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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2017年11月30日

Google Newsでみる医師不足 2017年11月30日
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Doctor shortage worsening in Grey-Bruce, says Walker
The Post –Wednesday, November 29, 2017 12:28:37 EST PM (カナダ オンタリオ州)

Bruce-Grey-Owen Sound MPP Bill Walker says more than 2,100 of his constituents don’t have a doctor – a more than 60 per cent increase over last year, which he raised during Question Period on Nov. 21.
Walker said in the interview doctor retirements are to blame for a shortage, and suggested newly minted doctors tend not to take on as many patients as older generations of physicians, further aggravating the doctor shortage.


Nova Scotia doctor shortage plan hampered by poor communications, says AG
CBC.ca-2017/11/22, (カナダ ノヴァスコティア州)

Nova Scotia Auditor General Michael Pickup has recommended the Department of Health and the Nova Scotia Health Authority find a way to prioritize the thousands of families who are on the provincial wait-list for a family doctor.
The provincial family practice registry was created a year ago but according to auditors, "there is no priority based on health history or condition."
According to the AG's latest report, which was released Wednesday morning, management at the health authority said it was "not possible to properly and accurately assess health status over the phone and prioritizing everyone on the registry in person is not feasible."


New Medical School at Ariel University Seeks to Address Israel's Doctor SHortage
Algemeiner-2017/11/27 (イスラエル)

JNS.org – Samaria-based Ariel University is due to present detailed plans for a new medical school to the Council for Higher Education (CHE) in Israel. The school “will contribute enormously to the doctor shortage crisis” in the Jewish state, said Ariel University Chancellor Yigal Cohen-Orgad.


Wimmera Health Care Group records $1.1 million deficit
The Stawell Times-News-2017/11/27 (オーストラリア ヴィクトリア州)

THE region's doctor shortage and a massive increase in patients at Horsham's emergency department has put financial strain on the Wimmera Health Care Group. The group has released its 2016-17 annual report, with shows an operating deficit of $1.1 million.
Chief executive Catherine Morley said while the health care group had been in a difficult financial situation for the past few years, a number of new challenges meant it was trending worse than before.


Texas' uninsured rate, doctor shortage among topics of health care forum
Texas Tribune-2017/11/21 (米国 テキサス州)

Solving the doctor shortage. There are not enough doctors in Texas, especially in certain rural stretches of South Texas. Addressing that shortage will require training — and retaining — more physicians in Texas. UT-RGV’s medical school, which accepted its first class last fall, is “part of the solution,” Krouse said. But Hinojosa said the state needs to add more residency slots for post-graduate medical training to remain competitive — a problem that has plagued Texas in recent years.


他に10位以内のニュースは
米国(テキサス州)、カナダ(全国、ブリティッシュコロンビア州、ニューファンドランド・ラブラドル州)、英国ウエールズ、からも


  1. 2017/11/30(木) 10:17:24|
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11月25日 

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171125/mca1711250500011-n1.htm
厚労省、診療報酬改定の基本方針案
2017.11.25 05:00 Sankei Biz

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の部会に医療機関などに支払われる診療報酬の2018年度改定に向けた基本方針案を提示した。住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を重点課題に挙げたほか、医師や看護師の働き方改革推進を明記した。

 地域包括ケアでは、医療、介護、障害福祉、母子保健など、地域のさまざまな職種の連携を強化。質の高い訪問診療や訪問看護の報酬を手厚くし、国民が希望する場所でのみとりを推進する。

 厳しい勤務環境が指摘されている医師や看護師の働き方改革は、柔軟な勤務ができるよう、事務の効率化と合理化のほか、多職種でのチーム医療を実現し、負担軽減を図る。

 最新の情報通信技術(ICT)を着実に医療現場に導入するため、ICTを活用して離れた場所から患者を診療する「遠隔診療」を適切に報酬で評価する考えも示した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171124192856
次期診療報酬改定、遠隔医療・ICT活用を評価へ
厚労省が基本方針骨子案

2017年11月24日 19:45

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針の骨子案を示した。「質の高い医療の実現・充実」の基本的な視点として、遠隔医療やICT(情報通信技術)の活用、精神医療の地域移行の充実といった具体的な方向性を明記した。次回開催予定の両部会の会合で基本方針案を取りまとめる予定。【新井哉】

 これまでの両部会の会合で出た意見などを踏まえ、厚労省は、改定の基本的な視点と具体的な方向性を記載した基本方針の骨子案をまとめた。

 骨子案では、最新の技術革新によって医療の質を向上させるため、▽遠隔診療を適切に活用する▽医療連携を含めたICTを有効に活用する▽データを収集・利活用し、実態やエビデンスに基づく評価を推進する―といったことを「将来の医療を担う新たな技術」として位置付け、着実に導入する方向性を示した。

 また、地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価、小児・周産期・救急医療の充実などについては、「診療報酬改定において適切に評価していくことが重要」とした。

 医療従事者の負担軽減や働き方改革の推進については、専門性を発揮でき、柔軟な働き方ができるように「環境の整備、働き方改革を推進することが必要」とした上で、専門職の柔軟な配置や、業務の共同化・移管を含む多職種によるチーム医療の推進により、勤務環境を改善する必要性を挙げた。



http://www.medwatch.jp/?p=17121
療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)
2017年11月24日|医療・介護行政全般 MedWatch

 療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。

 社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。

 ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。

ここがポイント!
1 療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置
2 新設の療養病床などは経過措置の対象外
3 6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり
4 再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置

 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。

 一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。

 この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。
 そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました(関連記事はこちら)。

新設の療養病床などは経過措置の対象外

 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。

 現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。

 そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。

6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり

 ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。

 これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。

再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。

 とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。

 このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。

 ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。



http://www.medwatch.jp/?p=17105
地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)
2017年11月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定においては、地域包括ケア病棟について、より状態が不安定で濃厚な医療提供が求められる自宅などからの患者受け入れを評価するために【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を2分してはどうか。また「救命救急入院料1・3や脳卒中ケアユニット管理料の算定病室でも、看護必要度の『測定』を要件化」してはどうか―。

 11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議題に上がりました。

ここがポイント!
1 地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く
2 救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める
3 自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く

 地域包括ケア病棟については、中医協総会や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」において、「自宅などから入棟する患者」(いわゆるsub acute患者)と「急性期病棟から入棟する患者」(いわゆるpost acute患者)とで評価を分けてはどうか、という議論が行われてきました。前者のほうが、医療の必要性が高く、状態が不安定なためです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い(図 略)

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)(図 略)

 この点について厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は【救急・在宅等支援病床初期加算】に着目し、前者(自宅などからの患者)と後者(急性期病棟からの患者)とを区別して評価する考えを明示しました。どのような評価とするかは今後の議論を待つ必要がありますが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「財政中立としてほしい」と注文を付けています。仮に「自宅などからの患者」の加算を引き上げるのであれば、それによる医療費増分を「急性期病棟からの患者」の加算引き下げで賄うよう求めるものです。
 ところで、両者を分けて評価する手法としては、例えば「自宅などからの入棟患者割合が高い地域包括ケア病棟で、基本報酬(入院料)を引き上げる」などの手法(病棟単位の評価)も考えられます。この点について迫井医療課長は、「自宅などからの入棟患者を数多く確保できる大都市などでは病棟単位の評価も可能であろうが、地方では難しい。運用の硬直化を避けるためには、初期加算に着目した患者単位の評価(上述)が良いのではないか」とコメントしています。

 
 また地域包括ケア病棟については、▼介護保険の「訪問系サービス」の提供も届け出要件の選択肢に加える▼在宅医療、介護サービス提供など、地域包括ケアシステム構築により貢献できるよう、これらサービスの提供実績を評価する—考えも示されています。

 前者は、地域包括ケア病棟の届け出要件として、「▽在宅療養支援病院▽在宅療養後方支援病院▽二次救急医療施設▽救急告示病院—のいずれかであること」という選択要件の中に、「通所リハビリなどの訪問系サービスの併設」などを加えてはどうかという提案です。

前者、後者ともに「地域包括ケア病棟が、より多様なサービスを提供し、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う」ことを期待するものです。今後の中小規模病院の地域での役割を指し示していると考えることもできそうです(関連記事はこちらとこちら)。

なお、この点に関連して診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「200床未満の病院に限って評価すべき」と、同じく今村聡委員(日本医師会副会長)は「地域包括ケア病棟と、地域のかかりつけ医療機関(主に診療所)との連携を必須とすべき」といった注文を付けています。かねてより日医は「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」と主張し、2016年度の前回診療報酬改定で新設制限が設けられました。2018年度の次期改定でも新設制限がさらに強化される可能性もあり、今後の議論に注意が必要です。

救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める

 高度急性期医療を提供する特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)などには、より適切な患者の入室が求められます(医師や看護師などの医療資源が限られ、報酬も高額に設定されているため)。このため、各ユニットの特性に応じた「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価票が作成され、この基準に該当する患者(重症患者)が一定割合以上でなければ高額な特定入院料を届け出ることができません(例えばICUでは8割、または7割以上が重症患者でなければならない)。

ICUなどのユニットでは、重症度基準(看護必要度を測定し、それに基づく重症患者割合を施設基準として設定する)を導入しているもの(ICU、HCU、救命救急2・4)と、導入していないもの(救命救急1・3とSCU)とある(図 略)
 
 しかし、救命救急入院料の1と3、SCU(脳卒中ケアユニット)では、看護必要度の測定が義務付けられておらず、当然、重症患者割合の施設基準も設定されていません。このためか、SCUなどでは「重症度患者割合が低い」ことが分かっています

重症度基準を導入しているユニット(ICU、HCU、救命救急2・4)では重症患者割合が高く、導入していないユニット(救命救急1・3とSCU)では低い傾向にある(図 略)

ただし、救命救急入院料1・3やSCUの7割程度では看護必要度測定が任意で行われており、迫井医療課長は、この状況を踏まえて「まず看護必要度の測定を義務化(要件化)してはどうか」と提案しています。例えば、▼救命救急入院料1・3ではICU用▼SCUではハイケアユニット用—などが考えられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「影響が大きくならないよう」配慮する考えで、今後の検討を待つ必要があります。また2018年度には導入されませんが、近い将来「重症患者割合」の基準も設けられる可能性があります(関連記事はこちらとこちら)。

迫井医療課長は、▼ICUではDPCデータの中に「入室時の患者の生理学的スコア」(APACHE IIや、SOFA:Sequential Organ Failure Assessmentなどのスコア)の記載を求める▼安全性を確保した上で、ICU入室早期からの「離床に向けた取り組み」を評価する▼ICUにおいて、「重症患者に対するケア」に関する研修を受けた看護師配置を義務化(要件化)する▼ICUやHCUなどの設備・器具について、柔軟に保有できる(共有化できる)よう要件を見直す—考えも示しています。
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
 
APACHE IIなどは、ICU入室患者について▼入室から24時間以内の生理学的指標(動脈圧やクレアチニン)▼年齢▼慢性併存疾患—を踏まえて「重症度を指数化」するもので、施設間の医療の質(標準化死亡比:予測死亡率に対して、実際にどれだけ死亡したのかの比率)をベンチマークすることが可能です。ただし、APACH IIとSOFAでは項目も異なることから、診療側の今村委員からは「科学的に確立されていると言えるか疑問である。いきなり記載を義務化することは難しいのではないか」との疑問の声も出されています。

APACHE IIの概要(図 略)

APACHE IIを活用して、各病院の標準化死亡比をベンチマークできる。予測死亡率に比べて、実際の死亡率が高い病院などを見出すことが可能だ(図 略)

 また専門研修を受けた看護師配置の義務化(要件化)については、すでに9割のICU設置病院で配置実績があることを踏まえた見直しですが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)らから「1割の病院では未設置であり、十分な準備期間を設定してほしい」との要望が出ています。専門研修には受講枠もあり、また研修受講期間中の代替要員確保にも一定の困難が伴うためです。

重症患者のケアについて専門研修を受けた看護師が、ICU設置病院のほとんど(92.1%)で配置され、標準化死亡比が低い(つまり医療の質が高い)などの効果が出ている(図 略)

自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

 11月24日の中医協総会では、「在宅復帰」率についても議論が行われました。

 在宅復帰率はさまざまな病棟で施設基準の1項目となっており、7対1病棟についても2014年度改定で導入されました(2016年度に基準を80%に引き上げ)。現在、この基準に苦しんでいる病院は極めて稀で、7対1病院の4分の3では、基準値をはるかに上回る「90%」超となっています。

在宅復帰の流れ。さまざまな病棟に「在宅復帰率」要件が設定され、最終的に自宅や居住系介護施設などへの復帰が促されている(図 略)

この状況を踏まえ幸野委員らは「在宅復帰率は急性期入院医療を評価する指標の意味をなしていない」と厳しい指摘を行っていますが、迫井医療課長は「在宅復帰率の計算式、定義に問題があるのではないか」と考えているようです。
現在、例えば7対1病棟では、「自宅」や「居住系介護施設」などのほか、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟なども「在宅復帰」先としてカウントされていますが、この点を整理する必要がるようです。この点、迫井医療課長は「在宅復帰の中に『自施設内での移動』は想定されていないのではないか」とし、「自院の他病棟への転棟患者」は在宅復帰のカウントから外す考えを示しました。この見直しでどの程度の影響が出るのかは未知数ですが(自院の他病棟への転棟割合などのデータがない)、基準値を満たせなくなる病院も一定程度生じる可能性があります。各病院におかれては、早急に「退棟後の行先」を可能な限りチェックする必要があるでしょう。
 
さらに▼療養病棟については、在宅復帰機能強化加算の算定有無に関わらず、在宅復帰先としてカウントする▼自宅などへの退院患者と、他医療機関への退院患者とを区別して報告してもらう—との見直し案も提示しています。しかし前者について猪口委員は「療養病棟や老健施設では、7対1からの在宅復帰先として選定されるために、在宅復帰機能強化加算を目指して努力する。加算なしでも在宅復帰先にカウントされるとなれば、療養病棟などからの在宅復帰の流れを阻害しないか」との懸念を示しています。

 なお、在宅復帰率に関しては、▼介護医療院の取扱い(在宅復帰率に含めることにはなるが、同一建物の介護療養が介護医療院に転換する場合などをどう考えるか)▼名称(地域医療連携率や自宅等退院率などが浮上)―を検討するとともに、「地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の基準値引上げ」も行うことになりそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=17025
国・公的の大規模急性期病院、民間を圧迫しないよう機能の明確化を—日医総研
2017年11月21日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 国立や公的の大規模急性期病院において「7対1病棟などから地域包括ケア病棟への転換」が加速化しているが、診療報酬創設時の想定と異なる姿になっている。地域の実情を踏まえつつ「国・公的大規模急性期病院が担うべき役割」を改めて明確にする必要がある―。

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、11月16日に発表したワーキングペーパー「国・公的医療機関の地域包括ケア病棟への参入状況と経営状況」の中で、こう訴えています(日医総研のサイトはこちら)。2016年度の前回診療報酬改定でも同様の主張がなされたことを受け、「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の大病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に制限する」ことになりました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた議論にも留意が必要です。

「7対1のみ病院」と「7対1・地域包括ケア併設病院」、経営上の明確な差は見られず

地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定で、(1)急性期後患者の受け入れ(post acute)(2)急性増悪した在宅患者の受け入れ(sub acute)(3)在宅復帰の促進—という3つ機能を持つ病棟として新設されました。

従前の「亜急性期病床」からの転換のみならず、7対1病棟からの転換を期待して創設されたものですが、日医総研では「当初は病棟数が少ない中小病院の届出を想定していた」と述懐。2016年度の前回改定論議(中央社会保険医療協議会)では、一部の診療側委員が「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」と強く主張し、冒頭に述べた「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に限定する」との制限規定が設けられました(関連記事はこちらとこちら)。

今般のワーキングペーパーでも、「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」との主張を強化しています。

なお、国公立・公的病院を「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」などに分類し、とくに大規模な病院について経営状況を分析していますが、「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケアの病院」とで、経営状況に特段の傾向(例えば、「地域包括ケアを併設するほうが有利」など)は見られません

▼国立病院:7対1のみの41病院(平均456床)では赤字幅が拡大(医業収益率は2014・15年度の年度マイナス0.2%から2016年度にはマイナス1.0%に拡大)しているが、7対1と地域包括ケアの8病院(平均359床)では、新病棟を設置した舞鶴医療センター(京都府)を除けば、黒字を維持している(舞鶴医療センターを除く医業収益率は2014・15年度にプラス1.3%、16年度にプラス0.2%)

国立の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
労災病院:7対1のみの18病院(平均423床)、7対1と地域包括ケアの7病院(平均353床)のいずれも、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善しているが、「厚生年金基金の代行返上による退職給付費用の減少」という一時的要因によるものである

▼労災の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼JCH0:7対1のみの15病院(平均348床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善(15年度:プラス0.4%→16年度:プラス0.5%)している。7対1と地域包括ケアの18病院(平均273床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が悪化(15年度:プラス1.6%→16年度:プラス0.5%)している

JCH0の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼日赤:7対1のみの46病院(平均442床)、7対1と地域包括ケアの9病院(平均293床)【経営状況は分析されていない】
▼済生会:7対1のみの31病院(平均358床)、7対1と地域包括ケアの12病院(平均316床)【経営状況は分析されていない】

 
 しかし日医総研では、「病床の機能分化・連携の視点から、地域の事情を踏まえつつ、民業圧迫にならないよう国・公的大規模急性期病院が担うべき機能をより明確にすべき」と主張しています。

 病床機能報告や地域医療構想では「病棟単位の機能分化」を推進しながら、診療報酬については「病院単位の機能分化」を求めており、一貫性に欠けるようにも思われますが、中医協などで、「大規模急性期病院における地域包括ケア病棟の設置(新設)制限」論が強化される可能性もあり、今後の議論に注目する必要があります。



http://www.medwatch.jp/?p=16999
公的病院などの役割、地域医療構想調整会議で「明確化」せよ—地域医療構想ワーキング
2017年11月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公的病院などが地域で果たすべき役割は必ずしも明確になっていないことを踏まえ、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別の「公的医療機関等2025プラン」の確認を徹底する。仮にプランに地域医療構想との不整合がある場合には修正を求める—。

 11月20日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織以下、ワーキング)で、こういった考えが固まりました(関連記事はこちらとこちら)。厚生労働省は、こうした点も含めて、「地域医療構想調整会議を進めるに当たり、都道府県は何をしなければならないのか」という考え方を整理し、近く取りまとめる方針です。

ここがポイント!
1 調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか
2 毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく
3 改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく
4 公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を
5 地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、医療(特に回復期・慢性期)・介護ニーズがこれから飛躍的に高まります。このため、地域における医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となり、都道府県は「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などをまとめた地域医療構想を策定しています。いわば「2025年における医療提供体制像」に当たるものです。

一方で、一般病床・療養病床を持つすべての病院・有床診療所は「自院の病棟が、高度急性期、急性期、回復期、慢性期のどの機能を担っているのか、また将来担うことになると考えているのか」を毎年、都道府県に報告しなければいけません(病床機能報告)。

地域医療構想の実現に向けた議論が、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進められます。調整会議の進め方は、これまでにもワーキングで議論されてきましたが、厚労省は、「都道府県が何をしなければいけないのか」「どういう点から検討していけばよいのか」などがより明確になるよう、これまでのワーキングなどの議論を整理する考えを示しています。地域医療構想の実現・達成に向けては、都道府県が医療機関などの関係者と十分に連携することが重要で、そのための「道筋」例を示すものと言えます(関連記事はこちら)。

毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく

 11月20日のワーキングでは、厚労省から「議論の整理」案が提示されました。名称通り、これまでのワーキング論議をまとめたものですが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017)では、地域医療構想の達成・実現に向けて「個別病院名や機能転換する病床数などの具体的な対応方針」(以下、対応方針)を地域ごとに策定するよう求めています。厚労省は、この対応方針の中に、2025年における役割・医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の▼2025年を見据えた役割▼2025年における機能ごとの病床数—を包含することを求めています。極めて詳細に、個別医療機関の名称・機能ごとの病床数を記載した「地域医療提供体制像」を策定するイメージで、都道府県は「毎年度」、この対応方針を策定することが求められます。

改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく

 対応方針策定の前提に、「医療機関の合意」が必要です。例えば民間のA病院に「貴院の病床構成は高度急性期を●床、急性期を●床とします」などの指示を与えることは法制度上も不可能で、また各医療機関が質の高い医療を提供するためには「合意」に基づく機能分化が必須となります。

 ただし、地域の医療機関の機能を一度に議論することは難しいため、厚労省はまず(1)公立病院(2)公的病院等(3)その他の医療機関—の順で、機能分化に向けた議論を進めることを提案しています。公立病院や公的病院などには、救急や周産期などいわゆる政策医療を提供することが求められており、地域によっては「基幹的な役割」を担うケースも多いことから、まず公立病院・公的病院などの機能を明確にすることが、効率的な議論につながると考えられるのです。

まず(1)の公立病院には「新公立病院改革プラン」(新改革プラン)の策定が義務付けられており、これを踏まえた対応方針(どういった機能を持ち、各機能の病床数はどの程度とするのか)を協議することが求められます。

前述のように、公立病院には▼山間へき地・離島などでの一般医療提供▼救急・小児・周産期・災害・精神などの、いわゆる不採算医療提供▼がん・循環器など、民間では限界のある高度・先進医療提供▼研修実施などを含む広域的な医師派遣拠点機能—などが求められますが、地域の状況を踏まえて「なお、これらを公立病院が提供する必要があるか」を確認するよう厚労省は求めています。

公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を

(2)の「公的病院等」には、▼公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会が開設する医療機関、ただし公立病院を除く)▼医療法第7条の2第1項第2号から第8号に掲げる者(共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構、全国健康保険協会)が開設する医療機関▼その他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—が含まれます。救急医療などを担う医療機関では今年(2017年)の9月までに、そうでない医療機関では12月までに「公的医療機関等2025プラン」(2025プラン)を策定することが求められます(関連記事はこちら)。個別病院ごとに「地域の課題」「地域における自院の役割」「病床稼働率などの数値目標」を定めるもので、10月末時点で、日赤病院20施設、済生会63施設、国立病院機構91病院などで2025プランが策定されています。
公的医療機関等2025プランの策定状況(2017年10月末時点)
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2025プランは、地域医療構想の達成・実現を目指すものですが、厚労省は「公立病院に比べて、公的病院等では機能が必ずしも明確になっていない」と指摘し、調整会議で「機能・役割の明確化」を図るよう強調しています。
また、公立病院や公的病院等では、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされている点も勘案し、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別「新改革プラン」「2025プラン」の確認を徹底することを求めています。

公的病院等では補助金などの財政補填が行われているほか、税制上の優遇がなされている(図略)

ところで、公立病院・公的病院等の役割は全国一律に決めることはできません。例えば、医療資源が豊富な都市部に設置されている公的病院等であれば、他院との機能分化を進め高度急性期や急性期に特化することも可能ですが、医療資源の少ない地域に唯一存在するような公立病院には、高度急性期から回復期、慢性期に至る総合的な医療提供機能が求められます。11月20日のワーキングでは、竹中賢治参考人(全国自治体病院協議会常務理事、福岡市立病院機構理事長兼福岡市民病院長、邉見公雄構成員:全国自治体病院協議会会長の代理出席)がこの点を踏まえ「全国一律ではなく、地域ごとに役割・機能を勘案していく」ことを強く求めました。他の構成員もこの点に賛同しています。
 
 これらに次いで、(3)の「その他の医療機関」の役割を議論していくことになりますが、 各医療機関が「自院の等身大の姿」を認識した上で、「地域における自院の役割」を明確にし、それを調整会議に持ち寄って、機能分化に向けた率直な議論を行うことが期待されます。このため、厚労省は、公立病院・公的病院等だけでなく、その他の医療機関(例えば社会医療法人など)にも、地域における役割などを明確にした改革プランの策定を期待しているようです(現時点では義務ではない)。

 なお、都道府県は、改革プランや2025プランなどから「過剰な機能に転換しようと考えている」医療機関を発見した場合には、▼調整会議への出席▼転換の理由説明—を求め、必要があれば「他の機能への転換命令や要請」などを行うことになります。

地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

 さらに都道府県の重要な役割として、次のような点があげられます・

▼休眠病棟(すべての病床が稼働していない病棟)を持つ医療機関を発見した場合には、▼稼働していない理由▼今後の運用見通し—などの説明を求め、病棟維持の必要性が乏しい(診療実績や医療需要動向を踏まえ、調整会議で十分に議論する)場合には「病床数削減命令や要請」などを行う

▼新たに病床を整備する予定の医療機関を発見した場合には、開設許可を待たずに▼病床整備計画と必要病床数の関係▼新設される病床の機能と地域医療構想との関係▼雇用計画や設備整備計画の妥当性—などの説明を求め、例えば「過剰な機能への新規病床整備」などが分かれば、開設許可への条件付与(不足している機能の病床整備のみ認めるなど)、条件に従わない場合の是正勧告などを行う

▼個別医療機関ごとに、各機能の診療実績を提示する。例えば、高度急性期であれば▽幅広い手術の実施状況▽がん・脳卒中・心筋梗塞などへの治療状況▽重症患者への対応状況▽救急医療の実施状況―など、回復期であれば▽急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況▽疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況▽市町村やケアマネジャーとの連携状―などを提示する。「明らかに疑義のある報告」(外科病棟で高度急性期と報告しながら、手術を行っていないなど)については、調整会議で妥当性を確認する(関連記事はこちらとこちら)

 このほか「調整会議の資料な議事録などの、可能な限りの情報公開」なども都道府県の重要な役割となります。

 こうした「議論の整理」は次回会合(12月13日予定)でとりまとめられ、年明け早々にも親組織である「医療計画の見直し等に関する検討会」に報告される見込みです。そこでの了承を経て、都道府県の担当者に充てて情報提供され、調整会議での「より円滑かつ効果的な議論」のベースとなることが期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570205
地域医療構想
「調整会議」の運営指針、年内にも取りまとめ
地域医療構想WG、「公的病院、民間病院と同じ土俵にあらず」

レポート 2017年11月20日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月20日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第9回会議で、地域医療構想における公的病院等の役割の案と、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示、おおむね了承を得た。

 議論の整理(案)は、2017年度から本格化している地域医療構想の調整会議で、有意義な議論が円滑に進むよう、同ワーキンググループのこれまでの議論などを整理したもので、「調整会議の運営指針」に相当する。次回12月13日の同ワーキンググループで取りまとめ、「医療計画の見直し等に関する検討会」等に諮った後、各都道府県に発出する予定だ。

 公的病院等は、公立病院と同様に、地域の医療需要や公的病院でなければ担えない役割を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」を策定する。調整会議で策定プランを確認し、地域医療構想と整合的でない場合にはプランの修正が求められる。その際、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報等の共有も必要になる見通し。

 今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、「地域医療構想の達成に向けて、(中略)個別の病院名や転換する病床数の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間で集中的な検討を促進」が求められた。その実現を目指す一環としてまとめられる「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」は、(1)地域医療構想調整会議の進め方(地域医療構想調整会議の協議事項、調整会議での個別の医療機関の取組状況の共有、調整会議の運営)、(2)病床機能報告について、(3)今後さらに議論すべき論点について――という柱から成る。

 20日の会議で多くの意見が出たのが、公立・公的病院等の在り方。日本医師会副会長の中川俊男氏は、国立・公的医療機関等に対する運営費交付金・補助金の実態を分析した日医総研のデータを提示。民間医療機関よりも、収入および税制面で優遇されていることから、公立病院だけでなく、公的病院等の役割は、政策医療や不採算医療などを提供する民間医療機関がない場合にこれらの医療を担うことにあり、調整会議では「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」がこの点を踏まえた内容になっているかを確認する重要性を強調した。

 そのほか調整会議の進捗状況も議論になった。調整会議は四半期ごとに開催する。2017年7~9月の間に調整会議を開催したのは、全341の構想区域中、217。4~6月の136よりは増加し、「意見交換会」等の名称で開催している県があることを割り引いても、全調整区域ではない。

 日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、「なぜ地域によって、議論の進捗状況が違うのか」と質問、現場に調整会議の情報が下りてこない現状もあると指摘した。厚労省医政局地域医療計画課は、「調整会議で何を協議していいのかが分かりにくい」ケースもあるとし、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を取りまとめるほか、好事例を横展開していくとした。

 中川氏は、12月22日に日医が、地域医療構想の都道府県担当理事連絡協議会を開催すると説明し、「共通認識を持つために、都道府県担当者も連れてきてもらいたい、と呼びかけている」と説明、病院関係者への参加も呼びかけた。

「公的医療機関等2025プラン」、策定は282病院

 日赤、済生会などの公的病院等、国立病院機構や労働者健康安全機構、特定機能病院、地域医療支援病院については、「新公立病院改革ガイドライン」(2015年3月)に基づき策定される「新公立病院改革プラン」に倣って、「公的医療機関等2025プラン」の策定が求められている。「公的医療機関等2025プラン」の策定期限は、主に政策医療を担う病院は2017年9月末まで、その他の病院は2017年12月末まで。

 厚労省のまとめによると、9月末までに策定を終えたのは、策定対象814病院のうち、282病院。うち調整会議で議論を開始したのは23病院にとどまる。

 やや低調な策定状況に対し、中川氏は、「今年内に策定できる見通しはあるか。また策定したプランが調整会議で議論されるのか。新たなてこ入れが必要ではないか」と述べ、策定と調整会議での議論が進むよう厚労省に対応を求めた。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、都道府県に対し、策定に関する通知を出したのは今夏であることから、「現状ではまだ十分に取り組めていないが、さまざまな機会を捉えて、積極的に策定するよう求めていく」と答えるにとどまった。

公的病院等、収入と税制面で優遇

 公的病院等をめぐる議論で、中川氏は「新公立病院ガイドラインを高く評価している」と述べ、公的病院等にも同様の考え方に基づくプラン策定が求められる根拠として、運営費交付金・補助金の実態を示したデータを提示。国立病院機構、労災病院、JCHO(地域医療機能推進機構)の合計で見ると、運営費交付金・補助金の合計は、2015年度で389億円、政府出資金は2015年度末で4376億円。加えて、税制面でも優遇されており、民間医療機関は基本的に課税であるのに対し、公的病院等は課税されるのは収益事業のみ。中川氏は、構想区域ごとに、医療提供体制をどのように収れんさせていくかを議論する際、これらの点を踏まえる重要性を強調した。

 これに対し、参考人として出席した全国自治体病院協議会常務理事の竹中賢治氏は、「多くの交付金を受けているのは事実。しかし、調整会議は医療機関の役割が問題になる会議であり、『交付金をもらっているから、役割を減らす』という議論にはならないだろう。地域医療構想は、地域によって違うので、調整会議で議論してもらうことはやぶさかではない」とコメント。

 中川氏は、地域の医療事情を踏まえ、「調整会議で議論する」ことはその通りであるとした上で、その際に重要なのは、(1)地域の医療需要や現状の病床稼働率等を踏まえてもなお、公立病院に期待されている役割(山間やへき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供、救急などの不採算医療の提供、民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供、広域的な医師派遣の拠点としての機能)を果たすことが必要か、(2)民間医療機関との役割分担を踏まえ公立病院でなければ担えない分野へ重点化されているかどうか――を確認することだと強調した。「その地域に公立、公的病院等しかなければ、これらの役割を担うが、民間医療機関と競合しているのであれば、必ずしも公立、公的病院等が担わなければならないわけではない」と中川氏は説明し、この点を踏まえた議論が必要だとした。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏からは、日赤や済生会など各設置母体には設立理念があるため、それを踏まえて公的病院等の役割の検討が必要であるとし、「公立病院と同じ役割を期待するのは難しいのではないか」との発言もあった。

 これに対し、中川氏は、済生会が掲げる生活困窮者への医療などは、他の医療機関でも提供しているとし、「設立理念ではなく、地域医療提供を構築するに当たって、どのような役割が求められるかを、現場の医療需要を考えながら議論するということ」と反論。自身が済生会福岡総合病院を運営する岡留氏も、「(済生会等の)ミッションはこの場では関係ないだろう。ミッションまで問うと、非常に混乱してくる」と中川氏の意見を支持した。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/374638/
【グローバル・ヘルス】 丸山 泉さん
2017年11月20日11時00分 (更新 11月20日 11時23分)   西日本新聞朝刊

◆診療室に世界的視野を

 家庭医療を学ぶ医師の集まりに世界家庭医機構(WONCA)がある。アジア・太平洋地区での未加入は、北朝鮮や太平洋諸島など7カ国にとどまる。そのアジア・太平洋地区の集いが今月、タイ・パタヤビーチで開催された。砂浜で遊ぶ子どもたちや、海上に一直線に伸びた夕日の場所で活発な議論が行われた。

 主要なテーマを列記すると過剰診療・過剰投薬、へき地医療、公平性と医療-などがあった。過剰診療については、根拠が乏しいまま実施されている過剰な医療行為を、医療提供側が科学的な証左を基に見直す米国発の「チュージング・ワイズリー(賢明な選択)運動」が紹介された。過剰投薬の問題は、多科受診が増える高齢者の多剤併用処方に伴う有害な事象をいかに防ぐかが焦点となった。へき地医療に関する専門組織「Rural WONCA」の活動についても議論がなされた。

 とりわけ時間を費やしたのは、公平性と医療の問題だった。例えば、多様なセクシュアリティーを表すLGBTについて、医療者が当たり前のこととしてどう対応すべきか。子どもの貧困と医療、女性の正当な社会参画と医療についても議論された。

   ---◆---

 プライマリ・ケアの分野に関わる者たちが、医療技術と直接的な関係がないテーマに、なぜ時間を割くのか。たとえ少数であっても制度や仕組みの溝に落ちる人々を見落としてはならない‐。プライマリ・ケアの原則は、それに尽きるからだ。溝の存在は、システムに患者側の視点が欠落していることを示す。医療職や医療制度は、他者に優しく寛容でなくてはならない。

 高齢化、人口減少、過疎化、そして医療の地域偏在が同時に進む日本では、現状として診療所と病院がプライマリ・ケアを支えている。双方に確固たる共有項がないと分断が起こり、患者側から見たシームレスな(途切れのない)医療の構築が難しくなる。

 健康問題にさらされた人たちの不安や願いを受け止め、安定し継続性のある医療が必要である。よく誤解されるが、家庭医療学に基づく家庭医療の分野は、診療所医師のみに必要なものではない。

 「臓器別」の医療は、さらに発展して細分化される。一方で、異なった価値観と個人史を持つ「個人の医療」「家族の医療」「地域の医療」に全般的に関わることができる医師が、世界的に求められており、むしろ他国でその教育が進んでいる。

   ---◆---

 世界的に評価が高く成熟した良質の保健制度を持つ日本は、ヘルスケアの分野で先導的な影響力が期待されている。しかしグローバル・ヘルス(世界保健)への認識は不足している。「他国よりまし」「自国が良ければ」との考えではいけないのではないか。

 こんな例え話をすることがある。私たちの診察室には見えない壁がある。この壁に小さな穴を開けてみるといい。その向こうには、難攻不落の山々と底の知れない谷々がある。それらは紛争や貧困などに起因する健康や医療に関わる多種多様な難題などを意味する。日々の身近な診療とグローバル・ヘルスが連続したとき、国内の課題がよりしっかり見えるようになる。

 外国に出て行かなくてもいい。見えない壁の向こうの医療課題と日本の医療課題は、強く連関している。例えば、貧困で劣悪な環境の国で発生した新型感染症は、その国の問題では終わらない。わが国も例外ではない。境界を越えることで世界の潮流を知り、現実的で新しい日本のプライマリ・ケアの在り方を大胆に議論することができる。身近な課題と世界の課題とをつなぐ力量が、これからの医師には求められている。

 【略歴】1949年、福岡県久留米市生まれ。久留米大医学部卒の内科医。福岡県小郡市で医師会活動の後、NPO法人で地域の健康増進活動に取り組む。2012年6月から日本プライマリ・ケア連合学会理事長。父は医師で詩人の丸山豊。



http://www.medwatch.jp/?p=16988
内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
2017年11月20日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 有床診療所は、専門的な医療サービスを効率的に提供する「専門医療提供モデル」と、主に地域医療を提供する「地域包括ケアモデル」に大別できる。後者の「地域包括ケアモデル」の有床診療所は、入院医療と介護サービスとを組み合わせて運営する方が安定的に経営できると考えられることから、介護サービス提供をより柔軟に認めてはどうか―。

 11月17日の中央社会保険医療協議会(中医協)・総会で厚生労働省は、このような案を示しました。主な標榜科が内科や外科の有床診療所をめぐっては、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの減少を見越して【医療・介護の併用モデル】への転換を促す必要性が指摘されています。来年度(2018年度)の診療報酬・介護報酬の同時改定では、診療報酬で新規参入などへのインセンティブが設けられる一方で、介護報酬の算定要件などの緩和が図られそうです。なお、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の新規指定を促す具体案は既に、社会保障審議会・介護給付費分科会で検討されています。

ここがポイント!
1 地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所
2 空床を介護サービスに利用して安定経営に
3 短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論
4 身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に
5 食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所

 1996年には全国に2万452施設あった有床診療所(19床以下の病床を持つ医療機関)ですが、減少傾向が続いています。最新の調査(2017年8月末概数)では7342施設で、約20年の間に6割程度まで減っています。その病床数も、1996年には計24万6779床ありましたが、最新の調査では10万床を割っています(計9万9737床)。

 しかし有床診療所は、地域で急変した患者の受け入れに加え、看取りや在宅医療の提供などの多様な機能を担っており、国が2025年を目途に構築を目指す地域包括ケアシステムでも、重要な役割を果たすと考えられます。そこで2014年度の診療報酬改定では、有床診療所入院基本料が、「看護職員の配置人数」に応じた3区分から、「看護職員の配置人数」と「地域包括ケアシステムの中で果たす機能」(11の機能中2以上を担えば評価)に応じた6区分へと見直されました。

2014年度診療報酬改定で、有床診療所入院基本料は3区分から6区分へと見直された(図略)

 例えば看護職員が7人以上いる有床診療所では、通常は【有床診療所入院基本料4】(14日以内の点数は1日につき775点)を算定しますが、例えば、「急変時の入院件数6件以上」「院内での看取り2件以上」をそれぞれ過去1年に行っていれば“機能強化型”の有床診療所と見なされ、【有床診療所入院基本料1】(同861点)を算定できます。
 さらに、2016年度の前回診療報酬改定では、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】(1日につき5点)が創設され、“機能強化型”の有床診療所で、さらに在宅復帰率などが一定の基準以上なら上乗せで評価されるようになりました。

 それでもなお、有床診療所の減少傾向が続いているわけですが、有床診療所入院基本料の実際の算定状況(2016年6月審査分)を見ると、“機能強化型”であることを評価する入院料(【有床診療所入院基本料1】など)が8割超を占めています。一方、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】が有床診療所入院基本料と併算定される割合は、19.5%にとどまっています。

空床を介護サービスに利用して安定経営に

 こうした状況を踏まえて厚労省は、11月17日の中医協・総会で、有床診療所が地域で果たしている役割と診療科の関係を分析した結果を示しました。

 具体的には、2015年度の「病床機能報告」で、有床診療所が自己申告した役割と主な診療科の関係を調べた結果、【内科】や【外科】の有床診療所では、「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療」などを選ぶ割合が高く、その一方で【産婦人科】や【眼科】、【耳鼻咽喉科】の有床診療所は「専門医療」、【整形外科】の有床診療所は「専門医療」や「緊急時対応」「在宅・介護施設への受け渡し」を選ぶ割合が、それぞれ高いことが分かりました。

主とする診療科によって、有床診療所の機能に違う傾向が見られた(図略)

 5つの役割のうち「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」は、地域包括ケアシステムの中で特に重要だと考えられます。そこで厚労省は、【内科】や【外科】などを標榜する「主に地域医療を担う=地域包括ケアモデル」と、【眼科】や【耳鼻咽喉科】を標榜する「主に専門医療を担う=専門医療提供モデル」の2パターンに、有床診療所を大別できるのではないかと指摘しました。

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた(図略)

 「専門医療提供モデル」の有床診療所が手術や検査で収益を得ている一方で、入院料が主な収益となる「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、高い病床稼働率を維持できないと安定的な経営は難しくなります。ここで、空床を利用して介護サービスを提供できれば、稼働率の低さをカバーできます。実際、日本医師会総合政策研究機構の調査によれば、「介護収入あり」の方が、経常利益率が高いことが分かっています。
 そこで厚労省は、▼「専門医療提供モデル」ではない有床診療所が介護サービスも提供する「地域包括ケアモデル」へ転換することを推進する▼介護サービスを既に提供しでいる有床診療所の評価を見直す―方向性を示しました。診療側・支払側双方の委員が賛成しています。

短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論

 このように介護サービスを提供する有床診療所には、診療報酬でインセンティブが与えられる見通しですが、介護サービスの指定基準(居室の床面積や介護職員配置)を満たすのが厳しいままでは新規参入が進まない可能性もあります。

 その緩和については、社会保障審議会・介護給付費分科会で話し合います。看多機については既に、▼利用者専用の宿泊室として1室を確保すれば、残りを診療所の病床を届け出ることを可能とする▼法人でなくても指定を申請できるルールに見直す(診療所は個人開業が4割)―といった具体案が示されています。11月17日の中医協・総会では、厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長が、短期入所療養介護などについても今後、議論すると説明しました。

 気がかりなのは、厚労省が「地域包括ケアモデル」の具体例として、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」まで示した点です。地域の医療資源や医療ニーズによっては、そうした転換が必要なケースもあり得ますが、無床診療所になる決断を入院料で後押しできるのでしょうか。

厚労省は「有床診療所の地域包括ケアモデル」の例に、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」も挙げた(図略)

 この点、精神病床には【地域移行機能強化病棟入院料】(2016年度診療報酬改定で創設)があり、いわば「計画的に精神病床を削減することを条件に、高い報酬を与える」ものです。有床診療所が「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」へと移行するインセンティブも、こうした「病床数削減と引き換えに、報酬算定を可能とする」仕組みが考えられるかもしれません。
 そのほか【有床診療所入院基本料】をめぐっては、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】の見直し案も示されています。高齢患者の入院期間が長くなることを踏まえて、有床診療所が「在宅医療を受ける高齢患者」を多く受け入れているなら、施設基準(平均在院日数60日以内など)のハードルを下げるようです。

 また厚労省は、在宅療養する患者を、在宅主治医との連携の下で、本人や家族の希望に基づき有床診療所で看取る場合の「取り扱い」の見直しも提案しています。これについては、機能強化型の在宅療養支援診療所などの施設基準になっている「在宅での看取り」件数の実績に、「最期の最期で入院してしまった」患者を含めるかどうかが中医協・総会で既に議論されています。

身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に

 11月17日の中医協・総会では、【障害者施設等入院基本料】と【特殊疾患病棟入院料】、【特殊疾患入院医療管理料】の見直しも論点に挙がっています。厚労省は、「重度の肢体不自由」で、さらに身体障害者等級が「不明」か「非該当」の患者の評価を見直す方向性を示しました。

 【障害者施設等入院基本料】などをめぐっては、2016年度の前回改定でも、入院患者が「重度の意識障害(脳卒中の後遺症の患者に限る)」で、医療区分1か2に相当するなら、算定する入院基本料の点数を低くする報酬体系に見直された経緯があります。「重度の肢体不自由」の患者も来年度(2018年度)の次期改定で、同様の評価体系へと見直される公算が大きいです。

食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

 また11月17日の中医協・総会で厚労省は、「入院時食事療養費」の見直し案も示しました。「入院時食事療養費」は入院中の食事療養の対価ですが、2016年度の前回改定で、「市販の経腸栄養用製品(流動食)のみを経管栄養法で提供する場合」の金額が引き下げられた経緯があります(薬価収載された製品を用いる場合よりも高かったため)。

 医療保険財政が厳しい中、さらなる引き下げを求める声もありましたが、患者1人1日当たりの給食部門の収支を厚労省が調べた結果、2004年の前回調査時と比べて悪化していました。

 そこで厚労省は、さらなる引き下げは行わない方向性を示し、さらに【入院時食事療養(II)】(栄養士らが食事を提供するといった基準を満たさない場合に算定、【入院時食事療養(I)】より低い)の「流動食のみを経管栄養法で提供する場合」の金額を、1食につき5円高くしてはどうかと提案しました。

 流動食を提供して算定する【入院時食事療養(II)】は現在、1食455円です。一方、食事療養費のうち患者が自己負担する額は、「食材費」相当から「食材費+調理費」相当へと見直され、来年度(2018年度)から1食460円になります。1食455円のままだと患者の自己負担分を下回ることから、理論上「患者が食事提供を受けるたびに、保険者に5円を支払わなくてはいけない」ことになります。こうした不合理を解消するために、【入院時食事療養(II)】を同額にするのが厚労省の提案で、これに対する反対意見は出ていません。




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注目の記事 [改定速報] 一般病棟入院料を実績に応じた段階評価に再編 中医協・総会
中央社会保険医療協議会 総会(第373回 11/24)《厚生労働省》
発信元:厚生労働省 保険局 医療課   カテゴリ: 30年度同時改定 診療報酬 医療制度改革
2017年11月24日(金) Wic-Net

関連資料
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今回のポイント
●厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を提示
○7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え
○過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認めることも提案。DPCで算出した場合の該当患者割合のほうが約5%低く出ることがわかっており、導入に際してはDPCデータを選択した場合の該当患者割合基準の設定が論点になる



 厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を示した。7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え。支払側・診療側とも基本的な方向性には賛意を示したものの、診療側は2018年度改定からの導入には難色を示した。

 今後、人口構造が大きく変化するなかで、74歳以下の患者が多い7対1病棟の入院患者数は、減少が見込まれる。厚労省はこれまでも7対1から10対1への転換促進策を講じてきたが、7対1(1,591点)と10対1の最も高い加算(看護必要度の該当患者割合24%)を取得している場合(1,387点)を比較した場合でも約200点の格差があることなどが障壁となり、未だ十分な成果をあげていない。厚労省の試算によると200床の病院で7対1から10対1に転換した場合、年間約1.2億円程度の収入減になるという(p133参照)。

 現在の報酬体系で、10対1は入院基本料に「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の該当患者割合に応じた加算が載り、7対1は該当患者割合基準(25%以上)を満たせない場合は報酬自体が算定できない仕組みになっているが、厚労省はこれを統一し、看護職員配置等に応じた基本部分の評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた報酬体系に再編するイメージを示した。7対1と10対1の中間的な区分を追加した3段階の評価とし、実績に応じた評価の最も高い部分は、急激な変化で現場が混乱することがないよう、現在の7対1看護職員配置をそのまま適用するとした(p134~p135参照)(p147参照)。

◆医療機関の選択制で該当患者割合の判定へのDPCデータ活用を提案

 看護必要度の該当患者割合の判定にDPCデータを活用することも提案。過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認める。ただ、厚労省が看護必要度とは明らかに表現や規定が異なるDPCデータ項目を除いて追加分析したところ、看護必要度で算出した該当患者割合(28.8%)とDPCデータで算出した値(23.3%)には約5%の開きがあり(p112~p113参照)、導入に際してはDPCデータを選択した場合の基準値を別途検討する必要がある。DPCデータの提出が要件化されている7対1と200床以上の10対1の一般病棟については、Hファイル(看護必要度データ)を該当患者割合の判定や確認に活用することを提案した(p146参照)。

 看護必要度では、▽B項目の認知症・せん妄に関連する項目に該当し、A項目1点以上を併存する患者は該当患者に追加する▽A項目の救急搬送後入院(2日間)を【救急医療管理加算】の算定対象患者(2日間)に見直す▽C項目の開腹手術の所定日数を短縮-の3点について検討を求めた(p146参照)。

◆【救急・在宅等支援病床初期加算】を入院前の居場所で区分、地ケア病棟

 【地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料】では、自宅などから受け入れた患者と、急性期後の入院患者では医療の内容が異なる点に着目。【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を入院前の居場所で2つに区分する案を示した。地域包括ケアシステムの構築に貢献できるよう、在宅医療や介護サービスの実績を評価に加味することや、訪問系サービスの提供を届出要件の選択肢の1つに位置づけることも検討課題にあげた(p189参照)。

 病棟の種類によって異なる在宅復帰率の算出方法では、▽自院の他病棟への転棟患者は評価対象(分子)に含めない取り扱いにする▽【在宅復帰機能強化加算】有りの場合だけが評価対象になっている退院先は、加算なしの退院先も評価対象(分子)に含める取り扱いにする▽見直しの影響が検証できるように自宅などへの退院患者と、ほかの医療機関への退院患者とを区別した内容で報告を求める-ことを論点として示した。地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟については、基準値を引き上げることを提案。在宅復帰率の退院先としての介護医療院の取り扱いについても検討を促した(p198参照)。

◆【救命救急入院料1、3】等でも看護必要度測定を算定要件化へ

 【救命救急入院料1、3】と【脳卒中ハイケアユニット管理料】は、看護必要度の測定を算定要件化する考えを示した。【特定集中治療室管理料】に関しては、▽アウトカム評価に役立つ項目として、DPCデータの中に入室時の患者の生理学的スコアの記載を求める▽重症患者のケアに関する研修を受けた看護師の配置を要件化▽治療室に備えるべき器具・装備について、救命装置などの室内に備えるべきもの以外は共用を認めるなど、医療機関の構造や管理体制に合わせた柔軟な保有が可能になるように要件を見直す-などの検討を提案した(p174参照)。

 【7対1、10対1一般病棟入院基本料】の見直しで、方向性については大方の委員が賛同したが、診療側委員は2018年度改定からの実施は拙速との見解を示した。猪口雄二委員(全日本病院会長)は、「来年は手挙げ方式で導入するなどして、時間をかけて検証していくことが必要。従来の基準も選択できるように従来型も残すべき」と主張。菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)も、「慎重な検討が必要で今回の改定での導入は難しい」と述べた。
 一方、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)と幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は評価体系の再編に合わせて、7対1における看護必要度の該当患者割合基準を現在の25%以上から30%以上に引き上げることを要求。診療側の委員は「30%は有り得ない。現場で大混乱が起こる」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)などと強く反発した。
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資料1 P1~P44 3.5M
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資料2 P45~P70 11.0M
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資料3 P71~P198 9.1M
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関連資料
[改定速報] 療養病棟のデータ提出、一定規模以上で要件化 中医協・総会1
http://www.wic-net.com/report/3150/1.html



https://www.m3.com/news/iryoishin/570955
2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)、ほぼ了承
地域包括ケア、働き方改革、薬価制度抜本改革などが柱

