)の格差は約2.0倍で、この10年間にほとんど解消していない。

■医師の高齢化も進行

 今回の調査結果によると、全国の病院勤務医の平均年齢は44.5歳で、06年(42.4歳)から2.1歳上昇した。勤務医の平均年齢は1986年の40.0歳から年々上がっている。

 一方、開業医など診療所の医師の平均年齢は59.6歳で、10年前の58.0歳から1.6歳上昇した。



http://www.medwatch.jp/?p=17710
2025年に向けた全病院の対応方針、2018年度末までに協議開始―地域医療構想ワーキング
2017年12月14日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域の医療関係者や医療保険者らが集まって医療提供体制の再編について話し合う「地域医療構想調整会議」では、区域内にある入院医療機関すべての「2025年に向けた対応方針」の協議を、遅くとも来年度(2018年度)末までに始める。とりわけ公立病院や「公的医療機関等2025プラン」対象医療機関の対応方針の協議は、今年度(2017年度)末までに始める―。

 「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織、以下、ワーキング)は12月13日、こういった内容の取りまとめを行いました(関連記事はこちら)。「地域医療構想調整会議を進めるに当たり、都道府県がすべきこと」を整理するもので、年明けの親会議(医療計画の見直し等に関する検討会)に報告します。

 「2025年に向けた対応方針」は、例えば「2025年時点で、A病院が急性期機能の病床を200床程度持つこと」といったように定めます。都道府県は、地域医療構想調整会議で毎年度、どれだけの病院についてこの対応方針が定められたかを取りまとめます。この取りまとめが、地域医療介護総合確保基金への予算配分とリンクします。

ここがポイント!
1 地域医療構想調整会議での「円滑な議論の進め方」を整理
2 公立病院などの役割は、「民間ではできないか」厳しくチェック
3 病棟稼働しない理由や増床の理由もチェックし、必要なら知事が権限行使
4 都道府県が提供すべき診療実績データを医療機能ごとに例示

地域医療構想調整会議での「円滑な議論の進め方」を整理

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となり、回復期や慢性期の医療ニーズが飛躍的に高まります。このため、地域における入院医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となり、都道府県は、「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などをまとめた地域医療構想を策定しています。いわば「2025年における入院医療提供体制像」に当たります。

 一般病床数や療養病床数の総量が「二次医療圏」単位で規制され、一定程度の医療が「二次医療圏で完結する」ように入院医療提供体制が構築されてきていることも踏まえ、入院医療提供体制の再編は「地域医療構想区域」(おおむね二次医療圏)単位で行われます。
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地域医療構想の実現に向けたプロセスでは、地域医療構想調整会議での協議がカギを握る
 再編は、各医療機関が自院の役割を再考して改める「自主的な取り組み」や、「地域の医療機関同士の協議」によって進めることが原則で、地域医療構想の実現につながる機能転換を行う場合には、都道府県に設置された「地域医療介護総合確保基金」から、病棟改修などの費用が補助されます。
 「地域の医療機関同士の協議」は、基本的に地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で行います(非公式の下部組織などを活用することももちろん可能)。12月13日のワーキングでは、調整会議での協議が円滑に進むように、「個別の医療機関に関する協議の方法」や「都道府県が提供すべき情報」を整理し、取りまとめました。

公立病院などの役割は、「民間ではできないか」厳しくチェック

 「個別の医療機関に関する協議の方法」については、(1)2025年に向けた対応方針の決定に向けた対応(2)非稼動病棟を有する医療機関への対応(3)医療機関の新設や増床の許可申請への対応―を示しました。1つずつ見ていきましょう。

 (1)の2025年に向けた対応方針の決定に向けては、まず公立病院や公的医療機関等2025プランの策定対象となっている公的医療機関などの協議を、今年度(2017年度)中に開始し、具体的な対応方針を速やかに決定します。

 公立病院の対応方針をめぐる協議では、「2025年時点で担う役割が、本当に公立病院でないと担えないか(民間医療機関でもよいのではないか)」を厳しくチェックすることが必要とされました。一般的に、公立病院には「山間へき地・離島など、民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供」や「救急・小児・周産期・災害・精神など、不採算・特殊部門に関わる医療の提供」などの役割が期待されています。

 しかし、例えば、「うちの構想区域の救急患者には、民間医療機関のB病院とC病院で対応できており、しかも2025年には救急患者が減る」といったデータ(診療実績や将来の医療需要など)がある場合、「公立病院のD病院が、無理に救急医療の体制を整備する必要はない。むしろ、B病院などから転院患者を受け入れて在宅復帰させる回復期機能を担うべき」といった結論を出すこともあり得ます。

 公的医療機関などの将来の役割を決めるに当たっても、「その病院でしか担えない役割かどうか」を、診療実績や構想区域の医療ニーズ、病床稼働率などのデータを基に確認していくことが求められます。

 一方、「公立病院・公的医療機関など以外の民間医療機関」の対応方針に関する協議は基本的に、来年度(2018年度)末までに開始すればよいとされています。ただし、事業計画を大幅に変更するような事情がある(例えば、開設者が変わる)民間医療機関については「速やか」に協議することが求められます。

 都道府県は、こうした調整会議での協議の進捗状況を毎年度取りまとめる必要があります。来年度(2018年度)以降、都道府県ごとの地域医療介護総合確保基金への予算配分は、この取りまとめの状況を考慮して行われます。

病棟稼働しない理由や増床の理由もチェックし、必要なら知事が権限行使

 (2)の「非稼動病棟」は、「過去1年間に入院患者を一度も収容しなかった病床のみの病棟」を指します。「病床機能報告」(職員数や手術件数、医療機能の現状・予定などの情報を、病棟単位で、医療機関が都道府県に報告する制度)で、こうした医療機関を都道府県が把握した場合、「病棟が稼動しない理由」や「病棟を今後どうするつもりか」を、調整会議で説明するよう求めます。

 もし、「病棟建て替えによる一時的な休棟」などであれば非稼働の正当な理由があると考えられます。しかし、理由が「本当は稼動して急性期機能を担いたいが、看護職員を確保できていない」といった内容で、かつ地域においては「2025年時点で、急性期機能の病床数が過剰になると予想される」ような場合には、都道府県知事の権限を使い、医療審議会の意見を聴きながら、病床数の削減を命令(公立病院など)・要請(民間医療機関)していくことになります。

 また、(3)の「医療機関の新設や増床の許可申請」があった場合、その医療機関の関係者も交えて調整会議で協議し、「新設や増床が、地域医療構想の方向性と反しないか」(例えば、構想区域で将来過剰になると予想される急性期機能の病床を増やすことにならないか)をチェックします。都道府県知事の権限には「開設許可にあたって不足する医療機能に係る医療を提供する旨の条件を付与する」もあるため、協議の結果によって行使します。

都道府県が提供すべき診療実績データを医療機能ごとに例示

 12月13日のワーキングでは、調整会議での協議が円滑に進むように、「都道府県が調整会議に対して提供すべき情報」が、(1)個別の医療機関ごとの医療機能や診療実績(2)個別の医療機関ごとの地域医療介護総合確保基金等の活用状況(3)公立病院などの役割の協議に必要な情報―の大きく3項目に整理されました。

 このうち(1)の診療実績などについては、「高度急性期・急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の3つに分けて、次のとおり具体例を示しています。例えば、「高度急性期を担う」予定のある病院の診療実績を見て、「手術症例数が、同じく高度急性期予定の他病院に比べて著しく少ない」ことが分かった場合には、調整会議で、その病院が「高度急性期」を担うべきか否かを議論する必要があるでしょう。診療実績などのデータは、このように活用されることが期待されます。

▼高度急性期・急性期機能:幅広い手術の実施状況、がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療状況、重症患者への対応状況、救急医療の実施状況、全身管理の状況など

▼回復期機能:急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリテーション・早期からのリハビリテーションの実施状況、入院患者の居住する市町村との連携状況、ケアマネジャーとの連携状況など

▼慢性期機能:長期療養患者の受け入れ状況、重度の障害児等の受け入れ状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリテーション・早期からのリハビリテーションの実施状況、入院患者の状況、入院患者の退院先など

 また、(3)の公立病院などの役割の協議に必要な情報は、「病床稼働率」や「紹介・逆紹介率」「救急対応状況」「医師数」「経営に関する情報」―などで、都道府県が医療機関ごとに整理し、調整会議で示すべきだとしています。こうした情報に基づいて、例えば、公立X病院が「救急対応」を十分にしておらず、民間病院が救急搬送患者の受け入れの大部分を担っているような場合には、「X病院は救急機能、つまり急性期機能を担うべきなのか」さらに「そもそも公立病院を設置する必要があるのか」などの議論を行っていくことになるでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574840
リハビリでの医師の関与強化、介護報酬改定の議論が終結
田中分科会長「必ず検討すべきは私たち」

レポート 2017年12月14日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長:田中滋・慶應義塾大学名誉教授)は12月13日、「2018年度介護報酬改定に関する審議報告」を取りまとめた。医療関連では、「リハビリテーションに関する医師の関与の強化」や「医療・介護の役割分担と連携の一層の推進」「医療と介護の複合的ニーズに対応する介護医療院の創設」などが盛り込まれた(資料は、厚労省のホームページ)

 審議報告は(1)地域包括ケアシステムの推進、(2)自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現、(3)多様な人材の確保と生産性の向上、(4)介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保――の4部構成になっている。

 (1)地域包括ケアシステムの推進では、「居宅介護支援事業所と医療機関との連携の強化」のために、「居宅介護支援の提供の開始にあたり、利用者等に対して、入院時に担当ケアマネジャーの氏名等を入院先医療機関に提供するよう依頼することを義務付ける」ことなどが盛り込まれた。介護医療院の基準の方向性も示された。(2)では「リハビリテーションに関する医師の指示の明確化等」として、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件に、「医師は毎回のリハビリテーションの実施にあたり、詳細な指示を行うこと」を義務付けた。

 12月13日は取りまとめの議論とあって、各委員が今後の在り方について意見を述べた。医療関係者では、日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は「地域包括ケアシステムは全世代全対象型に進化しており、さらに進化すると町作りになる。介護保険の事業者だけの仕組みでなくなるので、3年後に向けてより広く議論していく必要がある」、産業医科大学教授の松田晋哉氏は「介護は医療と比べて用語がばらばらになっている。用語の標準化をしていただきたい。新たな加算が設定されたが、効果を事後的に評価するような枠組みを事前に決めておくべき」、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は「東京都で特養をやろうとすると介護人材が集まらず、半分しかできないということが続出している。求人を出しても、よその施設から来る。次回改定の3年後、医療介護同時改定の6年後には困る。都会は非常に厳しい状況にあると伝えておきたい」とそれぞれ話した。

 田中分科会長は「検討すべきは必ず私たち。それぞれの分野の専門家として、政府に頑張ってほしいと言うだけでなく、我々自身が制度の将来や在り方について積極的に研究することをぜひしてほしい」と締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574810
地域医療構想
地域医療構想、「調整会議の進め方」の指針取りまとめ
WGで議論、公立・公的病院の役割の明確化がカギ

レポート 2017年12月13日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は、12月13日の第10回会議で、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を了承した。厚労省は年明けの「医療計画の見直し等に関する検討会」に諮り、今年度内に都道府県に対して発出する予定(資料は、厚労省のホームページ)。

 「議論の整理(案)」は、前回会議で出た意見を修正した内容(前回会議の議論は、『「調整会議」の運営指針、年内にも取りまとめ』を参照)。2017年度から本格化している地域医療構想の調整会議で、有意義な議論が円滑に進むことを目的としている。

 13日の会議でも、前回会議と同様に議論になったのが、公立・公的病院等の在り方。「議論の整理(案)」では、日赤や済生会、特定機能病院などの「公的医療機関等2025プラン対象医療機関」について、「構想区域の医療需要や現状の病床稼働率等を踏まえ、公的医療機関等2025プラン対象医療機関でなければ担えない分野へ重点化されているかどうかについて確認すること」と追記された。公立病院については、新公立病院改革プランの策定が従前から求められている。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、「公立・公的病院に近い役割を、民間病院が果たしている地域もある。それを俎上に載せて、民間病院が果たせない役割を、公立・公的病院等がやっていくという考え方でいいか」と確認。全日本病院協会副会長の織田正道氏も、「民ができないところを、公が担う。この点をまず明らかにすることが必要」と指摘した。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「そのために作成するのがプランだ。プランと地域医療構想との間に齟齬があった場合には、プランを修正する。莫大な補助金等を繰り入れて、民間病院と同様のことをやるのではなく、公立病院は、公立病院にしかできないことに特化していくことが究極の方向」と指摘。「繰入金を入れてもなお赤字なのはなぜか。調整会議で何らかのアドバイスをしたり、公立病院を支援することも調整会議の役割だと思う」とも述べた。さらに中川氏は、大学病院についても、運営費交付金が減額されている現状にあり、「診療報酬で稼ぐという方針になり、民間病院と同様のことをやり始めている」という現状も問題視し、調整会議で構想区域における各医療機関の役割を再検討する必要性を指摘した。

 「議論の整理(案)」の柱は以下の通り。

1.はじめに
2.地域医療構想調整会議の進め方について
 1)地域医療構想調整会議の協議事項
 ア.個別の医療機関ごとの具体的対応方針の決定への対応
   【公立病院に関すること】【公的医療機関等2025プラン対象医療機関に関すること】【その他の医療機関に関すること】
 イ.病床が全て稼働していない病棟1を有する医療機関への対応
 ウ.新たな医療機関の開設や増床の許可申請への対応
 2) 地域医療構想調整会議での個別の医療機関の取組状況の共有
 ア.個別の医療機関ごとの医療機能や診療実績
  【高度急性期・急性期機能】【回復期機能】【慢性期機能】
 イ.個別の医療機関ごとの地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況
 ウ.新公立病院改革プラン、公的医療機関等2025プランに記載すべき事項
 3)地域医療構想調整会議の運営
3.病床機能報告について
 1)病床機能報告における未報告医療機関への対応  
 2)病床機能報告における回復期機能の解釈
4.今後さらに議論すべき論点について
 1)地域医療構想の進捗状況
 2)病床機能報告制度の改善策
 3)介護医療院等への転換支援策
 4)知事権限の在り方
 
東京都と大阪府の調整会議の進捗状況
 13日の会議では、都市部の調整会議の議論の進捗状況として、東京都と大阪府の事例が紹介された。特に、大阪府は、現状は既存病床数が基準病床数を上回る「病床過剰地域」だが、2025年については、既存病床数は「病床の必要量」よりも下回る一方、基準病床数推計値よりも上回り、「真逆のトレンドになっており、どちらを信用すればいいのか、現場が混乱している」(大阪府の担当者)。

 この点について、中川氏は、大阪府のようなケースは、「基準病床数を毎年見直すことで対応することになっている」と解説し、「最終的には、『病床の必要量』に基準病床数が追い付くことになると思う」と述べた。

 さらに中川氏は、「回復期の病床が足りないとの議論があるが、病床機能報告の病床数と『病床の必要量』を単純に比較してはいけない」と釘を刺し、「回復期の病床が少ないという現場の実感はあるか」と質問。大阪府の担当者は、「今の医療ニーズに対して、回復期の病床が不足しているという声は聞かない」と答えた。「回復期リハビリテーション病床、地域包括ケア病床など、いかにも『回復期』という病床が必要だというわけではない。簡単に言えば、慌てる必要はなく、『病床の必要量』よりも既存病床数が少ないのであれば、前向きに整備すればよく、そのように捉えた方が医療に取り組んでいる側が安心する」(中川氏)。

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(2017年12月13日の地域医療構想に関するワーキンググループ資料)



http://blogos.com/article/265012/
医師不足の原因は「開業医の優遇」にある
(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)
PRESIDENT Online2017年12月13日 15:15

「医師不足」が問題になっている。日本では年間約4000人ずつ医師は増えているが、都市部に集中しており、地方部では医師不足が深刻化している。ジャーナリストの沙鴎一歩氏は「医師不足は、医師の偏在に問題がある。地方勤務を制度化すべきだ」と訴える――。

■主因は「医師の偏在」にある

医療現場から「医師が足りない」との叫び声が上がって久しい。最近になってやっと問題が「医師数の不足」そのものにあるのではなく、「医師の偏在」にあることが指摘されるようになってきた。

医師そのものの数が足りないのか。それとも都市部に医師が集中し、地方で不足しているのか。診療科ごとに偏りがあるのだろうか。これまでさまざまな議論が尽くされてきたが、沙鴎一歩は10年前から問題は「偏在」にあると主張してきた。

医師が特定の診療科に集中する偏在や地域的偏りを解消しなければ、私たちの健康が危なくなる。

そもそも医師不足は、2004(平成16)年度から「臨床研修制度」が導入された結果、発生した。この制度は医師免許の取得後に2年間、診療研修を積む制度だ。それ以前の研修は出身大学の医局を中心に行われていた。それが同制度によって研修医が研修先の病院を自由に選択できるようになり、症例が多く勤務条件の良い都市部の民間病院に希望が集中し、大学病院が働き手の研修医を確保しにくくなった。

そこで大学は周辺の関連病院に派遣していた医師を次々と引き揚げた。その結果、医師が足りなくなったわけだ。

■不足しているのは「病院勤務医」

長時間の夜勤勤務など仕事がきつくなり、疲れ切った勤務医が病院を辞め、産婦人科や小児科が閉鎖されていく。救急隊が連絡しても「医師の手が足りない」と病院に断られる。医師不足が深刻化すると、こうした事態が全国で次々と発生する。

現在、勤務医は全国に30万人ほどいる。医学部の定員を増やすことで医師の数自体は年間、約4000人ずつ増えてきたが、それでも足りないというのだ。なぜだろうか。

不足しているのは病院勤務医だ。医師の数を増やしても、医師は楽に働けてそれなりにもうかる「ビル診」(オフィス街のビルの診療所)などの開業医に流れる傾向が強い。それに大学医学部の定員数を増やしても、実際に医師数が増えるには少なくとも10年はかかる。すぐには効き目が出ない。

■勤務医の労働環境をもっと改善せよ

拘束時間が長く、医療事故の訴訟が多いなどその勤務の過酷さから嫌われる産婦人科や小児科、麻酔科、救急医療といった診療科で働く病院勤務医の労働環境を改善しなければならない。

開業医の年収は勤務医の1.8倍にも上るといわれる。この問題を解消するためにこれまでも、診療報酬面で勤務医の収入を引き上げ、その分、開業医の診療報酬を引き下げてきた。いま、来年度の診療報酬改訂に向けて議論が真っ盛りだが、さらにこの政策を推し進めるべきだ。

医師を補助する医療クラーク(事務員)制度ももっと充実させたい。能力のある看護師や助産師を育て上げ、医師の仕事量を減らすことも重要だ。

地方の郡部などでは医師が不足している。この地域的偏在を解決するには、前述した問題の臨床研修医制度を臨機応変にその都度、見直していく必要がある。研修医が都市部に集中し、医師不足を表面化させた元凶だからだ。

■読売社説だけが「医師の偏在対策」をテーマに

ここまで書いてきたところで12月4日付の読売新聞の社説を見てみよう。

テーマが「医師の偏在対策」で、その見出しが「都道府県の調整力が問われる」である。テーマを「医師不足」としていないところは、まずまずである。問題が診療科ごとの偏在と地域的偏在にあるからだ。

読売社説はその冒頭で「地方の医師不足が深刻化している。地域医療を守るために、実効性ある是正策が求められる」と主張し、「厚生労働省の検討会が医師の偏在対策に関する論議を進めている。年内に報告書をまとめる」と書く。

4日の時点で「医師の偏在対策」を社説のテーマに選んだのは読売だけだった。厚労省の検討会による報告書がまとまれば、社説として選ぶ新聞社が多く出てくるだろう。そのときには各紙の社説を読み比べたい。

続けて読売社説は「柱となるのは、都道府県の役割と権限の強化である。医療計画の一環として、医師確保の目標や具体策を盛り込んだ『医師確保計画』の策定を法制化する」と書く。

さらに「確保計画に実効性を持たせるため、都道府県が大学医学部に『地元出身者枠』の設定・増員を要請する権限を設ける。臨床研修を行う病院の指定や定員の設定も、都道府県が担うようにする」と具体的に解説して厚労省の対策を評価する。

だが、果たして都道府県の役割と権限を強めることで医師不足は解決されるのだろうか。

■医療界の自主性に委ねた取り組みでは失敗

読売社説は「大学医学部・病院からの医師派遣についても関与を強める」とも指摘し、「現行では、医療計画に医師確保策を記載する規定はあるものの、内容に具体性を欠く事例が多い。医師の確保・定着にとって重要な医師養成課程に関する都道府県の発言力が小さいなど、対策に限界があることも一因だろう」と説明する。

そして「医療関係者の自主性に委ねた取り組みでは、是正されなかった。医療提供体制に責任を持つ都道府県の権限を強めて、一定の強制力を持たせる狙いは適切だ」と再び評価する。

都道府県の権限強化はいいが、それとともに医師法や医療法で医師自体をある程度、規制する必要があると思う。

■診療所の開業要件にすべきだとの声も

読売社説はその後半で「医師の4割は地方勤務の意思を持っている。20歳代では6割に上る。一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師は多い」とも解説し、「都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作る。休日の代替要員確保などで負担軽減を図る。不安払拭に知恵を絞りたい」と主張する。

読売社説が主張するようにいろいろと知恵を絞ることは大切だろう。さらに大切なのは知恵を出したらそれを実行することだ。

「報告書には、地方勤務を経験した医師の認定制度の導入も盛り込まれる方向だ。一部の病院長の就任要件にして、医師不足地域での勤務を後押しする目的がある」
「認定を就任要件とする医療機関の範囲が狭ければ、効果は限られよう。検討会では、診療所の開業要件にすべきだとの声もある」

読売社説が紹介するように、こうした認定制度の創設も重要である。しかし反発も予想される。たとえ反対の声が上がったとしてもとにかく知恵を出したら自信を持って実行することだ。全国で実施する必要はない。まずは特定の地域で実験的にやってみることだ。

■診療科の「自由標榜制」を見直せ

沙鴎一歩は医師の偏在からくる医師不足を解消することは、簡単だと考えている。

繰り返しになるが、医師の偏在が解消されないのは、医師が勤務地や診療科を自由に選べるからだ。だからこの自由を医師法や医療法によってある程度制限する必要があると思う。

たとえば医学部卒業後に地方の病院で数年間勤務することを都心での開業の条件にする。そのかわり家族を養えるだけのじゅうぶんな給与を保証する。

また「自由標榜制」という診療科を自由に選べる制度も見直す。病院勤務医の不足する救命救急や産婦人科、一般外科などに一定の期間勤務しない限り、これも開業できないようにする。これらを実行すれば、医師の偏在はなくなるはずである。

■医療は医師のためにあるのではない

だが、こうした施策では、すでに開業している医師などは対象外になる。国の検討会が論議を進める「地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラム」に対しては、「医学生や研修医ばかりに負担を押し付けている」という指摘もある。

ならば現実的対応のなかで、中高年の開業医にも交代で地方で働いてもらうシステムを作ってはどうだろうか。経験を積んだ医師が一定の期間、地方の病院で働くことによってその病院が活気付くことは間違いない。何よりもいちばん喜ぶのは患者だ。

こうした施策に対し、医療界は「医師は自由で、強制的に規制されるべき存在ではない」と強く反発するだろう。しかし医師は国民の健康を守る公共性の強い存在だ。そして医師不足、医師偏在で大きな損害を被るのは患者である。医療はだれのためのものか。医師のために医療があるのではない。患者のためにある。医療関係者はこれを忘れないでほしい。

患者側も厚労省など行政に任せっきりではいけない。医師の偏在をどう解決すべきか。真剣に考える必要がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574794
>医療者の専従要件を緩和、女性働きやすく
リハビリ専門職の常勤換算も見直し

レポート 2017年12月13日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月13日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、リハビリテーション専門職の常勤要件や、医療従事者の専従要件の緩和を提案し、了承された。リハビリ専門職で女性の割合が高いことや育児・介護休業法で3歳に達するまでの子を養育する労働者に対し、短時間勤務(6時間以内)の措置を取ることが事業所に求められていることに対応する。リハビリ専門職以外の医療従事者についても、既に11月8日の総会で提案ずみ(資料は厚労省のホームページ、11月8日の会議は『診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める』を参照)。

厚労省の提案と委員の主な意見は次の通り。

◆リハビリ専門職の常勤要件の取扱い
リハビリ専門職は女性の割合が多いことや、医師の指示の下で専門性の高い医療を提供していることを踏まえ、リハビリ専門職の専従・常勤配置等が要件となっている項目については、週一定時間の勤務を行っている複数の非常勤従事者の組み合わせにより、常勤配置されているものとみなしてはどうか。

◆専従要件の取り扱い
医療従事者の専従要件については、より効率的な医療提供を可能とする観点から、業務内容の類似性や対象患者数に応じた弾力的な現行の運用や、医療資源の少ない地域において適用されている緩和措置などを参考に、医療提供の質の確保に配慮しつつ、より弾力的な運用が可能となるよう必要な見直しを検討してはどうか。また、検討に当たっては、対象患者数が一定程度以下の場合や、当該業務を実施していない時間帯の取扱い等の視点で検討してはどうか。

【診療側】
・全日本病院会会長・猪口雄二氏: 常勤要件の取り扱いに賛成する。若年層で、フルタイムで働けない人たちが多く、そういう人が働きやすくするためには良い考えだ。リハビリ専門職以外の医療職全体にも広げることによって働きやすい環境が生まれるのではないか。専従要件も、働き手が今後減少することを考えると、医療の質を確保しつつ効率的な運営ができるよう、より弾力的にしていただきたい。
・日本医師会常任理事・松本純一氏: 女性に限らず男性も多様な働き方があってもいいのではないか。

【支払側】
・連合総合政策局長・平川則男氏: 複数の非常勤の組み合わせによる勤務は、要件は明確化すべきだ。育児・介護休業法による休暇を前提とし、事前に報告をすることなどをしっかりしないといけない。専従要件は、あくまで例外的で限定的な扱いにするべきだ。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171213153207
病床過剰地域、非稼働の病棟は削減対象に
地域医療構想「整理案」、WGが大筋了承

2017年12月13日 15:55 CB news

 厚生労働省は13日、医療計画の見直し等に関する検討会のワーキンググループに対し、地域医療構想の進め方についての「議論の整理案」を示し、大筋で了承された。病床過剰地域の病床を削減するため、病床がすべて稼働していない病棟を持つ医療機関に都道府県が措置命令・要請を出すことなどが柱。2018年1月に開催予定の同検討会で、この案を報告する。【新井哉】

 医師や看護師の退職者が出た際、後任を補充できずに病棟の稼働を一時的に休止するケースが少なくない。ただ、長期間稼働を休止してきた病棟を再稼働させた場合、特に患者が少ない地域では、近隣の医療機関との間で患者の“争奪戦”が起きかねない。厚労省は、医療機関が休止中の病棟を再稼働させた場合、その病床機能が地域医療構想区域内で「過剰な病床機能」となることを懸念している。

 厚労省は、こうしたケースを「過剰な病床機能へ転換するケース」として、地域医療構想調整会議で議論する必要があるとし、11月に都道府県にあてて事務連絡を出した。病床がすべて稼働していない病棟がある医療機関を確認した場合は、この医療機関を同会議に出席させ、稼働していない理由などを説明させるよう求めている。

 「議論の整理案」にも、この考え方が反映されており、同会議で「病棟を稼働していない理由」「病棟の今後の運用見通しに関する計画」を医療機関に説明させる。「病棟の維持の必要性が乏しい」と考えられた場合は、都道府県が医療審議会の意見を聴いた上で、非稼働の病床数の範囲内で病床削減の措置を命じたり、要請したりする。

 厚労省は今後、都道府県に「議論の整理」に関する通知を出し、各構想区域で非稼働の病床・病棟などの取り扱いを議論するよう求める方針だ。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171212_11036.html
<循環器センター撤退>跡地利用の老健施設 19年度後半にも開設見通し
2017年12月12日火曜日 河北新報 宮城

 栗原市栗原中央病院への機能移管に伴って閉鎖される同市瀬峰の宮城県循環器・呼吸器病センターについて、跡地を利用した老人保健施設が早ければ2019年度後半にも開設される見通しであることが11日、分かった。県は12日、県議会11月定例会の保健福祉常任委員会で整備スケジュールを示す。
 センター跡地の事業者に決まった医療法人「仁泉会」(八戸市)は、老健施設に外来向けの診療所も備え、地域医療の機能を継続して担う方針。施設の定員は120人で、60人規模の通所や居宅介護支援事業所も設け、県北地域で増加する介護需要に対応する。
 職員は介護福祉士40人、看護師22人など計約100人を想定。県は17年度中に同法人と仮契約を結ぶ。法人は18年度に改修の基本設計や職員募集を開始し、機能移管後の19年4月以降、改修工事に着手する。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201712/553980.html
7科必修化、コミュニケーション能力などの評価が追加
初期臨床研修の内容・評価基準が大幅改定へ

2017/12/11 加納亜子=日経メディカル

 厚生労働省の医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループは12月7日、2020年度以降の初期臨床研修について議論。研修期間は計2年間以上と変更しないものの、内科、救急、地域医療に加え、外科、小児科、産婦人科、精神科を必修科目とすること、経験しなければならない疾患・病態を具体的に定め、コミュニケーション能力などの資質・能力についても評価基準を設けて修了認定を行うことを大筋で了承した。医道審議会の医師分科会医師臨床研修部会でこの案が了承されれば、2020年度以降の研修内容と評価の仕組みが大きく変わる。

 2004年の医師臨床研修制度創設時の必修科目は内科6カ月、外科3カ月、救急・麻酔科3カ月、小児科、産婦人科、精神科、地域医療が各1カ月で、2010年度の改定では内科6カ月、救急3カ月、地域医療1カ月と必修科目を大幅に減らし、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科から2つを選択必修としていた。

 ワーキンググループの案では、内科24週以上、救急12週以上、そして外科、小児科、産婦人科、精神科、地域医療をそれぞれ4週以上(8週以上行うことが望ましい)必修化。経験しなければならない29症候、疾病26疾病を具体的に示した。

 また同案では、初期臨床研修の評価方法も見直し、達成度評価を設けた。これにより、初期臨床研修の各分野・診療科のローテーション修了時には、医師および医師以外の医療職が研修医の到達目標の達成度を評価することとなり、研修修了時にはその評価を参考に、研修管理委員会が17項目の基準を満たしているかを総括的に評価して修了認定を行うことになる。

 達成度評価の対象となるのは、社会的使命と公衆衛生への寄与、利他的な態度、人間性の尊重などの「医師としての基本的価値観」や、医学・医療における倫理性、コミュニケーション能力、チーム医療の実践などの「資質・能力」、そして基本的な診療業務だ。達成度評価は4段階で、特別な理由がなければ3段階以上を合格ラインとして設定する。

 その他、これまでは研修で経験しなければならない症候・疾病が具体的に示されておらず、地域医療の研修期間でも急性期病院で手術ばかりを行っている医療機関もあることから、地域医療研修は原則として2年次に行い、「へき地・離島の医療機関、200床未満の病院や診療所」を選択することを定め、病棟研修では「慢性期、回復期病棟での研修を含むこと」など、研修を行う環境についてもより明確にした。



http://www.medwatch.jp/?p=17562
200床未満の医療提供施設で勤務するリハ専門職との連携を、多様な介護サービスで評価
―第155回介護給付費分科会(2)

2017年12月11日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 自立支援・重度化防止に資する介護を推進するために、「外部のリハビリテーション専門職と介護サービス事業所との連携」への評価を拡充する。ただし、連携するリハビリテーション専門職が、許可病床200床以上の病院に勤務している場合は原則、評価しない―。

