Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2017年10月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年10月31日
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First 5 in Google in English 


Center to resolve eye doctor shortage'
Shanghai Daily‎ - October 30, 2017(中国、上海)

CHINA'S first training center for eye doctors from across the nation was established in Shanghai at the weekend. It aims to resolve the shortage of eye professionals. Set up by Tongji University's School of Medicine and the private Shanghai Xinshijie Eye Hospital, the center will focus on training young doctors, especially those from western and under-developed areas.


Dartmouth woman facing long wait times, doctor shortage amid cancer scare
Globalnews.ca‎ - October 27, 2017 8:03 pm (カナダ)

“God love him, he's been our family doctor for years, he's part of our family. But there's nothing set up.” On Friday, Moore and her daughter went to Dartmouth Medical Centre to try to pick up her files but said she has no idea where to bring them next.


Med school on the cheap: Why becoming a doctor in Texas is a bargain
STAT‎ - October 30, 2017 (米国、テキサス州)

In Texas, a decades-old law 1 caps tuition at public medical colleges in a bid to bridge a doctor shortage by a) getting students like Comfort to come back, or, b) getting students like her partner, Justin Cardenas, to stay in Texas to get their degree. Right now, tuition is about $6,550 per year for in-state students.
This puts Texas medical schools at the top of rankings of cheap (as well as reputable) places to get a medical degree, and several students who spoke with STAT said it was an important, if not the deciding, factor for them.

Doctor shortage could impact patient safety
Perth Now‎ - October 5, 2017 7:00am(オーストラリア)

WA FACES a shortage of 1450 doctors within the next eight years, including critical shortfalls in 18 specialist areas such as obstetrics and radiation oncology, according to estimates.
Health Department projections of medical workforce numbers reveal that not only will the State be short almost 1000 GPs, but the number of specialties facing critical shortages is also expected to surge from two in 2015 to 18 in 2025.


Townsville medical centre can't find another GP
Townsville Bulletin‎ - October 29, 2017 11:00pm(オーストラリア)

TOWNSVILLE'S GP shortage is hitting practices hard with one centre left without a doctor despite advertising since the beginning of the year.
Nurture Family Allied Health and Early Parenting Centre will be without a doctor for the next two weeks while one of their GPs is on annual leave, with the other on medical leave.
Director Cheryl Laing said they had been trying all year to find a third doctor for the practice.
For Heather Gijanto, going to the doctor means taking a day off work and driving at least 60 miles round trip from her home in McNeal, Ariz., to the town of Bisbee. And that is assuming there is a primary care doctor available in Bisbee to get her in.


(他に10位以内のニュースは、米国 (コロラド州、ニューメキシコ州)、オーストラリア (2報)、ニュージーランド、からも)



  1. 2017/10/31(火) 05:56:40|
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10月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/565078
医療従事者の需給に関する検討会
医学部定員の「地元出身者枠」、地域枠とは別に設置を
マッチングも別枠に、専門医制度での国・県の役割法制化を検討

レポート 2017年10月25日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、「医療従事者の需給に関する検討会」の第13回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、医師の地域偏在解消に向け、医学部入学定員には「地域枠」とは別に「地元出身者枠」を設けるほか、卒後の臨床研修では、地域枠の医師や地元出身者枠等については、地元定着を図るために一般のマッチングとは別枠にしたり、都道府県が臨床研修病院の指定・募集定員の設定を行うことなどを提案した。

 専門医制度については、国と都道府県が、地域医療の観点から日本専門医機構に対し、意見を述べることができる仕組みを法律上、位置付ける。さらに診療科偏在の解消に向け、将来の診療科別の医師ニーズを都道府県ごとに明確化し、国が情報提供し、研修医等が専門を決める際のデータとして活用してもらう方針。

 医学部入学、臨床研修、専門研修という医師養成の3つの過程で、さまざまな仕組みを組み込むことにより、医師の地域と診療科偏在の解消を目指すのが、厚労省の狙い(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省の提案に対しては、「見直しの方向性についてはおおむね賛成する」(日本医師会副会長の今村聡氏)など支持する意見が大勢だった。しかし、自治医科大学と防衛医科大学の卒業生と同様に、地元枠等のマッチングを別枠とすることについては、それ以外の学生との平等性等の問題から、全日本病院協会副会長の神野正博氏が反対。「地域枠の学生を早いうちから都道府県がフォローして、マッチングの段階で県と相談しながらどこで研修するかを相談すれば、別枠を設ける必要はないのではないか」と述べた。

医師需給分科会は、今年末にかけて医師偏在対策に関する議論を精力的に続ける。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、「日本の医療システムは、医師の自主性を尊重し、供給のコントロールも、経済的インセンティブでやってきた」と述べた上で、厚労省提案を次のように総括した。「被保険者や国民皆保険制度の視点がこれまでの議論に欠けており、医師が偏在すれば、医療が受けられなくなる懸念がある。一方で、医師には職業選択の自由はある。両者のマッチングはどうすればいいのか。従来の方法ではうまくいかない場合、もう一段の仕組みが必要ではないか。プロフェッショナルオートノミーとは、一定の公的ミッションを持った専門職集団が(サービスなどの)提供をコントロールし、問題があれば対応する仕組み。プロフェッショナルオートノミーがうまく機能しないので、行政に出てきてもらわないといけない状況かと思う」。

 なお、「医療従事者の需給に関する検討会」は、2016年9月の段階で、医師偏在対策として14項目を挙げていた。うち、「管理者要件」(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、診療所等の管理者要件にする)については、厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」で、同報告書は「規制的手段」は否定しており、医師需給分科会では議論されない見通しだった(『医師偏在対策、5月から集中的議論、医療計画に盛り込む』を参照)。

 しかし、第13回会議で「管理者要件」についての議論を求める声が上がり、厚労省医政局の担当者は、「若手医師に強制的に地方に行ってもらうことについての懸念がある。その辺りに配慮しながら、どんな工夫ができるか次回以降、議論する」と述べ、強制以外の何らかの方法を検討するとして引き取った。

 第13回会議の議題は、第12回会議で議論が尽くせなかった「医師養成過程における地域での医師確保」(第12回会議は、『「医師確保」に新計画、医療法に位置付けを検討』を参照)。

 医学部入学、臨床研修、専門研修の3段階で、厚労省が提示した案と主な意見は以下の通り。

【医学部入学】

◆地元出身者の取り扱いについて(見直しの方向性)

○医師偏在の度合いに応じて医師が少ない都道府県と判断された場合には、地域医療対策協議会の意見を聴いたうえで、都道府県知事が大学に対し、入学枠に地元出身者枠を設けることを要請する仕組みを設けることとしてはどうか。
○また、地域枠ではない地元出身者枠の医師についても、地域医療支援センターが働きかけを行い、積極的にキャリア形成プログラムの策定等の支援を行ってはどうか。

日医常任理事・羽鳥裕氏:地元出身者の地元定着率が高いことは分かるが、例えば地元枠を狙って、高校1年から、(大学のある)地域に移住した場合はいいのか。あるいは10年以上など、定着しないとだめなのか。 厚労省事務局:地元枠は、地元に長期間住んでいるなど、急に対応できない仕組みを検討している。

全国衛生部長会会長・鶴田憲一氏:地域医療支援センターは、今は“紐付き”(地域枠の学生など)を対象としている。それ以外の医師の支援については公的な権限を付与してもらわないと対応できない。
厚労省事務局:地域医療支援センターは、地域枠あるいは地元出身者枠にかかわらず、対応できるよう検討している。

【臨床研修】

◆臨床研修における地域枠・地元出身者枠の医師確保について(見直しの方向性)

○研修医の臨床研修修了後における、出身地や出身大学の都道府県への定着を図るために、地域枠の医師や地元の出身者等を対象とした選考を、一般のマッチングとは分けて実施してはどうか。
○ その際、医師偏在の度合いに応じて医師が多いと判断された都道府県については、一律ではない慎重な検討が必要ではないか。

全日病副会長・神野正博氏:地域枠、地元出身者枠の医師を自治医科大学卒業生と同様に、別枠でマッチングを行うことは、そうではない学生との平等性から問題。都道府県が、地域枠の学生を早いうちからフォローして、マッチングの段階でどこで研修するかを相談することにより、別枠を設ける必要はないのではないか。

◆臨床研修への都道府県の関与について(見直しの方向性)

○ 都道府県が管内の臨床研修病院の指定・募集定員設定に主体的に関わり、格差是正を進めていくために、地域医療対策協議会の意見を聴いた上で、臨床研修病院・大学病院の指定・募集定員設定を都道府県が行う、または関与を強めることとすること等について、どう考えるか。

日医副会長・今村聡氏:都道府県が、臨床研修病院を指定する際のデメリット(離床研修の質にバラツキが出たり、有力な医療機関の意向が強く反映される恐れがあるなど)には対応できるのか。
厚労省事務局:まずは地域医療対策協議会で議論して問題点を洗い出し、了解が得られない場合には、指定しないという制度設計にすることを検討している。また社会保障審議会臨床研修部会で、全国統一的な基準を議論する。個別の都道府県の対応を踏まえ、(基準等を)見直すところがあれば、同部会で検討し、都道府県にフィードバックする。

◆臨床研修病院の募集定員について(見直しの方向性)

○ 地域医療の確保の観点から臨床研修医の都市部への集中をさらに抑制していくために、臨床研修病院の募集定員をさらに圧縮させるとともに、特に大都市圏の都府県については、募集定員をより圧縮することとしてはどうか。
※なお、募集定員の圧縮は、採用実績数の減少やアンマッチ率の増加、病院間の競争の低下の懸念があるため、これらを踏まえた対応とする必要があるのではないか。
○ 都道府県別の募集定員上限の計算式について
① 医学部入学定員による募集定員の増加については一定の上限を設けること
② 医師が少ない地域等へ配慮する観点から、地理的条件等の加算を増加させること
としてはどうか。

 2020年までに研修医の募集定員が研修希望者の約1.1倍まで縮小する。2025年までに1.00倍、もしくは1.05倍までに縮小する案が提案されたが、特段の意見はなかった。

【専門研修】

◆新専門医制度における都道府県協議会について(検討の方向性)

○新専門医制度において、専門研修体制が地域医療に影響を与える場合や研修の機会確保が十分でない場合に、国や都道府県が地域医療の観点や研修の機会確保の観点から意見を述べることができるような仕組みを法律上設けることとしてはどうか。
○ なお、都道府県において意見の内容を協議する場としては、地域医療対策協議会に統合するが、都道府県によって特別の事情がある場合には、専門医の協議会を地域医療対策協議会のワーキンググループなどとして存続させることも可能としてはどうか。

日医副会長・今村聡氏:「法律上設ける」とあるが、どんな形で位置付けるのか。
厚労省事務局:内閣法制局と今後相談するため、確定的なことは言えないが、専門研修プログラムを決める際に、都道府県の意見をきちと聞くことなどを法律に書く。義務にするかどうかも検討するが、あまりガチガチの制度で身動きが取れないようにはしない。

◆将来の診療科ごとの医師の需要の明確化について(見直しの方向性)

○ 医師が、将来の診療科別の医療ニーズを見据えて、適切に診療科選択ができる情報提供の仕組みを構築するために、人口動態や疾病構造の変化を考慮し、将来の診療科ごとの医師のニーズを都道府県ごとに明確化し、国が情報提供することについてどう考えるか。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長・山口育子氏:情報提供により、医師がどれだけ自主的に診療科を選ぶのか、果たして効果があるのか、疑問に思った。あまり厳しく制度で縛ることはよくないと思うが、必要な診療科にドクターが充足する在り方を検討しなければいけない。もう少し諸外国の分析をみせてもらうことはできないのか。

聖路加国際大学学長・福井次矢氏:例えば、イギリスでは、フェローシップに相当するポストの数が決まっている。専門医制度とからめ、おおまかでいいので、(医師のニーズ等を)示しておく必要がある。“入り口”の段階での調整が必要。

慶應義塾大学商学部教授・権丈善一氏:(専門医配置の調整等ができるか否かは)医師会加入とも関係してくる。諸外国と異なり、日本ができていない原因は、その辺りにあるのであれば、“日本型”を考えなければいけない。まず国が情報提供し、都道得府県が関与していく準備をすべき。

日医副会長・今村聡氏:今まではこうした情報がない状況で、医師は開業している。まずはきちんと情報提供していくことが必要。海外の制度は参考になるが、医療提供体制が異なる中で同じ方法はできない。医師会の役割も重要。



https://www.m3.com/news/general/564982
【岐阜】協定ない時間外労働 割増賃金1億円超未払い 土岐市立病院
地域 2017年10月25日 (水)配信岐阜新聞

 岐阜県土岐市は24日、市立総合病院の医師や看護師らに必要な労使協定を結んでいないにもかかわらず法定労働時間を超えて働かせ、時間外・深夜労働の割増賃金の一部が未払いだったとして、多治見労働基準監督署から是正勧告を受けた、と発表した。対象は216人で、時効前の過去2年分の未払い賃金の総額は支払い遅れによる損害金も含めて約1億1600万円。12月21日に対象者に支払う。

 市と同労基署によると、1988年の開院以来、労働基準法に基づく時間外労働に関する労使協定(三六協定)を市職員労働組合と締結していなかった。

 県内の救急病院では職員の過重労働が指摘されており、労基署が立ち入り調査を実施している。下呂市立金山病院でも昨年、時間外労働に関する協定を締結せず、割増賃金の一部を支払っていなかったとして高山労基署から是正勧告を受けたことが明らかになっている。

 土岐市立総合病院には今年4月、抜き打ちで立ち入り調査。電子カルテを管理するシステムの記録や職員への聞き取り調査などを行い、実際の勤務時間を確認した。

 救急を担当する職員には時間外手当、深夜手当を支給すべきところを、仮眠取得を前提とした宿日直手当に代えて支給していたことも分かった。

 病院側は、三六協定を結んでいないことを分かっていたが、約30年間放置し続けた。「時間外勤務の適正な運用を進め、縮減に向けて取り組む」としている。



https://www.m3. com/news/general/564904
500万円以上で薬価下げ 1年延命の追加コスト 厚労省、医療費抑制で
行政・政治 2017年10月25日 (水)配信共同通信社

 厚生労働省は24日、高額な新薬の公定価格(薬価)に「費用対効果」を反映させる新たな制度で、既存の薬と比べ1年間の延命に500万円以上多くかかる場合は薬価の引き下げ対象とする方針を固めた。医療費抑制策の一環で2016年度から試行的に導入しており、効果に見合わず割高だと評価された薬については、18年度の薬価改定で価格を引き下げる。具体的な引き下げ幅など詳細は年末までの決定を目指す。

 25日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で提案する方針。医療保険財政が改善され国民負担の伸びを抑えることにつながるが、製薬業界からは「新薬開発が遅れる恐れがある」「導入は限定的にするべきだ」などの反発が予想される。

 高額な新薬が医療費を押し上げている現状を踏まえ、厚労省は18年度から、費用対効果を薬価に反映する制度の本格導入を目指している。16年度からは、がん治療薬オプジーボやC型肝炎治療薬のソバルディ、ハーボニーなど13品目に限り、試行的に導入している。

 費用対効果の評価は、新薬を使って、生活の質を維持した健康な状態で患者の寿命を1年延ばすためのコストを、同じ病気の治療で使う既存薬と比べ価格に反映させる仕組み。例えばオプジーボでは医療費が患者1人で年間千数百万円に上るとされるが、これまで使われてきた他の肺がんの薬と価格や効果を比較する。

 厚労省は、1年延命に支払える金額に関する過去の意識調査(10年実施)で、半数の人が485万円と回答した点に着目。既に同様の制度を導入し、日本と生活水準が近い英国の評価基準も参考にして、比較対照する薬よりも500万円以上多くかかったら薬価を引き下げることとした。薬価の急落による企業業績への影響にも配慮し、1千万円以上多くかかる場合は引き下げ幅を一定にとどめる考えだ。

 試行導入の結果などを踏まえ、本格導入時の評価方法を今後検討する。

 ※薬の費用対効果評価

 超高額のがんや肝炎の治療薬の登場が相次いで医療費の膨張を招いていることから、2016年度に医薬品と医療機器の計13品目で試行導入された。革新性が高く、市場規模が大きい品目が対象。結果は価格を調整するだけで、保険適用の可否には使わない。同年末に政府がまとめた薬価制度に関する制度改革で、本格導入する方針が盛り込まれた。18年度の本格導入にあたっては、一般市民3千人対象の面接調査を全国で実施する。費用対効果評価の仕組みは英国やオーストラリア、スウェーデンなど各国で導入されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564636
医師の働き方改革とキャリア
現状のまま上限規制では「有名無実に」
働き方検討会、若手医師からヒアリング

レポート 2017年10月23日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)


 厚生労働省は10月23日、第3回働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、大学病院の後期研修医ら若手医師4人からヒアリングを行った。東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センターの後期研修医、赤星昴己氏は、時間外労働の上限規制について、必要ではあるが、病院の経営や医師数に余裕がない現状のまま規制すれば、「上限規制は有名無実となる。病院が抜け道を探して長時間勤務や無給勤務を強いる形を誘発しかねない」などと指摘。医師事務作業補助の導入や勤務時間の適正な評価基準の導入、管理者を含む人々の考え方の改善などを訴えた(資料は、厚労省のホームページ)。

 赤星氏は救急で勤務時間が長くなる要因として、「根本的なスタッフ不足と患者数過多」、「連続勤務による作業効率の低下」、「予想外の救急搬送や緊急手術」、「勤務時間が長いことを問題と考えない文化」、「長時間勤務が健康被害をもたらす実感がない」ことを列挙。長時間労働には診療科や地域、施設、年代による差があるために一律に制限を設けることは困難であることや、奉仕や過労を美談や苦労話とする文化・精神が、診療科のトップクラスの医師に多いため、働き方の改善が尊重されないことが多いと指摘した。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教の猪俣武範氏は、医師の労働時間は「簡単な事務作業などの単純労働」、「医師しかできない労働」、「自己研鑽」に分け、後の二つは減らすことができないため、「どうにかして単純労働の効率性を上げるか、(労働量自体を)減らす必要がある」と指摘。  上限規制については、大学病院の医師の業務が、外来、病棟、手術、経営、教育、研究と多岐にわたり、それらが複雑に絡み合っていて一つずつ切り分けることが困難であるとの見方を表明。また、医師にとって自己研鑽も労働との線引きが難しく、またそれを規制してしまうと、研究時間や医学生への教育時間の減少にもつながり、ひいては医療の発展の停滞も招きかねないと危機感を示した。

 岡山大学医療人キャリアセンター「MUSCAT」センター長の片岡仁美氏は、女性の医療人のキャリアを支援する同センターの活動を紹介。出産・育児を経た女性が復帰しやすい職場として、「5人のチームの5人目ではなく、6人目として現場復帰できるポジションがあること」との同センターの事業の考え方を示し、女性医師がキャリアを継続するためには、「就業継続のための工夫が必要な時期がある」、「柔軟な働き方を選択できることは必須条件」、「画一的なルールを適用されると就業が困難になる場合も」、「保育所、病児保育所などの育児支援は必要であるが、職場の理解、患者の理解などのソフト面も重要である」との視点を提示した。

 参考人として出席し、意見を述べた大和成和病院心臓血管外科部長の畝大(うね・だい)氏は、医師の労働時間を次の二つに分類。

将来執刀するためのトレーニングにつながるもの
手術、患者を診察して内服治療+点滴指示
自己研鑽(手術ビデオや本を読む、学会参加、論文活動など)

将来の執刀につながらないもの
指示の入力、確実にできる簡単な手技の繰り返し(ガーゼ交換)
カルテ記載、退院サマリー+診断書など書類業務
ある程度落ち着いているICU術後患者のつきっきり治療

 自己研鑽や、将来のために必要な時間は改善の余地が少なく、改善する必要もないと断言し、(1)は減らすことができないとして、(2)の負担を減らすことが必要だと述べた。

 カナダのオタワ大学に留学した際に感じた日本との違いとして、手術後のICUの患者は、日本では執刀医がつきっきりになるが、カナダでは専門のICU治療医が担当することを紹介。心臓外科医とICU治療医を「別の職業」と考え、ICU治療を切り離せれば外科医の勤務環境の大幅な改善が見込めると提言した。

 意見陳述を受け、東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は「上限規制をすれば、医療提供の絶対量が減るのは避けられない。NP(ナース・プラクティショナー)やPA(フィジシャン・アシスタント)導入、タスク・シフティングの方向へ進むべきだ」と指摘。また、自己研鑽の重要性を強調した若手医師の意見に対し、産業医の立場から「必要性や生きがいということは分かるが、事実として勤務時間が多く、過労死をする人が出ている」と述べ、時間外労働についての労使協定である「36協定」すらも結んでいない病院があるという現状も指摘した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「自己研鑽は重要であり、欠くべからざるものだ」と強調。一方で、医師の勤務環境改善のためのタスク・シフティングやタスク・シェアリングのための人員の導入・増員は、現状の診療報酬体系では困難だとして改善を求めた。

 全日本自治団体労働組合総合労働局長の森本正宏氏は、意見陳述した4人に対し、勤務先に労務管理を専門とする職員がいるかどうかを質問。猪俣氏は、「コメディカルは管理する人がいるが、医師には寛容だ」、赤星氏も「研修医やコメディカルについては徹底されているが、それ以外には管理する人はいない」と述べた。畝氏も「いない」、片岡氏は「分からない」と回答。関連して、千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏が、「労務管理は、はんこだけというところもあるが、労働基準監督署の指導もあり、IDカードで(医療施設への)出入りをチェックするところも増えている。医師の仕事は切り分けが難しいが、(勤務の)始めと終わりを管理する方向だ」と現状認識を述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/560251
医療費のコントロールは可能-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.3
最新刊の冒頭、あえて”希望”を語ったわけ

インタビュー 2017年10月22日 (日)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――最新の「概算医療費」は41.5兆円(2015年度)となり、過去最高となりました。
 急増したのはC型肝炎治療薬のオプジーボなどの高額薬剤が原因です。しかし、高額薬剤の薬価がすぐに大幅に引き下げられた結果、2016年度の概算医療費は41.3兆円で、伸び率はマイナス0.4%に減少しました。両年度を合わせた医療費の伸び率はそれ以前と変わりません。医療費については単年度の伸びに一喜一憂すべきではありません。

 確かに、医療技術の進歩は医療財政にも大きな影響を与えます。過去にも医療技術の進歩により医療財政が破綻するという議論はありました。1950年代の結核医療費、1970年代の人工透析、1980年代にインターフェロン療法などが出てきたときも保険財政が破綻すると叫ばれました。

 しかし、これらの医療費もその後、十分にコントロールされました。歴史的、世界的に見ても医療費が増大して破綻した国はありません。例えば透析患者は1980年の3万6397人から2010年には32万448人と8.8倍に増えましたが、透析医療費は5725億円から1兆5061億円と2.63倍にとどまっており、完全にコントロールされています。オプジーボでは保険財政どころか、日本が破綻するという議論が起きましたが、あっという間に薬価は半額に引き下げられました。今後は効果のある患者だけに限定して使うことができるようになっていくはずです。

 国民医療費の「配分」を見ると、2000年以降大幅に増えているのは、調剤費と薬剤費であり、狭い意味での医療機関の取り分は減っています。この流れを是正するのが先でしょう。

――2017年3月に出された一番新しい著書『地域包括ケアと福祉改革』(勁草書房)では、序章として、「今後の超高齢・少子社会を複眼的に考える――医療・社会保障改革を冷静に見通すための前提」が置かれています。
 その章では、(1)今後、人口高齢化が進んでも、社会の扶養負担は増加しない、(2)日本の労働生産性伸び率は欧米と比べて低くはなく、今後も人口1人当たりGDPが毎年1%成長すれば超高齢・少子社会は維持できる、(3)医療費の国際比較時には高齢化率による補正が必要で、それを行うと日本は「高医療費国」とは言えない――ということを、データとともに説明しています。

 ただし、これらはいずれも私のオリジナルな研究ではなく、経済学者等がデータを基に分析すれば、共通に導かれることです。“あえて”今回の著書で冒頭に持ってきたのは、医療・福祉関係者と話すと、「日本は借金大国であり、社会保障費は増やせない」というあきらめの気持ちがすごく強くなってしまっていると感じているからです。私も決して楽観視しているわけではないですが、女性・高齢者等の就業率向上や労働生産性向上があれば、今後も社会保障を維持できることを強調しました。

――安倍政権下では「経済財政諮問会議」「未来投資会議」などで、官邸主導で医療関連の提案が相次いでいます。このことをどのように評価されていますでしょうか。
 厚労省の現在の審議会には多様な利害関係者が参加し、議事録も公開されているので、内部で意見がもまれて、最終的に合意形成に至るプロセスが見て取れます。しかし、官邸主導の会議は、構成員の選任が恣意的で、議事録がほとんど公開されず、透明性に欠けます。特定の構成員の個人的思い付きが、妥当性の吟味がされないまま閣議決定されるのは問題です。

――近年の傾向に、健康の自己責任論とでも呼ぶべき考え方が強くなっています。
 先日、日野原重明先生がお亡くなりになった際には、功績の一つとして、「(生活)習慣病」という名称を早くから唱え、厚生省(当時)がそれを1996年に採用したことを挙げる報道が多くありました。しかし、「生活習慣病」という用語には、日野原先生のかつての解説を含めて、病気の多様な原因を個人の「生活習慣=自己責任」に単純化する傾向が強く、しかも近年その傾向が強まっていると危惧しています。

 小泉進次郎議員らは「医療介護費用の多くは、生活習慣病、がん、認知症への対応」として、健康管理での自助を促す「健康ゴールド免許」(健康維持に取り組んできた方が病気になった場合は、自己負担を低くする)の創設を提唱しています。生活習慣病対策に継続的に取り組んでいる辻一郎氏(東北大学医学部教授)も、喫煙、肥満には「不健康税」を導入することを提唱しています。

 歴史を見ると、「『生活習慣病』という概念の導入」を初めて提唱したのは1996年の公衆衛生審議会「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」です。「生活習慣病(life-style related disease)」を「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切であると提唱するとともに、食習慣・運動習慣・喫煙・飲酒との関連が明らかになっている疾患を例示しました。

 そこでは、「ただし、疾病の発症には、『生活習慣要因』のみならず『遺伝要因』、『外部環境要因』など個人の責任に帰することのできない複数の要因が関与していることから、『病気になったのは個人の責任』といった疾患や患者に対する差別や偏見が生まれるおそれがあるという点に配慮する必要がある」と注意喚起されていました。

 厚生省(当時)はこの「意見具申」を受けて翌1997年から「生活習慣病」という名称を採用しましたが、その際、この「ただし書き」には触れず、そのために「生活習慣病」は「個人の不健康な生活習慣」が原因=自己責任とのイメージが拡大・固定していきました。2012年に改正された国の基本方針「健康日本21(第二次)」では、それまでの「個人(責任)モデル」を修正し、生活習慣の改善と「社会環境の改善」を同等に位置付けるなどの軌道修正がされましたが、まだ一般にはほとんど知られていません。厚労省は広報に力を入れるべきです。

 疾病が自己責任と誤認させる「生活習慣病」という用語の見直しを検討すべきで、とりあえずは、「生活習慣病」から「生活習慣関連病」への変更が現実的と思います。

――最後に、医師は医療政策にどのように向き合っていくべきでしょうか。
 今や国民皆保険制度は「医療」の枠を超えて、日本の社会を支える制度になっています。それは、国民医療の維持向上だけでなく、日本社会の安定性、統合性の維持のためにも不可欠です。右は自民党から左は共産党まで、国会で議席を持っている政党の中で、社会保障政策で唯一、一致しているのが「国民皆保険の維持」です。日医総研のレポートでも、国民の医療への満足度は小泉政権時代をボトムにじわじわ上がっています。

 かつて小泉政権下では、国民皆保険を解体して、アメリカのように医療にも市場原理を導入すべきとの主張がありましたが、今はなくなりました。医療分野への市場原理導入は、当該企業にとっては利益の拡大になりますが、総体としては医療費(公的医療費と総医療費の両方)を増やし、医療費抑制という「国是」に反するからです。私はこれを「新自由主義的医療改革の本質的ジレンマ」と名付けています。

 私は「社会保障の機能強化が必要」だと考えますが、単純に「医療費を増やせ」とだけは主張していません。それと併せて、医療団体・医療者の自己改革が必要と考えています。医療の質を落とさないで、医療費の不必要な増加を抑えるための効率化も必要です。ではどのように効率化していくべきか。私は医師出身の医療政策・経済の研究者で経験主義者なので、医師・医療団体が医療現場の実態を踏まえた効率化について積極的に提言することがもっとも重要と考えています。

 現場の医師は忙しすぎて、医学以外の問題に目を向ける暇がないのでしょうが、医療政策・医療経済についてもう少し勉強してほしいと思います。そのためにも私の著作や論文をぜひ読んでいただきたいと思います(笑)。私が2005年以降発表した全論文は、毎月配信している「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」に転載しています。これはウェブ上にも公開しているので、ぜひお読みください。



https://www.m3.com/news/general/564976
<仙台医療センター>女性外科医4人が活躍 勤務体制や子育てへ
地域 2017年10月25日 (水)配信河北新報

 国立病院機構仙台医療センター(仙台市宮城野区)の外科で、女性医師の活躍が目覚ましい。今や医学部生の3割を女性が占めるものの、体力的にきついとされる外科は敬遠されがち。ところが、センターでは外科医13人のうち4人が女性。勤務体制や子育てへの配慮など働きやすい環境が整っていることが理由で、これほど女性の割合が高い総合病院は全国でも珍しいという。

 仙台医療センターの外科は長らく女性医師が不在だったが、2005年に1人が着任。06年12月に院内保育所が24時間体制となった後の08年に1人、今年4月に2人が増え、計4人になった。

 手術の際、外科医3人と麻酔科医、看護師が全員女性という時もある。1990年に医師になった島村弘宗総合外科部長(53)は「自分が学生の頃は、外科に女性は要らないと公言する教員もいた。隔世の感がある」と語る。

 長時間の手術がある外科は、体力的にきついイメージが定着。手技を習得する時期に結婚、出産が重なることもネックとなっていた。14年の厚生労働省調査でも病院の女性外科医は6.7%と、全体の21.5%を大きく下回る。

 医療センターの女性外科医の一人で、2歳と5歳の子どもがいる大島有希子さん(35)は院内保育所を利用し、当直回数を減らしたり、長引く手術は別の医師に交代してもらったりして仕事をこなす。「カバーしてくれる同僚と家族のおかげで働き続けられ、感謝している」と話す。

 今年3月まで研修医だった川名友美さん(26)は「女性に外科は無理かとも思ったが、先輩がいたことで励みになった」と言う。

 患者からは「女性医師は回診の際に話し掛けやすく、不安が解消される」との声も上がる。米国では女性医師に診療してもらう方が、死亡率や再入院率が低くなるという研究もある。

 島村部長は「4人とも性差を感じさせない働きぶりで、ステップアップもできている。女性がいなければ外科が成り立たず、女子の医学部希望者や医学部生は外科をぜひ志してほしい」と呼び掛ける。



https://www.m3.com/news/general/564523
【宮城】<急患診療中断>市議会で注文相次ぐ 市「重症者は診療」
地域 2017年10月25日 (水)配信河北新報

 仙台市急患センター(若林区)が医師や看護師の休憩に充てるため、午前3~4時の診療を試行的に中止した問題で、20日の市議会健康福祉委員会で委員から注文や要望が相次いだ。市は「重症者が来れば診療する。市民の安心・安全は変わらない」と強調した。

 共産党市議団の委員は、診療の中止ではなく看護師の増員で休憩を確保するよう要望。市健康政策課は「試行中の看護師の勤務体制は患者数などの実態に見合っている。市民サービスを低下させない方策を引き続き検討する」と述べた。

 市民ファースト仙台の委員は、休憩中に患者が訪れた際の対応を確認。石沢健保健衛生部長は「午前3~4時は患者が平均1人未満なので休憩にしたが、センターの扉も受付も開けている。事務員が対応し、急患なら医師らと即時連絡を取り、診療する」と話した。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/hai/201710/553372.html
コラム: 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
その「働き方改革」は本当に上手くいきますか?

2017/10/27 裴 英洙 Nikkei BP

 疲れた…、そろそろ辞めたい。

 私の連載のことではない。

 今年74歳になる、ある病院理事長の言葉だ。病院経営の最前線で陣頭指揮を取り、さらに外来診療や入院患者もしっかりと診るスーパードクターだ。しかし、冒頭の言。社会的使命感と職員を守る強いリーダーシップの下、自ら鞭打ち続けた老体はボロボロになってきている。筆者は仕事柄、全国の医療機関を回り、多くの医師と話す機会がある。マネジメントの話がある程度終わると、雑談が始まる。その雑談の中に、ポロリポロリと本音がこぼれ始める。

 「疲れた」「眠れない」「疲れが取れない」「気分がすっきりしない」との健康上・体力上の悩みがあふれ出てくる。筆者が勤務医として働いていた病院でも心身不調で戦線離脱する医師を多く見てきたが、医師不足・偏在が叫ばれる中、我が身を削って臨床現場に立っている医師も大勢いるだろう。少ない人数で回している現場から1人でも医師が心身不調で倒れると、残された医師にもまた負担が乗っかり、離脱予備軍となっていく。まさに、医療現場は“疲労現場”と言っても過言ではない。

 では実際、医師はどれくらい“疲れて”いるのだろうか?