レポート 2017年11月24日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月24日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に、2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)を提示、各論での幾つかの指摘や意見は出たが、おおむね了承を得た。医療部会の次回開催予定は12月6日で、社保審医療保険部会でも並行して議論しており、12月の第一週には基本方針が決定する見通し(資料は、厚労省のホームページ/ (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185877.html ))。

 基本方針(骨子案)は、「改定に当たっての基本認識」「改定の基本的視点と具体的方向性」「将来を見据えた課題」から成る。「改定の基本的視点と具体的方向性」の柱は下記の5つ。

1.地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
2.新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療の実現・充実
3.医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
4.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上


 重点課題に掲げられたのは、「1」で、地域包括ケアシステムの構築に向け、地域間の多職種連携、適切な役割分担に基づく医療・介護サービスの提供、かかりつけ医・かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の評価などを盛り込んだ。

 社会的に重要課題となっている「働き方改革」も今改定の重要なテーマで、チーム医療等の推進、ICTの活用などを進める。ICTを活用した遠隔医療は、政府の「未来投資戦略2017」で提言しており、今改定の注目点の一つだ。

 「4」の関連の目玉は、11月22日の中医協で厚労省案が提出された、薬価制度の抜本改革だ(『長期収載品は「後発品」まで段階的引き下げ、薬価制度改革案』を参照)。その他、入院医療では機能分化、外来医療では機能分化や生活習慣病対策、医薬品の適正使用、効率性等に応じた薬局の評価などが掲げられた。

 医療部会では、既に基本方針について既に2回議論しており、方針には異論はなかったが、各論で幾つか指摘や意見が出た(『「必要な財源確保が改定の大前提」、中川日医副会長』を参照)。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、24時間365日体制の救急医療体制の確保が重要であるとし、それを担う一般病院の評価を盛り込むよう提案。

 働き方改革の観点では、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏が、労働基準監督署が、病院に対し、医師の時間外労働に対して是正勧告を出すケースが相次いでいることを挙げ、労働基準法改正という将来の問題ではなく、「足元の問題」への対応の必要性を指摘した。

 複数の意見が出たのは、調剤薬局について。骨子案では「薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進」と記載。日本精神科病院協会会長の山崎学氏や加納氏からは、「院内処方と院外処方では、技術料が3倍違う。それだけの負担を患者に課しているのであり、その違いに相当するサービスを提供しているのか」(山崎氏)などと指摘した(『「院外処方、なぜ院内の3倍の技術料か」、疑問の声』を参照)。

 これに対し、参考人として出席した、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、日薬の調査では、処方せんの3%に疑義照会が発生し、うち75%では処方変更に至ったなど、医薬分業が医療安全に寄与している実態などを説明。さらに調剤技術料について、「医療経済実態調査で経営実態を見ながら、中医協で決定されている」とも付け加えた。

 そのほか、記載の追加としては、経団連常務理事の井上隆氏は、「経済成長や財政健全化との調和」もしくは「制度の持続可能性」との文言を入れるよう要望。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「将来を見据えた課題」で、「予防・健康づくりやセルフケア・セルフメディケーションの推進」とある部分で、「セルフメディケーション」の削除を要求した。



http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=57248?site=nli
地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)-都道府県はどこに向かおうとしているのか
生活研究部 准主任研究員 三原 岳
2017年11月24日ニッセイ基礎研究所

■要旨

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携を意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性が明確になるほか、政策の目的について、国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

■目次

1――はじめに
2――地域医療構想の概要
  1|地域医療構想とは何か
  2|地域医療構想の進め方
3――2つの目的が混在
  1|病床削減の目的
  2|切れ目のない提供体制の構築という目的
4――病床削減に消極的な都道府県
  1|「必要病床数=削減目標」を否定
  2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
  3|かかりつけ医や総合診療医に言及
  4|地元医師会との協調・連携
5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~


1――はじめに

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等(1)の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携も意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性を明確になるほか、政策の目的について国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

注釈-------
1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは煩雑さを避けるため、在宅医療と表記する。



2――地域医療構想の概要

1|地域医療構想とは何か
まず、地域医療構想の概要を検討する。地域医療構想は「病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされ、医療計画の一部として都道府県が策定した。
表1:地域医療構想に盛り込まれた病床数
11255.jpg

具体的には、患者の受療行動や人口動向、高齢化の進行などを加味しつつ、2次医療圏を軸とした「構想区域」ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能について、現状と2025年の需給ギャップを明らかにし、在宅医療の充実を含めて課題解決の方策を考えることに主眼を置いている。
今年3月までに全ての都道府県で構想が出そろい、合計の病床数は表1の通り、全国的には高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足するという結果となった。これは厚生労働省令で定めた数式に基づいた一つの推計に過ぎず、将来を反映しているとは限らない。さらに、病床機能報告は医療機関の申告ベース、必要病床数は一定の数式に基づいて計算されている違いがあるため、比較する際には留保が必要である。

しかし、大きな方向性が可視化された意義は大きく、構想に盛り込まれたデータや内容をベースにしつつ、各地域で2025年を意識した医療提供体制の構築に向けた議論が進む予定である。

議論の場として期待されているのが「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)である。これは構想区域ごとに設置される会議体であり、地域医療構想に盛り込まれた病床データや施策などを基に、2025年を見据えた提供体制改革について、都道府県や地元医師会、病院関係者、介護関係者、市町村などが各地域で合意形成を進めることが想定されている。

2|地域医療構想の進め方
具体的なイメージを持ってもらうため、人口当たり病床数が最も多い高知県を事例に考えよう。高知県は「安芸」「中央」「高幡」「幡多」の4つの構想区域に分かれており、病床数は次ページの表2の通りとなった。
表2:高知県の地域医療構想に盛り込まれた病床数
11256.jpg

このうち、人口が最も多い高知市を中心とした中央区域では高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足という結果になり、高度急性期と急性期の削減、回復期の充実、慢性期の削減と在宅医療の整備が求められることになる。そして、こうしたテーマを話し合う場として、県全体をカバーする調整会議と、各区域で調整会議が設置されており、地元医師会や介護従事者、市町村関係者などで構成する調整会議のメンバーが課題解決策などを話し合うことになる。

さらに、地域医療構想を進める手段として、2014年度から都道府県単位に「地域医療介護総合確保基金」(以下、基金)が創設された。使途としては(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備、(2)居宅等における医療の提供、(3)地域密着型サービスなど介護施設等の整備、(4)医療従事者の確保、(5)介護従事者の確保――に関する事業とされ、社会保障目的で引き上げられた消費税を活用する形で、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担している(2)。

協議だけで達成が難しい場合の手段として都道府県知事の権限も強化された。具体的には、医療機関が過剰な医療機能病床に転換する場合、都道府県知事は転換の中止を要請(公的医療機関の場合は命令)し、これに従わない時、医療機関名の公表、補助金交付対象からの排除などを講じることができる。

注釈-------
2 2017年度予算の規模は医療分904億円、介護分724億円。



3――2つの目的が混在

1|病床削減の視点
ただ、地域医療構想の目的はあいまいである。厚生労働省は「病床削減のツールではない」と繰り返し強調しており、内閣官房に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が2015年6月に病床数を試算した際も、メディアが「◎◎床削減」などと伝えると、3日後には都道府県宛に「単純に『我が県は◎◎床削減しなければならない』といった誤った理解とならないようにお願いします」という通知を出した(3)。

しかし、地域医療構想で語られているのは病床数であり、在宅医療に関しても「慢性期に入院する軽度患者の70%程度が在宅医療等に移行する」などの前提に立っているに過ぎず、病床に関心が向かいがちである。

こうした考え方が最も表れているのは2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書である。ここでは病床を「川上」、受け皿となる地域を「川下」」と形容しつつ、「急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」「入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現」「受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実」と強調しており、病床を削った後に余った患者を在宅や地域で引き取る発想に立っているのは明らかである。

中でも、患者7人に対して看護師1人を配置する入院基本料要件を満たした急性期病床(いわゆる7:1要件)を圧縮したい思惑があったのは間違いない、政府は2006年度診療報酬改定に際して、7:1要件病床に対して報酬を手厚くしたが、手厚い報酬を期待した医療機関が国の予想以上に7:1要件を多く満たしたため、医療費を増やす原因となり、政府は急性期の圧縮を検討するようになった。

しかも、この考え方は10年ほど前から論じられていた。例えば、2008年6月の社会保障国民会議中間報告では、「過剰な病床の思い切った適正化と疾病構造や医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床の機能分化の徹底と集約化」と指摘していたほか、同様の文言は2008年11月の最終報告と2009年6月の安心社会実現会議報告、民主党政権期に取りまとめられた2011年7月の「社会保障・税一体改革成案」、2012年1月の「社会保障・税一体改革素案」に継承されており、約10年の歳月を経て制度化された経緯がある。

さらに、政府が2016年末に改定した「経済・財政再生計画改革工程表」でも「医療介護提供体制の適正化」として地域医療構想を位置付けており、今年6月に閣議決定された骨太方針でも市町村国民健康保険の都道府県単位化(4)や医療費適正化計画(5)とのリンクを意識しつつ、「都道府県の総合的なガバナンスを強化し、医療費・介護費の高齢化を上回る伸びを抑制しつつ、国民のニーズに適合した効果的なサービスを効率的に提供する」という文言を用いることで、都道府県主導による医療費適正化に期待している。

注釈-------
3 2015年6月18日、厚生労働省医政局地域医療計画課長の名前で各都道府県衛生担当部長に示された「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」という通知。
4 慢性的な財政赤字に苦しむ市町村国民健康保険の財政を安定化させるため、財政運営を都道府県単位とする改革。
5 2008年度から導入され、国と各都道府県が策定する計画。平均在院日数の削減、特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)の実施が主な目的で、都道府県計画は5年に一度改定される。次期計画から周期は6年に変わる。


2|切れ目のない提供体制の構築という視点
では、厚生労働省が病床削減による医療費適正化という目的を否定しているのはなぜだろうか。

それは制度化プロセスにおける日本医師会との調整が影響している。

厚生労働省は2011年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会で、人員配置や構造基準をクリアした病床を急性期として認定する「急性期病床群」(仮称)の新設を提案した。これは急性期について国の要件に従わなければ急性期と見なさず、単価の高い診療報酬も渡さない意図だったが、日本医師会は「急性期医療をできなくなる地域が生まれる」と懸念した。

さらに厚生労働省は2012年4月、急性期病床の登録制度を提案したが、これにも日本医師会は実質的に認定と変わらないと反対した。その理由について、日本医師会副会長は雑誌の対談記事で、急性期病床に医療資源を集中する方針が示されたことについて、「急性期だけでなく慢性期・在宅まで切れ目なく(注:提供することが)大事であって優劣はないと一貫して主張した」とした上で、急性期病床の認定制度には「認定される施設とされない施設では診療報酬で大きな差がつき、特に地方では急性期医療が提供できなくなると反対した」、登録制度には「登録でも要件があるはずだから認定と変わらないと(注:反対した)」と明らかにしている(6)。

その後、日本医師会は2012年5月、対案を示した。対案では、(1)各医療機関が担っている機能について、都道府県に情報を提供する仕組みを創設、(2)都道府県は情報を活用し、医療提供者の主体的な関与の下、地域の実情を踏まえた提供体制を検討する、(3)都道府県は報告の仕組みを通じて得られた情報を住民、患者に示し、医療提供者、行政、地域住民、患者とともに、地域に実情に合った提供体制を作り上げる―といった内容であり、現在の制度に至っている。

こうした経緯を見ると、日本医師会との調整プロセスを経て、「病床削減による医療費適正化」という当初の目的が薄まるとともに、「切れ目のない提供体制の構築」という目的が加わったことが分かる。

注釈-------
6 『病院』74巻8号p535における中川俊男日本医師会副会長の発言。


4――病床削減に消極的な都道府県

1|「必要病床数=削減目標」を否定
では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制の構築」という2つの目的が混在しているとして、どちらの目的を都道府県は重視したのだろうか。結論から言うと、後者の「切れ目のない提供体制構築」を重視している。

まず、都道府県のスタンスは必要病床数について表れている可能性が想定される。もし都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視しているのであれば、必要病床数を一つのターゲットとして、削減の姿勢や努力を見せることが予想されるためだ。

図1:必要病床が削減目標ではないと明記したかどうか
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だが、地域医療構想の文言を精査すると、図1の通りに29道府県が「強制的に削減しない」「機械的に当てはめない」などの表現を用いつつ、必要病床数が削減目標ではないことを明示していた。この背景には、必要病床数を削減目標と位置付けないように要請していた日本医師会に対する配慮があったと推察される。日本医師会は必要病床数を削減目標ではない旨を明記していない構想が見られる点を問題視していた(7)。

こうした中、地元医師会を中心とする医療機関関係者との関係が悪化すると、切れ目のない提供体制の構築というもう1つの目的達成が困難になるため、都道府県が病床削減に消極的だった様子が窺え、病床削減に向けた都道府県の主導性を求める政府とは明らかに異なるスタンスを取っていたことになる。この点については、強化されたとされる知事の権限についても、11道府県が言及していたに過ぎなかったこととも符合する。

むしろ、近年の診療報酬改定では、医療機関が7:1要件を取得する際の条件を厳格にしている(8)ため、急性期の病床数については、地域医療構想に基づく調整よりも、報酬改定の影響を大きく受けることが予想されている。こうした状況の下、都道府県としては診療報酬改定の結果と影響を見極めようという機運が強かったと考えられる。

注釈-------
7 例えば、日本医師会の常任理事は「地域医療構想では将来の病床の必要量が注目されがちであるが、重要なことは将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされていくことである。病床の必要量は全国一律の計算式で機械的に計算されたものに過ぎない」と指摘していた。2016年9月20日『日医News』。
8 7:1要件を取得する際、患者の医療・看護度などを評価するいくつかの条件をクリアする必要があり、2016年度報酬改定では手術や受け入れ患者に関する条件を追加することで、取得を難しくするように厳格にした。2017年10月25日の財政制度等審議会では、一層の厳格化が論じられている。



2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視している場合、2018年度の市町村国保の都道府県単位化や、医療費適正化計画の改定との関係を意識することが考えられる。前者は財政運営の責任主体、後者は医療費を抑制する主体として、いずれも都道府県の主導性発揮が期待された制度であり、地域医療構想との関係付けようとしているか探ることで、病床削減による医療費適正化に向けた都道府県のスタンスを把握できると考えられる。

そこで、各都道府県の地域医療構想を見ると、図2の通り、市町村国保の都道府県単位化に言及したのは奈良県と佐賀県の2県、医療費適正化計画に言及したのは10都府県にとどまり、3つを明確にリンクさせたのは実質的に奈良県だけだった。

奈良県の地域医療構想では「地域医療構想の策定は社会保障改革の一環であり、医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組を進める必要があります」としている。こうした文言が盛り込まれた背景としては、3つの関係をリンクさせた改革を進めようとする荒井正吾知事のスタンスが影響している(9)が、こうした事例は現時点で極めて少数であり、その背景としては地元医師会や医療機関関係者の反発を恐れ、病床削減や医療費適正化を想起させるテーマを避けた可能性が高い。
図2:国保改革、医療費適正化計画の言及があったかどうか
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注釈-------
9 荒井知事は2015年9月のシンポジウムで、「(筆者注:地域医療構想、医療費適正化計画、市町村国民健康保険の都道府県単位化の)3つは関係している。高度医療、看取り、終末期医療、頻回受診、頻回薬剤投与など議論が進んでいない分野がある。地域でそのようなことを探求していくことも可能」と述べていた。『医療経済研究』Vol.28 No.1。



3|かかりつけ医や総合診療医に言及
では、「切れ目のない提供体制の構築」という点では、どんなスタンスが見て取れるだろうか。切れ目のない提供体制を構築する上で、在宅ケアなど住民の日常的なニーズに対応する医療が重要になるが、「川上」「川下」の言葉に代表される通り、地域医療構想は実質的に病床しか議論しておらず、いわば病床という医療提供体制のごく一部を議論することで、医療提供体制の全体を変えようとする欠点を持っている。

表3:かかりつけ医または総合診療医に関する言及 この点については、第4回で述べる予定だが、地域医療構想を策定した時点では受け皿となる医療サービスの充実について、都道府県に前向きな姿勢が見られた。
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具体的には、37都道府県が日常的な医療ニーズに対応する医師である「かかりつけ医」(10)または日常的な疾病やケガに対応する「プライマリ・ケア」(11)の専門医として全人的・継続的な医療を担う総合診療医に言及した。

両者の定義や役割などは第4回に詳しく述べることとしたいが、両者に期待する役割としては、表3の通り、(a)患者が病状に応じて適切な医療機関を選べるようにする支援、(b)疾病管理や生活習慣病対策を含めた予防医療、(c)在宅医療の充実、(d)病院・診療所連携、(e)医療・介護連携、(f)過疎地医療―などに整理可能であり、いずれも住民にとって身近な日常生活をカバーする医療が想定されている。

目的があいまいな地域医療構想が「病床数ありき」の議論に傾きがちな中、これらの記述は、切れ目のない提供体制の構築に向けた都道府県の積極的な姿勢と受け止めることが可能であろう。

注釈-------
10 日本医師会などが2013年8月に公表した報告書では、かかりつけ医の定義について、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。一方、総合診療医の中核的な能力としては、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」など6点が挙がっており、両者の違いは必ずしも明確ではない。
11 日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを「国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、全人的に対応する地域の保健医療福祉機能」と定義している。詳細は第4回で述べる。



4|地元医師会との協調・連携
次に、地元医師会との連携という点で都道府県のスタンスを検証してみよう。都道府県が切れ目のない提供体制の構築を図ろうとする際、最初に配慮するのは地元医師会と思われる。先に触れた通り、日本の医療提供体制は民間中心であり、都道府県が構想を策定するだけでは実効性を持たず、現場で医療サービスの提供を担う地域の医師会との連携が欠かせない。

そこで、地域医療構想の策定プロセスに地元の医師会がどこまで参加していたか検証した。具体的には、(1)各都道府県の地域医療構想に出ている文言や資料、ウエブサイト(12)に掲載された議事録などを通じて、「実質的な検討の場」を設定(13)、(2)地域医療構想に限らず、医師会関係者は地域の医療政策に関する検討の場に必ず参加しているケースが多いことを考慮し、委員枠として確保されているかどうかではなく、医師会関係者が検討の場のトップに就いているかどうかを検証-といったプロセスを通じて、都道府県と各地域の医師会がどこまで共同歩調を取っていたかどうかを考察した。

さらに、(a)地域医療構想に掲載されている委員名簿、(b)名簿が掲載されていたとしても、トップが判別できない場合は議事録、(c)委員名簿が掲載されていない場合はウエブサイトの資料または議事録―をそれぞれ集計した。

その結果、検討の場のトップの氏名や所属先、肩書などが判明しなかった15府県(14)を除く32都道府県のうち、24都道県で医師会関係者がトップを務めていた(15)。以上を踏まえると、切れ目のない提供体制の構築に向け、地元医師会と連携・協力を図ろうとする都道府県が多かったことを指摘できる。

注釈-------
12 2017年3月31日現在のデータ。以下、同じ。
13 都道府県全域をカバーする専門的な検討組織(例:専門部会)を医療審議会の下に置いている場合、これを検討の場と見なし、その開催頻度が少ない場合、構想区域単位の会議を検討の場と位置付けた。
14 検討の場の議論に用いた資料や議事録の公表が不十分だったため、把握できなかった。
15 8つの構想区域のうち5構想区域で医師会関係者がトップだった秋田県も含む。



5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~

以上、地域医療構想の制度化プロセスを振り返ることで、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検証するとともに、地域医療構想の内容を把握することを通じて、都道府県はどちらを重視していたのか考察してきた。

図3:地域構想医療を巡る国と都道府県の認識ギャップ
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その結果、全体的な傾向として、(a)必要病床数を削減目標としないことを明記、(b)市町村国保の都道府県単位化、医療費適正化とのリンクを避けた、(c)日常的な医療ニーズに対応する必要性に言及した、(ⅾ)地元医師会と連携・協力しつつ地域医療構想を策定していた―といった実態があり、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築の目的」という混在する目的のうち、都道府県は後者を優先している点を明確にした。

しかし、骨太方針2017の「都道府県の総合的なガバナンスの強化」という文言に代表される通り、経済財政諮問会議や財務省を中心とする国の議論は(1)に傾きがちであり、図3のように(2)に力点を置く都道府県の間に認識ギャップが見られる。

その一端は基金のスタンスに表れていると言える。財務省は基金の分配先について、回復期病床の充実など病床転換に繋がる使途に重点配分するよう求めており、これは(1)、特に急性期削減を重視していると言える(16)。

一方、都道府県のスタンスは異なる。近年の改定では7:1要件を厳格化しており、急性期の削減や回復期の充実は診療報酬改定の影響を受けやすい。こうした中、都道府県は2018年度改定の影響を見極めつつ、(2)を重視する観点に立ち、在宅ケアの整備や人材確保などに基金を使うことを期待している(17)。このギャップは2つの目的を混在させた結果であり、こうした認識ギャップは今後も制度の目標設定や進行管理の場面で一層、顕在化する可能性が想定される。

では、都道府県は今後どのような対応が求められるのだろうか。第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを用いつつ考察を深めたい。

注釈-------
16 財政制度等審議会が2016年11月に示した建議で、「病床機能の転換等に直接資するものに交付を重点化すべき」と求めた。
17 基金の使途については、大津唯(2017)「『地域医療介護総合確保基金』の現状と課題」『会計検査院』No.56が詳しい。同論文では「医療機能の分化・連携を進めるための医療機関の施設・設備整備など単年度会計になじみにくい事業と,医療従事者の確保のための国庫補助事業という異質のものを1つの基金に混在させたことは,妥当でなかった」と指摘している。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/375046/
県北調整会議で67病床承認 伊万里松浦病院 移転許可に見通し 12月、県医療審に諮問 [長崎県]
2017年11月22日 06時00分 西日本新聞朝刊

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)の松浦市への移転問題で、同市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の3回目の調整会議が20日、佐々町内であった。病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が病床数を67床に減らすことを伝えると同会議は了承。病床数についての特例措置申請に対する受け入れ地域の承認を得たことで、移転許可への見通しが立った。県は12月に開く県医療審議会に諮り、国との協議を進める。

 県北地域では病床数が国の基準を上回っており、病院を新設するには医療法に基づく特例措置の適用が必要で、JCHOは8月、県に適用認可を申請した。移転開設時の病床数を87床とする計画を打ち出していたが、県北医療圏の調整会議では病床数の多さや医師の確保などの課題が指摘され、12委員でつくる部会で議論を深めてきた。

 この日は調整会議に先立って開かれた2回目の部会で、JCHO側が「開院時の病床数を67とし、同市の医療の再編状況に応じて100床まで増やす」と説明し、調整会議も含めて了承された。そのほか365日24時間の救急医療体制や医師の確保、同市鷹島町や福島町の病床廃止に伴う受け皿の整備などについても了解を得た。

 同市の橋口忠美副市長は「県北という広い地域で承認が得られたことは開設に向けて大きな弾みとなり、喜ばしい。より良い地域医療の環境づくりを目指したい」と話した。



http://healthpress.jp/2017/11/post-3368.html
産婦人科医師はつらいよ!形成外科に次いで訴訟が多い!長時間労働で過労の医師も多数
2017.11.24 Health Press

 2004年、福島県立大野病院で妊婦が死亡し、担当医が2006年に逮捕(業務上過失致死などの容疑、不起訴)され、産婦人科界を震撼させた大野病院事件が発生した。

 日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会は、刑事訴追に対する意見書を発表し、懸念を表明。多くの産婦人科医師の心に深く刻まれる事件となった。

日本の周産期医療の安全性はトップクラスだが訴訟が多い

 産婦人科医師が訴訟に巻き込まれるリスクはどれくらいだろう? 産婦人科医師1000人当たりの訴訟件数は、形成外科7.1件、産婦人科4.8件。産婦人科は、全診療科で2番目に訴訟が多いことが分かる(平成28年 医事関係訴訟事件(地裁)の診療科目別訴訟件数)。

 なぜ産婦人科医師は、訴えられやすいのだろう?

 理由はいくつかある。胎児・新生児も妊産婦も若いため、死亡や後遺症による逸失利益が大きいこと、妊娠・出産は病気でないため、病気よりも過少評価されやすいこと、周囲の祝福・期待が強いため、受ける心理的な落差が大きいことなど、妊産婦や家族が納得しがたい不条理を感じやすいことから、提訴される確率が高まる。

 一方、日本の出生数10万人当たりの周産期死亡率は2.6人、妊産婦死亡率3.5人。諸外国と比較しても、日本は周産期死亡率、妊産婦死亡率ともに低く、日本の周産期医療の安全性は世界的にトップクラスにある(厚生労働省資料「周産期医療体制の現状について」平成24年)。

 ちなみに周産期は、妊娠22週から生後7日未満までの時期を指す。

1ヶ月の在院拘束時間305時間!1ヶ月の当直回数平均5.8回!

 このよう不条理な訴訟リスクを軽減するために2009(平成21)年1月にスタートしたのが「産科医療補償制度」だ。妊娠・出産の何らかのトラブルがあれば、過失の有無に関わらず一定額の補償金が妊産婦に支払われる。ただし、現在は脳性麻痺だけが保障対象だ。

 その後、産婦人科の訴訟件数は、やや減少したものの、水口病院事件(中絶後に死亡)、順天堂大学順天堂医院事件(無痛分娩による死産)などが発生。今なお産婦人科医師への不信感も、訴訟リスクも根強く残っている現実は変わらない。

 産婦人科医師が直面している課題は何か? その現状を見よう。

 産婦人科医師の1ヶ月の在院時間(通常の勤務時間+当直時間=職場の拘束時間)は305時間。過労死基準(月80時間の残業)をはるかに超えた勤務時間だ。産婦人科医師の1ヶ月当たりの当直回数は平均5.8回。内科3.2回、外科3.1回、救急科4.5回なので、産婦人科の当直の多さが分かる。交代制を導入している施設は全施設の6.4%のみ。交代要員の不在、24時間365日勤務は当然と考える無理解や偏見が交代制導入を妨げている。当直翌日の勤務緩和を導入している施設は23.1%に過ぎない。4分の3強の産婦人科医師は、日勤―当直―日勤の32時間連続勤務を強いられている。

 産婦人科医師の過剰勤務、多忙、人手不足が窺えるが、過労死する産婦人科医師もある過酷な現状も見なければならない。

女性医師が増えても、病院の受け入れ体制・環境が未整備

 しかし、さらに難題が横たわる。女性医師の増加と、受け入れる病院の対応の遅れだ。

 訴訟や激務の高リスクは、若い医師が産婦人科を敬遠する最大の理由だ。だが、分娩施設の産婦人科常勤医師に占める女性医師の割合は、2008年の30.6%から2014年の38.7%に高まっている。また、女性医師のうち妊娠・育児中の医師の割合も32.8%から52.3%に増加。

 一方、分娩施設での勤務医への妊娠・育児支援の状況を見ると、妊娠中に当直を軽減される女性医師は46.4%。育児中に当直を緩和・免除される女性医師は64.9%に上っている。ただし、病児保育は23.7%、24時間保育は22.9%に留まっているため、子どもの体調が悪くなれば休まざるを得なくなる、当直や時間外勤務が不可能になるなど、育児中の制約が大きい。つまり「妊娠・育児中の女性医師」は増えているものの、「勤務に柔軟に対応できる医師」はあまり増えていない。

 また、妊娠・育児中のために当直免除など勤務の軽減を受ける医師と軽減されない医師の間に、勤務時間や収入への不公平感も生じている。さらに、妊娠・育児中の勤務状況が制限される女性医師を病院が忌避する傾向もあることから、採用後に休職や休業などの勤務リスクの高い女性よりも男性が優先採用されるケースも少なくない。

 このように、産婦人科の女性医師が増加しても、病院の受け入れ体制や環境・制度の整備は大きく立ち遅れている。

 世界トップクラスの安全性を堅持する強い使命感。避けられない高い訴訟リスクと激務。この過酷な環境に立ち向かう献身的な医師たちに支えられているのが、日本の周産期医療の現実だ。

 このような産婦人科医師の勤務環境の改善を図ろうと、日本産科婦人科学会の医療改革委員会は、「産婦人科医療改革グランドデザイン 2015」を作成。地域基幹分娩取扱病院を新たに設定し、産婦人科医師の重点化・集約化を行ないつつ、主治医制の廃止、交代制勤務の実現をめざしている。

 何よりも最優先すべきことがある――。妊産婦と胎児・出生児を見守る産婦人科医師の人権を尊重しながら、産婦人科医師が永続的に活躍できる環境整備を急がなかればならない。

*参考:2015年1月に日本産婦人科医会が取りまとめたアンケート調査報告書
(文=編集部)



http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171123/mca1711230500004-n1.htm
厚労省、医師不足を「見える化」 都道府県の権限強化で、医師偏在の解消を目指す
2017.11.23 05:00 Sankei Biz

 医師が都市部などに集中する一方、足りない地域が生じている問題で、厚生労働省は22日、それぞれの地域で医師がどのくらい足りないかを評価する指標の導入を盛り込んだ対策骨子案を有識者会議に示した。医師の過不足について「見える化」を進め、都道府県の権限を強化することで、医師偏在の解消を目指す。

 厚労省は今後の有識者会議の議論も踏まえた上で、年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法と医師法の改正案を提出する方針。新指標では、現状の医師の配置や年齢のほか、将来の人口予測や年齢分布、地理的条件を加味し、医師の偏り度合いを算出。医師の派遣数の調整や財政支援などの対策に活用できるようにする。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570740
医療従事者の需給に関する検討会
「新規研修開始の医師」が対象、へき地等勤務が管理者要件
「駆け込み開業」を懸念、無床診の規制は見送り

2017年11月22日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第15回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)は11月22日、前回会議に続き、「医師少数区域」での勤務経験を有する医師(認定医師)の評価の在り方や「外来医療機能の可視化」などについて議論した。これらは今年末に予定している医師偏在対策の取りまとめには入るが、前回会議で「駆け込み開業」が起きるなどの懸念が呈せられた「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」は見送られる見通しだ(前回会議については、『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を認定、評価する仕組みは、若手とベテランを問わず、あらゆる世代を対象とする方針。認定制度自体が、「医療機関の管理者」として評価するなど、医師個人の一種のインセンティブとなるほか、認定医師を雇用する医療機関にとっても、認定医師を広告可能事項としたり、予算(地域医療介護総合確保基金など)や税制上の優遇措置などのインセンティブ付与を想定している。

 特に注目されるのは、「医療機関の管理者」としての評価。厚労省は「これからキャリアプランを考える人」という考えから、「施行日以降に臨床研修を開始する者」を対象とし、「認定医師」であることが、地域医療支援病院などの管理者(院長)の要件とすることなどを想定している。この制度の実現には、医療法改正が必要であり、厚労省は来年の通常国会に、他の医師偏在対策とともに医療法等改正法案の提出を目指す。早ければ、2019年度から臨床研修を開始する医師が対象になる見通しだ。

 もっとも、医師需給分科会の構成員からは、制度化自体には異論は出なかったものの、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、読売新聞医療ネットワーク事務局次長の本田麻由美氏らからは、「施行日以降に臨床研修を開始する者」とするのでは効果が現れるまでに時間がかかるとの指摘が相次いだ。全日本病院協会副会長の神野正博氏も、管理者要件とする案については、「あまりドライブしないと見た方がいい」と述べ、「認定医師にいかにインセンティブを付けるかがカギとなり、他のインセンティブで本当に医師少数地域に医師が行くようになるのか」と疑問を呈した。

 厚労省医政局総務課は、「管理者要件としての効果は先になるが、制度がスタートすれば、認定を受けるために一定程度の人が医師少数区域に行くようになると考えられるので、一定の即効性はある」との見解を述べた。

 そのほか22日の検討会では、「外来医療機能の可視化」、「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」についても議論。

 「外来医療機能の可視化」は、外来医療における医師偏在の度合いを可視化し、医師自身が開業の是非を判断できるようにするのが狙い。NDBを用いた性・年齢調整標準化レセプト出現比(SCR)や医療機能情報提供制度などのデータ利用を想定。

 「開業する医師と受け入れ側の地域の医療事情のミスマッチが、外来医療の医師の偏在を生んでいる。これを避けるために、ある程度のメルクマールが必要」(医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏)、「政策情報として使うことができ、これは大きな一歩ではないか」(慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏)などの評価の声の一方、「保険医登録の規制くらいやらないと、偏在対策にならないという話で進めてきた。それがままならないということで、外来医療機能の可視化が出てきたが、これもドライブしないのではないか」(神野氏)との意見も出た。


医師需給分科会は、今年内に医師偏在対策をまとめる方針

 専攻医の1次募集状況、公表求める声
 さらに今年末の取りまとめに向け、厚労省は、過去の医師需給分科会の議論において、「制度改正の方向性について一定の合意を得たと考えられる医師偏在対策」を整理した(過去記事はこちら)。基本的な方向を支持する意見の一方、医師偏在対策としての実効性を疑問視する声が上がった。


1. 都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
(1)「医師確保計画」の策定
(2)「地域医療対策協議会」の実効性確保
(3)効果的な医師派遣等の実施に向けた見直し
2.医師養成過程を通じた地域における医師確保
(1)医学部: 地元出身者枠の拡充/他県での地域枠の特例
(2)臨床研修: 地域への医師定着策/都市部集中の是正
(3)専門研修: 新専門医制度における行政の役割の明確化/診療科ごとの医師のニーズの明示
3.地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
 (前述の「外来医療機能の可視化」など)
4.その他


 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「全般的にはこの方向でぜひ進めてもらいたい」と述べつつ、専門研修について、「情報提供も必要だが、救急や産科などの医師不足分野に対し、報酬だけではないと思うが、現実的なインセンティブをもう一つ考えてもらえないか」と提案。

 永井氏は、「地域医療対策協議会」の実効性確保のため、(1)マッチング機能(医師不足地域と、その地域に行きたいと考える医師のマッチング)、(2)医師が疲弊しない体制作り(代替医師の確保など)、(3)教育研修機能(大学や県立病院などと協同した体制作り)――が求められるとした。さらに女性医師が増加する中、プライマリケアや在宅医療の領域などでは女性医師が適しているとし、交代制勤務の導入などの検討も必要だとした。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏からは、医師不足地域での勤務について、「診療報酬の仕組みを、思い切って変更できるのであれば、かなり有力なインセンティブになるのではないか」との意見も出た。

 一方で、岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「診療所の管理者要件」に関連付けた施策の必要性を指摘。山口氏も同様の指摘のほか、診療科偏在についても、将来の需要を可視化しても「不足診療科を選ぶ」などの行動変容には結び付きにくいとし、「今必要なところに、必要な医師が行くような仕組みが必要」と指摘した。

 医師不足の現状に対する受け止めに相違も見られた。日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、ここ数年間でも医療の現場は変わってきているとし、「(医師偏在対策が)即効性に欠けるという指摘は分かるが、まだ医師不足、偏在はあるものの、少しずつ前進している」とコメント。これに対し、神野氏は、「急性期医療や救急医療を担う病院経営の立場から見れば、誰に聞いても、悪くなっているという認識。医師数が増えているとしても、偏在していると言わざるを得ない。ある程度、強力な偏在対策をかけてもらわないと、地域医療は良くならない」と反論した。

 専門研修については、11月15日に新専門医制度の専攻医の1次登録が締め切られたことから、診療科別の応募数の公表を求める意見が相次いだ(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、専門研修については、「将来の診療科別の医療ニーズを見据えて、適切に診療科選択ができる情報提供の仕組み」の構築に向け、国と都道府県が連携して進める方針であると説明。専攻医のデータについては、まず「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で議論する予定であるとした(『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。



http://www.medwatch.jp/?p=17060
医師少数地域での勤務、病院管理者要件や税制優遇などで評価してはどうか—医師需給分科会
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を、例えば地域医療支援病院の管理者(院長など)要件に据えたり、そうした経験を持つ医師を雇用する医療機関に、税制上の優遇や予算措置などを行ってはどうか―。

 11月22日に開催された医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、こういった制度の創設に向けた議論が進められました(関連記事はこちら)。今後、「医師少数地域」をどことするか、「一定期間」をどの程度とするか、「管理者要件」を具体的にどういう形で設定するか、といった議論が行われ、早ければ、来年(2018年)の通常国会に医療法改正案などが提出される可能性もあります。

もっとも、例えば地域医療支援病院の管理者要件に「医師少数地域での勤務経験」が組み込まれたとして、改正法施行日「以降」の勤務経験に基づいて評価されるため、近く地域医療支援病院の院長に就任する医師に「医師少数地域での勤務経験」が必須となるものではありません。

ここがポイント!
1 医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く
2 管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか
3 医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く

医師需給分科会では現在、「地域間・診療科間の医師偏在」是正に向けて実効性のある対策を検討しています。その中で、冒頭に述べた「医師少数地域での一定以上の勤務経験」を評価する仕組みが浮上しました。

「医師少数地域での勤務経験」を持つ医師を厚生労働省が認定し(認定医師、仮称)、例えば(1)認定医師である旨を広告可能とする(2)地域医療支援病院などの管理者として認定医師を評価する—といった仕組みを設けるものです。

医師少数地域での一定期間以上の勤務経験を、地域医療支援病院などの管理者(院長)要件にすべきか、具体的な検討が行われる(図略)

 この仕組みで最も気になるのは「一定期間とはどの程度なのか」という点ではないでしょうか。「短期間であれば地方勤務も可能だが、長期間であれば躊躇してしまう」という医師も少なくないでしょう。しかしこの「一定期間」は、「医師少数地域の範囲」が決まり、「どの程度の医師が必要とされているのか」が明確にならなければ設定できません。厚労省は、まず▼医療需要▼将来の人口、人口構成の変化▼医師偏在の度合いを示す単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の年齢分布▼へき地や離島などの地理的条件—などの指標に基づいた、客観的に比較・評価可能な「医師偏在の度合い」を可視化し、これを基に「医師少数地域」を決定してはどうかと考えています。ただし、医師少数地域にも中核病院があったり、医師が比較的多くいる地域でもへき地があり、都道府県知事が具体的に「例外医療機関を定める」ことになりそうです。
こうして「医師少数地域」が具体的に定まった後に、必要な医師数が算出され、そこから「勤務期間」が導き出されます。ただし「認定医師となるには、●年間の勤務が必要」と設定されたとしても、「医師少数地域で働きたいが、家族の状況なども勘案すると『連続した●年間の勤務』は難しい」と考える医師もいるでしょう。厚労省はこうした点に配慮し、「断続した医師少数地域での勤務経験」を「通算する」ことも認める考えです。

管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか

また、管理者に「認定医師である」ことが求められる病院として、厚労省は▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)―を限定例示しました(ここから絞っていく見込み)。

もっとも、間もなく地域医療支援病院などの院長に就任する医師にも「医師少数地域での勤務経験」が求められるとなれば、院長就任予定者も、病院側も混乱してしまいます(例えば、医師少数地域での勤務が明けるまで就任を待たなければいけず、院長不在の期間が発生する可能性も高い)。そこで厚労省は、管理者としての評価を行う対象は「施行日以降に臨床研修を開始する医師」に限定する考えです。

これらの医師が地域医療支援病院の院長に就任するまでには相当の期間(数十年)がかかりますが、その間にも「医師少数地域での勤務」が進展していくため(将来を考えて、今のうちに医師少数地域に行こうと考える医師が当然、現れる)、医師偏在が徐々に解消していくと期待されます。

この点に関連して、「数十年先に要件化されるのであれば、一般の診療所などの管理者(院長)にも同様の要件を設けるべき。実効性を考えれば、診療所も対象とすべきである」との指摘が小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や神野正博構成員(全日本病院協会副会長)、権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らから出されています。要件化を即座に始めれば「駆け込み開業」が生じる可能性がありますが、新たに臨床研修を受ける医師を対象とするのであれば、こうした危険はなくなるためです。今後の重要論点の1つとなりそうですが、「開業制限」にもつながる「難しい論点」です(関連記事はこちら)。

 なお、小川構成員や鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は「医師少数地域に派遣された医師が戻る医療機関の確保が重要である。派遣を行う病院に経済的支援をすることが現実的ではないか」と指摘し、医師派遣病院への何らかのインセンティブ付与を強く求めています。

 このほか厚労省は、▼認定医師を雇用・支援する医療機関を対象とした経済的インセンティブ(税制優遇や予算措置など)を付与する▼認定医師である旨の広告を認める—ことなども論点として掲げています。
 
 なお、厚労省は認定医師について、「すべての世代の医師」を対象として、医師少数地域での勤務を促進してはどうかとの考えを示しています。初期臨床研修では1か月以上の地域医療従事経験が求められ、総合診療専門医(新たな専門医資格)にもへき地医療従事経験などが求められていることから「医師少数地域での勤務は若手医師が対象か」とも思われがちですが、シニア世代にも積極的にへき地医療勤務を希望する医師がいることから、「全世代対象」であることを明確にしたものです。医師少数地域を含めた地域医療勤務には「幅広い症例を経験できる」「充実感がある(患者・住民から必要とされる)」などのメリットがあり、幅広い世代の医師が「医師少数地域での勤務」に目を向けることが期待されます。

もっとも医師少数地域での勤務には、「家族の同意」「交代できる医師の存在」「地域の理解」といったハードルもあり、これは若手医師とベテラン医師で微妙に異なります(例えば子育て世代では「子供の教育」などが重要要素となる)。こうしたハードルの解消、さらには若手医師では「教育」と言う問題もあり、医師偏在以外の視点(医師養成など)も加えた検討が行われる見込みです。

医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

 11月22日の医師需給分科会では、これまでに固められた「医師偏在対策」について、例えば以下のような整理も行われました。上述の「医師少数地域での勤務経験」を認定する仕組みも、今後の議論次第で「医師偏在対策」に盛り込まれる可能性もあります。

 今後、さらに詳細を詰め、年内にも「医師偏在対策」を正式に取りまとめ、来年(2018年)の通常国会に医師法や医療法の改正法案を提出することになる予定です。

▼都道府県が作成する医療計画に、新たに「医師確保計画」(3年計画)を記載することを法定する(地域内の医師確保方針、医師偏在の度合い(上述)に応じた医師確保の目標、目標達成に向けた施策内容を明示する)→知事は、医師偏在の度合いに応じて、地域内の「医師が比較的多い地域」から「医師が少ない地域」への医師派遣などを円滑に実行できると期待される
医療計画の中に「医師確保計画」の記載を義務づける(図略)

▼都道府県が医師確保対策を実施するための協議を行う「地域医療対策協議会」について、構成員の見直し、他の会議体(地域医療支援センター運営委員会など)の機能移管などを行い、実効性を確保する
地域医療対策協議会の構成員・機能を満たし、より実効性を高める(図略)

▼都道府県が、県内の大学医学部に「地元出身者枠」設定を要請し、他県の大学医学部に「自県での勤務を従事要件とする地域枠」設定を要請できる仕組みを設ける(地元出身の医師が、自県内の医療機関に定着する傾向が高いというエビデンスを踏まえたもの)
都道府県が大学医学部に「地域枠」の創設を要望する仕組みを設ける(図略)

▼初期臨床研修について、▽一般のマッチングとは分けた地域枠での実施▽都道府県による臨床研修病院の指定・募集定員設定▽2025年における募集定員倍率の1.05倍への圧縮―などの見直しを行う
▼国が、新専門医制度について▽研修の機会確保が不十分な場合の必要な措置▽研修プログラム認定前の必要な意見具申―などを行えることを法定化する

▼将来の「診療科ごとの医療需要」を明確化する(代表的な疾病と診療行為との対応表を作成する→診療科ごとの医師の需要を推計する→医師の働き方改革などを需要に反映させる)
診療科ごとの医師需要を定量把握し、診療科間の医師偏在解消を目指す(図略)

▼医師偏在度合い(上述)に基づき、外来医療の偏在・不足などを客観的に把握し、外来医療における機能分化・連携などを地域医療構想調整会議なども活用して協議する
▼医師少数地域において、1人の医師が複数医療機関の管理を行えることを明確化する(院長の兼務を認める)



http://www.medwatch.jp/?p=17042
地域ニーズに合う医療提供体制の構築支援を―全自病等10団体が要望書
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の達成に向けた取り組みで、医療費の抑制があまりに強調されれば医療現場が気概を失う。病床削減を目的としない形で具体的な協議が地域ごとに進み、地域住民のニーズに対応可能な医療提供体制が構築されるように、国は積極的に都道府県などを支援すべき―。

 全国自治体病院協議会(全自病)や全国知事会など自治体病院関係10団体は11月14日、来年度(2018年度)の予算編成や診療報酬改定などに向け、こうした要望を取りまとめて厚生労働省などに提出しました。

 この中で、「地域医療介護総合確保基金」の偏りない配分や、2019年10月に予定される消費税率の引き上げ(8%→10%)によって生じる財源を活用することで、地域医療構想を達成すべきなどと主張しています。

 また、▼医師の地域偏在の解決策として、一定期間の医師不足地域での勤務実績がなければ病院などの管理者になれない仕組みを設ける▼医師の働き方改革(長時間労働の是正)に向けた議論を、医師の需給バランス面の議論と同時進行させる―といったことも要望しています。

ここがポイント!
1 地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文
2 医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文


 少子高齢化が進むにつれて今後、患者側の医療ニーズが変化します(肺炎や骨折での入院ニーズが増え、大手術が必要な急性疾患での入院ニーズは減る)。医療提供体制が今のままでは、手術などを行う急性期機能の病床数が余る一方で、患者の身体機能を回復させて在宅復帰させる回復期機能の病床数が不足すると考えられます。

 そこで都道府県では、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年時点のニーズに合った必要病床数を、機能ごと(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に、地域単位(二次医療圏ごと)で推計し、地域医療構想として公表しています。

 それを踏まえて医療提供体制を再構築するには、病院・有床診療所それぞれが、自院の設備や職員数、これまでに果たしてきた役割などを振り返った上で、都道府県が公表した情報(将来の地域の医療ニーズ)を踏まえて、今後果たしていく機能を決める必要があります。例えば、「これまでは2病棟で急性期機能を担ってきたが、急性期医療のニーズがこれから少なくなるから、1病棟は回復期機能に見直そう」といった考え方です。

 ただし、地域全体で見たときに、病床機能の転換を決断する医療機関が多過ぎても少な過ぎても、医療提供体制は将来のニーズと合わなくなってしまいます。そこで、病院などの関係者が地域医療構想調整会議で、地域医療構想の実現に向けた方策を話し合っています。さらに病院が機能の転換を決断した場合、病棟改修の費用などを「地域医療介護総合確保基金」で支援する仕組みが準備されています。

 全自病等はこの「地域医療介護総合確保基金」について、「官民の公平に配慮しつつ、民間病院のみならず、自治体病院が十分活用できるようにする」よう求めています。

 昨年度(2016年度)の基金(医療分、国費負担は602.4億円)の配分先をみると、2016年11月時点では「民間機関」が65.5%(394.6億円)を占め、自治体病院など「公的機関」は26.0%(156.4億円)にとどまりました(なお51.4億円の交付先は未定)。全自病などの要望は、こうした状況を踏まえたものです。

 医療分基金の財源は2014年度から毎年度、国・地方分を合わせて904億円でしたが、全自病などは「(2019年10月の)消費税の引上げ分を予算として確保」すべきだとも主張しています。

 また基金の使い道は「地域医療構想の達成に向けた施設・設備の整備」が50.6%(305.1億円)、「医療従事者の確保・養成」が44.2%(266.3億円)、「居宅等における医療の提供」が5.1%(31.0億円)でした。これについて全自病などは、「基金で対応すべき課題は地域によって違うため、施設・設備の整備ばかりを偏重せずに、地域の実情に応じて配分すべき」と訴えています。

 さらに、自治体病院ばかりが病床機能の転換を強いられることのないように、都道府県に対して国から的確な助言を行うべきとも主張しています。地域医療構想調整会議では、自治体病院の経営改善計画(新公立病院改革プラン)の内容をチェックすることになっています。もし、関係者間の協議の方向性と合っていなければ、プランを見直すことになっていますが、「自治体病院だけが機能を変え、民間病院は機能を維持して地域医療構想を達成する」といった安易な結論が出ることがないように、けん制したものです。

医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

 全自病等は、医師の地域偏在解消に向けた具体策にも言及しています。具体的には、「医師不足地域で一定期間勤務した実績」がなければ病院・診療所の管理者(院長など)になれない仕組みにすべきで、さらに診療科ごとの偏在をなくすために「専門医」数の制限も行う必要があると指摘しています。

 また医師不足対策として、夜間救急へのいわゆるコンビニ受診を抑制するため、「かかりつけ医療機関への受診」などを国民に促すべきとも主張しています。

 さらに、医師の働き方改革について、▼「応召義務」との関係を十分に議論・整理することが不可欠▼医師の労働には、実際の勤務時間と自己研さん時間が混在していて明確に分けられない▼医師の需給バランス面からも議論すべきで、現状では時間外労働規制の課題をクリアできるだけの医師等の増員は実現困難―といったことに十分留意して施策を検討するよう求めています。

 そのほか、▼診療報酬による補てん分を超えて医療機関が負担している「仕入税額相当額」(医療機器などの購入に掛かる消費税のうち、患者に転嫁できない額)が還付される「税制上の措置」を講じる▼来年度(2018年度)診療報酬改定で、医療機関の機能的コストなどを報酬体系に適切に反映させる▼がんの粒子線治療について、有効性や安全性が認められたものから早期に医療保険の対象に加える一方で、粒子線治療施設の「全国的な配置のあり方」(地域別の必要施設数など)を検討し、過剰な整備を防ぐ―といったことも要望しています。