 12月6日の社会保障審議会・介護給付費分科会で厚生労働省が示した「審議報告」(2018年度介護報酬改定に向けた介護給付費分科会での議論を整理したもの)の案には、このような方針が盛り込まれています。

ここがポイント!
1 リハビリ提供する中小病院や診療所と、介護サービス事業所との連携を評価
2 グループホームへの准看護師配置も評価
3 老健退所前のカンファへのケアマネの参加も高く評価
4 有料老人ホームに、老健退所者の受け入れも促す
5 改定の4本柱は「地域包括ケアシステム」などで、診療報酬と足並み揃う

リハビリ提供する中小病院や診療所と、介護サービス事業所との連携を評価

 「審議報告案」を見ると、サービス類型などごとの見直しの方向性は、おおむね、メディ・ウォッチでこれまでにお伝えしてきた通りです。ただし、委員の意見を踏まえて一部が修正されています。

 具体的には、厚労省が示してきた見直し案のうち、(1)訪問介護の【生活機能向上連携加算】で、医療機関で勤務する理学療法士らとの連携も評価する(2)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の【医療連携体制加算】に、手厚い看護体制が要件の新区分を設ける(3)居宅介護支援の【退院・退所加算】の報酬体系を見直し、「医療機関でのカンファレンスへの参加」をより高く評価する(4)特定施設入居者生活介護に【退院時連携加算】を創設し、医療機関からの退院直後の受け入れを評価する―について、当初案の一部を変更しています。1つずつ見ていきましょう。

 まず、(1)の【生活機能向上連携加算】は、▼「外部のリハビリテーション専門職」と、訪問介護事業所のサービス提供責任者とが共同で、利用者の身体状況などのアセスメントを行う▼アセスメント結果に基づいて訪問介護計画を策定する▼「外部のリハビリテーション専門職」から必要な助言を得つつ、訪問介護を行う―といったプロセスを評価するものです。

(図 略)
“訪問介護の【生活機能向上連携加算】の現行の算定要件では、訪問・通所リハビリテーション事業所が連携先だと規定されている

 現在、「外部のリハビリテーション専門職」として、「訪問・通所リハビリテーション事業所の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」との連携だけが評価されていますが、厚労省は、「医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師」を加えることなどを、11月1日の介護給付費分科会で提案していました。
 しかし、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)らが「地域包括ケアシステムで主な役割を担うのは中小病院や診療所だ」と主張してきたことから、厚労省は今般、連携対象を「リハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床200床未満)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師」に改めています。

 また厚労省はこれまでに、「外部のリハビリテーション専門職」との連携を、訪問介護以外のサービスでも評価する案を示してきました。例えば、▼【生活機能向上連携加算】を通所介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などにも設ける▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などの【個別機能訓練加算】に新区分を設けて、「外部のリハビリテーション専門職」との連携を評価する―などです。「審議報告案」では、これらについても、「外部のリハビリテーション専門職」が「原則として許可病床200床未満の医療提供施設」で勤務している場合などに限って評価するとしています。

 これらの修正を受けて鈴木委員は、「大病院・中小病院・診療所のうち、大病院は急性期機能に特化すべきで、医療機関の機能分化を促す良い提案になった」と評価しました。ただし、医療資源が乏しく、大病院が幅広い入院医療の機能を一手に担わざるを得ない地域もありますし、リハビリテーションに特化した200床以上の病院もあります。そうした病院との連携が、例外として【生活機能向上連携加算】などで評価されるかが注目されます。

グループホームへの准看護師配置も評価

 (2)の【医療連携体制加算】の見直しの内容も、鈴木委員の要望などを踏まえて一部変更されています。この加算には、医療ニーズが生じた入居者に対応可能な体制整備をグループホームの事業所に促す狙いがあり、「医療面からの適切な指導や援助を介護職員に行うことができる看護師1人以上の確保」が現在の主な要件です。事業所職員に看護師がいなくても、外部の病院や訪問看護ステーションとの連携により、24時間体制で連絡が取れれば算定できます。

 厚労省は11月15日の介護給付費分科会で、【医療連携体制加算】に新区分を設け、▼事業所の職員として看護師を常勤換算で1人以上配置している▼たんの吸引などの医療的ケアを提供している実績がある―の両方を満たす事業所を、より高く評価する方針を提示。これに対して鈴木委員が、「看護師の確保が困難だ。准看護師でも認めてほしい」などと強く要望していました。

 これを踏まえて「審議報告案」には、2つの区分を新設する方針が盛り込まれました。具体的には、事業所の職員として常勤換算1人以上の「看護師を配置している」事業所への評価と、「看護職員を配置している」事業所への評価をそれぞれ設けるとしています。

 「看護職員」には看護師と准看護師が含まれるので、「看護師の確保はできないが、准看護師であれば配置している」事業所でも、「看護職員を配置している」事業所向けの加算を算定できるイメージです。ただし、外部の看護師の関与(病院や訪問看護ステーションの看護師との連携体制の確保)が求められます。

老健退所前のカンファへのケアマネの参加も高く評価

 (3)の【退院・退所加算】の見直し案は当初、介護支援専門員(ケアマネ)が「医療機関で行われるカンファレンスに参加」して利用者の情報を収集したケースで高く評価するものでした(関連記事はこちら)。

 しかし、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)が、「介護老人保健施設(老健)が開催するカンファレンスには、行っても評価されないので行かないという事態を招かないか」と指摘したことから、「審議報告案」では、老健が開いたカンファレンスに参加した場合も、同じように評価するとしています。

有料老人ホームに、老健退所者の受け入れも促す

 また、(4)の【退院時連携加算】(特定施設入居者生活介護の新たな加算)も、当初案では、「医療機関から退院して特定施設(有料老人ホーム等)に入居した利用者」だけを算定対象としていました(関連記事はこちら)が、「審議報告案」では、「老健の退所後に特定施設に入居した利用者」も対象に加えるとしています。

 今年(2017年)6月に公布された改正介護保険法では、老健の役割を明確化し、「主として心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である要介護者」を受け入れる施設だと規定しています(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。居宅介護支援の【退院・退所加算】や特定施設入居者生活介護の【退院時連携加算】に関する対応案の修正は、この法改正の趣旨を踏まえたものだとも言えます。

改定の4本柱は「地域包括ケアシステム」などで、診療報酬と足並み揃う

 ちなみに「審議報告案」は、(I)地域包括ケアシステムの推進(II)自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現(III)多様な人材の確保と生産性の向上(IV)介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保―の4つの柱で整理されています。

 近くまとまる2018年度診療報酬改定の基本方針では、(a)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(b)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実(c)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進(d)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4本柱が、基本的な視点となります(関連記事はこちらとこちら)。介護給付費分科会の「審議報告案」の4本柱と見比べると、同時改定らしく足並みが揃っています。

【更新履歴】
「外部のリハビリテーション専門職」との連携への評価について、一部「原則として許可病床200床以上」の医療提供施設に勤務している理学療法士等との連携が評価されると記載しておりましたが、「原則として許可病床200床未満」の誤りです。また、「特定施設(有料老人ホーム)」との記載を「特定施設(有料老人ホーム等)」と改めます。お詫びして訂正させていただきます。記事は訂正済みです。



https://www.m3.com/news/general/575180
市立札幌病院、44病床削減へ 稼働率低迷、効率化図る
地域 2017年12月15日 (金)配信北海道新聞

 市立札幌病院(札幌市中央区)は、28日をめどに、病床数を747床から44床減らし、703床に縮小する方針を決めた。縮小分は「休止扱い」とし、8階の半分の使用を中止する。病床の年間稼働率(2016年度)が70%と低迷しているため、規模縮小により経営効率を高める。

 33診療科がある同病院では、51床削減した15年に続く病床数見直しとなる。8階にある二つの病棟のうち、1病棟を休止して入院患者には別の病棟に移ってもらう。看護師ら医療スタッフも配置転換する。病棟ごと休止するのは初めて。当面は急な患者増に対応できるようベッドなど設備を残すが、問題がなければ許可の廃止も検討する。

 今回の見直しで各病棟にあった空き病床が減って人員配置が効率的に行え、看護体制を充実できるという。スタッフの時間外勤務短縮で労働環境改善や人件費圧縮を図り、光熱費や清掃費の圧縮も期待する。



https://www.m3.com/news/general/575089
【兵庫医大】ささやま医療センター存続
大学 2017年12月15日 (金)配信読売新聞

 篠山市が中核医療機関として存続を要望していた「兵庫医科大ささやま医療センター」(篠山市黒岡、180床)について、市と同大学は、来年7月で期間満了となる運営に関する協定を、最低7年間延長することで基本合意した。来年7月中に調印する。その後は地域医療の状況を分析した上で判断する――としているものの、基本的には存続の意向という。(中野真一)

 同センターは1997年、国立篠山病院の経営移譲に伴って兵庫医科大篠山病院となり、赤字で存続が危ぶまれたが、市と同大学が2008年に10年間の協定を結んで存続に合意。市は運営と整備に協力し、10年に病棟が建て替えられて現在の名称になった。

 新たな協定案では、市が年間1億8000万円を交付している運営補助金を3600万円増額。センターの経営努力によって黒字が出ても、累積赤字(約36億円)が解消するまでは継続することと、赤字経営下で地域医療・福祉の充実に貢献してきたことに対する評価も明記される。

 さらに、同市の「中核病院」と位置づけ、包括的な地域医療と介護の連携に取り組むことも協定に盛り込まれる。市民が健康で、住み慣れた地で暮らせるよう地域医療モデルの実現に向けた活動や研究、市民に対する健康・介護予防事業の実施も掲げられる。

 診療科目は内・外科、整形外科、リハビリテーション科、産科、婦人科、小児科、放射線科、麻酔科で現行通り。小児科と産婦人科の累積赤字が大きいが、子育て支援に力を入れる市が強く存続を求めた。

 酒井隆明市長は「協力、理解をいただいた兵庫医科大に感謝している。診療科目も維持でき、市民には大きな安心につながる」と話している。



https://www.m3.com/news/general/574783
「くらて病院」問題:「病院正常化が責任」 一般質問で町長 鞍手町議会 /福岡
地域 2017年12月14日 (木)配信毎日新聞社〔筑豊版〕

 常勤内科医全員が来年3月末で辞職を表明している地方独立行政法人「くらて病院」問題を巡り、前日延会となった鞍手町議会は12日、一般質問を再開した。同問題への責任の取り方を問われた徳島真次町長は「病院の正常化を進め、安心安全な地域医療体制を構築することが私の責任」と述べた。岡崎邦博議員の質問に答えた。

 11日の一般質問で、宇田川亮議員が「町長の答弁が二転三転している」と主張し、議会は延会していた。12日は、宇田川議員が、議会以外の場での患者や町民への謝罪と病院への不当介入をしない旨の誓約を改めて求めたのに対し、徳島町長は「どのような形か思いつかないが、やりたい」と答えた。11日は同様の質問に「承っておく」としていた。病院問題に関して議会特別委が徳島町長の病院人事などへの不当介入が原因とする報告書をまとめている。【武内靖広】



https://www.m3.com/news/general/574966
救急病院の設置困難 一般病床の確保へ協議 室戸市議会
地域 2017年12月14日 (木)配信高知新聞

 高知県の室戸市議会は12日、2人が一般質問。小松幹侍市長ら執行部の答弁要旨は次の通り。

 室戸病院が当直看護師の配置の困難を理由に、2014年7月から市内唯一の救急病院を外れた。同病院の一般病床(50床)についても、今年5月から入院患者の受け入れを休止している。医師や看護師の確保の必要性から、市内に救急病院を置くことは困難と考えている。病院の新設も難しい。一般病床を市内で何とか確保できないか、病院関係者らと協議している。

 救急搬送について、室戸病院が救急を廃止する前後の13年と16年で比べると、市外への搬送は557件から850件と293件増。救急車3台の年間走行距離の合計は5万6291キロから7万9346キロに増えた。



https://www.m3.com/news/general/574857
日医に配慮「選挙の恩」 厚労省は蚊帳の外 診療報酬本体プラス
行政・政治 2017年12月14日 (木)配信共同通信社

 来年度予算編成で最大の焦点だった診療報酬改定は、医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」を0・55%引き上げることで事実上決着した。前回の0・49%増を上回るプラス改定となった背景には、先の衆院選で支援を受けた日本医師会(日医)の恩に報いたいという安倍晋三首相の配慮がのぞく。所管する厚生労働省は最後に蚊帳の外となり、マイナスを主張していた財務省も白旗を揚げる結果となった。

 ▽深夜の電話

 「診療報酬の本体は0・55%プラスで決まった」。12日深夜、永田町と霞が関に情報が駆け巡った。その直前、ホテルの一室にこもった麻生太郎財務相が電話で話し込んでいた。相手は加藤勝信厚労相だった。午後11時すぎ、通話は終了。決着の瞬間だった。

 この時まで厚労、財務の両省は改定率の折り合いを付けられないでいた。この日午前に財務省が厚労省に提示したのは、前回2016年度改定並みの「0・5%増」。0・01%のプラスには国費で約11億円かかる。双方とも詰めの協議は数日続くとみていただけに、深夜の政治決着は寝耳に水だった。

 流れをたぐり寄せたのは日医の横倉義武(よこくら・よしたけ)会長だ。今年10月に世界医師会長に就任し、来年の日医会長選で4選を狙う横倉氏にとって、今回の報酬改定が本体プラスとなれば会員への格好のアピールになる。周囲にも「最低限、前回の0・49%は超えなければならない」と意欲を見せていた。世界医師会の仕事でタイに向かう14日を前に結論が出る形となった。

 ▽財務省「完敗」

 日医は20万票とも言われる医師の組織票を持ち、10月の衆院選で自民党を全面支援した。選挙後に官邸を訪れ、病院の経営悪化などを理由にプラス改定を求めた横倉氏に首相は「恩に報いる」と約束したという。

 診療報酬改定では本来、薬の公定価格である「薬価」の引き下げなどを通じて財源を積み上げ、本体の改定率を決めていく。ところが今回、厚労省は上層部も加藤氏から12日深夜に連絡を受けて初めて0・55%という数字を知ったほど。ある幹部は「数日後に決まると思っていた。完全に蚊帳の外だ」と嘆く。

 診療報酬の引き上げは、医療費の膨張と税や保険料の国民負担増につながることから、財務省は秋ごろから本体のマイナス改定を強く主張。麻生氏も「本体に厳しく対応する」と強調してきた。

 だが12日午前、麻生氏は官邸で首相と会談。横倉氏の顔を立てたい首相の意向に、最終局面で折れたとの見方が強い。財務省幹部は「完敗だ」と漏らした。



https://www.m3.com/news/general/574891
診療報酬改定:全体1.2%減 政府方針 「本体」はプラス改定

行政・政治 2017年12月14日 (木)配信毎日新聞社

 2018年度予算編成の焦点になっている診療報酬改定の概要が13日、大筋で判明した。政府は医師の技術料や人件費などに当たる「本体部分」をプラス0・55%とし、薬や医療材料の公定価格である「薬価」をマイナス1・7%程度とすることで最終調整している。診療報酬全体ではマイナス1・2%程度になる。同時に改定される介護報酬も週内には固まり、プラス0・5%前後になる見通し。障害者支援サービスの公定価格もプラス改定する方針だ。

 社会保障費は高齢化の進展に伴って年々増加しているが、来年度は自然増分を概算要求の段階から1300億円削減するのが政府目標。薬価は市場価格に合わせて下げることなどで1500億円程度削ることが可能で、医療や介護の制度改善も併せて、財源を工面する見通しは立った。残る本体部分の扱いで、関係者間の調整が続いていた。

 本体部分は前回改定で0・49%のプラス。日本医師会や自民党の厚生労働族が「医療従事者の人件費に手当てを」と0・6~0・8%程度の引き上げを主張する一方、財政規律を重んじる財務省は0・5%程度の引き上げにとどめたい意向だった。最終的に安倍晋三首相と麻生太郎財務相が協議し「四捨五入すれば0・6に届く数字」として0・55%で決着。国費で600億円程度に上り、患者の自己負担も増える。

 政府は22日に18年度予算案を最終的に確定させる。【阿部亮介、工藤昭久】



https://www.m3.com/news/general/574748
近畿大:病院移転 大阪狭山市から撤退へ 経営環境悪化で /大阪
大学 2017年12月13日 (水)配信毎日新聞社

 大阪狭山市にある近畿大医学部と付属病院の堺市への移転を巡り、近畿大は12日、当初の計画を変更すると発表した。移転後も大阪狭山市の現病院を規模を縮小して残す方針を撤回し、現病院は閉鎖に踏み切る。一方、移転に伴って閉鎖するとしていた医学部堺病院(堺市)は、経営譲渡を視野に存続を図る。これに対し、病院の存続を前提にまちづくりを進めてきた大阪狭山市は、「到底受け入れられない」と近畿大に再考を求めている。

 近畿大は2014年、大阪狭山市にある医学部と付属病院(929床)を23年4月に堺市南区の泉北ニュータウンの泉ケ丘駅前に移転する計画を発表。大阪狭山市への影響を最小限に抑えるため、現病院も300床程度に縮小した上で分院として存続させ、移転先の堺市にある医学部堺病院(440床)は閉鎖するとしていた。

 ところが、堺病院の閉鎖に対して地元の住民や医師会が反発。これを受けて近畿大は、移転後も現病院と堺病院の両方とも存続させて3病院体制とする案を検討した。しかし、この間に医師の退職が相次ぐなどして経営環境が悪化し、現病院、堺病院ともに経営体力の面から維持が難しくなったという。

 近畿大は計画の変更について、11月末に府に正式に申し出た。今月6日には、大阪狭山市を含めた南河内地区の自治体にも説明し、理解を求めた。近畿大医学部の担当者は「医学部移転後も、医師派遣などを通じて南河内地区の医療に貢献する」としている。

 近畿大が完全に撤退することになる大阪狭山市は反発している。市の担当者は「産科と小児科の病床は、市内には近大病院にしかなく、完全撤退となれば影響は大きい」と話しており、近畿大に近く存続を求める申し入れをする考えだ。【大久保昂】



https://www.m3.com/news/general/574693
児玉市長「受け入れざるを得ない」 鹿角の分娩機能、大館へ
地域 2017年12月13日 (水)配信秋田魁新報

 かづの厚生病院(秋田県鹿角市花輪)の分娩(ぶんべん)機能を大館市立総合病院へ集約する秋田大などの方針について、児玉一市長は12日、「受け入れざるを得ない」との考えを明らかにした。その上で「外来診療や妊婦健診を継続するために、医師派遣など必要な対応を県や大学に要望する」とした。市議会の一般質問で答弁した。

 鹿角地域で唯一、お産を取り扱っているかづの厚生病院は、同病院と大館市立総合病院へ産婦人科医を派遣する秋田、岩手医科、弘前の3大学の教授の意向に基づき、今年2月に里帰り出産の受け入れを中止した。大学側は、少子化や医師不足、医療の安全性を理由に、大館・鹿角地域の産婦人科医療について「施設を集約化する方向性が必要」との考えも示していた。

 児玉市長は答弁で、こうした状況を踏まえ、大学側へ医師派遣継続を要望したり、地元出身医師にかづの厚生での勤務を働き掛けたりしてきたと説明。その上で「医師をすぐ見つけることは困難。現状では、3大学のチーム医療体制の方針を受け入れざるを得ない状況だ」と述べた。

 市いきいき健康課によると、今月上旬に鹿角市、小坂町、県、3大学、2病院が担当者会議を開き、集約に向けた協議を始めた。今後、大館市立総合病院の施設・人材面の受け入れ体制や、かづの厚生に勤務する助産師らの処遇などが課題になるとみられる。

 また、児玉市長は「(担当者会議の中で)集約化の内容が具体化され、体制が整うまでは、かづの厚生での分娩取り扱いが継続されることを確認した」とし、「市民が安心して出産できる環境づくりのため、市として可能な限り努力する」と語った。

 子育て世代の住民らでつくる「鹿角の産婦人科を守る会」の安保大介代表(36)は取材に対し「(3大学主導で)集約化が進められたとしても、鹿角に出産できる施設が必要との考えは変わらない。諦めずに医師を呼び込んだり、育てたりする活動を続けたい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/574476
佐野市民病院:民営化問題 新法人へ譲渡決定 /栃木
地域 2017年12月13日 (水)配信毎日新聞社

 佐野市民病院の民営化問題で、佐野市は11日、現在の同病院指定管理者「医療法人財団青葉会」が設置する新法人に譲渡する方針を明らかにした。

 この日、12月定例市議会厚生常任委員会は、新法人への補助金の債務負担行為を計上した補正予算案を可決。本会議での議決を経て、新法人と譲渡に関する協定を結ぶ。

 債務負担行為は、民営化に移行する2018年度から5年間で最大15億円を交付する移行期間運営費補助金と、新病院建設などに充てるため21年度から10年間で最大30億円交付する施設整備補助金。市と新法人準備室との事前協議では、移行期間の補助金は、経営赤字の補填(ほてん)や電子カルテの更新費用などに充当。施設整備補助金は、新法人が現地建て替えを予定している新病院建設費約60億円のほぼ半額にあたるという。

 市によると、新法人は一般財団法人としてスタートし、病院経営にあたる。2年間の経営実績を踏まえ、20年度に医療法人、21年度に社会医療法人への移行を目指すという。社会医療法人の認証を受けるためには、黒字経営が必要で、市は18年度予算案に債務負担行為のうち5億円を計上する方針。【太田穣】



https://www.m3.com/news/general/574434
弘前市、中核病院構想で付属機関を検討
地域 2017年12月12日 (火)配信東奥日報

 弘前市立病院と国立病院機構弘前病院との統合による中核病院構想について、青森県弘前市は、市が主体となって中核病院を整備運営する計画を策定するため、付属機関の設置を検討していることが11日、分かった。年明けにも、臨時市議会で、付属機関を設置する条例の改正や予算措置に関する議案の可決を目指している。



https://www.m3.com/news/general/574159
人員増に医師偏在の壁 環境改善へハードル高く 「表層深層」特定機能病院に是正勧告
その他 2017年12月11日 (月)配信共同通信社

 医師の過労死や過労自殺が問題となる中、国は長時間労働抑制に向け対策を検討している。ただ、病院側が求める人員増に向けては、医師の偏在解消など解決が難しい課題が立ちはだかる。「知識や技術を身に付ける自己研さんも欠かせない」と他の労働者と同様の残業規制に疑問の声が上がり、労働環境の改善に向けたハードルは高い。

 ▽めど立たず

 「スタッフがどうしても集まらないが、地域医療を担う病院なので対応すべき業務が多く、労働時間が増えてしまう」。複数の医師が時間外労働のための労使協定(三六協定)で定めた上限を超えて働いていたとして、是正勧告を受けた国立大病院の担当者は漏らす。

 この病院は救命救急と心臓血管外科の医師について違法残業が指摘された。救命救急は募集しても集まらず、他の診療科からの応援でしのいでいる。ただ、高度な技術が求められる心臓血管外科は専門医しか担当できず、長時間労働を余儀なくされている。

 特定機能病院を対象にした共同通信のアンケートで、違法残業などを指摘する是正勧告が相次いでいることが判明。病院側からは、人員確保のため地域や診療科ごとの医師偏在の改善を求める声が目立った。厚生労働省は医師の少ない地域で一定期間勤務した場合の優遇措置を検討するなど是正への対策を始めたが、解消のめどは立たない。

 ▽人命

 働き方改革を進める政府は、医師にも将来的に残業時間の上限規制を導入する方針だ。厚労省は8月から病院経営者や医師、労働組合の担当者などが委員の検討会を設置、医師に合った規制の在り方を議論している。

 10月に開かれた3回目の会合では、委員を務める大和成和病院(神奈川県大和市)の畝大(うね・だい)医師が「人命がかかっており、勤務時間が長くなるのはやむを得ない」と主張した。医師17年目で年間100例超の心臓手術の執刀や指導をしている。

 畝氏は経験に基づき「未熟な技術は一瞬で患者の命を奪う」と強調。業務の一環として自己研さんの必要性を訴え、他の労働者と同様の規制はなじまないと説明した。

 その上で、ガーゼ交換などの簡単な処置や書類作成などを別の担当者に任せる「タスクシフティング」を負担軽減策として提案した。

 ▽疲弊

 畝氏のように強い使命感を持つ医師は多く、医師法で理由なく診療を拒めない「応召義務」もある。大分大病院は「義務との整合性を考慮に入れて施策を検討してほしい」と訴えた。

 また、診療業務の他にも、学習や論文執筆など自己の裁量による業務が非常に多いとして「大学病院に勤務する医師に対応した労務管理制度の創設を検討してほしい」(筑波大病院)との声も上がる。

 だが2016年度、過労死や過労自殺(未遂含む)で4人の医師が労災認定された。ある医師は「患者のために頑張るほど、自分の命が削られる」と漏らす。医療現場の疲弊は深刻だ。

 1999年に小児科医の夫を過労自殺で亡くした「東京過労死を考える家族の会」の中原(なかはら)のり子代表は「毎年人が死んでいる事実を振り返ってほしい。若く夢も希望もある人が気力体力を失わないようなシステムを構築してほしい」と訴えた。



https://www.m3.com/news/general/574156
法令順守の徹底必要 特定機能病院で是正勧告
その他 2017年12月11日 (月)配信共同通信社

 【解説】特定機能病院で違法残業などによる是正勧告が相次いでいることが分かった。医師らの過労死が後を絶たない中、病院側の労務管理が問われる事態と言える。多くの病院は医師不足に悩み、長時間労働抑制に国の対策も重要だ。ただ、勤務医は労働者であり、各病院は法令順守の徹底が働き方改革の前提だと認識する必要がある。

 「他の業種と比べ、医療機関は労務管理が遅れているとの指摘がある」。ある病院の担当者はアンケートにこう回答した。医師の働き方には、オンコール(呼び出し待機)や自己研さんなど、労働時間か否かの線引きが難しい部分があるのは事実だ。

 病院によっては勤務時間の正確な把握や、長時間勤務の医師らに注意喚起のメールを送るなどの対策に取り組むが「医療制度を根本的に見直す必要がある」と、病院側の自助努力には限界があるとの声も聞かれる。

 ただ、全国医学部長病院長会議が80の大学病院を対象に調査、11月に公表した結果では、労働者に時間外労働をさせるために必要な労使協定(三六協定)を締結していないと答えた施設は少なくとも10に上った。労働基準法の基本的ルールを守っていないと言え、病院側の労務管理には改善の余地が大きい。



https://www.m3.com/news/general/574157
残業規制に慎重意見 労働法制「マッチせず」
その他 2017年12月11日 (月)配信共同通信社

 共同通信が全国の特定機能病院に実施したアンケートでは、政府が導入を検討する残業時間の上限規制に「賛成」とした施設がある一方、恒常的な人員不足や、患者の命を預かる医師に「応召義務」のあることを理由に慎重な姿勢も目立つ。「応召義務のある病院と労働法制がマッチしていない」との声も上がった。

 「長時間労働抑制などの処遇改善は重要課題と認識しているが、人的資源に限りがあり、長時間労働を余儀なくされている」。東京医科歯科大病院は残業規制に賛成と回答したものの、医師らを増やす財源確保が難しいと説明した。

 政府案では残業の上限を「原則月45時間、年360時間」とし、繁忙期は最長で月100時間未満、年720時間までと設定しているが、富山大病院は「勤務実態にそぐわず、実現困難」と回答。より長時間の設定を求めるケースもあった。

 診療科ごとに業務内容が大きく異なることも、残業規制へのためらいにつながっている。神戸大病院は「一律の長時間労働対策は難しい」。特定機能病院は大学病院が多く、診療と教育、研究が一体だとの意見もあり、横浜市立大病院は「時間外労働として扱うべき業務を具体的に示してほしい」と求めた。

 医師は自分で働き方を決められないとの理由で、実際の労働時間にかかわらずあらかじめ決まった時間を働いたとみなす「裁量労働制」の適用は認められていないが、がん研究会有明病院(東京)は「研究や自己研さんを含む医師の勤務実態を考えると、裁量労働制などの適用が望ましい」と答えた。



https://www.m3.com/news/general/574155
違法残業で勧告全国19施設 特定機能病院も過重労働 対策急務、解消難しく
その他 2017年12月11日 (月)配信共同通信社

 高度医療を担う全国85の特定機能病院のうち、違法残業や残業代未払いなどで労働基準監督署による是正勧告を2015年9月以降に受けた施設が少なくとも19に上ることが9日、共同通信のアンケートで分かった。医師らの過労死や過労自殺が相次ぐ中、各地の拠点となっている特定機能病院でも医師らが厳しい労働環境に置かれている実態が浮き彫りになった。

 政府は働き方改革で残業時間の上限規制導入を検討するが、医師は原則診療を拒めない「応召義務」を理由に5年間、適用猶予としている。

 回答した病院からは、応召義務の見直しや医師の地域、診療科による偏在解消を求める意見が出た。国の対策が急務だが、いずれも解消には時間がかかり、過重労働の抑制は容易ではない。

 19施設が受けた勧告には医師のほか、看護師や事務職などに対する法令違反もある。

 国立循環器病研究センター(大阪府)は医師以外の職員の残業代が未払いだったとして勧告を受けた。同センターは、時間外労働に関する労使協定(三六協定)で、時間外労働が月300時間まで可能だったことが明らかになっている。

 神戸大病院(神戸市)は、勤務時間外に受けた講習に関して残業代を支払っていなかった。札幌医科大病院(札幌市)は、三六協定で1日当たりの労働時間の上限を設定していなかった。勧告はないが、藤田保健衛生大病院(愛知県)は、医師について三六協定を結んでいないと答えた。

 長時間労働抑制のため国に求める対策として「応召義務を外すしかない」(岐阜大病院)や「地域間における医師偏在の是正」(奈良県立医科大病院)などといった意見も寄せられた。

 既に進めている取り組みでは、患者への応対や事務処理など医師の業務を補助する「医療クラーク」の配置が目立った。

 アンケートは今年8月以降実施し、調査票を郵送した上で電話による担当者への聴き取りも行った。半数近くは回答しておらず、勧告を受けた施設はさらに多い可能性がある。

 ※医師の長時間労働

 厚生労働省研究班が昨年12月に実施した医師約10万人を対象にした調査では、病院や診療所に勤務する常勤勤務医は男性の27・7%、女性の17・3%が週60時間以上勤務。若手のほうが労働時間が長い傾向があった。業務量に比べて医師が不足し、当直明けも通常通り仕事を続ける慣行などが影響しているとみられる。病院などの勤務医は労働基準法上の労働者とされ、原則として裁量労働制は適用対象外となっている。

 ※特定機能病院

 医療法に基づき、高度医療の提供能力があるとして厚生労働相が承認する。全国に85あり、大半が大学病院。ベッド数400床以上、原則16以上の診療科を有し、医療事故に対応する安全管理部門があることや、通常の病院に比べ2倍程度の医師を配置するなど手厚い人員配置が要件となっている。群馬大病院などの医療事故を受け、厚労省は省令を改正し、患者の全死亡事例を院内の安全管理部門に報告することなどを要件に加えた。承認されれば入院料などの診療報酬が加算される優遇措置がある。



  1. 2017/12/16(土) 12:26:57|
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12月9日 

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017120801302&g=soc
地方勤務、病院長就任の評価に=偏在対策で制度創設へ-厚労省
(2017/12/08-21:22)時事通信

