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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月20日 

http://forbesjapan.com/articles/detail/13898
医師に直撃 「一番きついと思う診療科目は?」
2016/10/20 10:00 Forbes Japan

医師の労働環境を知るために、医師専門サイトMedPeer(メドピア)に登録する医師(7万人以上)を対象にした、「何科が一番きついと思うか」というアンケートを紹介したい。回答数は4,146件。

まず、1位の「どの科も同じ」は、「科の内容より人手不足や勤務形態による」という声が代表的。

2位の「産婦人科医」は訴訟リスクの高さが多い。「赤ちゃんにちょっとでも異変があったり、全く問題ないようなことでもクレーム対象になり、その対応が心身を疲れさせる。本来の業務ではないきつさは他科の比ではないと思う」(60代、精神科)。日本の周産期死亡率は世界で最も低くなったが、「その結果、死亡すると、責任が問われるようになった」(50代、内科)。

3位の「外科医」は、「心臓血管外科の先生はほとんど家に帰っていません」(40代、耳鼻咽喉科)に代表されるように労働時間が不規則な点が多い。これは4位も同様だ。ただ、「楽に逃げる人は何科でも不平を言う」(50代、麻酔科)という声も多数ある。

「一番きついと思う診療科は?」ランキング

1. どの科も同じ  24.4%
2. 産婦人科医   21.9%
3. 外科医     14.5%
4. 救急科医    11.6%
5. 小児科医    7.1%
6. 脳神経外科医  6.3%
7. 内科医     4.9%
8. 精神科医    1%
9. 麻酔科医    0.7%
10. 総合診療医  0.6%
11. 整形外科医  0.6%
編集=Forbes JAPAN 編集部



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161020/k10010737021000.html
死因第3位の肺炎“治療控える選択も”学会が新指針案
10月20日 19時50分 NHK

がんなどの終末期や老衰のため肺炎にかかり死亡する高齢者は、国内で年間10万人以上に上ると見られていますが、日本呼吸器学会はこれらの肺炎について患者本人が希望する場合には積極的な治療を行わない選択肢を初めて認めるガイドライン案をまとめました。これらの肺炎は再発を繰り返すなど苦痛が続き、生活の質が損なわれることが多いためですが専門家は、「人生の最終段階で多くの人がかかる病気だけに医療現場や介護の現場など広い範囲に影響が出ると予想される。本人の意思を尊重するのが大原則で患者や家族の側もどのように死を迎えたいのか日頃から話し合っておくことが大切だ」と話しています。
肺炎は、がんや心臓病、それに老衰などのため体力が低下した高齢者が細菌感染などをおこしてなる場合が多く、毎年、10万人以上が死亡する日本人の死因の第三位を占める病気です。

終末期や老衰の場合、治療しても再発を繰り返し呼吸が苦しい状態が続いたりするほか人工呼吸器を装着して家族と会話もできないまま亡くなってしまうケースも少なくありません。

また学会などによりますと医療現場では高齢者が肺炎で救急搬送され入院するケースが増えていて、長期の入院によってほかの救急患者の受け入れが難しくなったり、人工呼吸器などの医療機器がひっ迫したりする事態がおきている医療機関もあるということです。

こうした点を踏まえ、全国1万2000人の専門の医師らが加盟する日本呼吸器学会は、これらの肺炎の治療をどうすべきか議論してきました。

その結果、ことしの診療ガイドラインの改訂でがんなどの終末期や老衰のため肺炎を起こした場合には、人工呼吸器の装着や抗生物質の投与などの積極的な治療は行わず、痛みを取り除く緩和ケアを優先する選択肢を初めて認める案をまとめました。

具体的には、患者が、がんなどの終末期や老衰の状態にあるか、医学的に判断したうえで、適切な情報提供と説明を行って本人の意思を最大限に尊重するとしています。

そして治療を差し控える場合には、医師が1人で決めるのではなく多くの専門職からなる医療チームが、患者や家族と話し合って決め、合意した内容を文書に残すなど人生の最後の段階での医療の在り方を定めた厚生労働省の指針に従うなどとしています。

ガイドラインを改訂する委員会の委員長を務める河野茂長崎大学副学長は、「終末期の肺炎の場合、繰り返し苦しんだ末に亡くなってしまうことが多く、どこまで治療すべきか、患者や家族、医療者それぞれに葛藤がある。患者にとってどのような選択肢が望ましいのかを一緒に考えてもらうきっかけになってほしい」と話しています。

また生命倫理が専門の東京財団の※ぬで島次郎研究員は、「肺炎は人生の最終段階で多くの人がかかる病気だけに今回の改訂は、医療現場だけでなく介護の現場など広い範囲に影響が出ると予想される。本人の意思を尊重するのが大原則であり、治療をしない選択肢と同様に最後まで積極的な治療を受けたいという希望も尊重されるような支援をどのようにしていくのか考えていく必要がある。患者や家族の側もどのように死を迎えたいのか日頃から家族の間で話し合うことが大切だ」と話しています。

学会では、このあと、一般からも意見を募るパブリックコメントを行ったうえで年明けにも全国の学会の医師にガイドラインを配布することにしています。

※「ぬで」は木へんに勝

選択を迫られる患者と家族

がんや脳卒中などの病気や老衰によって体力の衰えた高齢者が繰り返し肺炎にかかるような場合どこまで治療をすべきか、患者やその家族は難しい選択を迫られます。

東京・江東区の78歳の女性は肺気腫の持病があり、10年ほど前から肺炎のため入退院を繰り返してきました。

一時は、激しいせきや高熱、それに意識障害や呼吸困難に陥り家族は、医師から、命の危険があるので覚悟してほしいと告げられたといいます。

2か月近く治療を受けた結果退院はできたものの、その後も肺炎の再発を繰り返して体力が衰え、トイレなど生活のほぼすべてが夫の手助けなしにはできない状態になっています。

当初は少しでも長生きしたいと積極的な治療を望んでいたといいますが体力が衰えていく中で肺炎のつらい症状にいつまで耐えられるのか、自信がなくなりつつあるといいます。

女性は「肺炎になると全力で走ったときのようにうまく息が吸えない状態が何日も続くので死ぬほど苦しいです。家族のことを考えると生きなければという思いもありますが、最近は苦しまずに亡くなるならそれがいちばんいいのかもしれないとも思い始めています」と話していました。

10年近く妻を介護してきた夫は、今後、さらに症状が悪化し、意思疎通が難しい状態になったとき、肺炎の治療を望むのか、それとも苦痛を取り除く緩和ケアだけにするのか、妻と話し合っているものの決めきれないでいるといいます。

夫は、「妻は強がりなので苦しいとはなかなか言わないのですが、苦しむだけで単なる延命になるなら緩和ケアだけにしたほうがいいのではないかということは妻と話し合ってはいます。ただ、これまでは治療して治っていますし、家族としては元気で長生きして欲しいという思いも当然あるので、また肺炎になったときにどこまでの治療を望むのかはそのときになってみないと正直わかりません」と話していました。
高齢患者が増加 医療の現場では
学会では、今回のガイドライン案がまとめられた背景には、医療機関での高齢の肺炎患者の受け入れが難しくなりつつある実態もあるとしています。

およそ150万人が住む川崎市の救急医療の拠点の1つとなっている関東労災病院では、救急患者のおよそ半数を65歳以上の高齢者が占めています。

地域住民の高齢化に伴って高齢者の肺炎患者は増える一方で、呼吸器内科のベッドだけでは足りなくなり、3年前からは230床ある内科全体で肺炎の患者を受け入れています。

しかし、それでも患者が多い冬の時期はすべてのベッドが埋まってしまい、ほかの救急患者を受け入れられない日がたびたびあるといいます。

去年1年間にベッドの満床が理由で受け入れられなかった救急患者は78人で、人数は年々増える傾向にあるといいます。

さらに、重症患者を受け入れる集中治療室のベッドや人工呼吸器がすべて埋まってしまう日もあるといいます。

人工呼吸器が足りないときは業者からのレンタルでしのいでいますが、集中治療室のベッドが不足することで重症患者の受け入れに支障が出ているのです。

救急総合診療科の小西竜太部長は、「周辺は古い住宅街で老人ホームも多く、高齢者の肺炎は年々増えていて1つの病院の努力では対応できなくなってきています。病院の医療資源が限られる中でどういった人に優先的に使うべきなのか、判断に悩むケースは多いです」と話しています。



https://id.nikkei.com/lounge/auth/password/proxy/post_response.seam?cid=26797401
「病理診断にAI活用を」 厚労省有識者懇
2016/10/20 19:41 日本経済新聞

 医療の情報通信技術(ICT)活用を検討する厚生労働省の有識者懇談会は、人工知能(AI)を病理診断に活用することなどを求める提言をまとめた。がんなどを素早く診断し、治療する環境を整える。厚労省は2020年度から段階運用を目指す。

 懇談会は社会保障や医療の専門家らで構成する。提言書では病理診断に使う画像を収集し、これを基に医師らの診断を支援するAIを開発するなど具体的な計画も盛りこんだ。

 現在は医療機関などで別々に管理している患者のカルテなどのデータベース化に向け、データの規格統一や提出のルール化も求めた。AIが分析できるようにして、医師の診療に役立てる。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49842.html
患者申出療養の予定症例数に“物言い”- 日医「一例一例慎重に判断を」
2016年10月20日 18時00分 CB News

 今年春に始まった患者申出療養制度の第一例として、14日に告示された進行性胃がんの患者への抗がん剤の併用療法について、中央社会保険医療協議会(中医協)で“物言い”が付いた。東大医学部附属病院の実施計画では、申請した患者だけでなく、年間100人の症例数を予定しているが、日本医師会(日医)の委員から、「一例一例を慎重に判断すべきだ」といった声が上がっている。【敦賀陽平】

 患者申出療養は、国内で未承認の薬などを使う「保険外診療」と「保険診療」との併用を例外的に認める「保険外併用療養」の中に位置付けられている。このため、対象となる医療機関は先進医療などと同様、公的医療保険の適用に向け、有効性などのデータを集める。

 患者は全国に74カ所(先月1日現在)ある医療機関の窓口に相談後、都市部の大学病院などの「臨床研究中核病院」が実施計画を作成し、国に提出する流れになっている。

 今回の併用療法は、腹部に埋め込んだ注入器から抗がん剤を直接投与し、別の抗がん剤も併せて服用することで、より高い治療効果を狙う。東大医学部附属病院の実施計画が、先月7日に受理され、厚生労働省の評価会議が承認した。

■先進医療の適格基準の7項目を緩和
 厚労省は19日の中医協の総会で、実施計画の中身を報告。これに日医の委員が異議を唱えた。日医側が特に問題視したのが、対象患者を選ぶための基準(適格基準)だ。

 患者申出療養は、困難な病と闘う患者の思いに応えることが制度の理念となっているため、既存の先進医療の適格基準から外れた患者も対象となる。今回の治療法は、先進医療で一定の有効性が確認されているが、患者申出療養を申請した患者は、その適格基準の一部が当てはまらなかったため、先進医療を受けることができなかった。

 東大医学部附属病院の実施計画では、先進医療で定められた適格基準のうち7項目を緩和し、対象年齢や全身状態を評価する数値の範囲などを広げることで、1年間で100人の症例数を予定している。

■きっかけ患者も、「主客が転倒している」
 厚労省によると、患者申出療養を申請した患者は、適格基準のうち2項目で該当しなかったという。

 日医側は、「他の5項目を拡大するのはおかしな話。(症例数)100例の想定があるからではないか」「一例一例を慎重に判断すべきだ」などと指摘した上で、「制度自体は素晴らしい。患者の申出にも賛成するが、こうした形で始まるのは非常に残念だ」と述べた。

 また患者を代表する委員も、「きっかけが患者なのに、主客が転倒している」などと発言し、適格基準の拡大に伴って患者が亡くなった場合、現行の先進医療の評価に影響が出ることに懸念を表明した。

 厚労省の担当者は、「今回は計画通りに取り扱いたい」とした上で、「評価会議に報告し、第二、第三の事例でしっかりと対応していく」と述べた。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/161020/prl1610201414104-n1.htm
ノバルティスが実施した日本を含む過去最大規模の乾癬患者調査で日本と世界の状況の違いが明らかに
2016.10.20 14:14 プッシュ通知

ノバルティス ファーマAG(スイス)は、日本を含む世界31カ国にわたり、8,338人の乾癬の患者さんが参加した過去最大規模の乾癬患者調査「Clear about Psoriasis Patient Survey(クリアな肌に関する乾癬患者調査)」の結果を発表しました。この調査は、世界25の患者団体の協力のもと「クリアな肌」に対する乾癬患者さんの想いを初めて調べたのものです。

◆調査概要:
実施時期:2015年10月-2016年3月
調査手法: 患者はオンライン・パネルか患者団体を通じてリクルート
調査はオンラインで実施
調査対象: 世界31カ国の尋常性乾癬と診断されている患者

◆世界31カ国(8,338人)の調査結果:
中等症から重症の乾癬患者さんの84%は、差別や侮辱された経験があり、多くの患者(40%)は、公衆の面前で皮膚をジロジロと見られたりした経験を持っています。また、約半数(45%)の患者は、「うつる病気か」と聞かれたことがあります。
16%の患者さんが、自分を守るために引きこもっていることから、乾癬が患者さんの人生や精神衛生に与える深刻な影響についても明らかになりました。
希望や自信のなさから、皮膚に症状がみられる患者さんの56%が「クリアな肌」を取り戻すことが出来ないと考えています。

◆日本(204人)の調査結果:
●差別などの経験
・日本でも差別や侮辱を経験している患者が72%にも上っており、24%の患者さんが公衆の面前で皮膚をジロジロと見られ、恥ずかしい思いをしたり(64%)、22%の患者が「うつるのか」と聞かれ、侮辱された(43%)と感じています。
●治療のゴールと期待
・皮膚に症状がみられる日本の患者の82%が「クリアな肌」を取り戻すことは、難しいと考えています。これは31カ国中で最も高い数字です。
・「自分の希望に対し、これまで医師と話し合ったことがない」という人は世界31カ国で17%に対し日本は30%と高い結果でした。
・「クリアな肌/ほぼクリアな肌」になった薬剤に出会うまで5年以上かかった人の割合が世界31カ国で28%、日本は40%でした。
・日本では患者は有効な治療手段を見つけるまでに平均3名の医師を受診し、平均4つの薬剤を試しています。
●パートナーとの関係
・37%の患者が乾癬がパートナーとの関係に影響したと感じています。また、25%がパートナーに対し劣等感を感じています。
・誰かが自分の肌に触れることを嫌悪している患者が24%おり、性的な関係を持つことを避けている人が29%います。
●仕事に対する乾癬の影響
・55%の患者が仕事に対して乾癬は影響していると回答しており、はがれ落ちた皮膚がそこら中に散らばっていること(57%)や、集中が出来ないこと(51%)が悩みとして挙げられていました。
・職場でも同僚や顧客から差別された経験を持つ方が12%います。また、17%の患者が、仕事を失わないか心配をしています。
●心の健康
・19%の患者は、乾癬が原因で精神疾患と診断されています。具体的には11%が不安神経症、12%はうつ病でした。
・また、日本でも引きこもりになっている患者が約1割(9%)いることから、この疾患の精神的負担の大きさを示しています。
・約3割(29%)の患者が、乾癬が原因で夢を諦めたことがあると回答、一方で半数の患者が乾癬治療は希望であると回答しています。

東京逓信病院皮膚科 江藤 隆史先生は、次のように述べています。「日本で、乾癬という疾患が良く知られていないことが原因で、患者さんが精神的に大きな負担を負っていることを、この調査は示しています。また、皮膚症状が残る患者さんの8割以上が寛解は難しいと考えていること、そしてその割合が31カ国中最も高いことが明らかになりました。ここ最近、乾癬の治療は大きく進み、患者さんの治療選択肢は、大きく広がり、自分にあった治療をうけることで寛解も夢ではありません。自分にとって最適の治療を見つけるために、皮膚科専門医と治療のゴールについてしっかりと話し合うことが大切です」

また、日本乾癬患者連合会(JPA) 会長 柴崎弘之さんは、次のように述べています。「今回の調査結果は、私たち乾癬患者の経験そのものです。ここ数年で乾癬の治療選択肢が広がり、『クリアな肌』を取戻し普通の生活を過ごすことも夢ではなくなりました。各地域の患者会は、患者同士のコミュニケーションを図りながら、正しい治療の知識を得ることを目的としています。乾癬に関して相談したいこと、知りたいことがあるのであれば、まずは近隣の患者会か日本乾癬患者連合会までご連絡ください」

調査の詳細は「はだねっと」特設ページでも公開しております:
http://hadanet.jp/survey/

◆乾癬について
乾癬は、青年期から中年期に好発する厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)を伴った紅斑を臨床的な特徴とする非感染性の慢性再発性炎症性疾患です[1]。世界の人口の約3%にあたる約1億2,500万人が乾癬に罹患していると言われており[2]、日本では人口の0.3%にあたる43万人が罹患していると報告されています[3]。苦痛を伴うこの疾患は、単に美容上の問題ではなく、きわめて軽症の症状であっても患者さんの日常生活に影響を及ぼします。
また、関節症性乾癬は、皮膚症状に加えて全身の関節に腫れと痛みを伴う炎症、こわばり、変形などの関節症状が出現します。約60%の患者で乾癬の皮膚症状が先行し、残り40%のうち関節症状先行型と皮膚および関節症状が同時に見られる場合がそれぞれ20%ずつと言われています1。日本では、乾癬患者の3.3%と言われており、25から30歳に発症しやすいと言われています[4],[5]。また、関節症性乾癬の患者さんの関節の変形は不可逆性であり、早期から炎症の徹底した治療が必要とされています[6]。
膿疱性乾癬は、発熱や皮膚の発赤とともに無菌性の膿疱が全身に出現する乾癬の一病型で、再発を繰り返す難治性の疾患です。皮膚病変は外観を著しく損なうことから、患者さんの生活の質(QOL)は身体的および精神的に著しく低下します[7]。この疾患による全身性の炎症が長期に継続することにより、二次性の全身性アミロイドーシスの惹起、関節炎の合併による関節の不可逆的な変形、ぶどう膜炎など眼の合併症による失明、心・循環不全、呼吸不全、悪液質や腎不全の合併により生命が脅かされることもあります[8],[9],[10]。

参考文献
[1].古江増隆、大槻マミ太郎(2012年)『ここまでわかった乾癬の病態と治療』中山書店
[2].International Federation of Psoriasis Associations (IFPA) World Psoriasis Day website. “About Psoriasis.” http://www.worldpsoriasisday.com/web/page.aspx?refid=114. Accessed August 2013.
[3].[久保田潔, 佐藤嗣道, 大場延浩 他 (2013)] ナショナルレセプトデータベースの活用可能性を探る -乾癬の疫学研究から-. 日本薬剤疫学会, 11月16日-17日 2013, 東京, 2013:39.
[4].Tkahashi H, et al. Analysis of psoriasis patients registered with the Japanese Society for Psoriasis Research from 2002-2008. J of Derm. 2011; 38: 1125-1129
[5].瀧川雅浩、白濱茂穂(2011年)『これでわかる乾癬の新しい治療生物学的製剤からトータルケアまで』南江堂
[6].Ohtsuki M, Terui T, Ozawa A, et al. Japanese guidance for use of biologics for psoriasis (the 2013 version). Journal of Dermatology. 2013; 40: 683-695
[7].Rapp SR, Feldman SR, Exum ML, et al. (1999) Psoriasis causes as much disability as other major medical diseases. J Am Acad Dermatol; 41:401-7.
[8].照井正,秋山真志,池田志斈, 他 (2014) 膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014:日皮会誌:125(12),2211-2257
[9].小宮根真弓,岩月啓氏,黒沢美智子,他 (2014) 診断の手引き II 膿疱性乾癬. In: 岩月啓氏,天谷雅之,橋本隆,他. 稀少難治性皮膚疾患に関する診療の手引き[改訂版]. 岡山:稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班事務局, p. 38-55.
[10].厚生科学審議会2014

ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置くヘルスケアにおける世界的リーダー、ノバルティスの医薬品部門の日本法人です。ノバルティス グループ全体の2015年の売上高は494億米ドル、研究開発費は89億米ドル(減損・償却費用を除くと87億米ドル)でした。ノバルティスは約118,000人の社員を擁しており、世界180カ国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。http://www.novartis.co.jp

本リリースに関する動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=Pqug_mTaK6k&feature=youtu.be
https://www.youtube.com/watch?v=V09bpZDwS9Q&feature=youtu.be



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161020_63034.html
<病院贈収賄>市立病院医師 収賄罪で起訴
2016年10月20日木曜日 河北新報

 いわき市立総合磐城共立病院(福島県いわき市)の診療材料器具納入を巡る贈収賄事件で、福島地検は19日、収賄罪でいわき市内郷御台境町、同病院心臓血管外科主任部長の医師近藤俊一容疑者(50)を、贈賄罪で福島市栄町、医療機器販売会社「アイビー」の社長引地仁容疑者(57)を起訴した。
 起訴状などによると、近藤被告は心臓血管外科で使用する診療材料器具について、アイビーが扱う製品を選定するよう便宜を図った謝礼などと知りながら2013年11月~今年8月、知人女性と使っていたいわき市内のマンション賃料や、北海道への旅費など計約535万円をアイビーに負担させたとされる。
 近藤被告は10年5月以降、院内の診療材料委員会委員を務め、診療材料器具の選定や購入方法を決める立場にあったという。



http://www.asahi.com/articles/ASJBN2FBWJBNUBQU007.html
患者の治療歴、全国で共有へ
生田大介
2016年10月20日07時36分 朝日新聞

 医療機関ごとに持っている患者個人の治療歴や過去の処方薬といった情報を全国の施設で共有する仕組みづくりを厚生労働省が始める。本人の同意を前提に、全国どこでも健康や疾病の状態にあわせた保健医療を受けられる。2020年度の運用開始をめざす。

医療輸出で日本出遅れ 韓国が攻勢
 厚労省の有識者懇談会が19日に提言したシステム「PeOPLe(ピープル)」として整備する考えだ。対象者に医療用の個人番号を割り振り、全国の医療機関や介護施設などの情報をつなぐ。患者の健康状態や過去に受けた治療や処方薬、アレルギーや副作用などの情報を医師らが活用する。

 実現すれば、救急搬送時や災害時に普段と違う医療機関を受診する場合や、発作などで本人が意識を失っている場合でも、最適な治療が受けられるようになるという。個人情報保護の観点から、システムに参加するかどうかは一人ひとりの同意を原則とする。患者本人も自らの医療情報にアクセスできるようにする。

 蓄積したデータを匿名化して行政や大学、企業などが研究に活用することも想定。保健医療の質の向上や疾患の原因究明、創薬などにもつなげるという。



https://www.m3.com/news/general/469290?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161020&dcf_doctor=true&mc.l=184595075&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
個人病歴の一元管理 医療効率化、20年度から 厚労省構想
2016年10月20日 (木) 毎日新聞社

個人病歴:一元管理 医療効率化、20年度から 厚労省構想

 厚生労働省は19日、病院での治療歴や健診結果など国民の医療や保健に関するさまざまな情報を統合し、病院や介護などの現場で活用できるデータベースを2020年度から運用する構想を明らかにした。国民一人一人に最適な医療や保健サービスの提供を目指すとともに、投薬や検査の重複を防ぐことで医療費の節約にもつなげたい考えだ。一方、情報提供への同意の取得や個人情報の取り扱いなど、実現には高いハードルが想定される。【細川貴代】

 ◇実現にハードル

 現在、個人の治療情報や、予防接種記録、健康診断のデータなどは、病院や自治体などが別々に保有している。この日、塩崎恭久厚労相が設置した有識者懇談会が保健医療分野の情報通信技術の活用に関する提言書をまとめた。その中で、国民の医療、保健、介護に関する情報について、国が主導してデータの規格を統一し、統合して管理することによって医療や介護の効率化を図るデータベース作りを求めた。

 厚労省は提言を受け、データベースを「PeOPLe(ピープル)」(仮称)と名付け、20年度の運用開始を目指す方針を決めた。過去の病歴や薬の使用状況、健診の結果、介護の必要性などの情報が共有されれば、かかりつけ医以外の医療機関に搬送された場合に適切な治療を受けられたり、同じ薬の重複投与を避けられたりする。

 高齢化が進む中、地域の医療・介護の連携や災害時の治療、本人の健康管理などにも役立てられると期待される。

 また、集まったデータを匿名化して分析し、病気の原因解明や医薬品の安全対策、効率的な医療の実現などにも役立てる計画だ。

 一方、病気や健診の情報は特に慎重な扱いが求められる個人情報のため、集めたデータの保護の徹底や、万が一流出した場合の対策などが求められる。民間の病院や機関が保有する情報の提供に関するルールも必要になる。提言書は、データベースへの情報提供には本人の同意が必要とし、情報を使える人の範囲を限定する仕組み作りを要請している。

 同省は今後、具体的な仕組みの検討や関係者との調整を始める。



http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/101600083/101900006/?ST=health
デジタルヘルスDAYS 2016
製薬企業は「地域医療のハブ」を志す
MSD執行役員の諸岡氏が講演

大下 淳一
2016/10/20 02:10日経デジタルヘルス

 地域包括ケアの時代に、製薬企業が求められる新たな役割とは何か――。MSD 執行役員 医薬政策部門統括 兼 社長室長の諸岡健雄氏は、「デジタルヘルスDAYS 2016」(2016年10月19~21日、主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)の開催初日のカンファレンスに登壇し、「地域医療の環境変化とMSDの取り組み」と題して講演。医療提供体制の変化が製薬企業のビジネスに与える影響や、それを見据えた同社の取り組みを語った。

 諸岡氏はまず、日本の人口が減少局面を迎えたことや人口構成の変化を背景に、国内医薬品市場の成長が飽和しつつあると指摘。「すでにピークアウトしたか、近い将来に(ピークアウト)する可能性が高い」とした。製薬企業にとっては「医薬品以外のサービスにも取り組まなければ、大きな成長を見込めない」状況だ。

 今後、製薬企業に大きな影響を与えると予想されるのが、急性期を中心とする病院から地域・在宅へ、という医療提供体制の比重シフト。製薬企業の主戦場である病院という場に加え、今後は退院後に「地域に戻って医療・介護サービスを受ける人に対し、何かできるかを考える必要がある」。製薬企業にも、人々の“日常”を支えるヘルスケア企業としての側面が強く求められるようになる。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08613600Q6A021C1PP8000/
病床再編、都道府県に権限 諮問会議で民間議員が提言へ
2016/10/21 2:00日本経済新聞 電子版

 政府の経済財政諮問会議の民間議員は、民間病院も含めた病床再編や専門医の配置について都道府県に権限を与えるよう提言する。都道府県が主導する体制を整え、自治体間でばらつく医療費の地域差半減をめざす。21日の会議で示す。

 地域医療は、自治体が医師会など当事者と連携して地域医療構想や医療費適正化計画をつくっている。提言は医療費抑制の実効性を高めるため「都道府県が責任をもって推進する仕組みが不可欠」と指摘する。

 具体策として、病床再編などの調整権限を都道府県に与えることを挙げる。病床削減や患者の重症化予防など医療費を抑えた自治体に、交付金を大胆に傾斜配分することも提案する。地域をまたいで医療従事者の過不足をならすため、不足の地域へ移る医師らへの助成金などを検討すべきだとも主張する。

 厚生労働省によると、1人当たり医療費の全国平均は50万1千円。最高の福岡県(60万4千円)と最低の新潟県(43万8千円)の差は16万6千円。政府は地域差の半減目標を掲げており、民間議員の提言を踏まえ、厚労省など関係省庁が具体策を検討する。ただ都道府県の権限強化には日本医師会が慎重なため、調整は難航が予想される。

 民間議員は社会保障給付や保険料負担の抑制でも提言する。社会保障費拡大の主因と位置付ける薬剤費の膨張を抑えるため、薬価の毎年改定や費用対効果を踏まえた価格付けなど薬価制度の見直しを訴える。高額薬に偏りがちな生活習慣病の治療は処方を適正化する指針をつくるよう求める。

 世代間の不公平を解消するため、高齢者の入院負担限度額などを現役世代と同水準にすべきだと強調する。後期高齢者制度で低所得者らの保険料を最大9割軽減している特例も速やかに廃止するよう訴える。医療や介護の生産性向上も課題に挙げて、ロボットなどを導入する介護事業者には、介護報酬を上乗せして払うべきだとした。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48119
日本で最悪の医療過疎地、埼玉県
南米チリと同水準、産科は医療崩壊の危機に直面

小杉 和博
2016.10.21(金)JB Press

 先日、子供が産まれました。2904グラムの元気な女の子です。幸いにも安産で、出産後も大きな問題なく、母子ともに健康です。


 陣痛が始まったのが休日だったため、出産に立ち会うこともできました。家族が増えるという人生の大きなイベントを迎えられ、初めての子育てに悪戦苦闘しながら、非常に嬉しく思っています。

 友人や上司に出産の報告をすると必ず聞かれるのが「里帰り出産ですか?」というものです。育児情報誌「miku」の2011年の調査によると里帰り出産をした妊産婦は約6割で、過半数の人が里帰り出産を選択しているようです。

 その理由として、産後の体を休めるためや、妊娠・育児を親にサポートしてもらうため、というものが多いようです。また、夫が長時間労働のためサポートが期待できない、という理由が次に続いています*1。

里帰り出産ができない!

 医師は職業柄、長時間労働や時間外労働が多く、私のまわりの先輩医師に聞いてみると里帰り出産が多いようです。そうしたなか、私達夫婦は里帰りせず、現在の自宅近くの産院で出産することを選択しました。

 妻の地元に里帰り出産を引き受けてくれる産院がないからです。

 私も妻も埼玉県出身で、妻は埼玉県秩父市の出身です。秩父市は秩父盆地を中心とした山々に囲まれた自然豊かな地域で、秩父礼所巡礼や秩父夜祭などの歴史文化も多く、埼玉県の観光名所の1つです。

 人口は約6万人ですが、市内に産院は1つしかなく、分娩予定数によっては市内の出産を担うだけで精一杯で、里帰り出産は引き受けていないようです。市も産科医療の充実に向けた取り組みを行っているのですが、改善の目処は立っていない様子です*2。
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 意外に思われる方も多いでしょうが、埼玉県は日本で一番の医療過疎地です。人口10万人あたりの医師数は149人と東京都(304人)の半分以下で、南米のチリと同水準です。


 医師の偏在は東京から離れた地方で生じていると思われがちですが、実態は東京を除く関東が最も不足しているのです(全国ワースト3は埼玉、茨城(167人)、千葉(170人)です)*3。

 さらに産婦人科医師数も埼玉が最も少なく、人口10万人あたりの28人と、首位である長崎(57人)の約半分です*4。南相馬市立総合病院の山本佳奈医師による医療圏別の解析によれば特に秩父、東部医療圏が少ないようです。

 なぜ埼玉が医療過疎なのか、それは医学部の偏在が原因と言われています。

県内には私立の医学部が1つだけ

 人口あたりの医師数は医学部数、つまり地元での医師養成数と相関してるのです。埼玉県は人口723万人に対し、医学部が1つしか存在せず、人口あたりの医学部数は全国最低です*3。

 さらに私立医学部のため、地元の学生が通えるわけではなく、医師の地域定着率が低いのです。埼玉県は埼玉に残る医学生に奨学金を用意したり、大学側も地域枠を設けたりしていますが、目に見える効果はまだ現れていません。

 「埼玉は東京の隣なのだから、何かあれば東京にいけばよい」と考える方もいるかもしれません。糖尿病などの慢性疾患や外科で行われる待機手術であればそれでもいいかもしれませんが、それが産科にも当てはまるでしょうか?

 秩父からでは都心まで特急電車を使ったとしても1時間以上かかりますし、妊婦なら自家用車、タクシーが主な交通手段になりますので、2時間近くかかります。予期せぬ母体や胎児の変化に2時間の遅れは許容できないでしょう。

 こうした医師の偏在を解消するために、これまでも様々な議論が行われています。つい先日、厚生労働省の分科会で、保険医登録の条件に医師不足地域の勤務経験が提案された、との報道がありました*5。


 実現には法改正を含めた細かい協議が必要で、まだ時間はかかりそうです。しかし、この医師不足地域の中にちゃんと埼玉県は含まれているのでしょうか?

 実態がしっかり把握されず、「医師不足は地方」というイメージだけで議論がなされることがなく、地元埼玉の産科医不足がいち早く解消されるよう切に願います。

*1=2011年9-11月「育児情報誌miku」アンケート結果
*2=秩父市役所Webサイト
*3=上昌広.日本の医療格差は9倍.光文社,2015,266p.
*4= 厚生労働省.平成26年(2014年)医師・歯科医師・薬剤師調査
*5=朝日新聞 2016年10月7日 朝刊


https://www.m3.com/news/general/469343
深谷日赤の休日・夜間3次救急、埼玉医大(川越)で受け入れ
2016年10月20日 (木) 埼玉新聞

 熊谷、深谷、行田、寄居の3市1町の医療機関で構成する熊谷・深谷地区救急医療対策協議会(会長・長又則之熊谷市医師会長)と、川越市の埼玉医大総合医療センター(堤晴彦病院長)は19日までに、県北3市1町の重症・重篤な3次救急の患者を対象にした搬送受け入れに関する協定を結んだ。

 県から救命救急センターに指定されている深谷赤十字病院(深谷市)が、休日や夜間などに3次救急の患者に対応できない場合、埼玉医大総合医療センターで受け入れる。

 医療整備課によると、同病院では平日は原則全ての3次救急の患者を受け入れている。

 ただ、休日や夜間は医師の勤務などの関係で約90%の受け入れ状況にあることから、100%の体制を整えるため、3次救急の患者を同医療センターがバックアップする形で受け入れる。

 3次救急の患者は生命への危険があるため、ドクターヘリコプターや高速道路を使って搬送される。ある程度まで回復した患者は3市1町の医療機関に転院することも協定に盛り込まれた。

 県によると、2015年の県内の救急搬送患者は28万4447人で、そのうち3次救急患者は2万9038人(速報値)に上る。

 児玉地区(本庄市など1市3町)の3次救急の患者も現在、深谷日赤や群馬県の救命救急センター指定病院で受け入れている。

 同課は「救命救急センターは生命の危機にある患者の最後のとりでとなる役目を果たしている。児玉地区の3次救急の患者の休日や夜間の対応については今後、川越の同医療センターで受け入れてもらえるよう検討していきたい」としている。

 県内では現在、8カ所の医療機関が救命救急センターに指定されている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/anursing/kobayashi/201610/548727.html
小林光恵の「ほのぼのティータイム」
「化粧禁止」のルールに苦しむ入院患者

小林光恵
2016/10/21日経メディカル

 半年ほど前に、友人のA澤さん(30代後半・女性)から電話がありました。
「実は、今度入院する前にアートメイク眉にしよう思ってるんです」
「ちょ、ちょっと待って」

 アートメイクとは、皮下に色を入れるタトゥ(刺青)の一種。施術を受ければ、数年は洗顔をしても水泳をしても、その色と形は保たれます。つまり、化粧で眉を描くように自由に形を変更することはできません。除去する方法はレーザー治療や手術です。皮膚障害や感染症といったトラブルも報告されていますから、施術を受けるかどうかの決断には熟慮が必要でしょう。

 A澤さんは慢性疾患で2回の入院経験があり、今回の電話のひと月半後に3回目の入院をする予定になっているようでした。彼女の眉は薄いほうで、描いてあるときと描いてないときの顔の印象がかなり違います。

「間違えました」と立ち去る主治医
 A澤さんに、アートメイク眉にすると決めた理由を聞いてみると……。

 1回目の入院のとき、入院案内に「化粧はしないでください」という記述があったため、本当は眉だけは描きたかったものの我慢し、彼女は四人部屋の廊下側のベッドに、カーテンをぐるりとしめて横になっていました。

 するとそこへカーテンを開けて入ってきた主治医が彼女の顔を見るなり「あっ、間違えました」と言って踵を返して出てゆき、数秒後に再び顔をだし、彼女の顔をまじまじと見たといいます。
「外来受診時にはいつも眉を描いてたから、その先生、その時初めて眉なしの私を見たわけです。あのときの恥ずかしさといったら!」

 そして2回目の入院。彼女は意を決してベテラン風の年配ナースに尋ねました。
「入院中に眉を描いてはいけないでしょうか」
「ご遠慮ください」

 仕方なく眉を描かずにいると、面会に来た交際相手が会うなり、「うわっ!眉、描いたほうがいいよ」と言ったそうです。「それがきっかけで関係がぎくしゃくして、その後別れました。まあ、もともと縁がなかった相手なのでしょうけれど……。アートメイク眉にすれば描く必要がなくなって、入院中の眉の悩みもなくなるからいいと思って」

 私は彼女に、「とりあえずアートメイクの施術を受けるかは後でじっくり検討することにして、今度の入院では、眉のことをよくナースに確認してみたほうがいいよ」と話しました。眉を描くことを「ご遠慮ください」と言ったナースとは、コミュニケーションがうまくいかず何らかの誤解があったのかもしれないと思いました。

モーニングケアの時に希望者には眉描きも
 入院中に化粧を禁じている理由の一つとして、医療者が患者さんの顔色や口唇の色などを確認できるようにするため、という点があるでしょう。ただ多くの場合、眉は描いていても支障はないのではないでしょうか。

 私は以前から、入院案内に「化粧はしないでください」と記している場合は、化粧をしてはいけない理由とともに「眉は描いてかまわない」ことを追記してほしいと考えています。なぜなら、A澤さんのように、ナースに一度も尋ねずに「ダメなもの」と思い込んで我慢してしまう人が少なくないと思うからです。

 また、入院中、ご自分で眉を描けない状態にある患者さんにも、元々は眉を描いていた人に対しては日中には看護師などが眉を描いてあげるといった取り組みもぜひ検討してほしいです。

 眉は顔の印象を左右する(「顔の印象の8割は眉で決まる」某メイクアップアーティスト談)ので、入院と同時に眉を描かなくなった人は、そのことでその人らしい普段の顔の印象が失われ、それが病人らしい外見の要素の一つにもなってしまいます。お見舞いに来た家族や縁者たちは、患者さんの見た目の変化にショックを受け、それがかける言葉選びなどにも影響するのではないかと思うのです。

 モーニングケアの際などに、患者さんによっては眉を描くのをうながしたり、本人が描けないようで希望があれば、誰かが描いてあげてもよいのではないでしょうか。

 たかが眉。されど眉。顔は本人のみならず、その人に接する人たちの記憶の中にも強く印象にのこるため、身体の中では特に「いつもと違う」といった視覚的なギャップをもたらす部分です。

 ちなみに、病気や怪我や化学療法の副作用などによって、一時的あるいは永久に眉毛を失ってしまった方のためのものとして、医療用のつけ眉毛の販売や形成外科での植毛・発毛治療があるようですね。どなたか、看護の視点で患者さんの眉に注目した研究をしてみてほしいです。
 
 A澤さんは結局、私のアドバイスを受けてくれました。3回目の入院をするとすぐに、ナースに眉の件を尋ねたそうです。すると今度のナースは「描いてもまったく問題ない」と答えてくれたようで、、毎日、眉を描いて過ごしたとのことです。今回は、あらかじめ眉の薄いナースを選んで聞いたそうで、A澤さんの切実さが改めて伝わってきました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469353?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161020&mc.l=184595074&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 医師不足への処方せん
大都市圏以外に過去最多の研修医、2016年度マッチング最終結果
大学病院は42.7%で下げ止まりを見せる

2016年10月20日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 10月20日に公表された2016年度医師臨床研修マッチングの最終結果では、大学病院に研修先が決まったのは全体の42.7%で、過去最低を更新した2015年度の42.6%と同水準だった(昨年の結果は、『「大学で研修」下げ止まらず、2015年度マッチング最終結果』を参照)。市中病院に研修先が決まったのは57.3%。大都市部のある6都府県以外の内定者の割合は58.3%で、2004年度の新制度導入以降、最多となった。

 2004年度に臨床研修が必修化される以前、大学病院での研修者は約7割だった。2009年度は49.7%で、2008年度の49.1%から若干改善したが、2010年度47.9%、2011年度47.1%で、2012年度45.6%、2013年度45.2%、2014年43.7%、2015年度は42.6%と低下の一途をたどり、2016年度もほぼ同水準だった。

 募集定員に対するマッチ者数の割合である「定員充足率」を都道府県別に見ると、90%を超えたのは、熊本県、京都府、奈良県、東京都、福岡県の5都府県にとどまった。一方で、大都市部6都府県(東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県)を除く道県の内定者の割合は58.3%で、2004年度の新制度導入以降、最多となった。2008年度から上昇を続けており、大都市集中を抑制するための募集定員調整が一定程度機能しているとみられる。

 都道府県ごとの定員は、人口や高齢者数などに基づいて調整されていて、2015年度と比べると、6都府県以外では124人の増加となっている一方、6都府県では19人増に留められている。6都県の中でも福岡県の14人減に対し、東京都は10人増、神奈川県は13人増と、ばらつきがある。

 「定員充足率」は、80%台8府県(2015年度、10県)、70%台15道県(同10道県)60%台14県(同9県)、50%台4県(同13県)。昨年はなかった50%未満は、新潟県のみだった。マッチ者数が前年度と比べて大幅に増えたのは長崎県(84人→118人、+40.5%)、徳島県(49人→66人、+34.7%)、福井県(50人→66人、+32.0%)、富山県(65人→82人、+26.2%)、鳥取県(41人→51人、+24.4%)だった。

 今年のマッチング参加病院は、計1027施設で、2015年度より4施設の増加。募集定員は2015年度比143人増の計1万1195人。マッチング参加者は昨年より210人多い9631人。うち希望順位を登録したのは9395人、マッチングで研修先が決まったのは、94.8%の8906人。マッチした医学生の割合は、0.5ポイント増となった。今年6年生になる2011年度の医学部定員は、2010年度から77人増加し8923人だった。
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https://www.m3.com/news/general/469298
薬価改定制度見直しに言及 菅長官、高額薬値下げ狙い
2016年10月20日 (木) 朝日新聞

 薬の公定価格(薬価)をめぐり、菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で、「高額薬が全体の医療費を押し上げている。状況変化に応じて特例的な対応をすべきだ、と総理からも指示があった」と述べ、現在は原則として2年に1度の薬価改定制度の見直しに積極的に取り組む考えを示した。必要に応じて薬価を随時下げられる制度を視野に入れる。

 高額な薬では、新型がん治療薬「オプジーボ」が患者1人で年約3500万円かかる。従来、厚生労働省は2年に1度、薬価改定の時期にあわせて引き下げていたが、特例で改定時期を待たずに最大25%引き下げることを検討。しかし、経済財政諮問会議で高額薬の普及が医療費を押し上げ保険財政を圧迫しているとして、いっそうの値下げを求める声があがっていた。

 菅氏は「高額な薬剤について適正化を進めていくのは当然だ。保険財政への影響を考慮し、国民から見て納得がいくようにきちんと対応していきたい」とも語った。



https://www.m3.com/news/general/469297
署名1万筆を提出、外科医師を守る会
2016年10月20日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対する準強制わいせつ容疑で乳腺外科医が逮捕、起訴された事件で、医療関係者有志で作る「外科医師を守る会」は10月20日、これまでに集まった早期釈放を求める署名約1万筆を東京地裁に提出した。

 当初は5000筆を目標としていたが、多くの署名が集まった。同会では引き続き署名を集めている(柳原病院のホームページ(http://yanagihara.kenwa.or.jp/statement3.html)で署名用紙をダウンロードできる)。

 事件を巡っては東京保険医協会も10月12日付けで同様の嘆願書を東京地裁に提出している(『「医療崩壊を誘発、不当な勾留」、準強制わいせつ罪・起訴医師』を参照)。



https://www.m3.com/news/general/469263
大津市民病院が誤請求 富士通システムに不具合
2016年10月20日 (木) 共同通信社

 大津市は19日、市民病院で使用する麻酔の投与量を記録するシステムに不具合があり、麻酔処置を受けた患者59人の診療費が誤っていたと発表した。開発した富士通によると、全国で計30病院が同じシステムを採用しており、他にも誤請求が判明したケースがあるという。

 大津市民病院によると、保険請求分と患者負担分を合わせ、過剰請求が計4万8702円、過少請求が計1万2693円だった。患者負担分で誤りがあった12人には自宅を訪れて説明、還付または追徴の手続きをする。

 同病院での不具合は2014年1月のシステム導入当初からで、富士通によると、医師が1分当たりの投与量を入力し、その後の操作で複数の条件が重なった場合に、誤った投与量が会計システムに送信されていた。今年8月に修正し、現在も運用している。

 富士通広報IR室によると、30病院は17都道府県にあるが、大津市民病院以外の病院名については「顧客との契約上、公表できない」と説明している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469389
シリーズ: 社会保障審議会
「医学部定員、2020年度以降も増員」をけん制
医療部会、「働き方ビジョン」の役割問題視

2016年10月20日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)の10月20日の会議に、「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」における検討状況を報告。同分科会は今年末に向け、医師の偏在対策を検討しているが、医療部会で議論になったのは、その内容ではなく、この10月に発足した同省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の在り方だ。

 ビジョン検討会は、二つの視点で問題視された。第一は、検討会の位置付けが曖昧で、構成員の選任を含めた設置に至る経過、議論の進め方が不透明である点。資料は公開されているが、会議自体は非公開だ。第二は、同検討会の結論が、医学部定員増につながるとの懸念だ。

 第一の問題提起をした、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「ビジョン検討会については、一度も議論されず、(医師需給分科会が5月に了承した)中間取りまとめに入ってきた」と指摘。その上で、医師需給分科会でその後もメンバーなどについて一度も話し合っていないにもかかわらず、いきなり発足し、議論が進んでいることなどを問題視、「どのような位置付けなのか」と厚労省に問いかけた(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏も、「こんな変な、理解不能な検討会の設置はない」と山口氏の意見を支持。その上で、「医師の『数の手当て』は終わった。医師偏在対策こそが重要」と見る中川氏は、今の議論の進め方が医師養成増につながりかねない点も問題視した。

