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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月30日 

https://www.m3.com/research/polls/result/157?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161030&dcf_doctor=true&mc.l=186729792
意識調査
結果「医師の処方権 vs薬剤師の調剤権」

カテゴリ: 医療 回答期間: 2016年10月19日 (水)~25日 (火) 回答済み人数: 2246人

 10月19日の中医協総会で議論になったのが、医師の処方権と薬剤師の調剤権の在り方。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏が、「薬剤師の調剤権を医師の処方権の間に格差があることを問題視し、同等に近づけるため、2018年度診療報酬改定の重点課題とする」旨を、この10月の日本薬剤師会の学術大会で講演したのがきっかけ。
  この発言を問題視したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。今回は薬の処方と調剤をめぐり、医師と薬剤師の皆様にお聞きします。

【調査結果】医師と薬剤師、意識の違いが鮮明に(2016年10月30日掲載)

  「後発医薬品への変更可」から「後発医薬品への変更不可」と、処方せんの欄が変更されるなど、診療報酬改定の度に、後発医薬品の利用促進が進められています。

  「変更不可」の欄をなくすべきとの意見もありますが、Q1の通り、勤務医と開業医を問わず、医師の7割以上は「必要」と回答。一方、薬剤師は6割が「不要」と回答。

  「処方せんは一般名処方」を原則とすべきか否かを尋ねたQ2では、開業医の63%、勤務医でも48%が「原則とすべきでない」と答えた一方、薬剤師は74%が「原則とすべき」。

 高齢患者の増加に伴い、複数の医療機関を受診、結果的に服薬管理が徹底されず、重複投薬あるいは残薬が問題になることがあります。保険薬局で残薬を確認した場合、どう確認すべきかを質問したところ、医師と薬剤師の間だけでなく、医師の間でも勤務医と開業医の間ではやや意見の相違が見られる結果となりました。「医師に疑義照会して対応」と回答したのは、開業医52%、勤務医36%、薬剤師18%です。ただ、「場合による」との回答も約3割を占め、「疾患あるいは薬の種類によっては調節可」と考える医師が、少なくないことが分かります。

 最後にお聞きしたのが、「リフィル処方せん」の是非。2018年度診療報酬改定に向けた議題の一つになりそうですが、「認めるべき」「どちらかと言えば認めるべき」の合計は、薬剤師の71%。これに対し、勤務医は48%、開業医ではさらに少なく23%にとどまります。

 m3.com医療維新で、自由意見に寄せられた結果をご紹介します。

Q1 処方せんの「後発医薬品への変更不可」の欄、必要?不要?
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開業医 : 446人 / 勤務医 : 981人 / 薬剤師 : 819人
※2016年10月25日 (火)時点の結果

Q2 「処方せんは一般名処方」を原則とすべき?
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開業医 : 446人 / 勤務医 : 981人 / 薬剤師 : 819人
※2016年10月25日 (火)時点の結果

Q3 保険薬局にて「患者の残薬」を確認、どう対応すべき?
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開業医 : 446人 / 勤務医 : 981人 / 薬剤師 : 819人
※2016年10月25日 (火)時点の結果

Q4 病状が安定した患者の「リフィル処方せん」(繰り返し同じ処方せんを用いること)、認めるべき?
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開業医 : 446人 / 勤務医 : 981人 / 薬剤師 : 819人
※2016年10月25日 (火)時点の結果

Q5その他、「医師の処方権」や「薬剤師の調剤権」、医薬分業についてご意見があれば、ご自由にお書きください。
 (次項)



https://www.m3.com/news/iryoishin/471485?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161030&dcf_doctor=true&mc.l=186729793
シリーズ: m3.com意識調査
後発薬処方で「適応外」、その責任は?
「医師の処方権 vs薬剤師の調剤権」◆自由意見1

レポート 2016年10月30日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

Q:その他、「医師の処方権」や「薬剤師の調剤権」、医薬分業についてご意見があれば、ご自由にお書きください。

【後発医薬品への「変更不可」の欄】

◆勤務医
・薬剤師の調剤権を認め、先発品など特定の薬剤を医師が指定できないならば、それによって引き起こり得る患者の不利益(副作用や効果が薄いなど)も、薬剤師が責任を取って診るようにする。「何かあったら医師に相談」のCMは迷惑。
・後発薬品への変更は、薬剤師の権限でもよいが、責任を持つべき。
・ジェネリック推進により、既に医師の処方権は侵害されている。後発品可とした場合は薬局の判断で変更されている。薬局で納入された差益の高いジェネリックの使用で副作用があった場合に、誰が責任を取るのかが問題である(どうせ医師ですが……)。調剤料が不当に院外薬局で高いのが納得できない。

◆開業医
・当院院内ですが、漢方と滅多に出ない薬は処方せんです。不整脈、降圧剤も先発とジェネリクの違いは明白です。AG(オーソライズド・ジェネリック)を増やすべきだと思います。患者さんを診察しないで投薬を決める、それくらいなら全部OTCにした方がすっきりする。全部自己責任。調子の悪い人だけ、医療機関を受診。
・後発品全てが先発品と同等の適応症を取得しているわけではない現状で、「適応外処方」となった場合の責任は誰が取る?

◆薬剤師
・門前薬局で務めているものです。後発品に関しては、後発品の特徴を捉えて処方しているドクターは、経験上、皮膚科、眼科ぐらいだと思います。あとは実際問題、メーカーとの付き合い等が原因で「変更不可」を打っていると思います。大病院でもいまだ一般名が普及していないところもあり、変更不可を打たれると、時間帯によっては手配できず、その日のうちに患者さんに薬を渡せません。そういう病院の処方を受けると、変更不可にどう見ても意味が見いだせない時には、本当に患者さんの事考えているのか?と思ってしまいます。実際、どうしても在庫が直ぐに手配できず、「変更不可」が打ってある処方せんでも、ダメもとで疑義照会をかけると、あっさりOKが出ることもままあります。
・先発品に変更不可のチェックを入れる医師が多く、その理由も記載されない。特に乳児医療費用不要の処方薬が非常に多い。先発品希望ならば、後発品との差額を支払わせるべきと考える。
・後発品加算の足切りがどんどん上がり、薬剤師として後発品変更にいくら努力しても、処方箋欄の『変更不可』で何もできなくなってしまうという薬剤師の調剤権の弱さ……。日本は薬剤師の社会的な立ち位置も含め、弱すぎるのではないかなあと感じます。
・先発医薬品で「後発医薬品への変更不可」はまだいいが、後発医薬品の銘柄指定で変更不可はやめてほしい。よほど重要な理由があるならいいが、疑義照会するとあっさり変更できたりすると、病院と製薬メーカーの癒着ではないかと感じる。
・薬に関しては、医師が先発、後発、銘柄を決めるのではなく、全て薬剤師が患者と応対し、決めていく姿が本来の医薬分業である。
・後発品などの概念をやめて、先発品の特許が切れれば全て薬価の半額などと決めれば、後発品への変更における処方権や調剤権など議論しなくてもよいのでは?義務化して加算を止めれば、さらに医療費の節約になると思う。
・現時点では、後発品により消化管吸収性が異なることは明らかであり、患者治療を優先するのであれば、患者に合った医薬品を処方すべきである。ただ、漫然と処方している医師が多いことも事実ではあるが、患者のカルテを見ずに判断するほど、薬剤師の力量はない。

【一般名処方】

◆勤務医
・医師が薬剤を名指しできない制度は、医師は患者の治療に対し責任を負う義務があるにもかかわらず、患者の治療に最後まで責任を持つ権能を持たないことを意味し、権利・義務の対称性が保たれておらず、破綻していることは明らかです。自分にとって変えたい部分だけ主張し、その変更に伴う周りへのしわ寄せに一切の注意を払わず、図々しくもこのような破綻している制度を提起するという行動は全く了解不能です。
・一般名処方の場合に、先発品とジェネリック品で副作用の頻度に差があるとされております。その場合には薬剤の副作用の責任の所在がどこになるのか、よく分かりません。医薬品副作用救済機構においてどのように規定されているのかもよく分からないので、製品名で処方するのが責任の所在確認としては一番いいような気がします。

◆開業医
・患者の病状を鑑みて処方薬を指定して処方することは、医師の義務であり、また権利でもあります。調剤の段階で、薬剤師が勝手に他のジェネリックに変更することは、医師の処方権の侵害とも考えられます。日常診療で、ジェネリックで先発品とは異なる現象が起きることは度々経験しています。薬剤を一般名で処方して、どの薬剤が調剤薬局で処方されているかを医師が了解していないことは、恐ろしい現象とも感じています。

◆薬剤師
・一般名の薬剤に相当する、規格違いや合剤への変更も、疑義照会なしに変更できれば、患者さんとどのように薬を使うか?という話ができるようになると思います。そうすれば、もう少し患者さんが薬剤師との対話に意味が持てるようになるのではと思います。処方通りに薬を用意し、説明してくれるだけと思っている患者さんは多いと思います。でも、値段や飲む錠数の節約などができれば、医療費抑制や、コンプライアンス向上に役立つかと。大きい規格があるにも関わらず、小さい規格を何錠も処方するドクターもいますし。
・後発品への変更を行う場合、同一成分でも医薬品ごとに適応病名が異なるため、医師への確認が必要となる事例が生じる。処方せんに病名を書き、医薬品は一般名で処方し、適応病名が統一されればよいと考える。処方せんでは、医師の意図が全て読めるわけではい。しかし、ポリファーマシー、残薬を考えれば調剤権はもう少し力を持ってよいと考える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/471486?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161030&dcf_doctor=true&mc.l=186729794
シリーズ: m3.com意識調査
「残薬管理、疑義照会が前提」「リフィル処方、責任は?」
「医師の処方権 vs薬剤師の調剤権」◆自由意見2

レポート 2016年10月30日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

Q:その他、「医師の処方権」や「薬剤師の調剤権」、医薬分業についてご意見があれば、ご自由にお書きください。

【疑義照会】

◆勤務医
・残薬確認に関して、「医師に疑義照会せず、薬剤師の判断で対応」とするのは、わざわざフェールセーフのためのダブルチェックを行わないという意見であり、医薬分業の趣旨を没却するもの。医療の質向上という最終目的を唾棄する態度に、強く人格を疑う。リフィル処方せんについても、同様。
・調剤はあくまでも処方せんに基づいて行われるべきもので、処方せんを超えた判断は許されるべきで無い。多剤服用が問題視されているが、薬剤師からのフィードバックが心もとない現状を整理すべき。調剤権云々ではなく、調剤料に見合った医師への情報提供・疑義照会をしっかりしてもらいたい。
・診断、処方を決めるのは医師の義務であり、権限です。調剤薬局が、患者の健康を無視して、勝手に薬剤を変えるのは、許せません。

◆開業医
・知らないところで勝手に残薬処理をされ、医療機関の特定疾患処方管理加算(65点)が減算される事例が出ている。医療機関に非はないのに、理不尽な査定が堂々とまかり通っている。中医協や日医はもっと声を上げるべき。
・患者の責任において服用中断してよい薬剤と、キチンと服用していることを前提に次の治療戦略につなげていく薬剤がある。また、薬局から突然疑義照会されても対応できない(他患者治療中、勤務時間外、カルテが手元にないetc.)。疑義照会の医科対価はどう請求する?
・処方ミスを防ぐ意味で、薬剤師からの疑義照会は積極的に受諾するべきだと思っており、実際役立つ場面も多々あり、助かっている。経済性追求も大事だが、安全性が第一。

◆薬剤師
・例えば、処方せんでアムロジン2.5mg2錠を朝食後に服用支持がある場合、ジェネリックならアムロジン錠5mg1錠に変更可能なのに、先発品では5mg錠にできない。この場合は現在の規則では、医師の疑義照会が必要な理由が分からない。価格的にも2.5mgを2錠出すより、5㎎1錠出す方が患者さんのメリット(価格、服用数の減少)も大きい。
・先日、容態の安定している患者様に処方日数を伸ばしてほしいと言われたので、医師へ疑義照会したところ、自分の処方に口を挟むなと言われました。容態も、安定していて血圧の薬1剤のみの患者様だったので、こんな患者様の場合、薬剤師の判断で、日数調整など行えたら、医療費も安くなるのではと、思いました。どちらにしても、日頃から疑義照会をして、いろいろな場面で薬剤師が医師をヘルプしていることは、事実だと認めてほしいですね。
・残薬は診療上の問題です。しかし、患者さんは服用していないことを伝えられえないのです。薬局からの問い合わせへの回答を待たずに、調整後の報告だけで済ませたい。医師との力関係があり、根本的には強制分業による解決しかないです。
・残薬があり疑義照会するが、医師の方でそのままでと指示がある。余っているから疑義照会している。削除、日数の変更は薬剤師の調剤権として認めてほしい。当然、病院、医師に対し、事後報告を必要とする。それによって患者を待たせなくて済み、患者も安心する。医師に話にくいと言う患者は多い。そのまま調剤を指示する医師は医療費削減を意識しているのか……。

【リフィル処方】

◆勤務医
・リフィル処方せんは、本当に患者の病状が安定しているのかの判断の責任の所在を誰がするのかはっきりさせてほしい。「患者の病状の安定している」ことの判断の責任を薬剤師、もしくは患者が自己責任で負うことであれば認めてもいいが。
・「リフィル処方せん」はいざ問題が生じた際にどこに責任が行くかが不明です。患者が望んでいたとしても、問題が起こったときは、患者は非を認めませんし、強いもの叩きの風潮のある近年の日本では病院か医師に責任を向けられてしまうので、病院や医師の自己防衛の面からは認めるべきではない、となってしまいます。

◆開業医
・病状が安定しているか否かは医師が責任を持って判断すべきであり、リフィルでもし問題が起これば薬剤師が責任を負えるのか疑問であろう。
・リフィル処方せんの「病状が安定した」は誰が判断するのですか。薬剤師が「診断」して、一見元気そうなら「安定した」ですか?もし病状が悪化したのを見逃していたなら、その責任をどうやって取るのですか?!
・漫然投薬の温床。他人への譲渡の危険。治療診断戦略を乱す。リフィル可能な薬剤と不可の薬剤を指定する?仮にそうしてもリフィル可能な薬剤だけで構成される処方せんは少ないのでは?結局、受診しないといけない。投与量・服用量等の医師処方せんの過誤チェック、併用禁忌薬のチェック、アレルギー歴の管理、複数医療機関からの重複投与チェック、服薬コンプライアンス等の患者指導etc。これだけでも「かかりつけ薬剤師」の仕事は大変なのでは?返戻、譲渡・転売、漫然投薬、重大疾患の治療機会の喪失などの責任全てを薬剤師が被っていただける?

◆薬剤師
・リフィルに関しては、現場で結構無診察処方に出くわすことを思うと、なぜ反対するのかが、もはや意味不明です。大学病院でも横行していますから。でも、仮にOKになったとして、運用方法もかなり厳しいかと思います。お金稼ぎたいドクターは、無診察処方を続けると思うので。
・慢性疾患において、「今日は薬だけなの」というケースが多々見られることから、結局ほかの体調不良等の訴えがなければ、漫然とDO処方を繰り返されているケースが多く、医師側もリフィルを強く否定できるだけの言い分はないと思う。
・薬剤の選択権はある程度薬剤師にゆだねるべきだと思う。リフィル処方せんは症状が安定していると判断するのは誰なのか?金儲けに一生懸命な門前の薬剤師のレベルにあまりにも差がありすぎて、任せられない感がある。リフィル処方せん導入後の患者の症状の変化に対して薬剤師が責任を持てるなら導入しても良いと思う。
・薬剤師の能力はまだリフィル処方せんに耐え得るところまで行っていない。かなり限定した薬剤師の資格にする必要があると思う。



http://president.jp/articles/-/20483
連載 命を紡ぐ 現場の声
9割が延命治療を拒否!平穏死をかなえる「リビング・ウィル」

長尾 和宏
一般財団法人日本尊厳死協会・副理事長 長尾和宏 取材・構成=田中響子
ライフ 2016.10.30  PRESIDENT Online

いまや、自分の死に方すら、自らが望むようにはいかない時代になっています。日本尊厳死協会の副理事長を務める医師の長尾和宏先生に、「自分の望む最期を実現する」方法をお伺いしました。

延命治療が行われる背景とは
「91.1%」――、この数字はNHKの朝の情報番組内で紹介された、日本人が「延命治療を行わないでほしい」と希望する割合です。これだけの数の人が延命治療を避けたいと願っているのに、その願いがかなって自分の希望通りの方法で死を迎えることができるのは、わずか数%しかいません。とても残念ですが、これが今の日本の現実です。

希望と現実がこのように大きく乖離する理由はいくつかありますが、そのひとつに親子間での死生観の違いがあります。

戦争経験がある80~90代はいくつかの死を見てある程度の覚悟ができている人が多く、延命治療を望む人は少数です。一方、戦後生まれの平和で豊かな時代に生きてきた子の世代は、死を見る機会が少なく、老いのために親が衰弱していく現実を受容できないケースをよく経験します。

老衰が進行し死が徐々に近づくに従い、食べる量も減っていきますが、これは動物の宿命です。しかし実際に親がそうなると混乱する子ども世代が多く、どれだけ親が延命治療を望んでいなくても胃に穴をあけて人工的に栄養を流し込む胃ろうを選択される人が少なくありません。しかしながら、もし栄養を入れすぎると、徐々に最期に向かって省エネモードになっている体に無理な負荷をかけることがあります。

医療者は、相反する親子の思いの間に挟まれ何度も話し合いますが、最終的には延命治療を施さざるを得ない場合があります。そうしなければ訴訟問題に繋がることもあるからです。老衰への延命治療には疑問を感じている現場の医師が少なからずいますし、医療者側も決して金目当てで延命治療をするわけではないのですが……。

また「延命治療=緩和医療をしない」でもありません。人は誰でも痛みを和らげる緩和医療を受ける権利を有していて、医療者はそれに応える義務があります。

尊厳死、安楽死、平穏死の違い
尊厳死と安楽死という2つの言葉がありますが、この2つの言葉はしばしば誤解・混同されます。尊厳死とは「不治かつ末期の状態になったときに延命処置は行わないが、痛みをとめる緩和医療はしっかり受けて、人間としての尊厳を保ちながら安らかな死を迎えること」で、安楽死は「まだ終末期ではなくても、本人の希望を受けて薬剤で死なせること」です。自然な死を見守るのか、意図的に死期を早めるのかの違いですが、誤った報道をしばしば目にします。欧米ではよく安楽死のニュースが出ますが、日本では安楽死は認められていません。

最近は、平穏死という言葉がよく出てきます。これは『「平穏死」のすすめ』を書かれた石飛幸三先生(「延命治療をしないで穏やかに人生を終える『平穏死のすすめ』」http://president.jp/articles/-/18599)が提唱する造語で、自然死、尊厳死とほぼ同義語です。平穏死の方が尊厳死よりより親しみやすい言葉だと思うので、私も「平穏死」を使っています。

リビングウィル(LW)の表明の仕方
自分が望まない延命治療を受けないためには、元気なうちに「リビング・ウィル(LW、尊厳死の宣言)」を書いておくことが大切です。LWとは「いのちの遺言書」とも呼ばれ、延命処置お断りという意思表示をする文書です。ちなみに、LWとエンディンングノートと遺書は別のものです。エンディングノートは遺産処理やお墓など死の周辺の希望を記しておくもので、遺書は亡くなった後のことですで、死んで初めて効力が発生します。LWは、死ぬまでのこと、つまり死ぬまでに自分が受ける医療について記した文書です。たとえ生きていても、もはや意思表示ができなくなる場合もあるので、そうしたケースを想定して書かれるものと考えてください。

一般財団法人・日本尊厳死協会は、LWの啓発・普及と保管を行う市民団体です。1976年に発足し、今年で40年目になりました。全国に約12万人の会員がいます。私は現在、協会の副理事長および関西支部長を拝命しています。

協会では2000円でLWを表明する会員になります。会員は万が一に備えてお財布やバッグなどに常にLWカードを持ち歩いています。LWに興味のある方は、協会に問い合わせください。

LWは元気で意思表示できるときに表明してください。もし認知症が進行して判断が難しくなったりすると表明できなくなりますので、できるだけ早めに作成することをお勧めしています。具体的には協会が用意した尊厳死の宣言書に署名・捺印するだけで簡単です。協会ではLWの原本を保管しており、LW表明についての問い合わせにも対応します。ご家族や身近な人にLWのコピーを配っておくこともお勧めします。もし気が変われば、LWはいつでも撤回できます。

アメリカでは国民の41%がLWを書いています。一方、日本は約12万人ですから、人口のわずか0.1%程度にすぎません。残念ながら日本ではいまだ死はタブーで、LWを書いて最期の医療を自己決定するという文化が成熟していません。しかし高齢化は今後ますます進みますし、医療も発達しているので、LWの意義が高まっていくでしょう。現場の医療者もLWがあるととても助かります。

長尾和宏(ながお・かずひろ)
医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長
東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科に入局。95年兵庫県尼崎市で開業。複数医師による365日無休の外来診療と24時間体制での在宅医療に従事。メデイアでの発信が多い。「平穏死・10の条件」(ブックマン社)、『病院でも家でも満足して大往生する101のコツ』(朝日新聞出版)、『病気の9割は歩くだけで治る』(山と渓谷社)など著書多数。
日本尊厳死協会 電話 03-3818-6563 http://www.songe--nshi-kyokai.com



https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20161030_8
北上の横川目診療所、廃止へ 31日、最後の診療
(2016/10/30) 岩手日報

 北上市和賀地区の横川目診療所が31日の診療を最後に廃止になる。同地区に二つしかない診療所の一つが廃止され、地域の利用者は約10キロ離れた江釣子地区への通院を余儀なくされる。高齢化が進む地域の住民は「通院を我慢する人が増える」などと懸念し、市に医療体制の維持を求める。

 市や同市の医療法人社団「敬和会」(金沢重俊理事長)によると、同診療所は1988年、国保診療所として開所した。2006年3月、医師の体調不良などで廃止。敬和会が翌月、市の依頼で施設を借り受け開設した。

 移行後、週3日午前診療を続けた後、10年から週2日になり、今年9月下旬から医師の高齢化などで週1回になっていた。当初1カ月約300人いた通院患者は現在約100人だった。

 敬和会は、存続策を検討したが、体制の維持が困難と判断し市に9月末報告。「急な休診は患者に迷惑をかけるためけじめをつけた。クリニックや他病院の紹介、訪問診療などで対応したい」と説明する。



http://www.asahi.com/articles/ASJBY7FQ2JBYUBQU00C.html
残薬減らし医療費削減を 舞鶴薬剤師会
福家司
2016年10月30日06時00分 朝日新聞

 京都府の舞鶴薬剤師会(木戸勝之会長)は、飲まれずに自宅などに眠っている薬を有効利用しようと、「ブラウンバッグ事業」を始めた。医療費の節約と患者負担の軽減につなげるのがねらい。府内初の試みで、12月まで実施する。

4月から始まる「かかりつけ薬剤師」 上手に使うコツ
 慢性疾患の薬を中心に、薬が正しく飲まれずに大量に残されているケースがある。舞鶴薬剤師会は、こうした薬を市内の37カ所の薬局に持ってきてほしいと、市民に呼びかけている。

 受け取った薬局は、処方した医療機関に連絡。薬が有効期間内であれば、次回は残っていた分の薬を処方しないよう医療機関に求めることで、処方量を減らすことを目指す。

 薬を持参する時に使ってもらおうと、薬剤師会は不織布の「ブラウンバッグ」を2千枚作った。舞鶴薬剤師会の桐村昌典副会長は、①継続して同じ薬を飲んでいる ②複数の医療機関から多くの薬を処方されてい る③介護を受けている、といった患者は特に残薬が多いと予想。こうした患者に「事業の効果が期待される」と話した。

 事業は、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン推進事業」として、府薬剤師会から舞鶴薬剤師会へ委託し、地元医師会や公的3病院などの協力で実施する。

 問い合わせはヘイワ薬局(0773・77・1078)。



http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/016/040/019000c
ドクター元ちゃん・がんになる
院外でゆったり本音を=金沢赤十字病院副院長・西村元一

毎日新聞2016年10月30日 東京朝刊

 10月10日、英国で生まれたがん患者のための相談施設「マギーズ・キャンサー・ケアリング・センター(マギーズセンター)」の一つとして、東京・豊洲(東京都江東区)に「マギーズ東京」がオープンしました。日本初のマギーズセンターです。

 マギーズセンターは病院の建物の外にあるため気軽に訪れることができ、患者や家族に居心地の良い空間を提供するのみならず、患者に寄り添いながらさまざまな状況で必要な意思決定を支援するなど、既存の医療機関にある「がん相談支援センター」や、患者同士が集まる「がんサロン」などとは異なる新たな患者支援の形になると期待されています。

 私がその存在を知ったのは2010年です。初めは「同じような施設が金沢にあったらいいな」と、あこがれる程度でした。しかし、この連載でも取り上げているように、医療者とがん患者、その家族との間のコミュニケーションの難しさを強く感じることが増え、病院の外、つまり生活の中に医療者と患者、家族との交流の場があり、医療者も白衣を脱いで参加して「本音」で対話ができれば、医療者と患者、家族、住民のズレを小さくできるのではないかと考え始めました。

 私は10年、金沢の仲間たちとともに「がんとむきあう会」を設立し、がんと向き合いながらも病人ではなく、その人らしくいることができる場作りを目指す活動に取り組んでいます。その仲間たちと「金沢一日マギーの日」と名付けたイベントを企画し、医療者と患者、家族が交流できる機会を毎年作ってきました。

 15年3月、自分自身ががん患者となりました。そして、他の患者の皆さんと話してみると、そのような「場」の必要性をさらに痛感することになりました。私の病状が落ち着いた15年12月からは毎月2~3回、仲間が所有する金沢市内の町家の一部を借り、「金沢マギー」を定期的に開催しています。

 金沢マギーには、毎回10人あまりの患者、家族が集まり、さまざまな悩みなどを話します。そこでよく出る訴えに「がん患者がゆっくりと安心して話したり、話を聞いてもらえたりする場所がない」があります。最近は病院で開く「がんサロン」が各地に広がっていますが、やはり「病院の中」という環境のため「圧迫感」があり、自由な話はしにくいようです。

 街中にもいろいろなサロンのようなものがあります。しかし、多くはがん以外の病気や生活の悩みにも対応しているため、「がんの悩みについて、どれくらい分かってもらえるか不安で、あまり自分のことは話せない」という人がいます。患者会も増えていますが、「医療者が同席していない中で話していると、患者同士の一方的な意見が多くなって心配になる」という声を聞きます。

 そこで、私たちはより積極的な取り組みを計画することにしました。=次回は11月27日掲載

 ■人物略歴
にしむら・げんいち
 1958年金沢市生まれ。83年金沢大医学部卒。金沢大病院などを経て、2008年金沢赤十字病院第一外科部長、09年から現職を兼務。13年から、がん患者や医療者が集うグループ「がんとむきあう会」代表。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03197_05
短期集中連載[全3回]
オバマケアは米国の医療に何をもたらしたのか?
■第2回 オバマケアの「デザイン」

津川 友介(米国ハーバード公衆衛生大学院(医療政策管理学)リサーチアソシエイト)
週刊医学界新聞  第3197号 2016年10月31日

(前回からつづく)

 政策が目的とする成果を達成するためには,科学的根拠に基づいた政策(Evidence-based policy)を「デザイン」することが必要不可欠である。臨床医学が病態生理とエビデンスを組み合わせるEBM(科学的根拠に基づく医療)を通じて患者の健康を最大化するように,医療政策学では理論(主に医療経済学の理論)とエビデンスを融合させること(図)で医療の質の向上や,医療費抑制をめざす。昔はデータが少なく医療政策学のエビデンスも乏しかったため,実務者の経験を基に政策をデザインするのが現実的であったのかもしれない。しかし,現在では理論もエビデンスも十分に存在するため,欧米では科学的根拠に基づいた政策のデザインがスタンダードとなっている。

図 EBMと科学的根拠に基づく政策(筆者作成)
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オバマケアの「デザイン」における研究者の役割

 オバマケアによって米国は皆保険制度を達成した。もちろん制度設計上は,全ての国民を公的医療保険へ強制加入させることが最も簡単な方法であった。しかしそれでは既存の民間医療保険会社を廃業に追い込んでしまうことになるため,オバマ大統領は民間医療保険の市場に規制をかけつつ皆保険をめざす共存の道を選んだ。そのためには医療経済学の理論やエビデンスを基にした綿密にデザインされた制度が必要であった。そこでオバマ大統領は第一線で研究を続けている医療経済学者や医療政策学者にその「設計図」を描くよう依頼した。

 保健福祉省長官(日本の厚労大臣に相当する)のシンクタンクとも呼ばれるASPE(office of the Assistant Secretary for Planning and Evaluation;註)には,ハーバード大のリチャード・フランク(医療経済学者)やアーノルド・エプスタイン(医療政策学者)が政治任用の高官として勤務し,この他にも多くの医療経済学者・医療政策学者がオバマケアの設計にかかわった。ASPEでは常勤の研究者が毎日のようにデータ解析と政策評価を行っている。つまりオバマケアは,米国の最高の学者たちによる理論とエビデンスの結晶を,オバマ大統領をはじめとした政治家や官僚が実現した法律だととらえることができる。

医療経済学の知見がどのようにデザインに生かされたのか?

 オバマケア最大の挑戦は,国が保険加入を強制することなく皆保険制度を達成することであった。医療経済学の知見から,障壁となるのは「逆選択」と「リスク選択」という2つの「選択」であることが知られていた。よってオバマケアはさまざまな手段によりこの2つの選択を抑制しようとした。

1)逆選択
 医療保険に加入することによって得をするのは,病気になるリスクが高く,高額な医療サービスを使う人である。逆に健康でほとんど病院に行かない人にとっては,医療保険の還付額よりも保険料の方が高くついてしまう。一般的に不健康な人ほど,保険料が高いものの還付も手厚い医療保険に加入する傾向があり,この現象を「逆選択(Adverse selection)」と呼ぶ。

 医療保険は健康な人と病気の人を共にカバーして,病気の人の治療コストを皆で広く浅く負担することで初めて成り立つ。医療保険に入るかどうかを個人の自由にすると,健康な人は医療保険に加入しなくなり,加入者は病気を持っている人ばかりになる。そして医療費を使う人の割合が増えれば,保険制度を維持するためには保険料を上げざるを得なくなる。

 保険料が上昇すると,医療保険の加入者の中で比較的健康な人たちが,使っている医療サービスの量と比べて保険料が高すぎるということで翌年から保険に加入しなくなってしまう。医療保険の加入者に占める重症な病気を持った人の割合は年を経るごとに増え,保険料は徐々に高くなっていく。最終的には保険料が高くなりすぎて保険会社が提供できるプランがなくなり,医療保険の市場自体が消滅する。

 このように,逆選択によって市場自体が成り立たなくなってしまうことをハーバード大の医療経済学者デイビッド・カトラーは「逆選択の死の循環(Adverse selection death spiral)」と名付けた。この現象は1990年代半ばにハーバード大の職員向けの医療保険で実際に認められた1)。

 オバマケアはさまざまな手段を用いて逆選択が起こらないようにした。個人に対しては個人加入義務(Individual mandate)を課し,医療保険を買うだけの収入があるにもかかわらず加入しなかった場合には税金が高くなるようにした。米国では連邦政府の権力の範囲は憲法によって規定されているため,民間企業から医療保険を購入することを国が国民に強制することはできない。しかし国には課税徴税権があるため,医療保険を購入しない人へのペナルティーを罰金ではなく税金であると解釈することで,個人加入義務は合憲であると最高裁は判断した2)。

 個人だけではなく雇用者にも皆保険制度を達成するために責任を課した。50人以上の従業員がいる企業にはその従業員に医療保険を提供する義務〔雇用者に従業員への保険提供の義務(Employer mandate)〕が生じることとなり,医療保険を提供しないと雇用者に罰金が発生するようになった。

2)リスク選択
 医療保険会社は,保険料と使われた医療サービスに対する還付額の差額で利益を得る。よって,保険会社はできるだけ健康上のリスクが低く,利益になる顧客にしか保険プランを売らないようにしようとする。このように利益になる健康な顧客だけをいいとこ取りすることを「リスク選択(Risk selection)」と呼ぶ。

 そのため,オバマケア導入前は医療保険には厳しい加入審査(Medical underwriting)があった。この審査結果によって基礎疾患のある人や健康状態が悪い人には高額な保険料が設定され,場合によっては加入拒否されることもあった。オバマケアによって加入審査は禁止され,全ての人が健康状態にかかわらず保険に加入できるようになった〔保険発行保証(Guaranteed issue)〕。

 たとえ保険に加入できるようになっても,保険会社が自由に保険料を設定できれば,不健康な人の保険料を高額にして事実上加入させないようにできる。これを防ぐ目的で,オバマケアは地域料率方式(Modified community rating)という保険料の算定方法を導入した。これにより,保険会社は保険料を決めるにあたりその地域のリスクを考慮することはできるものの,個々人の健康リスクに応じて保険料を変えることが禁止された。

 さらには,高齢者の加入を妨げることがないように,高齢者の保険料を若年者の保険料の3倍以内に抑えることが義務付けられた。オバマケアが唯一許したのが喫煙による差別化である。喫煙者には保険料を50%までであれば高くしてもよいとされた。

 こんなに規制を加えたら保険会社が倒産してしまうのではないかと思う読者もいるかもしれない。それを防ぐ仕組みもある。それらは頭文字をとって3 Rと呼ばれる。

・リスク補正(Risk adjustment)
健康な加入者の多い医療保険プラン(低リスクプラン)から,不健康な加入者の多いプラン(高リスクプラン)へ保険料の再分配を行う。年齢,性別,基礎疾患などが計算式に含まれる。この仕組みは恒久的になる予定。

・再保険制度(Reinsurance)
高額な医療費がかかる加入者がいると拠出基金(Contribution funds)から保険会社に対して補助金が出る。オバマケア導入によって急激に保険料が上昇することを防ぐ目的で,2014~2016年の期間限定で導入。

・リスク回廊プログラム(Risk corridor)
医療保険プランの利益や損失が一定の範囲に収まるように国が調整する。2014~2016年の期間限定で導入。

 この3 Rは保険会社間で勝ち組と負け組を作らないような制度設計となっている。加入者はどの保険プランにも自由に入れるようになった代わりに,保険プラン間で保険料の再分配が行われるため,保険会社は健康な人をえり好みする必要性が少なくなる。オバマケアは,民間医療保険をうまく生かしながら,規制を介して日本のような社会保険制度に近いシステムの達成をめざす制度であるととらえることもできる。

 オバマケアが医療経済学の知見を取り入れ,いかに2つの「選択」に対処したかを説明した。オバマケアは既存の市場を破壊することなく皆保険制度を達成しようとしているため,極めて複雑な制度になっている。先進国ではすでに何らかのインフラが存在している場合が多く,ゼロから作り上げることができることはまれである。例えば,英国のように医療費を税金で全てカバーし,全ての病院を国営にするような大改革を日本で行うのは現実的ではない。そういった点で,米国のように既存の市場や制度を生かし,医療経済学の理論やエビデンスを取り入れて巧みにコントロールする「次世代型の医療改革」は,日本にとっても示唆に富むものなのではないだろうか。

(つづく)

註:ASPEは保健福祉省長官の政策立案のアドバイザーであり,医療政策の調整,法整備,戦略的計画の立案,政策研究,政策評価,経済分析を担当する(公式ウェブサイトより)。

◆参考文献
1)Cutler DM, et al. Paying for health insurance:The trade-off between competition and adverse selection. The Quarterly Journal of Economics. 1998;113(2):433-66.
2)N Engl J Med. 2012[PMID:22809363]



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/371689
大町町立病院、民営化を検討
経営移譲打診受ける

2016年10月30日 09時46分 佐賀新聞

 杵島郡大町町の水川一哉町長は28日、町立病院の民営化を検討していることを明らかにした。町民への説明会で新武雄病院(武雄市)から経営移譲の打診があっていることなどを伝えた。参加者からは町立での存続を求める声が上がった。

 「町立病院が来年3月で閉鎖される」などの話が広がり、町が同日夜、町公民館で説明の場を設けた。約250人が集まった。

 水川町長は建物が築後40年で耐用年数を超え、耐震基準を満たしていないことを説明、「建て替えが課題だが町財政を考えると困難」とした。患者数は1日平均外来数が2007年度の180人から15年度は92人に減り、病床利用率も現在は64・6%で、ピーク時から20ポイント以上落ち込んでいるため「本年度は8千万円の赤字」と見通しを示し、「病床削減など国の方針も考えると数年で廃院も視野に入る」とした。

 民営化について「廃院を避けるため診療所を残して有償譲渡することで複数の医療機関と協議している」とした。新武雄病院には内科、眼科、整形外科のある診療所開設を求めていることや、別の病院と指定管理運営の話もしたが、建て替えが必要で厳しいことなども説明した。

 出席者からは「入院施設がなくなるのは問題」「民間は利益が出ないと撤退する」「性急な話。時間をかけて検討すべき」などの意見が出た。水川町長は「まだ話を聞いている段階。条件などさらに詳しいことが分かってくればあらためて説明したい」と話した。

G3註:大町町立病院 一般病床60床 15対1
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  1. 2016/10/31(月) 06:21:19|
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10月29日 

https://www.m3.com/news/general/472088
レーザー手術やけど、腸内ガスに着火か 東京医大調査委
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社

 東京医科大学病院(東京都新宿区)で4月、手術中の女性患者が大やけどを負った火災で、同病院は28日、患者の腸内ガスがレーザー手術器の照射により着火し、手術用の布(ドレープ)に燃え移ったことが原因だった可能性が高いとする外部調査委員会の報告書を公表した。

 火災は今年4月15日、同病院の手術室で、産科・婦人科の医師がレーザー手術器を使って女性患者の手術を行っていた際に発生した。ドレープに火が付き、患者は腕や足などに大やけどを負った。

 報告書によると、レーザー手術器は正常に作動し、異常加熱や漏電など誤作動は確認されなかった。また手術前の準備などにも問題はみつからなかった。

 こうしたことを踏まえ、報告書は、腸内ガスが何らかの原因でレーザー照射により着火し、ドレープが燃えた可能性が高いとしている。報告書は、過去に同様の事故がないことなどを理由にこうした原因について「可能性の域を脱することができない」とも述べた。

 そのうえで報告書は、安全対策を講じるとともに、他の医療機関などに周知することを病院に求めた。病院の担当者は毎日新聞の取材に「今後も患者の治療などについて誠意を持って対応していく」としている。

 警視庁新宿署は医師から事情を聴くなど火災の原因を調べている。【神保圭作】



https://www.m3.com/news/general/472108
横浜入院患者連続殺人、大口病院に13項目指導 来月18日まで、市に改善報告書
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社/神奈川

 横浜市神奈川区の大口病院で入院患者2人が中毒死した事件に関連し、横浜市は28日、事件後の臨時立ち入り検査で院内の問題点が明らかになったとして、13項目について行政指導して改善を促した。病院は11月18日までに改善報告書を提出する。

 市が改善を促したのは、入館時だけでなく、退館時も記録をとり、面会証を導入する▽ナースステーションが無人とならないように看護師の増員を検討する――など13項目。職場でのトラブルなどによる職員の心理的な負担を測る検査の導入も促した。病院を巡って、事件前に院内のトラブルを知らせるメールが市に寄せられていた。

 医療法に基づいて改善を求めた項目は、院内感染を疑ったときは感染対策委員会を開き、議事録を残す▽カルテを紛失したときは患者の家族に説明する――など三つだった。

 一方、7月から9月20日に4階の病棟で48人が亡くなった点の検証は「医療法に基づいて確認ができない」として断念した。

 市は年に1度、市内の病院に定期的な立ち入り検査をするが、事件を受けて大口病院に今月11日に臨時立ち入り検査を実施した。院長、看護部長ら幹部に事件後の安全管理体制についてヒアリング。点滴や消毒液を施錠して保管▽防犯カメラの設置▽警備員の増強――などの取り組みの説明を受けた。

