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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月29日 

http://sp.yomiuri.co.jp/economy/20161129-OYT1T50153.html?from=ytop_main4
DeNA医療サイト、誤り指摘で記事の公開中止
2016年11月29日 23時37分 読売新聞

 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)は29日、健康や医療に関する同社のインターネットサイト「WELQ(ウェルク)」の記事の公開を中止すると発表した。

 同サイトは、外部ライターなどから集めた記事を掲載していたが、内容が誤っているといった指摘が相次いでいた。

 DeNAは同サイトを2015年秋に開設した。独自に編集した記事や外部ライターに依頼したもののほか、ネット利用者からも記事を募り、一般的な美容や健康に加え、高度な専門知識が必要な医療関連の情報も提供してきた。DeNAによると、同サイトを月1回以上閲覧する利用者は延べ2000万人にも上るという。同社にとっては、閲覧数が伸びるほど広告収入が増える仕組みだった。

 だが、今月に入り、記事の内容の誤りや、他のサイトの記事を無断で掲載しているのではないかとの指摘が相次ぎ、対応を検討していたという。

 今後は、医師や薬剤師など専門家による監修体制を整え、問題がないと判断した記事から順次掲載を再開するという。

 同社は「多大なるご迷惑をおかけし、深くおわびする」とのコメントを出した。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50086.html?src=catelink
医師の勤務実態などで約10万人を調査へ- 厚労省、ビジョン策定に反映
2016年11月29日 20時00分 CB News

 厚生労働省は29日、医師の勤務実態や働き方の意向などを把握するため、約10万人の勤務医を対象に全国調査を実施すると発表した。同省によると、「これほど大規模な医師への働き方の調査は初めて」としている。【松村秀士】

 厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」が今年6月に公表した中間とりまとめでは、医師の働き方や勤務状況などの実態について、より精度の高い推計を行った上で、将来の医療提供体制のあり方と医師の新しい働き方を示すビジョンを策定すると明記。さらに、医師の働き方や勤務状況などの現状を把握するため、今年度中に「新たな全国調査を行う」とされた。

 また、先月に開かれた厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」では、医師の勤務実態などについて詳細に把握すべきとの意見が出た。

 こうした指摘などを踏まえ、厚労省は来月8日から14日にかけて、全国の病院や診療所に勤務する医師約10万人を対象に、勤務実態やキャリア意識などに関する全国規模の調査を実施する。

 主な調査内容は、▽出身地や出身医学部の所在地、家族構成、年収 ▽他職種との役割分担やキャリア意識といった将来の働き方 ▽将来の勤務地の意向―など。厚労省は早ければ来年1月にも調査結果をまとめ、同ビジョン検討会に報告して、その議論に反映させる方針だ。



https://www.m3.com/news/general/481268
医師の勤務実態調査へ 厚労省、10万人規模
2016年11月29日 (火) 共同通信社

 厚生労働省は29日、今後の医師需給の検討に生かすため、医師の勤務実態などに関する全国調査を実施すると発表した。勤務医や開業医計約10万人を対象に、1週間の勤務状況やキャリア形成に関する希望などをアンケートする。

 塩崎恭久厚労相は同日の記者会見で「医療を囲む環境には大きな変化が起きている。(有識者会議で)調査の分析結果を議論し将来の医療ビジョンや医師需給を考えてもらいたい」と述べた。

 厚労省によると、調査は12月8~14日の1週間で実施。病院や診療所計約1万2千施設を無作為に選んで調査票を送る。毎日の勤務実績を記録してもらうほか、将来の働き方についての希望や地方で勤務する意欲があるかなども尋ねる。

 医師の勤務実態を正確に把握することで医師需給の推計に生かすほか、女性医師の勤務環境改善や、地方の医師不足是正のための基礎資料とする。来年1~2月に将来の医療ビジョンに関する有識者会議で結果を報告する。



http://www.medwatch.jp/?p=11375
専門医整備指針の改訂案に対する全自病の声明、同様の見解である―日病・堺会長
2016年11月29日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 新たな専門医制度の整備指針案に対して、日本医師会の横倉義武会長や全国自治体病院協議会の邉見公雄会長が「地域医療への更なる配慮」を求める要望などを出しているが、日本病院会も同様の見解である―。

 日本病院会の堺常雄会長は、28日に開いた定例記者会見でこういった考えを明らかにしました。

 総合診療専門医については、基本領域を「家庭医」「病院の総合診療医」共通のプログラムとし、サブスペシャリティ領域で個別のプラグラムを設定することなども提案しています。

ここがポイント!
1 日病執行部の中にはプロフェッショナルオートノーミーの限界を指摘する声も
2 総合診療専門医は「家庭医」と「病院総合診療医」の2タイプ、サブスペで特化した研修を


日病執行部の中にはプロフェッショナルオートノーミーの限界を指摘する声も

 「地域の医師偏在を助長しないようにすべき」との医療現場の指摘を受け、新たな専門医制度の全面スタートが1年延期(2018年4月から)されました。日本専門医機構の新執行部は、この1年の間に課題を解決することとし、新専門医制度の骨格となる「整備指針」の改訂に向けた議論を行っています。18日には機構の吉村博邦理事長(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)から、次のような改訂方向が報告されています。

▼研修プロセスを重視する「プログラム制」以外にも、到達目標で評価する「カリキュラム制」も可能にする

▼「研修施設群」の要件を柔軟にし、指導医がいない施設でも一定の条件を満たせば連携施設に準じた施設とし、研修養成施設となることを認める

▼専門医の認定や養成プログラムの1次審査などは各学会が同機構の基準に沿って行い、機構が「基準に則っているか」の2次審査行う

 これに対し、日医の横倉会長や全自病の邉見会長は「地域医療への配慮が十分でない」とし、「都道府県ごとに大学病院以外の医療機関も含め、複数の基幹施設を認定する」「ことなどを求める要望を行っています。

 28日の日病定例記者会見で堺会長は、「質の担保」を前提として、指導医がいない施設も養成施設となれることを認めてよいのではないかなどの感想を述べた上で、「日医や全自病と同様の見解である」ことを表明しました。ただし「定数の設定」や「マッチングの導入」は是非とも必要としています。

 また日病の常任理事会では「専門医の質の担保」が重視され、「医師の地域偏在など専門医の『量』の議論だけでなく、長いスパンで『質』の担保を図る必要がある。地域偏在については専門医制度だけでは解決できないが、入り口(地域別・診療科別などの定数)をコントロールしていく必要がある」との意見が出されたことが紹介されました。なお定数については、「個別サブスペシャリティ領域の定数を設定し、それを積み上げて基本領域の定数を考えるべき」との指摘も出ています。

 なお、専門医制度は日本専門医機構と学会とが協働して制度構築・運用していくことになっていますが、日病の常任理事会では「プロフェッショナルオートノーミーと言いながら、さまざまな課題を解決できていない現実がある。行政の関与を一定程度認めるべきではないか」との指摘も一部出されたといいます。

 さらに堺会長は、専門医制度をめぐる動向を俯瞰して「大学や学会への回帰という先祖返りが起きているように見える。国家的な視点、地域医療の視点を持った議論が必要ではないか」とコメントしています。

総合診療専門医は「家庭医」と「病院総合診療医」の2タイプ、サブスペで特化した研修を

 また堺会長は総合診療専門医について、大きく「家庭医」と「病院で総合診療に携わる医師」の2タイプがあることを改めて強調。両者の業務は重なる部分もあれば、異なる部分もあります。例えば、へき地で家庭医として活躍する医師はお産(分娩)に携わる機会が少なくないですが、病院で総合診療に携わる医師ではごくごく限られます(専ら産科医師が対応するため)。また、地域包括ケア病棟などで総合診療に携わる医師は、在宅患者の急変等に対応する機会があり、家庭医に比べて、より「救急医療との連携」が必要となってきます。堺会長は、病院の総合診療医に特に求められる役割として、▼外科における術前術後の管理  ▼地域包括ケア病棟における入院患者の総合管理  ▼ERでの初期対応  ▼初期研修医を含めた若手医師の教育・研修―などを例示しています。

 日本専門医機構では総合診療専門医の養成も1年延期しており(2018年度から機構プログラムでの養成開始)、2017年度については日本プライマリ・ケア連合学会による家庭医療専門医の養成プログラムを受講した専攻医について「不利にならないような配慮を行う」としています。この点について堺会長は、▼1階部分(基本領域)は両者(家庭医と、病院の総合診療医)に共通するプログラム ▼2階部分(サブスペシャリティ領域)はそれぞれに特化したプログラム―という形の仕組みなども検討する必要性を強調しました。



http://this.kiji.is/176150205837608440?c=110564226228225532
誤診の乳房切除で和解へ
兵庫・高砂市が謝罪

2016/11/29 10:57 共同通信

 兵庫県高砂市が運営する高砂市民病院による検体の取り違えで乳がんと誤診され、右乳房の一部を切除した20代の女性が、市に約1850万円の損害賠償を求めた訴訟で、市は29日、女性へ謝罪し、約620万円を支払う内容で和解する方針を明らかにした。12月21日に成立する予定。

 市によると、大阪地裁が提示した和解案に対し、双方が今月25日に合意した。今後の安全対策に万全を期すことなどの内容なども盛り込まれた。

 訴状などによると、女性は14年4月、病院での病理検査で乳がんと診断された。別の医療機関で切除手術を受けたが、がん細胞が検出されず、病院が誤診していたと判明した。



http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/11/29/05.html
校医の大量辞任…吉川市長が登録制導入の意向 医師会と関係改善
2016年11月29日(火) 埼玉新聞

 今年3月に吉川市の小中学校医らが大量辞任していた問題で、吉川市と吉川松伏医師会が「定期予防接種で同医師会非加入の医療機関と市が個別に委託契約を締結しないこと」「市民の健康増進に取り組むこと」の合意を巡り、中原恵人市長は28日、定例記者会見で、予防接種医療機関登録制度の導入の意向を示した。

 中原市長は「医師会に加入していない医療機関に登録してもらい、(市民が医師会に非加入の医療機関で公費予防接種を受けたとしても)市民はいままでと変わらず利用できるようにする。市民の利便性は下げない」と話した。

 市は予防接種の業務を医師会に委託しており、医師会非加入の医療機関では受診者が一時、予防接種の費用を立て替えなければならなかった。2015年の市長選で中原市長が当選後、市は医師会非加入の医療機関と個別契約を結んでおり、市議会では市と医師会の関係悪化が指摘されていた。

 松伏町と医師会が既に締結している災害協定についても、今回の医師会との合意による関係改善で、中原市長は医師会と協定締結を進める意向を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=11379
一般病床数、療養病床数ともに3桁の減少―医療施設動態調査(2016年9月)
2016年11月30日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 今年(2016年)8月末から9月末にかけて、病院の一般病床数は162床、療養病床は197床減少。有床診療所数は27施設減少し、7629施設となった―。

 このような状況が、厚生労働省が毎月公表している医療施設動態調査から明らかになりました。

ここがポイント!
1 有床診の施設数、徐々に減少ペースが鈍化しているように見えるが
2 病院の一般病床は162床減、療養病床は197床減


有床診の施設数、徐々に減少ペースが鈍化しているように見えるが

 厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています。今年(2016年)9月末の医療施設総数は、全国で17万8920施設となり、前月に比べて92施設増加しました。施設数増加の最大の要因は「無床の一般診療所」の増加で、8月末時点に比べて93施設増えています。また歯科診療所も33施設の増加となりました。

 病院の施設数は、前月に比べて7施設減少し8442施設となりました。種類別に見ると、一般病院が7380施設(前月に比べて7施設減少)、精神科病院は1062施設(同増減なし)という状況です。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3827施設で、前月から4施設減少、地域医療支援病院は536施設で、前月から1施設増加しました。

 診療所に目を移すと、有床診は7629施設で、前月から27施設減少しました。2年前の2014年9月末には8532施設、1年前の2015年9月末には7961施設であったことから、2014年9月末から2015年9月末の1年間で571施設減、2015年9月末から2016年9月末の1年間で332施設減少した計算です。

 また2016年に入ってからの有床診施設数の推移を見てみると、次のようになっています。

▼2016年1月末:7834施設
 ↓(23施設減)
▼2016年2月末:7811施設
 ↓(45施設減)
▼2016年3月末:7766施設
 ↓(26施設減)
▼2016年4月末:7740施設
 ↓(24施設減)
▼2016年5月末:7716施設
 ↓(18施設減)
▼2016年6月末:7698施設
 ↓(27施設減)
▼2016年7月末:7671施設
 ↓(15施設減)
▼2016年8月末:7656施設
 ↓(27施設減)
▼2016年9月末:7629施設

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前月(2016年8月末)から病院の一般病床・療養病床ともに3桁の減少となった

 
 徐々に有床診の減少ペースが鈍化しているようにも見えます。暦月の減少数にはやや幅があるため、前述のように「1年間の推移」など、比較的長いスパンで動向を見ていく必要があるでしょう。2018年度からスタートする第7次医療計画では、病床過剰地域において有床診が一般病床を届け出られる特例を拡大することになっています。こうした取り組みや、2016年度の診療報酬改定で減少スピードがどこまで鈍化するのか、今後の推移を見守る必要があります。

病院の一般病床は162床減、療養病床は197床減

 病床数に目を向けると、2016年9月末の全病床数は166万4525床で、前月から840床減少しました。

 このうち病院の病床数は156万1005床で、前月に比べて505床の減少です。種類別に見ると、一般病床は前月から162床減少して89万1398床に、療養病床は197床減少して32万8161床となりました。精神病床も前月に比べて128床減少しています。

 有床診療所の病床数は前月から335床減少し、10万3451床となりました。2014年9月末には11万3919床、2015年9月末には10万7626床となり、2014年9月末から2015年9月末の1年間で6293床減、2015年9月末から2016年9月末の1年間で4175床減少したことになります。施設数と同様に減少ペースが落ちてきており、今後の動向に注目が集まります。
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病院の病床数は減少傾向にあったが、2016年度に入ってから減少傾向にブレーキがかかったように見える
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療養病床は2016年度に入ってから減少のスピードを上げていたが、やはりブレーキがかかったように見える



http://mainichi.jp/articles/20161129/ddl/k29/040/594000c
生駒市立病院
患者数、計画の85% 2年目上半期 /奈良

毎日新聞2016年11月29日 地方版 奈良県

 昨年6月に開院した生駒市立病院の今年度上半期の利用患者数は外来が1日平均で112人と計画の85%、入院は同85人で87%だったことが、このほど開かれた病院の管理運営協議会で報告された。患者数は想定の半分の水準だった初年度実績を踏まえた計画値に届かず、市は「市民や地域医療機関への積極的な情報提供が必要」としている。

 報告によると、整形外科の常勤医が確保できたため、外科系の入院患者が23人と前年度からほぼ倍増。一方、救急患者を受け入れた880件のうち38件が他の医療機関に転送された。転送率は前年度より下がったが、脳神経外科の常勤医が確保されていないことが転送の要因の一つだ。

 地域連携については、他医療機関からの紹介患者の割合は41・2%で、前年度より9・6ポイントアップ。一方、患者を地域の医療機関に逆に紹介した割合は14・2%だった。【熊谷仁志】



http://mainichi.jp/articles/20161129/ddl/k37/040/500000c
損賠訴訟
「帝王切開で障害」控訴審 日赤病院と和解 高松高裁 /香川

毎日新聞2016年11月29日 地方版 香川県

 高松赤十字病院(高松市)で生まれた男児の脳に重度の障害が残ったのは不適切な判断で帝王切開手術をしたことが原因だったとして、同市の男児と両親が病院を運営する日本赤十字社(東京都)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は28日、高松高裁(生島弘康裁判長)で和解が成立した。

 和解内容は双方とも非公表としているが、原告側は「納得できる内容だった」と取材に答えた。また、高松赤十字病院の網谷良一院長もコメントを発表し、「1審判決は産科・新生児医療の現場に大きな混乱をもたらす内容だったが、高裁の和解勧告で適切に是正された」とした。

 1審判決(2015年4月)によると、2003年2月、三つ子を妊娠していた母親が腹痛で高松赤十字病院に入院。胎児1人の死亡が判明し、緊急の帝王切開手術を受けて2人が生まれたが、1人に脳性まひなどの障害が残った。高松地裁は「帝王切開による早産が原因」とし、原告の請求通り約2億1100万円の賠償を命じた。病院側が控訴していた。【待鳥航志】



https://www.m3.com/news/iryoishin/480962
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
「ずさんな試験の責任は研究者らが負うべき」、白橋被告側弁護士
検察側、懲役2年6月、罰金400万円を求刑

2016年11月28日 (月) 高橋直純、軸丸靖子(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第37回公判が、11月25日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、検察側は白橋伸雄被告に懲役2年6月、同社に罰金400万円をそれぞれ求刑した。白橋被告弁護人、ノバ社弁護人はともに無罪を主張した。白橋被告の弁護人は「ずさんな試験の責任は研究者らが負うべき」と訴えた。 2015年12月16日の初公判から、ほぼ1年となる次回12月15日に結審する見通し。判決は2017年3月16日の予定。

検察側「厳重処罰が必要」
 検察側は論告で、今回の事件を「『降圧を超えた効果』があるというプロモーションを行うため、試験データを自社に有利に改ざんして、虚偽の図表等を研究者らに提供して虚偽の論文を作成させ、投稿・掲載させたという前代未聞の悪質事案である」と指摘。本件は薬事行政への信頼、日本の臨床研究の国際的信頼を失墜させたとし、「一般予防の見地から厳重処罰が必要である」とした。

 白橋被告個人については、社内での評価や地位を得るために研究者らを利用して論文を作成させたとし、「犯行動機は極めて自己中心的で、その経緯にも酌量の余地はない」と指弾。 さらに、論文に疑義が呈された後は、口裏合わせなどの隠ぺい工作を行い、現在でも事実を全面的に否認し、「反省の情が全く見られず、厳しい非難に値する」と述べた。

 ノバ社には、「本件は被告人が統計解析を一人で担当したことが原因で発生したと認められるところ、そのような状況を作り出したのは被告会社であった。適切な管理・監督を行わず放置していたもので、その責任は大きいと言わざるを得ない」と指摘した。

 さらに検察は、個別の争点について、これまでの議論を基に、(1)白橋被告がKyoto Heart Study(KHS)で、非ARB群のイベントを水増ししたか、(2)それは意図的か、(3)意図的な改ざんの場合、本件公訴事実の対象となるCCB論文、CAD論文においてどのように影響するかを認識していたか、(4)CCB論文において、恣意的な群分けをしながら、論文記載の「12カ月以上使用している」という基準として図表やデータを研究者に提供したか、(5)CCB論文において意図的な改ざんを加えたデータを提供したか、(6)研究者らが作成した記事(論文)の記述につき、被告人が記述したと言えるか、(7)論文が薬事法66条1項の「記事」の「記述」に当たるか、(8)論文を作成、投稿、掲載する行為が薬事法66条1項の「記事」の「記述」に当たるか、(9)被告の改善行為が、ノバ社の業務に関連するか――に整理。いずれも立証されていると主張した。

「立証がなされたとは到底言えない」白橋被告弁護人
 検察の論告に対し、白橋被告の弁護人は、直接証拠は存在せず、全ての状況を通じて、状況証拠による立証活動しかなされておらず、「合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証がなされたとは到底言うことはできない」として無罪を主張した。個別の争点についても「イベント数の水増しをした事実はない。仮に水増しされていたとしても第三者による行為である」、CCB論文の群分けについては「恣意的ではなく、一定の基準に基づいている。一定の基準と『12カ月以上』という論文の定義は、一致していないとは言えない。仮に一致していないと評価されるとしても、研究者らは、被告が行った群分けの実際の基準を認識していた」などと訴えた。

 検察側の立証に対しては、「個々の証拠力の低さを物量でカバーしようとするもので、質より量を重視したものと断じざるを得ない。証明力の低い証拠をどれだけ多数積み上げようとも、有罪にすることはできない」と問題視した。

 KHSについては「極めてずさんな臨床試験で、それに加担した自身の社会的責任を否定するものではない」としつつ、「ずさんな試験の責任は研究者らが負うべきものであって、補助したにすぎない被告人一人にその責めを負わせるべきではない」と主張した。

「業務に関したものではない」ノバ社側
 ノバ社側の弁護人は「KHSに不正があり、本件論文の記述に虚偽があるとすれば、さまざまな不正が不可分一体化した結果に他ならない」と主張している。特に白橋被告が研究者らを利用したとする「間接正犯」という検察側の論理構成について、「事務局医師らが、被告の道具として利用され、支配されていたとは到底言えない」と訴えた。

 また、仮に白橋被告によるイベントの水増しなどが存在したとしても、「被告人個人の判断に基づく個人的な行為であって、被告会社の業務の一環ではなく、被告会社の『業務に関した』ものではない」と強調した。

 最後にノバ社主任弁護人は 「本件は被告人の改ざんの有無が問題になっているが、研究不正が刑事罰に問われる問題かということもまた問われている。KHSが不適正な試験であったことは事実であり、ノバ社の問題意識が希薄であったことも反省すべきである。しかし、拡大解釈による訴追は学術研究の自由を妨げるものとなる」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/481299
病院勤務犬 僕はミカ 患者癒やす優しい目 介助犬は断念……見つけた天職
2016年11月29日 (火) 毎日新聞社

 身体障害者を助ける介助犬の適性はなかったが、全国でも珍しい病院の「勤務犬」に転身、入院患者の癒やしの存在として活躍する犬がいる。スタンダードプードルの「ミカ」(6歳、雄)。聖マリアンナ医科大病院=川崎市=で週2回活動する。【釣田祐喜】

 黒い巻き毛に覆われた愛らしい姿で、心身の病や出産などで不安を抱えた人を勇気づける。担当医が先月、神戸市であった日本身体障害者補助犬学会で取り組みを発表した。

 勤務犬は、同病院小児外科の長江秀樹医師(41)らが導入。きっかけは2012年、白血病で入院していた子供に「犬と遊びたい」と頼まれたこと。病棟で犬と面会を実現させた。

 長江さんは13年、日本介助犬協会(横浜市)の高柳友子事務局長に相談した。たまたま協会で訓練中だったミカは繊細な性格で介助犬としては不向きとされた。だが、体をなでられると喜ぶなど、人と触れ合うのが好きで、協会は「動物介在療法に向いている」と判断。病院への貸与を決めた。

 担当の看護師が自宅で世話しながら、ミカの心身の調子を日々確認。病院の職員証も発行され、昨年4月から活動を始めた。医師でもある高柳さんによると、治療のパートナーとして特定の犬を病院で定期的に活動させるのは珍しいという。

 ミカは「出勤日」に産科、小児病棟などで1日当たり5~6人の患者と会う。今月14日の出勤日。産科病棟の病室では、切迫早産で入院中の女性(36)がミカと長江さんを迎えた。空きベッドに座ったミカの腰を女性がさすると、ミカは気持ち良さげに横たわった。女性は「点滴を何度も取りかえて憂鬱になりがちだが、ミカちゃんに触ると気持ちが落ち着き、頑張れる」とリラックスした表情。

 長江さんは「人では難しい、患者の『やる気のスイッチ』をミカは押せる」。ミカを訓練した日本介助犬協会の桜井友衣さんは「介助犬でなくても、新しい仕事で大切な役割を果たしている。ミカに『すごい』と伝えたい」と語る。


  1. 2016/11/30(水) 06:20:38|
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11月27日 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201611/20161127_11031.html
医療費減免打ち切り 高齢被災者受診控えも
2016年11月27日日曜日 河北新報

 東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター(仙台市)など4団体は、被災者を対象に実施したアンケートの結果から、医療費窓口負担の一部免除が打ち切られた高齢者らに医療機関での受診を控える動きが広がっていると発表した。

 免除対象だったのは、国民健康保険と75歳以上の後期高齢者医療保険加入者のうち、震災で主な生計者が亡くなるなどした非課税世帯。2015年度で国からの追加支援が終わり、仙台市など大半の市町村が免除を打ち切った。石巻市など9市町は免除を継続する。
 アンケートは21市町の災害公営住宅と仮設住宅全2万戸に調査票を配布。680人から回答があった。平均年齢は70.14歳で、免除継続は139人、打ち切られたのは505人。「現在受診していない」との回答は75人で、うち70人が経済的負担を理由に挙げた。
 免除打ち切りに伴い、受診回数を減らすか中断すると答えたのは153人(26.4%)に上った。市町村によって継続、打ち切りの措置が異なることについては567人(90.0%)が「納得できない」とした。
 センターは「仮設住宅から災害公営住宅に移った人も家賃負担の発生など負担は重く、被災者の生活再建はまだ途上だ。岩手県は来年12月まで補助継続を表明しており、宮城もやるべきだ」と訴えた。


  1. 2016/11/28(月) 06:24:33|
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11月26日 

http://mainichi.jp/articles/20161126/ddl/k37/010/412000c
高松市
病院に初の貸し付け 経営難、一般会計から7.8億円 /香川

毎日新聞2016年11月26日 地方版

 高松市は25日、経営難が続く高松市民病院(同市宮脇町2、417床)に対し、7億8000万円の運転資金を一般会計から貸し付ける方針を明らかにした。病院事業会計への貸し付けは初めて。12月開会の市議会に提案する補正予算案に盛り込む。

 市民病院経営企画課によると、運転資金は25日現在で約5億6000万円。経費や人件費の支払いなどで今年度末にも底を尽きる見通しであることから、市は資金を貸し付けることにした。償還期間は2021年度から20年間。

 経営難の原因は患者の減少だ。今年4~9月の入院患者数は1日平均145人で06年度の半数以下に減った。外来患者278人も4割の水準にとどまっている。

 市民病院の昨年度の経常損益は6億800万円の赤字で過去10年で最悪となった。今年度も厳しい経営が続いており、経営企画課は「医師の確保でどれだけ入院患者を増やせるかにかかっている」としている。【岩崎邦宏】



http://www.asahi.com/articles/ASJCV0347JCTUBQU014.html
元ノバルティス社員に懲役2年6カ月求刑 論文不正事件
塩入彩
2016年11月26日06時05分 朝日新聞

 製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬「ディオバン」に関する論文不正事件で、薬の効果を示す臨床データを改ざんしたとして薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽記述・広告)の罪に問われた同社元社員、白橋伸雄被告(65)の公判が25日、東京地裁であった。検察側は「社内で評価を得るために、自社に有利になるようデータを改ざんした」として懲役2年6カ月を求刑。法人としての同社に対しても、罰金400万円を求刑した。

ノバルティス論文不正の真相は 裁判で医師らが証言
 白橋被告の弁護側は「被告がデータを改ざんした直接的な証拠はない。症例の水増しなどは第三者によるものだ」と無罪を主張。同社も被告による改ざんを否定した上で、「仮に被告による水増しがあったとしても、会社は指示していない」と無罪を訴えた。

 白橋被告は、京都府立医大がディオバンの効果を調べる研究で、データの解析などを担当していた。検察側は、データを改ざんした図表を被告が医師らに提供し、虚偽の内容の論文を書かせた、と主張した。

 一方の弁護側は、「被告より医師の方が水増しする動機があった」と指摘。被告が作った図表に間違いがあったとしても過失などで「意図した改ざんではない」と反論した。



http://mainichi.jp/articles/20161126/ddq/041/040/010000c
医療過誤
誤診でまひ 岐阜・中津川市に9774万円賠償命令 名地裁

毎日新聞2016年11月26日 中部朝刊

 病院の誤診で下半身にまひが残ったとして、岐阜県恵那市の男性(51)が中津川市民病院を運営する同県中津川市に約2億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は25日、市に9774万円の支払いを命じた。

 朝日貴浩裁判長は、後遺障害の慰謝料や障害がなければ得られたはずの収入などを認めた。一方で、現在介護している妻が高齢となった後に男性の介護サービスを雇う費用などは認めなかった。

 判決によると、男性は2011年4月、同病院で磁気共鳴画像化装置(MRI)を使った検査を受け、椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断された。実際には化膿(かのう)性椎間板炎で、適切な治療が受けられず、感染症が進行し下半身にまひが残った。

 病院は医療過誤を認めており、賠償額が争点となっていた。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201611/CK2016112602000148.html?ref=rank
【埼玉】
さいたま市 1億3900万円支払いへ 医療事故、男性側と和解

2016年11月26日 東京新聞

 さいたま市は、同市立病院(緑区)に入院中に重い後遺症を発症した男性に対し、和解金一億三千九百万円を支払うと発表した。
 市によると、男性は浦和区在住で当時二十代。二〇〇九年八月十三日に入院し、十一日後に低酸素脳症を発症、後遺症を残した。
 男性側は発症は病院側が適切な処置を採らなかったからだとして、一四年五月に市に二億三千七百万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。市は適切な治療をしたと主張を続けたが、今年八月に地裁から和解を提案され、今月七日に和解案に合意した。
 市立病院の大沢教男庶務課長は「人道的立場から患者と家族の心情を考慮した」と和解理由を説明。「後遺症が残ったことは遺憾に思っている」とコメントした。男性の入院理由や治療内容については、明らかにできないという。
 市は和解に関する議案を市議会十二月定例会に提出し、議決後に正式に和解する。 (井上峻輔)



https://www.m3.com/news/iryoishin/480394?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161126&dcf_doctor=true&mc.l=192212075
シリーズ: 奈良・勾留医師死亡事件
告発から9日目の受理、「異例に早い」と担当弁護士
不起訴なら検察審査会の審議要求を予定

2016年11月26日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 奈良県の山本病院に勤務していた男性医師(当時54歳)が、勾留中に死亡した事件で、岩手医科大学法医学講座教授の出羽厚二氏が、奈良県警察本部に提出した特別公務員暴行陵虐致死容疑の告発状が11月24日受理された(『勾留中の男性医師死亡、法医が刑事告発したわけ』を参照)。

 出羽氏の代理人弁護士を務める小泉哲二氏は11月25日、m3.comの取材に対し、「告発状は受理されると想定していたが、こんなに早いとは思っていなかった。告発しても半年くらい放置されることもあるが、今回は11月15日の提出から9日目の受理で異例に早い。メディアに取り上げられたこともあり、奈良県警としては、きちんと対応をしないと、批判の声が上がると考えたのではないか」と答えた。

 その上で、「正式な刑事裁判になると、私は自信を持っている」と小泉弁護士は話す。「奈良検察庁に送致後、不起訴になっても、我々は検察審査会に審査を求める予定だ。検察審査会は一般国民から構成される。関係書類を見たら、起訴相当と議決するだろう」。検察官は起訴相当となった場合に、起訴か不起訴かを改めて判断しなければいけない。不起訴となっても、検察審査会が改めて起訴相当と議決したら、必ず起訴される仕組みがある。「検察審査会が威力を発揮する事件だと考えている」。

 小泉弁護士は11月24日に奈良県警と話したところ、出羽氏の事情徴収を相談された。できるだけ早い時期に応じる予定だという。

 男性医師の遺族は、奈良県を相手に、損賠賠償を求めて係争中だ。今年9月26日に結審、12月末に判決の予定だが、小泉弁護士は、採用されていない意見書がある上、男性医師の勾留中の様子が分かる「留置記録」が開示されていないなどから、近く改めて弁論再開の申し立てを行う予定だ。「男性医師の全身には、打撲傷による皮下出血が及んでいる。仮に、留置施設内で自傷行為をしていたら、すぐに分かり、止められる」(小泉弁護士)。県側が出した医師の意見書には、「胡坐など長時間の同一姿勢により自分の体重で圧迫した場合などにも横紋筋融解症は生じる」などとし、強圧・打撲による筋挫滅による横紋筋融解症を否定している。

 男性医師の遺族は、「告発については、『なぜ今ごろ』という声も聞く。しかし、これまで精一杯、資料開示を求めてきても、なかなか開示されず、時間がかかった」と振り返る。「私はいまだ県から死亡について、きちんとした説明を受けていない。急性心筋梗塞という病死なら、それを証明する説明をしてもらいたい。留置記録を見て、勾留中、どんな様子だったのか知りたい」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/480398
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
安倍首相「薬価制度改革の基本方針、年内に取りまとめ」
「年4回の新薬収載の機会、最大限活用」と塩崎厚労相

2016年11月26日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 安倍晋三首相は経済財政諮問会議の11月25日の会議で、薬価制度の抜本改革に向けて、同会議で議論し、年内に基本方針を取りまとめるよう指示した(資料は、内閣府のホームページ)。民間議員は、改革のポイントとして、薬価の毎年改定、算定の透明性の確保、研究開発の促進などを挙げ、塩崎恭久厚労相はさらに踏み込んで、「新薬収載の機会(年4回)を最大限活用して、柔軟に薬価を見直し」「少なくとも年1回、これまでの改定時期に限らず薬価を見直し」を検討課題に掲げた。

 これらの提言を受け、麻生太郎財務相は、「今後、高額薬剤が登場してくると、薬価制度の抜本改革は避けられない。毎年改定など貴重な意見をもらった」、菅義偉官房長官は、「薬価の毎年改定と新薬創出・適用外薬解消等促進加算制度の強化が重要」などと発言。薬価制度の改定については、中央社会保険医療協議会の審議事項でもあり、二つの場で年末に向けて議論が進むことになる。

 そのほか、同日の会議では、一人当たり医療費の地域差半減に向けて、地域医療構想および医療費適正化計画の実行を担保するため、都道府県の権限強化について議論したほか、「2017年度の予算編成の基本方針」も答申した。基本方針は、来週の閣議で決定される見通し。

 「早急に政府基本方針を策定」
 塩崎厚労相が提出した資料では、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を緊急的に50%引き下げる対応を行ったことを説明(『オプジーボ、来年2月から50%引き下げへ』を参照)。「イノベーションの推進」と「国民皆保険制度の持続性」の両立を目指した薬価制度の抜本改革の進める観点から、以下の5つの検討の方向性を挙げ、「早急に政府基本方針を策定する」とした。

塩崎恭久厚労相の提出資料(2016年11月25日経済財政諮問会議)
1. 収載後の状況の変化に対応できるよう、効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大について、新薬収載の機会(年4回)を最大限活用して、柔軟に薬価を見直し

