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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2017年5月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年5月31日
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Missouri targets doctor shortage, expands first-in-nation law
STLtoday.com‎ - May 30, 2017 (米国、ミズーリ州)

JEFFERSON CITY • Numerous additional doctors from around the U.S. could become eligible to treat patients in Missouri’s underserved areas as a result of a planned expansion of a first-in-the-nation law aimed at addressing a growing doctor shortage.
The newly passed Missouri legislation would broaden the reach of a 2014 law that sought to bridge the gap between communities in need of doctors and physicians in need of jobs. That law created a new category of licensed professionals — “assistant physicians” — for people who graduate from medical school and pass key medical exams but aren’t placed in residency programs needed for certification..



Obamacare, Congress to Blame for Upcoming Doctor Shortage
Newsmax‎ - Tuesday, 30 May 2017 02:07 PM (米国、全国)

The future two decades in the U.S. will see a major physician shortage due to Obamacare and Congress, wrote Kevin Campbell, an internationally-recognized cardiologist, in an article in the Washington Examiner on Tuesday. The problem stems from mid-career physicians leaving the field, disillusioned or burned out by the level of electronic recordkeeping necessary under Obamacare. And, fewer young people are entering the field.



Hong Kong's chronic doctor shortage can be cured with new tech and new blood.
South China Morning Post‎ - Tuesday, 30 May, 2017, 11:08am (Hong Kong)

Hong Kong boasts 5.2 hospital beds per thousand people, a ratio higher than most OECD countries. However, our public hospitals and clinics regrettably suffer from an acute shortage of doctors – cited as a cause for most medical blunders in recent years. The Food and Health Bureau says public hospitals have a shortfall of some 250 doctors.
Increasing medical school enrolment is one way to resolve the supply crunch and relieve the workload of doctors in public hospitals. We currently have about 420 medical graduates each year. But if we expand enrolment, we must overcome the challenge of funding. The government heavily subsidises the tuition fee of each medical student, and a substantial amount is needed to train a doctor.



Pilot program in Buffalo could cure area's doctor shortage
Buffalo News‎ - Thu, May 25, 2017 (米国、ニューヨーク州)

Many Buffalo-area medical practices will receive a big financial boost – and patients likely will get easier access to health care – thanks to the region's selection for a new Medicare pilot program that eventually could help cure the area's physician shortage.
Insurance executives who pushed for the program said Wednesday that the pilot program is likely to pump hundreds of millions of dollars in federal funding into local medical practices that choose to take part. Those would be practices that serve the region's 90,000 or so people on the traditional fee-for-service Medicare program, not the popular, HMO-like Medicare Advantage plans.
What's more, insurers and doctors said the initiative to improve Medicare – the hugely influential government health insurance program for seniors – could have ramifications throughout the local health care system.



FOX13 Investigates: Doctor shortages in parts of the south
FOX13 Memphis‎ -May 8, 2017 - 7:43 PM (米国、テネシー州)

In a comprehensive report released by The Association of American Medical Colleges, AAMC, the doctor shortage in America is real and significant. Over the next 10 years, we could see a doctor shortage ranging from 62-to 95-thousand.

This is from the AAMC report:
"To help alleviate the shortage, the AAMC supports a multipronged solution, which includes innovations in care delivery, better use of technology, and increased federal support for an additional 3,000 new residency positions a year over the next five years. Medical schools have done their part to increase the overall number of physicians by expanding their class sizes, and now Congress must approve a modest increase in federal support for new doctor training if the United States is to increase its overall number of physicians..."



(他に10位以内のニュースは、米国 (全米 2報)、米国・ニューメキシコ州、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、ニュージーランド、からも)


  1. 2017/05/31(水) 19:57:17|
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5月26日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/532074?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170526&dcf_doctor=true&mc.l=225111232&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
真価問われる専門医改革
新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承
日本専門医機構、6月2日の理事会で改正予定

2017年5月25日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は5月25日、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第2回会議を開催、専門医の取得は義務化しないことを明記するなど、日本専門医機構が提示した「専門医制度新整備指針」の4つの対応方針について了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 同機構は6月2日に開催する理事会で、25日の議論も踏まえ、「専門医制度新整備指針」の改正を行う予定。厚労省は、新専門医制度に関する通知発出と、都道府県への説明会を6月中に行う計画だ。同通知には、新専門医制度に関する最近の動向や都道府県協議会の目的・構成・進め方などを詳細に記載する方針。これらがスケジュール通りに進めば、2018年度からの新専門医制度のスタートがほぼ確定する見通し。

 4つの対応方針は、以下の通り。4月24日の本検討会の第1回会議で出された意見を踏まえ、5月12日の日本専門医機構理事会で議論された内容だ(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記へ』を参照)。遠藤座長は、「新整備指針改正案は、理事会で確定するが、前回会議のさまざまな意見が反映されている。今日の意見に特段の配慮をすることを前提に、直近の理事会で整備指針の改定をお願いすることで、合意をする」と諮り、構成員の了承を得た。

◆「専門医制度新整備指針」の改正の主な内容
1.専門医取得は義務付けていないことを整備指針に明記
2.地域医療従事者や女性医師等への配慮したカリキュラム制の設置を整備指針に明記
3.研修の中心は大学病院のみではなく、地域の中核病院等であることを整備指針に明記
4.都道府県協議会に市町村を含め、研修プログラム承認後も、地域医療の確保の動向を日本専門医機構が協議会に情報提供し、協議会が意見を提出した際は、研修プログラムを改善することを整備指針に明記

 25日の検討会では、日本内科学会が新専門医制度の準備状況について、地域医療への配慮と、専攻医のキャリア形成への配慮という2つの視点から説明した(詳細記事は、別途予定)。地域医療への配慮については、(1)基幹施設は、当初よりも基準を緩和した結果、2016年度の段階の523(8割以上が市中病院)から545まで増加、(2)研修施設は、現行制度の1204施設から2.4倍の2937施設に増加、(3)研修施設の分布は、294医療圏から、全344医療圏に増加――などと説明。相馬市長(全国市長会副会長)の立谷秀清氏は、一部再考を求めたものの、「前回の会議で、地域医療を守る立場で発言した意見が、相当盛り込まれている」と述べた。

 また専攻医のキャリアへの配慮の中で、構成員からの評価が高かったのは、「J-OSLER」という、Web上で専攻医の登録、研修実績管理や研修評価などを行うシステム。研修の質の担保につながるほか、出産・育児等で研修を中断して再開した場合でも、研修実績が引き継ぐことができるメリットがある。そのほか、内科専門医では、初期の臨床研修、あるいはサブスペシャルティとの連動研修も可能とするなど、多様な研修プログラムを用意する方針。

 次回の第3回会議では、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科の7領域の各学会からヒアリングを行う予定。これらの学会は、過去3年間の専攻医の平均採用実績が350人を以上であり、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることが求められている(『新専門医制、8月から専攻医の募集開始を予定』を参照)。

 新整備指針、改正内容の実効性を求める

 第1回の本検討会の意見を集約し、厚労省は5月10日に日本専門医機構に対して対応を求める「事務連絡」を出していた。「専門医制度新整備指針」の対応方針は、それを踏まえたものだ。日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が説明した(第1回の議論は、『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「意見を反映してもらった」と述べた上で、日本内科学会以外の他の学会でも、地域医療等に配慮した制度設計になっているかを確認するため、基幹病院における大学病院と市中病院の割合、研修プログラム制と研修カリキュラム制の割合などのデータについて、次回以降の会議での提出を求めた。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、前述の「改正の主な内容」の「2」で、「研修プログラム制が原則だが、相当の合理的理由がある医師等は研修カリキュラム制による専門研修を行うなど、柔軟な対応」とされていることから、「非常にありがたい改正」と評価。その上で、専攻医が、途中で研修プログラム制から研修カリキュラム制への変更を求めても、プログラム責任者等が認めない場合の対応を質した。吉村氏は、「その辺りの手順は、(新整備指針の)運用細則で定める」と回答した。

 対応方針以外にも、「専門医制度新整備指針」について幾つかの意見が出た。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、専門医取得後の更新条件が厳しくなると、市中病院等の勤務医の更新が難しくなる懸念を呈した。吉村氏は、「更新についても、新整備指針では地域医療への配慮を求めている。地域に勤務している医師に、過度な負担が生じないようにする」などと回答。

 関連して山内氏も、専門医の更新と指導医取得のハードルが高いと、市中病院等に専門医・指導医が少なくなり、結果的に専攻医が採用できなくなる懸念もあるとした。参考人として出席した日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「その通りだ。そのため以前よりも、指導医を取得しやすくした学会がある」と説明、地域の病院において指導医の確保が難しい場合の対応も検討するとした。

 都道府県協議会、活動への懸念も

 都道府県協議会とは、新専門医制度について、「地域医療に配慮した研修体制を形成するための、地域の医療の関係者が協議する場」。2016年1月に厚労省の「事務連絡」で、都道府県に設置を求めていた。47都道府県で設置済みだが、その運営状況がカギとなる。

 都道府県協議会の開催状況や議論の内容を質問したのは、日本医師会副会長の今村聡氏。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、活動実績について現在照会中であり、「活発な県もあるが、(2017年度開始予定だった)新専門医制度が延期されため、開催を待っているところもある」と答えた。

 山内氏は、既存の地域医療支援センターと、都道府県協議会との関係について質問。武井課長は、「既存の仕組みと連携しながら進めていくのが前提」と回答した。

 全国自治体病院協議会会長の邊見公雄氏も、都道府県協議会が機能しているのは、山形県、山梨県、静岡県、島根県くらいにとどまると指摘。

 山内氏や邊見氏の発言を踏まえ、山下氏は、自身が医学部長を務める山形大学の「蔵王協議会」の例を説明。医師だけでなく、県内の全ての医療関係者が参加し、教育だけでなく、医療や研究などを総合的に協議する場であり、その一環として、新専門医制度を議論しており、総合的な組織での検討が有用であると説明した。

 相馬市長の立谷氏は、自治体の首長ではまだ新専門医制度自体への理解がないとし、「協議会が、どの程度、役割を果たせるのかは疑問」と述べ、協議会の活動をチェックしたり、全国的な議論をする場として、「全国レベルでの組織を作る必要があるのではないか」と提案した。これに対し、今村氏は、「全体を包括するような議論の場はあっていいが、まずは都道府県協議会を機能させることが大切」と述べ、都道府県協議会の実態について検証も、本検討会のミッションであるとした。

 奈良県知事の荒井正吾氏は、欠席したため、文書で、「都道府県協議会に対しては、日本専門医機構経由ではなく、協議会の求めに応じ、地域の基幹施設から直接情報を得る仕組み」など、地域の実情に応じて運営できる仕組みを求めた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526125421
専門医制度担う都道府県協議会、機能強化目指す
厚労省、担当者向けの説明会開催へ

2017年05月26日 14:00 CB news

 厚生労働省は、日本専門医機構が認定する専門研修プログラムの把握・調整を担う「都道府県協議会」に関する説明会を開催することを決めた。都道府県などの担当者を対象に来月中に開催する予定。専門医制度をめぐる最近の動向や協議の進め方などを伝え、協議会の機能・調整力の底上げを図りたい考えだ。【新井哉】

 専門医制度では、各領域(内科、精神科、外科など19領域)の研修プログラムを同機構が承認するが、都道府県、医師会、大学、病院団体などで構成する都道府県協議会と事前に協議することになっている。

 協議会は47都道府県で設置済みだが、関係者からは、自治体によっては十分機能しておらず、大学病院を中心とした研修プログラムが組まれた場合、医師の偏在が進みかねないといった懸念が出ていた。

 厚労省は昨年1月、協議会に関する通知を都道府県に出したが、協議会の枠組みが一部変更される見通しとなったため、協議会の目的、プログラムの把握・調整の進め方などを改めて周知する必要があると判断した。同機構の協力を得て6月中をめどに説明会を開催する方針だ。

 6月以降、各領域の研修プログラムの公開が相次ぎ、協議会を開催する回数が増えることが見込まれている。このため、厚労省は今年度の開催経費として前年度比2倍超の3100万円を補助する予定。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526141253
地方にバランスよく若手・女性医師配置を
全自病が厚労省などに要望書

2017年05月26日 15:00 CB news

 全国自治体病院協議会(全自病)と全国自治体病院開設者協議会は26日までに、新専門医制度や精神科医療などに関する要望書を厚生労働省と総務省に提出した。新専門医制度については、地方にバランスよく若手・女性医師が配置されるような仕組みとし、勤務医の地域偏在を是正するよう求めている。【新井哉】

 要望書は、新専門医制度や精神科医療、地域医療構想・医師確保、看護師確保対策など12項目で構成。来年度から始まる新専門医制度については、地方の研修施設への専攻医の応募が少なく、地域医療の確保に支障を来す可能性があることを挙げ、「その対応は喫緊の課題」とした。