 大口病院は今月21日に初診を除いた外来の診療を再開。入院の受け入れは行っていないという。【水戸健一】



https://www.m3.com/news/general/472107
筋弛緩剤紛失、茨城・古河の病院で50ミリグラム、3人分の致死量
2016年10月29日 (土) 毎日新聞社

 茨城県古河市の友愛記念病院は28日夜、医薬品医療機器法(旧薬事法)で毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤「エスラックス」50ミリグラムが院内から紛失したと発表した。大人3人分の致死量に当たるといい、盗難の恐れもあることから警察や保健所に紛失を届けるとしている。

 同病院によると、紛失したエスラックスは薬品用保冷庫に入れていた。最後に確認された28日午前9時20分ごろから、紛失に気づいた午後0時20分ごろまでの約3時間の間に持ち出された可能性があるという。同病院は茨城県民生活協同組合が運営。県の地域がん診療連携拠点病院の指定を受けている。【鈴木加代子】



http://www.sankei.com/life/news/161030/lif1610300015-n1.html
オプジーボ、250以上値下げを検討 日本は薬価見直しせず高止まり 厚労省
2016.10.30 05:00 産経ニュース

 高額ながん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省が海外の価格を参考にするルールを応用し、現状より250以上の薬価引き下げを検討していることが29日、分かった。

 厚労省は5日、予想を大きく上回って売れた薬の価格を見直す現行ルールを特例的に用い、最大で25%引き下げることを厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)に提案。しかし、塩崎恭久厚労相は6日の参院予算委員会で、日本では100ミリグラム約73万円のオプジーボが欧米では半値以下と答弁。14日に開かれた経済財政諮問会議では民間議員らが50%以上の引き下げを求めた。

 こうした要望に応えるため、厚労省は引き下げ幅を最大25%から25%以上とすることで調整。11月9日に開催予定の中医協の専門部会に提案する。平成30年に予定される次回の薬価改定を待たず、来春にも特例的な大幅値下げが実施されそうだ。

 小野薬品工業(大阪)が販売するオプジーボの価格は、日本では100ミリグラム約73万円で、体重60キロの肺がんの患者が1年間使うと年3500万円かかる。全国の医師らで構成する全国保険医団体連合会(保団連)は9月6日、会見でオプジーボが米国で約30万円、英国で約15万円であるとの試算を発表。日本の価格はあまりに高額で、緊急に値下げするよう要望した。

 医療保険で使える薬の価格「薬価」は、厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が了承して決まる。しかし、中医協に提出される薬価原案を作る会議は非公開で、どのような議論があったかは不明。保団連は「途方もない薬価を算定した」と厚労省を厳しく非難した。

 オプジーボの価格はなぜ日本で突出して高いのか。厚労省によると、欧米で販売されている薬に値段をつける際は欧米での価格を参考にするが、オプジーボは日本で最初に“値付け”が行われた。その際に「途方もない薬価」がついた理由は2つある。

 1つは、オプジーボがこれまでにない働きを持つ新薬だったことだ。画期的な薬と評価され、評価が値段に反映された。

 もう1つは、オプジーボが患者が年470人と想定される「悪性黒色腫(メラノーマ)」という市場規模の小さいがんに対して最初に承認されたことだ。オプジーボには似た薬がなく、薬を使うことが想定される患者数で材料費や開発にかかった費用を割る方法で値段が付けられた。

 しかし、その後に数万人の患者がいる肺がんに適応が拡大。現行制度は適応拡大による薬価見直しを行わないため、高い価格で据え置かれているのだ。

 ただ、薬価は日本より安いといっても、海外では日本と同じように使えるわけではない。欧米でオプジーボを販売する米製薬企業ブリストル・マイヤーズスクイブによると、英国では悪性黒色腫には公的な医療保険が適用されるが、肺がんではまだ使えない。公的保険の適用に費用対効果が厳しく判断されるからだ。

 小野薬品の担当者は「日本の価格が高いのは事実だが、米国では製薬企業が薬価を決めるなど各国で制度が違い単純比較は難しい。民族の体格差もあり100ミリグラムの価格差と実際に患者に投与される平均的な価格差は異なる」と話す。

 中医協では平成30年に予定される次回の薬価改定を待たず、来春にも特例的な引き下げを行う方向で議論が進む。だが、そもそも日本発の革新的新薬の開発は安倍政権の成長戦略のひとつ。現行ルールにない特例による引き下げには、「企業の開発意欲をそぐ」(製薬企業幹部)、「日本の薬価制度への信頼を低下させる」(米製薬団体幹部)との批判も上がっている。(道丸摩耶)



http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/001/040/067000c
ストーリー
産科医たちの挑戦(その1) すべての子に家庭を

毎日新聞2016年10月30日 東京朝刊

 白い肌着に包まれた赤ちゃんをそっと両腕に抱くと、父親になる男性(40)の顔がほころんだ。「かわいい。こっち見てるよ」。母親になる妻(45)は、思わず目頭を押さえた。

 埼玉県熊谷市の産婦人科医院「さめじまボンディングクリニック」。柔らかな朝の日差しに照らされた病室で、約3週間前に生まれた赤ちゃんの「バースデーセレモニー」が開かれた。ある女性が出産後、「どうしても育てられない」と養子にすることを決め、この日、養親になる夫婦に託された。4年間の不妊治療でも子を授からなかった夫婦にとって待望の赤ちゃん。約10人の職員が立ち会い、新しい家族の誕生を祝った。

 目を真っ赤にした助産師が、この場にいない生みの母を代弁するように「この子の幸せを祈っています」と頭を下げた。望まない妊娠で初めは自暴自棄だった女性とおなかの赤ちゃんを職員は数カ月間支えてきた。「ハッピーバースデートゥーユー」の歌声が響く中、赤ちゃんは新しい母の胸に体をぴったり付け、その顔をじっと見つめていた。

 「この子は、あなたたちのところへ行きたいという気持ちがどの赤ちゃんよりも強かったから、ここにたどり着いたと思います」。鮫島浩二院長(64)が語り掛けると、新しい父は「この子のすべてを受け入れます」と応えた。家庭裁判所に申し立て、半年以上の試験養育で特別養子縁組が認められれば、戸籍上「実子」と同じになる。

 特別養子縁組は、親元で暮らせない原則6歳未満の子どもに安定した養育環境を与えるための制度だ。院内に事務局がある「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」は、全国22の医療機関が妊婦のSOSに即応して心と体をケアし、虐待予防の観点などから必要であれば、選択肢の一つとして無償で縁組をあっせんする。

 あっせんの多くは児童相談所やNPO法人などが手掛けており、病院・診療所の連合体は異色だ。

 生まれてくるすべての赤ちゃんに家庭を--。使命感に突き動かされる産婦人科医たちの挑戦を追った。<取材・文 黒田阿紗子>



http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/010/040/064000c
ストーリー
産科医たちの挑戦(その2止) 二つの命に寄り添う

毎日新聞2016年10月30日 東京朝刊

 ◆「望まぬ妊娠」母子のはざまで
「縁組」広がる連携


 猛暑で知られる埼玉県熊谷市の郊外に、洋館のような診療所がある。2006年に開院し、年間約1000件のお産を扱う「さめじまボンディングクリニック」。ボンディングは英語で「絆づくり」を意味し、患者は親しみを込めて「さめボン」と呼んでいる。

 1階の職員通用口の前に、院内の案内図には書かれていない病室が二つ。望まない妊娠をした女性などのために用意された部屋だ。ある年の瀬、ここに20代の女性が入った。

 「貯金、所持金がない臨月の妊婦です。一度も病院に行っていません」

 院内に事務局を置く「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」(あんさん協)へのメールがきっかけだった。妊婦が県内にいることを知った鮫島浩二院長(64)は「お金のことは何とかなるから。とにかく来て」と電話で伝え、職員が最寄り駅まで迎えに行った。「育てられない」と言葉少なに話す女性に、鮫島院長はゆっくりと言って聞かせた。

 「それでも何とかしないといけないと思ったから、連絡をくれたんですよね。私たちはあなたを支えますから、血のつながった唯一の母親であるあなたが、おなかの子をちゃんと愛して、産んであげてください。養子にするかは、それからのことです」

 子宮口が少し開いており、そのまま入院した。昼になっても頭から布団をかぶった女性を、助産師と看護師は近くの荒川の土手へ連れ出した。住まいは勤めていた風俗店の寮。子どもの父親は誰か分からない。父子家庭で育ち家族とは疎遠。散歩をしながら女性は少しずつ話し始めた。初日の出を病院の屋上で迎えたり、新生児室で授乳を体験したりするうちに、笑顔も見せるようになった。

 年明けに出産。女性は「育てたい」と言った。児童相談所や保健師、生活保護の担当者、暴力団の介入を案じて警察も交じり、支援策を話し合った。乳児院に預け、自立してから迎えに行く道もある。だが、女性は泣きやまない赤ちゃんを「殴ってしまいそう」とも口にした。2週間悩み続け、「養子」を選んだ。

 あんさん協には月10~20件の相談がある。中高生や性犯罪の被害者もおり、大半は中絶できる21週を過ぎている。鮫島院長の妻で事務局長のかをるさん(59)は、知られることを恐れ、来院しないケースを一番心配する。「自宅で一人で産もうとするのは本当に危険。逆子や、胎盤の位置の問題などは健康診断をしないと分かりません。病院なら助かる命を失い、最悪の場合、殺人や保護責任者遺棄致死の罪に問われることもあるんです」

 特別養子縁組制度の歴史は比較的浅く、1988年に始まった。当時、鮫島院長は東京都内の総合病院の若手勤務医。知人に「赤ちゃんを養子に迎えるのを手伝って」と頼まれ、出産した高校生の意思を確認した上で知人に引き渡し、家庭裁判所に意見書を出した。戸惑いつつも「産婦人科医はこんなこともできるのか」と少し驚いた。「中絶を望む人たちと、不妊外来に一生懸命通う人たち。このギャップと、縁組につながりを感じたんです。そういう人たちと接する産婦人科医だからこそ、やる意味が大きい」

 親元で暮らせない子の多くは、当時も今も乳児院や児童養護施設に預けられる。だが、鮫島院長は大学時代のボランティアの経験などで、施設での養育に違和感を持っていた。「人に無関心の子と、妙になれなれしい子の差が極端。いろんな面で問題が出やすいのではないか」。幼い時に主な養育者が定まらない環境で育つと、人との距離感が不安定になる「愛着障害」だ。大人になっても対人関係に苦労する傾向があるといわれる。

 「施設より家庭で」との思いから、遠方まで出かけ、かをるさんとともに特別養子縁組の相談に対応した。06年に開院してからは職員総出で母子や養親を支援した。手伝った縁組が50件を超えた頃、一診療所での対応に限界を感じた。

 産婦人科の開業医がサービスの向上を目指す「HIS研究会」に加わったのは08年。創設者の一人が、出産の取り扱いが全国一多い熊本市の福田病院の福田稠(しげる)理事長(70)だ。研究会に参加するうち、鮫島院長は「意識が高い一流の病院ばかり。手を組めば多くの人を助けられる」と直感した。虐待死の背景に望まない妊娠があることを訴え、「一緒にやりましょう」と口説いて回った。

 ただ、医師が単独で動くにはネックがあった。縁組の相談員として、国は社会福祉士か児童福祉司が最低2人関わるよう定めていた。「鮫島先生に心動かされた」という日本医師会の今村定臣(さだおみ)常任理事(68)は国への働き掛けに協力。12年4月、医師、助産師、看護師らを有資格者に加える通知改正にこぎつけた。医療機関が関与しやすくなる環境が整った。

 同年6月、さめボンで開かれた研究会。鮫島院長は壇上から福田理事長を指名した。「特別養子縁組のあっせんに、まず熊本の福田病院こそ加わるべきでしょう」

 「熊本の」という言葉に意味があった。同市には、07年に慈恵病院が設置した新生児を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(通称・赤ちゃんポスト)がある。これも親が育てられない子を助ける取り組みだが、残念ながら0歳児の虐待死の減少には至っていない。

 慈恵病院の蓮田太二理事長(80)とは、幼い頃に家庭教師をしてもらった間柄という福田理事長は「蓮田先生が善意で動かれたことをよく知っています。ゆりかごができたことで、私も新生児の虐待死に問題意識を持ちました」と話す。ただ、ゆりかごは「最終手段」。運営を見ながら「預けなくて済むように、何かできることはないか」と考え始めていた。「その気持ちを鮫島先生は突いてきた。やられた、と思いましたよ」

 その頃、ある民間あっせん事業者が養親に数百万円の手数料を求めていたことを問題視する報道が相次いでいた。鮫島院長は会のメーリングリストで、信頼される仕組み作りを呼びかけた。「他人に相談できず妊娠生活を過ごし、わらにもすがる思いでやってきた二つの命を守るのは我々の責務です。トコトン逃げないで、二つの命を守ることに挑みましょう」。各地の医師が次々と手を挙げた。

 13年9月、HIS研究会の3分の2の20施設で「あんさん協」は発足した。現在は16道府県22施設に増え、このうち福田病院、さめボン、田中病院(山口県周南市)、神野レディスクリニック(滋賀県彦根市)、森産科婦人科病院(北海道旭川市)の5施設が特別養子縁組のあっせん事業者として届け出ている。

 あんさん協が選ぶ養親は、自治体に里親登録をした45歳以下。健診と2回の面接、家庭訪問で審査する。埼玉県社会福祉士会推薦の有資格者が最終面接に同席し、元児童相談所長ら外部識者にサポートしてもらう独自の仕組みも作った。

 選ばれた養親は、分娩(ぶんべん)台で赤ちゃんと対面するところから始める2泊3日の教育入院で、もく浴や授乳の仕方を教わる。こうして新たな家庭を得た赤ちゃんは3年間で43人。長期ケアした妊婦は110人に上る。

 特別養子縁組は、国内で年間500件ほど成立している。しかし、養子にせざるを得ない状況とは何か、養親になる条件は何か、明確な基準はない。あんさん協のように外部の目を入れ、全国に拠点を持って連携する仕組みは例がなく、多くは児童相談所と民間が、それぞれに生みの母から相談を受け、養親を見つけているのが実情だ。鮫島院長は「特別養子縁組は本来、国がやるべきこと」と思っている。

 「すべての都道府県に支援の拠点病院をつくり、国と連携する体制ができれば、あんさん協はなくなっていい」
養親に託す「ごめんね」

 さめボンでは、子どもを養子に出した女性に手のひらほどのクマのぬいぐるみを贈る。目を閉じ、手を合わせる姿は、別れた母子の幸せを祈るようにも見える。子どもの代わりにクマを連れ帰った生みの母は、今どうしているのだろう。

 「いろいろです」。看護師長の長嶺悦子さん(49)は複雑な表情を浮かべた。「夢ができて進学した人や、定期的に近況を伝えてくれる人がいる一方、音信が途絶えた人、望まない妊娠を繰り返した人もいます」。最近、よく顔を出す人がいると聞き、紹介していただいた。

 埼玉県内に住む女性(26)は、あんさん協ができる前の10年春に女の子を出産し、養子にした。3年前に結婚して、今は2歳の男の子の母親になっていた。

 「うちの子、超かわいいよ。見る?」。院内の一室でスマートフォンの写真を見せながら、ふと、親指が止まった。生まれたばかりの赤ちゃんの写真が4枚。「これはね、1人目の子」。機種変更をしても必ず手元に保存している。

 中学生の時に母が病死し、父から虐待を受けた。高校を中退し、家に帰らず勤め先のキャバクラの事務所で雑魚寝した。妊娠したのは19歳の時。周りに「太った」と言われ、たまたま受診したのがさめボンだった。生理不順と思い込んでいたが、妊娠9カ月。別れた交際相手は後に既婚者と知った。「育てたいけど仕事もなくて、生活が無理。未成年だから部屋も借りられない」。切迫流産で入院し、出産の4日後、養子にすると決めた。

 退院後は、アルバイトをかけ持ちした。「働いている時は他のことを考えなくてよかった」から。居酒屋チェーンの店長を任されるまでになった。「もう一度、ここから始めたい」と2人目もさめボンで出産した。

 養子と決めた時の心境を聞くと、女性の声色が変わった。

 「心から納得していたかと言われると、そうじゃない。そんな単純じゃない。でも、やっぱり仕方がなかった。会いに行きたい、通りすがりの人としてでいいからって、今も衝動に駆られる」

 子どもが望まない限り会わないのが、あんさん協のルール。ただ、裁判資料を見れば、養親の住所は分かる。「それでも、会いに行ってないの?」と問いかけると、黙ってうなずいた。「あの子、育ての親と時々ここに来てるんだよね。スタッフと話してると、仲良くやってるって分かる。私だけじゃなくて、あの子のことを思ってくれる親がいる。それって、すごく幸せだと思うから」

 担当だった助産師とは、今もメールをやり取りする。話題はもっぱら育児。「かわいいけど、一日中2人でいるのはすごいストレス。でも、あの子のママもこんなに大変だったんだろうな、育ててくれてありがたいなって分かるようになった。あの時のことがあったからこそ、絶対にこの子は私が守らなきゃって思う」

 あの子は来年、小学生になる。別れの時、さめボンを介して養親に「いつか子どもに読ませて」と手紙を託した。

 この手紙を読んでる時はいくつになっているのかな。ママは、あなたをけっしてすてたりはしてないよ。あなたの幸せを考えての答えだったの。

 ママがあなたをうんだ時はまだ19歳なんだよ。結婚もしてないし仕事もしてない。未熟だった。大人になったあなたが私の事をどう思うかはわかりません。でも、私のおなかをえらんできて、私をママにさせてくれてありがとう。そして一緒に大人になれなくて、生活できなくてごめんなさい。

 わかれる時、私はすごく泣いた。何度も何度もあなたにごめんねとくりかえした。

 私の子どもにうまれてくれて、ありがとうございました。

 私は、この原稿を書いていて悩んだ。「望まない妊娠」という表現だ。おなかの子に配慮し「予期せぬ妊娠」と書きかえることもある。でも、それでは妊婦の抱える困難が伝わらない気がする。

 子どもを託された養親たちは昨年、自助グループ「星の子の会」を作った。会長の早川岳人さん(47)は「いつか、子どもが出自を詳しく知りたいと言ったら『鮫島先生の所に行きなさい』と言うつもりです」と話す。

 その日のために、事務局には支援した子どもの名前を記した分厚いファイルが、ずらりと並んでいる。つらい境遇の中でも出産まで一つの命を守り抜いた母親の手記や、医師、助産師、看護師たちによる克明な記録--。たとえ、きっかけが「望まない妊娠」であっても、たくさんの人たちに望まれて生まれてきたことを示す、確かな証明だと思う。

 ◆今回のストーリーの取材は
黒田阿紗子(くろだ・あさこ)(東京医療福祉部)
 2006年入社。新潟支局を経て東京本社社会部で警視庁や厚生労働省などを担当し、今年4月に新設された医療福祉部に配属された。子どもの養育や貧困の問題を取材する。2歳児の母。



http://mainichi.jp/articles/20161029/ddl/k25/010/605000c
東近江市
薬の重複処方に注意して 高齢者にリスト試験送付 全国に先駆け /滋賀

毎日新聞2016年10月29日 地方版

 複数の医療機関で類似の薬を重複して処方されている人に注意喚起しようと、東近江市は国民健康保険に加入する一部の高齢者に処方薬のリストを送る試みを始めた。対象は今年6月の1カ月間に複数の医療機関で受診し、6種類以上の薬を処方された60~74歳の1152人。27日、受診した医療機関と薬局名、外来診療で処方された全ての薬のリストを送付した。健康被害を防ぐ適正な服薬を促し、市の医療費負担も軽減する狙いだ。

 リストには薬の名前、服用量などが一覧表示され、成分が似ている薬には欄外に「○」印を付けて分かりやすいよう工夫した。同封の説明書で、リストを基に医師や薬剤師に薬の内容を照会することを推奨し、飲み合わせが悪い薬の服用も防止できるとしている。入院中と歯科から処方された薬は除外した。

 市が負担する医療費は、今年7月のC型肝炎の新薬認可や、薬価上昇などの影響で増加傾向にある。保険年金課によると、リスト送付は全国初の本格運用に向けての試み。受診者と医師、薬剤師が情報を共有し適正な処方を行えば医療費の3割削減も可能という。

 今回の効果を検証し改善点などを整理した上で、年内には75歳以上の後期高齢者を対象に試行し、来春には今回の対象者に2回目のリスト送付をしたいという。小椋正清市長は「多くの薬を服用する危険性に気付くきっかけになれば」と話している。【金子裕次郎】

対象者に送られた薬のリストの見本。成分が似ている薬には表の右に「○」印が付けられている
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http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161029_23048.html
<損害賠償訴訟>弘前大病院側が請求棄却求める
2016年10月29日土曜日 河北新報

 弘前大医学部付属病院でがん治療を受けていた女性=当時(63)=が死亡したのは、医師が腎機能障害について注意義務を怠ったためだとして、青森市の遺族らが弘前大に慰謝料など約5890万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、青森地裁であり、病院側は請求の棄却を求めた。理由は追って明らかにするとしている。

 訴えによると、女性は2009年7月から、放射線や抗がん剤治療のために同病院を受診。10年4月の検査で右の腎臓に水腎症などが見つかり、12年12月中旬の検査でがんはなくなったとされたが、同27日に自宅で容体が急変し、13年1月に死亡した。腎機能に関する検査は12年8月に実施されて以降、亡くなる直前までなかった。



http://www.excite.co.jp/News/market/20161029/Moneyzine_214628.html
医療施設、病床数は減少も施設数は増加 国民医療費も増加を続け、家計を圧迫
MONEYzine 2016年10月29日 14時00分 (2016年10月30日 05時30分 更新)

 医療費の増加が懸念される中、病床数は減少しているものの医療施設は増加。国民所得に占める医療費の比率も11.200に上昇した。

 厚生労働省は9月26日、医療施設動態調査(平成28年7月末概数)の結果を発表した。医療施設動態調査は、病院や診療所などの「医療施設」の分布や整備の実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得る目的で実施されている。

 平成28年7月末の医療施設の総数は17万8,745施設で、10年前の平成18年10月1時点より3,801施設増加した。内訳をみると、病院が8,445施設で同498施設減少、一般診療所が10万1,412施設で同2,803施設増加、歯科診療所が6万8,888施設で同1,496施設増加した。一方、病床数の総数は166万5,629で、同12万1,020減少した。内訳は病院の病床数が156万1,540で同6万5,049減少、一般診療所の病床数が10万4,015で同5万5,883減少、歯科診療所の病床数が74で同88減少した。

 病院や診療所の病床数は、基準病床数制度によって制限を受けている。各都道府県が地域で必要とされる「基準病床数」を全国統一の算定式により算定し、既存の病床数が「基準病床数」を超える地域では、病院の開設や増床を許可しないなどとなっている。そのため、病床数は10年前と比較して大きく減少しているが、医療施設そのものは増加傾向にあるようだ。

 国民医療費も増加している。厚生労働省が9月28日に発表した平成26年度の国民医療費の概況によると、平成26年度の国民医療費は前年度比1.90増の40兆8,071億円、人口1人当たりの国民医療費は前年度比2.00増の32万1,100円となっている。10年前の平成16年度をみると、当時の国民医療費は32兆1,111億円、国民1人当たりの医療費は25万1,500円。また、国民全体が得る所得の総額「国民所得」に占める医療費の比率は、平成26年度が11.200で、平成16年度の8.680から上昇している。

 増加する医療費の抑制を目指して病床数は管理されているものの、医療費の増加傾向は止まらない。家計に占める医療費の割合も年々高まっており、医療費の増加は国の財政だけでなく、家計も圧迫しつつあるようだ。


  1. 2016/10/30(日) 06:17:18|
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10月23日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/460507?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161023&dcf_doctor=true&mc.l=185127624
シリーズ: 医療裁判の判決詳報
研修医、非専門医の急性心筋梗塞見落としの責任は?
長崎地裁の和解を詳報 、5300万円請求に対し解決金400万円

2016年10月23日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 長崎市立市民病院(現・長崎みなとメディカルセンター市民病院)で診察に当たった研修医らが適切な診断を行わなかったことが原因で患者女性(死亡時63歳)が直後に死亡したとして、遺族が病院を運営する市立病院機構に約5300万円の損害賠償を求めた訴訟は2016年6月、長崎地裁(田中俊行裁判長)で和解が成立した。病院側が解決金400万円を支払い、遺憾の意を示し、医療安全体制を構築する内容だった。

 ポイントとなったのは、診察に当たった研修医、および循環器専門医でない内科医が、結果として急性心筋梗塞の兆候を見逃したことをどのように判断するか。

 原告(遺族)、被告(病院側)が裁判に提出した資料から双方の主張を詳報する。

※以下の内容は、原告、被告が裁判所に出した訴状、答弁書、準備書面などでの主張の要旨であり、裁判所が事実として認定したものではない。

原告側訴状の要旨
原告
死亡した女性の夫と二人の子供

概要
 吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えて来院した女性(死亡時63歳)について、心電図の異常所見を見落とし、急性冠症候群の発症を疑って循環器専門医に相談したり、入院させて経過観察を行ったりするべき義務を怠り、漫然と帰宅させ、死に至らしめた損害賠償を求める。

事案概要
1 患者女性は2010年9月26日夕刻、家族とドライブに行って帰宅した際、自宅駐車場で突然、顔面蒼白になり、胸の苦しみを訴え嘔吐したため、駐車場から直接、長崎市立市民病院(以下、被告病院)に赴いた。

2 30分ほど待たされ、その間も胸の違和感を訴え続け、トイレで嘔吐までしている。4時5分にA医師(研修医)の診察を受け、吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えた。A医師は、血液検査、心電図検査を行った後、ウイルスの量が多いようなので「ウイルス性腸炎ではないか」と発言し、整腸剤、抗生物質および吐き気止めを処方した。夫からの「胸の苦しみは心筋梗塞でないのか」という問いかけに対して、同席した年配のB医師(糖尿病専門医)は「血液検査、心電図でも異常は見られない。今すぐ命の危険性があるという状態ではないので、明日も具合が悪かったら来てください」と述べていた。A医師もこれに従った。

 その後、処方されるまで待合室で横になっていた。A医師が心配そうに様子を見にきた時にも、女性は胸の不快感を訴え続け、トイレで嘔吐した。その様子を見ていたA医師の指示で、10分ほど診察室のベッドで横になった後、午後5時35分ころに帰宅の道に就いた。

 午後6時ごろ、女性は薬を服用したが一向に改善せず、嘔吐を繰り返した。その後、意味不明な言葉を発する等の異常が見られたため、午後8時半に夫が救急車を呼び、午後9時に再び被告病院を受診した。

 夫らはC医師(循環器専門医)から検査の結果、女性は心臓破裂、急性心筋梗塞であり、非常に危険な状態であるから、すぐに長崎大学病院に移送する必要があると説明された。この移送の際にC医師から長崎大学病院への診療情報提供書において「本日16時に当院内科外来を受診しています。その際はいったん帰宅となっています(後で心電図を見ますとその際に既に急性心筋梗塞を発症していたようです)」と記載されている。

 女性は午後10時半ごろに長崎大学病院に搬送され、治療を受けたものの、心破裂、急性広範囲前壁心筋梗塞により、翌27日午前6時41分に死亡が確認された。

被告病院の責任
1 責任原因
 患者女性は9月26日、被告病院との間で、適切かつ最善の医療を提供することを目的とした診療契約を締結した。被告病院は不完全な履行を行い、女性に損害を与えた。

2 不完全履行
ア A医師は、吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えて来院した女性について、心電図の異常所見を見落とし、急性冠症候群の発症を疑って、循環器専門医に相談したり、入院させて経過観察を行ったりすべき義務を怠り、漫然と帰宅させたという不完全履行がある。

イ 女性は吐き気、胸部不快感、冷汗を訴えているところ、この場合に疑うべき疾患として、消化器疾患など様々あるが、その一つに急性心筋梗塞も含まれる。特に患者女性は高血圧、糖尿病という心筋梗塞の危険因子となる持病を有しており、その持病については医師に説明していたのであるから、なおさら疑いを持つべきであったと言える。急性心筋梗塞を含む急性冠症候群は、早期の診断・治療が不可欠であり、ひとたび診断・治療が遅れると死に至る重大な疾患なのであるから、安易に除外診断することは許されない。

ウ 最初の診断時に心電図検査を行っているが、この心電図に置いてST上昇が認められ、またT波増高が認められている。このT波増高については、ガイドラインでも「心筋逸脱酵素がいまだ上昇していない心筋梗塞超急性期においても、心電図ではT波の先鋭・増高を認めることが多く、これが診断のカギになる」(急性心筋梗塞の診察に関するガイドライン(1358ページ))とされているように、急性心筋梗塞を疑うべき典型的な波形であるとされている。

 この点に関し、病院は心電図の自動解析装置においては、ST上昇には該当していなかったのであるから、やむを得ないという反論する可能性がある。しかし、蘇生ガイドラインによれば、「コンピュータによるECG(心電図)自動解析が経験豊かな臨床家による判断に置き換わるものではなく、それと併用して用いられるべきであろう」とされており、自動解析装置の結果に依拠すれば、免責されるものではない。また、自動解析装置においてもT波増高には該当しているのだから、やはり疑いを持つべきであったと言えるのである。

 また「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」(今日の治療指針)とされているにもかかわらず、1回の心電図検査を行っただけで帰宅させている。

エ 女性を最初に診断したA医師は循環器の専門医ではなかったかもしれないが、そのことによって免責されるということもできない。「冠動脈の血流を完全に遮断することとT波の増高に引き続き、典型的な心電図が変化であるST上昇が発生する」や「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」「クレアチンキナーゼの発生には、心筋梗塞の発症から時間がかかる」などということは、研修医向けのマニュアルにさえ記載されている基本的記事項である(『研修医当直御法度症例帖』)。

 また、A医師は急性心筋梗塞の確定診断を早期に行わなければならなかったわけでなく、発症を疑って循環器専門医に相談したり、患者を入院させて経過観察を行ったりすべきであったにすぎないのであるから、非専門医に対する過酷な要求とは言えない。

オ なお、病院は血液生化学検査において異常がなかったから急性心筋梗塞の疑いを持つことができなかったと主張する可能性もあるが、前述の通り、心筋壊死を示すクレアチンキナーゼは、心筋梗塞の発症後3時間後から上昇が認められ、トロポニンTは発症後2時間後から上昇が認められるのであるから急性期の診断には限界があるのであって、血液検査において異常がなかったからと言って急性心筋梗塞を除外診断してよいわけではない(『研修医当直御法度症例帖』49ページ)。

3 因果関係
 9月26日午後4時5分の段階で、発症を疑って循環器専門医に相談したり、患者を入院させて経過観察を行ったりしていれば、長崎県急性心筋梗塞24時間診察可能機関である被告病院において、速やかに再灌流療法などの急性心筋梗塞に対する治療を施すことによって、女性を救命することは十分に可能であったはずである。よって、医師らの不完全履行によって死亡に至ったのは明らかである。

4 損害
63歳で死亡するに至った女性の損害
1 収入額 主婦業であり、H22賃金センサスの全年齢女性平均額である345万9400円になる。
2 生活費控除額 30% 
3 就労可能年数 平均余命の半分である12.835年を就労可能年齢とする。13年とした場合のそのライプニッツ係数は9.3936となる。
4 遺失利益 345万9400円 ×(1-0.3)×9.3936 =2274万7354円
葬儀費用 150万円
慰謝料  2400万円
弁護士費用 482万円
合計 5306万7354円

答弁書(訴状への反論)
・A医師は「ウイルスの量が多いのでは」と言っていない。「ウイルス性腸炎ではないか」とは言った。夫から「胸の苦しみは心筋梗塞ではないか」との問いかけはされてない。
・B医師が、血液検査、心電図で異常が認められないと言ったのは認める。「今すぐ命の危険性があるという状態ではない。明日も具合が悪かったら来てください」とは説明していない。症状に変化があれば再度受診するよう説明した。
・「A医師が心配そうに様子を見に来た時に」は否認する。見に行った事実はなく、偶然、見かけたので、ベッドで休むように声をかけたが、ベッド上安静にて症状は軽減した。
・胸部不快感は「胸部に何か違和感がある」「ムカムカする」程度の訴えであり、胸痛はなく、主症状は吐き気であった。意識清明、顔面蒼白でなく、歩行は可能で全身状態は良好であり、急性心筋梗塞の典型的な臨床症状ではなかった。「病院は安易に除外診断」をしたものではない。

心電図について
・ST上昇は心電図の自動解析装置で判定されておらず、また、急性心筋梗塞時に典型的に生じるとされる凸のパターン(上方に凸の形でST上昇が認められる)ではなく、下に凸のパターンであり、対側性ST低下も欠いており、非特異な所見である。T波増高は急性心筋梗塞の超急性期に現れることもあるが、健常者でも認め得るものである。

医師の専門性について
・A医師は当時研修医であり、B医師は糖尿病を専門とする内科医である。いずれも循環器の専門医ではない。原告は『「冠動脈の血流を完全に遮断することとT波の増高に引き続き、典型的な心電図が変化であるST上昇が発生する」とか「1回の心電図では診断確定に至らないことがあるので、経時的に記録することが必要である」「クレアチンキナーゼの発生には、心筋梗塞の発症から時間がかかる」などということは、研修医向けのマニュアルに記載されている』と主張しているが、記載されている症例は「前胸部の締め付けられる感じ」が「約30分ぐらいは持続していた」症例であり、急性心筋梗塞の典型的臨床所見を前提に記載されているが、本件では、急性心筋梗塞の典型的な臨床症状は存在しなかった。

病院の主張
1 診療経過
主訴 吐き気、胸部不快感、冷汗(ただし、来院時は冷汗-)
診察時、意識清明で、呼吸静音、心雑音なし
心電図T波増高
血液検査、白血球、CPKは基準値内、トロポニンT陰性
医師はウイルス性腸炎と診断し、女性は17時35分に帰宅
帰宅後に様子がおかしいとの電話があり、再診説明したところ、21時7分に救急車で来院
心破裂、急性広範囲前壁心筋梗塞の診断で長崎大学病院に転送

2 急性心筋梗塞を診断できなかったことが医療水準を下回るものではないこと
(1)臨床症状
 「典型的なAMIの症状は、胸骨後面、もしくは左前胸部を中心とした疼痛あるいは絞扼感で少なくとも30分以上持続し、多くは数時間継続する」「強い不安感と強烈な胸痛あるいは胸部絞扼感により冷汗を伴う苦悶様の表情を呈し、顔面は蒼白で、手足の抹消には冷感がある」とされる。女性が訴えていたのは、「胸部に何か違和感がある」「むかむかする」程度であり、胸痛はなく主訴は吐き気だった。冷汗も来院時には消失していた。また、意識清明、顔面蒼白でなく急性心筋梗塞の典型的な臨床症状ではなかった。

(2)心電図所見
 ST上昇は心電図の自動解析装置で判定されておらず、また、急性心筋梗塞時に典型的に生じるとされる凸のパターン(上方に凸の形でST上昇が認められる)ではなく、下に凸のパターンであり、対側性ST低下も欠いており、非特異な所見である。T波増高は急性心筋梗塞の超急性期に現れることもあるが、健常者でも認め得るものである。心電図でも急性心筋梗塞の典型的所見は乏しい。

(3)血液検査
 急性心筋梗塞診断時に重要とされる血清心筋マーカーであるクレアチンキナーゼ(CPK)は基準値内であり、トロポニンTも陰性である。「白血球増多は心筋マーカーの上昇よりも早く出現するため、診断的価値がある」「白血球数は非特異的であるが、発症早期に上昇する」とされるが、白血球数も基準値内である。また発症「数時間以降には」上昇するとされるAST、LDHもいずれも基準値内である。血液検査結果で、急性心筋梗塞を疑わせる結果は何ら存在しない。

(4)小括
 臨床症状、心電図所見、血液検査結果からして、急性心筋梗塞の所見は極めて乏しく、循環器専門医ではない内科医が急性心筋梗塞を疑えず、ウイルス性腸炎と診断したことはやむを得ず、医療水準を下回るものではない。

原告準備書面
担当医が循環器専門医ではなかったことについて
・被告病院は一般の開業医ではなく、循環器専門医などを擁する地域総合病院である。また、救急告示医療施設であり、長崎県急性心筋梗塞24時間診察可能機関でもある。そのため急性心筋梗塞の患者に対することができる十分な体制が整っていたというべきである。かような被告病院の特徴を踏まえるならば、担当医師がたまたま循環器専門医ではなかったとしても直ちに医療水準を軽減させるべきではない。
・仮に医療水準を低減させるにしても、典型的な症状や心電図であり、研修向けマニュアルや看護師向けのテキストにさえ、記載されている基本的事項である。

被告準備書面
担当医が循環器専門医ではなかったことについて
・検討すべきは医療施設の規模の問題でなく、担当医師の専門性である。大病院であれ、開業医であれ、循環器内科を専門としない医師にとっては、循環器内科専門医に比較すれば、循環器疾患についての知識・経験が少ないことに変わりはなく、本件のような典型的所見を欠き、診断が困難な急性心筋梗塞について医師の責任を問う場合には、医師が専門医でないことを十分考慮しなければならない。

裁判所からの求釈明についての回答
・循環器内科医のC医師は、長崎大学病院宛ての診療情報提供書において、「(後で心電図を見ますとその際に既に急性心筋梗塞を発症していたようです)」と記載している。C医師は患者が2度目に来院した際に、急性心筋梗塞に伴う心破裂と診断された状況を認識した上で、事後的に被告病院への1回目の来院時の心電図を確認すると典型的ではないが、ST上昇が認められること、カルテに記載してある1回目の来院時の主訴(吐き気、胸部不快感、冷汗)も事後的に考えると、急性心筋梗塞発症時の症状として矛盾しないことから記載した。

 1回目来院時にA、B医師は、急性心筋梗塞の典型的な所見などを総合的に考慮し、ウイルス性腸炎の可能性が高く、急性心筋梗塞を含む虚血性心疾患は考え難いと判断した。

当直体制
26日午後4時ごろの当直医師体制
内科系医師1人(B医師)、外科系1人、循環器内科1人(C医師)、研修医1人(A医師)だった。

自動解析装置の精度
「前壁・中隔心筋梗塞(急性)」については、自動解析装置の感度は96.08%とされ、その診断精度は極めて高く、診断結果が前壁心筋梗塞でありながら、自動解析装置では陰性と判断された(偽陰性の判定)された本件は、3.92%という低い確率で生じ得ることが生じた例といえる。

裁判所からの求釈明についての回答
仮に、C医師が診察をした場合について
 C医師は「記録上の各所見からは急性心筋梗塞の診断はできないが、カルテの主訴と心電図での典型的ではないがST上昇が認められることからすると、急性心筋梗塞の可能性は排除できないので、患者を帰宅させず、初回心電図から30分後に再度の心電図検査と心エコー検査を実施することはしたのではないかと考えられるが、患者の実際の臨床所見によるところはあり、患者を直には診察していないので、確定的な意見は述べられない」とのことだった。

和解文
1 原告らに解決金400万円を支払う
2 本件経過を重大かつ真摯に受け止め、遺憾の意を表明するとともに今後の医療安全体制の構築に取り組むこととする
3 原告らは医師、看護師、その他職員に対し、一切の民事、刑事、行政責任を追及しないこととする



https://www.m3.com/research/polls/result/155
シリーズ: m3.com意識調査
結果研修先、選ぶのは大学病院or市中病院?