2. 市場環境の変化により一定以上の薬価差が生じた品目(後発品を含む)について、少なくとも年1回、これまでの改定時期に限らず薬価を見直し

3. 薬価算定方式(原価計算方式・類似薬効比較方式)の正確性・透明性の向上とイノベーション評価の加速化を図るとともに、医療保険財政に大きな影響を及ぼし得るバイオ医薬品について、研究開発支援方策(バイオシミラーについては、価格付けの方針数量シェア目標を含む)を早急に策定

4. 外国価格のより正確な把握を含め、外国価格との調整を大幅に改善

5. 費用対効果評価による価値に基づき、上市後の薬価引上げを含めた価格設定を本格導入(費用対効果評価の本格導入を加速化)

 オプジーボの教訓生かし、制度改正を
 民間議員の薬価制度の抜本改革についての提案でも、その背景として「今回のオプジーボ問題を通じて、薬価制度が抱える問題の一部が明らかになった」と指摘。「経済財政諮問会議において、厚生労働省と連携しつつ、年内に薬価制度の抜本改革の基本方針を取りまとめるべき」と、同会議主導での議論を求めている。

 改革の具体案としては、オプジーボを念頭に、薬価設定当初と異なる事態に迅速に薬価改定するため、「患者数見込みの拡大に反比例する形で薬価引き下げるルール」「高額医薬品を対象として、保険収載後においても内外の価格差が一定幅(例えば2倍以上)を超えている場合には薬価改定」などを提言。薬価算定の透明性の確保のため、「製造総原価の詳細内訳の公表を義務付け」「費用対効果評価の本格導入」を求めた。

 さらに後発医薬品については、既収載品の3~4割程度に下げるほか、流通価格を適切に反映するため、現在は2年に1回実施している薬価改定について、毎年薬価調査を行い改定することで、流通価格の下落実勢を毎年度予算に適切に反映すべきとしている。



https://www.m3.com/news/general/480143?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161126&dcf_doctor=true&mc.l=192212080
横浜・入院患者連続殺人:第三者検証委設置へ 大口病院中毒死で横浜市 /神奈川
2016年11月26日 (土) 毎日新聞社

 横浜市神奈川区の大口病院で入院中の2人が中毒死した事件を受け、市は24日、第三者による「市医療安全業務検証委員会」を設置すると発表した。院内トラブルを把握した後や、定期立ち入り検査の際の、市の病院への対応などを検証する。30日に初会合を開く。

 市には事件前、匿名で院内のトラブルを訴えるメールが届いていた。市は病院の定期立ち入り検査で、トラブルの詳細を確認せず、口頭で再発の防止を求めたが、その後に2人の中毒死が発生した。

 第三者委員会は、医療や法律の専門家など9人で構成。市健康福祉局の担当者へのヒアリングなどを基に当時の対応が適切だったのかを検証し、課題を洗い出した上で、行政の役割について提言する。報告書は来年3月上旬にまとめる予定。【水戸健一】



https://www.m3.com/news/general/480195
医療療養病床の光熱水費1日370円、全患者から徴収へ
2016年11月26日 (土) 朝日新聞

 厚生労働省は長期療養を目的とする医療療養病床の光熱水費について、原則すべての65歳以上の患者から1日当たり370円を徴収する方針を固めた。現在は軽症の高齢者ら約5万人のみから320円を徴収しているが、対象は最大約20万人に拡大。早ければ来年度から実施する。30日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会で提案する。

 病院の光熱水費は原則、自己負担を求めていない。だが、高齢者や難病患者が長期入院する医療療養病床の平均入院期間は5カ月半ほどと長く、「住まい」になっているとして、原則として患者全員からの徴収に踏み切る。徴収額は光熱水費の基準額が370円の介護保険施設に合わせる。

 現在の徴収対象者は65歳以上の患者のうち、比較的症状が軽い人など「医療区分1」に該当する約5万人。今後は比較的症状が重い「医療区分2、3」の約16万人も加える。難病患者らを除外するかどうかは調整する。治療目的で短期の入院が原則の一般病床などは、徴収を見送る方針だ。

 政府は来年度の社会保障費の自然増を6400億円から5千億円程度に圧縮することをめざしており、光熱水費の見直しで80億円程度抑制する。(生田大介)



https://www.m3.com/news/iryoishin/480414
シリーズ: 医師臨床研修部会
専門医の取得希望92.6%、2016年度研修医調査
厚労省中間報告、医師偏在解消のカギは「臨床研修地」

2016年11月26日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月24日の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)で、「2016年臨床研修修了者アンケート調査結果概要(中間報告)」を公表、臨床研修修了後のキャリアパスに関する設問では、専門医取得の希望は92.6%に上る明らかになった。一方、医学博士の取得希望は41.5%にとどまり、若手医師の専門医志向が改めて確認された(資料は、厚労省のホームページ)。

 大学医局の入局予定は、全体では74.2%と7割を超える。ただし、臨床研修実施場所で見ると差があり、大学病院で研修した医師は88.7%と高い一方、臨床研修病院で研修した医師は63.6%にとどまる。

 勤務希望地と、医学部所在地もしくは臨床研修地との関係を見ると、臨床研修地の方が、その後の勤務地を左右することが分かる。「臨床研修地と希望勤務地が同一都道府県」の医師は74.9%と高いが、「医学部所在地と希望勤務地が同一都道府県」の医師は51.8%と半数だ。医師の地域偏在解消には、研修医がどこで臨床研修を行うかが、言い換えれば、制度としては都道府県別などの研修医の定員設定、臨床研修病院側としては魅力のある研修体制作りがカギとなる。

 都道府県別の分析では、例外的な医師の動向となっているのは、東京都。都内の大学医学部卒業者を100%とした場合、出身地が都内の割合は39.6%。一方、「医師1年目(臨床研修を行った都道府県)」が都内の割合は54.2%と約半分になるが、「将来の希望(臨床研修後に希望する都道府県)」の割合は64.8%に上がる。いったんは都外に出て臨床研修を行うものの、後期研修でまた都内に戻ってくる医師が少なくないことが分かる。他は、「医師1年目」「将来の希望」と徐々に低下する都道府県が大半だ。

 臨床研修前後で、将来希望する診療科の変化については、研修後に増加する診療科は、麻酔科(希望人数割合3.0%→4.4%)、精神科(同3.7%→4.1%)など。一方、研修後に減少する診療科は、内科系(同36.5%→34.2%)、外科系(同12.0%→10.1%)など。

 「臨床研修修了者アンケート調査」は、毎年実施している調査。2016年は、2016年3月末までに臨床研修を修了予定の研修医7768人を対象に実施。調査期間は2016年3月1日から3月31日、回収数は6034人(回収率77.7%)。

 今回の調査では、新たに指導医アンケートを実施した。調査対象は、臨床研修病院に属する全ての指導医。回収数は2万2349人で、2003年度以前(臨床研修必修化前)の臨床研修修了者は84.2%、2004年度以降の臨床研修修了者は12.5%、その他・無回答3.2%。具体的項目を挙げ「臨床知識・技術・態度を今まで修得する期間があった」という回答割合は、2004年度以降の臨床研修修了者の方が多く、臨床研修制度の必修化が幅広い基本的な診療能力を身に付ける機会になっていることが明らかになった。

 「意図的アンマッチで希望地域に勤務」
 24日の医師臨床研修部会では、議論になったのが、医学部の「地域枠」について。

 「奨学金受給者」(709人、うち「地域枠」入学者は、184人)を対象に行った質問では、「臨床研修中における地域等への従事」について、「必ず求められている」「全体の期間に臨床期間中が含まれているが、必須ではない」の合計は63.6%。「臨床研修修了後における地域等への従事」は、「必ず求められている」「求められているが、全体の期間のうち一部」の合計は84.4%。

 これらのデータからは、奨学金や「地域枠」が、特定の都道府県への医師定着に一定の効果があるように見える。しかし、委員からは、意図的にマッチングに参加せず、マッチング終了後に、定員に満たない臨床研修病院の2次募集に応募するなどして、希望の勤務地に行く例があると紹介された。

 桐野座長は、「マッチングは紳士協定でやっている。こうした“裏ルート”が本当にあるのであれば、問題」と問題視し、制度的な対応の検討も必要だとした。厚労省医政局医事課によると、現状では「お願いベース」で、応募する医学生側、採用する病院側、それぞれに「地域枠」であるかどうかを確認するよう求めているという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/480050
シリーズ: m3.com意識調査
オプジーボ薬価改定、世代ごとに認識に差
「もっと下げるべき」35歳未満43%、65歳以上64%

2016年11月26日 (土) m3.com編集部

 m3.com意識調査「オプジーボ薬価50%引き下げは妥当?」で、「賛成」と回答した人は全体の83%と、賛成が多数を占める結果になった。世代別に見ると、35歳未満では20%が「反対」であったのに対し、65歳以上の「反対」は12%と、世代別にやや差異が出る結果だった。

(回答総数は1862人、35歳未満:274、35歳-49歳:766、50-64歳:714、65歳:108)

全ての調査結果はこちら⇒オプジーボ薬価50%引き下げは妥当?
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 50%という引き下げ幅については、全体の54%が「もっと引き下げるべき」と回答し、「下げすぎ」との意見は19%。

 世代別では、世代が上がるほどに「もっと引き下げるべき」の回答割合が上がる傾向があり、35歳の43%に対し、65歳以上では64%が「もっと引き下げるべき」と回答した。
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 「賛成」に関する意見としては、「医療財政の面からも対象者の拡大に応じて薬価の引き下げは妥当」、という声が目立った一方で、「反対」に関する意見としては、「国が自ら決めたルールを反故にしている、順序が違う」という声や、「今後の新薬開発にも影響が出るのでは」といった声が上がった。

自由意見はこちら→「最初の薬価が問題」「超法規的措置は妥当だったか」



https://www.m3.com/news/iryoishin/480054
シリーズ: m3.com意識調査
「最初の薬価が問題」「超法規的措置は妥当だったか」
オプジーボ薬価50%引き下げは妥当?

2016年11月26日 (土) m3.com編集部

Q3: 今回のオプジーボの薬価改定について、ご意見があればご記入ください。

調査結果はこちら→オプジーボ薬価改定、世代ごとに認識に差がつく

<賛成>

・全体として医療経済的な観点からは薬価の引き下げは賛成です。
 ただ、特定の薬品に限定しての、かなりの下げ幅での薬価改定は不公平感も強く、会社としては「やってられない」という感覚になるでしょう。
 そもそも医療費の高騰を防ぐ方法は、結果的には医師の良心と良識にかかってくると私は考えています。処方するかどうかを決めるのは医師なわけですから、一言で言うと「それだけの価格の薬を使って助ける価値があるのか」というコストパフォーマンスを考慮する医療が必要です。
 治療が奏功しある程度の寿命が得られた場合に、社会に対して貢献し得る患者は医療費をかけても治療するべきです。一方、医療費をかけて治療し寿命を得たのに、結局生活保護や各種支援、年金などで社会収支としてマイナス(大きくマイナス)とならざるを得ない場合は、ある程度以上のステージの腫瘍の時点で、BSC(本来サポートやケアにも費用はかかるので、それにも議論は必要ですが)にするべきと思います。
 人命の価値を何で決めるのか、という場合に医療費という費用面が問題になる以上、やはり収入(=納税など)で評価せざるを得ないでしょう。納税額=収入額で決めるのはどうなのか、という議論、人には芸術や発想としての無形の貢献が、という意見は分かりますが、ある程度社会に影響を与えることが出来る人材にはそれなりの収入がついてくることが多いので、結局は収入額(=国や医師が把握しやすいという意味では納税額でしょう)でラインを分け、治療群を絞って医療を行うのが現実的な選別法ではないかと思います。
 それを自分なりの信念、ライン引きをもって行うのが医師の良識だと思いますが、現状システム上も法律上もそうした判断に対してバックアップがなく、むしろ異端扱いされることも多いと思います。今後はどの対象にどの医療を行うのか、という議論を深めていかなければ、本質的に医療費の増大を解決することはできません。薬価改定そのものには賛成ですが、より一歩二歩と踏み込んだ議論が必要と思います。 【勤務医】

・薬価決定に際して、メーカーから出されている、開発費を考慮することはもちろん必要と思うが、回収を急ぐあまり高価な設定に関しては,一考を要するのではないでしょうか。今回のように適応が当初の設定数を急速に増えると予想される場合には特に大事だと思います。それと審査委員の薬剤に対するきちんとした見識だと思います。【勤務医】

・製薬会社は企業経営にかかわる問題だとしているが、予想以上に売上が伸びていることから彼らが主張していることは理解できない。このまま、不当に高額な薬剤が出続けると製薬会社は潤うかもしれないが、国民皆保険制度が崩壊する。彼らはそのことを理解すべき。高額な薬剤を使う場合には自費にするなどの制度改定が必要。【勤務医】

・そもそも厚労省はなぜこんな高価な薬を保険収載したのか?厚労省こそが今回の問題の責任者だと思う。贈収賄があったとまでは思わないが、理由を聞きたいものである。半額でも医療保険制度を揺るがす出費になるだろう。保険収載から外せばいいだけの話でしょう。【勤務医】

・価格としては妥当だが、そのプロセスに大きな疑問がある。「超法規的措置」が妥当だったかどうか内省してもらいたいし、今後、類似の事案が生じることもあると思うので、薬価改定の方法を早急に見直してほしい。【勤務医】

<反対>

・まずは医療費(特に薬剤費)の無駄遣いを削ってから、この結論にすべきだと思います。
 厚労省と日本医師会(特に開業医)は、自分の身を削るべきだと思います。効果が明らかな薬剤と不明な薬剤は、自己負担比率を変えるなどするべきです。
 風邪薬、鎮痛剤、湿布などは市販薬とすべきで、QOL薬剤の自己負担比率は上げるべきでしょう。その上でこのような結論にしないと、新薬は日本での上市を避ける方向に動くでしょう。【勤務医】

・ルールはルールですから決まっていることを、途中で変えてしまい、方針をぶれさせてはいけない。そもそも、最初の薬価が高すぎたとは思います。そこを低く抑えるべきだった。諸外国は、見通すことができ、薬価が抑えられたにもかかわらず、その辺りを見通せなかった担当の方々を、大幅減俸することが、先だと思います。途中変更したのでは、今後の製薬開発が低迷することと思います。【勤務医】

・国民の利益という錦の御旗に掲げているのであろうが、後出しジャンケンのように、ルールを守らないのは国家権力(官僚)の横暴ではないのか。もともとの薬価の決め方に問題があった。予想以上に医療財政を圧迫してしまったという責任は小野薬品にはない。こんなことが罷り通るようでは、共産主義国家と同じだ。今後、他の分野でもこれと類似したことが益々起こってくることを危惧する。【開業医】

・事前に定められた規則を破るのは悪しき前例を作ることになる。民主主義社会において時に有権者は愚かな選択をすること、そして、実際に国家存亡の秋を迎えようとしていたことを自民党は骨肉に染みるほど味わったのに、またもや同じ過ちを繰り返そうとしている。
 民共合作という、まさに自由主義、民主主義の敵がまかりまちがって政権を取る万が一の可能性をも考慮に入れて、システムとして、濫用を未然に叩き潰す必要があると思う。悪しき前例を残してはならない。【開業医】


・たくさん売れたことで値段を下げられることは、公益性のある医薬品であろうと資本主義国家の考えとしておかしい。突然の値下げでは会社経営にも影響するだろう。売れすぎや価格が高くて社会保障費を圧迫するというが、開発には多額の費用がかかっている。今後も薬価削減ばかりされると、日本で新薬が開発されなくなったり、海外とのドラッグラグが大きくなることが心配である。【薬剤師】


  1. 2016/11/27(日) 05:38:10|
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11月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/474884?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161123&dcf_doctor=true&mc.l=191707484
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
50歳以上、4割が今も医局に所属◆Vol.6
所属経験なしは6%、U35世代と差

医師調査 2016年11月23日 (水)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 医局の所属状況と意識について教えてください。
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 医局への所属状況を尋ねたところ、全体では39%が現在も所属していると回答。一方で、開業医は28%、勤務医は47%と差がついた。また、今年5月に掲載したU35 世代への調査と比べると、「所属経験なし」がU35では22%に対し、50歳以上では6%にとどまっていた。
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 理由別に集計してみると「メリットを感じている」は50歳以上では29%だったのに対し、U35では43%、「メリットもデメリットも感じない」はそれぞれ63%と39%、「デメリットを感じている」は8%と18%だった。医局に所属している割合が高いU35 のほうが、メリットもデメリットも強く感じていることが見て取れた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/479434
シリーズ: 真価問われる専門医改革
「大学以外でも基幹病院に認定を」、全自病
「専門医制度整備指針に関する声明」を公表

2016年11月23日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 全国自治体病院協議会は11月22日、日本専門医機構で現在検討されている「専門医制度整備指針」改訂案について「今までの議論やいったん立ち止まって再検討するに至った最大の要因である地域の医師偏在に全く応えていない」と指摘する内容の声明を公表した(資料は、全自病のホームページ)。各基本領域の基幹施設の基準は、大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、都道府県別に、大学病院以外の医療機関も含め複数の基幹施設が認定される基準とするよう変更を求めている。

 「専門医制度整備指針」の改訂案は、11月18日の日本専門医機構の理事会で議論されたが、一般には公開されていない。理事会後の記者会見で、同機構は、基幹病院と連携して専門医研修に取り組む施設の要件を緩和するなど、地域医療への配慮を念頭に置いた改訂を進めているとし、年内に指針を取りまとめる予定と説明(『新専門医「整備指針」、地域医療に配慮し12月に改訂』を参照)。

 全自病の会長を務める全自病会長の邉見公雄氏は、日本専門医機構の理事でもある。11月18日の理事会には、日本医師会から7項目から成る「要望書」が提出された。全自病の声明は同要望を「全面的に支援」するとし、7項目のそれぞれについて補足説明する内容だ。

 特に強く要望しているのは、「基幹施設の基準」の見直し。「大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、原則として、都道府県ごとに、大学病院以外の医療機関も含め複数の基幹施設が認定される基準とすること」を求めている。

 「現在でも各学会の提出しているプログラム整備基準は、昨年のものと基本的には何ら変わっていない」「現在の基準のままだと地域医療を支える多くの病院が独自に専門医を養成することができなくなり、都心部にしか存在しない大学病院にほとんどの専攻医が集中することになり、現在危ういところでバランスを取っている地域医療が崩壊する懸念があり」と指摘。その上で、現状でも大学病院以外でも、専門医を養成する実力のある地域の病院はたくさんあり、専門医養成を行っている研修施設の約25%は自治体立病院が占めることから、「大学病院以外の病院でも責任を持って専門医を養成できるよう、現在のプログラム整備基準を緩和することを整備指針の中に明記する」ことを要望している。

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「専門医制度整備指針に関する声明」(2016年11月22日)

1.基幹施設の基準は、大学病院のみ認定されるような基準とすることなく、原則として、都道府県ごとに、大学病院以外の医療機関も含め複数の基幹施設が認定される基準とすること。
2.従来の学会認定制度において専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望する場合は、連携施設となれること。
3.専攻医のローテートについては、特別な症例を経験するために必要になるなどの事情がなければ、原則として、6カ月未満で所属が変わらないこと。
4.専攻医の集中する都市部の都府県に基幹施設があるプログラムは、原則として、募集定員が過去 3 年間の専攻医の採用実績平均を超えないこと。
5.専攻医の採用は、基幹施設だけではなく、連携施設でも行えること。
6.プログラムの認定に当たっては、各都道府県協議会において、医師会、大学、病院団体等の地域医療関係者の了解を得ること。
7.研修期間については、妊娠、出産、育児等の理由により中断することができ、かつ、6カ月までの中断であれば、残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで、研修を延長しないで済むこと。また、6カ月以上の中断の後研修に復帰した場合でも、中断前の研修実績は、引き続き有効とされること。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/476930
再発防止策は年明け、年報は3月頃 - 木村壯介・日本医療安全調査機構常務理事に聞く◆Vol.2
「司法解剖12件」の扱いなどは今後の検討に期待

2016年11月23日 (水) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――まだ制度の趣旨が各医療機関に十分に理解されているとは言えないとのことですが、制度の普及啓発のほか、センターの役割としては、院内調査報告書を「整理、分析」し、医療事故を報告した医療機関の管理者にその結果を報告することなどがあります。

 今年6月の医療法施行規則の改正以前は、医療機関から報告書を受け取るだけだったので、報告書はどんな内容であっても、医療機関に聞き直すことはできませんでした。外部委員の有無が書いていなかったり、「再発防止策はない」との記載があればいいですが、何も書いていなければどんな検討をしたのかも分かりません。しかし、施行規則改正後は、医療機関の管理者の了解を得た上で、我々センターが確認・照会ができるようになりました。


「院内で起きた予期しない死亡を、刑事事件として扱うべきか、医療事故調査制度で調査をすべきかについては、はっきりとした線引きがなされていないので、今後検討が必要」(木村壮介氏)
――当該医療機関に、センターによる整理・分析の結果を報告したケースはあるのですか。

 確認・照会はしていますが、報告したケースはまだありません。当該医療機関に対しては、個別の事例ではなく、一般化・普遍化した内容を報告するという原則は施行規則改正後も変わっておらず、再発防止策を検討してからになります。

――当該医療機関の個々の院内調査結果について、レビューした結果を返すことはしない。

 通知でその解釈が示され、当該医療機関に対して、個別事例ではなく、一般化・普遍化した報告を行うとされています。

――センター業務として、「医療事故の再発防止に関する普及啓発を行うこと」があります。事故報告をした医療機関が受け取るものと、それ以外の医療機関に対して提供する再発防止策は同じものと、という理解になりますか。

 今のところあまり変わらないと思います。今後、医療事故全体の統計的な数値を年報として出すとともに、複数起きている事故の再発防止策をまとめる予定です。

 再発防止策のテーマとしては、中心静脈穿刺の事故や、肺血栓塞栓症が死因となった事故を選び、検討を進めています。アナフィラキシーショックについても検討予定です。

 その以外の事故も今後取り上げる予定ですが、例えば5年後に、何らかの事故について検討するため、改めて過去の院内調査結果を見直した際に、その内容が十分整っていなければ、より良い再発防止策を検討することは難しい。

 6月の施行規則改正で確認・照会ができるようになったものの、どの程度までやるかは記載されていないのです。将来を見据え、結果を受け取った時点で1例1例しっかりとした確認・照会を実施したいところですが、相当の人員が必要になるため、今の体制では難しい。

――今はどの程度、確認・照会をしているのですか。

 今は院内事故調査結果を受け取った旨を電話で連絡します。その際に、外部委員の人数など基本的事項で記載がなかった点のほか、結果まで時間がかかった場合には、その理由を聞くなど、簡単な事項をお聞きする程度で、「これが起きた原因はどう考えていますか」といった突っ込んだ質問はしていません。そのためには知識と経験を持ったスタッフが分析をして、専門医の意見なども聞かなければいけないでしょう。本当はそれが必要ですが、我々がどこまでやるべきかは、今検討している最中です。

――中心静脈穿刺の事故と肺血栓塞栓症が死因となった事故については、2017年の年明けには、再発防止策をまとめる予定とのことです。中心静脈穿刺の事故は、これまでも日本医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業」などで、再発防止策が検討されてきました。医療事故調査制度で、どんな新たな知見が加わるのでしょうか。

 「医療事故情報収集等事業」は、データの流れが一方的です。医療機関にとっては報告すれば終わり。一方、本制度では、個々の事例について、「再発防止のために、専門的な見地から検証させていただきたい」と説明し、当該医療機関に協力を要請し、詳しい内容を聞くことが可能です。死亡事例では出血傾向のある患者が多いので、抗凝固剤を使っている患者では特に注意するなど、穿刺事故の予防から、穿刺事故後の対応に至るまで、より詳しい知見が得られると考えています。

――年報はいつごろまとめる予定ですか。

 医療事故調制度の開始は、2015年10月であり、これまで開始6カ月の2016年3月、開始1年の9月までのデータを公表してきました。今後は暦年でデータを集計、2016年1年間の年報は、2017年3月頃までにはまとめる予定です。これまで公表してきた内容よりは、もう少し解釈を含めたものを出したいと思っています。

――例えば、どんな解釈を加える予定でしょうか。

 これまではデータは公表してきたものの、コメントはあまり付けていません。年報では、データをどう解釈するかなどある程度踏み込めたらと、考えています。

――解釈という意味では、「開始1年の動向」において、事故発生から、センターに報告するまでの期間が、制度開始から「前半6カ月」の21.9日から、「後半6カ月」の41.2日に延長したというデータが報告されました(『センターへの事故報告が長期化、平均41.2日、判断に苦慮か』を参照)。その理由をどうお考えでしょうか。

 幾つかの要因が考えられますが、やはり「迷っている」のだと思います。

――制度への理解が進むと思われる「後半6カ月」の方が、迷いが少なくなる、とも考えられるのですが。

 個々の医療機関にとっては初めての経験がほとんどで、制度への理解が進むのには、もう少し時間がかかるのではないでしょうか。「迷っている」こと以外、理由を見い出すことは難しいところです。施行規則が改正された今年6月以降、報告まで時間がかかった事例については、その理由を聞いたりしています。「複数の機関に相談して、長くなってしまった」「いったんは医療事故には該当せず、報告しないと決定したものの、その後に遺族からいろいろ言われ、もう一度、検討し、報告することにした」などのケースがありました。

 医療機関の中には、「裁判になった時に、医療事故調査制度できちんと調査していることが、有利になる」という意見があります。遺族との間で、裁判などの話が出たため、後から報告するケースもあることは確かです。

――11月2日の会見では、解剖の実施は、院内調査を終えた161件中52件で、「解剖率32.2%」の解釈を問う質問もあり、「病死の際の解剖率は5%未満であり、それよりは高い」と回答されていました。

 ただ、52件のうち、司法解剖が12件あります。

――司法解剖の12件は、医師法21条に基づき、異状死体として警察に届け出た事例でしょうか。

 そうだと思います。院内で起きた予期しない死亡を、刑事事件として扱うべきか、医療事故調査制度で調査をすべきかについては、はっきりとした線引きがなされていないので、両方に届出、報告をしているのでしょう。司法解剖の場合、詳細な結果は遺族でも教えてもらえないケースがあり、教えてもらえる場合でも時間がかかることがほとんどです。また本制度の調査結果と、司法解剖の結果が異なる場合もあり得ます。この辺りは、今後検討が必要と考えています。



https://www.m3.com/news/general/479403
大阪の病院でも点滴袋に穴
2016年11月23日 (水) 朝日新聞

 大阪府立成人病センター(大阪市東成区)は、入院患者に投与していた点滴袋1袋に穴があいているのが見つかり、使用前のもう1袋から液漏れが見つかったと22日発表した。大阪府警は通報を受け、器物損壊や威力業務妨害容疑などにあたるか調べている。

 同センターによると、21日正午ごろ、9階病棟に入院中の60代男性に1リットル入り生理食塩水の点滴をしたところ、看護師が点滴袋から液が漏れていることに気づいた。



https://www.m3.com/news/general/479408
医学生飲酒時、研修医も同席 千葉大集団強姦事件
2016年11月23日 (水) 朝日新聞

 千葉大学医学部(千葉市中央区)の男子学生3人が集団強姦(ごうかん)致傷容疑で千葉県警に逮捕された事件で、学生らが女性と酒を飲んだ店に、3人を指導する立場の研修医も一緒にいたことが関係者への取材でわかった。同大は22日、医学部内に調査委員会を設置した。

 同大の渡辺誠理事らはこの日記者会見し、「逮捕は報道で知った。事実とすれば非常に残念。逮捕された学生も、被害者も把握できていない」と話した。

 関係者によると、3人は医学部5年の20代の男子学生で、9月下旬、千葉市内の飲食店で女性を泥酔させ、店内や、うち1人の自宅で、酒に酔った女性に性的暴行を加えてけがをさせた疑いがあるという。



http://mainichi.jp/articles/20161123/k00/00e/040/199000c
千葉大生集団強姦
「人間として間違い」 千葉大生ら憤り

毎日新聞2016年11月23日 15時09分(最終更新 11月23日 16時33分) 千葉県

 女性に集団で性的暴行をしたとして、千葉大医学部5年の20代の男子学生3人が集団強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕された。患者に寄り添い、命を救う医師の卵が、女性の体も心も傷つけたとされる事件に、学生や教員からは「人間として間違っている」「学生への教育を考え直す必要がある」との声が上がった。

<「魂の殺人」性犯罪>被害者、厳罰化の答申評価 複雑な思いも
 医学部がある千葉市中央区の亥鼻キャンパスでは22日、看護学部3年の女子学生(20)が「ニュースで知ってびっくりした。医学部生とも関わりがあるが、優秀でみんないい人だと思っていたのに……」と驚いた様子。医学部3年の男子学生(22)は「医学部だからではなく、人間として間違っている」と憤った。

 教員の男性は、千葉大の学生だった寺内樺風被告(24)が2年近く少女を監禁したなどとして未成年者誘拐や監禁の容疑で逮捕された事件に触れ、「3月に監禁事件が発覚したばかりで、もう驚きもない。レベルの低い大学ではないが、このような事件が起きてしまう。大学は学生への責任ある教育や支援のあり方をもう一度捉え直さないといけない」と語った。

 この日午後2時から記者会見した渡辺誠理事と中山俊憲・医学部長は、午前中に調査委員会と処分を検討する懲戒委員会を設置したことを明らかにした。事件は飲食店で開かれた学生らの飲み会で起きたが「報道で初めて知った」「逮捕された学生が特定できていない」などと説明し、調査の具体的方法や期間は明言しなかった。

 中山医学部長は「非常に驚きを持って捉えている」などと第三者的な発言にとどめていたが、報道陣から当事者としての受け止めを何度も問われ、「事実であるとすれば非常に残念で、社会的責任を感じている」と述べた。被害者支援や再発防止策については「調査結果を待って対応したい」「真摯(しんし)に対応したい」と繰り返した。【渡辺暢、田ノ上達也、信田真由美】



http://www.news-kushiro.jp/news/20161123/201611234.html
産婦人科医招へい、市立根室病院
2016年11月23日 釧路新聞

  市立根室病院は12月1日から、産婦人科の医師1人を招へいする。同病院では常勤医として勤務することになっており、暫定診療となる12月は、月~木で一般診療と妊婦検診(予約)を行う。待望する分(ぶん)娩(べん)再開はかなわないものの、長谷川俊輔根室市長は、「他院の協力が得られれば、出産経験のある経産婦の方から分娩できる可能性も出てくる」と期待を寄せた。  市立根室病院では産科医師の不足により、2006年9月から出産ができない状態が続いている。根室の事情を汲み、11年に産婦人科医1人が赴任したものの、医療体制が整わず分娩は扱わなかった。その医師(71)も体調面の不安から10月末で退職、産婦人科医師がいない状態だった。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016112390100557.html?ref=rank
肺がん見逃し男性死亡 一宮市民病院、2400万円賠償で和解
2016年11月23日 10時05分(中日新聞)

 愛知県一宮市の市民病院が県内の男性患者の転移性肺がんを見逃し、患者が死亡していたことが分かった。市は過失を認め、遺族に2400万円の損害賠償金を支払うことで和解したと22日、発表した。

 市によると、男性は2003年、12歳のときに皮膚がんの切除手術を県内の大学病院で受けた。その後、同市民病院で定期検査を受け、09年8月のコンピューター断層撮影(CT)検査で右肺に8ミリ程度の陰影が見つかった。だが、皮膚科の担当医師はがんではなく、炎症と判断した。

 男性は21歳になった12年11月、体調不良で県外の病院を受診して転移性肺がんが発覚。13年2月に死亡した。

 15年に遺族が市に損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴。市は、担当医師が呼吸器内科などの医師に相談するべきだったと過失を認め、今年8月に和解した。

 松浦昭雄院長は「注意義務違反があった。見逃しが起きない体制づくりを目指したい」とコメントした。
  1. 2016/11/24(木) 05:41:25|
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11月21日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/478796?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161121&dcf_doctor=true&mc.l=191062155&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
勾留中の男性医師死亡、法医が刑事告発したわけ
出羽岩手医大教授、「結論ありきの死因に疑問」(2016/11/21 追記)

2016年11月21日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「死亡した男性医師の司法解剖の鑑定書は、急性心筋梗塞という結論が先にありき、という内容だった。これに対し、奈良地裁に提出した原告側の4人の医師の意見書は、いずれも急性心筋梗塞を発症したとの結論を否定している」

 こう批判するのは、岩手医科大学法医学講座教授の出羽厚二氏だ。その矛先は、山本病院(奈良県)の男性医師(当時54歳)が、肝臓腫瘍切除術に伴う医療事故で、業務上過失致死罪容疑で2010年2月6日に逮捕され、19日目の2月25日に心肺停止に陥り、死亡した事案の司法解剖の鑑定書、およびそれを基にした奈良県警など関係者の対応だ。司法解剖の鑑定書による死因は、急性心筋梗塞。これに対し、出羽氏の意見書では、取り調べ中に、頭部、胸部、上肢・下肢に鈍体による殴打で傷害を負い、横紋筋融解症を発症、それが原因となり急性腎不全などの多臓器不全で死亡したと判断している。

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検視調書に掲載されていた男性医師の解剖時の写真。右外側大腿部から右外側下腿部を中心に皮下出血が見られる。上肢{左右とも}にも皮下出血を認めている。

 勾留中の死亡を問題視した遺族は、約9683万円の損害賠償を求めるため、2013年2月19日に奈良県を提訴。出羽氏ら4人の法医学や救急の医師が、原告側の依頼を受け、意見書を提出した。裁判の一番の争点は、男性医師の死因が病死、つまり急性心筋梗塞であるか、あるいは殴打がきっかけとなった死亡かだ。後者であれば、取り調べを行った奈良県警の責任が問われかねない。本民事裁判は、2016年9月26日に結審したが、原告側は、男性医師の留置所の様子が分かる「留置記録」がまだ裁判に提出されておらず、4人の意見書のうち、1人分が現時点では証拠として採用されていないことから、裁判を再開し、審議を尽くすよう求めている。

 その最中の11月15日、出羽氏は、本事案は刑法195条1項(特別公務員暴行陵虐罪)、196条(特別公務員職権濫用等致死傷罪)に当たるとして、容疑者不詳のまま、奈良県警察本部に刑事告発した。

