Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2017年7月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年7月31日
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Doctor Shortage In Rural Arizona Sparks Another Crisis In 'Forgotten America'
NPR‎ - July 14, 20171:18 PM ET (米国アリゾナ州)

For Heather Gijanto, going to the doctor means taking a day off work and driving at least 60 miles round trip from her home in McNeal, Ariz., to the town of Bisbee. And that is assuming there is a primary care doctor available in Bisbee to get her in.

"You select one doctor and then you find out a few months later that that doctor is no longer going to be available," Gijanto says. "So then you have to start the whole process over again. And then you find that doctor and, for whatever reason, that doctor leaves as well."


OP-ED SUBMISSION: Medical schools can solve Canada's rural doctor shortage.
The News‎ - Published on July 28, 2017 (カナダ)

OP-ED SUBMISSION: Medical schools can solve Canada's rural doctor shortage ... Canada is short primary care doctors in part because graduates of Canadian medical schools are growing more reluctant to pursue careers in family medicine. Just one-third of Canadian medical graduates go into primary care.


Doctor shortage affecting NHS crisis care
Scottish Daily Record‎ - 11:08, 28 JUL 2017 (英国スコットランド)

Crisis mental health support for Perth and Kinross will continue to be based in Dundee for the next six months because of a shortage of doctors. The shortfall specifically affects the out of hours arrangement which had been sited at Murray Royal Hospital until February of this year. But an ongoing lack of junior doctors to cover the service means it is now facing being out of the area for at least a year.


New UW program aims to fill a rural doctor shortage
WQOW TV News 18‎ - Jul 24, 2017 6:20 PM JST (米国ウィスコンシン州)

Madison (WKOW) -- A brand-new, first-of-its-kind program at the UW School of Medicine and Public Health is aiming to fill a shortage of doctors in rural areas. Experts predict Wisconsin could be facing a shortage of up to four-thousand doctors by the year 2035. The problem is even more extreme in rural areas and in women's health care.


Georgia Looks To Grenada To Help Ease Doctor Shortage
WABE 90.1 FM‎ - JUL 14, 2017 (米国ジョージア州)

Georgia is taking steps to address its ongoing doctor shortage. Recently, the state's composite medical board decided to let students from St. George's University in Grenada finish their clinical training in Georgia. It's part of an effort to get more primary care physicians to practice in underserved areas.


(他に10位以内のニュースは、米国 (全米、ミシガン州)、カナダ、日本、オーストラリア、からも)



日本の記事
https://asia.nikkei.com/magazine/20170720/Tech-Science/AI-and-deep-learning-could-help-alleviate-a-doctor-shortage-in-Japan
AI and deep learning could help alleviate a doctor shortage in Japan
July 20, 2017 10:00 am JST NIKKEI Asian Review

In the near future, doctors will be using diagnostic imaging technology that employs artificial intelligence to find abnormalities so small even the most knowlegable physician might miss them. Groups of physicians, major computer hardware companies and venture firms are competing to develop this kind of technology, fueling hope that it may help alleviate the shortage of physicians in specialized fields.
(AIによる診断技術の進歩が医師不足を緩和する)



  1. 2017/07/31(月) 18:28:01|
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7月30日 

http://www.medwatch.jp/?p=15067
2017年度の臨床研修医は8439人、地方採用が過去最高の58.2%に―厚労省
2017年7月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatcg

 今年度(2017年度)の初期臨床研修医は、過去最多だった前年から133人減の8489人が採用となり、東京など6都府県を除く道県での採用割合は過去最高の58.2%となった―。

 このような状況が、厚生労働省がさきごろ公表した2017年度の「医師の臨床研修医の採用実績」から明らかになりました(前年度の状況はこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医学部入学定員増を受け、2017年度の研修医採用実績は8439人と高水準
2 都道府県別の研修医定員設定により、地方での研修医採用は58.2%に拡大
3 大学病院での研修が40.4%、臨床研修病院での研修が59.65%

医学部入学定員増を受け、2017年度の研修医採用実績は8439人と高水準

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、「臨床現場に立つためには、医師は2年間以上の初期臨床研修を受ける」ことが必修化されました。「私は◯◯科の医院を継ぐので、他の診療科のことは知らなくて良い。当該科の医師が対応すればよい」と行動することは許されず、将来専門とする分野に関わらず、基本的な診療能力を身につけた医師の養成を目指しています。

 新臨床研修制度は、▼研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▼基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが特徴となっています。ただし、現場の実態とマッチさせるために、新制度の見直し(都道府県別の募集定員に上限を設ける、小児科、産婦人科、精神科に重点を置いたプログラムを認めるなど)も逐次、行われています。

 臨床研修医が2017年度にどれだけ採用されたのかを見ると、8439人で、過去最高だった前年の8622人から133人減少しています。ただし、医学部定員増(地域の医師確保対策2012)の影響も受け、前々年度(2015年度)以前よりは、200人以上多い水準となっています。

都道府県別の研修医定員設定により、地方での研修医採用は58.2%に拡大

 臨床研修医の採用状況を都道府県別に見ると、大都市を抱える東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡の6都府県の割合は2017年度には41.8%(前年度から0.8ポイント減)となりました。逆に、これら6都府県を除く道県の割合は過去最高の58.2%(同0.8ポイント増)となっています。新制度スタート前の2003年度には、6都府県の割合が51.3%だったので、13年間で9.5ポイント下がっています。
(図 略)
2017年度、都市部(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡)の初期臨床研修医採用割合は41.8%、それ以外の地方部採用割合は58.2%となった
(図 略)
都市部(東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡)の初期臨床研修医採用人数は3546人、それ以外の地方部採用人数は4943人となった
 
 この背景には前述の「都道府県別の募集定員上限」設定があります。臨床研修医が大都市に集中しているとの批判を受けて定員を設定したことによって、「地方へ分散」という流れが生まれていると言えます。将来的にも、都市部においては上限を厳し目に設定する方向で議論が進んでいます(関連記事はこちら)。
 臨床研修医の採用実績が増えた上位5県、および今年度の採用人数を見ると、(1)長崎県116人(前年度に比べて32人・39.8%増)(2)福井県62人(同13人・26.5%増)(3)徳島県63人(同12人・23.5%増)(4)島根県59人(同9人・22.9%増)(5)鳥取県50人(同9人・22.0%増)―となっています。厚労省の分析によれば、「臨床研修を受けた都道府県で、研修修了後も勤務する医師が多い」ことが分かっており(関連記事はこちらとこちらとこちら)、地方部で臨床研修を受ける医師の増加は、長い目で見て医師の地域偏在是正に相当の効果があると期待できます。

大学病院での研修が40.4%、臨床研修病院での研修が59.65%

 新制度の実施前(旧臨床研修制度)は、卒業した医学部の附属病院で研修を受ける医師が圧倒的多数を占め、大学病院での研修が7割超を占めていました。

 しかし、新制度では「研修医が研修先病院の希望を出せる」ため、大学病院以外の臨床研修病院で研修を受ける医師が増加しています。「大学病院で研修を受ける医師」と「臨床研修病院で研修を受ける医師」の比率は、新制度がスタートした2004年度には55.8対44.2になり、翌05年度には49.2対50.8と、臨床研修病院で研修を受ける医師のほうが多くなりました。研修医の受け入れを希望する病院が、特色ある研修プログラムを準備したり、研修医に厚い待遇を用意したりしたことが大きいようです。

 その後、11年度からは臨床研修病院で研修を受ける医師の割合がさらに増加傾向を強まり、2017年度は40.4対59.6(大学病院での研修割合が40.4%)となり、0.1%とわずかですが大学病院での研修割合が減少し、臨床研修病院での研修割合が増加しています。
大学病院と臨床研修病院とで、採用割合の差はさらに開き、大学病院40.4%、臨床研修病院59.6%となった
大学病院と臨床研修病院とで、採用割合の差はさらに開き、大学病院40.4%、臨床研修病院59.6%となった
(図 略)
2017年度、大学病院における初期臨床研修医の採用数は3432人、臨床研修病院は5057人となった
 
 なお、この点について全国医学部長病院長会議では「地方大学における臨床医不足が、関連病院、つまり地域の医師不足・偏在を生んでいる」とし、初期臨床研修制度の「抜本見直し」が必要と訴えています。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/546262
m3.com全国医学部長・学長アンケート
医師の働き方改革、アイデアさまざま◆Vol.3
事務補助や時短で負担軽減、勤務実態把握が課題

スペシャル企画 2017年7月26日 (水)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

 社会全体を覆う潮流となった感のある「働き方改革」は、医療も例外ではない。2016年1月に新潟県内の市立病院で女性研修医が過労自殺して今年労災認定を受けた他、病院が労働基準監督署に長時間労働などについて是正勧告を受けた事例もある。

[連載第1回はこちら]
Q:政府が進める働き方改革では医師についても争点になっております。「働き方改革実行計画」では医師の時間外労働の上限規制は5年猶予されることになりましたが、現段階で、貴大学・医学部で、教員(職員)の勤務時間の適正化の取り組みをされているでしょうか。

 働き方改革を「実施している」が11人、「実施していない」が7人だった。

【実施している】
【京都府立医科大・竹中洋学長】医師の負担軽減を図るため、医師事務補助を配置。育児や介護等と仕事の両立を図るため、短時間勤務(特定専攻医)制度を創設し、短時間勤務を希望する医師については短時間勤務を認めるとともに、時間外勤務、宿日直業務等を免除。短時間勤務を行っている医師の代替としては、京都府の女性医師等就労支援事業を活用し、当該診療科に有期雇用職員を雇用。社会人大学院制度の導入に伴い、教員の勤務時間に「遅出勤務」を設定。普通勤務:8時30分~17時15分(うち休憩1時間)、遅出勤務:11時00分~19時45分(うち休憩1時間)。学長特別補佐として男女共同参画社会担当に加えて、新たに働き方改革担当を定め、方向制を求めている。

【島根大・山口修平医学部長】適正化の実施は行っている。一部の診療科で長時間労働が解消されにくい現状があり、毎月の医学部附属病院合同の安全衛生委員会において検討をしている。部局に対しては対策案の提出を依頼し、本人に対しては産業医との面接勧奨などを行っている。またワークライフバランス支援室の活動も重視している。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】本学では勤務報告書の提出による自己申告制を採っており、提出された勤務報告書に休暇・出張・兼業等の報告や過小に申告された労働時間がないか、担当事務での確認作業を実施している。また、労働時間の実態を正しく記録し適正に自己申告を行うよう学内のホームページで周知している。1カ月100時間以上の過重労働を行った教員には病院長が自発的に対象者にヒアリングを行い、業務負担を把握した上で問題点の改善が可能か検討している。

【広島大・秀道広医学部長】全職員が、毎年任意の2週間の勤務時間の内訳を報告することを義務づけられている。また、ストレス度チェックの自己点検の結果を提出することが義務づけられており、過剰労働に対しては労働安全の視点から勧告、介入がなされる仕組みである。

【横浜市立大・井上登美夫医学部長】

<臨床系>医師の時間外勤務状況について、安全衛生委員会に報告し、特定の者に偏って負担がかかっていないか確認している。法定労働時間を超過して時間外勤務している医師について、「長時間労働自己チェックリスト」を配付、回収し、心身の状況を把握するとともに、必要に応じて健康管理室が介入している。病院長と各診療科部長等との意見交換の場を通じて、適正な人員配置について検討している。

<基礎系>裁量労働制を導入しており、「勤務実績及び健康状態自己申告書」を毎月配付、回収したうえで、勤務時間が長時間(週63時間以上)にわたる者がいないか、確認している。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】臨床系教員の多くが病院(勤務)と兼務しているが、やはり当直明け等の、休日振り替えなどがやっと実施されつつある程度です。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】医局での自己研鑽を勤務時間に入れないことを徹底している。

【実施していない】
【富山大・北島勲医学部長】実態調査と個人面談の段階である。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】医師不足のためできません。男女共同参画の視点から、一部の診療科の女性医師についてはかなり改善されていますが…。

【山形大・山下英俊医学部長】実施には至っていないが実態把握が重要と考え、その方法を検討している。

【福井大・内木宏延医学部長】現在のところ、特になし。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/546361全国医学部長・学長アンケート
長時間労働、一定の管理を◆Vol.4
研究の扱いは「別次元の話」

スペシャル企画 2017年7月28日 (金)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

Q:医師、研究者に対する、時間外労働の上限規制の適用について、お考えがあればお聞かせください。
【一定の規制や管理は必要】

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医療人のQOLを高めるのは、医療の質を維持するとともに医療人のキャリアアップを図る上で必要なことは言うまでも無い。過度な研究レースの行き着く先が研究不正であり、安定した生活の保障も医学研究を推進する上で必要な要件である。とはいえ、残業時間を規制したからと言って、これらの問題がクリアできるとも思えないし、何より現場の医師数がまだまだ足りない。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】医師の過重労働は、その影響が患者に及ぶのでしっかりとした管理が必要である。一方、救急や緊急手術など杓子定規の規定では対応できない現場もある。また、人手不足で、規制の程度によっては診療が成り立たなくなる場合もある。この辺りが5年猶予の理由であろうか。研究者について、実験の種類によっては処理や観察を長時間連続的に行う必要がある場合がある。また、ある程度実験(勤務)の計画・時間を自分の裁量でコントロールできるので、当面は規制の適用は必要ないのではないか。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】医師については残業が過剰になることがある程度やむを得ない場合があるが、規制は適用して改善の手段を講じる必要がある。研究者についてはできるだけ無理のない計画を立てるように指導することで規制せずに済むような方略を見出せると考えている。

【福井大・内木宏延医学部長】医師に関しては,残業上限を規制することとなった場合、残業時間の削減を含む一層の医師の負担軽減につながる取り組みを検討する必要があると考える。ただし、医師を含む教員全般の研究活動を、残業上限を理由に規制することは、法制上はともかく研究者個人としては受け入れ難いものとなる可能性が高いため、現在、一部の教員を除き適用している専門型裁量労働制を過度な長時間労働とならないよう健康管理に留意しつつ、適切に運用することを徹底することとなると思われる。

【研究の扱いが問題】
【富山大・北島勲医学部長】研究に対する残業の考え方が明確ではない。医師は業務による残業と研究による残業を区別すべき。

【兵庫医科大・野口光一学長】臨床業務としての残業と、研究としての超過勤務は全く別次元の話である。他業種のように労働時間規制を厳格に適用して、医療機関が経営的に成り立つとは今の日本では考えられない。

【京都府立医科大・竹中洋学長】現在のところ特にない。研究者については、裁量職とも考えている。
【残業規制を適用すべきでない】
【大阪市立大・大畑建治医学部長】高難度手術の最中に、時間ですから手術は終わります、と患者に言えるのか?この問題を考えてほしい。患者の命を救うことを第一に考えている医師には、受け入れることはできない。それぞれの医師の裁量に任せるべきである。

【島根大・山口修平医学部長】医師、研究者の働き方は裁量性にすることで、トータルでバランスを取るべきと考える。



https://ryukyushimpo.jp/news/entry-541536.html
医師の確保を要請 北部市町村会が県に
2017年7月25日 12:33【琉球新報電子版】
医師不足 診療 制限

 県立北部病院が医師不足によって、8月から外科の診療を制限する問題で、北部市町村会(高良文雄会長)は25日午前、県庁に浦崎唯昭副知事を訪ね、医師確保を要請した。
 要請文は外科の診療制限問題について「『県立病院の充実強化を図る』との知事の公約に矛盾し、外科医師不足という一端が表面化しただけで、他の診療科も危機的な状況にある」などと指摘し、県の早期対応を強く求めている。要請で浦崎副知事は「1日も早い(医師不足の)解消を図ることが大事で、全力を挙げていきたい」と述べた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170724172012
「病院総合医」プログラムの受け付け開始へ
10月にも、日病

2017年07月24日 18:00 CB News

 日本病院会(日病)は24日に定例記者会見を開き、来年春にスタートする日病版の「病院総合医」について、会員病院からのプログラムの受け付けを10月にも開始すると発表した。日病のワーキンググループ(WG)では来月中にも、研修の内容や評価方法などの細則をまとめ、9月の常任理事会に諮る見通しだ。【敦賀陽平】

 来年春に始まる新専門医制度では、内科や外科などと並ぶ基本診療領域の一つとして、「総合診療専門医」が位置付けられているが、日病内部では「プライマリケアを目指す診療所の医師は育成できても、病院の総合医は育たないのではな...
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http://www.medwatch.jp/?p=14951
卒後6年以上の医師を対象に、2018年度から「病院総合医」養成開始—日病
2017年7月24日|医療現場から MedWatch

 多くの病院で求められている「病院総合医」を日本病院会として認証する制度について、来年4月からの運用開始を目指した検討を進めている。卒後6年以上の医師を対象として、▼医療安全 ▼感染対策 ▼栄養サポートチーム—などのチーム医療の実施や、地域医療全般に配慮できる能力などを2年間の研修期間で身に着けてもらうことを想定している—。

日本病院会が24日に開いた定例記者会見で、末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)がこういった構想を明らかにしました。

また相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)からは、「公的医療機関などに『改革プラン』の策定が求められることになるが、それを地域医療構想調整会議(以下、調整会議)における本質的議論のきっかけにしてほしい」との考えが示されています。

ここがポイント!
1 将来の幹部候補ともなる「病院総合医」を養成、各病院団体とも連携
2 地域医療構想調整会議、「特定集団による偏った議論」ではいけない
3 大規模災害時の統一診療録となる「災害診療記録」(J-SPEED)

将来の幹部候補ともなる「病院総合医」を養成、各病院団体とも連携

 中小病院では人手不足の中で「総合的な診療を行える能力を持つ医師」の確保が急務とされ、大病院においても「専門診療科の隙間に陥ってしまいがちな、複数疾病を持つ高齢者に総合的な診療を提供できる医師」の確保が求められています。日病では、前堺会長時代から、こうした能力を持つ医師を、「病院総合医」として新たに養成・認証していく制度の構築を進めています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

新専門医資格の1つとして総合診療専門医の養成が始まる見込みですが、末永副会長は「総合診療専門医は、主にクリニックにおいてプライマリケアを提供する能力に主眼を置いているとの意見もある。そこで、日病では、これとは別に『病院で必要とされている総合医』の養成を目指していく」と説明しています。

日病において「病院総合医育成プログラム基準」を定め、会員病院がこの基準に則って「育成(研修)プログラム」を作成し、これを日病が認証します。「病院総合医」を育成したいと積極的に考える病院が、この基準に沿って育成(研修)プログラムを作成し、自院の医師を対象に研修を行うことが想定されます。

研修の受講対象は「卒後6年以上の医師」で、認証されたプログラムに沿って2年間(後述するように経歴による短縮も可能)の研修を受け、求められる水準に達していることが当該病院・日病で確認された後に「病院総合医」資格が与えられます。育成(研修)プログラムの内容、つまり「病院総合医に求められる能力」として末永副会長は、▼医療安全 ▼感染対策 ▼栄養サポートチーム—などのチーム医療の実施や、地域医療全般に対応する能力(地域医療構想や地域包括ケアシステムへの配慮)などを例示しました。もっとも卒後6年以上の医師が対象となるため、研修と臨床を同時並行で実践しなければならないことから、高すぎるハードルは設定せず、例えば「医療安全については、日病の開催する医療安全管理者養成講習会の受講などで対応する」など現場に配慮した育成(研修)プログラムとなる見込みです。

病院総合医の育成は、JCHO(地域医療機能推進機構)などでも進められる模様で、末永副会長は「日病独自の制度であるが、各病院団体の取り組みを尊重し、認証しあう(例えばA団体で育成研修を受けた場合には、重複する項目については日病の育成研修の当該項目受講完了とみなすなど)仕組みとしたい。いわば各病院団体のミニマムリクワイアメント(最低限必要な研修内容)とする」との考えも示しています。このため、すでに総合診療を実施している医師や、他団体の研修を受講している医師などでは、研修期間が短縮されることになります。今後、「研修期間をどの程度に短縮していくか」「どのような場合に短縮を認めるか」といった点を詰めていくことになります。

日病では、8月から9月初旬にかけて到達目標や認証基準などを盛り込んだ運用細則を固め、10月より「各病院からの育成(研修)プログラム募集」を受け付け、来年(2018年)4月から「病院総合医」育成制度を運用開始したい考えです。

さらに末永副会長は、「病院総合医」育成制度の理念として(1)包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療力を有する医師の育成(2)複数診療科、介護、福祉などの分野と連携・調整し、全人的に対応できる医師の育成(3)医療・介護連携の中心的役割を担える医師の育成(4)チーム医療を推進できる医師の育成(5)地域医療にも貢献できる医師の育成―の5点を示し、「総合医が便利屋扱いされてはいけない。院内でも尊敬され、将来の幹部候補となる病院総合医を育成したい」と強調しています。

地域医療構想調整会議、「特定集団による偏った議論」ではいけない

 24日の会見では、相澤会長から「地域医療構想や新専門医研修プログラムのチェックを行う協議会設定など、医療政策に関する権限が都道府県に移譲されてきている。そこには、さまざまな機能を持った病院代表が参画して議論が行われる必要があり、日病の支部役員などが『調整会議などの場への参画できる』ようにすべきである」との考えも示されました。

調整会議では、すでに都道府県が策定した地域医療構想の実現に向けて、地域の医療関係者が集って「機能分化や機能転換」などに向けた協議を行いますが、地域によっては病院団体の代表が参加できないケースがあると言います。相澤会長は「さまざまな機能を持った病院がある。特定の集団の意見のみでは偏った議論になりかねない(ひいては偏った機能分化にとどまってしまう)」と述べ、常任理事会で「各支部から都道府県の担当者に参画要請を行ってほしい」と要請したことも明らかにしました。

ところで19日に開催された厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織)では、公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院などで、公立病院改革プランと同様に「改革プラン」を作成し、各地の調整会議に提出する方針が固まりました。この点について相澤会長は、「公的病院などでは、域において果たすべき役割が決められており、率先して『自院の役割』などを明らかにすべきであろう。そこから調整会議の議論は始まる。残念ながら、多くの想調整会議は『皆で考えていこう』という場には、まだなっていないようだ。公的病院が改革プランを示し『自院はこういう役割を果たしたい』と意思表明することが、『皆で地域の医療を考える』きっかけになると期待している。そのためにも、調整会議には、さまざまな機能を持つ病院の代表が参画して議論することが大切である」と強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

大規模災害時の統一診療録となる「災害診療記録」(J-SPEED)

 なお、24日の定例会見には、丸山嘉一氏(日本赤十字社医療センター国内医療救護部長、国際医療救援部長)も列席し、▼日本医師会 ▼日本集団災害医学会 ▼日本病院会 ▼日本診療情報管理学会 ▼日本救急医学会 ▼国際協力機構(JICA)―の6団体で構成される「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」がまとめた統一診療記録様式『災害診療記録』(日本版SPEED:Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters、J-SPEED)についての報告もありました。

そこには患者の氏名や居所(避難所など)、状態(外傷、精神状態)、禁忌(アレルギーなど)、常用薬などが記載され、円滑な医療提供に大きく貢献しています(例えば精神状態を診てDPAT(災害派遣精神医療チーム)につなぎ、自殺を食い止めたなど)。さらに、記録を収集・解析することで災害時の疾病構造が明確になり「DMAT(災害時派遣医療チーム)の撤収時期決定」などにも活用できることから、厚労省は「被災者の診療録の様式は『災害診療記録』を参考にする」よう、通知「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」(2017年7月5日付)の中で都道府県知事に要請しています。

丸山氏は、今後「迅速な情報フィードバックのために、災害診療記録の集積・分析をどこで実施するか」などの課題解決に向けた検討を進める考えを示しています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/547472
日病独自の「病院総合医」、2018年4月から育成
相澤会長、地域医療構想「会議に積極的に参加を」

レポート 2017年7月25日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会副会長の末永裕之氏は7月24日の定例記者会見で、日病として独自に育成する「病院総合医」制度の検討状況について報告した。この制度は新専門医制度で19番目の専門医として位置づけられる「総合診療専門医」とは別に日病が認定するもので、2018年4月の運用開始を予定している。末永氏は「総合診療専門医を否定するものではなく、それとは別に、病院から今求められている総合医を育成しようということだ」と方向性を説明した(関連記事は『日病が「総合診療医」養成を検討』を参照)。

 末永氏は、日病独自の認定制度を設ける理由として、中小の病院では専門医を多く集めることが難しいために総合医が必要であり、大規模病院についても、「『これしか診ない』という専門医が隙間的なところを押しつけ合ったり、多くの疾病を持つ高齢者が増えている状況で、必要なのは総合医だ」として日病内で意見が一致したと紹介。また、「新専門医制度の中で、病院総合医をサブスペシャルティにしてくれと言っても、話が進まない」とも指摘した。

 会員病院の日本赤十字社や済生会、地域医療機能推進機構(JCHO)などでもそれぞれが自前で養成しようという動きも進んでいるとして、日病としては「ミニマムリクワイアメント」(末永氏)としてのプログラムを策定すると説明。2017年6月に「病院総合医育成プログラム基準」を策定済みで、現在はその施行細則の策定を進めており、9月を目途にまとめる予定。卒後6年以上の医師を対象とし、研修期間は2年だが、既に総合診療医としての実績がある場合は短縮可能とすることを検討している。末永氏は目指す病院総合医のイメージとしては、「“便利屋”ではなく、病院内で尊敬され、将来的には幹部職員になっていけるような人たちを作りたい」と述べた。

地域医療構想、調整会議や協議会に積極参加を
 日病会長の相澤孝夫氏は、7月19日の常任理事会で会員病院に対し、地域医療構想の都道府県ごとの調整会議や協議会に、日病の支部長や会員病院が積極的に参加できるよう、都道府県に働きかけることを要請したことを報告。こうした会議体が、都道府県によってはうまく機能している一方、病院団体が参加できていないケースもあると指摘。「ある集団だけの意見を聞くのではなく、色々な機能を持った病院の意見を聞くのが当然。県任せにしているのではなく、会員も積極的に参加してほしい」と述べた。

統一診療記録様式、熊本地震で効果
 日本医師会や日病など3団体と3学会で組織する「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」副委員長の丸山嘉一氏は、委員会で作成した「災害診療記録」の様式と、集計システムの「J-SPEED(Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters)」が、2016年4月の熊本地震で活用され、成果を上げたことを報告(委員会の報告書と様式は日本診療情報管理学会のホームページ)。 東日本大震災の宮城県における診療録についての調査で、無作為に抽出した3500件の中に37もの様式があり、統一の様式の必要性が認識されたことから、同委員会で作成されたもの。

 熊本地震が2016年4月14日以降発生し、同月25日に熊本県庁から医療・救護活動関係者にこの様式とJ-SPEEDの使用が通知され、それ以降の記録984件のうちこの様式を用いたものは89.7%の883件あった。J-SPEEDでは疾病の概況をウェブで入力でき、集計は産業医科大学公衆衛生学教室が担当。48日間で353の救護チームから患者8089人、1828件の報告があり、これを集計したことで、疾病の動向や災害関連の患者が減少していく状況を把握できるなどの効果があったという。

 今後の運用の課題として、丸山氏はこの様式を医師法における「診療録」とするためには運用面や法的な問題が残っているとし、「熊本でデータを入力し、産業医大で集計し、また熊本に戻す作業がかなり大変だった。首都直下地震や南海トラフ巨大地震が起こった場合に、どこがこれをまとめることができるか」という点も挙げた。



http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2017/07/24/JD0055975539
求む若手医師 県、人材確保へ勧誘に力
7月24日大分合同新聞朝刊

 県が大都市の医学生や若手医師らの勧誘事業に乗り出した。第1弾として、新人医師の臨床研修を受け入れている県内の病院見学バスツアーを8月に実施。秋は大分にゆかりのある関東在住の医師らを集めた交流会を東京で開く予定だ。県内では医師不足の地域が多く、あの手この手で医療の担い手確保を狙う。

 県医療政策課によると、県内の医師は2014年時点で3054人。人口10万人当たりでは260.8人と全国平均(233.6人)を上回ったものの、集中する大分、別府、由布3市以外の市町村は平均を大きく下回るなど、偏在が課題となっている。
 県は毎年、大分大学医学部などの医学生を対象にした臨床研修病院の合同説明会を大分市内で開き、卒業後2年間の初期研修先に県内の病院を選んでもらおうとアピールしている。県内で研修した医師の定着率は約8割と高く、県外の医学生にも積極的に大分の魅力を訴えて安定的に人材を確保しようと、バスツアーを企画した。
 ツアーは8月8、9日の1泊2日。参加者は3コースに分かれ、臨床研修指定の3病院をそれぞれ訪問する。一度に複数の病院を見学できるのがメリットで「実際に現場を見て、大分での研修を考えるきっかけにしてほしい」と同課。
 医学生は地方の病院よりも、都市部で研修を希望する傾向にある。別府市内の病院幹部の一人は「都会の病院は多数の研修医を受け入れるため、1人当たりの経験が限られることもある。大分は少人数で手厚い指導を受けることができる」と語る。
 東京で開催予定の交流会は、即戦力となる県出身の医師や医学生らの確保が狙い。大分大などのネットワークを活用して卒業生らに呼び掛け、帰省や移住などのUIJターンを促したいという。
 同課は「少しでも県内各地域の医師不足解消につなげたい」と話している。

<メモ>
 バスツアーはJR大分駅発着。無料。Aコース(県立病院、済生会日田病院、新別府病院)、Bコース(大分岡病院、厚生連鶴見病院、大分大医学部付属病院)、Cコース(大分赤十字病院、別府医療センター、中津市民病院)があり、定員は各10人。県外在住の医学生は旅費を一部補助するが、県外での研修予定者は対象外。宿泊先は各自で手配が必要。7月末締め切り。申込先は大分大医学部地域医療学センター(TEL 097-586-6306)。



https://mainichi.jp/articles/20170724/k00/00m/040/078000c
厚労省方針
地元出身医師を支援へ 「地域枠」限定

毎日新聞2017年7月23日 23時07分(最終更新 7月23日 23時56分)


 医師の地域偏在解消に向け、厚生労働省が、大学医学部に設けている現行の「地域枠」について、対象を地元出身者に限定するよう、財源負担などで制度を運用する各都道府県に要請する方針を固めたことが22日、分かった。原則として出身県の医学部に通い、卒業後も一定期間、周辺地域の医療機関で働く人であれば、奨学金の返済免除などの支援を行う。地元出身者は地域への定着率が高いとの調査結果もあり、医師不足に悩む地域への対応として注目される。

 厚労省は今月末に都道府県に通知し、2018年度には地元出身者に限定した運用をスタートさせたい意向。担当者は「地域枠制度の効果をより一層高めることになる」と期待する。

 地域枠は、医学部卒業後に周辺地域で勤務することを条件に奨学金を出すなどの制度。現行制度では地元出身者以外も対象に含まれており、卒業生の中には条件を守らず大都市圏での勤務を選ぶ人もいるなど問題点が指摘されている。

 厚労省や文部科学省によると、地域枠は16年度、全国71の国公私大が導入し、入学定員は医学部全体の約5分の1となる計1617人。うち約半数の783人分については、都道府県や各大学が独自に近隣地域の出身者を対象としている。

 厚労省は15~16年、医学部卒業後、2年にわたって実施される臨床研修の修了者に対する調査を実施。地域枠で入学した人で、医学部の立地地域で勤務先を選び、そのまま定着した割合は68%だったのに対し、地域枠も含めた地元出身者で見ると定着率が78%に上っていることが確認された。

 こうした状況を踏まえ、将来の医療ビジョンに関する同省の有識者検討会は今春、「規制的手段で強制的に(地方に)誘導・配置すれば医師は足りる」としてきた従来の発想を否定。都道府県が地元出身者枠の創設・拡大を大学医学部に要請することなどを提言していた。(共同)



https://ryukyushimpo.jp/news/entry-544125.html
軽症なのに「救急ヘリを」 竹富診療所、観光客対応に疲弊
2017年7月29日 05:00 琉球新報

竹富島 竹富診療所 観光客

 【竹富島=竹富】年間約50万人の観光客が訪れる竹富町竹富島で唯一の医療機関である町立竹富診療所が、一部の観光客の過大な要求に悩んでいる。軽症にもかかわらず夜間に「救急ヘリを呼んでほしい」などの求めがあるなど、現場が疲弊しているという。診療所は「離島の医療資源は限られており、そのことを知った上で宿泊してほしい」と訴えている。

 竹富診療所は所長の石橋興介医師(38)と看護師、事務職員の3人で運営されており、診療時間外の救急診療では、3人に加えて日中は別の職を持つ消防団員も駆け付ける。

 一方で、島内ホテルの宿泊客の一部からは「コンタクトレンズが外れない」という相談や、微熱で必要性が低いにもかかわらず夜間の診療を求められるケースもあり、その中には「船をチャーターしてほしい」「ヘリを呼んでほしい」などと要求をする観光客もいるという。

 竹富島では2009年4月~11年4月の2年間と14年7月~15年3月の9カ月間、常勤医が不在だった。石橋医師は「歴代の医師が抱えていた問題で、所長を離れる要因の一つになっている」と語る。「むちゃな要求をする観光客は感覚的に増えている印象がある」とする。

 「観光客はもちろん大切だが診療所は本来、島民のためにある。島民が診療所の負担を考えて急診を控える一方で、一部の観光客が安易に急診で夜間に呼び出す現状を知ってほしい」と強調する。

 竹富公民館長の上勢頭篤館長は「負担がさらに増えた結果、医師がいなくなって困るのは島民だ。観光客も都会感覚での急診は控えてほしいし、ホテルなどのオーナーも宿泊客に安易に急診しないよう呼び掛けてほしい」と求めた。(大嶺雅俊)



http://www.suzaka.ne.jp/news/?subaction=showfull&id=1501279253&archive=&start_from=&ucat=4
【旧須坂病院28年度決算】診療単価は前年度上回る〜地域包括ケア病棟のリハ訓練も増
2017-07-29 07:00 am by 須坂新聞

お知らせ icon 県立病院機構(久保恵嗣=けいし=理事長)が運営する県立信州医療センター(須坂市立町、寺田克=まさる=院長)の平成28年度決算が24日、運営協議会(会長・三木市長、16人)で報告された。医業収益は52億3,000万円で前年度比1億2,900万円の減。医業費用は61億5,900万円で同3,100万円の減。当期純損益は700万円の黒字。機構経費を5病院2老健で案分した須坂の損益は9,200万円の赤字となった。
 入院は86,214人で前年度比7,513人の減(92%)。外来は延べ121,387人で5,618人の減(95.6%)。1人1日当たりの診療単価は入院41,868円(105.1%)、外来11,472円(104.7%)。平均在院日数は15.2日。病床利用率は76%。
 地域包括ケア病棟は開設3年目。急性期治療後、在宅等へ橋渡しするためのリハビリや疾患見守りなどに対応する病棟。受け入れが延べ503人(27年度533人)。内訳は、同院入院から403人(同426人) ▽急性期病院等から86人(同95人) ▽レスパイト入院(在宅介護家族の代替)14人(同12人)。
 退院は延べ495人(同494人)。内訳は在宅へ340人(同333人)▽介護老人保健施設へ74人(同103人) ▽転出・社会福祉施設・介護老人福祉施設へと死亡の合計81人(同58人)。
 28年4月からリハビリテーションスタッフを増員し、8月から地域包括ケア病棟で365日リハビリ訓練と同病棟以外の病棟で土曜・祝日リハビリ訓練を開始した。地域包括ケア病棟での実施単位数は、運動器疾患で16,382(27年度11,214)など。
 同医療センターの29年度目標は、内視鏡検査8,300件(28年度実績比で1,695件増)。分娩180件(同98件増)。感染症センター(仮称)を開設し、感染症専門医常勤2人による専門医療の提供や、海外渡航者外来の実施、感染症専門医・薬剤師・看護師の研修などを行う。また、30年5月の電子カルテ更新を準備する。
 久保理事長は「東棟(新棟)がオープンした。内視鏡センターや外来化学療法室、健康管理センター、地域医療福祉連携室が機能強化される。昨年8月から分娩取り扱いを休止していた産科は、今年4月から産婦人科医2人が配置でき、再開できた。最初の分娩が5月にあり、今後順調に産科と婦人科の診療強化が図られるものと思っている。名称変更に大きな期待を寄せているが、地域の信頼に応える病院となるよう引き続きご支援をいただきたい」と述べた。
 8月から10月まで既存棟(南棟)を改修。10月21日の病院祭でグランドオープン(竣工=しゅんこう=式)を予定している。



http://www.medwatch.jp/?p=15036
有床診、2017年5月末に10万466床、7月に10万床切るペースで減少―医療施設動態調査(2017年5月)
2017年7月27日|医療計画・地域医療構想MedWatch

 今年(2017年)4月末から5月末にかけて、病院の一般病床数は60床、療養病床は115床増加した。また有床診療所数は29施設・407床減少し、7397施設・10万466床となった。一方、無床のクリニックは107施設増加し、9万4385床となった―。

 このような状況が、厚生労働省が26日に公表した医療施設動態調査(2017年5月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。有床診は現在の減少ペースが続けば、今年(2017年)7月に10万床を切り、来年(2018年)9月に7000施設を割る見込みです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547671
日病協、地域包括ケア病棟に関する議論を注視
DPCは「実額ベースで議論を」

レポート 2017年7月25日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は7月25日の定例記者会見で、中央社会保険医療協議会での地域包括ケア病棟入院料に関する議論について、「2018年度診療報酬改定の目玉になると考えている。地域包括ケア病棟を持っている病院に、かなりの影響が及ぶのではないかと危惧している」と述べ、日病協として行方を注視していく意向を示した。

 地域包括ケア病棟入院料については、中小病院を想定した設定であり、国公立や公的病院など大規模な施設が経営のために届け出を行うケースを批判する意見が中医協で出ている(『地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」』、『地域包括ケア病棟、「中小病院評価を」』を参照)。原澤氏は同日の代表者会議で「急性期リハビリテーションも評価できるような地域包括ケア病棟入院料は残してほしい」、「大病院でもリハビリは十分やれるような地域包括ケア病棟は残してほしい」などの意見が出たと紹介。「地域包括ケア病棟を持つことの意義を踏まえていろいろな意見があることを踏まえ、中医協で議論をしてほしい」と述べた。

 これに関連し、代表者会議では、地域包括ケア病棟協会(仲井培雄会長)の日病協への加入について、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏から推薦状が提出され、次回の会議で協議することが決まった。地域包括ケア病棟協会が法人格を有していないことを懸念する意見も出されたが、原澤氏は「地域包括ケア病棟の議論には現場の意見が必要だろうということで、次回議論する」と述べた。

DPC、「実額ベースで議論必要」
 日病協副議長で、中医協の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会委員でもある山本修一氏は、7月19日の同分科会で、調整係数の置き換えに伴う激変緩和措置に、1年間などの一定の上限を設定することを厚生労働省が提案したことについて、「実額ベースで、具体的にどれくらいの病院がどれくらいの金額で影響を受けるか、という議論が必要だ」との意見が出たことを紹介。「非常に大きな金額が動くようであれば、1年ではとても吸収できないこともあり得る。詳細な検討が必要と考えている」と述べた(資料は厚労省のホームページ)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547206
真価問われる専門医改革
「連携施設メーン」専門医研修も可、厚労省強調
地域医療研究会研修会、2018年度開始への不安相次ぐ

レポート 2017年7月23日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国の医療機関や医師らで構成する地域医療研究会は7月23日、「日本の専門医制度の行方と問題点」をテーマに都内で研修会を開催、基調講演した厚生労働省医政局医事課医師養成等企画調整室室長の堀岡伸彦氏は、新専門医制度について、「連携病院で採用した専攻医については、専攻医の希望があった場合、でき得る限り長期間、連携病院における研修期間を設定することが可能」と説明した。大学病院や地域の基幹病院などの基幹施設と連携病院をローテーションする「循環型」の研修プログラム制を問題視した参加者への回答だ。

 「循環型」の研修プログラム制に対しては、専門医研修を長年単独でやってきた病院から、これまでの取り組み、ひいては地域医療が瓦解する懸念が呈せられたほか、研修の質担保の面でも問題があるとされた。

 堀岡氏は、単独で専門医研修が可能な施設にも、「循環型」の研修プログラム制を求めるのは、「個人的には、理不尽だと思っている」と述べたものの、新専門医制度のたたき台となっている、2013年4月の厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」の報告書で提言されたと説明。基本領域を19と決めたのも、同報告書であり、現時点では医療法に基づく広告可能な診療科以外も含まれており、「新専門医制度がスタートした時点で、広告との関係は検討しなければいけないだろう」と見通した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、同検討会の座長を務めたのが、当時の日本医学会会長の高久史麿氏であることを踏まえ、基本領域を19とすることや、「循環型」の研修プログラム制の導入に対し、「なぜこの時点で各学会が協議をしたり、問題提起をしなかったのか。それが分からない」と指摘した。日本医学会は、各学会(分科会)を束ねる立場にあるためだ。

 新専門医制度については、専攻医の身分保障を求める声も上がった。医師法で制度化された初期臨床研修制度と異なり、専門医研修は任意の制度のため、各研修施設への国の補助金は出ない。初期研修医よりも、専攻医の給与は低いケースがあることや、「国立病院機構の病院から連携施設に移る場合、いったん自主退職しなければいけないのか」など、具体例を挙げた質問が出た。

 堀岡氏は、自身が厚労省から県に出向した事例を挙げ、同様に研修施設間の異動でも“自主退職”という形態は取るものの、退職金などの支払いは伴わず、出向という扱いで済むと説明。

 日本専門医機構は、2018年度の新専門医制度の開始に向けた準備は整ったとしている(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。今後、各基本領域で専門研修プログラムの審査・認定の準備が進められる。「その結果、地域医療への影響が見受けられたら、制度のさらなる変更や、専門研修プログラムの認定取消なども含めてやってもらいたい。厚労省としてもきちんと対応していく」(堀岡氏)。

 指定発言した日本医師会副会長であり、日本専門医機構の監事も務める今村聡氏は、同機構の今後の課題の第一として、「的確な情報発信」を挙げた。同機構は2016年7月に執行部交代があり、以前よりは改善されたものの、情報発信が不十分であることが、「さまざまな誤解の一因になっている」と指摘。監事の立場から同機構に対し、「何が決まって、何が決まっていないのか」などを情報発信する必要性を繰り返し要請していると説明した。

 堀岡室長「学会での運用がポイント」
 研修会は、堀岡氏の基調講演、今村氏の指定発言の後、フロアとの質疑応答という流れで、約3時間半にわたって開催された。

 堀岡氏は、新専門医制度設立の経緯や諸外国の制度などを説明、さらに2016年6、7月にかけて2017年度からの新専門医制度開始が延期された経緯や「専門医制度新整備指針(第二版)」策定に至るまで、幅広く解説した。

 当初は、プロフェッショナルオートノミーの制度のため厚労省は関与していなかったものの、地域医療への影響が懸念されたことから、「地域医療に責任を持つ官庁として、本当にプロフェッショナルオートノミーだけでいいのか」という認識から、新専門医制度に関する検討の場などを設け、対応してきたと説明。直近の動きとしては、今年4月に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」を発足、まず地域医療に求められる専門医制度の在り方の議論を始めたことを紹介(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』などを参照)。

 堀岡氏は、日医をはじめ、各方面からの要望を受けて策定された「専門医制度新整備指針(第二版)」の中で、大きなポイントとして挙げたのが、連携病院で専攻医を採用した場合の研修期間の在り方。「各学会は、柔軟に運用してもらいたい」と要請した。

 そのほか、「専門医制度新整備指針(第二版)」での改訂点として、(1)専門医取得は義務ではないことを明記、(2)出産・育児等により休職・離職した女性医師、介護、留学など相当の合理的理由がある場合には、研修カリキュラム制も可能とすることを明記、(3)都道府県協議会で専門研修プログラムの地域医療への影響等を協議することを記載――などを挙げた。

 さらに厚労省は、医師の養成や確保対策について、3つの柱で取り組んでいることを説明。既に発足している、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」、医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」のほか、近く新たにスタートする「働き方改革実行計画を踏まえた検討の場」だ。これは、労働基準法改正で導入される「時間外労働」の上限規制の医師への適用の在り方や、労働時間の短縮策などを検討するのが目的であり、2018年度の第一四半期に中間整理をすることを目指すという。

