FC2ブログ

Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月4日 

http://www.sankei.com/west/news/160804/wst1608040067-n1.html
「病院に報告するのが怖かった」手術記録など約2千人分を一時紛失、県立広島病院
2016.8.4 18:32 産経ニュース

 広島市の県立広島病院は4日、部長級だった40代の医師(退職)が1年前に県外に出張した際、患者2236人分の手術記録や個人情報のデータが入ったUSBメモリー1個を紛失していたと明らかにした。上司に報告しておらず、7月に匿名の封書で病院に郵送され発覚した。情報の流出は確認されていないという。

 病院によると、医師は規定に反し、パスワードロック機能がないUSBメモリーにデータを匿名化せずに保存。持ち出しの承認も得ていなかった。データは半分しかパスワードで保護していなかった。

 昨年7月、浜松市での学会に出席するため出張。空き時間に患者のデータを整理しようと持参したUSBメモリーがないことに会場で気付いた。「重大なことなので、病院に報告するのが怖かった」という趣旨の話をしているという。現在は別の病院に勤務している。



http://www.medwatch.jp/?p=9937
消費税負担が診療報酬の上乗せを超過した場合、超過分の税額控除(還付)を認めよ―日病
2016年8月4日|医療・介護行政をウォッチ

 2017年の税制改正において、控除対象外消費税(いわゆる損税)が発生しないような対応をとるほか、「保険診療に係る事業税非課税措置の存続」「医療法人の持分放棄に関してみなし贈与税課税を行わない」よう求める―。

 日本病院会は7月27日に、このような要望を塩崎恭久厚生労働大臣に宛てて行いました(関連記事はこちら)。

来年(2017年)の税制改正に向けた要望項目を日病が塩崎厚労相に提出

 日病の重視する税制改正要望項目は、冒頭に挙げた3点です。

(1)医療機関で控除対象外消費税が発生しないような税制上の措置

(2)医療機関における社会保険診療報酬に係る事業税非課税措置の存続

(3)持分の定めのない社団医療法人になるための「持分放棄」に関して、みなし贈与税課税を行わない


 税法上、保険診療については消費税非課税とされていることから、現在、医療機関が物品購入や設備整備などで支払った消費税は、すべて医療機関の負担となっています。これは消費税導入時点から想定されていたため、国は消費税導入時・消費税率引き上げ時に特別の診療報酬プラス改定を行い、医療機関の消費税負担を補填しています

0804_201608050540400a0.jpg
社会保険診療報酬については消費税が非課税となっており、患者や保険者は消費税を医療機関に支払わない。このため医療機関が卸に納めた消費税(80円)について「仕入税額向上」も受けられず、医療機関が負担することになり、いわゆる「損税」が発生する。

 しかし診療報酬上の手当は「特定の(一部の)診療報酬項目に点数を上乗せする」という形で行われており、医療機関間で補填状況に不公平が生じており、日病では「妥当性に疑義がある」と指摘しています。

 また消費増税に対応するために診療報酬を引き上げることは、患者負担増につながり、「実質的に非課税にはなっていない」という問題もあります。

 日病では、こうした状況を抜本的に解決する必要があるとし、(1)のような措置をとることを要望。具体的には、「社会保険診療報酬について消費税課税扱いとする」ことを要望するとともに、当面の措置として「消費税負担が診療報酬への上乗せ分を超過した場合に、控除対象外消費税を税額控除(還付)できる」ような措置を講じることを提案しています。

 このほか、▽医療法人の出資評価で「類似業種比準方式」を採用する場合の参照株価を、「医療福祉」と「その他の産業」の低いほうとする ▽医療機関の設備投資を促進するための税制を拡充する ▽資産に係る控除対象外消費税などを発生時の損金として認める ▽民間病院の「直接その用に供する固定資産」について、医療計画による制約があることに鑑み、固定資産税・登録免許税・不動産取得税を非課税あるいは減額する ▽激甚災害に相当するような天災などが発生した場合、地域の拠点となる医療機関・介護施設に関しては、機能復旧を支援するための税制上の配慮を行う― ことも求めています。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160804-OYTET50000/
ニュース・解説
健康被害や契約トラブル相次ぎ…医療機関HP、法規制の方針

2016年8月4日 読売新聞

 美容整形などの医療機関のホームページ (HP) を巡り、健康被害や契約トラブルなどが相次いでいることを受け、厚生労働省は3日、HP上の虚偽や誇大表現について罰則も視野に法規制の対象とする方針を決めた。

 来年の通常国会への医療法改正案の提出を目指す。

 有識者検討会では、規制対象を美容医療に絞るかどうかを議論したが、がん治療などの自由診療のHPでも問題が多いとの意見があり、すべての医療機関を対象にすることが決まった。



https://www.m3.com/news/general/447362?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160804&dcf_doctor=true&mc.l=170658634&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
医師に1億円超の賠償命令 陣痛促進剤大量投与で障害
2016年8月4日 (木) 共同通信社

 広島県福山市の産婦人科医院で2008年、出産時に陣痛促進剤を大量に投与されたため長男(8)に障害が残ったとして、両親らが担当医に約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁福山支部は3日、医師の過失を認め、約1億4千万円の支払いを命じた。

 判決理由で古賀輝郎(こが・てるお)裁判長は「担当医は陣痛促進剤の注意事項に従わず、一度に多くの量を投与した」と指摘。そのため長男が少なくとも約3時間半にわたって低酸素状態となり、仮死状態で生まれ、脳性まひによる障害が残ったと判断した。

 その上で長男の逸失利益を約4100万円、介護費用を約5700万円とし、慰謝料なども合わせて賠償額を算定した。

 担当医側は「過誤はなかった」として請求棄却を求めていた。

 父親は判決後の取材に「子どもが生きていく上で励みになる判決だ」と話した。一方、産婦人科医院は「コメントできない」としている。

 判決によると、担当医は08年6月17日、陣痛促進剤の注意事項に可能な限り少量から投与を始め、点滴の速さも少しずつ上げていくよう指示があったにもかかわらず、最初から多く投与した。長男は09年に身体障害者手帳の交付を受けた。



http://www.topics.or.jp/localNews/news/2016/08/2016_14702873878418.html
大島青松園(高松)島外移転を検討 ハンセン病療養所医師不足
2016/8/4 14:07 徳島新聞

 徳島県出身の元ハンセン病患者が多く入所している高松市庵治町の国立療養所「大島青松園」の新盛英世園長が、園の島外移転を検討していることが3日分かった。入所者が減り、医師不足が深刻なことが理由。移転に難色を示している入所者が多く、実現には曲折がありそうだ。

 入所者は64人(1日時点)で、平均年齢は83歳を超える。うち徳島県出身者は11人を数え、配偶者を含めると17人の県関係者が暮らす。ピーク時に700人以上いた入所者は、高齢化に伴って10分の1以下に減った。

 現在の医師数は7人で、定員の9人を満たしていない。離島にあることが障壁となっており、船の運航経費も財政を圧迫しているという。こうした背景から、新盛園長は「高松市中心部に出た方がいい」と説いている。

 入所者自治会長の森和男さん(76)=鳴門市出身=は、2005、07年に実施したアンケートで、約7割の入所者が園での永住を希望したことを指摘し「外に行くのはやめようという話になっている。島には納骨堂があって亡くなった仲間にいつでも会えるし、ここでの暮らしに慣れている」と移転に否定的な考えを示した。

