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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2017年11月30日

Google Newsでみる医師不足 2017年11月30日
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Doctor shortage worsening in Grey-Bruce, says Walker
The Post –Wednesday, November 29, 2017 12:28:37 EST PM (カナダ オンタリオ州)

Bruce-Grey-Owen Sound MPP Bill Walker says more than 2,100 of his constituents don’t have a doctor – a more than 60 per cent increase over last year, which he raised during Question Period on Nov. 21.
Walker said in the interview doctor retirements are to blame for a shortage, and suggested newly minted doctors tend not to take on as many patients as older generations of physicians, further aggravating the doctor shortage.


Nova Scotia doctor shortage plan hampered by poor communications, says AG
CBC.ca-2017/11/22, (カナダ ノヴァスコティア州)

Nova Scotia Auditor General Michael Pickup has recommended the Department of Health and the Nova Scotia Health Authority find a way to prioritize the thousands of families who are on the provincial wait-list for a family doctor.
The provincial family practice registry was created a year ago but according to auditors, "there is no priority based on health history or condition."
According to the AG's latest report, which was released Wednesday morning, management at the health authority said it was "not possible to properly and accurately assess health status over the phone and prioritizing everyone on the registry in person is not feasible."


New Medical School at Ariel University Seeks to Address Israel's Doctor SHortage
Algemeiner-2017/11/27 (イスラエル)

JNS.org – Samaria-based Ariel University is due to present detailed plans for a new medical school to the Council for Higher Education (CHE) in Israel. The school “will contribute enormously to the doctor shortage crisis” in the Jewish state, said Ariel University Chancellor Yigal Cohen-Orgad.


Wimmera Health Care Group records $1.1 million deficit
The Stawell Times-News-2017/11/27 (オーストラリア ヴィクトリア州)

THE region's doctor shortage and a massive increase in patients at Horsham's emergency department has put financial strain on the Wimmera Health Care Group. The group has released its 2016-17 annual report, with shows an operating deficit of $1.1 million.
Chief executive Catherine Morley said while the health care group had been in a difficult financial situation for the past few years, a number of new challenges meant it was trending worse than before.


Texas' uninsured rate, doctor shortage among topics of health care forum
Texas Tribune-2017/11/21 (米国 テキサス州)

Solving the doctor shortage. There are not enough doctors in Texas, especially in certain rural stretches of South Texas. Addressing that shortage will require training — and retaining — more physicians in Texas. UT-RGV’s medical school, which accepted its first class last fall, is “part of the solution,” Krouse said. But Hinojosa said the state needs to add more residency slots for post-graduate medical training to remain competitive — a problem that has plagued Texas in recent years.


他に10位以内のニュースは
米国(テキサス州)、カナダ(全国、ブリティッシュコロンビア州、ニューファンドランド・ラブラドル州)、英国ウエールズ、からも


  1. 2017/11/30(木) 10:17:24|
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11月25日 

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171125/mca1711250500011-n1.htm
厚労省、診療報酬改定の基本方針案
2017.11.25 05:00 Sankei Biz

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の部会に医療機関などに支払われる診療報酬の2018年度改定に向けた基本方針案を提示した。住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を重点課題に挙げたほか、医師や看護師の働き方改革推進を明記した。

 地域包括ケアでは、医療、介護、障害福祉、母子保健など、地域のさまざまな職種の連携を強化。質の高い訪問診療や訪問看護の報酬を手厚くし、国民が希望する場所でのみとりを推進する。

 厳しい勤務環境が指摘されている医師や看護師の働き方改革は、柔軟な勤務ができるよう、事務の効率化と合理化のほか、多職種でのチーム医療を実現し、負担軽減を図る。

 最新の情報通信技術(ICT)を着実に医療現場に導入するため、ICTを活用して離れた場所から患者を診療する「遠隔診療」を適切に報酬で評価する考えも示した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171124192856
次期診療報酬改定、遠隔医療・ICT活用を評価へ
厚労省が基本方針骨子案

2017年11月24日 19:45

 厚生労働省は24日、社会保障審議会の医療部会と医療保険部会に対し、次期診療報酬改定の基本方針の骨子案を示した。「質の高い医療の実現・充実」の基本的な視点として、遠隔医療やICT(情報通信技術)の活用、精神医療の地域移行の充実といった具体的な方向性を明記した。次回開催予定の両部会の会合で基本方針案を取りまとめる予定。【新井哉】

 これまでの両部会の会合で出た意見などを踏まえ、厚労省は、改定の基本的な視点と具体的な方向性を記載した基本方針の骨子案をまとめた。

 骨子案では、最新の技術革新によって医療の質を向上させるため、▽遠隔診療を適切に活用する▽医療連携を含めたICTを有効に活用する▽データを収集・利活用し、実態やエビデンスに基づく評価を推進する―といったことを「将来の医療を担う新たな技術」として位置付け、着実に導入する方向性を示した。

 また、地域移行・地域生活支援の充実を含む質の高い精神医療の評価、小児・周産期・救急医療の充実などについては、「診療報酬改定において適切に評価していくことが重要」とした。

 医療従事者の負担軽減や働き方改革の推進については、専門性を発揮でき、柔軟な働き方ができるように「環境の整備、働き方改革を推進することが必要」とした上で、専門職の柔軟な配置や、業務の共同化・移管を含む多職種によるチーム医療の推進により、勤務環境を改善する必要性を挙げた。



http://www.medwatch.jp/?p=17121
療養病床の人員配置標準、緩和を6年延長―社保審・医療部会(1)
2017年11月24日|医療・介護行政全般 MedWatch

 療養病床に関する医療法上の人員配置標準などを緩和する経過措置の期限を、来年(2018年)3月末から2024年3月末へと6年間延長する。また、この経過措置の対象病院が介護医療院への転換を前向きに考えられるように、地域医療介護総合確保基金などで転換支援を行う―。

 社会保障審議会・医療部会は11月24日、厚生労働省が示したこうした方向性を、おおむね了承しました。この経過措置は、病院が配置する看護職員の員数について、本来であれば「療養病床の入院患者4人に対して1人(4対1)以上」としなければならないところを、「6人に対して1人(6対1)以上」と緩めるほか、廊下幅の基準を緩和しているものなどです。

 ただし、6年後に再び延長することになるのを防ぐために厚労省では、病院・診療所の介護療養病床の介護医療院などへの転換に向けた協議を、地域医療構想調整会議で2021年3月末までに行うよう都道府県に求めていく方針です。

ここがポイント!
1 療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置
2 新設の療養病床などは経過措置の対象外
3 6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり
4 再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

療養病棟入院基本料2の見直しにも関係する人員配置標準の経過措置

 病院や診療所の療養病床に要介護者を長期入院させ、必要な医療を提供する介護療養病床には、「病床の役割としてふさわしくない」といった指摘があり、廃止が決まっています。具体的には、設置期限が来年(2018年)3月末と定められていましたが、介護療養病床の入院患者の受け入れ先(廃止される介護療養病床の転換先)となる「新しい介護サービス」が必要なため、来年(2018年)4月に介護医療院を創設した上で、転換期間を6年設けることになりました。つまり、現存する介護療養病床には事実上「2024年3月末まで存続が認められる」ことになっています(改正介護保険法:地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律)。

 一方、医療法では病院や診療所に対し、「都道府県が条例で定める員数」の看護職員(看護師と准看護師)の配置を義務付けています。その員数の標準を厚労省は、「療養病床の入院患者4人に対し1人」(4対1)以上と定めていますが、▼介護療養病床の指定を受けている▼看護配置4対1に満たない―などの病院・診療所に対しては、来年(2018年)3月末までに限って「6対1」以上に緩める経過措置が設けられています。

 この経過措置が予定通り終了すると、介護療養病床(看護配置「6対1」以上)の存続は、来年(2018年)4月から認められなくなってしまい、上記の改正介護保険法と矛盾します。また、医療保険が適用される医療療養病床のうち、看護配置「6対1」(診療報酬の基準は常時配置「25対1」以上)を「病棟単位」で満たせば算定できる【療養病棟入院基本料2】の、2018年度診療報酬改定での取り扱いにも影響を及ぼします。
 そのため、看護職員の人員配置標準の経過措置を延長するのかどうか、などが注目されていました(関連記事はこちら)。

新設の療養病床などは経過措置の対象外

 11月24日の医療部会で厚労省は、▼医療法施行規則における人員配置標準の経過措置を2024年3月末まで延長する▼経過措置の対象は2012年までに届け出ていた病院・診療所のみで、新たに増やさない―という考えを示しました。

 現在、人員配置標準の経過措置はそもそも、「介護療養病床がある」「看護配置が薄い」ことなどを都道府県に届け出た病院・診療所のみに適用されています。その届け出の期限(所定期日)は原則2012年6月末で、計1677施設(1269病院と408診療所)が該当します。このうち、今年(2017年)10月時点で「4対1」以上の看護配置を満たさないのは計400施設弱(山梨・石川・福井3県を除く44都道府県で計377施設)と考えられます。

 そうした実情を踏まえ、新設の療養病床などを経過措置の対象としない厚労省の案に対して、医療部会の委員から明確な反対意見は出ていません。

6年後の再延長をめぐって委員らの意見に隔たり

 ただし、2024年4月以降の経過措置の取り扱いをめぐっては、委員らの意見に隔たりが見られました。井上隆委員(日本経済団体連合会常務理事)は「6年間の中で確実に、病院も診療所も転換を図ってほしい」、伊藤彰久参考人(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長、平川則男委員:日本労働組合総連合会総合政策局長の代理出席)は「延期がないように、高齢化の時代を乗り切れるように取り組んでほしい」と述べ、「6年限りの延長」だと強調しました。

 これに対して中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「経過措置の延長が良くないことのように聞こえるが、地域医療を混乱させない観点から考えると延長は決して悪いことではない」と主張。さらに「6年間延長以上でも以下もない。そうしてほしい」と述べ、2024年4月以降に「再延長を検討する」選択肢を残す必要性を指摘しています。

再延長せずに済むよう2020年度中に調整会議で協議し、基金で転換支援

 厚労省は、2024年3月末まで6年間延長してはどうかと提案した理由を、「診療報酬・介護報酬の同時改定かつ、医療計画・介護保険事業計画の改定を行うタイミング(2024年度)で再度検討を行うことが必要」だからだと説明しています。

 とはいえ、2024年4月以降の再延長を黙認したわけではありません。厚労省は、看護配置「4対1」を満たさない病院・診療所がなくなるように、介護療養病床などの介護医療院への転換を促進する必要性を指摘。その具体案として、(1)遅くとも2021年3月末までに、地域医療構想調整会議において、各区域における療養病床の転換について協議を行うこととする(2)2021年度を「ひとつの目処」として、地域医療介護総合確保基金などを活用した転換支援を行う―考えも示しています。

 このうち、(1)に対しては、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が「期限を設けるのは違和感がある。『遅くとも』ではなく『原則』にしてほしい」と要望しましたが、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、▼今年(2017年)6月に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)で、地域医療構想調整会議での「2年程度での集中的な検討」が促されている▼地域医療構想調整会議での検討は、主として【高度急性期機能】や【回復期機能】について行われることが多いが、【慢性期機能】を含めてしっかり議論してもらいたい―なとど説明し、「遅くとも2021年3月末まで」と期限を設けることへの理解を求めています。

 ちなみに(2)の地域医療介護総合確保基金には医療分(毎年度904億円)と介護分(同724億円)がありますが、介護医療院への転換のうち、医療療養病床からの転換は医療分、介護療養病床からの転換は介護分の基金で支援されるようです。



http://www.medwatch.jp/?p=17105
地域包括ケア病棟の評価を2分、救命救急1・3でも看護必要度を測定—中医協総会(2)
2017年11月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定においては、地域包括ケア病棟について、より状態が不安定で濃厚な医療提供が求められる自宅などからの患者受け入れを評価するために【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を2分してはどうか。また「救命救急入院料1・3や脳卒中ケアユニット管理料の算定病室でも、看護必要度の『測定』を要件化」してはどうか―。

 11月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も議題に上がりました。

ここがポイント!
1 地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く
2 救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める
3 自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

地域包括ケア病棟の【救急・在宅等支援病床初期加算】、自宅等患者で評価を手厚く

 地域包括ケア病棟については、中医協総会や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」において、「自宅などから入棟する患者」(いわゆるsub acute患者)と「急性期病棟から入棟する患者」(いわゆるpost acute患者)とで評価を分けてはどうか、という議論が行われてきました。前者のほうが、医療の必要性が高く、状態が不安定なためです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い(図 略)

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)(図 略)

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)(図 略)

 この点について厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は【救急・在宅等支援病床初期加算】に着目し、前者(自宅などからの患者)と後者(急性期病棟からの患者)とを区別して評価する考えを明示しました。どのような評価とするかは今後の議論を待つ必要がありますが、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「財政中立としてほしい」と注文を付けています。仮に「自宅などからの患者」の加算を引き上げるのであれば、それによる医療費増分を「急性期病棟からの患者」の加算引き下げで賄うよう求めるものです。
 ところで、両者を分けて評価する手法としては、例えば「自宅などからの入棟患者割合が高い地域包括ケア病棟で、基本報酬(入院料)を引き上げる」などの手法(病棟単位の評価)も考えられます。この点について迫井医療課長は、「自宅などからの入棟患者を数多く確保できる大都市などでは病棟単位の評価も可能であろうが、地方では難しい。運用の硬直化を避けるためには、初期加算に着目した患者単位の評価(上述)が良いのではないか」とコメントしています。

 
 また地域包括ケア病棟については、▼介護保険の「訪問系サービス」の提供も届け出要件の選択肢に加える▼在宅医療、介護サービス提供など、地域包括ケアシステム構築により貢献できるよう、これらサービスの提供実績を評価する—考えも示されています。

 前者は、地域包括ケア病棟の届け出要件として、「▽在宅療養支援病院▽在宅療養後方支援病院▽二次救急医療施設▽救急告示病院—のいずれかであること」という選択要件の中に、「通所リハビリなどの訪問系サービスの併設」などを加えてはどうかという提案です。

前者、後者ともに「地域包括ケア病棟が、より多様なサービスを提供し、地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う」ことを期待するものです。今後の中小規模病院の地域での役割を指し示していると考えることもできそうです(関連記事はこちらとこちら)。

なお、この点に関連して診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は「200床未満の病院に限って評価すべき」と、同じく今村聡委員(日本医師会副会長)は「地域包括ケア病棟と、地域のかかりつけ医療機関(主に診療所)との連携を必須とすべき」といった注文を付けています。かねてより日医は「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を設置することは好ましくない」と主張し、2016年度の前回診療報酬改定で新設制限が設けられました。2018年度の次期改定でも新設制限がさらに強化される可能性もあり、今後の議論に注意が必要です。

救命救急1・3と脳卒中ケアユニット、まず「看護必要度の測定」を求める

 高度急性期医療を提供する特定集中治療室(ICU)やハイケアユニット(HCU)などには、より適切な患者の入室が求められます(医師や看護師などの医療資源が限られ、報酬も高額に設定されているため)。このため、各ユニットの特性に応じた「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価票が作成され、この基準に該当する患者(重症患者)が一定割合以上でなければ高額な特定入院料を届け出ることができません(例えばICUでは8割、または7割以上が重症患者でなければならない)。

ICUなどのユニットでは、重症度基準(看護必要度を測定し、それに基づく重症患者割合を施設基準として設定する)を導入しているもの(ICU、HCU、救命救急2・4)と、導入していないもの(救命救急1・3とSCU)とある(図 略)
 
 しかし、救命救急入院料の1と3、SCU(脳卒中ケアユニット)では、看護必要度の測定が義務付けられておらず、当然、重症患者割合の施設基準も設定されていません。このためか、SCUなどでは「重症度患者割合が低い」ことが分かっています

重症度基準を導入しているユニット(ICU、HCU、救命救急2・4)では重症患者割合が高く、導入していないユニット(救命救急1・3とSCU)では低い傾向にある(図 略)

ただし、救命救急入院料1・3やSCUの7割程度では看護必要度測定が任意で行われており、迫井医療課長は、この状況を踏まえて「まず看護必要度の測定を義務化(要件化)してはどうか」と提案しています。例えば、▼救命救急入院料1・3ではICU用▼SCUではハイケアユニット用—などが考えられますが、厚労省保険局医療課の担当者は「影響が大きくならないよう」配慮する考えで、今後の検討を待つ必要があります。また2018年度には導入されませんが、近い将来「重症患者割合」の基準も設けられる可能性があります(関連記事はこちらとこちら)。

迫井医療課長は、▼ICUではDPCデータの中に「入室時の患者の生理学的スコア」(APACHE IIや、SOFA:Sequential Organ Failure Assessmentなどのスコア)の記載を求める▼安全性を確保した上で、ICU入室早期からの「離床に向けた取り組み」を評価する▼ICUにおいて、「重症患者に対するケア」に関する研修を受けた看護師配置を義務化(要件化)する▼ICUやHCUなどの設備・器具について、柔軟に保有できる(共有化できる)よう要件を見直す—考えも示しています。
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
ICUではペースメーカーなどのユニット内配置(常時)が義務付けられているが、他ユニットなどとの「共有化」ができないか検討を進める
 
APACHE IIなどは、ICU入室患者について▼入室から24時間以内の生理学的指標(動脈圧やクレアチニン)▼年齢▼慢性併存疾患—を踏まえて「重症度を指数化」するもので、施設間の医療の質(標準化死亡比:予測死亡率に対して、実際にどれだけ死亡したのかの比率)をベンチマークすることが可能です。ただし、APACH IIとSOFAでは項目も異なることから、診療側の今村委員からは「科学的に確立されていると言えるか疑問である。いきなり記載を義務化することは難しいのではないか」との疑問の声も出されています。

APACHE IIの概要(図 略)

APACHE IIを活用して、各病院の標準化死亡比をベンチマークできる。予測死亡率に比べて、実際の死亡率が高い病院などを見出すことが可能だ(図 略)

 また専門研修を受けた看護師配置の義務化(要件化)については、すでに9割のICU設置病院で配置実績があることを踏まえた見直しですが、診療側の猪口雄二委員(全日本病院協会会長)らから「1割の病院では未設置であり、十分な準備期間を設定してほしい」との要望が出ています。専門研修には受講枠もあり、また研修受講期間中の代替要員確保にも一定の困難が伴うためです。

重症患者のケアについて専門研修を受けた看護師が、ICU設置病院のほとんど(92.1%)で配置され、標準化死亡比が低い(つまり医療の質が高い)などの効果が出ている(図 略)

自院の他病院への転棟患者、「在宅復帰」にカウントしないことに

 11月24日の中医協総会では、「在宅復帰」率についても議論が行われました。

 在宅復帰率はさまざまな病棟で施設基準の1項目となっており、7対1病棟についても2014年度改定で導入されました(2016年度に基準を80%に引き上げ)。現在、この基準に苦しんでいる病院は極めて稀で、7対1病院の4分の3では、基準値をはるかに上回る「90%」超となっています。

在宅復帰の流れ。さまざまな病棟に「在宅復帰率」要件が設定され、最終的に自宅や居住系介護施設などへの復帰が促されている(図 略)

この状況を踏まえ幸野委員らは「在宅復帰率は急性期入院医療を評価する指標の意味をなしていない」と厳しい指摘を行っていますが、迫井医療課長は「在宅復帰率の計算式、定義に問題があるのではないか」と考えているようです。
現在、例えば7対1病棟では、「自宅」や「居住系介護施設」などのほか、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟なども「在宅復帰」先としてカウントされていますが、この点を整理する必要がるようです。この点、迫井医療課長は「在宅復帰の中に『自施設内での移動』は想定されていないのではないか」とし、「自院の他病棟への転棟患者」は在宅復帰のカウントから外す考えを示しました。この見直しでどの程度の影響が出るのかは未知数ですが(自院の他病棟への転棟割合などのデータがない)、基準値を満たせなくなる病院も一定程度生じる可能性があります。各病院におかれては、早急に「退棟後の行先」を可能な限りチェックする必要があるでしょう。
 
さらに▼療養病棟については、在宅復帰機能強化加算の算定有無に関わらず、在宅復帰先としてカウントする▼自宅などへの退院患者と、他医療機関への退院患者とを区別して報告してもらう—との見直し案も提示しています。しかし前者について猪口委員は「療養病棟や老健施設では、7対1からの在宅復帰先として選定されるために、在宅復帰機能強化加算を目指して努力する。加算なしでも在宅復帰先にカウントされるとなれば、療養病棟などからの在宅復帰の流れを阻害しないか」との懸念を示しています。

 なお、在宅復帰率に関しては、▼介護医療院の取扱い(在宅復帰率に含めることにはなるが、同一建物の介護療養が介護医療院に転換する場合などをどう考えるか)▼名称(地域医療連携率や自宅等退院率などが浮上)―を検討するとともに、「地域包括ケア病棟・回復期リハビリ病棟の基準値引上げ」も行うことになりそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=17025
国・公的の大規模急性期病院、民間を圧迫しないよう機能の明確化を—日医総研
2017年11月21日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 国立や公的の大規模急性期病院において「7対1病棟などから地域包括ケア病棟への転換」が加速化しているが、診療報酬創設時の想定と異なる姿になっている。地域の実情を踏まえつつ「国・公的大規模急性期病院が担うべき役割」を改めて明確にする必要がある―。

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、11月16日に発表したワーキングペーパー「国・公的医療機関の地域包括ケア病棟への参入状況と経営状況」の中で、こう訴えています(日医総研のサイトはこちら)。2016年度の前回診療報酬改定でも同様の主張がなされたことを受け、「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の大病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に制限する」ことになりました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた議論にも留意が必要です。

「7対1のみ病院」と「7対1・地域包括ケア併設病院」、経営上の明確な差は見られず

地域包括ケア病棟は、2014年度の診療報酬改定で、(1)急性期後患者の受け入れ(post acute)(2)急性増悪した在宅患者の受け入れ(sub acute)(3)在宅復帰の促進—という3つ機能を持つ病棟として新設されました。

従前の「亜急性期病床」からの転換のみならず、7対1病棟からの転換を期待して創設されたものですが、日医総研では「当初は病棟数が少ない中小病院の届出を想定していた」と述懐。2016年度の前回改定論議(中央社会保険医療協議会)では、一部の診療側委員が「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」と強く主張し、冒頭に述べた「ICUなどを持つ病院や、許可病床数500床以上の病院において、地域包括ケア病棟の新設は『1病棟』に限定する」との制限規定が設けられました(関連記事はこちらとこちら)。

今般のワーキングペーパーでも、「大規模急性期病院が地域包括ケア病棟を併設して、民間の中小規模病院の経営を圧迫している」との主張を強化しています。

なお、国公立・公的病院を「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」などに分類し、とくに大規模な病院について経営状況を分析していますが、「7対1のみの病院」と「7対1と地域包括ケアの病院」とで、経営状況に特段の傾向(例えば、「地域包括ケアを併設するほうが有利」など)は見られません

▼国立病院:7対1のみの41病院(平均456床)では赤字幅が拡大(医業収益率は2014・15年度の年度マイナス0.2%から2016年度にはマイナス1.0%に拡大)しているが、7対1と地域包括ケアの8病院(平均359床)では、新病棟を設置した舞鶴医療センター(京都府)を除けば、黒字を維持している(舞鶴医療センターを除く医業収益率は2014・15年度にプラス1.3%、16年度にプラス0.2%)

国立の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
労災病院:7対1のみの18病院(平均423床)、7対1と地域包括ケアの7病院(平均353床)のいずれも、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善しているが、「厚生年金基金の代行返上による退職給付費用の減少」という一時的要因によるものである

▼労災の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼JCH0:7対1のみの15病院(平均348床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が改善(15年度:プラス0.4%→16年度:プラス0.5%)している。7対1と地域包括ケアの18病院(平均273床)では、2015年度から16年度にかけて医業利益率が悪化(15年度:プラス1.6%→16年度:プラス0.5%)している

JCH0の「7対1のみ病院」と「7対1と地域包括ケア病棟を併設する病院」との経営状況(図略)
 
▼日赤:7対1のみの46病院(平均442床)、7対1と地域包括ケアの9病院(平均293床)【経営状況は分析されていない】
▼済生会:7対1のみの31病院(平均358床)、7対1と地域包括ケアの12病院(平均316床)【経営状況は分析されていない】

 
 しかし日医総研では、「病床の機能分化・連携の視点から、地域の事情を踏まえつつ、民業圧迫にならないよう国・公的大規模急性期病院が担うべき機能をより明確にすべき」と主張しています。

 病床機能報告や地域医療構想では「病棟単位の機能分化」を推進しながら、診療報酬については「病院単位の機能分化」を求めており、一貫性に欠けるようにも思われますが、中医協などで、「大規模急性期病院における地域包括ケア病棟の設置(新設)制限」論が強化される可能性もあり、今後の議論に注目する必要があります。



http://www.medwatch.jp/?p=16999
公的病院などの役割、地域医療構想調整会議で「明確化」せよ—地域医療構想ワーキング
2017年11月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公的病院などが地域で果たすべき役割は必ずしも明確になっていないことを踏まえ、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別の「公的医療機関等2025プラン」の確認を徹底する。仮にプランに地域医療構想との不整合がある場合には修正を求める—。

 11月20日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織以下、ワーキング)で、こういった考えが固まりました(関連記事はこちらとこちら)。厚生労働省は、こうした点も含めて、「地域医療構想調整会議を進めるに当たり、都道府県は何をしなければならないのか」という考え方を整理し、近く取りまとめる方針です。

ここがポイント!
1 調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか
2 毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく
3 改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく
4 公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を
5 地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

調整会議を円滑かつ効果的に進めるため、都道府県は何をすべきか

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、医療(特に回復期・慢性期)・介護ニーズがこれから飛躍的に高まります。このため、地域における医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となり、都道府県は「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などをまとめた地域医療構想を策定しています。いわば「2025年における医療提供体制像」に当たるものです。

一方で、一般病床・療養病床を持つすべての病院・有床診療所は「自院の病棟が、高度急性期、急性期、回復期、慢性期のどの機能を担っているのか、また将来担うことになると考えているのか」を毎年、都道府県に報告しなければいけません(病床機能報告)。

地域医療構想の実現に向けた議論が、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進められます。調整会議の進め方は、これまでにもワーキングで議論されてきましたが、厚労省は、「都道府県が何をしなければいけないのか」「どういう点から検討していけばよいのか」などがより明確になるよう、これまでのワーキングなどの議論を整理する考えを示しています。地域医療構想の実現・達成に向けては、都道府県が医療機関などの関係者と十分に連携することが重要で、そのための「道筋」例を示すものと言えます(関連記事はこちら)。

毎年度、個別病院が地域で果たす役割と、4機能ごとのベッド数を確認していく

 11月20日のワーキングでは、厚労省から「議論の整理」案が提示されました。名称通り、これまでのワーキング論議をまとめたものですが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017)では、地域医療構想の達成・実現に向けて「個別病院名や機能転換する病床数などの具体的な対応方針」(以下、対応方針)を地域ごとに策定するよう求めています。厚労省は、この対応方針の中に、2025年における役割・医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の▼2025年を見据えた役割▼2025年における機能ごとの病床数—を包含することを求めています。極めて詳細に、個別医療機関の名称・機能ごとの病床数を記載した「地域医療提供体制像」を策定するイメージで、都道府県は「毎年度」、この対応方針を策定することが求められます。

改革プランをベースに、公立病院の役割とベッド数を協議していく

 対応方針策定の前提に、「医療機関の合意」が必要です。例えば民間のA病院に「貴院の病床構成は高度急性期を●床、急性期を●床とします」などの指示を与えることは法制度上も不可能で、また各医療機関が質の高い医療を提供するためには「合意」に基づく機能分化が必須となります。

 ただし、地域の医療機関の機能を一度に議論することは難しいため、厚労省はまず(1)公立病院(2)公的病院等(3)その他の医療機関—の順で、機能分化に向けた議論を進めることを提案しています。公立病院や公的病院などには、救急や周産期などいわゆる政策医療を提供することが求められており、地域によっては「基幹的な役割」を担うケースも多いことから、まず公立病院・公的病院などの機能を明確にすることが、効率的な議論につながると考えられるのです。

まず(1)の公立病院には「新公立病院改革プラン」(新改革プラン)の策定が義務付けられており、これを踏まえた対応方針(どういった機能を持ち、各機能の病床数はどの程度とするのか)を協議することが求められます。

前述のように、公立病院には▼山間へき地・離島などでの一般医療提供▼救急・小児・周産期・災害・精神などの、いわゆる不採算医療提供▼がん・循環器など、民間では限界のある高度・先進医療提供▼研修実施などを含む広域的な医師派遣拠点機能—などが求められますが、地域の状況を踏まえて「なお、これらを公立病院が提供する必要があるか」を確認するよう厚労省は求めています。