 『勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書(日本医師会、平成28年6月)』を見てみよう。これは、勤務医約8万人から無作為に抽出された勤務医1万人に対して実施された調査である。まず、5人に1人以上が、「自身の健康について、健康でない、または不健康」と回答している点に目が行く。また、「他の医師への健康相談あり」は55.1%と半数以上の医師が医師に相談している実態だ。さらに、平均睡眠時間5時間未満(当直日以外)が9.1%、当直日の平均睡眠時間4時間以下が39.1%、と十分な睡眠を確保できずに多くの医師は頑張っている。そして、「自殺や死を毎週/毎日具体的に考える」割合は3.6%、「メンタルヘルス面でのサポートが必要と考えられる中等度以上の抑うつ症状を認める者」は6.5%となっている。さらに、勤務状況と各アウトカム指標のクロス集計からは、当直中の睡眠時間が短いほど死や自殺についての考えを持つ割合が高い、との結果も明らかになっている(表1)。睡眠不十分の中、働き過ぎでメンタル不調を来しやすい職場環境が浮き彫りとなっている。

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表1 当直の際の平均仮眠時間と死や自殺についての考えの関連性を示したクロス表 平均仮眠時間が短くなるほど、死や自殺について深く考える医師の割合が増加する。(出典:勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書より)

 疲れ切った医師に診察される患者への医療の質の低下が危ぶまれると同時に、それでも休めない現場の苦悩と、身を削っている努力には頭が下がる。ただ、そのような状況の中で、これからさらに加速する多様かつ多量な医療・介護ニーズに医師は対応しなければならないのである。しばらくは続いて行くであろう厳しい医療現場を救うべく、何らかの方策を練らなければならない時期にきている。

 解決策を練らずに、“気合”や“精神論”だけを振りかざす医療機関や医師はもういらない。医師の効率的・効果的な働き方への処方箋を考える際に“マネジメント”の考え方は武器となる。マネジメントのゴールは、効率性や生産性を追求することで職員がより有意義に時間を使え、さらなる価値を生み出せるように環境整備をすることである。フレームワークと呼ばれる意思決定手法や事実分析を通じて、現場のムリ・ムダ・ムラをあぶり出していき、効果的かつ効率的な医師のすべき仕事を結晶化していくのがマネジメントの分野である。

 当然、マネージャーのみならず現場のプレイヤーもこの視点を持たねばならない。現場が自分たちだけの利益(部分最適)に走ったり、職域権限を過度に振りかざしたりするのではなく、働く人自らが全体の利益(全体最適)を意識した上での自己のポジショニングが大切だ。その過程で、ワークシェアリングやタスクシフティングなどの新しい切り口での働き方が現場主導で提案されるはずだ。

 医師の働き方改革は働く医師が主人公であり、現場と温度感を有するお仕着せの「働かされ方」改革では改革は長続きしない。働く医師自らが自身と組織にとって何がベストアンサーかを考える「個として、プロとしての責任」をしっかりと持つことがスタートなのである。他人事ではなく“我が事”と考える医師が増えてくると働き方改革は加速する。そのためには、政策・病院経営・現場の三位一体の改革が必要なのである。



http://www.medwatch.jp/?p=16387
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会
2017年10月23日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師免許取得後の初期臨床研修において、十分に診療行為を行えるよう、医学生の臨床実習を強化する必要がある。そのため、医学生の臨床実習で実施可能な医行為を整理しなおすとともに、臨床実習に入る前の共用試験(CBT)の位置づけを明確にしてはどうか―。

 10月20日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった方針が固まりました。

初期臨床研修医が十分に医療提供を行えるよう、医学部教育を充実

 検討会では、これまで「新専門医制度の全面スタートによって、地域医療への弊害が生じない」ような方策を議論してきました。そこでは、「都道府県の協議会で、専門医の養成プログラムに問題がないか(これまでに研修施設となっていた医療機関が漏れていないか、など)確認する」「実際の募集定員などをみて医師偏在が助長されていないかを確認し、問題があれば是正に乗り出す」といった方向が確認され、現在、各領域で専攻医(専門医を目指す医師)の募集が始まっています(関連記事はこちらとこちら)。

 このように専門医制度の問題解消について一段落がついたことを受け、10月20日には、検討会設置の主目的である「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」に議題が移っています。もちろん、今後「専攻医募集状況の確認」なども検討会で行われていきます。

 医師養成の流れを見てみると、▼6年間の学部教育▼医師免許取得(医師国家試験への合格)▼初期臨床研修▼専門医研修―に整理することができます。
 
 このうち初期臨床研修では、医師免許取得後の研修であり、医療現場において実際に臨床に携わることが期待されていますが、「十分な臨床が行えていないのではないか」といった指摘があります。臨床研修で実質的に「初めて」臨床に携わることとなり、指導医が一から臨床の指導を行うため、十分な「戦力」になっていないという指摘です。この点、医師不足に悩む立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は「初期臨床研修であっても、自身の責任で医療提供を行えるよう、医学部教育を充実する必要がある」と強く訴えています。
臨床研修で実質的に「初めて」臨床に携わることになる背景には、「医学部生が、まだ医師ではない」という点が大きいようです。現在、共用試験(医学医療に関する知識の修状況を審査するCBT:Computer Based Testing、技術や態度などを確認するOSCE:Objective Structured Clinical Examination)を経て、4年生以降には診療参加型の臨床実習が行われていますが、医学部によるバラつきが大きいと指摘されます。また、医師免許を取得していない医学生であっても、指導医の下で一定の基礎的医療行為を行うことは違法ではない(刑法第35条の正当行為「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」に該当する)と解されていますが、医療現場からは「法的な担保が十分ではないのではないか」といった指摘もあります。

そこで厚生労働省と文部科学省は、こうした課題を整理し、大きく次の3つの改善を行ってはどうかと提案しています。検討会では異論・反論は出ておらず、今後、両省で具体的な改善策を練っていくことになります。

(1)共用試験(CBT)の位置づけを明確にする
(2)医学生が指導医の下で行える医行為を再整理する
(3)モデル・コア・カリキュラムや初期臨床研修到達目標などの見直し時期を整理する

 まず(1)では、現在、第三者機関である「公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構」が自主的に実施(全医学部が参加)している共用試験のうち、客観性の担保されているCBTについて、何らかの「公的な位置づけ」ができないかを検討するものです。なおOSCEについては、さらなる客観性の担保が必要とされ、今般の検討対象には含まれてない見込みです。

医学部4年生からの臨床実習に入る前に、共用試験(CBT、OSCE)を受け、知識や技術、医師となるにあたっての態度に問題はないかなどが審査される(図 略) 

 また(2)の「医学生が指導医の下で行える医行為」は、1991年に作成されたいわゆる前川レポート(臨床実習検討委員会最終報告)をもとに整理されていますが、30年近く経っており、医学・医療の進歩などを踏まえた再整理を行うことになります。厚労省医政局医事課の担当者は「本年度(2017年度)内に一定の整理を行いたい」とコメントしています。

現在、指導医の下で医学生が実施できる医行為などが整理されている(いわゆる前川レポート)(その1〜3)(図 略)

この点に関連して検討会では、「student doctor資格を法律上、正面から位置付けて一定の医行為実施を可能にすべきではないか」といった意見も出ていますが、「医療を受ける患者・国民」がどう受け止めるのか、などといった点も踏まえた本格的な議論が必要であり、「中長期的な課題」という位置づけになるでしょう。

なお、「現在、医学部ではどのような医行為が行われているのか」といった実態調査についても今後、前向きに検討していく予定です。

 
さらに(3)は、現在、バラバラに行われている「モデル・コア・カリキュラム」(医学部教育の3分の2程度を占める、必ず学ばなければいけない事項)の改訂(2016年度に改訂、18年度から実施)、「初期臨床研修の到達目標」の見直し(2020年度に実施予定)、「医師国家試験の出題内容」見直し(直近では2017年に見直し)などを整理していってはどうかというテーマです。卒前・卒後の一貫した医師養成を進める上では、これらをセットで考得ていく必要があり、さらなる厚労省(医師国家試験、初期臨床研修などを所管)と文科省(医学部教育を所管)との連携が期待されます。
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モデル・コア・カリキュラムや臨床研修医の到達目標などは、バラバラに見直されているのが実態である
 
こうした見直しによって、医学生時代に十分な臨床実習が可能となれば、初期臨床研修医が「医療現場の戦力」となり、医療水準の向上はもちろん、「偏在の解消」にも一定の役割を果たすことにつながります。



http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20171025/CK2017102502000054.html
県内65病院で医師不足 全体の2割、診療制限も
2017年10月25日 中日新聞 愛知

 県の調査によると、県内全三百二十三病院の20・1%に相当する六十五病院が依然、医師不足により診療制限をしている。

 調査は二〇〇七年度から毎年実施し、回収率は100%。診療制限の内容は、休止や時間、日数の短縮、検査や手術、入院の制限など。

 制限している病院の割合は調査以来、右肩上がりが続き、最近はほぼ横ばい。昨年の22・6%からは2・5ポイント下がった。

 診療科別では、医師不足が社会問題にもなっている産婦人科が県内でも16・4%と最も高い。ただ、調査開始時の〇七年度(26・4%)と比べれば、下がっている。ほかは精神科12・5%、小児科10・0%、内科9・9%、整形外科9・2%、麻酔科6・3%、外科3・9%。産婦人科以外は総じて調査開始以来、ほぼ横ばい。

 圏域別では、尾張北部(春日井、犬山市など)36・0%、海部(津島、愛西市など)27・3%、知多半島(半田、常滑市など)26・3%の順で高い。逆に低いのは、尾張中部(清須、北名古屋市など)ゼロ、尾張西部(一宮、稲沢市)15・0%、東三河南部(豊橋、豊川市など)16・7%など。

 (豊田雄二郎)



http://www.medwatch.jp/?p=16526
急性期病棟、「断らない」重症急性期と「面倒見のよい」軽症急性期に細分―奈良県
2017年10月27日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床機能報告制度で「急性期」と報告している病院であっても、重症の患者を積極的に受け入れている病棟と、主に軽症患者を受け入れている病棟とあり、両者は今後進むべき道が異なるのではないか。そこを明確にするために、一定の基準を設けて前者は「重症急性期を中心とする病棟」、後者は「軽症急性期を中心とする病棟」として細分化した報告を求めている—。

 10月26日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、奈良県医療政策部長の林修一郎参考人から、こういった奈良県独自の取り組みが報告されました(関連記事はこちら)。「回復期機能」として報告された病床数と、「軽症急性期を中心とする病棟」として報告された病床数を合算すると、地域医療構想の回復期病床数と近い値になっています。

ここがポイント!
1 医療機関の再編・統合により、医師増や急性期度の増加などの効果も現れる
2 調整会議の開催状況にバラつきあるが、「意見交換会」を盛んに実施する地域も

医療機関の再編・統合により、医師増や急性期度の増加などの効果も現れる

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に高まり、現在の医療提供体制ではこれらに的確に対応できないと指摘されています。そこで医療機能の分化・連携の強化が重視され、その一環として2014年度から病床機能報告制度がスタートしました。一般病床・療養病床をもつすべての医療機関が、自院の病棟がそれぞれどのような機能(▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期)を持つのか(あわせて将来、どのような機能を持たせると想定しているのか)、各病棟の人員配置や診療実績などを都道府県に年1回報告するものです。

奈良県では「可住地面積が小さく、人口当たり医師数は全国平均に近い」にもかかわらず、医師不足感が強く、救急医療体制に遅れがあるといった課題があります。その背景には、中規模病院が多く「医師が散在してしまっている」ことがあるのではないかと林参考人は分析。その上で、(1)「重症患者を断らない」病院を絞り医療機能強化する(2)医療機能を絞った、在宅・介護(連携)機能を強化した「面倒見のよい」病院を整備する—という2つのアプロ―チで医療提供体制を整備していくことを決断しました。

そこで、全国的に「さまざまなタイプが混在している」ことが分かっている急性期病棟について、(1)(2)のいずれの機能を果たすべきかを模索するために、一定の基準(50床当たりの手術+救急入院件数が1日2件)を設け、これを参考に基準を超える病棟を「重症急性期を中心とする病棟」、そうでない病棟を「軽症急性期を中心とする病棟」と細分化して報告してもらう(いずれに該当するかは基準を目安・参考にして、病院が自身で判断)という独自の取り組みを行っています。
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奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている
 
前者の「重症急性期を中心とする病棟」は、「断らない病院」を目指し、医療機能を強化していく戦略を採択します。この一環として、ある地域(南和地域)では3つの公立病院を▼1つの救急病院(急性期機能)▼2つの地域医療センター(回復期・慢性期)―に機能分化し、医療提供体制の再構築が行われました。急性期機能を担うこととされた病院(南奈良総合医療センター)に医師配置を重点化したところ、急性期機能や医師派遣機能の向上、若手医師への魅力向上などの効果が出ています。
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奈良県の南和地域では3つの公立病院を再編統合し、1つの急性期病院と2つの回復期・慢性期病院とした
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病院の再編・統合により医師増員、急性期度の向上などの大きなメリットが得られる
 
医師の働き方改革が進められる中で、とくに「救急現場で、どのように負担を軽減していくか」が大きなハードルとなっています。病院の統合・再編によって、特定の病院に医師を重点配置すれば、1人当たりの負担は減少することが期待され、病院の再編・統合は「働き方改革」にも合致する方向と考えられそうです。
ただし林参考人は、地域の特徴(人口構成や地理特性など)に合わせた対策が必要であると指摘。例えば、人口が少なく基幹病院の機能が不足している地域では「病院の統合再編による急性期機能の強化」(事例)、人口が比較的多く、基幹病院が複数ある地域では「機能分化と集約」など、さまざまな対策が考えられます。厚生労働省に対して「地域医療構想の実現(後述)に向けて、地域のデータだけでなく、特性に合った課題解決策なども提示してはどうか」とも提案しています。
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地域の様々な状況に合わせた対策をたて、地域医療構想の実現を目指さなければならない
 
なお、「回復期」と報告された病床数と、奈良県独自の「軽症急性期を中心とする病棟」として報告された病床数を合算すると、地域医療構想の回復期病床数と偶然にも「近い値」になっていることも参考情報として紹介されました。しかしワーキングの中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「回復期状態の患者は、高度急性期から慢性期の各病棟にいる。各都道府県が軽症急性期と回復期を併せて『回復期』と考えてもらっては困る」とコメントしています。
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回復期と軽症急性期を合計すると、偶然にも「地域医療構想の回復期病床数」と近い値になった

調整会議の開催状況にバラつきあるが、「意見交換会」を盛んに実施する地域も

ところで、各都道府県では2025年に▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—のそれぞれの機能で必要となる病床数を試算した「地域医療構想」を策定しています。この構想と病床機能報告結果を突き合わせ、地域の事情を勘案しながら、地域の医療関係者などが集う地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で「地域医療構想の実現」を目指していくことが求められています。

厚労省は「3か月に1回程度、調整会議を開く」よう都道府県に求めており、開催状況を調査しています。今年(2017年)4-6月の調整会議開催状況を見ると、▼136の地域医療構想区域(概ね2次医療圏、以下、構想区域)で150回開かれている▼個々の医療機関ごとの現状分析は341の構想区域で320件実施されている▼具体的な医療機関名をあげた議論は、公立病院について135病院、特定機能病院については8病院実施されている—ことなどが分かりました。

しかし都道府県別に見ると、調整会議を一度も開催していない自治体がある一方で、複数回開催している自治体もあり、バラつきがあるように見えます。ただし奈良県では調整会議自体は一度も開かれていませんが、意見交換会などは盛んに開かれています。奈良県の林参考人は「より多くの医療機関に参加してもらうため、より小さな地域ごと意見交換会を数多く開催している。もちろん最終的な議論は調整会議で行う」との見解を示しており、厚労省は「詳細に見ていかないと、実施状況の実態は見えない」と述べるにとどめています。

奈良県では、地域の多くの医療機関が参加する意見交換会が盛んに開催されている(図 略)
 
 
地域の医療提供体制を再構築するためには、自院だけでなく「他院の状況」などを把握しなければなりません。調整会議や意見交換会も積極的に活用し、「自院の戦略」を早期に立てる必要があります。
 


http://www.medwatch.jp/?p=16497
「入院からの経過日数」を病棟機能判断の際の目安にできないか―地域医療構想ワーキング(1)
2017年10月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 病床機能報告制度の下で、各病院が病棟機能報告を行うに当たっての「目安」を探る議論が、地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)で始まりました。

10月26日に開催されたワーキングでは、「入院からの経過日数」に着目した指標が一例として考えられるのではないかと厚生労働省から提案されましたが、中川俊男構成員(日本医師会副会長)が猛反発。厚労省はさらなる検討を進めます。

ここがポイント!
1 明らかに異なる機能を報告した理由を調査、報告項目の改善にもつなげる
2 在院日数を指標とすれば、「診療報酬算定が制限される」との誤解生じるとの指摘

明らかに異なる機能を報告した理由を調査、報告項目の改善にもつなげる


2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、これから医療・介護ニーズが急速に高まり、現在の医療提供体制ではこれらに的確に対応できないと指摘されています。そこで医療機能の分化・連携の強化が重視され、その一環として2014年度から病床機能報告制度がスタートしました。一般病床・療養病床をもつすべての医療機関が、自院の病棟がそれぞれどのような機能を持つのか(あわせて将来、どのような機能を持たせると想定しているのか)、各病棟の人員配置や診療実績などを都道府県に年1回報告するものです。

病棟の機能については、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—の4つが設定されていますが、例えば高度急性期では「急性期の患者に、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」といった具合に、曖昧な、定性的な基準しか設けられていません。

厚労省は、より明確な基準を示す必要があると考え、「特定入院料と病棟機能の紐づけ」(2016年度報告から)、「一般病棟入院基本料と病棟機能の紐づけ」(2017年度報告から)を行っています。
病床機能報告の4機能と、診療報酬上の特定入院料の紐づけ(図 略)

▼7対1は高度急性期または急性期▼10対1は急性期または回復期▼13対1・15対1は回復期または慢性期、一部は急性期—といった基本的な紐づけが行われた。もちろん異なる報告をすることも可能である(図 略)
 
このように病棟の機能はかなり明確になってきていますが、例えば「循環器内科などを標榜し、かつ高度急性期と報告しているにも関わらず、1か月に一度もPCIを実施していない病院がある」ことや、「外科を標榜し、急性期と報告しているにも関わらず、1か月に一度も手術を実施していない病院がある」こと、「急性期と報告しながら、幅広い手術への実施やがん・脳卒中・心筋梗塞などの治療、救急医療の実施、全身管理などをまったく実施していない病院がある」ことなども分かっています。病床機能報告は、病院が自主的に機能を選択することが基本ですが、こうした報告がどうして発生するのか明確にする必要があると厚労省は考え、「2017年度報告結果を分析する際に、高度急性期・急性期と報告した病棟のうち、『急性期医療をまったく提供していない』などの明らかに疑義が生じた病棟には、報告の理由を調査する」考えを明らかにしました。

循環器内科で、高度急性期機能と報告している病院の中には、1か月に1度もPTCAを実施していないところもあることなどが分かった(図 略)

(高度)急性期の外科病棟であるにもかかわらず、手術を1か月に1件も実施していない病棟がある(図 略)

急性期病棟として報告している病棟の中には、全身管理を全く行っていないところなどもみられる(図 略)
 
具体的な調査手法は明らかにされていませんが、例えば、上記の「1か月に1件もPCIを実施していないにも関わらず高度急性期を報告した」病院を対象に、▼単なる間違いなのか▼高度急性期の定義などへの誤解があるのか▼報告すべき診療実績などの項目に不足があるのか―などをヒアリングしていくことになると考えられます。調査の結果、「この病院では、内科を中心に●●や■■といった高度な医療を提供している。しかし現在の報告項目は外科系に偏っている」といった事態が分かれば、「内科の高度急性期機能を適切に評価するために、診療報酬の●●点数や、■■医療行為の実施状況なども報告対象に含める」といった見直しに結びつく可能性もあります。
さらに厚労省は、「現在の報告項目では、回復期や慢性期に関する項目が不足している」とも考えており、今後の報告項目に「在宅復帰に向けた医療」などに関連する項目(▼市町村との連携▼ケアマネとの連携▼療養環境―など)の追加を検討するほか、「明らかに回復期機能・慢性期機能を果たしていると思われるのに、別の機能で報告している」病院を対象に、その理由(ミスか、誤解か、報告すべき診療実績項目の不足か、など)を調査する考えも明らかにしました。

これらを順次実施することで、各機能の評価に当たって重要な項目(診療報酬や実施医療内容など)がより明確になってくると期待されます。

在院日数を指標とすれば、「診療報酬算定が制限される」との誤解生じるとの指摘102808.jpg


さらに厚労省は、2018年度以降の報告に向けて「各機能に関するより明確な基準・指標」を模索しており、10月26日のワーキングでは「入院からの経過日数」(在院日数)に着目できるのではないか、との提案も行いました。

DPCデータから、救命救急入院料やICU、一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟などを届け出ている病棟の入院患者について「入院からの経過日数」別の構成割合を見ると、例えば次のような特徴があることが石川ベンジャミン光一参考人(国立がん研究センター社会と健康研究センター臨床経済研究室長)から報告されました。

▼救命救急入院料:1-7日の患者が8割程度

▼ICUなど:1-7日の患者が6割程度、8-14日の患者が2割程度

▼一般病棟(7対1・10対1):1-7日の患者が4割弱、8-14日の患者が2割強

▼地域包括ケア病棟:5週間以上の患者の6割程度

▼回復期リハビリ病棟:5週間以上の患者が8割程度

病棟の機能によって、入院患者の「入院からの経過日数」の構成割合に特徴がある(図 略)

 この「入院からの経過日数」は平均在院日数とは異なり、調査対象期間の各日に在棟している患者が「病院に入院してから何日経過したか」を調べたものです。厚労省は、これを一つの目安として病棟の機能を判断し(例えば自院のA病棟には、●日程度の患者が最も多く入棟している。したがって■機能を選択することが好ましいのではないか、などと判断)、報告することも考えられるのではないかと提案しています。
 各病棟には、さまざまな状態の患者が入棟しています。例えば急性期であっても、相当重篤な高度急性期患者や、急性期治療を終えて在宅復帰を目指す回復期患者などがおり、厚労省は「もっとも多くの割合の患者」に該当する機能を報告してほしいと求めており、中川委員もこの考えに賛同しています。患者の状態を明確に規定する基準・目安はありません(地域医療構想の策定においては医療資源投入量に着目)が、「入院からの経過日数」がその目安となり、病棟機能を判断する際の有効な拠り所の1つとなりそうです。

各病棟にはさまざまな状態の患者がおり、厚労省は「最も多い患者の状態像」から報告することを基本としている(図 略)
 
 しかし中川構成員は「病床機能報告が診療報酬にもたれかかっている。病棟機能が算定できる診療報酬を制限するものではない、との認識がまた崩れてしまう」と述べ、「厚労省案に明確に反対する」と強い口調で述べました。入院からの経過日数が「平均在院日数」と読み替えられ、「施設基準で定められた平均在院日数」を基に病棟機能の基準が診療報酬で定められてしまうのではないか、といった点を懸念した発言と推察されます。例えば、「●●機能の平均在院日数が21日程度」などのデータが出る→「平均在院日数21日は、一般病棟10対1の施設基準要件の1つである」→「●●機能として報告した場合には、10対1の届け出は可能であるが、7対1の届け出はできない」といった実しやかな噂・情報が流布してしまうケースを恐れていると言えそうです。
厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、この指摘を踏まえ「病床機能報告の際に、各病院がより判断しやすい基準を探している。さらなる検討を進める」と返答しています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/565253
地域医療構想
病床機能報告の基準に「在院期間」、中川日医副会長が反対
地域医療構想WG、調整会議の進捗状況なども確認

レポート 2017年10月26日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月26日の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)の第8回会議において、病床機能報告において、高度急性期、急性期、慢性期、回復期の4つの医療機能の定量的な基準として、「入院後の在院期間」に着目して検討することを提案したが、日本医師会副会長の中川俊男氏が「明確に反対する」と明言、厚労省は定量的な基準の再検討を迫られることになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 2014年度からスタートした病床機能報告は、病院の自主的な判断で行う。厚労省は、その判断において4つの医療機能の基準を定量化・精緻化することで、より精度の高いデータにすることを目指している。2017年度の病床機能報告では、例えば急性期医療を全く提供していないのに「急性期機能」と報告した場合にその理由を尋ねるなど、明らかな疑義が生じた病棟を対象として調査し、病床機能報告の精度を高める予定。さらに2018年度の病床機能報告に向け、厚労省は引き続き定量的な基準作りを進める。

 厚労省が「入院後の在院期間」を基準として提案した根拠の一つは、「入院中の患者の在院日数別構成により、その病棟の中心的な機能の目安になるのではないか」との研究成果だ。

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(2017年10月26日の地域医療構想に関するワーキンググループ資料)

 しかし、中川氏は、「病床機能報告を行う場合に、なぜ在院期間に着目しなければいけないのか。明確に反対する」と述べ、地域医療構想は、病床機能報告を基に不足する医療機能を手当てする仕組みという理解が進んできたにもかかわらず、その流れに逆行すると指摘した。厚労省保険局医療課長の迫井正深氏が、中医協で「診療報酬は、地域医療構想に“寄り添う”と明言した」と紹介し(『迫井課長「地域医療構想に寄り添う」は名言 - 中川俊男・日医副会長に聞く』を参照)、在院期間に着目すると、平均在院日数の要件がある診療報酬と連動する仕組みになりかねないことから、「地域医療構想が診療報酬に“もたれかかる”ことになってしまう」(中川氏)。例えば回復期機能を選択した場合、急性期関連の診療報酬を算定できないなどの誤解が生じないような仕組み作りを改めて求めた。

 中川氏の発言を受け、厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「各医療機能を選択するときに、病院にとって分かりやすい基準がないかと考え、議論をお願いしている。注意深く取り扱わないと誤解を招くことは肝に銘じて、在院期間の取り扱いについての次の議論の際には資料を整理する」と応じた。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、病床機能報告の報告内容と実態とが大きくずれているケースは現実にあるとし、「診療報酬と切り離して考えることが必要だが、定量的な指標、精緻化は必要」と指摘。

 調整会議、4-6月の開催は136構想区域
 26日の会議では、地域医療構想調整会議における議論の進捗状況も報告された。各都道府県とも2016年度中に地域医療構想の策定を終え、2017年度から調整会議の議論が本格化している。国は3カ月ごとにその進捗状況を把握することが求められる。

 2017年4~6月に、調整会議を開催したのは全341構想区域のうち、136構想区域。「非稼働病床」がある291構想区域のうち、その在り方を議論したのは21構想区域。また調整会議では「具体的な医療機関名を挙げて議論」することが求められている。7月末までに調整会議で公立病院の新改革プランについて議論したのは、800病院中135病院、85の特定機能病院のうち、調整会議でその役割を議論したのは8病院などとなっている。

 調整会議をいまだ開催していない地域もあることから、厚労省医政局地域医療計画課は、その理由を確認したり、議論が遅れている自治体に対しては、データの分析方法の好事例を活用したアドバイスをするなどの支援をしていく方針。

 参考人として出席した奈良県医療政策部長の林修一郎氏は、同県ではまだ調整会議を開催していない理由として、同会議はメンバーが限られていることを挙げ、直接関係する各病院に多く参加してもらう意見交換会などを開催して調整を進めていることを紹介した。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏からは、「経済財政運営と改革の基本方針 2017」(骨太の方針2017)で、調整会議について「今後2年間程度で集中的な検討を促進する」とされていることから、「時間の制限が足かせになっている」との指摘も出た。「経営環境が大きく変わる中で、2年で区切ることはないようにしてもらいたい」と述べ、時間をかけて議論できる体制を求めた。

 佐々木課長は、「今回調整会議の取り組み状況には差があることを把握した」との認識を述べ、どんな理由で議論が進みにくいのかを把握して、議論を促進する取り組みをしていくとした。

 調整会議、公立病院のデータ開示が前提
 26日の会議では、総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」の報告書骨子も紹介された。公立病院は「新公立病院改革ガイドライン」を策定、改革を進めているが、同ガイドラインの策定および実行に当たっては、「地域医療構想を踏まえた役割の明確化」が求められ、調整会議でも公立病院の役割などを議論する。

 中川氏は報告書骨子を踏まえ、地域医療構想や調整会議における公立病院の扱いについて、「一般会計からの繰り入れや補助金がある公立病院、税制上の優遇がある公的病院と、民間病院とが同じ土俵で地域医療構想を進めていくには、繰り入れ等の状況を調整会議に示して議論する必要がある」と指摘。公立病院の今後の運営についても、(1) 民業圧迫にならないように、例えば休棟があり、地域医療を民間病院が支えることができる場合には、ダウンサイジングや撤退などを検討、(2)休棟を再開する場合は、新たな医療機能の病棟が増えることになるため、調整会議で議論、(3)再編・ネットワーク化を進めるに当たっては、ダウンサイジング、民間譲渡なども検討――などを求めた。

 さらに中川氏は、公立病院の役割として「政策医療」や「不採算医療」があるものの、定義の明確化も求めた。佐々木課長は、次回以降、資料を用意すると回答。

 公立病院については、全日本病院協会副会長の織田正道氏も発言。「新公立病院改革ガイドライン」や地域医療構想を進める際には、公民の役割の明確化が求められるとした上で、「各病院がどんな機能分化をするかという議論をしているが、まずは不採算医療等をどこが担うかを議論すべきだ」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565401
低血圧の患者に降圧剤、誤投薬で死亡、青森市民病院
女性看護師が名前確認を怠る、「主たる要因の一つ」

レポート 2017年10月27日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 青森市民病院(遠藤正章院長)は10月26日、低血圧症状が出ていた80代の女性入院患者に誤って降圧剤を投与し、死亡する医療事故があったと公表した。病院は「誤投薬が死亡の主な要因となった」と説明している。

 病院の説明によると、女性は80代で2017年7月25日に入院。原疾患は、うっ血性心不全、大動脈弁狭窄症、右小脳梗塞、結腸出血、慢性腎不全だった。誤投薬が発生したのは朝食後の9月24日午前8時ごろ。女性看護師(20代、経験5年未満、病院は「新人ではない」と説明)がワゴンに複数人の薬を積んで運んでいた。薬は患者の名前が記載された与薬タッパーにそれぞれ入っていた。

 女性看護師は患者のいる個室に、隣室の患者と2人分の与薬タッパーを持って入室。患者は自力で服薬することができないため、内服の介助が必要だった。その際に、隣室の患者の薬を服用させた。患者の名前は確認したが、与薬タッパーの記載を確認することはなかったという。

 本来投与すべきだった薬剤と誤投薬された薬剤は以下の通り。

◆本来投与すべきだった薬剤
スピロノラクトン
アミオダロン塩酸塩速崩錠
フェブリク錠
フロセミド
ミヤBM
マグミット錠

◆誤投与された薬剤
ノルバスク錠5mg
メインテート錠2.5mg(0.5錠)
バイアスピリン錠
エフィエント錠
タケキャブ錠
クレストール錠
アーチスト錠
オルメテック錠
ムコスタ錠
マグミット錠

 看護師はその後、隣室に移動し、そこで誤投薬に気づいた。すぐに主治医に連絡をし、医師らは「血圧が下がってから血圧を安定させる処置をした」。集中治療室に入ったが、10月14日に心不全で死亡した。誤投薬と死亡との因果関係について病院は「誤投薬が症状の悪化を招いた。(死亡の)主たる要因の一つ」と説明。「ノルバスク錠」「メインテート錠」の影響が大きいと判断しているという。

 院内に常設されている「診療トラブル委員会」(委員長:病院長)が対応に当たった。今後、医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に報告した後に、正式に院内事故調査委員会を立ち上げる予定。

 院内マニュアルでは投薬の際に、患者と与薬タッパーの名前の確認するようになっていたが、今回のケースでは与薬タッパーの確認が行われていなかった。一方で、個室に入る際に、その患者以外の薬を持ち込むことを明示的に禁じていないなど、病院は「マニュアルの完全性などシステムエラーの要因」についても説明している。現時点で、女性看護師などへの処分は行われていない。現在は先輩看護師と2人で仕事をするようにしているという。

 女性看護師は午前0時15分から同9時までの深夜帯勤務の最中だった。前日は休日であり、病院は「過重労働ということはない」としている。

 女性患者の死亡後、病院側は10月21日に遺族と面談。公表の了解が得られたとして、10月26日に病院長による記者会見を開いた。会見を開くことは、10月25日の段階で、独自取材の結果として朝日新聞が報じていた。 遠藤院長は記者会見で「あってはならない重大な事故。再発防止対策を徹底したい」と謝罪。病院側は賠償する方針で、現時点で遺族から訴訟の意思が示されていることはないという。

 青森市民病院は青森地域医療圏の基幹病院。21診療科(1診療科は休診)、538床(うちICU8床、NICU15床、HCU25床)を持つ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565145
臨床研修制度の見直し
外科、産科、小児科、精神科が必修復活へ、初期研修
外来での研修も追加、精神科研修の在り方は継続審議

レポート 2017年10月26日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「第16回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ」(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が10月25日に開催され、臨床研修で、外科、小児科、産婦人科、精神科の4科のほか、外来での研修も必修にすることで大筋合意した(資料は、厚労省のホームページ)。

 この日、厚労省が示した「臨床研修の到達目標、方略及び評価」での「Ⅱ 実務研修の方略(案)」は以下の通り。

研修期間

 研修期間は原則として2年間とする。協力型臨床研修病院又は臨床研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、原則として、研修期間全体の36週(9ケ月相当)以上は、基幹型臨床研修病院で研修を行う。さらに地域医療や各診療科との関係等に配慮しつつ、1 年以上を基幹型臨床研修病院で行うことが望ましい。

臨床研修を行う分野・診療科

(1)内科、救急、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来を必修分野とする。

(2)原則として、内科24週以上、救急12週以上、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来それぞれ4週以上の研修を行う。なお、地域医療、外科、小児科、産婦人科、精神科及び外来については、各分野での受入状況に配慮しつつ、8週以上の研修が望ましい。

(3)麻酔科における研修内容が救急における研修内容と同等であるときには、研修内容に応じて、麻酔科における研修期間を、4週を上限として、救急の研修期間とすることができる。

(4)原則として、各分野は一定のまとまった期間に研修(ブロック研修)を行うことを基本とする。ただし、救急、精神科及び外来については、週1回の研修を通年で実施するなど特定の期間一定の頻度により行う研修も可能である。その際、救急においては、4週以上のまとまった期間に研修を行った上で、例えば、週1回の救急当直を通年で実施すること。なお、必修分野を研修中に、その他の分野の研修を一定の頻度により行う場合は、その研修期間は必修分野の研修期間に含めないこととする。

(5)地域医療の研修については、原則として、2年次に行うこと。

(6)外来の研修については、原則として、研修開始時より24週以上の研修を行った後に行うこと。

(7)外来においては、原則として初診患者及び慢性疾患の継続診療を含む一般外来を中心とした研修を行うこと。

(8)精神科については、精神科専門外来又は精神科リエゾンチームでの研修を含むこと。

(9)地域医療については、へき地・離島の医療機関、許可病床数が200床未満の病院又は診療所を適宜選択して研修を行うこと。

(10)地域医療においては、原則として初診患者及び慢性疾患の継続診療を含む一般外来と在宅医療の研修を含めること。ただし、その他の研修で在宅医療の研修を行う場合に限り、必ずしも在宅医療の研修を行う必要はない。また、地域医療で病棟研修を行う場合は慢性期・回復期病棟での研修を含めること。くわえて、保健や福祉との連携を含む、地域包括ケアの実際について学ぶ機会を十分に含めること。

(11)選択研修として、保健・医療行政の研修も可能である。その際、臨床研修病院の判断で、例えば週単位で適切な研修期間を設定する。

(12)保健・医療行政の選択研修については、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、検診・健診の実施施設、国際機関、行政機関、矯正施設、産業保健等において、研修を行うことが考えられる。

 このうち、(4)の研修期間の在り方については、岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏の提案により、「ただし、救急、精神科および外来については、週1回の研修を通年で実施するなど特定の期間、一定の頻度により行う研修も可能である」から精神科を削除し、ブロック研修の対象とすることで合意した。
 新たに必修となった「外来」については、「一般外来」と表記することで合意。特定機能病院である大学病院などで「一般外来」ができるのかという議論もあったが、厚労省の担当者は「基幹病院だけでなく、施設群としてその中で研修カリキュラムを考えてほしい」と応じた。「一般外来」は「地域医療」や「内科」などの他の必修とダブルカウントできないことも確認した。

 議論になったのは精神科研修の在り方。中島氏は「精神科は急性期患者を入院で見ることが大事。非常に興奮した人を外来で診ることはできない。精神科病棟を必須としては」と強く要望した。委員の多くは「理想的ではあるが、約9000人の研修医に必須とすることが可能なのか」と疑問を呈した。厚労省側が次回以降に精神科病棟での研修受け入れ状況などを調査して報告することとなった。

 また、地域医療は研修2年目、外来は研修開始半年後という制約については「プログラムを組む上でハンデになる」という意見や、1週間の日数のカウントの仕方や、当直業務をした翌日の在り方、正当な理由で長期間休んだ場合などについても、整理が必要という指摘が出た。次回以降、細部についても議論をしていく。



https://www.nikkei.com/article/DGXKZO22706120V21C17A0EA1000/
入院から在宅へ誘導 診療・介護報酬同時改定
2017/10/26付 日本経済新聞

 財務省と厚生労働省は25日、2018年度予算編成を巡り、診療報酬と介護報酬の改定の検討に入った。6年ぶりの同時改定により、団塊の世代が75歳以上になる超高齢化社会を前に、効率的な医療・介護の体制を整える。両省は入院から在宅へ誘導する考えだが、社会保障給付費の抑制にどこまでつながるか。持続可能な社会保障制度に向け調整を急ぐ。

病床体制 リハビリも重視

 25日に開いた財政制度等審議会で政府内の検討が始まった。試算だと社会保障給付費は全ての団塊の世代が75歳以上になる25年度に148.9兆円と17年度から23%増える。内訳をみると、年金はあまり増えないが、医療費は38%増、介護費は86%増にそれぞれ膨らむ。両報酬をマイナスにできれば、社会保障給付費を抑え、国民負担の増加も和らげられる。

 両省は6年ぶりの同時改定にあわせ、医療と介護のあり方を一体的に見直す。患者の需要にあった効率的なサービス体制を整えるのを課題とする。入院患者を減らし、地域の医療・介護サービスを受けながら在宅で過ごす人を増やせるようにするのが理想的な姿だ。

 現在は重症患者のための「急性期病床」を多くそろえた医療機関に手厚く診療報酬を回す仕組みになっている。高齢者がリハビリできる「回復期病床」の需要が大きいのに、提供体制は急性期病床に偏りが激しい。報酬の構造を変え、超高齢化社会への対応を急ぐ。

算定基準 無駄な薬使わず

 財務・厚労両省はこうした考え方に沿って、診療・介護の両報酬を見直す。急性期病床に偏重した医療体制など、患者のニーズにあわず、医療費の無駄を生んでいる可能性がある。財務省は診療報酬の算定基準を厳しくする方針で、厚労省も報酬下げの検討に入る。削減する一方で、自宅を中心とした地域での医療・介護の連携サービスには診療報酬で支援する。財務省は算定にメリハリをつける考えだ。

 医療・介護のサービス費用の効率化も目指す。財務省は重複投与を防止する取り組みがおろそかな薬局への報酬を下げる方針。費用対効果の低い高額な医薬品の薬価も下げる。介護では一人暮らしの家を訪れ家事などを援助するサービスで、月100回以上利用するケースもある。財務省は1日当たりの報酬に上限を設けるよう求める。

水準 1%で4500億円分

 前回16年度の診療報酬改定率はマイナス0.84%だった。財務省は今回、2%台半ば以上のマイナス改定を目指す。薬価引き下げに併せ、医師の給与にあたる本体のマイナス改定も求める構え。1%引き下げると、税金や保険料、患者の自己負担の合計で約4500億円減る。

 財務省は介護報酬についてもマイナス改定を主張する。前回15年度は2.27%のマイナスだった。

 ただ診療報酬については日本医師会のほか、与党議員にはプラス改定を求める声が強い。介護報酬も厚労省や介護事業者はプラス改定で譲らない構え。年末まで関係者間の攻防は激しくなりそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/565066
安倍政権の医療制度改革
日医横倉会長「プラス改定すべき、熾烈な戦いが始まる」
財政審のマイナス改定議論をけん制

レポート 2017年10月25日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は、10月25日に財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が診療報酬の1回の改定当たり「2%台半ば以上のマイナス改定が必要」との考えを打ち出したことについて、同日の定例記者会見で、「2018年度予算編成で適切な手当を確保しなければならない。プラス改定とすべきだ。年末にかけて熾烈な戦いが始まる」と述べてけん制した(『診療報酬「マイナス2%半ば以上」に、財政審』を参照)。

 横倉氏は、10月22日に投開票が行われた第48回衆議院議員総選挙で与党の自民・公明両党が圧勝したことについて、高齢者も子どもも安心して活躍できるよう、全世代型の社会保障を充実してほしいという民意の表れだとの見解を示した上で、「社会保障の中心を担う医療費を抑制するのは国民の期待に反するものだ」と強調。財政審が診療報酬の本体部分のマイナスに言及していることについても、医療従事者の人件費のほか、設備関係費などランニングコストも診療報酬から出ていることを挙げ、「医師が懐を肥やすために(プラス改定を)主張しているとよく言われるが、医療従事者の人件費は報酬でしか確保できない。それ以上に、医療機関の運営にかかる経費そのものも本体からしか出せないのだから、理解していただきたい」と述べた。

 「2%台半ば以上」というマイナス幅の根拠として、10年間の国民医療費の伸びの平均約2.5%から人口や高齢化(1.2%)以外の部分の伸びの2年度分としていることについては、「高度化による伸びには薬剤費が相当入っている。新たに開発される薬の中で、本当にそれだけ高価な薬が必要かということも考えないといけない。高度化を高く予測しすぎている」と指摘。薬剤費を抑制し得る例として生活習慣病を挙げ、「従来からある薬でも治療を十分にできる人がほとんど。無理に高い薬剤を使う必要はない」と述べた。

政治の安定で社会保障安定
 総選挙に立候補した医師の候補者に関しては、自民党から8人、野党から4人の計12人の当選者が出たことについて、「より良い社会保障の実現のために手を携えて協力していきたい」と述べた(『医師候補41人中12人当選、厚労政務三役も』を参照)。全体では与党の自民・公明両党で定数の3分の2を超える313議席を獲得したことを、「政治が安定しなければ、社会保障は安定しない。政治が安定したことは評価できる」と歓迎。選挙に先立つ9月26日に、日医として自民党の二階俊博幹事長に下記の5項目からなる要望書を提出していたことを明らかにし、同党の政策集「総合政策集2017 J-ファイル」に盛り込まれた成育基本法の成立と受動喫煙対策の徹底は、日医の強い要望により明記されたと強調した。

1. 国民皆保険を堅持するとともに、国民間で医療介護の享受に格差が生じないよう、国民医療介護の充実強化を図ること。
2. 健康寿命を延伸し、社会保障の充実により国民不安を解消するため、必要な財源を確保すること。
3. 国民が住み慣れた地域で質の高い医療介護を受けられるよう、かかりつけ医を中心とした、医療介護を確保すること。
4. 望まない受動喫煙をなくすため、受動喫煙の防止対策を推進すること。
5. 国民と医療機関に不合理な負担を生じさせている、医療等に関わる消費税問題を抜本的に解決すること。



http://www.medwatch.jp/?p=16467
2018年度DPC改革、体制評価指数や保険診療指数の具体的見直し内容固まる―DPC評価分科会
2017年10月25日|2018年度診療・介護報酬改定MedWatch

機能評価係数IIの地域医療係数(体制評価指数)について、例えばがん医療について「がん地域連携」と「がん拠点病院」を統合し、前者(がん地域連携)では【がん治療連携計画策定料】の算定割合をもとに最大0.5ポイントで評価し、後者(拠点病院)では、II群では「都道府県がん診療連携拠点病院などに指定されれば0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定であれば0.25ポイント」として評価する—。

 10月25日に開催された診療報酬調査専門組織「DPC評価分科会」では、こうした方針が了承されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けて、DPC制度改革の内容が分科会レベルで固まりつつあります。

ここがポイント!
1 I群は大学病院本院群、II群はDPC特定病院群、III群はDPC標準病院群に
2 保険診療指数の減算・加算規定を整理、I・II群に特化した減算は廃止
3 体制評価指数の内容固まる、「満点評価」の基準が宿題に
4 救急医療係数、【救急医療管理加算2】の算定患者では指標値を減算
5 収入変動に着目した、改定年1年限りの【激変緩和係数】を新設