カテゴリ: 医療 回答期間: 2016年10月11日 (火)~18日 (火) 回答済み人数: 1540人

 初期臨床研修先を決めるマッチングの最終結果が10月20日に公表されます。近年は大都市、市中病院の人気が高まる傾向が続いていますが、もし現在の医学部生だとしたらどのような選択をするでしょうか。
医学部生だったら?研修先は「市中病院」が47%

 10月20日に公表された2016年度医師臨床研修マッチングの最終結果では、大学病院に研修先が決まったのは全体の42.7%で、大学病院離れが下げ止まったようでした。「もし現在の医学部生だったら」という仮定で研修希望先をお尋ねしたところ、大学病院は42%、市中病院が47%で、僅差で市中病院が人気を集めるという現在の医学部6年生と同様の傾向が見て取れました。 内訳をみると、大学病院では、出身大学が32%、他大学が10%。市中病院では大学と同じ都道府県が25%、大学と異なる都道府県が22%と拮抗しました。

 複数選択で尋ねた研修先を選ぶ基準では、プログラム(研修)内容(1105人)、症例の数や多様性(807人)、先輩からの評判(633人)、給与などの待遇(528人)、同期がたくさんいること(241人)、大都市であること(215人)、研究のしやすさ(201人)、出身地であること(198人)、インターネット等での評判(191人)同期が少ないこと(48人)――の順になりました。

 良い研修先の見分け方については、医療維新でご紹介します。

研修先の選び方、「最初はハードさが重要」「症例数より考え方を」

Q1 もし現在の医学部生だった場合、初期臨床研修病院先として希望するのは?
10231.png
※2016年10月18日 (火)時点の結果

Q2 もし現在の医学部生だった場合、初期臨床研修病院を選ぶ基準は?【複数】
10233.png
10232.png
開業医 : 308人 / 勤務医 : 1035人 / 看護師 : 13人 / 薬剤師 : 154人 / その他の医療従事者 : 30人
※2016年10月18日 (火)時点の結果

Q3研修先として良い病院の条件や見分け方について、ご意見があればお書きください【任意】
(次項)



https://www.m3.com/news/iryoishin/469758
シリーズ: m3.com意識調査
研修先の選び方、「最初はハードさが重要」「症例数より考え方を」

2016年10月23日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 研修先として良い病院の条件や見分け方について、ご意見があればお書きください。
調査結果はこちら⇒医学部生だったら?研修先は「市中病院」が47%

【大学病院】
・とにかく、出身大学で研修しましょう!そして、大学院へ入りましょう!

・大学病院なら出身学生の残留率。

・症例数も欠かせない条件だが、まだ右も左も分からないうちは、偏りのない系統だった指導ができる指導医や環境が大事だと思います。そういう意味では、大学病院が教育の面ではリードしているのではないでしょうか?診療や研究の基礎ができてからでも、市中病院での症例経験は遅くはないと考えます。長い医師生活の最初はやはり焦らずじっくりと、いろんな意味での基礎力習得を目指すべきだと考えます。

・研修後の医師としての長い将来を考えると、いかに多くの優れた先輩医師と巡り合えるかという点を考えると、市中病院という今現在だけの経験値を選ぶより、多くの専門があり、多くの先輩医師がいる大学病院がいいと思います。

・行けるのであれば、都会の有名大学を目指します。

・市中病院は症例が多いが、教育という面で手薄感は否めない。大学病院は症例は少ないが、教育は行き届くと思われる。駆け出しの際に必要なのは、まず症例数の多さより少ない症例を深く掘り下げることである。

【市中病院】
・臨床研修制度開始第一期だったので、何も情報も無い中で手探り状態にて研修先探しを行いました。大学病院では、コメディカルを含めた職員間の連携に大きな疑問があると共に、一般疾患に対する診察等には不向きだと思い、市中病院を選びました。その時のつながりで今まで色々な職場を経験しましたが、今でもその時の選択で良かったと自信を持って言えます。所詮、大学病院では奴隷として扱き使われるだけで、医者としての技量や能力向上には何ら役に立たないと今でも確信しています。

・やはり倍率の高いような病院は、人気があるだけあって評判もいいし、良い教育もしていると思う。

・将来、実力のある臨床医になろうとする者にとっては、初期研修では、医師不足で少し忙しすぎるような地域の基幹病院が最適の研修病院である。最初に楽をすると、次に忙しさに耐えられない。最初は苦労する方がよい。

・学閥がないことが重要 力を付けても出身大学の壁でポジションをもらえないことが多々ある 地方大学ほど力が無いのに医局支配が強く、都内は比較的学閥に支配されていない職場があるので、これも地方から医師が上京してくる一因と思われる。

・大学はあり得ない。日雇いの大学院生に指導させて、スタッフは全く教育しない。

【先輩、卒業生、職員の様子、病院の体制】
・過去に研修した先生が、その後どんな医師になっているか。

・働いている職員の表情評判。

・1学年上の研修医が自分の1年後と考える。自分と同程度のモチベーションの人達がいるところを選ぶといいと思う。

・出身者が戻る、残っている人が多い病院。研修医が救急外来を任されていて、かつ見守られている状態。

・医者が医者の仕事に専念できること。研修先ではコメディカルが少なくて、本来なら看護師や看護助手、放射線技師やMSWのやっているような業務までやらされていました。

・研修医が1人でしなければならない状況作り。困ったときのサポート体制。

・勤続年数が長い先輩が多いこと。そうでない場合は労働条件が過酷だと予想できる。

・患者さんの口や体がきれないこと。

・勤務時間に応じて給与が出る、適当な休暇がある病院。医師の定着率も一考に値すると思います。

・救命救急において、北米型ERを取り入れるなど積極的に急患を受け入れている医療機関は、比較的症例数が多かったり多様性を持っていると考えられる。

・研修できる科目があること、常勤医または指導医がいることが必須です。市中病院ではない科目があり、大学病院に依頼して行ったりすることになります。症例数の多さだけでなく、希少疾患も含めた疾病の多様性が人を鍛えます。

・どのくらいやらせてくれるかが大事。自分の時代では、大学での研修では何もやらせてもらえなかった。採血要員とNsにまで、あごでこき使われていた。都内の優良な病院で研修してきた同期はエコーも内視鏡検査まで指導してもらっていて、実力の差を感じた。どれだけ任せてもらえるか、度量、器の大きさが大事な要因だ。

・できれば発症から転帰までしっかり追えるところ。

・どのように働きたいか、どのように生活したいか、ですね。医学者としては初期研修で厳しい忙しい病院に行き、たくさん経験を積むことは大切です。一方で、2年間という短くはない時間を過ごす以上、自分の家族を含めたQOLも大切になります。個人的にはマイナーに行くと決めている人や、子供や妻がいてマイルドに働きたいというニーズに適した病院がもっと選べてもいいと思います。

・ハードでも研修内容がいい病院には研修医が集まる傾向が高い。内容がしっかりして教育されているからにほかならない。研修医のときにハードな研修をしないとおそらく一生ものにはならないような気がします。

【指導体制】
・指導医が沢山いること、指導体制がしっかりしていること。大学病院では、オーベンの研究のための意味の無い検査が多かったという印象がある。指導体制がしっかりしていなくて、研修医が即実践で鍛えられたという側面はあるが、患者のためにも指導体制が最も重要。

・たとえそれが少数でも、優れた指導医がいること。看護師や病院スタッフも研修医の教育に関わっているという意識を持っている施設であること。

・研修医のやる気を助長するような制度(例えば、BLS ACLS PALS ICLS JATECなど、研修医で受験できる資格の受験費用を病院が負担する制度のある病院や、JAMEP受験を奨励している病院など)は好感が持てる。

・論文数。臨床、教育レベルの目安の一つ。

・初期研修では体系だった症例経験が重要で、後期研修はどちらかと言えば、何にでも対応できるよう野戦的な研修病院がいいのではないでしょうか。

・カンファレンスがしっかりしているところ。見分けるのは知り合いの先輩からの情報が一番よいと思います。一例一例をしっかり診られてから、症例数多数の病院にいく流れの方がよいと思います。

・市中病院は救急が盛んだったり、手技をやらせてもらえるとかいうけど、そんなの初期研修の時には必要ない。3年目以降にやればよい。それよりもカンファレンス等をしっかりしているところを選んで、学ぶ姿勢とかを勉強した方がよい。

・ガイドラインや教科書ばかりではなく、考える力のつく研究マインドを滋養できるプログラム、すなわちそういう指導者が存在することが必須条件と思います。

・考え方をちゃんと指導してもらえるかどうかが重要。いくら症例が多くても考え方が論理的でないと変なくせが付くだけ。

【その他】
・絶対他流試合すべき、ド田舎では勉強できないです。

・プログラムはフレキシブルである程度しっかりしていること。指導医クラスが大切。(レベルと人間性も)僻地は色々な意味で余程の研修医でないと厳しい。地域によっては鬱になり、経歴にダメージを負うかもしれません。

・都市部の大病院、大学。専門医資格のためほとんどの医師はそうするしかない。

・充実した研修をすれば銭は後からついてくる!目先の銭で研修先を選ぶな!

・内科医がたくさんいること。

・やはり必ず見学や実習に複数回行くこと。単なるイメージや他人の評判だけでは、自分自身に合うかどうかは絶対に分からない。初期研修で医師としての考え方や生き方が決定するとも言われます。しっかり見極めたい。

・特定の大学のカラーが強くないところを選びます。

・研修病院のトップだけの面接では、研修医がかわいそうです。研修医にも指導医を選ぶ権利を与えてほしいと思います。

・見分ける必要はないと思います。郷に入っては郷に従えです。社会人一年生として、全てが勉強なのです。研修を、良くできるかどうかは、病院や研修内容ではなく、自分次第なのです。そもそも、このアンケート自体が、ナンセンスですね。

・自分が研修医を指導する立場になって分かってきたことがたくさんあって、自分が研修医の立場で魅力的に思えていても、後になったらそれは枝葉末節であったなと思えることが多くある。そういった意味で研修先はよく考えてもらいたいし、研修が終わっても多くの病院を経験すればいいところや悪いところはいろいろと見えてくると思う。決して給与や休日の多さだけで選んではいけないと思う。

・良いか悪いかは、自身がどのような医師になりたいかによって変わると思います。賛否両論あるでしょうが、大多数が大学病院に所属していた時代の方が、地域医療は守られていたと思います。今は条件が良い、症例豊富などの病院に人は集まりますが、その先がなければ、開業を選ぶ人が多く、条件の悪い病院は医師確保が難しくなっています。医局に属し、御礼奉公という名で条件が悪くても数年はそのような病院で働く医師がいることで守られてきた地域医療があると思います。



http://blogos.com/article/195120/
埼玉の医師が少ない!6年前から何か変わった?若い先生を犠牲にする前に何かすることあるんじゃない
中村ゆきつぐ
2016年10月23日 10:38  BLOGOS

JBPRESSにこのような記事が出ました。(日本で最悪の医療過疎地、埼玉県 南米チリと同水準、産科は医療崩壊の危機に直面 )今までもたくさんの記事が出ていますが、6年前私が選挙に立候補した理由の一つです。

東京近郊であれば、東京の病院まで1時間以内に通える場所が交通機関が発達した埼玉は多いです。そして勤務先の近くの病院に通っている方も大勢います。今後団塊の世代が定年になった場合、仕事場の東京の病院から地元の埼玉の病院に転院されてくる方が増えてくるでしょう。埼玉には今以上の患者の増加と混乱が予想できます。ただそうすると東京の病院に患者減少に伴う余裕が出てくる可能性があります。結果一時期混乱するでしょうが東京に集中する医師は分散し、地域偏在は解消すると考えているようです。事実東京は利益を得るために患者の奪い合いが始まりだしたと聞いています。

もちろんそれではすぐに効果は出ないため、記事の中にもある「保険医登録制度」で見直しを提言し、若い医師たちに居住の自由や専門選択の自由を捨てさせて地域を守ることが厚労省主体に検討されています。またこの部分と並行して、今まで学会主導だった専門医を地域診療とリンクさせ、地域で働くことを義務付け、さらに厚労省出向の機構に上納金を納めさせるといった新専門医制度施策も企てていましたが、現場からの反対を受け混乱しています。(迷走する専門医制度に懸念噴出、専門医機構、認定料など新方針)医局を研修医制度で破壊したのに、自分たちのためまた復活させようとしたのですから当たりまえですが。

>実態がしっかり把握されず、「医師不足は地方」というイメージだけで議論がなされることがなく、地元埼玉の産科医不足がいち早く解消されるよう切に願います。

産科医の数が減少したということが最近報道されました。(産科医、7年ぶり減少…産婦人科医会「危機的」)そう、全体でも足りない、それこそ東京でも足りないのに、配分するとき考慮ではダメ。やはり専門の偏在を考えなければいけません。

ただそれは強制という名の下で行うのなら、自治医大、防衛医大のように最初に契約しないといけません。後出しジャンケンで、お前らは俺たちの言うことを聞けばいいのでは巷のブラック企業と何が違います?それでなくとも労働基準法違反の当直をなし崩し的に行っている医師たちに、今度は職業選択や居住の自由の権利まで奪おうというのではさらにみんな逃げていきます。

どうしても一つのことだけに注目しても解決はできません。全体を見ながら何をすべきなのかの施策が必要です。少なくとも全体の医師数は増えてきています。しかし産科を始めしんどい専門に医師は増えていません。(「しんどい医療」とは ではどうすれば)

厚労省が医療者適正配置に関し会議を開いています。(新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会)今年中に提案がなされる予定です。でもその中身は少し悲しい限りです。

国会答弁で雇用のミスマッチに対して、1 インセンティブ、2 ハローワーク、3 教育とされているのに、医師には合わせてくれるつもりはなさそうです。そして医師たち自身も調整できない結果患者が損をします。

もっと全体みようよ。研修医制度改変でどうして地域医療が衰退したのか。そこから考えなきゃ。そして自分たちは汗かかず、若い医師たちに教育の機会を減らし、家族の環境も制限し、仕事量にかかわらずインセンティブは同じという施策を作るお偉いさん。絶対ダメだと思う。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161023/k10010740621000.html
旧社会保険病院や労災病院 薬品調達などで不適切契約
10月23日 6時21分 NHK ニュース

厚生労働省所管の独立行政法人が運営する各地の病院が薬や備品を調達する際などに、厚生労働省の通知に反して、入札をしないまま特定の業者を選ぶなどの不適切な契約を結んでいたことが会計検査院の調べでわかりました。
厚生労働省は旧社会保険病院や労災病院を運営する独立行政法人に対して、6年前に出した通知で、物品の購入や業務委託などで一定の金額がかかる契約を業者と結ぶ際は原則、入札を行うよう求めています。

しかし、会計検査院が調べたところ、地域医療機能推進機構が運営する全国6つの旧社会保険病院では大量に使う薬を調達する際、支払い総額は入札が必要な金額になっているのに、安い単価で発注して入札を行わないまま納入業者を決めるなど厚生労働省の通知に反する形でおよそ6億円の契約を結んでいたことがわかりました。

また、別の独立行政法人が運営する兵庫県尼崎市の労災病院も、病室に設置する冷蔵庫やテレビなどをリースした際、契約を部屋ごとに70以上に分割して1件当たりの金額を抑える方法ですべて同じ業者に発注し、昨年度までに3000万円以上を不当に支払っていたということです。
会計検査院はこうした不適切な契約の見直しを求める方針で、病院や運営する独立行政法人は「現段階ではコメントしない」などとしています。



http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20161023/Recordchina_20161023018.html
世界一の医療環境を誇る日本、高効率の診察や薬剤師の行き届いた指導―中国紙
レコードチャイナ 2016年10月23日 15時30分 (2016年10月24日 05時01分 更新)

世界保健機関(WHO)の最新の「世界保健報告」によると、医療水準や医療サービスの受けやすさ、薬の費用負担の公平性など、さまざまな分野において、日本は高水準で、「世界で最も医療環境が整っている国」と称されている。生命時報が伝えた。

■病院の大きさにかかわらず同じ医療水準

日本の病院は大きく分けて4種類ある。体調を崩した際、大抵まず行くのが各コミュニティーにある診療所。そこで見てもらってもよくならない場合、その病院で紹介状を書いてもらい、専門病院で治療を受ける。もし、深刻な病状の場合、大型総合病院に行って治療を受ける。それに加えて、対応人数が20~50人のクリニックもあり、あまり待たずに診察してもらえるため、患者にとっては便利な存在だ。

2002年、厚生労働省は国民の健康維持と現代病予防を目的として「健康増進法」を制定した。その中でも重要なのは、国民のためにバランスの取れた医療環境を構築することだ。そのため、日本では、各種専門病院が各都市の各地域にあり、患者が受診のために遠くまで出かけなくて済むようになっている。

上記の4種類の医療機関の医療の質を同レベルにするために、日本の政府はクリニックに対する定期検査を重視し、その経営範囲や医療水準、医師の資質、最新設備の導入などを厳しくチェックしている。

■効率のよい診察

診察の効率を保つため、医師は通常、看護師3~5人の助けを得る。患者が来ると、看護師が医師の指示に従って、採血を行ったり、血圧を測ったり、問診をしたり、身体検査をしたりする。また、大抵、診察室の隣で各種検査を受けることができるため、受診時間の短縮にもつながっている。検査の結果が出ると、看護師はそれを医師に見せると同時に、所見を伝え、患者の病状について意見を交換する。その後、医師が患者に病状を伝え、処方箋を出す。その後、看護師は処方箋を見せて、患者に薬の服用の仕方などを詳しく伝える。このようにすることで、患者は15-20分で受診を終え、薬をもらって帰途に就くことができる。中国のように、患者が検査結果を自分で持って、医師のもとに戻って来て、他の患者の受診を妨げるような状況は見られないのだ。

■病院と薬局が別々、必要な分だけ処方

欧米諸国と同じく、日本の病院には通常、薬局がない。薬局があるのは、200人以上の患者を収容できる総合病院ぐらいだ。その理由は、日本では薬品は全て政府が統一して管理しているからで、どこの薬局で買っても、同じ薬ならほぼ同じ値段だ。

患者が医師が出した処方箋を持って薬局に来ると、薬剤師が医師の指示に基づいて、必要な分だけ薬を準備してくれる。例えば、一箱30個入っている薬であっても、医師が20個と指示していれば、薬剤師は20個だけ取り出し、服用方法が書かれた袋に入れて渡してくれる。また、薬のお金を払った後、薬剤師が別室で、服薬指導をしっかりと行ってくれる。

このような整った医療条件があるため、日本人の生活の質は非常に高く、世界一の長寿国となっている。2015年のWHOの「世界保健統計」によると、14年の日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳で、ともに過去最高を更新した。日本は20年連続で世界一の長寿国の地位を維持している。(提供/人民網日本語版・編集/KN)


  1. 2016/10/24(月) 05:33:12|
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10月22日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/469566?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161022&mc.l=185057450
シリーズ: 医師不足への処方せん
15大学がマッチ率100%、人気の二極化進む
2015年度から倍増、2016年度臨床研修マッチング最終結果

2016年10月22日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 10月20日に公表された、2016年度の医師臨床研修マッチングの最終結果を大学病院本院別に分析すると、募集定員に対するマッチ者数の割合(定員充足率)が100%になったのは、15大学で、2015年度の8大学から約2倍になった。4大学だった2014年度と比べると、約4倍。

 定員充足率が80%以上は46大学、80%未満は33大学。2015年度は80%以上37大学、80%未満42大学で、それぞれ9大学増減。大学病院で研修する医師の割合は全体では42.7%で、低水準が続いているが、その中でも募集定員を満たす研修医が集まる人気大学と、それ以外の大学との二極化が進んでいることが伺える(マッチングの全体結果は、『大都市圏以外に過去最多の研修医、2016年度マッチング最終結果』を参照)。

 分析対象は、今年4月に医学部を新設した東北医科薬科大学と防衛医科大学校を除く、79大学の本院。定員充足率が、90%台は16大学(2015年度18大学)、80%台は15大学(同11大学)、70%台は9大学(同14大学)、60%台は6大学(同7大学)、50%台は7大学(同9大学)、50%未満は11大学(同12大学)。

 最も多くのマッチ者数を集めたのは、東京大学(127人)、以下、東京医科歯科大学(119人)、京都大学(81人)と続く。いすれも定員充足率は100%であり、9月末の中間公表の時点でも、「1位希望人数」のトップ3に入った人気大学だった(『医科歯科、東大、京大の「三強」不変、2016年度中間マッチング』を参照)。

 「出身大学での研修」、横ばい
 自大学出身者が、マッチ者に占める割合が100%だった大学は、旭川医科大学、岩手医科大学、山梨大学、金沢医科大学の4大学。昨年は岩手医科大学と高知大学の2大学だった。

 一方、自治医科大学を除き、30%未満だったのは、大阪大学(28.6%)、九州大学(27.7%)、東京大学(27.6%)、慶應義塾大学(27.3%)、神戸大学(25.0%)、東京慈恵会医科大学(19.1%)、新潟大学(18.2%)、名古屋大学(12.5%)、横浜市立大学(9.8%)、計9大学で、2015年度の9大学と同じだった。
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表 大学病院の2016年医師臨床研修マッチングの最終結果(3分割の画像、それぞれクリックで拡大)
・医学部を持つ大学・医科大学、計79の本院分を集計(防衛医科大学校病院と、2016年4月に医学部新設の東北医科薬科大学病院を除く)。
・「充足率」が高い順にランキングを作成。同数の場合は、「マッチ者数」が多い順に掲載。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469929
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
安倍首相、社会保障改革の検討、「加速化」指示
塩崎厚労相、医師の偏在対策「直接的な規制も検討」

2016年10月22日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 安倍晋三首相は、10月21日の経済財政諮問会議で、薬価制度改革や専門医等の調整を行う権限を都道府県に付与するなど、民間議員からさまざまな社会保障改革案が提案されたことを踏まえ、塩崎恭久厚労相に対し、「改革の議論の具体化に向けた検討を加速してもらいたい」と指示した。厚生労働省の社会保障審議会などで制度改革の議論が進むが、経済財政諮問会議でも、今年末の2018年度予算編成に向けて、社会保障改革について今後2、3回議論する予定(資料は、内閣府のホームページ)。

 民間議員から提言された改革案は、「給付と負担の適正化」や「1人当たりの医療費の地域差半減」に向け、薬価制度の見直しなど薬剤費の伸びの抑制や、医療費適正化計画の実現などを求める内容。同計画については、「目標と実態が大幅に乖離している」と問題視、医療費適正化に向けたガバナンスの確立を求め、専門医等の定員調整や病床調整等を行う権限の都道府県への付与、NDBデータを用いた医療費の地域差要因の見える化などを提言している。

 塩崎厚労相は、これらの提言に対し、「正面から受け止めて取り組みたい」と検討を進める方針を表明。専門医等の定員調整に関連して、医師の偏在対策については、直接的な規制を含めて改革を進める方針を示した。ただし、そうした取り組みを進める際には、今後の医療についてのビジョンが必要であるとし、現在検討を進めていることも説明した。塩崎厚労相の発言は、この10月に発足した「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の議論を指すと見られる。同検討会については、10月20日の社保審医療部会で、位置付けが曖昧であるなど、問題視する意見が出ていた(『「医学部定員、2020年度以降も増員」をけん制』を参照)。

 経済財政諮問会議が今期、社会保障改革について議論するのは、10月14日に続き、2回目。14日の会議では、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価引き下げなどが提言された(『オプジーボ、「50%以上の引き下げ」求める声も』を参照)。塩崎厚労相は21日の会議では、薬価と適正使用の両面から検討を進めていると説明。ただし、民間議員からは、オプジーボに限らず、「他に同様の問題がたくさんあるのではないか」との指摘が挙がったため、オプジーボの薬価下げ幅の議論には至らず、厚労省が高額薬剤についての現状を取りまとめて、改めて議論することになった。

 民間議員が21日の経済財政諮問会議で、提出した資料は、「給付と負担の適正化に向けて」や「1人当たりの医療費の地域差半減に向けて」、およびこれらの参考資料。

 会議後に会見した、石原伸晃内閣府特命担当大臣は、民間議員の榊原定征氏からは「給付と負担の適正化に向けて、薬価制度の抜本的改革、保険者や介護事業者のインセンティブ強化等による医療介護の効率化、世代間、世代内の不公平の是正が必要」、新浪剛史氏からは「1人当たりの医療費の地域差半減に向けて、都道府県が責任を持って取り組む仕組みの構築、伸び率の大きい大都市圏における重点的な取り組み、個人へのインセンティブ強化による健康予防を実行すべき」などの発言があったことを紹介。

 そのほか、「医療費適正化の目標設定や実行について、誰が責任を持って実施するのか、ガバナンスが重要」「内閣官房の医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会と連携して、政府一体として改革に取り組むべき」「薬価については検討課題が多いので、抜本的な取り組みが必要」などの意見が挙がった。



https://www.m3.com/news/general/469867
医療費節減の試算発表 内閣官房
2016年10月22日 (土) 朝日新聞

 医療の無駄遣いをやめる「医療費適正化」を進めることで、2023年度時点で約6千億円を節減できるという試算を内閣官房が21日、発表した。内訳は、後発医薬品のシェア(15年9月で56%)を80%に引き上げ=約4千億円▽糖尿病の重症化予防=約800億円▽必要以上に多くの種類の薬を処方する「多剤投与」の見直し=約600億円▽特定健診や保健指導の実施率向上=約200億円。



https://www.m3.com/news/general/469930
予算編成:社会保障費の抑制焦点 医療・介護、負担増に反発 政府・与党の議論本格化
2016年10月22日 (土) 毎日新聞社

 2017年度予算編成で、伸び続ける社会保障費を抑制するための医療・介護保険制度の見直しに向けた議論が本格化している。高齢者らに直接の負担増を求める見直し案に対しては、強い反発が出ていることから、どこまで切り込めるかが焦点となっている。【小倉祥徳、阿部亮介】

 「5000億円の(抑制)目標の達成に向けて、社会保障改革を前倒しして実行すべきだ」。21日開かれた政府の経済財政諮問会議で、麻生太郎財務相は社会保障費抑制に向けた強い決意を見せた。

 高齢化に伴い増大を続ける社会保障費は、国の一般会計歳出の約3割を占め、最大の財政圧迫要因となっている。このため、政府は16~18年度に社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑える目標を掲げ、6400億円の伸びが見込まれる17年度予算編成では、1400億円の削減が求められている。

 16年度は、医療の公定価格である診療報酬の8年ぶりのマイナス改定によって、医療機関の報酬に切り込むことなどで抑制目標を達成。しかし、17年度は同様の大きな制度改正がないため、財務省が今月4日に示した抑制案では、医療や介護の利用者に負担増を求める見直し策が並んだ。

 なかでも財務省が最大のターゲットとするのが、毎月の医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度と、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度。高額療養費制度では、70歳以上の対象者の負担を増やす案を提示しており、後期高齢者制度では、低所得層の負担を軽減する特例措置の廃止を求めている。

 この二つで1400億円のうち大部分を確保したい考えだが、負担増となる高齢者に配慮して、年収などで対象者を絞り込むことも検討されており、削減額が大幅に圧縮される可能性もある。

 超高額のがん治療薬「オプジーボ」の値下げを巡っては、省庁間の対立がある。製薬業界に配慮する厚生労働省は17年度の値下げ幅を最大25%に抑えたい意向だが、財務省や官邸は一段の値下げを求めており、調整が続いている。

 実施に向けて難航が予想されるのが、介護保険で通常は自己負担が1割のサービスについて、一部の対象者の負担を2割に引き上げる案だ。要介護度の低い利用者が対象になるが、19日開かれた厚労省の社会保障審議会の部会では、NPO団体などから「利用者のほとんどが年金生活者で、預貯金を取り崩して生活している」などと反発する声が相次いだ。また、14日に開かれた公明党の部会でも、「介護が必要な人の負担を増やすのは問題だ」などと反対する意見が出た。

 年明けの衆院選が取りざたされる中、高齢者らに負担増を求めることに与党内の反発が強まる可能性もあり、社会保障費の抑制目標の達成に向けて難しい調整が続きそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469941
後発薬促進、重複・多剤投与是正等で「0.6兆円」抑制
政府の専門調査会、2023年度医療費を推計

2016年10月22日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 政府の社会保障制度改革推進本部の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」は10月21日、2023年度の医療費推計や地域差分析の結果などを盛り込んだ第2次報告案を公表した(資料は、首相官邸のホームページ)。

 入院医療費は、地域医療構想に基づく病床機能の分化・連携の推進の成果を反映すると、第3次医療費適正化計画の最終年度に当たる2023年度は、19.8兆~20.1兆円と推計。

 一方、2023年度の入院外・歯科医療費は30.3兆円に上ると推計されるが、後発医薬品の普及(数量シェア80%)、特定健診(70%)・特定保健指導(45%)、糖尿病の重症化予防(40歳以上の糖尿病1人当たりの医療費の平均を上回る都道府県について、平均との差を半減)、重複・多剤投与(3医療機関以上、15剤以上の薬剤投与を是正)などの取り組みで0.6兆円抑制でき、約29.7兆円に収まると見込んでいる。

 第2次報告案では、都道府県別および2次医療圏別に、医療費の地域差も分析している(2013年10月1カ月分のレセプトデータ)。

 75歳以上の糖尿病の1人当たりの医療費が最も高いのが広島県で1600点を優に超える一方、熊本県では約1000点にとどまるなど、地域差は大きい。

 さらに糖尿病の傷病名が記載されたレセプトを分析すると、(1)同一月内に、4医療機関以上受診している患者(平均は1.12)、(2)同一月内に、同一医療機関を10日以上受診している患者(平均は2.05日)――についても、都道府県間で大きな開きが見られた。

 そのほか、後発医薬品の普及率、時間外加算(全年齢・全疾患の初再診において、最小の長野県と最大の佐賀県では、1.5倍の差)をはじめ、各種診療報酬点数の算定率の地域差などの分析結果もまとめている。

 同専門調査会は、都道府県が策定する第3次医療費適正化計画(2018年度~2023年度)の目標設定のための標準的な算定方式などに検討を進めてきた。第2次報告案は、この算定方式の考え方やそれに基づく推計結果のほか、医療費の地域差の「見える化」などのデータを公表、各都道府県による医療費適正化の取り組みにつなげるのが狙い。今後、厚生労働省は11月初め頃に、第2次報告案の考え方も盛り込んだ、医療費適正化基本方針を改定する予定。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161022-OYTET50002/
「精神指定医」不正取得で数十人処分へ…厚労省
2016年10月22日 読売新聞

 精神障害者の強制入院などを判断する「精神保健指定医」の資格を不正に取得したとして、厚生労働省は全国の数十人の医師について、資格の取り消しなどの処分を行う方針を固めた。昨年、聖マリアンナ医大病院(川崎市)で発覚した不正取得問題を機に、同省が調査していた。26日に開かれる医道審議会の専門部会に諮り、答申を踏まえて最終決定する。

 同省によると、聖マリアンナ医大病院では、実際には診察していない患者の症例を使い回し、組織的に虚偽リポートを提出していたことが発覚。同病院の医師11人と、指導役の指定医(指導医)12人の計23人の資格が取り消された。

 事態を重くみた同省は、2009~15年に資格を取得した計約3500人について調査。保管していた症例リポートと患者のカルテなどを照合し、計約100人の指定医から事情を聞くなどした結果、数十人が十分な診察をしていない患者の症例リポートを提出していたと判断した。事情聴取の対象になったことを知り、自主的に資格を返上した医師もいるという。

 指定医は、患者の意思に関係なく強制的に入院させる措置入院や、医療保護入院を判断できる精神科医。精神保健福祉法は、指定医として著しく不適当と判断した場合は、資格取り消しや職務停止を命じることができると定めている。



http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/medical/news/20161022/2486671
小山近郊5市町の14病院が連携へ 医療充実目指し「協議会」設立
10月22日 朝刊 下野新聞

 地域の医療資源を最大限に生かした医療体制を実現しようと、新小山市民病院を中心とした3市2町の計14病院は21日、「小山市近郊地域医療連携協議会」を設立した。

 医療費の増大が避けられない超高齢社会。各病院が情報共有を密にし転院をスムーズにすることなどで急性期や回復期、慢性期といった患者の状態に応じた適切な医療を提供するとともに、医療費の抑制を目指す。

 協議会を構成するのは小山市内7病院、下野市内2病院、野木町内2病院、上三川町内1病院の県内計12病院のほか、茨城県結城市内2病院。結城市内の病院も含め各病院がそれぞれの特徴を生かした役割分担をし、住民の生活圏に合わせた医療体制の充実を図る。

 21日夜、小山市内で各病院の責任者らが出席し協議会の設立総会が開かれた。

 会長に選出された新小山市民病院の島田和幸(しまだかずゆき)病院長は「患者に対して最適な医療やケアを提供するためには個々の医療機関や介護施設がしっかりと連携することが必須。互いの情報交換を活発にし、現実の体験を積み重ねて小山市近郊の医療ネットワークを形成したい」などと話した。



http://www.zaikei.co.jp/article/20161022/333309.html
かかりつけ医以外の受診に定額負担を、経団連
2016年10月22日 21:11  日本経済新聞
記事提供元:エコノミックニュース

 日本経済団体連合会は医療・介護制度改革として、年末までに結論を得るべき課題だとしたうえで、医療保険での患者負担について「複数の慢性疾患を有する患者の対応や医療機関の機能分化を推進する観点から『かかりつけ医』機能を明確にした上で『かかりつけ医』以外を受診した際、定額負担を求めること」などを21日までに提言した。

 また薬剤費についても「湿布やうがい薬等、長らく市販品として定着している市販類似薬について、保険償還率の引き下げや保険給付の適用外とすべき」としたほか「国民のセルフメディケーションの意識を高めるため、医療用医薬品のスイッチOTC化などにも取り組むべき」としている。

 高額薬剤については「収載当初の前提が変化していることを踏まえ、薬価の早急な見直しを行い、保険財政の安定性を確保することが求められる」とした。

 介護保険給付についても「介護保険の給付(総費用)は2016年予算ベースで約10兆円だったが、2025年には約20兆円に、75歳以上の人口は2015年の1646万人から2025年には2179万人になると見込まれている」とし「制度の持続可能性確保の観点から、軽度者に対する給付のあり方を見直すことで、重度者への給付に重点化していくことは不可避」とした。

 具体的検討例として「要支援者に対する介護予防給付(通所リハビリテーション等)並びに軽度要介護者に対する生活援助サービス(調理、洗濯、掃除等の日常生活の援助)について、早急に地域支援事業への移行を促すか、給付率の引き下げを行い、要介護度3以上の利用者を対象に給付の重点化を図っていくべき」とした。

 また「福祉用具貸与・住宅改修について、給付の重点化の観点から軽度者には全額自己負担化も含め保険給付率を引き下げる方向で見直していくことが求められる」などとしている。(編集担当:森高龍二)


  1. 2016/10/23(日) 05:57:02|
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10月21日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49861.html
不足地域で働く医療者にインセンティブを- 諮問会議の民間議員が提言
2016年10月21日 22時00分 CB News

 政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)は21日の会合で、社会保障改革をテーマに議論した。この中で同会議の民間議員が、医療資源が足りない地域に転勤する医療従事者や、そうした地域で働くつもりの学生などに、金銭的なインセンティブを設けることなどを検討すべきだと提言した。医療従事者の偏在を是正して、医療費の地域差を縮めることが目的。さらに、医療費の適正化や、将来に向けた医療提供体制の再編を進めるため、都道府県の権限を強める案なども示した。【佐藤貴彦】

 政府は、財政を健全化させるための計画の中で、都道府県別の一人当たり医療費の差を半減させる目標を掲げている。

 民間議員はこの日、地域差の半減に向けた具体策を提案。その一つとして、医療資源が不足する地域に異動する医療従事者に助成金を渡すことや、そうした地域で医療に従事するつもりの人に対する奨学金を充実させることなどについて検討すべきだとした。

 さらに、医療費の適正化や、将来の需要に合わせた医療提供体制の再編を、都道府県が責任を持って進めるための仕組みが不可欠だと主張。将来の需要に合わせた必要病床数と現状との差を解消していくため、病床を調整する権限を強めるとともに、専門医などの定員を調整する権限を付与することを提案した。また、交付金を大胆に傾斜配分するなどして、都道府県が医療費適正化に熱心に取り組むように促すべきだとした。

 医療費適正化に関しては、人口が多い東京や神奈川、大阪、愛知、埼玉、千葉、兵庫、福岡の8都府県で、重点的に取り組む必要性も指摘した。

■患者側の取り組み促す提案も

 そのほか、患者側の取り組みを促す施策も提案した。具体的には、特定健診やがん検診などを受診した人の保険料が安くなる仕組みや、かかりつけ医以外で初診を受けた際に追加料金が発生する仕組みなどを導入すべきだとした。

 また、ドラッグストアなどで販売されているOTC医薬品と類似する薬の一部について、医師から処方を受けた患者に追加料金を支払わせることで、市販の薬の購入を促すことなども提案した。

 経済財政諮問会議は、来年度の政府予算のあり方などについて議論している。安倍首相は会合で塩崎恭久厚生労働相に対し、こうした提言を踏まえて改革の具体化に向けた検討を加速させるよう指示。また、社会保障改革について、同会議でさらに検討する方針も示した。



http://www.medwatch.jp/?p=10874
「ビジョン検討会設置は聞いていない」医師需給の新たな推計方針に不満噴出―社保審議・医療部会(2)
2016年10月21日|医療・介護行政をウォッチ MedWatch


 医療従事者の将来需給について、「働き方の変化」などを勘案してより詳細に推計することになりましたが、20日に開催された社会保障審議会の医療部会では、議論の進め方について委員から不満が噴出しました(関連記事はこちら)。

 厚生労働省は、IT技術などの進展による労働内容の変化を踏まえるほか、新たにタイムスタディ調査を行うなど、より精緻に「働き方の変化」を踏まえることが必要である点を強調し、委員に理解を求めています。

新たな働き方のビジョンまとめ、新データも収集して、改めての需給推計

 安倍晋三内閣が昨年(2015年)6月に閣議決定した骨太方針2015(経済財政運営と改革の基本方針2015)」は、「人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について検討する」よう厚労省に指示しています。

 厚労省はこれを受け、「医療従事者の需給に関する検討会」、さらに下部組織として医師、看護師、リハビリ専門職それぞれの将来需給を推計する分科会を設置。医師については、医学部入学定員設定の関係もあるため、一足先に議論を進め、今年(2016年)5月に次のような推計結果を示すとともに、医学部入学定員増特例措置の一部を当面継続する方針を固めました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

▽上位推計(医師需要が最も大きくなると仮定):2033年頃に約32万人で需給が均衡し、2040年には医師が1.8万人過剰となる

▽中位推計(一定程度、医師需要が大きくなると仮定):2024年頃に約30万人で需給が均衡し、2040年には医師が3.4万人過剰となる

▽下位推計(医師需要が最も小さくなると仮定):2018年頃に約28万人で需給が均衡し、2040年には医師が4.1万人過剰となる

将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に(上位推計でも2033年以降は医師供給過剰になる見込み)
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 ただし、議論の中で「高度急性期などの医師労働時間は、より適正化(短縮する)ことなどが考慮されるべき」との指摘があり、分科会では ▼医師の働き方・勤務状況などの現状を把握するための全国調査を行う ▼新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン(仮称)の策定―を行い、改めて「医師需給推計の精緻化」を行うことを軸とする中間まとめを行っています(関連記事はこちら)。

 厚労省は今般、この中間まとめに沿って、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(ビジョン検討会)を設置。ビジョン検討会の結論を踏まえて、医師などの将来需給推計を改めてより精緻に行うことを決めました。

 しかし20日の医療部会では、中川俊男委員(日本医師会副会長)や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らから、「ビジョン検討会の設置や、改めての推計などは医師需給分科会で一度も議論されずに決定された」「ビジョン検討会は非公開で開催される」といった点について不満が噴出。さらに、議論の際に厚労省医政局の神田裕二局長が不在で合ったため、中川委員は「局長は医療部会を軽視しているのか」という旨の発言まで行いました。