 県ハンセン病支援協会の十川勝幸会長(76)も「入所者の意向を十分くんでもらいたい。20人くらいに減れば移転もやむを得ないかもしれないが、それまではここで対応してほしい」と話した。

 厚生労働省国立ハンセン病療養所管理室は園から島外移転の要望を受けておらず、現時点では園長個人の考えとみられる。同室は「仮に職員から移転の要望が寄せられても、入所者が望んでいなければ進めることは難しい」としている。



https://www.m3.com/news/general/447385
GE薬への置き換え、約232億円が削減可能 - 14年度レセプトデータから試算 福岡県
地域 2016年8月4日 (木)配信薬事日報

国保・後期分調査

 福岡県はジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進に向け、GE薬の普及が進んでいない領域を明らかにするため薬剤別や市町村別の削減可能額について、県後期高齢者医療広域連合と県内市町村国民健康保険の医科・DPC・調剤のレセプトデータを用いて分析した結果を公表した。2014年度に県内で使用されている先発医薬品を全てGE薬に切り替えた場合、約231億6000万円(後期144億2100万円、国保87億4100万円)の薬剤費削減が可能なことが分かった。薬剤別の削減効果額を算出したのは全国でも初めてで、GE薬使用促進への新たな対応策としても注目される。

 分析は、同県が九州大学(研究代表者:大学院医学研究員医療経営・管理学講座、馬場園明教授)に委託。削減可能額は「切り替え可能な先発医薬品の薬価」と「GE薬価」の差額に「先発医薬品の使用量」を乗算して算出。同一成分のGE薬で、複数薬価が存在する場合は最も高い薬価の製品で計算。分析は▽薬剤別▽自己負担割合、公費受給別▽レセプト種類別(医科外来、医科入院、DPC、調剤)▽被保険者居住市町村別▽薬効小分類別――でそれぞれ行い、各項目で数量ベースでのGE薬普及率も出した。

 薬剤別では、外用薬、注射薬、内服薬について後期と国保でそれぞれ削減効果額上位30品目を算出。最も削減効果額が高かったのは外用薬ではケトプロフェン(5億30000万円・国保)、同(12億5200万円・後期)、注射剤はイオへキソール(9300万円・国保)、ヒアルロン酸ナトリウム(1億9800万円・後期)、内服薬はアトルバスタチンカルシウム水和物(2億2700万円・国保)、ドネペジル塩酸塩(8億3900万円・後期)となった。

 レセプト種類別は、国保分では医科外来22億6500万円、医科入院3億2600万円、DPC3億7800万円、調剤57億7100万円だった。後期分では医科外来34億1100万円、医科入院6億3600万円、DPC5億0900万円、調剤98億6500万円だった

 今回の分析データは先月20日に開いた今年度第1回の県ジェネリック医薬品使用促進協議会の資料として示されたもの。同協議会では今後も同様のデータ分析を行う予定で、2015年以降のデータについては全国健康保険協会分も含めた分析を行う。データは関係者への情報提供や新たな対応策の検討などに活用していく考え。

 なお、分析データ詳細は同県ホームページで公表されている。
  http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/gege.html



https://www.m3.com/news/general/447443
2周年の阿蘇医療センター 災害医療の前線基地に
2016年8月5日 (金 熊本日日新聞

 阿蘇市黒川の阿蘇医療センター(甲斐豊院長、124床)が6日、開院2周年を迎える。熊本地震では、免震構造を生かして全国から支援に駆け付けた医師らの“前線基地”の役割を担った。主要ルートの寸断状態が続く阿蘇地域の医療拠点として、地域の信頼も高まっている。

 阿蘇市が阿蘇中央病院の老朽化に伴い、約50億円をかけて2014年8月に開院。MRI(磁気共鳴画像装置)など最新の医療機器を導入した。

 熊本地震では、中央診療棟と病棟に備えた免震装置が奏功。病院事務局によると、建物は最大54センチずれたが、MRIや60トンの貯水タンク、非常用電源などは無傷で、救急患者を迅速に処置できた。

 本震が起きた4月16日は、医師5人で約130人を手当てした。甲斐院長(55)は「病院が古いままだったら、長期間、医療が行き渡らず深刻な事態に陥っていた可能性もある」と説明する。

 一方で、DMAT(災害派遣医療チーム)を受け入れ、全国から駆け付けた最大33チーム・約150人による阿蘇地域の救援活動基地となった。

 実は、センターの建設時、市民の中には「無駄遣い」との批判もあったという。「大津町まで車で30分、熊本市へも1時間で行ける。わざわざ立派な病院を建てるのは効率的じゃない」との声だ。

 批判にさらされながらも、センター側は診療体制の充実に努めてきた。常勤医は開院当初の5人から現在10人に増加。心臓や脳の血管疾患分野で特に実績を積んでいる。地震で休診した医療機関から透析患者20人と人工呼吸が必要な3人を引き受けるなど、市民の信頼を高めている。

 阿蘇地域では、南阿蘇村の阿蘇立野病院の休止や国道57号の寸断で、患者の搬送や治療態勢への懸念が高まっている。「センターには、地域の中核病院としての対応力が求められる」と県阿蘇保健所。

 甲斐院長は「地域の期待に応えなくてはならない。重症の糖尿病など特殊外来への対応も課題で、さらに体制整備を進めたい」としている。(岡本幸浩)

 ※阿蘇医療センターは6日午後1時半から、開院2周年記念で市民公開講座・健康フェスタを開催。無料。同センターTEL 0967 (34) 0311。


  1. 2016/08/05(金) 05:44:58|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

8月3日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160803-OYTET50016/
連載
[教訓 群大手術死](下)「患者のため」見失う…正当化「最後の砦だから」

2016年8月3日読売新聞

 地域医療の最後の 砦とりで 。群馬大学病院は、こう呼ばれてきた。病院関係者の間では、手術死問題は「最後の砦として重症患者を引き受けているから」という考え方が根強い。


 「人手が少ないのに手術したのが悪いと言われればそうかもしれない。ではやめようとなった時に、誰が引き受けるんですか」

 群馬大病院幹部はそう漏らした。

 第三者調査委員会の委託で日本外科学会が行った死亡例の検証では、病状や体調から手術は無理な例や、手術の妥当性に疑問が残る例が半数を占めた。

 検証にかかわった医師は「患者の希望とか最後の砦とかいうことで正当化して、本来やってはいけない手術まで『やるしかない』という考えは、間違っているのではないか」と指摘する。

 リスクの高い手術を行うからには、人員確保はもちろん、外科医の技量、術前術後の診療レベルも十分でなければならない。患者に説明し、納得してもらうことも不可欠だ。群馬大では、いずれも不足があった。

 「手術が『できるか、できないか』ではなく、患者にとって『やったほうがいいか、やらないほうがいいか』と考えるべきだ」

 進行がん患者の抗がん剤治療を担う虎の門病院(東京)の高野利実・臨床腫瘍科部長は説く。手術できないと言われ絶望する患者は多く、中にはメリットがあるかどうかより、「手術さえしてくれれば」と思い詰める人もいる。そうした中、「実際には手術を行うメリットが小さくても、『できる』と言って手術してしまう医師もいる」という。