 厚生労働省の有識者会議は8日、地方勤務経験を地域医療支援病院などの病院長となる際の評価基準の一つとする新たな認定制度の案をまとめた。医師不足が深刻なへき地などでの勤務を促すのが狙いで、来年の通常国会に医療法などの改正案提出を目指す。
 2014年の人口10万人当たりの医師数は都道府県別で最多の京都は307.9人なのに対し、最少の埼玉は152.8人。より小さい2次医療圏で見ると、東京の都心と島しょ部で10.6倍の開きがあるなど偏在が課題となっている。
 制度案では、都道府県が指定する医師不足の医療機関に一定期間勤務した医師を厚労省が認定する。対象は若手やベテランを問わず、地域医療支援病院などの病院長になる際に財務・労務管理能力などと同じように評価する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573904
中央社会保険医療協議会
「病院とケアマネ」「かかりつけ医と老健施設」情報連携評価
介護施設での看取り、医療保険側での評価に支払側が疑問視

レポート 2017年12月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、12月8日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、医療機関が退院前からケアマネジャーに情報提供した場合に診療情報提供料の算定可能にしたり、介護老人保健施設の退所患者について、入所中の減薬などをかかりつけ医が引き継いだ場合を評価するなど、医療と介護の連携推進に向けた評価を提案、了承を得た(資料は、厚労省のホームページ>を参照)。

 2016年度診療報酬改定では、在宅時医学総合管理料等が、単一建物診療患者の場合に人数に応じた評価に見直されたことなどから、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料、訪問歯科衛生指導料についても、同様に人数に応じた評価に見直すことも了承。

 ただし、介護老人福祉施設(特養等)をはじめ、介護施設の入居者・入所者に対する看取りについて、介護施設と協働で医療機関や訪問看護ステーションが看取りを実施した場合、医療機関等でも、在宅ターミナルケア加算(死亡前14日間)や看取り加算(死亡日)を算定可能とする提案については、診療側は支持したが、支払側は「特養には、ドクターを配置しているのに、他の医療機関と協働して看取りをした場合に評価するのは疑問。そもそも特養におけるドクターの位置付けは何か」(連合総合政策局長の平川則男氏)など慎重な検討を求める声が上がった。

 厚労省の提案と、委員の主な発言は次の通り。

1.介護支援専門員や老健施設との情報共有・連携
(1)入院中からの介護支援専門員への情報提供
 入院中の医療機関から介護支援専門員への診療情報提供について、退院後に円滑に介護サービスを導入する観点から、介護支援連携指導料を算定できない場合であって、退院前一定期間内に限り、診療情報提供料による評価の対象にしてはどうか。
(2)かかりつけ医と老健施設との連携
 かかりつけ医と老健施設との連携について、多剤投薬・重複投薬の是正推進の観点から、入所中の処方薬に係る情報提供、退所後の外来受診時における処方内容のフォローアップなどに対する評価を検討してはどうか。

【診療側】
松本純一氏:誰を評価するのか。かかりつけ医に係る評価であれば、結構だ。

【支払側】
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏:情報提供を行った場合、出来高なのか、管理料的なもので取るのか。
厚労省保険局医療課長の迫井正深氏:イメージとしては老健施設を退所し、施設内で減薬等を実施していた場合、外来でそれを引き継いだ場合に評価してはどうかという提案だ。
幸野氏:それであれば理解する。

2.介護施設での看取り
 介護施設の入居者・入所者に対する看取り期のケアについて、介護施設の従事者と、訪問診療等を提供する医療機関・訪問看護ステーションが協働して看取り期のケアを行った上で、施設内で看取りが行われた場合には、施設ごとの看取りに係る体制に応じて、協働した医療機関や訪問看護ステーションでも看取り期のケアに係る診療報酬を算定可能としてはどうか。

【診療側】
松本純一氏:介護報酬と診療報酬をダブルで算定できるという意味か。
迫井課長:介護サイドで、看取り介護加算を算定していても、一定の要件を満たせば、医療サイドがターミナルケアを実施した場合には、在宅ターミナルケア加算や看取り加算の併算定を認めてはどうかということ。

【支払側】
平川氏:特養には、ドクターがいるが、看取りができない場合には相当あるのか。ドクターを配置しているのに、他の医療機関と協働して看取りをした場合に評価するのは疑問。そもそも特養におけるドクターの位置付けは何か。
厚労省老健局老人保健課長の鈴木健彦氏:特養の配置医が行う看取りは、かなりの頻度で行われているが、外部の医師に依頼することもある。配置医の役割は、入所者に対する健康管理、療養上の指導であり、非常勤なので、24時間365日、配置医がいるわけではない。
平川氏:非常勤だからと言って、別途評価するのはあり得ない。非常勤でも来てもらうべき。
迫井課長:非常勤の配置医以外の勤務日以外の対応は、「勤務日以外でも対応してもらえる」のは49.2%。また現行でも末期の悪性腫瘍患者等には、訪問診療料等の算定は可能だ。
平川氏:あまりこれを拡大していくと、配置医が不要になる、という議論にもなりかねない。慎重に検討してもらいたい。

全国健康保険協会理事の吉森俊和氏:協働の必要性は理解できるが、協働の内容、要件の整理が不足しているから、今のような話になる。また両方とも満額の点数を算定するのか。協働の要件と点数の設定のそれぞれについて明確にしてもらいたい。
迫井課長:重複して評価し、すみ分けができていないとの議論だが、介護報酬が評価している範囲と、診療報酬が評価している範囲は異なる。医療保険サイドが、介護保険が給付対象としていないサービスを実施した場合でも併算定はできなかった。

【診療側】
日医常任理事の松本吉郎氏:特養で最終段階を迎えるのは、現状として難しい。施設での看取りを進める上で、この方向性を支持したい。
全日本病院協会会長の猪口雄二氏:特養の配置医は、常勤ではなく、健康管理を行うのが主な仕事。(配置医が)外来診療中に、看取りが必要になる場合もある。そうした場合に、外部の医療機関の助けを仰ぐことが今後は絶対に必要になる。

平川氏:協働は例外的なものとして対応すべき。
松本吉郎氏:例外ではない。

3.訪問指導料の単一建物に係る取り扱い
診療報酬の在宅時医学総合管理料等で単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直され、また、介護報酬の居宅療養管理指導費についても同一建物居住者から単一建物居住者の人数に応じた評価と見直す方向で議論されたことを踏まえ、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料、訪問歯科衛生指導料についても、同様に、単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直してはどうか。

【診療側】
日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏:人数に応じた評価について、特に反対はないが、臨時で呼ばれることもある。臨時対応については、ぜひ考慮してもらいたい。
日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏:共通の考え方として、在宅患者訪問薬剤管理指導料についてはこの方向でいい。



http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/12/07090745053211.shtml
伊万里松浦病院移転を承認
長崎新聞(2017年12月7日更新)

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を病床過剰地域に含まれる松浦市に移転開設する計画について、県医療審議会(会長・蒔本恭県医師会長)は6日、長崎市内で会合を開き、承認することを決めた。

 同病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)が、医療法の特例に基づく病床67床での開設を県に申請。県が同審議会に計画を認めるか諮問していた。開設認可にはさらに国との協議が必要で、県は早ければ年内にも協議を始める方針。

 医療法は原則、病院新設が認められない病床過剰地域でも、公的機関を含む複数の医療機関の再編で病床が減る場合、地域事情に応じて病床開設ができるとしている。県によると、この特例に基づく病床の開設は全国でも例が少なく、県内では初の事例となる。

 松浦市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床数は基準の3858を900床以上超えている。このため、病院誘致を目指す松浦市は市内計68床の削減計画を策定している。

 会合では、同市の担当者が市内に24時間対応の救急告示病院がなく、医師の高齢化、後継者不足も抱えていると説明。機構は、救急医療を担うなどして地域に貢献する考えを強調した。委員からは民間への影響を懸念する声もあったが、新病院の必要性についての異論は出なかった。

 機構の尾身茂理事長は「地域の方々と話し合いを進め、できてよかったと言われる病院開設を目指す」と話し、友広郁洋松浦市長は「県には国との協議を進めていただき無事開設を認めてもらいたい」と述べた。



https://mainichi.jp/articles/20171208/ddl/k41/040/379000c
伊万里松浦病院移転問題
跡地にサテライト診療所 市と機構合意 「県外」決定を受け /佐賀

毎日新聞2017年12月8日 地方版

 伊万里松浦病院(伊万里市山代町)の移転計画で、独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)の担当理事は7日、伊万里市の塚部芳和市長に「県外移転がほぼ決まった」と現状を報告。病院跡地にサテライト診療所を建設する問題に市と機構が二人三脚で取り組むことに合意した。【渡部正隆】

 長崎県医療審議会は6日、同県松浦市に病院が移転する計画を了承した。厚生労働省との調整は残っているが機構は「大きな前進」と受け止め、伊万里市に審議結果を報告した。

 伊万里市は今後、市議会や地元自治会などに現状を説明し、それぞれから出される要望事項を市が取りまとめて、機構に伝える--との手順に合意した。

 病院が移転すると、山代町は医療空白地帯となるので、跡地対策は大きな課題。機構も当初から「空白を埋める診療所の建設」を市側に打診していた。だが、2年に及ぶ病院移転問題のもつれから市は「跡地に診療所を建設する問題は機構が言い出した」と、これまで突き放してきた。

 しかし、地元の要望がないまま機構が診療所建設を進めると、厚労省から「独法の自己増殖運動」と受け取られかねない。市は機構の立場を理解し今回の地元要望の取りまとめ役を引き受けた。

 病床を持たない診療所の建設に市内の病院は異論がなく、今後は行政手続きに沿って建設問題は推移する。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/157327
塚部市長「伊万里に診療所残して」
伊万里松浦病院移転で

12/8 8:32 佐賀新聞

 伊万里市山代町の伊万里松浦病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)は7日、塚部芳和市長に対し、長崎県松浦市への移転を前提に伊万里市側と協議を進めたい考えを正式に伝えた。塚部市長は了承し、移転後の現在地に少なくとも診療所機能を残すよう求めた。

 長崎県の医療審議会が6日に移転を承認し、移転が事実上確定したことを受け、機構の宇口比呂志理事が伊万里市役所を訪れた。

 会談は非公開で行われ、宇口氏が移転が確実になった経緯を報告し、2020年7~10月の新病院開設に向け、伊万里市側とは移転後の対応を協議したいと話したという。

 これに対し、塚部市長は「地域に70年あった病院が移転すれば、住民も大変困ることになる。移転後も最低でもサテライトの診療所を残してほしい」と述べた上で、今後、市議会や地元区長会の意見を集約し、あらためて機構側に要望すると返答した。



https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-626262.html
<社説>北部2病院統合 課題克服し早期実現を
2017年12月7日 06:01 琉球新報

 翁長雄志知事は、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合を進め、基幹病院を整備する方針を表明した。

 慢性的な医師不足を解消し、安定した医療体制の構築へ向け、一日も早い実現を求めたい。
 沖縄21世紀ビジョンの将来像に「誰もが生きがいをもち、十分な医療や福祉が受けられる沖縄」という項目が含まれる。今年3月に決定した「県地域医療構想」は、北部地域の定住環境を整備するためにも「安定的な医療提供体制を構築するための効果的な施策が喫緊の課題」と明示している。
 本島北部地域は、人口約10万人の医療圏に327床の県立北部病院、200床の北部地区医師会病院という同規模の急性期病院が二つあり、診療科も重なる。そのため医療提供体制が分散され慢性的な医師不足が続いている。2006年に県立北部病院の産婦人科が医師不足による休止に追い込まれた。
 このため14年には県の研究会が両病院の統合を提言した。さらに今年3月、北部市町村の首長、議会議長、女性団体代表、医療関係者は、翁長知事に対し「北部地域における基幹病院の整備を求める決議」と基幹病院整備を求める11万1039人分の署名を手渡した。
 決議は北部地域の医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、住民に寄り添った医療確保のために、両病院の統合・再編を訴えた。基幹病院の機能として(1)500病床の機能集約(2)多様な病気への対応(3)安心して産み育てられる地域貢献病院-などを求めている。
 2病院を統合することで、県立北部病院で1回当たり15時間半に及ぶとも指摘される当直勤務の回数を減らし、医師の負担を軽減できる。県立北部病院の医師らの過重労働について労働基準監督署から是正勧告が出されており、勤務改善は喫緊の課題だ。
 また、中南部への患者の流出が進み症例が少なくなることで若手医師が辞め、医師不足がさらに患者の流出を生む悪循環が指摘されている。統合することにより、幅広い症例を集約することで医師の研修を充実することができる。
 一方、統合に伴う課題は山積している。県は両院の財産の取り扱いや職員の身分など、約50項目にわたる「整理すべき課題」を抽出し、今年3月、関連機関や北部市町村会などに提示した。
 特に、北部地区医師会病院は03年に負債が約61億円に膨らみ、経営破綻の危機に陥った経緯があるため、北部地区医師会の借入金についての取り扱いは大きな焦点となる。さらに職員の身分といった問題もある。
 健康と豊かな生活を送るために医療の充実は欠かせない。地域によって医療体制に差があってはならない。県と医師会病院、北部12市町村には、山積する課題を克服し、合意形成を求めたい。



http://www.huffingtonpost.jp/foresight/doctor-medical-relationship_a_23296994/
BLOG
まったく変わらぬ「医師」「製薬企業」「官僚」癒着の実態を告発する--上昌広
医師と製薬企業の不適切な関係は改善されたと思うだろう。 ところが、話はそんなに簡単ではない。

2017年12月08日 13時59分 JST | 更新 2017年12月08日 13時59分 JST ハフィイントンポスト

スイス製薬大手の日本法人「ノバルティスファーマ」が販売する降圧剤の研究不正が発覚して5年が経過した。

この間、医師と製薬企業の関係については、情報開示が進んだ。2012年以降、製薬企業は医師や病院への資金提供を、一部の大学や病院は製薬企業から受け入れている資金を、それぞれ開示するようになった。さらに、今年4月には臨床研究法が制定され、製薬企業は医療機関・研究者への資金提供を公表することが義務づけられた。これで、医師と製薬企業の不適切な関係は改善されたと思うだろう。

ところが、話はそんなに簡単ではない。私は、実態は変わっていないと考えている。

「日本臨床腫瘍学会」の癒着
すこし工夫すれば、医師と製薬企業の「癒着」の痕跡は、容易に見つけることができる。多くの医師主導臨床研究のプロトコール(治験実施計画書)や、学会のガイドラインがインターネットで公開されている。ご興味がある方は、ファイルをダウンロードして、「プロパティ」の「作成者」の欄を調べてみるといい。

例えば、2014年4月に日本臨床腫瘍学会が発表した「大腸がん患者におけるRAS遺伝子(KRAS/NRAS遺伝子)変異の測定に関するガイダンス第2版」だ。

このガイドラインは、抗上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)抗体薬の使用法に関するものだ。EGFRは大腸がんなどの一部のがんで高発現しており、がんの増殖と関係する。抗EGFR抗体薬としては、スイス製薬大手の日本法人「メルクセローノ」が販売する「セツキシマブ(商品名アービタックス)」と、「武田薬品工業」が販売する「パニツムマブ(商品名ベクティビックス)」があり、いずれも大腸がんへの効果が認められている。

その後の研究で、RAS遺伝子が変異している患者には抗EGFR抗体薬の効果が低いことがわかった。この変異は、大腸がん患者の45%程度に認められる。2010年には厚生労働省も、遺伝子検査を保険適用とした。

その後も同様の変異の発見が続いており、無駄な投薬を避けるため、使用ガイドラインを改定することとなった。作業部会のトップは土原一哉氏(国立がん研究センター先端医療開発センター)が務めた。

このガイダンスはウェブ上で公開され、製薬企業との利益相反は冒頭の3ページで詳細に記載されているが、土原氏は、すべての製薬企業との利益相反はない、と明言している。

ところがこのファイルを調べると、「作成者」の欄には「Merck・Ltd」とあった。同社はメルクセローノの親会社。「アービタックス」は同社の目玉商品で、2016年度の全世界での売上は約1100億円だ。

医師たちは、無駄な抗がん剤の使用を止めるためのガイドライン作成を、その薬を販売する会社に任せていた可能性がある。少なくとも「独立した評価委員による評価を2014年2月から3月に行い、以下に示す改訂版を作成した」という説明は、文字通りには受け取れない。

この件は、これまでどこにも報じられていない。今回、この文章を読んだ日本臨床腫瘍学会は、果たしてどのような対応を取るだろうか。メディアはどう報じるだろうか。おそらく当事者は説明などしないだろうし、メディアも学会を批判したりはしないだろう。

医療界の悪弊は、問題が指摘されても頬被りを決め込むことだ。それは厚生労働省も例外ではない。

日本臨床腫瘍学会は実は、国がん(国立がん研究センター)の医師が立ち上げた集まりだ。国がんは厚労省の直轄組織だが、ここでは科学研究費(科学研究助成の補助金)の不正使用など、多くの問題が発覚している。おそらく、この手の「癒着」は氷山の一角だろうから、下手に問題を指摘すると、自らが返り血を浴びかねないのである。

世界最高峰科学誌に論文掲載
臨床研究不正で、現在最大の問題となっているのは、乳がんの臨床研究グループである一般社団法人「JBCRG(東京都中央区、代表理事大野真司・がん研有明病院乳腺センター長)」だ。

この組織は、戸井雅和・京都大学乳腺外科学教授が設立した団体で、常任理事には黒井克昌・東京都保健医療公社荏原病院院長や岩田広治・愛知県がんセンター中央病院副院長など、乳がん業界の重鎮が名を連ねる。

このグループが今年6月、米国の『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)』誌に臨床研究を発表した。

『NEJM』は世界最高峰の医学誌で、2016年のインパクトファクター(掲載論文が引用された回数を示し、雑誌の格の指標に用いられる)は72.4で、医学誌の中で断トツの1位だ。ちなみに2位は英国の『ランセット』で47.8、科学誌の最高峰とされる英国の『ネイチャー』は40.1。『NEJM』の権威の程がおわかりいただけるだろう。

日本の臨床研究が世界で評価されることは、1人の日本人として誇りに思う。ところがこの論文を詳細に読むと、研究費の扱い、製薬企業との関係、さらに健康保険への不正請求など、JBCRGのやり方が滅茶苦茶なのがわかる。

不可解な資金の流れ
その前に、まずは、この研究の概要をご紹介しよう。

この研究は「CREATE-X」と呼ばれ、対象はHER-2陰性の再発リスクの高い乳がん患者だ。合計910人が登録され、全員が従来型の抗がん剤治療を受けた後に、手術を受けた。

その後、患者は無作為に分けられ、「カペシタビン(商品名ゼローダ、中外製薬)」という抗がん剤を投与される群と、それ以外に分けられた。

結果は驚くべきものだった。コントロール群と比較して、カペシタビン投与群の5年間の死亡、再発リスクがそれぞれ41%、30%も低下していたのだ。臨床試験は中間解析でストップした。

カペシタビンは乳がんの補助化学療法として以前から注目されてきたが、過去の多くの臨床試験では有効性を示せなかった。2015年に米国、また最近ドイツから発表された臨床研究の結果は、いずれもネガティブだった。今回のように再発だけでなく、生存期間まで延長できたという研究結果は、世界に衝撃を与えた。だからこそ、世界最高峰の医学誌である『NEJM』も掲載したのだ。

カペシタビンは、中外製薬が販売する抗がん剤だ。中外製薬は我が国を代表する抗がん剤メーカーで、特に乳がん領域に力をいれている。主力の「アバスチン」(売上921億円、2016年度)や「ハーセプチン」(売上341億円、同)は乳がんに適応があり、この領域での売上が多い。

カペシタビンの売上は123億円で、同社の抗がん剤領域では第4位だ。市場規模は大きくないが、対前年比11%の売上増で成長が期待できる。さらに乳がん治療では、前述のアバスチンやハーセプチンなどの他の商品との相乗効果が期待できる。つまり、この臨床試験は中外製薬と密接な関連があるのだ。

では、実態はどうだったのだろう。『NEJM』を見ると、この臨床試験は、一般社団法人JBCRGと特定非営利活動(NPO)法人「先端医療研究支援機構」によって助成されたと記載されているだけで、中外製薬の名前は一切出てこない。

臨床試験の実施主体がJBCRGなのに、そのための資金がJBCRGから助成されているとは不思議な理屈だ。余程、資金の出所を隠したいのだろうと勘ぐられても仕方ない。『NEJM』編集部は、どうしてこのような記載を許したのかわからない。

この問題を最初に指摘したのは月刊誌『選択』だ。その8月号で「中外製薬が抗がん剤で『研究不正』『カネまみれ』医学界との癒着は続く」という記事を掲載し、ネット上で無料公開した。

「紐付きです」
冒頭でご紹介したように、製薬企業は医師などへの資金提供を2012年から開示している。開示されたデータを調べると、2012年度から4年間に中外製薬からJBCRGに1億円、先端医療研究支援機構にも、2012年度から15年度までに2億円以上の寄付金が渡っている。2011年以前は開示されておらず、これは氷山の一角だが、その巨額さに驚く。

製薬企業からNPOなどへの寄付は、年間100万円程度が相場だ。数億円の寄付は、何らかの見返りがあったと考えるのが普通だろう。知人の先端医療研究支援機構関係者に尋ねたところ、「JBCRGに入れました。勿論、(中外製薬の)紐付きです」と回答した。

言うまでもないが、この臨床試験の結果で利益を受けるのは中外製薬だ。カペシタビンの、これ以上ない宣伝になるだろう。しかも、自らの名前は出ることなく、医師が自主的に研究した形をとっている。

このケースが極めて巧妙なのは、製薬企業から医師や病院への資金提供について情報開示が求められたため、製薬企業は第三者機関を、医師たちは独自の団体を立ち上げ、両者の間で資金をやりとりしたという構造だ。いずれも情報開示義務がなく、外部からはチェックできない。先端医療研究支援機構からJBCRGに渡った金の額は不明だし、JBCRGがどのように使ったかもわからない。臨床研究法の精神を踏みにじる行為で、悪質と言わざるを得ない。

ところが『選択』の記事が出たあとも、医学界・厚労省・マスコミはだんまりを決め込んだ。

この問題を指摘したのはただ1人、南相馬市立総合病院の乳腺外科医である尾崎章彦氏(32)だ。『サイエンス・アンド・エンジニアリング・エシクス』という英語の専門誌に、問題点を解説した論文を寄稿して掲載された。医学界の中で相当な反発が予想される中での、勇気ある行動だ。彼の存在を見ていると、日本の医学界も変わりつつあることを感じる。

「見え透いた嘘」で健保「不正請求」
実は、この臨床試験にはもう1つ問題がある。それは研究者たちが、製薬企業から受け取った研究費でカペシタビンを購入せず、健康保険で不正に請求していたことだ。

医師と製薬企業の癒着は、薬害を別にすれば、極論すれば株主が不利益を蒙っているという問題である。ところが健康保険への不正請求は、国民に対する冒涜だ。

このことを報じたのも『選択』だった。11月号で「中外製薬『抗がん剤研究』の闇 一流医師らと健保組合から『大金詐取』」という記事を掲載した。

先に挙げた乳がん研究「CREATE-X」の対象は、再発リスクの高い乳がん患者で、カペシタビンを手術と併用した。ところが、厚労省がカペシタビンの保険での使用を認めているのは「手術不能又は再発乳癌」だけだ。つまり、適応外使用である。

前述したように、カペシタビンを乳がんに補助化学療法として用いた過去の多くの臨床試験では、有効性を示せなかった。今回の臨床研究のように、カペシタビンを用いた場合の効果は全く不明と言わざるを得ない。JBCRGも、『NEJM』に掲載された論文の中でそのことを明記している。

臨床研究としてカペシタビンの適応外使用をする場合、厚労省の「先進医療」制度に申請し、カペシタビンの費用は別途研究費で支払うしかない。通常、製薬企業はこのための費用を医師に寄付金として入れる。中外製薬からJBCRG、あるいは先端医療研究支援機構を介して研究者に支払われた金は、この目的に使うことを念頭に置いている。

ところが、彼らはカペシタビンの費用を健康保険に請求した。『NEJM』の論文では、「カペシタビンは保険者と相談して投与した」と記載している。

これは明白な嘘だ。臨床試験に用いる適応外使用を認めることは、保険診療・診療報酬のあり方を定める厚労省令の「療担規則」に違反する。健保の担当者が通知違反をしてまで認めることはあり得ないし、あまたある健保組合のすべての担当者に合意を得るなど不可能だ。

どうして、こんな見え透いた嘘をつくのだろう。参加施設の倫理審査委員会は、なぜ、この点を指摘しないのだろうか。日本の臨床試験のガバナンスには問題がある。

誰もが「だんまり」
「CREATE-X」は日韓共同の臨床研究だ。日本で登録された患者の約半数である300人程度がカペシタビンを投与された。2017年11月末日現在のカペシタビンの値段は、1錠360円(2年に1度の薬価改定のたびに安くなるため、「CREATE-X」が行われた当時はもっと高い)。この試験の場合、1日12錠を2週間服用する。そして、これを6~8コース繰り返すから、カペシタビンの費用は総額で約1億5000万円となる。研究者たちは本来、自分たちが研究費として準備すべきこの費用を、健康保険組合に負担させたことになる。

我が国でカペシタビンの術後補助療法は一般的でない。この臨床試験に登録されなければ、おそらく処方されることはなかっただろう。この点を鑑みれば、医師は論文、製薬企業は新規顧客の開拓のために、健保を食い物にしたという見方も可能だ。

医療機関が組織的に保険の不正請求をした場合、病院は不正請求分の払い戻しに加え、延滞利息などを支払い、その結果経営破綻することが多い。さらに院長は、医道審議会で保険医資格の停止などの処分を受ける。

ところが、この件を『選択』が報じて以降も、厚労省、医学会、さらにマスコミも、またもやだんまりを決め込んでいる。JBCRGもホームページや記者会見で見解を述べることはしていない。これこそが、現在の我が国の医学界を象徴していると思う。

問題意識なき医学界
知人の厚労官僚は、この件について穿った見方をする。彼が注目するのは、「CREATE-X」に参加した62施設中、4施設が独立行政法人「国立病院機構」傘下の病院であることだ。これは厚労省直轄の機関で、厚労省で医療政策を担当する医系技官が出向している。彼は、「国立病院機構は臨床試験体制整備のために、巨額の補助金を受け取っていますが、この体たらくです。JBCRGを追及すれば、そのまま自らに矛先が向いてしまうのです」と言う。その構造は、冒頭にご紹介した日本臨床腫瘍学会と同じだ。産官学の癒着構造ができあがり、誰も問題意識をもっていないのである。

臨床研究への社員関与が問題となった2012年のノバルティスファーマ事件で、ノバルティスの日本法人幹部は更迭された。だがその後ノバルティスは再生し、成長を続けている。

一方、東京大学医学部を中心とした多くの関係者は責任を取らず、その地位にしがみついた。東大医学部の衰退は、いまや週刊誌でも揶揄されるレベルだ。明治以来、先人たちが営々とした努力で築いてきた東大医学部という財産を、不心得者たちと、それを批判しない臆病な「お仲間」が壊してしまった。

医療・医学は社会の信頼なしには発展しない。今回紹介したケースの問題点は、公開情報だけでも明々白々だ。今こそ、オープンに議論し、医療界に溜まった膿を出さねばならない。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20171204-OYT1T50106.html
医師残業、年1777時間も…過労死ライン常態
2017年12月05日 09時26分 読売新聞

 愛媛県立4病院で2016年度、勤務医の約8割が労使協定で定めた上限(月45時間、年360時間)を上回る時間外労働をしていたことが分かった。

 1割以上で時間外労働が年1000時間を超え、中には年1777時間に及んだ医師もいた。平均時間は月57時間で、心臓血管外科や脳神経外科、小児科、放射線科で長時間勤務となる傾向が強く、県は「医療事務を担う職員を増やすなどして医師の負担を減らし、勤務環境を改善していく」としている。

 県によると、新居浜、今治、中央(松山市)、南宇和(愛南町)の4病院で、職員の時間外労働は「36(さぶろく)協定」と呼ばれる労使協定で上限を「月45時間、年360時間」、緊急手術など急を要する処置が重なるなどした場合のみ「月90時間、年に6回まで」と定めている。

 だが、16年度は勤務医計269人中210人で時間外労働が年360時間を超過。36人は年1000時間を超え、「過労死ライン」とされる月80時間超が常態化していたとみられる。

 年1777時間だったのは、県立中央病院の心臓血管外科の男性医師。同科は医師が6人で定員(8人)に満たず、県の担当者は「医師不足に加え、緊急手術の数が多く緻密な術後管理も必要な部署で、労働時間が長くなる傾向にある」と説明する。

 県はカルテ入力などの事務を補助する職員を増やしたり、複数の医師によるチーム医療を導入したりしたほか、病院長らに面談で勤務実態を把握させるなどして改善を図っている。今年度の時間外労働は昨年度より減少傾向にあるという。

 「36協定」は労働基準法36条に基づく労使協定。「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を超えて働かせる場合は労使間で協定を結び、労働基準監督署に届け出なければならない。(水谷弘樹)



http://www.medwatch.jp/?p=17394
医師不足区域での勤務経験を診療所の開業条件に―地域医療を守る病院協議会
2017年12月5日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の地域偏在が解消されるかどうかは、医療機関の管理者要件に懸かっている。具体的には、「『医師少数区域』での一定期間以上の勤務経験」を診療所の開業条件にすべき―。

 5つの病院団体(全国自治体病院協議会・全国厚生農業協同組合連合会・日本慢性期医療協会・全国国民健康保険診療施設協議会・地域包括ケア病棟協会)で構成する「地域医療を守る病院協議会」は11月29日の記者会見で、こうした方向で意見が一致していることを明らかにしました。

 中長期的な医師偏在対策については、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で目下議論されています。地域医療を守る病院協議会では、厚労省側に働き掛けることで、今年(2017年)12月末までに検討会が取りまとめる検討結果への反映を目指すとしています。

ここがポイント!
1 まず病院で要件化するとしても、「国立病院機構」を入れるべき
2 医師不足の地方で働く経験は「キャリア形成に有用」

まず病院で要件化するとしても、「国立病院機構」を入れるべき


 医師需給分科会では現在、「都道府県による医師確保対策の実施体制の強化」(例えば、都道府県ごとの地域医療対策協議会の構成員などを見直し、医師確保対策の実効性を高める役割を発揮させる)や、「医師養成課程を通じた医師確保」(医師が多い都道府県にある大学医学部の地域枠の卒業者を、医師が少ない都道府県で一定期間従事させる)など、さまざまな観点から方策を検討しています。

 「管理者要件の見直し」もこのうちの1案で、分科会では、▼「医師少数区域」(都道府県の中でも医師不足の地域)での勤務経験を一定期間以上有する医師を、「認定医師」(仮称)として厚労省が認定する▼将来的に、「認定医師」であることを地域医療支援病院などの管理者要件に据える―といった厚労省案をベースに議論が進んでいます。

 これを踏まえて、地域医療を守る病院協議会の邉見公雄議長(全国自治体病院協議会会長、赤穂市民病院名誉院長)は会見で、「管理者要件の見直し」が最も重要だと指摘。その上で、医師需給分科会で検討している案よりも強力な施策が求められると主張しました。

 具体的には、「認定医師」を管理者要件に据える対象医療機関の範囲を大幅に広げて、「診療所の開設者になるための要件にしてほしいというのが、われわれの総意だ」と述べました。「『認定医師』になるインセンティブが、より多くの医師に対して働く」と考えられるためです。

 ただし、診療所の「開業規制」につながり、反発もあると考えられることから、邉見議長は、対象医療機関を絞って要件化した後、どこかのタイミングで診療所にも導入する方法が現実的かもしれないとコメントしています。