 このうち次期診療報酬改定に向けては、全自病が今年(2017年)6月、9つの提言(全国で数施設しか満たせない施設基準を設定しないことなど)と128項目(出来高関連110項目・DPC関連18項目)の要望をまとめて厚労省に提出しています。11月14日の要望書では、9つの提言と128項目の要望事項を「十分に尊重」するよう求めてもいます。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15112717599211
在宅医療の体制構築へ 県、県医師会 12グループに機関証
2017年11月22日(水) 茨城新聞

県と県医師会が進める在宅医療推進事業がスタートした。訪問診療を連携して行う「医療提供施設等グループ化推進事業」で、12グループがつくられた。在宅医療の需要の高まりを背景に、切れ目のない医療体制を構築するとともに、新規参入を促すのが狙い。21日には水戸市笠原町の県メディカルセンターで機関証の交付式が開かれた。

同事業は、地域の医師会を中心に複数の医療機関でグループをつくり、在宅患者の訪問診療や夜間の急変時の対応を連携して行う取り組み。13日現在で県内62カ所の医療機関が参加し、9医師会を中心に12グループをつくった。2019年度までに54グループの形成を目指す。

県長寿福祉課によると、県内で在宅医療を必要とする患者は13年約2万2000人だったが、25年には4割増の約3万1000人に増える見込み。これに対し、訪問診療を行う人口10万人当たりの医療機関は360カ所(15年)にとどまっている。

県や県医師会は、グループ化により、24時間切れ目のない見守り態勢を構築。医師1人の小規模診療所の負担軽減につなげ、新規参入も促す考えだ。

同日の交付式には、県内の医師約50人が出席。菊地健太郎副知事が「地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを進めるため、全力で取り組みたい」と述べた。県医師会の諸岡信裕会長は「今日を第一歩として連携を進め、さらに在宅医療の輪を広げたい」とあいさつした。

各グループの代表に機関証が手渡され、水郡医師会の櫻山拓雄会長が「医師不足でマンパワーが不足している地域もある。今回のグループ化を力にして頑張っていきたい」と決意表明した。

グループをつくった9医師会は以下の通り。水郡医師会▽常陸太田市医師会▽那珂医師会▽稲敷医師会▽つくば市医師会▽取手市医師会▽きぬ医師会▽古河医師会▽日立市医師会 (成田愛)



http://www.huffingtonpost.jp/coffeedoctors/yamato-project_a_23286037/
やまとプロジェクト: 宮城県登米市で医師の"働く"を変える
これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。

2017年11月23日 13時05分 JST | 更新 2017年11月23日 13時05分 JST HUFFPOST

医療法人社団やまとがある、宮城県登米市。やまと診療所登米とともに、医師の新たな働き方の提案をしています。その背景には、医師不足からもう一歩踏み込んだ課題感がありました。

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医師の働き方や需給について話し合う厚生労働省の検討会で、医師の偏在解消のために強制的医師配置や、地方勤務医師の認定制度などの意見が出ている。

しかし私が東日本大震災以降、宮城県登米市での地域医療を中心に東京と循環する働き方を通じ感じていることは、「地方は医師の数が足りるだけでいいのか?」という、もう一歩踏み込んだ課題である。

そして、その1つとして地方の医療課題は医師不足でも医師偏在でもなく、医師のモチベーションにあるのではないかと考えている。

地方で働く医師のインセンティブ政策や勤務環境改善は、地方勤務のハードルを下げるが、大きなモチベーションアップにはならない。

多くの自治体で医師確保のために奨学金制度の設置や大学との連携を進めているが、現状、持続的な解決策にはつながっていないと感じている。

医師の採用のみでなく定着を目的と考えると、まず取り組むべきは、各自治体、医療機関が本質的に求める医療のあり方とどのような医師を必要としているかを考え、そこに来た医師は何ができるのかビジョンを発信し、適切にマッチングすることだ。

求めるビジョンに合わない医師を、所属大学・専門といった属性や報酬のみで働かせることに無理がある。

そういう意味では、各医療機関・自治体の医師人事戦略が大切で"挑戦する医師を発信するWebメディアcoFFee doctors"でも、適切にビジョン戦略を発信して成功している実例を取り上げてきた。

さらに地方では医師不足以上に、医療人材の流動性の低下と閉塞感が課題だ。実は、地方にはモチベーションの高い医師が相対的に多いと思う。

ただし、都市のような人が集まる場が少なく、そのような閉鎖的な環境の中で継続的にモチベーションを維持していくことは困難である。

都市部ではエネルギーの高い人たちが集まり、常にお互いを刺激する環境に恵まれている。そのような環境に身を置くことによって得られるものは、ネットでは得ることができない。

その観点からは、大学や大病院がある都市に行くことに意味があり、私自身、地方と都市を循環する理由の1つがそこにあると感じている。

そこで、都市と地方を循環して診療を行い、「診療を通じた現場課題に参加する、属性でなく嗜好性に合わせてその価値を正しく評価し業績とする。」そんな新しい働き方「やまとプロジェクト」を登米市から発信していきたいと思っている。

モチベーションを維持しつつ地域の現場から新しい課題を見つけ、地域の人たちとチームで解決する。この仕組みによって都市部の医師が地方と混ざり、双方にとって良い循環が生まれると考えている。

現在やまとプロジェクトでは"総合診療をベースに地域に参加できる医師"を求め、10名の医師が都市⇄地方と行き来しながら診療を行い、コミュニティ、行政、教育、研究、ビジネスのさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。働く日数は人それぞれで、ライフスタイルや嗜好性に合わせて従事している。

診療を疎かにするということでなく、今まで何となくやっていた医師の仕事を、仕事という価値のあるものとして可視化するためである。

特に地方はそのような診療以外のプロジェクトが多く、coFFee doctorsでもそのような働き方を取り上げて来た。そして、実は女性医師の働き方としても可能性を感じている。

これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。医師に求められる役割が病気を治す以外に、病気の予防、病院に来る前の介入に広がっているからだ。

外来、在宅、入院患者の診療をして、遠隔診療も始まり、学会や研究にも遠隔参加し、地域で勉強会を開催し教育も行う、ネットで情報発信し、行政、企業からも仕事を受けるなど、医師の仕事が多様化している。

それによって、それぞれの医師には所属や資格とは別に、個人としての資質が求められる。

その中で医師がモチベーション高く働く、正しく評価される、そんな働き方が今後重要になってくるのではないだろうか。

まずは医師に多様な役割が求められる地方こそ、自発的に新しい働き方を発信していくべきだ。

やまとプロジェクトHP
https://project.yamatoclinic.org/

【医師プロフィール】
田上 佑輔 
腫瘍外科・総合診療医 やまと在宅診療所院長。1980年、熊本生まれ。2005年東京大学医学部卒。東大病院腫瘍外科勤務を経て2013年より現職。医療を通じて日本を良くしたい、東京と宮城で在宅診療、地域医療を行う。



http://www.sankei.com/west/news/171120/wst1711200044-n1.html
残業100時間→150時間可へ増やす協定を労基勧告後に結び直す 岐阜市民病院
2017.11.20 12:24 産経新聞

 岐阜市立の岐阜市民病院が、労使協定(三六協定)で定めた月100時間の上限を超える残業を医師にさせたとして、岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けた後、上限を150時間に増やす協定を結び直していたことが20日、病院への取材で分かった。関係者は「緊急対応が必要な医師であっても考えられない」と批判している。

 病院によると、医師の残業を月100時間(年6回まで)、年間870時間まで可能とする労使協定を平成28年5月に締結した。同年11月、労基署の検査で上限を超過する医師が複数いることが判明。超過しない労働環境にするか、実態に合う上限にするよう是正勧告を受けた。

 対応を検討した同病院は29年5月、上限を月150時間(年6回まで)、年間1170時間に積み増す協定を結んだという。

 同病院の病院政策課は「労働環境の改善に努めているが、医療の現場では難しい部分もある」としている。「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表は「過労死ラインの月80時間を大きく超えている。根本にある医師不足の問題から解決するべきだ」と話した。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddq/041/040/005000c
岐阜市民病院
残業上限150時間に「是正」 院長インタビュー

毎日新聞2017年11月19日 中部朝刊

医師、どこまでが残業

 なぜ残業が長時間になるのか。岐阜市民病院の冨田栄一院長に、医師の労働実態について聞いた。【聞き手・高橋龍介】

 −−超過労働の実態について。

 ◆医師の超過勤務を厳密に測ることは困難だ。例えば患者が危篤状態となり医師が泊まり込んだ場合。未明に患者が亡くなったとして、私の経験からも、そのまま帰宅せず仮眠して通常の日勤に入ることが多い。上司の命令でなく自発的な行為で、どこまでが残業かは明確でない。時間外労働が何時間などと捉えにくい実態がある。

 −−そういう勤務を続けて健康への不安を感じたことは。

 ◆過労のため若いころに心筋梗塞(こうそく)にもなったし、脳膜炎にもなった。過労を何とかしなければならないと考え、支援スタッフの増員や病診連携の推進など対策を講じてきた。

 −−背景に医師不足があるのか。

 ◆外科や小児科など一部の診療科目で医師不足の傾向がある。研修制度の変化で、若い医師が勤務環境を比べられるようになったことも影響している。また、市立の病院は人事や予算の権限が市役所にあり、病院側で自己決定できない制約は大きい。人材獲得は競争であり、岐阜県立病院のように(意思決定を自律的にできる)独立行政法人化することも一つの方策だと思う。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddm/003/040/073000c
厚労省
医師不足把握に新指標 地理条件、偏在是正に活用方針

毎日新聞2017年11月19日 東京朝刊

 厚生労働省は医師の地域偏在を是正するため、地域ごとに医師がどの程度足りないかを示す新たな指標を導入する方針を固めた。そのデータを基に、医師派遣に関する都道府県の権限を強めるなどして平準化を図る。有識者検討会で年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法の改正案を提出する方針だ。

 これまで医師の偏在は、人口10万人当たりの医師数で議論されてきた。国の調査では、最多の京都府(308人)と最少の埼玉県(153人)との間に2倍の差がある。同じ県内でも、例えば愛知県の尾張東部(361人)と尾張中部(79人)では4・6倍の開きがある。だが医療のニーズは地域ごとにまちまちで、単純比較できないとの指摘もあった。

 そこで厚労省は、住民の年齢分布、近隣の医療圏への行きやすさといった地理的条件なども加味し、実態に沿ったデータを作ることにした。全国を約340地域に分けた2次医療圏ごとに医師の不足度合いを算出し、対策のベースとする。

 不足する地域での医師確保には、都道府県の権限を強める。多くの大学医学部の定員には、一定期間の地元勤務を条件に奨学金返済を免除する「地域枠」があるが、都道府県が定員増などを大学に要請できるようにする。地域枠の卒業生を医師不足地域に派遣したり、病院ごとの臨床研修の定員を調整したりする機能も持たせる。また、地域医療の核となる病院の院長になる要件に、医師不足地域での勤務経験を加え、キャリア形成の優遇を図る。

 診療科の偏在も改善を進める。この20年間で、麻酔科や放射線科、精神科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばいだ。厚労省は診療科ごとの各都道府県の需要を予測し、必要な専門医数の目安を示して勤務先を誘導する。来年度導入される新専門医制度でも、研修病院が都市部や大学病院に偏らないよう日本専門医機構が都道府県と調整することを、法律に明記する。【熊谷豪、河内敏康】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/569842
m3.com意識調査
大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1
再強化の可能性、4割が「不可能」

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 地方の医師不足を解消するため、様々な方策が検討される中で、自民党の国会議員などが強調するのが「大学医局の強化」(『自民党で「医師養成・偏在是正議連」が発足』を参照)。その是非、可否について考えを聞いたところ、当事者である医師では、賛否が拮抗していることが分かった。

Q 地域への医師派遣のため「大学医局」を強化すべきだと思いますか?
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 勤務医では「強化すべき」「すべきでない」「どちらとも言えない」がほぼ拮抗、開業医では「強化すべき」が43.5%と相対的に多かった。

Q 政策的手段により、かつてのように「大学医局」の力を強化することが可能だと思いますか?
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 「可能かどうか」では、勤務医、開業医とも拮抗したが、「不可能」が4割でわずかに多かった。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

 自由意見には、たくさんの意見が寄せられた。

・過疎地の医師不足、地方の医師不足は、大学医局の力を低下させた研修医制度のせいである。厚生労働省は、間違いであったことは決して認めないであろうが、大学医局が主体の医師派遣体制を復活させることが、若手医師の勘違いを正すためにも、日本の医療体制を確保するためにも必須である。【勤務医】

・臓器別の科ではなく、内科、外科の中にそれぞれ臓器のスペシャリストを置くべき。大学の医局は巨大なピラミッドの形にしておかなければ、医師の供給はできない。医師をある程度コントロールできる組織に属させておかないと収拾がつかなくなる。臓器別の小さな科の分けさせた厚労省の政策は間違いだったと認めて改善すべきである。【開業医】

・退職金も準備せず、福利厚生も与えない組織に誰が従うのですか?【勤務医】

・大学には大学、民間病院には民間の役割がある。対等の立場から意見交換をしなくては日本の医療は、崩壊する。IT社会において昔の医局制度回帰は、極めてナンセンスである。【勤務医】

・医局の権力を強化するかどうかではなく、少なくとも医師としての初期教育は大学がふさわしいと考える。大学を通らなかった医師には、その後問題のある人がいるように思う。【勤務医】

そのほかの意見は『大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2』に掲載

【調査の概要】
調査期間:2017年11月6日~11月14日
対象:m3.com会員
回答者数:2558人(開業医400人、勤務医1618人)
回答結果画面:「大学医局の強化」すべき?できる?



https://www.m3.com/news/iryoishin/569843
大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2
『大学医局の強化』すべき?できる?

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 m3.com意識調査で、 「『大学医局の強化』すべき?できる?」を尋ねたところ、たくさんの意見が寄せられた。その一部を紹介する。調査結果は「大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1」。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

・都市部への医師偏在が進み、地方大学では入局者の減少が目立つ。そのため地域病院への大学からの医師派遣は難しくなっている。やはり大学医局の強化を図る必要があります。大学でも研修できやすいように、大学医局の構造改革も必要である。大学講座の細分化しすぎているように思う。その一つとして、大外科、大内科構想も必要に思います。【勤務医】

・地域医療への大学医局の貢献を思えば、強化してさらに地域医療に役立ってもらうのが本筋だと考えます。【勤務医】

・医局を強化することによって、地域への医師派遣を行えるかどうかは医局の管理者の方針に依存する。個人的には大学医局の強化が地域への医師派遣には直接結び付かないと考える。大学に医師があふれる状態になるだろう。しかし、現状を改善するためには、大学に医師が溢れる状態をいったん作り、あふれ出る医師が地域に派遣される形を取らざるを得ないだろう。個人的には、人が多い病院と人が少ない病院で給与格差ができれば良いと思っている。現状では、大学に所属してアルバイトをすれば、市中病院並もしくはそれ以上の報酬が得られることも多く、肩書や給与、通勤の便利さなど、大学所属で困ることが少ない。【勤務医】

・医師教育は、体育会系に限ります。あたまのいい子が多いので、命令しないと、言うことを聞かない。【勤務医】

・現在、大学に勤めている身分からの意見ですので悪しからず。以前は論文を書いている人が偉くなった時代は終わったと言われていますが、現状はやはり論文での審査によります。自身が勤めている施設内では卒業生で好き嫌い人事が少し前まで横行していました。このため小生はだいぶ辛い目に遭わされましたが、いろいろ振り返ってみると辛かったことが身に付いております。小生も初めは論文なんか関係ないと思い込んでおりましたが、良き厳しい指導者のおかげで何とか雑草のように業績を積ませていただき、現在のアカデミックポジションを与えてくれました。最近は少しゆとりが出てきたためか、少しながら周囲を見渡すようにしています。好き嫌い人事でポジションを得た方々の様子を見ると、下の先生への指導力が乏しいことが自身にも解っておられるようで非常に追い込まれている先生もおられます。それではバイオレンス系で「俺が、俺が」の先生も周囲との関係の維持が困難で職場環境の問題が大きいようです。ちょうど中間の先生が居られないのが実情と思われます。昔、医学生の頃に恩師に言われた言葉ですが、「医師となり患者さんを助けることも重要だが、大学の教官となり沢山の学生に医学教育を施して良い医師を育て、そうして育った医師が、また沢山の患者さんを助けることも重要である」と語っておられたことを思い出す今日この頃です。この言葉を思い出すと、今後の医学教育に不安を覚えるのも事実です。大学教官が減少することは…つまり医師の養成にかかわるので、ある程度の大学強化は将来を見据えても重要なことと考えます。【勤務医】

・専門医制度を盾に強化することは可能だが、都会では効力を持たないであろう。現在の若い先生と話すと、一定の割合の先生方はフリーになることに抵抗もなく、医局に従属することに意義を見い出していないと思う。年齢を経るにつれ、徐々に増加していくと思う。女性医師については働き方の議論が進まなければ、医局に入る必要性を感じず、働ける病院で働くというふうに変化しているので、医局の強化では偏在がなくなると思えない。病院側もフリーの医師が増加することもあり、医師の雇用に医局が関与する意義を見出せないし、実際既に医局と縁が切れている病院が増加している。医局強化で自分の病院の医師雇用が今まで以上に順調にいくとは思えないし、医局側に支払う上納金が法人扱いの寄付に変化するというだけと思われる。【勤務医】

・それだけの実力を伴った医局でなければならないが、そうであれば地域の調和と義務とのバランスを取りやすい。現在は内容の伴わない施設間の競争時代で、義務のたらい回しも起こり、患者をはじめ関係者は誰も得をしていない。むしろ関係しない一部の気ままな自由診療だけが謳歌してその一部が結果問題になっていると考える。つまり義務を伴わない権利の横行が目立つ。有能な医局であれば義務と権利の適切な配分への道が可能であるかもしれないと期待したい。【勤務医】

・既に時遅しで、地方大学は疲弊していると思います。次は大学の復権よりも、地方の衰退が目立つようになるのではないでしょうか。医師もいなくなるが、住民もいなくなるように思います。【勤務医】

・医学部は多額の税金が投入されているので、医者になって数年間は地域に限らず病院で研鑽を積みながら奉仕すべきだと思います。教授や医局長が人を育てようと思い人事をしているなら医局の強化しつつ地域医療にも貢献できると思います。実際は自分や大学のことだけを思う人が増えているのではないでしょうか?【勤務医】

・かつてと異なり、大学は独法化され収益を求められるようになった。研修医は研修病院をマッチングや専門医制度の変遷はあったにせよ、いわゆる徒弟制度からはいったん解放された。一度、甘みを知ってしまった研修医、修練医は昔のような旧態依然した医局には属しませんよ。不満があれば直ぐ退局してしまいます。大学もそれが分かっているのか、昔のように上から目線で地方へ医師を派遣できなくなった。もう一度昔のようにはできません。働き方と一緒に新しい方法を模索しなくては。【勤務医】

・地域医療、へき地医療を云々するのであれば、大学医局の強化は図るべき。しかし、医局の強化をするのであれば、その医局の舵取りをする教授の独断的な判断・独裁を許さないようなシステムを作っておくべき。【勤務医】

・大学医局の強化はアカデミックな視点のみが重要であり、その点では強化する意味があるが、医局制度で地域への医師派遣を考える時代は終わった。【勤務医】

・内科分野では、大学医局の強化によりいわゆる「専門バカ」と言われる専門領域以外には診療しない医師がさらに増加する可能性がある。このような医師が地域の民間病院に派遣されると正直あまり地域では役に立たない。地域医療では一人で何役もこなさないといけない現状がある。日本内科学会も、臓器別医療に対する反省から、内科全般を診療できる医師を養成するという方針を立てており、医局強化はこの方針に反することになる。よって、大学はあくまでも専門科を養成する教育機関として今後も活躍してくれればよく。それ以外に、地域で多くの役をこなせる「使える」内科医をさらに養成する方法を考える必要があるのではないでしょうか。私自身は、片田舎の民間病院に勤務していてそう思います。【勤務医】

・地方の人員確保だけを考えるなら有効な手段。ただし、働く側から見れば、家族の都合も何もなく、へき地から都市部まで、引っ越しのための休みももらえず短期間で移動を繰り返すのはかなり厳しい。結局、民間病院でも魅力のあるプログラムを提供しているところはあるので、政策的に強化しようとしてもそちらに流れるのでは?自分は医療過疎地と言われる県の大学卒業ですが(出身地は違う)、結局奨学金や地域枠の制約をぶっちぎって他県の魅力的な民間病院に流れた同級生が複数いました。【勤務医】

・大学医局が人材育成のために骨を折るのであれば強化もよいかもしれませんが、教授という”支配者”の個人的利益を満たすための組織体であれば、強化せず、研修医や後期研修医は国が人材配置をできるような仕組みのほうが、医師の偏在問題や研修内容の差異を埋めるに公平性があるようにも思える。しかし、職業選択の自由はその人本人のものであり、どこまで介入すべきかは難しい。【勤務医】

・組織よりも個人の価値観が重くなっている現在では、人事を中心とした運営で、医局に医師を引き止める事は非常に困難な状況にあるのではないでしょうか。医師の教育を中心とした運営で、個人のメリットを強調することが大切だと思います。【勤務医】

・大学医局制度が日本の医療界を悪くした。もし大学医局を強化するのであれば、主任教授の任期を2、3年程度にする必要がある。【開業医】

・弱体化してしまった大医学医局はなかなか強化は難しいが、日本全体として医師適正配置としては重要と思われる。医局に集団でいるメリットを見い出せたらいいと思う。【開業医】

・教授以下、講師までの雇用条件を改善することの代わりに、李下に冠を正さず、医局費・研究費の適正利用で医局員の専門性の高い指導をすることが肝要と思います。医療業界のごっちゃん体質はあり得なく、患者や疾病が医師人生の教科書であることも肝に銘じることも必要です。【開業医】

・非常に狭い特定分野の研究者のための医局では臨床スキルを指導することはできないし、有能な臨床医は育たない。だから臨床医を目指す医学部卒業生は大学から離れていったはずである。さらに言えば、地域への医師派遣というのは大学医局の役割ではない。大学医局の「研究者教育強化」なら理解できる。【開業医】

・大学の仕事は、研究、教育、診療であり、政治(人事による医師や関連病院を支配して利権を争うこと)は筋違いで大変迷惑です。【勤務医】

・各地域の実情をよく知っている医局が医師の適正配置を行うのが最も良いと思う。国で一律の医師再配置はうまくいかないと思う。【勤務医】

・内科系は医局も統合化されてしまい、もともと大きかった分野の権力がさらに増大し、当科のようなマイナー内科はさらに苦境に立たされてしまう。人口減に立たされる国にとっては、そもそも医療をこれまで通りに地方の隅々にまでいきわたるようにすることは困難であり、アメリカのように病院に旅行するというような発想に転換が必要かもしれない。地方や都会に住むというリスクとベネフィットをそもそも明確に個人が把握するような議論が必要と考えられる。日本国内に住んでいれば、全てのサービスを平等に享受できる時代は終わったという認識が必要。【勤務医】

・地方の人事は大学医局に頼るしかないのが実情。しかし、その際に人事権は教授から剥奪して、大学に独立した人事部を創設すべき。【勤務医】

・私自身大学に所属しているが、臨床への理解度が低い研究畑の教授が人事権を持つケースが多く、大学医局の医師派遣への貢献は大きいが臨床研修の面等からも望ましいとは言えない。【勤務医】

・地域医療は疲弊しており、マッチング制度ができてからますます若い医師が赴任していないような気がします。ますます悪化することが予測されるため医局の強化というのは必要ではないかと思います。【勤務医】

・20年以上医者をやっていたものからすると、地域医療にとっての大学医局は必要悪のようなものだったのでは?私自身も若いころに地方の公立病院に医局人事で行きました。個人的には良い経験であったと思います。ただし,地方の病院でも,大都会の有名施設と同様の医療を受けたいというニーズがある現代には,若手だけを地方に廻すようなシステムでは,マッチしていないのでしょう。また,医師の世界(出身大学にもよるのかもしれませんが)は、以前は徒弟制度みたいな感じでしたが、今はそれを良しとはしませんからね【勤務医】

・一度自由な研修を受けた若い先生方が以前の徒弟制度に戻れるとは思えない。また、さとり世代以降の考え方では医局や教授に彼らの生き方が縛られるとは思えない。【開業医】

・2004年度の初期臨床研修の必修化は,医学教育における「ゆとり教育」以外の何物でもない.ダメなものはダメと結果を認め,「ゆとり教育」を廃止したように元に戻せばいい.【勤務医】

・会社では人事での異動先を原則的に拒めないように、医局制度下でなければ、医療過疎地を助長することになる。政策的手段では医師個人の選択の自由が優先されてしまい強制力は生じない。【勤務医】

・医局が人事権を持つと、好き嫌いで人事が決まり、コネだけの社会が強化される。それよりも、手術件数、外来件数、検査件数、論文件数などの客観的な指標で人事を決めるべき。【勤務医】

・新専門医制度によって必然的に医局に関わらないと専門医を取れなくなっている。初期研修後から関わるので、明らかに医局を中心としたキャリア形成を今の若手は迫られている【勤務医】

・大学医局を強化するためには、医学博士を持つことの利点を明確化するという方法が考えられる。臨床論文のポイントで学位申請を行えるようにすることで、ある程度実用化が可能なのではと思われる。【開業医】

・絶対反対、白い巨塔の再現、臨床経験の圧倒的に多い野戦病院に若い時行くべきです。教授の命令で老人病院にバイト、短期間の勤務なんかさせられたら、貴重な若い時期の成長期がなくなります。【開業医】

・医局強化はかつての大学教授の専制的な権力増強を復活させるだけで、何のメリットもないと思います。行政が責任をもって地域への医師配置に努力すべきだし医師の集まらない地域では現状より医師が集まりやすくなるようなインセンティブつけるべきであろうと思います。【勤務医】

・大学は各地方の医学教育と人材育成の要なので、特に地方では大学を中心とした人事の流れが、その地方の医師の供給を支える原動力となると思います。しかし、若い医学部卒業性には、都会に出て良いというお墨付きが与えられているので、地方の大学医局が人事の中心に再びなれる可能性は、ないではないが困難を伴うでしょう。【勤務医】

・大学医局は本来医学的研究のためにあるものであって医師派遣業ではない。派遣業がやりたいのならそれに相当する能力のある組織で労働法令に則った合法的組織である必要がある。大学教授にその能力はない。【勤務医】

・このままでは大学には人がいなくなってしまう。大学は臨床だけでなく、教育、研究を行う場所であり、マンパワーは一般病院よりも必要。大学に属したことがない医者が増え、その結果、一度も研究したことがない医師、一度も論文を書いたことがない医師が増えてしまう。決して良いことではない。【勤務医】

・大学医局に頼らなくても自己研鑽や勤務先の選択を行うルートがあるため、大学医局の強化は不要と思う。【勤務医】

・大学の労働状況がブラックである以上、医局の力を強化すると若手医師が疲弊するので反対です。また、政策により医局の力を強化しても、賢い医師は何とかして都会の市中病院に逃げるだけだと思います。【勤務医】

・近年、医療技術や知識のみならず医師としてのモラルを著しく欠いた医師が、地方とは言え公的病院でも増えていると聞きます。これは医局制度の「崩壊」に伴って起こった必然的な現象であると思います。これらのゆがんだ医療状況に対しては改めて厚労省が責任を持つべきです。具体的には、厚労省病院局の指導により全ての公的病院の医師の採用に当たっては所属する医局からの推薦を必須とする旨を徹底すべきでしょう。【勤務医】

・医局の強化は地方への医師派遣などで一定の役割はあるが、新専門医制度はあまりに自由度がなく、プログラム外の施設での研修ができない。強化するにしても、自由度は高くしなければ時代には合わない制度だと感じる。【勤務医】

・地方の大学病院の入局者が少ないのは良く無いと思います。東京の集中は後継者の問題もあり、厳しい現実があります。フリーターとして、東京から戻らない方も多いです。【勤務医】

・私は医局制度時代の医師です。研修医制度さえ作らなければ今のような状況は起こらなかった。そこに、さらに専門医制度などと無意味なことをしようとしている。政府が失敗を認めさえすれば医局制度の復活は容易であり、医師不足解消など簡単にできるでしょう。【勤務医】

・医局を強化する以上は、公立病院に勤務している医師に対してもwin-winな関係を築いてほしい。医局のみを強化することにアップアップしている教授には辟易している。【勤務医】

・大学医局というと「白い巨塔」のイメージが今でもつきまとうのは時代錯誤と言わざるを得ない。社会問題化する地域医療の危機の多くは地方のしかも県庁所在地以外で起こっている。そのような地域の中核的医療機関(地方自治体の公的病院が多い)を支えているのは地方大学である。地域医療の医師偏在による医師不足は地方大学の医局に医師が少なくなったことによる。これが新臨床研修制度導入後に起こったことは事実である。全国医学部長病院長会議のデータを見ても大都市(県庁所在地で人口が50万以上)に存在する大学では新臨床研修制度導入後も大学に残る医師は減っていないが、中・小都市(県庁所在地人口が50万未満)に存在する大学では半分以下に落ち込んでいる。この制度を改革しない限り(言い方を変えれば地方大学に医師が残る制度)医師偏在は解消しないだろう。地方大学の医局が強化(医師が増える)されることは地域医療の維持のために必要である。【勤務医】

・地方大学の医局に人が入らなくなり、離島への医師の派遣も困難となっている。そればかりか、市中病院で研修をすることが一般化することによって、特に地方では内科・外科といった命に直結したメジャー系への志願者が減って、今後手術や内科治療を担っていく若手が減ってしまっていると感じられる。【勤務医】

・医局を崩壊させた国策によって医療崩壊が進んだ。関与した官僚全てを解雇し、大学医局を強化するか別の組織が医師の配置をコントロールすべき。少なくとも臨床経験10年未満はコントロールすべき。【開業医】

・国立大学は地域枠を一定枠を多めに(20~30人)は必ず確保する。就業義務遵守に関しても、法律的に保護する。難関化する医学部入試で、地域医療を頑張りたい志が高い若者を一定数、確保することが大事。【開業医】

・教授回診の重要性、教授の人格・人間性、研修医、基礎系の大学院での研究、Ph.D.としての海外留学、チーフレジデント、病棟医長、講師、医局長、全てが、人生にとって、重要なプロセスでした。今は、卒後、TOEFLを取り、米国で、臨床研修することがはやっています。その時代、その時代での流行と思います。医局は、いつの時代においても、その核となります。【開業医】

・以前の医局には戻らないように、そして地域病院と連携してそれぞれ役割分担しながら医師養成を行うことがよいと考えている)。大学医局とgive and takeで連携していけなければ存続できない。【開業医】

・医局は強制することも一部可能であるが、国、地方自治体、学会などからは強制できないため医局にお願いというところなのだろう。しかも、医局のせいにできて好都合になる。医局は悪いところ、教授は悪の権化となる。芸能人医師(ただの評論家)、医療マスコミは批判を強める。このアンケートでも医局に対して悪意を感じるが。【勤務医】

・医局の強化=教授陣の強化だと思いますが、今の給与体系では優秀な教授は国公立大学には残らないでしょう。【開業医】

・大学医局が全て悪いとは思いませんが、縄ばり争いになりやすかったり、医局が地方病院を自分の傘下において支配しているようになりやすいと思います。地方病院からの寄付や中堅医師や高齢医師の就職先(天下りのような関係)として扱う傾向に不安を感じます。誰のための医療なのか、疑問に感じます。中堅医師を1-2年後に派遣して地方の医師不足を解消しているようなことを主張することがありますが、患者にとってはすぐに担当医が変わる外来は決して気分が良くないと思います。まあ、横柄な医師が変わってくれてよかったと思うこともあるかもしれませんがね。何のために大学医局を強化するのか?大学医局の存在意義は何なんですか?主任教授の力支配欲ですか?大学医局を強化するより、患者・国民のために医師不足や医師の偏在をなくす全国的視野を持つ医師政策、医療政策を立案できないですかね。【勤務医】

・大学医局の弱体化によって医師の偏在を補正するだけのマンパワーを派遣元の大学病院が確保できていない。メリットデメリットはあるだろうが、女性医師の産休や育休が自由に取れていない今、大学医局に医師を集中させ、その分、男性含め休暇をしっかりと取得させる働き方改革が望まれる。【勤務医】

・医局を強化し、人員を確保出来れば、医師偏在が解消可能性はあるが、それは適切に医局が医師派遣をした場合であって、派遣する側が、僻地の医療機関の足元を見て無理難題を押し付けてこないとも限らない。【勤務医】

・利点と欠点がある。偏在是正のためなら、研修医制度を含めて総合的に、現場の医師が納得できる仕組みが必要。小手先の改革(改悪?)は現場が混乱するばかり。教授の主張が正しいとは限らない。むしろ教授個人の社会的責任を追及する制度が必要。【勤務医】

・入局時から都市部の人気がある病院ばかりを回る医局員と、地方の野戦病院ばかりをドサ回りさせられる医局員とに分かれるので「大学医局の強化」には断固反対です。機会の平等がなくなります。【勤務医】

・医局は同窓会同様の私的団体にすぎない。政治的に介入するのなら、根拠法が必要。医師も労働者。供給が足りないのなら給与を上げるなどして需要が充足されるよう、いわゆる神の見えざる手が働くのが正常な社会。年収1億円くらい提示したら僻地の医師不足など瞬く間に解消するだろう。売り手市場の今、なぜかくも多くの医師が自らの給与を下げるような方向性(医師派遣とか医局の力強化とか)で活動するのか不思議でならない。【勤務医】

・過去の栄光にすがるのが良いことかどうかは分からないが、昔はそれが良かったのかもしれない。地域医療と大学での研究人材を一緒にとらえているからなのでは?そもそもの医療のありかたから考え直す必要があると思います。【勤務医】

・地域への医師派遣は大学医局からのほうがスムースだろう。そのためには大学医局の強化は有力な方法だが、一方で大学医局の強化は諸刃の剣である。関連病院への医師派遣を医局内の誰が決めるのか?教授か、同門会の民主的な会合か?人事権を教授一人が持つようになれば医局員や同門会にとっては悲劇である。【勤務医】

・無給医局員の廃止し、大学院生にも労働に応じた賃金を支払う。大学によっては、技師、事務、看護師よりも給与が少ないため、職業に見合った給与を支払うべき。また、技師、事務、看護師の給与を減額するべきである。医師の労働環境の悪化は、看護師が医師への責任転嫁による部分もあるため、看護師にはこれまでよりも広く責任や業務を担っていただく必要がある。事務の給与が大学病院内で最も低くあるべきである。【勤務医】

・大学派遣の場合、地域医療の大切さは分かっていても、片道切符では誰も行きたがりません。ローテ―トできっちり規約をつくれば、心あるものは行くと思いますし、臨床の技能は上がります。【勤務医】

・今始まろうとしている新専門医制度のあり方次第ではあると思うが、大学医局に所属しないと専門医を取得できないようにしてしまえば、自然と大学医局の強化にはつながると思われる。しかし、嫌がる人も多いと思う。【勤務医】

・ある種非営利団体であること、組織存続のために医局所属の個人に負担を強いていること、出世しても経済的メリットはほぼないこと、所属しなくても罰則がないこと。これらがある限り医局復権はない。【勤務医】

・目的と手段が大きな課題。関連病院の支配強化のために専門医機構を利用したり、次世代の人材育成が二の次になるようでは困る。人材育成とともに地域医療の安定に寄与することが重要。企業べったりの講演活動や上納金集めばかりするではダメです。【勤務医】

・大学医局人事も色々問題あるが、それでも個々の医師の力量と専門性と家庭の事情(優先順位低いときもあるけど)を考慮しやすいし、技術不足や急な欠員な場合の人的フォローも出しやすいので、やはり顔の見える程度かつ互いの仕事を知っている関係での人事が一番良いと考える。良い医局は医師を育てる。悪い医局(厚労省や社保庁のようにただ権力行使に快感覚える精神異常者が多数いる医局)では医師は育たないけど。【勤務医】

・救命救急センターレベルにある医療機関以外への医局員の派遣がほとんどない。それは一般救急病院でも症例数の激減により専門医訓練施設から外れているためである。医局機能の低下も一因かも知れないがそれだけではないであろう。若い医局員は症例数の多い、都市部の病院を希望しており、以前は嫌でも地方や人口の少ない地域にも、パートのような形でも診療応援に行っていたがそれも少なくなった。最近は大学に近い地域の当直・パートが殆どではないか。大学も救急をしており医局員を外に出したくないのであろう。救命救急センター優遇と専門医訓練施設基準が是正されなければ医局強化が可能であったとしても何も変わらないかもしれない。【勤務医】

・とんでもない発想で、学閥を助長し、世間の狭い教授の横暴を許すにすぎない。現在の医局は即刻廃止で、医師個人や病院の経営などに責任も持てないで、その人事を左右するなんて、根本的に間違っている。大学の講座は研究と高度な臨床教育と学生教育に徹し、研究者を養成する機関として存在するにすぎない。またその医局は病院の医局と同様に医師の集まりにすぎない。【勤務医】

・医局の強化とは、人員配置権限を強めることだが、地方大学では、大学に優秀な人材は残っていないところが多く、教授のなり手も少なく、レベルダウンしている。権限だけ強めても困ったことになる。【勤務医】

・このような制度は欧米ではありません。欧米は出身大学と研修する病院とは別の事も多く、大学医局の強化は変な封建主義になります。むしろ個々の素晴らしい病院を育てるべきで、国も援助すべきです。大学医局は人材も少なく、むしろ教授には臨床のできない先生も多いですので、大学は医学生教育と海外に負けない研究に集中すべきと思います。【勤務医】

・大学医局の実態を知らない馬鹿な議員さんの意見で、そうなれば個人の人権・権利が侵害される状況を危惧する。医師がその勤務場所が医局に縛られると、教授・医局長の好き好みの支配が横行されることになる。また大学の名のもとにあたかも医師の教育がなされている印象をもつが、実態は一般病院に劣っている。またバイトで生活費を稼ぐ環境にあり、医師を育てる土壌はない。日本の医療の後退を意味するからとんでもない発想としか言いようがない。【勤務医】

・単に以前の状態に戻ることは少なくとも望ましい初期臨床研修の実態に合わないし、戻したくても戻せないと思う。ただし、後期研修以降に関しては大学医局からの派遣という形にするのが、教育・地域医療への貢献・専門医の適正配置のコントロールという面から妥当ではないかと思う。教授への権力集中を避けながら、医療の均霑化を図る方法を新たに模索しつつ「大学医局」を強化するのは1つの選択肢ではないか?【勤務医】

・現在のような中途半端な研修をやめて、大学医局に早く入局して研鑽を行い、しばらく医局内で研修した後に、救急や産科などに一定期間出向して勉強した方が良いのでは。色々な意見はあると思いますが、各大学医局の責任において各病院の人事を行う方が合理的でしょう。【開業医】

・大学医局、市中病院、などという外形的区分に実質的意味はない。良い医療、良い教育、良い研究は、併存できるかも知れないし、分離すべきかもしれない。それはどちらでも良いが、大学医局じゃなければならない、などという根拠なき主張には、いったい誰と戦っているのかと思わされる。医師同士はチームであり、戦うべき相手は、社会保障費の問題であり、海外勢であり、産業界であり、研修医が死んでしまうほどの劣悪な職場環境、学生のクラブ活動の延長線上のガバナンスである。【勤務医】



http://www.medwatch.jp/?p=17055
2018年度、診療報酬のマイナス改定を要請—中医協・支払側委員
2017年11月22日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、国民皆保険制度の維持、国民負担の抑制、経済の成長などを勘案してマイナス改定とすべき—。

 中央社会保険医療協議会の支払側委員は11月22日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛ててこのような要請(平成30年度診療報酬改定に関する要請)を行いました。年末にかけて、改定率を巡る議論がますます熱くなっていきます。

診療報酬本体のマイナス改定を求めるかについては、支払側内部で意見割れる

要請を行ったのは、▼健康保険組合連合会▼国民健康保険中央会▼全国健康保険協会▼全日本海員組合▼日本経済団体連合会▼日本労働組合総連合会—の6団体です。

「医療費を含めた社会保障費の増大は経済成長の足枷となる」「医療費増に対し、現役世代人口が減少するため国民皆保険制度の崩壊につながりかねない」「賃金・物価水準が上昇しない一方で診療報酬本体はプラス改定が続き、ギャップが大きい」ことを指摘し、国民負担を抑制するために「2018年度には診療報酬をマイナス改定すべき」と6団体は要請しています。

ただし「マイナス改定」が、薬価などを含めた「ネットのマイナス改定」にとどめるのか、「診療報酬本体のマイナス改定」をも求めるものなのかについて、支払側の意見は統一されていません。

会見を行った、健保連の幸野庄司理事(中医協委員)は「診療報酬本体のマイナス改定を求めたい」旨を明言。一方、連合・総合政策局の平川則男局長(中医協委員)は「かつての診療報酬本体マイナス改定で地域医療崩壊という事態を招いた。医療提供体制への影響を慎重に見極める必要がある」と述べ、診療報酬本体のマイナス改定には慎重姿勢をとっています。また、全国健康保険協会の吉森俊和理事(中医協委員)は、「保険者としては診療報酬本体のマイナス改定も必要と思うが、一方で、医療機関で働く人の待遇という問題もあり、一歩踏み込んで『診療報酬本体もマイナス改定』と言い切ることは難しい」と、両者の中間的な意見を述べるにとどめています。

 このほか6団体は、▼医療・介護連携、効率化を主眼に、「地域包括ケアシステムの構築」と「医療機能の分化・強化」を推進する▼急性期をはじめとする患者の状態像に応じた適切な評価を推進する▼患者本位の医薬分業に向けて調剤報酬を適正化する▼後発品の使用を促進する—ことで医療費の適正化・効率化を図るよう求めています。



http://wic-net.com/report/3152/1.html
注目の記事 [医療提供体制] 地域医療構想の進め方で議論の整理案提示 WGで厚労省
地域医療構想に関するワーキンググループ(第9回 11/20)《厚生労働省》

発信元:厚生労働省 医政局 地域医療計画課   2017年11月20日(月) Wic Net

関連資料 http://wic-net.com/report/3152/1.html#al01
PDFダウンロード http://wic-net.com/report/3152/1.html#al02

今回のポイント
●厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示
○整理案は、骨太方針2017に明記された、個別病院名や転換する病床数等の具体的対応方針を毎年度作成するよう、都道府県に指示
○過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった際には、都道府県が当該医療機関に対して理由書などの提出を求め、正当な理由が認められない場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床機能を転換しないことを命令または要請することができることを明記


 厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示した。これまでのWGや親検討会での審議内容を反映させ、地域医療構想調整会議の運営方法や情報共有のあり方、過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった場合の対応-などを記載した。
 骨太方針2017には地域医療構想調整会議について、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年程度で集中的な検討を促進する」と明記されていることから、議論の整理案は都道府県に毎年度、具体的対応方針をとりまとめるよう指示。内容にも注文をつけ、調整会議で2025年における役割と医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の(1)2025年を見据えた地域において担うべき役割、(2)2025年に持つべき医療機能ごとの病床数-が含まれていなければならないとした(p63参照)。

 開設主体別の対応手順では、公立病院、公的医療機関について、新公立病院改革プランと公的医療機関等2025プランをそれぞれ策定した上で、2017年度中に2025年に向けた具体的方針を調整会議で協議することと定めた。このうち公立病院は、へき地医療、救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算医療、高度・先進医療、広域的な医師派遣の拠点としての役割が期待されていることに十分留意するとともに、地域においてこれらの医療を公立病院が担うことが適当であるのか、確認する必要があることを示した(p63~p64参照)。

 病床機能報告において、6年後の病床機能を地域で過剰な機能に転換する意向を示した医療機関があった際には、都道府県が▽理由書の提出▽調整会議での協議への参加▽都道府県医療審議会での理由の説明-を要求。正当な理由が認められない場合には、都道府県医療審議会の意見を聴いて、病床機能の転換をしないことを命令(公的医療機関)または要請(民間医療機関)できることを明記した。全病床が稼動していない病棟を持つ医療機関に対しても、調整会議の場で病棟が稼動していない理由や今後の運用見通しを説明することを都道府県が要求。病棟を維持する必要性が乏しいと判断された場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床数の削減の命令または要請が可能であることを示した(p65~p66参照)。

 調整会議における情報共有のあり方では、都道府県に対して、病院ごとの診療実績データなどの提供を指示。具体的には、▽高度急性期・急性期機能:幅広い手術の実施状況、がん・脳卒中・心筋梗塞などの治療状況、重症患者への対応状況、救急医療の実施状況、全身管理の状況など▽回復期機能:急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリテーション・早期からのリハビリテーションの実施状況、入院患者の居住する市町村やケアマネジャーとの連携状況▽慢性期機能:長期療養患者の受入状況、重度の障害児などの受入状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況、入院患者の状況、入院患者の退院先-などの提出を求めた(p67~p68参照)。
資料PDFダウンロード
資料1 P1~P12 0.9M
資料2 P13~P42 3.6M
資料3 P43~P61 1.0M
資料4 P62~P82 1.4M

関連資料
[医療提供体制] 厚労省研究班が急性期機能の指標策定 地域医療構想WG3
http://wic-net.com/report/3016/1.html



  1. 2017/11/25(土) 10:22:34|
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11月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/569804
真価問われる専門医改革
新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割
内科2554人、総合診療158人、東京の眼科などで調整も
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は11月17日の理事会後の記者会見で、11月15日に締め切った1次登録者数は、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たる7989人に上ることを公表した。最も多いのは内科で2554人、新たに基本領域に加わった総合診療は158人。それ以外も含め、全19の基本領域別の登録者数は、地域医療への影響を検証した後、公表する予定。

 10月10日の1次募集開始時点の専門研修プログラムは3060だったが、その後、3つの総合診療のプログラムが追加、全3063のプログラムの募集定員総数は、1万9093人(3060プログラムの都道府県別の数は、『新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】』を参照)。今月末までに調整を行い、12月15日までに採否を決定、12月16日から2次募集を開始する。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「初期臨床研修を終えようとしている医師の約9割に、新しい専門医制度に登録してもらったことは、ありがたいと同時に、責任の重さを痛感する」と語った上で、「都市部への専攻医の集中はほとんどない。過去5年間の専攻医の平均採用実績を大きく回っているところはない」と説明した。

 新専門医制度は、都市部への医師偏在を増長するのを防ぐため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、医師不足の外科など4領域を除き、過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えないように調整することが必要(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「東京都であふれていないかを今、検証している。それほど大きくオーバーしている領域はないが、眼科は前年度の採用数よりも50人ほど増えている。この辺りに心配がある」と語った。脳神経外科以外の領域は、研修プログラム制による専攻医採用実績についての過去5年分のデータがないため、「医師・歯科医師・薬剤師調査」なども照合して、検証を進めるという。なお、厚生労働省も、各基本領域の学会から、1次登録状況について報告を求め、検証する方針。

 7989人のうち、各専門研修プログラムの募集定員を超えたのは、計75人。専攻医登録用のIDを取得したものの、1次登録をしなかった医師が110人。これらに加えて、1次登録で調整の結果、研修先が決まらなかった医師などが、12月16日から開始予定の2次募集で登録することになる。

 1次登録者の大半は現在、卒後2年目の臨床研修医と想定される。2016年3月の医師国家試験の合格者数は8630人。ここには卒後、基礎医学等に進んだ医師も含まれるが、卒後2年目の臨床研修医の約9割が、専門医研修に入ると見込まれる。

 PMDAとAMEDの勤務経験、専門医更新の実績に
 そのほか、17日の理事会では、初期臨床研修が年度末の3月に修了せず、年度途中から専門研修を開始する場合の対応方針も決定した。年度当初から開始する専攻医と同じ募集定員枠内で研修先を決定、研修開始時点から各領域の所定期間(3~4年)、研修を行う。

 「今後、医師の働く場が広がってくる」(山下氏)ことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本医療研究開発機構(AMED)については、その勤務期間を専門医更新の際のキャリアとして認めることも決定した。各学会に対応を依頼する方針。山下氏は、「患者を診ているわけではないが、医学的な知識をフルに活用して仕事をしているため、診療と同様の実績として認める」と説明した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171117171750
地域医療に配慮した診療報酬になるよう改善を
全自病などが要望
 
2017年11月17日 17:30

 全国自治体病院協議会(全自病)などは、地域医療に配慮した診療報酬になるよう改善を求める要望書を、厚生労働省と総務省に提出した。医師の地域偏在を解消するため、医師不足の地域での一定期間の勤務の義務付けなども要望している。【松村秀士】

 要望書では、医療技術の適正な評価などを適切に反映させた診療報酬体系にすることを求めた。また、地域医療で重要な役割を担う中小病院、特に中山間地域の中小病院は現在、適切な医療提供体制を確保できるかどうかの岐路に立たされていると指摘。今後もその体制が確保できるよう、「地方に配慮した診療報酬制度になるよう改善すること」とした。

 また、医師の地域偏在や診療科の偏在を解消するため、需給調整に必要な開業規制と診療科ごとの医師数規制の導入を検討し、医療提供体制の「均てん化」に向けた対策を早急に実施することを求めた。具体的な施策として、▽病院や診療所の管理者となるために医師不足の地域での一定期間の勤務実績を条件とする▽地域医療の確保に関する責務を明確化し、国に検討の場を設ける―ことを挙げた。

 2018年度から開始予定の新専門医制度については、導入による医師の地域偏在などの悪影響の懸念が完全に払拭できていないと強調。同制度によって医師の地域偏在や診療科偏在が助長されないことを国が責任を持って検証した上で、日本専門医機構や関係学会に実効性のある対応を求めるといった必要な対策を講じるべきだとした。

 病院勤務医の労働環境の改善策に関しては、かかりつけ医への受診などで救急医療体制を確保するとともに、勤務医の負担軽減につながるような周知活動を継続的に行うことも要望した。

■措置入院患者の入院先、「高規格」の精神科病棟に限定を

 要望書では、精神科医療にも触れており、措置入院や医療保護入院などに関して、質の高い入院医療と退院後の適切なフォローアップが重要だとした上で、「高規格の精神科病棟に入院先を限定すべき」だとした。また、その際、医療法上の「精神科特例」を廃止し、精神病床について一般病床と同じような施設基準と医療費給付にするよう求めた。

 要望書は、全自病のほか、全国自治体病院開設者協議会や全国自治体病院経営都市議会協議会、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、国民健康保険中央会の計10の組織が共同で取りまとめたもので、14日に提出された。



http://www.medwatch.jp/?p=16942
地域枠の医師、「理由なき公立病院への派遣」を委員がけん制―社保審・医療部会 
2017年11月17日|医療計画・地域医療構想 MEDWATCH

 「地域枠」で養成した医師の派遣先などは、開設主体(民間や公立など)の種別にかかわらず、病院が担う役割に応じて決めるべき―。

 社会保障審議会・医療部会が11月10日に開催した会合では、このような原則が確認されました。この日のテーマは「医療提供体制に関する現状と課題」で、ほかに、有床診療所の役割などについても話し合いました。

ここがポイント!
1 地域医療支援センターが調整した医師の派遣先、公立病院に偏り
2 地域偏在対策は都道府県と二次医療圏のどちらを中心に考えるべきか
3 専門特化型でない有床診は「医療・介護の併用モデル」に?