 これに対し、厚労省医政局総務課の中村博治課長は、前述のように医師需給分科会で「新たな働き方のビジョン」を策定し、精緻な需給推計を行うという中間まとめの趣旨に沿っていることを説明。さらに、同局医事課の武井貞治課長も「女性医師、勤務医などにどういった働き方がふさわしいのかをビジョン検討会で議論してもらい、さらにタイムスタディ調査を実施し、新たな就労データを入手し、精緻に推計したい」と述べ、理解を求めています。

 したがって、例えば医師需給分科会では、当面「偏在の是正」に向けた対策を練り、ビジョン検討会が報告書をまとめた(来年2月予定)後に、改めて需給推計の議論を行うことになります。

医療提供体制に係る改革公定表、ビジョン検討会のとりまとめ後に、医師・看護師などの需給推計の議論を行うことが示されている

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 なお、中川委員は「新たな需給推計の裏には、医師を増やそうという意図があるのではないか。医師が近い将来、過剰になることは明白であり、そうなれば何が生じるかは歯科医師や弁護士の状況を見れば分かる」とも指摘。これに対して加納繁照委員(日本医療法人協会会長)は「病院では医師不足が深刻であり、『数年後に過剰になる』と言われても、現状ではとても負担に耐えられない」と述べ、当面の医師養成数増に期待を寄せており、医療提供側の内部でも見解に大きな相違があります。

 

http://www.chibanippo.co.jp/news/politics/358956
医学部定員18人増へ 成田の新設含め
2016年10月21日 11:49 | 千葉日報

 文部科学省は20日、長崎大と私立大4校が2017年度に医学部入学定員を計18人増やす計画を公表した。これとは別に、海外での医療協力に貢献する人材育成を目指すとして、国家戦略特区に指定された成田市で、国際医療福祉大の医学部新設(定員140人)が認められており、17年度の総定員は9420人になる見込み。

 文科省は地域の医師不足解消のため、19年度まで医学部の一定の定員増を認める方針。私立大4校が申請した計16人分は、松野博一文科相が20日、大学設置・学校法人審議会に諮問した。長崎大の2人分についても意見を求める。

 定員増は(1)都道府県が地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す「地域枠」の設置(2)複数の大学が連携して研究医の養成拠点形成を目指す-場合などに認められている。



http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49984
大学病院の逆襲!ならば言おう「町医者ほど怖いものはない」
現役医師150人のホンネ

2016.10.21 週刊現代講談社

平気で専門外の看板を出す

「『週刊現代』は、大学病院は危ない、ガバナンス(組織の統治)が機能していない、新しい研究のために患者をモルモットにしているなどと、批判していますが、とんでもない。私から言わせれば、町医者で診てもらうほうがよっぽど怖いですよ」

こう憤るのは、ある大学病院の医師だ。この医師の言い分は正しいのか―ー。

今回本誌は、医師たちの本音を探るため、150人を超える現役医師に「町医者(開業医)に関する問題点」についてアンケートを実施。大学病院や民間病院で働く「勤務医」からはもちろん、開業医自身からも、町医者の問題点について様々な意見が寄せられた。上の表にはその結果を掲載した。

大学病院の医師たちが指摘したのは、まず町医者の医療に関する「知識不足、勉強不足」だ。

(1)「勉強の機会が少ないこと。問題のある対応をしても、後処理を大病院の医師に任せる」、(2)「診断や治療が正確でないケースがある」、(3)「町医者の場合、新しい治療法やガイドラインについていけていない医師が非常に多い」(数字は表と対応、以下同)。

大学病院のように新しい研究にばかり重きが置かれるのも考え物だが、町医者のように毎日患者を診ることに追われて、ただ独善的に漫然と、旧来の治療法を続けられるのも困る。

実際、開業医自身からも(5)「最新の医療知識を得る機会が少ない」との声が挙がっている。

当然ながら医者は、自分の専門以外の分野に対しては知識が伴っていない。にもかかわらず、町で見かける多くの開業医が、「○○科+内科+小児科」といったようにダブル、トリプルで看板を掲げている。なぜそんなことが許されるのか。

関西の大学病院に勤務する医師が語る。

「実は医師免許さえあれば、専門分野でなくとも、自由に何科でも開設することができるのです。

たとえば皮膚科や泌尿器科などのマイナーな科だけでは、患者が集まりません。そこで開業医としては、少しでも客(患者)を増やすために、『皮膚科+内科』など複数の看板を出すのです。ただこういう町医者は、内科の専門医ではないので、注意が必要です。腹痛の患者をただの食あたりと診断したが、実は急性虫垂炎(盲腸)だったなんていう誤診も事実、あります」

最近では在宅医療、終末医療の看板を掲げる町医者も増えている。だが、先頃亡くなった大橋巨泉さんの在宅医が、元々、皮膚科が専門だったように、専門外の医者が看板を掲げているケースは多々ある。

アンケートでも(17)「他科の病気に適当な治療をして悪化させることがある」、(18)「開業したら突然他科の領域まで診察し始める傾向がある」などの意見が寄せられた。

開業医の一番の目的は「儲ける」こと。そのためには患者に不利益があろうと、お構いなしというわけだ。

医療ジャーナリストの田辺功氏は「開業医の問題は、経営と医療が切り離されていないことにある」と語る。

「本来、医者は患者に必要な治療を行うことが仕事です。ところが経営者になれば儲けることが仕事になる。

公的な大規模病院であれば委員会や理事会が経営を行い、各科の専門医がそれぞれ治療を行っている。アメリカでは開業医そのものが少なく、病院の契約医として働くシステムが浸透しています。

一方で日本の開業医は経営と医療を同じ人物が兼ねていることがほとんど。他に監視する人がいないので、不要な医療を重ねれば重ねるほど儲かるというわけです」

さらにアンケートでは、「町医者は薬を出し過ぎている」との指摘も散見された。(27)「儲けるため死ぬまで患者を薬漬けにする」、(29)「必要のない薬をずっと出し続けている」、(30)「生半可な知識でどんな薬でも処方する」。

ある大学病院の医師が憤る。

「単なる風邪なのに、患者に確認もとらず抗生物質、解熱剤、咳止めなど、5~6種類もの薬を出してくる町医者には要注意です。はっきり言って不必要な場合がほとんど。そもそも風邪に有効な薬なんてないんです。安静にしているのが一番。

薬の飲みすぎは、副作用のリスクを高めるだけです。にもかかわらず、なぜ医者は抗生物質を出したがるかというと、単純に儲かるから。患者の満足度を上げるために意味もなく出しているのです。

また薬同様、診療報酬点数を稼ぐために、すぐ点滴をしようとする医者もいる。風邪は開業医にとってはボッタクリができる最高の病気なんです」

とにかく儲かる生活習慣病


さらにひどい例になると、患者の自己負担がないからといって、高齢の認知症患者や生活保護者に大量に薬を処方する町医者もいるという。

個人病院で働く看護師が、内情を明かす。

「生活保護の患者さんのカルテを見ると、腹痛、頭痛などこれでもかというほど症状が書かれています。処方できる量が国で制限されているのですが(基本的には一度に7種類まで)、カルテの日付を改竄してまで、睡眠剤や向精神薬など大量の薬を処方しています」

患者の中には、このように違法に処方された薬をインターネットなどで販売する輩もいる。町医者はそうした不法行為の手助けをしているとも言えるのだ。

また前出の田辺氏によれば、「診療報酬の水増し」を行っている町医者もいるという。

「今年の3月に美容クリニックを経営するタレント女医が逮捕された件はその典型的なケースです。生活保護者に架空の医療費請求をする手口もある。

最近では医師と医薬品卸会社が共謀して中国人ブローカーに睡眠薬などを横流ししていた事件も発覚。開業医は個人や一族経営の場合がほとんどで口裏を合わせやすく、不正が起こりやすい環境にあります」(田辺氏)

こういった不正を防ぐために国は、近年「基本的に一度に処方できる薬は7種類まで」と制限を設け、これを超えると、逆に診療報酬点数が減る制度に改定した。

また「院外薬局」が増えたため、昔のように開業医が薬価差益(薬を割引価格で購入し、患者には正規の値段で処方すること)で儲けることができなくなりつつある。

しかし、それでも「町医者が出す薬の量は減っていない」のはなぜか。

「同じ用法の薬を数種類にわけて処方箋を書くことで、7種類の制限を逃れ、儲けている医者もいます。

ただそれ以上に、町医者は新しい知識を得る機会も少なく、しかも全員が内科の専門ではないので、自分の診断に不安があるんです。だからとりあえず薬を出し、結果、多剤多量になってしまう」(別の大学病院の医師)

開業医は病院に来てもらわなければ始まらない世界。そのため(23)「開業医は再診料を得るために長期処方をしない」、(28)「再診料を稼ぐために頻繁な受診を患者に強いる」という。さらに勤務医たちからは(25)「(開業医は)医療報酬で恵まれすぎ」との指摘もあった。

どの病院でも、がん、糖尿病、高血圧などの患者を一人診察すれば「特定疾患療養管理料」が加算される。金額は入院ベッドが100床未満で1470円、100~199床の病院で870円と、病院が大きくなるにつれて下がる。それが開業医になれば、逆に2250円と跳ね上がるのだ。

さらに糖尿病や高血圧の薬を出せば、病床数が200床未満の病院においては月に1回、患者一人に対して「生活習慣病管理料」が加算される。脂質異常症だと650点。高血圧症は700点、糖尿病では800点(1点=10円)が医師の懐に入ることになる。

つまり、町医者にとっては、生活習慣病患者を作り出し、抱え込むことがもっとも安定した収益となるのだ。

困ったら大病院に「丸投げ」

こういった町医者優遇の背景には、開業医の多くが所属する「日本医師会」の存在がある。

「日本医師会の会員数は約16万7000人。医療界の中でも、非常に強い政治力をもつ組織です。そのため開業医に不利な医療制度の改善をしようとすると、横やりが入るので、中々改革が進まない」(都内大学病院の医師)

その他に、開業医が儲ける手段としてよく使うのが「無駄な検査」。回答にも(41)「過剰診療がある」、(43)「公的病院よりも収益を重視せざるを得ないため、無駄な検査が増える」などの声が挙がった。

採血、レントゲン、内視鏡、尿検査など様々な検査を行い、診療点数を稼ぐ。そして「結果が出るのは来週なので、その時にまた来てください」と言って再診させるのは、悪徳町医者の常套手段だ。

前出とはまた別の大学病院の医師は、「内視鏡検査時に不必要な生検(胃や腸の組織をとる検査)をする町医者が非常に多い」と語る。

「手技料、病理診断料などの保険点数が加算されるので、生検は儲かるんです。ただ、無駄な生検によって消化管出血を引き起こすこともある。私は腫瘍があっても悪性の疑いが強くないと、生検をすることはまずありません。それが良心的な検査医のスタンスです」

アンケートでは町医者による「手術の未熟さ」も散見された。(44)「医者としての腕がないのに手遅れになるまで患者を手放さない。どうしようもなくなって患者を大学病院に搬送してくるケースが山ほどあります」、(46)「術後の縫合不全で感染症になった」、(55)「自分では治療しきれないのに、専門医に紹介しない町医者がいる」など。

前出の田辺氏が語る。

「大病院は複数の医師が在籍しており、手術技量は他の医師の知るところとなります。医者同士の競争もあるので常に手術の技術を磨かなければならない。ところが小規模なクリニックであればその医師以外には看護師や事務スタッフがいるだけなので、手術の技量が分かりにくいのです。

ただ実際に手術を受けた近所の人には噂レベルですぐに知れ渡ります。だから近所の住民が寄りつかずに遠方からの患者ばかりのクリニックは気をつけたほうがいいですね。手術は下手でも宣伝が上手な可能性はありますから」

しかも開業医の場合、大規模病院と違い、管理、指導する人間がいないので、(56)「独りよがりになりやすい」、(59)「世界が狭くなり、自分が一番偉いと思いがち」との意見も多く見られた。

それでいて(60)「困ったら大病院へ丸投げ」するというのだから、大学病院の医師たちが怒るのも無理はないだろう。

もちろんすべての開業医に問題があるわけではない。中には儲けより、患者のことを第一に考える医者もいる。

だが、町医者を信用し過ぎたために、手遅れになって困るのは、ほかでもない患者自身だ。あなたの町の医者は大丈夫ですか。

「週刊現代」2016年10月15日・27日合併号より



http://mainichi.jp/articles/20161021/ddl/k42/040/282000c
酒気帯び運転
医師に罰金30万円 厳原簡裁 /長崎

毎日新聞2016年10月21日 地方版 長崎県

 対馬市の医師が7月、未明に呼び出しを受け、病院に向かう途中で酒気帯び運転で検挙された事件で、厳原区検は18日、同市厳原町久田、医師で県対馬病院診療技術部長の久保田元容疑者(59)を道路交通法違反罪(酒気帯び運転)で略式起訴した。厳原簡裁は19日、久保田被告に罰金30万円の略式命令を出した。【今手麻衣】

〔長崎版〕



http://www.asahi.com/articles/ASJBP24D5JBPUBQU001.html
療養14万床再編案 医師常駐2種類・容体安定なら個室
2016年10月21日09時25分 朝日新聞

 高齢者らが長期入院する「療養病床」のうち約14万床を新しい介護施設などに転換させる計画で、厚生労働省は3種類の施設案をまとめた。医療の必要性に応じて、医師が常駐するタイプから医師のいない個室タイプまで3段階に分類。医療機関に2018年4月からの転換を促すが、2年以上の経過措置も認める。
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 療養病床は医療費を抑える目的で、17年度末までの廃止・転換が決まっている。全国の約27万床のうち、「介護型」の6万1千床と「医療型」のうち比較的症状の軽い患者が入院する7万6千床が対象。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の特別部会で議論し、来年中に法整備する。

 厚労省案では、医療ニーズの高い人は医師が常駐する介護施設に移る。入居者1人当たりの床面積は8平方メートルで、療養病床の6・4平方メートルより少し広くなる。

 このタイプは2種類で、医師の配置に差をつける。認知症など比較的症状の重い人向けの施設は医師1人で48人を担当し、看護師と介護職員がそれぞれ1人で6人をみる。より軽症な人向けの施設は医師1人の担当を100人とする代わりに、看護師か介護職員1人で3人をみるようにする。

 一方、比較的容体が安定している人が移る施設は居住性を重視。終末期まで入居できる特別養護老人ホームに近づけ、病院の機能を縮小する。入居者1人当たりの床面積は13平方メートル以上で個室。特養の基準の10・65平方メートルより広い。医師は常駐しないが、看護師か介護職員1人が担当する入居者は3人で、特養と同じ水準。医療機関を併設する形にして、医療サービスも受けやすくする。

 部屋代や食費などは3施設とも入居者の自己負担だが、医師常駐型の施設では低所得者向けの補助も検討する。

■解説 10年ごしの再編計画に現実味

 2006年度に厚労省が打ち出した療養病床の廃止計画が、ようやく現実味を帯びてきた。

 療養病床は、たんの吸引といった医療も必要な患者が使うベッド。廃止計画は、医療の必要性が低い人も在宅で対応できず退院しない「社会的入院」を続け、医療費が膨れるという批判が背景にある。だが、医師が1人しかいない老人保健施設などへの移行案に医療機関側は反発。当初、11年度末だった期限は、17年度末までに延期された。

 今回の厚労省案は、医療機関側が求めてきた「医療ニーズに対応できる施設」に一定程度、応えた。期限が迫るなか、新施設の整備が医療機関の経営を圧迫しないように、2年以上という長い経過措置も設けることとした。入院している患者の行き場がなくならないように、スムーズな移行に向けた調整が欠かせない。



http://www.sakigake.jp/news/article/20161021AK0024/
元教授、秋田大双方に賠償命令 医療機器購入・懲戒処分訴訟
2016年10月21日 掲載 2016年10月22日 0時10分 更新 秋田魁新聞

 医療機器の購入を巡り損害を被ったなどとして秋田大(山本文雄学長)が医学部付属病院中央検査部長だった元教授(65)に損害賠償を求めたほか、諭旨退職の懲戒処分は違法などとして元教授が同大に損害賠償を求めた訴訟の判決で、秋田地裁(齊藤顕裁判長)は21日、元教授に約694万円、同大に約165万円の支払いを命じた。



https://www.m3.com/news/general/469671
点滴3袋に穴、投与中も 鎮痛剤2本と鍵束盗難 北九州の大学病院
2016年10月21日 (金) 共同通信社

 福岡県警折尾署は21日、北九州市八幡西区の産業医大病院で点滴袋3個に針で刺したような穴が開けられ、薬品保管庫の鍵束と鎮痛剤15ミリグラム入りの容器2本が紛失しているのが20日夜に分かったと発表した。穴の開いた点滴袋1個は患者に使用されたが、21日朝の時点で健康の異常はみられないという。署は窃盗、器物損壊事件として捜査、九州厚生局も薬品の管理体制を調べている。

 署によると、病院の男性職員が20日午後6時半ごろに鍵束と鎮痛剤がなくなっていることに気付き、午後8時すぎに110番した。その後、病室を巡回していた看護師が、個室の男性患者(58)に投与中の点滴袋に穴が開いているのを発見。他に未使用の2個にも穴が見つかった。

 佐多竹良(さた・たけよし)院長は記者会見を開き「深くおわび申し上げる」と謝罪した。紛失した鍵束のうち2個の鍵は医療用麻薬を保管していた金庫用で、今年7月にも別の病棟のナースステーションからパーキンソン病の治療薬1錠が紛失していたと明らかにした。この薬は覚醒剤の原料になるとしている。

 薬品保管庫と、穴の開いた点滴袋が使われた病室は9階にあり、この階には消化管内科と肝胆膵内科の患者計38人が入院していた。

 病院のホームページによると、内科や神経科、小児科などがあり、病床数は678床。

 産業医大は「解明に向け捜査に全面的に協力する。事態を重く受け止め、再発防止に向けて病院職員の教育・指導を一層強化する」とのコメントを出した。

※産業医大病院

 労働者の健康管理を担う産業医の養成などを目的とする産業医大(北九州市)が開設。1979年に診療を始めた。内科や整形外科、小児科、眼科といった診療科、がんセンターなどがある。労働者の健康管理、リハビリ、メンタルヘルスにも取り組んでいる。高度医療を提供する特定機能病院として、厚生労働省から承認されている。



https://www.m3.com/news/general/469751
釈放求める署名は2万筆、医師だけで1000超
2016年10月21日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対する準強制わいせつ容疑で乳腺外科医が逮捕、起訴された事件で、医療関係者有志で作る「外科医師を守る会」が10月20日に東京地裁に提出した署名が約2万筆だったことを同病院が明らかにした。

 署名は外科医の早期釈放を求める目的で、10月19日時点での総数は1万9463筆。職業記入で分類すると、医師が1159筆、看護師が1198筆、その他医療職が1720筆、医療者以外が1万1955筆だった。インターネットによる署名は3431筆。団体としても49団体が署名をしているという。

 柳原病院は「引き続き世論を高め、1日も早く釈放を勝ち取るために、署名やネットURLの拡散、様々なご支援ご協力をよろしくお願い致します」と訴えている(病院のホームページで署名用紙をダウンロードできる)。


  1. 2016/10/22(土) 05:56:48|
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10月18日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49815.html;jsessionid=A377B8A6DF77903DBDD1BC1AAE93E28A
Choosing Wisely日本が始動- 医師と患者の対話促進へ
2016年10月17日 15時00分 CB News

 一般社団法人医療の質・安全学会「過剰医療検証とChoosing Wiselyキャンペーン」ワーキング・グループは15日に東京都内で、米国発のChoosing Wiselyの日本での本格的な活動をするChoosing Wisely Japanを立ち上げた。設立宣言で、「患者にとって臨床上の効果が高く、害の少ない医療を実現するために、さまざまな調査活動とともに医療界および一般社会に広く啓発をする」との活動方針を打ち出した。【君塚靖】

 Choosing Wisely(医療における「賢明な選択」)とは、内科専門医を認定する米国内科認証機構財団が2012年、臨床系の専門学会に、過去の研究結果に基づいて価値が低く過剰だと考えられる検査や治療を5項目ずつリストアップするように呼び掛けて始まったキャンペーン。Choosing Wiselyは患者にとって望ましい医療について、医師と患者の対話を促進することを目指している。

 Choosing Wisely Japanの設立発起人を代表して、一般財団法人東光会七条診療所(京都市)の小泉俊三所長が、設立宣言を読み上げた。その中で、「私達Choosing Wisely Japanは、Choosing WiselyおよびChoosing Wisely Internationalと連携して、その活動をわが国に紹介するだけでなく、わが国においても根拠に乏しいまま実施されている医療の見直しを推進する」などとしている。

 同日は、Choosing Wisely Japanの設立を記念し、Choosing Wisely Canada代表のWendy Levinson 教授(Toronto 大学)を招いたほか、国内でChoosing Wiselyに取り組んでいる医師などがパネルディスカッションで、これからの活動に向けた課題などについて意見交換した。

 Levinson 教授は「世界に広がるChoosing Wiselyキャンペーン」と題した特別講演で、Choosing Wiselyの基本原則について、▽活動は臨床医が主導する ▽医療の質向上かつ有害事象の防止が目的 ▽患者の価値観を重視し、医師と患者の対話を中心とする ▽エビデンスに基づき随時見直す ▽多職種協働 ▽透明性の確保-を挙げた。



http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161018/BestTimes_3428.html
よく耳にする医者のセリフ その真意はどこにある?
BestTimes  2016年10月18日 08時00分 (2016年10月18日 22時08分 更新)

「しばらく様子を見ましょう」

医師がもっともよく口にする常套句。病名を特定できないケースで使う。その上で「こういう症状が出たらすぐ病院に来てください」と具体的に指示する医師は信頼できるが、曖昧なことしか言わないのはダメ医者だ。

「とりあえず薬を出しましょう」

「様子を見ましょう」と同じで、診断がついていないことが多い。この言葉を頻繁に口にする医師は自分の見立てに自信がなく、無難な薬ばかり出すので、なかなか症状が改善せず、通院が長引くという結果に陥りやすい。

「薬がなくなったら、また来てください」

患者をお客さんとしか思っていないカネ儲け第一主義の開業医のセリフ。糖尿病、高血圧、高脂血症など、慢性期の疾患を持つ患者たちは通院が長期にわたるので、クリニックの経営を支えてくれる大切なお得意さまなのだ。

「(手術は)成功しました」

多くの場合は額面通りに受け取ってかまわないが、中には「開いたものはちゃんと閉じ、手術室で亡くなることはありませんでした」というケースも。大学病院で外科医が無理な手術に踏み切る例がたびたび報告されている。

「(患者からの質問に対し)心配しなくても大丈夫です」

きちんと症状の説明をしようとしない医師は自身の診断や治療法に自信がないか、面倒くさいかのどちらか。診療内容を知り治療法を自ら選ぶインフォームドコンセントは患者の権利。そうしたことを怠る医師は時代遅れだ。

「他に何か心配なことはありますか」

浅草クリニック副院長の内山さんが診察の最後に患者にかける言葉。そこで再び話しだしたり、疑問をぶつけてくる人も少なくないという。患者の不安を取り除き納得するまでフォローするのが“いい医者”の姿勢なのだ。

取材・文/田中 幾太郎



http://www.medwatch.jp/?p=10822
「収益横ばい、費用増大」の対策どうする?大改定に備える「自治体病院向け実践セミナー」を緊急開催!
2016年10月18日|GHCをウォッチ MedWatch

 「収益横ばい、費用増大」の現状、「病院大再編へ向けた大改定」になることが予測される2018年度診療報酬改定を乗り切ることができるのか――。大改定を目前に控えた今、このような悩みを抱えている病院も多いのではないでしょうか。

 こうした中、特にコストが抑えづらい環境にあることが多い自治体病院に向けて、GHCは管理職向けの実践セミナーを緊急開催することを決定しました(セミナーのお申込みページはこちら)。

ここがポイント!
1 大改定乗り切る4つの視点
2 無料経営相談会も
3 セミナー概要

大改定乗り切る4つの視点

 「収益横ばい、費用増大」の課題に向けた対策の切り口は、大きく4つに分けることができます。

 まずは「ビジョン策定」。自病院の中長期的な立ち位置を定めないと、現状の改善に着手することはできません。自病院を取り巻く外部環境と内部環境をしっかりと分析した上で、今後、自病院がどのような方向性で経営をしていくのかを決断することが、経営改善の第一歩となります。

 続いて「収益改善」と「費用適正化」。すべての収益を改善することには限界もあるので、策定したビジョンに基づき、自病院の強みと弱みを明確にした上で、何をターゲットに収益改善を進めていくかを判断していきます。費用の最適化についても、ベンチマーク分析などを用いることで、改善効果の大きなところから取り組んでいくのが有効的です。

 最後に、「業務改善」。日々、現場は忙しく業務に取り組んでいますが、一歩下がり、データに基づいて業務の見える化をしていくと、思わぬ改善点が見つかることがほとんどです。現場の努力をしっかりと経営・医療の質向上に結びつけるためにも、業務の可視化に基づく改善は重要です。

無料経営相談会も

 上記の視点に基づき、GHCが誇る上級コンサルタントが、経営改善に大きく貢献しうる「ビジョン策定」「収益改善」「費用適正化」「業務改善」の各観点より、自治体病院向けに課題抽出の手順と具体的な対策手法を徹底解説します。

 また、今回は2病院限定ではありますが、特別に無料の経営相談会も設けさせていただきます。

 以下のようなお悩みがある方へ向けた実践型の無料セミナーとなりますので、是非、ご検討ください。

・急性期病床の削減が進む中、自病院の将来像が描けない
・患者数が頭打ち。具体的な集患手法について聞きたい
・コストが年々増加し、コスト最適化の切り口が見えない
・業務が多すぎて現場スタッフが疲弊している
・経営企画やデータ分析を担う人材が育たない
・経営改善に向けた着手ポイントを無料でプロに相談したい

セミナー概要

◆セミナー名称
【緊急開催】大改定に備える!自治体病院・管理職向け実践セミナー
~「収益横ばい、費用増大」への現場対策を徹底解説~

◆日時
2016年11月29日(火)
13:00~16:00(12:30開場)
※無料経営相談会は11:30と16:15の二枠(いずれも1時間)

◆会場
GHC新宿オフィス(東京都新宿区新宿六丁目27‐30新宿イーストサイドスクエア5F)
http://www.ghc-j.com/corporate/about/summary.html

◆プログラム
11:30 無料経営相談会(第一部)
12:30 開場
13:00 「2018年度診療報酬改定のポイントとビジョン策定」
    冨吉 則行(GHCマネジャー )※紹介ページはこちら
14:30 休憩
14:45 「収益改善・費用適正化・業務改善の具体的な手順」
    本橋 大樹(GHCマネジャー )※紹介ページはこちら
16:00 閉会
16:15 無料経営相談会(第二部)

◆対象
現場をマネジメントされる病院事務部門関係者(課長職以上の管理職)にお勧めのセミナーです。
※企業関係者のお申し込みはご遠慮ください

◆参加費
無料(1病院2名様まで)

◆セミナーお申込みページ
http://www.ghc-j.com/event/seminar/161129.html



https://www.m3.com/news/iryoishin/455787?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161018&dcf_doctor=true&mc.l=184231925&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 島根大“事故調”事件を検証
事故の教訓生かし、医療の質・安全向上を◆Vol.5
緊急帝王切開手術、開始まで14分に短縮

2016年10月18日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 2006年に島根大“事故調”事件当時、島根大学産婦人科教授だった宮崎康二氏によると、本事件後、緊急帝王切開手術が必要になった場合、より早く準備ができるよう、手術室や麻酔科医などの協力も得て、消毒法、麻酔方法なども含め準備の手順や在り方を見直したという(本連載のバックナンバーは、こちら)。「従来は1時間近くかかることもあったが、患者役に見立てた職員をストレッチャーに乗せて、手術室まで運び、消毒、麻酔、手袋と術衣を付けて準備をするシミュレーションを重ねた結果、『グレードA』の緊急手術の場合、約14分でできるようになった」(宮崎氏)。

 医療に100%の安全性と確実性はない。問題点を見い出し、改善を重ねる営みを続けるからこそ医療の発展がある。それは新薬や新規医療機器の開発にとどまらず、医療者の技術や医療機関の運営体制など、さまざまな分野で当てはまる。患者にとって不幸な事態が生じた場合、次世代の医療安全につなげることこそが、現場の医療者が果たすべき事故に対する責任と言える。

 その実現のためには、責任追及ではなく、再発防止に向けた院内事故調査が求められる。それ故に、2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、医療法上、その目的として、「医療の安全の確保」を掲げている。

 院内事故調査に端を発して、医師の責任追及の動きにつながった典型例が、福島県立大野病院事件(『「間違った鑑定書が冤罪を招く」』などを参照)。同事件は刑事裁判に発展、島根大“事故調”事件は民事裁判という相違はあるものの、院内事故調査が「医療の安全の確保」という目的で的確に行われないと、当事者である患者側と医療者側の双方に不幸な結果をもたらす点では一致している。

 県立大野病院事件で担当医の弁護人を務めた、弁護士の安福謙二氏は、「島根大“事故調”事件と大野病院事件は、よく似た構図」と指摘し、次のように語る。

 「島根大の当時の病院長が謝罪会見などを行って、産婦人科医らの過失を認めたにもかかわらず、それが裁判では、一転して過失を否定、裁判所も過失を一切認めなかった。患者家族にとっては、受け入れ難い病院の対応であり、そして結論だろう。他方、宮崎元教授をはじめ、産婦人科教室のスタッフも、裁判で結論が出るまでに10年近くにわたり、実質的には被告の立場におかれ、その精神的な負担、苦痛は大きなものを抱えていたと考えられる。

 結局、双方の苦痛は、院内事故調査報告書、さらにその前段階の特殊事例検討会の結論がもたらしたものである。これらは過失の有無を明らかにする目的で行われ、本来の医療事故調査制度のあり方とはかけ離れた議論がなされていることに驚きを隠せない。

 過去にさかのぼり、『誤った院内事故調査報告書』の再発を防止するため、報告書等と判決の齟齬、相違の徹底的検証が、患者家族や産婦人科医にもたらした苦痛に報いる必要かつ唯一の道ではないだろうか。

 そのほか院内事故調査の細部を見ても、(1)医療事故調査委員会の委員は、内部委員と外部委員の構成割合や、人選も含め適任であったか、(2)調査に当たって使用したカルテをはじめ諸記録の信用性の検証を行ったのか、(3)当事者へのヒアリングを丁寧かつ十分に行ったのか、(4)当事者からの再調査依頼への対応を適切に行ったのか、(5)報告書の記者会見の仕方は妥当だったか――などの点で、疑問を解消する義務が、当時の院内事故調査に関わられた方々に残るのではないだろうか」

 なお、島根大学医学部附属病院に対して、今回の医療事故の報告書をまとめた経緯や民事裁判の判決などについて取材を依頼したが、本連載の初回でも紹介した通り、「今回ご質問のあった案件につきましては、訴訟の中で大学側の主張を述べているところであり、結審した個別具体の案件についてのコメントは差し控えたいと考えますので、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます」との答えだった。

 ただし、併せて質問した、医療事故の対応体制については回答が得られたので、以下その全文を記載する。

【島根大学附属病院の医療事故対応の体制(現在)】

 事故は医療安全管理室に報告され、特に調査が必要1)と認識された事例については、病院長を委員長とする医療問題専門部会2)が招集され、過失があったと判断された事例については、医療事故調査委員会3)にて、事故原因を調査究明するとともに、再発防止対策をまとめ病院長へ報告書を提出します。

 過失の有無の判断が困難な場合には、特殊事例検討会を設置し調査しますが、過失があったと判断した場合には医療事故調査委員会に移行し調査を継続します。

 調査には、当事者はもとより、主治医、当該診療科長、外部の専門家等、関係者の出席を求め、カルテの記載内容と照らし合わせながら意見交換を行っていきます。意見の食い違いについては、食い違いが生じる原因を確認しつつ、徹底的な解明を目指すため、調査委員会が複数回に及ぶこともあります。当然、意見の食い違いが残ることもありますが、その場合、併記することは当然と考えています。

 検討の結果については、患者さん側へ口頭又は文書にて説明しますが、報告書の開示は行っておりません。

 公表については、基準を設けて対応しています。

 明らかに誤った医療行為又は管理に起因して、患者が死亡若しく障害が残存した事例又は重篤な事例で恒久的な治療を要した事例にあっては、医療上の事故等の発生後又は覚知後速やかに公表することとし、医療事故調査委員会等の調査結果を待って、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載することとしています。

 ただし、公表を決定した場合には速やかに公表することにしていますが、患者の状態、臨床経過、原因究明の状況、患者及び家族の公表に関する同意など踏まえ、時期や方法は総合的に勘案することになります。

 また、一過性に濃厚な処理又は治療を要した事例についても、医療事故調査委員会等の調査結果を待って、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載することとしています。

 なお、明らかに誤った医療行為又は管理は認められないが、医療行為又は管理上の問題に起因して患者が死亡し若しくは患者に障害が残存した事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例にあっては、日本医療機能評価機構に報告し、同機構を通じて公表します。

注について
1)(1)過失により患者が死亡若しくは重篤で恒久的な障害が残存した場合、(2)(1)に含まれる状態が、医療の経過上発生したものか事故かの判断が困難な場合、(3)事例発生後の説明に患者或いは家族の納得がえられず、医療紛争への移行が懸念される場合
2)医療問題専門部会
 病院長、副病院長(安全管理担当)、内科系診療科長:2人、外科系診療科長:2人、法医学講座教授、中央診療施設の部長:1人、特殊診療施設の部長:1人、薬剤部長、薬剤部長、専任リスクマネージャー、その他病院長が必要と求めた者:若干人
3) 医療事故調査委員会
 副病院長(安全管理担当)、医療問題専門部会の部会員・外部の専門家・その他病院長が必要と求めたもの:いずれも若干人



https://www.m3.com/news/iryoishin/271974
シリーズ: 混迷する”医療事故調”の行方
「事故から学ぶ」医療安全は限界
医療の質・安全学会、医療事故調のシンポジウム

2014年11月24日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 第9回医療の質・安全学会学術集会で11月23日、シンポジウム「WHOドラフトガイドライン 成功する報告システムの特性 医師法21条拡大解釈の反省から患者医師信頼関係へ」が開かれ、2015年10月からスタートする医療事故調査制度に対し、WHOドラフトガイドラインに準拠し、責任追及ではなく、医療安全に資する仕組みを作る重要性が異口同音に指摘された。

 5人のシンポジストは、医療安全の専門家、大学病院長、弁護士、大学教授と立場が異なるが、いずれも医師免許を持つ。厚生労働省はこの11月から医療事故調査制度の詳細な制度設計に着手しているが、5人の発言は、同制度が責任追及につながる懸念がいまだに払拭できない表れと言える(『“事故調”検討会、来年2月の取りまとめへ』を参照)。


 大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長の中島和江氏は、異型輸血をはじめ、何度も繰り返し同じ医療事故が起きている現状を指摘、「事故を調査し、再発防止につなげる」という制度設計そのものも疑問視。「事故調査は、『後知恵バイアス』がかかり、犯人探しになる。失敗には原因があるという発想自体、言い換えれば、有害事象が起きるまでは、何も行動しないこと」と指摘し、事故から再発防止につなげるという発想を転換し、「成功事例から学ぶ」必要性を強調した。「日常診療の大半はうまくいっているのであり、そこから学ぶ取り組みをしないと、真の医療安全にはつながらない」(中島氏)。

 医師・弁護士で、厚労官僚の経験も持つ、田邉昇氏も、「医療事故の原因究明は難しい。院内でも、また第三者機関で調査しても、容易ではない。つまみ食い的に調査しても、再発防止に役立たない。そもそも事故が起きるのは、金(診療報酬)がなく、人手が不足しているからだ。医療事故調査に予算を付けるなら、診療報酬を上げて、人手を増やすべき」と発言し、「診療報酬10倍論が持論」と明かした。

 医療事故調査の報告書が、民事訴訟などの責任追及に使用される懸念も根強い。昭和大学病院長の有賀徹氏と、埼玉医科大学総合医療センター病院長の堤晴彦氏が、期せずして共に紹介したのが、今年10月25日の読売新聞の「交通事故訴訟、10年で5倍に…弁護士保険利用」というニュース。弁護士が過剰気味とされる折、医療事故に関心を持つ弁護士が、「喧嘩の構図」を医療事故調査に持ち込むことをけん制した。また現在、医療事故情報等収集事業を行う日本医療機能評価機構と、「診療行為に関連した死亡に関する調査・分析モデル事業」(以下、モデル事業)を行う日本医療安全調査機構があるが、両氏ともに、類似の組織は「二つも要らない」と指摘し、医療事故調査関連の組織は一本化すべきとした。

 浜松医科大学医学部法学教授の大磯義一郎氏も、医療事故調査に当たっては、「不可罰性」と「秘匿性」が重要になると強調。特に課題は「出口」であり、遺族に対し、何を説明、報告、通知するのかがポイントになるとした。

 シンポジスト5人の発表後のディスカッションで議論になったのが、「秘匿性」、特に医療事故のマスコミへの発表が、医療安全に資するかという点だ。中島氏は、医療は行為と結果との因果関係が分かりにくいシステムであるため、「誰が、ではなく、どのような状況で仕事をし、事故が起きたのかを把握するのが重要」と指摘し、個人を特定するような報道を問題視した。

 田邉氏は、病院の弁護士を担当している経験を踏まえ、「記者会見をし、テレビが入ると、(放映され)大きな事件と見られる。その結果、警察が動くので、禁止している」とコメント。大磯氏も、「事実関係がまだ不明確な段階で、特定の個人がミスを犯した可能性に触れ、記者会見するのは問題」と指摘し、医療事故調査制度で「透明性」や「中立性」が求められる場合、その当事者、関係者は誰かが問題になるとした。堤氏も、「透明性が求められると言われても、何を意味するのかが分からない。医師の名前も、何もかも明らかにするというのは反対」と述べた。


◆中島和江・大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長
 「レジリエンス・エンジニアリングの医療安全への展開:うまくいっていることから学び、うまくいくことを増やす」

 中島氏は、これまでの医療安全への取り組みは、(1)さまざまな機能(人やモノなど)が関係する医療は、複雑系のシステムの代表格であり、機能が及ぼす結果の予測が困難、(2)「失敗には必ず原因がある」との発想を前提にしている――などの理由から限界があり、発想を転換する重要性を強調した。「失敗には原因があるという発想は、言い換えれば、有害事象が起きるまで、何も行動しないこと。原因を探すといっても、『後知恵バイアスがかかり、犯人探し』になる」(中島氏)。

 これからの医療安全は、(1)複雑系を前提、(2)失敗と成功は等価、(3)必ずしもはっきりとした原因がない、(4)安全の定義を動的(想定内の状況でも、想定外の状況でも、システムが求められた機能を果たしていること)、(5)許容されるアウトカムを増やす、(6)先行的――という視点での取り組みが求められるとした。「日常臨床業務の大半は、同じことをやっても成功しているのであり、その成功例から対策を見いだすことが求められる。その際のポイントは、日常臨床業務の複雑性を理解する、機能(function)に着目する、頭の中で考える仕事(work-as-imagined)と実際の仕事(work-as-done)を近づける。これら3つが、レジリエンス・エンジニアリングの中核であり、臨機応変、柔軟な対応が必要」(中島氏)。

 「日本医療機能評価機構の医療事故情報等収集事業には、異型輸血の事故が報告されるが、なぜ救急センターや、ICUで繰り返し起きるのかを考えてもらいたい」(『なぜ繰り返される異型輸血の事故 - 中島和江・阪大病院中央クオリティマネジメント部部長に聞く』を参照)。中島氏はこう問いかけ、何らかの対策を講じた場合、それを検証、フィードバックし、対策の妥当性を評価する必要性も指摘。

