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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月13日 

https://www.m3.com/news/general/467111?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161013&dcf_doctor=true&mc.l=183186836&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
(インタビュー)福島、5年後のこころ 福島県立医科大学教授・前田正治さん
2016年10月13日 (木) 朝日新聞

 東京電力福島第一原発の事故から5年7カ月。福島の震災関連自殺は一向に減る気配を見せない。汚染されたふるさとの姿を自分に投影する被災者もおり、過酷な状況におかれた福島で、心の問題とどう向き合っていけばいいのか。福島県立医科大学で「災害こころの医学講座」教授を務める前田正治さんに聞いた。

 ――震災から5年半がたちました。原発事故被災者の心の健康はどんな状態ですか。

 「ゆっくりとした回復を示すデータと同時に、深刻な事態を示すような相反するデータもあり、二極化の様相を示しています。県内で避難指示が出た市町村に住んでいた21万人の健康調査を毎年行っていますが、うつ病の可能性がある人の割合は、2012年から4年間で14・60から7・80に下がりました。全国平均は約30ですからまだまだ高いですが、減る傾向にはあります。ただ、岩手、宮城では急減した震災関連自殺は、福島では依然として多く、累計で80人を超えました。アルコール摂取に問題を抱える男性も2割前後で横ばいが続いています」

 ――原発事故は、心の健康にどう影響しているのでしょう。

 「放射線への不安が広く深い負の影響を与えています。一つは、直接的な恐怖体験からくるストレス障害です。特に原発のそばに住み、何の準備もなく緊急避難を迫られた人々は、また恐ろしい事故が起きるのではないかと慢性的な不安が消えない。21万人調査では、事故後1年で220、最近でも80の人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクが高いと判断されました。米同時多発テロの救急隊員の事故後3カ月のそれが約200ですから、いかに高いか分かります」

 「より深刻なのは、放射線被曝(ひばく)の遺伝的な影響を心配する被災者が、減ったとはいえ今なお4割近くいることです。原爆被爆者は遺伝的影響があるのではないかという根拠のないスティグマ(偏見)を非常に恐れ苦しみました。福島の方々も同様の偏見を恐れ、それが『結婚できないのではないか』『妊娠していいのだろうか』という不安に変わっています。実際、県外に避難している被災者の中には自分の出身を隠す方もいます」

 「当初は感じていなくても、外部の人が偏見を持っていると分かると、それを自分に投影して、自信をなくしたり、落ち込んだりします」

 「県外の方に十分考えてほしいのは、悪意のない一言にも、福島の人はとても敏感になっているということです。震災後3年目に支援団体が福島の子どもをキャンプに連れて行きました。子どもたちがキャンプ場で遊んでいると、地元の人が声をかけてきた。『かわいそうだね、放射能にまみれて。これを食べれば、放射線が抜けるから』とキノコを差し出した。子どもたちは最初はきょとんとしていましたが、ある子が『私たちは汚れてなんかいない』と泣き出しました。地元の人は悪意で言ったわけではないでしょう。しかし非常に傷つける言葉でした」

    ■     ■

 ――放射線被曝の自己偏見は広がっているのですか。

 「遺伝への不安は若年層に多いと推測していましたが、21万人調査では高齢者に高い。原爆や冷戦時代の核実験のイメージが生々しく残り、原発事故と原爆の悲惨なイメージが重なるのでしょう。欧米の研究者に『原爆の知見の蓄積があるのに、なぜこんなに不安がるのか』と聞かれますが、被爆国日本の特有のトラウマといってもいいかも知れません」

 「甲状腺がんの検査も続けていますが、わずかでも異常を示すような結果が出ると、泣き叫ぶ親御さんがたくさんいます。担当医が『あんな苦しみを与える検査ならしたくない』と言うほどです。甲状腺がんは経過が良好ながんとして知られていますが、そうした科学的事実は慰めになりません。『あの時、水を飲ませなければよかったのか』などと、震災時を振り返り自分を強く責める親御さんも少なくない。甲状腺の問題を周囲がどう思うか、『子どもは結婚できないのではないか』と検査結果が漏れるのをとても恐れます」

 ――人々のイメージを変えるのは簡単ではないと思いますが、対策はありますか。

 「科学的な根拠に基づいた知識を普及させると同時に、偏見を恐れる人たちの苦悩を理解することがとても大切だと思います。福島の人々はこうした不安を声に出して訴えることはありません。だからこそ我々研究者、支援者が伝えていく必要があります」

 ――なぜ、福島だけ震災関連自殺が減らないのでしょう。

 「震災の年の関連自殺は宮城、岩手、福島の順に多く、津波の死者数に比例し、震災の直接的な影響と思われます。5年後も福島だけ突出して多いのは、原発事故の影響と考えざるをえません。福島の方々は郷土への愛着が強く、地域社会とのつながりがなくなることの喪失感は大変大きい。原発事故から時間がたち、当初は帰郷の希望を抱いていた人が希望を失いつつあります。地域社会との断絶が自殺の根底にあるのかもしれません。時間が経つにつれ地域社会の絆も弱まっています。我々の調査で、地域社会が持つ助け合い機能の低下が、人々の心の回復を妨げることもわかってきました」

 「原因は一つではなく、経済的困難とかうつ病など様々な理由が積み重なった結果ですが、家族の分断の影響も大きいと考えています。自殺者を震災関連とそれ以外に分けて調べると、関連自殺は家族構造が震災後に変化している人が多い。放射線が不安な妻子は県外へ移り、父親は福島で単身生活する家族もいます」

 ――どんな支援をしていますか。

 「21万人調査で判明した健康へのリスクが高い人に対し、約15人のカウンセラーが電話し、詳しい様子を聞いています。ある高齢の女性被災者に電話したら、避難で地域とのつながりをなくし、『もういなくなってしまいたい』と繰り返し、食欲もなくなり、体重が減ったと話しました。臨床心理士が抑うつ状態と判断、自治体の保健師が訪問して安全確認を行いました。毎年4千人に電話します。電話を用いた、こんな大規模で継続的な被災者支援は、日本はもちろん世界でも報告がありません。ただ電話支援は限界もあり、保健所や心のケアセンターなど他の支援機関と適切な連携をとることがとても大切だと考えています」

    ■     ■

 ――自治体職員も心の健康に影響が出ているようですね。

 「復興に従事する人たちへの支援を緊急に考えなければなりません。最前線で住民を支える市町村の職員の疲弊は想像以上です。原発事故で深刻な被害を受けた沿岸部の自治体で面接調査をしたところ、うつ病を発症している人が実に2割近くいて、自殺の恐れがある人も少なくありませんでした。7割の人が睡眠障害で苦しんでいました。考えられないほど高い割合です」

 ――なぜそこまで悪化したのでしょうか。

 「自分も被災者なのに、それを前面に出せず、住民の怒りを受け続けたのが大きい。『役場に鳴り響く苦情の電話の音が耳から離れない』と電話の音がトラウマになった人や、避難所ですさまじい罵声を浴び続けた職員がたくさんいます。忘れてならないのは、彼らもまた被災者で、今なお避難所生活を余儀なくされている人も多いことです。ただ自治体職員は、自ら悩みを訴え出ることはまずありません。住民が苦しんでいるのに自分の弱音は訴えられないといった心境です」

 ――対策はあるのでしょうか。

 「被災地で自衛隊員や消防隊員の活躍が称賛されたように、身近で奮闘する自治体職員もリスペクト(相手を尊重すること)してあげてほしい。自治体職員にとっては、住民からの支持や感謝こそがエネルギーです。職員向けカウンセラーを常駐させるなどの具体策も重要です」

    ■     ■

 ――5年たった福島で、これからどんな対策が必要でしょうか。

 「原発事故では、甲状腺がんの発症など身体への健康被害に焦点が当たりますが、それと同じように、精神面の健康問題が重要だという認識を持って欲しいです。チェルノブイリ原発事故では、甲状腺がんなど身体的問題とともに、うつ病やPTSDなどの精神的な問題が極めて大きかったことが多数報告されています。福島での震災関連自殺の多さはその重大な警鐘だと考えています。睡眠やアルコールの問題、あるいは生活習慣病に関わる問題にも注意しなければなりません」

 ――どう向き合っていけばいいのでしょうか。

 「県外の人には、福島の人々の苦悩を理解してほしいと思います。被災者の方々にまず理解して欲しいのは、放射線などの問題に対して不安を持つのは当然で、これ自体はまったく病ではありません。一方で、悩みが強くなったとしても、自分が弱いと思わず、周囲の人や支援機関に相談してほしいと思います」

 (聞き手・畑川剛毅)

    *

 まえだまさはる 1960年生まれ。専門はトラウマ関連障害。2013年に久留米大准教授から転じた。ふくしま心のケアセンター副所長も兼ねる。



https://www.m3.com/news/general/467214
産科医数7年ぶり減少 都市近郊で負担大きく 人材確保が急務
2016年10月13日 (木) 共同通信社

 開業医らでつくる日本産婦人科医会は12日、1月時点の産婦人科の医師の数は前年同期比22人減の1万1461人と、7年ぶりに減少に転じ、埼玉や千葉、兵庫など、大都市近郊で医師の負担が大きくなっているとの調査結果を発表した。今後も大幅な増加は見込めないといい、同医会は人材確保と適切な配置が急務の課題だと訴えている。

 医会によると、産婦人科医は2009年に1万79人まで減った後、労働環境改善などによって増加していた。しかし、新たに産婦人科医になる人より退職者が多く減少に転じた。

 産婦人科が研修医の必修科目から選択科目に変わり、12年以降は新たに産婦人科を専攻する医師が減少していることが背景にあるという。

 出産を扱う産科・産婦人科の医師は、他の診療科と比べて当直や呼び出しが多く激務であることや、患者側から訴えられる「訴訟リスク」も敬遠される一因とされる。

 出産数も減少しているが、地方と大都市近郊で度合いが異なるため、産科医の負担の地域格差が大きくなっている。出産千件当たりの医師数は埼玉5・5人、千葉6・2人、兵庫6・7人だったのに対し、最も多い山形は14・7人で、最大約2・6倍の差があった。

 過去10年の出産数は、秋田で23・9%減、福島19・1%減、青森で18・1%減などと、大幅に減った。

 調査した日本医大の中井章人(なかい・あきひと)教授は「妊婦の多い大都市近郊で医師の負担が大きくなっている。地域の産科医療を支える診療所や周産期母子医療センターの人材確保が課題になる」と指摘した。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161013-OYTET50031/
産科医7年ぶり減少…高リスク出産増で「危機的状況」
2016年10月13日 読売新聞

 2009年以降微増してきた産科医の数が、今年7年ぶりに減少したことが日本産婦人科医会の調査でわかった。

 高齢出産などでリスクの高いケースが増え、産科医不足解消が求められる中、同医会では「危機的な状況。医師の診療科や地域の偏在への対策が必要だ」としている。

 同医会は毎年1月時点での産科医数を全国調査している。09年の7290人から15年には8264人に増えたが、今年は8244人と前年に比べて20人減少した。

 安全に出産できる体制を維持するには、毎年新たに産科医になる研修医が470~500人必要と同医会は試算。11年は450人に増えたが、その後は減り続けて昨年は364人となり、高齢などによる退職者数を補い切れなかった。

 同医会は、医師国家試験合格後の臨床研修の中で必修だった産婦人科が10年度から選択科目になったことなどが、響いていると分析。今後、〈1〉女性医師が妊娠・出産した後に復職しやすい環境作り〈2〉臨床研修での産婦人科の再必修化――などを目指す。



https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12158-20161013134/
高額薬剤、使用制限をかけるべき? - 医師の半数が「制限すべき」
2016年10月13日 18時24分 マイナビニュース

メドピアは10月13日、医師を対象に実施した「高額薬剤の使用制限に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は9月5日~11日、対象はMedPeerに会員登録した医師で、有効回答数は4,199人。

○「民間の保険でカバーすべき」という声も

厚生労働省が9月に発表した2015年度の医療費(概算)は41.5兆円で、過去最高額を記録。医療費増加の要因は「高齢化や医療技術の高度化に加えて、高額な医薬品の使用が増えたため」(同省)とされる。

同省は医療費の財源を圧迫する高額薬剤への緊急的な対応として、抗PD-1抗体「オプジーボ」などの薬価の引き下げを含む検討を開始した。

こうした状況を受け、メドピアは医師に「『高額薬剤の使用制限』についてどのように考えるか」を尋ねるアンケートを実施。その結果、「制限すべき」が51.7%過半数、「制限すべきだが、実際には難しい」が35.5%となった。一方「制限すべきではない」は4.7%、「わからない」は8.1%でいずれも1割未満であった。
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「制限すべき」という医師からは次のようなコメントが上がった。

「一部の利益のために全体の資源を食い潰して医療が受けられない人が出てくるのは問題だと思う。患者としてはわらにもすがる思いなので薬自体は否定できない。民間の保険でカバーするのがベターだと思う」(30代、整形外科・スポーツ医学)、「限られた予算を有効に使うべきで、財政破綻するような使い方はすべきでない。そのためには制限は当然。命のためなら金に糸目はつけないという時代ではない。どうやって制限するかは難しいが、高齢者の医療費を増やすべきではない」(40代、一般内科)

「制限すべきだが、実際には難しい」と回答した医師のコメントは次の通り。

「高額薬剤を制限することは、実際の臨床の場では困難だと感じている。長期生存が可能かもしれない選択肢があるのにそれを提示しないのは犯罪に近い。年齢等で制限するのも困難。自己負担金額を増やすのが良いと思うが、日本国民が受け入れるか疑問」(50代、呼吸器内科)、「効果のある薬の効果をできるだけ多くの患者が享受できるように工夫が必要。ある程度の薬価がつかないと新しい薬剤開発ができない。そうなると薬剤効果を享受できない。保険の破綻も薬剤効果の享受にマイナス効果。そのバランスが大切」(50代、一般内科)

「わからない」と回答した医師からは「巨額の税金が必要とされるのでしょうが、望みがあるのなら患者さんは使用したいと思うのでは、と思うと、制限すべきかどうか、私にはわかりません」(40代、健診・予防医学)、「他の国のように、当初薬価を低く設定し、効果があれば薬価を上げるようにすればいいような気がするのですが」(30代、整形外科・スポーツ医学)という声が上がった。

「制限すべきではない」という医師からは「医師には最善の治療を行う義務があり、患者はそれを受ける権利がある。薬剤費、医療費は、適正に設定すべきです」(60代、一般内科)、「有効性と対象患者が明らかならば使用制限はすべきではない。むしろ低額で有効性に疑問があり、大量に使用されている薬剤を使用制限や保険不適用にすべきである」(50代、小児科)といった意見が寄せられた。



https://medpeer.jp/news/article?id=322&from=top_news_detail
「係争の具」となるなら調査中止を
2016年10月11日 MedPeer

医療安全調査機構にAJMCが申し入れ

 全国医学部長病院長会議(AJMC、新井一会長)は9月23日、国指定の医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に対し、事故調査報告書が訴訟資料などに利用されることが明らかとなった場合は、機構による事故調査や院内事故調査情報の整理・分析など制度が定める一連の作業を中止するよう申し入れを行いました。医療事故調査制度の目的は「医療安全の確保」であり、制度に基づいて作成された事故調査報告書が訴訟に利用されることは制度の目的から外れているとの主張に基づく要請です。

センターの法的業務について再確認を求める

 医療事故調査制度は改正医療法により昨年10月から運用が始まりました。医療安全調査機構は国指定の医療安全調査・支援センター(センター)として、主に次のような業務を担っています。

・医療機関の院内事故調査報告により収集した情報の整理・分析を行う
・院内事故調査報告をした病院などの管理者に情報の整理・分析結果を報告する
・医療機関の管理者が「医療事故」に該当するとしてセンターに報告した事例について、医療機関の管理者・遺族から調査の依頼があった場合に調査を実施し、その結果を医療機関の管理者・遺族に報告する

 AJMCに設置された「大学病院の医療事故対策委員会」(有賀徹委員長)はこれまでの検討結果を踏まえ、医療安全調査機構に対して、医療事故調査制度が「警察への届け出の代わりとなるものではない」「係争の手段ではない」について確認することなど6項目の申し入れを行いました。改正医療法等で定めたセンターの業務を再確認するよう求めた内容です。6項目の中には、事故調査報告書が「係争の具として利用されることが明らかになった場合」、つまり報告書が民事訴訟などの資料として利用されることが分かった場合について、改正医療法が規定するセンターとしての作業(上記)を差し控えるよう求めています。

 9月27日の定例会見で今回の申し入れについて説明した有賀委員長は、「訴訟に発展することがおおむね明らかになった瞬間に、作業をフリーズしてほしい」と述べ、すでに調査が始まっていた場合についても作業は中断すべきとの見解を示しました。

目的外使用はやめてほしい

 医療事故調査制度は、医療事故が発生した医療機関で院内調査を実施し、その調査報告を第三者機関であるセンターが収集・分析することで再発防止を図り、医療安全を確保する制度として、改正医療法に位置づけられています。

 有賀委員長は、不幸にも起こってしまった事故を反省材料として医療安全や医療の質をよりよくすることが制度の基本ルールだとし、事故調査報告書が目的外使用されるようなことを医療安全調査機構はやるべきではないと説明しました。その上で「実際に訴訟に利用されることが明らかな場合があり、悩ましい問題だ」とも述べました。

 大学医学部や大学病院が制度の支援団体として、解剖や外部専門委員の派遣などを行っています。

 申し入れでは、「センターへの報告事例は法的に定義された医療事故であること」「調査の主体は病院などの管理者にあり、“中立性”などを理由に外部からの不要な干渉は許されないこと」―などの確認も求めました。

メドピア編集部
小野 博司 (おの ひろし)
MedPeer編集部 記者。1995年から健康・医療分野を中心に取材活動をしています。関心事は、これからの社会保障システムのあり方、医療安全、被災地の医療復興など。2014年12月よりメドピアに在籍。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49797.html
医療事故による死亡、院内調査で原因究明を- 日医が職業倫理指針を改訂
2016年10月13日 17時00分 CB News

 日本医師会(日医)は、会員向けの「医師の職業倫理指針」に、医療事故で患者が死亡した場合は院内で事故調査を行って原因を究明するよう求める内容などを新たに盛り込んだ。この倫理指針は、臨床現場で遭遇することが想定される具体的な事例を取り上げ、その対応方法などを示したもので、このほど8年ぶりに改訂された。【松村秀士】

 改訂版には、▽医療による死亡事故が発生した場合 ▽出生前に実施される遺伝学的検査・診断 ▽患者が虐待されていると疑われるケース―の対応方法などが追記された。

 医療によって死亡事故が発生した場合、担当医や病院などの管理者は遺族らに病理解剖を勧め、院内での事故調査によって原因究明すべきとした。また、臨床に携わる医師に対して医師賠償責任保険や医療施設賠償責任保険に加入するよう求めた。

 出生前に実施される遺伝学的検査・診断については、実施する医師はあらかじめ妊婦やその家族らにその特性や意義などを十分に説明する必要性を強調。さらに、事前に妊婦らに対して必要な情報提供や心理的な支援などをする「遺伝カウンセリング」を実施した上で、同意を得るよう求めた。

 遺伝カウンセリングに関しては、遺伝学的検査の普及とともに重要性が高まっていることから、すべての医師が基礎的な知識や技能を習得することが望ましいとした。

■虐待疑いの通報、「守秘義務は適用されず」

 患者への虐待が疑われるケースでは、医師は公的機関に積極的に通報する必要があると記載。また、医師が患者への虐待を疑って通報した場合でも、「守秘義務は適用されず、責任が問われることはない」とした。

 さらに、医療機関や介護施設などでは認知症の人や精神障害者、知的障害者らが身体拘束されるケースもあると指摘。患者や入所者に納得できない外傷やあざなどがあった場合、「医師はその原因調査と再発防止に協力すべき」との考えも示した。

 日医では近く、すべての会員に改訂版を配布する予定。



http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=561725004
島根ワイド : 公衆衛生医、島根県 研修地に認定 全国で初
'16/10/13 山陰中央新聞

 新しい専門医制度で、島根県が作った「公衆衛生医」の研修プログラムが、日本衛生学会や全国保健所長会など11学会・団体でつくる「社会医学系専門医協議会」の認定を受けた。

 2017年度から、初期研修を終えた医師が県内の保健所などで実務をこなしながら、必要な専門知識を習得することが可能となる。感染症対策や医療政策を担う公衆衛生医は、近年県が募集してもなり手がない状態といい、県は研修の受け入れを機に、人材確保につなげたい考えだ。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161013-00000140-jij-soci
病院検査でホルマリン誤投与=患者が告訴状―兵庫・姫路
時事通信 10月13日(木)20時23分配信

 内視鏡検査時に誤ってホルマリン液を投与され神経痛などの後遺症が出たとして、兵庫県姫路市の70代の男性が13日、業務上過失致傷容疑で製鉄記念広畑病院(姫路市)の男性医師に対する告訴状を県警網干署に提出した。

 同病院で誤投与された可能性のある人は男性を含め計56人いるという。

 告訴状によると、昨年7月22日、男性が同病院で受けた内視鏡検査で、担当の男性医師が本来は精製水を使うところ、誤ってホルマリン液計120ミリリットルを十二指腸に注入。男性は検査後、嘔吐(おうと)や下血などがあり治療を受けたが、今も全身に神経痛などの症状が残っているという。

 同病院の医療事故調査報告書などによると、男性への超音波内視鏡検査の際、誤って100のホルマリン液を使用。スタッフはマスクをしていたためホルマリン臭に気付かなかったとしている。同液は本来、手術室で使用される予定だったが、間違えて内視鏡センターに運び込まれていた。

 この男性を除く55人にも昨年7月、ホルマリンが少量付着した可能性がある内視鏡を検査で使用したが、健康被害はなかったとしている。 



https://www.m3.com/news/iryoishin/461155
「大病院のメリット、改めて実感」 - 村上智彦・ささえる医療研究所理事長に聞く◆Vol.4
専門医療、“中途半端な病院”は不要

2016年10月14日 (金) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生のお話をお聞きしていると、救急疾患で、時間を争う処置が必要な疾患に対応できる病院は、2次医療圏単位に必要であっても、急性白血病に代表される専門的な治療については、中途半端な病院は要らないように思います。

 急性白血病に限らず、もともとは一つの病気であっても、精神科や皮膚科、歯科による治療が必要だったり、リハビリなどもやらなければいけないことが多い。糖尿病も持っている場合にはその対応も必要。今回の入院を通じて、それぞれについて専門的に対応できる大病院のメリットを改めて感じました。中途半端な規模の病院を残そうとするから、「何ができるのか」となる。普通の生活習慣病の管理だったら、診療所で十分に対応可能。

 急性骨髄性白血病は、人口10万人のうち、年間5、6人は発症します。北海道なら、札幌に血液内科を集約するしかないでしょう。他の地域の病院で、血液内科医4、5人を揃えることは難しい。

 特に癌が典型ですが、専門的な医療こそ集約化するべきだと、まさに身を持って感じたわけ。「集約化すると不便になる」とか言うけれど、中途半端な病院で、中途半端な医療をやることの“被害”の方がすごく大きい。その代わりに、身近な地域でフォローができるよう、退院後のケアを充実させることが必要。

 同様に急性期で一刻を争う医療についても、一定の集約化は必要でしょう。本当に一刻を争うような疾患は、脳卒中、急性心筋梗塞、大動脈解離などに限られます。肺炎と言っても、急病ではあるけれど、そこまで時間を争わない。北海道は医師が少なく、例えば、循環器が不足している病院が3カ所あったら、それぞれに派遣してしまう。1人体制であれば結局、その先生は疲弊してしまう。そうではなく、1カ所に複数の医師を集めて24時間いつでも心臓カテーテル検査や治療をできる体制を作る方が重要。

 そもそも人口が減っている国で、従来の体制を維持しようとしていること自体、おかしい。理にかなっていない。皆、「高度成長病」。前にあったものがなくなると、「すごい損失」と思い込むけれど、人口が減少し、経済的に大変なら、集約しないとダメ。

――血液内科のように、医療の在り方が急速に進展している分野では、キャッチアップが必要であり、その意味でも集約化が必要。

 その通りです。ケアには、看護師はもちろん、薬剤師、栄養士、リハビリなどの各職種が必要で、充実したスタッフをそろえ、チーム医療を実践、向上する観点からも集約化が必要。北大病院のスタッフは、本当に良く勉強し、また情報も共有されていました。「チーム医療ができる」のが、総合病院の最低条件。

――医療機関へのアクセスと、そこで受けられる医療の質、どちらを重視するかということ。

 皆は「距離が近くなければ」と言うけれど、かかりつけ医が近くにいればいい。ドイツなどのように、かかりつけ医の紹介がなければ、専門病院を受診できないようにすればいい。その代わりに専門病院を受診したら、専門医もいて、集学的に診てもらえて、ケアが充実し、退院しても継続してケアを受けられるようにする。

 繰り返しますが、「専門的な医療ほど、ケアが必要」。それは退院後も継続して必要ということ。これは、「もっと地元の看護、介護を使ってくれ」という話。そうすれば、自分たちの子供や孫の雇用を生み出すことができます。「自分たちの子供たちの雇用を作る感覚で使ってくれ」と言いたい。それが嫌だといったら、誰もいなくなっても当然で、新たな産業を興すのかと問いたい。けれども、看護や介護は「高齢者がいる」というだけで需要が生まれる産業。人口減少地域で今まで通りに駅前開発しても、誰も戻ってこない。けれども、看護や介護で雇用が生まれれば、自分たちの孫たちが地元に帰ってきれくれる。そうした意識でやらないと。

 日本はとかく感情論で「病院がなくなるとかわいそうだ」となる。しかし、特に北海道は、(日本創成会議が2014年5月に発表した)消滅可能性都市が780を占めます。人口が減って消滅する都市が出てくる中で、多額の税金を投入して、病院を成り立たせることはできません。どうしても「病院がほしい」と言うなら、生協などを作り、皆がお金を出し合って運営すべき。

――医師不足に悩む自治体立病院に医師が赴任しても、住民、患者さんの対応に嫌気が差し、辞めてしまうケースもあります。

 住民たちは、「税金を出しているから、当然でしょう」と思い、権利意識が強くなる。だけど、そうしたところに来てくれる奇特な先生はいない。病院がなくなったのなら、諦めてもらう。その地域に住むなら、そうした不便も受け入れる。それが嫌なら都会に移り住んでもらえばいい。

 ちょっとやはり皆、頼りすぎかな。高度成長病。ごねれば、誰かが何かをやってくれる。北海道はそうした傾向が強い。実質公債費比率が300を超えていますから。要するに、払っている税金以上に公共サービスを受けているのです。



https://www.m3.com/news/general/467217
病院、学校を全面禁煙 違反者本人に罰則 厚労省の受動喫煙対策
2016年10月13日 (木) 共同通信社

 厚生労働省は12日、2020年東京五輪・パラリンピックに向け他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙防止策として、病院や学校を敷地内全面禁煙とする強化策の案をまとめたと明らかにした。飲食店は喫煙室の設置を認める。

 違反した場合、施設の管理者だけでなく喫煙者本人にも罰則を適用する方針。現状の努力義務よりも実効性を高めることを狙い、法制化を目指す。ただ関係省庁やたばこ業界などとの調整が必要で曲折もありそうだ。

 強化策では、スタジアムなどの運動施設や社会福祉施設、官公庁、大学の建物内を全面禁煙とする。

 飲食店やホテルなどのサービス業や一般の事務所では、喫煙室の設置を認めるが、建物内は原則禁煙とする。駅や空港ビル、バスターミナルも同様の原則禁煙とした。交通機関では、バスやタクシーは全面禁煙とするが、鉄道や船は喫煙室の設置を認める。

 喫煙室に必要な要件や罰則の内容は今後議論する。関係団体からのヒアリングを進め、内閣府に設置された「受動喫煙防止対策強化検討チーム」で合意を目指す。

 受動喫煙に関して、現状は健康増進法に基づき、多くの人が集まる公共の場での防止策を努力義務にとどめており、罰則はない。

 厚労省の専門家会合は8月末、受動喫煙が肺がんなどさまざまな病気のリスクを高めるとした「たばこ白書」をまとめた。世界保健機関(WHO)によると、公共の場を全面禁煙とする法律を施行している国は14年末に49カ国に上り、日本の防止策は「最低レベル」と判定されている。



https://www.m3.com/news/general/467308
敷地内薬局問題に意見集中 - 日薬・山本会長「抵抗していく」
2016年10月13日 (木) 薬事日報

 日本薬剤師会は8日、名古屋市内で第3回都道府県会長協議会を開いた。医療機関による敷地内薬局誘致の問題について意見が集中。会議に出席した都道府県薬剤師会長らは、こうした動きが全国に広がりつつある状況に危機感を示し、敷地内薬局阻止に向けた対策を強化するよう求めた。山本信夫会長は「あきらめずに、なお努力していく。医薬分業がなぜ必要かという本旨から外れないよう抵抗していく」と語った。

 会議では、佐賀県の佛坂浩会長が、「医薬分業の本質からすれば、敷地内薬局はおかしい」と指摘。日薬が9月27日に公表した見解では、厚生労働省が今年3月に発出した留意事項通知を厳格に適用し、少しでも独立性に疑問がある場合は指定しないことを強く求めているが、「敷地内薬局は認めないといった元の形に戻せないか」と訴えた。

 和歌山県の稲葉眞也会長は、いくら地域の医療協議会などで薬剤師会が反対しても、基準さえ満たしていれば敷地内薬局の保険指定が認められてしまうため、「なかなか難しい」と説明。「何とか、中央で押し戻す努力をしてもらいたい」と要望した。

 茨城県の根本清美会長は、県内の国立大学病院でも敷地内薬局を誘致する動きがあるとの「うわさが出ている」とし、民間病院ではなく、国の公的医療機関が経営上の観点から進めていることに対して、「これは由々しき問題。黙って見過ごせない」と憤った。

 山本氏は、「皆さんの気持ちと変わらない」ことを強調し、敷地内薬局を誘致しようとする医療機関が「国公立であるかどうかにかかわらず、あらゆる場面で反対していく」と述べた。

 長野県の日野寛明会長は、先月の理事会で敷地内薬局の開設に「断固として反対する」といった趣旨の決議文を採択したことを明らかにした上で、「各都道府県が、敷地内薬局に反対だということをしっかり意思表示し、行動することが大事」と強調。山形県の東海林徹会長は、国立大病院の薬剤部長会議や、日本病院薬剤師会などに対し、「日薬としての主張を明確に文書で示すべきでは」と主張した。

 山本氏は、長野県薬で決議文を採択したことを評価した上で、日薬としても「決議文を作るかどうか、考えたい」と述べた。

 会議では、敷地内薬局について、「医療保険上、院内調剤所と同じ条件にすべきという提案はできないのか」といった意見も出た。



http://www.nagasaki-np.co.jp/f24/CO20161014/he2016101401000009.shtml
「診療拒否は違法」と提訴 中国で腎移植の男性
10月14日 長崎新聞

 「海外で臓器移植した患者は受け入れない」との内規に基づき浜松医大病院(浜松市)が診療を拒んだのは、正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反するとして、中国で腎移植を受けた静岡県掛川市の男性(66)が、大学に慰謝料など約190万円を求める訴えを静岡地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 医療関係者によると、海外で移植を受ける患者は年間数十人に上り同様の診療拒否も相次ぐが、訴訟に至ったのは初とみられる。各地での拒否の背景には「こうした患者を診療すると罰せられる」との誤解が一部にあると指摘する専門家もいる。



http://this.kiji.is/159245566191289851?c=110564226228225532
大学の研究費、百万円未満が8割 文科省アンケート
2016/10/13 19:24 共同通信

 文部科学省は13日、大学から支給される研究費が、年100万円に満たない研究者が約8割だったとするアンケート結果を発表した。10年前と比べ「個人研究費が減っている」との回答も約4割あり、研究資金の確保の難しさが示された。

 ノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典東京工業大栄誉教授が「浮かれている状態ではない」と懸念する日本の研究環境の実態が浮かび上がった。

 アンケートは国公立大や私立大などで研究する約1万人が対象で、文系理系を合わせ約3600人が回答した。大学から配分される使途の自由な研究費が年50万円未満と答えた人が約6割いた。


G3註:アンケート結果(文部科学省)
学術研究の持続的発展のために(談話)―平成28年度科学研究費助成事業の配分の公表に当たって― (PDF:1084KB)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/__icsFiles/afieldfile/2016/10/13/1377914_02.pdf
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https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-1013m040025/
ノーベル賞:基礎研究の充実を…大隅さん、自民本部で講演
2016年10月12日 19時26分 毎日新聞

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)が12日、自民党本部で講演した。国立大の運営費交付金が減り、政府の助成対象として産業や医療への応用研究が重視されている現状について「とても危惧している」と指摘。「技術のためではなく、知的好奇心で研究を進められる大事な芽を大学に残してほしい」と、基礎研究の充実を訴えた。

 同党の会合には鶴保庸介科学技術担当相や馳浩前文部科学相らが出席。大隅さんは受賞テーマとなった細胞のオートファジー(自食作用)について解説し、「知的好奇心から研究を続けられる幸せな時代を生きてきた」と振り返った。

 その上で、「日本の研究環境は劣化している。多くのノーベル賞受賞者が『このままでは10年、20年後に日本人受賞者は出なくなる』と言っているが同感だ」と述べた。「研究費助成を受けるにも出口(成果)が求められ、若い研究者はすぐ先に見える成果を追いがちだ。しかし、解けるかどうか分からない問題にチャレンジすることこそが科学。彼らが育っていく社会を実現したい」と訴えた。【阿部周一】


  1. 2016/10/14(金) 06:11:54|
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10月12日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/455786?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042033&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 島根大“事故調”事件を検証
裁判で「事故調報告書」を否定◆Vol.4
患者側、大学の「不誠実な対応」を問題視

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「2008年2月6日付書面で、被告病院に対して、損害賠償金を請求した。被告病院は、平成20年3月28日付書面において、原告ら代理人と被告病院の顧問弁護士の話し合いをしたいと述べるものの、その後も、具体的提案はなかった。(中略)これに対して、被告病院代理人は、民事調停を提案したのみであった。原告らとしては、被告病院が過失を認めていると受け止めていたことから、当初、訴訟提起までは及ばなくても示談等による早期解決ができることを望んでいたが、被告病院の回答には具体性もなく、誠意が感じられないことから、やむを得ず、今回の訴訟提起に至った」

 患者側が松江地裁に提訴したのは、2009年7月24日。その訴状には、提訴に至った理由がこう記されており、提訴に至る前に示談交渉が行われたものの、それが決裂したことが分かる。

 その後、弁論準備手続きや口頭弁論(判決言い渡しを含めて6回)を経て、松江地裁が判決を言い渡したのは、2014年2月24日。原告である患者側の請求は棄却された。

 裁判を通じて、島根大側が証拠として提出したのは、2007年1月5日に病院長に提出された「特殊事例検討委員会」の報告書、2007年8月9日作成の「医療事故調査報告書」のほか、カルテ、手術記録、分娩監視装置記録などの諸記録、『産婦人科診療ガイドライン2008』などの医学参考資料など。

 一方、原告である患者側も、陳述書や分娩事故の裁判例、日本母性保護産婦人科医会が作成した吸引分娩関係資料のほか、2007年8月30日に大学が記者会見した際の新聞記事なども提出している。

 関係者への尋問は、2011年9月12日に1回だけ行われた。出席したのは、元島根大学産婦人科教授の宮崎康二氏と主治医の産婦人科医で、当日の分娩に関わった医師らが「陳述書」を提出している。一方、原告側からは出産した患者本人が出席。

 原告敗訴の判決を不服として、患者側は2014年3月10日に控訴。しかし、2015年6月17日の広島高裁松江支部の判決でも、内容に多少の違いはあるものの、原告の請求棄却は変わらなかった。