 今村・日医副会長「専門医に係る議論の場、二転三転」
 今村氏は、堀岡氏と同様に、新専門医制度をめぐる経緯などを紹介したものの、「専門医に係る議論の場が消滅したり、二転三転を繰り返してきた」と厚労省の対応を問題視した。「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の構成員でもある今村氏は、4月の第1回会議でも同様の指摘をした(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。2016年3月に「専門医養成の在り方に関する専門委員会」が設置されたものの、同年5月に議論がストップ。「医師需給分科会」も2016年10月から休会し、再開したのは2017年4月、その間、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(2016年10月設置、2017年4月に報告書)が議論の場となった。

 今村氏は、「一本芯が通った議論をする場がないままに、今に至るという不幸な結果になっている。屋上屋を重ねることを繰り返していると、根本的な議論ができないのではないか」と指摘したほか、専門医制度だけでなく、医学部教育、医師国家試験、初期研修と後期研修を含めて全体的な議論をすることが重要だとした。

 新専門医制度については、日本専門医機構の監事を務める立場から、同機構の第一の課題として、「的確な情報発信」を挙げた。「日本専門医機構による専門医の質の向上等に向けた真摯な努力が、必ずしも正確に理解されていない。このことが、さまざまな誤解の一因になっている。何が決まって、何が決まっていないのか、きちんと情報発信していくことが必要」。今後の課題として、同機構のガバナンスの強化、都道府県協議会などと連携した新専門医制度をめぐる諸問題への対応なども挙げた。

 さらに厚労省に対しても、屋上屋を重ねる議論の回避のほか、日本専門医機構、都道府県協議会、学会、関係者などのそれぞれの役割の明確化を求めた。

 「循環型」ではなく単独での研修も認めるべき
 フロアとの質疑応答では、多岐にわたる質問が出た。

 「循環型」の研修プログラム制を問題視したのが、安城更生病院(愛知県安城市)副院長の安藤哲朗氏、坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏、仙台厚生病院(仙台市青葉区)医学教育支援室長の遠藤希之氏。3氏は、『専門医制度の「質」を守る会』の呼びかけ人。7月21日に、塩崎恭久厚労相宛に、「新専門医制度2018年度からの開始反対の署名」を提出した(『新専門医制度の2018年度開始に反対、1560人分の署名』を参照)。

 安藤氏は、安城更生病院の例を挙げ、問題提起した。同病院(749床)は、常勤医218人、うち専攻医51人、初期研修医39人(2016年5月時点)。初期研修から専門医研修まで単独施設で、屋根瓦方式で研修してきたことから、「循環型」の研修プログラム制が解消されない限り、大打撃を受けると訴えた。さらに医師数は全国平均で見ても決して多くはないにもかかわらず、専攻医の募集定員の上限規制の対象県であることも問題視した。

 坂根氏は、日本が手本とした米国の研修プログラム制は、「循環型」ではなく、単独施設での研修が原則であると説明、基幹施設と連携施設をローテーションする研修で質が担保できるのかと疑問を投げかけたほか、専門医研修と出産・育児等の時期が重なりやすい女性医師にとって、「循環型」の研修は容易ではないと指摘。単独施設で研修が可能な場合にはそれを認めるべきと主張した。さらに「新専門医制度は、研修の質の担保が最大の目的」とし、研修の質をどのように担保しているかが分からない点も問題視した。

 遠藤氏も、単独で専門医研修が可能な施設はあると強調。さらに「初期研修の段階から、大学病院に勤務しないと専門医研修が受けにくくなる、などと言っている大学もある」と述べ、新専門医制度が大学病院中心になる懸念を呈した。

 これらの質問に対し、堀岡氏は、「専門医制度新整備指針(第二版)」は、以前よりは改善されているとし、前述のように経験症例などの研修の基準を満たすことは必要なものの、「連携施設で採用、でき得る限り長期間、連携病院で研修」というパターンも可能であるなどと説明した。

 今村氏は、専門研修プログラムについて、日本専門医機構に審査を担当する委員会があり、そこで作業をしているなどと説明、「研修の質をないがしろにしているわけではない」と理解を求めた。

 社員からの借入、「利益相反に当たらず」
 日本専門医機構のガバナンス、情報公開、情報発信の在り方にも質問が相次いだ。遠藤氏は、同機構がパブリックコメントを求めたものの、その結果が公表されないことに加えて、財務状況などを問題視した。「日本専門医機構は、第三者機関として各学会が1次審査した専門研修プログラムを審査する立場。各学会から運営資金を借り入れるのは利益相反ではないか」。遠藤氏はこう指摘するとともに、日本専門医機構が債務超過であることから、「2018年度から始めるのは、財政的にもたないからではないか」と疑問を呈した。

 今村氏は、情報公開、情報発信についての課題は認め、日本専門医機構に働きかけていると説明。ただし、財務状況については、誤解もあるとした。旅費は、各種委員会のために全国から医師らが集まっているために実費を支払っているにすぎず、無駄遣いをしている部分はなく、東京国際フォーラム(東京都千代田区)の事務所も、日本専門医機構が発足する際に前身組織から継続したものであり、同フォーラム内の他よりは賃貸料が安いなどと説明。「しかし、財務状況が厳しいのに、なぜ東京国際フォーラムにいるのかという指摘はあるので、見直す方向で議論している」。

 利益相反とされる点について、今村氏は「以前は日本政策投資銀行から、年3%強の高い利率で借り入れており、これ自体が問題。(日本専門医機構の)社員は、機構の理念に賛同して社員になっているのであり、新たな仕組みが動き始めるまでは、問題にならないと思う」と回答。しかし、財務状況に疑問が呈せられるのであれば、事実を的確に説明しないと誤解を招く上、「財政的理由から新専門医制度を始めるのではないか」という臆測、本質から違う議論になってしまうことを懸念した。

 「日医の基本スタンスは変わっていない」
 安藤氏は、日医の新専門医制度への姿勢も質した。2016年2月に日医が声を上げたことが、2017年度開始予定だった同制度を見直す大きなきっかけとなったからだ(『新専門医制度、「延期も視野」と日医会長』を参照)。「地域医療への懸念は、払拭されないのに、なぜ賛成に回ってしまったのか」。

 今村氏は、「日医の基本スタンスは変わっていない」と説明。2016年2月当時は、全国の医師会などから地域医療への懸念の声が上がっていたが、同7月には日本専門医機構の執行部が一新、日医からも副理事長と理事の2人が入ったとし、その後、改善が進んできたとした。厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」において、計8学会からヒアリングした結果、「完全かどうかは別として、以前よりは、はるかに地域医療への配慮がされてきているという合意が、国の検討の場でなされた」。

 今村氏は、新専門医制度の議論をゼロベースに戻したり、実施を見送れば、「また違った混乱が起きる可能性がある」との見解を示した。新専門医制度の影響は地域によって異なってくることから、「地域の実情をどれだけ反映できるかは、都道府県協議会の役割」と指摘し、都道府県協議会が機能するよう厚労省などに日医として働きかけていくと強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547050
「緊急対応宣言」で新患や救急受け入れ制限 - 片柳憲雄・新潟市民病院院長に聞く◆Vol.2
医師の長時間労働の減少、一定の効果

レポート 2017年7月27日 (木)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

――新潟労働基準監督署の是正勧告はどのような内容でしたか。
 医師の長時間労働が行われていたのでその改善をすること、また(過労自殺した女性医師の)2015年9月の直前の時間外労働が160時間との算定でしたから、他の月も含め、時間外手当を本人の申告と実態との差の分を8月31日までに支払うこと。それから「36協定」を職員に対してきちんと周知していなかったので、するようにということです。勧告を受け、支払いは期日までにする予定ですし、36協定の周知もしっかり行っています。

――医師の月平均が50時間の職場で、160時間もの時間外労働をしていれば、周りが「おかしい」と気づくことはなかったのですか。
 そこがよく分からないのです。是正勧告は真摯に受け止めますが、自己申告では48時間くらいだったのが、労基署から確認するようにと言われて、初めて実態と乖離があったことが分かりました。ただ、160時間もどうやったら時間外労働をできるのか――。私も同じ消化器外科ですが、そんなに働いたことはなかったし、彼女の変調には、誰も気づかない状態でした。勉強会にも出ていて、(本人が過労自殺する)前の週まで顔を見ていますが、変わった様子はなかった。手術も上手になってきていましたし、上司からも「いい研修をしている」と聞いていました。過去にも研修医で、心の病になって数カ月研修を休んだ人はいましたが、周りが気づいて対応していましたし、そういう人に関しては気を付けて見てくれるようにとも上司には言っています。

――是正勧告を受けて、新潟市は6月に「緊急対応宣言」を出し、7月3日からは紹介状なしの外来受付を取りやめるなどしましたが、効果は出ていますか。
 出始めています。1日平均の外来患者数と、そのうちの紹介状なしの患者数は、2016年度が1106人中6.4人、2017年度は4月が1049人中4.7人、5月が1079人中6.0人、6月が1019人中4.0人。7月に入ってからは、1日から18日までの合計で3人しか紹介状なしの新患は来ていません。そういう患者も病診連携システムで受け入れてくれるところがあります。今のところ、患者や市民から大きなクレームは来ていません。

 「救急医療の適正利用」の呼びかけについても、5月と6月の比較で救急搬送が504人から449人に減り、それ以外の救急患者のうちの軽症者で自宅にすぐ帰った人が635人から514人に減っています。これだけ減りますと、呼び出す医師も少なくて済みますし、重症患者に力を注ぐこともできます。消防局にも、3次救急患者は当然受け入れるが、少し軽い場合は急患センターや2次輪番病院へということでお願いしています。

 この効果は既に出ていて、長時間労働は減りました。まだ自己申告ベースなので詳細な数字は出せませんが、時間外労働が100時間以上の人が約5%いたのがゼロに、80時間以上の人が約20%だったのが約5%になりました。

――自治体立病院は、人事委員会勧告による給与の引き上げや診療報酬の伸び悩みなどの影響で赤字に陥る施設も多く出ていますが、新潟市民病院では近年黒字となっています。どのような理由でしょうか。
 重症度の高い、点数の高い手術を実施していることや、救急を含め新入院患者を確保していること、地域連携パスを活用して、患者の在院日数を減らすなどの取り組みをしていることが挙げられます。それから、利用率の高い診療科のベッド数を増やす、手術件数が多く、「待ち」が多い診療科に枠を回す、入院料の加算を取れるものはきっちり取るなどの努力もしています。また、抗がん剤など高額な薬の値引き交渉も頑張っています。

 医師の負担軽減を図るための人員増も必要ではありますが、予算の制限がある中で、費用対効果を考えながらやっていかないといけません。2018年度の診療報酬改定もマイナスになる可能性がありますから、かなり厳しいと思います。一方で働き方改革もあります。去年まではどんどんやっていた2次救急の軽症者は取らずにやっていますので、厳しいですね。しかし、自治体病院として皆ができないところを担っていますから、3次救急や周産期医療は、赤字になってもやっていかなければいけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547885
四病協、控除対象外消費税問題解消など要望
2018年度税制改正、予算要望を決定

レポート 2017年7月26日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は7月26日の総合部会で、「2018年度税制改正要望の重点事項」11項目と、「2018年度政府予算に関する要望」7項目を決定した。要望はそれぞれ以下の通り。

税制改正要望の重点項目
社会保険診療報酬等の非課税に伴う控除対象外消費税問題の解消
医療機関に対する事業税の特例措置の存続
持分のある医療法人に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設
社会医療法人に対する寄付金税制の整備および非課税範囲の拡大等
医療法人の法人税率軽減と特定医療法人の法人税非課税
特定医療法人の存続と要件の緩和
介護医療院への転換時の改修等に関する税制上の支援措置の創設
中小企業経営強化税制の医療機器への適用等
病院用建物等の耐用年数の短縮
社団医療法人の出資評価の見直し
医療従事者確保対策用資産および公益社団法人等に対する固定資産税等の減免措置
政府予算に関する要望
医療、介護を先細りさせない診療報酬、介護報酬同時改定
控除対象外消費税問題の解決に向けた予算措置
地域医療介護総合確保基金の配分
医療機関のIT化に向けた補助、研究予算
病院団体の組織する災害医療支援チームへの補助
福利厚生に関する予算(人材確保策として従業員を安定的に雇用するための院内保育所等整備資金等)の増額
傷害保健福祉関係予算の拡充
 この他に、日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、新専門医制度に関して、都道府県における協議会に四病院団体の会員が病院代表として参加することを会員に指示するよう総合部会で要請したことを明らかにし、「専攻医の気持ちをくんで、それぞれの立場で発言するようにとお願いした。病院団体として、専攻医を受け持つ責任もあるためだ」と説明した。

 7月28日に第2回の会合を開く「病院医師の働き方検討委員会」に関しては、「労働という概念や自己研鑽などについて色々な考え方があるので、病院医療の現場を行政に伝えるという役割も果たさないといけない。各団体を通じてのアンケートも行い、しっかりと四病協の委員会でまとめていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547522
迫井課長「地域医療構想に寄り添う」は名言 - 中川俊男・日医副会長に聞く◆Vol.2
「病床削減や医療費抑制のツール」にあらず

インタビュー 2017年7月29日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生が中医協で、繰り返し発言されていた基本的な考え方が幾つかあります。一つは、地域医療構想と診療報酬の関係です。

 地域医療構想の議論は、非常にデリケート。同構想の発端の議論にさかのぼれば、財務省や官邸筋は、急性期病床削減や医療費削減のツールの一つにしようと思ったことは間違いありません。

――最初は、急性期医療を担う病床を「急性期病床群」(仮称)として医療法上で位置付ける議論でした(『「急性期病床群」創設に委員の批判相次ぐ』を参照)。

 厚労省は当初、一般病床のうち、一定の要件を満たす病床について、都道府県知事による許可制あるいは認定制とし、その要件を満たしているかを確認するために更新制を導入するといった提案をしていました。しかし、急性期病床だけを一律に削減したら、地域医療の現場に混乱を招くだけです。医療の包容力がなくなってしまう。地域によって事情が異なる中で、2025年に向けてどのような医療提供体制を構築していくかは、各地域で話し合うべき問題。そこで議論を押し返し、まずは病床機能報告制度で現状を把握し、皆で各地域の医療の在り方を考え、地域医療構想を策定し、調整会議で話し合う枠組みに変えました。

 つまり、地域医療構想からは、「病床削減や医療費抑制のツール」という機能はなくなったはずです。しかし、いまだに病床機能報告の結果と「病床の必要量」を比較した図が提示されたりするので、地域医療構想をめぐる議論から全く目が離せません。

――地域医療構想の「病床の必要量」は、医療計画の「基準病床」と同様の位置付け、規制であるという誤解がある。

 「病床の必要量の上限」と誤解されたので、医療機関の現場が混乱しました。しかし、「病床の必要量」は、あくまで患者さんの数から推計した医療のニーズであり、病床数とは意味が違います。

――「地域医療構想ワーキンググループ」の資料を見ると、急性期機能の病床からの退院先は、72.3%は「自宅」です(『外科系の高度急性期・急性期、7%は「1カ月の手術ゼロ」』を参照)。急性期の病期にある患者さんが、直接自宅に戻るとは考えにくく、急性期病床にも退院前の回復期にある患者さんが入院していることを示すデータではないでしょうか。

 その通りです。さまざまな機会に繰り返し発言していますが、例えば「急性期機能」を選んだ場合でも、その病棟に入院している全患者が「急性期」の病期にあるわけではありません。だからこそ、地域医療構想の4つの医療機能と、診療報酬の入院料を関係付けることは難しいのです。

 今年1月の中医協総会でも、この点が議論になり、迫井課長(厚労省保険局医療課長の迫井正深氏)から、「(地域医療構想が描く)医療提供体制を推進することに対して、診療報酬がどう支援するのか、どう“寄り添う”のかについては、まさに今後議論してもらう課題」との発言を引き出しました(『「診療報酬、地域医療構想に“寄り添う”」、迫井医療課長』を参照)。診療報酬と地域医療構想の関係を表した「名言」だと思います。私が「4つの医療機能のいずれを選択しても、経営が成り立つようにすることではないか」と釘を刺したところ、迫井課長は否定しませんでした。

 いまだに地域医療構想については、診療報酬との関係も含めて誤解が多い。迫井課長の言葉も引用しながら、説明していく必要があります。

――薬価制度の抜本改革の議論の際には、「公的国民皆保険のプレーヤーとしての自覚を持ってもらいたい」という製薬企業への要請も、基本的な考え方として再三言われていました。

 我々医療機関は非営利ですが、営利企業の製薬企業にとっては、できるだけ利益を上げて、株主に配当するのが使命なので、そもそも議論がかみ合うはずはありません。しかし、公的な国民皆保険制度下でプレーする以上、どこかで折り合いを付けなければいけない。エビデンスに基づく議論を進めるため、企業経営に関するデータを求めても、「企業秘密」と一言で終わらせてしまったら、議論がそれ以上、進まなくなってしまいます。

 例えば、費用対効果評価や薬価算定方式の見直しの際には、製薬企業が薬の製造原価などのデータをどう出すかが問題になります。

 費用対効果評価の検討に当たっては当初、「高すぎる薬価を低くする制度」との説明でした。「安すぎる薬価を高くするものではない」と確認していたはずなのに、そうではなくなってしまう懸念もあり、心配しています。製薬企業のペースになってしまわないよう、注意が必要です。費用対効果評価については、薬価制度改革との整合性をいかに図るかについても、いまだよく分かりません。というか、両者は別の次元の問題なので、整合性を図るのは無理だと思います。薬価制度全体の改革の議論をしているのに、なぜ費用対効果評価の導入を急ぐのかとの疑問もあります。

 さらに薬価をめぐる議論では、「メーカーの採算が取れるかどうか」という議論にもなります。しかし、個別の品目について、採算性を考えていく問題ではないでしょう。メーカーはさまざまな製品を出しており、まして日本国内だけではなく、グローバルで事業を展開している中で、メーカーの採算性をどう考えるかは今後の検討課題です。


  1. 2017/07/30(日) 15:42:51|
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7月22日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170718-OYTET50028/
ニュース・解説 医学部「地域枠」地元限定に…医師偏在解消狙う、厚労省方針
2017年7月17日 読売新聞

 地域で働く医師を育成する大学医学部の地域枠について、厚生労働省は、原則として大学がある地元出身者に対象を限定するよう、都道府県に求める方針を決めた。卒業後も、そのまま地域に定着する傾向が強い地元出身者をより多く確保してもらい、医師が都市部に偏り、地方で不足する地域偏在の解消につなげる狙い。

 今月末にも、奨学金を出す都道府県に通知し、大学と連携して2018年度から実施するよう求める。

 地域枠は、以前から一部の大学で独自に設けられていたが、国は08年度から医学部の定員増によって拡充に乗り出した。16年度の募集人員は計1617人に上り、医学部定員の約6分の1を占める。現在は、地域枠の半数が地元出身者枠となっている。

 厚労省が、初期臨床研修を修了予定の全国の研修医に行った調査では、出身地にある大学に進学した場合、そのまま同じ都道府県で勤務すると答えた人が78%を占めた。このため、地元出身者に絞った方が地域への定着率が高まると厚労省は判断した。

  <地域枠>  地域の医師確保を目的に設けられた大学医学部の選抜枠。卒業後の9年前後の期間、大学がある都道府県内の医療機関で働くことなどを条件に奨学金の返済を免除するケースが多い。文部科学省によると、2016年度は9割にあたる71大学で導入している。



http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=359451&comment_sub_id=0&category_id=256
医学部地域枠、地元出身に限定 厚労省が要請方針
2017/7/23 中国新聞

 医師の地域偏在解消に向け、厚生労働省が、大学医学部に設けている現行の「地域枠」について、対象を地元出身者に限定するよう、 財源負担などで制度を運用する各都道府県に要請する方針を固めたことが22日、分かった。原則として出身県の医学部に通い、卒業後も一定期間、周辺地域の 医療機関で働く人であれば、奨学金の返済免除などの支援を行う。地元出身者は地域への定着率が高いとの調査結果もあり、医師不足に悩む地域への対応として 注目される。
 厚労省は今月末に都道府県に通知し、2018年度には地元出身者に限定した運用をスタートさせたい意向。担当者は「地域枠制度の効果をより一層高めることになる」と期待する。
 地域枠は、医学部卒業後に周辺地域で勤務することを条件に奨学金を出すなどの制度。現行制度では地元出身者以外も対象に含まれており、卒業生の中には条件を守らず大都市圏での勤務を選ぶ人もいるなど問題点が指摘されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/546730
社会保障審議会
医学部地域枠は「地元出身者に限定」、例外も
医療部会、第7次医療計画の関連通知内容を了承

レポート 2017年7月20日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)は7月20日、医学部地域枠を「原則として、地元出身者に限定」とする医師確保対策について、地元に残る方策が講じられる場合には例外もあり得る解釈することで了承した。その他、各都道府県の地域医療支援センターの機能強化を含め、2018年度からの第7次医療計画に盛り込むべき内容を了承した。厚生労働省は、同計画策定に関する通知を、2017年3月に各都道府県に出しており、了承された内容を追加した通知を、7月中に発出する予定(資料は、(資料は、厚労省のホームページ/a>)。

 医師確保対策は、この4月以降、「医療計画の見直し等に関する検討会」や、「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で議論してきた内容(『医師偏在対策「キャリア形成プログラム」、医療計画に位置付け』、『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』などを参照)。

 医学部地域枠を「原則として、地元出身者に限定」することについて再考を促したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。「大学所在の都道府県出身者は、臨床研修終了後、その都道府県に定着する割合が高いというエビデンスはある。しかし、他の都道府県の大学に、地域枠の医学生の受け入れを要請しているケースがあり、全てを地元出身者に限定すると、混乱を招く可能性がある」と指摘した。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、地域医療介護総合確保基金を活用して、医学部地域枠の医学生に奨学金を出しているケースは、国費を使っていることを踏まえ、既に「地元出身者」に限定していると説明。「今回は、さらに自治体が独自に奨学金の財源を確保した地域枠についても、地元出身者に限定するという考え方」と付け加えた。ただし、中川氏が指摘するケースもあることから、卒業後も地元に残る方策がある場合には「地元出身者」に限らないことも認めるとし、「書き方を工夫して周知する」と引き取った。

 7月中に予定している第7次医療計画の通知には、(1)医療従事者の確保、(2)医療・介護の体制整備に係る協議の場の役割の整理、(3)5疾病5事業の見直し、(4)在宅医療の体制構築――についての事項を追加する。

 20日の社保審医療部会では、地域医療構想の現状や病床機能報告制度についても議論。10月実施の2017年度の病床機能報告について、医師数(施設単位)などの報告項目の追加、「入院前・退院先の場所別患者数」の報告対象期間を1カ月から1年にすることなどの見直しを了承した(『地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」』を参照)。

第7次医療計画についての厚労省内での議論は、一区切りが付いた。

 地域医療支援センターの実効性に疑問符
 (1)のうち、医師確保対策については、法改正を必要とせず、「早急に実行可能な医師偏在対策」をまず実施する。都道府県が運営する地域医療支援センターの機能を強化し、医師の地域偏在解消に取り組む「コントロールタワー」の確立などを掲げている(『医師偏在対策「キャリア形成プログラム」、医療計画に位置付け』などを参照)。地域医療支援センターは2016年4月の時点で、47都道府県に設置済み。

 しかし、これらの対策の実効性に疑問を呈したのは、全国知事会(奈良県知事)の荒井正吾氏。「コントロールタワーの確立などと、“お気楽”に書いているが、医育機関と都道府県との関係は、生やさしいものではない。奈良県の場合、県立医科大学のため、一定のコントロールは効くものの、地域医療のことを考えていない医育機関が多い」と指摘。

 全国市長会(埼玉県秩父市長)の久喜邦康氏も、大学と地域医療支援センターは協力関係にない現状があると指摘し、同センターが果たして医師偏在対策として機能するか、不安感を覚えるとした。佐々木課長は、これらの懸念に対し、両者が連携するよう通知で明示していくと説明。

 さらに医師確保対策では、「詳細な医師の配置状況が把握できる新たなデータベース」を作成する予定。日医常任理事の釜萢敏氏は、「データベースは3師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)を基に作成することになるのだろう」と述べた上で、日本専門医機構が策定予定の専門医に関するデータベースなどとの連携予定について質した。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、3師調査を基にしたデータベースについては、「分かりやすいように整理して、都道府県に使ってもらえるよう準備していく」と説明。日本専門医機構のデータベースは、準備中であることから、完成した時点で有機的につながるよう検討していく方針とした。

 「病院に歯科医師」、必要性に疑義も
 (1)の医療従事者の確保では、歯科医師の確保対策も議論になった。厚労省は、入院患者に対して、口腔機能の管理を行うと在院日数の有意な短縮が認められるというエビデンスを基に、病院への歯科医師の配置を進め、医科歯科連携を進める方針。2014年の時点では、医育機関以外に歯科医師がいる病院は3.1%で、医育機関でも9.0%と1割に満たない。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、この方針を支持。診療報酬での評価も含め、歯科医師の配置を進めるべきとした。

 これに疑義を呈したのが、中川氏。口腔ケアの重要性は認めたものの、歯科医師以外にも、看護師などが担っていることから、「歯科医師がいなければいけない、というのは無理筋」と指摘した。

 厚労省医政局歯科保健課長の田口円裕氏は、「口腔機能の管理は、日常的な口腔ケアではない。歯科医師が口腔内を診断し、治療や歯石除去などを行う専門的な内容。病院に配置されている歯科医師と医師の連携が重要」と説明した。

 永井氏は、厚労省が示したデータは、歯科医師による口腔機能の「管理群」と、「非管理群」の比較であることから、歯科衛生士などによる「管理群」との比較も必要ではないかと指摘。厚労省の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」での議論も進行中であることから、それを踏まえ、今後の対応が決まる見通し。

 都道府県の役割が増してきているが……
 2018年度からの第7次医療計画は、第7期介護保険事業(支援)計画のスタート時期と重なるため、在宅医療の整備などの点で、両計画の整合性も求められる。そのため、都道府県は「医療・介護の体制整備に係る協議の場」の設置が求められている。そのほか、医療計画の一部を成す地域医療構想も、都道府県が主体となり、その達成に向けて協議しなければならない。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、「47都道府県の地域医療構想を見たが、その内容に違いがありすぎる。また取り組みの姿勢もまちまち」と指摘。さらに第7次医療計画の策定に向けてさまざまな業務が発生し、その実行に当たっても、各種会議の運営が求められることから、「会議を回すだけで精一杯のところもあるのが実情。フィージビリティー(実現可能性)を考えないと、絵に描いた餅になる」と懸念を呈した。

 荒井氏も、奈良県知事の立場から「都道府県の役割が増してきている」と述べ、第7次医療計画の策定等に当たって役立つデータの提供、ベストプラクティスの提示など、厚労省に対し、必要な支援を求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=14892
初期臨床研修をゼロベースで見直し、地方大学病院の医師確保を—医学部長病院長会議
2017年7月21日|医療現場から MedWatch

 2004年の新医師臨床研修制度から、大学病院、とくに小都市の大学病院では初期臨床研修医、後期研修医が確保できず、地域の病院への医師派遣が困難となり、地域の医師偏在を招いている。初期臨床研修をゼロベースで見直すことが、地域医療の確保にとって不可欠である—。

 全国医学部長病院長会議の新井一会長(順天堂大学学長)は20日の定例会見で、このような見解を示しました(関連記事はこちら)。

地方大学の医師不足が、地域医療機関への医師派遣低下、ひいては医師偏在を招く

 全国医学部長病院長会議では、毎年、全大学附属病院を対象に「研修医に関する実態調査」を実施しており、20日の定例会見では地域医療検討委員会の守山正胤委員長(大分大学医学部長)から2016年度の調査結果が報告されました。そこからは、例えば次のような状況が明らかになっています。

【初期臨床研修医の充足率】(初期臨床研修医の定員に対する実数の割合、いずれも1年目の研修医)
▼平均71.3%だが、地域ごとのバラつき(近畿地方の86.2%に対し、東北地方では36.3%)、地域内でのバラつきが依然として大きい

▼中大都市では78.6%だが、小都市では59.5%にとどまる

▼旧帝国大学では83.2%にのぼるが、他の国立大学では61.9%にとどまる

【初期臨床研修修了医の受け入れ率】(自大学出身の医師国家試験合格者に対する、初期臨床研修を終了し、後期研修を自大学で行う医師の割合)

▼中大都市では新研修医制度実施前(2002年)は69.4%であったが、その後、低下。しかし2016年度には94.5%となった

▼小都市では新研修医制度実施前は71.2%であったが、その後、低下し、2016年度でも50.6%にとどまっている

▼旧帝国大学では133.2%に達したが、他の国立大学では64.1%にとどまる

【後期研修医出向率】(自大学で後期研修を受けている医師のうち、地域の病院に出向している者の割合)

▼中大都市では2014年度に16.4%、15年度に26.0%、16年度に28.5%と上昇傾向にあるが、小都市では14年度に17.4%、15年度に20.9%、16年度に15.6%で増加していない

 
 守山委員長は、この中でも【初期臨床研修修了医の受け入れ率】と【後期研修医出向率】に注目し、「地方大学において研修する医師が、新臨床研修医制度施行前の状態に回復しておらず、地域の関連病院への出向・派遣が十分にできていない。これが地域の医師偏在の大きな要因になっている」と分析しました。

 さらに守山委員長は、大分県における大学からへき地医療拠点病院への医師派遣実施を紹介。それによると、地方大学である大分大学からは2016年度に35名の医師が派遣されているものの、自治医大や他の大規模大学からは1桁の医師しか派遣されていません。さらに派遣医師(51名)のほうが、へき地医療拠点病院に就職している医師(29名)よりも多いことも分かりました。守山委員長は「地方大学からの医師派遣が、地域医療を支えていることが分かる」と指摘し、医師偏在の主因が「地方大学の医師(とくに後期研修医)不足にある」ことの証左であると強調しました。

 
こうした状況を踏まえ新井会長は、「明らかに、新臨床研修医制度(初期研修制度)の2004年スタートがトリガー(引き金)となって地域の医師偏在が進んでいる。初期研修制度をゼロベースで見直すことが必要であろう。初期研修の一部を医学部教育に移管し、学部から初期研修、後期研修(専門医研修)をシームレスに実施し、学部時代から『地域で医師を育てる』仕組みとする必要がある」と強く訴えました。

また専門委員長会医学教育委員会の山下英俊委員長(山形大学医学部長)も、「厚生労働省の調査では、研修医の半数程度は『地域医療に貢献する』意思を持っていることが分かっている。ただし、(1)期間を限定する(2)専門医の勉強ができる—という2つの条件がある。裏返せば、2つの条件を満たす仕組みを設ければ、多くの医師が地域医療に従事し、医師偏在が是正されることになる。そこで、『1人の医師が大学と地域の医療機関を循環する』仕組み(例えば大学病院での専門医研修を受け、その後、地域の医療機関に従事し、さらに大学に戻ったり、海外に行き、さらに高度な医療を学ぶ。そこで得た知識・技術を再度、地域医療で提供する、など)を作ることが必要だ。こうした采配はかねてから大学の医局が行ってきたもので、『大学の医局が医師を囲い込んでいる』というのは全くの誤解であり、無益な議論である」と述べています。
 
 なお、20日定例会見では「大学病院の医療事故対策委員会」の中島勧委員(東京大学医学部附属病院医療安全対策センター長)から7月1日に開催された「医療事故の調査などに関するシンポジウム」に関する報告も行われました。
 
 2015年からスタートした医療事故調査制度ですが、中島委員は「医療事故の再発防止」という本来の趣旨を忘れるような動きがあることを懸念。例えば日本医療安全調査機構(日本で唯一の医療事故調査・支援センター)が「医療事故報告の対象となるか否かを判断する」ことは利益相反に陥る可能性があり、判断は「都道府県医師会などの地域の支援団体に任せるべき」と訴えています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



http://www.huffingtonpost.jp/mareyuki-endo/iwate-medical-field_b_17531930.html
[ 新専門医制度問題 ] 「新」制度が岩手県の地域医療を早くも崩壊させている
遠藤希之  医学教育支援室長、臨床検査センター長(兼務)、東北大学病院臨床教授
投稿日: 2017年07月20日 09時52分 JST 更新: 2017年07月20日 09時52分 JST ハフィントンポスト

岩手県は北海道に次いで第二位の面積を誇る自治体である。しかし可住面積あたりの医師数は都道府県中下から二番目だ。さらに必要医師数の不足度は全国で最も高い。もともとの医師不足に加え、広い面積をカバーするため、『県下にあまねく良質な医療の均霑を』という基本理念のもと20の県立病院群と5箇所の附属医療センターが地域の隅々に設置されているとのことだ。そして全県の7割もの救急搬送を県立病院群が受け入れているという(佐藤耕一郎氏、http://medg.jp/mt/?p=7622)。

筆者は隣県の宮城に住んでおり、また初期研修の3年間を花巻市で過ごした。そのため岩手には友人や大学の同期が多数いる。彼らが岩手県の地域医療の実情、特に後期研修医の動向を送ってくれた。

データをみて驚いた。平成25年度に岩手県立病院全体に在籍していた後期研修医は68人であったが、平成27年度には54人に激減したという。

臨床研修を終えた3年目の医師の動向を入職年ごとに追ったデータがその理由を示している。2010~2013年に入職した臨床研修医150人中、75人は研修を行った地域病院に残っていた(基幹施設になり得る岩手県立中央病院を除く)。一方、2014年度入職、つまり2016年4月に三年目になり、そこから「新制度開始」とアナウンスされていた代(結局延期になった)、そして次の2015年度入職を合わせると、77人中31人しか研修病院に残らなかったのだ。

残りはどこに行ったのか。大部分が「基幹病院」になれそうな大規模病院に移ったのだ。日本専門医機構が「新」専門医制度が始まる、と無責任にアナウンスしたため、臨床研修を終えた医師たちが浮き足立ち、育った地域病院から早くも移りだしたということだ。

実は岩手県内でほぼ全ての基本領域の基幹施設に手上げをした施設は岩手医大病院が唯一である。上述の2014-2015年入職77人中、実に38人が岩手医大病院に吸い上げられたと推測されている(残りは県外施設に移動)。

意外に思われるかもしれないが、「新制度が始まるかもしれない」といういわば狼少年的な問題は瑣末だ。根本的な問題は、機構がこしらえた「循環型研修」、つまり後期専攻医は「基幹施設」のプログラムに必ず属しなければならない、というろくでもない仕組みにある。従来どおり、地方の中小病院に勤務していても専門医を取得できる制度であればこのような事態にはならなかったのだ。

ところで、岩手県立病院群の常勤医師数はかろうじて現状を維持している。

何故か。

定年を迎えた高齢の医師達が、定年を延長し踏ん張っているからだ。その数は27名に上る。内訳は66~68歳の3年間延長医師が14人、69~73歳(!)の任期付常勤医は13人もいる。当然、健康問題を抱えている高齢医師も少なくない。そのため複数の病院では当直医が足りず、院長が当直しなければならない施設すらあらわれた。それも複数だ。

これを「医療崩壊」と言わずなんというのか。「新」制度が始まればこの負のサイクルは間違いなく加速する。

さらに診療科によっては「基幹病院」の「指導医数」の要件を満たすため、指導医まで(!)医大病院に引き上げられているという(友人達はもっとひどい仕打ちを受ける可能性が高いので診療科名は伏せてくれ、と言ってきた)。

大学病院なのに「指導医数」が足りない、とはどういうことなのか、と訝しく思う読者もいるだろう。

しかし例えば、岩手医大病院は「内科教育病院」の要件を二年連続で満たせず、平成28年には教育関連病院に降格させられるはずだったのだ(平成28年、日本内科学会、第48回認定医制度教育病院連絡会議資料、4ページ)。ところが「大学病院として(中略)地域の基幹病院としての特殊性を鑑み(中略)特例として認定する(第118回認定医制度審議会)」として首が繋がった。

内科学会教育病院の要件を満たせない病院のどこが「地域の基幹病院」なのか理解に苦しむところだ。筆者はその他の診療科の実情は知らないが、推して知るべし、であろうとも思う。指導医まで引き剥がされるのもうなずける。

当初機構は、全国一律に「基本、大学病院が基幹施設になるべき」と言い放ち猛反対を受けた。当然である。各地方、自治体の実情は極めて多様であり、大学病院間の実力差も著しい。東京有楽町の一等地、年に千五百万円もかかるオフィス内で考えられた「全国一律の統一基準」などまさに「机上の空論」なのである。

機構の整備基準第二版にはいまなお「基本領域は原則としてプログラム制で研修を行うものとする」とある。「プログラム制」とはすなわち、機構が固執する基幹施設>連携施設の枠組みで行われる、「医師派遣業型研修」とも揶揄され始めた「循環型研修」のことだ。この制度を始める、始まると連呼されたため、岩手県の地域医療はすでに瀕死の状況に追い込まれた。

岩手の現場の医師達は叫んでいる「岩手の医療を殺す気か!」

改めて提案したい。一刻も早く機構の提唱する制度は無期限延期すべきだ。そして地域の医療者、現場の指導医、若手医師も含め、制度設計について議論を尽くさねばならない。

(2017年7月18日「MRIC by 医療カバナンス学会」より転載)



https://mainichi.jp/articles/20170721/ddl/k01/100/329000c
旭川医大
国際医療枠を新設 海外で活動する人材育成 来年度入試 /北海道

毎日新聞2017年7月21日 地方版 北海道

 旭川医大は来年度入試で、面接や小論文などで合否を決めるAO入試に国際医療人養成枠(定員5人)を新設すると発表した。全国から国際医療に関心のある学生を集め、海外で活動する医師の養成を目指す。国公立大では初めての試みという。

 同大によると、海外の医療現場で臨床医として高水準の医療を実践できる語学力と能力▽最先端の研究を国際学会などで報告したり、論文を発表したりできる能力▽世界各地の地域医療の問題に対応できる能力--などの養成を図る。

 海外での医療活動経験が豊富な教員を個別に指導者として配置。入学後に外部の英語試験を義務付け、留学も経験させ米国医師国家試験合格も目指してもらう。外部試験の受験や留学の経費は1人6年間で最大50万円を助成する。

 対象は2016年4月以降に高校などを卒業したか来春卒業見込みの高校生で、調査書の評定平均4・0以上、大学入試センター試験正答率85%以上などが条件。道内の学生を対象にしたAO入試(北海道特別選抜)の定員40人から5人減らし、国際医療人養成枠を確保する。一方、北海道特別選抜についても、文部科学省に認可されれば37人とする見込み。

 全国初の遠隔医療センターを設立するなど遠隔医療の国際的な権威として知られる吉田晃敏学長は「全国から志の高い学生を集め、具体的な目標を持たせることで徹底的に英才教育を図る。地域医療だけでなく国際医療へ貢献していく人材を養成し、旭川を国際医療都市にしたい」と意欲を見せている。【横田信行】



http://www.medwatch.jp/?p=14856
公的病院や地域医療支援病院、改革プラン作成し、今後の機能など明確に—地域医療構想ワーキング(1)
2017年7月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 日赤や済生会などの公的病院、国立病院、地域医療支援病院、特定機能病院などは、▼自院が地域で担う役割など▼今後提供する医療機能(4機能ごとの病床の在り方や診療科などの見直し方向)▼今後提供する医療機能に関する具体的な数値目標(診療実績や地域連携、経営関連項目)―などを記載する「公的医療機関等改革プラン」(仮称)を近く策定し、地域医療構想調整会議に報告し、地域医療構想と齟齬があれば改革プランを修正することとする—。

 19日に開催された地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画等の見直しに関する検討会の下部組織以下、ワーキング)では、このような方針を了承しました。厚生労働省は近く、改革プラン作成のためのガイドラインをまとめ、公的医療機関などに通知する考えです。

ここがポイント!
1 公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院などが改革プランを作成
2 改革プランには今後の機能や、診療実績に関する数値目標なども記載
3 調整会議の協議と齟齬があれば、改革プランは修正が求められる

公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院などが改革プランを作成

2025年における地域の医療提供体制を描いた地域医療構想(高度急性期・急性期・回復期・慢性期などの病床数などを明示)を実現するために、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で機能分化・連携の促進に向けた議論が進められていますが、厚労省は、まず▼救急・災害医療などの中心的な医療機関▼公的医療機関や国立病院▼地域医療支援病院・特定機能病院—などが担う医療機能を固めることから初めてはどうかとの考え方を示しています。まず地域の中核となる医療機能をどの病院が担うのかを固め、次いで他の医療機関がそれらとどう連携し、機能分担していくことが近道と考えられるためです。

 このうち公立病院については、総務省が2015年度または16年度中に「新公立病院改革ガイドライン」に沿った改革プラン(新公立病院改革プラン)を策定することが求めており、地域医療構想と、各公立病院の役割とを両睨みしながら、機能分化に向けた議論を進めていくことになります(関連記事はこちら)。

この点についてワーキングや、親組織である「医療計画等の見直しに関する検討会」などでは、「公的病院も、地域において重要な役割を果たすことが期待されている。公立病院と同様に、今後の機能などを明確にした改革プランを作成すべきではないか」との指摘が出されていました。例えば、赤十字病院や済生会病院などです。

厚労省はこうした指摘を踏まえ、公的病院や地域医療支援病院、特定機能病院など(まず機能分化に関する議論を始めることが妥当な医療機関)においても「改革プラン」を作成してもらう方針を固め、ワーキングに提案しました。

改革プランの作成が求められるのは、▼公的医療機関(日本赤十字社、済生会、厚生農業協同組合連合会などが開設する医療機関)▼共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構(JCHO)が開設する医療機関▼国立病院機構、労働者健康安全機構が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—です。地域医療支援病院や特定機能病院も地域で重要な役割を果たすことが期待されるとともに、機能分化に向けて都道府県知事などが強力な権限行使を行えることから、作成対象に含まれたものです。個別医療機関が地域の状況を十分に踏まえた改革プランを作成することが重要であり、例えば「●●団体で1つの改革プラン」とすることは好ましくありませんし、また後述するように「修正が求められる」可能性があります。
 
なお、これら以外の、例えば社会医療法人の開設する医療機関などには改革プラン作成義務こそありませんが、厚労省は「自主的に今後の方針を検討し、地域の関係者との議論を進めることが望ましい」との考えを示しています。

改革プランには今後の機能や、診療実績に関する数値目標なども記載

改革プランには、▼基本情報(医療機関名や開設主体など)▼現状と課題(構想区域および自院、それぞれの現状と課題)▼今後の方針(自院が今後、地域で担うべき役割など)▼具体的な計画(自院が今後提供する医療機能と、その具体的な数値目標)―を記載することになります。

具体的な計画のうち「自院の今後提供する医療機能」については▼4機能ごとの病床の在り方▼診療科の見直し―など、「具体的な数値目標」については▼病床稼働率、手術室稼働率などの診療実績▼紹介率、逆紹介率など地域連携の状況▼人件費比率などの経営関連項目—などの記載が求められます。
(図 略)
公的病院の改革プランには、地域で今後担うべき機能や、具体的な数値目標などを記載することが求められる
 
このうち経営関連項目について今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)からは「公立病院では経営の厳しさを背景に改革プラン作成が求められ、経営関連の目標値などを記載することになっている。しかし今般の公的病院の改革プランは地域医療構想実現を目指すもので、経営関連の目標値設定は自由記載などとすべきではないか」との指摘がありました。公立病院の改革プランは、そもそもが経営改善のためのプランであり、そこに「地域医療構想の実現」という要素が後から追加された(新改革プラン)という経緯があるためです。
しかし、中川俊男構成員(日本医師会副会長)や伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)らは「公的病院も地域医療構想実現に向けたプレイヤーである。経営状況が厳しいのであれば出処進退を明らかにする必要がある」と述べ、経営関連の目標値設定は「全公的病院に義務付けるべき」との考えを示しました。

また厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「調整会議では地域医療介護総合確保基金の配分に関する議論も行う。公的病院が基金活用を考える場合には、その経営状況も重要な検討要素となる」と、目標値設定の重要性を説いています。どのように目標値を設定し、それを改革プランに記載するかなどは、今後の厚労省通知(ガイドライン)を待つ必要があります。

調整会議の協議と齟齬があれば、改革プランは修正が求められる

改革プランの策定に当たっては地域の関係者(連携医療機関や住民など)の意見も踏まえて、「構想区域ごとの医療提供体制と整合的」な内容とすることが重要です。改革プランは調整会議に提示することが求められ、仮に調整会議の協議の方向と齟齬が生じた場合には「策定した改革プランを見直す」ことを厚労省医政局地域医療計画課・在宅医療推進室の伯野春彦室長は明らかにしています。
(図 略)
改革プランは、地域医療構想実現を目指すものゆえ、地域関係者の意見を踏まえ、調整会議の協議と齟齬のないものとする必要がある
 