 新専門医制度では、こうした問題を解決した上で、若手・女性医師らの地方勤務の促進を図り、「勤務医の地域偏在や診療科偏在が是正されるよう進める」と要望。新専門医制度によって、こうした偏在が助長されないか国が責任を持って検証し、必要な対策を講じるよう求めている。

 地域医療構想については、構想に基づいて病床の機能分化・連携を推進する際は、「機能転換によって自治体病院の経営に影響を及ぼすことのないよう財政支援策を講じる」と要望。精神科医療に関しても「高齢化が進み、認知症対策をはじめ精神科と一般科が協同した地域医療体制の構築が喫緊の課題」とし、病院勤務医の不足と医師の地域偏在を抜本的に改善する必要性を挙げている。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526104226
医師の働き方で今年秋にも見解
全自病

2017年05月26日 11:30 CB news

医師の働き方で今年秋にも見解

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は25日に記者会見を開き、医師の働き方に関する全自病としての見解を、早ければ今年秋にもまとめる方針を明らかにした。【敦賀陽平】

 政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」では、残業時間に罰則付きの上限規制を設ける法律の施行から5年間、医師の労働時間を規制の対象外にするとともに、2019年3月をめどに、医師の労働時間の規制の在り方について結論を得ることになっている。

 邉見会長は会見で、主治医が退院まですべての診療に責任を持つ「主治医制」や、正当な理由がなければ診察・治療を拒めない医師法の「応召義務」があることなどから、「医師の労働については(規制が)難しい」と指摘。その上で、「まだ2年間の猶予があるが、秋ぐらいまでに議論を煮詰め、パブリックコメントも頂いた上で、全自病の方針を国に出したい」と語った。

■病床の整備は「地域の実情で」

 また、邉見会長は地域医療構想に沿った地域ごとの病床再編ついて、「田舎では、自治体病院がほとんど救急車を受けているのに、『(自治体病院の)急性期病床を減らせ』『民間病院は税金をもらっていない。死活問題だから、お前たちから減らせ』と言う人が多いが、地域によって違う」と主張し、地域の実情に応じた病床の整備を改めて求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=13877
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
2017年5月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

専門医制度の憲法とされる「専門医制度新整備指針」に、▼専門医取得が義務でない▼プログラム制が原則だが、地域医療従事者や女性医師などに配慮し、カリキュラム制も含めた柔軟な対応を行う▼研修の中心は大学病院のみでなく、地域の中核病院なども含める—ことなどを明記する—。

25日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」で、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長、地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)がこのように報告。検討会の了承が得られたため、6月2日開催予定の日本専門医機構理事会で新整備指針が改訂・修正されます。

ここがポイント!
1 専門医制度新整備指針の見直し方針を検討会が了承、機構で6月に正式改訂
2 研修プログラムをチェックする都道府県協議会、6月に厚労省が運用通知を発出
3 内科学会、J-OSLERシステムで研修実績を把握し「柔軟な対応」を可能に

専門医制度新整備指針の見直し方針を検討会が了承、機構で6月に正式改訂

数多ある専門医の質を担保し、国民に分かりやすい制度とするため、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」新専門医制度が来年度(2018年度)から全面スタートする予定です。ただし、質の担保を求めるあまり「研修を行う施設(病院)の要件が厳しすぎれば、地域医療の現場から医師が去ってしまい、医師の地域偏在が進み、地域医療が崩壊してしまう」との指摘を受け、日本専門医機構では昨年(2016年)12月に策定した『専門医制度新整備指針』や、下部規定の中で「地域医療への配慮を行う」旨を示しました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

しかし、全国市長会などは「さらなる配慮が必要」と強く要請。4月24日の前回検討会でも、厳しい指摘が構成員から相次ぎ、日本専門医機構では新整備指針の見直しを検討。5月12日の理事会で次の4点を明記する見直し方向が固まり、25日の検討会にその旨が日本専門医機構の理事長である吉村構成員から報告されました。

(1)「専門医はすべての医師が取得しなければならないものでなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられるものである。国民に信頼される安全・安心な医療提供のための専門研修は適正に施行されるべき」旨を明記

(2)「基本領域の専門医研修はプログラム制が原則だが、▼専門医取得を希望する義務年限を有する医大卒業生▼地域医療従事者▼出産・育児などで休職・離職を選択した女性医師など▼介護・留学など合理的理由のある医師—などでは、カリキュラム制などの柔軟な対応を行う」旨を明記

(3)「全般的、幅広い疾患の症例の豊富な支柱病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする。連携病院で採用した専攻医が希望した場合、長期間連携病院での研修を設定するなど柔軟なプログラムを作成する」旨を明記

(4)「機構の研修プログラム承認に際し、▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体—などからなる都道府県協議会と事前に協議し決定する。承認後も、連携施設などの医師配置状況を含めて協議会に情報提供する。協議会の意見を受け、機構は協議会・関係学会と協議・調整し改善する」旨を明記

この見直し方向について、「(2)の柔軟な対応を担保するための仕組みが必要。指導医の要件についても臨床を重視すべき」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)、「専門医資格の更新についてハードルが高くなりすぎないようにすべき」(加納繁照構成員:日本医療法人協会会長)、「基幹施設の状況について、日本専門医機構などを経由せず、直接、都道府県協議会に情報提供できる迅速な対応を図るべき。協議会では、研修プログラムだけでなく連携施設の医師配置も協議できるようにすべき」(荒井正吾構成員:奈良県知事、林修一郎・奈良県医療政策部長が代理出席)といった注文が付いたものの、大枠で了承されました。日本専門医機構では6月2日に理事会を開き、新整備指針の改訂を決定する予定です。

研修プログラムをチェックする都道府県協議会、6月に厚労省が運用通知を発出

上記のうち(4)の都道府県協議会は、地域の医師偏在が助長されないよう、都道府県単位で▼行政(都道府県・市町村)▼医師会▼病院団体—などの関係者が出席し、専門医研修プログラムについて「これまでに専門医研修を行っていた施設が漏れていないか」などをチェックする組織です。

厚生労働省は昨年(2016年)1月に、都道府県に対して「協議会設置に関する通知」を発出していますが、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は、「最新の動向(新整備指針の見直しや、検討会での議論など)を踏まえて、改めて協議会の設置・運営に関する通知を6月に発出する」考えを示しました。

協議会は全都道府県で設置されていますが、専門医制度の全面施行が1年延期されたため開催状況にはバラつきがあるようです。今村聡構成員(日本医師会副会長)は「開催状況などを検討会に報告してほしい」と要望しています。

また山内構成員は、「専門医だけでなく、地域医療全体を包括して議論する協議の場とすべき」と提案。山下英俊参考人(日本専門医機構副理事長、山形大学医学部長)も「山形県では蔵王協議会として、▼大学▼医師会▼行政▼病院▼看護協会―などすべての地域医療関係者が集い、医師教育だけでなく、医療事故防止や研究などを総合的に検討している。多層的な組織で情報交換することが望ましい」と山内構成員に賛同しました。

この点、武井医事課長は、「都道府県協議会について、昨年(2016年)に発出した通知では『地域医療対策協議会などを活用する』よう示している」ことを説明。地域医療対策協議会は、▼行政▼医師会▼大学▼病院▼住民—らが参画し、都道府県内の医療提供体制や医師確保などについて幅広く協議する場であり、厚労省も山内構成員や山下参考人と同じ方向で考えていることが分かります。

なお、住民に最も身近な自治体である市町村の立場で出席した立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は「都道府県協議会の全国組織を立ち上げる必要がある」と指摘。尾身茂構成員(地域医療機能推進機構理事長)も「全国と各都道府県とで情報をフィードバックしあうメカニズムが必要」と賛同しています。もっとも今村構成員は「まずは各都道府県で協議会を開催してもらうことが重要」と指摘し、全国組織の設置などは中長期的に考えるべき論点かもしれません。

内科学会、J-OSLERシステムで研修実績を把握し「柔軟な対応」を可能に

このように新専門医制度に対しては「地域医療への配慮」が強く求められています。25日の検討会では、内科領域における「配慮」に向けた取り組み状況も報告されています。

内科領域では、「専門医の質の担保」(必要な研修の確保)と「地域医療への配慮」との両立を目指し、次のような対応を行っています。

▼研修プログラムに参加する施設の基準を一部緩和し、基幹施設・連携施設・特別関連施設(一定要件を満たせば指導医が常勤していなくても、研修プログラムに参加できる)のない2次医療圏を解消した

▼研修プログラムの基幹施設は市中病院を中心とし、大学病院が連携施設になるケースもある

▼J-OSLERというWEBシステムを構築し、そこに研修実績などを登録することで研修状況をリアルタイムで把握できるようにした。これにより、一時研修が中断しても、過去の研修実績が研修再開時に引き継がれ、柔軟な対応(実質的なカリキュラム制)を可能としている

▼3年間じっくりと内科の研修を行う「標準研修コース」に加えて、早期のサブスペシャルティ領域研修を行う「サブスペ重点コース」や、余裕を持たせて内科領域とサブスペシャルティ領域の研修を行う「内科・サブスペ混合コース」など、多様な研修コースを準備し、専攻医の実情にあった研修を可能としている

この内科学会に取り組みを検討会構成員は高く称賛。とくに「J-OSLERシステムによって、研修実績・状況をリアルタイムで把握できることで、質を担保しながら柔軟な対応(実質的なカリキュラム制)を可能としている」と渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は評価し、「日本専門医機構から各学会に対してこういったシステムの構築を呼びかけるべき」と提案しています。

なお立谷構成員から「内科学会の配慮は素晴らしいが、専門医資格取得要件の中に『論文』発表を含めている点に違和感を覚える」と指摘がありましたが、宮崎俊一参考人(日本内科学会副会長)や山下参考人は「データをもとにして1つの症例にじっくりと向き合うことが、優秀な医師養成のプロセスには不可欠である」と説明し理解を求めました。この点、渋谷構成員は「『2編の学術発表または論文発表』とされている。3年に2編程度の学術発表は必要であろう」とコメントし、内科学会の要件を支持しています。

検討会では、次回会合に▼外科▼整形外科▼産婦人科▼小児科▼救急医療▼麻酔科▼精神科—の7学会を招き、同様に「地域医療への配慮」に向けた取り組み状況についてチェックを行う予定です。なお武井医事課長は、今後の検討会論議について「専門医制度は、機構の整備指針→学会による整備基準→研修プログラムという流れで制度を詳細に規定していく。検討会でも同じ流れで議論していく必要があるのではないか」との考えを示しています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/532301
真価問われる専門医改革
内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院
厚労省検討会で説明、「J-OSLER」で質担保と柔軟な運用

2017年5月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本内科学会は5月25日、厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第2回会議で、「新しい内科専門医制度 制度移行に向けた特徴的なポイント」と題して、地域医療への配慮と専攻医のキャリア形成への配慮という2つの視点から説明した(本検討会の議論は、『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療への配慮では、研修プログラム数は545で、基幹病院のうち市中病院が8割以上を占め、研修施設数は現行制度の2.4倍に増え、全344医療圏にわたる。キャリア形成についても、「J-OSLER」(専攻医登録評価システム)の活用で、研修の中断・再開・変更を容易にするほか、研修の質を担保。さらに早期のサブスペシャルティ取得にも配慮し、最短では初期研修修了後4年で、内科専門医とサブスペシャルティの取得が可能だ。

 同学会の説明に対して、相馬市長(全国市長会副会長)の立谷秀清氏は、一部再考を求めたものの、「前回(4月24日の本検討会)の会議で、地域医療を守る立場で発言した意見が、内科専門医制度には相当盛り込まれている」と受け止めた。さらに立谷氏は、早期にサブスペシャルティを取得する希望者を念頭に、内科専門研修では「初期研修の研修実績を大幅に取り入れて工夫」としている点を評価、新専門医制度の議論を機に、初期研修の見直しにも発展させるべきと主張した。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「J-OSLER」を評価。国際標準の専門医制度構築には、客観的なデータベースによる「見える化」と質の担保が重要である上、研修プログラム制と研修カリキュラム制の双方が可能な柔軟な制度にするためにも、「J-OSLER」などで研修実績の引き継ぎを容易にすることが求められるとし、内科以外の基本領域でも必要なことから、「日本専門医機構こそ、このようなデータベースを構築すべきではないか」と提案した。

 「内科専門医+サブスペシャルティ」、4年で取得可能

 内科専門医制度について説明したのは、認定医制度審議会副会長の宮崎俊一氏と、専門委員(認定医制度担当)の鈴木昌氏。

 地域医療への配慮では、研修施設の拡大が柱。2015年度頃に、新専門医制度に向けて検討していた時点では、研修プログラム数が200~300となる可能性も予見されたが、その後、基幹施設の条件を見直したり、施設基準を緩和した特別連携施設を設けた結果、2016年度の段階では523となり、うち8割以上は市中病院が占める。大学病院が連携施設になり、基幹病院の市中病院を補完する研修プログラムもある。