島根大、報告書と食い違う主張展開
 「医療事故調査委員会」には、学外の2人の産婦人科医が関わっている。一方、松江地裁での一審で、鑑定書を書いたのは、この2人とは別の産婦人科医だ。2009年7月24日の提訴から、2014年2月24日の一審判決まで、4年7カ月もかかったのは、鑑定をめぐり時間がかかったことが一因と見られる。原告から鑑定申出書が提出されたのは、2011年10月20日。鑑定申出を採用する決定をしたのは、2012年2月6日。鑑定人を決定したのは9月10日。鑑定書が作成されたのは、2012年12月28日だ。その後もしばらく、鑑定書に対して、追加意見、補足説明を求めるやり取りが続いた。

 「医療事故調査委員会」の報告書と、松江地裁判決と広島高裁判決は、島根大側の過失を認めたか否かで大きく異なる。その相違が生じたのは、調査委員会と鑑定に関わった産婦人科医の間で、医学的見解に相違があったことのほか、島根大側が裁判になり、報告書とは違う主張をしたことが挙げられる。

 それが端的に表れたのが、鑑定依頼をする際、鑑定人に対し、特殊事例検討委員会報告書と医療事故調査委員会報告書(以下、「事故報告書」)を渡すかどうかで、島根大側と原告との間で意見が食い違った場面。2012年7月に以下のようなやり取りがあった(文書の内容を抜粋)。

特殊事例検討委員会報告と医療事故調査委員会報告をめぐるやり取り

2012年7月18日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容は、原告および被告の本件訴訟における主張ではない上、本件の各証拠とも符合しない。このような資料を鑑定人に送付すれば、鑑定人に無用の誤解を与え、混乱を招来しかねないことは明らかというべきである。

2012年7月26日:患者側(原告)
 本件においては、本来、事実経過を確認する上で参照すべき客観的資料であるはずのカルテ、パルトグラムについて、これを作成した被告自身が、その記載内容、時間等の客観性を否定している。本件は、そもそも医療機関である被告の主張と、被告の医師が作成したパルトグラム、カルテとの証拠が符合しておらず、その記載内容から、直ちに事実経過、診療内容が明白になるとは言えない特殊なケースなのである。
 他方、「事故報告書」は、(緊急帝王切開手術が行われた)9月7日からあまり日を置かない関係者の記憶の鮮明な時期に、第三者の専門的医師と院内の責任者らも加わって、直接の当事者や関係者である医師らに対して行われた事情聴取に基づき、診療の経過等について確認、整理したものであって、事実経過を確認する上で、極めて信頼性が高い客観的資料である。
 なお、被告が「事故報告書」作成に際しての事情聴取に不満を持ち、その内容が不当であると主張していることについては、被告の主張や宮崎教授の証言にも強く触れられていることから、鑑定人はそのことを知り得るし、被告の懸念を払拭するために、資料送付に当たって、「事故報告書」で整理された事実関係について、被告が争っていることを念のため付記されれば済むことである。

2012年7月27日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容に問題があることは、被告において主張し、立証したところであるが、この資料をこの資料をそのまま鑑定資料として作成すれば、事情をよく知らない鑑定人は、これが大学によりオーソライズされた結果と誤解し、この事実を前提に鑑定意見を出す恐れがある。仮に鑑定資料とするのであれば、これまでの原告、被告の主張の状況を明確にするために、全ての主張書面(訴状、答弁書、準備書面)を鑑定資料とすることが必要である。また「鑑定事項の説明」の中で、どのような事実を前提とし鑑定意見を出したのかを明確にするよう求めるべきである。

 また患者側は、「医療事故調査委員会」の委員だった産婦人科医を証人として請求したが、採用されなかった。島根大が、「本人尋問が十分に行われないまま作成されたのであり、証人の尋問により、具体的な事実が明らかになるわけではない」と反対していた。

 前述の通り、松江地裁判決を不服として患者側は控訴。その「控訴理由書」には、(1)大学側の意見の変遷、(2)原告提出の書類を検討していない――などを記し、大学と裁判所の双方を問題視している。これに対し、島根大側は、「大学側は控訴時、期日の変更、取消期日を含めると20回以上、判決言い渡しまで4年7カ月かかっており、議論は十分に尽くされており、新たな主張は控訴状でも出されていない」との答弁書を提出。

患者側、事故調の議事録提出も申立
 二審の裁判は、2015年4月20日に結審している。しかし、その直前の4月16日、患者側は、特殊事例検討委員会と医療事故調査委員会の信用性を確認するために、「文書提出命令申立書」を広島高等裁判所松江支部宛てに提出している(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)。

 「被控訴病院の医師らは、検討会において十分な説明の機会を与えられ、検討会および委員会は医師らの説明も踏まえた上で事実を認定し、検討・判断したものであり、各報告書は作成経緯および内容においていずれも信用に値するものである」との理由から、(1)特殊事例検討委員会議事録(2006年11月20日開催)、(2)医師や看護師から事実確認のために聴取した際の録音テープまたはその反訳、(3)検討会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書、(4)2007年2月5日、5月21日開催の医療事故調査委員会議事録、(5)委員会における聴取のための録音テープまたはその反訳、(6)委員会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書――などの提出を求めた。

 さらに結審後の5月25日にも、私的鑑定書を用意する準備があることから、弁論再開申立説明書を提出している。その理由として、事故の医学的検証の必要性のほか、「医療事故調査委員会の判断に従い、訴訟提起前には過失も因果関係も認めていた被控訴人が、訴訟提起後には一転それを全て否定するという極めて特異な事件であり、過失・因果関係にかかわる事実の認定は、決して訴訟における被控訴人の主張・立証のみに依拠することはできず、より客観的・公平な観点から慎重に審査されるべき事案である」という点を記載。しかし、再開は認められず、2015年6月17日に広島高裁判決が言い渡されている。

 その後、患者側は2015年6月30日に上告受理申立、同年8月21日に上告理由を提出。「公平な立場で鑑定を引き受けてくれる協力医は、見付けることが難しい。ようやく見付けることができた」と訴え、「訴訟提起前、病院は、医師らの過失を、事実上認めていた」と指摘。さらに「申立人(患者側)からみると、被上告人が一転して、何ら理由の説明がなく、態度を豹変させたことによって、長年にわたる訴訟の遂行を余議なくされ、一審敗訴後は、過去の医療費の請求まで受けるに至っており、相手方病院のあまりにも不誠実な態度により裏切られた思いと強い憤りを感じている」と、大学側の「不誠実な対応」を問題視している。

 上告理由では、裁判所に対しても、「1、2審の裁判所は、本件分娩時に作成された診療録やパルトグラムの信用性、さらには被上告人の設置した医療事故調査委員会の報告書の信用性まで否定する一方、被上告人の医師らが本件訴訟段階になって作成した陳述書や証人尋問での供述を重視して事実認定を行った。そして、その結果、当然のことであるが、医師らの過失や因果関係等もまた否定される結果となった」などと批判の目を向けている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466665?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042035&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”スタート1年、報告件数は388件
当初想定の2~3割、遺族のセンター調査依頼増加し6件

2016年10月11日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療安全調査機構は10月11日、9月1カ月間の実績を公表、同機構が運営する医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告件数は32件、2015年10月の医療事故調査制度の開始以来の合計は388件で、当初の想定を大幅に下回ることが分かった(資料は、同機構のホームページ)。

 制度開始前、報告件数は「年1300~2000件」との推計もあったが、その2~3割にとどまった。厚労省は今年5月の時点で、本制度の医療事故の定義に基づく推計ではないことなどを、推計と実際の報告数に開きがある理由として挙げていた(『“事故調”開始から7カ月、「光と影」』を参照)。

 同機構は毎月、実績を公表しているが、ここ数カ月の特徴は、センター調査依頼件数が増加傾向にある点だ。今年6月までは計4件だったが、7月5件、8月1件で、9月は6件に上り、制度開始から1年で計16件。9月の6件はいずれも遺族からの依頼だ。センター調査は、医療機関が医療事故としてセンターに報告した医療事故について、医療機関と遺族のいずれからも依頼が可能。センター調査の進捗は、院内調査結果報告書の検証中が12件、院内調査結果報告書の検証準備作業中が1件、医療機関における院内調査の終了待ちが3件という内訳だ。

 外科、内科、消化器科・整形外科が上位
 制度開始からの1年間を総括すると、388件の内訳は、病院362件、診療所26件。診療科別で最も多いのは、外科で69件、内科56件、消化器科と整形外科が34件、循環器内科25件、産婦人科22件などと続く。

 医療事故調査制度では、医療機関は、センターに報告した医療事故を調査し、その結果をセンターに報告することが求められる。388件中、調査を終え、報告されたのは161件。

 センターへの相談件数は1820件。内容による集計(1件で複数の相談あり)は2098件で、最も多かったのは、センターに報告すべき医療事故か否かの判断についての相談で753件(制度開始前の事例や生存事例に関する相談を含む)、報告の手続きに関する相談514件、院内調査の相談518件など。



https://www.m3.com/news/general/466902?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042038&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医療事故 届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開
2016年10月12日 (水) 毎日新聞社

 医療死亡事故の第三者機関への報告を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度で、日本医師会(日医)を中心にした関係機関の協議会が年内に発足し、届け出の統一基準作りを始めることが分かった。10月で制度開始から1年になるが、届け出は地域や病院間でばらつきがあり、当初見通しの3分の1以下と低迷している。日医は積極的で迅速な報告を医療機関に促す考えを示しており、統一基準が届け出拡大の後押しになると期待される。

 第三者機関「日本医療安全調査機構」が11日公表した9月末までの届け出件数は388件で、開始前に想定していた年間1300~2000件を大きく下回った。医療法が対象を「医療に起因した予期せぬ死亡」としか定めておらず、施設側が事故として扱うことに及び腰になっているのが一因とみられる。

 届け出が必要かどうかを医療機関に助言する支援団体は全国に約860あるが、解釈には差がある。例えば日医は、今年6月にまとめた手引で心臓手術中に急性循環不全で死亡した事故の調査例を示したが、約1000法人が加入する「日本医療法人協会」はガイドラインで、薬剤取り違えなどの単純過誤は報告対象外だとしている。

 ばらつきを是正するため、厚生労働省は6月に同法施行規則を改正。中央と各都道府県に支援団体などで作る協議会を設け、届け出や調査方法の統一的な基準を話し合うことにした。各地には既に医師会や看護協会、大学病院などで構成する協議会ができ、青森、福岡などでは医療機関からの相談窓口を医師会に一元化することが決まった。

 中央の協議会も、個人の責任追及を目的としない現行制度の導入を主導してきた日医が調整役になり、主要な医療関連団体が参加する見通し。日医の手引は「遺族が疑義を挟まなかったことを理由に届け出をためらうと、医療安全体制強化の機会を失いかねない」としており、今村定臣常任理事は「対象かどうか迷う場合には、届け出るのが望ましい」と話す。【熊谷豪】

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 ■解説

 ◇患者らの信頼獲得へ 調査積み重ね不可欠

 医療事故調査制度は、鉄道や航空機の事故を調べる運輸安全委員会と異なり、事故が起きた医療機関が自ら調査主体となり、事故報告書は警察にも提出されない。この点で、専門性を持つ医療界の自律性を重んじた制度と言える。

 届け出の低迷を受け、日本医師会などによる統一基準作りが今後本格化するが、最終判断は医療機関がすることに変わりはなく、不届けに対する罰則もない。これに甘んじ、遺族側とのトラブルを避けようと届け出を怠れば、遺族は結局、警察の捜査や裁判に真相解明を頼るしかない。

 この制度ができた背景には、患者が点滴ミスで死亡した東京都立広尾病院事件(1999年)などで医師らの逮捕・起訴が相次いだことによる医療界の危機感の高まりがある。

 患者や遺族に信頼される制度にするには、医療機関が積極的に事故を届け出て、真摯(しんし)な原因調査を積み重ねていく必要がある。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466983
シリーズ: 社会保障審議会
入院患者の光熱水費負担拡大、賛否分かれる
医療保険部会、「金融資産等の保有状況考慮した負担」は反対

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は10月12日、療養病床の65歳以上の入院患者の光熱水費負担額を1日320円から370円に引き上げるほか、現在徴収していない65歳未満の入院患者から徴収するなど、入院時の光熱水費に関する患者負担の見直しについて議論したが、賛否は分かれ、結論を出すには至らなかった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 一方、介護保険の「補足給付」と同様の考え方で、医療保険でも「金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担」を導入する是非について議論したが、医療者や患者の立場だけでなく、保険者の立場の委員からも「時期早尚」との声が相次ぎ、慎重な検討を求める意見が大勢だった。

 入院時の光熱水費に関する患者負担と、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担についての検討は、2015年6月の「骨太の方針2015」で、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」の観点から提言された。2016年末までに結論を得て、法改正が必要な見直しを行う場合は、2017年の通常国会に法案提出する予定になっており、引き続き社保審医療保険部会で検討する。

「療養病床、全患者から光熱水費徴収」と提案
 医療保険においては現在、「療養病床に入院」「65歳以上」「医療区分1に該当」(医療区分1-3のうち、医療の必要性が一番低い区分)のいずれも満たす場合に、光熱水費として1日320円を徴収している。2006年度に、介護保険との整合性および年金給付との調整を図る観点などから、導入された。

 今回は、光熱水費の負担を求める対象を拡大するかが論点。具体的には、(1)療養病床の65歳以上の入院患者の負担額を、320円から370円に引き上げ(介護保険では2015年4月から370円)のほか、(2)療養病床の医療区分2と3の入院患者、(3)療養病床の65歳未満の入院患者、(4)一般病床や精神病床等の入院患者――について、新たに光熱水費の負担を求めるか否かが論点。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、(1)については、介護保険と揃える観点から支持。(2)と(3)についても、在宅療養との整合性なども踏まえ、「年齢区分なく、療養病床の入院患者については全て光熱水費を求めるべき」と述べた。(4)の一般病床の入院患者については、短期で退院する患者と長期入院する患者に分かれることから、「一定期間、例えば、90日を超える人には負担を求めるという考え方がある」とし、精神病床については、「療養病床と同様に負担を求めるべきではないか」と提案した。日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏、全国健康保険協会理事長の小林剛氏などが、白川氏の意見を支持。

医療者など光熱水費負担の対象拡大に反対
 一方、「いずれも慎重な検討が必要ではないか」と述べたのは、連合副事務局長の新谷信幸氏。2006年に「医療区分1」について光熱水費負担が導入された際、「病院での食事・居住サービスは、入院している患者の病状に応じ、医学的管理の下に保障する必要がある」との議論がなされた点を踏まえ、医療区分2と3の入院患者について負担を求めることや、年金支給対象外である年齢層については、「年金給付との調整」は不要であることから、(2)や(3)の導入には反対、(4)についても、一般病床と精神病床には、「住まい」としての機能がないことから導入には異議を唱えた。

 さらに新谷氏は、厚労省が、一般病床等については、「入院期間が長期化しているケースや入院医療の必要性の低いケースもあり、これらの点も含め、どう考えるか」との論点を提示したのに対し、「光熱水費負担と長期入院の問題は、分けて議論すべき」と指摘した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏、日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏らも、基本的には新谷氏と同意見だった。

「2018年度以降の療養病床」の議論踏まえる必要
 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、介護療養病床が2018年3月末で設置期限を迎えるため、社保審の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で、療養病床全体について、今後の在り方に関する議論が進められていることから、「今の段階で議論すべきではなく、2018年度以降の形が見えてから、もう一度検討してはどうか」などと提案。必ずしも患者像と合致していないことから、療養病床の医療区分に応じて光熱水費負担の有無を決めることも問題視した。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏は、320円から370円への負担増について、「低所得者の配慮は必要だが、財政運営上、必要であるなら、制度の持続可能性を考える意味で、検討する必要がある」と述べ、仮に負担増を図る場合には、「十分な広報が必要」と求めた。

 そのほか、「利用負担の公平性や、医療保険と介護保険の整合性を図っていくことは必要だが、医療と介護の性格は違う。医療は予見性がなく、治療の必要性についての患者の自己決定性は低い。光熱水費負担を求めるか否かは慎重な議論が必要」(法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏)、「施設から施設に移った場合に、(負担額に大きな差を生じさせず)利用者がスムーズに受け入れられるようにしてもらいたい」(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏)などの意見が出た。

「医療保険」と「金融資産」、なじまず
 金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担は、介護保険で導入されている。施設入所等に係る費用のうち、食費と居住費は本人の自己負担が原則だが、低所得者については、預貯金なども含め、資産を把握し、「補足給付」を支給し、負担を軽減している。同様の考え方で、医療保険でも低所得者への負担軽減の際に、金融資産等の保有状況を考慮に入れた仕組みを導入するか否かが論点。

 ただし、現状では金融資産等を把握するためには、自己申告をベースとせざるを得ない。マイナンバー法等の改正により、2018年度から、銀行等の預金者は、銀行等にマイナンバーを告知することが求められるが、法律上の告知義務は課されないからだ。

 白川氏は、低所得者への配慮がある高額療養費制度のほか、保険料に、金融資産等の保有状況という考え方を入れることは、金融資産を100%把握することができない現実や、把握するための事務手続きのコストに見合う効果が得られないと想定されることから、「慎重に検討すべき」とコメント。「医療保険に、金融資産等の保有状況という考え方を入れるかどうかが本質的な問題だが、私は慎重に考えるべきであると思う。日本ではそこまで議論が深まっているわけではない。今後、審議会等で議論して方向性を決めるべきであり、今の段階では、時期早尚」とも指摘した。

 新谷氏や松原氏も同様の意見。東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏も、「社会保険である医療保険において、金融資産の多寡で給付が決まるという考え方を入れることには、原理的な疑問がある」と指摘した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1012504949/
65歳以上の入院居住費、1日370円に...厚労省が値上げ案〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.10.12 13:10(2016年10月12日 読売新聞)

 厚生労働省は、入院患者が負担する光熱費と水道代にあたる居住費を値上げする検討に入った。

 公的医療保険の給付を抑える狙いがある。療養病床を利用する65歳以上を対象に、現行の1日320円から370円への引き上げを12日に開かれる社会保障審議会の医療保険部会に提案する。

 長期療養のための療養病床は住まいの機能を持つとして、入院患者に居住費の負担を求めている。介護施設である老人保健施設の相部屋では1日370円と設定されており、厚労省は、それに近い機能を持つ療養病床も同等に見直す必要があると判断した。

 同部会では、現行で居住費の対象外としている65歳未満や比較的軽症の患者に負担を求めるかも議論する。

 入院患者の自己負担を巡っては、1食分の食事代を15年度までの原則260円から、16年度と18年度に100円ずつ上げることが決まっている。



https://www.m3.com/news/general/466874
月刊誌側が争う姿勢 信州大教授の名誉毀損訴訟
2016年10月12日 (水) 共同通信社

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種を受けた女性が体調不良を訴えた問題の厚生労働省研究班代表を務める池田修一(いけだ・しゅういち)信州大教授が、研究を捏造(ねつぞう)と決めつけた記事で名誉を傷つけられたとして、月刊誌「Wedge」の発行元(東京)に損害賠償と謝罪広告掲載を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁であり、Wedge側は請求棄却を求めた。

 訴状などによると、池田教授の研究班は3月、マウスに同ワクチンを接種すると、異常な抗体が作られたと発表。これについてWedge 7月号は「崩れる根拠、暴かれた捏造」と題した記事で、池田教授が研究者から受け取ったマウスの顕微鏡写真のうち、都合のいい写真だけを選んで実験結果を出したと報じた。

 池田教授は信州大の副学長と医学部長を務めていたが、提訴後にいずれも退任。Wedgeの記事を受け、信州大は不正がなかったか調査を進めている。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161012/k10010727401000.html
産科医1人当たりの出産件数 最大で2.7倍の格差
10月12日 19時25分 NHK

産科の医師1人が1年間に担う出産の件数を各都道府県ごとに調べたところ、東京や大阪に隣接する埼玉、千葉、兵庫などで医師の負担が重く、負担の少ない県と比べて最大で2.7倍の格差のあることが、日本産婦人科医会の調査でわかりました。医会では「妊婦の多い大都市近郊で、産科医が不足している実態が明らかになった。医師の適切な配置など対策を取ってほしい」と話しています。

日本産婦人科医会は、ことし1月時点の全国の産科の医師の数と去年1年間の出産件数を基に、産科の医師1人が担う出産件数を都道府県ごとに調べました。

その結果、産科医1人当たりの出産件数が最も多かったのは埼玉県で、年間182件に上り、最も少なかった山形県の68件の2.7倍になっていました。次いで多かったのは佐賀県で164件、続いて千葉県が161件、兵庫県と沖縄県が149件、広島県が147件などとなっていて、大都市の東京や大阪に隣接する県で医師の負担が大きい実態がわかったとしています。

また、全国の産科医の数は、平成21年の7290人から毎年増え続け、去年は8264人となっていましたが、ことしは8244人と初めて減少に転じたこともわかりました。これは、ことし産婦人科医を目指す若い医師の数が364人と少なく、退職する産科医も多かったことが原因だということで、日本産婦人科医会では、平成22年度から産婦人科が臨床研修の必修科目から外れたことも影響しているとしています。

調査を行った日本産婦人科医会の中井章人日本医科大学教授は「産科医療は全国的にも厳しい状態が続き、地方の自治体で出産できる病院が少ないことなどが問題になっているが、一方で、埼玉や千葉など大都市近郊では、地方に比べ妊婦の割合が多く、産科医が不足している実態が明らかになった」と話しています。このうち埼玉県では、おととしから県内で受け入れができない場合、東京都と連携して都内に搬送する対応を取っていますが、中井教授は「出産は緊急の場合があり、妊婦や赤ちゃんの命に関わる。広域搬送は本来のあるべき姿ではない。負担が重い状態が慢性化すれば、提供できる医療が不安定になる可能性があり、安全なお産のためには、産科医全体の数を増やし、適切に配置する対策を取るなどしてほしい」と話しています。



http://www.sankei.com/life/news/161012/lif1610120033-n1.html
産科医が7年ぶり減少 都市近郊で医師の負担大きく 人材確保が急務
2016.10.12 23:21 産経ニュース

 開業医らでつくる日本産婦人科医会は12日、1月時点の産婦人科の医師の数は前年同期比22人減の1万1461人と、7年ぶりに減少に転じ、埼玉や千葉、兵庫など、大都市近郊で医師の負担が大きくなっているとの調査結果を発表した。今後も大幅な増加は見込めないといい、同医会は人材確保と適切な配置が急務の課題だと訴えている。

 医会によると、産婦人科医は2009年に1万79人まで減った後、労働環境改善などによって増加していた。しかし、新たに産婦人科医になる人より退職者が多く減少に転じた。

 産婦人科が研修医の必修科目から選択科目に変わり、12年以降は新たに産婦人科を専攻する医師が減少していることが背景にあるという。

 出産を扱う産科・産婦人科の医師は、他の診療科と比べて当直や呼び出しが多く激務であることや、患者側から訴えられる「訴訟リスク」も敬遠される一因とされる。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1012/mai_161012_5777179615.html
<産婦人科医>7年ぶり減…「勤務厳しい」新人希望せず
毎日新聞10月12日(水)21時19分

画像:産婦人科医師数の推移
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 日本産婦人科医会は12日、今年1月時点の産婦人科の医師数は1万1461人と昨年より22人少なかったと発表した。前年よりも医師数が減るのは2009年以来。同医会は、産婦人科を希望する新人医師が減っていることなどが要因と分析している。

 同医会は毎年1月、産婦人科のある病院や診療所の全施設を対象に、常勤の医師数を調査している。09年(1万79人)以降は緩やかな増加傾向にあった。このうち、お産を扱う施設の医師数は8244人で、昨年より20人減った。

 同医会によると、産婦人科に入った新人医師数はピーク時の11年に450人だったが、昨年4月は364人まで減った。これを退職者が上回り、全体の医師数が減少することになった。都道府県別では、ここ10年で医師数が減っているのは、山形 ▽福島 ▽埼玉 ▽千葉 ▽新潟 ▽石川 ▽岐阜 ▽和歌山 ▽鳥取 ▽島根 ▽広島 ▽香川 ▽愛媛 ▽熊本 ▽宮崎−−の15県だった。

 同医会は新人医師が減っている理由について、10年度に見直された医師の臨床研修制度で、産婦人科が必修科目から選択科目の一つになったことが影響しているとみている。09年に医学部定数が大幅増員されたが、その影響が現れるのは来年以降になるという。

 同医会常務理事の中井章人・日本医科大教授は「産婦人科は勤務状況が厳しいという印象が先行し、現場を見ないままでは産婦人科を選びにくいのではないか」と話す。【下桐実雅子】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466996
シリーズ: 社会保障審議会
「不正請求が横行」、柔道整復療養費を問題視
医療保険部会、療養費の抜本的改革求める

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「不正請求が多発、横行している。これは最近のことではなく、昔から山ほどある。柔道整復療養費の在り方を根本的に見直す必要がある。さもなければ、国民の保険診療に対する信頼を相当損なう」

 10月12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の席上、語気を務めて問題視したのは、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏だ。

 白川氏は、「今までの厚生労働省の療養費についての基本的な考え方が、違っていたのではないか」と指摘。保険医療機関や保険薬局については、診療報酬や調剤報酬の施設基準や算定基準が厳格に設定され、レセプト審査も行われている。これに対し、柔道整復療養費については、「施設基準はなく、請求書の様式もバラバラ。各都道府県の柔整審査会は、請求書の4分の1か、5分の1くらいしか審査していない。目で見て審査していることもあり、不正請求が多発している」(白川氏)。

 社保審医療保険部会の下に設置された、「柔道整復療養費専門委員会」は9月23日、「議論の整理」を取りまとめた。12日の同部会に資料として提出されたことが、白川氏の発言の発端だ。

 「柔道整復療養費専門委員会」の座長も務める遠藤部会長は、まだ「議論の整理」の段階であることから、白川氏らの意見も踏まえ、「今後検討する」と引き取った。

柔道整復療養費、医療費の約1%
 「議論の整理」は、不正請求が問題視されていることを受けた、2016年3月以降の「柔道整復療養費専門委員会」の議論をまとめたものだ(資料は、厚労省のホームページ)。

 白川氏は、「議論の整理」内容以前の問題として、「根本的なところを見直してもらいたい」と述べ、冒頭の発言を続けた。他の委員からも、柔道整復療養費に加え、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費について、問題視する声が相次いだ。

 2013年度の場合、柔道整復療養費は、国民医療費約40兆円の約1%に当たる約4000億円。日本医師会副会長の松原謙二氏は、この点を踏まえ、「約4000億円が適切に使われているかどうかは、国の責任でもある。一生懸命に仕事をしている柔道整復師も同じような目で見られる。どこが問題かを抜本的に検証し、不正を正すべき」と白川氏の意見を支持。

 全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、「悪質な不正請求事案があり、保険者としてもその対応は喫緊の課題」と指摘。「保険者が不正請求を把握した場合、地方厚生局に対して、情報提供し、指導・監査を依頼するしかないが、迅速かつ十分な指導・監査が行われている状況ではない」と問題視した。「議論の整理」では、地方厚生局における積極的な指導・監査につなげるために「人員体制の強化」を求めている。「理念として掲げるのではなく、実効性がある形で進めてもらいたい」(小林氏)。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏も、広域連合でも問題になっていると指摘し、「指導・監査の体制強化は、趣旨としては正しいが、地方厚生局長が腹を決めて、『やるなら、やる』というディレクションを示すことが必要」と述べ、対応を求めた。

 そのほか「明細書を無料発行すれば、患者の段階で不正防止につながる」(連合副事務局長の新谷信幸氏)などの声が上がった。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49784.html
国立大病院、黒字転換も設備投資額減る傾向- 15年度決算
2016年10月12日 16時00分 CB News

 国立大学附属病院長会議はこのほど、2015年度の国立大病院の決算概要を公表した。回答した44病院の合計の収支差額は約24億円の黒字となり、約71億円の赤字だった14年度に比べて約95億円の収支改善が図られた。一方、14年度の診療報酬改定の影響などによって診療機器の取得額は減少傾向にあり、十分な設備投資が難しい状況が浮き彫りになった。【松村秀士】

 44病院の15年度決算は、平均在院日数の短縮が進んだことに伴う診療単価の増加などにより病院収入が約1兆216億円(前年度比4.4%増)、運営費交付金は約1114億円(同4.0%減)などとなり、総収入は約1兆1529億円(同3.8%増)だった。

 一方、人件費は研修医や看護職員の増加などによって約4268億円(同3.3%増)、医薬品や診療材料などの医療費は約4190億円(同5.6%増)などとなり、総支出は約1兆1505億円(同2.9%増)で、収支差額は約24億円の黒字だった。

 ただ、14年度の診療報酬改定や消費税率8%への引き上げの影響などに伴い、各病院では設備投資費が減少しているのが現状だ。15年度の診療機器の取得などに掛かった費用は14年度に比べて9.1%減の441億円となり、13年度の658億円をピークに連続して減少した。

■「大学病院の使命果たせなくなる」―山本氏

 7日に開かれたプレスセミナーで、同会議の山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は、「各病院は必要な診療機器の更新を先送りしているのが現状で、このような状況が続くと、高度医療という大学病院の重要な使命が果たせなくなる」と危機感をあらわにした。


  1. 2016/10/13(木) 05:30:03|
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10月10日

https://www.m3.com/news/iryoishin/466304?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161010&dcf_doctor=true&mc.l=182531454
シリーズ: 医師不足への処方せん
「選択肢の多様化こそ医師偏在策」、医学部長病院長会議
自民党研究会、医師国試改革の必要性も強調

2016年10月9日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 自民党の国会議員で組織する「医師偏在是正に関する研究会」(代表:河村建夫衆院議員)の10月7日の第2回会議で、全国医学部長病院長会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、「医師養成のための卒前・卒後教育改革案」を提案した。医学教育に1年組み込むことで、臨床研修を1年短縮し、医師国試は臨床実習の成果を問う内容に変えるなどして、卒前と卒後の教育・研修をシームレスにし、かつ「個々の医師の選択肢を多様化、拡大」する改革案だ。

 新井氏は、臨床研修、専門医研修、大学院での学位取得などの選択肢がある中、「医師の偏在解消策として重要なのは、地域の多様な医療ニーズと、個々の医師の特性に応じた多様なキャリアパスをマッチングできる、画一的ではない柔軟な対応を可能とする法・制度の設計」とコメント。2020年度までには、臨床実習終了時(医師国試前)に技能・態度を評価する「PostC.C.OSCE」を全大学で実施予定であるなど、大学レベルの「自主的な取り組み」が進んでおり、それらを制度化する国の支援などを求めた。

 全国医学部長病院長会議の教育委員会委員長の山下英俊氏(山形大学医学部長)も、「短期間で医師を養成し、地域医療に派遣するという発想は重要」とし、今の医師国試は「受験勉強」が求められるため、臨床から一定期間離れることが問題であるとし、実技能力を問う方法に変更するなど国試改革の必要性を指摘。臨床研修の短縮化、専門医研修までのシームレスな教育・研修が可能になれば、短期間での専門医養成にもつながり、女性医師にとってのメリットも大きいと説明。さらに卒前教育の充実には、地域の医療機関を臨床実習の場とすることが重要であり、そのためにも「医学生ができる医行為」を法的に整理する必要性を強調した(『スチューデント・ドクターの先駆者◆山形大学』を参照)。「地域の医師は診療のプロだが、教育のプロではない。医学生に医行為をさせることで『法的責任が及ぶのではないか』との懸念がある」(山下氏)。

 「卒前・卒後の教育研修のシームレス化」「医師の選択肢の多様化」「教育研修期間の短縮」という提案に対しては、出席議員から支持する声が多かった。

 その一人が、医師でもある自見はなこ参院議員。(1)子育て世代の30、40代の女性医師は、『職場に迷惑をかける』との理由で離職するケースが多く、この問題は医師に限らず、女性医療職全体について解決すべき課題、(2)医学教育と卒後の臨床研修、専門医研修まで横串を刺して体制を整えることが重要、(3)仮に保険医登録の要件に、地域医療への従事を義務化する場合、女性医師にとっては妊娠可能時期が遅れてしまう懸念があり、早く義務を果たすためにも、医学教育の地域実習をカウントする――の3点を要望した。保険医登録と絡めた医師偏在対策は、10月6日の厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」で提案されている(『診療科別の「専攻医研修枠」、JCHO尾身氏が提案』を参照)。

 その他の出席議員からもさまざまな意見が出て、約1時間にわたった議論は終了。河村代表は、「本格的に議論を進めたい。議員連盟という形できちんと立ち上げたい」と締めくくった。「医師偏在是正に関する研究会」は9月に研究会としてスタートしたが、10月末か11月初めまでに議連として発展させる予定(『「医局復活で、医師偏在解消を」との意見も、自民党研究会』を参照)

 「地方勤務と保険医登録をリンク」に関心
 7日の会議に出席したのは、新井氏、山下氏のほか、千葉大学医学部附属病院長の山本修一氏。3氏のプレゼンテーションの後、出席議員との質疑応答が展開された。

 中村裕之衆院議員は、「国の制度として医師偏在対策に有効な手立てはないのか。職業選択と居住の自由があり、強制的なことはできないとしても、例えば保険医登録が簡単になるなど、医療過疎地域に勤務することで、インセンティブを付けることはできないのか」と質問。井野俊郎衆院議員も、「保険医登録に、地方勤務の経験を加味してはどうか、という提言があると聞く」と尋ねた。

 新井氏は、保険医登録に絡めた対策について「一つの方策としてはあり得る」と答えた一方、「直接的に縛る」のではなく、医師の地域定着策で一定程度の成果を挙げたところにインセンティブを付けるなどの仕組みが必要だとした。

 後藤田正純衆院議員は、地元徳島県の医師が、科研費を使い、研究場所である秋田県に派遣されている例があるとし、似たような枠組みの可能性を質問。新井氏は、地方自治体が、大学に共同研究講座を作って医師を採用、その医師が地域の医療機関に勤務している例があると紹介した。

 そのほか、自治体立病院の集約化などの意見も出た。津島淳衆院議員は、「地方自治体がそれぞれ病院を持ち、全国で医師を取り合っていることが問題。自治体が連携して、『中核病院とサテライト診療所』などの形態に再編する必要がある」と指摘した。さらに周産期医療など、訴訟リスクが高く、法的責任が追及される診療科の医師不足対策の検討も必要だとした。

 山形、千葉、着実に医師数増加
 議論に先立つプレゼンテーションで、山下氏は、「初期の臨床研修後、後期研修を始める時点でも、医師は相当勤務地域を変える」という研究調査の結果のほか、同一県内でも、都市部の医師は多く、地方は少ないなど地域差が大きい現状を説明。

 こうした現状を踏まえた対策として、(1)卒前と卒後の一貫した教育研修コースを設定し、医師が進んで専門医取得の組織を選択できるようにする、(2)各都道府県で、医師育成、医療を総合的に調整する組織を機能させる、(3)地域医療に従事するインセンティブを考える――という発想から、山形県では、山形大学のほか、県、医師会、40の県内病院が参加、協力する組織として「山形大学蔵王協議会」を2002年からスタートさせたと説明。臨床実習の段階から、山形大学と地域の病院を活用した「循環型研修」などを展開している。

 山形県内の常勤医師数は、2008年11月の時点では1243人だったが、2015年10月は1333人になり、全体では7%(90人)の増加だが、出身大学別に見ると、山形大学出身者は16%増加(725人から841人)。「県外から、山形大学に入学した人が、卒業後も山形大学に定着するようになってきた」という。山下氏は、チーム医療の重要性が指摘される中、各医師の得意分野や力量などを把握している大学が、地域の医療機関に医師を派遣する枠組みを充実させる必要性を強調した。

 山本氏は、千葉県の現状を紹介。同県の人口当たりの医師数は全国45位。現状では2025年には1000人前後が不足するとの推計もある。その対策として、千葉大学や県などが協力して、(1)医師キャリアアップ・就職支援センター事業、(2)医師修学資金制度の拡充、(3)後期研修プログラムの充実、(4)研修病院のネットワーク化――など、初期や後期の研修医を千葉県に呼び込む活動を展開。初期研修医は増加傾向にあり、2013年4月は295人だったが、2014年4月329人、2015年360人、2016年4月398人と急伸した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466308?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161010&dcf_doctor=true&mc.l=182531455
医療機関の「競争」より「協調」、神田厚労省医政局長
第58回全日本病院学会で講演、「地域連携推進法人の利用も」