公的病院の機能は必ずしも明確でない、2025プランベースに明確化を

(2)の「公的病院等」には、▼公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会が開設する医療機関、ただし公立病院を除く)▼医療法第7条の2第1項第2号から第8号に掲げる者(共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構、全国健康保険協会)が開設する医療機関▼その他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—が含まれます。救急医療などを担う医療機関では今年(2017年)の9月までに、そうでない医療機関では12月までに「公的医療機関等2025プラン」(2025プラン)を策定することが求められます(関連記事はこちら)。個別病院ごとに「地域の課題」「地域における自院の役割」「病床稼働率などの数値目標」を定めるもので、10月末時点で、日赤病院20施設、済生会63施設、国立病院機構91病院などで2025プランが策定されています。
公的医療機関等2025プランの策定状況(2017年10月末時点)
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2025プランは、地域医療構想の達成・実現を目指すものですが、厚労省は「公立病院に比べて、公的病院等では機能が必ずしも明確になっていない」と指摘し、調整会議で「機能・役割の明確化」を図るよう強調しています。
また、公立病院や公的病院等では、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされている点も勘案し、▼病床稼働率▼紹介・逆紹介率▼救急対応状況▼医師数▼経営に関する情報▼地域医療介護総合確保基金を含めた各種補助金の活用状況—などを地域医療構想調整会議で共有した上で、個別「新改革プラン」「2025プラン」の確認を徹底することを求めています。

公的病院等では補助金などの財政補填が行われているほか、税制上の優遇がなされている(図略)

ところで、公立病院・公的病院等の役割は全国一律に決めることはできません。例えば、医療資源が豊富な都市部に設置されている公的病院等であれば、他院との機能分化を進め高度急性期や急性期に特化することも可能ですが、医療資源の少ない地域に唯一存在するような公立病院には、高度急性期から回復期、慢性期に至る総合的な医療提供機能が求められます。11月20日のワーキングでは、竹中賢治参考人(全国自治体病院協議会常務理事、福岡市立病院機構理事長兼福岡市民病院長、邉見公雄構成員:全国自治体病院協議会会長の代理出席)がこの点を踏まえ「全国一律ではなく、地域ごとに役割・機能を勘案していく」ことを強く求めました。他の構成員もこの点に賛同しています。
 
 これらに次いで、(3)の「その他の医療機関」の役割を議論していくことになりますが、 各医療機関が「自院の等身大の姿」を認識した上で、「地域における自院の役割」を明確にし、それを調整会議に持ち寄って、機能分化に向けた率直な議論を行うことが期待されます。このため、厚労省は、公立病院・公的病院等だけでなく、その他の医療機関(例えば社会医療法人など)にも、地域における役割などを明確にした改革プランの策定を期待しているようです(現時点では義務ではない)。

 なお、都道府県は、改革プランや2025プランなどから「過剰な機能に転換しようと考えている」医療機関を発見した場合には、▼調整会議への出席▼転換の理由説明—を求め、必要があれば「他の機能への転換命令や要請」などを行うことになります。

地域医療構想と不整合な病院、是正を求めることが都道府県の重要な役割

 さらに都道府県の重要な役割として、次のような点があげられます・

▼休眠病棟(すべての病床が稼働していない病棟)を持つ医療機関を発見した場合には、▼稼働していない理由▼今後の運用見通し—などの説明を求め、病棟維持の必要性が乏しい(診療実績や医療需要動向を踏まえ、調整会議で十分に議論する)場合には「病床数削減命令や要請」などを行う

▼新たに病床を整備する予定の医療機関を発見した場合には、開設許可を待たずに▼病床整備計画と必要病床数の関係▼新設される病床の機能と地域医療構想との関係▼雇用計画や設備整備計画の妥当性—などの説明を求め、例えば「過剰な機能への新規病床整備」などが分かれば、開設許可への条件付与(不足している機能の病床整備のみ認めるなど)、条件に従わない場合の是正勧告などを行う

▼個別医療機関ごとに、各機能の診療実績を提示する。例えば、高度急性期であれば▽幅広い手術の実施状況▽がん・脳卒中・心筋梗塞などへの治療状況▽重症患者への対応状況▽救急医療の実施状況―など、回復期であれば▽急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況▽疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況▽市町村やケアマネジャーとの連携状―などを提示する。「明らかに疑義のある報告」(外科病棟で高度急性期と報告しながら、手術を行っていないなど)については、調整会議で妥当性を確認する(関連記事はこちらとこちら)

 このほか「調整会議の資料な議事録などの、可能な限りの情報公開」なども都道府県の重要な役割となります。

 こうした「議論の整理」は次回会合(12月13日予定)でとりまとめられ、年明け早々にも親組織である「医療計画の見直し等に関する検討会」に報告される見込みです。そこでの了承を経て、都道府県の担当者に充てて情報提供され、調整会議での「より円滑かつ効果的な議論」のベースとなることが期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570205
地域医療構想
「調整会議」の運営指針、年内にも取りまとめ
地域医療構想WG、「公的病院、民間病院と同じ土俵にあらず」

レポート 2017年11月20日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月20日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第9回会議で、地域医療構想における公的病院等の役割の案と、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示、おおむね了承を得た。

 議論の整理(案)は、2017年度から本格化している地域医療構想の調整会議で、有意義な議論が円滑に進むよう、同ワーキンググループのこれまでの議論などを整理したもので、「調整会議の運営指針」に相当する。次回12月13日の同ワーキンググループで取りまとめ、「医療計画の見直し等に関する検討会」等に諮った後、各都道府県に発出する予定だ。

 公的病院等は、公立病院と同様に、地域の医療需要や公的病院でなければ担えない役割を踏まえた「公的医療機関等2025プラン」を策定する。調整会議で策定プランを確認し、地域医療構想と整合的でない場合にはプランの修正が求められる。その際、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報等の共有も必要になる見通し。

 今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、「地域医療構想の達成に向けて、(中略)個別の病院名や転換する病床数の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間で集中的な検討を促進」が求められた。その実現を目指す一環としてまとめられる「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」は、(1)地域医療構想調整会議の進め方(地域医療構想調整会議の協議事項、調整会議での個別の医療機関の取組状況の共有、調整会議の運営)、(2)病床機能報告について、(3)今後さらに議論すべき論点について――という柱から成る。

 20日の会議で多くの意見が出たのが、公立・公的病院等の在り方。日本医師会副会長の中川俊男氏は、国立・公的医療機関等に対する運営費交付金・補助金の実態を分析した日医総研のデータを提示。民間医療機関よりも、収入および税制面で優遇されていることから、公立病院だけでなく、公的病院等の役割は、政策医療や不採算医療などを提供する民間医療機関がない場合にこれらの医療を担うことにあり、調整会議では「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」がこの点を踏まえた内容になっているかを確認する重要性を強調した。

 そのほか調整会議の進捗状況も議論になった。調整会議は四半期ごとに開催する。2017年7~9月の間に調整会議を開催したのは、全341の構想区域中、217。4~6月の136よりは増加し、「意見交換会」等の名称で開催している県があることを割り引いても、全調整区域ではない。

 日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、「なぜ地域によって、議論の進捗状況が違うのか」と質問、現場に調整会議の情報が下りてこない現状もあると指摘した。厚労省医政局地域医療計画課は、「調整会議で何を協議していいのかが分かりにくい」ケースもあるとし、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を取りまとめるほか、好事例を横展開していくとした。

 中川氏は、12月22日に日医が、地域医療構想の都道府県担当理事連絡協議会を開催すると説明し、「共通認識を持つために、都道府県担当者も連れてきてもらいたい、と呼びかけている」と説明、病院関係者への参加も呼びかけた。

「公的医療機関等2025プラン」、策定は282病院

 日赤、済生会などの公的病院等、国立病院機構や労働者健康安全機構、特定機能病院、地域医療支援病院については、「新公立病院改革ガイドライン」(2015年3月)に基づき策定される「新公立病院改革プラン」に倣って、「公的医療機関等2025プラン」の策定が求められている。「公的医療機関等2025プラン」の策定期限は、主に政策医療を担う病院は2017年9月末まで、その他の病院は2017年12月末まで。

 厚労省のまとめによると、9月末までに策定を終えたのは、策定対象814病院のうち、282病院。うち調整会議で議論を開始したのは23病院にとどまる。

 やや低調な策定状況に対し、中川氏は、「今年内に策定できる見通しはあるか。また策定したプランが調整会議で議論されるのか。新たなてこ入れが必要ではないか」と述べ、策定と調整会議での議論が進むよう厚労省に対応を求めた。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、都道府県に対し、策定に関する通知を出したのは今夏であることから、「現状ではまだ十分に取り組めていないが、さまざまな機会を捉えて、積極的に策定するよう求めていく」と答えるにとどまった。

公的病院等、収入と税制面で優遇

 公的病院等をめぐる議論で、中川氏は「新公立病院ガイドラインを高く評価している」と述べ、公的病院等にも同様の考え方に基づくプラン策定が求められる根拠として、運営費交付金・補助金の実態を示したデータを提示。国立病院機構、労災病院、JCHO(地域医療機能推進機構)の合計で見ると、運営費交付金・補助金の合計は、2015年度で389億円、政府出資金は2015年度末で4376億円。加えて、税制面でも優遇されており、民間医療機関は基本的に課税であるのに対し、公的病院等は課税されるのは収益事業のみ。中川氏は、構想区域ごとに、医療提供体制をどのように収れんさせていくかを議論する際、これらの点を踏まえる重要性を強調した。

 これに対し、参考人として出席した全国自治体病院協議会常務理事の竹中賢治氏は、「多くの交付金を受けているのは事実。しかし、調整会議は医療機関の役割が問題になる会議であり、『交付金をもらっているから、役割を減らす』という議論にはならないだろう。地域医療構想は、地域によって違うので、調整会議で議論してもらうことはやぶさかではない」とコメント。

 中川氏は、地域の医療事情を踏まえ、「調整会議で議論する」ことはその通りであるとした上で、その際に重要なのは、(1)地域の医療需要や現状の病床稼働率等を踏まえてもなお、公立病院に期待されている役割(山間やへき地・離島など民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供、救急などの不採算医療の提供、民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供、広域的な医師派遣の拠点としての機能)を果たすことが必要か、(2)民間医療機関との役割分担を踏まえ公立病院でなければ担えない分野へ重点化されているかどうか――を確認することだと強調した。「その地域に公立、公的病院等しかなければ、これらの役割を担うが、民間医療機関と競合しているのであれば、必ずしも公立、公的病院等が担わなければならないわけではない」と中川氏は説明し、この点を踏まえた議論が必要だとした。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏からは、日赤や済生会など各設置母体には設立理念があるため、それを踏まえて公的病院等の役割の検討が必要であるとし、「公立病院と同じ役割を期待するのは難しいのではないか」との発言もあった。

 これに対し、中川氏は、済生会が掲げる生活困窮者への医療などは、他の医療機関でも提供しているとし、「設立理念ではなく、地域医療提供を構築するに当たって、どのような役割が求められるかを、現場の医療需要を考えながら議論するということ」と反論。自身が済生会福岡総合病院を運営する岡留氏も、「(済生会等の)ミッションはこの場では関係ないだろう。ミッションまで問うと、非常に混乱してくる」と中川氏の意見を支持した。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/teiron/article/374638/
【グローバル・ヘルス】 丸山 泉さん
2017年11月20日11時00分 (更新 11月20日 11時23分)   西日本新聞朝刊

◆診療室に世界的視野を

 家庭医療を学ぶ医師の集まりに世界家庭医機構(WONCA)がある。アジア・太平洋地区での未加入は、北朝鮮や太平洋諸島など7カ国にとどまる。そのアジア・太平洋地区の集いが今月、タイ・パタヤビーチで開催された。砂浜で遊ぶ子どもたちや、海上に一直線に伸びた夕日の場所で活発な議論が行われた。

 主要なテーマを列記すると過剰診療・過剰投薬、へき地医療、公平性と医療-などがあった。過剰診療については、根拠が乏しいまま実施されている過剰な医療行為を、医療提供側が科学的な証左を基に見直す米国発の「チュージング・ワイズリー(賢明な選択)運動」が紹介された。過剰投薬の問題は、多科受診が増える高齢者の多剤併用処方に伴う有害な事象をいかに防ぐかが焦点となった。へき地医療に関する専門組織「Rural WONCA」の活動についても議論がなされた。

 とりわけ時間を費やしたのは、公平性と医療の問題だった。例えば、多様なセクシュアリティーを表すLGBTについて、医療者が当たり前のこととしてどう対応すべきか。子どもの貧困と医療、女性の正当な社会参画と医療についても議論された。

   ---◆---

 プライマリ・ケアの分野に関わる者たちが、医療技術と直接的な関係がないテーマに、なぜ時間を割くのか。たとえ少数であっても制度や仕組みの溝に落ちる人々を見落としてはならない‐。プライマリ・ケアの原則は、それに尽きるからだ。溝の存在は、システムに患者側の視点が欠落していることを示す。医療職や医療制度は、他者に優しく寛容でなくてはならない。

 高齢化、人口減少、過疎化、そして医療の地域偏在が同時に進む日本では、現状として診療所と病院がプライマリ・ケアを支えている。双方に確固たる共有項がないと分断が起こり、患者側から見たシームレスな(途切れのない)医療の構築が難しくなる。

 健康問題にさらされた人たちの不安や願いを受け止め、安定し継続性のある医療が必要である。よく誤解されるが、家庭医療学に基づく家庭医療の分野は、診療所医師のみに必要なものではない。

 「臓器別」の医療は、さらに発展して細分化される。一方で、異なった価値観と個人史を持つ「個人の医療」「家族の医療」「地域の医療」に全般的に関わることができる医師が、世界的に求められており、むしろ他国でその教育が進んでいる。

   ---◆---

 世界的に評価が高く成熟した良質の保健制度を持つ日本は、ヘルスケアの分野で先導的な影響力が期待されている。しかしグローバル・ヘルス(世界保健)への認識は不足している。「他国よりまし」「自国が良ければ」との考えではいけないのではないか。

 こんな例え話をすることがある。私たちの診察室には見えない壁がある。この壁に小さな穴を開けてみるといい。その向こうには、難攻不落の山々と底の知れない谷々がある。それらは紛争や貧困などに起因する健康や医療に関わる多種多様な難題などを意味する。日々の身近な診療とグローバル・ヘルスが連続したとき、国内の課題がよりしっかり見えるようになる。

 外国に出て行かなくてもいい。見えない壁の向こうの医療課題と日本の医療課題は、強く連関している。例えば、貧困で劣悪な環境の国で発生した新型感染症は、その国の問題では終わらない。わが国も例外ではない。境界を越えることで世界の潮流を知り、現実的で新しい日本のプライマリ・ケアの在り方を大胆に議論することができる。身近な課題と世界の課題とをつなぐ力量が、これからの医師には求められている。

 【略歴】1949年、福岡県久留米市生まれ。久留米大医学部卒の内科医。福岡県小郡市で医師会活動の後、NPO法人で地域の健康増進活動に取り組む。2012年6月から日本プライマリ・ケア連合学会理事長。父は医師で詩人の丸山豊。



http://www.medwatch.jp/?p=16988
内科などの有床診療所、より柔軟に介護サービス提供可能に―中医協総会(2)
2017年11月20日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 有床診療所は、専門的な医療サービスを効率的に提供する「専門医療提供モデル」と、主に地域医療を提供する「地域包括ケアモデル」に大別できる。後者の「地域包括ケアモデル」の有床診療所は、入院医療と介護サービスとを組み合わせて運営する方が安定的に経営できると考えられることから、介護サービス提供をより柔軟に認めてはどうか―。

 11月17日の中央社会保険医療協議会(中医協)・総会で厚生労働省は、このような案を示しました。主な標榜科が内科や外科の有床診療所をめぐっては、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの減少を見越して【医療・介護の併用モデル】への転換を促す必要性が指摘されています。来年度(2018年度)の診療報酬・介護報酬の同時改定では、診療報酬で新規参入などへのインセンティブが設けられる一方で、介護報酬の算定要件などの緩和が図られそうです。なお、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の新規指定を促す具体案は既に、社会保障審議会・介護給付費分科会で検討されています。

ここがポイント!
1 地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所
2 空床を介護サービスに利用して安定経営に
3 短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論
4 身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に
5 食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

地域包括ケアで果たす機能が評価されるも、減り続ける有床診療所

 1996年には全国に2万452施設あった有床診療所(19床以下の病床を持つ医療機関)ですが、減少傾向が続いています。最新の調査(2017年8月末概数)では7342施設で、約20年の間に6割程度まで減っています。その病床数も、1996年には計24万6779床ありましたが、最新の調査では10万床を割っています(計9万9737床)。

 しかし有床診療所は、地域で急変した患者の受け入れに加え、看取りや在宅医療の提供などの多様な機能を担っており、国が2025年を目途に構築を目指す地域包括ケアシステムでも、重要な役割を果たすと考えられます。そこで2014年度の診療報酬改定では、有床診療所入院基本料が、「看護職員の配置人数」に応じた3区分から、「看護職員の配置人数」と「地域包括ケアシステムの中で果たす機能」(11の機能中2以上を担えば評価)に応じた6区分へと見直されました。

2014年度診療報酬改定で、有床診療所入院基本料は3区分から6区分へと見直された(図略)

 例えば看護職員が7人以上いる有床診療所では、通常は【有床診療所入院基本料4】(14日以内の点数は1日につき775点)を算定しますが、例えば、「急変時の入院件数6件以上」「院内での看取り2件以上」をそれぞれ過去1年に行っていれば“機能強化型”の有床診療所と見なされ、【有床診療所入院基本料1】(同861点)を算定できます。
 さらに、2016年度の前回診療報酬改定では、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】(1日につき5点)が創設され、“機能強化型”の有床診療所で、さらに在宅復帰率などが一定の基準以上なら上乗せで評価されるようになりました。

 それでもなお、有床診療所の減少傾向が続いているわけですが、有床診療所入院基本料の実際の算定状況(2016年6月審査分)を見ると、“機能強化型”であることを評価する入院料(【有床診療所入院基本料1】など)が8割超を占めています。一方、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】が有床診療所入院基本料と併算定される割合は、19.5%にとどまっています。

空床を介護サービスに利用して安定経営に

 こうした状況を踏まえて厚労省は、11月17日の中医協・総会で、有床診療所が地域で果たしている役割と診療科の関係を分析した結果を示しました。

 具体的には、2015年度の「病床機能報告」で、有床診療所が自己申告した役割と主な診療科の関係を調べた結果、【内科】や【外科】の有床診療所では、「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療」などを選ぶ割合が高く、その一方で【産婦人科】や【眼科】、【耳鼻咽喉科】の有床診療所は「専門医療」、【整形外科】の有床診療所は「専門医療」や「緊急時対応」「在宅・介護施設への受け渡し」を選ぶ割合が、それぞれ高いことが分かりました。

主とする診療科によって、有床診療所の機能に違う傾向が見られた(図略)

 5つの役割のうち「在宅医療の拠点」や「在宅・介護施設への受け渡し」は、地域包括ケアシステムの中で特に重要だと考えられます。そこで厚労省は、【内科】や【外科】などを標榜する「主に地域医療を担う=地域包括ケアモデル」と、【眼科】や【耳鼻咽喉科】を標榜する「主に専門医療を担う=専門医療提供モデル」の2パターンに、有床診療所を大別できるのではないかと指摘しました。

内科や外科を標榜する「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、主に入院料などで収益を上げることから、空床が経営状態に及ぼす影響が特に大きいと考えられた(図略)

 「専門医療提供モデル」の有床診療所が手術や検査で収益を得ている一方で、入院料が主な収益となる「地域包括ケアモデル」の有床診療所では、高い病床稼働率を維持できないと安定的な経営は難しくなります。ここで、空床を利用して介護サービスを提供できれば、稼働率の低さをカバーできます。実際、日本医師会総合政策研究機構の調査によれば、「介護収入あり」の方が、経常利益率が高いことが分かっています。
 そこで厚労省は、▼「専門医療提供モデル」ではない有床診療所が介護サービスも提供する「地域包括ケアモデル」へ転換することを推進する▼介護サービスを既に提供しでいる有床診療所の評価を見直す―方向性を示しました。診療側・支払側双方の委員が賛成しています。

短期入所療養介護などの基準緩和も介護給付費分科会で今後議論

 このように介護サービスを提供する有床診療所には、診療報酬でインセンティブが与えられる見通しですが、介護サービスの指定基準(居室の床面積や介護職員配置)を満たすのが厳しいままでは新規参入が進まない可能性もあります。

 その緩和については、社会保障審議会・介護給付費分科会で話し合います。看多機については既に、▼利用者専用の宿泊室として1室を確保すれば、残りを診療所の病床を届け出ることを可能とする▼法人でなくても指定を申請できるルールに見直す(診療所は個人開業が4割)―といった具体案が示されています。11月17日の中医協・総会では、厚労省老健局老人保健課の鈴木健彦課長が、短期入所療養介護などについても今後、議論すると説明しました。

 気がかりなのは、厚労省が「地域包括ケアモデル」の具体例として、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」まで示した点です。地域の医療資源や医療ニーズによっては、そうした転換が必要なケースもあり得ますが、無床診療所になる決断を入院料で後押しできるのでしょうか。

厚労省は「有床診療所の地域包括ケアモデル」の例に、「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」も挙げた(図略)

 この点、精神病床には【地域移行機能強化病棟入院料】(2016年度診療報酬改定で創設)があり、いわば「計画的に精神病床を削減することを条件に、高い報酬を与える」ものです。有床診療所が「無床診療所と介護サービスの組み合わせ」へと移行するインセンティブも、こうした「病床数削減と引き換えに、報酬算定を可能とする」仕組みが考えられるかもしれません。
 そのほか【有床診療所入院基本料】をめぐっては、【有床診療所在宅復帰機能強化加算】の見直し案も示されています。高齢患者の入院期間が長くなることを踏まえて、有床診療所が「在宅医療を受ける高齢患者」を多く受け入れているなら、施設基準(平均在院日数60日以内など)のハードルを下げるようです。

 また厚労省は、在宅療養する患者を、在宅主治医との連携の下で、本人や家族の希望に基づき有床診療所で看取る場合の「取り扱い」の見直しも提案しています。これについては、機能強化型の在宅療養支援診療所などの施設基準になっている「在宅での看取り」件数の実績に、「最期の最期で入院してしまった」患者を含めるかどうかが中医協・総会で既に議論されています。

身体障害者等級「不明」の肢体不自由患者の入院基本料が論点に

 11月17日の中医協・総会では、【障害者施設等入院基本料】と【特殊疾患病棟入院料】、【特殊疾患入院医療管理料】の見直しも論点に挙がっています。厚労省は、「重度の肢体不自由」で、さらに身体障害者等級が「不明」か「非該当」の患者の評価を見直す方向性を示しました。

 【障害者施設等入院基本料】などをめぐっては、2016年度の前回改定でも、入院患者が「重度の意識障害(脳卒中の後遺症の患者に限る)」で、医療区分1か2に相当するなら、算定する入院基本料の点数を低くする報酬体系に見直された経緯があります。「重度の肢体不自由」の患者も来年度(2018年度)の次期改定で、同様の評価体系へと見直される公算が大きいです。

食事療養(II)、流動食の場合の金額を引き上げ

 また11月17日の中医協・総会で厚労省は、「入院時食事療養費」の見直し案も示しました。「入院時食事療養費」は入院中の食事療養の対価ですが、2016年度の前回改定で、「市販の経腸栄養用製品(流動食)のみを経管栄養法で提供する場合」の金額が引き下げられた経緯があります(薬価収載された製品を用いる場合よりも高かったため)。

 医療保険財政が厳しい中、さらなる引き下げを求める声もありましたが、患者1人1日当たりの給食部門の収支を厚労省が調べた結果、2004年の前回調査時と比べて悪化していました。

 そこで厚労省は、さらなる引き下げは行わない方向性を示し、さらに【入院時食事療養(II)】(栄養士らが食事を提供するといった基準を満たさない場合に算定、【入院時食事療養(I)】より低い)の「流動食のみを経管栄養法で提供する場合」の金額を、1食につき5円高くしてはどうかと提案しました。

 流動食を提供して算定する【入院時食事療養(II)】は現在、1食455円です。一方、食事療養費のうち患者が自己負担する額は、「食材費」相当から「食材費+調理費」相当へと見直され、来年度(2018年度)から1食460円になります。1食455円のままだと患者の自己負担分を下回ることから、理論上「患者が食事提供を受けるたびに、保険者に5円を支払わなくてはいけない」ことになります。こうした不合理を解消するために、【入院時食事療養(II)】を同額にするのが厚労省の提案で、これに対する反対意見は出ていません。




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注目の記事 [改定速報] 一般病棟入院料を実績に応じた段階評価に再編 中医協・総会
中央社会保険医療協議会 総会(第373回 11/24)《厚生労働省》
発信元:厚生労働省 保険局 医療課   カテゴリ: 30年度同時改定 診療報酬 医療制度改革
2017年11月24日(金) Wic-Net

関連資料
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今回のポイント
●厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を提示
○7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え
○過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認めることも提案。DPCで算出した場合の該当患者割合のほうが約5%低く出ることがわかっており、導入に際してはDPCデータを選択した場合の該当患者割合基準の設定が論点になる



 厚生労働省は11月24日の中央社会保険医療協議会・総会に、【7対1、10対1一般病棟入院基本料】を看護配置などに応じた基本的な評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた評価体系に再編成する案を示した。7対1から10対1へのスムーズな移行を促すことが目的で、7対1と10対1の中間的水準の評価を新設し、看護配置を7対1から下げても、大幅な収入減につながらないようにする考え。支払側・診療側とも基本的な方向性には賛意を示したものの、診療側は2018年度改定からの導入には難色を示した。

 今後、人口構造が大きく変化するなかで、74歳以下の患者が多い7対1病棟の入院患者数は、減少が見込まれる。厚労省はこれまでも7対1から10対1への転換促進策を講じてきたが、7対1(1,591点)と10対1の最も高い加算(看護必要度の該当患者割合24%)を取得している場合(1,387点)を比較した場合でも約200点の格差があることなどが障壁となり、未だ十分な成果をあげていない。厚労省の試算によると200床の病院で7対1から10対1に転換した場合、年間約1.2億円程度の収入減になるという(p133参照)。

 現在の報酬体系で、10対1は入院基本料に「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の該当患者割合に応じた加算が載り、7対1は該当患者割合基準(25%以上)を満たせない場合は報酬自体が算定できない仕組みになっているが、厚労省はこれを統一し、看護職員配置等に応じた基本部分の評価と、診療実績に応じた段階的な評価を組み合わせた報酬体系に再編するイメージを示した。7対1と10対1の中間的な区分を追加した3段階の評価とし、実績に応じた評価の最も高い部分は、急激な変化で現場が混乱することがないよう、現在の7対1看護職員配置をそのまま適用するとした(p134~p135参照)(p147参照)。

◆医療機関の選択制で該当患者割合の判定へのDPCデータ活用を提案

 看護必要度の該当患者割合の判定にDPCデータを活用することも提案。過去の実績などで一定の基準を満たす医療機関が自ら希望する場合は、看護必要度に代えてDPCデータのEF統合ファイル(出来高点数情報)で該当患者割合を算出することを認める。ただ、厚労省が看護必要度とは明らかに表現や規定が異なるDPCデータ項目を除いて追加分析したところ、看護必要度で算出した該当患者割合(28.8%)とDPCデータで算出した値(23.3%)には約5%の開きがあり(p112~p113参照)、導入に際してはDPCデータを選択した場合の基準値を別途検討する必要がある。DPCデータの提出が要件化されている7対1と200床以上の10対1の一般病棟については、Hファイル(看護必要度データ)を該当患者割合の判定や確認に活用することを提案した(p146参照)。

 看護必要度では、▽B項目の認知症・せん妄に関連する項目に該当し、A項目1点以上を併存する患者は該当患者に追加する▽A項目の救急搬送後入院(2日間)を【救急医療管理加算】の算定対象患者(2日間)に見直す▽C項目の開腹手術の所定日数を短縮-の3点について検討を求めた(p146参照)。

◆【救急・在宅等支援病床初期加算】を入院前の居場所で区分、地ケア病棟

 【地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料】では、自宅などから受け入れた患者と、急性期後の入院患者では医療の内容が異なる点に着目。【救急・在宅等支援病床初期加算】の評価を入院前の居場所で2つに区分する案を示した。地域包括ケアシステムの構築に貢献できるよう、在宅医療や介護サービスの実績を評価に加味することや、訪問系サービスの提供を届出要件の選択肢の1つに位置づけることも検討課題にあげた(p189参照)。

 病棟の種類によって異なる在宅復帰率の算出方法では、▽自院の他病棟への転棟患者は評価対象(分子)に含めない取り扱いにする▽【在宅復帰機能強化加算】有りの場合だけが評価対象になっている退院先は、加算なしの退院先も評価対象(分子)に含める取り扱いにする▽見直しの影響が検証できるように自宅などへの退院患者と、ほかの医療機関への退院患者とを区別した内容で報告を求める-ことを論点として示した。地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟については、基準値を引き上げることを提案。在宅復帰率の退院先としての介護医療院の取り扱いについても検討を促した(p198参照)。