ここで公的病院は、いつまでに改革プランを作成し、調整会議に提示しなければならないのかが気になります。厚労省は、秋の調整会議(10-12月)から「次年度の地域医療介護総合確保基金の活用・配分に関する議論を始める」よう求めており(関連記事はこちらとこちら)、仮に「来年度(2018年度)分の基金活用の前提として、改革プランの策定が求められる」こととなれば、今秋(2017年9月頃)には改革プランを策定しなければなりません。この点について伯野在宅医療推進室長は「各公的病院には、急ぎ改革プランを作成してもらう」と述べるにとどめており、具体的な期限は今後、調整されることになります。
(図 略)
地域医療構想調整会議の進め方(案)、これを2017年度以降、毎年度繰り返し、構想実現を目指すことになる
 
厚労省は、近く改革プラン作成に向けた「ガイドライン」を通知する構えです。



http://www.medwatch.jp/?p=14846
2016年度、自治体病院の6割超が赤字で、経営状況はさらに悪化—全自病
2017年7月18日|医療現場から MedWatch

 自治体病院(地方公営企業法適用病院)における2016年度の決算見込み額を調査したところ、赤字割合は前年度から4.9ポイント増加して62.8%となり、黒字病院は37.2%にとどまる。黒字病院の割合は、2009年の40.1%から2010年度に52.3%に増加したが、その後、2011年度:51.9%→12年度:48.4%→13年度:44.5%→14年度:43.3%→15年度:41.0%→16年度:37.3%と減少を続け、非常に厳しい状況である—。

全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は、12日の定例記者会見でこのような状況を明らかにしました(全自病のサイトはこちら:「平成28年度 決算見込額調査報告書(平成29年3月31日)」をクリックしてダウンロード可能)。https://www.jmha.or.jp/jmha/statistics/

なお働き方改革について邉見会長は、「一般と同じ時間外労働規制をされれば、産科や救急など、日本の地域医療は崩壊してしまう。地方(田舎)の医療を支えている全自病の考え方を9月に公表する」考えを明らかにしました(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 黒字割合は年々減少、500床以上の大病院での赤字増目立つ
2 給与費、薬品費、委託費の増加が自治体病院経営を苦しめる
3 地方独法病院、サンプル数少ないが法適用病院より良好な経営状況が伺える

黒字割合は年々減少、500床以上の大病院での赤字増目立つ

今般の2016年度決算見込みは、全国428の自治体病院(地方公営企業法適用病院382、地方独立行政法人病院46)から得られた回答を分析したものです。ここでは、地方公営企業法適用病院(法適用病院)の状況を見てみましょう。

まず法適用病院382のうち、2016年度に黒字となるのは142病院で37.2%、赤字となるのは240病院で62.8%です。赤字病院の割合は前年度に比べて4.9ポイント増加(逆に言えば黒字病院が4.9ポイント減少)。
(図 略)
法適用病院の赤字・黒字割合
 
黒字病院割合の経年変化を見ると、▼2008年:29.1%→▼2009年:40.1%→▼2010年:52.3%→▼2011年:51.9%→▼2012年:48.4%→▼2013年:44.5%→▼2014年:43.3%→▼2015年:41.0%→▼2016年:37.2%—となっており、2010年をピークに減少傾向が続いています。邉見会長は、地域医療の崩壊が指摘されたかつての水準に近づいていることに強い危機感を訴えています。
 
病床規模別に赤字・黒字割合の変化(一般病院)を見ると、300床台・400床台の病院では前年から変化していません(300床台では赤字割合が65.5%、400床台では68.9%)が、その他の規模では赤字割合が前年から増加しています(100床未満では54.7%、100床台では72.2%、200床台では73.0%、500床以上では52.9%)。とくに500床以上の大病院では、赤字割合が前年に比べて13.7ポイントも増加しています。
(図 略)
病床規模別に見た法適用病院の赤字・黒字割合

給与費、薬品費、委託費の増加が自治体病院経営を苦しめる

次に決算の内訳を見てみると、100床当たりの総収益は前年に比べて1.4%増加しているものの、100床当たりの総費用が、これを上回る1.9%増となっているために、経営が悪化してしまったことが分かりました(全体では赤字となっている)。

100床当たり費用の中で、前年度から伸びが大きい項目を拾ってみると、▼職員給与費(前年度から3.5%増)▼薬品費(同2.2%増)▼委託費(同2.7%増)―などが目立ちます。給与費増の背景には「公務員俸給表の見直し(引上げ)」、薬品費増の背景には「超高額薬剤の保険収載」、委託費増の背景には「アウトソーシングの拡大」などがあります。邉見会長は「チーム医療を充実するために、さまざまな医療職を確保する必要がある」と述べ、医療の質向上のために費用がかかる点を訴えました。

 
また収入に目を移し、患者単価(患者1人1日当たり診療収入)を見ると、全体では入院4万8768円(前年度に比べて724円・1.5%増)、外来1万3847円(同423円・3.2%増)となり、前年度から増加しています。患者数の減少(1日平均患者数は入院では前年度から0.4%、外来では2.2%減少)を、単価のアップで補っている格好です。

一般病院の入院単価は5万147円(前年度に比べて1.5%増)となっており、病床規模別に見ると、▼100床未満:2万3838円(同0.7%増)▼100床台:3万2204円(同0.7%増)▼200床台:4万1961円(同1.0%増)▼300床台:4万8333円(同0.7%増)▼400床台:5万1548円(同1.8%増)▼500床以上:6万2985円(同2.1%増)―となっており、大規模病院では患者単価の上げ幅が大きいことが分かります。
(図 略)
法適用病院の患者単価

地方独法病院、サンプル数少ないが法適用病院より良好な経営状況が伺える

なお、サンプル数が少ない地方独立行政法人病院(今回は46病院が回答)ですが、次のように、法適用病院に比べて経営状況が若干良好なことが伺えます。もちろん単純な比較はできませんが、参考にすべき点は少なくないでしょう(関連記事はこちら)。

▼赤字病院の割合は47.8%(法適用病院では62.8%)、黒字病院の割合は52.2%(同37.2%)

▼100床当たりの営業収益は前年度から2.8%増加し、営業費用はこれを上回る伸び(3.0%増)だが、経常損益では黒字となっている(同赤字)

▼1日平均患者数は、入院では前年に比べて1.2%増(同0.4%減)、外来は同じく0.2%減(同2.2%減)

▼病床利用率は全体で81.5%(同75.4%)

▼患者単価(一般病院)は入院6万4044円で、前年度比1.9%増(同5万147円・1.5%増)、外来1万7803円で、前年度比3.5%増(同1万3917円・3.2%増)



https://www.m3.com/news/iryoishin/545864
m3.com全国医学部長・学長アンケート
強制力ある医師偏在対策、医学部長間でも意見分かれる◆Vol.1
「医療人育成には税金」「インセンティブが重要」

スペシャル企画 2017年7月15日 (土)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

 医師偏在対策、新専門医制度、働き方改革――。医療を取り巻く仕組みに大きな変革が求められる中で、常に一定の役割を期待されるのが大学医学部だ。

 m3.com編集部は、2015年、2016年に引き続き今年の4月から5月にかけて、全国82の医学部、医科大学の医学部長、学長を対象に、医学教育の現状を尋ねるアンケートを実施。今回は、医師偏在対策、働き方改革、新専門医制度、医師国家試験、女性医師――などを巡る動向について、率直なご意見を伺った。

 18大学の医学部長もしくは学長から回答をいただいた。その結果を11回に分けて紹介する。

(ご協力いただいた学長、医学部長、大学職員の皆様には、この場を借りて、心より厚くお礼申し上げます)

◆2015、2016年の結果はこちらm3.com全国医学部長・学長アンケート

Q 医師の偏在対策の議論では、保険医の配置・定数の設定、地域医療を義務付けるといった方策も提唱されていますが、何らかの強制力を伴う対策が必要とお考えでしょうか。
07221_201707230930207cb.jpg

 医師偏在対策に関連して、「強制力を伴う対策」については「必要」が6人、「必要でない」が6人、「どちらとも言えない」が5人と回答が拮抗した。

Q 医師偏在対策についてご意見があればご記入ください

【何らかの強制力を伴う対策が必要】

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】国立公立大学は医療人育成に税金が投入されているのだから、卒業生は成績と資質に応じて地域偏在と診療科偏在を是正するように強制配置されるのは妥当であろう。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】絶対に必要。

【金沢医科大・神田享勉学長】地域の診療医師偏在が問題である。例えば眼科や皮膚科の医師ばかりでは地域医療は成り立たない。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】本学は現在、兵庫県西部や高知県に地域医療を支援すべく医師派遣を精力的に行っている。その理由は、地域医療への貢献が本学の建学の精神「至誠仁術」に合致しているためである。また、将来、高槻市における2025年問題である高齢化対策に、現在行っている地域医療への医師派遣事業が役立つと考えられているからである。

【広島大・秀道広医学部長】医師の使命感、公共心の涵養が大切だが、国民の医療に対する要請(要求)のレベルが格段に大きくなっていること、家庭を持つ女性医師の数が増えていることのために、独身ないし男性医師への負荷が大きくなっていることはもっと取り上げられるべき。医師が少ない地域や診療科は、医師個人の好みの問題ではなく、そこに赴任を強制されてもそれらの職場では役割を果たし得ない情況にある医師の数が増えている現実がある。

【徳島大・丹黒章医学部長】インセンティブで誘導するしかない。

【何らかの強制力を伴う対策は必要ない】

【山形大・山下英俊医学部長】医師偏在については、地域の医療を担う大学、行政、医師会、病院会が協力し合う体制(山形県の医療を支える山形大学医学部蔵王協議会の例がある)を作ること、その活動のためにはエビデンスとなる情報収集(山形県については山形大学医学部医療政策学講座が継続的に行っている)を行うこと、さらに説得力のある地域の医療計画の策定とその実行(山形県の上記蔵王協議会と県、医療関係者が行っている連携)が不可欠であると考える。

【京都府立医科大・竹中洋学長】本学においては、従来から地域医療を担う大学病院として、人材育成や府北部地域等の医師不足地域への医師派遣を行っているところであり、引き続き地域医療を担う公的な大学病院が基幹施設となり、専攻医の採用や連携施設への医師派遣を行うことが重要である。

【兵庫医科大・野口光一学長】強制的な制度に永続性は無い。若手医師の立場に立った議論も必要である。

【島根大・山口修平医学部長】義務付けることは必要ない。医学教育の中では地域医療教育をシステマティックに行う必要がある。卒後の若い世代に対しては、地域でも十分な教育・研修が受けられ、さらに都市部との人事交流が可能な体制作りをする。大学病院と地域病院とのクロスアポイントメント制度をスタートし、地域で指導医が活躍できる体制を目指している。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】医師の偏在化を招かないように配慮することは重要であるが、福岡県の大学は、佐賀や長崎北部・離島へも医師派遣をしており、福岡市・北九州市周辺のみを見て定員上限を設けるべきではない。福岡県内でも医療過疎地帯が多く存在する。福岡県の大学は「地域・救急管理学講座」など、県からの寄付講座を賜り、医師派遣を行っているのも現状である。

【産業医科大・東敏昭学長】強制を考えなくても自然に分布は更正される。また地域社会のあり方自体に変化すべき点がある。ただし、ごく特殊な例については対策が必要。

【どちらとも言えない】

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】強制力を伴う対策でないと実効性がないと思うが、法的には難しいだろう。

【富山大・北島勲医学部長】新専門医制度により大学と地域病院の連携が強くなれば、地域医療に貢献できるようになると思います。

【福井大・内木宏延医学部長】全国市長会をはじめ各種団体より、地域医療崩壊あるいはその助長の懸念の根本が、新専門医制度導入にあるとの考えが表明されているが、今日の医師配置の地域格差を生んだ根本原因は、2004年4月に創設された新医師臨床研修制度にあると考える。その原因は多岐にわたると考えられ、科学的検証も公表されていないため具体的言及は控えるが、新医師臨床研修制度の改革なくして、地域の医師不足が根本的に解決されることはないと考える。(国立大学医学部長会議より、2017年5月17日付で公表された、「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」への反論を参照願いたい)

【選択肢は選ばず】

【大阪市立大・大畑建治医学部長】インセンティブが解決します。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/546177
m3.com全国医学部長・学長アンケート
義務年限果たさない地域枠学生、対策は?◆Vol.2
「大学医局との連携、地元への定着を」「逃散あってもおかしくない」

スペシャル企画 2017年7月21日 (金)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)


 医師の地域偏在解消の切り札として拡大が続く医学部の地域枠。2016年度の募集人員は計1617人に上り、医学部定員の約6分の1を占める。都道府県などが指定する地域で、卒業後の一定期間勤務することを義務付けるものだが、奨学金を早期に返済することで義務年限を果たさずに都心部に流出してしまうことがあるとされ、厚生労働省の審議会でも対策が検討されている(『「地域枠」義務違反の病院に罰則を検討、臨床研修部会』を参照)。

Q 2008年度の医学部定員増以降、地域枠で入学する医学生が増えています。卒業後、義務年限を果たさずに、他の都道府県に就職した地域枠養成の医師はいますか。
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 回答のあった18大学の医学部長・学長のうち、6大学で「いる」という回答があった。

Q 義務定年後の定着を見据えて、地元定着のための取り組みがあれば、教えてください。
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】義務年限中に学位取得できるようなインセンティブを用意することで、大学医局との連携を保ち、地元への定着を図っている(社会人大学院)。

【島根大・山口修平医学部長】他の都道府県に就職した医師はいる。義務年限の終了はまだ先であり、現時点では定着の取り組みとしては行っていない。

【富山大・北島勲医学部長】学生時代から地域医療に触れる機会や実習時間、地域イベントやボランティアに参加させる取り組みを増やしている。

【兵庫医科大・野口光一学長】休暇期間での地域でのフィールドワーク等の対策を行っている。

【横浜市大・井上登美夫医学部長】義務年限を果たしていないまま他の都道府県に就職を希望する場合は、残り年分を後ろ倒して定年を果たすように案内しています。定年後の定着については、特に取り組みは行っていません。

【金沢医科大・神田享勉学長】今後は本学で研修する意志のある学生を募集する方針である。※(新)特別推薦入学試験(AO入試) 概要=受験資格は25歳以下の方で、本学を卒業後、金沢医科大学病院または金沢医科大学氷見市民病院(富山県)にて臨床研修(5年間)を行う意志の強固な方が対象となる。

【徳島大・丹黒章医学部長】義務年限は9年と長く、返済金は少ないため、いつ逃散があってもおかしくない。面談を行い、良心に訴えている。

【広島大・秀道広医学部長】地元での働きがいの充実と、子どもの養育や地方での生活の利便性の向上に尽きると思います。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】・まだ卒業生がいない。・卒後の東北地方定着のための取り組み 1.卒後の東北地方定着を担保する仕組みの一つとして、東北地方での勤務義務付き資金枠を100人の定員のうち55人用意している。2.東北6県に19の「地域医療ネットワーク病院」を設定して、2年次から5年次まで継続して同一地域の訪問・実習を行うことにより、地域の文化や医療事情を理解させ愛着を持たせる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547029
真価問われる専門医改革
新専門医制度の2018年度開始に反対、1560人分の署名
『専門医制度の「質」を守る会』、厚労相宛に提出

レポート 2017年7月21日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 有志の医師らで構成する『専門医制度の「質」を守る会』は7月21日、塩崎恭久厚労相宛に、「新専門医制度2018年度からの開始反対の署名」を提出した。署名活動は今年3月9日から開始、医師を中心に1560人分集めた。署名は、厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の遠藤久夫座長にも提出した。

 提出後に厚労省内で記者会見した、同会代表を務める安城更生病院(愛知県安城市)副院長の安藤哲朗氏は、「新専門医制度は医療全体に大きな影響が及ぶ上、医師研修の質が担保されていない。研修プログラム制は、医師の柔軟なキャリア形成を阻害する。さらに基幹型と連携施設の循環型研修は、地域医療を弱体化させ、結局は大学医局の支配強化のみが残る」などと問題視。特に研修の質を重視し、2016年7月に、2017年度からの開始が1年延期された今でもなお、質の担保が保障されていない以上、2018年度からの開始にも反対すると主張した。

 共同代表を務める坂根Mクリニック(茨城県つくば市)院長の坂根みち子氏も、女性医師の立場から「医師の働き方改革をしないまま、新専門医制度を導入すると、出産・育児を諦めるか、キャリアを諦めるか、二者択一になってしまう」と指摘し、出産・育児をしながら、キャリアを重ねることができる制度にする必要性を強調した。

 『専門医制度の「質」を守る会』の呼びかけ人は、安藤氏、坂根氏を含め、計13人。1560人という署名数について、安藤氏は、次のように説明した。「地域医療の現場の医師や研修医のほとんどは、新専門医制度に反対しているものの、大学医局からの有形無形の圧力のために、表立って反対の声が上げられず、あきらめている医師が多数。1560人の多くは医師であり、そのような圧力の中で勇気を振り絞った人達」。

 塩崎厚労相宛の署名は、厚労省医政局医事課長の武井貞治氏に手渡した。安藤氏によると、意見交換はできたが、「新専門医制度はあくまでプロフェッショナルオートノミーに基づくものであり、日本専門医機構と各学会が担当している。厚労省は地域医療に責任を持つ立場なので、(地域医療への影響が懸念される場合には)機構に要請はできるが、あくまで主体は機構」という回答だったという。

 日本専門医機構は7月7日の理事会で、2018年度開始に向け、準備が整ったと判断し、10月から専攻医の募集を開始する予定であることを明らかにしていた(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。

 「学会からの長期借入は利益相反」
 記者会見には、呼びかけ人の仙台厚生病院(仙台市青葉区)医学教育支援室長の遠藤希之氏と、卒後3年目の若手、南相馬市立総合病院(福島県南相馬市)の山本佳奈氏も出席。

 遠藤氏が言及したのは、日本専門医機構の財務状況。各基本領域学会から長期借入金があることから、「審査をされる立場から、借り入れているのは、利益相反ではないか」と指摘した上で、2017年3月21日現在の「財産目録」では、約1億4000万円の赤字であることも問題視した。さらに、「任意団体にすぎない日本専門医機構が、日本の医療を決めてはならない」と語気を強めた。

 山本氏は、初期臨床研修から勤務していた南相馬市立総合病院で、産婦人科専門医を目指したものの、福島県立医科大学を基幹病院とした研修プログラムに入らないと難しいことなどから断念した経緯を紹介。「専門医資格の取得を目指しつつ、南相馬で地域医療をやりたいと思う芽を摘む制度はいかがか」とコメントした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/546822
研修医の受け入れ「大学間格差が拡大」、医学部長病院長会議
旧帝大、「人口50万人以上」で改善幅が大

レポート 2017年7月21日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議は7月20日、2016年度「全国大学病院研修医に関する実態調査」について報告、「大学間格差はさらに大きくなっている」と訴えた。後期研修医としての受け入れ率(入局率=入局者数/医師国家試験合格者数)は旧帝大で133.2%である一方、その他の国立大学では64.1%に留まっている。都市部にある大学に医師が集まる傾向が進んでいるとし、会見をした大分大学医学部長の守山正胤氏は「地方大学のへき地への医師派遣能力の回復が急務だ」と主張している。

 2016年度の大学病院の初期研修医の充足率(1年目の初期研修医数/初期研修医定員)は全体で71.3%だったが、中大都市圏域(人口50万人以上の都市がある都道府県)では78.6%、小都市圏域(同50万人以下)は59.5%で、大学の所在地による差が見られた。旧帝大では83.2%、その他国立大では61.9%と開きが見られた。

後期研修医、2016年度は大学に回帰傾向
 後期研修医の受け入れ率は中大都市で2016年度は94.5%で、初期臨床研修制度開始以前の2002年度の69.4%から上昇している。反対に、小都市では2002年度の74.2%から50.6%に減少した。ただ、2015年度の中大都市76.6%、小都市41.2%と比べると、それぞれ10-20ポイント改善している。守山氏は「詳しい要因は分析できていないが、新専門制度の影響も考えられる」としている。

 大学の規模別で見ると、旧帝大では133.2%と卒業生以上の医師が後期研修医として入局している一方で、その他国立大では64.1%に留まり、その差は拡大している。自大学出身者の割合は旧帝大で34.0%に対し、その他国立大では63.2%だった。

医師派遣能力、小都市大学で減少
 守山氏をはじめ全国医学部長病院長会議幹部が強調するのは、入局者減少が地域医療に大きな影響を与えているという点。後期研修者出向率(他医療機関への出向医師数/後期研修医数)は中大都市で28.5%(2010年度22.6%)で、わずかに上昇傾向を示しているが、小都市では15.6%(2010年度17.1%)と逆に減少している。

 守山氏は自県の状況として、大分県における「へき地医療拠点病院」への医師派遣実績を紹介。大分市と別府市を除く拠点病院では、内科医は各病院が採用している医師が計29人に対し、大分大からの派遣は計35人であるとし、「大学が人を集めて囲い込むという議論は全くの間違いで、地方の大学は病院と一緒に人材を育成しながら地域の医療を支えているのが実態」と強調している。

 同会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は問題の根本には初期臨床研修制度があるとし、「初期研修のゼロベースの見直しを提言している。その一つとして初期研修の一部を卒前に持ってきて、学部教育の段階で地域において医師の育成をする。へき地に行っても、学位や専門医資格を取得でき、海外に行けることを示していく」と説明。守山氏は「皆が医師を取り合うのではなく、大事に育てるシステムを作らないといけない。大学の医局を使わない手はない。医局が人をつぶす、囲い込むという無益な議論をやめてほしい」と述べた。

全国医学部長病院長会議の「まとめ」

1. 初期研修の充足率は全国的に微増しているものの、地域間や大学間における格差の改善は進んでいない。

2. 大都市部の大学や旧帝国大学での初期研修は、自大学卒業生のみならず、多くの他大学出身者が占めており、研修施設として人気が高い。私立大学は一定数を維持している。

3. その傾向は、後期研修の受け入れ状況において増強され、大学間格差はさらに大きくなっている。この傾向は3-4年前から著明である。

4. 都市部の大学では後期研修医の出向率が上昇しているが、地方大学では回復していない。

5. 後期研修時の診療科の選択(女性医師の診療科選択も含む)において、一定の傾向が見られ、今後、地域間格差や大学間格差のみならず、診療科格差が懸念される。

6. 地方における医師偏在は、地方大学で研修する医師が新臨床研修制度施行前の状態に回復していないことが大きい要因であり、地方大学のへき地への医師派遣能力の回復が急務である。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547043
医師の働き方改革とキャリア
病院の責任と「働き方改革」のジレンマ - 片柳憲雄・新潟市民病院院長に聞く◆Vol.1
是正勧告受け「業務」と「研修」の区別徹底

インタビュー 2017年7月23日 (日)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 2016年1月に後期研修中の女性医師が過労自殺し、2017年6月に新潟労働基準監督署から長時間労働是正などの勧告を受けた新潟市民病院。新潟市は勧告を受けて6月、「緊急対応宣言」を出し、紹介状なしでの外来受付を取りやめるなどの対応策を打ち出した。3次救急や周産期医療を担う自治体病院としての責任がある一方で、社会問題となっている「働き方改革」を進めなければならない。院長の片柳憲雄氏は「ジレンマがある」と言い、頭を悩ませている(2017年7月20日にインタビュー。計2回の連載。「緊急対応宣言」は新潟市のホームページ)

――医師の時間外労働や当直、日直はどのような方法で管理されていたのでしょうか。
 紙ベースで、自己申告により報告を受けて集計し、診療科の部長で確認、把握していました。それは以前から変りません。今年6月に労基署から是正勧告があり、同月に「労務改善対策室」を正職員2人、臨時職員4人の体制で設置し、過去2年間分に渡って、確認作業を始めたところです。 これまで、それぞれの自己申告を信じておりましたので、まず申告と労働実態に乖離があったのかどうか、医師189人、それ以外も含めて全職員1500人分を調べます。医師では電子カルテのログイン、ログオフの記録などからということになります。膨大な量ですが、医師は10月まで、他の職員も今年度中には、調査を終えたいと思っています。また、タイムカードや勤務管理システムなどの導入の検討も行っています。

 電子カルテは1人ずつログインナンバーがあり、パソコンから離れるときにはログオフをするようにと、以前から口を酸っぱくして言っていました。それでもときどきログオフのし忘れはありましたが、最近は減ってきています。

――これまでの集計では、医師の時間外労働や当直・日直はどのくらいだったのでしょうか。
 全医師の月平均で、時間外労働が2015年度52時間、2016年度50時間、2017年度は4~6月で47時間。当直は2016年度のデータですが、1人当たりで月平均1回、日直は0.3回。研修医に限ると当直2.2回、日直0.7回でした。当直明けの勤務については、ほとんどは休まずに診療し、手術もしている状態です。医師自身が健康でないと、人を診ることはできませんし、間違いがあってはいけませんので、休めるときは休みなさいと言ってはいますが、実際は休めません。

――時間外労働の算定に当たって、どこまでを「労働」とするかという基準はありましたか。
 「業務」と「自己研鑽としての研修」は今までも分けていたのですが、今回のことがあって、徹底しました。「業務」は、当直も含めた診療、診療に関わる検討会、患者の診察後に手術が必要と判断した場合に準備も含めて手術開始までの待ち時間や、患者さんが亡くなったときなどの待機時間、病院から指定された医療安全や感染管理などの研修会、それ以外で上司からの指示があった場合。これを時間外労働として算定します。

 「自己研鑽としての研修」は専門医を取るための学会や研究会の準備、手技のトレーニング、ビデオや参考書、学会誌などでの勉強、文献検索、そういったものを自己の研修として指示しています。そこを分けないと、管理も始まりませんので。これはずっと医局の医師には言ってきましたが、今年4月の医局総会で改めて確認をしました。

 また、これまでは、業務をして勉強をして、また業務をして、と混在していたので、是正勧告を受けてからは、「勉強は業務が終わった後にやる。場所も、時間外労働は患者のいるところ、つまり病棟や手術室でやる。勉強は医局に戻ってやってください」とはっきりと区別できるようにしました。やりづらくはなります。勉強も、どこでもいつでもできたのが、それをされると勤務時間が分からなくなるので、管理するためには、分けてもらわないといけない。

 (時間外労働の)上限規制の議論で罰則付きの規定ということになれば、(法施行までの)2年間プラス5年間の猶予期間はありますが、うちのように急性期の救急医療をやっている病院にとっては、ジレンマがあります。(時間外労働が)月80時間になったから帰るとか、患者に呼ばれたけど行かないとか、そういうことはできません。医師は患者を助けるために医師になったわけですし、そのためには時間外労働などはいとわないものなのですが、今回のことで変えてかなければいけないとは思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547140
地域医療構想、医師会独自データで対応 - 菊岡正和・神奈川県医師会長に聞く◆Vol.1
県医師会活動、「連携機能」と「現場機能」の両面で

インタビュー 2017年7月23日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 今年5、6月、13の都道府県で医師会長選挙が行われ、神奈川、京都、奈良、島根の4府県で会長が交代した。地域医療構想をはじめ、都道府県単位で医療提供体制の再編が進む中、さまざまな対応を迫られるのが、都道府県医師会だ。4府県の新会長に、就任の抱負や地域医療が抱える課題についてお聞きする。

 初回にご登場いただくのは、神奈川県医師会長の菊岡正和氏(2017年7月12日にインタビュー。計2回の連載)。

――まず県医師会活動についての基本的考え方をお聞かせください。

 私は県医師会の役割は、「連携機能」と「現場機能」に大別できると考えています。前者は、中央の情報を郡市医師会へ、一方で郡市医師会の声を中央に届けるという意味です。この連携機能を果たすため、日本医師会をはじめ、さまざまな機関と連携していく方針です。後者は、県医師会として直接取り組む業務であり、私が長年携わってきた医事紛争特別委員会のほか、医療事故調査制度の支援団体としての取り組み、あるいは災害医療への対応体制構築など、多岐にわたります。中でも今直面しているのは、地域医療構想への対応です。

――地域医療構想のほか、地域包括ケアシステムの構築など、高齢社会に向けて都道府県単位での取り組みの重要性が増しています。その中で都道府県医師会の果たす役割は大きいと思います。

 地域包括ケアシステムについては、郡市の医師会が行政とよく話し合って対応していく課題だと考えています。地域にどんな病院、介護老人保健施設や介護特別養護老人ホーム、あるいは在宅医療の担い手があり、それぞれがどのように関わっていくかは、神奈川県医師会の立場で詳細を把握するのは容易ではないからです。

 一方、地域医療構想は、神奈川県医師会と神奈川県がしっかりと話し合って取り組むべき課題です。

 神奈川県の一番の特徴は、今後高齢者人口が増えること。地域医療構想は、入院医療費の抑制が厚生労働省の狙いだと私は考えています。したがって、同構想が念頭に置いているのは、病床が多い地域。しかし、神奈川県や東京都などは今後、高齢者人口が増加し、地域医療構想と医療計画の双方に対応していくことが難しい状況にあります。神奈川県の場合、地域医療構想の「病床の必要量」が一番多く、次が既存病床数で、医療計画の基準病床数が最も少ないという順番です。国の方針通りに「病床の必要量」を満たすためには、基準病床数を特例で増やさざるを得なくなります。

 もっとも、神奈川県は人手不足で、医師や看護師、さらに他の医療従事者も少ない。この状況で病床を増やしても、うまく運営することは難しいでしょう。ではどうするかですが、病床を増やさずに、急性期医療を充実させ、平均在院日数を減らし、かつ病床の稼働率を上げるほか、疾病単位で分析し、どの分野に進出するのか、あるいは撤退するのかなどを各医療機関に検討してもらうなど、現状の病床の有効活用で対応できるよう提案していく方針です。

 こうした方針を進めるためには、データをそろえ、神奈川県と話し合っていくことが重要です。この7月に、神奈川県医師会内に、データの分析などを行う目的で「地域医療構想検討部会」を設置しました。産業医科大学の松田晋哉教授による研修にも、委員を参加させます。

――地域医療構想は、調整会議での話し合いを通じて、医療機関の自主的な取り組みを促すのが趣旨。行政からの情報を待つだけでなく、データを分析し、現場から提案していくということですね。

 そうです。何もデータがない状態で話し合いをしても、関係者が納得しません。例えば、「この地域では循環器の病床が少ない」などのデータを提示すれば、各医療機関が自院の方針を決めやすくなります。その手助けを県医師会が行っていくということです。今後2年くらいで地域医療構想の方向性が決まると思っており、この8月頃に新しいデータが厚労省から出てくると聞いていますので、それを基にすぐにデータ分析を開始します。

 地域医療構想では、一方で在宅医療の話もあります。外来で診ていた患者さんが、在宅医療に移った際に対応したり、かかりつけ医の先生が、年間数人でも看取るような体制を作っていく必要があり、そのための支援の一環として、神奈川県医師会では「在宅医療トレーニングセンター」を運営しています。ここは医師だけでなく、他の職種も含め、在宅における医療的ケアのスキル向上が目的であり、講義室と各種実習室を設けています。評判はよく、多くの方に利用いただいています。

――在宅医療では、1人の医師が24時間365日対応することが難しいため、地域でネットワークを組むことが重要になります。その辺りの支援にも取り組んでおられるのでしょうか。

 その一環と言えるかもしれませんが、今考えている一つは、最近増加している在宅専門診療所と地域で開業されている先生方が、「顔見知りになる場」を作ることです。両者が今後連携していくことが必要であり、「顔が見える関係」にしておけば、何か起きた時でも、対応が可能になります。

――そのほか今後、力を入れていく業務は何でしょうか。

 一つは、災害医療の体制作りです。私は、神奈川県医師会の副会長時代に、災害時の医療対策マニュアルを作成しました。災害が起きた場合には、情報や指揮命令系統を一本化することが必要です。このため、神奈川県医師会がある建物内にさらに一室を借り、県外、県内を問わず、何らかの災害が起きた場合に、すぐに災害対策本部を設置できるように準備を進めています。また神奈川県には今、災害医療コーディネーターが11人いますが、うち2人は医師会から出しています。災害発生時には1人は県に、もう一人は県医師会の災害対策本部に置き、連携が取れる体制にし、群市医師会からの要望を吸い上げ、DMATやJMATなどの派遣を迅速にできるように準備を進めています。

 また私は副会長時代、医事紛争特別委員会を担当していました。本委員会は、日本医師会医師賠償責任保険の免責となる100万円以下が対象で、年間70件くらいの案件が挙がっています。会員の先生方にとっては、最初に事情聴取を受けるだけで、後は本委員会の委員が対応するため、メリットが多い制度です。委員の新陳代謝を図り、委員会の質をさらに高めるための努力をしていきます。

――その他、医療事故調査制度や新専門医制度でも、都道府県単位の取り組みが求められています。

 神奈川県医師会は、医療事故調査制度の支援団体としての届出を行っています。医事紛争特別委員会の委員を中心に構成し、運営しています。また神奈川県内には4つの医学部・医科大学があり、2016年秋からは大学の案件については相互に外部委員を派遣する体制にし、かなり難しい案件にも対応できるようになっています。

 新専門医制度への対応はこれから検討する段階です。大学病院や基幹病院に専攻医が集中すると、過疎地域や中小の病院に行く医師が少なくなる懸念があります。その辺りを検討していくことになるでしょう。

 都道府県単位の取り組みが増えているのは事実ですが、医学部が1大学しかない県と、4つの医学部・医科大学がある神奈川県では、おのずから事情が違います。人口や医療提供体制も異なる中で、神奈川県独自の対応を検討することが必要です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/544174
全日病 病院総合医」を養成するわけ - 猪口雄二・全日病会長に聞く◆Vol.2
地域医療に取り組む中小病院に必要

インタビュー 2017年7月16日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――よく「中小病院の経営は厳しい」と言われますが、各地域の実情を踏まえれば、十分に取り組むべきこと、生き残る道があるということですね。

 はい。地域包括ケアシステムの中で、自院がどんな役割を果たすべきかを考えることが必要。全日病としても、中小病院をいかに位置付けていくかが最大の課題です。ただ忘れてはいけないのは、地域包括ケアシステムは、医療機関中心ではなく、利用者中心であるということ。利用者のもとに、医療・看護、介護、保健・予防、住まいが集まるシステムであり、全てがイコールパートナーとして、同じ目線で取り組まなければいけません。


「全日病 病院総合医」を養成するコースは、今年度内に立ち上げる予定だという。
――時代とともに、中小病院が果たす役割が変わっているとも言えます。

 私が運営する寿康会病院(東京都江東区)も以前は、150床の一般病院で、手術も数多く実施していました。しかし、1996年に病院を建て替える際、49床にダウンサイジング、空いた敷地に社会福祉法人を作り、特別養護老人ホームを建てました。ショートステイやデイサービスも併設した複合施設は都内でも初でした。

 それでも最初は、49床でも年間約300件の手術をしていました。私が臨床メーンで仕事をしていた時は、大腿骨頚部骨折の手術を1日3例ほど手がけたこともありました。

 しかし、若い医師にとっては、大学病院での手術に慣れると、うちのような小規模の病院では手術はやりにくくなる。しかも、20年前は、ほぼ全てが開腹手術でしたが、胆石の手術辺りから腹腔鏡による手術に代わっていくなど、医学的にも大きく進歩しました。医師数が多く、患者も多数来院し、手術室の回転率も高く、結果的に新しい技術や機器を導入できるような病院でないと、急性期病院として成り立ちにくくなっていく……。こうした流れを感じて、寿康会病院をダウンサイジングしたのです。

 そして約7年前に、メジャーな手術はやめ、内科的入院、リハビリ目的の入院など、地域包括ケア病床の機能を柱にしました。今は局所麻酔でできる手術のみ続けています。

――高齢化に伴う疾病構造の変化とともに、医療技術の進歩が病院経営に大きく影響している。

 そうです。がんの手術も以前はやっていましたが、助手に入る外科医や麻酔科医を確保して、手術日を決めて実施するなど、体制を組んでいたら、コストばかりがかさんでしまいます。

――がんについては、生物学的製剤など新薬の登場が相次ぎ、レジメンも日進月歩です。

 「がんなどの手術は大病院の役割であり、中小病院の役割は何か」を考えると、地域包括ケアへの取り組み、地域住民を対象とした医療になると考え、いち早く当院は転換を図ったのです。

 地域に密着した医療を展開する際に必要となるのは、一般的な診療には幅広く対応でき、専門的な医療が必要かどうかを見極め、紹介することができる医師です。しかもそれだけでなく、介護保険制度など各種制度も知っていることが必要。総合診療専門医がこれに当たりますが、養成はこれから始まるところなので、総合診療専門医が全国的に行き渡るのは、かなり先の話でしょう。

 一方、これまで各専門分野で活躍してきた医師が、総合的な医療をやろうと考えても学ぶ場がない。いろいろな疾患に対応できるけれども、もう少しきちんと勉強したいと考える医師はたくさんいると思います。そうしたニーズに応えるため、「全日病 病院総合医」を養成するための1年くらいのコースを今、作っているところです。

 現場を離れるわけにはいかないので、働きながら学べるよう、e-learningや土日曜日の集合研修を中心にし、1週間くらいの救急での実地研修などを組み合わせたコースとする予定です。公的な資格制度ではないので、一定程度の研修を終えたら、修了証を授与することを考えています。今秋くらいには取りまとめ、今年度内にはスタートさせたい。

――「全日病 病院総合医」は、新専門医制度で19番目の基本領域に位置付けられる総合診療専門医とバッティングするものではないのですね。

 はい、バッティングはしません。先進各国は、早くから総合的に診る医師の養成に取り組んできていますが、日本はこの辺りが遅れてしまっているのが現実です。総合的に診ることができる医師が増えないと、日本の医師不足は解消しないと考えています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/544175
地域医療構想、悲観的になる必要なし - 猪口雄二・全日病会長に聞く◆Vol.3
「厚労省、今度こそ改革に本気」

インタビュー 2017年7月23日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――そのほか全日病として対応すべき課題は何であるとお考えですか。

 地域医療構想です。全日病の各支部から担当者に集まってもらい、データも持ち寄って会議を開催したいと思っています。

――地域医療構想は、各都道府県で策定を終え、各構想区域で調整会議を開いている段階です。

 私は調整会議で、民間病院が悲観的になってはいけないと考えています。確かに高度急性期医療を行う病院も必要ですが、地域包括ケア病棟などを持ち、地域を支える医療を行う病院も必要です。ただ、それを担うのは、地域に密着した中小病院であり、「公立病院が合併して、病床が余ったから、その一部を地域包括ケア病棟にする」といったことはやめてほしいと、各地域で主張してもらいたいと思っています。公立病院と言っても規模や役割はさまざまですが、少なくとも基幹病院が地域包括ケア病棟を持つのはおかしい。


猪口雄二氏は、昨今の制度改革の原点は、2013年8月の「社会保障制度改革国民会議」報告書にあると見る。
――基幹病院の診療圏が広い一方、地域包括ケア病棟を持つ病院は、診療圏は狭いという違いがあるからですか。

 そうです。また地域医療構想と地域包括ケアシステムは、連動して考えられがちですが、私から見れば違うもの。この辺りについても、関係者の理解を深めていくことが必要と考えています。

――両者の一部は重なると思うのですが。

 将来的には重なるかもれませんが、今の時点では、ほとんど重なっていないと思います。地域医療構想は、複数の区市町村が含まれる構想区域単位の話である一方、地域包括ケアは市区町村単位で進むという違いがまずあります。

 また地域医療が抱える問題は地域によって異なりますが、例えば、東京都の場合、構想区域(2次医療圏)単位で医療は完結していない上に、都心部に大学病院が集中していて、多摩地区には回復期や慢性期の病院が多いなど、23区とそれ以外では事情が違うといった問題がありますが、病院の移し替えはできない。この中でどのように許容しながら医療提供体制を考えていくのが、地域医療構想。

 一方、地域包括ケアシステムの目的は、医療機関だけではなく、医療介護の多職種がかかわり、利用者である高齢者をいかに支えるかにあります。

――地域医療構想は、今後どのように展開していくと見ておられますか。

 そもそも地域医療構想は、これから進む話。「骨太の方針2017」で、「2年間で」と打ち出されましたが、2年で終わるはずはありません(編集部注:2017年6月に閣議決定された「骨太の方針2017」は、「病床の役割分担を進めるためにデータを国から提供し、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する」と明記)。

 病床機能報告制度における4つの医療機能についても、皆がまだしっくりと来ていません。高度急性期や急性期の病床にも、回復期の患者は一定程度、入院しています。一方、うち(寿康会病院、49床)は、一般病床と地域包括ケア病床が半々であり、新規入院患者の半分は急性期の患者が占めますが、回復期として届け出ています。

――地域医療構想に対し、中小病院はどう対応していけばいいのでしょうか。

 それは地域によって異なります。国としては、急性期のベッドを減らして回復期に移行し、急性期の機能を集約したいと考えているはず。これまでも厚労省はさまざまな施策を打ち出してきましたが、今回こそ医療提供体制を本気で変えたいと考えているのだと思います。

 昨今の一連の施策は、「社会保障制度改革国民会議」(2013年8月)の報告書が発端です。確かに機能分化をしていかなければいけないのは事実です。医師の働き方改革も含めて、さらに今後厳しくなる急性期医療にあえて挑戦があってもいい。あるいは逆にうち(寿康会病院)みたいに、地域包括ケア病床を持ち、地域密着型で取り組んでもいい。



https://www.m3.com/news/kisokoza/545560
基礎講座
「なりたい医師像がある」医学生の約半数
医学生4129人が考えるキャリア◆Vol.1

2017年7月16日 (日)配信エムスリーキャリア

 新専門医制度の本格開始、医師のキャリア・働き方の多様化など、医師を取り巻く環境が大きく変わろうとしている今、医学生はどのように自身のキャリアや今後の動向を見ているのだろうか。70大学4129人の医学生を対象に全日本医学生自治会連合(医学連)が実施した「目指す医師・医学者像についての意識調査」の結果を、4回に分けて紹介する(グラフは医学連提供データを基に、エムスリーキャリア編集部にて再編集)。

約半数の医学生に「なりたい医師像がある」
 医学連では2016年12月1日から2017年3月31日にかけて、医学生がどれだけキャリア形成を考える機会を得られているかを解明し、これからの大学教育や新専門医制度の議論にフィードバックしていくことを目的にアンケートを実施。回答数は4129人(70大学)で、男女比は男性58.1%、女性41.9%。学年の割合は以下のようになっています。
(図 略)

 この結果、「目指す医師・医学者像について考える頻度があるかどうか」を聞いた項目では、約8割の医学生が「普段から考える」「たまに考える」と回答。

 考える機会として多かったのは、「大学における実習中」(56.1%)、「学生同士の会話」(43.5%)、「大学における講義」(26.9%)など(複数回答)。大学内での活動がきっかけで将来について考える医学生が多い結果となったほか、「尊敬する医師との出会い」(37.2%)も多くの回答を集めました。

 一方で、「学外の活動」(21.2%)、「大学病院以外での実習」(18.2%)、「地域とのふれあい」(10.4%)など、学外での活動を通じて医師像を考えている医学生の割合は少ない結果となりました。
(図 略)



https://www.m3.com/news/kisokoza/545561
基礎講座
医学生の8割、「大学でキャリアの相談したい」 実態は?
医学生4129人が考えるキャリア◆Vol.2

2017年7月17日 (月)配信エムスリーキャリア

 医師のキャリアや働き方が変容しようとしている今、医学生は将来の医師像をどのように考えているのだろうか。前回に続き、全日本医学生自治会連合(医学連)が70大学4129人に対して行った「目指す医師・医学者像についての意識調査」を基に紹介する(グラフは医学連提供データを基に、エムスリーキャリア編集部にて再編集)。

「目指す医師像考える時間、不十分」4割以上
 「目指す医師像について考える機会は十分か」を聞いた質問の回答は以下の通り。 「十分である」「やや十分である」の合計は56.5%に上った一方、「不十分である」「やや不十分である」との回答も合計4割以上に上り、回答が分かれる結果となりました。

 医師像について考える時間が「十分でない」要因として回答者から上がったのは、「授業が過密で考える余裕がないから」(31.5%)、「ロールモデルがないから」(24.6%)、「学生同士で話題に上らないから」(24.0%)などの回答。こうした結果について医学連では、「機会そのもの、相談相手、参考材料、考える時間的余裕、医師像を考えようとする必要性や主体性など様々な要素が獲得できない場合に起こる声だと考えられる」として、複合的な要素が影響していることを指摘しています。
(図 略)