 「手術をしない選択肢を示すと、患者が『見捨てられた』と感じて落胆する」

 第三者調査委員会の調査によると、群馬大旧第二外科の執刀医・須納瀬豊医師も、手術以外の選択肢を示さなかった理由をそう説明している。

 死亡した患者の遺族には、須納瀬医師に「今なら手術できると言われた」という証言が目立つ。

 「今を逃したら治らないんだ」。ある遺族の女性は、そんな思いに駆られ手術を即決した。しかし、患者は術後、腹部の出血が止まらず、1か月もたたず亡くなった。最期の苦しみようは、 凄絶せいぜつ なものだった。

 「手術しなければ、あんなに苦しんで死ぬことはなかったと、ずっと後悔して自分を責めてきました」

 遺族たちは、愛する家族の死を悲しむだけでなく、自分が同意した手術の後、変わり果てた姿で苦しむ様子を見守るしかなかった経験に、深く傷ついている。

 <医療は医師のためにあるのではなく、患者の幸せのためにある。リスクの高い医療は、その医療が本当に有益であるか、患者が幸せになれるかを考えて提供しなければいけない>

 千葉市内の病院で起きた医療事故の調査報告書が今年5月、公表された。その最終章に、こんな一節があった。心臓手術を受けた患者8人が死亡したこの事例は、無理な手術や、リスクを過小評価した手術が多く、群馬大病院と似ていた。

 調査委員長を務めた三井記念病院の高本真一院長は「患者のために最良の方策は何か考えるのが医師の使命。それが今、見失われていないか」と語る。

 群馬大病院の手術死問題は、医療の原点を問い直す出来事でもあった。

 (この連載は高梨ゆき子、染木彩が担当しました)



http://this.kiji.is/133533016643798521?c=110564226228225532
医師に1億4千万円の賠償命令
陣痛促進剤の大量投与で障害

2016/8/3 20:32 共同通信

 広島県福山市の産婦人科医院で2008年、出産時に陣痛促進剤を大量に投与されたため長男(8)に障害が残ったとして、両親らが担当医に約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁福山支部は3日、医師の過失を認め、約1億4千万円の支払いを命じた。

 判決理由で古賀輝郎裁判長は「担当医は陣痛促進剤の注意事項に従わず、一度に多くの量を投与した」と指摘。そのため長男が少なくとも約3時間半、低酸素状態となり、仮死状態で生まれ、脳性まひによる障害が残ったと判断した。長男の逸失利益を約4100万円、介護費用を約5700万円とし、慰謝料なども合わせて賠償額を算定した。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO05604340T00C16A8CC0000/
危険ドラッグ輸入容疑で埼玉医科大病院医師を逮捕
2016/8/3 13:43 日本経済新聞

 危険ドラッグ「ラッシュ」を中国から輸入したとして、埼玉県警などは3日までに、埼玉医科大病院の消化器内科医、近山琢容疑者(44)を医薬品医療機器法違反などの疑いで逮捕した。

 逮捕容疑は、昨年7月と今年5月、中国から指定薬物「亜硝酸イソブチル」を含んだラッシュ計約37グラムを国際郵便で輸入した疑い。埼玉県警によると「医療目的でなく、自己使用のため入手しようとした」と容疑を認めている。

 東京税関が4月に県警に情報提供し、合同捜査していた。〔共同〕



http://answers.ten-navi.com/pharmanews/7405/
高額薬剤 「使用」と「薬価」への切り込みで埋められる外堀―財源の行方めぐり思惑に溝も
2016/08/03 Answers News

小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」に端を発した“高額薬剤問題”。厚生労働省が対応策の検討を本格的に始めました。

厚労省は「使用」と「価格」の両面からこの問題に切り込む構え。適正使用のためのガイドラインを策定し、適応拡大に合わせて薬価を引き下げる仕組みを検討します。今年度の薬価制度改革では特例拡大再算定が導入され、費用対効果評価も試行的に始まりました。外堀は確実に埋められています。

新薬開発に莫大な費用を注ぎ込む製薬企業、画期的新薬を待ち望む患者、医療費の増加を食い止めたい政府――。診療報酬増額の財源を確保したい日本医師会の思惑も絡み、「三方よし」の実現は困難を極めそうです。

現行制度「高額薬剤に対応できない」 厚労省が見直し提案

7月27日の中央社会保険医療協議会(中医協)。高額な薬剤が相次いで登場し、医療保険財政を圧迫しかねない現状に、厚生労働省は「国民皆保険維持の観点から、従来の仕組みでは必ずしも十分対応を講じているとは言えない。薬価のあり方について抜本的な見直しを行ってはどうか」と提案しました。

引き金となったのは言うまでもなく、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。薬価は100mg1瓶で73万円。画期的な作用機序と高い有効性が評価され、高額な薬価となりました。

2014年9月の発売当初は悪性黒色腫に適応が限られていましたが、15年12月には非小細胞肺がんに広がり、対象患者は急増。今年春、財務省の審議会で専門家が「国が滅びかねない」と指摘して以来、画期的ともてはやされた新薬は批判にさらされる場面が多くなりました。

投与患者は5万人?1万5000人?

「オプジーボ」の薬価の問題に火をつけたのは、日赤医療センター化学療法科部長の國頭英夫医師。4月4日の財務省・財政制度等審議会財政制度分科会の会合で、非小細胞肺がん患者10万人強のうち「少なく見積もっても5万人が対象」とし、5万人が1年間「オプジーボ」を使うと、それだけで1兆75000億円の費用がかかるとの試算を公表。多くのメディアが取り上げました。

國頭医師は財政審の会合で、「オプジーボ」は▽効果が期待できる患者を治療前に特定できない▽有効な症例では効果が長期間続くためいつまで使うべきか分からない▽偽増悪(投与開始後に一旦腫瘍が大きくなり、その後縮小する)があるので「やめ時」が分からない――と指摘。こうした薬剤の適応が広がることで、「使う患者数が桁違いになり、一気に財政を圧迫することになる」と懸念しました。

一方、小野薬品が予想する16年度の新規使用患者数は悪性黒色腫で450人、非小細胞肺がんで1万5000人。非小細胞肺がんでの推定使用患者数は、15年12月17日の適応拡大承認から16年7月15日までで7045人と言います。

「ソバルディ」や「レパーサ」もやり玉に

高額薬剤問題は今に始まったことではありません。最近はとかく「オプジーボ」ばかりが注目されがちですが、昨年はギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ソバルディ」と「ハーボニー」がやり玉に。12週間の投与で500万円を超える高薬価は、予想を超えて売り上げが拡大した医薬品の薬価を最大50%引き下げる「特例拡大再算定」導入のきっかけとなりました。

今年4月には、高脂血症に対する抗体医薬「レパーサ」(アステラス・アムジェン・バイオファーマ)が議論に。適応は▽スタチンでは効果不十分な高脂血症 ▽家族性高コレステロール血症―。ですが、4月13日の中医協では、通常の高脂血症患者にも「レパーサ」が投与されてしまうのではないかとの懸念が示されました。

「レパーサ」の薬価は1キット2万3000円(2週間に1回投与)。従来薬に比べて高額で、長期に渡る投与が必要な薬なだけに、 「承認から原則60日、遅くとも90日以内に自動的に薬価収載するルールを含め、承認から収載までの流れを抜本的に見直すことが必要」 「中医協の裁量権で、例えば、レパーサの保険適用を家族性高コレステロール血症に限定できるルールを作るべき」 との意見が噴出。高額薬剤の問題は薬価だけでなく、薬価収載のあり方や適応症の制限といったところまで広がりを見せました。