◆【救命救急入院料1、3】等でも看護必要度測定を算定要件化へ

 【救命救急入院料1、3】と【脳卒中ハイケアユニット管理料】は、看護必要度の測定を算定要件化する考えを示した。【特定集中治療室管理料】に関しては、▽アウトカム評価に役立つ項目として、DPCデータの中に入室時の患者の生理学的スコアの記載を求める▽重症患者のケアに関する研修を受けた看護師の配置を要件化▽治療室に備えるべき器具・装備について、救命装置などの室内に備えるべきもの以外は共用を認めるなど、医療機関の構造や管理体制に合わせた柔軟な保有が可能になるように要件を見直す-などの検討を提案した(p174参照)。

 【7対1、10対1一般病棟入院基本料】の見直しで、方向性については大方の委員が賛同したが、診療側委員は2018年度改定からの実施は拙速との見解を示した。猪口雄二委員(全日本病院会長)は、「来年は手挙げ方式で導入するなどして、時間をかけて検証していくことが必要。従来の基準も選択できるように従来型も残すべき」と主張。菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)も、「慎重な検討が必要で今回の改定での導入は難しい」と述べた。
 一方、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)と幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は評価体系の再編に合わせて、7対1における看護必要度の該当患者割合基準を現在の25%以上から30%以上に引き上げることを要求。診療側の委員は「30%は有り得ない。現場で大混乱が起こる」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)などと強く反発した。
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資料1 P1~P44 3.5M
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資料2 P45~P70 11.0M
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資料3 P71~P198 9.1M
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関連資料
[改定速報] 療養病棟のデータ提出、一定規模以上で要件化 中医協・総会1
http://www.wic-net.com/report/3150/1.html



https://www.m3.com/news/iryoishin/570955
2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)、ほぼ了承
地域包括ケア、働き方改革、薬価制度抜本改革などが柱

レポート 2017年11月24日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月24日の社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)に、2018年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)を提示、各論での幾つかの指摘や意見は出たが、おおむね了承を得た。医療部会の次回開催予定は12月6日で、社保審医療保険部会でも並行して議論しており、12月の第一週には基本方針が決定する見通し(資料は、厚労省のホームページ/ (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185877.html ))。

 基本方針(骨子案)は、「改定に当たっての基本認識」「改定の基本的視点と具体的方向性」「将来を見据えた課題」から成る。「改定の基本的視点と具体的方向性」の柱は下記の5つ。

1.地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進(重点課題)
2.新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療の実現・充実
3.医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
4.効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上


 重点課題に掲げられたのは、「1」で、地域包括ケアシステムの構築に向け、地域間の多職種連携、適切な役割分担に基づく医療・介護サービスの提供、かかりつけ医・かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の評価などを盛り込んだ。

 社会的に重要課題となっている「働き方改革」も今改定の重要なテーマで、チーム医療等の推進、ICTの活用などを進める。ICTを活用した遠隔医療は、政府の「未来投資戦略2017」で提言しており、今改定の注目点の一つだ。

 「4」の関連の目玉は、11月22日の中医協で厚労省案が提出された、薬価制度の抜本改革だ(『長期収載品は「後発品」まで段階的引き下げ、薬価制度改革案』を参照)。その他、入院医療では機能分化、外来医療では機能分化や生活習慣病対策、医薬品の適正使用、効率性等に応じた薬局の評価などが掲げられた。

 医療部会では、既に基本方針について既に2回議論しており、方針には異論はなかったが、各論で幾つか指摘や意見が出た(『「必要な財源確保が改定の大前提」、中川日医副会長』を参照)。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、地域包括ケアシステムの推進に当たっては、24時間365日体制の救急医療体制の確保が重要であるとし、それを担う一般病院の評価を盛り込むよう提案。

 働き方改革の観点では、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏が、労働基準監督署が、病院に対し、医師の時間外労働に対して是正勧告を出すケースが相次いでいることを挙げ、労働基準法改正という将来の問題ではなく、「足元の問題」への対応の必要性を指摘した。

 複数の意見が出たのは、調剤薬局について。骨子案では「薬局の収益状況、医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、いわゆる門前薬局・同一敷地内薬局の評価の適正化を推進」と記載。日本精神科病院協会会長の山崎学氏や加納氏からは、「院内処方と院外処方では、技術料が3倍違う。それだけの負担を患者に課しているのであり、その違いに相当するサービスを提供しているのか」(山崎氏)などと指摘した(『「院外処方、なぜ院内の3倍の技術料か」、疑問の声』を参照)。

 これに対し、参考人として出席した、日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、日薬の調査では、処方せんの3%に疑義照会が発生し、うち75%では処方変更に至ったなど、医薬分業が医療安全に寄与している実態などを説明。さらに調剤技術料について、「医療経済実態調査で経営実態を見ながら、中医協で決定されている」とも付け加えた。

 そのほか、記載の追加としては、経団連常務理事の井上隆氏は、「経済成長や財政健全化との調和」もしくは「制度の持続可能性」との文言を入れるよう要望。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「将来を見据えた課題」で、「予防・健康づくりやセルフケア・セルフメディケーションの推進」とある部分で、「セルフメディケーション」の削除を要求した。



http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=57248?site=nli
地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(1)-都道府県はどこに向かおうとしているのか
生活研究部 准主任研究員 三原 岳
2017年11月24日ニッセイ基礎研究所

■要旨

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携を意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性が明確になるほか、政策の目的について、国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

■目次

1――はじめに
2――地域医療構想の概要
  1|地域医療構想とは何か
  2|地域医療構想の進め方
3――2つの目的が混在
  1|病床削減の目的
  2|切れ目のない提供体制の構築という目的
4――病床削減に消極的な都道府県
  1|「必要病床数=削減目標」を否定
  2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
  3|かかりつけ医や総合診療医に言及
  4|地元医師会との協調・連携
5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~


1――はじめに

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年に向けて、地域の医療提供体制を構築するための議論が現在、都道府県を中心に進んでいる。これは2017年3月までに各都道府県が医療計画の一部として策定した「地域医療構想」に基づいた議論であり、各都道府県は地域の医師会や医療関係者、介護従事者、市町村、住民などと連携・協力しつつ、地域の特性に応じて急性期の病床削減や回復期病床の充実、在宅医療等(1)の整備などを進めることが求められている。

しかし、地域医療構想の目的はあいまいである。国は表面上、「病床削減による医療費適正化」の目的を否定しつつ、介護や福祉との連携も意識した「切れ目のない提供体制の構築」を重視しているが、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)や財政当局は医療費適正化策の一環として位置付けており、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在している中、国と都道府県の間で認識ギャップが見られる。

本レポートは全4回で地域医療構想の制度化プロセス、都道府県の対応を検証することで、地域医療構想を読み解くことを目的とする。第1回は地域医療構想を読み解く総論として、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検討した上で、国の議論が(1)に傾いていることを指摘するほか、各都道府県が策定した地域医療構想の文言を検証することを通じて、都道府県が(1)よりも(2)を重視している点を考察する。こうした検証を通じて、都道府県が向かっている方向性を明確になるほか、政策の目的について国と都道府県の間で認識ギャップが生まれている可能性が浮き彫りになると考えている。

第2回以降に関しては、「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを使いつつ、都道府県に期待する役割や対応を論じたい。

注釈-------
1 「在宅医療等」には介護施設や高齢者住宅での医療も含まれているが、本レポートでは煩雑さを避けるため、在宅医療と表記する。



2――地域医療構想の概要

1|地域医療構想とは何か
まず、地域医療構想の概要を検討する。地域医療構想は「病床の機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされ、医療計画の一部として都道府県が策定した。
表1:地域医療構想に盛り込まれた病床数
11255.jpg

具体的には、患者の受療行動や人口動向、高齢化の進行などを加味しつつ、2次医療圏を軸とした「構想区域」ごとに高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの病床機能について、現状と2025年の需給ギャップを明らかにし、在宅医療の充実を含めて課題解決の方策を考えることに主眼を置いている。
今年3月までに全ての都道府県で構想が出そろい、合計の病床数は表1の通り、全国的には高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足するという結果となった。これは厚生労働省令で定めた数式に基づいた一つの推計に過ぎず、将来を反映しているとは限らない。さらに、病床機能報告は医療機関の申告ベース、必要病床数は一定の数式に基づいて計算されている違いがあるため、比較する際には留保が必要である。

しかし、大きな方向性が可視化された意義は大きく、構想に盛り込まれたデータや内容をベースにしつつ、各地域で2025年を意識した医療提供体制の構築に向けた議論が進む予定である。

議論の場として期待されているのが「地域医療構想調整会議」(以下、調整会議)である。これは構想区域ごとに設置される会議体であり、地域医療構想に盛り込まれた病床データや施策などを基に、2025年を見据えた提供体制改革について、都道府県や地元医師会、病院関係者、介護関係者、市町村などが各地域で合意形成を進めることが想定されている。

2|地域医療構想の進め方
具体的なイメージを持ってもらうため、人口当たり病床数が最も多い高知県を事例に考えよう。高知県は「安芸」「中央」「高幡」「幡多」の4つの構想区域に分かれており、病床数は次ページの表2の通りとなった。
表2:高知県の地域医療構想に盛り込まれた病床数
11256.jpg

このうち、人口が最も多い高知市を中心とした中央区域では高度急性期と急性期、慢性期が余剰、回復期が不足という結果になり、高度急性期と急性期の削減、回復期の充実、慢性期の削減と在宅医療の整備が求められることになる。そして、こうしたテーマを話し合う場として、県全体をカバーする調整会議と、各区域で調整会議が設置されており、地元医師会や介護従事者、市町村関係者などで構成する調整会議のメンバーが課題解決策などを話し合うことになる。

さらに、地域医療構想を進める手段として、2014年度から都道府県単位に「地域医療介護総合確保基金」(以下、基金)が創設された。使途としては(1)地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設・設備の整備、(2)居宅等における医療の提供、(3)地域密着型サービスなど介護施設等の整備、(4)医療従事者の確保、(5)介護従事者の確保――に関する事業とされ、社会保障目的で引き上げられた消費税を活用する形で、国が3分の2、都道府県が3分の1を負担している(2)。

協議だけで達成が難しい場合の手段として都道府県知事の権限も強化された。具体的には、医療機関が過剰な医療機能病床に転換する場合、都道府県知事は転換の中止を要請(公的医療機関の場合は命令)し、これに従わない時、医療機関名の公表、補助金交付対象からの排除などを講じることができる。

注釈-------
2 2017年度予算の規模は医療分904億円、介護分724億円。



3――2つの目的が混在

1|病床削減の視点
ただ、地域医療構想の目的はあいまいである。厚生労働省は「病床削減のツールではない」と繰り返し強調しており、内閣官房に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が2015年6月に病床数を試算した際も、メディアが「◎◎床削減」などと伝えると、3日後には都道府県宛に「単純に『我が県は◎◎床削減しなければならない』といった誤った理解とならないようにお願いします」という通知を出した(3)。

しかし、地域医療構想で語られているのは病床数であり、在宅医療に関しても「慢性期に入院する軽度患者の70%程度が在宅医療等に移行する」などの前提に立っているに過ぎず、病床に関心が向かいがちである。

こうした考え方が最も表れているのは2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書である。ここでは病床を「川上」、受け皿となる地域を「川下」」と形容しつつ、「急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入」「入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現」「受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実」と強調しており、病床を削った後に余った患者を在宅や地域で引き取る発想に立っているのは明らかである。

中でも、患者7人に対して看護師1人を配置する入院基本料要件を満たした急性期病床(いわゆる7:1要件)を圧縮したい思惑があったのは間違いない、政府は2006年度診療報酬改定に際して、7:1要件病床に対して報酬を手厚くしたが、手厚い報酬を期待した医療機関が国の予想以上に7:1要件を多く満たしたため、医療費を増やす原因となり、政府は急性期の圧縮を検討するようになった。

しかも、この考え方は10年ほど前から論じられていた。例えば、2008年6月の社会保障国民会議中間報告では、「過剰な病床の思い切った適正化と疾病構造や医療・介護ニーズの変化に対応した病院・病床の機能分化の徹底と集約化」と指摘していたほか、同様の文言は2008年11月の最終報告と2009年6月の安心社会実現会議報告、民主党政権期に取りまとめられた2011年7月の「社会保障・税一体改革成案」、2012年1月の「社会保障・税一体改革素案」に継承されており、約10年の歳月を経て制度化された経緯がある。

さらに、政府が2016年末に改定した「経済・財政再生計画改革工程表」でも「医療介護提供体制の適正化」として地域医療構想を位置付けており、今年6月に閣議決定された骨太方針でも市町村国民健康保険の都道府県単位化(4)や医療費適正化計画(5)とのリンクを意識しつつ、「都道府県の総合的なガバナンスを強化し、医療費・介護費の高齢化を上回る伸びを抑制しつつ、国民のニーズに適合した効果的なサービスを効率的に提供する」という文言を用いることで、都道府県主導による医療費適正化に期待している。

注釈-------
3 2015年6月18日、厚生労働省医政局地域医療計画課長の名前で各都道府県衛生担当部長に示された「6月15日の内閣官房専門調査会で報告された必要病床数の試算値について」という通知。
4 慢性的な財政赤字に苦しむ市町村国民健康保険の財政を安定化させるため、財政運営を都道府県単位とする改革。
5 2008年度から導入され、国と各都道府県が策定する計画。平均在院日数の削減、特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)の実施が主な目的で、都道府県計画は5年に一度改定される。次期計画から周期は6年に変わる。


2|切れ目のない提供体制の構築という視点
では、厚生労働省が病床削減による医療費適正化という目的を否定しているのはなぜだろうか。

それは制度化プロセスにおける日本医師会との調整が影響している。

厚生労働省は2011年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)医療部会で、人員配置や構造基準をクリアした病床を急性期として認定する「急性期病床群」(仮称)の新設を提案した。これは急性期について国の要件に従わなければ急性期と見なさず、単価の高い診療報酬も渡さない意図だったが、日本医師会は「急性期医療をできなくなる地域が生まれる」と懸念した。

さらに厚生労働省は2012年4月、急性期病床の登録制度を提案したが、これにも日本医師会は実質的に認定と変わらないと反対した。その理由について、日本医師会副会長は雑誌の対談記事で、急性期病床に医療資源を集中する方針が示されたことについて、「急性期だけでなく慢性期・在宅まで切れ目なく(注:提供することが)大事であって優劣はないと一貫して主張した」とした上で、急性期病床の認定制度には「認定される施設とされない施設では診療報酬で大きな差がつき、特に地方では急性期医療が提供できなくなると反対した」、登録制度には「登録でも要件があるはずだから認定と変わらないと(注:反対した)」と明らかにしている(6)。

その後、日本医師会は2012年5月、対案を示した。対案では、(1)各医療機関が担っている機能について、都道府県に情報を提供する仕組みを創設、(2)都道府県は情報を活用し、医療提供者の主体的な関与の下、地域の実情を踏まえた提供体制を検討する、(3)都道府県は報告の仕組みを通じて得られた情報を住民、患者に示し、医療提供者、行政、地域住民、患者とともに、地域に実情に合った提供体制を作り上げる―といった内容であり、現在の制度に至っている。

こうした経緯を見ると、日本医師会との調整プロセスを経て、「病床削減による医療費適正化」という当初の目的が薄まるとともに、「切れ目のない提供体制の構築」という目的が加わったことが分かる。

注釈-------
6 『病院』74巻8号p535における中川俊男日本医師会副会長の発言。


4――病床削減に消極的な都道府県

1|「必要病床数=削減目標」を否定
では、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制の構築」という2つの目的が混在しているとして、どちらの目的を都道府県は重視したのだろうか。結論から言うと、後者の「切れ目のない提供体制構築」を重視している。

まず、都道府県のスタンスは必要病床数について表れている可能性が想定される。もし都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視しているのであれば、必要病床数を一つのターゲットとして、削減の姿勢や努力を見せることが予想されるためだ。

図1:必要病床が削減目標ではないと明記したかどうか
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だが、地域医療構想の文言を精査すると、図1の通りに29道府県が「強制的に削減しない」「機械的に当てはめない」などの表現を用いつつ、必要病床数が削減目標ではないことを明示していた。この背景には、必要病床数を削減目標と位置付けないように要請していた日本医師会に対する配慮があったと推察される。日本医師会は必要病床数を削減目標ではない旨を明記していない構想が見られる点を問題視していた(7)。

こうした中、地元医師会を中心とする医療機関関係者との関係が悪化すると、切れ目のない提供体制の構築というもう1つの目的達成が困難になるため、都道府県が病床削減に消極的だった様子が窺え、病床削減に向けた都道府県の主導性を求める政府とは明らかに異なるスタンスを取っていたことになる。この点については、強化されたとされる知事の権限についても、11道府県が言及していたに過ぎなかったこととも符合する。

むしろ、近年の診療報酬改定では、医療機関が7:1要件を取得する際の条件を厳格にしている(8)ため、急性期の病床数については、地域医療構想に基づく調整よりも、報酬改定の影響を大きく受けることが予想されている。こうした状況の下、都道府県としては診療報酬改定の結果と影響を見極めようという機運が強かったと考えられる。

注釈-------
7 例えば、日本医師会の常任理事は「地域医療構想では将来の病床の必要量が注目されがちであるが、重要なことは将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされていくことである。病床の必要量は全国一律の計算式で機械的に計算されたものに過ぎない」と指摘していた。2016年9月20日『日医News』。
8 7:1要件を取得する際、患者の医療・看護度などを評価するいくつかの条件をクリアする必要があり、2016年度報酬改定では手術や受け入れ患者に関する条件を追加することで、取得を難しくするように厳格にした。2017年10月25日の財政制度等審議会では、一層の厳格化が論じられている。



2|国保改革や医療費適正化とリンクさせず
都道府県が「病床削減による医療費適正化」という目的を重視している場合、2018年度の市町村国保の都道府県単位化や、医療費適正化計画の改定との関係を意識することが考えられる。前者は財政運営の責任主体、後者は医療費を抑制する主体として、いずれも都道府県の主導性発揮が期待された制度であり、地域医療構想との関係付けようとしているか探ることで、病床削減による医療費適正化に向けた都道府県のスタンスを把握できると考えられる。

そこで、各都道府県の地域医療構想を見ると、図2の通り、市町村国保の都道府県単位化に言及したのは奈良県と佐賀県の2県、医療費適正化計画に言及したのは10都府県にとどまり、3つを明確にリンクさせたのは実質的に奈良県だけだった。

奈良県の地域医療構想では「地域医療構想の策定は社会保障改革の一環であり、医療費適正化計画の推進や、国民健康保険の財政運営とともに都道府県が一体的に取組を進める必要があります」としている。こうした文言が盛り込まれた背景としては、3つの関係をリンクさせた改革を進めようとする荒井正吾知事のスタンスが影響している(9)が、こうした事例は現時点で極めて少数であり、その背景としては地元医師会や医療機関関係者の反発を恐れ、病床削減や医療費適正化を想起させるテーマを避けた可能性が高い。
図2:国保改革、医療費適正化計画の言及があったかどうか
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注釈-------
9 荒井知事は2015年9月のシンポジウムで、「(筆者注:地域医療構想、医療費適正化計画、市町村国民健康保険の都道府県単位化の)3つは関係している。高度医療、看取り、終末期医療、頻回受診、頻回薬剤投与など議論が進んでいない分野がある。地域でそのようなことを探求していくことも可能」と述べていた。『医療経済研究』Vol.28 No.1。



3|かかりつけ医や総合診療医に言及
では、「切れ目のない提供体制の構築」という点では、どんなスタンスが見て取れるだろうか。切れ目のない提供体制を構築する上で、在宅ケアなど住民の日常的なニーズに対応する医療が重要になるが、「川上」「川下」の言葉に代表される通り、地域医療構想は実質的に病床しか議論しておらず、いわば病床という医療提供体制のごく一部を議論することで、医療提供体制の全体を変えようとする欠点を持っている。

表3:かかりつけ医または総合診療医に関する言及 この点については、第4回で述べる予定だが、地域医療構想を策定した時点では受け皿となる医療サービスの充実について、都道府県に前向きな姿勢が見られた。
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具体的には、37都道府県が日常的な医療ニーズに対応する医師である「かかりつけ医」(10)または日常的な疾病やケガに対応する「プライマリ・ケア」(11)の専門医として全人的・継続的な医療を担う総合診療医に言及した。

両者の定義や役割などは第4回に詳しく述べることとしたいが、両者に期待する役割としては、表3の通り、(a)患者が病状に応じて適切な医療機関を選べるようにする支援、(b)疾病管理や生活習慣病対策を含めた予防医療、(c)在宅医療の充実、(d)病院・診療所連携、(e)医療・介護連携、(f)過疎地医療―などに整理可能であり、いずれも住民にとって身近な日常生活をカバーする医療が想定されている。

目的があいまいな地域医療構想が「病床数ありき」の議論に傾きがちな中、これらの記述は、切れ目のない提供体制の構築に向けた都道府県の積極的な姿勢と受け止めることが可能であろう。

注釈-------
10 日本医師会などが2013年8月に公表した報告書では、かかりつけ医の定義について、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義している。一方、総合診療医の中核的な能力としては、「人間中心の医療・ケア」「包括的統合アプローチ」「連携重視のマネジメント」など6点が挙がっており、両者の違いは必ずしも明確ではない。
11 日本プライマリ・ケア連合学会はプライマリ・ケアを「国民のあらゆる健康上の問題、疾病に対し、総合的・継続的、全人的に対応する地域の保健医療福祉機能」と定義している。詳細は第4回で述べる。



4|地元医師会との協調・連携
次に、地元医師会との連携という点で都道府県のスタンスを検証してみよう。都道府県が切れ目のない提供体制の構築を図ろうとする際、最初に配慮するのは地元医師会と思われる。先に触れた通り、日本の医療提供体制は民間中心であり、都道府県が構想を策定するだけでは実効性を持たず、現場で医療サービスの提供を担う地域の医師会との連携が欠かせない。

そこで、地域医療構想の策定プロセスに地元の医師会がどこまで参加していたか検証した。具体的には、(1)各都道府県の地域医療構想に出ている文言や資料、ウエブサイト(12)に掲載された議事録などを通じて、「実質的な検討の場」を設定(13)、(2)地域医療構想に限らず、医師会関係者は地域の医療政策に関する検討の場に必ず参加しているケースが多いことを考慮し、委員枠として確保されているかどうかではなく、医師会関係者が検討の場のトップに就いているかどうかを検証-といったプロセスを通じて、都道府県と各地域の医師会がどこまで共同歩調を取っていたかどうかを考察した。

さらに、(a)地域医療構想に掲載されている委員名簿、(b)名簿が掲載されていたとしても、トップが判別できない場合は議事録、(c)委員名簿が掲載されていない場合はウエブサイトの資料または議事録―をそれぞれ集計した。

その結果、検討の場のトップの氏名や所属先、肩書などが判明しなかった15府県(14)を除く32都道府県のうち、24都道県で医師会関係者がトップを務めていた(15)。以上を踏まえると、切れ目のない提供体制の構築に向け、地元医師会と連携・協力を図ろうとする都道府県が多かったことを指摘できる。

注釈-------
12 2017年3月31日現在のデータ。以下、同じ。
13 都道府県全域をカバーする専門的な検討組織(例:専門部会)を医療審議会の下に置いている場合、これを検討の場と見なし、その開催頻度が少ない場合、構想区域単位の会議を検討の場と位置付けた。
14 検討の場の議論に用いた資料や議事録の公表が不十分だったため、把握できなかった。
15 8つの構想区域のうち5構想区域で医師会関係者がトップだった秋田県も含む。



5――おわりに~国と都道府県の認識ギャップ~

以上、地域医療構想の制度化プロセスを振り返ることで、(1)病床削減による医療費適正化、(2)切れ目のない提供体制構築―という2つの目的が混在している点を検証するとともに、地域医療構想の内容を把握することを通じて、都道府県はどちらを重視していたのか考察してきた。

図3:地域構想医療を巡る国と都道府県の認識ギャップ
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その結果、全体的な傾向として、(a)必要病床数を削減目標としないことを明記、(b)市町村国保の都道府県単位化、医療費適正化とのリンクを避けた、(c)日常的な医療ニーズに対応する必要性に言及した、(ⅾ)地元医師会と連携・協力しつつ地域医療構想を策定していた―といった実態があり、「病床削減による医療費適正化」「切れ目のない提供体制構築の目的」という混在する目的のうち、都道府県は後者を優先している点を明確にした。

しかし、骨太方針2017の「都道府県の総合的なガバナンスの強化」という文言に代表される通り、経済財政諮問会議や財務省を中心とする国の議論は(1)に傾きがちであり、図3のように(2)に力点を置く都道府県の間に認識ギャップが見られる。

その一端は基金のスタンスに表れていると言える。財務省は基金の分配先について、回復期病床の充実など病床転換に繋がる使途に重点配分するよう求めており、これは(1)、特に急性期削減を重視していると言える(16)。

一方、都道府県のスタンスは異なる。近年の改定では7:1要件を厳格化しており、急性期の削減や回復期の充実は診療報酬改定の影響を受けやすい。こうした中、都道府県は2018年度改定の影響を見極めつつ、(2)を重視する観点に立ち、在宅ケアの整備や人材確保などに基金を使うことを期待している(17)。このギャップは2つの目的を混在させた結果であり、こうした認識ギャップは今後も制度の目標設定や進行管理の場面で一層、顕在化する可能性が想定される。

では、都道府県は今後どのような対応が求められるのだろうか。第2回以降は「脱中央集権化」(decentralization)、「医療軍備拡張競争」(Medical Arms Race)、プライマリ・ケアという3つのキーワードを用いつつ考察を深めたい。

注釈-------
16 財政制度等審議会が2016年11月に示した建議で、「病床機能の転換等に直接資するものに交付を重点化すべき」と求めた。
17 基金の使途については、大津唯(2017)「『地域医療介護総合確保基金』の現状と課題」『会計検査院』No.56が詳しい。同論文では「医療機能の分化・連携を進めるための医療機関の施設・設備整備など単年度会計になじみにくい事業と,医療従事者の確保のための国庫補助事業という異質のものを1つの基金に混在させたことは,妥当でなかった」と指摘している。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/375046/
県北調整会議で67病床承認 伊万里松浦病院 移転許可に見通し 12月、県医療審に諮問 [長崎県]
2017年11月22日 06時00分 西日本新聞朝刊

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)の松浦市への移転問題で、同市を含む2次医療圏「佐世保県北医療圏」の3回目の調整会議が20日、佐々町内であった。病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が病床数を67床に減らすことを伝えると同会議は了承。病床数についての特例措置申請に対する受け入れ地域の承認を得たことで、移転許可への見通しが立った。県は12月に開く県医療審議会に諮り、国との協議を進める。

 県北地域では病床数が国の基準を上回っており、病院を新設するには医療法に基づく特例措置の適用が必要で、JCHOは8月、県に適用認可を申請した。移転開設時の病床数を87床とする計画を打ち出していたが、県北医療圏の調整会議では病床数の多さや医師の確保などの課題が指摘され、12委員でつくる部会で議論を深めてきた。

 この日は調整会議に先立って開かれた2回目の部会で、JCHO側が「開院時の病床数を67とし、同市の医療の再編状況に応じて100床まで増やす」と説明し、調整会議も含めて了承された。そのほか365日24時間の救急医療体制や医師の確保、同市鷹島町や福島町の病床廃止に伴う受け皿の整備などについても了解を得た。

 同市の橋口忠美副市長は「県北という広い地域で承認が得られたことは開設に向けて大きな弾みとなり、喜ばしい。より良い地域医療の環境づくりを目指したい」と話した。



http://healthpress.jp/2017/11/post-3368.html
産婦人科医師はつらいよ!形成外科に次いで訴訟が多い!長時間労働で過労の医師も多数
2017.11.24 Health Press

 2004年、福島県立大野病院で妊婦が死亡し、担当医が2006年に逮捕(業務上過失致死などの容疑、不起訴)され、産婦人科界を震撼させた大野病院事件が発生した。

 日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会は、刑事訴追に対する意見書を発表し、懸念を表明。多くの産婦人科医師の心に深く刻まれる事件となった。

日本の周産期医療の安全性はトップクラスだが訴訟が多い

 産婦人科医師が訴訟に巻き込まれるリスクはどれくらいだろう? 産婦人科医師1000人当たりの訴訟件数は、形成外科7.1件、産婦人科4.8件。産婦人科は、全診療科で2番目に訴訟が多いことが分かる(平成28年 医事関係訴訟事件(地裁)の診療科目別訴訟件数)。

 なぜ産婦人科医師は、訴えられやすいのだろう?

 理由はいくつかある。胎児・新生児も妊産婦も若いため、死亡や後遺症による逸失利益が大きいこと、妊娠・出産は病気でないため、病気よりも過少評価されやすいこと、周囲の祝福・期待が強いため、受ける心理的な落差が大きいことなど、妊産婦や家族が納得しがたい不条理を感じやすいことから、提訴される確率が高まる。

 一方、日本の出生数10万人当たりの周産期死亡率は2.6人、妊産婦死亡率3.5人。諸外国と比較しても、日本は周産期死亡率、妊産婦死亡率ともに低く、日本の周産期医療の安全性は世界的にトップクラスにある(厚生労働省資料「周産期医療体制の現状について」平成24年)。

 ちなみに周産期は、妊娠22週から生後7日未満までの時期を指す。

1ヶ月の在院拘束時間305時間!1ヶ月の当直回数平均5.8回!