 さらに研修内容に柔軟性を持たせたり、各施設に手挙げを促した結果、研修プログラム数は545まで増え、研修施設(基幹、連携、特別連携の各施設の合計)は、現行制度の1204施設から、2.4倍の2937施設まで増加、うち200床未満が1723施設(58.7%)を占める。研修施設の分布も、現行の294医療圏から、全344医療圏に増加。

 専攻医のキャリア形成については、(1)専攻医のさまざまなキャリア志向に応じた多様な研修コースを設定、研修の中断・再開・変更が容易になるよう、「J-OSLER」も導入、(2)修了要件の見直しやプログラムの改善をリアルタイムで客観的に検証するため、「J-OSLER」で研修状況等を把握、(3)早期のサブスペシャルティ取得志向に配慮(初期研修の研修実績を大幅に取り入れて工夫)――などの配慮をしている。

 現行制度は、「内科認定医研修1年+サブスペシャルティ研修3年」が基本。新専門医制度では、「内科専門研修3年+サブスペシャルティ研修3年」のほか、サブスペシャルティの早期取得を目指す場合、「内科・サブスペシャルティ混合タイプ」として最短4年の研修プログラムも可能だという。ただし、いずれの場合も、内科研修の修了要件は同じだ。

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内科専門研修の到達目標(日本内科学会、2017年5月25日の厚労省「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」提出資料)

 さらに、「研修プログラム制をフレキシブルに運用することによって、研修カリキュラム制と同様の研修を担保することができる」(宮崎氏)との考え方で、研修期間の途中でも、研修の延長を認めるほか、「J-OSLER」の活用で、ライブイベントなどで研修プログラムの中断・再開・変更の場合にも、研修実績を引き継ぐことが可能とした。「J-OSLER」は日本内科学会が独自に開発した、症例や病歴要約の登録、研修技能・技術の登録、指導医やメディカルスタッフの評価などを登録するシステム。

 「学術発表または論文発表」は高いハードルか
 相馬市長の立谷氏が再考を求めたのは、「所定の2編の学術発表または論文発表」が、修了要件になっている点。立谷氏は、「内科専門医は、当初はハードルが高く、優等生以外は排除する理屈に思えたものの、見直しにより、『皆が、がんばって内科専門医を取得してほしい』という制度に変わったと指摘、しかしながら、地域医療に従事する医師に論文執筆を課すのは、「間尺に合わない」としたほか、メディカルスタッフによる専攻医評価に疑義を呈した。そのほか、初期研修の研修実績を取り入れた内科専門研修になっている点は評価したものの、「初期研修が、日本の医療にどれほど大きな役割を果たしたのか。初期研修をもう少し改善すべきであり、そこから議論を始めなければいけない」との問題も提起した。

 論文への質問に、宮崎氏は、「学術発表または論文発表」であり、学術発表は地方会での症例報告でも可能であり、「医師の出発点として、3年間のうち2回程度は発表をした方がいい」と説明。メディカルスタッフによる評価については、「昨今、医療事故あるいは患者接遇などで紛争になることが多い。メディカルスタッフにも、日頃から専攻医の態度などを評価してもらうことが有意義ではないか」と答えた。

 東大の渋谷氏は、専門医制度のベンチマークになり得るとし、「症例報告はいいのではないか」と述べたほか、参考人として出席した日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「症例報告には、学術的な目的のほか、患者の病態をゆっくりと考える機会を作る意味がある。ハードルを高くするというより、教育、優れた医師を育成するための大事なプロセス」とコメントした。

 専門研修のデータベース、必要との指摘
 「J-OSLER」について、渋谷氏は評価する一方、専門研修の客観的な質の担保のほか、研修プログラム制と研修カリキュラム制を柔軟に運用するためには、内科以外の領域でも同様のシステムが必要だとし、「日本専門医機構こそ、このようなデータベースを構築すべきではないか」と提案した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、研修プログラムを変更する際に、「自分の症例を持って行けることはすばらしい」と評価、さらに外科系領域で使用している「NCD」(National Clinical Database)では、データを用いた研究も可能になったことから、「J-OSLER」のようなシステムは必要としたものの、入力する負担などの軽減は必要だとした。

 日本眼科学会理事長でもある山下氏は、眼科でもNCDの活用を検討したが、症例登録の在り方が異なることなどから難しいと判断した経緯を紹介、データベースの必要性は認めたものの、「各基本領域で統一するのは難しい」と答えた。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、「J-OSLER」について質問。費用がかかることから、「これは内科領域だけでなく、他の学会でも使えるのか。各基本領域でJ-OSLERのようなシステムを用意しなければならないのか」と質問した。

 宮崎氏は、初期とメンテナンス費用がかかるため、専攻医から使用料を徴収して運営することを想定していると説明。鈴木氏は、「内科領域への転用は可能かもしれない」と述べたものの、手技などの登録は想定していないと説明。

 そのほか、地域医療機能推進機構(JCHO)理事長の尾身茂氏は、総合診療専門医と連携について質問。「幅の広いジェネラリストを養成するため、研修の段階で何か協力できないのか。ぜひ考えてもらいたい」と求めた。宮崎氏は、総合診療専門医の3年間の研修のうち、1年間は内科研修になっていることから、「総合診療専門医の研修については、内科学会が全面的に協力する。J-OSLERの使用も求めていきたい」と回答した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170525202235
専門医取得「義務付けていない」、指針に明記へ
機構が検討会に改訂案提示

2017年05月25日 21:00 CB news

 日本専門医機構の吉村博邦理事長は25日、厚生労働省の医師養成と地域医療に関する検討会の会合で、専門医制度の整備指針の改訂案を示し、「専門医取得は義務付けていないことを整備指針に明記する」と述べた。この改訂案については、来月2日に開催予定の同機構の理事会で正式に決定される見通しだ。【新井哉】

 前回の会合で構成員から、「専門医取得は義務付けではない」などとの意見が出たことを踏まえ、厚労省は今月10日、同機構に対して整備指針の修正を含めた対応を求める事務連絡を出した。

 これを受け、同機構は改訂案をまとめた。それによると、専門医制度について、現在の整備指針では、法的に規制されるべきものではないと位置付けていたが、改訂案では、「専門医はすべての医師が取得しなければならないものではなく、医師として自律的な取り組み」と説明し、義務付けではないことを強調した。

 また、研修の中心となる施設に関しても、検討会で大学病院に偏ることを危惧する意見が出ていたため、改訂案では「地域の中核病院等」も研修の中心に位置付けた。

 その理由について、吉村理事長は「専門医となるのに必要となる全般的、幅広い疾患の症例の豊富な市中病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする必要がある」と説明した。

 このほか、出産や育児などで休職・離職を選択した女性医師に配慮した研修を行うことや、同機構が各領域の研修プログラムを承認する際は、市町村を含めた都道府県協議会と事前に協議することも整備指針に記載する方針だ。



http://www.asahi.com/articles/ASK5V6GNWK5VUBQU014.html
「新専門医こそ地域医療の担い手」大学側が市長会に反論
野中良祐2017年5月26日19時33分 朝日新聞

 2018年度に開始予定の新専門医制度をめぐり、国公私立大学の医学部で構成する全国医学部長病院長会議は26日、地域医療に支障をきたすと懸念する全国市長会に反論する会見を東京都内で開いた。

 市長会は、新制度によって若手医師が中小規模の病院から、研修施設となる大学病院に移り、若手医師が医局生活を強いられるなどと危惧。卒後2年の初期臨床研修を終えた時点で総合診療ができるようにすべきだと主張している。

 これに対し、同会議会長の新井一・順天堂大学長は「過去の封建的な医局に焦点を当てている。地域医療の中心的役割を担う、現在の大学病院の役割を正しく理解していない」と反論。「現行では、2年の卒後研修をしても一人前の医師としてはまったく不十分。(新制度での)専門医こそがまさに地域医療の担い手になる」と語った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/532401
真価問われる専門医改革
「大学病院への過度な不信感に基づく誤解」
全国医学部長病院長会議、全国市長会に反論

2017年5月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議は5月26日に記者会見を開き、全国市長会の「国民不在の新専門医制度に対する緊急要望」に対する反論を、同25日に塩崎恭久厚労相に提出したことを公表した。

 反論は、卒後2年の臨床研修を修了しても一人前の医師としては不十分であり、卒後3~5年の専門研修の必要性を指摘。その上で、全国市長会の要望は、過去の封建的な「医局」のみに焦点を当てており、「大学病院への過度な不信感に基づく大いなる誤解」であるとし、現在の大学病院は、質の高い安心安全な医療、チーム医療の実践の場であり、地域医療や女性医師支援・キャリア支援にも積極的に行うほか、卒前と卒後のシームレスな医師養成の制度設計にも関わっていると説明。専門医制度と大学病院が、地域医療や我が国の医療・医学の発展において果たす役割は大きいとし、関係者の理解を求めている。

 同会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、「確かに過去には硬直した医局システムがあったが、今はない。地域医療に貢献しているなど、大学病院の役割を正しく理解していないのではないかと懸念し、やはり反論せざるを得ないと考えた」と、反論に至る経緯を説明した。


 全国市長会の緊急要望は4月14日に塩崎恭久厚労相に提出(『「国民不在の新専門医制度を危惧」、全国市長会』を参照)。その後、厚生労働省の新専門医制度をめぐる議論において緊急要望が影響を及ぼしていたことから、国立大学医学部長会議も5月17日に、反論を公表していた(『「重大な事実誤認、看過できず」、国立大学医学部長会議』を参照)。

 5月26日の記者会見では、反論に関連して、新専門医制度、大学医局の役割や地域医療との関係についての質問が出た。新専門医制度については、前日25日の厚生労働省の検討会で、日本専門医機構の「専門医制度新整備指針」の改正方針が了承された(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。

 全国医学部長病院長会議の「専門医に関するワーキンググループ」座長の島田眞路氏(山梨大学学長)は、「専門医取得は義務ではない」という新整備指針の改正方針について、「やはり患者を診る臨床医であれば、基本的には19の基本領域のいずれかで、きちんとした研修を受けてもらい、質を保証すべきと考えている」との見解を述べた。

 大学医局の役割に関して、同会議副会長で広報委員会委員長の稲垣暢也氏(京都大学医学部附属病院長)は、「良質な医師の養成が、医局の一番重大な使命だと考えている。地方では、医局人事で地域医療が保たれており、それを否定的に捉えると、逆に地域医療の崩壊につながりかねない」と理解を求めた。

 同会議医学教育委員会委員長の山下英俊氏(山形大学医学部長)は、「医局は、教育のためのシステムであり、山形大学は、医局機能を強化すると明言している」と紹介、医師は生涯にわたって教育・研修をしていく必要があり、それを支えるのが大学医局であるとした。一方で、医師の人事については、各医局独自に行うのではなく、「山形大学蔵王協議会」内に、「地域医療医師適正配置委員会」を設置、医師以外の人も交え、透明性を確保しつつ、適材適所を進めているという。

 さらに大学医局と地域医療との関係について、新井氏は、「大学医局は、医師の質保証と地域医療への配慮を両立させるための重要な機能を果たしている。それが否定されると、いったいどうなるのか」と提起した。「医師養成の基本は、屋根瓦方式であり、これができるのが医局」とし、新専門医制度では、研修プログラム制の採用により、地域医療に配慮しながら研修できる体制になっていると説明した。

 5つの柱で全国市長会に反論
 全国医学部長病院長会議は、全国市長会の6つの緊急要望に対し、5つに分けて反論。特に医師養成に携わる立場から強調したのは、「医師の診療活動開始年齢の遅延と医療コスト増大」と「.若手医師たちに義務的に医局生活を強いる理不尽」という二つの緊急要望への反論だ。

 「医師の診療活動開始年齢の遅延と医療コスト増大」については、「専門医となるためには、しかるべき研修施設で、しかるべき指導医・指導体制のもと、卒後臨床研修後3~5年の勉学、研修は必要最低限」と指摘。「現行制度では2年の卒後臨床研修を修了しても、一人前の医師としては全く不十分で、独り立ちはできない」とし、専門的な知識や技術を持たない医師が増えれば、結果として質と安全性が低い医療が蔓延することになり、「それこそが医療費の無駄遣い。国民の理解が得られるのか。大いに危惧する」と反論した。

 「.若手医師たちに義務的に医局生活を強いる理不尽」については、「過去において硬直した医局システムが存在したのは事実」と認めたものの、批判を真摯に受け止め、自己改革を進めてきたとし、現在の大学病院は、質の高い安心安全な医療、患者中心のチーム医療を実践し、地域医療、女性医師支援・キャリア支援、医学教育の改革や卒前・卒後のシームレスな医師育成の制度設計などにも積極的に関わっていると主張した。