相談相手は「大学」が最多
 アンケートではこのほか、目指す医師像や将来の働き方について悩みを相談する相手がいるかどうかを質問。およそ8割が「不十分だがいる」「十分にいる」と回答し、相談相手の人数の平均値は3.13人、およそ2割の学生は相談相手がいない(0人)と答えました。
(図 略)

 具体的な相談相手として多く上がったのは「大学」(79.6%)、「家族」(53.5%)、「学外の友人」(31.0%)など。割合の多かった「大学」の内訳(複数回答)は、「同級生」(77.6%)、「先輩」(61.1%)などとなっています。
(図 略)

相談“したい”相手も「大学」がトップ
 また、「目指す医師像や将来の働き方について、誰に相談したいと思いますか」という項目においても、「大学」が75.6%と最多の数値に。前述の「目指す医師像や将来の働き方についての悩みを相談する相手はいますか」という質問への回答と比べると、「教員」(46.0%)の割合が高くなっていることから、医学連では、「将来のことを教員に相談したくても相談できない医学生の存在がうかがえる」としています。



https://www.m3.com/news/kisokoza/546274
「新専門医制度は、自由な人生設計を保障するような内容に」
医学生4129人が考えるキャリア◆Vol.4

2017年7月22日 (土)配信エムスリーキャリア

 2018年度の本格開始を間近に控えた新専門医制度。当事者となる医学生は、どのように動向をとらえているのだろうか。全日本医学生自治会連合(医学連)が70大学4129人に対して行った「目指す医師・医学者像についての意識調査」を基に、医学生のキャリア意識を探る本シリーズ。最終回は、新専門医制度に対する医学生の考えを紹介する(グラフは医学連提供データを基に、エムスリーキャリア編集部にて再編集)。

「新専門医制度に学生の声を」44.8%
 2018年度から本格開始する見通しの新専門医制度。その議論に学生の声を反映させることが「必要だと思う」と答えた医学生の割合は44.8%という結果になっています。

 「どちらでもない」と答えた医学生の回答も4割程度に上った今回のアンケート。ただ、自由記述欄では「意見の反映よりもそれに関する知識がほしい」、「新制度がそもそも二転三転しているような印象でよく分からないから意見の出しようがない」、「学生という立場からでは見えている範囲が狭すぎて有用な意見を発することは難しいと思います」などの意見も。前提として、医学生に対する新専門医制度の説明が十分でなく、意見を発することも難しくなってしまっている現状があると医学連では指摘しています。

「専門医制度は、自由な人生設計を保証するような制度に」
 このほか、新専門医制度において「どのような点に関して、学生のどのような意見を反映してほしいか」を聞いた項目での回答内容をまとめると以下の結果に。幅広いニーズを反映するような意見が寄せられていることから、医学連では「新専門医制度が医学生にとって多様性と選択肢を狭めるものではなく、自由な研修、自由な人生設計を保障するものであって欲しいという想いが読み取れる」としています。

■ワーク・ライフ・バランスを考えつつ専門医を取りたい
・専門医取得にかかる時間が長い。(2年生、女性)
・大学病院に残らないと専門医がとれないと、ライフワークバランスや専門医の偏在等に影響する(3年生、男性)
・結婚・妊娠・出産・育児などのプライベートと医師としてのキャリアパスの両立に関しての意見は反映してほしい(3年生、女性)

■複数の専門を標榜できるようにしてほしい
・低学年に説明の機会を与えるべきである。(複数の学生が回答)
・ダブルボード取得の可否や女性医師のキャリア形成、地域枠学生の働く場所の選択の自由など学生がすごく不安に思っている点はあると思うのでそこを安心できるような制度にしてほしい。(3年生、女性)

■女性医師の働き方について
・専門医を取るためにどのくらいの時間、現場が求められているのか、特に女性医師の場合、専門医取得後、キャリアアップまでの年数、経験症例がどのように変わり、親の介護、子育て、家事などがある中でどう両立していけるのかについて、専門医制度をつくる例が考える具体的な人生設計プランを提示してみてほしい。(5年生、女性)
・結婚・出産などのライフイベントがある人など中途半端な立ち位置になってしまうのではないかという不安があります(6年生、女性)
・専門医を取ることができるのが遅れることに関して女性として働きにくくなることを考慮してほしい(6年生、女性)
・やはり女性である身として、子育ても両立出来るようなしっかりとした制度にしてほしいと思う(3年生、女性)

■研修先によって取得できる科に制限が生まれないこと
・都市部以外の地域で研修を受けても有利不利が生まれないこと。(複数の学生が回答)
・自分にとっては都心の方が圧倒的に有利であり、働き方の自由を謳う現状と逆行する制度に見える。(3年生 女性)
・専門医を取得できる場所の多様化を求めます。(6年生 男性)
・大学での入局以外の選択肢を用意できないか検討するべき。今ある奨学金の制度とかみ合わなさすぎるものが多い(5年生、男性)

■臨床医以外のキャリア形成も認めてほしい
・社会医学などの分野も考慮すべきと思う。臨床偏重である(1年生、男性)
・学位取得はどうなるのか専門医取得との兼ね合いはできるのか?(4年生、女性)
・留学など色んな選択枠が人生で生まれるような制度だとうれしい(4年生、女性)

■「医学教育にキャリア形成考える機会を」
 医学生のキャリア観を明らかにし、大学教育や新専門医制度の議論へのフィードバックを行うことを目的とした今回の意識調査。医学連では考察を以下のようにまとめています(原文引用)。

 「医学教育モデル・コア・カリキュラム 平成28年度改訂版」によると、「多様なニーズに対応できる医師の養成」が教育目標として掲げられています。これは、これから起こる多様な求めや変化に医師が応えてゆくという受動的な側面だけでなく、医師として多様なキャリアパスが形成でき、多様なチャンスがあるということも意味しています。したがって、医学部における医学生のキャリア形成は、社会からのニーズの一つであると解釈することができます。

 しかし、医師像を考える機会については十分に保障されているとは言い難い現状があることが、本アンケート結果から明らかになりました。そしてその要因としては、そもそも大学が機会を設けていないことや、相談相手や参考材料が少ないこと、試験が多忙で時間的・精神的余裕がないこと、医師像を考える必要性を感じられないこと、さらには医師像を考える主体性を身につけられていないことなどが挙げられ、非常に複雑かつ多様であることが分かりました。

 そのような状況に加えて、新専門医制度についても、多くの医学生がまだ十分に理解できていないことがわかりました。その原因としては、まず制度そのものが学生へ十分周知されていないことが挙げられます。またその一方で、将来制度を利用する主体者になるはずの医学生が、新専門医制度についてそもそも知識や関心が薄いことも挙げられます。このことは、最後までプログラムを履行する医師が少なくなる可能性を示唆しています。専門医の取得が「義務」から「推奨」へ変わったなか、このような事態では専門医の細分化が進まなくなる恐れがあり、国民や患者が十分に満足のいく医療を受けられなくなる可能性すらあると言えるでしょう。

 医学生は今の医学教育に一定の満足度は示してはいるものの、十分にキャリア形成を考える機会を得られている学生は多くありません。そのため、各大学で大学側と学生側が協働して学生の声を吸い上げて、医師像を考える機会の提供や、相談できる体制の整備、多様な働き方の提示などにより、学生のキャリア形成への動機付けを推進してゆく必要があります。そして、そのことが医学生のみならず国民・患者さんの利益にもつながってゆくのではないでしょうか。


  1. 2017/07/23(日) 09:35:30|
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7月14日 

http://www.asahi.com/articles/ASK7B42KBK7BUBQU00N.html
常勤医の残業時間、3分の1が上限超す 新潟県立病院
2017年7月10日15時00分 朝日新聞

 新潟県病院局が運営する県立13病院で2016年度、長時間労働を抑えるための労使協定(36(さぶろく)協定)で決めた残業時間の上限(月75時間)を超えた常勤医が、延べ105人いたことがわかった。6日の県議会常任委員会で、県が明らかにした。県は勤務実態の調査を進めており、近く結果を公表する。

 月80時間を超えたのは延べ81人(前年度比23人増)、100時間超も延べ23人(同1人増)いた。県によると、救急患者への対応や手術が長時間に及ぶ場合に勤務時間が長くなる傾向があるという。対象となる常勤医は340人で、所定労働時間は1日あたり7時間45分。

 国は、過労死の判定基準(過労死ライン)を、所定労働時間が1日あたり8時間の場合で、残業時間が月100時間以上か、直前2~6カ月の平均が月80時間以上としている。県は、地域や部門によって、医師不足が生じていることも超過勤務の原因になっているとみている。

 県立病院の看護師は、36協定で残業時間の上限を月30時間と決めている。昨年度、約2300人のうち延べ121人が上限時間を超えていたが、80時間を超えた人はいなかったという。



https://mainichi.jp/articles/20170705/org/00m/010/052000c
医師偏在 改善されない地方の医療環境
2017年7月10日 毎日新聞 / 毎日フォーラム

地域定着へ自治体、大学の取り組み続く
 医療施設の医師は全国に約30万人で、医師数は毎年約4000人増えているが、都市や特定診療科への偏在は収まらず、地方の医師不足は解消されていない。医学部入学定員の地域枠が拡大され、自治体や大学も医師の地域定着に取り組んでいるが、医療関係サイトをみれば、今なお「医療崩壊」などの強烈な言葉を目にする。地域医療体制の確保が依然として大きな課題として残っている。

 医師不足の原因を2004年に始まった「新医師臨床研修制度」と見る専門家は多い。医師免許取得後、2年間の病院研修を必修化したものだ。研修先は病院と希望者をコンピューターで組み合わせる「研修医マッチング」で決められる。研修先を自由に選べるため、医療設備の充実度や症例数の多い都市部の病院を希望する者が多くなる。従って出身大学の医局に残る者が減る。そうなれば大学病院は医師派遣が難しくなり、地域の医療機関が医師不足に陥るという構図だ。

 研修病院の指定基準の強化や募集定員を設けるなど、都市部への集中を抑えようとしてきたが解消には至っていない。08年度からは医学部の入学定員を増やし、10年度以降は、一定期間、地域医療に従事するのを条件に奨学金の返還を免除する「地域枠」を中心に拡大。入学定員は07年度の7625人から17年度は9420人にまで増えた。学部6年、研修2年とすれば、増員した医学部生が現場に出始めたころで、今後、地域偏在は和らぐとの指摘もある。他方、地域医療支援センターが全都道府県に設置され、それぞれに医師不足の解消に取り組んでもいる。 

 厚生労働省によると、人口10万人当たりの医師数は全国平均で244.9人(14年調査)。最多が京都府の326.3人、最少が埼玉県の158.9人で概ね「西高東低」という。千葉、神奈川両県も平均を大きく下回るが「首都圏は通勤・通学など、アクセスがいいので都内で受診する人も多く、医師不足を感じないかもしれない」(厚労省医事課)との見方もある。

 とは言え、全国最少の埼玉県では、(1)人口10万人当たり(2)100平方キロメートル当たり(3)過去10年間の医師数の伸び率--のすべてで県平均以下を「医師不足地域」とし、県内10医療圏のうち四つがこれに当たるため、数々の対策を講じている。4医療圏の拠点病院の休日・夜間外来には開業医を派遣し、当直体制の確保のためには大学病院などの医師を送っている。昨年度だけで8拠点病院に769回派遣し、4747人を診察した。

 また、医師の定着に向け、県内病院での研修を促す目的で「研修資金貸与制度」も設けた。臨床研修医には月額10万円を貸与。研修後、なり手の少ない産科、小児科、救命救急センターの医師として県内病院で一定期間勤めれば返還を免除する。研修医の収入は少ないので生活費支援の色彩が強いが、この9年間で46人が貸与を受けた。

 さいたま市にある地域医療教育センターには一般病院では導入が難しい高額の「成人患者シミュレータ」など多数の最新機器を配備。「どの土地で働くかは医師がどういうキャリアを目指しているかで決まる」(埼玉県医療人材課)との観点から、医療技術習得のサポート体制も敷く。13年度からは高校生対象の病院見学を開始。若手医師との懇談や医療模擬体験、保育器の乳児まで目にし、医師への志を養成する。年3~4回の実施で毎回30人弱が参加。この中から一人でも多く県内で働く医師になってもらいたいと期待する。

 日本医師会の釜萢(かまやち)敏常任理事は「高校の進路指導から医療に携わる覚悟を教えたり、意欲を高めてもらうための的確な情報を伝えていく必要がある」と述べ、医師の「適性」を早い段階から育むことも、地域に根付く医師を生む一つの方策と見る。医師会も「偏在解消は重要課題」という。

 高知大学でも学生の意欲を高めようとしている。地域枠入学者らのグループ「SEED」を組織し、年2回、卒業後も役立つ先輩後輩のつながりを深める交流会を開いている。SEEDの代表者は県臨床研修連絡協議会の一員でもあり、学生でありながら、病院長や県職員などとの協議の場に参加する。夏休みにはへき地の病院での実習「医療道場」があり、早くも現場に身を置く貴重な体験を得る。指導役の阿波谷敏英教授は「へき地を含む県内の病院勤務が条件のため、地域枠には『自由がない』などのネガティブなイメージがあった。地域枠の学生には地域医療を担っていくという強いプライドを持ってもらいたい」と話す。

 一方、公益社団法人地域医療振興協会はへき地の医療支援や経営難の公立病院の指定管理者として運営再建などに取り組んでいる。副理事長の山田隆司氏は現在、東京都台東区立台東病院の管理者を務めるが、自らもへき地医療に携わってきた。自治医科大学出身で医師のスタートは岐阜県久瀬村(現揖斐川町)の診療所だった。人口約2000人。無論、医師は山田氏ひとり。赴任してすぐに「こんな所にいては使い物にならなくなる」と苦悩した。診るのはありふれた病気で、少々重いものになれば地域の病院を紹介するだけ。こんなことがあった。腰痛を訴える高齢の女性に痛み止め薬や注射を与えても一向に治らない。ある日、家を訪ねると、腰痛の原因が夫の介護とわかった。その後、ヘルパーを頼むなど生活を見直すことで腰痛は治った。医師とは何か。「価値観が変わった」という。結局、診療所に20年勤めた。「同じ地域の同じ人を見続けたので患者を取り巻く状況まで分かってきた。久瀬村での経験が医師としての私の血や肉になっている」と話す。

 山田氏は「医者は病んでいる人の心に共感できるとか、人に関わることが好きというような人が向いている」と言い、医学部が理系のトップだけが集まる場所になってはいけないと思う。医師会の釜萢氏も「もっとリベラルアーツ教育が必要では」と、理系に偏らず、人文・社会科学を含む幅広い一般教養を医学部で学ぶ意義を指摘している。

 現在、専門医の質の向上を目指す新専門医制度の導入が進む。専門性の高い医師の養成は不可欠だが、その前提は地域医療に携わる総合医のすそ野がしっかりと広がっていることだろう。昨年12月に厚労省が実施した医師アンケートで「地方勤務の意思がある」との回答が4割を超えた。今後、この回答を生かせるだろうか。



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO1859591007072017TCC000/
地方の医師不足 解消進まず
全国では年4000人増加も 医学部に「地域枠」効果まだ

2017/7/10付日本経済新聞 朝刊

 医師が大都市部に集中し、地方の医師不足が深刻化している。政府などは医学部の定員増や地域勤務を義務づける「地域枠」を導入したが、効果はすぐに出ていない。「このままでは地域医療は崩壊する」。厚生労働省の検討会では医師に地域での勤務を半ば強制的に課す案も浮上した。同省は年内に抜本的な対策をまとめる方針だが、地域勤務の義務化を嫌う医師らの反発も強い。医療の質を維持しながら偏在問題を解決できるのか。議論の行方は不透明だ。

 徳島県南東部に位置する勝浦郡。同郡には病院が一つしかない。その国民健康保険勝浦病院は常勤医4人で60床ある病棟と外来の診療をこなす。最年少医師で50歳前。定年延長して残った65歳の前院長と64歳の小西康備・現院長が月に6~7回も当直に入る。小西院長は「年休もとれない状態。いつ診療できなくなってもおかしくない」と語る。

 徳島県の人口当たり医師数は実は全国で3番目に多い。しかしその多くが徳島市周辺に集中し、少し離れただけで医療体制に不安が募る。人口当たり医師数がそもそも少ない東北地方などはさらに深刻だ。

埼玉・千葉で不足
 東京近県でも千葉県や埼玉県で医師不足が目立つ。産科などの一部診療科が閉鎖されたり、夜間の急患の受け入れを制限するなどの例も珍しくはない。

 日本全体の医師数は毎年4千人ほど増えており、1990年には約21万人だったが、2014年には31万人余りとなった。ただ医師としての経験を積んだり、子供の教育など家族への影響を考えたりして都市部での勤務希望は多く、地方勤務が増えない。

 政府も対策は講じている。07年度には7600人程度だった全国の医学部の定員を徐々に増やし16年度には9300人ほどにした。増えた部分には、自治体が奨学金を出し、学費を免除する代わりに一定期間は各都道府県内での地域勤務を義務付ける「地域枠」も導入した。

 地域枠では6年間の医学部在学中の奨学金を受ければ、通常は1.5倍の期間、9年間の地域勤務が義務づけられる。だがたとえ義務でも、無理な配置をすれば医療の質の向上だけでなく、義務期間を終えた後に県内にとどまってくれることも望めない。

 地域勤務をしながら、目指す専門医などになれるようにキャリア形成を支援することが求められる。徳島県では一定条件の下、自身のキャリア形成のために国内外での留学・研修が必要であれば最大7年間、地域勤務を中断できる柔軟な仕組みまで設けている。

 こうした地域枠の医師を都道府県が責任を持って医師不足地域に配置するため、全国で「地域医療支援センター」の開設も進んでいる。それでも地域枠の医師は第1陣が医学部を出て、臨床研修を終えたばかり。実際に成果が出るのは「まだまだこれから」(徳島県保健福祉部)。地域医療の崩壊のスピードの方が早い恐れもあり、「地域枠だけでは遍在問題は解決できない」との指摘もある。

さらなる対策浮上
 「病院長になるためには医師不足地域での一定期間の勤務を条件とすることも検討」。厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の分科会は16年6月、こんな偏在対策を盛り込んだ中間まとめを公表。さらに10月には健康保険による診療ができる「保険医」となるためには医師不足地域での勤務を条件とすることも議論した。

 地方勤務が病院での昇格の条件になれば応じる医師も増えるとみられる。患者が原則1~3割負担で受診できるため、日本ではほぼすべての医師が保険医登録しており、医師不足地域での勤務が登録の条件となれば、さらに効果は大きい。

 ところがその後、こうした議論はストップする。今年4月、厚労省内で新たに設置された別の有識者検討会が強制的な手法には否定的な見解を盛り込んだ報告書をまとめたからだ。背景には地方勤務の義務化を嫌う医師たちの意向があるとされる。塩崎恭久厚労相も「上手に条件整備すれば強制は必要ないのでは」と理解を示す。

 「医師の職業的自由は尊重されるべきだ」という地域医療機能推進機構の尾身茂理事長も「日本の医師は公的保険制度の中で活動しており、社会的な責務も負っている。この2つの概念を対立させるのではなく、両者の間の第3の道を探るのが行政と医療界の責任だ」と訴えている。

 第3の道としては、医療界などによる自主的な取り組みを強化し、それがうまく機能しないときには義務的・強制的な仕組みなどを発動することまで包括的に決めることが考えられる。

 地方の医師不足が叫ばれ始めて久しい。医師の地域偏在、診療科の偏在を解消して、地方でも十分な医療を受けられる体制を維持するために国や医療界、そして私たちに残された時間は少ない。

(山口聡)
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https://mainichi.jp/articles/20170715/ddm/012/020/092000c
バイエル薬品
医師名論文、社員下書き 「倫理指針違反も」 外部調査

毎日新聞2017年7月15日 東京朝刊

 大手製薬会社のバイエル薬品(大阪市)の社員が、アンケートに答えた患者のカルテを無断で閲覧していた問題で、同社は14日、アンケートを基にした医師名の論文は社員が大部分を下書きしていたとする外部専門家の調査結果を公表した。医師が中心となるべき研究に社員が当初から深く関与し、研究計画書もなかったとして「国の疫学研究に関する倫理指針に違反する可能性が高い」と認めた。

 問題となったのは、同社が2012年に発売した血栓症の治療薬「イグザレルト」を巡る患者アンケート。同社は宮崎県内の診療所に協力を依頼し、結果をまとめた論文も診療所の医師名で発表された。

 外部専門家によると、宮崎営業所社員3人は、最大で298人分の患者情報を同意を得ずに閲覧し、データを転記・集計した。この行為は「個人情報保護法違反の可能性が高いが、本社の指示があったとは認められない」と結論付けた。

 論文については作成の大部分に社員が関わり、その後の医師講演会などでの発表資料も社員が作っていた。調査した垰(たお)尚義弁護士は「直接の法律違反はないが、社会一般から見て信頼を裏切った。倫理的な非難は免れない」と指摘した。

 ハイケ・プリンツ社長は「結果を真摯(しんし)に受け止め、再発防止に取り組みたい」と謝罪。役員報酬を3カ月間10%自主返納する考えを示した。【細川貴代】



http://www.qlifepro.com/news/20170711/influence-of-sleeping-pills-in-diabetes-problem-in-nhk-gatten.html
NHK「ガッテン!」での「糖尿病に睡眠薬」問題が患者に与えた影響は?
2017年07月11日 PM04:00 QLifePro

2学会が異議申し立て、厚労省も厳重注意

2月にNHKが放映した「ガッテン!」で睡眠薬のベルソムラの適応外処方を推奨するかのような内容を放映したことに関連し、医療現場では患者が処方変更を申し出たケースがあったほか、その要望に応えてもらえなかった患者で精神状態が不安定になるなどの事例が起きていたことがわかった。東京大学大学院 薬学系研究科 育薬学講座の鈴木陽代氏が、同番組に対する医療従事者へのアンケート調査の結果を第20回日本医薬品情報学会学術集会で発表した。

問題となった番組は、2017年2月22日のNHKの情報番組「ガッテン!」の「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」。同日の放送では熟睡をもたらす脳波としてデルタ波を取り上げ、デルタ波を定量化したデルタパワーが熟睡度を左右するとし、なおかつこの数値が高いと血糖降下作用があると紹介した。そのうえ睡眠薬・ベルソムラ(一般名:スボレキサント)の商品名が入ったパッケージを放映。大阪市立大学の研究としてベルソムラを服用した糖尿病患者では血糖低下効果があり、副作用はほとんどないなどと放送した。血糖降下作用はベルソムラの承認適応ではなく、この放送に対しては日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会がNHKに対して異議を申し立て、厚生労働省もNHKに口頭で厳重注意を行った。NHKは2月27日になり、番組のHP上で行き過ぎた表現で誤解を与えたとして謝罪に至った。

鈴木氏らは同講座が構築した医師向けインターネット医薬品情報提供サイト「医師のための薬の時間」(通称:アイメディス)、インターネットの薬剤師間情報交換・研修システム「薬剤師さん!頑張ろう!」(通称:アイフィス)を通じ、番組放送2週間後の3月7~22日にアンケートを実施。医師37人、薬剤師152人の合計189人が回答を寄せた。

処方希望を断られ、精神状態が不安定になった事例も

番組については実際に視聴して知っていたのが医師では38%、薬剤師では26%、番組は視聴していなかったが後日問題を報じたニュースなどで知っていたのが医師では54%、薬剤師では62%で、最終的に回答した医師の92%、薬剤師の88%がこの問題を認知していた。

番組の影響を受けた患者の行動を経験した医師は24%、薬剤師は37%。回答医師が経験した事例は15件で、内訳は「患者がベルソムラの処方を希望したが、処方はしなかった」が11件、「患者がベルソムラの処方を希望し、処方した」が3件、「ベルソムラに関する問い合わせ」が1件。このうち神経症と糖尿病を合併していた患者の処方希望を断ったケースでは、処方希望を断られたことによる不満で患者の精神状態が不安定になり、抗うつ薬のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の処方を余儀なくされた、との回答が寄せられた。

また、薬剤師が経験した事例は71件で、「ベルソムラに関する問い合わせ」が47件、「ベルソムラの新規処方」が12件、「他の薬剤からベルソムラへ変更」が8件、「医師から薬局への問い合わせ」が2件。具体的な事例では、睡眠障害のない糖尿病患者が番組を見て医師にベルソムラの処方を依頼。実際に処方を受け、薬剤師に血糖降下作用を尋ねたため、睡眠薬に血糖降下作用がないことを説明した。結局、薬剤師からの疑義照会により、ベルソムラの処方は中止となり、糖尿病治療薬を変更して経過観察する方針になったという。

一方、肯定、条件付き肯定、否定の3カテゴリーに分けて設定した選択項目を選んで番組に対する意見を尋ねた(複数回答)ところ、否定意見のみを選択したのは医師の70%、薬剤師の46%、肯定意見のみ選択したのは医師の11%、薬剤師の14%で、圧倒的に否定的意見が多かった。選択項目別で多かったものは、医師では「このような情報(適応外)は提供しない方がよい」が62%、「患者の薬に対する意識に悪影響を及ぼす」が49%、「医師としては迷惑であり、ある種の診療妨害である」が43%だった。薬剤師では「患者の薬に対する意識に悪影響を及ぼす」が61%、「このような情報(適応外)は提供しない方がよい」が59%、「医療従事者に迷惑であり、ある種の診療妨害である」が35%だったが、「患者と薬剤師のコミュニケーションのきっかけになる」というも回答も27%にのぼった。

今回の結果を受けて鈴木氏は、医療現場への影響が大きく対応に苦慮するケースも見られたこと、また全体的に否定的な意見が多かったとして「今後は健康情報番組の在り方について、番組制作関係者、医療関係者、視聴者などで広く議論されるべき」としている。(村上和巳)



https://www.m3.com/news/iryoishin/545364
邉見全自病会長、新専門医制「1年前よりは良い」
「医師の働き方改革」、9月を目途に提案意向

2017年7月12日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は7月12日に記者会見を開き、日本専門医機構が7月7日の理事会で2018年4月からの新専門医制度開始に向けて準備を進めることを決定したことについて、「1年前よりは良くなった、これで駄目だったら、日本の医療は5年も10年も遅れる。100点満点の60~70点くらいでスタートだが、少しずつうまくいくようにしていかないといけない」と述べ、今後も制度の改善のための努力を続けていくべきとの認識を示した(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。

 邉見氏は、新専門医制度の課題として、総合診療専門医の専門研修プログラムや指導医の選定を指摘。新制度で指導医がいないことから、「詰めの段階に入ってくると思う。地域で総合診療を頑張っている方々が暫定指導医、特命指導医になれるよう、各地のJA厚生連やJCHO(地域医療機能推進機構)など田舎で頑張っている団体と力を合わせて働きかけていきたい」と述べた。

働き方改革は「地域医療持たない」
 社会問題化している「働き方改革」について、「医師を一般の労働者と一緒にされては、地域医療が持たない。日本の医療文化が変わってしまう。難しい問題だ」と述べて危機感を露わにした(『労基署に「踏み絵」を踏ませる覚悟 - 邉見公雄・全自病会長に聞く◆Vol.1』、『「勤務医は労働者」との決めつけ、乱暴すぎる◆Vol.2』を参照)。

 邉見氏は、働き方改革についての全自病としての提案を、9月を目途にまとめる意向を表明。「今あちこちで病院に労働基準監督署が入っている。入られてから対応するのではなく、先制攻撃をしなければいけない」と述べた。

受動喫煙対策は厚労省案支持
 受動喫煙対策を進める健康増進法改正に関しては、全自病として、原則禁煙とするが一部例外を認める厚生労働省案を支持することを表明。厚労省が、飲食店での例外拡大を求める自民党との対立のため通常国会での提出を断念したことから、「本当は日本医師会の案が一番良いが、それでは進まない。かといって自民党案では緩すぎる。厚労省案が中間くらいだ。世界標準から言えば小さな一歩だが、厚労省案を最初の一歩として、最終的には日医案に向かうようにしたいということで、全自病でまとまった」と説明した。



https://www.m3.com/news/general/545664
社会保障費:1300億円削減へ 18年度、薬価下げなどで圧縮
行政・政治 2017年7月14日 (金)配信毎日新聞社

 政府は、2018年度の社会保障費を1300億円削減する検討に入った。高齢化などに伴う自然増が6300億円に上る見通しで、政府目標の「自然増5000億円」を超える部分を抑制する。政府は、薬価引き下げなどで18年度の診療報酬改定をマイナスとし、削減分の大半を賄う考えだ。

 政府は15年6月に、16~18年度の自然増を計1兆5000億円に抑える「目安」を閣議決定。各年度で5000億円に抑えるため、16年度は診療報酬改定で1700億円削減。17年度は、医療・介護保険制度改革で1400億円を削った。

 政府が18年度の自然増を試算したところ、6300億円で、1300億円の削減が必要になる。一方、18年度予算では既に医療・介護保険制度改革の実施が決まっている。医療費の患者負担に上限を設ける「高額療養費」で一部の人の負担引き上げや、所得の高い40~64歳の人の介護保険料の負担増だ。しかし、捻出できるのは650億円程度にとどまる見込みだ。

 18年度には診療報酬と介護報酬が同時改定される。医療費予算は年間10兆円程度で、診療報酬1%で1000億円程度が削減できる。政府は、診療報酬のうち、薬や医療材料などの価格「薬価」を引き下げる一方、医師の技術料など「本体」の大幅な引き上げは難しいとの考えで、全体としてマイナスとなる見通しだ。介護報酬も大幅な増額は厳しい見込みだ。【阿部亮介】



http://www.medwatch.jp/?p=14732
2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録—日本専門医機構
2017年7月10日|医療現場から MedWatch

 2018年度から新専門医制度が実施可能になった場合に備え、いわば「専攻医の仮登録」をこの10月から実施する—。

日本専門医機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は7日、理事会終了後の記者会見でこのような考えを示しました。

10月から専攻医の仮登録を進め、年内には研修先を決定
新専門医制度は、数多ある専門医資格を国民に分かりやすいものとし、かつ質を担保するために、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」ことなどを柱としています(関連記事はこちら)。しかし、「質の担保を求めるあまり研修を行う施設(病院)の要件が厳しい。これでは地域医療の現場から指導医・専門医を目指す専攻医がいなくなり、医師の地域偏在が進み、地域医療が崩壊してしまう」との強い指摘があり、塩崎恭久厚生労働大臣は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、地域医療への配慮が十分になされているかをチェックしています(関連記事はこちら)。

これまでに検討会の指摘を踏まえ、日本専門医機構では新整備指針について「専門医資格の取得は義務でない」などの見直しを行うことを決定(関連記事はこちらとこちらとこちら)。さらに、下部規定の「運用細則」について次のような見直しを行う方針を固めました。(2)は、6月12日に開催された検討会で、荒井正吾構成員(奈良県知事)からの厳しい指摘を踏まえたものです(関連記事はこちら)。

(1)カリキュラム制などの柔軟な対応を担保するために、▼基幹施設などは専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修を行えるよう配慮する▼専攻医は、相談窓口への相談後も有効な研修が行えないと判断した場合には、機構に相談できる—こととする

(2)都道府県協議会によるチェックを担保するために、▼協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対しローテ―ト内容などの情報提供を求めることができる▼基幹施設は、機構に連絡のうえで協議会に情報提供を行い、その旨を機構にも報告する▼機構は、地域医療への配慮や専門研修レベル改善のための必要性に応じて、基本領域学会、研修施設群と共同して協議会の求めに協力する—ものとする

 吉村理事長は、こうした規定の整備によって「規約上は、2018年度から新専門医制度を全面スタートできる準備が整った」と説明した上で、関係者の理解を得るためにさらなる協力をしていく考えを強調しました。

 ところで、仮に年明け1月に、例えば検討会で「2018年度の新専門医制度の全面スタートを認める」旨の見解が示されたとします。ここから研修プログラムの認証や、専攻医の募集を行ったのでは、2018年4月からのスタートは時間的に困難です。

 そこで2018年度(2018年4月)からの全面スタートに備えて、「10月から、研修プログラムへの専攻医の登録(いわば仮登録)を始める」ことになります。

 この前提として、研修プログラムが登録前に公表されていなければいけません。そこで▼7月中に1次審査を完了する▼その後、都道府県協議会のチェックを受け、必要な修正などを行う▼遅くとも9月末までに2次審査を完了する(この時点で認証)—ことになります。ただし、審査終了後に、例えば「実際の研修プログラムが申請内容と異なり、指針などに違反している」ことなどが判明した場合には、機構から研修プログラムの修正を求め、それに応じない場合には「認証の取消」となることもあり得ます。

専門医資格の取得を希望する医師は、希望する研修プログラムを1つ選択し、申請を行います。その後、機構で「1人の医師が複数のプログラムに申請してないか」などをチェックした後、各プログラムにおいて「選考」が行われます。1度の申請・選考で完了することはあり得ず、2次・3次の申請・選考が行われます。「どこで研修プラグラムを確認するのか」「申請はどこ(学会なのか、基幹施設なのか)に行うのか」などは、今後、急ピッチで詰めることになります。機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)は「年内には、すべての申請について選考を終え、研修先が決まるようにしたい」との考えも示しました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/545622
修学資金枠の東北出身者6人減、東北医科薬科大
教員採用に伴う影響軽微、地域医療ネットワークに期待

2017年7月14日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 東北医科薬科大学は7月13日、第9回教育運営協議会を開催した。2017年4月に入学した第2期生100人中、東北地方の出身者は33人と2016年より2人増えたものの、卒業後に東北6県で一定期間勤務する義務のある修学資金枠の55人のうち、東北出身者は14人で、2016年より6人減少し、同大医学部長の福田寛氏は「地域医療に熱意のある学生を獲得できたが、修学資金枠で当該県出身者が少ない。東北出身の受験者を増やす努力をしていきたい」との認識を示した。

 教育運営協議会は、2016年4月の医学部新設に当たって、地域医療への影響などを検証するために設置が求められ、東北6県の大学、行政などの関係者から構成。新設後にも開催が求められ、2016年も7月に第8回協議会を開催した(『東北医科薬科大学、東北出身者は31%』を参照)。

 募集定員100人のうち修学資金枠A方式(修学資金3000万円)は宮城県30人、それ以外の5県が1人ずつ。B方式(修学資金1500万円+各県の修学資金)が20人。

 入学者のうち、A方式の宮城県は東北出身者9人に対し、それ以外が21人。A方式の各県枠は青森県と秋田県が地元出身者だったが、岩手、山形、福島の各県は東北以外の出身者だった。2016年は宮城以外の5県の枠は当該県出身者で占められており、福田氏は「関東出身が非常に多い。東北の各県勢にもう少し頑張ってほしい」と述べた。B方式も、2016年は東北出身者とそれ以外が10人ずつだったのに対し、2017年は東北出身者3人、それ以外17人と東北出身者が大幅に減少した。

 入学試験の実施状況は、志願者2240人(2016年2458人)、受験者2042人(同2278人)、合格者256人(同297人)、実質倍率は8.0倍(同7.7倍)だった。

地域医療ネットワークに期待
 「学部教育の進捗状況」については、東北の19の基幹病院で構成する「地域医療ネットワーク病院」を活用したプログラムを新たに組んだことを報告。今後、2年次から3年次にかけて1泊2日の体験学習を3回、5年次には2週間の臨床実習を1~2回、いずれも同じ病院で固定したメンバーで滞在して行う。東北医科薬科大医学教育推進センター長の大野勲氏は「地域を理解し、愛着を持って卒業し、将来は地域医療に貢献してもらう仕組み」と説明し、教育運営協議会委員長の里見進・東北大学総長は「現在の医療で問題となっているチーム医療や地域医療の面で充実した良い体制を作っていると思う。効果があるのではないか」と評価した。

地域医療に大きな影響なし
 教員採用では、医学部新設に当たって地域医療に影響を及ぼさないことが条件とされており、採用した教員の元の所属先への状況調査を昨年に続き実施。60機関に対する調査(昨年は47機関)で、「状況の変化があった」が4機関(同2機関)、「状況の変化がなかった」が45機関(39機関)、無回答が11機関(6機関)だった。

 福田氏は変化があったとの回答の中には、「変化は想定内で、対応できている」、「補充はしたが、(前任者が)優秀だったために診療機能の面で追いついていない。ただし、通常の異動でも起こり得ること」などの付記があったことを明らかにし、「全体としては現時点では大きな状況の変化はなかったと認識している」と述べた。

 地域医療への支援については、福田氏は「本学は地域医療を支えることが使命で、積極的に支援をしている」と述べ、非常勤医師の派遣先機関が6月30日時点で100機関(2016年同時期は49機関)、延べ人数が283人(同112人)、実人数が120人(同63人)といずれもほぼ倍増していることを報告。「宮城県中心だが、体力が付けば他県にも増やしたい」との意向を述べた。


東北医科薬科大学教育運営協議会
教員18人増、臨床系は不足
 教員の採用状況では、2018年4月までの着任予定者を含めて201人を採用しており、2016年の第8回協議会で報告した183人から18人増となった。ただ、福田氏は、「基礎系はほぼ予定の数を満たした」としたが、臨床系では皮膚科、麻酔科、救急などで十分な数を確保できておらず、「大学病院としてはまだまだ。診療に影響が出ている状況」と説明。地域医療に影響を及ぼさないような配慮をしながら、引き続き、年に15人程度を公募などで追加採用していく方針を示した。

専門医取得のサポートを
 教育体制に関連して、山形大学医学部長の山下英俊氏が、修学資金枠で卒業後も地域に残る場合に、専門医を取得できるよう体制を構築する必要性を指摘。「義務年限が9年、10年とある。地域枠で入学した学生へのサポートは日本専門医機構の整備指針にも盛り込まれており、卒業生が出るのはまだ先だが、準備をした方が良いのでは」と提案した。福田氏は「指摘の通りで、義務年限がある場合の専門医取得はなかなか難しい。各県の事情を勘案しながら設計したい。ぜひ皆様にサポートをお願いしたい」と応じた。

参考:日本専門医機構「専門医制度新整備指針(第二版)」より抜粋
地域枠入学や奨学金供与(給与・貸与)を受けている専攻医に関しては、機構は、地域枠や奨学金供与の義務の発生する各都道府県等及び各基本領域学会に対して、専門医制度を適切に行えるように要請する。



https://www.m3.com/news/general/544634
医師の過酷労働に一石 労基法改正へ影響も 残業代訴訟
2017年7月10日 (月)配信共同通信社

 最高裁が7日の判決で、勤務医の年俸に残業代は含まれないとの判断を示した。通常の賃金と残業代を分ける目的は「時間外労働などの抑制」と明示、労働基準法の労働時間規定を厳密に守ることを求め、医師の過酷な労働実態に一石を投じた。ただ、原告医師の年俸は1700万円。高収入の専門職の一部を残業代支払いの除外とする新制度を盛り込んだ、労基法改正案の行方にも影響を及ぼしそうだ。

 ▽第一歩

 「正確な労働時間の把握が過労防止の第一歩」。1999年、小児科の医師だった夫を過労自殺で亡くした「全国過労死を考える家族の会」東京代表の中原のり子(なかはら・のりこ)さん(61)=東京都=は判決を評価した。

 夫は月に5~8回の泊まり勤務を繰り返し精神的に追い込まれた。遺書には医師の過重労働の実態や、小児科医の医療態勢の悪化について触れていた。「患者の命を預かる医師が過労で倒れるのは本末転倒だ。残業を減らす取り組みを続けてほしい」と話す。

 厚生労働省研究班が昨年12月に実施した医師約10万人を対象にした調査によると、病院や診療所に勤務する20代医師の1週間の勤務時間は男女とも平均50時間以上。30~50代でも、男性では50時間を超えた。

 医師には原則として治療を断れない「応召義務」があり、診療や手術が長引いても途中で勤務を終えることはできない。勤務医には当直勤務や呼び出しもあり、勤務時間以外の負担もある。

 勤務医でつくる「全国医師ユニオン」の植山直人(うえやま・なおと)代表は「勤務医は自身が労働者だという意識が薄く、義務感から長時間労働を受け入れてしまう」と指摘する。

 ▽逆行

 今秋の臨時国会で審議される労基法改正案では、働き方改革を掲げて「月100時間未満」との残業規制を柱にする一方、経済界の求めに応じ、高収入の専門職の一部を残業代支払い対象から除く「高度プロフェッショナル制度」の創設も盛り込んだ。

 新制度の対象となる仕事は年収1075万円以上の金融ディーラーや研究開発業務などで、残業規制の枠組みから外れることになる。医師は対象外だが、年収だけをみると、原告医師の年俸は対象となる年収を大幅に上回っている。

 新制度を「過労死を促進し、働き方改革に逆行する」と反対してきた労働界からは、年収にかかわらず労基法を厳格に適用した今回の判決に歓迎の声が上がる。

 日本労働弁護団の棗一郎(なつめ・いちろう)弁護士は「医師も、新制度の対象になる金融ディーラーなども、専門職は長時間労働になりがちだ」と強調。「人間らしい生活のできる働き方を求める人は増えている。新制度を含んだ労基法改正はするべきではない」と訴えた。



https://www.m3.com/news/general/544630
医師年俸「残業代含まず」 時間外、明確区別を要請 最高裁判決
2017年7月10日 (月)配信共同通信社

 勤務医の年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信(おぬき・よしのぶ)裁判長)は7日、「時間外賃金は、通常の賃金と明確に区別できなければならず、含まない」との判断を示した。一、二審は医師の職業上の特性から「年俸に残業代を含む」としていた。

 過去の最高裁判例は、残業代と通常の賃金を分ける必要があるとしており、今回の判決は、医師であっても例外とすることを許さず、厳格適用を求めた格好となった。サービス残業が問題視される勤務医の働き方の議論に影響を与えそうだ。

 訴えていたのは、神奈川県内の私立病院に勤務していた男性医師。一、二審判決によると、2012年4月、病院側と年俸1700万円の雇用契約を結んだ。午後5時半~9時に残業をしても賃金は年俸に含むとする取り決めがあり、男性は手続き上、合意していた。

 一審横浜地裁判決は「生命に関わる医師の業務には、労働時間に応じた賃金支払いはなじまず、高額な年俸に残業代が含まれるとみなしても不合理ではない」と判断。二審東京高裁も支持した。

 しかし、最高裁は「1700万円のうち残業代に当たる部分を判別できず、残業代が支払われたとは言えない」と指摘。高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。東京高裁で未払い分の残業代を計算する。

 医師は、勤務態度などを理由に12年秋に解雇され、解雇無効や未払い賃金の支払いを求めて提訴。解雇については、有効とする二審判決を最高裁も支持した。

 ※医師の長時間労働

 厚生労働省研究班が昨年12月に実施した医師約10万人を対象にした調査では、病院や診療所に勤務する常勤勤務医は、男性の27・7%、女性の17・3%が週60時間以上勤務していると判明。医師法で診療が原則断れない「応召義務」を課されていることや、当直明けも通常通り仕事を続ける慣行、医師不足などが影響しているとみられる。病院などに勤める医師は労働者と認められており、裁量労働制は適用対象外となっている。



https://www.m3.com/news/general/544631
厳格な労務管理促す 勤務医残業代訴訟
2017年7月10日 (月)配信共同通信社

 【解説】勤務医の年俸に残業代が含まれないとした7日の最高裁判決は、通常の賃金と残業代との間に、明確な線引きが必要だとする大原則を重視した。医療現場では、高額な年俸と引き換えにした歯止めのない労働が問題視されており、厳格な労務管理を促したと言えよう。

 医師は、診療を原則拒めない「応召義務」がある一方、仕事のやり方にはある程度の裁量が認められ、相当に高額な報酬も得ているとして、働き方を巡る議論の蚊帳の外に置かれがちだった。

 一、二審は、医師の特性を考慮し「労働者として保護されていないとはいえない」と指摘。一般のサラリーマンらに適用してきた従来の原則に縛られず、高額の年俸に残業代が含まれるという判断を示した。

 だが、年俸制を隠れみのにした医師のサービス残業は珍しくないという。過労は医療ミスにつながりかねず、医師自身だけでなく、国民の命と健康にも関わる。最高裁が一、二審から原則に引き戻したのは是認できる。