地域医療支援センターが調整した医師の派遣先、公立病院に偏り


 わが国の医療提供体制において、医師の偏在が大きな課題としてクローズアップされています。診療科や地域(大都市が多い)によって医師の偏りが見られますし、少子高齢化が今後進むにつれて、患者側のニーズが急速に変わっていく(慢性疾患を複数抱える高齢患者が増える)と想定されます。

 そこで、診療科や地域ごとの医師偏在を解消しつつ、医療ニーズの変化に対応できるようにするための施策が国や都道府県に求められています。具体策は現在、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」で話し合われています(関連記事はこちら)。

 医師需給分科会では、医療提供側が自主的に偏在を解消するために、「地域の医療提供体制の可視化」(診療科ごとの需要と供給がどれだけあるか)や、都道府県内でも医師が足りない「医師少数区域」への医師派遣などさまざまな策が検討されています。

 11月10日の医療部会では、医師偏在の実情や、その対策の検討状況などを厚労省が報告しました。その中で、医師の派遣先を開設主体別(公立・公的・民間)に調べた結果が示され、開設主体と医師派遣の関係をめぐって委員や厚労省の担当者が意見を交わしました。

 このデータは、2015年4月から17年7月の「地域医療支援センターによる修学資金貸与者の派遣調整の実績」を、厚労省が調べたものです。派遣先の医療機関の開設主体別に、派遣された医師数を割り出した結果、公立病院への派遣が最も多く、民間病院への派遣はほとんどありませんでした(公立693人・公的485人・民間30人)。
 これを見た中川俊男委員(日本医師会副会長)は、地域医療支援センターによる派遣調整が、公立病院などを優遇しているとしたら問題だと指摘。神野正博参考人(全日本病院協会副会長)も、開設主体別に「明らかに差異がある」として、「『民間病院に残れ』という話ではなくて、病院の(地域への)貢献度を(開設主体に)かかわらず評価した上で派遣してほしい」と要望しました。

 医学部地域枠は、「卒後に地域医療に従事したい」という明確な意思を持つ学生のための選抜枠です。2010年度以降、地域枠としての医学部定員の上乗せが大学に認められています。上乗せは「医師確保のための施策の一環として、都道府県が奨学金を出すこと」が条件で、この奨学金には、都道府県内で一定期間診療する条件が課されるものもあります。

 そうした医師の派遣については、都道府県の地域医療対策協議会で話し合い、地域医療支援センターが調整して行っています。大学医学部の地域枠の入学者数は年々増えています(地域枠入学定員は、2010年度が313人だったのに対し、16年度は592人)から、そうして養成された医師の派遣は、地域偏在の解消策として今後重要さを増します。

 中川委員や神野参考人の指摘は、それを見越して「公立病院への理由なき派遣」が起こらないようにけん制したものと言えます。

 これを受けて厚労省医政局の武田俊彦局長は、機能に着目した場合、公的病院と民間病院は「変わらない」との考えを提示。また厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長も、病院の果たす役割に応じた派遣が望ましいとの見解を示しました。

地域偏在対策は都道府県と二次医療圏のどちらを中心に考えるべきか

 医師の地域偏在の対策をめぐっては、「都道府県」と、より狭い「二次医療圏」のどちらを中心に考える必要があるかも論点となりました。

 武田局長は、「県の中でもだいぶ温度差があるので、二次医療圏単位で医師不足を考えていった方がよい」との考えを示しましたが、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は都道府県単位での検討を支持しました。

 相澤委員がそう主張したのは、医療提供体制のあるべき姿が決まらないと「適切な医師数」が分からないためで、「(体制を)どうするかが決まっていないうちに、きっちりやり過ぎると大変なことになる」と警鐘を鳴らしています。

専門特化型でない有床診は「医療・介護の併用モデル」に?


 11月10日の医療部会では、有床診療所の現状と課題についても話し合いました。1996年には2万施設を超えていた有床診療所ですが、減少が続き、今年(2017年)8月末には7342施設となっています(関連記事はこちら)。

 厚労省は、産婦人科や眼科、耳鼻咽喉科などの「専門領域に特化した有床診療所」について、「少ない人員体制で専門医療を効率的に提供可能な形態の一つとして今後も期待される」との見方を示しました。

 その一方で「地域医療を担う有床診療所」については、医療ニーズの減少を見越して【医療モデル】から【医療・介護の併用モデル】へと転換することも選択肢として考えられると指摘しています。

 【医療・介護の併用モデル】は、医療を提供するだけにとどまらず、介護サービスの事業所としても地域に貢献する有床診療所を想定したものと考えられます。この点、社会保障審議会・介護給付費分科会では、診療所が看護小規模多機能型居宅介護の事業所になりやすいように基準を緩和すべきかが話し合われています(関連記事はこちら)。さまざまな介護サービスで今後、有床診療所からの新規参入を促す施策が講じられるかもしれません。

 邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)は、「町立病院が病床を減らして有床診療所になる」ケースが今後増えると予想し、それも踏まえて有床診療所の在り方を考えてほしいと要望しています。



http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20171117-OYT1T50004.html
社説
診療報酬改定 効率化へ介護と連携強めたい 
 
2017年11月17日 06時01分 読売新聞

 超高齢社会に向けて、医療の質を高めつつ、効率化を進めて費用を抑制する。持続可能な制度作りに知恵を絞りたい。

 2018年度の診療報酬改定に向けた議論が本格化している。2年ごとに見直され、今回は介護報酬と6年ぶりの同時改定だ。年内に全体の改定率を決め、年明けに個別の報酬を決める。

 高齢化の進展で医療費は膨張を続けている。団塊の世代が75歳以上になる25年を前に、今回の改定は、超高齢社会に適した体制へと転換する最後の機会と言える。

 医療と介護の連携を強め、病院依存から在宅療養へのシフトを支える環境作りが最大の課題だ。

 政府は18年度予算編成で、社会保障費の自然増を概算要求時の6300億円から5000億円に圧縮する方針だ。その大部分を診療・介護報酬改定で捻出する。

 診療報酬のうち、医薬品価格の「薬価」は実勢価格に合わせた引き下げが当然だろう。焦点は医療職の人件費となる「本体」だ。

 厳しい財政事情の中、財務省は全体で2%超のマイナス改定を求め、本体に切り込もうとする。日本医師会は強く反発する。

 全体がマイナス改定だった前回以降、病院経営は悪化傾向にある。地方の医師不足も深刻だ。本体の改定率については、財政健全化と地域医療への影響の双方に対する慎重な目配りが求められる。

 診療行為ごとの報酬設定では、重症患者を受け入れる急性期病床の要件の厳格化が課題だ。

 看護体制が手厚く、報酬の設定が高い急性期病床は増え過ぎ、リハビリなどを重視する回復期病床が不足している。重症ではない患者が急性期病床にとどまり、医療費を押し上げている。

 急性期病床は重症度の高い患者向けに絞り込み、残りは回復期病床などへの転換を促す方向性は妥当である。慢性疾患を抱える高齢患者らのニーズに合致する。看護師らの有効活用にもなる。

 在宅療養の推進には、かかりつけ医の機能向上と在宅医療の充実が欠かせない。介護職などとの多職種連携も強める必要がある。報酬面での評価を工夫したい。

 薬局の報酬見直しも課題だ。政府は、患者の服薬情報を一元管理して、重複投薬の防止や残薬の解消、安価な後発薬の利用促進に努める薬局の普及を目指す。

 特定の病院の処方箋を主に扱う「門前薬局」は、こうした役割を十分に果たせない。前回改定で報酬を下げたが、効果は限定的だ。さらなる差別化が望まれる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/569496
医師臨床研修部会
マッチングで「地域密着型臨床研修病院」を新設
7科必修化「手痛い経験、内容をきっちりと」

レポート 2017年11月16日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は11月15日、初期臨床研修マッチングにおいて地域枠学生を優先的に採用する「地域密着型臨床研修病院(仮称)」を新設することや、初期臨床研修で7科目必修とすることを大筋合意した(資料は、厚労省のホームページ)。

 地方における医師不足解消の手段として期待される地域枠の入学者は年々増加しており、2016年度では全体の医学部入学定員9262人に対し、1617人で17.5%にまで拡大している。一方で、研修医の都市偏重を解消するために、全体の研修医の募集定員を2025年度まで1.05倍に段階的に圧縮することが決まっている。地域枠学生が就労義務のある地域でアンマッチになる可能性が高まるため、「優先的に採用する仕組みが必要」と厚労省が提案していた(『マッチング、地域枠学生に「0次募集」枠を』を参照)

 15日の部会で提案されたのが、臨床研修病院の中に「地域密着型臨床研修病院(仮称)」を新たに指定する仕組み。指定は都道府県が行い、希望する病院が手を上げる方式。通常のマッチングでは9月から希望順位登録を開始するが、同病院では5月頃に地域枠学生を対象に選考することができる。応募できるのは地域枠学生のみで、地域枠限定選考で決まらなかった場合は、通常のマッチングに参加する。地域枠限定選考枠は、地域枠学生の2割にとどめる。限定選考枠の対象者には、地域医療の研修期間を長くするなど地域医療に配慮した研修プログラムを提供することが求められる。

 厚労省事務局は「病院にとってのインセンティブは、限定枠を持てること自体にあると考える。マッチングの前に地域医療に熱意のある学生が採れる。人気のない病院に人を誘導するというより、選抜された学生が行く仕組み」と説明した。臨床研修病院の指定などでは都道府県の裁量が増える方針で、都道府県によっては既存のマッチング枠とは別に地域密着枠型臨床研修病院(仮称)に限定枠を付与するなどの対応をする場合もあり得るとする。

 事務局案では、限定枠学生のプログラムでは「地域研修を6カ月」とあった点について、和歌山県立医科大学長の岡村吉隆氏は「地域枠と一般枠を差がないようにした方が良い。地域枠の人が違う研修をさせられるという形にすると結果的に人気がなくなる」、千葉労災病院病院長の河野陽一氏は「地域枠学生の偏差値が低いところがある。優秀な人たちは一番人気の病院に行きたい。病院側がほしい医師としては若干問題が出るのでは」などと指摘した。桐野部会長は「基本的にはマッチング制度で行くが、地域枠の人が地域医療に貢献できるツールを用意しておき、うまくいく状況が想定できないことはないので、保険のような制度かなと認識している」として、大筋合意をした。2020年度の研修医1年生(2019年度マッチング対象学生)から導入する方針。

7科必修化「手痛い経験、内容をきっちりと」

 「医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」座長の福井次矢氏(聖路加国際病院長)が、WGで7科(内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、救急、地域医療)必修とすることで決まったことを報告(『外科、産科、小児科、精神科が必修復活へ、初期研修』を参照)。

 臨床研修部会でも大筋合意したが、順天堂大学学長の新井一氏は「2004年度に精神科は必修に入ったが、手痛い経験をしている。病棟に行って2-3時間話して終わってしまうなど空洞化した。内容をきっちりしていただかないと、若い医師が無駄な時間を過ごすことになりかねない」と指摘。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「卒後2年間が労働者として規定されているのが間違い。これがあるために全然だめ。試験が終わってぽわーんとしてしまう。精神科はぽわーんとして良い科として最も批判を浴びるため、『急性期入院患者の診療を行うことが望ましい』とした」と説明した。

臨床研修病院、「B-」2回で指定取り消し

 基幹型臨床研修病院には地方厚生局による訪問調査が行われている。3段階(A、B、C)で評価され、Cを取ると指定取り消しとなるが、4段階(A、B+、B-、C)に変更し、指定取り消しの対象に「B-」が2回続いた場合も追加することで合意した。即取り消しになるC判定はほとんど判定されることがなく、「B-」を新設することで改善を動機付けるようにする。プログラム責任者に対する講習も必須とし、講習会の開催指針もよりきめ細かく定めることも決まった。



http://www.medwatch.jp/?p=16921
医師少数地域での勤務経験、まずはインセンティブ付与から始めては—全自病・邉見会長 
2017年11月16日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在対策に向けた「実効的な方策」の一環として浮上している、「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を地域医療支援病院などの管理者要件とする案について、まずは「インセンティブ付与」のような形で緩やかに導入し、効果が芳しくなければ強制的な手法に移行していく形が望ましいのではないか—。

全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、11月15日の定例記者会見で、このような見解を示しました。

いきなり厳格な要件化をすれば、反発を招きかねない

地域間・診療科間での医師偏在が深刻化する中で、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」では、医療法などの改正も視野にいれた「実効性のある偏在対策」の策定に向けた議論を進めています。

11月8日に開催された医師需給分科会では、一定の強制力を持つ方策として(1)「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を地域医療支援病院などの管理者要件に据えることをどう考えるか(2)診療所の開業について一定の制限を設けることをどう考えるか—という2つの論点に沿って議論。(1)については、構成員間で温度差こそあるものの、何らかの形で要件化を進めていく方向が固まりつつあります。

この点について邉見会長は、「いきなり厳しい管理者要件を設定すれば反発も置き、また品のない話だが『駆け込み開業』などが増加する可能性も否定できない。まずはインセンティブを付けるなどして緩やかに導入し、効果が出てこなければ厳格な要件化を進めていく形が望ましいのではないか」との見解を示しました。

なお、小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)はメディ・ウォッチに対し、「医師不足地域での一定期間勤務を希望する若手医師は少なくないが、自分の勤務期間が終了した後に、『次の医師が必ず来る』ことが担保されていることを望んでいる。切れ目なく、医師不足地域に医師が向かうような仕組みが必要になるのではないか」との考えを示しました。医師不足地域の住民にとっても、医師にとっても、極めて重要な視点です。

ところで、公立病院改革が進められる中で、日本医師会の中川俊男副会長らは「(とくに都市部の)公立病院では、回復期機能や慢性期機能を担うのではなく、急性期機能に特化すべき」旨の見解を披露しています。この点について邉見会長は、「高齢化の進展によって公立病院の、地域における役割も変わってくる。今後、都市部で急速に高齢化が進み、医療・介護難民が大量発生するとの指摘もある。公立病院の機能を全国一律に考えるのでなく、都市部の公立病院であっても『地域ごとに機能を考えていく』必要がある」点も強調しています。



http://www.medwatch.jp/?p=16836
医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院の院長要件に向けて検討—医師需給分科会 
2017年11月13日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療支援病院などにおいて「医師少数区域で一定期間の勤務経験」を管理者(院長など)の要件としてはどうか。また、地域における外来医療の需要がどの程度あり、どういった診療科のクリニックがどの存在するのかといった情報を示し、クリニック開業の際の参考とするような仕組みを設けてはどうか―。

11月8日に開催された、医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、こういった方向が見出されました。今後、制度化に向けたより詳細な議論が行われます。

ここがポイント!
1 法改正も視野に入れた「実効性ある偏在対策」を検討
2 医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院などの院長要件に据えてはどうか
3 クリニック開設制限の前に、まず地域の外来医療の状況を「見える化」する方向
4 医師少数地域では、1人の医師が「複数医療機関の院長」となれることを明確化


法改正も視野に入れた「実効性ある偏在対策」を検討


医師需給分科会では、現在、医療法改正なども視野に入れた「実効性のある医師偏在対策」を検討しています。昨年(2016年)春の中間まとめでは、▼医学部地域枠の在り方▼初期臨床研修医の募集定員配分などに対する都道府県の権限強化▼医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)▼管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)―など14項目の対策案を固めましたが、その後、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(ビジョン検討会)の報告書も踏まえ、さらに具体的な対策案を練っています(関連記事はこちら)。

その中で、(1)地域医療支援病院などの管理者要件に「医師少数区域での勤務経験」を加えてはどうか(2)診療所の開設について一定の制限を設けてはどうか―といった、いわば「強制的な手法」を検討すべきとの意見が委員から出されています(関連記事はこちら)。強制的に「地方に医師を派遣する」ような手法では、地域住民により良い医療を提供するという面から、実効性に疑問符が付きますが、一部委員は「医師のモチベーションを削がない範囲で、一定程度の強制的手法も検討すべき状況にあるのではないか(それほど医師偏在は深刻である)」と強く要望。厚生労働省も、この意見・要望を無視することはできず、11月8日の分科会に論点や具体案を提示するに至りました。

医師不足地域での勤務経験、地域医療支援病院などの院長要件に据えてはどうか


まず(1)では、「医師少数区域での一定期間以上の勤務経験」を持つ医師を厚労省が認定する(いわば認定資格)とともに、地域医療支援病院などの管理者として認定資格を評価するほか、「認定資格」を保有している旨を広告可能とする案が厚労省から提示されました。
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医師少数地域での一定期間以上の勤務経験を、地域医療支援病院などの管理者(院長)要件にすべきか、具体的な検討が行われる
 
「地域医療支援病院などの管理者として認定資格を評価する」という表現がやや難解ですが、ここには「管理者は認定資格を保有していなければならない」とする(要件化)考え方から、「管理者は認定資格を保有していることが望ましい」とし自主的な資格取得(医師不足地域の勤務経験)を促すといった考え方まで、幅広い内容が含まれています。
この点、小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や神野正博構成員(全日本病院協会副会長)らは、「地域の医師不足は深刻であり、強い偏在対策が必要」との見解を示し、前者の「要件化」に向けて検討すべきと強調しました。神野構成員は「私の医師経験の中でもっとも楽しかったのは僻地での勤務時代だ。当初は別の医師が行けばよいと考えており、自主的に積極的に僻地勤務を望んだわけではないが、極めて重要な勉強ができた。今では大きな財産になっている」旨の経験を語り、「一定の強制=モチベーションが沸かない」という式は必ずしも正しくないことも強く指摘しています。

一方、今村聡構成員(日本医師会副会長)は「医師少数地域での勤務経験が、医師の『キャリア』につながる形での運用から始めてはどうか」と述べ、一足飛びの要件化にはやや慎重な構えを示しています。また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「医師少数区域に『行かされる』のでは長続きしない。地域住民の視点に立てば『その地域に行きたい』と考える医師に来てほしい。地域医療は医師にとって大きな学びの場である、ということを示すことが重要」と述べており、あまりに厳格な「強制的手法」には疑問を呈しています。

このように、要件化に関する意見には一定の幅がありますが、極めて厳格な仕組み(例えば、全医療機関の院長に医師少数地域での勤務を義務付ける、など)を求める声や、「要件化は一切認められない」といった極端な反対意見はなく、「どのように運用していくべきか」という具体案を議論する段階に入っていると言えそうです。

具体的運用方法については、「初期臨床研修の後半で地域医療に従事するのであれば、指導医の同行などの条件を付けるべきである」(羽鳥裕構成員:日本医師会常任理事)、「院長(管理者)要件は、臨床経験10年目頃から意識するので、若手医師にはあまり魅力的ではない。その点を意識した仕組みを考えるべきである」(堀之内秀仁構成員:国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長)、「医師が個人的に医師少数地域に出向くのではなく、例えば地域医療支援病院などから派遣するような形で、地域医療支援病院側にインセンティブを付ける仕組みも検討すべきである」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)といった前向きな提案がなされています。

クリニック開設制限の前に、まず地域の外来医療の状況を「見える化」する方向

 また(2)は、例えば病院勤務医がある地域で診療所を開設しようと考えた場合には、地域の医療審議会などで「当該開設を許可すべきか」などを審議し、許可が得た場合に開設を求めるといった仕組みを導入できるかどうか検討する、というテーマです。病院・有床診療所を開設・増床する場合には、既にこうした仕組み(基準病床数)が設けられており、「当該地区では病床過剰であり、開設・増床は認められない」といった判断が医療審議会でなされれば、事実上、開設・増床はできません(保険指定がなされない)。いわば、「外来版の基準病床数」「クリニック開業許可制度」を設けるか否かというテーマと言えます。
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現在の基準病床数制度の概要
 
この点について、今村構成員は、いきなり開業許可制度を導入するのではなく、「まず、地域の状況(外来医療の需要や、診療科別のクリニック開設状況など)を明らかにし、診療所を開業すべきかどうかの情報提供を行う」仕組みを設けるべきと提案します。現在、一部のクリニック開業コンサルタントなどが、地域の外来需要・供給を考慮せずに、クリニック開設や医療モール開設などを推奨し、情報のない勤務医が惑わされている実態があると今村委員は強調しています。
一方、小川構成員や神野構成員は、現在の制限のない開業が勤務医不足、地域医療偏在を助長している点を指摘し、「一定程度の規制的手法(開業許可制度)を導入しなければ、実効性のある医師偏在対策が採れない」と訴えています。

このように開業許可制度には賛否両論があり、まだまだ「調整する」段階には議論が至っていないようです。なお、この論点について厚労省は、「基準病床数制度は医療機関の開設そのものは制限しない(例えば外来の保険医療提供は制限されない)が、開業許可制度が導入されれば、医療機関の開設そのものを制限する、極めて厳しいものとなる。日本国憲法第22条から導かれる『営業の自由』に抵触する可能性もある」との見解を示しています。

ただし、「外来医療の状況(需要の動向、既存の診療科別クリニック数など)を明らかにしていく」方向では分科会のコンセンサスが得られています。厚労省も、この「外来医療の見える化」を進める方向で検討を進めてはどうか、との考えを示しており、今後、▼提供する情報の内容について、地域の医療関係者などと事前に協議を行う▼地域の救急医療体制の構築、グループ診療の推進、医療設備・機器などの共同利用、といった外来医療機関間での機能分化・連携方針も協議する—という具体的な検討テーマを示しています。地域における「協議の場」としては、例えば地域医療構想調整会議などが思いつきますが、既存会議体を活用するのか、新規の会議体を設置するのかなども、今後、議論されることになります。なお、厚労省研究班では「外来医療の見える化に関するデータベース」作成も進めており、この活用も検討されることになるでしょう。

「クリニックの開業許可制度」の創設には、まだ時間がかかりそうですが、公の場で議論の俎上に上がるだけでも隔世の感があります。

ちなみに、前述の管理者要件について、例えば診療所にも導入することになれば、これは一定の「開業制限」につながり(開業に「医師少数地域での勤務経験」という資格制度を設けることになる)ます。このため神野構成員や小川構成員は「両者をセットで議論すべき」とも要請しています。

医師少数地域では、1人の医師が「複数医療機関の院長」となれることを明確化

なお、現在、原則として「医療機関の管理者は、他の医療機関を管理してはならない」こととされています(医療法12条第2項)。ただし、都道府県知事が、▼無医地区など医療施設が少ない地区の病院など▼介護老人福祉施設などに開設する診療所▼企業などの従業員を対象とする病院など▼休日・夜間対応のための病院など—においては、都道府県知事が「兼任を認める」ことが可能です。

ただし、兼任許可事例は「医療法Q&A」に定められているに過ぎず、現在、都道府県によって解釈の幅があることが指摘されています。分科会では、この解釈の幅なども「医師不足地域における医師確保の妨げになっている可能性がある」と考え、近く、これら兼任許可事例を何らかの法規で明確化することを了承しています。「無医地区など医療施設が少ない地区」が「医師少数区域」に該当することが明確になります。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/427965.html
静岡県「医学部地域枠」 関西医科大と締結、日本医科大は拡充 
(2017/11/18 08:17) 静岡新聞

 静岡県は17日、県内病院での勤務を条件に県外の医学生に奨学金を出す「医学部地域枠」について、新たに関西医科大(大阪府枚方市)と協定を結んだ。併せて、日本医科大(東京都文京区)が2018年度から地域枠の定員を拡充することも決まった。静岡県の地域枠は全国最多の7大学34人となった。
 協定の締結式が県庁で開かれ、関西医科大の友田幸一学長と川勝平太知事が協定書に署名した。関西医科大は18年度から新たに5人分の地域枠を設置する。友田学長は「学生には地域医療の重要性を説き、地域で活躍する人材として育てていきたい」と述べた。日本医科大からは弦間昭彦学長が出席し、地域枠を従来の1人から4人に増やすことを報告した。
 川勝知事は「静岡県の健康寿命は全国トップクラスだが、県内に医師が少なく、地域から悲鳴が上がっていた。地域枠は大変ありがたく、全面的に支援していく」と述べた。
 地域枠の医学生1人に対して月20万円の奨学金が貸与される。在学6年間で計1440万円が支給され、卒業後、県内の病院で9年間勤務すると返済が免除される。



http://president.jp/articles/-/23629
バイトより安月給"常勤医不足"に悩む僻地南相馬市を救った3年目の女性医師
 
上 昌広
医療ガバナンス研究所 理事長 上 昌広
PRESIDENT Online  2017.11.17

地域医療の崩壊を食い止めるため、厚生労働省は来年にも医療法を改正し、若手医師の「僻地勤務」を義務化する方針だ。すでに一部の若手医師は地域医療のために立ち上がりつつあるが、厚労省や地元自治体はそうした動きを牽制している。なぜ若者の邪魔をするのか。その原因は医療界の「既得権益」にある――。

■大学医局と厚労省に「監視」される奴隷
 地域医療が崩壊の瀬戸際にある。この問題を解決すべく、厚生労働省は来年の通常国会に提出する医療法の改正案に、若手医師を僻地に強制的に派遣する仕組みを盛り込もうとしている。
 2014年、厚労省は「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組むコントロールタワー」(厚労省HPより)として、各都道府県に「地域医療支援センター」を設置した。厚労省によれば、今回の法改正で、「地域医療支援センター」が地元の大学と連携して、「医学部入学から生涯にわたる医師のキャリア形成・異動を把握」し、「キャリア形成支援・配置調整」ができるように権限を強化するらしい。
 こうなると、医師は大学卒業後も、大学医局と厚労省に「監視」され、彼らの指示するまま「配置」されることになる。これでは奴隷のようなものだ。
 民主主義社会での日本で、こんな「国家統制」が許されるはずがない。ところが、厚労省は本気だ。医療法改正案の中には、これ以外にも、この手の国家統制がふんだんに盛り込まれている。

■「老害医師」が厚労省にすりよる構造
 残念ながら、いまのところ医療界の有識者は誰も反対していない。むしろ、厚労省の尻馬に乗っている。たとえば邊見公雄・全国自治体病院協議会会長は、業界誌の『日経メディカル』で以下のように語っている。
 「国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことを可能にするためにも、医師になって数年間は強制的に全国各地で勤務するようにしてほしいと私は考えている。そもそも医師は「ヒポクラテスの誓い」をしているのだから、100%の医師がこの方針に賛同してしかるべきだ」(日経メディカル「労基署に踏み込まれる前に医療界がすべきこと」)
 私は、この文章を読んで反吐が出た。邊見氏が、僻地医療での勤務を大切に思うなら、業界団体の名誉職にしがみつかず、自ら赴任すればいい。自らは安全地帯にいて、若手をこき使う。日本の医療の問題は、若手医師が僻地勤務を嫌がることではない。このような老害医師が、厚労省にすりより、国家統制の強化を誘導していることだ。
 私は厚労省と業界団体による統制を強化することは、日本の地域医療をますます衰退させると考えている。どんな分野においても、活性化のためには志のある若者が必要だ。だが、常に老害という名の既得権者が、彼らの邪魔をする。
 福島県南相馬市の事例をご紹介したい。今年8月末、南相馬市の大町病院から常勤医内科医がいなくなってしまった。大町病院は南相馬に4つしかない一般病院の1つだ。ここが機能を失うと、南相馬市だけでなく相双地区の医療が崩壊する。緊急事態だ。

■「誰もいかないなら、私がいきます」

 相双地区は福島第一原発事故で大きな被害を受けた。国家が相応の責任を負うべき地域である。医師不足への対応では、厚労省は、医師免許をもつ厚労官僚である医系技官の赴任や、国立病院機構やナショナルセンターの医師の出向といった手段をとれる。前出の邊見氏も、日本の医療界のリーダーと自負するなら、全国自治体病院協議会の場で支援を議論したり、その幅広い交友関係で支援を仲介したりすることもできたはずだ。ところが、彼らは何もしなかった。
 結局、大町病院の内科の穴を埋めたのは、医師になって3年目という南相馬市立総合病院の山本佳奈医師だった。「誰もいかないなら、私がいきます」と及川友好・南相馬市立総合病院院長に志願した。
 彼女は滋賀県出身で、大阪の四天王寺高校から滋賀医大へと進んだ。私は彼女が大学に在学していたとき、東大医科研の研究室で知己を得た。卒業後は南相馬市立総合病院で初期研修を行った。
 滋賀医大在学中から、彼女は産科志望だった。大学に入局せず、南相馬にとどまりながら、産科医になることを希望した。ところが、彼女のような「異端児」を、南相馬市の桜井勝延市長、南相馬市立総合病院に福島県立医大から出向している産科医、さらに福島県立医大の産婦人科医局がいじめ倒した。詳細は拙稿をご覧いただきたい。(JBPress「日本の医療崩壊を救った若き女性医師」)。

■「余計な軋轢」を起こす彼女は迷惑な存在
 福島医大における既得権を守りたい彼らにとって、山本医師のような存在は受け入れがたかったのだろう。一方、南相馬市や福島県などの行政は福島医大に対応を丸投げした。余計な軋轢を起こす彼女は迷惑な存在だ。そこに医療を受ける住民の目線はない。
 追い込まれた彼女を2人の医師が救った。1人目は竹之下誠一・福島県立医大理事長だ。竹之下理事長は、桜井・南相馬市長に、福島医大として彼女を支援することを伝えた。南相馬市は福島県立医大以外に医師招聘のルートがない。桜井市長も、竹之下理事長の意向は無視できない。
 余談だが、竹之下氏は鹿児島の鶴丸高校から群馬大学に進んだ外科医だ。群馬大学の関係者に聞くと「腹腔鏡事故を起こしたグループとの抗争に敗れ、福島に移っていった。そして、そこで実績をあげた」という。苦労が彼を育てたのだろう。今年、外様の竹之下氏が福島医大の理事長に就任し、福島の医療は変わりつつある。
 話を戻そう。2人目の支援者は、南相馬市立総合病院の小鷹昌明医師(神経内科)だ。傷ついた彼女に「僕と一緒にやろう」と声がけした。小鷹氏のキャリアはユニークだ。震災後、獨協医大神経内科准教授のポストを捨てて、南相馬市に移住した。南相馬の復興を願い、院内にとどまらず、地元社会で活動している。詳しくは拙稿をご覧いただきたい(FACTA「南相馬「名もなき赤髭」物語」)。

■20人以上の入院患者と週8コマの外来
 結局、彼女は神経内科医を選択し、南相馬市立総合病院に残った。ただ、それもすんなりいったわけではない。今年4月の時点では「福島県立医大とけんかする医師は雇用できない」(桜井・南相馬市長)という理由で、非常勤雇用だった。正式に採用されたのは今年5月からだ。
 その彼女が南相馬市の危機を救った。現在、大町病院のたったひとりの常勤内科医として働いている。
 彼女は20人以上の入院患者を受け持ち、さらに週8コマの外来を担当している。ベテランの内科医でも、外来は週4コマ、入院患者の受け持ちは10人程度が普通だ。常識では考えられない仕事量だ。
 彼女の毎日は多忙を極める。朝8時に出勤し、病棟を回る。日中は外来だ。その合間に急患が入ってくる。高カルシウム血症による意識障害、溶血性貧血発作疑いなど、診断に苦慮するものが多い。
 彼女は駆け出しで、経験も少ない。「ワシントンマニュアル」や「ハリソン内科学」などの医学書を引きながら診療している。文献だけでは分からないことがあれば、私や、南相馬市立総合病院の先輩医師に携帯電話で聞いている。

■われわれの仕事は、やる気のある若手を支えること
 問い合わせに応じて、知人の専門医を紹介したこともある。例えば、大町病院には放射線専門医がいない。外部に読影を依頼しているが、結果がわかるまで数日かかる。
 先日、発熱が続く患者に胸部X線を撮影した。明らかな所見はなかったが、少しだけ痰が出ていた。彼女は胸部CT画像を撮影したが、非特異的な所見以上にはわからなかった。私も同様だった。そこで、東大医科研時代の同僚の専門医を紹介し、フェイスブックメッセンジャーで画像を送った。すぐに「気管支肺炎」と返事をくれた。抗生剤を投与すると、状況は改善した。一事が万事、こんな感じだ。
 彼女は、毎晩22時ごろまで診療やカルテ整理を続け、終わった後に論文を書いている。現在、3つ目の英文論文を準備中だ。
 彼女は大町病院に異動して成長した。若手は自分で判断させて、責任をもたせると伸びる。われわれの仕事は、やる気のある若手を支えることだ。



http://www.asahi.com/articles/ASKCK446GKCKUBQU00R.html
熊本地震で閉鎖の入院病棟、再建を断念 八代市立病院 
村上伸一2017年11月17日15時00分 あさひしんぶん

 昨年の熊本地震で入院病棟(66床)が閉鎖されている熊本県の八代市立病院について、同市の中村博生市長は15日、病棟の機能を八代地域の四つの公的病院に担ってもらうという可能性を示した。再建を事実上断念したとみられる。外来機能は残したいとしているが、こちらも市ではなく公的病院が運営できないか検討しているという。

 県南広域本部で開かれた、氷川町を含む八代地域医療構想調整会議で明らかにした。市長は、入院病棟を同規模で再建すると40億~50億円の建設費がかかり、その後も運営は年4億~5億円の赤字収支が続くとの試算を示した。規模を縮小しても赤字収支が続いて市財政への影響が大きいとし、入院機能の公的病院への再編統合と、公的病院による外来機能の運営についての意見を求めた。

 市長が公的病院として挙げた八代市医師会立病院や八代北部地域医療センター、熊本労災病院、熊本総合病院の各代表者は「前向きに検討する」などとし、反対意見は出なかった。

 市長は各病院の役割分担などについて「これから意向調査をし、市議会で方向性を示したい」と取材に答えた。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201711/553682.html
シリーズ◎産科診療所での無痛分娩は是か非か
集約化を進めれば地域の産科医療は崩壊する
長崎県産婦人科医会長の森崎正幸氏に聞く
 
2017/11/17 聞き手:三和護=編集委員

 無痛分娩関連の事故報道が相次いだことを受けて、被害者側からは産科診療所での無痛分娩を問題視する声が上がり、新聞各紙も施設集約化を求める論調を強めた。こうした事故原因を施設の規模の問題に帰着させようとする動きには、医療現場から異論が出ている。「集約化を進めれば地域医療は崩壊する」と訴える長崎県産婦人科医会長の森崎正幸氏に、持続可能な産科医療を支えるものは何なのかを聞いた。

―― 一連の無痛分娩関連の事故報道をどのように受け止めていますか。

森崎 私どもは正直、戸惑っています。私は自然分娩派ですので無痛分娩は行っていません。ですから推測になりますが、無痛分娩に関連するこれまでの事故と今回の事故は、原因が異なっていると思っています。無痛分娩では痛みが隠されてしまうので、子宮破裂などのお産の異常があっても気づきにくいのです。ある専門家は「(無痛分娩では)子宮破裂だけは避けられない」と言っていました。最近、大学病院が提訴される事故がありましたが、これまでの事故はこのような分娩異常が原因となるものでした。

―― 今回の事故では、麻酔が注目されています。

森崎 局所麻酔中毒や全脊髄くも膜下麻酔などの麻酔合併症で、妊産婦や新生児が死亡したり、重篤な障害が出たりという事故が起こることはなかったと思います。

―― 報道がされる前の4月16日に、日本産婦人科医会が「無痛分娩を提供する施設では、機械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整える」との緊急提言を行いました(関連記事)。その中で、「硬膜外麻酔による無痛分娩を選択した産婦では子宮収縮薬や機械分娩が必要となることが多く、通常の産婦の管理とは異なる管理が求められる。また硬膜外麻酔に伴う局所麻酔中毒や全脊髄くも膜下麻酔などの麻酔合併症は、まれではあるが命に関わる合併症である。従って無痛分娩を提供する施設では、機械分娩や分娩時異常出血、麻酔合併症などに適切に対応できる体制を整えることが要求される」と解説しています。

森崎 提言の前半に書かれているのは、これまでもあった事故を念頭に置いたものだと思います。後半の麻酔の部分は今回の事故を意識したものになります。

―― 緊急提言は直接、施設の集約化に触れたものではありません。ですが今後、無痛分娩関連の事故を防ぐための方向性として、施設の集約化の議論が出てくるのではないかと危惧する声があります。

森崎 分娩施設の集約化は、地域の産科医療を担ってきた開業医にとって、受け入れがたいものです。日本の周産期死亡率は、諸外国と比べて極めて低いのです。地域の産科診療所があるからこそ実現できている数字なのです。

―― 厚生労働省の2012年のデータですと、1年間の1000出産に対する周産期死亡は、妊娠28週以降の死産+早期新生児死亡で計算した場合、2.6です。データのある15カ国の中で、最も低い数字です。次に低いのがシンガポールの3.7ですから、際立っています。妊産婦死亡率(妊産婦死亡数/出生数10万当たり)も3.5と低く、オランダ(2.2)、スウェーデン(2.6)、デンマーク(3.0)などと肩を並べています。

森崎 例えば長崎県では、分娩の7割近くを診療所が担っています。2015年のデータでは、助産所での分娩を除くと、公的病院が20.3%、私的病院が12.6%で、診療所が66.2%でした。集約化をということになると、診療所が担っている分娩が病院に集中することになります。非現実的な解決策であるのは明らかです。

―― 日本産婦人科医会の調査(2017年9月暫定)によると、総分娩数に占める無痛分娩数の割合は2016年度で6.1%でした。このうち診療所で行われたのは53%でした。

周産期医療支援システム「すくすく」が稼働

―― 集約化ではない解決策はありますか。

森崎 今回のような妊娠トラブルに対応するためにも、周産期センターや産科診療所、病院などがネットワークを組むことが現実的です。長崎県では、2014年から周産期医療支援システム「すくすく」が稼働しています(図1)。あじさいネット(注)の新たなプロジェクトとして始まったものですが、2017年6月時点で7764人の妊婦さんが登録しています。

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図1 周産期医療支援システム「すくすく」の運用図(森崎氏のよる)

―― 妊娠トラブルがあった場合、周産期母子医療センターに搬送となるわけですね。

森崎 妊婦さんが運ばれるだけではありません。搬送前から、周産期診療システムに登録している情報を、周産期センター側で共有できるので、速やかな受け入れができるメリットがあります。緊急度が高いほど、診療記録などが事前に共有できるメリットは大きくなります。

―― 周産期のリスクに応じて担当する施設が決まっているのですか。

森崎 周産期センターはハイリスクの妊娠に対応します。診療所や病院は、主に正常分娩を担当します。施設の機能分担が明確になっており、その上で診療情報の共有が行われています。安心で安全な出産と児の健全な成長を支援する仕組みで、これからの産科医療には欠かせないと思っています。

―― 周産期医療支援システムは、他の自治体でも稼働しているのでしょうか。

森崎 岩手県周産期医療情報連携ネットワークシステム「いーはとーぶ」が日本初のものです。私たちの「すくすく」は、「いーはとーぶ」に多くのことを学んで出来上がったものです。

注:長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会が運営する長崎県内の医療機関をつなぐネットワークシステム。通称、あじさいネット。2004年にスタートし、2017年11月で長崎県下の34の基幹病院と203の病院・診療所、91の薬局が参加する。基幹病院での診療情報(電子カルテ・検査結果・画像など)を、患者が利用している医院や薬局、訪問看護サービスでも共有できるのが最大の特徴。2017年10月で登録患者数は7万人を超えている。
 このシステムの下では、参加する診療所や薬局は、患者の同意が得られれば、診療所や薬局にあるパソコン画面で患者の基幹病院での診療情報を閲覧できる。
 近年は、総合病院の専門医と地域のかかりつけ医があじさいネットで連携し、患者が遠くの総合病院へ行かなくても高度な医療を受けられるようにする取り組みも進んでいる。



inpo.jp/pub/topics/jishin2011/2017/11/post_15566.html
看護師不足解消へ連携 来春にも相互派遣制度 南相馬5病院 
(2017/11/17 11:59カテゴリー:福島第一原発事故)福島民報

 南相馬市立総合病院と市内の民間4病院は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故後に慢性化した南相馬地方の看護師不足対策として、来年春にも相互に看護師を受け入れ、一定期間勤務して人員不足を補う「看看連携」を始める。人的支援、研修・技術指導を目的に市立総合病院と民間病院間で人材交流を進める。各病院の幹部は実施に向け、具体的な協議に入った。

 民間4病院は大町、小野田、雲雀ケ丘、鹿島厚生の4病院。

 人的支援では、民間4病院に比べて人材確保が進んだ市立総合病院と、民間4病院の看護師を研修目的で期間を区切って相互に派遣して勤務させ、業務負担の軽減を目指す。
 市立総合病院と4病院の若手看護師にとっては互いに技術向上の機会となるほか、それぞれの病院に勤務している実務経験豊かな看護師から患者接遇の在り方、熟達した看護技術を教わる場になると期待されている。市立総合病院では今年度内に人工透析治療を始める計画があり、既に実施している大町、小野田の両病院の看護師から技術を学ぶ方針だ。
 給与体系、休暇日数、福利厚生などは各病院間で異なるため、各病院の看護部長ら幹部は今年夏に「市病院看護管理者会議」を発足させた。勤務期間の設定などを含め詳細な協議を進めている。管理者会議は新規高卒者らに対して看護職の意義を伝えているほか、市主催の合同面接会に就職相談コーナーを設けて、人材発掘に努めている。
 市によると、震災と原発事故後、避難などにより2011(平成23)年3月時点で市内に約530人いた看護師は今年4月現在、約350人まで減少した。現段階では看護師約100人が不足しているという。
 管理者会議の会長を務めている大町病院の藤原珠世看護部長と、市立総合病院の五十嵐里香副院長兼看護部長は「『南相馬は一つ』が合言葉。互いの弱点を補い、公立と民間の枠を超えて地域医療の再生を進めていきたい」と述べた。桜井勝延市長は「市も積極的に協力し、看護師が働きやすい環境をつくりたい」と語った。



https://mainichi.jp/articles/20171117/ddm/008/040/124000c
厚労省 「紹介状なし」に追加負担 対象病院を拡大へ 
毎日新聞2017年11月17日 東京朝刊

 厚生労働省は、大病院を紹介状なしに受診した患者に5000円以上の追加負担を求める制度で、2018年度から対象病院の範囲を拡大する方針を固めた。現在の500床以上(262病院)から400床以上に見直す方向で調整する。約150病院が新たに対象になる見通し。

 軽症の人は身近な病院や診療所などのかかりつけ医を受診するよう促し、高度な医療を担う大病院との役割分担をさらに進める狙いがある。

 ただ追加負担の金額や、救急患者らには負担を求めない運用は変えない考え。

 この制度は、紹介状なしで大病院を受診する場合、1~3割の通常の窓口負担に加え、初診時に5000円(歯科は3000円)以上、再診時に2500円(同1500円)以上の追加負担を求める仕組み。大病院に患者が集中し、待ち時間が長いなどの問題も指摘されているため、16年度の診療報酬改定で導入された。

 現在、追加負担の徴収が義務付けられているのは、高度な医療を提供する「特定機能病院」と、500床以上の「地域医療支援病院」。厚労省の調査によると、5000円以上に引き上げた病院では、16年10月までの1年間で紹介状なしの患者が3割減るなど、一定の効果が出ている。

 400床以上の病院の96%は、既に自主的に一定額を徴収しており、診療報酬の在り方を議論する中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)では「医療行動を変えるために200床以上の病院とすべきだ」といった意見も出ている。

 ■ことば

病院の紹介状
 病気やけがで受診した医療機関の医師が、より専門的な病院に行った方がいいと判断したり、患者が希望したりした場合に書く。正式名称は「診療情報提供書」。患者の症状やこれまで受けた治療、検査結果などを記載する。紹介を受けた医師は診療内容を把握することができ、無駄な検査や治療がなくなる。患者の負担が減り、医療費抑制にもつながる。



http://www.asahi.com/articles/ASKCJ4CXPKCJUBQU00Q.html
岩手県の病床数、国の基準より1271床「過剰」 
角津栄一2017年11月16日15時00分 朝日新聞

 国が病床整備の適正水準とする基準病床数と比べて、岩手県全体では約1200床分が過剰な状態にあるという県の試算結果が明らかになった。2次医療圏ごとに定められ、過剰な圏域では病院の新設やベッド数の増設は原則として認められない。

 7日にあった県医療審議会医療計画部会で報告された。基準病床は、病床の地域偏在の是正を目的に定められており、医療圏ごとに設定される。県は今後数値を確定させたうえで、今年度中に策定する次期医療計画(2018年~23年度)に盛り込む方針。

 国は、医療の必要度が高くない病床について、介護施設への転換や在宅医療への移行を促している。県が病床転換について医療機関に調査をしたところ、今後374床分の転換の可能性があるという回答だった。

 これに基づいて県が国の定めた全国統一の算定式で試算すると、基準病床数は県全体で1万1879床となった。既存の病床数は1万3150床(16年9月)で、1271床が過剰な状態となる。

 医療圏別にみると、盛岡圏域が665床、次いで二戸圏域が221床、胆江圏域(奥州市など)が161床の過剰状態で、両磐圏域(一関市など)、久慈圏域は基準病床の水準以下だった。



http://www.townnews.co.jp/0605/2017/11/16/407452.html
地域包括ケア担い手が議論
医療・介護の連携を確認
 
タウンニュース 平塚版 2017年11月16日号

 医療・介護関係者らを対象にした勉強会「平塚市在宅医療人材育成セミナー」が11日、市保健センターで開かれ、およそ70人が参加した。在宅医療・介護連携支援センターの主催。

 セミナーでは、医師や看護師、介護支援専門員、ケアマネジャーらが参加してグループワークを行った。強皮症を患い在宅医療を希望する独居女性に対して、医療・介護の両面からどのようなケアができるかなど、2つの架空事例をもとに意見を出し合い、発表した。

 発表の際には「最期を自宅で迎えたいという本人の意志は尊重されるべき」という意見が多く聞かれ、あるグループは「医療と介護の支援の隙間を作らぬよう、両者の十分な意見や情報の共有が大切」と横の連携を強調していた。

 セミナーを主催した在宅医療・介護連携支援センターは、今年10月に平塚栗原ホーム(立野町)内に設置。地域包括ケアシステム構築にむけ医療と介護関係者を対象にした研修会を定期的に開く。センターの担当者は「今後もセミナーを重ねて顔の見える関係作り、より良い支援のあり方を追求したい」と話している。



http://www.medwatch.jp/?p=16899
特養での医療ニーズ対応を強化すべく、配置医の夜間診療などを高く評価―介護給付費分科会(1) 
2017年11月15日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、特養)の配置医師による早朝・夜間や深夜の診療を、2018年度介護報酬改定で新たに評価する。また特養に限らず、介護保健施設などで入所者に身体拘束を行った場合の減算をより厳しく見直し、「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」を定期的に開催しない場合などにも減算する―。

 11月15日の社会保障審議会・介護給付費分科会の会合で、厚生労働省はこうした案を示しました。そのほか、小規模な特養の基本報酬の引き下げなども提案しました。

 この日は特養のほか、▼短期入所生活介護(ショートステイ)▼特定施設入居者生活介護▼認知症対応型共同生活介護▼認知症対応型通所介護―の見直し案についても議論しました。そちらは改めてお伝えします。

ここがポイント!
1 入所者の医療ニーズへの「的確な対応」促す
2 配置医師への新評価は事前の「取り決め」が前提
3 身体抑制の適正化目指して研修実施や対策の検討求める
4 入所者の一時的な在宅復帰時、居宅サービスを施設から提供
5 小規模特養の基本報酬を通常規模と同水準に見直し

入所者の医療ニーズへの「的確な対応」促す

 特養は、重度の要介護高齢者が入所する生活施設で、介護老人保健施設(老健)や介護療養型医療施設(介護療養病床)と合わせて介護保険施設と位置付けられています。要介護者の中でも、居宅での生活が困難な人を支える施設とされ、2015年4月以降は「要介護3」以上の要介護者以外は原則入所できません。

 今年(2017年)4月時点で全国に9726施設あり、57.7万人が利用しており、入所者の要介護度(2015年10月時点)は89.5%が「要介護3」以上です。

 そのため特養では、重症者の積極的な受け入れや、施設内での看取り期(死亡30日前から死亡日まで)の対応の充実が、介護報酬の加算などで後押しされてきました。ただ、人員基準(介護報酬を算定するために最低限満たす基準)では、医師の常勤配置が求められていません。このため、入所者の夜間の緊急時には、連絡を受けた配置医師が診察(自施設を訪問)している施設がある一方で、配置医師に連絡を取らず、救急車を呼ぶことを原則にしている施設もあるのが実情です。

 こうした状況を踏まえて厚労省は11月15日の介護給付費分科会で、入所者の医療ニーズに「より的確に対応できる」特養を増やすための5つの案を示しました。

(1)配置医師が施設の求めに応じて、早朝・夜間または深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行うことを新たに評価する
(2)医療提供体制を整備した上で、実際に施設内で看取った場合、現行の看取り介護加算よりも高く評価する
(3)常勤医師配置加算の要件を見直す
(4)夜間の看護職員の配置などを、現行の夜勤職員配置加算よりも高く評価する
(5)入所者の急変時などの対応方針を定めておくことを、すべての特養に義務付ける