I群は大学病院本院群、II群はDPC特定病院群、III群はDPC標準病院群に

 これまでのDPC評価分科会の議論で、2018年度には、(1)3つの医療機関群を維持するが、名称を見直す(2)機能評価係数IIについて大幅な見直しを行う(3)暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えが完了することを踏まえて現在の激変緩和措置は終了となるが、新たな「1年限りの激変緩和措置」を設定する—といったDPC制度改革方針が固められています。

今回のDPC評価分科会では、医療機関群の名称について▼I群→大学病院本院群▼II群→DPC特定病院群▼III群→DPC標準病院群―とすることが了承されました。各群の機能や特性を踏まえた名称とされています。

保険診療指数の減算・加算規定を整理、I・II群に特化した減算は廃止

(2)の機能評価係数IIについては、「後発医薬品係数を機能評価係数Iに置き換える」「重症度係数を廃止する」「保険診療係数において未コード化傷病名割合に基づく減算規定を厳格化する」などの見直し方針がすでに固まっています。今回のDPC評価分科会では、これまでに積み残しとなっていた部分について厚労省から見直し内容が提案され、ほぼ原案どおり了承されました。既に決定している部分も含めて、見直し内容を眺めてみましょう。

【保険診療係数】

 これまでに、適切なデータ作成を進めるため、▼部位不明・詳細不明コード使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【10%以上】に厳格化する▼未コード化傷病名使用に係る減算(0.05点)規定について、使用割合の基準値を現在の【20%以上】から【2%以上】に厳格化する—ことが固まっています(関連記事はこちら)。このうち未コード化傷病名の評価対象を「様式1に記載されているすべての病名」とすることが新たに決まりました。ただし2018年度の係数設定では従前どおり「入院医療分レセプト記載の傷病名」が評価対象とされます。

またI群病院において設けられている「指導医療官の派遣実績に基づく加算」(0.05点)は廃止することがすでに決まっています。ただし「適切な保険診療への貢献自体は評価すべきではないか」との指摘を受け、現在、大学病院(I群病院)が実施している▽保険診療の理解を深めるための研修▽医師と医事職員との診療報酬請求に関する共同研修―などの考え方を検討して、「2019年度の係数」に反映させることを目指して対応することになりました。この点について井原裕宣委員(社会保険診療報酬支払基金医科専門役)からは「医師と医事職員との共同研修などは素晴らしい取り組みであり、II群も対象に含め、さらに段階的にIII群へも広めていってはどうか」と要望されましたが、▼2019年度に向けた検討はI群に絞る▼拡大は将来的に検討する—こととなりそうです。

さらに「分院の機能を下回る、あるいは機能の低い(外れ値)I群病院」「精神科病床などのないI群・II群病院」については、現在、減算(0.05点)が行われていますが、▼大学病院本院の機能評価は「保険診療の質向上」を目指す保険診療係数の趣旨と合わない▼精神科診療については地域医療係数で評価する—ことを勘案し、「2018年度改定で廃止する」ことが確認されました。

また各病院が自主的に行う「病院情報公表」の加算(0.05点)については、「項目の整理を行う」こと、「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」ことなどが検討されています。今回、前者の項目については厚労省が進める「医療の質の評価・公表等推進事業」における『共通指標セット』(患者満足度、職員満足度、医療安全、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、抗菌薬、チーム医療など23項目)を参考に、さらに練っていくことが確認されました。新項目を設定し、各病院が「自院に適した情報」を選択し、公表していく形になります。なお現在の7項目▽年齢階級別退院患者数▽初発5大がんの病期分類と再発患者数―などは維持される見込みです。

後者の「医療機関ごとの実績を一覧で公表する」件については、住民・患者目線に立てば極めて重要かつ有用です(医療機関選択の重要資料となる)が、公表方法や具体的評価手法をさらに詰める必要があり、「2018年度以降、引き続き検討する」ことで落ち着きました。

なお、こうした改革を踏まえて「保険診療係数」という名称の見直しも検討されます。厚労省からは「医療の質向上係数」という案が提示されましたが、委員からは「保険診療向上係数としてはどうか」「現行のままでよいのではないか」との意見が出され、結論は持ち越しとなっています。

体制評価指数の内容固まる、「満点評価」の基準が宿題に

【地域医療指数】

 地域医療係数のうち、5疾病5事業など地域医療への取り組み状況を評価する体制評価指数については、「2項目で評価されている『がん』『脳卒中』などを統合する」「新医療計画を睨んだ評価軸の見直しを行う」方向がすでに固まっています(関連記事はこちら)。この方向に沿って、厚労省は具体的な見直し案を提示し、了承されました。体制評価指数の項目は現在の12項目から8項目に縮減され、満点評価(現在はI・II群では10ポイント、III群では8ポイントで満点)をどのように設定するのかが宿題として残っています。

新たな体制評価指数の姿(その1)※がん診療連携拠点病院等の評価におけるI・II群のポイント数はメディ・ウォッチ編集部で図表を修正済 (図 略)
新たな体制評価指数の姿(その2) (図 略)
 
 例えば「がん医療」について見てみると、現行から次のように見直されます。
▼現行
▽がん地域連携:I・II群では【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから1ポイントの間で傾斜的に評価、III群では【がん治療計画連携計画策定料】などの取得で1ポイントとして評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で1ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.5ポイント、III群ではいずれかの指定で1ポイント


▼見直し後
▽がん地域連携:医療機関群に関わらず【がん治療計画連携計画策定料】の算定実績に応じて0ポイントから0.5ポイントの間で傾斜的に評価

▽がん拠点病院:I・II群では都道府県拠点病院・小児がん拠点病院の指定で0.5ポイント、地域がん診療連携拠点病院の指定で0.25ポイント、III群ではいずれかの指定で0.5ポイント

 
また「脳卒中」については、現行の▽脳卒中地域連携(連携実績に応じて0-1ポイントの間で傾斜的に評価)▽24時間t-PA体制(【超急性期脳卒中加算】算定で1ポイントとして評価)―となっていますが、両者を統合し、さらにより高度な「血管内治療実績」も加味した段階的評価(t-PAの実施にとどまれば0.25ポイント、【超急性期脳卒中加算】算定または血管内治療実績があれば0.5ポイント、両者を兼ね備えていれば1ポイント)が行われます。

救急医療係数、【救急医療管理加算2】の算定患者では指標値を減算

【救急医療係数】

現在、【救急医療管理加算】などの算定患者について、入院から2日間までの「出来高実績」と「DPC点数」との差額をベースに評価されており、この考え方そのものは維持されることになりました(関連記事はこちら)。

ただし、【救急医療管理加算】は、症状が明示された加算1(900点)と「加算1に準じた状態」とやや曖昧に定義された加算2(300点)とに細分化されており、2018年度からは「加算2該当患者は指標値を減算する」ことになります。さらい、「暦月ごとの【救急医療管理加算】の施設基準の有無」を考慮して計算されることになり、現状の「10月1日時点で加算取得していなかったために不利になる」点が解消される見込みです。

収入変動に着目した、改定年1年限りの【激変緩和係数】を新設

(3)の「1年限りの新たな激変緩和措置」については、これまでの「医療機関別の調整」(対象病院名は非公表)から、【激変緩和係数】とされることになりました。対象病院名も公表される(医療機関別係数の1係数として告示される)見込みです(関連記事はこちらとこちら)。

【激変緩和係数】の対象は、診療報酬改定の前後で推計診療報酬収入が2%を超えて増減する病院で、該当病院の医療機関別係数は「▼基礎係数▼機能評価係数I▼機能評価係数II▼激変緩和係数—の和」として計算されることになります。

なお、新規にDPCに参加する病院については、「改定後の推計診療報酬収入」と「改定前の『該当する医療機関群の医療機関別係数』を用いて推計した診療報酬収入」とを比較し、変動が「2%を超えて【減少】する」場合のみ、激変緩和係数の対象となります(収入変動がマイナス2%となるように係数設定される)。改定前の「出来高収入」と比較したのでは、かつての「調整係数」と同様の弊害が出てしまうためです。

 
このほか、▼退院患者調査について現行の課題解消に向けた見直し(簡素化、Kコードの見直し、転棟患者の動向反映など)を行う▼退院患者調査結果について、新たに「薬剤耐性菌対策」「後発品使用実態」などの公開を検討する▼ICD-10(2013年版)コードの付与に係る追加データを提出していない病院について、厚労省で機械的な対応が困難な部分は「診療実績なし」として扱う—方針が固められました。

医療機関ごとのカルバペネム系抗菌剤の使用状況、患者構成の違いも考慮しなければならないが、一定のバラつきがあることが分かる (図 略)
 
ICD-10(2013年版)に関する追加データを提出していない病院では、診療内容にもよりますが「カバー率係数」などへ影響が出る(診療実績なしと判断されるため、低く設定されることも)可能性もあります。
 



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171025_33039.html
花巻温泉病院19年閉院 岩手医大
2017年10月25日水曜日 河北新報 岩手

 岩手医大は24日、老朽化が進む付属花巻温泉病院(花巻市)を2019年3月に閉院すると発表した。新築には100億~200億円の費用がかかるとして、存続は困難と判断した。
 患者は、周辺の医療機関や岩手県矢巾町に19年9月開院の岩手医大付属病院への転院を検討する。
 花巻温泉病院は1972年に国立病院として開院。93年に岩手医大へ移管された。内科、リハビリテーション科など8診療科があり、病床数は150。温泉を利用したリハビリ施設を併設している。
 今年3月に県が公表した耐震診断で、震度6強~7程度の大規模地震による倒壊の危険性が指摘されていた。
 記者会見した岩手医大の小川彰理事長は「地域医療に大きな影響を及ぼすことなく、県民に高度医療を提供できるよう引き続き努めていきたい」と話した。



http://digital.asahi.com/articles/ASKBS2GFJKBSUBQU006.html?rm=357
守山市民病院の譲渡へ、市と済生会が協定調印 滋賀
八百板一平2017年10月24日13時00分 朝日新聞

 守山市と「恩賜(おんし)財団済生会」は23日、赤字を抱える守山市民病院を、来年4月から15年間は済生会を指定管理者とする経営に移行し、2033年4月に済生会側に譲渡することなどを盛り込んだ協定を結んだ。

地域医療考える全国大会
 協定には、新病院の名前を「済生会守山市民病院」とする▽市が、済生会に指定管理料の代わりに約20億円の「地域医療交付金」を払う▽市がリハビリセンターなどを備えた新館を整備する▽土地と本館は、市が済生会に無償譲渡し、新館は無償貸与する――などが盛り込まれている。指定管理期間中の市の実質的な負担は、約35億円と見込む。

 この日の市役所での調印式には、宮本和宏市長と、県済生会の山田光二支部長らが出席した。山田支部長は「(済生会の持つ)技術とネットワークを生かして、医療の質の向上に取り組みたい」などと述べた。

 済生会側は、回復期医療とリハビリに力を入れ、病院の黒字化を目指す考えを示した。宮本市長は「市民に、よくなったと思っていただける病院に生まれ変わらせるのが、私の責務だと考えている」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564058
m3.com意識調査
患者トラブルの原因「待ち時間が長い」4割強
【「患者からクレーム、妥当?」vol.1】患者の主張「妥当」半数弱

レポート 2017年10月22日 (日)配信m3.com編集部

 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)に実施したm3.com意識調査「患者からクレーム、妥当だと思う?」において、患者トラブルの原因として患者側が挙げる主張には、どのような事柄が多いか質問したところ、「診察までの待ち時間が長い」が最も多く(40.2%)、「対応・態度・言動が気に入らない」(24.2%)、「診察結果が気に入らない」(10.5%)と続いた。

Q.ご自身の周りに起こる患者トラブルの原因として、患者側の主張としてはどのような事柄が多いですか。(n=1546人)
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 職種別に見ると、「診察・処置の質が悪い」ことが原因でトラブルが起きると回答した人は、開業医が最も多く、11.5%だった。また、看護師の半数以上(56.8%)が「対応・態度・言動が気に入らない」という理由でトラブルになったと回答し、他職種と比べて割合が高かった。

Q.ご自身の周りに起こる患者トラブルの原因として、患者側の主張としてはどのような事柄が多いですか。(n=1546人)
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 患者の主張は妥当だと思うかについて質問したところ、「妥当だと思う」と回答した人は全体の半数弱(48.1%)である一方で、「全く妥当ではない」と回答した人は2割程度(20.3%)だった。

Q.上記のようなトラブルが起きた際、患者側の主張は妥当だと思いますか。(n=1546人)
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【調査の概要】
調査期間: 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)
対象:m3.com会員
回答者数:1546人(開業医 : 284人 / 勤務医 : 936人/ 看護師 : 37人 / 薬剤師 : 205人 / その他の医療従事者 : 60人)
回答結果画面:患者からクレーム受けたこと、ある?



https://www.m3.com/news/iryoishin/564059
m3.com意識調査
トラブル原因で「うつ状態」4人に1人が経験
【「患者からクレーム、妥当?」vol.2】患者の非常識な言葉、若手編

レポート 2017年10月28日 (土)配信m3.com編集部

 2017年9月20日 (水)~9月26日 (火)に実施したm3.com意識調査「患者からクレーム、妥当だと思う?」において、患者トラブルにより、自身や同じ職場の医師やコメディカルが受けた被害について質問したところ、最も多かった回答は「医師・コメディカルとしての自信をなくした」(28.6%)で、次点が「ひどく落ち込み、うつ状態になった」(23.1%)だった。
 職種別に見ると、「うつ状態になった」と回答した人は、開業医(25.1%)、勤務医(25.3%)、看護師(29.7%)の3つの職種に高い傾向が見られた。また、開業医の13.6%が「ネットで中傷された」と回答した。

Q.患者トラブルにより、ご自身や同じ職場の医師やコメディカルが受けた被害として経験があるものをお選びください。(n=1546人)
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Q.患者トラブルにおいて、非常識だと感じた患者あるいはその家族の言葉があればお答えください。(20歳代・30歳代の若手医療者編)
【勤務医】
・抗癌剤での治療をしている患者が多数いるような病棟のナースステーション近くで、民間療法に感化されたある癌の患者家族に、「抗癌剤は増癌剤とされている、こんな治療は受けさせない」と大声で主張されたこと。(20代男性)
・事前に手術内容の説明を行い、同意を得ていましたが、(カルテにも記録が残っています)「そんな話は聞いていない」と一点張りでした。(20代男性)
・とある疾患の治療でその患者の状態が悪く、たとえ治療を行ったとしても合併症で死亡する可能性が高いと治療前にICで伝えた。その後、治療され運よく軽快したのだが、後ほど私にICでリスクが高いと言われたことが相当ショックで今でも夢に出てくると強い口調で不満を言われたこと。自分としてはリスクが高いことを伏せて治療はできないと考えており、伝えないという選択肢はなかった。当方の伝え方に問題があったのかもしれないし、患者の気持ちも分からないではないが、罵詈雑言を浴びせられるいわれはない。(30代男性)
・内科医であるが、膝の痛みを外来で毎回訴えられた。真摯に対応し、変形性膝関節症と考えられ、ヒアルロン酸の膝関節注射で対応していた。一時期は良かったが、その後も痛みの訴えがあった。NSADsで対応していたが、その際には変形性膝関節症とは違う痛みの印象であった。内科ではこれ以上の対応は難しく、整形外科などへの受診を再三お勧めした。それでも、ご家族は整形外科には連れて行ってくださらなかった。内服治療のみで診ていたが、痛みが良くならないのでちゃんと診てくれない、と暴言を吐かれた。(30代男性)
・高齢者が転倒したので救急外来を受診。幸い骨折などはないために帰宅可能と判断したところ、入院させろと家族が主張。こちらが、医学的に入院適応がないこと、病棟の空きがないことを説明しても納得せず。揚げ句には、「名札をよくみせろ」と言ってきたり、「次に家で転倒したらお前の責任だ」と言われた。(30代男性)
・(診断は合っているのに間違っていると勘違いされて)「お前何と言った?間違ってたんやろうが!こっちは心配なんだから頻繁に見にくるとかしろや。それが寄り添う医療だろうが」と。(30代男性)
・救急外来で救急車で来た初診の患者さん。診察前にいったん出ていただくよう促した息子さんが「お前らちゃんと診ろよ」と吐き捨てて出て行った。(30代男性)
・ 血糖値の高い原因をこちらの原因にされることや、インスリンが必要でインスリンを使用しているのに医療費が高いと文句を言われることなどです。(30代男性)
・「この薬は必要ないと思うから中止して」(30代男性)
・「仕事が終わってから受診したいのに診療時間内に間に合わない。夕方や夜に診療をしないのは医師の怠慢だ」(30代男性)
・標準的な治療をしていたにもかかわらず、家族から、こんな治療では患者が殺されると言われた。(30代男性)
・夜間救急で、順番を待たずに自分の子供を先に診てもらおうと訴えてきた時。(30代女性)

【薬剤師】
・患者家族にスタッフが電話対応を行ったが、ある時窓口で別のスタッフにその対応に関して八つ当たりをし、30分以上捕まえた揚げ句、謝罪を求めた。(謝罪を求められたスタッフは電話対応の件には全く関与していない。)(30代男性)
・いかがされましたかと質問したところ、「おまえは薬だけ渡してりゃいいんだ!」と言われた(30代男性)
・幼児の母親に「100%失敗せずに薬を飲ませる方法を教えて下さい」と言われ、一般的な幼児への飲ませ方を説明すると、「絶対に100%なんですね?」と言われ、そこから関係がこじれてしまった。予備の薬が欲しかったのか、それとも「少しでも口に入れば効果がある」と言ってほしかったのか、今でも悩んでいます。(30代女性)
・こちらは、時間をかけて精一杯説明したにもかかわらず、結局自分の話をして、十分理解できておらず、説明が足りない、説明を受けていないと言う。自己主張は後で手紙にして!(30代女性)

【その他の医療従事者】
・お前のせいで死んだんだ!と担当看護師に向かって大声をあげる患者家族。そういう人たちに限って、お見舞いに来ず、病状把握もせず、亡くなった途端に大声で訴え出す。(30代男性)



https://www.m3.com/news/iryoishin/564060
m3.com意識調査
「仕事帰りに病院が開いていないのは医師の怠慢」患者の非常識な言葉
【「患者からクレーム、妥当?」vol.3】患者の非常識な言葉、中堅・ベテラン編

レポート 2017年10月29日 (日)配信m3.com編集部

Q.患者トラブルにおいて、非常識だと感じた患者あるいはその家族の言葉があればお答えください。(40歳代以降の中堅・ベテラン医療者編)
【開業医】
・病気の症状なのに薬の副作用だと言って、先生のせいでこうなったと言われる。(40代男性)
・目が見えているのに、見えていないと言い張り、救急外来に救急車で来て、「見えていますね」と言ったら胸ぐらを掴まれた。家族の人も患者の言動を怖がって一緒にいたのに見て見ぬ振りをした。定期的に同じことをしている人だった。(40代女性)
・自動血圧計の椅子に座って会計待ちをしていて、血圧を測ろうとしている患者さんの邪魔になっているので注意すると逆ぎれする。寝違えて首が痛くなった患者さんの親が「注射を射て」と言って騒ぎ出す、「注射では治らない」というとさらに逆切れ。そんな人たちは「病院を替えるぞ」と脅してくるが、「どうぞご自由に好きなところに行ってください」というと逆におとなしくなる。(50代男性)
・「医者は24時間、365日働くのが常識だろ!コンビニでも24時間営業してるんだから休むな」老人病院当直で夜間のこと。また、老衰で大往生のご老人の家族、一度も見舞いに来ず、亡くなった翌日の夜中に呼び出されて、いきなり「お前が殺したんだろ!認めろ!」(50代男性)
・(顔面手術を希望されたが、患者の精神に問題があるため断ったところ、ベテラン形成外科医の私から、手術を断られたことを逆恨みした30歳半ば女性から送られてきたクリニック宛のメール)『○○さん(私の名前)の腕を切り落として差し上げます。周りが暗くなった夜間に狙います』という、ほぼ殺害予告脅迫を受けたことがある。(50代男性)
・ジェネリック医薬品がない薬品でもジェネリックを希望する患者。製薬会社と医師(病院)が癒着していると言い張る。もちろん、信頼関係が保てず診療拒否した。(50代男性)
・内服の副作用の発生に対し、私は被害者なのに、なんで受診料を払う必要があるのかといった暴言を吐かれた。(50代男性)
・「ここはディズニーランド(みたいに3~4時間も待たせる施設)なのか?」(50代男性)
・前回受診からよくならないとご立腹で再診。処方変更を検討して、念のため「前回の薬の中で飲みにくいものはなかったですか」と確認したところ「あれは飲んだ方が良かったのか」と言われびっくり。小児医療費タダの地域のためか、こういうことが複数回ある。もちろん、前回も薬の内容の説明から飲み方まで説明済み。医療費の面からも問題だと思う。(50代女性)
・大学病院から逆紹介された高血圧の患者。初診後1カ月経過、丁寧な診察、指導しカルテ記載など算定要件を満たしたことを確認し、特定疾患療養管理料を225点算定したら、「大学病院より高い!前回より高い!(225点✕3倍、675円。3割負担)」と叫び、「不正請求だ!」と受付で大声を出された。それが引金となりうつ状態になった。(50代女性)
・自分が原因である疾患を医療側の問題としたり、やたらとネット情報を基に無理な医療を押し付ける患者。(60代男性)

【勤務医】
・裂創で受診し縫合を要することを伝えたところ、「処置中は自分の気分で動くから、それに合わせて縫合しろ」や「縫合させてくださいと言えばやらせてやる」などの言動。また、入院やリハビリに際して名前や住所は個人情報なので教えない、自費で良いから保険証も見せないという態度。(40代男性)
・『医者が死ぬという言葉を使った。そんな奴は医者として認めない』ということをどこかの地方議会議員に電話で言われた。数回同じ電話があったが、最期は交換に繋げないように依頼して終了。言葉が汚く、本当に酷い人だった。(40代男性)
・風邪で抗菌薬をよこせと言ったので、不要と答えて返したら、次の日に治らないので藪医者だからネットに書き込みをすると言われた。(40代男性)
・謝罪の言葉や土下座の強要。同じ医師である患者家族より、謝罪したらどうだと脅迫に似た発言を受けた。(40代男性)
・100歳超えの老衰でいくら寿命だと言っても、「納得できない」の一点張りには困り果てました。(40代男性)
・咳込む際に、マスクもせず、口元も覆わず、診察医師に向かって咳込む患者がほぼ100%を占める。ひどい時には、患者のつばが顔や手に飛んでくることもある。認知症の人の場合は我慢するが、認知症がない方の場合には、感染の原因となるので口元を覆い、後ろ向きで咳するようにお願いしますと、丁寧に依頼しているが、素直に受け入れない人や、怒鳴り散らす人もいた。これは、学会や飛行機等の閉鎖空間でも、同様である。このような状況では、インフルエンザ流行期等で、感染が爆発するのは当然である。テレビ等のメディアを利用して、徹底的に指導するべきである。(40代女性)
・精神病院で処方されている向精神薬を、内科に来て、そのまま処方せよと言われる。以前処方された精神病院受診をお願いしても、ここで処方せよと言われ、できない旨を申し上げると、態度が豹変し、「貴様、患者をたらいまわしする気か? 俺がほしい薬を出せ、言うんが、分からんのか」と外来で暴れ出されました。看護師は皆逃げて、診察室では、自分と患者のみ。かなりもめた後、他から入ってきた情報では、どうやら、以前通院していた精神病院で問題を起こして行けないため、たまたま内科へ飛び込んできたとのことでした。(50代男性)
・普段乗っているバスが遅れて診察時間に間に合わなかったが、いつもは間に合うバスなので診察時間内として扱え、断ったら、私の夫は厚生労働省に勤めていると言って、わざわざ勤務先に電話をかけて圧力をかけようとした。(50代男性)
・いつ急変するかも分からない危篤状態と説明していたのに、夜中に亡くなったら文句を言われた。延命処置を希望されず、付き添いをするように言っていたのだが、最後に会えなかった事が大変不満だったようであった。(50代男性)
・血液検査のために数カ月に1度来院する患者さんから、救急対応で1時間程いつもより待たせた際に、「前から診察が遅いと思っていたがどうして待たないかんのや」と言われた。(50代男性)
・コンピューターの画面を指さしてデータやCT画像の解説をしている際に、突然、俺の目を見て説明しろ、と恫喝された。そこで、データの説明はやめて、治療方針を提示したが、納得されず帰られた。その後、再診されないのでほっとしている。(60代男性)
・前医で発熱が続いたり悪化すれば、採血検査や入院も必要と言われたそうで、子ども急患センター受診時は解熱し、病状も改善していたので検査も不要と、伝えたところ「なぜ、検査してくれない!」と主張し、苦情カードにも記載。(60代男性)
・ターゲットの担当看護師に対して執拗に暴言、嫌がらせの言動で攻め立てたため、担当看護師は、うつ病を発症し離職に追い込まれた。(60代男性)
・タール便に対して緊急内視鏡を拒否した患者に死ぬと忠告したら、後日、患者を脅したと言われ精神的ショックに対して賠償しろと言われた。院長からも患者に謝罪しろと強制された。(60代女性)
・注射のせいで、禿げになった。今後の治療費を無料にして、診察を待ち時間なしで早く診るように要望された。(70代男性)

【看護師】
・サービスの一環としている送迎。患者様から送迎の車が来ない、今からタクシーで向かうからタクシー代金をお前が払え!と言われたことがあります。(40代女性)
・退院を勧めても「〇〇先生は死ぬまで居ていいと言った」の一点張りで交渉できない。(40代女性)
・若いきれいな看護師は素直だし見ていて気持ちがよい。ババアの看護師はどれだけ知識や経験があっても偉そうにする。担当につけるな!と名指しで投書されたり処置などを拒否された。(50代女性)
・面会に来た家族間でいさかいがあり、暴力をふるっていたので職員が仲裁したら、暴力を振るわれそうになり、脅迫された揚げ句、ホームページへ中傷を書き込まれた。(60代女性)

【薬剤師】
・薬局長の仕事を邪魔しているのが気に入らないと言われたが、薬局長と私は全く別の仕事を別のエリアでしていたので、二人とも全く心当たりがなく、なぜこの患者が騒いでファイルを叩きつけているのか分からなかった。(40代女性)
・薬の種類が多く、一包化で用法ごとに薬袋を分ける、服用時点が分かりやすいように線を引く等、個人の要望が多くて待ち時間が長くなるにもかかわらず、「後から来た患者が先帰る、ここの薬局はいつまで待たせるんだ。もう二度と来るか!」と言われる。そのくせに何度も来局する。(50代男性)

【その他の医療従事者】
・貸し出し機器を壊したにも関わらず一言の謝罪もない、来院してすぐに時間がないからすぐ見てほしいという、来院するたび受付でスマホの使い方をきくなど。(40代女性)



  1. 2017/10/29(日) 11:33:59|
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10月22日 

https://www.nikkei.com/etc/accounts/login?dps=1&url=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXMZO22545920R21C17A0CC0000%2F
医師不足、弱る地方 「国民守る議論を」
2017/10/21 9:47日本経済新聞 電子版

 医師の不足や偏在が地域医療に影を落としている。勤務地が都市部に集中したり、産科など一部診療科の担い手が特に少なかったりすることで、診療体制の維持が難しくなっている公立病院も少なくない。医師の長時間労働の是正も課題になる中、医療現場からは「医療体制のあり方について政治の場でもっと議論を」と求める声が上がる。

 「総合病院の看板を下ろすことになってもやむを得ない」。茨城県小美玉市は市内唯一の総合病院、小美玉市医療センターの民間への移譲を検討中だ。現在10ある診療科は縮小される可能性が高い。市の担当者は「不便になるが、病院の存続が第一だ」と市民の理解を求める。

 病棟も老朽化が目立ち、病床利用率も3割台に低迷する同センター。経営難に拍車をかけたのが医師不足だ。同県は人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位で、中でも小美玉市は医師不足が深刻。同センターは非常勤医などで診療体制を維持してきたが、現在の常勤医はわずか4人と、診療科数に比べると極めて少ない。3つの医療法人が移譲先の候補に挙がっており、今年度中の移譲を目指す。

 1990年に21万人だった国内の医師数は2014年には31万人と、約1.5倍に増えた。ただ医師の勤務地は都市部に集中。地域的な偏在に加え、診療科による配置の偏りも大きく、特に産科医不足が依然深刻だ。産科や産婦人科を持つ病院は26年連続で減っている。

 兵庫県赤穂市の赤穂市民病院は9月、産科医を確保できず分娩休止に追い込まれた。担当者は「大学病院に何度も医師派遣のお願いに行っているが再開のめどはついていない」と話す。

 医師の長時間労働の是正も、地方の医療機関にとっては難しい課題だ。官民が取り組む働き方改革の一環で議論が進み始めたが、北海道砂川市の砂川市立病院の小熊豊院長は「医師が増えないまま時間外労働を減らせば、診療内容を削るしかない」と指摘する。

 政府は残業時間の上限規制を医師にも適用する方針。ただ医師には法律上、理由なしに診療を断れない「応召義務」があり、一般的な労働者とは別の規制のあり方を検討中だ。

 各党の衆院選公約に地域医療への言及は乏しく、選挙戦を通じた論戦も盛り上がりを欠いた。全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は「医師の偏在対策は長年、放置されてきた。医療は国民を守るための大事なテーマのはずだ」と強調している。



http://univ-journal.jp/16425/
医学部の2018年入学定員は9,419名、地域枠で定員維持
大学ジャーナルオンライン 2017年10月21日

 文部科学省は、2018年度からの私立大学医学部の収容定員の増加に係る学則変更認可申請について公表した。2017年度で医師確保対策などに基づく臨時定員(317人名)がなくなるため、新たに「地域枠」を設け、同規模の定員を維持できるようにした。

 2018年度からの学則変更認可の申請を行った私立大学は、岩手医科大学、自治医科大学、埼玉医科大学、順天堂大学、日本医科大学、関西医科大学、兵庫医科大学の7校で、今回の認可申請に伴い、2017年度の入学定員と比べ12名増加した。

 医学部の入学定員については、1982年と1997年の閣議決定により7,625名まで抑制されたが、2006年の「新医師確保総合対策」で医師不足が深刻な10県(青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)で各10名、2007年の「緊急医師確保対策」で、全都道府県で原則各5名の入学定員を増員。さらに、「地域の医師確保の観点からの定員増(地域枠)」「研究医養成のための定員増(研究医枠)」「歯学部入学定員の削減を行う大学の特例による定員増(歯学部振替枠)」などを実施し、2008年度から2018年度までの10年間で、臨時定員1,010名、恒久定員544名(新設による増員を除く)の計1,554名の増員が行われてきた。

 そのうち、「新医師確保総合対策」と「緊急医師確保対策」による臨時定員317名は、2017年度で終了する。その代替手段として、都道府県が作成する医療計画などに基づき、奨学金を設けて「地域医療を担う意思」を持つ人を選抜する“地域枠”を設け、2019年度まで“再度の定員増”を行うことが可能となった。

 2018年度の“地域枠”では49大学316名増の予定で、そのうち再度の定員増によるものが304名、それ以外の定員増が4大学12名だった。よって、2018年度の国公私立大学(81大学) 医学部入学定員は9,419名で、2017年度の9,420人より1名減少となった。“地域枠”の増員期間は2019年度までとなっているが、今後の取扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断するという。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171018/k10011181591000.html
「働き方改革だけでは崩壊」病院団体が医師不足解消を要望
10月18日 16時49分  NHK news

長時間労働の是正が大きな課題となっている医師の働き方改革について、全国の公立病院で作る団体は「必要な医師を確保せずに働き方だけを見直せば、地域医療が崩壊する」として、医師不足の解消に向けた対策も合わせて実施するよう厚生労働省に求めました。
医師の働き方をめぐっては、5年前に総務省が行った調査で1週間に60時間以上働いている人の割合が、医師は41.8%と、すべての職種の中で最も高く、厚生労働省は労働時間の短縮に向けた対策を議論しています。

18日、全国の公立病院で作る「全国自治体病院協議会」が都内で会見を開き、ことし7月に879の公立病院に行ったアンケート調査の結果を公表しました。

それによりますと、このまま罰則付きの時間外労働の上限規制を導入した場合、救急患者の受け入れ体制が維持できないとか、時間外診療や深夜の診療を制限する必要が出てくるなどといった意見が多数寄せられたということです。

これについて、全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は「過労死を許容することはできないが、必要な医師を確保せずに働き方だけを見直せば、地域医療は崩壊する」として、医師不足の解消に向けた対策も合わせて実施するよう厚生労働省に求めたことを明らかにしました。

厚生労働省は、来年度末までに具体的な対策を取りまとめることにしています。



http://www.medwatch.jp/?p=16364
医師の働き方改革の前に、少なくとも同時に偏在解消が必要—全自病
2017年10月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 働き方改革の一環として、医師にも罰則付きの時間外労働上限が適用されるが、厳格に適用すれば「診療縮小」か「医師の大幅増員」をしなければならなくなるが、現状では不可能である。働き方改革の前、少なくとも同時に「地域間・診療科間の偏在解消」を実行すべきである—。

 全国自治体病院協議会(全自病)が10月18日に記者会見を開き、邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)をはじめとする役員からこうした意見が相次いで発されました。

「診療縮小」と「医師増員」の選択肢しかないが、いずれも選択できない

 安倍晋三内閣総理大臣が議長を務める働き方改革実現会議は3月28日に「働き方改革実行計画」を決定。次のような「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入し(労働基準法改正)、医師も規制対象に含まれます(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間(特例)を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼特例の上限を▽2か月から6か月の平均でいずれも80時間以内▽単月で100時間未満―とし、特例の適用は年6回を上限とする

 ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

 
こうした改革内容について全自病では、会員病院を対象にアンケートを実施。そこからは次のような状況が明らかになっています。

▼1か月当たりの時間外勤務平均時間は、初期臨床研修医で29時間、非管理職医師で34.8時間だが、病床規模が大きくなるにつれ伸びていく(500床以上では、それぞれ32.5時間、47.5時間である)
月平均の時間外勤務は、初期臨床研修医では平均29.0時間、非管理職医師では平均34.8時間となっており、病床規模が大きくなるほど時間外労働も増加しているように見える。しかし、小規模病院では多くの医師を管理職に登用し(100%の病院も少なくない)、見かけ上「時間外労働」が発生しないようにしている
月平均の時間外勤務は、初期臨床研修医では平均29.0時間、非管理職医師では平均34.8時間となっており、病床規模が大きくなるほど時間外労働も増加しているように見える。しかし、小規模病院では多くの医師を管理職に登用し(100%の病院も少なくない)、見かけ上「時間外労働」が発生しないようにしている
 
▼初期臨床研修医の15.1%・非管理職医師の28.3%が「時間外勤務60時間以上」で、同じく3.1%・6.6%が「時間外勤務100時間以上」である
 
▼小規模になるほど「多くの医師を管理職に登用」しており(時間外勤務が発生しない)、「小規模病院で勤務医の労働時間が短い」わけではない
▼1か月当たりの平均当直回数は、初期臨床研修医で3.4回、非管理職医師で4.6回(非管理職医師ではこのほかに月平均5.6回のオンコールがある)

▼夜間・休日の緊急対応について、「院内当直・待機」がもっとも多く55.9%、次いで「時間外勤務」14.2%、「院外待機・オンコール」13.7%などとなっている

▼夜間における入院患者への対応は、「当直のみ」がもっとも多く61.3%で、「完全主治医制」は14.5%にとどまるが、500床以上の大病院では24.6%が「完全主治医制」を採っている。時間外臨終対応については、全体の32.4%が「原則、主治医」としており、500床以上の大病院では46.9%にのぼる

夜間の入院患者への対応や、時間外臨終対応について「主治医」が担当している病院が一定程度あるが、500床以上の大病院でその傾向が強いようだ
 
 さらに「罰則付き時間外労働規制」導入などに影響をどう考えるかを見ると、▼救急患者の受け入れ態勢が心配である▼病棟閉鎖・病床減、救急車受入制限などをせざるを得ない▼現状維持のためには医師の大幅増員が必要になる—などの声が寄せられています。
 
 全自病役員は、こうした状況が自院にも当てはまるとし、「診療縮小」か「医師の大幅増員」かのいずれかを選択せざるを得ないと指摘。しかし、地域医療の砦となる自治体病院では、いずれの選択肢をとることもできないとの苦悩をにじませました。

 末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)は「救急医療体制を維持するためには2交代制を導入するしかない。これには医師が現状より1.5倍程度必要になるが、集まらない」と強調。また小熊豊副会長(砂川市病院事業管理者)は「地方では医師が集まらず、診療縮小をするしかない。救急を近隣の医療機関にお願いするにしても、患者・住民が納得してくれない。内科は崩壊寸前である」と厳しい状況を訴えました。
 
こうした状況を踏まえて邉見会長は、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて、(1)応召義務と労働量規制との関係を整理する(2)言わば「見なし自己研鑽」時間として労働時間から一定時間を除斥する(3)医師の需給バランスの議論も同時進行する(4)1人主治医制の見直しなどが必要で、社会全体への浸透のために医療に関する教育項目を増やす—ことを求めています(9月22日に厚労省医政局に提出済)。近く、「医師の働き方改革に関する検討会」にも参考人として出席し、「医療機関の管理者要件に、医師不足地域での一定期間勤務を盛り込む」よう強く求めていく考えを強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 



https://mainichi.jp/articles/20171018/ddl/k02/010/032000c
岐路・2017衆院選青森
「医師一人の町」深浦 ミサイルより「深刻だ」 新診療所建設、厚遇アピールも限界 /青森

毎日新聞2017年10月18日 地方版 青森県

 青い空と日本海を背景に、JR五能線の観光列車「リゾートしらかみ」が走り抜ける。深浦町中部に位置する広戸地区の高台。人気の撮影スポットにもなっているこの場所で9月中旬、町立の新しい診療所の建設が着々と進められていた。

 診療所は町の「地域医療」を担う拠点施設として、来年6月の診療開始を目指す。町は2015年に「新診療所整備基本プラン」を策定。町の中心部に構える新診療所に1次医療の機能を集約することで、人口減少の時代に適応した地域医療を確立したい考えだ。

 同じ敷地内には完成間近の立派な住宅2棟も建つ。新診療所では常勤医師の2人体制を確保する方針で、住宅は医師に来てもらうために町が提供する住まいになる予定だ。家賃や光熱費、水道代も無料だという。

   ◆    ◆

 深浦町は「医師一人の町」だ。町が医師の暮らしを支えようとする背景には慢性的な医師不足がある。現在、常勤医師は鰺ケ沢町に近い大戸瀬地区の関診療所にいるだけ。診療は平日に限られ、夜間の緊急対応は難しい。町は人手不足を補うため、町外の医師3人と非常勤の契約を結び、交代で対応してもらっている。

 北から南に向かって大きく、大戸瀬、深浦、岩崎の3地区に分けられる深浦町には、数年前まで各地区に診療所や医院が点在していた。だが、後継者不足などで数は減り、現在は町立の診療所が2カ所残るのみ。そのうち、岩崎地区の岩崎診療所には関診療所から医師が週2回ほど出張して対応しているため、関診療所が実質的に町の医療を一手に引き受けている。