 ビジョン検討会は、山口氏が言及したように、医師需給分科会の中間取りまとめで提言されたのがきっかけ。にもかかわらず、塩崎恭久厚労相が、ビジョン検討会の10月3日の第1回会議の席上、同分科会による医師需給推計を、「無意味な数字」と指摘し、分科会軽視とも受け取れる発言をしたことから、10月6日の医師需給分科会でも問題視されていた(『診療科別の「専攻医研修枠」、JCHO尾身氏が提案』を参照)。

 もっとも、20日の医療部会に出席予定だった厚労省医政局長や担当審議官ら幹部は、途中参加、あるいは不参加だったこともあり、厚労省が提示した通りのスケジュールで進む見通し。

 2015年12月に設置された「医療従事者の需給に関する検討会」、およびその下部組織の医師需給分科会は、医師需給推計と医師偏在対策の二つの検討が目的。

 医師需給推計については、中間取りまとめで、2019年度までは現行の医学部定員の9262人を最低でも維持する方針を決定。2020年度以降の医学部定員の在り方が残る課題だった。今後、まずビジョン検討会が、「医師の働き方ビジョン」を検討、2017年2月頃の取りまとめを予定している。その結論を待って、医師需給分科会が、改めて医師需給推計を行う。その基礎データを得るため、近く厚生労働科学研究費補助金による研究班が発足予定であり、「今、医師がどんな働き方をしているかについて調査する。(中間取りまとめの医師需給推計で使った)前のデータは約10年前のものであり、より精度の高い推計を行っていきたい」(厚労省医政局医事課長の武井貞治氏)。

 一方、医師偏在対策については、医師需給分科会でまず検討し、今年末までに結論を得て、医療法改正等が必要な場合には、2017年度の通常国会に改正法案を提出する予定。

 「ビジョン検討会は非公開」にも疑問
 ビジョン検討会に関する議論の口火を切ったのは、山口氏だった。山口氏は「どんな位置付けなのか」と質問、続いて中川氏も「非公開でやる意味は何か」などと問いかけた。

 厚労省医政局総務課長の中村博治氏は、医師需給分科会と、ビジョン検討会ともに、厚労省医政局が事務を管轄しており、位置付けは同じであると説明。非公開の意味は、「各構成員がそれぞれの経験を踏まえ、できるだけつまびらかに議論してもらうため」と説明、資料と議事内容は公開し、会議後はマスコミに対しブリーフィングを行っているとして理解を求めた。

 それでも中川氏は納得せず、今後のスケジュールについて、「医師の偏在対策は、医師需給分科会で議論していいが、医師の養成数は、ビジョン検討会において、新たな構成員を入れた非公開の場で、考え直すと言っているように見える」と指摘。「医師不足の問題のうち、医師の『数の手当て』は終わっており、既に議論は済んでいる。今は(2008年度以降)増やした医学部定員をいつ減らすのかが問題であり、医師需給分科会でも精度の高いデータを基に議論していた。しかし、全く不透明なやり方で、ビジョン検討会に医師養成数の議論を持っていくのは疑問」(中川氏)。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏も、医師以外に、看護師、PTやOTについても需給分科会が発足したものの、「突如、ビジョン検討会ができたために、方針ががらりと代わり、取りまとめの時期が延期された。そのことに対して、看護師等の需給分科会では、まだ報告がない。ビジョン検討会が優先して検討し、結果が出た後に分科会で検討する枠組みは、非常に不自然」とコメント。

 「医師は全て同等」なら、2020年にも需給均衡
 医師需給分科会の中間取りまとめの医師需給推計では、30~50代の男性医師の仕事量を「1」とした場合、「女性」や「60歳以上」の医師は「0.8」、研修医1年目は「0.3」、研修医2年目は「0.5」としていた。

 中川氏は9月の医療部会で、女性医師も男性医師と同等に活躍していることなどから、全ての医師を「1」とした医師需給推計を厚労省に求めていた(『「強力な医師偏在対策」を検討、年内目途に』を参照)。「必要医師数を多く見せようとしているとしか思えず、女性医師や研修医などを侮辱した話。これまで増やしてきた医学部定員をさらに増やそうとしているか、心配になる。医師全員が1人と考え、需給推計を行い、その上で、女性医師が働きやすい環境を考えるべき」(中川氏)。

 医師需給分科会の医師需給推計のうち、中位推計では2024年に、最も医師の需要が大きくなる上位推計では2033年にそれぞれ医師の需給が均衡する。中川氏が入手した推計によると、全ての医師を「1」としてカウントした場合、それぞれ4年短縮し、中位推計では2020年、上位推計では2029年に需給が均衡するという。

 日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長の木戸道子氏も、「医師を増やすことで、本当に医師不足が解消されるのかは疑問。医師数は今増えているものの、産婦人科医は減少している。不足している領域の待遇改善こそが優先されるべき」と指摘した。


 日本専門医機構、事務局長は出向者
 医師需給分科会が議論する医師偏在対策では、専攻医の在り方も検討課題の一つ。中川氏は9月の医療部会で、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏へのヒアリングを行った際、ガバナンスの刷新を求めたことから、その後の状況を厚労省に対し、確認。

 武井課長は、「週1回くらいのペースで、日本専門医機構と打ち合わせをしている。若干時間がかかるが、改革の方向で進みつつあるという報告を受けている」と答えた。

 しかし、中川氏は、10月5日の日本専門医機構理事会の議論を挙げ、ガバナンスの不備を問題視。同機構の事務局長が、専属ではなく、他組織からの出向者であり、出向元にその費用支払いがなされていないことが明るみになったという。

 そのほか、専門医制度については、2017年度から「暫定プログラム」を使用する6つの基本領域の地域医療への影響も議論になった。武井課長は、6つの学会へのヒアリングを通じて、現時点では影響がないとの判断であると説明(『6基本領域の専門医、「地域医療への影響なし」』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469304
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、判決は来年3月に
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第37回公判

2016年10月20日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第36回公判が、10月19日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、裁判終結に向けた日程が決まった。11月25日に論告・求刑、12月15日に最終陳述、2017年3月16日に判決となる予定。

 この日の公判では、論告に向けた争点整理が行われた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469291
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
地域包括診療加算の届出、2015年は約1800減
2016年度改定での施設基準緩和後の動向注目

2016年10月20日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月19日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に、2015年7月1日現在の診療報酬の施設基準の届出等を報告、2014年度診療報酬改定で新設された、かかりつけ医機能を評価する点数である「地域包括診療料」「地域包括診療加算」の届出はいずれも、2014年と比べて減少していることが分かった(資料は、厚労省のホームページ)。

 「地域包括診療料」(200床未満、もしくは診療所)の届出は、2015年は病院12施設、診療所81施設で、いずれも2014年の病院13施設、診療所109施設から減少。「地域包括診療加算」(診療所のみ)の届出は、2015年4701施設で、2014年の6536施設から1835施設減った。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、2015年の届出数の減少を問題視、「今後の課題が見えてきた。これから進めていかなければいけない機能分化や、地域包括ケアシステムを構築する上で、出だしでつまずいている」と述べ、次期2018年度診療報酬改定に向けて算定が少ない理由を検証する必要性を指摘した。

 「地域包括診療料」「地域包括加算」は、脂質異常症、高脂血症、糖尿病、認知症のうち、2つ以上の疾患を有する患者に対して、療養上必要な指導等を行う体制を整備する場合に算定できる点数。ただし、施設基準が厳しいことから、2016年度改定で、常勤医師の要件を3人から2人に減らすなど緩和された(『かかりつけ医は1人に限らず - 中川俊男・日医副会長に聞く◆Vol.3』などを参照)。2016年度改定以降、届出施設数がどの程度、増加したか、その結果を踏まえた2018年度改定に向けた見直しの動向が注目される。

 初診の上乗せ料金、最高は1万800円
 19日の中医協総会には、2015年7月1日現在の選定療養についての報告状況も明らかになった。

 外来の機能分化が進められる中、病床数が200床以上の病院では、紹介状のない初診患者からは保険外併用療養費制度の「選定療養」の枠組みで、上乗せの料金を徴収できる。徴収医療機関は、1246施設で、2014年の1201施設から45施設増。最高は1万800円、最低は210円で、平均は2474円。

 再診についても、病状が安定した患者で、診療所等に紹介したにもかかわらず、受診した場合に、患者から上乗せの料金の徴収が可能。徴収医療機関は103施設で、ここ数年は約100施設とほぼ横ばいが続いている。最高は6480円、最低は210円で、平均は984円。


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10月19日 

http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/medical-ethics_b_12552172.html
「研究機関の医療倫理」という領域に、政府が介入するのは正しいのか?
上昌広  特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所 理事長

投稿日: 2016年10月19日 15時42分 JST 更新: 2016年10月19日 15時42分 JST ハフィントンポスト

東大医科研を辞し、医療ガバナンス研究所に移り、半年が経過した。相変わらず、診療・研究・教育活動を続けている。

研究を進める上で、倫理委員会は必須だ。独立した研究機関になった以上、私たちも倫理委員会を立ち上げることとした。この旨、中央大学経済学部4年で、当研究所のスタッフである三浦基君に指示した。三浦君には倫理委員会に詳しい専門家を紹介した。

三浦君からの報告を聞いて驚いた。「今さら倫理委員会を立ち上げても遅い。倫理委員会は集約化され、国が認めたものしかなくなる」と言われた」と言うのだ。

確かに、日本医療研究開発機構(AMED)のホームページには「倫理審査委員会認定制度構築事業」について記載があり、その必要性を「「倫理審査委員会ごとに審査の質にばらつきが生じている」との指摘」があるためと説明している。15年度には東北大学など、6つの大学が認定されている。

この事業の真意について、知人の厚労官僚に問い合わせたところ、「海外の制度を参考に作っており、今後は法制化も視野にしている。国が認定するのは、そんなにおかしいのでしょうか」という回答が返ってきた。

なぜ、医療倫理という問題に政府が介入することに、誰も違和感を抱かないのだろう。

丁度、三浦君と議論しているところに、小松秀樹医師がやってきた。『医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か』などの著書で有名な論客だ。

小松医師に、この問題についての意見を聞くと、「ありえない。国が倫理をコントロールすればナチスだ。そもそも医療倫理は、戦後、ナチスへの反省から生まれた。こんな議論を真顔でしているのは、日本人の知性が劣化している証左だ」と喝破した。医療倫理の専門家や厚労省の意見とは正反対だ。

では、厚労官僚が「錦の御旗」とする海外の議論とは何だろう。最近、New Engl J Medに、米国バンダービルト大学のローラ・スターク博士らが、「Clinical Trials, Healthy Controls, and the Birth of the IRB」という論文を発表し、その中で'Central IRB'が生まれた経緯を説明している。

米国でIRBが始まったのは50年代だ。きっかけは、NIHの臨床センターで「ボランティア」を臨床試験に登録していることが問題となったからだ。当時、「ボランティア」と言えば、囚人や軍人、医学生だった。

その後、NIHが資金を提供し、他施設で実施される研究についても、倫理的な問題が指摘されるようになった。70年代に発覚したタスキギー事件など、その代表例だ。32~72年までアラバマ州タスキギーで米国公衆衛生局が、梅毒の無料治療を提供すると称して、黒人の梅毒患者を無治療で経過観察した。

このようなケースを通じ、臨床研究を実施する各施設にIRBを設置することが求められるようになった。それが'local IRB'だ。

ところが、この仕組みに不都合が生じている。多施設共同研究で、各施設がIRBを設置するのは金と時間の無駄なのだ。スターク博士らは、この無駄を解消する仕組みが'Central IRB'であるという。このため、単独あるいは数施設で実施する小規模な臨床研究は、対象とならない。そもそも「今回のIRB改革の提言は、政策担当者による規制強化を求めるものではない」と強調している。'Central IRB'の主旨は、現場の研究者の支援であり、国家統制ではないのだ。

厚労省やAMEDの担当者とは対照的だ。彼らのやり方は、補助金と引き替えに、倫理委員会の統制を進めることになる。医療倫理の世界の常識から逸脱している。前出の三浦君は「どうして、日本では世界の議論がこんなにねじ曲がるのでしょうか」と言う。

私たちの研究所は、多施設共同の前向き研究には参加しない。福島などをフィールドとした小規模でretrospectiveなものばかりだ。従来の予定通り、独自に倫理委員会を立ち上げることとした。

小さい組織のメリットはスピードだ。大組織の倫理委員会を利用すれば、我々の長所が失われる。その代わり、情報開示を徹底したい。倫理委員会の委員をお願いする方々には、忌憚のない率直な意見を賜りたいと思う。


*本稿は「医療タイムス」での連載に加筆修正したものです。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1019/mai_161019_1829096148.html
<厚労省>個人治療歴を一元管理 医療効率化 20年度から
毎日新聞10月19日(水)21時31分

 厚生労働省は19日、病院での治療歴や健診結果など国民の医療や保健に関するさまざまな情報を統合し、病院や介護などの現場で活用できるデータベースを2020年度から運用する構想を明らかにした。国民一人一人に最適な医療や保健サービスの提供を目指すとともに、投薬や検査の重複を防ぐことで医療費の節約にもつなげたい考えだ。一方、情報提供への同意の取得や個人情報の取り扱いなど、実現には高いハードルが想定される。
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 現在、個人の治療情報や、予防接種記録、健康診断のデータなどは、病院や自治体などが別々に保有している。この日、塩崎恭久厚労相が設置した有識者懇談会が保健医療分野の情報通信技術の活用に関する提言書をまとめた。その中で、国民の医療、保健、介護に関する情報について、国が主導してデータの規格を統一し、統合して管理することによって医療や介護の効率化を図るデータベース作りを求めた。

 厚労省は提言を受け、データベースを「PeOPLe(ピープル)」(仮称)と名付け、20年度の運用開始を目指す方針を決めた。過去の病歴や薬の使用状況、健診の結果、介護の必要性などの情報が共有されれば、かかりつけ医以外の医療機関に搬送された場合に適切な治療を受けられたり、同じ薬の重複投与を避けられたりする。高齢化が進む中、地域の医療・介護の連携や災害時の治療、本人の健康管理などにも役立てられると期待される。

 また、集まったデータを匿名化して分析し、病気の原因解明や医薬品の安全対策、効率的な医療の実現などにも役立てる計画だ。

 一方、病気や健診の情報は特に慎重な扱いが求められる個人情報のため、集めたデータの保護の徹底や、万が一流出した場合の対策などが求められる。民間の病院や機関が保有する情報の提供に関するルールも必要になる。提言書は、データベースへの情報提供には本人の同意が必要とし、情報を使える人の範囲を限定する仕組み作りを要請している。同省は今後、具体的な仕組みの検討や関係者との調整を始める。【細川貴代】



https://www.m3.com/news/iryoishin/468967
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
中川日医副会長、「医師の処方権と薬剤師の調剤権、全く違う」
日薬大会での健保連幸野氏の講演、問題視

2016年10月19日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「医師の処方権と薬剤師の調剤権は、どの辺りでバッティングするのか、全く違う。処方は、医師法に基づいた医師の権限であり、薬剤師は医師の処方に基づいて、薬を調剤するのであり、そこにどんな格差が生じるのか、意味が分からない。『医薬分業をゆがめている』というのは、非常におかしな話だ」

 10月19日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の席上、語気を強め、問題視したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。怒りの矛先は、支払側委員の健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏だ。幸野氏が、10月10日に名古屋市で開かれた第49回日本薬剤師会学術大会で講演、「薬剤師の調剤権を医師の処方権の間に格差があることを問題視し、同等に近づけることが、2018年度診療報酬改定の重点課題の一つ」などと発言したことの真意を、中川氏は質した。

 幸野氏は、処方せん欄に「後発医薬品への変更不可」欄があること自体が問題であり、残薬管理なども医師に疑義照会するのではなく、薬剤師の判断で対応することなどが、「調剤権の拡大」の意味であると説明。病状が安定した患者はリフィル処方で対応すれば、医療費の適正化にもつながる、などの持論を展開した。

 一方、中川氏は、患者を診察して薬物治療の要否や処方薬を決めるのは、医師法で認められた医師の権利であり、医師の処方に基づき調剤するのが薬剤師の役割であるなどと主張。

 「幸野発言」問題は、この日の中医協総会の議題ではなかった。両者の意見は平行線をたどり、医師の処方権と薬剤師の調剤権に対する考え方の相違が際立ったまま、議論は時間切れで終了した。

 幸野氏「中医協委員でなく、個人的な発言」
 中川氏は、まず幸野氏に対し、日本薬剤師会学術大会の講演で、「医師の処方権があまりに強いために、薬剤師の調剤権との格差があり、医薬分業がゆがんだ形態になった」「薬剤師の調剤権の拡大、強化が、次期診療報酬改定の重要課題に位置付けたい」などと発言したことは、事実か否かを質問。

 幸野氏は講演の事実は認め、中医協委員ではなく、健保連理事として、以前からの持論、私見を話したと説明。「医師の処方権と薬剤師の調剤権の間に格差が生じていると感じている。医薬分業は約40年前から始まったが、調剤権の拡大がないままに、地理的な優位性のみで分業してきたために、薬剤師の本来機能が失われた」などの内容だったという。2016年度診療報酬改定では、かかりつけ薬剤師の機能が評価されたこともあり、「医薬品については、薬剤師は専門家。医師と同等の立場で調剤権を発揮できるように、頑張ってほしいというエールを送るつもりだった」(幸野氏)。

 中川氏「処方権と調剤権、全く違うもの」
 この回答に対し、中川氏は、「健保連理事の立場」と部分を問題視。学術大会という公の場での講演であり、かつ「次期診療報酬改定の重要課題とする」とまで言及している以上、中医協委員の立場での講演であり、「個人的な見解、では通用しない」と指摘した。

 その上で、「医師の処方権と薬剤師の調剤権は、どの辺りでバッティングするのか、全く違うもの」と問いかけた。「医師が処方する権利は、医師法に基づいている。薬剤師は医師の処方に基づいて、薬を調剤するのであり、そこにどんな格差が生じるのか、意味が分からない。『医薬分業をゆがめている』というのは、非常におかしな話だ」(中川氏)。

 幸野氏は、(1)処方せんに、「後発医薬品への変更不可欄」があるのは問題で、医師は一般名処方をし、薬の選択は薬剤師が行うべき、(2)残薬を確認した場合には、医師に疑義照会せずに、薬剤師自らが判断すべき――などの例を挙げ、この意味で「調剤権の拡大」を提言していると説明。「病名に対して、薬を決めるのは薬剤師だ、という意味ではないが、医師が処方したものに対して、薬を選択していくのは薬剤師の仕事だ、という意味」(幸野氏)。

 この回答に対し、中川氏は再び反論。「患者を診断して、どんな治療をするかを、資格として認められているのは医師であり、薬剤師には認められていない。どの薬を使うかも、医師が決める。『一般名で処方して、どの薬を使うかは、薬剤師が判断する』というのは、暴論に近い。患者を診察しない薬剤師が、どのようにして使う薬を判断するのか」。

 これらのやり取りに、日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、次のように発言した。「調剤権の拡大ではなく、薬剤師が調剤する上で、どんな義務を負っているのかを考えていくことが必要。医師の負担軽減が重要視される中で、医師と薬剤師がお互いの理解と連携の中で、それぞれが機能を発揮する、役割を果たすことが求められている」。

 中川氏と幸野氏、リフィル処方でも意見対立
 反対に、幸野氏は、「門前薬局が本当に医薬分業の正しい姿なのか」と中川氏に問いかけた。「立地優先のビジネスモデルに変わってしまった」と幸野氏は述べ、セルフメディケーションなどを支え、医療機関に受診する前に患者が利用できるような薬局が在るべき姿であるとした。

 中川氏は、セルフメディケーションについては、「話が違う議論」と切り捨て、「本来薬剤師がやるべき業務、役割を果たすことが第一」と安部氏の発言を支持。医薬分業については、「大賛成ではなく、むしろ患者にとってデメリットも多い。しかし、国の政策として進めてきた以上、できるだけ支障のないように改善していきたい」と回答した。

 話を幸野氏の講演に戻し、「リフィル処方が導入されれば、再診料や処方料が不要になるから、医療費が削減される、とまで言っている。これも看過できない。医科の技術料が調剤料に移行するだけで、医療費は削減されない。慎重な発言をお願いしたい」と中川氏は問題視した。

 幸野氏はこれに対し、次のように回答した。「リフィル処方は絶対に悪くない制度だと思う。病状が安定し、薬剤師の範疇で管理できる患者については、リフィル処方で管理するのが在るべき姿。なぜ毎月、医療機関を受診して、再診料や処方せん料を払わなければいけないのか。保険者から見れば、疑問。病状が安定している患者については、そうした仕組みを入れて医療費に適正化につなげるのは当たり前の考え方」。



https://www.m3.com/news/general/468915
がん新薬、心筋炎1人死亡 オプジーボの副作用
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 厚生労働省は18日、がん治療薬「オプジーボ」を投与された60代の患者1人が、副作用とみられる心筋炎を発症し死亡したとして、製造元の小野薬品工業(大阪市)に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示した。

 厚労省などによると、2014年7月の薬の承認以降、死亡した1人を含む3人が心筋炎を発症した。血小板が減り出血しやすくなる「免疫性血小板減少性紫斑病」や「横紋筋融解症」を発症した患者もおり、これらも重大な副作用とされた。

 オプジーボの投与を終えた後、14人が糖尿病などを発症したことも判明。厚労省は、投与終了後の副作用についても注意喚起を求めた。

 オプジーボは、一部の患者に優れた効果があるが極めて高額な薬剤。悪性黒色腫と非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療に保険が適用されている。



https://www.m3.com/news/general/468921
記者が会見資料提供か 岡山大薬学部アカハラ問題
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 岡山大の准教授がアカデミックハラスメントを巡って前薬学部長ら2人を提訴した訴訟に絡み、前学部長側の代理人弁護士が18日、記者会見などで報道機関に提供した資料を、記者が原告の准教授側に渡していた疑いがあると明らかにした。報道機関名は判明していないとしている。

 代理人弁護士は「取材源の秘匿が大前提の記者を信頼して提供した。相手方に渡るとは想定しておらず遺憾だ」と話している。

 代理人弁護士によると、記者会見などで提供されたのは、前学部長らを巡る別の裁判の訴訟資料。今回の訴訟で准教授側の代理人は、記者から入手したことを明らかにしたといい、訴訟に協力する趣旨の内容が書かれた記者からのメールを裁判所に証拠提出した。報道機関や記者の名前は消されていた。

 准教授側の代理人を務める弁護士事務所は「担当弁護士が不在で答えられない」としている。

 准教授は昨年5月、前薬学部長ら2人に、計550万円の損害賠償を求めて岡山地裁に提訴。訴状によると、業績を中傷されたほか、2人の代理人が2014年9月に記者会見を開いた際、准教授の名前だけを実名で記載して批判する内容の資料を配布され、精神的苦痛を受けたとしている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/all/welcome_leaf.jsp?http%3A%2F%2Fmedical.nikkeibp.co.jp%2Fleaf%2Fmem%2Fpub%2Feye%2F201610%2F548705.html
数年後には在宅医療が診療所の必須要件に?
2016/10/19 二羽 はるな=日経ヘルスケア

 「数年後には、在宅医療の提供が診療所の必須要件となるのではないか」――。最近、取材をしていて、そう感じることがとても多い。そこで今回の『記者の眼』では、診療所が在宅医療を手掛けなければならなくなると考える理由を解説したい。

国民への普及啓発に向け「全国在宅医療会議」が発足
 在宅医療の需要は、今後一層増す。政府の社会保障制度改革本部に設置された「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」は、2025年に居宅や介護施設、高齢者住宅などで在宅医療等による対応が追加的に必要になる患者が29.7万~33.7万人程度になると推計。だが、高まる需要に対し、在宅医療の担い手は足りていないのが現状だ。

 このため、国は在宅医療の普及に向けて、国民に対しても、医療者に対しても、様々な策を打ち出そうとしている。

 国民に対しては意識の改革を求めていく。今年7月、関係団体や研究機関、学会、住民などで構成される「全国在宅医療会議」が発足した。会議では、在宅医療の特性を踏まえた適切な臨床評価指標のあり方、在宅医療の普及啓発に向けた効果的な情報発信の方策などについて検討する。入院患者の中には在宅医療への移行を望む人が少ない現状を踏まえ、適切な臨床評価指標を用いて在宅医療の特徴やメリットを分かりやすく国民に啓発し、在宅医療を普及させたい考えだ。

 医療者に対しては、診療報酬の見直しにより在宅医療の提供を求めていく。

 2016年度診療報酬改定では、在宅医療における収入の柱となる在宅時医学総合管理料(在医総管)などの管理料の報酬体系が大きく見直された。具体的には、(1)一つの建物の中で診ている患者数に応じて点数を細分化、(2)重症度の高い患者への診療をより手厚く評価、(3)月1回の訪問診療でも算定できる管理料を新設――の三つだ(図1)。既に在宅医療を手掛けている医療機関の経営にとって最も影響が大きかったのは(1)だが、在宅医療の担い手を増やすという観点から注目すべきは(3)だろう。

 従来、在医総管を算定するには、計画的な医学管理の下で月2回以上の定期的な訪問診療を行う必要があった。だが、今回の改定では月1回の訪問診療でも算定できる管理料が新設された。

 こうした点数ができた背景には、二つの狙いがあるとみられる。一つは、状態の安定している患者に対する訪問診療は月1回とし、空いた時間でより多くの患者を診てほしいという、「1人の医師が診る在宅患者数を増やす」狙い。もう一つは、在宅医療を手掛けていない医師にも、外来通院が困難になった患者への訪問診療を行ってほしいという、「在宅医療を提供する医師数を増やす」狙いだ。

 外来医療で算定する報酬の施設基準に在宅医療の提供が盛り込まれ、在宅医療の提供が必須要件化されるケースも出てきた。

「かかりつけ医」の要件にも「在宅医療の提供と24時間対応」
 2014年度改定で、外来医療において「主治医機能」を評価した地域包括診療料・地域包括診療加算が新設された。2016年度改定では、この地域包括診療料・加算の算定を届け出る施設が少ない実態を踏まえ、施設基準が緩和された(図2)。病院では「二次救急告示病院または救急告示病院」の要件が削除され、診療所では「常勤医師3人以上」の要件が「2人以上」に引き下げられた。

 さらに、認知症を有する患者への主治医機能を評価するため、より点数の高い認知症地域包括診療料・認知症地域包括診療加算が新設された。これらの報酬は、国にとって「届け出のハードルを下げてでも算定してほしい報酬」といえる。

 認知症地域包括診療料・加算や地域包括診療料・加算の施設基準では、在宅医療の提供や、当該患者に対して24時間対応を行うことが要件となっている。国が示した「かかりつけ医」の要件として、在宅医療の提供が最低限求められているといえるのではないだろうか。

 他方、外来医療需要はピークに近づきつつある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」が2015年にまとめた報告書によると、外来医療需要は全国では2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる見通しだ。外来患者数の落ち込みに備えた診療所の生き残り策としても、在宅医療は重要になってくるだろう。

 とはいえ、1人で診療に当たっている診療所開業医が24時間・365日対応を行うのは困難だ。そこで、こうした医師をバックアップするため、在宅医療をメーンに手掛ける大規模な在宅療養支援診療所(在支診)が、診診連携によって夜間や休日の対応を担う動きが出てきた。

 医療法人悠翔会(東京都港区)は、東京都や埼玉県、神奈川県、千葉県で九つの機能強化型在支診を展開する。夜間や休日の電話相談を受けたり緊急往診を行う「当直機能」の拠点は3カ所に集約し、複数の医師で対応に当たっている。この当直機能は、電子カルテによる情報共有が可能であれば法人外の診療所でも利用でき、現在は18診療所が利用している。費用は患者1人・一晩当たり50円だ。「在宅での看取りの対応力が広がる一方で、医師の負担も大きくならず、在宅医療の持続可能性を確保できる」と理事長の佐々木淳氏は話す。こうした仕組みが全国各地で広がれば、1人で診療に当たっている診療所開業医に
とっても在宅医療を担うハードルは今より低くなるだろう。

 診療報酬の見直しや先進的な医療機関の取り組みなどにより、在宅医療はゆっくりだが着実に広まりつつある。今後は国民への啓発も進むとみられ、数年後には在宅医療は現在よりも格段に普及しているだろう。高まる患者ニーズに応えるためにも、診療所として生き残るためにも、在宅医療を始めるのに今日より早い日はないと考えるが、いかがだろうか。



https://www.m3.com/news/general/468762
三重)救急ワークステーション、名張で来月から試験運用
2016年10月19日 (水) 朝日新聞

 救急隊員が病院で医師や看護師から実習指導を受けながら、いざ119番通報があればそのまま出動する「救急ワークステーション(WS)」の試験運用を名張市が11月10日から始める。市立病院(百合が丘西1番町)の協力を得て、来年度からの本格運用をめざす。WSの導入は、県内の市町で5例目。

 市消防本部の説明では、毎週木曜日の午後1~5時に救急救命士2人と救急隊員1人が1組となり、名張消防署の救急車2台のうち1台を使って市立病院に詰める。3人は平時は救急処置室などを拠点に、心肺蘇生や点滴処置などの救命活動、消防庁の「救急救命士再教育ガイドライン」に沿った処置について医師や看護師から指導を受け、傷病者に対する処置技術の習得、向上をめざすという。

 来年1月からは実施時間を午前9時~午後5時に延長。実習内容や派遣体制について検証し、来年度から水、木曜日の週2回とする本格運用に備える。

 市内では、住民の高齢化などに伴って救急出動回数が増加。2006年は約2500件だったのが、今年は3500件ほどになると見込んでいる。WS導入は、救命率の向上を図るため隊員らを再教育するとともに、次世代を担う隊員の育成と資質向上を、現有態勢を崩さないまま効率的に図る狙いがある。(中川史)



https://www.m3.com/news/general/469038
薬局でインフルエンザ検査 - 陽性の利用者に受診勧奨
2016年10月20日 (木) 薬事日報

■九州保健福祉大学が臨床研究

 九州保健福祉大学薬学部の河内明夫教授、富高薬局などの研究グループは、かぜ症状がある来局者を対象に薬局でインフルエンザウイルス検査を行い、陽性者に対して薬剤師が受診を勧奨する臨床研究を実施している。昨シーズンに実施した研究では利用者の約3割にインフルエンザウイルス陽性反応が見つかり、受診を勧奨した。病院や診療所に加え薬局でもこの検査を行える体制を整備することによって、インフルエンザ患者を地域から幅広く見つけ出せるようになる。この体制は、特にパンデミック発生時に効果を発揮するという。研究グループは今年の冬も同様の臨床研究を実施し、その成果を検証する計画だ。

 昨シーズンの臨床研究は千代田病院、宮崎県日向保健所、日向市・東臼杵郡薬剤師会などの協力を得て、国の科学研究費をもとに実施した。日向市にある富高薬局の1店舗に簡易検査ブースを設置。昨年12月から今年3月末まで、研究の趣旨を説明し同意を得た52人に対し、インフルエンザウイルス検査を無料で行った。

 検査時にはまず、発熱、咳、鼻水、くしゃみ、頭痛など現在の症状や、かぜをもらった場所、予防接種の有無などを調査票に記入してもらい、体温も測定した。その上で鼻にビニールシートをあてがって鼻かみ液を採取し、それを検体として検査機器でインフルエンザウイルス検査をその場で実施した。

 その結果、52人中15人(28.8%)にインフルエンザウイルス陽性反応が認められた。陽性者に対して薬剤師は、早めに医療機関を受診するよう勧奨したほか、水分を十分に補給すること、マスクを着用すること、外出を控えることなどを伝えた。

 一方、陰性者に対して薬剤師は、発症初期にはウイルスを検出できない場合があることも説明し、発熱や咳などの症状があればインフルエンザに罹患している可能性があることなどを伝えた。

 52人中、医療機関受診前に来局した利用者は36人で、そのうち7人は陽性だった。一方、医療機関受診後に来局した利用者は16人で、このうち8人に陽性反応が認められた。受診時には感染早期のため検査が陰性だったが、その後時間が経過し陽性反応が出現したと考えられたという。

 2週間後、利用者に調査票を郵送し経過を聞いたところ、回答があった24人のうち陽性者7人は全員受診してインフルエンザと診断され、処方薬の投与を受けていた。陰性者17人のうち受診した6人は全て、インフルエンザではないと診断されていた。受診しなかった11人は自宅で療養し、自然に緩解していた。

 また、薬局でのインフルエンザウイルス検査を今後利用したいと思うか聞いたところ、24人中22人(91.7%)が「そう思う」と回答した。

 研究代表者の河内氏は「検査結果に基づいて明解に受診勧奨を行える。薬剤師もやりがいを感じている」と述べ、「パンデミックが起こった時にも薬局が交通整理を行える」と利点を強調する。陽性者の中には、解熱鎮痛剤の常用によって発熱などの症状が抑えられている患者もいた。

 研究グループは今シーズンも11月頃から同様の体制で臨床研究を実施する。かぜ症状を示す患者や地域住民の中に潜在するインフルエンザ罹患者を効率良く発見し、受診勧奨に導くことは地域保健の向上に寄与するとして、その効果をさらに検証する計画だ。



https://www.m3.com/news/general/468928
レンタル料金ばらつき是正 高額批判でチェック厳しく 「どうなる!?介護保険」福祉用具
2016年10月19日 (水) 共同通信社

 約270万人が利用する介護保険サービスの一つが、車いすや介護ベッドなど福祉用具のレンタルだ。事業者ごとの料金のばらつきが問題視されてきたが、見直されることになった。

 高齢者は1~2割の自己負担で福祉用具を借りることができる。レンタル料金は、公定価格に縛られる他の介護保険サービスと異なり、製品本体の価格や保守点検に必要な人件費などを考慮し、事業者が自由に決められる。料金がばらばらなのは、このためだ。

 だが極端なケースも報告されている。財務省の調査では、ある介護ベッド製品は全国平均料金(月額)が8803円なのに、一部の事業者は10倍以上の10万円の値を付けていた。平均料金597円のスロープが、販売価格(5千円程度)より高い7180円で貸し出されている例もあった。

 こうした事態を受け、厚生労働省はレンタル料金の適正化に乗り出す。具体的には(1)利用者に複数の製品を紹介するよう事業者側に義務付ける(2)料金設定が極めて高い場合、事前に市町村の了解を求める(3)ケアマネジャーに貸与計画書を点検してもらう―など新たな仕組みを導入する方針だ。

 ただ、現実的に市町村がどこまでチェックできるかは不透明。全国町村会は「判断基準を国が示してほしい。専門知識を持つ職員が少ない小規模自治体ではチェックしきれない」と懸念する。

 業界団体「日本福祉用具供給協会」の小野木孝二(おのぎ・こうじ)理事長は、高額な料金設定が一部にみられることを認めた上で「介護保険制度が始まったころに比べ、製品ごとのレンタル料金は下がっている。市場競争の原理は働いている」と説明。情報公開を進め、実際の平均料金と事業者の希望料金を利用者が比較できるようにするなど、独自に対策を取りたいと話す。

 福祉用具レンタルにかかる費用は増え続け、2014年度は2755億円。政府内では「要支援1、2」「要介護1、2」の軽度者に関し、福祉用具利用の自己負担を引き上げる案もくすぶる。

 福祉用具を使う軽度者は約110万人。その1人、大阪府大東市に住む女性(72)は要介護1で、歩行器や昇降機など4点をレンタルしている。進行性の病気で両足が不自由だが、電動カートで出掛けるのが楽しみだ。「負担が増えると借りるのをためらう。足をもぎ取られるのと同じ」と不安がる。

 利用者や事業者でつくる「福祉用具国民会議」の元には、負担増に反対する約22万人の署名が集まっている。



https://www.m3.com/news/general/469050
厚労省、セルメ税制に備えて留意事項を連絡
2016年10月20日 (木) 薬局新聞

厚労省、セルメ税制に備えて留意事項を連絡 商品名や金額・購入日など記載求め

 厚生労働省医政局経済課は、来年1月1日より稼働するセルフメディケーション税制(セルメ税制)の事務連絡を通達した。対象OTC医薬品を販売する店舗に対し、証明書類となるレシート等を発行する際の注意点などを喚起している。

 確定申告の際に税制適用に係る証明書類であるレシート等について、購入品目が税制対象品目であることがわかるよう「商品名」「金額」「セルメ税制対象商品である旨」「販売店名」「購入日」の各項目が明記されていることが条件となっている。またキャッシュレジスターが発行するレシートでは、「対象製品の前にマーク(例えば★)を付すとともに、当該マークがセルメ税制の対象である旨」「対象商品のみ合計額を分けて記載」ことが必要であるとしている。

 なお、「商品名」「金額」「セルメ税制対象商品である旨」「販売店名」「購入日」が記載されていれば、手書きの領収書およびキャッシュレジスターのレシートであるかは問わないとしている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/469053
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「患者申出療養の趣旨から逸脱」、中川日医副会長
東大病院の第1例目、「先進医療とどう違うのか」と問題視

2016年10月19日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月19日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、「患者申出療養」の第1例目になる東京大学医学部附属病院の事例を報告したが、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「患者申出療養の趣旨とは全く異なり、逸脱している。今回の枠組みで患者申出療養の第1例目を実施するのは、非常に残念」と問題視、「患者申出療養」の制度の在り方を改めて検討するよう求めた(資料は、厚労省のホームページ)。

 東大病院の患者申出療養は、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃癌に対する「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」で、9月21日の患者申出療養評価会議で了承された(『東大の「患者申出療養」、条件付きで第1例目承認』を参照)。

 中川氏は、この療法を希望した患者に対する実施は問題ないとしたものの、疑問を呈したのが、東大病院の実施計画において、対象患者の適格基準の緩和の仕方に問題があるほか、1年間の予定登録症例数が100例であり、うち30例は「先進医療下で実施された臨床試験で治療継続する患者」となっている点だ。「患者申出療養」は文字通り、患者からの申出が起点であるにもかかわらず、今回の患者の申出をきっかけに、東大病院が主導で臨床研究を進めるかのように逆転していることに、中川氏は疑義を呈した。この点は患者申出療養評価会議でも問題になっており、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏など、他の委員からも同様の指摘が出た。

 厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、今回の100例についてフォローをしていくともに、第2例目以降の審査において、中医協総会で出た意見を反映させていくと説明、議論を収めた。


 問題は「適格基準7項目緩和、100例予定」
 中川氏は、「患者申出療養は、素晴らしい評価に値する仕組み。しかし、これは第1例目なので、誤った取り扱いはしてはいけないと思う」と指摘。

 「パクリタキセル腹腔投与および静脈内投与並びにS-1内服併用療法」は、先進医療制度下で行われた第3相試験で、適格基準外だった患者からの申出。東大病院は、適格基準のうち7項目について緩和、予定登録症例数を100例として実施計画を提出した。中川氏は、「患者申出療養評価会議で、一例一例を慎重に検討して、患者申出療養に適しているか否かを審査するのが本来の趣旨ではないか。適格基準を7項目も緩和し、100例を目指すのは、患者申出療養の趣旨とは全く異なる」と指摘し、「先進医療とどこが違うのか」と問いかけた。

 厚労省保険局医療課企画官の眞鍋馨氏によると、7項目のうち、申し出のあった患者が該当する緩和は2項目のみ。これを受け、中川氏は、「2項目のみ緩和することで十分ではないか。他の項目まで緩和するのは、100例を集めるという想定があったからだろう」などと述べ、7項目も一気に緩和する以上、「先進医療Bを新しく立ち上げるべきではないか。患者申出療養の趣旨から逸脱している」と指摘した。

 患者申出療養のエビデンスと保険適用との関係にも疑問
 花井氏も、「きっかけは患者の申出だが、東大病院が主体となり、データが取れるように研究をデザインしている。申し出た一人の患者に寄り沿って、研究を進めるべきであり、主客が転倒して臨床研究が走るのには、違和感を覚える」などと述べ、中川氏の意見を支持。その上で、患者申出療養で、死亡例など安全性に懸念が生じた場合、保険収載を目指してデータが得られた第3相試験にどう影響するかについて質問。「対象患者を広げたために、先行している試験に全く影響がないと言えるのか」(花井氏)。

 眞鍋企画官は、「適格基準を緩和して重篤な死亡例などが出た場合、先行する試験と併せて、総合的に評価することになる」と回答。

 この発言に疑義を呈したのが、中川氏。「適格基準を拡大しない段階で出たエビデンスに影響するのはおかしい。適格基準に該当しない患者に個別に対応するために、特別な仕組みを作ったのではないか。これでは、患者申出ではなく、医療機関主導でやっている先進医療。この患者に対しては実施するのはいいが、今回の枠組みで患者申出療養の第一例目を実施するのは非常に残念」。

 迫井課長は、中川氏や花井氏の指摘は、患者申出療養評価会議でも議論された内容であると説明。議論の結果、今回の対象となる、腹膜播種陽性または腹腔細胞診陽性の胃癌については、有効な治療法がなく、苦しんでいる患者が相当数いるという現実を踏まえ、適格基準を7項目緩和したことに理解を求めた。緩和された適格基準に該当する患者であれば、患者申出療養評価会議に諮ることなく、東大病院の判断で当該治療を実施することが可能だ。

 さらに迫井課長は、患者申出療養で得られた知見については踏まえつつも、第3相試験の結果は独立して評価すると説明。

 中川氏は、それでも納得せず、「患者申出について一例一例丁寧に審査すべき。100例も予定登録症例を集めてエビデンスを出す仕組みではない」と繰り返し、予定登録症例100例などの実施計画の訂正を求めた。

 迫井課長は、今回の患者申出療養についてはフォローアップしていくとともに、第2例目以降の患者申出療養の審査において、中医協総会で出た議論を反映させていくとして、議論を収めた。特に「予定登録症例数100例」という数字について、「100例集めなければいけない、100例ありきと受け取られると、先進医療Bと同じではないか、ということになる」と述べ、実施計画の立て方なども今後検討していく方針を示した。


  1. 2016/10/20(木) 05:56:09|
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10月18日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49815.html;jsessionid=A377B8A6DF77903DBDD1BC1AAE93E28A
Choosing Wisely日本が始動- 医師と患者の対話促進へ
2016年10月17日 15時00分 CB News

 一般社団法人医療の質・安全学会「過剰医療検証とChoosing Wiselyキャンペーン」ワーキング・グループは15日に東京都内で、米国発のChoosing Wiselyの日本での本格的な活動をするChoosing Wisely Japanを立ち上げた。設立宣言で、「患者にとって臨床上の効果が高く、害の少ない医療を実現するために、さまざまな調査活動とともに医療界および一般社会に広く啓発をする」との活動方針を打ち出した。【君塚靖】

 Choosing Wisely(医療における「賢明な選択」)とは、内科専門医を認定する米国内科認証機構財団が2012年、臨床系の専門学会に、過去の研究結果に基づいて価値が低く過剰だと考えられる検査や治療を5項目ずつリストアップするように呼び掛けて始まったキャンペーン。Choosing Wiselyは患者にとって望ましい医療について、医師と患者の対話を促進することを目指している。

 Choosing Wisely Japanの設立発起人を代表して、一般財団法人東光会七条診療所(京都市)の小泉俊三所長が、設立宣言を読み上げた。その中で、「私達Choosing Wisely Japanは、Choosing WiselyおよびChoosing Wisely Internationalと連携して、その活動をわが国に紹介するだけでなく、わが国においても根拠に乏しいまま実施されている医療の見直しを推進する」などとしている。

 同日は、Choosing Wisely Japanの設立を記念し、Choosing Wisely Canada代表のWendy Levinson 教授(Toronto 大学)を招いたほか、国内でChoosing Wiselyに取り組んでいる医師などがパネルディスカッションで、これからの活動に向けた課題などについて意見交換した。

 Levinson 教授は「世界に広がるChoosing Wiselyキャンペーン」と題した特別講演で、Choosing Wiselyの基本原則について、▽活動は臨床医が主導する ▽医療の質向上かつ有害事象の防止が目的 ▽患者の価値観を重視し、医師と患者の対話を中心とする ▽エビデンスに基づき随時見直す ▽多職種協働 ▽透明性の確保-を挙げた。



http://www.excite.co.jp/News/column_g/20161018/BestTimes_3428.html
よく耳にする医者のセリフ その真意はどこにある?
BestTimes  2016年10月18日 08時00分 (2016年10月18日 22時08分 更新)

「しばらく様子を見ましょう」

医師がもっともよく口にする常套句。病名を特定できないケースで使う。その上で「こういう症状が出たらすぐ病院に来てください」と具体的に指示する医師は信頼できるが、曖昧なことしか言わないのはダメ医者だ。

「とりあえず薬を出しましょう」

「様子を見ましょう」と同じで、診断がついていないことが多い。この言葉を頻繁に口にする医師は自分の見立てに自信がなく、無難な薬ばかり出すので、なかなか症状が改善せず、通院が長引くという結果に陥りやすい。

「薬がなくなったら、また来てください」

患者をお客さんとしか思っていないカネ儲け第一主義の開業医のセリフ。糖尿病、高血圧、高脂血症など、慢性期の疾患を持つ患者たちは通院が長期にわたるので、クリニックの経営を支えてくれる大切なお得意さまなのだ。

「(手術は)成功しました」

多くの場合は額面通りに受け取ってかまわないが、中には「開いたものはちゃんと閉じ、手術室で亡くなることはありませんでした」というケースも。大学病院で外科医が無理な手術に踏み切る例がたびたび報告されている。

「(患者からの質問に対し)心配しなくても大丈夫です」

きちんと症状の説明をしようとしない医師は自身の診断や治療法に自信がないか、面倒くさいかのどちらか。診療内容を知り治療法を自ら選ぶインフォームドコンセントは患者の権利。そうしたことを怠る医師は時代遅れだ。

「他に何か心配なことはありますか」

浅草クリニック副院長の内山さんが診察の最後に患者にかける言葉。そこで再び話しだしたり、疑問をぶつけてくる人も少なくないという。患者の不安を取り除き納得するまでフォローするのが“いい医者”の姿勢なのだ。