 「告発状は現時点では、受理されていない。恐らく受理は難しいのではないか」と出羽氏は、苦笑気味に話す。「しかし、取り調べ中の死亡が、闇から闇に葬られてはいけない。今回の事案は、取り調べの可視化以前の問題。勾留中の被疑者に対し、取り調べに当たって、暴行を加え、死に至らせるような前時代的な不祥事を発生させてはならないとの使命感から、告発を決意した」。

 出羽氏は民事裁判で審議を尽くせない懸念があり、仮に告発状が受理されなくても世間に問題提起する意味から、告発に踏み切った。男性医師の司法解剖を行ったのは奈良県立医科大学。「司法解剖には、奈良地検の検察官や奈良県警の警察官らが立ち会っていることが、民事裁判の過程で明らかになっている」(出羽氏)。今回の告発は、司法解剖を担当した医師も含め、司法解剖の在り方を問う意味もある。

 「意見書の依頼、最初は引き受けるか否か迷った」
 出羽氏は、2007年の「時津風部屋の力士暴行事件」の解剖を担当したことで知られる。同事件では、時津風部屋の親方らが、部屋の力士に暴行を加えて死亡、当初は「虚血性心疾患」として処理されようとしたものの、当時、新潟大学に在籍していた出羽氏が、力士を解剖し、「多発外傷によるショック死」と発表、大きなニュースとなった。

 今回の事件の当事者である男性医師は、山本病院への着任から約3カ月後の2006年6月16日、助手として入った肝臓腫瘍切除術の医療事故で患者が死亡、2010年2月6日に業務上過失致死罪容疑で逮捕された(執刀医の院長は、2012年11月、大阪高裁で控訴棄却、業務上過失致死罪で禁固2年4カ月の実刑判決が確定)。

 前述のように男性医師の遺族は、2013年2月19日に奈良県を提訴。出羽氏のもとに意見書の依頼があったのは、2014年の夏頃だという。司法解剖の鑑定書や検査データなどを見た出羽氏は最初から「急性心筋梗塞という死因はおかしい」と思ったものの、警察などが絡む事件である上、法医学の医師同士の同僚評価(ピアレビュー)につながることなどもあり、「やはり最初は引き受けるかどうか迷った」という。

 遺族側が意見書を依頼したのは、出羽氏を含め、計4人。しかし、時期的に最後に当たる今年8月26日付けの意見書は、急性心筋梗塞との剖検診断が、妥当なのか、否かを検証した内容だったが、民事訴訟法第157条に定める「時機に遅れた攻撃的防御」であり、訴訟の完結を延ばす行為に当たるとして採用されていない。「急性心筋梗塞か否かが問われている裁判で、この意見書が採用されないのはおかしい」(出羽氏)。

 一方、奈良県側が医学的な検証資料として提出しているのは、司法解剖の鑑定書や同解剖を実施した意見書のみだ。

 クレアチニンキナーゼ、死亡前日に1万4280U/L

 告発人代理人弁護士であり、遺族の民事訴訟の代理人も務める小泉哲二氏は、(1)奈良地検は、2月25日の男性医師の死亡当日に、司法解剖の結果が出ていない段階で、死因は急性心筋梗塞であると発表、(2)遺族が民事裁判前に入手した解剖記録や解剖時の遺体写真は、裁判で明らかになった鑑定書や写真とは相違(不足)がある――など、男性医師死亡後、今に至るまでの経緯に不審な点があると指摘する。

 これらの追及に加えて、医療界として検証が必要なのは、男性医師の死因だ。「幸いなことに、逮捕時、および死亡前日の診療記録がある」と出羽氏は説明する。

 男性医師は逮捕の前年、2009年2月、くも膜下出血(前交通動脈瘤破裂)で、コイル塞栓術を受けていた。翌2010年2月6日の逮捕後、死亡に至るまで計3つの病院を受診している。しかし、CK(クレアチニンキナーゼ)が1万4280U/Lと異常な高値を示した24日の受診後も、入院せず、留置所に戻り、翌25日に死亡した。

男性医師の逮捕後の臨床所見
2月6日:A病院:心電図検査で異常なし。「血圧は157/94mmHgとやや高めであるものの、その他特に大きな異常は認めず」
2月13日:B病院:左側頭部打撲後、CT撮影
2月24日:C病院(カルテから抜粋。カッコはカルテ記載のまま)
 ・高血圧(降圧剤、「現在内服できていない」)、狭心症あり、食事あまりできていない
 ・右下肢に皮下出血、左下肢にも数カ所、皮下出血あり「打撲によるものか?」
 ・「強度に反抗的、言うことを聞かず、やっとのことで、レビンチューブ挿入」   「効果が出れば、尿も出て元気になるが、尿が出なければ、明日病院に必ず」
 ・頭部CT撮影(異常所見なし)、心電図検査せず
 ・CK:1万4280U/L、クレアチニン:3.06mg/dL、尿素窒素:71.2mg/dL、AST:178U/L、ALT:69U/L、LDH:807U/L、カリウム:3.5mEq/Lなど。
・点滴2000mLの輸液(ソルデム3Aを1000mL、ソルデム1を1000mL)、経鼻栄養
2月25日:C病院:救急搬送、来院時CPA(心肺停止)、死亡確認
 司法解剖の死因「急性心筋梗塞」、出羽氏らは否定
 司法解剖鑑定書では死因は「急性心筋梗塞」、一方、出羽氏の意見書はそれを否定する内容であり、遺族が依頼した他の3人の意見書も「急性心筋梗塞」を否定。その後、司法解剖を担当した法医学の医師が、出羽氏の意見書を反論する内容の意見書を提出している。その抜粋は、以下の通りだ。

【司法解剖の鑑定書の死因:2010年4月27日】(一部抜粋)
 本屍の死因について考察すると、本屍の外表には頭部、胸部および上下肢に損傷が認められるが、それ自体の損傷では死因とはならない。(中略)組織学的所見から考察されることは、急性腎不全の原因として横紋筋融解症が考えられる。(中略)本屍において筋肉の障害部位として考えられるのは、右下肢に広範囲の出血が認められることから、右下肢への打撲などの外力が作用したことが考えられ、このために同部位の筋肉が障害されたために横紋筋が遊離したものと考えられる。しかし、腎臓の障害の程度は比較的軽度で死因とは考え難い。(中略)
 一方、本屍には急性心筋梗塞の初期像が認められ、また以前からの心筋障害の存在をうかがわせる間質の線維化を認めることから、本屍の死因は急性心筋梗塞と考えるのが妥当である。(中略)本屍においても、冠状動脈の硬化狭窄が認められたため、心筋が虚血状態になったものと判断される。このことは間質の線維化が認められたことからもうかがえる。

【岩手医科大学法医学教授の出羽厚二氏の意見書:2014年11月21日】(一部抜粋)
 結論から先に記述すれば、死因は、急性心筋梗塞ではなく、筋挫滅に伴い腎不全を起こし、さらに肝不全、呼吸不全を起こした多臓器不全である。
 裁判の論点の一つとして、高いCPK(CK)の値が心筋梗塞に由来するものか、筋挫滅に由来するものかが争われていると理解している。
 もしも心筋梗塞が起こっていたとしたならば、心筋梗塞の発症からCPKが上昇するまでには、ハリソン内科学によれば、4~8時間を要するので、2010年2月24日の受診の数時間前には心筋梗塞が起こっていたということになる。(中略)2月25日朝の死亡時には心筋梗塞発症から1日程度は経過していることになる。そうであれば解剖時には肉眼的には心臓の断面では心筋は黒く見え、組織学検査では心筋の壊死、好中球の浸潤がみられたはずである。
 (中略)しかし、解剖記録には心臓の肉眼内部所見として「心筋:出血などの特変を認めないがやや蒼白調である」と書いてあり、組織学的所見として「心臓において脂肪組織が心筋内に浸潤し、間質の浮腫、横紋筋の消失、巣状の線維化を認める」とあるだけである。この所見は心筋梗塞発症から約1日経過した所見とは考えられない。(中略)また、被告第1準備書面に「2月25日、午前7時00分に起床し、自ら立ち上がり、布団を運んで片付け、洗面をした後に、房内に戻ったが、この時点で同人に全く異常が認められなかった。しばらくして、男性医師(原文では実名)がいびきをかき始めたことから、担当警察官が房内に立ち入り、呼びかけたが、同人はこれに応じず、同人に呼吸が認められなかったことから、安全体位を取らせて気道を確保し、心臓マッサージを開始するとともに、119番通報したものである」との主張があるが、前日の24日に心筋梗塞を発症していたとすれば、心筋梗塞を発症しておりながら、丸一日経過した翌25日の朝になって、突然倒れたということになる。無痛性の心筋梗塞は糖尿病患者、高齢者には認められるものの稀であり、胸痛を訴えることなく、心不全の症状を示さず「布団を片付け洗面をした」というのは臨床経過として不自然である。
 逆に心筋梗塞が2月25日の朝の7時頃発症したとすれば、解剖記録に記載された所見は、「急性心筋梗塞の初期像」と考えて矛盾しないが、そうなると、急性心筋梗塞がまだ発症していないはずの前日のCPKの高値を、心筋梗塞によるものとしては説明できない。また腎不全、肝不全を示すデータの説明もできない。
 これをまとめると、心筋梗塞が2月24日の受診前に発症していたとすれば、臨床経過と解剖の所見がこれと矛盾し、25日の朝の7時頃発症したとすれば、前日のCPKの高値と腎不全、肝不全の原因が説明できなくなるのである。
 したがって2月24日の受診時には、心筋梗塞は発症していなかったと考えざるを得ないので、検査報告書の値CPKの高値は、心筋梗塞以外の原因を求めるのが妥当である。
 CPKの上昇は、骨格筋の崩壊によっても生じるが、2月24日の受診時より前に受けた打撲、強圧によって高度の骨格筋の崩壊が生じ、CPKが14280と高い数値を示す結果となったと考えるのが妥当である。
 「高度の骨格筋の崩壊は、横紋筋融解症、ミオグロビン尿症を引き起こし、急性腎不全を起こし、さらに肝不全、呼吸不全を起こし多臓器不全となって、死亡した」と考えるのが一元的で合理的である。なお、ミオグロビン尿症については解剖記録においても言及されている。
 「CPKの上昇と腎不全は下肢の皮下出血によるもので、それとは別に心筋梗塞が発症して、短時間に心肺停止になった」と考えるのでは多元的でありすぎる。

【司法解剖を担当した法医学の医師の意見書:2015年4月27日】(結論部分、一部匿名化)
・皮下出血の最も強かった下腿部の前部の骨格筋の組織検査において、強圧や打撲による筋挫滅や炎症などなく、腎臓のミオグロビン染色でも、ミオグロビン円柱は証明されなかったので、横紋筋融解症による急性腎不全は否定される。
・解剖の結果、腎臓と肝臓の障害は死因とは考えられない。
・男性医師は、急性心筋梗塞で死亡したと判断される。C病院のカルテおよびA病院のカルテからは、狭心症から急性心筋梗塞になったと考えても矛盾する検査所見は認めない。
・また横紋筋融解症であっても、下肢の強圧や打撲による筋挫滅でなく、むしろ同一姿勢を長時間取っていたための四肢の循環不全によるものと考えられるが、横紋筋融解症によって急性腎不全が生じたことは考えがたい。また、急性心筋梗塞と横紋筋融解症との併存があったとしても何ら矛盾はない。

【追記】2016年11月21日、以下の点を追記しました。
・2月24日にC病院を受診した際の検査データとして、「カリウム:3.5mEq/L」を追記しました(本文中に記載したのは、検査結果の一部です)。



https://www.m3.com/clinical/news/478718
高齢者運転事故受けて学会が提言
日本老年精神医学会、改正道交法の施行に向けて対策示す

日本老年精神医学会 2016年11月21日 (月)

 日本老年精神医学会はこのほど、高齢者による交通死亡事故のニュースなどが相次いでいることを受け、坂口正芳警察庁長官らに対し改正道路交通法(道交法)に関する提言を行った。運転免許証の自主返納や高齢者講習会での対策などを示しており、国には社会の安全を担保しつつ、高齢者の尊厳を守り、生活の質を保証する法の整備を急ぐよう求めている。

 同学会は、提言の中で2015年度の交通安全白書で四輪車乗車中事故死者の43.8%を高齢者が占めるほか、最近は児童を含む歩行者を巻き込んだ高齢運転者による死亡事故のニュースが後を絶たないと指摘。2017年3月の改正道交法施行に合わせた提言を行うと説明している。

 提言は、(1)道路交通インフラの安全対策、高齢運転者を支援するハードウェアの開発促進、(2)運転免許証の取り消し・自主返納に対応する「生活の質」の保証、(3)高齢者講習会での実車テスト等について、(4)「認知症」と一括されていることの問題点-の4点。(1)では、高速道路パーキングエリアなどでの逆走防止用ゲートの設置を呼び掛け、(2)では運転免許証の自主返納によって高齢者やその家族の生活の質が下がらないよう、収入に応じたタクシー利用券やバス乗車パスの支給などを提案している。

 特に(1)と(2)については「速やかに実行されることが重要」として、運転免許証の取り消しや自主返納の施策のみに終始するのではなく、「道路交通に関するハード・ソフト両面の整備が喫緊の課題」と訴えている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/478705
柔整問題「帰り道、何度も後ろ振り返った」、厚労省検討会委員
臨床整形外科学会シンポ、「数が増えると質が低下する」との指摘も

2016年11月21日 (月) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本臨床整形外科学会のシンポジム「柔道整復療養費、問題点の整理」が11月20日に東京都内で開催された。基調講演で、厚生労働省の柔整問題検討会の委員を務める相原忠彦氏は 、検討会の場で柔整関係者から詰め寄られたり、厚労省の担当者から委員交代を示唆されたりするなどの苦労があったと振り返りつつ、「公の場で話すことは意義がある」と語った。柔道整復師の養成カリキュラムを検討している北村聖氏(国際医療福祉大教授)は、問題の背景に柔整の養成学校が急増したことがあるとし「数が増えると質が低下する」と指摘した。

 厚労省社会保障審議会柔道整復療養費検討専門委員会委員を務める相原氏(相原整形外科院長)は「適正な柔道整復療養費のあり方」と基調講演し、2012年度の設置時から委員を務める専門委員会の議論の状況を説明した(『柔整問題、厚労省の検討委は「ガス抜き」-相原忠彦・柔道整復療養費検討専門委員会委員に聞く◆Vol.1』 を参照)。専門委員会を所管する厚労省保険局保健医療企画調査室長はこれまでに5人いたが、担当者によって熱意が違うと説明。理由もなく2年間休会だったり、相原氏が求める資料提出を認めず「次の委員はないでしょうね」と言ってきたりすることもあったと言う。診療報酬改定について議論した2014年の第3回委員会では、事務局が提出示した改定率は0.00%だったが、最終的には全体改定率の半分の0.68%で決着。「何かの力が働くことがよく分かった」と振り返る。

 相原氏が議論の俎上に載せるために資料提出を求めたのは、「亜急性の外傷」という概念の是非。2007年の厚労省通知で柔整療養費の対象となる負傷は「急性または亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲、捻挫など」と示されている。日本外科学会や日本整形外科学会などは2014年に日本医師会の要請に応える形で「『亜急性』は傷病の時間的概念で、急性期と慢性期の間の時期と表記するのが一般的。外傷は全て急性で、『亜急性の外傷』という表現は医学的にない」との見解を示している。相原氏は「亜急性の外傷」を認めることが不正を生み出す原因になっているとして、委員会での議論を繰り返し求め、日医からの提出資料として「亜急性外傷問題の解決への医学的見解」を出すことを要望したが、厚労省の担当者は長く、認めなかった。

「帰り道、何度も後ろを振り返った」
 担当者が変わったことで、2016年7月の第6回委員会で資料提出がようやく認められた。この時の議論では、柔整関係者が「エビデンス、エビデンスと言っても、医師もエビデンスがないことやっているだろう」などと執拗に相原氏につめより、座長から退場を命じられる場面もあった。座長を務めているのは中医協会長経験もある遠藤久夫・学習院大教授で、「審議会で退場を命じたことは初めての経験」と話したという。一連のやり取りは議事録からは削除されている。相原氏は「会場を出てから、帰り道は何度も後ろを振り返った」と振り返る。

 8月の第7回委員会では厚労省が作成した議論の整理案に、「在宅医療・在宅介護を推進し、高齢者が住み慣れた地域で継続して生活できるよう地域包括ケアシステムを構築する中で、柔道整復師の担う役割は重要である」との一文が盛り込まれたことに、保険者側が反発し議論が紛糾。厚労省の対応に不満を持つ保険者側が、柔整問題の改革工程表を作成するよう求めた。

 相原氏は4年間の議論について、壁は厚いとしつつ、「医療関連のマスコミが公平に報道してくれるようになった。公の場で話すことは意義がある」と語った。座長の角南義文氏(日本臨床整形外科学会医療システム委員会アドバイザー)は「相原氏を辞めさせてくれという圧力もあったが、それを乗り越えてやっていただいている」と話した。

「数を増やすと質が下がる」北村氏
 同じく基調講演をした、厚労省で議論が進む柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会の座長を務める北村聖氏(国際医療福祉大教授(医学部長予定者))が、9月に公表した報告書の内容について説明した。養成施設は1998年度の14施設定員約1100人から2016年度には109施設約8600人に急激に増加している。養成数を増やすことについては「医師も同じだが、数が増えることで、これまで養成していたより質の悪い人が入ってくる。必ず質の平均は下がる」との認識を示した。

 急増の背景には、1998年の福岡地裁判決で、それまでの需給バランスを考えた設置認可を、規則さえ満たせば認めるようにしたことがあると指摘。判決理由に「柔道整復師の数が増大することは、(中略)国民にとって利益になることはあっても、不利益にはならないものである」と書かれている点を挙げて、北村氏は「医学部定員は、(時限的な枠の増設など)微妙な按配でやっているのに、柔整は一気に増えており、問題の根底にあると認識している」と述べた。

 2018年度入学者から適用される予定のカリキュラム改定案では、現行の85単位から99単位以上にすることを求める。3000時間近い学習時間が求められ、現在は午前、午後の2部制、学校によっては夜間も含めた3部制もあるが、「抑制を求めたものではないが、夜間はなくなり、2部制も辛くなるだろう」と説明した。新たに「職業倫理」「社会保障制度」などを学ぶことを求める。

 会場から問題視する指摘が相次いだのが「柔道整復術適応の臨床的判定(医用画像の理解を含む)」という項目。エコーなどの画像を利用することについて、「看護師が超音波検査(エコー)を使っても医師が最終的に判断する。柔整は自身で完結させるが、診断に当らないか」という質問に対し、北村氏は「言葉遊びみたいだが、厚労省では『診断』ではなく『判断』の助けに使うことになっている。骨折と診断することはできないが、骨折の可能性があるとして医師に紹介するという判断。画像を使うことによるメリットがあるのでは」と答えた。

 北村氏講演の座長を務めた、日本臨床整形外科学会会長の田辺秀樹氏は、北村氏に「現実は(柔整による)健康被害がたくさんあるので、その辺りを踏まえて委員会活動を続けてほしい」とまとめた。

領収書と申請書の金額が違うことも
 基調講演の後は、保険者側や会場の参加者も交えて活発な議論が展開された。愛知県医療健康保険組合の原公美氏は「支払い側からみた問題点」と題して、同組合が進める患者への照会文書での調査や啓発活動などを紹介した(同組合の『接骨院・整骨院にかかるとき』を参照)。原氏は保険者と整形外科医の連携が必要とし「柔整審査会に参加し、我々が譲らないという姿勢を示すことが重要」と訴えた。

 同学会医療システム委員会副会長の松本光司氏は「受領委任払い、何が問題か」として、厚労省が認めている療養費支給申請書の白紙委任(患者に月初に署名を求める)について「白紙小切手を施術者に渡すことと同じで、不正請求の温床になっている」と指摘。施術を受けるたびに署名を求めるように申請書の様式を変えることを提案した。

 会場の保険者からは、領収書の発行が義務付けられているにも関わらず、毎回発行されることはほとんどなく厚労省も野放しにしている実態があると報告された。別の保険者も領収書をチェックしたら、申請書と金額が一致しないケースが多数見つかったと指摘し、毎回、患者の署名を求める様式が望ましいと述べた。

 相原氏は医師国保でも、怪我でないことが分かっているとみられるのに柔整にかかっている事例があることを問題視。「患者からしたら、安くマッサージを受けられてなぜだめなのかとなってしまう。保険者が被保険者を教育することが重要」と指摘した。



https://www.m3.com/news/general/478804
産業医大病院で点滴また穴 内部犯行か、福岡県警捜査
2016年11月21日 (月) 共同通信社

 20日午後0時25分ごろ、北九州市八幡西区の産業医大病院のナースステーションで、点滴袋1個に穴が開けられているのが見つかった。点滴は21日に使用する予定で、患者に影響はなかった。同病院では10月にも同様の事件があった。福岡県警折尾署は内部関係者による悪質ないたずらとみて、当日ナースステーションなどを出入りした10人前後から事情を聴いている。

 10月の事件では、同じナースステーションなどにあった点滴袋3個に針で刺したような穴が開けられ、薬品保管庫などの鍵束と鎮痛剤2本が紛失しているのが見つかった。この後にナースステーションに防犯カメラが設置されたが、今月20日朝から保安点検のため病棟の一部が停電しており作動していなかった。停電は事前に職員らに知らされていた。

 署によると、今回の穴開きは病棟9階のナースステーションで看護師2人が点滴袋を点検中に見つけ、針で刺したような穴が一つあった。点滴袋は発覚の約1時間前に、薬剤を保管する地下の部署から鍵付きの台車で運ばれた。

 市の担当者は21日、病院に入り薬品の管理体制などを調べた。

 佐多竹良(さた・たけよし)院長は「10月に同様の事件が発生して以来、再発防止に全力を尽くしてきた。深くおわび申し上げます」とするコメントをホームページに掲載した。

 病院のホームページによると、内科や外科、小児科などがあり、病床数は678床。高度医療を提供する特定機能病院として、厚生労働省から承認されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/478330
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医「整備指針」、地域医療に配慮し12月に改訂
カリキュラム制も可能、基本領域専門医「取得望ましい」に緩和

2016年11月19日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は11月18日の理事会で、新専門医制度の骨格となる「専門医制度整備指針」(2014年7月策定)を改訂し、研修プロセスを重視する「プログラム制」以外にも、基本領域のダブルボードの取得が容易になるよう、到達目標で評価する「カリキュラム制」も可能にするほか、地域医療への配慮から「研修施設群」の要件を弾力化し、指導医がいない施設でも加わることを認めるなどの見直しを行う方針を決定した。「プログラム制」は、2017年度から開始予定だった新専門医制度の特徴であり、大きな変更と言える。

 卒後2年間の臨床研修修了後、従来は19の基本領域の「いずれかの専門医資格を取得」としていた点も緩和、「取得が望ましい」とするほか、サブスペシャルティの専門医については「医師の自主的な判断で選択」という位置付けにする。

 さらに専門医制度の運営における日本専門医機構と各領域の学会の役割分担も明確化。専門医の新規認定・更新や専門研修プログラムの1次審査などは各学会が同機構の基準に則って行い、その2次審査を同機構が行うといった体制に変更する(『内科と外科のサブスペシャルティ取得、「短縮」も』を参照)。

  「専門医制度整備指針」改訂案は、12月9日の次回理事会に諮り、12月16日の社員総会で最終決定する。その後、各基本領域の学会は、改訂で修正された点を踏まえ、領域別の「専門研修プログラム整備基準」を改訂。各研修施設はそれを基に、専門研修プログラムを見直すという流れになる。

 理事会後に会見した日本専門医機構理事長の吉村博邦氏によると、18日の理事会では「専門医制度整備指針」と、基本領域とサブスペシャルティの在り方について主に議論したという。

 吉村理事長は「今後、医学の進歩などを鑑みて見直すこともあり得るが、基本領域は、総合診療専門医を含めて19とする」と改めて確認。その上で基本領域の専門医は、基本は「プログラム制」だが、「ダブルボードも認めており、カリキュラム制でも研修が可能になるよう、柔軟性を持たせる形で、整備指針の改訂を進めている」と説明した。一定期間の研修が要件になる「プログラム制」ではなく、研修の到達目標で質を担保する「カリキュラム制」の方が、例えば、救急領域の専攻医が、脳神経外科や麻酔科などの領域での研修・専門医取得などが容易になる。

 サブスペシャルティについても「カリキュラム制」が可能。内科領域は13、外科領域は4のサブスペシャルティとそれぞれ連携プログラムを検討中だ。それ以外のサブスペシャルティに関しても今後、関係する基本領域とサブスペシャルティが合同で、専門医制度の仕組みや医師像、研修プログラムなどを検討する予定。「日本専門医機構は、各サブスペシャルティの専門医の基準を早急に作成する。それを基に、各領域から提出された制度を検証し、適切と思われる領域については、サブスペシャルティとして認めていく」(吉村理事長)。日本専門医機構は、前身の日本専門医制評価・認定機構の時代に、内科系13と外科系4の領域も含め、29のサブスペシャルティを認めていたが、基準を満たせば、その数は増える。なお、総合診療専門医とサブスペシャルティとの関係については、総合診療専門医そのものの議論がまた途中であり、未定だという。

 日医、「専門医制度整備指針」改訂で「要望書」
 さらに吉村理事長は、「専門医制度整備指針」改訂に当たって、各団体から要望が挙がっていたために、柔軟性を持たせ、地域医療に配慮するなどの対応をしたと説明。「大学以外でも基幹施設になることができ、従来、専門医研修をやっていた病院が外れないようにしたほか、女性医師が妊娠・出産等で中断した場合などでも対応できるようにした。(整備指針を)頑なに設定した点に問題があったので、見直す。ただし、努力はするが、新専門医制度のみで、医師の地域の偏在を是正するのは難しい」(吉村理事長)。

 日本専門医機構副理事長で、日本医師会副会長の松原謙二氏は、同会が11月18日付けで「専門医制度整備指針」改訂についての「要望書」を提出したことを紹介。(1)都道府県ごとに、大学病院以外の医療機関も含め、複数の基幹施設を認定、(2)従来専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望する場合は、連携施設となれる、(3)専攻医のローテートは、原則6カ月未満では所属が変わらないようにする、(4)都市部の都府県に基幹施設がある研修プログラムは、原則として募集定員が過去3年の専攻医の採用実績平均を超えない、(5)専攻医の採用は、基幹施設だけでなく連携施設でも行える、(6)研修プログラム認定は、各都道府県協議会で、医師会、大学、病院団体等の地域の医療関係者の了承を得る、(7)妊娠などによる6カ月までの研修中断であれば、残りの期間で必要な症例を埋め合わせることで研修期間を延長せずに済み、6カ月以上の中断でも復帰後は中断前の研修実績を有効とする――という7項目だ。これらを反映した改訂にすることを理事会で了承した。

 同機構副理事長の山下英俊氏は、(2)の関連で、「改訂前の整備指針では、指導医あるいは専門医がいることが連携施設の条件になっていたが、地域の病院にはいないケースがある。研修プログラムで教育内容が担保されるのであれば、連携施設に準じる施設として研修施設群に加わることができるようにしたのが変更点。ただし、研修プログラム管理は必ずやってもらう必要があり、それは基幹施設が担当し、指導医がいない施設に対しては、基幹施設が支援するなどの対応はしてもらう」などと述べ、地域医療に配慮した新専門医制度に変更したと説明した。



https://www.m3.com/news/general/478838
<始まる医療再編>住民交え「痛み」議論を
2016年11月21日 (月) 河北新報

 人口減少と高齢化が急速に進む社会で地域医療をいかに守るか。山形県庄内北部で始まった医療再編の動きを取材し、切迫感を抱いた。働き手不足や国民医療費の膨張を背景に全国でも医療提供体制の見直し議論が進む。山積する課題は病院や行政だけでは解決できない。住民一人一人が医療を次世代につなぐために何ができるか、主体的に考える機会と捉えてほしい。

 「今後15~20年で日本は経験のない高齢社会を迎える。病院単体ではなく地域全体で今より格段に『燃費の良い』医療提供体制を構築しなければ、地域に医療を残せない」

 酒田市の基幹病院を運営する地方独立行政法人「山形県・酒田市病院機構」の栗谷義樹理事長は語る。

 機構は9月中旬、市内の複数の医療・社会福祉法人と職員の相互派遣や医薬品の共同購入ができるグループづくりに着手した。重複する機能の解消を視野に入れ、できるだけ無駄のない地域完結型の医療と介護体制を目指す。

 酒田市も市立八幡病院の入院ベッド(病床)を無くし、機構に移管・統合する方針を示した。地域住民に不満の声はあるが、医師や看護師が不足し、市から年間2億5000万円もの繰入金が出ていることを考えれば、やむを得ないのかもしれない。

 そもそも医療制度自体が行き詰まりつつあるからだ。

 国民医療費は昨年度、概算で41兆5000億円に達した。厚労省推計によると、高齢化と医療技術の進歩で25年度には61兆円に及ぶ。現役世代2.3人で高齢者1人を支える人口構成は60年に1.3人で1人になる。労働力人口は全体で減るが、医療・福祉分野は30年までに新たに200万人前後が必要とされる。

 国の医療政策に詳しい政策研究大大学院の島崎謙治教授(社会保障政策)は「問題を先送りにすれば財政・人的制約は厳しくなり、政策的な選択肢が狭まる。残された時間はほとんどない」と話す。

 国は、都道府県ごとに策定する地域医療構想をベースに、病床の再編と在宅医療の拡充に乗り出した。医療人材の効果的な配置と公費支出の抑制を狙う。

 9月に策定した山形県は全県で1万余りの病床について、既に過剰とされる急性期を中心に10年間で2割減らす目標を盛り込んだ。青森県は弘前市内二つの総合病院の統合など津軽地域の公的病院の再編を提案した。

 医師不足と過疎化が進む地方で医療を守るのは容易でない。「痛み」が避けられない状況になるかもしれない。だからこそ、行政や医療機関は余力のあるうちに住民を交え、地域医療の在り方や展望を共有する場を多く持つべきではないか。

 09~11年に岩手県が取り組んだ県立病院・地域診療センターの無床化を取材した。地域の将来を考えた住民有志が医療・介護の受け皿を残そうと動き、医療施設内に特別養護老人ホームを設けるケースがあった。

 病気や介護の予防など個人で取り組めることもある。「感情論」ではなく、本当に支援が要る人が医療と介護を受けられる社会に向け、行政、医療、介護関係者と住民にそれぞれ何ができるのか。同じテーブルで突き詰めていくことが必要だ。

[地域医療構想]団塊世代が75歳を過ぎる2025年を見据え、都道府県が将来の医療需要や適正な病床数を推計し、目指す医療提供体制などを定めるビジョン。病床を緊急性の高い順に高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分類し、医療機関の自主的な減床や見直しを促す。国全体では1割超の削減が目標。実現のため2次医療圏ごとに医療・福祉団体や市町村でつくる調整会議を設ける。



https://www.m3.com/news/general/478743
双葉病院訴訟、和解が成立 死亡患者遺族と東京電力
2016年11月21日 (月) 共同通信社

 福島県大熊町の双葉病院に入院し、福島第1原発事故後に避難先で死亡した患者2人の遺族が、東京電力に各3300万円の損害賠償を求めた訴訟は、東京地裁(東亜由美(ひがし・あゆみ)裁判長)でいずれも和解が7日付で成立した。死亡したのは当時62歳と67歳の男性で、和解は東電がそれぞれの遺族に1200万円と1600万円を支払うとの内容。

 遺族側は、原発事故で長時間の移動を伴う避難を強いられ、体調が悪化したとして提訴。東京地裁では、同様の訴訟が他に5件起こされ、いずれも東電に賠償を命じる判決が既に確定している。

 東電は「亡くなった方のご冥福を心よりお祈りし、遺族にお悔やみ申し上げる。和解成立は事実だが、詳細は回答を控える」としている。



https://www.m3.com/news/general/470337
点滴3袋に穴、投与中も 鎮痛剤2本と鍵束盗難 北九州の大学病院
2016年10月24日 (月) 共同通信社

 福岡県警折尾署は21日、北九州市八幡西区の産業医大病院で点滴袋3個に針で刺したような穴が開けられ、薬品保管庫などの鍵束と鎮痛剤15ミリグラム入りの容器2本が紛失しているのが20日に分かったと発表した。穴の開いた点滴袋1個は患者に使用されたが、21日夕の時点で健康の異常はみられないという。署は窃盗、器物損壊事件として捜査。点滴袋を押収し、異物が混入されていないか調べる。

 事件はいずれも9階で発生。使用中だった点滴袋は看護師が準備をしていた20日午後11時ごろには異常が確認されず、約30分後に液漏れが見つかった。当時は鎮痛剤などの紛失の通報を受けた複数の警察官が病院におり、外部関係者は夜間のため原則院内に入ることはできなかった。署は内部事情に詳しい人物が関与している可能性もあるとみている。

 佐多竹良(さた・たけよし)院長は記者会見を開き「深くおわび申し上げる」と謝罪した。

 署などによると、病院関係者が20日午後6時半ごろまでに、薬品保管庫から鎮痛剤が、ナースステーションから薬品保管庫などの鍵束がそれぞれ紛失していることに気付き、午後8時すぎに110番した。その後、看護師が、個室の男性患者(58)に投与中の点滴袋から液が漏れているのを発見。他に未使用の2個の液漏れも見つかった。3個ともこの日の日中に薬剤を保管する地下の部署からナースステーションに移されていた。

 紛失した鍵束のうち2個の鍵は医療用麻薬を保管する金庫用で、今年7月にも別の病棟のナースステーションからパーキンソン病の治療薬1錠が紛失していたことも判明。この薬は覚醒剤の原料になるという。

 九州厚生局と市の担当者は21日病院に入り、薬品の管理体制を調査。今後立ち入り検査が必要かどうかを判断する。

 9階には消化管内科などの患者計38人が入院していた。



https://www.m3.com/news/general/478805
病棟の停電、事前に周知 内部犯行か、点滴穴開き
2016年11月21日 (月) 共同通信社