 その上で、「認定医師」であることを管理者の要件とする病院の対象範囲について、「国立病院機構が運営する病院も入れるべきだ」という意見が、地域医療を守る病院協議会の中で多数派であることを明かしています。この点、厚労省案では、▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)―の5つを候補に挙げ、さらに対象を限定するとしています。国立病院機構が運営する病院の多くは、「地域医療支援病院」や「臨床研修病院」に当てはまると考えられますが、邉見議長は「国の“お膝元”の病院だ。そこが入らないのはおかしい」と主張しています。

医師不足の地方で働く経験は「キャリア形成に有用」

 また邉見会長は、医師偏在対策の一環として地方で働く経験が、若手医師の教育面でも有用だと強調。というのも、医師が少ないへき地の多くでは、高齢化が特に進んでいます。今後、全国的に高齢化が進む(今後は都市部での高齢化が急速に進む)ことを見据えて、若いうちに総合的な医療提供を体験しておくことが、自身のキャリア形成にも有用だというのです。

 この点、会見に出席した押淵徹・全国国民健康保険診療施設協議会会長(国民健康保険平戸市民病院院長)は「医師の人生にとって、大きな『財産』を得る経験ができる。若い時期に一度は来て、人間を磨いてほしい」、武久洋三・日本慢性期医療協会会長(医療法人平成博愛会理事長)は「地方でさまざまな患者を診て、経験した上で管理者になる。そういう医師の『育ち方』も大事ではないか」と指摘しています。

 「認定医師」をめぐっては、「どの程度の期間の経験で認定するか」も重要なポイントですが、邉見会長は、医師自身がキャリア形成に資するような経験を積むためには、少なくとも「1年半程度」勤務する必要があるのではないかとの考えを示しています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573725
臨床研修制度の見直し
7科目必修化や評価の標準化、初期研修の改定案まとまる
2020年度から新カリキュラム、一貫性、標準化、簡素化などに力点


レポート 2017年12月8日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「第17回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が12月7日に開催され、臨床研修制度の2020年度からの改定方針について大筋で合意した。7科目が必修になるほか、卒前の医学教育との一貫性、評価の標準化などに力点が置かれた。WGは今回で終了し、座長一任で修正の上、年度内に医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に提出する予定(資料は、厚労省のホームページ)。

10年ぶりに7科目必修化
 臨床研修制度は2004年度の必修化時は7科目必修でスタート。2010年度に「3科目必修+5科目の中から2科目選択必修」に変更となった。2020年度からは再び7科目必修に戻る。
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厚労省資料より引用

 事務局は改定案の特徴を▽卒前教育(モデル・コア・カリキュラム)との一貫性の確保▽標準化▽質の強化▽簡素化――にあると整理。これまでは各ローテーション内での研修内容の詳細は定められておらず、「地域医療」でも急性期病院で手術ばかりしているといった事例があったが、今回は「地域医療では僻地、離島の医療機関、200床未満の病院、診療所」を選択することとし、「病棟研修の場合は、慢性期、回復期病棟を含むこと」などとやるべきことを定めている。

研修医の評価は360度で
 初めて研修医評価表を作成し、半年ごとに研修管理委員会がフィードバックする仕組みを導入する。研修医評価表は「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)」、「B. 資質・能力」「C. 基本的診療業務」で構成され、ローテーションごとに指導医を中心とした360度評価を行う。

 評価は原則として4段階で、研修を通して上から2番目となる「レベル3(「期待通り」「ほぼ単独でできる」など)」を取ることが求められる。最終的に研修管理委員会が評価表を基に「達成度判定表」を使って、14項目について既達か未達かを判定する。原則として全てで既達であることが求められるが、やむを得ない事情で未達があった場合などの対応については今後詳細を詰めるとしている。

経験症候・疾病を厳選
 「経験症候・疾病」も現状の52症候88疾病から、29症候26疾病に厳選した。(『臨床研修、必須29症候、25疾病を提案』を参照。12月7日の議論で、疾病に「肝疾患」が追加された)。これらは日常業務で作成する「病歴要約」で、経験したかどうかを確認する。評価の管理に当たっては、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)などが開発運用している「EPOC(エポック)オンライン卒後臨床研修評価システム」などの活用も検討するとしている。

 2014年8月に始まったWGは17回を数えた。この日の議論を踏まえて、座長一任で2017年度中に取りまとめる。2019年度の医師臨床研修マッチングで研修医の募集を開始し、2020年度から新カリキュラムによる研修が始まる。福井座長は「指導医の勉強が大変になる。これを使いこなすだけの指導医集団にする必要があるが、かなり大きな今後の仕事になる」と話した。



http://www.medwatch.jp/?p=17514
2018年度診療報酬改定の基本方針を了承、良質な医療の効率的提供目指す―社保審・医療保険部会 第110回(1)
2017年12月8日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の診療報酬改定では、(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(2)新たなニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―4本柱を基本的視点に据える—。

 12月7日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった基本方針が概ね了承されました(関連記事はこちらとこちら)。社会保障審議会・医療部会の意見も踏まえて、近く正式取りまとめとなります(12月15日目途)。

 改定論議はすでに中央社会保険医療協議会で進んでいますが、医療保険部会・医療部会の議論の内容などは中医協にも逐次、共有されており、基本方針に沿った改定が行われます(中医協には手続き上、年明けの諮問時に正式に報告される予定)。

機能分化、質の高い医療提供、効率化を推進、働き方改革も重視

診療報酬改定に向けた議論は、2006年度改定から▼基本方針を医療保険部会と医療部会で策定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決定する▼基本方針と改定率に沿って、具体的な点数設計を中医協で行う—という役割分担が行われています。かつては中医協に権限が集中し、汚職事件が発生してしまった点への反省を踏まえたものです。

基本方針では、まず2018年度の次期診療報酬改定に当たっては、前提として「高齢化が進展し、人生100年時代を見据えなければいけない」「地域包括ケアシステムの構築を急がなければならない」「制度の持続可能性を確保すると同時に、医療・介護現場における働き方の改革も進めなければならない」という点を認識しなければならないと指摘。

例えば「人生100年時代」を迎える中では、我が国の人口構成が大きく変わり、合わせて疾病構造も「急性期中心から慢性期中心へと変化していく」点を考慮しなければいけません。当然、報酬による財源配分に当たっても疾病構造の変化を十分に踏まえなければいけないことが分かります(関連記事はこちら)。さらに、「重症化予防」(診療報酬を離れれば、そもそも疾病に罹患しないような予防・健康づくり)への取り組みを重点的に進めていくことも重要となります(関連記事はこちら)。

また地域包括ケアシステムは、地域の実情に応じて▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を総合的・一体的に提供する体制を指します。団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向けて、医療・介護サービスなどの提供体制を再構築する必要があり、現在、各地で地域包括ケアシステムの構築が急ピッチで進められています。2018年度は6年に一度となる診療報酬・介護報酬の同時改定が行われ、かつ「2025年までに大きく舵を切れる最後の同時改定」となるため、とくに「医療・介護連携」や「医療と介護の役割分担」などの道筋を明確にすることが重要であることを再確認する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。

また、少子高齢化は医療保険制度の基盤を脆くする(給付は増えるが、保険料などの収入は減少していく)ため、「診療報酬の適正化」「効率的な医療提供を促進する報酬設計」を十分に行わなければいけないという考えにつながっていきます。

こうした基本認識に立って、2018年度改定では次の4本柱が建てられます。

(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進

(2)新たなニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実

(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進

(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

まず1つ目の柱である「機能分化・連携の強化」については、▼医療機関連携▼多職種連携▼医療・介護で切れ目のないリハビリ提供▼かかりつけ医などの機能の評価▼医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価▼外来医療の機能分化▼生活習慣病の重症化予防▼質の高い在宅医療・訪問看護の確保▼国民の希望に応じた看取りの推進—などが具体的項目として挙げられています。

例えば「外来の機能分化」を進めるためには、「かかりつけ医が十分な機能を発揮する必要がある」、「効率的な入院医療提供」を行うためには、「質の高い在宅医療」を提供する体制を整備する必要がある、など、各項目は有機的に関連している点を忘れてはいけません。

また2つ目の柱である「安心・安全で納得できる質の高い医療提供」では、▼緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価▼認知症患者への適切な医療の評価▼難病患者に対する適切な医療の評価▼小児医療、周産期医療、救急医療の充実▼先進的な医療技術の適切な評価▼ICT等の将来の医療を担う新たな技術の導入、データの収集・利活用の推進▼アウトカムに着目した評価の推進—などの具体的事項が列挙されました。質の高い、手厚い医療を国民は求めており、より充実すべき分野への十分な評価が求められます。
 
さらに3本目の柱となる「医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進」は、現在、医療現場がもっとも注目している項目と言えるでしょう。近い将来、病院勤務医にも罰則付きの時間外労働規制が導入されますが、2018年度改定でも、この点を見据えた「布石」を打っておく必要があると言えます。また現時点でも、労働基準監督署による「宿直医には原則として業務を行わせてはいけない、業務を行う場合は夜勤となり、時間外手当を支払わなければならない」旨の指導などが積極的に行われ、とくに救急医療に力を入れる病院において経営上の危機を迎えていると指摘されます。こうした点について、診療報酬でどういった対応が可能なのかも検討する必要があるかもしれません。また、1つの医療機関でさまざまな機能を担っている状況は「負担の増大」につながるため、機能分化(入院・外来ともに)も負担軽減に向けた重要な視点の一つとなります。
 
質の高い医療は何よりも重要ですが、医療保険を取り巻く環境(少子高齢化、財政状況の悪化など)に鑑みれば、4本目の柱である「効率化」「制度の持続可能性の確保」も極めて重要な視点と言えます。具体的には、▼薬価制度の抜本改革▼後発医薬品の使用促進▼医薬品の適正使用▼費用対効果の評価▼効率性等に応じた薬局の評価▼機能分化―などが挙げられています。この「効率化」「制度の持続可能性の確保」は、少子高齢化に歯止めがかからない状況の中で、時間の経過とともに重要性を増していきます。
 
12月6日の医療部会、12月7日の医療保険部会では、幾ばくかの注文が付きましたが、基本方針案を概ね了承。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「最終調整を行い、近く(12月15日を目途)基本方針を正式に取りまとめる」考えを示しています。

なお、改定論議は既に中医協で始まっていますが、医療保険部会・医療部会の議論の内容などは中医協にも逐次、共有されています。基本方針は、手続き上、年明けの諮問時に中医協に正式提示されますが、それを待たずに、基本方針に沿った改定論議が行われます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573686
社会保障審議会
紹介状なし大病院受診、定額負担の徴収拡大
社保審医療保険部会、改革工程表3事項の「議論の整理」

レポート 2017年12月7日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2017」と「経済・財政再生改革工程表2016改定版」において2017年末、もしくは2017年度末までに結論を得ることが求められている事項について、先発医薬品の薬価を後発医薬品の薬価まで引き下げることや、紹介状なく大病院を受診した場合の定額負担の徴収義務の対象となる医療機関を拡大することなどを、同部会の「議論の整理」として取りまとめることを了承した。

 都道府県別の診療報酬体系の導入については、都道府県の意見を踏まえ、中医協での諮問・答申を経た上で合理的であると認められるかを議論するなど、運用プロセス上の留意事項を定めた(資料は、厚労省のホームページ)。修文は部会長に一任された。

 2017年末、2007年度末までに結論を求められたのは、以下の3点(詳細は、文末を参照)。「1.」は、既に2018年度薬価制度改革に向けた中央社会保険医療協議会における議論で、後発医薬品への置き換えが進まない場合など、先発医薬品の薬価を後発医薬品の薬価まで引き下げる方向で検討されている(『厚労省の2018年度薬価制度改革案、5つの柱』を参照)。「2.」も、大病院の定額負担の徴収義務の対象を拡大する方向で議論が進んでいる(『紹介状なし定額負担、どこまで拡大?』を参照)。

1.先発医薬品価格のうち、後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方
2.病院への外来受診時の定額負担
3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策

 これらを踏まえ、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「1.」と「2.」について、「中医協で決着すれば、これ以上、医療保険部会で議論しなくていいということか」と質問。厚労省保険局総務課長の依田泰氏は、「医療保険部会の議論を踏まえて、中医協で具体的な議論がなされているという流れで進んでいる」とのみ回答。

 なお、2018年度中に結論を得るとされている、下記の4項目については、これまで社保審医療保険部会で議論してきたが、引き続き検討を進める。経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長の望月篤氏の代理で出席した岩村参考人は、「後期高齢者の窓口負担の在り方の検討が重要になる。2019年度から後期高齢者になる人から、2割負担にすべきと考えている。スピード感を持って検討が進むようにしてもらいたい」と求めた。

・かかりつけ医の普及を進める方策や外来時の定額負担の在り方
・後期高齢者の窓口負担の在り方
・薬剤の自己負担の在り方
・金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方

 「再診患者から2500円徴収、実効性あるシステムに」
 「議論の整理」は、社保審医療保険部会のこれまでの議論をまとめた内容だ。7日の同部会では、確認の意味での意見が幾つか出た。

 複数の委員から挙がったのが、「2.病院への外来受診時の定額負担」に関する意見。2016年度診療報酬改定で特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院については、紹介状なしの患者から初診5000円以上、病状が安定した患者で他院を紹介しても継続受診する患者から再診2500円以上、それぞれ徴収することが義務化された。2016年10月は、2015年10月と比べ、定額負担徴収の対象となる紹介状なしの患者比率が2.9%減少した。

 日本看護協会副会長の菊池令子氏は、外来の機能分化・連携の推進は支持したものの、「受診行動を変容させるには、定額負担が本当に妥当なのかを検討すべき。2.9%減少で成果が上がっているという味方もできるが、定額負担を課したにもかかわらず、2.9%しか減少していないという見方もある。大病院における定額負担の意味が国民に伝わっているのか、お金を払っても大病院を受診したいと考える背景も検討し、その上で外来の機能分化の在り方を検討すべきだ」と指摘した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、再診の場合の定額負担がほとんど徴収できていない現状を問題視した。「病状が安定した患者を、紹介元の医療機関、あるいは地域の医療機関に戻すことが十分にできていない」と述べ、再診の患者からの定額負担徴収が実効性のあるシステムになるよう、診療報酬での対応が必要だと指摘し、厚労省の考えを質した。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「指摘の点も踏まえ、今回の改定も含め、どんな取り扱いが可能かをしっかり検討させてもらいたい」と答えた。

 都道府県別の診療報酬、「慎重に」
 「3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策」について、全国知事会社会保障常任委員会委員長(栃木県知事)の福田富一氏の代理として出席した小竹参考人は、地域別の診療報酬の特例についてはその実効性に疑問があるとし、効果や妥当性を踏まえ、慎重な対応を求めた。全国知事会・全国市長会・全国町村会は、今年5月にこの趣旨も盛り込んだ「社会保障制度改革に関する緊急要請」を国に提出した。

 菊池氏は、診療報酬の特例で点数が下がると、医療機関経営に影響し、人員削減、ひいては医療の質にも影響しかねないことから、「第14条の特例方策の活用については、地域医療構想に基づく医療提供体制の改革の動向をみながら、慎重に検討する必要がある」とコメント。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて、第14条の規定の適用の必要性について検討」とある点について、保険者協議会には医療関係者が委員やオブザーバーとして入っているものの、医療提供体制は都道府県の医療審議会で議論していることから、両審議会の位置付けの明確化を求めた。

【議論の整理(2017年12月8日社保審医療保険部会)】

1.先発医薬品価格のうち、後発医薬品に係る保険給付額を超える部分の負担の在り方
(1)先発医薬品と後発医薬品の差額を患者負担とする考え方
⇒先発医薬品・後発医薬品の選択は、治療に関わるものであり、選定療養に馴染まない、負担能力によって医療が制限される恐れがある。
(2)患者負担にはせず、先発医薬品の薬価を後発医薬品まで引き下げる考え方
⇒製薬会社への影響や後発医薬品の使用促進への影響等も踏まえつつ、長期収載品や後発医薬品の薬価の在り方とセットで議論を進めるべきとの方向性について異論はなかった。

2.病院への外来受診時の定額負担
・外来の機能分化・連携を推進する観点から、定額負担の徴収義務の対象となる医療機関を拡大するという方向性については、異論がなかった。
・選定療養による定額負担については、再診での効果や徴収義務の対象外である患者等の受診行動も含め、実施状況の検証を引き続き行う必要があるとの意見のほか、定額負担だけでなく、国民への啓発などの他の誘因も含めて検討すべきとの意見があった。

3.高齢者医療確保法第14条の診療報酬の特例の活用方策
 高齢者医療確保法14条(国は、あらかじめ都道府県と協議した上で、都道府県の地域に別の診療報酬を定めることができる)の運用については、以下のようなプロセスに留意する必要があるという点については、異論はなかった。
・医療費適正化計画の枠組みにおける第14条の規定については、都道府県において医療費適正化計画の目標の達成に向けて保険者・医療関係者等の協力を得ながら取組を行い、その取組状況の評価の結果を踏まえて、都道府県と協議した上で、厚生労働大臣が判断するプロセスとなっている。このため、各都道府県においても、医療費適正化計画に関する取組の実績を分析し、これを評価した上で、既存の診療報酬や施策、取組の予定等を踏まえて、適用の必要性について検討していく必要がある。
・ その際、各都道府県においては、保険者・医療関係者等が参画する保険者協議会での議論も踏まえて、第14条の規定の適用の必要性について検討していく必要がある。
・ 厚生労働省においては、都道府県の意見を踏まえ、中医協における諮問・答申を経て、診療報酬全体の体系との整合性を図りながら、医療費の適正化や適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められるかを議論した上で判断していく必要がある。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171207195232
診療報酬改定の基本方針、重症化予防に力点
医療保険部会が厚労省案で大筋合意

2017年12月07日 20:05 CB News

 厚生労働省は7日、社会保障審議会医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針案を示し、大筋で合意を得た。糖尿病などの重症化予防に取り組むため、「予防・健康づくり」や「セルフケア」を推進する方向性を強く打ち出した。今後、委員らの意見を基に加筆・修正し、来週をめどに公表する見通しだ。【新井哉】

 前回の会合で示された基本方針の骨子案に、委員らの意見を反映させた。「予防・健康づくり」と「セルフケア」に関しては、▽医療関係者▽保険者▽地方自治体▽企業-などが「一体となって国民一人一人を支援する」とした。

 また、「地域包括ケアシステム構築のための取り組みの強化」の項目では、患者が安心して入退院し、住み慣れた地域での療養や生活を続ける際、「救急時の対応」が重要な役割を果たすことを明記した。

 門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進するとした「効率性等に応じた薬局の評価の推進」の項目に関しては、「服薬情報の一元的・継続的な把握」といった薬局の本来の役割が期待されていることを書き加えた。

 「質の高い医療の実現・充実」の項目では、医療の中で重点的な対応が求められる分野を診療報酬で適切に評価することを明記。認知症の人に対する適切な医療の評価や小児医療、周産期医療などを充実させる方向性が盛り込まれた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573677
社会保障審議会
2018年度診療報酬改定、基本方針案を部会長一任で了承
社保審医療保険部会、地域包括ケアシステムの構築などが柱

レポート 2017年12月7日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は12月7日、2018年度の診療報酬改定の基本方針案を、修文を部会長一任の上で了承した。同日の同部会および6日の社保審医療部会の意見を踏まえ、来週中を目途に基本方針が確定する見通し(資料は、厚労省のホームページ。6日の医療部会の議論は『中川日医副会長「調剤財源で院内処方評価を」医療部会』を参照)。

 改定の基本方針は、「1.改定に当たっての基本認識」(3項目)、「2.改定の基本的視点と具体的方向性」(4項目)、「3.将来を見据えた課題」から成る。重要課題として位置付けられたのが、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」だ。医療保険部会では、過去3回にわたり、基本方針についての議論を進めてきたため、7日は表現を確認したり、過去の意見を改めて主張する発言などが主だった。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、「2.改定の基本的視点と具体的方向性」の「新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実」で、「質の高いリハビリテーションの評価をはじめとして、アウトカムに着目した評価を推進」との部分を、「第三者による評価、アウトカムに着目した評価」に変更するよう要望。医療安全の担保が目的であるとし、既に第三者による評価を施設基準にしている点数があることから、その対象の拡大を求めた。「第三者評価を受けるには、費用がかかる。それを加算として評価してもらいたい」(松原氏)。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長(多久市長)の横尾俊彦氏は、生活習慣病の重症化予防、後発医薬品の使用促進に向けた国による広報の重要性のほか、「3.将来を見据えた課題」で、「予防・健康づくりやセルフケア等の推進」に言及している部分について、「診療報酬改定にかかわる議論とは少し違うかもしれない」「少しわさびが効きすぎかもしれない」と断りつつ、次のようなメッセージを盛り込むよう要望した。「自分の健康は自分で守る。健康は自分を守るのみならず、日本の医療保険財政を助ける。言い方を変えれば、治療の怠慢は、自らを滅ぼし、ひいては国や医療保険の財政を滅ぼし、ひいては医療保険制度も揺るがすかもしれない」。



http://www.medwatch.jp/?p=17518
2018年度診療報酬改定、医療機能の分化などが引き続き重点課題―第57回社保審・医療部会(2)
2017年12月7日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 来年度(2018年度)の診療報酬改定では、「地域包括ケアシステムの構築」や「医療機能の分化・強化、連携」の推進を重点課題に位置付ける。報酬改定のたびに対応している「医療従事者の負担軽減」には、専門職配置の柔軟化など「働き方改革」と併せて取り組む―。

 社会保障審議会・医療部会は12月6日、こうした内容で2018年度診療報酬改定の基本方針をまとめることを大筋で了承しました。

 2018年度診療報酬改定の基本方針は、社保審・医療保険部会での審議結果も踏まえ、両部会の連名で、近く取りまとめられる見通しです。

ここがポイント!
1 重点課題の機能分化を進めるため、入院医療は「医療機能と患者の状態」で評価
2 院内調剤と薬局調剤の報酬差、中医協で議論か

重点課題の機能分化を進めるため、入院医療は「医療機能と患者の状態」で評価

 12月6日までの医療部会での議論を踏まえれば、2018年度診療報酬改定の基本方針では、次の4つの基本的視点に立つことを求め、さらに具体的な改革の方向性を例示します。

(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

 このうち(1)では例えば、入院医療の評価を「医療機能」や「患者の状態」に応じたものへと見直したり、「大病院受診時の定額負担」の見直しなどで、大病院と中小病院、診療所の外来医療の機能分化を進めたりすべきだと指摘します。

 基本方針の審議と並行して、2018年度診療報酬改定の内容を議論している中央社会保険医療協議会(中医協)では、急性期から慢性期までのほとんどの入院基本料の評価体系を、「基本部分」(医療機能など)と「実績部分」(患者の状態など)の組み合わせに再編するという大規模な見直し案が浮上しています。

 また、紹介状を持たずに「大病院」を受診した外来患者らが支払う定額負担の制度をめぐっては、「大病院」の範囲を広げる方向で、医療保険部会の意見がまとまりつつあり、具体的な見直し内容は今後、中医協で検討されると考えられます。

 (2)では、▼客観的な評価(第三者評価やアウトカム評価)を推進する▼患者が適切な情報を基に、納得して主体的に医療を選択できる仕組みを目指して、データ収集などを進める―ことなどを求めます。「遠隔診療の適切な活用」も促します。

 (3)では、医療の安全などを損なわないように配慮しながら、柔軟な働き方を可能にする環境整備と、医療従事者の負担軽減とをセットで進めるよう促します。例えば、「専門職の柔軟な配置」や「業務の移管を含むチーム医療の推進」がキーワードになります。

 (4)では、医薬品・医療機器の価格設定方法の見直し(薬価制度の抜本改革など)に加えて、「治療効果が相対的に低くなった技術(検査など)」への評価の適正化や、病院の門前や同一敷地内にある薬局の評価適正化を求めます。

院内調剤と薬局調剤の報酬差、中医協で議論か

 12月6日の医療部会では、こうした方向性が大筋で了承されました。しかし、「院内調剤の報酬を引き上げるなどして、薬局調剤との差を縮める」方向性の追記をめぐり、さまざまな意見が出ました。

 中川俊男委員(日本医師会副会長)や山崎學委員(日本精神科病院協会会長)は、薬局の報酬(調剤報酬)を引き下げて財源をつくり、医療機関での薬剤の一包化などを新たに評価すべきだと訴え、報酬差の解消を目指す方向性を基本方針に追記するよう求めました。

 また邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、院内調剤と薬局調剤の報酬の差が「薬剤師の給与の差」を生み、病院の薬剤師不足を招いていると指摘。「病棟での服薬指導が大事だが、できない。非常に困っている」とコメントしています。

 一方で、森昌平参考人(日本薬剤師会副会長、安部好弘委員:日本薬剤師会常務理事の代理出席)は、基本方針への追記に反発し、「複数の医療機関の処方を一元的に管理し、重複投薬を解消する」といった薬局の役割への理解を求めています。

 追記の是非は永井良三部会長(自治医科大学学長)に一任されましたが、厚労省保険局医療課の矢田貝泰之・保険医療企画調査室長は、「院内・院外の調剤の問題をどうしていくかは、医療部会での意見を踏まえて、中医協で議論することだと考えている」と述べています。

 基本方針は改定内容の方向性を示すものであり、「医科と調剤の財源配分」といったテーマは社会保障審議会の所掌から外れ、中医協マターとなります。中川委員らの発言には、それを踏まえた上で「中医協論議に先鞭をつける」狙いがあるのかもしれません。近く中医協で「調剤報酬」がメインテーマとなり、この議論が再燃することになるでしょう。



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20171207-OYTNT50097.html
入院費担保「別方法を」…行政評価局
2017年12月07日 読売新聞 宮城

27病院に要請、保証人確保困難で

 病院に入院を申し込む際に、入院費の担保として連帯保証人を求められる規則について、総務省東北管区行政評価局は6日、保証人の確保が困難な患者のために、他の方法を検討するよう東北地方の国立病院や国立大付属病院など27病院に要請した。来年2月末までに対応についての回答を求めている。

 同評価局には昨年度以降、「連帯保証人を頼める相手がおらず対応に苦慮した」との相談が宮城や岩手県などで計3件寄せられた。高齢化や過疎化に伴い同様の事態が増える可能性があるため、同評価局は今年8~9月に東北6県の国公私立の37病院を対象に調査した。

 その結果、入院申し込み時に37病院が連帯保証人や保証人を求めていた。うち19病院は困難な場合には、連帯保証人を求めないこともあり、10病院は連帯保証人から入院費を回収できない経験があると回答していた。同評価局は「連帯保証人がいても必ず入院費を回収できるとは言えない」と指摘した。

 国内の医療機関では、連帯保証人の確保が困難な患者向けに、クレジットカード番号の登録や民間の保証会社と連携して入院費を担保する方法も採用されている。同評価局は「クレジットカードや保証会社の活用は、病院にとっても入院費を確実に担保できる手段」とし、こうした制度を検討し、患者の負担軽減に取り組むよう病院に求めた。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201712/CK2017120702000123.html
医療と介護の連携強化 厚労省方針 報酬同時改定を機に
2017年12月7日 朝刊  東京新聞

 厚生労働省は六日、来年四月に改定する診療報酬の基本方針と、介護報酬の報告書案を公表した。今回の改定が六年に一度の同時改定であることを踏まえ、医療と介護の連携強化を意識した内容が目立った。 (木谷孝洋)
 厚労省が同日、診療報酬と介護報酬を議論している社会保障審議会の部会と分科会にそれぞれ示した。
 診療報酬改定は「どこに住んでいても適切な医療・介護を受けられる社会の実現」を掲げ、在宅でも必要な医療サービスが受けられる体制づくりを重視。住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」の充実や、日常的に患者の健康や服薬を指導する「かかりつけ医」や「かかりつけ薬剤師」の報酬を手厚くする方針を打ち出した。
 慢性疾患を持つ高齢者の増加を踏まえ、重症患者向けの急性期病床の報酬を引き下げ、リハビリ向けの病床への転換を促す。
 介護報酬では、利用者が入院・退院する際に医療機関と情報を共有する事業者を評価し、医療と介護の現場で切れ目のない対応を促す。リハビリへの医師の関与の強化も盛り込んだ。
 今回の改定では、膨らみ続ける社会保障費をどう抑制するのかも論点となった。がん治療薬オプジーボなど高額な薬の登場を受け、診療報酬の改定方針に薬価制度の抜本改革を明記。現在は二年に一度の薬価改定を毎年できるようにする。
 介護報酬では、訪問介護で家事などの生活援助を頻繁に使う利用者のケアプランを市町村の会議でチェックする仕組みの導入を目指すが、利用者側の委員からは「必要なサービスの抑制につながる」と反対意見が出た。
 診療報酬と介護報酬は今月下旬に改定率が決まり、年明けに医療と介護のサービスの具体的な報酬を議論する。
 政府は来年度、高齢化などに伴う社会保障費の自然増を五千億円に抑えるため、抑制しない場合の見込み額(六千三百億円)から千三百億円圧縮する目標を掲げる。診療報酬のうち医薬品など「薬価部分」の引き下げで対応し、医師らの人件費にあたる診療報酬の「本体部分」と介護報酬は微増とする方針。



http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/07/news023.html
欧州では議論進む:
地域医療の「脱中央集権化」

[三原岳,ニッセイ基礎研究所]
2017年12月07日 06時00分 ITmedia ビジネスオンライン

 広域自治体に医療政策の権限を移譲したスウェーデンなど、欧州では「脱中央集権化」が進む。もちろん海外の事例をダイレクトに輸入してもうまくいくとは思えないが、地域医療構想の推進に役立つ側面はある。
 2017年3月までに各都道府県が策定した「地域医療構想」を読み解く第1回では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している点を指摘するとともに、国は前者を重視しがちであるのに対し、都道府県は後者を優先している点を指摘した。

 第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、「プライマリ・ケア」という3つのキーワードを使いつつ、各都道府県が地域医療構想の推進に向けて、必要な考え方や対応策を検討したい。

 今回は、前半で民間中心の医療提供体制などを考察しつつ、地域医療構想の推進には合意形成が重要である点を論じるほか、人口動向や病床数の地域差を見ることで、地域の課題を地域で解決する発想が求められる点を指摘する。

 その上で、後半では欧州諸国を中心に論じられている「脱中央集権化」(decentralization)という言葉を1つの手掛かりとして、地域の特性に応じた提供体制の構築に向けた各都道府県の対応として、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――が重要になる点を強調する。

民間中心の提供体制

 地域医療構想に基づいて議論しなければならないテーマは広範囲である。具体的には、急性期病床や慢性期病床の削減、回復期病床の充実、在宅医療等(※1)の整備、医療・介護連携などであり、関係者も多い。地域医療構想では、都道府県を中心とした関係者の合意形成を通じて、地域特性に応じた提供体制の構築が期待されている。

 では、なぜ合意形成に力点が置かれなければならないのだろうか。第1に、日本の医療提供体制の特徴が挙げられる。日本の医療制度では国、自治体、保険者が保険料と税金で費用の約8割を調達しているが、サービス提供は民間中心であり、これは世界的に珍しいとされている。

 表1で示した開設者別の病院数を見ると、医療法人が全体の68.16%と最も多く、2.84%を占める個人と合わせると7割近い病院が民間によって運営されている。この状況で都道府県が単に構想を策定したり、将来像を予想したりするだけでは何の実効性を持たない。

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表1 開設者別で見た病院の数

 このため、前回述べた通り、地域医療構想の推進に際して知事の権限が強化されたとはいえ、民間病院に対しては勧告や要請にとどまる。さらに、都道府県が病床過剰地域で病床の新設に上限を設定している現在の規制についても、医療計画の根拠法である医療法に基づく直接的な規制ではなく、健康保険法に基づいて保険医療機関の対象として認めないという間接的な方法を採用している(※2)。