 そのほか、「中・小規模病院が危機に陥る懸念」と「地方創生に逆行する危険と医師偏在の助長」については、「研修プログラム制を原則取ることで、地域の病院にも医師が循環することが担保される」「研修カリキュラム制は、例外的に認めている」とし、医師偏在は2004年度に始まった臨床研修制度にその原因があり、「新専門医制度は改善こそすれ、悪化させるものではない」と反論した。

 「初期研修制度導入時に立ち返りPDCA で考えるべき」に関しては、「まさにPDCAの発想で対応し、同制度の反省のもとに生まれたのが、新専門医制度と言える」と指摘。「専門職自律という国民不在の議論」については、プロフェッショナルオートノミー(専門職自律)は、医師の行動規範であり、「日本専門医機構が、専門職自律を専門医育成の基本的な概念とすることは、極めて自然」との見解を示した。



https://www.m3.com/news/general/532371
伊万里松浦病院の移転で特例適用を 松浦市が県に要望
2017年5月27日 (土) 長崎新聞

 松浦市は25日、誘致を目指す伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を市に移転するために必要な特例措置の適用など10項目を県に要望した。

 松浦市は、伊万里松浦病院を市内に移転する方向で、病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構と協議を進める。しかし同市を含む「佐世保県北医療圏」の病床数が基準を上回っているため、同機構は県と国から特例措置の適用を受ける必要がある。

 友広郁洋市長は市内に中核となる公的医療機関がなく、救急患者の7割が市外に搬送されている実情などを挙げ、病院移転の必要性を強調した。

 中村法道知事は「地域の医療ニーズに応えることは大きな課題。特例措置を視野に手続きが進められるよう、まずは地元で合意形成を図ってほしい」と応じた。

 このほか老朽化が進む松浦魚市場の再整備への支援や九州電力玄海原発の再稼働に絡む原子力防災対策の充実を国に働き掛けることなどを求めた。
伊万里松浦
G3作成:松浦市伊万里市の地図/県境をまたぐものの隣接のほぼ同一の生活圏


  1. 2017/05/27(土) 06:20:26|
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5月21日 

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170520/asahi_2017051100039.html
病院難民が首都圏で続出! 中東並みの医師数で日本の医療は崩壊
AERA dot. 2017年5月20日 11時30分 (2017年5月21日 10時52分 更新)

 首都圏の医療システムは急速に崩壊しつつある。近年、相次ぐ病院閉鎖から、その様子をうかがい知ることができる。人口あたりの医師数は中南米以下、優秀な医師は地方に流出し、大学病院や私立病院は倒産、首都圏に病院難民が続出する――。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、迫りくる首都圏の医療崩壊を警告している。

*  *  *
 医師不足による入院診療の閉鎖は、首都圏ではありふれた話になりつつあります。

 2009年7月末には千葉県松戸市の新八柱台病院と五香病院、二つの民間病院が休止しました。二つの病院を併せて入院は124床。閉院時、両病院で合計約90人の患者が入院しており、松戸市立病院など近隣の病院に転院しました。

 11年末には、埼玉県の志木市立市民病院が「小児・小児外科入院診療の看板を下ろし、高齢者向けの訪問看護や在宅診療の充実などに比重を移そうと考えている」と発表し、小児科診療を止める方針を明らかにしました。小児科の常勤医は59~64歳の3人だけですから、継続のしようがありません。

 志木市立市民病院は、地域の中核医療機関でした。突然の話に市民は猛反対し、志木市は12年1月に有識者による志木市立市民病院改革委員会を設置しました。委員会では、短期施策として「大学病院の重点関連病院としての指定を要請する」ことが提言されました。志木市は日大医学部に医師派遣を要請しましたが、「若い医師が卒業後、研修の場とするには機能が十分ではない」(日大広報課)と断られてしまいます。結局、14年3月末で志木市立市民病院は閉院。民間の「TMG宗岡中央病院」として再出発しました。

 志木市によれば、収益源だった整形外科医の退職などにより経営が悪化し、10年度以降の4年間で総額約20億円の公費を投入し、病院の赤字を埋めてきたそうです。歳入約230億円の志木市にとり、大きな負担であったことは間違いありません。

 災害による影響で、医師不足に追い込まれた病院もあります。北茨城市立総合病院(現北茨城市民病院)では、福島第一原発事故の影響を受け、大勢の医師が退職しました。

 北茨城市立総合病院は199床の地域の拠点病院です。震災前は14診療科があり、16人の常勤医がいましたが、11年9月17日付けの東京新聞夕刊によると、3月31日付けで常勤医2人、4月30日付けで2人が退職したそうです。5月に着任予定だった医師も内定を辞退し、常勤医は11人に減りました。16年末時点で、常勤医は15人に回復しましたが、28人いた04年には遠く及びません。

 このような病院崩壊の例は氷山の一角に過ぎません。首都圏は、山手線の内部など一部を除き、どこも似たような状況です。このままでは、東京のベッドタウンに広大な「無医村地区」ができてしまいます。

 なぜ、医師が不足しているのでしょうか。それは、戦後、首都圏の人口が急増したのに対し、十分な医師が確保できていないためです。医師不足を議論する際には、人口あたりの医師数で考えるべきです。一人あたりの医師が診ることができる患者数には限界があるからです。

 首都圏は医師の絶対数は多いものの、住民も多く、住民の人口あたりに直すと、決して多くありません。人口10万人あたりの医師数は首都圏230人に対し、四国は278人、九州北部は287人。実に2割以上の差があります。

 東京都以外の首都圏の医師不足は、極めて深刻です。人口10万人あたりの医師数は東京都323人に対し、埼玉県159人、千葉県189人、神奈川県209人。これは、南米や中東並みの数字です。

 医師など医療資源が足りない地域では、十分な医療を受けられないために新生児死亡率が上がり、寿命も短くなる傾向があります。たとえば、15年度のトルコの新生児死亡率は1000人あたり7.1人、平均寿命は男性72.6歳、女性78.9歳です(日本の新生児死亡率は1000人あたり0.9人、平均寿命は男性80.5歳、女性86.8歳)。

 がんの手術のように、ある程度の時間をかけて準備できる医療は別として、外科や産科、小児科などの救急医療は近所に病院がなければ対応できません。埼玉県や千葉県の住民が、このような病気を発症すれば、なかなか引き受けてくれる病院が見つからないのです。

 ところが、埼玉県や千葉県に在住の方の多くは、地元で医師が不足しているという問題自体を認識していません。地元のメディアの影響力が弱いのも一因です。この地域の住民の多くは全国ネットのテレビをみて、朝日新聞や読売新聞など全国紙を購読しています。各県で地域のニュースも紹介されますが、その絶対量は少なく、地元で起こっていることを十分に伝えることはできていません。

 このため、住民は地元の問題を驚くほど認識していないのです。

 私が勤務した大宮赤十字病院のスタッフの中にさえ、「何かあれば、東京の病院に行くから大丈夫よ」という人がいたくらいです。

 医師不足は、政府や役所任せでは解決しません。メディアも含め、地域の総力を挙げて取り組むべき問題です。その際、メディアは重要な役割を果たすと考えています。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/205734
深刻な首都圏の医師不足 元凶は厚労省と医師会!?
2017年5月20日日刊ゲンダイ

 日本の医療システムは今、根底から崩壊しつつある。原因は、医師の不足。しかも、その崩壊は首都圏から始まっているという。

 上昌広著「病院は東京から破綻する」(朝日新聞出版 1500円)では、医師である著者が、先進国とは思えぬ日本の医療崩壊のありさまについて明らかにしていく。

 地方からは、首都圏の医療体制は充実しているように見えるかもしれない。しかし、医師不足の問題は人口当たりの医師数で考える必要がある。1人の医師が診ることのできる患者数には限界があり、日本の人口分布は首都圏に偏り過ぎているためだ。人口10万人当たりの医師数を見てみると、四国では278人、九州北部では287人などとなっているのに対し、首都圏では230人と大きな差がある。

 さらに、東京都以外の首都圏の医師不足は極めて深刻だ。神奈川県の人口10万人当たりの医師数は209人、千葉県は189人、埼玉県に至っては159人で、これは新生児死亡率が高く寿命も短い、南米や中東並みの数字である。2013年、埼玉県久喜市で救急車を呼んだ75歳の男性が、25の病院から合計36回も受け入れを断られ、最終的には県外の病院で死亡するという痛ましい事態が起きた。これも医師不足の弊害であると本書。

 医師不足解消には、医学部の新設や医学部の定員増員を行う必要があるが、これを阻む勢力がある。まずは、医師が増えると医療費も増えると考え、これを何としても避けたい厚労省。そして、医学部の定員増員で将来的なライバルを増やしたくない、日本医師会だ。医学部新設の是非を議論する文科省の検討会では、「数が増えて儲からなくなった歯科医のようになりたくない」と公言してはばからない医師会幹部もいるというから呆れるばかりだ。

 実は、この反対勢力と戦っていたのが厚労大臣時代の舛添前都知事で、10年間で医学部定員を5割増やすことを決定。2009年に与党となった民主党も、これを踏襲していた。しかし自民党政権となった現在、この方針はすっかりうやむやになっている。医療崩壊の実態と原因を、私たちは早急に知る必要がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/526566
医療維新
医師からの業務移譲、夢物語にあらず - 渋谷健司・厚労省ビジョン検討会座長に聞く◆Vol.3
「高付加価値、高生産性」体制の確立が先決

インタビュー 2017年5月20日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――報告書について、幾つか各論をお聞きします。「ビジョンの方向性」を打ち出し、それぞれについて「具体的アクション」を提示しています。例えば、タスク・シフティング、タスク・シェアリングを掲げ、診療看護師(仮称)の創設も打ち出しています。この辺りの実現可能性をどうお考えでしょうか。

 タスク・シフティング、タスク・シェアリングは、ビジョン検討会でヒアリングした病院をはじめ、日本でも幾つかの病院で既に実践されています。だからあえて、診療看護師(仮称)が可能な医行為の例として、「胸腔穿刺」などを例として挙げたのです。現行法の中でできるのだったら、なぜやろうとしないのでしょうか。中心静脈カテーテル留置も同様です。

 もちろん、タスク・シフティング、タスク・シェアリングは、医師から仕事を奪うゼロサム・ゲームが目的ではありません。本来医師がやるべきことに注力して生産性を上げるため、そして、連携をスムーズに進めることが目的です。ここは強調させていただきたいと思います。


若手医師や女性医師に向け、「医療は、全人生をかけて追求すべきプロフェッショナルな仕事。プロとして道を極めていただきたい」と語る、渋谷健司氏。
――報告書の「具体的アクション」は、実際に既に誰かが実践していることであり、実現可能性があること。

 はい、多くは今すぐにも可能であると思います。歯科医、薬剤師、看護師など、他職種へのタスク・シフティング、あるいはタスク・シェアリングは、国内外で現実に実践している方から聞いた話であり、別に突飛なことを言っているつもりは全くなく、夢物語とは考えていません。医療関係者は真面目な方が多いので、そうした人に勇気を持ってもらいたいというのが一番の思いです。

 確かに、タスク・シフティングなどについて、「以前、議論したけれど、難しかった」という話は何度も聞きました。民主主義社会なので、実際に施策として推進するには、関係者の間で議論し、コンセンサスを得ることは必要だと思います。しかし、ビジョン検討会では、医師への実態調査やヒアリングを通して、できるだけ現場からの声を拾おうとしました。現場の方に聞いてみてください。多くがビジョン検討会の案を支持してくれるのではないでしょうか。

 報告書を公表した後、報道やネットなどでのリアクションをチェックしています。各医療関係団体からのオフィシャルなステートメントは予想された通りです(『「医師養成数増は不要」は一致、各論には異論』などを参照)。ただアクティブな薬剤師さんや看護師さんのツイートを読むと、「よく言ってくれた」「自分たちが考える薬剤師の在り方はこのようなものだ」といった意見があります。限られた意見かもしれませんが、こうした意見さえも組織がバックにあるとなかなか言えない。

 タスク・シフティングやタスク・シェアリングに対しては、医師の間でも根強い抵抗があるのは知っています。しかし、もっとそれぞれの役割分担を明確にして、医師なら医師にしかできない仕事に特化し、専門性を追求し、医師としての生産性と付加価値を上げるべきでしょう。それがプロとしての責務だと思うのです。

――利害関係を離れて調整することが必要。

 先ほども触れたように、「新たなビジョンは、伝統的な政策形成の論理や利害調整を机上で展開するだけでは策定できない」と記載しています。もちろん最後は利害調整が必要になってきますが、そこに行く前にきちんとしたビジョンに基づき将来の方向性を示し、ある程度議論のハードルを上げておく。この報告書は、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」に回答した1万6000人の現場の医師の声に基づき、議論や調整をした上で公表され、多くの人が読んでいるわけです。利害調整の場でも、それからかけ離れた結論は出しにくいと思います。