 北九州市八幡西区の産業医大病院のナースステーションで20日、不審な穴の開いた点滴袋が見つかった事件で、保安点検のため病棟の一部が当日停電になると事前に職員に知らされていたことが21日、福岡県警折尾署への取材で分かった。

 このナースステーションでは10月にも穴の開いた点滴袋が見つかり、防犯カメラが設置されたが、停電で作動しなかった。署は、内部関係者の犯行の可能性が高いとみて当日ナースステーションなどに出入りしていた10人前後から事情を聴いている。

 市の担当者は21日、病院に入り薬品の管理体制などを調べた。

 署によると、問題の点滴袋は20日午前11時半ごろ、薬品を保管する地下の薬剤部から数十人分の薬剤やカルテと共に、鍵付きの台車で9階のナースステーションに届けられた。正午ごろに看護師が台車の鍵を開け、午後0時25分ごろ、点検中に点滴袋の穴を見つけた。

 署に対し薬剤部の職員は「台車に入れる時に異常はなかった」、看護師は「台車の鍵は首からぶら下げていた。誰にも渡していない」とそれぞれ説明しているという。



https://www.m3.com/news/general/478840
【神奈川】総合的病院の公募に2法人 逗子市
2016年11月21日 (月) 神奈川新聞

 逗子市は18日、建設を目指す総合的病院の公募について、募集を締め切った同日までに2法人から応募があったと明らかにした。外部の有識者らでつくる選考委員会の審査を経て、12月上旬に平井竜一市長が進出病院を決定する。

 市内には総合的病院がなく、市は在宅医療の後方支援病院や救急搬送の時間短縮、小児科や産科の充実を目指して誘致に乗り出した。横須賀・三浦の2次保健医療圏は今年3月末時点で、基準病床に対して既存病床が175床不足している。県は病床割り当てのための申請を12月9日まで受け付けており、それまでに市が進出病院を選ぶ必要がある。割り当ては来年3月末ごろ決定する見込み。



http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/11/21/09.html
校医の大量辞任…対立の医師会と吉川市長「市民の健康増進」で協力へ
2016年11月21日(月) 埼玉新聞

 吉川市の小中学校校医や介護認定審査会委員の医師が大量辞任した問題で、市と吉川松伏医師会は20日までに、「市民の健康増進に取り組む」ため協力するとの合意を結んだ。中原恵人市長と平井真実同医師会長が4日に会談し、合意内容を書面で取り交わした。

 吉川市の小中学校校医や介護認定審査会委員の医師が大量辞任した問題で、市と吉川松伏医師会は20日までに、「市民の健康増進に取り組む」ため協力するとの合意を結んだ。中原恵人市長と平井真実同医師会長が4日に会談し、合意内容を書面で取り交わした。

 市と同医師会が10日付で、双方のホームページ上に「合意事項」の内容を掲載した。合意は5項目に上り、両者が健康診断や介護認定審査会の事業などに協力、連携を図り「市民の健康増進に取り組む」としている。

 今年3月、同医師会会員の複数の医師が市内の校医や介護認定審査会委員を辞退。健康診断が規定の期間内に実施できるかや、介護認定審査会が適正に行われるかなど、関係者から不安の声が広がっていた。

 市議会ではこれまで、中原市長と医師会の対立が指摘されてきた。一般質問では、定期予防接種の委託契約を巡り、市が医師会会員以外の医療機関と契約を結んでいたことなどが取り上げられた。

 合意書面の中で、定期予防接種について「市は今後、医師会に加入していない医療機関と個別に委託契約を締結しない」としている。

 市や同医師会によると、今回の合意に基づき、両者は市内学校の健康診断や介護認定審査会の事業を円滑に実施するために協力。地域包括ケアシステムの構築や災害時の医療救護活動などでも連携を図るという。

 埼玉新聞の取材に対し、中原市長は「吉川松伏医師会との連携を図りながら、市民のさらなる健康づくりを推進したい」。同医師会は「今後も行政からの各種依頼事業に対して、会員の先生に協力をお願いし、市民の医療や健康増進に取り組みたい」とそれぞれコメントしている。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016112102000139.html
【社説】 医療事故調1年 なぜ届け出が少ないか
2016年11月21日 東京新聞

 医療事故の再発防止を目指す医療事故調査制度がスタートして一年たったが、年間の報告件数は当初予想の三割以下にとどまっている。肉親を失った遺族の心情に寄り添う仕組みにしたい。
 「まだまだ、医療従事者が制度を理解しても、真剣に取り組んでもいないし、遺族側も疑問点をぶつけていくという風土になっていない」。「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」代表の永井裕之さん(75)はこう指摘する。
 永井さんは十七年前、医療事故で妻を亡くした。東京都立広尾病院で、点滴中に誤って消毒液が投与された。病院側は事故を隠蔽(いんぺい)したが、最終的に関係者は刑事責任を問われた。
 永井さんはその後、連絡協議会を立ち上げ、医療事故調査制度の実現を求めてきた。そして昨年十月、ようやくスタートした。
 死亡事故が発生したら医療機関は第三者機関である「日本医療安全調査機構」に届け出なければならない。その後、自ら院内調査を行い、結果は遺族に説明。遺族は不服があれば、機構に調査を求めることができる、というのが主な仕組みだ。
 しかし、事故の届け出件数は一年間で三百八十八件と、厚生労働省が想定していた年千三百~二千件を大幅に下回っている。
 背景の一つに「医療事故とは何か」という定義の問題がある。調査の対象となるのは「予期しない死亡、死産」とされているだけで、具体例は示されていない。しかも、医療事故にあたるかどうかの判断を下すのは医療機関側だ。病院側が、面倒な院内調査や報告は避けたいと考えれば、おのずと届け出件数は少なくなる。
 現在は複数の医療団体が独自のガイドラインを作成している。中には、薬の取り違えなど明らかな医療ミスが起こった場合でも、取り違えは一定の確率で起こるなどとして「予期できない死ではない」と主張している団体もある。
 厚労省は六月、届け出基準の統一を目指し、医師会などによる協議会を設置することを決めたが、議論の難航は必至だ。
 このほか、遺族が事故だと思っても病院などが認めない時に相談する窓口を第三者機関に設けることになった。ただ、第三者機関は遺族からの相談を医療機関に伝えるのみ。より中立性を高めるため、第三者機関が助言や指導ができるようにするべきではないか。
 公正、透明で国民に信頼される制度に育てることが求められる。



http://www.medwatch.jp/?p=11281
自治体病院で看護必要度の経過措置終了後に7対1病床が3685床減少―全自病
2016年11月21日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 昨年(2015年)10月1日から今年(2016年)10月1日にかけて、自治体病院においては7対1の届出病床数が3685床減り、7万111床となった。また「病棟群」を選択した病院は3病院にとどまり、その804床のうち357床で10対1を選択している(残り457床は7対1)―。

 全国自治体病院協議会が17日の記者会見で公表した2016年度の「診療報酬改定影響率調査結果」(第2報)で、こういった状況が明らかになりました。

地域包括ケア病棟などへの機能転換や、ダウンサイジングが進む

 2016年度の診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準、とくに「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の項目が大幅に見直され、重症患者割合(看護必要度の基準値を見直す患者の割合)が従前の15%以上から25%以上に引き上げられるなど、厳しいものとなりました(関連記事はこちらとこちら)。

 厚生労働省は病院経営を考慮し、「改定前(2016年3月31日)に7対1を届出ている病院では、今年(2016年)9月までは、重症患者割合は満たすものと扱う」との経過措置を設けています。したがって、10月以降の状況こそが、2016年度改定の影響を考える上で重要であり、今般、全自病が会員病院を対象に調査を行ったものです。

 調査では、今年3月31日時点で7対1入院基本料・特定集中治療室管理料(ICU)・ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)のいずれかを届出ていた272病院を対象に、改定前(2015年10月1日)と経過措置終了後(2016年10月1日)とで届出入院料がどう変化したかを調べています(有効回答数は250病院)。

 経過措置終了後の7対1届出病院数は、改定前に比べて4病院減少し、229病院となりました。ベッド数に着目すると、経過措置終了後の7対1病棟の病床数は7万111床で、改定前(7万3796床)に比べての3685床・5.0%減少しています。全体の4割弱の病院では重症患者割合が27.5%未満であり、7対1の施設基準を安定的にクリアすることが難しいようです(前述のように基準値は25%以上)。

 ただし、経過措置後も引き続き7対1を届出ている病院のうち、32%は機能転換または病床削減を行っています。

 減少した7対1のベッドが、どの入院料に移行(機能転換)したのかが気になります。全自病の調べでは、とくに「地域包括ケア病棟入院料1」の病床数が改定前から経過措置後にかけて2219床(減少分3685床の約60%に相当)増加していることが明らかになっており、「7対1から地域包括ケアへの移行」が進んでいると考えられます。また、調査対象全体で病床数が679床減少していることから、ダウンサイジングが進んでいる状況も伺えます。

 また2016年度改定で経過的に設けられた「病棟群単位の入院基本料」を選択した病院は3病院・804床にとどまり、その内訳は「7対1が447床(55.6%)、10対1が357床(44.4%)」となっています。病棟群単位の入院基本料は、例外的に「7対1と10対1」の混在を可能とするもので、7対1から10対1へ移行する際のクッションとなります。病棟群を選択しても、後に7対1の施設基準を満たせば全病棟を7対1に戻すことができますが、再度、病棟群を選択することはできません。このため病院側では「使い勝手が悪い」と考えているようです。

 なお、7対1から10対1にダイレクトに移行した病院は、1病院・190床にとどまっています。

 さらに今回の調査では、経過措置後も7対1を届出ている病院の99%が三次救急・二次救急の指定を受けている状況も分かりました。


 こうした結果を踏まえて全自病診療報酬対策委員会・改定影響小委員会の森田眞照委員長(市立ひらかた病院長)は、「急性期機能の維持・充実や回復期機能の強化など、会員病院が担う医療提供体制が大きく変化している」とコメントしています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/475540
シリーズ: 改革進む医学教育
臨床実習、「学生用電子カルテ」も用意◆福井大学Vol.2
教員の負担軽減、実習の充実目指す

2016年11月21日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「臨床実習への同意が取れた患者とそうでない患者がいる。その記録を残し、どのように医学生に割り振り、担当してもらうか。各医学生が既に学んだ症例と、未経験の症例と照らし合わせながら、アサインする作業は非常に大変」

 「学生が個々の症例の臨床実習を通して何を学んだのか。病院で運用しているカルテのデータは参照しつつも、『学生用カルテ』を用意して実際に記載してもらわないと、真に診療参加型の臨床実習にはなりにくい」

 「どの診療科で、どんな症例を担当し、どんな医行為をしたのか、あるいは未経験の症例は何かなどを記録として確実に残していかないと、医学生一人一人の評価やフィードバックができない」

 「2023年問題」に対応し、診療参加型の臨床実習を「72時間以上」実施するためには、カリキュラムを見直すだけでなく、運用上、さまざまな手間、困難が生じ、書類業務も膨大になる。この問題を解決するために、福井大学が開発を進めているのが、BS-LMS(Bed Side-Learning Management System)だ。数年前から開発を始め、2017年度から試行的運用を開始する予定だ。2016年度入学の1年生から、新カリキュラムを適用しており、臨床実習に入る2019年度からの本格稼働を目指す。

 BS-LMSの開発を担当する、福井大学病態解析医学講座放射線医学領域教授の木村浩彦氏は、「当大学の医学教育改革は必ずしも進んでいたわけではないが、BS-LMSは他の大学にない先進的なシステム」と誇る。「臨床実習の時間数が増えれば、教員の負担は重くなる。それをいかに軽減するかが重要。BS-LMSを用いれば、教員の準備や学生の評価などの負担が軽減される。学生自身にとってのメリットも大きく、臨床実習では何が求められるかが明確になり、どんな症例を経験し、どこまで学習したかが記録として残るため、学生自身の振り返りが容易になる。このようなアクティブラーニングを支援、後押しできるシステムにしたいと考えている」(木村氏)。

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福井大学のBS-LMSの概要(図提供:木村氏)

 教員とのチャット機能も検討
 BS-LMSは、学務情報システム(学生・教員情報、カリキュラムの内容など)、電子カルテ(患者一覧、学生記載カルテ情報、実習スケジュール情報など)、情報基盤センター(統一認証サーバー、メールアドレス)など、各種関連システムと連動させる。その際、患者の同意の有無、学生の患者情報の閲覧・記載の設定など、患者のプライバシーには十分に配慮する。

 BS-LMSの活用で、(1)教員等による臨床実習スケジューリング(どの学生に、どの患者を割り当てるか)、(2)学生による電子カルテ記載(学生は、許可された患者について、学生用電子カルテに記載)、ポートフォリオ作成、(3)教員による学生用電子カルテ参照・評価(学生の記載内容に対して、指導教官がコメント記入)――などが可能になると想定している。

 (2)のカルテは、大学病院で用いている本番用、学生が閲覧できる参照用、学生が記入できる学生用と三つに分かれる。学生は、自分が担当した患者について学生用電子カルテに記載でき、検査のオーダーなども可能だ。BS-LMSには、学生が記入した内容を教員に転送する機能があり、教員は学生がどんな処置をしたかなどを確認し、評価することができる。「チャット機能も付けて、『なぜこうした対応をしたのか』など、教員と学生が本音でやり取りできる機能も付ける予定だ」(木村氏)。

 BS-LMSに先んじて、福井大学では2008年度から画像関連の教育システムの構築が進んでおり、木村氏の専門の放射線領域では、学生が知っておくべき画像症例を集めた「放射線科100選」をデータベース化している。各症例には、簡単な現病歴や身体所見、治療歴などが記載されており、学生は自ら経験した症例、あるいは未経験症例を自習することができる。本システムもBS-LMSと連動させ、今後拡充予定だ。

 さらに、学生の臨床実習の記録が蓄積されば、個々の学生だけでなく学年全体の評価なども可能になる。「学年全体の臨床実習等の状況を評価することで、実習カリキュラムは十分なのか、どんな改善をすればいいのかなども見えてくるだろう。そこまで発展させることができれば、理想的だと考えている」(木村氏)。


  1. 2016/11/22(火) 05:59:01|
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11月20日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/478523
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
「ミスをした人を罰する」、エラー防止の最大の障害
医療の質・安全学会、上田・群大外部調査委員会委員長が警鐘

2016年11月20日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 第11回医療の質・安全学会学術集会が11月19日、千葉市で開催され、群馬大学医学部附属病院の肝切除術に伴う医療事故の外部調査委員会の委員長を務めた、奈良県総合医療センター総長の上田裕一氏がシンポジウムに登壇、調査の経緯や苦労に触れつつ、同事故のように、手術の「質」が問題視される場合には、クリニカル・ガバナンスを確立し、再発防止につなげる重要性を強調した。

 手術事故では、とかく外科医個人の手術手技が問題視されがちだが、上田氏は、診療科、ひいては病院全体の問題として捉える必要性を説く。例えば、合併症が起きても、それが相次ぐと「慣れ」が生じ、注意喚起につながりにくくなるため、「集団的注意深さ」が求められるほか、臨床指標を設定し、「質」を測定するなどのクリニカル・ガバナンスが大切だとした。さらに各病院単位ではなく、学会レベルでの取り組みも重要であり、全国規模の全症例登録のデータベースを作成して、「見える化」を進め、手術成績の向上につなげる必要性を強調した。

 2016年7月に外部調査委員会が報告書をまとめた直後、群大は執刀医と担当教授の処分を行ったが、この点も上田氏は問題視(『群大、執刀医と教授を解雇処分』を参照)。「我々の調査は、責任追及を目的とはしていない。しかし、調査報告書を公表した直後に、医師が懲戒処分された。罰せられた人が出た施設で、今後、どれだけ事故報告が出るのか。(医療事故対応に関する)カルチャーが変わらない限り、“セカンド・ビクテム”(第二の犠牲者)が生じる」と警鐘を鳴らし、米ハーバード大学のDr.Lucian Leapeの言葉も引用した。

 「エラーを防止する上で、唯一で最大の障害は、『私たちはミスをしたという理由で人々を罰する』ということである」

 外部調査委員会の報告書には、6人の委員全員が署名している。上田氏は群大事故を含め、これまで計18件の医療事故調査を経験している。「今回ほど、力を入れ、また丁寧に議論してまとめた報告書はない」と上田氏は述べ、事故の教訓を生かすために、本報告書の検証を期待した。

 メディア報道先行で苦労
 上田氏の講演テーマは、「群馬大学病院医療事故調査で“私”が学んだこと」。上田氏は名古屋大学医学部附属病院の副院長として、医療安全を担当するなど、これまで医療事故調査にかかわってきた経験を踏まえ、群大事故を振り返った(『“名大事件”が群大事故調査の手本 - 上田裕一・群大“事故調”委員長に聞く◆Vol.1』を参照)。

 「群大事故の報告書をお読みになった方はどのくらいいますか」。上田氏は講演の冒頭で、会場の参加者に問いかけ、報告書に目を通すよう呼び掛けた。

 続けて、上田氏は「外部調査委員会は特殊な事情でスタートした」と、事故調査立ち上げの経緯と苦労を語った。群大事故は当初、外部委員を交えた院内職員中心の体制で調査を行い、2015年3月に「執刀医に過失あり」との記載がある報告書をまとめた。しかし、世間の批判を受けたことなどから、「過失あり」との記載を消去、外部調査委員会が新たに発足した経緯がある(『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」』などを参照)。その上、古い事故は2009年度の事例であり、長い経過が過ぎているほか、メディアの関心も高く、「報道が先行した医療事故調査は苦労することが多い。最終報告に至るまで多くのメディアが注目した」(上田氏)。調査の第三者性を担保するためには、「異なる専門領域」「異なる地域」の委員に依頼する必要もあり、群馬県から離れた奈良県の上田氏に委員長の依頼が来たという。

「死亡事例以外も検証」が特徴
 上田氏らが取り組んだ調査には幾つかの特徴があるが、その一つが調査対象となった肝切除術に伴う18の死亡事例のみではなく、「経年的に手術の変遷、手術実績を概観する」という視点から、死亡事例が生じた期間における成功事例も含めて検証した点だ。

 群大第二外科における2009年度から2014年度までの開腹による肝切除術は計109例で、うち死亡は10例、腹腔鏡(補助)下肝切除術は計103例、うち死亡は8例。時系列的に見ていくと、症例数の累積に伴い死亡率は安定するほか、同時期に複数の重症患者を抱える時期に死亡例が続いたり、腹腔鏡下手術を始めた2010年度から死亡例が続くなどの状況が見えてくる。死亡事故が相次いだ理由などを探るためには、「一例一例のカルテを見るのではなく、全体を見ることが必要」(上田氏)。

 さらに死亡率などの統計的な分析は可能だが、さらに専門的な調査、分析を行うには、事故の関係学会による調査が必要という。群大事故の場合は、日本外科学会が、外部調査委員会が対象にした事例以外の死亡事例も含めて調査を実施した。「群大事故は、手術の質を評価するものであり、「専門学会の協力と支援がなければ調査は不可能だった」と上田氏は振り返る。

 客観的な質評価の指標、必要
 診療科の専門性が細分化していくほど、他領域や他科の医師にとって見ると、他の医師の評価は難しく、自分のコメントに責任を持てず、口出しができない状況があるため、「医療安全管理部門がどこまで介入できるかが問われている」と上田氏は指摘する。

 とはいえ、患者の取り違えや誤薬などの医療事故とは異なり、手術の診療水準の評価は難しい。そこで求められるのが、クリニカル・ガバナンスという視点だ。これは、上田氏らが今回の調査の際に参考とした、イギリスのブリストル王立小児病院事件(手術後の死亡が相次いだ同病院で、特別調査委員会が1984年から1995年の12年間の診療内容を調査)の調査報告書に記載されている概念だ。「提供される専門的医療サービスの質のチェックやモニターと関係者への説明責任に対する体系的なプロセス」であり、「より良い診療を促進し、悪しき診療を防ぎ、容認できない診療を発見することであり、医療組織と医療の質と安全で規律付けるための仕組み」と定義付けられる。

 上田氏は、(1)行った治療がデータベース化されているか(死亡率、術後合併症など治療の質を評価する指標が蓄積されているか、(2)少なくとも重篤な合併症が生じた場合には、病院全体として症例検討会を開催して評価するだけでなく、診療所の問題点が広く共有されているか――などと問いかけ、「医療従事者の認識と『報告する組織風土』が問われている」と語った。

 米ハーバード大学経営学者、Michael E. Porterの言葉も引用、「医師は自分がどのチームに属するか、あるいはかかわるかを理解し、それがチームとして機能するようにしなければいけない」「外科においては、医療の価値は、外科医だけではなく、麻酔科医や放射線科医、看護師、熟練した技師などによっても左右される」と述べ、医師個人や病院には組織として取り組む姿勢が求められるとしたほか、「真の実績評価を可能にする唯一の存在である学会が、患者にとっての医療の評価を改善するプロセスを主導しない限り、学会は自らの役割を果たしていないことになる」と指摘し、症例データベース構築などの取り組みを期待した。

 肝臓内視鏡外科研究会では、2015年10月から前向きに全症例登録制度を開始した。2016年6月までの実績では、死亡率(部分切除、外側区域切除、亜区域切除、区域切除、葉切除)は、術後30日以内0.14%、90日以内0.27%、適応拡大した術式(亜区域切除、区域切除、葉切除)の死亡率は、術後30日以内0.92%、90日以内1.83%などのデータをまとめている。「質」に関する指標を設定、測定する仕組みの構築により、手術適応が厳格になることもあり、手術成績の向上が期待できるという。

 「○○科の患者さんではなく、病院の患者さんと考える必要がある」。講演の随所で、医療事故を組織の問題として捉え、チームとして対応する必要性を説く上田氏。最後は前述のように米ハーバード大学のDr.Lucian Leapeの言葉を引用し講演を締めくくった。

 「エラーを防止する上で、唯一で最大の障害は、『私たちはミスをしたという理由で人々を罰する』ということである」



https://www.m3.com/news/iryoishin/474875
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
勤務先への満足度、年齢とともに上昇?◆Vol.5
U35世代より勤務先への不満少なめ

医師調査 2016年11月20日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

Q ご自身の勤務先の環境に満足していますか。
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 勤務先の環境への満足度では、全体で「大いに満足」が4%、「満足」が31%、「普通」が50%となった。開業医と勤務医では大きな違いはなかったが、今年5月に掲載したU35世代と比べると、「普通以上」はU35世代では70%で、85%だった50歳以上の世代の方が勤務先への不満が少ない傾向が見て取れた。



https://www.m3.com/news/general/478512
現役並み所得の高齢者、医療負担の上限引き上げ
2016年11月20日 (日) 読売新聞

 政府が2017年度からの実施を検討している社会保障制度の見直し案が分かった。

 一定の所得がある高齢者の医療と現役世代の介護保険の負担を増やすことが柱だ。具体的には、現役世代並みの所得(年収約370万円以上)のある70歳以上の医療費の自己負担上限額を引き上げるほか、大企業の会社員らの介護保険料を引き上げる。高齢化で膨らむ社会保障費の抑制を目指す。

 医療分野では、毎月の医療費の自己負担に上限を設けている「高額療養費制度」について、現状では、原則として所得にかかわらず69歳以下より低い上限となっているが、現役世代並みの所得があれば引き上げる。対象の所得層は約160万人と見込まれている。



http://economic.jp/?p=68423
医療機関の8割で導入予算・運用予算が1000万未満 医療分野のICT化に課題
2016年11月20日 19:25 エコノミックニュース

エス・エム・エスが病床数20床以上の医療機関に勤務する事務長(108人)を対象に「第4回 医療関連ICT実態調査アンケート」を実施した

 エス・エム・エスが病床数20床以上の医療機関に勤務する事務長(108人)を対象に「第4回 医療関連ICT実態調査アンケート」を実施した。同社によれば、医療関連ICTシステム導入・検討状況の調査では、「医事会計」「自院ホームページ」「画像管理」「栄養・給食管理」で半数以上が導入済みとなっていたほか、新規導入を検討しているシステムとして、「電子カルテ」「オーダリング」「看護業務支援」が上位となった。特に電子カルテに関しては導入検討率が導入率を上回っており導入意欲が高いことが明らかになった。導入済み、新規導入検討システムとして割合が低かったものには、「在宅医療連携支援」「眼科」など、そもそもサービス提供を実施していない医療機関の割合が高いものや、それ以外のものでは「手術管理支援」「経営管理」「透析管理」「物品物流管理」といったものがあり、ICT化へのニーズの低い分野が明らかになった。「地域医療連携支援」に関しては、導入済みの割合は低かったものの新規導入を検討している医療機関が導入率を上回る10.2%あり、地域包括ケアシステムの実現に向けて今後力を入れる必要性を感じている医療機関が出てきていることがうかがえる。

 医療関連ICTシステムの導入・運用予算については、年間の導入予算・運用予算ともに約8割が1000万円未満との結果となっており、こうした予算の制限から、最低限必要なシステム以外での普及が進みにくい構造となっていることがわかる。こうした導入・運用コストの負担から医療のICT化の推進が進んでおらず、クラウドを活用した低廉なモデルの普及が求められている。しかし、クラウドサービスに関してはセキュリテー面・安定性での課題があるほか、カスタマイズにより異なるシステム同士の情報連携面で不安があるようだ。無料のクラウドサービスを導入する可能性については、「検討の余地あり」との回答が電子カルテで92%、地域連携支援で97%、栄養・給食管理で94%と高い導入意欲を示す一方、実際の導入で求める要件として、電子カルテで「安定性」「セキュリテーの堅固さ」「スムーズなデータ移行」「導入済みの他システムとの連携」が、栄養・給食管理で「セキュリテーの堅固さ」「院内他システムとの連携」が挙がっている。また、どちらに関しても「実績」が求められており、先駆的にシステムを導入して成果を出す医療機関の事例増加が、システム普及のためのポイントとなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)


  1. 2016/11/21(月) 05:39:54|
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11月18日 

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1118505702/
岩手271人、神奈川など3県ゼロ...都道府県機関への医師派遣に地域差
yomiDr. | 2016.11.18 13:05〔読売新聞〕

 医師の地域偏在を解消するため、医師の派遣や配置調整の司令塔として都道府県に設置された地域医療支援センターの派遣実績に、最大271人から0人まで大きな格差があることが、厚生労働省の調査で分かった。
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 同センターは、地域の医師不足の状況を医療機関ごとに把握し、大学病院や地元医師会などと連携して若手医師らの派遣・配置調整を担う。2011年度以降、各都道府県に設置された。同省が、全都道府県を対象に、センター設置後から今年7月までの実績を調べたところ、派遣・配置調整の人数は計2963人だった(へき地などに医師を派遣する自治医科大卒業生を除く)。

 都道府県別では、岩手県が271人、香川県が221人と多かった一方、神奈川、鳥取、愛媛の各県は0人だった。人口10万人あたりの病院勤務医数が最も少ない埼玉県は4人にとどまった。

 今年度から、大学卒業後9年間を目安に特定地域内の医療機関で勤務する「地域枠」出身の医師が働き始めたが、これらの医師の配置調整もセンターの主要な業務となる。

 同省地域医療計画課は、「センターの設置時期は一律ではないが、偏在解消対策に対する意識に温度差があるのは事実。今後、地域枠の医師を適切に活用できるか不安が残る」と話している。



【地域医療支援センター】 都道府県内の医師の地域偏在を解消するため、医師の派遣や配置調整を行う機関で、大学病院や県庁内などに設置されている。2011年度に国の補助事業として始まり、14年10月に医療法改正で設置が努力義務とされた。現在は消費増税分を財源とした基金を活用して運営されている。

(2016年11月18日 読売新聞)



http://www.huffingtonpost.jp/hideki-komatsu/control-medical_b_13060742.html
医系技官を訴えた理由:統制医療が日本を滅ぼす
小松秀樹  医師
投稿日: 2016年11月18日 11時28分 JST 更新: 2016年11月18日 11時28分 JST ハフィントンポスト

●公務員個人に対する損害賠償請求

私は、厚労省元結核感染症課長井上肇氏(現在世界保健機関出向中)と千葉県医療整備課長高岡志帆氏を東京地裁に提訴した。第1回口頭弁論が、11月30日午前10時15分、631号法廷で予定されている。多くの方に傍聴していただきたい。

両氏とも本籍は厚労省採用の医系技官だ。公務員が民間人である私の言論を封じるために、医療法人鉄蕉会の経営者に厚労省の内部情報を漏洩して、私を懲戒解雇するよう求めた。2015年9月25日、私は懲戒解雇になり職を失った。

言論を抑圧するために、民間医療機関に対して職員の解雇を強要することは、公務員としての活動ではありえない。そこで、国家賠償請求訴訟ではなく、個人の不法行為に対する損害賠償請求訴訟とした。

●経営者は私の言論活動に協力していた

私は、医師だが、十数年来、言論人としても活動してきた。経営者は、今回の事件まで私の言論活動に協力的だった。亀田総合病院亀田信介院長は千葉県医療審議会の専門委員だった。

信介氏との議論が、病床規制や東千葉メディカルセンター問題について執筆するきっかけになった。信介氏から千葉県医療審議会に提出された資料を提供された。

2013年10月、私は、医療法人鉄蕉会理事長亀田隆明氏の要請で、規制改革推進会議で病床規制の問題点を指摘した。隆明氏は、控除対象外消費税についての私の論考をきっかけに、その是正を求める運動を始めた。

●高岡志帆課長の虚偽通告とその破綻

私は、亀田信介院長の強い要請により、2013年度から3年間の予定で、亀田総合病院地域医療学講座で地域包括ケアに関する映像シリーズ、書籍、規格を作成していた。

予算は国の地域医療再生臨時特例交付金から支給されたものだ。2014年度の交付決定通知を受け取っていたが、2015年5月1日、高岡氏らから、予算がなくなったことを理由に、2014年度の予算を削減し、2015年度については事業を中止すると通告された。

地域医療再生基金管理運用要領によれば、厚労大臣の承認なしに、都道府県の役人の恣意で事業を中止できない。それ以上に、予算の流用は許されることではない。

私は、予算が何に使われたのか、いくら残っているのか厳しく追及した。亀田隆明理事長も怒りを露わにして、自治体病院に出向させている医師を引き揚げると脅迫めいた言葉を口にした。

5月15日、隆明氏は、態度を急変させ、私を外して、1対1で県と交渉すると言い始めた。隆明氏は、それまでの経緯、活動内容を知らない。公金が投入されており、外部の映像制作会社、出版社、名だたる専門家が作業に関わっていた。

私には個別医療法人を超える責任が生じていた。私が反対すると、隆明氏は、交渉するのではなく、千葉県の不正を高岡氏に伝えるのだと発言を変えた。不正を行った本人に不正だと訴えても意味はない。

私は、予算を確保するために、鉄蕉会内部の弁護士と相談の上、「亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政」をMRIC(メールマガジン)に投稿して千葉県の対応を批判した。2015年5月27日、狙いどおり、高岡氏は虚偽を認め、予算が残っていることを明らかにした。

2014年度予算については、決定通り交付されることになったが、2015年度予算について、態度をあいまいにした。まだ流用をあきらめていない。そこで、県を押し込むために「千葉県行政における虚偽の役割」をMRICに投稿した。出来事をできるだけ正確に再現して、千葉県の対応を批判した。

●言論抑圧と懲戒解雇

2015年6月22日、亀田信介院長に内密の話があると呼び出された。厚労省の職員から私の行政批判を止めさせろ、今後も書かせるようなことがあると、補助金を配分しないと脅されたという。

言論抑圧は大問題だ。私は、信介氏との会話の記録を作成し、信介氏に確認を求めたが、修正の要請はなかった。その上で、信介氏には、大変なことになるかもしれないので、相手と接触しないよう忠告した。

2015年7月15日、言論抑圧を仕掛けたのが、イノウエハジメカチョウだとの情報を得た。結核感染症課長の井上肇氏ならば、亀田総合病院では有名な名前だ。

保健医療担当部長として千葉県に在職していた当時より、亀田隆明理事長と懇意にしていた。当時の厚労省の幹部名簿には、イノウエハジメという課長は他に見当たらなかった。

言論抑圧を放置すれば、医系技官の乱暴な支配がさらに強まる。2015年8月17日、私は、知人の厚労省高官に、作成途中の厚労大臣あての、調査と厳正対処を求める文書の原案を送って、手渡す窓口と日時を相談した。

2015年9月2日11時18分、高岡医療整備課長から、隆明氏に、メールが送付された。

すでにお耳に入っているかもしれませんが、別添情報提供させていただきます。補足のご説明でお電話いたします

メールには、私が作成した厚労大臣あての文書原案と「千葉県行政における虚偽の役割」が一つのPDFにまとめられて添付されていた。十数分後、隆明氏は、別の人物に電話で状況を説明した後、メールをそのまま転送した。隆明氏は、私を9月中に懲戒解雇すると語ったという。

2015年9月14日、懲戒手続きが開始された。弁明の機会付与通知書には「メール、メールマガジン、記者会見等、手段の如何を問わず、厚生労働省及び千葉県に対する一切の非難行為を厳に慎むことを命じます」と書かれていた。

処分通知書は、「貴殿は、職務上及び管理上の指示命令に反し、亀田総合病院副院長の名において、厚生労働省に、2015年9月3日付け厚生労働大臣宛書面を提出し、同省職員の実名をあげ、調査と厳正対処を求める旨の申し入れを行った(懲戒処分原因事実3)」と締めくくられていた。

大臣あて文書の記載内容に異議を唱えることなく、記載内容を前提に、公務員の不正について調査と対処を要請したことが、懲戒処分の理由として記載されていた。

申し入れ書は、公益通報に相当し、秘密にされるべきものだ。これを理由にした懲戒解雇などあってはならない。

●計画経済は複雑多様化した世界に対応できないばかりか、専制、腐敗を招く

私は、計画経済的な医療統制を批判しつづけてきた。これが言論抑圧の背景にある。

上意下達のヒエラルキー的な統制は、組織の頂点しか、環境を認識してそれに対応することができないため、医療の営為を画一化し、硬直的にする。統制は、医療が複雑多様化している中で、失敗を繰り返してきた。

計画経済は、行政が強大な権限を持つため、専制を招く。腐敗と非効率は避けられない。旧共産圏では、現場の活力を奪い、製品やサービスの質と量の低下を招いた。計画経済を運営することは人間の能力を超えている。