 このよう不条理な訴訟リスクを軽減するために2009(平成21)年1月にスタートしたのが「産科医療補償制度」だ。妊娠・出産の何らかのトラブルがあれば、過失の有無に関わらず一定額の補償金が妊産婦に支払われる。ただし、現在は脳性麻痺だけが保障対象だ。

 その後、産婦人科の訴訟件数は、やや減少したものの、水口病院事件(中絶後に死亡)、順天堂大学順天堂医院事件(無痛分娩による死産)などが発生。今なお産婦人科医師への不信感も、訴訟リスクも根強く残っている現実は変わらない。

 産婦人科医師が直面している課題は何か? その現状を見よう。

 産婦人科医師の1ヶ月の在院時間(通常の勤務時間+当直時間=職場の拘束時間)は305時間。過労死基準(月80時間の残業)をはるかに超えた勤務時間だ。産婦人科医師の1ヶ月当たりの当直回数は平均5.8回。内科3.2回、外科3.1回、救急科4.5回なので、産婦人科の当直の多さが分かる。交代制を導入している施設は全施設の6.4%のみ。交代要員の不在、24時間365日勤務は当然と考える無理解や偏見が交代制導入を妨げている。当直翌日の勤務緩和を導入している施設は23.1%に過ぎない。4分の3強の産婦人科医師は、日勤―当直―日勤の32時間連続勤務を強いられている。

 産婦人科医師の過剰勤務、多忙、人手不足が窺えるが、過労死する産婦人科医師もある過酷な現状も見なければならない。

女性医師が増えても、病院の受け入れ体制・環境が未整備

 しかし、さらに難題が横たわる。女性医師の増加と、受け入れる病院の対応の遅れだ。

 訴訟や激務の高リスクは、若い医師が産婦人科を敬遠する最大の理由だ。だが、分娩施設の産婦人科常勤医師に占める女性医師の割合は、2008年の30.6%から2014年の38.7%に高まっている。また、女性医師のうち妊娠・育児中の医師の割合も32.8%から52.3%に増加。

 一方、分娩施設での勤務医への妊娠・育児支援の状況を見ると、妊娠中に当直を軽減される女性医師は46.4%。育児中に当直を緩和・免除される女性医師は64.9%に上っている。ただし、病児保育は23.7%、24時間保育は22.9%に留まっているため、子どもの体調が悪くなれば休まざるを得なくなる、当直や時間外勤務が不可能になるなど、育児中の制約が大きい。つまり「妊娠・育児中の女性医師」は増えているものの、「勤務に柔軟に対応できる医師」はあまり増えていない。

 また、妊娠・育児中のために当直免除など勤務の軽減を受ける医師と軽減されない医師の間に、勤務時間や収入への不公平感も生じている。さらに、妊娠・育児中の勤務状況が制限される女性医師を病院が忌避する傾向もあることから、採用後に休職や休業などの勤務リスクの高い女性よりも男性が優先採用されるケースも少なくない。

 このように、産婦人科の女性医師が増加しても、病院の受け入れ体制や環境・制度の整備は大きく立ち遅れている。

 世界トップクラスの安全性を堅持する強い使命感。避けられない高い訴訟リスクと激務。この過酷な環境に立ち向かう献身的な医師たちに支えられているのが、日本の周産期医療の現実だ。

 このような産婦人科医師の勤務環境の改善を図ろうと、日本産科婦人科学会の医療改革委員会は、「産婦人科医療改革グランドデザイン 2015」を作成。地域基幹分娩取扱病院を新たに設定し、産婦人科医師の重点化・集約化を行ないつつ、主治医制の廃止、交代制勤務の実現をめざしている。

 何よりも最優先すべきことがある――。妊産婦と胎児・出生児を見守る産婦人科医師の人権を尊重しながら、産婦人科医師が永続的に活躍できる環境整備を急がなかればならない。

*参考:2015年1月に日本産婦人科医会が取りまとめたアンケート調査報告書
(文=編集部)



http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171123/mca1711230500004-n1.htm
厚労省、医師不足を「見える化」 都道府県の権限強化で、医師偏在の解消を目指す
2017.11.23 05:00 Sankei Biz

 医師が都市部などに集中する一方、足りない地域が生じている問題で、厚生労働省は22日、それぞれの地域で医師がどのくらい足りないかを評価する指標の導入を盛り込んだ対策骨子案を有識者会議に示した。医師の過不足について「見える化」を進め、都道府県の権限を強化することで、医師偏在の解消を目指す。

 厚労省は今後の有識者会議の議論も踏まえた上で、年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法と医師法の改正案を提出する方針。新指標では、現状の医師の配置や年齢のほか、将来の人口予測や年齢分布、地理的条件を加味し、医師の偏り度合いを算出。医師の派遣数の調整や財政支援などの対策に活用できるようにする。



https://www.m3.com/news/iryoishin/570740
医療従事者の需給に関する検討会
「新規研修開始の医師」が対象、へき地等勤務が管理者要件
「駆け込み開業」を懸念、無床診の規制は見送り

2017年11月22日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第15回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)は11月22日、前回会議に続き、「医師少数区域」での勤務経験を有する医師(認定医師)の評価の在り方や「外来医療機能の可視化」などについて議論した。これらは今年末に予定している医師偏在対策の取りまとめには入るが、前回会議で「駆け込み開業」が起きるなどの懸念が呈せられた「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」は見送られる見通しだ(前回会議については、『「医師少数区域」の勤務医師、厚労省が「認定」を検討』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省が「医師少数区域」で一定期間勤務した医師を認定、評価する仕組みは、若手とベテランを問わず、あらゆる世代を対象とする方針。認定制度自体が、「医療機関の管理者」として評価するなど、医師個人の一種のインセンティブとなるほか、認定医師を雇用する医療機関にとっても、認定医師を広告可能事項としたり、予算(地域医療介護総合確保基金など)や税制上の優遇措置などのインセンティブ付与を想定している。

 特に注目されるのは、「医療機関の管理者」としての評価。厚労省は「これからキャリアプランを考える人」という考えから、「施行日以降に臨床研修を開始する者」を対象とし、「認定医師」であることが、地域医療支援病院などの管理者(院長)の要件とすることなどを想定している。この制度の実現には、医療法改正が必要であり、厚労省は来年の通常国会に、他の医師偏在対策とともに医療法等改正法案の提出を目指す。早ければ、2019年度から臨床研修を開始する医師が対象になる見通しだ。

 もっとも、医師需給分科会の構成員からは、制度化自体には異論は出なかったものの、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、読売新聞医療ネットワーク事務局次長の本田麻由美氏らからは、「施行日以降に臨床研修を開始する者」とするのでは効果が現れるまでに時間がかかるとの指摘が相次いだ。全日本病院協会副会長の神野正博氏も、管理者要件とする案については、「あまりドライブしないと見た方がいい」と述べ、「認定医師にいかにインセンティブを付けるかがカギとなり、他のインセンティブで本当に医師少数地域に医師が行くようになるのか」と疑問を呈した。

 厚労省医政局総務課は、「管理者要件としての効果は先になるが、制度がスタートすれば、認定を受けるために一定程度の人が医師少数区域に行くようになると考えられるので、一定の即効性はある」との見解を述べた。

 そのほか22日の検討会では、「外来医療機能の可視化」、「無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組み」についても議論。

 「外来医療機能の可視化」は、外来医療における医師偏在の度合いを可視化し、医師自身が開業の是非を判断できるようにするのが狙い。NDBを用いた性・年齢調整標準化レセプト出現比(SCR)や医療機能情報提供制度などのデータ利用を想定。

 「開業する医師と受け入れ側の地域の医療事情のミスマッチが、外来医療の医師の偏在を生んでいる。これを避けるために、ある程度のメルクマールが必要」(医療法人ゆうの森理事長の永井康徳氏)、「政策情報として使うことができ、これは大きな一歩ではないか」(慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏)などの評価の声の一方、「保険医登録の規制くらいやらないと、偏在対策にならないという話で進めてきた。それがままならないということで、外来医療機能の可視化が出てきたが、これもドライブしないのではないか」(神野氏)との意見も出た。


医師需給分科会は、今年内に医師偏在対策をまとめる方針

 専攻医の1次募集状況、公表求める声
 さらに今年末の取りまとめに向け、厚労省は、過去の医師需給分科会の議論において、「制度改正の方向性について一定の合意を得たと考えられる医師偏在対策」を整理した(過去記事はこちら)。基本的な方向を支持する意見の一方、医師偏在対策としての実効性を疑問視する声が上がった。


1. 都道府県における医師確保対策の実施体制の強化
(1)「医師確保計画」の策定
(2)「地域医療対策協議会」の実効性確保
(3)効果的な医師派遣等の実施に向けた見直し
2.医師養成過程を通じた地域における医師確保
(1)医学部: 地元出身者枠の拡充/他県での地域枠の特例
(2)臨床研修: 地域への医師定着策/都市部集中の是正
(3)専門研修: 新専門医制度における行政の役割の明確化/診療科ごとの医師のニーズの明示
3.地域における外来医療機能の不足・偏在等への対応
 (前述の「外来医療機能の可視化」など)
4.その他


 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「全般的にはこの方向でぜひ進めてもらいたい」と述べつつ、専門研修について、「情報提供も必要だが、救急や産科などの医師不足分野に対し、報酬だけではないと思うが、現実的なインセンティブをもう一つ考えてもらえないか」と提案。

 永井氏は、「地域医療対策協議会」の実効性確保のため、(1)マッチング機能(医師不足地域と、その地域に行きたいと考える医師のマッチング)、(2)医師が疲弊しない体制作り(代替医師の確保など)、(3)教育研修機能(大学や県立病院などと協同した体制作り)――が求められるとした。さらに女性医師が増加する中、プライマリケアや在宅医療の領域などでは女性医師が適しているとし、交代制勤務の導入などの検討も必要だとした。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏からは、医師不足地域での勤務について、「診療報酬の仕組みを、思い切って変更できるのであれば、かなり有力なインセンティブになるのではないか」との意見も出た。

 一方で、岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「診療所の管理者要件」に関連付けた施策の必要性を指摘。山口氏も同様の指摘のほか、診療科偏在についても、将来の需要を可視化しても「不足診療科を選ぶ」などの行動変容には結び付きにくいとし、「今必要なところに、必要な医師が行くような仕組みが必要」と指摘した。

 医師不足の現状に対する受け止めに相違も見られた。日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、ここ数年間でも医療の現場は変わってきているとし、「(医師偏在対策が)即効性に欠けるという指摘は分かるが、まだ医師不足、偏在はあるものの、少しずつ前進している」とコメント。これに対し、神野氏は、「急性期医療や救急医療を担う病院経営の立場から見れば、誰に聞いても、悪くなっているという認識。医師数が増えているとしても、偏在していると言わざるを得ない。ある程度、強力な偏在対策をかけてもらわないと、地域医療は良くならない」と反論した。

 専門研修については、11月15日に新専門医制度の専攻医の1次登録が締め切られたことから、診療科別の応募数の公表を求める意見が相次いだ(『新専門医制度、1次登録は7989人、卒後2年目医師の約9割』を参照)。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、専門研修については、「将来の診療科別の医療ニーズを見据えて、適切に診療科選択ができる情報提供の仕組み」の構築に向け、国と都道府県が連携して進める方針であると説明。専攻医のデータについては、まず「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で議論する予定であるとした(『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。



http://www.medwatch.jp/?p=17060
医師少数地域での勤務、病院管理者要件や税制優遇などで評価してはどうか—医師需給分科会
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師少数地域での一定期間以上の勤務経験」を、例えば地域医療支援病院の管理者(院長など)要件に据えたり、そうした経験を持つ医師を雇用する医療機関に、税制上の優遇や予算措置などを行ってはどうか―。

 11月22日に開催された医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」で、こういった制度の創設に向けた議論が進められました(関連記事はこちら)。今後、「医師少数地域」をどことするか、「一定期間」をどの程度とするか、「管理者要件」を具体的にどういう形で設定するか、といった議論が行われ、早ければ、来年(2018年)の通常国会に医療法改正案などが提出される可能性もあります。

もっとも、例えば地域医療支援病院の管理者要件に「医師少数地域での勤務経験」が組み込まれたとして、改正法施行日「以降」の勤務経験に基づいて評価されるため、近く地域医療支援病院の院長に就任する医師に「医師少数地域での勤務経験」が必須となるものではありません。

ここがポイント!
1 医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く
2 管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか
3 医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

医師偏在度合いに基づいて医師少数地域を決め、そこから「勤務期間」を導く

医師需給分科会では現在、「地域間・診療科間の医師偏在」是正に向けて実効性のある対策を検討しています。その中で、冒頭に述べた「医師少数地域での一定以上の勤務経験」を評価する仕組みが浮上しました。

「医師少数地域での勤務経験」を持つ医師を厚生労働省が認定し(認定医師、仮称)、例えば(1)認定医師である旨を広告可能とする(2)地域医療支援病院などの管理者として認定医師を評価する—といった仕組みを設けるものです。

医師少数地域での一定期間以上の勤務経験を、地域医療支援病院などの管理者(院長)要件にすべきか、具体的な検討が行われる(図略)

 この仕組みで最も気になるのは「一定期間とはどの程度なのか」という点ではないでしょうか。「短期間であれば地方勤務も可能だが、長期間であれば躊躇してしまう」という医師も少なくないでしょう。しかしこの「一定期間」は、「医師少数地域の範囲」が決まり、「どの程度の医師が必要とされているのか」が明確にならなければ設定できません。厚労省は、まず▼医療需要▼将来の人口、人口構成の変化▼医師偏在の度合いを示す単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の年齢分布▼へき地や離島などの地理的条件—などの指標に基づいた、客観的に比較・評価可能な「医師偏在の度合い」を可視化し、これを基に「医師少数地域」を決定してはどうかと考えています。ただし、医師少数地域にも中核病院があったり、医師が比較的多くいる地域でもへき地があり、都道府県知事が具体的に「例外医療機関を定める」ことになりそうです。
こうして「医師少数地域」が具体的に定まった後に、必要な医師数が算出され、そこから「勤務期間」が導き出されます。ただし「認定医師となるには、●年間の勤務が必要」と設定されたとしても、「医師少数地域で働きたいが、家族の状況なども勘案すると『連続した●年間の勤務』は難しい」と考える医師もいるでしょう。厚労省はこうした点に配慮し、「断続した医師少数地域での勤務経験」を「通算する」ことも認める考えです。

管理者要件など、地域医療支援病院や臨床研修病院を対象としてはどうか

また、管理者に「認定医師である」ことが求められる病院として、厚労省は▼地域医療支援病院▼臨床研修病院▼社会医療法人▼公的医療機関▼地域医療機能推進機構(JCHO)―を限定例示しました(ここから絞っていく見込み)。

もっとも、間もなく地域医療支援病院などの院長に就任する医師にも「医師少数地域での勤務経験」が求められるとなれば、院長就任予定者も、病院側も混乱してしまいます(例えば、医師少数地域での勤務が明けるまで就任を待たなければいけず、院長不在の期間が発生する可能性も高い)。そこで厚労省は、管理者としての評価を行う対象は「施行日以降に臨床研修を開始する医師」に限定する考えです。

これらの医師が地域医療支援病院の院長に就任するまでには相当の期間(数十年)がかかりますが、その間にも「医師少数地域での勤務」が進展していくため(将来を考えて、今のうちに医師少数地域に行こうと考える医師が当然、現れる)、医師偏在が徐々に解消していくと期待されます。

この点に関連して、「数十年先に要件化されるのであれば、一般の診療所などの管理者(院長)にも同様の要件を設けるべき。実効性を考えれば、診療所も対象とすべきである」との指摘が小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や神野正博構成員(全日本病院協会副会長)、権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らから出されています。要件化を即座に始めれば「駆け込み開業」が生じる可能性がありますが、新たに臨床研修を受ける医師を対象とするのであれば、こうした危険はなくなるためです。今後の重要論点の1つとなりそうですが、「開業制限」にもつながる「難しい論点」です(関連記事はこちら)。

 なお、小川構成員や鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は「医師少数地域に派遣された医師が戻る医療機関の確保が重要である。派遣を行う病院に経済的支援をすることが現実的ではないか」と指摘し、医師派遣病院への何らかのインセンティブ付与を強く求めています。

 このほか厚労省は、▼認定医師を雇用・支援する医療機関を対象とした経済的インセンティブ(税制優遇や予算措置など)を付与する▼認定医師である旨の広告を認める—ことなども論点として掲げています。
 
 なお、厚労省は認定医師について、「すべての世代の医師」を対象として、医師少数地域での勤務を促進してはどうかとの考えを示しています。初期臨床研修では1か月以上の地域医療従事経験が求められ、総合診療専門医(新たな専門医資格)にもへき地医療従事経験などが求められていることから「医師少数地域での勤務は若手医師が対象か」とも思われがちですが、シニア世代にも積極的にへき地医療勤務を希望する医師がいることから、「全世代対象」であることを明確にしたものです。医師少数地域を含めた地域医療勤務には「幅広い症例を経験できる」「充実感がある(患者・住民から必要とされる)」などのメリットがあり、幅広い世代の医師が「医師少数地域での勤務」に目を向けることが期待されます。

もっとも医師少数地域での勤務には、「家族の同意」「交代できる医師の存在」「地域の理解」といったハードルもあり、これは若手医師とベテラン医師で微妙に異なります(例えば子育て世代では「子供の教育」などが重要要素となる)。こうしたハードルの解消、さらには若手医師では「教育」と言う問題もあり、医師偏在以外の視点(医師養成など)も加えた検討が行われる見込みです。

医師偏在解消に向け、都道府県の権限を大幅に強化

 11月22日の医師需給分科会では、これまでに固められた「医師偏在対策」について、例えば以下のような整理も行われました。上述の「医師少数地域での勤務経験」を認定する仕組みも、今後の議論次第で「医師偏在対策」に盛り込まれる可能性もあります。

 今後、さらに詳細を詰め、年内にも「医師偏在対策」を正式に取りまとめ、来年(2018年)の通常国会に医師法や医療法の改正法案を提出することになる予定です。

▼都道府県が作成する医療計画に、新たに「医師確保計画」(3年計画)を記載することを法定する(地域内の医師確保方針、医師偏在の度合い(上述)に応じた医師確保の目標、目標達成に向けた施策内容を明示する)→知事は、医師偏在の度合いに応じて、地域内の「医師が比較的多い地域」から「医師が少ない地域」への医師派遣などを円滑に実行できると期待される
医療計画の中に「医師確保計画」の記載を義務づける(図略)

▼都道府県が医師確保対策を実施するための協議を行う「地域医療対策協議会」について、構成員の見直し、他の会議体(地域医療支援センター運営委員会など)の機能移管などを行い、実効性を確保する
地域医療対策協議会の構成員・機能を満たし、より実効性を高める(図略)

▼都道府県が、県内の大学医学部に「地元出身者枠」設定を要請し、他県の大学医学部に「自県での勤務を従事要件とする地域枠」設定を要請できる仕組みを設ける(地元出身の医師が、自県内の医療機関に定着する傾向が高いというエビデンスを踏まえたもの)
都道府県が大学医学部に「地域枠」の創設を要望する仕組みを設ける(図略)

▼初期臨床研修について、▽一般のマッチングとは分けた地域枠での実施▽都道府県による臨床研修病院の指定・募集定員設定▽2025年における募集定員倍率の1.05倍への圧縮―などの見直しを行う
▼国が、新専門医制度について▽研修の機会確保が不十分な場合の必要な措置▽研修プログラム認定前の必要な意見具申―などを行えることを法定化する

▼将来の「診療科ごとの医療需要」を明確化する(代表的な疾病と診療行為との対応表を作成する→診療科ごとの医師の需要を推計する→医師の働き方改革などを需要に反映させる)
診療科ごとの医師需要を定量把握し、診療科間の医師偏在解消を目指す(図略)

▼医師偏在度合い(上述)に基づき、外来医療の偏在・不足などを客観的に把握し、外来医療における機能分化・連携などを地域医療構想調整会議なども活用して協議する
▼医師少数地域において、1人の医師が複数医療機関の管理を行えることを明確化する(院長の兼務を認める)



http://www.medwatch.jp/?p=17042
地域ニーズに合う医療提供体制の構築支援を―全自病等10団体が要望書
2017年11月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の達成に向けた取り組みで、医療費の抑制があまりに強調されれば医療現場が気概を失う。病床削減を目的としない形で具体的な協議が地域ごとに進み、地域住民のニーズに対応可能な医療提供体制が構築されるように、国は積極的に都道府県などを支援すべき―。

 全国自治体病院協議会(全自病)や全国知事会など自治体病院関係10団体は11月14日、来年度(2018年度)の予算編成や診療報酬改定などに向け、こうした要望を取りまとめて厚生労働省などに提出しました。

 この中で、「地域医療介護総合確保基金」の偏りない配分や、2019年10月に予定される消費税率の引き上げ(8%→10%)によって生じる財源を活用することで、地域医療構想を達成すべきなどと主張しています。

 また、▼医師の地域偏在の解決策として、一定期間の医師不足地域での勤務実績がなければ病院などの管理者になれない仕組みを設ける▼医師の働き方改革(長時間労働の是正)に向けた議論を、医師の需給バランス面の議論と同時進行させる―といったことも要望しています。

ここがポイント!
1 地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文
2 医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

地域医療構想の達成に向けた基金の配分に注文


 少子高齢化が進むにつれて今後、患者側の医療ニーズが変化します(肺炎や骨折での入院ニーズが増え、大手術が必要な急性疾患での入院ニーズは減る)。医療提供体制が今のままでは、手術などを行う急性期機能の病床数が余る一方で、患者の身体機能を回復させて在宅復帰させる回復期機能の病床数が不足すると考えられます。

 そこで都道府県では、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年時点のニーズに合った必要病床数を、機能ごと(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)に、地域単位(二次医療圏ごと)で推計し、地域医療構想として公表しています。

 それを踏まえて医療提供体制を再構築するには、病院・有床診療所それぞれが、自院の設備や職員数、これまでに果たしてきた役割などを振り返った上で、都道府県が公表した情報(将来の地域の医療ニーズ)を踏まえて、今後果たしていく機能を決める必要があります。例えば、「これまでは2病棟で急性期機能を担ってきたが、急性期医療のニーズがこれから少なくなるから、1病棟は回復期機能に見直そう」といった考え方です。

 ただし、地域全体で見たときに、病床機能の転換を決断する医療機関が多過ぎても少な過ぎても、医療提供体制は将来のニーズと合わなくなってしまいます。そこで、病院などの関係者が地域医療構想調整会議で、地域医療構想の実現に向けた方策を話し合っています。さらに病院が機能の転換を決断した場合、病棟改修の費用などを「地域医療介護総合確保基金」で支援する仕組みが準備されています。

 全自病等はこの「地域医療介護総合確保基金」について、「官民の公平に配慮しつつ、民間病院のみならず、自治体病院が十分活用できるようにする」よう求めています。

 昨年度(2016年度)の基金(医療分、国費負担は602.4億円)の配分先をみると、2016年11月時点では「民間機関」が65.5%(394.6億円)を占め、自治体病院など「公的機関」は26.0%(156.4億円)にとどまりました(なお51.4億円の交付先は未定)。全自病などの要望は、こうした状況を踏まえたものです。

 医療分基金の財源は2014年度から毎年度、国・地方分を合わせて904億円でしたが、全自病などは「(2019年10月の)消費税の引上げ分を予算として確保」すべきだとも主張しています。

 また基金の使い道は「地域医療構想の達成に向けた施設・設備の整備」が50.6%(305.1億円)、「医療従事者の確保・養成」が44.2%(266.3億円)、「居宅等における医療の提供」が5.1%(31.0億円)でした。これについて全自病などは、「基金で対応すべき課題は地域によって違うため、施設・設備の整備ばかりを偏重せずに、地域の実情に応じて配分すべき」と訴えています。

 さらに、自治体病院ばかりが病床機能の転換を強いられることのないように、都道府県に対して国から的確な助言を行うべきとも主張しています。地域医療構想調整会議では、自治体病院の経営改善計画(新公立病院改革プラン)の内容をチェックすることになっています。もし、関係者間の協議の方向性と合っていなければ、プランを見直すことになっていますが、「自治体病院だけが機能を変え、民間病院は機能を維持して地域医療構想を達成する」といった安易な結論が出ることがないように、けん制したものです。

医師偏在は管理者要件や専門医師数の制限などで解消を

 全自病等は、医師の地域偏在解消に向けた具体策にも言及しています。具体的には、「医師不足地域で一定期間勤務した実績」がなければ病院・診療所の管理者(院長など)になれない仕組みにすべきで、さらに診療科ごとの偏在をなくすために「専門医」数の制限も行う必要があると指摘しています。

 また医師不足対策として、夜間救急へのいわゆるコンビニ受診を抑制するため、「かかりつけ医療機関への受診」などを国民に促すべきとも主張しています。

 さらに、医師の働き方改革について、▼「応召義務」との関係を十分に議論・整理することが不可欠▼医師の労働には、実際の勤務時間と自己研さん時間が混在していて明確に分けられない▼医師の需給バランス面からも議論すべきで、現状では時間外労働規制の課題をクリアできるだけの医師等の増員は実現困難―といったことに十分留意して施策を検討するよう求めています。

 そのほか、▼診療報酬による補てん分を超えて医療機関が負担している「仕入税額相当額」(医療機器などの購入に掛かる消費税のうち、患者に転嫁できない額)が還付される「税制上の措置」を講じる▼来年度(2018年度)診療報酬改定で、医療機関の機能的コストなどを報酬体系に適切に反映させる▼がんの粒子線治療について、有効性や安全性が認められたものから早期に医療保険の対象に加える一方で、粒子線治療施設の「全国的な配置のあり方」(地域別の必要施設数など)を検討し、過剰な整備を防ぐ―といったことも要望しています。

 このうち次期診療報酬改定に向けては、全自病が今年(2017年)6月、9つの提言(全国で数施設しか満たせない施設基準を設定しないことなど)と128項目(出来高関連110項目・DPC関連18項目)の要望をまとめて厚労省に提出しています。11月14日の要望書では、9つの提言と128項目の要望事項を「十分に尊重」するよう求めてもいます。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15112717599211
在宅医療の体制構築へ 県、県医師会 12グループに機関証
2017年11月22日(水) 茨城新聞

県と県医師会が進める在宅医療推進事業がスタートした。訪問診療を連携して行う「医療提供施設等グループ化推進事業」で、12グループがつくられた。在宅医療の需要の高まりを背景に、切れ目のない医療体制を構築するとともに、新規参入を促すのが狙い。21日には水戸市笠原町の県メディカルセンターで機関証の交付式が開かれた。

同事業は、地域の医師会を中心に複数の医療機関でグループをつくり、在宅患者の訪問診療や夜間の急変時の対応を連携して行う取り組み。13日現在で県内62カ所の医療機関が参加し、9医師会を中心に12グループをつくった。2019年度までに54グループの形成を目指す。

県長寿福祉課によると、県内で在宅医療を必要とする患者は13年約2万2000人だったが、25年には4割増の約3万1000人に増える見込み。これに対し、訪問診療を行う人口10万人当たりの医療機関は360カ所(15年)にとどまっている。

県や県医師会は、グループ化により、24時間切れ目のない見守り態勢を構築。医師1人の小規模診療所の負担軽減につなげ、新規参入も促す考えだ。

同日の交付式には、県内の医師約50人が出席。菊地健太郎副知事が「地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを進めるため、全力で取り組みたい」と述べた。県医師会の諸岡信裕会長は「今日を第一歩として連携を進め、さらに在宅医療の輪を広げたい」とあいさつした。

各グループの代表に機関証が手渡され、水郡医師会の櫻山拓雄会長が「医師不足でマンパワーが不足している地域もある。今回のグループ化を力にして頑張っていきたい」と決意表明した。

グループをつくった9医師会は以下の通り。水郡医師会▽常陸太田市医師会▽那珂医師会▽稲敷医師会▽つくば市医師会▽取手市医師会▽きぬ医師会▽古河医師会▽日立市医師会 (成田愛)



http://www.huffingtonpost.jp/coffeedoctors/yamato-project_a_23286037/
やまとプロジェクト: 宮城県登米市で医師の"働く"を変える
これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。

2017年11月23日 13時05分 JST | 更新 2017年11月23日 13時05分 JST HUFFPOST

医療法人社団やまとがある、宮城県登米市。やまと診療所登米とともに、医師の新たな働き方の提案をしています。その背景には、医師不足からもう一歩踏み込んだ課題感がありました。

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医師の働き方や需給について話し合う厚生労働省の検討会で、医師の偏在解消のために強制的医師配置や、地方勤務医師の認定制度などの意見が出ている。

しかし私が東日本大震災以降、宮城県登米市での地域医療を中心に東京と循環する働き方を通じ感じていることは、「地方は医師の数が足りるだけでいいのか?」という、もう一歩踏み込んだ課題である。