取材・文/田中 幾太郎



http://www.medwatch.jp/?p=10822
「収益横ばい、費用増大」の対策どうする?大改定に備える「自治体病院向け実践セミナー」を緊急開催!
2016年10月18日|GHCをウォッチ MedWatch

 「収益横ばい、費用増大」の現状、「病院大再編へ向けた大改定」になることが予測される2018年度診療報酬改定を乗り切ることができるのか――。大改定を目前に控えた今、このような悩みを抱えている病院も多いのではないでしょうか。

 こうした中、特にコストが抑えづらい環境にあることが多い自治体病院に向けて、GHCは管理職向けの実践セミナーを緊急開催することを決定しました(セミナーのお申込みページはこちら)。

ここがポイント!
1 大改定乗り切る4つの視点
2 無料経営相談会も
3 セミナー概要

大改定乗り切る4つの視点

 「収益横ばい、費用増大」の課題に向けた対策の切り口は、大きく4つに分けることができます。

 まずは「ビジョン策定」。自病院の中長期的な立ち位置を定めないと、現状の改善に着手することはできません。自病院を取り巻く外部環境と内部環境をしっかりと分析した上で、今後、自病院がどのような方向性で経営をしていくのかを決断することが、経営改善の第一歩となります。

 続いて「収益改善」と「費用適正化」。すべての収益を改善することには限界もあるので、策定したビジョンに基づき、自病院の強みと弱みを明確にした上で、何をターゲットに収益改善を進めていくかを判断していきます。費用の最適化についても、ベンチマーク分析などを用いることで、改善効果の大きなところから取り組んでいくのが有効的です。

 最後に、「業務改善」。日々、現場は忙しく業務に取り組んでいますが、一歩下がり、データに基づいて業務の見える化をしていくと、思わぬ改善点が見つかることがほとんどです。現場の努力をしっかりと経営・医療の質向上に結びつけるためにも、業務の可視化に基づく改善は重要です。

無料経営相談会も

 上記の視点に基づき、GHCが誇る上級コンサルタントが、経営改善に大きく貢献しうる「ビジョン策定」「収益改善」「費用適正化」「業務改善」の各観点より、自治体病院向けに課題抽出の手順と具体的な対策手法を徹底解説します。

 また、今回は2病院限定ではありますが、特別に無料の経営相談会も設けさせていただきます。

 以下のようなお悩みがある方へ向けた実践型の無料セミナーとなりますので、是非、ご検討ください。

・急性期病床の削減が進む中、自病院の将来像が描けない
・患者数が頭打ち。具体的な集患手法について聞きたい
・コストが年々増加し、コスト最適化の切り口が見えない
・業務が多すぎて現場スタッフが疲弊している
・経営企画やデータ分析を担う人材が育たない
・経営改善に向けた着手ポイントを無料でプロに相談したい

セミナー概要

◆セミナー名称
【緊急開催】大改定に備える!自治体病院・管理職向け実践セミナー
~「収益横ばい、費用増大」への現場対策を徹底解説~

◆日時
2016年11月29日(火)
13:00~16:00(12:30開場)
※無料経営相談会は11:30と16:15の二枠(いずれも1時間)

◆会場
GHC新宿オフィス(東京都新宿区新宿六丁目27‐30新宿イーストサイドスクエア5F)
http://www.ghc-j.com/corporate/about/summary.html

◆プログラム
11:30 無料経営相談会(第一部)
12:30 開場
13:00 「2018年度診療報酬改定のポイントとビジョン策定」
    冨吉 則行(GHCマネジャー )※紹介ページはこちら
14:30 休憩
14:45 「収益改善・費用適正化・業務改善の具体的な手順」
    本橋 大樹(GHCマネジャー )※紹介ページはこちら
16:00 閉会
16:15 無料経営相談会(第二部)

◆対象
現場をマネジメントされる病院事務部門関係者(課長職以上の管理職)にお勧めのセミナーです。
※企業関係者のお申し込みはご遠慮ください

◆参加費
無料(1病院2名様まで)

◆セミナーお申込みページ
http://www.ghc-j.com/event/seminar/161129.html



https://www.m3.com/news/iryoishin/455787?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161018&dcf_doctor=true&mc.l=184231925&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 島根大“事故調”事件を検証
事故の教訓生かし、医療の質・安全向上を◆Vol.5
緊急帝王切開手術、開始まで14分に短縮

2016年10月18日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 2006年に島根大“事故調”事件当時、島根大学産婦人科教授だった宮崎康二氏によると、本事件後、緊急帝王切開手術が必要になった場合、より早く準備ができるよう、手術室や麻酔科医などの協力も得て、消毒法、麻酔方法なども含め準備の手順や在り方を見直したという(本連載のバックナンバーは、こちら)。「従来は1時間近くかかることもあったが、患者役に見立てた職員をストレッチャーに乗せて、手術室まで運び、消毒、麻酔、手袋と術衣を付けて準備をするシミュレーションを重ねた結果、『グレードA』の緊急手術の場合、約14分でできるようになった」(宮崎氏)。

 医療に100%の安全性と確実性はない。問題点を見い出し、改善を重ねる営みを続けるからこそ医療の発展がある。それは新薬や新規医療機器の開発にとどまらず、医療者の技術や医療機関の運営体制など、さまざまな分野で当てはまる。患者にとって不幸な事態が生じた場合、次世代の医療安全につなげることこそが、現場の医療者が果たすべき事故に対する責任と言える。

 その実現のためには、責任追及ではなく、再発防止に向けた院内事故調査が求められる。それ故に、2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、医療法上、その目的として、「医療の安全の確保」を掲げている。

 院内事故調査に端を発して、医師の責任追及の動きにつながった典型例が、福島県立大野病院事件(『「間違った鑑定書が冤罪を招く」』などを参照)。同事件は刑事裁判に発展、島根大“事故調”事件は民事裁判という相違はあるものの、院内事故調査が「医療の安全の確保」という目的で的確に行われないと、当事者である患者側と医療者側の双方に不幸な結果をもたらす点では一致している。

 県立大野病院事件で担当医の弁護人を務めた、弁護士の安福謙二氏は、「島根大“事故調”事件と大野病院事件は、よく似た構図」と指摘し、次のように語る。

 「島根大の当時の病院長が謝罪会見などを行って、産婦人科医らの過失を認めたにもかかわらず、それが裁判では、一転して過失を否定、裁判所も過失を一切認めなかった。患者家族にとっては、受け入れ難い病院の対応であり、そして結論だろう。他方、宮崎元教授をはじめ、産婦人科教室のスタッフも、裁判で結論が出るまでに10年近くにわたり、実質的には被告の立場におかれ、その精神的な負担、苦痛は大きなものを抱えていたと考えられる。

 結局、双方の苦痛は、院内事故調査報告書、さらにその前段階の特殊事例検討会の結論がもたらしたものである。これらは過失の有無を明らかにする目的で行われ、本来の医療事故調査制度のあり方とはかけ離れた議論がなされていることに驚きを隠せない。

 過去にさかのぼり、『誤った院内事故調査報告書』の再発を防止するため、報告書等と判決の齟齬、相違の徹底的検証が、患者家族や産婦人科医にもたらした苦痛に報いる必要かつ唯一の道ではないだろうか。

 そのほか院内事故調査の細部を見ても、(1)医療事故調査委員会の委員は、内部委員と外部委員の構成割合や、人選も含め適任であったか、(2)調査に当たって使用したカルテをはじめ諸記録の信用性の検証を行ったのか、(3)当事者へのヒアリングを丁寧かつ十分に行ったのか、(4)当事者からの再調査依頼への対応を適切に行ったのか、(5)報告書の記者会見の仕方は妥当だったか――などの点で、疑問を解消する義務が、当時の院内事故調査に関わられた方々に残るのではないだろうか」

 なお、島根大学医学部附属病院に対して、今回の医療事故の報告書をまとめた経緯や民事裁判の判決などについて取材を依頼したが、本連載の初回でも紹介した通り、「今回ご質問のあった案件につきましては、訴訟の中で大学側の主張を述べているところであり、結審した個別具体の案件についてのコメントは差し控えたいと考えますので、ご理解の程、よろしくお願い申し上げます」との答えだった。

 ただし、併せて質問した、医療事故の対応体制については回答が得られたので、以下その全文を記載する。

【島根大学附属病院の医療事故対応の体制(現在)】

 事故は医療安全管理室に報告され、特に調査が必要1)と認識された事例については、病院長を委員長とする医療問題専門部会2)が招集され、過失があったと判断された事例については、医療事故調査委員会3)にて、事故原因を調査究明するとともに、再発防止対策をまとめ病院長へ報告書を提出します。

 過失の有無の判断が困難な場合には、特殊事例検討会を設置し調査しますが、過失があったと判断した場合には医療事故調査委員会に移行し調査を継続します。

 調査には、当事者はもとより、主治医、当該診療科長、外部の専門家等、関係者の出席を求め、カルテの記載内容と照らし合わせながら意見交換を行っていきます。意見の食い違いについては、食い違いが生じる原因を確認しつつ、徹底的な解明を目指すため、調査委員会が複数回に及ぶこともあります。当然、意見の食い違いが残ることもありますが、その場合、併記することは当然と考えています。

 検討の結果については、患者さん側へ口頭又は文書にて説明しますが、報告書の開示は行っておりません。

 公表については、基準を設けて対応しています。

 明らかに誤った医療行為又は管理に起因して、患者が死亡若しく障害が残存した事例又は重篤な事例で恒久的な治療を要した事例にあっては、医療上の事故等の発生後又は覚知後速やかに公表することとし、医療事故調査委員会等の調査結果を待って、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載することとしています。

 ただし、公表を決定した場合には速やかに公表することにしていますが、患者の状態、臨床経過、原因究明の状況、患者及び家族の公表に関する同意など踏まえ、時期や方法は総合的に勘案することになります。

 また、一過性に濃厚な処理又は治療を要した事例についても、医療事故調査委員会等の調査結果を待って、その概要、原因及び改善策を本院のホームページに掲載することとしています。

 なお、明らかに誤った医療行為又は管理は認められないが、医療行為又は管理上の問題に起因して患者が死亡し若しくは患者に障害が残存した事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例にあっては、日本医療機能評価機構に報告し、同機構を通じて公表します。

注について
1)(1)過失により患者が死亡若しくは重篤で恒久的な障害が残存した場合、(2)(1)に含まれる状態が、医療の経過上発生したものか事故かの判断が困難な場合、(3)事例発生後の説明に患者或いは家族の納得がえられず、医療紛争への移行が懸念される場合
2)医療問題専門部会
 病院長、副病院長(安全管理担当)、内科系診療科長:2人、外科系診療科長:2人、法医学講座教授、中央診療施設の部長:1人、特殊診療施設の部長:1人、薬剤部長、薬剤部長、専任リスクマネージャー、その他病院長が必要と求めた者:若干人
3) 医療事故調査委員会
 副病院長(安全管理担当)、医療問題専門部会の部会員・外部の専門家・その他病院長が必要と求めたもの:いずれも若干人



https://www.m3.com/news/iryoishin/271974
シリーズ: 混迷する”医療事故調”の行方
「事故から学ぶ」医療安全は限界
医療の質・安全学会、医療事故調のシンポジウム

2014年11月24日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 第9回医療の質・安全学会学術集会で11月23日、シンポジウム「WHOドラフトガイドライン 成功する報告システムの特性 医師法21条拡大解釈の反省から患者医師信頼関係へ」が開かれ、2015年10月からスタートする医療事故調査制度に対し、WHOドラフトガイドラインに準拠し、責任追及ではなく、医療安全に資する仕組みを作る重要性が異口同音に指摘された。

 5人のシンポジストは、医療安全の専門家、大学病院長、弁護士、大学教授と立場が異なるが、いずれも医師免許を持つ。厚生労働省はこの11月から医療事故調査制度の詳細な制度設計に着手しているが、5人の発言は、同制度が責任追及につながる懸念がいまだに払拭できない表れと言える(『“事故調”検討会、来年2月の取りまとめへ』を参照)。


 大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長の中島和江氏は、異型輸血をはじめ、何度も繰り返し同じ医療事故が起きている現状を指摘、「事故を調査し、再発防止につなげる」という制度設計そのものも疑問視。「事故調査は、『後知恵バイアス』がかかり、犯人探しになる。失敗には原因があるという発想自体、言い換えれば、有害事象が起きるまでは、何も行動しないこと」と指摘し、事故から再発防止につなげるという発想を転換し、「成功事例から学ぶ」必要性を強調した。「日常診療の大半はうまくいっているのであり、そこから学ぶ取り組みをしないと、真の医療安全にはつながらない」(中島氏)。

 医師・弁護士で、厚労官僚の経験も持つ、田邉昇氏も、「医療事故の原因究明は難しい。院内でも、また第三者機関で調査しても、容易ではない。つまみ食い的に調査しても、再発防止に役立たない。そもそも事故が起きるのは、金(診療報酬)がなく、人手が不足しているからだ。医療事故調査に予算を付けるなら、診療報酬を上げて、人手を増やすべき」と発言し、「診療報酬10倍論が持論」と明かした。

 医療事故調査の報告書が、民事訴訟などの責任追及に使用される懸念も根強い。昭和大学病院長の有賀徹氏と、埼玉医科大学総合医療センター病院長の堤晴彦氏が、期せずして共に紹介したのが、今年10月25日の読売新聞の「交通事故訴訟、10年で5倍に…弁護士保険利用」というニュース。弁護士が過剰気味とされる折、医療事故に関心を持つ弁護士が、「喧嘩の構図」を医療事故調査に持ち込むことをけん制した。また現在、医療事故情報等収集事業を行う日本医療機能評価機構と、「診療行為に関連した死亡に関する調査・分析モデル事業」(以下、モデル事業)を行う日本医療安全調査機構があるが、両氏ともに、類似の組織は「二つも要らない」と指摘し、医療事故調査関連の組織は一本化すべきとした。

 浜松医科大学医学部法学教授の大磯義一郎氏も、医療事故調査に当たっては、「不可罰性」と「秘匿性」が重要になると強調。特に課題は「出口」であり、遺族に対し、何を説明、報告、通知するのかがポイントになるとした。

 シンポジスト5人の発表後のディスカッションで議論になったのが、「秘匿性」、特に医療事故のマスコミへの発表が、医療安全に資するかという点だ。中島氏は、医療は行為と結果との因果関係が分かりにくいシステムであるため、「誰が、ではなく、どのような状況で仕事をし、事故が起きたのかを把握するのが重要」と指摘し、個人を特定するような報道を問題視した。

 田邉氏は、病院の弁護士を担当している経験を踏まえ、「記者会見をし、テレビが入ると、(放映され)大きな事件と見られる。その結果、警察が動くので、禁止している」とコメント。大磯氏も、「事実関係がまだ不明確な段階で、特定の個人がミスを犯した可能性に触れ、記者会見するのは問題」と指摘し、医療事故調査制度で「透明性」や「中立性」が求められる場合、その当事者、関係者は誰かが問題になるとした。堤氏も、「透明性が求められると言われても、何を意味するのかが分からない。医師の名前も、何もかも明らかにするというのは反対」と述べた。


◆中島和江・大阪大学医学部付属病院中央クオリティマネジメント部部長
 「レジリエンス・エンジニアリングの医療安全への展開:うまくいっていることから学び、うまくいくことを増やす」

 中島氏は、これまでの医療安全への取り組みは、(1)さまざまな機能(人やモノなど)が関係する医療は、複雑系のシステムの代表格であり、機能が及ぼす結果の予測が困難、(2)「失敗には必ず原因がある」との発想を前提にしている――などの理由から限界があり、発想を転換する重要性を強調した。「失敗には原因があるという発想は、言い換えれば、有害事象が起きるまで、何も行動しないこと。原因を探すといっても、『後知恵バイアスがかかり、犯人探し』になる」(中島氏)。

 これからの医療安全は、(1)複雑系を前提、(2)失敗と成功は等価、(3)必ずしもはっきりとした原因がない、(4)安全の定義を動的(想定内の状況でも、想定外の状況でも、システムが求められた機能を果たしていること)、(5)許容されるアウトカムを増やす、(6)先行的――という視点での取り組みが求められるとした。「日常臨床業務の大半は、同じことをやっても成功しているのであり、その成功例から対策を見いだすことが求められる。その際のポイントは、日常臨床業務の複雑性を理解する、機能(function)に着目する、頭の中で考える仕事(work-as-imagined)と実際の仕事(work-as-done)を近づける。これら3つが、レジリエンス・エンジニアリングの中核であり、臨機応変、柔軟な対応が必要」(中島氏)。

 「日本医療機能評価機構の医療事故情報等収集事業には、異型輸血の事故が報告されるが、なぜ救急センターや、ICUで繰り返し起きるのかを考えてもらいたい」(『なぜ繰り返される異型輸血の事故 - 中島和江・阪大病院中央クオリティマネジメント部部長に聞く』を参照)。中島氏はこう問いかけ、何らかの対策を講じた場合、それを検証、フィードバックし、対策の妥当性を評価する必要性も指摘。

 日常臨床業務の複雑性を記述する方法に、「FRAM(Functional Resonance Analysis Model)」がある。これは、「I:input(入力)、O:output(出力)、P:precondition(前提条件)、R:resource(リソース)、T:time(時間)、C:control(制御)」の6つの要素から業務を把握するやり方だ。

 さらに、中島氏は、FRAMの考え方を社会システムに広げた。「犯人を特定し、罰を与える」刑事司法は、患者の「P(前提条件)」に「不信感」を与えてしまった。医療提供者には、「C(制御)」が働き、医療が持っている大事な機能が止まり、診療拒否など、よくない状況に陥る懸念がある。モデル事業も同様であり、刑事司法と同様に、「work-as-done」ではなく、「work-as-imagined」になっている上、調査にもかなりのマンパワーが割かれているという。

 最後に中島氏は、新しい医療事故調査制度について、(1)患者と医療者の信頼関係を前提とし、これを壊さない、(2)複雑系を理解した調査、報告書作成、提言が行われること、(3)本来診療にあてるべきリソースを消費しないこと――を求めた。

◆有賀徹・昭和大学病院長
 「全国医学部長病院長会議の考え方」

 有賀氏はまず、全国医学部長病院長会議が2013年にまとめた、医療事故調査制度に関する報告書を紹介。WHOドラフトガイドラインに準拠し、院内調査を基本とするのが骨子だ(『「事故調査は医療者の責務」、全国医学部長病院長会議』を紹介)。同会議の今年5月の「死因究明に向けての動向に鑑みて」では、「一般診療と同様に、医療安全の面でも中小病院を地域の基幹病院が支援する構図になっている。このことにより、事故の当事者である患者・家族と医療者の間における信頼関係が強化・補完できる」と提言していると説明、医療事故への対応は、日常診療の延長戦上で行うものであり、「医療の外」で行う紛争処理とは次元が異なるとした。

 有賀氏は、今年10月25日の読売新聞に掲載された、「交通事故訴訟、10年で5倍に…弁護士保険利用」というニュースを紹介。「弁護士の報酬が目的か」と問いかけ、同様の「喧嘩の構図」を医療事故調査に持ち込むことをけん制した。

 今後の医療事故調査制度の制度設計に当たっては、(1)調査報告書の扱い、(2)遺族が、院内事故の結果を「諒」としない場合に、第三者機関に訴える場合の対応――がポイントになるとした。(1)の調査報告書は、日常診療の延長線上で事故調査を行う以上、まずは結果をカルテに記載するのが第一歩であり、報告書はA4判1枚程度のレポートを迅速に作成するのが、全国医学部長病院長会議の考え方だ。「報告書」を訴訟などに使うことは、「目的外使用」であると問題視。

 現在、日本医療機能評価機構と日本医療安全調査機構があるが、類似の組織は「二つも要らない」とも指摘した。

◆堤晴彦・埼玉医科大学総合医療センター病院長

 「医療事故調査制度の創設に対する日本救急医学会の意見」

 堤氏は、「日本救急医学会ではなく、救急医療の現場で働く一人の医師の立場から発言する」と断り発言、問題追及の矛先は、厚労省、患者側弁護士、検察、メディアに及んだ。

 まず厚労省については、医療事故調査制度を創設する狙いが、「調査権と行政処分権を得る」ことであれば、「いまだに(2008年の)大綱案の議論が繰り返されている。これでは悪代官に十手を渡すようなもの」と問題視(『「悪代官・厚労省に十手を渡すな」』を参照)。しかし、厚労省の「医療事故調査制度に関するQ&A」サイトに、「WHOドラフトガイドライン」に準拠すると記載されていることから、「大岡越前のような官僚も、厚労省内にいることが分かった」(堤氏)。

 また第三者機関である医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告対象として、「医療行為に起因しない管理」は外れたが、「これは厚労省の保身ではないか」との見方を示した。「高齢者の転倒が報告されると、再発防止策を検討する中で、その原因として病棟の看護師の配置数が少ないことが指摘される。これは行政としては、非常に困る」(堤氏)。

 また遺族からは「逃げない、隠さない、ごまかさない」ことが求められ、この点には賛同するものの、「今必要なことは、素直に謝罪できる環境作りではないか」とし、対立から対話への転換が必要とした。「ただし、対立を煽るような人たちが加わるとうまくいかない」。こう指摘する堤氏は、一部の患者側弁護士が医療事故調査で作成された報告書を、民事訴訟に活用する動きを次のように形容。

 「悪代官:越後屋、そちも悪じゃのう」
 「越後屋:いえいえ…、お代官さんほどでは…」

 さらに検察に対しては、杏林大学割り箸事件、東京女子医大事件、福島県立大野病院事件という、医療事故が刑事事件になっても、担当医が無罪になった例を挙げ、検察の仕事についても、第三者機関で検証する必要性を指摘。杏林大学割り箸事件では、事故発生時には、担当医を問題視する一方的な報道がなされたほか、無罪判決後もその論調が変わらない報道が一部にあったことを挙げ、書類送検時の医師の実名報道をやめるなど、メディアにも改めるべき点があるとした。

 そのほか、堤氏は、有賀氏と同様に、交通事故における訴訟の増加、「二つの機構」の問題点も指摘した。

◆田邉昇弁護士(医師)
 「医師法21条に関する最高裁平成16年4月13日判決」

 田邉氏は、医師法21条の解釈の変遷を紹介。1994年の日本法医学会の異状死ガイドラインは、「明らかな診療中の疾病死以外は全て異状死」とし、21条の拡大解釈との批判がある。その経緯について、当時、脳死移植を進めている現状があり、脳死判定につなげたいという背景があったと説明。

 1999年に起きた東京都立広尾病院事件では、担当医と院長が異状死体の届け出を定めた医師法21条違反に問われた(担当医は略式命令で終了)。争点は、(1)異状死体の定義(A:「異状」とは、外表面説か、経過異常説か、B:「検案した医師」とは診療中の死亡診断は、検案に当たるか)、(2)医師法21条は黙秘権の侵害に当たるか――だが、評釈は、(1)-AとBが中心だったという。

 2004年の最高裁判決では、「検案とは、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」「検案して異状があると認めた時は警察署に届け出る」とされ、「外表面説」で判断。黙秘権については、あくまで、「外表の異状」の有無を届け出るにすぎず、「届出人と死体とのかかわり等、犯罪行為を構成する事項の供述までも強制されるものではなから、黙秘権侵害に当たらない」とされた(『医師法21条、法改正の必要なし - 田邉昇弁護士に聞く』を参照)。違憲判決をするのではなく、医師法について、合憲限定解釈し、黙秘権侵害の問題を解決した。

 田邉氏は、外表面説を取る医師法21条の届け出範囲は意外に狭いため、「医師法21条による介入を恐れて、医療事故調を作るべきという議論は誤り」と強調。また厚労省や医師会が、医師法21条の解釈を正しく伝えないことも問題視した。

◆大磯義一郎・浜松医科大学医学部法学教授
 「医師法21条の法的問題と医療事故調査制度への課題」

 大磯氏も、田邉氏と同様に、2004年の東京都立広尾病院事件の最高裁判決に触れ、医師法21条が合憲とされた理由について、(1)(異状死体の届出は)公益性が高い、(2)医師免許に付随する合理的負担、(3)異状死体があったことのみの届け出である――と整理したが、いずれも疑問視した。例えば、(3)については、広尾病院事件の場合、院長は、医師法21条違反だけでなく、「虚偽有印公文書等作成および同行使罪」で有罪になっている。医師は、死亡診断書もしくは死体検案書の作成も求められ、「異状死体の届け出のみ」では済まない状況にあるからだ。

 広尾病院事件の最高裁判決以降、医師法21条に基づく異状死体の届け出やそれに基づく立件送致数が増え、萎縮医療や“医療崩壊”が起きたのは、リスクを他者に「転嫁」することができず、「回避」する行動の結果だと説明。ただし、福島県立大野病院事件の2008年の無罪判決以降、「裁判所の医療に対する理解が進展し、検察も無理しなくなり、司法と医療の相互理解」が進みつつあるとの見方を示した。

 大磯氏は、「悪者を作り上げて、徹底して責任追及するのではなく、医療安全を進めていくことが、一般国民の最大の利益」と指摘。医療事故調査制度の設計に当たっては、WHOドラフトガイドラインに準拠し、事故について報告する者に対する「不可罰性」と、患者や報告者の個別情報の「秘匿性」を厳守する重要性を強調。医師自身が信頼できる仕組み作りのためにも、これら二つが重要であり、厚労省令やガイドラインも「不可罰性」と「秘匿性」が求められるとした。特に課題は「出口」であり、遺族に対し、何を説明、報告、通知するのかがポイントになるとした。



https://www.m3.com/news/general/468598
がん治療薬盗んだ疑い 元社員逮捕、転売目的か
2016年10月18日 (火) 共同通信社

 札幌・中央署は17日、以前勤務していた医薬品卸会社からがん治療薬約850万円相当を盗んだとして、窃盗などの疑いで、札幌市豊平区、会社員木村一磨(きむら・かずま)容疑者(24)を逮捕した。

 逮捕容疑は9月、札幌市中央区の医薬品卸会社「モロオ」の事業所に侵入し、がん治療薬「アバスチン」60個を盗んだ疑い。

 署によると、木村容疑者は今年1月末に同社を退職した。インターネット上で製薬会社にアバスチンを売っていたことから発覚。転売目的だったとみて捜査している



https://www.m3.com/news/general/468674
焼津の研修医逮捕 準強姦容疑、3回目
2016年10月18日 (火) 静岡新聞

 焼津署は17日、準強姦(ごうかん)の疑いで、焼津市小川、焼津市立総合病院の研修医の男(28)=別の同容疑で逮捕、起訴=を再逮捕した。同容疑での逮捕は3回目。

 再逮捕容疑は6月中旬、県中部の飲食店で20代の女性に薬物のようなものを混ぜたアルコール飲料を飲ませ、意識がもうろうとした女性に自宅でわいせつな行為をした疑い。

 同署によると、男は黙秘しているという。



https://www.m3.com/news/general/468680
浜田市 医師負担考慮で休日診療一本化へ
2016年10月18日 (火) 山陰中央新報

 島根県浜田市は、旧那賀郡4自治区の休日診療在宅当番医制を廃止し、同市殿町の市役所内に設けている休日応急診療所に一本化する方針案をまとめた。休日応急診療所を担当する市医師会の医師の減少と高齢化が理由で、那賀郡医師会とともに9月、一本化の要望書を提出していた。市は、各自治区の地域協議会への説明を経て、2017年4月以降の実施を目指す
G3註:地域地図
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https://www.m3.com/news/general/468683
精神科救急相談、制度10カ月で257件 鹿児島県内
2016年10月18日 (火) 南日本新聞

 地域で暮らす精神障害者や家族らを支えるため、鹿児島県が昨年10月から始めた「精神科救急医療電話相談」の件数がまとまった。7月末までの10カ月で257件あった。うち強い自殺願望や多量服薬、対人的暴力など、即受診が必要と判断された相談が47件、約2割あった。

 17日、県庁であった県精神科救急医療システム連絡調整委員会(委員長・佐野輝鹿児島大医学部長)で県障害福祉課が報告した。

 電話相談は、県内で精神科のある42病院が輪番で担当。研修を受けた精神保健福祉士や看護師らが応じる。

 相談者は本人が166件、家族などが91件だった。相談は平日午後5時~翌日午前9時、日曜祝日と年末年始は24時間の対応。午前0時~9時の相談が4割を占めた。

 具体的には、女性から未明に「父が棒を振り回し大声を出している」と相談があり救急受診が必要と判断、県立姶良病院につないだ例があった。

 また、公的機関からの要請を受け患者の受け入れ病院を手配する精神科救急情報センター(県立姶良病院)は、昨年10月から運用時間を拡充。2015年度は81件の要請があり、前年度の43件からほぼ倍増した。要請機関は警察が42件で最多、消防が16件だった。

 委員会では、自傷や多量服薬で一般病院に救急搬送された患者への、退院後の支援が不足しているとの意見が出た。かかりつけのクリニックとの情報共有が不十分との指摘もあった。

 精神科救急医療電話相談=099(837)3458。



http://mainichi.jp/articles/20161018/ddl/k21/040/041000c
市立新恵那病院
完成 来月21日診療開始 /岐阜

毎日新聞2016年10月18日 地方版

 恵那市が同市大井町に建設を進めてきた新市立恵那病院が完成し=写真・恵那市提供、11月21日に一部を除いて診療を開始する。16日には一般市民らを対象にした建物内部の内覧会が開かれた。

 新病院は現在の恵那病院の隣接地に建設。建物は鉄筋コンクリートの免震構造で地上4階建て。延べ床面積は1万6498平方メートルで、病床数は199床、診療科は20科。隣接する既存の建物の解体や周辺整地など、すべての工事が完了するのは2018年3月末の予定。事業費は約85億5200万円。

 市では唯一の産院が医師不足から07年5月に閉院して以来、産科病院はなく、母親らが1万人を超す署名を添えて要望書を提出するなど産科診療施設の設置が熱望されていた。新病院では、来年春に産婦人科がスタートする予定だ。他にも、新たな施設として血液浄化センター、健康管理センターなどが加わる。【小林哲夫】



http://www.nagano-np.co.jp/articles/9358
岡谷市民病院開院から1年 診療科新設で体制充実
2016年10月18日 6時00分 長野日報

岡谷市の岡谷市民病院が昨年10月の開院から1年を迎えた。「病院が明るくなった」など建物や設備を評価する声が聞かれ、開院以降、新たな診療科が開設されるなど、医療体制の向上が図られた。一方で待ち時間の長さの改善を求める声は根強い。根本的な解決には医師確保が欠かせず、病院側は医師不足の解消を「最重要課題」に位置付けている。

市は開院に先立つ昨年4月、元信州大学医学部付属病院長の天野直二氏を院長に迎え、信大医学部との連携を強化した。天野院長が担当する認知症などを対象とした「シニアこころ診療科」や歯科口腔外科が新設された。医師確保に向けては信大などに派遣を要請するほか、民間の紹介業者も活用している。5月に内科医1人が民間業者を通じて着任し、10月1日付で信大から後期研修医1人が派遣され、現在の常勤医は37人。

課題となっている「待ち時間の長さ」の根本原因は医師不足。特に高齢社会の進展で患者が増えている整形外科は常勤医が2人、耳鼻咽喉科は1人のみ。いずれも「全国的に医師が少ない診療科」(同病院)という。

市民病院の医師一人当たりの患者数は2015年度、入院が6・3人で近隣の公立病院(諏訪中央病院や伊那中央病院など県内6病院)平均の5・2人、全国平均の4・5人よりも多い。外来は15・3人で近隣公立病院平均(同)の11・6人よりも多く、全国平均の7・5人の2倍以上となっている。

同病院を運営する市病院事業の15年度決算によると、入院は移転に伴う準備の影響や病床数減により、延べ患者数が3・9%減の8万5283人となったが、外来は移転に伴う休診があっても1・5%増の15万9930人となった。増加する患者に対し、医師が足りていない現状だ。

医師の負担は大きいが、天野院長は「医者なら誰でも良いというわけにもいかない。日常業務に加えて救急対応ができる医師が必要であり、早期の医師不足解消の大切さを理解しつつも一方で慎重さが必要」と話している。

待ち時間対策ではこのほか、待合室を離れても診療順が近づいたことを携帯電話で知らせるなどの対応を行うほか、接遇の改善を図り、「長い」をストレスに感じさせない工夫も重ねている。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08525320Y6A011C1CR8000/
オプジーボ、副作用追記を指示 小野薬品に厚労省
2016/10/19 1:59 日本経済新聞

 厚生労働省は18日、がん治療薬「オプジーボ」を投与された60代の患者1人が、副作用とみられる心筋炎を発症し死亡したとして、製造元の小野薬品工業に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示した。

 厚労省などによると、2014年7月の薬の承認以降、死亡した1人を含む3人が心筋炎を発症した。血小板が減り出血しやすくなる「免疫性血小板減少性紫斑病」や「横紋筋融解症」を発症した患者もおり、これらも重大な副作用とされた。

 オプジーボの投与を終えた後、14人が糖尿病などを発症したことも判明。厚労省は、投与終了後の副作用についても注意喚起を求めた。

 オプジーボは、一部の患者に優れた効果があるが極めて高額な薬剤。悪性黒色腫と非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療に保険が適用されている。〔共同〕



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54712/Default.aspx
厚労省 重大な副作用などで添付文書の改訂指示 ワルファリンとミコナゾール併用禁忌に
2016/10/19 03:50 ミクスオンライン

厚労省医薬・生活衛生局は10月18日、新たな重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知で指示した。この中で血栓塞栓症に用いるワルファリンと抗真菌薬ミコナゾール(ゲル剤・注射剤)の併用により直近3年で31例の出血症例(因果関係が否定できないもの)が報告されているとして両剤の添付文書で「併用禁忌」と明記することした。

両剤の併用については、ミコナゾールの添付文書で「慎重投与」「重要な基本的注意」「併用注意」で注意喚起していたが、重篤な出血症例が多数報告され、同省としては「抗凝固作用モニタリング等をさらに強化することによるリスク回避は困難」と判断、「禁忌」扱いとした。この措置により、他のアゾール系抗真菌薬が使用される機会が増えると予想されることから、ワルファリンとの併用について「慎重投与」「重要な基本的注意」に追記し、注意喚起することにした。

改訂指示のあった薬剤と指示内容は以下のとおり(カッコ内は成分名、会社名)。
▽ワーファリン錠、同顆粒(ワルファリンカリウム、エーザイ)他
▽フロリードゲル経口用、同F注(ミコナゾール、持田製薬)
指示概要:両剤それぞれに相手薬剤を「禁忌」「併用禁忌」欄に追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例31例(うち死亡なし)
薬効分類:
333 血液凝固阻止剤(ワルファリン)
629 その他の化学療法剤(ミコナゾール)

▽イトリゾールカプセル、同内用液、同注(イトラコナゾール、ヤンセンファーマ)他
▽ジフルカンカプセル、同ドライシロップ、同静注液(フルコナゾール、ファイザー)他
▽プロジフ静注液(ホスフルコナゾール、ファイザー)
▽ブイフェンド錠、同錠、同ドライシロップ、同静注用(ボリコナゾール、ファイザー)他
指示概要:
「慎重投与」に「ワルファリンカリウムを投与中の患者」追記
「重要な基本的注意」にワルファリンカリウムとの併用に関する注意喚起を追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):併用による出血関連症例はフルコナゾールとボリコナゾールで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
617 主としてカビに作用するもの
629 その他の化学療法剤

▽ローコール錠(フルバスタチンナトリウム、ノバルティスファーマ)他
▽メバロチン錠、同細粒(プラバスタチンナトリウム、第一三共)他
▽リポバス錠(シンバスタチン、MSD)他
▽リピトール錠(アトルバスタチンカルシウム水和物、アステラス製薬)他
▽リバロ錠、同OD錠(ピタバスタチンカルシウム水和物、興和)他
▽クレストール錠、同OD錠(ロスバスタチンカルシウム、アストラゼネカ)
▽カデュエット配合錠(アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチン
カルシウム水和物、ファイザー)他
指示概要:
「重要な基本的注意」に免疫性壊死性ミオパチーに関する注意喚起を追記。
「重大な副作用」に「免疫性壊死性ミオパチー」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):アトルバスタチンとロスバスタチンで各1例(うち死亡なし)
薬効分類:
219その他の循環器官用薬(アムロジピンとアトルバスタチンの配合剤)
218 高脂血症用剤(上記以外)

▽ステラーラ皮下注(ウステキヌマブ遺伝子組換え、ヤンセンファーマ)
指示概要:「重大な副作用」に「間質性肺炎」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):6例(うち死亡なし)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品

▽オプジーボ点滴静注(ニボルマブ遺伝子組換え、小野薬品)
指示概要:
「重要な基本的注意」の「過度の免疫反応」に関する記載に「投与 終了後の副作用」に関する注意喚起を追記
「重大な副作用」に「免疫性血小板減少性紫斑病」「心筋炎」「横紋筋融解症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):
投与終了後の副作用14例(うち死亡なし)
免疫性血小板減少性紫斑病3例(うち死亡なし)
心筋炎3例(うち死亡1例)
横紋筋融解症4例(うち死亡なし)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬

▽キュビシン静注用(ダプトマイシン、MSD)
指示概要:「重大な副作用」に「急性汎発性発疹性膿疱症」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):1例(うち死亡なし)
薬効分類:611 主としてグラム陽性菌に作用するもの

▽ラピアクタ点滴静注液バッグ、同点滴静注液バイアル(ペラミビル水和物、塩野義製薬)
指示概要:「重大な副作用」の項に「急性腎不全」追記
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない例数):2例(うち死亡なし)
薬効分類:625 抗ウイルス剤

改訂指示関係資料はこちら(PMDAのHPへ)
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/revision-of-precautions/0306.html



http://mainichi.jp/articles/20161019/ddm/016/100/023000c
サービス付き高齢者住宅
制度5年 利用者、想定とずれ

毎日新聞2016年10月19日 東京朝刊

 見守りなどのサービスがあるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が、2011年10月の制度開始から5年を迎えた。参入規制が緩いうえ国から補助金が出るため、急速に建設が広がり、20万戸を超えている。当初は早めの住み替えを検討している高齢者の利用を想定していたが、実態は介護の必要な高齢者の受け皿に。このため、制度と入居者の実態にずれが生じている。【有田浩子】

実態は介護施設
 「諸般の事情により10月末日を持ちまして業務を終了する運びとなりました」。三重県四日市市で昨年9月30日、サ高住の運営事業者が突然、廃業を通知し、認知症だったり生活保護を受けていたりする高齢者を含む入居者22人に1カ月後の立ち退きを迫った。14年秋に開業したばかりだった。

 廃業の通知を知ったケアマネジャーの斎藤則子さん(59)は市に通報。他の事業者が引き継がなければ入居者の行き先がなくなるため、すぐに他のケアマネジャーとともに受け入れ先探しに奔走し、月内に全員を転居させた。

 サ高住は高齢者が暮らしやすい環境を整えた賃貸住宅で、都道府県などへの登録制になっている。入居者は高齢者のため、登録基準に「居住の安定が図られた契約」があり、10年以上は運営するよう求められている。譲渡する場合でも事業者が引き継ぎ先を探すのが通例だ。

 しかし、四日市市のケースでは事業者と連絡が取れなくなり、県や市が「対応困難」と判断したのは月の半ばを過ぎていた。担当部署は県の住宅担当の課のほか、市の高齢福祉や生活保護の担当課など複数にわたり、情報共有や連携にも時間がかかった。

 斎藤さんは「行政に情報を伝えて働きかけても明確な返答や指導がもらえなかった。私たちが動かなかったら利用者はどうなっていたか。今でも何もしてもらえなかったとの思いが残る」と話す。

 この反省を踏まえ、県と市は今年2月、廃業により入居者の住まい確保が必要になった場合の取り組みをまとめ、県が主体となって関係者と連携することを確認した。

 入居者の9割が要介護認定を受けているとの調査もあり、多くのサ高住は実態として介護施設化している。だが、入居希望者向けに公開されている登録情報は「賃貸住宅」並みで安心して暮らせるかどうかはわかりにくい。医療や介護が十分に受けられない物件もある。

 東京都内のサ高住で訪問診療する医師は「ヘルパーは日中しか来てくれないので、ある末期のがん患者は、最期の2週間は24時間付き添いヘルパーを入れた。サ高住には医療も介護もそろっていると勘違いしている家族がいる」と話す。

 有料老人ホームなど高齢者住宅の事情に詳しいタムラプランニング&オペレーティングの田村明孝社長は「『早めの移り住み』とか『自立した高齢者の生活の場』といわれたが、現実は介護度が高く行き場のない高齢者の受け皿になっている。政府は、多額の建設・運営費がかかる特別養護老人ホームの増設には消極的で、介護費用の高い介護付き有料老人ホームも介護保険財政を悪化させるとして総量規制をしている。それをサ高住が担う形になっている」と指摘。情報の公開も不十分だとし、「介護サービスを受けたくても『うちはできない』と言われればそれで終わり。入居の際に確かめるしかないのが現状だ」と話す。こうした状況を受け、国土交通省は、登録情報を閲覧する際に、より詳細な情報がみられるよう事業者に求める方針を決めている。

 一方、医療も介護もそろっていても問題のあることも。あるケアマネジャーは「事業者が指定するデイサービス、ホームヘルプ以外、一切使わせないところもある」と明かす。入居者に系列の介護事業者を使わせて確実に利益を確保する事業者もある。「囲い込み」と呼ばれ、利益のために必ずしも必要ではないサービスまで受けさせられるケースもある。

空き家活用の動きも 負担より軽く
 サ高住は、社会福祉法人や医療法人だけでなく株式会社も手がけることができる。老人福祉法の規制を受ける有料老人ホームより参入しやすい上、国などの補助金もあり、急激に成長した。政府は、サ高住だけでなく高齢者向けの住宅について、20年までに12年(約54万戸)から倍増させ、100万戸以上とする目標を掲げている。15年度補正予算でサ高住約2万人分の整備費が盛り込まれた。

 ただ、大都市圏では家賃・共益費に生活相談・見守りサービスをつけると平均月11万円を超え、食費や介護費用も別途必要で、生活資金に余裕のない高齢者にはハードルが高い。

 そこで、空き家などを活用した高齢者向けの住宅を提供する試みも始まっている。東京都町田市の住宅街にあるアパートに住む男性(78)は2年前、静岡県から夫婦で転居してきた。対応した不動産業者は男性の様子から認知症を疑い、特養などを運営する同市内の社会福祉法人「悠々会」を紹介した。

 悠々会は、高齢者の生活を支援する見守り付き賃貸アパート「あんしんハウス」を運営する。要介護2の男性は妻(67)とハウスに入居した。あんしんハウスでは、室内に生活の状況から異変を察知したり、ガス漏れをチェックしたりするシステムが整い、職員が日常生活の相談にも応じてくれる。費用は月額6万4000円だ。空き家のオーナーに賃貸料の引き下げを交渉して借り上げることで入居者の負担軽減を図っている。

 あんしんハウスの事業を始めたきっかけは、介護を必要とする人の相談などに応じる地域包括支援センターの運営を市から委託されたことだ。持ち家がなく生活に困っているうえ、介護が必要な高齢者や、保証人がいないため賃貸住宅に入居しにくい高齢者らの多いことを知った。

 物件は入居希望者と一緒に探し、現在は7組8人が別々のアパートに暮らす。担当の鯨井孝行さん(36)は「法人が借り上げるためオーナーも貸しやすい。今後は、入居者の孤立を防ぐ社会参加や就労の機会を提供していきたい」と話す。

立地の偏りに課題
 サ高住の登録制度は「高齢者住まい法」の改正で創設された。原則25平方メートル以上▽バリアフリー構造▽見守りサービス▽生活相談−−の四つを満たすことが条件で、事業者が都道府県や政令市、中核市などに登録。家賃やサービスに関する情報が公開されている。新築だと1戸につき最大120万円の補助金が国から出る。入居費用は家賃、共益費、生活相談・見守りサービス費用の合計で全国平均9万9000円。

 地価が安いところほど多くつくられる傾向にあり、立地の偏在が課題だ。入居者の3割以上が要介護3以上で、認知症で日常生活に支障が出るとされる2以上も4割を占める=グラフ。

 約8割は通所介護事業所など高齢者支援施設を併設しているが、デイサービスや訪問介護、泊まりなどの機能を持つ「小規模多機能型居宅介護」の併設・隣接は1割程度にとどまる。



http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20161018-OYT8T50025.html
在宅医療費、保険で軽減
2016年10月19日 読売新聞

特約、各社から続々…一時金や終身保障も

 高齢化が進み、入院せずに自宅などで療養する在宅医療を受ける人が増えている。病気やけがをした際に給付金が支払われる民間の医療保険は、これまで入院保障に重点を置いてきたが、在宅医療も特約で保障の対象にするものが出てきた。

患者数2.4倍に

 日本在宅医療学会の理事長で、横浜市の「睦町クリニック」の城谷典保医師は、自宅や介護施設で療養を続ける患者の訪問診療を行っている。末期がんや人工呼吸器を必要とするような重症患者も多いという。「自宅で最期を迎えることは、もはや珍しくありません」と話す。

 厚生労働省の推計では、2014年に在宅医療を受けた患者数は1日あたり約15・6万人で、05年の約6・5万人から2・4倍に増えている。政府は医療費を抑制するため、療養患者の入院ベッド数を減らしており、長期の入院はますます難しくなりそうだ。城谷理事長は「高度な治療を行う病院を退院して、在宅医療を勧められるケースは増えていく」とみている。

条件はさまざま

 こうした流れの中、民間の医療保険で、在宅医療の保障付き特約が登場している。基本の保険料などに数十円から千数百円の特約保険料を加えることで契約できる。

 SBI生命が今年2月発売した終身医療保険「も。」の在宅医療向け特約は、給付金が月6万円(70歳以上は3万円)、最長36か月まで支給される(入院保障1日1万円の場合)。

 明治安田生命の医療保険「メディカルスタイルF」は、退院翌日から180日(がんの場合は730日)間、医療費の自己負担分の全額を支給するほか、一時金として1万円を給付する。この2社は、入院時と同じ病気やけがで在宅医療を受けた場合が対象となる。