2016年10月9日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局長の神田裕二氏は、10月8日に熊本市で開催された第58回全日本病院学会の特別講演で、地域医療構想をテーマに講演、構想実現には「腹を割って、本音で話すことが一番大事」と述べ、各地域の関係者が話し合う調整会議のほか、地域医療連携推進法人が一つのツールになるとした。「現実的に検討を始めているところが、既に出てきている」と述べ、事例を紹介、医療機関同士が競争するのではなく、協調していく大切さを説いた。

 地域医療連携推進法人は2017年度からスタートする制度で、「岡山大学メディカルセンター」構想が有名だが(『岡山大、6病院束ね連携法人目指す - 森田潔・岡山大学学長に聞く』を参照)、それ以外にも山形県酒田市、鹿児島市などで検討している事例を神田局長は紹介した。

 学会開催地である熊本市は2016年4月、大震災に見舞われ、医療機関にも甚大な被害が生じた。診療不能に陥った一つが、熊本市民病院。再建計画は、同病院だけでなく、大学や医師会なども加わり、策定したため、「再編ネットワークの先行例」であるとした。熊本県の地域医療構想を踏まえ、病床は556床から392床に大幅に減少、回復期機能の充実も図る。

「青森、岐阜、東京、広島」の地域医療構想を例示

 神田局長はまず、地域医療構想の策定状況を説明。2016年8月31日現在、47都道府県中、策定を終えたのは、19都府県(128構想区域)。地域医療構想では、2025年の医療需要と病床の必要量などを推計し、併せて地域医療構想を実現するための施策を検討する。

 地域医療構想の中で、慢性期機能の必要量推計に用いる療養病床の入院受療率の計算方法は、2パターンの方法がある。128構想区域中、97構想区域(78%)が、より減少幅が緩やかな計算方法を用いていた。

 「19都府県の記載内容の具体性には、ばらつきがある」と指摘する神田局長が、具体的記載がある例として挙げたのが、青森、岐阜、東京、広島の4都府県。

 青森の特徴は、公的な医療機関が中心的な役割を担っている点。青森県立中央病院は、高度・専門医療、救命救急センターや総合周産期母子医療センターなど政策医療に特化、一方、青森市民病院は、救急医療等も担うと同時に回復期機能の充実などにも舵を切る。

 岐阜は、全体では約1300床が過剰になる一方、回復期機能が約1600床不足。岐阜大学医学部附属病院が県全体の中心的役割を担い、岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院、松波総合病院が連携し、岐阜圏域の急性期医療の中心的な役割を担う。「政策医療、あるいは地理的要因から急性期医療を担う病院以外は、回復期中心にシフト」「一般病床および療養病床の病床利用率が、おおむね過去3年間連続して70%未満の病院については、休床を含めた病床の在り方等を検討」などと明記。

 東京の医療提供体制の特徴は、構想区域を超えた流出入が非常に多い点。それらを踏まえて医療機能別の病床数を推計している。多くの構想区域で病床が不足するが、単に増やすのではなく、アクセスの利便性や流出入などを踏まえて検討するとしている。そのほか、「調整会議で行われた議論が、紹介されているのが特徴的」(神田局長)。

 広島も、全体では約4400床(全体の約10%)が過剰になる一方、回復期機能が約6500床(現在の約200%)不足すると推計され、急性期機能を減らして、回復期機能を増やすことが必要になっている。地域医療構想実現の施策として、「医療へのアクセスの改善策」「在宅医療の推進」などの視点から、構想実現に向けた施策を地域に応じてきめ細かに記述している。

「腹を割って、本音で話すことが一番大事」

 神田局長は、各地域の地域医療構想を踏まえ、「公立病院が中心の地域は、課題の共有も比較的容易で、具体的な記述をしやすい一方で、急性期病院が競合している都市部などは、具体的記述は難しいだろう」と指摘。もっとも、高齢者人口の増加で病床数も増やしていく中で、回復期機能などの増加を図る都市部と比べて、難しいのは、「高齢者人口や患者数は減少し、かつ急性期病院が競合している地域」と神田局長は見る。

 「腹を割って、本音で話すことが一番大事」(神田局長)。地域医療構想の実現に当たっては、関係者による話し合いの場である、「調整会議」を設ける。その議論の進め方については、現在、厚労省の検討会で議論されている(『病床過剰地域でも「病床の必要量」の整備可能に』などを参照)。「例えば、急性期機能が不足している場合、『早いもの勝ち』ではなく、どこがその機能を担うべきかを、地域で議論していくのがいいと考えている」(神田局長)。

 そのほか、地域医療構想を実現するための一つのツールとして挙げたのが、地域医療連携推進法人だ。これは、医療機関等を開設する医療法人等が社員となり非営利法人を設立し、ヒト(医師など)、モノ(医薬品や医療機器など)、カネ(資金)について一体的運営を行う仕組み。

 活用の例として挙げたのが、「岡山大学メディカルセンター」構想のほか、医療法人緑壮会等(岡山県真庭市)、地方独立行政法人酒田市病院機構等(山形県酒田市)、社会医療法人博愛会と医療法人真栄会(鹿児島県鹿児島市)などだ。

 医療法人緑壮会等は、「現実的に連携していかないと共倒れになりかねない例」(神田局長)。「直線距離で400m程度しか離れていない約170床規模の二つの病院が、脳神経外科や整形外科、外科など、もう一方は産婦人科や小児科、透析などと診療科を分担し、継続的な医療の提供を目指している」という。

 地方独立行政法人酒田市病院機構等の例は、県立日本海病院と市立酒田病院を統合させて誕生した中日本海総合病院が中心となり、さらに周辺地域の医療機関と、まずは医療機器の共同購入から始めて、患者紹介を行い、役割分担を進める計画。

 社会医療法人博愛会と医療法人真栄会は、いずれもがん治療を専門とする病院で、抗癌剤の共同購入や高額医療機器を共同利用するなどのメリットを想定している。

 さらに、神田局長は、地域医療構想の推進のためには、在宅医療等の受け皿を作っていくことも大事な役割であると説明。在宅医療等には、自宅だけでなく、介護施設等も含まれるとし、在宅での看取りについては、在宅死亡数などのアウトカム指標だけでなく、看取りに至る過程を評価する指標の評価なども課題であるとした(『第7次医療計画、「在宅医療」の方向性固まる』を参照)。



https://www.m3.com/news/general/466289?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161010&dcf_doctor=true&mc.l=182531456
青森県、弘前の2病院統合案を提示 津軽圏医療の中核に
2016年10月10日 (月) 毎日新聞社

 県は7日、弘前地方の8市町村の医療関係者を弘前市に集めて津軽地域医療構想調整会議を開き、「弘前市立病院と国立機構弘前病院を統合した中核病院を国立弘前病院の敷地に整備する」とした自治体病院の再編案などを提示した。同案に対して特に異論は出ず、関係機関が今後、協議を詰める見通し。

 同会議は県が3月に策定した地域医療構想に基づき、県内6地域ごとに具体的な議論に入るため開かれた。津軽地域は高齢化が進む2025年、急性期対応の病床の多くが不要となり、在宅医療の充実で慢性期の病床も余剰になる一方、回復期の病床が不足すると指摘。この傾向は県全体に共通するという。

 このため県は、津軽地域の5自治体病院の中で弘前市立と国立弘前を統合した中核病院の創設を打ち出した。新病院は国立機構が運営し、救命救急センターを整備し、夜間や休日の救急医療体制の充実を図る。他の黒石病院は回復期、大鰐病院は慢性期、板柳中央病院は回復・慢性期の機能を担うとしている。

 一戸和成・県健康福祉部長は席上、「医療体制構築のため最善の案を提示した」と説明し、中核病院の実現に向けて「県や弘前市、国立機構に、医師を輩出する弘前大付属病院を加えた4者で今後協議を深めたい」と語った。【松山彦蔵】



https://www.m3.com/news/general/466111?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161010&dcf_doctor=true&mc.l=182531458
全面禁煙の徹底を 弘前大病院が全域で /青森
2016年10月10日 (月) 毎日新聞社

 島根県江津市の民間病院で禁煙外来を設けながら職員が病院敷地で喫煙し、診療報酬を国に返還することになった問題を受け、弘前大医学部付属病院(弘前市本町)は4日付で、福田真作病院長名で全職員1200人に「病院敷地内での全面禁煙の徹底」のメールを送り、注意喚起を改めて呼びかけた。

 同病院は禁煙外来を設置していない。だが「喫煙と受動喫煙の健康への悪影響」を考慮し、2007年10月から職員や患者、その家族、来院者らに病院建物や駐車場、通路など敷地全体で全面禁煙を訴えてきた。

 職員に再度注意を促したことについて同病院は「生活習慣病や小児科・呼吸器などの患者の診療報酬の請求に際し、施設基準で『敷地内全面禁煙』が前提条件になっている。これをきちんと守るため」と説明している。【松山彦蔵】



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03194_02
【視点】
卒後臨床研修センター業務に生かす「産業・組織心理学」

江村 正(佐賀大学医学部附属病院卒後臨床研修センター専任副センター長・准教授)
週刊医学界新聞 第3194号 2016年10月10日

 2004年の医師臨床研修制度必修化に伴い,臨床研修病院には研修の統括部門が必要となり,以来,卒後臨床研修センターが多くの病院に設置されることになった。筆者は,そこでさまざまな仕事を行ってきたが,内容があらゆる方面におよび,従来の臨床医の仕事とは全く異なるものばかりであった。

 着任して10年が過ぎ,後進の育成も考え今までの活動を振り返ってみたが,なかなか活動内容を体系づけて整理することができずにいた。

 卒後臨床研修センターの業務について模索する中,「産業・組織心理学」との出合いがあった。産業・組織心理学とは,心理学を産業領域に応用したもので,「組織とかかわりを持っている人々の行動を記述し,理解し,予測することによって,人間と組織との望ましい,そして,あるべき関係の仕方を見出すことを目的とした科学」1)と言われている。組織行動,人事心理学,作業心理学,消費者行動の4つの研究領域に分類することができる。産業・組織心理学の体系をもとに卒後臨床研修センターの業務をあらためて振り返ってみると,種々の活動がうまく分類されることに気付き,それぞれに関連付けてまとめることができた(図)。研修医教育に携わる者がこのような体系を把握しておくことで,内容によっては業務がより円滑に進められるのではないかと考える。

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図 産業・組織心理学の体系から分類した卒後臨床研修センターの業務

 産業・組織心理学の体系に,卒後臨床研修センターの活動が当てはまったのは,医学教育の世界に産業が,言い換えると,市場原理が導入されたためかもしれない。今まで以上に競争が求められる大学や病院において,産業・組織心理学という枠組みを知っておくことは,教育に携わる者の活動指針として有用と思われる。今まさに,卒後臨床研修センターの業務の在り方に苦心している方は,ぜひ一度参考にされるとよいだろう。

◆参考文献
1)高橋浩,他.社会人のための産業・組織心理学入門.産業能率大学出版部.2013.

江村 正
1987年佐賀医大卒。一般内科の研修後,98年より総合診療部助手。2004年に卒後臨床研修センターに着任し,08年より現職。日本医学教育学会認定医学教育専門家。



http://www.asahi.com/articles/ASJB97KSRJB9UBQU00L.html?iref=com_apitop
産める環境確保へ公的支援 産科医確保の取り組み広がる
神元敦司
2016年10月10日06時10分 朝日新聞

 産婦人科医が足りない状況を解消する取り組みが各地で広がる。公費を投じて医院を「誘致」したり、都市部の病院に通う費用を負担したり……。産婦人科医の数が7年ぶりに減少に転じたとする調査結果が近く発表される中で、「安心して産める環境を整えたい」との思いがある。

■大学病院から地域へ

 「これまで、どこで産んだらいいのか悩んでいました。ありがたい」。南アルプスの山々を背に田畑が広がる山梨県甲斐市。開院初日の3日、「このはな産婦人科」に来た女性(34)はうれしそうに語った。

 妊娠2カ月の女性は初めての出産。一方で、人口約7万5千人の甲斐市には妊婦を健診する医師はいるものの、出産できる施設はない。このはな産婦人科も出産はできないが、この女性ら妊婦のカルテは5キロほど離れた山梨大病院(同県中央市)との間で全て共有されている。

 出産が間近になったり、夜間・休日に急変したりすると、山梨大病院がスムーズに受け入れてくれる。自分のことを何も知らない病院に行き、一から説明する必要もない。「おなかが大きくなってから、車を運転して別の病院に通い出すのも大変。産める場所が決まっているということは安心です」。女性は話す。

 このはな産婦人科を切り盛りするのは院長の中村朋子さん(48)。先月末まで山梨大病院に勤めていた。少子化と都市部の大病院に医師が集中した影響で地域に出産施設が少なくなり、数年前には年間400台だった出産数が昨年は571に増加。同大病院は順番待ちの妊婦たちであふれ、婦人科系の病気の女性に手術を待ってもらうこともあったという。

 「なんとかしないと」。中村さんは少なくとも地域の医師が出産直前まで妊婦と向き合うようになれば、妊婦の負担は減り、大学病院も本来の役割を果たせるようになるのではないかと考えた。しかし、開院には巨額の費用がかかる。容易ではなかった。

 そんなとき、山梨大病院を通じて中村さんの意向を知った甲斐市が市内での開院を提案。市が昨年12月に超音波診断装置や検診台などを5千万円で買い入れ、中村さんの医院に無償で貸すことになった。市側で担当した秘書政策課の丸山英資(ひでもと)さん(49)は取材に「将来的な『人口減』を食い止めたいと考えました。市民サービス向上の視点もあります」と語る。

 一方、このはな産婦人科がある土地は中村さんが自ら借り、建物も自費で建てた。初めての医院の経営は厳しいものになると思っているが、「地域の女性たちにとって身近になる場所にしたいですね」と目を輝かせる。

■補助上限1億円の自治体

 甲斐市のような動きは他にもある。市内に出産でき

る施設がない富山県南砺市は4月、不動産の取得や機器・備品購入にかかる費用を対象に「上限1億円」の補助制度をスタート。同市医療課の担当者は「都市部に多い医師の中で開業する人がいれば」と話す。

 静岡県湖西市は上限1億円、埼玉県八潮市は同3千万円の補助制度を今春から始めた。10年間を限度に市有地を無償で貸す八潮市の健康増進課は「駅ができて子育て世代が増えた。安心して地元で産める環境にしたい」とする。

 産科系の医院や病院に通う妊婦を支援する自治体も少なくない。厚生労働省によると、交通費や宿泊費などを補助しているのは36都道府県の181市町村(昨年春時点)。これまでは市町村が独自に取り組むケースが中心だったが、4月には北海道が始めた。昨年10月の時点で、道内179市町村のうち8割を超える149市町村に出産できる施設がないといい、子ども子育て支援課の担当者は「金銭だけではなく、妊婦さんの気持ちと体への負担が少しでも和らげば」と語る。

■7年ぶりに産婦人科医減る

 こうした取り組みが広がる背景には、慢性的な産婦人科医の不足がある。国は2009年、訴訟リスクの多さが産婦人科から医師を遠ざけているとして、家族らを対象に産科医療補償制度を創設。女性の産婦人科医が育児しながら働き続けられる対策を講じた結果、09年前後から医師の数は緩やかに増えた。

 だが、その数は再び減る傾向がうかがえる。日本産婦人科医会は12日、今年1月時点で産婦人科医が前年同期を22人下回る1万1461人、このうち出産にたずさわる医師は20人減って8244人だったとする調査結果を発表する。日本医科大産婦人科の中井章人教授が手がけた調査で、減少はいずれも7年ぶりだ。

 妊婦に寄り添おうとする動きが各地で出ていることについて、産婦人科医で北里大病院の海野信也院長は「行政も巻き込んで地域の診療所や医院を維持していくことは必要。これからも各地で合理的なあり方を模索してほしい」と期待している。(神元敦司)



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48062
医療  世界から強い批判を受けた日本の大新聞
子宮頸がんワクチンに関するメディアの偏向報道(上)

津田 健司
2016.10.11(火) JB Press

 人間はどうやら本質的に「リスク」の認知が苦手であるようです。競馬やパチンコで痛い目に遭っても、ほとぼりが冷めたらまた嵌ってしまったり、タバコは体に悪いと知っていてもなお、多くの方がやめられずにいたりします。

 心理学の分野では、「人は不確実な物事を正確な確率で認識できない」と考えられているそうです。

 2002年にノーベル経済学賞を受賞したカーネマンとトベルスキーが提唱しているプロスペクト理論の中では、「高い確率は低く見積もり、低い確率を高く見積もってしまう」と記されています。

 また、社会学の分野ではロジャー・カスパーソンが1988年に「リスクの社会的増幅」を提唱しました。事故や不祥事の報道が多いと、利用可能な情報が増えてリスク認知が高まることを言います。

小さなリスクほど過大に取られがち

 これらの考え方を知ると、比較的発生確率の高い自動車事故やがんなどのリスクが過小評価されていることや、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)や鳥インフルエンザの確率はとても低いのに、事件の報道のインパクトによって過大評価され、パニックが引き起こされたことを理解することができます(参考)。

 普段意識されていませんが、どんな薬にもリスクがあり、稀なものも含めると副作用のリスクがゼロということはありません。

 風邪で受診した際に不用意に出された抗生剤で、重症の皮膚障害を起こして集中治療室に運ばれてしまう人も中にはいます。

 ですから、医師は、病気を予防したり良くしたりする有益性(ベネフィット)と副作用のリスクを天秤にかけて、ベネフィットがリスクを上回ると見込んだ時にのみ、薬を処方しています。

 しかし、本稿で取り上げる子宮頸がんワクチン騒動においては、新聞などのマスメディアを通じて、専門家の考える実態よりもはるかに高くリスクが伝えられているようです。

 その結果、ワクチン接種への社会不安が増大し、接種率が低下することで、防げたはずの子宮頸がん患者の増加につながる危険性が高く、大変憂慮すべき事態が続いています。

 子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんや咽頭がん、尖圭コンジロームなどの病気を引き起こすヒトパピローマウイルスの感染を予防できるワクチンで、上皮内癌や前癌状態である高度異形成を減らすことが臨床試験で示されています。


 また、多くの人が同ワクチンを接種することで集団免疫効果が得られ、ワクチン非接種者における感染率も低下することが報告されています(Clin Infect Dis. 2016, in press, doi: 10.1093/cid/ciw533)。

 日本では2009年から導入され、2013年4月からは定期接種ワクチンに組み入れられました。ところが、2013年3月に朝日新聞が「子宮頸がんワクチンを接種した少女に歩行障害や計算障害が生じている」と報じました。

 以後、同様の症例が次々と新聞やテレビ、インターネットなどで報じられ、副反応を巡る騒動はメディアで大々的に取り上げられるようになりました。そのため、政府は2013年6月から積極的な接種勧奨を中止する方針を打ち出しています。

世界が興味を持った"日本の騒動"

 「積極的な接種勧奨の中止」という用語は分かりにくいですが、「政府として積極的にお勧めすることはやめますが、打ちたい人が打つことは構いませんよ」ということです。

 この決定は国内外に大きな衝撃を与え、世界中で同ワクチンの有害事象について再検討がなされました。

 しかし、大規模データでも同ワクチンが特別に高いリスクを持つわけではないことが確認されており、他国で日本と同様の方針を取っている政府はありません。それにもかかわらず日本の接種勧奨中止は3年たった今でも継続しており、国内外の医療専門家から強い批判を受けています。

 筆者ら帝京大学、南相馬市立総合病院、ナビタスクリニック、医療ガバナンス研究所の合同研究チームは、日本の特異な状況にはメディアのリスクの伝え方、すなわちリスクコミュニケーションにも大きな問題があったのではないか、と考えました。

 それを検証するために、2013年前後の新聞報道の変遷を調査・解析し、米国感染症学会によるClinical Infectious Diseases誌で招待論文として発表することになりました(Clin Infect Dis. 2016, in press, doi: 10.1093/cid/ciw647)。

 世界を代表する感染症医学の専門誌に掲載が決まったのは、日本の騒動が世界でも大きな注目を集めているからでもあると思います。

 同論文では、2013年3月以降、ワクチン接種後の副反応のリスクを強調する、ネガティブな新聞報道が急増したことを示しました。一方、学会や世界保健機関など専門家機構による、リスクと有益性(ベネフィット)を踏まえたうえでの見解を伝える報道は非常に限られていました。


 多くの一般市民が新聞を通じて、健康や医療に関する知識を得ているにもかかわらず、子宮頸がんワクチンに関しては、リスクとベネフィットの伝え方のバランスに偏りがあったことが示されました。

 このことは、ワクチンの有益性とリスクを冷静に伝えるリスクコミュニケーションツールとして新聞が十分機能していなかったことを示唆します。

 以下、同論文の内容を医療に馴染みのない方、特に接種対象となる中高生にとっても理解しやすいよう、心がけて解説したいと思います。

 一般の方々も、この問題に関する理解を深め、子宮頸がんワクチンが是か非かという二項対立の罠から抜け出して、事実と科学に基づいた冷静な議論を積み重ねていくことが重要だと考えるからです。

日本の五大新聞を詳しく分析

 私たちは新聞・雑誌記事の包括的データベースである、日経テレコンを用いて、2011年1月から2015年12月までの期間に、五大新聞紙(朝日、毎日、読売、産経、日本経済)に掲載された「子宮頸がんワクチン」に関する記事を抽出しました。

 子宮頸がんワクチンに関する記事は1138あり、同期間の全記事の0.02%を占めていました。続いて、記事の内容を分析するために、私たちは2つのアプローチを取りました。キーワードを含む記事数を数える方法と、実際に記事を読んで論調を記していく方法です。

 記事の中にある「キーワード」を含むということはすなわち、その内容について言及しているということにほかなりません。キーワードは「有効性」「有害事象」「専門家機構」を設定し、それぞれを含む記事数を月別に調べました。(各キーワードの定義は本稿末に記載)。

 図1はキーワード別の記事数の時系列推移を示しています。2011年1月から2013年2月までに発行された487の記事中、有効性(赤色)に言及した記事は384(78.9%)あったのに対し、有害事象 (青色)に言及した記事は77(15.8%)でした。

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図1 子宮頸がんワクチン報道における、有効性、有害事象、専門家機構に言及した新聞記事数の推移 (Clin Infect Dis. 2016, in press, doi: 10.1093/cid/ciw647より改変)

 しかし騒動が持ち上がった後の2013年3月から2015年12月までに発行された651の記事では、有効性に言及した記事は340(52.2%)と減少し、有害事象に言及した記事は565(86.8%)と増加しました。

 また、2013年2月までは有効性に言及した記事数が、有害事象に言及した記事数を上回っていましたが、3月以降逆転しています。

 専門家機構 (緑色)について言及した記事は研究期間を通じて少なく、2013年3月以前は10(2.1%)、3月以降で45(6.9%)でした。2013年3月以降と3月以前を比較すると、一面記事の数は2.49倍、有害事象に言及した記事数は5.49倍、専門家機構に言及した記事は3.37倍と増加する一方で、有効性に言及した記事数は0.66倍に減少していました。

 続いて2人の医師がそれぞれ別々に、子宮頸がんワクチンに関する記事を読み、その内容をポジティブ、中立、ネガティブの3つに評価・分類しました。

2013年3月を契機に大変化

 子宮頸がんの予防効果などのベネフィットに着目しているときは、ポジティブに、有害事象などのリスクに着目している場合はネガティブに、リスクとベネフィット双方を含めている場合は中立に分類しました。

 図2はこの評価・分類の時系列推移を表しています。2013年3月以後、赤・ピンク色(ポジティブ)が減り青・薄青色(ネガティブ)が大きく増えています。

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図2 子宮頸がんワクチン報道における新聞の論調推移 (Clin Infect Dis. 2016, in press, doi: 10.1093/cid/ciw647より改変)

 2013年3月以前はネガティブな記事は全体の3.3%にとどまり、ポジティブな記事が59.5%を占めましたが、3月以降は逆転し、ネガティブな記事が53.6%に増加、ポジティブな記事は8.1%に減少しました。ネガティブな記事は12~21倍、ポジティブな記事は1/10~1/5という劇的な変化です。

 以上により、2013年3月のセンセーショナルな報道を契機に子宮頸がんワクチンをめぐる新聞報道の論調が大きくネガティブに変化していったことが分かります。新聞が一般社会におけるリスクの認識を過度に煽り、現在の世論を形成する上で大きな役割を果たしたといっても過言ではないでしょう。

 今回の論文では検証していませんが、おそらくテレビや雑誌といった他のマスメディアでも状況は大きく変わらないものと思います。後編では、この問題を取り巻く背景について、さらに考察を深め論じていきます。

(補)
有効性キーワード:「効果」「有効」「ベネフィット」「予防」

有害事象キーワード:「副反応」「リスク」「副作用」「痙攣(けいれん)」「運動障害」「意識障害」「痛み」「麻痺(まひ)」「疲労」「線維筋痛症」「ギランバレー症候群」「HANS(子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群)」「複合性局所疼痛症候群」

専門家機構キーワード:「WHO(世界保健機構)」「GACVS(ワクチンの安全性に関する諮問委員会)」「EMA(欧州医薬品局)」「CDC(アメリカ疾病予防管理センター)」「小児科学会」「産婦人科学会」



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48075?utm_source%3Dldr%26utm_medium%3Dfeed%26utm_campaign%3Dlink%26utm_content%3Dlink
医療  厚労省、立派な大義名分の裏でせっせと利権作り
新専門医制度でさらに焼け太る福島県立医大

上 昌広
2016.10.11(火) JP Press

 福島県南相馬市の産科医療が崩壊の瀬戸際にある。きっかけは新専門医制度の施行だ。

 新専門医制度とは、初期研修を終えた若手医師を対象とした教育制度のこと。従来、若手医師が自分で病院を選び、修業を積むことができたが、新制度では、内科や産婦人科などの各学会が定めるカリキュラムに従い、所定の病院で研修することが義務づけられる。

 この制度に従わなければ、「専門医」の資格を得ることができない。将来の就職で圧倒的に不利になる。

 各学会のカリキュラムは、日本専門医機構という上部団体がチェックする。この制度を厚生労働省も支援してきた。いや、主導してきた。

半分以上の都道府県で基幹病院が1つだけ

 この制度では、若手医師は基幹病院に就職し、そこから地域の病院に派遣、あるいは斡旋されることになる。

 産婦人科の場合、24の都道府県で基幹病院は大学病院1つだけという現実がある(図1)。福島県の場合、福島県立医大だけだ。このような地域では、地元の大学に「入局」しないと専門医になれないことになる。

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図1 都道府県内に産婦人科が研修できる基幹施設が1つしかない地域(赤で示す)

 南相馬市立総合病院の初期研修医に山本佳奈さんという女性がいる。大学生時代から指導している。

 彼女は大阪府の四天王寺高校から滋賀医科大学に進み、卒業後、被災地の医療に従事したいと希望し、南相馬市立総合病院に就職した。初期研修を終えたら、そのまま南相馬に残り、産科医になりたいと考えている。

 彼女は、このことを南相馬市立総合病院の上司や福島医大の教授に相談した。南相馬市立総合病院の院長、副院長からは「ありがたい。全面的に応援する」との回答を得た。

 一方、福島医大の教授からの回答は驚くべき内容だった。そのままご紹介しよう。

 「南相馬の産婦人科は単独で専攻医はとれない施設です(現在および将来も)。福島県立医大の研修プログラムで派遣されるのであれば可能という解釈でいいと思います。しかし実際は病院に専攻医を派遣することはありません。もしあっても1~3か月以内の短期でしょうね」

 南相馬市立総合病院の指導体制が充実していないから、たとえ入局しても南相馬には行かせないと明言している。

 南相馬市立総合病院の産科医は、福島医大の医局からの派遣だ。指導体制の充実は、福島医大の医局の匙加減ひとつだ。ところが、彼らには、そのつもりはなさそうだ。

南相馬市を最優先すべきなのに・・・

 私は、この教授に呆れ果てた。現在、福島県内の産科体制で南相馬市以上に優先する地域があるのだろうか。

 人口が回復し、出産数も年間200件を超える。高齢化が進み、婦人科診療のニーズも高い。これを1人の産婦人科の医師が担当し、疲弊し切っている。

 この教授は、産婦人科医や小児科医のキャリアアップを支援するための研究をしているらしい。ホームページには、各地でセミナーや相談会をしていることが紹介されている。

 だが、実際にやっていることは、専門医資格を盾に、他府県から福島のためにやって来た女医を脅しているだけだ。そこに若手を育成しようとする理念は見当たらない。

 この教授に限らず、福島医大は震災バブルだ。「地域医療支援」という名前の様々な寄附講座が立ち上がり、医師派遣の見返りに自治体からお金をもらっている。

 また、「腫瘍生体エレクトロニクス」「多能性幹細胞研究」「スポーツ医学」など、およそ震災復興とは無関係の講座も存在する。

 東日本大震災以降、政府は、福島県の復興を願い、多額の税金を投入してきた。国民も、政府を応援してきた。福島医大幹部は、恥ずかしくないのだろうか。

 日本専門医機構や日本産科婦人科学会の幹部は、何を見ているのだろうか。

 山本さんの窮状を見かね、首都圏の公立病院の理事長が救いの手を差し伸べてくれた。傘下の産科・小児科専門病院で研修を受け入れるという。

 南相馬市立総合病院も出向させる。及川友好副院長は「きっちりトレーニングして、一人前になって南相馬に戻ってきてほしい」と言う。

 私は専門医の在り方は見直すべきだと思う。現在、議論が進む専門医制度は「大学教授による、大学教授のため」の制度だ。一種のカルテルと言ってもいい。

 厚労省も問題だ。

新制度で医師不足が深刻化する福島県

 医師の偏在を問題視し、強制的な手段を弄しても、医師を派遣する仕組みを作ろうとしている。ここまではいい。しかし、やっていることは正反対だ。現在、議論されている専門医制度が機能すれば、福島県はますます医師不足になる。

 現在、南相馬市立総合病院に勤務する医師の多くが、他府県出身者だ。震災後、12人の初期研修医が南相馬市立総合病院に就職したが、全員が他府県出身である。

 山本さんのように、医師数が比較的多い西日本や九州、さらに東京から「被災地の役に立ちたい」と願い、南相馬にやって来た人が多い。何人かは、そのまま南相馬に根づいた。結婚して、子供を持った医師もいる。

 山本さんは「専門医資格にはこだわりません。真の実力をつけて、この地域に役立ちたい」という。ただ、ここまで腹が据わっている人物は多くはない。現実的には、初期研修を終えた医師は南相馬を離れることになる。

 新専門医制度が始まれば、県内唯一の基幹施設である福島医大は労せずして、若手医師をリクルートできる。

 地域の病院は医師を派遣してもらうため、頭が上がらなくなる。他府県から医師が流入してこないのだから、いつまで経っても遍在は解消しない。

 本当に、こんなことでいいのだろうか。専門医の質の保証は、実力と実績でやればいい。大学病院も地域の病院も平等に競争すればいい。

 福島県内の連携などと、せこいことを言わず、世界中の病院とネットワークを組めばいい。この制度は、地域住民、および若手医師の視点で全面的に見直すべきだ。


  1. 2016/10/11(火) 05:30:04|
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10月9日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/466284
国立大病院長、7割が「全般的状況は悪化」
2015年度決算公表、設備投資の減少傾向に拍車

2016年10月9日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は10月7日、東京都内で記者会見を開き、2015年度 国立大学附属病院決算報告を公表、厳しい経営状況が続き、十分な設備投資ができない状況が続いていると訴えた。医業収支は改善した病院が多いものの、 7割の病院長が1年前より全般的状況が「悪くなっている」と考えている。

 国立大学附属病院(42大学45病院)の2015年度決算概要では、病院収入が1兆216億円、運営費交付金が1114億円、その他収入が200億円で計1兆1529億円。これに対し、支出は人件費が4268億円、医療費が4190億円、その他(物件費等)2188億円、借入金償還費860億円で計1兆1505億円で、24億円の黒字となった。2014年度決算(格定額)は71億円の赤字だったので、95億円の収支改善となった。赤字病院も2014年度の23病院から17病院に減少した。

 一方で、診療機器等取得額は2013年度の658億円から2014年度は485億円、2015年は441億円と減少傾向にある。消費税率8%への増加による補填不足額の増加により、さらに厳しい状況になっている。2015年度も減価償却額783億円に対して、新たな取得額は441億円にとどまり、年々老朽化が進行し、同会議常置委員会委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)は「必要な設備投資ができない状況がこれ以上続くと、『高度医療の提供』という大学病院の役割が果たせなくなる」と訴える。千葉大学では2015年度、各診療科からは91件約9億円の設備投資のニーズがあったが、最終的に8件約1.7憶円しか実施できなかったと紹介した。

 病院長へのアンケートでは、約7割(30病院)が1年前と比べて全般的状況が「悪くなっている」と回答。そのうちの6割(18病院)が悪化の原因を「設備投資圧力(内部からの設備投資要望)」と指摘している。病院長として抱えている問題点でも、中長期では「施設・設備投資」が最も多かった。

 各病院が行っている経営努力としては、出席した病院長からは「ジェネリック医薬品の推進」が多く挙がった一方で、「高価な新薬が使われるようになって、全体の値引き率は悪くなり苦慮している」という意見もあった。千葉大では光熱水費の節約のため、敷地内の3本の井戸 を掘ったという。2015年の外来棟リニューアルで病院内アメニティモールに調剤薬局が入った影響は、「患者利便性のためという趣旨で、経営に対するプラスはほとんどない」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/462539
群馬大学病院事件を防ぐ:新規診療許可制度私案
「標準から逸脱した医療の早期発見のために」

2016年10月9日 (日) 小松秀樹(元亀田総合病院副院長)

 群馬大学病院事件の第三者調査委員会は、結論部分で、以下の課題を提示した。
「日常診療の中に標準から逸脱した医療が登場した場合、それを早期に発見し、より安全な医療へと是正する自浄的な取り組みをするにはどうすればよいか」

 筆者はこのための一つの手段として、新規診療許可制度を提案する。すべてを解決するのは不可能だが、多少なりとも現状を改善できれば幸いである。

 新規診療許可制度

 新規診療許可制度は、個別病院内で、申請・審査・許可・実施・結果報告を一連の流れとして制度化するものである。うまく機能すれば、新規診療を開始するにあたって、病院管理者は有害事象の総和が大きくなる前に問題を把握できる。より早期に対応することができる。

 文末に新規診療許可制度私案を示した。この制度は、医療として有用だと認定されたものを導入するための制度であり、医療としての有用性を検証するものではない。

 かつて、ある大学病院で下顎骨が短くなった症例に対し、骨延長術を実施したが、まっすぐな延長器を使用したために失敗した。別の病院で、日本で承認されていない弯曲した延長器を輸入して、自由診療として治療し成功した。これは臨床試験ではない。器具が日本で承認されていないだけであって、具体的患者を治療するための診療である。このような事例をできるだけ簡単に審査しようとするのが、新規診療許可制度である。

 診療が正当なものであるかどうかは、審査制度が整っていると判断される他国の保険制度の判断を援用するものとした。日本で保険診療が認められている診療行為について、実施することが適切であるかどうか、いちいち病院で審査しないのと同じである。

 新規診療許可制度では、日本で保険診療として認められているものも、病院で初めての侵襲を伴う医療は新規診療として申請することを求めた。

 この制度は新しい医療に積極的に取り組んでいる病院のためのものである。基本的姿勢は、有用な医療を実施しやすくするために、医師を支援することである。ルール全体を通して、手続きと判断を分かりやすく、簡便にした。見学や研修、指導者を招いたりするのを病院が積極的に支援する。必要な薬剤や器具の輸入を手助けする。新たな診療を導入するのに、病院が支援することで把握しやすくなり、安全性も高まる。