適正使用へガイドライン、適応拡大で薬価下げ

厚労省が高額薬剤への対応策として7月27日の中医協に提案したのは、▽適正使用のためのガイドラインの策定▽適応拡大で対象患者が拡大した場合に、2年に1回の薬価改定を待たずに薬価を見直す仕組みの構築――の2点。「オプジーボ」については、18年度の次期薬価改定を待たずに薬価を引き下げることも検討します。

適正使用のためのガイドライン(最適使用推進ガイドライン)には、対象医薬品の使用が最適だと考えられる患者の選択基準や、適切に使用できる医師・医療機関の要件を盛り込む方針です。16年度は試行的な取り組みとして「オプジーボ」と「レパーサ」、そしてそれぞれの類薬で策定することになります。

08031.jpg
厚生労働省が想定する「最適使用推進ガイドライン」

これまでも、学会や製薬企業が主に安全性の観点から独自にガイドラインを策定する動きはありました。例えば「オプジーボ」の場合、小野薬品は▽専門医が在籍▽副作用に対応できる――といった要件を定め、これらを満たしたところにしか製品を納入しないといった措置をとっています。

国が主導して適正使用のためのガイドラインを作成するのは初めてのこととなります。政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2016」には、「革新的医薬品等の使用の最適化推進を図る」ことが盛り込まれており、厚労省の動きもこれを受けたもの。ガイドラインから外れた使い方がされた場合に、公的医療保険を適用しないことも視野に、具体的な検討が進むことになります。

診療報酬も絡みすれ違う思惑

7月27日の中医協では厚労省の提案に大きな異論はなく、今後、中医協の薬価専門部会で具体的な検討が進められることになりました。ただ、特に薬価の引き下げをめぐっては関係者間の思惑はすれ違っており、議論は難航も予想されます。

政府は当然、今回の対応によって薬剤費の増加に歯止めをかけることを狙っています。政府は16~18年度の社会保障費の伸びを1兆5000億円に抑える方針ですが、大きな制度改正のない17年度に年平均5000億円程度の抑制分をどう捻出するかは大きな課題。「オプジーボ」の薬価引き下げはその目玉となり得ます。

保険給付の増加に頭を悩ます医療保険者も、薬価引き下げを求める点で立ち位置は同じ。適正使用のガイドラインも厳格に運用し、医療費の支払いはガイドラインにもとづいて厳しく審査すべきと主張します。

薬価下げの財源は診療報酬に

一方、日本医師会は、薬価引き下げの必要性こそ認めるものの、生まれた財源は診療報酬本体の改定に充てるべき、との立場です。

仮に18年度改定を待たずに「オプジーボ」の薬価を引き下げた場合、その財源を診療報酬に充てるのは不可能で、イレギュラーな薬価引き下げは薬価財源が診療報酬に回らないという点で「非常にリスキー」(中川俊男副会長)との声も。ガイドラインについても、医師の裁量権を認めて柔軟に運用すべきと言います。

そもそも日医は「適応拡大で対象患者が急増した場合は、通常の改定を待たずに薬価を引き下げるべき」と強く主張してきましたが、7月27日の中医協では物言いがややトーンダウン。日医にとっては、「オプジーボ」の薬価引き下げは18年度まで待った方が、診療報酬改定の財源確保という面ではプラスとも言えます。消費増税の延期により、診療報酬改定財源の不足も懸念される中、日医が今後どのような主張を展開するかが、議論の行方に大きな影響を与えることになります。

皆保険とイノベーションの両立、納得感ある解決策は?


薬価の引き下げは新薬開発のインセンティブを奪いかねず、製薬業界からの反発は必至。イレギュラーな薬価引き下げは、政府内でくすぶる“毎年改定”につながりかねず、警戒感が広がります。

一方で、適正使用のためのガイドラインは、製薬企業にとっても悪い話ではありません。よく効く患者に絞って使われる方が、薬剤の価値が高まると考えられるからです。副作用のリスクを小さくするためにも必要なことでしょう。

先に述べたように、「オプジーボ」ではすでに、安全性の観点から要件を満たした医療機関にのみ製品を納入する措置をとっています。目先の売り上げに大きな影響を及ぼす可能性も高くはないでしょう。現時点では、どの患者に効くか事前に判別することが難しい中、投与患者の選択基準をどう設定するかが課題となります。

公的医療保険財政が厳しさを増す中、高額な薬剤に対する風当たりは強く、ある程度の薬価の引き下げはやむを得ないかもしれません。

ただ、こうした動きも行き過ぎれば、新薬開発へのモチベーションを奪ってしまうことになりかねません。国民皆保険の維持とイノベーション促進の両立は可能か――。特例拡大再算定をめぐる議論でもぶち当たったジレンマに、今度こそ納得感のある解決策を見出すことはできるのでしょうか。



https://www.m3.com/news/iryoishin/447164
在宅医療の整備目標、「サービス実績」導入
在宅医療及び医療・介護連携に関するWG、議論開始

2016年8月3日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の下に設置された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長:田中滋・慶應義塾大学名誉教授)の第1回会議が8月3日に開催された。検討会は、2018年度からの第7次医療計画の作成指針等を検討しており、本WGは作成指針等に組み込む在宅医療と医療・介護連携に関する事項について議論する。計3回の議論を経て、9月末か10月上旬の取りまとめを目指す。

 第1回会議では、介護施設などの整備目標によっては在宅医療の目標設定も変わり得るため、医療計画と介護保険事業計画の整合性を図ることで合意。厚労省は、介護施設の整備状況は地域差が大きいことから、全国一律の計算方式を示すのではなく、「考え方やパターンなどを提示することを考えている」(厚労省医政局地域医療計画課在宅医療推進室長の伯野春彦氏)。在宅医療の目標設定に当たっては、増加するサービス高齢者住宅(サ高住)の実態を把握するよう求める声も挙がった。

 在宅医療体制の現状把握や目標設定に当たって、在宅療養支援診療所(在支診)や訪問看護事業所の数など「ストラクチャー」に関する指標を用いている都道府県が多いが、訪問診療は在支診以外の診療所も提供している。より実態を表す目標設定等にするため、「プロセス」などに着目したサービス実績を指標として導入する方針。例えば、診療報酬上で、退院支援加算や退院時共同指導料など、入院から在宅への移行、医療と介護の連携を推進する点数が設定されており、これらの算定状況などが候補になり得ると想定される。

 介護保険法の地域支援事業として、「在宅医療・介護連携推進事業」が2015年度からスタートした。2018年4月までに、全ての市町村は、(1)地域の医療・介護の資源の把握、(2)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、(3)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進――など、8項目から成る事業の実施が求められる。医療計画においても、同事業を施策の一つとして位置付けるとともに、都道府県による市区町村への支援なども盛り込むことを検討する。

 第7次医療計画の作成指針では、第6次までとは異なり、2025年の医療提供体制を念頭に置いた地域医療構想や、「在宅医療・介護連携推進事業」が制度上位置付けられた介護保険との関係の整理が、不可欠になっている。このため、本ワーキンググループのほか、「地域医療構想に関するワーキンググループ」での検討が進んでいる(『2025年の「病床の必要量」、基準病床数超す場合は?』を参照)。

 在宅医療の需要、「サ高住」の整備に左右

 厚労省が、第1回会議に提示した論点は三つ。(1)在宅医療と介護の整合性、(2)在宅医療にかかる医療連携体制、(3)在宅医療充実のための施策――だ。厚労省の医療介護総合確保促進会議が総合確保方針を今年末までに改定し、在宅医療に関連する骨子を医療計画と、市町村や都道府県が作成する介護保険事業(支援)計画に盛り込むことで、これらの実効性を担保する。