そして、その1つとして地方の医療課題は医師不足でも医師偏在でもなく、医師のモチベーションにあるのではないかと考えている。

地方で働く医師のインセンティブ政策や勤務環境改善は、地方勤務のハードルを下げるが、大きなモチベーションアップにはならない。

多くの自治体で医師確保のために奨学金制度の設置や大学との連携を進めているが、現状、持続的な解決策にはつながっていないと感じている。

医師の採用のみでなく定着を目的と考えると、まず取り組むべきは、各自治体、医療機関が本質的に求める医療のあり方とどのような医師を必要としているかを考え、そこに来た医師は何ができるのかビジョンを発信し、適切にマッチングすることだ。

求めるビジョンに合わない医師を、所属大学・専門といった属性や報酬のみで働かせることに無理がある。

そういう意味では、各医療機関・自治体の医師人事戦略が大切で"挑戦する医師を発信するWebメディアcoFFee doctors"でも、適切にビジョン戦略を発信して成功している実例を取り上げてきた。

さらに地方では医師不足以上に、医療人材の流動性の低下と閉塞感が課題だ。実は、地方にはモチベーションの高い医師が相対的に多いと思う。

ただし、都市のような人が集まる場が少なく、そのような閉鎖的な環境の中で継続的にモチベーションを維持していくことは困難である。

都市部ではエネルギーの高い人たちが集まり、常にお互いを刺激する環境に恵まれている。そのような環境に身を置くことによって得られるものは、ネットでは得ることができない。

その観点からは、大学や大病院がある都市に行くことに意味があり、私自身、地方と都市を循環する理由の1つがそこにあると感じている。

そこで、都市と地方を循環して診療を行い、「診療を通じた現場課題に参加する、属性でなく嗜好性に合わせてその価値を正しく評価し業績とする。」そんな新しい働き方「やまとプロジェクト」を登米市から発信していきたいと思っている。

モチベーションを維持しつつ地域の現場から新しい課題を見つけ、地域の人たちとチームで解決する。この仕組みによって都市部の医師が地方と混ざり、双方にとって良い循環が生まれると考えている。

現在やまとプロジェクトでは"総合診療をベースに地域に参加できる医師"を求め、10名の医師が都市⇄地方と行き来しながら診療を行い、コミュニティ、行政、教育、研究、ビジネスのさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。働く日数は人それぞれで、ライフスタイルや嗜好性に合わせて従事している。

診療を疎かにするということでなく、今まで何となくやっていた医師の仕事を、仕事という価値のあるものとして可視化するためである。

特に地方はそのような診療以外のプロジェクトが多く、coFFee doctorsでもそのような働き方を取り上げて来た。そして、実は女性医師の働き方としても可能性を感じている。

これからの医師は一人で10個20個と仕事をするような時代になると考えている。医師に求められる役割が病気を治す以外に、病気の予防、病院に来る前の介入に広がっているからだ。

外来、在宅、入院患者の診療をして、遠隔診療も始まり、学会や研究にも遠隔参加し、地域で勉強会を開催し教育も行う、ネットで情報発信し、行政、企業からも仕事を受けるなど、医師の仕事が多様化している。

それによって、それぞれの医師には所属や資格とは別に、個人としての資質が求められる。

その中で医師がモチベーション高く働く、正しく評価される、そんな働き方が今後重要になってくるのではないだろうか。

まずは医師に多様な役割が求められる地方こそ、自発的に新しい働き方を発信していくべきだ。

やまとプロジェクトHP
https://project.yamatoclinic.org/

【医師プロフィール】
田上 佑輔 
腫瘍外科・総合診療医 やまと在宅診療所院長。1980年、熊本生まれ。2005年東京大学医学部卒。東大病院腫瘍外科勤務を経て2013年より現職。医療を通じて日本を良くしたい、東京と宮城で在宅診療、地域医療を行う。



http://www.sankei.com/west/news/171120/wst1711200044-n1.html
残業100時間→150時間可へ増やす協定を労基勧告後に結び直す 岐阜市民病院
2017.11.20 12:24 産経新聞

 岐阜市立の岐阜市民病院が、労使協定(三六協定)で定めた月100時間の上限を超える残業を医師にさせたとして、岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けた後、上限を150時間に増やす協定を結び直していたことが20日、病院への取材で分かった。関係者は「緊急対応が必要な医師であっても考えられない」と批判している。

 病院によると、医師の残業を月100時間(年6回まで)、年間870時間まで可能とする労使協定を平成28年5月に締結した。同年11月、労基署の検査で上限を超過する医師が複数いることが判明。超過しない労働環境にするか、実態に合う上限にするよう是正勧告を受けた。

 対応を検討した同病院は29年5月、上限を月150時間(年6回まで)、年間1170時間に積み増す協定を結んだという。

 同病院の病院政策課は「労働環境の改善に努めているが、医療の現場では難しい部分もある」としている。「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子代表は「過労死ラインの月80時間を大きく超えている。根本にある医師不足の問題から解決するべきだ」と話した。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddq/041/040/005000c
岐阜市民病院
残業上限150時間に「是正」 院長インタビュー

毎日新聞2017年11月19日 中部朝刊

医師、どこまでが残業

 なぜ残業が長時間になるのか。岐阜市民病院の冨田栄一院長に、医師の労働実態について聞いた。【聞き手・高橋龍介】

 −−超過労働の実態について。

 ◆医師の超過勤務を厳密に測ることは困難だ。例えば患者が危篤状態となり医師が泊まり込んだ場合。未明に患者が亡くなったとして、私の経験からも、そのまま帰宅せず仮眠して通常の日勤に入ることが多い。上司の命令でなく自発的な行為で、どこまでが残業かは明確でない。時間外労働が何時間などと捉えにくい実態がある。

 −−そういう勤務を続けて健康への不安を感じたことは。

 ◆過労のため若いころに心筋梗塞(こうそく)にもなったし、脳膜炎にもなった。過労を何とかしなければならないと考え、支援スタッフの増員や病診連携の推進など対策を講じてきた。

 −−背景に医師不足があるのか。

 ◆外科や小児科など一部の診療科目で医師不足の傾向がある。研修制度の変化で、若い医師が勤務環境を比べられるようになったことも影響している。また、市立の病院は人事や予算の権限が市役所にあり、病院側で自己決定できない制約は大きい。人材獲得は競争であり、岐阜県立病院のように(意思決定を自律的にできる)独立行政法人化することも一つの方策だと思う。



https://mainichi.jp/articles/20171119/ddm/003/040/073000c
厚労省
医師不足把握に新指標 地理条件、偏在是正に活用方針

毎日新聞2017年11月19日 東京朝刊

 厚生労働省は医師の地域偏在を是正するため、地域ごとに医師がどの程度足りないかを示す新たな指標を導入する方針を固めた。そのデータを基に、医師派遣に関する都道府県の権限を強めるなどして平準化を図る。有識者検討会で年内に対策を取りまとめ、来年の通常国会に医療法の改正案を提出する方針だ。

 これまで医師の偏在は、人口10万人当たりの医師数で議論されてきた。国の調査では、最多の京都府(308人)と最少の埼玉県(153人)との間に2倍の差がある。同じ県内でも、例えば愛知県の尾張東部(361人)と尾張中部(79人)では4・6倍の開きがある。だが医療のニーズは地域ごとにまちまちで、単純比較できないとの指摘もあった。

 そこで厚労省は、住民の年齢分布、近隣の医療圏への行きやすさといった地理的条件なども加味し、実態に沿ったデータを作ることにした。全国を約340地域に分けた2次医療圏ごとに医師の不足度合いを算出し、対策のベースとする。

 不足する地域での医師確保には、都道府県の権限を強める。多くの大学医学部の定員には、一定期間の地元勤務を条件に奨学金返済を免除する「地域枠」があるが、都道府県が定員増などを大学に要請できるようにする。地域枠の卒業生を医師不足地域に派遣したり、病院ごとの臨床研修の定員を調整したりする機能も持たせる。また、地域医療の核となる病院の院長になる要件に、医師不足地域での勤務経験を加え、キャリア形成の優遇を図る。

 診療科の偏在も改善を進める。この20年間で、麻酔科や放射線科、精神科の医師は6~8割程度増えたが、激務の外科医や産婦人科医は横ばいだ。厚労省は診療科ごとの各都道府県の需要を予測し、必要な専門医数の目安を示して勤務先を誘導する。来年度導入される新専門医制度でも、研修病院が都市部や大学病院に偏らないよう日本専門医機構が都道府県と調整することを、法律に明記する。【熊谷豪、河内敏康】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/569842
m3.com意識調査
大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1
再強化の可能性、4割が「不可能」

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 地方の医師不足を解消するため、様々な方策が検討される中で、自民党の国会議員などが強調するのが「大学医局の強化」(『自民党で「医師養成・偏在是正議連」が発足』を参照)。その是非、可否について考えを聞いたところ、当事者である医師では、賛否が拮抗していることが分かった。

Q 地域への医師派遣のため「大学医局」を強化すべきだと思いますか?
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 勤務医では「強化すべき」「すべきでない」「どちらとも言えない」がほぼ拮抗、開業医では「強化すべき」が43.5%と相対的に多かった。

Q 政策的手段により、かつてのように「大学医局」の力を強化することが可能だと思いますか?
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 「可能かどうか」では、勤務医、開業医とも拮抗したが、「不可能」が4割でわずかに多かった。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

 自由意見には、たくさんの意見が寄せられた。

・過疎地の医師不足、地方の医師不足は、大学医局の力を低下させた研修医制度のせいである。厚生労働省は、間違いであったことは決して認めないであろうが、大学医局が主体の医師派遣体制を復活させることが、若手医師の勘違いを正すためにも、日本の医療体制を確保するためにも必須である。【勤務医】

・臓器別の科ではなく、内科、外科の中にそれぞれ臓器のスペシャリストを置くべき。大学の医局は巨大なピラミッドの形にしておかなければ、医師の供給はできない。医師をある程度コントロールできる組織に属させておかないと収拾がつかなくなる。臓器別の小さな科の分けさせた厚労省の政策は間違いだったと認めて改善すべきである。【開業医】

・退職金も準備せず、福利厚生も与えない組織に誰が従うのですか?【勤務医】

・大学には大学、民間病院には民間の役割がある。対等の立場から意見交換をしなくては日本の医療は、崩壊する。IT社会において昔の医局制度回帰は、極めてナンセンスである。【勤務医】

・医局の権力を強化するかどうかではなく、少なくとも医師としての初期教育は大学がふさわしいと考える。大学を通らなかった医師には、その後問題のある人がいるように思う。【勤務医】

そのほかの意見は『大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2』に掲載

【調査の概要】
調査期間:2017年11月6日~11月14日
対象:m3.com会員
回答者数:2558人(開業医400人、勤務医1618人)
回答結果画面:「大学医局の強化」すべき?できる?



https://www.m3.com/news/iryoishin/569843
大学医局の是非「医師教育は体育会系に限る」「『白い巨塔』の再現に」◆Vol.2
『大学医局の強化』すべき?できる?

レポート 2017年11月18日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 m3.com意識調査で、 「『大学医局の強化』すべき?できる?」を尋ねたところ、たくさんの意見が寄せられた。その一部を紹介する。調査結果は「大学医局の強化、賛否拮抗「若手を鍛える」「教授の好き嫌い」◆Vol.1」。

Q 「大学医局の強化」についてご意見をお聞かせください。

・都市部への医師偏在が進み、地方大学では入局者の減少が目立つ。そのため地域病院への大学からの医師派遣は難しくなっている。やはり大学医局の強化を図る必要があります。大学でも研修できやすいように、大学医局の構造改革も必要である。大学講座の細分化しすぎているように思う。その一つとして、大外科、大内科構想も必要に思います。【勤務医】

・地域医療への大学医局の貢献を思えば、強化してさらに地域医療に役立ってもらうのが本筋だと考えます。【勤務医】

・医局を強化することによって、地域への医師派遣を行えるかどうかは医局の管理者の方針に依存する。個人的には大学医局の強化が地域への医師派遣には直接結び付かないと考える。大学に医師があふれる状態になるだろう。しかし、現状を改善するためには、大学に医師が溢れる状態をいったん作り、あふれ出る医師が地域に派遣される形を取らざるを得ないだろう。個人的には、人が多い病院と人が少ない病院で給与格差ができれば良いと思っている。現状では、大学に所属してアルバイトをすれば、市中病院並もしくはそれ以上の報酬が得られることも多く、肩書や給与、通勤の便利さなど、大学所属で困ることが少ない。【勤務医】

・医師教育は、体育会系に限ります。あたまのいい子が多いので、命令しないと、言うことを聞かない。【勤務医】

・現在、大学に勤めている身分からの意見ですので悪しからず。以前は論文を書いている人が偉くなった時代は終わったと言われていますが、現状はやはり論文での審査によります。自身が勤めている施設内では卒業生で好き嫌い人事が少し前まで横行していました。このため小生はだいぶ辛い目に遭わされましたが、いろいろ振り返ってみると辛かったことが身に付いております。小生も初めは論文なんか関係ないと思い込んでおりましたが、良き厳しい指導者のおかげで何とか雑草のように業績を積ませていただき、現在のアカデミックポジションを与えてくれました。最近は少しゆとりが出てきたためか、少しながら周囲を見渡すようにしています。好き嫌い人事でポジションを得た方々の様子を見ると、下の先生への指導力が乏しいことが自身にも解っておられるようで非常に追い込まれている先生もおられます。それではバイオレンス系で「俺が、俺が」の先生も周囲との関係の維持が困難で職場環境の問題が大きいようです。ちょうど中間の先生が居られないのが実情と思われます。昔、医学生の頃に恩師に言われた言葉ですが、「医師となり患者さんを助けることも重要だが、大学の教官となり沢山の学生に医学教育を施して良い医師を育て、そうして育った医師が、また沢山の患者さんを助けることも重要である」と語っておられたことを思い出す今日この頃です。この言葉を思い出すと、今後の医学教育に不安を覚えるのも事実です。大学教官が減少することは…つまり医師の養成にかかわるので、ある程度の大学強化は将来を見据えても重要なことと考えます。【勤務医】

・専門医制度を盾に強化することは可能だが、都会では効力を持たないであろう。現在の若い先生と話すと、一定の割合の先生方はフリーになることに抵抗もなく、医局に従属することに意義を見い出していないと思う。年齢を経るにつれ、徐々に増加していくと思う。女性医師については働き方の議論が進まなければ、医局に入る必要性を感じず、働ける病院で働くというふうに変化しているので、医局の強化では偏在がなくなると思えない。病院側もフリーの医師が増加することもあり、医師の雇用に医局が関与する意義を見出せないし、実際既に医局と縁が切れている病院が増加している。医局強化で自分の病院の医師雇用が今まで以上に順調にいくとは思えないし、医局側に支払う上納金が法人扱いの寄付に変化するというだけと思われる。【勤務医】

・それだけの実力を伴った医局でなければならないが、そうであれば地域の調和と義務とのバランスを取りやすい。現在は内容の伴わない施設間の競争時代で、義務のたらい回しも起こり、患者をはじめ関係者は誰も得をしていない。むしろ関係しない一部の気ままな自由診療だけが謳歌してその一部が結果問題になっていると考える。つまり義務を伴わない権利の横行が目立つ。有能な医局であれば義務と権利の適切な配分への道が可能であるかもしれないと期待したい。【勤務医】

・既に時遅しで、地方大学は疲弊していると思います。次は大学の復権よりも、地方の衰退が目立つようになるのではないでしょうか。医師もいなくなるが、住民もいなくなるように思います。【勤務医】

・医学部は多額の税金が投入されているので、医者になって数年間は地域に限らず病院で研鑽を積みながら奉仕すべきだと思います。教授や医局長が人を育てようと思い人事をしているなら医局の強化しつつ地域医療にも貢献できると思います。実際は自分や大学のことだけを思う人が増えているのではないでしょうか?【勤務医】

・かつてと異なり、大学は独法化され収益を求められるようになった。研修医は研修病院をマッチングや専門医制度の変遷はあったにせよ、いわゆる徒弟制度からはいったん解放された。一度、甘みを知ってしまった研修医、修練医は昔のような旧態依然した医局には属しませんよ。不満があれば直ぐ退局してしまいます。大学もそれが分かっているのか、昔のように上から目線で地方へ医師を派遣できなくなった。もう一度昔のようにはできません。働き方と一緒に新しい方法を模索しなくては。【勤務医】

・地域医療、へき地医療を云々するのであれば、大学医局の強化は図るべき。しかし、医局の強化をするのであれば、その医局の舵取りをする教授の独断的な判断・独裁を許さないようなシステムを作っておくべき。【勤務医】

・大学医局の強化はアカデミックな視点のみが重要であり、その点では強化する意味があるが、医局制度で地域への医師派遣を考える時代は終わった。【勤務医】

・内科分野では、大学医局の強化によりいわゆる「専門バカ」と言われる専門領域以外には診療しない医師がさらに増加する可能性がある。このような医師が地域の民間病院に派遣されると正直あまり地域では役に立たない。地域医療では一人で何役もこなさないといけない現状がある。日本内科学会も、臓器別医療に対する反省から、内科全般を診療できる医師を養成するという方針を立てており、医局強化はこの方針に反することになる。よって、大学はあくまでも専門科を養成する教育機関として今後も活躍してくれればよく。それ以外に、地域で多くの役をこなせる「使える」内科医をさらに養成する方法を考える必要があるのではないでしょうか。私自身は、片田舎の民間病院に勤務していてそう思います。【勤務医】

・地方の人員確保だけを考えるなら有効な手段。ただし、働く側から見れば、家族の都合も何もなく、へき地から都市部まで、引っ越しのための休みももらえず短期間で移動を繰り返すのはかなり厳しい。結局、民間病院でも魅力のあるプログラムを提供しているところはあるので、政策的に強化しようとしてもそちらに流れるのでは?自分は医療過疎地と言われる県の大学卒業ですが(出身地は違う)、結局奨学金や地域枠の制約をぶっちぎって他県の魅力的な民間病院に流れた同級生が複数いました。【勤務医】

・大学医局が人材育成のために骨を折るのであれば強化もよいかもしれませんが、教授という”支配者”の個人的利益を満たすための組織体であれば、強化せず、研修医や後期研修医は国が人材配置をできるような仕組みのほうが、医師の偏在問題や研修内容の差異を埋めるに公平性があるようにも思える。しかし、職業選択の自由はその人本人のものであり、どこまで介入すべきかは難しい。【勤務医】

・組織よりも個人の価値観が重くなっている現在では、人事を中心とした運営で、医局に医師を引き止める事は非常に困難な状況にあるのではないでしょうか。医師の教育を中心とした運営で、個人のメリットを強調することが大切だと思います。【勤務医】

・大学医局制度が日本の医療界を悪くした。もし大学医局を強化するのであれば、主任教授の任期を2、3年程度にする必要がある。【開業医】

・弱体化してしまった大医学医局はなかなか強化は難しいが、日本全体として医師適正配置としては重要と思われる。医局に集団でいるメリットを見い出せたらいいと思う。【開業医】

・教授以下、講師までの雇用条件を改善することの代わりに、李下に冠を正さず、医局費・研究費の適正利用で医局員の専門性の高い指導をすることが肝要と思います。医療業界のごっちゃん体質はあり得なく、患者や疾病が医師人生の教科書であることも肝に銘じることも必要です。【開業医】

・非常に狭い特定分野の研究者のための医局では臨床スキルを指導することはできないし、有能な臨床医は育たない。だから臨床医を目指す医学部卒業生は大学から離れていったはずである。さらに言えば、地域への医師派遣というのは大学医局の役割ではない。大学医局の「研究者教育強化」なら理解できる。【開業医】

・大学の仕事は、研究、教育、診療であり、政治(人事による医師や関連病院を支配して利権を争うこと)は筋違いで大変迷惑です。【勤務医】

・各地域の実情をよく知っている医局が医師の適正配置を行うのが最も良いと思う。国で一律の医師再配置はうまくいかないと思う。【勤務医】

・内科系は医局も統合化されてしまい、もともと大きかった分野の権力がさらに増大し、当科のようなマイナー内科はさらに苦境に立たされてしまう。人口減に立たされる国にとっては、そもそも医療をこれまで通りに地方の隅々にまでいきわたるようにすることは困難であり、アメリカのように病院に旅行するというような発想に転換が必要かもしれない。地方や都会に住むというリスクとベネフィットをそもそも明確に個人が把握するような議論が必要と考えられる。日本国内に住んでいれば、全てのサービスを平等に享受できる時代は終わったという認識が必要。【勤務医】

・地方の人事は大学医局に頼るしかないのが実情。しかし、その際に人事権は教授から剥奪して、大学に独立した人事部を創設すべき。【勤務医】

・私自身大学に所属しているが、臨床への理解度が低い研究畑の教授が人事権を持つケースが多く、大学医局の医師派遣への貢献は大きいが臨床研修の面等からも望ましいとは言えない。【勤務医】

・地域医療は疲弊しており、マッチング制度ができてからますます若い医師が赴任していないような気がします。ますます悪化することが予測されるため医局の強化というのは必要ではないかと思います。【勤務医】

・20年以上医者をやっていたものからすると、地域医療にとっての大学医局は必要悪のようなものだったのでは?私自身も若いころに地方の公立病院に医局人事で行きました。個人的には良い経験であったと思います。ただし,地方の病院でも,大都会の有名施設と同様の医療を受けたいというニーズがある現代には,若手だけを地方に廻すようなシステムでは,マッチしていないのでしょう。また,医師の世界(出身大学にもよるのかもしれませんが)は、以前は徒弟制度みたいな感じでしたが、今はそれを良しとはしませんからね【勤務医】

・一度自由な研修を受けた若い先生方が以前の徒弟制度に戻れるとは思えない。また、さとり世代以降の考え方では医局や教授に彼らの生き方が縛られるとは思えない。【開業医】

・2004年度の初期臨床研修の必修化は,医学教育における「ゆとり教育」以外の何物でもない.ダメなものはダメと結果を認め,「ゆとり教育」を廃止したように元に戻せばいい.【勤務医】

・会社では人事での異動先を原則的に拒めないように、医局制度下でなければ、医療過疎地を助長することになる。政策的手段では医師個人の選択の自由が優先されてしまい強制力は生じない。【勤務医】

・医局が人事権を持つと、好き嫌いで人事が決まり、コネだけの社会が強化される。それよりも、手術件数、外来件数、検査件数、論文件数などの客観的な指標で人事を決めるべき。【勤務医】

・新専門医制度によって必然的に医局に関わらないと専門医を取れなくなっている。初期研修後から関わるので、明らかに医局を中心としたキャリア形成を今の若手は迫られている【勤務医】

・大学医局を強化するためには、医学博士を持つことの利点を明確化するという方法が考えられる。臨床論文のポイントで学位申請を行えるようにすることで、ある程度実用化が可能なのではと思われる。【開業医】

・絶対反対、白い巨塔の再現、臨床経験の圧倒的に多い野戦病院に若い時行くべきです。教授の命令で老人病院にバイト、短期間の勤務なんかさせられたら、貴重な若い時期の成長期がなくなります。【開業医】

・医局強化はかつての大学教授の専制的な権力増強を復活させるだけで、何のメリットもないと思います。行政が責任をもって地域への医師配置に努力すべきだし医師の集まらない地域では現状より医師が集まりやすくなるようなインセンティブつけるべきであろうと思います。【勤務医】

・大学は各地方の医学教育と人材育成の要なので、特に地方では大学を中心とした人事の流れが、その地方の医師の供給を支える原動力となると思います。しかし、若い医学部卒業性には、都会に出て良いというお墨付きが与えられているので、地方の大学医局が人事の中心に再びなれる可能性は、ないではないが困難を伴うでしょう。【勤務医】

・大学医局は本来医学的研究のためにあるものであって医師派遣業ではない。派遣業がやりたいのならそれに相当する能力のある組織で労働法令に則った合法的組織である必要がある。大学教授にその能力はない。【勤務医】

・このままでは大学には人がいなくなってしまう。大学は臨床だけでなく、教育、研究を行う場所であり、マンパワーは一般病院よりも必要。大学に属したことがない医者が増え、その結果、一度も研究したことがない医師、一度も論文を書いたことがない医師が増えてしまう。決して良いことではない。【勤務医】

・大学医局に頼らなくても自己研鑽や勤務先の選択を行うルートがあるため、大学医局の強化は不要と思う。【勤務医】

・大学の労働状況がブラックである以上、医局の力を強化すると若手医師が疲弊するので反対です。また、政策により医局の力を強化しても、賢い医師は何とかして都会の市中病院に逃げるだけだと思います。【勤務医】

・近年、医療技術や知識のみならず医師としてのモラルを著しく欠いた医師が、地方とは言え公的病院でも増えていると聞きます。これは医局制度の「崩壊」に伴って起こった必然的な現象であると思います。これらのゆがんだ医療状況に対しては改めて厚労省が責任を持つべきです。具体的には、厚労省病院局の指導により全ての公的病院の医師の採用に当たっては所属する医局からの推薦を必須とする旨を徹底すべきでしょう。【勤務医】

・医局の強化は地方への医師派遣などで一定の役割はあるが、新専門医制度はあまりに自由度がなく、プログラム外の施設での研修ができない。強化するにしても、自由度は高くしなければ時代には合わない制度だと感じる。【勤務医】

・地方の大学病院の入局者が少ないのは良く無いと思います。東京の集中は後継者の問題もあり、厳しい現実があります。フリーターとして、東京から戻らない方も多いです。【勤務医】

・私は医局制度時代の医師です。研修医制度さえ作らなければ今のような状況は起こらなかった。そこに、さらに専門医制度などと無意味なことをしようとしている。政府が失敗を認めさえすれば医局制度の復活は容易であり、医師不足解消など簡単にできるでしょう。【勤務医】

・医局を強化する以上は、公立病院に勤務している医師に対してもwin-winな関係を築いてほしい。医局のみを強化することにアップアップしている教授には辟易している。【勤務医】

・大学医局というと「白い巨塔」のイメージが今でもつきまとうのは時代錯誤と言わざるを得ない。社会問題化する地域医療の危機の多くは地方のしかも県庁所在地以外で起こっている。そのような地域の中核的医療機関(地方自治体の公的病院が多い)を支えているのは地方大学である。地域医療の医師偏在による医師不足は地方大学の医局に医師が少なくなったことによる。これが新臨床研修制度導入後に起こったことは事実である。全国医学部長病院長会議のデータを見ても大都市(県庁所在地で人口が50万以上)に存在する大学では新臨床研修制度導入後も大学に残る医師は減っていないが、中・小都市(県庁所在地人口が50万未満)に存在する大学では半分以下に落ち込んでいる。この制度を改革しない限り(言い方を変えれば地方大学に医師が残る制度)医師偏在は解消しないだろう。地方大学の医局が強化(医師が増える)されることは地域医療の維持のために必要である。【勤務医】

・地方大学の医局に人が入らなくなり、離島への医師の派遣も困難となっている。そればかりか、市中病院で研修をすることが一般化することによって、特に地方では内科・外科といった命に直結したメジャー系への志願者が減って、今後手術や内科治療を担っていく若手が減ってしまっていると感じられる。【勤務医】

・医局を崩壊させた国策によって医療崩壊が進んだ。関与した官僚全てを解雇し、大学医局を強化するか別の組織が医師の配置をコントロールすべき。少なくとも臨床経験10年未満はコントロールすべき。【開業医】

・国立大学は地域枠を一定枠を多めに(20~30人)は必ず確保する。就業義務遵守に関しても、法律的に保護する。難関化する医学部入試で、地域医療を頑張りたい志が高い若者を一定数、確保することが大事。【開業医】

・教授回診の重要性、教授の人格・人間性、研修医、基礎系の大学院での研究、Ph.D.としての海外留学、チーフレジデント、病棟医長、講師、医局長、全てが、人生にとって、重要なプロセスでした。今は、卒後、TOEFLを取り、米国で、臨床研修することがはやっています。その時代、その時代での流行と思います。医局は、いつの時代においても、その核となります。【開業医】

・以前の医局には戻らないように、そして地域病院と連携してそれぞれ役割分担しながら医師養成を行うことがよいと考えている)。大学医局とgive and takeで連携していけなければ存続できない。【開業医】

・医局は強制することも一部可能であるが、国、地方自治体、学会などからは強制できないため医局にお願いというところなのだろう。しかも、医局のせいにできて好都合になる。医局は悪いところ、教授は悪の権化となる。芸能人医師(ただの評論家)、医療マスコミは批判を強める。このアンケートでも医局に対して悪意を感じるが。【勤務医】

・医局の強化=教授陣の強化だと思いますが、今の給与体系では優秀な教授は国公立大学には残らないでしょう。【開業医】

・大学医局が全て悪いとは思いませんが、縄ばり争いになりやすかったり、医局が地方病院を自分の傘下において支配しているようになりやすいと思います。地方病院からの寄付や中堅医師や高齢医師の就職先(天下りのような関係)として扱う傾向に不安を感じます。誰のための医療なのか、疑問に感じます。中堅医師を1-2年後に派遣して地方の医師不足を解消しているようなことを主張することがありますが、患者にとってはすぐに担当医が変わる外来は決して気分が良くないと思います。まあ、横柄な医師が変わってくれてよかったと思うこともあるかもしれませんがね。何のために大学医局を強化するのか?大学医局の存在意義は何なんですか?主任教授の力支配欲ですか?大学医局を強化するより、患者・国民のために医師不足や医師の偏在をなくす全国的視野を持つ医師政策、医療政策を立案できないですかね。【勤務医】