 取り締まりや抑圧のための制度と見なされると、隠される可能性がある。医師からの反発が強くなり、ルールそのものが葬り去られる可能性がある。このため、医師にメリットをもたらすものとした。

 結果報告を初回だけにしたのは、手続きを簡便にするためである。侵襲の小さい診療について、詳細な報告を何度も求める必要はない。実質を伴わない煩雑な報告は反発を招き形骸化する。そもそも、診療の結果に対し、問題がないかチェックするのは、ルールに書く必要のない病院管理者の権限である。大きいリスクが予想される診療行為については、管理者は制度にこだわらず、自身の権限で、成績を注意深くフォローすればよい。管理者は制度に頼らず、常に病院の活動に問題がないか把握しなければならない。

 新規診療許可制度私案

I 目的
 臨床目的として行われる新規診療について、迅速に審査する。臨床研究の適否を審査するものではない。

II 新規診療技術の分類
1. 世界で初めての診療技術
 十分な準備の下、臨床研究として許可を得て実施する。基礎的実験など膨大な準備が必要である。
2. 外国で臨床試験段階の診療技術
 追試の臨床試験として実施する。臨床研究として許可を得て実施する。
3. 外国で実用化されている診療技術
 審査体制の整っている国、西欧あるいは合衆国の公的医療保険の対象となっているものを対象とする。国内未承認医療機器・医薬品の使用、あるいは、承認されている医療機器・医薬品の保険適応外使用を含む。日本で臨床試験が行われている場合、行われようとしている場合、可能な限り臨床試験に参加させてもらうべく努力する。臨床試験に参加することが不可能な場合、あるいは、日本で臨床試験が実施されていない場合、原則として自由診療として実施する。
4. 日本で評価療養として既に認められている診療技術
 評価療養としての実施を目指す。
5. 保険診療に含まれるが、病院として初めての侵襲を伴う診療技術

III 上記内容の1、2については臨床研究審査委員会で審査する。3、4、5については、別に定める規定に従って組織化された新規診療審査チームの審査を経て院長が許可する。

IV 準備と手続き

1.準備
 1)必要がある場合、準備のために先行施設で当該技術を見学する。あるいは研修を受ける。
 2)資格が設定されている場合、可能なら資格を取る。
 3)動物を使った研修があれば研修を受ける。他にも受けられる研修があれば、可能な限り受ける。
 4)新規医薬品などでは、研修は必ずしも必要はない。

2.申請と許可
 1)以下の内容を簡潔に申請書に記載し、事務局に提出する。
 (1)新規診療の内容:診療行為の名称、機器、医薬品の名称、目的、概要、利点、リスク、先行施設での成績。
 (2)申請に至るまでの準備状況。(新規医薬品では不要)
 (3)指導者の招聘。(新規医薬品では不要)エキスパートの招聘が必要かつ可能な場合、病院が、指導者を招聘し、指導者による診療行為も病院の賠償責任保険の対象とする。
 (4)指導者を招聘しない場合、その理由を記載する。
 (5)患者への説明文書:実施前に患者には、新規診療であること、準備状況に加えて、支払い方式(自由診療、評価療養、保険診療)と予想される自己負担金額について説明する。通常のインフォームド・コンセントにおいて、院内ルールで要求されている項目についても説明し、文書で合意を得る。
 2)事務局が書類を確認する。新規診療分類3については、事務局で、外国で公的医療保険として実施されているかどうかを示す資料を添えて、新規診療審査チームに回付する。抗がん剤などについては、米国では適応疾患が必ずしも固定されていない。当該国の定評ある三次資料の判断に従う。一次資料を集めて、診療の適否を個別に判断することはしない。

3.許可
 新規診療審査チームが審査の上、院長が許可する。院長は、必要があれば専門家の助言を得る。

4.結果報告
 1)初回症例の診療行為実施後、有害事象と治療経過をまとめ事務局、新規診療審査チーム経由で病院長に報告する。
 2)報告には招聘した指導者の役割分担、当院職員の役割分担を記載する。
 3)今後の方針を記載する。
 4)インシデントが発生した場合、通常通り医療安全管理室に報告する。インシデントには生じうる合併症も含める。
 5)初回症例だけの報告を求めているが、これは、医師の負担を軽減するためであり、以後の成績をモニターしないということではない。リスクの大きい医療については、公式、非公式にモニターを継続する。
注:日本の医師は批判受容力に乏しいことがあり、モニター制度に対し、ヒステリックな反応をすることがある。また、内科医は手術の実情を知らないまま、善悪の判断をしたがる可能性がある。病院管理者による非公式モニターは、有用であり、反発も少ない。

5.継続と差し止め
 問題があれば、院長が差し止める。

V 個人輸入
 個人輸入が必要な場合には、別に定める規定に従って必要な書類を薬剤部に提出する。



https://www.m3.com/news/general/466274
柔道整復師:不正請求防止へ カルテなど提出義務化 厚労省、来年度開始
2016年10月9日 (日) 毎日新聞社

 厚生労働省は、柔道整復師(柔整師)の施術に公的医療保険を適用する療養費制度について、不正請求対策を強化する方針を固めた。不正の疑われるケースは接骨院などにカルテなど関連資料の提出を義務付ける。柔整師の急増に伴う接骨院の過当競争で療養費の不正請求が横行しており、厚労省は近く都道府県など関係機関に通知。来年度から開始する。

 柔整師は厚労省が認定する国家資格で、接骨院などで施術する。医療行為はできないが、骨折や脱臼などの施術に対して支払われる療養費は公的医療保険が適用され、利用者は原則3割の自己負担で受けられる。14年度は医療保険から約3800億円が支払われた。

 柔整師は毎年5000人前後が合格し、14年時点で約6万4000人が就業。接骨院などの施術所も約4万5000カ所に上り、1994年の約2万カ所から急増し、過当競争を招いている。その結果、肩や腰など部分を次々と変えて施術し、マッサージ代わりの利用が疑われる「部位転がし」と呼ばれる不正な請求や、白紙の申請書を悪用した架空請求が後を絶たない。

 厚労省はこうした不正請求に早期に対応できるよう、全国健康保険協会(協会けんぽ)などがつくる審査機関「柔道整復審査会」が、「部位転がし」など不正請求が疑われる施術所の診療報酬明細書(レセプト)を抽出して調査し、資料提出や説明を求めることを可能にする。

 架空請求対策としては、施術所に領収書の発行履歴や、通院歴の分かる来院簿やカルテなどの提示を求めることができるようにもする。

 療養費を巡っては、昨年11月には暴力団組員や接骨院経営者らが架空請求し、療養費を1億円近く詐取したとみられる事件が発生するなど、不正請求対策の強化が課題となっていた。【阿部亮介】



http://mainichi.jp/articles/20161009/ddl/k02/010/066000c
青森県
弘前の2病院統合案を提示 津軽圏医療の中核に /青森

毎日新聞2016年10月9日 地方版 青森県

 県は7日、弘前地方の8市町村の医療関係者を弘前市に集めて津軽地域医療構想調整会議を開き、「弘前市立病院と国立機構弘前病院を統合した中核病院を国立弘前病院の敷地に整備する」とした自治体病院の再編案などを提示した。同案に対して特に異論は出ず、関係機関が今後、協議を詰める見通し。

 同会議は県が3月に策定した地域医療構想に基づき、県内6地域ごとに具体的な議論に入るため開かれた。津軽地域は高齢化が進む2025年、急性期対応の病床の多くが不要となり、在宅医療の充実で慢性期の病床も余剰になる一方、回復期の病床が不足すると指摘。この傾向は県全体に共通するという。

 このため県は、津軽地域の5自治体病院の中で弘前市立と国立弘前を統合した中核病院の創設を打ち出した。新病院は国立機構が運営し、救命救急センターを整備し、夜間や休日の救急医療体制の充実を図る。他の黒石病院は回復期、大鰐病院は慢性期、板柳中央病院は回復・慢性期の機能を担うとしている。

 一戸和成・県健康福祉部長は席上、「医療体制構築のため最善の案を提示した」と説明し、中核病院の実現に向けて「県や弘前市、国立機構に、医師を輩出する弘前大付属病院を加えた4者で今後協議を深めたい」と語った。【松山彦蔵】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466103?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161009&dcf_doctor=true&mc.l=182480697
「かかりつけ医以外」定額負担に反対、横倉日医会長
第58回全日本病院学会で講演、「医療者から改革の提案を」

2016年10月8日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、10月8日に熊本市で開催された第58回全日本病院学会の特別講演で、「かかりつけ医以外」を受診した場合に患者から定額負担を求める仕組みの導入に反対、一方、高額療養費の月額上限の見直しは、「負担能力に応じた利用者負担の見直しは重要な視点」として支持する考えを表明した。

 2017年度予算編成の議論が年末に向けて進む中、横倉会長は、「財政制度等審議会が今、声高に言っているのが、患者の定額負担」と説明。民主党政権時代の2011年には、かかりつけ医か否かを問わず、医療機関を受診した場合の「受診時定額負担」が検討されたものの、日医などが患者署名を集めるなどして反対、とん挫した。今回の「かかりつけ医以外」の定額負担は、2008年度診療報酬改定で新設された「後期高齢者診療料」が想起され、医療現場に混乱をもたらすとして、横倉会長は、「また同じことをするのか」と疑問を呈した。同診療料は、75歳以上の高齢者を総合的・継続的に診る目的の包括点数だったが、算定は1施設のみで、「算定は早い者勝ち」となり、医療機関間の競争も一部生じていた。

 さらに「かかりつけ医以外」の定額負担は、日本の医療の特徴である外来のアクセスの良さを阻害し、受診抑制が働く懸念もあると指摘。「この手法は取るべきではない。まずは所得の多寡に応じた負担の在り方を検討すべきではないか、というのが日医の主張だ」(横倉会長)。

 高額療養費の月額上限の見直しは、社会保障審議会などで議論されている(『70歳以上の負担上限見直し、賛否分かれる、医療保険部会』を参照)。「年齢による区分だけでなく、負担能力に応じて利用者負担を見直すことも重要な視点」と考える日医の主張には合致する。ただし、月額上限は、前年の収入で決定するため、定年退職者などには重い負担になるため、「前年まで所得があっても、当該時に所得がない人に対しての配慮は必要」と求めた。

 横倉氏は、消費増税が延期され、医療保険財政が厳しさを増す中、持続可能な社会保障のために、「我々医療側から提案していくことも重要」と強調。その一例として挙げたのが「健康寿命」延伸への取り組み。「医療等ID」を活用し、乳幼児健診、学校健診、事業所・特定健診、後期高齢者健診などを一貫して管理したり、国民の健康にかかわる幅広い問題に対応し、「切れ目のない医療・介護」につなげることなどの重要性を強調、かかりつけ医が果たす役割に期待した。

社会不安の時期こそ医療の充実を

 「経済学的な話を少しさせていただく」と断り、講演を始めた横倉会長は、医療保険財政をめぐる昨今の動きを紹介、2016年度予算編成を振り返るとともに、年末の2017年度予算編成に向けた動向、持続可能な社会保障のための医療側からの提言について解説。

 バブル経済の破たん前は、日本の税収と歳出がほぼ均衡していが、破たん後は両者の差が開き、今は税収不足を国債発行で賄っている。「アベノミクスで多少税収は増えたものの、いまだ開きはある。こうした状況下で、我々は医療を提供している。経済が破たんすれば、医療も危ない。公的国民皆保険をいかに次の世代に継承するかが我々の重要な役割」と横倉会長は述べ、「持続可能な社会保障」という視点の重要性を強調した。

 社会保障財源として想定された消費増税が2018年10月に延期され、「次の(診療報酬と介護報酬の)同時改定の財源は大丈夫かと思っていたが、消費増税に代わる財源の確保を求めていく」(横倉会長)。イギリスのEU離脱など、国際経済の先行きの混乱が予想されるものの、「国民の不安が高まる時期こそ、セーフティネットとしての社会保障、特に国民皆保険を堅持することが必要。将来の安心が、社会の安定に寄与し、経済の発展につながる」という主張を展開していくとした。

社会保障自然増は「年5000億円」

 横倉会長は次に2016年度予算編成を振り返り、2017年予算編成をめぐる議論を紹介。

 政府の「骨太の方針2015」では当初、社会保障費の自然増の伸びを「3年間で、1兆5000億円程度に抑える」とされた。「それまでの3年間の伸びを約1兆5000億円に抑えることができたのは、医療費の適正化等に協力した結果であり、年々進歩する医療技術の高度化などでも医療費は増加するため、あらかじめ抑制すると、国民に必要な医療を提供できなくなる」と問題視していたが、「この懸念が当たってしまった」。2016年度の概算医療費は対前年度比3.8%増で、特に高額薬剤の伸びの影響が大きい(『「オプジーボ緊急的対応、医療保険堅持が目的」日医中川副会長』を参照)。「骨太の方針2015」については、交渉の結果、自然増の額は「目安」であり、「各年度の歳出は一律ではなく、柔軟に対応する」とやや緩和されたという。

 2015年夏の概算要求時点では、社会保障費の自然増は6700億円と推計。安倍政権が掲げていた「賃金2%増」を医療分野で対応するには、医療費ベースで約4000億円、国費ベースで約1000億円が必要。結局は「社会保障充実分」として500億円確保できたため、社会保障費の増加分7200億円と、5000億円の間には、2200億円の開きが生じた。2016年度改定における薬価や材料費の引き下げ、大型門前薬局に対する評価の適正化などで、2200億円を抑制した。

 2017年度の場合、概算要求の段階では、社会保障費の自然増は6400億円。2017年度は診療報酬や介護報酬の改定などはない。1400億円をいかに抑制するかが課題であり、「経済・財政再生計画改革工程表」(2015年12月に経済財政諮問会議が取りまとめ)に盛り込まれた一つが、高額療養費制度の月額上限の見直しだ。もっとも、70歳以上の高齢者のうち「現役並み所得者」は7%弱。これだけでは1400億円の抑制は難しく、「かかりつけ医以外」の定額負担のほか、スイッチOTCの保険償還率の在り方、入院時光熱水負担の見直し、金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大など、制度改正が必要な事項も今年末に向け議論されることになる。

 講演の最後に横倉会長が強調したのは、「持続可能な社会保障」の構築に向け、医療者側から提案していく必要性だ。(1)生涯保健事業の体系化による健康寿命の延伸、(2)糖尿病のハイリスク群への早期介入による等席導入患者の減少、(3)COPD患者への適切な医療介入による在宅酸素療法導入患者の減少、(4)症状や患者特性に応じてコスト意識を持った処方を診療ガイドラインに掲載するなど学会の支援――などを挙げた。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03194_01
【対談】
卒前の地域医療教育に
パラダイムシフトを

松本 正俊氏(広島大学医学部 地域医療システム学講座准教授)
高村 昭輝氏(金沢医科大学医学教育学講座・地域医療学講座講師)
週刊医学界新聞 第3194号 2016年10月10日

 医学生が地域医療の現場を理解するために,卒前教育では地域医療実習が必修化されている。その意義は多くの関係者に理解され,各大学でオリジナリティある取り組みが進められている。一方で,その教育方針は大学や地域の受け入れ施設によって濃淡もあるのが実情ではないだろうか。

 世界に目を向けると,北米や豪州の医学教育では,地域基盤型医学教育(Community-based Medical Education;CBME)の潮流に乗って長期臨床実習(Longitudinal Integrated Clerkship;LIC,MEMO)が行われており,日本も参考になる点がありそうだ。そこで本紙では,LICを国内に紹介し,日本でもパイロット的に実践してきた高村氏と,地域医療教育のエビデンスを研究してきた松本氏による対談を企画。これからの日本の地域医療教育の在り方について,国際的な動向とエビデンスを踏まえ提言いただいた。

高村 近年,国内の大学では寄附講座や地域医療学講座を中心に,泊まりがけで地域医療実習を行うなど,大学の外に出て学ぶ取り組みが増えてきています。

松本 そうですね。2007年の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」改訂で,卒前の医学教育に地域医療実習が必修化されたことが,大きなターニングポイントとなりました。医学生を泊まりで実習に行かせる発想なんてまだなかったころでしたから。卒後教育についても2004年の臨床研修必修化に伴い,2年目に1か月以上の地域医療研修の実施が義務付けられました。

医師不足解消・偏在是正に地域医療教育は効果があるのか

松本 地域医療教育が重視されるようになった背景には,長年にわたる地域の医師不足や,都市部とへき地における医師偏在の問題があります。そもそも,地域医療実習を行うことでこれらの課題は改善できるのか。実はここ10年ほどで,卒前のへき地医療実習や卒後早期のへき地医療経験が将来の就業地選択にポジティブに働く可能性を示すエビデンスが国際的に出ていて2,3),地域医療教育を推し進める上で注目されています。また,WHOによるへき地への医師供給政策ガイドラインでも,学生を早期から地域に出してプライマリ・ケアを経験させることが明確に打ち出されており4),北米や豪州を中心に,地域の予防やケアを重視したCBMEが行われています。

高村 かつてエビデンスがなかったころの日本の医学教育は,地域医療教育の効果が判然としない中で実施していた時期もありましたね。特に注目するエビデンスは何ですか。

松本 地域への医師就労を促す因子として,二点あります。一つはへき地出身の医師を増やすこと5~7),もう一つは,プライマリ・ケアに関連する総合性の高い医師を養成することです5,8)。特に総合医の養成については,米国の家庭医は非家庭医に比べてへき地勤務率が50%以上高く9),日本でも内科や小児科といった総合性の高い科の医師はへき地勤務率が高いことが知られています10)。総合医を増やすことはエビデンスレベルが高いと言えるのです。

高村 米国では,医療財政がひっ迫するとの危機感や過疎地域での労働力不足から家庭医を養成し,豪州では国の輸出を支える資源がへき地で産出されることから,そこで働く人々を診られる医師としてRural GPを養成しました。こうしたポリティカルな経緯から地域医療教育が始まった面があります。一方で,医学・医療の高度化により,大学病院をはじめとする3次医療機関中心に学ぶ医療環境と,地域住民から広く求められる医療内容とのギャップが医学教育に生じていたことも各国共通の要因と言えます。その解決策としてCBMEが進められ,エビデンスも蓄積されてきたのではないでしょうか。最近では,「学生は地域において,大学病院のローテーション研修とは違った“医師の本質”を学んでいる」という注目すべきエビデンス1,11)も出ています。

地域での長期臨床実習で多診療科を横断的に学ぶ

松本 広島大では,地域枠入試の開始に引き続き,2010年から地域医療実習を始め,現在は1学年120人全員が,1週間の実習に行っています。次のステップとしては,高村先生が紹介されているLICが望ましいと感じています。

 私は以前,地域医療教育で有名な豪州のフリンダース大を視察する機会があり,とても進んだ地域医療を実践していると感じました。同大に教員として在籍していた高村先生からご覧になって,どのような点が特徴的ですか。

高村 低学年から公衆衛生の視点を持ち,地域の課題に取り組むカリキュラムがあることです。地域のシステムを把握して医療ニーズを分析し,地域診断ができるところまでを学習目標に,学生は地域に出ています。日本もearly exposureとして,地域の医療機関や介護施設へ実習に行くことはありますが,地域に「出る」ところでとどまっているのが実情です。

松本 低学年から「プライマリ・ヘルスケア」に力点を置いた教育を受けることは,大切な経験だと思います。そして,フリンダース大の目玉は何と言っても,高学年次に1年間行うLICでしょうか。

高村 学生が地域に住み込み,現地の総合診療医と一緒にプライマリ・ケアの現場で学ぶという長期臨床実習で,フリンダース大では1997年から行われています。

松本 実際,長期臨床実習を経験した学生は,実習後のクリニカルパフォーマンスが高いという結果1,12)も得られているそうですね。どのようなカリキュラムで行われているのでしょう。

高村 豪州の卒前教育は,2つの課程が並行してあります。一つはGraduate Entry Courseと言われる4年課程のメディカルスクール。そしてもう一つは高校から直接入学する6年課程です。両方のコースを持つフリンダース大では,最後の2学年が臨床実習の期間に該当し,この間に,大学病院で診療科をローテーションするか,1年間へき地の総合診療医のもとで学ぶかを選択できるようになっています。

松本 1年もの長期にわたり,地域のプライマリ・ケアの現場で過ごすメリットは何ですか。

高村 多診療科の疾患をランダムに診療することで,問題を統合して理解する能力が身につくことです。例えば大学病院のローテーションで,最初の科が循環器,1年後に回った科が外科だった場合,その学生が循環器の知識を維持しているかは不透明です。一方で,へき地の総合診療科であれば,1人目が心不全患者,2人目が糖尿病患者,3人目が妊婦さんで4人目が子ども……と,患者さんがランダム化されてやって来る(図)。

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図 地域医療教育は多診療科同時並行に

松本 すると,さまざまな疾患をその地域ならではの頻度で診られる。大学病院で診る疾患と地域で起きている疾患の頻度分布は大きく違うはずですね。

高村 ええ。いわゆる事前確率を正しく認識できるようになります。それには,commonな疾患がcommonな頻度でやってくる環境で経験を積むしかありません。もちろん,地域では診られないまれな疾患を経験できるという大学病院で学ぶ意義は否定しません。すみ分けを示した上で,学生に両方経験させることは,医療の全体像を把握することにつながります。

 長期間にわたり継続的(Longitudinal)に,そして診療科を横断する包括的(Integrated)な診療で患者を診るLICは,日本の卒前教育においても大いに参考になるはずです。

実習を支えるリソースの充実は不可欠

松本 日本にLICを導入するとなると,心配されるのが臨床実習の質の担保です。1施設の中で診療科を回る大学病院では,ある程度均等化されます。しかし,地域の病院1か所に数か月行くとなると,施設によって差が出てしまうのではないでしょうか。まして,長期になればなるほどその差は大きく開いてしまう懸念がある。豪州では,受け入れ側はどのような態勢で長期の実習を可能にしているのですか。

高村 豪州はへき地の医療人材不足を大きな課題ととらえ,国策として手厚い予算を与えてきました。へき地にミニキャンパスを作るなど,大型の設備投資に国も関与しています。

松本 フリンダース大もへき地にミニキャンパスを7~8か所持っており,大規模な地域医療教育を行っていますね。教員の処遇はどうなっているのでしょう。

高村 教員は正規に雇用されるため,教育に対する熱意やアカデミックな姿勢は担保できていると言えます。また,年に2~3回はFaculty Developmentとして指導者の講習会があり,知識・技能の向上を図っている。教えることに対するインセンティブもきちんと用意されています。

松本 どのような内容ですか。

高村 学生から評価され,それと照らし合わせて報酬がつきます。教員は予算を獲得するため,へき地にいながらも臨床研究を行い,論文を書いて発表するというアカデミックな活動を一生懸命頑張っている。彼らにとってそこが一番大変なところだという話も聞いたことがあります。

松本 重要なポイントですね。国や大学が,地域医療教育の重要性をよく認識しているからこそできる取り組みだと思います。

■国際認証受審に向けた,「臨床実習72週以上」を追い風に

松本 日本の現状に目を向けると,おそらく多くの大学は,実習の受け入れを関連病院に依頼し,学生を地域に出しているのではないでしょうか。

高村 ええ。期間としては,長いところでは8週行う大学もありますが,短いところは1日。多くは1週間程度だと思います。

松本 豪州のような6か月から1年にわたる長期の実習を日本で行うには,教育インフラの整備が追い付かず,すぐには難しいというのが実感です。

 ただ,過渡期の日本も,臨床実習を大きく変える動きがあります。それは,医学部国際認証の受審に向け,2023年度までに臨床実習の期間を,従来の50週程度から72週以上と大幅に増やさなければならないことです。長期化により,大学病院がこれまで受け入れていたキャパシティを越えてしまう可能性が高いため,地域に学生を出すきっかけになると思います。

高村 そうですね。国際認証という“黒船”によって臨床実習を「増やせ,増やせ」となっている今はまさにチャンス。地域医療教育の推進への追い風になるでしょう。

松本 いざ地域の先生方に長期の実習をお願いするとなると,受け入れ側の負担が大きくなるのではないかと心配しています。この点についてはいかがですか。

高村 そこで私は,国際認証でも推奨されている診療参加型の臨床実習を積極的に促すべきだと考えています。

 参加型の形で長期間学生を受け入れれば,地域の医療機関にとってはかえってプラスの効果が期待できる。プライマリ・ケアの現場に学生が長く在籍することで,いずれ医療スタッフとして戦力になるというエビデンスも出ているからです13)。

 実際に私は三重大在籍時に,1人の学生を4か月間実習に行かせた経験があります。学生には“ほぼ主治医”として参加型で診療に当たってもらいました。長期間受け入れてもらったその施設の方は「学生が毎週入れ替わりで来るより,3~4か月と長くいたほうが助かる」と言うのです14)。

松本 確かに,1週間のような短期では,オリエンテーションを毎週のようにしなければなりませんね。

高村 あちこち現場を見せたい施設側は,調整に苦労するそうです。他のスタッフも,顔を覚えないうちに学生が代わるため,交流も深まらない。

松本 前職の三重大では4か月実施したということですが,長期臨床実習の期間については具体的にどれくらいが適切だと考えますか。

高村 実はそれを示すエビデンスはあまり多くありません。それでも,1か月では効果は不十分15)だが,3~6か月いると広く症例が学べ,診療所の経営面としても戦力になる13,16,17)といった論文が出ています。

松本 それは興味深いですね。

高村 ええ。これは,短期間に高頻度で学生を受け入れている施設は今後,長期受け入れに転換することで負担が減る可能性があることを示しています。学生も長く滞在したほうが経験を積め,後半には戦力として活躍できる場面が出てくる。今の日本の教育環境を踏まえると,実現可能で,なおかつ教育効果も期待できるのは3か月前後と仮定してもいいかもしれません。

松本 長期の臨床実習にいきなり1学年全員を行かせるのは難しいため,まずは地域枠で入学した学生や希望者を優先するのが現実的だと思っています。仮に広島大の1学年の学生120人全員が3か月間の長期実習に行くとなると,年間4ターム×30人。1つの病院に2~3人行くとして,県内に10か所ほど受け入れ先を確保しないといけない。これはかなり大変ですが不可能なレベルではありません。ただ医学部が複数あるような都市部だと極めて困難でしょうね。いずれにしても「3か月」は多くの大学が参考にできそうな期間です。

高村 今後日本の卒前教育において地域医療教育の意義と効果を高めるには,第一段階として学生に地域のプライマリ・ケアの現場を経験させ,第二段階では実習期間の長期化を図る。そして第三段階として,実習を診療参加型にして3か月程度行うことが,各種エビデンスに基づいた一つの目安になるのではないでしょうか。

住民・行政が主体となって医師を育てる教育の実現に期待

高村 日本の地域医療教育は今後,学生が地域に出向くだけで終わるのではなく,地域住民を巻き込むような取り組みに発展していく必要があると思っています。

松本 そうですね。フリンダース大の取り組みを見て感心したのは,ミニキャンパスの置かれた町の町長や地元の有力者が,学生の地域医療教育にいかにコミットするかを熱心に考えていたことです。地方にキャンパスをつくることは雇用を生むため,企業誘致と同じ効果があります。住民や行政の協力を得ることは,大学にとっても教育の質の担保につながる。大学と地域のwin/winの関係から双方が活性化してきたのは,20年にわたり地道にLICを行ってきたことの結果です。

高村 自分たちの地域に必要な医師は,自分たちで育てなければならない。そのような動機付けを住民や行政に与えることは,これからの日本にも必要な観点ですね。地域住民は「患者」としてだけでなく,自分たちの地域の実情を教える「教育者」として積極的に医学教育にかかわっていく。そんな教育のパラダイムシフトが,近い将来日本に起こることを期待しています。


MEMO 長期臨床実習(Longitudinal Integrated Clerkship;LIC)
 地域のプライマリ・ケアの現場で行われるCBMEが世界的に重視される流れの中,1970年代に米ミネソタ大で始まった実習方法。「継続性」と「包括性」をキーワードに,医学生が①患者さんの全ての治療経過を通して包括的な医療に参加すること,②患者さんにかかわる全ての医療者との関係を継続的に学んでいくこと,③さまざまな専門分野を同時に経験することを通して,基本的診療能力を身につけていくことが臨床教育の核と位置付けられている。LICの実習を経験した学生は,commonな愁訴・疾患の経験数増,基本的な臨床能力の向上の他,患者とのコミュニケーションスキルの向上,ケアへの熱意の高まりといった傾向が見られ,学業成績自体も向上するという研究結果がある1)。北米と豪州を中心に,現在,世界の50以上の医学部がLICを採用している。

(了)

参考文献
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16)Walters L, et al. Med Educ. 2009;43(3):268-73. [PMID:19250354]
17)Hudson JN, et al. Rural Remote Health. 2012;12(2):1951. [PMID:22519409]

まつもと・まさとし氏
1996年広島大医学部卒後,天理よろづ相談所病院にて初期研修。98年より自治医大(地域医療学)にて後期研修。99年岐阜県揖斐郡藤橋村(現・揖斐川町)の藤橋村国民健康保険直営診療所所長。2005年英オックスフォード大人類学大学院修了。自治医大地域医療学センター助手,講師を経て,10年より現職。地域医療教育のエビデンスを研究し,発信している。「大都市もへき地もある広島県で,科学的根拠に基づく地域医療教育を実践したいです」。

たかむら・あきてる氏
1998年富山医薬大医学部卒後,同年石川勤労者医療協会城北病院総合内科。2000年より同院小児科。08年豪フリンダース大教育学修士(臨床医学教育)修了。09年より同大のRural Clinical Schoolに教員として勤務後,12年三重大医学部伊賀地域医療学講座講師。三重では「地域基盤型教育」の実現に携わる。14年より現職。「石川県内の医師不足の地域を学生が支えられるような,長期臨床実習の形成をめざします」。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03194_04
ジェネラリストのための極意
週刊医学界新聞 第3194号 2016年10月10日

 獨協医大病院総合診療科(以下,獨協総診)による勉強会「ジェネラリストのための極意(通称G7+)」の第1回が8月28日に東京都内で開催された。

 「G7+」とは,「General(総合)」「獨協総診が策定した病院総合医の7つのコンピテンシー」「+:プラスアルファ」の略。7つのコンピテンシーは,❶臨床知識,❷ベッドサイドの思考力(診断推論と治療推論),❸ベッドサイドの技術(病歴,身体診察,検査手技),❹インプットのスキル(ITとチームワークを駆使した網羅的情報収集力),❺アウトプットのスキル(執筆,回診,カンファレンス),❻後輩への教育力,❼医学周辺の知識やスキルから成る。

臨床医のコンピテンシーを育てるHow to

 第1回目となる今回の勉強会では,始めに ❶臨床知識のアップデートと ❹インプットのスキルを複合した「スタッフの生涯学習のためのIT活用方法」が森永康平氏(獨協総診)から解説された。多くの医師が情報収集のためにメーリングリストやEvernote,Dropboxなどのクラウドシステムを活用しているが,ただ“情報を収集・蓄積すること”が目的になってはいけないと氏は指摘した。自ら学習したものこそが血肉となることは間違いなく,必要な情報をすぐ引き出せるようにするためには,自分の頭の中で整理し,アウトプットの取っ掛かりをつくっておくことが必要だと話した。

 ❺アウトプットのスキルの1つである「医師によるケースレポートの作成指導」のセッションは廣澤孝信氏(獨協総診)が担当した。症例報告の概要から,Clinical pictureの考え方・作り方,NEJMのClinical pictureへの投稿方法まで,実践的な解説がなされた。氏はケースレポートを書くことを意識しながら症例を診たり,写真などの記録を残したりすることで,臨床における洞察力の向上も得られると,ケースレポート作成の意義を語った。

 ❻後輩への教育力は「教育力を鍛える秘訣」と題して志水太郎氏と原田拓氏(共に獨協総診)が紹介した。臨床力,教育力,研究・アウトプット力の向上はキャリアのステップアップにつながる。しかし経験年数が増えるにつれ,後輩の面倒をみたり組織の管理を行ったりする時間が増え,医師として患者を直接診察できる時間が減っていくというジレンマもある。志水氏は,自分の臨床を担保しながら教育をしていくには,教育と臨床を同時に行うベッドサイドティーチングが最適だという持論を示した。原田氏は「効果的学習のFAIR原則」を基に,ベッドサイドティーチングにおける効果的学習を実現するための方法を詳細に解説。「後輩指導医が研修医などを指導する現場を見て問題を感じたとき,指導医をどのように教育すべきか」という参加者からの質問に対しては,志水氏が自身の経験や自著『愛され指導医になろうぜ』(日本医事新報社)に基づいた3つの方法を紹介した。参加者からは,「ベッドサイドティーチングの重要性を感じた」「褒め上手になることから実践していきたい」などと実践に生かす意欲が聞かれた。次回第2回では,カンファレンスの進め方,フィジカル回診の具体的方法,ケースレポート作成,総合診療医のキャリアなどについて取り扱う予定だという(獨協総診のホームページ)。


  1. 2016/10/10(月) 05:55:30|
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10月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/462941?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161008&dcf_doctor=true&mc.l=182387299
「主治医・執刀医を大切にしなければ事故調査できず」 - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.2
基本は関係者の事情聴取、事実認定

2016年10月8日 (土) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』を上梓したのは、医療事故調査制度に警鐘を鳴らす目的があったとのことです。

 事故調査には、まずインフラ整備が必要です。そのインフラとは何か。一つには、手術の記録を正確に残す。具体的には録音、録画し、カルテも電子化し、それらの情報を医療者だけでなく患者とも共有し、患者が他の医師らの意見を聞きたい時にはすぐに確認できる体制にしておくこと。


事故調査において、まず「事実を知る」重要性を繰り返し強調する。
 この辺りは一定程度進んできたと思いますが、何よりも重要なのは、「何が起きたのか」、つまり事実を調べる体制を整えることです。裁判が「事実認定」から始まるのと同じように、医療事故調査でも、事実認定をしなければ何も始まらないわけです。しかし、関係者から事情を聞く体制は整っているとは言えず、そもそもその必要性についての認識すら欠けているのでは、と思うときがあります。

 その典型例が、大野病院事件のほか、先ほども触れた島根大学の医療事故(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)、東京女子医大事件(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』、『院内事故報告書は告発書兼鑑定書、女子医大事件』を参照)、神奈川県立がんセンター事件(『神奈川県立がんセンター麻酔事故、医師に無罪判決、横浜地裁』を参照)などです。

 乏しい経験ながらも、私が外部委員として参加したり、あるいは、見聞きした事故調査では、当事者である医師をヒアリングする上司や同僚たちの目が、「悪いことをした人を見る目」であることが少なくありません。

 「悪い結果を招いた人は、断罪すべき」という「評価」を先に決めてしまうと、正しい事実認定はできず、事実をゆがめます。いろいろな証拠を集め、話を聞き、その上で、慎重かつ精密に「構図」を作り上げていくべきなのに、構図を立てて証拠を集めていたのでは、本当の事実には辿りつけません。

 島根大学の医療事故がまさにそうでしょう(『主治医へのヒアリング、1回5分のみ』を参照)。「賠償金を払わなければいけない」という結論が先に決まっていて、それに見合う事実だけを集めていたのでは、まともな事故調査ができるはずはない。しかし、何も知らない患者やご家族、あるいはご遺族にしてみれば、その院内事故調査の結果を「真実」と思うのはごく当たり前。

 いったい何があったのか、本当の事実を知りたいのなら、「評価」を先に決めていたのではダメ。まずは関係者全員の話を、その道の専門家であるその当事者の話を、リスペクトを持って聞く。しかし、島根大学の医療事故の調査では、執刀医の話はわずか5分しか聞いていないとか。それは事故調査ではありません。

 「和を以て貴しとなす」。聖徳太子はもともと、お互いの話が合う部分、つまり「和」が成り立つ部分を探し出し、そこからその「和」の話を広げていこう、という意味で使ったのであり、「何でも手うちをする」という話ではないと私は理解しています。世間の様子を見て、周りに迷惑をかけない、突出しないことを最大の価値としているのが、日本社会であるように思う。しかし、私は医療事故調査制度においては、「正しい事実を知る」ことこそが、和を広げていく本当の道だと考えています。