 (1)の論点の一つが、介護保険事業(支援)計画で、介護保険施設等の定員数に応じて、在宅医療の需要は変化する点であり、介護サービスの整備目標と整合的な形で、在宅医療の目標設定をすることには異論は出なかった。

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、サ高住について、「急速な整備により、介護老人保健施設や介護特別養護老人ホームに空床ができている」と述べ、在宅医療の目標設定に当たっては、サ高住の実態を把握する必要性を指摘した。

 厚労省老健局介護保険計画課長の竹林悟史氏は、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているサ高住については総量規制も働くものの、それ以外の実態は把握できないとしつつ、サ高住や有料老人ホームなども含め、総合的に需給を見ていく必要があると答えた。

 日本慢性期医療協議会副会長の池端幸彦氏は、介護療養病床について質問。地域医療構想では、介護療養病床の「医療区分1」に該当する患者の70%は在宅に移行することが想定されているが、2017年度末の介護療養病床の設置期限後、「新たな類型」の創設も検討されている(『養病床、廃止か?延期か?いまだ意見対立』を参照)。伯野室長は、「在宅医療の需要推計には、新たな類型をどう見込むかとも密接に関係してくる」と答えたほか、この「在宅移行70%」についても、地域の介護保険施設の整備状況などにも変わってくるため、一律に割り当てるものではないとした。

 在宅医療、「プロセス指標」で実態把握

 (2)の「在宅医療にかかる医療連携体制」では、在宅医療体制の現状把握が、在支診や在宅療養支援病院(在支病)など、ストラクチャー指標が多いことから、医療連携体制をより実効的なものとするため、退院支援への取り組みなど、「プロセス」などに着目したサービス実績に着目した指標を充実させる方針。鈴木氏は、在支診や在支病以外の診療所や病院でも、在宅医療に取り組んでいる医療機関が多いことから、この方針を支持。他の委員も同様で、「高齢者におけるポリファーマシーへの対応は、主治医を含めて取り組むので、連携の指標の一つになる」(日本薬剤師会常任理事の有澤賢二氏)といった案も出た。

 一方で、池端氏からは、「在宅死亡率」などの指標を入れることには異論が出た。例えば、在宅で看ている患者が死亡直前の1週間に入院する場合など、ターミナル医療の評価は難しいことなどが理由だ。

 (3)の「在宅医療充実のための施策」のカギの一つが、「在宅医療・介護連携推進事業」。「第6次医療計画の作成時点では、この事業はなかった。在宅医療を進めていく上で、都道府県が市区町村をどう支援していくか、という視点を入れることによって、医療計画上でもうまく回せないかと考えている」(伯野室長)。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG03HAX_T00C16A8000000/
医療HPの誇大表現規制 トラブル受け厚労省方針
2016/8/3 20:28 日本経済新聞

 脱毛や脂肪吸引などの「美容医療」を巡るトラブルが相次いでいることを受け、厚生労働省は3日、美容医療に限らず全ての医療機関のホームページ(HP)での虚偽、誇大な表現を規制する新たなガイドラインを作成する方針を決めた。医療法を改正し、違反した場合には罰則を設けることも検討する。

 ガイドラインは、虚偽の内容や誇大な表現、不適切な表示を掲載しないよう求める。具体的には、効果があるように加工・修正した術前術後の写真や「絶対安全な手術」などの表現を禁じることを検討している。

 現行の医療法は、医療機関の広告に掲載できる項目を診療科名や手術の内容などに限定している。ただ、HPは利用者が自ら検索して閲覧するため広告には当たらないとして、別のHPに閲覧者を誘導する「バナー広告」などを除き、規制の対象外としてきた。

 しかし、美容クリニックがHPで施術効果や安価な料金を誇張するなど、契約トラブルや健康被害の相談が増加。厚労省は医療機関のHPを、引き続き医療法上の広告としては扱わないとした上で、不適切な表示を規制すると決めた。〔共同〕



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160803-097607.php
医療の仕事に理解深める 郡山の星総合病院で高校生が職場体験
2016年08月03日 19時07分 福島民友

 郡山市の星総合病院は3日、同病院で高校生を対象にした職場体験を行い、参加者が医療の仕事について理解を深めた。

 進路選択に生かしてもらおうと夏休み期間中に毎年行っている。市内の高校を中心に2、3年生約60人が参加した。

 参加者は、病院にある職種や仕事について説明を受けた後、白衣を着て薬剤師や理学療法士、管理栄養士など興味のある職種別に分かれて業務を体験した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/447085
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
群大、内科と外科「大講座制へ」
収益重視で手術数増加という指摘には反論

2016年8月3日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 群馬大学医学部附属病院で同じ執刀医の腹腔鏡手術や開腹手術を受けた患者が相次いで術後に亡くなっていた問題で、群馬大学は8月2日に改革状況について都内で会見を開き、学長の平塚浩士氏と病院長の田村遵一氏は、医学系研究科の教育研究組織(医学部講座)の再編では、内科と外科では大講座制に再編すると説明した。また、遺族が要望している旧第二外科の執刀医と元診療科長の説明の機会について、大学として引き続き要請していくと約束した。一方で、収益重視のために手術数を増やしていったという指摘に対しては反論した。平塚学長は「県内医療の『最後の砦』としての信頼を回復し、地域の皆さまの医療と健康に貢献できるよう、一丸となって改革に取り組んでいく」と誓った。

「恐れの意識が足りていなかった」

 事故調や改革委の提言を受けて、一連の問題が起きた要因について平塚学長は「大学の責任は重いと思ったのが正直なところ。全体のガバナンスがなかった。そのために病院長の権限を強くする。医療人の意識改革が必要だが、簡単なことではなく、なかなか直らない思う。時間をかけて行く必要がある」、田村氏は「命を軽く見ているつもりはないが、慎重さや恐れの意識が群馬大学は私も含めて足りないのではと思う。大学は診療科の集まりという面がある。それでは問題ということで各大学は改革に努めてきたが、群大は遅れていた。もう一度検証して自分たちを見つめ直す」と述べた。

 承認取消となっている特定機能病院については、「信頼を一刻も早く得られるようにしたい」(田村氏)とした。群大では、病院コンプライアンス委員会を既に設定しており、今後の改善状況を定期的に確認し、公表していく。

大講座制、一人の教授で勝手に決められなく

 群大の医学系研究科では現在、外科では病態総合外科学(旧第一外科)と臓器病態外科学(旧第二外科)、内科では病態制御内科学(旧第一内科)、臓器別病態内科学(旧第二内科)、生体統御内科学(旧第三内科)という講座構成になっている。一方、群大病院では、今回の医療事故を機に、2015年4月から、旧第一、旧第二外科を統合し「外科診療センター」を、同様に内科も「内科診療センター」を発足させたが、医学系研究科に旧体制が残っていた。

 2017年度からは内科学、外科学として運営することにし、内科では、循環器 ▽ 呼吸器・アレルギー ▽ 内分泌代謝 ▽ 腎臓・リウマチ ▽ 血液 ▽ 脳神経、外科では ▽ 循環器 ▽ 呼吸器 ▽ 消化器 ▽ 乳腺・内分泌 ▽ 肝胆膵 ▽ 小児の各分野に責任者を置くことになる。田村氏は、「外から見ても分かりづらいと指摘があり、大講座制にした。基本的なところは共通なので、それぞれ一つの講座として運営する。一人の教授が勝手に決められなくなる効果があり、若手にとっては最初から専門に入らず、ローテンションで勉強できる」と強調した。同日に公表された「病院改革委員会」の最終提言では、この体制変更が、「形式的な改革に終わることのないよう」と釘を刺されている(『適格性疑われる医師のチェック機構、働かず』を参照)。

