Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月27日 

https://dot.asahi.com/dot/2017082300035.html
看護師不足が医師不足よりも深刻な理由
連載「メディカルインサイト」  上昌広
2017.8.25 07:00dot.#病院

全国の看護師の有効求人倍率。「平成25年度都道府県別求人数等の実績」「平成25年看護関係統計資料集」より。東大医科研 森田知宏、児玉有子(出典:医療ガバナンス研究所調べ)

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。だが、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、深刻な看護師不足の現状についても明かしている。その解決策とは。

*  *  *
 高齢化が進む日本で、看護師不足対策は喫緊の課題です。ところが、その解決は医師不足以上に困難です。看護師の多くが女性であり、他の地域からの移住が期待できないからです。多くの看護師は、地元の学校を卒業し、地元に就職します。結婚して家庭を持つと、看護師不足の地域で働くための「単身赴任」は難しくなります。看護師不足を緩和するには、看護師の労働条件を改善するとともに、地元での育成数を増やすべきです。

 海外から看護師を受け入れることも原理的には可能ですが、現実的ではありません。日本語という言語の壁があります。また、多くの新興国では看護師の社会的な地位は高いため、日本に来るインセンティブがないのです。

 労働条件の改善については、さまざまな対策が採られ、成果が上がりつつあります。日本看護協会によれば、新卒看護師の離職率は7.50(14年度)。大卒の新入社員の約3割が入社後3年間で辞めるとされる中、看護師の離職率は飛び抜けて高いわけではありません。

 人口あたりの看護師の数は、人口あたりの看護師養成数に比例します。看護師が不足しているのは、地元での看護師養成数が少ないからです。首都圏の看護師を増やすには、地道に育成するしかありません。看護師養成数にも、地域間格差があります。12年現在、人口10万人あたりの看護師養成数は西日本が80人程度であるのに対し、関東は約40人に過ぎません。看護師数と同じく、養成数も2倍程度の差があるのです。この「西高東低」の格差は、日本の近代化を反映しています。明治以降、病院や医師会が中心となって、看護師を養成してきましたが、医師の数や医学部数は前述したように「西高東低」だからです。

08271_20170827101752119.jpg
全国の看護師の有効求人倍率。「平成25年度都道府県別求人数等の実績」「平成25年看護関係統計資料集」より。東大医科研 森田知宏、児玉有子(出典:医療ガバナンス研究所調べ)

 看護師不足解消のため、平成以降、政府は看護師養成数を年間約4万人から6万人に増やしました。大学看護学部が急増しています。1989年には看護系学部があったのは11大学(関東に5大学)でしたが、2016年末現在で254大学(関東に73大学)に増えています。一方、専門学校の定員はむしろ減少傾向を示しています。平成以降の看護師養成数の増加は、ほぼ看護大学によると言っても過言ではありません。しかし、看護師を育成しても、急増する患者ニーズに応えることは困難です。

 看護師が多いとされる九州と四国で、看護師の有効求人倍率は1~2倍程度。つまり、最も看護師数の多い地域でも、看護師は足りていません。関西より東では看護師の有効求人倍率は2~5倍です。

 首都圏の看護師養成数を九州や四国並みに増やそうとすれば、さらに1万7000人、看護師養成数を増やさねばなりません。東京だけでも5000人です。震災復興や東京五輪を控え、人手不足が深刻な建設業よりも、看護師の人手不足は深刻です。

■急増する看護学部が希望か

 では、どうすればいいのでしょう。私は、市場はニーズがあれば、必ず成長すると考えています。この10年間で看護学部の定員が倍増しましたが、志望者数は3倍に増え、定員割れは起こしていません。

 大学経営者にとってありがたい活況です。看護学部は、医学部のように新設に対する規制がなく、事業者が看護学部設立を望めば、基本的に認められます。課題は教員の確保です。看護師の多い九州地区ですら、看護大学の教員確保は難しく、年収1000万円以上が珍しくないと言います。博士号を取っても就職先がない「ポスドク問題」とは対照的です。

 少子化が進み、大学経営が冬の時代を迎えた昨今、看護学部設立は大学経営者にとっても、教員にとっても魅力的です。東京や京都など、私立大学が多い地域では、私大がリードして看護師の養成数を増やしています。15 年4月には、関西の名門同志社女子大学も看護学部看護学科を開設しました。

 ただし、看護師不足が深刻な千葉県・埼玉県・神奈川県は、看護学部を作ろうにも、設立母体となる大学自体が多くありません。既存の私立大学が看護学部を開設するのを待っているだけでは、首都圏の看護師不足は緩和されそうにありません。私立大学の看護学部の授業料は決して安くなく、初年度納付金が200万円を超える大学も珍しくありません。それでも看護学部で学びたいという高校生は跡を絶ちません。

 なぜ、多くの高校生が看護学部を目指すのでしょうか。もちろん、看護師職にやりがいがあり、患者を支える「聖職」であることは大きいでしょう。最も大きな理由は、業務独占の国家資格であるため、看護師不足の昨今、食うには困らないということでしょう。給与も高く、14年の平均年収は473万円で、サラリーマンの平均年収(415万円)を上回ります。ある大手予備校の講師は「医学部や薬学部と比べて、看護学部の偏差値は低い。40台の学校も珍しくない。それでも卒業して、国家資格を取れば、高給が保証されている。こんな仕事はほかにはない」と言います。

 かつて「3K」といわれた職業もずいぶんと変わったものです。看護大学の人気を考えれば、偏差値も急速に上昇するでしょう。その過程で混乱が生じることも予想されます。今後、教育の質を担保しながら、さらに看護師養成数を増やす必要があります。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋
病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日
朝日新聞出版
定価:1,620円(税込)
978-4023314931



http://www.sankeibiz.jp/econome/news/170824/ecd1708240500001-n1.htm
厚労省、地方への医師呼び込み 若手対象、週4日勤務制も
2017.8.24 05:00 SankeiBiz

 厚生労働省が来年度から、医師不足に悩む地方で働く若手医師を対象に、勤務環境の改善に乗り出すことが23日までに、関係者への取材で分かった。
 週4日制など柔軟な勤務体系やテレビ電話での診療支援などを進める。「働き方」を改善し、地方に若手を呼び込み、地域間の医師偏在を解消するのが狙いだ。
 国公立の医療機関だけでなく、民間で働く医師も対象。都道府県などによる環境整備を後押しするため、来年度予算案の概算要求に8億円を盛り込む。
 地方で働いてもいいという医師は一定数いるものの、人手不足で休みが取りにくいことや、希望する仕事ができないといった労働環境の厳しさやキャリア形成の難しさなどが地方定着を阻んでいるとみられる。
 新たな事業では、若手医師が休暇や自己研鑽(けんさん)のための時間を確保できるようにするため、週4日勤務制を導入したり、非勤務日をカバーする代替医師を派遣したりする自治体の取り組みを支援。テレビ電話を活用し、遠隔地からアドバイスを受けられるような仕組みも想定している。
 地方で一定期間働くことを条件に、医学部在学中の奨学金の返済を免除される「地域枠」制度を利用した若手や自ら地方勤務を選択した医師も対象になる。
 厚労省は、医療機関が医師不足地域にベテランの指導医を派遣する際に、旅費や代替医師の雇用にかかる費用を援助する事業も実施する予定だ。



https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082300127&g=soc
診療所の継承、相続税免除=過疎地の個人開設に-厚労省
(2017/08/23-15:24) 時事通信

 厚生労働省は、過疎地などで診療所や病院を相続した後継者の医師が安定的に運営を続けられるよう、医療業務に必要な土地・建物などにかかる相続税を免除する方針を固めた。対象は個人開設の医療機関で、相続後に5年間継続して運営することが条件。2018年度税制改正要望に盛り込む。
 近年、医師が都市部へ偏り、人口の少ない過疎地では医師不足が深刻化している。こうした地域で内科や外科などの医療を担ってきた医師も高齢化し、次世代への円滑な事業継承が喫緊の課題となっている。
 しかし現状では、過疎地の医療機関を親族の医師が相続しようとしても、診療所や病院の土地・建物を含めて多額の相続税が課されるため、やむなく廃業するケースも少なくない。
 そこで同省は、個人開設で都道府県知事が地域医療に不可欠と認定した診療所や病院に限り、土地・建物や検査機器など医療に必要な資産額相当の相続税を納税猶予とする。後継者の医師が5年間運営した時点で相続税を免除する。 
 事業承継をめぐっては、中小企業の後継者が先代から株式を引き継いだ場合、相続税や贈与税の納税が猶予・免除される仕組みがある。個人経営者でも事業用地の相続税を減額評価する制度があり、医師の後継者でもこうした事例を参考にした。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201708/CK2017082302000190.html
【千葉】
医学生が知事に修学資金の制度改善を要望 県庁で意見交換

2017年8月23日 東京新聞

 医師不足の解消を目的とした県の修学資金貸付制度を利用している医学生が、県庁で森田健作知事と意見交換をした。医学生は修学資金に感謝しつつ、「使い勝手を良くしてほしい」と要望した。
 千葉県は人口十万人当たりの医師数が一八二・九人と、全国四十五番目に少ない。医師を確保しようと、二〇〇九年度から同制度を設けた。貸し付けは公立で月十五万円(私立は月二十万円)程度で、県内の医療機関に九年勤めれば返還が免除される。
 意見交換は今月十七日にあり、医学生は、診療科が少ない地域病院に配属された場合や、卒業から勤務までの猶予期間が四年間と少ない点を踏まえ、「専門コースに進みたい人のキャリアプランを狭めてしまう」と指摘した。「妊娠、出産のタイミングが難しい」との声も上がった。 (村上豊)



http://www.asahi.com/articles/DA3S13098421.html
(社説)医師過労防止 地域医療と両立めざせ
2017年8月23日05時00分 朝日新聞

 東京都内の病院で働いていた研修医が、長時間労働が原因で自殺したとして、7月に労災認定された。5月にも新潟市民病院で同様の労災が認められたばかりだ。

 医師は、正当な理由がなければ診察や治療を拒めない。とりわけ病院の勤務医の多忙さはよく知られる。総務省の就業構造基本調査では週の労働時間が60時間を超える人の割合は医師が420と職種別でもっとも高い。

 だが、勤務医も労働者だ。過労で心身の健康がおびやかされれば、手術ミスなど医療の質の低下にもつながりかねない。患者の命と健康を守るためにも、勤務医の働き過ぎを改めていくべきだ。

 政府は働き方改革として、秋の臨時国会に「最長で月100時間未満」などと残業を規制する法案を提出し、長時間労働の是正に取り組む方針だ。

 ただ、医師については、画一的な規制が地域医療を崩壊させかねないとする医療側に配慮し、適用を5年間猶予して、これから残業規制のあり方を議論することになっている。

 実際、労働基準監督署から長時間労働の是正を求められた病院で、外来の診療時間や診療科目を縮小する動きがある。医師の過労防止で必要な医療が受けられなくなる事態は避けねばならない。

 そのためには、残業規制の強化を実行できる態勢を、同時に作っていく必要がある。

 まずは、病院の勤務医の仕事の量を減らすことだ。医師でなければできないことばかりなのか。看護師や事務職など、他の職種と仕事をもっと分かち合う余地はあるはずだ。

 初期の診療は地域の開業医に担ってもらうなど、病院と診療所の役割分担を進めていくことも重要だ。

 医師不足の背景には、地域や診療科ごとの医師の偏りという問題もある。実情に合わせて正す方策を考えたい。地域によっては、病院を再編し医師を必要なところに集中させることが適当なケースもあるだろう。

 様々な取り組みを進めたうえで、それでも全体として医師が足りないようなら、いまの計画より医師を増やすことも考えねばなるまい。

 そうした議論が、働き方を巡る規制の検討会、医師の需給見通しの審議会など政府内でバラバラに進むことのないよう、横断的・一体的に検討すべきだ。

 地域医療との両立をはかりながら、医師の働き方の見直しに道筋をつける。難題だが、避けては通れない。



https://www.komei.or.jp/news/detail/20170822_25353
主張 新専門医制度  患者の期待に応える内実に
公明新聞:2017年8月22日(火)付

内科や外科、小児科などの「専門医」を育成・認定する新たな制度が、来年4月にスタートする。医療の質の向上により、「専門医」に対する国民の信頼を高める契機としなければならない。

現在、多くの医師が「専門医」という肩書を使っているが、各学会が独自の基準で認定してきたものだ。その数は100を超え、一つの病名に複数の診療科名が存在しているケースもある。患者にとって分かりにくく、認定基準も学会によって異なるため、専門医の水準にばらつきを生む点が指摘されてきた。

新制度では、専門医の認定を第三者機関の日本専門医機構が行う。医師国家試験に合格し2年間の初期研修を終えた医師が、医療現場でさらに3年程度の研修を受け、機構が実施する試験に合格することで認定される。

医療現場での研修内容は各科の学会が策定するが、機構の審査が必要となる。専門医のレベルアップへ、研修から試験まで関わる機構の役割は極めて大きいといえよう。

機構はまた、専門医の種類を内科や外科など19の基本領域にまとめた。患者にとっては、耳慣れた科目名の方が分かりやすいのは当然だろう。

「総合診療専門医」の新設も新制度の特徴の一つだ。

総合診療専門医は、内科や外科など複数の領域にまたがり、病院で診察するだけでなく在宅医療や介護など幅広く担当する。住み慣れた自宅や地域で暮らしながら医療や介護サービスを受ける「地域包括ケアシステム」では重要な役割を担う。地域医療を重視した試みは期待できよう。

課題も指摘しておきたい。例えば、新制度による研修は大都市に多い大学病院などで行われるため、専門医をめざす医師が都市部に集中し、地方が医師不足に陥るのではとの懸念があるという。

機構は既に、▽大都市圏の研修定員に上限を設ける▽研修施設を地域の中核病院にも広げる―などを決めた。地域医療に従事しながら専門医をめざす医師が少なくない点にも目を向ける必要がある。

高齢化に伴い国民の医療への関心は高い。まして専門医となれば患者の信頼は格別だ。この点を肝に銘じ、新制度のスタートに臨んでほしい。



https://www.hokkaido-np.co.jp/article/126840
社説 働き方
医師の過労死 働き過ぎ解消は急務だ

08/21 05:00 北海道新聞

 人の命を救う医師が過重労働で疲弊し、自殺に追い込まれるケースも後を絶たない。

 東京都内の総合病院の産婦人科で働く30代の男性研修医が2015年7月に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因として労災認定された。

 遺族の代理人弁護士によると、自殺直前の1カ月の残業は約173時間に上り、厚生労働省の過労死ライン(直前1カ月100時間)を大幅に上回っていたという。

 医師の過労自殺では、今年5月にも、新潟市民病院(新潟市)に勤務していた30代の女性研修医が労災認定されている。

 もはや看過できない事態である。重い使命を担うとはいえ、医師も生身の人間だ。

 政府は、一刻も早く医師の長時間労働の解消策を打ち出さなければならない。

 男性研修医は自殺する前の半年間、月に143~208時間の残業を行い、休日はわずか5日間だった。当直明けが日勤の場合、拘束時間は30時間を超えていた。

 休日の呼び出しも多く、抑うつ症状があったという。すさまじい労働実態と言うほかない。

 医師の長時間労働は常態化している。厚労省によると、週60時間以上働く医師は41.8%に上り、職業別で最多だ。

 休日は月平均5.3日だけで、ゼロも11.4%いた。自殺(未遂含む)など労災認定は、16年までの5年間で21件に上る。

 医療過誤の原因として、慢性疲労を挙げた医師が7割を超えたという調査報告もあり、長時間労働の放置は、医療の質を低下させる恐れがある。

 政府が進める「働き方改革」には問題が多い。そもそも医師は残業時間の上限規制の例外として、5年の猶予期間が設けられた。

 医師には正当な理由なく診療を拒めぬ「応召義務」があるとしても、これでは何も変わらない。

 長時間労働の是正には、医師不足や偏在の解消も不可欠だ。

 人口比で見ると、日本の医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟29カ国中26位で、1位のオーストリアの半分以下である。

 病院運営者は、医師も労働者との視点で、労働環境を再チェックしてもらいたい。交代勤務制への転換や、事務の役割分担などさまざまな工夫をすべきだろう。

 患者の側も、かかりつけ医などを活用し、時間外にむやみに駆け込む「コンビニ受診」は控えたい。意識改革が求められる。



http://www.asahi.com/articles/ASK8V23T0K8VUBQU004.html
膨らむ高齢者の医療費 治療、どこまで?
生田大介
2017年8月26日06時41分 朝日新聞

 日本は世界に誇る長寿国となった一方、それが医療費を膨張させている。薬や医療機器の高額化も進むなか、高齢者への医療はどうあるべきなのか。

■相次ぐ、画期的医療技術

 西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢過ぎて体力的に耐えられない。

 そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ))」という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい。

 治療は成功して女性は無事に退院したが、その数カ月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞(こうそく)のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい」

 TAVIは国内では2013年に保険適用され、8千例以上行われた。だが、比較的余命が短い「超高齢者」にどこまで使うのか、医療現場は模索している。

 北里大学では、95歳の患者まで対象としたことがある。阿古潤哉教授は「体力や認知能力などから適応をしっかり選んで実施している。国民皆保険がこのまま持つかどうか懸念はあるが、年齢だけで区切っていいのか難しい」と漏らす。

 TAVIの費用対効果は高いとされるが、合併症を起こす可能性が大きい高齢者には費用対効果が低いという海外の研究もある。TAVIの関連学会協議会の事務局を務める鳥飼慶・大阪大講師は「手術できない高齢者にとってTAVIは福音となる技術。ただ、超高齢者にどこまで適応をするかは、医療費の観点も含めて議論していく必要があるのではないか」と話す。

08272_20170827101754ca4.jpg

■75歳以上の医療費、年14兆円

 日本人の平均寿命は伸び続け、16年は女性が87・14歳、男性が80・98歳になった。一方、高齢になるほど医療費はかさみ、14年度の医療費(約41兆円)の3分の1以上にあたる約14兆円は、後期高齢者医療制度に入る75歳以上が使った。

 大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長(71)は、こう訴える。

 「平均寿命を超えたら超高額な薬は使わないことや、治療内容によっては自己負担割合を引き上げることなどを本気で考えないと、医療が崩壊するかもしれない」

 とはいえ、高齢者の医療費を削減する議論は、命に直結する問題だけに容易ではない。とりわけ多くの医療費がかかる延命治療のあり方は難題だ。

 患者の意思が確認しづらく、望まない延命治療が行われる場合もあるとされる。そこで京都市は4月、患者の意識が明確なうちに延命治療をするかどうかなどを決めておく「事前指示書」を約3万部つくり、配布を始めた。すると「生命を軽んじている。国の医療費抑制に同調しているのでは」といった反発が出た。

 政府は08年4月に、医師が延命治療などの相談を受ければ報酬を加算する仕組みを導入したが、「高齢者は早く死ねということか」といった強い批判を受け、3カ月後に凍結。10年4月に廃止された。

 国立がん研究センターは4月、高齢の進行期がん患者は抗がん剤による延命効果がみられない可能性があるという研究結果を公表し、波紋を広げた。

 同センターの中釜斉(ひとし)・理事長は「研究の狙いは医療費抑制ではない。体力が乏しく副作用のリスクも大きい高齢者に最適な治療を考える研究の一環だ」と説明。症例数が少ないため、より大規模な研究が検討されている。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/551583
m3.com意識調査
勤務医、暗い見通し「開業して儲かる時代は終わった」
「採算が合わない」開業に踏み出せない勤務医の声

レポート 2017年8月25日 (金)配信m3.com編集部
16件 ツイート
 2017年8月1日 (火)~7日 (月)に実施した意識調査「開業したいと思ったこと、ある?」において、 勤務医の会員に対し、開業をしたいと思うかについて質問したところ、約4割が「開業したいと思う」と回答した(39.30)。
08253_20170827101755acd.jpg

Q2:上記回答の理由があればお書きください。

【開業したい】
・父が開業しており、自分の時間や資産が増えることに大きなメリットを感じる。しかし専門科が異なり兄弟が継ぐため、別に自分で開業する必要がある。(20代男性)
・親のクリニックを継続する。(30代男性)
・理想の地域医療を模索したい。(30代男性)
・勤務医の当直は安く、忙しい。開業医は簡単に総合病院に紹介してくる現状があり、それならば自分も開業したいと思う。(30代男性)
・独立して自分が長として働きたい。(30代男性)
・収入アップのために開業したいとは考えるが、体力に自信がなく、開業に至っていない。(40代男性)
・地域医療に貢献するには最適の形態と思うので。(40代男性)
・開業の方がやりがいがあるが、結局 勤務医が楽なのでこのままいきそうです。(40代男性)
・色々な面で自分でコントロールできるシステムとして組み立てられると思っているので、十分に準備をして開業したいと考えている。(60代男性)
・地域医療の原点であると思う。(60代男性)

【開業したいとは思わない】
・開業医はできることが限られ、接することのできる症例や人にも限られるので現時点ではやりたくない。(20代男性)
・実際場所があり、法人があり、身内が開業に引っ張られることも決定している。大学院に行くつもりもなく、 勤務医をこのまま続けると部長にはなれないので、どこかで追い出される。自分の親の介護を考えるとある程度見切りを付けて開業するのが賢明なのかもしれない。(30代男性)
・医局に属しており、医局のために働きたいと感じているから。(30代男性)
・もう開業医が儲かるという時代は終わったと思っています。(30代男性)
・開業しても借金が多く、返せるかどうか未知数。人口が30万人ずつ減少していく時代においては、破産するのでは。(40代男性)
・資金や来年の診療報酬改定後の採算面でかなり厳しいと思い、諦めました。(40代男性)
・今後、医療経営の厳しさが増すように思われるから。(40代男性)
・電子カルテを扱える医療事務の求人が少ない。(40代女性)
・年齢が時機を逸してしまったのと、今から借金をこしらえたら返済できないと思われるため。(50代男性)
・資金面と夜働く時間、医師会の仕事の割り当てなどで負の部分も多いかなと。(50代男性)
・児童思春期を中心とした精神科クリニックでは採算が合わないと思うから。(50代男性)
・借金してまで、開業しても上手くいくのかと考えてしまいます。(50代男性)
・組織のしがらみも辛いが、リスクは背負えないと思う。(50代男性)
・診療内容の裁量が高まるが、経営業務が負担。(50代男性)
・売り上げだけのために不必要な薬を処方させられるのが嫌。かといって、自分の理想だけでは 集客も経営もできそうにないので。(50代男性)
・近年の医療費増抑制のトレンドの中で、開業医のメリットが見い出せない。(50代男性)
・開業すると経営者になるわけで、職員に給料を出すことが義務になる。その他経費と収入のバランスを考えていると、自分の理想とする医療が行えなくなる。(60代男性)
・経営手腕に欠けていると思う。それに小児科医なので、今後は採算が取れないでしょう。(60代男性)
・開業医が儲かる時代は過去の彼方に消え去った。しかも今や、開業医は儲かるどころか、倒産のリスクも徐々に高まっている。(60代男性)
・年齢のこともあり、うまくいくかどうかの不安もあり、踏ん切りがつかなかった。(60代男性)
・仕事は継続したいが、他人の給料を決めたり、本来の仕事とは違う事をしたくない。(60代男性)
・老医であるが医師になる動機が今も変わらず、海外の無医地区で奉仕したいためであるので。(70代男性)

【調査の概要】
調査期間:2017年8月1日 (火)~7日 (月)
対象:m3.com会員
回答者数:開業医230人
回答結果画面:「開業したいと思ったこと、ある?」



https://mainichi.jp/articles/20170825/ddl/k24/040/270000c
山田診療所
休診へ 医師退職 伊賀市が廃止も検討 /三重

毎日新聞2017年8月25日 地方版 三重県

 伊賀市は市国民健康保険山田診療所(平田)を11月から休診とする方針を固めた。24日の市国民健康保険運営協議会に報告し、了承された。市は廃止も検討する。

 市によると、診療所の医師(83)から6月、退職の意向が伝えられた。診療所には医師1人と看護師2人、事務員2人が勤務。毎週火、水曜に診察している。代わりの医師は探さず、看護師らの新職場を確保したという。

 今後は協議会内の「診療所あり方検討委」で廃止を含め論議する。稲森洋幸・健康福祉部長は「診療所でなくなれば、あの建物をどうするかの調整も必要」と話した。

 山田診療所の受診者は2013年度4463人。16年度は1199人。昨年10月から診療日をそれまでの週4日から2日に減らした。市は市立上野総合市民病院の内科医師が増えたことなども休診や廃止論議の理由としている。

 山田診療所は旧大山田村時代の1993年開設。廃止されると、旧大山田村地区の医療機関は国保阿波診療所と個人医院の2カ所になる。【大西康裕】

〔伊賀版〕



http://www.sankei.com/life/news/170825/lif1708250012-n1.html
「老衰死」10年で3倍 死因より最期重視へ変化
2017.8.25 12:45 産経ニュース

老衰死の推移
08254_201708271017579ce.jpg

 特定できる病気がなく自然に亡くなる「老衰死」が増えている。平成27年は約8万5千人で、17年から10年間で3倍になった。高齢者の増加が要因とされるが、背景には死因究明より、人生の最期を重視することで死を受け入れようとする本人や家族、医師の価値観の変化もあるようだ。

 「立派な老衰です。大往生ですね」。27年7月、寺田さださん=当時(99)、滋賀県東近江市=を自宅でみとった長女の丸山イサ子さん(77)は、往診した花戸貴司医師(47)の言葉に涙が止まらなかった。「母の人生がいい人生だったと、認められたような気がした」からだ。

 さださんは病気知らずで、大根や白菜など季節の野菜を、自宅裏の畑で丹精込めて育てていた。しかし、死亡の3カ月ほど前から次第に食が細くなり、1週間前には何も食べられなくなった。

 「母は枯れて、美しい姿になっていきました」とイサ子さん。亡くなる前日、さださんは布団から起き上がり、集まった家族や診療に訪れた花戸医師ら一人一人に「ほんまにありがとうございました」と丁寧に頭を下げた。その翌日、さださんは眠るように亡くなり、死亡診断書の直接死因欄には「老衰」と記された。

 長年地域の医療に従事してきた花戸医師は「残された人を納得させるのは、最期を共に過ごす中で語られた本人の言葉ではないか」と話す。在宅医療の普及で、人々の意識は、死の原因ではなく、最期に至るまでの生きた過程を重視する方向に変わってきたという。

 厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」。人口動態調査によると、老衰死は診断技術の進歩に伴い減っていたが、その後増加に転じ、17年の2万6千人から27年には8万5千人近くに増え、死因の7位から5位になった。

 全国老人福祉施設協議会の24年度の調査によると、特別養護老人ホームでみとりをした人のうち、老衰で死亡した人は6割を超える。

 在宅医療に詳しい東埼玉病院(埼玉県蓮田市)の今永光彦医師は「高齢者の増加の影響が大きいが、終末期のあり方に関する社会の意識の変化も関係しているのでは」と指摘。「在宅で世話をしてきた家族にとって、きちんとみとった証し、勲章のような意味を持つ場合がある」と話す。

 一方、今永医師が、在宅医療で「老衰」と診断したことのある医師を対象に実施した調査では「診断を積極的に行わないことへの葛藤」や「病気の見逃し」に不安があることが分かっている。

 全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田国夫医師は「救える命を医師が『人生の最終段階』と判断し、医療を放棄するケースもあり、老衰の診断は慎重にすべきだ。ただし、本人、家族と医師との間で合意があり、穏やかに亡くなったのなら、問題ないのではないか」と話した。



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/457726
伊万里松浦病院、長崎県に特例申請
移転先、病床過剰地域で

2017年08月25日 08時11分 佐賀新聞

 伊万里市の伊万里松浦病院を長崎県松浦市に移転開設する問題で、松浦市が病床過剰地域に含まれるため医療法の特例措置に基づき病院の移転開設を認めるよう、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(本部・東京)が長崎県に申請したことが24日、分かった。

 申請は23日付。松浦市を含む二次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床数は約5千床で、基準の3858床を上回っている。このため病床を伴う医療機関の新設は原則認められない。しかし、医療法は複数の医療機関の再編で病床数が減少する場合、特例として病床過剰地域でも新設できるとしている。

 同機構は2020年4~7月、松浦市で病床数87床、12診療科の病院を開設予定。誘致を目指す松浦市は圏内の病床数が増えないよう、20年3月末までに市内の88床を減らす計画を策定している。同機構は市内に中核的な公的病院がなく、医師の高齢化や後継者不足などの問題を抱えているとして、「この地域の医療に貢献したい」と特例の適用を求めている。

 申請を受け、県医療審議会は今秋、地域の事情や地元医師会の意向などを審議。その後、特例を認めるべきかどうか知事に答申する。県は答申を踏まえて国と協議し、認可を判断する。(長崎新聞提供)



https://mainichi.jp/articles/20170826/ddl/k42/040/285000c
松浦中央病院
20年新設 伊万里から移転へ特例申請 /長崎

毎日新聞2017年8月26日 地方版 長崎県

 松浦市の友広郁洋市長は25日の市議会全員協議会で、伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を運営する独立行政法人「地域医療機能推進機構」が県に特例を適用して松浦市への移転・新設を認めるよう申請したことを明らかにした。12診療科87病床の「松浦中央病院」(仮称)を2020年4~7月に開設するとしている。

 同市を含む佐世保県北医療圏は基準を上回る過剰病床地域のため、新設には周産期疾患など病床の特定や、公的医療機関の再編統合などの特例適用が必要。同機構は23日付で、市医療再編計画で削減可能とされた「88病床」の範囲内に規模を抑え「市内唯一の救急告示病院」として特例を適用するよう求めた。

 県が新設を諮る県医療審議会は10月に開催予定。答申を経て知事が最終判断するが、特例適用には「地元医師会の理解が重要」とされる。市によると、市内11医療機関でつくる松医会の賛否は割れたまま。全員協議会でも、既存の病院との患者の奪い合いなどを懸念する意見が出た。【峰下喜之】

〔長崎版〕



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0823510281/
皮膚科医が地方で勤務する条件が明らかに
日本皮膚科学会アンケート

2017年08月23日 06:40 Medical Tribune

 医師の偏在や地域医療の崩壊は、多くの診療科が抱える共通の問題といえるが、抜本的な解決策はなかなか見いだすことができない。東北大学大学院皮膚科学准教授の山﨑研志氏は、全国の皮膚科科長や指導医、皮膚科勤務医を対象にアンケートを実施。それらの回答から、地方で皮膚科診療に携わる場合に医師が重視するポイントなどが明らかになったと、第116回日本皮膚科学会(6月2~4日)で発表した。

悪性黒色腫への外科対応不可の施設多い

 複数実施されたアンケートのうち、1つは「皮膚科長、指導医の立場からみる皮膚科診療の現状と要望」をテーマにしたもので、日本皮膚科学会認定主研修施設、一般研修施設に該当する334施設から回答を得た。回答者は皮膚科科長である。

 回答によると、皮膚科の常勤医師数は平均4.6人であるのに対し、必要とする皮膚科医数は平均5.4人で、現状では医師数の不足を感じながら診療している施設が多いことが示された。

 診療状況については、自己免疫性水疱症や乾癬、アトピー性皮膚炎などに対する治療やパッチテスト、ダーモスコピーといった皮膚科特有の疾患や手技、検査は大半の施設で可能であった。しかし、悪性黒色腫に対する外科手技・処置については可能な施設が少なく、原発巣切除は159施設、センチネルリンパ節生検は127施設、鼠径リンパ節郭清は122施設と、いずれも回答が得られた施設の半数に満たなかった。

所属する皮膚科医の数、当直回数が地方に医師を呼び込む鍵

 別のアンケートでは、「勤務医の立場から考える皮膚科医療に求める姿」をテーマとし、同学会認定専門医かつ勤務医の426人から回答を得た。

 出身地・出身大学と現勤務地を地域別に尋ねると、東北、中国、四国地方が出身地あるいは出身大学の医師が同じ地域に勤務する割合は60%前後であり、近畿地方の134.8%、関東や九州・沖縄地方の106.4%に比べ低かった。

 現在の勤務先で困っていることについては、「業務が多忙」との回答が142人と最も多く、次いで「働きがいや自分自身の将来展望」の111人だった。

 医師不足地域で診療に従事する場合に必要となる条件については、「自分と交代できる医師がいる」が317人で最も多く、「他病院とのネットワーク・連携がある」(291人)、「給与が良い」(226人)の順に多かった(表)。

表. 医師不足地域で診療に従事するとしたら、主にどのような条件が必要か(複数回答可)
08275.jpg
(山﨑研志氏提供)

 さらに、同様の観点から質問項目をより具体化し、「ある二次医療圏内で、唯一皮膚科を標榜科とし、皮膚科専門医が在職している病院への勤務を打診された場合」の判断条件を10項目示し、より重視する順に1~10の番号で回答を求める調査を実施。その結果、「皮膚科医の人数」が平均値2.8、「当直の回数」が3.5となり、他の項目よりも重視する条件であることが明らかになった。

 これらの結果を受け、山﨑氏は「多くの皮膚科専門医が、複数人体制で外科治療まで行える医療施設が理想的と考えており、そういった施設での勤務を求めていることがうかがえた」とまとめた。

(陶山 慎晃)



https://www.m3.com/news/iryoishin/553112
医師会立看護師養成所の減少、地域医療に影響
釜萢常任理事「医師会立の役割低減とはさらさら思わず」

レポート 2017年8月24日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の釜萢敏常任理事は8月23日の定例記者会見で、医師会立の看護師学校養成所などの状況について報告。応募者、入学者とも減少傾向にあるが、「医師会立の役割が低減しているとはさらさら思っていない」と強調した。医師会立養成所卒の看護師が減ることで、地域における看護職員の確保が困難になる恐れがあるとする危機感を表した。


 調査は入学者もしくは卒業者のあった施設を対象に2017年5月に実施。医師会立の准看護師課程は182校(2016年度186校)、看護師2年課程72校(同74校)、看護師3年課程70校(同68校)、助産師課程6校(同6校)で、全体では330校(同334校)だった。准看護師課程の入学者は2012年度の9393人から2017年度は7692人に減少している。

 看護師全体の養成数は1998年度の約7万5000人をピークに、1999年度にあった准看護師課程のカリキュラム改正の影響で減少。2005年度の約5万9000人を底に、看護系大学の増加とともに近年は増加傾向にあるが、それでも6万5000人程度に留まっている。看護師の有効求人倍率は2017年5月に1.49倍となり、1974年2月以来、43年3カ月ぶりの高さを記録している。医師会立養成所の卒業生は8割程度が県内に就職するのに対し、他の養成所では6-7割、看護系大学では5割に留まっている。

 釜萢氏は「(医師会立養成所の)役割が低減しているとはさらさら思っていない。なぜかと言うと地域定着は医師会立が高く、ある県に看護系大学ができたからといって、その大学生が定着する率は低い。医師会立の役割は非常に大きい」と強調。それでも、医師会立養成所が減少している背景には若年人口の減少などがあるとし、養成所がなくなった地域では看護師確保に苦労していると説明した。



http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=367463&comment_sub_id=0&category_id=256
地方の若手医師、「働き方」改善へ 厚労省
2017/8/23 中国新聞