 もちろん、事実認定の重要さは、医療機関における事故調査に限りません。検察の捜査でも、裁判においても同様です。しかし、何よりまず医療者に対して、その重要性を訴えたい。「主治医や執刀医を大切にしなかったら、本当の事故調査はできない」ということ。と同時に、「もし患者さんが言うところの、そしてドクターが求めるところの真実、本当の事実を知りたいなら、刑事責任を追及していたらできるはずはない」ということです。今回の本では、そこまで言っては刺激が強すぎると思い、「ミランダルール」の言及にとどめています。

――日本の刑事司法では、「ミランダルール」が取られていないことが、2013年の国連人権機関である拷問禁止委員会で問題視されたことを、安福先生はかねてから指摘されています。

 ミランダルールとは、1966年のアメリカ合衆国の最高裁判決により明確化された、身柄拘束中の被疑者の取り調べにおける黙秘権や弁護人選任行使権についての基本を明確にルール化したものです。2013年の拷問禁止委員会で、このミランダルールに反する日本の刑事手続きは「中世のものだ」と批判されました。日本の大使がその批判に反論し、「Shut up!」と発言したことがニュースになり、世界を駆け巡りました。

 しかし、司法記者クラブの記者でも、この「Shut up!」発言の背景事実自体を知らない人がいます。「ミランダルール」について書いた本は幾つかありますが、「医師も含め、司法とは関係ない一般の方に、日本の司法の根源的な誤りを理解してもらいたい」と思ったことも、本書を書いたきっかけです。医師たちは、「医療事故に警察や司法が介入することはおかしい」「医療裁判はひどすぎる」などと言いますが、おかしいのは日本刑事司法そのものなのです。

 本書で、元裁判官の木谷明先生の『刑事裁判のいのち』(法律文化社)を引用したのも、日本の刑事司法の現実を知ってもらうためです。木谷先生は若き日に検事から、「裁判官は検事の主張とあまり違ったことを言わない方がいい」「検事は地方検察庁、高検、最高検まで巻き込んで協議しているのに、裁判官は1人、多くて3人で議論しているだけであり、検事たちに勝てるはずはない」と言われたことを吐露しています。

 裁判の一端を知ってもらうため、大野病院事件の2007年1月の初公判のエピソードも紹介しています。私は冒頭陳述で、全国の医療者が「加藤医師の手術手法をとがめ、過失犯に問うことは間違い」と怒りを表明していることに触れました。検察は、「裁判の審理に不当な圧力をかける」として阻止しようとしました。しかし、私は「加藤医師の行為を過失と呼ぶかどうかは、現場にいる医療者の感覚こそ重要だ」と過失の評価に絡めて、主張の正当性を訴えました。これに対し、裁判官はしばし考え「弁護人、続けてください」と述べました。「裁判官は、日本の医療者の矜持を否定するような判決を書くのか」と問いたかったのが、私の真意です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/465907?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161008&dcf_doctor=true&mc.l=182387302
医療計画の5疾病対策、「回復期から慢性期」重要
高齢化に伴う疾病構造の変化重視、予防の視点も

2016年10月7日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は、10月7日の第5回会議で、「5疾病の現状と課題」について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 同省は、高齢化の進展による疾病構造の変化などを踏まえ、(1)脳卒中と急性心筋梗塞については、「搬送~急性期」に加えて、「回復期~慢性期」に至る診療体制の充実を図る、(2)糖尿病については、発症予防だけでなく、重症化予防の徹底の視点を盛り込む、(3)精神疾患については障害福祉計画等と整合性を図るとともに、地域移行という視点なども重視する、(4)均てん化を目指してきたがん診療提供体制の整備は、現状の体制を維持、ゲノム医療などの特定分野については集約化――などを提案。各疾患の医療提供体制の在り方は、各種検討会やワーキンググループで別途議論されており、それらの結論を順次医療計画の見直しに反映させる方針。

 さらに各疾病に共通する論点として、健康増進計画など他の計画における疾病予防対策と調和の取れた計画とするほか、医療提供体制における現状把握や課題抽出の際に必要な指標作成に当たってはNDB(ナショナルデータベース)も活用するなどの案も提示した。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏は、人口構成の変化から、今後は、急性期が減り、回復期、慢性期の医療需要が増える状況を踏まえ、「この辺りについて、どう対応していくかが重要課題。特に循環器系疾患における回復期や慢性期の在り方をどう考えるかが、医療計画の根本になるので、力を入れて議論すべき」と指摘した。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、脳血管疾患の人口当たりの死亡率は減少しているのは、第6次医療計画で、「脳梗塞に対するt-PAによる脳血栓溶解療法の実施可能な病院数」が追加された効果もあるとしたものの、要介護に至る原因は脳血管疾患が多いため、今後も対応が必要であるとし、脳血管内治療による血栓除去術など、新しい治療法も計画に盛り込むことを求めた。

 全日本病院協会会長の西澤寛俊氏からは、5疾病についての計画策定、実行に当たっては、都道府県では“縦割り”であり担当部局が異なることから、総合的な議論がなされていないとの指摘も出た。

 2018年度から始まる第7次医療計画では、地域医療構想と在宅医療との関係の整理も、重要課題。「地域医療構想に関するワーキンググループ」と「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を別途設置し、議論した。その結論も7日の会議で報告され、次回以降、議論を深める(『ICUとCCU「既存病床数」に含めるか否か、結論出ず 』、『第7次医療計画、「在宅医療」の方向性固まる』を参照)。

 対象は「5疾病」、新規に追加せず
 医療計画上、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患の5疾病については、疾病別の医療提供体制についての計画を盛り込むことになっている。第7次医療計画で、5疾病に追加するか否かは、6月の第2回の会議で議論されたものの、引き続き現行のものを充実していく方針で固まっていた(『2次医療圏、「構想区域と一致」が基本』を参照)。

 5疾病のいずれも、高齢化を見据えた対応が必要になっている。例えば、脳血管疾患は、要介護原因の第1位であり、回復期から慢性期の体制が充実であるほか、慢性心不全の約40%は、1年以内に再入院するというデータもあり、「予防」が重要となる。

 厚労省が提示した論点には、あまり異論が出なかったものの、日本病院会副会長の相澤孝夫氏からは、「高齢化の進展による疾病構造の変化は、何が問題となっており、医療計画をどう変えなければいけないのかが、明確ではないまま、“計画ありき”で議論されている。何が問題なのかを明確にして、その問題解決策は何か、医療提供体制が問題なら、どう変えるべきかという視点から議論すべき」との意見も出た。相澤氏はさらに、2次医療圏ごとに人口に相違があることから、一律の考え方を当てはめることには無理があり、医療機関までの時間で区切るのか、あるいは医療の質を考える単位なのかなど、2次医療圏の在り方を検討する必要性も指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/465884?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161008&dcf_doctor=true&mc.l=182387301
「オプジーボ緊急的対応、医療保険堅持が目的」日医中川副会長
2018年度に向け、薬価制度の抜本的改革目指す

2016年10月7日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、10月6日に開かれた日医の第60回社会保険指導者講習会で、「高額な薬剤への対応」をテーマに講演、抗PD-1抗体製剤であるオプジーボ(一般名ニボルマブ)について「緊急的な対応」としての薬価引き下げに「一定程度の同意」をしたのは、「期中改定ではなく、公的医療保険制度を守るため」であると説明。「高額な医薬品が医療費全体に影響を及ぼし、ひいては国民皆保険の根幹を揺るがしかねない懸念を誰もが感じている」と指摘、製薬企業主導ではなく、公的医療保険制度を堅持していくかという視点で、2018年度改定に向けて、薬価制度の抜本的改革を行政に求めていく方針を表明した。

 年間販売額が当初予想を上回り、1260億円にも上るとされるオプジーボについては、厳しい医療保険財政の折、次期2018年度薬価改定を待たずに、薬価を引き下げることが議論されている。中川副会長は、講演前日の10月5日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会でも「かなり激しいやり取りをした」と説明(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。診療側、支払側ともに、改定時期や引き下げ幅は未定なものの、「緊急的な対応」での薬価引き下げに合意。中川副会長は講演で、「緊急的な対応」に至る経緯を中心に、昨今の高額薬剤をめぐる動向を解説した。


 2015年度医療費増、主因はC型肝炎治療薬
 中川副会長はまず、2015年度の概算医療費の動向を説明。9月28日の中医協でも議論された内容で、対前年度比で3.8%の高い伸びとなったのは、C型肝炎治療薬であるソバルディ(一般名ソホスブビル)とハーボニー配合錠(レジパスビル/ソホスブビルの配合錠)の薬剤料の伸びの影響が大きい(『ソバルディとハーボニー、2015年度の医療費増の主要因』を参照)。

 3.8%の内訳は、人口高齢化の影響1.2%、その他(医療の高度化等)2.7%、人口減の影響マイナス0.1%。その他2.7%のうち、調剤のウエイトが大きく1.5%。

 調剤の中でも、伸びが大きいのは薬剤料1.4%で、薬効分類別では、化学療法剤が0.77%を占め、増加が際立つ。「医療費が3.8%増であっても、その実感がないのは、このためだ」と中川副会長は語る。化学療法剤のうち、ソバルディとハーボニー配合錠を含む抗ウイルス剤の薬剤料(院外処方分)は、2014年度1185億円だったが、2015年度4139億円で、249.1%の急増。「院内処方分も、院外処方分と同じという前提で計算すると、医療費の伸び3.8%のうち、C型肝炎治療薬を含む抗ウイルス剤の影響は1%程度」(中川副会長)。

 中医協での厚労省の説明によると、IMSデータによる薬価ベースの四半期ごとの売上は、ソバルディ(2015年5月薬価収載)は、433億円(2015年7-9月)、643億円(同10-12月)がピーク、以降減少し、391億円(2016年1-3月)、246億円(同4-6月)と推移。ハーボニー配合錠(2015年9月薬価収載)は、1101億円(2015年10-12月)、1517億円(2016年1-3月)がピークで、2016年度改定後は698億円(同4-6月)に減少。いずれも2016年度薬価改定で、市場拡大再算定の特例引き下げの対象となり、31.7%の大幅減となったが、それ以上に売上が減っているのは、処方量の減少があると見られ、「まず使われるべき患者には、ほぼ行きわたってきたことが予想される」(中川副会長)。

 中川副会長は、「団塊世代が75歳を迎える2025年に向けて、医療、介護を含む社会保障費は、これから先も増加する。消費税率10%への引き上げは、2018年10月まで延期されることが決まり、社会保障費に充てる今後の財源確保に不安がある中、市場規模が極めて大きい高額の新薬の薬価収載が続いている」と指摘し、高額薬剤への対応の重要性を強調した。

 オプジーボ、「1兆7500億円がいまだ独り歩き」
 次に中川副会長が取り上げたのが、オプジーボ。2014年9月の薬価収載時は、「切除不能な悪性黒色腫」の適応で、ピーク時の予想対象患者数は年470人、予想販売額は年31億円だった。その後、2015年12月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応が追加された。

 「患者数が非常に少ない効能・効果で申請されたことから、高額な薬価で収載されたが、その後、適応が追加され、市場規模が非常に拡大したにもかかわらず、薬価改定とのタイミングがずれ、薬価は高額のままとなっている。今年4月の財政制度等審議会では、年間市場規模予測が薬価ベースで1兆7500億円という試算が出て、大騒ぎになった。この数値がいまだに独り歩きしている」(中川副会長)

 一方、オプジーボの販売元である小野薬品工業は、2016年度の予想販売額として1260億円(出荷価格ベース)という数値を公表している。中川副会長は、「現実的にはこちらの方が正しいと思う」と語り、オプジーボはまだ効果がある患者を事前に予測するのが難しく、どんな副作用が出るかが分からないなど、未確定な部分があることなども踏まえ、「確かな数値を基に慎重に議論をしていきたい」と付け加えた。

 さらに高額薬剤の例として、中川副会長は、2016年4月に薬価収載された家族性高コレステロール血症等に適応があるレパーサ皮下注(エボロクマブ)も挙げた。現状の薬事承認の際に、医療経済上の影響が全く考慮されないのは、厚労省の「縦割り」の組織に問題があるとし、抜本的な見直しが必要だとした。薬事承認は、厚労省の医薬食品局、薬価収載は保険局がそれぞれ担当しており、両局の連携を求めた上、「高額な医薬品の考え方」を下記のように整理した。

◆「高額な医薬品の考え方」
・治癒を目指す薬剤(C型肝炎治療薬 ソバルディ、ハーボニー):生涯医療費との比較
・生活習慣病治療薬(レパーサ):従来型治療で効果の少ない症例
・延命を図る薬剤(オプジーボ):丁寧で冷静な議論

 さらに高額薬剤、特に新規作用機序医薬品については、薬事承認審査と同時並行的に、厚労省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)、関係学会が連携して「最適使用推進ガイドライン」を整備し、薬価収載時には、同ガイドラインを留意事項通知に落とし込むなど、使用方法、経済性などの観点を踏まえた医療保険制度上の取り扱いを進めていく必要性も指摘した。

 薬局と医科の調剤料の格差、次期改定に向け議論
 中川副会長の講演は、製薬企業の業績にも発展。2016年度薬価改定は、7%以上のマイナスだが、2016年度第一四半期の売上高は、大手製薬企業は前年同期比増収のケースが多い。「総量の増加もあるが、各社の決算資料では、長期収載品の売上は減少したものの、新薬が増加している」と指摘し、薬価改定から次の薬価改定までの間に平均薬価が上昇する背景として、(1)期中の新薬の薬価収載、(2)製薬企業が、長期収載品に見切りを付け、新薬の販促を進めている――などが考えられるとした。

 さらに、薬局と医科の調剤料の比較も提示。ここ数年の動向を見ると、薬局の処方せん1枚当たり調剤料・加算料は上昇しているものの、医科の処方1回当たり調剤料は横ばい。「薬局の調剤料は、31日以上は一定だが、それまでについては処方日数が長くなるほど段階的に高くなる。一方、医科院内処方にはこのような仕組みはないため」であると分析、2018年度改定に向けて、この辺りを問題視していくとした。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161007-00000003-wordleaf-soci&p
国立33大学で定年退職者の補充を凍結 新潟大は人事凍結でゼミ解散
THE PAGE 10月8日(土)11時5分配信

大学は教員を削減して財政の健全化を図ろうとしている(アフロ)

 2015年度に国立大学86大学のうち、33の大学(38%)で定年退職した教員の後任補充を凍結する人件費抑制策が取られていたことがわかった。国立大学の人件費抑制策については、ノーベル賞受賞者を輩出するなど、高い研究力・教育力を誇る北海道大学が8月、国から交付される「運営費交付金」の減額などによる財政悪化を理由に、来年度から2021年度までに教授205人分に相当する人件費を削減するよう各部局に求めている。新潟大学も今年度から約2年間、教員人事を凍結する方針を打ち出し、ゼミがなくなるなどの影響が出ているという。大隅良典さんのノーベル医学生理学賞受賞決定に沸く日本だが、大隅さんの研究の舞台となったのも国立大であり、このまま教員が削減されれば国立大学が地盤沈下しかねない状況だ。

国大協は「実際には凍結している大学が33以上ある可能性がある」

 北海道大学が定年や任期満了などで退職する教員の補充を行わない形で、教授205人分の人件費を削減する提案を教員側に示していたことを受け、同様の人件費削減策を行った大学がほかにないか取材した。

 国立大学協会が、昨年、国立大学を対象に行った調査では、2015年度に「定年退職する教員の補充を一部凍結している」と回答した大学が33に上った。担当者は取材に対し、「自発的に答えた大学が33あったというだけで、やっている大学が他にもある可能性がある」と話す。

 後任人事を凍結する大学が増えている理由としては「国からの運営費交付金が年々減っているなか、大学の規模に関わらず、常勤雇用の人件費の確保に苦慮している。研究資金として期間限定の人材を採ることはできても、定年までの人件費を見込むとなると厳しいため、運営費交付金の確実な措置がなければ、人件費抑制が進んでいくと思われる」と説明する。

今年度から人事凍結した新潟大学では教員退職でゼミがなくなる

 新潟大学は人件費抑制のため、今年度から2年間、教員人事を原則凍結する方針を打ち出している。定年退職や年度途中で転出する教員が出ても新規募集を行わず、内部昇任も控えることで人件費を抑えようとしている。さらに今年1月からは、50歳以上を対象とする教職員の早期退職募集制度も始め、人件費の抑制策を進めている。

 新潟大学職員組合によると、人事を凍結した影響は学生にも及んでいるという。ある学部では、ゼミを担当していた教員が前期で退職し、他大学へ移ったが、後任が補充されないためゼミは解散になったという。学生は後期から他のゼミへ移動を余儀なくされた。「1人で1分野を担当している体制だと、担当教員が退職した場合、その分野の教育・研究が丸々失われる事態となっている。突然の退職があれば学生への影響も大きい」と説明する。

北大では文・理の部局が見直しを求めて総長に意見書を提出。徹底抗戦の構え

 北大では、大学側が示した人件費削減策に対抗する動きが出ている。大学の示した案では、医学部・歯学部・小部局を除く部局に一律、今年度比14.4%の人件費削減を2021年度までに行うように求められた。目標が達成できない場合は新規の採用や昇任人事が行えなくなるほか、部局への配分経費がカットされる。

 北海道大学教職員組合の光本滋書記長は、取材に対し「これまでこんな話はなく、一気に削減を突きつけられた。他大学と比べて教員数が突出して多いということもなく、困惑している。財政が厳しいのは理解するが人を切る前に、別の方策も考えるべき」と話す。

 同教組は9月中旬に方針撤回を求める声明を発表。文系の部局長と理系の部局長もそれぞれ連名で、削減案の見直しを求める意見書を総長宛に提出した。

 北海道大学広報課は取材に対し、「削減案を示したのは事実。ただ、この件について、コメントするのは差し控えたい」と説明し、削減案を示した理由などに対する回答は得られなかった。10月中旬にも部局長等連絡会議が開催され、削減案について大学側と各部局が再度協議する予定だ。

運営費交付金は12年間で1470億円減少

 様々な大学が財政難になった理由にあげている運営費交付金とはどのようなものか。運営費交付金とは、国が人件費・物件費など大学の基盤となる経費として渡す交付金。国が各大学から提出される次年度の収入と支出の見積もりを積み上げて、収入の不足分を予算として計上する。運営費交付金は国立大学の収入の3~4割を占めている。国立大学は運営費交付金のほか、授業料や病院収入等を合わせて運営している。

 2004年に国立大学が法人化されて以降、運営費交付金はほぼ毎年度減額されている。2004年度には1兆2415億円(全大学合計)だったが、今年度は1兆945億円で、2004年度から段階的に1470億円、11.8%減った。

 今年度からは交付金を大学の取り組みごとに差をつけることも始めた。大学を目的別に3分類し、取り組み内容に応じて交付金の一部を再配分する。これにより運営費交付金がさらに減るところも出てきている。

運営費交付金の0.8%~1.6%をあらかじめ減額し、捻出した約100億円を評価によって再配分。86大学のうち42大学が増額、43大学が減額となった。(1大学は配分を要望しなかった)。最も増えた大学(和歌山大など)では118.6%の配分を受けられたが、最も少ない京都教育大では75.5%の配分にとどまった。

 北海道大学の場合は、取り組みが評価され100.2%の再配分を得たものの、その配分の原資になる資金を元々の交付金から1.6%減額されたため、厳しい財政状況を変えるまでには至っていないとみられる。北海道大学の今年度の運営費交付金は362億2680万円で、前年度から7億4950万円減っている。

文部科学省「学費値上げの検討、必要な場合も」

 文部科学省国立大学法人支援課の担当者は「経費削減などの効率化を図る大学が一部にはあると認識している」と話し、複数の国立大学で人件費削減策が取られていることを把握しているとした。運営費交付金の減額が影響しているのではとの問いに対し、「財務省に増額を要求しているが国の財政事情を踏まえると理解が得られるかというところだ」と説明する。来年度の概算要求についても運営費交付金など大学の基盤経費として前年度比485億円の増額を要求しているといい、「大学がしっかり教育・研究ができるよう基盤的経費を確保することに努めたい」と話す。

 足りない運営費をどう補えばいいのか。寄付の確保や民間資金の導入なども考えられるが、すぐにできる策として考えられるのが学費の値上げだ。国立大学の授業料についてはほとんどの大学が標準額(学部・大学院53.6万円)に固定されている。2007年度から、大学の裁量で120%までの引き上げが可能となっているが、標準額で運営している大学が大半だ。同課の担当者は「標準額そのものを引き上げることは影響が大きすぎるので難しいが、どうしても財政上厳しい大学はその制度を使うことを検討してもよいのでは」などと話した。

最終更新:10月8日(土)12時51分THE PAGE



http://www.asahi.com/articles/ASJ8K5RZKJ8KULFA00R.html
「患者の自己決定権の尊重を」 米国の老年医学の専門家
聞き手・青山直篤
2016年10月8日13時31分 朝日新聞

■「にっぽんの負担」インタビュー編

 多くの人が、病や死について向き合わざるを得なくなる高齢化社会。人生の終わりをどう迎えるのか――。誰もにその「正解」のない問いが待っています。老年医学の専門家で、老人ホームでの実地経験も豊かな米国の医師ジョシュア・ショルさんの意見を聞きました。

 ――人生の「最期」の迎え方について、米国の医療・介護の現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。

 「ゆっくりと、いい方向に変わりつつあると思います。人びとが死についてより率直に語れるようになり、心身への負担が大きい積極的な治療で治そうとするよりも、穏やかに死を迎えたいという意思を表明しやすくなりました。一方で、高価ながんの新薬も次々に出されています。第2次世界大戦直後に生まれた多数の『ベビーブーマー』は、高齢になり、穏やかに死にたいと願いつつ、『やはり治したい』という思いも強い。この二つの方向性がどう均衡するのか。一つの時代の節目を迎えていると思います」

 ――ご自身の体験で、そうした変化を実感したのはどのようなときでしたか。

 「十数年前のことです。とても聡明(そうめい)で、誰もに愛されていた101歳の女性の老人ホームの入所者がいました。ある日起きて、こう言うのです。『あのね、私はもう長く生きられないと思う。100年間、いい時も悪い時もあったけど、すばらしい人生だった。もう死ぬ準備はできた』。そして、自らの意思で食事を取るのを止めてしまった。スタッフは『自殺する気なのか』と大騒ぎになり、家族も『死なせたくない。何とかできないのか』と言ってきました。私も、彼女が大好きな中華料理を買って持って行った。精神科医も呼びました」

 「でも彼女は『もうやめて』と。『自分はうつ病じゃない。ガソリンの抜けた車のようなもの。この先は惨めな拷問のよう。私の選択だから』と言いました。そして、1週間ほどして亡くなりました」

――重い選択ですね。

 「スタッフは彼女を愛していたから、とても動揺していました。『早く病院に送って下さい。(胃に穴を開け、管で流動食を入れる)胃ろうをつけて下さい』と訴える人もいました。ただ、私は『その選択は彼女の権利だ』と言いました。米国では1990年に、『クルーザン事件』と呼ばれる連邦最高裁の判決を機に、患者が治療を拒否する権利が認められました。米国でいま、最も重視されるのは、自分の心身については自分で決めるという自己決定権(autonomy)です」

 「ただ、米国社会は変わり続けています。かつて社会の主流だったWASP(ワスプ)(White, Anglo-Saxon, Protestant: アングロ・サクソン系の白人プロテスタント)は少なくなり、民族的な出自も多様化しています。それぞれ、死についての対応はさまざまです。宗教上、保守的な考えを持つ人びとは、自分の体でも自分だけが決められるとは考えず、神のものだと考える。命を永らえることを優先し、胃ろうにも積極的になります」

 ――胃ろうについて、ご自身はどう考えますか。

 「20年前なら、『胃ろうをしないなら病院に行ってほしい』と求める老人ホームもありましたが、最近は珍しい。決めるのはあくまで患者です。ただ、私のように老年医学を学んだ者としては、なるべく胃ろうをつけないように説得します。胃ろうは激しい手術の後、短期的に使うようなケースでは望ましい場合もある。しかし、実は延命効果は必ずしも証明されておらず、進行した認知症患者に胃ろうを使うのは正当化できない、と主張する有力な論者もいます。米国でも、胃ろうを続けている老人ホームが多いですが、私たちのホームは胃ろうの入所者は少数です」

 ――米国では、延命治療の可否を事前に文書で意思表示する「リビングウィル」も浸透しているようです。

 「生前にDNR(Do Not Resuscitate: 蘇生処置の拒否)、DNI(Do Not Intubate: 人工呼吸器の拒否)、DNH(Do Not Hospitalize: 老人ホームから病院へ入院させるのを拒否)など、患者本人の権利としての意思表示をしておくことが浸透したのは、最大の変化です」

 「『POLST』(Physician Orders for Life-Sustaining Treatment、生命維持措置のための医師指示書)と呼ばれる文書を、患者の意向を踏まえて医師がつくっておくことも一般的になりました。代理人の存在も重要です。私が経験した例では、こんなこともありました。ある女性入所者の死期が近づいていていました。彼女はリビングウィルで、鼻からのチューブや胃ろう、蘇生処置、入院、すべてを拒否していました。しかし、家族が私たちに対し、訴訟をちらつかせながら、何としても延命するよう求めたのです。私は彼女が代理人として指定していた家庭医を探し出し、彼女の意思を貫きました。彼女は価値観の違う家族に最期のあり方を決められないよう、家庭医に思いを託していたのです」

 ――今後の医療・介護のありようはどうあるべきでしょうか。

 「病院での治療から、老人ホームでの生活や短期の通所リハビリテーション、ホスピス、在宅医療・介護などへ向かう流れは変わらないでしょう。老人ホームからすぐに病院に移すのは悪いケアの証拠、とみなされるようになり、ホームでの予防に力が入れられるようになりました。私のホームでも、短期の通所リハビリで『プロ』としての最高のケアを進め、なるべく病院に行かずに済むよう努力しています」

 「さらに私は、老人ホームで安らかな最期を迎えてもらうためのホスピスケアを非常に重視しています。病院に行かせないことで罪悪感を感じてしまう家族に対しては『息子として、あなたがどうしたいか』ではなく、『あなたのお母さんがどうしたいか、息子として考えてほしい』と問いかけたい。そのためにも、POLSTのような文書が重要です。迷う家族にとって、その文書が非常に大きな力になるからです」

     ◇

 ジョシュア・ショル エール大学医学部を卒業後、ハーバード大学で老年医学を研究。現在は、米ニュージャージー州の老人ホーム「ドーターズ・オブ・イスラエル」に勤務。老人ホームや終末期医療についての著書がある。(聞き手・青山直篤)



http://www.news24.jp/nnn/news87611770.html
弘前市立と国立病院統合 新中核病院整備へ
(青森県)

[ 10/8 11:57 青森放送]

県は7日夜、国立弘前病院と弘前市立病院を統合し、新しい中核病院を国立敷地内に整備する案を地域医療会議で示した。医師や施設などを集約し、救急医療体制を強化する。医療関係者から異論はなく、今後は県・市・国立・弘大病院の4者で具体的な協議に入る。



http://mainichi.jp/articles/20161009/ddm/003/040/061000c
柔道整復師
不正請求防止へ カルテなど提出義務化 厚労省、来年度開始

毎日新聞2016年10月9日 東京朝刊

 厚生労働省は、柔道整復師(柔整師)の施術に公的医療保険を適用する療養費制度について、不正請求対策を強化する方針を固めた。不正の疑われるケースは接骨院などにカルテなど関連資料の提出を義務付ける。柔整師の急増に伴う接骨院の過当競争で療養費の不正請求が横行しており、厚労省は近く都道府県など関係機関に通知。来年度から開始する。

 柔整師は厚労省が認定する国家資格で、接骨院などで施術する。医療行為はできないが、骨折や脱臼などの施術に対して支払われる療養費は公的医療保険が適用され、利用者は原則3割の自己負担で受けられる。14年度は医療保険から約3800億円が支払われた。

 柔整師は毎年5000人前後が合格し、14年時点で約6万4000人が就業。接骨院などの施術所も約4万5000カ所に上り、1994年の約2万カ所から急増し、過当競争を招いている。その結果、肩や腰など部分を次々と変えて施術し、マッサージ代わりの利用が疑われる「部位転がし」と呼ばれる不正な請求や、白紙の申請書を悪用した架空請求が後を絶たない。

 厚労省はこうした不正請求に早期に対応できるよう、全国健康保険協会(協会けんぽ)などがつくる審査機関「柔道整復審査会」が、「部位転がし」など不正請求が疑われる施術所の診療報酬明細書(レセプト)を抽出して調査し、資料提出や説明を求めることを可能にする。

 架空請求対策としては、施術所に領収書の発行履歴や、通院歴の分かる来院簿やカルテなどの提示を求めることができるようにもする。

 療養費を巡っては、昨年11月には暴力団組員や接骨院経営者らが架空請求し、療養費を1億円近く詐取したとみられる事件が発生するなど、不正請求対策の強化が課題となっていた。【阿部亮介】


  1. 2016/10/09(日) 05:47:28|
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10月7日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49766.html
結核病棟の維持困難、病床単位で確保求める- 厚労省、予防指針改正へ
2016年10月07日 16時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、結核に関する特定感染症予防指針の改正案をまとめた。結核患者の減少によって結核病棟の維持が困難となるケースが少なくないため、病棟の整備・維持にこだわらず、病床単位で結核患者への医療提供体制を確保するよう求めている。結核病床と一般病床などを1つの看護単位とする「ユニット化」の活用も追記する方針で、患者数に見合った医療提供体制の改編につなげたい考えだ。【新井哉】

■病床利用率低い場合は「ユニット化」推奨

 入院するケースが多い肺結核の喀痰塗抹陽性患者は、2000年以前は年間1万2000人を超えていたが、近年は減少傾向が顕著で15年には約7100人まで減少。入院患者の減少に伴い、結核病棟・病床を廃止する医療機関が相次いでおり、15年の許可病床数は00年に比べて半減の約5500床となっている。

 病床利用率も60%を上回る医療機関はまれで、中には10%未満の医療機関もある。また、結核病床を持つ医療機関が少ない地域で結核病棟・病床が廃止された場合、患者が遠方の医療機関に入院せざるを得ないといった課題もあった。病床を維持する医療機関の負担を考慮し、少ない入院患者に見合った体制に変更することや効率的な運用が求められている。

 こうした状況を踏まえ、厚労省は地域で結核患者の医療提供体制を維持するためには、ある程度の結核病床を確保しておく必要があると判断。指針の「医療の提供」の項目に、「病床単位で必要な結核病床を確保する」といった内容を新たに盛り込む。病棟を廃止した場合も一定数の病床を医療機関が維持したり、身体合併症や精神疾患のある結核患者の入院診療に対応できる「モデル病床」を整備したりする環境を構築したい考えだ。

 また、「ユニット化」を導入した医療機関で業務の効率化につなげているケースがあるため、結核病床を担当する看護師が一般病床の患者のケアが可能なことも追記する。

■長期入院患者、保健所関与で治療完遂目指す

 長期入院の患者については、退院を見据えて保健所が入院中から継続的に関与する必要性を追記。患者に対するDOTS(直接服薬確認療法)を退院直後から確実に行える環境を整え、治療の完遂を目指す。

 また、院内感染の報告が相次いでいる多剤耐性結核についても、病原体サーベイランス事業の対象としてない自治体が少なくないことを踏まえ、多剤耐性結核の患者の結核菌を収集可能な体制の整備を「国の目標」として指針に明記する。来月2日まで指針の改正案のパブリックコメントを募り、11月中旬ごろに告示する予定。



http://mainichi.jp/articles/20161007/ddl/k28/040/489000c
日高医療センター
病床廃止、撤回求める 「まもる会」が署名活動 /兵庫

毎日新聞2016年10月7日 地方版兵庫県

 豊岡、朝来の2市でつくる公立豊岡病院組合が日高医療センター(豊岡市日高町岩中)を耐震化するための建て替えを計画している問題で、但馬地域の医療関係者や住民などでつくる「地域医療をまもる但馬の会」が、センターの病床廃止による診療所化の撤回を求める署名を呼び掛けている。5000人分を目標とし、組合の12月議会の前に陳情書として提出する予定。

 同会の千葉裕代表らが、記者会見を開き署名について発表した。陳情書は組合管理者と組合議会議長の両者に提出するという。

 同センターをめぐっては、「日高医療センターのあり方検討委員会」が9月までに4回の会合を開き、「病床を出石医療センターに移す」などの方針を報告書にまとめた。報告書は委員らによる修正の後、10月中に後藤武委員長から組合の井上鉄也管理者に提出される見通し。組合が基本計画案を作り、住民説明会などを経て、組合3月議会への提出を目指す。

 陳情書では、センターについて「日高地区だけでなく広く住民が利用する医療の砦(とりで)」「地域包括ケアシステムの拠点にするのなら、高齢者が増加する今入院ベッドは必要」として、「入院ベッドゼロ化の計画を取りやめること」などを求めている。署名は11月12日に日高町内で開く住民集会までに最終集約の予定。カンパも募集している。問い合わせは、たじま医療生協(0796・24・7035)。【柴崎達矢】

〔但馬版〕



http://www.yomiuri.co.jp/local/shimane/news/20161006-OYTNT50054.html
県立中央病院の喫煙調査
2016年10月07日 読売新聞 島根

 ◇江津問題で知事意向

 禁煙外来を設けた江津市の済生会江津総合病院(300床)の敷地内で職員らが日常的に喫煙していた問題について、溝口知事は6日の定例記者会見で、県立中央病院(出雲市姫原)でも同様の問題がないか、調査する考えを示した。

 禁煙治療の保険適用には、敷地内を全面禁煙にすることが条件だが、厚生労働省中国四国厚生局が、江津総合病院の職員らが病棟裏口などで喫煙を繰り返していたことを確認。同病院に禁煙外来の休止と、診療報酬の返還を指導した。同病院は返還額が約2000万円に上ると試算している。

 溝口知事は会見で、同病院の問題について、「誠に残念なことで遺憾。病院全体として職員の管理をしっかりとしていただきたい」と述べ、厚労省が同病院への調査、指導を徹底するよう求めた。

 また、県立中央病院について、「(県が)設置者なので、調査するよう病院局に指示する」と述べ、敷地内で禁煙が徹底されているかなどを調べる意向を示した。

 溝口知事は、健康増進法で病院や官公庁、学校などは受動喫煙の防止策を講じる必要があることに触れ、今後、対象施設への普及啓発を行うとした。

 県病院局によると、県立中央病院は2008年から敷地内全面禁煙を実施。禁煙治療の保険適用はないが、がん治療関連などは、敷地内を全面禁煙にしていることで診療報酬が加算されている。

 だが、敷地内で吸い殻が見つかったことがあるといい、県病院局は、江津総合病院の問題発覚後の今月3日、県立中央病院と、こころの医療センター(出雲市下古志町)に対し、文書で敷地内禁煙の取り組みの徹底を求めた。

(坂根薫)



https://www.m3.com/news/general/465750
喫煙の「代償」返還2000万円、診療報酬5年分…島根・禁煙外来病院試算
2016年10月7日 (金) 読売新聞

 禁煙外来を設けた島根県 江津市の済生会江津総合病院(300床)の敷地内で職員らが日常的に喫煙していた問題で、同病院が、保険適用の基準を満たしていなかったとして返還する診療報酬額について、約2000万円に上ると試算していたことがわかった。

 さらに額を精査し、保険者の自治体などに自主返還する。

 禁煙治療に保険適用を受ける場合、敷地内の全面禁煙が条件だが、同病院では病棟裏口近くなどで職員らが喫煙。中国四国厚生局が禁煙外来の休止と診療報酬の返還を指導していた。