執刀医と元教授には説明を要請

 群大は、腹腔鏡手術や開腹手術を合わせ、計50例について日本外科学会に調査を依頼しており、委対象とした50例の遺族に対して説明をする方針(『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」』を参照)。調査に当たってヒアリングを行ったのは事故調査委員会が対象とした18例のみだが、残り32例については医療の質・安全管理部長の永井弥生氏は「外科学会には全ての資料を提供しており、今の段階で十分医学的な検証ができている」と説明した。 遺族が要望している執刀医と元診療科長の説明の機会について、大学としてはこれまでも要請してきたと説明。2人は既に群大の職員ではないが、引き続き要請していくと約束した。

事故調の指摘に「収益重視ではない」と反論

 7月30日に公表された医療事故調査委員会の報告書では、問題の背景に「手術数拡大が院是とあった」と指摘している(『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」』を参照)。このことに対し、田村氏は「今回不本意だったのは、経営のために手術が増えたと認識されていること。手術をすれば赤字になることもあり、利益追求でないことは承知してほしい。旧第二外科は難しい手術も多く合併症も多いので、DPC病院でもあり、収益性とは反対になる。頑張って手術数が増えるのは助かる患者が出てくるということで、医師の実力も付く。旧第二外科は先行する旧第一外科に負けないで頑張ろうとしたかもしれないが、収益重視ではなかった。群大は手術数が多いと指摘されているが、肝胆膵以外での手術成績が悪いということではない。内部では眼科の手術が多いので、他と比べてもしょうがないという意見もあった」と反論した。

「群大病院の改革状況」概要
1 診療体制
(1)外科診療センターの設置(2015年4月から)
  5つの臓器別診療科に専任の診療科長を配置し再編統合
  共通運用マニュアルの作成
  週一回木曜午前7時からセンター合同カンファレンス
(2)内科診療センターの設置(2015年4月から)
  7つの臓器別診療科に専任の診療科長を配置し再編統合

2 医療安全管理体制
(1)インシデント報告体制の充実
  バリアンス報告対象の具体化(2014年10月から)
  医療の質・安全管理部門と他部門との連携強化
(2)インシデント・アクシデント等の能動的把握体制の構築
  全死亡症例のスクリーニング(2015年1月から)
  入院期間延長事例の検証
(3)死亡症例検証委員会の設置(2015年4月から)
(4)医療安全管理体制の強化
  複数部署・他職種でのカンファレンス調整や問題事例の積極的把握
  医療の質管理への介入
(5)インフォームド・コンセント及びカルテの記載の充実
  統一形式の説明同意文書の作成・承認体制の構築
  診療録ピアレビューの強化
  診療情報管理士によるカルテレビュー

3 医療安全教育
(1)医学生に対する医療安全教育の強化
(2)医療安全研修の充実

4 倫理審査、保険請求
(1)各種倫理に関する委員会の周知徹底
(2)臨床倫理委員会及び専門委員会の充実
(3)保険診療管理センターの設置(2014年12月から)

5 病院長のガバナンス
(1)医療安全管理体制の強化に伴う、病院長報告の強化
(2)診療科及び部門に対する病院長の院内巡視
(3)病院独自の内部通報要綱設置

6 コンプライアンスの遵守
(1)医学部附属病院コンプライアンス推進室の設置(2015年4月から)
  病院内に設置
(2)病院コンプライアンス委員会の設定(2015年4月から)
  学長の下に設置し、学外有識者を構成員に加えてチェック体制を強化

7 組織体制
(1)医学系研究科組織の見直し(2015年11月から)
  内科、外科は大講座制
(2)教授選考方法の見直し
  医学研究科にといて、選考委員会に外部委員を含める



http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/160803/lif16080322380015-n1.html
「医者の薬飲むな」週刊現代掲載で波紋 現場から反発の声「無用な混乱招く」
2016.8.3 22:38 産経デジタル イザ

★「医者の薬飲むな」徹底検証(上)

 週刊現代が8号連続で掲載した医療特集が波紋を広げている。「医者に出されても飲み続けてはいけない」とした薬特集では、一般的に広く処方されている多数の薬が危険視された。服用する患者らは不安を募らせる事態に発展し、現場の医師からは「無用な混乱を招いている」との反発の声も上がっている。 (三宅陽子)

 「もらっている薬は飲んではいけないのか…」

 千葉県松戸市の「松戸神経内科」で現在、服用する薬について、患者が主治医を詰問する場面が増えている。中には、深刻な面持ちで家族や友人から「飲んではいけないと言われた」と訴えてくる者もいる。

 「薬を飲む必要性について丁寧に説明すると納得していただけるが、『もう飲みたくない』という方も出ている」

 同院の高橋宏和医師はそう説明する。

 患者らが“不安の種”として挙げるのが、週刊現代が6月11日号から特集した医療記事だ。初回では「言いなりになっていたら寿命が縮みます」などの見出しとともに、生活習慣病などの治療に用いられる49種の薬を提示。次号以降も、薬の副作用にまつわる話などを紹介し、医療現場からは「異論」も上がる。

 「一番の問題点は、確率でいえば例外的な副作用を断りなく一般化し、全員に重篤な副作用が出るかのように印象を操作していることだ」

 高橋医師はそう語る。

 例えば、高コレステロール血症の治療薬クレストールは、横紋筋融解症を起こすことがあるなどとされたが、クレストールの添付文書に示された同症の発生確率は0・1%未満。確率で言えば1000人に1人以下だ。

 認知症の治療薬アリセプトについても、記事には「飲み続けると、暴力的になるケースがある」といったおどろおどろしい表現が踊る。

 「確かに、こうした症状がまれに起こるのは事実。ただ、『暴言を吐くようになった』といった報告があれば、薬の量を減らすとか、止めるといった判断が出てくる。記事は一度処方されると、自動的に同じ薬が続くような印象を与えている」(高橋医師)

 70種類以上の病気が原因になるといわれる認知症は、薬の処方も見極めが難しい。定期通院などを通じて薬の微調整・見直しが行われていくものだが、記事を読む限り、こうした治療過程は存在しないような印象さえ受けるという。

 記事では、抗血栓薬のプラビックスや高血圧治療に用いられる降圧剤(ARBなど)など、医療現場で広く用いられてきた薬も「飲み続けてはいけない」とされた。しかしそもそも、医療現場で用いられる薬は、専門家の間でその妥当性が話し合われ、処方する目安が示されている。

 例えば、高血圧治療なら、日本高血圧学会が出すガイドラインが存在する。その中では、ARBなども選択肢の一つとして示されており、医師はこうした指針を参考に受け持つ患者にとって「妥当」と考えられる治療を行っている。

 「薬には副作用があり得るが、使うことで得られるメリットもある。リスクに気をつけながら使っていくのが人間の知恵で、そこを一切無視して恐ろしい副作用があるから『飲むな』というのは不必要に患者を混乱と不安に陥れるだけ。それは非常に偏った見方ではないか」(高橋医師)