――医師の需給については、あまり踏み込んでいません。

 いえ、医師の需給については、基本的な考え方はきちんと示したつもりです。報告書の中でも、「従来からの医師等の需給・偏在に関する議論は、ともすれば、行政単位等の地理的区分に基づいた外形的な従事者数や施設等をどう配置するかという点に重点が置かれていた」「『医師不足』の定義と判断基準が曖昧若しくは機械的なままでは、真の課題解決にはつながらない」(報告書の12~13ページ)と強調しました。

 そして、「今後必要となる医師数の在り方については、一概に増減の必要性を判断することが困難である」とも書きました。これは、逃げているわけではありませんし、正直なステートメントだと思います。そもそも、医師の必要数を規範的に決めるのは困難です。また、ある一面から見れば医師数の増加が必要でも、別の一面から見れば減らしても大丈夫ということもある。結局、神学論争になります。また時代とともに変わリます。だから、実態調査などのエビデンスを重視して行くべきだと思います。

 ただ言えるのは、医師需給の議論をする前に、ビジョン検討会報告書に盛り込んだ施策を実施し、今あるリソースで、生産性と付加価値を高めることをまずやるべきということです。そして、「長期的な医師需給の在り方を考える上では、本報告書に掲げる具体的方策の達成状況やそれぞれの効果を継続的に検証するとともに、定期的に働き方実態調査を実施した上で需給推計を行うことにより、その都度必要な医師数と養成数のバランスを図っていくことが必要である」(報告書の15ページ)と考えます。

――報告書の最後には「提言の実現に向けて」として、「厚労省内に、ビジョン実行推進本部(仮称)を設置し、5~10年程度の政策工程表を作成した上で、内閣としての政府方針に位置付け、進捗管理を行うよう求める」と記載しています。

 「保健医療2035」の時もそうですが、本部を置き、提案した施策の工程表を作らないと、トップが代わったら、実行が危うくなるからです。「5~10年程度」と書いたのは、希望ではありません。構成員の皆が、「報告書の具体的アクションは、5年、10年あれば、できる」と言っていました。それくらい早いスピードで進む可能性があります。医療のパラダイムが今、大きく変わりつつあるという実感を持っています。

――進まないと、優秀な人材は皆、海外に行ってしまう可能性がある。

 そうした時代が来ることも考えられます。現に、最も優秀な高校生は、東大ではなく海外の大学に直接行く時代ですからね。医療もそうしたグローバルな流れから無縁ではないと思います。だからこそ、専門医制度や日常診療において、国際標準の質を担保し、バリューに基づく医療を提供すべきであると思います。

――最後に、ビジョン検討会が対象とした、若手医師や女性医師へのメッセージをお願いします。
 ともすると、医療はコストセクターで、お金ばかりがかかる、“お荷物的”なイメージがあります。しかし、時代は変わりつつあります。医師をはじめとする医療者は、素晴らしい職業です。医療は、全人生をかけて追求すべきプロフェッショナルな仕事。プロとして道を極めていただきたいと思っています。今後の制度設計に当たっては、そうした現場で頑張る人たちが報われるような仕組みにしていく必要があるでしょう。ビジョン検討会報告書を自分たちの問題として、ぜひ読んでほしいと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/529509
真価問われる専門医改革
「重大な事実誤認、看過できず」、国立大学医学部長会議
全国市長会による新専門医制度の「緊急要望」に反論

2017年5月17日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学医学部長会議は5月17日、記者会見を開き、全国市長会の4月12日の「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」に対して、「聞くべき主張もあるものの、我々国立大学医学部が担ってきた地域医療への貢献方策や実績に対する重大な事実誤認がある。看過できない」との反論を、5月17日に同会に提出したことを公表した(全国市長会の要望は、『「国民不在の新専門医制度を危惧」、全国市長会』を参照)。

 常置委員会委員長の内木宏延氏(福井大学医学部長)は、「地域医療を預かっているのは、市町村長だけでなく、我々国立大学もその役割を担っている」と指摘。その上で新専門医制度では、地域医療への配慮も重要だが、「優れた専門医制度を確立することが本来の目的」であり、その観点から議論していく必要性を訴えた。

 「反論」は42の国立大学医学部の総意であるという。内木氏は、この時期に反論に至った経緯として、4月24日に開かれた厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の議論を挙げ、「緊急要望が非常に大きな影響を及ぼしており、正しい方向に議論が進んでいないのではないかと懸念した」と述べ、アカデミアの立場から指摘すべき点をまとめたとした(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。

  2018年度からの新専門医制度の開始について、内木氏は、「運用細則に全面的に賛成しているわけではないが、我々の立場としては賛成。新専門医制度の本来の趣旨は、医師偏在の解消ではなく、医療水準を維持・向上させることにあり、その観点から検討すべき」と答えた。

 常置委員会相談役の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)は、「従来の専門医制度は学会認定であり、専門医認定の基準にはバラツキがあり、中には書類を出し、試験を受ければ合格だった制度もあった。循環型の研修体制で、簡単な症例から難しい症例まで幅広く経験できる研修プログラム制を採用するなど、新専門医制度においては、日本専門医機構と学会が共に手を携えて、専門医の質を担保することが重要」と強調した。

 「反論」では、まず医学の進歩は著しく、医療水準の維持・向上には卒後医師の質保証が不可欠であると指摘。また、国立大学医学部42校のうち、29校は都道府県唯一の医育機関であり、過去数十年にわたって地域医療振興に貢献してきたと説明。その上で、全国市長会の緊急要望で、「新専門医制度が医師偏在を増長する」としている点に対し、「医師配置の地域格差を生んだ根本原因は、2004年4月に創設された新医師臨床研修制度にあると考える」と指摘、同制度の改革なくして、地域の医師不足の根本的な解決がなされることはないとしている。嘉山氏は、「医師が40年間、臨床に従事すると、専門医研修は3年間にすぎない。その後の専門医がどのように分布するかが医師偏在問題にとって重要」とコメントした。

 さらに全国市長会の緊急要望における「若手医師たちに、義務的に医局生活を強いる理不尽」との指摘の具体的内容についても、下記のように反論している。

◆「若手医師たちに、義務的に医局生活を強いる理不尽」への反論
(1)「医療倫理の教育をはじめ学会が認める論文発表など基幹施設での過剰と思われる履修項目」
 医療倫理は、言うまでもなく医師にとって学習必修の項目。また実際に論文を書くことで、自分の行っている医療を深く論理的に考える力を養い、それが患者治療のレベルを向上させるために役立つ。OECDが世界一のレベルと評価している日本の医療は、日本の医師が「知識だけの医師」ではなく、「知識もあり、考えることもできる医師」であるため。従って、論文執筆は、医師として当然の責務であり、若手医師育成の重要なプロセス。決して過剰な履修項目には当たらない。
 また論文を執筆するのは必ずしも大学医局のみではなく、大学以外の医療施設でも多くの学会発表、論文発表がなされている。いわばこのような学術活動は医師の日常活動であり、決して大学医局生活を強いるものではない。

(2)「初期研修終了後に地域医療に従事している医師達を基幹施設に引き揚げることにより、地域医療にとって重大な支障を来す」
 国立大学医学部は、専門医育成において積極的に循環型教育を行ってきた。全国47都道府県のうち、33県では医育機関(医学部)が1つのみであり、これらの大学は、それぞれの所在地の医療機関にこれまで多くの医師を供給してきた実績がある。
 「今後も、都道府県の協議会などを通じて、医師の派遣、調整などを行っていくので、基幹施設に医師を引き揚げることはない」(内木氏)。

(3)「若手医師達の生活に多くの影響を与えることになる。特に若手女性医氏にとって、結婚・出産・育児の機会を奪い取ることになりかねない」
 国立大学病院の臨床各科では、女性医師のライフイベントなどに最大限配慮し、勤務形態や勤務場所の調整を行う。その上で各自の望むキャリアパスを実現するため、学位や専門医の取得を支援している。大学病院が若手医師を縛り付けるという論理は成り立たない。

(4)「社会的な制約や経済的条件により大学病院などに馴染まず、フリーの立場で地域医療に貢献する医師たちの権利・自由も奪われる」
 医師たるもの、一生の勉強が重要なので、卒業後専門とする領域の勉強をするのは当然。専門医を取得するかどうかは別として勉強する必要がある。勉強するための方法、場所を提供しているのが専門医制度であり、この精神に沿って大学病院は卒後教育を行っている。一方、この仕組みを全ての若手医師に強制することは不可能であり、実際強制はしていない。



http://www.huffingtonpost.jp/mareyuki-endo/faculty-of-medicine_b_16698634.html
「国立大学医学部長会議」はなぜ「全国市長会」への反論をしたのか?
遠藤希之
医学教育支援室長、臨床検査センター長(兼務)、東北大学病院臨床教授
投稿日: 2017年05月20日 16時27分 JST 更新: 2017年05月20日 16時27分 JST ハフィントンポスト

国立大学医学部長会議は5月17日、全国市長会の4月12日の「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」に対して、反論文を同会に提出したことを公表した。

(m3. Com. https://www.m3.com/news/iryoishin/529509)

この報道をみて、強い違和感を覚えたのは筆者だけではあるまい。市長会に「専門医機構」が反論するならわかる。しかし、なぜ、医学部長の集まりが市長会に反論するのか?

この疑問を解くには日本専門医機構の内情からみていくと判りやすいだろう。5月17日付けのJB press 「日本の医学界をいまだに仕切るゾンビ組織」に機構内情の詳しい解説が載っている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50005

この記事によると、機構では発足当初から、以前医師派遣の見返りに裏金を貰っていた経歴のある人物が事務局長を務めており(現在は退職)、現理事長も「地域医療振興協会」という医師派遣を行っている団体の「常勤顧問」だという。つまり医師派遣の見返りとして金銭を受け取る事に抵抗がない人間が機構中枢だった、ということだ。

結果として「基幹施設」が「連携施設」を従え、それらに医師を「循環」させるという仕組みが出来上がった。研修制度といいながら、基幹施設側にすれば使い勝手のいい「医師派遣制度」なのである。そして国公立大病院はほぼ全ての領域の「基幹施設」に手を挙げている。

国立大医学部長会議は、この「新」医師派遣「制度」がのどから手が出るほど欲しい、ゆえに「市長会」に筋違いの反論をしてしまった、と勘ぐられても仕方なかろう。

また、反論もとってつけたような内容が多く、それこそ「事実誤認」も目立つ。紙面の都合上、本論考では一点だけあげる。

「「医師配置の地域格差を生んだ根本原因は、2004年4月に創設された新医師臨床研修制度にあると考える」と指摘、同制度の改革なくして、地域の医師不足の根本的な解決がなされることはないとしている。」

地域格差に対して過去にもしばしばなされてきた主張だ。しかしこの主張を裏付ける具体的なデータを筆者は寡聞にして知らない。

逆に、昨年12月に森田知宏氏が発表したデータ(http://medg.jp/mt/?p=7248)は、臨床研修制度が始まったのち、むしろ医師数の地域格差は減少傾向にあることを示している。氏は「ジニ係数」と呼ばれる一般には所得格差を表す指標を用いて解析した。所得を市町村人口あたり医師数に置き換えてジニ係数を計算したのだ。その結果、新臨床研修制度が始まった2004年から2014年までに、ジニ係数は0.60から0.56と減少傾向にあったとのことだ。

医学部長会議も、仮にも科学者であるなら論拠となるデータを示すべきである。それがなければ、やはり「事実誤認」と反論されても仕方あるまい。

なお市長会は「新専門医制度が医師偏在を増長する」と述べているだけで、新専門医制度で「医師偏在を解消しろ」とは言っていない。医師数の地域格差に対して新医師臨床研修制度が問題なのであれば、強大な力をもつ医学部長会議としてそちらを先に改善したらどうだろう。

個人的には、今回の市長会への反論で、図らずも医学部長会議は自ら「日本専門医機構」という「医師派遣の利権追求団体」と同じ穴のムジナであることを証明してしまった、と思えてならないのだ。

最後に提案がある。筆者も真に質の高い「新専門医制度」を切望している者だ。この際、全国市長会、医学部長病院長会議、専門医機構、そして現場の医師達を含めた形での公開シンポジウムを開き、議論をつくしてはどうだろう。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50005
日本の医学界をいまだに仕切るゾンビ組織
問題だらけの日本専門医機構に巣食う東大と自治医科大

2017.5.17(水) 上 昌広 JB Press

 4月26日号で『認定料目当てに早くも贅沢三昧、日本専門医機構』という文章を発表し、日本専門医機構(以下、機構)のガバナンスを批判した。

 この中で、機構は収入がないのに、賃料が1坪あたり12万6421円の東京フォーラムに事務所を借り、交通費3699万円、会議費463万円の「無駄遣い」をしていることを紹介した。その後、私のところには様々な情報提供が寄せられた。