●統制医療の大失敗:首都圏の医療・介護供給不足

明治以後、日本では医学部の配置が西日本に偏っていた。1970年以後の1県1医大政策でこの格差が広がった。

例えば、四国(1970年人口390万人)の医学部数は1から4に増えたが、千葉県(1970年人口337万人)は1のままだった。1985年の病床規制導入後、入院診療への新規参入が抑制され、許可病床が既得権になった。

許可病床数を決めるための基準病床数の計算方法が現状追認的だったため、医療提供量の西高東低の地域差が固定された。

高度成長期、団塊世代を中心に、首都圏近郊への人口集中が進み地域差がさらに拡大した。2015年、四国4県の人口は385万人に減少したが、千葉県の人口は622万人まで増加した。千葉県では、看護師が極端に不足しているため、許可病床のすべてが開床できるわけではない。

医療格差が団塊世代の高齢化で急速に拡大しつつある。2015年、団塊世代全員が65歳以上になった。2025年には75歳以上になる。65歳から74歳までの要介護認定率は4%だが、75歳以上では30%になる。2030年、首都圏で75歳以上の高齢者人口は、2010年の約2倍になる。

都市部を中心に医療・介護サービス、とくに介護サービスの深刻な供給不足が予想されている。東京では75歳以上の高齢者の28%が独居だ。首都圏では、行き場を失った要介護者があふれることになる。

●失敗挽回の大方針は「強制力」の強化

医系技官は、高齢者の急増に対応するために、中央統制をさらに強める動きにでた。2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書は、「強制力」のさらなる強化を提案した。国会審議を経て「強制力」が法制化された。

統制は、現場の状況に応じた多様な努力を抑圧する。強制力を強化するとどうなるか、旧ソ連で証明済みだ。限界まで強化されるとどうなるか、北朝鮮を見ればよく分かる。

●医系技官の権力拡大

地域医療構想では、構想区域の医療の需要を行政が推計し、各病院の病床機能ごとの病床数を実質的に行政が決める。計画経済そのものだ。実行に強制力が伴う。

都道府県知事は、「勧告等にも従わない場合には」最終的に「管理者の変更命令等の措置を講ずることができる」(地域医療構想策定ガイドライン)。都道府県に出向した医系技官が、病床配分を通じて、個別医療機関の生死を握ることになる。専制と腐敗が生じやすい。

さらに、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金が、都道府県に設置された。補助金を、都道府県の裁量、すなわち、都道府県に出向した医系技官の裁量で医療・介護施設に配分する。

医療には消費税が課されていないが、医療機関の購入したものやサービスには消費税が上乗せされている。消費税率引き上げ分が診療報酬に十分に反映されていないことを考え合わせると、この基金は病院の収益の一部を取り上げ、それを、支配の道具に使う制度だと理解される。病院の投資を医系技官が握ることになる。病院独自の経営努力の余地を小さくする。

行政主導の投資は無駄が多い。補助金をできるだけ少なくして、診療報酬に回すのが健全だ。どうしても必要な補助金は、裁量権を持つ医系技官が決めるのではなく、数字で示される指標で自動的に金額が決められる方法を考案する必要がある。配分する側に裁量権があり、配分される側に経済的余裕がなければ、支配-被支配関係が生じ、民主主義が破壊される。

●統制医療ミクロの失敗:東千葉メディカルセンターの巨額赤字とその責任

東千葉メディカルセンターの設立と運営に補助金を集中的に投下するために、千葉県は、二次医療圏を恣意的に変更して、山武・長生・夷隅医療圏を作った。

長径80キロの細長いゲリマンダー医療圏だ。東千葉メディカルセンターは、2014年に開院したが、医療人材不足とずさんな計画のため巨額の赤字が続き、東金市の財政を危うくしている。

夷隅郡市2市2町の住民の医療のために使われるべき補助金が、東千葉メディカルセンターに投入された。夷隅郡市の住民は遠いため通院できない。救急搬送するにも遠すぎる。

東千葉メディカルセンター問題が注目されると、千葉県職員の責任問題になる可能性がある。井上肇氏は、東千葉メディカルセンターの準備段階の一時期、千葉県庁でこの問題を主導すべき立場にあった。

高岡志帆氏は、現在、東千葉メディカルセンター問題に深く関わるべき立場にある。東千葉メディカルセンター問題は、言論抑圧の直接的原因の一つだった可能性が高い。

●医療事故調査委員会問題:行政主導の「裁判」を目指して失敗

医療事故調査委員会問題では、医系技官は、当初、中央で医療の正しさを決め、過失の認定まで行おうとして失敗した。実現していれば、医系技官が事務局に天下りし、裁定を支配しただろう。

人権を守るための手続きを知らず、自己の権力拡大を強く望み、それ故に利益相反が避けられない人たちに、「裁判」をゆだねるのは危うすぎる。最終的に、法令系事務官が、医系技官から奪い取る形で、院内事故調査委員会を中核とする安全を高めるための制度が作られた。

医療の正しさは仮説的で暫定的であるがゆえに、進歩し続ける。医療の正しさは未来に向かって変化するものであり、別の意見を排するような猛々しいものではない。医療現場は多様であり、正しさも複雑多様だ。正しさが固定されると、医療は機能を低下させ、進歩を止める。

●新専門医制度:多様性の抑圧と若い医師の人権無視で破綻

新専門医制度では、専門医の養成を、統一的に画一的に行ない、これに人事権を絡ませようとした。教育制度に人事権を持たせると、専制と搾取が生じる。教育者と被教育者の権威勾配がこれを助長する。

医系技官は制度を支配の手段と考え、大学教授たちは若い医師を隷属させる手段と考えた。このため、養成期間が長期間になりすぎた。給与を誰が保障するのか考えていなかった。画一的で無駄の多い修練期間が長くなると、専門医の技量の習得を妨げ、医療の質を低下させる。専門医としての生涯活動期間を短くし、サービス提供量を減少させる。

地域にはその実情に合わせた多様な工夫や努力がある。愛知県の救急医療は、医師不足にも拘わらず、卒後5~6年目までの若い医師によって支えられてきた。愛知県の救急医療体制は、新専門医制度の人事ローテーションによって崩壊すると危惧されていた。

新専門医制度は様々な欠陥のため、予定していた2017年度に開始できなくなった。

●新型インフルエンザ騒動:病気と医療についての知識不足で失敗

2009年の新型インフルエンザ騒動で、医系技官は、医学常識に反する無茶な指示、事務連絡を連発し、医療現場を混乱させた。早い段階で、弱毒性と分かったが、大騒ぎを続けた。大阪の経済活動を長期間妨げた。医学的に根拠のない検疫、停留措置で人権を侵害した。

2012年4月、新型インフルエンザ対策特別措置法が成立した。医学常識を欠く医系技官に、人権制限を伴う強大な権限を付与するものだった。

2012年11月、日本感染症学会は、特別措置法について緊急討論会を開催した。専門家たちは2009年の新型インフルエンザ騒動の混乱を忘れていなかった。多くの専門家が発言したが、特別措置法に賛成した者は一人もいなかった。

●医系技官と言論の自由

医系技官という存在は難しい。医師免許を持っているが、本格的な医学知識や診療能力を持っているわけではない。行政官なので、活動は法律に縛られるが、その法律の成り立ちをほとんど知らない。このため、属人的権力、すなわち裁量権のある権力、個別事例に介入する権力を欲しがる。

属人的権力は専制につながりやすい。すでに、医師や病院の団体は、医系技官に抵抗しにくい状況にある。例えば、日本医師会の事務局長は医系技官だ。国から独立した自律団体としては考えられないことだ。ナチへの反省から生まれた世界共通の医療倫理に反する。日本の医師は、医系技官を恐れ、表立った言論による批判を避けている。

亀田総合病院事件は、統制医療の必然的副作用だ。井上、高岡両氏は、統制医療が生んだ小さな怪物だ。今は特殊かもしれないが、いずれ、これが普通になる。厚労省や千葉県の統治の正当性が危うくなる。法治国家としての日本の正当性が揺らぐ。

「憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」(日本国憲法第12条)。三権分立も「国民の不断の努力」がなければ機能しない。最大の手段は、言論による批判だが、その言論が抑圧された。今回の裁判の結果は、日本の民主主義の水準を決める。

(2016年11月15日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/302597.html
矯正医官 遠い充足 医師偏在、長期定員割れ
(2016/11/18 07:47)静岡新聞NEWS

全国の矯正医官数の推移
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 静岡県内にある法務省管轄の矯正施設で「矯正医官」と呼ばれる常勤医の不足が長く続いている。医官の兼業を認める特例法が昨年12月に施行されたが、もともと医師不足の静岡などの地方都市では、解消への道のりは険しく、関係者は依然頭を抱える。
 「他の医師から『もっと稼げるところがあるのでは』と好奇の目で見られる」。元開業医で2月に静岡刑務所の矯正医官になった秋山博さん(57)は話す。年収は3分の2になった。
 唯一の常勤医。三つの医官ポスト全てが埋まっていたのは、最近では10年ほど前までさかのぼる。
 700人以上の収容者の中には80歳以上の高齢者もいる。給料の不足分を補うため、別の民間病院でも働く秋山さんを支えているのは、「自分しかいない」という使命感に他ならない。

 「ワークライフバランスを求める方には最適な職場」―。静岡少年鑑別所前には、公務員ならではの“売り文句”が書かれたポスターが掲げられている。昨年12月以来、唯一の医官ポストの医務課長の不在が続く。
 紀恵理子所長は「心も体も発達段階にある少年にとって、医師に診てもらう安心感は重要」と話す。
 「中腰に気を付けて」。静岡市葵区の少年院「駿府学園」の吉江晴英医務課長(51)は今月中旬、昔の交通事故による腰痛を訴えた少年(16)に語り掛けた。
 吉江課長も耳鼻咽喉科の開業医だったが、2008年10月に矯正医官に転じた。
 「自分の専門性が生かせない中で、モチベーションの維持が難しい面もある。『ありがとう』の一言に救われている」と話す。
 法務省東京矯正管区矯正医事課の担当者は「そもそもの医師偏在があり、矯正医官の不足は首都圏から遠いほど顕著」と指摘する。

 ■特例法施行、兼業可能に

 全国の矯正医官の不足を受け、昨年12月に施行された特例法では、法相の承認があれば、平日の昼間でも他の民間病院などで勤務できるようになった。
 法律を審議した法務省の有識者検討会のメンバーの一人で弁護士の神洋明氏は取材に、矯正医官が同省管轄であることから、地方に国立病院を抱える厚労省から人事面で協力を得られていないと指摘。「縦割り行政の弊害の一つ」と述べた。
 一方、6年間常勤医が不在だった網走刑務所(北海道)では、今年4月、関東地方から50代の内科医が医官になった。特例法を生かし、地元の民間病院で内科医として勤務することで、医師不足に悩む地域住民からも感謝されている。ただ、こうした成功例は全国でもまれだ。
 「そもそも刑務所に仕事があることを知らなかった」と話す現役医師もいまだに少なくないといい、国のPR不足を指摘する声もある。



http://www.sankei.com/region/news/161118/rgn1611180001-n1.html
「赤ちゃん産めない」 湖西や牧之原周辺、伊豆半島南部で医師不足深刻
2016.11.18 07:00 産経ニュース

 医師不足に加えて地域や診療科による医師の偏在が進み、湖西市や牧之原市周辺、伊豆半島南部では、地元で出産できる医療機関がない状態が続いている。本県は人口当たりの医師数が全国でも最下位に近い医師不足県。その上に、産科医の人手不足が重なり、地元で赤ちゃんを産めない“出産難民”が多発している。

 ◆助成金に反応なし

 湖西市内ではこの10年近く、赤ちゃんの産声が響いていない。平成19年に湖西病院が分娩(ぶんべん)を休止して以降、市内に出産できる施設がないからだ。「毎年500件近い出生届が出されるのに、出産は全て市外です」。市健康増進課の担当者はため息をつく。出産可能な大病院がいくつもある浜松市と愛知県豊橋市に挟まれているとはいえ、妊婦は最短でも車で30分の距離を越境しなければならない。

 何とか地元で赤ちゃんを産めるようにしたいと、同市は今年度、市内に出産できる医院を開けば、総額最大1億円を補助する制度を始めた。一般会計予算が200億円規模の自治体としては、かなりの大盤振る舞いだ。

 ところが「1億円助成」と大々的に打ち出しても、「問い合わせは1件もありません」(同課)。足りない医師の中でも、産科医はとりわけ引く手あまた。「このまま市内で出産できない状態が続けば、若い世代を取り逃がして、さらに人口が流出する事態を招きかねない」と、市の苦悩は深い。

 ◆交通費3万円支給

 静岡、浜松という両政令市に挟まれた志太榛原地区も医師不足が顕著。中でも御前崎市▽牧之原市▽吉田町-の2市1町には出産できる医療機関が一つもない。唯一出産可能だった榛原総合病院(牧之原市)が、昨年6月末で分娩受け入れを休止したことによる。

 このため吉田町では今年度から、遠くまで通院せざるを得ない妊婦を対象に、通院に伴うタクシー代など交通費として一律3万円の補助を始め、若年層の転出を防ごうと懸命だ。

 伊豆半島は、さらに厳しい状況に置かれている。伊豆半島南部の下田市▽東伊豆町▽河津▽南伊豆▽松崎▽西伊豆-の1市5町で出産できるのは、下田市の開業医1つのみ。「伊豆半島の出産はほぼ全て、伊豆の国市の順天堂大学付属静岡病院が一手に担っている」(県地域医療課)という綱渡りの状態にある。

 同病院では年間約900件の分娩を扱い、産気づいた妊婦がドクターヘリで同病院に搬送されることもしばしばあるという。

 “処方箋”見当たらず

 しかし、このような“出産難民”に対する県を挙げての対策は、十分とは言い難い。本県の人口10万人当たりの医師数(26年)は、193・9人と全国40位なのに、医学部を持つ大学は浜松医大のみで、県内で育つ医師の絶対数が不足しているからだ。県はまず医師の確保を優先しており、診療科や地域による偏在は「医師数が充足すれば満たされる可能性がある」との立場をとる。

 医師確保に向けて県は、一定期間の県内勤務で返済を免除される月額20万円の奨学金を医学生向けに用意するが、まだ枠に空きがある。加えて、各地の医大に地域枠導入を働きかけたり、医学生向け研修プログラムを充実させるなどあの手この手を打ってはいるものの、医師不足を解消し“出産難民”を減らす有効な処方箋はまだ見つかっていない。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49978.html
臨床医学の父、ウイリアム・オスラーに学べ- 来月11日のセミナー講師陣がメッセージ
2016年11月18日 20時00分 CB News

 「医学生は講義室ではなく、臨床現場で勉強すべきだ」-。来月11日に東京都医師会が主催するセミナー「いい医師になろう!~総合診療力を高め、真のかかりつけ医になるために~」に講師として参加する独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の徳田安春・総合診療顧問は、「臨床医学の父」といわれるカナダ生まれの内科医ウイリアム・オスラー(1849-1919)の言葉を大切にしている。

 徳田さんは、東京城東病院(東京都江東区)や水戸協同病院(水戸市)などを拠点にして、若手医師や医学生の総合診療力を高めるための全国の病院などの勉強会に出向いて実践形式の臨床推論の講義をし、自身のノウハウを余すことなく伝授している。この取材をした日も、関東労災病院(川崎市)に呼ばれて講義をすることになっていた。

 徳田さんは「今の医学部教育は、講義形式による知識の詰め込みと見学型臨床実習が中心となっており、医療チームの一員になっていません」と話す。そこで、冒頭のオスラーの言葉を引用した。

 さらに、「知識を詰め込んでも、数年後には新しく切り替わるので、更新していかなくてはいけません。ある疾患に対する新薬の論文が出てきたとしても、まずは『批判的』に論文を読んでいく必要があります。その能力を備えなくてはいけません」と付け加えた。

 一方、徳田さんは米国発のChoosing Wisely(医療における賢明な選択)キャンペーンの、日本での普及に尽力している。このキャンペーンは、EBM(Evidence Based Medicine)という、科学的根拠に基づいた医療を提供しようとするもので、患者の価値観を尊重した望ましい医療について、医師と患者の対話を促進しようというのが狙いだ。

 そこで徳田さんに、今回、東京都医師会が主催するセミナーのタイトルに盛り込まれた「いい医師になろう!」とChoosing Wiselyの関係を聞くと、このように説明してくれた。

 「Choosing Wiselyと“いい医師”はイコールの関係です。Choosing Wiselyはもともと、プロフェッショナリズムを発揮するために生まれたものです。このキャンペーンが始まったのは、世界的にプロフェッショナリズムが危機にあるという背景もあります。Choosing Wiselyに基づいた医療をやるには、“いい医師”でなくてはいけません。不必要な検査、投薬などをしないので、問診と診察がしっかりできる医師にならなくてはいけないのです」

■「臨床で分からないことを解消するプロセスは魅力あるもの」

 東京女子医科大病院(東京都新宿区)の総合診療科で非常勤講師をしている佐藤寿彦さんも、来月11日のセミナー第2部の「明日から役立つ臨床推論」に、徳田さんと共に参加することが決まった。佐藤さんは、臨床現場の医療情報に関するオピニオンリーダー的な存在であるほか、人工知能の研究もしている。

 佐藤さんは、臨床推論を通じて、診断のスキルを磨く重要性を指摘した上で、こう話す。

 「患者さんと向き合う臨床では、医学が理解できていないことや自分が分からないことに、たくさん遭遇します。それを調べながら解消していくプロセスを繰り返すのは魅力のあることです。臨床推論のケースカンファレンスで、今まで何となく考えていたことの言語化を試みたいと考えています」

 また佐藤さんは、若手医師や医学生に対し、今後、勤務場所や専門科を選択する過程では、「持続可能性」の視点を持つのがいいとアドバイスする。

 そして、佐藤さんは「持続可能性」の視点の意味について、このように説明する。

 「職場はまさしく“生もの”ですので、大好きな先輩が一人いるとか、子育てを許容する雰囲気があるかなどで、大きく環境が変わります。こういうことがやりたいという動機などだけでなく、職場や専門科の特性に自分の根本的な価値観と合わないものが少ないことを確認し、また、きちんと継続できるか確認することが大事になると思うのです」



https://www.m3.com/news/iryoishin/477942
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議
社会保障関係費の伸びは5000億円に抑制、改革の前倒し提言

2016年11月18日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 財務省の財政制度等審議会(会長:吉川洋・立正大学経済学部教授)は11月17日、2017年度の予算編成等に関する建議をまとめ、麻生太郎財務相に提出した。社会保障関係費の伸びを「5000億円」に確実に抑制し、その他の政策経費を含めた一般歳出を5300億円に抑えるべきと提言している。「最大の課題は社会保障分野」と強調、経済財政諮問会議が2015年12月にまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の検討項目を中心に、改革の基本的な考え方を4つに整理し、できる限り前倒しして改革を実現するよう求めている(資料は、財務省のホームページ)。

 4つの基本的な考え方とは、(1)年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担(高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなど)、(2)大きなリスクは共助、小さなリスクは自助(入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方など)、(3)医療・介護提供体制の構築(かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、地域医療構想に沿った医療提供体制の実現、医療費適正化計画の策定・実現など)、(4)公定価格の適正化・包括化等を通じた効率的な医療・介護(高額薬剤の薬価等の在り方、生活習慣病治療薬等の処方の在り方など)――だ。

 これらの大半は、厚生労働省の社会保障審議会や中央社会保険医療協議会をはじめとする関係審議会・検討会で、並行して議論してきた内容だ。高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直しなどは実現の見通しだが、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入、スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率などは、「反対」で意見が一致(『「かかりつけ医」以外で「定額負担」、反対多数』、『スイッチOTC化の医療用医薬品、「給付率引き下げ」反対』を参照)。11月18日にも、社保審医療保険部会が開催され、今年内数回の議論を経て、2017年度以降実施の制度改正案を取りまとめる予定。また高額薬剤については、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価を2017年2月から500引き下げる方針が、11月16日の中医協で決定した(『オプジーボ、来年2月から500引き下げへ』を参照)。

 社会保障関係費の伸びを年5000億円に抑制するのは、2015年6月に閣議決定した「経済・財政運営と改革の基本方針2015」に基づく対応。今年8月の厚労省の2017年度予算概算要求では6400億円の伸びとなっており、高額療養費や後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、オプジーボの薬価引き下げなどで抑制する見通し。

 そのほか(3)では、2017年度予算編成には関係しないものの、医師需給問題にも言及。今後の医学部定員については、医師需給の見通しを踏まえた精査・見直しを進めると同時に、医師の地域・診療科偏在是正に向け、(1)医師不足の地域・診療科従事を、特定の医療機関の病院長といった管理者になるための要件とする、(2)保険医の配置・定数の設定など、医師配置等に係る規制も含め、国や都道府県の権限強化――を提言している。

 「改定がない時こそ、改革を」

 財政審の建議は、財政制度分科会で議論してきた内容を取りまとめたもの。9月7日以来、会議を計7回開催。社会保障関係については、10月4日と10月27日の2回議論(『財政審財政審、薬価の期中改定や高齢者の負担増を求める』、『「保険医の定数設定」なども可能に、国・県の権限強化を』を参照)。

 建議では社会保障関係について、「社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成していくため、医療・介護分野の改革の実現は、喫緊の課題」とし、「2017年度予算編成においては、診療報酬・薬価改定および介護報酬改定が予定されていないが、こうした時こそ、改革を集中的に進める機会と捉えていくべき」と指摘。その上で改革の基本的な考え方を4つに整理し、具体的な改革項目を解説している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/478013
「医学部の暫定定員増、政府方針に」医学部長会議が要望
大学病院、国私立ともに消費税補填不足が拡大

2016年11月18日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議は11月17日の定例記者会見で、厚生労働省に対して「医学部定員の暫定増の取り扱いについて」と題する要望書を提出したことを明らかにした。要望書は11月16日付け。厚労省「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で流会が続いている異常事態を受けての緊急対応で、新井一会長(順天堂大学長)は「定員は大学運営にとっても、受験生にとっても重大な問題」として政府全体の方針として示すよう求めた。

 医師需給分科会の中間とりまとめで、2017年度までの医学定員暫定増を「当面延長する」としており、2019年度までは現行の9262人という水準を維持する方針を示している(『医学部定員、最低でも「9262人」、2019年度まで』を参照)。要望書では(1)政府方針として示すこと、(2)「当面延長する」の解釈について「2017年度までで終了する医学部定員増について、2008、2009年度の暫定増を行った人数以内に限り、かつ2019年度までの間に限り、維持する」と理解しているが、この点について具体的に言及すること――の2点を要望している。

 新井会長は「分科会の流会が続き、議論が進んでいないので、あえてこのタイミングで要望した。2020年度以降どうするのか先行き感が不透明」と訴えた。定員増の是非については「医師が供給過多になることが予測されている。それをベースにすれば、定員を減らすことを議論しなくてはいけない。問題は地域偏在で、医師数を増やせば解決するという考えもあるが、まずは地域偏在に対する方針を示してからだ」との見解を示した。

大学病院、消費税補填不足が拡大

 会見では大学病院における消費税補填が不足している現状についても説明した。国立大学病院全体では、2015年度の消費税額は483億円に対して、補填額は288億円(診療報酬に上乗せされている額の割合である2.890から算出)に留まり、補填不足額(損税)は195億円に達した。国立大学病院の診療規模が拡大傾向にあることに伴い、補填不足額も2014年度の149億円から拡大している。千葉大学医学部附属病院長の山本修一氏は「必死の経営努力で収入は増えているが、それに伴い補填不足額も増え、厳しい状況が続いている」と訴えた。私立大学病院でも全体の補填不足額は、2013年度の399億円から2014年度は601億円に拡大した。

 運営費交付金の削減などの影響について、京都大学病院長の稲垣暢也氏は「京大病院では今後8年間で30人ぐらい教員を減らさなくてはいけないが、そうもいかず苦しい状況が続いている」、大分大学医学部長の守山正胤氏は「大学全体の交付金が減っているが、人事院勧告もあり人件費が増している」、新井氏は高額薬剤の増加に伴い「キャッシュフローが回らず、支払い期間を伸ばさないと対応できないという状況も出てきている」とそれぞれ説明した。

 経営努力の一環として、山本氏は来年度から国立大学の一部で医療用部材の共同購入を実施する考えを示した。



https://www.m3.com/news/general/478044
医療データ分散保管 被災時もスピード復旧
2016年11月18日 (金) 河北新報

 東北大電気通信研究所と日立製作所などの研究グループは、患者の医療データを電子化して分散保管し、災害で病院が被災しても短時間でデータを復旧する技術の開発に取り組んでいる。研究グループは県薬剤師会と合同で23日、復旧データに基づいて薬を処方する訓練を実施する。

 研究グループは、同時被災のリスクが少ない病院同士が相互にデータを保管し合う仕組みを提案。通信網が絶たれた場合は、データを入力したパソコンなどを直接、被災病院へ運ぶ。

 病院1カ所につき複数の接続ルートを構築することで災害時、データ復旧の時間が短縮できるという。災害発生から数日で900、通信網が仮復旧した後は1000の復旧を目標にしている。

 合同訓練は、沿岸部の薬局を津波が襲ったとの想定で実施する。復旧した薬歴情報のデータを県薬剤師会の医薬品供給車両で搬送。避難所で、処方履歴を携帯していない患者に本人確認をした上で処方する。

 研究グループの中村隆喜東北大准教授(情報科学)は「費用対効果に優れたシステムであり、自治体が保有する戸籍といった住民の基本情報の復旧にも応用できる」と話す。

 東日本大震災では、患者のカルテが津波で流失したほか、遠隔地に保管していていたデータもネットワークが故障して接続できないケースがあった。



https://www.m3.com/news/general/477964
患者負担や保険料アップへ 上げ幅や対象者で調整
2016年11月18日 (金) 共同通信社

 社会保障分野では来年度、高齢者を中心に医療・介護の自己負担や保険料が引き上げられる方向だ。政府は年末の予算編成に向け、引き上げ幅や対象者数をどこまで広げるか、詰めの調整を本格化させる。

 財政制度等審議会の建議で挙げられたメニューのうち、医療分野では75歳以上の後期高齢者医療で、専業主婦ら扶養家族だった人や低所得者の保険料を最大9割軽減している特例の廃止が有力視されている。

 最大で75歳以上の約6割に当たる916万人に影響するため、与党内には慎重論が強く、新たに75歳になる人に絞る案や、段階的な廃止が検討されている。

 介護保険では、所得に応じて1~2割になっているサービス利用時の自己負担について、高所得者に限り3割に引き上げる案が浮上。対象者は65歳以上のうち数0とみられる。

 負担増は現役世代にも及ぶ見通しで、政府は40~64歳の介護保険料について、大企業社員の支払額が増える「総報酬割」という計算方法を来年度から段階的に導入する方針だ。中小企業の負担は減るが、経済界は反発している。

 医療・介護とも、患者や利用者の毎月の自己負担額が高くなりすぎないよう、一定の限度額を超えた分を払い戻す仕組みがあるが、高齢者向けに設けられた優遇措置の廃止や、一定以上の所得がある人の限度額引き上げが検討されている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/478133
シリーズ: 社会保障審議会
「かかりつけ医以外」で定額負担徴収、見送りへ
社保審医療保険部会、「かかりつけ医」の定義・普及が先決

2016年11月18日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は11月18日の会議で、「かかりつけ医」以外を受診した場合に、定率負担に加え、定額負担を求める医療制度改革案を改めて議論、今年末に取りまとめる予定の制度改革案には盛り込まない方針で了承した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 定額負担徴収案については、10月26日の本部会でも議論したが、支持は得られず「見送り」で落ち着く見通しとなっていた(『「かかりつけ医」以外で「定額負担」、反対多数』を参照)。今回改めて議論したのは、26日の会議で諸外国の関連制度についての資料を求める意見が出ていたほか、財政制度等審議会の建議などでも定額負担徴収を求めていることなどが理由(『「最大の課題は社会保障分野」、財政審建議』を参照)。

 厚労省は、外来の機能分化の点から「かかりつけ医」を普及させることは必要としたものの、(1)診療科ごとに複数の「かかりつけ医」を認めるか、(2)受診頻度が低いという理由で「かかりつけ医」を持たない若者をどう考えるか――などの課題があり、「かかりつけ医」の要件を検討には、一定の時間を要すると論点を整理。一方で、2016年度診療報酬改定では、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院を紹介状なく受診した場合には、初診5000円、再診2500円の徴収を義務化するなど、外来の機能分化を進める施策を講じているとしている。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「(10月26日の)前回会議で、慎重論が多かったのは事実」と認めた上で、「選定療養という形で、紹介状を持たない患者に対し、保険外で一定の負担を求めるやり方がいいのか。保険内で徴収するやり方もある」などと述べ、今後は患者負担の在り方を幅広く議論していく必要性を指摘した。「3割負担が最大だが、1割、2割負担の人がいる。さらに高額薬剤の問題が議論になっているが、薬の負担をどうするかなどの点も含めて、一度整理して、この医療保険部会で議論すべきではないか」(白川氏)。

 他の委員も、定額負担徴収案については、「かかりつけ医」という定義が明確でない以上、現時点での導入は見送るべきとの意見だったが、白川氏の発言に対しては、「かかりつけ医とは何かが整理されていない段階で、患者負担の議論が先行するのは問題」(東海大学教養学部教授人間環境学科教授の堀真奈美氏)などの指摘もあった。

 NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子氏は、2016年度診療報酬改定の影響を検証する必要性を指摘した上で、「イギリスのGP(General Practitioner)の制度を入れるのは無理。医師の養成の仕方が違う。かかりつけ医についての定義などもなく、かかりつけ医として登録されれば、診療報酬をどう付けるかなどの議論がない状況では、なかなか普及しないだろう。方向性としては間違っていないが、もう少しゴールやそれに向けた中間点を示してもらいたい」と述べ、将来像を見据えた上で、かかりつけ医の在り方を議論するよう求めた。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長の横尾俊彦氏(多久市長)は、学校教育の段階から、かかりつけ医をまず受診する、換言すれば大病院志向を是正するための教育の必要性を指摘する意見も出た。「重要なのは、風邪程度で大病院に駆け付けてしまうと、大病院での診療が本当に必要な人がアクセスできなくなってしまうこと。この点を教育の中で教えていくことが必要」。

 「子どもの医療費助成で国庫負担減額」見直しへ

 そのほか、18日の社保審医療部会では、(1)子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置、(2)高額介護合算療養費制度、(3)国保の保険料(税)の賦課(課税)限度額――についても議論。

 特に議論になったのは、(1)だ。市町村の単独事業として、少子化対策等の一環として、子どもの患者自己負担を助成する動きが広がっている。一方で、それに伴い生じる医療費の波及増分については、国保への国庫負担を減額する措置が講じられている。「子育て支援や定住支援として、市町村が何らかの工夫をすると、国庫負担が減額される措置は、半ばペナルティーとして受け止められている」(横尾氏)。

 厚労省は論点として、減額調整措置についての(1)見直しの対象範囲(年齢、自己負担・所得制限の有無、自治体の財政力など)、(2)見直しの時期、(3)見直しが国民の利益、少子化対策に寄与するものとなるようにすることに付いての検討――を挙げた。

 (1)については、「未就学児」までは、見直しの方針でほぼ意見が一致。全国町村会行政委員会委員の渡辺広吉氏は、市町村の立場から、「未就学児については、全ての市町村では何らかの対応している。減額調整措置を早急に廃止してもらいたい。市町村としても、子育て支援などの対策に努めていきたい」と見直しを要望。健保連の白川氏も、「市町村ごとに対象年齢や負担額が違い、『この市町村に住んだ方が得だ』などとなるのは、公的皆保険下ではおかしい」などと現行制度の問題を指摘し、見直しを了承、年齢は未就学児までとしたものの、「(医療費助成により)無駄な医療が生じていないかが常に気になっている」とも述べ、子ども医療費についても一定の自己負担を求めたり、所得に応じた対応が必要だとした。

 東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏は、「どのような条件で調整すると、どんな財政影響があるか、資料を出してもらいたい」とデータを基にした議論を求めた。

 (2)の高額介護合算療養費制度については、高額療養費制度自体を見直す動きがあることから、合わせて「負担能力に応じた負担を求める」という視点から見直すべきとの意見が大勢を占めた。本制度は、医療と介護の自己負担額を合算し、所得に応じてその上限額を設定する制度だが、そもそも制度自体が複雑で、患者側に周知徹底されていない問題を指摘する意見も出た。

 (3)の国保の保険料(税)の賦課(課税)限度額は、保険者が必要な保険料収入を得る観点から、適宜見直しが行われてきた。2014年度から2016年度は3年連続で、4万円ずつ引き上げられてきた。2017年度の対応は18日の会議では結論が出ず、引き続き検討する。



http://www.medwatch.jp/?p=11262
リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長
2016年11月18日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 脳卒中などの発症後、早期に短期集中リハビリを実施することが重要である。このため、リハビリ能力の低い急性期病院では、入院から20日までにリハビリ能力の高い後方病院に患者を送るべきである―。

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、17日の理事会後に開催した記者会見で、こういった提言を行いました(関連記事はこちらとこちら)。

短期集中的なリハビリの実施により、日本の寝たきり患者を半減

 この提言は、17日の日慢協理事会で承認された「日本の寝たきりを半分」にするための10か条に基づくものです。

 武久会長は、我が国の医療、とくにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることを指摘。

 これらを改革しなければ、寝たきり患者が減らないとし、次の10か条の提言をまとめています。

(1)急性期リハビリの充実(入院日からのリハビリ)
(2)急性期リハビリ能力のない場合、入院後20日までにリハビリ能力と治療能力のあるPost acute(後方病院)に患者を移す
(3)高齢者の急性期治療の改善(栄養・水分出納・身体侵襲の軽減)
(4)嚥下・排泄リハビリの優先
(5)短期集中リハビリのできる環境に
(6)「寝たきり」より「座りきり」
(7)無理な歩行訓練より車いす自立を
(8)慢性期治療の徹底
(9)延命ではなく日常復帰を
(10)慢性期総合診療医の養成