配置医師への新評価は事前の「取り決め」が前提

 このうち(1)は、配置医師による夜間などの診療を評価する提案です。ただし、▼入所者の病状を配置医師に伝える方法や、診察を依頼するタイミングなどの「具体的な取り決め」をしておく▼医師を複数名配置するか、配置医師と協力病院等の医師が連携して、施設の求めに24時間対応できる体制を確保しておく▼「看護配置25対1以上」などの施設基準を満たして看護体制加算(II)を算定している―といった要件を満たす場合に限り、評価するとしています。

 また(2)の施設内看取りの手厚い評価は、(1)の要件を満たす施設に限り、看取り介護加算(入所者の看取りに向けた体制整備などへの評価)の単位数を通常より高くするものです(現在、施設内で看取った日に算定できる加算は1280単位)。厚労省は、死亡日の前日・前々日に680単位ずつ算定できることも紹介しており、(1)の要件を満たす施設では、前日・前々日に算定できる加算の単位数も通常より高く設定されるかもしれません。

 (3)の常勤医師配置加算(1日につき25単位)の見直し案は、「ユニット型施設」と「従来型施設」を同一建物内に併設するケースで、それぞれの施設がこの加算を算定しやすくするものです。

 ユニット型と従来型の両方でこの加算を取りたい場合、今のルールでは、「常勤専従の医師」をそれぞれに1人以上(計2人以上)配置しなければなりません。厚労省は、同一建物内の施設が一体的に運営されていて、両方の施設の入所者の健康管理などが適切に行えるのであれば、「全体として、常勤専従医師1人以上の配置」でそれぞれ加算を算定できるように、要件を緩和してはどうかと提案しています。

 (4)の夜勤職員配置加算(定員30人以上の施設なら、定員数などに応じて1日につき13-27単位)は現在、介護職員か看護職員の夜間配置を評価しています。厚労省は、現行要件を満たし、さらに「たん吸引」などを実施できる「認定特定行為業務従事者」か「看護職員」を配置している施設を、より高く評価するとしています。夜勤職員配置加算は短期入所生活介護(ショートステイ)にもある評価で、厚労省はショートステイにも同様の評価を新設したい考えです。

身体抑制の適正化目指して研修実施や対策の検討求める

 11月15日の介護給付費分科会で厚労省は、入所者への身体拘束廃止に向けて、施設側にさらなる取り組みを促す見直し案も示しています。

 特養などの入所者に対して、身体拘束などの行動を制限する行為を行うことは、「当該入所者または他の入所者等の生命または身体を保護するために緊急やむを得ない場合」を除いて禁止されています。やむを得ず身体拘束などを実施した場合には、その態様や時間、入所者の心身の状況、やむを得ない理由を記録することが求められており、その記録を怠った特養や老健では、身体拘束廃止未実施減算として、入所者全員の基本報酬から毎日5単位ずつが減算されます(記録を行わなかった月の翌月から、改善が認められた月まで)。

 厚労省の見直し案は、この減算をより厳しくするものです。具体的には、記録を怠った場合だけでなく、▼身体拘束などの適正化のための対策を検討する委員会を、少なくとも3か月ごとに開き、その結果を介護職員やその他の従事者に周知徹底させる▼身体拘束などの適正化のための指針を整備する▼介護職員その他の従事者に対して、身体拘束などの適正化のための研修を定期的に行う―のいずれかが欠けた場合、この減算が適用されることになりそうです。

 さらに、減算幅を1日5単位から、基本サービス費の一定割合へと見直します。「何%」減算するかは未定ですが、今以上に厳しくなることは間違いありません。

 その上で厚労省は、この減算を特養や老健だけでなく、認知症対応型共同生活介護や、特定施設入居者生活介護、そして来年(2018年)4月に創設される介護医療院の基本報酬にも適用させる方針を示しています。

 こうした方向性に対して、介護給付費分科会の委員から反対はありませんでした。特に、身体拘束廃止に向けた改善の必要性は複数の委員が指摘しており、「身体拘束だけでなく、虐待も委員会を開いて検証することが求められる時代だ」(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)、「拘束廃止は重要だが、一方で転倒や転落リスクが高まる。そういうリスクの評価はしなくていいのか」(鈴木邦彦委員:日本医師会常任理事)といった声も上がりました。

入所者の一時的な在宅復帰時、居宅サービスを施設から提供

 11月15日の介護給付費分科会で厚労省は、(1)特養の利用者が外泊した際に在宅サービスを利用しやすいように評価を新設する(2)小規模特養の基本報酬を引き下げ、通常の特養と同じにする(3)外部のリハビリテーション専門職と連携した自立支援・重度化防止の取り組みを評価する(4)障害者が入所者数の5割以上を占め、常勤の「障害者生活支援員」を2人以上配置する施設を、より手厚く評価する(5)「ユニット型準個室」という名称を「ユニット型居室」に改め、入所者の誤認を防ぐ(実際には天井や壁に隙間が空いていることもある)―といった見直し案も示しています。

 このうち(1)の外泊時に関する評価の新設は、入所者が一時的に自宅に帰ることを認め、自宅療養中に特養から在宅サービスを提供する場合に、基本サービス費の代わりに「一定の単位数」を算定できるようにするものです。

 状態が安定した入所者が、一時的に自宅へ帰るケースでは、訪問介護などの居宅サービスを受けられない決まりになっています。そこで厚労省は、入所者の自宅を特養の介護職員らが訪問し、必要なサービスを提供するのを介護報酬で新たに評価することで、一時的な在宅療養の期間中にも必要なサービスを届けたい考えです。特養だけでなく、老健にも同様の評価を設けるとしています。ただし、この評価を受けられるのは1か月のうち6日までで、外泊の「初日」と「最終日」は算定対象外です。

 なお、実際に入所者の自宅に訪ねるのは、施設が委託した「外部」の訪問介護事業所の職員でも構いません。その場合には、介護報酬を特養などの施設側が算定し、委託した業務にふさわしい費用を外部事業者に支払うことが想定されます(外部事業者は介護報酬を請求しない)。

小規模特養の基本報酬を通常規模と同水準に見直し


 (2)の小規模な特養(定員30人)の基本サービス費を引き下げる案は、来年度(2018年度)以降に新設される施設について、通常規模の特養(定員31人以上)と同額に見直すものです。

 例えば入所者が「要介護3」の場合、1日当たりの基本サービス費は、通常規模なら682単位、小規模なら830単位と差があります。今年度(2017年度)の介護事業経営実態調査では、通常規模の特養の収支差率(高いほど利益を出しやすい)が1.6%だったのに対し、小規模の特養は4.2%と高水準でした。

 厚労省の提案は、この調査結果を踏まえたもので、既存の小規模な施設や、「経過的地域密着型介護福祉施設」(2005年度以前に開設した定員26-29人の特養)の報酬水準も、一定の経過期間を置いた上で、基本サービス費を通常規模の特養とそろえるとしています。

 通常規模の特養の収支差率(1.6%)は、昨年度(2016年度)の状況を調べたもので、15年度と比べて0.9ポイント悪化していました。11月15日の会合では、瀬戸雅嗣委員(全国老人福祉施設協議会理事・統括幹事)がこの結果に言及し、「このままでは特養が崩壊する」として、特養全体の基本サービス費の引き上げを強く求めました。また、既存の小規模の特養の基本サービス費を通常規模とそろえる方向性に理解を示したものの、過疎地域にある施設への配慮や、「最低6年」の経過措置を要望しました。



https://mainichi.jp/articles/20171115/ddm/016/040/040000c
どう変わる医療と介護 2018年度 同時報酬改定 迫る多死社会 最善の「最期」目指す 国・自治体、事前意思表示を啓発 
毎日新聞2017年11月15日 東京朝刊

 2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、地域で療養する患者は現在より約30万人増えるとされる。死亡者数が増加し、人口減少が加速する「多死社会」を迎える中、国や自治体は、人生の最終段階(終末期)に、本人の希望に応じた治療や療養ができるよう、環境整備のための啓発活動に着手している。【細川貴代】

 「病院だけが選択肢ではありません。在宅療養も選択肢の一つです」。10月上旬、神奈川県横須賀市の高齢者サロンで、市職員が市民約30人に語りかけた。町内会への出前講座で、テーマは「最期の医療」。自宅で受けられる医療・介護サービスや、最期まで自宅での暮らしを望む場合は、普段から家族や主治医に伝えておくよう呼び掛けた。

 参加者からは「1人暮らしだと実際は最期まで自宅は難しいのでは」との率直な意見も。小林健晋自治会長(80)は「地域に1人暮らし高齢者も増え、終末期への関心も高い。真剣に考えざるを得ない話題だ」と話した。

 同市は11年度から、在宅医療や在宅みとりに関わる地域の人材育成や多職種連携に力を注ぐ。市民啓発にも力を入れ、在宅療養を紹介する啓発冊子の発行、相談窓口の周知などを行ってきた。全死亡者のうち自宅や高齢者住宅で亡くなる「在宅死」の割合は14年の場合、22・9%と、人口20万人以上の自治体でトップ。川名理恵子・市地域医療推進課長は「1人暮らしでも最期まで自宅で暮らすことは可能だが、制度があっても市民の理解がないと進まない」と話す。

 宮崎市は13年度にエンディングノートを作った。回復の見込みがなく死期が迫った場合の治療の希望の有無や、治療方針を任せる代理人を書く欄も設けた。手引を作り、内容を熟知した市職員らが使い方を説明して手渡す。担当者は「書いた内容が法的効力を持つことはない。何が自分に最善の医療か、家族と話し合う道具の一つにしてほしい」。

 現状では7割以上の人が病院で最期を迎える。一方で自宅死を希望する人は約6割に上るが、家族間で終末期の話題を避ける傾向は強く、13年の国の調査で、自分の死が近い場合の医療について「家族と全く話し合ったことがない」人が約56%。書面作成までした人は少なかった。

 厚生労働省も今年度、終末期医療について、話し合ったり意思表示したりする機会を持ってもらうため、事前に医師や家族らとの話し合いを促す内容を盛り込んだ、市民向け啓発冊子のひな型を初めて作る。

 ただ同省としては08年に医師が75歳以上の患者や家族と終末期について話し合って文書にまとめた場合、診療報酬で評価する「終末期相談支援料」を打ち出したところ、「意思決定を無理強いする」と批判を受けて廃止した経緯もあり、慎重に進める考え。担当者は「まずは患者自身が終末期について選択し、意思表示できる仕組みを考えたい」としている。

患者の思い、共有する 医療現場でも取り組み

 医療現場では、高齢化の進展に伴い、人生の最終段階で、治療に対する患者本人の意思がわからず、家族や医療者が決定を迫られ苦悩する現状がある。

 そうした中、医療現場で広がりつつあるのが、患者本人と家族やかかりつけ医ら医療・介護の関係者が、何度も話し合いを重ねて患者の思いを共有する「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の取り組みだ。

 ACPは、高齢者や余命の限られた患者らを対象に、医療者側が治療の選択肢を説明し、人生観や受けたい治療・療養場所などを話し合う「過程」に力点を置く。

 厚労省も、体制を構築すべく、昨年度からは、死期が迫った患者と家族の相談に対応できる医師や看護師など多職種の育成研修を全国で展開しており、研修ではACPも学ぶ。

 研修担当の木沢義之・神戸大医学部付属病院特命教授は、「ACPによって、患者の意向が尊重されたケアが実践され、家族の満足度も上がる。特定の医療機関でなく、地域の医療・介護関係者全体が理解して実践していく体制を作る必要がある」と指摘。「最期を決めるのは患者本人だということを医療関係者も国民も理解していく必要がある」と話す。



http://healthpress.jp/2017/11/post-3358.html
米国の医療費の約5割が「救急医療」に!社会的弱者がERに殺到するのは日本の近未来? 
2017.11.14 ヘルスプレス

 全米の診療データベースを用いた研究から、2010年に米国で提供されている医療の約5割を救急医療が占めていたことが明らかになった。

 研究を実施した米メリーランド大学医学部救急医学准教授のDavid Marcozzi 氏は「現在の米国の医療システムにおいて、救急科が重要な役割を担っていることが浮き彫りになった」としている。詳細は「International Journal of Health Services」10月17日オンライン版に掲載された。

 Marcozzi 氏らは今回、全米を網羅した複数の病院診療データベースを用い、1996~2010年のデータを分析。その結果、14年間の「一般外来」「入院」「救急科」を合わせた受診件数は35億件超で、この間に救急科の受診件数が約44%増加していたことが分かった。また、2010年の受診件数は「一般外来が1億100万件」、「入院が3900万件」であったのに対し、「救急科は約1億3000件」と全体の約5割を占めていた。

■人種では黒人、高齢者や低所得者で高い割合

 さらに、救急科を受診する患者を人種別にみると、「黒人」の割合が最も高かった。2010年には黒人が利用した医療サービスの54%を救急医療が占めていた。この割合は都市部の黒人では59%とより高かった。
 
 このほか「メディケア(高齢者向け公的保険)」および「メディケイド(低所得者向け公的保険)」の加入者も、救急科の受診率が高かった。また全体の医療に占める救急医療の割合は、北東部(39%)に比べて南部で54%、西部で56%と高く、地域差も認められた。

 Marcozzi 氏は「この研究結果には愕然としたが、米国医療の現状について理解する手掛かりが得られた」と話し、特に黒人や公的保険の加入者で救急科の受診率が高いことについて「こうした社会的弱者で救急医療を利用する人が多いのは、医療アクセスの格差に起因しているのではないか」との考えを示している。

■マイノリティーという弱者の最後の砦がER

 では、アメリカでの「医療アクセスの格差」とはなぜ起こるのか? 

 アメリカは個人個人が支払可能能な保険を選択し、その保険会社によって指定される医療機関のみに、その保険は適用される。加入者は契約時に示される医師リストの中から、自分のかかりつけ医である「ホームドクター」を選び登録する。体調を崩した場合や不安がある場合は、まず登録した医師を受診することが必要だ。専門医の受診、救急病院への搬送や入院など、あらゆる場面でこの登録した医師の許可、紹介が必要となる。

 専門医は完全予約制のため、急病時に受診できる医療機関は限られる。いきおい予約無しで受診できる救急医療施設(ER)では、いつも患者が多くってしまう。メディケアおよびメディケイドなどの加入者でも、アクセスがより限定されるため救急病院への受診が多い、

 さらには救急救命室には保険加入者だけではなく、医療費支払い能力のない患者も多く訪れる。民間保険やメディケアおよびメディケイドなどの公的医療保険に未加入の場合、実質的には高額すぎて医療費が支払えないため、通常の医療を受けることはできない。

 このように医療費の支払いが十分にできない中所得者から低所得者が、救急医療制度に頼る傾向が強くなっているのだ。

 健康管理面で見ても、保険未加入者では慢性的な受診控えが生じ、必要な医療サービスを受けない状態での生活を強いられる。さらに定期受診もできないため、さまざまな疾患の早期発見も困難となる。

 今回の調査では、黒人の救急受診の割合が高くなっているが、アメリカ合衆国の少数民族は、一般的に白人よりも定期受診は少なく、救急救命室や診療室を利用する機会が多い。これは、社会経済状況や教育などの要因だ。自分の健康管理に対するリテラシーが低く、知識があっても医療費の支払い能力がないため、救急受診が必要となるまでに重篤化することも少なくないのだ。

 マイノリティーという弱者の最後の砦がERだ――。こうした状況は、国民皆保険と医療機関へのフリーアクセスが原則の日本では考えにくいことだが、現在、日本では「市場原理に則った医療」を目指して、病院を民営化し混合診療を認めようとしている。しかし、その方向は本当に正しいのだろうか? 真剣な議論が必要だ。
(文=編集部)



https://www.m3.com/news/iryoishin/568817
中央社会保険医療協議会
「複数医療機関による訪問診療」、診療報酬で評価
有料ホームへの訪問診療、介護医療院の給付調整なども議論 ** 
 
レポート 2017年11月13日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月10日、在宅医療を議題とした。複数の医療機関による訪問診療について、厚生労働省は主として在宅医療を担う医療機関の医師が患者・家族の同意を得て他の医療機関に訪問診療を依頼し、実施した場合に診療報酬上の評価をすることなどを提案し、了承された(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が提示した論点案ごとの委員の主な意見は次の通り。(網掛け部分が厚労省提示の論点案)

在宅における療養計画に基づき、主として在宅医療を担う医療機関の医師が、患者・家族の同意の下で、他の医療機関に当該患家への訪問診療を依頼し、当該他の医療機関がそれを実施した場合、診療報酬上の評価を設けてはどうか。
地域医師会等の協力により、在宅療養支援診療所以外の医療機関が他の医療機関と連携して、24時間対応を含めた在宅医療体制を構築し、訪問診療を提供している場合には、一定の評価を検討してはどうか。
日本医師会常任理事・松本純一氏:特に専門性の高い診療科に関して我々は要望していた。方向性として歓迎する。不適切な運用はあり得るので、論点案には地域医師会「等」とあるが、外して地域医師会が認めた医療機関で運用してみてはどうか。

日医常任理事・松本吉郎氏:24時間体制の在支診(在宅療養支援診療所)以外の医療機関の連携だが、在支病(在宅療養支援病院)や在支診で診て、昼間は在支診以外のところが診るという考え方もある。

併設する有料老人ホーム等の入居者等を訪問診療する場合、実態としては、外来診療と訪問診療の中間的な取り扱いとなることから、そうした患者への医学管理に係る評価を、新たに設けてはどうか。
介護医療院については、入所者として想定されている患者の状態や医療ニーズを踏まえつつ、介護療養型医療施設や介護老人保健施設における取り扱いを参考に、医療保険と介護保険に係る給付調整の取り扱いを整理してはどうか。
松本純一氏:移動距離や移動時間が効率的だという観点から考えるならば、同一施設で一回の訪問で複数の患者を診るのと同じように考えれば良い。本来医学管理には当然差があってはならないから、訪問診療料を訪問部分と診察部分に分解して考えてみることが必要ではないか。

末期の悪性腫瘍の在宅患者について、患者の状態の変化に伴い適切なサービス提供を可能とする観点から、医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有・連携等を、在宅時医学総合管理料等の要件としてはどうか。

松本純一氏:方向性としてはいいのではないか。ただケアマネが医療の必要について十分理解していることが最低条件。ともすれば、医療的ケアが必要ということで医療保険を使うわけだが、訪問看護が必要だと説いても、なかなかケアマネが必要性を理解できずに、訪問介護をすることも、ままある。その辺りの連携が取りにくい場面もある。

松本吉郎氏:急速な機能低下に対応するための提案とのことだが、あらかじめかかりつけ医とケアマネが合意した場合に、かかりつけ医の指示のもとで必要な医療サービスを提供して、ケアプランに反映させるような柔軟性を持つ必要があると思う。

日医副会長・今村聡氏:情報共有と連携を在宅時医学総合管理料等の要件とするのは大事なことだ。看取りをしている先生が、ケアマネからのさまざまな情報共有の要請に対して応えていないというのは、現状はないと思う。

患者や家族の希望に応じた看取りを推進する観点から、ガイドラインを参考に行われる医療等の提供方針の決定プロセスについて、診療報酬上の位置づけを検討してはどうか。
看取りについてはさまざまな希望があることから、在宅で療養している患者が、在宅の主治医と病院との連携の下で、本人や家族の希望に基づき、最期を入院で看取った場合の評価を検討してはどうか。

松本吉郎氏:本人の意思に反して救命救急センターに搬送し、フルに救命救急活動を行うことが、問題点として指摘されている。救急車の適正利用の観点からも進めていくべきだ。

往診料の緊急加算の算定要件とされている病態については、医療提供に係る実態を踏まえて、対象患者の要件を見直してはどうか。
患家の求めに応じて患家に赴き、診療を行った場合に算定できるとの往診料の取り扱いについて、「患者の求め」の解釈に幅があることから、より適切な運用につながるよう、要件を明確化してはどうか。
松本純一氏:現在の往診料の算定要件には違和感がある。現場の意見を反映した見直しに期待する。解釈に幅が必要だとは考えるが、悪用されることのないような要件にすべきだと考える。

今村氏:緊急加算には心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症という疾病、病態が書かれているが、「これらを起こしたら救急車でしょう」という話だ。実は緊急に行く医療機関は何が大変かと言うと、診療中に出かけて行くことが大変。そういうことの加算なら理解できると思う。

 そのほか、訪問歯科診療と訪問薬剤指導について、厚労省は以下の論点を提示した。

訪問歯科衛生指導料の「複雑なもの」と「簡単なもの」の区分について、見直しを行ってはどうか。
「簡単なもの」の算定要件の一つに「複数の患者に同時に40分以上指導を行った場合」があるが、このようなケースは少ないと考えられることから、評価のあり方について見直しを検討してはどうか。
要介護高齢者に対する口腔の管理を推進する観点から、口腔清掃や有床義歯に関する実地指導のみではなく、口腔機能も含めた療養上必要な指導を行った場合も評価の対象となるよう、訪問歯科衛生指導料の見直しを検討してはどうか。
無菌製剤など積極的な対応を要する在宅薬剤管理をより広く推進するため、専門的な技術を要する在宅薬剤管理の実績や地域の薬局への支援等に着目した評価を検討してはどうか。また、小児に対する在宅薬剤管理に対する評価を検討してはどうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568586
全日病、10年以上の医師対象に「総合医プログラム」開始
都内でのスクーリング中心、ゴールは「現場で一歩踏み出せる」
 
2017年11月13日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全日本病院協会の猪口雄二会長は11月10日、東京都内で記者会見し、同会会員施設の医師に対し、「全日病総合医プログラム」を提供することを公表した。対象はおおむね10年以上の医師で、50万円程度と見込まれる受講料は各病院が負担する。2018年1月から受け付けを開始し、7月からスタートする(『「全日病 病院総合医」を養成するわけ - 猪口雄二・全日病会長に聞く◆Vol.2』を参照)。

 最短で1年間で取得できるが、勤務しながらであることから、1~3年での取得を想定している。全日病は年間40人程度の取得を見込んでおり、各病院には修了者に「総合医としての評価」を行うように求めている。プログラムは日本プライマリ・ケア連合学会が協力。(1)自院における診療実践、(2)スクーリング、(3)e-learning――で構成され、スクーリングを中心に据える。スクーリングは診療実践コース(22回)、ノンテクニカルコース(10回)、医療運営コース(3回)で、プログラム参加時に各自が必要なものを選んで選択する。全35回の3分の2程度が必須となる。1回1日の予定で、東京で土日曜日に連続して開催することを想定。各コマを少なくとも年に1回開催する。

 診療実践コースでは総論の他に、臓器別・診療科別にカリキュラムを作成。循環器コースでは「胸痛と呼吸困難を訴えて受診した患者に対して、身体所見や心電図などの検査所見から、心筋梗塞を診断して適切な初期対応ができる」「健診で初めて高血圧を指摘された患者に対して、二次性高血圧の除外を行った上で、行動科学における方法論に基づく適切な生活習慣指導を行い、適切な降圧薬を選択して継続的にフォローアップできる」など、具体的な到達目標が設定される。プログラム作成に当たった筑波大学地域医療教育学教授の前野哲博氏は、「ゴールは『現場で一歩踏み出せること』。当直の時に、全科を断らずに対応できる。数の多い典型例をガイドライン通りに診ることができるイメージ」と説明する。

 ノンテクニカルコースでは「コンフリクトマネジメント」「教育技法」、医療運営コースでは「医療制度・診療報酬の理解」「介護制度の理解」などがある。全日病常任理事の井上健一郎氏は「幅広さと組織運営ができる医師が求められている」と説明した。

 日本専門医機構の総合診療専門医との関係については、猪口会長は「似ていると思うが、全国に行き渡るには時間がかかる。現場の変化は待ったなしである」と説明。日本病院会でも同様な取り組みがスタートするが、「発想としては同じだが、やり方が異なるかもしれない」として、現時点ではそれぞれが必要だと思うことを実践することが重要との考えを示した(『日病独自の「病院総合医」、2018年4月から育成』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568428
医師の働き方改革とキャリア
四病協調査「宿日直許可得ず」19%、「36協定なし」15%
厚労省働き方検討会、医療団体からヒアリング
 
レポート 2017年11月11日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は11月10日、「第4回医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、日本医師会と、全国自治体病院協議会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議からヒアリングを行った。各団体は、それぞれが行った勤務実態などに関する調査結果を発表し、「医師に対する時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊を招かないよう、慎重な検討が必要だ」(全自病会長・邉見公雄氏)、「大学病院の医師が意欲と希望を持って診療、教育、研究に打ち込むことができるよう配慮を」(千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏)など、現場の実態を踏まえた議論の必要性を訴えた。

 一方で、四病協の調査では、労働基準法上の宿日直許可なく宿直勤務をしている施設が19.2%、36協定を締結していない施設も14.9%あるなど、長時間労働の是正以前の問題として、労働基準法の基本的ルールを遵守されていない実態も明らかになった(資料は厚労省のホームページ)。

 山本氏は、全国医学部長病院長会議が10月17日~11月6日に行った「医師の勤務環境改善策の取組み状況についての緊急調査」(80施設に発送、73施設から改修)の結果を発表。「大学病院の勤務環境の大きな特徴として、院内の各種委員会が多数に上るとして、約3年前に、3割ほど委員会を減らしたが、現在には元に戻ってしまっている。厚労省などから指導を受けると委員会が増える」と千葉大病院の例を紹介した。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・全国医学部長病院長会議ヒアリング資料

 日本医療法人協会副会長の馬場武彦氏は、四病協が各団体の会員病院を対象に行った調査結果(5118施設に発想、639施設から回収)を発表。労基法施行規則第23条にある宿日直許可を行わずに宿日直勤務を実施している施設が19.2%あり、医師に法定労働時間を超える時間外労働をさせるために必要な36協定を締結していない施設も14.9%あった。この結果について、馬場氏は「一般的な医療機関での宿日直の実態と、現在の労働基準法の宿日直基準があまりにもかけ離れていることがその一因。救急対応などを行っている医療機関の宿日直の実態にあった仕組みが必要なのではないか」と述べた。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・四病協ヒアリング資料
 日医常任理事の市川朝洋氏は、日医勤務医委員会の委員が9月から10月にかけて所属ブロックの医師にヒアリングした結果、労働時間短縮が地域医療に及ぼす影響として、(1)救急医療への影響、(2)外来診療の縮小などの病院機能の低下、(3)高度医療・長時間手術などへの影響、(4)へき地への影響、(5)研修時間と研修医教育への影響――などの意見が挙がったと紹介した。

 日医副会長の今村聡氏は、日医女性医師支援センター長としての立場から、2016年に同センターが行った調査(結果は同センターのホームページ)を紹介。女性医師の割合は今後さらに高まるため、「出産・育児のみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も重要。多様な働き方、幅広い選択肢を前提とした支援策が望まれる」と指摘した。

 邉見氏は参考人として出席し、意見陳述し、全自病が7月から8月に行った調査結果(879施設に送付、437施設から回収)を紹介。改正労基法の規定で時間外労働の上限が医師も一律に720時間とされた場合の診療体制への影響などを尋ね、「救急外来の対応が困難になる」、「深夜帯の診療制限が必要」などの回答があったとし、「現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難。応招義務と労働量規制との関係について、十分な議論と整理が不可欠だ」と述べた(関連記事は『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』)。

構成員の主な発言は次の通り。

◆東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授・渋谷健司氏:働き方改革をきちんとしないと偏在の問題は解決しないと思っている。(厚労省の)医師需給分科会では管理者要件を課すというのが出たが、管理者の根拠としてへき地勤務は関係ない。インセンティブならまだ良いが。また、今村構成員の資料に女性医師が仕事を続けるために必要と思うことが出ているが、「診療報酬、医療費等」という回答はほとんどなく、要は働き方だ。この辺りをきちんとしないと、女性医師や若手が地方に行かない。

◆今村氏:渋谷構成員の言う「お金、診療報酬ではない」というのは、その通りではあるが、やはりお金はかかる。私は中医協(中央社会保険医療協議会)の委員でもあるが、1号側(支払側)の委員から「働き方改革と診療報酬は関係ない、切り分けて議論するべきだ」という極めて強い主張があり、激しくやりあった(『診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める』を参照)。診療報酬改定の時期でもあり、今こそ必要なものは必要と言わなければいけない。

 山本構成員の発表で、委員会が多いとのことだが、診療報酬に位置付けられて開催しなければいけないものはどのくらいあるのか。また、せっかく時間をかけて特定看護師になった方を活用できていないのはなぜか。

◆山本氏:「医師の出席義務があるもの」というくくりで調査したため、診療報酬上のしばりについてはすぐには分からないが、感覚的には半分くらいではないか。組織が大きいため、トップダウンで済むということではなく、コンセンサスの形成、医療安全上、臨床上の必要などでどんどん増えていくのが実情だ。特定看護師については、千葉大にいないので分かりかねるが、例えばフィジシャン・アシスタントで言えば、各病院で独自に雇えるが、制度的な裏付けがない。ガイドラインなどもなく、病院の責任でやらなければならないなどがネックになっている。

◆東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏:邉見参考人の発表で、「上限規制がかかると患者が困る」という話があったが、自治体病院の窮状よりもそれが出てくるところは、医師のプロ意識だと思った。この検討会では、医療に規制をかけるよりも、医師、医療者を支援する観点で議論するべきだと強く思う。

◆全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:医療が高度化し、高齢化も進んでいる現状では医師の労働時間は多くなる。一方で上限規制も行われるとなると、どういう医療が国民に必要かを考えないといけない。患者の側も、受診のあり方を考えないといけないのではないか。

◆今村氏:国民の理解が必要だということには、この検討会の誰も反対しないと思う。では誰がどのようにやるのかという方法論が欠けている。方向性を出さないと、堂々巡りだ。国民皆保険は大事で、崩壊したら終わりだ。考えていかないといけない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/569804
真価問われる専門医改革
新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割
内科2554人、総合診療158人、東京の眼科などで調整も ** 
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は11月17日の理事会後の記者会見で、11月15日に締め切った1次登録者数は、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たる7989人に上ることを公表した。最も多いのは内科で2554人、新たに基本領域に加わった総合診療は158人。それ以外も含め、全19の基本領域別の登録者数は、地域医療への影響を検証した後、公表する予定。

 10月10日の1次募集開始時点の専門研修プログラムは3060だったが、その後、3つの総合診療のプログラムが追加、全3063のプログラムの募集定員総数は、1万9093人(3060プログラムの都道府県別の数は、『新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】』を参照)。今月末までに調整を行い、12月15日までに採否を決定、12月16日から2次募集を開始する。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「初期臨床研修を終えようとしている医師の約9割に、新しい専門医制度に登録してもらったことは、ありがたいと同時に、責任の重さを痛感する」と語った上で、「都市部への専攻医の集中はほとんどない。過去5年間の専攻医の平均採用実績を大きく回っているところはない」と説明した。

 新専門医制度は、都市部への医師偏在を増長するのを防ぐため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県では、医師不足の外科など4領域を除き、過去5年間の専攻医の平均採用実績を超えないように調整することが必要(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「東京都であふれていないかを今、検証している。それほど大きくオーバーしている領域はないが、眼科は前年度の採用数よりも50人ほど増えている。この辺りに心配がある」と語った。脳神経外科以外の領域は、研修プログラム制による専攻医採用実績についての過去5年分のデータがないため、「医師・歯科医師・薬剤師調査」なども照合して、検証を進めるという。なお、厚生労働省も、各基本領域の学会から、1次登録状況について報告を求め、検証する方針。

 7989人のうち、各専門研修プログラムの募集定員を超えたのは、計75人。専攻医登録用のIDを取得したものの、1次登録をしなかった医師が110人。これらに加えて、1次登録で調整の結果、研修先が決まらなかった医師などが、12月16日から開始予定の2次募集で登録することになる。

 1次登録者の大半は現在、卒後2年目の臨床研修医と想定される。2016年3月の医師国家試験の合格者数は8630人。ここには卒後、基礎医学等に進んだ医師も含まれるが、卒後2年目の臨床研修医の約9割が、専門医研修に入ると見込まれる。

 PMDAとAMEDの勤務経験、専門医更新の実績に
 そのほか、17日の理事会では、初期臨床研修が年度末の3月に修了せず、年度途中から専門研修を開始する場合の対応方針も決定した。年度当初から開始する専攻医と同じ募集定員枠内で研修先を決定、研修開始時点から各領域の所定期間(3~4年)、研修を行う。

 「今後、医師の働く場が広がってくる」(山下氏)ことから、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本医療研究開発機構(AMED)については、その勤務期間を専門医更新の際のキャリアとして認めることも決定した。各学会に対応を依頼する方針。山下氏は、「患者を診ているわけではないが、医学的な知識をフルに活用して仕事をしているため、診療と同様の実績として認める」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568576
2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート
地域枠の研修先、「卒後の条件」に縛られず?◆Vol.2
女性は「実家に近い」、大学選択者は「進路・キャリア」も重視
 
レポート 2017年11月18日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は現在検討している医師偏在対策の一つが、大学医学部の「地域枠」の活用だ。大学卒業後、出身地、あるいは出身大学の都道府県で研修する傾向が見られることから、「地域枠」とは別に「地元出身者枠」を設ける案として上がっている(『医学部定員の「地元出身者枠」、地域枠とは別に設置を』を参照)。

 まず医師臨床研修マッチングにおいて、「研修先として病院を選択する際に重視した項目」を複数回答で聞いた結果、男性と女性ともに最多は「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」(男性43.8%、女性53.0%)で、以下、「臨床研修のプログラムが充実」(同40.1%、49.4%)、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」(同39.8%、47.0%)などと続いた。上位の順位は同じだったが、上位3項目はいずれも、女性の方が男性よりも、7.2~9.3ポイント高かった。

 男女で差が出たのは、「実家に近い」(男性20.1%、女性25.9%)。妊娠・出産・育児を想定して、実家に応援を依頼できる地域を選んでいることがうかがえる。

Q1.研修先として病院を選択する際、重視した項目は何ですか?(男女別)【複数選択】
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 さらに「最も重視した項目」について、「一般枠」と「地域枠」の別で聞いたところ、当然ながら顕著な差が見られた。「一般枠」の医学生等では、「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」がトップで、24.0%が選んだ。以下、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」(15.6%)、「とても豊富な症例を経験できる」(11.5%)。

 一方、「地域枠」の医学生等は、「地域枠の卒後の条件に合致する」が最多だが、25.0%にとどまった。「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」も「一般枠」よりも多く、22.9%。その条件にとらわれず、まず広い視点で複数の施設を候補に挙げ、その中から絞り込む際に、地域枠の卒後の条件に合致するかを見るという手順を念頭に置いて回答した医学生等もいると見られる。

Q2.研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(一般枠、地域枠別)
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 大学病院と市中病院の別でも、大きな差が見られた。大学病院を研修先に選んだ医学生等は、「臨床研修後の進路やキャリアを考えて有利」が最多で25.7%であり、大学病院でそのまま続けて専門研修を受けることを検討しているものと見られる。

 一方、市中病院を研修先に選んだ医学生等は、「様々な診療科・部門でバランス良い経験を積める」が最多で26.7%。「とても豊富な症例を経験できる」(13.7%)、「仕事とプライベートのバランスを保てる」(12.0%)も大学病院の選択者よりも多かった。

Q3.研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(大学病院、市中病院別)
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Q4:研修先として病院を選択する際、「最も重視した項目」は何ですか?(男女別)
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◆ 2017年度マッチングに対する全国医学部生アンケート」 ⇒ 掲載記事一覧はこちら。

【調査概要】
調査対象者:2017年10月27日~10月30日
対象:エムスリー株式会社のグループ会社である医療・福祉系国家試験対策の株式会社テコムに登録のある、全国の医学部6年生、既卒者。
有効回答者数:440人



https://www.m3.com/news/iryoishin/569711
中央社会保険医療協議会
「地域包括ケア」「専門医療提供」、有床診に二つのモデル
厚労省、「入院医療と介護サービスを組み合わせた運営」を検討
 
レポート 2017年11月17日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月17日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、主に地域医療を担う有床診療所は「地域包括ケアモデル」、主に専門医療を担う有床診は「専門医療提供モデル」と位置付け、2018年年度診療報酬改定でそれぞれ評価する案を説明、診療側と支払側からともにおおむね了承を得た。前者については、入院医療と介護サービスを組み合わせて運営することを可能とする方針。

 さらに(1)高齢者では入院期間が長期化する傾向にあるものの、2016年度改定で新設された「在宅復帰機能強化加算」の届け出が1割程度にとどまっていることから、要件を見直す、(2)在宅で療養中の患者が、在宅の主治医と有床診との連携の下で、患者本人や家族の希望に基づき、最期を有床診で看取った場合の取り扱いを検討――の2点についても、両側ともおおむね了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。


(2017年11月17日の中医協総会資料)(図 略)

 有床診の数は、2016年と1999年との比較で約半分以下に減少、病床稼働率は最も高い入院基本料1でも67%にとどまる。有床診が現状で担っている機能を分析すると、「専門医療」(51%)、「緊急時対応」(46%)、「在宅・介護施設への受け渡し」(37%)――など(2015年病床機能報告データによる。7項目のうち、最大5項目を選択可とした場合の回答)。主に専門医療を担う診療科(産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科)と、主に地域医療を担う診療科(内科、外科)、双方の機能を持つ診療科(整形外科)に大別できることから、「病床の稼働率を上げるためにも、病床の特徴を生かした報酬設定や介護への取り組みが必要ではないか」(厚労省保険局医療課長の迫井正深氏)。

 有床診の入院基本料は1から6に分かれる。点数が高い1から3の施設基準は、専門医療、在宅療養中の患者の支援に関するものなど、計10項目のうち、2つ以上を満たすこと。これらの項目の体系の見直しなどが検討される見通し。

 日本医師会常任理事の松本純一氏は、「入院基本料が低く、加算も算定できず、有床診を維持する困難さがあり、病床稼働率も低下している」と経営の厳しさを訴えた。その上で、「地域医療と専門医療、それぞれの特性に応じた報酬が必要」と述べ、特に「地域包括ケアモデル」については、転換をしやすくなるモデルの検討を要望。「在宅復帰機能強化加算」の見直しにも賛成、前述の(2)については、在宅療養支援診療所の施設基準に在宅看取りの実績があることを念頭に、「一定の条件を付けて、最期に有床診で看取った場合にも、在支診の看取り実績に加えてはどうか」と提案した。

 日医副会長の今村聡氏は、地域包括ケアシステムを構築する上で、有床診を評価していく方向性は支持したものの、経営が厳しい中で介護分野に取り組もうとしても難しい現状があるとし、「経営基盤を強化する方向性も併せて検討してもらいたい」と求めた。

 一方、支払側の健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、有床診が二極化している現状を踏まえ、「それぞれに適合した評価に変えていくことが必要」とし、「病床稼働率があまり高くなく、空床になっている部分を介護分野に転換していくことは、地域包括ケアの中で有床診が果たす役割として重要ではないか」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/569533
野洲市民病院:開院時から独法化 整備委で大筋了承 
地域 2017年11月17日 (金)配信毎日新聞社/滋賀
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 野洲市は15日、JR野洲駅前(同市小篠原2203の1)に計画する市立の野洲市民病院について、開院時から独立行政法人による運営とする方針を明らかにした。同日の病院整備運営評価委員会(委員長=塩田浩平・滋賀医科大学長)で説明し、大筋で了承を得た。

 市立病院はもともと、同市の中核的医療拠点とされている民間の野洲病院(同市小篠原1094)の経営継続が困難となったため、市が施設や債務などを引き継いで新たな病院を整備する基本構想を2014年3月にまとめた。構想などでは19年に野洲病院から引き継いだ施設を使って市立野洲病院を地方公営企業法に基づき開院し、21年に駅前で野洲市民病院を開院するとしていた。

 一方、駅前の野洲市民病院の運営主体については「(市立病院)開院後5年程度をめどに運営状況を検証し、市直営を継続か独立行政法人等へ移行するかを検討する」としていた。しかし、昨年、独法化した全国の病院を総務省が検証した結果、地方公営企業による運営よりも収支結果が良いなどとされた他、県内でも大津市民病院などが独法化したことから方針を変更した。【衛藤達生】



https://www.m3.com/news/general/569374
特養の「みとり」報酬増 厚労省、多死社会に対応 
行政・政治 2017年11月16日 (木)配信共同通信社

 厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、特別養護老人ホーム(特養)が夜間に訪問してくれる医師を確保するなど、利用者を施設内でみとる体制を整えた場合に、報酬を引き上げる方針を明らかにした。

 15日開いた社会保障審議会の分科会で案を示した。終末期の高齢者が増える「多死社会」を迎え、病院などでの受け入れには限界があるとして、施設でのみとりを促す。

 特養が地域の病院と協力し、利用者の容体が急変したら早朝や深夜でも医師の訪問を受けられるようにしたり、実際に利用者をみとったりした場合、報酬を手厚くするよう提案。医療処置にも対応できるよう、夜勤の看護師を配置した施設の加算を増やすとした。

 現在、高齢者の8割弱が医療機関で死亡しており、住み慣れた施設や自宅で最期を迎えたいという高齢者の希望がかないづらいとの指摘がある。委員からは「本人や家族が望まないのに病院に搬送されて医療を受けることのないよう、意向をくみ取る仕組みが必要だ」などの意見が出された。

 有料老人ホームについては、病院を退院した入所者が多く医療的なケアの必要性が高いとして、たんの吸引などが必要な利用者を多く受け入れる施設への加算を新設することを提案した。



https://www.m3.com/news/general/569139
研究者育成事業「廃止を」 政府、行政の無駄点検開始 
行政・政治 2017年11月15日 (水)配信共同通信社

 政府は14日、中央省庁の事業に無駄がないかを有識者が公開で点検する「秋のレビュー」を東京都内で始めた。今回は9府省の46事業が対象で、16日までの3日間は都内で、19日には徳島市で開く。初日、有識者は文部科学省による国立大の若手研究者育成事業について事業目的や成果などを検証し「国が支出する国立大運営費交付金の中で対応すべきだ」と廃止を要求した。

 こうした有識者の検証結果は2018年度予算案の編成に生かされる。政府は、歳出削減に取り組む姿勢をアピールしたい考えだ。

 文科省の事業では、ほかに大学院の教育改革支援をうたう二つの事業に関し意見を聴取。有識者は「違いが明確に示されず、国民の税金を投じるべきか意義は疑問」として「廃止を含め、抜本的に見直さないといけない」と判定した。

 燃料の高騰時に施設園芸農家を支援するため、農林水産省が補助金を出し、農業関連団体が積み立てている基金を巡っては「見込みと執行実績に大きな乖離(かいり)がある」と指摘。余剰資金は国庫返納すべきだとした。

 総務省のベンチャー企業への支援事業と、さまざまな機器をネットで結ぶ「モノのインターネット(IoT)」に絡む事業も対象となり、それぞれ「抜本的見直し」とされた。

 レビューは午前から実施され、午後は梶山弘志行政改革担当相も参加した。



https://www.m3.com/news/general/568721
医師派遣、病床融通で効果 大田で導入病院が利点説く 
地域 2017年11月14日 (火)配信山陰中央新報

 複数の医療機関でグループをつくり、医師の再配置や病床再編などを行えるようになる新制度「地域医療連携推進法人」をテーマにした県主催のセミナーがこのほど、大田市大田町のサンレディー大田であった。先駆的に同法人を導入した病院長らが制度の内容や利点を説明し、行政・医療関係者約120人が聞き入った。

 同法人は、人口減や医師不足が進む中、効率的な医療の提供を目的に、4月の改正医療法施行を受け、都道府県知事の認可で設立が可能になった。

 セミナーでは、野村ホールディングス傘下のコンサルティング会社、野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー(東京都)の中村大正社長が、同法人の導入で医師や看護師の相互派遣、若手医師の共同研修、病床の融通など効率的な医療サービスが提供できると強調した。

 医療圏や県境、民間病院と公立病院との垣根を越えて連携することも可能と説き、「若い医師の受け皿、後継者がいない医療機関のセーフティーネットにもなり得る」と説いた。

 広島県北部の3医療機関で4月に中国地方初の同法人認定を受けた「備北メディカルネットワーク」の中西敏夫代表理事=市立三次中央病院院長=は、医師の派遣元となる広島大などとの協議で、各病院が個別に臨むよりも交渉力が増す利点があると指摘。医師不足が深刻化する中山間地域では「地域として医療従事者を確保し、地域の中でうまく配置調整することが求められる」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/568681
室蘭で地域医療検討会が初会合、3総合病院が課題共有 
地域 2017年11月13日 (月)配信室蘭民報

 人口減少に伴う患者減などを受け、室蘭市内の将来の医療提供体制などを議論する「地域医療あり方検討会」(会長・石井吉春北大公共政策大学院特任教授)の初会合が11日、室蘭市東町の市保健センターで開かれ、道内の医育大学関係者らによる有識者、室蘭市医師会、市内3総合病院のトップらが現状や課題などの情報を共有した。

 西胆振医療圏(3市3町)での医療需要を推計して効率的な医療体制の提供を目指す「西胆振区域地域医療構想」(2016年12月策定)では、25年の病床推計を16年7月現在の稼働病床から382床削減の必要性を指摘。不足が見込まれる回復期病棟の充足や過不足ない医療提供体制の構築などの方向性も示している。

 一方で、西胆振医療圏の中核を担う市内3総合病院は、診療科目の重複による患者分散や安定した医師確保などで問題も抱える。このため「現在の医療提供体制を将来的に維持するのは困難。将来のあり方について早急な検討が必要」(青山剛市長)との観点から、行政主導の「地域医療あり方検討会」が設けられた。

 検討会は、本年度末までに計4回を開く予定。室蘭市内の3総合病院をはじめとした将来的な体制を検討した上で、長期的な展望と、短中期的な医療再編や連携策なども探る。

 初会合には札幌医大や北大などの医育大学、室蘭市医師会、胆振総合振興局、市内3総合病院、町内会連合会関係者らの委員9人が出席。

 青山市長は「人口減に伴う医療需要減などで、現状では、将来的に医療の安定供給を、市民に(約束)することができない状況」と改めて説明。「人口減対策に取り組んでいるが、地域医療のあり方は、その根幹・基盤。強い決意と覚悟で取り組む」とあいさつ。

 その後の議論は非公開で行われ、各病院の包括医療費支払い制度(DPC)など、同市の委託を受けたコンサルティング総合研究機関が分析した客観的なデータなどを通じて、現状や課題などを共有した。



https://www.m3.com/news/general/568747
【千葉】評価委員会の開催延期 新中期計画案整わず 東金の中核病院 
地域 2017年11月13日 (月)配信千葉日報

 東金市の地域中核病院「東千葉メディカルセンター」の運営を巡り、来年4月以降の中期計画案が示される予定だった11日の評価委員会が延期になった。設立団体の東金市・九十九里町と病院との間で入院患者向けの「小児病棟」などの有効活用について協議が整わなかった。

 同病院は2021年度に病床数314で全面開業される予定。27床分の小児病棟は開業前であることなどから、現在は245床にとどまる。4年間の第2期中期計画の最終年度に当たることから、来春以降の第3期中期計画案づくりが進められていた。

 新中期計画案策定を前にした先月の評価委員会で、経営を助言する千葉大学から「(少子高齢化などを背景に)小児病棟のオープンには慎重に考えることが望ましい」といった指摘があった。これを受け、病院と設立団体との間で小児病棟を含む施設全体のあるべき姿を探っていた。

 新中期計画案は評価委員会での話し合い後、12月1日開会の東金市議会などに提案される予定だった。

 次回の評価委員会の開催時期は未定で、事務局の東金市は「病院との協議が整い次第、早急に開きたい」と話している。



  1. 2017/11/18(土) 18:04:00|
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11月2日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2334381010112017FFE000/
アジア新興国で医師不足顕著、民間参入に余地
東南アジア

2017/11/10 22:00日本経済新聞 電子版

 中国やインドネシアなどアジア新興国では経済成長とともに、病院や医師の不足が深刻な問題となっている。政府系や国有企業系といった公的な病院だけでは医療ニーズを賄いきれない国は多く、民間参入の余地が大きいのが実情だ。

 経済協力開発機構(OECD)によると、人口1000人あたりの医師数はOECD加盟国の平均で3.3人。中国でその半分程度で、インドネシアはわずか0.3人だ。アジア新興国では医師の育成と同時に、医療ニーズを満たす病院の拡充が課題となっている。

 マレーシアを拠点に富裕層向け病院を運営するIHHヘルスケアは中国やインドで病院を増やす。中間層向けの病院ではコロンビアアジアグループが東南アジア3カ国で病院を運営する。経済発展とともに中間層に肥満などの生活習慣病が増えていて、潜在的な患者数は増えている。中間層向け病院は従来の病院よりも割安にすることで患者を確保する。

(ジャカルタ=鈴木淳)



http://digital.asahi.com/articles/ASKC736Q6KC7PLXB003.html?_requesturl=articles%2FASKC736Q6KC7PLXB003.html&rm=463
勤務医、2千時間超の残業 香川の県立病院、医師不足で
2017年11月7日14時03分 朝日新聞

 香川県内の県立病院で昨年度、時間外労働が2千時間を超える勤務医がいたことが7日、県への取材でわかった。また勤務医約50人が、労働基準法に基づく法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を可能にする労使協定(36〈サブロク〉協定)の上限を超えて働いていた。県は背景に医師不足があるとし、「医師確保に努めているが、妙案はない」としている。

 県によると、県内にある中央(高松市)、白鳥(東かがわ市)、丸亀(丸亀市)の3県立病院の36協定は「月45時間、年360時間」が原則。特別条項で中央、白鳥は「月100時間を6回を限度に、年800時間」、丸亀は「月70時間を3回を限度に、年480時間」を上限としている。

 残業時間が最長だったのは、丸亀病院の精神科医で年2258時間。精神科医5人で回す宿直を、この医師が多めに引き受けていたという。県立病院課は「精神科の救急患者は多くなく、宿直では超過勤務をしながらも眠れていることが多い」としている。中央病院でも、手術や緊急呼び出しなどで残業が年2102時間の医師がいた。