 こうした状況で医療提供体制に対し、都道府県が果たせる影響力は小さく、地域医療構想の推進には民間医療機関との連携・協力が欠かせない。

 第2に、在宅医療を含めた在宅ケアの充実には医療関係者だけで完結しない点である。

 図1は地域包括支援センターの業務に関係する関係者を列挙しているが、これだけでも相当な関係者が絡んでいる。分かりやすい事例は認知症ケアかもしれない。認知症ケアの場合、専門的な医療による初期診断や悪化防止だけでなく、患者の生活実態に沿って生活の質(QOL)を維持・向上させることが必要であり、介護職やリハビリ職などの支援も重要である。日常生活では住民同士の気付きや支え合いも求められる(※3)。このため、地域医療構想の推進には医療関係者だけでなく、住民を含めた幅広い関係者との連携・協力が必要となる。特に、地域医療構想の推進に際しては、連携・協力の場として関係者で構成される「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)が設置されており、ここでの合意形成プロセスが重要となる。
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図1 地域包括支援センターで連携が求められる関係者

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※1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは在宅医療と表記している。

※2 財務省は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)を通じて、民間病院に対しても同様の権限が必要と主張しており、17年10月25日の会合では「都道府県知事の権限を実効的にしていくべき」とする資料を提出した。

※3 なお、政府は日常生活圏域で医療・介護・生活支援などを一体的に提供する「地域包括ケア」を推進しており、「あるべき姿としての切れ目のない提供体制」と共通点が多いが、この言葉は在宅医療や医療・介護連携、介護保険制度改革、保険外サービスなど多様な文脈で使われており、その意味は曖昧である。本レポートでは用語の混乱を避けるため、原則として「地域包括ケア」という単語を使わない。



病床を巡る地域ごとの違い

 現実的とは思えない理由の第2に、病床数が都道府県単位で大きく異なる点である。病床が「西高東低」の傾向であることは知られているが、人口1000人当たりで見た病床数の差は図3の通りである。
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 分かりやすい事例で言うと、40年ごろに一気に高齢化が進む首都圏と、人口減少局面に入る青森県では課題の現われ方と解決策は異なる。

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※4 厚生労働省幹部が青森県を最初に先進事例として取り上げたのは16年6月の神田裕二厚生労働省医政局長の発言。同年7月6日『CB News』、同年7月1日『メディ・ウオッチ』。

※5 厚生労働省は17年11月20日の会合で、都道府県に対して毎年度、病床再編について「具体的対応方針」をとりまとめるよう求めた。その中では25年時点の役割と医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関について、(1)25年を見据えた地域で担うべき役割、(2)25年に持つべき医療機能ごとの病床数――を明示する必要があるとしている。


病床を巡る地域ごとの違い

 現実的とは思えない理由の第2に、病床数が都道府県単位で大きく異なる点である。病床が「西高東低」の傾向であることは知られているが、人口1000人当たりで見た病床数の差は図3の通りである。

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図3 人口1000人当たりの都道府県別病床数

 人口減少が進む高知県や佐賀県などの病床が多い反面、これから先に高齢化が進む首都圏の病床数は少ないことが分かる。地域医療構想に盛り込まれた病床のギャップを見ても、地域差が顕著である。例えば、341構想区域ごとに現状から25年の必要病床数を差し引くと、261区域で余剰となり、三大都市圏に属する区域を中心に75区域が不足となった(※6)。つまり、区域単位で見ても、余剰または不足の状況が異なるのである。

 さらに、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の各機能について余剰または不足するかを341区域ごとに整理すると、地域差が一層顕著になる。区域ごとに4つの各機能が余剰または不足するかどうかを分析(※7)したのが表2である。この方法だと最大で16通り(その他を入れると17通り)になる計算だが、実際には9通り(その他を入れると10通り)のパターンが出現し、全国的に不足するとされている回復期さえ余剰となる地域が見られた。地域の特性に応じて提供体制を構築する上では、こうした地域差に考慮する必要がある。
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表2 構想区域別の病床機能の余剰or不足分布

 第3に、青森県の特殊事情を考慮する必要がある。青森県の場合、開設者別に見た医療機関のうち、25%を自治体病院が占めており、都道府県が議論を主導しやすい環境があった。青森県よりも公立病院の割合が小さい岐阜県や三重県、広島県、大分県も同様の手法を採用しており、関係者の意識など別の要因が働いた可能性があるが、青森県のような手法は決して一般的だったとは言えず、これを全国に「横展開」するのは無理がある。

 こうした地域差を踏まえると、地域の現状や将来像、課題に差が大きく、具体的な進め方は関係者と協力・連携しつつ、都道府県が自ら考えていくしかないことになる。つまり、地域の課題は地域で解決する発想が求められる。

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※6 残りは±0の島根県隠岐区域、高度急性期を全県単位で比較した石川県4区域の計5区域。

※7 この方法では、病床が1つでも上回ると「余剰」、1つでも下回ると「不足」と整理するため、その規模感を把握できない欠点があるが、各地域で事情が異なる中、一定のルールで大まかな傾向を理解できるメリットもある。


言葉の定義

 ここで1つのヒントとなるのが脱中央集権化(decentralization)を巡る議論である。

 ヨーロッパの医療制度に関する資料を見ると、この言葉が頻繁に登場する。一例として、欧州各国のヘルスケア政策を紹介する「European Observatory on Health Systems and Policies」というWebサイト(※8)では、医療制度のパフォーマンスを評価する際の指標として「脱中央主権化」が盛り込まれており、ランスティングと呼ばれる広域自治体(日本の都道府県に対応)に医療政策の権限を移譲したスウェーデンなどの取り組みが紹介されている。

 しかし、脱中央集権化の定義は多岐にわたる。脱中央集権化という言葉は(1)同じ政府組織内で現場に責任を委ねる deconcentration(分散化)、(2)異なる行政機関に責任を委ねる devolution(移譲)、(3)民間向け規制を緩和する deregulation(規制撤廃)、(4)民間にサービス提供を委ねる privatization(民営化)――に類型化されている(※9)。

 さらに、権限、財源、説明責任などに分ける議論があるため、すべてが日本に該当するとは限らない上、医療制度の設計には歴史的な経緯や国民の意識が絡むため、海外の事例をダイレクトに「輸入」してもうまくいくとは思えない。

脱中央集権化のメリット

 だが、脱中央集権化を巡る論議で期待されていることは地域医療構想の推進に役立つ側面がある。

 一例として、脱集権化の目的を「政府の機能をより住民に近付け、コミュニティーレベルの参加を促進すること」とした上で、(1)合理的で統合されたヘルスケアサービスの提供が可能になる、(2)コミュニティーの構成員が自らの健康管理に参加できるようになり、健康ニーズや地域の健康課題に対応した健康計画が可能になる、(3)政府や非政府組織、民間組織の活動が密接に統合できるようになる、(4)地域の行政課題に関する中央の統制が排除され、健康に関する事業の立案が可能になる、(5)地方自治体の活動について、ヘルスケアとは別の関係者とセクションを超えた協力が可能になる――といった点が挙げられている(※10)。

 別の文献では脱中央集権化のメリットとして、(1)スタッフが住民と近い関係を持ち、地域の組織による支援調整に関わることを通じて、士気は上がる、(2)住民参加を担保した意思決定が住民の意識を高め、政治的な課題に対する知識や行動を拡大する手段になる、(3)政策決定プロセスに関する最適な資源分配をもたらす――などを挙げつつ、「住民と現場の専門職が加わることで、政策決定プロセスは新たな気付きを生み出したり、現場職員の意識を高めたりすることにつながり、説明責任と応答性が高まることを期待できる」と指摘している(※11)。

 つまり、脱中央集権化を通じて、地域の特性に応じたコンパクトな制度を整備できるようになるため、そのメリットとしてケアの統合やヘルスケア領域以外の部門を超えた連携、住民など幅広い関係者の参加が可能になる点が挙がっている。

 以下、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――に議論を絞って、地域医療構想への応用を試みる。

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※8 Webサイトはこちらの通り。
http://www.euro.who.int/en/about-us/partners/observatory

※9 脱中央集権化の定義はKrishna Regmi et al.(2014)“Decentralizing Health Services”Springer, Rondinelli A.Denniset al.(1983)“Decentralization in Developing Countries”World Bank Staff Working Papers No.581などを参照。

※10 Anne Mills(1990)”Health System Decentralization”World Bank,p28,142。

※11 Richard B. Saltman et al(2007)“Decentralization in Health Care Systems”pp66-67。



ケアの統合

 まず、(1)のケアの統合である。在宅ケアでは医療・介護連携を含めて、患者の生活を切れ目なく支える提供体制が必要であり、その論点や関係者は医療に限らない。地域医療構想の推進に際して、都道府県は医療部局と介護・福祉部局の連携を密にするのはもちろん、地元医師会や医療機関関係者との連携・協力が欠かせない。

 冒頭で触れた通り、日本の提供体制は民間主体であり、都道府県に強制力はほとんどない。地域医療構想に定められた病床数についても、将来像を示しているとはいえ、これを絶対の数値目標と位置付けることはできない。むしろ、必要病床数は厚生労働省令に基づく1つの試算に過ぎないとの認識に立ち、合意形成に力点を置く方が望ましい。

 さらに、切れ目のない提供体制の構築を図る上では医療関係者だけでなく、介護・福祉関係者との連携が重要になるほか、介護保険の財政運営や福祉行政を担う市町村との関係強化も課題である。つまり、都道府県が地域医療構想を策定しただけでは何の実効性も伴わない上、住民の生活にとっては医療だけで完結しても意味も持たないことを認識する必要がある。

ヘルスケア領域を超えた部門間の連携

 次に、(2)のヘルスケア領域を超えた部門の連携である。その一例として、住宅行政を考えよう。

 住宅行政と医療・介護行政の連携を国レベルで強化しようとした場合、前者は国土交通省、後者は厚生労働省が所管しており、連携には限界がある(※12)。

 しかし、地域医療構想で言う在宅医療には自宅での医療提供に加えて、介護施設や高齢者住宅も対象としており、病床削減が進んだ場合、高齢者住宅は1つの受け皿となる。もし都道府県や市町村が住宅行政とのリンクを想定しなければ、受け皿の選択肢が減ることになる。

 さらに、地域特性も考慮する必要がある。訪問診療や訪問介護の場合、医療機関から自宅までの移動時間が長くなると、採算が悪化することになる。そこで人口密度が希薄な過疎地や山間地、冬場の移動が困難な豪雪地帯の場合、専門職が利用者の自宅と事業所を往来する都会型の在宅ケアは現実的と言えないため、高齢者住宅などの受け皿整備を考える必要が出てくる。

 実際、北海道の地域医療構想は住まいに着目しており、国民健康保険病院の3階部分を改修してサービス付き高齢者向け住宅に転用した奈井江町などの取り組みを紹介しつつ、集住の選択肢を含めた居住環境を確保する重要性を強調した。こうした形で国の縦割りを超えて他分野と連携できるのは現場に近い自治体の強みである。

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※12 それでも近年は連携の強化が図られており、面積など一定の要件を満たしつつ安否確認や生活相談などを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」は国土交通省、厚生労働省の共管となっている。さらに、両省の情報共有や協議を図る場として、関係職員で構成する「福祉・住宅行政の連携強化のための連絡協議会」が16年12月に設置されている。


住民を含めた幅広い関係者の参加

 最後に、(3)の住民を含めた幅広い関係者の参加である。医療政策での「住民」とは医療サービスを利用する患者、費用を負担する納税者、被保険者などさまざまな側面があるが、ここでは患者に限定して考えよう。

 医療の場合、患者―医師の間では情報格差が大きく、患者はニーズの発生も予想できないため、(1)選択を求められていることや選択の余地があることが不明確、(2)決断を下すのは誰かあいまいにされている、(3)判断に関係する情報が医師によってコントロールされている――などの理由で、患者が治療方法を選ぶことが難しいとされてきた(※13)。

 しかし、以前に比べると、患者~医師の情報格差は改善している。第1に、情報通信技術の発達を受けて、患者がさまざまな医療情報に触れる機会が増えた。

 第2に、公衆衛生の発達や栄養環境の改善、人口高齢化を受けた疾病構造の変化である。具体的には、感染症対策や急性期疾患に対するニーズが減った一方、生活習慣病など慢性疾患の患者が増加したことが挙げられる。この結果、急性期疾患の場合、患者が病気になった瞬間、治療方針を決定しにくいが、慢性疾患は完全な回復が難しく、患者は病気と向き合い、生活に照らし合わせて治療法を選択することが必要となり、個人にとって健康は単に「病気のない状態」ではなく、「各個人が自分のために立てた目標に到達に一番適した状態」となった(※14)。

 言い換えると、「病気と折り合いを付けつつ、どう生きるか」が求められるため、治療を受けない選択も含め、患者が治療方針を自己決定できる余地は以前よりも大きくなっている。

 こうした中で、患者と医師の関係性は変容を迫られる。医師などの専門職が治療方針やケアの内容を一方的に決定するのではなく、素人である患者の経験などをベースにしつつ、患者と専門職が生活やニーズに沿って治療方針やケアの内容を決定することが必要になる(※15)。いわば素人である患者の経験や語りが重要性を帯びると言える(※16)。

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※13 George J. Annas(1989)“The Rights of Patients”[上原鳴夫・赤津晴子訳(1992)『患者の権利』日本評論社]。さらに、医療社会学の領域では情報の非対称性が大きい点などに着目し、絶対的な権限を持つ医師が患者を統制する「専門家支配」や医療化、医原病の危険性が指摘されてきた。 Ivan Illich(1976)“Limits to medicine”[金子嗣郎訳(1979)『脱病院化社会』晶文社]を参照。

※14 Rene Dubos(1959)“Mirage of Health”[田多井吉之介(1977)『健康という幻想』紀伊國屋書店]pp208-210。

※15 このプロセスは「意思決定支援(shared decision making)」と呼ばれる。

※16 医療人類学の領域でも患者の訴えや語りが重視されている。Arthur Kleinman、江口重幸、皆藤章編監訳(2015)『ケアすることの意味』誠信書房、Arthur Kleinman(1988)“The Illness Narratives”[江口重幸・五木田紳・上野豪志訳(1996)『病の語り』誠信書房]を参照。



地方分権改革との親和性

 以上、「脱中央集権化」というキーワードに着目しつつ、地域医療構想への応用を考察したが、ここでの指摘は必ずしも目新しいわけではない。例えば、地方分権改革との親和性である。地域の課題を自ら解決するコンセプトについては権限や税源を自治体に移す地方分権改革でも論じられてきた。

 具体的には、93年の国会決議を経て、国の事務を自治体に代行させる「機関委任事務」の廃止に加え、小泉純一郎政権期の三位一体改革では4兆円の補助金改革と3兆円規模の税源移譲が実現した。

 しかし、医療・介護に関して自治体側は忌避してきた経緯がある。具体的には、三位一体改革で全国知事会など地方六団体が補助金改革案を作成した際、高齢化で負担が増えると目されていた医療・介護分野は避けられた。

 その意味では、これまでとはまったく異なる文脈、しかも地方側が望んでいなかった医療(及び介護)分野で地方分権改革の趣旨が問われるのは皮肉な結果と言えるかもしれない。

 さらに、行政学の文脈で考えると、地方分権改革は都道府県という統治機構の権力を強化することにとどまらない。一般的に行政学では「地方自治」を「団体自治」と「住民自治」に区分しており、前者は「自治体の自律的領域(の拡充)」を目指す自治体に対する権限移譲であり、「国から自治体に多くの権限を移譲することによって自治体の仕事の範囲を広げ仕事量を増やすこと」「自治体による事務事業執行に対する国の統制を緩和すること」、後者は「住民が自治体の運営に日常的に参加し、住民の総意に基づいて自治体政策が形成・執行されるように仕組みを変革していくこと」とされている(※17)。

 これを地域医療構想に当てはめると、地域の課題を地域で解決することを目指し、都道府県知事の裁量と責任を拡大した点は医療行政に関する都道府県の団体自治の強化と言えるが、団体自治と住民自治の考え方に沿うと、地域の提供体制について、住民を含めて幅広い意見が反映されるシステムにしなければ、団体自治は積極的な意味を持たないことになる。

 確かに地域医療構想の推進では、最終的に民間医療機関の経営判断に関わる部分が大きくなるため、住民の意向だけで提供体制を左右できないのは事実だが、調整会議への住民代表の参加や住民向け説明会の開催、住民や現場の専門職を交えた小規模なワークショップの開催、調整会議の議事・資料公開などを通じて、きめ細かく住民の意見を聴取したり、情報共有したりする地道な取り組みが求められる。

 先に触れた脱中央集権化のメリットに照らすと、移譲された権限や責任を活用しつつ、自治体が住民を含めた幅広い関係者の参加を進めなければ、自治体に移譲された権限や責任は「無用の長物」と化す。

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※17 西尾勝(2007)『地方分権改革』東京大学出版会 pp241-253。


医療計画創設時点の論議から考える

 以上、地域の医療提供体制構築に向けた対応として、民間医療機関との合意形成が重要になる点を論じるとともに、欧州諸国で重視されている「脱中央集権化」という言葉をキーワードにしつつ、(1)ケアの統合、(2)ヘルスケア領域を超えた部門間の連携、(3)住民を含めた幅広い関係者の参加――が重要になる点を指摘した。

 実は、こうした合意形成の重要性については、85年度に医療計画制度が創設された当時でも論じられていた。主に行政担当者向けに出版された書籍では、「(筆者注:日本の医療制度は民間が大半を占めているため、医療計画は)関係者の合意した努力目標に近い性格をもつ。良い計画に近づけ、実行し、評価していくには、関係者の主体的な参加が必要条件となる」と指摘されている(※18)。

 さらに、当時の日本医師会長の書籍でも「医療計画は都道府県の医師会が自主的に行政と協議のうえでつくっていくべき」との記述がある(※19)。

 日本の医療提供体制が民間主導である以上、この点は時代を超えても変わらない論点である。地域の合意形成に向けた都道府県の積極的な対応を期待したい。

 第3回は「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)をキーワードにして、地域医療構想の推進に関する都道府県のあるべきスタンスを考察したい。

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※18 郡司篤晃監修(1987)『保健医療計画ハンドブック』第一法規 pp9-10。

※19 羽田春冤(1987)『現代の医療』ベクトル・コア pp72-73。


筆者プロフィール
三原岳(みはら たかし)
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員
研究・専門分野:医療・介護・福祉、政策過程論



http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/06/news030.html
都道府県はどこへ向かう:
地域医療構想を3つのキーワードで読み解く
「地域医療構想」に基づいた議論が進んでいる。各都道府県は地域の医師会や医療関係者などと連携しつつ、急性期の病床削減や在宅医療の整備に取り組もうとしているが……。

[三原岳,ニッセイ基礎研究所]
2017年12月06日 09時00分 公開 ITmedia ビジネスオンライン

 団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。

 これは17年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等(※1)の整備などを進めることが求められている。

 しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携も意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

地域医療構想の現状とは……?

 本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。

 第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築――という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性を明確になるほか、政策の目的について国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

 第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical ArmsRace)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

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※1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは煩雑さを避けるため、在宅医療と表記する。


地域医療構想とは何か

 まず、地域医療構想の概要を検討する。地域医療構想は「病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされ、医療計画の一部として都道府県が策定した。

 具体的には、患者の受療行動や人口動向、高齢化の進行などを加味しつつ、2次医療圏を軸とした「構想区域」ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能について、現状と25年の需給ギャップを明らかにし、在宅医療の充実を含めて課題解決の方策を考えることに主眼を置いている。

 今年3月までにすべての都道府県で構想が出そろい、合計の病床数は表1の通り、全国的には高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足するという結果となった。これは厚生労働省令で定めた数式に基づいた1つの推計にすぎず、将来を反映しているとは限らない。さらに、病床機能報告は医療機関の申告ベース、必要病床数は一定の数式に基づいて計算されている違いがあるため、比較する際には留保が必要である。

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表1 地域医療構想に盛り込まれた病床数

 しかし、大きな方向性が可視化された意義は大きく、構想に盛り込まれたデータや内容をベースにしつつ、各地域で25年を意識した医療提供体制の構築に向けた議論が進む予定である。

 議論の場として期待されているのが「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)である。これは構想区域ごとに設置される会議体であり、地域医療構想に盛り込まれた病床データや施策などを基に、25年を見据えた提供体制改革について、都道府県や地元医師会、病院関係者、介護関係者、市町村などが各地域で合意形成を進めることが想定されている。

地域医療構想の進め方

 具体的なイメージを持ってもらうため、人口当たり病床数が最も多い高知県を事例に考えよう。高知県は「安芸」「中央」「高幡」「幡多」の4つの構想区域に分かれており、病床数は次ページの表2の通りとなった。

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表2 高知県の地域医療構想に盛り込まれた病床数

 このうち、人口が最も多い高知市を中心とした中央区域では高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足という結果になり、高度急性期と急性期の削減、回復期の充実、慢性期の削減と在宅医療の整備が求められることになる。

 そして、こうしたテーマを話し合う場として、県全体をカバーする調整会議と、各区域で調整会議が設置されており、地元医師会や介護従事者、市町村関係者などで構成する調整会議のメンバーが課題解決策などを話し合うことになる。

 さらに、地域医療構想を進める手段として、14年度から都道府県単位に「地域医療介護総合確保基金」(以下、基金)が創設された。使途としては(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備、(2)居宅等における医療の提供、(3)地域密着型サービスなど介護施設等の整備、(4)医療従事者の確保、(5)介護従事者の確保――に関する事業とされ、社会保障目的で引き上げられた消費税を活用する形で、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担している(※2)。

 協議だけで達成が難しい場合の手段として都道府県知事の権限も強化された。具体的には、医療機関が過剰な医療機能病床に転換する場合、都道府県知事は転換の中止を要請(公的医療機関の場合は命令)し、これに従わないとき、医療機関名の公表、補助金交付対象からの排除などを講じることができる。

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※2 17年度予算の規模は医療分904億円、介護分724億円。


病床削減の視点

 ただ、地域医療構想の目的はあいまいである。厚生労働省は「病床削減のツールではない」と繰り返し強調しており、内閣官房に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が15年6月に病床数を試算した際も、メディアが「◎◎床削減」などと伝えると、3日後には都道府県宛に「単純に『我が県は◎◎床削減しなければならない』といった誤った理解とならないようにお願いします」という通知を出した(※3)。

 しかし、地域医療構想で語られているのは病床数であり、在宅医療に関しても「慢性期に入院する軽度患者の70%程度が在宅医療等に移行する」などの前提に立っているに過ぎず、病床に関心が向かいがちである。

 こうした考え方が最も表れているのは13年8月の社会保障制度改革国民会議報告書である。ここでは病床を「川上」、受け皿となる地域を「川下」」と形容しつつ、「急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」「入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現」「受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実」と強調しており、病床を削った後に余った患者を在宅や地域で引き取る発想に立っているのは明らかである。

 中でも、患者7人に対して看護師1人を配置する入院基本料要件を満たした急性期病床(いわゆる7:1要件)を圧縮したい思惑があったのは間違いない。政府は06年度診療報酬改定に際して、7:1要件病床に対して報酬を手厚くしたが、手厚い報酬を期待した医療機関が国の予想以上に7:1要件を多く満たしたため、医療費を増やす原因となり、政府は急性期の圧縮を検討するようになった。

 しかも、この考え方は10年ほど前から論じられていた。例えば、08年6月の社会保障国民会議中間報告では、「過剰な病床の思い切った適正化と疾病構造や医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床の機能分化の徹底と集約化」と指摘していたほか、同様の文言は08年11月の最終報告と09年6月の安心社会実現会議報告、民主党政権期に取りまとめられた11年7月の「社会保障・税一体改革成案」、12年1月の「社会保障・税一体改革素案」に継承されており、約10年の歳月を経て制度化された経緯がある。

 さらに、政府が16年末に改定した「経済・財政再生計画改革工程表」でも「医療介護提供体制の適正化」として地域医療構想を位置付けており、今年6月に閣議決定された骨太方針でも市町村国民健康保険の都道府県単位化(※4)や医療費適正化計画(※5)とのリンクを意識しつつ、「都道府県の総合的なガバナンスを強化し、医療費・介護費の高齢化を上回る伸びを抑制しつつ、国民のニーズに適合した効果的なサービスを効率的に提供する」という文言を用いることで、都道府県主導による医療費適正化に期待している。

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※3 15年6月18日、厚生労働省医政局地域医療計画課長の名前で各都道府県衛生担当部長に示された「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」という通知。

※4 慢性的な財政赤字に苦しむ市町村国民健康保険の財政を安定化させるため、財政運営を都道府県単位とする改革。

※5 08年度から導入され、国と各都道府県が策定する計画。平均在院日数の削減、特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)の実施が主な目的で、都道府県計画は5年に1度改定される。次期計画から周期は6年に変わる。



切れ目のない提供体制の構築という視点

 では、厚生労働省が病床削減による医療費適正化という目的を否定しているのはなぜだろうか。

 それは制度化プロセスにおける日本医師会との調整が影響している。

 厚生労働省は11年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会で、人員配置や構造基準をクリアした病床を急性期として認定する「急性期病床群」(仮称)の新設を提案した。これは急性期について国の要件に従わなければ急性期と見なさず、単価の高い診療報酬も渡さない意図だったが、日本医師会は「急性期医療をできなくなる地域が生まれる」と懸念した。

 さらに厚生労働省は12年4月、急性期病床の登録制度を提案したが、これにも日本医師会は実質的に認定と変わらないと反対した。その理由について、日本医師会副会長は雑誌の対談記事で、急性期病床に医療資源を集中する方針が示されたことについて、「急性期だけでなく慢性期・在宅まで切れ目なく(注:提供することが)大事であって優劣はないと一貫して主張した」とした上で、急性期病床の認定制度には「認定される施設とされない施設では診療報酬で大きな差がつき、特に地方では急性期医療が提供できなくなると反対した」、登録制度には「登録でも要件があるはずだから認定と変わらないと(注:反対した)」と明らかにしている(※6)。

 その後、日本医師会は12年5月、対案を示した。対案では、(1)各医療機関が担っている機能について、都道府県に情報を提供する仕組みを創設、(2)都道府県は情報を活用し、医療提供者の主体的な関与の下、地域の実情を踏まえた提供体制を検討する、(3)都道府県は報告の仕組みを通じて得られた情報を住民、患者に示し、医療提供者、行政、地域住民、患者とともに、地域に実情に合った提供体制を作り上げる――といった内容であり、現在の制度に至っている。

 こうした経緯を見ると、日本医師会との調整プロセスを経て、「病床削減による医療費適正化」という当初の目的が薄まるとともに、「切れ目のない提供体制の構築」という目的が加わったことが分かる。

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※6 『病院』74 巻 8 号 p535 における中川俊男日本医師会副会長の発言。


「必要病床数=削減目標」を否定

 では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制の構築」という2つの目的が混在しているとして、どちらの目的を都道府県は重視したのだろうか。結論から言うと、後者の「切れ目のない提供体制構築」を重視している。

 まず、都道府県のスタンスは必要病床数について表れている可能性が想定される。もし都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視しているのであれば、必要病床数を1つのターゲットとして、削減の姿勢や努力を見せることが予想されるためだ。

 だが、地域医療構想の文言を精査すると、図1の通りに29道府県が「強制的に削減しない」「機械的に当てはめない」などの表現を用いつつ、必要病床数が削減目標ではないことを明示していた。

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図1 必要病床が削減目標ではないと明記したかどうか

 この背景には、必要病床数を削減目標と位置付けないように要請していた日本医師会に対する配慮があったと推察される。日本医師会は必要病床数を削減目標ではない旨を明記していない構想が見られる点を問題視していた(※7)。

 こうした中、地元医師会を中心とする医療機関関係者との関係が悪化すると、切れ目のない提供体制の構築というもう1つの目的達成が困難になるため、都道府県が病床削減に消極的だった様子がうかがえ、病床削減に向けた都道府県の主導性を求める政府とは明らかに異なるスタンスを取っていたことになる。この点については、強化されたとされる知事の権限についても、11道府県が言及していたに過ぎなかったこととも符合する。

 むしろ、近年の診療報酬改定では、医療機関が7:1要件を取得する際の条件を厳格にしている(※8)ため、急性期の病床数については、地域医療構想に基づく調整よりも、報酬改定の影響を大きく受けることが予想されている。こうした状況の下、都道府県としては診療報酬改定の結果と影響を見極めようという機運が強かったと考えられる。

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※7 例えば、日本医師会の常任理事は「地域医療構想では将来の病床の必要量が注目されがちであるが、重要なことは将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされていくことである。病床の必要量は全国一律の計算式で機械的に計算されたものに過ぎない」と指摘していた。16年9月20日『日医 News』。

※8 7:1要件を取得する際、患者の医療・看護度などを評価するいくつかの条件をクリアする必要があり、16年度報酬改定では手術や受け入れ患者に関する条件を追加することで、取得を難しくするように厳格にした。17年10月25日の財政制度等審議会では、一層の厳格化が論じられている。



国保改革や医療費適正化とリンクさせず

 都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視している場合、18年度の市町村国保の都道府県単位化や、医療費適正化計画の改定との関係を意識することが考えられる。前者は財政運営の責任主体、後者は医療費を抑制する主体として、いずれも都道府県の主導性発揮が期待された制度であり、地域医療構想との関係付けようとしているか探ることで、病床削減による医療費適正化に向けた都道府県のスタンスを把握できると考えられる。

 そこで、各都道府県の地域医療構想を見ると、図2の通り、市町村国保の都道府県単位化に言及したのは奈良県と佐賀県の2県、医療費適正化計画に言及したのは10都府県にとどまり、3つを明確にリンクさせたのは実質的に奈良県だけだった。

 奈良県の地域医療構想では「地域医療構想の策定は社会保障改革の一環であり、医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組を進める必要があります」としている。こうした文言が盛り込まれた背景としては、3つの関係をリンクさせた改革を進めようとする荒井正吾知事のスタンスが影響している(※9)が、こうした事例は現時点で極めて少数であり、その背景としては地元医師会や医療機関関係者の反発を恐れ、病床削減や医療費適正化を想起させるテーマを避けた可能性が高い。

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図2 国保改革、医療費適正化計画の言及があったかどうか

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※9 荒井知事は15年9月のシンポジウムで、「(筆者注:地域医療構想、医療費適正化計画、市町村国民健康保険の都道府県単位化の)3つは関係している。高度医療、看取り、終末期医療、頻回受診、頻回薬剤投与など議論が進んでいない分野がある。地域でそのようなことを探求していくことも可能」と述べていた。『医療経済研究』Vol.28 No.1。


かかりつけ医や総合診療医に言及

 では、「切れ目のない提供体制の構築」という点では、どんなスタンスが見て取れるだろうか。切れ目のない提供体制を構築する上で、在宅ケアなど住民の日常的なニーズに対応する医療が重要になるが、「川上」「川下」の言葉に代表される通り、地域医療構想は実質的に病床しか議論しておらず、いわば病床という医療提供体制のごく一部を議論することで、医療提供体制の全体を変えようとする欠点を持っている。

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表3 かかりつけ医または総合診療医に関する言及

 この点については、第4回で述べる予定だが、地域医療構想を策定した時点では受け皿となる医療サービスの充実について、都道府県に前向きな姿勢が見られた。

 具体的には、37都道府県が日常的な医療ニーズに対応する医師である「かかりつけ医」(※10)または日常的な疾病やケガに対応する「プライマリ・ケア」(※11)の専門医として全人的・継続的な医療を担う総合診療医に言及した。