 厚生労働省が来年度から、医師不足に悩む地方で働く若手医師を対象に、勤務環境の改善に乗り出すことが22日、関係者への取材で分かった。週4日制など柔軟な勤務体系やテレビ電話での診療支援などを進める。「働き方」を改善し、地方に若手を呼び込むことで、地域間の医師偏在を解消するのが狙いだ。
 国公立の医療機関だけでなく、民間で働く医師も対象。都道府県などによる環境整備を後押しするため、来年度予算案の概算要求に8億円を盛り込む。
 地方で働いてもいいという医師は一定数いるものの、人手不足で休みが取りにくいことや、希望する仕事ができないといった労働環境の厳しさやキャリア形成の難しさなどが地方定着を阻んでいるとみられる。
 新たな事業では、若手医師が休暇や自己研さんのための時間を確保できるようにするため、週4日勤務制を導入したり、非勤務日をカバーする代替医師を派遣したりする自治体の取り組みを支援。テレビ電話を活用し、遠隔地からアドバイスを受けられるような仕組みも想定している。
 地方で一定期間働くことを条件に、医学部在学中の奨学金の返済を免除される「地域枠」制度を利用した若手のほか、自ら地方勤務を選択した医師も対象とする。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO20394750V20C17A8000000/
地域包括ケアのあるべき姿、ビッグデータで分析 
2017/8/26 8:00 日本経済新聞
日経デジタルヘルス

 「地域包括ケアシステムの深化」および「多様化する高齢者像を捉えた地域マネジメント」の実現に向けた最適ケアのあるべき姿を、ビッグデータから定量的に分析する。東芝デジタルソリューションズと筑波大学大学院は、こうした仕組みの共同研究を開始した。

 日本では現在、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」構築の重要性が叫ばれている。そのなかで東芝デジタルソリューションズは、介護サービス利用者のデータを活用したサービス効果の分析業務を、2016年度よりモデル自治体から受託。データにおける心身状態の改善・維持の傾向などから、効果を分析する指標の検証作業を進めている。また筑波大でも、認知症高齢者への実態調査に基づいた認知症予防や重度化防止を研究している。

 今回、両者の研究成果を融合する共同研究によって、ビッグデータから地域包括ケア事業の質の向上につながる最適なアプローチ方法を導き出す分析方法を考案。さらに、その分析結果を共有・提供する仕組みによって、介護保険運営を継続的に支援する地域診断情報の標準化を目指す。

 この共同研究の成果として、東芝デジタルソリューションズは地方自治体に向け「地域包括ケア事業支援ソリューション」を、2017年度中に順次提供開始する計画だ。また筑波大学大学院は、地域包括ケア事業の質の向上につながるアプローチ手法の具体化と標準化に関する研究を進め、国・自治体・サービス現場・有識者へのフィードバックを図る。

(スプール 近藤寿成)

[日経テクノロジーオンライン 2017年8月25日掲載]



http://www.medwatch.jp/?p=15422
入院前からの退院支援、診療報酬と介護報酬の両面からアプローチを—入院医療分科会(3)
2017年8月25日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 退院支援加算1と2の算定対象である「退院困難な患者」について、「家族問題などで支援が必要な状態」や「在宅サービス利用や再調整が必要な状態」なども含まれることを明示してはどうか。2018年度診療報酬改定後に「地域連携診療計画加算」の算定件数が大きく減少していることから算定要件の見直しを検討してはどうか―。

24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」では、こういった議論も行われました(関連記事はこちらとこちら)。

2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定となるため、退院後の円滑な介護施設入所を促進するためにも、診療報酬と介護報酬の両面からのアプローチを求める意見も出ています。

8月24日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」
G3註:図略

ここがポイント!
1 退院支援加算の算定対象である「退院困難患者」、より具体的に示すべき
2 入院前・入院早期からの退院支援により、円滑な退院に有用
3 地域連携診療計画加算の算定が大幅減、算定要件の見直しを求める声も
4 再入院率、病棟で提供する「医療の質」を図れる指標として注目

退院支援加算の算定対象である「退院困難患者」、より具体的に示すべき

 病院からの円滑な退院により、▼医療安全の確保▼患者のQOL向上▼医療費の適正化—などの効果が望めることから、診療報酬でも「退院支援」に力を入れる病院を評価しています。2016年度の前回診療報酬改定では、従前の「退院調整加算」を見直し、「退院支援加算」に組み替えています。具体的には、▼施設基準を厳格化(病棟に地域連携連中の看護師などを配置する)した【退院支援加算1】▼従前の退院調整加算に該当する【退院支援加算2】▼新生児の退院調整・支援を評価する【退院支援加算3】―の3区分となっています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる
G3註:図略

 ところで退院支援加算は、すべての退院患者に算定できるわけではありません。加算1と2では主に「退院困難な要因を有しながら、在宅療養を希望する患者」が算定対象で、具体的には▼悪性腫瘍、認知症、誤嚥性肺炎などの急性呼吸器感染症のいずれか▼緊急入院▼要介護認定の未申請▼排泄の要介助▼入退院を繰り返している—などのほかに、「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」も含まれます。厚労省は24日の入院医療分科会に、この「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」として、病院側が具体的にどういう状態と考えているのか調べ、次のように整理して示しました。
【入院早期から把握し、速やかに関係機関と連携し、入院中から支援する必要があるケース】
▽家族からの虐待や家族問題があり支援が必要な状態
▽未婚などで育児のサポート体制がないため、退院後の養育支援が必要な状態
▽生活困窮による無保険、支払い困難な場合
▽保険未加入者であり市町村との連携が必要な場合 など

【入院早期に「入院前に利用していたサービス」を把握し、退院後に向けた調整が必要なケース】
▽施設からの入院で、施設での管理や療養場所の選択に支援が必要な状態
▽在宅サービス利用の再調整や検討が必要な状態

 この具体像について神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「2018年度の次期改定では、悪性腫瘍などと同じように明示すべき」と要望しました。診療報酬点数表などには、同様の「その他、●●に準ずる場合」と記載されることがよくあります。患者の状態などはさまざまで、すべて列挙することは不可能な、こういった記載が用いられますが、可能な限り具体化したほうが、医療機関にとっても、審査支払機関にとっても分かりやすくなると考えられます。

退院支援加算の算定対象患者
G3註:図略

退院支援加算の算定対象患者のうち、「その他」の中にもさまざまなケースが含まれている
G3註:図略

入院前・入院早期からの退院支援により、円滑な退院に有用

 退院支援加算を算定するためには、入院後早期に前述の退院困難な患者を抽出し(加算1では3日以内、加算2では7日以内)、早期に患者・家族と面談し(加算1では7日以内、加算2ではできるだけはやく)、早期に多職種による退院支援に向けたカンファレンスを実施する(加算1では7日以内)ことが必要です。

 さらに、一部の病院では「入院前」から、退院支援に向けた取り組みを行っており、それが円滑な退院に効果をもたらしているといいます。例えば高齢者の予定入院において、外来診療の中で「この患者は入院が必要な状態だが、退院後に在宅介護が必要になるであろう。果たして要介護認定を受け、退院後すぐに介護保険サービスを受けられる状況にあるであろうか」といった点を考慮し、ケアマネジャーと連携することなどが考えられます(関連記事はこちら)。

厚労省の行った調査によれば、7対1病棟・療養病棟の2割程度、10対1病棟・回復期リハビリ病棟の3割程度、13対1・15対1病棟の4割程度、地域包括ケア病棟の5割弱では、入院前から担当ケアマネがおり、半数超で「ケアマネからの情報提供が有用であった」と感じていることが分かりました。

入院前にケアマネジャーとの連携を行っている病院があるが、病棟の種別によって連携状況はまちまちである
G3註:図略

入院前のケアマネとの情報連携について、半数超の病院は「有用」と捉えている
G3註:図略

 
また、個別事例について自治体との連携状況を見ると、7対1では7割弱、10対1では5割弱、地域包括ケア病棟では6割弱が連携しています。
さらに地域ケア会議(自治体職員、ケアマネ、介護事業者、医師、看護師、リハビリ専門職などが集い、個別の困難事例支援などを通じて▼地域支援ネットワーク構築▼高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援▼地域課題の把握―などを行う)への医療機関の参加状況を見ると、病棟の種別で若干の差はあるものの「5割前後が参加」している状況が分かりました。
病棟の種別で差があるが、5割前後の病院は地域ケア会議に参加し、個別の要介護高齢者事例を通じた地域連携ねとワークなどに積極的に関わっている
病棟の種別で差があるが、5割前後の病院は地域ケア会議に参加し、個別の要介護高齢者事例を通じた地域連携ねとワークなどに積極的に関わっている
 
また外来患者が自院に入院する際に、6割超の病院では「連携のための部署・窓口」を整備しており、3割超の病院では「看護師などが調整を行っている」ことも分かりました。ほとんどの病院で、入院前からの退院支援に向けた一定の取り組みを行っていることが伺えます。

ほとんどの医療機関で、外来部門と入院部門が連携し、「入院患者の情報連携」などを行っている
G3註:図略

このように、ケアマネや自治体などと連携した「入院前からの退院支援」などが円滑な退院に有効であることが示唆されており、厚労省は▼入院前▼入院早期—からの効果的な退院支援を診療報酬でどう評価していくか、検討を要請しています。
この点、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)は、▼外来と入院をつなぐ「入退院センター」の設置▼薬剤師による入院前の使用薬剤把握—なども含めた評価を検討するよう要請。筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は、「2018年度は同時改定になるので、診療報酬と介護
報酬の双方からのアプローチ(情報連携した場合、医療機関もケアマネも報酬で評価される)を行ってほしい」と要望しました。神野委員も同旨の考えを述べています。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、診療報酬を担当する保険局医療課と介護報酬を担当する老健局老人保健課とで連携を図っていることを強調しています。

また池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長)は、▼高齢者の入院時に病院側がケアマネに連絡し、ケアマネから情報提供を受ける(ケアマネがいない場合には、病院側が要介護認定申請を支援する)▼入院中には病院とケアマネで情報連携する▼退院支援が開始されたら病院からケアマネに連絡し、ケアマネがケアプラン作成などを始める—という福井県退院支援ルール(福井モデル)の有効性を説明するとともに、「入院時の情報連携の評価充実」が重要と強調しています(関連記事はこちら)(福井県のサイトはこちら)。

福井県における退院支援ルールの概要
G3註:図略

地域連携診療計画加算の算定が大幅減、算定要件の見直しを求める声も

 ところで2016年度の前回診療報酬改定では、退院支援加算の創設に合わせて、従前の地域連携診療計画管理料(B005-2)、地域連携計画加算(A238退院調整加算の加算)などを、A246退院支援加算の加算【地域連携診療計画加算】に整理・統合しました。いずれも、いわゆる地域連携パスを用いた連携を評価するものです。

この点、厚労省が算定状況を調べたところ、2016年度改定後に算定件数が大幅に増加していることが判明しました(合計はもちろん、改定前の地域連携計画加算のみと比べても減少)。

2016年度の前回診療報酬改定後、地域連携診療計画加算の算定件数は大きく減少している
G3註:図略

この原因の1つとして、地域連携診療計画加算は『退院支援加算1と3の加算』という点がありそうです(退院支援加算1・3を届け出ていなければ、地域連携診療計画加算は算定できない)。
牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、例えば回復期リハビリ病棟では、患者の身体機能回復状況を踏まえながら退院支援困難者の抽出や多職種カンファレンスを行う実態などを紹介し、「回復期リハビリ病棟で大急ぎで退院支援する(退院支援加算1の取得につながる)必要があるだろうか。地域連携診療計画加算の退院支援加算1と3への限定は疑問だ」と述べ、次期改定での算定要件見直しを求めています。

再入院率、病棟で提供する「医療の質」を図れる指標として注目

 なお、7対1病棟や地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟の施設基準である「在宅復帰率」について、厚労省は「評価の趣旨を踏まえた整理が必要」と考えています。24日の入院分科会でも、多くの委員から「7対1では自宅以外に、地域包括ケア病棟や療養病棟への転院でも在宅復帰率にカウントされる。『連携率』などの名称に見直してはどうか」といった指摘がなされています。

また神野委員は「7対1を早期退院して、他の状態にあった病棟へ移ることを評価すればよい」とし、7対1における在宅復帰率は「廃止すべき」とコメントしました。本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)も「形骸化しており廃止すべき。継続するのであれば『自宅への退院』を手厚くカウントすべき」と求めています。

これに関連して、厚労省は「再入院率」のデータを提示。1年間における再入院率を見ると、200以上300未満の病院がもっとも多く、また「同一疾患での6週間以内の再入院率」は100未満がほとんどとなっていますが、一部には再入院率が400を超える病院もあります。十分な治療をせずに早期退院のみを追い求めれば再入院が多くなるため、再入院率は「医療の質」を図る重要指標の1つと言えます。平均在院日数や退院支援などと併せて、再入院率の評価を組み合わせれば、「適切な医療を提供しながら、早期退院に力を入れている病院」を抽出して評価できるため、今後の検討に注目する必要がありそうです。

医療機関の再入院率を見ると200以上300未満がもっとも多く、ほとんどの病院では「同一疾患での6週間以内の再入院料」は100未満にとどまっているが、一部に400を超えている病院もある
G3註:図略

  

http://www.medwatch.jp/?p=15404
地域包括ケア病棟、初期加算を活用し「自宅からの入院患者」の手厚い評価へ—入院医療分科会(2)
2017年8月25日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 地域包括ケア病棟では、6割強の入院患者に対して【救急・在宅等支援病床初期加算】が算定されており、現在は「自宅などからの入院患者」でも「急性期病棟からの転院・転棟患者」でも算定可能となっている。しかし、両者では患者の医学的状態や検査実施状況などに違いがあり、これをどう考えていくべきか—。

24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういったテーマでも議論が行われました(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定
2 「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も

自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会や入院医療分科会では「地域包括ケア病棟の機能分化」が論点の1つとなっています。主に「急性期病棟からの転院・転棟患者」を受け入れている病棟(post acute機能)と、「自宅などからの入院患者」も積極的に受け入れている病棟(sub acute機能)とがあり、後者のほうが「状態が不安定」な傾向があることから、報酬上でも両者を分ける必要があるのではないか、という議論です(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

24日の入院医療分科会では、厚生労働省から新たに次のようなデータが示されました。急性期後患者を「自院における転棟患者」と「他院からの転院患者」に分けてみています。

▼患者の主傷病を見ると、骨折の割合が、「自院の7対1などからの転棟患者」(26.00)では、「他院の7対1などからの転院患者」(16.50)、「自宅などからの入院患者」(16.10)に比べて高い

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い
G3註:図略

▼患者の医療的な状態を見ると、「安定している」患者の割合が、「自宅などからの入院患者」(67.10)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(76.20)、「他院の7対1などからの転院患者」(70.70)より低い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い
G3註:図略
 
▼医学的な要因以外で退院できない患者の割合を見ると、「自院の7対1などからの転棟患者」(17.30)では、「他院の7対1などからの転院患者」(10.60)、「自宅などからの入院患者」(8.20)に比べて高い

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い
G3註:図略
 
▼状態が不安定で急性期治療を行っているので退院できない患者の割合を見ると、「自宅などからの入院患者」(26.70)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(8.60)、「他院の7対1などからの転院患者」(3.20)よりも高い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い
G3註:図略

▼検体検査や生体検査、X線撮影などの実施状況を見ると、「自宅などからの入院患者」(生体検査では13.40)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(6.00)、「他院の7対1などからの転院患者」(7.70)よりも高い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)
G3註:図略

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)
G3註:図略

 改めて「自宅などからの入院患者」では、「急性期病棟からの転院・転棟患者」よりも状態が不安定で、医療の必要性が高いことが伺えます。牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、こうした状況を踏まえ「自宅などからの入院患者を多くい受け入れれば、それだけ病院には負荷がかかることになる。加算などで評価してはどうか」と提案しています。
「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も

 では、具体的にどういった評価方法が考えられるのでしょう。例えば、▼外形に着目し7対1病棟などを持つ病院の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う(逆に、7対1などを併設していなければ入院料の増点や加算新設などを行う)▼入院患者に着目し、「自宅などからの入院患者」割合が一定以上の地域包括ケア病棟では、入院料の増点や加算新設などを行う(逆に、「急性期後患者」が一定割合以上の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う)―ことなどが思い浮かびます。

 この点について厚労省は【救急・在宅等支援病床初期加算】(以下、初期加算)に注目しているようです。この初期加算は、(1)急性期を担う他院の一般病棟(2)自宅・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど(3)急性期を担う自院の一般病棟—からの患者について、14日まで、1日150点が入院料に上乗せされるものです。2016年6月のレセプトからは、件数ベースで630、回数ベースで360の患者に初期加算が算定されています。
初期加算を件数ベースで630、回数ベースで360の患者に算定しているが、ここには「自宅などからの入院患者」と「急性期後の転院・転棟患者」とが混在している
G3註:図略
 
 この初期加算の算定対象を、例えば(2)の「自宅などからの入院患者」に限定すれば、患者1人当たり最大2100点(2万1000円、150点×14日)の格差を設けることができます。また、上記の案では、「外形だけでは入院患者の状況を適切に反映できない」「自宅などからの入院患者割合などは変動するため、基準をどう設定するかが難しい」などの課題がありますが、初期加算を活用すれば、こうした課題はそもそも生じず、報酬体系上の「簡素で分かりやすい」と言えます。厚労省は「初期加算を活用する」といったコメントはしていませんが、有力候補の1つと言えそうです。
 
 なお、地域包括ケア病棟の患者像をより適切に把握するために、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)や筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は「重症度、医療・看護必要度におけるB項目」(患者の状況等、いわばADLを評価)の導入を提案しています。

  

https://www.m3.com/news/iryoishin/550240
「働き方改革」医師固有の事情を考慮 - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.3
誤った上限規制、“医療崩壊”を招く懸念も

インタビュー 2017年8月23日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――医師の働き方改革は、医療機関の経営者および現場の医師にとって、非常に関心が高いテーマです。これも、医療と労働の双方の部局が関係する問題です。

 私は、医療の現場が今のままでいいとは思っておらず、改革を進めなければ若い医師たちも付いてきません。ただし、医師固有の事情を全く考慮しないでいいわけではありません。


医師の働き方改革は、医政局、労働基準局、保険局など、関係各局が連携する課題であると指摘する。
 私が医学部を卒業した当時、女性の割合は100台でしたが、今は4割に近い。また最近の若い医師には、ワークライフバランスを重視する人も増えているようです。「皆、病院に泊まって覚えろ」みたいなやり方はもはや通用しないでしょう。

 (今年4月に報告書をまとめた)「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書でも盛り込まれたように、医師でなくてもできる仕事は、いつまでも抱えていたり、「訓練だ」と言って、若手に強制するのではなく、その他の職種にシフトできる部分はどんどんシフト、シェアしていくことが大事だと思うのです。

 その上で言いますが、医師が「9時 - 5時」といった時間管理が可能な工場労働者と全く同じ規制でいいかと言えば、私は少し違うと思うのです。それは一つには、救急や産科のように、自分は休みたいと思っていても、患者が来たら対応せざるを得ない応招義務があること。

 もう一つは、病院に来てから帰るまでの時間のうち、どこまでが「労働」に当たるかという問題です。外来診療や病棟勤務、各種会議などは当然、「労働」に当たります。しかし、例えば最新の知識を得るため、あるいは翌日の手術に備えるために文献を読んだり、臨床の合間に研究を行う場合、別に命令されてやっているわけではなく、「労働」と言えるのかどうか。

――自己研鑽などをどう扱うか、という問題がある。

 その通りです。そもそも今の時間外労働の上限規制は、企業のサイクルがベースになっており、例えば、決算期などの際に、経理担当者が一時的に忙しくなるため、その時期をどうするかという考え方の規制です。ところが医師の仕事にはそうした季節性がなく、今の残業規制のやり方をそのまま当てはめるのは難しいでしょう。

 医師固有の事情をどう考慮するかを、医政局と労働基準局の間で、専門家も含めて議論し、それを保険局なりが資金的にどう下支えをするかを考えることになるのだと思います。2018年度末までに議論し、国民の方にも理解されて、支持されるような仕組みにする必要があります。

――労働基準監督署が入っており、医師にも一律に労働規制を当てはめるため、医療現場の崩壊を懸念する声もあります。また規制を厳しくするあまり、「もっと研修したい」との考えから、自主的に「サービス残業」にするケースもあるようです。

 確かに過労自殺問題で社会の関心が高まっており、時には研修医の親が労基署に訴えるケースもあるとのこと。そうなると動かざるを得ません。

 ただ、都市部で医師が集まりやすい病院であれば、給与水準を下げ、残業手当を支払うことは可能でしょう。しかし、地方では高い給与を出すことで医師を確保できている病院も少なくないので、給与水準を下げたりなどしたら、医師がやめてしまう懸念があります。結果的に都市部に医師が集中し、意図せずに地方の医療崩壊を招いてしまうのは、非常に危ないと思います。

 救急など、誰もが大事だと思っている分野は、当然担ってもらうことが必要。かと言って全く労働規制を無視していいわけでもありません。中には、「36協定」すらも結んでいなかったり、全く労働面を考慮してない病院もあります。基本的な部分は守ってもらうルール作りは必要です。

 さらに言えば、「サービス過剰主義」が日本の病院にもあり、患者やご家族がそれを当然だと思っている一面もあり、この辺りの是正も必要でしょう。“コンビニ受診”をやめるなど、大切な地域の医療資源を守るために、患者さんや住民の方にも、医師の働き方についての現状を理解してもらい、受診行動を見直してもらうことも必要だと思います。

――その辺りは医療機関に任せずに、行政なども含め啓発していくことが必要。

 その通りです。行政、各関係団体の役割も大事だと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/552256
「医師は労働者」、共通認識で議論を - 岡崎淳一・厚労省働き方改革担当参与に聞く
医療政策と労働政策、両面から検討を

インタビュー 2017年8月21日 (月)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 政府は今年3月、「働き方改革実行計画」を策定、長時間労働の是正に向け、罰則付きの時間外労働の上限規制導入などを盛り込んだ。今秋の臨時国会への関係法案提出、2019年度からの施行を目指す。
 ただし、医師は、上限規制の適用猶予対象になり、2018年度末を目途に規制の具体的な在り方、労働時間短縮策などの議論を別途進める。8月には、厚生労働省が「医師の働き方改革に関する検討会」を設置、議論がスタートした(『医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理』を参照)。
 「働き方改革実行計画」策定に携わった前厚労省審議官の岡崎淳一氏(現厚労省働き方改革担当参与)に、策定時の議論や医師の時間外労働について、どう捉えるべきかをお聞きした(2017年8月18日にインタビュー)。

――医師については、時間外労働の上限規制について、適用猶予にすべきという声が関係団体から出てきたのは、今年に入ってからのことです。

 去年の9月に政府は「働き方改革実現会議」を設置、働き方についての全体的な議論を重ねてきました。医療者に限らず、長時間労働の議論が出てきたのは、年明けからで、まず時間外労働についての基本的ルールを決めないことには、個別分野の議論ができなかったわけです。

 現行でも「36協定の適用除外業務」になっている「工作物の建設等の事業」と「自動車の運転の業務」についても、基本的ルールのたたき台が出た後に、国土交通省が関係団体などと本格的な議論、調整を行いました。

 一方、医師は、現行では「36協定の適用除外業務」には当たらないこともあって、医師をどう扱うかという議論が始まったのはさらにその後です。医療関係団体は、たたき台を見て、「(時間外労働の上限規制を)そのまま当てはめるのは難しい」との声を上げたのだと思います。もっとも、タイミングが遅かったため、建設業、自動車運転手については、適用猶予の内容を3月にまとめた政府の「働き方改革実行計画」に盛り込むことができました。しかし、医師についてはとても短期間で議論を深めることができず、「2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討する」とされました。

――建設業、自動車運転手を適用猶予にすることには、異論はなかったのでしょうか。また医師以外に適用猶予を求める職種はあったのでしょうか。

 基本的には、適用除外・猶予はない方がいいと思っていました。ただし、どうしても難しい業種については、杓子定規に当てはめるのは難しいという思いはありました。

 建設業、自動車運転手については、現行のような適用除外ではなく、適用猶予です。建設業は、「改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する」(復旧・復興の場合の例外あり)という話で関係業界と決着しています。自動車運転手に関しては、「5年後でも、そこまでは無理」とされ、まず「改正法の一般則の施行期日の5年後に、年 960 時間を適用」とされました。しかし、将来的には一般則の適用を目指すことになっています。つまりいずれの業種も、最終的には、「適用猶予をなくす」ことになります。

 医師についても、医師法に定める応招義務があり、現実に医療提供体制に支障が生じるといった懸念が上がりました。これはもっともな理由であり、連合を含めた構成員から成る「働き方改革実現会議」での議論で、「2年間かけて議論すべき」という整理になったのです。5年後に「時間外労働の上限規制」をそのまま適用できればいいですが、そうでない場合、どんな取り扱いにするかを、この2年間、実質的には約1年半の間に検討していくことになります。

 なお、職種や業種を問わず、引き続き適用除外となるのは、「研究開発業務」に従事する労働者です。

――そもそも労働基準法は、何を目的とした法律なのでしょうか。「研究開発業務」が適用除外になっているのは、労働時間では対価を計りにくいからなのでしょうか。

 労基法は、労働条件の最低基準を定めて、労働者の生活や健康を守るための基本的な法律です。一部例外もありますが、同法で定めた基準は全て適用するのが基本です。勤務医に労基法を当てはめる場合、地域医療に支障を来さないという観点はもちろん大切ですが、一方で、勤務医も労働者であり、その生活や健康を確保しなければなりません。

 「研究開発業務」の適用除外の意味ですが、1カ月の時間外労働の法的な上限規制が適用除外になっているだけで、「時間で労働時間を管理する」ことには変わりはありません。法的な上限を超えた時間外労働に対しては、割増賃金を支払う必要があります。しかし、法的に上限を規制すると、業務に支障が生じる恐れがあるので、別途、労使協定で上限を定めるという意味です。労働時間ではなく仕事の成果で処遇される働き方は、高度プロフェッショナル制度の考え方です。

――医師が高度プロフェッショナル制度の対象に該当する可能性はあるのでしょうか。

 大学などで研究がメーンの医師をどう扱うかという議論はありますが、臨床に相当程度従事している勤務医については、概念から考えると、あまりないと思います。通常の労基法の概念で考えれば、患者さんへの診療行為を行う時間を勤務医自身が決めているとは言えないからです。

――では医師の働き方について、どう見ておられますか。「自己研さん」の時間の扱いなどは、どう考えればいいのでしょうか。

 医師という専門職としての評価は当然必要でしょうが、一方で医師自身の健康を守るためのルールを設けて然るべきでしょう。夜勤が続く、当直明けも働くなどの現状が本当にいいのか。各病院の経営者から見れば、医師確保の問題もあるのでしょうが、他の業種の働き方と比べても、医師の無定量な仕事はやはり何とかしていかなければいけないでしょう。

 また「自己研さん」ですが、これは他の業種でも議論されることがありますが、勤務先への貢献になる研さんであれば、一般的には労働時間と見なされます。

――応招義務については、勤務医個人ではなく、医療機関単位で考えることも可能かと思います。

 ご指摘の通り、医師法が定める応招義務が、施設単位なのか、個人単位なのか、という点も議論しなければなりません。しかし、短時間で結論が出る話ではなかったので、2年間かけて議論するという整理になったのです。

――医師を「労働者」を見なすことに、心理的な抵抗感を覚える方もおられます。

 「医師は専門職だから、労働者ではない」と言ったところで、労働時間、賃金などの条件について、使用者と労働者は就業時に契約を結び、それを遵守することが必要。これが労働法制のルールであり、「医師は労働者ではない」「労働法制のルールの外側」というのは無理筋の議論。例えば、ノーベル賞受賞学者であっても、大学の教授であれば、労働者。金融機関で何億円もの年収を稼いでいるディーラーでも労働者です。ただし、労働法の全てを一律に適用しているわけではなく、それぞれの業種で例外を認めているわけです。

 また医師が疲弊していて、医師の過労死も見られる現実があるわけです。一方で、各医療機関が必要な医療を提供することを全く無視してルールを作ることはできません。医療政策的な面と、労働政策的な面の両方をにらみながら、検討していくことが必要です。



http://www.medwatch.jp/?p=15349
新公立病院改革プラン、92.70で策定完了だが、一部病院では2018年度にずれ込む―総務省
2017年8月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年(2017年)3月末時点で、新たな公立病院改革プランの策定が完了した病院は全体の92.70にあたる800病院。「2017年度に策定予定」が59病院(全体の6.80)、「2018年度に策定予定」が4病院(全体の0.50)となっている―。

 総務省は22日に、こうした状況を発表しました(総務省のサイトはこちら(概要)とこちら(都道府県別の状況)とこちら(個別病院の策定状況、サイトからExcellファイルをダウンロード可能))(2015年度末の状況はこちら)。

公立病院の改革方針は、地域医療構想実現に向けた重要な鍵の1つ

 公立病院については、2015年度または16年度中に「新公立病院改革ガイドライン」に沿った改革プラン(新公立病院改革プラン)を策定することが求められています。

 ガイドラインでは、新改革プランにおいて各病院が(1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化(2)経営の効率化(3)再編・ネットワーク化(4)経営形態の見直し―という4つの柱を立て、それぞれについて具体的な計画と目標を設定するよう指示しています。

 このうち(1)の役割では、具体例として▼山間へき地・離島などの過疎地などにおける一般医療の提供▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供▼県立がんセンター、県立循環器病センターなど民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点―などを提示。(2)の経営の効率化では、対象期間(プラン策定年度または次年度から2020年度まで)中に経常黒字化する数値目標を定める(著しく困難な場合には、経常黒字化を目指す時期と道筋を明らかにする)ことを掲げ、目標達成に向けて▼民間的経営手法の導入▼事業規模・事業形態の見直し▼経費削減・抑制対策▼収入増加・確保対策―などを具体的に示すよう要望しています。

 さらに(3)の再編・ネットワーク化においては、とくに▼施設の新設・建替等を行う予定の病院▼病床利用率が特に低水準(過去3年間連続して700未満)の病院▼地域医療構想などを踏まえ医療機能の見直しを検討することが必要な病院―について「再編・ネットワーク化の必要性について十分な検討を行う」(つまり統合などを行う)よう求めました。(4)の経営形態については、従前どおり▼地方公営企業法の全部適用▼地方独立行政法人化(非公務員型)▼指定管理者制度の導入▼民間への譲渡―などを検討するよう要求しています。

 総務省が2017年3月末(つまり2016年度末)の新改革プラン策定状況を調査したところ、全体の92.70にあたる800病院で改革プランが「策定済」であることが分かりました。ただし、「2017年度に策定予定」の病院が59(全体の6.80)、「2018年度に策定予定」の病院が4(全体の0.50)あり、総務省は「早期策定に向けた取り組みが必要」と訴えています。

92.70の公立病院で改革プランが策定済となっているが、一部は「2017年度中の策定」となり、さらにごく一部は「2018年度にずれ込む」状況である
G3註:図略
 
 都道府県別に新改革プランの策定状況を見ると、策定未完了病院があるのは▼北海道(未策定が8病院、策定率91.00)▼青森県(同3病院、88.00)▼岩手県(同2病院、92.90)▼山形県(同3病院、87.50)▼茨城県(同2病院、77.80)▼群馬県(同4病院、73.30)▼埼玉県(同4病院、71.40)▼千葉県(同8病院、73.30)▼神奈川県(同1病院、95.00)▼新潟県(同1病院、96.30)▼富山県(同1病院、91.70)▼石川県(同1病院、94.10)▼静岡県(同1病院、96.20)▼三重県(同1病院、94.40)▼滋賀県(同1病院、85.70)▼京都府(同2病院、85.70)▼大阪府(同3病院、87.00)▼奈良県(同1病院、90.90)▼岡山県(同1病院、94.40)▼広島県(同1病院、95.00)▼徳島県(同2病院、81.80)▼高知県(同2病院、80.00)▼福岡県(同5病院、72.20)▼佐賀県(同1病院、85.70)▼熊本県(同4病院、78.90)―となっています。多くの道府県で、改革プラン未策定病院があることが分かります。
 ただし、すでに策定に着手している病院を加味すると、未策定病院があるのは▼茨城県(策定済・策定中の合計で88.90)▼新潟県(同96.30)▼奈良県(同90.90)▼広島県(同95.00)▼佐賀県(同85.70)▼熊本県(同94.70)2015年度策定済が8病院・47.10)▼香川県(同5病院・41.70)▼大阪府(同7病院・30.40)▼神奈川県(同6病院・30.00)―となどとなっています。

都道府県別の策定状況(その1)
G3註:図略
都道府県別の策定状況(その2)
G3註:図略
 
これから各地において、地域医療構想の実現に向けた議論が本格化し、そこでは「公立病院の動向」が重要な鍵の1つになります。未策定の病院では、1日も早い改革プラン策定が急がれます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



http://www.asahi.com/articles/ASK8P4CY2K8PUBQU008.html
山あいの公立病院、来春からお産中止 医師ら退職
三木一哉

2017年8月21日15時40分 朝日新聞

 山形県の東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町が組合をつくって運営している北村山公立病院(東根市)が、来年4月から出産の受け入れを中止することを明らかにした。常勤の産婦人科医と助産師2人が退職する予定のため。来年度から北村山地域で出産ができる医療機関は、民間の1カ所のみとなる見通し。

 北村山公立病院によると、産婦人科の常勤医は現在、大塚茂院長1人。日本医科大学から派遣される非常勤医とともに年間に約100件の出産を手がけてきた。受け入れの中止は、今年度末に大塚院長が定年退職し、助産師も2人退職予定で後任の見通しがつかないことが理由という。産婦人科は存続するが、妊婦健診などに限定する。

 同病院では助産師を募集中で、新たな常勤の産婦人科医も探している。

 県地域医療対策課によると、出産ができる医療機関は減少傾向。2008年度には県内に36施設あったのが、現在は25施設になっている。



https://www.m3.com/news/general/553456
三沢病院 累積損失54億円に/16年度決算 7年連続の赤字
地域 2017年8月25日 (金)配信東奥日報

 三沢市立三沢病院の2016年度病院事業会計決算の収益的収支が4億1667万円の赤字となり、前年度比で赤字幅が1億5284万円(57・9%)増えたことが24日、同病院への取材で分かった。赤字は7年連続で、16年度末の未処理欠損金(累積損失)は54億114万円に膨らんだ。病院開設者の種市一正三沢市長は、決算の認定を求める議案を9月4日開会の市議会定例会に提案する。

 減価償却費などを除いた現金ベースの実質赤字は1億1706万円と、前年度より5424万円増えた。給与費や医薬材料費の増加などが響いた。

 収益的収支の赤字が増えたのは、地方公営企業法改正に伴い、14年度から収入に計上が必要となった長期前受金戻入や退職給付費引当金戻入が、導入3年目の16年度は15年度に比べ激減したのが原因。16年度の病院事業収益は前年度比2・8%減の55億1494万円、病院事業費用は同0・10減の59億3161万円だった。

 16年度の延べ患者数は入院が前年度比2・4%減の6万4428人、外来は同3・5%減の9万5830人だった。

 16年10月から、220床の急性期病床のうち51床を地域包括けあ病棟に移行した効果について、同病院の担当者は「入院の1日平均患者数は、16年4月の157人が11月は195人に増えるなど患者数の増加に寄与、赤字幅の圧縮に貢献している」と述べた。


  1. 2017/08/27(日) 10:26:26|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

8月20日 

http://www.47news.jp/localnews/hotnews/2017/08/post-20170818230631.html
北村山公立病院、来年4月から分娩休止 医師、助産師が不足
2017年08月18日 10:47山形新聞