 また、36協定の上限を超えていたのは、昨年度3病院にいた正規・嘱託の医師計207人のうち、月間では中央35人、白鳥1人、丸亀2人の計38人。年間では中央43人、白鳥1人、丸亀2人の計46人だった。国は過労死の認定基準を、時間外労働が「1カ月100時間、または2~6カ月の月平均80時間」としている。

 県立病院課の中井和博課長は「医療は止められず、対応に苦慮している。医師確保に努めつつ、職場環境の改善をいろいろ検討していきたい」と話した。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171110-219090.php
葛尾で「内科診療」再開 医師不足で休止、田村医師会医師派遣
2017年11月10日 09時20分 福島民友新聞

 葛尾村は9日、東日本大震災後に医師不足で休止していた村内での内科診療を再開させた。村は昨年6月に東京電力福島第1原発事故による避難指示が大半の地域で解除されたが、医療環境が整わず、住民の帰還が進まない一因ともなっていた。村は同村落合字菅ノ又6の1の現地で村営診療所の開所式を行い、医療環境の充実とともに村復興への期待を込めた。

 村内では男性医師が内科診療を担っていたが、原発事故後に高齢を理由に引退。以降は村内で内科診療は行われていなかった。田村、三春、小野の3市町の医療関係者でつくる田村医師会が医師派遣で協力する。

 開所式では、篠木弘村長が「内科診療再開は村民の念願。村復興に大きく貢献すると確信している」、田村医師会の石塚尋朗会長が「村民の思いを受け止め頑張っていきたい」とあいさつし、看板を設置した。

 村キャラクターしみちゃんが立ち会い、式に花を添えた。関係者向けの内覧会も開かれた。初日は石塚会長が診療を担当した。

 田村医師会の複数の医師が交代で、内科や小児科の患者を診療する。診療所には診療室や処置室、調剤室を設け、尿や血液検査、心電図などの機器を用意した。診療日は毎週木曜日と毎月第2、4水曜日。受け付けは午後1時30分~同5時。



http://japan-indepth.jp/?p=37026
医師不足対策は看護師の有効活用
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
「上昌広と福島県浜通り便り」
投稿日:2017/11/7 Japan in Depth

【まとめ】
・日本の医師数はOECD加盟国35か国中24位。
・医師不足対策で考えるべきは、看護師の有効活用。
・医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナー(上級看護師資格)を認めよ。

【注:この記事には複数の写真・図が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37026で記事をお読みください。】

我が国の医師・看護師不足は深刻だ。ところが、医師と看護師では不足の度合いが違う。この差について、これまであまり議論されてこなかった。

この点は、国際比較してみると分かりやすい。人口1,000人あたりの医師数は2.4人で、OECD加盟35カ国中24位だ。一方、人口1,000人あたりの看護師数は11人。OECD加盟国中12位である。我が国は看護師より医師不足が深刻だ。

これは看護師数と医師数の比をみると一目瞭然だ。ハンガリーのセンメルワイス大学医学部に通う石川甚仁君の調査をご紹介したい。石川君によれば、我が国の看護師/医師は4.6だ。これはOECD加盟国中、フィンランド(4.7)につぐ2位だ(図1)。

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図1:看護師と医師数の国際比較

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図2:都道府県の看護師数と医師数の比(2014年現在) 作成 センメルワイス大学医学部石川甚仁氏

ちなみに、英米など西欧先進国および北欧は3~4、東欧は2~3、南欧は2以下と低い。ギリシャにいたっては0.6だ。医師・看護師関係も国によって随分と違う。他の先進国と比較すると、我が国は、医師の不足を看護師がカバーしてきたことがわかる。

では、国内では、どのような差があるのだろう。図2は都道府県別の看護師数と医師数の比だ。西日本の値が高く、首都圏と大阪府・愛知県などの都市部が低いことがわかる。我が国の医師数は西高東低だ。看護師数は基本的に医師数に比例する(図3)。だが、実際には看護師は医師以上に、西高東低で偏在しているようだ。

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図3:看護師数と医師数の関係

その傾向がもっとも顕著なのは東京だ。看護師と医師の比は2.7。一番高い宮崎県(7.6)のおよそ3分の1だ。医師は多いが、看護師がいない。東京で働く若手医師が「看護師さんがやる仕事を全てさせられる」とこぼすのも無理からぬことだ。

東京には看護師はいないが、医師が多い。悲惨なのは千葉県や神奈川県だ。医師以上に看護師が不足している。この地域で団塊世代が一斉に高齢化する。厚労省は在宅医療を推進したいようだが、この状況では難しい。

かくの如く、我が国の医療現場が抱える問題は多様だ。地域の実情に適合した個別解が必要だ。ただ、一般論として、我が国は医師が少なく、看護師が比較的多い。医師不足対策で考えるべきは、看護師の有効活用だろう。これまで、このことはあまり議論されてこなかった。

では、福島県はどうなっているだろう。意外かもしれないが、看護師と医師の比は6.3。西日本と変わらない。実は福島を含め東北地方は、医師は少ないが、看護師は比較的多い。人口当たりの看護師数は、中国地方とほぼ同じレベルだ。

福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間職だ。

米国でナース・プラクティショナーが発達したのは、医師と比較して看護師が多かったからだろう。ナース・プラクティショナーが活躍する米国の看護師と医師の比は4.0。看護師の有効活用を考えた自然の帰結である。福島が特区としてナース・プラクティショナーを解禁すれば、「我こそは」と思う看護師が、活躍の場を求めて、やってくるかもしれない。

高齢化が進む地方では、在宅ケアのニーズは高まる。この分野でも看護師は活躍できそうだ。その際に問題となるのは規制だ。

私は、訪問看護ステーションの開設要件を緩和すればいいと思う。現在、新規開業には常勤換算で2.5人の看護師を確保しなければならないが、1人開業を認めたらどうだろう。自宅をオフィスに、全て自分でやれば、初期費用は格段に下がる。独立心旺盛な若手看護師が、地域医療に進出するはずだ。競争はサービスのレベルを向上させ、コストを下げる。

厚労省は、医師不足対策として、若手医師の地方勤務の義務化にご執心だが、この施策は何の根拠もない机上の空論で、おそらく実効性はない。

医師の総数が足りなければ、どんなことをしても問題は解決しない。厚労省が主導すれば、厚労省にとって優先順位が高い病院に優先的に医師が配置されるだけだ。

霞ヶ関で仕事をする高級官僚が、地域のニーズを十分に把握できるはずがない。もっと現場に裁量権を委ねるべきだ。医師不足対策の根本的な対策は、医師の養成数を増やすこと。ただ、それには時間がかかる。すぐにできるのは、既に育成した専門職の有効活用だ。地域の医師不足対策には、看護師の活用も含めて、幅広い視点で考えるべきである。

【訂正】2017年11月7日

本記事(初掲載日2017年11月7日)の本文中、「医師と看護師の中間色だ。」とあったのは「医師と看護師の中間職だ。」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に訂正してあります。

誤:福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間色だ。

正:福島では、医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナーのような資格を認めれば、医師不足の緩和に役立つはずだ。ナース・プラクティショナーとは上級看護師資格で、一定のレベルの診断や治療を行うことが許されている。医師と看護師の中間職だ。



http://www.asahi.com/articles/ASKC87KKRKC8UBQU01B.html
医師不足地域での勤務、キャリア認定へ 厚労省が制度化
野中良祐2017年11月8日23時01分 朝日新聞

 医師が都市部などに集中する医師偏在を解消するため、厚生労働省は8日、医師が少ない地方での勤務経験者を認定する制度をつくることを決めた。地方での勤務をキャリアに有利となるようにし、自発的に地方で働く人を増やす仕組みをめざす。この日開かれた同省の医師需給分科会で提案され、大筋で合意を得た。

医学部に「地元枠」で医師不足改善へ

 認定されると、地方に貢献する認定医だと名刺や看板に書くことができるようになる。全国に約500ある地域支援病院などの管理者になるために必要な条件とすることも想定する。厚労省は今後、認定のために必要な勤務の期間や地域を検討。来年の通常国会に医療法の改正案を提出することをめざす。

 厚労省研究班が2016年に実施した医師の意識調査では全体の44%、20代の60%が都市部以外の地方で勤務したい意向をもっていた。地方勤務への不安の解消が医師偏在の改善に不可欠だと指摘されていた。

 厚労省は認定制度によって、地方で働く意向のある医師の後押しをしたい考えだ。この日の分科会では、「いろんな世代の医師のキャリアにとって大事なものとなる」「管理者の条件にする病院数を増やした方が良いのでは」といった意見が出た。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23351010Q7A111C1CR8000/
産婦人科「深刻な人手不足の恐れ」 医会が試算
2017/11/10 18:06 日本経済新聞

 医療現場で特に勤務環境が厳しいとされる産婦人科で医師の働き方改革を厳密に実施した場合、多くの病院が深刻な医師不足に陥るとする試算を日本産婦人科医会がまとめ、10日までに公表した。

 厚生労働省は医師の働き方改革の議論を進めており、2019年春をめどに残業時間の上限規制などについて意見をまとめる。医会の中井章人常務理事(日本医科大教授)は「労働環境の改善は必要だが、やり方によっては妊婦に迷惑がかかりかねない。現場の意見を踏まえて慎重に検討してほしい」としている。

 医会の試算は、労働基準法が上限と定める1日8時間、週40時間での勤務を想定。日勤や深夜勤務などシフトごとに勤務時間を分ける交代制を取った場合、現在の医師数で十分な医療提供態勢がとれるかどうか調べた。

 その結果、高度医療を提供する総合周産期母子医療センター(107施設)や地域周産期母子医療センター(298施設)では、計1231人の医師が不足。医師不足で運営できなくなる施設は277施設と全体の68%に上ることが分かった。約14万7千件の分娩に影響が出る恐れがある。

 産婦人科がある一般病院でも、半数以上で医師不足が生じる可能性があり、中井常務理事は「医師の増員とともに、医療機関の集約も必要だ」と指摘している。〔共同〕



http://www.asahi.com/articles/ASKC94W03KC9ULBJ00B.html
常勤医8%、1カ月休みゼロ 医師アンケート
野中良祐2017年11月10日09時32分 朝日新聞

 全国医師ユニオンなどが9日、勤務医に実施したアンケート結果を公表した。当直をする勤務医の7%が過労死ラインとされる月80時間の時間外労働を超えていたなど過重労働の実態が浮き彫りになった。

 ユニオンや日本医療労働組合連合会(医労連)が学会や自治体を通じて今年7~9月に得た約1800人の回答のうち、約1600人分を分析した。直近1カ月の休みを聞くと、常勤医の8%はゼロと答えた。

 当直をする常勤医の時間外労働は、月平均で約64時間だった。当直後に休みなく通常の勤務を始める医師は78%。こうした勤務で集中力や判断力が低下すると回答したのは79%で、27%は実際にパソコン入力などのミスが増えたとした。

 長時間労働の上限を設けるなどの労働時間規制について聞くと、約半数が賛成とした。こうした改革によって労働環境が改善すると思うかを聞くと、57%が「ほとんど改善しない」と回答。理由としては「医師不足で診療体制を維持できない」「現場で法律が守られない」「医師を労働者と考えない風潮が強い」などが多かった。

 全国医師ユニオンの植山直人代表は「非常に深刻な状況。何よりも完全な休日が必要で、休日ゼロは本人の健康と医療安全上、大きな問題だ」と話している。

 ほかに診療科の偏在についても…(以降、有料記事)
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https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2315813006112017L71000/
県内の医師不足 改善も 松戸市などから来院想定
2017/11/7付日本経済新聞 地域経済 日本経済新聞 千葉

 独協医科大学の取り組みは千葉県内の医師不足改善にも一定の効果が見込まれる。埼玉県越谷市の埼玉医療センターは「千葉県松戸市などからも患者が訪れ、対象人口は約200万人となる」(独協学園の寺野彰理事長)。越谷市から近い千葉県の野田、流山両市からの来院者も想定され、千葉と埼玉、東京をまたぐ広域的な医療圏の中心施設となる。

 厚生労働省の調査によると、千葉県内の人口10万人あたりの医師数は182.9人(2014年調査)。埼玉県、茨城県に次いで3番目に少ない水準にとどまる。一方、75歳以上の人口増加により医療ニーズは年々高まっている。千葉県によると、県内の入院医療需要は35年度に1日あたり約4万5千人と13年度比40%近く増加する見通し。

 千葉県内では国際医療福祉大学が2020年をメドに成田市内に付属病院(642床)を開設する。産科・婦人科や心臓外科を含め、39の診療科を設ける。千葉県も県立病院の医師増員などを通じ、診療体制の充実を目指す。それでも県内の医師不足を完全に解消できるかどうかは不透明だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568057
医療従事者の需給に関する検討会
「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討
基本はインセンティブ、強制力求める声も

レポート 2017年11月9日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月8日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第14回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、医師偏在対策として「医師少数区域」での一定期間以上の勤務経験を有する医師を厚労省が認定し、「認定医師であること」を広告可能としたり、地域医療支援病院等、一定の病院の管理者になる際に評価するなど、義務ではなくインセンティブで「医師少数区域」での勤務を促す仕組みを提案した。

 認定自体には異論はなかったものの、インセンティブではなく管理者要件として「医師少数区域」での勤務義務化を求めたり、地域医療支援病院以外にも臨床研修病院や診療所など、対象範囲をどこまで広げるかなどさまざまな意見が出た(資料は、厚労省のホームページ)。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 外来医療については、無床診療所が都市部に偏在する傾向を是正するため、厚労省は地域の疾病構造や患者の受療行動など、外来医療の現状を「見える化」して情報提供することを提案、構成員の了承を得た。

 一方で外来医療における医師偏在対策として、これまでの医師需給分科会では、病床規制と同様に、無床診療所についても開業制限や保険医療機関の指定制限を設けるべきだとの意見が挙がっていた。しかし、厚労省は憲法上の「営業の自由」との関係や、制度導入前の「駆け込み開業」など法制的・政策的な課題をクリアしなければ、制度的に無床診療所の開業制限等を行うのは、「実現は困難」と説明。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 「医師少数区域」での勤務を管理者要件とすることと、外来医療での偏在対策、無床診療所の開業制限等は関連する問題。いずれも強制力をもって進めるか、インセンティブを設けて医師の選択に委ねるかという視点で、構成員の意見は分かれた。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「あくまで医師の自主性を尊重すべきだ」とし、インセンティブを中心とした施策を重視し、仮に開業制限等を導入すれば「駆け込み開業」が起きると懸念した。

 一方で、岩手医科大学理事長の小川彰氏は「強制力を設けないと、実質的に動かない」、全日本病院協会副会長の神野正博氏も「偏在対策には、規制的な手法が必要」とし、「医師少数区域」での勤務を管理者要件にすることは「あり」との見解を示した。

 そのほか、病院と診療所の管理者は、2カ所以上の施設を掛け持つことは原則認められていないが、医師不足地域での医師偏在を是正するため、現在は医療法のQ&Aで認めている「無医地区等医療施設が少ない地区に開設する病院等の兼務管理」が可能な旨を明確化する。都道府県によって対応にばらつきがあることから、通知等を出すことになると見られる。

 片峰座長は、「次回は年内の報告書の取りまとめに向けた全体の議論を行う」と会議を締めくくった。医師需給分科会は、今年中に医師偏在対策に関する報告書を取りまとめる予定だ。法改正が必要な対策については、来年の通常国会に医療法改正法案等を提出する方針。

 「医師少数区域」での勤務促進、義務かインセンティブか
 認定医師の「医師少数区域」の勤務経験について、厚労省は、臨床研修や専門研修の期間に限らず、診療所開業前など、医師のさまざまなキャリアの時期での勤務を想定している。「どの時期で経験するのかは、まさに医師の選択による。若い時期、あるいはある程度経験を積んだ時期など、どこでも可能という意味」(厚労省医政局総務課長の榎本健太郎氏)。

 主に議論になったのは、「地域医療支援病院等、一定の病院の管理者としての認定医師の評価」の解釈だ。小川氏は、「認定医師でないと管理者になれないという理解でいいのか。『一定の病院』とは何か」と質問。厚労省医政局総務課は、「これまでの議論で、管理者要件として導入すべきとの意見があった一方、医師の自発的な意思に働きかけるべきだという意見もあった」と述べ、「一定の病院」の範囲と併せ、医師需給分科会で議論することを求めた。小川氏は、医療は税金や保険料など公的資金で成り立っているとし、「地域医療支援病院のみではなく、診療所の管理者要件まで入れないと効果はほとんどない」と提案。

 神野氏も、「強い医師偏在対策は必要。管理者要件を医師不足地域での勤務経験で縛ることは、私はありだと思う」と述べ、公的・公立病院、診療所までを対象に含めるかどうかを検討する必要性を指摘した。

 一方で、「管理者要件」とするなど、強制力を持った施策をけん制したのが、今村氏。「医師少数区域」での勤務を評価することには賛成したものの、「あくまで医師の自主性を尊重すべきだ」とし、医師のキャリアの中で、地域医療を知る機会の一端として、この仕組みを活用することが想定されるとした。さらに、強制的な仕組みを入れ、診療所の開設者の要件とすると、要件導入前に「駆け込み開業」が起きる恐れがあるとし、「相当慎重に検討した方がいい。まずはこの仕組みをはじめ、どんな効果があるかを見て、次のステップに進むべきだ」とした。

 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏も、若手医師に「一つの足かせのコースができた」と受け取られるのを懸念し、医師の生涯のキャリアパスの中で、「医師少数区域」での勤務経験を取り入れていくことを求めた。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、「『行かされる』のではなく、『行きたい』と思わせることが必要」と指摘し、医師を受け入れる側の地域の体制づくりのほか、インセンティブとして管理者要件だけではなく、「非常に魅力的な学びの場がそこにある」という視点での検討が必要だとした。

 医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏も、「医師が行きたくないのに、行かされたのでは、医師と患者、お互いが不幸になる」とし、「学びの場がある、というメリットがある」を提示する必要性を指摘した。

 外来医療に関する情報提供が第一
 外来医療機能の偏在・不足対策については、情報提供の実施は支持されたものの、無床診療所の開業制限については、賛否が分かれた。

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(2017年11月8日の「医師需給分科会」資料)

 神野氏は、「フリーダムでやっていくのではなく、偏在対策には、規制的な手法が必要」とし、「診療所開業についても、地域の情報を見ながら、地域の医療審議会で、開業の是非を話し合うスキームがあってもいいのではないか。新規開業医の保険医としての活動を規制するのもあり得る話」とコメントした。小川氏も、過去に何度も医師需給に関して議論してきたものの、医師の偏在は悪化しているとし、「強制力のある提言をしないと、問題は解決しない」と指摘。小川氏と神野氏は、「自ら望んだ地域赴任でなくても、実際に経験することにより、地域医療への興味、関心を高めた」という自身の経験も語った。

 これに対し、今村氏は、過去とは異なり、今はエビデンスを基に議論しているとした上で、「医師偏在対策のメニューは多ければ多いほどいいのかもしれないが、(メニューによっては)リスクもある。新規開業については、まず情報提供することが一つの大きな前進」と述べ、「開業制限」的な議論をすると、「医師少数区域」の勤務を管理者要件とする場合と同様に、「駆け込み開業」の懸念があることから、まずは情報提供から開始して様子を見るべきと主張した。永井氏や堀之内氏も、今村氏の考えを支持。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「地域医療を経験した人は、そこに根付いてくれる。『地域医療を、1回経験したらどうか』という機会を、なるべく多くの人に無理強いにならないように提供できる体制を作っていくことが必要ではないか」と語った。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171109-OYTET50004/
病院長就任条件に地方勤務の経験を…厚労省提案
2017年11月9日 ニュース・解説 読売新聞

 地方の医師不足の解消策として、厚生労働省は8日、地方での勤務経験がある医師を認定する制度の創設を有識者会議に提案した。

 地域医療を支える病院の院長の就任に認定が必要となる仕組みにして、医師に地方勤務を促す考えだ。来年の通常国会に提出する医療法改正案に盛り込むことを目指している。

 認定制度では、医師が不足すると推計された地域の医療機関で、数か月~数年働いた医師に厚労省がお墨付きを与える。若手医師が研修の一環で地方に赴任したり、ベテラン医師が都市部から赴任したりするケースが想定される。

 認定への意欲を高めるため、厚労省は、全国約550の地域医療支援病院などの院長の要件とする方向。医師が認定を名刺に表記できるようにもする。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171108-OYTET50038/
リスクの高い出産に対応する病院、6割が産科医不足
2017年11月8日 ニュース・解説 読売新聞

 リスクの高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が労働基準法を順守する上で必要な産婦人科医を確保できていない、とする初の推計を日本産婦人科医会がまとめた。宿直や休日の日直の限度回数を超えた勤務が常態化している恐れがあるという。

 労基法では、労働基準監督署の許可があれば、労働時間の規制外となる宿直や日直を認めている。厚生労働省は通知で、1人につき宿直は週1回、日直は月1回が限度としている。

 同センターは、合併症のある妊産婦や新生児の集中治療を行う医療機関で、全国に107施設が指定されている。原則24時間、複数の産婦人科医の勤務が要件だ。

 同医会では、通知と要件に従った場合の宿直・日直体制には16人が必要と試算。今年6月、同センターの人員体制を調査したところ、107施設中66施設(62%)で産婦人科の常勤医が16人未満だった。非常勤医を加えても56施設(52%)が16人に達しなかった。

 実際は、高齢や妊娠・育児中などで宿直・日直を免除、軽減される医師も多い。16人以上いても、限度回数を超えている医師がいる可能性がある。

 産婦人科医不足を巡っては、同センターなど地域の基幹病院に医師を集めて、勤務負担を減らす対策が進む。同医会の中井章人常務理事は「さらに集約化を図るとともに、産婦人科医を増やす方策も必要だ。地域や診療科間での医師の偏在解消が急務だ」と話している。



http://www.asahi.com/articles/ASKC94G2PKC9UBQU012.html
米沢市立病院、救急医療中心に再編へ
石井力2017年11月9日18時00分 朝日新聞

 山形県米沢市の地域医療のあり方を検討してきた検討委員会(委員長=嘉山孝正・山形大学医学部参与)は7日、基幹病院の市立病院(35診療科、322床)を地方独立行政法人化したうえで、救急医療を担う急性期医療中心の病院に再編する意見書をまとめた。

 現在、市立病院とともに救急を担っている民間の三友堂病院(19診療科、190床)は回復期医療を中心とした病院にする。

 市によると、両病院は医師不足や医師の高齢化に直面している。両病院と舟山病院の3病院の輪番制で救急患者を受け入れているが、「救急医療態勢の維持が非常に厳しい」という。このため、病院の役割分担を含めた医療連携について、今年1月、委員会を設置し協議してきた。

 意見書は、今年度から始まった新制度「地域医療連携推進法人」を作ることも提言。この枠組みの中で、市立、三友堂両病院の病床や医師の運用など、連携を具体的に進めるという。両病院とも老朽化のため建て替えが必要で、2023年度までに同時に新規開院できるよう進めていく、としている。

 検討委は嘉山委員長のほか、中川勝市長や三友堂病院の仁科盛之理事長ら5人で構成。記者会見した嘉山委員長は「両病院の機能分担を明確にし、ベストの態勢ができた」と説明、中川市長は「地域医療を守るための方向性ができた」と話した。

 市は今後、意見書について市議会に説明し、独立行政法人化に必要な議案などを提案していく。



https://mainichi.jp/articles/20171107/ddn/041/040/055000c
時間外労働 勤務医、残業最悪2258時間 3割超、過労死レベル 昨年度、香川県立3病院
毎日新聞2017年11月7日 大阪朝刊

 香川県立病院で2016年度の1年間に計2258時間の時間外労働をした勤務医がいたことが6日、毎日新聞の情報公開請求で分かった。3病院の医師計207人のうち67人の残業時間が「過労死ライン」とされる月80時間を超えていた。勤務医の長時間労働が常態化している一端が明らかになり、専門家は「常軌を逸した状況で、労働基準法違反の疑いがある」と指摘する。【岩崎邦宏】

 情報公開されたのは▽県立中央(高松市)▽白鳥(香川県東かがわ市)▽丸亀(同県丸亀市)--の県立全病院に16年度に在籍した正規・嘱託の医師の勤務状況。

 法定労働時間は1日8時間、週40時間だが、労使協定(36協定)を結んで労働基準監督署に届け出れば、上限を超えて労働させることができる。36協定で中央、白鳥両病院は「月100時間を6回を限度に、年800時間」、丸亀病院は「月70時間を3回を限度に、年480時間」まで延長可能としている。

 公開資料によると、3病院で月の残業時間が協定上限を超えたのは計38人、年間では計46人。「過労死ライン超」が常態化していたといえる年1000時間以上の時間外労働は計20人に上った。

 年2258時間の残業をしていたのは丸亀病院の精神科医で、単純計算で月平均188時間、6時間以上の残業を365日続けたことになる。同病院の医師は7人で、定員(9人)を割っており、この医師は宿直と日勤の連続勤務を週2、3回していた。下村健次・事務局次長は「厳しい勤務状況という認識はある。ただ、精神科は救急患者がそれほど多くなく、宿直中はほぼ寝ることができる」と述べた。

 医師には正当な理由なく診療を拒めない「応招義務」がある。各病院は長時間労働の背景に救急患者への対応や医師不足があると説明。中央病院の和泉誠司・事務局次長は「医療はストップできない」と強調する。

 医療現場の長時間労働を巡っては、新潟市民病院の女性研修医(当時37歳)がうつ病を発症して昨年1月に自殺。うつ病発症直前1カ月の残業時間が160時間を超えていたとして、労基署が労災認定した。

氷山の一角だ
 過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「多くの医療現場は勤務医の善意に支えられており、勤務医が壊れるか、医療が壊れるかの瀬戸際といえる。香川県立病院の実態は氷山の一角であり、国全体として医師を増員し、必要なところに配置する必要がある」と話している。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171107-OYTET50010/
ニュース・解説
医師が時間外労働、年2100時間超…「過労死ライン」大幅超

2017年11月7日 読売新聞

 香川県立の丸亀病院(丸亀市、215床)と中央病院(高松市、533床)に勤務する医師が2016年度、2100時間を超える時間外労働をしていたことが、病院への取材でわかった。

 月平均で約180時間になり、「過労死ライン」とされる月80時間を大幅に超えていた。

 丸亀病院は精神科が中心の病院で、勤務医は7人。同病院によると、時間外労働の条件を定めた労使協定(36協定)では、「月70時間を3回まで、年間480時間」と定めているが、精神科医1人が年2258時間、別の医師も年953時間だった。宿直勤務が重なったという。

 下村健次事務局次長は「医師不足で厳しい勤務状況にあるが、容体が急変する患者が少なく宿直の負担は少ない。ただ、今後は勤務の調整と医師確保に注力したい」と話した。

 医師181人が勤務する中央病院では、36協定で「月100時間を6回まで、年800時間」とされるが、泌尿器科医1人が年2102時間に達し、年800時間以上は44人にのぼった。救急医療の中核病院で、手術が重なるなどしたという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568338
医師の働き方改革とキャリア
医師が望むのは「完全休日」、そのためには増員
全国医師ユニオン、「勤務医労働実態調査2017」結果発表

レポート 2017年11月10日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医師ユニオンは11月9日、「勤務医労働実態調査2017」の集計結果の概要を発表した。この中で、勤務医の労働条件改善策として多くの回答を集めたのは、「完全な休日を増やす」。改善に有効な方法としては、「医師数の増員」と「無駄な業務を減らす」などが挙がった。全国医師ユニオンの植山直人氏は、「全く休みなく働いている医師もいる。2012年の前回調査と比べて、ほとんど変化がない。非常に深刻な状態だ」と述べた。詳細な分析結果は、来年1月に公表予定。

 調査は日本医療労働連合会や各医療団体、学会に協力を求め、7月1日から9月30日に実施。これまでに約1800人の回答があり、うち1621人分をまとめた。内訳は次の通り。

雇用形態別:常勤1336人(82.4%)、非常勤158人(9.7%)、初期研修医71人(4.4%)、後期研修医37人(2.3%)、大学院生5人(0.3%)、未回答14人(0.9%)。
勤務先の開設主別:大学病院304人(18.8%)、国公立病院281人(17.3%)、公的病院308人(19.0%)、民間病院509人(31.4%)、診療所111人(6.5%)、その他38人(2.3%)、未回答70人(4.3%)

 「労働条件改善策として重要と考えるもの(複数回答)」では、「完全な休日を増やす」が最多で抜きんでており、48.4%。「当直・日直回数を減らす」が30.0%、「通常の残業を減らす」が29.5%で続いた。改善に有効な方法としては、「医師数の増員」が63.2%、「無駄な業務を減らす」が46.8%、「医師補助職の増員」が46.5%だった。

 「この2年間で業務負担は変わったか」に対しては、「増えた」が45.5%で最も多く、「変わらない」が35.7%、「減った」が16.9%。診療時間は「増えた」が30.7%、「変わらない」が51.0%、文書作業でも41.8%が「増えた」と答えており、医師1人1人が担う業務負担が重く、増員や業務減でそれを減らすことを医師が望んでいることが分かる。

 1カ月の時間外労働の平均時間は、初期研修医が最も長く、65.9時間。後期研修医は59.7時間、常勤医が53.3時間だが、当直を行っている常勤医に限ると、63.9時間と大幅に増えた。1カ月の時間外労働が80時間を超えると回答したのは、後期研修医が最も多く18.9%、次いで初期研修医8.5%、常勤医が4.9%。当直を行っている常勤医は7.3%だった。「先月の休みの日数」の平均は、常勤医が4.7日、初期研修医が5.3日、後期研修医が4.9日。「先月の休みが0回だった」との回答は、常勤医8.2%、初期研修医4.2%、後期研修医が8.1%だった。

 長時間労働と医療の安全性に関する項目では、「医療過誤の原因についてどう考えていますか(複数回答)」との質問に対し、最も多かった「スタッフとのコミュニケーション不足」(56.6%)に続き、「慢性疲労による注意力不足」が55.9%。「当直明けの翌日の連続勤務と医療ミスの関係について」は、集中力や判断力が「大幅に低下」との回答が36.3%、「やや低下」が42.7%で、合わせて8割近くに上る一方、「変わらない」は6.1%だった。

 国や医療団体などで議論が行われている「医師の働き方改革」で労働環境が改善するかどうかについては、「大きく改善する」が2.2%、「改善する」が16.4%、「ほとんど改善しない」が57.1%で、悲観的な見方が半数を占めた。改善しない理由(複数回答)については、「今の医師不足では、必要な診療体制を維持できない」が627人と診療提供体制への影響を懸念するものが最も多い。次いで「時間規制の法律ができても、医療現場では法律は守られない」が625人。「医療界では医師聖職者論が根強く、医師を労働者と考えない風潮が強い」が500人「管理者の多くは本気で医師の労働問題改善に取り組んでいない」が355人だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568327
社会保障審議会
「公私、医療機関の扱いは原則平等」、医療部会で確認
医師偏在対策、地域医療構想、医師の働き方改革など総合的に議論

レポート 2017年11月10日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月10日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、同省の各種審議会・検討会で進む医療提供体制をめぐる議論の進捗状況を説明、委員の間で特に議論になったのは、医師偏在対策や地域医療構想における公立・公的と民間の医療機関の役割だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師偏在対策では、地域医療支援センターが、今後増加する「地域枠」の卒業生などを医師不足地域にいかに派遣するかが課題の一つ。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、公民の役割を考える上で、「税金が投入されている国公立病院、税制上の優遇がある日赤や済生会などの公的病院、いずれの優遇もない民間病院がある中で、いかに公平に医療提供体制を構築していくかが重要」との前提を述べた上で、地域医療支援センターが医師の派遣先を考える際に、公民の医療機関の区別があるのかを厚労省に確認。同省医政局医事課は、「差はない」と回答し、都道府県の実態として、公立病院中心に派遣している例があるとしたものの、国としては「機能」に着目し、センターが派遣先としてふさわしいと判断すれば民間病院も派遣対象になると説明した。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「地域貢献などについて、医療機関の開設主体にかかわらず評価した上で、地域枠の卒業生を派遣してもらうにしてもらいたい」と要望した。奈良県知事の荒井正吾氏は、地域医療支援センターを運営する地方公共団体の立場として、公立優先の医師派遣は利益相反になりかねないため、医師偏在に関するデータを派遣先を検討する必要性を指摘した。

 地域医療構想を実現していく上では、公立病院は「新公立改革プラン」、公的病院は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、地域医療構想調整会議において策定プランを議論することになっている。この点について、「公立・公的優先」と捉える向きもあり、10日の医療部会でも同様の趣旨の発言があったが、中川氏は「調整会議でプランを議論するのは、地域医療構想との齟齬がないようにするのが目的」と説明、民間病院の改革方針等を調整会議で議論するのは、「逆の方向。むしろ民間病院の自主性を損なうことになる」と釘を刺した。中川氏は、「調整会議の権限が強いことが、全国的に理解されていないことも問題」と指摘し、地域医療構想を進めるために調整会議を有効に機能させる必要性を指摘した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医療法上、公的医療機関は明確に位置付けられており、民間医療機関とは異なる」としたものの、「機能に着目した場合には、公的と民間で変わるものではなく、民間病院でもしっかりとした機能を果たしている場合には、相応の役割を期待する」との見解を述べた。その上で、「地域医療調整は、“枠取り”ではなく、各病院がどんな機能を果たし、他の病院との関係でどんな医療を担っていくのかを考えてもらうのが目的」と説明した。

 さらに医師の働き方改革については、その必要性が指摘された一方、病院経営者の立場からは「あまり拙速に進めないでほしい」(日本病院会会長の相澤孝夫氏)という意見が相次いだ。

 相澤氏は、「医師の働き方がこのままでいいと思っていないが、病院経営は厳しい現状。診療報酬が増えない中で、職員を増やし、勤務環境を整えるのは容易ではない」と指摘。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏も、「拙速はやめてもらいたい」と釘を刺し、「我々としては、医師の労働とは何かを、医療の側から定義していくことが必要」と述べ、労働時間の把握の方法も検討していく必要性を指摘した。

 神野氏は、医師の働き方と医師需給は関連する問題であるとし、「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会は2018年の年始から医師需給の議論に入る予定であることから、両者を関連付けて議論するよう求めた。

 医師不足、「2次医療圏単位で検討」

 厚労省は現在、医師需給分科会、「医療計画の見直し等に関する検討会」の地域医療構想に関するワーキンググループ、医師の働き方改革に関する検討会など、さまざまな場で医療提供体制に関する議論を進めている(『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』、『病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対』、『現状のまま上限規制では「有名無実に」』などを参照)。

 武田局長は、「医療提供体制全般について議論する場は、この医療部会だと考えている」と、10日の会議の開催趣旨を説明した。

 医師需給分科会が中心的に議論しているのは医師偏在対策であり、今年末までに報告書をまとめる予定。同分科会の関連では、前述の公民の医療機関の問題のほか、相澤氏からは、医師不足を考えるエリアは、2次医療圏単位か、あるいは都道府県単位かを問う質問も出た。「医師の過不足は、医療提供体制にマッチしないから生じるのであり、医療提供体制が決まっていない今の段階では、都道府県単位にとどめておいた方がいいのではないか」。

 武田局長は、同じ都道府県内でも差があるとしたものの、地域医療構想は2次医療圏が原則の構想区域別に進めていることから、「高度医療はより広域で考えていくべきだが、2次医療圏単位で医師不足かどうかを考えていくのがいいのではないか」と回答した。

 そのほか日医常任理事の釜萢敏氏は、医師養成課程の観点から発言した。卒前の医学教育では医行為の範囲の明確化、卒後の臨床研修では必修科目の見直し、新専門医制度の開始などの動きを踏まえ、「これらの整合性が取れるような議論を強く要望する」と求めた。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/1112/hkd_171112_3506775142.html
室蘭の3総合病院再編検討 地域医療の将来像探る 来年度に作業具体化へ
2017/11/12 05:00 北海道新聞社

 人口減を踏まえた地域医療体制の構築を目指し、11日に室蘭市保健センターで始まった「地域医療のあり方検討会」は、市立室蘭総合、日鋼記念、製鉄記念室蘭の市内3病院の再編が最終目標だ。官民を合わせた病院再編は実現すれば道内で初めて。市は来年度には具体的な作業に入りたい考えで、地域医療の将来像を示せるかが試される。

 冒頭で、室蘭市の青山剛市長は「現状のままでは、将来的に安定した医療を住民に提供できない。医療編成や連携策について覚悟を持って取り組みたい」と決意を述べた。この日は西胆振の地域医療の現状と課題について話し合われ、各病院が診療科別の病床数や常勤医師数の資料を提出した。出席者からは「介護も念頭に置いて議論するべきだ」などの意見が出された。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171110183913
休眠病棟、地域医療構想調整会議で説明を
厚労省が都道府県に事務連絡

2017年11月10日 19:00 CB News

 厚生労働省は、都道府県に対し、地域医療構想調整会議に関する事務連絡を出した。病床がすべて稼働していない「休眠病棟」のある医療機関を確認した場合、この医療機関を同会議に出席させ、稼働していない理由などを説明させるよう求めている。【新井哉】

 医師や看護師の退職者が出た際、後任を補充できずに病棟の稼働を一時的に休止するケースが少なくない。ただ、長期間稼働を休止してきた病棟を再稼働させた場合、特に患者が少ない地域では、近隣の医療機関との間で患者の“争奪戦”が起きかねない。

 厚労省は、医療機関が休眠病棟を再稼働させた場合、その病床機能が地域医療構想区域内で「過剰な病床機能」となることを懸念しており、こうしたケースを「過剰な病床機能へ転換するケース」として扱い、同会議で慎重な議論を進める必要性を挙げている。

 同会議では、休眠病棟を持つ医療機関に対し、病棟を稼働していない理由に加え、休眠病棟の今後の運用について、説明を求める見通しだ。



http://www.medwatch.jp/?p=16781
一般病院の経営状況、国公立を除けば、むしろ「改善」している—財政審
2017年11月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定の重要基礎資料となる「医療経済実態調査」結果が公表されたが、そこでは、国公立を除き、一般病院の経営状況(損益)はむしろ改善している—。

 11月8日に開催された財政制度等審議会の財政制度分科会では、こういった意見が財務省から提示されました。改定率を巡る攻防が、早くも激化しつつあります。

開設主体別の病院構成割合で補正すると、一般病院全体の損益は▲2.6%

 医療経済実態調査のうち、医療機関等調査を見ると、一般病院の損益比率は2016年度の前回診療報酬改定の前後で次のように推移していることが明らかにされました。

【一般病院全体】2015年度(改定前)▲3.7%→2016年度(改定後)▲4.2%:0.5ポイント悪化
一般病院全体の経営状況、損益比率はマイナス4.2%、つまり赤字で、過去3番目に悪い数字のようだ
(図 略)
 
【医療法人】2015年度(改定前)2.1%→2016年度(改定後)1.8%:0.3ポイント悪化
【医療法人+公的(日赤や済生会など)】2015年度(改定前)0.4%→2016年度(改定後)0.1%:0.3ポイント悪化
(図 略)
 
【国立】2015年度(改定前)▲1.3%→2016年度(改定後)▲1.9%:0.6ポイント悪化
【公立】2015年度(改定前)▲12.8%→2016年度(改定後)▲13.7%:0.9ポイント悪化
(図 略)
 
【国立+公立】2015年度(改定前)▲10.2%→2016年度(改定後)▲11.1%:0.9ポイント悪化
国立病院+公立病院
(図 略)
 
 この状況について財務省は、「損益率が⾼い医療法⼈の施設数の割合が実際より⼩さく、損益率が低い公⽴病院の施設数の割合が実際より⼤きい」ことから、「必ずしも⼀般病院全体の経営状況を適切に反映していない」と指摘。
一般病院について、実際の開設主体別構成割合と医療経済実態調査における構成割合を比べると、公立の割合が8.7ポイント高く、医療法人の割合が4.9ポイント低くなっている
(図 略)

病院の構成を補正する(実際の開設主体別施設数分布を踏まえる)と、「国公⽴を除く⼀般病院は、前回改定時より損益はむしろ改善している」と強調しました。財務省の補正によれば、2016年度の損益率は、一般病院全体ではマイナス2.6%(実態調査結果ではマイナス4.2%)、国公立を除く一般病院ではプラス0.6%(同0.1%)となっています。

一般病院の経営状況(損益比率)を、実際の開設主体別構成割合に補正すると、全体ではマイナス2.6%、国公立除外では0.6%になると財務省は指摘する
(図 略)
 
 財務省は、国家財政の健全化に向けて社会保障費を抑制する必要があるとし、2018年度の次期診療報酬改定では「2%台半ば以上」のマイナス改定が必要と提言しています。今回の分析をもとに、「一般病院の経営状況は好調である」として提言の根拠とし、改定率決定論議に臨む考えです。

また公立病院については、「公⽴病院の経営改善、地域の医療ニーズを踏まえた必要な病床機能の転換やダウンサイジングを後押ししていくべき」とし、公立病院の厳しい経営状況を踏まえたプラス改定論議を封じ込める考えも示しています。

 

http://www.medwatch.jp/?p=16775
紹介状なしに外来受診した場合の特別負担、500床未満の病院にも拡大へ—中医協総会(3)
2017年11月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 現在、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院に義務付けられている「紹介状なし患者の特別負担(初診時5000円以上、再診時2500円以上)徴収」について、金額や除外患者は維持したまま、「より小規模な病院にも拡大」していくべき—。

 11月8日に開催された、中央社会保険医療協議会・総会でこういった方向が概ね固まりました(関連記事はこちらとこちら)。

 また、現在「許可病床数500床以上の病院などでは、地域包括ケア病棟入院料の新設を1病棟に限定する」など「病床数500床以上」に着目する診療報酬項目がありますが、これを例えば、特定機能病院の指定要件である「400床以上」などに見直す提案が厚生労働省から行われています。

ここがポイント!
1 徴収金額(初診時5000円以上)や除外患者(救急患者など)の規定は、現行維持
2 地域包括ケア病棟の新設制限、400床以上の病院にも拡大する可能性
3 医療資源の乏しい地域、病床数に着目した診療報酬をどう考えるか

徴収金額(初診時5000円以上)や除外患者(救急患者など)の規定は、現行維持

 「一般外来は診療所や中小病院が担い、大規模病院は専ら紹介外来や専門外来を担う」という外来医療の機能分化推進が求められています。「大規模病院に軽症の一般外来患者が殺到し、重症患者が適切な医療を受けられない」といった事態、「大規模病院の医師・看護師が一般外来に忙殺され、本来の機能である重症患者への医療提供が遅れてしまう」といった事態を防止し、医療の質向上を狙うものです。

 これまでに▼200床以上の大病院において紹介状をもたない初診患者への選定療養導入(1996年健保法等改正)▼紹介率・逆紹介率の低い大病院における初診料等の減額(2012・14年度診療報酬改定)―などが導入され、さらに2016年度の前回診療報酬改定で「特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院(以下、500床以上病院)では、紹介状なしに外来を受診する患者から、初診時に5000円以上、再診時に2500円以上の特別負担(選定療養)を徴収しなければならない」との仕組みが導入されました。

2016年度から、特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院において、紹介状なしに受診する場合には特別負担が義務付けられた
(図 略)
 
 この仕組みについて、経済・財政再生計画の改革工程表では「対象の見直し」を2017年末までに検討するよう指示され、社会保障審議会・医療保険部会でも「拡充」の方針が固められており、今般、中医協でも具体的な検討が始まったものです。
厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、▼500床以上病院では、紹介状なし外来患者割合が、改定前(2015年10)の42.6%から、改定後(2016年10月)には39.7%に低下した(低下率は2.9ポイント)▼200床以上500床未満の病院では、同じく改定前60.3%から改定後59.4%で、0.9ポイント低下した—といった調査結果などを踏まえ、「対象医療機関の拡大を検討してはどうか」と提案しています。最低徴収金額(初診5000円、再診2500円)と徴収除外患者(救急患者、公費負担医療患者など)は、現在の仕組みを維持する考えです。

500床以上の大病院では、紹介状なしの受診時特別負担によって「紹介状なし患者割合」は3ポイント弱しか減少いていない
(図 略)
 
委員からは特段の反論は出ておらず、今後、「どこまで対象病院を拡大するか」が検討されます。この点、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「200床以上の病院では紹介状なし外来患者から特別負担を徴収できるが、外来患者の8割は紹介状なしというデータがある。患者・国民の受療行動を変えなければいけない。思い切って200以上にまで拡大すべきではないか」と要望しています。
なお、公立病院などに新たに徴収義務を課すためには、条例改正が必要となるため「6か月の経過措置」が設けられます。

地域包括ケア病棟の新設制限、400床以上の病院にも拡大する可能性

現在の診療報酬では、「病床数500床」に着目した項目がいくつか設定されています。例えば、前述の「紹介状なし外来患者からの特別負担徴収義務」は、「許可病床数500床以上」の病院を対象としており、また地域包括ケア病棟入院料については、「許可病床数500床以上」の病院などでは「新設は1病棟に限定」されています。
(図 略)
 
迫井課長は、500床以上病院が減少している状況などを踏まえて、「病床数500床」の基準を見直してはどうか、とも提案しています。

この点、特定機能病院や臨床研究中核病院の指定要件を見ると「病床数400床以上」となっており、両者は必ず一致させなければならない性質のものではないものの、ターゲットの1つとなりそうです。
(図 略)
 
もっとも、単純に「500床→例えば400床」と置き換えるのではなく、▼各診療報酬項目の趣旨▼算定実績—なども見ていくことになります。診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)からは「現場の混乱がないようにすべき」との、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)からは「そもそも500床以上と設定した背景や、現在の課題などを踏まえて検討すべき」との注文が付いており、今後、具体的なベッド数や、対象診療報酬項目の絞り込みを検討することになります。

なお、地域包括ケア病棟については、前述のように、現在「許可病床数500床以上」の病院(ほかICUな度の保有病院も)では、新設が「1病棟」に限定されています。大規模な高度急性期病院では、その機能に特化すべき(回復期機能などは他病院で担うべき)との厚労省の見解が伺える規定です。

ここで、基準値が「400床以上」に引き下げられた場合、経過措置の有無は別として、当然、400床以上の病院でも地域包括ケア病棟の新設が制限されることになります。病床戦略を考える上で(例えば7対1の維持など)、極めて重要な見直しとなるため、今後の動向に注意するとともに、自院の戦略策定を想起に行う必要があります。

医療資源の乏しい地域、病床数に着目した診療報酬をどう考えるか

ところで、医療資源が少ない地域では、診療報酬の届け出・算定のための要件が一部緩和されています。人員不足などに配慮したもので、2012年度の前回同時改定で導入されました。

2014・16年度改定では、対象地域の見直しや、対象診療報酬項目の拡大などが行われており、2018年度の次期改定でも一定の見直しが行われる模様です。迫井医療課長は、「病床数を要件とした診療報酬について、各項目の趣旨なども勘案しつつ、一定の配慮を行う」ことを提案しています(関連記事はこちら)。

例えば、病室単位での届け出が可能な【地域包括ケア入院医療管理料】(地域包括ケア病棟入院料は『病棟』単位の届け出必要)は、全国一律で「許可病床数200床未満」の病院でした届け出が認められていません。このような、病床数に着目した診療報酬項目について、▼医療資源の少ない地域でも、同じ基準(病床数)でよいのか▼そもそも基準(病床数)が妥当か—といった点を検討することになりそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564240
「専門医=医師会員」で医師配置を適正化 - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.3
臨床研修の在り方も今後の検討課題

スペシャル企画 2017年11月8日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生は、専門医資格の取得を義務化し、標榜とも連動させ、自由標榜を制限すべきとの主張です。

 ドイツには、全員加盟の医師会があり、州の医師会が医師分布などを決めています。日本でも、専門医資格取得を義務化し、資格取得と標榜をドッキングさせ、さらに「専門医=医師会員」とすればいい。これにより、日本専門医機構と行政と医師会とが話し合って、医師の地域や診療科による分布もある程度、コントロールできるはずです。この辺りを関係者が集まり、検討していけばいいと思います。

卒前の臨床実習の変更により、卒後の臨床研修も併せて見直す必要性を指摘する。

――「専門医=医師会員」とする理由は。

 医師の地域分布などを考える時に、行政だけではできません。地域医療の事情を把握しているのは医師会です。自由標榜制を制限する代わりに、医師会にそうした役割を持ってもらえばいいでしょう。

――医師会、日本専門医機構、行政、それぞれが医師のデータベースを持っています。そうしたものも一元管理するイメージでしょうか。

 そうです。それぞれにメリットがあるような仕組みが必要です。

――その実現に向け、先生が何らかの働きかけをするご予定はあるのでしょうか。

 もう年ですし、私自身が買って出るつもりはありません。また日本専門医機構では最近、初期臨床研修を終えた医師が全員専門医の資格を取る方針を変更したようですので、実現は難しいでしょうね。

――先生は今、地域医療振興協会の会長を務められています。協会の医療機関に勤務する医師は、自治医科大学卒業の方も多いと聞いています。専門研修に対し、どのように取り組まれていく予定でしょうか。総合診療専門医の養成に力を入れる計画などはあるのでしょうか。

 全国で病院24カ所、診療所33カ所などを直営、もしくは指定管理で運営していますが、専門研修への取り組みは医療機関によって違います。首都圏で言えば、千葉の東京ベイ・浦安市川医療センター、東京の東京北医療センターや練馬光が丘病院、神奈川の横須賀市立うわまち病院などは、専門研修に積極的です。専攻医はさまざまな大学の出身者です。

 また、自治医大卒業生は、卒後の義務年限があり、各都道府県が指定する医療機関で研修しなければなりませんが、地域医療振興協会の医療機関で指定を受けているケースはそう多くはありません。協会を挙げて総合診療専門医の養成に力を入れていくという話は、あまり聞いていません。

――自治医大の卒業生は、義務年限の間、へき地等も含めて研修しなければいけないので、専門医取得に時間がかかるのでは、との指摘もあります。総合診療専門医が基本領域に位置付けられれば、同専門医については取得しやすくなるのでは。

 「カリキュラム制で研修し、義務年限を終えた自治医大卒業生は、自動的に総合診療専門医を取得できるようにする」ことを提案されている方もいると聞きますが、現時点では新専門医制度が自治医大卒業生に特別なメリットがあるとは思っていません。