 これらは大きく「急性期状態からの早期リハビリなどの充実」((1)から(5))と「リハビリのあるべき姿の共有」((6から(10))に分けて考えることができそうです。

 (1)と(2)はセットで考えることができます。武久会長は「リハビリ能力のある急性期病院では早期にリハビリを開始し、能力の低い急性期病院では早期に後方病床に患者を送るべき」と強調しました。

 また(5)では、リハビリの診療報酬を包括化することで、より患者の状態に合わせた柔軟かつ適切なリハビリ(早期の集中リハビリを可能とし、維持期の箇条リハビリを適正化する)の実施が可能になると武久会長は提案しています。

 一方(6)と(7)は、急性期病院のみならず、リハビリに携わるすべての病院への提言と言えます。武久会長は、「低栄養などでリハビリの効果が落ち、寝たきりになっていく」という実態があることを指摘し、「離床コーディネーター」を多くの病棟に配置し、1日数回、患者を離床させることを徹底すべきと訴えます。コーディネーターの職種については、理学療法士などのリハビリ専門職種が主導すべきとしたものの、看護師や介護師なども広く対象になるとの見解を示しています。

 さらに武久会長は(8)から(10)で、「超高齢者であっても、治せる傷病は治療し、天寿を全うさせることが必要である。十分に治療できない病院ほど、適切な治療を行えないことを『ターミナル』という言葉で逃げている」とも訴えました。



http://www.medwatch.jp/?p=11260
看護必要度の評価、7対1では届出病棟の入院患者すべてが対象―疑義解釈8【2016年度診療報酬改定】
2016年11月18日|医療現場をウォッチ MedWatch

 厚生労働省は17日に、2016年度診療報酬改定に関する疑義解釈(その8)を公表しました。大幅な見直しが行われた「重症度、医療・看護必要度」や電話再診などについて、確認的な解釈を示しています(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 看護必要度の基準、該当している項目すべてを評価表に計上
2 電話再診では特定疾患療養管理料の併算定不可

看護必要度の基準、該当している項目すべてを評価表に計上

 2016年度改定では、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)について、A項目・B項目の見直し、C項目の新設など、大きな見直しが行われました。あわせて、具体的な評価対象や手法についての見直しも行われています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。この点について、医療現場の戸惑いも大きく、今般の疑義解釈でも次のような解釈が示されました。

(1)短期滞在手術等基本料算定患者の入院期間が伸び、7対1入院基本料など「看護必要度の評価が必要な入院料」を算定する場合、看護必要度の評価は「当該入院料を算定した日」から実施する

(2)7対1病棟で90日を超えて入院し、療養病棟入院基本料1の例で算定する患者についても看護必要度の評価は行う

(3)「A項目3点以上」「C項目1点以上」に該当し、看護必要度の基準を満たしている場合、該当する項目の得点はすべて評価表の計上する

(4)異なる疾患で別の日に2回目の手術を行った場合、「最初の手術の評価期間」と「次の手術の評価期間」が重なった日について、「異なる疾患で異なる評価項目に該当する」場合にはC項目の合計得点は2点としてよい

 7対1病棟やDPC対象病棟などでは、看護必要度の生データをHファイルとして厚労省に提出することになります。基本診療料の施設基準の解釈通知や、これまでの疑義解釈などを改めて確認し、「正確な評価」を徹底する必要があります、多くの病院では「評価の精度」に問題のあることが明らかになっています。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンでは、症例単位(患者単位)で看護必要度評価の精度確認が可能な、次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボード」・『看護必要度分析』を用意しています(関連記事はこちら)。

電話再診では特定疾患療養管理料の併算定不可

 また今般の疑義解釈では、次のような点も明らかにされています。

▼「患者が任意に診療を中止し、1か月以上経過した後に、慢性疾患など『明らかに同一の疾病』について電話など(テレビ画像などの場合も含む)で治療上の意見を求められ、必要な指示をした場合」でも再診料(電話再診)を算定できる

▼再診が電話など(同)で行われた場合には、B000特定疾患療養管理料は算定できない

▼A303総合周産期特定集中治療室管理料について出産や時間外の診療などで一時的に治療室を離れた場合には、施設基準の「専任の医師が常時、母体・胎児集中治療室内に勤務していること」を満たしているとはいえない。ただし、救急搬送された母体の出産、出産後に児が新生児特定集中治療室に入院することが想定される場合など、緊急かつ重篤な場合に限り一時的に治療室を離れることは差し支えない

▼インターフェロン、酢酸リュープロレリンなどの悪性腫瘍に対する効能を有する薬剤は、、短期滞在手術等基本料3における「別に厚生労働大臣が定める除外薬剤・注射薬」の抗悪性腫瘍剤として、薬剤料を算定できる

▼フェンタニル、モルヒネなどを術中の疼痛コントロールとして使用した場合には、短期滞在手術等基本料3の「「別に厚生労働大臣が定める除外薬剤・注射薬」の「疼痛コントロールのための医療用麻薬」としてさ、別途薬剤料を算定することはできない

▼C型慢性肝疾患の患者に抗C型肝炎ウイルス治療を行う場合、B型肝炎の再活性化が考慮される。この場合、医学的に妥当かつ適切であれば、HBs抗原を測定し、算定することができる

▼医学的に妥当かつ適切であれば、C型慢性肝疾患の患者に抗C型肝炎ウイルス治療を行う際もしくは治療を行った後に、B型肝炎の再活性化を考慮し、HBV核酸定量検査を行い、算定することができる



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50029.html
新専門医制度の養成基準を緩和へ- 地域医療に配慮、新たな整備指針を策定
2016年11月19日 00時00分

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は18日、新専門医制度で専門医を育成する研修基準などを定めた「整備指針」を撤回し、新たな指針を策定する方針を明らかにした。従来の整備指針では研修施設に指導医がいることが条件だった。しかし、医師不足などの理由で指導医を確保できない地域もあるため、指導医のいない施設でも一定の条件を満たせば研修ができるようにする。【新井哉】

 従来の制度では、学会がそれぞれの基準を設けて専門医を育成してきた。整備指針は、新制度で専門医を育成する研修施設の基準を示すもので、同機構が第三者機関として統一の基準を策定し、専門医の質の確保を図る狙いがあった。

 これまで示してきた整備指針では、研修施設(基幹・連携施設)に指導医を置くことを規定。しかし、地域によっては指導医を確保できず、「現在よりも養成できる専門医の数が減ってしまう」といった懸念に加え、基準が厳し過ぎると、研修施設が都市部の大病院に偏る恐れも指摘されていた。

 日本医師会も、従来の学会認定制度で専門医を養成していた医療機関が専攻医の受け入れを希望した場合、これまでと同様に研修が行えるよう要望。また、都市部への偏りを防ぐため、「原則として募集定員が過去3年間の専攻医の採用実績を超えないこと」といった事項を新たな整備指針に盛り込む必要性を挙げている。

 こうした状況を踏まえ、同機構は指導医がいない場合も連携施設に準ずる施設として研修が行えるようにする必要があると判断した。専攻医の一次審査は各学会が行い、二次審査を同機構が担う方針。基本領域の専門医資格を取得後、より細かな分野に特化する「サブスペシャルティ領域」の養成プログラムについても自主的に選択できる仕組みを整える。

 同機構は、研修プログラムに関しても、医師会や病院団体などの地域医療関係者の意見を反映させたい考えだ。2018年度からの新制度のスタートに向け、来月16日の社員総会で新指針に関する事項を正式に決める予定。



http://biz-journal.jp/2016/11/post_17222.html
ノバルティス、1兆円売上の薬で研究不正発覚…巨額寄付得た医学部、劇的効果の論文撤回
構成=編集部
2016.11.19 Business Journal

 近年、製薬会社による研究不正が伝えられることが多いが、医療界でよく知られるものに「ディオバン事件」がある。これは、ノバルティスファーマが開発した高血圧治療薬「ディオバン」をめぐって研究結果の改ざんや不明瞭な資金提供が行われていたもので、2014年6月にノバ社の元社員が逮捕されている。

 この事件について、研究論文が発表された当時から疑義を呈してきたのが、医師で臨床研究適正評価教育機構理事長の桑島巌氏だ。今年9月に『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』(日本医事新報社)を上梓した桑島氏に、ディオバン事件および日本の臨床研究の現状について聞いた。

――なぜ、高血圧治療薬で研究不正が起きたのでしょうか?
桑島巌氏(以下、桑島) 事件の説明の前に、高血圧治療について簡単に説明します。高血圧の基準は時代とともに変わってきましたが、血圧が高いと血管が傷つき脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなることがわかっています。現在の日本のガイドライン(治療指針)では「140mmHg未満(若年、中高年)を目指す」とありますが、15年にアメリカで行われた大規模臨床試験では「120mmHg未満を推奨する」という結果が出ています。近い将来、日本のガイドラインも高血圧の基準が変わると思います。
 高血圧治療は生活習慣の改善が第一ですが、薬による治療も重要です。血圧を下げる方法は大きく2つあり、ひとつは血流を減らすこと、もうひとつは血管を広げることです。高血圧患者は国内だけでも3000万~4000万人といわれており、薬剤の売り上げランキングでは降圧剤が上位を占めています。
 ディオバンは、ノバ社が開発した「ARB」と呼ばれる血管を広げるタイプの降圧剤で、日本では00年11月に販売が開始されました。ARBとしては国内で3番目となり、激しい販売競争が繰り広げられ、各社はこぞってプロモーションに力を入れました。その過程で起きたのが、大学医学部を舞台にした臨床研究不正です。

ノバ社、大学に2億円超の「寄付金」提供

――では、ディオバン事件の概要を教えてください。
桑島 薬剤のプロモーションは処方権のある医師が対象になるため、その薬剤を使った臨床試験の結果が重要になります。ディオバン関連では、00年代にノバ社の元社員が関わった5つの大規模臨床試験(JHS<東京慈恵会医科大学>、VART<千葉大学>、SMART<滋賀医科大学>、KHS<京都府立医科大学>、NHS<名古屋大学>)があり、「ディオバンが既存の降圧剤より脳卒中や狭心症を減少させる効果がある」などの結果が出されました。
 しかし、そのほとんどの論文が撤回されるという前代未聞の事態になっています。ノバ社だけでなく、武田薬品工業のARB降圧剤「ブロプレス」に関する臨床試験「CASE-J」でも、厚生労働省が広告について業務改善命令を出すなど、問題が多く指摘されています。
 前述した5つの臨床試験のうちのKHSをめぐってノバ社の元社員が薬事法違反で逮捕され、現在は元社員と法人としてのノバ社を被告とした裁判が進行中です。来年3月には判決が出る予定です。

――研究結果は、プロモーションにどのように使われたのでしょうか?
桑島 KHSの裁判では、02年頃からノバ社内で「100B計画」と称するディオバン売り上げ1000億円を目指す販売促進計画が立てられていたことが明らかになっています。単に血圧を下げるだけでなく「降圧を超えた臓器保護作用(脳卒中や心臓病を減少させる作用)がある」というデータを出すために、医学部の教授に「奨学寄付金」と呼ばれる資金提供をすることで、ディオバン関連の論文をたくさんつくるというものです。ノバ社は、KHSを行った京都府立医大の研究室には03年から07年にかけて約2億3000万円を提供していました。
 その影響かどうかはわかりませんが、ディオバン治療群でJHSでは脳卒中、狭心症などが390減少、KHSでは450も減少するという驚くべき結果となり、「ランセット」などの国際的な医学雑誌に掲載されました。ノバ社は、その結果を基に大規模なプロモーション活動を展開します。薬の宣伝で血をイメージする赤を使うことはあまりなかったのですが、ディオバンは赤をイメージカラーにしました。当時の医療系雑誌には、「選ばれしもの」というキャッチコピーとともに真っ赤なディオバンの記事広告が多数入っていました。
 その中では、日本高血圧学会の幹部たちが座談会を行い、「ディオバン有利」という研究結果をさかんにほめていました。ディオバンは09年には売り上げ1400億円を突破、日本ではこれまで1兆円以上を売り上げたとされています。しかし、長年高血圧治療に携わってきた私の臨床・研究の経験からは納得できない結果であり、海外で行われた同様の臨床研究の結果とも違っていました。私はシンポジウムなどで疑義を呈していましたが、当時はなかなか耳を傾けてもらえませんでした。

ノバ社元社員、虚偽の肩書きで論文に関与

――研究の不正は、どのように発覚したのでしょうか?
桑島 きっかけは、12年に京都大学医学部付属病院の医師だった由井芳樹氏が「ランセット」に投稿した指摘です。それにより、JHSとKHSでは統計的にあり得ない血圧の変化があることが発見されました。その後も論文の問題点が次々と明るみに出てきて、学会や厚労省もようやく動き出しました。マスコミの力も大きく、特に「フライデー」(講談社)や毎日新聞の報道の功績は大きかったと思っています。
 厚労省が設置した調査委員会には、私も委員として参加しました。最終的に、厚労省は「法的強制力のない調査では真相究明に限界がある」として、ノバ社に対して被疑者不明のまま東京地方検察庁に刑事告発しました。その後、元社員が逮捕され、拘留期間も1年半の長期に及びました。そして15年暮れに公判が開始され、30回以上継続するという、これも異例の長期裁判となっています。

――具体的には、どのような不正が行われていたのでしょうか?
桑島 問題になったディオバン関連の5つの臨床試験では、いずれも元社員が統計解析に関与していましたが、論文では社員であることを隠して「大阪市立大講師」という肩書きが使われていました。裁判の争点とは直接関係はないですが、利益相反の開示に重大な問題があったわけです。
 今回の裁判では、時効の関係でKHSのサブ解析論文に関しての不正操作と、それによる誇大広告の有無が争点となっています。被告は、ノバ社と元社員です。
 検察側は、元社員の自宅から押収されたUSBメモリに残っていたデータの中に、実際には存在しない架空の症例45例が発見されたことを証拠として提出しています。これに対して、弁護側は「参加医師たちが結果を改ざんした」との供述証拠を提出し、「改ざんは医師たちによるもの」と主張しています。元社員が統計解析を行ったことは間違いないのですが、「すべて医師の指示によるものであった」というわけです。
 一方、改ざんした医師は「ノバ社が資金提供している研究なので、やる以上はディオバン有利の結果を出す必要がある。教授の望むデータを提供すれば、人事で優遇されると思った」と証言しました。
医師たちも製薬会社の資料を鵜呑みに

――なぜ、そのような不正が横行してしまったのでしょうか?
桑島 ひとつには、00年代前半の日本では、大規模臨床研究を行う環境基盤が整っていなかったことがあります。教授も基礎医学で実績のある人がほとんどで誰も大規模臨床研究をやったことがなく、データ管理や統計解析についても知識がないため、元社員に全面的に頼ってしまったのです。
 根本的には、医師と製薬会社の関係性に問題があります。日本は公的な研究資金が乏しいため、製会社からの資金提供がなくては研究活動が行えません。また、教授は偉くなると「学会長として学会を開催したい」と考えますが、現在、学会を行うのはホテルやコンベンションセンターが多く、高額な費用が必要になります。そのため、製薬会社に援助を求めてしまうのです。本来なら、昔のように大学の教室を使って教室員が手弁当で開催すればいいだけです。また、一般の臨床医も自分の専門分野しかわからず、製薬会社のつくった資料を鵜呑みにしてしまいがちです。

――ディオバン事件を受けて、日本の臨床研究はどうなっていくのでしょうか?
桑島 この事件で、薬に関する臨床研究の不正は犯罪であることが明確に示されました。製薬会社は自主規制を厳しくし、国も臨床研究を規制する法案がまもなく立法化します。したがって、今後、臨床試験は適正な方向に向かうと思います。しかし、一方で規制が厳しくなるということで、ただでさえ少ない日本の臨床研究がさらに減ってしまう恐れもあります。製薬会社から大学への資金提供の減少も、研究環境の悪化につながっています。
 私の基本的なスタンスは「反医療」「反製薬会社」ではありません。製薬会社から講演料を受け取って講演をすることもありますし、反目するのではなく協力しながら、最新の適正な医療を提供することが大切だと考えています。
 本書で一番訴えたかったのは、医師や研究者のあり方です。診療の指針となるガイドラインを作成する立場にありながら製薬会社の広告に登場することは許されないと思います。命を扱う立場だからこそ、倫理観と真実を追求するマインドを持ち続けるべきです。
(構成=編集部)



http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/medical/news/20161119/2513814
佐野市民病院、民間譲渡に理解 政策審が答申書
11月19日 朝刊 下野新聞

 【佐野】田沼町の佐野市民病院の運営形態について議論した「市政策審議会」(三橋伸夫(みつはしのぶお)会長)は18日、民間譲渡を認める審議結果をまとめた答申書を岡部正英(おかべまさひで)市長に提出した。市は民間譲渡に向け今後、市民などへの説明会や移譲先の選定方法を協議していく。

 同病院は2008年から、医療法人財団「青葉会」が指定管理者となり公設民営で運営。同会との協定が18年3月末で終わるのを踏まえ、庁内で今後の運営形態を議論してきた。その結果、民間ノウハウによる業務の効率化や経営責任が明確となることなどを理由に民設民営の方針を決定。8月に同審議会へ諮問し、計4回に渡り議論された。答申では民間譲渡の方針を「概(おおむ)ね理解する」としながらも、市民や病院スタッフへの十分な説明や医療サービス向上などを求める三つの付記事項を設けた。


  1. 2016/11/19(土) 06:24:35|
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11月17日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/474874?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161117&dcf_doctor=true&mc.l=190539512&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
50歳以上開業医、「3000万円以上」が26%◆Vol.4
勤務医は「1000万-1500万円」に390

医師調査 2016年11月17日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 現在の年収(副収入含む)について教えてください。
11171.jpg  11172.jpg

 現在の年収(副収入含む)を尋ねたところ、全体では30%を占めた「1500万-2000万円」が最多だった。一方で、開業医に限定すると「3000万円以上」が260で最多、次いで「1000-1500万円」が160だった。

 勤務医では「1000-1500万円」が390を占めていた。今年5月に掲載したU35調査では、最多は「1000-1500万円」が380だった(『 35歳以下、「1000万 - 1500万円」が38%◆Vol.2』 を参照)。



https://www.m3.com/news/general/477709?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161117&dcf_doctor=true&mc.l=190540145&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
歯科医、病院長が市の処分に反論
2016年11月17日 (木) 山梨日日新聞

 富士吉田市立病院の歯科口腔(こうくう)外科の歯科医師が、職員へのパワハラ行為や患者の診療を拒否したとして懲戒免職処分となった問題で、大月佳代子歯科医師(58)と樫本温前院長(61)は16日、それぞれ記者会見して市の処分に反論した。

 大月歯科医師はパワハラについて「事実無根だ」と主張。正当な理由なく患者の診察を断ったとされたことに「紹介状の記載不備で診察しなかったことはある。患者の状態を詳細に知らなければ安心、安全な治療はできないと判断したからだ」と反論した。

 樫本前院長は「なかったことを『ある』とされた。これは違法だ」と述べた。2人は市公平委員会に不服を申し立てる方針。公平委員会でも処分が変わらない場合、処分の取り消しを求め、訴訟を起こすことも検討している。

 2人の反論について、堀内茂市長は取材に「慎重に調査し、事実を積み重ねてきた。調査結果が揺らぐことはない」としている。



https://www.m3.com/news/general/477684
投与年齢制限で皆保険守れ 国頭英夫・日本赤十字社医療センター化学療法科部長 「超高額新薬の波紋」医師の警鐘
2016年11月17日 (木) 共同通信社

 新型がん治療薬「オプジーボ」など超高額新薬が次々に登場。画期的な治療効果の一方で保険財政への影響も危ぶまれ、政府は対策に乗り出した。識者に課題を聞いた。

   ×   ×

 ―超高額新薬が国家財政を脅かすと、学会や財務省の審議会で早くから問題提起してきた。

 「オプジーボを体重60キロの人に1年間続けて投与すると医療費は3500万円かかる。保険適用された肺がんや腎がんの患者だけで数万人。これからも対象は広がる。単純に掛け算すると数千億円を超えることになる」

 ―問題はどこに。

 「オプジーボは間違いなく非常に優れた薬だが、どの患者に効くのか投与前に判断できず、みんなに使うことになる。日本では医療費の自己負担が一定額を超えた分は『高額療養費制度』で救済され、ほとんどの患者は超高額新薬でも使える。結果的に治療効果が上がらず、費用が無駄になってしまっても、だ。医学は進歩し続け、オプジーボのような薬は今後も出てくる」

 ―薬価が高過ぎるとの指摘をどう考えるか。

 「営利企業である製薬会社が、成功した新薬から最大の利益を得られるよう考えるのは当然だ。開発した小野薬品工業には功績はあっても罪はない。最初に100ミリグラムで約73万円と決まった時に、承認する側から『さすがに高過ぎる』という声がなかったのは不思議だ。『自分のカネじゃない』と思ったのか。つけは次世代に回ってしまう」

 ―医師が財政論に言及するのは珍しい。

 「私は氷山を見つけ、危ないぞと反射的に叫んでいるだけ。医者がカネの話をするのは卑しいという風潮があるが、そうも言っていられない。人口の高齢化、医療の高度化は誰にも止められない。医療資源は有限で、賢く使わないといけない」

 ―国民皆保険を守るための解決策は。

 「超高額新薬は特にそうだが、一定の年齢、例えば75歳以上の高齢者には延命目的の治療は控え、緩和医療の充実に振り替えるべきではないか。所得や生産性での選別より、年齢で制限するのが最も公平だ。『人命は地球より重い』としても、日本の財政は危機的だろう。われわれは次の世代を見捨てるという最悪の選択に向かっている」

   ×   ×

 くにとう・ひでお 1961年鳥取県生まれ。東大医学部卒。2014年から現職。専門は胸部腫瘍。近著に「医学の勝利が国家を滅ぼす」(筆名・里見清一)。55歳。



https://www.m3.com/news/iryoishin/477604
地域連携、腫瘍などに力点、新たな医学教育コアカリキュラム
臨床実習、「学習と評価の記録」で症例を管理

2016年11月17日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 文部科学省の「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会」(委員長:永井良三・自治医科大学学長)の第2回会合と「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会」(医学教育会長:齋藤宣彦・公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長)の第4回会合の合同会議が11月16日に開催され、医歯学教育のそれぞれモデル・コア・カリキュラム(コアカリ)の改訂案が示された。医学教育では、診療参加型臨床実習の充実や、地域包括ケアシステム、「腫瘍」についての教育に力点が置かれた。

 コアカリは医学部教育の3分の2程度で活用し、残り3分の1については各大学で自主的に編成するという位置づけ。医学調査研究チームリーダーで国際医療福祉大教授(医学部長予定者)の北村聖氏は「学修成果基盤型教育(outcome-based education)」を骨組みとして、卒業時までに身に付けておくべき実践的能力を明確にし、客観的に評価できるようにしたと説明。「医師として独り歩きできるかに重きを置こうとした」と述べた。

 診療参加型臨床実習が各大学で取り入れられている現状を反映し、「学習と評価の記録」という実習内容を記録するチェックリストを作成。臨床実習での到達度合いを、チェックボックスで自己評価や指導医の評価を書き込めたり、担当した症例を記録できたりするような仕組みになっている。各大学が手帳のような形で配布することを想定している。将来的は、初期臨床研修や後期研修の採用試験時に自身の学習記録として提出するといった活用も想定されるという。

「学習と評価の記録」の例示

 学習内容としては、地域包括ケアシステムへの理解や多職種連携、介護や在宅医療にも力点を置いた。また、臓器別各論に加え、新たに「腫瘍」という項目を設けた。一方で、課題とされた総量のスリム化については、「一増一減」を原則としつつ、行動科学や臨床実習などの新規、重要項目は別枠で追加された(『コアカリ、「総量のスリム化を念頭」』を参照)。

 委員からの意見では、歯科教育のコアカリでは医科との連携に多くの記載があるのに、医科では数行に留まっている点が問題視された。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「これからは医科歯科が分かれていくことはできない。口を知らずして在宅医療はできない」とコメントした。

 全国医学部長病院長会議会長で、順天堂大学学長の新井一氏は「卒前教育がこれだけ充実すると、初期研修のゼロベースの見直しが可能になってくる」と述べ、オブザーバーとして参加する日本医学会会長の高久史麿氏は学修目標に「後輩などへの適切な指導が実践できる」と盛り込まれた点を評価した。

 一方で、各大学が自主的に編成する3分の1のカリキュラムに関連し、永井委員長は独自カリキュラムを「見える化」する必要を指摘した。また、6年次には国家試験対策に比重が高くなる傾向を問題視する意見が出された。

 この日の指摘を基に一部を修正し、パブリックコメントの募集や学会、大学からの意見を募る。各大学は2018年度からコアカリを基にしたカリキュラムによる教育を実施する。



https://www.m3.com/news/general/477576
禁煙強化、及び腰の業界 受動喫煙防止、政府が聴取 商売成り立たない・喫煙室コスト
2016年11月17日 (木) 朝日新聞

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、政府が検討している罰則付きの受動喫煙防止策について、屋内禁煙などの対象となる主な業界団体の意見が16日、出そろった。対策の重要性をほとんどの団体が認めながら、それぞれの業界での話となると、反対や慎重姿勢が相次いだ。来年の通常国会への法案提出をめざし、政府・与党内の調整が今後進められるが、難航する可能性もある。

 「商売が成り立たなくなる。なぜ五輪に向けて地方の小さな店を潰すような規制を国が行うのか」

 16日、都内であった業界団体からの意見聞き取り。中小の飲食店でつくる全国飲食業生活衛生同業組合連合会の担当者が訴えた。

 海外では病院や飲食店など公共の場を屋内全面禁煙とする法律を施行する国が約50カ国あるが、日本は努力義務にとどまり、世界保健機関は「世界最低レベル」と指摘。日本を除く近年の五輪開催地・開催予定地は罰則付きの法整備を講じている。このため、厚生労働省が対策強化へ法整備の「たたき台」(案)を10月に公表、飲食店などサービス業は喫煙室を設置できる「原則建物内禁煙」とした。

 しかし、この日も含め2回の聞き取りでは、「(店が狭く)喫煙室の設置が難しい。店の存続にかかわる」(全国麻雀業組合総連合会)などとサービス業を中心に反対が続出。経団連や日本商工会議所も経済や経営への悪影響を懸念する意見を表明した。

 ■法整備求める声も

 ただ、厚労省の「たばこ白書」によると、海外の複数の報告を解析した結果、サービス業全般やレストラン・バーで「全面禁煙化によるマイナスの経済影響は認められていない」という。逆に、全国焼肉協会は「喫煙室の有無で来客に影響すると不公平」として、より厳しい「建物内禁煙」を求めた。

 対策を賛成・容認したのは、消費者団体とビジネスホテル業界など。全国消費者団体連絡会の担当者は「事業者がコストや経営への懸念を理由に、喫煙者の権利のみにたった発言をされて残念」と話した。

 最も厳しい「敷地内禁煙」とされた病院関連では、日本看護協会は、禁煙を掲げる病院でも完全には守られていないと指摘、「自助努力では禁煙達成は難しい。法令を整備してほしい」。日本医師会の担当者は「たばこは単に個人的な嗜好(しこう)ではなく、国民全体の医療的な問題だ」と話した。

 (竹野内崇宏、黒田壮吉)

 ■受動喫煙対策が求められる主な団体と主張

 ◇団体名
 主張/厚生労働省の案

     *

 ◇日本フードサービス協会
 経営悪化を招く。各店の判断に任せ、客が選べばいい/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇全国焼肉協会
 喫煙室の設置できない建物内禁煙を。喫煙室の有無で来客に影響すると不公平/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇全国飲食業生活衛生同業組合連合会
 喫煙者の客も多い。売り上げ減につながる。小規模店舗での喫煙室設置は物理的にも費用面でも難しい/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇全国麻雀業組合総連合会
 7割が20~30坪の小中規模。喫煙室の設置は難しい。店の存続にかかわる/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇日本遊技関連事業協会
 客は喫煙しながら長時間遊ぶ傾向。売り上げに影響/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇日本民営鉄道協会
 喫煙室設置にはコストがかかり、猶予期間が必要。地方鉄道は経営が厳しい/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇日本内航海運組合総連合会
 乗船は数カ月にわたり、ストレスが多い。喫煙室をつくるスペースもない/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇全日本シティホテル連盟
 禁煙室の需要が増えている。規制に対応する/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇日本旅館協会
 共有部分は禁煙、部屋は分煙に。宴会場は客の判断に任せたい/原則建物内・乗り物内禁煙(喫煙室設置可)

 ◇日本私立大学団体連合会
 屋外に経費のかかる喫煙所を一律に設置すると、経営を圧迫。時間的猶予と支援を/建物内禁煙

 ◇四病院団体協議会
 がんの緩和ケアや、長期療養で生活の場に近い病床もある。弾力的な運用を/敷地内禁煙



https://www.m3.com/news/general/477311
子宮頸がんワクチンデータ捏造疑惑「科学的議論不足」…信大に研究再実験要求
2016年11月16日 (水) 読売新聞

 子宮頸がんワクチンの副作用などを研究する厚生労働省研究班代表、池田修一・信州大学教授の発表にデータ捏造の疑いが指摘された問題で、同大の調査委員会は15日、証明されていない実験結果を証明されたかのように伝え、誤った情報が広まったとする調査結果を発表し、実験のやり直しとその結果の公表を求めた。

 ただ、意図的なデータの捏造や改ざんなど不正行為はなかったと結論づけた。これを受けて、同大の浜田州博学長は同日、池田教授と、研究に携わった別の男性教授、男性特任教授の計3人を口頭で厳重注意した。

 子宮頸がんワクチンをめぐっては、健康被害を訴える女性63人が7月、国と製薬会社2社に総額約9億4500万円の損害賠償を求める集団訴訟を東京、大阪など全国4地裁に起こした。こうした中、池田教授の研究は同ワクチンが副作用を起こす仕組みを解明し、治療法の開発にもつながると大きく注目されていた。

 池田教授の発表は今年3月、厚労省内で行われた。マウスに子宮頸がんなど3種のワクチンと生理食塩水を接種した結果、子宮頸がんワクチンのマウスの脳にだけ異常が起きたと説明した。

 しかし、月刊誌が実験手法やデータに疑問を投げかける記事を掲載。同大は9月、外部有識者5人で構成する調査委員会を設置し、調査を行ってきた。

 調査結果によると、実験は各ワクチンをマウス1匹ずつにしか接種しておらず、そのマウスの脳を調べる実験でもなかった。これは予備的な実験だったが、公表段階では証明された結果のように伝えられた。

 男性特任教授から男性教授、池田教授へと報告され、公表される過程で「科学的な議論と意思疎通をはかる努力をしていれば不正の疑いは生じなかった」とした。

 池田教授は、名誉を傷つけられたとして月刊誌の発行元と執筆したジャーナリストに損害賠償などを求める訴訟を起こしており、弁護士を通じ「捏造も不正もなかったことを実証していただき、たいへん安堵した」などのコメントを発表したが、反省や謝罪の言葉はなかった。

          ◇

【子宮頸がんワクチン】  「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類がある。定期接種の対象は小6~高1の女子。国は2010年11月に接種費用の補助事業を始め、13年4月に定期接種化したが、接種後の被害の訴えが相次ぎ、同年6月に積極勧奨を中止した。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161117/k10010772591000.html
産科医不足に対応 新たな周産期医療体制を整備へ
11月17日 15時03分 NHK

産科医が都市部に集中し、高齢出産などに対応できない地域があることから、厚生労働省は、地域の中に高度な産科医療を提供できる特定の医療機関を整備して、お産のリスクが高い妊婦を集約化するなど、新たな周産期医療の体制を整備していく方針です。
厚生労働省によりますと、全国の産科医は主に都市部に集中しているため、地域によっては、産科医の不足で高齢出産などのリスクの高いお産に対応できない状況だということです。

このため、17日開かれた厚生労働省の専門家会議では、産科医が不足している地域については、特定の医療機関に産科医を集めたうえで、高度な治療ができる設備を整えるなどして、お産のリスクが高い妊婦を集約化することを決めました。

一方、リスクの低いお産については、助産師にも担ってもらい、容体が急変した際には医師が対応できる体制を整えていくとしています。

このほか、出産直後の女性の精神的なケアを行う体制の整備や、災害時に妊婦や赤ちゃんを医療機関などにつなぐコーディネーターの養成にも取り組んでいく方針です。

厚生労働省は、これらの計画を年内にまとめて自治体に示したうえで、再来年4月からスタートする各地の医療計画に盛り込んでもらうことにしています。



https://www.ehime-np.co.jp/article/news201611175269
研修医、指導体制を重視  
愛媛大、病院選定 卒業生にアンケート

2016年11月17日(木)(愛媛新聞)

 臨床研修医の意識やニーズを把握しようと、愛媛大医学部附属病院地域医療支援センター(東温市志津川)が卒業生の医師に昨年度実施したアンケート結果をまとめた。研修先の選定には「プログラムがよい」「指導医や指導体制がしっかりしている」などを重視する一方、救急のマンパワー不足などに課題を感じているのが分かった。

 2004年の新臨床研修制度開始以降、初の調査で、研修開始後10年までの卒業生846人にアンケートを送付。06~15年に初期研修を始めた医師計110人が回答した。センター主催の地域医療再生セミナーで報告した。

 回答者のうち初期研修先に県内病院を選んだのが67人、県外が43人。理由には「病院のイメージ」「先輩の評判」「古里に近い」なども挙がった。初期研修病院・プログラムへの満足度では、県内病院の「非常に満足」と「満足」が計940、県外が970。専門医などを目指して取り組む後期研修の満足度は、県内病院95・30、県外780だった。

 不満足・困った点で多かったのは「救急での指導内容・体制」(初期)や「病棟・外来でのマンパワー」(後期)、初期・後期で「給与額」との回答も目立った。指導医に期待することでは「手本となる行動」「各種の手技を的確に教えてくれる」などが挙がった。

 「数多く症例を学びたい」との意見からは、初期の救急対応に関わることができる病院を研修先に選ぶ傾向もうかがえる。「飲み会がきつい」などの声もあったという。

 2年以上の臨床研修を義務化した新臨床研修制度で研修先を自由に選べるようになったため、症例の多い都市部や民間の病院を選ぶ研修医が増え、地方の医師不足が課題となっている。来春医師になる学生と研修先病院を調整したマッチングでは、県内の充足率は63・70で、マッチ者がゼロの病院もあった。