 北村山公立病院(東根市)が来年4月から分娩(ぶんべん)の扱いを休止することが17日、分かった。産婦人科医の定年退職や助産師不足などで十分な医療体制を維持できなくなることが要因。継続・再開を模索するものの、現状で新たな人員の確保は難しい。お産に対応する医療機関は県内でも減少傾向にあり、周産期医療を担う人材不足の深刻化が背景にある。

 北村山地域では同病院の分娩休止により、お産に対応するのは東根市内の民間医療機関のみとなる。北村山公立病院は、東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町で組織する組合が設置主体で、管理者の土田正剛東根市長は分娩休止について「総合的に判断した」とし、人材不足により安全な出産環境の確保が難しいことなどを挙げた。

 同病院の産婦人科の常勤医は現在、来年3月で定年退職する大塚茂院長のみ。非常勤医の協力も得ながら年間100件ほどの出産を取り扱っているという。助産師は7人在籍するものの、うち2人は育休中。現在勤務する5人のうち2人が本年度末で退職するため、新年度からは夜勤体制が組めなくなるという。

 同病院によると、大塚院長は来年4月以降も常勤嘱託医として残る予定だが、負担の大きい分娩には携わらず妊婦健診などの外来対応を想定している。後任の常勤医や助産師の確保に努めているものの、人手不足などから難航しており、再開のめどは立っていない。

 出産については、24時間の対応や、命を扱うことに伴うリスクもあり、医師や助産師不足は全国的に慢性化している。県地域医療対策課によると、県内で分娩を扱う医療機関は今年4月現在、25カ所。2008年と比べて11カ所も減っている。対応する医療機関は村山地域に集中する一方、最上地域では県立新庄病院が唯一の分娩機関。病院や開業医の分娩休止により、提供体制の地域偏在が顕著になっている。

 土田管理者は「地方の医師不足を改善するには、めりはりの利いた診療報酬の改定や臨床研修制度の見直しといった国レベルでの改革が必要だ」と話した。



http://www.asahi.com/articles/DA3S13090058.html
(社説)新専門医制度 「患者本位」を忘れずに
2017年8月17日05時00分 朝日新聞 社説

 内科や外科、小児科などの「専門医」を育てる新たな研修制度が来年4月に始まる。

 国家試験に合格したあと、2年間の初期研修を終えた医師が対象だ。3年程度、研修先として複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学び、試験に合格すると認定される。

 「専門医」という肩書・名称はすでにあるが、様々な学会が独自に認定しており、100種類を超えて乱立状態にある。名称も「専門医」「認定医」などが混在し、患者にはわかりにくい。新制度では全体を19の基本診療科に分け、統一した基準で認定するのが目標だ。

 患者本位の制度にするには、医療の質を高める機会とするだけでなく、患者が病院や医師を選ぶときの客観的な目安にできる仕組みが必要だ。専門性を重視するあまり、医師が自分の分野以外の患者は診察しない、ということになっても困る。専門医を認定する第三者機関「日本専門医機構」は、研修プログラムづくりを学会任せにせず、かじ取り役を担ってほしい。

 避けなければならないのは、新制度に伴う研修や指導のため、医師が大学病院や都市部の大病院に集中する事態だ。

 医師の数は04年の約27万人から14年には約31万人に増えた。ただ、研修先を選べるいまの初期研修が04年に始まってから、地方の大学を卒業した医師が大都市圏に流れ、偏在の一因になったと指摘される。

 専門医制度をめぐっても、地方の病院や自治体からは地元の医師不足の悪化を心配する声が強く、今年度の開始予定が1年間先送りされた経緯がある。

 機構は、(1)大都市圏の定員に一部上限を設ける(2)研修施設を地域の中核病院にも広げる(3)都道府県ごとに置く協議会を通じて地元から意見を聞いて研修プログラムを改善する、といった措置をとった。

 とはいえ、不安は解消されていない。自治体や厚生労働省と、研修で中心的な役割を果たす大学病院は、新制度がもたらす影響を注視してほしい。

 「総合診療専門医」の新設も、新制度の特徴だ。

 地域の病院や診療所で患者に対応するだけでなく、在宅医療や介護、みとりまで担うことが期待されている。人生の最後を住み慣れた地域や自宅で暮らすことを目指す「地域包括ケアシステム」に欠かせない存在だ。

 総合性と専門性をどう両立させるか。まずは、果たすべき役割をもっと明確にしたうえで、実践的な研修プログラムづくりに努めることが求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551107
「個別指導で医師の人権侵害阻止」、埼玉の開業医
地方厚生局から画期的回答「カルテに基づく質問は認められず」

2017年8月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 山崎外科泌尿器科診療所(さいたま市浦和区)院長で、埼玉県保険医協会常任理事の山崎利彦氏はこのほど、4年の長きにわたる個別指導を経て、二つの画期的な回答を関東信越厚生局から文書で引き出すことができた。一つは、個別指導は、行政手続法の適用を受けること。もう一つは、カルテなどを見てその内容について質問する「質問検査権」が地方厚生局に認められているのは監査の場合であって、個別指導では認められていないということだ。

 山崎氏への個別指導の第1回は2013年3月。第5回は2017年3月で、関東信越厚生局が、カルテとレセプト内容を突合して質問する場面はなく、レセプト請求の方法などについて一般的なやり取りをする「面談懇談形式」で終了、指導の結果は「おおむね妥当」で、診療報酬の返還などは伴わなかった。

 山崎氏は、「関東信越厚生局から、個別指導において『健康保険法に定めのない事項については、行政手続法が適用されるものと考える』との回答を文書で得た。全国保険医団体連合会をはじめ、全国の保険医が長年主張してきたことであり、厚生局が文書で回答したのは初めてのこと」とその意義を説明。

 個別指導は、レセプトで高点数が続いた場合やレセプト請求に問題があると想定される場合などに、地方厚生局が医療機関に対して実施する。ただし、健康保険法73条には「厚生労働大臣の指導を受けなければならない」とあるだけで、その詳細は「指導大綱」に基づき実施されるが、時に同大綱を逸脱したり、地方厚生局の高圧的な態度を機に、開業医が自殺を図るなど、「行きすぎた行政指導」が問題視されることがこれまで度々あった(『保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案』などを参照)。

 1994年10月に施行された行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることが目的。地方厚生局の恣意性などを排除するため、同法に準拠した個別指導の実施や、「指導大綱」そのものの改正を求める声は依然から根強かった。その意味で山崎氏が関東信越厚生局から受け取った文書の意義は大きい。その内容は、以下の通り。

山崎氏が個別指導について関東信越厚生局から受け取った文書の抜粋

1.個別指導が行政手続法の適用を受ける点について
山崎氏の質問(抜粋):
 行政手続法と健康保険法との関係について、健康保険法第73条では、指導を受ける義務が規定されており、指導の日時・場所・指導内容については一定の裁量権があると思われるが、目的に照らし、合理的な範囲を逸脱してはならないことは明らかであり、また、これら以外について行政手続法の行政指導の条項が適用されるのは当然である。
関東信越厚生局の回答(2015年3月31日付):
 健康保険法に定めのない事項については行政手続法の適用がされるものと考えます。

2.地方厚生局が「質問調査権」を有しない点について
山崎氏の質問(抜粋):個別指導において、質問調査権があるのか否かを明確にしてもらいたい。
関東信越厚生局の回答(2017年2月28日付):
(1)個別指導は、健康保険法第73条に基づいて行うものであり、同法78条に規定されているような質問または調査権限(いわゆる質問検査権)は有していません。
(2)個別指導の実施方法は、保険医療機関等に課せられている厚生労働大臣の指導を受ける義務に基づき、関係書類を閲覧し、個別に面接懇談方式で実施するものであります。
(3)個別指導は、保険医療機関等および保険医等に課せられた義務である以上、指導において指導者の指示を被指導者が拒んだ場合には、個別指導を実施する権限を有する厚生労働大臣が、これを拒否していると判断することがあります。

 山崎氏の支援を続けてきた埼玉県保険医協会の副理事長を務める小橋一成氏は、今回の成果を「徹底して法律に則った個別指導を求めた結果。従来の個別指導では『監査的指導』が見られたが、面談懇談方式が今後徹底されれば、人権を侵害するような個別指導は一掃されるだろう」と評価。

 「山崎氏のケース、特殊」

 ただし、小橋氏は「今回は特殊な事例」と断る。「特殊」とは、山崎氏自身が法的根拠に基づく個別指導を受けるという強い意思を持って理論武装し、日常診療でもカルテ記載やレセプト請求に留意し、「個別指導の拒否」に当たらないよう、弁護士と相談しながら、慎重かつ丁寧な態度で関東信越局とやり取りを重ねたという意味だ。「個別指導の拒否」と判断された場合には、「監査」に移行する場合があり得る。「常に、『必要に応じて協力する』という姿勢で対応することが必要」(小橋氏)。

 山崎氏も、「私が求めたのは、カルテ閲覧の拒否ではなく、あくまで行政手続法に基づいた個別指導を行うこと」と念を押す。「面談している中で、カルテを見てもらった方がいいと私が思う場面があれば、いくらでも見てもらう。例えば、『外来管理加算を算定する際に、どのような内容をカルテに書いているか』と聞かれた時に、一般論ではなく、実際のカルテを見てもらい、その内容が妥当か否かを確認してもらった方が私としても安心」(山崎氏)。

 埼玉県保険医協会副理事長の青山邦夫氏は、「誤解してもらいたくないのは、法的に則り、保険診療のルールについて面接懇談する個別指導を実施すべきというのが、我々の基本的スタンスであるということ」と念を押す。「医学的、かつ保険診療のルールを踏まえた、きちんとした個別指導を実施するには、指導医療官の質も問われる。我々協会にはその資質を備えた医師がおり、指導医療官として採用してもらうよう、関東信越厚生局に申し出ている」(青山氏)。

 集団的個別指導の根拠も示されず

 山崎氏の4年にわたる個別指導は、次のような経過をたどった。まず2011年度に「集団的個別指導」の対象に選定された際、その根拠について示すよう求めたが、回答がなかったために、「集団的個別指導」を欠席。それが理由で、2013年3月に第1回の個別指導を受けた。

 第1回の個別指導において、山崎氏は弁護士の帯同のもと、録音と録画まで行った。そこで、興味深いやり取りが展開された。

 一般的な個別指導は、医療機関が直前に指定された患者数人分のカルテを持参し、個別指導の場で地方厚生局に提示。レセプト請求との齟齬等を指摘され、問題があれば診療報酬の返還を求められる。同様の問題があるか否かを、それ以外のレセプトとカルテについて各医療機関が自主的に調査、その結果として「自主返還」を求められることが多い。

 これに対し、山崎氏は、個別指導の法的根拠を確認し、カルテの提示は、健康保険法や指導大綱には記載されていない上、行政手続法は「任意の協力」により指導が成り立つとしていることから、関東信越厚生局に「カルテ閲覧」の根拠を質したが、同局に加え、埼玉県の国保医療課や立会人からも回答はなかった。「『カルテが提示されないのなら、指導の意味がないので、監査に移行する』などの誤った説明があったが、カルテを提示することなく、診療内容についての一般的なやり取りで終了した。指摘事項も1点だけだった」(山崎氏)。事務官から「本日の指導は、終了した」と告げられた。

 ところが指導の結果通知を待っていたところ、約3カ月後に個別指導の「終了」が撤回され、「中断」扱いに変わった。「カルテを閲覧していなかった」のがその理由だった。第2回の個別指導の再開通知が来たのは2014年3月。第3回が2014年9月、第4回が2016年11月、第5回が2017年3月3日だった。これらの個別指導に加えて、関東信越厚生局との文書による質問と回答というやり取りを続け、結果的に二つの画期的な回答を受け取った。

 カルテ、「持参物の確認」にとどまり、内容は見ず
 第5回の個別指導において、山崎氏はカルテを持参したものの、法律に則った形での個別指導を関東信越厚生局に求めた。「持参物の確認」という範囲でのカルテ閲覧にとどまり、関東信越厚生局がレセプトと突合することはなかった。「保険診療についての理解を深めるやり取りであり、医学的な内容も含めて、本当に有意義な指導を受けることができた」(山崎氏)。以下のやり取りで個別指導は終了、その結果は3月29日に通知された。

 山崎氏らは今後、今回の二つの回答について、医療者に広く周知していくとともに、個別指導の「中断」については健康保険法や通知等には規定がないことから、ルール作りを呼びかけていく方針。「私の個別指導においても、中断のルールがいまだ曖昧。その明確化を求めていくことが今後の課題」(山崎氏)。さらに指導大綱や監査要綱について、改正の対案も検討していく予定だという。

◆山崎外科泌尿器科診療所への2017年3月の個別指導の内容(山崎氏による)
・関東信越厚生局は、カルテの閲覧は、持参物の確認として、持参資料に不足はないかという観点で閲覧した。
・対象患者のカルテとレセプトの突き合わせをするのではなく、指導大綱で規定している「面談懇談方式」が実施された。
・関東信越厚生局側は、レセプトに基づいて診療内容、検査の実施方法・頻度、電子カルテの記述方法など一般的な質問をし、山崎氏が回答。山崎氏からも疑問点を技官に質問し、意見を聞くなどのやり取りが行われた。
・対象患者30件全てに実施、予定時間の2時間ちょうどで個別指導は終了。
・指導日から1カ月経たないうちに、結果通知が送付された。結果は、4年前の第1回個別指導の時と同様、1点の指摘事項を受けたのみで、「おおむね妥当」だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549980
医療維新
「日本医学会と日本医学会連合、併存の訳」 - 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.1  
歴史的経緯や役割の理解を求める

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 この6月、日本医学会連合の会長選挙があり、12年の長きにわたって同職にあった高久史麿氏に代わり、新会長に就任したのが門田守人氏。門田氏は2010年4月から日本医学会副会長を務め、同会を日本医師会から独立した組織にすることを早くから働きかけてきた一人。

 日本医学会連合は2014年4月に、一般社団法人化した。日本医師会内には日本医学会が残り、二つの組織が併存、両方の会長を門田氏が兼ねる。「学術団体として活動する場合には日本医学会連合、日本医師会の学術機能にかかわる事業をサポートする場合には日本医学会として活動する」(門田氏)。門田氏に、会長就任の抱負をお聞きした(2017年7月19日にインタビュー。計2回の連載)。

――先生は2010年4月から、日本医学会副会長を務められていました。今回、会長に就任された経緯についてお教えください。

 自ら立候補したというより、加盟学会(社員)からの推薦です。日本医学会連合には128の加盟学会があり、まず会長にふさわしい人を推薦してもらいます。その上位候補者から日本医学会連合の2017年度定時総会の当日に、各学会が投票し、過半数を獲得できれば決定、過半数に至らなければ上位2人で決選投票という仕組みで、今回は私が選任されました。

 今の医療、医学は非常に複雑で、課題は多岐にわたっています。それを解決していくには、各加盟学会の力を結集していくことが必要。そのためにはまず日本医学会の成り立ち、日本医学会連合として2014年4月に一般社団法人化した経緯を理解してもらうことが必要です。いまだに日本医学会と日本医学会連合の二つの組織がなぜあるのかを理解していない方が少なくありません。二つの組織が誕生した経緯や目指すべき方向性について共通理解を得た上で、日常活動において日本医学会の集合体としての活動を推進することが重要です。


会長としての当面の仕事として、日本医学会と日本医学会連合の役割について、関係者に理解してもらうことを挙げる。
――先生は、日本医学会と日本医師会の関係については、2006年に日本外科学会会長に就任した際に、問題意識を持たれたとお聞きしています。
 以前から、日本医師会と日本医学会は対等の関係にあり、役割分担をしていると思っていたものの、専門医制度についての考えなど、両者で意見が食い違うところがあるという認識を持っていました。

 日本外科学会会長に就任した時には、各分科会は日本医学会から「分科会助成金」が支給されていることは知っていました。当時の額は年20万円です。詳細を確認したところ、「なお、送金は日本医師会から行います」とあり、「こんなに意見が食い違う日本医師会から送金されるとは、どういうことか」と疑問を感じたのです。

 日本医学会の事務局に、「定款を見せてほしい」と聞いたら、「我々医学会には、定款がありません。それは日本医師会の下部組織だからです」との回答でした。日本医師会の定款を確認したら、「日本医師会に、日本医学会を置く。医学会は各分科会より成る」と記載され、各学会は、分科会という形で日本医師会の中に位置付けられていました。しかも、「日本医学会の重要な会務については、日本医師会長の了承を得ること」となっていた。

 こうした現状を知り、「分科会助成金をもらうと、定款に書いていることを我々が認めていると解釈されても、おかしくはない」と考え、助成金を受け取ることをやめました。

――どんな点で日本医学会と日本医師会は、意見が対立していたのですか。もう少し詳しくお教えください。

 例えば、専門医制度。各学会がバラバラに制度を作っていたので、何とか標準化しようという機運が長年ありました。学会認定医制協議会(1981年に22の学会で発足)の議長、日本医師会長、日本医学会長の三者懇談会で、各学会の認定医あるいは専門医を承認する仕組み(承認シールと承認通知書の発行)などを作ったのは、1993年。しかし、「認定医の表示は、院内にとどめる」など、制限付きの仕組みにとどまりました。日本医学会や各学会は、専門医制度を整理し、国民がどこにどんな専門医がいるのかが分かる仕組み作りを目指していたのですが、自由標榜制を堅持する日本医師会とは相容れなかったのです。

 その後も、専門医制度については、第三者が評価する仕組みを作ることはなかなかできませんでした。それ以外にも、例えば診療報酬をめぐる議論など、日本医師会とは見解が違うとの思いがあります。

――それで日本医学会の歴史をひもとくことを始められた。

 日本医学会が、日本聯合医学会としてスタートした1902年は、明治35年に当たります。日本の西洋医学は明治の初期、主にドイツから輸入されましたが、ようやく自主独立できそうになった時期が明治35年頃。各専門分野が一堂に会して、医学のあるべき姿を議論すべきという機運が出てきました。しかし、日本医師会が全国組織としてスタートしたのは、それより10年以上遅れた1916年です。それ以降、日本医師会と日本聯合医学会は、並列して存在しました。

 日本医師会は第2次世界大戦時に全員加入の組織になり、戦後、GHQにより解散させられ、新制の社団法人日本医師会が誕生したのは1947年11月。一方、戦前戦後も日本医学会は継続して存在し、4年に1回の日本医学会総会を開催しており、戦後1946年開催予定の総会を1年延期したくらいです。

 しかし、米国のAMA(American Medical Association)が学術機能を持っているのに倣い、GHQの方針で1948年に日本医師会は日本医学会を統合。その頃の記録を見ると、「日本医師会は、医師一人一人が参加する団体。一方、日本医学会は学会が所属する団体であり、活動内容も違う」として、日本医学会内には統合を疑問視する声があったようですが、日本医師会の定款に、「日本医学会を置く」という規定が設けられました。

 こうした状態が2006年に我々が問題視するまで、約60年間続いてきたわけです。私は問題は日本医学会側にあると考えました。2007年に日本外科学会定期学術集会の会長を務めた際、会長講演でこの点に触れ、その後、日本医学会独立に向けた活動を始めました。2009年に日本医学会分科会に対してアンケートをすると、大半は独立すべきとの意見でした。

――「日本医学会側にも問題があった」とのことですが、どんな意味でしょうか。

 各学会を束ねるという役割を理解して、それに向けた活動をしていたのかが疑問という意味です。例えば、医師法21条の問題。1994年に日本法医学会が「異状死ガイドライン」を公表しました。臨床に関係する全学会が関係する問題でもあり、前もって医学会全体で議論しておけば、その後の混乱は少なかったのではないかと思います。医学会全体にこのような視点がなく、「日本医学会は、4年に1回、総会を開くだけの組織」というのが、多くの医師の認識だったと思います。

 もっとも、私達は何度も日本医師会などに日本医学会の独立を働きかけてきましたが、なかなかうまく行きませんでした。日本医師会の定款変更には時間がかかると想定され、日本専門医機構の社員になる場合など、法人格が必要な活動があることから、「名前を変えて法人化する」という選択肢を選び、「一般社団法人日本医学会連合」を設立したのが、2014年4月、日本専門医機構が同年5月に設立される1カ月前のことです。

――日本医学会と日本医学会連合は、どのような関係にあるのでしょうか。

 128の学会が集まった連合体であることは、日本医学会も日本医学会連合も同じもので変わりはありません。学術団体として活動する場合には日本医学会連合、それ以外に、日本医師会の学術面での機能を支援する場合、医療制度などについて日本医師会と協力関係を築く必要がある場合には日本医学会の名称で活動しています。ただ、法人化してまだ3年。歴史的経緯も含め、日本医学会と日本医学会連合の役割が理解されていないので、その説明に当面力を入れていき、その上で128学会のエネルギーを結集して、ガバナンスを利かせて各種課題に取り組んでいく方針です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549981
医療維新
新専門医制度、「2年延期は問題」- 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.2  
医学会の横断的課題に対処する体制構築

インタビュー 2017年8月18日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――具体的な活動としては想定されている課題があればお教えください。

 各種研究に関する倫理指針や個人情報の取り扱い、さらに国の研究費助成が最近減少している問題など、医学の学術団体として社会に対して発信していくべきことは多々あります。

 国の研究費助成が伸び悩む一方で、例えば、防衛省からの研究費助成が大幅に増加している現状があります。日本学術会議は今年3月、「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表、軍事目的の学術研究をけん制しましたが、医学研究が軍事目的に使われることは想定され、我々としても医学研究分野についてのあるべき姿を検討していくべきでしょう。

 さらに教育の問題、例えば卒後臨床研修や新専門医制度についても、学術的観点から、卒前と卒後の医師養成全体を踏まえて提言していく必要があります。

新専門医制度については、2年延期すべきではないと指摘する。

――新専門医制度は、日本医学会連合の加盟学会である各学会が直接的に関わる問題であり、かつ喫緊の課題です。

 先ほども触れましたが、専門医制度について我々日本医学会連合は、学会単位で運営する制度には限界があり、第三者機関による認証の仕組みを作るべきとの考えでした。2013年4月に厚生労働省の検討会報告書を経て、ようやく2014年5月に日本専門医機構が設立されました。

 しかし、2016年2月頃から、地域医療への影響を懸念する声が出始めました。厚生労働省が2016年3月に立ち上げた「専門医養成の在り方に関する専門委員会」において、私は「立ち止まることはない。微調整してスタートさせるべき」と主張しましたが、賛同が得られませんでした。そして、2017年4月の開始は延期になりました。その結果、専門医研修を始めようとした約8000人の若手医師たちが、宙に浮く状態になってしまった。確かに地域医療への配慮も大事ですが、これから立派な医師になろうとしている若手も大事。しかし、ブレーキをかけてしまったのです。

 今の新専門医制度をめぐる議論は、当初の精神はどこかに消えてしまい、おかしな方向に行っているのではないかと危惧しています。

――どこが一番問題だとお考えなのでしょうか。

 日本の医療提供体制の全体を考えた上で専門医の領域を決めるべきであり、各学会がそれまで運営してきたという理由で、各専門医を認定する制度では不適切だということです。

――新専門医制度の19の基本領域の妥当性について、あまり議論されたことはないように思います。

 だからこそ、我々は学術集団として、現状把握と分析を冷徹に行い、十分に議論を交わし、是々非々で主張すべきことは主張していかなければいけないのです。

――日本専門医機構は、2018年度開始に向けた準備は整ったとしています。スタートしつつ、軌道修正すべきなのか、あるいはもう一度、立ち止まるべきとお考えでしょうか。

 2年にわたって、若手医師たちを路頭に迷わせるのは問題。最初からパーフェクトな制度はあり得ませんので、スタートさせた上で、徐々に改善していくべきでしょう。

――領域横断的な問題としては、医療事故の問題もあります。
 私は、医療事故あるいは合併症などの問題は、必ず発生するという大前提に立ち、それを包み隠すのではなく、透明性を持って、医療者だけではなく、患者さん、国民も含めて議論していかないことには進歩がないと思うのです。そのための組織を作っていくことが大切だと考えています。

 最近読んだ本に、『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』(文藝春秋)があります。日本は、縦割り型の組織がそれぞれ仲間集団を作り、相互間の意思疎通を困難にさせるという“たこつぼ型社会”、小さな組織で対応しようとしがちです。そうではなく、お互いが納得するシステムをいかに作っていくか、多くの人が参画できるシステムを作れば、解決には至らなくても、納得が行く制度が作れると思うのです。日本医学会連合はありとあらゆるステークホルダーが関わっており、そうした場を作れば、問題解決の糸口を作れると考えています。

――日本医学会連合が取り扱うべき課題は、各領域にまたがる横断的な内容が多いと思います。どのような組織運営を想定しているのでしょうか。

 常時検討できる体制を作り、何か問題が生じれば、社会に対して迅速に発信し、専門学術集団としてのミッションを果たすことが重要だと考えています。

 日本医学会連合には4人の副会長がいます。幾つかの重要なテーマについて、副会長と担当理事を置き、委員会を作るなどして、議論を深めていきます。各加盟学会の専門家の方々の協力を得て、日本医学会連合としての方向性を整理しながら、定期的にメッセージを出していく方針です。こうした取り組みを強化しないと、我々の存在意義はありません。

――その辺りの体制はいつ頃までに、例えば今秋くらいまでにでき上がる見通しでしょうか。

 体制は早く作る必要があり、その方向性は今秋くらいには打ち出したいと考えています。ただし、実際に提言などを出していくには、もう少し時間がかかると思います。

――4年に1回の日本医学会総会は、形骸化しているとの指摘もありますが、そもそもどうあるべきだとお考えですか。

 確かに、ご指摘の通りの側面もあります。既に2年後の次回2019年の日本医学会総会の内容は決まっています。次々回をどうするかですが、各学会単位の学術集会と日本医学会の総会をどうすみ分けるか、どんな形態にするかなど、さまざまな検討課題があります。まだ時間的余裕があり、その前に優先的に検討すべき課題があるという認識です。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170818-196772.php
小高病院再編「医療の質...落とさないで」 説明会で南相馬市民
2017年08月18日 09時05分  福島民友新聞  

 南相馬市は17日、経営状況が悪化している市立小高病院(同市小高区)の経営再編について市民説明会を開いた。市は早ければ本年度中に入院病床99床を市立総合病院(同市原町区)に移管し、サテライト診療所とする方針を示したが、地元住民は病床の維持や医療サービスの質の向上を求め、反発した。


 小高病院は2006(平成18)年の市町合併後も、7診療科99病床を有し、地域密着型の1次医療を提供しながら、急性期医療と在宅医療の橋渡し役を担っていた。東京電力福島第1原発事故により小高区が警戒区域になった影響で一時閉鎖されたが、13年4月に外来診療を再開した。一方、入院医療は東日本大震災による建物の損壊や医療従事者不足により休止している。

 医療収益だけでは診療体制が維持できないため、国や県の補助金などに依存する経営状況が続いている。常勤医師や看護師など医療人材不足が深刻化、医療提供体制の維持は困難な状況だ。原発事故の避難による人口減少で、見込み患者数も減っている。

 市は16年度、総務省のガイドラインを基に市立病院改革プランを策定。小高病院を診療所として経営基盤を確立することや、全病床の移管により、外来診療と在宅診療への特化、総合病院との連携強化を取り組み方針に掲げている。

 説明会で地元住民は「小高に帰還する住民のために医療の質を落とさないでほしい」「診療所に認められている病床数19床は維持してほしい」などと求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550239
「2025年問題」後の“引き戦”も視野に - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.2
2018年度同時改定、カギは「予見可能性」

インタビュー 2017年8月16日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――日本の医療が抱える問題としては、2025年に向けてどのように提供体制を構築していくかという問題もあります。

 70歳を超えると、患者自己負担が3割から2割になります。仮に医療費自体は変わらなくても、公費負担は増えるわけです。その上、2025年には団塊の世代が全員、後期高齢者になります。恐らくそこから5年、10年が日本の医療、介護のニーズのピークになるでしょう。ニーズの急増にどう対応するのか、財源はどう確保するか、これは全省的な課題であり、総力戦で取り組まなければなりません。

 さらに厳しいのは、医療、介護のニーズがピークを迎えた後、今度は減少してくる点です。言葉は適切ではないかもしれませんが、“引き戦”になるわけです。ニーズが増加する時代は、財源をどう確保するかなどは、いわば交渉ごとになります。しかし、医療費が前年度より減少する時代は、相当につらい。既に設備投資した費用をいかに回収するか。医師や看護師は今は非常に有効求人倍率が高いけれども、将来はどうなるか――。

 将来直面する諸問題をうまく乗り切るためには、その基盤をここ2~3年できちんと作らなければいけません。

2018年度診療報酬改定において重要なのは、2025年を見据えた「方向性」だという。

――「基盤」を作る際の基本的な考え方は。

 医療や介護のニーズが増え、その後は下がる時代。例えば、各職種の養成人数や仕事のやり方などをあまり固定的に決めてしまうと、ある時は足りない、またある時は余ってしまうということになりかねません。うまく全体のニーズの変化を見ながら、微妙なかじ取りができるようにしておくことが必要だと思うのです。

――2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も控えています。

 同時改定は、6年に1回しかありません。2018年度の次が、2024年度。2025年の1年前の時点なので、大きな舵を切れず、切ったとしても2025年に間に合うとは思えません。したがって、2018年度は、2025年を迎えるための同時改定としては、実質上最後になると思うので、方向性やペースを誤らないようにしないといけません。

――突然、大きく舵を切ることも難しいと思います。

 診療報酬の点数自体は、改定率や全体の財源の中でどう分配していくかによります。それに一喜一憂するよりも、私が大事だと思っているのは、全体の方向性、つまり予見可能性です。経営者は、借り入れして資本を投下、多数の職員を雇用して医療を営んでいます。その中身や規制の在り方が、2年ごとにコロコロと変わるようでは、安定的な経営はできません。経営者の思いを100%実現するのは難しいかもしれませんが、例えば、「10年後に、制度はこう変わる」と予見できれば、各医療機関は計画を立て、対応できるようになるでしょう。

――2018年度改定は、消費増税が延期された状態で、厳しい財源の中での改定になることが予想されます。

 2018年度は「経済財政運営と改革の基本方針2015」に基づく集中改革期間の3年目なので、社会保障費についてはまだ「5000億円増」に抑えるという目安があり、これを念頭に置いて改定することになります。問題なのは、その後ではないでしょうか。先ほども触れましたが、人口構成の変化は、公費負担割合に影響してくるため、高齢者が増加すれば、医療ニーズも、また医療費もある程度は高くならざるを得ないのだと思います。

 財政的な責任は、一義的には財務省にあります。しかし、内閣全体として考えた場合に、厚労省として責任を果たすためには、医療費増を所与とするのではなく、例えば健康・予防医療に力を入れるなど、医療費を一定程度抑制したり、ムダな部分は省く努力などをしなければなりません。

――「3つの境」や2018年度の同時改定以外に、注目されている分野は何でしょうか。

 個人的な関心もあって私が注目しているのは、製薬、医療機器産業です。年によっても若干違いますが、法人税の担税能力を産業別に見た場合に、最近は必ずトップ3に製薬企業が入るなど、日本の中で業績がいい産業の一つです。外資系であっても、また海外でまず治験をやり、そのデータを用いて日本で承認を得るなど、企業戦略はさまざまですが、いずれにせよ日本で売上を上げれば、当然法人税も納めるわけです。

 担税能力があり、これから少なくとも20年以上は成長していくと予測される産業における課題は、イノベーションにどう報いるかです。他から容易に財源を持ってくることはできず、国民の負担を増やすわけにもいかない。長期収載品とジェネリックに着目し、一定の財源をシフトして、「開発フレンドリーな環境」を整えていく必要があるのではないでしょうか。

 医薬品については、特に従来の低分子化合物からバイオ製品へのビジネスモデルの変化に、いかに対応するかが企業にとっての課題であり、その対応に報いることを考えなければいけません。

 低分子化合物の場合、各企業がライブラリーを持っており、その組み合わせで新薬候補の開発につながれば、研究者の方から提案する形が多かった。このやり方は、製薬企業の内製的な研究モデルに適しています。

 一方、バイオ製品はそうではなく、標的となるタンパク質が分かれば、それを抑える分子標的薬の開発につなげるなど、現場発、例えば大学発、ベンチャー発の分子標的薬が多いわけです。先取性、革新的な技術力や研究開発力を持って、バイオ製品の波にいかにうまく乗るかが重要。

 最近の成功例は、再生医療等製品。「条件及び期限付き承認」という制度を導入した結果、日本に今まで興味を持っていなかった多くの欧米系のメーカーが、日本への進出を検討しています。メーカーの狙いは、日本のマーケットではなく、ICH(医薬品規制調和国際会議)の参加国内で最初に承認を取得することにあるのでしょう。承認が取れれば、米国や欧州での資金調達が容易になり、次のステップに進める意義は大きい。その意味で、日本は再生医療についてはハブとして機能している好例と考えています。

――日本は、医療提供体制も整うなど、先端医療を提供しやすい環境が整っているのでしょうか。

 例えば、癌のゲノム医療については、承認範囲や実施施設を限定して比較的早期に承認、ただし結果については副作用も含めてきちんと報告してもらう。そして一定程度、知見が蓄積されたら、他の医療機関でも使える承認にするという2段階で考えてもいいと、私は思うのです。

――その辺りは、冒頭に言われたように、「省内の境」を越え、研究開発、承認、保険適用まで全て関わってくる問題です。

 だから、全省的にうまくチームを作り、一定の方向性を目指して取り組む必要があるのです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551452
医師の働き方改革とキャリア
産婦人科医の過労自死を受けて声明、学会・医会
基幹の分娩取扱病院、大規模化・重点化を推進

レポート 2017年8月15日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は8月13日、「分娩取扱病院における産婦人科勤務医の一層の勤務環境改善」を求める声明を公表、「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」に基づき、地域の基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を強い決意を持って推進する方針を表明した(資料は、同学会のホームページ)。分娩取扱病院の管理者に対しては、産婦人科医の勤務実態を把握して、それを正当に評価・処遇し、勤務環境の改善に取り組むよう要望している。

 今回の声明は、都内の病院の30代半ばの産婦人科勤務医が自死したのは、長時間労働が原因であるとし、労災認定されたことが9日に公表されたことを受けた対応(『産婦人科後期研修医の自死、労災認定』を参照)。

 声明ではまず「現場で奮闘していた若い仲間を、このような形で失うことになったことは、専攻を共にする同僚として痛恨の極み」であるとし、「学会・医会は、産婦人科医の勤務環境の適正化に対し、極めて重大な責任を感じている」と厳しく受け止めていることを説明。

 学会・医会はこれまで、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を通じて、勤務条件の改善を進めてきた。1施設当たりの分娩取扱病院の常勤産婦人科医数は、2008年の4.9人から、2016年は6.5人となり、33%増加したものの、妊娠育児中の医師の増加等により、夜間勤務可能な医師数の増加は限定的のため、推定月間在院時間は2008年の317時間から、2016年の299時間へと6%減にとどまっている。

 学会は、2015年度に「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」を策定、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を提唱した。声明では、24時間対応が必要な基幹病院の産婦人科では、人数が多ければ、当直等の負担軽減、弾力的な勤務体制への対応などが可能となると指摘。産婦人科医の増加とともに、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化を推進する方針を改めて掲げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550917
新専門医制度、行方見えない不安- 医学連インタビュー◆Vol.2
女性医師のキャリアも心配