――最後に、医師養成過程全般についての考えをお聞かせください。
 卒前の臨床実習が充実してくれば、卒後の研修をどうすべきかを、本当は真剣に議論しなければならないのではないでしょうか。

――全国医学部長病院長会議は、臨床研修は「脳、心臓、呼吸器、腹部(急性腹症)」への緊急対応能力の取得を目的とし、臨床研修の一部を臨床実習に前倒しにし、専門医研修の一部を臨床研修に組み込むことを提言しています(『「医師1万6000人の実質増員策」、塩崎厚労相に提案』を参照)。

 臨床研修は、スタート当初は7科目が必修でしたが、2010年度から内科、救急、地域医療の3科目に必修科目を限定し、外科、小児科、産婦人科、精神科を選択必修に変えました。しかし、この4つの科を必修にする動きが現在進行中のようです。

 日本医学教育評価機構(JACME)が世界医学教育連盟(WFME)の委託を受けて、わが国の医学教育を評価することとなりました。その結果、医学生の臨床実習の期間が長くなることが考えられます。卒後の臨床研修のカリキュラムを、それに合わせて見直すことも必要だと思っています。

 このシリーズの1回目に、病理・臨床検査を基本領域に入れるのは問題だと述べましたが、その後、いろいろな先生方からご意見をいただき、病理・臨床検査の重要性を認識し、病理・臨床検査を基本領域に入れて良いと考えるようになりました。訂正させていただきます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/567394
医師の働き方改革とキャリア
三保連「診療報酬マイナス改定に強く反対」
医師の働き方改革について提言書発表

レポート 2017年11月7日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 三保連(内科系学会社会保険連合、外科系学会社会保険委員会連合、看護系学会等社会保険連合)は11月6日、医師と看護師の働き方改革について、外保連会長の岩中督氏、内保連理事長の工藤翔二氏、看保連代表理事の井部俊子氏の連名で提言書を発表した。

 人員増や地域医療、救急医療に携わる医師へのインセンティブの付与など4項目から成り、結びで「次期診療報酬のマイナス改定は、医療崩壊を導きかねず強く反対する」としている。

 10月30日に開催した三保連合同シンポジウム「医療における働き方改革:医療現場からの提言に向けて」の議論を踏まえ、取りまとめた。11月5日に、加藤勝信厚生労働大臣と同省保険局に提出した(シンポジウムは『三保連シンポ、「働き方改革には財源」』を参照)。

提言書は次の通り。

提言書
 安心・安全で、患者目線の適切な医療を今まで通り提供していくために、内保連、外保連、看保連は医療者の働き方改革に関する合同シンポジウムを開催し、以下に提言を取りまとめた。関係する行政機関が連携し、これらの提言を採択することを望むものである。

1. 医師の過重労働、長時間労働を防ぎ、夜間休日においても適切な医療を提供するためには、医師の交代制勤務の導入が不可欠であり、そのために必要な医師数を確保する必要がある。また業務を支援、補佐する医師事務作業補助者をはじめとする他職種の人員も増やす必要がある。
2. 看護師に適切なワークライフバランスを提供し、離職者を少なくするとともに適切な夜勤体制を維持するためには、十分な看護師数の確保と看護師を支援する補助者が不可欠である。
3. 医師の労務環境改善に伴う地域医療、救急医療の崩壊を防ぐためには、地域医療や救急医療に携わる医師に十分なインセンティブを提供することが必要である。
4. 意ある若い医師・看護師のスキルを限られた時間で向上させ、医療の質を担保するためには、効率の良い教育体制の構築が不可欠である。そのためには、指導者に対しても十分な支援による業務負担の軽減が必要である。

 これらの提言を実行するためには、現状の財源規模では明らかに不十分であり、今後医療現場への更なる追加財源の投入が不可欠である。次期診療報酬のマイナス改定は、医療崩壊を導きかねず強く反対する。


外科系学会社会保険委員会連合(外保連) 岩中 督
内科系学会社会保険連合(内保連) 工藤 翔二
看護系学会等社会保険連合(看保連) 井部 俊子



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171106180459
働き方改革は、医療産業改革を起こすインパクトを持つ
医師の働き方改革の未来(1)

【関東労災病院 経営戦略室室長、卒後臨床研修管理室長、救急総合診療科部長 小西竜太】
2017年11月07日 13:00 CB News

 医療は労働集約型産業であり、すべての医療サービスは医師のオーダーから発生するといっても過言ではない。つまり医師の「働き方改革」は、医療制度や診療報酬以上に、医療提供体制に大きな影響を与える「医療産業改革」になりうる。
 医師の「働き方改革」が進められると、医師はどれくらい不足するのか。
 「週40時間+時間外20時間(月80時間)」を労働時間の上限とした場合、病院勤務医の25%(約4万-5万人)※1が消失するほどのインパクトがある。
 これだけの労働力が消失すれば、「医療供給体制の崩壊(特に地方やへき地)」「病院経営の維持が困難」「臨床研修や自己研さんにマイナス効果」は避けられないだろう。特にへき地で医師の診療時間が制限されたりすれば、地域の医療提供体制は崩壊すると考える。

 ただ、法的制度スタートまでには、少なくともあと7年ある。無論、現在の労働環境の改善は待ったなしの状況であるが、2025年を迎えるころが本格稼働の時期だろう。
 働き方改革は、医療の各制度と密接にリンクしている。地域包括ケアシステムや地域医療構想などの医療提供体制の整備、新専門医制度や医師偏在・需給問題も当然絡んでくる。現場の当事者としては、現時点での医療環境における働き方改善に想像力が限定されてしまい、同時並行で変化する将来像の中での働き方を想起することは難しく、長期的な視野での取り組みが欠かせないだろう。

※1 医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査、平成26年医師調査の概況からの推算
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 安倍政権は15年9月に成長戦略「新・三本の矢」を発表した。その軸は、(1)希望を生み出す強い経済(2)夢をつむぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障―だ。今後の人口減少や高齢化に伴う経済成長の減退に備えようとする背景がある。一部の識者に、一人当たりのGDPが上昇するのであれば、経済成長がなくても問題ない、日本は成熟国家として文化度や幸福感を高めればよいとする主張もある。しかし、筆者は、子や孫の世代のためにも、経済成長を継続したままでバトンを渡すべきであり、医療分野が経済成長に寄与することが必要と考えている。連載では、経済成長の視点も交えつつ、医師の働き方について考えてみたい。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/568428
医師の働き方改革とキャリア
四病協調査「宿日直許可得ず」19%、「36協定なし」15%
厚労省働き方検討会、医療団体からヒアリング

レポート 2017年11月11日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は11月10日、「第4回医師の働き方改革に関する検討会」を開催し、日本医師会と、全国自治体病院協議会、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議からヒアリングを行った。各団体は、それぞれが行った勤務実態などに関する調査結果を発表し、「医師に対する時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊を招かないよう、慎重な検討が必要だ」(全自病会長・邉見公雄氏)、「大学病院の医師が意欲と希望を持って診療、教育、研究に打ち込むことができるよう配慮を」(千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏)など、現場の実態を踏まえた議論の必要性を訴えた。

 一方で、四病協の調査では、労働基準法上の宿日直許可なく宿直勤務をしている施設が19.2%、36協定を締結していない施設も14.9%あるなど、長時間労働の是正以前の問題として、労働基準法の基本的ルールを遵守されていない実態も明らかになった(資料は厚労省のホームページ)。

 山本氏は、全国医学部長病院長会議が10月17日~11月6日に行った「医師の勤務環境改善策の取組み状況についての緊急調査」(80施設に発送、73施設から改修)の結果を発表。「大学病院の勤務環境の大きな特徴として、院内の各種委員会が多数に上るとして、約3年前に、3割ほど委員会を減らしたが、現在には元に戻ってしまっている。厚労省などから指導を受けると委員会が増える」と千葉大病院の例を紹介した。

2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・全国医学部長病院長会議ヒアリング資料 (図 略)

 日本医療法人協会副会長の馬場武彦氏は、四病協が各団体の会員病院を対象に行った調査結果(5118施設に発想、639施設から回収)を発表。労基法施行規則第23条にある宿日直許可を行わずに宿日直勤務を実施している施設が19.2%あり、医師に法定労働時間を超える時間外労働をさせるために必要な36協定を締結していない施設も14.9%あった。この結果について、馬場氏は「一般的な医療機関での宿日直の実態と、現在の労働基準法の宿日直基準があまりにもかけ離れていることがその一因。救急対応などを行っている医療機関の宿日直の実態にあった仕組みが必要なのではないか」と述べた。


2017年11月10日医師の働き方改革に関する検討会・四病協ヒアリング資料 (図 略)

 日医常任理事の市川朝洋氏は、日医勤務医委員会の委員が9月から10月にかけて所属ブロックの医師にヒアリングした結果、労働時間短縮が地域医療に及ぼす影響として、(1)救急医療への影響、(2)外来診療の縮小などの病院機能の低下、(3)高度医療・長時間手術などへの影響、(4)へき地への影響、(5)研修時間と研修医教育への影響――などの意見が挙がったと紹介した。

 日医副会長の今村聡氏は、日医女性医師支援センター長としての立場から、2016年に同センターが行った調査(結果は同センターのホームページ)を紹介。女性医師の割合は今後さらに高まるため、「出産・育児のみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も重要。多様な働き方、幅広い選択肢を前提とした支援策が望まれる」と指摘した。

 邉見氏は参考人として出席し、意見陳述し、全自病が7月から8月に行った調査結果(879施設に送付、437施設から回収)を紹介。改正労基法の規定で時間外労働の上限が医師も一律に720時間とされた場合の診療体制への影響などを尋ね、「救急外来の対応が困難になる」、「深夜帯の診療制限が必要」などの回答があったとし、「現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難。応招義務と労働量規制との関係について、十分な議論と整理が不可欠だ」と述べた(関連記事は『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』)。

構成員の主な発言は次の通り。

◆東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授・渋谷健司氏:働き方改革をきちんとしないと偏在の問題は解決しないと思っている。(厚労省の)医師需給分科会では管理者要件を課すというのが出たが、管理者の根拠としてへき地勤務は関係ない。インセンティブならまだ良いが。また、今村構成員の資料に女性医師が仕事を続けるために必要と思うことが出ているが、「診療報酬、医療費等」という回答はほとんどなく、要は働き方だ。この辺りをきちんとしないと、女性医師や若手が地方に行かない。

◆今村氏:渋谷構成員の言う「お金、診療報酬ではない」というのは、その通りではあるが、やはりお金はかかる。私は中医協(中央社会保険医療協議会)の委員でもあるが、1号側(支払側)の委員から「働き方改革と診療報酬は関係ない、切り分けて議論するべきだ」という極めて強い主張があり、激しくやりあった(『診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める』を参照)。診療報酬改定の時期でもあり、今こそ必要なものは必要と言わなければいけない。

 山本構成員の発表で、委員会が多いとのことだが、診療報酬に位置付けられて開催しなければいけないものはどのくらいあるのか。また、せっかく時間をかけて特定看護師になった方を活用できていないのはなぜか。

◆山本氏:「医師の出席義務があるもの」というくくりで調査したため、診療報酬上のしばりについてはすぐには分からないが、感覚的には半分くらいではないか。組織が大きいため、トップダウンで済むということではなく、コンセンサスの形成、医療安全上、臨床上の必要などでどんどん増えていくのが実情だ。特定看護師については、千葉大にいないので分かりかねるが、例えばフィジシャン・アシスタントで言えば、各病院で独自に雇えるが、制度的な裏付けがない。ガイドラインなどもなく、病院の責任でやらなければならないなどがネックになっている。

◆東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏:邉見参考人の発表で、「上限規制がかかると患者が困る」という話があったが、自治体病院の窮状よりもそれが出てくるところは、医師のプロ意識だと思った。この検討会では、医療に規制をかけるよりも、医師、医療者を支援する観点で議論するべきだと強く思う。

◆全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:医療が高度化し、高齢化も進んでいる現状では医師の労働時間は多くなる。一方で上限規制も行われるとなると、どういう医療が国民に必要かを考えないといけない。患者の側も、受診のあり方を考えないといけないのではないか。

◆今村氏:国民の理解が必要だということには、この検討会の誰も反対しないと思う。では誰がどのようにやるのかという方法論が欠けている。方向性を出さないと、堂々巡りだ。国民皆保険は大事で、崩壊したら終わりだ。考えていかないといけない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565786
医療維新10周年記念
「当事者が罰を受ける仕組み」、瞬間的に察知 -有賀徹・労働者健康安全機構理事長に聞く◆Vol.1
“医療事故調”、2008年の第3次試案・大綱案に反対した訳

スペシャル企画 2017年11月11日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2015年10月にスタートした医療事故調査制度。さかのぼれば、自民党政権時代の2007年10月に第2次試案、2008年4月に第3次試案、同年6月に「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」の作成まで進んだものの、「警察への通知」が組み込まれ、医療安全と刑事責任の追及が連動している制度設計が問題視されてとん挫した。
 その後、政権は民主党に交代、ようやく議論が再開したのは2012年2月。さらに自民党政権復活後の2014年6月に医療法改正法案が成立、制度創設に至った経緯がある。紆余曲折を経てスタートした本制度は、第3次試案・大綱案と異なり、医療者の自律的な事故調査が重視され、院内事故調査が中心であり、医療安全に特化した点が特徴だ。
 一連の議論の過程で、医療者側から積極的に発言、制度設計に大きな影響を及ぼした一人が、独立行政法人労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏(前昭和大学病院長)。有賀氏に議論の過程を振り返っていただいた(全3回の連載)。

――第2次試案、第3次試案、大綱案がまとまった頃、制度に反対していた一人が有賀先生でした。

 私はまず日本救急医学会の「診療行為関連死の死因究明等の在り方検討特別委員会」、その後に本学会の代表理事や全国医学部長病院長会議の立場で、この問題に関わってきました。第3次試案、大綱案の頃ですが、当時は日本救急医学会のほか、日本脳神経外科学会、日本麻酔科学会などから反対の声が上がっていたと記憶しています。

 要するに第3次試案、大綱案を見て、「医療事故を第三者機関に報告すると、その当事者が罰を受ける仕組みができ上がってしまう」と、ほとんど瞬間的に思ったわけ。十分に説明した上で、患者さんに治療法を選んでもらうことができる臨床分野と比べると、救急医学の現場は、医師がリードしなければいけない場面が多い。それなのに、その結果が悪ければ、「リードしたお前たちが悪い」と言われたのでは、「ひどいじゃない?」「これではやっていられない」と日本救急医学会の先生方の皆が考えた。

 また仮に患者さんに説明でき、「分かりました。観念して手術を受けます」と患者さんが答えても、それは「言葉の上での理解」。「感情的な観点からの理解」を得るのは、時間勝負の救急医療の現場では容易ではありません。

――日本救急医学会は2008年4月、第3次試案へのパブリックコメントで、明確に「反対」と表明しています。「『重大な過失』が捜査機関への通知の対象となれば、わが国の救急医療は壊滅するであろう」と述べ、「医療の安全を確保することと、紛争を解決することとは、全く異なるプロセスを必要とする」と指摘しています(日本救急医学会のホームページ)

 はい。その際、日本救急医学会としてメッセージを出すだけでなく、その裏付けがほしいと考えました。そこで出てきたのが、WHO(世界保健機関)の「World Alliance for Patient Safety who Draft Guidelines for Adverse Event Reporting and Learning Systems from Information to Action」を訳そうという話。言い出したのは、富山大学の救急・災害医学の奥寺(敬)先生。やはり医療安全と責任追及の仕組みは分ける必要があることを、根拠を持って言わなければいけないとなり、皆で手分けして翻訳し、出版したのが『有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン』(へるす出版、2011年10月)です。同ガイドラインでは、「学習を目的とした報告制度」と、「説明責任を目的とした報告制度」は目的が異なるため、1つの制度に2つの機能を持たせるのは難しいとしています。

 もっとも、WHOは「ドラフトのままなのは、各国の条文に合わせて、上手にガイドラインを利用してもらいたいからだ」と説明していたのに、当時は厚生労働省も含め、複数の方面から「ドラフトガイドラインなのだから、WHOがオーソライズしたものではない」みたいな言われ方をされましたが……。

――2009年8月末の衆院選で民主党政権が誕生してしばらくは、議論がストップしていました。

 その間、政府筋から特別に難しい話が出てきたわけではありませんでした。だからこそ、自分たちで粛々と議論を進めればよかったのです。しかし、実は多くの医師は、医療事故対応のことを普段から考えているわけではないのです。それは、患者さんにとってより良い医療をやろうという思いが第一だから。病院長の立場としては、「医療事故は起きるものだから、それに対する備えも医療の一環」と考えるでしょうが、現場の医師にとっては日々の仕事の中では、(医療事故調査制度のことは)意識の中から遠ざかっていたのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/568327
社会保障審議会
「公私、医療機関の扱いは原則平等」、医療部会で確認
医師偏在対策、地域医療構想、医師の働き方改革など総合的に議論

レポート 2017年11月10日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月10日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、同省の各種審議会・検討会で進む医療提供体制をめぐる議論の進捗状況を説明、委員の間で特に議論になったのは、医師偏在対策や地域医療構想における公立・公的と民間の医療機関の役割だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師偏在対策では、地域医療支援センターが、今後増加する「地域枠」の卒業生などを医師不足地域にいかに派遣するかが課題の一つ。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、公民の役割を考える上で、「税金が投入されている国公立病院、税制上の優遇がある日赤や済生会などの公的病院、いずれの優遇もない民間病院がある中で、いかに公平に医療提供体制を構築していくかが重要」との前提を述べた上で、地域医療支援センターが医師の派遣先を考える際に、公民の医療機関の区別があるのかを厚労省に確認。同省医政局医事課は、「差はない」と回答し、都道府県の実態として、公立病院中心に派遣している例があるとしたものの、国としては「機能」に着目し、センターが派遣先としてふさわしいと判断すれば民間病院も派遣対象になると説明した。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「地域貢献などについて、医療機関の開設主体にかかわらず評価した上で、地域枠の卒業生を派遣してもらうにしてもらいたい」と要望した。奈良県知事の荒井正吾氏は、地域医療支援センターを運営する地方公共団体の立場として、公立優先の医師派遣は利益相反になりかねないため、医師偏在に関するデータを派遣先を検討する必要性を指摘した。

社保審医療部会は、医療提供体制について総合的に議論。

 地域医療構想を実現していく上では、公立病院は「新公立改革プラン」、公的病院は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、地域医療構想調整会議において策定プランを議論することになっている。この点について、「公立・公的優先」と捉える向きもあり、10日の医療部会でも同様の趣旨の発言があったが、中川氏は「調整会議でプランを議論するのは、地域医療構想との齟齬がないようにするのが目的」と説明、民間病院の改革方針等を調整会議で議論するのは、「逆の方向。むしろ民間病院の自主性を損なうことになる」と釘を刺した。中川氏は、「調整会議の権限が強いことが、全国的に理解されていないことも問題」と指摘し、地域医療構想を進めるために調整会議を有効に機能させる必要性を指摘した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医療法上、公的医療機関は明確に位置付けられており、民間医療機関とは異なる」としたものの、「機能に着目した場合には、公的と民間で変わるものではなく、民間病院でもしっかりとした機能を果たしている場合には、相応の役割を期待する」との見解を述べた。その上で、「地域医療調整は、“枠取り”ではなく、各病院がどんな機能を果たし、他の病院との関係でどんな医療を担っていくのかを考えてもらうのが目的」と説明した。

 さらに医師の働き方改革については、その必要性が指摘された一方、病院経営者の立場からは「あまり拙速に進めないでほしい」(日本病院会会長の相澤孝夫氏)という意見が相次いだ。

 相澤氏は、「医師の働き方がこのままでいいと思っていないが、病院経営は厳しい現状。診療報酬が増えない中で、職員を増やし、勤務環境を整えるのは容易ではない」と指摘。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏も、「拙速はやめてもらいたい」と釘を刺し、「我々としては、医師の労働とは何かを、医療の側から定義していくことが必要」と述べ、労働時間の把握の方法も検討していく必要性を指摘した。

 神野氏は、医師の働き方と医師需給は関連する問題であるとし、「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会は2018年の年始から医師需給の議論に入る予定であることから、両者を関連付けて議論するよう求めた。

 医師不足、「2次医療圏単位で検討」

 厚労省は現在、医師需給分科会、「医療計画の見直し等に関する検討会」の地域医療構想に関するワーキンググループ、医師の働き方改革に関する検討会など、さまざまな場で医療提供体制に関する議論を進めている(『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』、『病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対』、『現状のまま上限規制では「有名無実に」』などを参照)。

 武田局長は、「医療提供体制全般について議論する場は、この医療部会だと考えている」と、10日の会議の開催趣旨を説明した。

 医師需給分科会が中心的に議論しているのは医師偏在対策であり、今年末までに報告書をまとめる予定。同分科会の関連では、前述の公民の医療機関の問題のほか、相澤氏からは、医師不足を考えるエリアは、2次医療圏単位か、あるいは都道府県単位かを問う質問も出た。「医師の過不足は、医療提供体制にマッチしないから生じるのであり、医療提供体制が決まっていない今の段階では、都道府県単位にとどめておいた方がいいのではないか」。

 武田局長は、同じ都道府県内でも差があるとしたものの、地域医療構想は2次医療圏が原則の構想区域別に進めていることから、「高度医療はより広域で考えていくべきだが、2次医療圏単位で医師不足かどうかを考えていくのがいいのではないか」と回答した。

 そのほか日医常任理事の釜萢敏氏は、医師養成課程の観点から発言した。卒前の医学教育では医行為の範囲の明確化、卒後の臨床研修では必修科目の見直し、新専門医制度の開始などの動きを踏まえ、「これらの整合性が取れるような議論を強く要望する」と求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565710
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「週7日勤務」、日本6.2%、米国4.2%◆Vol.2
年代で差、20代では米国医師の方が激務

スペシャル企画 2017年11月12日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師の「働き方改革」や過労死などがクローズアップされている昨今、医師の長時間労働の改善が急務になっている。日本の医師の勤務実態に関する調査は多々あるが、日米両国の現状を比較するため、今回の調査でも改めて聞いた。

 まず1週間の勤務日数を聞いたところ、医師全体では、「5日」(日本47.1%、米国57.0%)が日米両国とも最も多かった。しかし、それを上回る「7日」(日本6.2%、米国4.2%)、「6日」(日本40.1%、米国21.4%)であり、いずれも日本の方が勤務日数が多かった。

 もっとも年代別に分析すると、医師全体とは異なる傾向が見て取れる。回答数は少ないものの、20代の米国医師では69.7%が「6日」と回答、一方で日本の20代医師は約半数が「5日」と回答。日本の20代の医師は、卒後2年間の臨床研修と専門研修の時期にほぼ相当。臨床研修では、研修時間、休日・休暇が制度により保障されている。一方、米国医師の20代は、4年間のメディカルスクール卒業後に進む初期研修(レジデンシー)の時代にほぼ相当。1年目の研修医の勤務時間の上限は週80時間と長く、両国の制度の相違も調査結果に影響している可能性がある。

 30代以上では、年代が上がるにつれ、日米両国とも1週間当たりの勤務日数が減少する傾向にあるが、いずれの年代でも米国医師の方が「5日以下」の割合が多かった。

Q1. 1週間の勤務日数をお教えください(日米比較)
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Q2.1週間の勤務日数をお教えください(日米比較、年代別)
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 さらに1日(通常勤務日)の勤務時間を質問した結果、日本の最多は「8~9時間」(40.5%)、米国の最多は「10~11時間」(37.4%)。「12時間以上」との回答は、日本19.5%、米国28.5%。米国医師の方が1日当たりの勤務時間は長い傾向にあるが、Q1とQ2の結果と併せると、米国医師は1週間の勤務日数は少ないものの、勤務する日は長時間働くという実態が垣間見える。

 
 年代別では、若いほど長時間勤務の傾向にあるのは日米ともに同じ。日米で開きが大きいのは、20代。米国の20代医師は、7割超が12時間勤務という回答だった。

Q3.1日(通常勤務日)の勤務時間をお教えください(日米比較)
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Q4.1日(通常勤務日)の勤務時間をお教えください(日米比較、年代別)
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◆ m3.comスペシャル企画「日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!」 ⇒ 掲載記事一覧はこちら。

【調査概要】
日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/general/568266
病院計画の住民投票中止決議 滋賀・野洲市会、法的拘束力なく
地域 2017年11月10日 (金)配信京都新聞

 滋賀県野洲市議会は9日、臨時会を開き、JR野洲駅南口の市民病院計画の是非を問う住民投票の中止を求める決議を賛成多数で可決した。決議に法的拘束力はなく、住民投票は19日告示、26日投開票の日程で実施される。提案した議員は「10月の市議選で改選された議会の宣言という位置付け」とするが、計画に反対する議員から「市民の権利の剥奪だ」と反論が相次いだ。

 決議案は、市議選で病院計画賛成派の議員が過半数を占めたことや、住民投票にかかる約1600万円の費用を福祉にまわすべきなどの理由で、新誠会と共産党、みらい野洲の3会派の議員が提案。橋俊明議員(新誠会)が「住民投票を実際に中止する手法も模索したが、これ以上、住民を混乱させないため、宣言的な決議にとどめた」と提案理由を説明した。

 討論で荒川泰宏議員(自民創政会)ら反対派の議員は「住民投票の費用があたかも無駄であるというのは市民に対しての愚弄(ぐろう)ではないか。市政に対して意思表示できる行為を剥奪する行為」などと述べた。

 採決では賛成10、反対7で可決された。



https://www.m3.com/news/iryoishin/567872
中央社会保険医療協議会
診療側、働き方改革で診療報酬上の対応求める
厚労省、医師の常勤要件緩和などを提案

レポート 2017年11月8日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月8日の会議で、横断的事項として「医療従事者の働き方、病床数の取扱い、地域の実情を踏まえた対応」を議題とした。厚生労働省は、医療クラークの配置、他職種との業務の分担などの促進や、常勤要件の緩和など勤務医の負担軽減策を提案。診療側からは診療報酬での対応を求める声が上がった一方、支払側は「働き方改革と診療報酬は別の議論だ」と反論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が提示した主な論点案は次の通り。

◆医療機関における勤務環境改善
 加算や特定入院料で評価されてきた勤務医の負担軽減策については、医療機関の取り組みがさらに進むよう見直してはどうか。
 病院勤務医および看護職員の負担の軽減・処遇の改善に資する体制に係る手続きについて、合理化することとしてはどうか。

◆医師の常勤要件の見直し
 小児科、産婦人科、その他専門性の高い特定の領域や、夜間等の緊急対応の必要性が低い項目については、週一定時間の勤務を行っている複数の医師の組み合わせにより、常勤の医師が配置されているものとみなしてはどうか。

◆医師以外の医療従事者の常勤要件の見直し
 かかりつけ薬剤師指導料の1週間当たりの勤務時間の要件について、子育て世代などの薬剤師が、育児・介護休業法に基づいて短時間勤務する場合に、他の薬剤師との連携も図りながらかかりつけ薬剤師として活躍できるよう、基準を見直してはどうか。
 看護師、管理栄養士、歯科衛生士、歯科技工士について、人材の有効活用の観点から、常勤の必要性が高くない業務において、常勤要件を見直してはどうか。

◆医師の多様な働き方による勤務負担軽減
 集中治療室に勤務する医師については、一定の要件の下で、「常時、治療室内に勤務していること」との要件の運用を見直し、ICUに入室する重症患者に対して入室前から診療を行うこと等を可能とすることについて、どのように考えるか。
ICTを活用した医師の柔軟な配置を推進することについて、どのように考えるか。

◆看護職員の夜間等の負担軽減
 看護職員の負担軽減、看護補助者との業務分担・協働を推進するために、看護業務の見直しや看護補助者への研修、身体抑制減の対応等、より質の高い看護の提供を目指す取り組み推進についてどのように考えるか。
 看護師の管理や観察の頻度の高い障害者病棟(7対1、10対1)において、障害者が入院中に安心して適切な医療を受けることができるため、看護補助者の配置の評価についてどのように考えるか。
 慢性期病棟における夜間の看護業務の負担軽減、ケアの充実を促進するために、看護補助者の夜間の配置の評価を充実してはどうか。


委員の主な意見は次の通り。

【診療側】
■日本医師会常任理事・松本純一氏:医師の働き方は地域医療体制の維持の面から考えることが不可欠だ。診療科や地域間の差、学会参加、自己研鑽の取り扱いなど医師特有の問題は多く、労働時間の規制を中心とした議論のみでは医師の働き方改革は実現できないと考える。働き方の多様性、高い倫理性など他の職業と同列に扱うことが難しい医師という職業の特性を踏まえ議論する必要がある。 医師の事務作業が多いのは全医療機関の問題であり、(軽減のための)さらなる取り組みが進むよう見直していくべきだ。医師事務作業補助体制加算は、勤務医らの負担軽減に効果があるものとして改定ごとに拡大してきた経緯がある。この効果は現在算定対象となっていない有床診療所や病院、診療所の外来でも期待でき、現場からも求められている。

■全日本病院協会会長:猪口雄二氏:さまざまな理由で非常勤を選ぶ人は多い。若い医療従事者で非常勤を希望する人が働きやすいよう、雇用できるようにし、(複数人を組み合わせて)常勤として換算することを通則とする必要があるのではないか。

■日医常任理事・松本吉郎氏:女性医師にしっかりと働いてもらえるようにすることは、喫緊の課題。短時間勤務の仕組みづくりを進めていくことが大切だ。

■日医副会長・今村聡氏:医師事務作業補助は、医師の働き方改革に関する検討会でもすべての医師が、大事と言っている。積極的に賛成したい。時間外労働にきちんと対価を支払うのは当然だが、労働基準監督署から勧告を受けて、大病院でも診療体制を制限せざるを得ない事態が生じている。医師事務作業補助者は診療報酬で十分に対応できていない。  薬剤師については、養成数は多いが、病院薬剤師が十分でなく、今必要とされている。薬局の薬剤師の基準を緩和したら、ますます病院で働かなくなってしまうのではないか。

【支払側】
■健康保険組合連合会理事・幸野庄司氏:「医師の働き方改革」という言葉が飛び交っているが、そもそも論だが、それと診療報酬は区別して考えていくべきだ。働き方改革のために診療報酬上の対応をするのは違うのではないか。働き方改革は別の場で議論され、その結果どうしても診療報酬上の対応が必要だとなったときに対応していくことが重要だ。働き方改革のために常勤の要件を緩和するというのは違うのではないか。(診療報酬の)要件が設定された背景にはそれなりの必要性があったからで、「環境が変わったから外す」というのがあればいいが、必要性が薄くなったから外すというのは、慎重に議論するべきだ。

【診療側】
■今村氏:幸野委員は診療報酬と働き方改革を一緒にするべきでないと言うが、「働き方改革」には、一人一人が適切な労働時間を守り、健康を守るという意味と、医療における働き方、つまり医療機関で働いている人が健康に働けなければ、国民に安全で良質な医療を提供できないという意味がある。医療機関の働き方を変えるのは、国民が良い医療を受けるためであり、その支援を診療報酬でやっていこうということだ。全く別だから別のところでやれというのは、やめていただきたい。

【支払側】
■幸野氏:医師の負担軽減をして安全な医療を提供する、というのは否定するものではない。医師事務補助体制加算などはいいが、人材の有効活用といったことで、(診療報酬の)要件を緩和して体制を変えるのは、違う。診療報酬は与えられた医療、環境、設備に対して支払っているものだ。働き方改革のために診療報酬を緩和するのは違うということだ。

■松本吉郎氏:医師の働き方改革の根底にあるのは、地域医療を壊さないようにということだ。そこには診療報酬が関係してくるのはご理解いただきたい。



  1. 2017/11/12(日) 11:38:19|
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11月6日 

http://www.asahi.com/articles/ASKC15CJFKC1ULBJ00T.html
医学部に「地元枠」、制度強化案 地方の医師不足改善へ
野中良祐
2017年11月4日00時24分 朝日新聞

 医師が都市部などに集中する医師偏在の問題について厚生労働省は、都道府県の権限を強めて改善を促す。医師不足の解消のため、大学医学部に「地元枠」を設けることを都道府県が地元の大学に要請できるよう医師法と医療法を改正する方針。改正案を来年の通常国会に提出することを目指す。

 「地元枠」は、医学部定員の一部を地元出身者に限定するもの。地元出身者は卒業後もその地域に残る割合が高い。2015、16年に臨床研修を終えた医師を対象にした厚労省の調査では、地元出身者がその都道府県に残る割合は78%。だが16年時点で、地元枠を設ける大学医学部は全体の6割弱だった。

 医学部に進む地元出身者を増やしたい一方、大学との連携が不十分な都道府県もあるため、厚労省は都道府県が大学に地元枠を設けるよう要請できることを医師法で定める方針。東北や四国地方など広域のブロックで医師を確保するため、隣県などの大学医学部に自県の地元枠を要請することも想定している。

 国が主導して定員を決めていた臨床研修の実施施設についても、都道府県が地域の実態に沿って決められるようにする。地元枠の学生が臨床研修先を選ぶ際、他の学生と分けて採用する仕組みも検討する。

 厚労省によると、医師数は人口10万人あたり307・9人(京都府)から152・8人(埼玉県)と2倍以上の差。都道府県内をわけた医療提供の地域単位「2次医療圏」でも最大で10倍以上の差がある。

 改善のため、厚労省は法改正で、目標や具体策を盛り込む「医師確保計画」の策定を都道府県に義務づける。計画の土台となる医師偏在のデータについては、これまで使われてきた人口10万人あたりの医師数だけでなく、高齢者の割合などをふまえた診療科のニーズ、医師の年齢分布などを踏まえた詳細なデータも示す。

 石川・能登半島で病院を経営する神野正博・全日本病院協会副会長は「都道府県の調整力が高まることで偏在解消の一歩前進になる」と話している。

     ◇

 ほかの医師偏在対策として奨学金制度がある。都道府県が医学部の学生に授業料などを貸し、その地域の医療機関に一定の期間、勤めると奨学金を返済しなくてよいとするもの。全都道府県にあるが43は対象を地元出身者に限っていない。厚労省によると16年までに貸与したうち4分の1は地元出身者でなかった。

 返済の免除に必要な地元での勤務期間も4年から9年以上とばらつきがある。また、17都道府県は初期臨床研修の場所を地元に限定していなかった。現状の取り組みでは他の地域に流出する医師もいて十分でないため、厚労省は都道府県に通知を出した。貸与するのは地元出身者とし、勤務期間は、自治医科大と同じ卒業後9年間を基本とするよう求めている。さらなる医師定着の手立てとして、地元枠の強化を含む法改正に踏み切ることにした。(野中良祐)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51491?page=2&utm_source=nifty&utm_medium=feed&utm_campaign=link&utm_content=next
厚労省の医学部地元優先政策に異議あり 高校野球と高等中学校の歴史が証明する教育のあり方
2017年11月01日 07時00分 日本ビジネスプレス  JBPress

 我が国の医師不足は深刻だ。さらに、西高東低の形で偏在している。

 厚生労働省は来年の通常国会で医療法を改正し、この問題に対応しようとしている。

 10月30日の読売新聞によれば、厚労省は都道府県の権限を強化し、医学部入学定員に地元出身者枠を設けるよう大学に要請できるようにすると同時に、地域の研修病院の定員を都道府県が決定できる権限を与えるらしい。
懸念される学生の学力低下

 私は、このやり方に反対だ。短期的に医師の偏在を改善するかもしれないが、長期的には弊害が大きい。

 医学部を志望する高校生は多いのに、定員を増やすことなく、大学の入学者を地元優先にすれば、実力のない学生が入学してくる。

 また、卒業後は地元の医師不足地域に派遣される。若者は異郷を経験して成長するのは、古今東西共通だ。地元で生まれ、地元の大学を卒業し、地元に縛りつけられれば、成長のチャンスを失う。

 医師不足の日本で病院は医師確保を巡って、激しく競争している。

 経営経験のない退職した大学教授を院長に迎える病院が多いのは、医局から医師を派遣してほしいためだ。「病院経営は医師確保にかかっている」というのが、医療界の常識だ。

 実は、医師不足地域とは、医師獲得合戦で負けている地域なのだ。

 僻地でどうしようもないというところもあるが、多くは経営者に問題がある。地域枠の学生を、卒後、このような病院で勤務させつづければ、実力はつかない。長期的には、医療レベルは低下する。

 医療に限らず、外部と交流せず、内輪で凝り固まれば、地域は停滞する。交流が地域を活性化したケースと、その反対の事例をご紹介しよう。

 前者は高校野球だ。高校野球は、長らく西高東低だった。東北地方は弱く、いまだに春夏を通じて優勝経験はない。

東北地方が強くなった理由

 ところが、近年の東北勢の躍進は目覚ましい。過去10年間の全国高校野球選手権(夏の甲子園)で、毎年ベスト8に進んだ地域は関東地方と東北地方しかない。

 もちろん、東北地方が躍進した理由は関西、関東からの野球留学だ。ところが、近年の東北地方の高校野球の留学生への依存度は、着実に低下している。

 2013年の夏の甲子園は東北地方の高校が大活躍した。

 最終的に前橋育英高校(群馬県)が優勝したが、ベスト4には東北から花巻東(岩手県)と日大山形が入った。この大会でベンチ入りした18人のうち、県外出身者は花巻東が3人、日大山形は2人だった。

 さらに、この大会で2勝した弘前学院聖愛(青森県)は県内出身者だけで臨んだ。準々決勝で前年、前々年と甲子園で決勝戦まで進んだ八戸学院光星高校を破っての出場だった。東北地方の地力は高い。

 元高校球児で、1998年松坂大輔の横浜高校と夏の甲子園の決勝を戦った京都成章高校の主将を務めた澤井芳信氏(スポーツバックス社長)は次のように語る。

 「野球留学については賛否両論、いろいろな意見があるが、少なからず野球留学を受け入れることにより、結果を見れば分かるように東北地方のレベルが上がっている」

 その理由として、「環境はビハインドがあるが、野球留学で上手い選手が入ってくることにより、その上手さを肌で感じ、相手チームであろうが、自チームであろうが、勝つため、そして上手くなるために目標やこのままじゃダメだと気づくことにより様々な工夫が生まれる」と説明する。

 その通りだろう。交流は成長を促す。次に反対の事例をご紹介しよう。これも教育関係だ。

明暗分けた薩長の高等中学校

 明治時代、我が国には高等中学校という教育機関があった。

 高等中学校とは、聞き慣れない名前だが、明治19年の中学校令により、全国に7つ設置された高等教育機関だ。

 全国を5つの区域(当初、東京、大阪、仙台、金沢、熊本)に分けて、各地に帝国大学(のちの東京帝大)に続く、カレッジのような教育機関を設置した。

 高等中学校は、本科と専門科に分かれていた。本科は、帝国大学に進学するための予備教育を目的とし、専門科は医学、法学、工学などの専門科目を教えた。

 実は、この5つの高等中学校以外に、特別に2つの高等中学校が設けられた。それが山口高等中学校と鹿児島高等中学校だ。

 いずれも旧藩主である毛利家、島津家をはじめとする地元の有力者が設立資金を負担することで、特例として設立が認められた。薩長の地元だけ、特別に官立の高等教育機関が設立されたことになる。

 山口高等中学校の場合、他の高等中学校と異なり、防長教育会という地元の団体が実質的な運営権を持っていて、学生は、ほぼ全員が地元出身者だった。

 山口高等中学校の目的は、地元の子弟を帝国大学に進学させることだが、地元の子弟の優先入学が行き過ぎたのだろうか、その後、学校のレベルが低下した。

 山口高等中学校は、財政難もあり、1902年(明治35年)に、官立の山口高等商業学校に吸収される。山口帝国大学には発展しなかった。
大人の思惑など入れるべきではない

 一方、鹿児島高等中学校は山口県のような対応はしなかった。その後、第七高等学校へと発展する。対照的な展開だ。

 このあたり、秦郁彦氏の『旧制高校物語』(文春新書)に詳しく紹介されている。ご興味のある方はお読みいただきたい。

 冒頭にご紹介した厚労省の医療法改正を解釈するにあたり、東北地方の高校野球の躍進と山口高等中学校の顛末は示唆に富む。

 私は、学校の入学資格は教育を最優先すべきで、医師偏在など「大人の思惑」は入れるべきではないと考えている。

 若者は部外者と交流し成長する。内輪で凝り固まるべきでない。医師不足対策には、長期的な視野に立った議論を求めたい。



http://www.sankeibiz.jp/econome/news/171031/ecd1710310620001-n1.htm
医師不足地域の新たな試み、若手医師を地方に ベテラン開業医が技伝授「親父の背中プログラム」
2017.10.31 06:20 SankeiBIZ

 医師不足に悩む地方の医師会が、独自の研修を目玉に若手を呼び込む試みを始める。地元の病院で働く傍らベテラン開業医からノウハウを学んでもらう。名付けて「親父(おやじ)の背中プログラム」。大病院での研修では難しい家庭医としての技術向上の機会を提供し、現状打破をねらう。同様の問題を抱える地域のモデルケースとなるか注目が集まる。

 「認知症の人はギプスの端がめくれていると引っ張ってしまうのでしっかり固めて」。9月下旬、島根県益田市医師会で開かれたワークショップ。整形外科が専門の井上貴雄医師(55)がギプスの巻き方や豚足を使った縫合実習、開業医が扱う特徴的な症例を若手16人に講義した。来春からの研修趣旨や地域の事情を知ってもらう事前企画で過疎地に赴く医師の研修を企画する千葉県の会社「ゲネプロ」が後方支援する。

 平成16年度から始まった制度で、新人医師は研修先を自由に選べるようになり都市部に人気が集中。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になり、地方の医療危機が加速した。益田市でも、益田赤十字病院と並んで6万人の医療圏を支える益田地域医療センター医師会病院で19人いた常勤医師が11人に激減した。

 医師会病院の狩野稔久(かりのみねひさ)院長(63)らがゲネプロの斎藤学医師(43)に相談し、地元開業医の授業を目玉に若手を呼び込む計画を提案された。「単に来て、では医師は来ない」と斎藤さん。「地域医療への思いが熱く経験豊富な医師会メンバーに会って研修モデルが浮かんだ」とし、講師に名乗りを上げたのが男性ばかりだったので「親父の背中」を思いついた。

 若手を対象に期間は2年程度を予定。医師会病院の総合内科で診療を担ってもらい、残りは開業医が整形外科、皮膚科など各専門の経験や知識を伝授する。給与や費用は医師会負担だ。

 専門にこだわらず幅広い視野で診断する「総合診療医」の専門制度が来年度から始まるのを前に若手側にも需要があり、ワークショップ参加者からは「地域医療が危機に直面している状況がよく分かった。先生方の熱意に刺激された」「過疎で高齢患者が多いなど地域のニーズに合わせて専門以外も柔軟に対応するレベルの高さに驚いた」と好意的反応も出ている。

 耳鼻科講師を務めた市医師会の神崎裕士会長(67)は「ここで経験を積んで僻地(へきち)などに行ってもらってもいい」と話している。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1030511378/
医師確保、都道府県の権限強化へ...医学部に「地元枠」
(2017年10月30日 読売新聞)

 地方の医師不足解消に向け、厚生労働省は、都道府県が医師確保のため行使できる権限を強化する方針を固めた。

 地域の事情に通じた都道府県が主導し、卒業後に地元で働く医師を増やす方策を医学部に求めたり、地域の研修病院の定員を決めたりできることを法律に明記する予定だ。来年の通常国会へ医師法と医療法の改正案提出を目指す。

 厚労省によると、医療機関などで働く医師数(2014年)は、人口10万人あたりで最も多い京都府の308人に対し、最も少ない埼玉県は153人と約2倍の差がある。

 厚労省は地元出身の医師ほど地域に定着しやすいことに注目。医学部入学定員に「地元出身者枠」を設けるよう、都道府県が大学に要請できることを医師法に定める方向だ。

 現在は国が決めている研修病院の定員についても、法に基づく調整権限を都道府県に与える。地元での研修を希望する研修医が、定員超過が理由で他県に流出するのを避けるためだ。

 さらに厚労省は、各地域での医師の過不足の実態をつかむため、医療法を改正し、高齢者らの割合を考慮した医療需要や地域の特性などに基づく指標を導入する予定だ。この指標などを基に都道府県に「医師確保計画」の作成を義務づけ、3年ごとに進行状況のチェックを求める。



http://www.huffingtonpost.jp/michiko-sakane/doctor-control_a_23260137/
BLOG
厚労省による医師管理の厳格化は正しい道か ~これは研修医奴隷制度ではないのか
医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。

2017年10月30日 12時09分 JST | 更新 2017年10月30日 12時27分 JST ハフィントンポスト

坂根みち子
医療法人 櫻坂 坂根Mクリニック 院長

恒例の医師の臨床研修マッチングの時期になった。これは、医学部卒業後2年間の初期研修先を決めるものである。

医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。医師は余るといわれ続け多くの医師が永年にわたり滅私奉公で無報酬残業を続けた結果、現在の医師数は交代制勤務など夢のまた夢の状態で、研修医も奪い合いが続く。

地方の医師不足を補うために、各自治体は、地域枠を設けて奨学金を出し、医学生を入学させている。卒後決められた年限、その地域で指定の医療機関で働けば、奨学金の返済は免除されるというものである。医学部バブルの現在、地域医療に捧げたいとその制度を利用して入学するというよりは、少しでも入り易い方法として選んでいるというのが実態ではないだろうか。詳細を知らずに入った学生は場合によってはとても苦労する事になる。

まず、卒後のお礼奉公の年限が、借りた期間の1.5倍から2倍に設定されている事が多い。つまり、卒後9年から12年程は働く場所や地域が決まっている。最初の2年間の初期研修はカウントされない自治体もある。医師として使えるようになってから戻って来なさいということであろう。

奨学金を返還して自由の身になろうとすると、一括返還を求められる。例えば北海道の場合、奨学金合計は1200万円以上になるが、これを一括で返還しなければならず、遅れた場合には、年10−15%もの延滞利息がつく。

このように、もともと結構な制限がかかっている制度である。

ところが、これに加えて、本年7月30日厚労省から以下のような通知が出された(1)。

1  臨床研修病院は、医師臨床研修マッチングの希望順位登録前に研修希望者の臨床研 修期間中の地域医療への従事要件等(以下「従事要件等」という。)を必ず確認すること。
2  従事要件等が課されている研修希望者は、選考過程において臨床研修病院にその旨を申し出るものであること。
3  臨床研修病院は、研修希望者に従事要件等が課されている場合、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認した上で医師臨床研修マッチングの希望順位登録を行うこと。 な
お、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希望順位登録を行わないこと。 4 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者の氏名、大学名及び従事要件等を記載したリストを作成し、厚生労働省を経由して、臨床研修病院に情報提供すること。

つまり、研修のマッチングの過程において、地域枠の学生名簿を作成し、それを配布して地域枠の対象者から地域枠外の医療機関への申請があっても認めないように厳重な管理を始めたのである。来年からは、いかなる事情があろうとも、たとえ上記のように奨学金を返還しようとも他の地域で働きたいという研修医を一切認めなくなったという事である。

さらに締め付けは続く。

地域枠の対象者を研修医として選んだ地域指定枠以外の病院には補助金削減と言う罰を与える事にしたのである。

9月27日のCB newsより抜粋する

厚生労働省は27日、臨床研修病院が従事要件に"違反"する研修医を採用しているケースについて、該当する病院の臨床研修費補助金を減額する案を医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に示し、大筋で了承された(2)。

ここまでの強制は法的に許されているものであろうか?年10−15%にもなる延滞利息付きの一括返還、地域枠対象者の名簿の作成とマッチング医療機関への配布、有無を言わせぬ選考前選別、指定外での地域枠対象者採用病院への補助金の削減。

驚くべきなりふり構わぬ締め付けである。たとえば、茨城県の場合は、年10%の利息を入学時にさかのぼって付加しての一括返還を課しており、これなど明らかに違法であろう。

これが、これから医師として人生を輝かせていこうとする者たちへの扱いとして適しているものなのだろうか。まるで奴隷制度のようである。ここには、次世代の若者をエンカレッジして育てようという意識がまるでない。

例えば、結婚等で指定地域を離れたい時、働きながら出産や子育てをするために親の近くへ行かざる得ない時、もしくは親の介護が発生した時、どうしても研修を受けたい場所が出来た時等々。医学部を卒業し人生が大きく動く時に、18歳の頃の決定に少しの変更も許さないシステムというのはいかがなものだろうか。

厚労省がやるべきことは、医師の強制配置ではなく、永きにわたり放置されてきた過労死レベルの勤務環境を改善させ、指導医にゆとりを持たせ、研修医の指導にかける時間を捻出させる事ではないのか。医師も人間である。当たり前に結婚し、子供を持ち、家族との時間を大切にする。厚労省は、その当たり前な人生が大きく損なわれている現状を少しでも改善するようサポートすべきではないのか。

そして、残念な事に、この医師強制配置、厳重管理体制は、初期研修に続く専門医制度でも踏襲されていくのである。

参考

(1)臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について 厚生労働省医政局医事課長 H29年7月31日
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(2)臨床研修医採用、従事要件"違反"は補助金減額
厚労省案、医師臨床研修部会が大筋了承
CB news 2017年09月27日 https://www.cbnews.jp/news/entry/20170927192055
地域枠募集についての各自治体のHP
北海道
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/syugakusikin.htm
青森県
https://inomori-aomori.info/highschool/p03
宮城県
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/641355.pdf
茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/jinzai/ishikakuho/isei/ishikakuho/hstsudent/11081601/documents/30kennai.pdf
埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0709/ishiikusei-shougakukin/index.html
(2017年10月24日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/564239/
専門医取得の義務化、「崩れてしまった」- 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.2
専攻医の3割程度は総合診療専門研修に

2017年11月4日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新専門医制度は2017年度開始の予定が、医師の地域偏在、地域医療への影響を懸念する声が上がり、1年延期となりました。「専門医の在り方に関する検討会」の報告書では、この点への言及はあるものの、あまり懸念されていなかったように思います。