 日常臨床業務の複雑性を記述する方法に、「FRAM(Functional Resonance Analysis Model)」がある。これは、「I:input(入力)、O:output(出力)、P:precondition(前提条件)、R:resource(リソース)、T:time(時間)、C:control(制御)」の6つの要素から業務を把握するやり方だ。

 さらに、中島氏は、FRAMの考え方を社会システムに広げた。「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法は、患者の「P(前提条件)」に「不信感」を与えてしまった。医療提供者には、「C(制御)」が働き、医療が持っている大事な機能が止まり、診療拒否など、よくない状況に陥る懸念がある。モデル事業も同様であり、刑事司法と同様に、「work-as-done」ではなく、「work-as-imagined」になっている上、調査にもかなりのマンパワーが割かれているという。

 最後に中島氏は、新しい医療事故調査制度について、(1)患者と医療者の信頼関係を前提とし、これを壊さない、(2)複雑系を理解した調査、報告書作成、提言が行われること、(3)本来診療にあてるべきリソースを消費しないこと――を求めた。

◆有賀徹・昭和大学病院長
 「全国医学部長病院長会議の考え方」

 有賀氏はまず、全国医学部長病院長会議が2013年にまとめた、医療事故調査制度に関する報告書を紹介。WHOドラフトガイドラインに準拠し、院内調査を基本とするのが骨子だ(『「事故調査は医療者の責務」、全国医学部長病院長会議』を紹介)。同会議の今年5月の「死因究明に向けての動向に鑑みて」では、「一般診療と同様に、医療安全の面でも中小病院を地域の基幹病院が支援する構図になっている。このことにより、事故の当事者である患者・家族と医療者の間における信頼関係が強化・補完できる」と提言していると説明、医療事故への対応は、日常診療の延長戦上で行うものであり、「医療の外」で行う紛争処理とは次元が異なるとした。

 有賀氏は、今年10月25日の読売新聞に掲載された、「交通事故訴訟、10年で5倍に…弁護士保険利用」というニュースを紹介。「弁護士の報酬が目的か」と問いかけ、同様の「喧嘩の構図」を医療事故調査に持ち込むことをけん制した。

 今後の医療事故調査制度の制度設計に当たっては、(1)調査報告書の扱い、(2)遺族が、院内事故の結果を「諒」としない場合に、第三者機関に訴える場合の対応――がポイントになるとした。(1)の調査報告書は、日常診療の延長線上で事故調査を行う以上、まずは結果をカルテに記載するのが第一歩であり、報告書はA4判1枚程度のレポートを迅速に作成するのが、全国医学部長病院長会議の考え方だ。「報告書」を訴訟などに使うことは、「目的外使用」であると問題視。

 現在、日本医療機能評価機構と日本医療安全調査機構があるが、類似の組織は「二つも要らない」とも指摘した。

◆堤晴彦・埼玉医科大学総合医療センター病院長

 「医療事故調査制度の創設に対する日本救急医学会の意見」

 堤氏は、「日本救急医学会ではなく、救急医療の現場で働く一人の医師の立場から発言する」と断り発言、問題追及の矛先は、厚労省、患者側弁護士、検察、メディアに及んだ。

 まず厚労省については、医療事故調査制度を創設する狙いが、「調査権と行政処分権を得る」ことであれば、「いまだに(2008年の)大綱案の議論が繰り返されている。これでは悪代官に十手を渡すようなもの」と問題視(『「悪代官・厚労省に十手を渡すな」』を参照)。しかし、厚労省の「医療事故調査制度に関するQ&A」サイトに、「WHOドラフトガイドライン」に準拠すると記載されていることから、「大岡越前のような官僚も、厚労省内にいることが分かった」(堤氏)。

 また第三者機関である医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告対象として、「医療行為に起因しない管理」は外れたが、「これは厚労省の保身ではないか」との見方を示した。「高齢者の転倒が報告されると、再発防止策を検討する中で、その原因として病棟の看護師の配置数が少ないことが指摘される。これは行政としては、非常に困る」(堤氏)。

 また遺族からは「逃げない、隠さない、ごまかさない」ことが求められ、この点には賛同するものの、「今必要なことは、素直に謝罪できる環境作りではないか」とし、対立から対話への転換が必要とした。「ただし、対立を煽るような人たちが加わるとうまくいかない」。こう指摘する堤氏は、一部の患者側弁護士が医療事故調査で作成された報告書を、民事訴訟に活用する動きを次のように形容。

 「悪代官:越後屋、そちも悪じゃのう」
 「越後屋:いえいえ…、お代官さんほどでは…」

 さらに検察に対しては、杏林大学割り箸事件、東京女子医大事件、福島県立大野病院事件という、医療事故が刑事事件になっても、担当医が無罪になった例を挙げ、検察の仕事についても、第三者機関で検証する必要性を指摘。杏林大学割り箸事件では、事故発生時には、担当医を問題視する一方的な報道がなされたほか、無罪判決後もその論調が変わらない報道が一部にあったことを挙げ、書類送検時の医師の実名報道をやめるなど、メディアにも改めるべき点があるとした。

 そのほか、堤氏は、有賀氏と同様に、交通事故における訴訟の増加、「二つの機構」の問題点も指摘した。

◆田邉昇弁護士(医師)
 「医師法21条に関する最高裁平成16年4月13日判決」

 田邉氏は、医師法21条の解釈の変遷を紹介。1994年の日本法医学会の異状死ガイドラインは、「明らかな診療中の疾病死以外は全て異状死」とし、21条の拡大解釈との批判がある。その経緯について、当時、脳死移植を進めている現状があり、脳死判定につなげたいという背景があったと説明。

 1999年に起きた東京都立広尾病院事件では、担当医と院長が異状死体の届け出を定めた医師法21条違反に問われた(担当医は略式命令で終了)。争点は、(1)異状死体の定義(A:「異状」とは、外表面説か、経過異常説か、B:「検案した医師」とは診療中の死亡診断は、検案に当たるか)、(2)医師法21条は黙秘権の侵害に当たるか――だが、評釈は、(1)-AとBが中心だったという。

 2004年の最高裁判決では、「検案とは、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」「検案して異状があると認めた時は警察署に届け出る」とされ、「外表面説」で判断。黙秘権については、あくまで、「外表の異状」の有無を届け出るにすぎず、「届出人と死体とのかかわり等、犯罪行為を構成する事項の供述までも強制されるものではなから、黙秘権侵害に当たらない」とされた(『医師法21条、法改正の必要なし - 田邉昇弁護士に聞く』を参照)。違憲判決をするのではなく、医師法について、合憲限定解釈し、黙秘権侵害の問題を解決した。

 田邉氏は、外表面説を取る医師法21条の届け出範囲は意外に狭いため、「医師法21条による介入を恐れて、医療事故調を作るべきという議論は誤り」と強調。また厚労省や医師会が、医師法21条の解釈を正しく伝えないことも問題視した。

◆大磯義一郎・浜松医科大学医学部法学教授
 「医師法21条の法的問題と医療事故調査制度への課題」

 大磯氏も、田邉氏と同様に、2004年の東京都立広尾病院事件の最高裁判決に触れ、医師法21条が合憲とされた理由について、(1)(異状死体の届出は)公益性が高い、(2)医師免許に付随する合理的負担、(3)異状死体があったことのみの届け出である――と整理したが、いずれも疑問視した。例えば、(3)については、広尾病院事件の場合、院長は、医師法21条違反だけでなく、「虚偽有印公文書等作成および同行使罪」で有罪になっている。医師は、死亡診断書もしくは死体検案書の作成も求められ、「異状死体の届け出のみ」では済まない状況にあるからだ。

 広尾病院事件の最高裁判決以降、医師法21条に基づく異状死体の届け出やそれに基づく立件送致数が増え、萎縮医療や“医療崩壊”が起きたのは、リスクを他者に「転嫁」することができず、「回避」する行動の結果だと説明。ただし、福島県立大野病院事件の2008年の無罪判決以降、「裁判所の医療に対する理解が進展し、検察も無理しなくなり、司法と医療の相互理解」が進みつつあるとの見方を示した。

 大磯氏は、「悪者を作り上げて、徹底して責任追及するのではなく、医療安全を進めていくことが、一般国民の最大の利益」と指摘。医療事故調査制度の設計に当たっては、WHOドラフトガイドラインに準拠し、事故について報告する者に対する「不可罰性」と、患者や報告者の個別情報の「秘匿性」を厳守する重要性を強調。医師自身が信頼できる仕組み作りのためにも、これら二つが重要であり、厚労省令やガイドラインも「不可罰性」と「秘匿性」が求められるとした。特に課題は「出口」であり、遺族に対し、何を説明、報告、通知するのかがポイントになるとした。



https://www.m3.com/news/general/468598
がん治療薬盗んだ疑い 元社員逮捕、転売目的か
2016年10月18日 (火) 共同通信社

 札幌・中央署は17日、以前勤務していた医薬品卸会社からがん治療薬約850万円相当を盗んだとして、窃盗などの疑いで、札幌市豊平区、会社員木村一磨(きむら・かずま)容疑者(24)を逮捕した。

 逮捕容疑は9月、札幌市中央区の医薬品卸会社「モロオ」の事業所に侵入し、がん治療薬「アバスチン」60個を盗んだ疑い。

 署によると、木村容疑者は今年1月末に同社を退職した。インターネット上で製薬会社にアバスチンを売っていたことから発覚。転売目的だったとみて捜査している



https://www.m3.com/news/general/468674
焼津の研修医逮捕 準強姦容疑、3回目
2016年10月18日 (火) 静岡新聞

 焼津署は17日、準強姦(ごうかん)の疑いで、焼津市小川、焼津市立総合病院の研修医の男(28)=別の同容疑で逮捕、起訴=を再逮捕した。同容疑での逮捕は3回目。

 再逮捕容疑は6月中旬、県中部の飲食店で20代の女性に薬物のようなものを混ぜたアルコール飲料を飲ませ、意識がもうろうとした女性に自宅でわいせつな行為をした疑い。

 同署によると、男は黙秘しているという。



https://www.m3.com/news/general/468680
浜田市 医師負担考慮で休日診療一本化へ
2016年10月18日 (火) 山陰中央新報

 島根県浜田市は、旧那賀郡4自治区の休日診療在宅当番医制を廃止し、同市殿町の市役所内に設けている休日応急診療所に一本化する方針案をまとめた。休日応急診療所を担当する市医師会の医師の減少と高齢化が理由で、那賀郡医師会とともに9月、一本化の要望書を提出していた。市は、各自治区の地域協議会への説明を経て、2017年4月以降の実施を目指す
G3註:地域地図
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https://www.m3.com/news/general/468683
精神科救急相談、制度10カ月で257件 鹿児島県内
2016年10月18日 (火) 南日本新聞

 地域で暮らす精神障害者や家族らを支えるため、鹿児島県が昨年10月から始めた「精神科救急医療電話相談」の件数がまとまった。7月末までの10カ月で257件あった。うち強い自殺願望や多量服薬、対人的暴力など、即受診が必要と判断された相談が47件、約2割あった。

 17日、県庁であった県精神科救急医療システム連絡調整委員会(委員長・佐野輝鹿児島大医学部長)で県障害福祉課が報告した。

 電話相談は、県内で精神科のある42病院が輪番で担当。研修を受けた精神保健福祉士や看護師らが応じる。

 相談者は本人が166件、家族などが91件だった。相談は平日午後5時~翌日午前9時、日曜祝日と年末年始は24時間の対応。午前0時~9時の相談が4割を占めた。

 具体的には、女性から未明に「父が棒を振り回し大声を出している」と相談があり救急受診が必要と判断、県立姶良病院につないだ例があった。

 また、公的機関からの要請を受け患者の受け入れ病院を手配する精神科救急情報センター(県立姶良病院)は、昨年10月から運用時間を拡充。2015年度は81件の要請があり、前年度の43件からほぼ倍増した。要請機関は警察が42件で最多、消防が16件だった。

 委員会では、自傷や多量服薬で一般病院に救急搬送された患者への、退院後の支援が不足しているとの意見が出た。かかりつけのクリニックとの情報共有が不十分との指摘もあった。

 精神科救急医療電話相談=099(837)3458。



http://mainichi.jp/articles/20161018/ddl/k21/040/041000c
市立新恵那病院
完成 来月21日診療開始 /岐阜

毎日新聞2016年10月18日 地方版

 恵那市が同市大井町に建設を進めてきた新市立恵那病院が完成し=写真・恵那市提供、11月21日に一部を除いて診療を開始する。16日には一般市民らを対象にした建物内部の内覧会が開かれた。

 新病院は現在の恵那病院の隣接地に建設。建物は鉄筋コンクリートの免震構造で地上4階建て。延べ床面積は1万6498平方メートルで、病床数は199床、診療科は20科。隣接する既存の建物の解体や周辺整地など、すべての工事が完了するのは2018年3月末の予定。事業費は約85億5200万円。

 市では唯一の産院が医師不足から07年5月に閉院して以来、産科病院はなく、母親らが1万人を超す署名を添えて要望書を提出するなど産科診療施設の設置が熱望されていた。新病院では、来年春に産婦人科がスタートする予定だ。他にも、新たな施設として血液浄化センター、健康管理センターなどが加わる。【小林哲夫】



http://www.nagano-np.co.jp/articles/9358
岡谷市民病院開院から1年 診療科新設で体制充実
2016年10月18日 6時00分 長野日報

岡谷市の岡谷市民病院が昨年10月の開院から1年を迎えた。「病院が明るくなった」など建物や設備を評価する声が聞かれ、開院以降、新たな診療科が開設されるなど、医療体制の向上が図られた。一方で待ち時間の長さの改善を求める声は根強い。根本的な解決には医師確保が欠かせず、病院側は医師不足の解消を「最重要課題」に位置付けている。

市は開院に先立つ昨年4月、元信州大学医学部付属病院長の天野直二氏を院長に迎え、信大医学部との連携を強化した。天野院長が担当する認知症などを対象とした「シニアこころ診療科」や歯科口腔外科が新設された。医師確保に向けては信大などに派遣を要請するほか、民間の紹介業者も活用している。5月に内科医1人が民間業者を通じて着任し、10月1日付で信大から後期研修医1人が派遣され、現在の常勤医は37人。

課題となっている「待ち時間の長さ」の根本原因は医師不足。特に高齢社会の進展で患者が増えている整形外科は常勤医が2人、耳鼻咽喉科は1人のみ。いずれも「全国的に医師が少ない診療科」(同病院)という。

市民病院の医師一人当たりの患者数は2015年度、入院が6・3人で近隣の公立病院(諏訪中央病院や伊那中央病院など県内6病院)平均の5・2人、全国平均の4・5人よりも多い。外来は15・3人で近隣公立病院平均(同)の11・6人よりも多く、全国平均の7・5人の2倍以上となっている。

同病院を運営する市病院事業の15年度決算によると、入院は移転に伴う準備の影響や病床数減により、延べ患者数が3・9%減の8万5283人となったが、外来は移転に伴う休診があっても1・5%増の15万9930人となった。増加する患者に対し、医師が足りていない現状だ。

医師の負担は大きいが、天野院長は「医者なら誰でも良いというわけにもいかない。日常業務に加えて救急対応ができる医師が必要であり、早期の医師不足解消の大切さを理解しつつも一方で慎重さが必要」と話している。

待ち時間対策ではこのほか、待合室を離れても診療順が近づいたことを携帯電話で知らせるなどの対応を行うほか、接遇の改善を図り、「長い」をストレスに感じさせない工夫も重ねている。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08525320Y6A011C1CR8000/
オプジーボ、副作用追記を指示 小野薬品に厚労省
2016/10/19 1:59 日本経済新聞

 厚生労働省は18日、がん治療薬「オプジーボ」を投与された60代の患者1人が、副作用とみられる心筋炎を発症し死亡したとして、製造元の小野薬品工業に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示した。

 厚労省などによると、2014年7月の薬の承認以降、死亡した1人を含む3人が心筋炎を発症した。血小板が減り出血しやすくなる「免疫性血小板減少性紫斑病」や「横紋筋融解症」を発症した患者もおり、これらも重大な副作用とされた。

 オプジーボの投与を終えた後、14人が糖尿病などを発症したことも判明。厚労省は、投与終了後の副作用についても注意喚起を求めた。

 オプジーボは、一部の患者に優れた効果があるが極めて高額な薬剤。悪性黒色腫と非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療に保険が適用されている。〔共同〕



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54712/Default.aspx
厚労省 重大な副作用などで添付文書の改訂指示 ワルファリンとミコナゾール併用禁忌に
2016/10/19 03:50 ミクスオンライン

厚労省医薬・生活衛生局は10月18日、新たな重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知で指示した。この中で血栓塞栓症に用いるワルファリンと抗真菌薬ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)の併用により直近3年で31例の出血症例(因果関係が否定できないもの)が報告されているとして両剤の添付文書で「併用禁忌」と明記することした。

両剤の併用については、ミコナゾールの添付文書で「慎重投与」「重要な基本的注意」「併用注意」で注意喚起していたが、重篤な出血症例が多数報告され、同省としては「抗凝固作用モニタリング等をさらに強化することによるリスク回避は困難」と判断、「禁忌」扱いとした。この措置により、他のアゾール系抗真菌薬が使用される機会が増えると予想されることから、ワルファリンとの併用について「慎重投与」「重要な基本的注意」に追記し、注意喚起することにした。

改訂指示のあった薬剤と指示内容は以下のとおり(カッコ内は成分名、会社名)。
▽ワーファリン錠、同顆粒(ワルファリンカリウム、エーザイ)他
▽フロリードゲル経口用、同F注(ミコナゾール、持田製薬)
指示概要:両剤それぞれに相手薬剤を「禁忌」「併用禁忌」欄に追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例31例(うち死亡なし)
薬効分類:
333 血液凝固阻止剤(ワルファリン)
629 その他の化学療法剤(ミコナゾール)

▽イトリゾールカプセル、同内用液、同注(イトラコナゾール、ヤンセンファーマ)他
▽ジフルカンカプセル、同ドライシロップ、同静注液(フルコナゾール、ファイザー)他
▽プロジフ静注液(ホスフルコナゾール、ファイザー)
▽ブイフェンド錠、同錠、同ドライシロップ、同静注用(ボリコナゾール、ファイザー)他
指示概要:
「慎重投与」に「ワルファリンカリウムを投与中の患者」追記
「重要な基本的注意」にワルファリンカリウムとの併用に関する注意喚起を追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例はフルコナゾールとボリコナゾールで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
617 主としてカビに作用するもの
629 その他の化学療法剤

▽ローコール錠(フルバスタチンナトリウム、ノバルティスファーマ)他
▽メバロチン錠、同細粒(プラバスタチンナトリウム、第一三共)他
▽リポバス錠(シンバスタチン、MSD)他
▽リピトール錠(アトルバスタチンカルシウム水和物、アステラス製薬)他
▽リバロ錠、同OD錠(ピタバスタチンカルシウム水和物、興和)他
▽クレストール錠、同OD錠(ロスバスタチンカルシウム、アストラゼネカ)
▽カデュエット配合錠(アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチン
カルシウム水和物、ファイザー)他
指示概要:
「重要な基本的注意」に免疫性壊死性ミオパチーに関する注意喚起を追記。
「重大な副作用」に「免疫性壊死性ミオパチー」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):アトルバスタチンとロスバスタチンで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
219その他の循環器官用薬(アムロジピンとアトルバスタチンの配合剤)
218 高脂血症用剤(上記以外)

▽ステラーラ皮下注(ウステキヌマブ遺伝子組換え、ヤンセンファーマ)
指示概要:「重大な副作用」に「間質性肺炎」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):6例(うち死亡なし)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品

▽オプジーボ点滴静注(ニボルマブ遺伝子組換え、小野薬品)
指示概要:
「重要な基本的注意」の「過度の免疫反応」に関する記載に「投与 終了後の副作用」に関する注意喚起を追記
「重大な副作用」に「免疫性血小板減少性紫斑病」「心筋炎」「横紋筋融解症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):
投与終了後の副作用14例(うち死亡なし)
免疫性血小板減少性紫斑病3例(うち死亡なし)
心筋炎3例(うち死亡1例)
横紋筋融解症4例(うち死亡なし)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬

▽キュビシン静注用(ダプトマイシン、MSD)
指示概要:「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):1例(うち死亡なし)
薬効分類:611 主としてグラム陽性菌に作用するもの

▽ラピアクタ点滴静注液バッグ、同点滴静注液バイアル(ペラミビル水和物、塩野義製薬)
指示概要:「重大な副作用」の項に「急性腎不全」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):2例(うち死亡なし)
薬効分類:625 抗ウイルス剤

改訂指示関係資料はこちら(PMDAのHPへ)
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/revision-of-precautions/0306.html



http://mainichi.jp/articles/20161019/ddm/016/100/023000c
サービス付き高齢者住宅
制度5年 利用者、想定とずれ

毎日新聞2016年10月19日 東京朝刊

 見守りなどのサービスがあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が、2011年10月の制度開始から5年を迎えた。参入規制が緩いうえ国から補助金が出るため、急速に建設が広がり、20万戸を超えている。当初は早めの住み替えを検討している高齢者の利用を想定していたが、実態は介護の必要な高齢者の受け皿に。このため、制度と入居者の実態にずれが生じている。【有田浩子】

実態は介護施設
 「諸般の事情により10月末日を持ちまして業務を終了する運びとなりました」。三重県四日市市で昨年9月30日、サ高住の運営事業者が突然、廃業を通知し、認知症だったり生活保護を受けていたりする高齢者を含む入居者22人に1カ月後の立ち退きを迫った。14年秋に開業したばかりだった。

 廃業の通知を知ったケアマネジャーの斎藤則子さん(59)は市に通報。他の事業者が引き継がなければ入居者の行き先がなくなるため、すぐに他のケアマネジャーとともに受け入れ先探しに奔走し、月内に全員を転居させた。

 サ高住は高齢者が暮らしやすい環境を整えた賃貸住宅で、都道府県などへの登録制になっている。入居者は高齢者のため、登録基準に「居住の安定が図られた契約」があり、10年以上は運営するよう求められている。譲渡する場合でも事業者が引き継ぎ先を探すのが通例だ。

 しかし、四日市市のケースでは事業者と連絡が取れなくなり、県や市が「対応困難」と判断したのは月の半ばを過ぎていた。担当部署は県の住宅担当の課のほか、市の高齢福祉や生活保護の担当課など複数にわたり、情報共有や連携にも時間がかかった。

 斎藤さんは「行政に情報を伝えて働きかけても明確な返答や指導がもらえなかった。私たちが動かなかったら利用者はどうなっていたか。今でも何もしてもらえなかったとの思いが残る」と話す。

 この反省を踏まえ、県と市は今年2月、廃業により入居者の住まい確保が必要になった場合の取り組みをまとめ、県が主体となって関係者と連携することを確認した。

 入居者の9割が要介護認定を受けているとの調査もあり、多くのサ高住は実態として介護施設化している。だが、入居希望者向けに公開されている登録情報は「賃貸住宅」並みで安心して暮らせるかどうかはわかりにくい。医療や介護が十分に受けられない物件もある。

 東京都内のサ高住で訪問診療する医師は「ヘルパーは日中しか来てくれないので、ある末期のがん患者は、最期の2週間は24時間付き添いヘルパーを入れた。サ高住には医療も介護もそろっていると勘違いしている家族がいる」と話す。

 有料老人ホームなど高齢者住宅の事情に詳しいタムラプランニング&オペレーティングの田村明孝社長は「『早めの移り住み』とか『自立した高齢者の生活の場』といわれたが、現実は介護度が高く行き場のない高齢者の受け皿になっている。政府は、多額の建設・運営費がかかる特別養護老人ホームの増設には消極的で、介護費用の高い介護付き有料老人ホームも介護保険財政を悪化させるとして総量規制をしている。それをサ高住が担う形になっている」と指摘。情報の公開も不十分だとし、「介護サービスを受けたくても『うちはできない』と言われればそれで終わり。入居の際に確かめるしかないのが現状だ」と話す。こうした状況を受け、国土交通省は、登録情報を閲覧する際に、より詳細な情報がみられるよう事業者に求める方針を決めている。

 一方、医療も介護もそろっていても問題のあることも。あるケアマネジャーは「事業者が指定するデイサービス、ホームヘルプ以外、一切使わせないところもある」と明かす。入居者に系列の介護事業者を使わせて確実に利益を確保する事業者もある。「囲い込み」と呼ばれ、利益のために必ずしも必要ではないサービスまで受けさせられるケースもある。

空き家活用の動きも 負担より軽く
 サ高住は、社会福祉法人や医療法人だけでなく株式会社も手がけることができる。老人福祉法の規制を受ける有料老人ホームより参入しやすい上、国などの補助金もあり、急激に成長した。政府は、サ高住だけでなく高齢者向けの住宅について、20年までに12年(約54万戸)から倍増させ、100万戸以上とする目標を掲げている。15年度補正予算でサ高住約2万人分の整備費が盛り込まれた。

 ただ、大都市圏では家賃・共益費に生活相談・見守りサービスをつけると平均月11万円を超え、食費や介護費用も別途必要で、生活資金に余裕のない高齢者にはハードルが高い。

 そこで、空き家などを活用した高齢者向けの住宅を提供する試みも始まっている。東京都町田市の住宅街にあるアパートに住む男性(78)は2年前、静岡県から夫婦で転居してきた。対応した不動産業者は男性の様子から認知症を疑い、特養などを運営する同市内の社会福祉法人「悠々会」を紹介した。

 悠々会は、高齢者の生活を支援する見守り付き賃貸アパート「あんしんハウス」を運営する。要介護2の男性は妻(67)とハウスに入居した。あんしんハウスでは、室内に生活の状況から異変を察知したり、ガス漏れをチェックしたりするシステムが整い、職員が日常生活の相談にも応じてくれる。費用は月額6万4000円だ。空き家のオーナーに賃貸料の引き下げを交渉して借り上げることで入居者の負担軽減を図っている。

 あんしんハウスの事業を始めたきっかけは、介護を必要とする人の相談などに応じる地域包括支援センターの運営を市から委託されたことだ。持ち家がなく生活に困っているうえ、介護が必要な高齢者や、保証人がいないため賃貸住宅に入居しにくい高齢者らの多いことを知った。

 物件は入居希望者と一緒に探し、現在は7組8人が別々のアパートに暮らす。担当の鯨井孝行さん(36)は「法人が借り上げるためオーナーも貸しやすい。今後は、入居者の孤立を防ぐ社会参加や就労の機会を提供していきたい」と話す。

立地の偏りに課題
 サ高住の登録制度は「高齢者住まい法」の改正で創設された。原則25平方メートル以上▽バリアフリー構造▽見守りサービス▽生活相談−−の四つを満たすことが条件で、事業者が都道府県や政令市、中核市などに登録。家賃やサービスに関する情報が公開されている。新築だと1戸につき最大120万円の補助金が国から出る。入居費用は家賃、共益費、生活相談・見守りサービス費用の合計で全国平均9万9000円。

 地価が安いところほど多くつくられる傾向にあり、立地の偏在が課題だ。入居者の3割以上が要介護3以上で、認知症で日常生活に支障が出るとされる2以上も4割を占める=グラフ。

 約8割は通所介護事業所など高齢者支援施設を併設しているが、デイサービスや訪問介護、泊まりなどの機能を持つ「小規模多機能型居宅介護」の併設・隣接は1割程度にとどまる。



http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20161018-OYT8T50025.html
在宅医療費、保険で軽減
2016年10月19日 読売新聞

特約、各社から続々…一時金や終身保障も

 高齢化が進み、入院せずに自宅などで療養する在宅医療を受ける人が増えている。病気やけがをした際に給付金が支払われる民間の医療保険は、これまで入院保障に重点を置いてきたが、在宅医療も特約で保障の対象にするものが出てきた。

患者数2.4倍に

 日本在宅医療学会の理事長で、横浜市の「睦町クリニック」の城谷典保医師は、自宅や介護施設で療養を続ける患者の訪問診療を行っている。末期がんや人工呼吸器を必要とするような重症患者も多いという。「自宅で最期を迎えることは、もはや珍しくありません」と話す。

 厚生労働省の推計では、2014年に在宅医療を受けた患者数は1日あたり約15・6万人で、05年の約6・5万人から2・4倍に増えている。政府は医療費を抑制するため、療養患者の入院ベッド数を減らしており、長期の入院はますます難しくなりそうだ。城谷理事長は「高度な治療を行う病院を退院して、在宅医療を勧められるケースは増えていく」とみている。

条件はさまざま

 こうした流れの中、民間の医療保険で、在宅医療の保障付き特約が登場している。基本の保険料などに数十円から千数百円の特約保険料を加えることで契約できる。

 SBI生命が今年2月発売した終身医療保険「も。」の在宅医療向け特約は、給付金が月6万円(70歳以上は3万円)、最長36か月まで支給される(入院保障1日1万円の場合)。

 明治安田生命の医療保険「メディカルスタイルF」は、退院翌日から180日(がんの場合は730日)間、医療費の自己負担分の全額を支給するほか、一時金として1万円を給付する。この2社は、入院時と同じ病気やけがで在宅医療を受けた場合が対象となる。

 また、医療機関以外で自己注射、人工透析、酸素療法のいずれかを受けた場合を保障の対象にする特約もある。

 マニュライフ生命の「こだわり医療保険 with PRIDE」は毎月3万円が60回を限度に、フコクしんらい生命の「医療自在FS」は、85歳まで5万円~50万円の一時金が、それぞれ支給される。

 介護ジャーナリストの小山朝子さんは「負担感を和らげるのに役立つが、年齢や治療内容によっては給付の対象外の場合もあるので、条件を調べて契約する必要がある」と話す。

高まるニーズ

 在宅医療にかかる医療費は一定の範囲に収まるのが一般的だ。公的医療保険の高額療養費制度によって、70歳以上の高齢者ならば、収入に応じて月8000円~4万4400円を超える医療費は支払いが免除される。

 ただ、小山さんによると、滅菌ガーゼ、カテーテルなど、日常のケアに使う医療関連品を自己負担する場合もあるという。さらに在宅医療では、生活費や介護費などの費用がかさむことになる。

 医療情報サイト「QLife(キューライフ)」の昨年の調査では、、在宅医療を受ける患者の家族500人のうち76%が費用を「負担に感じている」と回答した。保険の役割は今後も高まり、利用者のニーズを把握した内容の充実が求められそうだ。(宮木優美)

2016年10月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun



  1. 2016/10/19(水) 06:26:27|
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10月17日 

http://smart-flash.jp/sociopolitics/12717
使えない医者を量産する「怒らず、残業させず」新研修医制度
2016.10.17 Smart FLASH / 光文社

「研修医は叱らないでください」

 ある日の朝、某病院の麻酔科部長のA先生が私に釘を刺した。これから始まる手術の麻酔を研修医が担当するのだ。私はそのサポート役である。

「それから、研修医の担当する手術が17時以降に及んだ場合、本人が帰宅を希望したら交代してください。厚労省のガイドラインで決められているので」

 かつて、研修医は出身大学で各専門科の研修を受けるのが慣習だった。だが2004年、厚労省が定めた新医師臨床研修制度によって、新人医師は2年間で「外科2カ月→小児科2カ月→麻酔科1カ月……」式にいろいろな科を廻り、幅広い分野の総合的な能力を養うことになった。

 それにより大学病院に長年存在した医局制度は衰退した。新人医師が「幅広い分野の総合的能力を養う」ことは悪いとは思わないが、新制度の影響が医師不足・医療崩壊(※)という形で表面化したのは残念だ。『ドクターX』はそんな現状を背景に描かれているドラマなのだ。

 厚労省の新研修医指導ガイドラインには「ミスをしても頭ごなしに叱らず優しく諭す」「本人の同意のない時間外労働は禁止」「体調不良時には休ませる」とも。なんとも優しいことだ。

 A先生は、かつて鬼コーチとして研修医に恐れられる存在だった。「鉄は熱いうちに打て」をモットーに研修医を使い倒し、仕事が終わった後も英文論文を渡して、それを翌朝までに読ん
で来なかった研修医は、カンファレンスで罵倒された。

 しかし、彼の熱血指導を2年間耐え抜いた研修医は、それなりに使えたのも事実であった。

「さすがの鬼コーチも、厚労省には勝てなかったか……」

 冒頭の場面に話を戻そう。

 研修医は8時40分になっても現われない。手術開始は9時。「筒井先生、代わりに麻酔の準備をしておいてもらえませんか?」とA先生。

 研修医をケータイで呼び出すのも「今はまだ時間外だからダメ」と。なんでも、以前研修医を夜9時まで働かせたところ、パワハラで始末書を書かされたという。

「夜9時でパワハラですか!?」

 と私が驚くと、

「そう。心臓外科部長なんて、徹夜オペの助手をやらせたら、労働基準監督署に直訴されたんですよ」

 聞けばその研修医たちはその後、一人は先輩医師とデキ婚して専業主婦になり、もう一人は「こんなブラック病院は撲滅する!」と宣言して、ロースクールの受験勉強をしているとか……。

 8時50分、手術部受付の電話が鳴った。研修医からA先生に「LINEを確認してください」との伝言だ。A先生が慌ててスマホを開くと「今日は体調不良なので休みます」とのメッセージがあった。

「そういうわけですので、筒井先生、この手術の麻酔をお願いします」

 そして「了解、お大事に」とLINEに返信したA先生だった。


※医師不足・医療崩壊=さまざまな原因があるが、新医師臨床研修制度により新人医師が大学病院ではなく都市の総合病院に集中し、余力を失った大学病院が地方病院に医師を派遣することができなくなったこともそのひとつとされる

<筒井冨美 Fumi Tsutsui>
 1966年生まれ フリーランス麻酔科医 国立医大卒業後、米国留学、医大講師を経て2007年からフリーに。医療ドラマの制作にも関わり、『ドクターX』(テレビ朝日系)取材協力、『医師たちの恋愛事情』(フジテレビ系)医療アドバイザーを務める



http://biz-journal.jp/2016/10/post_16925.html
問題だらけ!JALとANAの「医師登録制度」
2016.10.17  Business Journal

JAL・ANAの「医師登録制度」は問題だらけ! 飛行機内で急病人が発生したら……

 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか~!」毎度おなじみのこのフレーズ。颯爽と手を上げたイケメン医師がすばやい処置を施す。現実はドラマのようにはいかない。
 今春、公益社団法人日本医師会とJAL(日本航空)は、国内初の「JAL DOCTOR登録制度」を立ち上げた。日本医師会が発行する「医師資格証(=IC付きカード)」を持ち、事前登録した「医師(=JALマイレージバンク会員)」が機内で不調を訴えた急病者に迅速かつ適切な応急措置を行う、それが「JAL DOCTOR登録制度」のねらいだ。
 海外35億2500万人(ICAO/国際民間航空機関統計)、日本9519万7000人(国土交通省航空輸送統計年報)。延べの人口比率で見れば、海外なら世界人口の48%、日本なら日本人口の75%にもなる。
 機内で頭痛や腹痛に襲われることがあるかもしれない。急に体が不調に陥った時、機内でどんなケアが受けられるのか? そんな時、機内に医師が搭乗していたら、安心できるにちがいない。
JALとANAの「医師登録制度」がスタートしたが……

 JALのテイクオフから7カ月後の9月1日、ANA(全日空)は、JALを追うように「ANA DOCTOR ON BOARD」の導入に踏み切り、「お客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」の機内アナウンスを消した。

 この制度は、医師個人の意思と判断に基づいて登録するので、登録医師が搭乗すれば、航空会社は医師の搭乗を事前に掴める。体調が急変した乗客が出ても、客室乗務員が医師の席へ行き、「お願いします」と依頼できる。

 「お医者さんはいらっしゃいませんか?」のドクターコールがないので、乗客は不安感をもたない。何よりも人命救助がよりスムーズに行われる可能性が高まる。それが、この制度のメリットだろう。

 「医師登録制度」の足並みは揃ったかに見えるが、「JAL DOCTOR登録制度」も「ANA DOCTOR ON BOARD」も難題を抱えている。制度設計の甘さを指摘する声が根強いからだ。

なぜ医師が名乗り出ない? 「医師登録制度」の数々の問題点

 JALとANAの「医師登録制度」の問題点は何だろう?

 第1点、責任の所在の不明確。JALもANAも「故意、重過失の場合を除き、会社が対応する」としている。だが、設備も環境も不十分な機内の医療行為の故意、重過失をどのような基準で判断するのか? 

 患者が死亡すれば、訴訟のリスクを負わされる。善意の行為でも、医師は業務上過失致傷罪・致死罪に問われるリスクがある。民事責任を免責されても、刑事責任は避けられない。

 ちなみにアメリカには、「災難に遭った人、急病の人を救うために無償で良識的かつ誠実に善意の行動をとったのなら、失敗しても結果責任を問われない」という「善きサマリア人の法」が立法化されている。

 第2点、登録時の専門とする科の選択肢が不十分。登録できるのは麻酔科医、産婦人科医、一般開業医、内科医/心臓専門医、神経科医/精神科医、その他だ。

 科は必ずしも医師の専門スキルを表していないので、専門スキルを選べるように変えるべきだ。

 第3点、機内の医療設備が未整備。設備が未整備のため、病態の原因が分からず、十分な診断ができない。

 原因が分かっても、設備も薬剤もなければ、対応できることは限られ、最適な治療ができない。救急バッグは常備されているが、超音波装置などの診断装置も必要になる。

  第4点、登録できるのは医師だけ。救急医、救急救命士、看護師は除外。

 救急救命が必要な急病者なら、救急医、救急救命士、点滴の準備をする看護師が不可欠だ。救急医、救急救命士、看護師も登録できるように改善しなければならない。

 第5点、報酬の明示が不明確。機内の治療行為は、医師法に定める勤務時間外の診療だ。医師への報酬を明示しないのはなぜか? 