・大学医局の弱体化によって医師の偏在を補正するだけのマンパワーを派遣元の大学病院が確保できていない。メリットデメリットはあるだろうが、女性医師の産休や育休が自由に取れていない今、大学医局に医師を集中させ、その分、男性含め休暇をしっかりと取得させる働き方改革が望まれる。【勤務医】

・医局を強化し、人員を確保出来れば、医師偏在が解消可能性はあるが、それは適切に医局が医師派遣をした場合であって、派遣する側が、僻地の医療機関の足元を見て無理難題を押し付けてこないとも限らない。【勤務医】

・利点と欠点がある。偏在是正のためなら、研修医制度を含めて総合的に、現場の医師が納得できる仕組みが必要。小手先の改革(改悪?)は現場が混乱するばかり。教授の主張が正しいとは限らない。むしろ教授個人の社会的責任を追及する制度が必要。【勤務医】

・入局時から都市部の人気がある病院ばかりを回る医局員と、地方の野戦病院ばかりをドサ回りさせられる医局員とに分かれるので「大学医局の強化」には断固反対です。機会の平等がなくなります。【勤務医】

・医局は同窓会同様の私的団体にすぎない。政治的に介入するのなら、根拠法が必要。医師も労働者。供給が足りないのなら給与を上げるなどして需要が充足されるよう、いわゆる神の見えざる手が働くのが正常な社会。年収1億円くらい提示したら僻地の医師不足など瞬く間に解消するだろう。売り手市場の今、なぜかくも多くの医師が自らの給与を下げるような方向性(医師派遣とか医局の力強化とか)で活動するのか不思議でならない。【勤務医】

・過去の栄光にすがるのが良いことかどうかは分からないが、昔はそれが良かったのかもしれない。地域医療と大学での研究人材を一緒にとらえているからなのでは?そもそもの医療のありかたから考え直す必要があると思います。【勤務医】

・地域への医師派遣は大学医局からのほうがスムースだろう。そのためには大学医局の強化は有力な方法だが、一方で大学医局の強化は諸刃の剣である。関連病院への医師派遣を医局内の誰が決めるのか?教授か、同門会の民主的な会合か?人事権を教授一人が持つようになれば医局員や同門会にとっては悲劇である。【勤務医】

・無給医局員の廃止し、大学院生にも労働に応じた賃金を支払う。大学によっては、技師、事務、看護師よりも給与が少ないため、職業に見合った給与を支払うべき。また、技師、事務、看護師の給与を減額するべきである。医師の労働環境の悪化は、看護師が医師への責任転嫁による部分もあるため、看護師にはこれまでよりも広く責任や業務を担っていただく必要がある。事務の給与が大学病院内で最も低くあるべきである。【勤務医】

・大学派遣の場合、地域医療の大切さは分かっていても、片道切符では誰も行きたがりません。ローテ―トできっちり規約をつくれば、心あるものは行くと思いますし、臨床の技能は上がります。【勤務医】

・今始まろうとしている新専門医制度のあり方次第ではあると思うが、大学医局に所属しないと専門医を取得できないようにしてしまえば、自然と大学医局の強化にはつながると思われる。しかし、嫌がる人も多いと思う。【勤務医】

・ある種非営利団体であること、組織存続のために医局所属の個人に負担を強いていること、出世しても経済的メリットはほぼないこと、所属しなくても罰則がないこと。これらがある限り医局復権はない。【勤務医】

・目的と手段が大きな課題。関連病院の支配強化のために専門医機構を利用したり、次世代の人材育成が二の次になるようでは困る。人材育成とともに地域医療の安定に寄与することが重要。企業べったりの講演活動や上納金集めばかりするではダメです。【勤務医】

・大学医局人事も色々問題あるが、それでも個々の医師の力量と専門性と家庭の事情(優先順位低いときもあるけど)を考慮しやすいし、技術不足や急な欠員な場合の人的フォローも出しやすいので、やはり顔の見える程度かつ互いの仕事を知っている関係での人事が一番良いと考える。良い医局は医師を育てる。悪い医局(厚労省や社保庁のようにただ権力行使に快感覚える精神異常者が多数いる医局)では医師は育たないけど。【勤務医】

・救命救急センターレベルにある医療機関以外への医局員の派遣がほとんどない。それは一般救急病院でも症例数の激減により専門医訓練施設から外れているためである。医局機能の低下も一因かも知れないがそれだけではないであろう。若い医局員は症例数の多い、都市部の病院を希望しており、以前は嫌でも地方や人口の少ない地域にも、パートのような形でも診療応援に行っていたがそれも少なくなった。最近は大学に近い地域の当直・パートが殆どではないか。大学も救急をしており医局員を外に出したくないのであろう。救命救急センター優遇と専門医訓練施設基準が是正されなければ医局強化が可能であったとしても何も変わらないかもしれない。【勤務医】

・とんでもない発想で、学閥を助長し、世間の狭い教授の横暴を許すにすぎない。現在の医局は即刻廃止で、医師個人や病院の経営などに責任も持てないで、その人事を左右するなんて、根本的に間違っている。大学の講座は研究と高度な臨床教育と学生教育に徹し、研究者を養成する機関として存在するにすぎない。またその医局は病院の医局と同様に医師の集まりにすぎない。【勤務医】

・医局の強化とは、人員配置権限を強めることだが、地方大学では、大学に優秀な人材は残っていないところが多く、教授のなり手も少なく、レベルダウンしている。権限だけ強めても困ったことになる。【勤務医】

・このような制度は欧米ではありません。欧米は出身大学と研修する病院とは別の事も多く、大学医局の強化は変な封建主義になります。むしろ個々の素晴らしい病院を育てるべきで、国も援助すべきです。大学医局は人材も少なく、むしろ教授には臨床のできない先生も多いですので、大学は医学生教育と海外に負けない研究に集中すべきと思います。【勤務医】

・大学医局の実態を知らない馬鹿な議員さんの意見で、そうなれば個人の人権・権利が侵害される状況を危惧する。医師がその勤務場所が医局に縛られると、教授・医局長の好き好みの支配が横行されることになる。また大学の名のもとにあたかも医師の教育がなされている印象をもつが、実態は一般病院に劣っている。またバイトで生活費を稼ぐ環境にあり、医師を育てる土壌はない。日本の医療の後退を意味するからとんでもない発想としか言いようがない。【勤務医】

・単に以前の状態に戻ることは少なくとも望ましい初期臨床研修の実態に合わないし、戻したくても戻せないと思う。ただし、後期研修以降に関しては大学医局からの派遣という形にするのが、教育・地域医療への貢献・専門医の適正配置のコントロールという面から妥当ではないかと思う。教授への権力集中を避けながら、医療の均霑化を図る方法を新たに模索しつつ「大学医局」を強化するのは1つの選択肢ではないか?【勤務医】

・現在のような中途半端な研修をやめて、大学医局に早く入局して研鑽を行い、しばらく医局内で研修した後に、救急や産科などに一定期間出向して勉強した方が良いのでは。色々な意見はあると思いますが、各大学医局の責任において各病院の人事を行う方が合理的でしょう。【開業医】

・大学医局、市中病院、などという外形的区分に実質的意味はない。良い医療、良い教育、良い研究は、併存できるかも知れないし、分離すべきかもしれない。それはどちらでも良いが、大学医局じゃなければならない、などという根拠なき主張には、いったい誰と戦っているのかと思わされる。医師同士はチームであり、戦うべき相手は、社会保障費の問題であり、海外勢であり、産業界であり、研修医が死んでしまうほどの劣悪な職場環境、学生のクラブ活動の延長線上のガバナンスである。【勤務医】



http://www.medwatch.jp/?p=17055
2018年度、診療報酬のマイナス改定を要請—中医協・支払側委員
2017年11月22日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、国民皆保険制度の維持、国民負担の抑制、経済の成長などを勘案してマイナス改定とすべき—。

 中央社会保険医療協議会の支払側委員は11月22日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛ててこのような要請(平成30年度診療報酬改定に関する要請)を行いました。年末にかけて、改定率を巡る議論がますます熱くなっていきます。

診療報酬本体のマイナス改定を求めるかについては、支払側内部で意見割れる

要請を行ったのは、▼健康保険組合連合会▼国民健康保険中央会▼全国健康保険協会▼全日本海員組合▼日本経済団体連合会▼日本労働組合総連合会—の6団体です。

「医療費を含めた社会保障費の増大は経済成長の足枷となる」「医療費増に対し、現役世代人口が減少するため国民皆保険制度の崩壊につながりかねない」「賃金・物価水準が上昇しない一方で診療報酬本体はプラス改定が続き、ギャップが大きい」ことを指摘し、国民負担を抑制するために「2018年度には診療報酬をマイナス改定すべき」と6団体は要請しています。

ただし「マイナス改定」が、薬価などを含めた「ネットのマイナス改定」にとどめるのか、「診療報酬本体のマイナス改定」をも求めるものなのかについて、支払側の意見は統一されていません。

会見を行った、健保連の幸野庄司理事(中医協委員)は「診療報酬本体のマイナス改定を求めたい」旨を明言。一方、連合・総合政策局の平川則男局長(中医協委員)は「かつての診療報酬本体マイナス改定で地域医療崩壊という事態を招いた。医療提供体制への影響を慎重に見極める必要がある」と述べ、診療報酬本体のマイナス改定には慎重姿勢をとっています。また、全国健康保険協会の吉森俊和理事(中医協委員)は、「保険者としては診療報酬本体のマイナス改定も必要と思うが、一方で、医療機関で働く人の待遇という問題もあり、一歩踏み込んで『診療報酬本体もマイナス改定』と言い切ることは難しい」と、両者の中間的な意見を述べるにとどめています。

 このほか6団体は、▼医療・介護連携、効率化を主眼に、「地域包括ケアシステムの構築」と「医療機能の分化・強化」を推進する▼急性期をはじめとする患者の状態像に応じた適切な評価を推進する▼患者本位の医薬分業に向けて調剤報酬を適正化する▼後発品の使用を促進する—ことで医療費の適正化・効率化を図るよう求めています。



http://wic-net.com/report/3152/1.html
注目の記事 [医療提供体制] 地域医療構想の進め方で議論の整理案提示 WGで厚労省
地域医療構想に関するワーキンググループ(第9回 11/20)《厚生労働省》

発信元:厚生労働省 医政局 地域医療計画課   2017年11月20日(月) Wic Net

関連資料 http://wic-net.com/report/3152/1.html#al01
PDFダウンロード http://wic-net.com/report/3152/1.html#al02

今回のポイント
●厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示
○整理案は、骨太方針2017に明記された、個別病院名や転換する病床数等の具体的対応方針を毎年度作成するよう、都道府県に指示
○過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった際には、都道府県が当該医療機関に対して理由書などの提出を求め、正当な理由が認められない場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床機能を転換しないことを命令または要請することができることを明記


 厚生労働省は11月20日の医療計画の見直し等に関する検討会・地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)に、「地域医療構想の進め方に関する議論の整理(案)」を提示した。これまでのWGや親検討会での審議内容を反映させ、地域医療構想調整会議の運営方法や情報共有のあり方、過剰な病床機能への転換を希望する医療機関があった場合の対応-などを記載した。
 骨太方針2017には地域医療構想調整会議について、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年程度で集中的な検討を促進する」と明記されていることから、議論の整理案は都道府県に毎年度、具体的対応方針をとりまとめるよう指示。内容にも注文をつけ、調整会議で2025年における役割と医療機能ごとの病床数について合意を得た全医療機関の(1)2025年を見据えた地域において担うべき役割、(2)2025年に持つべき医療機能ごとの病床数-が含まれていなければならないとした(p63参照)。

 開設主体別の対応手順では、公立病院、公的医療機関について、新公立病院改革プランと公的医療機関等2025プランをそれぞれ策定した上で、2017年度中に2025年に向けた具体的方針を調整会議で協議することと定めた。このうち公立病院は、へき地医療、救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算医療、高度・先進医療、広域的な医師派遣の拠点としての役割が期待されていることに十分留意するとともに、地域においてこれらの医療を公立病院が担うことが適当であるのか、確認する必要があることを示した(p63~p64参照)。

 病床機能報告において、6年後の病床機能を地域で過剰な機能に転換する意向を示した医療機関があった際には、都道府県が▽理由書の提出▽調整会議での協議への参加▽都道府県医療審議会での理由の説明-を要求。正当な理由が認められない場合には、都道府県医療審議会の意見を聴いて、病床機能の転換をしないことを命令(公的医療機関)または要請(民間医療機関)できることを明記した。全病床が稼動していない病棟を持つ医療機関に対しても、調整会議の場で病棟が稼動していない理由や今後の運用見通しを説明することを都道府県が要求。病棟を維持する必要性が乏しいと判断された場合は、都道府県医療審議会の意見を聴いた上で、病床数の削減の命令または要請が可能であることを示した(p65~p66参照)。

 調整会議における情報共有のあり方では、都道府県に対して、病院ごとの診療実績データなどの提供を指示。具体的には、▽高度急性期・急性期機能:幅広い手術の実施状況、がん・脳卒中・心筋梗塞などの治療状況、重症患者への対応状況、救急医療の実施状況、全身管理の状況など▽回復期機能:急性期後の支援・在宅復帰への支援の状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリテーション・早期からのリハビリテーションの実施状況、入院患者の居住する市町村やケアマネジャーとの連携状況▽慢性期機能:長期療養患者の受入状況、重度の障害児などの受入状況、全身管理の状況、疾患に応じたリハビリ・早期からのリハビリの実施状況、入院患者の状況、入院患者の退院先-などの提出を求めた(p67~p68参照)。
資料PDFダウンロード
資料1 P1~P12 0.9M
資料2 P13~P42 3.6M
資料3 P43~P61 1.0M
資料4 P62~P82 1.4M

関連資料
[医療提供体制] 厚労省研究班が急性期機能の指標策定 地域医療構想WG3
http://wic-net.com/report/3016/1.html



  1. 2017/11/25(土) 10:22:34|
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11月6日 

http://www.asahi.com/articles/ASKC15CJFKC1ULBJ00T.html
医学部に「地元枠」、制度強化案 地方の医師不足改善へ
野中良祐
2017年11月4日00時24分 朝日新聞

 医師が都市部などに集中する医師偏在の問題について厚生労働省は、都道府県の権限を強めて改善を促す。医師不足の解消のため、大学医学部に「地元枠」を設けることを都道府県が地元の大学に要請できるよう医師法と医療法を改正する方針。改正案を来年の通常国会に提出することを目指す。

 「地元枠」は、医学部定員の一部を地元出身者に限定するもの。地元出身者は卒業後もその地域に残る割合が高い。2015、16年に臨床研修を終えた医師を対象にした厚労省の調査では、地元出身者がその都道府県に残る割合は78%。だが16年時点で、地元枠を設ける大学医学部は全体の6割弱だった。

 医学部に進む地元出身者を増やしたい一方、大学との連携が不十分な都道府県もあるため、厚労省は都道府県が大学に地元枠を設けるよう要請できることを医師法で定める方針。東北や四国地方など広域のブロックで医師を確保するため、隣県などの大学医学部に自県の地元枠を要請することも想定している。

 国が主導して定員を決めていた臨床研修の実施施設についても、都道府県が地域の実態に沿って決められるようにする。地元枠の学生が臨床研修先を選ぶ際、他の学生と分けて採用する仕組みも検討する。

 厚労省によると、医師数は人口10万人あたり307・9人(京都府)から152・8人(埼玉県)と2倍以上の差。都道府県内をわけた医療提供の地域単位「2次医療圏」でも最大で10倍以上の差がある。

 改善のため、厚労省は法改正で、目標や具体策を盛り込む「医師確保計画」の策定を都道府県に義務づける。計画の土台となる医師偏在のデータについては、これまで使われてきた人口10万人あたりの医師数だけでなく、高齢者の割合などをふまえた診療科のニーズ、医師の年齢分布などを踏まえた詳細なデータも示す。

 石川・能登半島で病院を経営する神野正博・全日本病院協会副会長は「都道府県の調整力が高まることで偏在解消の一歩前進になる」と話している。

     ◇

 ほかの医師偏在対策として奨学金制度がある。都道府県が医学部の学生に授業料などを貸し、その地域の医療機関に一定の期間、勤めると奨学金を返済しなくてよいとするもの。全都道府県にあるが43は対象を地元出身者に限っていない。厚労省によると16年までに貸与したうち4分の1は地元出身者でなかった。

 返済の免除に必要な地元での勤務期間も4年から9年以上とばらつきがある。また、17都道府県は初期臨床研修の場所を地元に限定していなかった。現状の取り組みでは他の地域に流出する医師もいて十分でないため、厚労省は都道府県に通知を出した。貸与するのは地元出身者とし、勤務期間は、自治医科大と同じ卒業後9年間を基本とするよう求めている。さらなる医師定着の手立てとして、地元枠の強化を含む法改正に踏み切ることにした。(野中良祐)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51491?page=2&utm_source=nifty&utm_medium=feed&utm_campaign=link&utm_content=next
厚労省の医学部地元優先政策に異議あり 高校野球と高等中学校の歴史が証明する教育のあり方
2017年11月01日 07時00分 日本ビジネスプレス  JBPress

 我が国の医師不足は深刻だ。さらに、西高東低の形で偏在している。

 厚生労働省は来年の通常国会で医療法を改正し、この問題に対応しようとしている。

 10月30日の読売新聞によれば、厚労省は都道府県の権限を強化し、医学部入学定員に地元出身者枠を設けるよう大学に要請できるようにすると同時に、地域の研修病院の定員を都道府県が決定できる権限を与えるらしい。
懸念される学生の学力低下

 私は、このやり方に反対だ。短期的に医師の偏在を改善するかもしれないが、長期的には弊害が大きい。

 医学部を志望する高校生は多いのに、定員を増やすことなく、大学の入学者を地元優先にすれば、実力のない学生が入学してくる。

 また、卒業後は地元の医師不足地域に派遣される。若者は異郷を経験して成長するのは、古今東西共通だ。地元で生まれ、地元の大学を卒業し、地元に縛りつけられれば、成長のチャンスを失う。

 医師不足の日本で病院は医師確保を巡って、激しく競争している。

 経営経験のない退職した大学教授を院長に迎える病院が多いのは、医局から医師を派遣してほしいためだ。「病院経営は医師確保にかかっている」というのが、医療界の常識だ。

 実は、医師不足地域とは、医師獲得合戦で負けている地域なのだ。

 僻地でどうしようもないというところもあるが、多くは経営者に問題がある。地域枠の学生を、卒後、このような病院で勤務させつづければ、実力はつかない。長期的には、医療レベルは低下する。

 医療に限らず、外部と交流せず、内輪で凝り固まれば、地域は停滞する。交流が地域を活性化したケースと、その反対の事例をご紹介しよう。

 前者は高校野球だ。高校野球は、長らく西高東低だった。東北地方は弱く、いまだに春夏を通じて優勝経験はない。

東北地方が強くなった理由

 ところが、近年の東北勢の躍進は目覚ましい。過去10年間の全国高校野球選手権(夏の甲子園)で、毎年ベスト8に進んだ地域は関東地方と東北地方しかない。

 もちろん、東北地方が躍進した理由は関西、関東からの野球留学だ。ところが、近年の東北地方の高校野球の留学生への依存度は、着実に低下している。

 2013年の夏の甲子園は東北地方の高校が大活躍した。

 最終的に前橋育英高校(群馬県)が優勝したが、ベスト4には東北から花巻東(岩手県)と日大山形が入った。この大会でベンチ入りした18人のうち、県外出身者は花巻東が3人、日大山形は2人だった。

 さらに、この大会で2勝した弘前学院聖愛(青森県)は県内出身者だけで臨んだ。準々決勝で前年、前々年と甲子園で決勝戦まで進んだ八戸学院光星高校を破っての出場だった。東北地方の地力は高い。

 元高校球児で、1998年松坂大輔の横浜高校と夏の甲子園の決勝を戦った京都成章高校の主将を務めた澤井芳信氏(スポーツバックス社長)は次のように語る。

 「野球留学については賛否両論、いろいろな意見があるが、少なからず野球留学を受け入れることにより、結果を見れば分かるように東北地方のレベルが上がっている」

 その理由として、「環境はビハインドがあるが、野球留学で上手い選手が入ってくることにより、その上手さを肌で感じ、相手チームであろうが、自チームであろうが、勝つため、そして上手くなるために目標やこのままじゃダメだと気づくことにより様々な工夫が生まれる」と説明する。

 その通りだろう。交流は成長を促す。次に反対の事例をご紹介しよう。これも教育関係だ。

明暗分けた薩長の高等中学校

 明治時代、我が国には高等中学校という教育機関があった。

 高等中学校とは、聞き慣れない名前だが、明治19年の中学校令により、全国に7つ設置された高等教育機関だ。

 全国を5つの区域(当初、東京、大阪、仙台、金沢、熊本)に分けて、各地に帝国大学(のちの東京帝大)に続く、カレッジのような教育機関を設置した。

 高等中学校は、本科と専門科に分かれていた。本科は、帝国大学に進学するための予備教育を目的とし、専門科は医学、法学、工学などの専門科目を教えた。

 実は、この5つの高等中学校以外に、特別に2つの高等中学校が設けられた。それが山口高等中学校と鹿児島高等中学校だ。

 いずれも旧藩主である毛利家、島津家をはじめとする地元の有力者が設立資金を負担することで、特例として設立が認められた。薩長の地元だけ、特別に官立の高等教育機関が設立されたことになる。

 山口高等中学校の場合、他の高等中学校と異なり、防長教育会という地元の団体が実質的な運営権を持っていて、学生は、ほぼ全員が地元出身者だった。

 山口高等中学校の目的は、地元の子弟を帝国大学に進学させることだが、地元の子弟の優先入学が行き過ぎたのだろうか、その後、学校のレベルが低下した。

 山口高等中学校は、財政難もあり、1902年(明治35年)に、官立の山口高等商業学校に吸収される。山口帝国大学には発展しなかった。
大人の思惑など入れるべきではない

 一方、鹿児島高等中学校は山口県のような対応はしなかった。その後、第七高等学校へと発展する。対照的な展開だ。

 このあたり、秦郁彦氏の『旧制高校物語』(文春新書)に詳しく紹介されている。ご興味のある方はお読みいただきたい。

 冒頭にご紹介した厚労省の医療法改正を解釈するにあたり、東北地方の高校野球の躍進と山口高等中学校の顛末は示唆に富む。

 私は、学校の入学資格は教育を最優先すべきで、医師偏在など「大人の思惑」は入れるべきではないと考えている。

 若者は部外者と交流し成長する。内輪で凝り固まるべきでない。医師不足対策には、長期的な視野に立った議論を求めたい。



http://www.sankeibiz.jp/econome/news/171031/ecd1710310620001-n1.htm
医師不足地域の新たな試み、若手医師を地方に ベテラン開業医が技伝授「親父の背中プログラム」
2017.10.31 06:20 SankeiBIZ

 医師不足に悩む地方の医師会が、独自の研修を目玉に若手を呼び込む試みを始める。地元の病院で働く傍らベテラン開業医からノウハウを学んでもらう。名付けて「親父(おやじ)の背中プログラム」。大病院での研修では難しい家庭医としての技術向上の機会を提供し、現状打破をねらう。同様の問題を抱える地域のモデルケースとなるか注目が集まる。

 「認知症の人はギプスの端がめくれていると引っ張ってしまうのでしっかり固めて」。9月下旬、島根県益田市医師会で開かれたワークショップ。整形外科が専門の井上貴雄医師(55)がギプスの巻き方や豚足を使った縫合実習、開業医が扱う特徴的な症例を若手16人に講義した。来春からの研修趣旨や地域の事情を知ってもらう事前企画で過疎地に赴く医師の研修を企画する千葉県の会社「ゲネプロ」が後方支援する。

 平成16年度から始まった制度で、新人医師は研修先を自由に選べるようになり都市部に人気が集中。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になり、地方の医療危機が加速した。益田市でも、益田赤十字病院と並んで6万人の医療圏を支える益田地域医療センター医師会病院で19人いた常勤医師が11人に激減した。

 医師会病院の狩野稔久(かりのみねひさ)院長(63)らがゲネプロの斎藤学医師(43)に相談し、地元開業医の授業を目玉に若手を呼び込む計画を提案された。「単に来て、では医師は来ない」と斎藤さん。「地域医療への思いが熱く経験豊富な医師会メンバーに会って研修モデルが浮かんだ」とし、講師に名乗りを上げたのが男性ばかりだったので「親父の背中」を思いついた。

 若手を対象に期間は2年程度を予定。医師会病院の総合内科で診療を担ってもらい、残りは開業医が整形外科、皮膚科など各専門の経験や知識を伝授する。給与や費用は医師会負担だ。

 専門にこだわらず幅広い視野で診断する「総合診療医」の専門制度が来年度から始まるのを前に若手側にも需要があり、ワークショップ参加者からは「地域医療が危機に直面している状況がよく分かった。先生方の熱意に刺激された」「過疎で高齢患者が多いなど地域のニーズに合わせて専門以外も柔軟に対応するレベルの高さに驚いた」と好意的反応も出ている。

 耳鼻科講師を務めた市医師会の神崎裕士会長(67)は「ここで経験を積んで僻地(へきち)などに行ってもらってもいい」と話している。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1030511378/
医師確保、都道府県の権限強化へ...医学部に「地元枠」
(2017年10月30日 読売新聞)

 地方の医師不足解消に向け、厚生労働省は、都道府県が医師確保のため行使できる権限を強化する方針を固めた。

 地域の事情に通じた都道府県が主導し、卒業後に地元で働く医師を増やす方策を医学部に求めたり、地域の研修病院の定員を決めたりできることを法律に明記する予定だ。来年の通常国会へ医師法と医療法の改正案提出を目指す。

 厚労省によると、医療機関などで働く医師数(2014年)は、人口10万人あたりで最も多い京都府の308人に対し、最も少ない埼玉県は153人と約2倍の差がある。

 厚労省は地元出身の医師ほど地域に定着しやすいことに注目。医学部入学定員に「地元出身者枠」を設けるよう、都道府県が大学に要請できることを医師法に定める方向だ。

 現在は国が決めている研修病院の定員についても、法に基づく調整権限を都道府県に与える。地元での研修を希望する研修医が、定員超過が理由で他県に流出するのを避けるためだ。

 さらに厚労省は、各地域での医師の過不足の実態をつかむため、医療法を改正し、高齢者らの割合を考慮した医療需要や地域の特性などに基づく指標を導入する予定だ。この指標などを基に都道府県に「医師確保計画」の作成を義務づけ、3年ごとに進行状況のチェックを求める。



http://www.huffingtonpost.jp/michiko-sakane/doctor-control_a_23260137/
BLOG
厚労省による医師管理の厳格化は正しい道か ~これは研修医奴隷制度ではないのか
医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。

2017年10月30日 12時09分 JST | 更新 2017年10月30日 12時27分 JST ハフィントンポスト

坂根みち子
医療法人 櫻坂 坂根Mクリニック 院長

恒例の医師の臨床研修マッチングの時期になった。これは、医学部卒業後2年間の初期研修先を決めるものである。

医療界は厚労省も認める日本最大のブラック業界である。医師は余るといわれ続け多くの医師が永年にわたり滅私奉公で無報酬残業を続けた結果、現在の医師数は交代制勤務など夢のまた夢の状態で、研修医も奪い合いが続く。

地方の医師不足を補うために、各自治体は、地域枠を設けて奨学金を出し、医学生を入学させている。卒後決められた年限、その地域で指定の医療機関で働けば、奨学金の返済は免除されるというものである。医学部バブルの現在、地域医療に捧げたいとその制度を利用して入学するというよりは、少しでも入り易い方法として選んでいるというのが実態ではないだろうか。詳細を知らずに入った学生は場合によってはとても苦労する事になる。

まず、卒後のお礼奉公の年限が、借りた期間の1.5倍から2倍に設定されている事が多い。つまり、卒後9年から12年程は働く場所や地域が決まっている。最初の2年間の初期研修はカウントされない自治体もある。医師として使えるようになってから戻って来なさいということであろう。

奨学金を返還して自由の身になろうとすると、一括返還を求められる。例えば北海道の場合、奨学金合計は1200万円以上になるが、これを一括で返還しなければならず、遅れた場合には、年10−15%もの延滞利息がつく。