 また、医療機関以外で自己注射、人工透析、酸素療法のいずれかを受けた場合を保障の対象にする特約もある。

 マニュライフ生命の「こだわり医療保険 with PRIDE」は毎月3万円が60回を限度に、フコクしんらい生命の「医療自在FS」は、85歳まで5万円~50万円の一時金が、それぞれ支給される。

 介護ジャーナリストの小山朝子さんは「負担感を和らげるのに役立つが、年齢や治療内容によっては給付の対象外の場合もあるので、条件を調べて契約する必要がある」と話す。

高まるニーズ

 在宅医療にかかる医療費は一定の範囲に収まるのが一般的だ。公的医療保険の高額療養費制度によって、70歳以上の高齢者ならば、収入に応じて月8000円~4万4400円を超える医療費は支払いが免除される。

 ただ、小山さんによると、滅菌ガーゼ、カテーテルなど、日常のケアに使う医療関連品を自己負担する場合もあるという。さらに在宅医療では、生活費や介護費などの費用がかさむことになる。

 医療情報サイト「QLife(キューライフ)」の昨年の調査では、、在宅医療を受ける患者の家族500人のうち76%が費用を「負担に感じている」と回答した。保険の役割は今後も高まり、利用者のニーズを把握した内容の充実が求められそうだ。(宮木優美)

2016年10月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun



  1. 2016/10/19(水) 06:26:27|
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10月17日 

http://smart-flash.jp/sociopolitics/12717
使えない医者を量産する「怒らず、残業させず」新研修医制度
2016.10.17 Smart FLASH / 光文社

「研修医は叱らないでください」

 ある日の朝、某病院の麻酔科部長のA先生が私に釘を刺した。これから始まる手術の麻酔を研修医が担当するのだ。私はそのサポート役である。

「それから、研修医の担当する手術が17時以降に及んだ場合、本人が帰宅を希望したら交代してください。厚労省のガイドラインで決められているので」

 かつて、研修医は出身大学で各専門科の研修を受けるのが慣習だった。だが2004年、厚労省が定めた新医師臨床研修制度によって、新人医師は2年間で「外科2カ月→小児科2カ月→麻酔科1カ月……」式にいろいろな科を廻り、幅広い分野の総合的な能力を養うことになった。

 それにより大学病院に長年存在した医局制度は衰退した。新人医師が「幅広い分野の総合的能力を養う」ことは悪いとは思わないが、新制度の影響が医師不足・医療崩壊(※)という形で表面化したのは残念だ。『ドクターX』はそんな現状を背景に描かれているドラマなのだ。

 厚労省の新研修医指導ガイドラインには「ミスをしても頭ごなしに叱らず優しく諭す」「本人の同意のない時間外労働は禁止」「体調不良時には休ませる」とも。なんとも優しいことだ。

 A先生は、かつて鬼コーチとして研修医に恐れられる存在だった。「鉄は熱いうちに打て」をモットーに研修医を使い倒し、仕事が終わった後も英文論文を渡して、それを翌朝までに読ん
で来なかった研修医は、カンファレンスで罵倒された。

 しかし、彼の熱血指導を2年間耐え抜いた研修医は、それなりに使えたのも事実であった。

「さすがの鬼コーチも、厚労省には勝てなかったか……」

 冒頭の場面に話を戻そう。

 研修医は8時40分になっても現われない。手術開始は9時。「筒井先生、代わりに麻酔の準備をしておいてもらえませんか?」とA先生。

 研修医をケータイで呼び出すのも「今はまだ時間外だからダメ」と。なんでも、以前研修医を夜9時まで働かせたところ、パワハラで始末書を書かされたという。

「夜9時でパワハラですか!?」

 と私が驚くと、

「そう。心臓外科部長なんて、徹夜オペの助手をやらせたら、労働基準監督署に直訴されたんですよ」

 聞けばその研修医たちはその後、一人は先輩医師とデキ婚して専業主婦になり、もう一人は「こんなブラック病院は撲滅する!」と宣言して、ロースクールの受験勉強をしているとか……。

 8時50分、手術部受付の電話が鳴った。研修医からA先生に「LINEを確認してください」との伝言だ。A先生が慌ててスマホを開くと「今日は体調不良なので休みます」とのメッセージがあった。

「そういうわけですので、筒井先生、この手術の麻酔をお願いします」

 そして「了解、お大事に」とLINEに返信したA先生だった。


※医師不足・医療崩壊=さまざまな原因があるが、新医師臨床研修制度により新人医師が大学病院ではなく都市の総合病院に集中し、余力を失った大学病院が地方病院に医師を派遣することができなくなったこともそのひとつとされる

<筒井冨美 Fumi Tsutsui>
 1966年生まれ フリーランス麻酔科医 国立医大卒業後、米国留学、医大講師を経て2007年からフリーに。医療ドラマの制作にも関わり、『ドクターX』(テレビ朝日系)取材協力、『医師たちの恋愛事情』(フジテレビ系)医療アドバイザーを務める



http://biz-journal.jp/2016/10/post_16925.html
問題だらけ!JALとANAの「医師登録制度」
2016.10.17  Business Journal

JAL・ANAの「医師登録制度」は問題だらけ! 飛行機内で急病人が発生したら……

 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか~!」毎度おなじみのこのフレーズ。颯爽と手を上げたイケメン医師がすばやい処置を施す。現実はドラマのようにはいかない。
 今春、公益社団法人日本医師会とJAL(日本航空)は、国内初の「JAL DOCTOR登録制度」を立ち上げた。日本医師会が発行する「医師資格証(=IC付きカード)」を持ち、事前登録した「医師(=JALマイレージバンク会員)」が機内で不調を訴えた急病者に迅速かつ適切な応急措置を行う、それが「JAL DOCTOR登録制度」のねらいだ。
 海外35億2500万人(ICAO/国際民間航空機関統計)、日本9519万7000人(国土交通省航空輸送統計年報)。延べの人口比率で見れば、海外なら世界人口の48%、日本なら日本人口の75%にもなる。
 機内で頭痛や腹痛に襲われることがあるかもしれない。急に体が不調に陥った時、機内でどんなケアが受けられるのか? そんな時、機内に医師が搭乗していたら、安心できるにちがいない。
JALとANAの「医師登録制度」がスタートしたが……

 JALのテイクオフから7カ月後の9月1日、ANA(全日空)は、JALを追うように「ANA DOCTOR ON BOARD」の導入に踏み切り、「お客様の中にお医者さまはいらっしゃいませんか?」の機内アナウンスを消した。

 この制度は、医師個人の意思と判断に基づいて登録するので、登録医師が搭乗すれば、航空会社は医師の搭乗を事前に掴める。体調が急変した乗客が出ても、客室乗務員が医師の席へ行き、「お願いします」と依頼できる。

 「お医者さんはいらっしゃいませんか?」のドクターコールがないので、乗客は不安感をもたない。何よりも人命救助がよりスムーズに行われる可能性が高まる。それが、この制度のメリットだろう。

 「医師登録制度」の足並みは揃ったかに見えるが、「JAL DOCTOR登録制度」も「ANA DOCTOR ON BOARD」も難題を抱えている。制度設計の甘さを指摘する声が根強いからだ。

なぜ医師が名乗り出ない? 「医師登録制度」の数々の問題点

 JALとANAの「医師登録制度」の問題点は何だろう?

 第1点、責任の所在の不明確。JALもANAも「故意、重過失の場合を除き、会社が対応する」としている。だが、設備も環境も不十分な機内の医療行為の故意、重過失をどのような基準で判断するのか? 

 患者が死亡すれば、訴訟のリスクを負わされる。善意の行為でも、医師は業務上過失致傷罪・致死罪に問われるリスクがある。民事責任を免責されても、刑事責任は避けられない。

 ちなみにアメリカには、「災難に遭った人、急病の人を救うために無償で良識的かつ誠実に善意の行動をとったのなら、失敗しても結果責任を問われない」という「善きサマリア人の法」が立法化されている。

 第2点、登録時の専門とする科の選択肢が不十分。登録できるのは麻酔科医、産婦人科医、一般開業医、内科医/心臓専門医、神経科医/精神科医、その他だ。

 科は必ずしも医師の専門スキルを表していないので、専門スキルを選べるように変えるべきだ。

 第3点、機内の医療設備が未整備。設備が未整備のため、病態の原因が分からず、十分な診断ができない。

 原因が分かっても、設備も薬剤もなければ、対応できることは限られ、最適な治療ができない。救急バッグは常備されているが、超音波装置などの診断装置も必要になる。

  第4点、登録できるのは医師だけ。救急医、救急救命士、看護師は除外。

 救急救命が必要な急病者なら、救急医、救急救命士、点滴の準備をする看護師が不可欠だ。救急医、救急救命士、看護師も登録できるように改善しなければならない。

 第5点、報酬の明示が不明確。機内の治療行為は、医師法に定める勤務時間外の診療だ。医師への報酬を明示しないのはなぜか? 

 JALは「空港のsakuraラウンジが使える」、ANAは「お礼状など常識の範囲内での対応」としているが、医師にボランティアを求めるのは、誠意も礼儀も失する行為だ。

 ちなみに、ルフトハンザ航空(ドイツ)なら、医師登録すれば5000マイルの付与と、次回使える50ユーロ分のチケットがプレゼントされるという。

JALもANAも「医師登録制度」の見直しを急ぐべきだ

 このように、JALとANAの「医師登録制度」は、難題ばかりだ。

 早急に医師をはじめ、救急医、救急救命士、看護師の意見をヒヤリングして、設備の整備、救急医、救命救急士、看護師の登録、責任の所在と報酬の明確化に取り組まねばならない。「善きサマリア人の法」の立法化も重要課題になるだろう。

 「医師登録制度」のスタートラインはできていない。制度の趣旨と目標が明確になれば、使命感と善意がある医師らは、安心して登録するはずだ。乗客の信頼感も満足感も高まるだろう。JALもANAも制度の見直しを急いでほしい。
(文=編集部)



http://yamagata-np.jp/news/201610/17/kj_2016101700344.php
山形刑務所、常勤医師がいない 安全や待遇への不安背景
2016年10月17日 15:44 山形新聞

 今年4月から山形刑務所の常勤医師がいない異常事態となっている。医師向けの求人サイトを活用したり、山形大や県、市の医師会に依頼するなど策を講じているが、なり手が見つからないという。関係者によると、背景には ▽受刑者への恐怖感 ▽民間に比べ給与が低い― などの先入観が広まっていることが挙げられる。現在は非常勤医師12人が交代で急場をしのいでいるが、受刑者の高齢化が進む中「一刻も早く常勤医師の確保が必要」と担当者は危機感を募らせている。

 山形刑務所を管轄する仙台矯正管区によると、東北6カ所の矯正施設で、常勤医師が不在なのは、山形刑務所、盛岡少年刑務所、福島刑務支所(女性のみ)の3カ所。ただ盛岡は若年受刑者で、収容者数は234人(8月末現在)。福島は490人(同)で、男性の福島刑務所と同じ敷地にあるため、補完が可能だ。これに対し、山形は千人規模で長期の受刑者も多いため、医師ゼロは喫緊の課題といえる。

 この状況に山形刑務所は、非常勤医師の交代勤務で対応している。5、6人の准看護師と1人の看護師が常駐しているが、常勤医師がいないと継続的な治療ができない、緊急対応に時間がかかる―などの問題点がある。

 同刑務所によると、3月末で男性医師が県外に転出。13年度からはこの男性医師が担ってきたが、今年4月に後任が見つからず「ゼロ」になった。この10年で常勤医師が不在となったのは2011~12年度以来2度目という。大学や医師会への直接依頼に加え、医師向けの求人サイト「e―doctor」に掲載するなど対策を取っている。

 常勤医師は国家公務員扱いの「矯正医官」で、年収約1千万~1100万円という。性別不問で、医師免許があれば任用可能だ。平日午前8時半から午後5時までの勤務で週休2日、当直はない。年次休暇も40日あるが「犯罪者と向き合うのは怖い」「民間と比べて収入が低い」などの声がある。実際には問診に刑務官が立ち会うため「安全は確保されている」と担当者は話す。

 関係者は「受刑者の心身を健康に保ち、罪と向き合わせるために適正に管理することが刑務所の務め」と力を込める。高齢化で認知症や介護の必要な受刑者も増えているといい、「医療体制の充実が急務だ」と窮状を訴えている。

◆東北6県の刑務所の常勤医師数と収容者数
     医師数(定員) 収容者数
 青森   1  (1)   451
 宮城   7  (8)   945
 秋田   1  (1)   413
 山形   0  (1)   1009
 福島   1  (1)   956
福島支所  0  (1)   490
盛岡少年  0  (1)   234
(収容者数は未決者を含む8月末現在)



https://www.m3.com/news/iryoishin/468310
「全ての面で市中病院が圧倒」、マッチングの動向
『ハローマッチング』著書の石黒達昌氏インタビュー

2016年10月17日 (月) 高橋直純(m3.com編集部)

 10月20日に最終結果が公表される2016年度医師臨床研修マッチング。医師国家試験対策予備校テコムで講師を務め、医学部生向けマッチング解説書『ハローマッチング』(医学評論社)を執筆している医師の石黒達昌氏にマッチングの仕組みや近年の傾向について聞いた(2016年9月30日にインタビュー)。

――マッチングは2003年度から始まりましたが、医師の中でも詳しい仕組みをご存知ない方もいると思います。簡単にご説明いただけますでしょうか。
 マッチングは2004年度から義務化された初期臨床研修制度に伴って、厚生労働省が前年の2003年に作った制度です。アメリカで1952年からあるThe National Residency Matching Programをモデルにして作られています。マッチングに参加する研修プログラム(病院)と医学生の双方の希望をコンピュータアルゴリズム下に公平な形でマッチさせていきます。両者で“婚約”が成立すると、仮契約を結ぶことになり、マッチした病院で研修を受けない等の場合には一定期間、マッチングに参加できなくなるといった制裁もあります。

 医学生はどの病院で研修するかを調べるため、4、5年生になると各地の病院を見学しています。

――マッチングの導入で大学病院離れが進んでいます。
 残念ながら、職場の雰囲気や知識・手技の習得、雑用の少なさなども含め、ほぼ全ての面で研修の場としては市中病院が大学病院を圧倒しています。研修する一番の目的は、なるべく早く一人前になること。学生からすると実をとるのは当然です。

 大学病院では医局システムの名残があり、ピラミッドの一番下、下手すると学部生の下ということもありますが、市中病院では「お医者様」として扱ってくれる。たくさんの症例を経験できるということもありますが、市中病院ではどんなに新米でも「自分は医師なんだ」という自覚が持てることが多いです。

――医師の地域偏在を助長するとも言われています。
 僕が東京の予備校で教えていることも大きいかもしれませんが、都会志向が強まっていると感じています。高校生と話す機会もありますが、どうせ東京に帰るから大学(医学部)はどこでも良いという子もいます。

 ただ、それは医師もそうで、地方の大学を出てもフリーランスになって都会に出ていく。私の勤務先も麻酔科医がいないので、手術のたびに派遣会社にお願いしています。医局に組み込まれなくても十分にやっていけて、経済的にも潤うという状況がある。我々もそうなので、学生に都会志向がだめとは言えないと思います。

――マッチングの是非はどうお考えでしょうか。
 マッチングは医学生の将来選択として一つのハードルになっており、それが良いと思います。医師国家試験は約9割受かる試験で決して難しくない。人気の市中病院では、ペーパー試験や論文、面接があり、倍率もそれなりです。試験に妥当性があるかは別としても、医学生が各地の病院を見て考えるきっかけになっています。病院も、どこまで守っているかは別として、かっちりとしたプログラムも作るようになりました。

 そして何より、最大の効果は医局の力が緩んだこと。以前は大学医局に医師を派遣してもらう必要があり、そのために病院長に大学から落下傘的に降りてくるということも多かったです。今は制度として定期的に新人医師が入ってくるので、下からコツコツたたき上げた人が病院長になれるようにもなりました。

――石黒先生はいろいろな立場で医学教育に関わってこられたと聞いています。
 1987年に医学部を卒業しましたが、6年時に国家試験に落ちるという強迫観念にかられ、東大生としては珍しく(笑)、予備校の冬期講習会に行きました。その時に講義をしてくれた先生の話が大学の講義よりはるかに面白くて感動しました。何とか合格することができた後、初期研修の忙しい半年が終わり、麻酔科に移ったころに、その予備校から講師になってほしいと連絡が来て、この業界に足を入れました。 その後、外科に移って忙しくなった時に、その予備校もつぶれて、外科研修に専念できてちょうど良かったかもと思っていましたが、ある日、上司から別の予備校で教えるようにお願いされました。やんわり断ったつもりが、今度は病院長から呼ばれて「教えてくれることになったんだって。ありがとう」と(笑)。要するに病院ぐるみで近くの予備校で教えていたのです。

 東大の外科に入局後は、文部科学省高等教育局医学教育課にも派遣されました。今でこそ医学教育課は厚生労働省と交流がありますが、当時は完全な縦割りでどちらかと言えば対立関係にあったように記憶しています。OSCEができたのは僕がいたころです。文科省は大学を統括していたのにもかかわらず、国家試験というクリティカルなところは厚労省が押さえていて、OSCE導入の動機には、多少主導権争いもあったのではと想像したりもします。

 その後、テキサス大学MDアンダーソン癌センター助教授などを経て、帰国後はフリーランスの外科医になりました。いまだに場所を変えて予備校でも教え続けており、2004年度からは、マッチングの傾向と対策を紹介する『ハローマッチング』というガイドブックを執筆し、論文の書き方指導や医学生へのアンケートに基づく人気病院の過去問解説などをしています。

――いろいろな場所で医学教育をされてきて、どのような形がいいとお考えでしょうか。
 臨床研修で言えば、初期研修も含めた8年は長すぎるのではないでしょうか。6年間の学部教育のうち最初の4年間は教養的なことを極力省いて、医学専門教育に特化し、共用試験を通過したら残りの2年は現在の必修研修のようなカリキュラムにして、とやれば卒業と同時に専門を選択できる以前のような体制に戻せると思うのです。もっとパワーアップした形で。今の初期研修ではどうしても「お客様」のような位置付けになっていて、「鉄は熱いうちに打て」といった体制にはなっていない気がします。そのうち見直しがなされるのではないでしょうか。

 文科省時代、隣の課長補佐と雑談混じりに話していたことですが、臨床は癌センターなども含めた公的病院、研究は大学付属病院と研究所、そして教育は大学医学部といった棲み分けでいいんじゃないかと。逆に言うと、医学部の教授は教育に特化すべきだと。良い医師、良い研究者、良い教育者は基本的には別の存在で、教えることは、特殊な才能、アートだと思います。一人の教授が三つもやるのは、現実的に難しいし、そもそも三権分立の原則に反すると思うのです(笑)。

※医師国家試験対策予備校テコムや医学評論社を運営する株式会社テコムは2016年よりエムスリーのグループ会社になっています。



https://www.m3.com/news/general/468254
症例集めの難しさ一因か 患者「信頼揺るがす事態」 精神保健指定医の不正取得問題
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 全国の精神科医100人前後が「精神保健指定医」資格の不正取得に関与した疑いがあることが9月に明らかになった。申請時に提出する症例リポートの使い回しが横行。症例集めの難しさが一因との指摘もあるが、強制入院の判断など強い権限を持つだけに、患者側は「信頼を揺るがす事態」と批判する。識者からは「精神科医療の在り方を見直す機会にすべきだ」との声も出ている。

 ▽100人

 聖マリアンナ医大病院の医師が資格を不正取得していた問題が発覚したのは昨年4月。指導医を含む計23人の資格が取り消され、症例リポートを使い回して申請する手口が常態化している実態が露呈した。

 厚労省はその後、診療記録の保存期間が法律で5年となっていることから、過去5年に資格申請を受け付けた2千人以上の症例リポート1万6千件超をデータベース化。患者名や入院期間に重複するものがないかどうか調査を続けてきた。

 その結果、指導医も含め100人前後の不正関与疑いが判明。聖マリアンナ医大病院の別の医師や、相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された容疑者の措置入院判断に関わった医師もおり、同省担当者は「ここまで多いとは」と声を落とす。

 指定医の数は、昨年7月時点で1万4793人。同省幹部は「5年以上さかのぼれば、不正取得者がもっといる可能性はある」と認める。

 ▽絶対的存在

 患者本人の意思にかかわらず強制入院させる措置入院や、患者の自由を奪うことにもつながる身体的拘束―。人権の制限にも関わる判断を実質的にしているのが精神保健指定医とされる。精神障害者の家族らでつくる「全国精神保健福祉会連合会」の小幡恭弘(おばた・やすひろ)事務局長は「患者や家族にとっては絶対的な存在。今回の問題は重大な判断の正当性を揺るがし、資格への信頼性を損なわせる深刻な問題だ」と指摘する。

 指定医の資格取得には3年以上の実務経験の他に、「統合失調症」「そううつ」など6分野8症例以上のリポート提出が必要。常勤の医師として診療した患者の症例に限られ、原則的に同じ患者の同一時期のものは認められない。

 6分野の中には「児童・思春期精神障害」など症例数が少なく、患者を受け入れている医療機関が限られるものも。医師が、必要な症例を得るために病院を移って短期間働き、複数で1人の患者を順番に担当することもあるという。

 自身も指定医の白石弘巳(しらいし・ひろみ)東洋大教授は「臨床をしながら資格を目指す若手にとって『症例集め』が大きな負担となっているのは事実」と明かす。

 ▽資格不要の任務

 それでも白石教授は、権限の重さを考慮すれば資格要件は緩和すべきではないと主張。一方で「今の精神科医療は強制入院が中心に据えられ、『指定医になって一人前』という風潮がある。そのため大半の医師が資格取得を目指す状況になっている」と分析する。

 信頼関係構築に向けた粘り強いコミュニケーションや、家族や地域と一体となったサポートなど、指定医資格を取得する前に精神科医として習得すべきことがあると指摘。「こうしたことが当たり前に行われるような体制が整備できれば地域で生活できる患者は増えるはず」と話す。

 今回の問題を受け、症例リポートのチェック強化など国の対応が注目されるが、「この機会に精神科医療がどうあるべきかを改めて考える必要がある」と訴える。



https://www.m3.com/news/iryoishin/468075
オプジーボ対応、「緊急的」と次期改定の二段階 - 迫井正深・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.1
フレームワークの改革必須、典型は高額薬剤

2016年10月17日 (月) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定から約半年だが、高額薬剤をめぐる議論が白熱するなど、中医協の動向から目が離せない状況が続く。同改定の検証と、介護報酬と同時改定となる2018年度改定に向けた議論も今後、本格化する。
 この中医協の事務局を担当する厚生労働省保険局医療課長に、今年6月に就任したのが迫井正深氏。医療課所属は4回目、診療報酬改定を担当するのは、2018年度改定で5回目になるという。就任から3カ月強の迫井課長に、医療提供体制や診療報酬体系についての現状認識や課題などをお聞きした(2016年10月7日にインタビュー。計5回の連載)。

――迫井課長はこれまで何度も診療報酬改定を担当されています。

 (厚労省保険局)医療課は4回目、診療報酬改定を担当するのは2018年度改定で5回目になります。

 最初は1992年から1993年の夏まで。医療指導監査室の所属だったのですが、第2次医療法改正に伴い1993年4月から特定機能病院と療養型病床群が創設される時に、診療報酬を議論するチームに入りました。中医協の議論や改定の進め方を経験したのは、その時が初めてです。

 その次が、2000年度の診療報酬改定の時で、介護保険制度の創設時の同時改定を、医療課課長補佐として担当しました。入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料などを新設したほか、現行の薬価算定ルールを導入したのも、この時です。

 その後、2010年度と2012年度の2回の診療報酬改定を、医療課企画官として担当。2018年度に迎える診療報酬改定が、5回目に当たります。

厚労省医療課長の迫井正深氏。1989年東京大学医学部医学科卒業、1992年厚生省(現厚労省)入省、厚労省医療課企画官などを経て、2012年9月同省老健局老人保健課長、2015年10月同省医政局地域医療計画課長、2016年6月から現職。

――直近の2010年度と2012年度の改定との比較、つまりここ5、6年のスパンで見て、医療を取り巻く環境、その中で診療報酬が果たす役割、中医協の議論の在り方などはどのように変わったとお考えですか。

 当時もそうだったと思いますが、「診療報酬改定だけをやっていればいい」状況ではもはやない、ということです。もう少し正確に言うと、枠組みをあまり意識せず、ルーチン的に個々の報酬を修正していただけでは対応できず、フレームワーク自体の改革が必要になっています。高額薬剤がその典型例です。DPCなども、そうだと思います。

 「医療を取り巻くいろいろな意味での環境の変化に、診療報酬自体が対応しきれていない」という従来からの指摘に、いかに応えるかです。「改定の前年はこんな作業をやって……」という昔の医療課の“季節感”は、崩れつつありましたが、近年は特にその傾向が強まっています。

――今まさに中医協では、(抗PD-1抗体製剤の)オプジーボなどの高額薬剤が議論されています。まずは直近でどう対応するか、次にそもそも2018年度に抜本的な薬価制度の改革を実施するという2段階の議論が求められています。直近の「緊急的な対応」は水曜日(インタビュー前々日の10月5日)の中医協で基本的方向性は決まったと言っていいのでしょうか(『オプジーボの「緊急的な対応」、薬価専門部会で合意』を参照)。

 その通りです。

――「緊急的な対応」では、市場拡大再算定の考え方で薬価引き下げを実施することになります。実施時期と下げ幅の検討のほか、改定の期中に対応するハードル、検討すべき課題は何ですか。

 具体的な薬価の設定水準のほか、実施時期を含めたオペレーションの問題があります。診療報酬の改定時期に合わせて今の医療界は動いているので、(2年に一度の改定以外の時期に、薬価改定をすれば)現場には少なからずインパクトがあります。イレギュラーの対応なので、いかに混乱なく実施していくかという実務も重要です。

 医薬品は、メーカーが作り、流通市場に流通し、医療機関が購入し、医師が処方する。それぞれのステップに、いろいろな組織や人が介在します。通常の改定は折り込み済みなので、皆が暗黙のうちに準備をします。しかし、今回はそうした準備は前提としていないので、ロジスティクスを整理する必要があります。

 またオプジーボの「最適使用推進ガイドライン」への対応も求められます。その中身にもよりますが、「最適使用」という言葉を用いている以上、使用局面を一定程度、絞り込む形になると思うのです。現在、処方されている患者さんの対応も含めて、過渡的な措置が必要になるでしょう。

――卸や医療機関の在庫、現在使用している患者さんの存在、さらに審査支払も含めて、実務的な対応が必要になる。

 その通りです。

――「緊急的な対応」の実施時期を決める場はどこになりますか。

 それは当然、中医協でしょう。決めるだけでなく、関係者への周知も含めてです。

――販売元の小野薬品工業から提出してもらう年間予想販売額が、今回の薬価改定のベースになります。そのデータを検証する必要性も、5日の中医協で指摘されました。

 恐らく中医協の場では、「高く買いたい」と思う人は誰もいません。どちらかと言えば、「もっと引き下げろ」という意見が中心でしょう。ただ医薬品や医療機器については、公定価格を設定している以上、提供者側の意見もきちんと斟酌しないと、長い目で見た場合に、健全な市場形成は難しいでしょう。

 これまでは薬価調査という形で、可能な限り、全数に近い形で取引価格を捕捉していたからこそ、薬価制度が成り立っていたわけです。今回は薬価調査がない中での対応ですが、「企業の言い値を基にしているのだから、もっと厳しくしろ」という話にもならないと思います。

――「厳しくする」根拠も、一方で見当たらない。

 その辺りは、水掛け論になりかねません。だから、5日の中医協で、「いったん緊急的な対応をやるけれども、きちんと薬価制度の枠組みの議論をして、次回の2018年度改定の時に、『清算する』という進め方でいいのですね」と確認させていただきました。別に異論は出なかったと思います。

 「緊急的な対応」をする際、得られるエビデンス、数値には一定程度の限界があります。その時点で誰かが損した、あるいは得したという話をするわけではなく、薬価調査を行い、薬価算定ルール見直しの議論も経た2018年度改定の時点で、皆が納得できる合理的な解決をするということです。

――下げ幅ですが、市場拡大再算定をすると、現時点での小野薬品工業の年間予想売上額は1260億円なので、最大で25%の引き下げです。

 厚労省としては、下げ幅の考え方を問いかけただけで、「最大25%引き下げる」といった提案はしていません。2016年度の薬価改定に当たって、さまざまな議論を経た上で、(C型肝炎治療薬のソバルディなどの引き下げについて)「市場拡大再算定の特例」というルールに落ち着きました。今回改めて議論しても同じような経過になることが想定されるため、「緊急的な対応」をするのであれば、議論のスタート地点として、この特例の考え方を用いてはどうかと提案したわけです。

――「最大25%引き下げ」かどうかは、今後の議論になる。

 もちろんです。

――スケジュール感としては、当然ながら年末の予算編成までに結論を出す。

 そうです。これはいつまでも議論している話ではありません。

――日本医師会などからは、現行の薬価算定方式そのものの根本的な見直しを求める声も上がっています。どの程度、踏み込んで議論する予定ですか。

 これまでも2年に一度の改定時に、薬価算定のルールも含めて、日本の医療の在り方を総ざらいして議論してきました。今回も、通常の改定のプロセスに、薬価制度見直しの議論を入れるということです。

 当然ながら、オプジーボのように、「効能効果が大幅に変わり、対象患者も増えた」ような場合を想定して対応できるようにする必要はあります。ただし、「あらかじめ落とし所が決まっている」話ではありません。

――薬価制度の見直しにおいて、ほかに議論しなければいけないものは何ですか。

 改定の度に議論されていることですが、外国価格との調整の在り方です。昨日(10月6日)の参議院予算委員会でも議論になりましたが、同じ薬が海外の市場でどう評価されているかを踏まえて、どう調整するかが課題です。



https://www.m3.com/news/general/468260
「乳がん見落とし」で和解 徳洲会側、650万支払い
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 検体の採取ミスで乳がんの発見が遅れ、右乳房の全摘出を余儀なくされたとして大阪府の女性(49)が、同府和泉市立病院を運営する徳洲会と医師らに650万円の損害賠償を求めた訴訟が14日までに、大阪地裁(山地修(やまじ・おさむ)裁判長)で和解した。徳洲会側が同額の解決金を支払うとの内容で、和解は9月30日付。

 和解調書によると、徳洲会側は「発見が遅れた事実を厳粛に受け止め、再発防止に努めることとする」としている。

 訴訟では徳洲会側は「採取時に通常通りの手順を踏んでおり義務違反はない」と主張していた。

 訴状によると、女性は2014年4月、エコー検査などで乳がんの疑いを指摘されたが、採取した検体は良性で経過観察となった。約1カ月半後の再受診で乳がんと診断され、医師から「前回は採取用の針が正しく刺さっていなかった」と説明された。女性は「誤診のため乳房を残す温存療法ができなくなり、生存率も下がった」として慰謝料などを求めていた。



https://www.m3.com/news/general/468241
注目集める「フォーミュラリー」 - 医療費増の抑制に役立つと期待 第49回日本薬剤師会学術大会
2016年10月17日 (月) 薬事日報

 科学的根拠に経済性を踏まえて、医療機関や地域ごとに策定する医薬品の使用指針「フォーミュラリー」に関係者の注目が集まっている。米国や英国などで確立され、日本でも一部の病院が取り組みを開始したフォーミュラリーの仕組みを各医療機関や地域、保険者で導入することによって、医薬品の使用を適正化し、医療費の増加を抑制できるのではないかとの期待が背景にある。9、10日に愛知県で開かれた日本薬剤師会学術大会の分科会「病院と薬局の連携と薬剤師」ではフォーミュラリーの特徴が示され、導入の拡大に向けて意見が交わされた。

 フォーミュラリーが国家施策の観点からも注目を集めるようになったのは、安倍内閣が示した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)がきっかけだ。今年6月の骨太の方針2016には「生活習慣病治療薬等の処方のあり方等について今年度より検討を開始し、2017年度中に結論を得る」との文言が盛り込まれた。財務省の財政制度等審議会財政制度分科会でも、高額な降圧薬ARBが国内医薬品売上の上位を占めることを例に「生活習慣病治療薬等について処方ルールを設定すべき」との案が示されている。

 骨太の方針に沿って今後、フォーミュラリーの仕組みなどを参考に具体的な検討が進められる見通しだ。高額な新薬を過剰に評価して多用するのではなく、年月が経っていても有効性や安全性、経済性に優れた医薬品やジェネリック医薬品を適正に評価し、積極的に使用する仕組みをどう構築するかが焦点になる。

 分科会で安川孝志氏(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課)は「行政としてもフォーミュラリーをどういったことに活用できるのか、これから検討しながら考えていく」と説明。その上で私見として、薬剤師に対し「フォーミュラリーの作成や活用を含め、薬剤の特性を踏まえた適切な薬剤選択や、適正使用のための情報収集、提供に積極的に関与してもらいたい」と求めた。また、「製薬会社からの情報だけに頼るのではなく、自分たちで必要な情報を収集し、どういった薬を選択すべきかをしっかり医師に提言できるように能力を発揮してもらいたい」と呼びかけた。

 さらに、フォーミュラリーはジェネリック医薬品にも関係すると指摘。各地域で公立、公的病院が採用しているジェネリック医薬品リストが公表されているとし、「こういったものが地域におけるフォーミュラリーの使い方の一つになるのではないか」と語った。

■第1、第2選択薬を明示‐9薬効群でフォーミュラリー

 国内でフォーミュラリーを導入している病院の一つが、聖マリアンナ医科大学病院だ。同院は現在、ACE阻害薬・ARB、スタチン、グリニド系糖尿病薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、プロトンポンプ阻害薬(注射薬、経口薬)など九つの薬効群を対象にフォーミュラリーを策定している。これら9薬効群では院内使用における第1選択薬、第2選択薬の基準を決定。医師のオーダ時などに注意喚起し、その使用を促している。

 同院は同種同効薬の採用を原則2剤までとし、ジェネリック医薬品等の安価な薬剤を優先して採用している。実際に9薬効群の第1選択の多くをジェネリック医薬品が占め、フォーミュラリーはその使用促進に役立っている。

 新薬の評価はまず薬剤部が行い、臨床上の必要性を「代替治療はあるが新しい機序の薬剤ではある。しかし既存治療を上回るエビデンスは不十分」「代替薬はないが同効薬が多数存在する。必要性は低い」などの5段階で評価する。その上で既に同種同効薬が採用されている場合には、医師と薬剤師で構成されるフォーミュラリー小委員会で必要性を評価し、薬事委員会で採用可否の最終的な決断を行う。

 同院薬剤部の上田彩氏は「標準治療の実践にはガイドラインと関連づけたフォーミュラリーが有効とされている。当院でも医師と薬剤師の連携でフォーミュラリーを作成し、有効性と経済性に優れた薬物治療の管理の実践に貢献できている」と報告。課題として「有効性や費用対効果を比較したデータが不足しているため、ジェネリック医薬品のない同種同効薬群へのフォーミュラリーの運用はまだできていない」としたほか、「外来処方に関してはフォーミュラリーを運用していない」と語った。

 一方、薬局薬剤師の立場から講演した嶋元氏(川崎市薬剤師会会長)は、中学校区などの単位で地域医薬品集を作成することが効率の良い医療につながるとし、それに向けてまずは「近隣の病院や診療所の採用医薬品を調査し、薬局ごとの採用医薬品集を作成するべき」と話した。その上で、有効性や安全性、経済性を考慮した地域医薬品集の策定が視野に入るが、薬局は多種多様の処方箋を受け入れているため、薬を絞り込む作業は「非常に難しい問題」と話した。

 このほか川上純一氏(浜松医科大学)は、有用性は高いが薬価改定によって採算が厳しくなった医薬品の薬価を維持する「基礎的医薬品」の仕組みが今年度の薬価制度改革で導入されたことに触れ、「高額な薬剤の使用をどう抑えるか、医薬品費をどう適正化するかだけではなく、本当に患者や国民に必要な医薬品をきちんと供給していくこともフォーミュラリーの考え方になる」と強調した。



https://www.m3.com/news/general/468240
NDBデータを初公表 - 降圧剤はARBが上位独占 厚生労働省
2016年10月17日 (月) 薬事日報

■ビタミン剤の処方も多く

 厚生労働省は、医科や調剤レセプト等の情報を集めて格納した国の「ナショナルデータベース」(NDB)のオープンデータを初めて公表した。2014年度のレセプトデータ約18億8000万件を単純集計し、広く利用者が有効活用できるよう作成したもの。そのうち薬剤データについて、外来で院外処方された内服薬を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が約11億錠と圧倒的に多く、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」などARBが処方数の上位を独占した。一方で、ビタミン剤など古くて安価な医薬品も多く処方されている実態が見られた。

 NDBオープンデータは、これまで行政機関や研究者向けに提供してきたNDBデータベースの有用性をさらに生かすため、医科診療行為や薬剤などのデータを広く国民に情報提供し、様々な目的に応じて有効活用できるよう単純な集計表としてまとめたもの。14年4月から昨年3月までの1年間、レセプト情報データベースに格納された医科入院外レセプト、医科入院レセプト、調剤レセプトなどが対象となっている。

 今回、新たに公表された薬剤データは、処方数量を薬効別に上位30位を選んだもの。そのうち、外来で院外処方された内服薬について、主な薬効別に処方数量の上位を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が11億4078万9846錠と最も多く、次いで「エクア錠50mg」が3億3297万1242錠、「ジャヌビア錠50mg」が2億8869万4459錠と、古くから使われているメトホルミン製剤が圧倒的に多く処方されていたが、最近登場したDPP-4阻害剤も約6億錠程度と多かった。

 また、高脂血症用薬は「クレストール錠2.5mg」が7億3948万8536錠と最も処方されており、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」3億6325万3110錠、「ミカルディス錠40mg」3億1089万8058錠、「ブロプレス錠4mg」2億2115万8570錠とARBが処方数上位を独占した。

 消化性潰瘍用剤は、防御因子増強薬の「ムコスタ錠100mg」が6億6208万6515錠と最も処方されており、制酸剤「マグミット錠330mg」が9億5724万0968錠、肝機能改善薬の「ウルソ錠100mg」6億0276万1600錠、消化管運動促進剤の「ガスモチン錠5mg」も3億9523万2409錠などと多く処方されていた。

 また、広くかぜの発熱時などに使われている解熱鎮痛消炎剤は「ロキソニン錠60mg」が4億8404万4009錠、古くから用いられている去痰剤「ムコダイン錠500mg」2億6966万9429錠、咳止めの「メジコン錠15mg」2億7971錠と根強い支持を集めている。さらに、抗凝固薬は「ワーファリン錠1mg」7億0947万2907錠、「ワーファリン錠0.5mg」9442万2498錠と、依然としてワーファリンの支持が厚かった。

 精神神経用剤では「デパス錠0.5mg」が5億5955万6733錠と、精神安定剤も多く処方されており、抗不安剤では「ソラナックス0.4mg錠」1億7810万3763錠、「マイスリー錠5mg」1億7772万1113錠、抗てんかん剤も「デパケンR錠200mg」が2億5027万5573錠、「リボトリール錠0.5mg」1億0906万5055錠などとなっている。

 その他のアレルギー用薬では、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎などに使われる「アレグラ錠60mg」が2億5394万6946錠と最も多く処方されており、次いで「タリオン錠10mg」の2億3652万5475錠、新薬の「ザイザル錠5mg」も1億9722万5355錠と支持されていた。

 一方、ビタミンB1剤の「25mgアリナミンF糖衣錠」が1億4142万8545錠、ビタミンB1を除くビタミンB剤は後発品の「メチコバール錠500μg0.5mg」が10億7747万4639錠、ビタミンK剤は「グラケーカプセル15mg」が5000万4544カプセル、ビタミンE剤「ユベラ錠50mg」が8011万7594錠などと、ビタミン剤も日常診療で多く処方されていることが分かった。

 外用薬の消炎鎮痛剤は、「モーラステープL40mg 10cm×14cm」が8億4000万8238枚、「モーラステープ20mg 7cm×10cm」が6億2949万7804枚とモーラステープ群だけで約14億7000万枚も処方されていることが分かった。

G3註:厚生労働省 第1回NDBオープンデータ 2016-10-12
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html


https://www.m3.com/news/general/468247
救急延命、本人の意思尊重 終末期高齢者、情報共有へ 在宅医や消防に研修も 学会は蘇生中止指針検討
2016年10月17日 (月) 共同通信社

 がんなどの重い病気により終末期にある高齢者が心肺停止といった状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有する仕組みづくりを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を来年開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。

 日本臨床救急医学会は、本人の意思やかかりつけ医の指示などの条件を付けた上で、救急隊が蘇生措置を中止できるようにする方向で指針を検討している。

 救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。認知症で事前の意思表示が難しかったり、家族が離れて暮らしたりしている場合もあり、救急医療の現場では葛藤が続いている。

 厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し自宅や介護施設で容体が急変した場合、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくることで医療者の悩みを減らしたい考え。

 総務省消防庁によると、救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録した。高齢者の増加が目立ち、14年は全体の55・5%に当たる約300万人が高齢者だった。

 東京都八王子市は高齢者の救急搬送について、11年に消防署や病院、介護施設などで連絡会をつくり延命措置の希望などを記入する用紙を市民に配布している。兵庫県の明石市消防本部は各地区で医療・介護職らが開く連携会議に参加。本人や家族から蘇生措置を望まないとの意思表示がある場合は、119番する前にかかりつけ医などに相談するよう求めている。

 厚労省の研修会は10~20自治体を対象とし、先進地の関係者が講師役。自治体や圏域ごとに救急隊員、行政担当者、在宅医療の医師や訪問看護師らにまとまって参加してもらい、連携や住民への啓発活動を促す。17年度予算の概算要求に事業費1700万円を盛り込んでおり、18年度以降も各地に取り組みを広げることを検討する。

 ※救急隊員の応急処置

 総務省消防庁の基準では、救急隊員は「生命が危険であり、または症状が悪化する恐れがあると認められる場合、応急処置を行う」と定められている。処置の方法としては、気道確保や人工呼吸、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などがある。救急業務に関する別の基準では「傷病者または関係者が拒んだ場合は搬送しない」としているが、現場では「119番の後に『本人は延命措置を望んでいなかった』と聞かされても、応急処置をするのが原則」との意識が強い。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161017-OYTET50053/
沖縄の県立病院、筋弛緩剤を紛失…少量の使用でも死に至る恐れ
2016年10月17日 読売新聞

 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター( 南風原はえばる 町)は14日、手術室で保管していた筋 弛緩しかん 剤「スキサメトニウム」の瓶4本(各40ミリ・グラム入り)を紛失したと発表した。少量の使用でも死に至ることがあるという。

 発表では、9月26日午前10時25分頃、看護師が手術室内の保冷庫を点検した際、瓶の不足に気づいた。センターは同日、県警与那原署に紛失を届け出た。

 医師や看護師らへの聞き取り調査の結果、同月21日以降、未使用の筋弛緩剤の本数確認を怠っていたことが判明。手術室前の防犯カメラには不審人物は映っておらず、センターは盗難の可能性は低いとみている。



http://www.medwatch.jp/?p=10811
平均在院日数の短縮、全国ベースでは目標クリアしたが、地域間で大きなバラつき―厚労省
2016年10月17日 | 医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 来年度(2017年度)までを対象期間とする第二期医療費適正化計画の進捗状況を見ると、「特定健診の実施率」は、目標70%に対して2014年度実績で48.6%、「特定保健指導の実施率」は、目標45%に対して2014年度実績で17.8%にとどまっており、都道府県間のバラつきも大きい。平均在院日数については2014年時点で目標をクリアしているが、やはり都道府県間のバラつきがとても大きい―。

 厚生労働省が14日に公表した、2015年度の「第二期医療費適正化計画の進捗状況」からこういった実態が明らかになりました。

ここがポイント!
1 2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況
2 特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える
3 平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

2013-17年度を対象とする医療費適正化計画の進捗状況

 2008年の医療保険改革に伴い、都道府県には5年を1期とする「医療費適正化計画」の策定義務が課されており、現在、2013-17年度を対象とする第二期医療費適正化計画が動いています。厚労省は、2015年度から「毎年度、進捗状況を公表する」ことにしており、今般、2013年度・14年度の実績が示されました。

 まず全国の状況を見ると、次のようになっています。

▼特定検診実施率:【2017年度の目標】70% 【実績】13年度 47.6%、14年度 48.6%

▼特定保健指導実施率:【同目標】45% 【実績】13年度 17.7% 14年度 17.8%

▼メタボ該当者・予備群の減少率:【同目標】25% 【実績】13年度 3.47% 14年度 3.18%

▼平均在院日数:【2017年の目標】28.6日 【実績】13年 29.2日 14年 28.6日

▼実績医療費:【2017年度の目標】45兆6000億円(特定健診などの推進や平均在院日数の短縮を見込む) 【実績】13年度 40兆610億円 14年度 40兆8071億円

 平均在院日数については、2014年度時点で達成できていますが、特定健診や特定保健指導など、今後力を入れていくべきとされる分野については、目標達成までに、まだまだ距離があります。

特定健診は東高西低、特定保健指導は東低西高という状況が伺える

 次に都道府県別に見ると、特定健診や特定保健指導はもちろん、平均在院日数についても大きなバラつきがあることが改めて浮き彫りになっています。

 2013年度の特定健診受診率を見ると、最高は東京都の65.5%。少し飛んで2位は山形県の54.8%、3位は宮城県の54.5%となっています。逆に最低は北海道の36.4%、ほかに奈良県37.5%、山口県38.5%などで低い状況です。「東日本で高く、西日本で低い」傾向が見て取れます。

 また特定保健指導実施率は、沖縄県の33.9%。次いで徳島県の31.2%、長崎県の29.3%と続きます。一方、最低は大阪府の11.8%、ほかに神奈川県の13.0%、北海道の13.2%で低くなっています。こちらは逆に「東日本で低く、西日本で高い」状況です。