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――自身のキャリアについては、どのような考えを持っていますか。また、情報はどのように得ているのでしょうか
土肥 病院実習が始まるまでは、リアリティーを持って考えていなかったのですが、実習が始まると、興味がなかった科も、どの科も面白いです。内科に興味があったのに、外科回ってみたら好きかもしれないとか、実際見てみると変わりますね、目移りします。途中で結婚・出産などで離れたときにどうなるのか、いまいち分かりません。「戻れるよ」という話も、やっぱり「復帰はきつい」という話も聞きます。新専門医制度に関しても、やってきた人がいませんから、結果的に専門医を取るまで長くなるという話も聞くと、年齢的にどうなのか、自分の医師人生がどうなっていくのかが少し不安です。制度の内容がもう少し明らかになり、「ここで1回休んだらこうなるよ」というのが見られると安心するのかなと思いますね。

 女性でも働けるよというコラムなどをよく見るのですが、その先生方は自分とは違うのではないか、スーパーマンなんじゃないか、と感じて等身大のものとして見られない部分があります。その人だから頑張れたのではないかと思ってしまうので、もう少し自分に落とし込めるものがあるといいと思います。

 またキャリアについては、地域枠入学者たちはどうなるのかなというのも気になっています。地域枠の人に話を聞くと、(義務年限の)9年間残らざるを得ないといったマイナスな気持ちも聞くため、もっと前向きに考えられるような制度だったらと思います。

山田 地域枠も「しばる」のではなく、地域で働きたい医学生の想いを後押しする制度であってほしいですね。そのための地域枠の学生同士の交流の場や学習の場を年1回でも設けている大学はあります。

大滝 ポリクリが始まって、医局の先生方の働き方を見たり、「どういう風にキャリア形成されていますか」と女性だけでなく男性の先生にお聞きしたりすると、おおよそどの先生も、その場での出会いや流れに乗っていつの間にか今に至る、というようなキャリア形成をされているような印象を持ちました。どこの業界でもそうなのかもしれないですけど、「こういう人に知り合って、この人に教えを請いたいな」とか「ここの医局は雰囲気がいい」とか、そういうところでみなさん決めているのかなというのはあると思います。

 ただ一方で、自分のプロフェッショナリズムを維持し研鑽していかないといけないという点で専門医制度があると思うのですが、今制度が改変されている最中で今後どうなるかがまだ見えない中で考えていかなければならないことは難しいことです。働く場所に関して今のところ同期で話しているのは、新専門医制度もあるのでまずは出身大学に残り研修を終えてから移動した方がキャリア形成しやすいのではないかということです。

山田 (まだ始まっていないので、新専門医制度下で研修を受けた人がいないため)新専門医制度に関しては参考になる人がいません。「君たちが参考にされる側だよ」と先生方から言われることもあります。キャリアについては、だいたい研究者か、臨床で何科になるかくらいの選択肢しか、先輩からも先生からも提示されないようにも思えます。例えば山中伸弥先生みたいにiPS細胞を作るとか、医療にAIが導入されたときに、開発をする人になるとか、医療行政の道に進む人など、臨床や研究以外の働き方の多様な提示があったら多くの医学生はありがたいなと感じるのではないかと思います。そういうロールモデルに出会っていなかったので、病院見学に行くにしても、「君は何科になりたいの」としか聞かれないし、どんな医師になりたいとか、どんな働き方がしたいとか、生涯を懸けて何を極めたいとか、そういうことはあまり聞かれないですね。病院によっては、「君は残るつもりはあるの」と、それを最初に聞くところもあって、「いきなりそこか」と思って答えたりします。

――キャリアについての大学のサポートはどのようなものがありますか。
山田 前向きに取り組んでいる大学もあれば、そうでない大学もあると聞いています。極端なところでは、そんなことやるくらいなら勉強しなさいという言い方をするところもあります。学生としては具体的な取り組みやサポ―トがあればいいですが、そこまではいかないとしても、困ったときに相談できる窓口があるかないかだけでも全然違うと思います。あれば学生も安心します。学校として用意されていないときには、自治会などが、学生ですが役割を果たしていたりもします。

大滝 大学には就職相談窓口があると思います。医学部の場合は、大学によっては教育センターがあるところも幾つかありますが、教育センターがなく学務課の担当者が対応するのみで専門的にキャリアの相談をする窓口がない大学もあります。自分を含めて将来どうするか相談するとき、友人やポリクリで回っている時に先生方に尋ねるくらいです。キャリアについて相談できる機会は非常に限られているなと感じています。



http://www.medwatch.jp/?p=15300
地域包括ケア病棟の2分論、少なくとも2017年度データを見てから議論すべき—日病協
2017年8月18日 | 2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 中央社会保険医療協議会などでは、地域包括ケア病棟について、例えば「在宅で急変した患者を多く受け入れている病棟」と「急性期後の患者を多く受け入れている病棟」などに2分する議論が出ているが、現段階での議論は時期尚早である。少なくとも2017年度のデータを見てから議論すべきではないか—。

 全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会では、現時点ではこういったスタンスをとっていることが、18日に開催された定例記者会見で明らかにされました。

認知症治療病棟、急性期対応を行うが、9割の患者は在院日数61日以上

2016年度改定直後のデータでは、現状を反映していない可能性も

 地域包括ケア病棟(病室含む、以下同じ)は、(1)急性期からの受け入れ(post acute)(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ(sub acute)―の3機能を合わせ持つ病棟・病室として、2014年度の診療報酬改定で創設されました。

 2018年度の診療報酬改定に向けて、中医協や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で議論が進んでいますが、その中で「機能に応じた2分論」が浮上しています。これは、厚生労働省の調査から、▼自院や他院の急性期病棟からの受け皿(前者55.4%、後者15.8%)として活用している病院もあれば、5.4%と少数派ながら「在宅医療の後方支援として、急変時などの受け皿」として活用している病院もある▼「自宅や特別養護老人ホームなどから入棟した患者」と「それ以外の患者」とを比較すると、前者で「患者の状態が不安定で急性期治療を行っているので入院継続が必要」という割合が高い—ことなどが分かったことから、浮上したものです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

この点について日病協の代表者会議では、「厚労省の示したデータは、手術と麻酔を出来高評価とした2016年度の前回診療報酬改定直後のもので、病院側が十分に改定内容に対応できておらず、現状を適切に反映していない可能性がある。少なくとも、改定から1年を経過した2017年度のデータを見てから機能に応じた評価が必要かといった議論をすべきではないか」という意見が多数出ていることが、原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました。

入院医療分科会では、2016年度・2017年度の2度に分けて、2016年度改定後の状況を調査しており、2017年度調査の結果は今秋に報告されます。地域包括ケア病棟の2分論を含めた見直し論議は、秋以降に本格化すると見られます。

 
なお、日病協では2018年度診療報酬改定に向けた第2回要望の検討も進めています。現在、各団体からの要望を受け、▼急性期病棟(主に7対1・10対1)▼地域包括ケア病棟▼精神病棟▼慢性期病棟▼医療介護連携(訪問看護やリハビリなど)―の5つの柱に沿って取りまとめ作業を行っている最中で、原澤議長は「11月末の代表者会議で取りまとめる方向で検討している」ことを明らかにしましたが、医療経済実態調査の公表時期如何によっては少し遅れる可能性もあります(関連記事はこちら http://www.medwatch.jp/?p=13574 )。



http://www.medwatch.jp/?p=15294
療養病床入院患者の在宅移行促進に伴い、在宅医療や介護サービスの整合的な整備を―厚労省
2017年8月18日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)と新たな介護保険事業(支援)計画(第7期介護保険事業(支援)計画)がスタートするが、在宅医療や介護サービスの整備量を見込む際には、両計画の整合性を図る必要がある—。

 厚生労働省は10日に発出した通知「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画における整備目標及びサービスの量の見込みに係る整合性の確保について」の中で、こうした点を改めて強調するとともに、整合性を保つための基本的な考え方を整理しています。7月31日に発出された第7次医療計画作成のための通知(改正通知)を補完するものと言えます。

ここがポイント!
1 療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進
2 療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進

 第7次医療計画に包含される地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量が少ない患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療や介護施設などで対応する」こととされています。高齢化の進行で在宅医療や介護施設などの需要が増加しますが、こうした「新たな需要増」も考慮して、医療計画・介護保険事業(支援)計画の中で在宅医療・介護施設などの整備量を見込む必要があるのです。医療計画の見直し等に関する検討会での議論を経て、今般、考え方が整理されました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、まず「新たな需要増」として、次の点を考慮することを改めて指示しています。具体的には下記(1)から(3)について、将来推計人口を用いて▼2020年度末(第7期介護保険事業(支援)計画の終了時点)▼2023年度末(第7次医療計画の終了時点)―における「新たな需要増」を推計します(市町村間での調整は可能)。

(1)慢性期入院患者(療養病棟入院基本料、療養病棟特別入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、有床診療所療養病床特別入院基本料を算定する入院患者)のうち、構想区域に住所を有し、医療区分1である患者の数の70%相当
(2)慢性期入院患者のうち、構想区域に住所を有し、入院受療率の地域差を解消していくことで介護施設・在宅医療などの需要として推計する患者の数((1)を除く)
(3)一般病床入院患者(回復期リハビリ病棟入院料の算定患者を除く)のうち、医療資源投入量で、構想区域に住所を有する者の数から、「在宅復帰に向けて調整を要する者(医療資源投入量175点以上225点未満)」「リハビリを受ける入院患者でリハビリ料を加えた医療資源投入量が175点以上となる者」の数を控除して得た数

療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

 次に、推計した「新たな需要増」に対応するために必要となる在宅医療・介護保険施設などの整備量を推計することになります。具体的に「在宅医療でどの程度対応するのか、介護保険施設などでどれだけ対応するのか」は、都道府県(医療計画、介護保険事業支援計画を作成)と市町村(介護保険事業計画を作成)との「協議の場」で調整・協議することになりますが、厚労省は以下のような基本的な方針を示しています。

 まず(3)の「一般病床における医療資源投入量の少ない入院患者」の多くは、退院後に外来医療を受診することが分かっており、「新たな需要増」のほとんどは、「療養病床の入院患者が在宅移行する」ために生じるものと言えます((1)と(2))。一方、2018年度からは「療養病床から介護医療院への転換」も進められます。そこで、厚労省は別途お伝えする転換意向調査を行い、▼医療療養については2020年度末・2023年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する▼介護療養については意向調査により把握した2020年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する(2023年度末に介護療養の全数相当を追加的需要として設定する)―よう求めています。

また、介護医療院で対応する分を除く部分については、▼現在の療養病床数▼これまでの在宅医療・介護サービス基盤の整備状況▼病床機能の分化・連携、地域包括ケアシステムの深化・推進を踏まえた将来の在宅医療・介護サービス基盤の在り方―などを踏まえて、在宅医療と介護保険施設などとの間で対応分を按分して、それぞれの整備目標に反映させることになります(前述のように、具体的には都道府県と市町村との協議の場で設定)。

さらに、在宅医療・介護保険施設など整備量を考えるに当たっては、次のような資料も参考にすることが求められます。

▼患者調査や病床機能報告における「療養病床を退院した患者の退院先別のデータ」などを参考にする

▼各市町村において国保データベースを活用し「療養病床を退院した者の訪問診療や介護サービスの利用状況」などを把握する

▼各市町村における独自のアンケート調査、現状における足下の統計データなどを活用する

 ところで、第7次医療計画は2018-23年の6年計画ですが、2020年度に中間見直しを行います。また介護保険事業(支援)計画としては、2018-20年度の第7期計画と2021-23年度の第8期計画があり、▼2020年度▼2023年度―の2つの節目があると言えます。このため、在宅医療の整備目標についても▼2020年度末の整備目標▼2023年度末の整備目標―の2点を設定することが求められます(介護保険施設などの整備目標は、当然、第7期・第8期計画のそれぞれで設定することになる)。

 また厚労省では、「第7期に必要な整備が行われない場合には、第8期に繰り越して対応しなければならない」点に言及し、「計画的な整備」の必要性を強調しています。例えば、介護保険施設などの整備は介護保険料の上昇につながるため、「とりあえず、当面の介護保険料を抑えよう」と考えてしまえば、後の第8期計画で「急激な整備→介護保険料の急激な上昇」となってしまう恐れがあるためです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551240
m3.com意識調査
高校、大学所在都道府県の勤務が最多
医師確保には「解決策にならず」

レポート 2017年8月14日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省が7月31日、医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、医学部の地域枠の入学生は、原則として地元出身者に限定することや、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けることなどの内容だ(『「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知』を参照)。

 医学部の地域枠についてm3.com医師会員に聞いたところ、Q2の「出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?」で「全て同じ」が開業医26.6%、勤務医26.4%でともに最も多かった。一方で、「出身地と出身大学が同じ」、つまり勤務地だけが別という会員は一番少なかった。

Q1:地域枠の入学生を、その大学がある所在地の地元出身者に限ることが、地方での医師確保につながると思いますか?
08201.jpg
 勤務医では「思う」が約半数で、「思わない」と差が開く一方、開業医では、「思う」との回答が多いものの、あまり差が出なかった。

Q2:出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?
08202.jpg

Q3:修学資金貸与を受けた地域枠学生の卒後の「義務年限」、何年くらいが妥当だとお考えですか。
08203.jpg

 「5年」と、医学部の修業年限の1.5倍に当たる「9年」がいずれも30%前後と多くを占めた。

【地域枠は医師確保につながらない】

(医師のコメント)
個人の卒後勤務地を入学条件に加えたり、経済条件を加えたりしても、勤務地偏在の根本的解決策にはならない。防衛医科大や自治医科大でも卒後返済して自由を選ぶ人がいることがその証である。都市に政治経済文化機能を偏在させている今の政治に原因の根幹がある。大学の学費は先進ヨーロッパ並みに(奨学金ではなく)無料化すべきで、公立大の学費を値上げして就学を経済的に困難にしているのは国家の損失である。

私の出身大学は当時推薦枠があり、現役生20人を高校推薦で入学させていたが、ほぼ全員が出身大学に残らなかった。

本来の目的は地域医療における医師確保だったのだが強制力がなかった。

地域枠に対してその地域に関連のない受験生も広く受験できるのであれば良いですが、実質はその地域に関わりのある受験生に限定されていることが殆どで、受験生の受験機会を奪うことになっています。それを県立大学が行うのであれば、ある程度の納得はできますが、国立大学が行うのには違和感があります。私たちの治めた税金で賄われる国立大学であれば、国民が等しくその恩恵を享受できる環境にあるべきだと思います。

【強制力を伴う対策を】
(医師のコメント)
現実的ではないが地域枠には地域限定医師免許証にして、出身大学研修必須、その後一定期間貢献したら普通の免許証も交付される。拘束期間が10年ぐらいあれば、妻子などもできて定着する人も多いのでは?これぐらい強制しないとただの推薦枠と変わらない。

国立大学は全て都道府県に委譲し、知事のもとで半数は大学所在地の学生を受け入れ、大学所在地内での研修を義務付ければよいと思う。国立大学である必要があるのだろうか。東京医科歯科大や京都府立医科大が既にあるので、東大と京大は研究大学として病院施設は廃止する方向はどうだろうか。



http://www.sankei.com/region/news/170820/rgn1708200035-n1.html
千葉の医学部生が知事と面談 資金貸し付け就業条件などで要望
2017.8.20 07:02 産経新聞

 人材不足が叫ばれる医師の確保に向け、県が設置している医師修学資金貸し付け制度を利用している医学部生6人が森田健作知事と県庁で面談。目指す医師像や、制度への要望などを伝えた。

 厚生労働省の調査によると、平成26年の人口10万人当たりの県内の医師数は全国45位の182・9人。全国平均の233・6人を大きく下回り、県は21年度から貸し付けを実施。医師免許取得から一定期間を県内の医療機関で勤務すれば返還が全額免除となる。

 この日は、千葉大医学部の学生らが知事と面談。将来の夢を伝えるとともに、県内での一定期間の就業が返還免除の条件とされていることからキャリアへの影響を懸念する声や、医療現場の要望が反映される行政運営を求める意見なども伝えた。

 市川市出身で帝京大医学部(東京都)4年の笠井健司さん(23)は「資金のおかげで学費がまかなえるのでありがたい。医療を通じた地域の活性化に貢献できる医師を目指したい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/552225
日病協、来年度改定要望第2弾は5項目が柱
リハ病院・施設協会が正式加盟、地域包括ケア病棟協会はオブザーバー

レポート 2017年8月19日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は8月18日の定例記者会見で、2018年度診療報酬改定に向けての日病協としての要望書の第2弾について、▽急性期関連▽地域包括ケア病棟関連▽精神病床関連▽慢性期関連▽医療と介護の連携――の5項目を骨子としていくことが決まったと報告した。要望書の第1弾は今年5月に提出しており、第2弾は中医協などの議論を見据えながら11月を目処に提出予定(第1弾は『日病協、2018年度改定への要望書案を策定』を参照)。

 6月からオブザーバー参加している日本リハビテーション病院・施設協会が9月から正式加入することが決まった。前回の会議で議題に上がった地域包括ケア病棟協会(仲井培雄会長)の日病協への加入については9月からオブザーバーとして参加する(『日病協、地域包括ケア病棟に関する議論を注視』547671を参照)。原澤氏は「次回改定は地域包括ケア病棟がかなりの軸になる。専門的な見地から意見をお聞きしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/552133
眞榮会が民事再生法申請 佐倉の社福法人 負債24億円
地域 2017年8月18日 (金)配信千葉日報

 帝国データバンク千葉支店によると、佐倉市の社会福祉法人、眞榮会(石岡英明理事長)が17日までに、千葉地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は約24億円。

 2013年設立の同法人は、同市下志津で特別養護老人ホームや居宅介護事業所など3施設を経営。16年3月期の売上高は約2億5600万円だったが、施設開設に伴う借入金負担などから今回の措置となった。

 千葉県内での負債額10億円以上の倒産は、16年12月以来8カ月ぶり。



https://www.m3.com/news/general/552252
浜松医大付属病院:女性医師、復職を支援 「センター」を開設 県内全域でキャリア断絶防ぐ
大学 2017年8月19日 (土)配信毎日新聞社

 子育てしながらのキャリアアップや出産後の復職などを支援しようと、浜松医科大医学部付属病院(浜松市東区)に「ふじのくに女性医師支援センター」が開設された。県内の病院同士の情報網を確立し、女性医師の早期復職を促そうとする取り組みだ。【古川幸奈】

 厚生労働省の2014年の統計によると、医師全体に占める女性の割合は20%以上に上る。しかし、実際に仕事をしている女性医師の割合を示す就業率は他業種と同様に結婚・出産期に当たる年代に低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」をたどる。大学の医学部で6年間学んで就職してからおおむね11年が経過した36歳前後、女性医師の就業率は76%で最低になる。時間外勤務や夜勤の多い診療科では、女性の離職率が高くなるという。

 こうしたキャリアの断絶を防ごうと、浜松医科大は14年に「女性医師支援センター」を設立。相談窓口のほか、女性医師同士の交流会を設けるなどし、仕事と家庭の両立をサポートしてきた。今回はその取り組みを発展させ、県の委託を受けて県内全域でのキャリア支援に乗り出す。

 ふじのくに女性医師支援センターは今年4月に開設され、医師の谷口千津子さんら2人がコーディネーターとなった。現在は、県内の病院を訪れたり、アンケートを配ったりして、センターの周知を図り、各病院との連携強化に力を入れる。

 県内の病院で行われているキャリア支援の内容や勤務形態をまとめて閲覧できるウェブページの作成にも取り組んでおり、夫の転勤などで県内に移住した女性医師が復職しやすい環境作りを目指す。

 一方で、仕事と家庭の両立には、上司や夫の理解も欠かせない。谷口さん自身、子ども2人を産んでから病院を離れた一人で「産婦人科医としての勤務は多忙を極め、常勤医として働くことの限界を感じた」という経験を持つ。

 谷口さんは「そもそも、夫婦両方が医者だと『子どもの不測の事態に対応するのは母』とされる風潮がある。最初は時短勤務を快く受け入れてくれても、次第に白い目で見られるようになることもあり、職場の理解は必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/552137
北茨城市民病院ボランティア 患者目線、心強い存在
2017年8月19日 (土)配信茨城新聞

 北茨城市関南町関本下の北茨城市民病院(植草義史病院長)で、来院者が車椅子を必要とした場合に介助したり、バスの待ち時間に話し相手をしたりする市民ボランティアグループの活動が好評だ。玄関から受付窓口までの短い距離の活動ながら、明るい笑顔と素早い対応が、「通いやすい病院」との評判確立に一役買っている。15年間続く活動に病院側も「なくてはならない存在」と頼りにしている。

 「北茨城市民病院ボランティア」(小松礼子代表)の活動は2002年の旧市立総合病院(同市大津町北町)時代に始まった。発足のきっかけはメンバーの久保田三枝子さんの夫の入院。「その病院では案内をするボランティアがいて、高齢者が迷うこともなかった。夫が親切にしてもらった恩返しが少しでもできれば」と友人に声を掛けた。

 10人でスタートし、現在は40~70代の女性会員23人。黄色のエプロンが目印だ。月~金曜日の5日間、午前8時半~11時まで、2人態勢で活動する。開院前に車椅子を用意し、来院者に「車椅子は必要ですか」などと声を掛ける。車椅子を押して待合スペースまで案内する。一方で患者を送って来た車が駐車場へスムーズに進めるため、玄関前の混雑緩和にもつながっている。

 場合によっては赤ちゃんの面倒を見たり、入院患者や帰りのバス待ちの人と世間話もする。雨の日の傘の整理や草取りなども行う。「気付いたことで、やれることは何でもやりますよ」と会員は口をそろえる。菊池光子さんは「患者の目線になって声掛けする」と心構えを明かす。菅野しのぶさんは「母の通院で大変だったので参加した。活動は少しも大変ではない」と笑顔を見せる。

 年2回市社会福祉協議会の研修を受け、車椅子の扱い方やサポートの仕方はもちろん、病院ボランティアの目的や心得、注意点などを習っている。

 患者目線の活動は病院利用の改善点提案や、患者からの要望を病院側に伝える橋渡し役にもなっている。同病院医事課の滝浩課長は「真面目な取り組み、メンバー同士の信頼関係が長続きの鍵なのでは。患者や家族などから頼りにされ、病院としても心強い存在」と期待を寄せる。

 小松代表は「不安な気持ちの初診者や足元が心もとない人など、お手伝いのつもりでやっている。地味な取り組みだが、喜んでくれる人が一人でもいる限り続けていきたい」と話す。協力者が増えれば活動の幅も広げたいとも考えている。

(飯田勉)



https://www.m3.com/news/general/552123
【神戸】救急車の「適正利用」強調で119番にためらい?
地域 2017年8月19日 (土)配信神戸新聞

 突然の激しい頭痛、救急車を呼ぶべきですか―。神戸市消防局がこんなアンケートを実施したところ、「呼ぶべきでない」「分からない」と答えた市民が3分の1を占めた。実はこの症状、くも膜下出血などの疑いがあり、「100%呼ぶべき状況」との想定に基づく設問だった。予想外の結果に、同局は「『救急車の適正利用』が強調されるあまり、119番のためらいにつながっている可能性がある」と懸念している。

 アンケートは、増加傾向にある救急車の出動件数の背景を調べようと、神戸市消防局が今年5月に実施。市内在住のネットモニター2230人が答えた。

 「倒れて意識がない人がいる」など具体的な17の状況を挙げ、救急車を呼ぶべきかどうか、呼んでもよい▽呼ぶべきではない▽分からない―の3択で質問。例えば「突然、激しい頭痛が起こった」場合は、「呼んでもよい」が65・5%にとどまり、「呼ぶべきではない」が11%、「分からない」が23・5%だった。

 激しい頭痛と同様に重症の恐れが強い「急にろれつが回らなくなった」と「胸が締め付けられるように痛む」でも、「呼んでもよい」は8割程度。症状により認識に差はあるものの、タクシー代わりに呼び出すなど救急車の不適切利用が社会問題化する中、119番に対し慎重になっている市民の姿が浮かび上がる。

 高齢化に伴い、同市内の救急出動は2016年、8万件を突破。全国では7年連続で過去最多を更新している。消防当局は「適正利用」を積極的に広報しているが、その際、不適切な通報事例が象徴的に取り上げられ、市民の意識に過度に影響しているとみられる。

 同局は「危険な変調などを感じたら、ためらわずに救急車を呼んでほしい」と強調。通報すべき状況を丁寧に説明するなど、誤解の解消に努めるという。

 救急車を呼ぶかどうか迷った際には、同市が運用する無料ウェブサービス「救急受診ガイド」を利用するようPR。今秋には、救急相談ダイヤル「#7119」を導入する予定という。

 総務省消防庁も救急車を呼ぶ必要があるかどうか緊急度を判定するスマートフォン用アプリ「Q助(きゅーすけ)」を無料提供している。(小川 晶)



https://www.m3.com/news/general/551524
「改革しっかり進める」 医師の働き方で厚労相
行政・政治 2017年8月15日 (火)配信共同通信社

 加藤勝信厚生労働相は15日の記者会見で、東京都内の総合病院に勤めていた産婦人科の研修医が過労自殺したことを受け、「医師についても働き方改革をしっかりと進めていく必要がある」と述べた。

 政府が3月にまとめた働き方改革の実行計画には「最長で月100時間未満」などとする残業時間の上限規制が盛り込まれたが、医師については正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして適用が5年間猶予されている。

 厚労省は今月初め、医師の働き方改革に関する有識者の検討会の初会合を開催、2019年春をめどに報告をまとめるとしており、加藤氏は「応召義務を踏まえて時間外労働規制の在り方、具体的な勤務環境改善策の検討をしっかりやっていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/551349
海部病院移転3カ月 利用者から不満の声
地域 2017年8月14日 (月)配信徳島新聞

 南海トラフ巨大地震に備えるため、県立海部病院が5月8日に牟岐町中村の高台に移転してから3カ月余り。移転先は町中心部から離れた場所で、旧病院周辺に店を構える経営者は「来店客が一気に減った」と嘆く。通院が不便になったことにも利用者から不満の声が聞かれる。防災面への不安が解消された一方、町民の生活には影響が出ている。

 旧病院は、牟岐駅から約150メートルにある町中心部に立地していた。近くには町内唯一のショッピングセンター「ポルト牟岐」があり、通院患者や見舞客らの利用も多かった。

 病院の移転は、ポルト牟岐のテナントに打撃を与えた。衣料品店「タニモト」は、入院患者が使う寝間着やタオル、下着などの売り上げが約半分に落ち込んだ。経営者の谷本敦子さん(53)は「以前は診察の待ち時間に来てくれるお客さんもいたのに、急に店内が寂しくなった」と肩を落とす。飲食店「ポケット」も、来店客が減少傾向にあるという。

 旧病院周辺に店を構える経営者らが期待しているのは建物や土地の活用だ。町商工会の横尾政明会長(60)は「町の中心部から大きな病院がなくなったのは町経済にとって痛手だ。早急に跡地を再生し、地元住民や観光客を呼び込む場所にしなければならない」と訴える。

 旧病院は敷地面積約1万平方メートルで、本館(鉄筋コンクリート4階、延べ5386平方メートル)や別館(同2階、延べ340平方メートル)などがある。所有する県病院局は「今後の跡地利用については未定だが、牟岐町から利活用や譲渡の相談があれば前向きに対応する」としている。

 これに対し、大森博文副町長は「町としても跡地の活用を考えなければならない。早い時期に県や町内の民間団体と話し合いを進めていきたい」と話す。

 津波に備えて海抜15・6メートルの高台に移った新病院は、災害時は医療拠点としての役割を担う。しかし、これまで徒歩や自転車で通院していた住民からは「通院が不便」との不満の声が聞かれる。

 ほぼ毎週、自転車で通院している近藤将子さん(79)=同町中村、無職=は「以前は徒歩で楽に通えていたのに・・・。自転車で坂を上るのは年寄りにはつらい」とこぼす。

 同町は通院対策として、4月から80歳(4月1日時点)以上の町民を対象にしたタクシー利用の助成制度を始めた。1回当たり300円を補助し、年24回使える券を希望者に配布している。

 6月末時点の交付者数は343人で、80歳以上の町民のうち約43%に当たる。今後、対象年齢の引き下げなど制度の拡充が求められ、町総務課は「現在の利用状況の分析やタクシー業者との協議が必要だが、今後検討していく」としている。



https://www.m3.com/news/general/551348
伊万里松浦病院 松浦移転へ 既存病床減らし 新たに87床
地域 2017年8月14日 (月)配信長崎新聞

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市山代町)の移転問題は、県境沿いに隣接する同市と松浦市が候補地として競合。手詰まり状態だったが、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(本部・東京)が今春、松浦市への移転方針を固めたことで、2020年4月開設を目指し、大きく動きだした。松浦市地域自治会連合会(市内144自治会で組織)が、市内11の医療機関でつくる「松医会」に対し、公的病院の開設実現へ理解を求める要望書を6月に提出するなど、医療サービス向上への期待感も高まっている。開設が実現すると、市内の地域医療はどう変わるのか。再編の青写真を探った。

■特例措置が必要

 発端は伊万里松浦病院の老朽化だった。築50年以上が経過し、建て替えは急務。同機構は、伊万里市内での移転を考えたが、同市と佐賀県有田町が共同設置した病院が既にあることなどから、伊万里有田地区の医師会が反対。同機構は一転して、隣接する松浦市内で建て替えができないか協議を進めてきた。

 松浦市への移転のハードルとなっているのが、同市を含む二次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床の過剰状態だ。同圏内は基準より900床以上多く、新病院の開設は原則認められない。開設するには国、県による特例措置の適用が必要。そのためには、新病院ができても現状の市内372床(16年10月時点)を超えないように既存の診療所などの病床数を減らす努力が求められる。

 そこで同市は、開設までにどれだけの病床を減らせるか民間医療機関へのアンケートを実施。20年3月末の市内の削減目標を市立、民間合わせて88床とする「市医療再編実施計画」を今年3月に策定した。これを基に、市は正式な誘致交渉を推進し、同機構が候補地を同市内に固めたとされる。27年3月末の、16年10月からの削減目標は107床。

■診療科は12科目

 同市内の現在の医療サービスの課題は▽知事が認定し救急患者を24時間受け入れる救急告示病院がない▽医師の高齢化、後継者不足―など。この課題を解決するには、同市は機構の新病院開設が不可欠としている。

 では、いったいどんな病院ができるのか。同機構が4月に示した新病院の基本構想によると、病床数は87床を予定。市内の民間医療機関の病床数の変化に応じ、随時100床まで増やす計画だ。診療科は12科目を予定。肛門外科は、市内唯一の診療科として設ける。これまで市立中央診療所だけが担ってきた人工透析内科も引き継ぐ。

■市外搬送減るか

 新病院開設で大きく変わるのが救急医療。市内では14年から救急告示病院がない。軽症患者の救急は輪番制などで対応しているが、医師の高齢化で今後、輪番ができる医療機関は減る可能性があると市はみる。入院や手術を要する救急患者の約7割(15年度)は市外に搬送している。

 新病院について、市は「原則、極めて重度な症状以外の患者は受け入れる」と説明する一方、「ケース・バイ・ケース」とも。重篤でなくても近隣の高度な医療機関へ搬送されるケースもありそうだ。同市志佐町のパート従業員、吉井ネリ子さん(69)は「新病院が救急を受け入れてくれるのは心強いが、どれほどの症状まで対応してくれるのだろう」と話す。

■「介護型」の療養

 市が20年3月末に削減可能としている既存病床は88床。内訳は、国が社会保障費抑制のため削減などの方針を示す「介護型」の療養病床を中心に二つの市立診療所で38床、三つの民間医療機関で50床が対象となる。

 大きく影響を受けるのが離島の福島、鷹島両町。両町内の2診療所には現在、療養病床31床、24時間対応の医師がいないため使われていない一般病床7床、計38床があるが、計画により病床ゼロになる。

 市は、療養病床で受けられる介護サービスは、福島町の高齢者福祉施設などで代替対応が可能。同施設がない鷹島町については、島内で介護サービスを受け続けられる対応を考えると説明する。

 町民からは不満の声が聞かれる。福島町の自営業、松尾逸子さん(68)は「病床がなくなるのは島民の不安に直結する。市中心部には病院ができて、島内ではベッドがなくなることで、地域間で差が出てくる」と指摘する。

■賛否は五分五分

 医師の確保も課題だ。計画では伊万里松浦病院に在籍する職員が引き続き勤務する予定。加えて長崎大などにも協力を要請するという。厚生労働省の内部資料によると、大学側からは「多くの医師がいるので協力したい」との発言を得ているとされる。だが市内のある開業医は「医師の確保は簡単ではない。看護師を含めたスタッフの体制を確保できるか疑問が残る」と首をひねる。

 安定した運営には患者数も鍵を握る。15年度の伊万里松浦病院の入院患者は1日平均54人。患者の減少で厳しい運営が続いており、同年度の経常収支は約1億4400万円の赤字だった。新病院は入院患者の1日平均目標79人。1日25人も多く設定しており、地域で患者の奪い合いが生まれて既存の民間医療機関の経営に影響を与えるという指摘もある。「松医会」の新病院開設への賛否は、ほぼ五分五分。

■市民説明はまだ

 「この移転話を逃せば、地域医療の中核となる公的病院の開設が今後実現することはない」―。医師の高齢化などによる医療サービスの低下が懸念されるだけに、市幹部の言葉には誘致への熱意がにじむ。

 新病院の20年4月開院予定から逆算すると、開設申請は今秋の県医療審議会に諮らなければならないという。同審議会で特例措置適用の可否も検討する。同市は、審議会で重要となる地元医師会の理解を得るため、説明を重ねている。一方、医療再編の影響を受ける市民向けには説明会を開いていない。

 同市は「まだ開設も認められていない状況で具体的な説明はできない」と弁明。ある市議はこう指摘する。「市民の期待感だけが独り歩きしている。開設できるとしても、今の地域医療に弊害がない形で期待通りの病院ができるのかどうか、まだ見えない」



https://www.m3.com/news/general/551377
一志病院の運営、どこに? 三重県地域医療の今後
地域 2017年8月14日 (月)配信伊勢新聞

【津】鈴木英敬三重県知事は6月、県立一志病院(津市白山町南家城)の民間移譲方針を撤回すると表明した。公営の継続に津市からは安堵(あんど)の声が上がる一方、運営形態をどうするかは現在検討が進められている。津市が今後、経営に参画する意思を示すかどうかが、議論の行く末を握りそうだ。

同院は津市の山間部に位置し、白山、美杉地域では唯一の入院できる施設。総合診療医7人が常勤で働く。平成28年度、1日当たりの患者数は入院が38・1人、外来が85・1人だった。

総合診療医の県内育成拠点として、初期・後期研修医や医学生の受け入れに取り組んでいるほか、看護師を志す学生の研修の場にもなっている。

「(診療圏の)面積は非常に広いが、人口は津市の5%ぐらい。ビジネスモデル的には効率が悪い。少ないマンパワーで、なるべくこの地域に住み続けてもらう体制をとらないといけない」。四方哲院長が語る。