このように、もともと結構な制限がかかっている制度である。

ところが、これに加えて、本年7月30日厚労省から以下のような通知が出された(1)。

1  臨床研修病院は、医師臨床研修マッチングの希望順位登録前に研修希望者の臨床研 修期間中の地域医療への従事要件等(以下「従事要件等」という。)を必ず確認すること。
2  従事要件等が課されている研修希望者は、選考過程において臨床研修病院にその旨を申し出るものであること。
3  臨床研修病院は、研修希望者に従事要件等が課されている場合、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がないことを確認した上で医師臨床研修マッチングの希望順位登録を行うこと。 な
お、当該従事要件等と研修プログラムに齟齬がある場合には、希望順位登録を行わないこと。 4 各都道府県は、従事要件等が課されている研修希望者の氏名、大学名及び従事要件等を記載したリストを作成し、厚生労働省を経由して、臨床研修病院に情報提供すること。

つまり、研修のマッチングの過程において、地域枠の学生名簿を作成し、それを配布して地域枠の対象者から地域枠外の医療機関への申請があっても認めないように厳重な管理を始めたのである。来年からは、いかなる事情があろうとも、たとえ上記のように奨学金を返還しようとも他の地域で働きたいという研修医を一切認めなくなったという事である。

さらに締め付けは続く。

地域枠の対象者を研修医として選んだ地域指定枠以外の病院には補助金削減と言う罰を与える事にしたのである。

9月27日のCB newsより抜粋する

厚生労働省は27日、臨床研修病院が従事要件に"違反"する研修医を採用しているケースについて、該当する病院の臨床研修費補助金を減額する案を医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に示し、大筋で了承された(2)。

ここまでの強制は法的に許されているものであろうか?年10−15%にもなる延滞利息付きの一括返還、地域枠対象者の名簿の作成とマッチング医療機関への配布、有無を言わせぬ選考前選別、指定外での地域枠対象者採用病院への補助金の削減。

驚くべきなりふり構わぬ締め付けである。たとえば、茨城県の場合は、年10%の利息を入学時にさかのぼって付加しての一括返還を課しており、これなど明らかに違法であろう。

これが、これから医師として人生を輝かせていこうとする者たちへの扱いとして適しているものなのだろうか。まるで奴隷制度のようである。ここには、次世代の若者をエンカレッジして育てようという意識がまるでない。

例えば、結婚等で指定地域を離れたい時、働きながら出産や子育てをするために親の近くへ行かざる得ない時、もしくは親の介護が発生した時、どうしても研修を受けたい場所が出来た時等々。医学部を卒業し人生が大きく動く時に、18歳の頃の決定に少しの変更も許さないシステムというのはいかがなものだろうか。

厚労省がやるべきことは、医師の強制配置ではなく、永きにわたり放置されてきた過労死レベルの勤務環境を改善させ、指導医にゆとりを持たせ、研修医の指導にかける時間を捻出させる事ではないのか。医師も人間である。当たり前に結婚し、子供を持ち、家族との時間を大切にする。厚労省は、その当たり前な人生が大きく損なわれている現状を少しでも改善するようサポートすべきではないのか。

そして、残念な事に、この医師強制配置、厳重管理体制は、初期研修に続く専門医制度でも踏襲されていくのである。

参考

(1)臨床研修病院が研修医の募集及び採用を行う際の留意事項等について 厚生労働省医政局医事課長 H29年7月31日
file:///C:/Users/PCUser/Downloads/%E8%B3%87%E6%96%992%E3%80%80170731%E9%80%9A%E7%9F%A5%EF%BC%88%E7%A0%94%E4%BF%AE%E5%8C%BB%E5%8B%9F%E9%9B%86%E6%8E%A1%E7%94%A8%E6%99%82%E7%95%99%E6%84%8F%E4%BA%8B%E9%A0%85%EF%BC%89.pdf

(2)臨床研修医採用、従事要件"違反"は補助金減額
厚労省案、医師臨床研修部会が大筋了承
CB news 2017年09月27日 https://www.cbnews.jp/news/entry/20170927192055
地域枠募集についての各自治体のHP
北海道
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/syugakusikin.htm
青森県
https://inomori-aomori.info/highschool/p03
宮城県
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/641355.pdf
茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/jinzai/ishikakuho/isei/ishikakuho/hstsudent/11081601/documents/30kennai.pdf
埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0709/ishiikusei-shougakukin/index.html
(2017年10月24日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/564239/
専門医取得の義務化、「崩れてしまった」- 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.2
専攻医の3割程度は総合診療専門研修に

2017年11月4日 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新専門医制度は2017年度開始の予定が、医師の地域偏在、地域医療への影響を懸念する声が上がり、1年延期となりました。「専門医の在り方に関する検討会」の報告書では、この点への言及はあるものの、あまり懸念されていなかったように思います。

 そうですね。地域医療などへの影響を懸念する声がこれほど出るとは、当時は想定していなかったと思います。それよりも、より良い専門医を育てたいという思いが第一でした。
「将来的には、専門医資格取得の義務化が必要。標榜科目は資格取得の領域に限定し、自由標榜制を見直すべき」と語る、高久史麿氏。

――新専門医制度の基本的な考え方を、実際の制度に落とし込んでいく段階で、問題が生じてきたということでしょうか。

 研修プログラム制になり、経験症例数などの要件を設定した結果、大学病院中心の制度になったのではないでしょうか。大学病院が基幹病院になれば、連携病院にどの程度、専攻医が行くようになるか、この辺りは実際にスタートしてみないと分からないですね。

――懸念を払拭し、2018年度開始に向けた議論の過程で、検討会報告書の提言から幾つかの変更がありました。

 検討会報告書では、「専門医の定義や位置付けに鑑み、医師は基本領域のいずれかの専門医資格を取得することを基本とすることが適当である」としていましたが、厚労省がこの4月に設置した検討会で「専門医資格の取得は義務化しないことを明記する」との意見が出ました(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。私は将来的には専門医資格の取得を義務化すべきだと思っています。米国はレジデンシーの研修を終えないと、“看板”(標榜)は出せません。このレジデンシーに相当するのが、日本の3年間の専門研修です。

 また研修プログラム制が原則でしたが、研修カリキュラム制も認められるようになるなど、変更点は幾つかあります。要は「不完全な形でもいいからスタートする」と判断したのでしょう。

 過渡期なので仕方がない面もありますが、一番問題だと思っているのは、総合診療専門医の位置付けです。例えば、イギリスは、GP(General Practitioner)と臓器別専門医をほぼ半々ずつ養成しています。日本でも地域包括ケアに本格的に取り組んでいくのであれば、専門医の半分くらいは総合診療専門医にしていく必要があるのではないでしょうか。

――日本医師会は、「総合診療専門医は、あくまで学問体系の裏付けとしての専門医」であり、臨床の担い手としてのかかりつけ医と総合診療専門医は切り離して考えるべきとしています(『かかりつけ医と総合診療専門医は別物』、『かかりつけ医「総合診療専門医も日医の研修を」』などを参照)。

 総合診療専門医は、臨床の担い手としての呼称です。「かかりつけ医」は、医師と患者さんとの個人的な関係を示す言葉であり、大学病院の専門外来に通院している患者さんにとっては、大学病院勤務医がかかりつけ医。イギリスほどではなくても、専攻医の3割程度は総合診療専門研修に入るようにすべきでしょう。開業されている「かかりつけ医」の医師も、希望があれば一定の研修を受けて総合診療専門医になれるようにすればいいでしょう。

――2016年7月の日本専門医機構の執行部交代を境に、同機構と各基本領域学会との関係も変わりました。

 また元に戻り、学会中心の制度になっています。

 確かに日本専門医機構が、各基本領域の専門研修プログラムを作ることは難しい。だから各学会が作成、それを認定する仕組みになったわけですが、今の機構の権限は限られています。例えば、「県立医大だけが基幹病院で、県内の他の病院を全て連携病院にするのはおかしい」「連携病院で、何カ月間か必ず研修すべき」といったくらいの指摘は、して良いと思います。本来なら、さらに踏み込んで専門研修プログラムの内容まで判定できるようにすべきでしょう。
――先生方が「専門医の在り方に関する検討会」で議論していた際は、米国のACGME (Accreditation Council for Graduate Medical Education) のような大規模の組織を念頭に置いていたのでしょうか。

 本当のところはそうです。

――でも実際問題として、日本では医師が充足しておらず、専門医制度を運営する医師を配置することは難しいと思うのですが。

 そこまではできなかった。国からの補助もなく、財源も乏しいからです。

――「専門医の在り方に関する検討会」の議論を始める際は、医療事故調査制度と同様に、国が第三者機関を指定し、専門医制度を運営する仕組みを想定されていたのでしょうか。

 いえ、当初から、プロフェッショナルオートノミーの仕組みを想定していたと思います。ただ、プロフェッショナルオートノミーでやれればいいけれど、新専門医制度については容易ではないですね。

 日本専門医機構は、例えば専門研修プログラムの内容や専攻医の研修においてクレームが生じた際の“メディエーター役”は果たせるでしょう。でもそれだけでは、以前の日本専門医制評価・認定機構などの時代とあまり変わらないのでは、と思います。

――ではこれだけ議論をし、準備を重ね、2018年度から新専門医制度がスタートした場合、専門医の質はどう変わっていくのでしょうか。

 先ほども言いましたが、本来なら臨床をやる以上、専門医資格を取得しなければならない仕組みにする必要があります。そして将来的には専門医制度と連動させ、自由標榜制を変える。これは第一に患者さんのためです。

――しかし、全員が取得するわけではなく、「全員取得」という最初の段階から変わってしまった。

 したがって、以前とあまり変わらないのではないでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564238
新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に - 高久史麿・前日本医学会長に聞く◆Vol.1
「なぜ19が基本領域か、検討すべきだった」

スペシャル企画 2017年11月1日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com医療維新が2007年11月にスタートして10年。この間、医療界では実にさまざまな動きがあったが、その中からトピックスを厳選して、当事者に当時の思いと医療界の今について語っていただくスペシャル企画を、10周年記念としてお届けする。

 最初にご登場いただくのは、今年6月まで日本医学会会長を務めた高久史麿氏。新専門医制度が発足するきっかけとなったのが、2013年4月に公表された厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書。同検討会の座長を務めたのが高久氏だ。
 座長としてどんな問題意識を持ち、議論を進めたのか、検討会報告書の骨子は何か。地域医療への影響が懸念され、新専門医制度の骨格は、検討会報告書から幾つかの点が変更されたが、どう受け止めているのか……。今は地域医療振興協会会長を務める高久氏にお聞きした(全3回の連載)。

新専門医制度では、19番目の基本領域として総合診療専門医が追加されたが、そもそも既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はなかったという。

――先生は、新専門医制度が発足するきっかけとなった、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」の座長を務められました。2011年10月の議論開始当初、どんな問題意識を持っていたのでしょうか。

 専門医制度を持つ学会が増えたのは、2002年に厚生労働省が外形基準を作り、広告可能な専門医資格を決めてからです。その前後からさまざまな専門医制度が誕生し、標準化が必要となりました。1981年に学会認定医制協議会が発足していましたが、2001年に専門医認定制協議会に改称、その後、2002年に日本専門医認定制機構、2008年には日本専門医制評価・認定機構となり、2014年5月に日本専門医機構が設立され、今に至っています。

 私が以前、ある講演会で「まず近くの開業医を受診して、専門的な治療などが必要になった場合には専門医を受診する仕組みがいい」と話した時に、「そもそもどこにどんな開業医がいるのか、何を専門としているのか、どれだけの実力なのかが分からない」との指摘を受けたことがあります。確かに、内科、皮膚科などと複数の診療科を標榜して、何が専門かが分からない開業医の方も見受けられます。自由標榜制の問題は、以前から感じていました。

 厚労省の検討会は、2013年4月に報告書をまとめましたが、その特徴は三つです。第一に、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義したこと。専門医は、決してスーパードクターを指すのではありません。

 第二は、学会が認定する専門医ではなく、中立的な第三者機関を設立し、専門医の認定と研修プログラムの評価・認定を統一的に行うこととし、専門医等に関するデータベースを構築すること。

 そして第三は、総合診療専門医を基本領域の専門医の一つとして加えることです。

――総合診療専門医を基本領域として追加する際、そもそも基本領域とは何か、既存の18分野は基本領域として妥当なのかといった議論はありませんでした。

 個人的な考えを言えば、基本領域に病理や臨床検査などが入っているのは問題だと思っています。今回の専門医制度は患者さんの受診に役立つことを基本として考えられたものであり、病理や臨床検査は、患者さんが直接受診する診療科ではないからです。

――18の基本領域は既定路線で、根本から議論する予定はなかったのでしょうか。

 それはありませんでした。後から考えると、「議論しておけばよかった」と思っています。ただ、病理や臨床検査の先生方は、これらは病院に必要な部門であり、「病院の権威が高まる」という理由から、標榜したいという希望が強いようです。

――その一方で、最初は総合医、家庭医などさまざまな呼称が使われていましたが、総合診療専門医は初めから加える方針だったのでしょうか。

 私は初めから加えるつもりでした。高齢社会に向けて地域包括ケアの構築が始まりつつありましたが、その中心となるのは総合診療専門医であると考えていたからです。もっとも実は、総合診療専門医の呼称は、私は「総合医」の方がいいと思っていました。診療に限らず、地域の予防活動や健康教育など、さまざまな役割が期待されるからです。その実践には社会学的な知識も必要。けれども、さまざまな議論を経て、総合診療専門医に落ち着きました。

――「専門医制度が乱立している」「何を専門とする医師かが分かりにくい」など、患者さんに分かりにくいとされていたのは、基本領域以上に、サブスペシャルティ領域かと思いますが、その議論はあまりされませんでした。

 基本領域の専門医をまず取得し、次にサブスペシャルティ専門医を取得するという、二階建ての制度にすることは決めましたが、それ以上の議論はあまりやりませんでした。

 そのほかできなかったのは、「専門医を取得しないと、看板を出せない」、つまり自由標榜制の見直しについての議論です。

――自由標榜制の見直しが必要だとお考えですか。

 当然のことです。先ほども言いましたが、内科、あるいは外科でも、きちんとトレーニングを受けた医師のみが標榜できるようにすべきです。しかし検討会では、「自由標榜制」について議論されることはありませんでした。



https://news.biglobe.ne.jp/economy/1103/zks_171103_6346732270.html
総合診療医制度の枠組みと課題
11月3日(金)20時41分 財経新聞

 来年度から、専門分野に拘らず幅広い視野で患者を診断する「総合診療医」制度がスタートする。医師不足に悩む地方への対応策である。具体的には若手医師を対象に2年程度の時間をかけ医師会病院の総合内科で診療を担当してもらいつつ、内科以外の例えば「整形外科」「皮膚科」などについてはそれぞれの開業医が経験に基づいた専門知識を伝授するという枠組み。給与や専門技術の伝授費用は、医師不足に悩む地方・地域の医師会が負担する。2年余り後、件の若手医師はいわば「よろず診療所」を医師会の援助を得て開設。医師会と連携を取りながら「医師不足」解消の入り口を担うことになる。

 既に先行して「総合医療医」制度の趣旨を実行に移している地方の医師会もある。例えば、島根県益田市医師会。10余年前から「新人医師は研修先を自由に選べるようになった結果、都市部に人気が集中した。それまで大学病院が担っていた地方病院への医師派遣が困難になった。このままでは地方の医療危機が加速する」という当時の医師会病院長が音頭をとり、実行に踏み切った。

 単に若手医師に「来て」と呼び掛けただけでは、困難。若手医師に「存在感」を実感してもらう必要がある。浮上したのが「よろず診療所長」。やはり「地域医療の脆弱化」に危機感を抱いていた開業医が「講師」として手を挙げた。手を挙げたのが全員男性だったことから「親父(おやじ)の背中プログラム」と名付けられた。

 こうした流れが加速していかないことには、総合診療医制度も機能しない。第2・第3の島根県益田市医師会が相次ぐことを期待したい。

 そうでなくては拡大が期待されている「日本版CCRC」の動向にも、大きく影響してくる。CCRCとは「リタイア後の高齢者が地方に移住し、介護・医療状態が整備した中で安心した老後を送る」という、米国産の概念。日本版CCRC創りの構想が「人口減少」に悩む地方自治体で盛り上がりを見せている。現に移住者用の施設が着工された例もある。人口減⇔若手医師の都会集中への対応策が進められなくては、日本版CCRC構想も「画餅」に終わってしまう。

G3註: CCRC - Continuing Care Retirement Community



https://www.m3.com/news/iryoishin/566866
臨床研修、4科目必修化を決議、「廃止すべき」という意見も
レポート 2017年11月3日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」が11月2日に発足、設立総会を開いた。臨床研修制度における外科、小児科、産婦人科、精神科の4科の必修化などを求める「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)を大筋合意、議連会長の河村建夫衆院議員に最終的な取りまとめを一任した。11月15日に開催予定の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で、臨床研修カリキュラムの見直しについて議論する予定であることから、11月第2週にも加藤勝信厚労相に提出する。

 設立総会では、参加議員らによる積極的な意見交換が行われ、臨床研修制度の廃止や大学の医師派遣機能強化を求める声も多かった。

 議連は2017年春から議論を重ねてきた「医師偏在是正に関する研究会」と若手議員中心の「医師偏在と良質な地域医療を考える勉強会」が合流する形で設立、70人程度の自民党議員が入会した。議連会長には河村氏、幹事長には羽生田俊参院議員、事務局長には自見英子参院議員がそれぞれ就任した。現在、厚労省で議論が進む医師偏在対策や臨床研修制度の見直しに対応するため、当初は9月中に設立する予定だったが、衆院解散を受けて延期された。

 設立趣意書に記された「実現を目指し、活動していく予定」の事項は、下記の5項目。

(1)卒前の臨床研修において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について再検討を行い、診療参加型実習を強化する。

(2)現在全大学で実施されているにも関わらず公的な枠組みのない医学部4年終了時の共用試験の位置づけを見直すと共に、その試験内容と連動して医師国家試験の抜本的な見直しを行うなど医学部教育と臨床研修をシームレスにつなぐ医師養成となるよう充実を図る。

(3)卒後の初期臨床研修において、総合的な診療能力の獲得と地域医療に必要不可欠な外科、小児科、産婦人科、精神科等の必修化を検討するとともに、地域医療研修の充実を図る。

(4)卒後2年目終了時点で、一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討する。

(5)医師偏在に関しては、様々な対策が講じられてきたものの抜本的な解決が図られてこなかったことから、初期研修のマッチング、大学の医局、医師会、地域医療との関連性を踏まえ、新たな仕組みの構築を目指す。

 事務局長を務める自見氏は、2004年3月卒業で、2004年度からスタートした臨床研修制度の1期生でもある。卒前・卒後のシームレスな医師養成の必要性を指摘、「本来ならば、導入前にきちんと議論すべきことだった。体験者として憤りを感じている」と説明する。

臨床研修、「やめてしまえばいい」も

 設立総会には代理参加の秘書らも含め約120人が参加。厚労省医政局長の武田俊彦氏、全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)、日本外科学会理事の大木隆生氏、日本産婦人科学会理事長の藤井知行氏、日本精神科病院協会副会長の森隆夫氏、日本小児科学会副会長の宮田章子氏が医師養成の現状について説明した。

 4科の代表者は、2010年度から臨床研修の必修科目から外れたことで志望者が減少したことや「研修のクオリティを保つためにも必修化を望む」(大木氏)、「女性は男性と根本的に違う。産婦人科を回ることで女性の健康をトータルにサポートできる」(藤井氏)、「統合失調症の患者とコミュニケーションを取る訓練を重ねることで、コミュニケーション能力を高められる」(森氏)、「小児は成人のミニチュアではない。ジェネラリストになるにしても小児科が必要」(宮田氏)などとして、ジェネラルな医師を養成する過程においても、必修化は必要と訴えた。

 質疑応答では、医師でもある古川俊治参院議員は、「医療崩壊が言われ出したのは2006年頃から。卒前教育改革には全く同意するが、初期臨床研修はやめてしまえばいい。いくら県知事が言っても、医師は従わない。大学にホームがあるからこそ、医師を派遣できる。臨床研修はなくてもいいのでは、というところから議論するべき」と主張。同じく医師でもある三ッ林裕巳衆院議員も「初期研修を終えて、大学に残るのが3割程度しかなく、大学の医師の派遣機能が失われている。地域医療支援センターを進めようとしているが、大学に医師をしっかり入れることが一番の根本」と述べた。

 新井氏は「『初期研修をなくせ』という意見には共感するところもある。ただ法律で決められているので、どう変えていただけるのか。私たちができるのは、内容をゼロベースで見直すこと」と回答。大木氏は「地域に必要なのは、物見遊山的に1カ月、2カ月来るスチューデントドクターに毛の生えた医師ではない。30代、40代、50代の医師をどうやって派遣するか。そもそも地元の人が住みたくない町に自発的に医師が行くわけがない。もし魅力ある町だったら、そこで生まれた人が定住するはず。そこを維持するのであれば、大学の人材派遣機能を強化し、片道切符ではなく、戻ってきたら“1階級特進”という形で行うしかない。2年、3年のタームで医師を回すことにより地域医療の形を作ることになる。人材を派遣できてきたのは医師会でも県でもなく、大学だった」と力説した。

 藤井氏は若手医師の意識が変わってきているとして、「『どこかに行ってくれないか』とお願いしても『嫌だ』となる。それを強制するとパワハラになるので、引っ込めざるを得ない。そういう意味では、新た専門研修制度で、地方で一定期間研修をしなくては専門医になれないとなり、地方に行ってほしいと言いやすくなったと思っている。多少の強制力は必要だと思う」と説明した。

 医師で、10月の衆院総選挙を機に政界引退となった赤枝恒雄氏は議連顧問に就任した。赤枝氏は「1968年に東京医大を出たが、教授に行けと言われて、北海道、新潟、長野に行った。当時は文句を言う人は誰もいなかった。そういう時代があって、各県一医科大学になって『やった。これで地元大学が派遣するはず』と思ったが、こういう状況である。実効性のある意見を期待している」と締めくくった。
決議文「外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を」

大筋で合意した「医師養成の過程から医師偏在是正を求める決議」(案)の概要は以下の通り。

一、 卒前の臨床実習において、医学生が行うべき臨床上の手技の範囲について長年見直しがされていないことから、速やかに再検討を行い、診療参加型実習を強化すること

一、 2014年度の臨床研修制度開始後に導入された医学部の共用試験(CBT等)に関して、公的な枠組みのないことから、その位置づけを見直すと共に、その試験内容を連動して国家試験の抜本的な見直しを行うこと

一、 卒後の臨床研修において、外科、小児科、産婦人科、精神科の必修化を行うこと

一、 医学部教育と臨床研修をシームレスに結んだ医師養成となるよう充実を徹底してはかる。また、地域医療に実践的に貢献できるよう外来での臨床技術や医師としての確かな倫理を基本とした心得の習得も同時に磨き、卒後2年目終了時点で、プロフェッショナルオートノミーのもと一般診療能力を有する医師の認定も視野に検討を行うこと

一、 上記を踏まえた上で、地域医療における医師確保については、日本の医学教育体制の文化と地域特性に即した実効性の仕組みを構築することについて、必要な法制上の措置も含めて早急に検討・措置すること



https://www.m3.com/news/iryoishin/566316
病院経営は「増収減益、依然厳しい」
日病、診療報酬等の調査中間集計

レポート 2017年11月1日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会は10月31日、2017年度の「診療報酬等に関する定期調査―中間集計結果(概要)」を発表した。2017年と2016年の6月で経常利益を比較すると赤字の病院が61.4%から54.9%に、医業利益の比較でも赤字の病院が68.2%から62.8%へと減少する一方、給与費の増加を主な要因として、収益の増加幅を費用の増加幅が上回っており、「増収減益で、病院経営は依然として厳しい状況が続いている」という結果だった。

 調査は2017年7月31日~9月22日に会員病院に対して電子メールやファクスで調査票を配布し、回収。2437病院に配布し、9月27日現在の回答数は885病院(36.3%)、有効回答数は657病院。

 1病院当たりの平均損益を見ると、2016年6月と2017年6月の比較で医業収益は1078万1000円増、医業外収益は11万7000円減。医業費用は991万4000増、医業外費用は77万9000円増。収益の合計は1066万4000円増なのに対し、費用の合計は1069万3000円で、収入の増加よりも費用の増加が2万9000円上回っている。

 医業費用の増加額のうち、給与費が713万2000円を占める。医業収益増加の内訳では、入院診療収入が756万5000円、外来診療収入が296万8000円だった。

 経常利益はマイナス2635万7000円からマイナス2618万円になり、赤字幅が微減。医業利益も、マイナス4568万円からマイナス4482万1000円に赤字幅が縮小した。

 診療報酬改定への対応では、一般病棟・特定機能病院一般病棟・専門病院における7対1入院基本料の算定割合は、回答した606病院のうち67.0%。病床規模別では20~99床が13.3%、500床以上で95.1%、病床規模に比例して算定病院の割合が高かった。

 全病院中、算定要件を満たしているかどうかを全ての項目について回答した199病院のうち、要件を満たしているのは90.5%の180病院。日病によると、満たしていない病院では、満たさない要件は「重症度、医療・看護重要度」が最も多かった。

 今後の7対1入院基本料の届け出については、「全ての病床で継続する」が59.4%、続いて「未定」が8.1%だった。

 10月28日に開催された常任理事会については、相澤孝夫会長が出張のため、万代恭嗣会長代行副会長が説明。10月11、25日の厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」に出席した構成員の報告を基に議論を行い、万代氏は「結論としては、病院の医師だけに注目していいのか。診療所の医師も含め、医師全体の分布、キャリアアップなど、全体像を見た上で地域偏在に対応していく必要があるのではないかということになった」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/566775
特定機能病院の病院長選考会議の在り方で議論
地域医療支援病院の在り方の検討始まる

レポート 2017年11月2日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)が11月2日に開かれ、病院長選考委員会の要件などを巡って議論が行われた。

 群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大学病院で重大な医療事故が相次いだことを受け、2017年6月に特定機能病院のガバナンス強化を盛り込んだ改正医療法が衆参両院で可決、成立した。一部を除き、公布から1年以内に施行するとしている。細部については省令や通知で定めるとしており、この日の検討会では厚労省事務局が提出した省令(案)について議論した。

 改正により、特定機能病院の管理者(病院長)の選任は「開設者と厚生労働省令で定める特別の関係がある者以外の者を構成員に含む管理者となる者を選考するための合議体を設置し、その審査の結果を踏まえて行わなければならない」として、病院長選考委員会の設置が義務付けられた。

 厚労省の省令案では、同省の「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」等で、病院長選考委員会の人数や「特別の関係者」の割合などについて議論がなかったとして、特段の記載がなかった。同じく6月の医療法改正で新たに設置が義務付けられた「医療安全に関する監査委員会」では、委員は3人以上とし、委員長および委員の半数を超える数は病院と利害関係のない者から選任することを省令で定めている。

 監査委員会との違いについて、事務局は「既に多くの大学で選考委員会が設置されており、各大学の考えを縛る必要はないのでは」などと説明したが、日本医師会副会長の中川俊男氏は「東京女子医大、群大の問題が見直しのきっかけ。今までとは 変えようということで始まった。現場の実勢だけではだめという判断ではないのか」と強く主張した。一方で、北里大学病院病院長の海野信也氏は「選考結果には法人が責任を持っており、人数は規定しない方がいい」と話した。次回に再度議論することとなった。

 「特別な関係がある者」について、省令案では「過去に雇用関係がない」「過去に一定額を超える寄付金・契約金等を当該開設者から受領していない」としている。複数の委員から、金銭授受関係について「受領だけでなく、寄付をしたことがある者も含めるべき」という指摘があり、省令案に盛り込まれることが決まった。

 管理者権限について、省令案では「管理者が病院の管理運営に係る権限及び病院の管理運営のために必要となる一定の人事・予算執行権限について明確化することを求める」としている。筑波大学附属病院病院長の松村明氏は「講座制では、教授に人事権がある。そこまでも変えるのか」と質問すると、事務局は「『明確化』することを求めている」と説明した。

 また、医療法改正に当たって参議院の付帯決議では「特定機能病院の承認後の更新制の是非について検討するとともに、広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」とされている。松村氏は「病院は機能評価疲れをしている。現場が疲れないようにしてほしい」と要望。次回以降に第三者による機能評価や、更新制を議論するかについて検討する。

地域医療支援病院の在り方の検討始まる

 1997年に制度化された地域医療支援病院に関する議論も始まった。地域医療支援病院の役割は(1)紹介患者に対する医療の提供、(2)医療機器の共同利用の実施、(3)救急医療の提供、(4)地域の医療従事者に対する研修の実施――となっているが、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「4つを持つことの意義があるのか。別々にあってもいい。僻地への医師派遣なども検討すべきでは」と指摘した。

 現在、東京医科歯科大学教授の伏見清秀氏が代表を務める研究班の研究が進んでおり、次回以降で地域医療支援病院の在り方を議論していく。当面は特定機能病院の省令の議論を急ぐため、地域医療支援病院について、事務局は「時間をかけて議論していただきたい」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565708
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1
米国「すばらしい職業」「医師に対する尊敬は低下した」と評価二分