 岩崎地区の住民が頼りにする岩崎診療所だが、新診療所の開設で閉鎖される見通しだ。町が13年に行ったアンケート調査では町民の切実な声が相次いだ。「現状では脳梗塞(こうそく)など治療までの時間が勝負になる病気になった時、諦めるしかない」(40代女性)、「小児科専門の先生がいる病院がほしい。風邪をひけば五所川原市や秋田県能代市まで行かないといけない」(30代女性)。

   ◆    ◆

 町は、都市部の病院に引けを取らない給与を用意したり、定年を75歳に延ばしたりするなど、「厚遇」をアピールして医師を呼び込もうとしている。だが、家族連れの医師の場合は子育て環境の充実が条件になったり、若い医師は専門分野のスキルアップを望むことが多かったりするため、ニーズがなかなか合わない。

 県立中央病院によると、自治医大の卒業生を地方の中でもへき地の病院に派遣する仕組みは県内にもあるが、割り当てられる医師は年に2~3人ほど。深浦町に新たにできる診療所に派遣できる余裕はない。関診療所の小山司・事務長は「(町が)医師を集めるのには限界がある」と訴える。

 安倍晋三首相は衆院選で、ミサイル発射や核実験を続ける北朝鮮への対応について「国民に(信を)問いたい」とした。深浦町では公示日の10日、ミサイル対応訓練が行われた。だが、町内の無職男性(65)はこう言う。「首相が現状を『国難』と言うのはこじつけだ。深浦町では高齢化が進み、若者は町を出て行き、(頼れる)病院もない。そっちの方が深刻だ」【一宮俊介】



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171017121810
専攻医の登録開始、基幹施設間で“獲得競争”
福利厚生を充実、医師不足を逆手に…PR過熱

2017年10月17日 14:00 CB News

専攻医希望者に福利厚生や症例数をPRする基幹施設もある
 新専門医制度の専門研修プログラムの専攻医登録が始まった。研修の中心を担う大学病院などの基幹施設は、自施設や連携施設を含めた研修プログラムが、いかに優れているかをPR。研修修了後も地域に残ってもらうおうと、優秀な人材の確保に懸命だ。専門医以外の資格を取れるメリットだけでなく、食事やトレーニングルームなどの福利厚生の充実ぶりを強調したり、医師不足を逆手に取って経験症例数の多さをアピールしたりするプログラムもあり、専攻医をめぐる“獲得競争”が熱を帯びてきた。【新井哉】

■「3食950円」、職員食堂の安さPR

 「サラダバーもあり。3食、食べても950円」。九州地方のある基幹施設では、職員食堂の安さに加え、売店・カフェ、トレーニングルーム、職員宿舎、大浴場といった福利厚生が充実していることを、救急科専門研修の専攻医希望者にアピールしている。

 なぜ、福利厚生をアピールする必要があるのか。救急医療関係者によると、救急医の確保が困難な地域では、医療提供体制を確保するため、あらゆる手段を尽くして専攻医を集めることが「最優先課題」になっている。研修プログラムが充実している都市部の基幹施設と比べ、連携施設や指導医を十分確保できない地方の基幹施設は、福利厚生などの充実ぶりを訴えて専攻医を集める方法を取らざるを得ない。
(残り1589字 / 全2153字)



http://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2017/10/171016-33828.php
地域医療を守る病院協議会 診療報酬算定の要件緩和を
農業協同組合新聞-2017/10/15

 地方の病院が抱える課題を検討する全国自治体病院協議会は、「地域医療を守る病院協議会」を設立し、診療報酬算定に関する要件緩和について、要望事項をまとめた。医療資源の少ない地域に配慮した評価の対象地域および対象医療機関の範囲拡大などを求めている。10月11日発表した。

地方の病院の医師不足を訴える邊見会長(記者会見で) 同協議会は全国自治体病院協議会のほか全国厚生農業協同組合連合会(JA厚生連)、日本慢性期医療協会、全国国民健康保険診療施設協議会、地域包括ケア病棟協会など、地方で医療や診療に関わる病院で構成。「医師の地域偏在対策」や「地方の病院に対する診療報酬のあり方」、特に医療資源の少ない地域に配慮した診療の評価、対象地域・医療機関の範囲拡大などについて協議するとともに、国や地方自治体に対する要望活動などを行なう。

 自治体病院やJA厚生連病院など、地方で診療活動する病院は、深刻な医師・看護師不足に陥り、診療科の休止や病棟閉鎖に追い込まれる病院が増えている。また、平成14年度に診療報酬(本体)が初めてマイナス改定されてから平成20年度まで4回連続でマイナス改定という厳しい状況が続いている。
 このため同協議会では、要望事項として(1)算定要件の緩和、(2)医師の偏在対策、(3)働き方改革を挙げる。具体的には感染防止対策加算、褥瘡(床ずれ)ハイリスク患者ケア加算、地域包括ケア病棟入院科の算定要件緩和、さらに地域包括ケア支援病院の新設、へき地加算の増点などとなっている。また医師の長時間の時間外労働の解消も求めている。
 要望を取りまとめた同協議会の邊見公雄会長は「全ての医療がそろわないと報酬がもらえないという、オール・オア・ナッシングでなく、少しは算定に入れてほしい。また医療資源の少ない地域の指定がころころ変わるのも困る。医師の超過勤務は申告で、医療サービスの縮小か医師の増員しかない」と、医師不足の深刻さを強調した。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201710/20171021_11016.html
<急患診療中断>市議会で注文相次ぐ 市「重症者は診療」
2017年10月21日土曜日 河北新報

 仙台市急患センター(若林区)が医師や看護師の休憩に充てるため、午前3~4時の診療を試行的に中止した問題で、20日の市議会健康福祉委員会で委員から注文や要望が相次いだ。市は「重症者が来れば診療する。市民の安心・安全は変わらない」と強調した。
 共産党市議団の委員は、診療の中止ではなく看護師の増員で休憩を確保するよう要望。市健康政策課は「試行中の看護師の勤務体制は患者数などの実態に見合っている。市民サービスを低下させない方策を引き続き検討する」と述べた。
 市民ファースト仙台の委員は、休憩中に患者が訪れた際の対応を確認。石沢健保健衛生部長は「午前3~4時は患者が平均1人未満なので休憩にしたが、センターの扉も受付も開けている。事務員が対応し、急患なら医師らと即時連絡を取り、診療する」と話した。



https://resemom.jp/article/2017/10/20/40942.html
新人医師の研修先マッチング、自大学出身者0%は6病院…地方内定が過去最高
教育・受験 大学生 2017.10.20 Fri 12:33 リセマム

平成29年度の医師臨床研修マッチング結果 内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)(図 略)

 厚生労働省は10月19日、医師臨床研修マッチング協議会による平成29年度(2017年度)の医師臨床研修マッチング結果を公表した。医学生など、平成30年度(2018年度)から臨床研修を受ける病院が内定した「大学病院マッチ者」に対する自大学出身者の割合は、100%が14施設、0%が自治医科大学附属病院、国際医療福祉大学三田病院など6施設あった。

 医師臨床研修マッチングは、臨床研修を受けようとする者(医学生など)と臨床研修を行う病院の研修プログラムを互いの希望を踏まえ、一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピューターで組合せを決定するシステム。平成16年度に医師の臨床研修が義務化されたのに合わせて導入され、医師臨床研修マッチング協議会が実施している。

平成29年度の医師臨床研修マッチング結果概要

 平成29年度(平成30年度研修開始)のマッチングの募集定員は、前年度(平成28年度)比181人減の11,014人。希望順位を登録した研修希望者数は、前年度比331人増の9,726人。このうち、臨床研修を受ける病院が内定した人は前年度比117人増の9,023人で、内定率は92.8%(前年度94.8%)。

内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)
図:内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)(図 略)

 大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は58.9%(前年度58.3%)で、平成16年度の新制度導入以降、過去最大となった。一方、6都府県の内定者割合は41.1%(前年度41.7%)と、新制度導入以降で過去最小だった。

 なお、医師臨床研修マッチング協議会では、新制度導入以降、研修医が特定の地域に集中しやすい状況にあるとの指摘を受け、地域的な適正配置を誘導する観点から、都道府県別の募集定員の上限を設けるなど見直しを行っている。

マッチ者に対する自大学出身者の比率

 このほか、大学病院(施設別)マッチ者に対する自大学出身者の比率をみると、もっとも高い100%の大学病院は14施設あった。このうち、マッチ者数がもっとも多いのは鳥取大学医学部附属病院の18人、ついで帝京大学医学部附属溝口病院の9人。

 逆に、マッチ者に対する自大学出身者割合が0%という大学病院は、自治医科大学附属病院、国際医療福祉大学三田病院など6施設あった。なお、0%の「東北医科薬科大学病院」は、平成28年(2016年)4月1日に「東北薬科大学病院」から名称を変更している。

 マッチ者に対する自大学出身者割合が低いのはこのほか、横浜市立大学附属市民総合医療センター、名古屋大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、慶應義塾大学病院、東京大学医学部附属病院など。



http://blogos.com/article/253412/
「過労死は許容できないが、残業上限設定で地域医療が崩壊する」 全国自治体病院協議会が緊急要望
キャリコネニュース2017年10月19日 13:32

医療職のうち、医師の長時間労働は特に問題視されている。政府は今年3月に定めた「働き方改革実行計画」で、現行の36協定を法律に格上げし、時間外労働の上限を設定する方針を明らかにしている。医師に関しては業務の特性上、法改正の施行から5年は適用を猶予すると記載されていた。

しかし、こうした政府の方針に対し、各公立病院が加盟する全国自治体病院協議会は9月下旬、「医師の働き方改革の緊急要望」を発表し、10月18日に同サイトに掲載した。医師や診療科の偏在など、現在抱えている問題を解決しないまま労働時間の上限規制を適用すれば、診療科目の縮小や救急患者の受け入れを制限せざるを得なくなり、地域医療が崩壊しかねないとの危機感からだ。

大規模病院に勤務する医師の、最長時間外労働時間は月119.5時間
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画像はプレスリリースより

協議会では、今年7月に全国の879病院でアンケート調査を実施し、約半数の47.9%から回答を得た。

政府が導入しようとしている年720時間の上限を受け入れた場合、200床未満の病院では、「病院運営そのものが立ち行かなくなる」という懸念が出た。200床以上の病院では、時間外や夜間の診療、救急患者の受け入れを制限せざるを得ないとの回答が多い。

所属病院以外で単発的に診療する「外勤」の縮小や、手術件数の半減、「救急病院返上、診療科を選別し総合病院も返上等が考えられる」という回答もあった。病院規模の違いに関わらず、現在の診療体制を維持するためには医師の増員が不可欠との要望が数多く寄せられている。

アンケート内で明らかになった現在の医師の勤務状況を見ると、各月の平均時間外労働時間が60時間を超える医師は、研修医で15.1%、非管理職の医師で28.3%いる。時間外労働時間は、病院の規模と比例して増加する傾向にあり、500床以上の病院に勤務する非管理職医師の月平均時間外労働時間は47.5時間、最長では119.5時間にも達している。

診療科目による差も激しい。月60時間以上の時間外勤務をしている非管理職医師の診療科目を見ると、60時間以上80時間未満、80時間以上100時間未満、100時間以上の全てで1位が整形外科、2位が外科だった。

「医師の地域偏在」「診療科偏在」にも対策を

全国自治体病院協議会では「もちろん勤務医の健康が第一で、過労死は許容できません」と強調した上で、要望内で

「いわゆる当直を交代制勤務とし、時間外労働の上限規制を導入する場合の医師数の需給予測をする必要があります。現在ある医師の地域偏在、診療科偏在に対して何らかの手を打たず、時間外労働規制の考え方だけを進めると地域医療は崩壊すると考えます」

と主張している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563638
医師の働き方改革とキャリア
上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も
全自病が働き方実態調査結果発表、厚労省に要望提出

レポート 2017年10月18日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は10月18日、「医師の働き方の実態及び労務管理等に関するアンケート調査」の結果を発表した。「労働基準法の範囲内で稼働させた場合における診療体制への影響」の項目で、労働基準法改正案要綱で時間外勤務の上限とされた年720時間を守った場合の影響を問い、ある病院からは「手術件数の縮小。現行は年4000件であるが、その2分の1程度」などの回答があった。

 9月22日に、厚生労働省医政局長の武田俊彦氏に、「医師の働き方改革に関する緊急要望」(資料は、全自病のホームページ)とともに提出。全自病会長の邉見公雄氏は「会員病院から悲鳴のような声がたくさん集まった。(厚労省への)要望の際にデータがなくては説得力がないため、反映させるための調査だ」と述べた。また厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」で全自病として意見陳述する機会を求めたところ、11月10日の会議に邉見氏がオブザーバーとして出席して意見を述べることになったことを明らかにした。

 緊急要望の項目は、次の通り。

医師の「応召義務」と「労働量規制」との関係について、十分な議論と整理が不可欠であること。
医師の労働の特殊性として、実際の業務時間と使用者の指示によらない自己研鑽時間が混在しており、その明確な区分が困難であること。一定時間を除斥することも方法論として考えられるのではないか。
時間外労働規制を医師の診療科偏在、地域偏在、病院機能の違い等を考慮せずに適用すれば、救急医療、周産期医療、休日夜間診療など地域医療に大きな負の影響が生じる。医師の労働量の議論のみならず、医師の需給バランスからの議論も同時進行させていく必要があり、現状では、時間外労働規制の課題をクリアするための医師等の増員は、実現が困難であること。
医師の勤務負担軽減を図るための一つの例として、一人主治医制を見直すことが考えられるが、その実現には社会全体、つまり国民や患者、家族の理解の浸透が不可欠であること。

 調査は7月25日から9月1日に879病院に行い、回答率は49.7%だった。「労働基準法の範囲内で稼働させた場合における診療体制への影響」の項目では、他に次のような回答があった。

◆200床未満の病院
2次救急体制の縮小、在宅訪問診療数の縮小。
1次救急施設の取り下げ。また、急性期医療病床の慢性期病床への変更が必要。
現状を維持するためには、医師数を少なくとも2人は増やす必要がある。
当院では、全ての常勤医師が管理職のため、時間外勤務手当の対象時間数は把握していないが、病棟管理に必要な時間を鑑みると、現在の診療レベルを維持するためには、10~20%の医師数の増員が必要と見込まれる。
医師は、本来の診療以外にも、適切な病院運営を行うためのさまざまな課題について協議する場に必要不可欠である。特に200床未満の小規模病院にとっては病院運営そのものが立ちゆかなくなる可能性もあると考える。

◆200床以上の病院
診療科によっては患者数を大幅に減らす必要がある。しかし、経営が成り立たなくなる。
臨時・緊急手術、時間外診療の対応が2~3割程度縮小する。
週5日間行っている外来を週3日などに減らさなければならない可能性がある。
手術件数の縮小。現行は年4000件であるが、その2分の1程度。
入院・外来・救急機能の縮小、地域病院・診療所への診療支援活動の縮小。
救急病院返上、診療科を選別し、総合病院も返上等が考えられる。
診療科にもよるが、1人当たり年間1800時間を超える時間外勤務を行っている科もあることから、おおむね2 ~3割程度の診療規模縮小を余儀なくされる恐れがある。
・2016年度の管理職以外の医師1人当たりの年間平均時間外労働時間は約800時間であるため、(編集部中:改正)労働基準法の範囲内(720時間)に時間外労働時間を収めて稼働させるためには、10%の診療規模縮小が必要と考えられる。
2016年度の各診療科の平均時間外労働を基に積算すると、内科41%、循環器内科33%、整形外科25%、消化器外科24%、脳神経外科17%、泌尿器科15%、麻酔科25%、放射線診断科47%の診療縮小が必要となる。

 医師の増員や診療体制縮小を余儀なくされるなどの回答が多数上がった。邉見氏は、研修医の自殺が過労によるものとして労災認定され、今年6月から診療体制を縮小した新潟市民病院を例に挙げ、「新潟のような大都市であれば、診療体制を縮小しても、代替できる病院はある。人口10万人程度やそれ以下の地方の病院では、縮小しても代わりがいない。患者、住民が困り、苦情の嵐になる」と指摘。

 全自病副会長の小熊豊氏は、自身が病院事業管理者を務める砂川市立病院(北海道)を例に「医師が増えない以上、診療内容や需要を減らすしかないが、患者は、近隣の開業医の先生にかかってほしいと何度説明しても、うちに来る。いつでも、何でも診てくれるという意識が抜けない。内科は崩壊しそうな状況だ」と、患者の受診行動の啓発の難しさを指摘した。

 そのほかの質問項目では、「常勤医師に占める管理職の割合」で、全体(n=427)のうち13.6%で「100%が管理職」と回答。規模の小さい病院ほど、常勤医師の100%が管理職であるケースは増え、99床以下(n=88)では36.4%が、「100%が管理職」との回答だった。「時間外臨終対応」では、「主治医を原則」との回答が全体(n=408)で32.4%。300床以上400床未満(n=72)では48.6%、500床以上(n=64)でも46.9%に上った。

 「時間外勤務60時間以上の非管理職医師の診療科」では、「60時間以上80時間未満」、「80時間以上100時間未満」、「100時間以上」の全ての層で整形外科が1位。要因について、邉見氏は「呼び出しが原因だと考えられる。救急で骨折を疑うと、すぐに整形外科医を呼ぶ。見落としての訴訟を恐れるためだ」と指摘。また、いずれの層でも上位に入っている循環器内科と脳神経外科については、「命に関わる場合が多く、回数が多くなくても1回ごとの時間が長くなるためだろう」と述べた。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201710/553314.html
【2017年度】フルマッチ校は11校、東京医科歯科大は5年連続
マッチング最終結果、市中病院人気が再び加速

2017/10/19 増谷 彩=日経メディカル

 医師臨床研修マッチング協議会は10月19日、2017年度の医師臨床研修マッチングの結果を公表した。マッチングに参加した医学生は9969人。うち、希望順位を登録した参加者は9726人で、このうち臨床研修先が内定した人(内定者)は9023人(内定率92.8%)。参加者が希望順位表に登録した研修プログラムの平均数は2.99プログラムだった。参加病院は1022病院(研修プログラムは1383プログラム、募集定員は1万1014人)。

 大学病院希望者数と臨床研修病院(市中病院)希望者数の割合をみると、臨床研修病院にマッチした医学生は58.6%だった(図1)。大学病院と臨床研修病院の内定者数の差は2009年から年々拡大しており、昨年度は大学病院にマッチした医学生がやや増加したが、今年度さらに引き離された。

図1 大学病院および臨床研修病院のマッチ者数の比率の推移(図 略)

 第1希望マッチ者数は7106人(78.8%)、第2希望マッチ者数は1208人(13.4%)、第3希望マッチ者数は463人(5.2%)で、全体の97.4%が第3希望まででマッチしていた。

 大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は、58.9%。これは2004年の新医師臨床研修制度を導入して以降最高で、昨年度(58.3%)に続き記録を更新した。

 都道府県別に見ると、前年度に比べ内定者が増えた県は、多い順に新潟県(内定者数129人、対前年度+31.6%)、岩手県(90人、+21.6%)、石川県(120人、+16.5%)、宮城県(144人、+15.2%)、和歌山県(110人、+15.8%)だった。

 日経メディカルでは、大学病院本院の定員充足率ランキング、マッチ者に対する自大学出身者の割合ランキングを独自に作製した。次ページからは、これらのランキングとその解説を示す。

 大学病院本院で定員充足率が100%となったのは、東京医科歯科大学(マッチ者数119人)、京都大学(79人)、杏林大(65人)、大阪市立大(66人)、京都府立医大(61人)、奈良県立医大(61人)、慶應大(52人)、東海大(50人)、関西医大(45人)、昭和大(39人)、国際医療福祉大(5人)の計11校。今年4月に医学部を新設した国際医療福祉大学もフルマッチとなった。ただし、フルマッチを達成した大学病院本院は昨年の計15校には届かなかった(表1)。

表1 大学病院本院の定員充足率ランキング(充足率の高い順)(表 略)

 東京医科歯科大学は5年連続、京都府立医科大学は4年連続。杏林大学、京都大学、関西医科大学は3年連続でフルマッチを達成した。一方、昨年度まで3年連続でフルマッチを達成していた順天堂大学は11位となった。昨年4月に医学部を新設した東北医科薬科大学病院は、募集定員10人のところ7人の学生が内定し、前回の79位から50位にランクアップした。

 昨年度と比較して20位以上順位を上げたのは、前述の東北医科薬科大学を始め、大阪市立大学(21位→1位)、慶應大学(23位→1位)、東海大学(29位→1位)、神戸大学(46位→12位)、聖マリアンナ医科大学(43位→14位)、岡山大学(37位→17位)、愛知医科大学(64位→22位)、名古屋市立大学(55位→33位)、大阪大学(54位→34位)、東京女子医科大学(62位→35位)、広島大学(57位→37位)、富山大学(65位→41位)、山梨大学(66位→42位)、岩手医科大学(77位→48位)だった。

 反対に順位を20位以上下げたのは、産業医科大学(1位→71位)、信州大学(38位→68位)、北里大学(20位→49位)、滋賀医科大学(28位→57位)、琉球大学(50位→79位)、佐賀大学(49位→75位)、北海道大学(40位→65位)、三重大学(48位→73位)、横浜市立大学(13位→36位)、久留米大学(10位→32位)だった。

 大学病院本院で、マッチ者に対する自大学出身者の割合を見てみると、東京都や神奈川県などの大学ではマッチ者に対する自大学出身者の割合が低かった(表2)。自治医科大学は出身地での初期研修を義務付けられており、同大の卒業生はマッチングに参加していない。また、東北医科薬科大学は昨年度、国際医療福祉大学は今年度医学部を新設したばかりで、自大学出身者がいない。

 その他、マッチ者の9割を自大学の出身者が占めた大学は14校あった。中でも鳥取大学はマッチ者の全員が同大の卒業生だった。

表2 マッチ者に対する自大学出身者の割合(自大学出身者の割合が低い順)(表 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/562421
医師不足への処方せん
大都市圏の研修医割合、9年連続減―2017年度マッチング最終結果
大学病院の割合は過去最低を更新

レポート 2017年10月19日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 2018年4月からの初期研修先を決める、2017年度医師臨床研修マッチングの最終結果が10月19日に発表され、大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)の内定者の割合は41.1%で、2009年度から9年連続で減少し、過去最低を更新した。大学病院の割合は41.4%で、2016年度の42.7%から減少し、同じく過去最低を更新した(昨年度の結果は『大都市圏以外に過去最多の研修医、2016年度マッチング最終結果』、資料は厚労省のホームページ参照)

 マッチングの参加病院は1022施設で、2016年度より5施設減少。募集定員は1万1014人(2016年度1万1195人)、希望順位登録者数は9726人(同9395人)、内定者数は9023人(同8906人)、内定率は92.8%(同94.8%)だった。

 募集定員に対するマッチ者の比率を示す「定員充足率」を都道府県別に見ると、京都の98.10%を筆頭に、奈良、東京、大阪、兵庫、神奈川、和歌山の7都府県(2016年度6都府県)で90%を超えた。80%台が7県(同8府県)、70%台が20道県(同15道県)、60%台が7県(同14県)、50%台が5県(同4県)、50%未満は48.75%の鳥取県のみ(昨年度1県)だった。

 大都市圏を除く41道県の内定者の割合は58.9%(2016年度58.3%)で、2008年度以降上昇が続いており、大都市への集中を防ぐための募集定員の上限設定の効果と見られる。全体の募集定員は2016年度から181人減少しているが、そのうち大都市圏での削減が66人を占める。

 2016年度との比較でマッチ者数が大幅に増えたのは、新潟(31人、31.6%増)、岩手(16人、21.6%増)、石川(17人、16.5%増)、宮城(19人、15.2%増)、和歌山(15人、15.8%増)の5県。2016年度、定員充足率が最も高い95.59%だった熊本県は、全都道府県で最大の20人減となり、充足率は79.14%にとどまった。
(表 略)

2017年度医師臨床研修マッチング最終結果で公表された『研修医マッチングの結果(参加病院の所在地による全国分布)』を、「定員充足率」が高い順にランキング。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2240317018102017CR8000/
製薬会社の資金提供、所属機関も公表 厚労省が新ルール
2017/10/18 20:00日本経済新聞 電子版

 厚生労働省は今年の通常国会で成立した「臨床研究法」で、製薬会社が資金提供する際のルールの大枠を固めた。製薬会社が研究費を出し、自社製品を大学病院などの医師が臨床研究する場合、医師に加え所属する大学や病院への資金提供も公表対象にする。子会社にもこのルールを適用し、透明性を確保する。

 製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバンの臨床データ改ざん問題を巡っては、同社が大学病院の医師らに多額の奨学寄付金を提供していたことも問題となった。

 これらを踏まえ、今年の通常国会で、臨床研究法が成立。4月に公布され、1年以内に施行する。同法は製薬会社に対して資金提供の公表を義務付けており、厚労省は省令で規定する詳細なルールの大枠を固めた。

 製薬会社が自社の医薬品の臨床研究を大学病院の医師(研究責任者)らに依頼する場合、医師に直接渡す研究費だけではなく、所属する大学や病院への資金提供も公表対象にする。研究結果が自社に有利となるよう働きかける目的で、不適切な資金が所属機関を経由して医師側に渡るのを防ぐ。厚労省は製薬会社の子会社にもこのルールを適用する。

 製薬会社が資金を出している財団法人などを通じて、医師に臨床研究のための費用が渡ることがある。こうしたケースも公表対象とし、臨床研究の信頼性を高める。

 資金提供の状況は、製薬会社がホームページなどで公表する。具体的な項目は研究費に加え、講師謝金や執筆料なども含む。臨床研究の終了後、2年以内の支払いも開示する必要がある。

 製薬会社は少なくとも年1回はホームページなどに資金提供先の一覧を掲載し、直近5年分は公表し続ける。公表時期は「2018年10月以降の事業年度」とし、例えば3月期決算の企業だと、19年4月からが対象となる見通し。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171018190531
ベンゾジアゼピン系、中医協支払側委員が制限要望
抗不安・睡眠薬「65%が精神科以外で処方」

2017年10月18日 19:35 CB News

 医療機関で処方された抗不安薬・睡眠薬の約65%が、精神科でない一般の診療所・病院で出されていた―。中央社会保険医療協議会(中医協)が18日に開いた総会で、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が、このような調査結果を示した。1種類の処方の上位20位のうち17種類が依存性のリスクが指摘されているベンゾジアゼピン系だったことを挙げ、依存症の発生防止のため、処方を制限する必要性を訴えた。【新井哉】

 幸野委員によると、調査対象は2014年10月から16年9月までの医科外来・調剤レセプトの企業健保のデータ(1億6000万件)。このうち抗不安薬・睡眠薬のみが少なくとも1種類以上処方されているレセプトが530万件(3%)あった。

 これを調べたところ、精神科を標榜している医療機関は約35%で、残りの約65%が精神科ではない一般の診療所・病院だった。3種類が処方されているケースでは、上位15位までがすべてベンゾジアゼピン系の組み合わせで占められていた。

 この日の総会で、幸野委員は「このまま向精神薬の処方を制限しないと依存症がかなり発生するのではないか」といった懸念を示し、1種類の処方であっても「処方日数に、ある程度の制限をかけていくべき」などと提案した。今回の調査結果を踏まえ、今後、健保連が提言を出す方針も明らかにした。

 この提案に対し、診療側の委員からは「今求められているのは、総合的な診療能力を持つ医師。内科医がそういった薬を出すことはおかしいという方向性は違っている」といった意見が出た。

 厚生労働省は、ベンゾジアゼピンが抗不安薬と睡眠薬の両方に含まれていることや、依存性を考慮し、薬剤数や処方期間などの取り扱いの見直しも視野に入れている。来年度の診療報酬改定で、どこまで踏み込めるかが焦点となりそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563629
中央社会保険医療協議会
睡眠薬・抗不安薬、薬剤数と処方期間の制限検討
支払側支持「依存症が社会問題化する懸念も」

レポート 2017年10月18日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月18日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、ベンゾジアゼピンを含む睡眠薬、抗不安薬をはじめとする向精神薬について、薬剤数や処方期間などの制限と、薬剤師・薬局等と連携した適切な薬物療法の推進体制の評価を提案、支払側は支持、診療側は支持する意見があった一方、態度を保留する委員も見られた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、ベンゾジアゼピン系の向精神薬では、承認用量内でも特に15日以上の投与で依存症の副作用例が見られるほか、海外では処方期間に制限があることなどを挙げ、「ベンゾジアゼピン系は例示であり、向精神薬全般をどう考えるかという提案」と説明した。過去の診療報酬改定で向精神薬の多剤投与が段階的に制限されてきたが、 2016年8月時点でも、外来・調剤レセプトで、処方料等の減算となり得る「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3剤以上を含む処方は全体の29%を占めた。

 処方制限を全面的に支持したのは、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏。健保連が実施し、近く公表予定の調査結果の一部を紹介、「精神科だけでなく、一般の診療所でも制限なく処方され、かつその期間が長期にわたっていることが問題。薬剤数の制限だけでなく、1剤の場合でも、処方期間をある程度制限していく必要がある。このまま放置しておけば、副作用として依存症発生が社会問題となることが危惧される」と述べた。ただし、「適切な薬物療法の推進体制」については、「不要」と指摘。その理由として、2016年度診療報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」の本来業務である上、「重複投薬・相互作用等防止加算」など既存の点数で対応すべき問題であることを挙げた。

 健保連の調査は、2014年10月から2年間分のレセプト、約1億6000万件を分析したもの。睡眠薬や抗不安薬を処方されたレセプトは全体の約3%、うち精神科での処方は約35%で、残る約65%はそれ以外の診療科の処方であり、ベンゾジアゼピン系薬が多かった。処方期間は約5割は1カ月未満だったが、1カ月以上6カ月未満は約3割、約1割は1年以上の長期にわたる処方で、2年以上も全体の約2%あった。

 これに対し、日本医師会常任理事の松本純一氏は、ベンゾジアゼピン系だけでなく、向精神薬全般が対象になると範囲が広がり、「全体で捉えることが難しい」とコメント。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、幸野氏が「向精神薬の処方を精神科医に限るべき」と受け取れる発言をしたのに対して、「今求められているのは、総合的な診療能力を持つ医師。漫然と投与せず、適正に使用していくことは必要だが、内科医などの処方を問題とするのは、医療の方向性としておかしい」と反論。さらに患者側が向精神薬の処方を求める実態もあるとし、「『出す方がおかしい』という論調では進まない」と述べ、保険者に対し、患者への啓発活動を求めた。

 幸野氏は、「専門医でなければ、処方していけないとは言っていない」と説明。その上で、改めて処方期間等への制限の必要性を強調した。

 そのほか、向精神薬の問題については、全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「乱用されていることが多く、副作用をかなり経験するので、ある程度の規制は必要」と述べ、薬剤師・薬局等の連携についても「疑義を挙げる体制は必要ではないか」と支持。日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、高齢患者の増加で向精神薬の処方が増えてくることから、一定の処方制限や薬剤師・薬局等の連携は必要としたものの、既に処方されている患者について、減薬などで離脱症状などが出ないよう、混乱のない対応を求めた。

(2017年10月18日の中医協総会資料)
 18日の中医協総会のテーマは精神医療であり、向精神薬の問題以外に、(1)治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンによる適切な治療の推進、(2)認知症の早期の鑑別診断等の評価、(3)発達障害の患者に対する医療の評価、(4)認知療法・行動療法の推進、(5)2018年度中に国家試験が実施される公認心理師の診療報酬上での評価――についても議論。

 診療側が明確に反対したのは、(5)。「公認心理師は、業務独占ではなく、名称独占の資格。施設基準等で評価すべきでない」(松本純一氏)、「施設基準等で評価されると、奪い合いになる懸念がある。最初からではなく、充足した時期に診療報酬上で評価していくことが必要」(全日本病院協会会長の猪口雄二氏)などの意見が出た。

 それ以外の(1)から(4)の論点と主な意見は以下の通り。

(1)治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンによる適切な治療の推進

【課題と論点】 治療抵抗性統合失調症治療薬のクロザピンは、統合失調症患者での処方率は海外では25~30%だが、日本は0.6%と低い。クロザピンの1日維持量の薬価は、他薬に比べて約2~10倍高く、無顆粒球症などの重大な副作用があり、患者モニタリングが必要。精神療養病棟入院料で、一部を除き薬剤料や検査料が包括されているが、この見直しについてどう考えるか。

【診療側】
今村氏:日本の精神医療は遅れていると見られるデータだが、日本でのクロザピンの承認は2009年で諸外国と比べて40年遅い。現場が使用に慣れていないことも処方率が低い要因だろう。より使いやすくするため、包括評価から外すのはいいが、難治性精神疾患患者の連携体制の評価は考えないのか。
迫井課長:連携体制の評価はさまざまな形で行われているため、今一番ネックになっている包括範囲の見直しを検討する。

日本病院会常任理事の万代恭嗣氏:クロザピンの治療を希望する全ての患者に、処方できる環境整備が必要。精神療養病棟で包括なので、使いにくい現状がある。患者モニタリングも、治療抵抗性統合失調症治療指導管理料だけでは管理がしにくく、ぜひ充実をしてもらいたい。血液内科との連携も重要。

【支払側】
全国健康保険協会理事の吉森俊和氏:クロザピンの処方率が低い理由が、残念ながら分からない。日本での使用が緒に就いたばかりというのが理由なら、精神療養病棟入院料の見直しは違うのではないかと思う。

(2)認知症の早期の鑑別診断等の評価

【課題と論点】 認知症の早期の鑑別診断や専門医療の支援体制確保のため、認知症疾患医療センターの整備が進められている。基幹型、地域型、診療所型だったが、2017年度からは、従前の診療所型の類型に、病院も加わったために「連携型」と名称を変えた。それを踏まえ、認知症専門診断管理料の評価を見直してはどうか。

【診療側】
松本純一氏:さらに何か点数を付け加えるのか。
迫井氏:2016年度診療報酬改定時は、診療所型しかなかったので、現時点では病院は算定できない。病院についても、一定の報酬算定ができるように、という趣旨だ。

(3)発達障害の患者に対する医療の評価

【課題と論点】 発達障害の患者に対する治療プログラムの普及や適切な医学管理の推進の観点から、現行の発達障害を含む患者への評価の見直しや、自閉症スペクトラム障害(ASD)専門のショートプログラムなど、発達障害の患者に対する専門治療プログラム等に対する評価を検討してはどうか。
(診療側、支払側ともに意見なし)

(4)認知療法・行動療法の推進

【課題と論点】 認知療法・認知行動療法は1~3がある。「地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医と、看護師が共同して行う場合」に算定できる「3」の届出医療機関はない。専任の看護師に係る要件(一定の研修や実務経験など)を見直してはどうか。

【診療側】
今村氏:厚労省の提言は賛成。施設基準(うつ病等の気分障害の患者に対して、認知療法・認知行動療法の手法を取り入れた面接を過去に自ら10症例120回以上実施し、その内容のうち5症例60回以上のものについて、面接を録画、録音等の方法により記録して、専任の医師または研修の講師が確認し、必要な指導を受けていること)は現実的に厳しいので、見直してもらいたい。

【支払側】
吉森氏:方向性に反対しているわけではないが、「3」の届出がなぜないのか、施設基準が厳しいからなのかなどを検証してもらいたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/563667
中央社会保険医療協議会
「精神科、診療所の位置付けが大事」
中医協総会、措置入院や精神保健指定医など議論

レポート 2017年10月18日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は10月18日の会議で、個別事項(その4:精神医療)として精神保健指定医の取り扱いなどについて議論した。厚生労働省は、通院・精神療法などにおける精神保健指定医の評価の見直しや、措置入院の患者の退院後の支援充実の観点から、退院に向けた取り組みや自治体等との連携推進に資する評価などを論点として提示。委員からは「精神科の治療の9割が外来。診療所の位置付けが大事」、「精神保健福祉法改正の国会での議論が十分でない中で、診療報酬の議論が先行するのは疑問だ」などの意見が上がった(資料は厚労省のホームページ)。

厚労省提示の主な課題と論点案は次の通り。

精神保健指定医の取り扱い

精神保健指定医としての業務は、措置入院等の精神保健福祉法に係る入院の手続き、患者の診察、症状消退の判定等といった、入院業務に係るものが多い。
精神保健指定医数は増加しており、約1万5000人おり、主な診療科が精神科の医師数とほぼ同数となっている。
精神保健指定医については、指定申請に当たり、自ら診断、治療に十分に関与していない患者についてケースレポートを提出したとして、精神保健指定医の取り消しが行われた事案が発生した。このため、精神保健指定医の指定に係る取り扱いが見直される予定となっている。
精神保健指定医に関連する診療報酬上の評価には、精神科救急入院料等のほか、通院精神療法など外来患者の診察に係るものが含まれている。
論点案:精神保健指定医の創設経緯や役割、指定医に求められている業務内容が入院患者に係るものが主であること等を踏まえ、通院・精神療法等における精神保健指定医の評価の見直しを検討してはどうか。

措置入院に係る医療

精神保健福祉法の下、入院させなければ精神障害のために自傷他害のおそれのある精神障害者を、精神保健指定医2人の診察等の一定の手続きの下で、入院させることができる措置として、措置入院がある。
措置入院の届出数は横ばいからやや増加しているが、在院日数は減少しており、在院患者数は、近年、減少傾向。
措置入院の患者の内訳を見ると、統合失調症等の患者が多く、65歳未満の患者がほとんどである。
措置入院の患者の退院後の支援体制を充実するため、退院後生活相談員の専任や、退院後支援計画の作成・決定、退院後の帰住地の自治体への引き継ぎ等を新たに行う内容を含めた、措置入院制度の見直しが予定されている。
診療報酬上の評価は、精神科措置入院診療加算等で評価されているが、退院後の継続的な支援に関する要件は規定されていない。
論点案:措置入院の患者の退院後の継続的な支援を充実する観点から、入院早期からの退院に向けた取り組みや自治体等との連携の推進に資する評価について、現行の精神科措置入院診療加算等による評価を踏まえて、どのように考えるか。

委員の主な発言は次の通り。

【診療側】
全日本病院会会長・猪口雄二氏:非自発的な入院患者は手がかかるため、評価が必要だ。

日本医師会常任理事・松本純一氏:全国で300万人以上が精神科の治療を受け、その9割が外来だ。診療所の位置付けが大事だ。

日医常任理事・松本吉郎氏:措置入院の対象に「自傷他害のおそれのある精神障害者」とあるが、自傷と他害は違う。(他害の場合は)患者によっては、医療監察制度も視野に入れないと対応は難しい。

【支払側】
日本労働組合総連合会総合政策局長・平川則男氏:(衆議院解散で精神保健福祉法改正案が廃案となり)国会での議論が十分でない中で、報酬の議論が先行するのは疑問だ。

厚労省保険局医療課長・迫井正深氏:法改正によらず行った方が良いという内容もあり、その点は診療報酬上の対応を行った方がいいのではないかと考えている。

厚労省社会・援護局傷害保健福祉部精神・障害保健課長・武田康久氏:措置入院者の社会復帰の対応は法整備にかかわらず検討していきたい。



https://dot.asahi.com/dot/2017101700030.html
九大、長崎大…世界的に評価される医学部 その背景に「最古」と「面接」
庄村敦子2017.10.18 07:00 dot.Asahi