 JALは「空港のsakuraラウンジが使える」、ANAは「お礼状など常識の範囲内での対応」としているが、医師にボランティアを求めるのは、誠意も礼儀も失する行為だ。

 ちなみに、ルフトハンザ航空(ドイツ)なら、医師登録すれば5000マイルの付与と、次回使える50ユーロ分のチケットがプレゼントされるという。

JALもANAも「医師登録制度」の見直しを急ぐべきだ

 このように、JALとANAの「医師登録制度」は、難題ばかりだ。

 早急に医師をはじめ、救急医、救急救命士、看護師の意見をヒヤリングして、設備の整備、救急医、救命救急士、看護師の登録、責任の所在と報酬の明確化に取り組まねばならない。「善きサマリア人の法」の立法化も重要課題になるだろう。

 「医師登録制度」のスタートラインはできていない。制度の趣旨と目標が明確になれば、使命感と善意がある医師らは、安心して登録するはずだ。乗客の信頼感も満足感も高まるだろう。JALもANAも制度の見直しを急いでほしい。
(文=編集部)



http://yamagata-np.jp/news/201610/17/kj_2016101700344.php
山形刑務所、常勤医師がいない 安全や待遇への不安背景
2016年10月17日 15:44 山形新聞

 今年4月から山形刑務所の常勤医師がいない異常事態となっている。医師向けの求人サイトを活用したり、山形大や県、市の医師会に依頼するなど策を講じているが、なり手が見つからないという。関係者によると、背景には ▽受刑者への恐怖感 ▽民間に比べ給与が低い― などの先入観が広まっていることが挙げられる。現在は非常勤医師12人が交代で急場をしのいでいるが、受刑者の高齢化が進む中「一刻も早く常勤医師の確保が必要」と担当者は危機感を募らせている。

 山形刑務所を管轄する仙台矯正管区によると、東北6カ所の矯正施設で、常勤医師が不在なのは、山形刑務所、盛岡少年刑務所、福島刑務支所(女性のみ)の3カ所。ただ盛岡は若年受刑者で、収容者数は234人(8月末現在)。福島は490人(同)で、男性の福島刑務所と同じ敷地にあるため、補完が可能だ。これに対し、山形は千人規模で長期の受刑者も多いため、医師ゼロは喫緊の課題といえる。

 この状況に山形刑務所は、非常勤医師の交代勤務で対応している。5、6人の准看護師と1人の看護師が常駐しているが、常勤医師がいないと継続的な治療ができない、緊急対応に時間がかかる―などの問題点がある。

 同刑務所によると、3月末で男性医師が県外に転出。13年度からはこの男性医師が担ってきたが、今年4月に後任が見つからず「ゼロ」になった。この10年で常勤医師が不在となったのは2011~12年度以来2度目という。大学や医師会への直接依頼に加え、医師向けの求人サイト「e―doctor」に掲載するなど対策を取っている。

 常勤医師は国家公務員扱いの「矯正医官」で、年収約1千万~1100万円という。性別不問で、医師免許があれば任用可能だ。平日午前8時半から午後5時までの勤務で週休2日、当直はない。年次休暇も40日あるが「犯罪者と向き合うのは怖い」「民間と比べて収入が低い」などの声がある。実際には問診に刑務官が立ち会うため「安全は確保されている」と担当者は話す。

 関係者は「受刑者の心身を健康に保ち、罪と向き合わせるために適正に管理することが刑務所の務め」と力を込める。高齢化で認知症や介護の必要な受刑者も増えているといい、「医療体制の充実が急務だ」と窮状を訴えている。

◆東北6県の刑務所の常勤医師数と収容者数
     医師数(定員) 収容者数
 青森   1  (1)   451
 宮城   7  (8)   945
 秋田   1  (1)   413
 山形   0  (1)   1009
 福島   1  (1)   956
福島支所  0  (1)   490
盛岡少年  0  (1)   234
(収容者数は未決者を含む8月末現在)



https://www.m3.com/news/iryoishin/468310
「全ての面で市中病院が圧倒」、マッチングの動向
『ハローマッチング』著書の石黒達昌氏インタビュー

2016年10月17日 (月) 高橋直純(m3.com編集部)

 10月20日に最終結果が公表される2016年度医師臨床研修マッチング。医師国家試験対策予備校テコムで講師を務め、医学部生向けマッチング解説書『ハローマッチング』(医学評論社)を執筆している医師の石黒達昌氏にマッチングの仕組みや近年の傾向について聞いた(2016年9月30日にインタビュー)。

――マッチングは2003年度から始まりましたが、医師の中でも詳しい仕組みをご存知ない方もいると思います。簡単にご説明いただけますでしょうか。
 マッチングは2004年度から義務化された初期臨床研修制度に伴って、厚生労働省が前年の2003年に作った制度です。アメリカで1952年からあるThe National Residency Matching Programをモデルにして作られています。マッチングに参加する研修プログラム(病院)と医学生の双方の希望をコンピュータアルゴリズム下に公平な形でマッチさせていきます。両者で“婚約”が成立すると、仮契約を結ぶことになり、マッチした病院で研修を受けない等の場合には一定期間、マッチングに参加できなくなるといった制裁もあります。

 医学生はどの病院で研修するかを調べるため、4、5年生になると各地の病院を見学しています。

――マッチングの導入で大学病院離れが進んでいます。
 残念ながら、職場の雰囲気や知識・手技の習得、雑用の少なさなども含め、ほぼ全ての面で研修の場としては市中病院が大学病院を圧倒しています。研修する一番の目的は、なるべく早く一人前になること。学生からすると実をとるのは当然です。

 大学病院では医局システムの名残があり、ピラミッドの一番下、下手すると学部生の下ということもありますが、市中病院では「お医者様」として扱ってくれる。たくさんの症例を経験できるということもありますが、市中病院ではどんなに新米でも「自分は医師なんだ」という自覚が持てることが多いです。

――医師の地域偏在を助長するとも言われています。
 僕が東京の予備校で教えていることも大きいかもしれませんが、都会志向が強まっていると感じています。高校生と話す機会もありますが、どうせ東京に帰るから大学(医学部)はどこでも良いという子もいます。

 ただ、それは医師もそうで、地方の大学を出てもフリーランスになって都会に出ていく。私の勤務先も麻酔科医がいないので、手術のたびに派遣会社にお願いしています。医局に組み込まれなくても十分にやっていけて、経済的にも潤うという状況がある。我々もそうなので、学生に都会志向がだめとは言えないと思います。

――マッチングの是非はどうお考えでしょうか。
 マッチングは医学生の将来選択として一つのハードルになっており、それが良いと思います。医師国家試験は約9割受かる試験で決して難しくない。人気の市中病院では、ペーパー試験や論文、面接があり、倍率もそれなりです。試験に妥当性があるかは別としても、医学生が各地の病院を見て考えるきっかけになっています。病院も、どこまで守っているかは別として、かっちりとしたプログラムも作るようになりました。

 そして何より、最大の効果は医局の力が緩んだこと。以前は大学医局に医師を派遣してもらう必要があり、そのために病院長に大学から落下傘的に降りてくるということも多かったです。今は制度として定期的に新人医師が入ってくるので、下からコツコツたたき上げた人が病院長になれるようにもなりました。

――石黒先生はいろいろな立場で医学教育に関わってこられたと聞いています。
 1987年に医学部を卒業しましたが、6年時に国家試験に落ちるという強迫観念にかられ、東大生としては珍しく(笑)、予備校の冬期講習会に行きました。その時に講義をしてくれた先生の話が大学の講義よりはるかに面白くて感動しました。何とか合格することができた後、初期研修の忙しい半年が終わり、麻酔科に移ったころに、その予備校から講師になってほしいと連絡が来て、この業界に足を入れました。 その後、外科に移って忙しくなった時に、その予備校もつぶれて、外科研修に専念できてちょうど良かったかもと思っていましたが、ある日、上司から別の予備校で教えるようにお願いされました。やんわり断ったつもりが、今度は病院長から呼ばれて「教えてくれることになったんだって。ありがとう」と(笑)。要するに病院ぐるみで近くの予備校で教えていたのです。

 東大の外科に入局後は、文部科学省高等教育局医学教育課にも派遣されました。今でこそ医学教育課は厚生労働省と交流がありますが、当時は完全な縦割りでどちらかと言えば対立関係にあったように記憶しています。OSCEができたのは僕がいたころです。文科省は大学を統括していたのにもかかわらず、国家試験というクリティカルなところは厚労省が押さえていて、OSCE導入の動機には、多少主導権争いもあったのではと想像したりもします。

 その後、テキサス大学MDアンダーソン癌センター助教授などを経て、帰国後はフリーランスの外科医になりました。いまだに場所を変えて予備校でも教え続けており、2004年度からは、マッチングの傾向と対策を紹介する『ハローマッチング』というガイドブックを執筆し、論文の書き方指導や医学生へのアンケートに基づく人気病院の過去問解説などをしています。

――いろいろな場所で医学教育をされてきて、どのような形がいいとお考えでしょうか。
 臨床研修で言えば、初期研修も含めた8年は長すぎるのではないでしょうか。6年間の学部教育のうち最初の4年間は教養的なことを極力省いて、医学専門教育に特化し、共用試験を通過したら残りの2年は現在の必修研修のようなカリキュラムにして、とやれば卒業と同時に専門を選択できる以前のような体制に戻せると思うのです。もっとパワーアップした形で。今の初期研修ではどうしても「お客様」のような位置付けになっていて、「鉄は熱いうちに打て」といった体制にはなっていない気がします。そのうち見直しがなされるのではないでしょうか。

 文科省時代、隣の課長補佐と雑談混じりに話していたことですが、臨床は癌センターなども含めた公的病院、研究は大学付属病院と研究所、そして教育は大学医学部といった棲み分けでいいんじゃないかと。逆に言うと、医学部の教授は教育に特化すべきだと。良い医師、良い研究者、良い教育者は基本的には別の存在で、教えることは、特殊な才能、アートだと思います。一人の教授が三つもやるのは、現実的に難しいし、そもそも三権分立の原則に反すると思うのです(笑)。

※医師国家試験対策予備校テコムや医学評論社を運営する株式会社テコムは2016年よりエムスリーのグループ会社になっています。



https://www.m3.com/news/general/468254
症例集めの難しさ一因か 患者「信頼揺るがす事態」 精神保健指定医の不正取得問題
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 全国の精神科医100人前後が「精神保健指定医」資格の不正取得に関与した疑いがあることが9月に明らかになった。申請時に提出する症例リポートの使い回しが横行。症例集めの難しさが一因との指摘もあるが、強制入院の判断など強い権限を持つだけに、患者側は「信頼を揺るがす事態」と批判する。識者からは「精神科医療の在り方を見直す機会にすべきだ」との声も出ている。

 ▽100人

 聖マリアンナ医大病院の医師が資格を不正取得していた問題が発覚したのは昨年4月。指導医を含む計23人の資格が取り消され、症例リポートを使い回して申請する手口が常態化している実態が露呈した。

 厚労省はその後、診療記録の保存期間が法律で5年となっていることから、過去5年に資格申請を受け付けた2千人以上の症例リポート1万6千件超をデータベース化。患者名や入院期間に重複するものがないかどうか調査を続けてきた。

 その結果、指導医も含め100人前後の不正関与疑いが判明。聖マリアンナ医大病院の別の医師や、相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された容疑者の措置入院判断に関わった医師もおり、同省担当者は「ここまで多いとは」と声を落とす。

 指定医の数は、昨年7月時点で1万4793人。同省幹部は「5年以上さかのぼれば、不正取得者がもっといる可能性はある」と認める。

 ▽絶対的存在

 患者本人の意思にかかわらず強制入院させる措置入院や、患者の自由を奪うことにもつながる身体的拘束―。人権の制限にも関わる判断を実質的にしているのが精神保健指定医とされる。精神障害者の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(おばた・やすひろ)事務局長は「患者や家族にとっては絶対的な存在。今回の問題は重大な判断の正当性を揺るがし、資格への信頼性を損なわせる深刻な問題だ」と指摘する。

 指定医の資格取得には3年以上の実務経験の他に、「統合失調症」「そううつ」など6分野8症例以上のリポート提出が必要。常勤の医師として診療した患者の症例に限られ、原則的に同じ患者の同一時期のものは認められない。

 6分野の中には「児童・思春期精神障害」など症例数が少なく、患者を受け入れている医療機関が限られるものも。医師が、必要な症例を得るために病院を移って短期間働き、複数で1人の患者を順番に担当することもあるという。

 自身も指定医の白石弘巳(しらいし・ひろみ)東洋大教授は「臨床をしながら資格を目指す若手にとって『症例集め』が大きな負担となっているのは事実」と明かす。

 ▽資格不要の任務

 それでも白石教授は、権限の重さを考慮すれば資格要件は緩和すべきではないと主張。一方で「今の精神科医療は強制入院が中心に据えられ、『指定医になって一人前』という風潮がある。そのため大半の医師が資格取得を目指す状況になっている」と分析する。

 信頼関係構築に向けた粘り強いコミュニケーションや、家族や地域と一体となったサポートなど、指定医資格を取得する前に精神科医として習得すべきことがあると指摘。「こうしたことが当たり前に行われるような体制が整備できれば地域で生活できる患者は増えるはず」と話す。

 今回の問題を受け、症例リポートのチェック強化など国の対応が注目されるが、「この機会に精神科医療がどうあるべきかを改めて考える必要がある」と訴える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/468075
オプジーボ対応、「緊急的」と次期改定の二段階 - 迫井正深・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.1
フレームワークの改革必須、典型は高額薬剤

2016年10月17日 (月) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定から約半年だが、高額薬剤をめぐる議論が白熱するなど、中医協の動向から目が離せない状況が続く。同改定の検証と、介護報酬と同時改定となる2018年度改定に向けた議論も今後、本格化する。
 この中医協の事務局を担当する厚生労働省保険局医療課長に、今年6月に就任したのが迫井正深氏。医療課所属は4回目、診療報酬改定を担当するのは、2018年度改定で5回目になるという。就任から3カ月強の迫井課長に、医療提供体制や診療報酬体系についての現状認識や課題などをお聞きした(2016年10月7日にインタビュー。計5回の連載)。

――迫井課長はこれまで何度も診療報酬改定を担当されています。

 (厚労省保険局)医療課は4回目、診療報酬改定を担当するのは2018年度改定で5回目になります。

 最初は1992年から1993年の夏まで。医療指導監査室の所属だったのですが、第2次医療法改正に伴い1993年4月から特定機能病院と療養型病床群が創設される時に、診療報酬を議論するチームに入りました。中医協の議論や改定の進め方を経験したのは、その時が初めてです。

 その次が、2000年度の診療報酬改定の時で、介護保険制度の創設時の同時改定を、医療課課長補佐として担当しました。入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料などを新設したほか、現行の薬価算定ルールを導入したのも、この時です。

 その後、2010年度と2012年度の2回の診療報酬改定を、医療課企画官として担当。2018年度に迎える診療報酬改定が、5回目に当たります。

厚労省医療課長の迫井正深氏。1989年東京大学医学部医学科卒業、1992年厚生省(現厚労省)入省、厚労省医療課企画官などを経て、2012年9月同省老健局老人保健課長、2015年10月同省医政局地域医療計画課長、2016年6月から現職。

――直近の2010年度と2012年度の改定との比較、つまりここ5、6年のスパンで見て、医療を取り巻く環境、その中で診療報酬が果たす役割、中医協の議論の在り方などはどのように変わったとお考えですか。

 当時もそうだったと思いますが、「診療報酬改定だけをやっていればいい」状況ではもはやない、ということです。もう少し正確に言うと、枠組みをあまり意識せず、ルーチン的に個々の報酬を修正していただけでは対応できず、フレームワーク自体の改革が必要になっています。高額薬剤がその典型例です。DPCなども、そうだと思います。

 「医療を取り巻くいろいろな意味での環境の変化に、診療報酬自体が対応しきれていない」という従来からの指摘に、いかに応えるかです。「改定の前年はこんな作業をやって……」という昔の医療課の“季節感”は、崩れつつありましたが、近年は特にその傾向が強まっています。

――今まさに中医協では、(抗PD-1抗体製剤の)オプジーボなどの高額薬剤が議論されています。まずは直近でどう対応するか、次にそもそも2018年度に抜本的な薬価制度の改革を実施するという2段階の議論が求められています。直近の「緊急的な対応」は水曜日(インタビュー前々日の10月5日)の中医協で基本的方向性は決まったと言っていいのでしょうか(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。

 その通りです。

――「緊急的な対応」では、市場拡大再算定の考え方で薬価引き下げを実施することになります。実施時期と下げ幅の検討のほか、改定の期中に対応するハードル、検討すべき課題は何ですか。

 具体的な薬価の設定水準のほか、実施時期を含めたオペレーションの問題があります。診療報酬の改定時期に合わせて今の医療界は動いているので、(2年に一度の改定以外の時期に、薬価改定をすれば)現場には少なからずインパクトがあります。イレギュラーの対応なので、いかに混乱なく実施していくかという実務も重要です。

 医薬品は、メーカーが作り、流通市場に流通し、医療機関が購入し、医師が処方する。それぞれのステップに、いろいろな組織や人が介在します。通常の改定は折り込み済みなので、皆が暗黙のうちに準備をします。しかし、今回はそうした準備は前提としていないので、ロジスティクスを整理する必要があります。

 またオプジーボの「最適使用推進ガイドライン」への対応も求められます。その中身にもよりますが、「最適使用」という言葉を用いている以上、使用局面を一定程度、絞り込む形になると思うのです。現在、処方されている患者さんの対応も含めて、過渡的な措置が必要になるでしょう。

――卸や医療機関の在庫、現在使用している患者さんの存在、さらに審査支払も含めて、実務的な対応が必要になる。

 その通りです。

――「緊急的な対応」の実施時期を決める場はどこになりますか。

 それは当然、中医協でしょう。決めるだけでなく、関係者への周知も含めてです。

――販売元の小野薬品工業から提出してもらう年間予想販売額が、今回の薬価改定のベースになります。そのデータを検証する必要性も、5日の中医協で指摘されました。

 恐らく中医協の場では、「高く買いたい」と思う人は誰もいません。どちらかと言えば、「もっと引き下げろ」という意見が中心でしょう。ただ医薬品や医療機器については、公定価格を設定している以上、提供者側の意見もきちんと斟酌しないと、長い目で見た場合に、健全な市場形成は難しいでしょう。

 これまでは薬価調査という形で、可能な限り、全数に近い形で取引価格を捕捉していたからこそ、薬価制度が成り立っていたわけです。今回は薬価調査がない中での対応ですが、「企業の言い値を基にしているのだから、もっと厳しくしろ」という話にもならないと思います。

――「厳しくする」根拠も、一方で見当たらない。

 その辺りは、水掛け論になりかねません。だから、5日の中医協で、「いったん緊急的な対応をやるけれども、きちんと薬価制度の枠組みの議論をして、次回の2018年度改定の時に、『清算する』という進め方でいいのですね」と確認させていただきました。別に異論は出なかったと思います。

 「緊急的な対応」をする際、得られるエビデンス、数値には一定程度の限界があります。その時点で誰かが損した、あるいは得したという話をするわけではなく、薬価調査を行い、薬価算定ルール見直しの議論も経た2018年度改定の時点で、皆が納得できる合理的な解決をするということです。

――下げ幅ですが、市場拡大再算定をすると、現時点での小野薬品工業の年間予想売上額は1260億円なので、最大で25%の引き下げです。

 厚労省としては、下げ幅の考え方を問いかけただけで、「最大25%引き下げる」といった提案はしていません。2016年度の薬価改定に当たって、さまざまな議論を経た上で、(C型肝炎治療薬のソバルディなどの引き下げについて)「市場拡大再算定の特例」というルールに落ち着きました。今回改めて議論しても同じような経過になることが想定されるため、「緊急的な対応」をするのであれば、議論のスタート地点として、この特例の考え方を用いてはどうかと提案したわけです。

――「最大25%引き下げ」かどうかは、今後の議論になる。

 もちろんです。

――スケジュール感としては、当然ながら年末の予算編成までに結論を出す。

 そうです。これはいつまでも議論している話ではありません。

――日本医師会などからは、現行の薬価算定方式そのものの根本的な見直しを求める声も上がっています。どの程度、踏み込んで議論する予定ですか。

 これまでも2年に一度の改定時に、薬価算定のルールも含めて、日本の医療の在り方を総ざらいして議論してきました。今回も、通常の改定のプロセスに、薬価制度見直しの議論を入れるということです。

 当然ながら、オプジーボのように、「効能効果が大幅に変わり、対象患者も増えた」ような場合を想定して対応できるようにする必要はあります。ただし、「あらかじめ落とし所が決まっている」話ではありません。

――薬価制度の見直しにおいて、ほかに議論しなければいけないものは何ですか。

 改定の度に議論されていることですが、外国価格との調整の在り方です。昨日(10月6日)の参議院予算委員会でも議論になりましたが、同じ薬が海外の市場でどう評価されているかを踏まえて、どう調整するかが課題です。



https://www.m3.com/news/general/468260
「乳がん見落とし」で和解 徳洲会側、650万支払い
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 検体の採取ミスで乳がんの発見が遅れ、右乳房の全摘出を余儀なくされたとして大阪府の女性(49)が、同府和泉市立病院を運営する徳洲会と医師らに650万円の損害賠償を求めた訴訟が14日までに、大阪地裁(山地修(やまじ・おさむ)裁判長)で和解した。徳洲会側が同額の解決金を支払うとの内容で、和解は9月30日付。

 和解調書によると、徳洲会側は「発見が遅れた事実を厳粛に受け止め、再発防止に努めることとする」としている。

 訴訟では徳洲会側は「採取時に通常通りの手順を踏んでおり義務違反はない」と主張していた。

 訴状によると、女性は2014年4月、エコー検査などで乳がんの疑いを指摘されたが、採取した検体は良性で経過観察となった。約1カ月半後の再受診で乳がんと診断され、医師から「前回は採取用の針が正しく刺さっていなかった」と説明された。女性は「誤診のため乳房を残す温存療法ができなくなり、生存率も下がった」として慰謝料などを求めていた。



https://www.m3.com/news/general/468241
注目集める「フォーミュラリー」 - 医療費増の抑制に役立つと期待 第49回日本薬剤師会学術大会
2016年10月17日 (月) 薬事日報

 科学的根拠に経済性を踏まえて、医療機関や地域ごとに策定する医薬品の使用指針「フォーミュラリー」に関係者の注目が集まっている。米国や英国などで確立され、日本でも一部の病院が取り組みを開始したフォーミュラリーの仕組みを各医療機関や地域、保険者で導入することによって、医薬品の使用を適正化し、医療費の増加を抑制できるのではないかとの期待が背景にある。9、10日に愛知県で開かれた日本薬剤師会学術大会の分科会「病院と薬局の連携と薬剤師」ではフォーミュラリーの特徴が示され、導入の拡大に向けて意見が交わされた。

 フォーミュラリーが国家施策の観点からも注目を集めるようになったのは、安倍内閣が示した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)がきっかけだ。今年6月の骨太の方針2016には「生活習慣病治療薬等の処方のあり方等について今年度より検討を開始し、2017年度中に結論を得る」との文言が盛り込まれた。財務省の財政制度等審議会財政制度分科会でも、高額な降圧薬ARBが国内医薬品売上の上位を占めることを例に「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」との案が示されている。

 骨太の方針に沿って今後、フォーミュラリーの仕組みなどを参考に具体的な検討が進められる見通しだ。高額な新薬を過剰に評価して多用するのではなく、年月が経っていても有効性や安全性、経済性に優れた医薬品やジェネリック医薬品を適正に評価し、積極的に使用する仕組みをどう構築するかが焦点になる。

 分科会で安川孝志氏(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課)は「行政としてもフォーミュラリーをどういったことに活用できるのか、これから検討しながら考えていく」と説明。その上で私見として、薬剤師に対し「フォーミュラリーの作成や活用を含め、薬剤の特性を踏まえた適切な薬剤選択や、適正使用のための情報収集、提供に積極的に関与してもらいたい」と求めた。また、「製薬会社からの情報だけに頼るのではなく、自分たちで必要な情報を収集し、どういった薬を選択すべきかをしっかり医師に提言できるように能力を発揮してもらいたい」と呼びかけた。

 さらに、フォーミュラリーはジェネリック医薬品にも関係すると指摘。各地域で公立、公的病院が採用しているジェネリック医薬品リストが公表されているとし、「こういったものが地域におけるフォーミュラリーの使い方の一つになるのではないか」と語った。

■第1、第2選択薬を明示‐9薬効群でフォーミュラリー

 国内でフォーミュラリーを導入している病院の一つが、聖マリアンナ医科大学病院だ。同院は現在、ACE阻害薬・ARB、スタチン、グリニド系糖尿病薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、プロトンポンプ阻害薬(注射薬、経口薬)など九つの薬効群を対象にフォーミュラリーを策定している。これら9薬効群では院内使用における第1選択薬、第2選択薬の基準を決定。医師のオーダ時などに注意喚起し、その使用を促している。

 同院は同種同効薬の採用を原則2剤までとし、ジェネリック医薬品等の安価な薬剤を優先して採用している。実際に9薬効群の第1選択の多くをジェネリック医薬品が占め、フォーミュラリーはその使用促進に役立っている。

 新薬の評価はまず薬剤部が行い、臨床上の必要性を「代替治療はあるが新しい機序の薬剤ではある。しかし既存治療を上回るエビデンスは不十分」「代替薬はないが同効薬が多数存在する。必要性は低い」などの5段階で評価する。その上で既に同種同効薬が採用されている場合には、医師と薬剤師で構成されるフォーミュラリー小委員会で必要性を評価し、薬事委員会で採用可否の最終的な決断を行う。

 同院薬剤部の上田彩氏は「標準治療の実践にはガイドラインと関連づけたフォーミュラリーが有効とされている。当院でも医師と薬剤師の連携でフォーミュラリーを作成し、有効性と経済性に優れた薬物治療の管理の実践に貢献できている」と報告。課題として「有効性や費用対効果を比較したデータが不足しているため、ジェネリック医薬品のない同種同効薬群へのフォーミュラリーの運用はまだできていない」としたほか、「外来処方に関してはフォーミュラリーを運用していない」と語った。

 一方、薬局薬剤師の立場から講演した嶋元氏(川崎市薬剤師会会長)は、中学校区などの単位で地域医薬品集を作成することが効率の良い医療につながるとし、それに向けてまずは「近隣の病院や診療所の採用医薬品を調査し、薬局ごとの採用医薬品集を作成するべき」と話した。その上で、有効性や安全性、経済性を考慮した地域医薬品集の策定が視野に入るが、薬局は多種多様の処方箋を受け入れているため、薬を絞り込む作業は「非常に難しい問題」と話した。

 このほか川上純一氏(浜松医科大学)は、有用性は高いが薬価改定によって採算が厳しくなった医薬品の薬価を維持する「基礎的医薬品」の仕組みが今年度の薬価制度改革で導入されたことに触れ、「高額な薬剤の使用をどう抑えるか、医薬品費をどう適正化するかだけではなく、本当に患者や国民に必要な医薬品をきちんと供給していくこともフォーミュラリーの考え方になる」と強調した。



https://www.m3.com/news/general/468240
NDBデータを初公表 - 降圧剤はARBが上位独占 厚生労働省
2016年10月17日 (月) 薬事日報

■ビタミン剤の処方も多く

 厚生労働省は、医科や調剤レセプト等の情報を集めて格納した国の「ナショナルデータベース」(NDB)のオープンデータを初めて公表した。2014年度のレセプトデータ約18億8000万件を単純集計し、広く利用者が有効活用できるよう作成したもの。そのうち薬剤データについて、外来で院外処方された内服薬を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が約11億錠と圧倒的に多く、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」などARBが処方数の上位を独占した。一方で、ビタミン剤など古くて安価な医薬品も多く処方されている実態が見られた。

 NDBオープンデータは、これまで行政機関や研究者向けに提供してきたNDBデータベースの有用性をさらに生かすため、医科診療行為や薬剤などのデータを広く国民に情報提供し、様々な目的に応じて有効活用できるよう単純な集計表としてまとめたもの。14年4月から昨年3月までの1年間、レセプト情報データベースに格納された医科入院外レセプト、医科入院レセプト、調剤レセプトなどが対象となっている。

 今回、新たに公表された薬剤データは、処方数量を薬効別に上位30位を選んだもの。そのうち、外来で院外処方された内服薬について、主な薬効別に処方数量の上位を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が11億4078万9846錠と最も多く、次いで「エクア錠50mg」が3億3297万1242錠、「ジャヌビア錠50mg」が2億8869万4459錠と、古くから使われているメトホルミン製剤が圧倒的に多く処方されていたが、最近登場したDPP-4阻害剤も約6億錠程度と多かった。

 また、高脂血症用薬は「クレストール錠2.5mg」が7億3948万8536錠と最も処方されており、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」3億6325万3110錠、「ミカルディス錠40mg」3億1089万8058錠、「ブロプレス錠4mg」2億2115万8570錠とARBが処方数上位を独占した。

 消化性潰瘍用剤は、防御因子増強薬の「ムコスタ錠100mg」が6億6208万6515錠と最も処方されており、制酸剤「マグミット錠330mg」が9億5724万0968錠、肝機能改善薬の「ウルソ錠100mg」6億0276万1600錠、消化管運動促進剤の「ガスモチン錠5mg」も3億9523万2409錠などと多く処方されていた。

 また、広くかぜの発熱時などに使われている解熱鎮痛消炎剤は「ロキソニン錠60mg」が4億8404万4009錠、古くから用いられている去痰剤「ムコダイン錠500mg」2億6966万9429錠、咳止めの「メジコン錠15mg」2億7971錠と根強い支持を集めている。さらに、抗凝固薬は「ワーファリン錠1mg」7億0947万2907錠、「ワーファリン錠0.5mg」9442万2498錠と、依然としてワーファリンの支持が厚かった。

 精神神経用剤では「デパス錠0.5mg」が5億5955万6733錠と、精神安定剤も多く処方されており、抗不安剤では「ソラナックス0.4mg錠」1億7810万3763錠、「マイスリー錠5mg」1億7772万1113錠、抗てんかん剤も「デパケンR錠200mg」が2億5027万5573錠、「リボトリール錠0.5mg」1億0906万5055錠などとなっている。

 その他のアレルギー用薬では、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎などに使われる「アレグラ錠60mg」が2億5394万6946錠と最も多く処方されており、次いで「タリオン錠10mg」の2億3652万5475錠、新薬の「ザイザル錠5mg」も1億9722万5355錠と支持されていた。

 一方、ビタミンB1剤の「25mgアリナミンF糖衣錠」が1億4142万8545錠、ビタミンB1を除くビタミンB剤は後発品の「メチコバール錠500μg0.5mg」が10億7747万4639錠、ビタミンK剤は「グラケーカプセル15mg」が5000万4544カプセル、ビタミンE剤「ユベラ錠50mg」が8011万7594錠などと、ビタミン剤も日常診療で多く処方されていることが分かった。

 外用薬の消炎鎮痛剤は、「モーラステープL40mg 10cm×14cm」が8億4000万8238枚、「モーラステープ20mg 7cm×10cm」が6億2949万7804枚とモーラステープ群だけで約14億7000万枚も処方されていることが分かった。

G3註:厚生労働省 第1回NDBオープンデータ 2016-10-12
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html


https://www.m3.com/news/general/468247
救急延命、本人の意思尊重 終末期高齢者、情報共有へ 在宅医や消防に研修も 学会は蘇生中止指針検討
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 がんなどの重い病気により終末期にある高齢者が心肺停止といった状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有する仕組みづくりを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を来年開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。

 日本臨床救急医学会は、本人の意思やかかりつけ医の指示などの条件を付けた上で、救急隊が蘇生措置を中止できるようにする方向で指針を検討している。

 救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。認知症で事前の意思表示が難しかったり、家族が離れて暮らしたりしている場合もあり、救急医療の現場では葛藤が続いている。

 厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し自宅や介護施設で容体が急変した場合、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくることで医療者の悩みを減らしたい考え。

 総務省消防庁によると、救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録した。高齢者の増加が目立ち、14年は全体の55・5%に当たる約300万人が高齢者だった。

 東京都八王子市は高齢者の救急搬送について、11年に消防署や病院、介護施設などで連絡会をつくり延命措置の希望などを記入する用紙を市民に配布している。兵庫県の明石市消防本部は各地区で医療・介護職らが開く連携会議に参加。本人や家族から蘇生措置を望まないとの意思表示がある場合は、119番する前にかかりつけ医などに相談するよう求めている。

 厚労省の研修会は10~20自治体を対象とし、先進地の関係者が講師役。自治体や圏域ごとに救急隊員、行政担当者、在宅医療の医師や訪問看護師らにまとまって参加してもらい、連携や住民への啓発活動を促す。17年度予算の概算要求に事業費1700万円を盛り込んでおり、18年度以降も各地に取り組みを広げることを検討する。

 ※救急隊員の応急処置

 総務省消防庁の基準では、救急隊員は「生命が危険であり、または症状が悪化する恐れがあると認められる場合、応急処置を行う」と定められている。処置の方法としては、気道確保や人工呼吸、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などがある。救急業務に関する別の基準では「傷病者または関係者が拒んだ場合は搬送しない」としているが、現場では「119番の後に『本人は延命措置を望んでいなかった』と聞かされても、応急処置をするのが原則」との意識が強い。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161017-OYTET50053/
沖縄の県立病院、筋弛緩剤を紛失…少量の使用でも死に至る恐れ
2016年10月17日 読売新聞

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター( 南風原はえばる 町)は14日、手術室で保管していた筋 弛緩しかん 剤「スキサメトニウム」の瓶4本(各40ミリ・グラム入り)を紛失したと発表した。少量の使用でも死に至ることがあるという。

 発表では、9月26日午前10時25分頃、看護師が手術室内の保冷庫を点検した際、瓶の不足に気づいた。センターは同日、県警与那原署に紛失を届け出た。

 医師や看護師らへの聞き取り調査の結果、同月21日以降、未使用の筋弛緩剤の本数確認を怠っていたことが判明。手術室前の防犯カメラには不審人物は映っておらず、センターは盗難の可能性は低いとみている。



http://www.medwatch.jp/?p=10811
平均在院日数の短縮、全国ベースでは目標クリアしたが、地域間で大きなバラつき―厚労省
2016年10月17日 | 医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 来年度(2017年度)までを対象期間とする第二期医療費適正化計画の進捗状況を見ると、「特定健診の実施率」は、目標70%に対して2014年度実績で48.6%、「特定保健指導の実施率」は、目標45%に対して2014年度実績で17.8%にとどまっており、都道府県間のバラつきも大きい。平均在院日数については2014年時点で目標をクリアしているが、やはり都道府県間のバラつきがとても大きい―。

 厚生労働省が14日に公表した、2015年度の「第二期医療費適正化計画の進捗状況」からこういった実態が明らかになりました。

ここがポイント!
1 2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況
2 特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える
3 平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況

 2008年の医療保険改革に伴い、都道府県には5年を1期とする「医療費適正化計画」の策定義務が課されており、現在、2013-17年度を対象とする第二期医療費適正化計画が動いています。厚労省は、2015年度から「毎年度、進捗状況を公表する」ことにしており、今般、2013年度・14年度の実績が示されました。

 まず全国の状況を見ると、次のようになっています。

▼特定検診実施率:【2017年度の目標】70% 【実績】13年度 47.6%、14年度 48.6%

▼特定保健指導実施率:【同目標】45% 【実績】13年度 17.7% 14年度 17.8%

▼メタボ該当者・予備群の減少率:【同目標】25% 【実績】13年度 3.47% 14年度 3.18%

▼平均在院日数:【2017年の目標】28.6日 【実績】13年 29.2日 14年 28.6日

▼実績医療費:【2017年度の目標】45兆6000億円(特定健診などの推進や平均在院日数の短縮を見込む) 【実績】13年度 40兆610億円 14年度 40兆8071億円

 平均在院日数については、2014年度時点で達成できていますが、特定健診や特定保健指導など、今後力を入れていくべきとされる分野については、目標達成までに、まだまだ距離があります。

特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える

 次に都道府県別に見ると、特定健診や特定保健指導はもちろん、平均在院日数についても大きなバラつきがあることが改めて浮き彫りになっています。

 2013年度の特定健診受診率を見ると、最高は東京都の65.5%。少し飛んで2位は山形県の54.8%、3位は宮城県の54.5%となっています。逆に最低は北海道の36.4%、ほかに奈良県37.5%、山口県38.5%などで低い状況です。「東日本で高く、西日本で低い」傾向が見て取れます。

 また特定保健指導実施率は、沖縄県の33.9%。次いで徳島県の31.2%、長崎県の29.3%と続きます。一方、最低は大阪府の11.8%、ほかに神奈川県の13.0%、北海道の13.2%で低くなっています。こちらは逆に「東日本で低く、西日本で高い」状況です。

平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

 さらに2014年の平均在院日数を見ると、▼総数 ▼一般病床 ▼療養病床 ▼精神病床―のいずれでも、大きな都道府県間の格差があることが分かります。

 総数(全国平均で28.6日)で見ると、最長は鹿児島県で43.3日、次いで高知県の42.9日、佐賀県の41.6日となっています。一方、最短は東京都で22.1日、次いで神奈川県の22.2日、長野県の23.4日と続きます。最長の鹿児島県と最短の東京都では、21.2日と3週間以上の開きがあります。

 一般病床(全国平均で16.8日)については、最長は高知県で22.0日、次いで熊本県の20.5日、鹿児島県の20.2日となっています。最短は神奈川県の14.1日、次いで東京都の14.5日、愛知県の14.7日という状況です。最長の高知県と最短の神奈川県では、7.9日と1週間以上の開きがあります。

 また療養病床(全国平均で164.6日)については、最長は富山県の245.4日、次いで北海道の233.3日、神奈川県の202.0日と続きます。逆に最短は鳥取県の97.1日、次いで宮城県の108.1日、長崎県の111.6日という状況です。最長の富山県と最短の鳥取県では、148.1日と5か月違い開きがあります。

 ここで注目できるのが、病床の種別によって在院日数の長短に関する状況が異なっているという点です。他の介護施設や在宅医療などの整備状況ともあわせて、丁寧に分析していくことが必要でしょう。


 現在、持続可能な医療保険制度の再構築を目指して、例えば安倍晋三内閣が6月に閣議決定した骨太方針2016に盛り込まれた「地域差の縮小」をキーワードとした改革が進められようとしています。医療費適正化計画についても第三期計画の策定に向けた検討が進められており、今後「地域の実情」と併せて「全国との比較」(ベンチマーク)をも勘案した計画策定が求められそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=10799
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
2016年10月17日|医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が今年(2016年)6月時点で67.3%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「70%以上」の第一目標にあと一歩に迫っている―。

 こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が14日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(関連記事はこちら)(全国健康保険協会のサイトはこちら)。

 2016年度の診療報酬改定以後、協会けんぽのジェネリック医薬品使用割合の伸びが鈍化していますが、遅くとも政府目標は期限(17年央)内に達成できそうです。

ここがポイント! 
1 協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成
2 沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%
3 薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成

 医療保険制度の持続可能性を考えたとき、医療費の増加を国民の負担できる範囲内に抑えることが必要です。その中で、「効果が同じで費用が安い」とされるジェネリック医薬品(後発品)の使用促進が医療費適正化に向けた最重要施策の一つに掲げられ、政府は「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とし、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」という目標を設定しています。

 協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも、「後発品の使用促進」を重要施策に位置付け、「後発薬に切り替えた場合の自己負担額の軽減効果通知」などの取り組みを進めているほか、毎月、後発品の使用割合を公表しています。

 それによると、今年(2016年)6月の後発品割合は数量ベースで67.3%(新指標、調剤分)となり、過去最高を記録しました。

 ただし、2016年度の診療報酬改定以後(関連記事はこちらとこちらとこちら)、後発品割合の伸び率はやや鈍化し、毎月0.25ポイントとなりました。昨年(2015ねん)7月(59.9%)から今年4月(66.8%)にかけての伸び率は、平均して毎月0.77ポイントでしたので、最近の状況(伸び率の鈍化)が気になります。今後、改定後の状況についての詳細な分析が必要でしょう。

 もっとも、現在の伸び率(毎月0.25ポイント)が続いたとしても、2017年5月に後発品割合は70.05%となる見込みで、政府の定める第一目標「後発品割合70%」を期限(17年央)内に達成できる見込みです。

沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%


 このように全国ベースで見ると後発品使用は進んでいますが、都道府県別に見ると若干の心配もあります。

 沖縄県では78.8%、次いで鹿児島県74.3%、岩手県74.0%、長野県・山形県70.9%、宮崎県70.5%、富山県70.1%、青森県70.0%では、すでに目標達成していますが、徳島県56.0%、山梨県58.7%、高知県61.4%などでは、徐々に後発品割合が上昇しているものの、「もう一頑張り」を期待したいところです。

薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

 主な薬効分類別に、後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の75.0%、去たん剤の71.6%、消化性潰瘍用剤の64.9%などで、いずれも上昇傾向にあります。また金額ベースでは、血管拡張剤の61.4%、去たん剤の54.9%、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の38.7%などが高くなっています。

 逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の1.7%、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の9.8%、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.3%、抗ウイルス剤の2.0%などとなっています。



http://www.carenet.com/news/general/carenet/42703
6割が現在の年収額に満足―医師1,000人へのアンケート
ケアネット 2016/10/18

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25.1%が「そう思う」、36.4%が「ややそう思う」と回答し、6割以上の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。