 現場の医師が訴えるのはリスクを踏まえて使用するという忘れてはならない視点だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/447184
日医、週刊誌の医療報道に懸念
かかりつけ医への相談を呼び掛ける

2016年8月3日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の道永麻里氏は8月3日の定例記者会見で、週刊誌などを中心に近頃、医薬品や手術を否定する記事が多く出ている状況について、「一部の限られた側面だけを論じ、医療への適切なアクセスを阻害することになる」と懸念を示した。また、医薬品について不安がある時は、かかりつけ医に相談してほしいと呼び掛けた。

 具体的にどのメディアの記事が問題かという質問に対して、横倉義武会長は、「(名指しすると)日医が対決する形になることで、記事が先鋭化する心配がある。今回は国民の皆さまに、不安を覚えている時はかかりつけ医、処方してくれる先生に相談してほしいというメッセージ」と答えた。

 また、手術不信へのきっかけとなった、腹腔鏡手術で死亡事例が続いた群馬大学医学部附属病院について、横倉会長は「私も外科医であり、連続した事故は起きてはならないと思う。手術で亡くなる人はあるが、デスカンファレンスで徹底的に議論していた。そのような努力を繰り返してきた中で、日本の安全な医療がある。群大では、そういう姿勢が十分ではなかったと思う」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/447183
日医、「かかりつけ医受診以外の定額負担に反対」
経済財政諮問会議の動きをけん制

2016年8月3日 (水) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は8月3日の定例記者会見で、経済財政諮問会議で議題にあがった「外来受診時の定額負担」について、反対の意向を示した。

 7月26日に開催された経済財政諮問会議で、社会保障ワーキング・グループの主査を務める民間議員の榊原定征氏(経団連会長、東レ株式会社相談役最高顧問)が「今年は2つの大きな課題として、高額療養費の見直しと、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入を関係審議会で検討をお願いしている。ぜひ今年中に改革をする方向で結論を出していきたい」と発言したことを受けたもの。2015年12月に公表された「経済・財政計画改革工程表」でも、「かかりつけ医普及の観点から、かかりつけ医以外を受診した場合における定額負担を導入することについて、関係審議会等において検討し、2016年末までに結論」と明記されている。

 横倉会長は、かかりつけ医の推進は日医も一致するところとした上で、定率負担に加えてさらなる自己負担として定額負担を徴収することは、「国民の理解を得られるか疑問」と指摘。かかりつけ医を持つよう普及に努める段階であるとし、「現状でかかりつけ医以外を受診した場合の定額負担を導入すれば受診抑制につながる。外来受診時の定額負担には改めて反対する」と述べた。また、受診時定額負担の検討の前に、高齢者の金融資産の多寡に応じた負担の検討など、応能負担の議論を先に行うべきであると指摘した。


  1. 2016/08/04(木) 05:57:59|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

Google Newsでみる医師不足 2016年7月31日

Google Newsでみる医師不足 2016年7月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース  7,550
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 9,750
First 5 in Google in English 


Survey finds 'concerning' senior doctor shortage at Hawke's Bay DHB
The Press West Coast‎ ‎ - July 27, 2016 (New Zealand)

The Association of Salaried Medical Specialists says a recent survey has highlighted an "invisible workforce shortage" that is putting a strain on staff, and on patient care. But the Hawke's Bay District Health Board says its senior doctor numbers have been growing, and it continues to work on plans to ensure the region's future clinical needs are met.


Chorley Hospital A&E unit to remain closed over doctor shortage
BBC News‎ - 28 July 2016 (英国)

A hospital A&E department closed temporarily over "unacceptable" safety risks is to remain closed because of doctor shortages. Chorley Hospital in Lancashire was downgraded to an urgent care centre in April but was due to reopen in August. Lancashire Teaching Hospitals NHS Trust said there had been a "small improvement" in doctor numbers, but staffing levels were still too low. Campaigners fear the unit "could be closed permanently".


States Attack a Severe Doctor Shortage
North Carolina Health News‎ - July 26, 2016 (North Calorina, USA)

Earlier this month, dignitaries gathered at Arkansas State University in Jonesboro to cut the ribbon on a new medical school, only the second in a state with a dire shortage of doctors. The school will greet an incoming class of 115 students in in August, but it will not belong to the state university. The university will work with the private New York Institute of Technology College of Osteopathic Medicine, which will train future doctors in a leased building on campus.


Physician Assistants Moving Into Specialties Amid Doctor Shortage
Forbes‎ -Jul 14, 2016 (USA)

“A key reason for the growth in specialties such as surgery and emergency medicine is that's where there's a real need, often due to physician shortages in those areas,” says Dawn Morton-Rias, a physician assistant and chief executive of the commission (NCCPA).


BEPPLE: Funding necessary to fix doctor shortage
InfoTel News Ltd‎ - July 29, 2016 (British Columbia, Canada)
Congratulations goes out to Kamloops own John O'Fee, who has just been appointed as a board member for Interior Health Authority by B.C.'s Health minister, Terry Lake. He's taken on a big task of helping to govern the health system in the Interior of B.C.


(他に10位以内のニュースは、米国・ニューメキシコ州、ノースカロライナ州、ニュージーランド、カナダ(2報) などからも)


  1. 2016/08/01(月) 06:13:17|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

7月31日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/446174?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160731&dcf_doctor=true&mc.l=169879460
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」
外部委員による群大事故調、最終報告書を提出

2016年7月31日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 群馬大学医学部付属病院で腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡した問題を受けて、同大が新たに設置した外部委員による「群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会」(委員長:上田裕一・奈良県総合医療センター総長)は7月30日、最終報告書を群馬大学学長に手交し、記者会見を開いた(報告書は、群大のホームページ)。

 2015年3月に公表された院内主体の調査報告書では「死亡8例全てで過失があった」(後に、「過失」の表現削除)と分析するなど、執刀医個人や、旧第二外科の肝胆膵外科チームの問題点を指摘する面が強かったが、新たな報告書では、「手術数拡大が院是」という病院の風潮や過重な勤務体制、旧第二外科と旧第一外科の連携不足など病院全体の在り方について議論を重ねた。群大病院の診療体制を「手術数の限界を超えたことによる悪循環そのもの」と指摘した。今回の調査では、開腹手術肝切除術後の死亡10例を含め、18例を対象とした。

 当日の会見終了後には、遺族や群大病院被害対策弁護団も会見を開いた(『群大の被害者弁護団「執刀医への刑事告訴を検討」』を参照)。群大は8月2日に改めて会見を開き、報告書を受けての対応を説明する。

 会見に先立ち、上田氏が平塚浩士学長に報告書を手交した。会見は委員による説明が2時間弱、その後の質疑応答も含め、約3時間の長丁場となった。上田氏は、執刀医(以下、A医師と表記)の勤務状況について、「この状況で良く勤務が続いたなと思うくらい過重な勤務体制であることが分かった」と説明し、「手術数増加が院是」となっていた病院全体や、少ない人数で同様の手術を行っている旧第一外科に「比肩するような手術数を維持しようとすることに無理があった」と分析した。

 また、死亡例が2010年度の腹腔鏡下術導入時に続いたことについて、「典型的なラーニングカーブが発生している」とし、外科医の教育をいかに進めるかが重要と指摘した。「ラーニングカーブは、患者にとっては許されない外科医の言い訳。それを起こさないようにするために、指導的な助手がある程度までは全ての責任を持つという体制が必要」(上田氏)。