 「我々は、間違ったことはしていない。お金の問題は一切ない」と連絡してきた大学教授もいた。「19領域の学会関係者が関わるので、年間に3699万円もの交通費が必要になったのでしょう」という教授もいた。

 もちろん、こんな説明は通用しない。

こっそり退職していた事務局長

 そもそも、19領域の学会関係者の議論に機構が旅費を支給する必要はないし、仮にそうだとしたら、機構は最初から予算に計上すればいい。年初に計上された交通費の予算は1万円なのだから、「使途不明」と言われても仕方ない。

 私のところに寄せられた連絡の多くは、このように中味のないものだったが、例外もあった。知人の専門医機構関係者からは「事務局体制がお粗末で、特に事務局長が、がんでした」と連絡があった。

 この人物のことを調べたらK氏だった。どのような経緯かは分からないが、昨年末に機構を退職していた。

 このK氏は医療ガバナンスの研究者の間では知らない人がいない有名人だ。1994年に自治医大を揺るがした「茎崎病院事件」で「中心的役割を果たしたとされる人物」(『選択』2013年9月号)とされている。

 この事件では自治医大が医師派遣の見返りとして金銭授受を行っていたことが分かっている。併せて同時期に資産運用の失敗や二重帳簿が内部告発によって問題化している。

 金銭の授受については、多くのメディアが報じ、K氏も「15万円を7~8回にわたって受け取ったのは事実」(朝日新聞1994年2月22日)と認めている。

 その後、K氏は、自治医大関連の「地域医学研究基金」へ出向している。

 前出の『選択』2013年9月号では、「このK(筆者変更。本文では実名)を重用したのが高久(筆者注;髙久史麿・日本医学会会長)である。Kはその後も専門医制評価・認定機構や、医療安全全国共同行動の事務局を仕切ると同時に、会長選で高久の集票マシーンとして動いた」と説明されている。

 新専門医制度は医師派遣を通じて、大きな利権を生み出す。その事務局を、かつて医師派遣で金銭的問題の「前科」のある人物が仕切っていた。これは、一般的な社会常識と乖離する。

地域医療振興協会との利益相反も

 問題は、これだけではない。理事長を務める吉村博邦氏の肩書きだ。

 吉村氏は昭和41年に東京大学医学部を卒業した胸部外科医で、北里大学の医学部長を務めた。ただ、現在の主たる肩書きは地域医療振興協会の顧問だ。

 同協会が経営する練馬光が丘病院で、呼吸器外科の外来を担当している。同病院は、2011年に日本大学から運営権を引き継ぐ際に、必要な医師数が揃えられなかったことで社会の批判を浴びた。

 地域医療振興協会は、自治医大の卒業生が中心となって立ち上げた組織だ。事務局は千代田区平河町の都道府県会館の中にある。同じフロアには、自治医科大学も入居している。

 会長を務めるのは髙久氏だ。理事には自治医大と東大卒業生が名を連ねる。

 この組織は経常収入1123億円を上げる巨大グループで、その中核事業は、医師派遣・診療支援事業だ。機構の仕事と見事に重なる。


 機構の理事長である吉村氏が、地域医療振興協会の顧問を務めることは、常識的に考えて利益相反だ。

 このように専門医制度のことを調べると、自治医大・東大関係者の陰がちらつく。髙久氏を頂点としたピラミッドがお手盛りで決めているように見える。有力者が密室ですべてを決める点は、自民党の派閥全盛時代を髣髴させる。

 情報開示が進んだ昨今、こんなやり方は通用しない。

組織は頭から腐る

 前回もご紹介したが、髙久氏は2016年6月18日に公開されたエムスリーのインタビューで「立ち止まっていたら、きりがなく、財政的にももたなくなる」と語っていた。従来のようなごり押しが効かなくなっていることを認めている。

 私は髙久氏のことを尊敬している。本当に実力のある人物だ。戦後の日本の医学界を、現在のレベルにまで押し上げたのは彼の功績だ。

 残念なのは、彼の弟子に人材が育たなかったこと。彼をかつぎ、そのやり方をそのまま踏襲したが、いつの間にか時代に合わなくなった。その時に、どうすればいいか、髙久氏のように柔軟に対応できない。

 新専門医制度は、その象徴だ。

 厚労省と医学会が一致して決めたことが、在野の医師が反発し、それが国民に伝わり、抜本的見直しを余儀なくされつつある。

 どうして、医療界の合意を形成するか。時代に見合った透明でオープンなやり方を確立しなければならない。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201705/CK2017051702000177.html
【栃木】
佐野市民病院の民間譲渡 現指定管理者の青葉会と優先交渉へ

2017年5月17日 東京新聞

 佐野市は市民病院(同市田沼町)の民間譲渡について、現在の指定管理者「医療法人財団青葉会」(東京都)と優先的に交渉することを市議会議員全員協議会で報告した。今後、二〇一八年四月移譲などを含んだ基本協定締結に向けて交渉を進める。
 市民病院は市が直営していたが、深刻な医師不足に陥り、〇八年十月に指定管理者制度を導入、青葉会が運営している。医師確保などで改善は見られたが、経営状態は厳しく、一四年度は約二億六千万円、一五年度は約一億六千万円の赤字で、一六年度は約二億八千万円まで赤字が膨らむ見込みとなっている。
 市は一八年三月末で青葉会の指定管理が期間満了となるのに合わせ、病院の存続を目指して民間に譲渡する方針を固め、市政策審議会に諮問。市民への説明会や有識者会議を重ね、青葉会を優先的な交渉相手に決めた。
 市市民病院管理課の担当者は「まず移譲時期、医療規模の維持、耐震強度が不足している病棟の建て替えの三点を協議したい」と話し、九月の市議会定例会で一定の交渉結果を提示する考えを示した。 (吉岡潤)



http://blogos.com/article/224023/
医師の時間外労働は削減すべきなのか
武矢けいゆう
毒舌系消化器外科医 / 某市民病院で外科医
2017年05月19日 16:24 BLOGOS

働き方改革実現会議での時間外労働に対する法的規制—

こうした変革は、医療界にも大きな波紋を呼んでいる。

実際、複数地域の基幹病院に労基署の立ち入り調査が入った結果、医師の時間外労働削減と未払いの時間外賃金支給、救急車搬送の受け入れ抑制、外来枠の削減といった、著しい診療体制の縮小が行われている。

今後もこうした変化は加速し、全国的に医療体制が縮小の方向に向かう可能性が高い。

これまで厳しい労働条件に耐えてきた勤務医らにとっては朗報かもしれないが、患者にとっては、少なくとも短期的には、多大な不利益となる。

果たして、医師の時間外労働を一律に削減し、診療体制を縮小することは本当に得策なのだろうか。

私は、もっと根本的なところに問題があると考えている。

病院では「能率的な分業体制が成立し得ない」という構造的な問題である。

これは、「白い巨塔」の時代から変わらない、勤務医内での硬直した封建制が原因である。

上記のようなニュースがあると必ず、

「医師は患者の命を預かる仕事、若手医師は無給の時間外労働も、自己研鑽と思って喜んで引き受けるべき」

との反論が起こる。

若かりし頃に先輩に厳しくしごかれ、朝から晩まで薄給で働き、家に帰るのも週に1、2日という厳しい労働に耐えてきたベテラン医師たちは、「体力、気力のない奴は医師をやめてしまえ」と公言して憚らない。

勤務医の間には昔から、「自分が味わった苦労を同じだけ味わって成長しろ」という精神論が蔓延り、若手医師たちは厳しい年功序列制の中で、これまでその泥臭い労働で病院を支えてきたのである。

しかし時代は変わりつつある。医療界も変わらなければ、旧態依然との謗りを免れない。

確かに若手医師の精神を鍛えるのは大事なことである。上下関係をわきまえ、礼節を重んじることのできる医師を養成することも大切だ。

どの職場でも、若手の仕事は必然的に雑務が多くなるが、「下っ端」なのだから当然である。そういった仕事も丁寧にこなすのが若手の役目だ。

若手の仕事は野球部の球拾いと同じだ。球拾い自体で野球の技術が上達することはないが、先輩たちは、球拾いという雑務を黙々と誠実にこなす後輩に、バッターボックスに立つチャンスを与えたいと思うものだ。

私の周囲にも雑用が多すぎると不平ばかり言う若手医師がいるが、そういう姿勢では自らチャンスを捨てているようなものである。

「若手は文句ばかり言わず仕事に励め」

確かにその通りである。

だがその一方で、「自分が体験した辛い苦労を後輩にはさせたくない」と思う先輩が一定数いなければ、組織全体のパフォーマンスは上がらない。

自分が苦労して何かをやり遂げて、歩いてきた道を振り返った時、「こうすればもっと効率的にできたのに」と思うことが必ずある。

先輩とは、後輩が困難を前に立ち尽くした時、それを乗り越える「近道」を知っている唯一の存在だ。

その道のベテランならなおさらそうだ。若手に対して、百戦錬磨の経験から他の誰も提示することのできない最適な解決策を伝えられるはずである。

こうして、同じ業務をより簡単に、より能率的に行うためのノウハウの蓄積によってこそ、組織のパフォーマンスは高まっていくのである。

病院において、目指すべき最大のゴールは「患者の利益」である。そして、病院全体が組織として、患者に最大の利益を提供するにはどうすれば良いかを考えなければならない。

果たして、一律に医師の時間外労働を削ることが、我が国の医療の利益に資するかどうか。もう一度よく考えたいところである。



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16665010Q7A520C1M10400/
がん死亡、私の街は…
2017/5/21付日本経済新聞 朝刊

 自分が住んでいる街と隣の街で病気の死亡率に大きな格差があったとしたら……。日本経済新聞が全国1741市区町村のがんの死亡率を調べたところ、同じ県内なのに2倍を超える格差があることが分かった。医療費を使わずに死亡率が低い地域がある一方、医療費を多く使っているのに死亡率が高い地域もある。どこに問題があるのだろうか。日経電子版ビジュアルデータ「全国市区町村マップ」ではがんのほか、心臓病、脳卒中のデータも掲載した。まず自分が住んでいる市区町村、都道府県の実態を見てみよう。(1面参照)
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(地図の詳細)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/health-expenditures-map/


 「医療費を多く使えば死亡率は低くなるのでは」。そう思う人がいるかもしれない。だが日本経済新聞が全市区町村の死亡率と1人当たりの医療費の関係を比較したところ、医療費が高くても死亡率が高い自治体もあり、必ずしもそうではないことが分かった。

 「散布図」というグラフで、横軸は死亡率が右にいくほど高くなるようにし、縦軸は1人当たり医療費を上にいくほど高くなるようにして全国平均との関係で比較すると、4つのタイプが浮かび上がる。

 右上は「医療費が高く、死亡率も高い」タイプ。「多くの医療費を使っているのに、死亡率が高い」地域だ。医療機関が多い大都市が目立つ。病気になる人が多く、医療費がかさんでいる可能性もあるが、投じた医療費が死亡率の改善に寄与していないのかもしれない。

 右下は「医療費は低く、死亡率が高い」タイプ。東北など医療過疎とされる地域が多い。医療機関が少なく、必要な医療を受けられていない可能性がある。

 左上は「医療費は高いが、死亡率が低い」タイプ。右上のタイプと同様、大都市が多いが、治療が死亡率の低減に結びついているとも推測できる。

 左下は「医療費が低く、死亡率も低い」という理想的なタイプ。健康長寿とされる長野県などの自治体が多い。同じ死亡率ならば医療費は低い方がいい。他のタイプが費用対効果を見直す参考になりそうだ。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO 166659 10Q7A520C 1EA3000/
医療費の伸び抑制、地域差是正がカギ 市区町村で最大2.2倍
20 17/5/2 1 1:3 1日本経済新聞 電子版

 日本経済新聞社の調査で、市区町村ごとに 1人当たりの医療費に大きな格差があることが分かった。人口 1万人以上では最大2.2倍あった。医療がより必要になる高齢者の増加に加え、医療技術の進歩や医療サービスの充実で医療費は増え続けている。伸びを抑制するため「まず 1人当たり医療費の地域差を半減すべきだ」との指摘も出ている。

 人口 1万人以上でみると、北海道や熊本県で 1人当たりの医療費が60万円を超える自治体がある一方、群馬県や千葉県などで30万円前後にとどまる自治体があった。

  1人当たりの医療費を押し上げているのは高齢化の影響がある。今回の調査では75歳以上の人口の割合が高いほど、全年代の 1人当たりの医療費が高い傾向があることが分かった。

 一方で今回の調査では75歳以上の人口の割合が 15.6%の長野県佐久市は医療費、死亡率ともに全国平均を下回っていたが、 1 1.5%の札幌市はいずれも全国平均を上回るなど、高齢化だけではない格差も判明した。