 年収帯別にみると、600万円未満のうち50%、600~800万円の51%、800~1,000万円の48%と、いずれも半数程度が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。その割合は1,000~1,200万円の年収帯では59%と、800~1,000万円の48%から10ポイント程度増加し、年収額が1,000万円台に届いたところで納得感が出てくる医師が増えるのではと推察される。1,200~1,400万円では51%と減少したが、年収額が上がるごとに満足度は上がっていた。

 年代別では、どの年代でも半数以上が「そう思う」「ややそう思う」のいずれかを回答しており、年代が上がるごとに上昇していた(35歳未満:53%、36~45歳:60%、46~55歳:63%、56~65歳:65%、66歳以上:69%)。

 上記のほか、男女別、病床数別、勤務先別、診療科別の集計についても、以下のページで発表している。

医師の年収に関するアンケート2016【第3回】年収の妥当性
http://www.carenet.com/useful/income2016/cg001773_index.html
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  1. 2016/10/18(火) 05:58:40|
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10月16日 

http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20161016/ForbesJapan_3926.html
医師・医大生も悩む性差別、米では女性の7割が経験
Forbes JAPAN 2016年10月16日 09時00分 (2016年10月16日 18時22分 更新)

どの医師にとっても、医学研究者として名を上げるのは難しいことだ。研究費を確保するための競争は激しく、権威のある医学雑誌に論文を掲載してもらうことは、途方もなく難しい。

この分野でキャリアを積もうとする女性たちは、より大きな課題に直面する。多くは男性の同僚たちに比べ、家庭で過度に重い負担(育児や家事など)を負っている。一方で、同じように努力の成果を上げてきた男性たちに比べて、有効な指導を受けることができない。

これらに加え、女性たちには性的な嫌がらせという不愉快で恐ろしい負担ものしかかる。ミシガン大学のレシュマ・ジャグシー博士が率いるチームは先ごろ、キャリアの浅い女性医師らが経験するセクハラに関する調査結果を公表した。筆者も参加したこの調査では、科学分野で教育を受け、2006~09年に米国立衛生研究所(NIH)からキャリアアップのための支援を受けることが決まった男女1,000人以上から回答を得た。

調査の結果、性別による偏見やセクハラに関する男性と女性の経験には、非常に大きな違いがあることが分かった。女性の70%は医大に在学中、性別に基づく偏見による判断や対応を受けたことがあると回答。これに対し、同じように答えた男性は22%だった。また、セクハラを受けた経験がある女性が30%だった一方で、男性はわずか4%だった。

組織の対応が不可欠

男性でも女性でも、職場でセクハラを受けることがあってはならない。…

最も嫌がらせの対象となりやすいのは、組織において力を持たない人たちだ。そして、嫌がらせをするのは女性キャスターからセクハラで提訴され、辞任に追い込まれた米FOXニュースのロジャー・エイルズ最高経営責任者(CEO)のように力を持つ人たち、あるいは組織内の時の権力者たちが、そうした嫌がらせの存在を認めたがらないことを知っている人たちだ(例えば、FOXニュースで女性たちにセクハラを働いてきたその他の男性従業員たちのように)。

ジャグシー博士はこうした結果について、「調査結果は、私たちが社会として、どれほど(あるべき状況)からかけ離れているかということを改めて突きつけるようなものだ。特に、医学生の半数を女性が占める現在において、私たちはこの分野における最も優秀かつ才能ある学生たちのやる気を損なわせ、真の潜在力の発揮を妨げるような行動を許すことはできない。最も優秀な学生たちは、大半が女性なのだ」と述べている。

セクハラは、強く優秀な人たちにも、自分自身の価値に対する疑問を抱かせる。自分に非があるのではないかと考えてしまうのだ。学部長をはじめ医学部で部下を持つ立場の人たちや組織のリーダーたちは、部下たちがキャリアに関する不安を抱くことなく、セクハラについて報告しやすい環境を作る必要がある。
Peter Ubel



http://mainichi.jp/articles/20161016/ddm/041/040/099000c
終末期医療
救急延命、患者の意思尊重 在宅医と情報共有へ

毎日新聞2016年10月16日 東京朝刊

 がんなどの重い病気で終末期の高齢者(65歳以上)が心肺停止などの状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や救急隊が連携し、患者の情報を共有する取り組みを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。

 消防の救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。認知症で事前の意思表示が難しい場合もある。厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し、自宅や介護施設で容体が急変した場合に、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくることで、医療者の悩みを減らしたい考え。

 総務省消防庁によると、救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録した。高齢者の増加が目立ち、14年は全体の55・5%に当たる約300万人が高齢者だった。
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 東京都八王子市は高齢者の救急搬送について、11年に消防署や病院などで連絡会をつくり、延命措置の希望などを記入する用紙を市民に配布している。兵庫県の明石市消防本部は市内で医療・介護職らが開く連携会議に参加。本人や家族から蘇生措置を望まない意思表示がある場合は、119番する前にかかりつけ医などに相談するよう求めている。

 厚労省はこうした先進地の関係者を招き、10〜20自治体を対象にした研修会を来年、東京で数回に分けて開催。自治体や圏域ごとに救急隊員、行政担当者、在宅医療の医師や訪問看護師らにまとまって参加してもらう。

 ■ことば
救急隊員の応急処置

 総務省消防庁の基準では、救急隊員は「生命が危険であり、または症状が悪化する恐れがあると認められる場合、応急処置を行う」と定められている。処置の方法としては、気道確保や人工呼吸、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などがある。救急業務に関する別の基準では「傷病者または関係者が拒んだ場合は搬送しない」としているが、現場では「119番の後に『本人は延命措置を望んでいなかった』と聞かされても、応急処置をするのが原則」との意識が強い。



https://www.m3.com/news/iryoishin/462942
大野病院事件、いまだ終わらず - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.3
多角的に検証し教訓として生かす

2016年10月16日 (日) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――本書の中で印象的なのは、2006年2月の逮捕に行われた「勾留理由開示」の時のエピソードを書いた部分と、「プロローグ」にある2008年8月20日の福島地裁判決言い渡しのシーンです。加藤先生についてのエピソードを書かれたのは、この部分くらいであり、ご遺族の意見陳述や加藤先生への尋問、最終弁論などには触れていません。結果的に、弁護士の立場から見た「大野病院事件」という姿勢を貫かれた本だと思います。

 実は本を書いている段階で、「加藤先生の人となりが分かるエピソードがなさすぎる」と、出版元の編集者から随分指摘されました。結局は、「野武士のような人だ」という若い弁護士たちの言葉を紹介している程度です。

 その理由は二つあります。一つは、その辺りのことを書き出すときりがなく、論告求刑や最終弁論にしても、一部分のみを切り出して書くのは、嫌だと思ったこと。出版社には、ホームページに、検察側と弁護側の冒頭陳述、論告求刑、最終弁論、判決の全文を掲載することを提案しています。そうすれば皆で検証できるでしょう。

 もう一つは、私が書く以上、弁護人としての立場で書く以外にはないこと。ただし、本書は、法律家向けには書いておらず、あくまでも読者対象は医療者であり、そして心ある社会の多くの一般の方々です。法律的な厳格性はなく、その意味での批判は出てきてもおかしくないと思っています。

――本書に書き残したこと、また書けなかったことなどはありますか。

 書き残したことと言うか、大野病院事件の刑事弁護の時には、やらなかったこと、また今後検討すべきと思っている課題が幾つかあります。

 今回の刑事弁護の目的は、「加藤医師に過失がなかった」ことの証明に尽きます。しかし、さまざまな事実確認をしていくうちに、事件の背景とか、さまざまな事情を調べたくなったのは事実です。

 また大野病院事件は、若い麻酔科医たちが、周術期管理、循環動態管理の在り方を学ぶいい教材になると考えています。森田茂穗先生(麻酔科医として大野病院事件の弁護団を支援、元帝京大学医学部附属病院長)の受け売りですが、私はいつも「執刀医はプリマ。麻酔科医は、オペ室におけるマエストロ」と言っています。麻酔科医は、「マエストロたらん」という意思と能力、その能力を実行するあらゆる意味での技量能力を持っていなければならない。それを麻酔科医に対して鼓舞するに値する事案であると、ある大学の麻酔科教授に語ったことがあります。

 今年4月の日本臨床医学リスクマネジメント学会のシンポジウムで、事件当時は福島県立医科大学産婦人科の講師、今は教授の藤森敬也先生が、「県立大野病院事件が産科医療に与えた影響―福島県の産科医療再生に向けて―」というテーマで講演しています(『故佐藤教授の遺言、「福島の産婦人科は任せた」』を参照)。私もシンポジストの一人として登壇しましたが、藤森先生が一瞬立ちつくして、上を向いて涙を流した姿をとても印象的に覚えています。藤森先生など関係者にとっても、思うところは多々あるのではないでしょうか。

――最後に、改めて一言、お願いします。

 本書を面白いと思うかどうかは、読者の皆様の判断です。ただ、私が、司法と深い関わりを持っていない一般社会の人、司法に対して一定の評価をされている人たちに向けて一つ言いたいのは、日本の司法は想像以上にいい加減なものであり、「これでいいのですか」ということ。それがさらに悪化の一途だと言うことです。私は約40年この世界に身を置いてきて、つくづく限界というか、恐ろしさを感じています。

 日本の司法を全面否定するつもりはなく、十分に機能している面もあります。諸外国と比較してもいい面もありますが、一方で、国際社会からすれば、「日本の司法は中世だ」と言われてしまう現実があるわけです。

 そして何よりもお願いしたいのは、「物事を調べる」という基本を、もう少し根本的に見直してくれないかということ。事実を確認する作業は簡単ではありません。しかし、事実を確認する作業をしっかりやらなければ、裁判でも、また医療事故の調査や科学的究明であっても、何一つ動きません。

 最近の事例で言えば、築地市場の豊洲への移転問題でも、何がどうなったのか、その情報がきちんと共有されていません。信じがたいことに、最高責任者である歴代の知事も、「知りませんでした」と言えてしまう。事実を把握していない人が「ハンコを押していました」と堂々と言えてしまう。

 事実を当の本人が知らないで、通ってしまう社会。これはある意味、日本の現実なのだとすれば、司法だけが例外ではないことに、私は非常に危機感を持っています。そのことに対して社会の人が目を向けてほしい。本書は、その一つの切り口として医療事故、それも刑事事件という形で私が体験したことを通じて、皆さんに話を伝えたかった。そのことに尽きます。

 「物事を調べる」「事実を知る」基本が守られない医療事故調査制度は、何一つ生み出さず、悲劇を大量生産するだけ。それは、患者さんにとっても、家族にとっても、医療者にとっても不幸。この不幸を避けるには、患者家族には、医療者を「犯罪者か」という視点で、物を言うのはやめるべきです。一方で医療者も、患者家族を尊重する、敬意を持って接する。医療者にとって、最大のステークホルダーは患者さんなのですから。このことが原点になると考えています。



https://www.m3.com/news/general/467819
東大教授論文に「不正」告発
2016年10月16日 (日) 朝日新聞

 東京大学は、医科学研究所の教授らが書いた論文1本に捏造(ねつぞう)や改ざんがあるとする告発を13日付で受理し、予備調査を始めた。不正の疑いがあると判断すれば、外部の有識者も含めた本調査に入る。

 東大や文部科学省によると、告発は9月30日に文科省を通じて大学に届いた。画像に不自然な加工があると指摘している。論文は2011年に学術誌に掲載され、教授らはすでに取り下げを申請した。



https://www.carenet.com/news/journal/carenet/42778
医師の燃え尽き症候群、既存の治療戦略は有効か/Lancet
ケアネット  2016/10/17

 医師の燃え尽き症候群(burnout)の治療では、これまでに実施された個々人に焦点を当てた介入や組織的な介入によって、臨床的に意味のあるベネフィットが得られていることが、米国・メイヨークリニックのColin P West氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月28日号に掲載された。米国の研修医および開業医の全国的な調査では、医師の燃え尽き症候群は流行の域に達していることが示されている。その帰結として、患者ケア、専門家気質、医師自身のケアや安全性(精神的健康への懸念や交通事故を含む)、保健医療システムの存続性への悪影響が確認されているという。

3つのアウトカムをメタ解析で評価

 研究グループは、医師の燃え尽き症候群を予防、抑制するアプローチに関する文献の質およびアウトカムをよりよく理解するために、系統的レビューとメタ解析を行った(Arnold P Gold財団研究所の助成による)。

 2016年1月15日までに医学データベース(MEDLINE、Embase、PsycINFO、Scopus、Web of Science、Education Resources Information Center)に登録された文献を検索した。

 妥当性が検証された指標を用いて、医師の燃え尽き症候群への介入の効果を評価した試験を対象とし、介入の前後を比較した単群試験も含めた。医学生や医師以外の医療従事者に関する試験は除外した。抄録で適格性を判定し、標準化された書式を用いてデータを抽出した。

 燃え尽き(overall burnout)、情緒的消耗感(emotional exhaustion)スコア、脱人格化(depersonalisation)スコアの変化をアウトカムとした。ランダム効果モデルを用いて、各アウトカムの変化の推定平均差を算出した。

すべてのアウトカムと高値例の割合が改善


 15件の無作為化試験に参加した医師716例、および37件のコホート試験に参加した医師2,914例が適格基準を満たした。

 介入によって、燃え尽き(14試験)が54%から44%(平均差:10%、95%信頼区間[CI]:5~14、p<0.0001、I2=15%)へ、情緒的消耗感スコア(40試験)が23.82点から21.17点(平均差:2.65点、95%CI:1.67~3.64、p<0·0001、I2=82%)へ、脱人格化スコア(36試験)は9.05点から8.41点(平均差:0.64点、95%CI:0.15~1.14、p=0.01、I2=58%)へと、いずれも有意に改善した。

 また、情緒的消耗感スコア高値の割合(21試験)は38%から24%(平均差:14%、95%CI:11~18、p<0.0001、I2=0%)へ、脱人格化スコア高値の割合(16試験)は38%から34%(平均差:4%、95%CI:0~8、p=0.04、I2=0%)へと、双方とも有意に低下した。

 有効な個別的介入戦略には、マインドフルネスに基づくアプローチ、ストレス管理訓練、小集団カリキュラムがあり、有効な組織的介入戦略には、労働時間制限や、各施設で工夫された診療業務過程の改良が含まれた。

 著者は、「特定の集団ではどの介入法が最も有効か、また個別的介入と組織的介入をどのように組み合わせれば、より高い効果が得られるかを解明するために、さらなる検討を進める必要がある」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文 West CP, et al. Lancet. 2016 Sep 28. [Epub ahead of print]
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31279-X/abstract



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03195_01
短期集中連載
オバマケアは米国の医療に何をもたらしたのか?
■第1回 オバマケアの「正体」

津川 友介(米国ハーバード公衆衛生大学院(医療政策管理学)リサーチアソシエイト)
週刊医学界新聞   第3195号 2016年10月17日

 バラク・オバマ大統領が選挙公約として掲げていた国民皆保険制度が,Patient Protection and Affordable Care Act(通称オバマケア)として実現した。オバマ大統領の任期満了も近づいてきており,この医療政策の成果について科学的検証が進んでいる。急速な少子高齢化の進む日本でも,医療制度の改革は身近な問題である。オバマケアがどのような理論とエビデンスをもとにデザインされたかを学ぶことは,日本が持続可能な医療制度の構築をめざすに当たって有益ではないだろうか。

 本連載では,医療政策学・医療経済学の見地からオバマケアを分析し,日本の医療制度に向けた教訓を提示する(「週刊医学界新聞」編集室)。

 米国ではオバマ大統領の任期満了に伴う大統領選挙を2016年11月に控えており,民主党候補ヒラリー・クリントンと共和党候補ドナルド・トランプがしのぎを削っている。クリントンは医療に関して基本的にはオバマ大統領の流れを踏襲すると言われており,クリントンが大統領になった場合には米国の医療制度に大きな変化はないと考えられている1)。一方で,トランプが大統領になった場合には医療制度がどうなるかは全く予測できない。

 2016年7月,大統領選挙を前にオバマ大統領自らが,世界で最も権威ある医学雑誌の一つである米国医師会雑誌(Journal of American Medical Association;JAMA)電子版に論文を投稿し,オバマケアの政策評価を取りまとめ,次の大統領はこの流れを引き継ぐべきであるとの意見を表明した2)。米国における医療政策の作り方は日本の医療政策にとっても示唆に富むものであると考えられる。オバマケアがどのような政策であり,米国にどのような影響を与えたのか,全3回にわたり科学的な観点から説明したい。

オバマケアはどのようにして皆保険制度を達成したのか?

 オバマケアの正式名称はPatient Protection and Affordable Care Act(PPACA)であり,米国ではしばしばACAと略される。オバマケアは2010年3月23日に成立した医療改革に関する法律であり,その中心に据えられているものは「国民皆保険制度」である。

 それまでの米国は先進国の中で唯一,皆保険制度がない国という不名誉な肩書を持っていたが,2010年にオバマケアが国会で採択されたことで,全ての先進国が皆保険制度を有することとなった。オバマケアによって,米国民に占める無保険者の割合は2010年には16.0%(4900万人)であったのが2015年には9.1%(2900万人)にまで減少しており(図1),公的医療保険のメディケア(高齢者向け)とメディケイド(貧困層向け)が導入された1965年以来,医療政策における最大の功績であるとされている2)。

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図1 米国民に占める無保険者の割合の推移(文献2より)

1965年にはメディケア,メディケイドが導入され高齢者と貧困層に対して公的医療保険が提供されるようになったため,無保険者の数が激減した。それ以降,オバマケア導入前までは無保険者の数はほぼ横ばいであった。
 そもそも米国の医療保険は主に,①65歳以上の高齢者,身体障害者,透析患者が加入する公的保険のメディケア(連邦政府が運営),②貧困者が加入する公的保険のメディケイド(連邦政府と州政府が財源を出し合って運営),③それ以外の国民が加入する民間医療保険の3つから成り立っている。きちんと税金を納めてきた米国民は65歳になると自動的にメディケアに加入するようになっているため,高齢者に限って言えば,実は皆保険制度はすでに達成されていた。さらに雇用されている人の大部分は民間医療保険に加入していた。

 しかし,メディケイドの加入要件を満たさない人(詳細は後述)や,メディケイドに加入するほど貧しくはないものの民間医療保険に加入するほど裕福でない人たちは無保険であることも多かった。そこでオバマケアは,

1)メディケイドのカバー範囲の拡大
2)政府によって規制された民間医療保険市場+保険料に対する補助金
3)裕福な人に対しては民間医療保険加入の義務化

という3つの仕組みを組み合わせて皆保険を実現する政策であった(図2)。それではこの3つの仕組みを順に見ていこう。

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図2 無保険者を減らすための3つのシステム

1)メディケイドのカバー範囲の拡大
 オバマケアは,極度の貧困の人〔FPL(連邦貧困水準)の133%以下の人〕はメディケイドの加入要件を緩めることでカバーすることにした(註1)。メディケイドは連邦政府と州政府が財源を出し合ってカバーする貧困者向けの公的保険であるため,以前までは州によって加入要件が異なっていた。収入が少ないだけでは加入要件を満たすことはほとんど無く,妊娠中の女性や,子どもがいるなどの条件があってはじめて加入することができた。つまり,独身男性の場合,例えどんなに貧困であっても多くの場合メディケイドに加入できなかったのである。

 そこでオバマケアは,住んでいる州にかかわらず, FPL 133%以下の人は全てメディケイドに加入できるようにした。これは独身で年収約1万6000ドル,家族4人なら約3万3000ドル以下ならばメディケイドに加入できる計算になる(2015年の基準値)。実は,オバマケアによって新たに保険に加入した人の大多数はメディケイドへの加入であったため,オバマケアのことを「メディケイド拡大法(Medicaid expansion law)」だと揶揄する人もいる。

2)政府によって規制された民間医療保険市場+保険料に対する補助金
 オバマケアは,メディケイドの対象となるほど貧しくはないものの自分で保険料を支払うことの難しい人(FPL 133~400%)に対して,連邦政府が補助金を出して民間医療保険に加入させることにした。Health Insurance Marketplace(HIM)という連邦政府によって規制された医療保険の市場を作り,そこで民間会社に医療保険を売ってもらうのである。

 そこで売られる医療保険にはさまざまな条件が付けられ(自己負担ゼロで予防医療サービスを提供しなければならないなど),加入者にわかりやすいよう,自己負担の割合に応じてブロンズ,シルバー,ゴールド,プラチナの4つのラベルが付されることとなった。そしてHIMで医療保険に加入する場合には,保険料と加入者の所得に応じて,政府から補助金が支払われることとなった。

3)裕福な人に対しては民間医療保険加入の義務化
 医療保険は基本的に健康な人と病気の人の両方をカバーすることで,病気の人が使う医療費を,健康な人を含めた皆で広く浅く負担するという仕組みである。健康な人が医療保険に入らないと保険料は年々高くなり,いずれ財政的に維持できなくなってしまう。そのため,裕福で比較的健康な人を強制的に医療保険に加入させる必要があった。そこで個人加入義務化(Individual mandate)と呼ばれる制度が導入され,ある程度裕福で保険料を払う能力のある個人が正当な理由なく医療保険に加入しない場合には税金が高くなることになった。

オバマケアは医療の「価値」への支払いを推し進めた

 オバマケアはさらに,国民皆保険を達成する上でいくつかの改革を同時に実施した。その一つが医療機関への支払い制度の改革である。それまでは医療サービスの提供される「量」に対する支払い(出来高払い)だったものが,「価値(バリュー)」に対する支払い(主にPay-for-performanceを意味している)へ変わることとなった。高齢者向け医療保険メディケアは,2010年にはほぼ100%が量に対して支払われていたが,2016年の時点でその支払いのうち約30%を価値に対する支払いへ再分配している2)。計画では,この割合は2018年までに50%に達する見込みである。価値への支払いには入院患者のプロセス指標やアウトカム指標に対して支払いをするHospital Value-Based Purchasing(HVBP)Programや,退院後30日以内の再入院に対してペナルティを設けるHospital Readmission Reduction Program(HRRP)と呼ばれるものが含まれる。

公的保険による皆保険制度を導入“できなかった”理由

 このように,米国は公的保険と民間保険を組み合わせることで皆保険を達成した。米国は公的保険を導入“しなかった”のではなく,政治的な理由から“できなかった”のである。

 オバマが大統領になった時点で,雇用されている米国民の多くは民間医療保険に加入しており,民間医療保険の市場は1兆2000億ドルの巨大市場であった3)。仮に日本のように公的医療保険への加入を義務化すると民間医療保険会社を市場から追い出すことになり,それは現実的に不可能であった。このように各段階において政策決定者が選ぶことのできる政策のオプションは歴史的背景に依存していることを政治学では「経路依存性(Path dependence)」と呼ぶ4)。

 そこでオバマ大統領は,メディケアと民間医療保険会社を競争させ,市場原理の中で民間医療保険会社を追い出そうとした。これはパブリック・オプション(Public option)という仕組みであり,高齢者や身体障害者以外の人もメディケアへ自由に加入できるようにするというものである。

 メディケアは国が経営する単一の公的医療保険であり〔日本には3000以上の保険者(健康保険組合や国民健康保険)が存在するが,メディケアは全米で一つの巨大な保険者である〕,5000万人が加入している巨大な公的保険制度である。その経営効率は民間医療保険よりも良いとされているため,メディケアと民間医療保険会社が競争すれば,民間医療保険会社の分が悪いことは明らかであった。

 ところが民主党と共和党で連邦議会の議席数が拮抗する中,パブリック・オプションを諦めなければ,オバマケアを通過させることができないという状況になってしまった。結局,パブリック・オプションは“とかげのしっぽ切り”のような形で2009年12月にオバマケアの条文の中から削除されることとなった(註2)。

財源は保険会社や病院の“痛み分け”の上に成り立っている

 オバマケアによって新たにカバーされる人の多くは保険料を支払うことが困難な貧困者であった。米国の医療財政はすでに逼迫していたため,財源を確保する必要があった。その方法としてオバマ大統領が取ったのは,医療保険会社や病院などの医療関連業界による“痛み分け”であった。

 病院などの医療機関には公的保険のメディケアやメディケイドからの支払額が減らされ,これにより連邦政府は約7400億ドルの歳出カットを達成できたと言われている5)。公的保険から医療機関への支払額は減るものの,一方で無保険患者からの取りこぼしがなくなり,また新たに保険に加入した人による医療需要の増加が見込まれたため,医療機関はこの条件を飲み込むこととした。

 医療保険業界には利益率の上限が設定され,集めた保険料総額の少なくとも80~85%を医療サービスとして還付しなければならなくなった(つまり利益率の上限は15~20%になった)6)。この保険会社の利益率の上限のことをMedical Loss Ratioと呼ぶ。それ以上の利益を上げた場合には,その利益を被保険者に払い戻さないといけなくなった。オバマケアによって民間医療保険の加入者が増え,保険会社は売上高が増えると考えたため,保険会社はこの条件を受け入れた。

 オバマケアは高所得の個人にも負担を課した。高所得者(独身の場合年収20万ドル,2人世帯で年収25万ドル以上)のメディケア税(65歳以上になったときに,メディケアに加入する要件を満たすために必要な税金)が0.9%引き上げられた。また,米国では医療保険料は税控除の対象であり,高額な医療保険に加入する高所得者ほど控除の恩恵に預かっていることが問題になっていた。この問題を解決するために,高額な医療保険(年間保険料が個人加入で1万200ドル,世帯加入で2万7500ドル以上)に入っている場合,この額を超えた分に40%課税されるようになった7)。この高額医療保険に対する税金は,高級車キャデラックから名前を取り,「キャデラック税(Cadillac tax)」と呼ばれる(註3)。

 ちなみに,医療関連業界で唯一“痛み分け”をしなかったのが製薬業界であった。これは政治的判断であり,力を持っていた製薬業界を味方につけることで,オバマケアは連邦議会をどうにか通過することができたと言われている。なお,オバマやクリントンは最近になって,次の改革は薬価であると宣言しており,近い将来,製薬業界にも“痛み分け”を迫るのではないかと言われている。

 つまり,オバマケアは経済的にゆとりのある医療機関,医療保険業界,高所得者から財源を集めて,貧困者が医療保険に入れるようにした改革であった。よってオバマケアは社会の格差を縮める政策だと言うことができる。

医療保険市場に政府が規制をかけることが可能になる?

 これまでは民間医療保険は完全な自由市場で取引されていたが,オバマケアの導入によって民間医療保険の取引は“規制された市場”で行われることになった。規制の変更は規制の導入よりもはるかにハードルが低い。そのため今後は,規制を適切に用いることで,機能していなかった民間医療保険の市場を,適切に機能するように誘導していくものと期待されている。

 今回はオバマケアがどのような政策であったのか概略を説明した。次回は,オバマケアが「いかに医療経済学の知見をもとに綿密にデザインされたシステムであったか」を説明する。

(つづく)

註1:オバマケアの法律の文面では133%となっているが,加入要件を計算するときに収入の5%を控除するという規定(Modified Adjusted Gross Income tax rule)があるため,実質的にはFPL138%以下の人はメディケアによってカバーされる。
註2:実はオバマケアはCLASS(Community Living Assistance Services and Supports)Actと呼ばれる介護保険制度の導入も試みていたが,パブリック・オプション同様にオバマケア導入の過程で切り捨てられた経緯がある。この制度は任意加入であり,保険料からの財源が十分に集まらないことが予想されたため,2011年10月にはオバマ陣営はこの法律を削除すると発表し,2013年1月1日に連邦議会で正式に撤廃されることとなった。
註3:キャデラック税の導入は当初2018年からの予定であったが,2020年に延期された。今後の経過次第では再延期や導入中止となる可能性もある。

◆参考文献・URL
1)N Engl J Med. 2016[PMID:27681881]
2)JAMA. 2016[PMID:27400401]
3)Deloitte. Health Insurance Market Overview. 2013.
https://www.cdc.gov/stltpublichealth/program/transformation/docs/health-insurance-overview.pdf
4)Jacob S Hacker. The Historical Logic of National Health Insurance:Structure and Sequence in the Development of British, Canadian, and U.S. Medical Policy. Stud Am Polit Dev. 1998;12(1);57-130.
5)The Washington Post. How Congress paid for Obamacare(in two charts). 2012.
6)Kaiser Family Foundation. Explaining Health Care Reform:Medical Loss Ratio (MLR). 2012.
7)Issue Brief(Commonw Fund). 2016[PMID:27290752]

つがわ・ゆうすけ氏
東北大医学部卒業後,聖路加国際病院,世界銀行を経て現職。米ハーバード公衆衛生大学院でMPH,ハーバード大でPh.D.(医療政策学)を取得。専門は医療政策学,医療経済学。ブログ「医療政策学×医療経済学」において医療政策におけるエビデンスを発信している。


  1. 2016/10/17(月) 05:54:30|
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10月15日 

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12156-10642/
医者と病院の不足が極まる「2030年問題」
2016年10月15日 15時00分 まいじつ

東京五輪から5年後に“2025年問題”が待っているのだという。

2025年には、団塊世代がすべて75歳以上になる。そして、国民の3名に1名が65歳以上、5名に1名が75歳以上という、これまでの日本が経験したことのない高齢化社会を迎え、医療と介護の提供体制が追い付かなくなる。

「東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏と愛知県、沖縄県、滋賀県のみが、現在と同水準の人口を維持できる自治体です。東北や中四国は、軒並み1割ほどの人口を減らします」(都市問題に詳しいジャーナリスト)

厚労省の推計によれば、2025年の医療保険給付は総額54兆円と、現在より12兆円以上も増える見通しだ。衰えゆく日本の国力で、とうてい賄える額ではない。

「厚労省は、医療保険が破綻するシナリオを回避するために、医者と病院を減らそうと必死です。現在、病院の身売りや倒産が全国的に相次いでいますが、国は抜本的な手を、わざと打っていません。その結果、日本の医師数は世界の主要国のなかで最低のレベルです。医者がいなければ治療はできません。治療できなければ、医療費が膨らむこともない。だから、医療費を抑えるためには医師の数を減らし、病院の数も抑えるのが一番手っ取り早いというわけです」(医療ジャーナリスト)

同省の試算では、2030年には約47万人が死に場所が見つからない“死に場所難民”になる可能性があると警告している。いまは75%の人が病院で亡くなっているが、高齢者が増えると病院のベッドが足りなくなる。つまり、全ての人が病院や介護施設を死に場所にできるようにはならなくなってしまう。


自宅で最期を迎えたいと望んだとしても、いまのままでは在宅医や訪問看護師、訪問介護ヘルパーの数も不足する。

「在宅医に訪問診療を願い出たとき『いまの患者さんで手いっぱい』と断られたとします。その場合、もし自宅で亡くなっても、かかりつけ医がいないので『不審死』として扱われ、警察に届け出ないといけなくなる。こうした状態にもかかわらず、市町村議会議員は、いまだに高齢化問題への対応を甘く見ている人が大半です」(同)

あと15年もすれば、病院でも家でも死ねない時代がやってくる。



http://mainichi.jp/articles/20161015/ddl/k09/040/068000c
佐野市民病院
民営化、27日に集中審議 市政策審 /栃木

毎日新聞2016年10月15日 地方版 栃木県

 佐野市が民営化方針を打ち出した佐野市民病院の経営形態について諮問を受けた市政策審議会(委員長・三橋伸夫宇都宮大教授、委員17人)は13日、第2回会議を開き、初会合で市側が提示した同病院の概況をテーマに審議した。

 質疑応答では、委員から「指定管理者制の現在も実質的に民間が経営しているが、赤字になっている。民営化するとなぜ黒字にできるのかよく分からない」などと、市が民営化方針を決めた根拠について説明を求める質問が相次いだ。

 市側は「医療設備の導入や更新が、議会承認が必要な現在と違って迅速にでき、医師の招へいにつながる」「経営責任が明確化される」などと説明した。委員からは方針決定の根拠を文書で示すよう要望があり、次回の27日の会議では、市側の民営化方針の理由について集中審議する予定。【太田穣】



http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016101501001729.html?ref=rank
救急延命、本人の意思尊重 終末期高齢者、情報共有へ
2016年10月15日 19時11分 東京新聞

 がんなどの重い病気で終末期の高齢者が心肺停止といった状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有する取り組みを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。
 消防の救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。
(共同)


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G3註:国内のニュースが少ないのでアメリカの昨日のニュースから/デルタ航空、飛行中の急病人に対応しようとした黒人女性医師に差別

http://www.nbcnews.com/news/us-news/black-female-doctor-delta-discriminated-barred-me-sick-passenger-n666251
Black Female Doctor: Delta Discriminated, Barred Me From Sick Passenger
by EMMA MARGOLIN
OCT 14 2016, 1:41 PM ET NBC News

A black doctor has accused Delta Air Lines of discrimination after a flight attendant allegedly shooed her away from a passenger in need of medical attention and said "actual physicians" were needed.

Delta said in a statement Friday afternoon that the airline is investigating the incident.

Dr. Tamika Cross, an OBGYN resident at Lyndon B. Johnson Hospital in Houston, wrote in a Facebook post that she was on a flight from Detroit last week when someone two rows ahead her of starting screaming for help.

"I naturally jumped into Doctor mode as no one else was getting up," she wrote on Sunday in the account that has been shared more than 35,000 times.

But as she was about to stand, Cross said a flight attendant told everyone to stay calm — the man was just suffering from a night terror. Minutes later, the flight attendant yelled for a physician on board, Cross said.

Cross raised her hand to get the flight attendant's attention, but her help was rejected, she said.

"She said to me 'oh no sweetie put ur hand down, we are looking for actual physicians or nurses or some type of medical personnel, we don't have time to talk to you,'" Cross wrote. "I tried to inform her that I was a physician but I was continually cut off by condescending remarks."

As the overhead speaker called for physicians on board to alert the flight attendants, Cross said she pressed her button, staring at the flight attendant who had just cast her aside.


"She said 'oh wow you're an actual physician? I reply yes. She said 'let me see your credentials. What type of Doctor are you? Where do you work? Why were you in Detroit?'" Cross wrote.

She added: "Please remember this man is still in need of help and she is blocking my row from even standing up while Bombarding me with questions."

Finally, Cross said a "seasoned" white man approached and told the flight attendant he was a physician as well. Without asking for his credentials, the flight attendant immediately accepted his help, Cross said.

"Mind blown. Blood boiling," she wrote.

Delta said three medical professionals offered help on the flight, but only one provided credentials, "and that is the doctor who was asked to assist thecustomer onboard. In addition, paramedics met the flight to assist the customer further."

Later on, the flight attendant started asking Cross for input on how to help the unresponsive man, who was showing signs of improvement, Cross said. She added that the flight attendant had also apologized to her several times and offered her SkyMiles.

"I kindly refused," Cross wrote. "I don't want SkyMiles in exchange for blatant discrimination. Whether this was race, age, gender discrimination, it's not right. She will not get away with this....and I will still get my skymiles."

Delta said it is "in the process of conducting a full investigation" into the incident.

"We are troubled by any accusations of discrimination and take them very seriously. The experience Dr. Cross has described is not reflective of Delta's culture or of the values our employees live out every day," the company said in a statement.

Cross, meanwhile, told NBC News in a phone interview Thursday night she thinks the flight attendant could benefit from sensitivity training.

"Someone's life was on the line," she said, noting that the outcome could have been much worse. "Luckily the man was okay."



http://www.nytimes.com/2016/10/15/us/black-doctor-says-delta-flight-attendant-brushed-her-aside-in-search-of-an-actual-physician.html?_r=0
Black Doctor Says Delta Flight Attendant Rejected Her; Sought ‘Actual Physician’
By CHRISTINE HAUSER
OCT. 14, 2016 Mew York Times

Dr. Tamika Cross, a black physician at the Lyndon B. Johnson Hospital in Houston, could not immediately come to the phone on Friday. She was busy delivering a baby boy by C-section.

So, yes, in case anyone has any doubt, Dr. Cross is an “actual physician.”

But the 28-year-old doctor said that was the question hanging in the air, raised by a flight attendant, when she volunteered to treat a sick passenger on a Delta flight from Detroit to Minneapolis on Sunday.

Dr. Cross wrote about the episode in a Facebook post later that day, saying she had put her hand up to help, but was met with the kind of skepticism she had encountered before as a black doctor. A flight attendant demanded her “credentials” and confirmation that she was a real physician.

“She said to me: ‘Oh no, sweetie put ur hand down; we are looking for actual physicians or nurses or some type of medical personnel. We don’t have time to talk to you.’ ”

Dr. Cross wrote, “I’m sure many of my fellow young, corporate America working women of color can all understand my frustration when I say I’m sick of being disrespected.”

By Friday, Dr. Cross’s story had been shared more than 38,000 times and had attracted more than 14,000 comments, transforming her Facebook page into a forum where minority professionals reflected on the difficulties they face from people who doubt their qualifications or abilities.

It was also shared widely on Twitter under the hashtags #TamikaCross and #WhatDoctorsLookLike to highlight offensive assumptions about diversity in the medical field.

“Tamika, I know exactly how you feel, when people don’t want your help, because of the color of your skin,” Iniece Crawford wrote on Facebook. “I go through this on a regular basis and I’m just a pharmacy associate. They assume that I don’t know what I’m doing or don’t want to deal with me at all, but have to.”


On Friday, Delta Air Lines said in a statement on its website that it was investigating what happened and had reached out to Dr. Cross. The statement said: “Three medical professionals identified themselves on the flight in question. Only one was able to produce documentation of medical training.”

The statement continued, “The experience Dr. Cross has described is not reflective of Delta’s culture or of the values our employees live out every day.”

Reached by telephone between surgeries on Friday, Dr. Cross said that it was not the first time she had encountered assumptions that as a black woman, she could not be a doctor, and that she has heard similar stories from colleagues.

“I think minorities in general, especially in my field of practice — I feel that they are always questioned and always assumed to be the nurse or the nurse’s aide or here as part of the janitorial team or ancillary staff,” she said. “Several times I come in the room, I am assumed to be one of the ancillary staff.”

Some of the conversations spurred by Dr. Cross’s Facebook post centered on what researchers call implicit bias, or unconscious processing about race. According to the Kirwan Institute for the Study of Race and Ethnicity, implicit bias can affect the decisions jurors make in courts, the assumptions by law enforcement officials about minorities and the relationships between students and teachers, and doctors and patients.

In its 2016 report, the institute highlighted how people with a “black-sounding name” had a lower response rate when trying to get help for public services.

Dr. Cross said in her post that she had been to Detroit for a wedding and that Delta Air Lines Flight 945 was midair when a male passenger two rows in front of her became unresponsive; his wife started screaming for help.

“I naturally jumped into doctor mode as no one else was getting up,” she wrote. At first, the flight attendant told everyone to stay in their places, but then called out for a doctor.

“I raised my hand to grab her attention,” Dr. Cross wrote, referring to the flight attendant. “She said, ‘Oh wow, you’re an actual physician?’ I reply yes. She said: ‘Let me see your credentials. What type of doctor are you? Where do you work? Why were you in Detroit?’ ”

Dr. Cross said she told the woman she is an obstetrician-gynecologist in Houston, but did not show any credentials. Then a white male passenger approached the flight attendant and said he was a physician. According to Dr. Cross, the flight attendant turned to her and said, “Thanks for your help, but he can help us, and he has his credentials.”

On Facebook, Dr. Cross wrote: “Mind you, he hasn’t shown anything to her. Just showed up and fit the ‘description of a doctor.’ ”

After returning a phone call seeking comment on Friday, a Delta spokeswoman referred any further inquiries back to the company’s statement. It says about the flight crew: “When an individual’s medical identification isn’t available, they’re instructed to ask questions such as where medical training was received or whether an individual has a business card or other documentation, and ultimately to use their best judgment.”

Catherine Sirna, a Delta spokeswoman, declined to answer a question about the race of the flight attendant, saying the company does not comment on personnel matters.

But Deborah Lake, a spokeswoman for McGovern Medical School at UTHealth, Dr. Cross’s employer, said, “To my knowledge, the flight attendant is white.”