 両者の定義や役割などは第4回に詳しく述べることとしたいが、両者に期待する役割としては、表3の通り、(a)患者が病状に応じて適切な医療機関を選べるようにする支援、(b)疾病管理や生活習慣病対策を含めた予防医療、(c)在宅医療の充実、(d)病院・診療所連携、(e)医療・介護連携、(f)過疎地医療――などに整理可能であり、いずれも住民にとって身近な日常生活をカバーする医療が想定されている。

 目的があいまいな地域医療構想が「病床数ありき」の議論に傾きがちな中、これらの記述は、切れ目のない提供体制の構築に向けた都道府県の積極的な姿勢と受け止めることが可能であろう。

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※10 日本医師会などが13年8月に公表した報告書では、かかりつけ医の定義について、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。一方、総合診療医の中核的な能力としては、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」など6点が挙がっており、両者の違いは必ずしも明確ではない。

※11 日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを「国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、全人的に対応する地域の保健医療福祉機能」と定義している。詳細は第4回で述べる。



地元医師会との協調・連携

 次に、地元医師会との連携という点で都道府県のスタンスを検証してみよう。都道府県が切れ目のない提供体制の構築を図ろうとする際、最初に配慮するのは地元医師会と思われる。先に触れた通り、日本の医療提供体制は民間中心であり、都道府県が構想を策定するだけでは実効性を持たず、現場で医療サービスの提供を担う地域の医師会との連携が欠かせない。

 そこで、地域医療構想の策定プロセスに地元の医師会がどこまで参加していたか検証した。具体的には、(1)各都道府県の地域医療構想に出ている文言や資料、Webサイト(※12)に掲載された議事録などを通じて、「実質的な検討の場」を設定(※13)、(2)地域医療構想に限らず、医師会関係者は地域の医療政策に関する検討の場に必ず参加しているケースが多いことを考慮し、委員枠として確保されているかどうかではなく、医師会関係者が検討の場のトップに就いているかどうかを検証――といったプロセスを通じて、都道府県と各地域の医師会がどこまで共同歩調を取っていたかどうかを考察した。

 さらに、(a)地域医療構想に掲載されている委員名簿、(b)名簿が掲載されていたとしても、トップが判別できない場合は議事録、(c)委員名簿が掲載されていない場合はWebサイトの資料または議事録――をそれぞれ集計した。

 その結果、検討の場のトップの氏名や所属先、肩書などが判明しなかった15府県(※14)を除く32都道府県のうち、24都道県で医師会関係者がトップを務めていた(※15)。以上を踏まえると、切れ目のない提供体制の構築に向け、地元医師会と連携・協力を図ろうとする都道府県が多かったことを指摘できる。

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※12 17年3月31日現在のデータ。以下、同じ。

※13 都道府県全域をカバーする専門的な検討組織(例:専門部会)を医療審議会の下に置いている場合、これを検討の場と見なし、その開催頻度が少ない場合、構想区域単位の会議を検討の場と位置付けた。

※14 検討の場の議論に用いた資料や議事録の公表が不十分だったため、把握できなかった。

※15 8つの構想区域のうち5構想区域で医師会関係者がトップだった秋田県も含む。



国と都道府県の認識ギャップ

 以上、地域医療構想の制度化プロセスを振り返ることで、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築――という2つの目的が混在している点を検証するとともに、地域医療構想の内容を把握することを通じて、都道府県はどちらを重視していたのか考察してきた。

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図3 地域医療構想を巡る国と都道府県の認識ギャップ

 その結果、全体的な傾向として、(a)必要病床数を削減目標としないことを明記、(b)市町村国保の都道府県単位化、医療費適正化とのリンクを避けた、(c)日常的な医療ニーズに対応する必要性に言及した、(d)地元医師会と連携・協力しつつ地域医療構想を策定していた――といった実態があり、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築の目的」という混在する目的のうち、都道府県は後者を優先している点を明確にした。

 しかし、骨太方針2017の「都道府県の総合的なガバナンスの強化」という文言に代表される通り、経済財政諮問会議や財務省を中心とする国の議論は(1)に傾きがちであり、図3のように(2)に力点を置く都道府県の間に認識ギャップが見られる。

 その一端については、3ページで述べた基金のスタンスに表れていると言える。財務省は基金の分配先について、回復期病床の充実など病床削減につながる使途に重点配分するよう求めており、こうしたスタンスは(1)、特に急性期削減を重視していると言える(※16)。

 一方、都道府県のスタンスは異なる。近年の改定では7:1要件を厳格化しており、急性期の削減や回復期の充実は診療報酬改定の影響を受けやすい。こうした中、都道府県は18年度改定の影響を見極めつつ、(2)を重視する観点に立ち、在宅ケアの整備や人材確保などに基金を使うことを期待している(※17)。このギャップは2つの目的を混在させた結果であり、こうした認識ギャップは今後も制度の目標設定や進行管理の場面で一層、顕在化する可能性が想定される。

 では、都道府県は今後どのような対応が求められるのだろうか。第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを用いつつ考察を深めたい。

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※16 財政制度等審議会が16年11月に示した建議で、「病床機能の転換等に直接資するものに交付を重点化すべき」と求めた。

※17 基金の使途については、大津唯(2017)「『地域医療介護総合確保基金』の現状と課題」『会計検査院』No.56が詳しい。同論文では「医療機能の分化・連携を進めるための医療機関の施設・設備整備など単年度会計になじみにくい事業と,医療従事者の確保のための国庫補助事業という異質のものを1つの基金に混在させたことは妥当でなかった」と指摘している。




http://www.asahi.com/articles/ASKD546LMKD5UBQU00B.html
八代市民病院、廃止へ 熊本地震で閉鎖中
村上伸一2017年12月5日15時00分 朝日新聞

 熊本地震の影響で入院病棟(66床)が閉鎖中の八代市立病院について、同市の中村博生市長は4日、2018年度末(19年3月)までに廃止する方針を明らかにした。入院機能は氷川町を含む八代地域の四つの公的病院に引き継ぎ、外来機能は公的病院に事業を譲渡し、現在地で運営してもらえるよう調整中という。

 この日の市議会本会議で自民党議員の一般質問に答えた。中村市長は、入院病棟を建て替えた場合、建設費が約40億~50億円かかるうえ、その後の運営で毎年約4億~5億円の赤字収支が続くとの試算を示した。病棟の規模を縮小したり、入院機能のない診療所に建て替えたりしても赤字になる見通しといい、「市の財政運営への影響はかなり大きいと判断した」という。

 八代地域医療構想調整会議で先月、四つの公的病院(熊本労災病院、熊本総合病院、八代市医師会立病院、八代郡医師会の八代北部地域医療センター)への入院と外来機能の引き継ぎを提案したところ、「おおむね前向きな意見を伺うことができた」として、今回の方針を決めたという。

 今後、四つの病院に入院病床をそれぞれいくつ引き受けてもらうかや、外来機能を譲渡する病院を決めるための意向調査をし、18年度末までに引き継ぎや譲渡を終えたいとしている。

 入院病棟とともに閉鎖が続く結核病棟(30床)については県から存続の要望があり、国や県と協議して、存続方法を決めるという。

G3註:熊本労災病院 410床、熊本総合病院 344床、八代市医師会立病院 100床、八代郡医師会の八代北部地域医療センター 80床



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1204/ym_171204_8689004653.html
医師の偏在対策 都道府県の調整力が問われる
12月4日(月)6時0分 読売新聞

 地方の医師不足が深刻化している。地域医療を守るために、実効性ある是正策が求められる。

 厚生労働省の検討会が医師の偏在対策に関する論議を進めている。年内に報告書をまとめる。

 柱となるのは、都道府県の役割と権限の強化である。医療計画の一環として、医師確保の目標や具体策を盛り込んだ「医師確保計画」の策定を法制化する。

 確保計画に実効性を持たせるため、都道府県が大学医学部に「地元出身者枠」の設定・増員を要請する権限を設ける。臨床研修を行う病院の指定や定員の設定も、都道府県が担うようにする。

 大学医学部・病院からの医師派遣についても関与を強める。

 現行では、医療計画に医師確保策を記載する規定はあるものの、内容に具体性を欠く事例が多い。医師の確保・定着にとって重要な医師養成課程に関する都道府県の発言力が小さいなど、対策に限界があることも一因だろう。

 医療関係者の自主性に委ねた取り組みでは、是正されなかった。医療提供体制に責任を持つ都道府県の権限を強めて、一定の強制力を持たせる狙いは適切だ。

 都道府県別の10万人当たりの医師数は、最多の京都府と最少の埼玉県で2倍の開きがある。都道府県内の格差も数倍の地域が少なくない。地方では医療機関の縮小や閉鎖が目立つのが実情だ。

 政府は、医学部の定員増や地域医療の担い手を育てる「地域枠」設定を進めてきたが、地域間の偏在解消にはつながっていない。

 医師の4割は地方勤務の意思を持っている。20歳代では6割に上る。一方で、キャリア形成や労働環境に不安を抱く医師は多い。

 都道府県と大学医局が連携し、地方勤務を組み込んだキャリア形成プログラムを作る。休日の代替要員確保などで負担軽減を図る。不安払拭ふっしょくに知恵を絞りたい。

 報告書には、地方勤務を経験した医師の認定制度の導入も盛り込まれる方向だ。一部の病院長の就任要件にして、医師不足地域での勤務を後押しする目的がある。

 認定を就任要件とする医療機関の範囲が狭ければ、効果は限られよう。検討会では、診療所の開業要件にすべきだとの声もある。

 医師過剰地域の診療所開設を抑制する必要もある。厚労省は地域別の医療需給の情報を提供し、医師の適切な判断を促す方針だ。

 こうした是正策がうまく機能しなければ、より強制的な手法も検討課題となるだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566896?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD171209&dcf_doctor=true&mc.l=263555187
医療費、伸び抑制しなければ国が持たず - 舛添要一・元厚労大臣に聞く◆Vol.3
医学部定員、炯々に減らすべきでない


スペシャル企画 2017年12月9日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――752日間、厚労大臣を務められて、何か積み残した課題、あるいはもう少し時間があれば可能だったという点はありますか。

 例えば、薬害C型肝炎訴訟にしても、未然に防ぐ体制はもちろん、実際に何らかの問題が起きた場合に、厚生労働省、財務省、法務省が協議をして、国家賠償などの解決方法を迅速に見いだす枠組みを作るべきでしょう(編集部注:薬害C型肝炎訴訟は、フィブリノゲン製剤によりC型肝炎を発症した患者らが、製造元と国に損害賠償を求めて提訴、最終的に対象患者全員を救済するための議員立法の法律が成立)。

 後期高齢者医療制度の見直しのほか、医療保険と介護保険の一本化もやりたかった。そもそも私が政治家になったのは、母親の介護がきっかけです。介護老人保健施設に入所していて、肺炎などに罹ったりすると、病院への入院となる。治れば、また施設や自宅に戻る。そのたびに使う保険が変わり、手続きも手間である上、もっとシームレスなサービス提供につながらないかと思っていました。

 さらに厚労大臣時代以上に今思うのは、40兆円を超す医療費の伸びをどこかで制御しないと国が持たないということ。医療費を賄うには消費増税しかないと思いますが、一方でやはり支出を減らさないといけません。最近の医療費増加は、オプジーボなどの高額薬剤や技術の高度化の影響が大きい。

 ただ、私はこの夏、股関節の手術をし、リハビリに励んできましたが、病院に行くと、マッサージ目的の高齢者がたくさん来ている現実があります。最大の失敗は、老人医療費を無料化したことでしょう(老人福祉法改正で1973年から開始、1983年の老人保健法成立で廃止)。無料だったら誰もがいい加減に医療を使ってしまう。今は少しずつ高齢者の自己負担が上がっていても、医療機関をサロンのように使う慣習はなかなかなくなりません。

――「医師の数が増えると、供給が需要を生み、医療費が上がる」と、財務当局などは考えているように思います。医師数の話に戻りますが、今後の医学部定員はどうすればいいとお考えですか。

 医学部定員は、炯々に減らすべきではないと考えています。2008年度以降、大幅に定員は増えましたが、医師が一人前になるには、卒後10年くらいはかかります。医療の現場に出てくる医師はこれから増えるわけで、当分の間、様子を見てから判断すべきでしょう。

 外来には、いつも多くの患者さんが来ていて、先生方は忙しい。看護師さんなども含めて、とても充足している状況ではありません。電通の元社員の過労自殺が社会問題化していますが、医師の勤務環境も大変厳しい状況です。加えて今後しばらくは高齢者数が増加し、医療ニーズは増すわけです。

 それに、女性医師も増えています。女性医師が産休に入る場合、代替の医師がすぐに見付かるようなシステムにすることが必要です。交代制勤務、あるいは当直を免除できる体制にしないと、復帰も容易ではありません。今はそうではなく、ギリギリのところでやっています。

 仮に医師が過剰になってきたら、別に日本で仕事をしなくても、海外で働けばいい。あるいはメディカルツーリズムで海外から患者さんを呼んでくればいいわけじゃないですか。

 もちろん、地域偏在や診療科による医師偏在を解消することも必要になってきます。私の故郷である福岡県北九州市は医師が比較的多い地域で、“医療難民”にならなくて済みます。しかし、東京などで今後、高齢化が進めば、医師不足は必至。この不均衡をいかに是正するかですが、これは日本の国土の均衡ある発展をどう進めるかという、国土計画の問題でもあると思うのです。

 今の日本だったら、子どもの教育を考えたら、医師は東京や大阪に集中してしまう。医師の地域偏在の問題は、医師の側だけでなく、国土計画も併せて検討することが必要。これはまさに政府全体の仕事です。私が厚労大臣に就任した当時、妊婦の“たらい回し”が社会問題になり、皆で議論したように、国の在り方、その中で目指すべき医療提供体制について、国民的な議論を展開すべきでしょう。

――医師不足については、医師から看護師にタスク・シフティングするなどの考えもあります。

 タスク・シフティングの推進やナース・プラクティショナーの創設などは、日本人のメンタリティーを考えたら、難しいと思いますね。どうしても日本人は、「医師に診てもらいたい」と考えるからです。一方で、医療クラークの導入は、医師が医療に専念できる状況を作り出すことにつながるので、進めやすいと思います。

――最後に、今の医療行政や医療のあり方をどう見ておられるかをお聞きできますか。

 最近、あまり改革が進まなくなったような気がするのですが。厚労大臣にしても、厚労族などと侃々諤々、時にはけんかするほどにやり合う場面があまりない。塩崎君(2017年8月まで厚労大臣を務めた、塩崎恭久氏)も、自民党中でやり合っていたのは、受動喫煙問題くらいでしょう。私が都知事時代は、本当は全面禁煙の方がいいと考えていても、自民党は小さなスナック経営者などに支えられている部分もあるので、分煙の話にとどめていました。塩崎君は、全面禁煙を打ち出して戦った。ただそれだけじゃないかな。ほかの問題について、自民党を2つに割るような医療の議論はしてないと思いますね。

 それと医療界全体の問題として、医療改革関連の本が昔ほど出版されていないのではないでしょうか。この点が気になります。

――それはなぜだとお考えですか。

 政治家の側から言えば、衆院の小選挙区制の問題。中選挙区制の時代は、「あの先生は、他のことはあまりやらないけれど、医療についてはものすごく知っている。だから、落選させてはいけない」といった議員が党を問わず存在しました。しかし、今の小選挙区制では、オールマイティーな問題に対応しないと当選しにくいので、専門家が育ちません。特に専門性が高い医療はそうです。

 政治がそんな状況であれば、医療が政治的イシューになりにくい。結果的に、「議論」が活発化しにくいのかもしれません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/573959
真価問われる専門医改革
5都府県、1次登録の専攻医、過去の採用実績内に調整
日本専門医機構、2次登録できない領域・地域も

レポート 2017年12月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は12月8日、理事会後の記者会見で、5都府県で14の基本領域について、専攻医の1次登録者数が過去5年間の専攻医採用実績の平均値を超えないよう調整を終える見通しであることを報告した。内科と脳神経外科については、調整自体が必要なく、1次募集登録者数が平均値の範囲内に収まったという。

 12月16日から専攻医の2次登録がスタートする。1次募集の段階で平均値の上限まで専攻医が登録済みとなった基本領域、都府県では2次登録はできないが、現時点では該当領域・地域は未公表。総合診療専門医については、「過去の専攻医の採用実績はないので、募集定員の範囲内まで2次登録を認める」(日本専門医機構副理事長の松原謙二氏)。

 2018年度から開始予定の新専門医制度の1次登録は、11月15日に締め切り、7989人が登録した(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。

 東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県については、専攻医の都市部集中を避けるため、医師が減少している外科、産婦人科、病理、臨床検査のほか、新たに基本領域に加わる総合診療以外の14の基本領域については、原則として過去5年間の専攻医採用実績の平均値を超えないよう調整することが求められる。12月1日に各基本領域の学会代表者が集まる会議を開催し、平均値を超える基本領域、都府県についての調整を各学会に依頼した。調整の締め切りは12月10日だが、「現時点で既に各学会とも、シーリングの範囲になるよう調整をしたと聞いている」(日本専門医機構副理事長の山下英俊氏)。

 各基本領域の調整対象人数は、現時点では公表されていない。調整は都府県単位のため、個別の基幹病院にとっては、自院の過去5年間の専攻医採用実績と同数の1次登録者数であっても、調整により減らされたケースもあり得るという。調整対象となった医師は、他県、あるいは他の領域の専門研修プログラムに変更したり、12月15日までに決まらなかった場合には2次登録に臨むことになる。なお、専攻医登録のためのIDを取得し、1次登録をしなかった医師が約110人おり、これらの医師も2次登録の対象になる。

 12月7日の理事会では、医師法16条の2に定める臨床研修(卒後2年間の臨床研修)を修了し、医籍に修了した旨の登録を行った後に、専門研修プログラムの登録が可能になることを、「専門医制度新整備指針」の補足説明に追加することも了承した。体調を崩すなど、2年間で臨床研修を修了しない場合、修了した時点から専門研修に入ることになる。ただし、年度途中から専門研修を始める場合でも、4月からスタートする医師と同様の枠組みで専攻医登録をするため、募集定員等の調整の対象になる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/574002
中央社会保険医療協議会
「調剤料、早急かつ大胆な見直しを」、今村日医副会長
診療報酬本体の改定率配分の再考も提案

レポート 2017年12月9日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の今村聡氏は、12月8日の中医協総会で、「院外処方は、院内処方と比較して同じ技術でありながら、点数に大きな差がある」と指摘、特に調剤料の格差は問題があるとし、「早急、かつ大胆に見直すべき」と求めたほか、過去の改定で「医科1.0、歯科1.1、調剤0.3」となっていた診療報酬本体の改定率の配分の見直しも求め、「改定率の配分を固定する必要はないと考えている」と述べた上で、調剤報酬財源で病医院の薬剤師の業務を評価するよう提案した。日医常任理事の松本純一氏も、「おかしいことは、直ちに是正すべき」と今村氏の提案を支持した。

 調剤報酬について議論した同総会では、支払側からも厳しい指摘が相次いだ。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「薬剤服用歴管理料の制度設計を見直すべきだ。また大手チェーン薬局の調剤基本料は、処方せんの集中率によるハードルを厳しくすべきであり、敷地内薬局については、集中率にかかわらず、『敷地内にある』という区分で、調剤基本料を別途設定すべき」と提案。

 経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理の宮近清文氏は、今村氏と同様に調剤料を問題視、「調剤料は処方日数に応じた設定になっているため、例えば、内服薬処方の3日分では15点、7日分では35点。2倍の評価をする必要があるのか、という疑問がある。調剤料の評価のテーブルを見直すべきだ」と求めた。

 厚労省は調剤報酬についてさまざまな見直しを検討しているものの(『大型チェーン、門前・門内薬局に再びメス』を参照)、同省保険局医療課薬剤管理官の中山智紀氏は、調剤料の格差については次のように説明した。「院内処方については、外来と入院の全体として調剤にかかる点数を評価すべきだと考えており、外来部分だけを切り出して比較するのは、適切かどうかという問題はある」と回答。さらに院外処方について、院内処方との差に見合う効果があるかを『見える化』していくことは必要としたものの、「後発医薬品への置き換えが進むなど、一定の医療費適正化効果などがあり、加えて薬物療法の有効性、安全性の面で薬剤師がダブルチェックするなど、それなりの貢献ができているのではないか」と述べ、理解を求めた。

 これに対し、松本純一氏は、「病院薬剤師と薬局薬剤師は、どう能力が違うのか、やることが違うのか、一度整理をしてもらいたい」と求めた。

 「内服薬28日処方」、院内9点、院外240点
 今村氏は、調剤報酬について4点の提案・問題点を指摘した。

 第一に求めたのは、地域に根付いた、かかりつけ薬剤師の評価。調剤報酬では、大手チェーン薬局への締め付けのため、処方せん枚数と集中度に応じて調剤基本料が下がる仕組みになっているが、かかりつけ薬剤師が一定の業務を果たしている場合、調剤基本料の引き下げはされない(当該薬局勤務の薬剤師の5割以上が、かかりつけ薬剤師指導料の施設基準に合致した薬剤師であり、同指導料を1人当たり月100件以上算定するなど)。今村氏はこの点を問題視したほか、「週32時間以上、6カ月以上在籍」などの施設基準が緩いと指摘した。

 第二に問題視したのは、調剤料の不合理。例えば内服薬3剤(服薬時点が同一であるものは1剤としてカウント)を28日分処方した場合、院内処方では9点だが、院外処方では240点であるなど、差が大きいとし、「2016年度診療報酬改定では限定的に1、2点程度、引き下げられたが、これは不十分と言わざるを得ず、早急かつ大胆に是正をすべきだ」と求めた。

 第三に指摘したのは、診療報酬の改定率の配分。これまでの改定では、技術料部分に対して、同程度の伸びとなるように、「医科1.0、⻭科1.1、調剤0.3」として、改定率が設定され、単価の上乗せが⾏われてきた(財務省資料、24ページ参照)。この点を踏まえ、「医科では、医療の高度化により、新たに評価すべき、または評価を引き上げるべき手術料などが増えている。一方、調剤については、医科と同じ技術料の伸びをしてきたために、さまざまな増点によって、調剤財源を使ってきた面は否めない。改定率の配分を固定する必要はないと考えている」と指摘した。

 第四として、「医師の業務を薬剤師が担うというタスクシフト、タスクシェアにより、医師の業務負担軽減が図れるというデータもある。しかし、病院の薬剤師業務を直接的に評価する診療報酬はわずか」とし、次のように提案した。「医科、調剤という縦割りではなく、薬剤業務を各科横断的に評価する診療報酬体系の検討を提言する。今回の改定で、調剤0.3の財源で、医科、歯科の薬剤業務に対応することを検討してもらいたい」。


https://www.m3.com/news/general/573651

「くらて病院」問題:「全ての責任は町長に」 町議会特別委が報告書 /福岡

地域 2017年12月8日 (金)配信毎日新聞社〔筑豊版〕

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の常勤内科医6人が来年3月末で辞職を表明している問題で、町議会特別委員会(田中二三輝委員長)は6日、「全ての責任は徳島真次町長にある」などとする報告書を議会に提出した。

 病院側から「町長が権限を逸脱した介入をしている」などとする嘆願書が8月に議会に提出され、特別委を設置。11月まで7回の特別委を開き、徳島町長や病院関係者らに事情を聴いて調べていた。

 報告書は「副理事長を退職に追い込んだ」など嘆願書が挙げた6項目を法や病院定款を逸脱した「町長の不当な介入」と認定。そのため「医師は町長に対する強い不信感を抱き、安心して病院経営、医療の提供を継続することができない事態となった」とした上で「町長自身が、患者やその家族、町民らに誠意ある謝罪を行うとともに、病院に対しては、今後一切不当介入を行わないことを誓約し宣言する必要がある」と求めている。

 徳島町長は取材に対し「ノーコメント」とした。【武内靖広】



https://www.m3.com/news/general/573435
生駒市立病院:患者数、順調に増加 課題は医師確保 今年度上半期 /奈良
地域 2017年12月7日 (木)配信毎日新聞社

 生駒市立病院の管理運営協議会(会長・小紫雅史市長)が11月末、同病院で開かれ、開院3年目となる今年度上半期(4~9月)の状況が報告された。医師確保に課題は残すものの、患者数は入院、外来とも計画を約15%上回り、前年同期比でも入院で32%増、外来41%増と順調に推移した。経常利益は約1億円の赤字だが、計画(2億2691万円)の半分以下だった。

 報告によると、1日平均患者数は入院113人、外来159人。前年同期比で整形外科の患者数が入院で3倍増、外来で倍増したのが目立つ一方、4月から常勤医がゼロの小児科は入院が延べ7人と半減し、外来も3割近く減った。小児科は常勤医2人体制を目指しており、1人は1月に着任予定という。

 協議会では、同市の阪奈中央病院長を辞め、9月に市立病院長に就任した遠藤清氏が冒頭にあいさつ。阪奈中央病院や市医師会などが7月、院長就任に関し「地域医療機関との連携・協力を崩壊させる」と申し入れたことを踏まえ、「市全体の医療に貢献できると思って市立病院に来た。阪奈中央病院に迷惑をかけたが、市立病院で頑張ることで恩返ししたい」と述べた。【熊谷仁志】

G3註:生駒市立病院158床、阪奈中央病院255床、直線で2.1km・一般道で2.6km



https://www.m3.com/news/general/573611
【山梨】常勤医の診療再開へ 甲州・大藤
地域 2017年12月7日 (木)配信山梨日日新聞

 甲州市は、来年4月から同市塩山上粟生野の大藤診療所での常勤医による診療を再開する。現在は非常勤医による週4日の診療で、利用者から常勤医を求める声があり、市が人選を進めていた。

 市国保年金課によると、同診療所は、2017年3月末まで常勤医が診察していた。医師が退職してからは、県外の病院に所属する医師が非常勤で診療してきた。今年7~9月は週1回、10月からは週4回の診療となっていた。

 診療所は同市の大藤、神金、玉宮地区の住民らにとっては、近隣の医療機関が少ないことから「診療所は地域医療の拠点となっている」(同課)として常勤医を探していた。

 来年4月からは現在、診療所の非常勤医として勤務している市出身の田中千絵医師が常勤医となる。勤務時間などは今後、詳細を決める予定。落合・一ノ瀬両出張診療所の診療も担当する。

 同課の担当者は「地域医療を支えるため、今後も診療所を維持していきたい」と話している。

G3註:塩山駅から車で5分、甲府駅から35分



https://www.m3.com/news/general/573359
【青森】中核病院構想「市が主体」と弘前市長方針
地域 2017年12月6日 (水)配信東奥日報

 5日に青森県弘前市長選への3選出馬を表明した葛西憲之市長は、同日の市議会一般質問への答弁で、弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統合による中核病院構想について「市が整備運営の主体となることが最善」との新方針を明らかにした。統合協議の白紙化は否定したが、統合後の中核病院を同機構が運営するという県の提案を拒否する形となった。具体的な整備場所やスケジュール、財源には言及しなかった。

 両病院の統合案は県が昨年10月に提示。構想では中核病院を国立弘前の敷地内に整備し、同機構による運営を想定している。事務レベルで協議を重ねていたが、市側が「地域医療に対する明確なビジョンや、市民の立場に立った提案がない」(葛西市長)として、今年5月を最後にストップしている。

 葛西市長は同日の一般質問で3選出馬の理由の一つに中核病院問題を挙げた。取材に対し、市長は「市立であれば市の責任の下に地域医療を行うことができる。地域包括ケアシステムの構築に重きを置き、市立病院として中核病院を担うことが最善と判断した」と説明した。

 既に同機構や県など協議の相手方に意向を伝えたことも明らかにし、今後市側で県の対案となる具体案をまとめ統合協議に臨むという。

 取材に対し、同機構本部(東京)は「地域医療に貢献するため、引き続き真摯(しんし)に協議していく」。県医療薬務課の担当者は「弘前市の意向も踏まえて今後の協議を進める」とした。

 中核病院問題では、同日の一般質問で伏見秀人議員(弘新会)が協議の遅れを指摘。「市は自治体病院が地域包括ケアシステムの核になるべきだと認識していたはず。なぜもっと早く動かなかったのか」と疑問を呈した。

 一方、市立病院の運営状況は既に厳しさを増しており、対応が急務となっている。市立病院の常勤医は12月1日現在、研修医7人を含む29人で、うち外科医は3人で前年から半減。中核病院整備の必要性が増している。櫻田靖事務局長は「弘大から医師の派遣を受けて2次救急輪番をこなしているが、今後も減ると現状のコマ数はこなせない」と答弁し、危機感を訴えた。



https://www.m3.com/news/general/573378
【兵庫】ささやま医療センター存続へ 来年7月から7年間
地域 2017年12月6日 (水)配信神戸新聞

 兵庫県篠山市は5日の市議会全員協議会で、来年7月に協定期間が満了となる兵庫医科大学ささやま医療センター(同市黒岡)について、その後も最低7年間は存続・運営する方針で両者が基本合意したことを明らかにした。2008年に結んだ基本協定書を更新し、来年7月までに同大の新家荘平理事長と酒井隆明市長が調印する。

 同センターは1997年、国立篠山病院の経営移譲により兵庫医科大篠山病院として誕生し、その後現在の名称に。基本協定書の期限が切れる半年前までに更新の有無や内容を決めることが定められており、両者が協議を進めてきた。



https://www.m3.com/news/general/573384
高知医療センター6年連続黒字 単価上昇で収益増 16年度決算
地域 2017年12月6日 (水)配信高知新聞

 高知医療センター(高知市池)を運営する高知県・高知市病院企業団の企業団議会定例会が5日開かれ、5億2380万円の経常黒字となる2016年度決算案を認定した。診療単価の上昇などによる医業収益の増加(前年度比0・9%増)などで6年連続の黒字を確保した。

 16年度から一般病床40床を休床したことで入院患者数(1日当たり)は前年度比34人減、外来患者数(同)も3人増で横ばいだったが、高度で専門的な医療を担う同センターの機能強化に努めた結果、診療単価は入院で4186円(5・5%)、外来で1671円(10・8%)上昇した。

 抗がん剤「オプジーボ」の使用量が前年度比16倍となるなど高額薬品による治療の増加も診療単価上昇の要因になったという。

 医業費用では、薬品費が前年度比0・1%(3440万円)増となった一方、診療材料費は購入価格の全国相場比較システムの導入などで0・7%(9923万円)抑制した。

 この結果、経常収支は前年度の黒字(7265万円)を上回り、単年度の純損益も3年ぶりの黒字(4億9558万円)となった。

 このほか、500万円以下の未収金の債権放棄について定めた債権管理条例議案を全会一致で可決した。



  1. 2017/12/10(日) 10:01:37|
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12月3日 

https://www.m3.com/news/general/572705
診療・入院料引き上げへ 報酬改定、薬価下げ財源
行政・政治 2017年12月3日 (日) 朝日新聞

 来年度の診療報酬改定について、政府は診察料や入院料などの公定価格となる「本体」部分を引き上げる方針を固めた。薬代の「薬価」の引き下げで、高齢化に伴う社会保障費の自然増の抑制目標達成にめどが立ち、財源が確保できる見通しとなったためだ。

 診療報酬は2年に1度見直される。引き上げれば医療機関の収入が増え、財源の公費や保険料、原則3~1割の患者の窓口負担も増える。政府はすでに、本体と薬価から成る診療報酬全体はマイナスとする方針を決めており、医師らの人件費などに回る本体の扱いが焦点となっていた。

 政府は来年度予算で、社会保障費の自然増を5千億円ほどに抑える目標を掲げる。達成には1300億円ほど削る必要があり、薬価の引き下げでどれだけ財源を確保できるか精査してきた。薬は仕入れ値が徐々に下がるため、薬価は改定のたびに下がる。直近の調査で実勢価格が公定価格より10%前後低く、1千数百億円捻出できるとわかり、達成が確実となった。