 ただ、労務管理をしっかりし、残業代を支払うことが長時間労働の解消に直結するわけでもない。医師不足といった問題もある。判決を踏まえ、医療現場の実態に即した改革が早期に進むよう期待したい。



https://www.m3.com/news/general/544636
労働時間の考え方見直しを 新潟研修医自殺で申し入れ
その他 2017年7月10日 (月)配信共同通信社

 新潟市民病院(新潟市)の研修医木元文(きもと・あや)さん=当時(37)=が昨年1月に自殺したのは長時間労働が原因と労災認定された問題で、遺族の代理人は7日、手技のトレーニングなどは個人の学習だとしても業務に含まれるとして、労働時間の考え方を見直すよう市に申し入れた。

 代理人によると、同様に労働環境改善を求めて6月9日に出した申し入れは、市から同月30日付で回答があったが、説明が不十分だったという。

 今回の申し入れでは、個人のスキルアップの学習や学会準備などについては労働時間に含まないとする病院側の見解に対し、「業務のために必要ならば労働時間だ」と指摘し、病院長ら関係者が意識刷新すべきだとしている。

 市は6月、新潟労働基準監督署から長時間労働の改善を柱とした是正勧告を受けた。


  1. 2017/07/15(土) 10:24:42|
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7月7日 

https://mainichi.jp/articles/20170708/rky/00m/040/006000c
県立北部病院
医師不足で外科外来を制限、夜間救急も一部休止 /沖縄

2017年7月8日 毎日新聞

 【名護】名護市大中の県立北部病院(知念清治院長)が、医師不足のため8月から日中の外科外来の受け付けを、現在の週4日から週3日に制限することが7日、分かった。4人いる外科医のうち1人が7月末で退職するため。また夜間(午後5時~午前8時)の緊急外来は週7日のうち、3日間は休止し、休止の日は北部地区医師会病院(諸喜田林院長)が引き受ける。北部病院の久貝忠男副院長は「医師不足問題の一端が表面化した」と述べた。北部病院では産婦人科の救急の休止も続いており、北部地域では医師不足が深刻化している。

 県立北部病院によると、制限していない日でも、心臓破裂など緊急で大手術が必要になった場合、医師が総掛かりで対応するため外科の外来を休止する。本来であれば地元で診察を受けられた患者が中部や南部の病院に搬送されることも予想される。久貝副院長は「北部の医療は危機的状況にある。内科も4人体制でぎりぎり保っている状況だ」と話す。

 現在、外科の医師は1人月9回の当直勤務がある。3人だと月12回に増えることになり、医師の過重負担から外来の制限に踏み切った。久貝副院長は「当直はほぼ眠れず、そのまま日勤に入ることもある。患者へのリスクを考えるとこれ以上は負担をかけられない。外来、救急を制限せざるを得なかった」と話す。

 北部病院では年間、外科関係だけでも6千件を超える緊急搬送がある。手術は外科だけで年間約400件。その3割が緊急手術だ。

 久貝副院長は「本来なら2倍ぐらいの人員が必要だが、まずは後任医師の確保が急務だ。確保でき次第、制限を解消したい」と話した。

 北部病院は県にも現状を報告しているが、県から具体的な解決策はまだ出ていない。(佐野真慈)(琉球新報)



https://www.m3.com/news/iryoishin/542177
医師の働き方改革とキャリア
労基署に「踏み絵」を踏ませる覚悟 - 邉見公雄・全自病会長に聞く◆Vol.1
「医師の働き方」の実態調査で医療崩壊を防ぐ

インタビュー 2017年7月3日 (月)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 全国自治体病院協議会は6月22日の常務理事会で、医師の働き方や労務管理などに関する実態調査の実施を決定した。今後、同協議会で「医師の働き方改革」について議論する際の基礎資料とするためだ。政府の今年3月の「働き方改革実行計画」の中で、医師については時間外労働の上限規制の適用除外とし、今後2年間で適用の在り方を検討するよう求められている。

 同協議会会長の邉見公雄氏に、医師の働き方やその議論の前提となる医師の需給について、現状認識、実態調査や検討の方向性についてお聞きした(2017年6月27日にインタビュー。計2回の連載)。

――まず医師の需給の現状認識について、お伺いいたします。

 病院は、都市部か地方かを問わず、とても医師が不足しています。特に厳しいのは、地方の病院。診療所は、大都市を中心に少し過剰感が出ている一方、地方の開業医は高齢化し、在宅医療まで手が回らず、後継者が見付からない現状があります。

「医療の側から、こうしたい、という提案を出したい」と語る邉見公雄氏。

――医学部の入学定員は、2008年度以降の10年間で1795人増えています。今後の医師需給の見通しのほか、医学部定員増や医学部を新設する必要性については、どうお考えですか。

 医学は、進歩し、専門分化もする。さらに女性医師が増加すれば、出産・育児で休職する人も増えてくる。だから、医師の過剰感は全然ありません。3、5年後くらいでも、同じでしょう。(2015年12月から労働者に対して義務化された)ストレスチェック制度で産業医の仕事が増え、自動車の運転免許証更新の際の認知症高齢者の診断も医師の仕事になる。高齢者が増えれば、フレイルなどの予防対策やリハビリテーションのニーズが増え、さらにアジアなどに医療の国際展開もするとなれば、いくらでも医師の需要は増えます。

 ただし、私は医学部の定員増に賛成しますが、医学部新設には反対。医師養成の「バルブ」を開けたり、閉めたりできるようにしておいた方がいいと考えるからです。

 私は以前、医学部定員抑制の議論に加わっていました(編集部注:政府は1997年、医学部定員を7625人まで抑制することを閣議決定。2003~2007年はこの人数で推移)。「ま ほう びょう」、つまり「麻酔、放射線、病理」の医師不足は感じていたものの、それ以外の領域でも、こんなに医師不足になるとは思っていませんでした。

――ではなぜ医師不足が生じたとお考えですか。

 やはり一番は、2004年度の卒後臨床研修の必修化で、「一番弱い地域」を守ってきた医局の力が弱くなったこと。研修自体の中身はいいけれど、マッチングシステムの導入で、研修医が自由に研修先を選べるようになり、計画性のない配置となってしまった。医師の地域偏在を解決するため、各都道府県に地域医療支援センターを作っても機能しないなど、偏在解消対策はうまく行っていません。

――全自病では、医師の働き方や労務管理などに関する実態調査を実施するとのことです。医師不足問題と密接に関連する問題かと思います。

 その通りです。例えば夜間対応が多い救急部門などに、ナースと同じように三交代制を導入したら、今の医師数ではとても足りない。さらに、労働基準監督署は、病院への立入検査を行い、労働時間について是正勧告をしている。「週40時間労働」を完全に守ろうとしたら、今の医師数では無理。こうした事情も鑑みず、労基署は、日本の医療の根幹を揺さぶるようなことをしています。

 「働き方改革」で一番、困っているのは、我々全自病の会員病院。会員病院の約6割が田舎にあります。へき地で医師が少ない病院などに労基署が入ったら、もはや立ち行かなくなってしまいます。最近の全自病の常務理事会は、喫緊の問題以外は、この議論に集中しています。それほど大きな問題であり、関係者の関心は高い。日頃はおとなしい先生も、この問題になると饒舌になる。それは皆、違和感を覚えるからでしょう。医療特有のさまざまな文化があり、医師法上の応招義務がある。そこに労基署の論理を当てはめたら、整合性が取れない上に、医療がそもそも成り立たなくなってしまう。

 医師に時間外労働の上限規制が入ったら、救急車で患者さんが搬送されてきても、「勤務時間外だから、お断りします」といったケースが出てくるかもしれません。(研修医の過労自殺が問題になり、労基署の是正勧告を受けた)新潟市民病院は、外来は紹介状のある患者、救急は3次救急に限るという「緊急対応宣言」を出しました。新潟市は、政令指定都市であり、他に病院があるからいいけれど、うち(邊見氏が名誉院長を務める、赤穂市民病院)がそれをやったら、病院の経営や市の医療は持ちません。

 つまり、全自病が医師の働き方などについて実態調査をするのは、地域医療を守るためであり、机上の空論ではなく、調査を通じて現状を明らかにし、提言を出すのが目的。「我々の提言を守らないと地域医療は崩壊します。それでもいいのですね」などと、厚労省、具体的には労基署に「踏み絵」を踏ませる覚悟です。地域医療が壊れてもいいなら、労基署はいくら来てもいい。でもそれでは、その地域の医療はもちません。

――しかし、「当直明けの翌日も、通常勤務」といった実態は解決する必要があるのでは。

 勤務環境の改善は、もちろん必要。だからこそ医師数の増加、あるいは医師の適正配置、応招義務や主治医制の見直し、夜間受診の抑制や医療の集約化、タスク・シフティングなど、さまざまな問題について、総合的に考えていかなければいけない。その検討や何らかの施策を講じることなく、単に「労基法を守れ」と言われても、それは無理です。

――調査はいつ頃、実施し、結果や提言はいつ頃にまとめる予定でしょうか。

 「2年間の猶予」が医療界にありますが、今のままでは労基署に責められるだけ。立入検査で「こうしなさい」と言われてからでは、議論の範囲が狭められてしまう。具体的な時期は決まっていませんが、医療の側から「こうしたい」という提案を先に出したい。できるだけ多くの意見を聞きたいので、会員病院や医師には、実態調査以外でも、手紙、メールなど、さまざまな方法で意見、あるいは工夫事例などを寄せてほしいとお願いしています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542178
医師の働き方改革とキャリア
「勤務医は労働者」との決めつけ、乱暴すぎる - 邉見公雄・全自病会長に聞く◆Vol.2
勤務実態は複雑、各病院の自主性に任せた対応を

インタビュー 2017年7月6日 (木)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生は「医師の働き方改革」の議論の難しさを指摘されています。

 まずどこまでが医師の「労働時間」に当たるのかという問題があります。自分のスキルアップやキャリアアップのために、院内外のカンファレンスや研修会に参加する。研究、論文や学会発表の準備をする。学会で自分が発表する場合はどうか、他の発表を聞く時間も労働に当たるのか。研修医の「研修」はどこまでが労働か、指導医の「指導」、あるいはその準備も労働か。中には、「実家の父が病気になり、早く診療所を継承したいので」という理由で、その準備のために、長時間働く医師もいます。

 「聖職感」が強い医師も多く、「休日」であっても、病院に来て働く医師がたくさんいます。午前2時、3時まで緊急手術しても、次の日も病院に来てしまう。さまざまな「医師の文化」をどう解釈するか。

 主治医制という、日本特有の「医療の文化」もあります。「あの先生は、臨終にも来なかった」となれば、家族はその病院を受診しなくなってしまう。私が中医協(中央社会保険医療協議会)の委員をしていた際、中医協総会で東京に出てこなければならず、私が長年診ていた患者さんの臨終に立ち会えず、後からご自宅に謝りに行ったこともあります。

 応招義務の問題についても、複数主治医制、あるいはグループ制などであれば、病院組織として対応が可能ですが、現実には主治医制がほとんど。例えば、「あの先生に、お産してもらいたかった」となれば、主治医が担当せざるを得ない。

邉見公雄氏は、「医師の勤務実態はこんなに複雑。これを一括して、『労働』としていいのか」と問いかけたいという。

――誰が労働基準法の「労働者」に当たり、「時間外労働」の上限規制の対象になるかという問題もあります。

 開業医は、使用者であり、「労働者」ではありません。一方、病院の場合はどうか。(労基法で定める)「管理監督者」とは誰か。例えば「管理職手当」をもらっていることを基準にすれば、医長以上は皆、「管理監督者」に該当し、労働時間の規定の適用を受けなくなってしまう。

 勤務時間をどう管理するかという問題もあります。例えば、タイムカードで記録した時間か。それとも電子カルテの記録で見るかですが、どちらも中途半端。医師の場合、タイムカードをほとんど押さない。電子カルテを立ち上げていた時間を労働時間と見なす場合、消し忘れたりしたらどうするか。使っていなかったら、スリープする機能がある電子カルテでは、手術している時間は働いていないことになってしまう。

 さらに言えば、医師には「待機」の時間も多い。患者さんの状態が危なそうな時、「家に帰ってもまた呼び出されるかもしれないので、病院に待機しておこう」と自主的に残っていても、その日、容体が悪くならなかったら、その待機時間は労働に当たるのかどうか。

――その辺りを今回の実態調査では明らかにする。

 はい。医師の労働がどこまでか、各病院でどんな運用、管理をしているかを明らかにしたい。調査項目は、ものすごく多くなる見込みです。当直にしても、どんな診療科で、何人で勤務しているか、当直時間をどこまで労働時間としてカウントしているかなどを細かく聞く。実際に労基署の立入検査を受けた経験がある病院も含め、さまざまな人に関与してもらい、調査表の作成を進めています。私も入っているけれど、とても難しい作業です。

――「医師の働き方改革」は、医療提供体制の在り方、患者の受診行動、医師の価値観など、全てに関係する問題。医師によっても、また病院によっても考えが異なり、取りまとめは容易ではないと思います。

 先日、複数の医師で集まる機会がありました。ある病院は「午前2時までは夜勤扱いで労働時間としてカウントし、それ以降は当直扱い」。午前2時以降は、ほとんど患者さんが来ないからです。一方、別の病院は、田舎にあり、夜が早いためか、「午後10時までは夜勤扱い、それ以降は当直扱い」とのこと。そのほか、院長自身が管理当直を担当し、医師は病院の周辺に住んでおり、すぐに駆けつけられるため「当直はおかず、オンコール」という病院もあるなど、病院による違いは大きい。

 調査結果を基に、どのように意見がまとまるかは分かりませんが、「医師の勤務実態はこんなに複雑。これを一括して、『労働』としていいのか」という問いかけをするのが、第一でしょう。

 医療は「文化」。病院によっても、「文化」が違う。それを画一的な労働感で、「勤務医は労働者だ」と決めつけるのは、乱暴すぎる。要は「各病院の自主性に任せたら、どうですか」ということ。「ブラック企業」のように、だまして採用してはいけない。そうではなく各病院が自院の取り組みを公開、それを見て、医師が勤務先を選べるようにすべきでしょう。

 私は、2001年の省庁再編で厚生省と労働省が一緒になった時、この問題は解決に向かうと思っていました。それ以前は、縦割りで、厚生省は医療を守る立場であっても、労働省は病院に対し、厳しいことを言っていた。しかし、せっかく省が一つになったにもかかわらず、余計にややこしくなってきた。不作為で行政が手を打ってこなかったから、今になって、時間外労働の上限規制の問題が、より複雑な形で顕在化してきたと見ています。 



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170703120118
まさかあの病院が…広がる“聖路加ショック”
識者が考える働き方改革

2017年07月05日 15:00  CB News マネジメント

 聖路加国際病院(東京都中央区)が土曜の外来診療を縮小―。5月の病院側の発表は、医療関係者に衝撃を与えた。労働基準監督署の是正勧告を受けた勤務体制の見直しが理由だが、名門病院の方針転換は、医療界のパラダイムシフトを印象付けた。地方の医師不足や診療報酬の引き下げなど、病院経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、医師の働き方改革についてどう考えるべきなのか。2人の識者に聞いた。【聞き手・構成=敦賀陽平】

●特定社会保険労務士・福島通子氏 「勤務医の考え方が二極化」

政府が働き方改革に力を入れ始めてから、労基署が病院に立ち入り調査を行うケースが増えた。これまで他の産業と比べ、それほど件数は多くなかったが、ここ数年の増加が目立つ。医師の過重労働は、最終的に医師不足の問題にたどり着く。少しずつ改善に向かってはいるが、地域や診療科の偏在に加え、高齢化も手伝って、現存の医師数で解決するのは難しいと思われる。

 聖路加国際病院のニュースが、病院関係者に与えたインパクトは大きいと思う。全国有数の大病院で、あれだけ多くの時間外労働が行われている。医師不足が深刻な地方の病院の状況は容易に推察できる。

 今回の件もそうだが、労基署の是正勧告を受けても、外来を縮小したり、診療科の数を減らしたりするなど、思い切った対策を取らない限り、小さな改善だけでは、法律を守って医師を働かせることはできないのが現状だと思う。医師不足が顕著な埼玉県でも、午後の外来診療を休止する病院が出てきた。現時点でできるのは、医師の仕事をサポートする人材を増員・育成することだ。

 私も研究に参加した社会保険労務士総合研究機構の2012年の報告書(医療現場の労務管理に関する研究)でも指摘されているが、例えば、「フィジシャン・アシスタント」(PA)や「ナース・プラクティショナー」(NP)の日本版のような人材を育成すれば、医師の負担を少しは減らすことができるのではないだろうか。
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https://www.minpo.jp/news/detail/2017070443038
小児・産科医、来て 南相馬市が募集延長、働き掛け強化
( 2017/07/04 10:37 カテゴリー:主要 )福島民報

 南相馬市は市内の小児・産科医療の充実に向け、医師の確保に全力を挙げている。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の医師不足を補おうと助成制度を設けて小児科・産科医を募ったが6月末の締め切りまで応募者はゼロ。現在は市立総合病院以外で民間の小児科の専門医はおらず、産科医は1人のみ。市は3日、募集期間を9月末まで延長するとともに関係機関への働き掛けの強化に乗り出した。

 市によると、震災と原発事故前まで市内には市立総合病院と民間の病院・診療所を合わせて小児科を専門とする医師が5人程度いた。産科医は市立総合病院と民間の病院・診療所を合わせると少なくとも5人はいたという。

 原発事故に伴う避難などで民間の小児科医は不在となり、現在は市立総合病院の1人のみ。人員不足から新生児の入院は相馬市の公立相馬病院に受け入れを頼んでいる状況だ。産科医は市立総合病院に常勤医1人と福島医大から派遣された1人はいるが、民間は同様に1人だけとなった。

 市は医師不足解消に向けて市内で診療所を新たに開設する医師に施設整備費などを上限5000万円で助成する独自の医師公募制度を昨年創設した。だが、昨年の整形外科1件を除き、これまでのところ小児科・産科で制度を活用する医師は現れていない。

 市健康福祉部長として制度導入に携わり、今年春の定年退職後は再任用で市健康づくり課で地域医療対策を担う中里祐一主任主査兼係長(60)を中心に直接、医師に制度利用を呼び掛けたり、福島医大にさらなる医師の派遣を要請したりする日々が続く。中里係長は避難で子どもが減った上、助成金を支給するとはいえ、初期投資への負担を敬遠する医師が多いのではないか-と現状をみている。

 市は今後、助成要件の緩和も視野に入れて開業しやすい環境づくりに力を入れる考えだ。中里係長は「10年、20年先を見据えた医療体制づくりは行政の責務」と語り、受話器に向かった。



http://www.jiji.com/jc/article?k=2017070700969&g=soc
医師の残業代「年俸に含まず」=請求棄却の一、二審破棄-最高裁
(2017/07/07-19:25) 時事通信

 医師が勤務先の病院と結んだ雇用契約をめぐり、年俸1700万円の中に残業代が含まれていたかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代は含まれていない」と判断した上で、医師の請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。

 訴えていたのは、神奈川県内の医療法人を解雇された男性外科医。雇用契約に基づき、午後9時以降の「必要不可欠な業務」には残業代が支払われたが、医師は午後9時までの残業分も支払うよう求めていた。
 第2小法廷は、年俸1700万円の中に残業代を含むことで双方が合意していたが、残業代に相当する金額の内訳は不明確だったと指摘。「残業代をあらかじめ賃金に含めて支払う場合には、通常賃金との区別が必要」とした判例に基づき、「残業代が支払われたとは言えない」と結論付けた。
 一審東京地裁は、職務内容や賃金額などから合意は有効だとし、「残業代は含まれていた」と判断。二審東京高裁もこれを支持していた。 
 病院側の代理人弁護士の話 従来の判断枠組みを単純に適用した。現実を無視した形式的判断だ。
 医師側の代理人弁護士の話 医師の労働環境適正化についての議論が進み、過重労働改善の契機になることを期待している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/544177
医師の時間外手当で最高裁判決(判決理由要旨など追記)
「年俸に含まれず、未払分支払いを」

レポート 2017年7月7日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 神奈川県内の民間病院に勤務していた40歳代の男性医師が、未払いの時間外手当の支払いなどを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7月7日、時間外手当は年俸1700万円に含まれるとした一審、二審判決を破棄し、審理を東京高等裁判所に差し戻した(『「医師の過重労働改善に一石を」原告側』を参照)。

 小貫裁判長は判決理由で、時間外手当を年俸1700万円に含めるとの合意が医師と病院の間でされていたが、年俸のうち時間外手当に当たる部分が明らかにされていなかったため、基本給と時間外手当を判別することができないと指摘。このため、「病院の医師に対する年俸支払いによって、時間外手当が支払われたと言うことができない」と結論づけ、労働基準法37条などで定められた方法で算定した時間外手当を全て支払ったかどうかなどを審理するために、高裁に差し戻した。

 医師の代理人弁護士の新井隆氏は、差し戻しの理由として基本給と時間外手当が明白に区分されていないことが挙げられていることから、従来の最高裁判例に準拠した判断であるとの認識を示した上で、同様に明白に区分されていない契約形態の医師に影響が及ぶ可能性はあるとしたものの、「もっと医師の働き方全体を判断してほしかった」と述べた。また、もともと懲戒解雇を受けて地位確認を求めた訴訟だったため、その点が二審で退けられ、上告も受理されなかったことへの不服も示した。

 一方、病院側の代理人弁護士の最所義一氏は、「私どもは、医師であることの特殊性などを踏まえた、実態に則した判断を求めていたが、最高裁は全く判断しなかった」と判決への不満を述べた。

判決理由の要旨は以下の通り。
使用者が労働者に対して労基法37条の定める時間外手当を支払ったか否かを判断するためには、時間外手当として支払われた金額が、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として、労基法37条などに定められた方法により算定した時間外手当の額を下回らないか否かを検討することになる。
 この検討の前提として、労働契約における基本給などの定めで、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外手当を判別できることが必要である。
原告医師と被告病院の間で、時間外手当を年俸1700万円に含める旨の合意がされていたが、このうち時間外手当に当たる部分は明らかにされていなかった。そのため、この合意によっては、年俸のうち時間外手当として支払われた金額を確定することすらできず、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外手当に当たる部分を判別することができない。従って、医師に対する年俸の支払により、時間外手当が支払われたと言うことはできない。
原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中時間外手当及び付加金の請求に関する部分は、破棄を免れない。病院側が、医師に対し、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として労基法37条などに定められた方法により算定した割増賃金を全て支払ったか否か、付加金を命ずることの適否及びその額などについてさらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻す。
参考:労働基準法から抜粋
 第37条1項 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1カ月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

二審までの経緯
 男性医師と民間病院は、年俸1700万円、週5日勤務で就業時刻は午前8時30分から午後5時30分(昼休憩1時間)、時間外勤務は時間外規定の定めによる、などとする雇用契約を2012年4月1日付けで締結。同院では、時間外規定について、時間外割増賃金(時間外手当)の支払対象となる時間外勤務の時間を「勤務日の午後9時以降、翌日の8時30分までの間、および休日に発生する緊急業務に要した時間とする」と規定。ただし、「通常業務の延長とみなされる時間外勤務は時間外手当の対象とならない」としており、雇用契約による就業時刻を終えた午後5時30分から、午後9時の間に勤務した分の時間外手当が年俸に含まれるか否かが争われていた。

 判例では、時間外手当の一部が年俸に含まれるとの合意には、時間外手当としていくら支払われているかを把握できるよう、賃金のうち基本給部分と時間外手当が明白に区別できる必要がある(明白区分性)とされている。しかし、2015年4月の一審の横浜地裁判決は、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外手当に当たる部分とを判別することができないと言わざるを得ない」としながらも、「年俸に時間外手当が含まれることを否定する理由にはならない」として、時間外手当が年俸に含まれるとの合意があったことを認定。この合意は医師としての職務や責任に照らし合理性があり、原告が自らの労働を裁量で律することができ、年俸が1700万円と好待遇である、などとして時間外手当は年俸に含まれると考えるのが相当とした。2015年10月の東京高裁判決も、この判断を支持。

 原告の医師側は、最高裁弁論で「原審は判別できないことを認めていながら、合意自体は有効であると判断している」と批判。こうした区別ができない合意は無効であると主張し、「医師の過重労働改善に一石を投じるべく、医療現場の実態を踏まえた判断を求める」と訴えていた。一方、被告の病院側は、「合意を無効と判断しなければならない事由が存在しないことは明らか」と述べ、一審、二審判決の支持を求めていた。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20170707333833.html
「過労死ライン」超えは延べ81人
新潟県立病院医師の時間外労働

【政治・行政】 2017/07/07 10:41 新潟日報

 県病院局が運営する全13の県立病院で2016年度、「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外労働があった常勤医が延べ81人いたことが6日、明らかになった。このうち延べ23人は100時間を超えていた。

 県病院局が県議会で説明した。県立病院の職員の所定労働時間は1日7時間45分。これ以外の時間外労働について労使が結んだ協定(三六協定)では、医師の上限を月75時間と定めている。

 県によると、16年度中に協定違反に当たる長時間労働の月があった常勤医は延べ105人。このうち延べ81人が月80時間を超え、延べ23人は月100時間を超えていた。

 全常勤医340人の1人当たりの時間外労働は、月平均で25時間だった。急患や救急救命、長時間を要する手術に携わる一部の医師を中心に、過労死ラインを超える長時間労働になっているとみられる。

 岡俊幸・県病院局長は「医師が担う業務ごとに長時間労働の内容を分析し、対策を練る必要がある。どのような対策ができるか早急に詰めたい」と述べた。

 県は県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)で、常勤医2人を含む職員4人に三六協定に違反する長時間労働をさせたとして、7月3日に新潟労働基準監督署から是正勧告を受けた。他の12の県立病院でも詳細な実態調査を進めている。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20170705333432.html
労基署が県に是正勧告
がんセンター医師ら4人 過労死ライン超え

【社会】 2017/07/05 08:20 新潟日報

 県は4日、県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)の常勤医ら4人に労使協定(三六協定)で定めた以上の時間外労働をさせたとして、新潟労働基準監督署から是正勧告を受けたと発表した。4人はいずれも3月に「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外労働をしていた。

 勧告は3日付。労基署が5~6月に調査し、判明した。同病院の労使が結んだ三六協定は、月の時間外労働時間の上限を75時間と定めている。

 県によると、3月に80時間を超える時間外労働をしていたのは医師2人と事務職員2人。医師はそれぞれ96.4時間、84.4時間、事務職員はそれぞれ92.4時間、81.4時間働いていた。

 是正勧告では「過労死ライン」を超えて時間外労働をしていたことを問題視した。また、病院として長時間労働対策を検討していなかったことや、検査薬品の危険性を医師や技師に対して注意喚起する表示を怠っていたことなどが法令違反と指摘された。

 県は同病院以外の12の県立病院でも同様の違反がないか調べる方針。県病院局総務課は「勧告を真摯(しんし)に受け止め、改善に向けて取り組みたい。今後、状況を把握して原因を分析し、具体的な対策を検討する」としている。

 医師の長時間労働を巡っては、新潟市民病院の医師の過労自殺が労災認定され、同病院が労基署から是正勧告を受けている。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20170704333283.html
患者、理解と不安交錯
新潟市民病院 新患制限が本格化

【社会】 2017/07/04 11:14 新潟日報

 紹介状を持たない新規患者の一般外来受け付けを3日から取りやめた新潟市民病院。勤務医の過労自殺の労災認定と、新潟労働基準監督署による是正勧告を受け、医師らの長時間労働解消を目指した措置だが、患者側は一定の理解は示しつつも「地元の医療機関で診てもらえるのか」といった不安も聞かれる。市民病院は過去にも医師や医療秘書を増やす対策を講じたが、救急搬送数の増加などで実効性が上がらなかった経緯もある。勤務医の労働環境改善と救急医療の水準維持を両立させるためには、患者の理解とともに周辺医療機関の協力が鍵を握る。

 この日市民病院を受診した患者からは「受診制限はやむを得ない」との声も聞かれたものの、複雑な心境を語る人もいた。3年前に初診料を払って通院を続けている五泉市の無職男性(76)は「自宅近くの病院は対応できる科が少なかったり、混んでいたりして困る。市民病院なら1カ所で全て検査してもらえる」と説明する。

 阿賀町から約20年間、通院を続けている無職男性(85)は「医師の過重労働は困るけれど、地元の医療機関に行けと言われても診てもらえるのか」と漏らした。

 新潟市民病院の外来患者(救急を含む)は1日約1100人。そのうち、医師の紹介状なしで初診料(医科5400円、歯科3240円)を払って一般外来を受診する患者が数人程度いたという。同病院の担当者は「ここを減らすことで、医師を含む職員全体の労働時間削減を図りたい」と狙いを説明する。

 また、市民病院に救急搬送される患者のうち、入院することなく帰宅する患者は約3割に上る。新潟市は先月上旬、「新潟市民病院緊急対応宣言」を発表。軽度の症状であれば休日や夜間の受診を控えるなど救急医療の適正利用への協力を市民に呼び掛けるとともに、市内の病院関係者と協議し、市民病院の負担軽減に向けた方策の検討を始めた。

 市医師会の藤田一隆会長は、「市民病院の厳しい状況は前々から聞いていた。周囲の病院には負担が増えるのを承知で(協力を)お願いするしかない」と理解を示す。

 新潟市では約30年前から、市内の各病院が交代で救急患者の受け入れ当番を担う「病院群輪番制」を導入。しかし、関係者によると、当番病院の空き状況や疾患の種類によっては、程度が軽くても市民病院を頼るケースがあるという。

 市内で救急医療を担う病院の関係者は「開業医を頼りなく思い、市民病院を信奉する市民もいる」と指摘。市民病院の負担軽減策に実効性を持たせるためには、患者側の理解が欠かせないとする。



http://iwj.co.jp/wj/open/archives/387698
スクープ! 国際医療福祉大学医学部に新疑惑! 認可前から国家戦略特区会議に同大学経営者が参加! 石破氏、舛添氏らも同席~民進国対委員会と岩手医科大学・小川彰理事長会合後のブリーフィング
2017.7.4 記事公開日:2017.7.4 Independent Web Journal
取材地:東京都 (取材:阿部洋地、文:城石エマ、谷口直哉、記事構成:岩上安身)

※7月5日、テキストを追加しました。

 都議選での歴史的な敗退によって、安倍政権に対する国民の信任の崩壊が誰の目にも明らかになる中、森友学園、加計学園問題に続く、第3の学園問題が浮上してきた。千葉県成田市の国家戦略特区に設立された、国際医療福祉大学医学部の疑惑である。

 2017年7月4日、民進党の「加計学園疑惑調査チーム会合」は岩手医科大学の小川彰理事長との会合を実施。会合は記者には非公開だったものの、終了後、座長を務める桜井充議員から、ブリーフィングが行われた。そこで桜井議員は、今年4月に成田の国家戦略特区に新設された、「国際医療福祉大学」の医学部をめぐり、裏で政治的なやりとりが行われていたことを裏づける証拠が出てきていることを明らかにした。

 なお、本稿の会員限定ページには、IWJが入手した国際医療福祉大学をめぐる一連の資料を全公開した。ぜひ、この機会にIWJ会員にご登録いただき、資料全文をご覧いただきたい。

記事目次

 設置事業者の公募開始前から国際医療福祉大学理事長らが国家戦略特区会議に参加していた!石破茂内閣府特命担当大臣、舛添要一都知事(当時)、小泉一成成田市長も同席
 「一般の医学部とは次元の異なる医学部に」――内閣府・文科省・厚労省の取り決めの頭越しに国際医療福祉大学が千葉県と「地域医療への貢献」を取り決めていた!?
 国際医療福祉大学 医学部新設の目的は「医師不足解消」?それとも「国際人材育成」? 国家戦略特区指定のための「二枚舌」!?
 医療業界からは当初から「国家戦略特区による医学部新設」に反対の声! 焦点は将来的な「供給過剰」問題
 民進党国体委員会が公開した資料を全文掲載!

■ハイライト(全編動画の尺は12分になります)

※会合はマスコミ非公開で行われ、頭撮りと会合後のブリーフィングでは、民進党・桜井充議員が発言しています。

議題 国家戦略特別区域制度に基づく国際医療福祉大学について
講師 小川彰氏(岩手医科大学理事長)
日時 2017年7月4日(火) 16:00~
場所 参議院議員会館(東京都千代田区)
設置事業者の公募開始前から国際医療福祉大学理事長らが国家戦略特区会議に参加していた!石破茂内閣府特命担当大臣、舛添要一都知事(当時)、小泉一成成田市長も同席

 出てきた証拠とは、2014年10月1日に行われた「東京圏国家戦略特区会議第1回」の議事次第で、そこには、国家戦略特区担当の石破茂内閣府特命担当大臣(当時)と、舛添要一都知事(当時)、小泉一成(こいずみ かずなり)成田市長、阿曽沼元博・瀬田クリニックグループ代表(元厚労省研究員)らとともに、国際医療福祉大学の高木邦格理事長(代理:矢崎義雄総長)が出席者として明記されている。設置事業者の公募が始まる2015年11月12日よりも、前の話だ。

第1回東京国家戦略特別区域会議出席者名簿

 *石破  茂 内閣府匿名担当大臣(国家戦略特別区域)
 *舛添 要一 東京都知事
 *黒岩 祐治 神奈川県知事
 *小泉 一成 成田市長
  木村 惠司 三菱地所株式会社 代表取締役会長
  竹内  勤 慶応義塾大学病院 院長
  阿曽沼元博 医療法人社団滉志開瀬田クリニックグループ代表
 *高木 邦格 学校方針国際医療福祉大学 理事長(代理:矢崎 義雄 総長)

▲「東京圏国家戦略特区会議第1回」の議事次第。すでに国際医療福祉大学理事長の名が記載されている(以下マーキングはIWJによる)。

 桜井議員は次のように述べた。

 「この時点(2014年10月1日)から、成田市で国家戦略特区を使って国際医療福祉大学が医学部を新設できるようにしていきましょう、ということが始まっています。ですから、成田が指定されて大学が組んでやっているんですから加計の時とまったく同じ様な構造なんだろうと、そう思います」

 つまり、今治での獣医学部新設が「加計ありき」で進められたように、成田では「国際医療福祉大学ありき」だった、とみられるのである。

 その後、2014年12月17日に成田で行われた「成田市分科会第1回」議事次第によると、藤原豊・内閣府地域活性化推進室次長(当時)と、小泉成田市長らとともに、矢崎総長ら4人の国際医療福祉大学の重役が参加している。

(表 略)

▲「成田市分科会第1回」議事次第。ここにも国際医療福祉大学関係者の名が確認できる。

 なお現在、成田市のホームページ上では、国際医療福祉大学や国家戦略特区に関連するページが削除されてしまっている。なぜなのだろうか?

「一般の医学部とは次元の異なる医学部に」――内閣府・文科省・厚労省の取り決めの頭越しに国際医療福祉大学が千葉県と「地域医療への貢献」を取り決めていた!?
 さらに、公募以前の2015年7月31日に行われた内閣府、文科省、厚労省の3省会合では、「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針(案)」がまとめられ、そこでは「国家戦略特区の趣旨を踏まえ、一般の臨床医の養成・確保を主たる目的とする既存の医学部とは次元の異なる、上記の目的に沿った際立った特徴を有する医学部とすること」が決定された。

(表 略)

▲国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針(案)【PDF】

 一般の臨床医を養成するのを目的としないとは、どういうことか。日本の医師免許という、国家資格の取得にこだわらない、という意味にしか読み取れない。留学生を招き、外国人教員が英語で授業し、あげく日本の医師の資格にはこだわらずに、世界各地へ「無資格」のまま旅立ってゆく――。

 本当に、設立趣旨の意味がまったくわからない。医師免許を持たない者を医学部で養成してどうするのか?しかも留学生や外国人教員にウエートを置き、英語で教育を行うことを、何のために日本国民の税金でやらなくてはいけないのか。明らかなことは、千葉県の成田市という地元に根づいて地域医療を担う、日本の医師免許をもった医師の養成は目指していないらしい、ということである。

 ところがここでも、別の文書を見ると、まったく矛盾したことが話しあわれていたことがわかる。2017年3月27日付けで、千葉県と国際医療福祉大学が、「(国際医療福祉大学が新設する)医学部において地域医療に関する教育を行うものとする」と取り交わした協定書である。

(…会員ページにつづく)



http://blogos.com/article/233004/
赤字22億円「東京女子医大」の危機的状況
PRESIDENT Online2017年07月06日 09:15  BLOGOS

都内の名門私立病院が、次々と経営難に陥っている。東京都新宿区にある「東京女子医科大学病院」は、医療事故を境に、2年間で19万人も外来患者が減った。その結果、3年連続の赤字に陥り、医師への給与も満足に払えない状況となっている。だが、これは女子医大だけの問題ではない。背景には医療制度の構造的な問題がある――。

■ 賞与は「本給部分の1.6カ月」

東京の医療が崩壊するのは、もはや時間の問題のようだ。前回、聖路加国際病院の苦境を紹介したが、(http://president.jp/articles/-/21994)最近になって、『週刊現代』(7月8日号)が「赤字22億円このままでは名門東京女子医大(以下、女子医大)が潰れる」という記事を掲載した。私もコメントした。

この記事を読んだ友人(女子医大OB)から「以前から聞いていましたが、ここまでひどい状況になっているとは驚きです」とメールが来た。医療関係者の間で話題となっているようだ。この記事は、女子医大の吉岡俊正理事長が、6月7日に教職員へ送った文書から始まっている。

「平成28年度の収支差額は22億円の赤字で3年連続の赤字となりました」
「3年連続の赤字により、現在の本学には現預金の余裕は全くありません」
「これ以上、医療収入が減少しますと、法人存続にかかわる危機的な事態になります」

こうした理由から上半期の賞与は「本給部分の1.6カ月」(前年度は2.35カ月+扶養手当2カ月)だという。

職員宛の文書で、吉岡理事長は「大変厳しい決定ですが、本学の現状を踏まえた判断です」「現状に対する職員の意識を高め、改善・改革のための具体的な行動が必要です。患者さんが戻り、医療収入増加に貢献する、あるいは経費削減により収支改善に貢献することがないか、各職員一人一人が当事者意識を持ち、真摯に考え、行動をしてください」と呼びかけている。

■ 2歳児に麻酔薬を大量投与

女子医大の転落のきっかけは、2014年2月、2歳の男児が麻酔薬「プロポフォール」を大量投与されて亡くなった医療事故がきっかけだ。

事故を受けて、厚生労働省は特定機能病院の承認を取り消した。事故の前、女子医大の収入に占める補助金の割合は9.3%だった。15年度の決算では4.1%にまで減っている。患者も減った。過去2年間で外来患者は約19万人、入院患者は約7万3000人減った。

だが、女子医大の幹部の危機意識は希薄で、派閥抗争に明け暮れた。吉岡俊正理事長一派は、この事故の責任を問うとして衣笠宏・学長、高桑雄一・医学部長(いずれも当時)を解任し、法廷闘争を仕掛けた。

前出の女子医大OBは「患者を紹介しようとしても、理事長派と学長派の対立が医局の内部部にまでおよんでいるのか、手術をしてもらえませんでした。これじゃ患者も減ります」と嘆く。

女子医大の「身から出たさび」という見方も可能だが、事態はそれほど単純ではない。なぜなら、昨今の医療費の抑制政策が続く限り、都内の総合病院が破綻するのは避けられないからだ。女子医大は、医療政策の被害者という側面もある。背景を解説しよう。

高齢化が進むわが国では、医療費の抑制は喫緊の課題だ。政府はさまざまな政策を打ち出している。

患者は増えるのに、医療費の総額が抑制されれば、医療機関の利幅は薄くなる。この政策が続けば、やがて破綻するところがでてくる。

■ 女子医大は例外ではない

意外かもしれないが、もっとも「被害」を受けやすいのは首都圏の病院だ。それは、我が国の医療費は厚労省が全国一律に決めているからだ。田舎で治療をうけても、東京の銀座で治療を受けても、医療費は同じなのだ。もちろん、土地代や人件費などのコストは違う。医療費を下げ続ければ、真っ先に破綻するのは、首都圏の病院だ。

私の知る限り、この問題を初めて取り上げたのは、情報誌『選択』の2015年9月号だ。<私大医学部で「経営危機」が続々 破綻寸前の「首都圏医療」>という記事を読めば、女子医大が例外でないことがわかる。

もちろん、この記事でも女子医大は取り上げられている。だが、それ以上に経営状態が危険とされたのは日本医科大学付属病院(以下、日本医大)だ。

■ 日本医大の経営危機の深刻さ

日本医大は、1876年(明治9年)に越後長岡藩医であった長谷川泰が設立した済生学舎を前身とする、日本最古の私立医大だ。慶應大、慈恵医大とともに戦前に設立された3つの医学部の一つである。現在も東京を代表する医療機関で、都立墨東病院などと並び、脳卒中や交通事故など一刻を争う救急患者を治療する三次医療機関の中心を担っている。

日本医大が公開している財務諸表によれば、2014年度の売上高利益率はマイナス19.4%で、158億円の赤字。総資本を自己資本で割った財務レバレッジは349%と大幅な借金超過で、流動比率(流動資産と流動負債の比)は70%だ。

流動比率は、負債の短期的な返済能力を見る指標のひとつだ。税理士の上田和朗氏は「企業の経営状態を判断する際のもっとも重要な指標の一つ」と言う。流動比率は、流動資産が流動負債より多いか否かを示し、通常は120%以上あるのが望ましいとされている。日本医大の経営危機がいかに深刻かご理解いただけるだろう。

日本医大は経営再建に懸命だ。2016年度の財務諸表によれば、医療収入は747.7億円で対前年比2.4%%(17.6億円)の増だった。支出は賞与や時間外勤務を減らし、予算対比で12.5億円も減らした。この結果、決算は黒字となった。

ただ、それでも固定比率は292%もあり、有利子負債は629億円だ。前出の上田氏は「人件費を削り、医療収入を増やしている。経営は改善されつつあるものの、借り入れ体質は変わらない」という。日本医大の苦戦は続きそうだ。

なぜ、最近になって、首都圏の一流病院が経営難に陥ったのだろう。

きっかけは2014年の消費税増税だ。病院は医薬品などを仕入れる際、病院は消費税を負担するが、患者には請求できない。このため消費税が「損税」となってしまうのだ。

■ 開業医が優遇され、病院が割を食う

これは、自動車など輸出企業の置かれた状況とは対照的だ。輸出品は海外での販売時に課税されるため、消費税が免除されている。多くの企業は仕入れなどで消費税を負担しているため、その差額を政府から還付される。2015年8月24日の朝日新聞に掲載された<病院経営「8%」ショック>の記事の中で、税理士で元静岡大学教授の湖東京至氏は、大手自動車メーカー5社が14年度に受け取った還付金の総額を約6000億円と推計している。

もちろん、厚労省も損税問題を認識している。損税を補填するため、2014年に診療報酬を全体で1.36%引き上げた。しかしながら、これでは不十分だ。特定の診療行為の値段を上げるだけで、損税問題を解決できるはずがない。必ず不公平が生じる。一般論だが、日本医師会の中核を占める開業医が優遇され、病院が割を食う。

19年10月には消費税が10%に上がる。財務省は診療報酬の減額を目指している。今後、診療報酬が大幅に増額されるとは考えにくい。生き残るには、必死にコストをカットするしかない。

病院経営での最大のコストとは何だろうか。それは人件費だ。多くの病院でコストの50-60%を人件費が占める。その中でも、特に問題となるのは看護師の人件費だ。看護師は、病院スタッフでもっとも多い職種であり、一般的に高給取りだからだ。

■ 都内看護師の平均年収は約523万円

『看護師になる2016』(朝日新聞出版)によれば、都内の総合病院に勤務する25歳の看護師の給与は、額面で37.1万、ボーナスは約100万円だ。年収にすると約550万円となる。ちなみに日本人の給与所得者の平均年収は420万円(平成27年分民間給与実態統計調査結果)だ。

看護師の給与には大きな国内格差がある。「都道府県・看護師税込推定給与総額(円)」という図をご覧いただくと、関東から近畿地方にかけて高く、東北地方や九州・四国・中国地方が安いことがわかる。

日本看護協会によると、東京都の看護師の平均年収は523万円。全国平均の473万円より1割ほど高い。病院の利益率は通常数%程度だ。看護師のコストがこれだけ違うと勝負にならない。このデータは2008年のもので少し古いが、この傾向は現在も変わらないだろう。