 食事や運動といった生活習慣の改善などによる「 1次予防」のほか、がん検診などによる早期発見・早期治療の「2次予防」の取り組みが影響している可能性がある。

 厚生労働省によると、地域によって入院期間の長さや受診回数、薬剤の使用量は大きな違いがあることが分かっている。

 政府の経済財政諮問会議も医療費の伸びを抑制するため、こうした地域差を問題視。民間議員は「入院、外来を含め地域差の半減を推進すべきだ」として、自治体の取り組みを検証する仕組みなどを求めている。(社会部次長 前村聡)



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO 16670880R20C 17A5MM8000/
砂上の安心網がん死亡、同じ県内で格差
本社調査 医療費の効果、検証必要

20 17/5/2 1付日本経済新聞 朝刊

  1人当たりの医療費が高いのに、全国平均と比べてがん死亡数が多い市区町村が全体の3割に上ることが20日、日本経済新聞社の調査で分かった。がん死亡の割合を比較したところ、同じ都道府県内でも市区町村間で大きな格差があった。約40兆円の国民医療費は膨らみ続けており、社会保障の持続可能性を高めるため費用と効果を検証し、地域の特性に合わせた対策が必要になる。(砂上の安心網特集面、関連記事総合3面に)

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 日本経済新聞社は年齢調整をした死亡率(死亡数の対全国平均比率=総合2面きょうのことば)と、 1人当たり医療費のデータを入手し、全国 174 1市区町村を初めて分析した。死亡率は全国平均( 100)に対し、死亡数がどのくらい多いか少ないかを示す。 1 10なら 1割高く、80なら2割低いことになる。

 がんは日本人の死因のトップで2人に 1人がかかるとされている。抗がん剤など高額の治療も増え、国の医療費に大きな影響を与えている。

 調査結果から浮かび上がるのは、医療費を多く使っている自治体が必ずしもがんの死亡率を抑えられていない現実だ。男性のがんで医療費と死亡率の関係を調べたところ、いずれも全国平均を上回る自治体は520に上り、全体の29.9%を占めた。札幌市や高知市、大阪市といった医療機関が充実している都市部の自治体が目立った。

 医療行為の価格(診療報酬)は全国で同じだ。 1人当たり医療費が高くなる理由は、同じ疾患でも入院期間が長かったり、受診する回数や検査などが多かったりすることが挙げられる。食生活や運動など生活習慣の違いで地域の患者数が多いことも影響する。

 東京都を分析すると、奥多摩町は男性のがんの死亡率が全国平均を上回っている。特に胃、肝がんの死亡率が高い。医療費は高齢化の影響だけでなく、予防や治療などの対策に課題もあり、全国平均を上回っている。

 対照的に医療費と死亡率がともに全国平均を下回る自治体は428で、全体の24.6%だった。長野県佐久市など健康長寿で知られる自治体が目立った。

 東京都でも杉並区はがんの死亡率が全国平均より2割以上低く、医療費も全国平均を下回っている。区の担当者は「区独自にがん対策の5カ年計画を策定し、予防を中心に対策を強化している」と説明、さらに死亡率を下げる取り組みを推し進めている。

 今回の調査では、このように同じ県内でも市区町村別で医療費と死亡率に大きな格差があることが判明。人口 1万人以上の自治体で比較したところ、死亡率の県内格差は男性は北海道が 1.78倍、女性は鹿児島県が2.30倍で最も大きかった。

 医療費の総額は現在約4 1兆円で、毎年数千億~ 1兆円程度増え続けている。高齢化と医療技術の進歩で医療費の伸びには拍車がかかる見通しで、少子化で支え手が減るなか、効果の検証を通じた抑制策が不可欠になっている。

 政府は7月にも今後6年間のがん対策の基本方針を決定する予定で、都道府県は年度内にがん対策の基本計画を作る必要がある。 10年前の計画で掲げた死亡率などの目標達成は難しい状況だ。

 これまで都道府県の計画は市区町村別の対策まで踏み込んでいないケースが多い。医療費を有効に使うためにも、こうしたデータから死亡率の高い原因を分析し、きめ細かい対策を講じる必要がある。



 日本経済新聞社は日経電子版にビジュアルデータ「全市区町村マップ」を掲載した。住んでいる市区町村を選択すれば、死亡率や医療費の現状を知ることができる。

 調査の概要 市区町村別のがんの死亡率は厚生労働省が算出している「標準化死亡比」を使って都道府県ごとに格差を算出した。年齢構成の違いは調整されているが、人口が少ないと誤差が大きいため人口 1万人以上の市区町村で比較した。
 市区町村別の 1人当たり医療費は、75歳以上の後期高齢者医療制度を運営する各都道府県の広域連合から独自に入手。厚労省が公表している75歳未満が加入する市町村国保のデータと、国勢調査の人口から20 14年度分を推計した。



http://www.medwatch.jp/?p= 13769
収入の大きな病院はさらに収入が増加する傾向、病院の競争が激化―厚労省
20 17/05/ 18 MedWatch

20 15年度における医科病院の 1施設当たり医療費の平均は26億円で、(前年度に比べて7800万円・3. 1%増加)、バラつきがさらに大きくなっている―。

こうした状況が、厚生労働省が 19日に公表した20 15年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収入のばらつきは年々拡大、収入の大きな病院では、より収入が増加

厚生労働省では、毎月の「医療費の動向」(MEDIAS)の中で医療機関 1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。もっとも、医療機関の規模や状況はさまざまなので、医療機関の規模( 1施設当たりの医療費階級別)別でも医療費の状況を分析しています(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、20 15年度の 1施設当たり医療費は平均で26億円ちょうど。20 1 1年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり( 1 1年度:23億4900万円→ 12年度:24億 1600万円→ 13年度:24億6400万円→ 14年度:25億2200万円→ 15年度:26億円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています( 1 1年度:37億3900万円→ 12年度:39億900万円→ 13年度:40億600万円→ 14年度:40億9800万円→ 15年度:42億8 100万円)。

 
後述するように、 1施設当たり医療費は「病院収入」に読み替えることができ、このバラつきが大きくなっていることから、「地域における競争が激化している」ものと伺えます(収入の大きな病院はより大きく、収入の小さな病院はより小さく)。平均在院日数の短縮が進む中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。このため「より広域での新規患者獲得」を目指すことになりますが、この状況は競合となる病院も同じなので、競争が激化することになるのです。自院の状況を確認することはもちろん、「競合となる他院の状況」「全国における自院の状況」「地域での立ち位置」(今後果たすべき機能)「地域の患者動向」などを総合的に把握して、病床削減や統合・再編すらも視野に入れた経営戦略を練る必要があります(関連記事はこちら)。
また 1施設当たりの医療費階級別に「 1施設当たり医療費の伸び率」を見ると、医療費の少ない病院では医療費の伸び率に大きな幅があり、逆に、医療費の多い病院では、伸び率の幅が小さいこと、また医療費の多い病院のほうが医療費の伸び率が高くなることも分かりました。


「 1施設当たりの医療費」は、いわば「病院収入」と考えることができます。したがって、「収入の少ない病院群では、増収病院と減収病院のばらつきが大きく、収入が大きくなるにつれて増収病院と減収病院の格差が収斂していく」、「収入の少ない病院では、収入源となる病院もあるが、収入の多い病院では安定して収入が増加している」ことが伺えます。入院と入院外に分けると、入院外においてこの傾向がより強いようです。これが、前述の「収入のバラつき拡大」につながっていると考えられ、早急な経営戦略の策定・見直しが必要と言えるでしょう。

 
なお、機能別に病院の「 1日当たり医療費」を見ると、▼特定機能病院で高く、かつバラつきが小さい(施設数が少ないことも関係するが)▼DPC対象病院とそれ以外とでは、DPC病院で高い—ことなども明確になっています。



http://www.medwatch.jp/?p= 13756
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
20 17/05/ 18 MedWatch

従前、各学会が独自に運用していた専門医制度を、国民に分かりやすく標準化するために新専門医制度が創設された。地域医療確保へのさまざまな配慮を行うと同時に、柔軟な仕組みを導入している—。

日本専門医機構は 17日、新専門医制度の詳細をかみ砕いて解説する「概説とQ&A」(平成29年5月 12日版)を公開しました(機構のサイトはこちら)。

新専門医制度の概要や養成方法などを分かりやすく解説


新専門医制度の来年度(20 18年度)からの全面スタートに向けて日本専門医機構では、熱のこもった議論が続けられています。その中で「一部に、新専門医制度や機構に対する誤解がある」ことが分かり、国民や専攻医を含めた関係者に向けて、分かりやすいQ&Aを作成し、順次改訂していくこととしたものです(関連記事はこちら)。

今回公表されたのは初版(平成29年5月 12日版)では、▼専門医制度とは何か、なぜ必要か▼従来の専門医制度と新制度との違いと、その理由▼日本専門医機構とは何か▼専門医の養成方法▼専門医の更新方法▼専攻医を受け入れる施設の対応—などについて解説しています。

例えば、専門医制度とは何かについて、神の手を持つスーパードクターではなく(もちろんこういった医師も必要)、「それぞれの専門領域で、その領域の専門研修を受け、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」であることを明確化。

従来は、各学会が独自に専門医を養成・認定していましたが、国民に分かりやすくするために「専門医制度の標準化」が必要とされたこと、新制度では学会と日本専門医機構が連携して、専門医の養成・認定を行うことを明確化。

養成方法については、▼基本領域ではプログラム制を原則とする▼サブスペシャルティ領域ではプログラム制・カリキュラム制のいずれでもよい—点にも言及。プログラム制とは「定められた年限と研修施設で、必要な症例数などを経験し、専門医資格を取得する仕組み」、カリキュラム制とは「年限や研修施設を定めず、必要な症例数などを経験し、専門医を取得する仕組み」です。カリキュラム制は、「地域医療に従事しながら、自身の状況にあわせて、5年、 10年と時間をかけて専門医資格を取得する」ことが可能ですが、日本専門医機構では「若いうちに集中的に標準的な知識・技術を学ぶことが重要」との考えから、基本領域についてはプログラム制を基本に据えています(関連記事はこちら)。

ただし、厚生労働省に設置された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」において全国市長会副会長の立谷秀清構成員(相馬市長)らから、カリキュラム制の設置を求める指摘も出ており、今後の議論によっては「基本領域においても必ずカリキュラム制を設置すること」という見直しが行われる可能性もゼロではありません。そうした場合、Q&Aも改訂されることになるでしょう(関連記事はこちらとこちら)。

また研修施設については、次の3つに分類されることを説明しています。

▼基幹施設:それぞれの領域のほとんどの到達目標を経験できる施設(要件は各領域学会が「専門医制度新整備指針」に基づいて定める)

▼連携施設:少なくとも到達目標のある項目について、特に研修することが可能な施設(常勤の指導医勤務が必要)

▼関連施設:専門医研修の継続的な指導体制が整っており適切な研修が行えると判断される施設(常勤の指導医が勤務していなくてもよい)

このうち基幹施設の要件が厳しく「大学病院しか基幹施設になれないのではないか」との指摘が出たことを受け、「専攻医の採用実績が年間350名以上の領域(当面、内科、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科)については、原則として、大学病院以外でも基幹施設になれる基準とする」ことを説明しています。もっとも、医師の少ない地域で基幹施設が複数できれば、専攻医も症例も分散してしまうため、日本専門医機構と学会、さらに都道府県協議会(専門医研修に関する協議を行う、都道府県、医師会、大学、病院団体などからなる組織)とで調整を続ける」ことも明確にされています(関連記事はこちらとこちら)。

さらに地域医療への配慮(医師偏在を助長しないように)として、▼東京▼神奈川▼愛知▼大阪▼福岡―の大都市では、「過去5年間の都市部の専門医採用実績の平均値を超えない」ことを原則とする(医師数の減少している外科と産婦人科、採用実績の少ない病理、臨床検査は除く)ことも示しました。


  1. 2017/05/21(日) 20:40:19|
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5月2日 

http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14935604924355
神栖2病院の統合構想、医師確保や通院への便宜
まちの整備、並行で

2017年5月1日(月) 茨城新聞

2病院の統合で本院として機能することが決まった神栖済生会病院=神栖市知手中央2病院の統合で本院として機能することが決まった神栖済生会病院=神栖市知手中央
医師不足で経営難が続く神栖市内2病院の統合再編問題で、統合後の本院を神栖済生会(知手中央)とし、分院を鹿島労災(土合本町)の跡地に新設する基本構想が決まった。地域住民からは「統合で医師が集まる病院に」「地元で安心して医療を受けられる環境を早く実現して」と期待の声が上がる。一方で、利用者の交通手段の確保や医師の確保・定着などを狙いに、インフラ整備などまちづくりの促進を求める声も強く、今後は地域医療の再建に向けた歩みを着実に進められるかが注目される。 (鹿嶋支社・関口沙弥加)