 江戸時代に、近代医学教育の原点となった「小島養生所」が長崎に設立されて以来、日本の医療をリードしてきた九州地方。医学部受験に強い高校が多いだけでなく、人口10万人あたりの医師数も多いのが特徴だ。発売中の週刊朝日ムック「医学部に入る 2018」では、九州の国立大を取材。ここでは、その一部を紹介する。
*  *  *
「九州は医師数が多く、医学部人気が高いのは、魅力がある医学部が多いことがあげられます。九州大、長崎大、熊本大、鹿児島大は伝統のある名門大学で、研究でも成果をあげています」

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、そう話す。

 九州の国立大は、旧帝大の九大、旧六医大の長崎大、熊本大、旧医専の鹿児島大、新設医大の佐賀大、大分大、宮崎大、琉球大に分かれる。旧帝大、旧六医大、旧医専、新設医大の順で偏差値が高い。

 熊本で1930年に創立した医学部受験に強い壺溪塾の木庭順子塾長は、国立大の前期試験について、

「佐賀大と宮崎大はセンター試験重視の配点、九大、熊本大、長崎大などでは個別試験重視の配点です」と説明する

■「生物」と「面接」で注目を浴びる九州大

 九大と熊本大は、センター試験の生物が必須だったが、18年入試で熊本大、19年入試で九大が化学、物理、生物から2科目選択できるようになる。この決定に伴い、私立のラ・サールと久留米大附設などでは、現在の高2から生物の補講を行わないことなどを決めた。名門大学による受験改革の“余波”といえよう。

一方で、全国で九大だけ実施しないものもある。面接試験だ。

 18年入試で東大が面接を復活させることにより、面接を課さない医学部は九大だけとなる。17年入試から出願書類に「志望理由書」を追加した九大だが、面接は行わないのだろうか。この質問に対して九大から回答がなかったが、「そのうち九大も面接を実施するでしょう」というのが、高校や予備校関係者のほぼ一致した意見だ。
 九大医学部は、1903(明治36)年に開設した京都帝国大学福岡医科大学が始まりだ。九州の全医学部のなかでもっとも偏差値が高く、医学部を目指す九州の生徒の憧れ的存在だ。

 前出の上医師が言う。

「1961年から、福岡市の東に位置する久山町の住民を対象とした生活習慣病の疫学研究を続けています。この『久山町研究』は、世界的に評価されています」

■廃校の危機を乗り越えた 長崎大“不屈”の精神

 その九大より歴史があるのが、長崎大だ。

 1857(安政4)年に海軍伝習所の医官であったオランダ海軍軍医ポンペが、長崎奉行所西役所で日本人に医学の講義を行った医学伝習所が始まりだ。

「わが国の医学部の中で最古の歴史を持っています。1945年の原爆投下によって廃校の危機に陥りましたが、戦後、急速な復興を遂げ、現在では、原爆後障害医療研究所を中心とした放射線災害医療、熱帯医学研究所を中心とした熱帯医療、感染症、地域医療などの研究で、国際的な医学部に発展しました。研究医コースを設置しており、研究医の育成にも力を入れています」(永安武医学部長)

 世界で活躍する人材を育成するため、1~4年次に外国人教員による「医学英語」を実施。3年次と6年次には、選ばれた学生を海外協定校に派遣している。

 17年の入学者120人のうち、県内出身者は43人、長崎を除く九州が47人で、4分の3が九州出身者だ。

 若手医師、医学部生、医学部志望者向けの外科手術手技トレーニングや模擬手術体験セミナーも積極的に行っている。

(文/庄村敦子)

※週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』から抜粋



https://www.m3.com/news/iryoishin/560250
地域包括ケアでは医療費は削減できない-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.2
「医療者は積極的関与が求められる」

インタビュー 2017年10月16日 (月)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――地域包括ケアシステムの2つの源流(「保健医療系」と「(地域)福祉系」)は、どのように関係してくるのでしょうか。
 まじめにやっていると、それぞれが必要に迫られて融合するようになるはずです。私は病院チェーンの研究を進める中で、1996年に、保健・医療・福祉を一体的に提供しているグループの存在に気づき、「保健・医療・福祉複合体」と定義しました。

 全国的に見れば、独立した単機能の施設間のうるわしい連携(ネットワーク)が有効に機能している地域はごく一部の大都市部に限られます。逆に、大規模「複合体」が全ての保健・医療・福祉サービスの「囲い込み」を行っている地域も、ごく一部の農村部だけです。これらを両端として、大半の地域では、入所施設開設「複合体」、「ミニ複合体」、単機能の医療・福祉施設とが競争的に共存しているのが実態です。

 私が強調したいことは、病院だけでなく診療所も、本格的に地域ケア・在宅ケアに取り組もうとすると、程度の差こそあれ「複合体」を形成する必要に迫られるということです。地域ケア・在宅ケアを熱心に進めている診療所医師の中には、大規模「複合体」が利用者を囲い込むと毛嫌いし、独立した施設間のネットワークを絶対化・理想化している方が少なくないようです。しかし、大都市で往診専門診療所に特化されている方を除けば、診療所でも地域住民のニーズに応えるために「複合体」化しているところが少なくありません。「複合体」化しない場合にも、他の医療・福祉事業者との連携強化は不可欠です。

 地域包括ケア研究会の2015・2016年度報告書も、「複合体」の役割を積極的に評価するようになっています。

――今後はどのように展開していくと予想されていますでしょうか。
 国が全国一律に導入する「システム」であったら地域差はどんどん縮小していきますが、「ネットワーク」は良い意味でも悪い意味でも、それぞれの地域で作っていくしかないため、うまくいっている地域と、そうでない地域との差は広がっていくでしょう。私は対象を高齢者から全世代に拡大すべきと考えていますし、先進的な地域ではそのようになっていっています。厚労省のプロジェクトチームが2015年に発表した「新福祉ビジョン」も、全世代・全対象型地域包括支援」を提唱しています。

――医療者はどのように関わっていくべきでしょうか。
 政策的にも「地域包括ケアシステム」、「地域共生社会」が厚労省の“一丁目一番地”となっています。それに関わらなくて済むのは、大学病院、一部の巨大病院、専門病院ぐらいです。地域に密着せずとも広域から患者を確保できる医療機関以外は積極的に関わらないと生き延びられないでしょう。もちろん開かれたネットワークなので、大学病院も地域包括ケアシステムに参画できます。実際、愛知県では藤田保健衛生大学はとても熱心です。

 理想的には地域ケア会議に参加したり、福祉関連の人から相談に乗ったりすることです。医師はどうしても上から目線になりがちなので、本当の意味で多職種と平等になるように心がけるべきです。そうしないと患者も紹介してくれなくなるでしょう。これまでのように皆が外来に来てくれる時代ではないのです。

――地域包括ケアシステムは多職種の協働が必要とされますが、先生が学長を務めていた日本福祉大においてはどのような教育を行ってきたのでしょうか。
 昨年度から、社会福祉学部学生が藤田保健衛生大学の先駆的多職種連携教育(「アセンブリ」、必修科目)に参加させていただいています。これは同大学創設者の藤田啓介先生の発案した科目であり、この多職種連携教育は世界初かもしれません。医療は病気中心ですが、福祉の目が入ることで社会という視点が入ります。医療は深く狭い、福祉は広く浅い面があり、相補うことができます。最初は、本学の学生が劣等感を感じるのでは、と心配していましたが、そんなことはなく、お互い刺激し合っているようです。社会福祉学部は本年度に大規模なカリキュラム改革を行い、多職種連携教育も重視しています。

――地域包括ケアシステムによって、医療・介護費は低下するのでしょうか。
 厚労省も1990年代までは、地域・在宅ケアを拡充すれば医療・介護費が抑制できると思っていたようですが、21世紀に入ってからはそのような主張はしていません。少なくとも重度の要介護者・患者では、地域・在宅ケアの費用が施設ケアに比べて高いことは1990年代以降、膨大な実証研究により確立された国際常識になっています。例えば、OECDが本年出版した“Tackling Wasteful Spending on Health”(『医療の無駄への挑戦』)は、調査対象15カ国平均で、重度の要介護者(1週間の介護時間が41時間以上)の1週間の在宅ケア費用は1400米ドルで、施設ケアの費用約900ドルより5割も高いとの推計結果を発表しています(208ページ)。

 厚労省も地域・在宅ケアが医療費削減につながらないことはよく分かっており、そのことは強調しています。財務省も、厚労省との交流人事が多く、そのことは分かっています。ただ、経済産業省、内閣府には、医療の実態を知らず、空理空論で甘い考えを持った人がまだいるようです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564086?pageContext=m3com_PC_WebPush1.0&mkep=notification_click
医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理
厚労省と文科省、卒前・卒後の医師養成過程を大改革

レポート 2017年10月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省と文部科学省は、医学生が実施できる医行為を定めた1991年の“前川レポート”を四半世紀ぶりに改訂するとともに、医師資格のない医学生の医行為を法的に担保する方針を固めた。合わせて共用試験(CBTとOSCE)を公的な制度とし、その合格を医学生が医行為を行うための質的保証とする予定。さらに医学教育のモデル・コア・カリキュラムと臨床研修の到達目標の整合性を図り、改訂時期も合わせるなどして、診療参加型臨床実習の充実と、卒前・卒後の一貫した医師養成体制の構築を目指す。10月20日に開催された第5回「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、両省は方針を示した。

 “前川レポート”とは、旧文科省の「臨床実習検討委員会」がまとめた報告書。群馬大学学長の前川正氏が委員長を務め、「医学生の臨床実習において、一定条件下で許容される基本的医行為」を例示した内容で、同省高等教育局医学教育課長通知として全国の医学部等に発出されている。現行でも医学生の医行為は可能だが、共用試験とともに制度化することで、医学生の医行為の違法性阻却を担保する。厚労省は今後、厚生労働科学研究班を立ち上げ、医行為の実態調査などの実施も検討し、2017年度中に医学生が可能な医行為の整理を行う予定。

本検討会は当初、新専門医制度についての議論の場だったが、医師養成全般の議論に発展。

 全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は、日本医師会と共同の「卒前卒後の医学教育改革のためのワーキンググループ」の提言案(以下、WGの提言案)を紹介。同案でも、共用試験と医学生による医行為を公的なものにすることに加えて、医師国家試験を抜本的に見直し、出題内容は診療参加型臨床実習に即したものに限定し、知識を試す試験であるCBTと差別化を提案している。新井氏は、「医学部6年生の時期を、医師国試の受験勉強のために台無しにしてはいけない」と指摘し、私見として、「(6年生の)12月ギリギリまで臨床実習を行い、1月に受験勉強、2月に医師国試を受ける」といったスケジュールが想定されると説明した。

 卒前の医学教育が充実すれば、必然的に卒後2年間の臨床研修も変わる。「臨床研修1年目は医学教育に、それに伴い2年目には専門研修が、それぞれ前倒しされることになるだろう」(新井氏)。WGの提言案に対しては、幾つかの質問が出たものの、支持する意見が複数出た。

 以前からCBTと医師国試の重複、医師国試対策のための受験勉強のために、診療参加型臨床実習を充実させても、いったん臨床現場から離れることになるなど、卒前と卒後の医師養成の“分断”が問題視されてきた。医師国試の見直しや臨床研修、専門研修の前倒しまでには一定の時間がかかると見られるが、シームレスな医師養成の第一段階として、医行為の改訂と法的位置付け、共用試験の制度化は、大きな一歩と言える。

 80大学で共用試験を実施、臨床実習後も2020年度から

 20日の会議で、厚労省は卒前・卒後の一貫した医師養成の見直しの論点として下記の二つを提示。

○医学生が行える医行為の整理や医学生の共用試験、臨床実習、医師国家試験および医師臨床研修の在り方
○医学教育モデル・コア・カリキュラムと臨床研修の到達目標の内容の整合性やこれらの見直し時期の在り方
 実際、既に卒前・卒後の医師養成のシームレス化の準備は進んでいる。共用試験は全国80の医学部・医科大学で実施、臨床実習修了後の「Post-CC OSCE」も2017年度は23大学でトライアルを実施、2019年度には全国の大学でトライアル予定であり、2020年度から正式実施の予定だ。2020年度に改訂予定の臨床研修の到達目標は、2017年3月に改訂した医学教育モデル・コア・カリキュラムと整合性が取れるように検討している。課題は両者の見直し時期が一致していない点であり、今後の検討課題となる。

 厚労省の論点提示に呼応する形で、紹介されたWGの提言案は以下の通り。

1. 共用試験(CBT、OSCE)を公的なものにする。
2. 診療参加型離床実習の実質化を図り、Student Doctorとして学生が行う医行為を法的に担保する。
3. 国家試験を抜本的に見直す。すなわち、国家試験への出題は診療参加型臨床実習に即したものに限定し、CBTとの差別化を明確にする。
4. 1~3が確実に実施されれば、必然的に臨床研修の在り方も大きく変革しなければならず、臨床研修を卒前教育・専門医研修と有機的に連動させるべく、その内容を見直す必要がある。

 医学生による医行為について、NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「医学生が医行為を行う際に、一番戸惑うのは患者。患者が置き去りになることは避けてもらいたい」と指摘。新井氏は、「患者の同意を得た上で、医学生が医行為を行うのは当然。患者の立場を配慮した上で実施する」と説明し、理解を求めた。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「すばらしい提言だと思っている」と評価しつつ、診療参加型臨床実習の時間が増えるのに伴い、リベラルアーツ教育が手薄になる懸念を呈した。これに対し、新井氏は、医学部1、2年などに実施していたリベラルアーツの授業時間は減るものの、一方で6年間の医学教育を通して同時並行的にさまざまな手法でリベラルアーツ教育を取り入れ、プロフェッショナルリズムを涵養していくとした。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、医師国試について質問。共用試験は、公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構が担当し、各大学共通の評価システム、かつプロフェッショナルオートノミーで実施していることなどから、それに見習った医師国試改革の可能性を質問。同機構は、問題をプールし、受験生ごとに異なる問題をコンピューターでランダムに出題するCBT、問題の難易度等を調整したIRTという評価、OSCEの際の外部評価などを実施している。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、医師国試についても4年ごとに改善を進めているとし、渋谷氏の提案を今後検討していくと回答した。

 海外の大学卒の「予備試験」が問題に

 そのほか話題になったのが、医師法10条に定める予備試験。同条は「医師国家試験及び医師国家試験予備試験は、毎年少くとも1回、厚生労働大臣が、これを行う」と定めている。

 その趣旨を質したのは、日本医師会副会長の今村聡氏。武井課長は、「海外の医学校を卒業し、日本の医師国試を受ける際に行うのが予備試験」と説明。

 「外国人ではなく、日本人の受験者がとても増えている。3年前は30人くらいだったが、100人くらいに増えており、今後の医師養成の在り方に影響してくるのではないか」と質問したのは山口氏。武井課長は、年によって相違はあるが、現在は80、90人ほどであると説明。「医師国試を受けるのは、年約9000人であり、その1%未満。今後、その推移をフォローし、医師養成の中で予備試験の在り方を考えていく」(武井課長)。

 山内氏は、“2023年問題”への対応、つまり世界医学教育連盟(WFME)の基準に準拠した分野別認証を受けるために、日本医学教育機構(JACME)による評価を日本の医学部・医科大学は受審する必要があることから、「予備試験を受けるためには、この基準をクリアした医学部の卒業生に限るとなってくるのか」と質問。武井課長は、「予備試験や医師国試については、“2023年問題”などグローバルの流れの中で今後検討していく」と回答した。

 日本専門医機構理事長の吉村博邦氏の代理で出席した、同機構副理事長の松原謙二氏(日医副会長)は、10月に米シカゴで開催された世界医師会(WMA)総会での話題を提供。「世界的に医学部新設の動きがあり、その教育の質をいかに保証するかが問題になっている」と説明、医師国試に合格しさえすればいいのではなく、質保証された医学教育を受けた医師養成の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/564109
「在宅医療診療GL」をけん制、鈴木日医常任理事
厚労省全国在宅医療会議WG、エビデンス蓄積に向け小委員会

レポート 2017年10月20日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の第4回全国在宅医療会議ワーキンググループ(座長:新田國夫・全国在宅療養支援診療所連絡会会長)は10月20日、「在宅医療診療ガイドライン」作成の進捗状況が報告されたが、日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「在宅医療ありきという内容になっているのではないか。入院と外来、在宅のいずれかの医療を選択できるような体制が必要であり、一方的に出てきたガイドラインが独り歩きすると問題」とけん制、その取り扱いについては慎重な対応が必要だと指摘した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「在宅医療診療ガイドライン」は、日本老年医学会、日本在宅医学会、国立長寿医療研究センターが主体となり、作成を進めている。訪問系医療・介護サービスに関する33のクリニカルクエスチョン(CQ)について、有効性に関するエビデンス収集が目的。2016年から作成を進め、2018年1~2月には外部評価・パブリックコメントを求め、4月には公開予定だ。

 鈴木氏は、例えば、「肺炎患者に、訪問診療による治療は入院治療に比較して有効か?」というCQを挙げ、患者の状態や家庭環境などさまざまな要因に左右されることから、「非常に単純化されている」と指摘。在宅医療を推進する上でも、入院治療と対立構造にしない方がいいとした。

(2017年10月20日の全国在宅医療会議ワーキンググループ資料)

 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の辻哲夫氏も、「基本的には在宅医療は、入院せずに在宅にいたい、という患者向け。『Yes or No』などと単純に結論が出るものではないので、従来のガイドラインよりも幅の広いものと考え、議論してもらいたい」と求めた。

 「在宅医療診療ガイドライン」作成に携わっている国立長寿研究医療センター在宅連携医療部の三浦久幸氏は、「現在のCQは、在宅療養中の何らかの疾患を有する患者に対する訪問系医療・介護サービスの有効性に関するエビデンスを収集するもの」とし、病院から在宅への移行等のエビデンスには欠けているなどの限界はあると説明。その上で、「日医など関係団体にチェックしてもらった上での発表になると思う」と述べ、理解を求めた。

 同じく「在宅医療診療ガイドライン」作成メンバーである日本老年医学会の飯島勝矢氏は、前身の「在宅医療に関するエビデンス・統計的レビュー」(2015年3月発行)を引き継いだ取り組みである上、疾患系のガイドラインとは異なり、エビデンスが少ないことから、「ガイドラインという名前を付けていいのか、議論があった」と説明。「ガイドラインとの名前を付けているが、(訪問系医療・介護サービスについて)今まで何が言われているのか、どこが弱いのかなど、今後研究を進めていくに当たって、スタートラインに立つ情報を集めている段階」(飯島氏)。

 その上で、飯島氏は、「機動的な小委員会」の立ち上げを提案。新田座長も支持した。今後、新田座長が中心となる小委員会で、別途、訪問系医療・介護サービス等に関するCQ設定やエビデンス蓄積などを行っていく見通し。飯島氏ら、「在宅医療診療ガイドライン」作成メンバーも加われば、小委員会での意見が同ガイドラインにも反映されていくものと見られる。

全国在宅医療会議ワーキンググループは、今年3月以来の開催。

 在宅医療連携モデル構築に向け調査

 厚労省は2017年3月、在宅医療の推進に向けて、各関係者が重点的に対応すべき「重点分野」を策定した(『在宅医療、二つの「重点分野」で推進』を参照)。(1)在宅医療に関する医療連携・普及啓発モデルの構築、(2)在宅医療に関するエビデンスの蓄積――の2つだ。20日の会議は、厚労省の取り組みなどの進捗状況を確認する目的で開催された。

 厚労省は、以下の3点について報告。

・在宅医療連携モデル構築のための実態調査事業
 10~15地域の連携モデル地域を選び、各医療機関の実務実態に関する調査を実施。10~11月にかけて調査対象地域を選定、2018年1月調査実施、2月集計・分析等、3月報告書作成というスケジュールを予定。

・人生の最終段階における医療の普及・啓発等の取り組みに関する、自治体への実態調査
 2017年2~3月に、都道府県と市区町村を対象に調査を実施。住民に対する普及・啓発を目的とした資料(パンフレット等)を「作成」「現在作成中」の都道府県は3割弱、市区町村は1割弱。資料作成・配布の効果を実感している自治体がある一方、取り組みが遅れる自治体もあることなどが明らかになっている。

・在宅医療にかかる地域別データ集の作成
 在宅医療に関連する統計調査等のデータについて、 1741 の基礎自治体別に再集計し、集約したデータ集であり、10月20日付でデータを追加(訪問診療・看取りを実施している病院数および実施件数、往診を実施している診療所・病院数および実施件数など。厚労省の「在宅医療にかかる地域別データ集」)。



https://www.m3.com/news/general/563157
【千葉】建て替え“待ったなし” 市立柏病院、深刻な老朽化
地域 2017年10月16日 (月) 千葉日報

 人口約42万人を擁する柏市の北部、布施地区に位置する市立柏病院。移転建て替え計画の凍結を経て、市は今夏、今後の建て替えの方向性は2019年度以降に判断する方針を示した。18年度内に新病院開院を目指していた当初の計画が大幅に先送りされる見通しだ。深刻な老朽化から建て替えは“待ったなし”の状況だが、早期に現地建て替えを求める住民側と、慎重姿勢を崩さない市側の議論は平行線をたどる。15日告示、22日投票の市長選を前に、同病院を巡る現状と課題を探った。(柏支局 花村愛弓)

 1993年に開院した同病院。市北部を代表する医療機関の一つだが、前身・旧国立柏病院時代の建物を使用しているため、病棟や外来棟は築40年を超える。

 迅速な現地建て替えを訴える市民団体「市立柏病院現地建替え対策委員会」の手塚建二事務局長(75)は「昔ながらの構造は動線が悪く、救急車も2台続けて進入できない。大型化する最新医療機器の使用の妨げにもなっていると聞く」と指摘する。

◆移転計画が白紙

 こうした状況を踏まえ、市は2014年、現地から約4キロ離れた柏の葉地区への移転新築計画を表明。同病院を管理する市医療公社管理課は「医師確保の実現性が高く、他病院や研究機関と連携した医療提供が可能と見込んだ」と話すが、布施地区の住民らの反対を受けて白紙となった。

 振り出しに戻った計画を前に、市は専門家らが同病院の在り方を検討する「市立病院事業検討専門分科会」を設置。審議を通し、同病院が抱える課題が改めて浮き彫りになった。

 その一つが、小児科病床の不足だ。分科会の調査によると、15年度の市内入院患者数(0~14歳)は、1日当たり89・5人だが、市内の小児専用病床は62床。小児科の入院(二次医療)に未対応の同病院は、体制整備が急がれる。

 財政状況も無視できない。建て替えに伴う事業費は約100億~125億円と試算されるが、現在の病床利用率約70%が続く場合、新病院開院時には経常損益が赤字になる危険性も。また、小児二次医療の確立には医師の確保が必須だが、同病院は駅から遠く、医師招聘(しょうへい)の重石となっている。

◆現地か明言避ける

 分科会が8月に市へ提出した答申では「病床利用率の達成(17年度75%、18年度80%)」などが建て替え条件とされ、「建設地は現在地が望ましい」とする付帯意見も提出された。市は「答申通り経営状況を見て、19年度以降に方向性を判断する」とし、現地か否かの建設地については、一貫して明確な言及を避けている。

 手塚事務局長は「条件は努力目標とすべき。市長は議会の質疑で『条件クリア後、直ちに建て替えるのか』という質問に『改めて審議する』と答えた。移転が頓挫し、公立病院を基幹とする医療施策を放棄しかけているのでは」と主張する。

 一方、市は「巨額の税金を投入し建て替えた後、医師は集まらない、経営は赤字、となっては困る」と強調。同課も「今は条件達成に向け、病院全体が一丸となり努力している」と理解を求める。

 だが、患者が抱く老朽化への不安も切実だ。定期的に同病院へ通院している同市の無職女性(78)は「お世話になっているが、診療室と検査室が離れていて高齢者にはつらい。入院になったとき、耐震面でも不安がある」と複雑な胸中を明かす。

 実際、病棟の構造耐震指標値は基準を約0・06ポイント上回るのみ。市は「建て替えまでは修繕で対応」とするが、答申は「限界値に近い。大規模修繕では対応しきれない」と指摘している。

 市長選では、3期目を目指す現職の秋山浩保氏(49)が答申尊重の姿勢。鈴木清丞氏(58)、坂巻重男氏(68)の2新人は「現地で早期建て替えの実現」を主張するが、同病院の周辺は住宅地で、敷地内には介護施設もあり、仮設地確保や騒音対策も重くのしかかる。手塚事務局長は「柏病院の周辺は医療機関が少なく、現地以外に選択肢はない。もう待てない」と語気を強める。

 地域に欠かせない医療機関。時代を見据え長期的に維持しつつ、発展させていくための最良策をどう導き出すか。リーダーの手腕が問われる。


  1. 2017/10/22(日) 06:09:25|
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10月15日 

https://dot.asahi.com/dot/2017101100086.html
連載「メディカルインサイト」
舛添要一氏が医師や官僚から評価されていた理由 既得権益との闘いが実を結ぶ

上昌広2017.10.13 07:00dot.#朝日新聞

「医療崩壊」あるいは「医師不足」という単語を含む全国紙の記事数の推移。医療ガバナンス研究所作成
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 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医学部の定員を増やすことに尽力した人物について言及している。

*  *  *
 日本の医師不足は明らかであり、早急に若手の医師を増やす必要があります。そのためには、医学部の定員を増やすか、医学部を新設しなければなりません。

 ところが、これがなかなか進みません。

 医学部の定員を増やす、あるいは医学部を新設するには、政府の規制を緩和しなければならず、政治や行政を動かす必要があります。ところが、医師を増やそうとすると、それに反対し、抵抗する人々が出てくるのです。

 かつてそうした勢力と闘った一人が、前東京都知事の舛添要一氏でした。

 舛添氏は政治資金の使い途を追及され、都知事職を辞任しました。私自身も納税者の一人として、資金の使途や舛添氏の振る舞いは不適切なところがあったと考えています。

 しかし、政治家としては卓越した能力を持っていたと思います。厚労大臣として成し遂げた仕事の中には特筆すべきものがあります。医学部の増員を決めたのは彼だからです。

 日本経済新聞の報道によると、舛添氏が医学部定員を増やそうとしたとき、文部科学省(以下、文科省)に出向中だった医学教育課長ら、医師免許を持つ厚労省の幹部官僚が、東大などの医学部に「医師はなるべく増やさない方向で頼みます」と電話して回ったことが判明しています。

 厚労省の幹部官僚から、直接電話で「依頼」された国立大学の医学部長たちは悩んだはずです。厚労大臣は大きな権限を持ちますが、任期は通常1~2年です。一方、幹部官僚は、その人物が退官するまで、研究費の工面や審議会の人選などで「お世話」になります。大臣と幹部官僚の板挟みにあった場合、通常は官僚に与します。

 しかし、高級官僚が大臣の意向に反し、自ら管轄する業界に指示することは、公務員としての職務義務違反です。このことは、舛添氏の部下たちの働きかけもあったのでしょう、2008年10月10日、日本経済新聞が朝刊の一面で報じ、大臣に対して面従腹背の厚労官僚の姿が国民に曝されました。

 厚労省内の一部の官僚たちが舛添氏を応援したのは、07年8月の厚労大臣に就任後、誠実に勤務する姿が彼らの信頼を得たからです。

 当時、舛添氏は官僚の準備した資料に目を通し、自らの外部人脈も使い、厚労行政一般を勉強していました。官僚たちの説明を自分なりに理解し、わからないところは質問していました。地道な努力が舛添厚労大臣と厚労官僚の相互理解を深めたのです。

■医学部1500人増員の決定まで

 日本医師会など医療業界団体にとっての共通の敵は「規制緩和」でした。

 特に、医学部定員の増員は、将来的に自らのライバルを増やすことになりますから、絶対に承服できない話でした。

 彼らは舛添厚労大臣が、医学部定員増員を持ち出した途端に、一枚岩となって反対し始めました。

 こうした「抵抗勢力」に対抗するには、世論を味方につけるしかありません。舛添氏にとって幸いだったのは、06年の福島県立大野病院産科医師逮捕事件以降、社会の医療への関心が高まっていたことです。現に、07年に民主党が躍進した参議院議員通常選挙では、医療が主要なテーマとなりました。

 舛添氏が大臣に就任した時点で、すでに「医師不足」に対する社会的合意が形成されつつありました。

 当時の全国紙で「医療崩壊」、あるいは「医師不足」という単語を含む記事の推移を図に示します。舛添氏が厚労大臣を務めた期間は、「医師不足」や「医療崩壊」が連日のようにマスコミを賑わせていたことがわかります。

 さらに、08年10月には、東京都立墨東病院でたらい回しされた妊婦が死亡する事件が起こり、マスコミは連日のようにこの事件を報じていました。

 舛添氏は、こうした世論を背景に、日本医師会やその意向を受けた族議員の抵抗を抑えることに成功したのです。

 舛添氏は、参議院での与野党逆転の情勢も利用しました。当時、舛添氏は、後に民主党の医療政策をリードすることになる仙谷由人・元官房長官や鈴木寛氏(後の文科副大臣)と太いパイプを持っていました。仙谷氏や鈴木氏は、医師を増員すべきと考えており、彼らが中心になり作成した民主党のマニフェストは、ほぼ舛添氏の考えと同じでした。

 こうして、08年6月17日に、1997年の医学部の定員削減の閣議決定を撤回させることに成功しました。同日の記者会見で舛添氏は、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80〜90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べて、必要な医師数に関する具体的な数字を挙げました。

 翌日には、超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長:尾辻秀久・参議院議員)が、舛添厚労大臣を訪問し、医学部定員を毎年400人ずつ増やし、現在の8000人を10年後に1万2000人にまで増やすことを提案しました。

「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」は、民主党の仙谷氏や鈴木氏らが主導したものです。

 舛添氏は参議院で半数に近い民主党と連携することで自民党内の族議員を牽制しました。自民党の退潮、民主党の躍進という政治状況をうまく利用し、日本医師会や厚労官僚の抵抗を押しきったのです。この結果、2016年3月現在までに約1500人の医学部定員が増員されることになりました。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.m3.com/news/iryoishin/562527
医療従事者の需給に関する検討会
「医師確保」に新計画、医療法に位置付けを検討
厚労省提案、「医師の偏在度合い」も見える化

2017年10月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は10月11日、「医療従事者の需給に関する検討会」の第12回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に、医師偏在対策として「医師確保計画」を医療法上に新たに位置付け、都道府県が医療審議会で計画を策定、地域医療対策協議会や地域医療支援センターを活用し、計画を実行するというスキームを提案した(資料は、厚労省のホームページ)。

 現在でも医療計画には「医療従事者の確保に関する事項」の記載が求められるが、都道府県によって内容にばらつきがある。また医師確保対策関連の施策や会議体が複数あり、必ずしも効率的かつ実効性のある施策が実施されているとは言えないのが現状。これらの問題を解決するため、医療計画の一部として「医師確保計画」を策定、(1)都道府県内における医師の確保方針、(2)「医師偏在の度合い」に応じた医師確保の目標、(3)目標の達成に向けた施策の内容――を具体的に盛り込むのが厚労省の提案だ。
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(2017年10月11日の「医師需給分科会」資料)
 (2)の「医師偏在の度合い」については、厚労省が全国統一指標を作成、2次医療圏別のデータ作成を目指す。このデータを基に、都道府県知事が、都道府県内の「医師多数区域(仮称)」と「医師少数区域(仮称)」を指定し、「医師多数区域」から「医師少数区域」への移動を促すなど、具体的な医師確保対策に結び付けることを目指す。

 「医師確保計画」を実現するための(3)の具体策の一つが、地域医療支援センターが行う「キャリア形成プログラム」。対象は、地域医療に従事する義務年限がある医学部の「地域枠」の医師、あるいは修学資金を受けた医師など。2008年度以降の医学部の定員増に伴い、地域枠等の入学者が順次卒業、臨床研修を終え、地域医療に従事し始めており、「医師確保計画」を踏まえながら、へき地等の勤務もしつつ、キャリア形成も可能になるよう、派遣調整を行うことを想定している。

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(2017年10月11日の「医師需給分科会」資料)
 「医師偏在の度合い」は、医学部の「地域枠」や初期臨床研修のマッチングの際などにも活用する予定。例えば、「医師不足区域」と判断された場合には、都道府県知事が大学に対し、入学枠に地元出身者枠を設けることを要請する仕組みなどが案として挙がった。また「地域枠」等の医師のマッチングについては、診療義務が課せられた地域(都道府県)で勤務できるよう一般とは分けて実施するが、「医師多数区域」と判断された都道府県は「一律ではない慎重な検討」をする方向性などが提示された。

 都道府県の実施体制強化に異論なし
 以上のような地域医療対策協議会や地域医療支援センターによる「医師確保計画」をベースとした都道府県の医師確保対策の実施体制の強化については、構成員からは異論が出なかった。

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(2017年10月11日の「医師需給分科会」資料)
 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、医療計画が導入された1985年から30年以上、都道府県では有効な対策が講じられなかったものの、2018年度から国民健康保険の財政運営の責任主体が市町村から都道府県に移管することを踏まえ、「国保の保険者として、医療提供体制に責任を持つ立場になる」と指摘、都道府県がどう変わるかが注目されるとした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「医師確保計画」を医療法上で位置付けることなどを支持。ただし、地域医療支援センターが行う「キャリア形成プログラム」は、現時点では公的医療機関への派遣調整が多いことから、「公私の区別なく、地域枠の医師を派遣調整するよう、明記してもらいたい」と求めた。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「医師確保計画」の具体例が分かるように、好事例を紹介するなどの取り組みを要望した。

 医師のキャリアに配慮したプログラムを
 地域医療支援センターが行う「キャリア形成プログラム」をめぐっては、日本医師会副会長の今村聡氏が、「医師の働き方改革が問題になっている。勤務環境改善が進んでいる医療機関に医師を優先的に派遣することは必須」と述べ、医療勤務環境改善支援センター(医療法の努力義務として、都道府県が運営するセンター)との連携の必要性を指摘。

 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏は、「キャリア形成プログラム」において、「医師確保」という意図が前面に出ると「魅力が薄れてしまう」と指摘。医師のキャリアアップにも配慮しながらプログラムを組むことが必要だとし、厚労省が例示した徳島県の取り組みを評価した。さらに地域枠以外でも、初期研修や専門研修の開始時、さらに専門研修修了時などのタイミングで、出身地に戻る医師もいることから、「幅広く地元につながりのある医師に目配りしていくことが必要」と述べた。

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(2017年10月11日の「医師需給分科会」資料)

 「医師偏在の度合い」、小児科、産婦人科は診療科別でも
 「医師偏在の度合い」とは、2次医療圏単位で、医師の多寡を全国ベースで客観的に比較・評価することができる指標。(1)医療需要(ニーズ)、(2)将来の人口・人口構成の変化、(3)医師偏在の度合いを示す単位(区域、診療科、入院/外来)、(4)患者の流出入、(5)医師の年齢分布、(6)へき地や離島等の地理的条件――などを考慮して作成する。(3)で、小児科と産科については、標榜科と医療行為の関係が明確なことから、診療科単位での設定も想定。

 「2025年とあるが、医師育成には10、20年かかる。2025年のみを想定して設定すると、『医師が足りない』などともなりかねない。さらに10年先も見通したらどうか」(日本医師会常任理事の羽鳥裕氏)、「高齢化と人口減がある地方では、医療ニーズが減少するために厳しい。『セーフティーネットとして最低限、これだけの医師が必要』という視点をぜひ入れてもらいたい」(神野氏)、「地方では総合診療専門医などが必要とされる。どんな医師を育成するのかと言う視点も含めて議論してもらいたい」(国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏)といった意見が挙がった。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201710/553210.html
厚労省、必要医師数踏まえた偏在状況の見える化を推進
都道府県に「医師確保計画」の策定を義務付けへ

2017/10/12 加納亜子=日経メディカル

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」は10月11日に会合を開き、医師の偏在是正策における都道府県の役割について議論した。この日の会合で厚労省は、医療法を改正して都道府県の医療計画の一環に、「医師確保計画」を位置づけること、都道府県ごとに診療科別の医師偏在状況を把握するための「指標」を新たに設定することを提案。委員からの反論はなく、大筋で合意が得られた。

 厚労省は前回までの議論で、医師偏在対策の主な論点として(1)都道府県主体の実効的な医師確保対策、(2)外来医療の提供体制のあり方、(3)医師養成過程と医師偏在対策――などを提示。これらの具体案を年内に取りまとめる予定だが、今回、(1)の医師確保対策の具体案が示された形だ(参考記事)。

 現在、各都道府県は、それぞれに医療計画を策定し、それに基づいて地域の医療提供体制の確保を行っている。しかし、このほどの厚労省の調査で、多くの都道府県の医療計画に十分な現状分析や個別対策が盛り込まれておらず、実効的な医師偏在是正策を策定できていない状況にあることが明らかになった。

 そこで厚労省は、今後の各都道府県の医療計画に、(1)都道府県内における医師の確保方針、(2)医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標、(3)目標の達成に向けた施策内容――についての一連の方策「医師確保計画」を記載することを法律上に明確に位置づける方針を提案した。

 そして医師確保計画の実効性を高めるため、厚労省はこれまで地域医療対策協議会や都道府県医療審議会などと様々な形態で開催されていた各種会議体を地域医療対策協議会などに一元化することを提案。医師の派遣先の調整や、地域枠の医師などのキャリア形成支援などについてもこの協議会で議論をする方針を示した。

 さらに厚労省は、都道府県が医師確保計画を策定する際の目安となるよう、客観的に比較・評価可能な医師偏在度合いを示す全国統一の「指標」を策定する案を提示。この指標は、(1)医療ニーズ、(2)人口や人口構成の変化に伴う将来の医療ニーズの変化、(3)設定区域(二次医療圏など)、(4)診療科、(5)入院・外来医療の状況、(6)患者や医師の流出入、(7)医師の年齢分布、(8)へき地や離島などの地理的条件――で構成される。

 この指標を作成することで、都道府県・医療圏ごとの医師の偏在状況が可視化され、地域枠などの医師派遣の仕組みや初期臨床研修のマッチング、専門医研修などの施策を結びつけやすくなる。結果的に医師が多い地域から少ない地域に医師が再配置されることを狙っている。

 同検討会ではこれらの方針に反対意見はなく、指標に追加するべき要素について次のような発言があった。「医師の養成には15年掛かる。それを見越して10年以上先の未来の需給状況についても算出すべきではないか」(日本医師会常任理事の羽鳥裕氏)。「医師数だけでなく医療の質も指標に加えるべきではないか。医師の経験年数や女性医師の働き方も踏まえての要素を考慮する必要がある」(ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏)。「地域では高齢化に加えて人口減少も急速に進んでいる。セーフティーネットになるよう最低限配置すべき医師の数も指標として示すべき」(全日本病院協会副会長の神野正博氏)。