 同病院は先月8日付で、指導内容や報酬額を文書にして職員に周知。これによると、同局から「『敷地内喫煙』について強く指摘された」とし、職員らの敷地内喫煙を複数回確認したことや、過去5年分で該当する診療報酬を自主返還することなどが記されている。

 返還対象は「ニコチン依存症管理料」のほか、敷地内を全面禁煙にしたことで診療報酬が加算されてきた「入院栄養食事指導料」「がん治療連携指導料」など20項目近く。同病院で禁煙外来が保険適用になった2012年以降の返還額を約2000万円と試算した。

 同病院の 安食治外・事務部長は4日、読売新聞の取材に「問題の影響や大きさを職員が認識するよう文書を配った。できるだけ速やかに返還したい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/465790
癌治療学会:共催催し、医師人選で患者ら反発 「根拠不十分な治療実施」
2016年10月7日 (金) 毎日新聞社

 がんの領域で国内最大の学会「日本癌治療学会」(理事長=北川雄光慶応大教授)の学術集会に合わせ、同じ会場で22日に開かれる市民向けイベントで、根拠が不十分な治療を実施している医師が相談に応じることが明らかになった。医師や患者団体が反発し、抗議の退会者が出るなど混乱が広がっている。イベントを共催する同学会は対応を協議し始めた。【高野聡】

 イベントは「がん撲滅サミット2016」。22日に学術集会と同じ横浜市内の会場で開かれる。イベントの中で、会場の参加者の相談を受ける5人の医師のうち2人が、「少用量抗がん剤治療」「血管カテーテルがん治療」など、有効性や安全性などについて科学的根拠が確立していない治療を自由診療で提供するクリニックの医師と発表された。

 これに対し、患者会「卵巣がん体験者の会スマイリー」が4日、「有効性や安全性が確かではない治療法を学会共催のイベントで紹介すると、医療知識のない患者や家族は惑わされる」と共催を見直すよう求める意見書を同学会に提出。同学会員の医師が抗議の退会をしたり、署名活動の準備を始めたりするなどの動きも出ている。

 イベント実行委会長の鈴木義行・福島県立医大教授によると、登壇者は作家や弁護士ら同実行委の顧問らが選んだ。鈴木教授は「5人のうち3人は科学的根拠に基づく医療を提供しているが、根拠の少ない治療について知りたい患者もいると考えた」と説明する。学術集会の責任者の中野隆史・群馬大教授によると、イベント事務局から共催を提案され、了承したという。

 北川理事長は毎日新聞の取材に、「7日を期限として理事会で対応を協議している。学会は、患者に正しい情報を科学的根拠に基づいて伝えることは重要と考えているので、何らかの変更をしたい」とコメントした。

 日本臨床腫瘍学会の理事長を務める大江裕一郎・国立がん研究センター中央病院副院長は「(登壇した医師が)科学的根拠に乏しいときちんと明示して話すか分からないうえ、学会のイベントとして開催すれば、そうした治療にお墨付きを与えることになる。そのような事態は避けるべきだ」と話す。



https://www.m3.com/news/general/465769
後絶たない不正請求 競争激化、審査の甘さも
2016年10月7日 (金) 共同通信社

 整骨院を巡る治療費の不正請求で経営者らが摘発されるケースが近年、後を絶たない。専門家は整骨院の増加による競争激化や、審査の甘さが不正横行の背景にあると口をそろえる。

 厚生労働省などによると、高齢化社会に伴い肩や腰の施術を受けるお年寄りが増え、整骨院などの施術所も1986年の1万3786カ所から2014年は4万5572カ所と3倍強になった。

 整骨院で交通事故の治療を受けた場合、患者の代わりに院側が保険会社に自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)などの保険金を請求できる。損害保険料率算出機構によると、整骨院からの自賠責保険の総請求額は10~14年度で約533億円から約738億円に増加。ある業界関係者は「限度額内の1人100万円程度であれば、保険会社は請求を詳しく審査せず支払うのが実態だ」とチェックの甘さを指摘する。

 今年に入っても京都府警が1月、詐欺未遂容疑で、通院日数を水増し請求した整骨院院長らを逮捕。大阪府警も2月、詐欺容疑で、架空の交通事故を装って請求した整骨院経営者らを逮捕した。

 「各院とも生き残りに必死。少しの通院日数の水増しなら、ばれても『申請時のパソコンのクリックミス』と言い逃れできる」。大阪府内のある柔道整復師は不正がやまない背景を打ち明ける。

 淑徳大総合福祉学部の結城康博(ゆうき・やすひろ)教授(社会保障論)は「過当競争によるパイの奪い合いが不正請求を助長している。抜き打ちの立ち入り検査を増やすなど対策を強化すべきだ」と話した。



https://www.m3.com/news/general/465874
整骨院施術、虚偽申請5年で1千回? 池田市議が指示か
2016年10月7日 (金) 朝日新聞

 整骨院をめぐる療養費の不正受給事件で、詐欺容疑で逮捕された大阪府池田市議の羽田(はだ)達也容疑者(37)=池田市=が運営していた府内六つの整骨院の院長や従業員らが、5年間にわたり互いの整骨院を連日行き来し、施術を受けたとする申請書類が提出されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。申請は約30人分で約1千回にのぼるという。府警は、大半が羽田容疑者らの指示による虚偽申請とみて捜査している。

 捜査関係者によると、羽田容疑者らは運営する整骨院の院長に、「当たり前にやっていることだ」などと言い従業員やその家族の健康保険証を集めるよう指示。これらを6カ所の整骨院長に振り分け、ほぼ毎日施術を受けたように療養費支給申請書に記入させ、全国健康保険協会に提出して療養費を請求させていたとみられるという。申請書は1人につき毎月1回提出することになっている。院長も連日別の整骨院で施術を受けたことになっていた。

 2011~15年の5年間で計約30人分の健康保険証が悪用され、計約1千回、虚偽申請された可能性がある。従業員らの証言などから、府警は大半が虚偽の施術による不正請求だったとみている。

 府警は7日、自らが施術を受けたように装って療養費約70万円をだまし取った詐欺容疑で羽田容疑者を大阪地検に送検した。



https://www.m3.com/news/general/465828
県立あき病院が6400万円の黒字 「安芸病院」以来10年ぶり
2016年10月7日 (金) 高知新聞

 高知県は10月6日までに県立2病院の2015年度病院事業会計の決算見込みをまとめた。あき総合病院(高知県安芸市宝永町)は、施設や診療体制の拡充に伴い、本業の損益を表す経常収支は安芸病院当時の2005年以来10年ぶりに黒字(6400万円)を計上。第5期経営健全化計画(2014~2016年度)が掲げる20年度の黒字化を前倒しで達成した。幡多けんみん病院(宿毛市山奈町芳奈)も2年連続の黒字(1億9100万円)。

 地域の拠点病院として安芸病院、芸陽病院を統合したあき総合は、精神科新病棟が2012年8月、一般新病棟が2014年4月に開業。2012年度23人だった医師数は、循環器や脳外科の医師が常勤になったことなどから2015年度は30人に増加した。2015年度の救急搬送は統合前の2倍の1662件となり、安芸消防署、中芸消防署、室戸消防署管内の救急搬送の51%を受け入れた。

 新規入院患者は前年比13%増の3248人となり、入院収益は11%増の26億4700万円。手術件数や病床利用率なども伸びた。2015年8月に地域包括ケア病棟を新設したことなどで平均在院日数は短縮され、入院患者1人当たりの診療単価は入院で7%上がった。

 これらの結果、医業収益は12%増の39億円。医業費用は人件費や材料費の増加で8%増えたが、一般会計からの法定繰り入れもあり、特別損失を除く本業での損益を示す経常収支は6400万円の黒字となった。

 幡多けんみんは前年とほぼ同等の患者数や救急患者受け入れ数、手術件数を維持。医業収益は前年比3%減の62億円となったが、材料費の圧縮や減価償却費の減少で経常収支は1億9100万円の黒字を確保した。呼吸器内科など常勤医がいない診療科もあるが、医師数は過去最多の水準(51人)を確保している。

 高知県立病院課は「昨年度に変更された新会計基準と両病院の努力で経常黒字となったが、厳しい状況には変わりがない。医師や医療従事者を確保し、地域に期待される役割を果たせるよう努めたい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/465907
医療計画の5疾病対策、「回復期から慢性期」重要
高齢化に伴う疾病構造の変化重視、予防の視点も

2016年10月7日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は、10月7日の第5回会議で、「5疾病の現状と課題」について議論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 同省は、高齢化の進展による疾病構造の変化などを踏まえ、(1)脳卒中と急性心筋梗塞については、「搬送~急性期」に加えて、「回復期~慢性期」に至る診療体制の充実を図る、(2)糖尿病については、発症予防だけでなく、重症化予防の徹底の視点を盛り込む、(3)精神疾患については障害福祉計画等と整合性を図るとともに、地域移行という視点なども重視する、(4)均てん化を目指してきたがん診療提供体制の整備は、現状の体制を維持、ゲノム医療などの特定分野については集約化――などを提案。各疾患の医療提供体制の在り方は、各種検討会やワーキンググループで別途議論されており、それらの結論を順次医療計画の見直しに反映させる方針。

 さらに各疾病に共通する論点として、健康増進計画など他の計画における疾病予防対策と調和の取れた計画とするほか、医療提供体制における現状把握や課題抽出の際に必要な指標作成に当たってはNDB(ナショナルデータベース)も活用するなどの案も提示した。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏は、人口構成の変化から、今後は、急性期が減り、回復期、慢性期の医療需要が増える状況を踏まえ、「この辺りについて、どう対応していくかが重要課題。特に循環器系疾患における回復期や慢性期の在り方をどう考えるかが、医療計画の根本になるので、力を入れて議論すべき」と指摘した。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、脳血管疾患の人口当たりの死亡率は減少しているのは、第6次医療計画で、「脳梗塞に対するt-PAによる脳血栓溶解療法の実施可能な病院数」が追加された効果もあるとしたものの、要介護に至る原因は脳血管疾患が多いため、今後も対応が必要であるとし、脳血管内治療による血栓除去術など、新しい治療法も計画に盛り込むことを求めた。

 全日本病院協会会長の西澤寛俊氏からは、5疾病についての計画策定、実行に当たっては、都道府県では“縦割り”であり担当部局が異なることから、総合的な議論がなされていないとの指摘も出た。

 2018年度から始まる第7次医療計画では、地域医療構想と在宅医療との関係の整理も、重要課題。「地域医療構想に関するワーキンググループ」と「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」を別途設置し、議論した。その結論も7日の会議で報告され、次回以降、議論を深める(『ICUとCCU「既存病床数」に含めるか否か、結論出ず 』、『第7次医療計画、「在宅医療」の方向性固まる』を参照)。

 対象は「5疾病」、新規に追加せず
 医療計画上、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患の5疾病については、疾病別の医療提供体制についての計画を盛り込むことになっている。第7次医療計画で、5疾病に追加するか否かは、6月の第2回の会議で議論されたものの、引き続き現行のものを充実していく方針で固まっていた(『2次医療圏、「構想区域と一致」が基本』を参照)。

 5疾病のいずれも、高齢化を見据えた対応が必要になっている。例えば、脳血管疾患は、要介護原因の第1位であり、回復期から慢性期の体制が充実であるほか、慢性心不全の約40%は、1年以内に再入院するというデータもあり、「予防」が重要となる。

 厚労省が提示した論点には、あまり異論が出なかったものの、日本病院会副会長の相澤孝夫氏からは、「高齢化の進展による疾病構造の変化は、何が問題となっており、医療計画をどう変えなければいけないのかが、明確ではないまま、“計画ありき”で議論されている。何が問題なのかを明確にして、その問題解決策は何か、医療提供体制が問題なら、どう変えるべきかという視点から議論すべき」との意見も出た。相澤氏はさらに、2次医療圏ごとに人口に相違があることから、一律の考え方を当てはめることには無理があり、医療機関までの時間で区切るのか、あるいは医療の質を考える単位なのかなど、2次医療圏の在り方を検討する必要性も指摘した。



http://mainichi.jp/articles/20161008/ddm/012/040/044000c
癌治療学会
併設イベント 抗議受け2医師不参加

毎日新聞2016年10月8日 東京朝刊

 日本癌治療学会の学術集会に併設される市民向けイベントを巡って、根拠が不十分な治療を実施している医師が参加すると学会員や患者会が抗議していた問題で、指摘された医師2人が出席を取りやめたことが7日分かった。

 イベントは22日に横浜市で開かれる「がん撲滅サミット2016」。当初は「公開セカンドオピニオン チームトップ・ガンに訊(き)け」と題して5人の医師が参加者の相談に答える予定だったが、タイトルが「がん撲滅トークセッションQ&A」と変わった。事務局を代行する会社によると、本部から医師2人の不参加とタイトル変更の指示があったという。会場から相談を受ける形式は変えない。

 2人の医師は有効性や安全性の科学的根拠が確立していない治療を自由診療で提供している。抗議を受け、学会理事長の北川雄光・慶応大教授は、7日までに持ち回りの理事会で対応を決めるとしていた。【高野聡】


  1. 2016/10/08(土) 05:28:31|
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10月5日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49750.html
医師偏在、「強力な対策」の方向性明記- 厚労白書、女性医師離職防止や認知症対策も
2016年10月05日 16時00分 キャリアブレイン

 塩崎恭久厚生労働相は4日の閣議に、2016年度版の厚生労働白書を報告した。「人口高齢化を乗り越える視点」をテーマに掲げ、医師の地域間偏在の解消を図るため、医師の勤務地や診療科に関する規制を含めた「強力な対策」や女性医師の離職防止・復職支援の必要性に加え、認知症対策などの充実に取り組む方針を示している。【新井哉】

■地域間偏在の是正踏まえた検討が必要

 白書では、人口10万人に対する医療施設に従事する都道府県別の医師数(14年)は、埼玉(152.8人)や茨城(169.6人)、千葉(182.9人)などで全国平均(233.6人)を下回っていることを挙げ、「地域によっては、一層の医師の確保を必要とするところもある」と指摘。今後、高齢社会が一層進む中で、人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制を構築するため、地域間偏在の是正などの観点を踏まえた「医療従事者の需給の検討が必要」と説明している。

 具体的な対応として、昨年12月から医師の地域間偏在や需給に関する議論を始めた医療従事者の需給に関する検討会を取り上げ、「医師が勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策を行っていく観点から、さらに強力な偏在対策について年末に向けて議論していく」としている。

 また、女性医師の離職防止・復職支援については、復職から離職防止までをパッケージ化して女性医師支援の取り組みを行う「モデル医療機関」を選定し、普及啓発を図っていることを説明。復職・離職防止と勤務環境の改善対策を併せて実施することで、女性医師が安心して就業の継続や復職ができる環境の整備につなげたい考えだ。

■認知症初期集中支援チームが孤立者支援も

 認知症については、65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備群とされていることを挙げ、かかりつけ医の認知症への対応力を高め、認知症サポート医の支援を受けながら鑑別診断や行動・心理症状(BPSD)への対応を行い、必要に応じて適切な医療機関につなぐことが重要としている。

 認知症に関するコラムも掲載しており、かかりつけ医と連携しながら認知症初期集中支援チームを運営し、認知症が疑われる人を早期に適切な医療や介護につなげている砂川市立病院認知症疾患医療センター(北海道砂川市)などの取り組みを紹介。社会的に孤立しやすい1人暮らしの高齢者については、医療や介護の機関につないだ後も定期的に連絡を取り、課題があればアフターフォローも行っているという。

 うつ病などの気分障害や認知症の増加に伴い、社会的要請が高まっている精神科医療については、身体拘束の判断などを行う資格を持つ精神保健指定医の診療所の開業が増える一方、ニーズが高まっている病院での急性期医療に携わる人材が不足しているといった課題を指摘。現在、精神保健医療福祉の在り方を検討会で議論していることなどを説明している。



http://mainichi.jp/articles/20161005/ddl/k15/010/193000c
かじ取り役への宿題
’16知事選/2 医師不足 地域人材どう確保 /新潟

毎日新聞2016年10月5日 地方版 新潟県

基幹病院で育て配分へ

 平日の昼下がり。魚沼市の市立小出病院の外来患者待合スペースには、診療を待つ患者の姿が朝から途切れることなく続いていた。同病院の外来患者数は1日平均252人。常勤医9人と新潟大から派遣されている医師らで診療に当たっている。夜間、入院患者に対応するのは常勤医4人。何とかやりくりしているのが実情だ。

 糖尿病治療のため月1回通院している市内の男性(76)は「高齢を理由に辞める開業医が増えている中で、この病院だけが頼りだ。医師の数が十分でないと、診療態勢が整わなくなるのではないか」と不安を口にした。

 県内で医師不足が叫ばれて久しいが、改善の兆しは見えてこない。2014年の県内の人口10万人当たりの医師数は200・9人。全国平均(244・9人)を大きく下回り、都道府県別では43位と厳しい状況が続く。

 高齢化が著しい魚沼地域ではさらに深刻だ。人口10万人当たりの医師数は、新潟市や五泉市などの新潟医療圏では264・1人と全国平均を上回っているが、魚沼市や小千谷市などの魚沼医療圏は119人と半分以下。高齢を理由に医師が引退したり、亡くなったりして閉鎖される民間診療所が増え、他の診療所や小出病院が受け皿とならざるを得ない状況だ。残された医師の負担は増しており、小出病院の布施克也院長は「医療の質を維持するという点でも好ましくない」と懸念する。

 県は医師確保策の一環として、08年度以降、新潟大や順天堂大(東京都文京区)と新たな取り組みを始めた。両大は医学部に、卒業後の一定期間、県内で医療従事することを条件に学生を募集する「地域枠」を創設。県も地域枠の学生らを対象に返済を免除する奨学金制度を創設するなど、養成段階からの定着を図っている。さらに12年からは県外の医師らにU・Iターンを積極的に呼びかけ、13年には医師・看護職員確保対策課を設置するなど対策を講じているが、効果はまだ限定的だ。

 そうした中で、魚沼地域の高度・救急医療の拠点になるとともに、地域医療を担う人材育成の拠点としても期待されているのが、昨年6月に開院した「新潟大地域医療教育センター・魚沼基幹病院」(南魚沼市)だ。基幹病院と周辺病院との連携を強化し、急性期など状況に応じて役割を分担。地域を支える仕組みは、高齢化社会の医療モデルとして県外からも注目を集めている。

 基幹病院で研修医をはじめとする人材育成が本格化するのは18年度から。内山聖院長は「流れはできている。今後地域枠の医師も入ってくるので、5年たてば軌道に乗るだろう」と期待を寄せる。

 布施院長は「基幹病院に高度医療と若い医師を集約し、総合診療医として地域に配分しながら地域全体で育てるモデルを作る必要がある」と指摘する。県立病院のネットワークを活用し、医師を派遣する仕組みの構築も有効だという。

 医師・看護職員確保対策課は「打てる手は打っている」とするが、布施院長は「まだまだできることはある」と強調。基幹病院を中心とした地域医療モデルの「新潟ブランド」としての発信や、卒業後に県外に出る医師らの「つなぎ留め」などの必要性を訴えている。【米江貴史】=つづく



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49752.html
オプジーボの薬価、現行ルールで引き下げへ- 厚労省が提案
2016年10月05日 17時00分 キャリアブレイン

 高額ながん治療薬「オプジーボ」(小野薬品工業)による公的医療保険への影響が懸念されている問題で、厚生労働省は5日、中央社会保険医療協議会の薬価専門部会で、年間販売額が予想を大きく上回った場合、薬価が最大半額になる現行のルールで薬価を特例的に引き下げることを提案した。年度内に決定する。【敦賀陽平】

 オプジーボをめぐっては、昨年末に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」が効能・効果に加わったことで、対象となる患者数が470人から数万人に増加。患者数が限定された希少疾患のため、高額な薬価が付いていたが、患者数の急増に伴い、薬剤費も大幅に伸びている。

 小野薬品工業は薬価収載時、ピーク時の売上高を31億円と見込んでいた。しかし、昨年度の売上高は212億円に達し、今年度は1260億円を見込んでいる。年間販売額が予想を大きく上回る場合、通常は2年に1度の薬価改定で見直されるが、オプジーボの適応拡大は昨年末だったため、秋に行う市場調査に間に合わず、今年4月の改定の対象から外れた。

 厚労省はこの日、市場調査が実施された昨年10月から今年3月までの間、効能などが追加された薬のうち、今年度の販売額が1000億円超で、当初の予測より10倍以上となる薬を引き下げの対象とすることを提案。来年度は通常の薬価改定が行われず、市場調査も実施されないため、同省では、予想販売額の提示など企業側に協力を求める方針だ。

■メーカー側の販売額の申告に懸念も
 厚労省の提案に対し、委員から大きな反対意見はなかった。日本医師会の松原謙二副会長は、「後から適切でないと分かれば、修正するのは当たり前だ」とした上で、「今回は特例中の特例として、正しい方向に持っていってほしい」と求めた。

 協会けんぽの吉森俊和理事は、「企業に予想販売額の提示を求める際は、一定の指標をつくるなど、納得感の得られる情報公開にすべきだ」と主張。また、健康保険組合連合会の幸野庄司理事は、「メーカーの自己申告と実績の間に乖離があった場合、何らかの調整が必要ではないか」と問題提起した。

 オプジーボをめぐっては、8月下旬に「根治切除不能または転移性の腎細胞がん」に適応が広がり、現在、他の13種類のがんで治験などが進んでいる。先月末には、競合となるがん治療薬「キイトルーダ」(MSD)が製造販売承認を取得しており、委員からは、今後も同様の事態が起こらないよう、薬価を決めるルールの抜本的な見直しを求める声も上がった。

 同省の担当者は、「2018年度の改定に向け、今後、新たな見直しが必要にならないよう、しっかりと検討していきたい」と話した。

■GLの医療保険上の取り扱いは通知で
 厚労省では現在、高額な薬を適切に使用するためのガイドライン(GL)の策定作業を進めており、今年度はオプジーボと高脂血症治療薬「レパーサ」などが対象となる。この日の部会では、GLの医療保険上の取り扱いについて、厚労省が薬の使用法などの留意点を通知することを提案し、了承された。オプジーボに関しては、年内に最終案を作成する予定。



http://www.sankei.com/politics/news/161005/plt1610050010-n1.html
「オプジーボ」2段階で値下げ 29年度に最大25%
2016.10.5 07:35 産経ニュース

 厚生労働省は4日、優れた治療効果はあるものの、患者1人の薬代が年間約3500万円とされる新型がん治療薬「オプジーボ」の薬価について、平成29、30年度の2段階で値下げする方向で検討に入った。5日開催の中央社会保険医療協議会(中医協)に提案する。

 具体的には、まず29年4月に最大25%の薬価引き下げを想定。さらに30年4月に追加値下げを実施するが、下げ幅は中医協で検討する。

 薬価は国が定め、改定は原則2年に1度で次回は30年度。これまでの中医協の議論では、速やかに特例で改定して値下げを求める意見に対し、製薬業界は29年度の改定に反対を表明していた。

 厚労省は、予想以上に売れた高額新薬を値下げする既存のルールを29年度の特例改定に援用する考えだが、30年度改定までに薬価設定のルールを抜本的に見直す。

 オプジーボは日本発の新薬で26年発売。最初は皮膚がんの一種の悪性黒色腫に保険適用され、対象患者が470人と少ないことから薬価は100ミリグラムで約73万円と高額な設定となった。ところが昨年12月、肺がんにも効能を追加。保険適用の対象が1万5千人に拡大したのに薬価は見直されず、今年度の販売予測が1260億円に膨張。8月には腎臓のがんにも保険適用された。
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http://www.sankei.com/life/news/161005/lif1610050051-n1.html
オプジーボ値下げ 患者増加、類似薬にも影響、異例の措置
2016.10.5 21:21 産経ニュース

 がん治療薬「オプジーボ」の薬価について、厚生労働省は5日、最大25%引き下げることを中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会に提案した。部会では委員から「スピード感をもってやってもらいたい」と引き下げをせかす声も出た。日本発の画期的な新薬として期待されながら薬価引き下げを求める声が上がるのは、オプジーボの適応が今後も広がるとみられることや、オプジーボと同じメカニズムで働く新薬が登場し、高額な薬剤費が保険財政に与える影響がさらに懸念されるためだ。

 オプジーボは体重60キロの肺がんの患者が1年間使うと年3500万円かかる。小野薬品工業は、既に承認されている悪性黒色腫、肺がん、腎がんのほか、ホジキンリンパ腫と頭(とう)頸(けい)部がんについても、国内で承認申請を行っているが、現行制度では適応が拡大されて使用患者が増えても、薬価は改定されない。

 また、日本の薬価制度は既存の薬と似た効果を持つ類似薬の価格を既存薬に合わせるため、オプジーボの薬価は類似薬にも影響する。製薬企業「MSD」(千代田区)は9月28日、オプジーボの類似薬となる悪性黒色腫の新薬「キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)」の製造販売承認を取得したと発表。11月中に薬価が決まるとみられるが、オプジーボの価格はこの際に参考とされる。

 厚労省は「オプジーボの価格が下がれば、類似薬の価格も下がるだろう」としており、今後も登場する可能性がある類似薬の価格を抑えるには、オプジーボの価格を下げることが必要となる。



http://www.asahi.com/articles/ASJB54HNXJB5UTFK007.html
高額がん治療薬オプジーボ、最大25%値下げへ
生田大介
2016年10月5日20時53分 朝日新聞

 高額な新型がん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は薬価を緊急的に最大で25%引き下げる方向で調整に入った。オプジーボの値段は1人あたり年3500万円程度だが、利用者が急増。販売額に応じて薬価を下げる仕組みに基づき、来春までに値下げに踏み切る。

 販売額が想定より大幅に伸びた薬は販売額などに応じて最大25%か50%値下げする仕組みがある。厚労省は5日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の専門部会で、こうした考え方を適用する方針を提案。大きな異論はなかった。オプジーボの今年度の売上高は約1260億円の見込みで、厚労省内では最大25%の値下げ幅を適用する検討を進めている。

 オプジーボは皮膚がんの薬として承認され、年間470人程度の患者が使うと想定されていた。だが、昨年12月に一部の肺がんにも使えるようになり、対象患者が1万人以上に増加。保険が適用されるため、公費や保険料の負担が大きくなっている。薬価の改定は2年ごとで、次回は2018年度の予定だが、それを待たず例外的に値下げする。

 部会では、オプジーボと高脂血症治療薬「レパーサ」の使用対象を限定する方針を大筋で了承。専門性の高い医師がいるといった条件を満たす病院に限って投与を認め、対象を効果が見込める患者などに絞る。(生田大介)



http://getnews.jp/archives/1533125
薬や治療法の本当の実力を知るための指標「NNT」に注目
2016.10.05 16:00 NEWSポストセブン

 その薬を飲むか、その手術を受けるかで、生き方も、そして死に方も大きく変わる。問題は、それを判断する根拠が患者側に与えられていないことにある。自分で納得できる選択をするために、有益なデータがアメリカにあった。

 自分で薬や治療法の「本当の実力」を知るための指標として、注目を集めているのがNNT(Number Needed to Treat)、日本語で「治療必要数」と呼ばれる数値である。神戸学院大学教授の駒村和雄氏(循環器内科医)が解説する。

「NNTは、薬や手術の臨床試験の結果を用いて、“1人の病気の発症や死亡を防ぐのに、何人がその治療を受ける必要があったか”を表わす数字です。つまり、その治療で何人の命が救えたのか──その実数がわかる重要な指標です」

 2010年、米国の「根拠に基づく救急医療」を推進する医師グループにより設立されたインターネットサイト「the NNT」には、多くの治療法のNNTが公表され、世界中の医療関係者が閲覧している。そして同サイトには「逆」の数値も示されている。その治療法で「何人1人の割合で副作用が出るか」を表わすNNH(有害必要数: Number Needed to Harm)である。

 今回、本誌は医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力のもと、「the NNT」に加え、国際論文データベース「NCBI Pubmed」から、NNTが記載されている論文を抽出して分析した。がんに関する「命が助かる確率」を公開する(以下、NNTは「○」、NNHは「×」として表記)。

【手術可能な胃がんにおける放射線治療】
 ○ 5年間で17人に1人は5年間の生存が確保。
 × 副作用として、大半の患者に白血球の減少が起こり、半数近くの患者に下痢など胃腸への副作用が起きる

 数値の算定法は、薬であれば被験者となる患者を「実薬を飲むグループ」と「偽薬を飲むグループ」に分けて比較検証される。

 例えば、それぞれのグループ100人を5年間追跡し、偽薬群では15人が死亡したのに対し、実薬群では死亡が5人に減ったとする。この場合、薬を服用することで10分の1(100人中10人)が死を回避したことになる。残りの10分の9は、「薬を飲んでも飲まなくても結果は変わらなかった」ことを意味する(「薬の効き目がなかった」という意味ではない)。

 手術や健診の場合も同様に、被験者を手術群と非手術群(薬による治療)、検診群と非検診群とに分けて比較検証し、数値を導き出す。室井氏が解説する。

「NNTは数値が小さいほど効果が大きいとみなされます。20台以下(20人に1人以上)なら、現在、医療分野で評価されている治療法の効果を考えると、有効であると考えられます。

 問題はNNTによる利益とNNHによる副作用をどう天秤に掛けるかです。胃がんの放射線治療でいえば、患者が白血球減少の副作用リスクを重いと考えるかどうかですが、私の考えでは、生存効果の高さをメリットとみなして推奨される治療法だと思います」

【肺がん治療で使用される抗がん剤「ベバシズマブ(商品名アバスチン)」】
 ○ 1年間で30人に1人が死亡を避けられる。6か月で6人に1人が死亡を回避できる。
 × 66人に1人が血小板減少症になり、47人に1人がタンパク尿を発症。15人に1人が高血圧になる。

 アバスチンは、昨年の売り上げが1000億円を超えた国内シェア1位の抗がん剤だ。

「死亡を先延ばしできる期間が短い割に、デメリットが多いといえます。特に、すでに受けている化学療法に追加する形で行なうと副作用の発症が多数報告される傾向にあり、治療を受けるかどうかは慎重な判断が求められます」(室井氏)

 アバスチンは大腸がんの治療でも用いられる。こちらは12人に1人は生存期間が延び、16人に1人が高血圧を起こすと報告されており、数値のうえでは胃がん治療よりメリットが期待できる結果といえる。

 NNTの数字はあくまで統計上の数値であり、絶対的なものではない。NNTの被験者に対する追跡期間の多くは5~8年程度で、ある一定期間の観察から導き出された数字だ。その後も追跡調査を継続すれば、数値が変動する可能性はある。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49736.html?src=topnewslink
日本でも薬用せっけん規制へ- 【あなたの健康百科】
2016年10月05日 15時00分 キャリアブレイン

 最近、米国でトリクロサンなど19種類の殺菌作用を有する成分が含まれる薬用せっけんの販売が禁止されることになったことを受け、日本でも同成分を含む製品が規制されることになった。厚生労働省は9月30日、米国で禁止されることになった19成分が含まれる薬用せっけんについて、これらを製造・販売する企業に対して1年以内に代替製品への切り替えることを求めると発表した。既に業界団体が会員の企業にこれらの成分を含有しない製品に切り替えるよう要請していたが、国としてもこの取り組みを促すとしている。

約800品目が承認、健康被害の報告なし

 19種類の成分(表)は殺菌作用があるとされ、固形せっけんや液体ハンドソープ、歯磨き粉などに使用されている。しかし、長期間の使用による抗菌薬耐性菌の発生や甲状腺および生殖ホルモンへの悪影響が指摘されていたことを受け、FDAが調査を実施。収集したデータを検証した結果、通常のせっけんによる手洗いと比べて感染症の予防に優れるとの科学的根拠はないことが分かったとして、1年以内に米国内での同成分が含まれる製品の販売は中止するか、同成分が含まれない製品に切り替えることを求める声明を9月2日に発表した。
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 これを受け、薬用せっけんなどを製造販売する企業の業界団体である日本化粧工業連合会と日本石鹸洗剤工業界は、同成分を含有しない製品への切り替えに取り組むよう会員企業に要請していた。厚生労働省は、この取り組みを促すために、製造販売企業に対して流通する製品の把握と、製品を1年以内に代替製品に切り替えるための承認申請を求めるとしている。

 なお、日本国内で承認された同成分を含有する薬用せっけんは、現在流通していない製品も含めて約800品目に上るが、これらの製品に関連した健康被害は報告されていないという。

(「あなたの健康百科」2016年10月5日配信)



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1005/mai_161005_2863196211.html
<滋賀県立大>患者役はスタントマン…看護演習で効果
毎日新聞10月5日(水)13時30分

 ◇転倒やまひ、リアル

 滋賀県立大人間看護学部(滋賀県彦根市)で、スタントマンを使った医療事故演習が効果を上げている。患者の体を支える作業を、時には実際に転倒させながら、できるだけリアルに体験させるのが狙い。きっかけは、交通安全教室のニュースで見た「はねられ役」スタントマンの演技だった。手心を加えないリアルな演習に学生たちから「こんなに人の体が重いとは思わなかった」との声が上がっている。注意力の向上が確認されており、同大は手応えを感じている。

 事故寸前の「ヒヤリハット」事案は、患者を移動させる時に最も多いことが知られている。ところが、従来の演習では学生が患者役となるため、体重が軽かったり、転倒を恐れて遠慮がちになったりと、実践的な体験ができないことが課題になっていた。実践的な方法を探していた約2年前、米田照美助教(基礎看護学)が、スタントマンを使って交通事故を再現するニュースをテレビで見た。「この人たちなら転倒しても大丈夫。演習に活用できるかもしれない」とひらめいた。アクション系芸能事務所「倉田プロモーション」(東京都)に相談し、昨年度から“出演”してもらっている。

 今年5月の演習は、4年生64人が受講。患者役のスタントマンがベッドから激しく転落する「演技」を披露すると、学生らは「ワーッ」と驚きの声を上げた。右半身まひのある患者をベッドから車いすに移動させる演習に全員で取り組むと、あまりの重さに悪戦苦闘。成功したのは1割ほどだった。

 金子萌さん(22)は、なんとか持ち上げたものの、そのまま動かせなくなり、バランスを崩して患者役の上にかぶさる形で派手に転倒した。「スタントマンさんに『大丈夫か?』と言われてしまいました。あまりに重くて……。練習が大切だと実感しました」と振り返った。

 演習の効果は徐々に出ている。脱げたスリッパなどの障害物、床の水、車いすのストッパーなど、注意が必要な8点のうち何点に気づいたかを演習前後に自己評価させたところ、約4点から約6点に上昇した。危険の予測、認知、対応力が高まっているという。米田助教は「臨床に少しでも近い状況で演習させることで怖い感覚を体験させ、慎重さを身につけさせたい」と話している。【福田隆】



https://www.m3.com/news/iryoishin/465053
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
財政審、薬価の期中改定や高齢者の負担増を求める
「スモールリスクは自助努力の余地を拡大」

2016年10月5日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は10月4日、2017年度予算編成への建議に盛り込む社会保障分野の「改革の方向性」を大筋で合意した。医療分野では高額薬剤の速やかな薬価改定やかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担、「高額療養費制度」の高齢者優遇措置の見直しなどを求めた(資料は、財務省のホームページ)。改革項目の多くは、中央社会保険医療協議会や社会保障審議会で既に議論が始まっている内容だ。

 政府は社会保障費の自然増分を2016年度からの3年間で1兆5000億円(年5000億円)程度に抑える方針で、2017年度予算でも、厚生労働省の概算要求での6400億円から1400億円の削減を目指している。分科会後に会見した審議会長の吉川洋氏(立正大学経済学部教授)は「ビックリスクは共助で支える、スモールリスクはある程度以上の経済力を持つ人の自助努力の余地を広げるべきというのが財政審の基本的な考え方」と説明。スモールリスクの例示として風邪や軽度者向けの介護サービスを挙げた。