 高田清式センター長は「思ったより県内病院研修の満足度が高いのは安心した。今後も各自のニーズに応えられる研修の在り方を検討し、地域医療を支える人材を確保できるよう県内全体で対策を強化していきたい」としている。
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http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50008.html
医学生の臨床実習は見学型から参加型に- 文科省委員会の研究班がカリキュラム改訂案
2016年11月17日 16時00分 CB news

 医学部での教育内容や到達目標を定めた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」について、文部科学省の委員会の研究調査チームは16日、「参加型」の臨床実習のガイドラインの活用を盛り込んだ改訂案を委員会の会合で示した。従来の「見学型」の臨床実習を見直し、学生の段階から診療チームの一員として、診断・治療に必要な知識や多職種連携の在り方を身に付けてもらうことが狙い。【新井哉】

 モデル・コア・カリキュラムは、医学部の学生が卒業時までに身に付ける必要のある知識や技能、態度を、「医師として求められる基本的な素質と能力」や「診療の基本」、「臨床実習」などの項目に分けて提示している。2001年度にカリキュラムを策定して以来、3回目の改訂となる。

 臨床実習の項目には、医療安全の観点から臨床現場を想定した環境でトレーニングを積む「シミュレーション教育」を追加した。具体的な教育方法として、▽シミュレーターを使った反復練習で臨床技能を磨く▽チームトレーニングでチーム医療の実践能力を高める▽シナリオを用いたトレーニングを通して状況判断、意思決定能力を身に付ける―ことなどを挙げている。

 また、臨床実習に学生が参加する際は、「診療参加型臨床実習実施ガイドライン(案)」を参考にするよう要望している。ガイドライン案には、診療業務の現場で学生が医師の職業的な知識や思考法などを学ぶ方法を記載。「情報収集」や「評価と診療計画の立案」、「診療・学習行動の基盤となる態度」といった実習の狙いや、学生と教員の間で学習目標を共有する必要性を示している。

 この日の会合で、医学教育の研究調査チームのリーダーを務める北村聖委員(国際医療福祉大大学院教授)は、今回の改訂案では診療参加型臨床実習の充実が「大きな目玉になる」と説明した。これまでの臨床実習は「先輩の医師の後ろから手技や対応をのぞき込むといった見学型が主であった」と医学生の姿勢が受け身であったことを指摘。これに対し、チーム医療のメンバーとして学生が入る参加型は責任感を持つことにつながるとした。

 文科省は、この日の会合で委員から出た意見を踏まえて改訂案を修正した上で、12月中をめどにパブリックコメントを募集する。早ければ3月下旬にもモデル・コア・カリキュラムの改訂版を公表する見通しだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/477604
地域連携、腫瘍などに力点、新たな医学教育コアカリキュラム
臨床実習、「学習と評価の記録」で症例を管理

レポート 2016年11月17日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 文部科学省の「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する連絡調整委員会」(委員長:永井良三・自治医科大学学長)の第2回会合と「モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会」(医学教育会長:齋藤宣彦・公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長)の第4回会合の合同会議が11月16日に開催され、医歯学教育のそれぞれモデル・コア・カリキュラム(コアカリ)の改訂案が示された。医学教育では、診療参加型臨床実習の充実や、地域包括ケアシステム、「腫瘍」についての教育に力点が置かれた。

 コアカリは医学部教育の3分の2程度で活用し、残り3分の1については各大学で自主的に編成するという位置づけ。医学調査研究チームリーダーで国際医療福祉大教授(医学部長予定者)の北村聖氏は「学修成果基盤型教育(outcome-based education)」を骨組みとして、卒業時までに身に付けておくべき実践的能力を明確にし、客観的に評価できるようにしたと説明。「医師として独り歩きできるかに重きを置こうとした」と述べた。

 診療参加型臨床実習が各大学で取り入れられている現状を反映し、「学習と評価の記録」という実習内容を記録するチェックリストを作成。臨床実習での到達度合いを、チェックボックスで自己評価や指導医の評価を書き込めたり、担当した症例を記録できたりするような仕組みになっている。各大学が手帳のような形で配布することを想定している。将来的は、初期臨床研修や後期研修の採用試験時に自身の学習記録として提出するといった活用も想定されるという。

「学習と評価の記録」の例示

 学習内容としては、地域包括ケアシステムへの理解や多職種連携、介護や在宅医療にも力点を置いた。また、臓器別各論に加え、新たに「腫瘍」という項目を設けた。一方で、課題とされた総量のスリム化については、「一増一減」を原則としつつ、行動科学や臨床実習などの新規、重要項目は別枠で追加された(『コアカリ、「総量のスリム化を念頭」』を参照)。

 委員からの意見では、歯科教育のコアカリでは医科との連携に多くの記載があるのに、医科では数行に留まっている点が問題視された。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「これからは医科歯科が分かれていくことはできない。口を知らずして在宅医療はできない」とコメントした。

 全国医学部長病院長会議会長で、順天堂大学学長の新井一氏は「卒前教育がこれだけ充実すると、初期研修のゼロベースの見直しが可能になってくる」と述べ、オブザーバーとして参加する日本医学会会長の高久史麿氏は学修目標に「後輩などへの適切な指導が実践できる」と盛り込まれた点を評価した。

 一方で、各大学が自主的に編成する3分の1のカリキュラムに関連し、永井委員長は独自カリキュラムを「見える化」する必要を指摘した。また、6年次には国家試験対策に比重が高くなる傾向を問題視する意見が出された。

 この日の指摘を基に一部を修正し、パブリックコメントの募集や学会、大学からの意見を募る。各大学は2018年度からコアカリを基にしたカリキュラムによる教育を実施する。



http://mainichi.jp/articles/20161117/dde/041/040/064000c
救急搬送患者
終末期、延命中止提案360 学会調べ、家族8割同意

毎日新聞2016年11月17日 東京夕刊

 死期が迫った状態で救急搬送された患者について、日本救急医学会が過去5年半で報告された159件を調べたところ、医師側が患者の家族に延命治療の中止を提案したケースが360に当たる57件に上ることが分かった。最終的な処置は57件の大半で医師側の提案通りになったという。17日から東京都内で開かれる同学会の学術集会で報告される。
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 救急医学会は2007年に「終末期医療に関する指針」を策定。薬物注入などによる安楽死は禁じているが、本人か家族の同意を前提に、人工呼吸器の取り外しや血圧を上昇させる昇圧剤の減量、人工透析停止といった延命中止行為を選択肢として認めている。

 調査は全国の救急医らに任意で報告を求め、10年10月~今年4月に集まった159件を分析。延命治療中止の57件は、いずれも複数の医師らによる医療チームが、回復の見込みがない「終末期」に該当する患者かどうか判断したうえで提案しており、うち48件(840)でチームの中止方針と家族の意向が一致していた。残り9件も家族は積極的な回復治療は求めなかった。

 調査を担当した国立病院機構大阪医療センターの木下順弘・集中治療部長は「チームが丁寧に説明したことで家族の理解を得られやすかったのではないか」としている。

 延命中止以外では、治療レベルを固定して新たな投薬などをしない「差し控え」が59件、「心肺が停止しても蘇生措置を実施しない」が38件あった。

 搬送された終末期患者の年齢は70歳以上が全体の640を占め、くも膜下出血や脳梗塞(こうそく)などの脳・神経疾患、肺炎などの呼吸器疾患が多かった。

 患者本人が延命治療に関し事前に意思表示する文書などを用意していたのは3件にとどまった。

プロセス公開を 会田薫子・東京大大学院特任准教授(医療倫理学)の話
 終末期医療のあり方は社会的に議論が多く、報告されたケースは判断材料の一つとして貴重なデータと言える。学会が自分たちで策定した指針の活用状況を調べて公開する試みは珍しく、立派だ。議論を深めるには、患者や家族の状況に加え、医療チームがどのように説明し、家族からどんな希望の表明があったのか、具体的なプロセスについてもっと情報公開することが大切だ。



http://mainichi.jp/articles/20161117/ddl/k02/040/035000c
国立弘前・市立病院
統合へ 20年度めどに稼働案 県が示す /青森

毎日新聞2016年11月17日 地方版

 弘前圏域の医療施設関係者で構成する会議が15日、弘前市で開かれ、県は国立病院機構弘前病院(病床数342床)と弘前市立病院(同250床)を統合させた新中核病院(同440~450床)を2020年度をめどに稼働させる案を示した。一戸和成・県健康福祉部長は取材に「席上、異論はなかった。救急医療体制を早く円滑に整備したい」と話した。

 この会議は、弘前圏域の8市町村でつくる自治体病院機能再編成推進協議会の専門部会「医療機能部会」として開催。県が津軽地域医療構想に基づき、10月に「新中核病院を国立機構の敷地に建設する」と提示した自治体病院再編案をより具体的に説明した。

 県によると、新中核病院の病床数はここ3年の病床稼働率から算出され、建設工事や医療機能・医師らの移行にかかる時間などから、稼働は20年度との方針を打ち出した。

 他の自治体病院では黒石病院(同257床)と板柳中央病院(同87床)は「将来的に病床数の見直しが必要」、大鰐病院(同60床)は「病床数削減の検討が必要」としている。

 圏域中心市の弘前市の竹内守康・健康福祉部長は取材に「国立機構や県などと協議を重ね、新病院の建設・運営費の負担や救急医療体制の方向性が見えたら、年内にも自治体病院機能再編成推進協議会で議論をしたい」と語った。【松山彦蔵】



http://www.zaikei.co.jp/article/20161117/337749.html
千葉県、AED使用で訴えられた場合に訴訟費用を貸し付ける制度導入
2016年11月17日 21:42 財経新聞
記事提供元:スラド

 心停止の際に自動で電気ショックを与えて回復を図る「自動体外式除細動器(AED)」について、千葉県が万が一の際の訴訟費用貸し付けなどを含む利用促進のための条例を施行するという(NHK)。

 AEDは緊急の際に医師以外の一般市民が利用することが許可されており、近年公共施設への配備が進んでいる。いっぽうで使用方法が周知されていないほか、使った場合に責任が問われる可能性があるのではないかとも思われており、利用が進んでいないそうだ。そのため、AEDの活用促進に向け不安を解消し、救助を行ったにもかかわらず訴訟を起こされた場合に費用を貸し付けることなどを盛り込んだ条例が可決され、来年4月から施行されるという。



http://mainichi.jp/articles/20161118/ddm/008/010/041000c
追跡・予算編成
歳出抑制、目標厳守を 高齢者医療費負担増も提言 財政審建議

毎日新聞2016年11月18日 東京朝刊

財政制度等審議会 建議のポイント
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 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は17日、2017年度予算編成に関する建議をまとめ、一般歳出の伸びを年間5300億円に抑制するという政府の目標を守るよう求めた。社会保障費については、高齢者の医療費負担増などを提言。また、地方自治体に配分する地方交付税交付金の抑制も求めた。財務省は建議に沿って歳出抑制に取り組む構えだが、歳出圧力は根強く、予算の膨張を抑え込めるかは見通せない。

 「全ての歳出について、きちんと効率化してもらいたい」。財政審の吉川洋会長は、麻生太郎財務相に建議を提出した後に記者会見し、17年度予算編成で歳出抑制に努力するよう求めた。

 歳出抑制でカギとなるのが、予算で最大の3割超を占める社会保障費だ。17年度は6400億円の自然増が見込まれるが、5000億円程度の伸びに抑える必要がある。財政圧迫懸念のある超高額のがん治療薬「オプジーボ」は、臨時に薬価を500引き下げることで決着する見込みだ。だが、医療費負担の上限を定めた「高額療養費制度」、75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」の見直しは、与党の厚生労働族議員を中心に慎重論が根強い。財務・厚生労働省は、負担増となる対象を高所得の高齢者に絞るなどして、与党関係者らの理解を得る考えだ。

 また、地方自治体の歳入不足を穴埋めするために政府が配分する地方交付税交付金の抑制も課題だ。総務省は、税収増が見込めないことなどを理由に17年度の概算要求では、16年度より7300億円の増額を求めている。これに対し財務省は、地方自治体の歳出・歳入両面を見直して削減するよう提案した。だが、総務省は「地方財政にはそれほど余裕がない」(幹部)と反論。増額を抑えるのは難しそうだ。

 歳出抑制の目標達成に向けて財務省は査定作業を本格化させているが、ここにきて政府内から歳出増を求める声は強まっている。8日に開かれた政府の経済財政諮問会議では、出席した民間議員が「(歳出抑制目標は)あくまで目安」と目標にこだわらずに予算編成するよう求めた。そのため、政府内では「成長戦略の一環で科学技術予算を拡充したい官邸の意向が反映されている」(経済官庁幹部)との見方も出ている。【小倉祥徳】


  1. 2016/11/18(金) 05:47:15|
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11月14日 

http://news.ibc.co.jp/item_28552.html
医師不在へ 医療体制維持求め要望書提出
2016年11月14日 19:29 更新 岩手放送

 陸前高田市が運営する国民健康保険広田診療所の所長が来月いっぱいで辞職します。それを前に地域の住民が診療体制の維持などを求めて市に要望書を提出しました。医師が不在になるのは東日本大震災で被災し、プレハブ仮設で診療を続けている陸前高田市広田町の国民健康保険広田診療所です。
 10年半にわたり地域の医療を支えてきた近江三喜男所長は当初、今年度内とされていた診療所の再建がなかなか始まらないことなど市の医療行政に不満を募らせ、来月31日で辞職することになりました。
 14日は広田地区コミュニティ推進協議会のメンバー7人が診療所の早期再建と所長辞職後の診療体制の維持などを求める1613人分の署名と要望書を市に提出しました。
 「わたしたちの健康や命を守っていただいた地域医療、これが医者がいなくなるということは大変なこと」(広田地区コミュニティ推進協議会 齊藤篤志 会長)市は来年6月をめどに診療所を再建し、県立高田病院などの医療機関と連携した診療体制の維持や後任の医師の確保を急ぐとしています。



http://www.medwatch.jp/?p=11201
100床未満の小規模病院、7対1と専門特化が経営安定の鍵だが、地域ニーズの勘案も―福祉医療機構
2016年11月14日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch

 小規模な病院では、7対1届出病院のほうが他の入院料届出病院よりも経営状況が良好だが、7対1の施設基準が厳格化されていることを踏まえて、「地域の多様なニーズの充足」と「持続可能な経営」とを両立する方策を検討していく必要がある―。

 福祉医療機構(WAM)は、11日に公表したリサーチレポート「小規模病院の経営環境について」の中でこのように提言しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)(WAMのサイトはこちら)。

7対1では、医業利益率・経常利益率が高く、赤字病院割合も少ない

 我が国では200床未満の病院が病院数全体の6割強(63.1%)を占めており、99床未満の小規模病院(以下、99床未満を小規模とする)が同じく4分の1強(25.6%)となっています。WAMの調査によれば小規模病院では、他に比べて赤字病院の割合が若干多く、経営環境が厳しくなっていると言えます。

 今般、WAMでは小規模病院に焦点を合わせて、どのような病床戦略を立てるべきか分析しました。

 2014年度において、小規模病院が届け出ている一般病床の入院基本料を見ると、10対1が最も多く44.5%。次いで7対1:15.8%、15対1:15.4%、13対1:8.5%となっています。障害者施設等を届け出ている病院も15.8%あります。2年前(2012年度)と比較して7対1の割合が4ポイント減少しており、施設基準の厳格化が影響していると考えられます。

 入院基本料別に収支の状況(2014年度)を見てみると、次のように「7対1で経営状況が良い」ことが明らかになっており、WAMでは「小規模病院においては 7 対 1 の算定が経営を安定させるひとつの選択肢である」と述べています。

【医業収益対医業利益率】7対1:4.0%(12年度から1.6ポイント悪化)、10対1:1.0%(同1.3ポイント悪化)、13対1:▲2.8%(同1.7ポイント悪化)、15対1:▲1.6%(同0.1ポイント改善)

【医業収益対経常利益率】7対1:4.2%(同2.1ポイント悪化)、10対1:1.3%(同1.6ポイント悪化)、13対1:▲4.2%(同1.5ポイント悪化)、15対1:▲0.5%(同0.3ポイント改善)

【赤字病院割合】7対1:20.5%(同6.8ポイント悪化)、10対1:38.2%(同12.0ポイント悪化)、13対1:57.1%(同23.8ポイント悪化)、15対1:44.7%(同0.2ポイント改善)

【病床1床当たりの年間医業収益】7対1:3110万9000円、10対1:1797万円、13対1:1382万5000円、15対1:1167万7000円

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入院基本料別に小規模病院の経営状況を見てみると、2012→14年度で悪化はしているものの、7対1で経営状況が良好なことがわかる

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入院基本料別に小規模病院の医業利益率分布を見てみると、7対1で比較的経営状況が良好なことがわかる

 WAMでは、さらに「小規模の7対1病院では、診療科目を、単価の高い手術が行える循環器科、整形外科、脳神経外科などに特化させることで、医業収益を上げているのではないか」とも推察しています。そこで、専門特化病院(外来患者が特定の診療科目に50%以上集中している病院)と、そうでない病院(非専門特化病院)とで、収支状況を比べると、次のように専門特化病院のほうが、経営が安定している状況が伺えました。

【医業収益対医業利益率】専門特化:5.0%、非専門特化:2.1%

【医業収益対経常利益率】専門特化:5.5%、非専門特化:1.8%

【赤字病院割合】専門特化:5.3%、非専門特化:68.8%

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専門特化した小規模病院では、専門特化していないところに比べて、経営状況が良好なことがわかる
 
 このように、小規模病院においては経営安定化のために「7対1の取得」「専門特化」の2点が重要と考えられます。

 しかし、小規模病院には「地域に密着し、地域の多様なニーズに応える」という、いわば「かかりつけ医」的な役割も求められます。高齢化がますます進展する中では、この役割がさらに求められると考えられます。また、7対1の施設基準、とくに重症患者割合(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)がさらに厳しくなる可能性もあります(関連記事はこちらとこちら)。WAMでは、こうした状況を勘案し、「地域の多様なニーズの充足」と「持続可能な経営」とを両立する方策を検討していく必要があると訴えています。

 

http://www.caretomo.com/carenews/85208
安倍首相 高齢者の自立支援重視の医療・介護システムを検討
2016-11-14 21:00 けあnews

自立支援へ転換
安倍首相は、11月10日、政府の未来投資会議において、介護保険制度について、介護を必要とする人の自立支援を中心にした制度へ転換を進めると表明した。自立支援によって重度の要介護者を減らすことで、高齢化で膨張が続く介護費の抑制につなげる。

パラダイムシフト
これまでの介護は、目の前の高齢者ができないことを世話することが中心であり、その結果、現場の労働環境も大変厳しいものであった。これからは、高齢者が自分でできるようになることを助ける「自立支援」に軸足を置く。

首相は、介護制度について「パラダイムシフト(非連続的・革命的変化)を起こし、介護が要らない状態までの回復を目指す」と述べた。今後、厚生労働省など関係省庁で具体策を検討する。

今後
介護報酬にメリハリを利かせるため、来秋までに「自立支援」と位置づける介護の内容も整理し直す。介護関係の資格の教育課程にも自立支援強化に向けた政策を反映させる。

現状では、介護度が悪化するほど報酬が多くなるため、自立支援への動機づけが乏しい。2018年度以降には、自立支援や回復に後ろ向きな事業所の報酬を減らすことも検討し、一方で、2018年度の介護報酬改定で、要介護度を改善させた事業所の報酬を引き上げることも検討する。

▼外部リンク
首相官邸 プレスリリース
http://www.kantei.go.jp/



https://www.m3.com/news/general/476268
八戸の病院搬送男児死亡 両親の控訴棄却 仙台高裁
事故・訴訟 2016年11月14日 (月)配信毎日新聞社

 2008年に八戸市立市民病院で男児(当時11歳)が死亡したのは病院が適切な医療処置を怠ったためとして、八戸市の両親が計160万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、仙台高裁は11日、両親の訴えを棄却した。

 高裁判決などによると、男児は08年6月16日に同病院に救急搬送され、その3日後に緊急開頭手術をしたが、同7月1日に死亡。1審・青森地裁八戸支部は今年3月、脳梗塞(こうそく)を原因とする脳軟化が死因とし、「診療行為が著しく不適切だったとはいえない」として両親の訴えを退けた。

 両親は控訴審で「十分な科学的根拠がないにもかかわらず、高圧酸素療法が実施され死につながった」と病院の注意義務違反を追加で主張したが、高裁は「数多くの実験的研究は、高圧酸素療法の脳梗塞への有効性を支持している」と指摘。医師の注意義務違反を認定しなかった。【一宮俊介】



https://www.m3.com/news/general/476547
【宮崎】県立3病院 医師過重労働常態化 当直に違法性認識連続30時間
2016年11月14日 (月) 宮崎日日新聞

 県立3病院で、医師が夜間当直を挟んで連続30時間以上勤務する長時間労働が常態化している。当直が労働基準法の定める軽度な業務にとどまらない激務で、事実上の通常業務とみなされているためだ。背景には医師不足があり、「特効薬は見いだせていない」と県病院局経営管理課。過重労働や違法性を認識しつつも現状維持せざるを得ないという。

 同課によると、午後5時15分~翌日午前8時半の当直体制は宮崎病院3人、延岡病院2人、日南病院1人。4月1日現在、宮崎84人、延岡29人、日南21人のほぼ全ての診療科の医師で回している。昨年度の休日を含む当直では1日平均で宮崎が11・2人、延岡が9・5人、日南が4・9人の救急患者に対応した。

 労基法では、当直業務を巡回や検温など軽度な内容に限定。当直に認定されるには労働基準監督署の許可が必要だが、宮崎は2010年の申請時に「通常の診療をしているため当直には該当しない」として認められなかった。日南は03年に労基署の調査が入り、許可を取り下げた。延岡は許可証の所在が不明。同課は3病院の当直に「違法性はある」との認識を示す。

 3病院では医師が当直の前後に日勤業務を行っているが、当直が救急患者の診療をしているため、労働時間が30時間超となることも珍しくない。当直時に救急対応した実働分は時間外労働となるため、労使協定で合意した時間外労働の上限70~80時間を超える月がある。

 実情について、ある医師は「40時間以上働くこともある」と明かす。多い日は一晩で救急車が10台以上来る。仮眠は取れて2~3時間で、日によっては一睡もできない。「労基法を意識したら医療現場は回らない。ただ、今の当直体制や長時間労働は問題だ」と訴える。

 同課によると、当直をやめ、1日の労働時間を8時間に区切る3交代制を導入するには医師の数が足りず、通常業務にも支障が出るという。身動きできない状況に、同課の永田耕嗣課長補佐は「少しずつ医師確保を進めるしかない」と話す。

 宮崎産業経営大法学部の廣田久美子准教授(労働法)は「長時間労働は医師の健康問題や医療の質の低下に関わる。労働環境が改善されないままでは医師不足が悪化しかねない」と危惧。「労基法のルールの中で働きやすい環境を整える一方、国の動きも促しながら医師確保を急ぐ必要がある」と力を込める。



https://www.m3.com/news/general/476475
【静岡】透析クリニックが倒産、負債5億円
2016年11月14日 (月) 東京商工リサーチ

 医療法人社団輔仁会(藤枝市上薮田74-3、設立2005年7月13日、木村大輔理事長)は、10月24日に静岡地裁へ民事再生法の適用を申請した。申立代理人は南栄一弁護士ほか2名(南法律事務所)。負債総額は約5億4500万円。

 2002年10月「ふじえだ耳鼻咽喉科クリニック」(耳鼻咽喉科・アレルギー科)を開業、2015年7月医療法人を設立。2008年6月「ひろクリニック」(人工透析・内科)を追加開業した。設備面の先行投資が重く、金融借入金は過大となり、財務面は債務超過に陥っていた。その後も再建に取り組むも、業績の改善は進まず、資金逼迫に陥り、遂に今回の措置となった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/473909
シリーズ: 『「50歳以上ドクター」の悩みと未来』
仕事とプライベート、「理想」と「現実」が概ね一致◆Vol.3
「現実」の仕事量はU35世代との違い大きく

医師調査 2016年11月14日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 仕事とプライベートにかける時間について、理想と現実の比率を教えてください。※例えば、仕事が80%の場合は、「8:2」をお選びください。
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 仕事とプライベートの時間の割合の「理想」を尋ねたところ、最多が「7:3」で、次が「6:4」、「5:5」と続き、U35世代や、開業医、勤務医の別で見ても同じ傾向だった。
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 一方で、「現実」も同じく、最多は「7:3」、次いで「6:4」「5:5」が同数で続いた。全体的には「理想」と「現実」は概ね一致していた。開業医と勤務医の別では、勤務医で「8:2」が僅かに多い傾向があった。「9:1」「8:2」が6割を占める、U35世代とは大きな違いを見せた。

回答者の属性
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https://www.m3.com/news/iryoishin/476643
シリーズ: 地域医療構想
「総合確保指針」の改定案、次回会議で取りまとめ
医療介護総合確保促進会議、主な柱を4つに整理

2016年11月14日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、11月14日の第9回医療介護総合確保促進会議(座長:田中滋・慶應義塾大学名誉教授)に、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(総合確保方針)」の改定に向けた「論点の整理(案)」を提示、おおむね了承を得た。同省は、次回会議で総合確保方針の改定案を提示、取りまとめを目指す(資料は、厚労省のホームページ)。

 改定の主な柱は4つ。(1)医療計画と介護保険事業支援計画、介護保険事業計画の一体的かつ整合的な策定、(2)在宅医療の推進および在宅医療と介護の連携の推進に関する視点、(3)医療・介護の連携の核となる人材に関する視点、(4)その他――だ。

 (1)では、その実現に向け、担当部局の連携を目的とした都道府県と市町村などの関係者から成る「協議の場」の設置、医療計画の2次医療圏と介護保険の老人福祉圏域を可能な限り一致させる、在宅医療のサービス必要量などを整合的なものにする、などを総合確保方針に明記する。「協議の場」の設置は前回会議で合意が得られており、都道府県と市町村以外のメンバーは、地域の実情に合わせて決めるべきとの考えから、総合確保指針には明記しない(『医療・介護計画、県と市の「協議の場」で整合性』を参照)。

 (2)では、地域包括ケアシステムの担い手である市町村に対し、これまで医療提供体制の構築を担ってきた都道府県が支援することや、入退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りなどさまざまな場面で、各サービス提供者が連携することなどを盛り込む。(3)では、医療と介護の分野に精通した人材の養成を、(4)では、高齢者の住宅施策との連携を、それぞれ求める。

 これら4つの柱は支持され、特に重要性が強調されたのは、さまざまなレベルの連携の必要性だ。日本医師会副会長の今村聡氏は、(2)について、個別のサービス提供者間だけではなく、サービス提供者の職能団体同士の連携も重要だとしたほか、都道府県による市町村の支援に当たって、地域医療介護総合確保基金も活用するよう求めた。さらに今村氏は、「地域包括ケアシステム構築に当たっては、厚労省が中心となる省庁」と指摘しつつも、昨今問題となっている高齢者の自動車運転事故などを挙げ、より幅広い視点から高齢者を支える仕組みを議論するには、「厚労省と他省庁との連携」という方向性も検討すべきと提案した。

 日本病院会副会長の相澤孝夫氏も、(2)について、都道府県による支援は「市町村単独では実施困難な取り組み」に限らず、市町村同士が連携すべき取り組みも含め、対象を幅広く捉えるべきと指摘。

 奈良県理事の荒井正吾氏の代理で出席した、同県医療政策部部長の林修一郎氏は、総合確保指針の改定で都道府県の役割が増すことを踏まえ、「改定内容を形骸化させないことが必要」と述べた上で、「都道府県の支援とともに、国の役割も増しているという認識でいいか」と確認。その上で、今村氏が言及した基金については、「各都道府県が創意工夫できるよう、柔軟な活用ができるようにしてもらいたい」と求めた。

 (4)の高齢者の住宅施策の重要性も、複数の構成員が指摘。加えて、「生活支援、ソーシャルワークという観点も必要ではないか」との意見が、連合総合政策局長の平川則男氏から出た。


医療介護総合確保促進会議は、次回会議で、「総合確保指針」改定の取りまとめを行う予定。

 医療と介護、連携にふさわしい人材は?
 各論において、多少意見が分かれたのが、(3)の「医療と介護の分野に精通した人材の養成」。日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、「医療と介護の接点にいて、コーディネーターができるのは、ケアマネジャー」と指摘。2000年度の介護保険制度スタート当初は、ケアマネジャーのうち、看護師が占める割合が多かったものの、今は減少していることから、看護師のケアマネジャーの養成が必要だとした。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏も、「医療と介護の連携を果たしているのは、現実的には訪問看護ステーション」であるとし、その役割を充実していく方向性を盛り込むよう求めた。

 これに対し、日医の今村氏は、「どんな職種が医療と介護をつなぐ人材としてふさわしいかではなく、大事なのは機能」と指摘し、医療と介護の連携役を果たす人材は、職種ではなく、担うべき機能として明示することを求めた。



https://www.m3.com/news/general/476492
医師退職勧奨、賠償減額 名古屋高裁違法性再び認定
2016年11月14日 (月) 共同通信社

 愛知県碧南市の市民病院に歯科口腔(こうくう)外科部長として勤務していた男性医師(62)が違法に退職勧奨を受けたとして、市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は11日、約4170万円の支払いを命じた一審名古屋地裁判決を変更、支払額を50万円減額し、約4120万円とした。

 永野圧彦(ながの・あつひこ)裁判長は判決理由で、病院側の対応について「自由な意思決定を侵害する不法行為があった」と改めて認定。ただ「退職勧奨の理由とされたパワーハラスメントの疑いが根拠を欠くとは言えない」との判断を示し賠償金を減額した。

 碧南市の禰宜田政信(ねぎた・まさのぶ)市長は「主張が認められず誠に残念。上告は弁護士と相談して検討する」とのコメントを発表した。

 二審判決によると、市役所などへの投書をきっかけに病院が医師によるパワハラがあったとして退職勧奨を開始。パワハラの真偽を確かめる調査委員会が設置されないまま、医師は2012年3月末に退職に追い込まれた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/475933
シリーズ: m3.com意識調査
「医療費切り詰めは無理」「議員、公務員給与を削減すべき」
m3.com意識調査「あなたが予算編成をするとしたら?」

レポート 2016年11月12日 (土)配信m3.com編集部

Q 国の財政の在り方や医療関連分野への予算確保についてご意見をお寄せください。

◆調査結果はこちら⇒ 「歳出切り詰め、25%が「医療分野」を挙げる」

・医療関連分野の詳細について、不妊治療・小児医療への予算をもっと増やすべき。保育園・幼稚園を義務教育化し、育休明けの就業推奨を進める。また保育士の待遇を上げるための予算を付けるべき。【薬剤師】

・所得に応じた負担が最も不満の出にくいやり方では、と思う。ちなみに最近、政策の演説やメディアで「介護人材関連への財源投入が少ないのがおかしい」という意見が現場の声として聴かれるが、医療者と比べて介護の科学的な成果が明確に打ち出されていないことにも問題があると思う。なぜなら、財源を議論する審議会の公開議事録を読んでいると、主に議論しているのは現場にいない人達で、データから判断するしかないから。【看護師】

・難しいのは分かりますが、やはり医療界でも本当に必要な部分とそうでない部分を大きく分けて、予算を割っていかなければ、たちまち運用ができなくなってしまうと思います。例えば、湿布など本当に必要かどうかをしっかり見極めた処方量が必要になってきますし、少なくとも国が認めてスイッチしているOTC薬などは、医薬品としての扱いを慎重に考えていくことも必要と考えます。また、皆保険という日本の宝のような制度を守るためにも、それを使用している方への理解をもっともっと推進していかなくてはいけないのではないでしょうか?ニュースなどで聞いてはいるとは思いますが、どうしても他人事になっている部分もあると思います。【薬剤師】

・医療分野しか分からないが、「生活保護で無料だから先発で出してあげて」と薬局にクレームをつけてこられた医師、医療費無料の方に大量の薬を出す医師をまだまだみる。それぞれの分野、まだまだ無駄を削り切れていないと思う。0割の方は万全の医療を受けられ、3割負担の方は費用の面で治療を断念しないといけない現状は、おかしい。薬も高額になっている今、全ての薬を健康保険で支払うことは不可能かと思う。個人責任の保険と併用せざるを得ない状態になっているのでは。石油産出国のように財源が湧き出すわけではない。既成の権利を互いに奪い合うのでなく、若い世代も希望を持てる財源の使い方を基本からキッチリと考えて欲しい。【薬剤師】

・貧困率が非常に高い日本で、即効性はないが、教育費の確保が大切。そのための財源は必要だろう。そもそも所得税を上げたって、大金持ちが日本から出て行くだけ。税金が捕捉できるわけではない。0歳から大学までの教育費を無償化することによって、消費を増大させることが、格差是正にも一番よかろう。消費税1%分で事足りる。【開業医】

・医療について生活保護が無料で高度な医療を受けていることに疑問がある。必要な医療は仕方ないが、働いている人が医療費が高額で受けられないのに、税金で生活している生活保護者は内職すらしないで無駄に病院通いしている傾向がある。さらに生活保護で処方された薬剤を転売しているケースもあり、厳しく取り締まるべき。

・医療費の半分は税金が投入され、健康保険は事実上破たんしている。何でも保険適用にするのではなく、最低限にして、税の投入を避けるべき。行政機関が巨大すぎる。民間への委託、権限移譲をもっと増やすべき。【開業医】

・介護職員が食べて、結婚ができるだけの、給料を保証できるように、介護報酬を上げるようにしてください。【開業医】

・増大する経費分を全て保険料(共助)や公費(公助)に依存するのは困難であることの認識の下、一定の規制のもと、民間の仕組みを取り込んでゆく方途について検討するのも避けられないのではないか。【勤務医】

・医療分野はしばらくは拡大が続くが、その後、縮小は始まるので、うまくやれば破綻しないと思う。急性期医療、先端医療の適応範囲を一律年齢によって変化させる等の施策は必要。【勤務医】