 本体の引き上げは6回連続で、具体的な改定率は年末までの予算編成作業で決める。1%上げるには約1200億円の国費が必要で、患者の窓口負担も約600億円増える。前回2016年度改定の0・49%が一つの基準となりそうだ。

 本体をめぐっては財務省や医療費を払う側の保険者団体などが引き下げを要求。一方、医療団体は厚生労働省の昨年度の調査で病院の利益率がマイナス4・2%の赤字だったことや、安倍政権が財界に3%の賃上げを求めていることから引き上げを求めている。政府は本体の引き上げで、安倍政権を支持する日本医師会に配慮する思惑もあるとみられる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566894
医学部定員増に舵を切れた訳 - 舛添要一・元厚労大臣に聞く◆Vol.1
マスコミの影響大、「政官業」の旧弊断ち切る

スペシャル企画 2017年12月2日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2007 年8月27日から2009年9月16日までの752日間、第1次安倍晋三内閣、福田康夫内閣、麻生太郎内閣の3代にわたり、厚生労働大臣を務めたのが、舛添要一氏。“消えた”年金記録問題、薬害C型肝炎訴訟、妊婦の救急搬送問題、後期高齢者医療制度、新型インフルエンザの流行……。社会保障分野に限らず、厚生労働行政全般にわたる課題への対応を迫られた舛添氏。“医療崩壊”が叫ばれ、1981年以来、続いてきた医学部定員の削減・抑制政策を180度転換、2008年度の閣議決定で増加に舵を切ったのも舛添氏の時代だった。
 医学部定員問題を中心に、当時を振り返っていただくとともに、今の厚生労働行政や医療のあり方をどう見ているのかを併せてお聞きした(全3回の連載)。


――医学部入学定員は、1981年の琉球大学医学部新設以降、抑制・削減され、1997年の閣議決定で「大学医学部の整理・合理化も視野に入れつつ引き続き、医学部定員の削減に取り組む」とされ、2003~2007年度までは7625人に抑制。しかし、2008年度には臨時定員増が始まるとともに、「経済財政改革の基本方針2008」 (骨太の方針2008)で、「早急に過去最大程度まで増員するとともに、さらに今後の必要な医師養成について検討する」とされました。それまで抑制方針だった医学部定員を増加に舵を切ることができた理由をどうお考えですか。

 まずは妊婦さんの救急搬送問題が、続けざまに発生し、マスコミに報道されたこともあって、地方のみならず、都会においても「医師不足」が社会問題化したことが挙げられます。2006年には大淀町立大淀病院で、また私が厚労大臣就任直後の2007年8月末にも同じく奈良の病院で、妊婦さんの「たらい回し事件」が起きました。さらに「骨太の方針2008」の後ですが、2008年10月に都立墨東病院でも発生。救急車で搬送されても、「担当できる医師がいない」などの理由で、医療機関は受け入れることができなかったのです。
 2008年8月には、福島県立大野病院事件の判決がありました(編集部注:帝王切開手術後に患者が死亡、執刀した産婦人科医が業務上過失致死罪に問われたものの、2008年8月20日に福島地裁は無罪判決を言い渡し、確定)。産婦人科医の過失は否定されましたが、彼は「1人医長」で、24時間365日の対応をしており、産科医療が厳しい状況にあるという認識を多くの関係者が持ったのではないでしょうか。
 それから挙げられるのは、年金記録問題をはじめ、さまざまな課題を抱える厚労省に、そして私自身に注目が集まっていたこと。2007年7月の参院選で自民党が惨敗、参院第一党を当時の民主党に譲った最大の原因は、年金記録問題でした。自民党への逆風が強く、私自身、初出馬となった2001年の参院比例区選挙では、158万8262票で全国トップ当選を果たしたけれども、2007年の選挙では約3分の1に減らしての当選でした。国会議員になる前、政治学者としてジャーナリスティック的な仕事をし、テレビにも出ていて知名度は高かった上、参院選惨敗後の安倍首相の姿勢に批判的な目を向けていた私が、課題山積の厚労大臣になったものだから、おのずからマスコミが私自身や医療政策に注目するようになったのでしょう。

――「たらい回し」という言葉は、医療に好意的な言葉ではありませんが、医学部定員増につながった。
 私は医師不足問題に関して言えば、マスコミを利用しようと考えましたね。メディアは、「お医者さん、足りないじゃないか」と報道したわけなので。

 一般論で言えば、何らかの改革を実施する際のいわゆる抵抗勢力の一つは、政治家。それから利益団体や圧力団体、医療の場合は日本医師会。そして官僚機構です。これらを一つ一つ崩していかないと改革はできません。
 中でも最も激しいのは、厚労族との戦い。私の専門は本来は外交や安全保障ですが、そもそも政治家を目指したのは母親の介護問題がきっかけだったので、自民党の厚労関係部会の集まりにはよく出席しており、厚労族とも「今の医療システムはだめじゃないか」などと、しょっちゅうやり合っていた。当時の医師不足問題については、マスコミが声高に訴えており、世間の風潮に彼らは反論できませんでした。
 しかも、参院第一党になった民主党が、医師数の増員を主張していた。医学部定員問題は閣議決定なので、定員増に方針転換するには法改正の必要はなかったのですが、「敵」が私の味方をしている政治情勢で、自民党自体も反対できなかった。また医師会ですが、医師数が増えたら、「商売敵」が増えることになるわけです。しかし、私は参院比例代表選出の議員。衆院に小選挙区や参院の選挙区であれば、「医師会票」を気にするのでしょうが、関係がなかった。
 そして官僚組織。厚労省も関係しますが、医学部の問題なのでこの場合は文科省。今の獣医学部の問題ではないですが、なかなか従来の路線を変更しないのが官僚組織です。

――その辺りは、どう対応されたのでしょうか。

 「政官業のトライアングル」と言われますが、官と業をつなぐのが審議会や検討会。その見直しで、「官」に路線変更を迫りました。
 医学部定員増のほか、今後の医療の在り方を検討するため、私が2008年1月に立ち上げたのが「安心と希望の医療確保ビジョン」。メンバーは私も含めた政務三役のほか、民間のアドバイザリースタッフ。しかし、アドバイザリースタッフは、厚労省担当部局による人選であり、どうしても厚労省寄りであり、彼らはなかなか報告書に「医師不足」との言葉を入れることを認めませんでした。
 それでも私は厚労省とアドバイザリースタッフに対し、病院の勤務医の現状などを繰り返し説明し、関係者への説得を粘り強く続けた。その結果、2008年6月にまとめた報告書では、「総体として医師数を増やす方向」とし、「現下の医師不足の状況にかんがみ、従来の閣議決定に変えて、医師養成数を増加させる」と記載して、医師不足ではないとの厚労省の認識を覆した。これが「骨太の方針2008」に反映されたのです。
 「骨太の方針2009」の後に、すぐに立ち上げたのが「安心と希望の医療確保ビジョン」の具体化に関する検討会。メンバーは、さまざまな立場の方から候補を挙げてもらい、その中から私が選び、私が直接電話で依頼しました。医系技官の抵抗を直に経験したため、医系技官寄りの人選を避けるためです。普通は、厚労省の担当課が電話をかけるところ、「舛添ですが……」と電話がかかってくるのだから、相手も「何だろう?」と思う。それに役人ではなく、大臣が掛けてきたら、なかなか断りにくいわけです(笑)。
 しかも、毎回の会議はマスコミにフルオープンにし、私は冒頭のあいさつだけでなく、よほどの公務がない限りは、会議の最後まで出席しました。大臣担当の記者は、私が会議の中で何を発言するか、聞き逃すわけにはいかないので、傍聴し、報道する。検討会のメンバーの皆さんも、データを基に言うべきことは言う、批判すべき点は批判するという建設的な姿勢を持っており、その内容は詳細に報道されたので、議論の様子が広く一般にも伝わったはずです。
 2008年9月の「中間とりまとめ」では、「来年度においては、(中略)少なくとも過去最大の医学部定員(8360人)を上回る程度を目指すべき」などと盛り込みました。

――医学部定員増に舵を切った時、既存医学部の定員増と、医学部の新設とどちらを念頭に置かれていたのでしょうか。

 まず考えたのは、とにかく医学生の数を増やさなければいけないということ。既存の医学部定員増員、あるいは歯科医が過剰気味なので、医師に転向してもらうなど、いろいろアイデアが出ていました。その中で、いよいよとなれば、医学部新設という選択肢も当然入っていましたが、医学部を新設しないとできない話ではないだろうと思っていました。




http://www.asahi.com/articles/ASKCX42SJKCXUBQU00H.html
医学部進学1人につき出身私立高に10万円補助
佐藤仁彦  2017年11月28日15時00分  朝日新聞 茨城

 県内の医師不足の解消につなげようと、茨城県は過去3年間の医学部医学科への進学実績に応じて、私立高校に補助金を出す方針を決めた。今年度から導入する。進学者1人あたり10万円を出身校に補助する。県によると、特定の学部への進学実績に応じて私学助成をする制度は「全国でも例がない」という。
 県は今年度、私学助成金の中で、私立高校の補助金を前年度より増やし、その増加分の一部を利用して、医学部進学に熱心に取り組んだ学校に配分する補助金の枠を拡充した。使途は自由だが、教育経費に充てることを想定している。
 県私学振興室によると、過去3年間で県内の高校から大学の医学部医学科に入学した生徒は計456人。うち私立高の卒業生は5割強の260人を占めた。
 同室は「医学部進学に力を入れる私立高校を財政的に支援することで、県内出身の医師を増やし、将来的には県内で働く医師の数を確保したい」としている。
 医学部進学に力を入れる私立高校に対する県の支援としては、すでに医師の講話や医療機関の見学会などを実施する高校に助成金を配分する制度があり、今年度は10校を想定している。



https://mainichi.jp/articles/20171126/ddl/k22/010/147000c
御前崎市
条例案提出へ 医師不足解消狙い 就業で計800万円支給 /静岡

毎日新聞2017年11月26日 地方版 静岡

 御前崎市は医師不足解消を目指した就業支度金制度を始めるため、27日開会の市議会12月定例会に条例案を提出する。市立御前崎 総合病院の正規職員として勤務を希望する60歳未満の医師に、4年間で計800万円を支給する。
 条例案によると、対象となる医師にまず500万円を貸与の形で支給し、2年間の勤務で返済を免除する。その後も続けて2年勤める場合、さらに300万円を支払う。3年以内に同病院の勤務経験がある医師は対象外となる。
 市は同様に、40歳未満の薬剤師を対象にした制度も作る。当初150万円を支給し、5年間の勤務で返済を免除する。さらに3年の勤務で75万円を支払う。
 一方、市は12月に医師の紹介奨励金の制度を始める。同病院に紹介された正規職員の医師が1年間勤務した場合、医師1人につき50万円を紹介者に交付する。専門の仲介業者は交付対象から除かれるが、親類など縁戚関係がある場合も交付される。
 同病院は15診療科あり、常勤医師は現在17人。うち正規職員は12人で、泌尿器科は担当医がいないため外来を含め休診している。夜間の救急診療も当直医不足などで受け入れを制限している。柳沢重夫市長は「医師が来にくい状況を少しでも改善したい」と話している。【舟津進】




https://www.cbnews.jp/news/entry/20171201212355
【中医協】地域包括診療料、「24時間対応」などの要件緩和へ
厚労省が提案

2017年12月01日 21:50 CB News

 中央社会保険医療協議会(中医協)会合が1日に開いた総会では、2018年度の診療報酬改定に向けて、地域包括診療料と地域包括診療加算の要件緩和を厚生労働省が提案した。一定の期間通院している患者なら、改めて「同意」を得なくても算定を認めるなどの内容。これらの報酬の内容を患者に説明し、同意を得る手順の運用を弾力化することで、かかりつけ医機能を充実させるのが狙い。同省はまた、「在宅医療の提供」や「24時間の対応」について、要件とするのではなく、これらの実績を別途、評価する方針も示した。【越浦麻美】

 これらの報酬を算定するには、患者が受診している他の医療機関や処方薬を一元的に把握する必要もあるが、厚労省は、看護師など医師以外の職種や、連携先の薬局による対応も可能なことを明確化する考えも示した。担当医の負担軽減につなげるため。

 これらの報酬は、かかりつけ医機能への評価として14年度の診療報酬改定で新設された。地域包括診療料は診療所のほか200床未満の病院も算定できるが、地域包括診療加算は診療所しか算定できない。いずれも高血圧症や糖尿病など4つの慢性疾患のうち、2つ以上を持つ患者が対象で、「在宅医療の提供」や「24時間の対応」などの要件がある。

 日本医師会が診療所を対象に行った調査の結果によると、これらの報酬を算定している診療所で実施している業務のうち、負担の大きいものとして、「在宅患者に対する24時間対応」を挙げた診療所が49.8%、「患者に処方されているすべての医薬品の管理」は27.9%、「患者が受診しているすべての医療機関の把握」は18.6%だった。

 これらの報酬の届け出は14年度の新設後に伸び悩み、16年度の診療報酬改定でも算定要件を緩和した経緯がある。厚労省は、「在宅医療の提供」などの要件がなおハードルになっていると判断し、18年度に緩和する必要があると判断した。

 同省保険局の迫井正深医療課長は、「在宅・24時間を外すことを想定しているわけでは全くなく、実際に在宅に足を運んで診察をしていただくという実績の部分と、体制を整えるという要件の部分は必ずしもリンクさせる必要はないのではないかという趣旨での提案」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=17315

抗菌剤の適正使用推進、地域包括診療料などの算定促進を目指す—第375回 中医協総会(2)

2017年12月1日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 お伝えしているとおり、12月1日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、(1)ICTを活用した連携(2)ICTを用いた医療(3)薬剤適正使用の推進(4)地域包括診療料などの見直し—の4点が議題となりました。今回は、(3)と(4)に焦点を合わせてお伝えします。

(3)では、薬剤耐性菌対策の一環として「抗微生物薬適正使用の手引き」(以下、ガイドライン)の遵守を診療報酬で評価することなどが提案されています。

ここがポイント!
1 抗菌剤適正使用の手引きを活用する医療機関など、診療報酬で評価すべきか
2 地域包括診療料など、在宅医療提供体制の要件を維持し、実際の提供を別建て評価へ

抗菌剤適正使用の手引きを活用する医療機関など、診療報酬で評価すべきか

我が国では、抗菌剤の使用量そのものは諸外国と比べてそれほど高い水準にあるわけではないものの、▼経口セファロスポリン▼フルオロキノロン▼マクロライド—といった幅広い細菌に有効な抗菌剤(広域抗菌剤)の使用量が極めて多いと指摘されます。漫然とした抗菌剤使用は薬剤耐性菌の発生につながるため、「抗菌剤の適正使用」が重要課題の1つに位置付けられています。

我が国では、セファロスポリンなどの広域抗菌剤の使用量が諸外国に比べて極めて多い(図 略)
 
政府は「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を取りまとめ、「▽経口セファロスポリン▽フルオロキノロン▽マクロライド—の使用量を2020年までに半減し、抗微生物薬全体の使用量を3分の2(33%減)とする」との目標を掲げています。
 
目標達成のために医療保険からのアプローチも重要となり、2018年度の次期診療報酬改定に向けて「A234-2【感染防止対策加算】を参考とした『抗菌薬適正使用推進チーム』(AST)の取り組みを診療報酬で評価する」案などがすでに浮上しています。
厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は、さらに、12月1日の中医協総会で、「急性気道感染症などの症状を示す患者に、▼厚労省がとりまとめた適正使用マニュアルを活用する▼患者・家族らへの文書による説明する―などの取り組みを行う医療機関」を診療報酬で評価する考えを示しました。

抗微生物薬の適正使用に向けた手引き(ガイドライン)を厚生省が作成、急性気道感染症(かぜ)などには抗菌剤投与が不要であることを明確にしている(図 略)
 
抗菌剤の処方は医師が行いますが、国民が「抗菌剤の適正使用」を十分に理解し、むやみに抗菌剤処方を求めるといった行動を是正してもらうことが極めて重要で、そのためには「医師が抗菌剤の適正使用の必要性などを、分かりやすく説明する」ことが不可欠なためです。ただし、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は「医師・医療機関の本来業務であり、評価には違和感がある。明確化・要件化を検討すべきではないか」との意見を示しており、さらなる調整が必要のようです。

抗菌剤適正使用に向けて、「医師から患者に分かりやすく説明する」ことが極めて重要である(図 略)
 
さらに迫井医療課長は、次のような提案も行っています。
▼地域包括診療料や薬剤服用歴管理指導料において、「抗菌薬の適切な使用に関する説明や取り組みを行う」ことを明確化する(迫井医療課長は「当該報酬を算定する医療機関や薬局において当然、行われるべきこと」と説明しており、「要件化」が行われる可能性がある)

▼「多剤投薬・重複投薬の是正」を推進するため、かかりつけの医師による▼入院医療機関や薬局と連携した減薬に係る情報提供▼減薬後のフォローアップ—などを評価する(入院中に減薬を行い、退院後にも減薬が継続するような、かかりつけ医の取り組みを評価)

▼減薬の取り組みに関する実績を踏まえ、薬剤総合評価調整加算の評価対象に地域包括ケア病棟を追加する

2016年度の前回診療報酬改定では、「入院前に6種類以上の内服薬が処方されていた患者」について、入院中に処方内容を総合的に評価・調整し、「退院時に処方される内服薬が2種類以上減少」した場合などに、その入院医療機関の取り組みを【薬剤総合評価調整加算】(退院時に1回、250点を算定可能)として経済的な評価を行うなどの見直しが行われました。後2者は、この取り組みをさらに強化する狙いがあります。

2016年度の前回診療報酬改定で、多剤投与患者の薬剤を減少(減薬)させることを評価する点数が新設された(図 略)

地域包括診療料など、在宅医療提供体制の要件を維持し、実際の提供を別建て評価へ

(4)の地域包括診療料などは、生活習慣病患者に対する総合的な医学管理を包括評価する診療報酬項目です(2016年度の前回改定で、生活習慣病でない認知症患者も対象に加えた認知症地域包括診療料を創設)。200床未満の病院と診療所が対象となります。

しかし、「施設基準などが厳しすぎる」との声が強く、実際に、届出医療機関数はごく少なかったため、2016年度の前回改定で「2次救急指定病院要件の廃止」「常勤医師基準の3人から2人への緩和」などが行われました。

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2016年度の前回診療報酬改定で、地域包括診療料の施設基準など見直し、認知症地域包括診療料の創設が行われた
 
この見直しで、届出医療機関数は若干増加しました(地域包括診療料などは2015年7月の81施設から、2016年7月に171施設に、地域包括診療加算などは同じく4701施設から5238施設に増加)が、まだまだ「届出数が少ない」状況は続いています。
この背景には、やはり施設基準などの厳しさがあると考えられます。迫井医療課長は、厚労省調査(2016年度診療報酬改定の結果検証調査)や日本医師会の調査などを踏まえ、(a)在宅患者に対する24時間対応(b)患者に処方されているすべての医薬品の管理(c)患者が受診しているすべての医療機関の把握—などが大きなハードルになっていると分析。一方で、地域包括診療料などの届け出を行っていない医療機関でも、「看護職員が平均2.3人配置されている」「7-8割が保険薬局との連携を行っている」ことから、ハードル解消のために「連携による要件クリア」を認めてはどうかとの考えを迫井医療課長は示しています。

例えば、(b)の「患者に処方されているすべての医薬品の管理」を薬局と連携して行う(かかりつけ薬局から情報提供を受けるなど)、(c)の「患者が受診しているすべての医療機関の把握」を看護師と連携して行う、ことも可能であると明確化することになります。

 
また(a)の「在宅患者に対する対応」については、「体制」と「実績」とを区別し、前者の「在宅医療提供体制」は施設基準などに残したまま、後者の「在宅医療提供実績」を別途評価する考えが示されました。

地域包括診療料を届け出るためには、病院では「在宅療養支援病院」、診療所では「在宅療養支援診療所」であることが必須であり、また診療所では「時間外加算1・2」の届け出も必須となるため、「在宅患者に対する24時間対応体制」は必ず満たさなければなりません。迫井医療課長は、この体制を崩す考えはないようです。

一方、実際に在宅医療を提供する際には、「担当医が在宅診療に出ている場合には、他の医師に外来診療が集中する」など、相応の負担がかかります。迫井医療課長は、この負担に応える必要があるとし、「在宅医療提供実績」を別途評価する考えを示しているのです。具体的には、地域包括診療料などの「継続的かつ全人的な医療提供」という創設趣旨などを踏まえ、「自院に一定期間以上継続して外来通院していた患者」(かかりつけの患者)への訪問診療実績が評価対象となります。評価手法については、「在宅医療提供実績を、外来の診療報酬で評価する」ことになるため、これから工夫が練られます。

 
なお、地域包括診療料などの、もう一つのハードルとして「患者の同意」があることも分かりました。しかし、患者に「地域包括診療料を算定したい」旨の説明を行えば、その6割は同意することが分かっています。現在、同意書の内容については特段の定めがないため、「説明に躊躇してしまい、結果として(当然ながら)同意が得られない」状況もあると考えられます。この点を踏まえ、迫井医療課長は、▼地域包括診療加算▼認知症地域包括診療加算(いずれも再診料の加算)―に限り、「一定期間以上継続して当該医療機関に通院している」患者(かかりつけの患者)については、同意取得の取扱いを見直す(簡素化する)考えも示しました。かかりつけの患者であれば信頼関係が醸成されており、簡素な同意手続きによって算定患者が増加することが見込めます。

医師から説明を受けた患者の6割は、「地域包括診療料などの算定」に同意する(図 略)
 
こうした提案に、特段の反論は出ておらず(診療側はむしろ「大歓迎」)、この方向で見直しが行われることになります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/572544
地域包括診療料・加算、同意手続き簡略化の方向など提案
「24時間対応」要件見直しは改めて整理

レポート 2017年12月1日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は12月1日の会議で、横断的事項として地域包括診療料等の評価を議論した。厚生労働省は、地域包括診療加算の算定に当たって患者の同意を取得する手続きを簡略化する方向で検討することなどを提案し、大筋で了承された。今後、具体的な方法を詰める(資料は、厚労省のホームページ)。

厚労省の提案と、委員の主な意見は次の通り。

・地域包括診療加算または認知症地域包括診療加算の算定に当たり、患者の同意を取得する必要があるが、その患者が既に一定期間以上継続して当該医療機関に通院している場合は、同意取得に係る取り扱いを見直してはどうか。

日本病院会副会長・島弘志氏:現在は原則同意書を取ることになっているが、一定期間以上継続して受診している患者は同意書がいらないという方向か。

厚労省保険局医療課長・迫井正深氏:一定程度継続した受診をしているケースで、同意書の手続きが必ずしも明確化されていない部分もある。何らかの手続きはもちろん必要だと思うが、今のような形でかっちりと同意書を取るのか、もう少し工夫の余地があるのではないかということで、今回の提案の方向性を認めていただければ具体的に詰めたい。

【支払側】
健康保険組合連合会理事・幸野庄司氏:主治医と患者がある程度信頼関係ができた後の方が同意も取りやすくなるのではないかと思うので、方向性はいいと思うが、初診で、疾病を2種類以上持っている患者(注:地域包括診療料の算定要件のうち対象疾患は、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち2つ以上)に、いきなり「あなたは地域包括診療料で一元的に管理します」という方向をやめていくということか。

迫井氏:既存の考え方を大きく変えるのではなく、現行の同意に基づく患者と主治医との信頼関係を前提とした考え方は維持して、手続き上、難しいと言われるものについて弾力化しようということだ。

幸野氏:であれば方向性は賛同できる。

・患者が受診している他の医療機関や処方薬を一元的に把握することを求めているが、担当医の負担軽減のため、医師以外の職種や連携する保険薬局を活用可能であることを明確化してはどうか。

【診療側】
日本薬剤師会常任理事・安部好弘氏:薬剤師と処方医が効率的かつ有効な連携を推進することに資する提案なので、賛同する。

・在宅医療の提供や24時間対応に係る要件については、地域包括診療料等の継続的かつ全人的な医療を提供するとの趣旨を踏まえ、要件ではなく、在宅医療の提供の実績を別に評価することとしてはどうか。具体的には、一定期間以上継続して外来通院していた患者(かかりつけの患者)に対して、訪問診療を提供しているとの実績を評価してはどうか。

【支払側】
幸野氏:24時間対応に係る要件を加算にするという点だが、地域包括診療料の施設基準としては在宅療養支援病院か在宅療養支援診療所であることが必要で、在宅の要件をなくすというのは大きなことだ。深夜の訪問実績はほとんどないので検討の余地はあると思うが、在宅医療を要件から外して加算にするのは、設定の主旨からしたら違うのではないか。加算にするのなら、在宅の制度設計の点数設計自体を見直していくことも必要ではないか。それくらい大きな変更だ。

連合総合政策局長・平川則男氏:過去の議事録を見ると、24時間対応は当然の前提としてどうやって維持していくのかという議論になっている。2013年の総会資料でも、夜間・休日に訪問診療を行っている医師に救急連絡を行った経験の有無という患者調査で4割から5割くらいというデータが出ている。24時間対応の要件を見直して大丈夫かなという気もする。必要でないということについて、事務局は何らかの見解があるか。

迫井氏:資料が、伝え方として適切でなかったと反省している。大前提として、在支診の要件を外すということではない。24時間対応と言うと、昼夜診療のようにずっと開けていなければいけないという負担感につながっているということがある。24時間きちんと対応できるということと、オーバーナイトでずっと診療するという意味は違うわけで、考え方を整理したいという主旨だ。在宅、24時間対応を外すということは想定しておらず、誤解される文章だった。

 在宅に足を運んで診察をする実績の部分と体制を整えるという要件は必ずしもリンクさせることではないのではないかということで、評価の視点として分けたらどうかということだ。制度設計を大きく変えるという主旨ではない。改めてきちんと整理したい。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171120-OYTET50025/
ニュース・解説
在宅療養への移行促す…診療報酬・介護報酬、同時改定

2017年11月27日 読売新聞

 来年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定では、団塊の世代全員が75歳以上になる「2025年問題」への対応が重要テーマとなる。医療では、重症者向けの過剰な急性期病床を減らす一方、患者にリハビリテーションなどを行い、早く在宅療養に移行できるようにしていく。

 「以前より足が出るようになりましたね」

 石川県南西部の能美市にある 芳珠記念病院(320床)。廊下で歩行訓練を行う男性患者(80)に、理学療法士の岩上倫太朗さん(27)が付き添う。

 この患者が入院しているのは、在宅復帰を支援する地域包括ケア病棟だ。多職種が連携してリハビリなどを行う。地域包括ケア病棟協会によると、全国約2000病院にあり、推計約6万4000床に上る。

 同病院の地域包括ケア病棟はこれまでに延べ約4600人の患者を受け入れた。退院後に自宅などに戻る割合(在宅復帰率)は88%に上る。協会会長の仲井 培雄ますお さんは「『ときどき入院 ほぼ在宅』を目指す上で、この病棟が果たす役割は大きい」と力を込める。

 病棟(病床)は、機能に応じて看護師の配置数などが異なる。患者7人に看護師1人と、手厚い体制でがん患者などをみる「7対1病床」は入院基本料が最も高く、約35万床と多い。14年度に9万床の削減が打ち出されたが、微減にとどまる。

 来年度の改定では、7対1に必要な要件のうち重症患者の割合を上げるなどして、絞り込みを図る方向だ。一方、介護への橋渡し役にもなる地域包括ケア病棟は報酬を手厚くして、7対1病床などからの転換を促すことが検討されている。

 京都市の市街地にある堀川病院(236床)は14年8月、7対1病床の一部を転換し、地域包括ケア病棟(104床)を設けた。事務長の山田正明さんは「それまでの7対1には、手厚い看護が必要ない、症状が安定した患者なども入院していた。周りの大きな急性期病院と競うのは、この病院の役割ではないと判断した」と語る。

 近くには京都大学病院などの大病院も多く、他病院との連携を強化する。医療提供体制の効率化に向け、それぞれの地域で病院の役割分担が求められている。

紹介状なし 追加負担の対象拡大

 次期改定では、「かかりつけ医」「かかりつけ薬剤師」の普及を加速させることも大きな課題だ。

 ありふれた病気でも大病院を受診する患者が後を絶たない。そのため紹介状なしで受診した患者から初診時に、5000円以上の追加負担を求めなければならない病院の範囲を、現在の500床以上(約260病院)から広げる方針だ。これにより身近な「かかりつけ医」への受診を促す。

 また、患者ごとの服薬情報を管理する「かかりつけ薬剤師」では、「かかりつけ」の機能を発揮した場合に報酬を上乗せするか検討する。

 このほか、スマートフォンなどによる遠隔診療は報酬をつける対象を増やす方針。糖尿病などの重症化予防で、日常的な健康指導などに活用してもらう。薬価部分では、がん治療薬「オプジーボ」など高額薬が相次いで登場するなか、費用対効果が悪い場合、価格を引き下げる。

  <診療報酬・介護報酬>  診療報酬は医療行為や薬の対価として医療機関や薬局が受け取るお金。介護報酬は介護サービスを提供した事業者が受け取るお金。報酬は、国が望ましい方向に医療機関や介護事業者を誘導する手段にもなっている。来年度は6年に1度の同時改定にあたる。

 (西原和紀)



https://www.m3.com/news/iryoishin/572617
加藤大臣「門前・門内薬局、適正化を図る」、経済財政諮問会議
民間議員「遠隔診療の推進、ベンチャー創出も」

レポート 2017年12月2日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 政府の経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)は12月1日の会議で、「社会保障改革」について議論し、加藤勝信厚労相は「門前・門内薬局については、適正化を図る方向で検討する」と話した。「『2018年度予算編成の基本方針』の策定方針」も示され、年末に向けて予算編成が大詰めを迎える(資料は、内閣府のホームページ)。

 「策定方針」では、アベノミクス「新・三本の矢」(1)戦後最大の名目GDP600兆円、(2)希望出生率 1.8、(3)介護離職ゼロ――の実現を目指すとしている。12月8日に2018年度予算編成の目玉となる「人づくり革命」と「生産性革命」の政策パッケージ、12月22日に2018年度予算案をそれぞれ閣議決定する見通し。「策定方針」では、直接的な社会保障、医療への言及はなかった。

 議題の2つ目として、 「経済・財政一体改革(各論:社会保障)」について意見交換が行われた。民間議員が提出した「社会保障改革の推進に向けて」とする資料で、医療に関する記載は以下の通り。

◆薬価制度の抜本改革等の実行
-長期収載品価格を後発医薬品と同じ水準まで引き下げる期間(最大16年)の短縮
-費用対効果評価に応じた実効的な薬価算定の仕組みの本格的導入、第三者的視点に立った組織・体制の構築に向けた改革工程の明確化
-治療効果の高い患者を特定して最適な薬剤を投与できるようにするためのコンパニオン診断薬の開発インセンティブの強化、コンパニオン診断のルール化

◆診療報酬改定
診療報酬本体については、国民負担に直結することも踏まえ、これまでの改革努力を緩めず、一層の取組を進めるべき。特に、調剤技術料については、薬局の機能分化や調剤報酬の適正化の観点から、門前薬局、門内薬局を中心に調剤基本料を見直すべき。
オンライン診療を組み合わせた生活習慣病の指導管理や遠隔モニタリングを活用した重症化予防など、効果的・効率的な医療の提供につながる遠隔診療を推進すべき。