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図上:日本看護協会調査研究報告No.80 2008を元に、近藤優実氏が作成。/図下:平成19年度全国物価統計調査報告、08年日本看護協会調査研究報告、平成24年衛生行政報告例を用いて、近藤優実氏(東京医療保健大)が作成。

なぜ首都圏の看護師の人件費が高いのだろうか。それは首都圏で看護師が不足しているからだ。「都道府県別物価補正後の看護師月給と看護師数」という図では、人口当たりの看護師数と看護師の給与の関係を示している。なお看護師の給与は都道府県の物価で補正している。

病院経営は工場経営に似ている。首都圏のように人件費の高いところは不利だ。最近、九州や東北地方の病院が首都圏に進出しているが、これは地方病院のほうが財務力に余裕があるためだ。

では、首都圏の病院は、どのようにしてコストを切り詰めているのだろうか。実は、もっとも切り詰めているのが医師の人件費だ。東京には大勢の医師がいる。特に大学の場合、教授や准教授になりたい医師は掃いて捨てるほどいる。供給が多ければ、価格は下がる。ここにも経済原理が働く。

■ 准教授の手取りは30万円代

東京大学医学部の後輩の40代の医師で、現在、都内の大学病院の准教授を務める人物は「手取りは30万円代です」とこぼす。彼の妻は専業主婦で、2人の子供がいる。家賃、食費、教育費を稼がねばならない。

彼は生活のために、アルバイトにあけくれている。毎週1日は都内のクリニックで外来をこなし、週末は当直を務める。これで月額50万円程度を稼いでいる。

こんなことをしていると、肝心の診療がおろそかになる。最終的に、そのツケは患者が払うことになる。前出の医師は、「昼間、病棟には研修医しかいません。スタッフは外来、手術、そしてアルバイトに行かないといけないからです」と言う。これでは、入院患者の治療は二の次になる。

その結果が、2014年2月に女子医大で起こった医療事故だ。頸部リンパ管腫の摘出手術を受けた2歳の男児が、3日後に急性循環不全で亡くなった。その後の調査で、人工呼吸中の男児が暴れないように、小児への使用が禁止されている麻酔薬プロポフォールを用いたことが判明した。成人用量の2.7倍も投与されていたそうだ。女子医大が依頼した第三者委員会は「投与中止後すぐに人工透析をしていれば、男児の命は助かった可能性があった」と指摘している。

■ 組織改革では医療事故はなくならない

さらに、女子医大では、小児に対するプロポフォールの過量投与が常態化していたことも明らかになった。14歳未満の55人に対し、合計63回投与されていた。今回の医療事故は氷山の一角だったのだ。

女子医大は、医療安全体制を見直し、2015年2月6日には「平成26年2月に発生いたしました医療事故の件」という声明を発表した。この中で、「法人組織での『医療安全管理部門』の設置」や「病院長直属の外部委員により構成する病院運営諮問委員会の新設」などの15項目の提言を行っている。だが、事態を重くみた厚労省は、女子医大の特定機能病院の承認を取り消した。

私は、このような組織改革や厳罰では、医療事故はなくならないと思っている。むしろ、ますます医療安全体制は損なわれるだろう。承認の取り消しは、女子医大の経営を悪化させるだけだ。

実は女子医大では2002年にも特定機能病院の承認を取り消されている。2001年3月、12歳の患者が人工心肺装置の操作ミスで死亡するという医療事故を起こしたからだ。この事故は、操作を担当した医師が逮捕されるという刑事事件にもなった。女子医大は、今回と同様に安全管理体制の改善に努め、遺族の理解も得られたため、2007年8月に再承認を受けている。ところが、この時に議論された安全対策は、その後、有効に機能しなかった。

私は当たり前だと思う。女子医大に限らず、首都圏の私大病院において、医療安全対策の最大の課題は「アルバイトの合間に診療する無責任体制」だからだ。ところが、これは女子医大の経営を考えれば、やむを得ない。医師の給与を下げるかわりに、アルバイトを許可しなければ、やっていけない。

■ 東京の高度医療を担う私大病院の危機

女子医大は名門病院だ。普通に診療していれば、スタッフ医師が今回のような過量投与を見落とすはずがない。「患者の安全性よりアルバイト」という医師の都合が優先されたため、急変時の対応が後手に回ったのだろう。この問題は、組織論や職業倫理だけでは改善しない構造的な問題だ。解決するには医局員の立場にたった実効性のある対策が必要だ。

東京の医療の中核を担っているのは、私立の大学病院だ。東京都に本部を置く医学部は13あるが、このうち11は私立医大だ。

こんなに私大病院が多い地域は東京だけだ。東京の次に私大病院が多いのは神奈川県と大阪府だが、いずれも3つだ。東京の高度医療は、私大病院が担っていると言っても過言ではない。だが、私大病院は、経営が悪化すれば「倒産」するしかない。女子医大や日本医大は、その瀬戸際にある。

このまま無策を決め込めば、いくつかの東京の医大は必ず破綻に追い込まれる。経営者の責任追及だけでなく、患者保護の視点から建設的な議論が必要だ。

(医療ガバナンス研究所 理事長 上 昌広 写真=時事通信フォト)



http://univ-journal.jp/14693/
2018年実施の医師国家試験に4つの変更点 厚生労働省が公表
大学ジャーナルオンライン編集部

 厚生労働省は、2017年7月3日、2018年に実施予定の「第112回医師国家試験」において、出題数をこれまでの合計500題から100題減らし400題に、また、試験日程を3日間から2日間へ変更することなど、4つの変更点を公表した。

 第112回医師国家試験は、2018年2月10日と11日に実施予定で、臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、“医師として具有すべき知識及び技能”を試験する。
変更点は4つあり、1つ目は、出題数。これまで200問出題されていた必修問題以外の一般問題を100題減じ、合計500題→400題へ変更。減らす問題の内容は、医学部生が5~6年時の臨床実習前に必ず受ける共用試験と重複する「医学各論」「医学総論」だという。

 2つ目は、試験日数で、出題数の見直しに伴い3日間から2日間へ変更となる。
3つ目は、配点。必修問題以外の臨床実地問題の配点は、これまで1問3点だったものを1問1点採点にする。
4つ目は、合格基準。必修問題以外の一般問題と臨床実地問題は、これまで各々で合格基準を設定していたものを、一般問題と臨床実地問題の得点の合計について合格基準を設定する。

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会は、2014年6月から医師国家試験の評価と改善について議論を行ってきた。2015年3月30日に提出した報告書では、『今後の卒前教育や医療を取り巻く状況を踏まえ、具体的な方向性としては、単に知識を問う問題ではなく、例えば、症候から優先順位を考慮しつつ鑑別診断や治療方針の選択を進めていくという臨床医の思考過程に沿った、臨床的な応用力を問う問題を出題するため、出題傾向として「臨床実地問題」に、より重点をおくこととする』と説明している。

参考:【厚生労働省】
第112回医師国家試験における変更点について
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/oshirase/112ishi_henkouten.html
医師国家試験の施行について
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/ishi/



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB07H5S_X00C17A7L72000/
戸田中央医科、返済不要の奨学金PR 医師の卵確保
2017/7/8 7:01日本経済新聞 電子版

 首都圏を中心に28病院を運営する戸田中央医科グループ(TMG、埼玉県戸田市)は、医師の確保策を強化する。新人医師の確保策として、7月から同グループへの就職で返済不要とする、大学医学部の奨学金制度を高校などに直接PR。「医師の卵」を囲い込む。埼玉県は人口10万人あたりの医師数が全国最低で、人材確保とともに地域医療の維持にも寄与したい考えだ。

 TMGでは今月20日まで、2018年4月の医学部入学をめざす高校生らを対象に必要な費用を貸す奨学金制度の奨学生を募集している。大学入学の支度金として100万円、授業料として毎月20万円(最大6年間・計1440万円)を貸与する制度で「サラリーマン家庭でも私立医学部に入学できる奨学金」とうたう。

 医学部を卒業して初期臨床研修を受けた後、医師としてTMGの病院で9年以上勤務すれば返済を免除する。地域医療の担い手を確保する狙いで10年度に創設したが、ホームページでしか告知しておらず、奨学生もほぼ年2~3人にとどまっていた。

 奨学金を利用した初の卒業生2人が4月にTMGへの就職を果たしたことを機に、採用活動の見直しに着手した。今月からは採用担当者が高校を訪問し、奨学金や就職について直接説明する。訪問は通年行い、公立の進学校を中心に18年度以降卒業予定の学生にも利用を促す。

 このほか、医学部への進学者の多い首都圏の高校や大手予備校を対象に、制度を周知するダイレクトメールを約300通送った。制度の利用希望者が多い場合には高校在学時の成績などを基準に選考、毎年5人程度の奨学生確保を目指す。

 医学生の就職は大学病院の多い都内に集中しがちで、地域医療の担い手が確保しにくい状況が続いている。TMGの担当者は「先手を打たなければ採用環境はさらに厳しくなる」と語る。

 現役医師の確保策では、16年4月にグループ全体の医師の採用を専門的に担う「医師招聘(しょうへい)部」を設置。医師と病院をマッチングする紹介会社に同グループの病院を知ってもらう見学会を開くなど、優秀な人材確保に向けた売り込みも加速させている。

 埼玉県は人口10万人あたりの医師数が全国で最も少なく、高齢化の進展に伴い医師不足が深刻化すると懸念されている。地元就職を条件とした返済不要の奨学金制度は県も10年度に創設しており、危機感は共通している。TMGは「各地で地域密着型の医療を提供しているグループならではの強みを生かし、地元での医師の就職を後押ししたい」としている。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170704/CK2017070402000003.html
13病院連携し新研修システム 医師確保で県検討
2017年7月4日 中日新聞 滋賀

 県議会六月定例会議は三日、再開し、六人が一般質問した。県内での医師確保策について、藤本武司健康医療福祉部長は、県内十三の臨床研修病院が連携した研修システムの構築へ向け、検討を始めたことを明らかにした。佐藤議員の質問に答えた。

 県医療政策課によると、新たな研修システムは、専門性を高める三年程度の後期臨床研修を想定。各病院の指導医による会議を設置し、六月から議論を進めている。各病院ごとに強みのある診療科があるため、研修期間内に研修医が、各病院を行き来して研修することなどを検討している。

 国家試験に合格した医師に義務付けられている二年間の初期臨床研修では、県内の研修病院で約百二十人の定員枠があり、近年は百人前後の採用が続いている。初期研修を終えた医師が県内で後期研修を続ける「県内定着率」は、過去十年の平均で七割弱という。

 同課の担当者は「臨床研修で県内病院を選んでもらうことが、医師確保の一歩になる」と話している。

 (角雄記)



http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20170707/2744299
若手医師の学ぶ場開設 自治医大と4病院連携 栃木
7月7日 朝刊 下野新聞

 「自治医大しもつが地域臨床教育センター」の開所式が6日、栃木市大平町川連の「とちぎメディカルセンターしもつが」で行われた。同大の若手医師らが地域医療の現場で学ぶ拠点となる。

 同大は昨年7月、メディカルセンターしもつがなど県内4病院とセンター設置を締結した。研修医や学生を各病院へ派遣し、生活習慣病など慢性疾患の対応を学ぶ。主に高度急性期医療を担う同大の教育を補完する。

 同病院側も医師が指導医として研修医の教育に当たることで、医師のスキルアップや病院の活性化を図る。在学中に地域医療を経験させることで、卒業後などにはより地域で就職しやすいシステムを構築し、将来的な医師確保につなげる狙いがある。



http://blogos.com/article/233262/
あの女子医大でも赤字 ていうか補助金なければ病院経営なんて赤字のビジネスモデル
中村ゆきつぐ2017年07月07日 11:23 BLOGOS

週刊現代記事です。(赤字22億円!名門・東京女子医大が「危機的状況」に陥っていた 職員向け「決算報告書」をスクープ入手)そしてあの上先生が解説されています。(赤字22億円「東京女子医大」の危機的状況 2年間で19万人も患者が減った)

私は
1 補助金がなければ基本赤字の診療報酬
2 病院経営を素人がやるとかえって逆効果

この2点で思っていることを書きます。

1 みなさんご存じないでしょうが、今の保険医療制度では救急含め重症患者を診れば診るほど病院は赤字になります。ではなぜ救急などが成り立っているのか。それはある一定条件を保つと救急指定病院の宣言をすることで自治体から補助金がもらえるからです。お金で救急医療を維持する方法、でも今のやり方は正直機能していません(1)、(2)。昔(2013年!)書いた3次救急の受け入れ不能問題もこんなことが原因でした。そして医師の少ない埼玉は特に問題です。(それこそ補助金だけもらって患者を診ていない病院もあるとのことです。)

救急の補助金と同様に、大学病院には高度な医療を行うということで特定機能病院という補助金がつきます。高度な医療はお金がかかります。そう補助金なしでは特定機能病院はなかなか利益が出にくいビジネス形態なんです。だからこれがなくなった女子医大病院は正直経営的に火の車なのです。(それこそ今は群馬大も大変です。)

2 経営を良くするため、病院は儲かりやすい保険点数が高い医療を多く実施したり、ある条件をクリアすれば補助金が付く医療に重点を置くことが多くなっています。(手術、外来化学療法など)まあそれもある程度は仕方がないことで医療者がなんとかうまくできる経営努力です。

でもそれ以外の人事だとか経営の効率だとかは経営のプロではない医療者はそれほど上手じゃありません。まして扱う人事が医師や看護師という特殊な人材。会社経営のプロは医療者の特性をあまり知りません。

待遇が気に入らなければ今の医療者の雇用市場ではさっさと辞めていきます。そこに女子医大という名門という看板は通用しません。この記事の人事含めた経営方針は本当医療者に反感をかったのでしょう。そして人がいなくなればその病院は廃れるのみです。それを事務方がわからないと悪循環は続きます。だから以前聖路加は頑張っていると書いたのです。

まとめ
医療を良くするために何をしなければいけないのか。

患者の命を守るためには病院が赤字にならないようにすることは必要条件です。そう真面目に正しい医療を行えばしっかり病院が儲かるように点数を変える必要があります。医療費の消費税も取るようにすべきです。(今医療の材料費には消費税がかかり、患者さんの医療費には消費税がありません。だから病院はどんどん赤字に)

だって病院が儲からないと新たに人なんて雇えません。医師だってバイトに行かなきゃ東京でまともに暮らせません。そう考えると赤字の病院に働き方改革なんてできるわけがありませんし、結果安全な医療はできません。

ただ今東京ではすでに患者の奪い合いが始まってきているとのこと。私が一番恐れているのは病院が潰れないために下手すると無意味な医療が横行する可能性です。あの生活保護患者を食い物にした病院のように。

公共の福祉と割り切ることも一つの考えです。だって補助金の投入はすでに行われているのですからもっと効率的にやればいいのです。まあ行政の介入(税金の投入)がなければ今後病院の倒産はどんどん広がっていくと思われます。

と言いながら今回の女子医の経営者が従業員に出した手紙は半分脅しの可能性もあるんですけどね。

1: http://www.nikkeibp.co.jp/aging/article/innovator/20120711/01/01.html
2: http://www.nikkeibp.co.jp/aging/article/innovator/20120718/01/01.html
3: http://blog.livedoor.jp/dannapapa/archives/3735682.html



https://mainichi.jp/articles/20170708/ddm/008/040/076000c
新専門医
来春導入へ 基準統一、診療の質向上狙う

毎日新聞2017年7月8日 東京朝刊

 医療の質の向上を目的にした新専門医制度について、制度を運営する日本専門医機構は7日、来年4月からスタートさせることを決めた。今年4月から開始の予定だったが、医師の偏在につながるなどと反発にあい、先送りされていた。

 当初の制度案では研修を実施する基幹病院が都市部の大学病院に集中していたため、地域医療が崩壊するとの反論が日本医師会や病院団体から上がり、延期につながった。対策として機構は、東京都、神奈川県、愛知県など5都府県で受け入れる各診療科の医師数は、過去5年の採用実績の平均値を原則超えないように定員を設定する運用細則を定めた。

 現在の専門医制度は、外科や皮膚科などの各診療科ごとに100種類以上あり、各学会がそれぞれ認定するため質のばらつきが大きい。機構が統一した基準で認定することで質の向上を図る。同日記者会見した機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は新制度について「国民にとって信頼できる専門領域の医者であることを医学界が保証するということだ」と述べた。【野田武】



http://www.medwatch.jp/?p=14566
新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
2017年7月3日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新たな専門医制度によって、地域における医師の偏在が生じることなく専門医の質を高める体制が構築されるよう、▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体▼基幹施設—などによる協議の場「都道府県協議会」で、専門医の研修プログラムに関して「従来、専門医を養成していた医療機関が、専攻医受け入れを希望する場合に連携施設となっているか」などを確認し、必要な調整を行ってほしい—。

 厚生労働省は6月27日に、通知「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県の役割等について」を発出し、都道府県の担当者にこのような要請を行いました。

協議会の調整内容や活動実績を厚労省に報告するよう要請

 新たな専門医制度の2018年度全面スタートに向けた検討が各所で続けられています。専門医の認定と、研修プログラムの認証を学会と日本専門医機構が共同して行い、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」専門医制度とすることが狙いですが、例えば研修を行う施設の基準が厳しく、「地域で医師の偏在が進んでしまうのではないか」などの懸念もあります。

 そこで厚労省は「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、「専門医の質の担保」と「地域医療の確保」とを両立する方策について議論を行っています。その中では、都道府県ごとに地域の関係者が集い、地域の医師偏在が助長されないかなどをチェックし、必要があれば改善を行っていく仕組み(都道府県協議会)をより強固なものとすべきとの指摘が出されています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

厚労省はこの指摘を重く受けとめ、都道府県協議会の役割などを今般の通知で改めて明確にしたものです。通知の骨子は次の4点に集約できます。単に都道府県協議会を設置するだけでなく、具体的な活動(研修プログラムの確認や必要な調整)を求め、その実績報告を求めることで、実効性を確保することを狙っています。

(1) ▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体▼基幹施設―などによる「都道府県協議会」において、研修プログラムに関する情報を共有し、確認、検討などを行う
(2) 都道府県協議会において研修プログラムの確認、検討などを行った後、地域医療確保の観点から改善が必要な事項を日本専門医機構へ提出し、日本専門医機構と連携して改善事項などについて調整する
(3) 都道府県で調整に努めたにもかかわらず状況が改善しないような場合には、適宜、厚労省に報告する
(4) 調整終了後、プログラム認定前に、管内のプログラムについての調整結果を都道府県協議会で確認した旨、都道府県協議会の活動実績を厚労省へ報告する

具体的には、「研修プログラム」における基幹施設・連携施設の▽施設名▽指導医数▽研修実績▽専攻医募集数―などの情報から、例えば次のような点を確認するよう求めています。

▼都市部(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の各基本領域学会(ただし外科、産婦人科、病理、臨床検査を除く)の専攻医総数が、「原則として過去5年の専攻医採用実績の平均値を超えない」ような募集定員数となっているか【都市部へ専攻医が集中するような犬種プログラムになっていないか】

▼従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が、専攻医の受入れを希望する場合は、連携施設となっているか【地域における偏在を招くようなことになっていないか】

▼内科、小児科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、麻酔科、救急科については、都道府県ごとに複数の基幹施設が置かれているか【大学医学部に専攻医や指導医が集中するような研修プログラムになっていないか】

▼特別な症例を経験するために必要になるなどの事情がなければ、原則として基幹施設での研修は6か月以上となっているか、また連携施設での研修は1か所につき3か月未満となっていないか【地域で必要な医師確保ができるような内容になっているか】

▼研修プログラムに記載されている経験目標に、▽病診・病病連携▽地域包括ケア▽在宅医療▽都市部以外などでの医療経験―が含まれているか【地域医療に配慮した研修プログラムの内容になっているか】

都道府県協議会では、都市部に専攻医が集中するような研修プログラムになっていないか、従来の研修施設が漏れていないか、などをチェックする(図表 略)
都道府県協議会では、研修プログラムが地域医療に配慮した内容となっているか、連携施設でも研修期間が極端に短くなっていないかなどをチェックする(図表 略)

 
 ところで6月12日の検討会では、荒井正吾構成員(奈良県知事)から「認定前には分からなかった問題点が、認定し、プログラムが稼働してから明らかになることもある」といった指摘も出されました(関連記事はこちら)。そこで厚労省は、「プログラム認定後、新たな専門医の仕組みの運用に当たって都道府県協議会が協議すべき事項」についても、別途、都道府県に宛てて通知する考えを示しています。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/542928
始動する“医療事故調”
“事故調”対応、「5項目とも可」の大学は47%
全国医学部長病院長会議シンポ、支援体制に差

レポート 2017年7月2日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議の「大学病院の医療事故対策委員会」が、医療事故調査に関する全国80大学の支援体制を調査した結果、2017年3月時点で、「相談」「解剖」「Ai(死亡時画像診断)」「専門家派遣」「報告書チェック」の5項目について、「全て対応可」の大学は、38大学(47%)で、半数に満たないことが明らかになった。「Ai以外は対応可」23大学(29%)、「未定・不可あり」19大学(24%)。同委員会と東京都医療事故調査等支援団体連絡協議会が、都内で7月1日に開催したシンポジウムで、同委員会のアドバイザーを務める福岡大学病院医療安全管理部の中村伸理子氏が、調査結果を報告した(シンポジウムの内容は、『医療事故調査、“喧嘩”の道具に使うな!』を参照)。

 2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、各医療機関での院内調査を基本とするため、自院で対応が難しい場合、各地域の支援団体などに協力を仰ぐことになる。特に、解剖やAiなどの体制や、各専門領域の医師を有する大学の支援は重要だが、大学によって対応に差があることが分かる。38大学のうち、「システム整備も完了」は16大学、「システム整備は未了」が22大学。

 調査では、事故調査を自院が実施した一部の大学に対し、支援を受ける立場としての状況も聞いている。「専門家派遣」「調査委員会の委員長派遣」「報告書作成支援」などを受けていたが、一部に「不要だが、提供あり」との回答もあった。事故調査の際、「外部委員」を入れることは制度上義務ではなく、シンポジウムではこの点をめぐる議論が展開された。

 調査は全国80大学を対象に実施、2016年3月と2017年3月時点での状況を聞いた。回答率は100%(一部、欠損値を含む)。今回発表したのは、速報値で今後、詳細な結果をまとめる予定。

 「500床以上」の病院への支援、44%

 医療事故調査制度では、複数ある支援団体が連携できるよう、都道府県ごとに「支援団体連絡協議会」を設置することが望ましいとされている。医師会が中心となっているが、2016年4月と2017年4月の比較では、都道府県医師会と各大学の連携が着実に進んでいた。2017年3月の時点では、80大学中、「支援手順等が決まり、支援提供」47大学、「支援手順等が決まった」25大学で、合計72大学。一方で、「支援手順が決まりつつある」7大学、「連絡協議会等を行った」1大学。

 2015年10月から2017年3月までの「のべ支援依頼数」は189例。多い大学では21例の相談を受けた一方、少ない大学では1例。支援依頼元を病床規模別に見ると、「500床以上」44%、「200~499床」39%で、合計83%を占める(137例の分析)。大規模病院でも、医療事故調査に当たっては支援を必要としていた。

 支援対応の内訳は、「専門家派遣」133例(うち3例は、依頼があったが、対応に至らず)と「報告書助言」57例(同1例)が大半を占める(164例の分析)。相談32例(同1例)、解剖27例(同8例)、Aiは13例と少ない。

 「自由意見では、医療事故の定義への疑問、事故調査報告書が裁判に利用されてしまうのではないか、非懲罰性が担保されているかといった不安、『医療事故』という言葉が、遺族に過失を連想させてしまうので、名称変更が必要ではないか、といった意見が上がった」(中村氏)



https://www.m3.com/news/iryoishin/544396
真価問われる専門医改革
「専攻医の登録、10月スタート」目指す
「2018年4月開始に向け、日本専門医機構の準備は整った」

レポート 2017年7月7日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は7月7日の理事会で、2018年4月からの新専門医制度開始に向けて、準備を進めることを決定した。今年10月から専攻医の登録を開始できるよう、研修プログラムの1次審査を7月中に終え、9月末までには2次審査を終了することを目指す。できれば今年内を目途に専攻医の研修先が決まるよう、準備を進める方針だ。もっとも、1次審査後に行う都道府県協議会による研修プログラムの精査など、開始に向けたハードルはまだ幾つかあり、2次審査を終えるまでは、正式に開始するとは言えない状況にある。

 理事会後に会見した日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、「規約的には、機構として来年4月のスタートに向けた準備が整った。今後、各方面の理解が得られるよう努力していきたい」と説明した。「専門医制度新整備指針(第二版)」は6月の理事会で了承済み。同指針の運用細則の改訂、総合診療専門医の整備基準とモデル専門研修プログラムも7日の理事会で了承され、新専門医制度に必要な規約は整ったことになる。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「理事会での議論の結果、来年度から始めるのがふさわしいという意見が多数だった。できれば、10月から一斉に専攻医の登録を始めたい。都道府県協議会での精査が必要なので、10月から専攻医の登録を始めないと、2次、3次募集ができなくなる」と説明。同副理事長の山下英俊氏も、「今年内を目途に決まるようにするには、10月くらいから専攻医の登録を始めないと厳しい」とコメント。

 ただし、新専門医制度については地域医療への影響を懸念する声がある現状を踏まえ、研修プログラム等に問題が生じれば、適宜修正を求めるとともに、研修プログラムをいったん認定しても、「十分な研修プログラムではないとされた場合には、取り消すことも視野に入れて、今後準備を進める」(松原副理事長)。また厚生労働省ともよく相談しながら進めることを、松原副理事長は強調した。

 2018年度の新専門医制度開始に向けたハードルは幾つかある。第一は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』などを参照)。6月の同検討会の第3回会議の意見を踏まえ、運用細則を改訂したが、7~8月に開催予定の第4回会議でも、新専門医制度について議論する見通し。

 第二は、都道府県協議会での検討。各基幹病院の研修プログラムは、地域医療への影響の有無を検証するため、その所在地の各都道府県協議会で精査する。47都道府県で今夏、協議会が開催されるが、東京都など多数の研修プログラムの精査を行う地域では相当な作業量になる。

 さらに2次審査が通った各基本領域の研修プログラムを、専攻医が閲覧できるようにするための体制、専攻医の登録方法などの準備も必要になる。

 専攻医の登録は、18の基本領域については各学会が担当する。総合診療専門医については、日本専門医機構が担う。また同機構は、一人の医師が、複数の基本領域に登録していないかなどをチェックする。基幹病院等では、登録を踏まえ、専攻医の選考を行う。その結果、募集定員を上回ったり、あるいは下回ったりする場合には、登録の調整が必要になる。それでもなお、研修先が決まらないなどの専攻医のために、2次、3次募集を実施することになる見通し。専攻医の登録管理などを行うシステムを構築済みの学会もあるが、19の基本領域、かつ47都道府県で調整等を行うシステムの構築はこれからだ。

 山下副理事長は、「専門研修をしたいが、研修ができないという事態にはならない」と説明するものの、基本領域や研修施設の希望が100%かなうとは限らないとした。地域医療に配慮し、各研修プログラムに募集定員が設定されるからだ。ただ、このような専攻医の調整は、新専門医制度の開始に伴って新たに始まるわけではなく、従来から各基本領域では実施していたという。

 7日の理事会で了承された運用細則の主な改訂は2点。

 一つは、柔軟な研修への対応。新専門医制度は、研修プログラム制だが、出産・育児で中断する場合などは、研修カリキュラム制でも可能。ただし、それでもなお、柔軟な対応が難しい場合が考えられるため、(1)基幹施設等は、専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修が行えるように配慮する、(2)専攻医は、相談窓口への相談後も、有効な研修が行えないと判断した場合には、日本専門医機構に相談できる――といった体制を整える。

 もう一つは、都道府県協議会への情報提供の在り方。(1)協議会は、基幹施設に対し、情報提供を求めることができる、(2)基幹施設は、日本専門医機構に連絡をした上で、協議会に情報を提供し、その際、遅滞なく機構にも協議会に提供した情報を報告する、(3)機構は、基本領域学会、基幹施設と協同して協議会の求めに協力する――という体制を構築する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/543774
中央社会保険医療協議会
「医療政策が権力構造におもねる懸念」中川日医副会長
中医協委員退任あいさつ、委員と厚労省に要望とエール

レポート 2017年7月5日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、7月5日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、退任のあいさつを述べ、昨今の政治情勢を踏まえ、「日本の医療政策がその時々の権力構造におもねる形で決まっていきはしないか」と危うさを提起し、中医協委員には、丁寧で開かれた合意形成のプロセスを守ることを要望するとともに、事務局を担当する厚生労働省職員には、「医療を守る最後の砦」とエールを送った。

 中川氏は5日の総会で、同副会長の松原謙二氏とともに、中医協委員を退任した(『中川・松原日医副会長、中医協委員交代』を参照)。


  中川氏が退任のあいさつで言及したのは、2018年度診療報酬と介護報酬の同時改定や薬価制度改革の具体的内容ではなく、中医協の議論の進め方。中川氏はこれまでも、2016年12月の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」の4大臣合意をはじめ、“外野”からの中医協への介入をけん制してきた(『「薬価制度の抜本改革、メーカーの成長戦略か」と疑念』などを参照)。

 「最近では直接の所管でない、政府の他の部門から診療報酬の細部に踏み込んだ提案が常態化し、私的諮問機関からの提案もあるが、非公開で議論の過程が見えないこともある」などと指摘し、中医協委員に丁寧な合意形成のプロセスを求めた。同時に厚労省職員には、「いろいろな立場、いろいろな部門から厳しい指摘がある」との理解を示し、「医療を守る最後の砦」としての役割を果たすようエールを送り、中川氏自身も「これからは、今まで以上にやさしく支えていく」と述べ、委員や傍聴者らの笑いを誘い、あいさつを終えた。

 中医協の任期は、1期2年、計3期まで。中川氏は、1期(2007年10月2日から2009年10月1日)、2期(2013年10月30日から2015年10月29日)、3期(2015年10月30日~2017年7月5日)。松原氏は、1期(2004年6月1日から2005年9月11日)、2期(2005年9月28日~2006年4月17日)、3期(2015年10月30日~2017年7月5日)。後任は、日医副会長の今村聡氏と、日医常任理事の松本吉郎氏。

【中川俊男・日本医師会副会長:中医協委員退任のあいさつ(全文)】

 本日で、中医協委員を退任させていただくに当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 中医協は厚生労働省の中でも、最も重要な審議会の一つです。中医協は国民の命と健康を守る最終的な意思決定機関だと思っています。

 私は2013年10月に4年ぶりに中医協に復帰し、そのことを改めて認識しました。そして私心を捨て、弛むことなく、しかし力まず議論に臨む姿勢を貫いてきました。

 また私は、支払側委員の皆さん、厚生労働省の事務局とのやり取りを、できるだけ分かりやすく国民に発信するように努めてきました。中医協の議論を報道していただいたメディアの皆さん、この場を借りてお礼を申し上げます。

 最後に二つだけ申し上げたいと思います。

 一つは、各側委員へのお願いです。日本の医療政策は、中医協をはじめ厚生労働省の審議会で、丁寧に合意形成のプロセスを踏んで策定されています。このことが、国民皆保険としての日本の公的医療保険制度の国際的な評価につながっているのだと思います。

 しかし、最近では直接の所管ではない政府の他の部門から診療報酬の細部に踏み込んだ提案が常態化しています。私的諮問機関からの提案もありますが、非公開で議論の過程が見えないこともあります。

 このままでは日本の医療政策が、その時々の権力構造におもねる形で決まっていきはしないか、そういう危うさを感じます。各側委員には一致して、中医協の丁寧で開かれた合意形成プロセスを守り通していただきたいと心から願っています。

 もう一つは、厚生労働省の事務局、官僚の皆さんへのエールです。あなた方はわが国の医療を守る「最後の砦」です。いろいろな立場、いろいろな部門から厳しい指摘があるでしょう。巨大な力にくじけそうになることもあるでしょう。

 しかし、国民は皆さんを心から頼りにしたい、いや、頼りにしていると思います。日本の国民皆保険を守るのはあなた方です。そのために、私はこれからも支援を惜しみません。これからは、今まで以上にやさしく支えていきます。

 皆さん、本当に長い間、お世話になりました。本当にあり がとうございました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/543879
中央社会保険医療協議会
DPC、「3群制」は維持、名称変更で賛否分かれる
DPC評価分科会が中間報告、調整係数は2018年度廃止

レポート 2017年7月5日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は7月5日、診療報酬調査専門組織DPC評価分科会から、2018年度診療報酬改定に向けた、基礎係数(医療機関群)、機能評価係数II 、調整係数の検討に関する中間報告を受けた(文末を参照。資料は、厚生労働省のホームページ)。

 意見の相違が見られたのは、DPCの医療機関群の名称。基礎係数(医療機関群)については、I~IIIの3群制の維持はほぼ合意が得られたが、名称に関しては変更を求める意見と現状維持で意見が対立した。

 診療実績に基づく機能評価係数IIは、制度導入時は6項目だったが、2014年度と2016年度の改定で、後発医薬品係数と重症度係数が追加された(『DPC見直し決定、診療実態をより評価した体系へ』などを参照)。制度が複雑化、また本来の趣旨とは異なるなどの指摘があり、6項目を軸とし、追加2項目は再整理する。2018年度改定でDPC移行に伴う激変緩和措置として導入されている暫定調整係数の廃止には異論は出なかったが、廃止後に新たな激変緩和措置を検討する。

 5日の意見を踏まえ、DPC評価分科会は引き続き、2018年度改定に向けて検討を進める。

 名称変更を検討する理由について、DPC評価分科会・分科会長の小山信彌氏(東邦大学医学部特任教授)は、「医療機関と患者の双方にとって分かりにくいため」と説明。

 しかし、日本医師会副会長の中川俊男氏は、対象病院が多いIII群を「標準群」などとすると、「II群はIII群より上という認識になりかねない」との懸念を呈し、「全国で地域医療構想を進める中で、中小病院と大病院で名称に格差を付けるのは問題。医療提供体制を支えているのは、むしろ中小病院。無理に名称を変えないでほしい」と述べた。

 一方で、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏、I~III群という表現は分かりにくい上に、「II群の方が、III群よりいいというイメージがある。序列ではない名称を考えてもらいたい」と求めた。また万代氏は、例えば、一般的で同じ疾患で受診した場合、I~III群では、医療費が異なるのは、患者にとっては分かりにくいことから、「(医療費が高いI群では)それだけの医療が提供されているのか、ということも含めて、検討が必要」とも指摘した。

 5日の基本問題小委には、2015年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告(案)も報告された。同調査は、包括制のDPC導入による影響を評価するのが目的。質評価の指標となる「退院時の転帰」が「治癒・軽快」や再入院率などの経年変化は見られなかった。

 議論になったのが、平均在院日数。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、DPC導入の目的は、医療の効率化・標準化であることから、平均在院日数の短縮が見られていないことを問題視した。

 これに対し、小山氏は、調査は2011年度以降の経時変化を見たものであり、2003年度のDPC導入当初、I群に該当する大学病院本院の平均在院日数は30日近かったが、導入以降は短縮、今はほぼプラトーの状態にあると説明。I群の平均在院日数は、2011年度は14.57日、2015年度は13.36日だ。「今の制度では、これ以上、短くするのは難しいと思う」と述べ、短縮するなら例えば米国のように病院の周辺にホテルを作り、退院後の受け皿とするなど、DPCにとどまらない総合的な検討が必要になるとした。

 中川氏も、「平均在院日数の短縮はもう限界。5年間で1日短くすることは大変なこと。政策誘導的に、短い方が収入は上がるということで、平均在院日数を短くしているのであって、決して喜んで短くしているわけではない」と小山氏の考えを支持した。

 「機能評価係数II」、6項目が基本
 DPCの包括評価部分の点数は、「診断群分類別点数」×「医療機関別係数」で決まる。「医療機関別係数」は、(1)I群からIII群の医療機関群別の「基礎係数」、(2)各医療機関の機能に応じて変わる「機能評価係数I」(人員など医療機関の構造を評価する係数)と「機能評価係数II」(医療機関の実績などを評価する係数)、(3)「暫定調整係数」(前年度の実績を保証するための係数)――で決まる。この「暫定調整係数」は、段階的に「機能評価係数II」への置き換えが進められ、2018年度には廃止する方針。

 中間報告における対応方針(案)は下記の通り。

 小山氏は、「1-(3)」を検討事項に上げた理由について、「データ的には、II群の要件を満たしていても、III群の点数を算定した方が、点数が高い場合がある」と説明。基礎係数はII群の方が高いものの、機能評価係数IIの算定のハードルがIII群の方が低いために、こうしたケースが起き得るという。

 万代氏は、「機能評価係数Ⅱの再整理」について、「6つの係数について、基本的評価軸として位置付ける」方針を支持し、「この軸がぶれないようにしてもらいたい」と求めた。

【2018年度診療報酬改定に向けた DPC 制度(DPC/PDPS)に係るこれまでの検討状況 中間報告の対応方針(案)】

1.基礎係数(医療機関群)
(1) 医療機関群の設定方法
・現行の医療機関群の設定方法については、一定の合理性があると考えられるため、現行の3つの医療機関群を維持する。
・Ⅲ群については、現行の医療機関群の設定方法とは別に、個々の医療機関単位で評価されるべき機能について、機能評価係数Ⅱの検討の中で、適切な評価が可能かを検討する。

(2) 医療機関群の名称
・現行のⅢ群がDPC/PDPS の基本であり、Ⅰ群、Ⅱ群は、それらと異なる機能を有する医療機関であることが、より明確に表現されるような名称・順序とする。
・具体的な医療機関群の名称については、それぞれの群について適切な理解に資するような名称について引き続き検討する。

(3) 各医療機関における医療機関群の決定
・機能評価係数Ⅱの議論等も踏まえながら、複数の医療機関群の要件を満たす病院については、診療報酬改定の前年までにその意向を示し、現行のⅢ群を選択することができるような仕組みについて、引き続き検討する。
・仮に自ら選択できるような仕組みにするとしても、実際に、医療機関が、医療機関別係数を計算する前に、短期間で適切に選択できる方法となるよう考慮する。

2.機能評価係数Ⅱ
(1) 機能評価係数Ⅱの再整理
・導入時の6つの係数については、これまでの評価実績を踏まえ、各係数導入時の基本的な考え方を維持しつつ、必要に応じた評価手法の見直し等を行うことを前提として、機能評価係数Ⅱの基本的評価軸として位置付ける。
・導入後に追加された2つの係数については、それぞれの係数の目的や趣旨を踏まえて再整理する。

(2) 機能評価係数Ⅱの重み付け
・現行のⅠ群・Ⅱ群については、医療機関群ごとに、求められる機能や評価の現状を踏まえ、各項目への配分についての重み付けの是非について引き続き検討する。
・多様な機能や特性を有する病院が含まれているⅢ群については、重み付けは行わないこととする。

3.調整係数
(1) 調整係数の置き換え
・調整係数は、2018年度に、機能評価係数Ⅱへの置き換えを完了する。
・重症度係数については、設定の目的や趣旨を踏まえ、激変緩和措置の見直しと併せて、機能評価係数Ⅱとは別の手法による対応を検討する。

(2) 激変緩和措置の取扱い
・診療報酬改定により医療機関別係数が大きく変動すると見込まれる病院について、これまでと同じ激変緩和措置の継続では、同様な対応を反復する可能性があることから、その要因に応じた新たな対応を検討する。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170706/CK2017070602000032.html
県立3病院の赤字拡大、6億円超す 16年度
2017年7月6日 中日新聞 滋賀

 県立病院の二〇一六年度の決算速報で、純損益は六億三千六百万円の赤字となり、赤字幅が前年度から三億五千五百万円拡大したことが分かった。五日の県議会委員会で、県病院事業庁が報告した。

 決算は成人病センター(守山市)、小児保健医療センター(同)、精神医療センター(草津市)の三病院の合計。速報では、病院ごとの決算の内訳を明らかにしていない。

 県病院事業庁によると、成人病センターの新病棟のオープンに伴って医師や看護師らの人件費が増加したことや、入院患者の減少などが要因。病床数は、前年度比で十七床増えた一方、一日当たりの入院患者数は二・二人減の五六六・二人だった。

 県病院事業庁は、一七年度は一日当たりの入院患者数を三十人増やす目標を掲げ、収支改善を図ると説明。井上勘治次長は「紹介患者を増やす方策など、患者の獲得努力を進めたい」と述べた。

 (角雄記)



https://www.m3.com/news/general/544445
訴訟:医師年俸「残業代含まず」 基本給と区別求める 最高裁
事故・訴訟 2017年7月9日 (日)配信毎日新聞社

 残業代込みの医師の定額年俸が有効かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代と基本給を区別できない場合は残業代が支払われたとは言えない」として無効と判断し、2審・東京高裁判決の残業代に関する部分を破棄し、未払い分を計算させるために審理を同高裁に差し戻した。【伊藤直孝】

 1、2審は原告の医師の年俸が1700万円と高額な点などから「基本給と区別できないが、残業代も含まれる」としていたが、最高裁は医師のような高い報酬を得ている専門職でも例外は認められず、残業代を分けるべきだと示した。「働き方改革」を巡る議論にも影響を与えそうだ。

 1、2審判決によると、原告は神奈川県内の私立病院に勤務していた40代の男性医師。残業代支給対象が午後9時以降と休日に限定されていたため「未払いの残業代がある」として提訴。1審・横浜地裁は「医師は労働時間規制を超えた活動が求められ、時間でなく内容が重視される」と指摘、2審も支持した。

 これに対して最高裁は、労働基準法が残業代に関して使用者に原則25%以上の給与割り増しを義務付けている点を「時間外労働を抑制する目的がある」と指摘。給与の定額払いは違法ではないが、割り増しが行われたかどうか判断するために基本給と残業代を区別できることが必要だと結論付けた。裁判官4人全員一致の意見。

 病院側の弁護士は「医師の勤務や労働実態を踏まえていない形式的判断だ」とコメントし、医師側の弁護士は「判決が医師の過重労働改善の契機になれば」としている。

………………………………………………………………………………………………………

 ■解説

 ◇労基法の原則に戻す

 最高裁は従来の複数の判例で、給与の中で基本給と残業代を明確に区別することが必要だと示してきた。それにもかかわらず残業代を巡る労使紛争が絶えないのは、使用者側が「この職種は例外だ」と主張して争うためだ。

 今回の裁判でも、病院側は「医師は労働と研究の時間を区別することが不可能」と主張。労基法の労働時間規制を適用することは不合理だと訴えていた。

 水町勇一郎東大教授(労働法)は「1、2審は『高い報酬を支払えば残業代の区別は必要ない』としたが、最高裁は労基法の原則に戻して判断した。勤務医は実際には裁量がない人が多く、労基法の保護が必要。妥当な判断だ」と見る。

 最高裁判決は、残業代の区別が不明確な給与の支払いは、ほぼ例外なく認められないとの立場を鮮明にし、労基法の原則を順守するよう改めて使用者に求めた。

 今後、報酬の多寡に関わらず、労使の残業代を巡る訴訟に影響を与えていくとみられる。【伊藤直孝】

  1. 2017/07/09(日) 20:39:48|
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Google Newsでみる医師不足 2017年6月30日 

Google Newsでみる医師不足 2017年6月30日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 7,000
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 14,300
First 5 in Google in English 

Opinion: Medical schools can solve Canada's rural doctor shortage
Vancouver Sun‎ - June 25, 2017 (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

These shortages take a toll on Canadians' health. Patients with no regular doctor are less likely to get annual exams or other preventive care. Many are forced to use walk-in clinics staffed with doctors who don’t know them or their medical history. And the evidence shows that there’s a strong correlation between a population with access to effective primary care providers and positive health outcomes.



Doctor shortage could be aided by tuition, book help
Kennebec Journal & Morning Sentinel‎ - 2017/06/29 (米国 メイン州)

I'd like to propose a simple solution to the lack of physicians in Maine, and elsewhere, as well as a remedy for the enormous debt doctors have leaving medical school. Additionally, this solution would provide doctors to under-served areas of the country.
The solution? We should pay for tuition and books. It would cost about $1.25 billion per year. This includes 25,000 potential doctors, and around $50,000 in tuition and book costs per year, both more than expected.


South Africa's cancer doctor shortage: 'There is a real crisis'
CNN‎ - 2017/06/13 (南アフリカ)

Now, with the number of public health doctors dwindling in Durban and other South African cities, some patients without the means to visit a private doctor may suffer. "This has led to freezing, abolishing, unfunding of posts, which led to a dire shortage of doctors from 2014," he said. "These austerity measures by the provincial government have pushed doctors away to the private sector leaving poor patients alone."