平均在院日数、都道府県間で大きなバラつき、地域の状況も見た丁寧な分析を

 さらに2014年の平均在院日数を見ると、▼総数 ▼一般病床 ▼療養病床 ▼精神病床―のいずれでも、大きな都道府県間の格差があることが分かります。

 総数(全国平均で28.6日)で見ると、最長は鹿児島県で43.3日、次いで高知県の42.9日、佐賀県の41.6日となっています。一方、最短は東京都で22.1日、次いで神奈川県の22.2日、長野県の23.4日と続きます。最長の鹿児島県と最短の東京都では、21.2日と3週間以上の開きがあります。

 一般病床(全国平均で16.8日)については、最長は高知県で22.0日、次いで熊本県の20.5日、鹿児島県の20.2日となっています。最短は神奈川県の14.1日、次いで東京都の14.5日、愛知県の14.7日という状況です。最長の高知県と最短の神奈川県では、7.9日と1週間以上の開きがあります。

 また療養病床(全国平均で164.6日)については、最長は富山県の245.4日、次いで北海道の233.3日、神奈川県の202.0日と続きます。逆に最短は鳥取県の97.1日、次いで宮城県の108.1日、長崎県の111.6日という状況です。最長の富山県と最短の鳥取県では、148.1日と5か月違い開きがあります。

 ここで注目できるのが、病床の種別によって在院日数の長短に関する状況が異なっているという点です。他の介護施設や在宅医療などの整備状況ともあわせて、丁寧に分析していくことが必要でしょう。


 現在、持続可能な医療保険制度の再構築を目指して、例えば安倍晋三内閣が6月に閣議決定した骨太方針2016に盛り込まれた「地域差の縮小」をキーワードとした改革が進められようとしています。医療費適正化計画についても第三期計画の策定に向けた検討が進められており、今後「地域の実情」と併せて「全国との比較」(ベンチマーク)をも勘案した計画策定が求められそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=10799
後発品使用割合67.3%、政府目標の70%まであと一歩―協会けんぽ2016年6月
2016年10月17日|医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽでは、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合が今年(2016年)6月時点で67.3%(数量ベース、新指標)となり、政府の掲げる「70%以上」の第一目標にあと一歩に迫っている―。

 こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が14日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(関連記事はこちら)(全国健康保険協会のサイトはこちら)。

 2016年度の診療報酬改定以後、協会けんぽのジェネリック医薬品使用割合の伸びが鈍化していますが、遅くとも政府目標は期限(17年央)内に達成できそうです。

ここがポイント! 
1 協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成
2 沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%
3 薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

協会けんぽの後発品使用割合、現行のペースでは来年5月に70%の目標を達成

 医療保険制度の持続可能性を考えたとき、医療費の増加を国民の負担できる範囲内に抑えることが必要です。その中で、「効果が同じで費用が安い」とされるジェネリック医薬品(後発品)の使用促進が医療費適正化に向けた最重要施策の一つに掲げられ、政府は「2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とし、18年度から20年度末までのなるべく早い時期に80%以上とする」という目標を設定しています。

 協会けんぽを運営する全国健康保険協会でも、「後発品の使用促進」を重要施策に位置付け、「後発薬に切り替えた場合の自己負担額の軽減効果通知」などの取り組みを進めているほか、毎月、後発品の使用割合を公表しています。

 それによると、今年(2016年)6月の後発品割合は数量ベースで67.3%(新指標、調剤分)となり、過去最高を記録しました。

 ただし、2016年度の診療報酬改定以後(関連記事はこちらとこちらとこちら)、後発品割合の伸び率はやや鈍化し、毎月0.25ポイントとなりました。昨年(2015ねん)7月(59.9%)から今年4月(66.8%)にかけての伸び率は、平均して毎月0.77ポイントでしたので、最近の状況(伸び率の鈍化)が気になります。今後、改定後の状況についての詳細な分析が必要でしょう。

 もっとも、現在の伸び率(毎月0.25ポイント)が続いたとしても、2017年5月に後発品割合は70.05%となる見込みで、政府の定める第一目標「後発品割合70%」を期限(17年央)内に達成できる見込みです。

沖縄78.8%など8県では70%以上を達成、徳島は56.0%


 このように全国ベースで見ると後発品使用は進んでいますが、都道府県別に見ると若干の心配もあります。

 沖縄県では78.8%、次いで鹿児島県74.3%、岩手県74.0%、長野県・山形県70.9%、宮崎県70.5%、富山県70.1%、青森県70.0%では、すでに目標達成していますが、徳島県56.0%、山梨県58.7%、高知県61.4%などでは、徐々に後発品割合が上昇しているものの、「もう一頑張り」を期待したいところです。

薬効別の後発品使用割合(数量ベース)、血管拡張剤は75.0%、去たん剤は71.6%

 主な薬効分類別に、後発品使用割合が高い医薬品を見ると、数量ベースでは血管拡張剤の75.0%、去たん剤の71.6%、消化性潰瘍用剤の64.9%などで、いずれも上昇傾向にあります。また金額ベースでは、血管拡張剤の61.4%、去たん剤の54.9%、抗生物質製剤(主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの)の38.7%などが高くなっています。

 逆に後発品使用割合が低いのは、数量ベースでは代謝拮抗剤の1.7%、ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)の9.8%、金額ベースでは代謝拮抗剤の1.3%、抗ウイルス剤の2.0%などとなっています。



http://www.carenet.com/news/general/carenet/42703
6割が現在の年収額に満足―医師1,000人へのアンケート
ケアネット 2016/10/18

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25.1%が「そう思う」、36.4%が「ややそう思う」と回答し、6割以上の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。

 年収帯別にみると、600万円未満のうち50%、600~800万円の51%、800~1,000万円の48%と、いずれも半数程度が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。その割合は1,000~1,200万円の年収帯では59%と、800~1,000万円の48%から10ポイント程度増加し、年収額が1,000万円台に届いたところで納得感が出てくる医師が増えるのではと推察される。1,200~1,400万円では51%と減少したが、年収額が上がるごとに満足度は上がっていた。

 年代別では、どの年代でも半数以上が「そう思う」「ややそう思う」のいずれかを回答しており、年代が上がるごとに上昇していた(35歳未満:53%、36~45歳:60%、46~55歳:63%、56~65歳:65%、66歳以上:69%)。

 上記のほか、男女別、病床数別、勤務先別、診療科別の集計についても、以下のページで発表している。

医師の年収に関するアンケート2016【第3回】年収の妥当性
http://www.carenet.com/useful/income2016/cg001773_index.html
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10月16日 

http://www.excite.co.jp/News/economy_clm/20161016/ForbesJapan_3926.html
医師・医大生も悩む性差別、米では女性の7割が経験
Forbes JAPAN 2016年10月16日 09時00分 (2016年10月16日 18時22分 更新)

どの医師にとっても、医学研究者として名を上げるのは難しいことだ。研究費を確保するための競争は激しく、権威のある医学雑誌に論文を掲載してもらうことは、途方もなく難しい。

この分野でキャリアを積もうとする女性たちは、より大きな課題に直面する。多くは男性の同僚たちに比べ、家庭で過度に重い負担(育児や家事など)を負っている。一方で、同じように努力の成果を上げてきた男性たちに比べて、有効な指導を受けることができない。

これらに加え、女性たちには性的な嫌がらせという不愉快で恐ろしい負担ものしかかる。ミシガン大学のレシュマ・ジャグシー博士が率いるチームは先ごろ、キャリアの浅い女性医師らが経験するセクハラに関する調査結果を公表した。筆者も参加したこの調査では、科学分野で教育を受け、2006~09年に米国立衛生研究所(NIH)からキャリアアップのための支援を受けることが決まった男女1,000人以上から回答を得た。

調査の結果、性別による偏見やセクハラに関する男性と女性の経験には、非常に大きな違いがあることが分かった。女性の70%は医大に在学中、性別に基づく偏見による判断や対応を受けたことがあると回答。これに対し、同じように答えた男性は22%だった。また、セクハラを受けた経験がある女性が30%だった一方で、男性はわずか4%だった。

組織の対応が不可欠

男性でも女性でも、職場でセクハラを受けることがあってはならない。…

最も嫌がらせの対象となりやすいのは、組織において力を持たない人たちだ。そして、嫌がらせをするのは女性キャスターからセクハラで提訴され、辞任に追い込まれた米FOXニュースのロジャー・エイルズ最高経営責任者(CEO)のように力を持つ人たち、あるいは組織内の時の権力者たちが、そうした嫌がらせの存在を認めたがらないことを知っている人たちだ(例えば、FOXニュースで女性たちにセクハラを働いてきたその他の男性従業員たちのように)。

ジャグシー博士はこうした結果について、「調査結果は、私たちが社会として、どれほど(あるべき状況)からかけ離れているかということを改めて突きつけるようなものだ。特に、医学生の半数を女性が占める現在において、私たちはこの分野における最も優秀かつ才能ある学生たちのやる気を損なわせ、真の潜在力の発揮を妨げるような行動を許すことはできない。最も優秀な学生たちは、大半が女性なのだ」と述べている。

セクハラは、強く優秀な人たちにも、自分自身の価値に対する疑問を抱かせる。自分に非があるのではないかと考えてしまうのだ。学部長をはじめ医学部で部下を持つ立場の人たちや組織のリーダーたちは、部下たちがキャリアに関する不安を抱くことなく、セクハラについて報告しやすい環境を作る必要がある。
Peter Ubel



http://mainichi.jp/articles/20161016/ddm/041/040/099000c
終末期医療
救急延命、患者の意思尊重 在宅医と情報共有へ

毎日新聞2016年10月16日 東京朝刊

 がんなどの重い病気で終末期の高齢者(65歳以上)が心肺停止などの状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や救急隊が連携し、患者の情報を共有する取り組みを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。

 消防の救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。認知症で事前の意思表示が難しい場合もある。厚労省は、判断能力のあるうちに患者の意思を確認し、自宅や介護施設で容体が急変した場合に、救急隊が家族や在宅医と速やかに連絡が取れる体制をつくることで、医療者の悩みを減らしたい考え。

 総務省消防庁によると、救急搬送される人数は年々増え、15年には約547万人と過去最多を記録した。高齢者の増加が目立ち、14年は全体の55・5%に当たる約300万人が高齢者だった。
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 東京都八王子市は高齢者の救急搬送について、11年に消防署や病院などで連絡会をつくり、延命措置の希望などを記入する用紙を市民に配布している。兵庫県の明石市消防本部は市内で医療・介護職らが開く連携会議に参加。本人や家族から蘇生措置を望まない意思表示がある場合は、119番する前にかかりつけ医などに相談するよう求めている。

 厚労省はこうした先進地の関係者を招き、10〜20自治体を対象にした研修会を来年、東京で数回に分けて開催。自治体や圏域ごとに救急隊員、行政担当者、在宅医療の医師や訪問看護師らにまとまって参加してもらう。

 ■ことば
救急隊員の応急処置

 総務省消防庁の基準では、救急隊員は「生命が危険であり、または症状が悪化する恐れがあると認められる場合、応急処置を行う」と定められている。処置の方法としては、気道確保や人工呼吸、胸骨圧迫(心臓マッサージ)などがある。救急業務に関する別の基準では「傷病者または関係者が拒んだ場合は搬送しない」としているが、現場では「119番の後に『本人は延命措置を望んでいなかった』と聞かされても、応急処置をするのが原則」との意識が強い。



https://www.m3.com/news/iryoishin/462942
大野病院事件、いまだ終わらず - 安福謙二・大野病院事件弁護人に聞く◆Vol.3
多角的に検証し教訓として生かす

2016年10月16日 (日) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――本書の中で印象的なのは、2006年2月の逮捕に行われた「勾留理由開示」の時のエピソードを書いた部分と、「プロローグ」にある2008年8月20日の福島地裁判決言い渡しのシーンです。加藤先生についてのエピソードを書かれたのは、この部分くらいであり、ご遺族の意見陳述や加藤先生への尋問、最終弁論などには触れていません。結果的に、弁護士の立場から見た「大野病院事件」という姿勢を貫かれた本だと思います。

 実は本を書いている段階で、「加藤先生の人となりが分かるエピソードがなさすぎる」と、出版元の編集者から随分指摘されました。結局は、「野武士のような人だ」という若い弁護士たちの言葉を紹介している程度です。

 その理由は二つあります。一つは、その辺りのことを書き出すときりがなく、論告求刑や最終弁論にしても、一部分のみを切り出して書くのは、嫌だと思ったこと。出版社には、ホームページに、検察側と弁護側の冒頭陳述、論告求刑、最終弁論、判決の全文を掲載することを提案しています。そうすれば皆で検証できるでしょう。

 もう一つは、私が書く以上、弁護人としての立場で書く以外にはないこと。ただし、本書は、法律家向けには書いておらず、あくまでも読者対象は医療者であり、そして心ある社会の多くの一般の方々です。法律的な厳格性はなく、その意味での批判は出てきてもおかしくないと思っています。

――本書に書き残したこと、また書けなかったことなどはありますか。

 書き残したことと言うか、大野病院事件の刑事弁護の時には、やらなかったこと、また今後検討すべきと思っている課題が幾つかあります。

 今回の刑事弁護の目的は、「加藤医師に過失がなかった」ことの証明に尽きます。しかし、さまざまな事実確認をしていくうちに、事件の背景とか、さまざまな事情を調べたくなったのは事実です。

 また大野病院事件は、若い麻酔科医たちが、周術期管理、循環動態管理の在り方を学ぶいい教材になると考えています。森田茂穗先生(麻酔科医として大野病院事件の弁護団を支援、元帝京大学医学部附属病院長)の受け売りですが、私はいつも「執刀医はプリマ。麻酔科医は、オペ室におけるマエストロ」と言っています。麻酔科医は、「マエストロたらん」という意思と能力、その能力を実行するあらゆる意味での技量能力を持っていなければならない。それを麻酔科医に対して鼓舞するに値する事案であると、ある大学の麻酔科教授に語ったことがあります。

 今年4月の日本臨床医学リスクマネジメント学会のシンポジウムで、事件当時は福島県立医科大学産婦人科の講師、今は教授の藤森敬也先生が、「県立大野病院事件が産科医療に与えた影響―福島県の産科医療再生に向けて―」というテーマで講演しています(『故佐藤教授の遺言、「福島の産婦人科は任せた」』を参照)。私もシンポジストの一人として登壇しましたが、藤森先生が一瞬立ちつくして、上を向いて涙を流した姿をとても印象的に覚えています。藤森先生など関係者にとっても、思うところは多々あるのではないでしょうか。

――最後に、改めて一言、お願いします。

 本書を面白いと思うかどうかは、読者の皆様の判断です。ただ、私が、司法と深い関わりを持っていない一般社会の人、司法に対して一定の評価をされている人たちに向けて一つ言いたいのは、日本の司法は想像以上にいい加減なものであり、「これでいいのですか」ということ。それがさらに悪化の一途だと言うことです。私は約40年この世界に身を置いてきて、つくづく限界というか、恐ろしさを感じています。

 日本の司法を全面否定するつもりはなく、十分に機能している面もあります。諸外国と比較してもいい面もありますが、一方で、国際社会からすれば、「日本の司法は中世だ」と言われてしまう現実があるわけです。

 そして何よりもお願いしたいのは、「物事を調べる」という基本を、もう少し根本的に見直してくれないかということ。事実を確認する作業は簡単ではありません。しかし、事実を確認する作業をしっかりやらなければ、裁判でも、また医療事故の調査や科学的究明であっても、何一つ動きません。

 最近の事例で言えば、築地市場の豊洲への移転問題でも、何がどうなったのか、その情報がきちんと共有されていません。信じがたいことに、最高責任者である歴代の知事も、「知りませんでした」と言えてしまう。事実を把握していない人が「ハンコを押していました」と堂々と言えてしまう。

 事実を当の本人が知らないで、通ってしまう社会。これはある意味、日本の現実なのだとすれば、司法だけが例外ではないことに、私は非常に危機感を持っています。そのことに対して社会の人が目を向けてほしい。本書は、その一つの切り口として医療事故、それも刑事事件という形で私が体験したことを通じて、皆さんに話を伝えたかった。そのことに尽きます。

 「物事を調べる」「事実を知る」基本が守られない医療事故調査制度は、何一つ生み出さず、悲劇を大量生産するだけ。それは、患者さんにとっても、家族にとっても、医療者にとっても不幸。この不幸を避けるには、患者家族には、医療者を「犯罪者か」という視点で、物を言うのはやめるべきです。一方で医療者も、患者家族を尊重する、敬意を持って接する。医療者にとって、最大のステークホルダーは患者さんなのですから。このことが原点になると考えています。



https://www.m3.com/news/general/467819
東大教授論文に「不正」告発
2016年10月16日 (日) 朝日新聞

 東京大学は、医科学研究所の教授らが書いた論文1本に捏造(ねつぞう)や改ざんがあるとする告発を13日付で受理し、予備調査を始めた。不正の疑いがあると判断すれば、外部の有識者も含めた本調査に入る。

 東大や文部科学省によると、告発は9月30日に文科省を通じて大学に届いた。画像に不自然な加工があると指摘している。論文は2011年に学術誌に掲載され、教授らはすでに取り下げを申請した。



https://www.carenet.com/news/journal/carenet/42778
医師の燃え尽き症候群、既存の治療戦略は有効か/Lancet
ケアネット  2016/10/17

 医師の燃え尽き症候群(burnout)の治療では、これまでに実施された個々人に焦点を当てた介入や組織的な介入によって、臨床的に意味のあるベネフィットが得られていることが、米国・メイヨークリニックのColin P West氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月28日号に掲載された。米国の研修医および開業医の全国的な調査では、医師の燃え尽き症候群は流行の域に達していることが示されている。その帰結として、患者ケア、専門家気質、医師自身のケアや安全性(精神的健康への懸念や交通事故を含む)、保健医療システムの存続性への悪影響が確認されているという。

3つのアウトカムをメタ解析で評価

 研究グループは、医師の燃え尽き症候群を予防、抑制するアプローチに関する文献の質およびアウトカムをよりよく理解するために、系統的レビューとメタ解析を行った(Arnold P Gold財団研究所の助成による)。

 2016年1月15日までに医学データベース(MEDLINE、Embase、PsycINFO、Scopus、Web of Science、Education Resources Information Center)に登録された文献を検索した。

 妥当性が検証された指標を用いて、医師の燃え尽き症候群への介入の効果を評価した試験を対象とし、介入の前後を比較した単群試験も含めた。医学生や医師以外の医療従事者に関する試験は除外した。抄録で適格性を判定し、標準化された書式を用いてデータを抽出した。

 燃え尽き(overall burnout)、情緒的消耗感(emotional exhaustion)スコア、脱人格化(depersonalisation)スコアの変化をアウトカムとした。ランダム効果モデルを用いて、各アウトカムの変化の推定平均差を算出した。

すべてのアウトカムと高値例の割合が改善


 15件の無作為化試験に参加した医師716例、および37件のコホート試験に参加した医師2,914例が適格基準を満たした。

 介入によって、燃え尽き(14試験)が54%から44%(平均差:10%、95%信頼区間[CI]:5~14、p<0.0001、I2=15%)へ、情緒的消耗感スコア(40試験)が23.82点から21.17点(平均差:2.65点、95%CI:1.67~3.64、p<0·0001、I2=82%)へ、脱人格化スコア(36試験)は9.05点から8.41点(平均差:0.64点、95%CI:0.15~1.14、p=0.01、I2=58%)へと、いずれも有意に改善した。

 また、情緒的消耗感スコア高値の割合(21試験)は38%から24%(平均差:14%、95%CI:11~18、p<0.0001、I2=0%)へ、脱人格化スコア高値の割合(16試験)は38%から34%(平均差:4%、95%CI:0~8、p=0.04、I2=0%)へと、双方とも有意に低下した。

 有効な個別的介入戦略には、マインドフルネスに基づくアプローチ、ストレス管理訓練、小集団カリキュラムがあり、有効な組織的介入戦略には、労働時間制限や、各施設で工夫された診療業務過程の改良が含まれた。

 著者は、「特定の集団ではどの介入法が最も有効か、また個別的介入と組織的介入をどのように組み合わせれば、より高い効果が得られるかを解明するために、さらなる検討を進める必要がある」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
原著論文 West CP, et al. Lancet. 2016 Sep 28. [Epub ahead of print]
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31279-X/abstract



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03195_01
短期集中連載
オバマケアは米国の医療に何をもたらしたのか?
■第1回 オバマケアの「正体」

津川 友介(米国ハーバード公衆衛生大学院(医療政策管理学)リサーチアソシエイト)
週刊医学界新聞   第3195号 2016年10月17日

 バラク・オバマ大統領が選挙公約として掲げていた国民皆保険制度が,Patient Protection and Affordable Care Act(通称オバマケア)として実現した。オバマ大統領の任期満了も近づいてきており,この医療政策の成果について科学的検証が進んでいる。急速な少子高齢化の進む日本でも,医療制度の改革は身近な問題である。オバマケアがどのような理論とエビデンスをもとにデザインされたかを学ぶことは,日本が持続可能な医療制度の構築をめざすに当たって有益ではないだろうか。

 本連載では,医療政策学・医療経済学の見地からオバマケアを分析し,日本の医療制度に向けた教訓を提示する(「週刊医学界新聞」編集室)。

 米国ではオバマ大統領の任期満了に伴う大統領選挙を2016年11月に控えており,民主党候補ヒラリー・クリントンと共和党候補ドナルド・トランプがしのぎを削っている。クリントンは医療に関して基本的にはオバマ大統領の流れを踏襲すると言われており,クリントンが大統領になった場合には米国の医療制度に大きな変化はないと考えられている1)。一方で,トランプが大統領になった場合には医療制度がどうなるかは全く予測できない。

 2016年7月,大統領選挙を前にオバマ大統領自らが,世界で最も権威ある医学雑誌の一つである米国医師会雑誌(Journal of American Medical Association;JAMA)電子版に論文を投稿し,オバマケアの政策評価を取りまとめ,次の大統領はこの流れを引き継ぐべきであるとの意見を表明した2)。米国における医療政策の作り方は日本の医療政策にとっても示唆に富むものであると考えられる。オバマケアがどのような政策であり,米国にどのような影響を与えたのか,全3回にわたり科学的な観点から説明したい。

オバマケアはどのようにして皆保険制度を達成したのか?

 オバマケアの正式名称はPatient Protection and Affordable Care Act(PPACA)であり,米国ではしばしばACAと略される。オバマケアは2010年3月23日に成立した医療改革に関する法律であり,その中心に据えられているものは「国民皆保険制度」である。

 それまでの米国は先進国の中で唯一,皆保険制度がない国という不名誉な肩書を持っていたが,2010年にオバマケアが国会で採択されたことで,全ての先進国が皆保険制度を有することとなった。オバマケアによって,米国民に占める無保険者の割合は2010年には16.0%(4900万人)であったのが2015年には9.1%(2900万人)にまで減少しており(図1),公的医療保険のメディケア(高齢者向け)とメディケイド(貧困層向け)が導入された1965年以来,医療政策における最大の功績であるとされている2)。

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図1 米国民に占める無保険者の割合の推移(文献2より)

1965年にはメディケア,メディケイドが導入され高齢者と貧困層に対して公的医療保険が提供されるようになったため,無保険者の数が激減した。それ以降,オバマケア導入前までは無保険者の数はほぼ横ばいであった。
 そもそも米国の医療保険は主に,①65歳以上の高齢者,身体障害者,透析患者が加入する公的保険のメディケア(連邦政府が運営),②貧困者が加入する公的保険のメディケイド(連邦政府と州政府が財源を出し合って運営),③それ以外の国民が加入する民間医療保険の3つから成り立っている。きちんと税金を納めてきた米国民は65歳になると自動的にメディケアに加入するようになっているため,高齢者に限って言えば,実は皆保険制度はすでに達成されていた。さらに雇用されている人の大部分は民間医療保険に加入していた。

 しかし,メディケイドの加入要件を満たさない人(詳細は後述)や,メディケイドに加入するほど貧しくはないものの民間医療保険に加入するほど裕福でない人たちは無保険であることも多かった。そこでオバマケアは,

1)メディケイドのカバー範囲の拡大
2)政府によって規制された民間医療保険市場+保険料に対する補助金
3)裕福な人に対しては民間医療保険加入の義務化

という3つの仕組みを組み合わせて皆保険を実現する政策であった(図2)。それではこの3つの仕組みを順に見ていこう。

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図2 無保険者を減らすための3つのシステム

1)メディケイドのカバー範囲の拡大
 オバマケアは,極度の貧困の人〔FPL(連邦貧困水準)の133%以下の人〕はメディケイドの加入要件を緩めることでカバーすることにした(註1)。メディケイドは連邦政府と州政府が財源を出し合ってカバーする貧困者向けの公的保険であるため,以前までは州によって加入要件が異なっていた。収入が少ないだけでは加入要件を満たすことはほとんど無く,妊娠中の女性や,子どもがいるなどの条件があってはじめて加入することができた。つまり,独身男性の場合,例えどんなに貧困であっても多くの場合メディケイドに加入できなかったのである。

 そこでオバマケアは,住んでいる州にかかわらず, FPL 133%以下の人は全てメディケイドに加入できるようにした。これは独身で年収約1万6000ドル,家族4人なら約3万3000ドル以下ならばメディケイドに加入できる計算になる(2015年の基準値)。実は,オバマケアによって新たに保険に加入した人の大多数はメディケイドへの加入であったため,オバマケアのことを「メディケイド拡大法(Medicaid expansion law)」だと揶揄する人もいる。

2)政府によって規制された民間医療保険市場+保険料に対する補助金
 オバマケアは,メディケイドの対象となるほど貧しくはないものの自分で保険料を支払うことの難しい人(FPL 133~400%)に対して,連邦政府が補助金を出して民間医療保険に加入させることにした。Health Insurance Marketplace(HIM)という連邦政府によって規制された医療保険の市場を作り,そこで民間会社に医療保険を売ってもらうのである。

 そこで売られる医療保険にはさまざまな条件が付けられ(自己負担ゼロで予防医療サービスを提供しなければならないなど),加入者にわかりやすいよう,自己負担の割合に応じてブロンズ,シルバー,ゴールド,プラチナの4つのラベルが付されることとなった。そしてHIMで医療保険に加入する場合には,保険料と加入者の所得に応じて,政府から補助金が支払われることとなった。

3)裕福な人に対しては民間医療保険加入の義務化
 医療保険は基本的に健康な人と病気の人の両方をカバーすることで,病気の人が使う医療費を,健康な人を含めた皆で広く浅く負担するという仕組みである。健康な人が医療保険に入らないと保険料は年々高くなり,いずれ財政的に維持できなくなってしまう。そのため,裕福で比較的健康な人を強制的に医療保険に加入させる必要があった。そこで個人加入義務化(Individual mandate)と呼ばれる制度が導入され,ある程度裕福で保険料を払う能力のある個人が正当な理由なく医療保険に加入しない場合には税金が高くなることになった。

オバマケアは医療の「価値」への支払いを推し進めた

 オバマケアはさらに,国民皆保険を達成する上でいくつかの改革を同時に実施した。その一つが医療機関への支払い制度の改革である。それまでは医療サービスの提供される「量」に対する支払い(出来高払い)だったものが,「価値(バリュー)」に対する支払い(主にPay-for-performanceを意味している)へ変わることとなった。高齢者向け医療保険メディケアは,2010年にはほぼ100%が量に対して支払われていたが,2016年の時点でその支払いのうち約30%を価値に対する支払いへ再分配している2)。計画では,この割合は2018年までに50%に達する見込みである。価値への支払いには入院患者のプロセス指標やアウトカム指標に対して支払いをするHospital Value-Based Purchasing(HVBP)Programや,退院後30日以内の再入院に対してペナルティを設けるHospital Readmission Reduction Program(HRRP)と呼ばれるものが含まれる。

公的保険による皆保険制度を導入“できなかった”理由

 このように,米国は公的保険と民間保険を組み合わせることで皆保険を達成した。米国は公的保険を導入“しなかった”のではなく,政治的な理由から“できなかった”のである。

 オバマが大統領になった時点で,雇用されている米国民の多くは民間医療保険に加入しており,民間医療保険の市場は1兆2000億ドルの巨大市場であった3)。仮に日本のように公的医療保険への加入を義務化すると民間医療保険会社を市場から追い出すことになり,それは現実的に不可能であった。このように各段階において政策決定者が選ぶことのできる政策のオプションは歴史的背景に依存していることを政治学では「経路依存性(Path dependence)」と呼ぶ4)。

 そこでオバマ大統領は,メディケアと民間医療保険会社を競争させ,市場原理の中で民間医療保険会社を追い出そうとした。これはパブリック・オプション(Public option)という仕組みであり,高齢者や身体障害者以外の人もメディケアへ自由に加入できるようにするというものである。

 メディケアは国が経営する単一の公的医療保険であり〔日本には3000以上の保険者(健康保険組合や国民健康保険)が存在するが,メディケアは全米で一つの巨大な保険者である〕,5000万人が加入している巨大な公的保険制度である。その経営効率は民間医療保険よりも良いとされているため,メディケアと民間医療保険会社が競争すれば,民間医療保険会社の分が悪いことは明らかであった。

 ところが民主党と共和党で連邦議会の議席数が拮抗する中,パブリック・オプションを諦めなければ,オバマケアを通過させることができないという状況になってしまった。結局,パブリック・オプションは“とかげのしっぽ切り”のような形で2009年12月にオバマケアの条文の中から削除されることとなった(註2)。

財源は保険会社や病院の“痛み分け”の上に成り立っている

 オバマケアによって新たにカバーされる人の多くは保険料を支払うことが困難な貧困者であった。米国の医療財政はすでに逼迫していたため,財源を確保する必要があった。その方法としてオバマ大統領が取ったのは,医療保険会社や病院などの医療関連業界による“痛み分け”であった。

 病院などの医療機関には公的保険のメディケアやメディケイドからの支払額が減らされ,これにより連邦政府は約7400億ドルの歳出カットを達成できたと言われている5)。公的保険から医療機関への支払額は減るものの,一方で無保険患者からの取りこぼしがなくなり,また新たに保険に加入した人による医療需要の増加が見込まれたため,医療機関はこの条件を飲み込むこととした。

 医療保険業界には利益率の上限が設定され,集めた保険料総額の少なくとも80~85%を医療サービスとして還付しなければならなくなった(つまり利益率の上限は15~20%になった)6)。この保険会社の利益率の上限のことをMedical Loss Ratioと呼ぶ。それ以上の利益を上げた場合には,その利益を被保険者に払い戻さないといけなくなった。オバマケアによって民間医療保険の加入者が増え,保険会社は売上高が増えると考えたため,保険会社はこの条件を受け入れた。

 オバマケアは高所得の個人にも負担を課した。高所得者(独身の場合年収20万ドル,2人世帯で年収25万ドル以上)のメディケア税(65歳以上になったときに,メディケアに加入する要件を満たすために必要な税金)が0.9%引き上げられた。また,米国では医療保険料は税控除の対象であり,高額な医療保険に加入する高所得者ほど控除の恩恵に預かっていることが問題になっていた。この問題を解決するために,高額な医療保険(年間保険料が個人加入で1万200ドル,世帯加入で2万7500ドル以上)に入っている場合,この額を超えた分に40%課税されるようになった7)。この高額医療保険に対する税金は,高級車キャデラックから名前を取り,「キャデラック税(Cadillac tax)」と呼ばれる(註3)。

 ちなみに,医療関連業界で唯一“痛み分け”をしなかったのが製薬業界であった。これは政治的判断であり,力を持っていた製薬業界を味方につけることで,オバマケアは連邦議会をどうにか通過することができたと言われている。なお,オバマやクリントンは最近になって,次の改革は薬価であると宣言しており,近い将来,製薬業界にも“痛み分け”を迫るのではないかと言われている。

 つまり,オバマケアは経済的にゆとりのある医療機関,医療保険業界,高所得者から財源を集めて,貧困者が医療保険に入れるようにした改革であった。よってオバマケアは社会の格差を縮める政策だと言うことができる。

医療保険市場に政府が規制をかけることが可能になる?

 これまでは民間医療保険は完全な自由市場で取引されていたが,オバマケアの導入によって民間医療保険の取引は“規制された市場”で行われることになった。規制の変更は規制の導入よりもはるかにハードルが低い。そのため今後は,規制を適切に用いることで,機能していなかった民間医療保険の市場を,適切に機能するように誘導していくものと期待されている。

 今回はオバマケアがどのような政策であったのか概略を説明した。次回は,オバマケアが「いかに医療経済学の知見をもとに綿密にデザインされたシステムであったか」を説明する。

(つづく)

註1:オバマケアの法律の文面では133%となっているが,加入要件を計算するときに収入の5%を控除するという規定(Modified Adjusted Gross Income tax rule)があるため,実質的にはFPL138%以下の人はメディケアによってカバーされる。
註2:実はオバマケアはCLASS(Community Living Assistance Services and Supports)Actと呼ばれる介護保険制度の導入も試みていたが,パブリック・オプション同様にオバマケア導入の過程で切り捨てられた経緯がある。この制度は任意加入であり,保険料からの財源が十分に集まらないことが予想されたため,2011年10月にはオバマ陣営はこの法律を削除すると発表し,2013年1月1日に連邦議会で正式に撤廃されることとなった。
註3:キャデラック税の導入は当初2018年からの予定であったが,2020年に延期された。今後の経過次第では再延期や導入中止となる可能性もある。

◆参考文献・URL
1)N Engl J Med. 2016[PMID:27681881]
2)JAMA. 2016[PMID:27400401]
3)Deloitte. Health Insurance Market Overview. 2013.
https://www.cdc.gov/stltpublichealth/program/transformation/docs/health-insurance-overview.pdf
4)Jacob S Hacker. The Historical Logic of National Health Insurance:Structure and Sequence in the Development of British, Canadian, and U.S. Medical Policy. Stud Am Polit Dev. 1998;12(1);57-130.
5)The Washington Post. How Congress paid for Obamacare(in two charts). 2012.
6)Kaiser Family Foundation. Explaining Health Care Reform:Medical Loss Ratio (MLR). 2012.
7)Issue Brief(Commonw Fund). 2016[PMID:27290752]

つがわ・ゆうすけ氏
東北大医学部卒業後,聖路加国際病院,世界銀行を経て現職。米ハーバード公衆衛生大学院でMPH,ハーバード大でPh.D.(医療政策学)を取得。専門は医療政策学,医療経済学。ブログ「医療政策学×医療経済学」において医療政策におけるエビデンスを発信している。


  1. 2016/10/17(月) 05:54:30|
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10月15日 

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12156-10642/
医者と病院の不足が極まる「2030年問題」
2016年10月15日 15時00分 まいじつ

東京五輪から5年後に“2025年問題”が待っているのだという。

2025年には、団塊世代がすべて75歳以上になる。そして、国民の3名に1名が65歳以上、5名に1名が75歳以上という、これまでの日本が経験したことのない高齢化社会を迎え、医療と介護の提供体制が追い付かなくなる。

「東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏と愛知県、沖縄県、滋賀県のみが、現在と同水準の人口を維持できる自治体です。東北や中四国は、軒並み1割ほどの人口を減らします」(都市問題に詳しいジャーナリスト)

厚労省の推計によれば、2025年の医療保険給付は総額54兆円と、現在より12兆円以上も増える見通しだ。衰えゆく日本の国力で、とうてい賄える額ではない。

「厚労省は、医療保険が破綻するシナリオを回避するために、医者と病院を減らそうと必死です。現在、病院の身売りや倒産が全国的に相次いでいますが、国は抜本的な手を、わざと打っていません。その結果、日本の医師数は世界の主要国のなかで最低のレベルです。医者がいなければ治療はできません。治療できなければ、医療費が膨らむこともない。だから、医療費を抑えるためには医師の数を減らし、病院の数も抑えるのが一番手っ取り早いというわけです」(医療ジャーナリスト)

同省の試算では、2030年には約47万人が死に場所が見つからない“死に場所難民”になる可能性があると警告している。いまは75%の人が病院で亡くなっているが、高齢者が増えると病院のベッドが足りなくなる。つまり、全ての人が病院や介護施設を死に場所にできるようにはならなくなってしまう。


自宅で最期を迎えたいと望んだとしても、いまのままでは在宅医や訪問看護師、訪問介護ヘルパーの数も不足する。

「在宅医に訪問診療を願い出たとき『いまの患者さんで手いっぱい』と断られたとします。その場合、もし自宅で亡くなっても、かかりつけ医がいないので『不審死』として扱われ、警察に届け出ないといけなくなる。こうした状態にもかかわらず、市町村議会議員は、いまだに高齢化問題への対応を甘く見ている人が大半です」(同)

あと15年もすれば、病院でも家でも死ねない時代がやってくる。



http://mainichi.jp/articles/20161015/ddl/k09/040/068000c
佐野市民病院
民営化、27日に集中審議 市政策審 /栃木

毎日新聞2016年10月15日 地方版 栃木県

 佐野市が民営化方針を打ち出した佐野市民病院の経営形態について諮問を受けた市政策審議会(委員長・三橋伸夫宇都宮大教授、委員17人)は13日、第2回会議を開き、初会合で市側が提示した同病院の概況をテーマに審議した。

 質疑応答では、委員から「指定管理者制の現在も実質的に民間が経営しているが、赤字になっている。民営化するとなぜ黒字にできるのかよく分からない」などと、市が民営化方針を決めた根拠について説明を求める質問が相次いだ。

 市側は「医療設備の導入や更新が、議会承認が必要な現在と違って迅速にでき、医師の招へいにつながる」「経営責任が明確化される」などと説明した。委員からは方針決定の根拠を文書で示すよう要望があり、次回の27日の会議では、市側の民営化方針の理由について集中審議する予定。【太田穣】



http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016101501001729.html?ref=rank
救急延命、本人の意思尊重 終末期高齢者、情報共有へ
2016年10月15日 19時11分 東京新聞

 がんなどの重い病気で終末期の高齢者が心肺停止といった状態で救急搬送される際に、本人の意思表示がないまま蘇生・延命措置を受けるケースが増えているため、厚生労働省は2017年度から、在宅医療に携わる医師や看護師、救急隊が連携し、患者の情報を共有する取り組みを支援する。先進的な自治体の取り組みを参考に研修会を開き、患者の意思を尊重した終末期医療を目指す。
 消防の救急隊や搬送先の病院は応急処置をするのが原則だ。一方で、終末期の高齢者の中には、回復が見込めなければ延命を望まない人も多い。
(共同)


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G3註:国内のニュースが少ないのでアメリカの昨日のニュースから/デルタ航空、飛行中の急病人に対応しようとした黒人女性医師に差別

http://www.nbcnews.com/news/us-news/black-female-doctor-delta-discriminated-barred-me-sick-passenger-n666251
Black Female Doctor: Delta Discriminated, Barred Me From Sick Passenger
by EMMA MARGOLIN
OCT 14 2016, 1:41 PM ET NBC News

A black doctor has accused Delta Air Lines of discrimination after a flight attendant allegedly shooed her away from a passenger in need of medical attention and said "actual physicians" were needed.

Delta said in a statement Friday afternoon that the airline is investigating the incident.

Dr. Tamika Cross, an OBGYN resident at Lyndon B. Johnson Hospital in Houston, wrote in a Facebook post that she was on a flight from Detroit last week when someone two rows ahead her of starting screaming for help.

"I naturally jumped into Doctor mode as no one else was getting up," she wrote on Sunday in the account that has been shared more than 35,000 times.

But as she was about to stand, Cross said a flight attendant told everyone to stay calm — the man was just suffering from a night terror. Minutes later, the flight attendant yelled for a physician on board, Cross said.

Cross raised her hand to get the flight attendant's attention, but her help was rejected, she said.

"She said to me 'oh no sweetie put ur hand down, we are looking for actual physicians or nurses or some type of medical personnel, we don't have time to talk to you,'" Cross wrote. "I tried to inform her that I was a physician but I was continually cut off by condescending remarks."

As the overhead speaker called for physicians on board to alert the flight attendants, Cross said she pressed her button, staring at the flight attendant who had just cast her aside.


"She said 'oh wow you're an actual physician? I reply yes. She said 'let me see your credentials. What type of Doctor are you? Where do you work? Why were you in Detroit?'" Cross wrote.

She added: "Please remember this man is still in need of help and she is blocking my row from even standing up while Bombarding me with questions."

Finally, Cross said a "seasoned" white man approached and told the flight attendant he was a physician as well. Without asking for his credentials, the flight attendant immediately accepted his help, Cross said.

"Mind blown. Blood boiling," she wrote.

Delta said three medical professionals offered help on the flight, but only one provided credentials, "and that is the doctor who was asked to assist thecustomer onboard. In addition, paramedics met the flight to assist the customer further."

Later on, the flight attendant started asking Cross for input on how to help the unresponsive man, who was showing signs of improvement, Cross said. She added that the flight attendant had also apologized to her several times and offered her SkyMiles.

"I kindly refused," Cross wrote. "I don't want SkyMiles in exchange for blatant discrimination. Whether this was race, age, gender discrimination, it's not right. She will not get away with this....and I will still get my skymiles."

Delta said it is "in the process of conducting a full investigation" into the incident.

"We are troubled by any accusations of discrimination and take them very seriously. The experience Dr. Cross has described is not reflective of Delta's culture or of the values our employees live out every day," the company said in a statement.

Cross, meanwhile, told NBC News in a phone interview Thursday night she thinks the flight attendant could benefit from sensitivity training.

"Someone's life was on the line," she said, noting that the outcome could have been much worse. "Luckily the man was okay."



http://www.nytimes.com/2016/10/15/us/black-doctor-says-delta-flight-attendant-brushed-her-aside-in-search-of-an-actual-physician.html?_r=0
Black Doctor Says Delta Flight Attendant Rejected Her; Sought ‘Actual Physician’
By CHRISTINE HAUSER
OCT. 14, 2016 Mew York Times

Dr. Tamika Cross, a black physician at the Lyndon B. Johnson Hospital in Houston, could not immediately come to the phone on Friday. She was busy delivering a baby boy by C-section.

So, yes, in case anyone has any doubt, Dr. Cross is an “actual physician.”

But the 28-year-old doctor said that was the question hanging in the air, raised by a flight attendant, when she volunteered to treat a sick passenger on a Delta flight from Detroit to Minneapolis on Sunday.

Dr. Cross wrote about the episode in a Facebook post later that day, saying she had put her hand up to help, but was met with the kind of skepticism she had encountered before as a black doctor. A flight attendant demanded her “credentials” and confirmation that she was a real physician.

“She said to me: ‘Oh no, sweetie put ur hand down; we are looking for actual physicians or nurses or some type of medical personnel. We don’t have time to talk to you.’ ”

Dr. Cross wrote, “I’m sure many of my fellow young, corporate America working women of color can all understand my frustration when I say I’m sick of being disrespected.”

By Friday, Dr. Cross’s story had been shared more than 38,000 times and had attracted more than 14,000 comments, transforming her Facebook page into a forum where minority professionals reflected on the difficulties they face from people who doubt their qualifications or abilities.

It was also shared widely on Twitter under the hashtags #TamikaCross and #WhatDoctorsLookLike to highlight offensive assumptions about diversity in the medical field.

“Tamika, I know exactly how you feel, when people don’t want your help, because of the color of your skin,” Iniece Crawford wrote on Facebook. “I go through this on a regular basis and I’m just a pharmacy associate. They assume that I don’t know what I’m doing or don’t want to deal with me at all, but have to.”


On Friday, Delta Air Lines said in a statement on its website that it was investigating what happened and had reached out to Dr. Cross. The statement said: “Three medical professionals identified themselves on the flight in question. Only one was able to produce documentation of medical training.”

The statement continued, “The experience Dr. Cross has described is not reflective of Delta’s culture or of the values our employees live out every day.”

Reached by telephone between surgeries on Friday, Dr. Cross said that it was not the first time she had encountered assumptions that as a black woman, she could not be a doctor, and that she has heard similar stories from colleagues.

“I think minorities in general, especially in my field of practice — I feel that they are always questioned and always assumed to be the nurse or the nurse’s aide or here as part of the janitorial team or ancillary staff,” she said. “Several times I come in the room, I am assumed to be one of the ancillary staff.”

Some of the conversations spurred by Dr. Cross’s Facebook post centered on what researchers call implicit bias, or unconscious processing about race. According to the Kirwan Institute for the Study of Race and Ethnicity, implicit bias can affect the decisions jurors make in courts, the assumptions by law enforcement officials about minorities and the relationships between students and teachers, and doctors and patients.

In its 2016 report, the institute highlighted how people with a “black-sounding name” had a lower response rate when trying to get help for public services.

Dr. Cross said in her post that she had been to Detroit for a wedding and that Delta Air Lines Flight 945 was midair when a male passenger two rows in front of her became unresponsive; his wife started screaming for help.

“I naturally jumped into doctor mode as no one else was getting up,” she wrote. At first, the flight attendant told everyone to stay in their places, but then called out for a doctor.

“I raised my hand to grab her attention,” Dr. Cross wrote, referring to the flight attendant. “She said, ‘Oh wow, you’re an actual physician?’ I reply yes. She said: ‘Let me see your credentials. What type of doctor are you? Where do you work? Why were you in Detroit?’ ”

Dr. Cross said she told the woman she is an obstetrician-gynecologist in Houston, but did not show any credentials. Then a white male passenger approached the flight attendant and said he was a physician. According to Dr. Cross, the flight attendant turned to her and said, “Thanks for your help, but he can help us, and he has his credentials.”

On Facebook, Dr. Cross wrote: “Mind you, he hasn’t shown anything to her. Just showed up and fit the ‘description of a doctor.’ ”

After returning a phone call seeking comment on Friday, a Delta spokeswoman referred any further inquiries back to the company’s statement. It says about the flight crew: “When an individual’s medical identification isn’t available, they’re instructed to ask questions such as where medical training was received or whether an individual has a business card or other documentation, and ultimately to use their best judgment.”

Catherine Sirna, a Delta spokeswoman, declined to answer a question about the race of the flight attendant, saying the company does not comment on personnel matters.

But Deborah Lake, a spokeswoman for McGovern Medical School at UTHealth, Dr. Cross’s employer, said, “To my knowledge, the flight attendant is white.”

Dr. Cross said that she had written her Facebook post during the layover before traveling to Houston. She then filed an official complaint with the airline on Tuesday and received a general reply that the airline was investigating and did not discriminate.