◆社会保障分野の人材確保
医師の偏在是正に向け、都道府県が主体となって医師確保等を行う仕組みの構築、医師養成過程を通じた医師確保対策の強化等に包括的に取り組むべき。

◆地域差半減の実現
2023 年度までの医療費適正化計画期間内において実現するよう、(1)多剤投与に関する保険者が保有する情報の医療機関・薬局への提供、(2)入院医療費の指標を明確化すべき。

 事務局の説明によると、加藤厚労相は民間議員の指摘に対し、「門前・門内薬局については、大きな病院の周辺に集中しており、その実態を認識して、適正化を図る方向で検討する」と答えたという。

 民間議員からは「遠隔医療を推進すべき。これは、単に効果的、効率的だというだけではなく、ベンチャーを生み出すことになる。革新的創薬について、費用対効果に応じた薬価算定の仕組みなどにより推進すべき」、別の民間議員は「経済界が子育て安心プランへの協力を表明した中で、診療報酬の本体部分や介護報酬の改定について、緩むということがないように、ぜひ踏み込んでほしい」と要望があった。

 麻生太郎財務相は「診療報酬と介護報酬の同時改定については、税、社会保険料を通じた国民負担の抑制を図り、将来にわたる国民皆保険制度の維持の観点を踏まえる必要がある。財政制度等審議会の予算編成の建議でも、診療報酬、介護報酬のマイナス改定が提言されている。年末に向けて、関係省庁と調整していく」と述べた。

 安倍首相は会議で以下のように締めくくった。

「第一に、2018年度予算編成の基本方針の策定方針について答申をいただいた。来年度予算編成に向けては、財政健全化への着実な取組を進める一方、人づくり革命や生産性革命など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、めりはりの利いた予算編成を目指す。
 第二に、社会保障改革について議論し、薬価制度を革新的新薬の創出を促進する仕組みに見直す、遠隔診療を推進する、医療・介護・保育分野での人材確保策を強化するといった方向性が示された。加藤大臣は、本日の議論を踏まえ、着実に実行してほしい。
 また、地方行財政改革については、窓口業務の更なる効率化を進める、第三セクターの経営改革を強化する、公共施設の有効活用と老朽化対策を推進するといった方向性が示された。野田大臣は、本日の議論を踏まえ、着実に実行してほしい」



https://www.m3.com/news/general/572492
伊万里松浦病院移転問題 機構 67床で再申請

2017年12月1日 (金) 長崎新聞

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を病床過剰地域の松浦市に移転開設する問題で、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO(ジェイコー)、東京)は30日までに、医療法の特例に基づく病床開設申請を当初の87床から67床に減らして県に再申請した。

 申請は29日付。松浦市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床は4789で基準の3858を超えており、病院新設は原則認められない。そのため機構は、複数の医療機関の再編で病床が減る場合、地域事情に応じて認められる特例での開設を目指している。

 移転について2次医療圏の調整会議は、民間医療機関への影響を懸念。同機構に病床数の見直しを求め、87から67とあらためた計画を承認した。

 新病院の仮称は「JCHO松浦中央病院」。開院時期を当初の2020年4~7月から同7~10月に変更。診療科は12科目。病床の内訳は重症患者向けの急性期47、リハビリ向けの地域包括ケア20となる。

 再申請を受け、県は12月に臨時で開く県医療審議会に計画を諮問。医療審は特例を認めるべきか知事に答申し、県は国との協議を経て認可を判断する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/572288
「医療費膨張の要因は薬剤費」、保団連
住江会長、「薬価算定はブラックボックス」

レポート 2017年11月30日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国保険医団体連合会(会長:住江憲勇氏)が11月30日に記者会見し、第21回医療経済実態調査や厚生労働省の概算医療費データベースを用い、2000年度以降の概算医療費の推移を独自に分析した結果を公表した。分析結果で「膨張する医療費の要因は薬剤費にある」と指摘し、住江氏は「薬価算定はブラックボックス。薬剤費を是正すれば財源ができる。医療費抑制に生かしていただきたい」と訴えた。

 分析では、2000年度から2016年度までに概算医療費が約11兆9000億円伸びたうち、施設別で最も多いのは病院で5兆4700億円、次が調剤薬局で4兆7000億円。病院、調剤薬局ともほぼ直線的に伸び続けてきたが、2016年度に高価な抗ウイルス薬などの薬価引き下げの影響で薬剤費が減少したことで、2000年度以降では初めて減少に転じた。

 薬剤費が伸び続けてきた原因として、住江氏は「薬価算定自体がブラックボックス。このようなものは今の時代通らない。どうにかしなくてはいけない」と批判。算定方式のうち、外国平均価格調整については、「本来は高い薬を低く抑える制度のはずだが、逆に低いものを高くするように使われている」と指摘。調整に使う外国価格が、流通後の中間マージンを含む数値が使われており、これと比較すれば当然、日本の薬価の方が低くなり、価格調整で引き上げられてしまうとして問題視し、「マージンを取り除いた形で比較するべきだ」と述べた。新薬創出加算についても、「既にさまざまな加算が付いたものに、さらに5、6割付けている」と批判した。

 中央社会保険医療協議会の薬価専門部会で議論が進んでいる薬価制度の抜本改革については、「当局も制度の問題について何か感じたのだろう」と推測。薬価算定の透明化を謳っていることから、「期待している」と述べた(『日薬連「新薬創出等加算、企業収益を直撃、再考を」』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/572036
中川副会長、「医療従事者の確保や処遇改善は厳しく」
医療法人の病医院、経常利益率低下、日医がTKCデータ分析

レポート 2017年11月29日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、11月29日の定例記者会見で、「TKC医業経営指標に基づく経営動態分析」(2016年4月~2017年3月期決算)を公表、民間医療機関の経常利益率は、医療法人の病院は低下、診療所は医療法人では低下、個人ではほぼ横ばいであり、「TKCの対象医療機関は、経営状況から見るとむしろ良い方であるにもかかわらず、医療従事者の確保や処遇改善等、さらには医療の質や再生産のための経営原資の確保が難しい状況にある」と説明した。

 経常利益率の低下要因としては、給与費増が挙げられる。無床診療所の経常利益率については、院外処方よりも院内処方の方が低いことなども明らかになっている。

 TKCの診療所データは7903施設分、医療経済実態調査の1744施設分と比べて多い上に、病院についても国公立・公的病院を含まない中小病院を中心とした民間病院(854施設分)の経営実態を示す信頼性のあるデータとして、2018年度診療報酬改定の財源確保に向け、年末の予算編成過程で提示していく方針(資料は、日医のホームページ)。

病院の役員報酬は減、従事者等の給与は増加

 医療法人の病院の場合、2016年度の医業収益は2015年度比で0.8%増、うち保険診療収益は0.6%増。一方、経常利益率は、2016年度は3.6%で、2015年度の3.7%と比べ、0.1ポイント減。経常利益率の低下要因は、給与費増であり、2016年度は2015年度比で2.0%増加した。給与費の内訳を見ると、役員報酬は0.1%減少しているのに対し、従事者給与等は2.2%増えている。

 診療所の場合、有床診療所の方が、無床診と比べて厳しい経営状況だった。

 医療法人の有床診の場合、2016年度の医業収益は2015年度比でマイナス0.3%、保険診療収益に限ればマイナス1.0%だった。経常利益率は、2016年度は4.9%で、2015年度の5.2%と比べ、0.3ポイント減。

 医療法人の無床診の場合、2016年度の医業収益は2015年度比で0.9%増、うち保険診療収益は0.6%増。経常利益率は、2016年度は5.3%で、2015年度の5.5%と比べ、0.2ポイント減。2016年度の院内処方の経常利益率は3.7%だったが、院外処方では5.9%で、2.2ポイントの開きがあった。経常利益率は全体的には下がったものの、診療科別では、院内処方では眼科(6.3%)、小児科(4.4%)、整形外科(4.1%)などが、院外処方では眼科(10.4%)、産婦人科(7.7%)、耳鼻咽喉科(7.4%)、血液透析科(7.4%)などがそれぞれ高かった。

 有床診と無床診ともに、経常利益率の低下は、病院と同様に給与費増が要因。2016年度の給与費は2015年度と比べ、有床診1.4%増、無床診1.7%増だった。

 TKC全国会は、会員数1万人超の税理士、公認会計士のネットワーク。TKC医業経営指標は、同会が株式会社TKCの開発した会計システムを利用して集計した関与先医療機関の決算データを集計・編纂したもの。今回の分析では、この11月に公表された医療経済実態調査と同様、2016年4月から2017年3月までの間に決算月を迎えた医療機関の直前年度(2016年度)と前々年度(2015年度)を対象とした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/571586
「7対1」と「10対1」を一体系に、段階的評価導入を検討
「重症度、医療・看護必要度」は25%据え置きと30%で対立

レポート 2017年11月28日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月24日の会議で、「入院医療(その7)」として一般病棟入院基本料を議題とした。厚生労働省は、一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の評価体系について、両者を一体系とした上で「基本部分」と「診療実績に応じた段階的な評価」を組み合わせた方式を導入することを提案し、支払側、診療側とも方向性は概ね賛成した。しかし、実績に応じた評価の算定基準のうち、上限を現行の「7対1」での「重症度、医療・看護必要度」該当患者割合25%から30%に引き上げることを支払側が提案。一方、診療側は据え置きを主張して激しく対立した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は今後の課題として、より高い医療資源の投入が必要な医療ニーズは減少し、中程度の医療資源の投入が必要な医療ニーズが増加すると考えられ、入院医療の評価の基本的な考え方としては、医療ニーズに応じて適切に医療資源を投入することが、効果的・効率的な入院医療の提供にとって重要と指摘。その上で、次の論点を提示した。

【一般病棟入院基本料(7対1、10対1)の評価手法の見直し】
将来の入院医療ニーズの変化に対応する病棟への弾力的で円滑な選択・変更を推進するため、7対1一般病棟と10対1一般病棟の現行の評価を参考にしつつ、急性期の入院医療の評価体系について、基本部分と実績に応じた段階的な評価部分との組み合わせによる評価体系を導入してはどうか。なお、実績に応じた評価の最も高い部分には、現行の7対1一般病棟との整合性に配慮し、7対1看護職員の配置基準をそのまま適用してはどうか。
また、現行の7対1一般病棟と10対1一般病棟との間に中間的な水準の評価を設けてはどうか。

委員の主な意見は次の通り。

【診療側】
日本医師会常任理事・松本純一氏:大変大胆な、大幅な変更だ。7対1の病院は、医療経済実態調査の見解でも述べたが、現在赤字であるが故に、これ以上の減収を避けたい。医療課長(迫井正深氏)が200床の病院規模で7対1から10対1に転換すると年間1億2000万円の収入減になると説明したが、そのためなかなか踏み切れない現状がある。したがって、このような仕組みは一考の余地はあると考える。

全日本病院会会長・猪口雄二氏:基本部分と実績に応じた評価を認めて弾力的な運用をしようということなので、基本的な考え方については賛同したいと思う。ただ、10対1が基本のようにも見える。現行の7対1看護職員の配置基準は残すと書いてあるが、あまり一度に大きく動かすと、現場でいろいろ齟齬が生じるので、7対1は現行の25%を動かさないことを基本にお願いしたい。

【支払側】
健康保険組合連合会理事・幸野庄司氏:今後さらなる高齢化に伴って疾病構造が変わり、7対1の病床はニーズが減少するのは明らかで、病床稼働率が落ちてきているのはその兆候であると考えている。

 ポイントは、「平均在院日数と重症度、医療・看護必要度該当患者割合の関係」を示した分布図で、7対1と10対1が比較的混在している25%から30%のエリアがある。今後の疾病構造の変化を考えたら、この重なりはますます顕著になってくるのではないか。7対1相当の高い評価は真に急性期の患者を多く受け入れているところであるべきなので、区別できるようにするべきで、30%以上のところに7対1がかなり区分されている。段階的評価の最上位は、現行の10対1と明らかに区別する上で、該当患者の割合を30%に引き上げてはどうかと考える。

【診療側】
松本純一氏:今、「重症度、医療・看護必要度」25%以上の患者割合が7対1の算定になっている。分布図の25%の数字の上にまっすぐ線を引くと、きれいになる。だからこそ、25%が妥当であると、われわれは見ている。表の見方が見解の相違となっている。

日医常任理事・松本吉郎氏:ある程度重なるのは当たり前で、きれいに分かれるわけがない。7対1で患者割合が30%以上なのは、3割しかないことに着目すべきだ。30%に引き上げれば、現場は大混乱だ。

【支払側】
全国健康保険協会・吉森俊和氏:評価方法の見直しの方向性は大賛成だ。段階的評価を組み合わせることを、大いに支持する。分布図を見ると、最上位の評価は30%以上かなと思う。

【診療側】
日医副会長・今村聡氏:大変大きな変革の提案だ。方向性は一定程度理解するが、必要度のパーセントをどうするかということ1つをとっても、過去に相当大きな議論がされている。同時にいろんな大きな影響がでる改革をするのは、現場に大きな影響を与えることを理解していただきたい。25%から30%、数字で言うとたった5ポイントかと思うが、これはものすごく現場に影響が出る。今回の提案の方向性を議論するなら、今のさまざまな条件を変えないのがやり方だと思う。

【支払側】
幸野氏:段階的評価は、最上位の7対1の基準を見直してこそ意味があると思っている。この基準を見直さないのなら(現行の10対1と7対1の)真ん中に階段を作る必要ない。7対1から10対1に行くためには、相当ながけから転落することになるからその中間ということになるのだが、真に急性期の患者を受け入れているところを適切に評価するのなら、25%をもっと引き上げて階段を作ることに意味がある。合わせ技でやって初めて機能を発揮できる。

【診療側】
松本純一氏:医療経済実態調査に対する見解でも述べたが、7対1の病院は危機的だ。前回も今回も赤字だ。これをさらに厳しくすると言う提案は、考えられない。どういう考え方なのか承ったが、容認できない。これは平行線だと思うが、実調の結果分析をしながら、議論をしたい。

重症度、医療・看護必要度の項目などについての論点と委員の主な意見は次の通り。

【重症度、医療・看護必要度の項目の見直し】
2016年度改定で導入された項目について、以下の3点について、より適切な評価となるよう見直しを検討してはどうか。(1)B項目の認知症およびせん妄に関する項目について、A項目1点以上を併存する場合は該当患者に追加する、(2)A項目の救急搬送後入院(2日間)について、救急医療管理加算の算定患者(2日間)へ見直す、(3)C項目の開腹手術について、所定日数を短縮する。
また、評価項目の定義の見直しに伴い、該当患者の判定基準及び該当患者割合の基準値について、どのように考えるか。

【DPCデータの活用】
重症度、医療・看護必要度の該当患者割合のDPCデータ(EF統合ファイル)を活用した判定について、追加分析の結果を踏まえ、これまでの実績から一定の基準を満たす医療機関が希望する場合については、EF統合ファイルによる判定を用いてもよいこととしてはどうか。また、DPCデータを活用する場合、定義の違い等に考慮した基準値を設定してはどうか。
7対1一般病棟と200床以上の10対1一般病棟は、DPCデータ(Hファイルを含む)の提出が要件となっていることから、Hファイルを該当患者割合の判定・確認等に活用することとしてはどうか。また、年1回の定例報告における該当患者割合の提出等を、合理化の観点から省略可能としてはどうか。

【診療側】
松本純一氏:重症度、医療・看護必要度の見直しには反対。2016年度改定で変更したばかりだし、C項目に至っては前回から作ったばかりなので、このままの評価体系で見直しを図るべきではないか。

猪口氏:重症度、医療・看護必要度の3点のうち、(2)が気になる。救急搬送後の救急医療管理加算を見直すということだが、仮に救急医療管理加算を算定しないとしても、やはり救急の入院は手間がかかることでもある。現行通りの救急搬送後の入院2日間を維持するのが必要だと思う。

日本病院会副会長・島弘志氏:(3)のC項目、開腹手術だが、開腹と言ってもいろんな手術がある。ひとくくりにして5日を3日にするというのは乱暴。疾患別、手術内容別に、丁寧な運用をやった方がいい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/571506
「7対1」見直し案、消費税分どこへ
日病相澤会長、中医協に熟議を求める

2017年11月27日 (月)配信 水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は11月27日の定例記者会見で、一般病棟入院基本料の「7対1」、「10対1」の評価体系の見直しを、厚生労働省が11月24日の中央社会保険医療協議会総会で提案したことについて、消費税率が2014年に5%から8%に引き上げられた際の診療報酬への上乗せ部分の記述がないと指摘。「上乗せ部分はどうなるのか。急性期病院がヒイヒイ言っているところに、上乗せ部分が減れば、病院はやっていけない。『見える化』して議論を重ね、納得できるようにしていただきたい」として熟議を求めた。

 評価体系の見直し案は、「7対1」と「10対1」一般病棟の評価で、現行の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合25%を必須基準とする「入院基本料(基本部分)」を、「基本部分」と「診療実績に応じた段階的な評価」に分けるもので、相澤氏は、見直し案の「基本部分」を基準に算定することになれば、消費税率増の上乗せ部分が減るのではないかと懸念を示した。11月25日の日病理事会では、「診療実績に応じた段階的な評価」を導入すること自体には賛成意見が多数を占めた一方で、診療実績をどのように見るのかについては、「見直し案では『重症度、医療・看護必要度』に応じて段階を付けるというが、急性期病院の大変さを表しているかどうか、現場感覚とずれがある」などの声が上がったことを紹介。「今回の変更は一時的なものとし、根本的に、急性期の大変さを表す指標を議論してほしい」と述べた。

 理事会では、「医師の働き方改革」についても議論した。論点は3つで、「日当直」、「応招義務」、「タスク・シフティング、タスク・シェアリング」。

 日当直については、十分な睡眠が取れ、軽微で短時間の業務に限るなどとした、2002年の厚労省労働基準局長通達を基に判断すれば、病院で一般的に行われている日当直は労働に当たり、これについて全て時間外勤務手当を出せば経営を維持できないと指摘。「通達の内容を変えてもらわないと、日本の病院は立ちゆかなくなる」と述べた。

 医師法19条の応招義務については、個々の医師ではなく、病院の組織や地域でどう対応するかという視点が必要と指摘。タスク・シフティング、タスク・シェアリングでは、「シフトさえすればどんどん医師の労働時間が減るという論調があるが、本当にそうなのか。どれだけ時間短縮になっているか、示さなければいけない」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/569597
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
20代医師で大差、「過去1年間に、論文1本以上」◆Vol.4
日本14.9%、米国67.9%、各年代とも米国医師が上回る

スペシャル企画 2017年11月26日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年に執筆した、ご自身が1st authorの論文数を聞いた結果、「執筆論文が1本以上」との回答は、各年代とも米国医師の方が多かった。特に日米の差が大きいのは20代。米国の20代医師は67.9%が「1本以上」と回答したのに対し、日本の20代医師は14.9%で、53.0ポイントも差が付いた。医師の20代は、両国とも研修する立場にあるが、米国医師の場合、臨床の知識や技術を学びながらも、自ら新しい知見を発信するために論文執筆にも力を入れている実態がうかがえる。

 若手医師は「1本」との回答が多いことから、「3本以上」で見ると、米国医師で最多は30代で計15.4%。一方、日本の医師の最多は50代で計6.7%、日米比較で、年代と割合に開きが見られた。

 米国医師の年代別の傾向を見ると、「執筆論文が1本以上」の割合が最も多かったのは、20代で67.9%。内訳は「1本」が32.1%、「2本」が28.6%。次が30代で62.2%。「3本」(20代7.1%、30代6.7%)、「4本」(同0%、3.1%)、「5本以上」(同0%、5.5%)では、いずれも30代が20代を上回った。

 一方、日本の医師では、最も多かったのは、30代で42.6%。内訳は「1本」が26.8%、「2本」が10.5%。次が40代で28.1%。


Q1. 2016年に執筆した、ご自身が1st authorの論文数を教えてください(日米比較、1本以上)
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日本:20代(n=54)、30代(n=209)、40代(n=360)、50代(n=615)、60代(n=293)、70代以上(n=51)
米国:20代 (n=33)、30代 (n=385)、40代 (n=264)、50代 (n=253)、60代 (n=184)、70代以上 (n=31)

Q2. 2016年に執筆した、ご自身が1st authorの論文数を教えてください(日米比較、0本)
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日本:20代(n=54)、30代(n=209)、40代(n=360)、50代(n=615)、60代(n=293)、70代以上(n=51)
米国:20代 (n=33)、30代 (n=385)、40代 (n=264)、50代 (n=253)、60代 (n=184)、70代以上 (n=31)
 日本の医師が海外留学をする場合、米国もしくは欧州諸国がまず選択肢になる。米国の場合、自国が選択肢から外れるだけに、どのくらいの医師が海外留学を経験しているかが注目される。

 日米の医師に、臨床もしくは研修など目的を問わず、海外留学の経験の有無を質問したところ、両国ともに年代が上がるにつれ「留学経験あり」との回答が増加する点では一致。20~40代では米国医師の方が「留学経験あり」との回答が多く、50~60代ではやや日本が、70代以上では米国の方がそれぞれ多いという結果になった。日本では国内で一定の経験を積んでから海外へ、という医師が多いために留学経験年齢は米国よりも高いこと、また50~60代の医師が若い時代は日米の医療格差があり、先端医療を学ぶために留学という選択肢を選んだことなどが、今回の回答差の要因として考えられる。


Q3. 海外での留学経験(臨床、もしくは研究目的)はありますか?(日米比較、年代別)
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日本:20代(n=54)、30代(n=209)、40代(n=360)、50代(n=615)、60代(n=293)、70代以上(n=51)
米国:20代 (n=33)、30代 (n=385)、40代 (n=264)、50代 (n=253)、60代 (n=184)、70代以上 (n=31)

◆ m3.comスペシャル企画「日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!」 ⇒ 掲載記事一覧はこちら。

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/general/572509
岐阜市民病院問題:医師不足の診療科目も 市、議会に認める /岐阜
地域 2017年12月1日 (金)配信毎日新聞社

 岐阜市民病院(同市鹿島町)が時間外労働を巡って岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けた問題で、同病院を運営する市は30日、定例市議会の答弁で「医師数は増えているが依然として絶対数が不足する診療科目がある」と明らかにした。松原徳和市議(無所属クラブ)の質問に答えた。

 この問題では、同病院が時間外労働に関する労使間の協定(36協定)で定めた「月100時間」の上限を超えて複数の医師を働かせていたとして昨年11月、岐阜労基署から是正勧告を受けた。病院側は勧告を受け、今年5月に上限を「月150時間」とする協定を結び直していた。

 厚生労働省が定める「過労死ライン」は月80時間とされるが、是正勧告を受けたにもかかわらず上限をさらに50時間拡大したことについて、市民病院の森正隆事務局長は、今年度からの電子カルテの全面導入など医師への負担が増えることを見込んだとした上で「やむなく協定を結んだ」と釈明。恒常的なものではないと強調した。

 また「医師数は20008年度の91人から10年間で135人と44人増えた。ここ数年は毎年10人以上の研修医も受け入れ新人医師の育成確保に努めている。しかし絶対数が不足している診療科目はある。これまでも確保したい時に確保できないことがしばしばあった」と答弁。対策として、かかりつけ医の逆紹介や文書業務を補助する職員増、シャワー室、仮眠室の設置などを挙げたが、抜本的解決策への言及はなかった。【高橋龍介】



https://www.m3.com/news/general/572451
<加美病院>1億2000万円資金不足 加美、色麻町が負担金追加
地域 2017年12月1日 (金)配信河北新報

 公立加美病院(色麻町)が2017年度末、約1億2000万円の資金不足に陥る見通しになっていたことが30日、分かった。加美、色麻両町が負担金1億4000万円を追加し、穴埋めする。年度途中の負担金追加は02年の開業後初めて。

 病院の推計によると、減価償却前の17年度収支は収入約14億1300万円に対し、支出約15億5200万円で約1億4000万円の赤字となる見込み。運転資金の現金預金は16年度末で約2000万円に落ち込んでおり、差し引き約1億2000万円が不足する。

 経営悪化の要因は患者数減少に伴う収入減。上半期は外来、入院ともに約1割減った。13年以降の小児科、在宅診療科新設に伴う経費増も響いた。

 負担金の内訳は加美町が約8400万円、色麻町が約5600万円。病院は、経営改善に向けた検討組織を立ち上げる方針。



https://www.m3.com/news/general/572352
医師の偏在対策、病院団体が意見「管理者の対象拡大を」
行政・政治 2017年12月1日 (金)配信読売新聞

 地域医療に携わる五つの病院団体でつくる「地域医療を守る病院協議会」は29日、東京都内で記者会見し、厚生労働省の検討会で年内に取りまとめられる予定の医師の偏在対策について、地域医療に一定期間従事することが必要とされる医療機関管理者の対象を、診療所の開設者にも広げてほしい、との意見を表明した。

 現在の国の検討案では、地域医療支援病院など一部の病院のみが対象となっている。対象とする医師については、まずこれから医師になる人を中心に考えて、すでに医師になっている人については「(地域勤務を経験するのが)望ましい」とする意見が多かった、とした。



https://www.m3.com/news/general/572207
【北海道】別海病院、分娩を休止 来月から 小児科常勤医退職へ
地域 2017年11月30日 (木)配信北海道新聞

 【別海】町立別海病院(西村進院長)は小児科常勤医の退職に伴い、12月上旬から分娩(ぶんべん)の受け入れを一時休止する。後任は未定で、小児科の外来診療は東京や札幌から来る出張医が行う。同病院は「一刻も早く分娩受け入れを再開させたい」と新たな医師の確保を急ぐが、めどは立っていない。

 同病院によると、小児科常勤医は「一身上の都合」で12月末に退職する予定。この常勤医は12月7日まで外来診療を行うが、翌8日以降は出張医が担当するため、小児科の外来診療は不定期になる。



https://www.m3.com/news/general/572211
【宮城】栗原・県循環器センター撤退 八戸の医療法人に貸与へ 老健施設を開設
地域 2017年11月30日 (木)配信河北新報

 栗原市栗原中央病院に機能を移管し、閉鎖される同市瀬峰の県循環器・呼吸器病センターについて、県は29日、施設利用の事業者を選考する審査会を開き、八戸市の医療法人「仁泉会」に貸与する方針を固めた。診療機能を備えた老人保健施設の開設を目指す。

 同法人は青森、宮城、岩手の3県で病院や介護老人施設を運営する。センター1階にクリニックを開設し、2階に事務棟、3~4階に60~90人規模の老健施設を整備し、職員は100人前後を想定する。

 貸し付けの開始時期は、移管後の2019年4月以降。当初の契約は5年間で、県は少なくとも10年以上の事業継続を見込む。

 センターの敷地面積は約6万5000平方メートルで、建物は本館や呼吸器感染制御病棟、医師宿舎など計約1万5000平方メートル。医療機器も貸与し、改修や修繕は原則、事業者が負担する。

 施設利用に向け、県は今年7月、医療・介護分野の事業者を公募し、9月に締め切った。今後、協議を経て正式決定し、県議会11月定例会で概要を公表する。

 センターは1952年、県立瀬峰療養所として開院。県北の医療拠点として役割を担ったが、患者数は年々落ち込み、14年の大崎市民病院の移転新築に伴って減少が加速。県は16年、栗原中央病院への移管を決定したが、地元からは医療機能を備えた代替施設の誘致を求める声が上がっていた。



https://www.m3.com/news/general/571959
市立甲府病院、17年連続赤字 累積116億円
地域 2017年11月29日 (水)配信山梨日日新聞

 市立甲府病院は2016年度決算をまとめた。総収入88億3518万円に対し、総支出は90億6632万円で、純損失は2億3114万円だった。空調など設備の減価償却期間が終了したことで赤字は15年度に比べ6割減ったが、単年度赤字は17年連続で、累積赤字は116億円を超えた。

 病院事務局によると、収入は15年度に比べて1億1393万円(1・3%)減った。開業医との地域医療連携を推進したことで、外来患者が減少したことが要因。延べ入院患者数は10万9676人で1225人(1・1%)増え、延べ外来患者数は18万6236人で2006人(1・1%)減った。入院や外来といった医業収益は1億2369万円(1・5%)減り、医業外収益は976万円(1・1%)増えた。

 総支出は、院内の空調や電気といった設備などの減価償却期間が終わったことから、15年度に比べ4億6257万円(4・9%)減少。純損失額は3億4864万円(60・1%)減ったものの、累積赤字は116億2929万円に上った。

 病院は昨年度策定した改革プラン(17~20年度)で、病床利用率や患者の紹介率を向上させ、最終年度に600万円の黒字化を目指している。



https://www.m3.com/news/general/571458
「最後のとりで」監察医制度 専門医不足で廃止相次ぐ
その他 2017年11月29日 (水)配信神戸新聞

 監察医が担う行政解剖や検案は2007年の力士暴行死事件などを受け、犯罪死の見逃しを防ぐ「最後のとりで」と注目されたが、専門医(法医)不足などから廃止や縮小をする自治体が相次いでいる。

 神奈川県は15年に横浜市で制度を廃止。監察医は遺族の承諾なしでも解剖するが、13年施行の「死因・身元調査法」で制度外地域でも警察署長が判断すれば可能になるなどして存在意義は薄れたと判断した。

 一方、兵庫県では阪神・淡路大震災で法医による死因究明の重要性が改めてクローズアップされた。制度の存続が叫ばれ、神戸は実質的な制度運用がなされている、全国でも数少ない地域となっている。ただ、後継者不足などで当初3人いた常勤医師は1人に。県によると、昨年1年間に監察医が行政解剖したのは1544体で、県内で司法解剖された228体の約7倍という。

 死因究明の制度充実に提言を続ける東京都監察医務院の福永龍繁院長=加西市出身=は「法医がいないために、具体性のない『心不全』が死因に多用されるなど、死者の尊厳がないがしろにされている地域もある。国は格差是正に向けて法医の育成を支援し、制度外の地域にも配置すべきだ」としている。



https://www.m3.com/news/general/571519
野洲市民病院:駅前建設、住民投票は不成立 投票率48.52% 現計画推進の見通し /滋賀
地域 2017年11月28日 (火)配信毎日新聞社

 野洲市がJR野洲駅前に市民病院を建設する計画の是非を問う住民投票が26日、行われた。投票率は48・52%で50%未満のため、規定により住民投票は不成立となり、開票されなかった。市議会では10月の市議選で賛成派が多数を占めており、現計画が推進される見通しとなった。当日投票資格者数は4万1361人だった。【衛藤達生、大原一城】

 市の計画は駅南口の市有地に6階建ての新病院(199床)と立体駐車場を約102億円かけて整備する。新病院は2021年に開院し、当初から独立行政法人で運営する方針。内科や小児科など9科で、2次救急や在宅療養支援も行う。

 市立病院はもともと、同市の中核的医療拠点とされている民間の野洲病院の経営継続が困難となったため、市が施設や債務などを引き継いで新たな病院を整備する基本構想を14年3月にまとめた。昨年12月には病院設置条例が成立したが、その後、同条例に賛成した市議1人が反対に転向したため、今年度行う予定の実施設計費を含む病院関連予算案が4度にわたって否決されていた。

 住民投票の費用は約1600万円と見積もられていた。不成立を受けて山仲善彰市長は「貴重な税や多くの労力が使われたが、成立せず残念だ。手続き自体が無かったことになる。今月開会する市議会に病院関連を含む予算案を提出する」と語った。賛成派の橋俊明市議は「白黒付けたかったが、致し方ない。切り替えて前に進めるべき時期だ」と話した。反対派の立入三千男市議は「(賛成、反対の)互いの意見が浸透していなかった。今後については仲間と相談して決めたい」と述べた。


  1. 2017/12/03(日) 09:31:43|
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