四方院長は24年9月に就任した。病床の有効活用や在宅医療の推進などに取り組み、翌25年度には決算の黒字化を達成した。

例えば、受け入れ可能な救急搬送者はなるべく同院で治療しようと、救急隊員が直接、日当直医に電話できるようにした。救急搬送の時間短縮や搬送者数の増加につながっている。

在宅医療では、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションに加え、薬剤師による訪問薬剤指導、栄養士による訪問栄養指導も実施している。

今年4―6月の延べ患者数は、訪問診療が252人、訪問看護が646人、訪問リハビリテーションが456人、訪問薬剤指導が10人、訪問栄養指導が22人だった。

■ ■

県立病院は現在、四院ある。総合医療センター(四日市市)は地方独立行政法人化し、志摩病院(志摩市)は指定管理者制度を導入、こころの医療センター(津市)は県営を続けている。一志病院に関しては22年に民間移譲の方針を固めたが、今年6月に取りやめを発表した。

県地域医療推進課によると、総合診療医や看護師、介護職員の人材育成機能は県が担うとしている。ただ「地域の医療を県がするのは検討する必要がある」と、県市の役割分担の見直しを示唆する。

16年に市が合併するまでは複数市町が診療圏だったため、広域性があった。現在の患者は8―9割が白山、美杉、一志町の住民。市外は5%以下にとどまっている。また、決算状況は黒字だが、一般会計からの繰入金は3億円以上になる。

一方の津市。前葉泰幸市長は会見で、同院について「医療、福祉、介護の連携拠点。われわれの責任である福祉分野にもっと関与していくという提案は、これからもしていける」と話した。

市のスタンスを「今ある人的資源で、もっと訪問看護をしてもらうとか、介護予防のために地域を回ってもらうとかをしてくださるのであれば、事業費を出す」と説明し、連携する事業への支出には前向きな姿勢を強調。その上で「ただ単に経営参加と言われると筋が違う。共同経営では、もともとない」と述べ、経営への参画には難色を示している。

運営形態について、県から津市への正式な打診などはまだない。県は、県と市、三重大でつくる「津市白山・美杉地域における在宅医療・介護の提供体制等に関する検討会」で議論するとし、6月29日に初会合を開いた。

次回は8月22日に開き、地域包括ケアシステムの目指すべき姿や各主体の役割、取り組み方向などについて話し合う予定だ。その後、今年中に報告書骨子をまとめ、運営形態について一定の方向性を決める。

同地域は高齢化、過疎化の“先進地”。今後の地域医療を考える上でも議論の着地点に注目が集まる。



https://www.m3.com/news/general/550881
住吉市民病院跡地:民間病院の誘致断念を撤回 大阪市が公募へ /大阪
地域 2017年8月10日 (木)配信毎日新聞社

 来年3月末で閉院する大阪市立住吉市民病院(住之江区)の跡地への民間病院誘致について、吉村洋文市長は9日、「民間病院の誘致の可能性があるなら追及すべきだ」と述べ、一度断念した誘致に再び取り組む方針を表明した。近く事業者を公募する。

 市議会民生保健委員会で自民党の前田和彦議員の質問に答えた。市によると、7月に府内や兵庫県で複数の病院を運営する社会医療法人「愛仁会」が跡地での病院新設に関心を持っていることがわかり、誘致を断念していた方針を転換。3度目の公募実施を決めた。手続きの透明性を図るため今月中にも事業者を公募する。

 市民病院は二重行政解消の一環で、約2キロ離れた府立急性期・総合医療センターと機能統合する予定。医療の空白を作らないため跡地には別の民間病院の誘致が決まっていたが、建設計画の不備などの問題から5月に辞退し、市は民間病院の誘致を断念していた。【椋田佳代】


  1. 2017/08/20(日) 11:05:48|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

8月12日 

https://dot.asahi.com/dot/2017080900092.html
連載「メディカルインサイト」
深刻な看護師不足の現状 極端な「西高東低」で医療事故も…

上昌広2017.8.11 11:30 dot.#朝日新聞

各都道府県の人口10万人あたりの看護師数(正看護師と准看護師の合計)。厚生労働省「平成24年衛生行政報告例」と人口推計より、森田知宏、児玉有子(ともに東大医科研)作成
08121.jpg

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。だが、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、深刻な看護師不足の現状についても明かしている。

*  *  *
 東京近郊では看護師も不足しており、そのために一部の病床が閉鎖されています。2007年7月には、東京都保健医療公社荏原病院の産科病棟の一つが閉鎖しました。

 原因は看護師の欠員です。当時、荏原病院の看護体制は定数316人に対し、欠員が58人。これでは、病院機能は維持できません。14年6月、千葉県は県内の59病院で合計2517床が稼働していないと発表しました。このうち38病院は「看護師不足」を理由に挙げています。

 背景には、厚労省が定めた看護師の配置基準と診療報酬の連動があります。06年度の診療報酬改定で「7対1入院基本料」が導入されました。入院患者7人に看護師1人以上を配置している病院に対して、一患者あたり一日1万5550円が診療報酬として支払われることになりました。そのため、看護師争奪戦が始まりました。看護師を確保できなかった病院は、診療報酬が下がるため、病床を閉鎖するところも出てきたのです。

 ところが、日本の看護師不足は全国一律に生じているわけではありません。14年末現在、人口あたりの看護師数は極端な西高東低になっています(図)。東京都の人口10万人あたりの就業看護師数は727人で、埼玉県(569人)、千葉県(625人)、神奈川県(672人)、茨城県(674人)、愛知県(725人)に次いで少ないのです。

 看護師が多いのは高知県で人口10万人あたり1314人です。ついで鹿児島県(1216人)、佐賀県(1200人)、熊本県(1189人)、長崎県(1182人)と続きます。高知県には人口10万人あたり東京都の2倍近い看護師が就労しています。

 看護師不足が深刻化している東京近郊では、今後、団塊世代が高齢化し、医療ニーズが急速に高まります。看護師確保をめぐり、東京近郊の病院間で、さらに熾烈な競争が繰り広げられることになるでしょう。

 看護師不足のツケも、最終的には患者にまわってきます。東京近郊、特に東京の病棟閉鎖の主たる理由は、看護師不足です。病床が閉鎖されれば、住民はまともな医療を受けることができなくなります。

 看護師が不足すると、医療事故も起こりやすくなります。03年に米国の研究者らがJAMA(アメリカ医師会誌)に発表した研究によると、外科や救急病棟では大学卒の看護師が10%増えると、患者の早期死亡率が5%低下していました。日本では患者7人に1人の看護師が配備されていますが、この研究では患者4人に1人の看護師を配備することが推奨されていました。つまり、高学歴の看護師を大勢配置した方が、致死的な医療事故が減るというのです。この研究は欧州でも再現され、14年英国の医学誌ランセットで報告されました。

 日本からの研究はまだありませんが、看護師の質と量が急性期医療の現場では患者の生死に直結することは、世界の医療界でコンセンサスとして受け入れられつつあります。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20170810-OYTNT50064.html
旭川医大、地域枠制度の定員削減へ…「医師、将来的過剰に」
2017年08月10日 読売新聞 北海道

 旭川医大は9日、道が指定する医療機関で一定期間勤務すれば、返済が免除される修学資金貸付制度(地域枠制度)の定員について、現在の17人から来年度以降は12人に減らすと発表した。道は、医師不足対策として同制度を創設したが、同大は「将来的に医師が過剰になる」などと判断した。医師不足に悩む道内自治体からは、将来を不安視する声があがっている。

都市部集中 地方に不安

 同制度では、卒業後9年間の道内研修・勤務を確約する学生に対し、授業料や生活費など計約1200万円を貸与。9年間のうち、道指定の医療機関で5年間勤務すれば、返済が免除される。2008年度に札幌医大で導入され、09年度には旭川医大でも始まり、17年度までに計260人が利用した。

 旭川医大の吉田晃敏学長は9日、記者会見を開き、〈1〉将来的に医師が過剰になる〈2〉学内での同制度利用者が16年度入学生までは15人前後で推移していたが、17年度は9人に減少した――ことなどを削減の理由に挙げた。

 吉田学長は「旭川医大には独自の地域枠があり、地域医療に与える影響はない」などと述べた。これに対し、町立病院の医師確保に悩む和寒町の奥山盛町長は「道内では札幌などに医師が集中する中で、地方は現状の体制を維持するのも厳しい」と懸念を示している。

 道地域医療課によると、道内の人口10万人当たりの医師数(2014年末時点)は230・2人で全国平均(233・6人)とほぼ同数。ただ、札幌や旭川など都市部に医師が集中し、それ以外の地域では足りないという状況となっており、同制度は、地方の医師不足対策の切り札として期待されていた。

 高橋はるみ知事は4日の定例記者会見で「地方における医師確保に向けて、この制度を創設したところで、(旭川医大の決定は)大変残念。医師の足りない地域に対して、様々な手段を講じてしっかり対策をしなければいけない」と語った。



http://www.asahi.com/articles/ASK8C337ZK8CUBQU006.html
旭川医大が「国際医療人」育成枠 世界の地域医療現場へ
渡辺康人2017年8月11日11時30分 朝日新聞

 旭川医大(旭川市)は来春の入学試験から、意欲ある学生を面接や書類審査で選考するAO入試に「国際医療人」育成枠を新設する。定員は5人で、国際社会で臨床医として通用する語学力や診療能力、世界各地の地域医療を向上させる能力の習得をめざす。同大によると、全国の国公立大学で初の試みという。

 同枠での合格者は入学後、通常のカリキュラムとは別に年1回の外部英語試験を義務づけ、在学中に海外の医療施設で1カ月間の留学を2回ほど経験させ、それらの費用として6年間で最大50万円を助成する。海外滞在経験を持つ先輩を指導員としてつける。

 旭川医大のAO入試の定員は来年度から2人増の42人となる見通し。これまでは道内出身者を優先させる「北海道特別選抜枠」のみだったが、来年度入試では5人分を「国際医療人特別選抜枠」として全国から募集する。高校とセンター試験での成績に下限を設けたうえで、1次選考で書類審査、2次選考で論文と面接を行い選抜する。

 ログイン前の続き同大は過去に1割程度だった道内出身学生を、2008年度から地域枠を設けたことで6割以上にした実績を持つ。吉田晃敏学長は「人口減の中で地域枠に力を入れるだけではなく、国際社会の発展に寄与する医療人を育て、旭川を国際医療都市にしたい」と狙いを話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550747
産婦人科後期研修医の自死、労災認定
代理人弁護士「産婦人科医療がそうさせている」

2017年8月10日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた男性医師(30代半ば)が2015年7月に自死したのは、時間外労働が月170時間を超えるなど長時間労働が原因だったとして、労災認定されたことが明らかになった。8月9日に記者会見を開いた遺族側弁護士の川人博氏は長時間労働の背景を「産婦人科医療がそうさせている。あまりにも仕事が多く、人数が足りていないことに尽きる」と訴えた。

 男性医師は2010年4月に医師免許を取得。2013年から 産婦人科の後期研修のために東京都内の公的総合病院に勤務していた。労災認定をした品川労働基準監督署の説明によると、死亡1カ月前(2015年6月9日-7月8日)の時間外労働時間は約173時間だった。同年7月12日は勤務日だったが、出勤することなく自死した(死体検案書では、死亡時刻を同日午後と推定)。

 男性医師の両親は2016年5月30日に労災申請し、2017年7月31日付けで認定された。亡くなる直前に「F3 気分障害」を発症していたとしている。8月9日に労基署から遺族や代理人弁護士に口頭で認定理由の説明があり、それを受けて遺族代理人が記者会見を開催した。

 電子カルテや勤務時間管理表、手術記録、投薬オーダー記録などから時間外労働時間数は、「少なくとも」(川人氏)、下記のように推計している。

【男性医師の死亡前の時間外労働時間】
1カ月前(6月12日-7月11日)  173時間20分
2カ月前(5月13日-6月11日)  165時間56分
3カ月間(4月13日-5月12日)  143時間24分
4カ月前(3月14日-4月12日)  148時間19分
5カ月前(2月12日-3月13日)  208時間52分
6カ月前(1月13日-2月11日)  179時間40分

 川人氏ら代理人の調査では、パワハラや個人的な悩みなど、長時間労働以外の要因は確認されていない。当時の産婦人科は10人程度で、そのうち後期研修医は4人。男性医師が研修医の中では最も年次が高かった。遺書や家族へのメッセージなどもなく、「責任感が強く愚痴を言いたがらなかったようだ」(川人氏)。

 当直勤務は月4日程度あり、死亡前の6カ月間の休日は5日のみだった。2015年4月以降に抑うつ状態、睡眠不足と疲労感、集中力と注意力の衰退などの症状が見られるようになった。この頃に信号無視による道交法違反が2度あり、公共料金も5月以降支払いを忘れるなどしていた。川人氏によると、「病院の寮の部屋は、あまりに忙しいからか整理できていなかった。冷蔵庫には何もなく、色々なものが散乱し、私(わたくし)の生活が全くない状況だった」と説明。部屋には睡眠剤などがあったが、心療内科などへの受診は確認されていない。

 一方で、同僚などへの聞き取りでは、「診療行為がおかしかった」などの証言はなく、「最後まで仕事はきちんとしていた」という。生前に診察を受けた元患者は、代理人らの調査に「挨拶をしてくれた姿がとても印象的だった。若いのにしっかりしていた。出産で入院中は病室にもよく来てくれた」と証言している。

 川人氏は長時間労働の背景を「産婦人科医療がそうさせている。あまりにも仕事が多く、人数が足りていないことに尽きる」と説明。新潟市民病院でも後期研修医が自殺し、労災認定された件について触れ、「2回続いたのは、恐らく全く偶然ではないと思う」と語った(『新潟・女性医師過労死事案、担当弁護士の説明』を参照)。

 病院側に対しては「長時間労働を認識していたにもかかわらず、十分なサポート体制を取っていなかった」と非難。同病院の労使協定(36協定)では、医師の場合は3カ月で計120時間と定められていたが、亡くなる3カ月前の時間外労働は480時間を超えていた。

 特別な事情(緊急手術の対応など)がある場合は、病院からの通知によって3カ月で計600時間、年間1440時間まで時間外労働を延長することができるとしているが、今回はこのような通知はなかった。川人氏は3カ月600時間という上限自体に問題があるとも指摘している。

 残業代も全額は出ておらず、病院側は労基署の指導を受けて、不払い残業代を遺族に支給するなどの対応を始めている。

「労働時間を管理するという発想が極めて希薄」
 川人氏は、本件に限らず医療機関全般は「医師の労働時間を管理するという発想が極めて希薄だと思う」と指摘。2016年度だけでも過労死認定された医師は4人いるとし、「政府の働き方改革では、医師の時間外労働規制を5年間猶予するとしているが、医師の過労死を放置、促進するもので、極めて危険であり、撤回すべきである。医師の過労死、過重労働をなくすために、国を挙げて早急に着手すべきである」と訴えた。

 自己研鑽の時間を業務時間に含めるべきかどうかについては、「実際問題として余裕を持って(自己研鑽を)図るような状態ではない。それがほとんどの研修医の実態」と指摘した。

 会見で公表した、遺族の手記は以下の通り(全文)。
息子の死の労災認定に思うところ
都内在住 父・母


今回、息子の死後2年、労災申請より1年2カ月余を経過して、労災認定がなされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです。

息子は、産婦人科を専攻する後期研修医でありました。彼は亡くなる少なくとも半年前よりほとんど休みなく勤務し、毎月時間外勤務として150時間、月によっては200時間に及ぶ仕事に従事し、手術、夜間の緊急対応に明け暮れていたものと思われます。現在、厚生労働省で推進されている「働き方改革」において医師の応招義務の観点から医師への時間外労働規制の適用が5年先送りにされたことは、この間に同じような不幸が起きないかと懸念されます。応招義務は、開業医よりも24時間稼動する病院に勤務する勤務医に課せられ、夜間、あるいは緊急対応は息子のような若手の医師に託されることが多いのが現状と思われます。

医師の自殺率、特に若いこれからの医師の自死が一般人口よりも高い理由は、不眠の継続による、または、過重な労働、責任の重さによる過大な精神的負担が原因と考えられます。さらに研修医は卒後研修のめまぐるしい環境の変化に耐えなくてはならず、また、後期研修では、専門医資格の取得に向けた準備段階に入り、精神的疲労の蓄積はさらに増していくものと考えられます。また、産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるか分からない分娩への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います。

その中で、責任を委託された者に過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています。医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います。

                                  以上



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081002000139.html
研修医自殺で労災認定 産科、残業208時間の月も
2017年8月10日 朝刊 東京新聞

 独立行政法人国立病院機構が運営する東京都内の病院に勤務していた三十代半ばだった産婦人科の男性研修医が二年前に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因だとして、品川労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが分かった。遺族の弁護士が九日、記者会見して明らかにした。認定は七月三十一日付。
 弁護士によると、男性は二〇一〇年四月に医師免許を取得し、一三年四月から、この病院の産婦人科に勤務。一五年四月以降、抑うつ状態や睡眠不足、注意力の減退などの症状が見られるようになり、精神疾患を発症。同年七月十二日に都内で自殺した。
 男性は病棟での分娩(ぶんべん)や手術を中心にカルテや書類の作成、カンファレンス(会議)への出席などをこなしていた。男性の使ったパソコンが電子カルテにアクセスした時間や、手術記録などを遺族側が調べたところ、死亡までの半年間の一カ月当たりの残業時間は百四十三~二百八時間に上った。休日は半年間でわずか五日だった。
 遺族側代理人の川人(かわひと)博弁護士は会見で「病院は男性が長時間労働に従事していたことを認識していたにもかかわらず、十分なサポート体制を取っていなかった」と批判。背景に深刻な産婦人科医不足があるとも指摘した。病院側は「会見内容を把握しておらず、答えられない」としている。
 政府は三月、「働き方改革実行計画」をまとめ、残業時間に罰則付きの上限規制を設けることを決めた。医師については、正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして、適用を五年間猶予とした。

◆両親の手記全文
 医師の働き方改革を巡る議論が進む中、東京都内の病院に勤める産婦人科研修医の過労死が発覚した。東京都内に住む60代の両親は9日、代理人弁護士を通じて「息子の死の労災認定に思うところ」と題する手記を発表し、医師にも残業時間の上限規制を設けるべきだと訴えた。手記の全文は次のとおり。
     ◇
 今回、息子の自死後2年、労災申請より1年2カ月余を経過して、労災認定がなされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです。
 息子は、産婦人科を専攻する後期研修医でありました。彼は、亡くなる少なくとも半年前よりほとんど休みなく勤務し、毎月時間外勤務として150時間、月によっては200時間に及ぶ仕事に従事し、手術、夜間の緊急対応に明け暮れていたものと思われます。現在、厚生労働省で推進されている「働き方改革」において医師の応召義務の観点から医師への時間外労働規制の適用が5年先送りにされたことは、この間に同じような不幸が起きないかと懸念されます。応召義務は、開業医よりも24時間稼働する病院に勤務する勤務医に課せられ、夜間、あるいは、緊急対応は息子のような若手の医師に託されることが多いのが現状と思われます。医師の自殺率、特に若いこれからの医師の自死が一般人口よりも高い理由は、不眠の継続による、または、過重な労働、責任の重さによる過大な精神的負担が原因と考えられます。さらに研修医は卒後研修のめまぐるしい環境の変化に耐えなくてはならず、また、後期研修では、専門医資格の取得に向けた準備段階に入り、精神的疲労の蓄積はさらに増していくものと考えられます。また、産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるかわからない分娩(ぶんべん)への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います。
 その中で、責任を委託された者に過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています。
 医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います。



http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/09/karoushi_n_17706324.html
残業173時間、30代医師の自殺を労災認定 「労働環境を整えないと不幸繰り返される」両親の悲痛な思い
Huffpost Japan | 執筆者: 濵田理央(Rio Hamada)
投稿日: 2017年08月09日 20時43分 JST 更新: 2017年08月09日 20時55分 JST KAROUSHI  ハフィントンポスト

東京都内の病院に勤務していた産婦人科の男性研修医(当時30代)が自殺したのは過労が原因だったとして、東京労働局の品川労働基準監督署が労災認定した。遺族代理人の川人博弁護士が8月9日、記者会見を開いて明らかにした。

川人弁護士は会見の中で「病院側は長時間労働を認識していたのに十分なサポートをしていなかった」と指摘した。

■「長時間労働で疲弊しきった中での自殺だった」

男性は2010年4月に医師免許を取得し、13年4月から都内の総合病院で勤務を始めた。分娩や手術などの通常業務に加え、緊急手術などの対応も。150時間を超える長時間労働が常態化していった。

男性は2015年4月ごろから睡眠不足と抑うつ状態の症状が見られるようになったという。男性は同年7月12日に自殺した。遺書は見つかっていないという。

男性の両親は2016年5月、品川労基署に労災を申請。7月31日、労災が認定された。

労基署の決定によると、男性は自殺する直前に精神疾患を発症していた。また電子カルテや関係者の証言などから、6月9日から7月8日の1カ月の残業時間が173時間だったと確認した。こうした理由から、男性の自殺は過労が原因だったと認定した。

遺族側によると、自殺する直前の6カ月で男性が取った休日は5日間。残業時間も月160時間前後で、多い時には月200時間を超えていた。

これは、男性と病院側の労使協定が定めていた、3カ月120時間という残業時間をはるかに超える数字だった。

「月200時間はひどい。医師に対する労働環境の整備をしようとする意識が、一般企業と比べて極めて希薄だ。本人に通知した記録は確認されていないが、何れにしても今回のケースは労基法違反にあたる」

病院側が男性と結んでいた労使協定は、長時間労働を助長するような内容だった。緊急手術などの特別な事情がある場合、病院から本人に通知すれば、残業時間を3カ月で600時間まで伸ばすことができると定められていた。

「産婦人科医療の現状がそうさせている。あまりにも仕事の量が多いのに、それに見合う人数が足りていない。あまりにも長時間労働で疲弊しきった。そういう中での自殺だった」。川人弁護士はこう訴えた。

■両親がコメント「労働環境を整えないと不幸繰り返される」

労災が認定されたことを受けて、男性の両親が弁護士を通じてコメントを発表。「医師も人間」「(労働環境が)整備されなければ不幸は繰り返される」と、悲痛な思いが込められていた。

「労災認定がされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです」

「産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるかわからない分娩への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います」

「その中で、責任を委託されたものに過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています」

「医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います」

■医師の過労死「国をあげて対応すべき」

医師の過労死を巡っては、今年5月、新潟県の新潟市民病院に勤務する女性研修医が自殺し、過労死と認定された。

川人弁護士はこれについて、「前期研修医はいろんなとこにどんどん移っていくが、後期研修医は基本的に同じところにいる。病院経営者から見れば大変な戦力。経験があるし若いし、偶然ではない」と指摘。

政府の働き改革案で、医師が長期労働規制の対象外となっていることにも触れ、「医師の過労死を放置・促進するもので、極めて危険だ。医師の過労死、過重労働をなくすため、国をあげて早急に対応するべきだ」と訴えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550724
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制の2018年度開始、重み増す「大臣談話」
厚労省検討会、都道府県の協議会、制度化の可能性も

レポート 2017年8月9日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は、8月9日の第4回会議で、新専門医制度に対する日本専門医機構の対応を確認。さまざまな懸念が出たが、同機構は8月2日の塩崎恭久前厚労相の「大臣談話」に沿って対応していくと表明、厚労省も「大臣談話」に基づき、本検討会も活用しながら、地域医療への影響を注視していく方針を示した(大臣談話は、『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 新専門医制度の地域医療への影響を検証する場である都道府県の協議会については、確実に開催し、実効性を担保する声が上がり、厚労省は今秋以降、検討すると説明。議論次第では、医療法で位置付ける可能性も出てきた。

 日本専門医機構は8月4日の記者会見で、10月から専攻医募集を開始し、地域医療等への配慮を前提に、2018年度から開始する方針を説明したため、9日の本検討会の議論が注目されていた(『新専門医制度2018年度開始、「地域医療等に配慮」が前提』を参照)。「大臣談話」を実行に移す前提付きだが、2018年度開始に向け準備を進めることに反対する意見は出ず、延期を求める声はなかった。一方で、本検討会は、「2018年度開始」を決定する場でもないことから、論点はやや曖昧なまま議論が進んだ。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「基本的には来年度からの開始を止める話ではなく、懸念を整理した上で、前に進めるということだろう」と前置きし、「大臣談話」の骨子を読み上げ、その対応を確認。同談話は、日本専門医機構と学会に対し、専攻医の応募状況や配置状況などを厚労省に報告し、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には厚労省が日本専門医機構や学会に実効性のある対応を求める内容だ。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「開始してみないと、本当に実現できるのかどうかが分からない、というところまで来ているのだろう」とコメントした。

 これらの質問に対し、参考人として出席した日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「地域ごとに事情は違う。各地域に最もいい医療提供していきたいと考えており、何か問題があれば対応していく」との基本方針を提示。「渋谷先生が言ったことは、実行していく」と述べ、その際、厚労省や学会とも相談しながら、進めていくと説明した。

 全国市長会副会長で相馬市長の立谷秀清氏は、「前回の会議の際に、来年度から始めることを明確に決めたわけではなく、問題が解決された場合に、という前提付きだった。(専攻医の募集を)10月から開始すると発表され、違和感を覚えているが、それにこだわっても仕方がないので、議論を深めていきたい」とコメント。その上で、「地域医療に従事している医師でも、専門医資格の取得が可能か」「研修プログラム制だけでなく、研修カリキュラム制も選択できるなど柔軟な運用ができるのか」「総合診療専門医は、あせって作るものではない」などと問いかけ、さらに新専門医制度の地域医療への影響の検証について、「各都道府県の協議会だけでは、若干無理があるのではないか」と懸念を呈した。

 これに対し、松原氏は、「地方の市長の意見を受け止めて対応していきたい。ただ、(2017年度からの開始が)延期になったことで、一番心配しているのは専攻医。走りながら、きちんとしたものに変えていきたい」との基本方針を説明。立谷氏の懸念は、「専門医制度新整備指針」(第二版)や運用細則(改訂)などで対応済みであるとし、研修カリキュラム制を導入し、地域医療に従事していたり、キャリアが中断した場合などでも専門医資格の取得を目指せる仕組みになっていると説明した。総合診療専門医についても、関係者による協議を進め、内科などと同様、大都市部に集中しないよう配慮しているとし、「確実にスタートできる準備態勢が整っている」。都道府県の協議会については「何らかの問題が生じた場合には、日本専門医機構が責任を持って対応する」と明言した。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「都道府県協議会で調整が困難な場合、日本専門医機構に意見を出し、調整をしてもらい、それでも改善しない場合には厚労省に報告してもらい、厚労省が支援を行う。それでも改善しない場合には、この検討会で議論し、機構や学会に要請していく」などと答え、「大臣談話に基づき、この検討会も活用しながら、しっかりと対応していきたい」との方針を示した。

 協議会については、日本医師会副会長の今村聡氏が、開催状況などの現状について質問。「“お願いベース”で開催を求めているが、当然のこととして開催するよう求めていきたい」(今村氏)。これに対し、厚労省医政局医事課は、「都道府県への説明会を複数回にわたって開催した。今のところ『開催するつもりはない』という都道府県はない」と説明し、この8月、9月に集中的に開催を求め、その状況について報告を求めるとした。さらに都道府県の協議会の位置付けについては今後検討すると回答。

 厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」は、今秋以降、「抜本的な医師偏在対策」を議論する方針(『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』を参照)。同分科会で協議会の役割が議論され、医療法で設置を求めている地域医療対策協議会などと同様に、法的根拠を持つ可能性も出てきた。


 山形県、「蔵王協議会」で医師の適正配置

 9日の会議では、山形県と島根県の医師養成や医師適正配置への取り組みについてのヒアリングも実施。

 山形県の事例を説明したのは、山形大学医学部参与の嘉山孝正氏。山形大学、山形県内の医療関係団体、行政などで組織する「蔵王協議会」を2004年に設置し、卒後臨床研修体制の整備、関連医療施設の連携、医療事故調査制度など、県全体で取り組むべき課題に対応してきた。

 「地域医療医師適正配置委員会」は2005年に設置、各医療機関からの医師派遣の要請は、医局単位ではなく、同委員会を通し、「エビデンス」に基づく対応をしてきたと説明。「個々の病院長からの主観的な要望ではなく、県内の医療機関別の診療機能や経営状況、患者の受療動向、医師の勤務実態などを基に、“説得”ではなく、“納得”する形で、配置する医師を決めている。現在のところ、『分娩ができない』、『小児医療ができない』といった、目立った医療崩壊は起きていない」(嘉山氏)。

 新専門医制度についても、蔵王協議会の研修部会内に「山形県専門医制度対応委員会」を設置。行政、病院、医師会、大学の各代表者、計10人の委員で、検討を進めている。

 島根県、「地域枠」充実やキャリア支援

 島根県では、2006年度から島根大学に「地域枠推薦入試制度」を設けるなど、医師養成・確保に取り組み、2011年度に「しまね地域医療支援センター」を設置、2013年3月に一般社団法人化した。島根大学、行政、医師会、病院など、県内の関係者が会員で、(1)若手医師のキャリア形成支援、(2)地域の医療機関での研修体制の充実支援や研修機会の提供、(3)大学・医療機関等の情報を発信し、県内外から研修医を確保、(4)ワークライフバランスの推進、(5)医師不足状況の把握・分析――が事業内容。

 中でも「地域枠」の学生のキャリア支援に取り組んでいるのが特徴。2017年度の「奨学金貸与枠」は、島根大学に22人、鳥取大学に10人、計32人。卒後も「私のキャリアプラン」を毎年提出してもらい、その実効性を高めるために、面談をしたり、病院とも意見交換を重ねるなどしている。「地域枠」の学生が島根県内で後期研修を受ける数が増加傾向にあるなど、「徐々に地域医療支援センターの成果が出つつある」(県担当者)。



http://www.asahi.com/articles/ASK89752RK89UBQU019.html
新専門医制度、2018年度開始 厚労省検討委に報告
野中良祐2017年8月9日21時37分 朝日新聞

 地方の医師不足が加速する懸念などから、導入が延期されていた「新専門医制度」を議論する厚生労働省の検討会が9日、開かれた。認定機関の日本専門医機構は、地域医療を担う医師の相談窓口を置くなどの対策を説明し、2018年度に始めると報告した。

新専門医制度、来年度からスタート
 検討会メンバーの自治体首長や大学教授は「地域医療にプラスになるようにしていかなければならない」「懸念はあるが、前に進めよう」などと述べ、理解を示した。

 新制度では、国家試験に合格し2年間の初期臨床研修を終えた医師は、内科や外科など19の基本領域を選び、全国の大規模病院や地域の病院を回り3年間の研修を重ねる。その後、第三者機関の専門医機構から専門医の認定を受ける。

 これまでの制度は、各学会が症例数や受けた研修など独自の基準で認定していた。質が統一されず、わかりにくいという課題があった。



http://www.medwatch.jp/?p=15236
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
2017年8月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの新専門医制度の全面スタートを目指した検討が進められています。9日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、日本専門医機構における「地域医療への配慮」内容や、制度の運用面で問題が生じた場合には厚生労働省が対応に乗り出すことなどを確認しました。

 今後、各基幹病院から示される研修プログラムの内容や、専攻医の配置状況などを注視していくことになります。

 また検討会では、より大きなテーマとも言える「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」について次回以降、本格的な議論を行っていきます。

ここがポイント!
1 厚労省や検討会で地域医療への悪影響を監視し、必要な見直しを求める
2 プログラム制に拘泥してはいけないと、立谷構成員が強く要請

厚労省や検討会で地域医療への悪影響を監視し、必要な見直しを求める

 新専門医制度は、これまで各学会が独自の行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで、「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指す仕組みです。

 ただし、質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高く、地域医療に悪影響を及ぼすのではないか、といった指摘などがあり、厚労省に設置された検討会で、「質の担保」と「地域医療への配慮」の両立に向けた議論が行われています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 9日の検討会では、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長)から、検討会の指摘を踏まえて▼カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)の実行を担保するための相談窓口などを日本専門医機構に設ける▼日本専門医機構と学会は、都道府県協議会における研修プログラムチェックなどに協力する—ことが説明されました(関連記事はこちら)。

 これに対し、住民に最も身近な自治体である市町村の立場で出席している立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は、▼地域医療に従事しながら専門医資格を取得できる仕組みが十分に見えてこない▼論部や学会発表は専門医資格の要件として不要である▼総合診療専門医の創設により、地域の医師が総合診療を行えないと誤解する—などといった問題点があると指摘。これに対し、日本専門医機構の副理事長である松原謙二参考人(日本医師会副会長)は「指摘された事項を重く受け止め、機構として対応する。走りながらきちんとした制度を構築したい」と答弁し、一定の理解を得られたようです。

 
 また立谷構成員は、都道府県協議会(地域の関係者が集い、新専門医制度で地域医療への悪影響が出ないかをチェックする組織)が必ずしも「学会などに物申せる組織」にはなっていないところもあると指摘し、「検討会で逐次、専門医制度の運用状況を確認する必要がある」と要望しました。

この点、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は「検討会も活用しながら、必要な対応を行う」考えを示しています。塩崎前厚労相は2日に、専攻医の▼応募状況▼配属状況―を厚労省で確認し、地域医療への影響が懸念される場合には、日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する旨の談話を示しています(関連記事はこちら)。

今般の武井医事課長の説明や談話などを組み合わせると、いわば次の4層構造で地域医療への悪影響を防止する構えをとることになります。

(1)新整備指針などで大都市への集中を避ける規定や、必要な場合にはカリキュラム制を認めることなどを規定し、これを担保する仕組みも設ける【事前チェック1】

(2)都道府県協議会で研修プログラムなどのチェックを行い、問題があれば必要な見直しを求める【事前チェック2】

(3)厚労省が実際の運用状況を確認し、問題があれば必要な見直しを求める【事後チェック1】

(4)問題が解決しない場合には、検討会で議論を行い、必要な見直しを強く求める【事後チェック2】

また厚労省は都道府県協議会の運用状況などを近くチェックする考えで、そこで仮に「十分に機能していない」ようなことが明らかになれば、実効性を持たせるために「法制化」などが検討される可能性もあります(現在は通知で設置を要請している)。

プログラム制に拘泥してはいけないと、立谷構成員が強く要請


ところで日本専門医機構は4日、「新たな専門医制度の開始に向けた声明」を公表し、▼塩崎前厚労省談話に真摯に対応する▼10月初旬を目途に基本19領域の専攻医一次登録開始し、12月中旬を目途に二次登録を開始する▼応募状況を見て必要な調整を行う—ことなどを明らかにしました(関連記事はこちら)。また、その中では「プログラム制(研修年限や施設を指定し、そこでの研修を経て専門医試験受験資格を得られる仕組み)とカリキュラム制とで、従来と専攻医数は大きく変わらない。プログラム制の導入で地域医療が崩壊するとの意見を支持する調査結果は得られていない」ことにも言及しています。

これに関連して立谷参考人は、「プログラム制に拘泥することは好ましくない」と極めて強く主張しています。検討会でカリキュラム制導入を求め、日本専門医機構側もこれに沿った対応をとっている一方で、吉村構成員が「最初の基本領域学会の研修は原則としてプログラム制となる」と説明した点を問題視したものです。

仮にプログラム制にこだわった研修プログラムなどがある場合には、前述の4層構造のチェックがなされ、見直しが要請される(応じなければ研修プログラムとして認定されない)ことになります。