スペシャル企画 2017年11月4日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.com編集部では今夏、M3USAの協力を得て、日本の医師1582人(m3.com会員)、米国の医師1150人(M3USA会員)、計2732人に対して調査を実施した。日米の医療事情や医師の働き方の相違は、これまで個人的な印象で語られることが多かったが、今後の建設的な議論に向けてリアルなデータを収集、提示することが目的だ。
 調査は、プロフィールを尋ねる質問も含め、計35問。勤務時間や現状の勤務環境の満足度、年収、論文執筆や留学経験、医師を目指したきっかけなど医師個人に関する質問から、医療制度や医療水準について「最も先進的だと思う国」、「自国の医師の社会的地位」など医療制度に関わる質問まで、多岐にわたる。
 日米の医師、医療事情を浮き彫りにした今回の調査結果を、日米両国の医師から寄せられた数多くのコメントとともに連載する。
(M3USAは、米国に本社を置く、エムスリー株式会社の連結子会社)。

 自らの職業を自身の子どもや友人に勧めたいと考えるかどうかは、今の仕事のやりがいや満足度、将来性などを測るバロメーターになる。医師にとっても例外ではないだろう。日米両国の医師に、まず両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方がいるかを尋ねたところ、日本の方がやや多く26.4%だったが、米国も20.0%で、大差はなかった。

Q1.両親(両方、もしくはいずれか一方)に医師の方はいらっしゃいますか?
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 では日米の医師は、子どもや友人に医師という職業を勧めたいと考えているのだろうか。「強く勧めたい」「まあ勧めたい」の合計は、日本は42.4%と4割強にとどまったのに対し、米国は57.1%と6割近くに上った。一方で、「あまり勧めたくない」「全く勧めようと思わない」の合計は、日本は22.5%だったが、米国の方が多く26.5%。「どちらでもない」は、日本は35.1%で、米国の16.3%の2倍強。

 これらの結果の理由として、米国医師を取り巻く環境、それに伴う自身の仕事への満足度の二極化が想定されるほか、意思表示を明確にする姿勢などが挙げられるだろう。また、米国医師については、自由意見では勤務環境の厳しさ、今後の見通しの暗さなどを記載しながらも、「まあ勧めたい」との回答が多かったことも、日米の相違につながったと言える。

Q2.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?
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 自由意見を見ると、「勧めたい」あるいは「勧めたくない」理由は、日米医師の共通の意見が多く見られた。

 「勧めたい」との理由で多かったのは、仕事のやりがい。「医師は、社会貢献できるし、非常に魅力的な職業と思う」(日本:40-44歳男性、民間病院)、「今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)などが挙がった。

 そのほか、「いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので」(日本:60-64歳男性、開業医)、「医師には常に需要があり、時代遅れになることがない職業だ。就職先がなくなることはない」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、仕事の安定性を指摘する声も見られた。

 一方、「勧めたくない」と考える医師は、「勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため、命を削っているような気がする」(日本:35-39歳男性、公的病院)、「給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い」(米国:35-39歳女性、Community Hospital)など、勤務環境の厳しさや責任の重さ、それに見合った報酬が得られない現状などを理由として挙げた。

 「やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い」(日本:50-54歳女性、公立病院)など、医師患者関係の問題を指摘する声もあった。

 米国医師に特徴的だったのは、医療を提供する上での規制、医師からコメディカル等への業務移譲(タスク・シフティング)を挙げる意見が見られたことだ。下記がその代表的なものだ。

・「医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のために、規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている」(米国:30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)

・「オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した」(米国:50-54歳男性、Private, office based practice)。

【調査概要】

日本
・調査対象:m3.com医師会員 1582人
・回答者プロフィール
 性別:男性1430人、女性152人
 年代:20代 54人、30代 209人、40代 360人、50代 615人、60代 293人、70代以上 51人
 勤務先:大学病院 176人、公立病院 232人、公的病院 115人、民間病院 551人
     診療所(勤務医) 173人、開業医 299人、その他 36人
・調査時期:2017年8月21日~8月25日(一部、9月に追加調査)

米国
・調査対象:M3USA医師会員 1150人
・回答者プロフィール
 性別:男性 797人、女性 353人
 年代:20代 33人、30代 385人、40代 264人、50代 253人、60代 184人、70代以上 31人
 勤務先:Academic / Teaching Hospital 319人、Ambulatory Surgery Center 7人、
     Community Hospital 252人、Private, office based practice 501人
     Public Clinic (outpatient facility) 55人、other 16人
・調査時期:2017年8月16日~8月31日



https://www.m3.com/news/iryoishin/565709
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
「医師は非常に魅力的な職業」「永遠に挑戦的でやりがい」◆Vol.1-2
自由意見:医師という職業を【強く勧めたい】【まあ勧めたい】

スペシャル企画 2017年11月5日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)
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 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子どもや友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【強く勧めたい】【まあ勧めたい】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【強く勧めたい】
日本
30代
・手に職を付けられる。社会的信用が得られる。(30-34歳女性、大学病院)
40代
・医師は、社会貢献できますし、非常に魅力的な職業と思うからです。(40-44歳男性、民間病院)
・医療業務のみならず、研究・経営など活躍できる分野が多くあるから。(45-49歳男性、開業医)
・やはりやりがいのある仕事だと思います。(50-54歳男性、大学病院)
50代
・患者が喜ぶ姿を目の当たりにできる。(60-64歳男性、民間病院)
60代
・ストレスは多いが、病気を治した時、患者に喜んでもらえるという点。(60-64歳男性、民間病院)
・いろいろと難しい問題があるが、現時点では、特殊なことを言わなければ、食うには困らない、と思うので。(60-64歳男性、開業医)
・高齢になっても、能力ある限り続けられる。社会貢献の意識が保てる。(65-69歳男性、診療所勤務医)

米国
30代
・研修は骨が折れるが、その後の生活の質は、個人の選択、実務領域、大学病院か個人開業かによって異なる。研修後にその人のライフスタイルに合った正しい選択をする限りは、医師になることは非常にやりがいがあるだろう。(30-34歳女性、Private, office based practice)
・頑張る意思があるなら、今でも最も満足できる職業の一つ。給与がいいだけでなく、非常に個人的に満足できる立派な仕事。医師には常に需要があり、「時代遅れ」になることがない職業だ。就職先がなくなることはない。(35-39歳女性、Community Hospital)
・今でもすばらしい職業である。人々を助けることは達成感がある。働きたいと思うような時間、スケジュール、場所、施設について、道はさまざまであり、数多く、また、機会も多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
40代
・自分の仕事が好きだ。患者との関係を構築して大きな満足感がある。多額の給与を得ていて、すばらしいチームと仕事をしている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・オーバーワークで押しつぶされていると感じるときはあるが、それでも医師以外にやりたいと思う仕事はないと考えている。医師が患者の人生を向上させていることを知って、非常に満足しており、やりがいを感じている。(50-54歳男性、Private, office based practice)
60代
・患者のケアが好きであるという理由で選択をする必要がある。金儲けが動機の医師はもう必要ない。こうした医師は医師という職業をおとしめている。真っ当な理由で選択したら、医療は永遠に挑戦的でやりがいがある。(60-64歳男性、Private, office based practice)
・この職業には、人々が健康目標を達成するのを助けるすばらしい機会がある。この職業は同胞の生活の質の向上に貢献している。この職業は、熱心なプロのスタッフと働く機会を与えてくれる。(60-64女性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることは大きな栄誉である。これよりも満足できる仕事を思い付かない。確かに、金銭的収入がはるかに多い仕事はあるが、それらは自分にとっては空虚に思われる。(65-69歳男性、Private, office based practice)

【まあ勧めたい】
日本
20代
・かつてのようなメリットはないとはいえ、一般社会からすると意義のある資格であり、仕事である。(25-29歳男性、民間病院)
30代
・人の生命を助けるやりがいのある仕事だから。(30-34歳男性、大学病院)
・収入が安定しており、職にあぶれることはなく、かつ自分のライフスタイルに合わせて、さまざまな働き方ができるから。(30-34歳女性、診療所勤務医)
・女性の場合は、国家資格なので、産休育休後の復帰や転職が他職種と比べるとしやすいと思う。(35-39歳女性、民間病院)
40代
・他業種の苦労を聞くと、医師だから苦労が多いわけでは無いと思い、そうであれば身分保障や収入面からいい選択肢だと感じている。(40-44歳男性、民間病院)
・経済力と勤務形態、内容を選ぶ裁量権が両立しやすく、社会的な信用が得られやすいから。社会貢献できているという満足度も高い。しかし、裁量権を獲得するまでに要する訓練期間は長いし、その間の経済的な問題は大きい。(45-49歳女性、診療所勤務医)
50代
・仕事内容は重いが、それ以上に充実感がある。指導・管理の立場で働くことができる。仕事・研究の範囲が非常に広く深い。他職種に比し報酬が高額。(50-54歳男性、民間病院)
・子どもが親を見て医師になりたいと考えているから、医師という仕事は魅力があるのだと思う。(55-59歳男性、大学病院)
・親の仕事(私自身の普段の行動を見て、私の長男は医学部を希望し、そして医師となり、親が開業している地域の大学附属病院で 勤務している。長男の仕事は激務であるが、使命を果たしていると感じる日々であるため。(55-59歳男性、開業医)
60代
・労働環境の問題はあるが、直接的にやりがいを自覚できるので頑張りが利く。(60-64歳男性、公立病院)

米国
30代前半
・医師になることに興味を示す家族・友人と長い時間議論したことがある。彼らに指摘した最も重要な点の一つは、この仕事が本当に好きでなければならないということだ。そうでなければ自分の仕事が嫌いになるだろう。医師は金のために選ぶ職業ではない。確かに、医師は快適な生活を送ることができるが、医師になれるほど頭が良ければ、その人には他のことをしてもっと大金を稼げる頭脳がある。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医師になることに夢中な人に対しては、自分は心からサポートするだろう。だが誰かを医師になれと説得しようとは決してしないだろう。教育・研修中の時間の傾注と犠牲は大きく、この職業が本当に好きでなかったら、その価値がないかもしれない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・この仕事が本当に好きなら、犠牲を払う価値があるが、好きでないなら、自分が思うことと関係ない業務の全てが大きな負担となることが分かるだろう。そして、多大な時間とお金をかけた後で、この仕事に就く段階になって、この仕事が好きかどうかが分かるというのは、とてもつらい。(30-34歳女性、Academic / Teaching Hospital)
30代後半
・知的興味を駆り立てられ、誰かの人生を本当に改善できるので、やりがいのある職業。しかし、医学部、レジデント、フェローシップを通り抜けるのは、長く、消耗させ、ストレスが多く、お金がかかる道だ。規制の要求による書類仕事の増加、保険会社への対処、診療報酬の減少、誰かを傷付けたり、訴訟に発展したりする恐れのあるミスをする可能性のストレスもある。さらに、今後5年、10年、20年の間に医療がどうなるかが分からない。医療社会化制度に移行するのか。そのときに医師の時間や給与はどのようになるのか。この並々ならぬペースで仕事をして燃え尽きるのか。未来が不確実なことが、職業としての医師を勧めるかどうかが分からない理由だ。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・非常にやりがいのある職業。毎日人々を助け、生命を救うことも多い。絶えず勉強を要求される職業。毎日をおもしろくする課題が常にある。私にとってはすばらしい仕事だが、毎日の大変な努力、社会的交流または迅速な決断を好まない人のための職業ではない。十分な見返りはあるが、医師であることでだけ自動的に裕福になるわけではない。医師以外の人はこのことに気付いておらず、医学部のローンがあっても医者は裕福だという印象を持っている。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・一般の人が作り出した医療分野への不信感が大きくなって、適正な治療に対する障害が生じ、診療でのコミュニケーションはますます難しくなっている。さらに、法律により、NP(nurse practitioner)、PA(physician assistant)、その他多くの医療従事者の診療行為の範囲が拡大されたことが、医師という職業の完全性と医師の将来の暮らしを脅かしている。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・医学はやりがいがあることは分かっているが、混乱と患者の不満が大きすぎて、自分がそうであるべきと考えていたほど全体的にやりがいがあるわけではない。以前より、どちらかというと患者との戦いのように思われる。政治家・政府の規制当局とも同じ。(35-39歳男性、Private, office based practice)
・複数の選択肢(専門医か研究か)があり、人を助けることができるすばらしい職業。しかし、診療報酬が不十分で、規制が過剰で非効率的なため、医学のビジネス面によってその魅力が失われてしまった。(35-39歳、Academic / Teaching Hospital)
40代
・医師であることが好きだ。この仕事はおもしろくて意義があり、快適な生活を送れる十分なお金が得られる。もちろんもっと稼ぎたいけれど。しかし、使い物にならない電子カルテに記録し、保険会社と格闘するという管理上の負担は大きくなってきていて、診療報酬は減っていて、自分が医師になるために投資した金額を投資しなさいと、自分の子に勧めるのは心配だと思う。(40-44歳女性、Academic / Teaching Hospital)
・金銭的な利益は、多くの医師にとって、現在、十分に大きいものでない。高等教育の修学年数と費用がはるかに少なくて報酬がはるかに多い、実業界の人を知っている。(45-49歳女性、Private, office based practice)
50代
・医学部に入ってからの25年間に、医療の遂行が悪い方向に劇的に変化したのを見ているため。レジデントでの研修に必要な時間から、マネジド・ケアや連邦の規制による制限まで。患者ケアと学習の喜びは変わらないが、以前と比べてその部分は小さくなった。(50-54歳女性、other)
60代
・非常にやりがいのある分野。ただ、この30年間で医師に対する敬意が大きく低下した。この仕事や、必要かつ要求の多い書類仕事に費やした時間の量に対する報酬が少ない。患者はますます要求が多くなり、医師にかかる負担に敬意を払っているようには見えない。(60-64歳男性、Community Hospital)
70代
・生活を楽しむ時間が少なすぎる。自由時間をコントロールできない。家族と過ごす十分な時間がない。金銭的な報酬は昔と違う。最善を尽くせるが、何か起これば責任を取らされるのがオチだ。医療過誤訴訟と診療内容審査を排除すれば、医療行為は、個人の満足に関して過去のもの以上になるだろう。(70-74歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566069
日本vs.米国、医師2732人を徹底調査!
自由意見:医師という職業を【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】

レポート 2017年11月6日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 『医師を子どもに勧める?米国57.1%、日本42.4%◆Vol.1』で紹介した、「Q.自分の子供や友人に医師という職業を勧めたいと思いますか?」との質問に、【あまり勧めたくない】【全く勧めようと思わない】と回答した医師の自由意見の中から主なものを紹介する。

【あまり勧めたくない】
日本
20代
・頭の固い人、プライドの高い人ばかりで世間から取り残されている職場だから。(25-29歳女性、大学病院)
30代
・本人の考え方にもよりますが、QOL(家族と過ごす時間等)を大事にするのであれば、あまりお勧めできないと思います。(30-34歳女性、大学病院)
・これから先、保険診療がもつとは思えず、そうなると医師という職業も安定性がなくなると思う。(30-34歳男性、民間病院)
・勤務時間が長く、予測不能の呼び出しも多いため命を削っているような気がする。(35-39歳男性、公的病院)
40代
・労働に見合う仕事ではないと思うから。名ばかりの管理職で時間外は付かず、しかし仕事は終わらず。全く業務をしない日は月に2、3日で、土日祝日も回診に来たり、重症患者がいたら近隣にしか出られず。(40-44歳男性、公立病院)
・将来的にはAIの進歩により、さらに働きにくくなることが想像されるため。(40-44歳男性、民間病院)
・今は給料における満足度と責任度合いはまあまあ合致しているが、これからの医師は薄給となり責任ばかり重くなるのは間違いないから。(45-49歳男性、民間病院)
50代
・実際は世間から憧れられるような仕事ではない。厳しさの方が勝る。訴訟とか苦情といつも隣り合わせで精神が持たない。やりがいはあるが、もらい事故のようなクレーマーに当たることも多い。(50-54歳女性、公立病院)
60代
・診療科によって差があるが、やりがいがある科ほど、診療行為が適切でも結果が悪い場合があり、それに対する説明を含めた対応に苦労する。したがって、そのような科に従事する医師数が減少する。(60-64歳男性、公立病院)
・最近、非常識なクレーマー患者が増えてきており、自分の子供に勧めたい仕事とは思えない。(60-64歳男性、民間病院)

米国
30代
・医学部は非常に長期間で、学生は多額の負債を抱えて卒業する。ローンを返済し、かつ生活のバランスを取るのに十分なお金を稼げる仕事を探すのは非常に難しい。自分が今働いているクリニックは内科診療所で、医学部の一部なのに、授乳や搾乳をサポートしていないので、産休から復帰するだけでも難しい。母親である医師をサポートできなければ、患者をどうサポートできるのか。(35-39歳女性、Public Clinic (outpatient facility))
・給与はまあまあなのに、仕事が多く責任が重い。全ての段階でストレスが多い。専門は何?自分に合うか?場所は?いつ家族を作れるか?学費のローンはどうなる?医師賠償責任は?とてもストレスが多い。(35-39歳女性、Community Hospital)
・犠牲が多すぎる。見返りは全体として不満足。医師に対する敬意がない。プライマリケアの報酬がひどい。事務職と教育のない患者に要求されて医学的決定を下すために、自分の20代が犠牲となった。(35-39歳女性、Private, office based practice)
40代
・医師は、全体として、耐え抜かなければならない研修の量に対して、十分なお金を払われていないと思う。長年の通学と教育の費用は、振り返って見ればその価値があるように思えない。こうしたひどい高等教育プロセスを経ずに大金を稼げる活動分野が、他にある。(40-44歳男性、Private, office based practice)
・学習で失われる年数が長すぎる。現在、ミッドレベル(ナース・プラクティショナーなど)は教育期間が短く、同じくらいよい仕事ができるという考えから、ミッドレベルを雇うことがトレンドになっている。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・ライフ・ワーク・バランスがない。感情的に疲れる。みんな(患者、家族、保険、病院)からのプレッシャーが大きすぎる。全てのことを効率的にするためには、1日の時間が十分でない。文書作成に非常に長い時間を取られる。(45-49歳女性、Private, office based practice)
・医師は、医療制度と医療提供体制(管理者と保険会社がコントロールしているようだ)をほとんどコントロールできない。医師の給与の低下。責任の増加。医学部の学費の増加。医師に対する尊敬の低下。(45-49歳男性、Private, office based practice)
50代
・外科の下位専門領域、または処置に対する高額の支払い請求が可能な専門領域以外、つまり総合医学、小児科、家庭医の収入は少なく、仕事量は増えた。もっと高収入の、または仕事量をもっとコントロールできる職業を考えるよう勧める。(50-54歳男性、Academic / Teaching Hospital)

【全く勧めようと思わない】
日本
20代
・責任が重く、休日もあまり取れないから。(25-29歳女性、民間病院)
30代
・給料は良いが、その分、責任が重く、万が一、医療事故に巻き込まれた場合のリスクが高いから。(30-35歳男性、大学病院)
・医師を取り巻く環境は時代とともに厳しくなっている。労働量・責任はより重く、給与はより安くなることが見込まれるため。(35-39歳 男性、公的病院)
40代
・理想像を押し付けられ、立場は弱く、しんどい職業だから。(40-44歳女性、大学病院)
・20年後の医療は不透明。まずはやりたい職務に就くことが優先。(45-49歳男性、診療所勤務医)
50代
・10年後の医師の状況が今より良くなることはないから。(55-59歳男性、診療所勤務医)
60代
・才能のある人には他の職業を勧めたい。(60-64歳男性、公立病院)
・世間(マスコミ)の医師に対する目。隙さえあれば非難しようとしている。医者、医者、と呼び捨て。苦労多くて、報われていない。(65-69歳男性、民間病院)

米国
30代
・自分の仕事は好きだが、学生時代、10年前に想像していたものとは全く違う。自分はラッキーで、自分にとって物事はうまくいっているが、この分野に入ってくる多くの有望な医師にとっては、前払いして、楽しめる仕事というご褒美がもらえるかどうか、11年後まで分からない、宝くじにすぎない。(30-34歳男性、Academic / Teaching Hospital)
・医学を理解しない人による管理上の規制が多すぎる。患者から離れている時間が長く、医療実務を理解していない管理部門のため規制に応じるあらゆる書類仕事をするのに時間が費やされている。 臨床で収入も生み出さない医師以外の管理部門の人間でも、給与は自分の5倍。多くの医療行為は患者に優しくないとも思う。自分より仕事をしておらず、生み出すものも少ないのに、給与が倍の複数の男性医師から、妊娠したことでハラスメントを受け、管理部門は何もせずハラスメントを黙認した。ありがたいことに新しい仕事を見つけたが、自分の子は絶対に医師にならせないだろうと思う昨今である。(30-34歳女性、 Academic / Teaching Hospital)
・書類仕事の法外な負荷を伴う管理業務とコンピュータ作業が多すぎる。そして、1回の診察であまりにも多くのことをしてくれという、プライマリケア医に対する期待。さらに、業績尺度での支払い。 患者が健康・予防対策をして欲しいと思っていない、あるいは医師の推奨に従わず、薬を指示通りに服用しないからと言って、医師が罰せられるべきだとは思わない。(35-39歳女性、Private, office based practice)
・特に、医師でない管理者やミッドレベル・プロバイダーに医療が席巻されている場合は、もはや、この仕事をするために時間をかけ、努力し、出費する価値がない。医師はもうほとんど尊敬されていない。(35-39歳女性、Academic / Teaching Hospital)
40代
・内科に関しては、患者紹介先の専門医の馬車馬になる。専門医が手にする高給は到底得られないが、多くの患者がサマリ作成、あるいは継続的経過観察のためプライマリケア医のところに戻るので、仕事量が倍になる。米国内の多くの場所で尊敬される地位でもない。(40-44歳女性、Private, office based practice)
・見返りはそれほどでもないのに、研修中の若い時期の犠牲が過度に大きすぎる。患者ケアと無関係のコンピュータ作業が多すぎる。病気で、太りすぎていることが多い患者のケアのストレスが大きすぎる。しかし、主に、病院で年中無休の呼び出しがある間、家族から離れている時間が長いことと、心配ごとで決してのんびりできない。(45-49歳男性、Private, office based practice)
・支払いと敬意が減退した。医師から医療提供者に変わった。激務をこなして最低限の診療報酬で、Medicaidに侮辱されるのは張り合いをなくす。医師には医師自身以外に社会に擁護者はおらず、その点では哀れむべきものだ。 他のことで研鑽を積んでいたとしたら、この職業を辞めようと考えるだろう。(45-49歳男性、Community Hospital)
50代
・オバマケアと過剰規制が医療を破壊した。医療について何も知らずに、実務者向けのあらゆる規則を作る人が多すぎる。診療報酬はますます少なくなってきている。医療における自立性はますます小さくなっている。最近の患者はもっと権利を与えられていると考えているので、医師に対する尊敬は低下した。(50-54歳男性、Private, office based practice)
・この職業は、電子カルテのせいで退屈なコンピュータ業務に落ちぶれた。医師はどんな管理者や保険会社の経営幹部よりも、明らかに教養がある。いったい誰がこんなことをしたがるだろうか。(55-59歳男性、Community Hospital)
60代
・医師は、医師以外の人またはPA(physician assistant)に取って代わられつつあり、適正な給与が支払われるための規制と規則は煩わしすぎ、診療報酬は15年前から1ドル当たり25セントに減少し、自分の出費が75%増えた。(65-69歳男性、Private, office based practice)



https://www.m3.com/news/iryoishin/566563
新専門医制度、3060の専門研修プログラム【2017年10月版】
m3.com独自集計、全19領域・47都道府県別

レポート 2017年11月3日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度からの新専門医制度に向け、10月10日から19の基本領域で専攻医の登録が始まった。本制度は、基幹施設が主となり、連携施設と組みながら運営する研修プログラム制が基本。その数は、計3060(『専攻医の1次登録、3060プログラムで10月10日開始』を参照)。

 しかし、現時点では日本専門医機構から、19の基本領域別、都道府県別の専門研修プログラム数は公表されていない。

 m3.com編集部では、総合診療については日本専門医機構、それ以外の18の基本領域については各基本領域学会のホームページに掲載された情報を基に、都道府県別に、19の基本領域の専門研修プログラムのいずれかを持つ基幹研修施設一覧を作成した(2017年10月27日現在。1次審査に合格したプログラムしか掲載していない学会もあり、2次審査等によって変更されている場合もあり得る)。

 専門研修プログラム数が最も多いのは、内科の542。以下、総合診療368、外科204、救急科200、麻酔科191などと続く。

 厚生労働省が2017年3月に公表した資料と比較すると、過去5年間(2010年度から2014年度)の専攻医の平均採用実績が年360人を超す8基本領域については、専門研修プログラム数が増加している(厚労省資料)。内科(厚労省523⇒10月542)、小児科(同159⇒171)、精神科(同149⇒166)、外科(同188⇒204)、整形外科(同104⇒154)、産婦人科(同122⇒148)、麻酔科(同165⇒191)、救急科(同190⇒200)。

 これら8領域は、地域医療への影響を考慮し、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることが求められていた(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』、『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』などを参照)。専門研修プログラム数は増えたものの、「複数基幹施設」を実現しているのは、整形外科のみ。

 一方、総合診療は3月の397から、368に減少している。

 都道府県別では、19の基本領域のいずれについても、複数の専門研修プログラムを有するのは、北海道、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県の10都道府県。臨床検査科や形成外科など、基本領域の研修プログラム数が「0」の県もある。

 都道府県別の基幹施設の研修プログラム一覧へのリンクを文末に掲載。

新専門医制度、都道府県別の研修プログラム数(2017年10月27日時点)
(表 略)



https://www.m3.com/news/general/567154
高齢者のがん治療…本人の意思考慮し選択
臨床 2017年11月6日 (月)配信読売新聞

 高齢になるほど、がんの積極的な治療を差し控える割合が増えることが、国立がん研究センター(東京都)の調査で明らかになった。体力などを考えると、すべての高齢患者に通常の治療法が最適とはいえない状況を反映している。治療選択に参考となる指針が求められている。

 同センターが8月に発表したがん治療の実態調査では、転移がある進行胃がん(病期4)で治療を行わない割合は40~64歳では8.5%だったが、75~84歳は24.8%、85歳以上では56%に上った。他の進行がんも年齢が上がるごとに「治療なし」の割合が増えた。

 進行がんの場合、抗がん剤などの化学療法が中心となるが、吐き気や 倦怠けんたい 感などの副作用も強く、患者の体力が問題になる。そのため、心臓病や脳卒中などを抱えることが多い高齢者は、体への負担が大きい治療を避け、苦痛に対し必要な治療を受けながら経過をみる傾向がある。

 一方、早期がんでも、年齢が高いほど無治療の割合が多かった。同センターがん登録センター長の東尚弘さんは「早期がんですぐに命にかかわらない場合は、余命などを考慮して経過観察にとどめる場合があるのではないか」と説明する。

 治療方針は患者・家族と主治医が話し合って決めるのが基本。体への負担に応じて選択肢は、有効性が確認されて広く行われている標準治療から経過観察・無治療まで幅がある。しかし患者自身の意思や体力などを、周りが十分考慮せずに治療が進められることがある。患者と家族の意思、様々な状況を整理した上で、患者に最善と思われる治療法を決めることが大切だ。

 治療の話し合いに際し、杏林大学(東京都)腫瘍内科教授の長島文夫さん(51)は、米国のがん専門病院で作る団体が2015年に作成した高齢者のがん診療指針を参考にすることを提案する。指針は考慮するポイントとして、余命、治療の意向、認知症の有無、介護態勢などをあげている。

 高齢者のがんについて医師らの教育体制はほとんどない。長島さんは「専門医と医学生向け両方の教育が必要だ」と指摘する。

 国の新しいがん対策推進基本計画でも、高齢患者に適した治療法や診療指針の研究推進が盛り込まれた。今後、患者・家族にも参考になる、高齢者のがん治療の目安が整備されそうだ。

◇患者の選択
ケース1 70歳代後半女性。盲腸がん

 手術を受けたが、周囲に転移。軽度の認知症を抱える。薬の飲み忘れが心配されるため、外来で点滴の抗がん剤のみ。副作用を考慮し、通常に比べ少ない種類の抗がん剤を使ったが、効果が出て元気に。
ケース2 70歳代前半女性。大腸がん

 肝臓に転移。体力があるため通常の抗がん剤治療を1年半続けたが、完治せず。「治るなら続けるが、もう十分生きた」と治療を自らやめ、8か月後に亡くなる。
(いずれも杏林大学病院の患者)

薬や環境変化で「せん妄」も

 薬の副作用、体の症状の悪化、環境の急な変化などが要因となり、患者に「せん妄」という意識障害が一時的に表れることがある。日付や場所が分からなくなったり、錯乱や人格の変化などが出たりする。埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)精神腫瘍科教授の大西秀樹さん(57)は「せん妄を認知症だと思い込むと、十分ながん診療が行われない恐れがある」と指摘する。

 せん妄の治療は、薬の調整をしたり、患者が落ち着ける環境に変えたりする。大西さんは「がん治療医も高齢者の精神疾患の知識を持つことが必要。精神科の専門家との連携も欠かせない」と話す。
(石塚人生)



  1. 2017/11/07(火) 05:57:31|
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