 権丈善一氏(慶應義塾大学商学部教授)は、厚労省の提案に対して、「昔と違い、今は総医療費・総医師数が固定されている状況で、それをどう配分するかという議論になっている。医師は今後、不足する場所に異動していくしかない状況になる。かつてとは大きく情勢が異なる段階に来ていることを理解する必要がある」と厚労省の提案を支持する意見を述べた。

 検討会では、臨床研修への都道府県の関与についても議題に上った。

 厚労省は、地域医療の確保の観点から初期研修医の都市部への集中を現状よりも更に抑制する必要性を示し、大都市部の初期研修の募集定員倍率を現状の1.17倍(2016年)から2025年には1.05倍にまで減らす案を提示。それに伴って懸念される、病院間の競争の低下やマッチングの際のアンマッチ率の増加、採用実績数の減少についての対策を検討すべきとする議題を提示した。

 これに対し、岩手医科大学理事長の小川彰氏は、日本医師会と全国医学部長病院長会議が2015年にまとめた提言「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」を引用し、「医籍番号とキャリア動向を紐付けた医師動向のデータベースを作り、医師のキャリア動向を評価する仕組みを作ってはどうか」とコメント(参考記事)。厚労省がデータベースを現在構築中であることを説明したところで閉会となった。臨床研修への都道府県の関与については、次回以降、引き続き検討される見込み。


http://www.medwatch.jp/?p=16235
地域包括ケアを支援する病院の評価新設、資源不足地域での要件緩和を―地域医療守る病院協議会
2017年10月12日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定において、地域包括ケアシステムを支援する【地域包括ケア支援病院】を新設するほか、医療資源の少ない地域において、例えば【感染防止対策加算】や【褥瘡ハイリスク患者ケア加算】などの人員要件などを緩和した報酬区分を設けるべきである—。

全国自治体病院協議会・全国厚生農業協同組合連合会・全国国民健康保険診療施設協議会・日本慢性期医療協会・地域包括ケア病棟協会の5団体で構成された『地域医療を守る病院協議会』が10月11日、こうした要望項目をまとめたことを公表しました(関連記事はこちら)。10月中にも厚生労働省保険局に要望書を提出する考えです。

ここがポイント!
1 地方では、要件を一部満たさない場合に「診療報酬の減額算定」など認めるべき
2 地域包括ケアシステムを支援する中小病院を診療報酬で評価すべき
3 地域によっては「特別の関係」にある施設しか連携先がないところもある

地方では、要件を一部満たさない場合に「診療報酬の減額算定」など認めるべき

 協議会は、地域に拠点を置く5つの病院団体が「地域医療の維持・確保」を目指して設立したもので、▼2018年度診療報酬改定▼医師偏在対策▼働き方改革—などについて意見をまとめ、厚労省などに働きかけていきます。
 
10月11日の会合では、主に2018年度診療報酬改定について議論、次の4つの柱に立て、具体的な要望項目をまとめました。

(1)医療資源が少なく人材を確保しづらい、また医療資源が少ないために機能分化が進みにくい地域での「算定要件の緩和」など
(2)地域包括ケアの推進など
(3)へき地などにおける費用増大への措置による応需体制の確保など
(4)その他

 
 まず(1)について全自病の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は「算定要件のうち、わずかでも人員が欠けていれば一切の診療報酬を算定できないが、オールオアナッシングなではなく、例えば『5人の人員が必要だが、4人しか確保できない』ような場合には、半額に減額した診療報酬の算定を認める」「医療資源の少ない地域において『専従』から『専任』への要件緩和を拡大する」ことなどを検討すべきと訴えています。具体的には、次のような要望をしてく考えです。

▼【感染防止対策加算】【褥瘡ハイリスク患者ケア加算】【地域包括ケア病棟入院料】の要件緩和

▼医療資源の少ない地域に配慮した評価の「対象地域」「対象医療機関」の範囲拡大と、継続(改定の度に地域・医療機関が見直されたので中長期的な人材育成などができない)

▼歯科を標榜していない病院での医科歯科連携の評価(地域の歯科診療所との連携も算定対象に加えることで、入院患者への適切な口腔管理が可能となる)

▼【地域包括ケア病棟入院料】の地域特性への対応(診療報酬上の緩和措置、主に『専従』要件を『専任』に緩和するなど)

▼【総合入院体制加算】の要件緩和(療養病棟入院基本料や地域包括ケア病棟入院料を届け出ていると【総合入院体制加算】を届け出できないが、地域によっては1つの病院で高度急性期から慢性期までを担わなければならない。地域の実情を踏まえた要件緩和を行う必要がある)

地域包括ケアシステムを支援する中小病院を診療報酬で評価すべき

 また(2)では、【地域包括ケア支援病院】の新設が必要と全国国診協の押淵徹会長(長崎県国民健康保険平戸市民病院長)が訴えました。地域包括ケアシステムは、要介護度が高くなっても住み慣れた地域で在宅生活を送れるよう、住宅・生活支援・医療・介護・健康の各サービスを総合的・一体的に提供するシステムですが、緊急時などの受け入れ病床を確保する「病院」の存在も重要です(いわば最後の砦)。

しかし押淵国診協会長は「病院が地域包括ケアシステムを支援しても何のインセンティブもない状態である。報酬で評価することで中小病院が地域包括ケアシステム支援に積極的になり、システム構築が推進される」と指摘。例えば、▽地域包括ケア病床や回復期リハビリ病床を有している▽急性期病床を有していても7対1を届け出ず、「地域医療支援病院加算」を算定していない▽24時間救急患者を受け入れている▽訪問看護・訪問診療・在宅看取りを実施している▽行政と協力した「地域内多職種研修会」を実施している▽地域ケア会議への専門職種派遣を行っている▽地域での健康講座(出前講座)を年6回以上実施している—などの要件を満たす病院を、【地域包括ケア支援病院】として診療報酬に位置付けるよう要望しました。
 
さらに、要支援者に対して市町村は地域支援事業(要支援者に対する訪問介護サービス・通所介護サービス【介護予防・日常生活支援総合事業】、在宅医療・介護連携支援、認知症施策推進、地域包括支援センターなど)を提供しますが、ここに地域包括ケア支援病院がスタッフ派遣するなどの協力を行うことを介護報酬面でも評価することも提案しました。地方では市町村のマンパワーも限られており、ここに病院が協力することで、地域支援事業が円滑に拡充していくことも期待されます。
なお、この点に関連して仲井培雄地ケア協会長から「▼生活圏▼診療圏▼通勤圏―が同一の地域で一定期間、医療提供を行わなければ地域包括ケアを理解することはできない」という指摘があったことが紹介されました。例えばA地域に、近隣のB都市部から医師が通勤しても、なかなかA地域で求められる地域包括ケアを把握することはできず、A地域に暮らし(生活圏)、A地域の医療機関に勤め(通勤圏)、A地域で診療する(診療圏)ことを一定期間経験することで、やっと地域に求められる医療が理解できるといいます。これは、今後議論される「医師偏在対策」においても重要な視点の1つとなりそうです(邉見全自病会長らは「医師不足地方での一定期間の勤務経験を医療機関管理者要件に加えるべき」と訴えている)。

地域によっては「特別の関係」にある施設しか連携先がないところもある

さらに(3)では、▼【へき地加算】設(【離島加算】18点を参照して、16点程度を要望)▼【データ提出加算の増点】(地方では人材確保が困難ため)―を、(4)では▼「特別の関係」規定の廃止・緩和▼介護保険の訪問看護における交通費算定―を要望する考えです。

このうち「特別の関係」とは、▼同一法人▼開設者や代表者が同一あるいは親族関係にある―ことなどを指し、例えば「医療機関同士もしくは医療機関と介護老人保健施設が特別の関係にある場合には、診療情報を提供しても【診療情報提供料】を算定できない」「入院医療機関と在宅療養を担う訪問看護ステーションが特別の関係にある場合には【退院時共同指導料】を算定できない」といった規定が置かれています。しかし邉見全自病会長は、「地域によっては、医療機関と老健施設がそれぞれ1つずつしかなく、同一法人(つまり特別の関係)であるケースもある。この場合に診療報酬の算定制限などがなされてしまうのは厳しい」と述べ、地域の実情を踏まえた「廃止」「緩和」を検討するよう訴えています。

  

http://www.huffingtonpost.jp/foresight/eastern-european-medical-studies-japan_a_23234538/
「海外医学部」留学希望が急増する「医学教育」の情けない実情--上昌広
どうしても医者になりたい若者の中には、海外に飛び出そうとする者も出てくる。

2017年10月07日 15時10分 JST | 更新 2017年10月07日 17時42分 JST ハフィントンポスト

石川甚仁君という学生がいる。ハンガリーのセンメルワイス大学に通う36歳だ。日本の大学を卒業。社会人経験を積んだ後、医学の道を志した。

なぜ、ハンガリーなのか。石川君は「私にとって最適な医学部だったから」と言う。どういう意味だろうか。本稿では、その背景をご紹介したい。

急速に「難化」している地方医学部
いまさら言うまでもないが、医学部進学は狭き門だ。

我が国には82の医学部(大学校である防衛医大を含む)があり、そのうち31は私大医学部だ。6年間の学費は、もっとも安い国際医療福祉大学(千葉県成田市)で1850万円。もっとも高い川崎医科大学(岡山県倉敷市)は4550万円もする。開業医など一部の裕福な家庭を除き、子弟を進学させることはかなり困難だろう。

対して、我が国に50校存在する国公立大学の6年間の学費は約350万円。私立大学と比較すると格安だが、こちらは学力の面で入学するのが難しい。冒頭の図1は2016年の医学部の偏差値を比較したものだ。いまや地方大学の医学部の偏差値は東大理科1類と変わらない。

近年、医学部は急速に「難化」している。図2は、1986年と2016年の国公立大医学部の偏差値の変化を示している。比較のため、東大理1も示した。山梨大学、弘前大学などの地方大学の医学部が急速に難化していることがお分かり頂けるだろう。

格差広がる「西高東低」
実は、国公立大学の医学部は偏在している。圧倒的な西高東低だ。首都圏(1都3県)の人口は3613万人だが、国公立の医学部は4つ(東京大学、千葉大学、東京医科歯科大学、横浜市立大学)しか存在しない。一方、人口385万人の四国には4つの医学部があり、すべて国立だ。

私は、このような偏在は戊辰戦争の後遺症だと考えている。我が国の名門大学の多くは戦前に設立された。医学部の場合、戦前に17校が存在した。多くは江戸時代の藩の医学校から発展している。東京大学は江戸幕府の医学所、九州大学は福岡藩の賛生館という具合だ。

幕末、西洋列強の侵略を怖れた幕府や諸藩は藩校を整備し、蘭学を学ばせた。その中心が医学だった。このような学校が、その後、国立大学へと発展した。戦前までに九州に3 校の官立医学部(九州大学、熊本医科大学、長崎医科大学)があったのに対し、首都圏には東大と千葉医科大学(現・千葉大)、東北地方には東北大学、甲信越には新潟医科大学(現・新潟大学)だけしかなかった。

高度成長期、無医村解消を目指し、1県1医大政策が推し進められたが、これがさらに偏在を悪化させた。

西日本には小さい県が多いため、結果的に地域全体として多くの医学部が新設される形になったからだ。1975年の千葉県の人口は415万人で、404万人の四国とほぼ同じだった。ところが、徳島県以外の3県に国立の医学部が新設されたが、千葉大学があった千葉県には医学部は新設されなかった。その後、千葉県の人口は622万(2015年)と49%も増えて、四国は人口が減った。この結果、さらに格差は拡がった。

首都圏で国公立の医学部が不足しているのを緩和したのは、私大医学部の新設だ。現在、我が国には31校の私大医学部があるが、このうち首都圏に16校が集中する。

この結果、首都圏の医学部と言えば私大医学部、というイメージが定着した。そのため、普通の家庭で育った若者にとって、医学部は極めて狭き門となってしまった。図3は、18歳人口あたりの国公立の医学部定員を示したものだ。

地方大学は「地域密着」
読者の中には、「医師を目指すなら、首都圏にこだわらず、全国どこの医学部に行ってもいいだろう」とお考えの方もいらっしゃるだろう。

確かに、その通りだ。ところが、医学部に限らず、大学の多くは地元出身者で締められる。大学は、どこも「地域密着」なのだ。東大の関東出身者、京都大学や大阪大学の近畿地方出身者は、例年6割弱だ。九州大学や名古屋大学は7割以上を地元出身者が占める。

余談だが、もっとも地元出身者が少ない、つまり全国から学生があつまるのは北海道大学と東北大学だ。いずれも地元出身者は4割程度である。その分布を示す。

両者の分布は対照的だ。東北大は隣接する関東地方からの入学者が多く、地元出身率が低下する。北大は全国から集まっている。富山県など日本海側が多いのは、北前船や入植の歴史の影響だろう。かくの如く、大学入学者は地域の歴史を反映する。

話を戻そう。首都圏の高校生が医師になりたいと希望した場合、多くは首都圏か東北地方の国公立の医学部を目指す。それで駄目な場合は諦めるか、西日本の医学部に進学する。ただ、偏差値は高く、合格は至難の業だ。

どうしても医者になりたい若者の中には、海外に飛び出そうとする者も出てくる。これが冒頭にご紹介した石川君だ。

人気高まる「東欧」
海外の医学部と言えば、ハーバード大学など米国の医学部を思い浮かべる方が多いだろう。

ところが、最近注目を集めているのは、東欧の医学部だ。ハンガリー、スロバキア、チェコ、ブルガリアの医学部には、すでに約370人の日本人が在籍している。石川君も、その中の1人だ。

EUでは、EU内のどの医学部を卒業しても、医師資格試験に合格すれば、EU内で通用する共通免許を取得することができる。

文化レベルが高い割に、物価が安い東欧諸国は、この点を利用している。ハンガリーの医学部定員は約2万人だが、このうち5000人程度を英語で教育している。学生の出身地で多いのは、ドイツ・イスラエル・北欧だが、日本人の学生も多い。現在、約400人が在籍しており、2016年度は78人が入学した。

彼らが東欧を選ぶ理由は、比較的入学しやすく、かつ学費が安いことだという。図6は、国内、米国、東欧の医学部で、入学から卒業までに必要な学費を示している。日本の私大医学部や米国の有名医学部と違い、東欧の医学部なら、日本のサラリーマン家庭でも十分に負担出来る金額であることがお分かりいただけるだろう。

「学校歴」ではなく「学歴」
幸い、物価も安い。石川君は「年間の生活費は120万円もあれば十分です」という。

今後、この傾向は加速するだろう。なぜなら、東欧諸国は医学教育を外貨獲得の手段と考えているからだ。ハンガリーには4つの医学部があるが、留学生が納める学費は1億ドルを超える。

世界の高等教育は急速にグローバル化しつつある。低コストで、ハイレベルの教育が受けられる大学には世界中から学生が集まる。医師のような業務独占資格の場合は、なおさらだ。

日本人は東京大学やハーバード大学卒業などの「学校歴」が好きだが、世界では「学歴」がものをいう。医師免許、MBA、博士号などだ。資格をとれば、あとは実力勝負である。

では、日本人が東欧での医学部進学を考えた場合の問題はなんだろう。それは、入学は容易だが進学が難しいことだ。

この点については、月刊誌『選択』2017年3月号に「東欧への『医学部留学』がブーム」という論文が掲載されている。コンパクトにまとまっており、ご興味のある方はお読み頂きたい。

ハンガリーの医学部には、毎年40名程度の外国人が入学してきた。ただし、石川君によれば、「ストレートで進学できるのは4割程度。3割は留年、残りの3割は退学する」という。

チェコも状況は同じだ。毎年75~90人の外国人が入学するが、無事に卒業できるのは40~50人だ。これまでに20人の日本人が入学したが、すでに6人が退学している。

チェコで2番目に古い歴史をもつパラツキー大学で学ぶ坂本遙さんは、同大学の特徴を「入学後の1年間で3割から5割が退学すること」と言う。1年生のときに単位を落とすことが認められていないため、2回まで受けることが出来る追試で合格しなければ、自動的に退学となる。退学となった学生の多くは、授業を受け続けながら、翌年に再受験する。ポーランドなどEU内で難易度の低い大学を受け直す学生もいる。このようなやりかたは、1年間をかけて入学者を選抜していることに他ならない。日本とは異なるシステムを採用しており、日本の医学部とは異なる特性をもつ学生が選抜される。

日本の大学より魅力的
では、日本から東欧の医学部に進学する学生の背景はどうなっているのだろう。

石川君が、彼がアプローチ可能であったハンガリーの医学部で学ぶ日本人留学生61名の背景を調査した。興味深い結果だった。

親の職業が判明した45人のうち、親が医者だったのは23人、それ以外が22人だった。

入学者の出身地で多いのは、関東地方29人、九州11人、近畿8人、中国地方5人という順だった。出身地と親の職業の間には、明らかな関連はない。

冒頭で、首都圏の高校生は、国公立の医学部に進学するのが難しいことを紹介した。私は、石川君に依頼して、各地方の国公立大学の医学部の定員枠と、ハンガリーの医学部に進学している学生の割合を比較してもらった。勿論、少数例の検討で、確定的なことは言えない。

ただ、私は、この結果を見て驚いた。首都圏の若者がハンガリーの医学部に進学しているのは予想通りだったが、四国・九州・中国地方が、ほぼ同レベルだったのだ。

四国・九州・中国地方など西日本の若者の医学部志向が、我々の予想以上に根強いことがわかる。現在、厚生労働省は将来的な医師過剰を危惧し、日本の医学部の定員を抑制しようとしているが、こんなことをしても、海外の大学に進学するだけのようだ。英語で教育を受け、EU共通の医師免許を取れるため、日本の大学より魅力的と言っていいかもしれない。

しかも卒業後は、日本の病院での勤務も可能だ。2013年以降、ハンガリーの医学部を卒業し、日本の医師国家試験を受験したのは56人。このうち、41人が合格しいている。合格率は73%。日本の医師国家試験の合格率は88.7%(2017年)だから、立派な数字だ。

激変する日本の医学教育
最近になって、東欧の医学部で学ぶ若者が多くのメディアで取り上げられるようになった。その代表がスロバキア国立コメニウス大学医学部在学中の妹尾優希さんや、ハンガリー国立センメルワイス大学医学部在学中の吉田いづみさん(2017年9月8日「秋篠宮親子のハンガリー訪問から見た日本」、2017年9月26日「ハンガリーの『元移民』から見た『ドイツ総選挙』の影響」参照)だ。夏休みなどで日本に帰国している際には、私どもの研究室で研修している。

吉田さんは、「灘や開成など有名進学校の学生からの問い合わせが増えました」と言う。彼らにとっては、日本の医学部以上に有望な存在に映るのかもしれない。

政府は大学教育の国際化を推し進めている。ところが、その効果はイマイチだ。日本の主要大学の世界ランキングは低下の一途を辿っており、その理由の1つに国際化の遅れが挙げられている。政府の迷走を尻目に、若者たちはボトムアップで国際化を進めている。日本の医学教育は激変の最中にある。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171011173854
医師偏在解消に指標を設定へ
医師確保計画案、需給分科会が大筋合意

2017年10月11日 17:59  CB news

 厚生労働省は11日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会に対し、都道府県内の医師確保の目標や方針などを規定する「医師確保計画」の案を示し、大筋で合意を得た。医療法を改正し、医療計画の一環として位置付ける見通し。都道府県内の医師偏在を把握する「指標」を新たに設定。それを使って医師の「少数区域」と「多数区域」に分け、医師確保対策に結び付けたい考えだ。【新井哉】

 医療法に基づき、都道府県は医療計画に「医療従事者の確保」を明記する必要がある。しかし、都道府県の中には、十分な現状分析や個別の対策を盛り込まず、実効性のある地域医療対策を策定できていないケースもある。

 こうした状況を改善するため、厚労省は、▽都道府県内における医師確保の方針▽医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標▽目標の達成に向けた施策内容―を盛り込んだ「医師確保計画」を医療計画の中に記載する必要があると判断した。

 また、「医師確保計画」の実効性を確保するため、医療需要、医師偏在の度合いを示す単位(区域、診療科、入院・外来)、将来の人口・人口構成の変化、医師の年齢分布などを考慮した「指標」を設定することを提案。これを参考にして都道府県内の偏在を可視化し、都道府県知事が医師の「少数区域」と「多数区域」を指定することで、「具体的な医師確保対策に結び付けて実行できる」とした。

 厚労省の案に対し、委員からは、医師の質などを指標に盛り込む提案があったほか、偏在対策を行う際、医師の派遣先が公立病院に偏らないよう配慮を求める意見も出た。



https://www.m3.com/news/iryoishin/560237
地域医療構想でも病床数は減らない-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.1
地域包括ケアシステムが分かりづらい3つの理由

2017年10月10日 (火)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 医師出身の医療政策・経済学者として、長年にわたり日本の医療政策を分析してきた日本福祉大学前学長で、現在は同大相談役・大学院特別任用教授の二木立氏。 今年3月に出版した『地域包括ケアと福祉改革』(勁草書房)では、地域医療構想、地域包括ケアシステムなど、医療界に大きな変化を与える政策について精緻な分析を行っている。二木氏にそれらの背景にある考え方や課題、そして近年の医療政策を検討する時に必要な視点を聞いた(2017年9月15日にインタビュー。全3回の連載)。

――医療機関の機能分化、連携を進めようとする「地域医療構想」という取り組みや動きに対してどのように評価されていますか。
 地域医療構想・地域医療連携には、私がかつてリハビリテーション専門医として実践・提唱したことがようやく具体化されたという面があると思っています。

 私は、1970年代後半~1980年代前半に東京・代々木病院にリハビリテーション医として勤務していました。今でこそ回復期リハビリテーション病棟が増えて、患者の取り合いという様相ですが、当時は一般病院(急性期病院)内にリハビリテーション専門病棟を持っている病院は全国的にも少なく、都内では代々木病院だけでした。そのため、たくさんの患者を受け入れるには在院日数を短縮するしかなかったです。


 しかしリハビリは一病院だけでは完結しません。急性期病院は在院日数も限られ、より長期間のリハビリを必要とする患者さんはリハビリ専門病院にお願いせざるを得ない。早期からリハビリをしても障害が重い人は自宅に帰れないこともあります。当時は特別養護老人ホームにはまず入れなかったので、老人病院などにお願いするしかありませんでした。自宅に帰れる人も、往診や訪問看護と連携を取っていました。このように必要に迫られて連携をし、全国各地で同じようなことが行われていました。

 私はリハビリの診療・臨床研究とともに、川上武先生(医師、医事評論家)の指導を受けながら医療問題の研究を二刀流で行っていました。病院の最年少理事として病院経営の近代化に取り組んだ経験もあり、連携の在り方について早くから論文化し、1985年には最初の単著『医療経済学-臨床医の視角から』(医学書院)を出版しました。この本では、当時の厚生省が1987年に発表した「国民医療総合対策本部中間報告」に先駆けて、病院の機能分化と施設間連携(今流に言えば「ネットワーク」形成)、平均在院日数の短縮と病院の一定部分の「中間施設」への転換等を主張しました。

――厚生労働省は今年度には、具体的な医療機関名を挙げて調整会議の場で議論することを求めています。
 厚労省が約束し、日本医師会が強調している当事者・関係者の“自主的な合意形成”を重視するステップ、手法が取られて行われるのなら、画期的と言えます。実際、多くの都道府県ではそれが守られています。ただ、ごく一部の県で、県に出向している厚労省の技官主導で病床削減ありきの地域医療構想が作られ、それに基づき議論が行われています。 典型なのは青森ですが、それ以外では強引にやっているところはほとんどないようです。

――地域医療構想の一連の取り組みの結果、地域の医療提供体制はどのように変わると予測されていますでしょうか。
 病院の機能分化は徐々に進みますが、病床数の大幅削減はなく、2025年も現状の134.7万床(医療施設調査)と大きく変わらないでしょう。

 2015年の社会保障制度改革推進本部「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の報告は、2025年の必要病床数を115万~119万床と推計しています。現状よりも約20万床削減されるとして、マスコミでも大々的に報じられ、病院関係者の不安も増幅しました。

 ここで注意すべきなのは、115万~119万床という推計は、「機能分化等をしないまま高齢化を織り込んだ」とする現状投影シナリオの152万床から33万~37万床の大幅削減を見込んでいることです。しかし30万床もの大幅削減は現実的ではありません。「135万床から変わらない」と予測すると、すごく保守的に聞こえますが、実質的には17万床が減ることと同じです。

 過去のトレンドから考えると、病床は無理に減らさなくとも、徐々に減少していくのです。全国的には2025年までは人口高齢化のために患者数は増えますが、既に人口減少が始まっている県・地域では、今後高齢者数も減少し、患者さんが減っていきます。在院日数の短縮で病床稼働率はじわじわ減少し、それに伴い病床数も少しずつ減少していきます。一部の地域では地域包括ケアシステムの整備により受け皿も確保できるようになり、厚労省の期待通りに「必要病床数」が減る可能性もあります。これらを勘案すると、実質17万床削減は十分にあり得る数字です。地域レベルで調整していければ、大きな問題は生じないと思います。もちろん、個々の病院の経営問題は別ですが。

――地域包括ケアシステムの推進も求められていますが、理解が進んでいるとは言えない状況です。
 地域包括ケアシステムが分かりづらいのには3つの理由があります。1つには2003年に提起されて以降、概念・範囲が変化し続けていることです。当初それは介護保険制度改革として提起され、介護サービスが「中核」とされました。そのために、医療の側からは「医療のパイが小さくなる」という心配の声もあったほどです。その後の地域包括ケアシステムの進化や深化の歴史は、医療の範囲が広がっていった歴史でもあります。最初は診療所と在宅医療に限定されており、今では信じられないと思いますが、看取りにも触れていなかったのです。しかし、今では急性期病院と入所施設の積極的な役割を認めています。

 2つ目には地域包括ケアの実態が「ネットワーク」であるのに、「システム」と命名されたことです。地域包括ケアシステムという言葉の命名者は、広島県の公立みつぎ総合病院院長だった山口昇先生です。確かに、「みつぎ方式」は全てが公立の施設・事業で構成された、病院を核とした「システム」でした。しかし、厚労省が2000年代初頭に想定していたのは、尾道市医師会のような医療と福祉、介護の連携事業であり、ネットワークです。「みつぎ方式」が採用されなかったのは、費用が極めて高額であるためと思われます。このように地域包括ケアの実態は「ネットワーク」であるのに、「システム」と呼ぶことで、理解を妨げている面は否めません。

 3つ目には、地域包括ケアには「保健医療系」と「(地域)福祉系」の2つの源流があることです。しかし、両者は一部の地域を除いては交流がほとんどなかったのです。研究者の世界も縦割りで、それぞれの対象を分析・紹介する傾向にあります。私は医療経済・政策学の研究者ですが、日本福祉大に長年勤務し、福祉系研究者とも日常的に研究交流をしており、早くから2つの源流に気づいていました。



http://www.medwatch.jp/?p=16263
2017年9月までに751件の医療事故が報告、院内調査は63.4%で完了―日本医療安全調査機構
2017年10月13日|医療・介護行政全般 MedWatch

 今年(2017年)9月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は35件。一昨年(2015年)10月に医療事故調査制度がスタートしてから、累計で751件の医療事故が報告され、うち63.4%・476件で院内調査が完了し、遺族や医療機関からのセンターへの調査依頼は累計で43件となった―。

 こうした状況が、日本で唯一のセンターとして指定されている「医療安全調査機構」から10月10日に公表されました(機構のサイトはこちら)。

制度発足から、外科で127件、内科で96件の医療事故が発生

 一昨年(2015年)10月に医療事故調査制度がスタートしました。すべての医療機関において、院長などの管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてを、センターに報告することが義務となっています。医療事故調査制度は、「責任追及」ではなく、事故の原因を究明する中で「再発防止」策を構築することを狙ったもので、センターでは今年(2017年)3月に再発防止策第1弾「中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―」を、9月に第2弾「急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析」を公表しています

 医療事故調査制度の流れをおさらいすると、▼管理者が医療事故を確認した場合、速やかにセンターに事故報告の旨を報告する→▼当該医療機関で、事故原因の調査【院内調査】を行い、その結果をセンターに報告する→▼当該医療機関が、調査結果に基づいて事故の内容や原因について遺族に説明する(調査結果報告書などを提示する必要まではない)→▼センターが、事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る—というものです。

 
我が国唯一のセンターとして指定されている医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を公表しており(前月の状況はこちら)、今年(2017年)9月には、新たに35件の医療事故が報告されました。制度発足からの累計報告件数は751件となっています。

 9月報告の内訳は、病院からが34件、診療所からが1件。診療科別に見ると、▼内科7件▼循環器内科4件▼外科3件▼―などで多くなっています。なお、これまでの751件を診療科別にみると、▼外科127件(16.9%)▼内科96件(12.8%)▼消化器科64件(8.5%)▼整形外科59件(7.9%)―などで多い状況です。

2017年9月に、新たに35件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で751件の医療事故が報告されている(図 略)
 
 センターに報告しなければならない医療事故は、医療機関で生じたすべての死亡・死産事例ではなく、院長などの管理者が▼予期しなかった▼医療に起因し、または起因すると疑われる—死亡・死産事例に限定されます。例えば「手の施しようのない重篤な状態で搬送された救急患者」は「死亡が予期される」ため報告対象から除外されます。
医療機関では「患者が予期せぬ死亡を遂げたが、センターに報告すべき医療事故だろうか?」、あるいは「初めての報告となるが、センターへの報告はどのように行えばよいのか?」といった疑問が生じると思われます。また遺族側には「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。隠蔽されているのでは?」といった不信感をぬぐいされない方もおられることでしょう。こうした疑問を解決するために、センターでは医療機関・遺族からの相談に対応しており、今年(2017年)9月に、新たに161件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計は3732件となりました。

新規相談の内訳は、▼医療機関から91件▼遺族などから58件▼その他・不明12件―です。

 医療機関からの相談内容としては「報告の手続き」がもっとも多く57件(医療機関からの相談の62.6%)。「医療事故に該当するか否かの判断」は15件(同じく16.5%)にとどまっており、制度が医療現場への浸透し、理解が進んでいることが分かります。厚労省は医療事故調査制度の運用改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」を設置するなど)を昨年(2016年)6月に行われており、その効果も大きいと考えられます(関連記事はこちらとこちら。

 一方、遺族などからの相談内容としては、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が最多で、34件(遺族などからの相談の58.6%)となっています。ただしこの中には、「制度開始前の事例」「生存事例」など、そもそも「報告すべき医療事故でない」ものも含まれており、「一般国民への制度浸透」が今後の重要課題の1つと言えるでしょう(関連記事はこちら)。

センターへの相談は2017年9月に161件あり、うち91件が医療機関から、58件が遺族などからのものとなっているが、相談の中には「制度の対象外の事例」も含まれている点には注意が必要である(図 略)
 
 医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあることから、事故発生医療機関において原因究明に向けた調査【院内調査】を行い、その過程で院内体制やルールの見直し、遵守の徹底などを行うこととされています。今年(2017年)9月に新たに院内調査が完了した事例は25件で、制度発足からの累計では476件となりました。これまでに報告された全751件のうち63.4%で院内調査が完了していることになります。調査スピードは前月に比べて若干アップしています。

医療事故を報告した医療機関のうち、新たに院内調査が完了したものは2017年9月に25件、制度発足からの累計で476件となった(報告された事故全体の63.4%)(図 略)
 
 ところで、遺族の中には「院内調査結果に納得できない」「院内調査が遅すぎる(何かを隠すために時間稼ぎをしているのではないか)」と感じる人もいることでしょう。また小規模な医療機関などでは、「自力での院内調査が困難」というところもあります(医師会や病院団体などの支援団体によるサポートは整備されているが)。そこで、センターは「遺族や医療機関からの調査依頼を受け付ける」体制も整えています(院内調査が時間・内容ともに適正に実施されているのか、という観点での調査が中心)。この点、今年(2017年)9月にはセンターへなされた調査依頼は1件(遺族からの調査依頼)で、制度発足からの累計は43件(遺族から32件、医療機関から11件)となりました。うち39件が「院内調査結果報告書の検証中」(院内調査が適切に行われたかの確認)、3件が「院内調査の終了待ち」となっています。
  


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201710/553222.html
厚生労働省 第2回医師の働き方改革に関する検討会(後編)
医師の働き方改革、今後の論点は大きく4項目

2017/10/13 増谷 彩=日経メディカル

 厚生労働省は9月21日、医師の働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦=東京大学大学院法学政治学研究科教授)の第2回会合を開催した。前半では、第1回会合で出た論点の法律上の解釈を説明(前編記事)。後半では、第1回会合から抽出された今後の論点についてまとめた。

 検討会事務局はまず、医師の働き方や将来のキャリア選択について尋ねた「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(通称:医師10万人調査)の結果を簡略に説明した。同調査は、2016年12月8~14日に全国の医療施設に勤務する医師を対象に実施したもの。約10万人の医師に調査票を配布し、1万5677人(男性74.6%、女性22.7%)から回答を得た(回収率は約16%)。同調査結果は、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会(以下、ビジョン検討会)」(座長:渋谷健司=東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)が取りまとめた医療従事者の働き方に関する報告書に反映された。


 事務局は、週あたり勤務時間が40時間以上の病院常勤医師の勤務時間の内訳を示し、「勤務時間が長くなると診療時間、診療外時間、待機時間のいずれも長くなる。特に待機時間の占める割合が大きくなる」と説明した。勤務時間には診療科別に見ると差があった。特に週当たりの勤務時間が60時間以上になる病院常勤医師が約半数を超える診療科は、産婦人科(53.3%)、臨床研修医(48.0%)、救急科(47.5%)の順に多かった。

 病院常勤医師の月当たり当直回数としては、0回の医師が46%、1~4回が42%、5~8%が10%だった。当直回数が少ない医師と多い医師を比べると、診療時間と診療外時間には大きな差はないが、当直回数が多い医師では待機時間が顕著に増加していた。

 男女別、年代別に週当たり勤務時間60時間以上の病院常勤医師の割合を見ると、いずれの年代でも男性の割合が女性よりも多かった。20歳代では男女に大きな差は見られないものの、30~50歳代では男女差が大きい。60歳代以降では男女差が小さくなっていた。

 病院常勤医師の医療機関種類別の週当たり勤務時間で見ると、週当たり勤務時間は分院も含めた大学病院が約64時間と最も長い。その他では、2次・3次救急病院が約59時間、医療機関全体が約57時間だった。診療時間、待機時間は医療機関の種類で大きな違いはないが、大学病院では診療外時間が特に長かった。

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図 病院常勤医師の医療機関種類別の週当たり勤務時間(厚生労働省「第2回 医師の働き方改革に関する検討会」資料より)

 こうした調査の結果を受け、千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏は「医療の現場では、今回の働き方改革によって産科医療と救急医療が崩壊するのではないかと危惧されている。医師の時間外勤務にどのくらい依存して医療が回っているのかを明らかにしてほしい。調査で、大学病院の勤務時間が突出しているとの指摘があった。特に診療外時間が長いということだが、これは教育や研究の役割がある大学病院の特殊性だ。これらは大学病院としては必須の部分でもある。高度な医療を提供するという役割もあるが、いかに診療時間を効率化するか、診療の負担を減らすかといったことを今後は議論していきたい」と発言した。

 なお、同調査は医師に自記式で行った調査であるため、例えば「勤務時間」は「診療時間、診療外時間、待機時間の合計」と定義するなど、労働時間の定義が労基法上の定義と一致しないケースが含まれる。日本医師会女性医師支援センター長の今村聡氏はこれに触れ、「先ほど説明された10万人調査は、労働時間はもっと定義をしっかりした方がいいと思うが、今後もこの調査結果を基に議論を進めるのか?」と質問した。事務局は「同調査は、母数が大きい一方で、自記式のため大きなくくりでしか質問できていない。『診療外時間』と一口にいっても、中には非常に多くの内容が含まれているので、追加調査の必要があればしたい」と答えた。

 ビジョン検討会の座長を務めた渋谷健司氏は、「この調査は勤務時間だけを見たものではなく、地域偏在や女性医師の働き方なども調査している。質問票を見ていただくと分かるが、医師がどんな働き方をしているかというプロファイリングも取っている。今後は勤務時間だけでなく生産性や質、テクノロジーの活用、医療介護連携といったことが論点となってくると思う。こうした項目を改善すれば、勤務時間の改善が期待できる。量と質の両方から議論していきたい」と語った。

 その後、第1回会合での議論を踏まえ、以下の内容が主な論点として示された。

医師の働き方改革に関する検討会における主な論点案

1 医師の勤務実態の正確な把握と労働時間の捉え方
・医師の勤務実態の精緻な把握
・労働時間への該当性
・宿直業務の扱い
・自己研鑽(論文執筆や学会発表など)や研究活動の扱い

2 勤務環境改善策
(1)診療業務の効率化など
・タスクシフティング(業務の移管)、タスクシェアリング(業務の共同化)の推進
・AIやICT、IoTを活用した効率化
・その他の勤務環境改善策(仕事と家庭の両立支援策など)の検討
(2)確保・推進策
・医療機関の経営管理(労働時間管理など)のあり方
・勤務環境改善支援センターなどの機能強化
・女性医師の活躍支援
・その他勤務環境改善のための支援のあり方

3 関連して整理が必要な事項
・医師の応招義務のあり方
・病院の機能、医師の偏在、へき地医療など、適切な地域医療提供体制の確保との関係
・医師の労働時間の適正化に関する国民の理解

4 時間外労働規制などのあり方
・時間外労働規制の上限のあり方
・医療の質や安全性を確保する観点からの勤務のあり方
・適切な健康確保措置(休息・健康診断など)のあり方


 この論点の整理を受け、構成員からは以下のような発言があった。

保健医療福祉労働組合協議会事務局次長の工藤豊氏
「宿直業務の扱い」という項目があるが、救急を標榜しているところとしていないところとでは実態が違うので、分けて考える必要がある。また、自己研鑽は医療において重要なので、その中身は十分精査する必要があると考える。例えば、自己研鑽といいながら診療報酬上で評価されるようなものは果たして自己研鑽なのかどうか。論文発表や学会参加は医師だけでなく他の職業でもあることなので、どのくらい医師の特殊性と言えるのか、考えた方がいい。

日本医師会女性医師支援センター長の今村聡氏
勤務環境改善支援センター「など」に含まれるのは例えばナースセンターかと理解しているが、こうした組織がバラバラに動かず有機的に連携しなければ機能しないと思っている。ばらばらの仕組みになっているのが問題だと思うので、「など」をもっと具体的に書いてメッセージを出してほしい。それから、医師の働き方改革においては医療提供側だけが在り方を議論するのではなく、国民の理解が大変重要。患者の暴言・暴力によるストレスなども存在している。それから、病院内の会議や書類仕事がものすごく多いと聞く。安全や質の保証のために書類がどんどん増えているが、医師の負担にもなっているので、厚労省としても考えてほしい。

ハイズ(東京都新宿区)の裴英洙氏
経営者の意識改革はマストだと思う。経営者と話していると、これまで医師の自己犠牲に依存してやってきた部分がかなりあった。これを残業代などで支払うとなると、とても無理だという。しかし、労働の対価を支払うのは当然のこと。経営者の自助努力は必須ではあるが、現実的には原資を経営者の努力だけにかぶせるだけでは進まないと考える。ある程度、診療報酬などでガソリンとなる原資を入れていただけるとありがたい。