・「ありもしない」もしくは「あっても微々たる額」の「無駄」を削れば何とかなるという連中をどうにかしてほしい。あれほど言って政権を取った民主党ですら大した予算の組み替えにならなかった現実をメディアも忘れすぎているし、無責任な批判のみである。【勤務医】

・これ以上、借金を増やさない政策が大原則。医療福祉に関しては、高齢者対策はゼロまたはマイナスシーリング。なんとかかんとか指導料の減額・廃止するだけでもかなり節約できると思います。強力に推進すべきは少子化対策。人がいなければ国は成り立ちません。【開業医】

・塩や糖分、脂、カロリーなどに課税をし、その課税分を医療費にするとともに国民の健康度を上げる。そのようにすれば食品メーカーや外食産業もより健康的な料理を提供するようにもなり、さらにはそれらを輸出もできます。また長い目で見れば国民も健康になり、医療費が下がります。【開業医】

・配偶者控除について先延ばしした件、全くダメ、0点。【開業医】

・高齢者の医療については現在、やりすぎているところもあり、予算削減は可能ではないかと考える。老人医療で儲けているところには申し訳ないが、老人の介護には予算を厚くしても、医療には減額してもよさそう。【勤務医】

・独身男女からもう少し税金を吸い上げるのが良いでしょう。【勤務医】

・富裕層からお金を取るのをやめたら、働く意欲がわくので、結果的に税収は増えると思う。【勤務医】

・オリンピックなんてやはり持ってくるべきではなかった。【勤務医】

・予算確保は難しいことがわかってきた。やはり今の厚労省の方針の通り、もっと今までの医療を、介護や別の分野で補うべきだし、もっとセルフケアに力を入れるべきかと思う。【勤務医】

・財政がひっ迫していると言っているのに、公務員、議員の報酬は下げるどころか上げている。国民の生命、財産を守る気があるのであれば、社会保障費、医療費を減らすべきではない。【薬剤師】

・議員報酬・公務員手当など、一般企業との給与・手当の基本的部分の差がありすぎる。削減は見かけの一時的なもので、数年たたず削減以上の給付になるか、削減前に戻っている。【薬剤師】

・タバコの販売を禁止すれば、罹患者が減少し、医療費の削減につながると思います。【薬剤師】

・現在の累進課税では、年間所得1500万円程度の高給サラリーマンと年間所得1億円程度の資本家/経営者が同じ税率になっています(むしろ、資本家/経営者は経費も使えるので実質的に所得はもっと上になる)。これは明らかにおかしいと感じる。まぁ、取りやすいところから取るというのが行政としては都合いいのかもしれませんが。【勤務医】

・お金は使われてこそ、税金として歳入が増えるもの。特に今はデフレなので、基本的に供給が多く、需要が少ない状態。誰もお金を使おうとしない状態が続いている。国民のお金を使わせるために、消費を活性化させるために消費税の減税や年金の早期支払い、公共投資の増加などお金を使うことで、お金を動かすことで歳入を増やす方法を積極的に考えるべき。そこで増えた税金を医療分野へ回す。後発品使用促進などでの医療費削減は微々たるもの。逆に健康を害す可能性すらある。さらに後発品使用促進は、国内大手製薬メーカーの弱体化を招き、海外の競争力を低下させる恐れがある。国民全体が予算やお金の流れについて良く知るべき。日本は財政破たんなんかしないので、国も積極的に国債等を発行して、需要を増やし、国民を豊かに導くべき。消費増税や年金の減額などの緊縮財政は景気が過熱している時にすべきもの。しっかりしてほしい。【薬剤師】



http://biz-journal.jp/2016/11/post_17179.html
連載 上昌広「絶望の医療 希望の医療」
東京近郊、医師不足が深刻化…厚労省、無意味な制度推進で「医局」復活の時代錯誤

文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
2016.11.15  Business Journal

 医師偏在の議論が進んでいる。厚労省は若手医師が保険医の資格を取るにあたり、医師不足地域での勤務を義務づけることを法制化する方向で調整を進めている。また、日本内科学会や日本外科学会などの医学系学会は、専門医教育のあり方を「改革」しようとしている。

 この「新専門医制度」では、日本専門医機構という第三者機関が専門医資格のあり方を規制する。具体的には、地元の大学病院をトップに、関連病院を系列化する。地域の病院は大学病院から医師を派遣してもらうことになり、従来型の医局が復活する可能性が高い。時代錯誤な手法だが、厚労省はこの動きを応援してきた。
 筆者は、このような動きをみて暗澹たる気持ちになる。なぜなら、このような施策は意味がないからだ。医師偏在の是正と若手医師の教育システムの改善は本来、別問題だ。両者を一緒に議論することは、思わぬ弊害を招く。冷静な議論が必要だ。まずやるべきは、現状を正確に把握することだ。そして、すぐにできることから始めるべきだ。
被災地の産科医不足


 日本の医師偏在には2つの側面がある。1つは都市と地方の問題だ。たとえば、筆者が活動している福島県では、まさにこの問題が深刻化している。医師は、福島県立医大が存在する福島市周辺に集中し、浜通りには少ない。
 特に深刻なのが産婦人科だ(図1)。もともと産科医が少なかった地域に、2006年2月には福島県立大野病院産科医師逮捕事件、11年3月には東京電力福島第一原発事故が起こった。多くの若年女性が避難し、多くの診療所や病院が産科診療を停止した。

(図1)福島県内の産婦人科医の偏在
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 現在、相馬地方(相馬市・南相馬市など)で産科の入院患者を受け入れているのは、南相馬市立総合病院と1つの有床診療所だけだ。基幹施設である南相馬市立総合病院の常勤医師は1人である。いつ崩壊してもおかしくない。
 現在でも、相馬地方には10万人を超える住民が生活している。相馬藩6万石の伝統ある城下町で、「限界集落」ではない。ところが、この地域の妊婦が急変した場合、南相馬市立総合病院で受け入れられなければ、阿武隈高地を越えて車で1時間以上かかる福島県立医大にまで運ばねばならない。冬場は雪が積もる。東京や大阪の住民には想像できない環境だ。

 震災後、一時的に避難した若年女性が帰還し始めた。出産する人もいる。また、この地方出身の女性で、里帰り出産を希望する人もいる。ところが現状では、このようなニーズに応えることができない。知人の相馬市出身で、東京で働く女性は「現在、妊娠していますが、里帰り出産できる病院がなかったため、こちらで産むことなりそうです」という。
 この問題に対して、すぐにやれる事がある。それは、福島県立医大が産婦人科医を派遣することだ。震災復興のため、巨額の税金が福島県立医大に投入されてきた。相馬地方への医師派遣は、福島県立医大にとって最優先事項のはずだ。
 ところが、福島県立医大は、この問題に真剣に取り組んでこなかった。筆者には、むしろ被災地の病院を苛めてきた感すらある。ご興味のある方は、以下の文章をお読みいただきたい。
・10月11日付「JB PRESS」記事『厚労省、立派な大義名分の裏でせっせと利権作り 新専門医制度でさらに焼け太る福島県立医大』
・10月24日付「医療ガバナンス学会」メールマガジン『福島県立医大は専門医の育成機関として適格か』
 この問題の解決は、福島県民が自立し、民主的に議論することだ。納税者として、福島県立医大の振る舞いを批判すればいい。福島県庁には、福島県立医大の「暴走」を許した管理体制について説明してもらえばいい。福島県立医大の「怠慢」を放置し、全国の若手医師を医師不足地域に強制的に派遣すべきではない。
 余談だが、筆者たちの批判が効いたのだろうか、先だって、福島県立医大は南相馬市立総合病院に産科医の派遣を決めた。福島県立医大という「権力」が機能するためには、社会の監視・批判が欠かせないことを示している。
医師偏在


 医師偏在については、もうひとつ深刻な問題がある。それは日本国内での医師偏在だ。日本での医師数は西高東低である(図2)。

(図2)都道府県別の医師数
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 実は、日本で最も医師が少ないのは首都圏である。12年現在、人口10万人あたりの医師数は埼玉県148人、千葉県173人、神奈川県193人だ。京都府297人、徳島県296人の50%~65%程度だ。
 東京に医師が多いため、「病気になれば、東京の病院に通うから大丈夫」という意見を聞くことがあるが、これは誤解だ。首都圏を平均すれば、西日本との差は比べるべくもない。首都圏は東京の中心部に医師が偏在しているため、むしろ危険であるというほうが妥当だ。

(図3)地域別医師数
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 今後、首都圏は急速に高齢化する。医師不足は、ますます加速する。

(図4)首都圏の医師不足のシミュレーション
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 では、埼玉・千葉・神奈川の医師数を全国平均にするには、どの程度の医師が必要なのだろう。それは、埼玉県5600人、千葉県3300人、神奈川県2900人だ。
 医学部の定員は全国で約9000人だ。毎年卒業生の5%を強制的にこの地域で勤務させるとして、12年時点の全国平均に追いつくのに26年かかる。焼け石に水だ。また、首都圏に医師を集めるというのは、政治的な調整に手間取るだろうから、現実的でない。
 日本は医師の絶対数が不足している。資源の絶対量が少ない状況で、超法規的なやり方で若者を苦境に追いやるのは、戦時中の神風特攻隊と同じ思想である。官僚の自己満足に過ぎず、意味がない。

対策

 では、どうすればいいのだろう。いくつかの手段を合わせなければならない。
 ひとつは、首都圏での医師養成数を増やすことだ。成田市に医学部が新設されるが、埼玉県や神奈川県での設置も検討すべきだ。幸い、戸田市や箱根町・鎌倉市のような財政力のある自治体がある。
 医師不足に対する根本的な対応は、医師養成だ。ただ、これには時間がかかる。筆者は、時間がかかるのだから、すぐにやるべきだと思うが、当座の対症療法も必要だろう。
 まず検討すべきなのは、国家公務員、あるいはそれに準ずる医師を緊急的に医師不足地域に派遣することだ。幸い厚労省には医師免許を持つ官僚がいる。彼らは、平素より医師であることを強調している。この際、働いてもらってはどうだろう。外科手術のような高度医療はできなくても、初期研修を終えているのだから、基本的な医療はできるはずだ。彼らは国家公務員なので、業務命令を出せばいい。これは法律や政省令を改正し、通知を出す必要はない。
 国立病院機構やナショナルセンターに所属する医師も同じだ。このような施設には、平時より膨大な税金が運営費交付金として注ぎ込まれている。彼らがウェイトを置いている医学研究ももちろん重要だが、それ以上に医師不足による医療崩壊対策が喫緊の課題だろう。こちらも業務命令で対応できる。
国立大学の医学部の移転

 ほかにも検討すべきことがある。それは東京都内にある国立大学の医学部の移転だ。東京大、あるいは東京医科歯科大の移転を考えてはどうだろうか。この2つの大学には、大学院生まで含めれば1000人程度の医師がいるだろう。首都圏の医師不足を解決するための、即効性のある対策だ。

 これは、医師不足にとどまらない「町興し」につながる可能性もある。成功モデルは筑波大だ。つくば地域の医師不足は緩和され、文京地域として評価は高まった。土地の値段は上がり、東京から鉄道が通じたくらいだ。国立大学の移転は政府ができることで、一考に値する。
 できることは、これだけではない。病院経営者や中高年の医師にとって、もっともインセンティブが働くのは、埼玉県や千葉県の診療報酬を高くすることだ。財源に限界があるのであれば、医師が過剰な地域の診療報酬を下げればいい。幸い、日本の診療報酬は全国一律だ。コストが高い首都圏の診療報酬を上げ、コストが安い地方の診療報酬を下げることは理にかなっている。この対策に加え、首都圏の病床規制を緩和すれば、病院や医師は西日本から首都圏に移動するだろう。
 ただ、この政策は、日本医師会や彼らが支援する国会議員から猛反発を喰らうだろう。全国一律の診療報酬こそ、彼らの利権だからだ。
 医師偏在の問題を、本当に改善したければ、現状を正確に分析し、適切な手段をこうじるべきだ。専門医教育など、若手医師の教育を混同させるべきではない。
 
 どんな病院経営者も、若手医師は喉から手が出るほど欲しい。安い給料で、よく働くからだ。
 多くの若手医師は民間人だ。政府が勤務場所や居住地を指定することはできない。今回の厚労省の議論は、医師偏在是正の大義名分のもとに、自らは医療現場に行くことはない厚労官僚が、空理空論を弄んでいるようにしかみえない。医師偏在の問題を、官僚と業界団体に任せてはならない。国民視点で、オープンな議論が必要だ。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)

●上昌広(かみまさひろ)
1993年東大医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。 虎の門病院、国立がん研究センターにて造血器悪性腫瘍の診療・研究に従事。
2005年より東大医科研探索医療ヒューマンネットワークシステム(後に先端 医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年3月退職。4月より現職。星槎大学共生科学部客員教授、周産期医療の崩壊をくい止める会事務局長、現場からの医療改革推進協議会事務局長を務める。



http://mainichi.jp/articles/20161115/ddm/041/040/155000c
診療報酬資料改ざん
元官僚と5業者「提携」 国、調査開始

毎日新聞2016年11月15日 東京朝刊

 診療報酬の不正請求を調べる厚生労働省の「個別指導」を巡り、コンサルタント会社を営む元厚生官僚(65)が歯科医らに資料改ざんを指南していた問題で、少なくとも5業者が元官僚との提携をうたい、個別指導への対応を支援するなどと宣伝していたことが分かった。こうした業者を通して資料改ざんなどがさらに広がっている可能性がある。厚労省は元官僚の関与を含め、資料改ざんについて調査を始めた。【藤田剛】

 5業者は東京都港区と新宿区、奈良市、大阪府内のいずれも医療コンサルタント会社と大阪市内の公認会計士事務所。それぞれホームページ(HP)で元官僚を「提携コンサルタント」や「専門家」などと紹介していた。

 このうち港区のコンサル会社のHPは、個別指導で不正請求が発覚して廃業に追い込まれた事例を示し「このようなリスクに対する備えはありますか?」と強調。「対応は時間との勝負」とした上で「元厚労省本庁の技官(元官僚)による保険請求に関するアドバイス・支援を行います」と宣伝している。奈良市の医療コンサル会社は以前HPで、個別指導対策として「歯科診療録及び関係書類等を個別指導対応に整備」などと記載していた。

 こうした記載について、港区のコンサル会社社長は取材に「先生(歯科医ら)は個別指導を『怖い』とおっしゃるのでニーズは多い」としつつ、助言内容について「大きい声ではなかなか言えない」と言葉を濁した。奈良市のコンサル会社社長は「(元官僚が)やっていないことをやったように『資料を書き直せ』と言うかどうかは分からない。今はほとんど連絡を取り合っていない」と述べた。

 また、新宿区のコンサル会社と大阪市の公認会計士事務所は毎日新聞の取材や報道後、HPから元官僚に関する記載を削除した。

 こうしたコンサルなどについて、診療報酬の不正請求に目を光らせる厚労省医療指導監査室は「実態は分からない」という。というのも、健康保険法などに基づく個別指導は医療機関が対象で、コンサルなどは対象外。同法には指導時の資料改ざんに関する規定もない。元官僚は現役時、「医療Gメン」と呼ばれる医療指導監査官。指導に詳しい同省関係者は「行政に関わった人間が、法の抜け道を看板に掲げて仕事をするのは許されないが、現行法制下では直接手を打てないジレンマがある」と漏らす。

 一方、厚労省の鈴木康裕保険局長は8日の参院厚生労働委員会で、元厚生官僚による資料改ざん指南について「私どもの元職員が、報道によると、こうした行為(をした)ということ。これはあるべからざる行為だ。厳正に事実を把握して対処したい」と述べ、調査に前向きの姿勢を示した。質問に立った東徹氏(維新)は「詐欺罪など刑事告発を含めて考えるべきだ」と厳しい対応を求めた。


  1. 2016/11/15(火) 06:07:47|
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11月12日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/476253?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161112&dcf_doctor=true&mc.l=189476356
シリーズ: 医師不足への処方せん
「医師1万6000人の実質増員策」、塩崎厚労相に提案
全国医学部長病院長会議、「シームレスな医師育成を」

2016年11月12日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議と国立大学医学部長会議は11月11日、塩崎恭久厚労相と面談し、「実質医師数増員の提案」と「医師の地域への配置提案」を提出した。保険医療機関の責任者要件として医師不足地域での勤務を条件にするなどの規制的な医師偏在対策は講じなくても、対応可能な対策があるという提案だ。

 「実質医師数増員の提案」は、卒前の臨床実習から卒後の臨床研修、専門医研修までをシームレスに行うことが主眼。臨床研修の一部を臨床実習に前倒しすることで、1学年約8000人、2学年分で約1万6000人の医師を「実質増員」でき、専門医研修の一部を臨床研修に組み込むことによっても、専門領域の標準的な医療を提供できる医師を、今より2、3年早く養成できるとしている。全国医学部長病院長会議は、自民党の国会議員で組織する「医師偏在是正に関する研究会」(代表:河村建夫衆院議員)の10月7日の会議でも、同様の提案をしている(『「選択肢の多様化こそ医師偏在策」、医学部長病院長会議』を参照)。

 「医師の地域への配置提案」は、2005年から始まった山形大学と山形県内の病院などで組織する「山形大学蔵王協議会」をベースにした内容。地域の医療機関からの医師派遣要請は、大学の各医局ではなく、大学として一括して受けた後、大学だけでなく第三者も加えた協議会で、地域の患者数や県内全体の医師配置などを考え、対応する仕組み。

 全国医学部長病院長会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、この時期に提案した理由について、「医師需給分科会が流会になるなど、医師育成についての議論の先行きが見えない状況にあるため、医学教育の現場から、率直な思いを改めて伝えたいと考えたため」と説明する。

 新井氏が言及した「医師需給分科会」とは、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織であり、医師需給や医師偏在対策を2015年12月から議論してきた。しかし、塩崎厚労相主導の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が10月に発足、議論の舞台が変わった。この経緯は、社会保障審議会医療部会でも問題視された(『「医学部定員、2020年度以降も増員」をけん制』を参照)。「医師需給分科会」での議論はストップ、既に10月19日と11月2日の2回、開催予定だったが、流会となった。11月17日にも開催予定だが、流会の見通しだ。

 さらに新井氏は、「地域医療も重要だが、大学はそれだけをやっているわけではない。医師不足地域に一定期間、医師を強制的に派遣するのは、教育や研究への制限にもなる。女性医師などのキャリアパスにも障害を来す可能性があり、日本の医療の活力が失われる」と懸念する。これは、NPO法人「全世代」が、10月にまとめた提言を踏まえた発言だ(『「医師不足地域での勤務」、保険医療機関の責任者の条件』を参照)。

 国立大学医学部長会議常置委員会顧問の守山正胤氏(大分大学医学部長)も、「医師育成の在り方や医師偏在対策は、医学生、医師の立場で考えることが必要。医師が100人いれば、100人の個性がある」と指摘する。臨床研修制度についても、「卒前教育とオーバーラップしている部分があり、効率が悪い上に、研修医のやる気を阻害している面があることから見直しが必要」と、守山氏は話す。

 「脳、心臓、呼吸器、腹部」に対応できる医師養成

 今回の提案は、医師偏在対策の議論を機に、卒前と卒後の教育・研修の改革、シームレスな医師育成につなげたいとの狙いがある。2004年度から必修化された臨床研修制度は、必修化が当初の7診療科から3診療科に減るなどの一定の見直しは行われてきたが、「医学教育では、診療参加型の臨床実習が相当充実してきたものの、それを踏まえた改革が行われていない」との指摘が多い。

 新井氏は、「大学や病院など、地域が一体となり、シームレスな医師育成にコミットしていく。卒前教育と卒後研修のコンピテンシーのうち、オーバーラップしている部分を見直し、なるべく短期間、かつ個々の医師の特性を踏まえ、自由度を持って医師育成に取り組んでいくことが必要。その際に、医師の配置の在り方も、皆が一緒になって考えていけばいいのではないか」と提案する。

 「実質医師数増員の提案」は、臨床研修の一部を、医学部で行う臨床実習に組み込むことで、卒後1年目から一定程度の即戦力として期待できるため、「幅広い診療に従事できる医師を、現在より2年早く現場に配置できる」としている。その目安として、夜間や救急の現場での「脳、心臓、呼吸器、腹部(急性腹症)」への緊急対応能力を挙げ、臨床研修の修了時ではなく、開始前に身に付ける必要性を強調している。

 「住民(自治体)の要望、イコール医師不足」とは限らず

 「医師の地域への配置提案」のベースとなった「山形大学蔵王協議会」は、県内の医療機関がネットワークを構築し、地域の関係者が一体となって医療人の育成と地域医療の向上に取り組むのが目的。

 その一環として、地域の医師配置を検討する場として、山形大学内に、「地域医療医師適正配置委員会」を設置している。同大の教授に加え、山形県職員、地域の医療機関の代表者などで構成する。地域の病医院からの医師の人事に関する要望について、公正な第三者組織の立場からその要否や妥当性を検討するのが主な役割だ。医師にとっても、へき地などに一方通行で赴任するのではなく、地域の病院を循環して研修することが可能となるメリットがある。

 同協議会長で、全国医学部長病院長会議相談役の嘉山孝正氏(山形大学特任教授)は、「山形県のように、医師が少ない地域でも、行政、医師会、病院、大学などが一体となって取り組めば、対応は可能。最も医師がいるのは大学であり、大学を活用して、皆が納得できる医師の配置の在り方を検討するのが、蔵王協議会」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/475932
シリーズ: m3.com意識調査
歳出切り詰め、25%が「医療分野」を挙げる
43%が消費増税を支持

2016年11月12日 (土) m3.com編集部

 m3.com意識調査「あなたが予算編成をするとしたら?」で、歳出削減すべき分野を尋ねたところ、m3.com会員の25%が「社会保障費(医療分野)」をあげた。歳入を増やすためとして「消費税」強化にも43%の支持が集まった。 (調査は2016年10月31日から11月7日に実施。回答総数は1623人、内訳は開業医272人、勤務医895人、歯科医師5人、看護師37人、薬剤師364人、その他の医療従事者 50人 )。

全ての調査結果はこちら⇒「あなたが予算編成をするとしたら?」

自由意見はこちら⇒「医療費切り詰めは無理」「議員、公務員給与を削減すべき」

Q 国の歳出で切り詰めるべきはどの分野と考えますか【複数選択】
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 歳出削減を強化すべき分野では、「公務員給与」「公共事業」が45%前後で最多だった。社会保障費(医療関連)は25%で、「防衛費」とほぼ同じだった。

Q 国の歳入を増やすために強化すべきはどの分野と考えますか【複数選択】
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 歳入で強化すべき分野では、「酒やたばこなどへの課税」が57%で最多だった。10%への増税が延期されている「消費税」にも43%が集まった。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/sapporo/1-0337193.html
市立札幌病院2年連続の赤字 15年度決算資金残高が年々減少
11/12 07:00 北海道新聞

 市立札幌病院の経営が厳しさを増している。2015年度決算では経常損失が約13億円に上り、2年連続の赤字となった。病床利用率の低迷が要因という。16年度にも病院事業会計の貯金に当たる資金残高が底をつく恐れがあり、外部専門家を含む経営健全化会議を設置し、改善に乗り出した。

 15年度決算によると、診療収益などを含む経常収益(収入)は216億6600万円で、前年度比4・8億円増。医師らの給与費などを含む経常費用(支出)は229億6500万円で、7・4億円増だった。前年度に比べて増収だったものの、支出の伸びが上回り、赤字幅が広がった。

 主な要因が、収入の6割を占める入院収益の伸び悩みだ。病床利用率が過去5年で最低の65・9%と低迷した14年度は、125億7千万円だった。

 15年度は年度途中で51床削減し747床にしたため、病床利用率は68・6%と若干改善。入院収益も128億1500万円と少し増えた。ただ、16年度も9月末までの病床利用率は69・8%。3年連続で70%を割ると、総務省から経営改善計画の提出を求められる。

 患者の在院日数が長くなると診療報酬が減る仕組みで、入院期間の短期化が進んでいるためという。経営改善には、新しい入院患者を獲得する必要があるが、市内の他医療機関との競合もあり、思うように増えていない。

 この影響もあって資金残高は年々減少し、15年度決算では10億5200万円となった。16年度も改善しなければ、一般会計からの繰り入れによる赤字補填(ほてん)が必要になる可能性がある。

 今月上旬には、外部コンサルタントを入れた経営健全化会議を立ち上げ、経費節減や委託業務内容の見直しなどの協議を始めた。新しい入院患者を増やすため、8月には札幌市内の診療所の医師が市立病院の医師に電話で直接、患者の紹介を依頼できる専用ダイヤルも開設した。病院側は「診療所との連携強化などで、経営改善を図りたい」としている。(坂本有香)



http://myjitsu.jp/archives/10988
ドクターXもビックリ! 心臓外科や循環器内科など「専門医制度」の限界
2016.10.28 07:30 まいじつ

臓器別の診療は、医療界がたどり着いたはずの先端医療だ。心臓外科や循環器内科など診療や治療が臓器別に細かく分類されていることから、日本では『専門医制度』とも呼ばれる。

しかし、患者は同じ検査を何度も受けさせられ、それによって医療費が増え、治療日数も長いなど、さまざまな弊害が指摘されていた。

「これに異を唱えたのがアメリカのオハイオ州にある、世界トップクラスの医療施設『クリーブランド・クリニック』です。臓器別に細分化されていた専門部署の垣根を取り払い、チーム一丸で患者をケアするシステムを作り上げたことで、オバマ大統領からも絶賛されています。まあ施設スタッフが4万2000名もいるからこそできることですが」(サイエンスライター)

日本でもこうした医療が行えるのか。このサイエンスライターは「そもそも医師と看護師が足りないので、日常診療で本格的なチーム医療を行うのは無理です」と否定する。

2012年の統計によると、日本の医師は人口1000名あたり2.3名。この数は、経済協力開発機構(OECD)に加盟している34カ国中で、下から6番目だ。しかも、日本は世界有数の高齢化社会が進行中で、医師不足はますます深刻な問題になりつつある。

「日本は新専門医制度に切り替えましたが、すでに縦割りの弊害が出ています。日本専門医機構は、日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長会議などからなる第三者機関との位置付けで、機構が専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を行っています。しかし、実際には厚労省が仕切っているのです。よく言えば“官のお墨付き”がある資格ですが、それが質の高さを保障するものではありません」(同)

医師は医師免許取得後、2年間の初期研修(臨床研修)を義務付けられている。この2年のあいだに各診療科を循環しながら研修する。現在取り組まれている新専門医制度では、専門医資格取得のために初期研修終了後は、さらに3年以上の養成期間が義務付けられている。

「こんなことができるのは大学病院しかありません。診療科によっては、研修できる基幹病院が大学病院だけという県が20に上っています。ですから、一般的に大学病院は研究重視となり、その結果、医療水準が低くなるのです。そもそも、日本の医療はドイツ医療を模範としてきたため、研究、論文、実験に重点を置いています。臨床中心主義の米国とは異なっているのです」(同)

しばしば大学病院の専門医が問題を起こすのは、このような背景があるからだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/475538
シリーズ: 改革進む医学教育
「教育こそ、我々大学人の使命」◆福井大学Vol.1
内木医学部長「最大の課題は2023年問題への対応」

2016年11月13日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 医学部の「2023年問題」。2023年以降、米国で臨床に従事するためのECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)への受験申請は、「国際基準で認証された医学部出身者に限る」とされた問題だ。その対応は、都市部の大学が先行していたが、地方の医学部も急ピッチで準備を進めている。その一つが、福井大学だ。

 福井大学の特徴として挙げられるのが、「臨床実習マネージメントシステム」(BS-LMS)と「医学科学生支援システム」。これらのシステムの概要紹介と、内木宏延医学部長へのインタビューを通じて、福井大学の医学教育改革の取り組みを計3回のシリーズでお届けする。

――医学部が抱える現状の問題をどう捉えておられますか。

 私は2016年4月に医学部長に就任しました。4年間の任期の中で、最も取り組まなければいけないのは、教育改革、具体的には「2023年問題」への対応です。

 医学教育改革は喫緊の課題であり、日本のどの医学部も直面している課題だと思います。我々も国際認証を取得するための準備を進めていますが、その過程を通じて福井大学のミッション、立ち位置を見つめ直す機会になっています。

 この準備は、当大学の医学部附属教育支援センターが中心となり、毎週定例のミーティングを開き、進めています。今改めて議論しているのが、「福井大学医学部の建学の精神、理念は何か」です。6年間の医学教育を受けた医学生のアウトカム、卒業時に身に付けるべきコンピテンシーを設定し、その実現に向けてカリキュラムを編成していくことが必要となりますが、その根底をなす理念、構成員の誰もが知っている短く口ずさみやすいモットーが我々の医学部には欠けていました。歴史の古い医学部、例えば、東京慈恵会医科大学なら、「病気を診ずして病人を診よ」という有名な建学の精神があります。

 他に誇れるような歴史がない分、自由な発想でいい。過去の偉人の言葉ではなく、私たち自身の、短く口ずさみやすい言葉で、私たちの全ての活動、未来に向かう決意を表現したいと考え提案したのが、「愛と医術で人と社会を健やかに」です。現在、全ての教職員、学生、同窓生にパブリックコメントを求めています。

 冒頭の「愛」という言葉には、「真理を探究する知への愛」と「人命を尊重し人間に共感する人への愛」という二重の意味を込めています。これらの愛は、車の両輪のように医学を発展させてきた原動力と言えます。「知への愛」は最先端の「医術」を開拓し、二つの「愛」と「医術」が結びつくことにより「人と社会を健やかに」することができます。また、「社会」には幅広い意味があり、福井大学の立ち位置として、「地域社会」など、いろいろな意味を込めることができます。

――「理念」の設定と並行して、どんな改革を進めているのでしょうか。

 「2023年問題」に対応するための一番の課題は、「アウトカムベース」の教育にいかに変えていくかです。従来は、基礎医学や臨床医学の勉強を重ね、臨床実習をすれば、良い医師を輩出できると考えていたわけです。一方、アウトカムベースとは、卒業時のコンピテンシー、あるいはディプロマポリシーとも言いますが、卒業時に備えておくべき能力を定め、そのアウトカムの達成を目指して、教育をデザインしていく教育の在り方です。各種カリキュラムを見直し、診療参加型の臨床実習の時間数も増やすほか、それを実現する体制の構築、教員の意識改革が不可欠になっています。

 卒業時のコンピテンシーは、どの医学部であっても、一定の水準の医学生を送り出すべきとの視点から、約8割は共通とし、残る約2割について、福井大学の特徴、個性を打ち出すという考えで決めています。まだ確定はしていませんが、「福井を愛する心」「地域を愛する力」を持ち、地域医療に従事する能力のほか、原子力発電所を抱える県として、緊急被ばく医療への対応能力などを盛り込む予定です。

 並行してカリキュラムの見直しを進めており、2016年度の新入生から、新しいカリキュラムを用いた教育を開始しています。臨床実習も、診療参加型に大幅に見直し、今の3年生が臨床実習に入る2018年度から新カリキュラムを用いる予定です。

 診療参加型臨床実習を進めるには、各種教育資料の充実のほか、各医学生に経験すべき症例を的確に割り振り、臨床実習の成果を確実に残していくことなどが必要です。効率的かつ効果的な臨床実習を進めるために、今、開発を進めているのが、「臨床実習マネージメントシステム」(BS-LMS:Bed Side-Learning Management System)です。実際に大学病院で稼働しているカルテと連動した教育システムで、来年度から試験的運用を始めます。BS-LMSは、他の大学に先んじた福井大学の特徴です。

――各種の医学教育改革を進めるに当たって、一番の難しさは何でしょうか。

 それは教員の意識改革です。教員全体で改革に取り組まなければ、「2023年問題」に対応はできません。

 私はこの夏以降、臨床系の教授一人一人のお部屋を訪問し、各講座の考え方や要望、症例数をはじめ臨床実習の充実にどこまで対応できるか、マンパワーは十分なのかなど、各診療科の事情をお聞きしました。そこで感じたのは、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。臨床系教授懇談会など多数の教授が集まる場では聞けなかった重要な問題点が、個別のヒアリングで浮び上がってきました。

 医学教育改革は、価値観の衝突でもあります。「より良い医師を養成する」という目的は一致していますが、臨床実習に対する考え方、卒前と卒後の教育研修をどのようにデザインして進めるべきかについては、10人の教授がいれば、10通りの考え方があります。先進的に改革すべきと考える教授もいれば、古き良き医学教育にはそれなりの良さがあると考える教授もいます。その中で、いかに調整し、一つの方向に向けて皆が納得できる解を見いだしていくか、その難しさを感じています。

 今年8月の上旬には、福井大学医学部としては初めてのことですが、医学部教授全員が出席するワークショップも開きました。そこで議論したのが、福井大学の医学生が卒業時に身に付けるべきコンピテンシー、アウトカムです。

 「教育こそ、我々大学人の使命」という自覚を、教授をはじめ、全教員が共有しないと、医学部として生き残っていけません。このような意識改革が進めば、医学教育改革は進んでいくと考えています。

――最後に、日本の医学教育、医師養成全体に目を向けた場合、現状をどう捉えておられるか、お聞かせください。

 卒前の医学教育、卒後2年間の初期臨床研修を経て、その後の専門医を目指すための研修と進むわけですが、一番遅れているのは、初期臨床研修だと言われています。反対に、一番進んでいるのは卒前の医学教育改革でしょう。専門医研修も、2017年度からの新専門医制度の開始は1年遅れましたが、改革が進行中です。要するに、両者の改革が進んできたために、その間にある初期臨床研修が遅れを取っています。

 初期臨床研修は2004年度に必修化され、10年が過ぎました。医局を中心とした医師養成システムが崩れ、都市部と地方の医療の格差が生じてしまったものの、その問題解決には至っていません。また医学教育は、先ほどもお話した通り、アウトカム、つまり「卒業時の医師像」についての明確な目標に基づいて再構築されつつあります。それに対し、初期臨床研修は各診療科をローテーションし、各科の症例を経験するものの、結局、卒前の臨床実習の延長であり、茫洋としています。卒前から卒後、生涯教育に至るまで、シームレスな教育・研修体制の構築が必要だと考えています。


  1. 2016/11/13(日) 06:44:05|
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