An airline representative also left her a voice mail message to speak with her, Dr. Cross said, but she had been unable to return the call because of her operation-room and medical schedule.



  1. 2016/10/16(日) 06:56:27|
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10月14日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/467658
「医療崩壊を誘発、不当な勾留」、準強制わいせつ罪・起訴医師
東京保険医協会、早期釈放を求め東京地裁に嘆願書

2016年10月14日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 東京保険医協会は10月14日に都内で記者会見を行い、東京都足立区の柳原病院で自身が執刀した女性患者に対する準強制わいせつ容疑で逮捕、起訴された乳腺外科医の早期釈放を求める嘆願書を、東京地裁の刑事部所長らに提出したことを公表した。嘆願書は10月13日付け。

 東京保険医協会会長の鶴田幸男氏は、「起訴後の現時点において、勾留の理由も、また勾留の必要性もないことは明らか。これ以上、勾留を続けることは、基本的人権を侵す上、医療行為をなし得ないという、医師としての極めて重大な不利益が認められるだけでなく、保険医に極めて深刻な萎縮作用が生じかねない」と語気を強め、勾留継続に断固反対、早期の釈放を求めた。

 同協会勤務委員会担当理事の佐藤一樹氏も、乳腺外科医について、「無罪とは思うが、それを主張するものではない」と断り、有罪か無罪かは「裁判所が必ず正しい判断をされると信じている」と述べ、本嘆願書は、あくまで刑事訴訟法に照らし合わせて、現時点での勾留は不当であり、釈放を求める趣旨であると説明。同協会内で計5回、複数人で検討、その結果、乳腺外科医は同協会の会員ではないものの、保険医全体にとっての問題であると判断し、嘆願書の提出に至ったという。

 佐藤氏は、勾留が不当である理由として、第一は、罪証を隠滅する恐れがないこと、第二は、医師の基本的人権を侵す上、医療崩壊を誘発する社会的問題であることという二つを挙げた。

 2001年3月の東京女子大事件で、業務上過失致死罪に問われ逮捕・勾留された経験を持つ佐藤氏は(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』などを参照、東京高裁で無罪確定)、10月12日に、東京拘置所に乳腺外科医の家族とともに接見に行った。「大変やつれていた。独房にいると、情報が入ってこないため、世の中は皆、敵だと思ってしまう。そこで、二つのことを伝えた。一つは、先生には味方がたくさんいること。我々がこうした活動をしているほか、既に早期釈放を求める1万人以上の署名が集まっている。もう一つは、今まで相当ハードに仕事をしており、疲れている中で、精神的に参っていると思うので、次の戦いに向けて、心身ともに健康状態を作るということ」(佐藤氏)。

 乳腺外科医は、2016年5月10日に乳腺外科の手術を受けた女性患者に対し、乳首をなめるなどの行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで、8月25日に逮捕・勾留された。8月27日に勾留決定準抗告したが棄却、同日勾留取消請求したが却下、9月5日に勾留理由開示公判が開かれ、乳腺外科医は被疑事実を否定したものの、9月14日に準強制わいせつ罪で起訴された。その後、9月16日に保釈請求したが、9月21日に棄却、9月23日に準抗告したが却下、10月11日に2回目の保釈請求をしたが14日に棄却、準抗告も却下された。乳腺外科医の逮捕・起訴は不当であるとして、柳原病院や同僚医師らは声明を出すほか、署名活動を展開している(逮捕医師の釈放求め署名活動始まる』などを参照)。

 なお、乳腺外科医の代理人弁護士によると、初公判の期日は未定だという。

「必要な捜査は終了している」

 嘆願書では、勾留が不当である第一の理由は、罪証を隠滅する恐れがないこと。具体的には、(1)起訴状の公訴事実と、勾留状の被疑事実では、犯行の時刻・時間・態様が変遷している、(2)証拠調べには、相当な時間が経過している――という根拠から、「必要な捜査は終了している」と判断されるほか、(3)乳腺外科医に証拠隠滅の意思はなく、阻止が可能であることを挙げた。

 (1)では、わいせつな行為は、被疑事実は2回だが、公訴事実では1回に減るほか、「自慰行為」の事実が削除されるなどの変遷がある。「21日間の逮捕・勾留期間中には、検察官による捜査と要求によって、医師本人や被害を訴える患者からの供述、柳原病院の医師や看護師ら病院関係者の期日前証人尋問を経て、自慰行為の存在は麻酔後のせん妄・錯視による誤解だと判断されて落とされたものと推測される」(嘆願書)。また(2)について、嘆願書では、「警察は犯行があったとされる5月10日当日から始め、8月25日の逮捕まで107日間捜査を行った上、起訴までの21日間も集中的に追加捜査をした」と指摘している。

 (3)では、乳腺外科医が実効性のある証拠隠滅行為に及ぶという「具体的な」可能性を示唆する根拠などはなく、万が一、何らかの行為に及ぶ可能性があるのであれば、禁止事項などを保釈条件に付ければ対応できるとしている。

 第二の理由は、医師の基本的人権を侵す上、医療崩壊を誘発する社会的問題であること。嘆願書では、刑事訴訟法を引用し、「起訴後における身体拘束は、極めて例外的な場合にのみ限られることは明らか」「恣意的かつ漫然的で具体性のない勾留理由での身体拘束は、身体的・心理的・経済的不利益を生じさせることになるほか、人道的にも容認できることではない」と指摘。

 さらに、「恐らくは、逮捕勾留前後で大きく異なっている麻酔によるせん妄状態であった患者の証言のみを根拠として医師の犯罪を疑い、逮捕し、起訴後も勾留を続けることが許されるのであれば、医療現場に混乱を萎縮を招き、正当な医療行為や診療行為が大きく制約を受け、いわゆる医療崩壊を誘発し、ひいては国民に重大な不利益を生じる。福島県立大野病院事件における逮捕・勾留が産婦人科領域の萎縮につながったことは周知の事実」との懸念を呈している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/467681
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
オプジーボ、「500以上の引き下げ」求める声も
経済財政諮問会議の民間議員、医療費の地域差半減も要望

2016年10月14日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 経済財政諮問会議は10月14日の会議で、2017年度予算編成に向けて歳出改革を議論、4人の民間議員は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)の薬価の大胆な引き下げ、医療費の伸びの抑制、1人当たり医療費の地域差半減などを求めた資料、「メリハリを効かせた歳出改革の推進に向けて」を提出した(資料は、内閣府のホームページ)。

 会議後に会見した石原伸晃内閣府特命担当大臣が、会議の内容を説明。民間議員から、オプジーボについては、「500以上の薬価引き下げ」を求める声や、薬価算定の新たなルール作りが必要という意見が上がった。これらを受け、塩崎恭久厚労相は、薬価の改定年でなくても、オプジーボについては、国民負担軽減の観点から緊急薬価引き下げを実施するとともに、2018年度に薬価制度を抜本的に見直す旨を発言。

 安倍晋三首相は会議の最後に、歳出改革に当たり、1人当たり医療費の地域差半減や高額薬剤の引き下げなどについて、塩崎厚労相をはじめとする関係大臣に対し、今後、議論を深めて対応策を具体化するように指示した。

 「切除不能な悪性黒色腫」の適応で薬価が設定された抗PD-1抗体製剤のオプジーボは、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能追加で、年間販売額が当初予想を上回り、1260億円にも上ると推計され、中央社会保険医療協議会が、その対応を議論している(『「オプジーボ緊急的対応、医療保険堅持が目的」中川日医副会長』を参照)。

 中医協の現時点の議論では、「最大250引き下げ」の見通し。「500以上」の発言には特段の根拠はなかったものの、「オプジーボの薬価(100m)」は、日本では約73万円だが、英国は約15万円、米国約30万円という海外比較表が資料として提出されたことから、「250では不十分」との意見につながったとみられる。

 厚生労働省の今夏の2017年度予算の概算要求では、社会保障費の自然増は約6400億円。「骨太の方針2015」に基づき、自然増約5000億円への抑制が求められる中、安倍首相直轄の経済財政諮問会議でも中心的議題となったオプジーボの2017年度での薬価引き下げが不可避になってきた。

「改革工程表」44項目の実施を

 民間議員の提出資料では、オプジーボの問題のほか、2015年12月に経済財政諮問会議がまとめた「経済・財政再生計画 改革工程表」の全44項目の実施、特に1人当たりの医療費の地域差半減を求めたほか、地域医療構想の進捗を評価・検証できる仕組みなどを盛り込んでいる。

 民間議員が提出した参考資料では、1人当たりの医療費(2014年度)の上位5位は、福岡、高知、長崎、佐賀、北海道。下位5位は、新潟、千葉、静岡、長野、茨城。「1人当たりの医療費が高い県は、入院医療の受診率や1件当たりの日数の寄与が高く、医師数や病床が多い」と指摘。会議では、地域差が生じる要因の詳細な分析を求める声が上がった。



https://www.m3.com/news/general/467532
「診療拒否は違法」と提訴 中国で腎移植の男性 訴訟は初、浜松医大に
2016年10月14日 (金) 共同通信社

 「海外で臓器移植した患者は受け入れない」との内規に基づき浜松医大病院(浜松市)が診療を拒んだのは、正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反するとして、中国で腎移植を受けた静岡県掛川市の男性(66)が、大学に慰謝料など約190万円を求める訴えを静岡地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 医療関係者によると、海外で移植を受ける患者は年間数十人に上り同様の診療拒否も相次ぐが、訴訟に至ったのは初とみられる。各地での拒否の背景には「こうした患者を診療すると罰せられる」との誤解が一部にあると指摘する専門家もいる。

 厚生労働省は国内移植を推奨するが、渡航移植患者の帰国後の治療について「関係法令はなく、各病院の判断に任せている」として明確な方針を示していない。

 男性は提訴した理由を「診療拒否された患者の不安を知ってほしい」と説明。浜松医大は取材に「係争中のためコメントできない」としている。提訴は昨年7月24日付。

 男性の代理人弁護士によると、男性は渡航移植を仲介するNPO法人に申し込み、中国で腎移植を受けていた。

 大学側は男性に対し、診療全てを拒んではおらず検査はしたと説明。内規は、臓器を売買の対象とすることを禁じた国際学会の「イスタンブール宣言」をきっかけに定めたとし「治療すれば宣言に抵触する」と反論したという。

 宣言は移植医らでつくる国際移植学会が2008年5月に発表し、富裕国の患者が海外で貧困層や死刑囚をドナーとする移植を受けることを批判。臓器売買を禁止するよう各国に求め、日本移植学会も準拠した指針を策定している。

 訴状によると、男性は15年1月、中国に渡航し腎移植を受けた。帰国後の同4月、継続治療のため浜松医大病院を受診。血液と尿の検査後、医師に中国で手術を受けたと伝えると「海外で移植した患者の診療は断ると内規で定めている」として、他の病院を探すよう求められたとしている。



https://www.m3.com/news/general/467515
群馬大教授の指導医資格不正取得、新たな防止策取らず…肝胆膵外科学会
2016年10月14日 (金) 読売新聞

 群馬大病院で相次いだ手術死に関連し、旧第二外科教授(7月29日付で諭旨解雇)が虚偽の手術実績で指導医の資格を取得していた問題で、日本肝胆 膵すい 外科学会は、新たな対策は取らない旨の見解を学会のサイトで公表した。

 同学会が定める高度技能指導医は、一定以上の難度の手術件数などが必要としている。群馬大が設置した第三者の調査委員会が今年7月に公表した調査報告書では、指導医資格が虚偽の実績で取得可能だったことに対し、「防止策を講ずるべきだ」と同学会に要望。これを受け、同学会は「不正防止対策はすでに十分講じているが、さらに会員に周知徹底する」とした。



https://www.m3.com/clinical/news/467259
レセプト関連の不審メールに注意喚起
社会保険診療報酬支払基金に情報相次ぐ

m3.com編集部2016年10月14日 (金)

 社会保険診療報酬支払基金は、「レセプト電子請求に併せて」と題した不審なメールの報告が相次いでいることから注意喚起を発した。同基金では、そのようなメールは送付していないとして冷静な対応を呼び掛けている。

 同基金によると最近、レセプト電子請求の情報をにおわせる不審メールが増えているという。このため同様のメールを受信した際は、「メール本文中のURLをクリックしない」「添付ファイルを開かない」「届いたメールに対して返信しない」よう求めている。



http://news.livedoor.com/article/detail/12145637/
「人生は完結」と思う高齢者の自殺ほう助認める動き、オランダ
2016年10月14日 14時34分 AFPBB News

【AFP=時事】安楽死の合法化から約15年を経たオランダで、病気でなくても人生は「完結した」と感じている高齢者が自殺ほう助で死ぬ権利を法的に認めるよう、安楽死法の範囲を拡大する動きが出ている。

 オランダ保健相と司法相は12日、議会に宛てた書簡のなかで「熟慮した末に自分の人生は完結したとの確信に至った人たちが、厳格な条件の下で、自身が選択した尊厳ある方法で生涯を終えられるようにすべきだ」と提案した。オランダは来年3月に総選挙を控えているため、提案が法案として審議される可能性は低いが、既にオランダ国内では激しい論争が巻き起こっている。

 オランダと隣国のベルギーは共に2002年、世界で初めて安楽死を合法化した。ただし安楽死は、他に合理的な解決法がなく患者の苦痛が「耐えがたく改善の見込みがない」と2人以上の医師が認めた場合に限るとの厳格な条件の下で行われている。

 昨年にオランダで実施された安楽死の件数は約5516件で、全死亡者数の3.90を占めた。また安楽死による死を選択した人たちの700以上が、がんと診断された人たちで、認知症または精神疾患の人たちが約2.90だった。安楽死の件数は2010年の3136件から確実に増加している。

 安楽死は繊細な問題で、12~18歳の未成年の末期患者も安楽死を選択でき、認知症など、ある種の精神症状が「耐えがたい苦痛」とみなされるなど、国外ではいぶかしむ人も多い。
【翻訳編集】AFPBB News



http://www.swissinfo.ch/jpn/society/0E609C0800E60960B00E70B50B10E80A8088_0E80870AA0E60AE0BA0E30810BB0E30810860E508A0A90E308108C0E30820B90E30820A40E30820B90E30810A70E50A20970E508A0A0/42514410
最新統計  自殺ほう助がスイスで増加
2016-10-14 10:00 Swiss Info

最新の統計によると、スイスで行われた自殺ほう助の件数は前年から260増加していることが分かった。自殺ほう助で死亡した人の大半は末期患者だった。

 連邦統計局の報告書によると、スイスで行われた自殺ほう助の件数は2014年で742件あり、5年前に比べ2.5倍増加。スイスの死亡原因のうち、1.20が自殺ほう助だった。
 自殺ほう助を受ける人の数は男女ほぼ同じで、人口比率に換算すると男性は10万人中10人、女性は10万人中9人がこの手段を選択した。
 自殺ほう助を受ける理由として、「がんによる病気」を挙げた人は420。ほかには、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患(140)、心臓血管疾患(110)、筋骨格系の疾患(100)が挙げられている。
 14年に自殺ほう助を受けた人のほとんどがチューリヒ州在住者。ジュネーブ州、ヌーシャテル州、ヴォー州、アッペンツェル・アウサーローデン準州、ツーク州でも自殺ほう助を受けた人の数は平均より高かった。
 連邦統計局によると、手助けを得ずに自殺した人の数は過去数年で一定数を保っており、14年では1029人だった。

自殺ほう助は合法?

 本人が自ら死に至る行為を行い、その人が死ぬことで援助者が個人的な利益を得ることがなければ、スイスでは自殺ほう助は合法とされる。1940年代から自殺ほう助が認められている。
通常の手段では医師が処方した致死量の睡眠薬が用いられる。自殺志願者は経口摂取、点滴静脈注射、胃管など、いずれの方法においても、自ら毒を摂取しなくてはならない。スイス連邦裁判所は2006年、健全な判断が出来るすべての人々には、精神病を患っているか否かに関わらず、自らの死の手段を選ぶ権利があるとの判断を示している。
(英語からの翻訳・鹿島田芙美 編集・スイスインフォ)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49799.html?src=topnewslink
地域医療連携は行政と地域医師会主導で- 日医・横倉会長が東大で講演
2016年10月14日 15時00分 CB News

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は13日、東京大学で講演し、これまでの地域医療連携が医師会、病院、行政、地域包括支援センター、それぞれが主導して進められてきたなどと指摘した上で、「これからは、地域にあった連携システムを構築するために行政と地域医師会が中心となって主導していく」と述べた。【君塚靖】

 この講演会は、文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」により、シリーズで開催されているもので、「最先端の在宅医療を考える」がテーマ。研修医を含む医師、医学生、在宅医療の関係者などを対象にしている。今回は、日本の医療政策の中で医師会がどのような役割を果たすのかについて、日医の横倉会長が講演した。

 横倉会長は、日医の役割は地域医療や医療政策をはじめとする医療提供体制全般に責任を持つことだと強調し、その一環で日医の生涯教育制度などを通じて、在宅医療に関する教育・研修に注力していることを説明した。研修の具体例として、4月から実施している「日医かかりつけ医機能研修制度」を挙げた。

 一方、今年度中に、ほぼすべての都道府県で策定される見込みの地域医療構想については、「将来の病床の必要量が注目されているが、決して病床削減ツールではない」と強調し、「地域医療構想の策定で『終わり』ではなく、将来の姿を見据えつつ、医療機関の自主的な選択により、地域の病床機能が収れんされるべき」と述べた。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1014504979/
医療事故による死亡、院内調査で原因究明を
日医が職業倫理指針を改訂

CBnews | 2016.10.14 13:33

 日本医師会(日医)は、会員向けの「医師の職業倫理指針」に、医療事故で患者が死亡した場合は院内で事故調査を行って原因を究明するよう求める内容などを新たに盛り込んだ。この倫理指針は、臨床現場で遭遇することが想定される具体的な事例を取り上げ、その対応方法などを示したもので、このほど8年ぶりに改訂された。

 改訂版には、▽医療による死亡事故が発生した場合 ▽出生前に実施される遺伝学的検査・診断 ▽患者が虐待されていると疑われるケース―の対応方法などが追記された。

 医療によって死亡事故が発生した場合、担当医や病院などの管理者は遺族らに病理解剖を勧め、院内での事故調査によって原因究明すべきとした。また、臨床に携わる医師に対して医師賠償責任保険や医療施設賠償責任保険に加入するよう求めた。

 出生前に実施される遺伝学的検査・診断については、実施する医師はあらかじめ妊婦やその家族らにその特性や意義などを十分に説明する必要性を強調。さらに、事前に妊婦らに対して必要な情報提供や心理的な支援などをする「遺伝カウンセリング」を実施した上で、同意を得るよう求めた。

 遺伝カウンセリングに関しては、遺伝学的検査の普及とともに重要性が高まっていることから、すべての医師が基礎的な知識や技能を習得することが望ましいとした。

虐待疑いの通報、「守秘義務は適用されず」

 患者への虐待が疑われるケースでは、医師は公的機関に積極的に通報する必要があると記載。また、医師が患者への虐待を疑って通報した場合でも、「守秘義務は適用されず、責任が問われることはない」とした。

 さらに、医療機関や介護施設などでは認知症の人や精神障害者、知的障害者らが身体拘束されるケースもあると指摘。患者や入所者に納得できない外傷やあざなどがあった場合、「医師はその原因調査と再発防止に協力すべき」との考えも示した。

 日医では近く、すべての会員に改訂版を配布する予定。

(2016年10月13日 松村秀士・CBnews)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161012-OYTET50034/
イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常(コラム)
日本の医療制度が破綻危機、何とかしなければ…

2016年10月14日 読売新聞

 先週にイギリスの短期出張から戻り、時差ぼけも少なく仕事に励んでいました。いろいろな医療の記事を読んでいて、ほとんどは既に知っていることか、自分の予想の範囲内のことなので、 滅多めった に記事を見て、びっくりすることはありません。ところが、10月6日の日経産業新聞の記事(http://www.nikkei.com/article/DGXMZO08036870V01C16A0X11000/)には、久しぶりに度肝を抜かれました。

 超高額抗がん剤として話題を集めている「オプジーボ」の値段が、アメリカでは日本の4割、イギリスでは日本の2割で販売されているそうです。

医療費増は当然の成り行き

 自分が出演するラジオや、自分が書き下ろす原稿で、すでに「日本の薬の値段の算定システムはフェアである」と表明してきた自分にとっては、本当にびっくりする記事でした。

 日本では最初に悪性黒色腫という 希まれ な疾患に保険適用されたこと、そして日本で最初に薬剤として承認されたことなどが影響しているのでしょう。オプジーボの薬価の算定システムはフェアとしても、実際にイギリスでは日本の5分の1の値段で売られているというのでは、日本でのオプジーボの値段も当然に下げるべきです。ところが、薬価は2年ごとに改定されます。さすがに厚生労働省も超高額であることを認識して、通常の2年を待たずに薬価を下げるようですが、半額に下げても、アメリカよりも高いことになります。半額に下げてもイギリスの2.5倍の値段です。とんでもなく高いですね。

 僕は、とんでもなく高くても、日本の経済が順風満帆ならばそれほど問題ではないと思っています。ところが日本経済は残念ながら 喘あえいでいます。そして、 日本の医療費(概算)の総額が前年度から1.5兆円増加して、41.5兆円になりました 。この原因は高齢化の進展と高額薬剤の使用頻度の増加にあると解説されています。この医療費の増加を 補填ほてん するだけの経済成長はとても見込めません。

 41.5兆円は、とんでもない高額です。そして、ここにはトリックがあって、この値は医療機関からの診療報酬請求に基づく集計の速報値で、労災や全額自己負担分の医療費は含まれていません。その上、実は200万人を超える生活保護の方々の医療費も含まれていないのです。

 2025年には、団塊の世代がすべて後期高齢者となります。75歳以上になるということです。団塊の世代とは1947年から1949年、つまり昭和22年から昭和24年に生まれた人々で、その3年間の年間出生数は毎年260万人を超えています。2015年に生まれた赤ちゃんは約100万人ですから、団塊の世代がどれほど多いかがわかります。つまり日本の人口構成で高齢化は避けられません。

 そして、サイエンスが進歩して、医療が高度化し、高額薬剤が登場し、一人当たりの医療費が増加することは当然の成り行きです。

日本の保険制度の素晴らしさは?

 つまり、医療費を今までのような国民皆保険制度でカバーするのはそろそろ限界なのです。日本の保険制度の素晴らしさは、基本的に全員が加入していること、そしてどこの保険医療機関にも自由にかかれること(フリーアクセス)です。

 さて、イギリスの話をします。イギリスにも国民皆保険制度があります。NHSと呼ばれるもので、イギリスに住んでいれば外国人でもその制度を利用できます。僕もオックスフォードで勉強した5年間は、この制度にお世話になりました。基本的に医療費は、ほぼ無料です。

 日本のシステムとの最大の相違点は、フリーアクセスではないということです。自分が住んでいる地域内で、かかりつけ医を見つけて登録しなければならないのです。そして、どんな病気でも、このかかりつけ医がまず診察、治療し、必要に応じて専門医に紹介するシステムになっています。つまり皆保険制度を利用してのフリーアクセスは完全に否定されています。

 また、日本では、病院やクリニックなどの診療機関は患者さんに施した医療費の自己負担分を除いた金額を保険請求できます。1年間にいくら使おうが、必要な医療費であればすべて償還されます。償還とは、一時的に医療機関側が支払ったお金(債務)を返済してもらえるという意味です。ところがイギリスでは、1年間に使用できる医療費が医療機関ごとに決まっています。つまり総量規制が働いています。ですから、かかりつけ医でも簡単に薬はくれません。風邪で受診しても、薬剤が処方されないこともあります。

 日本のようにフリーアクセスで総量規制がない制度と、イギリスのように初診では、かかりつけ医に行くことが義務付けられて総量規制が働いている制度では、当然にイギリスの方が窮屈です。また、適切な医療がうけられないリスクはイギリスの方が高いとも思われます。

 しかし、医療費が高騰する中、何か手を打たなければ日本のすばらしい医療制度は早晩破綻します。何か変化が起こるときに、窮屈になってリスクが増えることは、誰もが反対です。でも、制度が潰れるよりはましですよね。

 例えれば、日本では、どこのレストランで、どんなものを食べても、それが必要とされる範囲内なら、7割から10割を補助されていました。そして高額療養費制度があるので、ある程度を支払ったら、それ以上は暦月内ではいくら注文しても自己負担は増加しないのです。ところがイギリスの制度は、行きつけの食堂を決めて、1年間にその食堂が全体として使えるお金が決められているのです。その食堂でどうしても満足できないときに他を紹介されます。でも、そんな食堂の制度でも、イギリス人は誇りに思っています。そして日本の制度よりも長期的には存続可能だと思われます。

 そろそろ真剣に医療サービスの担当者が、政府が、そして国民が、将来の医療制度を考える時期に来ていると思っています。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。



http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=54101?site=nli
コラム
日本の医療は世界一か?-医療の国際数量比較

保険研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター兼任 篠原 拓也
2016年10月14日 ニッセイ基礎研究所

各国の医療従事者と病床数

日本は、他国に比べて、病床数が突出して多い。医療スタッフを見ると、医師数は少なく、看護師数は中位に位置している。一方、薬剤師数は多い。

各国の医療従事者と病床数[人口1,000人あたり]
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各国の医療機器数

また、高度医療機器であるCTやMRIの配備数では、日本は、他国を圧倒している。

各国の医療機器数 [人口100万人あたり]
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このように、日本は、医師数を制限する一方、病床数を増やして、入院による医療を展開している。

医師や看護師の診療やケアを、薬剤師の調剤や、医療設備の技術がサポートすることで、医療の質を確保している。

出典 : OECD Health Statistics 2016


※看護師数:フランス、アメリカは、業務管理・研究等、患者に接しない看護師を含む
※薬剤師数:アメリカは、業務管理・研究等、患者に接しない薬剤師を含む


※詳細はこちら
 医療の国際数量比較-日本の医療は世界一か?
 http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52143?site=nli



http://www.medwatch.jp/?p=10790
2016年度診療報酬改定で、7対1病棟の入院患者像や病床利用率はどう変化したのか―入院医療分科会
2016年10月14日|医療・介護行政をウォッチ  MediWatch


 2016年度の診療報酬改定で大幅に見直された「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」や「退院支援加算」(退院調整加算からの組み換え)によって、医療現場にはどのような影響が出ているのか―。

 12日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」(入院医療分科会)では、こういった点を把握するための調査票が固められました(関連記事はこちら)。

 親組織である中央社会保険医療協議会の了承を待って、近く調査が開始されます。

ここがポイント!
1 入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の議論がベースとなる
2 看護必要度見直しの影響を詳しく調査、Hファイルも活用
3 患者像の把握は、医師による「指示見直しの頻度」だけでなく「診察の頻度」も勘案


入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の議論がベースとなる

 2014年度の診療報酬改定は、7対1・10対1病棟での特定除外制度を事実上廃止するなど、病院・病床の機能分化に先鞭をつける大きな見直しが行われましたが、具体的な内容は実質的に入院医療分科会で決まりました。

 また前回の2016年度改定では、入院医療分科会の所掌は「専門的な調査・分析」と「技術的な課題に関する検討」にとどめられることになりましたが、一般病棟やICUにおける重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の見直しなど、改定の柱は実質的に分科会で固められました(関連記事はこちらとこちら)。

 このように、入院医療に関する診療報酬改定について、入院医療分科会の議論は極めて重いものとなっており、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定でも、同様の構図になると予想されます。入院医療分科会では、まず「前回改定の効果・影響」を詳細に調査し、その結果やDPCデータ・NDBデータをベースにして、入院医療における課題を洗い出し、解決に向けた方策を探るという形で検討・議論が進められます。

 12日に開かれた入院医療分科会では、2016年度改定が入院医療に与えた影響を把握するための下記の4項目に関する調査(2016年度調査)の調査票が厚生労働省から提示され、概ね了承されています。

(1)一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における看護必要度などの施設基準の見直しの影響(その1)

(2)地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響

(3)療養病棟入院基本料などの慢性期入院医療における評価の見直しの影響

(4)退院支援における医療機関の連携や在宅復帰率の評価の在り方

看護必要度見直しの影響を詳しく調査、Hファイルも活用

 看護必要度については、一般病棟では ▼A項目における救急搬送患者などの追加 ▼B項目における認知症患者の抽出を目指す項目見直し ▼手術症例を中心としたC項目の新設―が行われました。また、7対1病棟については、施設基準のうち「看護必要度の基準(A項目2点以上かつB項目3点以上、A項目3点以上、C項目1点以上)を満たす重症患者割合」が、従前の150以上から250以上(200床未満では230の経過措置あり)に引き上げられました(関連記事はこちらとこちら)。

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一般病棟とその加算、地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟では、重症患者の対象範囲が異なる

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退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる

 多くの7対1病院にとって、こうした見直しは「施設基準の厳格化」でもあり、全病棟で7対1を維持するか、一部あるいは全部を他の入院料に転換するかが、重要な経営判断の1つとなっています。また7対1を維持するためには、重症患者割合を高める必要があり、「急性期治療を一定程度終え、看護必要度が低くなってきた患者の退院支援」や「後方病院や介護施設などとの連携強化」などが進められています。

 こうした状況を把握するため、今般の調査では、急性期病院における ▼病棟構成の現状と変化 ▼重症患者割合―などのほか、「在宅復帰率」「病床利用率」「退院支援加算の算定状況」なども詳しく調べられます。前述のとおり、重症患者割合を高めるために、急性期治療を終えた患者に積極的な退院支援を行い、在院日数を短縮していくことが必要です。ただし在院日数の短縮は病床利用率の低下にもつながるため、厚労省は「病床利用率の現状と、1年前からの変化」も調べることにしています。

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2016年度診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準厳格化(重症患者割合の250への引き上げなど)が行われており、これによって病棟の構成などにどのような変化が生じるのかを調べる

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2016年度診療報酬改定では重症度、医療・看護必要度の見直しが行われており、これが入院患者の構成などにどう影響を与えたのかを調べる

 また、同じ7対1病院であっても、「7対1病棟のみで構成される病院」と「7対1と地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟のケアミクスを行っている病院」とでは、患者の動向が異なることが予想されます。この点について厚労省は「施設表で病院のタイプを判断し、病床利用率も加味してタイプ別の分析を行う」考えです。

 この点、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会本部相澤東病院看護部長)は、「A項目の追加やC項目新設により、院内での多職種連携が進んだほか、医師の看護必要度への理解が深まってきているという状況もあるようだ。そうした点も見えるようにしてはどうか」と提案しています(関連記事はこちらとこちら)。


 なお今般の調査では、個別患者を対象として、1週間の中で「看護必要度のどの項目を満たしているのか」の把握も行われます(補助票)。これにより、より入院患者の状態が明確になることが期待されます。

 ただし、個別患者について改めて看護必要度の評価状況を転記することは病院にとって少なからず負担となるため、厚労省は「Hファイル」(看護必要度の生データ)の提出を行っている病院(DPC病院やデータ提出加算届け出病院)では、補助票の提出は不要としています。逆に見れば、患者像の把握に向けて「Hファイル」が最大限活用されることになります。

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2016年度の入院医療調査では、個別患者を対象にした看護必要度のチェック状況も調べる。ただしHファイルを提出している病院では、この補助票を提出する必要はない(Hファイルを活用する)

患者像の把握は、医師による「指示見直しの頻度」だけでなく「診察の頻度」も勘案

 2014年度改定・16年度の診療報酬改定では、療養病棟や障害者施設、特殊疾患病棟などの慢性期入院医療についても「在宅復帰機能強化加算」の新設などの重要な見直しが行われました(関連記事はこちら)。

 その際、各病棟の入院患者像を明確にする指標として、厚労省は「医師による指示の見直しの頻度」などを選択しました。今般の調査でも、こうした指標で継続した調査を行うこととしています。

 しかしこの点について、神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長、全日本病院協会副会長)や池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長、日本慢性期医療協会副会長)、石川広巳委員(社会医療法人社団千葉県勤労者医療協会理事長、日本医師会常任理事)は、「医師が毎日診察したり、看護師から詳細な状況報告を受けて、結果として『指示の変更はなし』と判断することもある。これを持って、患者の重症度の判断につなげるのは間違っている」旨を強調しました。例えば、ICUの入院患者に対し、毎日診察を行った結果、『現在の薬剤投与を継続』と判断して、指示変更をしていなくとも、その患者が重症であることには疑いがないということを池端委員は例示しています。

 厚労省保険局医療課の担当者はこうした意見を踏まえて、新たに「医師の診察(判断、処置など)の頻度」という設問項目を追加することを明確にしました。2018年度改定に向けて、「医師の指示見直しの頻度」と合わせて「医師の診察の頻度」という指標で、各病棟の患者像を見ていくことになります。

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入院患者の状態を把握するため、指標の1つとして「1-2 医師による指示の見直しの頻度(向かって右欄参照)」が活用されているが、2016年度調査では1-1と1-2の間に「医師による診察(判断、処置など)の頻度」が盛り込まれて、新たな指標として活用されることになる


 なお池端委員は、「療養病棟でもデータ提出加算の届け出をし、DPCデータを提出する病院が増えてきている。ここから、療養病棟においてどのような医療行為を行っているのかが見えてくる。それをベースにして『医療区分』の見直しに向けた議論を始めるべき」と提案しています。

 療養病棟では、患者の罹患疾病や処置の内容などに応じた医療区分を設定し、入院基本料のベースとしています(医療区分3のほうが、医療区分1よりも点数が高い)。ただし、医療区分3はスモンなど、医療区分2は筋ジストロフィーなどとなっているものの、医療区分1は「医療区分2、3以外」と定義され、医療区分1には軽症から重症までさまざまな患者が混在していると指摘されます。池端委員は、客観的なデータをもとに医療区分のあり方を議論すべきとの考えを強調しているのです。2018年度改定に向けて、どのような議論が行われるのかが注目されます(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/general/467516
健保連・幸野理事「調剤権拡大、次期改定の重点事項」 - リフィル、変更不可欄削除など提案へ
2016年10月14日 (金) 薬事日報

 健康保険組合連合会の幸野庄司理事は10日、名古屋市内で開かれた第49回日本薬剤師会学術大会で講演し、薬剤師の調剤権を医師の処方権と「同等に近づけたい」と述べ、「調剤権の拡大・強化」を2018年度診療報酬改定の重点事項の一つに位置づける考えを示した。中央社会保険医療協議会の支払側委員でもある幸野氏は、具体例として、薬剤師が残薬を確認した場合の分割調剤や、リフィル処方箋の導入、処方箋の後発品変更不可欄の削除を挙げた。いずれも、医療費抑制の観点から提案する予定だが、支払側として、中医協の場で「しっかりと後押し」できるよう、かかりつけ薬剤師・薬局を着実に普及させるなどし、実績を作っておくことも求めた。

 幸野氏は、中医協での議論を通して、「医師の処方権があまりにも強いため、薬剤師の調剤権と格差がありすぎる」との印象を語り、「こうしたことが医薬分業を歪ませた一つの要因になったのではないか」と指摘。18年度改定に向けて、「薬剤師の調剤権を医師の処方権と同等に近づけていく。これは強く主張していきたい」と述べた。

 調剤権を発揮してもらいたい具体的な事例の一つに、残薬を確認した場合の分割調剤を挙げ、「薬剤師の判断で行えるようになればいい」と強調。

 リフィル処方箋については、導入されれば再診料や処方箋料が不要になるため、「医療費に大きく関わってくる。今回は診療側の大反対で実現できなかったが、提案していきたい」との考えを示した。

 後発品の使用促進についても、「医師が後発品に変更不可と判断した場合、薬剤師が勝手に変更できず、薬剤師が調剤権を発揮できない仕組みになっている」と問題視。中医協のデータでは、患者が後発品に変更したきっかけの大半が「薬剤師の説明」だったことに触れ、「後発品への変更は薬の専門家である薬剤師の調剤権。医師の意見がなくても薬剤師が行うべき」と強調した。

 その上で、政府が後発品数量シェア800の目標を掲げる中、「処方箋に変更不可の欄が残っていて、8割まで普及するのか」と疑問視。変更不可欄について、「一刻も早くなくすことを提案したい」と述べた。

 一方、医薬分業の量的な拡大を図る過程で、医療機関に寄り添うように立地し、医師の処方権をここまで大きくしてしまった薬局・薬剤師側の責任も指摘。歪んだ医薬分業によって、国民のセルフメディケーションに対する意識を喪失させたことは「大きな弊害だ」と述べた。

 その上で、「かぜ気味だけど病院に行くまでもない」「最近、疲れやすくて調子が良くない」といった状態にあったり、「認知症が疑われる祖父が何種類も薬を飲んでいるが大丈夫か」などと考えている人たちは、「薬局で何らかの相談に乗ってもらいたいと思っている」と指摘。こうしたニーズは「40年前も今も変わっていない。なのに薬局が変わってしまった。これが残念でならない」と述べ、OTC薬の活用などを通して薬局本来の機能を取り戻すことにより、“まずは病院”という国民の意識を“まずは薬局”という方向に「変えてもらいたい」と訴えた。

 幸野氏は、重ねて「処方権より調剤権が低くなってしまったことが非常に悲しい」と強調。今後、中医協の場で「様々な提案をし、後押ししていきたい」とする一方で、実行を確保するためには、「説得力がないと駄目。ぜひ、かかりつけ薬局・薬剤師を普及させてもらいたい」と述べた。

 今回の改定で新設したかかりつけ薬剤師指導料が万が一、普及しなかった場合は「お先真っ暗となる」としたが、思ったより普及していた場合、「薬剤師の信頼・求心力が高まり、もっと薬剤師に権利を持たせようという動きに変わってくる」と見通した。

 ただ、「権利には義務がついてくる」ともし、「大変だと思うが、しっかり取り組んでもらいたい」とエールを送った。



https://www.m3.com/news/general/467528
ホルマリン液を誤投与 患者56人、男性に後遺症 兵庫・姫路の病院
2016年10月14日 (金) 共同通信社

 兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院の医師らが昨年7月、内視鏡検査の患者に精製水と誤り、ホルマリン液を投与したことが13日、病院などへの取材で分かった。誤投与したのは10~80代の最大56人。同市の70代の男性患者1人が健康被害を訴え、現在も全身の神経痛などの後遺症がある。

 男性患者は13日、業務上過失傷害容疑で、担当した同病院内科部長の男性医師に対する告訴状を県警網干署に提出した。受理される見通し。

 病院は取材に「院内で運ぶ場所を間違え、医師も中身を確認しなかった。気付くタイミングがあり、きちんとチェックしていれば避けられた」と釈明。昨年12月に「医療事故調査報告書」を姫路市保健所に提出したが、公表はしなかった。「患者56人全員に説明しており、必要ないと判断した」としている。

 病院などによると、院内の薬剤部で調合したホルマリン液を手術室に運ばず、契約職員が間違って内視鏡センターに搬送。検査で使用した医師も中身を確認していなかった。ホルマリン液が入った箱には「精製水」の表記があり、上からペンで「×」と書かれていた。

 昨年7月22、23日に内視鏡検査を受診した56人に誤投与の可能性があり、男性患者は同22日、超音波内視鏡検査のため十二指腸に100ホルマリン液を120ミリリットル注入され、嘔吐(おうと)や下血の症状が出た。後遺症や治療薬の副作用で行動範囲が狭まるなど日常生活に支障が出ているという。他55人の注入量はいずれも数ミリリットルとされ健康被害はない。

 男性患者の弁護士は13日、姫路市内で記者会見し「病院は投与する液体の中身を確認する義務を怠った。男性が痛みを訴えたのに誤投与を疑わず、検査を中止しなかった」と批判した。

 広畑病院は1940年、日本製鉄広畑製鉄所病院として開設、兵庫県の民間病院で唯一救命救急センターを併設する。

 ※ホルマリン
 刺激臭のある無色の気体「ホルムアルデヒド」の水溶液。生物標本を作る際の防腐処理や化学薬品の製造、消毒などに使用され、用途は広い。発がん性が指摘され、毒劇物法で劇物に指定されている。


  1. 2016/10/15(土) 05:42:00|
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10月13日 

https://www.m3.com/news/general/467111?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161013&dcf_doctor=true&mc.l=183186836&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
(インタビュー)福島、5年後のこころ 福島県立医科大学教授・前田正治さん
2016年10月13日 (木) 朝日新聞

 東京電力福島第一原発の事故から5年7カ月。福島の震災関連自殺は一向に減る気配を見せない。汚染されたふるさとの姿を自分に投影する被災者もおり、過酷な状況におかれた福島で、心の問題とどう向き合っていけばいいのか。福島県立医科大学で「災害こころの医学講座」教授を務める前田正治さんに聞いた。

 ――震災から5年半がたちました。原発事故被災者の心の健康はどんな状態ですか。

 「ゆっくりとした回復を示すデータと同時に、深刻な事態を示すような相反するデータもあり、二極化の様相を示しています。県内で避難指示が出た市町村に住んでいた21万人の健康調査を毎年行っていますが、うつ病の可能性がある人の割合は、2012年から4年間で14・60から7・80に下がりました。全国平均は約30ですからまだまだ高いですが、減る傾向にはあります。ただ、岩手、宮城では急減した震災関連自殺は、福島では依然として多く、累計で80人を超えました。アルコール摂取に問題を抱える男性も2割前後で横ばいが続いています」

 ――原発事故は、心の健康にどう影響しているのでしょう。

 「放射線への不安が広く深い負の影響を与えています。一つは、直接的な恐怖体験からくるストレス障害です。特に原発のそばに住み、何の準備もなく緊急避難を迫られた人々は、また恐ろしい事故が起きるのではないかと慢性的な不安が消えない。21万人調査では、事故後1年で220、最近でも80の人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクが高いと判断されました。米同時多発テロの救急隊員の事故後3カ月のそれが約200ですから、いかに高いか分かります」

 「より深刻なのは、放射線被曝(ひばく)の遺伝的な影響を心配する被災者が、減ったとはいえ今なお4割近くいることです。原爆被爆者は遺伝的影響があるのではないかという根拠のないスティグマ(偏見)を非常に恐れ苦しみました。福島の方々も同様の偏見を恐れ、それが『結婚できないのではないか』『妊娠していいのだろうか』という不安に変わっています。実際、県外に避難している被災者の中には自分の出身を隠す方もいます」

 「当初は感じていなくても、外部の人が偏見を持っていると分かると、それを自分に投影して、自信をなくしたり、落ち込んだりします」

 「県外の方に十分考えてほしいのは、悪意のない一言にも、福島の人はとても敏感になっているということです。震災後3年目に支援団体が福島の子どもをキャンプに連れて行きました。子どもたちがキャンプ場で遊んでいると、地元の人が声をかけてきた。『かわいそうだね、放射能にまみれて。これを食べれば、放射線が抜けるから』とキノコを差し出した。子どもたちは最初はきょとんとしていましたが、ある子が『私たちは汚れてなんかいない』と泣き出しました。地元の人は悪意で言ったわけではないでしょう。しかし非常に傷つける言葉でした」

    ■     ■

 ――放射線被曝の自己偏見は広がっているのですか。

 「遺伝への不安は若年層に多いと推測していましたが、21万人調査では高齢者に高い。原爆や冷戦時代の核実験のイメージが生々しく残り、原発事故と原爆の悲惨なイメージが重なるのでしょう。欧米の研究者に『原爆の知見の蓄積があるのに、なぜこんなに不安がるのか』と聞かれますが、被爆国日本の特有のトラウマといってもいいかも知れません」

 「甲状腺がんの検査も続けていますが、わずかでも異常を示すような結果が出ると、泣き叫ぶ親御さんがたくさんいます。担当医が『あんな苦しみを与える検査ならしたくない』と言うほどです。甲状腺がんは経過が良好ながんとして知られていますが、そうした科学的事実は慰めになりません。『あの時、水を飲ませなければよかったのか』などと、震災時を振り返り自分を強く責める親御さんも少なくない。甲状腺の問題を周囲がどう思うか、『子どもは結婚できないのではないか』と検査結果が漏れるのをとても恐れます」

 ――人々のイメージを変えるのは簡単ではないと思いますが、対策はありますか。

 「科学的な根拠に基づいた知識を普及させると同時に、偏見を恐れる人たちの苦悩を理解することがとても大切だと思います。福島の人々はこうした不安を声に出して訴えることはありません。だからこそ我々研究者、支援者が伝えていく必要があります」

 ――なぜ、福島だけ震災関連自殺が減らないのでしょう。

 「震災の年の関連自殺は宮城、岩手、福島の順に多く、津波の死者数に比例し、震災の直接的な影響と思われます。5年後も福島だけ突出して多いのは、原発事故の影響と考えざるをえません。福島の方々は郷土への愛着が強く、地域社会とのつながりがなくなることの喪失感は大変大きい。原発事故から時間がたち、当初は帰郷の希望を抱いていた人が希望を失いつつあります。地域社会との断絶が自殺の根底にあるのかもしれません。時間が経つにつれ地域社会の絆も弱まっています。我々の調査で、地域社会が持つ助け合い機能の低下が、人々の心の回復を妨げることもわかってきました」

 「原因は一つではなく、経済的困難とかうつ病など様々な理由が積み重なった結果ですが、家族の分断の影響も大きいと考えています。自殺者を震災関連とそれ以外に分けて調べると、関連自殺は家族構造が震災後に変化している人が多い。放射線が不安な妻子は県外へ移り、父親は福島で単身生活する家族もいます」

 ――どんな支援をしていますか。

 「21万人調査で判明した健康へのリスクが高い人に対し、約15人のカウンセラーが電話し、詳しい様子を聞いています。ある高齢の女性被災者に電話したら、避難で地域とのつながりをなくし、『もういなくなってしまいたい』と繰り返し、食欲もなくなり、体重が減ったと話しました。臨床心理士が抑うつ状態と判断、自治体の保健師が訪問して安全確認を行いました。毎年4千人に電話します。電話を用いた、こんな大規模で継続的な被災者支援は、日本はもちろん世界でも報告がありません。ただ電話支援は限界もあり、保健所や心のケアセンターなど他の支援機関と適切な連携をとることがとても大切だと考えています」