 そうですね。地域医療などへの影響を懸念する声がこれほど出るとは、当時は想定していなかったと思います。それよりも、より良い専門医を育てたいという思いが第一でした。
「将来的には、専門医資格取得の義務化が必要。標榜科目は資格取得の領域に限定し、自由標榜制を見直すべき」と語る、高久史麿氏。

――新専門医制度の基本的な考え方を、実際の制度に落とし込んでいく段階で、問題が生じてきたということでしょうか。

 研修プログラム制になり、経験症例数などの要件を設定した結果、大学病院中心の制度になったのではないでしょうか。大学病院が基幹病院になれば、連携病院にどの程度、専攻医が行くようになるか、この辺りは実際にスタートしてみないと分からないですね。

――懸念を払拭し、2018年度開始に向けた議論の過程で、検討会報告書の提言から幾つかの変更がありました。

 検討会報告書では、「専門医の定義や位置付けに鑑み、医師は基本領域のいずれかの専門医資格を取得することを基本とすることが適当である」としていましたが、厚労省がこの4月に設置した検討会で「専門医資格の取得は義務化しないことを明記する」との意見が出ました(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。私は将来的には専門医資格の取得を義務化すべきだと思っています。米国はレジデンシーの研修を終えないと、“看板”(標榜)は出せません。このレジデンシーに相当するのが、日本の3年間の専門研修です。

 また研修プログラム制が原則でしたが、研修カリキュラム制も認められるようになるなど、変更点は幾つかあります。要は「不完全な形でもいいからスタートする」と判断したのでしょう。

 過渡期なので仕方がない面もありますが、一番問題だと思っているのは、総合診療専門医の位置付けです。例えば、イギリスは、GP(General Practitioner)と臓器別専門医をほぼ半々ずつ養成しています。日本でも地域包括ケアに本格的に取り組んでいくのであれば、専門医の半分くらいは総合診療専門医にしていく必要があるのではないでしょうか。

――日本医師会は、「総合診療専門医は、あくまで学問体系の裏付けとしての専門医」であり、臨床の担い手としてのかかりつけ医と総合診療専門医は切り離して考えるべきとしています(『かかりつけ医と総合診療専門医は別物』、『かかりつけ医「総合診療専門医も日医の研修を」』などを参照)。

 総合診療専門医は、臨床の担い手としての呼称です。「かかりつけ医」は、医師と患者さんとの個人的な関係を示す言葉であり、大学病院の専門外来に通院している患者さんにとっては、大学病院勤務医がかかりつけ医。イギリスほどではなくても、専攻医の3割程度は総合診療専門研修に入るようにすべきでしょう。開業されている「かかりつけ医」の医師も、希望があれば一定の研修を受けて総合診療専門医になれるようにすればいいでしょう。

――2016年7月の日本専門医機構の執行部交代を境に、同機構と各基本領域学会との関係も変わりました。

 また元に戻り、学会中心の制度になっています。

 確かに日本専門医機構が、各基本領域の専門研修プログラムを作ることは難しい。だから各学会が作成、それを認定する仕組みになったわけですが、今の機構の権限は限られています。例えば、「県立医大だけが基幹病院で、県内の他の病院を全て連携病院にするのはおかしい」「連携病院で、何カ月間か必ず研修すべき」といったくらいの指摘は、して良いと思います。本来なら、さらに踏み込んで専門研修プログラムの内容まで判定できるようにすべきでしょう。
――先生方が「専門医の在り方に関する検討会」で議論していた際は、米国のACGME (Accreditation Council for Graduate Medical Education) のような大規模の組織を念頭に置いていたのでしょうか。

 本当のところはそうです。

――でも実際問題として、日本では医師が充足しておらず、専門医制度を運営する医師を配置することは難しいと思うのですが。

 そこまではできなかった。国からの補助もなく、財源も乏しいからです。

――「専門医の在り方に関する検討会」の議論を始める際は、医療事故調査制度と同様に、国が第三者機関を指定し、専門医制度を運営する仕組みを想定されていたのでしょうか。

 いえ、当初から、プロフェッショナルオートノミーの仕組みを想定していたと思います。ただ、プロフェッショナルオートノミーでやれればいいけれど、新専門医制度については容易ではないですね。

 日本専門医機構は、例えば専門研修プログラムの内容や専攻医の研修においてクレームが生じた際の“メディエーター役”は果たせるでしょう。でもそれだけでは、以前の日本専門医制評価・認定機構などの時代とあまり変わらないのでは、と思います。

――ではこれだけ議論をし、準備を重ね、2018年度から新専門医制度がスタートした場合、専門医の質はどう変わっていくのでしょうか。

 先ほども言いましたが、本来なら臨床をやる以上、専門医資格を取得しなければならない仕組みにする必要があります。そして将来的には専門医制度と連動させ、自由標榜制を変える。これは第一に患者さんのためです。

――しかし、全員が取得するわけではなく、「全員取得」という最初の段階から変わってしまった。

 したがって、以前とあまり変わらないのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564238
新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.1
「なぜ19が基本領域か、検討すべきだった」

スペシャル企画 2017年11月1日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com医療維新が2007年11月にスタートして10年。この間、医療界では実にさまざまな動きがあったが、その中からトピックスを厳選して、当事者に当時の思いと医療界の今について語っていただくスペシャル企画を、10周年記念としてお届けする。

 最初にご登場いただくのは、今年6月まで日本医学会会長を務めた高久史麿氏。新専門医制度が発足するきっかけとなったのが、2013年4月に公表された厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書。同検討会の座長を務めたのが高久氏だ。
 座長としてどんな問題意識を持ち、議論を進めたのか、検討会報告書の骨子は何か。地域医療への影響が懸念され、新専門医制度の骨格は、検討会報告書から幾つかの点が変更されたが、どう受け止めているのか……。今は地域医療振興協会会長を務める高久氏にお聞きした(全3回の連載)。

新専門医制度では、19番目の基本領域として総合診療専門医が追加されたが、そもそも既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はなかったという。

――先生は、新専門医制度が発足するきっかけとなった、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務められました。2011年10月の議論開始当初、どんな問題意識を持っていたのでしょうか。

 専門医制度を持つ学会が増えたのは、2002年に厚生労働省が外形基準を作り、広告可能な専門医資格を決めてからです。その前後からさまざまな専門医制度が誕生し、標準化が必要となりました。1981年に学会認定医制協議会が発足していましたが、2001年に専門医認定制協議会に改称、その後、2002年に日本専門医認定制機構、2008年には日本専門医制評価・認定機構となり、2014年5月に日本専門医機構が設立され、今に至っています。

 私が以前、ある講演会で「まず近くの開業医を受診して、専門的な治療などが必要になった場合には専門医を受診する仕組みがいい」と話した時に、「そもそもどこにどんな開業医がいるのか、何を専門としているのか、どれだけの実力なのかが分からない」との指摘を受けたことがあります。確かに、内科、皮膚科などと複数の診療科を標榜して、何が専門かが分からない開業医の方も見受けられます。自由標榜制の問題は、以前から感じていました。

 厚労省の検討会は、2013年4月に報告書をまとめましたが、その特徴は三つです。第一に、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義したこと。専門医は、決してスーパードクターを指すのではありません。

 第二は、学会が認定する専門医ではなく、中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と研修プログラムの評価・認定を統一的に行うこととし、専門医等に関するデータベースを構築すること。

 そして第三は、総合診療専門医を基本領域の専門医の一つとして加えることです。

――総合診療専門医を基本領域として追加する際、そもそも基本領域とは何か、既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はありませんでした。

 個人的な考えを言えば、基本領域に病理や臨床検査などが入っているのは問題だと思っています。今回の専門医制度は患者さんの受診に役立つことを基本として考えられたものであり、病理や臨床検査は、患者さんが直接受診する診療科ではないからです。

――18の基本領域は既定路線で、根本から議論する予定はなかったのでしょうか。

 それはありませんでした。後から考えると、「議論しておけばよかった」と思っています。ただ、病理や臨床検査の先生方は、これらは病院に必要な部門であり、「病院の権威が高まる」という理由から、標榜したいという希望が強いようです。

――その一方で、最初は総合医、家庭医などさまざまな呼称が使われていましたが、総合診療専門医は初めから加える方針だったのでしょうか。

 私は初めから加えるつもりでした。高齢社会に向けて地域包括ケアの構築が始まりつつありましたが、その中心となるのは総合診療専門医であると考えていたからです。もっとも実は、総合診療専門医の呼称は、私は「総合医」の方がいいと思っていました。診療に限らず、地域の予防活動や健康教育など、さまざまな役割が期待されるからです。その実践には社会学的な知識も必要。けれども、さまざまな議論を経て、総合診療専門医に落ち着きました。

――「専門医制度が乱立している」「何を専門とする医師かが分かりにくい」など、患者さんに分かりにくいとされていたのは、基本領域以上に、サブスペシャルティ領域かと思いますが、その議論はあまりされませんでした。

 基本領域の専門医をまず取得し、次にサブスペシャルティ専門医を取得するという、二階建ての制度にすることは決めましたが、それ以上の議論はあまりやりませんでした。

 そのほかできなかったのは、「専門医を取得しないと、看板を出せない」、つまり自由標榜制の見直しについての議論です。

――自由標榜制の見直しが必要だとお考えですか。

 当然のことです。先ほども言いましたが、内科、あるいは外科でも、きちんとトレーニングを受けた医師のみが標榜できるようにすべきです。しかし検討会では、「自由標榜制」について議論されることはありませんでした。



https://news.biglobe.ne.jp/economy/1103/zks_171103_6346732270.html
総合診療医制度の枠組みと課題
11月3日(金)20時41分 財経新聞

 来年度から、専門分野に拘らず幅広い視野で患者を診断する「総合診療医」制度がスタートする。医師不足に悩む地方への対応策である。具体的には若手医師を対象に2年程度の時間をかけ医師会病院の総合内科で診療を担当してもらいつつ、内科以外の例えば「整形外科」「皮膚科」などについてはそれぞれの開業医が経験に基づいた専門知識を伝授するという枠組み。給与や専門技術の伝授費用は、医師不足に悩む地方・地域の医師会が負担する。2年余り後、件の若手医師はいわば「よろず診療所」を医師会の援助を得て開設。医師会と連携を取りながら「医師不足」解消の入り口を担うことになる。

 既に先行して「総合医療医」制度の趣旨を実行に移している地方の医師会もある。例えば、島根県益田市医師会。10余年前から「新人医師は研修先を自由に選べるようになった結果、都市部に人気が集中した。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になった。このままでは地方の医療危機が加速する」という当時の医師会病院長が音頭をとり、実行に踏み切った。

 単に若手医師に「来て」と呼び掛けただけでは、困難。若手医師に「存在感」を実感してもらう必要がある。浮上したのが「よろず診療所長」。やはり「地域医療の脆弱化」に危機感を抱いていた開業医が「講師」として手を挙げた。手を挙げたのが全員男性だったことから「親父(おやじ)の背中プログラム」と名付けられた。

 こうした流れが加速していかないことには、総合診療医制度も機能しない。第2・第3の島根県益田市医師会が相次ぐことを期待したい。

 そうでなくては拡大が期待されている「日本版CCRC」の動向にも、大きく影響してくる。CCRCとは「リタイア後の高齢者が地方に移住し、介護・医療状態が整備した中で安心した老後を送る」という、米国産の概念。日本版CCRC創りの構想が「人口減少」に悩む地方自治体で盛り上がりを見せている。現に移住者用の施設が着工された例もある。人口減⇔若手医師の都会集中への対応策が進められなくては、日本版CCRC構想も「画餅」に終わってしまう。

G3註: CCRC - Continuing Care Retirement Community



https://www.m3.com/news/iryoishin/566866
臨床研修、4科目必修化を決議、「廃止すべき」という意見も
レポート 2017年11月3日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」が11月2日に発足、設立総会を開いた。臨床研修制度における外科、小児科、産婦人科、精神科の4科の必修化などを求める「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)を大筋合意、議連会長の河村建夫衆院議員に最終的な取りまとめを一任した。11月15日に開催予定の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で、臨床研修カリキュラムの見直しについて議論する予定であることから、11月第2週にも加藤勝信厚労相に提出する。

 設立総会では、参加議員らによる積極的な意見交換が行われ、臨床研修制度の廃止や大学の医師派遣機能強化を求める声も多かった。

 議連は2017年春から議論を重ねてきた「医師偏在是正に関する研究会」と若手議員中心の「医師偏在と良質な地域医療を考える勉強会」が合流する形で設立、70人程度の自民党議員が入会した。議連会長には河村氏、幹事長には羽生田俊参院議員、事務局長には自見英子参院議員がそれぞれ就任した。現在、厚労省で議論が進む医師偏在対策や臨床研修制度の見直しに対応するため、当初は9月中に設立する予定だったが、衆院解散を受けて延期された。

 設立趣意書に記された「実現を目指し、活動していく予定」の事項は、下記の5項目。

(1)卒前の臨床研修において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について再検討を行い、診療参加型実習を強化する。

(2)現在全大学で実施されているにも関わらず公的な枠組みのない医学部4年終了時の共用試験の位置づけを見直すと共に、その試験内容と連動して医師国家試験の抜本的な見直しを行うなど医学部教育と臨床研修をシームレスにつなぐ医師養成となるよう充実を図る。

(3)卒後の初期臨床研修において、総合的な診療能力の獲得と地域医療に必要不可欠な外科、小児科、産婦人科、精神科等の必修化を検討するとともに、地域医療研修の充実を図る。

(4)卒後2年目終了時点で、一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討する。

(5)医師偏在に関しては、様々な対策が講じられてきたものの抜本的な解決が図られてこなかったことから、初期研修のマッチング、大学の医局、医師会、地域医療との関連性を踏まえ、新たな仕組みの構築を目指す。

 事務局長を務める自見氏は、2004年3月卒業で、2004年度からスタートした臨床研修制度の1期生でもある。卒前・卒後のシームレスな医師養成の必要性を指摘、「本来ならば、導入前にきちんと議論すべきことだった。体験者として憤りを感じている」と説明する。

臨床研修、「やめてしまえばいい」も

 設立総会には代理参加の秘書らも含め約120人が参加。厚労省医政局長の武田俊彦氏、全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)、日本外科学会理事の大木隆生氏、日本産婦人科学会理事長の藤井知行氏、日本精神科病院協会副会長の森隆夫氏、日本小児科学会副会長の宮田章子氏が医師養成の現状について説明した。

 4科の代表者は、2010年度から臨床研修の必修科目から外れたことで志望者が減少したことや「研修のクオリティを保つためにも必修化を望む」(大木氏)、「女性は男性と根本的に違う。産婦人科を回ることで女性の健康をトータルにサポートできる」(藤井氏)、「統合失調症の患者とコミュニケーションを取る訓練を重ねることで、コミュニケーション能力を高められる」(森氏)、「小児は成人のミニチュアではない。ジェネラリストになるにしても小児科が必要」(宮田氏)などとして、ジェネラルな医師を養成する過程においても、必修化は必要と訴えた。

 質疑応答では、医師でもある古川俊治参院議員は、「医療崩壊が言われ出したのは2006年頃から。卒前教育改革には全く同意するが、初期臨床研修はやめてしまえばいい。いくら県知事が言っても、医師は従わない。大学にホームがあるからこそ、医師を派遣できる。臨床研修はなくてもいいのでは、というところから議論するべき」と主張。同じく医師でもある三ッ林裕巳衆院議員も「初期研修を終えて、大学に残るのが3割程度しかなく、大学の医師の派遣機能が失われている。地域医療支援センターを進めようとしているが、大学に医師をしっかり入れることが一番の根本」と述べた。

 新井氏は「『初期研修をなくせ』という意見には共感するところもある。ただ法律で決められているので、どう変えていただけるのか。私たちができるのは、内容をゼロベースで見直すこと」と回答。大木氏は「地域に必要なのは、物見遊山的に1カ月、2カ月来るスチューデントドクターに毛の生えた医師ではない。30代、40代、50代の医師をどうやって派遣するか。そもそも地元の人が住みたくない町に自発的に医師が行くわけがない。もし魅力ある町だったら、そこで生まれた人が定住するはず。そこを維持するのであれば、大学の人材派遣機能を強化し、片道切符ではなく、戻ってきたら“1階級特進”という形で行うしかない。2年、3年のタームで医師を回すことにより地域医療の形を作ることになる。人材を派遣できてきたのは医師会でも県でもなく、大学だった」と力説した。

 藤井氏は若手医師の意識が変わってきているとして、「『どこかに行ってくれないか』とお願いしても『嫌だ』となる。それを強制するとパワハラになるので、引っ込めざるを得ない。そういう意味では、新た専門研修制度で、地方で一定期間研修をしなくては専門医になれないとなり、地方に行ってほしいと言いやすくなったと思っている。多少の強制力は必要だと思う」と説明した。

 医師で、10月の衆院総選挙を機に政界引退となった赤枝恒雄氏は議連顧問に就任した。赤枝氏は「1968年に東京医大を出たが、教授に行けと言われて、北海道、新潟、長野に行った。当時は文句を言う人は誰もいなかった。そういう時代があって、各県一医科大学になって『やった。これで地元大学が派遣するはず』と思ったが、こういう状況である。実効性のある意見を期待している」と締めくくった。
決議文「外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を」

大筋で合意した「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)の概要は以下の通り。

一、 卒前の臨床実習において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について長年見直しがされていないことから、速やかに再検討を行い、診療参加型実習を強化すること

一、 2014年度の臨床研修制度開始後に導入された医学部の共用試験(CBT等)に関して、公的な枠組みのないことから、その位置づけを見直すと共に、その試験内容を連動して国家試験の抜本的な見直しを行うこと

一、 卒後の臨床研修において、外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を行うこと

一、 医学部教育と臨床研修をシームレスに結んだ医師養成となるよう充実を徹底してはかる。また、地域医療に実践的に貢献できるよう外来での臨床技術や医師としての確かな倫理を基本とした心得の習得も同時に磨き、卒後2年目終了時点で、プロフェッショナルオートノミーのもと一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討を行うこと

一、 上記を踏まえた上で、地域医療における医師確保については、日本の医学教育体制の文化と地域特性に即した実効性の仕組みを構築することについて、必要な法制上の措置も含めて早急に検討・措置すること



https://www.m3.com/news/iryoishin/566316
病院経営は「増収減益、依然厳しい」
日病、診療報酬等の調査中間集計

レポート 2017年11月1日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会は10月31日、2017年度の「診療報酬等に関する定期調査―中間集計結果(概要)」を発表した。2017年と2016年の6月で経常利益を比較すると赤字の病院が61.4%から54.9%に、医業利益の比較でも赤字の病院が68.2%から62.8%へと減少する一方、給与費の増加を主な要因として、収益の増加幅を費用の増加幅が上回っており、「増収減益で、病院経営は依然として厳しい状況が続いている」という結果だった。

 調査は2017年7月31日~9月22日に会員病院に対して電子メールやファクスで調査票を配布し、回収。2437病院に配布し、9月27日現在の回答数は885病院(36.3%)、有効回答数は657病院。

 1病院当たりの平均損益を見ると、2016年6月と2017年6月の比較で医業収益は1078万1000円増、医業外収益は11万7000円減。医業費用は991万4000増、医業外費用は77万9000円増。収益の合計は1066万4000円増なのに対し、費用の合計は1069万3000円で、収入の増加よりも費用の増加が2万9000円上回っている。

 医業費用の増加額のうち、給与費が713万2000円を占める。医業収益増加の内訳では、入院診療収入が756万5000円、外来診療収入が296万8000円だった。

 経常利益はマイナス2635万7000円からマイナス2618万円になり、赤字幅が微減。医業利益も、マイナス4568万円からマイナス4482万1000円に赤字幅が縮小した。

 診療報酬改定への対応では、一般病棟・特定機能病院一般病棟・専門病院における7対1入院基本料の算定割合は、回答した606病院のうち67.0%。病床規模別では20~99床が13.3%、500床以上で95.1%、病床規模に比例して算定病院の割合が高かった。

 全病院中、算定要件を満たしているかどうかを全ての項目について回答した199病院のうち、要件を満たしているのは90.5%の180病院。日病によると、満たしていない病院では、満たさない要件は「重症度、医療・看護重要度」が最も多かった。

 今後の7対1入院基本料の届け出については、「全ての病床で継続する」が59.4%、続いて「未定」が8.1%だった。

 10月28日に開催された常任理事会については、相澤孝夫会長が出張のため、万代恭嗣会長代行副会長が説明。10月11、25日の厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」に出席した構成員の報告を基に議論を行い、万代氏は「結論としては、病院の医師だけに注目していいのか。診療所の医師も含め、医師全体の分布、キャリアアップなど、全体像を見た上で地域偏在に対応していく必要があるのではないかということになった」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566775
特定機能病院の病院長選考会議の在り方で議論
地域医療支援病院の在り方の検討始まる

レポート 2017年11月2日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)が11月2日に開かれ、病院長選考委員会の要件などを巡って議論が行われた。

 群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大学病院で重大な医療事故が相次いだことを受け、2017年6月に特定機能病院のガバナンス強化を盛り込んだ改正医療法が衆参両院で可決、成立した。一部を除き、公布から1年以内に施行するとしている。細部については省令や通知で定めるとしており、この日の検討会では厚労省事務局が提出した省令(案)について議論した。

 改正により、特定機能病院の管理者(病院長)の選任は「開設者と厚生労働省令で定める特別の関係がある者以外の者を構成員に含む管理者となる者を選考するための合議体を設置し、その審査の結果を踏まえて行わなければならない」として、病院長選考委員会の設置が義務付けられた。

 厚労省の省令案では、同省の「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」等で、病院長選考委員会の人数や「特別の関係者」の割合などについて議論がなかったとして、特段の記載がなかった。同じく6月の医療法改正で新たに設置が義務付けられた「医療安全に関する監査委員会」では、委員は3人以上とし、委員長および委員の半数を超える数は病院と利害関係のない者から選任することを省令で定めている。

 監査委員会との違いについて、事務局は「既に多くの大学で選考委員会が設置されており、各大学の考えを縛る必要はないのでは」などと説明したが、日本医師会副会長の中川俊男氏は「東京女子医大、群大の問題が見直しのきっかけ。今までとは 変えようということで始まった。現場の実勢だけではだめという判断ではないのか」と強く主張した。一方で、北里大学病院病院長の海野信也氏は「選考結果には法人が責任を持っており、人数は規定しない方がいい」と話した。次回に再度議論することとなった。

 「特別な関係がある者」について、省令案では「過去に雇用関係がない」「過去に一定額を超える寄付金・契約金等を当該開設者から受領していない」としている。複数の委員から、金銭授受関係について「受領だけでなく、寄付をしたことがある者も含めるべき」という指摘があり、省令案に盛り込まれることが決まった。

 管理者権限について、省令案では「管理者が病院の管理運営に係る権限及び病院の管理運営のために必要となる一定の人事・予算執行権限について明確化することを求める」としている。筑波大学附属病院病院長の松村明氏は「講座制では、教授に人事権がある。そこまでも変えるのか」と質問すると、事務局は「『明確化』することを求めている」と説明した。

 また、医療法改正に当たって参議院の付帯決議では「特定機能病院の承認後の更新制の是非について検討するとともに、広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」とされている。松村氏は「病院は機能評価疲れをしている。現場が疲れないようにしてほしい」と要望。次回以降に第三者による機能評価や、更新制を議論するかについて検討する。

地域医療支援病院の在り方の検討始まる

 1997年に制度化された地域医療支援病院に関する議論も始まった。地域医療支援病院の役割は(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)医療機器の共同利用の実施、(3)救急医療の提供、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――となっているが、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「4つを持つことの意義があるのか。別々にあってもいい。僻地への医師派遣なども検討すべきでは」と指摘した。

 現在、東京医科歯科大学教授の伏見清秀氏が代表を務める研究班の研究が進んでおり、次回以降で地域医療支援病院の在り方を議論していく。当面は特定機能病院の省令の議論を急ぐため、地域医療支援病院について、事務局は「時間をかけて議論していただきたい」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565708
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1
米国「すばらしい職業」「医師に対する尊敬は低下した」と評価二分

スペシャル企画 2017年11月4日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com編集部では今夏、M3USAの協力を得て、日本の医師1582人(m3.com会員)、米国の医師1150人(M3USA会員)、計2732人に対して調査を実施した。日米の医療事情や医師の働き方の相違は、これまで個人的な印象で語られることが多かったが、今後の建設的な議論に向けてリアルなデータを収集、提示することが目的だ。
 調査は、プロフィールを尋ねる質問も含め、計35問。勤務時間や現状の勤務環境の満足度、年収、論文執筆や留学経験、医師を目指したきっかけなど医師個人に関する質問から、医療制度や医療水準について「最も先進的だと思う国」、「自国の医師の社会的地位」など医療制度に関わる質問まで、多岐にわたる。
 日米の医師、医療事情を浮き彫りにした今回の調査結果を、日米両国の医師から寄せられた数多くのコメントとともに連載する。
(M3USAは、米国に本社を置く、エムスリー株式会社の連結子会社)。

 自らの職業を自身の子どもや友人に勧めたいと考えるかどうかは、今の仕事のやりがいや満足度、将来性などを測るバロメーターになる。医師にとっても例外ではないだろう。日米両国の医師に、まず両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方がいるかを尋ねたところ、日本の方がやや多く26.4%だったが、米国も20.0%で、大差はなかった。

Q1.両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方はいらっしゃいますか?
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 では日米の医師は、子どもや友人に医師という職業を勧めたいと考えているのだろうか。「強く勧めたい」「まあ勧めたい」の合計は、日本は42.4%と4割強にとどまったのに対し、米国は57.1%と6割近くに上った。一方で、「あまり勧めたくない」「全く勧めようと思わない」の合計は、日本は22.5%だったが、米国の方が多く26.5%。「どちらでもない」は、日本は35.1%で、米国の16.3%の2倍強。

 これらの結果の理由として、米国医師を取り巻く環境、それに伴う自身の仕事への満足度の二極化が想定されるほか、意思表示を明確にする姿勢などが挙げられるだろう。また、米国医師については、自由意見では勤務環境の厳しさ、今後の見通しの暗さなどを記載しながらも、「まあ勧めたい」との回答が多かったことも、日米の相違につながったと言える。

Q2.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?
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 自由意見を見ると、「勧めたい」あるいは「勧めたくない」理由は、日米医師の共通の意見が多く見られた。

 「勧めたい」との理由で多かったのは、仕事のやりがい。「医師は、社会貢献できるし、非常に魅力的な職業と思う」(日本:40-44歳男性、民間病院)、「今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)などが挙がった。

 そのほか、「いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので」(日本:60-64歳男性、開業医)、「医師には常に需要があり、時代遅れになることがない職業だ。就職先がなくなることはない」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、仕事の安定性を指摘する声も見られた。

 一方、「勧めたくない」と考える医師は、「勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため、命を削っているような気がする」(日本:35-39歳男性、公的病院)、「給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、勤務環境の厳しさや責任の重さ、それに見合った報酬が得られない現状などを理由として挙げた。

 「やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い」(日本:50-54歳女性、公立病院)など、医師患者関係の問題を指摘する声もあった。

 米国医師に特徴的だったのは、医療を提供する上での規制、医師からコメディカル等への業務移譲(タスク・シフティング)を挙げる意見が見られたことだ。下記がその代表的なものだ。

・「医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のために、規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている」(米国:30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)

・「オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した」(米国:50-54歳男性、Private, office based practice)。

【調査概要】

日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/iryoishin/565709
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「医師は非常に魅力的な職業」「永遠に挑戦的でやりがい」◆Vol.1-2
自由意見:医師という職業を【強く勧めたい】【まあ勧めたい】

スペシャル企画 2017年11月5日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)
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 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【強く勧めたい】【まあ勧めたい】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【強く勧めたい】
日本
30代
・手に職を付けられる。社会的信用が得られる。(30-34歳女性、大学病院)
40代
・医師は、社会貢献できますし、非常に魅力的な職業と思うからです。(40-44歳男性、民間病院)
・医療業務のみならず、研究・経営など活躍できる分野が多くあるから。(45-49歳男性、開業医)
・やはりやりがいのある仕事だと思います。(50-54歳男性、大学病院)
50代
・患者が喜ぶ姿を目の当たりにできる。(60-64歳男性、民間病院)
60代
・ストレスは多いが、病気を治した時、患者に喜んでもらえるという点。(60-64歳男性、民間病院)
・いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので。(60-64歳男性、開業医)
・高齢になっても、能力ある限り続けられる。社会貢献の意識が保てる。(65-69歳男性、診療所勤務医)

米国
30代
・研修は骨が折れるが、その後の生活の質は、個人の選択、実務領域、大学病院か個人開業かによって異なる。研修後にその人のライフスタイルに合った正しい選択をする限りは、医師になることは非常にやりがいがあるだろう。(30-34歳女性、Private, office based practice)
・頑張る意思があるなら、今でも最も満足できる職業の一つ。給与がいいだけでなく、非常に個人的に満足できる立派な仕事。医師には常に需要があり、「時代遅れ」になることがない職業だ。就職先がなくなることはない。(35-39歳女性、Community Hospital)
・今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある。働きたいと思うような時間、スケジュール、場所、施設について、道はさまざまであり、数多く、また、機会も多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
40代
・自分の仕事が好きだ。患者との関係を構築して大きな満足感がある。多額の給与を得ていて、すばらしいチームと仕事をしている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・オーバーワークで押しつぶされていると感じるときはあるが、それでも医師以外にやりたいと思う仕事はないと考えている。医師が患者の人生を向上させていることを知って、非常に満足しており、やりがいを感じている。(50-54歳男性、Private, office based practice)
60代
・患者のケアが好きであるという理由で選択をする必要がある。金儲けが動機の医師はもう必要ない。こうした医師は医師という職業をおとしめている。真っ当な理由で選択したら、医療は永遠に挑戦的でやりがいがある。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・この職業には、人々が健康目標を達成するのを助けるすばらしい機会がある。この職業は同胞の生活の質の向上に貢献している。この職業は、熱心なプロのスタッフと働く機会を与えてくれる。(60-64女性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることは大きな栄誉である。これよりも満足できる仕事を思い付かない。確かに、金銭的収入がはるかに多い仕事はあるが、それらは自分にとっては空虚に思われる。(65-69歳男性、Private, office based practice)

【まあ勧めたい】
日本
20代
・かつてのようなメリットはないとはいえ、一般社会からすると意義のある資格であり、仕事である。(25-29歳男性、民間病院)
30代
・人の生命を助けるやりがいのある仕事だから。(30-34歳男性、大学病院)
・収入が安定しており、職にあぶれることはなく、かつ自分のライフスタイルに合わせて、さまざまな働き方ができるから。(30-34歳女性、診療所勤務医)
・女性の場合は、国家資格なので、産休育休後の復帰や転職が他職種と比べるとしやすいと思う。(35-39歳女性、民間病院)
40代
・他業種の苦労を聞くと、医師だから苦労が多いわけでは無いと思い、そうであれば身分保障や収入面からいい選択肢だと感じている。(40-44歳男性、民間病院)
・経済力と勤務形態、内容を選ぶ裁量権が両立しやすく、社会的な信用が得られやすいから。社会貢献できているという満足度も高い。しかし、裁量権を獲得するまでに要する訓練期間は長いし、その間の経済的な問題は大きい。(45-49歳女性、診療所勤務医)
50代
・仕事内容は重いが、それ以上に充実感がある。指導・管理の立場で働くことができる。仕事・研究の範囲が非常に広く深い。他職種に比し報酬が高額。(50-54歳男性、民間病院)
・子どもが親を見て医師になりたいと考えているから、医師という仕事は魅力があるのだと思う。(55-59歳男性、大学病院)
・親の仕事(私自身の普段の行動を見て、私の長男は医学部を希望し、そして医師となり、親が開業している地域の大学附属病院で 勤務している。長男の仕事は激務であるが、使命を果たしていると感じる日々であるため。(55-59歳男性、開業医)
60代
・労働環境の問題はあるが、直接的にやりがいを自覚できるので頑張りが利く。(60-64歳男性、公立病院)

米国
30代前半
・医師になることに興味を示す家族・友人と長い時間議論したことがある。彼らに指摘した最も重要な点の一つは、この仕事が本当に好きでなければならないということだ。そうでなければ自分の仕事が嫌いになるだろう。医師は金のために選ぶ職業ではない。確かに、医師は快適な生活を送ることができるが、医師になれるほど頭が良ければ、その人には他のことをしてもっと大金を稼げる頭脳がある。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることに夢中な人に対しては、自分は心からサポートするだろう。だが誰かを医師になれと説得しようとは決してしないだろう。教育・研修中の時間の傾注と犠牲は大きく、この職業が本当に好きでなかったら、その価値がないかもしれない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・この仕事が本当に好きなら、犠牲を払う価値があるが、好きでないなら、自分が思うことと関係ない業務の全てが大きな負担となることが分かるだろう。そして、多大な時間とお金をかけた後で、この仕事に就く段階になって、この仕事が好きかどうかが分かるというのは、とてもつらい。(30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)
30代後半
・知的興味を駆り立てられ、誰かの人生を本当に改善できるので、やりがいのある職業。しかし、医学部、レジデント、フェローシップを通り抜けるのは、長く、消耗させ、ストレスが多く、お金がかかる道だ。規制の要求による書類仕事の増加、保険会社への対処、診療報酬の減少、誰かを傷付けたり、訴訟に発展したりする恐れのあるミスをする可能性のストレスもある。さらに、今後5年、10年、20年の間に医療がどうなるかが分からない。医療社会化制度に移行するのか。そのときに医師の時間や給与はどのようになるのか。この並々ならぬペースで仕事をして燃え尽きるのか。未来が不確実なことが、職業としての医師を勧めるかどうかが分からない理由だ。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・非常にやりがいのある職業。毎日人々を助け、生命を救うことも多い。絶えず勉強を要求される職業。毎日をおもしろくする課題が常にある。私にとってはすばらしい仕事だが、毎日の大変な努力、社会的交流または迅速な決断を好まない人のための職業ではない。十分な見返りはあるが、医師であることでだけ自動的に裕福になるわけではない。医師以外の人はこのことに気付いておらず、医学部のローンがあっても医者は裕福だという印象を持っている。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・一般の人が作り出した医療分野への不信感が大きくなって、適正な治療に対する障害が生じ、診療でのコミュニケーションはますます難しくなっている。さらに、法律により、NP(nurse practitioner)、PA(physician assistant)、その他多くの医療従事者の診療行為の範囲が拡大されたことが、医師という職業の完全性と医師の将来の暮らしを脅かしている。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・医学はやりがいがあることは分かっているが、混乱と患者の不満が大きすぎて、自分がそうであるべきと考えていたほど全体的にやりがいがあるわけではない。以前より、どちらかというと患者との戦いのように思われる。政治家・政府の規制当局とも同じ。(35-39歳男性、Private, office based practice)
・複数の選択肢(専門医か研究か)があり、人を助けることができるすばらしい職業。しかし、診療報酬が不十分で、規制が過剰で非効率的なため、医学のビジネス面によってその魅力が失われてしまった。(35-39歳、Academic / Teaching Hospital)
40代
・医師であることが好きだ。この仕事はおもしろくて意義があり、快適な生活を送れる十分なお金が得られる。もちろんもっと稼ぎたいけれど。しかし、使い物にならない電子カルテに記録し、保険会社と格闘するという管理上の負担は大きくなってきていて、診療報酬は減っていて、自分が医師になるために投資した金額を投資しなさいと、自分の子に勧めるのは心配だと思う。(40-44歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・金銭的な利益は、多くの医師にとって、現在、十分に大きいものでない。高等教育の修学年数と費用がはるかに少なくて報酬がはるかに多い、実業界の人を知っている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・医学部に入ってからの25年間に、医療の遂行が悪い方向に劇的に変化したのを見ているため。レジデントでの研修に必要な時間から、マネジド・ケアや連邦の規制による制限まで。患者ケアと学習の喜びは変わらないが、以前と比べてその部分は小さくなった。(50-54歳女性、other)
60代
・非常にやりがいのある分野。ただ、この30年間で医師に対する敬意が大きく低下した。この仕事や、必要かつ要求の多い書類仕事に費やした時間の量に対する報酬が少ない。患者はますます要求が多くなり、医師にかかる負担に敬意を払っているようには見えない。(60-64歳男性、Community Hospital)
70代
・生活を楽しむ時間が少なすぎる。自由時間をコントロールできない。家族と過ごす十分な時間がない。金銭的な報酬は昔と違う。最善を尽くせるが、何か起これば責任を取らされるのがオチだ。医療過誤訴訟と診療内容審査を排除すれば、医療行為は、個人の満足に関して過去のもの以上になるだろう。(70-74歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566069
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
自由意見:医師という職業を【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】

レポート 2017年11月6日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子供や友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【あまり勧めたくない】
日本
20代
・頭の固い人、プライドの高い人ばかりで世間から取り残されている職場だから。(25-29歳女性、大学病院)
30代
・本人の考え方にもよりますが、QOL(家族と過ごす時間等)を大事にするのであれば、あまりお勧めできないと思います。(30-34歳女性、大学病院)
・これから先、保険診療がもつとは思えず、そうなると医師という職業も安定性がなくなると思う。(30-34歳男性、民間病院)
・勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため命を削っているような気がする。(35-39歳男性、公的病院)
40代
・労働に見合う仕事ではないと思うから。名ばかりの管理職で時間外は付かず、しかし仕事は終わらず。全く業務をしない日は月に2、3日で、土日祝日も回診に来たり、重症患者がいたら近隣にしか出られず。(40-44歳男性、公立病院)
・将来的にはAIの進歩により、さらに働きにくくなることが想像されるため。(40-44歳男性、民間病院)
・今は給料における満足度と責任度合いはまあまあ合致しているが、これからの医師は薄給となり責任ばかり重くなるのは間違いないから。(45-49歳男性、民間病院)
50代
・実際は世間から憧れられるような仕事ではない。厳しさの方が勝る。訴訟とか苦情といつも隣り合わせで精神が持たない。やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い。(50-54歳女性、公立病院)
60代
・診療科によって差があるが、やりがいがある科ほど、診療行為が適切でも結果が悪い場合があり、それに対する説明を含めた対応に苦労する。したがって、そのような科に従事する医師数が減少する。(60-64歳男性、公立病院)
・最近、非常識なクレーマー患者が増えてきており、自分の子供に勧めたい仕事とは思えない。(60-64歳男性、民間病院)

米国
30代
・医学部は非常に長期間で、学生は多額の負債を抱えて卒業する。ローンを返済し、かつ生活のバランスを取るのに十分なお金を稼げる仕事を探すのは非常に難しい。自分が今働いているクリニックは内科診療所で、医学部の一部なのに、授乳や搾乳をサポートしていないので、産休から復帰するだけでも難しい。母親である医師をサポートできなければ、患者をどうサポートできるのか。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
・犠牲が多すぎる。見返りは全体として不満足。医師に対する敬意がない。プライマリケアの報酬がひどい。事務職と教育のない患者に要求されて医学的決定を下すために、自分の20代が犠牲となった。(35-39歳女性、Private, office based practice)
40代
・医師は、全体として、耐え抜かなければならない研修の量に対して、十分なお金を払われていないと思う。長年の通学と教育の費用は、振り返って見ればその価値があるように思えない。こうしたひどい高等教育プロセスを経ずに大金を稼げる活動分野が、他にある。(40-44歳男性、Private, office based practice)
・学習で失われる年数が長すぎる。現在、ミッドレベル(ナース・プラクティショナーなど)は教育期間が短く、同じくらいよい仕事ができるという考えから、ミッドレベルを雇うことがトレンドになっている。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・ライフ・ワーク・バランスがない。感情的に疲れる。みんな(患者、家族、保険、病院)からのプレッシャーが大きすぎる。全てのことを効率的にするためには、1日の時間が十分でない。文書作成に非常に長い時間を取られる。(45-49歳女性、Private, office based practice)
・医師は、医療制度と医療提供体制(管理者と保険会社がコントロールしているようだ)をほとんどコントロールできない。医師の給与の低下。責任の増加。医学部の学費の増加。医師に対する尊敬の低下。(45-49歳男性、Private, office based practice)
50代
・外科の下位専門領域、または処置に対する高額の支払い請求が可能な専門領域以外、つまり総合医学、小児科、家庭医の収入は少なく、仕事量は増えた。もっと高収入の、または仕事量をもっとコントロールできる職業を考えるよう勧める。(50-54歳男性、Academic / Teaching Hospital)

【全く勧めようと思わない】
日本
20代
・責任が重く、休日もあまり取れないから。(25-29歳女性、民間病院)
30代
・給料は良いが、その分、責任が重く、万が一、医療事故に巻き込まれた場合のリスクが高いから。(30-35歳男性、大学病院)
・医師を取り巻く環境は時代とともに厳しくなっている。労働量・責任はより重く、給与はより安くなることが見込まれるため。(35-39歳 男性、公的病院)
40代
・理想像を押し付けられ、立場は弱く、しんどい職業だから。(40-44歳女性、大学病院)
・20年後の医療は不透明。まずはやりたい職務に就くことが優先。(45-49歳男性、診療所勤務医)
50代
・10年後の医師の状況が今より良くなることはないから。(55-59歳男性、診療所勤務医)
60代
・才能のある人には他の職業を勧めたい。(60-64歳男性、公立病院)
・世間(マスコミ)の医師に対する目。隙さえあれば非難しようとしている。医者、医者、と呼び捨て。苦労多くて、報われていない。(65-69歳男性、民間病院)

米国
30代
・自分の仕事は好きだが、学生時代、10年前に想像していたものとは全く違う。自分はラッキーで、自分にとって物事はうまくいっているが、この分野に入ってくる多くの有望な医師にとっては、前払いして、楽しめる仕事というご褒美がもらえるかどうか、11年後まで分からない、宝くじにすぎない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のため規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている。 臨床で収入も生み出さない医師以外の管理部門の人間でも、給与は自分の5倍。多くの医療行為は患者に優しくないとも思う。自分より仕事をしておらず、生み出すものも少ないのに、給与が倍の複数の男性医師から、妊娠したことでハラスメントを受け、管理部門は何もせずハラスメントを黙認した。ありがたいことに新しい仕事を見つけたが、自分の子は絶対に医師にならせないだろうと思う昨今である。(30-34歳女性、 Academic / Teaching Hospital)
・書類仕事の法外な負荷を伴う管理業務とコンピュータ作業が多すぎる。そして、1回の診察であまりにも多くのことをしてくれという、プライマリケア医に対する期待。さらに、業績尺度での支払い。 患者が健康・予防対策をして欲しいと思っていない、あるいは医師の推奨に従わず、薬を指示通りに服用しないからと言って、医師が罰せられるべきだとは思わない。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・特に、医師でない管理者やミッドレベル・プロバイダーに医療が席巻されている場合は、もはや、この仕事をするために時間をかけ、努力し、出費する価値がない。医師はもうほとんど尊敬されていない。(35-39歳女性、Academic / Teaching Hospital)
40代
・内科に関しては、患者紹介先の専門医の馬車馬になる。専門医が手にする高給は到底得られないが、多くの患者がサマリ作成、あるいは継続的経過観察のためプライマリケア医のところに戻るので、仕事量が倍になる。米国内の多くの場所で尊敬される地位でもない。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・見返りはそれほどでもないのに、研修中の若い時期の犠牲が過度に大きすぎる。患者ケアと無関係のコンピュータ作業が多すぎる。病気で、太りすぎていることが多い患者のケアのストレスが大きすぎる。しかし、主に、病院で年中無休の呼び出しがある間、家族から離れている時間が長いことと、心配ごとで決してのんびりできない。(45-49歳男性、Private, office based practice)
・支払いと敬意が減退した。医師から医療提供者に変わった。激務をこなして最低限の診療報酬で、Medicaidに侮辱されるのは張り合いをなくす。医師には医師自身以外に社会に擁護者はおらず、その点では哀れむべきものだ。 他のことで研鑽を積んでいたとしたら、この職業を辞めようと考えるだろう。(45-49歳男性、Community Hospital)
50代
・オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・この職業は、電子カルテのせいで退屈なコンピュータ業務に落ちぶれた。医師はどんな管理者や保険会社の経営幹部よりも、明らかに教養がある。いったい誰がこんなことをしたがるだろうか。(55-59歳男性、Community Hospital)
60代
・医師は、医師以外の人またはPA(physician assistant)に取って代わられつつあり、適正な給与が支払われるための規制と規則は煩わしすぎ、診療報酬は15年前から1ドル当たり25セントに減少し、自分の出費が75%増えた。(65-69歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566563
新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】
m3.com独自集計、全19領域・47都道府県別

レポート 2017年11月3日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度からの新専門医制度に向け、10月10日から19の基本領域で専攻医の登録が始まった。本制度は、基幹施設が主となり、連携施設と組みながら運営する研修プログラム制が基本。その数は、計3060(『専攻医の1次登録、3060プログラムで10月10日開始』を参照)。

 しかし、現時点では日本専門医機構から、19の基本領域別、都道府県別の専門研修プログラム数は公表されていない。

 m3.com編集部では、総合診療については日本専門医機構、それ以外の18の基本領域については各基本領域学会のホームページに掲載された情報を基に、都道府県別に、19の基本領域の専門研修プログラムのいずれかを持つ基幹研修施設一覧を作成した(2017年10月27日現在。1次審査に合格したプログラムしか掲載していない学会もあり、2次審査等によって変更されている場合もあり得る)。

 専門研修プログラム数が最も多いのは、内科の542。以下、総合診療368、外科204、救急科200、麻酔科191などと続く。

 厚生労働省が2017年3月に公表した資料と比較すると、過去5年間(2010年度から2014年度)の専攻医の平均採用実績が年360人を超す8基本領域については、専門研修プログラム数が増加している(厚労省資料)。内科(厚労省523⇒10月542)、小児科(同159⇒171)、精神科(同149⇒166)、外科(同188⇒204)、整形外科(同104⇒154)、産婦人科(同122⇒148)、麻酔科(同165⇒191)、救急科(同190⇒200)。

 これら8領域は、地域医療への影響を考慮し、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることが求められていた(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』、『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』などを参照)。専門研修プログラム数は増えたものの、「複数基幹施設」を実現しているのは、整形外科のみ。

 一方、総合診療は3月の397から、368に減少している。

 都道府県別では、19の基本領域のいずれについても、複数の専門研修プログラムを有するのは、北海道、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県の10都道府県。臨床検査科や形成外科など、基本領域の研修プログラム数が「0」の県もある。

 都道府県別の基幹施設の研修プログラム一覧へのリンクを文末に掲載。

新専門医制度、都道府県別の研修プログラム数(2017年10月27日時点)
(表 略)



https://www.m3.com/news/general/567154
高齢者のがん治療…本人の意思考慮し選択
臨床 2017年11月6日 (月)配信読売新聞

 高齢になるほど、がんの積極的な治療を差し控える割合が増えることが、国立がん研究センター(東京都)の調査で明らかになった。体力などを考えると、すべての高齢患者に通常の治療法が最適とはいえない状況を反映している。治療選択に参考となる指針が求められている。

 同センターが8月に発表したがん治療の実態調査では、転移がある進行胃がん(病期4)で治療を行わない割合は40~64歳では8.5%だったが、75~84歳は24.8%、85歳以上では56%に上った。他の進行がんも年齢が上がるごとに「治療なし」の割合が増えた。

 進行がんの場合、抗がん剤などの化学療法が中心となるが、吐き気や 倦怠けんたい 感などの副作用も強く、患者の体力が問題になる。そのため、心臓病や脳卒中などを抱えることが多い高齢者は、体への負担が大きい治療を避け、苦痛に対し必要な治療を受けながら経過をみる傾向がある。

 一方、早期がんでも、年齢が高いほど無治療の割合が多かった。同センターがん登録センター長の東尚弘さんは「早期がんですぐに命にかかわらない場合は、余命などを考慮して経過観察にとどめる場合があるのではないか」と説明する。

 治療方針は患者・家族と主治医が話し合って決めるのが基本。体への負担に応じて選択肢は、有効性が確認されて広く行われている標準治療から経過観察・無治療まで幅がある。しかし患者自身の意思や体力などを、周りが十分考慮せずに治療が進められることがある。患者と家族の意思、様々な状況を整理した上で、患者に最善と思われる治療法を決めることが大切だ。

 治療の話し合いに際し、杏林大学(東京都)腫瘍内科教授の長島文夫さん(51)は、米国のがん専門病院で作る団体が2015年に作成した高齢者のがん診療指針を参考にすることを提案する。指針は考慮するポイントとして、余命、治療の意向、認知症の有無、介護態勢などをあげている。

 高齢者のがんについて医師らの教育体制はほとんどない。長島さんは「専門医と医学生向け両方の教育が必要だ」と指摘する。

 国の新しいがん対策推進基本計画でも、高齢患者に適した治療法や診療指針の研究推進が盛り込まれた。今後、患者・家族にも参考になる、高齢者のがん治療の目安が整備されそうだ。

◇患者の選択
ケース1 70歳代後半女性。盲腸がん

 手術を受けたが、周囲に転移。軽度の認知症を抱える。薬の飲み忘れが心配されるため、外来で点滴の抗がん剤のみ。副作用を考慮し、通常に比べ少ない種類の抗がん剤を使ったが、効果が出て元気に。
ケース2 70歳代前半女性。大腸がん

 肝臓に転移。体力があるため通常の抗がん剤治療を1年半続けたが、完治せず。「治るなら続けるが、もう十分生きた」と治療を自らやめ、8か月後に亡くなる。
(いずれも杏林大学病院の患者)

薬や環境変化で「せん妄」も

 薬の副作用、体の症状の悪化、環境の急な変化などが要因となり、患者に「せん妄」という意識障害が一時的に表れることがある。日付や場所が分からなくなったり、錯乱や人格の変化などが出たりする。埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)精神腫瘍科教授の大西秀樹さん(57)は「せん妄を認知症だと思い込むと、十分ながん診療が行われない恐れがある」と指摘する。

 せん妄の治療は、薬の調整をしたり、患者が落ち着ける環境に変えたりする。大西さんは「がん治療医も高齢者の精神疾患の知識を持つことが必要。精神科の専門家との連携も欠かせない」と話す。
(石塚人生)



  1. 2017/11/07(火) 05:57:31|
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