塩原公認会計士事務局特定社会保険労務士の福島通子氏
「勤務環境改善支援センターの機能強化」が挙げられているが、センター自身、どんなことをすればいいのか分からない状況なので、ある程度の方向性を示すべきだと思う。

東京女子医科大学東医療センター救急医の赤星昂己氏
週74時間以上の勤務を望む医師というのはほぼいないと思うが、ゼロにできていない実態があることを考えると、経営する病院側の資金繰りなどにも問題があると思うので、実態を明らかにしてほしい。若手の勤務医としては、書類の作成などでかなりの時間が取られていると感じている。タスクシフティングは昔から言われていることだが、なぜ現場で進んでいないのか、人が雇えないのか、その書類作成には医師の専門性が必須なのかといったことについて踏み込んで議論したい。

特定非営利法人架け橋理事長の豊田郁子氏
患者サポートの面からも考えることが重要だと思う。頼んだ書類が遅いなど、患者側が医療機関に不満を持つことがある。医師が休みの日にも診療してほしいという無謀な希望を持つ患者もいる。そこは医師が対応するというよりは、タスクシフティング、シェアリングを進めていくべき点だと思うので、医師の業務を示して、他職種がどう関われるか考えていかなければ進まないと思う。なので、医師の業務内容を具体的に示していただきたい。

 同検討会では、医師の勤務実態や勤務環境改善策、働き方と医療の質や安全性、健康との関係などを年内に話し合い、2018年1月に中間整理を行って、その内容を医師需給分科会の議論に反映させる予定。検討会としての報告書は、2019年3月を目途に取りまとめる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/561916?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD171014&dcf_doctor=true&mc.l=253073654
医師の働き方改革とキャリア
外科や産婦人科などで男性医師が長時間勤務◆Vol.3
女性は男性に比べ勤務時間は短く

医師調査 2017年10月13日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

Q:先生の「1カ月当たりの時間外労働」は何時間でしょうか。

男性
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 診療科別に集計すると、男性では数は少ないが産婦人科で10人中2人が「100時間以上」と回答した。外科では7.1%、循環器科と精神科で6.7%、整形外科で6.5%と100時間以上の割合が高くなっている。「80時間以上100時間未満」も外科が多くなっている。

女性
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女性では、循環器科が2人のうち1人、耳鼻咽喉科で4人中2人が「100時間以上」となっているのみで、「80時間以上100時間未満」も皮膚科、消化器科、産婦人科で1人ずつ。男性に比べれば、「過労死ライン」の80時間以上の長時間勤務は少ないという結果だった。

診療科ごとの回答数
男性406人(内科87、小児科17、呼吸器科16、皮膚科6、耳鼻咽喉科5、循環器科45、精神科30、腎・泌尿器科8、消化器科35、脳・神経科21、外科56、整形外科31、産婦人科10、眼科1、上記以外38)
女性100人(内科26、小児科6、呼吸器科4、皮膚科7、耳鼻咽喉科4、循環器科2、精神科10、脳・神経果1、消化器科3、外科15、整形外科6、産婦人科4、眼科3、上記以外9)



http://www.yomiuri.co.jp/national/20171013-OYT1T50130.html
一般病院の2割で自殺者、半数はがん患者
2017年10月14日 (土) 読売新聞

 精神科病床がない一般病院の約2割で入院患者が過去3年間に自殺していたことが、日本医療機能評価機構(東京)の調査でわかった。

 一般病院でも自殺が少なくない実態が浮き彫りになったことから、同機構は精神面の不調のチェックやケア、自殺が起きやすい設備の改修などを病院に呼びかける自殺予防の提言を公表した。

 同機構は2015年秋、全国の1376病院を対象に調査票を郵送で送り、12~14年度の自殺の発生状況などを質問した。38%の529病院が回答した。

 その結果、432の精神科のベッドがない一般病院のうち、19%にあたる83病院で計107人が自殺していた。主な病気別ではがんが52人で半数を占め、消化器や脳神経の病気がともに8人で続いた。自殺した患者のうち、46人でがんの痛みなど身体症状の悪化などがみられ、31人で「死にたい」など自殺に関連する発言があった。



https://www.m3.com/news/general/562963
耐震不足、旧基準建物の16% 「6強以上」倒壊の恐れ
2017年10月15日 (日) 朝日新聞

 1981年以前の旧耐震基準で建てられたホテルや病院、小中学校などの建物のうち、一定規模以上の約8700棟の耐震性を診断したところ、約16%が震度6強~7の地震で倒壊や崩壊の恐れがあることがわかった。国土交通省は改修などの対応を求めており、施設側は対応に追われている。

 診断は2013年11月施行の改正耐震改修促進法に基づくもの。震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しないとする新耐震基準(81年6月導入)以前に建てられた3階建て5千平方メートル以上の宿泊施設や病院、店舗▽2階建て3千平方メートル以上の小中学校といった多くの人が利用する建物などが対象。所有者が15年末までに診断を受け、報告を受けた自治体が結果を公表することが求められている。

 国交省などによると、10月現在で北海道と東京都、和歌山県は公表に至っていないが、ほかの44府県の各自治体(大津市を除く)は結果を公表した。棟数は計約8700棟で、その約16%にあたる約1400棟が現行の耐震基準を満たさず、震度6強~7の地震で倒壊、崩壊する危険性が高い▽もしくは危険性があることが判明した。県民会館や市民体育館、百貨店なども含まれ、診断結果を受けて廃業したホテルもある。



https://www.m3.com/news/general/562329
【福島】11月から葛尾村診療所 再開へ
2017年10月11日 (水) 読売新聞

 東京電力福島第一原発事故後、休止していた葛尾村落合の村診療所が田村医師会(小野町)の医師派遣を受け、11月から再開することが決まった。診療所の再開は約7年ぶり。村の避難指示の大半は昨年6月に解除されたが、後任医師が決まっていなかった。

 田村医師会に所属する医師13人が勤務先の休診時間をやりくりし、葛尾村で診療にあたる。看護師は同医師会のほか、郡山市の星総合病院からも派遣される。

 診療受け付けは第2、第4水曜と毎週木曜の午後1時半から同5時まで。診療科目は内科と小児科。来年4月に村で再開する幼稚園、小中学校での健康診断や予防接種なども行う。



https://www.m3.com/news/general/562304
院内調査の届け出751件 医療制度、開始2年で
2017年10月11日 (水) 共同通信社

 患者の予期せぬ死亡を対象とする医療事故調査制度で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京)は10日、「院内調査が必要」として9月に医療機関から届け出があった事案は35件と発表した。2015年10月の制度開始から2年間の累計は751件となった。

 機構は制度開始前、院内調査の件数は年に千~2千件と見込んでいた。当初の想定を大きく下回っており、制度の周知などが依然として大きな課題として指摘されている。

 9月に届け出があった35件の内訳は、病院(20床以上)が34件、診療所(20床未満)が1件。地域別では関東信越で14件、東海北陸と近畿でそれぞれ7件、東北3件、九州2件、北海道と中国四国が1件ずつだった。

 診療科別では内科が7件、循環器内科4件と続き、外科と消化器科、産婦人科、泌尿器科、呼吸器内科ではそれぞれ3件だった。

 9月に院内調査の結果が報告されたのは25件で、累計では476件となった。



  1. 2017/10/15(日) 19:02:01|
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10月8日 

http://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/news/20171006-OYTNT50035.html
医療センター民間移譲へ…小美玉市、経営再建の提案募る
2017年10月06日 読売新聞 茨城

 小美玉市が、市医療センターの民間移譲を計画している。直営時代を経て現在は指定管理者が運営しているが、完全な民間移譲で抜本的な経営再建を図り、地域医療の要となる病院の存続を目指す。ただ、2日に民間団体から提案の受け付けを始めたものの、5日現在で提案はない。受け付けは13日まで。

 同センターは、約1万5000平方メートルの敷地に立つ鉄筋コンクリート3階(一部4階)建て、延べ床面積約4600平方メートル。病床数は80床で、現在の常勤医は4人。非常勤の医師も担う外来診療科目は内科、整形外科、リハビリテーション科など10科目。

 地方を中心に全国的に医師不足が進む中、同センターも確保に苦慮。医師不足が常態化し、患者数も減少している。外来患者は2003年度の1日当たり266人に対して16年度は152人と約6割に。病床の利用率も03年度の60・0%に対して16年度は35・5%に落ち込んだ。

 市の一般会計から病院事業会計への繰り出し金も14年度までの10年間で、指定管理者制度に途中で移行して圧縮を進めたが、約32億円に上る。建物や医療機器などの老朽化も進み、市は今年6月、病院事業経営改革プランを策定。民間の優れた方策による経営再建を選択することにした。

 民間移譲を提案できるのは、県内や隣接県に病院を置く法人など。市は現在の医療センターの土地を無償貸与し、建物や医療機器などを無償譲渡する。

 今後、提案があれば内容を審査し、早ければ年度内にも移譲先を選定。市議会の承認などを経て早期の民間移譲を目指す。市医療保険課は「諸課題はあるが、病院存続を第一とし、民間の力を最大限活用することができれば」としている。

 問い合わせは小美玉市(0299・48・1111)の同課へ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/561560
「地域医療構想、回復期不足は誤解」、武田厚労省医政局長
日医・社会保険指導者講習会、9月に事務連絡を発出

レポート 2017年10月6日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局長の武田俊彦氏は10月5日、日本医師会の社会保険指導者講習会で「地域医療構想の実現に向けて」をテーマに講演、地域医療構想の調整会議が進む中、「回復期機能の病床が不足している」との指摘がいまだあることから、「誤解のないように」と念を押し、病床機能報告の集計結果と地域医療構想の「病床の必要量」は単純に比較できるものではないと繰り返し注意を促した(『全国一律の施策は限界、地域医療構想で対応を』を参照)。

 厚労省が9月29日の都道府県に対して発出した事務連絡「地域医療構想・病床機能報告における回復期機能について」では、「現時点では、全国的に回復期を担う病床が大幅に不足し、必要な回復期医療を受けられない患者が多数生じている状況ではないと考えている」と記載している。

 武田局長は講演で、地域医療構想と調整会議の例も紹介。災害医療や比較的重症の急性期医療については、集約化する傾向にある一方、比較的軽症の急性期医療については、かかりつけ医をバックアップするためにも、地域密着型の医療機関が担い、「均てん化の方向で考えていくことが必要ではないか」との考えを示した。

 地域による異なる医療ニーズに対応
 武田局長はまず地域医療構想が必要とされる背景事情として、人口構成の変化とその地域格差について説明。東京、大阪、神奈川、埼玉、愛知、千葉、北海道、兵庫、福岡の9都道府県で、2025年までの全国の65歳以上人口の増加数の約60%を占める。一方、既に高齢者人口の減少が始まっている県もあるほか、医療ニーズに大きな影響を与える75歳以上人口の動向も地域により大きく異なる。

 さらに「当面は2025年を見据えて医療提供体制の構築が進められている」としたものの、もう一つの節目が2040年であるとし、高齢者人口すら全国的に減ってくるため、「医療ニーズは将来的には減少が見込まれる」と指摘した。「医療ニーズを考えた場合に、若い世代の急性期医療のニーズは減少。一方で高齢者の医療に対応していくためには、地域密着型の医療が必要であり、各地域で医療のあり方を議論してもらうのが地域医療構想」(武田局長)。

 病床機能報告と「病床の必要量」、単純な比較はできず
 各都道府県は、2016年度中に地域医療構想の策定を終え、調整会議で2025年の医療提供体制を見据えた話し合いが各地で行われている。その際に「地域で誤解のないように議論を進めてもらいたい」と武田局長は要請した。

 武田局長は、「病床機能報告制度と地域医療構想の将来推計の違い」を強調。病床機能報告制度は、地域において医療機関が「担っていると考える機能」を報告する制度。一方、地域医療構想の「病床の必要量」は、「2013年の個々の患者の受療状況をベースに医療資源供給量に沿って区分したもの」であり、地域における「4機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの患者発生量」だ。

 「高度急性期」と報告した病床にも、高度急性期を脱した後の回復過程の患者が入院している。一方で、「急性期」の病床にも、高度急性期の患者が入院していることもある。

 地域医療構想をめぐって、特に多いのが回復期機能を担う病床が少ないという誤解。9月29日の事務連絡では、「単に回復期リハビリテーション病棟入院料等を算定している病棟のみを指すものではない」「回復期機能以外の機能が報告された病棟においても、在宅医療の支援のため急性期医療が提供されたりしている場合がある」などと説明。

 事務連絡には「Q&A」もあり、回復期機能の病棟であっても、回復期リハビリテーション病棟入院料や地域包括ケア病棟入院料しか算定できないわけではなく、「いずれの医療機能を選択した場合であっても、診療報酬の選択に影響を与えるものではない」などと解説している。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20171006195736
専門研修プログラム、地域の要望反映へ
専門医機構、関連施設の追加を容認

2017年10月06日 20:30

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は6日、専門医制度の専門研修プログラムなどについて、都道府県協議会の意見を反映させる方針を決めた。地域医療に配慮する観点から、専攻医の研修先となる関連施設の追加を認める。【新井哉】

 同機構によると、この日の理事会で、都道府県協議会などから出された意見について議論した。専門医制度や研修プログラムに関する要望については、10日から専攻医の一次登録を始めるため、見直しができる範囲で対応する方針を了承した。

 関連施設を増やしてほしいとの要望が多かったため、同機構から関連学会に対し、施設の追加を含めた対応を求める。一次登録が始まる10日までに対応が間に合わないケースについては、登録開始後の施設追加も容認する見通しだ。



https://mainichi.jp/articles/20171005/ddl/k06/040/063000c
病院再編
入院診療分担決まる 医師不足解消へ 米沢市立、三友堂 /山形

毎日新聞2017年10月5日 地方版 山形県

 「地域医療連携推進法人」を共同設立する米沢市立病院(322床)と三友堂病院(190床)は3日、設立後にそれぞれが担当する入院診療を決めた。適切な役割分担をすることで、医師不足解消と経営改善などが期待できるという。

 嘉山孝正・山形大医学部参与、中川勝市長、仁科盛之・三友堂病院理事長らによる検討委員会で、正式に決定した。

 一般内科などの9診療科について、市立病院が急性期医療を担当し、三友堂病院が回復期医療を担当する。市立病院は救急・手術も受け持ち、さらに歯科口腔(こうくう)外科の新設などを検討していく。

 三友堂病院は入院診療を回復期医療に集約することで、業務の効率化を図る。市立病院で急性期治療を終えた患者を受け入れ、在宅復帰までを支援することになる。外来診療では慢性期の人工透析、緩和ケア、人間ドック・健診、訪問診療などを担当する。

 法人設立による医療再編後の経営状況について、検討委は試算を実施。おおむね業務を維持・継続できる見通しができたという。2023年度までに開院できるよう、両病院ともに施設建て替えを行う。病床数は市立病院300、三友堂病院170が適正。今後、医師の適正配置などを検討する。【佐藤良一】

再編後に市立病院と三友堂病院が分担する入院診療◇
市立(急性期)三友堂(回復期) 一般内科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、神経内科、整形外科、糖尿病・内分泌科、リハビリ科、緩和ケア科

市立(急性・回復期) 腎臓内科、小児科、産婦人科、外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科など



http://www.sakigake.jp/news/article/20171005AK0005/
県内診療所医師の高齢化進む 60代以上「後継めど」25%
2017年10月5日 掲載

 60代以上の医師(院長)が経営する秋田県内の診療所のうち、後継者のめどが立っている施設は4分の1にとどまっていることが、県医師会が診療所を対象に行ったアンケートで分かった。院長の年齢構成では、60代以上が全体の半数以上を占めていることも判明。県内診療所は常勤医が院長1人の施設がほとんどで、日常生活に密着した1次医療を支える診療所医師の高齢化が進み、継続が困難になりつつある実態が浮かび上がった。

 アンケートは今年2~3月、診療所554施設を対象に実施。377施設から回答を得た。回答率は68・1%。県医師会の地域医療総合調査室が調査結果をまとめた。

 それによると、院長の年齢構成は60代が139施設(36・9%)で最多。50代118施設(31・3%)、40代49施設(13・0%)と続いた。70代は46施設(12・2%)、80代以上が23施設(6・1%)で、60代以上が55・2%を占めた。最高齢は91歳だった。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/561241
2018年度改定、重点課題は「地域包括ケアシステムの構築」
医療保険部会、基本方針をめぐりディスカッション

レポート 2017年10月4日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月4日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、2018年度診療報酬改定の基本方針のたたき台の4つの「改定の基本的視点」のうち、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能分化・強化、連携の推進」を「重点課題」に位置付ける方針を打ち出した。「2025年問題」への対応に向け、6年に一度の介護報酬との同時改定となることを踏まえた対応と言える(資料は、厚労省のホームページ)。

 この方針について、委員からは異論はなく、4日の議論は前回9月の会議に続き、各委員が自由に意見を述べた。

 基本方針のたたき台は、「改定に当たっての基本認識」と4つの「改定の基本的視点」から成る(『「医師の働き方改革」、2018年度改定の基本方針に』を参照)。厚労省は、各基本的視点について「考えられる具体的方向性の例」を提示。

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(2017年9月15日の「医師需給分科会」資料)

 委員から、方向性の追加候補として幾つか挙がった。経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長の望月篤氏は、「医療保険財政の持続可能性を確保するため、経済財政との調和を基本的視点に位置付けてもらいたい」と要望したほか、「視点4」の効率化・適正化について、「医薬品関連に偏っている印象がある」と指摘し、入院と外来の機能分化・連携などの面でも、効率化・適正化を検討すべきだと提言。

 国民健康保険中央会理事長の原勝則氏は、「視点3」に、「診療報酬に関する届出・報告等の簡略化」が挙がっていることを踏まえ、「審査支払業務の効率化の柱は、コンピューターチェックの拡充。それに見合うようレセプト様式を見直したり、審査基準の統一なども進めてもらいたい」と要望した。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「基本認識と4つの基本的視点については異論がない」とコメント。その上で、「視点3」について、「医療従事者の負担は、10年くらい前から取り組んできており、看護補助者や医療クラークの導入などで、一定の成果を挙げたと思う。昨今は働き方改革の議論が活発になっている。異論はないが、診療報酬で手当てするのは難しいのではないか。むしろ(厚労省の)医政局の視点での改革が必要だろう」と述べた上で、厚労省に「具体的なアイデアはあるのか」と質した。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「今の段階で確たるものがあるわけではなく、どのように実効性を持たせるか、工夫が必要」と返答。オーソドックスなアプローチとしては、点数の算定要件に人員配置などを設けるほか、タスクシフティングやタスクシェアリングなどがあり、さまざまな方法の積み重ねで医療者の勤務環境の改善を進めていくことが考え得るとした。

 そのほか、医療者の委員の主な意見は以下の通り。

◆日本医師会副会長の松原謙二氏
 今後、都市部でも高齢者が増え、いかに最期を支えるかが重要になるが、(今後養成する)総合診療専門医に全てを任せるのは難しいため、「今ある医療機関が、チームを作って在宅医療を担う」という考え方をぜひ入れてもらいたい。

◆日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏
 今回は、診療報酬と介護報酬の同時改定だが、「医療と介護の役割分担」では、“線引きする”というイメージがある。複合的にそれぞれのサービスが入り組んだ形で、どう連携できるかという視点で議論を進めてもらいたい。

◆日本薬剤師会副会長の森昌平氏
「病診薬」の連携は重要であり、そのためにはまず関係者間で情報共有することが重要。またかかりつけ薬剤師が、その機能を発揮して薬学的管理・指導を推進すれば、患者の自己負担の軽減、医療保険財政にも貢献できる。訪問薬剤管理指導も少しずつ増えており、利用者の療養環境に応じた指導を行っていくことが必要。

◆日本看護協会副会長の菊池令子氏
「基本認識と4つの基本的視点」は賛成。特に安心して在宅療養ができるよう、入退院支援については、入院前、つまり外来の段階から支援をしていくことが必要。患者家族にとっても退院後の準備をしやすくなるほか、看護師にとっても入院前に情報把握しておけば、退院後の生活を視野に入れた適切なケアが可能になる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/561235
シリーズ 社会保障審議会
「紹介状なし」定額負担、対象病院拡大を検討
医療保険部会、「かかりつけ医以外受診で定額負担」見送りへ

レポート 2017年10月4日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は、10月4日、政府の「経済・財政再生計画 改革工程表」で2017年末までに結論を出すことが求められている分野について議論、外来の機能分化・連携を進めるために「紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担」の徴収対象を拡大する方針でおおむね一致した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、2016年度から特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院で義務化された初診の定額負担については、一定の効果があったとし、対象病院の病床数引き下げの検討を提案。さらに再診の定額負担についても、機能分化の観点から、病状が落ち着いた患者は大病院から中小病院や診療所に戻すことは、病院勤務医の負担軽減にもつながることから、推進すべきと指摘した。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏も、定額負担徴収の対象病院の病床数の引き下げを支持。ただし、外来の機能分化・連携推進の方策は「お金の問題だけではない」と指摘し、患者の受診行動変容を促すためには、それ以外の国民の意識を変えるような施策が必要だとした。

 一方で、社保審医療保険部会や中医協でも再三議論、否定されてきた「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入」と「先発医薬品価格のうち、後発医薬品に係る保険給付額を超える部分を、保険外併用療養費制度の選定療養として自己負担を徴収」については、いずれも見送る方針で一致(『「かかりつけ医以外」受診で負担増、改めて議論』、『先発品と後発品の「差額」徴収、反対が多数』などを参照)。

 「かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入」が否定されたのは、次のような理由からだ。「かかりつけ医とは何かが定義がされていない段階で、かかりつけ医以外を受診した場合に定額負担を徴収するのは、我々(医療保険部会の委員)も、また国民も、納得しないだろう。まずかかりつけ医の定義をはっきりすることからスタートしないと議論は進まない」(白川氏)。

 先発医薬品の問題についても、過去のさまざまな審議会の場で、「先発医薬品、後発医薬品の選択は、選定療養に馴染まない」「負担能力によって、医療が制限される恐れがある」などの慎重意見が出ていた。松原氏は、「この問題は何度も議論しており、この会(医療保険部会)で結論が出ているのでないか」と述べ、白川氏も「同意見。中医協でも、支払側、診療側、公益側がいずれも反対している」と述べ、この施策だけを切り出して議論するのではなく、薬価制度全体を総合的に議論する必要性を指摘した。

 そのほか、都道府県の医療費適正化計画の関連では、同計画の達成のために高齢者医療確保法第14条では「都道府県別の診療報酬設定」が認められている。厚労省は、都道府県の意見を踏まえ、中医協における諮問・答申を経るなど、丁寧なプロセスの必要性を提案。委員からは国民皆保険制度下では、全国どの地域でも、同一価格で医療を受けられるべきだとし、都道府県別の診療報酬設定の効果や妥当性なども含め、慎重な検討を求める声が上がった(資料は、厚労省のホームページ)。

 「お金の問題だけではない」
 厚労省の調査によると、2016年4月の「紹介状なしで大病院を受診した場合の定額負担」の導入で、500床以上の病院では、「紹介状なしの患者比率」は、42.6%(2015年10月)から、2.9ポイント減少し、39.7%(216年10月)に減少。

 白川氏が「お金の問題だけではない」と指摘したのは、この割合が少ないだけでなく、健保連の「医療・医療保険制度に関する国民意識調査」(2017年9月)で、「特別の料金を支払って大病院を受診することがなくなった」患者のうち、定額負担が理由と答えたのは約5%にとどまったからだ。「国として病院と診療所の機能を分けるという意思を示す意味でも、(徴収対象を)500床から引き下げてもらいたい」と述べた一方、国民の意識を変えるような施策との“合わせ技”でやることを求めた。

 そのほか定額負担をめぐっては、「ペナルティーか、あるいは大病院の“利用料”かなど、受け止め方が異なる」「救急外来を受診した場合には、定額負担はかからない。そのためか、軽症の救急患者が増えている病院もある」など、今後の制度設計に当たって念頭に置くべき意見が上がった。



http://www.medwatch.jp/?p=16116
紹介状なしに外来受診した際の特別負担、対象病院を拡大すべき—社保審・医療保険部会
2017年10月4日 | 2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 現在、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院において導入されている紹介状なし患者の特別負担(初診時5000円以上、再診時2500円以上)について、より小規模な病院にも拡大していくべき—。

 10月4日に開催された社会保障審議会・医療保険部会では、こういった意見が多数出されました。2018年度の次期診療報酬改定に合わせて拡大される可能性が高まっています。

ここがポイント!
1 200床以上の地域医療支援病院に拡大しては、との具体的提案も
2 かかりつけ医、かかりつけ医療機関の定義を明確化せよ
3 2018年度診療報酬改定、「働き方改革」の推進をどうサポートするか
4 都道府県別の診療報酬、都道府県サイドが「慎重検討」を要望

200床以上の地域医療支援病院に拡大しては、との具体的提案も

 外来医療について▽大病院は専門・紹介外来を担い▽小規模病院や診療所が一般外来を担う—という機能分化を進めるため、2016年度から特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院について、「紹介状なしに受診した患者から、通常の窓口負担とは別に、初診時5000円以上(歯科では3000円以上)、再診時2500円(同1500円以上)の特別負担徴収」が義務付けられています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

2016年度から、特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院において、紹介状なしに受診する場合には特別負担が義務付けられた(図 略)

 
経済・財政再生計画の改革工程表では、「対象の見直し」を2017年末までに検討するよう指示され、医療保険部会でも「拡充」の方向が示されていますが、今般、改めて議論されました。
費用負担者の立場で参画している白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)や望月篤委員(日本経済団体連合会社会保障員会医療・介護改革部会長)は「より小規模な病院への拡大を検討すべき」と主張。また医療提供者の立場で参画する松原謙二委員(日本医師会副会長)もこの主張に賛同。松原委員はメディ・ウォッチに対し、「地域医療支援病院は、もともと地域の医療機関から患者の紹介を受け、逆紹介していくことが求められている。この点に鑑みれば、特別負担を『200床以上の地域医療支援病院』に拡大していく方向は理解できる」と具体的なコメントを寄せています。

もっとも2016年度からの特別負担導入の効果を見ると、必ずしも芳しくありません。厚労省が500床以上と200床以上500床未満に分けて、紹介状なし患者割合を調査したところ、▼500床以上:導入前(2015年10)42.6%→導入後(2016年10月)39.7%▼200床以上500床未満:導入前60.3%→導入後59.4%—となっており、500床以上病院で「紹介状なし患者割合」の低下幅が大きいものの、低下率は「3ポイント未満」という状況です。

500床以上の大病院では、紹介状なしの受診時特別負担によって「紹介状なし患者割合」は3ポイント弱しか減少いていない(図 略)
 
白川委員は、この調査結果と健保連の独自調査結果を踏まえ、「受診行動は費用負担だけでは十分に変わらないのではないか。国民の意識を変える施策を国全体で考え、併せて実施しなければうまくいかない」と述べ、「紹介状なしの特別負担の対象病院拡大」と「国民の意識改革」をセットで実施するよう要請しています。
また松原委員と菅原琢磨委員(法政大学経済学部教授)は、「再診における特別負担」の重要性を指摘しました。外来機能分化は「病院勤務医の負担軽減」も目的としており、これを実現するためには、より患者数の多い再診患者をターゲットとし、「すでに当院(大病院)での専門的治療を終えたので、地域のかかりつけ医療機関に紹介(逆紹介)します。そのかかりつけ医療機関で『さらに大病院での治療が必要』と判断されて紹介状を持たない限り、当院(大病院)を受診した場合には特別負担がかかります」という説明を大病院で、より積極的に行うことが必要との見解です。今後の議論の中では「再診時の特別負担の引き上げ」なども検討される可能性がありそうです。

なお、この点に関連して菅原委員や井川誠一郎参考人(日本慢性期医療協会常任理事、武久洋三委員:日本慢性期医療協会会長の代理出席)は「特別負担がかからないように救急受診をする」といった事態が起きては本末転倒であると指摘しています。

 さらに菅原委員は「特別負担を小規模病院に拡大していけば、『この病院がかかりつけ医療機関です』と考える患者も出てくる。この点をどう考えるかも丁寧に議論すべき」と指摘しました。後に述べる「かかりつけ医」「かかりつけ医療機関」とも関連する重要な視点と考えられます。

 紹介状なし患者における特別負担については、2018年度の次期診療報酬改定に向けて「対象病院を拡大する」方向で、より具体的に中央社会保険医療協議会でも議論されることになるでしょう。

かかりつけ医、かかりつけ医療機関の定義を明確化せよ

 外来機能分化に関して改革工程表では「かかりつけ医以外を受診した場合の特別負担」徴収も検討テーマの1つであると指示しています。

 しかし、この点については、これまでにも医療保険部会で「かかりつけ医、かかりつけ医療機関の定義が明確ではない」という点で意見が一致しており、今般の会合でも同様の意見が相次ぎました。中医協では、「かかりつけ医機能の評価」が議題に上がり、定義明確化に向けて一歩踏み出した感がありますが、国民の中には「大学病院を数か月に1度定期的に受診している。私のかかりつけ医療機関は大学病院であり、かかりつけ医はその教授である」と考える人もおり、「明確な定義づけ」には時間がかかりそうです。

2018年度診療報酬改定、「働き方改革」の推進をどうサポートするか

 10月4日の医療保険部会では、診療報酬に関連して▼2018年度改定基本方針策定▼都道府県別の報酬設定▼後発品価格上回る部分の患者負担—も議題となりました。

まず2018年度改定基本方針については、厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長から、3点の基本認識と4つの視点について改めての説明が行われました。例えば基本認識の1つ「人生100年時代を見据えた社会の実現」に関しては、国民1人1人が予防健康づくりの意識を涵養すること、健康寿命を延伸すること、皆保険を維持しながら効率的・効果的で質の高い医療を受けられるようにすることの重要性などを強調。また「働き方改革」の推進も重要視点の1つに組み込まれています(関連記事はこちらとこちら)。

委員からは「入院前からの退院支援の評価」(菊池令子委員:日本看護協会副会長)、「経済と調和のとれた診療報酬体系の確立」(望月委員)、「複数医療機関のチームによる在宅医療の推進」(松原委員)などを求める意見が出されました。ただし白川委員は「働き方改革が重視されているが、これに診療報酬で対応するのは困難ではないか。これまで労働基準局や医政局での改革が重要になろう」と指摘。これに対し厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「相当の工夫が必要」と前置きをした上で、「診療報酬の算定要件や施設基準において、質を担保した上で、(医師要件を)タスクシフトしていくなどすることで勤務環境の改善が図られるのではないか」との見解を示しています。

都道府県別の診療報酬、都道府県サイドが「慎重検討」を要望

 都道府県別の診療報酬とは、高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)第14条において、医療の効率的提供・医療費適正化を推進するために必要と認められるときは、合理的と認められる範囲内において、予め厚生労働大臣と協議した上で、都道府県が「診療報酬と異なる定め」をすることを認めるものです。

この点、厚労省は、まず「都道府県において、適用の必要性について検討していく必要がある」との見解を提示。一方、都道府県を代表する委員からは「慎重な検討が必要」との声しか聞こえてきません。技術的にも「県外の医療機関を受診した場合にどうするのか」「都道府県が独自に診療報酬を設定するノウハウを持っているのか」といった課題もあり、近々に導入される可能性は極めて低そうです。

 
なお、「後発品価格上回る部分の患者負担」とは、いわゆる「参照価格制」(先発品価格について、後発品価格を上回る部分は自己負担とする)や「先発品価格を後発品価格と同水準に引き下げる」ことなどを総称したものです。改革工程表で検討を指示されていますが、「患者負担増には理解が得られない」「先発品と後発品を同価格にすれば価格競争が働かず、価格は高止まりする」といった批判が医療保険部会で相次いでいました(関連記事はこちら)。10月4日の会合でも「議論は尽くされた」として、導入を「否」とする見解で一致しています。こちらも近々に導入される可能性は極めて低いでしょう。

厚労省が示した論点、本文中の(1)選定療養案が向かって左、(2)新患者負担案が中央、(3)薬価引き下げ案が向かって右—に該当する (図 略)



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/1004511049/
繰り返される過労死...医師の過重労働是正、次期政権の課題に〔読売新聞〕
2017年10月04日 15:25

 「医療界は18年前と少しも変わっていない」「なぜ繰り返されるのか」――。

 9月上旬、東京都内で開かれた「過重労働と医師の働き方を考えるシンポジウム」で、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子さんは、切々と語った。

 中原さんの夫で小児科医の利郎さんは1999年、勤務先の都内の病院で飛び降り自殺した。中原さんは過労死による労災認定や損害賠償を求める裁判などを通じて、医師の過重労働の是正を訴え続けてきた。

 だが、今年6月には、新潟市民病院の女性研修医が、8月には東京都内の病院に勤めていた男性研修医が、それぞれ過労自殺による労災認定を受けていたことが明らかになった。両者とも時間外労働は、過労死ラインを大きく上回る月当たり百数十時間にのぼっていた。

 衆院解散によって長時間労働の是正を柱とする「働き方改革関連法案」の審議は先送りとなった。医師については、医師法で正当な理由がなければ診療を拒めないことを定めた「応召義務」と、長時間労働の兼ね合いをどうするかといった問題があり、法施行後5年間の猶予が認められている。

 厚生労働省は、医療機関や労働組合関係者らによる検討会を8月発足させ、2019年3月までに結論を出す方針だ。

 医師の働き方改革では、医師不足に悩む地方の医療現場にも配慮する必要がある。現状のまま労働時間の是正が適用されれば、地方の救急医療は立ちゆかなくなる恐れがあるためだ。

 全国自治体病院協議会など5団体は9月28日、「地域医療を守る病院協議会」を設立。記者会見で、医師の地域偏在の解消などを訴えた。

 過重労働をなくすことは医療事故の防止にもつながる。また患者側も、適切な医療へのかかり方を心がける必要がある。次期政権には喫緊の課題として取り組んでほしい。

(2017年10月4日 読売新聞・田村良彦)



http://www.asahi.com/articles/ASKB44SM4KB4UBQU012.html
新病院計画 承認また見送り 長崎の医療構想調整会議
福岡泰雄 2017年10月4日15時00分 朝日新聞

 地域医療機能推進機構(東京)が長崎県松浦市で計画する新病院計画が、佐々町で2日にあった佐世保県北区域地域医療構想調整会議で論議された。しかし、医師確保策の実効性に疑問の声が出るなど、「詰めるべきところが多い」として、9月の調整会議に続き、この日も承認されなかった。

 これを受け、県医療政策課は、①調整会議の中核メンバーによる作業部会を設けて論議を詰め、その後に調整会議を再び開き、新病院計画を諮る②今月11日の県医療審議会では新病院を議題にせず、後日改めて新病院のみを議題とする県医療審議会を開く、との考えを示した。

 この日の審議で機構は、新病院の病床数について、前回9月5日の調整会議の意見を踏まえて松浦市内の医療機関と協議した結果として、40床としている地域包括ケア病床数を20床に減らし、その分、一般病棟の病床を20床増やして67床とする案を示した。病床数の総数は87床で変わらない。

 松浦市の医師でつくる松医会の木村幹史会長は、「会の中に賛否はあるが、市の計画に沿い、市民の要望も強い病院。会として反対はしない」と表明した。

 しかし、出席した委員やオブザーバーの医師らからは、医師確保策の実効性への疑問や、病床数の変更について佐世保市医師会に説明がなかったことの指摘などがあり、「詰めるべきところが多々ある」として新病院の承認を見送った。

 作業部会の時期について、県医療政策課の村田誠課長は会議終了後の取材に対し、「なんとか月内には開催したい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/561103
公立病院「病院マネジメントの観点を」、総務省研究会
医師確保へ財政支援拡充を要望、年内に報告書

レポート 2017年10月4日 (水)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第7回会合が10月3日に開催され、報告書を大筋でまとめた。「現状分析」と「提言」の2部構成で、提言部では「病院マネジメントの観点からの経営手段の充実」が必要と強調。新たに作成する「経営比較分析表」を使った経営指標の「見える化」を推進する一方、総務省においても「不採算地区病院に対する財政支援を拡充する方向で検討すべきである」としている(資料は総務省のホームページ)。

 調査検討会は今回で終了となり、細かい文言の修正を経て年内をめどに完成する。「病院マネジメント」を重視しているのが特徴で、事務局機能の強化のため外部人材の登用などを提案している。

 医師確保も重要な要素として指摘している。具体的には、以下を提言。

・小規模病院では医療行為に加えてその他の事務も医師が処理せざるを得ず、業務負担が重くなり、さらに医師確保が困難になっているという指摘がある。役割分担の適正化が望ましい。
・若手医師には、何よりも研修体制を充実させることが重要である。初期研修の地域医療研修を受け入れること、地域枠学生の実習を受け入れること、良い指導者を招くこと、必要により研修日を作り外部の医療機関で研修が行えるような仕組みを作ることが望ましい。
・地域における住みやすさ・暮らしやすさの向上といった居住環境の整備など生活面でのバックアップ体制を整えることや、地域住民との意見交換やコミュニケーションの場を整えるなど医師の業務以外の面に係る地域と連携した取組により、医師自身が、その地域の暮らしを支えている・必要とされていると実感できるような方策を考えることも有効である。

 医師を確保することで医業収益の改善に寄与するが、そのために多くの経費がかかっているとし、「不採算地区病院が、不採算地区以外の病院と比較してより厳しい経営状況にあることを踏まえ、総務省は不採算地区病院に対する財政支援を充実する方向で検討すべきである。合わせて、医師確保に係る取組に対しても、その重要性を認識した上で措置の検討が必要である」と指摘した。

見える化へ「経営比較分析表」
 総務省は公営企業会計の「見える化」に取り組んでおり、病院経営でも新たに「経営比較分析表」を作成する。検討会での案では「経営の健全性・効率性(経営の状況)」で、(1)経常収支比率、(2)累積欠損金比率、(3)医業収支比率、(4)病床利用率、(5)入院患者1人1日当たり診療収入、(6)外来患者1人1日当たりの診療収入、(7)職員給与費対医業収益比率、(8)材料費対医業収益比率――を提言。「老朽化の状況(資産の状況)」で、 (1)有形固定資産減価償却率(2)機械備品減価償却率(3)1床当たり有形固定資産――を指標とするとしている。

 辻座長は検討会の最後に「報告書の趣旨に即して、関係者がどう政策を行っていくかが重要。そのコミュニケーションがより実りあるものになるよう意を砕いていただきたい」と要望した。



http://www.medwatch.jp/?p=16077
10月10日から【病院総合医】育成プログラム申請を受け付け—日病・相澤会長、末永副会長
2017年10月3日 | 医療現場から MedWatch

 複数疾病をもつ高齢患者などに総合的な診療を行い、チーム医療、ひいては病院全体を牽引する力を持つ「病院総合医」の養成を来年度(2018年度)から開始。これに向け、10月10日から11月10日まで、「病院総合医」の理念に賛同する病院から「育成プログラム」の申込を受け付ける—。