Has a doctor shortage come to Central Texas? Experts say the area has a different problem
Community Impact Newspaper‎ - 2017/06/26 (米国テキサス州)

Health care advocates have for years worried about a shortage of doctors serving rural and low-income Texas communities. But in Austin and the surrounding areas, which have one of the highest doctor-to-patient ratios in the state, there is a different challenge, according to Dr. Jonathan MacClements, assistant dean of graduate medical education at The University of Texas Dell Medical School.



Health Beat: Why We All Need To Help Solve The Doctor Shortage
Honolulu Civil Beat‎ - 2017/06/21 (米国ハワイ州)

Even if you are lucky enough to already have a primary doctor, that doesn't mean you aren't affected by the provider shortage. With increased paperwork, the high costs of running an office and our cost of living here in the islands, some providers are closing their practices, transitioning into just seeing patients in the hospital or just moving away.



(他に10位以内のニュースは、米国・ウィスコンシン州、カナダ・ニューブランズウィック州、マニトバ州、ノバスコチア州、英国スコットランド、からも)


  1. 2017/07/01(土) 11:14:38|
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6月30日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201706/551831.html?myselect=20170630
コラム: 色平哲郎の「医のふるさと」
「普通の町」の病院が陥った深刻な医師不足

2017/6/30 色平 哲郎(佐久総合病院)

 最近、深刻な医師不足に陥った病院に週一度、当直勤務の「助っ人」として通うようになった。長野県の長和(ながわ)町と上田市が設立した依田窪(よだくぼ)医療福祉事務組合が運営する国保依田窪病院(140床)が、その病院だ。とくに山間へき地や離島に立地しているわけではなく、上田市に隣接する「普通の町」の病院で医師が足りなくなっている現実にショックを受けている。

 依田窪病院にうかがった初日、病院長に、こう言われた。「内科救急患者は、医師の裁量でお断りをしてください。救急対応について相談される場合は、循環器は○○医師、その他内科は○○医師にご相談ください。外科治療を要する急性腹症の患者は、膵胆管系以外は佐久医療センター、膵胆管系につきましては、長野・松本方面の医療機関にご相談をお願いします」。

 これまで「どんな患者でも診る」ように教えられ、実践してきた身には衝撃的だった。救急患者を受け入れても対応できる態勢が整っておらず、近隣に回せる総合病院がないから、最初から断わる。下手に受け入れて「手遅れ」になるようなことがあってはならない、というわけだ。

 救急隊員は、救急患者発生の連絡を受けた時点で、長和町や上田市の外の医療機関へ患者を搬送することを考えている。地域内で少なくとも一次、二次救急をカバーできる体制がいかに重要か、改めて感じている。

県に医師派遣を要請してきたもの…

 依田窪病院は、昨年3月時点では常勤内科医が6人いた。外来、入院、検査を常勤医が担当し、昨年度は休日・夜間の内科の緊急入院も173人受け入れた。しかし、長野県からの医師派遣の終了や定年退職などで今年3月には3人に減少。4、5月に短期で勤務していた医師も退職し、常勤内科医が2人となった。これではとても「休日・夜間の内科の緊急入院」に対応できず、前述のような対応をするしかないのだ。

 病院の運営者は、これまで医師不足を見越して県に医師派遣を要請してきたが、ここ2年、新たな派遣はないという。現在、信州大学付属病院(松本市)、諏訪中央病院(茅野市)からも非常勤医師が派遣されて緊急事態に対処している。

 それにしても、毎年8000人以上も医師が誕生しているというのに、どうしてこのような医師不足が生じるのだろうか。繰り返すが、地方の「普通の町」で、医療崩壊につながりかねない危機的状況が発生している。

 充実した研修環境を求める若手医師は、地方の小規模な病院を敬遠する。医師が少ない病院は勤務環境が厳しいに違いないと考え、さらに足が遠のく。これでいいはずはない。

 医師の偏在を解消すべく、さまざまな施策が講じられてきたが、一向に改善していない。特に足りないのは「どんな患者でも診る」一般内科医(なんでもないか)だ。

 専門医の資格云々の前にやるべきことは山積している。



https://mainichi.jp/articles/20170629/ddl/k23/040/196000c
あま市民病院
指定管理者制度導入へ 医師不足、経営苦しく /愛知

会員限定有料記事 毎日新聞2017年6月29日 毎日新聞 地方版 愛知県

 十分な医師を確保できず苦しい運営を続けているあま市民病院(あま市甚目寺畦田)は、管理運営を民間の法人に任せる指定管理者制度の導入を決め、このほど募集を始めた。医師不足に悩む同様の自治体病院も多く、今後が注目されている。

 あま市民病院は旧海部郡の自治体でつくる公立尾陽病院が前身。旧病棟は耐震性に問題があり、合併してあま市が発足したのを機に、一昨年11月、現在地に市民病院として移転新築された。診療科は11科(外来は8科)で、ベッド数は180床となっている。

 設備は最新に変わったが、常勤医師は現在11人で、充足数は「半分程度」(同病院)という。そのためベッド数も4分の3の135床しか稼働していない。2004年度に臨床研修医制度が変わり、医師が患者や症例の多い特定の病院に集中することになり、多くの病院で医師不足が深刻化している。あま市民病院も、この問題に直撃された格好だ。

 医師不足は病院経営にも影響している。医師や稼働ベッドが少ないので、患者も減っている。昨年度は市から同病院費用の3割強にあたる約13億円が支出された。同病院経営改革室は「高齢化社会でもあり、身近に医療機関があるのは市民生活を守る上で欠かせない」として病院自体は存続させ、運営を医師を集められる民間法人に任せることにした。

 県地域医療支援室によると、07年に国保東栄病院(東栄町)が指定管理者制度を導入し、名古屋市の公立病院でも導入が進んでいるが、他に例はないという。

 あま市では、選定委員会で応募のあった法人を審査し、12月議会で優先候補を報告する方針。【長倉正知】



http://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20170626-OYTNT50280.html
唯一の総合医 閉院…住田町
医師不足 県、定年の勤務医に熱視線

2017年06月25日 読売新聞 岩手

 住田町で今月末、町唯一の個人総合診療医院が閉院する。地域医療を長年支えてきた開業医が、高齢化や後継者不足でやめるケースが相次いでいる。地方の公的な医療機関の役割が増す中、県は定年後の勤務医を活用する「シニアドクター制度」を導入して医師不足を解消しようとしている。(柿沼衣里、徳山喜翔)

 「いざ閉めるとなると、やっぱり寂しいね」。住田町上有住地区の桜井医院で、医師の桜井末男さん(92)は段ボール箱に片づけられたカルテの束を見つめた。

 桜井医院は江戸時代初期に陸前高田市気仙町で開業し、360年ほど前に住田町に移った。内科や外科のほか、皮膚科や産婦人科も診察し、地域医療を支えてきた。7代目の桜井さんは学校医や産業医、特別養護老人ホームの嘱託医も担い、1日に300人を診たこともあった。しかし、人口減少などで患者が減る一方で人件費がかさみ、「赤字経営が10年ほど続いていた」。医師の長男は盛岡市の岩手医大に勤めているが、「生計が立てられなければ後継ぎもない」という。

 町では昨年も80歳代の医師が個人医院を閉じた。来月以降、町内の歯科医院を除く医療機関は常勤医3人の県立大船渡病院付属住田地域診療センターのみになる。患者は今後、同センターや遠野市の病院に通うことになり、桜井さんは320人分の紹介状を書いた。近くの紺野幸子さん(80)は車の運転免許がなく、遠野市の病院までバスで50分ほどかかる。「頼りにしていたので残念」と閉院を惜しんだ。

 町は「新たな開業医を招きたいが、交通の便が悪い土地に呼ぶのは難しい。周辺自治体と連携して医療環境を確保したい」と話す。

 県医師会によると、県内では今年6月までの3年間で医療機関が48か所減った。厚生労働省が2014年に行った調査では、本県の10万人あたりの医師数は204・2人で全国40位だ。

 医師確保のため、県は高い技術と意欲を持つシニアドクターに注目する。15年度に始まったシニアドクター制度は、主に定年後の県内外の医師を最大5年間、県立病院の正規職員待遇で採用する。年収は概算で約1690万円。以前から県立病院の勤務医には定年(65歳)延長制度があるが、3年間に限られている。医師を確保すると同時に、勤務医の働く意欲を向上させる狙いもある。

 初年度は目標の10人を確保し、今年4月までに最高齢の75歳を含む計16人を採用した。東日本大震災応援で沿岸部の仮設診療所に赴任した医師が、再建された県立病院で勤務を続けているケースもあるという。

 県医師支援推進室は「医師不足は深刻で、こうすれば増えるという特効薬はない。ただ、定年後も働く意欲のあるシニアドクターは増えており、医師不足解消策の一つとして機能させたい」としている。



https://www.m3.com/news/general/542524
群馬循環器病院が倒産、負債総額約14億円
2017年7月1日 (土)配信東京商工リサーチ

 医療法人群馬循環器病院(高崎市中尾町、設立1997年、平井立志理事長)は6月29日、前橋地裁高崎支部に民事再生法の適用を申請し、同日に保全命令を受けた。申請代理人は猿谷直樹弁護士(石原・関・猿谷法律事務所)、監督委員は室賀康志弁護士(室賀法律事務所)が選任された。負債総額は約14億円。債権者数は約230人。

 1985年11月、都内において長年の業歴を有す医科大学の系列として群馬県高崎市において個人開業し、1997年3月に法人化を果たした医療法人。それ以降、診療科を拡げ、外部から有能な人材を常勤医に迎え入れて診療サービスの充実に努め、ピーク時の1996年12月期には売上高22億円を計上していた。

 しかしながら、医療設備に相当額の投資を実施してきた中、これに見合った業績を確保できず、損益は低迷推移を辿っていた。また、2002年12月には患者との訴訟に敗訴して多額の支払命令を受けたほか、近年は医師や看護師の減少により売上減少に歯止めがかからず、赤字決算が散見される状態だった。2014年12月期で売上高は10億円を割り込み、当期損失1億334万円を計上して債務超過に転落。翌2015年12月期では売上高8億9712万円、当期損失3億1021万円を計上し、さらに厳しい決算だった。

 こうした中、2015年には過大な診療報酬を請求したとされ診療報酬返還を求められた。過大請求については故意では無く見解の違いとし、返済を進めていたが、これにより支出が増え、合わせて業績も低迷する中で資金繰りがひっ迫。その後も厳しい経営状況に改善が見られず、ついに行き詰まり、今回の措置を採った。なお、病院は通常通り事業を継続しており、今後は医療法人の経営支援再生を主体に手掛けているコンサルタント業者のキャピタルメディカ(東京都港区)から資金や人材面での支援を受け、再建を目指す。



http://www.jomo-news.co.jp/ns/9214987518914084/news.html
高崎の群馬循環器病院が破綻 負債14億 診療は継続
更新日時:2017年6月30日(金) AM 06:00 上毛新聞

 群馬循環器病院(高崎市中尾町)を運営する医療法人「群馬循環器病院」(平井立志理事長)は29日、前橋地裁高崎支部に民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けた。代理人弁護士によると、負債総額は約14億円。病院は通常通り診療を続け、医師や看護師ら従業員約60人の雇用も維持する。

 今後は、医療コンサルタント会社のキャピタルメディカ(東京都)から資金や人材面での支援を受け、再建を目指す。



http://www.medwatch.jp/?p=14539
「今厳しい病院は3年以内に消える」、経営分析システム勉強会で大道日病副会長
2017年6月29日|GHCをウォッチ MedWatch

 「日本病院会」は6月29日、「JHAstis」(Japan Hospital Association Strategy Tactics Information System=日本病院会戦略情報システム)の勉強会を開催しました(JHAstisの紹介ページはこちら)。同ツールの経営改善事例が紹介されたほか、「グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン」(GHC)のコンサルタントによるツール活用方法、メディ・ウォッチ編集部による2018年度診療・介護報酬改定の解説が行われました。

 勉強会の冒頭であいさつした日本病院会の大道道大副会長は、18年度以降、病院が提供する医療の生産性の見える化が進むとした上で、「今後、(生産性の)パフォーマンスの悪い病院はすぐに分かるようになる」と指摘。次期診療・介護報酬改定が厳しい内容になるなどと予測されることから、「今、病院経営は一番いい時期。今が厳しいという病院は、間違いなく3年以内に消えてしまうだろう」と見通しました。

ここがポイント! [非表示]
1 医療等ID制度で現場の実態が明らかに
2 算定対象者2人「漏らさない」だけで回収可能
3 今後、最重要は他病院との比較
4 小林病院と平病院が事例紹介

医療等ID制度で現場の実態が明らかに

 18年度は、▼国民健康保険の財政都道府県単位化 ▼新たな医療計画の実施 ▼診療・介護報酬の同時改定― などが控えています。厚生労働省は、このことを「惑星直列」と呼んでおり、団塊世代が後期高齢者になって医療費が膨張する「2025年問題」に向けた大きなターニングポイントになる年度であると考えています(関連記事『2018年の国保都道府県化や診療報酬改定など「惑星直列」に向け、2017年が重要―厚労省・鈴木保険局長』)。財務省も5月に固めた建議でプラス改定をけん制しており、病院にとってはかなり厳しい改定になる可能性がささやかれています(関連記事『2018年度同時改定、「国民の負担増を考慮せよ」とプラス改定論議を牽制—財政審』)。

 また、マイナンバー制度と並行して進む「医療等ID制度」が導入された後の医療の現場を予見し、大道副会長は「疾患ごとに医療従事者が何人投入されたのか、どのような医療を提供したのか、すべてが明らかになる時代がくる」と指摘。その上で、「今から18年4月までに何をしてきたかで病院の将来が決まる。今後、毎月算定できる加算を逃しているような病院はもたない」と警鐘を鳴らしました。

算定対象者2人「漏らさない」だけで回収可能

 JHAstisは日本病院会が16年度・17年度の重点施策に掲げる「病院の経営支援」を具現化したサービスで、出来高病院に特化した自病院の経営状況を見える化するためのシステムです(紹介ページはこちら)。

 JHAstisに参加すると、(1)主要経営指標の分析や加算取得など経営指南書を毎月配信する「月次レポート」(2)他院とのベンチマーク分析など有益な分析情報を提供する「定期レポート」(3)回復期病棟ならではの切り口でデータ分析する「回復期レポート」(4)同時改定の重要論点と自病院の影響に絞って徹底解説する「臨時レポート」―の4つのレポートを受け取れるとともに、分析を担当するGHCの専門コンサルタントによる講演や、JHAstis参加で経営改善した事例などを学べる「無料勉強会」に参加できます。

 JHAstisは月額4万円で参加することが可能です。月額4万円を各種加算に換算して考えると、退院困難な患者について算定できる「退院支援加算1(一般病棟等)」(退院時1回。600点)であればわずか7回の算定増にすぎません。また認知症ケアチームによるケア計画策定などを評価する「認知症ケア加算1」(14日まで1日につき150点、15日以降1日につき30点)であれば、27回(14日までで換算)に該当します。つまり、両加算の算定対象者を2人「漏らさない」だけで、JHAstis参加費用は回収可能なのです(関連記事『日病の経営分析レポートJHAstis、300床規模の病院で年200万円の増収実績』)。

今後、最重要は他病院との比較

 JHAstisの活用方法について講演したGHCコンサルタントでアソシエイトマネジャーの澤田優香は、客観的なデータを活用した経営改善に向けた取り組みの基本姿勢について、「経営データの自病院における実際の値、目標とする値の視点は欠かせない。もう一つの欠かせない視点は他病院平均(中央値)の値であり、これからの経営改善はこの3つの視点は不可欠」と指摘。経営学の父であるドラッカーの言葉を引用して「外の変化を知らなければ、時代に置きざりにされる」としました。

 18年度診療・介護報酬改定の解説をしたメディ・ウォッチ編集主幹の鳥海和輝は、プラス改定を期待することが難しい状況に加えて、地域医療構想や国保の財政都道府県単位化など地域ごとに医療費抑制が進みつつある流れを解説した上で、「今後、国が着目するのは自病院がどれだけ改善したかではない。見ているのは、他病院と比較してどうかということ」と、今後の経営改善で重要なことは「他病院との比較」と繰り返しました。

小林病院と平病院が事例紹介

 今回、ユーザー事例を紹介したのは神奈川県小田原市の「小林病院」(163床:一般56床=うち地域包括ケア6床、回復期リハビリテーション47床、療養60床)と岡山県和気町の「平病院」(90床:一般32床=うち地域包括ケア11床、療養30床、結核28床)。講演した小林病院の市川信英医事課長、平病院の高取敬修事務部長は、JHAstisによって救急医療管理加算の算定状況や、他病院との比較データで確認できるため、ベンチマーク分析によって大きな収益増になったことなどを、自病院の事例を交えて解説しました(講演内容の詳細については追ってお伝えします)。

 JHAstisにご興味がある方は、日本病院会のJHAstis紹介ページをご確認ください(JHAstisの紹介ページはこちら)。

解説を担当したコンサルタント
澤田 優香(さわだ・ゆうか) 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのアソシエイトマネジャー。看護師、保健師。
聖路加看護大学卒業後、集中治療室の勤務を経て、入社。看護必要度分析、看護業務量調査、DPC別診療科検討、病床戦略分析、マーケット分析などを得意とする。自由分析ソフトを用いた分析では、社内で右に出るものはいない。多数の医療機関のコンサルティングを行うとともに、社内のアナリスト育成や看護関連プロジェクト(看護必要度勉強会や「看護必要度分析」開発など)でも精力的に活動する(東京医科大学病院の事例紹介はこちら)。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO1801448023062017I00000/
医師の地域格差2倍 最多は京都府、高知県は中心部に8割集中
不作為の果てに(3)

2017/6/28 2:00日本経済新聞 電子版

 どこで開業し、どの診療科を置くか--。日本では開業場所や診療科は原則として医師に委ねられている。医療にも市場メカニズムがはたらき、医師は人口の多い地域に偏りがちな傾向がある。厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数は京都府(308人)が最も多く、最も少なかった埼玉県(153人)の2倍だった。高知県では中心部に医師の約8割が集中している。

都道府県別の人口10万人あたり医師数
1   京都   307.9
2   東京   304.5
3   徳島   303.3
4   高知   293.0
5   福岡   292.9
6   鳥取   289.5
7   岡山   287.8
8   長崎   287.7
9   和歌山  277.4
10   熊本   275.3
11   石川   270.6
12   香川   268.3
13   佐賀   266.1
14   島根   265.1
15   大阪   261.8
16   大分   260.8
17   愛媛   254.3
18   広島   252.2
19   鹿児島  247.8
20   山口   244.8
21   沖縄   241.5
22   福井   240.0
23   富山   234.9
     全国    233.6
24   宮崎   233.2
25   兵庫   232.1
26   北海道  230.2
27   奈良   225.7
28   山梨   222.4
29   宮城   221.2
30   群馬   218.9
31   長野   216.8
32   秋田   216.3
33   山形   215.0
34   栃木   212.8
35   滋賀   211.7
36   三重   207.3
37   岐阜   202.9
38   愛知   202.1
39   神奈川  201.7
40   静岡   193.9
41   青森   193.3
42   岩手   192.0
43   福島   188.8
44   新潟   188.2
45   千葉   182.9
46   茨城   169.6
47   埼玉   152.8
(注)単位は人。2014年末時点、厚生労働省まとめ

 かつては各大学が地域ごとに関係の深い病院に医師を派遣する「医局人事」が偏在を緩和してきた。2004年に「新医師臨床研修制度」が導入されると、研修内容や施設が充実した都市部の病院を選択するケースが増え、医師の地域偏在に拍車をかけた。

 厚生労働省がまとめた14年末時点の人口10万人あたりの都道府県別医師数は全国平均で234人だ。京都府が308人で最も多く、2番目が東京都で305人だった。

 最も少ないのは埼玉県で153人にとどまる。東京に隣接するベッドタウンで都内の病院にかかる人が多いためとみられる。続いて茨城県が170人、千葉県が183人だ。都道府県別の医師数は最大で2倍の差がある。

 同じ都道府県内でも医師の偏りのある地域もある。高知県は10万人あたりの医師数が全国4番目に多いにもかかわらず、高知市のある中央に約8割の医師が集中する。周辺部は全国平均を下回る「医療過疎地域」だ。

 診療科ごとの偏りも目立つ。全体として医師数は増えていても、個別の診療科で見ると外科や産婦人科はほとんど増えていない。

 こうした課題の解決に向け、大学医学部は医師確保のため「地域枠」を設けている。定員の一部を割り当て、修学資金などを支給する代わりに一定期間、その地域のへき地で勤務を義務付けるケースが多い。日本医師会も全国で画一的に医師の配属を決めるような規制よりも、地域枠の方が有効との考えだ。

 ただ、医師の中では偏在の解消には規制が必要と考える人も少なくない。「医師の官舎も市議会に怒られるぐらい立派なものを建てたり、冠婚葬祭、卒業式、大学へもしょっちゅう行く。それでも田舎に医師は来ない」。全国自治体病院協議会の辺見公雄会長は4月の厚労省の会議で、こう窮状を訴えた。開業の規制や診療科ごとに医師数を規制した方が、医療の地域格差が是正されると主張している。(奥田宏二)



https://www.m3.com/news/iryoishin/541127
日医代議員会
医師偏在対策は「医師の意思尊重」、今村副会長
第140回日医代議員会、国の強制的手法に先手打つ必要

2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の今村聡氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師の偏在対策について、「医師の自発的な意思を尊重し、強制的な仕組みを排除しながら、解消に向けて努力していく」と表明した一方、「若い医師に完全な自由度を保証するか、それとも例えば、へき地医療や救急などで経験を積んでもらうようにするかは、医療を受ける国民・患者の視点に立って考える必要もある」と述べ、さまざまな観点から検討する必要性を指摘した。

 今後の医師偏在対策については、地方勤務の意思がある医師が、医師不足地域で安心して診療できる仕組み作りが大切であるとし、地域医療支援センターの医師派遣機能の強化など、合意が得られやすい対策は早急に決定するよう行政に求めていくとした。同時に、今村副会長は、「医師自らが偏在解消策を打たなければ、国による強制的な手段と大胆な規制改革が行われかねない」と述べ、危機感を持って臨んでいくとした。

 今村副会長が、言及した「強制的な手段」とは、2016年6月の経済財政諮問会議の「骨太の方針2016」の素案で、「規制的な手法も含めた地域偏在・診療科偏在対策を検討」が盛り込まれていたことを指す。日医の主張によって「実効性のある地域偏在・診療科偏在対策を検討」に変更させたという。「大胆な規制改革」とは、2017年4月の厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書で、医師の配置にいわゆる規制的な手法を用いることには否定的であるものの、その前提として、「看護師等へのタスク・シフティング」などが提言されたこと(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

 「若手医師に選択の自由を!」と題して、日医の医師偏在対策についての見解を代表質問で質したのは、京都府代議員の松井道宣氏。松井氏は、若手医師の能力と意欲を十分に引き出すためには、地域医療に配慮しながらも、「選択の自由」があることが大切とした。質問の背景として、政府の「骨太の方針 2016」では、「規制的手法」も含めて、医師の地域・診療科偏在対策を検討するとされていること、また2015年12月の日医と全国医学部長病院長会議との合同の緊急提言でも、「病院・診療所の管理者要件に、医師不足地域での一定期間の勤務経験を加える」を盛り込んでいることなどを挙げた。

 一方で、松井氏は、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告については、規制的な手法をけん制し、「個々の医療従事者が現場で輝き、意欲と能力を発揮し続けられるか」と提起している点を評価した。

 「規制」ではなく、「選択の自由」を

 今村副会長は、合同緊急提言について、「当時、新たな医学部を開設するという、重大な局面が訪れたことに対し、危機感を持って提言した」と説明。その上で、日医の「医師の団体の在り方検討会」の2017年3月の報告書で、「医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを認識した上で、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みを作り、医師の偏在の解消を実現していくことが必要」とし、その仕組み作りのために「行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要」と提言したことを紹介した。

 松井氏は質問の中で、「医師会が残さなければならないものは、『規制』ではなく、地域医療に配慮しながらも『選択の自由』がある」とも述べた。今村副会長は、検討会報告書は、医師会によるプロフェッショナルオートノミーで進めるべきという提言であり、松井氏の意見とは、表裏一体であると言えるとした。

 さらに今村副会長は、合同緊急提言には、医師のキャリア形成や生活に関する十分な支援策も盛り込んでいるとし、これらは厚労省「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会の「中間取りまとめ」に反映されたと説明(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。医師の偏在対策としては、地域枠・地元枠の拡充、地域医療支援センターの医師派遣機能の強化などを挙げた(『医師偏在対策、カギは「地域医療構想の医師版」、中川副会長』を参照)。政府が進める「働き方改革」は、病院勤務医にとっては健康に働く施策が重要となるものの、医師のキャリア形成も関係する問題であり、日医しても取り組んでいくとし、答弁を結んだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542533
地域医療構想
医師偏在対策「キャリア形成プログラム」、医療計画に位置付け
看護師の特定研修も、厚労省、今夏に追加通知

レポート 2017年6月30日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は6月30日の第10回会議で、第7次医療計画の策定に関する厚労省の追加通知に盛り込む内容を了承した。

 第7次医療計画は、2018年度からの開始に向け、各都道府県で現在策定が進んでいる。今年3月末に厚労省は策定に関する通知を出したが、同通知では「空白」だった「医療従事者の確保」のほか、「一般病床や療養病床から生じる新たなサービス必要量」、「在宅医療の体制構築」などについて追加通知する。7月に開催される社会保障審議会医療部会に諮った後、今夏に通知発出予定。

 医療従事者の確保のうち、医師については、出身大学への地元定着を図り、地域偏在の解消を目指す。都道府県が主体となり策定する「キャリア形成プログラム」に、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、プログラム策定に当たっては大学(医学部、附属病院)と連携するなど、「医療従事者の需給に関する検討会」の第10回医師需給分科会で了承した内容を盛り込む(『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』を参照)。かかりつけ薬剤師の確保や看護師の特定研修の充実に向けた取り組みも医療計画に位置付ける。

 第7次医療計画では、2025年の医療提供体制構築に向け、地域医療構想に基づき病床再編が進む中、その受け皿となる介護施設や在宅医療の必要量をいかに見込むかも課題となる。一般病床の転換等に伴う新たなサービス必要量については、3月の第10回会議では異論が出ていたが、厚労省は改めて資料を提示、外来医療として見込むことで了承(『一般病棟の退院患者「外来対応が基本」』を参照)。2017年度末で設置期限を迎える介護療養病床については、各病院に「転換意向調査」を実施するなどして、介護施設や在宅医療等の必要量を推計する。「在宅医療の体制構築」では、退院支援、急変時の対応、看取りなどについて具体的数値目標を設定する。

 慶応義塾大学名誉教授の田中滋氏は、在宅医療等の必要量の推計について、「医療提供体制と地域包括ケアは車の両輪。地域包括ケアを進めた場合、在宅への移行が進み、介護施設等へのニーズが減るかもしれない」と指摘し、各種推計は、現状の地域包括ケアを前提としているのかなどと質問。厚労省医政局地域医療計画課は、「現行の制度を前提としている。第7次医療計画の中間年(2020年度)、あるいは最終年(2023年度)で、進捗を見極めて見直すことが必要」と回答した。


厚生労働省は、社会保障審議会医療部会に諮り、第7次医療計画に関する追加通知を発出予定。

【第7次医療計画に盛り込む追加事項の抜粋】

1.介護施設・在宅医療等の新たなサービス必要量の受け皿の考え方
 2025年に向けて、高齢化の進展、地域医療構想による病床の機能分化・連携により、在宅医療の需要の増大が見込まれるため、第7次医療計画でいかに見込むかが課題。医療計画には下記の(1)~(4)を盛り込む。

(1)一般病床から生じる新たなサービス必要量
 地域医療構想では、一般病床のうち医療資源投入量が少ない「C3基準未満」の患者数については、慢性期・在宅医療等の医療需要として推計する。2014年患者調査によると、一般病床から退院する患者(全年齢)の80.7%は退院後、「自宅かつ通院」となる。65歳以上に限っても75.8%であり、「一般病床から生じる新たなサービス必要量」は外来医療により対応するものとして見込む。

(2)療養病床から生じる新たなサービス必要量の受け皿の考え方
①療養病床から介護医療院等へ転換する見込み量
 介護療養病床等は2018年3月末で廃止(移行期間は6年)されるに伴い、新設される介護医療院等への転換する見込み量を把握する必要がある。医療療養病床と介護療養病床を持つ病院に対し、都道府県と市町村の連携の下、「転換意向調査」を実施、把握した数とする。
 介護療養病床は、第7次医療計画の中間年の2020年度時点では「転換意向調査」により把握した数、移行期間が終わる2023年度時点では、介護療養病床の全数に相当する数を下限として、転換見込み量を設定。

②介護施設・在宅医療への按分の考え方
 患者調査では、医療療養病床から退院する患者の退院先は、「在宅医療」対「介護施設」=1対3。また「国保データベース(KDB)システム」で、療養病床から退院した高齢者(65歳以上、医療区分1)の介護サービス利用状況を把握することができ、例えば、介護老人保健施設・特別養護老人ホーム等は5割強であることなどが分かっている。そのほか、病床機能報告制度の「入院前の場所、退院先の場所別の患者の状況」もあるが、既存の調査や報告制度の結果は、一長一短であり、どのようなデータを用いるかは、各地域で協議して判断。

(3)目標の中間見直し
 第7次医療計画は、2018年度からの6年。その中間年、および第7期介護保険事業(支援)計画の終期は、いずれも2020年度末。原則2次医療圏単位で設置する「医療・介護の体制整備に係る協議の場」で実績を評価した上で、次の整備目標に反映することが基本。2018~2020年度の介護施設や在宅医療の取り組みが不十分な場合、2021~2023年度の計画で、整備必要量の上乗せを行う。

(4)各計画の終了時点における新たなサービス必要量の推計方法
 始点を第7次医療計画がスタートする2018年、終点を2025年度末と設定して、2025年の新たなサービス必要量の推計値を、8年間で等比按分する(例えば、2020年度末時点でのサービス必要量=2025年のサービス必要量×3/8)。

2.在宅医療の体制構築
 第7次医療計画では、将来の在宅医療の需要に対応するサービスごとの整備目標を設定する。具体例は下記。
・退院支援:退院支援ルールを設定している2次医療圏数
・急変時の対応:在宅療養後方支援病院数、在宅療養支援病院数
・看取り:在宅看取りを実施している診療所数、病院数
・訪問看護:24時間体制を取っている訪問看護ステーション数、機能強化型訪問看護ステーション数
・訪問歯科診療:訪問歯科診療を実施している歯科診療所数、在宅療養支援歯科診療所数
・訪問薬剤管理指導:訪問薬剤指導を実施している事業所数

3.医療従事者の確保
(1)医師
 キャリア形成プログラムの改善(医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定、地域医療支援センターがによるプログラム作成に当たっては、大学と十分に連携するなど)、詳細な医師の配置状況が把握できるデータベースの活用、地域医療支援センターの機能強化(へき地医療支援機構の統合も視野に一体的な医師確保を実施、医療勤務環境改善支援センターと連携、若手医師のアプローチ強化、派遣調整に当たって医師の勤務負担軽減に配慮など)などを実施。

(2)歯科医師
 「歯科医師の歯質向上等に関する検討会」で議論中だが、「口腔と全身との関係について広く指摘されている観点を踏まえ、医科歯科連携をさらに推進するために病院に歯科医師を配置していくことが望ましい」との旨を記載する方向で検討する。

(3)薬剤師
 「薬剤師の資質向上のために、『患者のための薬局ビジョン』を踏まえ、最新の医療および医薬品等に関する専門的情報の習得を基礎としつつ、患者・住民とのコミュニケーション能力の向上に資する研修、および医療機関等との連携強化につながる多職種と共同で実施する研修等が行われるよう、研修状況を把握し、関係者間の調整を行う」旨を明記し、かかりつけ薬剤師の確保に向けた取り組みを推進。

(4)看護職員
・「看護職員の確保に向けて、地域の実情を踏まえつつ、看護師等の離職届出を活用した復職支援や、医療機関の勤務環境改善による離職防止などの取り組みを推進していくことが必要である」旨を明記し、看護職員の確保に向けた取り組みを推進。
・「地域の実情を踏まえ、看護師が特定行為研修を地域で受講できるよう、指定研修機関および実習を行う協力施設の確保等の研修対壊死の整備に向けた計画」を明記し、都道府県における特定行為研修を修了した看護師の確保に向けた取り組みを推進。

4.その他
 地域医療構想については「地域医療構想に関するワーキンググループ」(『「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認』を参照)の議論、「5疾病5事業」については「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」の議論を、それぞれ踏まえた内容を盛り込む。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540789
日医代議員会
医師偏在対策、カギは「地域医療構想の医師版」、中川副会長
第140回日医代議員会、「喫緊の課題は医師の偏在解消」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師不足問題について、絶対数は近く充足する見込みであり、「喫緊の課題は、医師の偏在解消」と指摘。2015年12月の全国医学部長病院長会議との合同の緊急提言を精査・進化させ、地域医療支援センターの強化、医学部の地域枠や地元出身枠の拡充のほか、「地域医療構想の医師版」の作成という3点に取り組む必要性を指摘した。

 「地域医療構想の医師版」とは、医師の必要数を地域ごと、診療科ごとに将来推計し、医師需給の「見える化」を図ること。中川副会長は、「新たに医師になる世代に、自らのキャリアを検討、判断するツールを提供できると考えている」と述べ、「行政から強制的に配置されるのではなく、医師自らが選択することを最後まで守っていきたい」と強調した。

 「喫緊の課題は、医師の偏在解消」との現状認識は、厚生労働省の関係審議会の見解ともおおむね一致しているほか、この6月に政府が閣議決定した「骨太の方針 2017」でも、「医師養成数のさらなる増加ではなく、2008年度以降臨時増員してきた医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえて精査を行う」としていると説明(『「医学部定員増、精査を」、骨太2017素案』を参照)。

 代表質問で、医師需給や偏在について、「日医主導による意見集約」を求めたのは、埼玉県代議員の金井忠男氏。金井氏は、現状の問題点として、病院勤務医が、過酷な労働環境に耐えられず、開業の道を選ぶことなどを挙げ、勤務医不足の解消が、喫緊の課題であると指摘。しかし、病院と診療所では意見の相違がある上、四病院団体協議会では医師養成強化を続けるべきと主張していることから、「日医のリーダーシップのもと、医師不足解消のための意見を統一すべき」と日医の見解と質した。

 医師増の要望、「病院経営者の危機感も」
 中川副会長はまず、「日医は、大勢として医師の絶対数は充足していくと考えている」と説明。その理由を以下のように説明し、この現状認識について日医がリーダーシップを取り、四病協や全国医学部長病院長会議と共有していくと表明。

 日医は、病院の医師不足の実態について、2008年と2015年に病院に対してアンケートを実施。この間、病院医師数は年平均約2%増えたものの、アンケートの結果、病院の必要医師数は、いずれの時点でもその時点で在籍する医師数の約1.1倍で減少傾向は見られなかった。必要医師数が1倍を超えているのは、「医療の高度化や、病院間の競争が激しくなっており、より多くの医師を確保して、生き残りを図りたいという病院経営者としての危機感もあるためかと思われる」(中川副会長)。

 また今後の高齢化の進展に伴い、医療需要が増加するという見方もあるものの、日医調査では、現在の100床当たり医師数は、急性期機能のみの病院と比較して、回復期機能のみの病院では約半分、慢性期機能のみの病院では約3割にとどまるという。高齢化で回復期、慢性期の医療需要が増えれば、全体の必要医師数はやや抑制される可能性があるほか、医療安全を最優先に位置付けつつ、今以上に多職種の連携も進むと見通した。

 「もちろん、ワークライフバランスの実現を目指した働き方改革を踏まえると、現状の病院勤務医は過重労働で、勤務医の負担軽減は引き続き重要な課題。一方で、これからは2008年度以降の医学部定員増による医師が大挙して医療現場に加わってくる」(中川副会長)

 「かかりつけ医の負担軽減も大事」
 以上のような現状認識を踏まえ、地域および診療科の医師偏在対策として、以下の3点に取り組んでいく必要性を指摘した。

(1)全国の地域医療支援センターの実効性を向上させる。2015年12月の緊急合同提言で、一歩進んで、各大学への「医師キャリア支援センター」の設置を提言したが、まずはその土台となる地域医療支援センターの機能の強化が必要。同センターの機能や運用は全国でさまざまであるため、日医が情報収集、意見交換を行い、好事例を速やかに全国展開できるよう支援。

(2)医学部の地域枠あるいは地元出身枠の拡充。地域に生まれ、地域に愛着を持つ医師の地元定着率が高いことは、厚労省の審議会などでも報告されている。

(3)医師需給の「見える化」を進める。例えば、地域医療構想では将来の患者数から病床の必要量を構想区域ごとに計算し、将来の見通しを示している。同じように将来の医療需要、つまり患者数に対する医師の必要数を、地域ごと、診療科ごとに推計すれば、新たに医師になる世代に自らのキャリア設計を検討、判断するツールを提供できると考えている。

 さらに中川副会長は、「過去10年間に病院の医師が3万1000人増加したのに対し、診療所開設者の増加は約1200人の増加にとどまっている」と説明。都市部では、医療モールなどの展開もあって、診療所が多い地域もあるものの、地方では医師自身の高齢化もあり、地域包括ケアシステムの構築に向けて、かかりつけ医の確保が課題となっているとした。「医師の不足、偏在の問題については、病院勤務医の負担軽減を念頭に置きつつ、同時にかかりつけ医の負担軽減も大事にしていきたいと考えている」。



http://www.medwatch.jp/?p=14553
医学部地域枠の地元出身者への限定や、特定看護師確保策などを医療計画に記載—医療計画見直し検討会(2)
2017年6月30日|医療計画・地域医療構想 Med Watch

 2018年度からの新たな医療計画(第7次医療計画)においては、地域における医師偏在の解消に向けて「大学医学部の地域枠入学生は、原則として地元出身者に限定する」「地域医療支援センターがキャリア形成プログラムを策定する際には、大学医学部などと十分連携する」ことなどを明確にする。また看護師特定行為研修の実施体制を充実する方策なども記載する—。

30日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」では、こういった点も了承されました(関連記事はこちら)。近く開かれる社会保障審議会・医療部会の了承を経て、医療計画作成に関する通知が改めて発出されます。

6月30日に開催された、「第11回 医療計画の見直し等に関する検討会」(図 略)

ここがポイント!  
1 医師の地域偏在是正に向けて、都道府県に「当面の対策」を求める
2 脳卒中や心血管疾患、急性期から回復期・維持期までの一貫した医療提供体制を構築

医師の地域偏在是正に向けて、都道府県に「当面の対策」を求める

2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートするため、厚生労働省は今年(2017年)3月31日付で、都道府県に宛てて通知「医療計画について」(厚労省医政局長通知)および「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(同局地域医療計画課長通知)を発出しています(関連記事はこちら、通知へのリンクも関連記事にあります)。

しかし医療従事者の確保に関しては、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等 の働き方ビジョン検討会」や「医療従事者の需給に関する検討会」の議論を待ち、別途、考え方を示すこととなっていました。

今般、検討会において「当面の対策」(早急に実行可能な医師偏在対策)が固められたことを受け、医療従事者の確保に関する記述を充実することにしたものです。

医師確保については、「地域の医師偏在」を是正するために、地域医療支援センター(都道府県に設置)の作成するキャリア形成プログラムにおいて ▼大学との十分な連携を図る ▼地域枠入学生は地元出身者に限定し、当該都道府県での臨床研修を原則とする ▼勤務地や診療科を限定する—ことなどを促すことにしています。また来年度(2018年度)予算において ▼代診医師の派遣 ▼遠隔診療—に関する補助の拡大も目指すことになります(詳細はこちら)。

なお、より抜本的な偏在対策については、医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)において今秋から議論が行われます(詳細はこちら)。

 
また看護職員の確保については、地域の実情を踏まえつつ ▼看護師などの離職届出を活用した復職支援 ▼医療機関の勤務環境改善による離職防止—などを進めることを医療計画に記載することになります。

さらに、「特定行為に係る看護師の研修制度」を推進するために、「指定研修機関・実習を行う協力施設の確保など、研修体制の整備に向けた計画」も医療計画の中に明記することになります。2014年から、一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を受けた看護師は、医師・歯科医師の包括的指示の下で手順書に基づいて38の診療所の補助(特定行為)を実施することが可能になりましたが、特定行為研修を行う指定研修機関は25都道府県に40機関しか設置されていません(2017年3月末時点)。医療計画への研修体制整備計画を記載することで、「全都道府県における指定研修機関の設置」や「より身近な実習施設の設置」が期待されます(詳細はこちら)。

特定行為研修を行う施設(指定研修施設)の整備に関する計画を医療計画に記載する際のイメージ(その1)(図 略)

特定行為研修を行う施設(指定研修施設)の整備に関する計画を医療計画に記載する際のイメージ(その2)(図 略)
 
 また、病院において歯科医師を確保することが医科歯科連携推進に向けて極めて効果的なことから、厚労省内に設置されている「歯科医師の資質向上等に関する検討会」の議論を踏まえ、例えば「病院における歯科医師配置」などを医療計画に記載することなどを検討していきます。

脳卒中や心血管疾患、急性期から回復期・維持期までの一貫した医療提供体制を構築

 医療計画では、地域の適切な医療機能を確保するために、5疾病(▼がん ▼脳卒中 ▼心血管疾患 ▼糖尿病 ▼精神疾患)・5事業(▼救急医療 ▼災害時医療 ▼へき地医療 ▼周産期医療 ▼小児救急医療を含む小児医療)、および在宅医療について、患者動向・医療の現状を把握し、「必要な医療機能」や「各医療機能を担う医療機関などの名称」「数値目標と必要な施策」などを記載することも求められます。

30日の検討会では、▼脳卒中 ▼心血管疾患 ▼精神疾患 ▼周産期医療体制—の整備計画のベースとなる厚労省検討会の状況が報告されました。

このうち脳卒中・心血管疾患については、急性期だけでなく「回復期から維持期まで一貫した診療提供体制の構築が必要」との考え方が打ち出されました。今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「画期的である。素晴らしい考え方である」と称賛しています。

脳卒中においては、▼急性期医療機関で急性期治療(t-PA治療など)と急性期リハビリを実施する ▼回復期医療機関で回復期リハビリと亜急性期治療(再発予防、基礎疾患・危険因子の管理、合併症への対応など)を行う ▼維持期医療機関では、かかりつけ医による維持期治療(再発予防、基礎疾患・危険因子の管理など)を、老人保健施設や通所リハビリ事業所などで維持期リハビリを提供する—という機能分担を行うとともに、各医療機関で患者情報を共有し、面による疾病管理を行う構図が描かれています。

脳卒中にかかる診療提供体制のイメージ(図 略)

 
また急性期医療においては、施設間ネットワークを構築し、24時間専門的な診療提供体制の確保が求められますが、医療資源が乏しい地域では、遠隔診療なども活用した「平均的な救急搬送圏の『外』との連携」体制構築も求められます。

脳卒中にかかる急性期医療提供体制のイメージ(図 略)

 
なお、より多くの施設でt-PA治療などを行うべきか(均てん化)という点については、「適切性・安全性を担保しながら進める必要がある」と慎重な姿勢を崩していません。
 
一方、心血管疾患については、入院医療において▼急性期治療・リハビリ ▼亜急性期治療(基礎疾患・危険因子の管理、合併症への対応など) ▼回復期リハビリ(患者教育、食事・服薬指導、運動療法など)―を機能分化・連携の上で提供するとともに、外来医療において ▼回復期リハビリ(再発予防に向けた生活指導、危険因子の是正、運動療法など) ▼維持期治療 ▼維持期リハビリ(定期外来受診による基礎疾患・危険因子の管理、生活習慣の改善など)―を行う体制を提示しました。ここでも各施設の連携が重視されます。

心血管疾患にかかる診療提供体制のイメージ(図 略)

心血管疾患にかかる急性期医療提供体制のイメージ(図 略)
  
厚労省は、医療計画へのこうした内容の記載を求めることについて、社会保障審議会・医療部会の了承を待って、近く関連通知の再発出を行います(今夏予定)。

   