 中医協で議論が進む高額薬剤の薬価の見直し については、改革案の中で「2016年4月の薬価改定に対応が間に合わなかった高額薬剤について速やかに適正水準まで薬価改定を行うとともに、適正な使用に係るガイドラインの遵守を保険償還の条件とすべき」と要望した(『『オプジーボ、「緊急的な対応」で薬価引き下げか』などを参照)。日本医師会は、期中改定では診療報酬本体(技術料)へ財源の付け替えができないとして反対の姿勢を示している(『「医科技術料の割合、減少傾向」日医が医療費分析』を参照)。財務省高官は「『改定』という表現を使うかどうかは別だが、遅くても2017年4月に引き下げをしない理由がない」と話している。

 かかりつけ医の普及については、「かかりつけ医の普及や外来の機能分化は十分に進展していない。諸外国と比較して、我が国の外来受診頻度は高く、多くは少額受診。限られた医療資源の中で医療保険制度を維持していく観点からも、比較的軽微な受診について一定の追加負担は必要なのではないか」と提案した。

「かかりつけ医のイメージ」は下記のように記載。
◆他の医療機関を含めた受診状況等の把握、必要に応じた専門医療機関の紹介・連携、継続的かつ全人的な医療の提供(1)など、一定の要件を満たす診療所等(2)について、患者が「かかりつけ医」として指定(保険者に登録)。

 (1)については、総合診療医の養成・定着が進むまでの経過措置として、耳鼻科や眼科など特定の診療科については、あらかじめ「かかりつけ医」と相談の上、指定する他の医療機関での診療を可能とする(定額負担も免除)。 (2)では、特定疾病の有無・年齢要件は問わず、24時間対応等も求めないなど、診療報酬で評価される地域包括診療料等とは異なり、「かかりつけ医の要件は緩やかに設定」と提案している。

 かかりつけ以外を受診した場合の定額負担に金額についても、他の診療所を受診した場合は低額、病院はより高額で、規模に応じて金額を増やすことを求めている。

 「生活習慣病治療薬等の処方のあり方」では、「基本的には個々の患者ごとに医師が判断すべきものであるが、例えば、高血圧薬については、我が国では高価なARB系が多く処方されている」という一文を書き添えた上で、高血圧薬の価格表を提示。「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」と求めた。

 吉川氏は委員からの意見として「かかりつけ医制度の定着には質の向上が望まれ、そのためには健全な競争が必要。自由に選択する権利を担保する必要がある」「かかりつけ医を持たない場合はフランスのように自己負担割合を3割から4割に増やすなどの方法も考えられる」「国民全体で健康を保つためには、スポーツ医学も有効である。オリンピック選手 は、ドーピングの関係もあり薬を使わず健康を維持している。スポーツ医学の医師は3万人ぐらいいるので、こうした方にも地域医療に貢献していただくのがいいのでは」などと紹介した。

2017年度予算編成への建議に盛り込む医療分野の主な改革の方向性(案)
■ かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入
「かかりつけ医」を普及させつつ、外来の機能分化を進めていくため、一定の要件を満たす「かかりつけ医」以外を受診した場合の受診時定額負担(診療所は低額とし、病院は規模に応じてより高額を設定)を導入すべき。

■ 高額薬剤の薬価等のあり方(当面の対応)
4月の薬価改定に対応が間に合わなかった高額薬剤について速やかに適正水準まで薬価改定を行うとともに、適正な使用に係るガイドラインの遵守を保険償還の条件とすべき。

■ 高額薬剤の薬価等のあり方(費用対効果評価の導入等)
高額薬剤の創出や大幅な適応拡大など昨今の状況に対応するため、(1) 保険償還の対象とすることの可否の判断、保険償還額の決定及び薬価改定に際して、費用対効果評価を本格的に導入するとともに、(2)適応拡大等による大幅な医療費増加に適切に対応できるよう、薬価制度の見直しを速やかに検討すべき。

■ 生活習慣病治療薬等の処方のあり方
薬剤の適正使用の推進の観点から、生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき。

■ スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率のあり方
例えば第2類・第3類となっているものなど、長らく市販品として定着しているOTC医薬品に類似する医療用医薬品は、(1)保険給付の対象から外すこととするか、(2)保険給付として残すのであれば、OTC医薬品を購入した場合との負担のバランスの観点から、一定の追加的な自己負担を求めることとすべき。あわせて、医療用医薬品のうち安全性など一定の要件を満たすものは自動的に市販品として販売可能となるよう、スイッチOTC化のルールを明確化すべき。

■ 入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し
入院時生活療養費について、在宅療養等との公平性を確保する観点から、難病患者・小児慢性特定疾患患者等を除く全ての病床について、居住費(光熱水費相当)の負担を求めていくべき。

■ 高額療養費の見直し (負担限度額)
高齢者の高額療養費について、速やかに、外来特例を廃止するとともに、自己負担上限について、所得区分に応じて、現役と同水準とすべき。

■ 高額療養費の見直し (所得基準)
「現役並み所得」の判定方法について、現役世代との公平性の観点から、収入の多寡を適切に反映する仕組みとなるよう、速やかに見直すべき。

■ 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(低所得者)
制度本来の趣旨を踏まえ、均等割の軽減特例については、速やかに本則の水準に戻すべき。また、所得割の軽減特例については、速やかに廃止すべき。

■ 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し(元被扶養者)
後期高齢者の保険料軽減特例(元被扶養者)については、負担の公平性を著しく損ねていることから、速やかに廃止すべき。

■ 金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大
まずは、現行制度の下での取組として、入院時生活療養費等の負担能力の判定に際しても、補足給付と同様の仕組みを適用すべき。さらに、医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、マイナンバーを活用して、所得のみならず、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定するための具体的な制度設計について検討を進めていくべき。



https://www.m3.com/news/general/465131
広がる薬剤師の代行回答 - プロトコルで疑義照会対応
2016年10月5日 (水) 薬事日報

医師と協働、負担軽減に

 病院内の医師と事前に協議して作成したプロトコルに基づき、院外の保険薬局からの疑義照会について、薬剤部が医師に代わって回答する運用が広がってきている。処方日数の変更や規格変更、成分名が同一の銘柄変更など概ね共通する疑義内容について、薬剤部が医師に代わって保険薬局に直接回答することで、医師の負担軽減や薬剤師業務の効率化につながったとの報告が増えてきた。一部の疑義照会項目の薬剤師による代行回答をめぐっては賛否あるものの、プロトコルに基づく運用は大学病院から地域の基幹病院まで確実に広がってきており、今後も医師の負担軽減、薬剤師の業務効率化に向けたPBPMの取り組みに弾みがつきそうだ。

 東邦大学医療センター大森病院では、2010年から一包化の依頼について医師への疑義照会を不要としてきたが、昨年10月からは、成分名が同一の銘柄変更、貼付剤・軟膏の包装・規格変更など7項目の疑義照会に関して、薬剤師が代行回答する取り組みを開始している。

 昨年10月から今年3月までの疑義照会5440件、16年度改定のあった4月の疑義照会1033件を対象に、薬剤師による代行回答の評価を行った結果、薬剤師が判断して代行回答した疑義は1221件(18.9%)と約2割だった。内訳を見ると、一包化の依頼が555件(45.5%)と半数近くを占め、次いで別規格製剤がある場合の調整規格の変更が226件(18.5%)となっている。

 同院では、16年度改定の影響により、残薬確認に伴う疑義が増えていたが、患者の服薬アドヒアランスを医師が確認する必要性から、薬剤師の判断で代行回答を行っていない。ただ、医師の負担軽減のため、さらに対象項目の拡大を検討していく必要性があるとしている。

 国立病院機構宇都宮病院でも、昨年3月から院外の保険薬局からの疑義照会について共通プロトコルを作成し、処方日数、規格変更、残薬、一包化、外用薬の混合など6項目は、薬剤師が代行回答する運用を開始している。今年1月から3月までに問い合わせのあった疑義照会307件のうち114件(37.1%)と約4割近くを薬剤部が回答しており、疑義内容の内訳は処方日数が最も多く、次いで残薬調整、規格変更だった。共通プロトコルを導入することで、医師への疑義照会件数は1カ月で約58件減少しており、医師の負担軽減と共に、薬剤師業務の効率化につながっている成果が見られている。

 長野県立須坂病院では、今年6月から院内で承認されたプロトコルに基づき、院外の保険薬局から問い合わせのあった疑義照会のうち、一包化、粉砕などの典型的な項目については、薬剤師が代行回答する運用を開始。既に昨年12月から、保険薬局向けに患者の服薬状況などを薬剤科にFAXで情報提供するトレーシングレポートの活用を始めていたが、さらに一部の疑義照会項目について、保険薬局からの問い合わせを薬剤部で代行回答する取り組みを開始している。

 これにより、疑義照会時間が有意に短縮される効果が見られており、今後は問い合わせの多い残薬調整における処方日数調整のプロトコル作成に取り組んでいく予定という。

 総合相模更正病院は、昨年10月からプロトコルに基づき、院外薬局からの疑義照会について薬剤部で一部の項目を代行回答する運用を開始している。プロトコルの有効性を今年6月までに応需した保険薬局からの疑義照会によって検証した結果、今年6月までの疑義照会2427件のうち、薬剤部で代行回答したのは1370件と全体の56%に上っていた。

 さらに、東京医科歯科大学医学部附属病院でも、院外の保険薬局からの疑義照会に対応するためのプロトコル作成を試みており、規格・剤形の変更、一包化、処方箋の期限延長などの内容は、保険薬局から問い合わせがあった場合、薬剤部で代行回答を可能と結論づけた。調査期間となった今年3月から5月までの3カ月間において、薬剤師の判断で回答した疑義照会の割合は45%となり、今後、同院では作成したプロトコル案の実施を薬剤部から提案する予定という。



https://www.m3.com/news/general/465130
薬剤漏出、副作用が半数以上 - 抗癌剤の医療事故で報告書 日本医療機能評価機構
2016年10月5日 (水) 薬事日報

 日本医療機能評価機構は、抗癌剤に関連した医療事故を調査した報告書をまとめた。過去6年間の医療事故計250件のうち、「薬剤の血管外漏出・血管炎」や「投与中の状態の悪化(副作用等)」の事例報告が半数以上を占めた。また、ヒヤリハット事例は374件で、「薬剤の血管外漏出・血管炎」や「支持療法の間違い」が多いことが分かった。

 同機構は、抗癌剤が取り扱いに注意が必要なことや患者への影響が大きいことなどから、関連した医療事故が多く報告されているとし、医療事故については2010年1月~16年6月まで、ヒヤリハット事例については1~6月までの事例を対象に発生状況などを調査した。

 過去6年間の医療事故は250件で、そのうち「薬剤の血管外漏出・血管炎」が73件と最も多く、次いで「投与中の状態の悪化(副作用等)」が53件、「薬剤量の間違い(過剰)」が37件だった。発生時で見ると、「実施に伴う確認・観察」が135件、「処方」が48件、「実施」が33件の順となった。

 また、投与する抗癌剤の種類や量・期間・手順などを時系列で示した計画であるレジメンに関する事例は5件で、「薬剤量の間違い(過剰)」が3件、「投与日・日数の間違い」が2件だった。

 ヒヤリハット事例は374件で、そのうち「薬剤の血管外漏出・血管炎」が78件と最も多く、「支持療法の間違い」の50件、「無投与」の37件が続いた。発生時では、「実施」が155件で最も多く、「実施に伴う確認・観察」が104件、「処方」が35件だった。

 レジメンに関する事例は、電子カルテへの登録が投与当日にも完了しておらず、投与開始が遅れたという「その他」が1件だった。

 同機構では、抗癌剤に関する事例を継続的に収集し、医療安全情報などで注意喚起を行ってきた。今後も2回の報告書にわたって事故の背景などの分析を進めていく。



http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49873
ついに40兆円を突破!医療費増大というニッポンの大問題
8年連続過去最高を更新…

磯山 友幸 経済ジャーナリスト
2016.10.05  現代ビジネス-

企業の懐も直撃

医療費の増加が止まらない。厚生労働省の9月28日の発表によると、2014年度に国民が医療機関で治療を受けるのにかかった「国民医療費」の総額は40兆8071億円と前年度に比べて7461億円、率にして1.9%増えて、8年連続で過去最高となった。

医療費は健康保険などの保険料で48.7%、患者などの負担で12.5%が支払われているが、全体の33.8%に当たる15兆8500億円は国と地方の「公費」で賄われている。しかも公費負担は2014年度で国と地方を合わせて7461億円も増加しており、財政を圧迫する大きな要因になっている。

厚労省は「医療費適正化計画」などを打ち出し、医療費の抑制に努めているが、2015年度も概算をベースにした試算では42兆円を超える見通しで、医療費増加に歯止めがかかる気配はない。

医療費の増加が続いている背景には高齢化の進展がある。65歳未満の人が使った医療費は1人当たり17万9600円だったのに対し、70歳以上では1人当たり81万6800円と4.5倍もの開きがある。さらに70歳以上は1人当たりの金額は前年度に比べて0.1%の増加にとどまっているものの、人数の増加によって70歳以上の人が使った国民医療費の総額は2.9%も増加した。

薬局調剤医療費も65歳未満の総額は0.6%の増加にとどまったにもかかわらず、70歳以上では3.4%と大幅な増加になっている。これも1人あたりの増加よりも対象年齢層の増加の影響が大きい。今後も高齢者人口の増加は続く見通しで、医療費圧縮のメドが立たない大きな要因になっている。

医療費の増加は、公費負担として国や地方の財政にだけ影響を与えているわけではない。個人や企業の懐も直撃している。

医療費の財源のうち半分近い48.7%は医療保険や健康保険の負担だ。企業などが持つ健康保険組合の財政が悪化すれば、その穴埋めは企業(事業主)や社員である保険契約者(被保険者)が行うことになる。企業が供出金を増やしたり、保険契約者の保険料が引き上げられることになる。

そうでなくても足下の消費は低迷しているが、保険料負担が増えれば家計の可処分所得は圧迫される。医療費増加のツケは国だけでなく企業や家計にも及んでいる。

厚労省の資料によると、2014年度の国民所得(364兆円)に占める国民医療費の割合は11.20%。25年前の1989年度には6.15%だったので、5%ポイントも負担が増えたことになる。1998年度から2007年度は8%台で推移したが、2009年度には10%台に乗せ、2011年度以降は11%台が定着している。しかも毎年比率は上昇しているのだ。

年間3500万円の薬が月額8000円?

厚労省は高齢者の入院期間を短縮させることなどで、高齢者医療費の圧縮を進めてきた。1人当たり医療費の抑制にはつながったものの、それでも医療の高度化に伴って医療費単価は上昇。高齢者の1人当たり医療費をマイナスにすることには成功していない。

最近、注目されているのが地域ごとの1人当たり医療費に大きな格差があること。最も高いのが高知県で42万1700円、次いで長崎県がが39万6600円、鹿児島県が39万600円だ。一方で、最も低いのは埼玉県の27万8100円で、これに千葉県の27万9700円、神奈川県の28万5700円と続く。

この格差を縮めることによって全体の医療費を引き下げようという動きもあるが、もちろん、高齢者の比率が高い県ほど1人当たり医療費が高くなるわけで、そう簡単ではない。

最近では、高額な薬剤の使用増による医療費高騰も問題になっている。厚労省が9月中旬にまとめた2015年度の概算医療費では、調剤費が9.4%の伸びと、大きく増えた。その要因を厚労省は高額の薬剤を使用するケースが増えたためと分析している。

10月4日に開いた財政制度等審議会の分科会では、この高額薬剤問題が議論になった。中でも焦点になったのは、肺がんなどの治療に使われる「オプジーボ」という薬で、薬価を決めた段階での想定患者数を大幅に上回る利用があったことから調剤費の増加に結び付いたとされる。

オプジーボは、体重60キロの人で年間3500万円かかるとされる薬剤だが、自己負担に上限がある今の制度では70歳以上の低所得世帯ならば月額8000円で済む。その差額は保険料や公費負担で賄うことになるため、財政審で緊急に協議されることになったわけだ。

通常は薬価改定は2年に1度で、次回は2018年の春の予定だが、財務省は臨時で薬価の価格引き下げを求める方針という。他にも高額の薬剤があり、厚労省内には薬価基準の見直しを2年に1度から毎年にすべきだといった意見があるものの、医薬品業界の反対は根強く、簡単には解決しそうにない。

厚労省が始めた「かかりつけ薬局」制度の定着などで、処方されても飲まずに無駄になっている薬剤や、重複処方の昨年に取り組む。

服薬指導を徹底し、病気の重症化を防ぐことで、結果的に医療費の高額化を抑えるなどの取り組みも始まっているが、成果が出るには時間がかかりそうで、医療費の劇的な削減にはつながりそうにない。高齢化がさらに進む中で、増え続ける医療費の圧縮は一段と大きな課題になっている。



http://medg.jp/mt/?p=7045
Vol.220 「20世紀初頭におけるアメリカ医学教育発展の歴史」
医療ガバナンス学会 (2016年10月5日 06:00)
三浦 基

2016年10月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 自分は、進路についての選択を強いられた時に、アメリカの医学部の、四年間教養科目を学び、それから大学院教育として医学を学ぶ、教育システムを知り、興味を持った。そこで、なぜこのような仕組みなったか経緯を調べてみたくなった。
 拙文、ハフィントンポスト「医学の歴史」から引用すれば、(http://www.huffingtonpost.jp/motoi-miura/america_history_b_11422252.html)アメリカは、植民当初、医学校など皆無で、時間を重ねるごとに、キリスト教の聖職者などを中心にして医学校の創設が始まり、合わせて病院も建設された。また、南北戦争は医療技術の発展に拍車をかけるターニングポイントとなった。
 そして、20世紀の初頭に、「フレクスナーレポート」という、アブラハム・フレクスナーが行なった、全国的な医学部の教育の質に関する調査によって、教育水準が上がったという報告が存在する。それに対して、フレクスナーレポートは別の意図があったのではないかという主張も存在する。以下で後者の主張を具体的に考察する。
 フレクスナーレポート発行以前の初期の頃は、患者の希望に合わせて患者が最適な治療を選択していた。この状況は、鈴木七美著「出産の歴史人類学」の中で垣間見ることができる。同書によれば、フレクスナーレポート発行以前は、出産の際には、産科の医師を呼ぶか、助産師に立ち会ってもらうかが選択できたそうだ。

 しかし、次第に、医師のライセンス制への移行の機運や、医師会を通じて医療行為に対する価格が決定されるべきであるという機運が高まった。
 ところで、かの有名なロックフェラー財閥傘下のスタンダードオイルは、19世紀の後半から石油市場におけるその独占的地位に陰りが見え始めていた。というのは、その頃、再三再四、あらゆる市場において市場独占が問題視され、独占的機構を抑制する方向に持っていかれたのである。例えば、1890年のトラストを規制するシェーン法の制定がその最たる例である。
 この状況下で、スタンダードオイルも他の企業のように、1910年に連邦最高裁の判決によって、33の独立した企業に解体された。
そこで、ロックフェラー財団は医療の世界へ目を向けるのである。ロックフェラー財団は、一部の医学校が多額の授業料から得られる利益ばかりに目が行き、教育水準が低いという状況に目を付けた。そして、医学部の水準を上げるという名目で、カーネギー財団がフレクスナーに命じて国内の医学校の教育水準を示すフレクスナーレポートを発行した。

 また、カーネギー財団の理事長であるフレデリック=ゲイツと、ロックフェラー医学研究所の所長であるフレクスナーは兄弟であった。
 フレクスナーレポ―トの簡単な中身は以下である。医師は高度な大学院教育によってのみ養成されるべきで、科学に基づいて、石油に含まれる成分を分離させて取り出して製造した薬を用いて治療をする医学を教える学校のみ医科大学として認定するというものだった。また、同レポートは、石油から作られるコールタールによる治療も推奨した。しかし、このコールタールは発がん性の物質を含む大変危険なものであった。
 そして、フレクスナーレポート発行以後、基準を満たさない学校は廃校に追いやられた。1910年に155校あった医学校は、1920年には85校に減った。廃校に追いやられた学校のほとんどが、薬の投与によって病気を治すのではなく、カウンセリングなどによって治す代替治療を行う学校だった。

 以下で、フレクスナーレポートが各分野に対して与えた影響を述べたいと思う。一般財団法人日本ホメオパシー財団日本ホメオパシー医学協会の平成22年8月5日のホメオパシー新聞によれば、まず、科学的な薬による治療のみが医療であると認定されたことで、1900年に22校あったホメオパシーを教える医学校は1923年には2校に減少した。また、100以上あったホメオパシーを施す病院は同レポートを機に消滅した。加えて、1000を超す、ホメオパシー用の薬を販売する薬局も同様に衰退の一途をたどった。
 これらの事実は、科学的治療を施す医師達、つまりAMAが完全にアメリカ国内の医学を牛耳ったことを間接的に表す。
 また、前述の鈴木七美氏の著書によれば、産科における状況も変わる。AMAのキャンペーンによって、民間の助産師が一掃されて、妊婦は高額な費用を支払って産科医の立ち合いの下で出産を行う以外に選択肢がなくなり、患者が自由に治療を選択できなくなった。
 ロックフェラー財閥はどうであろうか。アメリカの経済誌Barron’sの1922年10月16日付の物に、1911年に解体されたスタンダードトラストの、解体後の系列会社4社(Standard oil of New Jersey, Standard Oil of New York, Standard Oil of Indiana, Standard Oil of California)の配当に回すことが可能な純利益が掲載してある。

 以下で、1913年から1918年までの各年の4社の純利益の合計を示す。1913年以下で、1913年から1918年までの各年の4社の純利益の合計を示す。1913年は、95978509ドル、1914年は、55842815ドル、1915年は、101964228ドル、1916年は149078134ドル、1917年は、156875179ドル、1918年は、124777997ドルである。多少の上下はあるものの、総じて純利益は上昇している。
 更に、ロックフェラー財団は、いわば自分たちの息がかかった研究機関が開発した製薬のプロモーションも行っていた。Walter Sneader著「Drug Discovery; A History」によれば、トリパルサミドという薬はロックフェラー財団が特許を有していたが、無償で製薬メーカーに製造できる権利を与えていたそうだ。

 また、崎谷博征著「医療ビジネスの闇」によると、後述の鎮痛剤、アスピリンはロックフェラー一族のメディアコントロールによって使用が促進されたそうである。ここで、注意したいのが石油の主要な成分は、ベンゼン、トルエン、キシレンの三つで、このうちのベンゼンからフェノールが合成され、フェノールからアスピリンの成分である、アセチルサリチル酸が合成されることである。
 もちろん、ロックフェラー一族のやり方に反対する者もいた。例えば、1910年にロックフェラー財団が連邦政府に対して、設立許可の申請を申し出た時のことである。
 連邦議会は、ロックフェラー財団はスタンダードオイルが富を保全する仕組みであるという忠告を当時の大統領であるタフトに行っている。結局、ロックフェラー財団は連邦政府に許可されることなく、その後ニューヨーク州議会で許可された。
 加えて、科学的な医学は対症療法を採用しており、製薬の投与によって即刻、症状が治まった。

 19世紀中期からの景気の拡大で、貧富の格差は拡大し、資本家たちは利潤を追い求めた。そして、その資本家にとっても、科学的療法は都合が良かった。
 余談だが、資本家が利益を求める反動から、しばしば資本家と労働者は対立した。例えば、ロックフェラー一族が所有するコロラド燃料株式会社では、格差に対する不満から9000人以上の労働者がストライキを起こした。それに対して、ロックフェラー一族は鎮圧部隊を送り込み、労働者やその家族30人以上を虐殺した。

 話をもとに戻すと、資本家達は利潤の追求をする中で、労働力の質の維持が重要になり、そのためには科学的な医学の存在を不可欠であるとみなしていた。結果、資本家たちは、フレクスナーレポートからの一連の騒動に賛成した。
また、前述の症状を即刻治める薬の代表格は、前述のアスピリンであった。同薬は、1897年にドイツのバイエル社の研究員であるホフマンによって開発された史上初の鎮痛剤である。第一次大戦後、商標を自由に使用することが認められて各国こぞって製造、使用した。ちなみに、アメリカでは、アスピリンの消費が増加した1920~1930年を「アスピリンエイジ」と呼んだ。
 以上で見てきたように、フレクスナーレポートは医学部教育の質の向上の他にも、様々な意図が含まれているということが見て取れた。個人的な意見としては、患者の中心ではなく、資本家や医師会の利益になるよう様々な方針が決定されていることに驚きを感じた。
 この、資本家や医師会が主役の、医学部教育も含めた広義の、「医療に関する活動」が時代を経て、どのように変化するか気になったので是非調べてみたい。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49756.html
新専門医制度、整備指針見直しへ- 研修受け入れ施設、来年春の公表目指す
2016年10月05日 23時00分 キャリアブレイン

 日本専門医機構の吉村博邦理事長は5日、理事会後に記者会見し、新専門医制度の「整備指針」の見直しに着手することを明らかにした。作業部会で来月中旬までに見直し案をまとめる。会見で山下英俊副理事長は、専門医を目指す医師を2018年度から受け入れる研修施設を来年春までに決め、公表したいとの考えを示した。【佐藤貴彦】

 整備指針は、新制度で専門医を養成する研修施設の基準などを示すもの。従来の制度では、学会がそれぞれ基準を設けて専門医を養成してきたが、新制度では同機構が第三者機関として統一の基準を示すことで、専門医の質の担保を図る。

 同機構は当初、来年度から統一の基準で養成をスタートさせる予定だったが、基準が厳し過ぎ、研修施設が都市部の大病院などに偏るといった懸念が医療界から示されたため、新制度の再設計を進めている。

 同日の理事会では、基準に基づいた研修施設の募集と一次審査を各学会に任せ、機構は二次審査を担当するといった制度の枠組みが了承された。会見で山下副理事長は、18年度から新制度をスタートさせるためには、年内に大まかな基準を定め、来年の早い時期に、各学会が研修施設を募集できるようにする必要があると指摘。「(来年の)春くらいまでに(研修施設を)準備できれば」と述べた。

 同機構が18年度からの養成開始を目指しているのは、内科や外科など19の基本的な診療領域の専門医。このうち総合診療領域については、委員会を立ち上げて、専門医の在り方などを検討することになっている。会見で吉村理事長は、同日の理事会で、委員の人選の案が了承されたことを明らかにし、検討作業を急ピッチで進める方針を示した。

 同機構はこの日、「専門医研修プログラムと地域医療にかかわる新たな検討委員会」の会合も開き、来年度からの専門医研修に新しい研修プログラムを導入する診療領域の関係学会からヒアリングを行った。

 新プログラムを導入するのは整形外科など6つの領域。吉村理事長は会見で、各領域の関係学会が、新プログラムの導入に合わせて、医師偏在といった地域医療への悪影響を防ぐ施策を十分に講じていることが確認できたと説明。今後、各領域の従来の研修施設と、来年度から研修を行う施設のリストをまとめ、各都道府県に情報提供するという。



https://www.m3.com/news/general/465135
エチゾラムとゾピクロンは30日を上限
2016年10月5日 (水) 薬局新聞

エチゾラムとゾピクロンは30日を上限 中医協 医療側等のニーズを踏まえ

 中央社会保険医療協議会は総会を開催し、新たに向精神薬に指定された内服薬2成分の投薬期間の上限を30日とすることを了承した。

 現在、向精神薬である内服薬については、投薬期間の上限が14日、30日、90日に規定されている。今回審議された「エチゾラム(商品名デパス)」及び「ゾピクロン(商品名アモバン)」の2物質に関して、医療現場での使用実態調査で30日以内の投薬が主流となっているほか、精神医療団体や製薬企業側から「現場に混乱をきたさないためにも上限を30日とすること」などが要望されていた。

 総会ではこれらの要素と治療における円滑な使用状況などを鑑みて、投薬期間の上限を30日とすることを承認した。



https://www.m3.com/news/general/465083?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161005&dcf_doctor=true&mc.l=181816932&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
町立病院職員、二審も有罪 北海道・美瑛の談合事件
2016年10月5日 (水) 共同通信社

 北海道美瑛町立病院での医療機器納入を巡り、官製談合防止法違反の罪に問われた同病院職員の矢野雅人(やの・まさひと)被告(49)=起訴休職中=の控訴審初公判で札幌高裁は4日、懲役1年、執行猶予3年とした一審旭川地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却する即日判決を言い渡した。

 高橋徹(たかはし・とおる)裁判長は、入札参加業者への卸売価格を調整させていた医療機器メーカーの男性社員の供述について「事実との整合性や具体性を備えた自然なもので、信用できる」と認定。「落札させるよう指示していない」とする弁護側の無罪主張を退けた。

 二審判決によると、矢野被告は磁気共鳴画像装置(MRI)の納入業者を決める指名競争入札に先立ち、医療機器メーカー「シーメンス・ジャパン」(東京)の男性社員に入札参加業者への卸売価格を調整させ、2011年4月28日の入札で意中の業者である「エム・イー器械」(北海道旭川市)に9648万円で落札させた。落札額は予定価格を6千円下回っていた。


  1. 2016/10/06(木) 05:41:52|
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10月2日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/462940?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161002&dcf_doctor=true&mc.l=181061139
『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』を上梓 - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.1
“事故調”、悲劇の医師の大量生産を懸念

2016年10月2日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

 『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』(方丈社)をこの9月、上梓したのは弁護士の安福謙二氏。副題は、「医療事故裁判の歴史を変えた大野病院裁判」。安福氏は、福島県立大野病院事件で業務上過失致死罪に問われた産婦人科医、加藤克彦氏の刑事弁護を担当、その立場から大野病院事件を検証、その上で医療事故調査制度についての考察を加えたのが本書だ。
 大野病院事件が、刑事事件化する端緒となったのは、福島県がまとめた医療事故調査報告書。2015年10月に、医療事故調査制度がスタートして1年が経つ。長年、弁護士として医療以外にもさまざまな分野で司法に関わってきた安福氏は、“事故調”の在り方だけでなく、日本の司法に対しても厳しい目を向ける(2016年9月21日にインタビュー。計3回の連載)。

――既に書店に並び、お知り合いの方にもお読みいただいているとのことですが、評判はいかがでしょうか。

『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』を上梓した、安福謙二弁護士。
 皆さん、「面白い」と言ってくださいますね。「一気に読んでしまった」との声もいただいています。弁護士からも、また知り合いの医師からもそう言われているので、私の当初の狙いは、なんとかうまく伝わっているのでは、と思います。

――「当初の狙い」とは何でしょうか。

「あとがき」に書きましたが、現状の医療事故調査制度は、過去の数多くの事故調査報告書と判決との齟齬を見据えて検証したものとは言い難いと考えています。

 例えば、今年4月、最高裁は、島根大学の医療事故をめぐる裁判で、原告(および家族)側の上告を棄却、原告側の全面敗訴が確定しました(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)。この事故でも裁判に先立ち院内事故調査が行われ、その結果を踏まえ、大学側は記者会見を開き、緊急帝王切開手術を担当した執刀医らの過失を認め謝罪、示談交渉をしています。けれども、その院内事故調査の結果が、裁判では否定されたわけです。

 事故調査に当たって何より重要なのは、当事者である主治医や執刀医の声を、真摯に、リスペクトを持って傾聴することです。事故が起きたその専門領域の専門家であり、誰よりもその事故の実情を知る立場にあるからです。しかし、今の医療事故調査制度は、そうした仕組みにはなっているとは思えません。このまま放っておいたら、医療事故調査制度は、何一つ十分な成果を生み出さず、大野病院事件や島根大学事件のような悲劇を大量生産するだけではないか……。それは、患者家族にとっても、医療者側にとっても不幸以外、何ものでもありません。ひいては心ある医療者は、リスクの伴う医療から遠ざかってしまうことになるでしょう。

 実は、2008年8月の大野病院事件の福島地裁の判決直後から、「本を書かなくては」と思っていました。本事件は、社会的な注意喚起につなげ、何年経った後でも検証しなければならない事件の一つであるからです。この事件に関わらせていただいた感謝の思いと、「これで良かったのか」という反省があり、自分なりに勉強するためにも、「何らかの形で記録として残しておかなければならない」と思っていました。

――福島地裁判決から8年が過ぎました。

 正直言って、諸般の事情で、何度も何度も書いては、挫折を繰り返していたのです。やはり一番気になったのは、本を書くことによる関係者への影響。詳しくは言えませんが、その時の状況や内容によっては関係者を厳しい状況下に追い込むことにもなりかねません。

 そのほか、大野病院事件の関連で、講演したり、シンポジウムに出席したりしているうちに、本音を言うと、「思い違い、勘違い、考え違いをしている」ことが突き付けられたという事情もあります。

――それはどんな意味なのでしょうか。

 一番大きいのは、医療事故調査制度の在り方です。大野病院事件の前、私はどちらかと言えば推進派で、「より良い“事故調”を作らなければ」と言ってしました。

 ところが、大野病院事件の院内事故調査の背景は、あまりにもひどく、まずはその結果として作り出された報告書との戦いでした。また、モデル事業(日本内科学会等および日本医療安全調査機構が実施していた「診療行為に関連した死因の調査分析モデル事業」)の現状を聞くと、その運用はとても手間暇がかかり大変であり、厚労省の大綱案(2008年6月にまとめた、医療事故調査制度案)についても懸念、ひいては疑念を抱くようになった。さらに大野病院事件の判決後、さまざまな機会に、いろいろな“事故調”を見聞きしているうちに、「今の“事故調”では、ダメではないか」とも思うようになりました。

 一方で、患者側、あるいはマスコミの方々には、それぞれの“事故調”の理想の姿、夢がある。それを否定しませんが、それを運用することの難しさを誰も本気で考えていない、議論していないことにも危機感を覚えました。しっかりしたインフラを整備しないで、“事故調”を機能させることはできないということです。

 大野病院事件を語ることは、“事故調”問題を語ることでもあります。 “事故調”の問題をどう取り扱うか、どこまで書いていいのかと考えると、途中で書けなくなってきてしまった……。

 しかし、2015年10月から、医療事故調査制度がスタートすることが決まり、その準備が進むにつれ、「事故調査を始める前提作り」が必要であり、事故調査の在り方に警鐘を鳴らさなければならない、事故調査についての考え方を根本的に改めてもらいたい……。そう思うようになったのが、今回、本をまとめようと思ったきっかけです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/462538
群馬大学病院事件を考える:認識、想像力、柔軟な発想
最優先課題はインフォームド・コンセント

2016年10月2日 (日)配信小松秀樹(元亀田総合病院副院長)

想像力と柔軟性

 群馬大学病院の旧第二外科で、腹腔鏡下肝切除術の術後死亡率が高いことが、群馬大学全体を巻き込む大きな問題に発展した。その後、群馬大学病院で改革が進んでいる。関係者の努力を多としたい。しかし、事件には、人間の利己的性質、人の行動を支配する権力構造の性質、「旧慣への惑溺」(福沢諭吉『文明論の概略』)など厄介な問題がかかわっている。杓子定規に煩雑な手続きを現場に課しても、安全性は高まらない。現状の正しい認識、優先順位、想像力と柔軟な発想による賢い対応が必要になる。

 何年か前、群馬大学病院に講演のためによばれたことがある。当時の病院管理者は熱心で知識も豊富だった。事件の報告書(1)によれば、群馬大学病院では安全のための制度は整えられていた。制度はあったが、機能しなかった。

 筆者は、医療の改善を阻む最大の要因を、因習への惑溺だと思っている。福沢諭吉が『文明論の概略』で示した明治初期の日本人についての認識は、今も通用するところが多い。人の考え方や行動は簡単には変わらない。

 制度はすでに過剰になっている。患者安全のための制度は職員を追い立て、勤務時間外の会議を増やしている。議論を制度論から、因習への惑溺を減じる方法、人の考え方を変えていくための手段、プロセスに移す必要がある。

認識

 現状を正しく認識するためには、比較が必要である。医学研究では、調査群と対照群の選択が認識の内容を決める。今回の事件では、旧第二外科が問題になった。しかし、旧第一外科も肝切除術、膵頭十二指腸切除術の手術死亡率が全国平均より高かった(2)。他の診療科について報告書に記載はなかったが、背景に群馬大学病院の体質があるとすれば、他の診療科にも問題があるかもしれない。