このほか立谷構成員は「地域医療に従事する」ことを専門医資格取得の中で「加算ポイントとする」ことを提案。この点、専門医資格はあくまで「当該領域における専門医療の知識・技術」の修得状況に応じて付与されるものであり、単純に「地域医療に従事したので、専門医の取得が容易になる」仕組みは好ましくなさそうです。もっとも武井医事課長は「医師偏在の解消にもつながる可能性がある」として、医師需給分科会の中で検討俎上に載せる可能性も示唆しています(関連記事はこちら)。
 
このように新専門医制度は▼研修プログラムの募集▼専攻医の募集—など、2018年度の全面スタートに向けて動いていますが、前述のとおり「地域医療への悪影響」が生じていないかが逐次チェックされています。検討会では、運用状況を注視すると同時に、今後は、もう一つの、より大きな検討テーマである「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」について本格的に議論していくことになります。



http://www.huffingtonpost.jp/foresight/cancer-particle-beam-therapy_b_17698838.html
「厚労省vs.文科省」利権争いで停滞する「がん治療」最前線--
上昌広
投稿日: 2017年08月09日 11時27分 JST 更新: 2017年08月09日 11時27分 JST ハフィントンポスト

粒子線治療という言葉をお聞きになったことがおありだろうか。がんの放射線治療の一種だ。

水素原子核である陽子を用いた陽子線治療と、炭素以上の重たいイオンの原子を用いる重粒子線治療がある。粒子線治療は、陽子や重粒子を加速させ、がん組織を攻撃する。

従来のX線を用いた放射線治療は体表で効果が最大となり、体内では効果が減弱する。つまり、体内のがん病巣を狙いうちしようとすれば、どうしても皮膚など周辺組織を傷めてしまう。

一方、粒子線治療はがん病巣で放射線量をピークできる特性(ブラッグ・ピーク)がある。がん組織にピンポイントに狙いを絞れば、正常組織への副作用を抑えながら、効果を最大限にすることができる。

両者の差は散乱の程度だ。陽子線はがん組織に当たると、周囲に散乱する。照射線量を増やすと、周囲の組織への影響が避けられないが、重粒子線には、このような問題点はない。

スキャニング法など照射方法も開発が進んでおり、上手く調整すれば、周囲の組織を傷つけず、照射線量を増やすことができる。極論すれば、1回の照射で治療を終えることも可能だ。がん患者にとって「夢の治療」と言っていい。ところが、この治療はなかなか普及しない。

第1の問題は費用だ。重粒子線治療施設は初期投資が高い。内訳は建物に約70億円、照射装置に約70億円を要する。これに年間約6億円の維持費と、約5億円の人件費がかかる。この経費を賄うため、治療費も高額になる。1人当たり約300万円程度だ。

ただ、生命保険やがん保険の多くが先進医療特約を備えている。「先進医療」とは、厚生労働省が特例として混合診療を認める医療行為のことだ。重粒子線治療は2003年から認定されており、このような保険に契約していれば、患者の自己負担はない。

余談だが、我が国の重粒子線治療は世界をリードしている。治療施設は世界中で11あるが、このうち5つは日本だ。ただ、日本がリードしているのは偶然の産物に過ぎない。

「ついていた」日本

放射線治療は原子力開発と密接に関連する。世界をリードするのは、もちろん米国だ。1957年にローレンス・バークレイ国立研究所で重粒子線の臨床研究を始めた。ところが、1992年に開発を断念した。現在は陽子線治療に専念し、全米で26の施設が稼働している。

当時、アメリカが主たる対象としたのは消化器がん。その後の研究で、重粒子線治療は消化管のような管腔臓器のがんには応用しにくいことがわかった。専門家は「アメリカはターゲットを間違えた」という。

また、当時はCT(コンピュータ断層撮影)が出たばかりで、MRI(核磁気共鳴画像法)もPET(ポジトロン断層法)もなく、腫瘍の位置決めが正確にできなかった。腫瘍の場所がわからない以上、正常組織に当たってしまった時に被害が大きくなる重粒子線治療より、破壊力の小さい陽子線治療を選択したのは、当時としては合理的な判断だった。

日本で重粒子線治療の議論が始まったのは、1984年の「対がん10カ年総合戦略」からだ。総額1114億円の予算のうち、326億円を千葉県の「放射線医学総合研究所(放医研)」での重粒子線治療装置の開発に投じた。

先行する米国の情報や、当時、MRIが普及し始めたことが、日本に有利に働いた。さらに、1992年に米国が重粒子線治療から撤退したときは、バブル経済の真っ只中。予算の大盤振る舞いが続いた。日本はついていたのだ。

「横取り」されたプロジェクト

話を戻そう。我が国で重粒子線治療が普及しない最大の理由は、実は費用ではない。厚労省と文部科学省の省庁間の権益争いである。

対がん10カ年総合戦略は、杉村隆「国立がんセンター(以下、国がん)」総長(当時)の助言を受け、中曽根康弘総理(当時)の肝煎りで始まったものだ。

杉村氏は発がんのメカニズムを研究する世界的に高名な基礎医学者である。当時、世界のがん研究の中心は、自らが専門とするがん遺伝子だった。

対がん10カ年総合戦略は6つの重点研究課題を定めたが、3つはがん遺伝子に関するものだった。研究費の多くは、自らが総長を務める「国がん」におりる筈だった。

ところが蓋を開けてみると、文科省が所管する放医研には326億円の予算がついたのに、国がんを含む厚生省全体ではわずか180億円だった。「国がんが立ち上げたプロジェクトを、科学技術庁(現文科省)に横取りされた」(国がん関係者)ことになる。

その後、1995年の補正予算で国がんには陽子線治療施設が建設されるが、放医研との圧倒的な差は埋まらなかった。このあたり、川口恭氏の『がん重粒子線治療のナゾ』(大和出版)に詳しい。ご関心のある方には一読をお奨めする。

「保険適用」を一蹴した厚労省

現在、重粒子線バッシングの先頭に立つのが厚労省だ。屁理屈を言って、普及を邪魔しつづけている。

まずは、「先進医療」への承認を遅らせた。我が国では混合診療が禁止されている。例外的に認めてもらうには、厚労省の承認を受けなければならない。そのために、厚労省は先進医療制度という枠組みを設けている。2017年7月現在、104の医療行為が認定されている。

「先進医療」への承認を決めるのは先進医療会議で、もちろん厚労省が恣意的に運用している。

1994年に始まり、安定稼働していた放医研での重粒子線治療が高度先進医療(当時、現在の「先進医療」)の承認を受けたのは、9年後の2003年だ。一方、1998年に稼働し、なかなか安定的に稼働しなかった国がんの陽子線治療は、わずか3年後の2001年に認定された。

先進医療制度は、「将来的な保険導入のための評価を行うもの(厚労省ホームページ)」で、臨床経験を積み、この治療法の効果を実感した医師は保険適用を求める。

2012年1月19日に厚労省で開催された先進医療専門会議で、田中良明・日本大学客員教授(放射線科)が、小児がんや骨・筋肉の腫瘍での保険適用を強く求めた。

小児の脳腫瘍では全脳照射が行われるが、発達障害が不可避だ。骨や筋肉の腫瘍では、下肢が切除されることが珍しくない。重粒子線治療のメリットは明らかだ。

ところが、厚労省は費用対効果という概念を新たに持ち出し、「費用対効果のエビデンスが示されているとは考えておりません」と一蹴した。

巧妙な「印象操作」

重粒子線治療は、陽子線治療と異なり、1回当たりの線量を上げて、照射回数を減らすことができる。放医研では、一部の肺がんに既に1回照射を試みており、将来的には多くのがんに応用することを考えている。

2015年度に放医研が治療したのは745件だが、原理的には何千人でも対応可能だ。

そうすると1人あたりの金額を下げて、現在の何分の1かにすることができる。100万円以下になる可能性がある。「ニボルマブ(小野薬品、商品名オプジーボ)」など、最近開発された抗がん剤に要する年間の医療費の10分の1以下だ。

医薬品と違い、医療機器は保険収載されることで、価格が大幅に下がる。初期投資が高いが、ランニングコストは低いからだ。症例数が増えれば、損益分岐点が下がる。

2016年1月に保険収載された内視鏡手術ロボット「ダヴィンチ」は、収載前に200万円以上の費用がかかったのが、54万円となった。おそらく重粒子線治療でも同じ事がおこる。

元岐阜県知事で、放医研で前立腺がんの治療を受けた梶原拓氏は、「いまのうちに保険適用し、世界に輸出すればいい」と公言する。彼は元建設官僚。初期投資の高い公共事業を取り扱う役人なら、誰でも同じように考えるはずだ。

もちろん厚労省も、こんなことは分かっているだろう。ところが、診療報酬を検討する「中央社会保険医療協議会(中医協)」で、費用対効果の議論が始まったのは2012年だ。高額な薬剤が社会問題化したために、動かざるを得なくなった。

それまで、重粒子線治療の費用対効果など、真面目に考えたことはない。

形勢悪しと見た厚労省は、最近になって新たな戦略を考えついた。

2016年5月に厚労省で開催された先進医療会議で、藤原康弘委員(国がん中央病院副院長)が、「各施設が前立腺がんの診療をストップすると、ランニングコストも出なくなって重粒子線や陽子線の施設が成立しないから、だらだらと何とかして引きずりたいという醜悪が見え隠れする」と批判した。

その根拠として、「日本放射線腫瘍学会の理事長さんが、粒子線は前立腺がんには効かないと明言された」と付け加えた。

将来性が全く異なる重粒子線治療と陽子線治療を意図的に混同させ、悪徳医師の金儲けの手段と印象づけようとしている。

「既存の放射線治療でも治療できるから、重粒子線治療は無駄」という論理だ。しかし、前立腺がんでは、重粒子線治療は12回の治療で終了するが、既存の放射線治療では28回~40回程度が必要である。

この間、患者は毎日通院する必要があり、放射線治療スタッフの人手もかかる。通常よりも治療回数を減らしたい人は、自らコストを負担して重粒子線治療を選択すれば良いだけである。効かないなどと印象操作する必要はない。

このように、「粒子線は前立腺がんには効かない」という発言は医学的に不適切で論外だが、後者のコスト関連の指摘は当たらずとも遠からずだ。藤原氏は、そこを上手く突いた。

患者のメリットは何もない

粒子線治療施設の建設は巨大公共事業で、請け負うメーカーは数社に限定される。利権が生じやすい。2016年12月には、放医研を運営する「量子科学技術研究開発機構」と、東芝・日立などの4社が次世代の重粒子線治療装置開発で協定を結んだ。

東京電力福島第1原子力発電所事故の後遺症に喘ぐ原子力メーカーにとり、重粒子線治療器機の開発は、新たな成長領域である。

粒子線治療は、これまで採算度外視で進められてきた。たとえ赤字になっても電力会社からの寄付金で埋め合わせが効くからだ。その証左に、我が国の粒子線施設は佐賀や福井など、原発立地地域に建設されることが多い。

『選択』8月号によれば、東日本大震災で九州電力から予定されていた総額39億7000万円の寄附を貰えなくなった「九州国際重粒子線がん治療センター」(鳥栖市)は経営難に陥った。

現在、厚労省は陽子線治療と重粒子線治療を意図的に混同させることで、その効果を過小評価し、さらに原発利権が絡み、悪徳医師の金儲けの手段と化していると印象づけることで、規制の強化を狙っている。

具体的には、粒子線治療を「先進医療A」から「先進医療B」に変えようと提案している。

「先進医療A」は、条件さえ満たせば、どのような施設でも治療を受けることができるが、「先進医療B」は、厚労省が認定する臨床研究中核病院を中心に、厳密なプロトコールに沿って複数の施設での共同研究を実施することになる。

先進医療はあくまで保険適用を目指すもので、臨床研究目的でなく、治癒を目指せない進行がん患者に使うことはまかりならんという論理だ。

こうなると、多くの施設と患者が参加できなくなる。先進医療から外れれば、先進医療特約が使えず、混合診療を受けるためには、全額を自己負担しなければならなくなる。

1回照射を目指す放医研も、他施設と足並みを揃えて、すでに検討を終えた照射方法に戻さざるを得なくなる。患者にとっても何のメリットもない。この制度が始まれば、重粒子線治療を受ける患者は激減する。

医療界の宿痾

そこまでして厚労省は何を守ろうとしているのか。知人の国がん関係者は、「重粒子線治療が普及すれば、国がんは放医研に患者を奪われてしまう。研究費も放医研に回されてしまう」と言う。

国がんの中で、特に強い危機意識を抱くのは外科医だ。これまで国がんを仕切ってきた人たちだ。ところが、内視鏡が普及し、早期胃がんの治療が外科医から内科医に移ったように、重粒子線治療が発展すれば、放射線科医にお株を奪われる。

国がんは存亡の危機に立つ。私は、これこそが国がんが重粒子線治療に反対する本当の理由だろうと思う。そこに患者視点はない。

これまで、重粒子線治療の分野では、日本は世界をリードしてきた。ただ、このリードをいつまで維持できるかは覚束ない。世界が追い上げているからだ。中国は、2006年に蘭州、2014年には上海で重粒子線治療施設を稼働した。

米国の国立がん研究所は、2015年にテキサスサウスウェスタン大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校に、重粒子線センター準備のための予算を措置した。厚労省・国がんを中心に重粒子線たたきに懸命な日本とは対照的だ。

重粒子線治療は、我が国の医療界の宿痾を象徴している。既得権者の利権ではなく、患者の利益を考えて行動しなければ、我が国の医療の地盤沈下は止まらない。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201708/CK2017080902000177.html
救急医療維持へ統合 神栖済生会病院と鹿島労災病院
2017年8月9日 東京新聞 【茨城】

 医師不足が深刻化していた神栖済生会病院と鹿島労災病院(ともに神栖市)の二病院が統合することで合意し八日、県庁で基本合意書を締結した。早期に神栖済生会病院に拠点をつくり、医師を集約して救急医療などで効果的に対応するのが狙い。(鈴木学)
 今年四月に取りまとめられた基本構想によると、現在の神栖済生会病院を増築して、本院として整備する。ベッド数は三百五十床程度を目指す。
 鹿島労災病院を解体し、跡地に分院の有床診療所を開設する。新病院に移籍を希望する医師や看護師らは全員受け入れるという。
 これまでの検討では、開院の目標は二〇二〇年度と設定されているが、まだはっきりとはしていない。県医療政策課の担当者は「早期に実現したいとしか言えない」と話した。
 両病院の常勤医師は〇九年に計五十人いたが、鹿島労災病院で大量退職があり、一三年に二十六人に。昨年四月現在は三十四人に増えたものの、救急患者らの受け入れが不十分な状況だった。病床の利用率も一四年の全国平均74・8%に対し、神栖済生会病院が44・7%、鹿島労災病院が15・1%と極めて低く、経営も厳しかった。
 鹿行地域は医師不足が深刻で、一二年の十万人当たりの医師数は八八・六人で、入院対応のため県内九つの地区に分けられる二次保健医療圏でワースト、全国でもワースト3に入る。
 八日の締結式では、県や市の関係者も出席し、統合を支えていくとしている。
 今回の再編統合を主導してきた前県医師会長の小松満さんが「この締結がスタートライン。医療体制を整え、地域住民のためになる病院をつくっていただければ」と期待を語った。



http://www.sankei.com/region/news/170809/rgn1708090024-n1.html
神栖の2病院、再編統合で合意書締結 茨城
2017.8.9 07:02 産經新聞

 医師不足で経営難が続いている神栖市の鹿島労災病院(土合本町)と神栖済生会病院(知手中央)の再編統合をめぐり、県庁で8日、両病院と県、同市の4者間で基本合意書が締結された。両病院は平成30年度内の統合を目指し、準備や検討を加速させる。

 基本合意書によると、30年度下半期をめどに鹿島労災を神栖済生会に統合。神栖済生会を増築して「本院」とし、鹿島労災の所在地に「分院」となる診療所を新築する。鹿島労災の職員のうち、希望者は原則神栖済生会に採用するとしている。

 神栖済生会は、最終的に約350床を有する2次救急病院を目指す。鹿島労災から災害拠点病院としての機能も継承する。

 再編統合協議会の小松満会長は「スタートラインに着いたばかり。地域住民のためになる病院になると期待している」と述べた。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170806_63024.html
いわき市が民間病院の寄付講座開設支援 勤務医確保図る
2017年08月06日日曜日 河北新報

 福島県いわき市は、市内の民間病院などが医学部を持つ大学に寄付講座を開設する経費の3分の2を負担する事業を始めた。東日本大震災後、勤務医不足が深刻化する市内での研究、診療を促し、医師定着につなげる。
 市立総合磐城共立病院を除く市内の26病院が設ける寄付講座が対象。がんや脳卒中など5疾病と、救急医療や災害時医療など5分野、産科や小児科など市内に医師が少ない診療科の各研究に関する講座開設を支援する。
 2~5年の開設期間中、大学の医師が市内で臨床研究(診療)を行うことが必要。市の年間負担額は1病院当たり5000万円を上限とする。
 市は福島県立医大と北里大に寄付講座を設け、共立病院に産婦人科医と整形外科医、小児科医の派遣を受けている。担当者は「民間病院の取り組みを応援し、市全体で勤務医を増やしたい」と説明する。
 市は、病院と大学の協議が整えば、予算措置を取る。財源の一部支援を県に働き掛けている。市内の勤務医不足は震災後に拍車が掛かり、人口10万当たり88.3人(2014年12月時点)と全国平均の153.4人を下回る。



http://www.medwatch.jp/?p=15242
地域医療構想踏まえ、9月または12月までに「公的病院改革プラン」を策定せよ—厚労省
2017年8月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けた議論が本格的にスタートしていることを踏まえ、公的病院などにおいて「地域の現状と課題」「自院の現状と課題」「地域において今後、自院が担う役割」「今後持つべき病床機能」「機能分化などに向けた年次スケジュール」などを明確にした【病院改革プラン】を作成してほしい—。

 厚生労働省は4日、こういった内容の通知「地域医療構想を踏まえた『公的医療機関等2025プラン』策定について(依頼)」を発出しました(関連記事はこちら)。

 救急医療や災害医療といった政策医療を担う公的病院などでは今年(2017年)9月末まで、それ以外の公的病院などでは今年いっぱい(2017年12月末)に改革プランを策定し、地域医療構想調整会議に提示することが求められます。

ここがポイント!
1 地域医療構想の実現に向け、公的病院などの機能をまず固める
2 地域と自施設の現状と課題を客観的に把握することで、進むべき方向が明らかに

地域医療構想の実現に向け、公的病院などの機能をまず固める

 いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向けて、地域の医療・介護ニーズが飛躍的に増大していくため、現在の医療提供体制ではこれらに対応しきれないと指摘されています。そこで国は「病床機能分化・連携の推進」「地域包括ケアシステムの構築」の2つを最重要政策に位置付けています。

 とくに前者については、2025年における▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—の各病床数を推計した「地域医療構想」が全都道府県で策定され、この実現に向けた議論が、各地の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進められています。

 調整会議の進め方に特段の定めはありませんが、厚労省は、まず「▼救急・災害医療などの中心的な医療機関▼公的医療機関や国立病院▼地域医療支援病院・特定機能病院—などが担う医療機能を固める」ことから初めてはどうかと例示しています。まず中核機能を担う医療機関を定め、次いで他の医療機関がそれらとどう連携し、機能分担していくことが近道と考えられるからです。

さらに今般、地域医療構想に関するワーキンググループの意見を踏まえて、公的病院などに対し【病院改革プラン】の作成を求め、これを調整会議論議の土台にすることが求められるに至りました(関連記事はこちら)。公的病院などにとっては「負担」と感じられるかもしれませんが、地域の実情と自院の事態を客観的に把握することで、「見えなった」「見ようとしなかった」ものが見えるようになるため、積極的な改革プラン策定が求められます。ただし、期限は厳しく設定され(調整会議の論議のベースとするため)、救急医療や災害医療といった政策医療を担う公的病院などでは今年(2017年)9月末まで、それ以外の公的病院などでは今年いっぱい(2017年12月末)に改革プランを策定し、地域医療構想調整会議に提示することが求められます。また、改革プランと地域医療構想との間に齟齬が生じた場合には、改革プランの見直しなども求められます。
 
なお、改革プランの策定が求められるのは、▼公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会が開設する医療機関、ただし公立病院を除く)▼医療法第7条の2第1項第2号から第8号に掲げる者(共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構、全国健康保険協会)が開設する医療機関▼その他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—ですが、例えば社会医療法人などにも自主的な【改革プラン】の策定が期待されています。

地域と自施設の現状と課題を客観的に把握することで、進むべき方向が明らかに

改革プランには次の点を具体的に記載することになります。
(1)構想区域の現状と課題
(2)自施設の現状と課題
(3)今後、自施設の▼地域で担うべき役割▼持つべき病床機能▼見直すべき点
(4)現在および2025年における、高度急性期から慢性期の病床数(方針)と年次スケジュール
(5)現在および2024年における診療科の見直し(維持、新設、廃止、変更・統合)
(6)▼病床稼働率▼手術室稼働率▼紹介率▼逆紹介率▼人件費率▼医業収益に占める人材育成費用の割合―などの数値目標

このうち(1)の「構想区域の現状・課題」では、地域における人口の推移、医療需要、医療受給の特徴などのほか、「急性期機能が重複していないか」「post acute機能が不足していないか」などを、地域医療構想を参考に記載します。

また【病院改革プラン】の要(自施設の客観的な把握)とも言える(2)の「自施設の現状と課題」では、診療実績や他医療機関などとの連携の実態を正確に記載するとともに、例えば「地域の医療需要の減少が見込まれる、近隣病院と機能の重複があり、現状を維持すべきか否かを検討する必要がある」「地域で不足するpost acute機能の整備に向けて、自院の役割を再検討する必要がある」などといった課題・検討テーマを明らかにします。
 
こうして(1)と(2)で地域と自施設の状況(現状と課題)を客観的に把握することで、自ずと「自院が将来目指すべき方向」が明らかになってきます。例えば、「地域において急性期入院医療を提供している。今後も急性期医療を提供する」と考えている病院であっても、地域と自院の現状を把握することで、実は「地域において急性期ニーズは急速に減少する」「高度な手術などが必要な高度急性期・急性期患者数は自院では減少傾向にあり、近隣の病院で急性期患者数が増加している」などの状況が明らかになるかもしれません。この場合、「機能強化して急性期を維持する」方向も考えられますが、「post acute機能に転換していく」方向もありえます。この方向を探るために、地域と自院の状況を「客観的に」把握することが不可欠なのです。この方向が明確になれば、(3)から(6)の各項目は、これらを具体化していけばよく、(1)と(2)が改革プランにおける極めて重要なポイントと言えると考えられます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549719
地域包括ケア、「概念自体が深化・進化」―田中滋・地域包括ケア研究会座長に聞く◆Vol.1
「主役は住民・専門職はサポーター・地域は舞台・行政は仕掛け人」

インタビュー 2017年8月9日 (水)配信高橋直純(m3.com編集部)

 2025年を見据えた地域における医療提供体制の在り方を巡る動きが本格化している中で、最も重要な取組の一つが「地域包括ケアシステム」の構築だ。

 厚生労働省老人保健健康増進等事業として実施されている「地域包括ケア研究会」座長であり、「地域包括ケアシステム」を理論、実践の面でリードする慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏に、概念の成り立ちや医療従事者としてどのように向き合うべきかを尋ねた(2017年6月28日にインタビュー。計4回の連載)。

――m3.com編集部が医師会員に行った調査では、「地域包括ケアシステム」という言葉の理解は、6割強にとどまり、「言葉は聞いたことがあるが、概念は分からず」「言葉を聞いたことがない」も3割を超えていました(『「地域包括ケアシステム」、医師会加盟医師で理解度高く◆Vol.1』を参照)。改めて、『地域包括ケアシステム』とはどのような考え方、概念なのかをお聞きします。「地域」「包括」「ケア」「システム」という単語は、それぞれどのようなことを意味しているのでしょうか。

田中滋氏 そのように分解して考えたことはありませんでしたが、順に解説すると、「地域」とは日常生活圏域、およそのところ中学校区を指しています。二次医療圏や県などの広い地域ではなく、比喩的に言えば歩いて生活できる範囲と理解して下さい。

 地域包括ケアシステム概念は英語では「Integrated Community Based Care System」が一番近い。この表現を用いると、「包括」はIntegrated、すなわち「統合」に当たります。関係者が目標を共有し、共通のゴールに向かうあり方です。また、地域包括ケアシステムの理念を「切れ目のない(seamless)、連続的(continuous)、統合的(integrated)」と表す場合もあります。入院か、在宅か、施設かなど――ステージやサービスの提供者が変わっても、地域の住民と提供者、自治体が理念を共有した上で、サービスの授受が行われ、本人の尊厳ある自立を支援する仕組みが大事です。

 地域包括ケアシステムでは、「キュア」については中学校区ごとに存在するわけではない急性期入院医療には直接は関係しません。主に圏内で完結する生活と「ケア」にかかわります。なお未だに、「キュアからケアへ」と唱える人がいますが、「キュア」は決して不要になるはずがない。心臓発作や癌に対応する急性期医療は「キュア」に決まっており、いつの時代にも欠かせない行為でしょう。だから「キュアからケアへ」なるスローガンは意味を成しません。

 一方で、医療の幅が広がり、「治し・支える医療」と2つの機能が両立連携する趨勢に変わっている変化も事実です。地域包括ケアシステムにおいても、中重度要介護者を中心に医療の役割は大きく、ケアだけを取り上げているわけではありません。

 最後に「システム」とはプラットフォームの意味で、全体像を指します。プラットフォームの上で展開されるチームによる行為が、個別の利用者に対するサービス、すなわち地域包括ケアです。

――「地域包括ケアシステム」を説明する「植木鉢」図があります。先生が座長を務める「地域包括ケア研究会」では、これまでに6回報告書を作成されており、少しずつ図が変わってきています。

 地域包括ケアシステムの概念自体が深化・進化してきているからです。2008年度の最初の報告書では、五輪の花(介護、医療、予防、住まい、生活支援)図でした。この図は、高齢者の尊厳ある自立を支える要素は「医療、介護だけではない」と伝えることを主眼に置いていました。

 その後、2012年度報告書で植木鉢図に到達し、立体化させました。「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・予防」という3つのプロフェッショナルワークと、本人が責任を持つ「生活」、それが崩れないための「すまいとすまい方」の5つの要素です。それを、「本人・家族の選択と心構え」である皿が支えている図柄です。皿がないと、共助や公助に頼りすぎるかもしれず、団塊の世代が75歳をすぎた後の超高齢社会を乗り切れません。

 この植木鉢は一つ一つの家庭を表しています。圏域にもし5000世帯が住んでいるなら、5000個の植木鉢が置かれた姿を想像してください。植木鉢によっては花が咲いているかもしれないし、つぼみの段階かもしれません。葉っぱの大きさもバラバラです。中には鉢が壊れて、土が流れている家庭もあるでしょう。地域ではなく、一つ一つの家庭を意味しています。

 付け加えると、厚労省が使っている下記のような平面的な図では、要素の関係性が示されておらず、本質を捉えていないと思います。

 2015年度の研究会報告書では、更なる深化・進化を遂げました。具体的には土の部分に置いていた「福祉サービス」を、プロフェッショナルワークと位置づけなおし、医療、介護に並ぶ「葉」に記した一方、「介護予防」は本人、とりわけ団塊の世代の責任と捉え、土に含めました。皿の部分では「本人の選択と本人・家族の心構え」と変え、より「本人」の選択を強調しました。

――「介護予防・生活支援」はプロフェッショナルワークではないのでしょうか。
 違います。確かに一部はそうですが、生活全体や心身および社会的健康はもっと幅広いテーマです。例えば生活をしていくための食事の準備は、出前をとってもいいし、スーパーで買っても良い。介護予防も、時々はプロの助けを借りるとしても、地域の公園で行われる毎朝の体操会に行ったり、高齢者向けスポーツクラブに行ったりするなど、本人の責任、自助に属する部分がコアに置かれるべきです。

――「システム」と聞くと、担い手がいて、受け手がいるようなイメージを持ちます。地域包括ケアシステムでは、そういう考え方は正しいでしょうか。
 主体はあくまで利用者であり、それが地域包括ケアシステム論の本質です。専門職はそれを支える役割を担う。「主役は住民・専門職はサポーター・地域は舞台・行政は仕掛け人」という姿勢が大事です。福岡県大牟田市の職員の発言と聞きますが、見事に本質を捉えていますね。支える人、支えられる人は、医療とは異なり、場面によって相互に入れ替わりえる。要介護の方がこども食堂プロジェクトで、ご飯づくりに参加して元気になるなどの話をよく伺うようになりました。「支え、支えられ」は決して一方通行ではない。

 一方で、地域包括ケアシステムの「構築」の主体は、市役所、町役場など地方自治体です。最新の報告書となる2016年度の報告書では、「地域マネジメント」の重要性を指摘しています。構築に資するさまざまな「場」を設置し、運営していく主体は自治体、テーマによっては介護保険者としての自治体です。

――「地域マネジメント」とはどのような考え方でしょうか。
 地域包括ケアシステム構築に際して、工程管理に用いる手法です。報告書では「地域の実態把握・課題分析を通じて、地域における共通の目標を設定し、関係者間で共有するとともに、その達成に向けた具体的な計画を作成・実行し、評価と計画の見直しを繰り返し実施することで、目標達成に向けた活動を継続的に改善する取組」と定義しています。多くの自治体で「地域包括ケア推進課」といった部署が作られるようになってきました。

田中滋氏 慶應義塾大学名誉教授、地域包括ケア研究会座長
1971年慶応大商学部卒。2014年3月まで同大大学院経営管理研究科教授。現在、社会保障審議会委員(介護給付費分科会長、福祉部会長、医療部会長代理)などを務めている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201708/552235.html
記者の眼
大学病院の「全床高度急性期」報告に厳しい批判

2017/8/8 土田 絢子=日経ヘルスケア

 団塊の世代が全て後期高齢者になり、人口減少がより一層進む2025年。医療ニーズが激変するこの2025年に向けて、将来の医療需要と現状の体制とのギャップを明らかにし、医療機関の自主的な取り組みによって病床の機能分化・連携を進めるのが「地域医療構想」だ。2016年度末に全ての都道府県で地域医療構想の策定が完了し、その内容を踏まえた会議(地域医療構想調整会議)が2017年度から各地域で始まっている。

 具体的には、図1のように年4回の会議を実施するよう厚生労働省が示しており、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の医療機能のうちどれが将来過剰になるか、または不足するかをデータを見ながら確認するなどの第1回目の会議が今夏までに各地域で開催されたはずだ。なお、現状では多くの地域で将来急性期機能が過剰になり回復期機能が不足するとされている。


図1●地域医療構想調整会議の想定スケジュール※(図 略)


図2●特定機能病院などに対する都道府県知事の権限(5月10日地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※ (図 略)

 この地域医療構想において公立病院や公的病院、特定機能病院などは率先した役割が求められている。都道府県知事はこれらの病院に対し、不足する機能への転換の指示や、過剰な機能に転換しないよう命令などを行うことができるからだ(図2)。

 そうした状況で、「地域医療構想では医療教育や高度先進医療を担う大学病院本院の特殊性が考慮されるべきだ」という主張が強い反発を受け、大学病院のあり方が問われるという事態が厚労省の検討会で起きた。

 発端は6月2日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、参考人として出席した小山信彌氏(東邦大学医学部特任教授)が全国医学部長病院長会議の提言を説明したことに遡る。大学病院本院は医育機関、高度先進医療を提供する特定機能病院としての機能を有し、事実上、地域の最大の急性期病院として専門性の高い医療を提供していると小山氏は述べつつ、地域医療構想の策定過程においてこのような大学病院の特殊性が十分考慮されていないことを懸念。

 そこで全国医学部長病院長会議は「大学病院本院の地域医療構想における位置づけを明確にすること」「大学病院本院からの病床機能報告については、地域の他施設の病床と単純に合算せず、その特殊性を十分勘案した上で、集計するように配慮すること」――などと提言した(図3)。これから激変する医療ニーズにどう対応するか話し合う地域医療構想において、大学病院本院の病床は他施設の病床とは単純に合算しない「特別扱い」を求めた形だ。

図3●大学病院の位置づけに関する提言内容(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※ (図 略)

 これに対して強い反発を示したのが同ワーキンググループ構成員の中川俊男氏(日本医師会副会長)だ。「意味が分からない、地域医療構想を理解されていないのではないか」と指摘。大学病院の機能は十分に把握しているとした上で、医療需要の変化に備えて地域医療構想の枠組みにきちんと参画すべきだとした。

 厚労省側の見解も中川氏と同様だ。担当官は「地域医療構想について十分に説明できていない部分がある」と述べつつ、大学病院も2025年に向けて地域における役割や連携を検討する必要性を訴えた。

 同ワーキンググループで、大学病院側の理解の低さが最も表れている点として中川氏が問題視したのは、2016年度病床機能報告において「全床高度急性期」と報告した大学病院が少なくなかったことだ。全床高度急性期と報告した病院は128施設あり、そのうち特定機能病院が54施設・総病床数4万1924床を占めた。現状や将来の医療機能を病棟ごとに報告する「病床機能報告制度」は医療提供体制のデータの基となるもので、実態とかけ離れていては地域医療構想調整会議での議論に支障が生じ得る。

図4●病床機能報告制度における4医療機能の定義(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※(図 略)


図5●特定入院料などと4医療機能の対応(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 各医療機能は図4のように定義されており、特定入院料等を算定する病棟との関係は図5のような整理がなされている。つまり、大学病院が高度先進医療を提供しているとはいえ、「全床高度急性期」と報告するのであれば、ICUに入院するような状態の不安定な患者が全病床に入院していることが前提となる。だが通常は、入院当初に重度で医療資源を多く投入していても、退院前には回復期などの状態に落ち着くため、全床が高度急性期にはなり得ない。

 また、大学病院の中には、出来高換算での報酬点数の平均値が3000点を超えるから「全床高度急性期」と判断したケースがあることも同ワーキンググループで明らかにされた。だが以前、都道府県が将来の医療需要を推計するために医療機能の境界として厚労省が示した出来高報酬点数(高度急性期と急性期の境界は3000点など)は、あくまでマクロの推計のために設定されたものであり、個々の病棟の医療機能の選択に用いる基準には適さないとされている。

 全床高度急性期といった不自然な報告は特定機能病院だけでなく、他の施設からも散見されている状況だ。これは制度の分かりにくさも大きく関係している。例えば図4に示した医療機能の定義で「高度急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」「急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能」とされており、曖昧で分かりにくい。

 そこで厚労省は次回の報告では実態をより正確に反映させようと、矢継ぎ早に対応策を打ち出した。まず図6のように、各病棟において、4つの機能のうち最も多くの割合を占める患者の機能を報告することを基本とした。

図6●病棟の患者層と医療機能のイメージ(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 また、図7のように、これまで不明瞭だった一般病棟入院基本料などと4つの機能との対応が整理された。図中の組み合わせと異なる機能を選択することは可能だが、地域医療構想調整会議での確認が必要になる。


図7●一般病棟入院基本料と4医療機能の対応(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 こうして病床機能報告制度の見直しをした上で7月19日の会合では、厚労省が「公的医療機関等改革プラン(仮称)」を提案した(図8)。これは特定機能病院や公的病院(日本赤十字社や社会福祉法人恩賜財団済生会などが開設者)などが地域において将来担うべき役割をつまびらかにして、地域で共有するためのものだ。