Dr. Cross said that she had written her Facebook post during the layover before traveling to Houston. She then filed an official complaint with the airline on Tuesday and received a general reply that the airline was investigating and did not discriminate.

An airline representative also left her a voice mail message to speak with her, Dr. Cross said, but she had been unable to return the call because of her operation-room and medical schedule.



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10月14日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/467658
「医療崩壊を誘発、不当な勾留」、準強制わいせつ罪・起訴医師
東京保険医協会、早期釈放を求め東京地裁に嘆願書

2016年10月14日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 東京保険医協会は10月14日に都内で記者会見を行い、東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対する準強制わいせつ容疑で逮捕、起訴された乳腺外科医の早期釈放を求める嘆願書を、東京地裁の刑事部所長らに提出したことを公表した。嘆願書は10月13日付け。

 東京保険医協会会長の鶴田幸男氏は、「起訴後の現時点において、勾留の理由も、また勾留の必要性もないことは明らか。これ以上、勾留を続けることは、基本的人権を侵す上、医療行為をなし得ないという、医師としての極めて重大な不利益が認められるだけでなく、保険医に極めて深刻な萎縮作用が生じかねない」と語気を強め、勾留継続に断固反対、早期の釈放を求めた。

 同協会勤務委員会担当理事の佐藤一樹氏も、乳腺外科医について、「無罪とは思うが、それを主張するものではない」と断り、有罪か無罪かは「裁判所が必ず正しい判断をされると信じている」と述べ、本嘆願書は、あくまで刑事訴訟法に照らし合わせて、現時点での勾留は不当であり、釈放を求める趣旨であると説明。同協会内で計5回、複数人で検討、その結果、乳腺外科医は同協会の会員ではないものの、保険医全体にとっての問題であると判断し、嘆願書の提出に至ったという。

 佐藤氏は、勾留が不当である理由として、第一は、罪証を隠滅する恐れがないこと、第二は、医師の基本的人権を侵す上、医療崩壊を誘発する社会的問題であることという二つを挙げた。

 2001年3月の東京女子大事件で、業務上過失致死罪に問われ逮捕・勾留された経験を持つ佐藤氏は(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』などを参照、東京高裁で無罪確定)、10月12日に、東京拘置所に乳腺外科医の家族とともに接見に行った。「大変やつれていた。独房にいると、情報が入ってこないため、世の中は皆、敵だと思ってしまう。そこで、二つのことを伝えた。一つは、先生には味方がたくさんいること。我々がこうした活動をしているほか、既に早期釈放を求める1万人以上の署名が集まっている。もう一つは、今まで相当ハードに仕事をしており、疲れている中で、精神的に参っていると思うので、次の戦いに向けて、心身ともに健康状態を作るということ」(佐藤氏)。

 乳腺外科医は、2016年5月10日に乳腺外科の手術を受けた女性患者に対し、乳首をなめるなどの行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで、8月25日に逮捕・勾留された。8月27日に勾留決定準抗告したが棄却、同日勾留取消請求したが却下、9月5日に勾留理由開示公判が開かれ、乳腺外科医は被疑事実を否定したものの、9月14日に準強制わいせつ罪で起訴された。その後、9月16日に保釈請求したが、9月21日に棄却、9月23日に準抗告したが却下、10月11日に2回目の保釈請求をしたが14日に棄却、準抗告も却下された。乳腺外科医の逮捕・起訴は不当であるとして、柳原病院や同僚医師らは声明を出すほか、署名活動を展開している(逮捕医師の釈放求め署名活動始まる』などを参照)。

 なお、乳腺外科医の代理人弁護士によると、初公判の期日は未定だという。

「必要な捜査は終了している」

 嘆願書では、勾留が不当である第一の理由は、罪証を隠滅する恐れがないこと。具体的には、(1)起訴状の公訴事実と、勾留状の被疑事実では、犯行の時刻・時間・態様が変遷している、(2)証拠調べには、相当な時間が経過している――という根拠から、「必要な捜査は終了している」と判断されるほか、(3)乳腺外科医に証拠隠滅の意思はなく、阻止が可能であることを挙げた。

 (1)では、わいせつな行為は、被疑事実は2回だが、公訴事実では1回に減るほか、「自慰行為」の事実が削除されるなどの変遷がある。「21日間の逮捕・勾留期間中には、検察官による捜査と要求によって、医師本人や被害を訴える患者からの供述、柳原病院の医師や看護師ら病院関係者の期日前証人尋問を経て、自慰行為の存在は麻酔後のせん妄・錯視による誤解だと判断されて落とされたものと推測される」(嘆願書)。また(2)について、嘆願書では、「警察は犯行があったとされる5月10日当日から始め、8月25日の逮捕まで107日間捜査を行った上、起訴までの21日間も集中的に追加捜査をした」と指摘している。

 (3)では、乳腺外科医が実効性のある証拠隠滅行為に及ぶという「具体的な」可能性を示唆する根拠などはなく、万が一、何らかの行為に及ぶ可能性があるのであれば、禁止事項などを保釈条件に付ければ対応できるとしている。

 第二の理由は、医師の基本的人権を侵す上、医療崩壊を誘発する社会的問題であること。嘆願書では、刑事訴訟法を引用し、「起訴後における身体拘束は、極めて例外的な場合にのみ限られることは明らか」「恣意的かつ漫然的で具体性のない勾留理由での身体拘束は、身体的・心理的・経済的不利益を生じさせることになるほか、人道的にも容認できることではない」と指摘。

 さらに、「恐らくは、逮捕勾留前後で大きく異なっている麻酔によるせん妄状態であった患者の証言のみを根拠として医師の犯罪を疑い、逮捕し、起訴後も勾留を続けることが許されるのであれば、医療現場に混乱を萎縮を招き、正当な医療行為や診療行為が大きく制約を受け、いわゆる医療崩壊を誘発し、ひいては国民に重大な不利益を生じる。福島県立大野病院事件における逮捕・勾留が産婦人科領域の萎縮につながったことは周知の事実」との懸念を呈している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/467681
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
オプジーボ、「500以上の引き下げ」求める声も
経済財政諮問会議の民間議員、医療費の地域差半減も要望

2016年10月14日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 経済財政諮問会議は10月14日の会議で、2017年度予算編成に向けて歳出改革を議論、4人の民間議員は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価の大胆な引き下げ、医療費の伸びの抑制、1人当たり医療費の地域差半減などを求めた資料、「メリハリを効かせた歳出改革の推進に向けて」を提出した(資料は、内閣府のホームページ)。

 会議後に会見した石原伸晃内閣府特命担当大臣が、会議の内容を説明。民間議員から、オプジーボについては、「500以上の薬価引き下げ」を求める声や、薬価算定の新たなルール作りが必要という意見が上がった。これらを受け、塩崎恭久厚労相は、薬価の改定年でなくても、オプジーボについては、国民負担軽減の観点から緊急薬価引き下げを実施するとともに、2018年度に薬価制度を抜本的に見直す旨を発言。

 安倍晋三首相は会議の最後に、歳出改革に当たり、1人当たり医療費の地域差半減や高額薬剤の引き下げなどについて、塩崎厚労相をはじめとする関係大臣に対し、今後、議論を深めて対応策を具体化するように指示した。

 「切除不能な悪性黒色腫」の適応で薬価が設定された抗PD-1抗体製剤のオプジーボは、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能追加で、年間販売額が当初予想を上回り、1260億円にも上ると推計され、中央社会保険医療協議会が、その対応を議論している(『「オプジーボ緊急的対応、医療保険堅持が目的」中川日医副会長』を参照)。

 中医協の現時点の議論では、「最大250引き下げ」の見通し。「500以上」の発言には特段の根拠はなかったものの、「オプジーボの薬価(100m)」は、日本では約73万円だが、英国は約15万円、米国約30万円という海外比較表が資料として提出されたことから、「250では不十分」との意見につながったとみられる。

 厚生労働省の今夏の2017年度予算の概算要求では、社会保障費の自然増は約6400億円。「骨太の方針2015」に基づき、自然増約5000億円への抑制が求められる中、安倍首相直轄の経済財政諮問会議でも中心的議題となったオプジーボの2017年度での薬価引き下げが不可避になってきた。

「改革工程表」44項目の実施を

 民間議員の提出資料では、オプジーボの問題のほか、2015年12月に経済財政諮問会議がまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の全44項目の実施、特に1人当たりの医療費の地域差半減を求めたほか、地域医療構想の進捗を評価・検証できる仕組みなどを盛り込んでいる。

 民間議員が提出した参考資料では、1人当たりの医療費(2014年度)の上位5位は、福岡、高知、長崎、佐賀、北海道。下位5位は、新潟、千葉、静岡、長野、茨城。「1人当たりの医療費が高い県は、入院医療の受診率や1件当たりの日数の寄与が高く、医師数や病床が多い」と指摘。会議では、地域差が生じる要因の詳細な分析を求める声が上がった。



https://www.m3.com/news/general/467532
「診療拒否は違法」と提訴 中国で腎移植の男性 訴訟は初、浜松医大に
2016年10月14日 (金) 共同通信社

 「海外で臓器移植した患者は受け入れない」との内規に基づき浜松医大病院(浜松市)が診療を拒んだのは、正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反するとして、中国で腎移植を受けた静岡県掛川市の男性(66)が、大学に慰謝料など約190万円を求める訴えを静岡地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 医療関係者によると、海外で移植を受ける患者は年間数十人に上り同様の診療拒否も相次ぐが、訴訟に至ったのは初とみられる。各地での拒否の背景には「こうした患者を診療すると罰せられる」との誤解が一部にあると指摘する専門家もいる。

 厚生労働省は国内移植を推奨するが、渡航移植患者の帰国後の治療について「関係法令はなく、各病院の判断に任せている」として明確な方針を示していない。

 男性は提訴した理由を「診療拒否された患者の不安を知ってほしい」と説明。浜松医大は取材に「係争中のためコメントできない」としている。提訴は昨年7月24日付。

 男性の代理人弁護士によると、男性は渡航移植を仲介するNPO法人に申し込み、中国で腎移植を受けていた。

 大学側は男性に対し、診療全てを拒んではおらず検査はしたと説明。内規は、臓器を売買の対象とすることを禁じた国際学会の「イスタンブール宣言」をきっかけに定めたとし「治療すれば宣言に抵触する」と反論したという。

 宣言は移植医らでつくる国際移植学会が2008年5月に発表し、富裕国の患者が海外で貧困層や死刑囚をドナーとする移植を受けることを批判。臓器売買を禁止するよう各国に求め、日本移植学会も準拠した指針を策定している。

 訴状によると、男性は15年1月、中国に渡航し腎移植を受けた。帰国後の同4月、継続治療のため浜松医大病院を受診。血液と尿の検査後、医師に中国で手術を受けたと伝えると「海外で移植した患者の診療は断ると内規で定めている」として、他の病院を探すよう求められたとしている。



https://www.m3.com/news/general/467515
群馬大教授の指導医資格不正取得、新たな防止策取らず…肝胆膵外科学会
2016年10月14日 (金) 読売新聞

 群馬大病院で相次いだ手術死に関連し、旧第二外科教授(7月29日付で諭旨解雇)が虚偽の手術実績で指導医の資格を取得していた問題で、日本肝胆 膵すい 外科学会は、新たな対策は取らない旨の見解を学会のサイトで公表した。

 同学会が定める高度技能指導医は、一定以上の難度の手術件数などが必要としている。群馬大が設置した第三者の調査委員会が今年7月に公表した調査報告書では、指導医資格が虚偽の実績で取得可能だったことに対し、「防止策を講ずるべきだ」と同学会に要望。これを受け、同学会は「不正防止対策はすでに十分講じているが、さらに会員に周知徹底する」とした。



https://www.m3.com/clinical/news/467259
レセプト関連の不審メールに注意喚起
社会保険診療報酬支払基金に情報相次ぐ

m3.com編集部2016年10月14日 (金)

 社会保険診療報酬支払基金は、「レセプト電子請求に併せて」と題した不審なメールの報告が相次いでいることから注意喚起を発した。同基金では、そのようなメールは送付していないとして冷静な対応を呼び掛けている。

 同基金によると最近、レセプト電子請求の情報をにおわせる不審メールが増えているという。このため同様のメールを受信した際は、「メール本文中のURLをクリックしない」「添付ファイルを開かない」「届いたメールに対して返信しない」よう求めている。



http://news.livedoor.com/article/detail/12145637/
「人生は完結」と思う高齢者の自殺ほう助認める動き、オランダ
2016年10月14日 14時34分 AFPBB News

【AFP=時事】安楽死の合法化から約15年を経たオランダで、病気でなくても人生は「完結した」と感じている高齢者が自殺ほう助で死ぬ権利を法的に認めるよう、安楽死法の範囲を拡大する動きが出ている。

 オランダ保健相と司法相は12日、議会に宛てた書簡のなかで「熟慮した末に自分の人生は完結したとの確信に至った人たちが、厳格な条件の下で、自身が選択した尊厳ある方法で生涯を終えられるようにすべきだ」と提案した。オランダは来年3月に総選挙を控えているため、提案が法案として審議される可能性は低いが、既にオランダ国内では激しい論争が巻き起こっている。

 オランダと隣国のベルギーは共に2002年、世界で初めて安楽死を合法化した。ただし安楽死は、他に合理的な解決法がなく患者の苦痛が「耐えがたく改善の見込みがない」と2人以上の医師が認めた場合に限るとの厳格な条件の下で行われている。

 昨年にオランダで実施された安楽死の件数は約5516件で、全死亡者数の3.90を占めた。また安楽死による死を選択した人たちの700以上が、がんと診断された人たちで、認知症または精神疾患の人たちが約2.90だった。安楽死の件数は2010年の3136件から確実に増加している。

 安楽死は繊細な問題で、12~18歳の未成年の末期患者も安楽死を選択でき、認知症など、ある種の精神症状が「耐えがたい苦痛」とみなされるなど、国外ではいぶかしむ人も多い。
【翻訳編集】AFPBB News



http://www.swissinfo.ch/jpn/society/0E609C0800E60960B00E70B50B10E80A8088_0E80870AA0E60AE0BA0E30810BB0E30810860E508A0A90E308108C0E30820B90E30820A40E30820B90E30810A70E50A20970E508A0A0/42514410
最新統計  自殺ほう助がスイスで増加
2016-10-14 10:00 Swiss Info

最新の統計によると、スイスで行われた自殺ほう助の件数は前年から260増加していることが分かった。自殺ほう助で死亡した人の大半は末期患者だった。

 連邦統計局の報告書によると、スイスで行われた自殺ほう助の件数は2014年で742件あり、5年前に比べ2.5倍増加。スイスの死亡原因のうち、1.20が自殺ほう助だった。
 自殺ほう助を受ける人の数は男女ほぼ同じで、人口比率に換算すると男性は10万人中10人、女性は10万人中9人がこの手段を選択した。
 自殺ほう助を受ける理由として、「がんによる病気」を挙げた人は420。ほかには、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患(140)、心臓血管疾患(110)、筋骨格系の疾患(100)が挙げられている。
 14年に自殺ほう助を受けた人のほとんどがチューリヒ州在住者。ジュネーブ州、ヌーシャテル州、ヴォー州、アッペンツェル・アウサーローデン準州、ツーク州でも自殺ほう助を受けた人の数は平均より高かった。
 連邦統計局によると、手助けを得ずに自殺した人の数は過去数年で一定数を保っており、14年では1029人だった。

自殺ほう助は合法?

 本人が自ら死に至る行為を行い、その人が死ぬことで援助者が個人的な利益を得ることがなければ、スイスでは自殺ほう助は合法とされる。1940年代から自殺ほう助が認められている。
通常の手段では医師が処方した致死量の睡眠薬が用いられる。自殺志願者は経口摂取、点滴静脈注射、胃管など、いずれの方法においても、自ら毒を摂取しなくてはならない。スイス連邦裁判所は2006年、健全な判断が出来るすべての人々には、精神病を患っているか否かに関わらず、自らの死の手段を選ぶ権利があるとの判断を示している。
(英語からの翻訳・鹿島田芙美 編集・スイスインフォ)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49799.html?src=topnewslink
地域医療連携は行政と地域医師会主導で- 日医・横倉会長が東大で講演
2016年10月14日 15時00分 CB News

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は13日、東京大学で講演し、これまでの地域医療連携が医師会、病院、行政、地域包括支援センター、それぞれが主導して進められてきたなどと指摘した上で、「これからは、地域にあった連携システムを構築するために行政と地域医師会が中心となって主導していく」と述べた。【君塚靖】

 この講演会は、文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」により、シリーズで開催されているもので、「最先端の在宅医療を考える」がテーマ。研修医を含む医師、医学生、在宅医療の関係者などを対象にしている。今回は、日本の医療政策の中で医師会がどのような役割を果たすのかについて、日医の横倉会長が講演した。

 横倉会長は、日医の役割は地域医療や医療政策をはじめとする医療提供体制全般に責任を持つことだと強調し、その一環で日医の生涯教育制度などを通じて、在宅医療に関する教育・研修に注力していることを説明した。研修の具体例として、4月から実施している「日医かかりつけ医機能研修制度」を挙げた。

 一方、今年度中に、ほぼすべての都道府県で策定される見込みの地域医療構想については、「将来の病床の必要量が注目されているが、決して病床削減ツールではない」と強調し、「地域医療構想の策定で『終わり』ではなく、将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされるべき」と述べた。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1014504979/
医療事故による死亡、院内調査で原因究明を
日医が職業倫理指針を改訂

CBnews | 2016.10.14 13:33

 日本医師会(日医)は、会員向けの「医師の職業倫理指針」に、医療事故で患者が死亡した場合は院内で事故調査を行って原因を究明するよう求める内容などを新たに盛り込んだ。この倫理指針は、臨床現場で遭遇することが想定される具体的な事例を取り上げ、その対応方法などを示したもので、このほど8年ぶりに改訂された。

 改訂版には、▽医療による死亡事故が発生した場合 ▽出生前に実施される遺伝学的検査・診断 ▽患者が虐待されていると疑われるケース―の対応方法などが追記された。

 医療によって死亡事故が発生した場合、担当医や病院などの管理者は遺族らに病理解剖を勧め、院内での事故調査によって原因究明すべきとした。また、臨床に携わる医師に対して医師賠償責任保険や医療施設賠償責任保険に加入するよう求めた。

 出生前に実施される遺伝学的検査・診断については、実施する医師はあらかじめ妊婦やその家族らにその特性や意義などを十分に説明する必要性を強調。さらに、事前に妊婦らに対して必要な情報提供や心理的な支援などをする「遺伝カウンセリング」を実施した上で、同意を得るよう求めた。

 遺伝カウンセリングに関しては、遺伝学的検査の普及とともに重要性が高まっていることから、すべての医師が基礎的な知識や技能を習得することが望ましいとした。

虐待疑いの通報、「守秘義務は適用されず」

 患者への虐待が疑われるケースでは、医師は公的機関に積極的に通報する必要があると記載。また、医師が患者への虐待を疑って通報した場合でも、「守秘義務は適用されず、責任が問われることはない」とした。

 さらに、医療機関や介護施設などでは認知症の人や精神障害者、知的障害者らが身体拘束されるケースもあると指摘。患者や入所者に納得できない外傷やあざなどがあった場合、「医師はその原因調査と再発防止に協力すべき」との考えも示した。

 日医では近く、すべての会員に改訂版を配布する予定。

(2016年10月13日 松村秀士・CBnews)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161012-OYTET50034/
イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常(コラム)
日本の医療制度が破綻危機、何とかしなければ…

2016年10月14日 読売新聞

 先週にイギリスの短期出張から戻り、時差ぼけも少なく仕事に励んでいました。いろいろな医療の記事を読んでいて、ほとんどは既に知っていることか、自分の予想の範囲内のことなので、 滅多めった に記事を見て、びっくりすることはありません。ところが、10月6日の日経産業新聞の記事(http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08036870V01C16A0X11000/)には、久しぶりに度肝を抜かれました。

 超高額抗がん剤として話題を集めている「オプジーボ」の値段が、アメリカでは日本の4割、イギリスでは日本の2割で販売されているそうです。

医療費増は当然の成り行き

 自分が出演するラジオや、自分が書き下ろす原稿で、すでに「日本の薬の値段の算定システムはフェアである」と表明してきた自分にとっては、本当にびっくりする記事でした。

 日本では最初に悪性黒色腫という 希まれ な疾患に保険適用されたこと、そして日本で最初に薬剤として承認されたことなどが影響しているのでしょう。オプジーボの薬価の算定システムはフェアとしても、実際にイギリスでは日本の5分の1の値段で売られているというのでは、日本でのオプジーボの値段も当然に下げるべきです。ところが、薬価は2年ごとに改定されます。さすがに厚生労働省も超高額であることを認識して、通常の2年を待たずに薬価を下げるようですが、半額に下げても、アメリカよりも高いことになります。半額に下げてもイギリスの2.5倍の値段です。とんでもなく高いですね。

 僕は、とんでもなく高くても、日本の経済が順風満帆ならばそれほど問題ではないと思っています。ところが日本経済は残念ながら 喘あえいでいます。そして、 日本の医療費(概算)の総額が前年度から1.5兆円増加して、41.5兆円になりました 。この原因は高齢化の進展と高額薬剤の使用頻度の増加にあると解説されています。この医療費の増加を 補填ほてん するだけの経済成長はとても見込めません。

 41.5兆円は、とんでもない高額です。そして、ここにはトリックがあって、この値は医療機関からの診療報酬請求に基づく集計の速報値で、労災や全額自己負担分の医療費は含まれていません。その上、実は200万人を超える生活保護の方々の医療費も含まれていないのです。

 2025年には、団塊の世代がすべて後期高齢者となります。75歳以上になるということです。団塊の世代とは1947年から1949年、つまり昭和22年から昭和24年に生まれた人々で、その3年間の年間出生数は毎年260万人を超えています。2015年に生まれた赤ちゃんは約100万人ですから、団塊の世代がどれほど多いかがわかります。つまり日本の人口構成で高齢化は避けられません。

 そして、サイエンスが進歩して、医療が高度化し、高額薬剤が登場し、一人当たりの医療費が増加することは当然の成り行きです。

日本の保険制度の素晴らしさは?

 つまり、医療費を今までのような国民皆保険制度でカバーするのはそろそろ限界なのです。日本の保険制度の素晴らしさは、基本的に全員が加入していること、そしてどこの保険医療機関にも自由にかかれること(フリーアクセス)です。

 さて、イギリスの話をします。イギリスにも国民皆保険制度があります。NHSと呼ばれるもので、イギリスに住んでいれば外国人でもその制度を利用できます。僕もオックスフォードで勉強した5年間は、この制度にお世話になりました。基本的に医療費は、ほぼ無料です。

 日本のシステムとの最大の相違点は、フリーアクセスではないということです。自分が住んでいる地域内で、かかりつけ医を見つけて登録しなければならないのです。そして、どんな病気でも、このかかりつけ医がまず診察、治療し、必要に応じて専門医に紹介するシステムになっています。つまり皆保険制度を利用してのフリーアクセスは完全に否定されています。

 また、日本では、病院やクリニックなどの診療機関は患者さんに施した医療費の自己負担分を除いた金額を保険請求できます。1年間にいくら使おうが、必要な医療費であればすべて償還されます。償還とは、一時的に医療機関側が支払ったお金(債務)を返済してもらえるという意味です。ところがイギリスでは、1年間に使用できる医療費が医療機関ごとに決まっています。つまり総量規制が働いています。ですから、かかりつけ医でも簡単に薬はくれません。風邪で受診しても、薬剤が処方されないこともあります。

 日本のようにフリーアクセスで総量規制がない制度と、イギリスのように初診では、かかりつけ医に行くことが義務付けられて総量規制が働いている制度では、当然にイギリスの方が窮屈です。また、適切な医療がうけられないリスクはイギリスの方が高いとも思われます。

 しかし、医療費が高騰する中、何か手を打たなければ日本のすばらしい医療制度は早晩破綻します。何か変化が起こるときに、窮屈になってリスクが増えることは、誰もが反対です。でも、制度が潰れるよりはましですよね。

 例えれば、日本では、どこのレストランで、どんなものを食べても、それが必要とされる範囲内なら、7割から10割を補助されていました。そして高額療養費制度があるので、ある程度を支払ったら、それ以上は暦月内ではいくら注文しても自己負担は増加しないのです。ところがイギリスの制度は、行きつけの食堂を決めて、1年間にその食堂が全体として使えるお金が決められているのです。その食堂でどうしても満足できないときに他を紹介されます。でも、そんな食堂の制度でも、イギリス人は誇りに思っています。そして日本の制度よりも長期的には存続可能だと思われます。

 そろそろ真剣に医療サービスの担当者が、政府が、そして国民が、将来の医療制度を考える時期に来ていると思っています。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。



http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=54101?site=nli
コラム
日本の医療は世界一か?-医療の国際数量比較

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任 篠原 拓也
2016年10月14日 ニッセイ基礎研究所

各国の医療従事者と病床数

日本は、他国に比べて、病床数が突出して多い。医療スタッフを見ると、医師数は少なく、看護師数は中位に位置している。一方、薬剤師数は多い。

各国の医療従事者と病床数[人口1,000人あたり]
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各国の医療機器数

また、高度医療機器であるCTやMRIの配備数では、日本は、他国を圧倒している。

各国の医療機器数 [人口100万人あたり]
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このように、日本は、医師数を制限する一方、病床数を増やして、入院による医療を展開している。

医師や看護師の診療やケアを、薬剤師の調剤や、医療設備の技術がサポートすることで、医療の質を確保している。

出典 : OECD Health Statistics 2016


※看護師数:フランス、アメリカは、業務管理・研究等、患者に接しない看護師を含む
※薬剤師数:アメリカは、業務管理・研究等、患者に接しない薬剤師を含む


※詳細はこちら
 医療の国際数量比較-日本の医療は世界一か?
 http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52143?site=nli



http://www.medwatch.jp/?p=10790
2016年度診療報酬改定で、7対1病棟の入院患者像や病床利用率はどう変化したのか―入院医療分科会
2016年10月14日|医療・介護行政をウォッチ  MediWatch


 2016年度の診療報酬改定で大幅に見直された「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」や「退院支援加算」(退院調整加算からの組み換え)によって、医療現場にはどのような影響が出ているのか―。

 12日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」(入院医療分科会)では、こういった点を把握するための調査票が固められました(関連記事はこちら)。

 親組織である中央社会保険医療協議会の了承を待って、近く調査が開始されます。

ここがポイント!
1 入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の議論がベースとなる
2 看護必要度見直しの影響を詳しく調査、Hファイルも活用
3 患者像の把握は、医師による「指示見直しの頻度」だけでなく「診察の頻度」も勘案


入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の議論がベースとなる

 2014年度の診療報酬改定は、7対1・10対1病棟での特定除外制度を事実上廃止するなど、病院・病床の機能分化に先鞭をつける大きな見直しが行われましたが、具体的な内容は実質的に入院医療分科会で決まりました。

 また前回の2016年度改定では、入院医療分科会の所掌は「専門的な調査・分析」と「技術的な課題に関する検討」にとどめられることになりましたが、一般病棟やICUにおける重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の見直しなど、改定の柱は実質的に分科会で固められました(関連記事はこちらとこちら)。

 このように、入院医療に関する診療報酬改定について、入院医療分科会の議論は極めて重いものとなっており、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定でも、同様の構図になると予想されます。入院医療分科会では、まず「前回改定の効果・影響」を詳細に調査し、その結果やDPCデータ・NDBデータをベースにして、入院医療における課題を洗い出し、解決に向けた方策を探るという形で検討・議論が進められます。

 12日に開かれた入院医療分科会では、2016年度改定が入院医療に与えた影響を把握するための下記の4項目に関する調査(2016年度調査)の調査票が厚生労働省から提示され、概ね了承されています。

(1)一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における看護必要度などの施設基準の見直しの影響(その1)

(2)地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響

(3)療養病棟入院基本料などの慢性期入院医療における評価の見直しの影響

(4)退院支援における医療機関の連携や在宅復帰率の評価の在り方

看護必要度見直しの影響を詳しく調査、Hファイルも活用

 看護必要度については、一般病棟では ▼A項目における救急搬送患者などの追加 ▼B項目における認知症患者の抽出を目指す項目見直し ▼手術症例を中心としたC項目の新設―が行われました。また、7対1病棟については、施設基準のうち「看護必要度の基準(A項目2点以上かつB項目3点以上、A項目3点以上、C項目1点以上)を満たす重症患者割合」が、従前の150以上から250以上(200床未満では230の経過措置あり)に引き上げられました(関連記事はこちらとこちら)。

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一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

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退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる

 多くの7対1病院にとって、こうした見直しは「施設基準の厳格化」でもあり、全病棟で7対1を維持するか、一部あるいは全部を他の入院料に転換するかが、重要な経営判断の1つとなっています。また7対1を維持するためには、重症患者割合を高める必要があり、「急性期治療を一定程度終え、看護必要度が低くなってきた患者の退院支援」や「後方病院や介護施設などとの連携強化」などが進められています。

 こうした状況を把握するため、今般の調査では、急性期病院における ▼病棟構成の現状と変化 ▼重症患者割合―などのほか、「在宅復帰率」「病床利用率」「退院支援加算の算定状況」なども詳しく調べられます。前述のとおり、重症患者割合を高めるために、急性期治療を終えた患者に積極的な退院支援を行い、在院日数を短縮していくことが必要です。ただし在院日数の短縮は病床利用率の低下にもつながるため、厚労省は「病床利用率の現状と、1年前からの変化」も調べることにしています。

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2016年度診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準厳格化(重症患者割合の250への引き上げなど)が行われており、これによって病棟の構成などにどのような変化が生じるのかを調べる

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2016年度診療報酬改定では重症度、医療・看護必要度の見直しが行われており、これが入院患者の構成などにどう影響を与えたのかを調べる

 また、同じ7対1病院であっても、「7対1病棟のみで構成される病院」と「7対1と地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟のケアミクスを行っている病院」とでは、患者の動向が異なることが予想されます。この点について厚労省は「施設表で病院のタイプを判断し、病床利用率も加味してタイプ別の分析を行う」考えです。

 この点、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会本部相澤東病院看護部長)は、「A項目の追加やC項目新設により、院内での多職種連携が進んだほか、医師の看護必要度への理解が深まってきているという状況もあるようだ。そうした点も見えるようにしてはどうか」と提案しています(関連記事はこちらとこちら)。


 なお今般の調査では、個別患者を対象として、1週間の中で「看護必要度のどの項目を満たしているのか」の把握も行われます(補助票)。これにより、より入院患者の状態が明確になることが期待されます。

 ただし、個別患者について改めて看護必要度の評価状況を転記することは病院にとって少なからず負担となるため、厚労省は「Hファイル」(看護必要度の生データ)の提出を行っている病院(DPC病院やデータ提出加算届け出病院)では、補助票の提出は不要としています。逆に見れば、患者像の把握に向けて「Hファイル」が最大限活用されることになります。

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2016年度の入院医療調査では、個別患者を対象にした看護必要度のチェック状況も調べる。ただしHファイルを提出している病院では、この補助票を提出する必要はない(Hファイルを活用する)

患者像の把握は、医師による「指示見直しの頻度」だけでなく「診察の頻度」も勘案

 2014年度改定・16年度の診療報酬改定では、療養病棟や障害者施設、特殊疾患病棟などの慢性期入院医療についても「在宅復帰機能強化加算」の新設などの重要な見直しが行われました(関連記事はこちら)。

 その際、各病棟の入院患者像を明確にする指標として、厚労省は「医師による指示の見直しの頻度」などを選択しました。今般の調査でも、こうした指標で継続した調査を行うこととしています。

 しかしこの点について、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長、全日本病院協会副会長)や池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長、日本慢性期医療協会副会長)、石川広巳委員(社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長、日本医師会常任理事)は、「医師が毎日診察したり、看護師から詳細な状況報告を受けて、結果として『指示の変更はなし』と判断することもある。これを持って、患者の重症度の判断につなげるのは間違っている」旨を強調しました。例えば、ICUの入院患者に対し、毎日診察を行った結果、『現在の薬剤投与を継続』と判断して、指示変更をしていなくとも、その患者が重症であることには疑いがないということを池端委員は例示しています。

 厚労省保険局医療課の担当者はこうした意見を踏まえて、新たに「医師の診察(判断、処置など)の頻度」という設問項目を追加することを明確にしました。2018年度改定に向けて、「医師の指示見直しの頻度」と合わせて「医師の診察の頻度」という指標で、各病棟の患者像を見ていくことになります。

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入院患者の状態を把握するため、指標の1つとして「1-2 医師による指示の見直しの頻度(向かって右欄参照)」が活用されているが、2016年度調査では1-1と1-2の間に「医師による診察(判断、処置など)の頻度」が盛り込まれて、新たな指標として活用されることになる


 なお池端委員は、「療養病棟でもデータ提出加算の届け出をし、DPCデータを提出する病院が増えてきている。ここから、療養病棟においてどのような医療行為を行っているのかが見えてくる。それをベースにして『医療区分』の見直しに向けた議論を始めるべき」と提案しています。

 療養病棟では、患者の罹患疾病や処置の内容などに応じた医療区分を設定し、入院基本料のベースとしています(医療区分3のほうが、医療区分1よりも点数が高い)。ただし、医療区分3はスモンなど、医療区分2は筋ジストロフィーなどとなっているものの、医療区分1は「医療区分2、3以外」と定義され、医療区分1には軽症から重症までさまざまな患者が混在していると指摘されます。池端委員は、客観的なデータをもとに医療区分のあり方を議論すべきとの考えを強調しているのです。2018年度改定に向けて、どのような議論が行われるのかが注目されます(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/general/467516
健保連・幸野理事「調剤権拡大、次期改定の重点事項」 - リフィル、変更不可欄削除など提案へ
2016年10月14日 (金) 薬事日報

 健康保険組合連合会の幸野庄司理事は10日、名古屋市内で開かれた第49回日本薬剤師会学術大会で講演し、薬剤師の調剤権を医師の処方権と「同等に近づけたい」と述べ、「調剤権の拡大・強化」を2018年度診療報酬改定の重点事項の一つに位置づける考えを示した。中央社会保険医療協議会の支払側委員でもある幸野氏は、具体例として、薬剤師が残薬を確認した場合の分割調剤や、リフィル処方箋の導入、処方箋の後発品変更不可欄の削除を挙げた。いずれも、医療費抑制の観点から提案する予定だが、支払側として、中医協の場で「しっかりと後押し」できるよう、かかりつけ薬剤師・薬局を着実に普及させるなどし、実績を作っておくことも求めた。

 幸野氏は、中医協での議論を通して、「医師の処方権があまりにも強いため、薬剤師の調剤権と格差がありすぎる」との印象を語り、「こうしたことが医薬分業を歪ませた一つの要因になったのではないか」と指摘。18年度改定に向けて、「薬剤師の調剤権を医師の処方権と同等に近づけていく。これは強く主張していきたい」と述べた。

 調剤権を発揮してもらいたい具体的な事例の一つに、残薬を確認した場合の分割調剤を挙げ、「薬剤師の判断で行えるようになればいい」と強調。

 リフィル処方箋については、導入されれば再診料や処方箋料が不要になるため、「医療費に大きく関わってくる。今回は診療側の大反対で実現できなかったが、提案していきたい」との考えを示した。

 後発品の使用促進についても、「医師が後発品に変更不可と判断した場合、薬剤師が勝手に変更できず、薬剤師が調剤権を発揮できない仕組みになっている」と問題視。中医協のデータでは、患者が後発品に変更したきっかけの大半が「薬剤師の説明」だったことに触れ、「後発品への変更は薬の専門家である薬剤師の調剤権。医師の意見がなくても薬剤師が行うべき」と強調した。

 その上で、政府が後発品数量シェア800の目標を掲げる中、「処方箋に変更不可の欄が残っていて、8割まで普及するのか」と疑問視。変更不可欄について、「一刻も早くなくすことを提案したい」と述べた。

 一方、医薬分業の量的な拡大を図る過程で、医療機関に寄り添うように立地し、医師の処方権をここまで大きくしてしまった薬局・薬剤師側の責任も指摘。歪んだ医薬分業によって、国民のセルフメディケーションに対する意識を喪失させたことは「大きな弊害だ」と述べた。

 その上で、「かぜ気味だけど病院に行くまでもない」「最近、疲れやすくて調子が良くない」といった状態にあったり、「認知症が疑われる祖父が何種類も薬を飲んでいるが大丈夫か」などと考えている人たちは、「薬局で何らかの相談に乗ってもらいたいと思っている」と指摘。こうしたニーズは「40年前も今も変わっていない。なのに薬局が変わってしまった。これが残念でならない」と述べ、OTC薬の活用などを通して薬局本来の機能を取り戻すことにより、“まずは病院”という国民の意識を“まずは薬局”という方向に「変えてもらいたい」と訴えた。

 幸野氏は、重ねて「処方権より調剤権が低くなってしまったことが非常に悲しい」と強調。今後、中医協の場で「様々な提案をし、後押ししていきたい」とする一方で、実行を確保するためには、「説得力がないと駄目。ぜひ、かかりつけ薬局・薬剤師を普及させてもらいたい」と述べた。

 今回の改定で新設したかかりつけ薬剤師指導料が万が一、普及しなかった場合は「お先真っ暗となる」としたが、思ったより普及していた場合、「薬剤師の信頼・求心力が高まり、もっと薬剤師に権利を持たせようという動きに変わってくる」と見通した。

 ただ、「権利には義務がついてくる」ともし、「大変だと思うが、しっかり取り組んでもらいたい」とエールを送った。



https://www.m3.com/news/general/467528
ホルマリン液を誤投与 患者56人、男性に後遺症 兵庫・姫路の病院
2016年10月14日 (金) 共同通信社

 兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院の医師らが昨年7月、内視鏡検査の患者に精製水と誤り、ホルマリン液を投与したことが13日、病院などへの取材で分かった。誤投与したのは10~80代の最大56人。同市の70代の男性患者1人が健康被害を訴え、現在も全身の神経痛などの後遺症がある。

 男性患者は13日、業務上過失傷害容疑で、担当した同病院内科部長の男性医師に対する告訴状を県警網干署に提出した。受理される見通し。

 病院は取材に「院内で運ぶ場所を間違え、医師も中身を確認しなかった。気付くタイミングがあり、きちんとチェックしていれば避けられた」と釈明。昨年12月に「医療事故調査報告書」を姫路市保健所に提出したが、公表はしなかった。「患者56人全員に説明しており、必要ないと判断した」としている。

 病院などによると、院内の薬剤部で調合したホルマリン液を手術室に運ばず、契約職員が間違って内視鏡センターに搬送。検査で使用した医師も中身を確認していなかった。ホルマリン液が入った箱には「精製水」の表記があり、上からペンで「×」と書かれていた。

 昨年7月22、23日に内視鏡検査を受診した56人に誤投与の可能性があり、男性患者は同22日、超音波内視鏡検査のため十二指腸に100ホルマリン液を120ミリリットル注入され、嘔吐(おうと)や下血の症状が出た。後遺症や治療薬の副作用で行動範囲が狭まるなど日常生活に支障が出ているという。他55人の注入量はいずれも数ミリリットルとされ健康被害はない。

 男性患者の弁護士は13日、姫路市内で記者会見し「病院は投与する液体の中身を確認する義務を怠った。男性が痛みを訴えたのに誤投与を疑わず、検査を中止しなかった」と批判した。

 広畑病院は1940年、日本製鉄広畑製鉄所病院として開設、兵庫県の民間病院で唯一救命救急センターを併設する。

 ※ホルマリン
 刺激臭のある無色の気体「ホルムアルデヒド」の水溶液。生物標本を作る際の防腐処理や化学薬品の製造、消毒などに使用され、用途は広い。発がん性が指摘され、毒劇物法で劇物に指定されている。


  1. 2016/10/15(土) 05:42:00|
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