日本病院会が10月3日に開いた記者会見で、相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)と末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)からこういった点が発表されました(日病のサイトはこちら、各種書式がダウンロードできます)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 総合診療を提供し、チーム医療、将来は病院全体を牽引する【病院総合医】を養成
2 10月10日から育成プログラムの申請受付、2月頃から専修医の募集・登録

総合診療を提供し、チーム医療、将来は病院全体を牽引する【病院総合医】を養成

日本専門医機構が総合診療専門医の養成を2018年度から開始しますが、病院において複数の疾患を抱える患者への総合診療提供や、術後管理などを一手に引き受ける医師を養成するプログラムとなっているかについて疑問を持つ医療関係者も少なくないようです。そこで日病では、高齢化が進む中で「病院において総合診療を行う医師」の養成が急務と考え、1年ほどかけて構想を練ってきました。

相澤会長は「高齢化が進む中で、複数の診療科間で、さらに介護・福祉との間でも連携をとれる医師が求められている。一方で、こうした総合医療を提供する医師の地位をどう考えるか、キャリアアップをどう考えるかという点がはっきりしていなかった。そこで、包括的かつ柔軟に幅広い『全人的』な医療を提供する【病院総合医】の養成に踏み切ることになった。病院総合医は、チーム医療を牽引する役割も担い、将来的には病院全体をまとめることができるだろう」とコメント。病院総合医が「病院経営幹部」への1ルートとなることを強調しています。

 
 また【病院総合医】構想の中心メンバーである末永副会長は「高齢化が進む中では、複数疾病を抱える患者、診療科間の隙間に陥ってしまう患者が増加してくるため、特に中小病院で総合医の養成が急務とされ、また大規模病院でもその必要性は大きい」と指摘。また日本専門医機構の「総合診療専門医」とは別の仕組みである(【病院総合医】は、自院で活躍する「卒後6年目以降の医師」が対象)ことを明確にした上で、「機構でもサブスペシャリティ領域の中で病院の総合医的な資格を考えることになるかもしれない」と見通しました。その際に日病の【病院総合医】がそのままサブスペシャリティ資格になることはないものの、「一定の配慮」がなされる可能性もありそうです(それを期待した制度設計になっている)。

10月10日から育成プログラムの申請受付、2月頃から専修医の募集・登録

【病院総合医】の認定スケジュールは、次のようになっています。

▼【病院総合医】の理念に賛同する病院が基準に則った「育成プログラム」を日病に申請する(10月10日-11月10日)
  ↓
▼日病で育成プログラムを審査・認定(11月下旬から1月にかけて)した後、各病院で専修医を募集し、日病に登録する(2月頃)
  ↓
▼各病院で研修を開始し(4月スタート)、2年後(あるいは1年後)に日病が研修結果を評価し、基準を満たしていると判断された場合には【病院総合医】として認定する
  ↓
▼【病院総合医】資格は5年ごとに更新され、その際「医療安全管理」や「医療政策」などの最新情報を取得し、状況変化に適応できる能力を養っていることが期待される

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病院総合医認定・更新にかかる大きなスケジュール概要
 
 末永副会長は、【病院総合医】の理念として、(1)多様な状態を呈する患者に包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療能力を持つ(2)全人的に対応できる(3)地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携の中心的役割を担う(4)多職種をまとめチーム医療を推進できる(5)地域医療にも貢献できる—能力を持つ医師を養成することを掲げ、「便利屋の養成を行うわけではない」と強調しました。

 【病院総合医】を目指す「専修医」(研修期間の医師)は各診療科で指導を受けますが、その責任は「病院総合指導医」が負います。「病院総合指導医」とは、日病を初めとする各団体の実施する「臨床研修指導医講習会」を修了した医師、あるいは病院管理者とされ、「病院全体で将来の幹部候補を育てる」という意識が重要になってきます。病院総合指導医1人つき、専修医は3名までとされました。

また研修期間は2年間が原則ですが、すでに総合医療を提供していると認められるような場合には、研修期間を1年間に短縮することも可能です。例えば、▼最初の1年間(短縮の場合は6か月)は「救急科」に所属して救急外来を担当することで総合医研修を受ける▼残りの1年(短縮の場合は6か月)は「総合診療科」にて病棟医の研修を受ける—といった育成プログラムが考えられます。自院で研修を完結する必要はなく、複数病院が連携して研修を行うことも可能です。

日病では、研修期間中に ▼ショック ▼急性中毒 ▼意識障害 ▼全身倦怠感 ▼心肺停止 ▼呼吸困難 ▼身体機能の低下 ▼不眠 ▼食欲不振 ▼体重減少・るいそう ▼体重増加・肥満 ▼浮腫 ▼リンパ節腫脹 ▼発疹 ▼黄疸 ▼認知脳の障害 ▼頭痛 ▼めまい ▼失神 ▼言語障害 ▼けいれん発作 ▼視力障害・視野狭窄 ▼聴力障害・耳痛 ▼鼻漏・鼻閉 ▼鼻出血 ▼嗄声 ▼胸痛 ▼動悸 ▼咽頭痛 ▼誤嚥 ▼誤飲 ▼嚥下困難 ▼吐血・下血 ▼肛門・会陰部痛 ▼熱傷 ▼外傷 ▼褥瘡 ▼背部痛 ▼腰痛 ▼関節痛 ▼歩行障害 ▼四肢のしびれ ▼肉眼的血尿 ▼排尿障害(尿失禁・排尿困難) ▼乏尿・尿閉 ▼多尿 ▼不安 ▼気分の障害(うつ)―といった幅広い症例を経験することが必要と考えています。またチーム医療を牽引していく能力を養うために、さまざまなチーム医療活動、とくに「医療安全」「感染制御」チームへの参画は必須となります。

さらに、将来の「病院経営幹部」候補であることも踏まえ、病院経営・管理に関する各種講習会やセミナーに積極的に参加することも求められます。末永副会長は【病院総合医】資格を取得した医師が、次の病院総合指導医になることを期待し、「臨床研修指導医講習会には必ず参加してほしい」と求めています。

 
2年間(あるいは1年間)の研修を終えた後に、病院総合指導医が各専修医の(i)インテグレーションスキル(包括的診療の展開・実践)(ii)コンサルテーションスキル(必要な場合に専門診療科へ速やかな相談・依頼)(iii)コーディネーションスキル(多職種の連携・調整)(iv)ファシリテーションスキル(チーム医療の促進・実践)(v)マネジメントスキル(地域包括ケアシステムや日本全体を考慮した病院運営)―という5つの能力について評価。これをもとに日病で【病院総合医】の基準を満たしているかどうかを審査することになります。
 
なお、育成プログラムの審査には1件当たり3万円、総合医の認定・更新には1人当たり1万5000円の費用がかかります。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t280/201710/553041.html
シリーズ◎2018診療・介護報酬同時改定
DPC地域医療係数の見直し方向を固める
中医協DPC評価分科会、がん、脳卒中、災害の2項目は1つにまとめる

2017/10/3 土田絢子=日経ヘルスケア

 中央社会保険医療協議会(中医協)の「DPC評価分科会」は9月28日、2018年度診療報酬改定に向けて機能評価係数IIについて議論した。(1)地域医療係数はより均一な評価となるよう項目を整理する、(2)保険診療係数は未コード化傷病名の使用割合が高い場合の減算評価基準を「20%以上」から「2%以上」に厳格化する、(3)効率性係数などで行っている分散が一定となるような統計処理を行わないことにする――などの方針が固まった。

 まず(1)地域医療係数について。地域医療係数は地域医療への貢献を評価するもので、5疾病5事業などの診療体制を評価する「体制評価指数」と、地域の全患者に対する各病院の患者シェアを評価する「定量評価指数」という2つの指数の合計で評価している。

 このうち体制評価指数は現在、図1、図2の12項目について1項目最大1ポイントとして評価している。しかし、がんは「がん地域連携」と「がん拠点病院」の2つの項目があるのに対し、救急医療やへき地の医療などは1項目しかないため相対的に低い評価となっている。9月28日ではこうした点に着目し、2項目あるがん、脳卒中、災害については評価内容を整理して1項目にすることとした。

 また、「急性心筋梗塞の24時間診療体制」の項目は対象疾患を心血管疾患に変更。2017年7月の厚労省「脳卒中、心臓病その他の循環器病にかかる診療提供体制のあり方に関する検討会」のとりまとめ内容に沿って、脳卒中や心血管疾患では、地域ネットワークにおける「専門的医療を包括的に行う施設」と「専門的医療を行う施設」とに分けて、段階的な評価を取り入れる。

 災害では、「災害時における医療」「EMIS(広域災害・救急医療情報システム)」の2項目を1項目に整理しつつ、被災後に早期に診療機能を回復できるようBCP(業務継続計画)の整備に関する内容も評価に導入する方向となった。

図1●地域医療係数の体制評価指数の項目9月28日中医協DPC評価分科会資料より (図 略)


図2●地域医療係数の体制評価指数の項目の続き9月28日中医協DPC評価分科会の使用より (図 略)

 (2)保険診療係数は、質の保たれたDPCデータの提出などを評価するものであり、現在、レセプトの傷病名のうち未コード化傷病名である割合が20%以上の場合、0.05点減点することとなっている。ただし、厚労省が1カ月分のDPC様式1を調べたところ未コード化傷病名の使用割合が全病名中1.40%だったことを受け、減点対象となる基準を「20%以上」から「2%以上」に厳格化することとなった。

 そのほか(3)機能評価係数IIの効率性、複雑性、後発医薬品について各病院の指数の分散が均等となるように行っている統計処置についても議論。本来、医療機関群ごとに均一な分散が期待されているわけではないことから行わないこととした。

 III群のカバー率係数では、専門病院・専門診療機能に配慮して最小値が30%タイル値となるようにしている設定についても、ほかの係数と同様に0とすることについて検討した。この点については委員から反対意見があったため継続審議となった。



http://www.medwatch.jp/?p=16069
市販品類似薬を保険給付から外し、薬価引き下げ分は診療報酬に充てるな—健保連
2017年10月3日 | 2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度について、公費負担を「50%」とし、患者負担は「段階的に2割」へ引き上げる。また医療提供体制については、「機能分化・連携」「地域間格差の是正」を推進する。さらに軽疾患用の医薬品については保険給付範囲からの除外などを行う必要があり、まず「市販品類似医薬品」から除外を進めていく必要がある。また薬価引き下げで生じた財源は、診療報酬本体に充てず国民に還元せよ—。

 健康保険組合連合会は9月25日に「2025年度に向けた医療・医療保険制度改革について」を発表。その中でこうした提言を行いました(健保連のサイトはこちら)(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 医療保険、医療提供体制、診療報酬などに関する提言
2 75歳以上の後期高齢者でも窓口負担は2割とせよ
3 1人当たり医療費の都道府県格差は1.5倍、まず格差の「半減」を目指せ
4 薬価引き下げで生じた財源は診療報酬本体に充てず、国民に還元せよ

医療保険、医療提供体制、診療報酬などに関する提言

 主に大企業の従業員とその家族が加入する健康保険組合の連合組織である健保連は、「医療保険改革」「医療制度改革」について積極的な研究・提言を行っています。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、これから医療・介護ニーズが飛躍的に高まり、医療費・介護費も急増します。健保連の試算では、2025年度には医療費が58兆円となり、うち75歳以上の後期高齢者医療費は25兆円(全体の43%)を占めると推計されました。
健保連の試算では、2025年度には57.8兆円になると推計された
健保連の試算では、2025年度には57.8兆円になると推計された
 
こうした状況の中で、健保連は「国民皆保険制度を維持するために医療制度・医療保険制度の改革を先送りしてはならない」と考え、今般の提言を行ったものです。提言内容は多岐にわたりますが、メディ・ウォッチでは次の項目に注目しました。
(1)後期高齢者拠出金負担割合に50%の上限を設定し、上限超過分は国庫負担とすべき
(2)後期高齢者の患者負担を段階的に2割とすべき
(3)「持続可能な医療保険制度」に向けたビジョンを示すべき
(4)医療機能の分化・連携を推進すべき
(5)医療の地域間格差を是正すべき
(6)薬剤費の伸びを抑制すべき
(7)保険給付範囲を見直すべき
(8)診療報酬体系を見直すべき

75歳以上の後期高齢者でも窓口負担は2割とせよ

 まず(1)と(2)は「後期高齢者医療制度」に関する見直し項目です。75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の医療費は、▼公費5割▼若年世代からの支援金4割▼高齢者自身の保険料1割—という構成の財源で賄うこととされています。このうち若年世代からの支援金(拠出金)を詳しく見てみると、健保組合平均で50.7%となっており、「支出の過半が加入者ではなく、後期高齢者のために費やされている」状況になっています。そこで健保連は「拠出金(支援金)負担に50%の上限を設け、超過分は公費負担とすべき」と訴えているのです。

また現在、新たに70歳になった人から「2割の窓口負担」が課せられる仕組みとなっており、健保連は「2018年度から70-74歳の窓口負担がすべて2割となるので、75歳以上も2割負担を継続してはどうか」と提案しています。「医療費に対する自己負担」という視点で診ると、75歳以上では、74歳以下に比べて極めて負担割合が低く、「受益に応じた負担の公平化」を進めるべきと健保連は考えているようです。もっとも、75歳以上では、若い世代に比べて収入の水準が極めて低くなるため、「能力の応じた負担」という視点での検討も必要でしょう。

「医療費に対する自己負担」(応益負担)の視点だけでみると、75歳以上の高齢者は負担割合が若い世代に比べて低いことが分かる (図 略)
 
 一方(3)では、医療保険制度を「税金」と「保険料」でどのように賄うのか、「消費増税分の配分方法見直し」(高齢者医療へ充当)などを検討するよう求めています。
1人当たり医療費の都道府県格差は1.5倍、まず格差の「半減」を目指せ

また(4)と(5)は医療提供体制に関する提言です。▼地域包括ケアシステムの構築▼ゲートキーパー機能を担う総合診療専門医の育成推進▼適切な受診行動の啓発▼効率的・効果的な医療提供に向けた医師の意識改革▼病床数・入院日数・医療費などの地域間格差是正—などを行うべきと強調しています。

とくに「地域間格差」については、1人当たり医療費を都道府県別に比較した際に「最高の福岡県と最低の埼玉県では1.5倍の格差があり、病床数と入院医療費との間に相関がある」ことなどを指摘。この格差の半減を目指して、情報公開・データ分析の見える化を進めるよう強く求めています。

病床数と入院医療費には正の相関があり、都道府県別の1人当たり医療費には1.5倍の格差があることから、これをまず「半減」すべきと健保連は提案している (図 略)

薬価引き下げで生じた財源は診療報酬本体に充てず、国民に還元せよ

 さらに(6)から(8)は診療報酬に関する提言と言えます。(6)の薬剤費については、▼薬価制度抜本改革の基本方針に沿った「薬価の適正化」▼服薬指導管理、処方変更、リフィル処方箋などを活用した薬局・薬剤師の機能発揮—などを図るべきと提案。

また(7)では、これまでの診療報酬改定での提言に続き「まず市販品類似薬の保険給付からの除外」を進めるよう求めています。フランスでは、▼抗がん剤などは100%▼血圧降下剤などは65%▼アレルギー用剤などは30%▼耳鼻科用薬などは15%▼去痰剤などは0%—という具合に、医薬品の重要性を勘案した保険給付率の階段を設けており、こうした仕組みを参考にした改革が必要と訴えています。

フランスでは、医薬品の重要性を勘案して保険給付率が設定されており、我が国でもこの制度を参照すべきと健保連は訴えている (図 略)
 
さらに(8)では、▼薬価引き下げ分の財源は国民に還元する(診療報酬本体には充てない)▼診療報酬体系の包括化を拡大する―よう求めています。
 
診療報酬については中央社会保険医療協議会(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)、医療保険制度については社会保障審議会・医療保険部会(関連記事はこちらとこちらとこちら)、医療提供体制については社会保障審議会・医療部会(関連記事はこちらとこちら)で主に議論が進められており、今秋から来春にかけて熱い論議が繰り広げられます。各審議会・協議会には健保連からも委員が出席しており、この提言に沿った意見陳述が行われることになるでしょう。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/560783
シリーズ 真価問われる専門医改革
「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める
総合診療専門研修プログラムの審査、大学本院での養成に疑義も

レポート 2017年10月3日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 「整備基準通りに専門研修プログラムを作り、研修実績があるにも関わらず、1次審査を通過しなかったのは大変遺憾。当院で来年度の研修を希望する初期研修医もおり、今からの再認定を強く要望する。認定を行わない場合はその理由をきちんと文章で明示していただきたい」

 こう問題視するのは、王子生協病院(東京都北区)の診療部長を務める平山陽子氏。同病院は、日本専門医機構に対し、回答を求める意見書を提出した。新専門医制度の総合診療専門研修プログラムの1次審査は9月20日に終了したが、審査結果への不満の声が、複数の病院から上がっているほか、医療関係団体も要望や意見を日本専門医機構に提出している。

 全日本民主医療連合は9月27日に緊急要望を、四病院団体協議会は10月2日に意見書を、それぞれ日本専門医機構に対し、提出した(『総合診療専門研修プログラム審査、「公正さを欠く」』、『四病協、総合診療専門研修プログラムの1次審査に疑義』を参照)。

 これに対し、日本専門機構副理事長で総合診療専門医の準備を進めてきた松原謙二氏は、あくまで理事会決定に基づき、総合診療専門研修プログラムの整備基準に加え、「1次審査基準」を設け、同基準に合致していたか否かで合否を判断したと説明する(『総合診療専門研修プログラム「1次審査基準」、都市集中回避が狙い - 松原謙二・日本専門医機構副理事』を参照)。

平山陽子氏は2001年東京大学医学部卒、卒後17年目の医師。日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医の指導医資格を持つ。

 「整備基準」に加え、2つの基準を追加
 他の18の基本領域については、各学会が、基幹病院から申請された専門研修プログラムの1次審査を行った。これに対し、新たに基本領域に加わった総合診療専門研修プログラムの1次審査は、日本専門医機構が担当。419の申請があり、1次審査に合格したのは360(『総合診療専門研修プログラム、1次審査通過は360』を参照)。その結果を「1次審査基準」とともに9月25日に同機構のホームページに掲載した。

 総合診療専門研修プログラムの整備基準は、7月の日本専門医機構の理事会で決定。8月9日に申請の受付開始、8月21日が受付終了の予定だったが、8月25日に延期された。

 この間、8月10日に「総合診療専門研修プログラムについては、地域医療に配慮し、1年以上の僻地等の専門研修が含まれるものを優先すること」との基準を公表。受付終了後の8月28日には「内科は、単独で 12カ月の研修が必要」との基準を追加し、必要であれば8月31日までに修正するよう求めた。

 全日本民医連は、基準が追加されたことから、「後付けで審査基準を示すのは道理に合わない、公正さを欠くものと考える」と指摘。四病協も、審査基準を明示的に事前に確認できる体制が必要だとし、1次審査基準を理事会決定した日時等を明らかにすることを求めている。

 総合診療専門医、養成は大学病院中心か
 王子生協病院は、2006年度から日本プライマリ・ケア学会の後期研修プログラムで家庭医療専門医の養成に取り組んでおり、修了者は計10人、現在研修中の専攻医も3人いる。3年で修了する通常プログラムに加え、時短勤務、当直免除、土日勤務免除を前提とし、4年修了を基本とする「女性医師復帰支援後期研修プログラム:カトレア」の2本立てで行ってきた。

 今回の申請に当たっては、プログラムを1本化、その中で4年コースを組み込む形で申請。内科:12カ月、小児科:3カ月、救急:3カ月、総合診療Ⅰ:12カ月、総合診療Ⅱ:6カ月というプログラムで、「連携病院として被災地(東日本大震災で被災した宮城県の病院)での研修6カ月、医療資源の乏しい地域(埼玉の医師不足地域の病院)での研修6カ月をそれぞれ含んでいる」(平山氏)。

 平山氏が疑問を投げかけるのは、1次審査のプロセスに加え、総合診療専門医の養成の在り方そのものだ。王子生協病院のある東京都北区は、都内でも人口の高齢化率が高い地域。病床数は159床で、一般病棟92床(10対1入院基本料75床、地域包括ケア病床17床)、回復期リハビリテーション病棟42床、緩和ケア病棟25床という体制で運営、救急搬送も受け入れる一方、在宅医療部も持つ、地域密着型の医療を提供する。

 「“地域で医師を育てる”という発想で、長年取り組んできており、総合診療専門医養成の基盤を確立してきた自負がある。地域包括ケアへの対応も求められる時代、その重要な担い手となる総合診療専門医の養成は、まさに当院のような地域密着型の医療を提供する施設で行うのがふさわしいのではないか」と平山氏は語る。

 東京都内で1次審査に合格した29プログラムのうち、大学病院のプログラムは、本院10、分院1、計11に上る。大学病院の中には、適切に連携病院と協力して総合診療専門医の養成に取り組むケースも確かにあるが、特定機能病院として高度医療の提供が求められる大学病院本院が、総合診療専門医養成の場としてふさわしいか、疑問視する声が少なくないのも確かだ。

 さらに総合診療専門研修プログラムの「1次審査基準」では、東京都など5都府県は1年以上、それ以外の地域では6カ月以上、「へき地・過疎地域、離島、被災地、医療資源の乏しい地域での研修を条件とし優先する」とされた。平山氏は「子育て中、あるいは親の介護をしているなど、何らかの事情で自宅を離れにくい医師は、総合診療専門医の研修を受けにくくなるのではないか」とも懸念している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/561741
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医の1次登録、3060プログラムで10月10日開始
日本専門医機構、総合診療は「追加・辞退」で367

レポート 2017年10月6日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は10月6日の理事会で、都道府県協議会からの意見を検討、各都道府県内の専門研修プログラム自体を認めないとの意見はなかったことから、予定通り10月10日から専攻医の1次登録をスタートすることを確認した。

 19の基本領域で2次審査に合格した専門研修プログラム数は計3060。内訳は既存の18の基本領域が2693、総合診療専門医が367。9月21日の理事会後の会見で公表された1次審査合格プログラム数は3026だったが、その後、追加あるいは辞退があった。総合診療専門研修プログラムについては1次審査合格の360うち、2プログラムが辞退、一方で都道府県からの要請があり、9プログラムが追加された。

 新専門医制度では、各領域の専門研修プログラムの1次審査終了後、各都道府県協議会で協議することになっている。10月6日までに43の都道府県からその結果が日本専門医機構にフィードバックされた。残る4県についても返事待ちの状態だという。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「すぐに対応できる意見は、各基本領域の学会に伝えて対応してもらっている」と説明。中でも一番多かったのは、連携施設の追加要望だった。学会から対応方針についての返事をもらい次第、都道府県に対して回答する予定。

 都道府県協議会からの意見では、「制度設計そのものに関する意見も多々あった」(山下副理事長)。最も制度設計の根本に関わる意見は、研修プログラム制をやめ、研修カリキュラム制の採用を求める声だ。そのほか、専攻医の大都市集中への懸念、10月の専攻医登録開始というスケジュールの遅さ、資料提供の遅さなどに関する意見も上がった。山下副理事長は、「これでいいということはなく、新専門医制度で医師の偏在を増長することもあってはならない。まずはスタートした上で、検証しながら、フレキシビリティーを持って状況に応じて変えていきたい」と述べ、理解を求めた。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、総合診療専門研修プログラムが追加された理由について、「都道府県から、具体的に固有名詞が出てきたプログラムに対し、修正依頼をした上で、審査基準に合格したものについて追加した」と説明した。1次審査については、その審査過程や結果について疑義が呈せられていた(『「1次審査不合格、大変遺憾」、専門医機構に説明求める』を参照)。不合格となった一部のプログラムは、都道府県を通じた日本専門医機構への働きかけにより、“復活”したことになる。なお、2次審査は、専門研修の各年次でどの施設で研修するかについてのスケジュールの提出を求め、適切に運用できるか否かという視点から行っ



https://www.m3.com/news/iryoishin/560989
シリーズ 真価問われる専門医改革
日病会長、総合診療専門研修プログラム「問題点きちんと言う」
独自の「病院総合医」はプログラム募集開始

レポート 2017年10月3日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は10月3日の定例記者会見で、日病も参加している四病院団体協議会が2日付で日本専門医機構理事長の吉村博邦氏に対して総合診療専門研修プログラムの1次審査結果についての意見書を提出したことについて、「(2018年)4月に今の形でスタートはするが、問題がある点についてはきちんと言っておかなければ、改善にはつながらない」と指摘。同プログラムは今後も改善していく必要があるとの認識を示した(『四病協、総合診療専門研修プログラムの1次審査に疑義』を参照)。

 相澤氏は、「新専門医制度は4月から始まるということで、大学にいる若い医師や病院、関係者も期待している。いろいろと手落ちがあるが、そこをいちいち突くと4月開始は無理。始まること自体は仕方がない」としながらも、総合診療専門研修プログラムに関しては、「まだ整っていない。慌てて間に合わせるようにやっている」と述べ、準備が十分でないと指摘。4月にスタートさせること自体は了解しているが、改善の必要はあることを強調した。

 日病は会見で、日本専門医機構の総合診療専門医とは別に、日病が独自に認定する「病院総合医」育成事業の育成プログラム募集開始を発表した(資料は日病のホームページ、記事は『日病独自の「病院総合医」、2018年4月から育成』を参照)。9月30日の理事会で、育成プログラム基準と、その細則を決定。認定された病院から、順次、「病院総合専修医」の登録を開始し、2018年4月から研修を開始する予定。

 研修の対象者は卒後6年目以降の医師で、研修期間は2年間。(1)多様な病態に対応できる幅広い知識や診断・治療によって包括的な医療を展開・実践できる(インテグレーションスキル)、(2)患者へ適切な初期対応を行い、専門的な処置・治療が必要な場合には、然るべき専門診療科への速やかな相談・依頼を実践できる(コンサルテーションスキル)、(3)専門科医師、薬剤師、看護師、メディカルスタッフ、その他全てのスタッフとの連携を重視し、その調整者としての役割を実践できる(コーディネーションスキル)、(4)多職種協働による患者中心のチーム医療の活動を促進・実践できる(ファシリテーションスキル)。(5)総合的な病院経営・管理の素養を身に付け、地域包括ケアシステムや日本全体の医療を考慮した病院運営を実践できる(マネジメントスキル)――という、5つのスキルを身に付けることを目標とする。

 事業担当副会長の末永裕之氏は、「当面は既に総合医としての実績を積んでいる医師が対象になってくる」と説明。その場合には病院総合指導医(臨床研修指導医講習会修了者か病院管理者)の判断で研修期間を1年間に短縮することができ、そうして認定された医師に、指導する側の役割を果たしてもらいたいとの狙いも示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/553487
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
長時間勤務、男性医師で抵抗少なめ◆Vol.1
時間外100時間超でも「適正」40%

医師調査 2017年10月1日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 社会全体で「働き方改革」の機運が高まる中、労働基準監督署による病院への是正勧告や、若い研修医の過労自殺など医療界にとっても対応を迫られる自体が次々と起こっている。
 政府が2017年3月に策定した「働き方改革実行計画」では、労使が合意した場合、特例として時間外労働は年720時間(月平均60時間)を上限とすることなどが盛り込まれているが、医師については5年間の適用猶予が決まっており、3月からの2年間を目処に議論をすることが求められている。厚生労働省や日本医師会、医療団体がそれぞれ「医師の働き方」に関する検討会を設置し、上限規制の在り方や、医師法に基づく応招義務や自己研鑽の扱いなど、各論の議論が始まっている。

 m3.com編集部では、こうした問題について、現場の病院勤務医の勤務実態やそれについての受け止め方などを尋ねた。
 調査は2017年8月8日から11日に、病院勤務医を対象に実施し、男性406人、女性100人から回答を得た。質問項目は、1カ月当たりの時間外勤務やその把握、その時間に対する感覚や、時間外労働への上限規制の是非、応招義務の是非、医師にとって何が労働に該当するか、長時間勤務対策など。

Q:「1カ月当たりの時間外労働」は何時間でしょうか。
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 男女とも概ね似たような傾向にあるが、80~100時間未満は男性が5.2%、女性が3.0%、100時間以上は男性5.4%、女性3.0%と、いわゆる「過労死ライン」とされる80時間以上は、男性の方がやや多くなっている。

 また、自身の勤務時間を把握していないとの回答が男性10.8%、女性14.0%と少なくない。研修医の過労死や労基署による指導・勧告への対応でも、勤務時間の把握は重要なポイントで、今後の議論の中でも重要な論点になっていく可能性がある。

Q:現状の勤務時間をどう感じていますか。
【男性】
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【女性】
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 時間外勤務時間の階層ごとに集計したところ、40~60時間未満からの層で男女差が現れた。40~60時間未満では、男性が「適正」と「減らしたい」が41.9%で拮抗しているのに対し、女性は「減らしたい」が2倍。また、「増えてもかまわない」が男性で4.8%だったのに対し、女性では20~40時間未満までの層にしか見られなかった。

 80時間以上の層では、回答数は少ないものの、女性は全て「減らしたい」との回答。それに対し、男性では80~100時間未満で19.0%、100時間以上ではさらに増えて40.9%も「適正」がおり、長時間勤務をいとわない姿勢がより大きく現れた。

【調査の概要】
調査期間:2017年8月8日-8月11日
対象:m3.com医師会員のうち病院勤務医
回答者数:男性406人(20代10人、30代57人、40代107人、50代155人、60代以上77人)、女性100人(20代6人、30代25人、40代37人、50代23人、60代以上9人)



https://www.m3.com/news/general/561650
かつらお診療所へ内科、小児科医派遣 田村医師会、11月再開へ
2017年10月6日 (金)配信福島民友新聞

 葛尾村と田村医師会は5日、医師派遣などに関する協定を締結した。村は医師派遣を受けて、村唯一の医療機関「かつらお診療所」での内科診療を11月に再開させる。

 かつらお診療所は村が建設し、男性医師が内科診療を担当しながら運営していた。男性医師が東日本大震災後、高齢などを理由に引退したため、医師確保が課題となっていた。

 田村、三春、小野の3市町の医療を担う田村医師会から医師が派遣される。複数の医師が各自の休診時間を活用し、交代で診療する。診療科目は内科と小児科。診療日は毎週木曜日と第2、4水曜日で受付時間は午後1時30分~同5時。村は診療所を村営にし、名称を「葛尾村診療所」に変更する。同医師会に加え、星総合病院(郡山市)が看護師派遣に協力する。

 締結式が三春町の葛尾村三春出張所で行われ、篠木弘村長と石塚尋朗会長が協定書を取り交わした。篠木村長は「医療体制の構築は村の復興に貢献する」、石塚会長は「村を応援できるよう頑張りたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/561637
鷹島無床化に批判、要望 新病院誘致で松浦市説明
地域 2017年10月6日 (金)配信長崎新聞

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)の移転問題で、松浦市は3日夜、新病院の誘致に向け鷹島診療所の病床をゼロにする計画について、鷹島町内で町民に説明した。出席者は「(削減病床の)受け皿を確保して」と注文を付けた上で理解を示す一方、「事前説明がなく町民をないがしろにしている」と批判の声も上げた。

 移転を巡っては、運営機構が老朽化に伴い松浦市を候補地と決定。だが同市を含む2次医療圏が病床過剰のため、機構は医療法上の特例での開院を目指している。市は移転に向け、鷹島、福島両町の診療所の無床化を含め市内で計88床を削減する計画を立てている。

 鷹島診療所は休床中の一般病床7床、介護療養病床12床があり、全19床を削減する計画。友広郁洋市長は冒頭「計画策定に当たり事前説明をしなかった。おわび申し上げたい」と陳謝した。その後、担当課長が(1)削減予定の介護療養病床は国が廃止方針を決めている(2)病床の利用者の受け皿の介護施設をつくる―などと説明した。

 これに対し、ある出席者は「計画段階でなぜ意見を求めないのか」と批判。一方で「国の方針ならば仕方ない。入院患者の理解を得てほしい」と注文も上がった。橋口忠美副市長は「(介護施設などの)受け皿は必ずつくる」と説明し、理解を求めた。

 市は診療所を無床化する福島町でも6日に説明会を開く予定。



https://www.m3.com/news/general/561037
京大病院で濃度700倍の製剤…患者が死亡
事故・訴訟 2017年10月4日 (水)配信読売新聞

 京都大医学部付属病院(京都市)は3日、通常の700倍を超す高濃度の製剤を自宅で点滴投与した60歳代の女性患者が死亡したと発表した。

 同病院は、調剤のミスを認め、女性の遺族に謝罪。京都府警と厚生労働省に届け出るとともに、院内に調査委員会を設置し、詳しい経緯などを調べる。

 発表によると、処方されたのは「セレン注製剤」。セレンは体内に欠かせない微量元素で、不足すると、免疫反応や神経系に悪影響が出るため、点滴などで投与する。血中濃度が濃くなりすぎると、内臓疾患などを引き起こすという。

 女性は同病院に外来で通っており、同製剤の処方を受けて9月26日夕に自宅で点滴。背中に痛みを覚え、翌27日朝に受診したが、数時間後に死亡した。同病院は病理解剖して死因を調べている。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15070291125959
モルヒネ量、単位誤認 水戸済生会病院 女性死亡で謝罪
2017年10月4日(水) 茨城新聞

心臓カテーテル手術中に看護師が誤って10倍の量のモルヒネを投与して女性患者(69)が死亡した事故で、水戸済生会総合病院(水戸市双葉台)は3日、記者会見し、通常使わない量のモルヒネを医師が事前に準備し、看護師も量の単位を誤ったまま投与したと明らかにした。医師が看護師から投与量を確認されたが、聞き逃していたことも説明した。

村田実病院長は「亡くなった患者さんのご冥福をお祈りする。遺族の方々には大変な思いをさせてしまった」と謝罪した。

病院によると、カテーテル手術では通常、痛み止めのモルヒネ注射液は10ミリグラムが用意されていたが、今回は50ミリグラムが準備されていた。手術中、医師が看護師に「モルヒネ2・5ミリ」と指示したのに対し、看護師は2・5ミリリットル分と思い込み、1ミリリットルの溶液には10ミリグラムのモルヒネが含まれることから、本来の10倍に当たる25ミリグラムを注射した。

医師に看護師が「50ミリグラムの半分ですね」と確認したが、医師から返事がなかったため、そのまま投与したという。医師は聞かれた認識がないと話しているという。

モルヒネは手術前日、別の医師が多めに見積もって50ミリグラムと手配した。手術を担当した医師は通常より多く用意されていることに気付かなかった。

同病院は再発防止策として、カテーテル治療で準備するモルヒネ注射液は10ミリグラムの規格のみとするとともに、準備した量を手術の担当医も確認する。

女性患者は9月1日に入院した。心臓カテーテル手術を同14日に受け、同26日に多臓器不全などで死亡した。

同病院は事故調査委員会を設置し、事故の原因を詳しく調べることにしている。



https://mainichi.jp/articles/20171004/k00/00e/040/198000c
モルヒネ大量投与
原因は医師と看護師の伝達ミス 水戸

毎日新聞2017年10月4日 09時35分(最終更新 10月4日 10時42分)

 水戸済生会総合病院(水戸市双葉台3)で心臓のカテーテル手術を受けた女性患者(当時69歳)が大量のモルヒネを投与され、その後死亡した医療事故で、同病院は3日、記者会見を開き、医師と看護師の間での伝達ミスが原因で標準使用量の2.5~5倍を投与していたことを明らかにした。

 同病院によると、患者は9月14日、閉塞(へいそく)性肥大型心筋症の治療として、カテーテル手術を受けた。男性手術医が痛みを緩和する塩酸モルヒネの投与を女性看護師に指示する際、単位が「ミリグラム」のつもりで「モルヒネ2.5」と伝えたが、女性看護師は単位が「ミリリットル」と考え、「(事前に用意していた)50ミリグラムの半分(=2.5ミリリットル)ですね」と答え、そのまま25ミリグラムを投与した。標準使用量は5~10ミリグラムで、2人の他に医師ら8人が手術室にいたが、誤りに気が付かなかったという。

 患者は投与された後、血圧が低下して心肺停止。すぐに人工心肺を装着して、いったん蘇生したが、同月26日午後7時55分ごろ、多臓器不全で死亡した。

 村田実院長は「用意していたモルヒネの量は多く、用意した担当医の判断は適切ではなかった。それを病院もチェックできなかった」と述べた。

 病院はモルヒネの取り扱いについて規則などを新設するとともに、事故調査委員会を設置してさらに原因を調べる方針。【加藤栄】



https://www.m3.com/news/general/561046
死亡女性患者の病名訂正 モルヒネ過剰投与、水戸
2017年10月4日 (水)配信共同通信社

 水戸済生会総合病院(水戸市)に入院していた女性患者(69)が手術の際の痛み止めに塩酸モルヒネを過剰投与され死亡した問題で、同病院は3日、女性の病名を当初説明した拡張型心筋症から閉塞(へいそく)性肥大型心筋症に訂正した。

 病院によると、9月28日に報道各社から取材を受けた後、カルテなどを確認し病名の誤りが判明。手術前の診断自体は正しかったとしている。

 女性は9月14日の手術の際、塩酸モルヒネを予定の10倍の25ミリグラム投与された。心肺停止状態となり、一時回復したが、多臓器不全で同26日に死亡した。



https://www.m3.com/news/general/560902
三重県 病院事業 3年連続の黒字 一志病院の医業収益に伸び
地域 2017年10月3日 (火)配信伊勢新聞

 三重県は2日の予算決算常任委員会で、病院事業の平成28年度収支を報告した。収益から経費を差し引いた経常損益は、前年度より約3958万円多い約1億1177万円。会計基準を改正した26年度以来3年連続の黒字となった。

 黒字額が増えたのは、一志病院の医業収益が伸びたことが主な要因。国民健康保険診療所への医師の派遣件数が増えたほか、入院収益も拡大した。経常収益は前年度比7・9%増の約9億7094万円、経常損益は約8829万円の黒字となった。

 こころの医療センターは黒字を維持したが、黒字額は2431万円ほど落ち込んだ。入院診療単価や外来患者数の減少が理由。入院収益は約2442万円減の約18億2554万円。外来収益は約3億6005万円と476万円ほど減った。

 志摩病院は指定管理で運営を委託しているため、経営状況が県の決算には反映されないが、県会計の経常損益は221万円の赤字。指定管理者に交付する経営基盤強化交付金が増加したことなどが影響した。赤字幅は前年度より304万円ほど縮小した。



https://www.m3.com/news/general/560641
秋田の産婦人科、10年で8施設減 全国的な減少傾向続く2017年10月2日 (月)配信秋田魁新報

 厚生労働省は26日、2016年医療施設調査を公表した。昨年10月時点で産婦人科と産科を掲げていた全国の病院は1332施設(前年比21施設減)で、現在の形で統計を取り始めた1972年以降の過去最少を更新した。26年連続の減少で、内訳は産婦人科が1136施設、産科が196施設。小児科も前年より24施設少ない2618施設で、23年連続減となった。

 秋田県内でお産ができる医療機関は全国と同様に減少傾向にある。県によると、今年は病院15、診療所8の計23施設となり、この10年間で8施設減った。県は出生数の減少や少子化の影響に加え、就業環境の厳しさなどによる医師不足が背景にあるとみている。


  1. 2017/10/07(土) 11:53:09|
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