    ■     ■

 ――自治体職員も心の健康に影響が出ているようですね。

 「復興に従事する人たちへの支援を緊急に考えなければなりません。最前線で住民を支える市町村の職員の疲弊は想像以上です。原発事故で深刻な被害を受けた沿岸部の自治体で面接調査をしたところ、うつ病を発症している人が実に2割近くいて、自殺の恐れがある人も少なくありませんでした。7割の人が睡眠障害で苦しんでいました。考えられないほど高い割合です」

 ――なぜそこまで悪化したのでしょうか。

 「自分も被災者なのに、それを前面に出せず、住民の怒りを受け続けたのが大きい。『役場に鳴り響く苦情の電話の音が耳から離れない』と電話の音がトラウマになった人や、避難所ですさまじい罵声を浴び続けた職員がたくさんいます。忘れてならないのは、彼らもまた被災者で、今なお避難所生活を余儀なくされている人も多いことです。ただ自治体職員は、自ら悩みを訴え出ることはまずありません。住民が苦しんでいるのに自分の弱音は訴えられないといった心境です」

 ――対策はあるのでしょうか。

 「被災地で自衛隊員や消防隊員の活躍が称賛されたように、身近で奮闘する自治体職員もリスペクト(相手を尊重すること)してあげてほしい。自治体職員にとっては、住民からの支持や感謝こそがエネルギーです。職員向けカウンセラーを常駐させるなどの具体策も重要です」

    ■     ■

 ――5年たった福島で、これからどんな対策が必要でしょうか。

 「原発事故では、甲状腺がんの発症など身体への健康被害に焦点が当たりますが、それと同じように、精神面の健康問題が重要だという認識を持って欲しいです。チェルノブイリ原発事故では、甲状腺がんなど身体的問題とともに、うつ病やPTSDなどの精神的な問題が極めて大きかったことが多数報告されています。福島での震災関連自殺の多さはその重大な警鐘だと考えています。睡眠やアルコールの問題、あるいは生活習慣病に関わる問題にも注意しなければなりません」

 ――どう向き合っていけばいいのでしょうか。

 「県外の人には、福島の人々の苦悩を理解してほしいと思います。被災者の方々にまず理解して欲しいのは、放射線などの問題に対して不安を持つのは当然で、これ自体はまったく病ではありません。一方で、悩みが強くなったとしても、自分が弱いと思わず、周囲の人や支援機関に相談してほしいと思います」

 (聞き手・畑川剛毅)

    *

 まえだまさはる 1960年生まれ。専門はトラウマ関連障害。2013年に久留米大准教授から転じた。ふくしま心のケアセンター副所長も兼ねる。



https://www.m3.com/news/general/467214
産科医数7年ぶり減少 都市近郊で負担大きく 人材確保が急務
2016年10月13日 (木) 共同通信社

 開業医らでつくる日本産婦人科医会は12日、1月時点の産婦人科の医師の数は前年同期比22人減の1万1461人と、7年ぶりに減少に転じ、埼玉や千葉、兵庫など、大都市近郊で医師の負担が大きくなっているとの調査結果を発表した。今後も大幅な増加は見込めないといい、同医会は人材確保と適切な配置が急務の課題だと訴えている。

 医会によると、産婦人科医は2009年に1万79人まで減った後、労働環境改善などによって増加していた。しかし、新たに産婦人科医になる人より退職者が多く減少に転じた。

 産婦人科が研修医の必修科目から選択科目に変わり、12年以降は新たに産婦人科を専攻する医師が減少していることが背景にあるという。

 出産を扱う産科・産婦人科の医師は、他の診療科と比べて当直や呼び出しが多く激務であることや、患者側から訴えられる「訴訟リスク」も敬遠される一因とされる。

 出産数も減少しているが、地方と大都市近郊で度合いが異なるため、産科医の負担の地域格差が大きくなっている。出産千件当たりの医師数は埼玉5・5人、千葉6・2人、兵庫6・7人だったのに対し、最も多い山形は14・7人で、最大約2・6倍の差があった。

 過去10年の出産数は、秋田で23・9%減、福島19・1%減、青森で18・1%減などと、大幅に減った。

 調査した日本医大の中井章人(なかい・あきひと)教授は「妊婦の多い大都市近郊で医師の負担が大きくなっている。地域の産科医療を支える診療所や周産期母子医療センターの人材確保が課題になる」と指摘した。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161013-OYTET50031/
産科医7年ぶり減少…高リスク出産増で「危機的状況」
2016年10月13日 読売新聞

 2009年以降微増してきた産科医の数が、今年7年ぶりに減少したことが日本産婦人科医会の調査でわかった。

 高齢出産などでリスクの高いケースが増え、産科医不足解消が求められる中、同医会では「危機的な状況。医師の診療科や地域の偏在への対策が必要だ」としている。

 同医会は毎年1月時点での産科医数を全国調査している。09年の7290人から15年には8264人に増えたが、今年は8244人と前年に比べて20人減少した。

 安全に出産できる体制を維持するには、毎年新たに産科医になる研修医が470~500人必要と同医会は試算。11年は450人に増えたが、その後は減り続けて昨年は364人となり、高齢などによる退職者数を補い切れなかった。

 同医会は、医師国家試験合格後の臨床研修の中で必修だった産婦人科が10年度から選択科目になったことなどが、響いていると分析。今後、〈1〉女性医師が妊娠・出産した後に復職しやすい環境作り〈2〉臨床研修での産婦人科の再必修化――などを目指す。



https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12158-20161013134/
高額薬剤、使用制限をかけるべき? - 医師の半数が「制限すべき」
2016年10月13日 18時24分 マイナビニュース

メドピアは10月13日、医師を対象に実施した「高額薬剤の使用制限に関するアンケート」の結果を発表した。調査期間は9月5日~11日、対象はMedPeerに会員登録した医師で、有効回答数は4,199人。

○「民間の保険でカバーすべき」という声も

厚生労働省が9月に発表した2015年度の医療費(概算)は41.5兆円で、過去最高額を記録。医療費増加の要因は「高齢化や医療技術の高度化に加えて、高額な医薬品の使用が増えたため」(同省)とされる。

同省は医療費の財源を圧迫する高額薬剤への緊急的な対応として、抗PD-1抗体「オプジーボ」などの薬価の引き下げを含む検討を開始した。

こうした状況を受け、メドピアは医師に「『高額薬剤の使用制限』についてどのように考えるか」を尋ねるアンケートを実施。その結果、「制限すべき」が51.7%過半数、「制限すべきだが、実際には難しい」が35.5%となった。一方「制限すべきではない」は4.7%、「わからない」は8.1%でいずれも1割未満であった。
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「制限すべき」という医師からは次のようなコメントが上がった。

「一部の利益のために全体の資源を食い潰して医療が受けられない人が出てくるのは問題だと思う。患者としてはわらにもすがる思いなので薬自体は否定できない。民間の保険でカバーするのがベターだと思う」(30代、整形外科・スポーツ医学)、「限られた予算を有効に使うべきで、財政破綻するような使い方はすべきでない。そのためには制限は当然。命のためなら金に糸目はつけないという時代ではない。どうやって制限するかは難しいが、高齢者の医療費を増やすべきではない」(40代、一般内科)

「制限すべきだが、実際には難しい」と回答した医師のコメントは次の通り。

「高額薬剤を制限することは、実際の臨床の場では困難だと感じている。長期生存が可能かもしれない選択肢があるのにそれを提示しないのは犯罪に近い。年齢等で制限するのも困難。自己負担金額を増やすのが良いと思うが、日本国民が受け入れるか疑問」(50代、呼吸器内科)、「効果のある薬の効果をできるだけ多くの患者が享受できるように工夫が必要。ある程度の薬価がつかないと新しい薬剤開発ができない。そうなると薬剤効果を享受できない。保険の破綻も薬剤効果の享受にマイナス効果。そのバランスが大切」(50代、一般内科)

「わからない」と回答した医師からは「巨額の税金が必要とされるのでしょうが、望みがあるのなら患者さんは使用したいと思うのでは、と思うと、制限すべきかどうか、私にはわかりません」(40代、健診・予防医学)、「他の国のように、当初薬価を低く設定し、効果があれば薬価を上げるようにすればいいような気がするのですが」(30代、整形外科・スポーツ医学)という声が上がった。

「制限すべきではない」という医師からは「医師には最善の治療を行う義務があり、患者はそれを受ける権利がある。薬剤費、医療費は、適正に設定すべきです」(60代、一般内科)、「有効性と対象患者が明らかならば使用制限はすべきではない。むしろ低額で有効性に疑問があり、大量に使用されている薬剤を使用制限や保険不適用にすべきである」(50代、小児科)といった意見が寄せられた。



https://medpeer.jp/news/article?id=322&from=top_news_detail
「係争の具」となるなら調査中止を
2016年10月11日 MedPeer

医療安全調査機構にAJMCが申し入れ

 全国医学部長病院長会議(AJMC、新井一会長)は9月23日、国指定の医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構に対し、事故調査報告書が訴訟資料などに利用されることが明らかとなった場合は、機構による事故調査や院内事故調査情報の整理・分析など制度が定める一連の作業を中止するよう申し入れを行いました。医療事故調査制度の目的は「医療安全の確保」であり、制度に基づいて作成された事故調査報告書が訴訟に利用されることは制度の目的から外れているとの主張に基づく要請です。

センターの法的業務について再確認を求める

 医療事故調査制度は改正医療法により昨年10月から運用が始まりました。医療安全調査機構は国指定の医療安全調査・支援センター(センター)として、主に次のような業務を担っています。

・医療機関の院内事故調査報告により収集した情報の整理・分析を行う
・院内事故調査報告をした病院などの管理者に情報の整理・分析結果を報告する
・医療機関の管理者が「医療事故」に該当するとしてセンターに報告した事例について、医療機関の管理者・遺族から調査の依頼があった場合に調査を実施し、その結果を医療機関の管理者・遺族に報告する

 AJMCに設置された「大学病院の医療事故対策委員会」(有賀徹委員長)はこれまでの検討結果を踏まえ、医療安全調査機構に対して、医療事故調査制度が「警察への届け出の代わりとなるものではない」「係争の手段ではない」について確認することなど6項目の申し入れを行いました。改正医療法等で定めたセンターの業務を再確認するよう求めた内容です。6項目の中には、事故調査報告書が「係争の具として利用されることが明らかになった場合」、つまり報告書が民事訴訟などの資料として利用されることが分かった場合について、改正医療法が規定するセンターとしての作業(上記)を差し控えるよう求めています。

 9月27日の定例会見で今回の申し入れについて説明した有賀委員長は、「訴訟に発展することがおおむね明らかになった瞬間に、作業をフリーズしてほしい」と述べ、すでに調査が始まっていた場合についても作業は中断すべきとの見解を示しました。

目的外使用はやめてほしい

 医療事故調査制度は、医療事故が発生した医療機関で院内調査を実施し、その調査報告を第三者機関であるセンターが収集・分析することで再発防止を図り、医療安全を確保する制度として、改正医療法に位置づけられています。

 有賀委員長は、不幸にも起こってしまった事故を反省材料として医療安全や医療の質をよりよくすることが制度の基本ルールだとし、事故調査報告書が目的外使用されるようなことを医療安全調査機構はやるべきではないと説明しました。その上で「実際に訴訟に利用されることが明らかな場合があり、悩ましい問題だ」とも述べました。

 大学医学部や大学病院が制度の支援団体として、解剖や外部専門委員の派遣などを行っています。

 申し入れでは、「センターへの報告事例は法的に定義された医療事故であること」「調査の主体は病院などの管理者にあり、“中立性”などを理由に外部からの不要な干渉は許されないこと」―などの確認も求めました。

メドピア編集部
小野 博司 (おの ひろし)
MedPeer編集部 記者。1995年から健康・医療分野を中心に取材活動をしています。関心事は、これからの社会保障システムのあり方、医療安全、被災地の医療復興など。2014年12月よりメドピアに在籍。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49797.html
医療事故による死亡、院内調査で原因究明を- 日医が職業倫理指針を改訂
2016年10月13日 17時00分 CB News

 日本医師会(日医)は、会員向けの「医師の職業倫理指針」に、医療事故で患者が死亡した場合は院内で事故調査を行って原因を究明するよう求める内容などを新たに盛り込んだ。この倫理指針は、臨床現場で遭遇することが想定される具体的な事例を取り上げ、その対応方法などを示したもので、このほど8年ぶりに改訂された。【松村秀士】

 改訂版には、▽医療による死亡事故が発生した場合 ▽出生前に実施される遺伝学的検査・診断 ▽患者が虐待されていると疑われるケース―の対応方法などが追記された。

 医療によって死亡事故が発生した場合、担当医や病院などの管理者は遺族らに病理解剖を勧め、院内での事故調査によって原因究明すべきとした。また、臨床に携わる医師に対して医師賠償責任保険や医療施設賠償責任保険に加入するよう求めた。

 出生前に実施される遺伝学的検査・診断については、実施する医師はあらかじめ妊婦やその家族らにその特性や意義などを十分に説明する必要性を強調。さらに、事前に妊婦らに対して必要な情報提供や心理的な支援などをする「遺伝カウンセリング」を実施した上で、同意を得るよう求めた。

 遺伝カウンセリングに関しては、遺伝学的検査の普及とともに重要性が高まっていることから、すべての医師が基礎的な知識や技能を習得することが望ましいとした。

■虐待疑いの通報、「守秘義務は適用されず」

 患者への虐待が疑われるケースでは、医師は公的機関に積極的に通報する必要があると記載。また、医師が患者への虐待を疑って通報した場合でも、「守秘義務は適用されず、責任が問われることはない」とした。

 さらに、医療機関や介護施設などでは認知症の人や精神障害者、知的障害者らが身体拘束されるケースもあると指摘。患者や入所者に納得できない外傷やあざなどがあった場合、「医師はその原因調査と再発防止に協力すべき」との考えも示した。

 日医では近く、すべての会員に改訂版を配布する予定。



http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=561725004
島根ワイド : 公衆衛生医、島根県 研修地に認定 全国で初
'16/10/13 山陰中央新聞

 新しい専門医制度で、島根県が作った「公衆衛生医」の研修プログラムが、日本衛生学会や全国保健所長会など11学会・団体でつくる「社会医学系専門医協議会」の認定を受けた。

 2017年度から、初期研修を終えた医師が県内の保健所などで実務をこなしながら、必要な専門知識を習得することが可能となる。感染症対策や医療政策を担う公衆衛生医は、近年県が募集してもなり手がない状態といい、県は研修の受け入れを機に、人材確保につなげたい考えだ。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161013-00000140-jij-soci
病院検査でホルマリン誤投与=患者が告訴状―兵庫・姫路
時事通信 10月13日(木)20時23分配信

 内視鏡検査時に誤ってホルマリン液を投与され神経痛などの後遺症が出たとして、兵庫県姫路市の70代の男性が13日、業務上過失致傷容疑で製鉄記念広畑病院(姫路市)の男性医師に対する告訴状を県警網干署に提出した。

 同病院で誤投与された可能性のある人は男性を含め計56人いるという。

 告訴状によると、昨年7月22日、男性が同病院で受けた内視鏡検査で、担当の男性医師が本来は精製水を使うところ、誤ってホルマリン液計120ミリリットルを十二指腸に注入。男性は検査後、嘔吐(おうと)や下血などがあり治療を受けたが、今も全身に神経痛などの症状が残っているという。

 同病院の医療事故調査報告書などによると、男性への超音波内視鏡検査の際、誤って100のホルマリン液を使用。スタッフはマスクをしていたためホルマリン臭に気付かなかったとしている。同液は本来、手術室で使用される予定だったが、間違えて内視鏡センターに運び込まれていた。

 この男性を除く55人にも昨年7月、ホルマリンが少量付着した可能性がある内視鏡を検査で使用したが、健康被害はなかったとしている。 



https://www.m3.com/news/iryoishin/461155
「大病院のメリット、改めて実感」 - 村上智彦・ささえる医療研究所理事長に聞く◆Vol.4
専門医療、“中途半端な病院”は不要

2016年10月14日 (金) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――先生のお話をお聞きしていると、救急疾患で、時間を争う処置が必要な疾患に対応できる病院は、2次医療圏単位に必要であっても、急性白血病に代表される専門的な治療については、中途半端な病院は要らないように思います。

 急性白血病に限らず、もともとは一つの病気であっても、精神科や皮膚科、歯科による治療が必要だったり、リハビリなどもやらなければいけないことが多い。糖尿病も持っている場合にはその対応も必要。今回の入院を通じて、それぞれについて専門的に対応できる大病院のメリットを改めて感じました。中途半端な規模の病院を残そうとするから、「何ができるのか」となる。普通の生活習慣病の管理だったら、診療所で十分に対応可能。

 急性骨髄性白血病は、人口10万人のうち、年間5、6人は発症します。北海道なら、札幌に血液内科を集約するしかないでしょう。他の地域の病院で、血液内科医4、5人を揃えることは難しい。

 特に癌が典型ですが、専門的な医療こそ集約化するべきだと、まさに身を持って感じたわけ。「集約化すると不便になる」とか言うけれど、中途半端な病院で、中途半端な医療をやることの“被害”の方がすごく大きい。その代わりに、身近な地域でフォローができるよう、退院後のケアを充実させることが必要。

 同様に急性期で一刻を争う医療についても、一定の集約化は必要でしょう。本当に一刻を争うような疾患は、脳卒中、急性心筋梗塞、大動脈解離などに限られます。肺炎と言っても、急病ではあるけれど、そこまで時間を争わない。北海道は医師が少なく、例えば、循環器が不足している病院が3カ所あったら、それぞれに派遣してしまう。1人体制であれば結局、その先生は疲弊してしまう。そうではなく、1カ所に複数の医師を集めて24時間いつでも心臓カテーテル検査や治療をできる体制を作る方が重要。

 そもそも人口が減っている国で、従来の体制を維持しようとしていること自体、おかしい。理にかなっていない。皆、「高度成長病」。前にあったものがなくなると、「すごい損失」と思い込むけれど、人口が減少し、経済的に大変なら、集約しないとダメ。

――血液内科のように、医療の在り方が急速に進展している分野では、キャッチアップが必要であり、その意味でも集約化が必要。

 その通りです。ケアには、看護師はもちろん、薬剤師、栄養士、リハビリなどの各職種が必要で、充実したスタッフをそろえ、チーム医療を実践、向上する観点からも集約化が必要。北大病院のスタッフは、本当に良く勉強し、また情報も共有されていました。「チーム医療ができる」のが、総合病院の最低条件。

――医療機関へのアクセスと、そこで受けられる医療の質、どちらを重視するかということ。

 皆は「距離が近くなければ」と言うけれど、かかりつけ医が近くにいればいい。ドイツなどのように、かかりつけ医の紹介がなければ、専門病院を受診できないようにすればいい。その代わりに専門病院を受診したら、専門医もいて、集学的に診てもらえて、ケアが充実し、退院しても継続してケアを受けられるようにする。

 繰り返しますが、「専門的な医療ほど、ケアが必要」。それは退院後も継続して必要ということ。これは、「もっと地元の看護、介護を使ってくれ」という話。そうすれば、自分たちの子供や孫の雇用を生み出すことができます。「自分たちの子供たちの雇用を作る感覚で使ってくれ」と言いたい。それが嫌だといったら、誰もいなくなっても当然で、新たな産業を興すのかと問いたい。けれども、看護や介護は「高齢者がいる」というだけで需要が生まれる産業。人口減少地域で今まで通りに駅前開発しても、誰も戻ってこない。けれども、看護や介護で雇用が生まれれば、自分たちの孫たちが地元に帰ってきれくれる。そうした意識でやらないと。

 日本はとかく感情論で「病院がなくなるとかわいそうだ」となる。しかし、特に北海道は、(日本創成会議が2014年5月に発表した)消滅可能性都市が780を占めます。人口が減って消滅する都市が出てくる中で、多額の税金を投入して、病院を成り立たせることはできません。どうしても「病院がほしい」と言うなら、生協などを作り、皆がお金を出し合って運営すべき。

――医師不足に悩む自治体立病院に医師が赴任しても、住民、患者さんの対応に嫌気が差し、辞めてしまうケースもあります。

 住民たちは、「税金を出しているから、当然でしょう」と思い、権利意識が強くなる。だけど、そうしたところに来てくれる奇特な先生はいない。病院がなくなったのなら、諦めてもらう。その地域に住むなら、そうした不便も受け入れる。それが嫌なら都会に移り住んでもらえばいい。

 ちょっとやはり皆、頼りすぎかな。高度成長病。ごねれば、誰かが何かをやってくれる。北海道はそうした傾向が強い。実質公債費比率が300を超えていますから。要するに、払っている税金以上に公共サービスを受けているのです。



https://www.m3.com/news/general/467217
病院、学校を全面禁煙 違反者本人に罰則 厚労省の受動喫煙対策
2016年10月13日 (木) 共同通信社

 厚生労働省は12日、2020年東京五輪・パラリンピックに向け他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙防止策として、病院や学校を敷地内全面禁煙とする強化策の案をまとめたと明らかにした。飲食店は喫煙室の設置を認める。

 違反した場合、施設の管理者だけでなく喫煙者本人にも罰則を適用する方針。現状の努力義務よりも実効性を高めることを狙い、法制化を目指す。ただ関係省庁やたばこ業界などとの調整が必要で曲折もありそうだ。

 強化策では、スタジアムなどの運動施設や社会福祉施設、官公庁、大学の建物内を全面禁煙とする。

 飲食店やホテルなどのサービス業や一般の事務所では、喫煙室の設置を認めるが、建物内は原則禁煙とする。駅や空港ビル、バスターミナルも同様の原則禁煙とした。交通機関では、バスやタクシーは全面禁煙とするが、鉄道や船は喫煙室の設置を認める。

 喫煙室に必要な要件や罰則の内容は今後議論する。関係団体からのヒアリングを進め、内閣府に設置された「受動喫煙防止対策強化検討チーム」で合意を目指す。

 受動喫煙に関して、現状は健康増進法に基づき、多くの人が集まる公共の場での防止策を努力義務にとどめており、罰則はない。

 厚労省の専門家会合は8月末、受動喫煙が肺がんなどさまざまな病気のリスクを高めるとした「たばこ白書」をまとめた。世界保健機関(WHO)によると、公共の場を全面禁煙とする法律を施行している国は14年末に49カ国に上り、日本の防止策は「最低レベル」と判定されている。



https://www.m3.com/news/general/467308
敷地内薬局問題に意見集中 - 日薬・山本会長「抵抗していく」
2016年10月13日 (木) 薬事日報

 日本薬剤師会は8日、名古屋市内で第3回都道府県会長協議会を開いた。医療機関による敷地内薬局誘致の問題について意見が集中。会議に出席した都道府県薬剤師会長らは、こうした動きが全国に広がりつつある状況に危機感を示し、敷地内薬局阻止に向けた対策を強化するよう求めた。山本信夫会長は「あきらめずに、なお努力していく。医薬分業がなぜ必要かという本旨から外れないよう抵抗していく」と語った。

 会議では、佐賀県の佛坂浩会長が、「医薬分業の本質からすれば、敷地内薬局はおかしい」と指摘。日薬が9月27日に公表した見解では、厚生労働省が今年3月に発出した留意事項通知を厳格に適用し、少しでも独立性に疑問がある場合は指定しないことを強く求めているが、「敷地内薬局は認めないといった元の形に戻せないか」と訴えた。

 和歌山県の稲葉眞也会長は、いくら地域の医療協議会などで薬剤師会が反対しても、基準さえ満たしていれば敷地内薬局の保険指定が認められてしまうため、「なかなか難しい」と説明。「何とか、中央で押し戻す努力をしてもらいたい」と要望した。

 茨城県の根本清美会長は、県内の国立大学病院でも敷地内薬局を誘致する動きがあるとの「うわさが出ている」とし、民間病院ではなく、国の公的医療機関が経営上の観点から進めていることに対して、「これは由々しき問題。黙って見過ごせない」と憤った。

 山本氏は、「皆さんの気持ちと変わらない」ことを強調し、敷地内薬局を誘致しようとする医療機関が「国公立であるかどうかにかかわらず、あらゆる場面で反対していく」と述べた。

 長野県の日野寛明会長は、先月の理事会で敷地内薬局の開設に「断固として反対する」といった趣旨の決議文を採択したことを明らかにした上で、「各都道府県が、敷地内薬局に反対だということをしっかり意思表示し、行動することが大事」と強調。山形県の東海林徹会長は、国立大病院の薬剤部長会議や、日本病院薬剤師会などに対し、「日薬としての主張を明確に文書で示すべきでは」と主張した。

 山本氏は、長野県薬で決議文を採択したことを評価した上で、日薬としても「決議文を作るかどうか、考えたい」と述べた。

 会議では、敷地内薬局について、「医療保険上、院内調剤所と同じ条件にすべきという提案はできないのか」といった意見も出た。



http://www.nagasaki-np.co.jp/f24/CO20161014/he2016101401000009.shtml
「診療拒否は違法」と提訴 中国で腎移植の男性
10月14日 長崎新聞

 「海外で臓器移植した患者は受け入れない」との内規に基づき浜松医大病院(浜松市)が診療を拒んだのは、正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反するとして、中国で腎移植を受けた静岡県掛川市の男性(66)が、大学に慰謝料など約190万円を求める訴えを静岡地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 医療関係者によると、海外で移植を受ける患者は年間数十人に上り同様の診療拒否も相次ぐが、訴訟に至ったのは初とみられる。各地での拒否の背景には「こうした患者を診療すると罰せられる」との誤解が一部にあると指摘する専門家もいる。



http://this.kiji.is/159245566191289851?c=110564226228225532
大学の研究費、百万円未満が8割 文科省アンケート
2016/10/13 19:24 共同通信

 文部科学省は13日、大学から支給される研究費が、年100万円に満たない研究者が約8割だったとするアンケート結果を発表した。10年前と比べ「個人研究費が減っている」との回答も約4割あり、研究資金の確保の難しさが示された。

 ノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典東京工業大栄誉教授が「浮かれている状態ではない」と懸念する日本の研究環境の実態が浮かび上がった。

 アンケートは国公立大や私立大などで研究する約1万人が対象で、文系理系を合わせ約3600人が回答した。大学から配分される使途の自由な研究費が年50万円未満と答えた人が約6割いた。


G3註:アンケート結果(文部科学省)
学術研究の持続的発展のために(談話)―平成28年度科学研究費助成事業の配分の公表に当たって― (PDF:1084KB)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/__icsFiles/afieldfile/2016/10/13/1377914_02.pdf
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https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-1013m040025/
ノーベル賞:基礎研究の充実を…大隅さん、自民本部で講演
2016年10月12日 19時26分 毎日新聞

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)が12日、自民党本部で講演した。国立大の運営費交付金が減り、政府の助成対象として産業や医療への応用研究が重視されている現状について「とても危惧している」と指摘。「技術のためではなく、知的好奇心で研究を進められる大事な芽を大学に残してほしい」と、基礎研究の充実を訴えた。

 同党の会合には鶴保庸介科学技術担当相や馳浩前文部科学相らが出席。大隅さんは受賞テーマとなった細胞のオートファジー(自食作用)について解説し、「知的好奇心から研究を続けられる幸せな時代を生きてきた」と振り返った。

 その上で、「日本の研究環境は劣化している。多くのノーベル賞受賞者が『このままでは10年、20年後に日本人受賞者は出なくなる』と言っているが同感だ」と述べた。「研究費助成を受けるにも出口(成果)が求められ、若い研究者はすぐ先に見える成果を追いがちだ。しかし、解けるかどうか分からない問題にチャレンジすることこそが科学。彼らが育っていく社会を実現したい」と訴えた。【阿部周一】


  1. 2016/10/14(金) 06:11:54|
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10月12日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/455786?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042033&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 島根大“事故調”事件を検証
裁判で「事故調報告書」を否定◆Vol.4
患者側、大学の「不誠実な対応」を問題視

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「2008年2月6日付書面で、被告病院に対して、損害賠償金を請求した。被告病院は、平成20年3月28日付書面において、原告ら代理人と被告病院の顧問弁護士の話し合いをしたいと述べるものの、その後も、具体的提案はなかった。(中略)これに対して、被告病院代理人は、民事調停を提案したのみであった。原告らとしては、被告病院が過失を認めていると受け止めていたことから、当初、訴訟提起までは及ばなくても示談等による早期解決ができることを望んでいたが、被告病院の回答には具体性もなく、誠意が感じられないことから、やむを得ず、今回の訴訟提起に至った」

 患者側が松江地裁に提訴したのは、2009年7月24日。その訴状には、提訴に至った理由がこう記されており、提訴に至る前に示談交渉が行われたものの、それが決裂したことが分かる。

 その後、弁論準備手続きや口頭弁論(判決言い渡しを含めて6回)を経て、松江地裁が判決を言い渡したのは、2014年2月24日。原告である患者側の請求は棄却された。

 裁判を通じて、島根大側が証拠として提出したのは、2007年1月5日に病院長に提出された「特殊事例検討委員会」の報告書、2007年8月9日作成の「医療事故調査報告書」のほか、カルテ、手術記録、分娩監視装置記録などの諸記録、『産婦人科診療ガイドライン2008』などの医学参考資料など。

 一方、原告である患者側も、陳述書や分娩事故の裁判例、日本母性保護産婦人科医会が作成した吸引分娩関係資料のほか、2007年8月30日に大学が記者会見した際の新聞記事なども提出している。

 関係者への尋問は、2011年9月12日に1回だけ行われた。出席したのは、元島根大学産婦人科教授の宮崎康二氏と主治医の産婦人科医で、当日の分娩に関わった医師らが「陳述書」を提出している。一方、原告側からは出産した患者本人が出席。

 原告敗訴の判決を不服として、患者側は2014年3月10日に控訴。しかし、2015年6月17日の広島高裁松江支部の判決でも、内容に多少の違いはあるものの、原告の請求棄却は変わらなかった。

島根大、報告書と食い違う主張展開
 「医療事故調査委員会」には、学外の2人の産婦人科医が関わっている。一方、松江地裁での一審で、鑑定書を書いたのは、この2人とは別の産婦人科医だ。2009年7月24日の提訴から、2014年2月24日の一審判決まで、4年7カ月もかかったのは、鑑定をめぐり時間がかかったことが一因と見られる。原告から鑑定申出書が提出されたのは、2011年10月20日。鑑定申出を採用する決定をしたのは、2012年2月6日。鑑定人を決定したのは9月10日。鑑定書が作成されたのは、2012年12月28日だ。その後もしばらく、鑑定書に対して、追加意見、補足説明を求めるやり取りが続いた。

 「医療事故調査委員会」の報告書と、松江地裁判決と広島高裁判決は、島根大側の過失を認めたか否かで大きく異なる。その相違が生じたのは、調査委員会と鑑定に関わった産婦人科医の間で、医学的見解に相違があったことのほか、島根大側が裁判になり、報告書とは違う主張をしたことが挙げられる。

 それが端的に表れたのが、鑑定依頼をする際、鑑定人に対し、特殊事例検討委員会報告書と医療事故調査委員会報告書(以下、「事故報告書」)を渡すかどうかで、島根大側と原告との間で意見が食い違った場面。2012年7月に以下のようなやり取りがあった(文書の内容を抜粋)。

特殊事例検討委員会報告と医療事故調査委員会報告をめぐるやり取り

2012年7月18日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容は、原告および被告の本件訴訟における主張ではない上、本件の各証拠とも符合しない。このような資料を鑑定人に送付すれば、鑑定人に無用の誤解を与え、混乱を招来しかねないことは明らかというべきである。

2012年7月26日:患者側(原告)
 本件においては、本来、事実経過を確認する上で参照すべき客観的資料であるはずのカルテ、パルトグラムについて、これを作成した被告自身が、その記載内容、時間等の客観性を否定している。本件は、そもそも医療機関である被告の主張と、被告の医師が作成したパルトグラム、カルテとの証拠が符合しておらず、その記載内容から、直ちに事実経過、診療内容が明白になるとは言えない特殊なケースなのである。
 他方、「事故報告書」は、(緊急帝王切開手術が行われた)9月7日からあまり日を置かない関係者の記憶の鮮明な時期に、第三者の専門的医師と院内の責任者らも加わって、直接の当事者や関係者である医師らに対して行われた事情聴取に基づき、診療の経過等について確認、整理したものであって、事実経過を確認する上で、極めて信頼性が高い客観的資料である。
 なお、被告が「事故報告書」作成に際しての事情聴取に不満を持ち、その内容が不当であると主張していることについては、被告の主張や宮崎教授の証言にも強く触れられていることから、鑑定人はそのことを知り得るし、被告の懸念を払拭するために、資料送付に当たって、「事故報告書」で整理された事実関係について、被告が争っていることを念のため付記されれば済むことである。

2012年7月27日:島根大学(被告)
 「事故報告書」の内容に問題があることは、被告において主張し、立証したところであるが、この資料をこの資料をそのまま鑑定資料として作成すれば、事情をよく知らない鑑定人は、これが大学によりオーソライズされた結果と誤解し、この事実を前提に鑑定意見を出す恐れがある。仮に鑑定資料とするのであれば、これまでの原告、被告の主張の状況を明確にするために、全ての主張書面(訴状、答弁書、準備書面)を鑑定資料とすることが必要である。また「鑑定事項の説明」の中で、どのような事実を前提とし鑑定意見を出したのかを明確にするよう求めるべきである。

 また患者側は、「医療事故調査委員会」の委員だった産婦人科医を証人として請求したが、採用されなかった。島根大が、「本人尋問が十分に行われないまま作成されたのであり、証人の尋問により、具体的な事実が明らかになるわけではない」と反対していた。

 前述の通り、松江地裁判決を不服として患者側は控訴。その「控訴理由書」には、(1)大学側の意見の変遷、(2)原告提出の書類を検討していない――などを記し、大学と裁判所の双方を問題視している。これに対し、島根大側は、「大学側は控訴時、期日の変更、取消期日を含めると20回以上、判決言い渡しまで4年7カ月かかっており、議論は十分に尽くされており、新たな主張は控訴状でも出されていない」との答弁書を提出。

患者側、事故調の議事録提出も申立
 二審の裁判は、2015年4月20日に結審している。しかし、その直前の4月16日、患者側は、特殊事例検討委員会と医療事故調査委員会の信用性を確認するために、「文書提出命令申立書」を広島高等裁判所松江支部宛てに提出している(『島根大“事故調”、患者と医師の悲劇』を参照)。

 「被控訴病院の医師らは、検討会において十分な説明の機会を与えられ、検討会および委員会は医師らの説明も踏まえた上で事実を認定し、検討・判断したものであり、各報告書は作成経緯および内容においていずれも信用に値するものである」との理由から、(1)特殊事例検討委員会議事録(2006年11月20日開催)、(2)医師や看護師から事実確認のために聴取した際の録音テープまたはその反訳、(3)検討会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書、(4)2007年2月5日、5月21日開催の医療事故調査委員会議事録、(5)委員会における聴取のための録音テープまたはその反訳、(6)委員会に提出された関係者が作成した、陳述書あるいは報告書――などの提出を求めた。

 さらに結審後の5月25日にも、私的鑑定書を用意する準備があることから、弁論再開申立説明書を提出している。その理由として、事故の医学的検証の必要性のほか、「医療事故調査委員会の判断に従い、訴訟提起前には過失も因果関係も認めていた被控訴人が、訴訟提起後には一転それを全て否定するという極めて特異な事件であり、過失・因果関係にかかわる事実の認定は、決して訴訟における被控訴人の主張・立証のみに依拠することはできず、より客観的・公平な観点から慎重に審査されるべき事案である」という点を記載。しかし、再開は認められず、2015年6月17日に広島高裁判決が言い渡されている。

 その後、患者側は2015年6月30日に上告受理申立、同年8月21日に上告理由を提出。「公平な立場で鑑定を引き受けてくれる協力医は、見付けることが難しい。ようやく見付けることができた」と訴え、「訴訟提起前、病院は、医師らの過失を、事実上認めていた」と指摘。さらに「申立人(患者側)からみると、被上告人が一転して、何ら理由の説明がなく、態度を豹変させたことによって、長年にわたる訴訟の遂行を余議なくされ、一審敗訴後は、過去の医療費の請求まで受けるに至っており、相手方病院のあまりにも不誠実な態度により裏切られた思いと強い憤りを感じている」と、大学側の「不誠実な対応」を問題視している。

 上告理由では、裁判所に対しても、「1、2審の裁判所は、本件分娩時に作成された診療録やパルトグラムの信用性、さらには被上告人の設置した医療事故調査委員会の報告書の信用性まで否定する一方、被上告人の医師らが本件訴訟段階になって作成した陳述書や証人尋問での供述を重視して事実認定を行った。そして、その結果、当然のことであるが、医師らの過失や因果関係等もまた否定される結果となった」などと批判の目を向けている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466665?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042035&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”スタート1年、報告件数は388件
当初想定の2~3割、遺族のセンター調査依頼増加し6件

2016年10月11日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療安全調査機構は10月11日、9月1カ月間の実績を公表、同機構が運営する医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告件数は32件、2015年10月の医療事故調査制度の開始以来の合計は388件で、当初の想定を大幅に下回ることが分かった(資料は、同機構のホームページ)。

 制度開始前、報告件数は「年1300~2000件」との推計もあったが、その2~3割にとどまった。厚労省は今年5月の時点で、本制度の医療事故の定義に基づく推計ではないことなどを、推計と実際の報告数に開きがある理由として挙げていた(『“事故調”開始から7カ月、「光と影」』を参照)。

 同機構は毎月、実績を公表しているが、ここ数カ月の特徴は、センター調査依頼件数が増加傾向にある点だ。今年6月までは計4件だったが、7月5件、8月1件で、9月は6件に上り、制度開始から1年で計16件。9月の6件はいずれも遺族からの依頼だ。センター調査は、医療機関が医療事故としてセンターに報告した医療事故について、医療機関と遺族のいずれからも依頼が可能。センター調査の進捗は、院内調査結果報告書の検証中が12件、院内調査結果報告書の検証準備作業中が1件、医療機関における院内調査の終了待ちが3件という内訳だ。

 外科、内科、消化器科・整形外科が上位
 制度開始からの1年間を総括すると、388件の内訳は、病院362件、診療所26件。診療科別で最も多いのは、外科で69件、内科56件、消化器科と整形外科が34件、循環器内科25件、産婦人科22件などと続く。

 医療事故調査制度では、医療機関は、センターに報告した医療事故を調査し、その結果をセンターに報告することが求められる。388件中、調査を終え、報告されたのは161件。

 センターへの相談件数は1820件。内容による集計(1件で複数の相談あり)は2098件で、最も多かったのは、センターに報告すべき医療事故か否かの判断についての相談で753件(制度開始前の事例や生存事例に関する相談を含む)、報告の手続きに関する相談514件、院内調査の相談518件など。



https://www.m3.com/news/general/466902?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD161012&dcf_doctor=true&mc.l=183042038&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医療事故 届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開
2016年10月12日 (水) 毎日新聞社

 医療死亡事故の第三者機関への報告を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度で、日本医師会(日医)を中心にした関係機関の協議会が年内に発足し、届け出の統一基準作りを始めることが分かった。10月で制度開始から1年になるが、届け出は地域や病院間でばらつきがあり、当初見通しの3分の1以下と低迷している。日医は積極的で迅速な報告を医療機関に促す考えを示しており、統一基準が届け出拡大の後押しになると期待される。

 第三者機関「日本医療安全調査機構」が11日公表した9月末までの届け出件数は388件で、開始前に想定していた年間1300~2000件を大きく下回った。医療法が対象を「医療に起因した予期せぬ死亡」としか定めておらず、施設側が事故として扱うことに及び腰になっているのが一因とみられる。

 届け出が必要かどうかを医療機関に助言する支援団体は全国に約860あるが、解釈には差がある。例えば日医は、今年6月にまとめた手引で心臓手術中に急性循環不全で死亡した事故の調査例を示したが、約1000法人が加入する「日本医療法人協会」はガイドラインで、薬剤取り違えなどの単純過誤は報告対象外だとしている。

 ばらつきを是正するため、厚生労働省は6月に同法施行規則を改正。中央と各都道府県に支援団体などで作る協議会を設け、届け出や調査方法の統一的な基準を話し合うことにした。各地には既に医師会や看護協会、大学病院などで構成する協議会ができ、青森、福岡などでは医療機関からの相談窓口を医師会に一元化することが決まった。

 中央の協議会も、個人の責任追及を目的としない現行制度の導入を主導してきた日医が調整役になり、主要な医療関連団体が参加する見通し。日医の手引は「遺族が疑義を挟まなかったことを理由に届け出をためらうと、医療安全体制強化の機会を失いかねない」としており、今村定臣常任理事は「対象かどうか迷う場合には、届け出るのが望ましい」と話す。【熊谷豪】

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 ■解説

 ◇患者らの信頼獲得へ 調査積み重ね不可欠

 医療事故調査制度は、鉄道や航空機の事故を調べる運輸安全委員会と異なり、事故が起きた医療機関が自ら調査主体となり、事故報告書は警察にも提出されない。この点で、専門性を持つ医療界の自律性を重んじた制度と言える。

 届け出の低迷を受け、日本医師会などによる統一基準作りが今後本格化するが、最終判断は医療機関がすることに変わりはなく、不届けに対する罰則もない。これに甘んじ、遺族側とのトラブルを避けようと届け出を怠れば、遺族は結局、警察の捜査や裁判に真相解明を頼るしかない。

 この制度ができた背景には、患者が点滴ミスで死亡した東京都立広尾病院事件(1999年)などで医師らの逮捕・起訴が相次いだことによる医療界の危機感の高まりがある。

 患者や遺族に信頼される制度にするには、医療機関が積極的に事故を届け出て、真摯(しんし)な原因調査を積み重ねていく必要がある。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466983
シリーズ: 社会保障審議会
入院患者の光熱水費負担拡大、賛否分かれる
医療保険部会、「金融資産等の保有状況考慮した負担」は反対

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は10月12日、療養病床の65歳以上の入院患者の光熱水費負担額を1日320円から370円に引き上げるほか、現在徴収していない65歳未満の入院患者から徴収するなど、入院時の光熱水費に関する患者負担の見直しについて議論したが、賛否は分かれ、結論を出すには至らなかった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 一方、介護保険の「補足給付」と同様の考え方で、医療保険でも「金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担」を導入する是非について議論したが、医療者や患者の立場だけでなく、保険者の立場の委員からも「時期早尚」との声が相次ぎ、慎重な検討を求める意見が大勢だった。

 入院時の光熱水費に関する患者負担と、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担についての検討は、2015年6月の「骨太の方針2015」で、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」の観点から提言された。2016年末までに結論を得て、法改正が必要な見直しを行う場合は、2017年の通常国会に法案提出する予定になっており、引き続き社保審医療保険部会で検討する。

「療養病床、全患者から光熱水費徴収」と提案
 医療保険においては現在、「療養病床に入院」「65歳以上」「医療区分1に該当」(医療区分1-3のうち、医療の必要性が一番低い区分)のいずれも満たす場合に、光熱水費として1日320円を徴収している。2006年度に、介護保険との整合性および年金給付との調整を図る観点などから、導入された。

 今回は、光熱水費の負担を求める対象を拡大するかが論点。具体的には、(1)療養病床の65歳以上の入院患者の負担額を、320円から370円に引き上げ(介護保険では2015年4月から370円)のほか、(2)療養病床の医療区分2と3の入院患者、(3)療養病床の65歳未満の入院患者、(4)一般病床や精神病床等の入院患者――について、新たに光熱水費の負担を求めるか否かが論点。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、(1)については、介護保険と揃える観点から支持。(2)と(3)についても、在宅療養との整合性なども踏まえ、「年齢区分なく、療養病床の入院患者については全て光熱水費を求めるべき」と述べた。(4)の一般病床の入院患者については、短期で退院する患者と長期入院する患者に分かれることから、「一定期間、例えば、90日を超える人には負担を求めるという考え方がある」とし、精神病床については、「療養病床と同様に負担を求めるべきではないか」と提案した。日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏、全国健康保険協会理事長の小林剛氏などが、白川氏の意見を支持。

医療者など光熱水費負担の対象拡大に反対
 一方、「いずれも慎重な検討が必要ではないか」と述べたのは、連合副事務局長の新谷信幸氏。2006年に「医療区分1」について光熱水費負担が導入された際、「病院での食事・居住サービスは、入院している患者の病状に応じ、医学的管理の下に保障する必要がある」との議論がなされた点を踏まえ、医療区分2と3の入院患者について負担を求めることや、年金支給対象外である年齢層については、「年金給付との調整」は不要であることから、(2)や(3)の導入には反対、(4)についても、一般病床と精神病床には、「住まい」としての機能がないことから導入には異議を唱えた。

 さらに新谷氏は、厚労省が、一般病床等については、「入院期間が長期化しているケースや入院医療の必要性の低いケースもあり、これらの点も含め、どう考えるか」との論点を提示したのに対し、「光熱水費負担と長期入院の問題は、分けて議論すべき」と指摘した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏、日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏らも、基本的には新谷氏と同意見だった。

「2018年度以降の療養病床」の議論踏まえる必要
 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、介護療養病床が2018年3月末で設置期限を迎えるため、社保審の「療養病床の在り方等に関する特別部会」で、療養病床全体について、今後の在り方に関する議論が進められていることから、「今の段階で議論すべきではなく、2018年度以降の形が見えてから、もう一度検討してはどうか」などと提案。必ずしも患者像と合致していないことから、療養病床の医療区分に応じて光熱水費負担の有無を決めることも問題視した。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏は、320円から370円への負担増について、「低所得者の配慮は必要だが、財政運営上、必要であるなら、制度の持続可能性を考える意味で、検討する必要がある」と述べ、仮に負担増を図る場合には、「十分な広報が必要」と求めた。

 そのほか、「利用負担の公平性や、医療保険と介護保険の整合性を図っていくことは必要だが、医療と介護の性格は違う。医療は予見性がなく、治療の必要性についての患者の自己決定性は低い。光熱水費負担を求めるか否かは慎重な議論が必要」(法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏)、「施設から施設に移った場合に、(負担額に大きな差を生じさせず)利用者がスムーズに受け入れられるようにしてもらいたい」(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏)などの意見が出た。