図8●公的医療機関等改革プランで記載が求められる内容(7月19日第7回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)


図9●公的医療機関等改革プランの策定プロセス(7月19日第7回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 現状や課題、地域において担う役割、今後提供する医療機能や具体的な数値目標(病床稼働率、手術室稼働率、紹介率・逆紹介率、人件費率)などを記載したプランを地域医療構想調整会議で示してもらうという(図9)。まだ記載内容は確定してはいないが、近く、厚労省はプラン作成のためのガイドラインをまとめて通知を出す予定だ。

 大学病院は今後、病棟の実態をより正確に反映した病床機能報告だけでなく、経営に関する項目をプランに記載して、地域医療構想調整会議で議論することが求められていく方向だ。いわば外堀を埋められ、大学病院は地域医療構想に真正面から向き合わなくてはならなくなる。
 



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03235_03
【寄稿】
Patient Experience(PX)を用いたプライマリ・ケアの質評価・改善

青木 拓也(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野)
週刊医学界新聞 第3235号 2017年08月07日

 近年,国際的に「患者中心性(Patient-centeredness)」の重要性が再認識され,医療の質における大目標の一つに掲げられるようになった。わが国でも地域包括ケアの文脈から,患者中心性の向上をめざした医療提供体制の構築が求められている。

 本稿では,患者中心性のQuality Indicator(以下,QI)であるPatient Experience(以下,PX)の概念や,プライマリ・ケアにおける我々の研究活動について紹介したい。

医療の質における「患者中心性」と「PX」

 「質(Quality)」は,もともと一般産業から医療に輸入された概念であり,その本来の定義は「顧客要求への適合」である。ただし,医療の場合は高度化・専門分化に伴い,患者・医療者間の情報の非対称性が拡大した結果,EBMに基づく臨床プロセスなどの客観的指標が重視される一方で,患者の視点は医療の質評価において軽視されてきた。しかし近年,疾病構造の変化や医療の地域移行の影響により,「患者中心性(患者のニーズや価値に応じたケアの提供)」の重要性が改めて見直され,医療の質における大目標の一つに掲げられるようになった1)。

 患者中心性を定量的に評価するQIとして,患者満足度は以前から用いられている手法であるが,客観性・弁別性などの点において限界があり,施設間比較や継時的変化の検出,質改善課題の特定が困難であった。そこで近年,欧米を中心に,患者満足度に替わる新たな患者中心性のQIとして,PXが注目されている。

 中でも英国や米国では,既にPX調査が全国的かつ継時的に実施され,各医療機関での継続的質改善のみならず,医療機関の認証や専門医認定・更新といった医療提供側の質の保証,診療報酬制度(Pay for performance)などにも利用されている。なお米国IHI(Institute for Healthcare Improvement)は,Population Health,Per Capita Costに加え,PXを主要3課題(Triple Aim)の一つに掲げている。

「経験」を測定するPXが国際的に注目される背景

 PXは,「患者がケア・プロセスの中で経験する事象」と定義され,その評価には計量心理学的特性が検証された尺度を用いるのが一般的である。患者満足度が「満足」を測定するのに対し,PX尺度が測定する概念は「経験」である。前者の項目例は「あなたは,医師の態度にどの程度満足していますか?」,後者の例は「医師は,あなたが問題について話す時間を十分にとっていますか?」であり,PXのほうが患者属性による影響が小さく,弁別能が高いことがわかっている。またPX尺度は,複数の項目を合わせて一つの構成概念を測定するため,妥当性や信頼性が高いことも特徴である。

 PXが国際的に注目されるようになった背景として,患者中心性そのものが医療の質における重要な目標であることに加え,これまでの多くの研究により,PXが,臨床プロセス,患者のアドヒアランス,予防医療行動などを通して,健康アウトカムに影響を及ぼし,さらに患者安全とも関連するといった知見が徐々に明らかになってきたことが挙げられる2)。

日本版PX尺度「JPCAT」の開発と研究から得られた知見

 わが国では,これまでPXに関する研究活動や活用事例は非常に乏しく,特にプライマリ・ケアや地域包括ケアにおいて重要な目標である患者中心性の評価・改善に必要な体制は整備されていない。そこで我々は,Johns Hopkins大のStarfieldらが開発し,プライマリ・ケア領域において国際的に普及しているPX尺度:Primary Care Assessment Tool(PCAT)を,わが国の背景に即して改良し,Japanese version of PCAT(JPCAT)を開発した3)。

 JPCATの妥当性・信頼性の検証は既に完了し,ウェブサイトで情報を公開している4)。JPCATは,成人外来患者を対象に,プライマリ・ケアの特性に対するPXを測定する尺度であり,近接性,継続性,協調性,包括性,地域志向性といった複数の領域で構成される(プライマリ・ケアの特性については,日本プライマリ・ケア連合学会ウェブサイトを参照5))。計29項目のリッカート尺度であり,スコアは0~100点で,高スコアであるほど質が高いと評価される。

 我々がJPCATを用いて行ったヘルスサービス研究は,臨床プロセスとの関連を確認したことに加え6),PXの新たな効果も明らかにした。例えば,良質なPXを持つ患者は,プライマリ・ケア医とアドバンス・ケア・プランニングに関する議論を交わしやすい傾向がある7)。他にも,良質なPXは,ケアのバイパス(ゲートキーパーを介さず,直接高次の医療機関を受診する非効率な受療行動)を抑制し,患者に医療資源の適正利用を促す可能性があることもわかった(論文投稿中)。このように,PXが患者の行動や他の医療の質と関連することが,わが国の研究からも明らかになってきた(図1)。

08122.jpg
図1 Patient Experience(PX)と他の医療の質との関係(筆者作成)

医療の質評価・改善に向けてJPCATの活用と今後の展開

 JPCATは,既に医療機関レベルや自治体レベルでの活用が始まっている。我々が全国約30施設で実施したパイロット調査では,似た属性の医療機関であっても,施設レベルのJPCATスコアは最高81.4点~最低45.6点と大きな開きがあり,患者中心性の質には施設間でばらつきが存在することが定量的に示された。

 PXを用いて,医療機関の質改善課題を特定する際には,Priority Matrixが一助となる(図2)。これは,マーケティングなどで使用されるポートフォリオ分析をPXに応用したものである。横軸にパーセンタイル順位,縦軸に総合的評価との相関係数を取り,PXを領域ごとに2次元のグラフに配置することによって,優先的改善領域を明らかにする手法である。パーセンタイル順位が低く,かつ総合的評価との相関が強い領域ほど,質改善の優先度が高い(Top priority)と評価される。

08123.jpg
図2 Priority Matrixの例(筆者作成)

 本稿で紹介した我々の活動はプライマリ・ケアが中心だが,既に一部の国では入院から在宅医療に至るまで幅広いセッティングでPXが活用されている。患者中心性は,わが国が推進する地域包括ケアにおける主要目標の一つであり,前述のように,PXはさまざまな医療の質(有効性,安全性,効率性)にも影響を及ぼすことが明らかになりつつある。今後わが国でも,医療機関レベルや政策レベルで,PXを医療の質評価・改善に積極的に活用すべきだと考える。そのために我々は,医療者や患者に対する啓発・普及活動,多様なセッティングに合わせたPX尺度の開発,患者中心性の質の均てん化に有用なヘルスサービス研究などに今後も取り組んでいきたい。

参考文献・URL
1)Institute of Medicine. Crossing the Quality Chasm:A new health system for the 21st century. National Academies Press;2001.
2)Med Care Res Rev. 2014 [PMID:25027409]
3)Fam Pract. 2016[PMID:26546033]
4)日本におけるプライマリ・ケア質評価指標開発研究班.患者中心のプライマリ・ケア質評価.
5)日本プライマリ・ケア連合学会.プライマリ・ケアとは?.
6)Int J Qual Health Care. 2017 [PMID:28371903]
7)Fam Pract. 2017 [PMID:28334740]

あおき・たくや氏
2008年昭和大医学部卒。日本医療福祉生協連家庭医療学開発センターで家庭医・総合診療医として研鑽を積む。15年より現職。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医,医療政策学修士(MMA),臨床疫学認定専門家。15,17年に日本プライマリ・ケア連合学会日野原賞受賞。



https://www.m3.com/news/general/550108?portalId=mailmag&mmp=RA170812&mc.l=240055308&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
<東北公済病院>女性の目線で運営評価 グループ結成
地域 2017年8月7日 (月)配信河北新報

 外部の目線で病院運営をチェックしてもらおうと、東北公済病院(仙台市青葉区)は幅広い年代の女性による評価グループ「Tohoku Kosai Angels(トウホク・コウサイ・エンジェルス)」を結成した。

 宮城県内の公認会計士や企業経営者、団体職員、マスコミ関係者ら20~60代の女性10人がメンバーで、今後大学生も任命する。24日の顔合わせでは早速、「外国人向けの案内はどうなっているか」「授乳室の感染症対策は確保できているか」などの質問が出た。

 メンバーは年3回程度、病院を訪問。「受け付けスタッフの対応は丁寧か」「女性のプライバシーは守られているか」「病棟のセキュリティーは十分か」などの項目を評価する。病院食も試食して、気付いた点をアドバイスする。

 同病院は産科、婦人科、乳腺外科といった女性特有の診療科や女性専用の病棟がある。日本医療機能評価機構や東北厚生局、日本母乳の会などの評価を受けているが、地域に根差した病院の在り方を探るため、グループをつくった。市民による評価組織がある総合病院は珍しいという。

 岡村州博院長は「市民感覚で病院の裏表をしっかり見てもらい、地域住民がストレスなく病院を受診できるよう改善点を挙げてほしい」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550989
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
女性医師の働き方、周囲含め意識作り重要◆Vol.9
活躍なくして「日本の未来ない」

レポート 2017年8月11日 (金)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

Q:女性医師を巡る状況についてのご意見があればお願いします。


【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医師・研究者という職業が、時間外労働をやむなくされる、あるいは昼夜を分かたず自己研鑽を余儀無くされるということを、一般市民がしっかりと認識して家庭維持のサポートに当たってくれることを願う。
【東北医科薬科大・福田寛医学部長】医学部の女子学生が増加しており、女性医師の働く環境の改善、活躍できる環境作りは喫緊の課題である。方策は出尽くしている。職場全体で支える周りの意識作りが肝要か。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】短時間の勤務を希望する医師向けの給与表の整備。

【富山大・北島勲医学部長】女性医師のキャリアアップを図る。学生に活躍する女性医師のセミナーを数回行うようにしている。

【福井大・内木宏延医学部長】特になし。

【京都府立医科大・竹中洋学長】本施設において女性医師支援のための環境整備と管理職側の意識改革は着実に進んでいる。今後は卒前からの意識改革推進による学生のモチベーション向上を目指し、キャリア教育の充実が必要と考えられる。働き方改革も含めて、一歩踏み込んだ論議が必要と考えている。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】私の教室では特別扱いしないようにと、女性医師から言われています。

【兵庫医科大・野口光一学長】女性医師が一生活躍できる体制、社会の変化が必要であり、これなくして日本の未来、医療の改善はないと思われる。

【広島大・秀道広医学部長】結婚、出産、育児を経ながら男性医師と同じ働きをすることは、ほとんどの女性医師にはほぼ不可能な課題と思います。よほど気力、体力のある人材に絞って医学部に入学させるか、医師の数を増やして医師1人の負担を少なくする、非常勤や当直を免除するといった働き方の間口を広げるとともに、フルタイムで働く医師との給与待遇の違いを大きくするといった対応が必要と思います。現在、女性医師の勤務条件はかなり緩和され、働きやすい環境が実現しつつあると思いますが、その割には給与待遇が高いままの傾向があり、男女を問わず、フルタイム勤務の医師からの不満を生じやすくなっていると思います。

【徳島大・丹黒章医学部長】出産・育児、急な子供の病気等に関しても複数でサポートし、できるだけ同性同士でサポート体制をつくっている。そのためには、複数の女医の採用が必要である。

【産業医科大・東敏昭学長】ライフサイクル、ワークライフバランスのとれる分野でのキャリア形成、就業形態の多様化が医師数増加とともに可能となると考える。



https://www.m3.com/news/general/549858
新潟市民病院、救急搬送者が減少 市「緊急宣言」で集中緩和
地域 2017年8月5日 (土)配信毎日新聞社/新潟

 新潟市民病院(同市中央区)が新潟労働基準監督署から長時間労働改善などの是正勧告を受け、紹介状のない一般外来患者の診断を7月から取りやめた問題で、篠田昭市長は4日の定例会見で、市民病院への救急搬送者の集中が緩和し、市民病院の適正利用と医師の過重労働削減が進んでいると明らかにした。

 市によると、患者受け入れ制限を柱とした「緊急対応宣言」を市が発令した6月6日から7月15日までの間に、市消防局が市民病院に救急搬送した人数は559人で、前年同時期の619人から1割減少。一方、市民病院を除く市内18の救急告示病院への搬送者数は2402人と、前年同時期の2241人から7%増加し、搬送者の市民病院への「一極集中化」防止に一定の効果が表れた。入院する必要がない軽症の救急搬送者も前年同時期に比べ4割減少した。

 篠田市長は「市民の協力もあり、市消防局が宿直医師の専門分野を把握したうえで各病院に搬送し始めたのが大きいのでは」と話した。【堀祐馬】

  1. 2017/08/12(土) 16:38:29|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

8月5日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/549804
真価問われる専門医改革
新専門医制度2018年度開始、「地域医療等に配慮」が前提
日本専門医機構「新たな専門医制度の開始に向けた声明」

レポート 2017年8月4日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は8月4日の理事会で、「新たな専門医制度の開始に向けた声明」を取りまとめ、塩崎恭久前厚労相の「大臣談話」を踏まえ、2018年4月からの新たな専門医制度の開始に向けて、本年10月初旬を目途に、19の基本領域の専攻医の1次登録を、12月中旬を目途に2次登録を開始することを決定した。7月の同機構の理事会では、「2018年4月開始に向け、機構の準備は整った」としていた(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、理事会後の記者会見で、「機構は2018年4月から新しい専門医制度を開始する。ただし、途中でいろいろな議論で問題が出てきた時には、私たちは真摯な態度で対応する。各学会や厚生労働省とよく相談しながら、適切な形で決して地域医療に偏りが出ないように対応する。それを前提として開始したいと思う」と説明。

 同機構理事長の吉村博邦氏は、「副理事長がこれでスタートすると言ったが、もちろんまだ検討会もある。地域の皆様方の理解を得るよう、さらに努力を続ける」と補足した。検討会とは、8月9日に予定されている厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」だ。同検討会は、新専門医制度の地域医療への影響を検証しており、9日の第4回会議でも「これまでの議論を踏まえた日本専門医機構・各学会の対応」を議論する(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。

 「大臣談話」は、8月2日に塩崎前厚労相が吉村理事長と面談した時に手渡したもの。新専門医制度の地域医療への懸念を表明した内容で、日本専門医機構の対応が注目されていた(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 日本専門医機構の「声明」には、「大臣談話」への対応として、2018年当初を目途に専攻医の登録状況の概要が明らかになった時点で、各基本領域の学会に対し、報告を求める。万が一、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」には、「専門医制度新整備指針」などに鑑みて、理事会等での審議を経た上で、各学会に制度や運用の修正変更を依頼するほか、必要に応じて応募状況等の調整を行うと記した。

 吉村理事長によると、塩崎前厚労相との面談では、新専門医制度に関する検討経緯を説明、その上で「できれば来年4月からスタートさせるべく、10月くらいから専攻医の登録を開始したいと申し上げた」という。これに対し、塩崎前厚労相は、「これまでの取り組みについては理解しているが、いまだ地域医療に影響する懸念が払拭されていない」とし、応募状況や専攻医の配置状況についての厚労省への報告を求めるなど、「大臣談話」の概要を説明。「塩崎前厚労相の意向を重く受け止め、日本専門医機構として真摯に対応したい」と吉村理事長は答えたという。

 松原副理事長は、新専門医制度の準備状況について、「ほとんどの学会は、専門研修プログラムの1次審査が終了しつつある。総合診療専門医については、8月21日を専門研修プログラム応募の締め切りとし、それから1次審査を鋭意実施し、他と同じく10月初旬から専攻医の募集を開始できるようにする」と説明。新専門医制度では、都道府県の協議会で、専門研修プログラムの1次審査後に地域医療への影響の有無を検証することになっている。「協議会開催の実績はないが、各都道府県で準備を進めている」(松原副理事長)。

 専攻医の調整が必要な場合とは?
 「声明」では、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」に対応するとしている。

 「地域医療への影響」とは、都市部や大病院に専攻医が集中した場合など。松原副理事長は、「地域医療に問題が生じるかどうかが分かるのは、都道府県の協議会で協議した時」と指摘。その上で、「応募状況を見てあまりにも偏っていたら、2次募集で調整するなど、あらゆる手段で対応していく」と説明した。ただし、1次募集で研修先が決まった専攻医が研修先の変更を迫られることはないという。

 「専門研修レベルについて改善が必要になった場合」について、日本専門医機構理事長の山下英俊氏は、「例えば、領域全般にわたって研修しなければいけないのに果たして可能なのかなど、(専門研修プログラムを)承認した後に疑義が生じた場合には、変更を求めることなどが考えられる」と説明。

 「大臣談話」と思いは同じ
 記者会見では、「大臣談話」と、その翌日の日本医師会会長の横倉義武氏の会見内容についての質問も出た(『日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」』を参照)。「大臣談話」では、新専門医制度に国が一定の関与をする方針が記されているのに対し、横倉会長は、「あくまでプロフェッショナルオートノミーに基づき、運営すべき」としているからだ。

 日医副会長でもある松原氏は、「厚労省は、医療行政に対して責任を持っている省庁。(地域医療への影響を)心配するのは当たり前。一方、日医は、医師の団体として医療を預かっている。地域医療への影響が生じないようにしたいという思いは同じであり、それぞれがお互いの立場で取り組んでいる」と説明、プロフェッショナルオートノミーが最も医師の能力を引き出せる仕組みであると考えているため、横倉会長の会見につながったとした。

 山下副理事長は、「大臣談話には、『専門医制度新整備指針等は、新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解している』と書かれている」と説明。この指摘を踏まえ、専門医制度新整備指針、運用細則、補足説明などのルールに準拠して実施する重要性を強調した。「ルールを決めてやらないと、うまくいかなかった場合にその理由が分からない。ルール通りにやっても問題が生じた場合には、そのルールをフレキシブルに変更していくことが必要」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549460
真価問われる専門医改革
日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」
厚労相「談話」受け緊急会見、2018年度開始に向け準備を

レポート 2017年8月3日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は8月3日、新専門医制度について緊急記者会見し、「医療法に規定する国の責務として、厚生労働省が地域医療への配慮を求めること自体は理解」と認めつつ、同制度は法的な強制力を持つものではないことから、「国の関与は、あくまで謙抑的であることが望ましい」とけん制した。その上で、日本専門医機構がガバナンスを強化し、国と同機構が協力・連携、関係者の意見も調整しながら、2018年度のスタートを見据え、着実に準備を進めることが必要だとした。

 記者会見は、前日2日、塩崎恭久前厚労相が、新専門医制度による地域医療への悪影響が生じる懸念を完全に払拭できないことから、日本専門医機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の「大臣談話」を発表したことを受けた対応(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 横倉会長は、地域医療への影響について、塩崎前厚労相と同様の認識か否かの質問に、「かなり改善されていると認識している。しかし、まだ地域によっては不安を訴える病院管理者の声もあると聞いている」と答えた。「今後、専攻医の配置状況などは、各都道府県の協議会のもとで、医師の配置について議論する場を作ることになっている。その動きをバックアップし、不安の解消に努めていく」。

 「大臣談話」では、「万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、厚労省が日本専門医機構と各関係学会に対して、実効性のある対応を求める」としている。この点について横倉会長は、「各都道府県の協議会の中で、解決していくことだと理解している。(大臣談話で)機構と各学会に要望しているのは、そうした懸念が生じないように、専門研修プログラムをしっかり作ってもらいたいということだろう」との解釈を示した。

 日医が求める「国の関与は、あくまで謙抑的」という意味について、「新たな専門医の仕組みは、医師が自律的に自分の能力を高めるものであり、国がさまざまな規制をかけることは、やるべきではない」と説明。「以前、一部に強制的な配置を求める声もあった。そうならないように、謙抑的という言葉を使った」とも付け加えた。

 さらに2018年度の新専門医制度の開始について、横倉会長は次のように述べた。「今、1年間、待ってもらった。誰が待ったのか、それは専門医を目指す若い医師。2年間待ってもらうと、キャリアへの影響が大きい。スタートして、問題があれば改善していくべき。専門医になろうという医師に対し、キャリアの道を開けることが必要」。

 「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべき
 横倉会長は会見で、2016年11月に日医が提出した7つの要望項目を「専門医制度新整備指針」に盛り込むなど、日本専門医機構は真摯に対応してきたと認識しているとし、各領域学会と専門医の質向上に努めるとともに、医師の偏在助長の回避、医師のキャリア・パスへの配慮などを「懸命な努力を重ねている」と評価した。

 「専門医制度新整備指針」における制度の基本理念については、(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる制度である、(2)国民に信頼され、受診に当たり良い指標となる、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度である、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分に配慮した制度である――と整理。

 その上で、地域医療提供体制の確保は、最重要課題であるとし、今回の「大臣談話」において、「医療法に規定する国の責務として、厚労省が地域医療への配慮を求めること自体は理解する」と認めた。しかし、新専門医制度は、法的な強制力を持つものではないものの、医師の自律的な取り組みを学問的に評価するものであり、「専門医制度新整備指針」の基本理念にあるように、「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべきものであることは論を俟たない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549268
真価問われる専門医改革
「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話
吉村理事長と面談、プロフェッショナルオートノミーに歯止め

レポート 2017年8月2日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 塩崎恭久厚労相は8月2日、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏と面談、同機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の談話を手渡した。同機構は2018年度からの新専門医制度の開始に向けた準備を進めているが、地域医療への影響を懸念する厚労省が、プロフェッショナルオートノミーを基本とする同制度に一定の歯止めをかけた格好だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は、報告を受け、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうかを領域ごとに確認する。その結果、万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、日本専門医機構と各関係学会に対して実効性ある対応を求める方針。

 塩崎厚労相が新専門医制度についての談話を発表するのは、2016年6月に次いで2度目(『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。当時も地域医療への影響を懸念する声が上がり、「一度立ち止まって検討の場を設ける」ことなどを求め、結局、2017年度に予定していた新専門医制度の開始は延期された。

 塩崎厚労相と吉村理事長の面談は、8月2日の午後4時から約15分にわたり関係者を交えずに行われ、その場で、談話が手渡された。

 談話は、一度立ち止まって検討した以降の経緯を記した上で、(1)専門医の取得は義務ではなく医師として自律的な取り組みとして位置付けられる、(2)研修の中心は大学病院のみではなく、症例の豊富な地域の中核病院等も含むことの明確化、(3)女性医師等の多様な働き方に配慮したカリキュラム制の設置――などを「専門医制度新整備指針」等に明記したことについて、「新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解」と評価。

 しかし一方で、新専門医制度は、プログラム制の導入など、これまでに無い新たな仕組みであるため、「実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか」「専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか」などの懸念を完全に払拭するには至っていないと指摘した。

 それ故に、新専門医制度の開始に当たっては、「こうした懸念に真摯に向き合い、都道府県、市町村、医師会、大学、病院団体等からなる都道府県協議会等地域医療関係者と十分に協議が行われた上で、運用の中で問題があれば速やかに是正が行われる必要があると考えている」とし、応募状況等の厚労省への報告を求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548584
シリーズ
m3.com全国医学部長・学長アンケート
専門医研修、基幹施設は「大学病院」優勢◆Vol.5
「学会主導で」、「地域格差起こらぬよう」

スペシャル企画 2017年7月31日 (月)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

 日本専門医機構は7月7日の理事会で、2018年4月からの新専門医制度開始に向けて、準備を進めることを決定したが、有志の医師らが2018年度開始反対の署名を塩崎恭久厚生労働大臣に提出するなど、制度開始への懸念はなお残る。全国医学部長・学長アンケートでも、さまざまな意見が寄せられた。

 なお、アンケートは4月から5月にかけて行った。

Q:専門医研修の基幹病院は、大学病院、市中病院、どちらを主にすべきとお考えですか。

Q::専門医を巡る議論についてご意見があればご記入ください。

【大学病院にすべき】
【山形大・山下英俊医学部長】多様な医療機関が専門医を育成のためにそれぞれの役割を果たすことが重要と考えます。その中で大学病院の果たす役割は大変重要と考えております。このような協力体制を山形大学医学部蔵王協議会では構築し、実施し、効果を上げております。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】地域の病院の医師の配置や1人の医師のキャリアアップを調整できるのは大学のみ。

【福井大・内木宏延医学部長】初期研修では幅広いプライマリ的な診方(ス―パーローテート)を目指しているのに対して、専門医研修ではそれぞれの領域の専門性の高さが要求されている。大学病院は若手医師への教育資源や指導者が豊富であるのに対して、市中病院では不足しているのが現状と考えられる。そして最先端の医療が目覚ましい進歩を遂げている現状においては、市中病院に配属される前に若手医師が身に付けるべきことは年々増加しており、これまで以上に大学病院が基幹施設として専門医教育に時間をかけることが必要となっている。
 さらに、10年以上前に始まった初期研修制度のみで満足していた市中病院の若手医師にとっても、2018年度からの大学病院を中心とする新専門医制度は現行のレベルダウンを補うものになると思われる。その結果として、社会や地域が目先の医療資源の確保に翻弄されずに、高いレベルを担う医師を多く育成することができれば、将来はその地域の医療水準が飛躍的に向上することに繋がると考えられる。

【京都府立医科大・竹中洋学長】市中病院を基幹施設にすると、研修医は都市部に集中し、郡部の病院で研修する者は減少すると推測される。大学病院が基幹施設となり、かつ郡部の病院とのたすき掛けプログラムを提供することにより、都市部、郡部いずれにおいても特徴のある研修が行われると考える。地域におけるニーズ調査が不可欠となる。

【領域による】
【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】領域によって事情が異なるので一概に議論することは難しいが、共通して言えることは、研修の質を落とすことなく専攻医分布の地域格差の助長が起こらないように努めることが肝要ということである。専門研修制度を改善することはもちろん必要だが、できるだけ医療を受ける国民や研修を受ける専攻医に不利の無い形で行う必要がある。

【産業医科大・東敏昭学長】質の担保は重要だが、プログラム方法に固執せずカリキュラム方式での研修を、より取り入れる。試験での質の担保を重視しても良い。また更新制度はゆるやかでも必要。

【学会の役割が重要】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】プロフェッショナルオートノミーの名の下に、専門医の質を担保するという意図は分かるのだが、専門学会を差し置いて始められたのは、稚拙としか言いようが無い。初期臨床研修制度が、地域医療の崩壊を早め、かつ医科大学における基礎医学研究の低迷を招いたことに対する反省も無しに、専門医制度が議論されてきたのは、誠に寒心に堪えない。医師需給とともに長期的展望を基にした指針を作らないと、教育は弥縫的にならざるを得ないと思う。

【金沢医科大・神田享勉学長】学会主導が良いと思います。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】大学と医師会・自治体との闘いである。周りに振り回されない、堅牢なシステムを学会内で作れば恐れるものは何もない。一方で、日本ではインセンティブが付くことは医療費削減の中であり得ないことであり、名誉を重んずる日本独特の制度に不思議さを感じる。このインセンティブのない雇用体系が日本の医療費削減の支えとなっている。

【その他】
【東北医科薬科大・福田寛医学部長】我が国における「専門医」の位置付け、国民から何を期待されているかなど、原点に立ち返った議論も必要。

【富山大・北島勲医学部長】新専門医制度の早期実行を! 国民に専門医とはどのようなものであるか、見える形にしてもらいたい。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】大都市においては専攻医の募集定員に上限が設けられ、また大学では診療実績から受け入れ上限数が算出されるため、私立大学にとっては不利になると考える。

【兵庫医科大・野口光一学長】専門医研修はあくまでも質保証を目的としての制度改革であるべきで、それと医師偏在問題とを無理に結びつけるべきではない。

【島根大・山口修平医学部長】来年度からのスタートが決定した以上、十分な地域医療への配慮の下で進めていきたい。同時に、卒前、卒後教育のシームレス化の議論を早く進める必要がある。

【広島大・秀道広医学部長】優れた知識と技能を修得することは大変重要であるが、医療において専任教員の設置は不向きである。すなわち、専門医となったものは、研修医を指導する役割を担うことが必要で、教えてもらっただけの専門医を作るべきではない。

【徳島大・丹黒章医学部長】専門医の選択が研修医の自由意思で決められ、高給を求め、死と責任を避ける傾向にある。よりハードルの高いプログラムは敬遠される方向にあり、評価、報酬等でメリハリを付けるべきである。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】新専門医制度は、その研修期間に大学のみならず、関連施設へ出向しなければならず、また、大学医局のローテーションを難しくする。また、専門医を取得することのみを目的として、腰掛け的に大学医局へ所属する可能性がある。したがって、系統立った長期的な指導(10年間ほど)が困難となる。また、専門医取得第一となり、研究がおろそかとなることもあり得る。さらに、大学院への進学も激減する可能性があり、多大な影響を及ぼす懸念がある。研究志向の若手医師は、明確に少なくなるのは確かである。
 総合診療専門医は、内科から外科、その他の診療科などへ、どの程度の診療までカバーすべきであるかが見えてこない。つまり、総合診療専門医の医師像がいまだ明確でないのみならず、統一した見解がない。特に、大学病院のように専門性を求めた場においては、その育成が中途半端となる可能性が懸念される。一般内科医、一般外科医別の総合診療とするのが、大学としては望ましいと考えられる。地域性によっても、総合診療専門医の定義が異なることも以前から指摘されている。専門医制度と地域医療は別問題である。第一に地域医療、特に、医師の偏在化(都市集中)を考えていくべきである。また、地域枠で入学した学生の義務化に関しても問題がある。
 自学は、地域枠を9年前にスタートさせた。奨学金制度などを取り入れてないために、さまざまなバリアントが生じる可能性がある。また、地域枠入学者が優先的に専門医制度や専攻医に選ばれる雰囲気があるのはいかがなものであろうか?