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO1830002029062017EE8000/
医師、自らの改革に消極的 自由開業「制限不要」4割
2017/6/30 1:34日本経済新聞 電子版

 日本経済新聞社などが医師1030人に対して行ったアンケート調査では「このままでは国民皆保険の維持は不可能」と危機感を抱く医師が半数を占めた。だが医師が自由に開業することの制限などに対しては「必要なし」とする回答が4割に上り、自らの改革には消極的だった。医師の地域や診療科の偏在解消は医師数の増加ではない対応を求める声が多かった。

 医学部を卒業して医師免許を取得すれば、医師はどこでも開業し、法律で定められた診療科であれば自由に標榜できる。こうした「自由開業」「自由標榜」のため都市部や一部の診療科に医師が集中して過剰な医療を提供するなど医療費の高騰の一因にもなっている。

 今回の調査でも多くの医師がこうした偏在を大きな問題と受け止めていた。だが自由開業や自由標榜の見直しの必要性についても聞いたところ、「必要なし」が42%で、「必要がある」(29%)を上回った。「選択の自由がある」という意見が目立った。

 政府は偏在を解消する目的で医学部の定員増や医学部新設で医師数を増やしてきた。今回の調査では偏在の直接的な背景について67%が「医師数の不足ではない」と回答。「都市部に開業医が多すぎる」などと指摘し、単なる医師数の増加は偏在の解消にならないと考えていた。

 対策としては、医学部で一定期間の地域での勤務を義務付ける代わりに奨学金を出す「地域枠」の政策を都道府県などが拡大している。約16万8千人の会員のうち半数が開業医の日本医師会の横倉義武会長は地域枠によって「地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう」と話す。

 ところが勤務医が8割を占めた今回の調査では地域枠が偏在対策になっているかを聞いたところ「そうは思わない」が51%で「そう思う」は26%にとどまり、医療現場の実感と温度差があった。

 対策にならない理由として、福岡県の開業医男性(49)は「(医師)免許自体を地域限定にしない限り、医師は都会に集まる」と指摘する。

 今回の調査で「地方勤務の意思があるか」と尋ねたところ、49%が「意思がある」と回答した。ただ首都圏や愛知、大阪、福岡などで働いている人だと「意思あり」の回答は20~30%台だった。

 「意思がない」と回答した人の理由では「家族の理解(子どもの教育など)」が46%とトップ。年代別にみると、40代では67%が理由に挙げた。

 現役の医師でもあるメドピアの石見陽社長は「地方だと医師が少なくて多忙だったり、カバーする範囲が多岐にわたったりして、特に若い医師は勉強会などにも出やすい都市部を選ぶ傾向がある」と話している。


https://www.m3.com/news/iryoishin/542097
真価問われる専門医改革
新専門医制、「7月7日の理事会で準備が整う」
松原副理事長、日本専門医機構が社員総会開催

レポート 2017年6月29日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月29日、2017年度の第1回社員総会を開催、2017年度の事業報告や決算報告を説明したほか、「専門医制度新整備指針」と運用細則改訂案を報告した。

 総会後、同機構副理事長の松原謙二氏(日医副会長)は、「私たちがやっている方向については、総会で了承された」と述べ、「7月7日の次回理事会で、運用細則改訂案の了承が得られれば、準備は完全に整うことになる。各学会の準備もできている」と説明。2018年度からの新専門医制度開始の判断については、「厚生労働省と話し合いを進めている」と述べ、最終的には塩崎恭久厚労相の了解が得られるか否かにかかっているとの見通しを示した。

 「専門医制度新整備指針」は、既に6月2日の理事会で了承済み(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 運用細則改訂案は、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で修正が求められ、残された課題は、研修プログラムの精査などを行う場である「都道府県協議会」への情報提供のあり方。6月12日の同検討会では、奈良県知事の荒井正吾氏が、実効性を高めるために、「研修施設が、協議会に協力し、直接必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と提案(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。運用細則改訂案は、「直接」ではなく、日本専門医機構を通して情報提供等を行う仕組みを想定していた。

 この意見の趣旨を反映し、運用細則が改訂される見通し。「必要な情報が求められて出すのは当然。ただし、日本専門医機構にも情報が来ないと、何が起きているかが分からなくなるので、報告してもらうことになる」(松原副理事長)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541025
日医代議員会
新専門医制「2018年度開始に向け全力を傾注」、羽鳥常任理事
第140回日医代議員会、都道府県協議会への関与要請

レポート 2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、「新たな専門医の仕組みについては、専攻医の不安を取り除くためにも、2018年度の開始に向け、全力を傾注していく」と語り、日医は日本専門医機構や厚生労働省と“キャッチボール”しながら、新専門医制度をより良い仕組みにしていく方針であり、都道府県医師会に対しても、都道府県協議会において主導的な立場で関与するよう要請した。

 都道府県協議会は、各関係者が集まり、新専門医制度の地域医療への影響を検証するために、個々の研修プログラムの専攻医の応募や採用予定の状況を把握し、協議する場。厚労省は各都道府県に対し、都道府県協議会の設置と活用などについて、改めて近く通知を発出し、その徹底のため、各都道府県の担当者への説明会を開催する予定だという。

 さらに日本専門医機構の理事でもある羽鳥常任理事は、「仮に、新たな専門医の仕組みについて、医師偏在などの地域医療への影響が明らかになった場合には、都道府県協議会での議論を踏まえ、日本専門医機構においても、次年度の対応、見直しなどを行っていく」と説明した。

 新専門医制度について、「医師の地域偏在を助長する可能性が高い」として、日医の見解を個人質問したのは、新潟県代議員の小池哲雄氏。同制度については、2016年12月に「専門医制度新整備指針」が示され、この6月には改訂された。小池氏は、「大学病院以外の病院も基幹施設になれる基準とする」などの変更がなされたものの、「机上で決められたようにしか思えない」と指摘した。

 医師の偏在、「日医も同様の危機感」

 羽鳥常任理事は、小池氏の質問に対し、(1)大学病院以外の病院も基幹施設になれる基準とする、(2)常勤の専門研修指導医がいない施設でも、医療の質を落とさなければ、研修施設群に加わることができる、(3)各専門研修プログラムを承認する際、都道府県協議会都の事前協議が前提、(4)専門医の取得は義務ではない――という点については、6月の日本専門医機構の理事会で、「専門研修新整備指針」と運用細則の改訂が承認されたと説明(『新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承』を参照)。

 「しかし、新整備指針に盛り込むだけでなく、各基本領域の学会が、専門研修プログラム整備基準やモデル専門研修プログラムにも同様の記載をし、運用の際には実効性を担保することが重要。日医としても、日本専門医機構における精査に積極的に協力していく」(羽鳥常任理事)

 さらに厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置くことが求められる、8つの基本領域の学会の対応状況についてヒアリングを行ったことを紹介した(『内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院』、『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。羽鳥常任理事は、「その結果、基幹施設が1カ所しかない県があったとしても、学会が基幹施設を複数にすべく調整を進めていること、出産・育児・介護等による研修中断者の柔軟な研修を可能としていること、専攻医の勤務先医療機関や研修状況の把握管理のためのシステムの設置あるいは準備していることなどが明らかとなった」と述べ、「制度的にも医師の偏在を助長することがないよう、対応を整えている」と理解を求めた。

 羽鳥常任理事は、医師の地域偏在について、「日医も同様の危機感を持っている」と述べ、入学時、臨床研修時、専門研修時など、多角的に対応する必要があると指摘。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、日医としても具体的な対策が実践できるよう、引き続き主張していく方針を掲げた。

 以上の答弁に対し、小池氏は、2004年度の臨床研修必修化に伴い、医師の地域偏在が進んだと指摘、「何らかの問題があった時には、1年(次年度)と言わず、早急に対応してほしい」と要望。羽鳥常任理事は、新専門医制度で同様のことが起きないよう、努力しているとし、「もし不都合が出てきたら、直ちに見直すことは、日本専門医機構の理事全員が承知している」と答えた。



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2017/0630509244/
専門医試験は専門性を担保しているか
神戸大学微生物感染症学講座感染治療学分野教授 岩田健太郎
2017年06月30日 07:00 Medical Tribune

研究の背景:米国では専門医資格の維持でもめている

 僕は日本と米国の両方で内科、感染症の専門医資格を持っている。米国の場合は専門医資格の維持、更新条件が厳しく、またルールがコロコロ変わるので油断できない。

 日本と違い、米国では専門医制度が各専門領域の学会から独立しており、例えば内科系ならAmerican Board of Internal Medicine (ABIM)がこれを統括している。米国の内科学会(American College of Physicians; ACP)や医師会(American Medical Association; AMA)あるいは感染症医の専門家団体(Infectious Diseases Society of America; IDSA)は、専門医制度とは直接関係を持たない。利益相反を避け、専門医資格の独立性を担保するためだ。

 一方、日本では専門医資格が学会の"ご褒美"になっている(ところがある)。分野によって専門医取得のハードルの高さには差があるが、多くの学会は「学術集会に参加し、あるいは発表し」「学会に○年間所属し」「学会が出版する学術誌に論文を掲載する」といった、学会への貢献が専門医資格取得の条件にカウントされる。学会に貢献したご褒美としての専門医資格、という側面があるのだ。このような利益相反も、せめて専門医資格が医師の臨床能力を担保しているのであれば、まだよいのだが、果たして。

 とはいえ、米国の状況も万々歳とはいえない。近年批判されているのが、ABIMの"行き過ぎ"である。すなわち、ABIMは各専門医の専門医資格維持、更新のためにMaintenance of Certification (MOC)という課題をこなすことを義務化したのだが、これが面倒くさすぎて現場の大反感を買ったのだ。

 Teirstein PS. Boarded to Death -- Why Maintenance of Certification Is Bad for Doctors and Patients. New Engl J of Med 2015 Jan 8; 372(2): 106-108.

 ABIMも反論する。確かにMOCは面倒くさいかもしれない。しかし、プロとは面倒くさいものなのだ。プロの実力を担保するには、努力し続けなければならない。つべこべ言わんと努力せんかい、とまでは言っていないが、専門医資格維持のためには質の担保は欠かせないのだ、という主張は曲げない。そして、それは正しい。

 Baron RJ, Braddock CHI. Knowing What We Don't Know -- Improving Maintenance of Certification. New Engl J of Med 2016 Dec 29; 375(26): 2516-2517.

研究のポイント:試験問題における症状の出題頻度を実臨床と比較

 今回紹介する研究は、数あるMOCの中でも内科MOC試験(IM-MOC examination)という、内科専門医資格維持のために定期的に行う試験の評価である。特に、一般内科医(general internal medicine)のプラクティスと噛み合っている(concordant)かどうかが、本研究の主眼である。外来そして入院診療のカルテデータを用い、そこで一般内科医が実際に見る病状(condition)の頻度と、試験問題の出題頻度が一致しているかどうかが検証された。

 Gray B, Vandergrift J, Lipner RS, Green MM. Comparison of Content on the American Board of Internal Medicine Maintenance of Certification Examination With Conditions Seen in Practice by General Internists. JAMA 2017 Jun 13; 317(22): 2317-2324.

 まず、国立外来ケアサーベイ(National Ambulatory Medical Care Survey; NAMCS)の2010〜13年のカルテデータを用い、一般内科医が遭遇したはずの医学的な状況を調べた。専門外来のデータは除外しており、あくまで一般内科外来のデータである。1万3,832回の外来受診の主病名がカウントされた。

 次に、入院患者について国立病院退院サーベイ(Naitonal Hospital Discharge Survey; NHDS)のデータを抽出した。入手可能な最新のデータ、2010年のものを用いている。18歳以上の患者が対象だ。10万8,472回の入院データがカウントされた。

 対するIM-MOC試験問題は2010〜13年のものを用いた。診療頻度と出題頻度を比較し、0.5標準偏差(0.5SD)以内に入っていれば(外来0.74%, 入院0.51%)、"噛み合っている"と判断した。その結果、69.0%(95%CI 67.5~70.6%)の質問が、プラクティスと合致していた。逆に、30.97%(同29.43~32.51%)の質問は"噛み合っていない"ことが分かった。

 特に、外来受診数や入院数に比べて問題数の頻度が高かったのは肝疾患、血液悪性疾患、カルシウム系代謝疾患、間質性肺疾患、心弁膜疾患、心外膜疾患などである。例えば、肝疾患の出題頻度は2%強であったが、外来で見る頻度はわずかに0.28%, 入院患者では0.64%にすぎなかった。

私の考察と考え方:日本の専門医試験は第三者的吟味に耐えうるか

 既に述べたように、米国の専門医制度は問題ありありで批判も多い。しかし、その批判が妥当であるかどうかを学術的に検証しようという態度。ここが素晴らしいと思う。

 専門医試験は、専門医の臨床能力に対する質を担保しなければ意味がない。しかし、しばしば試験は"試験に出しやすい" "出題者の学問的興味" " ひっかけ問題にしやすい" " 重箱の隅突き"になりがちである。しかし、試験はあくまでも現場での診療に関連しており(relevant)、その問題は臨床能力を反映させるものでなければならない(valid)。ABIMのIM-MOC試験はそこそこ実際のプラクティスを反映しており、しかしある程度は的外れであることが判明した。これを受けてABIMは、さらに実際のプラクティスを反映するよう、試験を改善することであろう。

 翻って日本の試験問題は、専門医制度は、このような第三者的な批判吟味に耐えうるものであろうか。実際のプラクティスと合致しているであろうか。他山の石として考えてみるべきだろうし、同様の検証は行うべきだろう。日本の専門医試験は、各領域のサブスペシャリストが"自分目線"で問題をつくっており、"一般内科医のプラクティス"という視線を欠いているように僕には思える。この点、ぜひ検証してみるべきだと考える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540332?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170630&dcf_doctor=true&mc.l=231946583&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医療維新
「総合医の養成」は地域病院の使命 - 花輪峰夫・秩父病院院長に聞く◆Vol.2
行きすぎた専門医志向に危機感

レポート 2017年6月30日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

――今年4月の日本外科学会定期学術集会では、特別企画「今こそ地域医療を考える」の中で、「研修医の視点に学ぶ格差解消への模索と地域医療の役割」と題してお話しをされていました。

 私自身にも言えることですが、近年医師個人の対応能力は大幅に縮小していると言わざるを得ません。特に若い医師達は、極端な専門医志向と教育の結果、その傾向が著しいと思います。あるとき、当院に来ていた研修医が「目からウロコでした」と言ったのですが、何かと思ったら「アッペって開腹するんですね。こんなに直ぐ終わるのですか」。

 私の方が目玉が落ちそうになりました。今や鏡視下手術が全盛ですが、10分やそこらで終わる小児のアッペやヘルニアを、挿管全身麻酔下、腹腔鏡下で行うことには納得がいきません。私は自分の孫にはそうした手術をやりたいとは絶対に思いません。

 もちろん、鏡視下手術は素晴らしい手術です。ラパコレについては、当院では1987年にフランスで行われた5年後の1992年には導入し、今や胆嚢切除の8割以上を行っています。ただ、若い医師への教育的観点からみれば「何でも鏡視下手術」はいかがなものでしょうか。開腹も、手縫いも、糸結びもできない外科医ができるとすれば恐ろしいことです。

――医師養成の在り方についてはどのようなお考えでしょうか。
 今の初期臨床研修制度はどちらかと言えば賛成です。直ぐに役立たたないかもしれませんが、たとえそうであっても、医師の人生は長いので、2年ぐらいいいじゃないかと思います。ローテーションには外科が必須であってほしいとはお思いますが。

 現在は専門医志向が行き過ぎています。実際の地域医療の現場では、各科の専門医がそろっているわけではなく、特に夜間救急では1人で何でも診なくてはならず、ほとんどが自分にとって専門外です。どんな医師でも、ある程度はオールマイティに対応でき、最低限トリアージができなくてはならないはずです。

 大学病院では「訴訟が怖いから専門外の患者は診るな」と教育しているらしいですが、これは患者を断る正統な理由にはならない。それが通ると地域医療は崩壊し、医師の権威は地に落ちてしまいます。

――どのような医師養成の在り方が望ましいのでしょうか。
 今求められているのは「総合医」の養成でしょう。それは新しい総合診療専門医とは違います。総合医には背骨が必要で、何かの専門医を取った上で、幅を広げていくべきです。進路に迷っている若手には、総合診療専門医ではなく、まず外科か内科の専門医を取ることを勧めています。

 人を癒やすという意味において、また若い医師の教育や自己研鑽の場として、地域の臨床医療は、大学病院などに劣っているとは思っていません。もちろんどちらが良いと競うべきものではなく、お互いが補完し合うべきでしょう。

 私は総合医を「器が大きく、懐が深く、成熟度の高い医師」と定義したいです。それは3年程度ではできないです。だからこそ、「総合医の養成」は地域病院の使命だと考えています。

――病院にとって研修医を受け入れる意義はどのようなものでしょうか。
 当院は臨床研修の協力施設として、埼玉医科大学病院、同国際医療センター、同総合医療センター、日本医科大学付属病院、同千葉北総病院、同武蔵小杉病院の研修医を受け入れています。2005年度からこれまでに既に100人以上の先生方が当院で学んでおります。

 研修医を受け入れるのは負担にもなりますが、総じて若い人がいるというのは好ましいと思っています。戦力としてだけでなく、何より病院に活気がもたらされます。毎年、3月は大学からの研修がなく、受け入れが減りますが、院内も何となく活力が消えた感じとなります。

 さらに言うと、夜間救急に応援に来てくれる先生の多くは、うちで研修をしたOBです。うちのスタッフでも、私もそうですが、副院長、診療部長、外科部長も地元の熊谷高校出身です。地元で育った人、縁を感じてくれた人は愛着心も生まれます。病院を知ってもらえるというのも、大きなメリットです。

 2015年度には当院で学んだ研修医やOBらが集う「秩父花仁塾」という私塾を作りました。塾では困った症例をともに検討したり、相談を受け付けたりするほか、レジャーや懇親会も行っています。何人が「当院で教わった」という自覚があるか分かりませんが、「一緒に学んだ」ことは確かです。何かしらをつかんでくれていると嬉しいです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541378
臨床研修制度の見直し
臨床研修、必須29症候、25疾病を提案
福井座長「求める能力定めてからローテーションを議論」

2017年6月27日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が6月26日、臨床研修で必須とする症候や疾病について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。必須経験を現状の52症候、88疾病から、29症候、25疾病に厳選するとした研究班案が説明され、今後約10カ月をかけて議論していく。

 2020年度からの導入を目指して議論が進んでおり、前回までで到達目標が定まり、3月に開かれた医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で承認された。(『医学教育と臨床研修、シームレス化進む』を参照)。今後は到達目標を踏まえて、「方略」と「評価」について議論を進めていく。26日は厚労科研費「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」(研究代表:福井氏)が作成した案について、構成員が意見を出し合った。

 「実務研修の方略」(案)では、研修期間を2年以上として、そのうち8カ月以上は基幹型臨床研修病院で行うことを定め、1年以上は同病院で行うことが望ましいと提案。現状では、52症候、88疾病となっている経験症例を、「必須なものだけに絞り込みたい」(福井氏)として下記、29症候、25疾病に絞る考えを示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541378
臨床研修制度の見直し
臨床研修、必須29症候、25疾病を提案
福井座長「求める能力定めてからローテーションを議論」

2017年6月27日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第14回医師臨床研修制度の到達目標・評価の在り方に関するワーキンググループ(座長:福井次矢・聖路加国際病院長)が6月26日、臨床研修で必須とする症候や疾病について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。必須経験を現状の52症候、88疾病から、29症候、25疾病に厳選するとした研究班案が説明され、今後約10カ月をかけて議論していく。

 2020年度からの導入を目指して議論が進んでおり、前回までで到達目標が定まり、3月に開かれた医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で承認された。(『医学教育と臨床研修、シームレス化進む』を参照)。今後は到達目標を踏まえて、「方略」と「評価」について議論を進めていく。26日は厚労科研費「医師臨床研修の到達目標とその評価の在り方に関する研究」(研究代表:福井氏)が作成した案について、構成員が意見を出し合った。

 「実務研修の方略」(案)では、研修期間を2年以上として、そのうち8カ月以上は基幹型臨床研修病院で行うことを定め、1年以上は同病院で行うことが望ましいと提案。現状では、52症候、88疾病となっている経験症例を、「必須なものだけに絞り込みたい」(福井氏)として下記、29症候、25疾病に絞る考えを示した。

【経験症候】
下記の症候を呈する患者について、病歴、身体所見、簡単な検査所見に基づく臨床推論と、病態を考慮した初期対応を行う。
ショック、体重減少・るい痩、発疹、黄疸、発熱、もの忘れ、頭痛、めまい、意識障害・失神、けいれん発作、視力障害、胸痛、心停止、呼吸困難、吐血・喀血、下血・血便、嘔気・嘔吐、腹痛、便通異常(下痢・便秘)、熱傷・外傷、腰・背部痛、関節痛、運動麻痺・筋力低下、排尿障害(尿失禁・排尿困難)、興奮・せん妄、抑うつ、妊娠・出産、成長・発達の障害、終末期の症候(29症候)

【経験疾病】
下記の疾病を有する患者の診療に当たる。
脳梗塞・脳出血、脳動脈瘤・くも膜下出血、認知症、心筋梗塞、心不全、大動脈瘤、高血圧、肺癌、肺炎、急性上気道炎、気管支喘息、COPD、胃癌、消化性潰瘍、胆石症、大腸癌、腎盂腎炎、尿路結石、腎不全、高エネルギー外傷・骨折・捻挫、糖尿病、脂質異常症、気分障害、統合失調症、依存症(ニコチン・アルコール・薬物等)(25疾病)

 議論の難航が予想される「ローテーションする分野・診療科」については、研究班で煮詰まっていないとして次回以降に提示する。福井氏は「背景にある考え方は、『こういうことを身に付けてほしいから、こういう診療科をローテーションする』という論理構成にしたい。最初に診療科を決めるようとすると議論が発散してしまう。2004年度の必修化の前にさんざん経験している」と説明した。

 評価については、各分野・診療科のローテーション終了後に指導医、上級医、医師以外の医療職が、研修評価表を用いて評価し、研修管理委員会で保管、少なくとも年に2回、フィードバックを行うこととする。

 研修評価表は「A. 医師としての基本的価値観(プロフェッショナリズム)に関する観察記録・コメント」と「B. 資質・能力に関する観察記録・試験 」の2つを提案。

 Aでは「社会的使命と公衆衛生への寄与」「利他的な態度」「人間性の尊重」「自らを高める姿勢」について、「安心/称賛」「観察機会なし/NA」「心配/要注意」の3段階で評価する。

 Bでは「医学・医療における倫理性」「医学知識と問題対応能力」など9項目について、「A. 医師として完成されたレベル」「B. 臨床研修の終了時点で期待されるレベル」「C. 改善の余地があるレベル」「D. 大きく改善する余地があるレベル」の4段階で評価することを求める。

 日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「外科、産婦人科、小児科の必修に復帰してほしい」、美郷町地域包括医療局総院長の金丸吉昌氏は「小児、高齢者の領域を経験疾病として入れるようにしてほしい」とそれぞれ指摘。岡山県精神科医療センター理事長の中島豊爾氏は「いろいろな患者を見ておくのは医師として必須なこと。合わせる気がない人ともコミュニケーションを取る技術が要請されており、(精神科)急性期病棟の経験が必要と断言しておく」と述べた。

 評価を巡っては、東京慈恵会医科大学内科准教授の古谷伸之氏は、自大学では看護師による評価を取りやめたと紹介。「全ての施設で同じように360度ができるわけではない。看護師と医師では見えている点も当然違う。同じ研修評価表で良いのかを検討していく必要がある」と指摘。聖マリアンナ医科大学医学部医学教育文化部門教授の伊野美幸氏は「多職種からの評価は必要であり、教育やアセスメントの仕方を教えていく必要がある」とした。中島氏は評価項目の「医師として完成されたレベル」という表現について、「『完成』ではなく『十分なレベル』ではどうか』と提案した。

 福井氏は寄せられた意見に対して「10カ月かけてブラッシュアップしていきたい」と応えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542509
医療維新
「回復期不足」本当か、把握必要
日病協の原澤議長が記者会見で見解

レポート 2017年6月30日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は6月27日の記者会見で、地域医療構想の病床機能報告制度で、「回復期機能が足りない」との解釈が広まっていることについて、「回復期が足りないというデータがどこの地域でも出てくるが、回復期として使われているが回復期として報告していない病床があることは、日病協として理解している。回復期の病床が本当に足りないのかどうかは、十分に検証する必要がある」と述べ、毎年の病床機能報告で実態を正確に把握していく必要があるとの考えを示した。

 「回復期機能が不足」との解釈については、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の構成員でもある日本医師会副会長の中川俊男氏が、回復期に入ってもそのまま急性期病床で入院を続けているケースが多く、「回復期機能の病床が不足している、というのは誤解」との見解をたびたび表明している(『地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」』、『「急性期指標、地域医療を混乱に陥れる」、中川副会長』を参照)。原澤氏は、中川氏の発言についても、「全くその通り。実際、急性期として報告している病床でも、回復期の患者が入院しているのは当たり前のこと」と賛意を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542373
日医代議員会
地域包括ケア病棟、「中小病院評価を」
第140回日医代議員会、石川常任理事

2017年6月30日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の石川広己氏は6月25日の第140回定期代議員会で、地域包括ケア病棟・入院医療管理料の運用に関して、「経営母体自体を問うものではない。民間にせよ公立にせよ、地域に密着し、地域包括ケアを支える中小病院を、地域の実情も踏まえつつ、今後もしっかりと評価するべきだ」と述べ、日医として中央社会保険医療協議会で主張していく考えを示した。実態がより表現できるよう、「在宅復帰率」ではなく、「病床機能連携率」に変更することも提案した。

 北海道代議員の小熊豊氏の個人質問への答弁。小熊氏は地域包括ケア病棟(床)の届出が2017年4月末現在で1894病院、5万9989床と推計され、急性期病棟からの転換が進んでいるとの地域包括ケア病棟協会のデータを紹介し、地域包括ケアシステムの活性化に貢献する一方で、各医療機関の病床利用や医療機能の構築、経営上の観点からも重要視されていると指摘。病院の経営母体にかかわらず、地域包括ケア病棟の活用が在宅医療や地域包括ケアの推進に不可欠だとして、日医の見解を質した。

 石川常任理事は、中医協の調査で200床未満の中小病院からの届出が64%、200床以上の大病院からが36%となっており、急性期の大病院が空床対策で地域包括ケア病棟を設置する動きや、公的医療機関が組織的に参入して、民間中小病院と競合しているケースもあると指摘(『地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」』を参照)。「急性期の大病院が、経営のために地域包括ケア病棟の届出を行うのは好ましくないと考えている。中医協で分析を依頼しており、本来の趣旨に沿った運用がされているか、しっかりと検証する」と述べた。

 また、中医協の調査では、地域包括ケア病棟で極めて高い在宅復帰率であるとの結果が出ており、地域医療連携が進んでいることが示されたと指摘。一方で、連携できる医療機関、施設がない地域もあるとして、「今後の課題として、このような地域で孤軍奮闘している中小病院への対応も必要と考えている」と述べた。在宅復帰率という言葉が医療現場の実態を表しておらず、日医としては「病床機能連携率」などという表現に修正すべきと主張していることにも言及した(中医協の調査結果は、厚生労働省のホームページ)。

 中小病院への対応を強調した石川常任理事に対し、小熊氏は、自身の所属先が498床の大病院で、地域包括ケア病棟を1棟届け出ていることを紹介した上で、医療資源の豊富な都市部を除けば、急性期、回復期、慢性期をいずれもカバーしなくてはならない場合もあると主張。「入院患者90%以上が、本人も家族も満足して帰られている。他にないためだ。回復期(リハビリテーション病棟)が。そういう地域もあるのだということを、考えてほしい」と強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/542021
医療維新
四病協の「働き方検討委」、議論スタート
委員長は岡留日病副会長、「まずは現状認識から」

レポート 2017年6月29日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は6月28日、「病院医師の働き方検討委員会」の第1回会合を都内で開き、医師の働き方改革についての議論を開始した。委員長として日本病院会副会長の岡留健一郎氏を選任。岡留氏は、今後の議論の進め方として、「現状を認識することが最初。データがないと、主張にも迫力がない」と説明し、時間外労働や宿日直の現状などについての実態調査を行い、 国の議論の場に提示する方針。調査は、7月から8月にかけて各団体の加盟病院から合計20から30程度の施設を抽出して実施、今年内をめどに結果をまとめる考えを示した。

 検討委員会の委員は以下の通り。

日本病院会:岡留健一郎副会長、中井修常任理事、安藤亮一・武蔵野赤十字病院副院長
全日本病院協会:猪口雄二会長、神野正博副会長、大澤秀一・平成立石病院院長
日本精神科病院協会:長瀬輝諠副会長、岡本呉賦常務理事、佐久間啓・看護・コメディカル委員会委員
日本医療法人協会:伊藤伸一会長代行、馬場武彦副会長、竹内丙午・菅間記念病院副院長
 安藤、大澤、竹内の各氏は各団体の役員ではなく、現場に比較的近い立場での視点から意見を提供することが期待される。岡留氏は「3人は今も宿直に入っているか、最近まで入っていた医師たち。管理者の立場からでは一方向しか見えないが、現場にいた人なら現状がよく分かる」と話した。

 次回会合は7月28日を予定。調査の素案をこの日までに各団体でまとめ、最終的な調査票を取りまとめる方針だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540967
日医代議員会
「医療体制維持と医師自身の健康両立を」
第140回日医代議員会、働き方改革で横倉会長

レポート 2017年6月26日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師の働き方改革で目指すべき方向性として、「医師自らがその議論をリードし、質の高い医療提供体制の維持と、医師自身の健康確保が両立するような制度の確立が重要だ」と述べ、6月21日に第1回会議を開催した日医の「医師の働き方検討委員会」での議論を基に、国への提言を行っていく考えを示した。

 医師の働き方改革については、富山県代議員の馬瀬大助氏が代表質問で、30歳代の勤務医の時間外労働が月80時間を超えるとの報道を紹介し、「このような就労環境が果たして人間として許される範囲なのか、また医療安全の視点からも危険と隣り合わせではないか。早急に意見集約を行い、日医の見解を表明するべき」と指摘した。

 これに対し横倉会長は、2016年1月に過労で自殺した新潟県内の女性研修医に言及し、「過度の時間外勤務は国民、患者にとっても医師にとっても決して良い結果を招くものではない。こうした事態が繰り返されることのないよう、医師の就労環境改善に向けて今後も会を挙げて取り組んでいく」と述べた。

勤務医会員増加策を

 馬瀬氏は、日医の組織強化策についても質問。日医や多くの都道府県医師会で、勤務医会員の数が開業医会員を上回っているにもかかわらず、勤務医全体のうちで日医会員は半数にも満たないとし、「組織強化は、勤務医の多くを会員とすることにかかっている」と指摘。さらに、勤務医会員の代表としての理事や、女性医師会員代表としての理事の選出手続きを導入することを求めた。

 横倉会長は、理事の選出は代議員会の専権事項で各ブロックでの調整により行われてきたため、日医執行部によるものではないとする一方で、「勤務医委員会の代表、男女共同参画委員会の代表を理事として迎えるというのは重要な提言と認識している。各ブロックの代表の方々に検討を強くお願いしたい」と述べ、各ブロックでの協議を促した。

 組織強化策に関連しては、宮城県代議員の佐藤和宏氏が個人質問で研修医の加入促進策について取り上げた。同氏によると、宮城県医師育成機構による合同研修会で、日医の医師賠償責任保険制度(医賠責)が民間保険などと比べて優れていることを説明して医師会入会を勧めているものの、多くが加入に至っていない。また、研修医等の郡市医師会の入会金が減免になっていなかったり、申込書が開業医と同じ形式になっていたりするなど、研修医加入促進策が十分ではない。同氏はこうした事例を引き合いに出し、研修医加入促進策を質した。

研修医の医賠責保険料引き下げ

 これに対し、日医の市川朝洋常任理事は、2015年度に導入した会費無料化や、研修医、若手医師への入会案内冊子の新規発行等に取り組んだ結果、研修医会員の数が2016年度に約1000人増加したと紹介。その上で、「医師会は三層構造のため、組織率を上げていくために、都道府県医師会、郡市区等医師会の協力が不可欠。医師会相互の綿密な連携を推進して、さらなる医師会組織の強化に努める」と述べた。

 2016年6月の臨時代議員会で要望が出た医賠責の保険料引き下げに関しては、今回の代議員会で、初期研修医 の保険料を年額3万3000円から1万5000円に引き下げることが決まった。市川氏は、引き下げが可能となった要因について、医療安全に対する会員の取り組みによって、医賠責の収支が安定してきたためと説明。日医が医学生向けに発行している情報誌『DOCTOR-ASE(ドクタラーゼ)』の次号に引き下げに関する情報を掲載するほか、研修医向けのチラシやホームページなども活用して加入促進に努めていく方針を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/541140
医師の働き方改革とキャリア
日病「医師の働き方改革」、1年後目途に方向性
医師の勤務実態“見える化”、データを基に議論

レポート 2017年6月26日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は、6月26日の定例記者会見で、「医師の働き方改革」について日病独自に検討を進め、1年後を目途に方向性を打ち出すことを明らかにした。医師の勤務実態を明らかにするためにタイムスタディを実施、データに基づく議論を進める重要性を強調した。「医師の働き方改革」に関しては、四病院団体協議会や日本医師会などでも検討の場を設けており、調査結果などの情報を共有するとともに、広く一般にも結果を公開して、医師の働き方の実態を認識してもらう重要性を強調した。

 相澤会長は、会見の中で、「医師の働き方」の議論を進める際のデータの重要性を強調した。「調査を実施し、医師の働き方を“見える化”する。医師の働き方改革は、炯々に判断すると、日本の医療が崩壊、あるいは病院経営が成り立たなくなってしまう。非常に重要な問題であり、データに基づき、物を言っていくことが必要」。

 「医師の働き方」の“見える化”については、日医もその必要性を強調している(『医師偏在対策、カギは「地域医療構造の医師版」、中川副会長』を参照。政府は、時間外労働の上限規制の医師への適用について、2年以内に結論を得る方針。さまざまな検討の場が立ち上がる中で、医療関係団体が相互に連携を取りながら、どんな議論が展開されるか、今後が注目される。

 日病の検討の場は、既存の委員会で行うか、新たに委員会を発足させるかは未定。四病協の検討会の委員となる日病の3人の委員を軸に、議論が進む見通し。

 日病常任理事の関心高く

 6月24日の日病常任理事会は、さまざまな議題を予定していたものの、「医師の働き方改革」の議論に終始したという。

 相澤会長は、「病院経営者は、勤務医がやりがいを持って、健康で、いきいきと働く環境を作り、医療の質向上につなげたいと願っている」と前置きしつつ、外来診療時間など各種制約がある中で裁量労働制は適用できず、医師の業務の特殊性を鑑みつつ、「医師の働き方改革」を進めるには難しさがあるとした。

 24日の常任理事会で出た意見として、相澤会長は、(1)医師の勤務実態のタイムスタディ実施による、“見える化”の必要性、(2)日本の医療文化の特殊性(主治医制を基本としているため、グループ制導入が容易ではないなど)、(3)公的医療保険による制約(時間外受診の費用等を自由に設定できないため、医師の時間外手当の財源確保が難しいなど)、(4)医師不足、(5)グループ制導入など、組織で医療を提供していくためのマネジメント不足――などを紹介。

 特に、(1)の医師の勤務実態の“見える化”について、相澤氏は次のように語った。「医師の仕事内容を仕分けし、タイムスタディを実施し、データに基づき、議論をしていくことが必要。応招義務と言っても、どんな時に問題になり、どう対応すべきかという点なども明らかにしたい。医師の仕事についての一般の方の理解と納得を得るためにも、データの整備が求められる」。



http://www.medwatch.jp/?p=14450
働き方改革に向け、1年かけて独自に「勤務医の働き方」などのデータ収集—日病・相澤会長
2017年6月27日|医療現場から MedWatch

医師も「罰則付きの時間外労働の上限設定」の対象となるが、医療の特殊性を踏まえて2年間かけて適用方法などを検討することになった。この議論に向けて、1年ほどかけて、日本病院会独自で、(1)医師の働き方についてのタイムスタディ(2)グループ診療制の課題や実現可能性(3)医師不足の状況—などを調査し、見える化を行っていく—。

日本病院会の相澤孝夫会長は、26日の定例記者会見でこのような方針を明らかにしました。こうしたデータを厚生労働省や四病院団体協議会、日本医師会などが参画するであろう協議の場に提示し、「エビデンス・データに基づく議論」をしていく考えを強調しています(関連記事はこちらとこちら)。

「データに基づいた議論の必要性」を相澤会長は強調

罰則付き時間外労働の上限規制は、次のようなものです(関連記事はこちら)。

▼時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」(時間外労働の限度の原則)とし、違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す

▼労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

▼上限について、▽2か月・3か月・4か月・5か月・6か月の平均で、いずれも80時間以内▽単月では100時間未満―を満たさなければならないとし、原則を上回る特例の適用は年6回を上限とする

病院の勤務医も、例外とはならずこうした上限規制の対象となることが明確になっています。しかし、医師には【応召義務】などの特殊性を踏まえた対応が必要なことから、▼改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用する▼医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る—こととされています。

相澤会長は、「今後1年間で、ある程度の方向性をつけていかなければならないと思う。日病としての対応方針をきちんと決めていかなければならない」と強調し、日病独自に(1)勤務医の仕事内容の仕分けや、タイムスタディ(2)グループ診療制(3)病院の経営状況(4)医師の不足状況—などについて調査検討していく考えを明らかにしました。

まず(1)では、救急医療に限らず、医師には応召義務がありますが、「どのような場合に、どういった業務が医師に求められ、実際にどのように対応しているのか」が必ずしも明らかになっていません。今般の調査では、こうした点を「見える」化することが狙いです。相澤会長は「一般の方にも、医師の労働内容について納得してもらえるようなデータ、情報の整備をしたい」と述べています。

また(2)では、主治医制が一般国民にも受け入れられている我が国において、グループ制を導入する場合の課題、あるいは導入が成功している事例などを調査分析する考えです。相澤会長は、「我が国では、医師が患者との関係性を大切にし、信頼と絆を重視して医療を提供してきた。しかし、例えば家族の都合で夜間に説明をしなければならないというとき、信頼関係を構築できていない主治医以外の医師が説明することも難しく、主治医自身がすべて対応している。こういうケースも含めて実態がどうなっているのかを明らかにする必要がある」旨を説明しました。

さらに(3)は、超過勤務をする医師に残業代や特別手当を支払わなければならないとされたとき(実際にそうした事例が少なくない)、病院にとっても極めて大きな経済的負担が課されます。こうした点についても、具体的にどれだけの人件費増となるのかなど、医師の仕事内容を分析した上でシミュレーションしていくことになります。

また(4)は、例えば脳血管治療が必要な患者が発生した場合に、地方であれば専門医はわずかしかおらず、少ない専門医が一手に引き受けている状況があるでしょう。このような専門医の配置状況なども、医師の働き方に大きく関係するため、実態を詳しく調べる必要があります。

 
こうした点について相澤会長は、「データに基づいた議論」の必要性を強調し、まず日病独自に調査を行う考えを示しています。その際、「どういう医療を提供しているのか、特に救急医療をどう提供しているかで、大きな差が出るのではないだろうか。病院による体制の違いなどが、どのくらい超過勤務に影響するのか、なども見えてくると思う」と相澤会長は見通します。

罰則付きの時間外労働上限規制を初めとする働き方改革は、病院経営の根本を揺るがしかねない大きな問題です。改革によって病院経営が立ち行かなくなれば、地域の医療提供体制に穴があき、住民が不利益を被る可能性もでてきます。日病の調査結果はもちろん、その後、「医師への適用」についてどのような議論が行われるのか、医療関係者のみならず、一般国民も注目する必要があります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540807
日医代議員会
「急性期指標、地域医療を混乱に陥れる」、中川副会長
第140回日医代議員会、「議論の俎上に載せるのを阻止」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、地域医療構想の「急性期指標」について、「この指標が独り歩きすれば、地域医療が混乱に陥るのは明白」と強く問題視した。その理由として、急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれているほか、地域医療構想は病棟単位だが、「急性期指標」は病院単位であり、結果としてケア・ミックスの病院では指標が低く出ることなどを挙げ、「病院全体のイメージを左右。いわば情報操作に当たる」と指摘した。


 「急性期指標」は、地域医療構想の「急性期機能」を定量的に示す研究の一つとして、5月10日の厚生労働省「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で公表された(『「急性期指標」、「見える化」の第一歩だが、注意必要』を参照)。同会議の構成員でもある中川副会長は、「ワーキンググループで唐突に公表されたのは、大いに問題。以降、議論の俎上に載せることを阻止している」と説明した。

 「急性期指標」について代表質問したのは、北海道代議員の藤原秀俊氏。そもそも地域医療構想は2025年に向けて調整会議で協議を行い、自主的に医療機能を検討していくのが目的であると指摘した上で、(1)「急性期指標」は、病院がその立ち位置を理解するのが目的であれば、都道府県ではなく、まず医師会、各医療機関に先に公表すべき、(2)不完全で問題が多いデータを今後どう扱うべきか――と日医の見解を質した。

 「病院全体のイメージを左右、いわば情報操作」

 中川副会長は、「急性期指標」には、主に以下の4点の問題があると指摘。

(1)急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれている。
(2)急性期の項目を点数化して積み上げ、これを病床数で割り算しているが、分母となる病床数には、療養病床も含めている。
(3)(1)や(2)の結果、民間病院に多いケア・ミックスの病院では、実態より低い急性期スコアが計算され、あたかも急性期機能が劣っているように見える。
(4)地域医療構想では病院の機能分化を病棟単位で進めているが、この急性期指標は病院単位。病院全体のイメージを左右しかねず、いわば情報操作に当たる。

 次に、「急性期指標」が取り上げられ、公表された経緯についての日医見解を説明した。

 まず地域医療構想は、「不足している病床機能を充足する仕組み」で、2025 年度の「病床の必要量」を見据え、各医療機関の自主的な取り組みや医療機関相互の協議を通じて、病床機能を収れんさせていくことが目的であると改めて理解を促した。地域医療構想調整会議では、各医療機関の実情に関する丁寧で慎重な議論が求められるとした。

 調整会議での検討に役立つように、「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、病床機能報告制度の見直しなども進めていると説明。特に「回復期機能」が「不足」と解釈される点について、次のように述べた。「多くの構想区域で病床機能報告制度の数と病床の必要量を比較し、回復期の病床が不足しているという計算結果が出ている。しかし、回復期の患者数は、医療資源投入量から計算された治療経過の病期における通過点の患者数にすぎない。現実には急性期から引き続き同じ病棟に入院しているケースが多く、回復期の患者が締め出されているわけではない。したがって、報告制度の数が、将来の病床の必要量に不足しているために、新たに回復期病棟を作らなければならないという発想は、慎重でなければならない」。

「唐突な公表、大いに問題」

 中川副会長は、「急性期指標が、一つの研究にすぎないとは言え、唐突に厚生労働省の検討会で公表されたことには、大いに問題」と語気を強めた。

 「急性期指標」は、厚生労働科学研究費補助金を受けた、奈良県立医科大学医学教授の今村知明氏らによる研究成果。一部の都道府県では、同指標を用いた分析が進んでいる(『「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認』を参照)。

 「そもそも急性期指標は、こんな不完全な状況で、公表すべきものではなかった。さらに、急性期指標に限らず、都道府県行政だけに情報を提供するのは大きな問題。都道府県において医師会と行政は、地域医療を守る車の両輪」。中川副会長はこう指摘し、今年5月の厚労省主催の都道府県行政職員向けの地域医療計画の講習会にも、日医の要請で都道府県医師会の関係者の出席が実現したとし、「地域医療構想の達成には、行政と医師会との協力関係が極めて大事」と強調した。

 中川副会長は、「今回の急性期指標は、厚労省が財政当局の圧力に押され混乱、迷走した表れなのかもしれない」との見方を示しつつ、「日医は、地域医療計画や地域医療構想について、厚労省と二人三脚の心意気で進めてきたが、さらにしっかり掌握する。都道府県において医師会と行政がそうであるように、日医は厚労省を叱咤激励しながら地域医療を守り続ける」と答弁を結んだ。


  1. 2017/07/01(土) 11:13:09|
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