「医療保険」と「金融資産」、なじまず
 金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担は、介護保険で導入されている。施設入所等に係る費用のうち、食費と居住費は本人の自己負担が原則だが、低所得者については、預貯金なども含め、資産を把握し、「補足給付」を支給し、負担を軽減している。同様の考え方で、医療保険でも低所得者への負担軽減の際に、金融資産等の保有状況を考慮に入れた仕組みを導入するか否かが論点。

 ただし、現状では金融資産等を把握するためには、自己申告をベースとせざるを得ない。マイナンバー法等の改正により、2018年度から、銀行等の預金者は、銀行等にマイナンバーを告知することが求められるが、法律上の告知義務は課されないからだ。

 白川氏は、低所得者への配慮がある高額療養費制度のほか、保険料に、金融資産等の保有状況という考え方を入れることは、金融資産を100%把握することができない現実や、把握するための事務手続きのコストに見合う効果が得られないと想定されることから、「慎重に検討すべき」とコメント。「医療保険に、金融資産等の保有状況という考え方を入れるかどうかが本質的な問題だが、私は慎重に考えるべきであると思う。日本ではそこまで議論が深まっているわけではない。今後、審議会等で議論して方向性を決めるべきであり、今の段階では、時期早尚」とも指摘した。

 新谷氏や松原氏も同様の意見。東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏も、「社会保険である医療保険において、金融資産の多寡で給付が決まるという考え方を入れることには、原理的な疑問がある」と指摘した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/1012504949/
65歳以上の入院居住費、1日370円に...厚労省が値上げ案〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.10.12 13:10(2016年10月12日 読売新聞)

 厚生労働省は、入院患者が負担する光熱費と水道代にあたる居住費を値上げする検討に入った。

 公的医療保険の給付を抑える狙いがある。療養病床を利用する65歳以上を対象に、現行の1日320円から370円への引き上げを12日に開かれる社会保障審議会の医療保険部会に提案する。

 長期療養のための療養病床は住まいの機能を持つとして、入院患者に居住費の負担を求めている。介護施設である老人保健施設の相部屋では1日370円と設定されており、厚労省は、それに近い機能を持つ療養病床も同等に見直す必要があると判断した。

 同部会では、現行で居住費の対象外としている65歳未満や比較的軽症の患者に負担を求めるかも議論する。

 入院患者の自己負担を巡っては、1食分の食事代を15年度までの原則260円から、16年度と18年度に100円ずつ上げることが決まっている。



https://www.m3.com/news/general/466874
月刊誌側が争う姿勢 信州大教授の名誉毀損訴訟
2016年10月12日 (水) 共同通信社

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種を受けた女性が体調不良を訴えた問題の厚生労働省研究班代表を務める池田修一(いけだ・しゅういち)信州大教授が、研究を捏造(ねつぞう)と決めつけた記事で名誉を傷つけられたとして、月刊誌「Wedge」の発行元(東京)に損害賠償と謝罪広告掲載を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11日、東京地裁であり、Wedge側は請求棄却を求めた。

 訴状などによると、池田教授の研究班は3月、マウスに同ワクチンを接種すると、異常な抗体が作られたと発表。これについてWedge 7月号は「崩れる根拠、暴かれた捏造」と題した記事で、池田教授が研究者から受け取ったマウスの顕微鏡写真のうち、都合のいい写真だけを選んで実験結果を出したと報じた。

 池田教授は信州大の副学長と医学部長を務めていたが、提訴後にいずれも退任。Wedgeの記事を受け、信州大は不正がなかったか調査を進めている。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161012/k10010727401000.html
産科医1人当たりの出産件数 最大で2.7倍の格差
10月12日 19時25分 NHK

産科の医師1人が1年間に担う出産の件数を各都道府県ごとに調べたところ、東京や大阪に隣接する埼玉、千葉、兵庫などで医師の負担が重く、負担の少ない県と比べて最大で2.7倍の格差のあることが、日本産婦人科医会の調査でわかりました。医会では「妊婦の多い大都市近郊で、産科医が不足している実態が明らかになった。医師の適切な配置など対策を取ってほしい」と話しています。

日本産婦人科医会は、ことし1月時点の全国の産科の医師の数と去年1年間の出産件数を基に、産科の医師1人が担う出産件数を都道府県ごとに調べました。

その結果、産科医1人当たりの出産件数が最も多かったのは埼玉県で、年間182件に上り、最も少なかった山形県の68件の2.7倍になっていました。次いで多かったのは佐賀県で164件、続いて千葉県が161件、兵庫県と沖縄県が149件、広島県が147件などとなっていて、大都市の東京や大阪に隣接する県で医師の負担が大きい実態がわかったとしています。

また、全国の産科医の数は、平成21年の7290人から毎年増え続け、去年は8264人となっていましたが、ことしは8244人と初めて減少に転じたこともわかりました。これは、ことし産婦人科医を目指す若い医師の数が364人と少なく、退職する産科医も多かったことが原因だということで、日本産婦人科医会では、平成22年度から産婦人科が臨床研修の必修科目から外れたことも影響しているとしています。

調査を行った日本産婦人科医会の中井章人日本医科大学教授は「産科医療は全国的にも厳しい状態が続き、地方の自治体で出産できる病院が少ないことなどが問題になっているが、一方で、埼玉や千葉など大都市近郊では、地方に比べ妊婦の割合が多く、産科医が不足している実態が明らかになった」と話しています。このうち埼玉県では、おととしから県内で受け入れができない場合、東京都と連携して都内に搬送する対応を取っていますが、中井教授は「出産は緊急の場合があり、妊婦や赤ちゃんの命に関わる。広域搬送は本来のあるべき姿ではない。負担が重い状態が慢性化すれば、提供できる医療が不安定になる可能性があり、安全なお産のためには、産科医全体の数を増やし、適切に配置する対策を取るなどしてほしい」と話しています。



http://www.sankei.com/life/news/161012/lif1610120033-n1.html
産科医が7年ぶり減少 都市近郊で医師の負担大きく 人材確保が急務
2016.10.12 23:21 産経ニュース

 開業医らでつくる日本産婦人科医会は12日、1月時点の産婦人科の医師の数は前年同期比22人減の1万1461人と、7年ぶりに減少に転じ、埼玉や千葉、兵庫など、大都市近郊で医師の負担が大きくなっているとの調査結果を発表した。今後も大幅な増加は見込めないといい、同医会は人材確保と適切な配置が急務の課題だと訴えている。

 医会によると、産婦人科医は2009年に1万79人まで減った後、労働環境改善などによって増加していた。しかし、新たに産婦人科医になる人より退職者が多く減少に転じた。

 産婦人科が研修医の必修科目から選択科目に変わり、12年以降は新たに産婦人科を専攻する医師が減少していることが背景にあるという。

 出産を扱う産科・産婦人科の医師は、他の診療科と比べて当直や呼び出しが多く激務であることや、患者側から訴えられる「訴訟リスク」も敬遠される一因とされる。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1012/mai_161012_5777179615.html
<産婦人科医>7年ぶり減…「勤務厳しい」新人希望せず
毎日新聞10月12日(水)21時19分

画像:産婦人科医師数の推移
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 日本産婦人科医会は12日、今年1月時点の産婦人科の医師数は1万1461人と昨年より22人少なかったと発表した。前年よりも医師数が減るのは2009年以来。同医会は、産婦人科を希望する新人医師が減っていることなどが要因と分析している。

 同医会は毎年1月、産婦人科のある病院や診療所の全施設を対象に、常勤の医師数を調査している。09年(1万79人)以降は緩やかな増加傾向にあった。このうち、お産を扱う施設の医師数は8244人で、昨年より20人減った。

 同医会によると、産婦人科に入った新人医師数はピーク時の11年に450人だったが、昨年4月は364人まで減った。これを退職者が上回り、全体の医師数が減少することになった。都道府県別では、ここ10年で医師数が減っているのは、山形 ▽福島 ▽埼玉 ▽千葉 ▽新潟 ▽石川 ▽岐阜 ▽和歌山 ▽鳥取 ▽島根 ▽広島 ▽香川 ▽愛媛 ▽熊本 ▽宮崎−−の15県だった。

 同医会は新人医師が減っている理由について、10年度に見直された医師の臨床研修制度で、産婦人科が必修科目から選択科目の一つになったことが影響しているとみている。09年に医学部定数が大幅増員されたが、その影響が現れるのは来年以降になるという。

 同医会常務理事の中井章人・日本医科大教授は「産婦人科は勤務状況が厳しいという印象が先行し、現場を見ないままでは産婦人科を選びにくいのではないか」と話す。【下桐実雅子】



https://www.m3.com/news/iryoishin/466996
シリーズ: 社会保障審議会
「不正請求が横行」、柔道整復療養費を問題視
医療保険部会、療養費の抜本的改革求める

2016年10月12日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「不正請求が多発、横行している。これは最近のことではなく、昔から山ほどある。柔道整復療養費の在り方を根本的に見直す必要がある。さもなければ、国民の保険診療に対する信頼を相当損なう」

 10月12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の席上、語気を務めて問題視したのは、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏だ。

 白川氏は、「今までの厚生労働省の療養費についての基本的な考え方が、違っていたのではないか」と指摘。保険医療機関や保険薬局については、診療報酬や調剤報酬の施設基準や算定基準が厳格に設定され、レセプト審査も行われている。これに対し、柔道整復療養費については、「施設基準はなく、請求書の様式もバラバラ。各都道府県の柔整審査会は、請求書の4分の1か、5分の1くらいしか審査していない。目で見て審査していることもあり、不正請求が多発している」(白川氏)。

 社保審医療保険部会の下に設置された、「柔道整復療養費専門委員会」は9月23日、「議論の整理」を取りまとめた。12日の同部会に資料として提出されたことが、白川氏の発言の発端だ。

 「柔道整復療養費専門委員会」の座長も務める遠藤部会長は、まだ「議論の整理」の段階であることから、白川氏らの意見も踏まえ、「今後検討する」と引き取った。

柔道整復療養費、医療費の約1%
 「議論の整理」は、不正請求が問題視されていることを受けた、2016年3月以降の「柔道整復療養費専門委員会」の議論をまとめたものだ(資料は、厚労省のホームページ)。

 白川氏は、「議論の整理」内容以前の問題として、「根本的なところを見直してもらいたい」と述べ、冒頭の発言を続けた。他の委員からも、柔道整復療養費に加え、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費について、問題視する声が相次いだ。

 2013年度の場合、柔道整復療養費は、国民医療費約40兆円の約1%に当たる約4000億円。日本医師会副会長の松原謙二氏は、この点を踏まえ、「約4000億円が適切に使われているかどうかは、国の責任でもある。一生懸命に仕事をしている柔道整復師も同じような目で見られる。どこが問題かを抜本的に検証し、不正を正すべき」と白川氏の意見を支持。

 全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、「悪質な不正請求事案があり、保険者としてもその対応は喫緊の課題」と指摘。「保険者が不正請求を把握した場合、地方厚生局に対して、情報提供し、指導・監査を依頼するしかないが、迅速かつ十分な指導・監査が行われている状況ではない」と問題視した。「議論の整理」では、地方厚生局における積極的な指導・監査につなげるために「人員体制の強化」を求めている。「理念として掲げるのではなく、実効性がある形で進めてもらいたい」(小林氏)。

 全国後期高齢者医療広域連合協議会会長で、多久市長の横尾俊彦氏も、広域連合でも問題になっていると指摘し、「指導・監査の体制強化は、趣旨としては正しいが、地方厚生局長が腹を決めて、『やるなら、やる』というディレクションを示すことが必要」と述べ、対応を求めた。

 そのほか「明細書を無料発行すれば、患者の段階で不正防止につながる」(連合副事務局長の新谷信幸氏)などの声が上がった。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49784.html
国立大病院、黒字転換も設備投資額減る傾向- 15年度決算
2016年10月12日 16時00分 CB News

 国立大学附属病院長会議はこのほど、2015年度の国立大病院の決算概要を公表した。回答した44病院の合計の収支差額は約24億円の黒字となり、約71億円の赤字だった14年度に比べて約95億円の収支改善が図られた。一方、14年度の診療報酬改定の影響などによって診療機器の取得額は減少傾向にあり、十分な設備投資が難しい状況が浮き彫りになった。【松村秀士】

 44病院の15年度決算は、平均在院日数の短縮が進んだことに伴う診療単価の増加などにより病院収入が約1兆216億円(前年度比4.4%増)、運営費交付金は約1114億円(同4.0%減)などとなり、総収入は約1兆1529億円(同3.8%増)だった。

 一方、人件費は研修医や看護職員の増加などによって約4268億円(同3.3%増)、医薬品や診療材料などの医療費は約4190億円(同5.6%増)などとなり、総支出は約1兆1505億円(同2.9%増)で、収支差額は約24億円の黒字だった。

 ただ、14年度の診療報酬改定や消費税率8%への引き上げの影響などに伴い、各病院では設備投資費が減少しているのが現状だ。15年度の診療機器の取得などに掛かった費用は14年度に比べて9.1%減の441億円となり、13年度の658億円をピークに連続して減少した。

■「大学病院の使命果たせなくなる」―山本氏

 7日に開かれたプレスセミナーで、同会議の山本修一・常置委員長(千葉大医学部附属病院長)は、「各病院は必要な診療機器の更新を先送りしているのが現状で、このような状況が続くと、高度医療という大学病院の重要な使命が果たせなくなる」と危機感をあらわにした。


  1. 2016/10/13(木) 05:30:03|
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10月11日 

https://www.m3.com/news/general/466511
遺族交えた事故調査を 「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」代表の永井裕之さん(75) 「検証―医療事故調査制度1年」
2016年10月11日 (火) 共同通信社

 事故の原因を究明し、同じ事故を起こさないための再発防止をする。その情報を共有することで日本の医療の質や安全性を高める。医療事故調査制度が始まって1年になるが、この本来の目的が、まだ医療界全体のコンセンサスになっていないと感じる。全ての医療者が「不幸な事故から学ぶ」という姿勢を持つことが制度定着の鍵になる。

 現状で「少ない」とされる第三者機関への届け出件数は、今後増えていくと思う。ただ医療安全に対するこれまでの取り組みの差によって、医療機関ごとの届け出にものすごくばらつきが出るだろう。「死亡を予期していたので調査はしないと言われた」「主治医は事故として調べた方がいいと言ったが、院長の反対で調査されなかった」。遺族からこうした相談を受けている。

 制度上、医療機関が「これは事故ではない」と門を閉ざしてしまえば、遺族が直接手を打つことはできない。家族の突然の死について「理由を知りたい」と思うのは自然なことだ。遺族は亡くなった患者の症状や変化も知っている。その訴えに真剣に耳を傾けて疑問を解明してほしい。「遺族の意見は不要だ」という医療関係者もいるが、崩れかけた信頼関係を再構築していくには、遺族を交えた事故調査が極めて大事だ。

 遺族はもっと声を出してほしい。交通安全や製品の安全は国民自らの問題になっているのに、医療の安全はまだ国民に溶け込んでいない。「医者任せ」ではなく「医療の消費者」の目線で発信していかねばならない。この制度は、医療とどう関わるかを国民レベルで考えるチャンスでもある。

 制度開始時から「小さく産んで大きく育てよう」と言ってきた。まだ生まれたばかりのよちよち歩き。6月の一部見直しでは、第三者機関に遺族の相談窓口をつくることなどが定められた。2年目に入ってこうした点を真剣に実行していけば、「栄養」となってより育つだろう。

 そして、さらに大きく育てるためには「密室」からオープンな医療にすることが重要だ。手術を録画する。患者の死亡事案を全て見直してみる。医療に携わる全員が自らの役割を全うし、互いに「おかしいことはおかしい」と言い合える風土や、患者の意見や相談を聞いてきちんと応える仕組みをつくることが求められている。

  ×  ×  ×

 ながい・ひろゆき 99年に東京都立広尾病院で起きた薬剤誤投与事故で妻悦子(えつこ)さん=当時(58)を亡くした。「医療の良心を守る市民の会」の代表も務めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466454
“医療の溝”、熊本地震で生じず、8000人以上が医療支援
第58回全日本病院学会シンポ、東日本大震災の教訓生きる

2016年10月10日 (月) 橋本佳子(m3.com編集長)

 10月8日に熊本市で開催された第58回全日本病院学会のシンポジウム「熊本地震と医療体制 県内・県外の動き」で、厚生労働省DMAT事務局次長で、国立病院大阪医療センター救命救急センター医長の若井聡智氏は、「東日本大震災で起きた“医療の溝”は、今回は起きなかった」と述べ、DMATを中心に今年4月の熊本地震に対する医療支援活動を総括した。

 “医療の溝”とは、発災直後の急性期で展開するDMATから、避難所などでの医療救護活動を行うJMATなどへの引き継ぎが、東日本大震災では必ずしもスムーズではなかったことを指す。DMATの活動は、発災からおおむね「48時間以内」を想定していたからだ。東日本大震災後、その在り方を見直し、「他の支援が組織的に行われるまでカバーすることが期待される」との方針を掲げた。「『それはDMATの仕事ではない』と言わず、『全ては被災者のために』という方針で活動するのがDMAT」と若井氏は説明。

 熊本地震におけるDMATの活動は、「前震」が起きた4月14日から4月23日までに及び、計508チーム(2196人)が参加した。負傷者の救命救急活動のほか、10病院、計1377人の患者避難などにも従事。並行して活動した他のチームとコーディネート会議などを重ねながら、急性期から亜急性期への支援とつなげた。

 熊本地震ではさまざまな団体が医療支援に入ったが、若井氏のまとめによると、その数は6月1日までの間に、計1894チーム、8471人に上る。多い時で1日200チーム前後が活動した日もある。DMATのほか、チーム数が多かったのは、日赤救護班(339チーム、1894人)、日本医師会のJMAT(367チーム、1578人、活動は7月16日まで継続し、計568チーム、2556人派遣)、JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会、386チーム、1329人)などだ。

 「前震」、「本震」、「余震」と続いた、熊本地震の特徴として若井氏は、(1)倒壊危機の病院の避難要請が持続、(2)避難者が家に帰れず、避難所が過密した上、車中泊が多かった、(3)死者、負傷者と比べ、倒壊家屋が多かった、(4)仮設住宅の建設が遅れ、避難が長期化した――などを挙げた。それ故、重要になったのが、さまざまな救護班の調整活動のほか、DVT・感染症・熱中症対策だ。益城町の避難所では、過密対策として、ゴールデンウイーク期間中、「リフレッシュ避難」と称して、近隣の温泉施設や青少年自然の家への宿泊支援を行った。さらに、被災者支援に当たる地元の行政職員などへの「支援者の支援」の重要性も強調。

 シンポジウムには、若井氏を含め、計6人が登壇。上益城郡医師会会長の永田壮一氏は、医師会としてのJMAT活動に加え、自身が運営する東熊本病院で患者全員の避難を迫られた経緯を紹介した。4月14日午後9時26分の「前震」後、食料などの準備はあったものの、電気をはじめ途絶えたライフラインの復旧のメドが立たないと分かったために、15日の深夜近くから入院患者の搬送を開始、その途中の16日午前1時25分に「本震」に見舞われた。DMATでの対応は難しくなり、消防のレスキュー隊の力を借り、搬送を終えた。幸い搬送に伴う患者死亡はなかった。

 フロアから上がったのは、「患者の避難は、どう判断すればいいのか」との質問だ。若井氏は、搬送自体にリスクが伴う上、経営的な問題も踏まえ、「非常に難しい問題だが、極力避難はしない方がいい」と答えた。いったん患者が他の病院等に移動してしまうと、その後に確実に戻ってくるかという懸念があるからだ。自家発電用の燃料不足が問題であれば、燃料を運び入れたり、食料を支援するなどの対応がまず求められるとした。今回患者搬送した10病院は、建物倒壊の恐れがあったり、スプリンクラーが作動し、病院が水浸しになるなどの被害を受けた。

「情報を制するものが全てを制する」

 各シンポジストの講演で共通していたのは、指揮命令系統の明確化、各支援チームをコーディネートする必要性だ。そのためには支援ニーズの把握と情報共有が重要になる。

 「情報を制するものが全てを制する」と情報収集・共有を迅速かつ的確に行い、チームとして対応する重要性を強調したのが、熊本市医師会理事の宮本大典氏。発災直後はホワイトボードを用い、アナログで対応、その後は、メール、FAX、facebook、ホームページなど、あらゆる手段を使い、医療機関の被害状況の把握、会員の安否確認、会員・市民への支援、情報共有・発信に取り組んだ経緯を紹介。「『日常の医療』はライフラインそのもの。その復旧が最重要課題だった」(宮本氏)。

 会員の被災状況把握に有効だったのは、FAX。複数回繰り返し送信できる上、「送信エラー」を確認できるからだ。エラーになった場合、日ごろ当該医療機関を訪問している医薬品卸からも情報を得るなど、あらゆる手段を使って状況把握に努めた。熊本市医師会からの「災害対策速報」もFAXで送った。

 ユニークなのが、facebookの活用。医師会のfacebookで情報発信すれば、アクセスする市民の年齢や性別が分かる。子供を持つ若い世代が多かったことから、受診可能な小児科医療機関のリストなどを掲載した。

 医師会の執行部役員と事務局の連絡にも、facebookの「Messenger」機能を活用した。複数人が実名でやり取りでき、一つの情報を書き込んだ場合、その情報を誰が読んだかが分かる仕組みになっているからだ。名付けて「24時間どこでも対策会議」。

「医師資格証」、被災地でも活用を

 全日本病院協会救急・防災委員会委員の大桃丈知氏は、AMATの活動を説明。支援の要請を待つのではなく、先遣隊を派遣、支援ニーズを把握し、「プッシュ型の支援」を行ったことが、熊本地震支援の特徴だ。日本医療法人協会と共同して、緊急的に他院の患者を受け入れたり、時間外診療が増加するなどした、二つの会員病院への支援のほか、避難所の巡回診療にも従事した。

 日本医師会常任理事の石川広己氏は、JMATの活動を紹介。活動は7月16日まで継続し、計568チーム、2556人派遣。東日本大震災時に発足した、「被災者健康支援連絡協議会」などを通じて、他の医療関係団体と共同しながら活動した。若井氏が指摘したように、DMATからJMATなどへの引き継ぎは、スムーズに行ったものの、今後さらにJMATを充実させるため、(1)国の防災行動におけるJMATの位置付け強化、(2)日医生涯教育などにおける災害研修の充実、(3)JAXAなどとの協定に基づく、人工衛星を利用した情報共有手段の強化――のほか、被災地での「ニセ医者」活動の防止などのためにも、日医が発行する「医師資格証」の充実にも努めていく方針。

 2016年3月まで熊本赤十字病院の救急救命センター長を務めていた、熊本県赤十字血液センターの井清司氏は、「災害医療コーディネーター」を中心とした、「合同救護チーム」の重要性を強調。各チームが、バラバラに被災地入りしたのでは、的確な支援が行えないためだ。東日本大震災では、津波で甚大な被害を受けた石巻市での活動が有名だ(『「救護活動のブレーン集団」を結成 - 石井正・石巻日赤医療社会事業部長に聞く』などを参照)。熊本県でも、2013年6月以降、「災害医療コーディネーター」の養成に取り組んできた。

 長年災害医療に取り組んできた井氏は、熊本地震での医療支援全般を総括、「できたこと よかった」こととして、(1)大規模病院搬送、(2)ドクターヘリ終結(13機、5日間で75件搬送)、(3)県・保健所圏域・市町村の3階層の指揮調整系統ができた、(4)超急性期、急性期、回復期医療へのスムーズな移行、(5)課題別のプロジェクトチーム設置――などを挙げた。一方、「できなかったこと 反省」として、いまだDMAT、日赤、JMATその他チームの指揮統一が不十分であるほか、初期避難所のアセスメント様式の混乱・集計の遅れ、車中泊が多いなど避難実態の把握が困難だったなどがあるとした。さらに、「EMIS」(広域災害救急医療情報システム)の2次医療機関などでの活用も今後の課題とした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/464410
シリーズ: 真価問われる専門医改革
1位は「出身大学」、脳神経外科研修プログラム選択理由
山口大の末廣氏らの専攻医調査、脳神経外科学会総会で発表

2016年10月11日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 山口大学脳神経外科講師の末廣栄一氏らが実施した日本脳神経外科学会の専攻医へのアンケートによると、同学会の専門研修プログラム選択理由として最も多かったのは、「出身大学だから」であり、大学医局入局率も89.9%と高く、脳神経外科の専門研修は、大学が中心的な役割を果たしている現状が明らかになった。「進化する脳神経外科とぼくらの羅針盤」をテーマに福岡市で開催された第75回日本脳神経外科学会総会で9月30日、専攻医セッション「専門医アンケートと生涯教育」で発表した。

 小児神経外科など症例数が少ない分野の研修充実度を聞いた質問では、大学病院のプログラムの方が、一般病院のプログラムよりも充実しているという結果もあり、脳神経外科の専門研修が大学中心となるのは、専門医取得条件として、幅広い疾患領域の経験が求められるという事情があると見られる。

 日本脳神経外科学会では、新専門医制度で導入予定の「研修プログラム制」を、2011年から導入済み。日本専門医機構が新制度用に行った1次審査を終えた脳神経外科の専門研修プログラムは94。今回のアンケート結果は、大学病院などの基幹施設と関連する施設が連携施設群を構成する研修体制が機能している現状を裏付ける内容とも言える。

 調査は2015年2月から約1カ月間、日本脳神経外科学会研修プログラム責任者経由で、各プログラムの専攻医を対象に実施。299人(回答率は約40%)の回答を集計。回答者のプロフィールは男性88.6%、女性11.4%、所属は大学病院の方がやや多く53.8%、一般病院は46.2%。アンケートでは、専攻医の背景、研修プログラムの満足度・充実度、将来の希望を聞いた。

 主な結果は以下の通り。

◆専門研修プログラムを選んだ理由(最大3つまでの複数選択)

 1位は「出身大学だから」(132人)、2位は「多くの症例を習得できる」(90人)、3位は「高度な技術や知識を習得できる」(73人)。給与など待遇面や立地などを選んだ専攻医は少なく、数多くの症例を経験して研さんしたいという希望が強いことが分かった。

◆専門研修プログラムの満足度

 5段階評価(5が高評価)による満足度は、「研修プログラム」(最多は「4」で、41.5%の専攻医が選択)、「手術の症例数」(同「4」が39.8%)、「手術の質・領域の広さ」(同「4」が36.5%)、「指導体制」(同「4」が36.1%)については高かった。
 一方、これらと比較すると、「専門医研修に関する病院の体制」(同「3」が33.8%)、「処遇(給与・休暇・休養等)」(同「3」が40.8%)に関しては、やや満足度は低かった。

◆各分野の研修の充実度

 5段階評価(5が高評価)による充実度を大学病院と一般病院との間で比較すると、例えば、脳血管障害は「4」や「5」がいずれも多く、両者の差はなかった。脳腫瘍は「4」を選んだ専攻医が大学病院40.4%、一般病院31.9%であるなど、やや大学病院が優位。
 一方、これらの疾患と比較して、小児神経外科についてはいずれも低いものの、大学病院(最多は「2」で、28.0%の専攻医が選択、次が「3」で25.5%)と比べて、一般病院(同「1」が45.7%、次が「2」で20.3%)の充実度は低かった。「脊椎・脊髄」「機能的脳神経外科」についても、同様の傾向が見られた。

◆大学医局への入局の有無、医学博士、サブスペシャルティについて

 「卒業大学に入局」が最も多く56.5%、「卒業大学以外の大学医局に入局」の33.4%と合わせると、計89.9%。「入局する予定はない」5.4%、「分からない・まだ決めていない」4.7%。
 「医学博士を取りたいか」との質問には、「はい」が69.6%と高く、「いいえ」は7.7%、「分からない・まだ決めていない」22.7%。
 将来従事したいサブスペシャルティ(複数回答)は、最多が「脳血管障害」(199人)、以下、「脳血管内手術」(108人)、「脳腫瘍」(102人)、「救急」(61人)、「神経内視鏡」(53人)などと続いた。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1011/mai_161011_0897599228.html
<医療事故>届け出、病院間で差 調査制度1年
毎日新聞10月11日(火)20時57分

 10月で開始から1年を迎えた医療事故調査制度。調査の仕組みができたことで明らかになる医療過誤がある一方、届け出や調査内容について病院間の差が大きいなど課題も多く、医療事故の遺族からは「信頼できる制度となるよう運用改善を続けてほしい」との声が上がっている。

 「医療事故かもしれない。病理解剖をしたい」。川崎市の増田渉さん(65)は昨年10月、医師からこう告げられ、衝撃を受けた。

 妻(当時71歳)が自宅で頭を打って動けなくなり、市内の病院に救急搬送された。検査の結果、心停止などで死亡の危険がある低カリウム血症が判明。体内にカリウムを注入する「中心静脈カテーテル挿入」という緊急処置が行われた。処置後間もなく血圧が低下し始め3日後死亡した。

 病院は外部の第三者を入れた調査を実施。14ページの報告書をまとめ今年3月、増田さんら遺族に説明した。カテーテル挿入の際に、椎骨(ついこつ)動脈を損傷して生じた出血性ショックが死因とされた。

 増田さんは「制度がなければ、ここまでの調査が行われ、情報が開示されることもなかっただろう」と一定の評価をするものの「病院側の視点に立った報告で十分に納得できるものではない」と話す。報告書では、経験の少ない研修医が緊急処置を担当した経緯や理由などに触れられていないためだ。

 制度に基づき、増田さんは先月、厚生労働省指定の第三者機関「日本医療安全調査機構」にも調査を依頼した。しかし、期待できるかどうか懸念もある。

 NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子さんのもとには「病院が事故として届け出てくれない」との相談が寄せられる。

 夫を亡くしたある女性は、病院に届け出を求めたが「過失の有無がはっきりしないので届け出ない」と説明された。制度では本来、過失の有無に関わらず届け出ることになっているが、病院が誤って解釈していた。

 医療事故で母親を亡くした「医療の良心を守る市民の会」事務局長の川田綾子さん(45)は「ペラペラの報告書をまとめて終わりとする病院もあり、取り組みに大きな差がある。調査は病院やそこで働く医療者のためでもあることも踏まえて対応してほしい」と話す。【山田泰蔵、熊谷豪】



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49779.html
臨床研究中核病院に医療安全の責任者配置- 厚労省、施行規則改正で都道府県に通知
2016年10月11日 20時00分 CB News

 厚生労働省は都道府県などに対し、臨床研究中核病院の承認要件の見直しなどを含む医療法施行規則の省令の改正について、医療機関や関係団体に周知するよう通知した。省令の改正は、国際水準の研究や医師主導治験の中心的な役割を担う臨床研究中核病院の医療安全の確保が目的。医療安全管理責任者を配置することなどを求めている。【新井哉】

 1日に施行された改正省令では、医療安全管理責任者を配置し、医療安全管理部門と医療安全管理委員会、医薬品安全管理責任者などを統括させることを明記。インフォームド・コンセントに関しては、責任者の配置に加え、標準的な説明内容や規程を作成し、医療を受ける人の理解を得るよう促している。

 また、医療安全管理の適正な実施に疑義が生じたケースで情報提供を受け付ける窓口の設置を求めた。これについては、「情報提供者が単に情報提供したことを理由に不利益な取り扱いを受けることのないよう留意し、適切な運用を行う」として、病院外の機関に窓口を置くことも認めている。

 臨床研究中核病院については、厚労省の省令で定める基準で行われる「特定臨床研究」に関する計画を立案し、その計画を実施する能力を持つことなどが、承認を受ける際の要件となっている。現在、東大医学部附属病院や大阪大医学部附属病院など8施設が承認されている。

 臨床研究中核病院を含む大学病院の医療安全管理をめぐっては、群馬大医学部附属病院などで医療安全管理体制に関する問題が起きたことを踏まえ、大学病院が大半を占める特定機能病院で医療安全管理責任者の設置などが承認の要件となった。

 大学附属病院のガバナンスに関する検討会のとりまとめ案でも「管理者(病院長)1 人だけで病院の管理運営状況を把握するには限界がある」とし、管理者をサポートする体制を強化する必要性を挙げていた。



http://www.yomiuri.co.jp/adv/life/release/detail/00033537.html
薬剤師の47%が、「医師が必要以上を処方」を 残薬問題の一因と指摘 医師への働きかけや患者への聞き取りに苦慮し、 製薬会社への要望も多数
2016年10月11日 読売新聞

「残薬問題」の原因として大きなもの
月600万人が利用する日本最大級の病院検索・医薬品検索・医療情報サイト群ならびに医療者向けサービスを運営する株式会社QLife(キューライフ/本社:東京都港区、代表取締役:山内善行)は、「残薬問題」に対する現場の薬剤師の見方を調査した。調剤薬局に勤務している薬剤師300人を対象にインターネット経由で訊いたもの。

調査の結果、残薬の原因として8割が「患者の服用忘れ(漏れ)」を挙げつつ、4人に1人以上が他の理由(全6要因)をも指摘する結果となり、残薬問題の多面性・複雑性がうかがえた。また医療者側の原因としては、よく言われる「複数の医師による重複処方」よりも「医師が必要以上の量・日数を処方」を問題視する人の方が多く、病院門前薬局では58%、全体でも47%を占めた。

次に、こうした状況において「薬剤師が貢献できること」や「製薬会社が薬剤師を支援できること」を訊いたところ、昨今増えているブラウンバッグ(節薬バッグ)を製薬会社に提供してもらいたいなど、具体的な意見が多数寄せられた。一方で、医師への働きかけ、患者への聞き取りに薬剤師が苦慮している実情が多く語られ、製薬会社に両者への啓発情報を発して欲しい旨の要望があった。

今回の結果について、東京理科大学薬学部臨床准教授の水八寿裕先生は以下のコメントをした。「今回は残薬の直接的要因に絞った実態確認と、薬剤師がそこで果たすべきことは何か、という2本立ての調査になっているが、後者のアクションがまだまだ不足していると思う。特に高齢の患者さんは自己負担割合が低いこともあり意識が乏しい印象があるが、そこで薬剤師が貢献できる余地は大きい。また医師へのフィードバック方法にも変化が必要で、疑義照会・お薬手帳などを活用して残薬解消提案をスムーズにできるよう、患者の考えを最大限に尊重しながら医療機関との協議をもっと進めるべきだ」

※本調査の報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/161011qlife_research.pdfからダウンロード可能

■「残薬問題」の原因として大きなものは何だと思いますか(複数回答)
https://www.atpress.ne.jp/releases/113944/img_113944_1.png

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■患者さんの「残薬問題」を解消するために、現場で薬剤師がすべきことは何で、そのために「製薬会社が薬剤師を支援できること」は何だと思いますか。

回答の多かった内容をテーマ分類すると以下のとおりであった。
 〇医師へのフィードバックや提案
 〇処方日数の短縮や、分割調剤
 〇服用手間・回数負担を減らす
 〇患者が残薬を打ち明けられる環境づくり
 〇患者への聞き取り強化
 〇患者のアドヒアランス意識を向上
 〇患者への残薬問題の啓発

また、具体的な回答文の例は以下のとおり。
〇医師へのフィードバックや提案
https://www.atpress.ne.jp/releases/113944/img_113944_2.png

〇患者が残薬を打ち明けられる環境づくり
https://www.atpress.ne.jp/releases/113944/img_113944_3.png

【調査実施概要】
▼調査主体
株式会社QLife(キューライフ)
▼実施概要
(1) 調査対象: 調剤薬局に勤務している薬剤師
(2) 有効回収数: 300人
(3) 調査方法: インターネット調査
(4) 調査時期: 2016/08/10~2016/08/20
………………………………………………………………………
▼株式会社QLifeの会社概要
会社名: 株式会社QLife(キューライフ)
所在地: 〒107-0052 東京都港区赤坂1-11-44 赤坂インターシティ10F
代表者: 代表取締役 山内善行  
設立日: 2006年(平成18年)11月17日
事業内容:健康・医療分野の広告メディア事業ならびにマーケティング事業
企業理念:医療と生活者の距離を縮める 
URL:   http://www.qlife.co.jp
2016年10月11日 提供元:@Press



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/49775.html
改定後に減収、一般・療養・精神の約半数- 福祉医療機構調査
2016年10月11日 16時00分 CB News

 今年春の診療報酬改定後、医業収益が減少した医療機関が一般病院、療養型病院、精神科病院でいずれも半数近くに上ることが、独立行政法人福祉医療機構が行ったアンケート調査の結果で分かった。減収の理由について、一般病院の6割は「患者数の変化」を挙げており、同機構では、改定で診療報酬の要件が変わり、対象となる患者の確保に苦戦した結果、病床利用率の低下などが起こったと分析している。【敦賀陽平】

 調査は今年8月16-31日、同機構の融資先の病院を対象に、インターネット上で実施し、192施設から有効回答を得た。施設数は一般病院が78施設、療養型病院と精神科病院がいずれも49施設などで、病床規模は200床未満が半数超を占めた。同機構が改定の影響を調べるアンケートを実施したのは今回が2回目。

 前年度と改定後の収益の変化を尋ねたところ、「減収」と回答した病院は一般病院が48.7%、療養型病院と精神科病院が共に49.0%を占めた。一方、「増収」と回答した病院は一般病院が38.4%、療養型病院が28.5%、精神科病院が26.5%だった。

 増収と減収の理由については、いずれも「患者数の変化」を挙げる病院が多かった。増収の原因について同機構では、「集患の努力もあると思うが、制度変更に柔軟に対応できたほか、(周囲の医療機関の)機能分化が進んだ結果、患者をうまく確保できた」としている。

■7対1を「維持」が9割超
 7対1入院基本料(7対1)を算定する37施設を対象に、維持することが最も厳しい要件を聞いたところ、「重症度、医療・看護必要度」が全体の6割近くに上り、このうち「A項目」を挙げる病院が半数を占めた。今後の方向性については、7対1を「維持していく」と回答した病院が9割超に達した。



http://mainichi.jp/articles/20161012/ddm/001/040/209000c
医療事故
届け出促進へ 関係機関が統一基準 制度低迷打開

毎日新聞2016年10月12日 東京朝刊

 医療死亡事故の第三者機関への報告を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度で、日本医師会(日医)を中心にした関係機関の協議会が年内に発足し、届け出の統一基準作りを始めることが分かった。10月で制度開始から1年になるが、届け出は地域や病院間でばらつきがあり、当初見通しの3分の1以下と低迷している。日医は積極的で迅速な報告を医療機関に促す考えを示しており、統一基準が届け出拡大の後押しになると期待される。

 第三者機関「日本医療安全調査機構」が11日公表した9月末までの届け出件数は388件で、開始前に想定していた年間1300〜2000件を大きく下回った。医療法が対象を「医療に起因した予期せぬ死亡」としか定めておらず、施設側が事故として扱うことに及び腰になっているのが一因とみられる。
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 届け出が必要かどうかを医療機関に助言する支援団体は全国に約860あるが、解釈には差がある。例えば日医は、今年6月にまとめた手引で心臓手術中に急性循環不全で死亡した事故の調査例を示したが、約1000法人が加入する「日本医療法人協会」はガイドラインで、薬剤取り違えなどの単純過誤は報告対象外だとしている。

 ばらつきを是正するため、厚生労働省は6月に同法施行規則を改正。中央と各都道府県に支援団体などで作る協議会を設け、届け出や調査方法の統一的な基準を話し合うことにした。各地には既に医師会や看護協会、大学病院などで構成する協議会ができ、青森、福岡などでは医療機関からの相談窓口を医師会に一元化することが決まった。

 中央の協議会も、個人の責任追及を目的としない現行制度の導入を主導してきた日医が調整役になり、主要な医療関連団体が参加する見通し。日医の手引は「遺族が疑義を挟まなかったことを理由に届け出をためらうと、医療安全体制強化の機会を失いかねない」としており、今村定臣常任理事は「対象かどうか迷う場合には、届け出るのが望ましい」と話す。【熊谷豪】

 ■解説

患者らの信頼獲得へ 調査積み重ね不可欠
 医療事故調査制度は、鉄道や航空機の事故を調べる運輸安全委員会と異なり、事故が起きた医療機関が自ら調査主体となり、事故報告書は警察にも提出されない。この点で、専門性を持つ医療界の自律性を重んじた制度と言える。

 届け出の低迷を受け、日本医師会などによる統一基準作りが今後本格化するが、最終判断は医療機関がすることに変わりはなく、不届けに対する罰則もない。これに甘んじ、遺族側とのトラブルを避けようと届け出を怠れば、遺族は結局、警察の捜査や裁判に真相解明を頼るしかない。

 この制度ができた背景には、患者が点滴ミスで死亡した東京都立広尾病院事件(1999年)などで医師らの逮捕・起訴が相次いだことによる医療界の危機感の高まりがある。

 患者や遺族に信頼される制度にするには、医療機関が積極的に事故を届け出て、真摯(しんし)な原因調査を積み重ねていく必要がある。【熊谷豪】



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG29H8F_R11C16A0CC1000/
医療事故調査 届け出低調 初年度388件、想定の3割以下
2016/10/12 1:31日本経済新聞 電子版

 医療事故調査制度が始まって10月で1年。診療中の「予期せぬ死亡」の原因を究明し、再発防止策を探ることを目的に導入されたが、調査対象として届け出があったのは388件と、開始時に想定した件数の3割にとどまることが11日、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京・港)のまとめで分かった。活用に消極的な病院が多いうえ、調査内容に遺族が納得できないケースもあり、関係機関の模索が続く。

 川崎市の会社員、増田渉さん(65)は昨年10月、市内の病院で妻の勝代さん(当時71)を亡くした。勝代さんは自宅で倒れて救急搬送。医師は脳の異常はないと判断したが、血液検査で筋力低下などが生じる低カリウム血症が見つかった。

 医師は心停止の危険性があるとして、静脈にカテーテルを挿入し、高濃度のカリウムを投与した。勝代さんの容体はその日のうちに急変し、3日後に死亡した。

 医師は増田さんに「第三者を入れて事実を明らかにする」と説明。同機構に届け出た。院内の事故調査委員会が診療経過を調べ、今年3月、増田さんは説明を受けた。

 病院長らが示した資料には「カテーテルが動脈を傷つけたことによる出血性ショック」と死因が記載されていた。ただ、なぜ、そうなったかという十分な説明はなく、増田さんは今も病院と協議を続けている。

 1999年に起きた都立広尾病院の点滴ミス事件などを契機に同制度の創設に向けた議論が始まった。導入までに長い時間がかかったのは「病院の責任追及に使われる」という病院側の警戒感が大きな要因だ。

 同機構によると、この1年間の届け出は388件。年1300~2000件という想定を大きく下回った。同制度では調査対象にするかどうかの判断は病院側に委ねられており、厚生労働省は「病院側の警戒感の根強さが届け出件数に表れている」とみる。

 責任追及は制度の目的ではないが「遺族が調査結果をもとに損害賠償を求めたり、刑事告訴したりするのはとめようがない」(同省)。全日本病院協会(東京・千代田)の飯田修平常任理事は「自分に不利となる可能性があるなか、医師や看護師らは調査でどれだけ本当のことを話すのか、疑問もある」。

 調査結果の内容もばらつきが大きく、厚労省は対象となる死亡事例の明確化、報告書の書式統一などの対策を進める。各地域の医師会などには改善策を話し合う協議会の設置を要請した。飯田常任理事は「医療者が萎縮せず、適正な調査ができる制度の在り方を議論していくべきだ」と話す。

 厚労省は6月の制度見直しで、日本医療安全調査機構が窓口となり、調査がなされず不満を持つ遺族の相談に応じ、遺族の要望を医療機関に伝える仕組みを整えた。同機構によると9月末までに7件の相談があったという。

 遺族側はさらに、現行では任意とされる遺族への説明を義務化することなど、制度の充実を求める。医療事故の被害者らでつくる「医療の良心を守る市民の会」の永井裕之代表は、「医療者は遺族に真摯に向き合い、遺族側も制度を理解することが必要。時間をかけ、信頼できる制度をつくる必要がある」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/466665
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”スタート1年、報告件数は388件
当初想定の2~3割、遺族のセンター調査依頼増加し6件

2016年10月11日 (火) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療安全調査機構は10月11日、9月1カ月間の実績を公表、同機構が運営する医療事故調査・支援センターへの医療事故の報告件数は32件、2015年10月の医療事故調査制度の開始以来の合計は388件で、当初の想定を大幅に下回ることが分かった(資料は、同機構のホームページ)。

 制度開始前、報告件数は「年1300~2000件」との推計もあったが、その2~3割にとどまった。厚労省は今年5月の時点で、本制度の医療事故の定義に基づく推計ではないことなどを、推計と実際の報告数に開きがある理由として挙げていた(『“事故調”開始から7カ月、「光と影」』を参照)。

 同機構は毎月、実績を公表しているが、ここ数カ月の特徴は、センター調査依頼件数が増加傾向にある点だ。今年6月までは計4件だったが、7月5件、8月1件で、9月は6件に上り、制度開始から1年で計16件。9月の6件はいずれも遺族からの依頼だ。センター調査は、医療機関が医療事故としてセンターに報告した医療事故について、医療機関と遺族のいずれからも依頼が可能。センター調査の進捗は、院内調査結果報告書の検証中が12件、院内調査結果報告書の検証準備作業中が1件、医療機関における院内調査の終了待ちが3件という内訳だ。

 外科、内科、消化器科・整形外科が上位
 制度開始からの1年間を総括すると、388件の内訳は、病院362件、診療所26件。診療科別で最も多いのは、外科で69件、内科56件、消化器科と整形外科が34件、循環器内科25件、産婦人科22件などと続く。

 医療事故調査制度では、医療機関は、センターに報告した医療事故を調査し、その結果をセンターに報告することが求められる。388件中、調査を終え、報告されたのは161件。

 センターへの相談件数は1820件。内容による集計(1件で複数の相談あり)は2098件で、最も多かったのは、センターに報告すべき医療事故か否かの判断についての相談で753件(制度開始前の事例や生存事例に関する相談を含む)、報告の手続きに関する相談514件、院内調査の相談518件など。


  1. 2016/10/12(水) 05:31:37|
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