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



http://www.asahi.com/articles/ASK847WVRK84UBQU013.html
新専門医制度、来年度からスタート 統一的基準で認定へ
野中良祐
2017年8月4日23時56分 朝日新聞

 地方の医師不足が加速する恐れがあるなどとして、導入が延期されていた「新専門医制度」について、日本専門医機構は4日、2018年度に始めると発表した。第三者機関の日本専門医機構が、質を上げるため統一的な基準で専門医を認定する。

 2年間の初期臨床研修を終えた医師は、内科や外科など19の基本領域を選び、全国の大規模病院や地域の病院を回って3年間の研修を受けて専門医の認定を受ける。介護やみとりを含め幅広い範囲を担う「総合診療科」もその一つ。希望者はさらに専門性の高い領域の専門医に進む。医療機関は、専門医がいることを広告できるようになる。

 これまでの専門医制度では、それぞれの学会が医師の経験した症例数や研修への参加など、独自の基準で専門医を認定していた。会員数は数千人程度から10万人以上と規模も異なり、一口に専門医といってもわかりにくかった。

 ログイン前の続き今年度に新制度は始まる予定だったが、医師が研修の主力を担う大学病院などに集中し、地域偏在が加速すると懸念する声が上がり延期になっていた。04年から始まった初期臨床研修では、地方の大学を卒業した医師が都市部に流れ、地域偏在の一因になったと指摘されている。地方自治体の首長らには、新専門医制度でも同様の事態が起こるのではないかと心配する声が今も残っている。

 これを受け、日本専門医機構は規定を改め、専門医を必ずしも取得しなくてもよいことや、自治体や医師会などでつくる都道府県協議会の要望に協力することなどを明示した。塩崎恭久・前厚生労働相は2日、談話を公表し、「地域医療に影響を与えないよう配慮がなされている。他方、懸念を完全に払拭(ふっしょく)するには至っていない」と指摘。開始後、各診療科の応募や医師の配属といった状況を報告するよう求めた。日本医師会の横倉義武会長は3日、「自律的な研修であって、国が規制をかけるべきではない」と話すなど、関係者の間で温度差はあるが、制度開始への理解は広がってきた。

 今後、各学会が承認した研修プログラムを協議会で検討。同機構の審査を経て正式に研修内容を決定する。医師の登録は10月に始めたいという。同機構の松原謙二副理事長は「新専門医制度によって、このお医者さんにかかれば適切な医療を受けられる、という安心感を得ることができる」と話す。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0803509955/
「地方で医師不足進む」懸念払拭を...新専門医制度で厚労相が談話〔読売新聞〕
2017年08月03日 13:10(2017年8月3日 読売新聞)

 学会が独自に行ってきた専門医の認定を一元化する新専門医制度について、塩崎厚生労働相は2日、制度を運営する日本専門医機構に対し、2018年度の導入で、地方で医師不足が進むという懸念を 払拭(ふっしょく)するように求める談話を発表した。地域医療に悪影響がないか確認を行うため、研修プログラムへの応募状況や医師の配属状況を学会ごとに報告するように求めた。

 制度は17年度に開始予定だったが、地域医療の現場が混乱するなどの批判を受け、1年延期された。



http://www.medwatch.jp/?p=15144
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2017年8月3日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの全面スタートに向けた準備が進められている新専門医制度について、学会(基本領域)ごとの▼応募状況▼専攻医配属状況―を厚生労働省に報告することとし、地域医療への影響を確認する。万が一、地域医療への影響が懸念される場合には、厚労省から日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する。

塩崎恭久厚生労働大臣は2日、日本専門医機構の吉村博邦理事長と面談し、このような談話を発表しました(厚労省のサイトはこちら)。

地域医療に悪影響が出るとの懸念、完全には払拭されていない

新専門医制度は、専門医の認定と、研修プログラムの認証を学会と日本専門医機構が共同して行い、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」専門医制度とすることが狙いです。当初は今年(2017年)4月からのスタートを目指していましたが、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)から「地域の基幹病院ですら研修病院になれないなど養成プログラムのハードルが高すぎる。地域の医師偏在を助長する可能性が高い。一度立ち止まり、専門医を目指す医師の意見を聞くとともに、▼地域医療▼公衆衛生▼地方自治▼患者・国民―の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重するべきである」などの要望が出されました(関連記事はこちらとこちら)。

その後、機構は組織を再編し、「全面スタートの1年延期」を決定した上で(関連記事はこちらとこちら)、地域医療へ十分な配慮を行うことなどを制度の根幹規定となる「整備指針」などの中で規定しました(専門医制度新整備指針)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

しかし、その後も全国市長会から▼中小病院が危機に陥りかねない▼医師偏在が助長されかねない—などの懸念を表明し、塩崎厚労相も、さまざまな懸念を払拭した上で新制度を2018年度からスタートする必要があると判断し、「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、改めて関係者間での意見調整を行うこととしました。

検討会では、「専門医の質の担保」と「地域医療の確保」とを両立する方策について議論を行い(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)、例えば、都道府県ごとに地域の関係者が集い、地域の医師偏在が助長されないかなどをチェックし、必要があれば改善を行っていく仕組み(都道府県協議会)をより強固なものにするため、▼「都道府県協議会」において、研修プログラムに関する情報を共有し、確認、検討などを行う▼都道府県協議会において研修プログラムの確認、検討などを行った後、地域医療確保の観点から改善が必要な事項を日本専門医機構へ提出し、日本専門医機構と連携して改善事項などについて調整する▼都道府県で調整に努めたにもかかわらず状況が改善しないような場合には、適宜、厚労省に報告する▼調整終了後、プログラム認定前に、管内のプログラムについての調整結果を都道府県協議会で確認した旨、都道府県協議会の活動実績を厚労省へ報告する—ことなどが固められました(関連記事はこちらとこちら)。

日本専門医機構でも、こうした指摘を重く受け止め、都道府県協議会によるチェックに協力する(さらに地域の基幹病院から都道府県へ、直接「こうした懸念がある」などと報告できる仕組みも確保)考えを明確にし、2018年度の全面スタートに備えて「10月から、研修プログラムへの専攻医の登録(いわば仮登録)を始める」方針を明らかにしています(関連記事はこちら)。

 
塩崎厚労相は、こうした流れを振り返り「地域医療に影響を与えないような配慮がなされている」と評価した上で、▼実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか▼専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか—といった懸念は「完全には払拭されていない」と判断。新専門医制度を運用する中で、問題が生じた場合には適宜対応していく考えを示しました。具体的には次のような取扱いとなります。

▼日本専門医機構・各関係学会に対し、「学会ごとの応募状況および専攻医の配属状況」を厚労省に報告することを求める

▼厚労省で、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、領域ごとに確認する

▼確認の結果、新専門医制度により地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、厚労省からも日本専門医機構・各関係学会に対して実効性ある対応を求める



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170804204349
専攻医の応募、地域医療に影響あれば調整も
専門医機構が声明発表

2017年08月04日 21:10 CB News

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は4日、新たな専門医制度の開始に向けた声明を発表した。来年4月からの新制度開始に向け、10月上旬ごろに専攻医の一次登録、12月中旬ごろに二次登録をそれぞれ始める。また、地域医療に影響が出る恐れがあれば、応募に関する調整を行う方針だ。【新井哉】

 声明では、塩崎恭久前厚生労働相が今月2日に出した、新制度が地域医療に悪影響を及ぼす懸念を完全に払しょくできていないとする談話に触れ、吉村理事長が塩崎前厚労相に「意向を重く受け止め、機構として十分に検討した上、真摯に対応したい」と回答したことを説明。この談話を踏まえ、二次登録開始後も研修先の決まらない専攻医希望者に対する救済措置を検討するという。

 同機構は、専攻医がどの診療科のプログラムに所属するかの概要が明らかになった時点で、新制度による地域医療への影響について、各学会に報告を求め、専攻医の偏在などで地域医療に影響が出る場合は、「必要に応じて、応募状況等の調整を行う」との方向性を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547920
m3.com全国医学部長・学長アンケート
医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6
卒業試験後の集中講義、予備校の活用など

スペシャル企画 2017年8月2日 (水)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

 2017年の第111回医師国家試験の合格者は前年より2.8ポイント低い88.7%で、過去10年で最も低くなるなど、近年は国試の難化も指摘される。第112回では、これまでの3日間・500問から2日間・400問になるなど、質量ともに改革が進んでいる。医学部における医師国家試験対策について尋ねた(『合格率88.7%、過去10年で最低、2017年医師国試』を参照)。

Q 近年の医師国家試験は難化しているとも言われております。貴大学・医学部で医師国試合格を目的とした、通常の講義以外の対策を実施されているでしょうか。
0805.jpg

【実施している】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】チューターによる少人数指導。医師国家試験予備校による集中講義。

【山形大・山下英俊医学部長】通常の講義の枠内で行われていますが、以下の2つが国家試験対策を主眼とした講義です。
(1)臨床実習が長期化しているため、5年生後半から6年生前半にかけてのクリニカルクラークシップ(4週間毎)の期間内、各Phaseの最終日(4週間目の金曜日)に知識の整理と習得を目的とした講義を行っています。この講義は1年間で計9日間行われることになりますが、知識習得が不足していると思われる科目を学生に挙げてもらい、講義を組んでいます。
(2)6年生の9月で卒業試験が終了するが、その後の2か月半は国家試験対策を目的とした講義を行っています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】卒業試験終了後、数週間のみ出席は任意で行っている。(総括講義)

【横浜市大・井上登美夫医学部長】
・学生の国家試験対策の進捗状況を把握するため、5年次3月に学年末(進級)試験、6年次5月、9月、1月に国家試験形式の実力試験を実施している。また、年2回、民間模試を全員受験とし、進捗状況を把握し、成績下位者には、フィードバックのための面談と個別指導を実施している。
・学生が不得意な分野を中心とした、国試対策授業(2016年度は14テーマ)を実施している。

【富山大・北島勲医学部長】過去の医師国家試験の解説をセミナー形式で行っている。

【金沢医科大・神田享勉学長】1.教育学習支援センターを設置し、取り組んでいる。2.スチューデント・ドクター医局で6年生は学習している。

【福井大・内木宏延医学部長】
・学部6年次生対象に、4〜5月に医師国家試験予備校の講師を招き、前年度国家試験結果分析と次年度国家試験対策に関する特別講義を実施している。学生だけでなく、教育関連委員会の委員および教務関係職員も出席し、学生指導の参考となるようにしている。
・昨年度より、学部3年次生も対象に予備校講師によるCBTおよび国家試験対策特別講義を実施し、学生に早期に国家試験対策を促す対策をしている。
・医学部長より依頼された教員による「国試サポートチーム」を組織し、学部4年次生のCBT成績下位者および6年次生の国家試験模擬試験成績下位者に対し、指導や相談に応じる対策を実施している。
・今年度より、6年次卒業時学科試験(卒業試験)を、内容及び期間などの形式を国家試験に準じたものとし、学生にとってできるだけ卒業試験対策が国家試験対策と重なるように実施することとした。

【兵庫医科大・野口光一学長】成績不良での特別授業、合宿、個人指導など。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】5年生では水曜日の午後、6年生では土曜日全日に、国試対策として、教員あるいは外部講師による小テストや解説、講義等を行っている。

【島根大・山口修平医学部長】業者による模擬試験を8月までに2回受験することを義務化している。費用は医学部から拠出している。各講座に依頼して試験準備用の場所(勉強机等)を提供している。

【広島大・秀道広医学部長】6年次4月に3日間の集中講義を設定し、その中の一部を国家試験対策を意識した講義に充てている。

【徳島大・丹黒章医学部長】補習。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】予備校を使って、成績下位30人に対する合宿を行う、予備校の全国模試を4回受験するなど、また、卒業試験のブラッシュアップ委員会からの介入など。

【実施していない】
【京都府立医科大・竹中洋学長】※直近の国試成績を考えると、何らかの介入が必要と考えている。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】まだ2学年までしか進行していないので、今後検討する。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/547921
m3.com全国医学部長・学長アンケート
国試の目指す方向、医学部長の考え◆Vol.7
「OSCEは正しい」「根本的な議論が必要」

スペシャル企画 2017年8月5日 (土)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

Q 2018年の第112回試験では問題数が大幅に削減されるなど、大改革が予定されております。今後の国試の目指す方向性などについてご意見があればお聞かせください。
⇒国試対策については「医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6」を参照。

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医師国家試験が資格試験では無く、実質的な競争試験になっているというのは、利他精神を貴ぶべき医療プロフェッショナルを養成する上で、決して良いものでは無いことを認識した上で、医育行政に当たってほしい。問題数削減は、試験の妥当性を増すものでは無く、むしろ資質に富んだ学生の取りこぼしの可能性を増やすことになろう。「国家試験の評価の妥当性に関する議論」を寡聞にして知らない。CBTで問われている事項を削っていくというのは、アメリカのSTEP方式をまねたのかも知れない。しかしながら、日本の医療人育成課程(医学部入学~CBT~卒業試験~国家試験~認定医試験~専門医試験)は、基本的に「認知領域に優れた人材」を選別して育成するものとなっており、それから抜け出ることは難しいと思われる。とはいえ、STEP方式で育成されたアメリカの医師が、優れたプロフェッショナルになっているという証拠があるのであれば、段階的な試験の性格分けは意味があろう。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】現在議論されている内容を正確には把握していないので、コメントは保留する。

【山形大・山下英俊医学部長】今後の国家試験は、卒後の臨床における研修にシームレスにつながる基本的な幅広い診療能力獲得を確認するものであることが求められています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】臨床実習が72週、初期研修が2年と専門に進むまでの病院での修練が長くなったので、国試や研修の内容、あるいは医学部が6年間必要か否かなど、もっと根本的な議論が必要。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】問題数を削減することに賛成。知識を問う問題と、現場での実習が生きる内容とを適切な割合で出題することが必要。現在のブルーブックシステムは悪くはないが、問題作成の過程で重複する内容の出題をできるだけ減らすことで対応可能かと考える。

【富山大・北島勲医学部長】知識のみでなく、態度・技能の基礎力を客観的に評価すべき。国家試験にOSCEを入れる方向は正しいと思います。

【金沢医科大・神田享勉学長】臨床重視の問題が大切である。

【福井大・内木宏延医学部長】現在の国家試験が、医学教育分野別評価基準および医学教育コア・カリキュラムに準拠していないため、分野別認証評価(国際認証)に応じた医学教育改革(アウトカム基盤型教育へのパラダイムシフト)において、国家試験を教育のアウトカムにすることはできない。そのため、医学部では、国際認証対応と国家試験対策のダブルスタンダード状態となり混乱を招いているように思われる。現在、多くの大学が重点的に取組んでいる国際認証に応じた教育改革を実質的なものにするためにも、国家試験が卒前教育のアウトカムとなるように、コアカリおよび国際標準に準拠したものにすべきであると考える。

【京都府立医科大・竹中洋学長】今後、全大学で実施されていくPCC-OSCEについて、実施基準や評価基準を統一化し、技能やプロフェッショナリズムを持ち合わせるなど、一定のレベルに達した学生を、医師国家試験の合格基準として適用するなど検討が必要と考えている。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】問題数が500題から400題に、試験実施日数が3日から2日に短縮されることは、学生にとって肉体的には負担は軽減するが、1問当たりの重みが増すため、精神的負担が大きくなるのではと危惧する。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】医学部は専門学校であり、入学した以上、合格させなければならない。医師数削減の中で医学部を作り、定員数を増やす行政に異議を申したい。もし、医師数を削減したいのならば、早々に入学定員を削減すべきである。

【兵庫医科大・野口光一学長】臨床実習後にペーパーテストを行う現時点での国家試験を根本的に改革しないと、臨床実習の真の改革は無理と思われる。

【島根大・山口修平医学部長】基礎知識についてはクリニカルクラークシップの前後にCBTを厳格に行うことで対応し、国家試験問題は臨床重視の問題を増やすべきである。

【広島大・秀道広医学部長】問題数の削減は良いが、症例問題で問われている問題のレベルが高すぎるものがある。本来の資格試験としての位置づけを守るべき。

【徳島大・丹黒章医学部長】問題解決型の設問を多くする。

【産業医科大・東敏昭学長】課題解決型へ持って行くことに同意。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】国試での負担を下げていく必要がある。医学系大学間共用試験(OSCE,CBT,PCC-OSCE)などによる評価が行き着く先は、国家試験の簡略化と考えますが、それでいいのではないかと考えます。臨床推論を中心とした最終試験は必要と感じます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549829
退任の塩崎前厚労相「新しい医療の形とその下での働き方を」
受動喫煙対策「立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」

レポート 2017年8月5日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 塩崎恭久前厚生労働大臣は8月4日、退任挨拶の中で、退任前日に第1回を開催した「医師の働き方改革に関する検討会」に関連して、「新しい医療の形とそこの下での働き方の新しい形を絵に示して提供した。今後、本格的に実施の段階になる。後任の加藤勝信大臣はこの分野に詳しい方であり、引き続きご尽力いただけると考えている」と話した。

 塩崎氏によると、厚労相在任期間は1066日で、坂口努氏(公明党)の1361日に次いで、歴代で2番目に長い。自民党議員では舛添要一氏の752日を超えており、「自民党では最長不倒距離」と笑顔を見せた。

 就任時には安倍首相から「医療、年金、労働制度を所管しており、岩盤のように硬い制度を打ち砕いてほしい」という指示をもらったと振り返り、「『成長と分配の好循環』と言っているが、分配である社会保障を守って行くには成長していかなくてはいけない。厚労省設置法3条に、『経済発展に寄与する』という言葉が入っている。高齢化、少子化、人口減少、労働人口の減少の中でも、皆様が地域で納得できる暮らしができるように、あらゆる改革をやっていくのが安倍内閣がやってきたこと」と振り返った。

 最後に力を入れた健康増進法改正案については、塩崎前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。法案提出が遅れている。

 塩崎氏は「科学的に被害があるということが証明されており、年間1万5000人が亡くなり、3000億円の医療費、国費ベースでは1200億円がかかっている。科学で、望まない受動喫煙を完全に排除する制度を作っていかなくてはいけない」と改めて強調。「どこの国でも簡単ではないということを学んだ」として、当初案ではパブとプライベートクラブは提供除外としながらも政府と議会が調整し、建物内禁煙を実現させたイギリスの例を出しながら、「どんなに山は高くてもちゃんと努力をすれば上れると思う。立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」と語った。

 最も思い出に残っていることを尋ねられると、2015年の国会対応を挙げた。労働者派遣法改正と、日本年金機構の情報漏洩で、「答弁回数がなんと3100回を超えた」と説明。「集中審議の連発だった。9月が終わって本当にほっとした」と振り返った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549720
受動喫煙防止対策で数値目標の扱い言及せず
加藤新厚労相、特に関心が高い「働き方改革」に全力

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 加藤勝信新厚労相は8月4日、就任後最初の閣議後記者会見に臨んだ。政府が今夏の閣議決定を目指している第3次がん対策推進基本計画に、受動喫煙防止の数値目標を盛り込むかどうかについて、「安倍総理からは受動喫煙防止対策を徹底して進めることを昨日の段階で言われている。それに沿って進めていく」と述べたものの、具体的な数字への言及を避けた。

 健康増進法改正案については、塩崎恭久前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。この点についても、受動喫煙対策を徹底するとの安倍首相の指示を重ねて示し、「いろいろな所から意見が出てきている。それらを聞きながら、答えを出していく」と述べるにとどめた。

 厚労相として特に関心のある分野については、働き方改革担当大臣を第2次安倍内閣から引き続き務めることから、「まずは働き方改革に全力を挙げる」と述べた。継続審議となっている労働基準法改正案で、年収1075万円以上で高度な専門的知識を持つ場合に労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」と、時間外労働の上限規制を今秋の臨時国会で一括審議する政府方針については、「同じ労基法の改正について二つの法案が出てくると、それぞれ成立するときの状況も違ってくるし、混乱を招きかねない。これまで一つにまとめて議論してきており、それを踏まえて対応していく」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549587
医師の働き方改革とキャリア
新潟県立病院の勤務医「時間外勤務80時間超」は17人
県調査、2016年の長時間勤務の状況と改善策を発表

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 新潟県病院局は8月3日、県立13病院の長時間勤務の状況と改善に向けた取り組みを発表した。7月3日にがんセンター新潟病院で長時間労働などが問題視され新潟労働基準監督署から是正勧告を受けたことに対する措置で、労基署には改善状況を報告した。管理職を除く常勤医師340人中、2016年度に時間外労働が「過労死ライン」とされる80時間以上の月があったのは17人(延べ43人)、100時間以上は6人(延べ13人)。改善策は、診療科内の業務平準化や複数主治医制の検討、時間外勤務の適正な管理などを挙げた。

県立がんセンター新潟病院
 時間外勤務は、時間外勤務手当の支給データを基に算出。7月6日の県議会では80時間以上が30人(延べ81人)、100時間以上が10人(延べ23人)と報告したが、これは県の所定労働時間である1日7時間45分、週38時間45分を超えた時間を計算したもので、今回は労基署の指摘に基づき、労働基準法に規定のある1日8時間、週40時間を基に計算した。

 改善に向けた取り組みは、(1)業務の平準化、(2)医師の業務軽減、(3)病院機能に対応した良質の医療の提供、(4)時間外勤務の適正な管理と意識啓発、(5)医師確保の一層の取り組み――から成る。(1)は、特定の医師への患者集中の是正や、時間外労働が多くなっている医師の宿日直を他の医師に代わってもらうことなど。(4)では、病院ごとに、週1回など定期的に時間外勤務の状況を各医師に通知して長時間勤務の抑制を図ったり、「36協定」や関係法令の周知徹底を図ったりする。

 もっとも、これらの改善策は、どの程度、実行可能かは疑問が残る。その上、労基署の是正勧告内容への対応として長時間労働の抑制を図るもので、医師の時間外労働の上限規制の議論で主要なテーマとなっている医師の特殊性や、「どこまでを労働時間として算定するか」といった内容には踏み込んでいない。労働時間算定の基準を示した内規はあるが、改定などの具体的な検討は始めておらず、県病院局総務課参事の原田正則氏は「国の働き方改革の議論を注視しながら、どのように動くのかということになる」と述べた。

調査結果は以下の通り。

【長時間勤務の状況】
(非管理職の常勤医師340人、かっこ内は延べ人数。)
【80時間以上】
病院別:中央病院4(6)、十日町病院4(6)、がんセンター新潟病院3(8)、新発田病院6(23)
診療科別:内科6(20)、小児科1(1)、外科6(14)、整形外科4(8)
【100時間以上】
病院別:新発田病院4(11)、がんセンター新潟病院1(1)、中央病院1(1)
診療科別:内科3(9)、外科2(2)、整形外科1(2)
【長時間勤務の内容と要因】
(「年間」の時間は、非管理職の常勤医師340人の時間外労働時間の合計で、総計は4209時間)
入院患者診療(急変等):年間2288時間(54.4%)
当該診療科において重症患者が多く、勤務時間外に急変時診療の回数が多いこと。
診療科間、医師間における業務量の偏りがあること。
当該医師が主治医となった患者に重症患者が多いこと。
当該診療科(病態)の担当医が不足していること。
外来患者が多いことなどにより、入院患者の診療が勤務時間外になってしまうこと。
急患診療:年間944時間(22.4%)
急患が多いこと。
常勤医師数が絶対的に不足していること。
手術:355時間(8.4%)
当該診療科において手術件数が多いこと。
診断書等の作成:321時間(7.6%)
診療や手術以外の準備、記録作成などの業務が多いこと。
その他:301時間(7.2%)
周辺医療機関からの紹介患者が多いこと。
勤務時間にかかわらず患者の治療を優先。
若手医師が経験を積むために多くの症例や実技に参画していること。また、多くの若手医師が経験できるよう、時間外に指導に当たっていること。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549316
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理
厚労省の検討会始まる 、最終結論は2018年度内

レポート 2017年8月2日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は8月2日、「医師の働き方改革に関する検討会」の第1回会議を開き、医師の時間外労働の上限規制の在り方や勤務実態、勤務環境改善策などについての検討を始めた。塩崎恭久厚労相が会議の冒頭、「医師の時間外労働の上限規制について、特例の在り方を議論していただくのが目的。具体的な勤務環境改善策を推進することで医療の生産性を高め、提供する医療の質の維持向上をしながら、働き方を改善するのも重要だ」と挨拶した。

 座長には、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏が就任、年明けには中間整理を行い、最終的な結論は、2018年度内に得る予定。

 政府が3月28日にまとめた「働き方改革実行計画」で、時間外労働に罰則付きの上限規制を設ける方向性が示された。医師に関しては2年後を目処に規制の具体的な在り方や労働時間の短縮などについての結論を得るととともに、改正法施行から規制の適用まで5年間の猶予期間を設けるとされたことを踏まえ、本検討会では議論を進める。

 検討会の構成員は、医療団体の幹部や医療法人の経営者、勤務医、労働法の研究者、病院経営コンサルタント、看護師、労働組合など、さまざまな分野から集められた。2日の会議では、各構成員が順に現状認識などの見解を述べた。主な意見は次の通り。

【日本医師会常任理事・市川朝洋氏】
 医師の働き方を論じる上で大切なのは、できることから始めることではないか。将来の議論は大切だが、まず医療界として自主的な改善を進め、その着地点を予想しつつ、医師の特殊性を踏まえた将来の在り方について考えるべきではないか。応招義務に加え、自己研鑽や高い職業意識、倫理観などの特殊性により、長時間労働、連続勤務、労働時間の突発的な変動、労働時間の解釈の違いが起こり、その結果、労働時間管理や健康管理の難しさが生じている。これが一番の問題点であり、一般労働者と違う点であると考えている。日医の働き方改革の目的は長時間労働の是正ではなく、勤務医の健康を守りつつ、地域医療を守っていくことだ。医師に対する安全衛生体制全般にも目を向けて対応していく必要がある。

【千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏】
 多くの大学病院も労働基準監督署から指導を受けている。全国医学部長病院長会議でも危機感を持ち、医師の労務管理についての検討を進めている。大学病院の特殊性としては診療の他に教育と研究というミッションがあり、それらがモザイク状に絡み合って切り分けられず、問題を複雑にしている。大学教員の場合、通常は教育と研究が主体の場合には裁量労働制が採られている。基礎系の教員は裁量労働で、臨床型の場合は診療が入るので裁量労働になじまない部分がある。どこからどこまでが上限規制の対象になるかということも、この検討会での議論を踏まえて全国医学部長病院長会議で検討したい。

【福岡県済生会福岡総合病院名誉院長・岡留健一郎氏】
 病院の勤務医は管理者と労使協定を結んでいるのかどうか。全然結んだことがなく、「36協定って何だ」と、近年こういう議論が出てきて初めて知ることになった。医師の労働者性ということが根本的に問われる時代であるとともに、労働管理について、オンなのかオフなのかをきちんと定義付けていかないといけない。そのためには現在の医師がどういう働き方をしているか、実態調査をすることが必要だ。

【東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏】
 東北大学病院では時間外労働が月80時間を超えると強制的に面談をしているが、その内容を見ると、目の前に患者がいれば診なければいけない現状がある。コメディカルに業務負担を移したり、産業医が業務の内容を仕分けたりしているが、それでも患者は来る。地域で基幹病院にしても大学病院にしても、そこしか診るところがない。また、大学の給料だけではやっていけず、大学で80時間働いた後、アルバイトで当直に行く分の管理ができていない。当病院は産業医がいるが、いないところも多い。疲れた医師、過労死になりそうな医師を見付けて「休め」と言う人がいないことも、問題だと思う。

【順天堂大学医学部附属順天堂医院 医師・猪俣武範氏 】
 質の高い医療と、職場環境の確保が必要だ。医師には医学生や市民の教育、研究、病院の経営など多岐にわたる仕事があり、自己研鑽や学会への参加も重要だ。それに対して画一的な労働規制をするべきではない。多様な仕事をこなす上での環境は整理すべきだ。

【ハイズ株式会社代表取締役社長・裴英洙氏】
 私は元外科医で、今は病院経営のコンサルティング会社を経営している。医師が提供する価値は量と質のかけ算だと考えている。つまり、労働時間と生産性だ。今回は働き方改革ということで、「働く時間改革」ではないと思う。時間の議論は当然ながら、時間を減らして、どのようにしたら質が上がっていくのかという議論もセットで考えないと、時間を減らすだけでは提供する価値が下がってしまい、患者や地域にマイナスになる。

【全日本自治団体労働組合総合労働局長・森本正宏氏】
 医師が他の職種と違って長時間労働が過労死にはつながらない、などということはあり得ない。どのように働き方を変えれば長時間労働を抑えられるのかということや、応招義務に対して個人ではなく組織的に対応できる体制を作っていくのかを検討していきたい。



http://www.sankei.com/region/news/170805/rgn1708050065-n1.html
新潟市民病院、医師の増員検討
2017.8.5 07:10 産經新聞

 新潟市の篠田昭市長は4日の記者会見で、新潟市民病院(同市中央区)の医師の長時間労働を是正するため今年度中に産婦人科などの医師を増やす方向で検討していると明らかにした。

 篠田市長は「(労働環境が)厳しい部分がある産婦人科などは、新潟大医学部にお願いするなどで医師の増員を検討したい」と述べた。同病院では昨年1月、女性の研修医が過労が原因で自殺し、新潟労働基準監督署が今年6月、改善を求める是正勧告を行った。



http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/121769
2年分で18億円 沖縄の県立病院、当直医師の残業代支払いへ
2017年8月2日 07:43沖縄タイムス

 沖縄県立病院の当直医師らへの時間外勤務手当の未払い問題で、県病院事業局(伊江朝次局長)は全6病院での未払い額が2015年度と16年度の合計で約18億6千万円に上ると概算し、該当者に相当分を支払う準備を進めていることが1日までに分かった。同局は「労働基準監督署からの勧告内容を精査し、従う方針を決めた。できるだけ早く支払い手続きを進めていきたい」と説明。財源を見極めながら、県議会9月定例会での予算補正を含め、早めに対応したい考えだ。(社会部・石川亮太)

 同問題では昨年8月に北部病院が、同11月に北部病院と南部医療センター・こども医療センターが、労基署から過去2年分の未払い賃金を支払うよう是正勧告を受けた。同局は全県立病院で共通した給与の取り扱いがあるとして、全6病院に15、16年度の当直医師の人数と未払い額の報告を求めていた。

 7月21日、債務者である各病院長が債権者の医師らに対して債務があることを認める承認をし、同日からさかのぼって過去2年分の支払期間を確定させた。公務員の給与請求権の時効は労働基準法で2年間と定められており、実際の支払額は概算額より少なくなる見込みだ。

 対象の医師らは延べ830人。病院別で最も報告額が多かったのは南部医療センターで約5億9千万円。最も少ない精和病院で約5700万円となっている。

 当直医師は午後5時から翌日午前8時半までの15時間半、救急対応などに当たる。未払いの背景には1972年に当時の厚生部長から各県立病院長に出された内部通知を受け、拘束時間のうち8時間を勤務とみなし、1時間当たり2・5割増で支給する「慣例」があった。

 県職員給与条例、規則では時間帯によって平日、土日・祝日は2・5~6割、時間外勤務が月60時間を超えた場合は最大7・5割の割増賃金を設定。労基署はこれに対し、拘束時間中は救急対応に備えた「待機」で勤務の一環であり、適切な割増賃金を支払うべきだと指摘していた。

 同局は6月30日、伊江局長名で同通知を廃止。7月分からは実質的な休憩時間を省いた時間外手当を支給している。



https://mainichi.jp/articles/20170803/ddm/002/040/142000c
医師の残業
医療機関と労組、規制賛否 厚労省検討会

毎日新聞2017年8月3日 東京朝刊

 厚生労働省は2日、医師の「働き方改革」に関する検討会の初会合を開いた。残業時間の上限規制を巡り、医療関係者の委員から「極端な規制は地域医療を崩壊させる恐れがある」と慎重論が出た一方、労働組合の委員は「医師であっても労働者だ」と主張、意見が対立した。

 政府は3月に策定した働き方改革実行計画で「最長で月0時間未満」などと定めた残業上限規制について、正当な理由なしに診療を拒めない「応招義務」があるとして医師への適用を5年間猶予している。検討会は規制のあり方を議論、再来年をめどに結論を出す方針。

 検討会では、堺市の「社会医療法人ペガサス」の馬場武彦理事長が「医師の勤務には自己研さんの面があり、制限されることに不満を持つ医師もいる。慎重な対応をお願いしたい」と述べた。連合の村上陽子・総合労働局長は「医師は特殊性もあるが、紛れもなく労働者で同じ人間だ。知恵を出し合って検討を進めるべきだ」として、残業上限規制を導入すべきだと主張した。

 昨年1月には新潟市民病院(新潟市)に勤務していた研修医が過労自殺。厚労省によると、2016年度に過労死や過労自殺(未遂含む)で労災認定された医師は4人に上る。

 厚労省が昨年12月に実施、医師約1万6000人から回答を得た調査では勤務医のうち、男性の約4割、女性の約3割で1週間の労働時間が60時間を超えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549410
不採算地区での医師確保「財政措置の充実を」総務省研究会
独法化病院、経常収支悪化の背景に繰入金減少

2017年8月3日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第6回会合が8月2日に開催され、研究会の報告書の内容について議論。「不採算地区において、医師確保に係る財政措置の充実について検討」といった文言が盛り込まれることなどで大筋で合意した。

 地方独立行政法人化した公立病院で2012年度以降に経常収支比率が悪化傾向にあることについては、経営改善に伴い自治体から繰入金減少が主たる原因と考えられると事務局から説明があった。

 事務局が提示した報告書骨子案では大きく分けて【現状・課題】と【今後の公立病院経営に向けた提言】の2部構成になっている。

後半部の構成は、下記の通り。
1.病院マネジメントの観点からの経営手段の充実
(1)公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成
(2)公立病院の経営指標の「見える化」と地域における経営展望の理解促進
(3)経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開
2.公立病院に対する財政的・制度的支援
(1)地域医療確保のための財政支援
 〔1〕不採算地区における医療を確保するための必要な措置
 〔2〕近年の資材単価等の動向を勘案した、公立病院の施設整備に関する措置
(2)地域医療構想を踏まえた多様な形態の再編・ネットワーク化の推進
 〔1〕多様な再編に向けた病院事業債(特別分)の活用促進
 〔2〕医療と介護の連携のために必要な措置
(3)経営形態の見直しを支援する制度運用上の対応

 2.-(1)-〔1〕では、「医師確保の重要性に鑑み、医師確保対策に係る財政措置の充実について検討」という記述が盛り込まれた。北海道奈井江町長の北良治氏は「医師確保に対して深い理解が書かれたことに敬意と感謝を示す。看護師、薬剤師の確保も重要であり「等」としてほしい」と要望した。

 骨子案で大筋合意し、今後の研究会で細部を詰めていく。

独法化病院、経常収支悪化は「繰入金の減少」
 前回の会議で示された独法化した病院の経常収支比率が、2009年度の104.3%から2015年度には100.1%に悪化しているという資料について、分析結果を事務局が説明した(『不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会』を参照)。医業収支に限定して見ると、2012年度までの上昇傾向を経て、2013年度に減少しその後は横ばいで推移していた。

 一方で、経常収益に対する自治体からの運営費繰入金の割合は2009年度の18.8%から2015年度は12.5%に減少していた。その理由を事務局が自治体に聞き取りをしたところ、収支改善により収支差を埋める運営費繰入金が減少していることが判明した。指定管理者制度でも、2009年度の9.0%から2015年度には6.3%に減少していた。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20170802338434.html
上越の新潟労災病院160床休止
医師減少、稼働200床に

2017/08/02 10:49 新潟日報

 上越市東雲町の新潟労災病院は31日までに、稼働する病床数を200床に減らした。同病院の使用許可病床数は360床だが、常勤医の減少に伴い、160床の休止を決めた。

 新潟労災病院の常勤医は現在20人。昨年9月以降、麻酔医や外科医、泌尿器科医、消化器内科医の常勤医が相次いで異動や退職などしている。

 これに伴い、新潟労災病院は昨年9月とことし4月に2病棟の病床を休止。さらに7月1日、病院運営上の理由から病床削減を行い、計200床とした。現在稼働している機能別病床数は、病気やけがをしたばかりの患者を受け入れる「急性期」157床と、リハビリを重点的に行い、在宅復帰を目指す「回復期リハビリテーション」43床。

 沢野貴博事務局長は、新潟日報社の取材に「医師の退職に伴い、入院患者を受け入れることができなくなった。現在、関係する大学や民間業者などを通じて医師確保に努めており、確保できれば再度、病床を増やしたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548891
「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知
医学部地域枠は原則地元出身者、医師DBも構築

レポート 2017年8月1日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月31日、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、医師の配置が把握できるデータベース(DB)の構築など、計6つの柱から成る医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。2018年度からの第7次医療計画の関連通知は2017年3月31日付で出されていたが、医師確保対策は盛り込まれておらず、社会保障審議会医療部会などで議論、了承された内容を今回の通知で追加した(『医学部地域枠は「地元出身者に限定」、例外も』を参照)。

 医学部地域枠の入学生については、修学資金を貸与する都道府県の地元出身者を原則とし、特に修学資金貸与事業における就業義務年限については、自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)として、地域医療支援センターが当該医師のキャリア形成プログラムを策定する。社保審医療部会では、他の都道府県の大学医学部に地域枠を設ける場合の扱いが議論になった。通知では、こうしたケースも認めるものの、卒業後の臨床研修は出身地の都道府県で受けるほか、勤務地や診療科を限定するキャリア形成プログラムとする。

 都道府県は、地域医療対策協議会において、これらの点を踏まえた医師確保対策を議論、第7次医療計画で地域医療支援センターの事業内容を定めることになる。

【地域医療支援センター事業等の記載にすべき事項】

(地域枠およびキャリア形成プログラムについて)

ア:大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、地域枠の入学生は、原則として、地元出身者に限定。特に、修学資金貸与事業における就業義務年限については、対象者間のばらつきを全国で是正するため、同様の枠組みである自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)とし、これを前提として「イ」に規定するキャリア形成プログラムを策定。

イ:地域枠医師の増加等に対応し、医師のキャリア形成が確保された医師確保が進められるよう、以下の点に留意して、キャリア形成プログラムを必ず策定。

・医師のキャリア形成に関する知見を得ることや、重複派遣を防止するなど医師確保の観点から大学(医学部・附属病院)による医師派遣と整合的な医師派遣を実施することができるよう、キャリア形成プログラムを策定する際には、大学(医学部・附属病院)と十分連携すること。

・大学所在都道府県における臨床研修修了者は、臨床研修修了後、大学所在都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けること。

・医師が不足する地域や診療科における医師を確保するという医学部定員の暫定増の本来の趣旨に鑑み、キャリア形成プログラムにおいて、勤務地や診療科を限定すること。

・特段の理由なく、特定の開設主体に派遣先が偏らないようなキャリア形成プログラムとすること。

・出産、育児、家族の介護の場合や、事前に想定できないやむを得ない特段の事情が生じた場合には、キャリア形成プログラムの内容の変更等について、柔軟に対応できるようにすること。
(医師の勤務負担軽減について)

ウ:医師の勤務負担軽減に配慮した地域医療センターの派遣調整等。

・グループ診療を可能にするよう、同一の医療機関に同時に複数の医師を派遣したり、他の病院から代診医師を派遣するよう斡旋したりすること。

・へき地以外でも代診医師の派遣や遠隔での診療が進むように支援すること。

・地域医療支援センターが医師を派遣する医療機関における勤務環境改善を進めるため、例えば次のような方法により、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターが連携すること。
 
派遣前:医療勤務環境改善支援センターが、派遣候補となっている医療機関の勤務環境を確認し、勤務環境の改善につながるような助言等を行うこと。

派遣後:地域医療支援センターが派遣医師から継続的に勤務環境等について聴取し、課題等を把握した場合は、医療勤務環境改善支援センターが勤務環境を再度確認し、その改善につながるような助言等を行うこと。
(へき地の医師確保について)

エ:地域医療支援センターによるへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地に所在する医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含めた一体的な医師確保を実施。
(その他)

オ:詳細な医師の配置状況を把握できる新たなデータベースの医師確保への活用

カ:地域医療支援センターの取り組みの認知度向上や医師確保対策の実効性向上のため、SNS等の活用や、医師確保対策に若手医師の主体的な参画を促すなど、若手医師へのアプローチを強化。


  1. 2017/08/05(土) 17:14:43|
  2. 未分類
  3. | コメント:0