■基本構想

2病院の再編統合協議会(会長・小松満前県医師会長)は2018年度をめどに統合を実現させる方針。神栖済生会を増築して救急医療や入院、手術に対応する本院(新病院)とする計画。スタート時は現在の179床を維持し、基本的に2病院の診療科目が引き継がれる。将来的には増築工事などを経て、医師数50〜80人を確保し、350床の二次救急病院を目指す。

現在、両病院の常勤の医師は神栖済生会21人、鹿島労災12人の計33人。新病院は臨床研修医を受け入れる臨床研修指定病院を目指し、医師不足の解消を図る。

一方、鹿島労災は統合時に分院として機能させるため、現在の駐車場に19床以下の有床診療所を建設し、内科のほか外科や整形外科、小児科など外来でニーズの高い科目を設ける予定。現在の鹿島労災の建物は解体し、将来的には診療所に介護福祉施設などの併設も検討する。

両病院と県、市が今夏までに協定を結び、基本計画をまとめる方針。今後は事業費の負担や職員の処遇などの協議が進められる。

■ワースト2位

県内の人口10万人当たりの医師数(14年)は177・7人で、全国平均の244・9人を大きく下回り全国ワースト2位。県内の地域別にみると、神栖市を含む鹿行地域は90・7人で最も少ない。

小松会長は深刻な医師不足について、新医師臨床研修制度を挙げながら「研修医は症例の多い都会の病院などに集中。地方に派遣していた医師の大学への引き上げなどによって、地域の医師不足に拍車がかかった」と説明する。特に、鹿島労災は09年に最大40人だった常勤医師が、13年は10人まで減った。

2病院は医師不足を背景に、15年時点で鹿島労災が300床のうち100床、神栖済生会が179床のうち93床しか稼働できない状況。また、当直の医師が原則1人のため、救急患者を受け入れられないケースも少なくないという。

■住民も一緒に

2病院の統合再編に関して、鹿島労災に通う市民には期待と不安が入り交じる。同市土合南の男性(81)は「身近な病院がなくなるのは不安だが、統合による医師の確保と医療の向上に期待したい」。また、同市波崎の女性(74)は、免許返納後の通院を見通しながら「自宅から遠くなるので、交通弱者のためにもインフラの充実を図ってほしい」と求めた。

小松会長は「この地域の医療を何とかしたいという関係者の思いは一緒。住民が一緒になって地域にとって魅力ある病院を育てていくという気持ちが大事」と強調した。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170429/CK2017042902000024.html
済生会への経営移行、協議開始発表 守山市民病院
2017年4月29日 中日新聞 滋賀

 守山市は二十八日、経営難が続いている市民病院について、社会福祉法人「済生会」へ経営移行するための協議を始めると発表した。新病院の開院は来年四月を目指す。

 指定管理とするか、施設を含めた完全譲渡とするかは今後検討する。現在ある十八診療科目のうち、内科、外科、小児科、整形外科は堅持するが、他科目は済生会滋賀県病院(栗東市)など他病院との兼ね合いを考慮するという。看護師や事務職員などは、非正規も含めて新病院での雇用を確保する。

 市民病院を巡っては、診療報酬の改定や医師不足により、慢性的な赤字経営が続いていた。二〇一六年度の決算見込みでは累積赤字が約十八億円に上り、二十一億円の資本金に迫る状況。十六人いる医師は来年度、三人減る見込みで、さらに厳しい経営状況となる恐れがあった。

 宮本和宏市長は「市直営の病院経営は限界であると判断した。市民にはおわび申し上げる」と謝罪。その上で、「これまで以上に充実した病院として取り組んでもらえると思う」と新病院に期待を示した。

 (鈴木啓紀)



http://www.asahi.com/articles/ASK4Y35FXK4YUBQU001.html
赤字の守山市民病院、済生会への経営移行を協議 滋賀県
八百板一平
2017年4月29日14時00分 朝日新聞

 滋賀県守山市は28日、赤字を抱える守山市民病院(守山市守山4丁目)の経営を全国で病院を運営する「恩賜(おんし)財団済生会」(東京都)に移行する協議を始める、と発表した。病院財政の悪化や、医師の確保が難しいことなどが理由で、来年4月の新病院開設を目指すとしている。

 市民病院は1982年に、私立の病院を引き継いで発足。診療報酬の改定や、医師不足による患者数の減少などから、2016年度の決算見込みで累積赤字が約18億円になるなど、厳しい経営が続いている。

 市役所で記者会見した宮本和宏市長は「最重要課題の医師の確保が思うように進まず、市直営の病院経営は限界だ」と述べた。

 加えて、医師の高齢化や近隣の病院の診療態勢の充実などから、今後も経営の好転が見込めないとし、経営の移行に向けた協議入りを決断した、と説明した。

 新病院は、独立採算制とし、運営形態は今後、済生会側と協議する。内科や外科、小児科などの診療科の堅持▽救急・リハビリ機能の強化▽済生会のネットワークをいかした医師の確保――などを前提として協議を進めることで合意しているという。

 5月に市内で市民向けの説明会を開いて、経緯などを説明する予定。

 宮本市長は「今まで以上に充実した地域医療を提供していただけると考え、経営の移行が最善策だと判断した。市民にもしっかり説明したい」と述べた。



https://www.kochinews.co.jp/article/95780/
高知県の室戸病院が5月から入院休止 医師、薬剤師不足
2017.04.29 08:20 高知新聞

 高知県室戸市の医療法人「長康会」が運営する室戸病院(室戸市元甲、一般病床50床)が、4月末で入院患者の受け入れを休止することが4月28日までに分かった。常勤医師や薬剤師の退職に伴いスタッフの人繰りが付かなくなったためで、5月から外来患者のみを受け付ける。室戸市内で一般病床を持つのは室戸病院だけで、最も近いのは高知県安芸郡田野町の田野病院(一般病床84床)になる。...



https://mainichi.jp/articles/20170501/ddl/k28/010/318000c
川西市
市立病院、公設民営化へ 指定管理者制度で /兵庫

毎日新聞2017年5月1日 地方版 兵庫県

キセラ川西センター予定地(兵庫県川西市)
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 川西市は30日、赤字経営が続く市立川西病院(川西市東畦野5)を閉鎖し、指定管理者制度を導入した公設民営の「市立総合医療センター(仮称)」を2021年度に開業する計画を発表した。今年秋に指定管理者を募集し、来年3月市議会での議決を経て正式決定する予定。【石川勝義】

 川西病院には市が年間約10億円の補助金を出しているが、02年度から毎年赤字が続いており、今年3月末時点の累積負債額は約40億円。うち約26億円が市の貸し付けという。

 このため、指定管理者には医療水準、健全な資産、川西病院の退職者の優先採用に加えて、指定後に社会医療法人化を目指すことを条件にした。

 赤字体質の自治体病院から社会医療法人に代わることで公益性の高い地域医療を存続させることにした形で、市は今後、隣接する猪名川町や大阪府の能勢、豊能両町にも費用負担を求める方針。大塩民生市長は「川西全体の医療や、いかに市民病院を継続するかを考えた結果、指定管理者制度の導入を決めた。いろいろな力を合わせていきたい」と述べた。

 整備事業費は約176億円で財源は市債。償還は地方交付税交付金が4割、指定管理者の負担が5割で、市の実質負担額は1割としている。

 市中心部に本院の「キセラ川西センター」(川西市火打1)を建設し、現在の川西病院がある市北部には分院の「北部急病センター」を整備する。

 キセラ川西センターは26診療科、救命救急や周産期など8専門センターを設け、現在の15診療科から大幅拡充させる。病床数は400床で医師80人、看護職員400人、医療技術職100人程度の規模にする。

 北部急病センターは内科、整形外科、小児科の3診療科。入院病床は置かないが、24時間体制を取る。建設候補地は能勢電鉄山下駅前の民間所有地が最有力だが、土地取得に時間がかかる場合は現在の川西病院を暫定利用する。

〔阪神版〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/525619
シリーズ 群馬大学腹腔鏡死亡事故
群大改革「萎縮するも、エネルギーためている段階」、学長特別補佐
桑野教授も日本外科学会で会頭講演、「全員で全例を診る」

レポート 2017年5月2日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 4月28日の第117回日本外科学会定期学術集会の特別企画「医療安全ガバナンスの確立を目指した外科組織のあり方」で、群馬大学学長特別補佐の西山正彦氏(病態腫瘍薬理学教授)が「医療の質・安全性保証のためのガバナンス強化に向けて:群馬大学の試み」と題して改革状況を報告、「スタッフは多くの医療業務の中で萎縮しているが、高くジャンプする前のエネルギーをためている段階」と話した。

 同学術集会の会頭を務めた、群大総合外科学教授の桑野博行氏は、「外科学の臨床と研究から垣間見られたこと―考える外科学の実践―」と題して講演、群大における外科診療科・講座の体制を報告、入院患者や手術症例などは全員参加のカンファレンスで検討するなど、全員で全例を診る」体制を構築していると説明した。今年度は6人が新入局したと報告し、「心を一つとして未来へ向かって進んでいく」と意気込みを語った。

 西山氏は、一連の問題に対応するために学長直下に作られた医療事故調査委員会と病院改革委員会の2つの報告書が、改革の基本にあると説明(『「群大事故が投げかけた10の課題」、名大長尾氏』を参照)。大項目で27、小項目で110に達した改革事項の多くは既に実行に移しているとし、体制面では、(1)医療安全学講座、(2)先端医療開発センター、(3)地域医療研究・教育センター――のなどを新設、病院長選考過程を透明化するなどガバナンスの強化に取り組んできた(『群大、オール群馬での医師派遣の仕組みを検討』を参照)。

 一方で、一朝一夕にできない、すべきでないこととして、報告書で指摘された「風土の改革」があるとし、航空・宇宙や原子力など極度に高い安全性が求められる組織における「高い信頼性をもたらす5つの原則」を紹介。

  1. 安全性を志向する組織内の環境・文化・全職員の心構え
  2.安全を脅かす微小な徴候への感受性
  3.日常業務の偏移(期待レベルからのずれ)への高い感受性―自由な発言と報告の義務
  4.エラーが起こっても大事にならない抵抗性・受難性・弾力性
  5.年齢や序列にとらわれない専門家の重用

 また、優れた組織で生じる「二律背反則」を説明。

  1.安全性を高めると、効率が下がる
  2.規律を強化すると、創意工夫がなくなる
  3.監視を強くすると、志気が下がる
  4.マニュアル化が進むと、自主性がなくなる
  5.フールプルーフは技術低下を招く
  6.責任をキーパーソンに集中すると、集団はバラバラになる
  7.責任を厳重にすると事故隠しが起こる
  8.情報公開すると、過度に保守的となる

 群大の現状について、「残念ながら、今、急速な改革のためにスタッフは多くのdutyを抱え、多くのカンファレンスを抱え、多くの医療業務の中で少しずつ萎縮している」と話した。西山氏は「高くジャンプをする前のエネルギーを蓄えている段階」として、個人個人の意識改革に継続的に取り組んでいきたいとした。

会頭講演「全員で全例を見る」

 桑野氏も会頭講演の中で、群大外科診療科・講座の取り組みを報告した。外科系の組織は旧第1、第2外科と分かれていたが、附属病院では外科診療センターに、大学の講座では総合外科学講座に統合。センターでは毎週木曜日の午前7時から午前10時まで、外科医全員(現在48人)と手術室・病棟看護師、学生も参加するカンファレンスを開催しており、翌週の予定手術全例、入院患者全例の経過報告、死亡退院症例全例を報告する。「全員で全例を見る」と強調した。

 全てのカンファレンスの内容は議事録に残し、診療録に記載するようになっている。インフォームド・コンセントでは、説明同意文書の定型化を進めており、現在まで650種類を作成。説明の場には看護師の同席を求めており(現在は80%程度)、相手の話をさえぎることはなかったかどうかなどを看護師が5段階で評価し、医師にフィードバックする仕組みも整備した。



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO1589850028042017L60000/
厚労省、病院統合後押し
2017/4/29付日本経済新聞 地域経済 

 国が高齢化などで膨らむ医療費の抑制を強め、人口減少で今後患者数も減ると見込まれるなか、病院の経営環境は厳しさを増している。こうした病院に経営統合を促し地域医療の効率化にもつなげようと、厚生労働省は4月「地域医療連携推進法人制度」を導入した。

 同制度は病院を運営する医療法人など複数の非営利法人が「地域医療連携推進法人」を設立するもの。競争していた病院同士が役割分担し、医薬品や機器の共同購入、教育研修の共同化、資金融通などにも取り組む。4月に愛知県で設立されるなど各地で検討が進む。

 とちぎメディカルセンター(TMC)による再編は同制度によらないが、中身を先取りしたと言える。もっともTMCの役割分担では急性期から回復期への転換に時間がかかるなど、短期的な経営だけ考えたら「非効率」(関係者)な面もあり、不断の検証が必要だ。

(宇都宮支局 武田敏英)


  1. 2017/05/03(水) 06:45:20|
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