 群馬大学病院は、事件について外部委員を含めた調査委員会を設置した(3)。しかし、委員が一同に会して議論する場面が1回しかなかった。対照群との比較検討は行われなかった。総括報告書案を調査委員でない病院長が作成した。病院長は、個別報告書の事例ごとに「過失があったと判断される」と追記し、外部委員の許可なく、これを報告書として公表した。個人的不祥事として処理しようとしていると批判された。病院は第三者のみによる調査委員会(第三者委員会)を設けざるをえなくなった。

大学病院は新しい医療を好む

 日本の大学は、教育より、学問を優先する。学問はオリジナリティ、すなわち、新しさを要求する。このため、大学病院は新しい医療、目立つ医療に価値をおく。これが患者安全と矛盾する。自分たちのやりたい医療に患者を誘導しがちになる。

 2002年、慈恵医大青戸病院で腹腔鏡下前立腺全摘除術を受けた患者が死亡した。死亡原因は、輸血体制の不備により輸血が遅れたためである(『医療崩壊 立ち去り型サボタージュとは何か』朝日新聞社)。出血量は多かったが、輸血さえしていれば、死に至るようなレベルではなかった。慈恵医大の執刀医の手術技量は決して高くなかったが、当時、この手術の第1人者とされる医師の技量も高くなかった。「第1人者」が担当した慈恵医大本院の第1例目では、青戸病院事件とほぼ同量の出血に加えて直腸損傷があったが、輸血体制が整っていたため、患者の生命が脅かされるような状況にはならなかった。当時、全国の大学の泌尿器科学教室で、無理を承知で、この手術を導入しようとした。患者の自己決定権を尊重する説明は一般的には行われていなかった。

 大学病院の性質を冷静に認識し、制御方法を考える必要がある。病院を大学から切り離すことも選択肢から排除すべきではない。

「解決」はない

 第三者委員会報告書の結論部分に、「『日常診療の中に標準から逸脱した医療が登場した場合、それを早期に発見し、より安全な医療へと是正する自浄的な取り組みをするにはどうすればよいか』という命題に対し、医療界の叡智を集めて解決することが求められる」と書かれていた。極めて重要な指摘である。

 しかし、「解決」があるとは思えない。有効な自浄的取り組みがあったとしても、成果は限定される。論理的整合性のある単一の大体系には、必ず嘘や無理がある。相矛盾する対策を、状況によって使い分ける必要も生じる。

 患者安全の領域では、人間に由来する事故をシステムで対応することが提唱されてきたが、注意不足に起因するエラーの多くは、システムの問題として扱いようがない。ダブルチェックにしようが、トリプルチェックにしようが、注意不足が重複することを防げない。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の10数年間の歴史の中で、人間に由来する問題の多くがシステムで対応できるようにはならなかった(4)。

 医療行為は有害事象を伴う。患者・家族は永遠の健康を願うが、人間は生老病死から逃れられない。理性で感情をコントロールすることが困難である限り、医療をめぐる軋轢は永遠に続く。医療の問題に終着点があるわけではなく、歴史の流れの中で、揺れ動きながら、変化していく。目指すべきは、現状を悪くしないこと、できれば、多少なりとも改善することである。

 第三者委員会は、いくつかの対応策を提案したが、優先順位を示していなかった。実現が疑問視されるような提案もあった。人間の労力は有限である。不要な手続き、無理な制度は有用な安全対策のための労力を奪い取る。有用性の低い安全対策を廃棄しなければ、新たな労力を負荷することはできない。

最優先課題はインフォームド・コンセント

 最優先課題は、インフォームド・コンセントである。インフォームド・コンセントは、ニュルンベルグ綱領の第一項目に由来する。第二次世界大戦後確立した医療倫理の根幹である。インフォームド・コンセントが適正化できれば、医師・患者関係が大きく変わる。医療内容に大きな影響がでる。

 個人を尊重し、自他の区別を明確にしなければならないので、医師と医師の関係、医師と他の医療従事者との関係も変化する。適正化のためには、群馬大学病院で働く人たちの考え方を変える必要があるが、人の考え方は簡単には変えられない。現場の医療従事者による自発的な運動が必要になる。管理者側のリーダーだけでなく、現場のリーダーが求められる。

 第三者委員会の報告書によると、手術を受けるかどうかの判断に必要な情報が、患者、家族に伝わってなかった。医師と患者の間で、情報を共有しようとする姿勢があったとは思えない。執刀医は「手術をしない選択肢を示すことは、患者が『見捨てられた』と感じて落胆したり、紹介元の医師の意向に反することになるかもしれない」と述べた。患者、紹介元の医師、執刀医の判断が明確に区別できていない。自他の区別が明確でなければ、自己決定権を尊重できない。

 遺族へのヒアリングでは、「手術しないとあと半年」「手術で切除できる」「今ならば初期なので手術可能」「手術がベストである」「難しい手術ではない」「あと10年生きられる。これが最後のチャンスだ」「腹腔鏡でやりましょう。体力が残る。手術しかない」といった言葉が記憶に残っていた。遺族の記憶が正しいとすれば、患者の自己決定をゆがめる誘導があったことになる。手術成績が悪いことを承知した上で、このような説明をしたとすれば、非難されてしかるべきである。

 執刀医の考え方は少なくとも、20年前までは、大学病院の主流だった。群馬大学病院で、医師の考え方が20年前にとどまっていた可能性がある。旧第一外科の膵頭十二指腸切除術の術後死亡率は、全国平均よりかなり高かったが、手術件数は減少しなかった。正当な説明がなされていたとは想像しにくい。旧第一、第二外科以外の診療科で、正当な説明が行われていたと推測する理由はない。第三者委員会では、他の診療科の実情が調査されていなかった。

 筆者が20年ほど前まで在職した大学病院では、患者の自己決定権を尊重する医師はまれだった。適切な説明をする医師に、別の診療科の医師が苦情を述べる場面さえあった。群馬大学がこのレベルにとどまっていた可能性があるが、必要な調査がなされていないので分からない。

想像力

 第三者委員会報告書には想像力を欠いた記述があった。倫理委員会という言葉が具体像をイメージすることなしに、万能の免罪符として使われていた。群馬大学病院で倫理委員会がほとんど開かれていなかったのは、不要と判断したか、議論の作法を具体的にイメージできなかったからだと想像する。

 筆者は、『医療崩壊 立ち去り型サボタージュとは何か』(朝日新聞社)を2005年に出版したあと、さまざまな病院に講演を依頼された。病院管理者は必ずしも、医療倫理について十分な知識をもっていなかった。現在の医療倫理がどのような経緯で登場したのか、どのような合意があるのか知らなかった。ニュルンベルグ綱領やヘルシンキ宣言の背景、内容、意義を知っているとは思えなかった。倫理委員会について、診療行為が倫理的に正しいかどうかを、フリーハンドで議論する場と考える管理者もいた。医師に、本人が適切でないと判断している医療を実施することを、上級医師が命令できると思っている管理者もいた。個別診療については、個々の医師が判断主体であり、自身の行動と言葉に自身で責任をとらざるを得ない。問題のある医療行為に加われば、命令に従っただけだという言い訳は通用しない。カンファレンスは、医師の判断を深め、不適切な医療を排除する。

 ナチス政権下、医師はドイツの国内法に従って、非人道的な医学実験や大量殺戮に関与し、戦後、個人として責任を問われた。現行の医療倫理はナチスの反省から生まれた。世界医師会によるジュネーブ宣言の第10項目は「私は、たとえ脅迫の下であっても、人権や市民の自由を犯すために、自分の医学的知識を利用することはしない」と宣言している。これは特定の国家に所属しない世界医師会が、全世界に向かって発出した宣言である。医師は、国内法が医師を処罰するかどうかにかかわらず、ジュネーブ宣言を優先させる。通常の国家は、ジュネーブ宣言やヘルシンキ宣言を尊重している。

 医療倫理には歴史的経緯と議論の積み重ねがあり、世界的合意がある。倫理委員会の任務は、独自の医療倫理を考えることではない。受け入れるべき世界的合意の範囲を確認して、院内ルールをそれに則ったものにすることである。必ずしも、個別医療を倫理委員会で検討する必要はない。世界的合意の外にある問題でない限り、倫理委員会は独自の判断をすべきではない。世界的合意が何かを知らないまま、倫理委員会で議論してはならないのである。

非公式情報収集

 群馬大学病院では、国立大学病院共通ガイドラインの基準によるインシデント報告制度を導入していた。2010年9月よりこれに加えて、バリアンス報告制度を導入していた。これは、術中の問題を把握するためのもので、術中、あるいは術後の心停止、呼吸停止、心筋梗塞、肺塞栓など重篤な合併症、予定外の再手術、想定外の大量出血などを報告する制度である。実は、筆者が虎の門病院在職中に考案したものである。当事者でなくても報告できるが、当事者以外だと告発というニュアンスが生じる。旧第2外科では、肝切除後の死亡事例18例中、2010年に1例がバリアンスとして報告されていただけで、残り17例はインシデントとしてもバリアンスとしても報告されていなかった。

 報告が少ないのは、人間の性質に起因する。医療の結果が悪い場合、医師は報告したがらない。自分が処罰されるとすれば、なおのことである。当事者以外の報告も期待しにくい。日本では、内部告発者は同定され、孤立し、しばしば処罰されてきた。千葉県立がんセンターでは、内部告発者が、パワーハラスメントで退職に追い込まれた。告発者は損害賠償を求めて千葉県を訴え勝訴した。千葉県は自らの正当性を主張し、控訴して争った。内部告発者を退職に追い込んだことを反省しているとは思えない。

 院内報告制度では、健康被害が生じた事例は、重大であればあるほど報告されにくい。健康被害がない膨大な事例が報告されても、努力しているというアリバイにしかならない。患者安全を高める効果はない。

 筆者は、ある病院で、手術に問題がないか非公式にモニターしていたことがある。問題がある可能性のある手術について、手術室の職員に定期的にリストを出してもらっていた。診療録を調べて問題があるかどうかをチェックした。比較的簡単に問題事例をチェックすることができた。他に、院内での死亡例について退院サマリーをチェックすることでも、問題事例をスクリーニングできる。病院管理者は、報告制度に頼らず、非公式な方法を含めて複数のルートで診療を継続的にモニターすべきである。

柔軟な対応

 事故調査委員会という言葉には、非日常的出来事の印象が強い。手術成績という日常診療の水準を議論する場としては、医療事故調査委員会が適切とは思えない。有害事象の総和が大きくなる前に対応するという意味では、日常的に医療についてモニターし、自己評価することがより重要である。

 対応すべき問題だと認識した後の対応は難しい。過去、多くの院内医療事故調査委員会が、社会への対応を優先するために、個人に責任を押し付けてきた。これが二次紛争を招いた(5)。東京女子医大病院事件(6)では、非科学的な実験までして、無理やり個人に責任を負わせた。院内事故調査委員会報告書のために、佐藤一樹医師は、無罪が確定するまで、7年間、刑事被告人としての立場を強いられた。

 善悪の問題として個人を断罪し、処分するには、人権に配慮した厳密な手続きが必要である。処分の重さが適切であることを示す合理的ルールが必要である。処分される個人に、反論の機会を与える必要がある。処分の判断を下す人間に、利益相反があってはならない。権力闘争にかかわっている大学人では、何らかの利益相反が生じるのは避けられない。意見の対立を無理やり解決するのは、手続きと権限を持っている裁判所でしかできない。裁判官はこのために、社会から隔絶した生活を送り、利益相反が生じないよう配慮している。

 病院には、過失を認定したり、処罰を確定させるための、機能と権限が備わっていない。対立を強制的に終結させることはできない。対立が大きければ二次紛争に発展する。調査委員会の責任が問われることもある。

 早い段階だと、問題として確定させることもできない。明確な服務規程違反がなければ、手術死亡率が多少高いからといって、解雇するのは難しい。多数の委員により構成される事故調査委員会では対応は不可能である。病院管理者が自身の責任で対応するしかない。退職に持っていくとしても、乱暴なやり方では、反発を招き、紛争化する。医師の将来まで配慮しなければ合意は得にくい。

 手術技量に問題がある場合、よほど特殊な事例でない限り、再教育で改善されるとは思えない。本人を説得し、実施できる手術を限定させたり、手術以外の業務に専念させる必要がある。抜本的対策は、人の入れ替えだが、簡単なことではない。

【参考文献】
1.群馬大学医学部附属病院 医療事故調査委員会報告書 2016年7月27日
2.国立大学法人 群馬大学医学部附属病院腹腔鏡下肝切除術等の医学的評価報告 2016年4月6日
3.群馬大学医学部附属病院 腹腔鏡下肝切除術事故調査報告書 2015年2月12日
4.小松秀樹:規範的医療事故報告制度と認知的医療事故報告制度. MRIC by 医療ガバナンス学会. メールマガジン; Vol.1036, 2015年2月24日.
5.小松秀樹, 井上清成:「院内事故調査委員会」についての論点と考え方. 医学のあゆみ, 230, 313-320, 2009.
6.小松秀樹:東京女子医大院内事故調査委員会 医師と弁護士の責任を考える. m3.com医療維新(2010年4月26日、2010年4月28日、2010年4月30日)



https://dot.asahi.com/aera/2016092900151.html
全国81医学部のルーツをたどり、グループ分けしてみた
by 塚崎朝子
(更新2016/10/ 2 07:00) AERA / 朝日 DOT

 現在、国内には81の医学部がある。その「系列」を探るには、各校がいつ設立されたかをみるのが一番だ。

 日本に西洋医学が入ってきたのは19世紀半ば。医師養成を急ごうと、全国各地に公立、私立の医学校がつくられた。しかし明治政府は、国立大学の医学部を整え、そこで養成した医師を派遣する方針を採った。

 最も古い歴史があるのは、旧帝国大学7大学だ。医学部の設立は、1877年の東京大学を皮切りに、京都、九州、東北、北海道、大阪、名古屋と続いた。

 江戸時代のお玉ケ池種痘所を起源とする東大医学部、緒方洪庵の適塾に端を発する阪大医学部。それ以外も藩校にルーツを持つなどの伝統と実力を兼ね備え、研究・教育を重んじ、自校出身者が教授陣の多くを占めると共に、他大学にも多くの人材を送り込んだ。

 戦前は、これら旧帝大が研究に力を入れた一方、臨床医は医学専門学校(医専)が担った。

 医専をルーツとし、旧帝大に次ぐ伝統を誇るのが旧制医科大学のグループだ。「旧六医大(旧六)」と呼ばれる千葉、新潟、金沢、岡山、長崎、熊本の各国立大学に、公立の京都府立医科大学を加えた7校がある。いずれも1921年前後に医科大学に昇格。当初は教授の多くが旧帝大出身者で占められたが、次第に自校出身者が増え、他大学にも教授を送り出すようになった。

●私学には「御三家」が

 この時代の旧制医科大学には私学もあった。その流れをくみ、戦前からの歴史を持つ私大医学部は慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学だけ。「御三家」と称されている。

 慶應大は北里柴三郎を初代医学部長に招き、最初の私立総合大学の医学部(旧制)として設立された。そして、他2校は医専から医科の単科大学になった。

 第2次世界大戦が起きると、現場の医師が不足したため多くの医専が新設された。戦後、それらの医専が新制大学に移行する。

 国立では東京医科歯科、弘前、群馬、信州、鳥取、徳島、広島、鹿児島各大学が「新八医大(新八)」と呼ばれる。岐阜、三重、神戸、山口各大学は、県立医専から国立大学になった。

 公立は札幌医科、福島県立医科、横浜市立、名古屋市立、大阪市立、奈良県立医科、和歌山県立医科の7大学。私立では岩手医科、順天堂、昭和、東京医科、東京女子医科、東邦、大阪医科、関西医科、久留米の9大学が医専ルーツ組。戦時中に旧制大学医学部になった日本大学のような例もある。

●皆保険で新設ラッシュ

 そして1961年、日本の医療に画期的な出来事が起こる。国民皆保険制度が確立したのである。すべての国民が一定の負担で医療を受けられるようになったことで、医療需要の急速な増加が予想された。医学部の入学定員増が図られたが、それでは追いつかないと医学部新設が進められ、70年代に一気に34校の医学部が増えた。実に、それ以前の既設46校の4分の3に匹敵する校数だ。

 折しも高度経済成長期、その波に乗って、まず、私立医大の新設ラッシュが始まった。さらに、73年には、無医大県解消計画として、「一県一医大構想」が時の田中角栄内閣により閣議決定され、それまで医科大学のなかった15県に国立の医科大学・医学部が整備された。

 この時代の「新設医大」は、国立が17校(旭川医科、秋田、山形、筑波、富山、福井、山梨、浜松医科、滋賀医科、島根、香川、愛媛、高知、佐賀、大分、宮崎、琉球)。さらに、防衛省管轄の準大学である防衛医科大学校もこの時期にできた。

 政府は、戦後設置の医学部について、とりわけ国立は単科大学での設置を主とした。このため、これら18校中12大学が単科大学だったが、近年の国立大学の統合により、総合大学の一部になったところもある。

 私学は16校。自治医科、獨協医科、埼玉医科、北里、杏林、帝京、東海、聖マリアンナ医科、金沢医科、愛知医科、藤田保健衛生、近畿、兵庫医科、川崎医科、福岡、産業医科の各大学だ。

 70年代の医学部急増は80年代に入って医師過剰の懸念を招き、その後は医学部定員も頭打ちに。そして21世紀になり、「東北復興」のための東北医科薬科大学、「特区」の国際医療福祉大学の2校が加わるのである。

 医学部は「職業訓練校」でもあり、臨床医学を教えられるのは、医学部を出た教員ということになる。したがって新設医学部では最初、先発の医大から教員を受け入れるしかない。今春、新設された東北医科薬科大学は、東北大学から多くの教員を受け入れた。歴史がある医学部はその後も、後発医学部に次々と自校出身者を送り込むことで、系列が出来上がっていく。

 そういう意味で旧帝大系、そして私立では「御三家」が、広く影響力を持ち続けているのだ。

●病院にも大学の影響

 そのような構図は、病院にもあてはまる。

 各大学病院には診療科ごとに、教授を頂点とした人事組織として「医局」がある。医師のほとんどは、医学部卒業後いずれかの医局に所属する。

 そして、大半の民間病院にとっては、医師の供給源は医局が頼りである。医局は、大学外に医局員を派遣するための病院を多く持っている。それらの病院はかつて、ドイツ語で座席という意味の「Sitz(ジッツ)」とも呼ばれ、狭義の「関連病院」とされた。病院に雇用されても、医局が医師の人事権を持っていることもあった。

 この仕組みは、病院にとっては医師の安定供給が得られ、医局においても医局員の雇用が確保されるという、持ちつ持たれつの関係があった。当然ながら、関連病院は、歴史のある大学のほうが多かった。

 ただ、そんな大学と病院のつながりも変わりつつある。2004年、医師免許取得後2年間の臨床研修が義務化されたのに合わせ、医師は全国どこの病院でも研修をすることができるようになった。このため、関連病院の定義も、関連を持つ病院といった緩やかな概念に変わってきている。

 とはいえ、今なお有力医学部がある地域を中心に関連病院が広がっていることに変わりはなく、互いに研修医を受け入れるなどの協力関係にある。(ジャーナリスト・塚崎朝子)

※AERA 2016年10月3日号



https://www.m3.com/news/iryoishin/464078
シリーズ: 真価問われる専門医改革
「専門医制度は本当に必要なのか?」
東京保険医協会、医学生や研修医も交えシンポ

2016年10月2日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 東京保険医協会は10月1日、都内で「専門医制度は本当に必要なのか?」をテーマにシンポジウムを開催、新専門医制度については、「第二の“医療崩壊”を招くのではないか」との懸念のほか、そもそも「誰のための、何のための制度か」など多くの疑問の声が上がり、いまだ解決すべき課題が山積していることが、改めて浮き彫りになった。

 各学会が実施している現行の専門医制度についても、領域によっては十分に機能しているとの意見もあり、「学会による専門医制度は必要だが、日本専門医機構による制度は要らない」とのフロアからの発言に、拍手が起きる場面もあった。医学生や研修医からは、新専門医制度に関する情報が少ない上、制度の先行きが見えないことから、自らの将来設計に対する不安の声も寄せられた。

 シンポジウムには、3人の演者が登壇。その一人、労働者健康安全機構理事長(前昭和大学病院長)の有賀徹氏は、この6月まで日本専門医機構の副理事長の立場にあったが、「なぜ19の領域が、新専門医制度の基本領域なのかについて、一度も議論されたことはない」と問題提起。自身の専門である救急科専門医を例に挙げ、診療経験などの「Career - oriented」「Outcome」重視で養成してきたが、質の高い専門医を養成し、「不都合はなかった」と述べ、新専門医制度で導入される「プログラム制」について、「運営するための指導医などの負担が重く、結果的に大都市部に専攻医に集まることになる。研修過程を無理に“見える化”する必要性はあまりなかったのではないか」ともコメント。

 有賀氏は、専門医の在り方は、医療、ひいては社会の在り方と関係すると指摘。人口の高齢化などに伴い、「多くの病気が治せた時代から、治せなくなる時代」に変化しつつある現状と、「医療資源の公正な配分」という視点を踏まえ、地域で幅広い疾患に対応する総合診療や救急医療の重要性を挙げた。「厚生労働省の眼目は、総合診療専門医の養成にあったのではないか」と述べる有賀氏は、その結果として他の基本領域の専門医にも影響が及び、医師の偏在対策の議論にもつながったと見る。

 さらに有賀氏は、検討すべき問題が山積し、新専門医制度は「政治マタ―」にもなってきていることから、「新専門医制度をやるなら、全領域一気にやるのではなく、五月雨式に進め、『10年経ったら制度ができていた』という流れにしないと、うまくいかないのではないか」と述べ、講演を締めくくった。

 「誰のための、何のための制度」と問いかけたのが、シンポジストの大泉生協病院(東京都練馬区)院長の斎藤文洋氏。日本専門医機構は7月から新執行部が発足したが、8月に同機構が公表した「来年度(平成29年度)およびその後の新たな専門医制度の運用等に関する日本専門医機構の基本的な方針について」を見ても、機構と学会との関係などには言及していても、医師あるいは医療を受ける市民にとっての意味が記載されていないからだ。

 斎藤氏の講演テーマは「新専門医制度の“光”と“影”」。“光”については、「真っ当な新専門医制度ができれば」との条件付きで、複数の診療科を標榜できる今の日本の自由標榜制が見直され、(1)質の一定した専門医ができる、(2)受診の時に、医師の選択に迷わなくて済む、(3)安全で安心な医療が提供できる――という点を挙げた。一方、“影”として例に挙げたのが、小児科専門医数と患者数のバランス。今の専門医の基準はハードルが高く、患者数に見合った専門医が養成が難しいという。

 「私の専門医のイメージ」として、斎藤氏は、裾野が広くさまざまな疾患に対応できる「横の専門医」と、狭い領域ながらも深く対応できる「縦の専門医」を挙げ、新専門医制度をスタートさせるのであれば、両者の区別が必要と指摘。もっとも、1989年医学部卒の斎藤氏は、「私は専門医を持っていない。我々が医師になった頃は、専門医取得はキャリアになるとは考えていなかった」と述べ、「プロフェッショナルオートノミーは、『職業的自立性』であり、それが実践されるのであれば、得意分野の区別だけで、専門医制度などは必要ないのでは」との私見も述べた。

 シンポジストで、司会を務めたのが、国立病院機構久里浜医療センターの精神科医、杉原正子氏。専門医制度の目的は、「患者・市民にとって質の高い医療を提供する医師を育てることであり、その医師を専門医として認定し、患者・市民に分かりやすく提示すること」にあるとする杉原氏は、医師の偏在対策は主目的ではないとし、専門医養成の教育、評価、キャリアプランの柔軟性という視点について、日米の比較を交えながら講演。

 米国制度の参考になる点について、杉原氏は(1)教育:レジデントやフェローの弱点の早期発見、チーフレジデントやプログラム・ディレクターによる早期介入で、「落第」や「年限延長」を防ぐ、(2)評価:指導医、同僚、関係ある多職種だけでなく、患者も含む、360度評価を行う、(3)キャリアプラン:Combined Residency Program(レジデントは内科3年と小児科3年だが、同プログラムでは計4年で修了するなど)の導入、容易な進路変更――を挙げた。特に杉原氏が強調したのは、キャリアプランの柔軟性で、「例えば、内科と小児科など、両方をやりたい人、あるいは総合診療専門医を目指す人にこそ、アイデンティティークライシスを防ぐためにも、専門医制度は必要ではないか」(杉原氏)。

 シンポジウムは、3人のシンポジストの講演の後、指定発言、質疑応答・全体討論という形で展開された。主な発言は以下の通り。

◆専門医制度、医師の偏在対策との関連についての発言

・ 2002年に厚労省は、一定の外形基準を満たした学会の専門医を広告可能とした。これは日本の社会の中では、珍しくプロフェッショナルオートノミーを認めた話。その後、数多くの専門医が誕生してしまったために、厚労省からすれば「失政」だったのではないか。ただし、呼吸器外科や心臓血管外科など一部の学会は高いレベルの専門医制度を運用している。現在、専門医制度が走っているのに、そこに日本専門医機構が並行して制度を作ろうとしている。厚労省はプロフェッショナルオートノミーという言葉を使って、第三者機関を作り、学会から専門医の任命権を取り上げようとしている。専門医制度は必要だが、日本専門医機構による専門医制度は要らない。

・ 私は学生時代から神経内科を目指し、まず2年間、ジェネラルに勉強し、その後1年間は療養所、4年目から国立循環器病研究センターで脳卒中を3年間学んだ。新専門医制度により、ナショナルセンターによる早期の専門医養成が壊れる。内科専門医は不要ではないか。卒前教育、臨床研修に加え、さらに3年目から5年目になっても、「内科をなぜまたグルグル回らなければいけないのか」。さらに女性医師問題もあり、根本的に考えないと、新専門医制度は、第二の医療崩壊を招くと心配している。

・ 日本の医療は世界一であり、それを支えてきたのは、これまで養成してきた専門医。そこに医学教育のプロが入ってきて、米国を参考に、プログラム制や研修施設のサイトビジットなどを導入した。アメリカは医療費が高く、指導医の数も多い。日本ではそれだけのコストをかけられず、強制的な制度をそのまま導入したら、日本の医療は崩壊する。

・ 総合診療専門医だけを制度化し、あとは10年、15年かけてやっていけばいい。

・ 国により、また専門領域により、あるべき専門医制度は違う。役人が作った硬直的な専門医制度は不要。医師は政治の力、外部の力に動かされてはいけない。

・ 診療科別の医師数を決めるのは、究極の資源配分。アメリカは自由競争である一方、欧州は社会主義的に、総合診療の医師と、領域別の専門医の養成を厳格に決めている。日本の場合、アメリカと欧州との間で、どんな立ち位置で制度設計するかが課題。

・ 医師数をコントロールする手法は日本にはなじまない。医師の偏在対策は、学会が知恵を絞るべきであり、学会は学術的なことだけでなく、地域医療のことを考える必要がある。医師の偏在対策は、専攻医の配置だけで解決できず、各ステークホルダーがそれぞれ考えるべき。

◆医学生、研修医の立場からの発言

・ キャリアを悩んでおり、新専門医制度ができるとさらに悩む。それに加えて地域枠の学生は、どこで研修を受けるかなどの悩みもある。自分のなりたい医師像があるのに、なれない新専門医制度が構築されると困る。新専門医制度についての情報は、日本専門医機構のホームページにあまりなく、同僚、大学に聞いても制度のことを知らない。学生、医師、大学、患者にとって分からない制度であっては困るので、広報を徹底してもらいたい。

・ どうやってキャリアを積んでいったらいいのかが、分からない。将来をどのように設計したらいいのかが分からない。覚える知識が増加し、臨床実習の時間が増え、教養で学ぶ時間が短縮され、社会医学的なことを学ぶ機会が減っている。もっと大きな視野をもって勉強したいけれど、なかなか時間が取れない。

・ 内科専門医のケースレポートの条件は高すぎる。総合診療専門医は、現段階で将来のキャリアが不透明すぎる。私の周囲では、内科は人気なく、人気があるのは外科かマイナー科。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12182-shimpo368069/
医師確保へ「人財バンク」 沖縄・北部広域市町村組合 登録者に求人情報
2016年10月02日 08時30分 琉球新報

 【北部】沖縄本島北部や周辺離島で産婦人科や救急医療など医療従事者が慢性的に不足していることを受け、沖縄県の北部12市町村でつくる北部広域市町村圏事務組合は1日までに、医師や看護師らの人材登録制度「やんばる医療職人財バンク」を独自に創設した。

 医療従事者が連絡先や希望の勤務条件などを同バンクに登録すると、北部の医療の求人情報や地域イベント情報などを定期的に受信できる仕組み。登録者を募集している。同事務組合によると、同様の取り組みを自治体でつくる団体が取り組むのは県内初。北部の人口減少が進む中、安心して住める定住条件整備策の新たな試みとして注目される。
 北部地区では、沖縄県立北部病院で産婦人科の専門医不足に伴い、分娩数を9月から制限せざるを得ない状況が生じるなど、医師確保が課題となっている。

 やんばる医療職人財バンクは、同事務組合が北部地区医師会へ委託して運用している。インターネットのホームページ(HP)を立ち上げ、8月から登録可能になったが、本格的な周知はこれからだ。北部の医療や生活情報などを盛り込んだパンフレット「やんばる地域医療だより」を年4回発行して北部出身者を含めた医療従事者に向け、約2500部を配布する予定だ。

 同事務組合は北部出身の医師らも念頭に「北部地域へ医療職を呼び込むためのネットワークを構築し、Uターン、Iターンを促すようにしたい」と話し、登録を呼び掛けている。

 HPのアドレスはhttp://yanbaru-iryou-jinzai.com/
(古堅一樹)



http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161002/Economic_66807.html
「医師偏在」の今 指標導入で崩壊食い止められるか
エコノミックニュース 2016年10月2日 21時05分 (2016年10月3日 05時01分 更新)

 厚生労働省は、医師の過不足を地域比較できる指標を導入するとした。「医師偏在」の実態を把握し、有効対策の検討に活用するという。早くて2018年度の導入になるとのこと。

 指標は各地域の医師数と患者数を基本とし、地域の事情を加味して「地域の面積」「離島や山間地の有無」「特定の診療科だけを設ける病院の有無」などから算出する。都道府県が生活圏ごとに計算して医師の過不足を把握でき、都道府県や診療科ごとにもそれぞれ算出できるようにする。

 過不足が明確になれば、地元の勤務が求められている医学部の地域枠卒の医師に不足地域での診療を要請したり、若手医師の臨床研修先になる病院の定員を調節したりすることができるようになる。対策で生じる効果も予測可能になるだろう。

 医師不足と偏在はかねてから問題になっている。特に地方では、休日や夜間の小児外来の増加などが要因で小児科医不足が深刻化しているという。子どもの医療助成が拡大して受診しやすくなったことや、昼間の診療時間内に来院できない親が増えたことなども関係していると言われている。

 こうした背景もあり、電話やインターネットで相談できる窓口が広がりつつある。軽症で夜間救急外来にかかるという「コンビニ受診」を減らす効果も期待されている。国も04年度から小児救急電話相談「#8000」事業に取り組んでおり、全国共通ダイヤルの#8000に問い合わせると現在地の都道府県の相談窓口に繋がる。だが、内閣府が14年度に行った調査によると、全体の9割、就学前の子どもがいる世帯でも6割が存在を知らなかったという。
 一方、医師不足の加速を懸念して「新専門医制度」の開始が1年延期となった。指導と研修のために都心部の大病院に医師が集まることで、地方の医師不足を招く恐れがあるという。

 政府は医師不足対策として医学部定員を増やしたが、医師が都市部に集中し、地方で不足するという偏在の解消には至らなかった。今春には、国内で37年ぶりとなる医学部の新設が仙台で実現。卒業生らが東北に定着すれば医師不足の解消に大きく貢献するだろう。しかし、これまでの経緯を見て、そう簡単なことではないのは明白だ。地方に勤務するメリットを示せなければ、加速する偏在を食い止めるのは難しいかもしれない。(編集担当:久保田雄城)



http://this.kiji.is/155302080582729737?c=39546741839462401
禁煙外来病院で職員喫煙、島根 診療報酬返還へ
(2016年10月2日午後10時14分) 共同通信

 禁煙外来を設け、敷地内を全面禁煙としている島根県江津市の済生会江津総合病院(300床)で、職員らが喫煙しており、保険適用の条件となる基準が守られていなかったことが2日、病院への取材で分かった。診療報酬を保険者の自治体などに返還するという。
 病院によると、8月下旬に厚生労働省中国四国厚生局島根事務所(松江市)が調査に訪れた際、病棟北側の裏口近くなどの敷地内で複数の病院職員らが喫煙しているのを事務所職員が確認。病院は禁煙外来の休止と診療報酬の返還などを指導されたという。


  1. 2016/10/03(月) 05:50:42|
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Google Newsでみる医師不足 2016年9月30日

Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース  16,000
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 20,800
First 5 in Google in English 


International schools could help with Canadian doctor shortage: surgeon
News1130‎ - Sep 30, 2016 7:07 am PD (Grenada) (カリブ諸島) (カナダの医師不足)

ST. GEORGE'S, GRENADA (NEWS 1130) –
A lack of access to doctors isn’t just a problem here in BC, it’s Canada-wide.
And one Toronto-born surgeon says at least part of the solution to that issue, can be found on the Caribbean island of Grenada.
The medical school at the country’s St. George’s University is taking in a number of Canadians.
“It’s a great curriculum that is really geared towards North American healthcare either in the US or back home in Canada,” says Dr. Josh Ramjist, a surgeon who counts himself among the school’s graduates.
He says the key to solving the Canadian doctor shortage starts with creating more opportunity.


Official says UC not answer to Valley's doctor shortage
Merced Sun-Star‎ - SEPTEMBER 30, 2016 10:55 AM (California, USA)

The San Joaquin Valley needs to train more doctors but has to look elsewhere than UC Merced for a medical school, which could be years from opening, according to state Assemblyman Joaquin Arambula, who believes Fresno could be a good location.
Opening new University of California medical schools is a slow process. The UC regents gave conceptual approval for a school in Merced eight years ago, but the project has not materialized. And UC Riverside, which won such approval in 2006, did not seat its first class of students until 2013.


Doctor shortage in Niagara
CHCH News‎ - September 27, 2016 10:11:22 PM (Ontario, Canada)

There is a doctor shortage in Niagara and while it is not a new problem for the over 430 000 people who live in the area, little progress is being made to fix it.
In a bid to fill a shortage of doctors five years ago, Niagara region set out on an ambitious recruitment program. It was successful: 54 doctors were drawn to the area. But during those same five years, 48 doctors either retired or moved on. Combine that with an aging population the result is a long wait for patients.


Is This the Solution to Solve Hawai‘i’s Serious Doctor Shortage Problem?
HONOLULU Magazine (blog)‎ - 2016.09.27 09:26 AM

Hawai‘i’s chronic shortage of physicians and medical professionals is showing up in longer wait-times for appointments and procedures, but that’s just the beginning. Rising costs and new regulations meant to control them will soon change how health care is delivered in the islands. Solutions so far are few, but some hope for change is in your hands.


St. Mary's health officer reports doctor shortage
Bay Net‎ - 09/28/2016 (Maryland, USA)

Leonardtown, MD -- There's a shortage of primary care doctors in St. Mary's County. Health Officer Dr. Meenakshi Brewster reports a 20 to 40 percent shortage of doctors in the county, according to statistics from a study released in 2014 by the Maryland Heath Care Commission. The shortage is greater in St. Mary’s than in neighboring Charles and Calvert counties.


(他に10位以内のニュースは、米国・カリフォルニア州、ハワイ州、アラバマ州、ウィスコンシン州、カナダ・ブリティッシュコロンビア州からも)


  1. 2016/10/01(土) 09:31:12|
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