 副委員長を務めた、名古屋大学医学部附属病院副病院長で医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏は「当初は防ぐことができない難しい問題だったのではないかと思った。しかし、点検作業をしてみると、幾つか防ぐことができるポイントがあったという印象」と総括した。

 専門医学的調査を依頼された日本外科学会の報告書は、2007年度から2015年度までの旧第一、第二外科での消化器官手術での死亡50例を分析し、195ページに上った。手術適応については死亡50例のうち「適応あり」と判断されたのが26例、「条件によって適応あり」が20例、「問題がある」は4例と示された。手技については「出血量が多い」「残すべき肝臓の脈管を損傷している」「手技が安定しているとは言い難く、術後に胆汁漏を併発した事例もある」など不十分な点が認められたと指摘。また、術前、術後の体制についても問題があったとした。検証に当たっては術中の記録映像がないことや診療録の不備が多く、「評価する上での大きな限界であった」と指摘した。

 外部委員会の報告書は「事実経緯」「検証結果」「再発防止に向けた提言」という構成になっている。以下では、会見の内容を盛り込みつつ、章建てに沿って報告書の要点を説明する。事故調の進め方や、本報告書の特徴については『群大事故調、「医師の責任追及」から「組織の問題」に変化』を参照。

多くの死亡事例で、術後入院期間が重なる

群大事故調査報告書から引用
 本件で問題となっているA医師が中心に担当するようになった2009年度以降の旧第二外科の肝切除術は開腹で109例、腹腔鏡で103例だった。死亡(予定手術後1カ月以内、もしくは同一入院期間内の死亡)は開腹10例、腹腔鏡8例だった。2009年度は旧一、旧二併せて9例の死亡症例があったが、そのうちA医師の執刀は計8例(肝臓5例、膵臓3例)だった。腹腔鏡下手術は新規導入後、1例目、3例目で死亡していた。また、多くの死亡事例で、術後入院期間が重なっていた。
 累積度数法(Cumulative Sum:CUSUM法)で分析すると、腹腔鏡下術の14例までの死亡率は28.6%、40例までは15.0%だった。腹腔鏡下術の導入初期に死亡率が高く経験とともに漸減していく「ラーニングカーブ」が発生しているとし、「A医師が高難度手術を実施するには、準備が不十分だった可能性が高いと思われる」と分析している。
07311_20160801053105871.jpg

手術件数、国立大学病院でトップ

 群大病院は「国立大学病院は急性期医療の要であり、外科治療の力が問われる。その一つの指標として手術件数を指標とする」と謳っており、事実、45国立大学病院のうち、100床数当たりの手術件数は、2010年度は1位、2011年度は3位、2012-2014年度は2位を誇っていた。

 手術数増加の方針は、手術適応判断が甘くなったり、丁寧な術後管理を行う時間が確保できなくなったりするなど、「まさに手術数の限界を超えたことによる悪循環そのものであった」と指摘。さらに、「負の影響は最も脆弱な部分に顕著に表れるが、旧二の肝胆膵はまさにこのような状況にあった」とした。

 A医師への積極的なサポートもなく、コントロールすべきは「一義的には手術部長を兼ねていたP(旧第二外科)教授の役割、さらには消化器外科診療部長(旧第一外科教授)の役割だった」と指摘した。

旧二外肝胆膵、旧一の半分以下の医師数で同等の手術

 旧第一外科は1944年、旧第二外科は1954年に講座開設。2003年の大学院部局刷新後もそれぞれ独立して運営されてきた。旧一は「呼吸器、消化器、乳腺・内分泌、移植、小児外科」、旧二は「循環器、呼吸器、消化器、乳腺・内分泌、移植」を有していた(※両外科とも移植外科は機能していなかった)。消化器外科の医師数は2007-2014年の間、旧一で13-28人、うち肝胆膵は3-6人、旧二では7-11人、うち肝胆膵は1ないし2人で、旧第一外科の方が多かった。旧二では消化器外科は主治医制、それ以外はグループ制を採用していた。手術件数は、旧一で4411件、うち肝胆膵は589件、旧二では2298件、うち肝胆膵は573件(肝胆膵担当以外の医師も執刀していた)だった。

 両外科は同じ入院病棟を使っていながら 、独立した診療体制を取っており、その弊害が発覚の遅れにつながった背景となった。上田氏は、「多くの医師が、患者の死亡を見ていた」と述べ、術後死亡例の続発に気づく機会は、両科の医師にあったと指摘。

 群大病院のICUは2014年に17床に増床されるまでは、6-7床と少なく、患者の受け入れにはかなりの制限があった。医師からのインシデント報告は少なく、2010年からはバリアンス報告制度が導入されたが、医師からの報告数は増加しなかったなど、医療安全管理体制の仕組みは整えていても、それが機能していなかった。外部委員会が調査した18例のうち、17例はインシデント、バリアンスともに報告がなかった。

A医師、「積極的に受け入れてくる印象」

 A医師は2010年に日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医を取得。2012年には群大病医が修練認定施設Aとして承認された。同年には旧第二外科のP教授も高度技能指導医を取得した。院外からの患者の紹介は、両診療科それぞれの関連病院から、教授、担当医宛てにされることがほとんどだった。旧第二外科への患者紹介は、院内外からあったが、群大肝臓内科の間では「旧二の肝胆膵外科の方がより積極的に手術を受け入れてくる印象を持たれていた」。内科と外科が集まって手術適応を検討する合同症例検討会は行われていなかった。

高度技能指導医のP教授、腹腔鏡の経験なく

 2009年度 からはA医師が一人で肝胆膵外科を担当。2010年からは若手医師1人が加わった。P教授は高度技能指導医を取得したが、実際には腹腔鏡下肝切除術の経験はなく、開復による肝臓手術の経験も多くなかった。死亡18例の電子カルテ上の手術実施欄には全例、術者にP教授、第1助手にはA医師の名前が記載されていた。実際にはP教授はほとんど参加していなかった。A医師が作成した開腹術の手術記録には、執刀医にA医師、指導的助手にP教授が記載されていた。手術記録は症例検討会で供覧されていたが、問題視されることはなかった。

 18事例のほとんどが長時間の手術で、7時間以上が12例、そのうち10時間以上が4例あった。

規定以上の外勤の疑念

 報告書には、A医師の1週間のスケジュール例も示され、多忙な中、手術を担当していた実態が伺える。連日、午前8時ごろから勤務し、24時ごろに帰宅するという生活が続いていた。一方で、外勤は週8時間までとされていたが「A医師はそれ以上を費やしていたのではないかという疑念が残った」としている。

 死亡退院の件数は、旧二で目立っていたわけではなく、旧一がやや多い状況だった。病理解剖は年間平均1.5件。A医師は遺族感情から「強く勧められなかった」と説明しているが、遺族からは「解剖しても分からないことが多い。遺体が帰るのも遅くなる」と否定的な説明が受け断念したという声もあった。

記録の不備、注意しても改善されず

 A医師の外来の診療録では、患者説明の内容がほとんど記載されていなかった。「患者の話をよく聞いて信頼関係を気付くことに重点を置いており、その場では入力できず、そのままになってしまった」と説明している。入院での診療録では、身体所見、評価、診療方針の変更などの記載はほとんどなかった。手術記録でも、所見や出血量の記載はほとんどなかった。また、手術時間や出血量について麻酔記録と一致しない箇所が散見された。術後経過も全体として乏しかった。P教授や看護師が何度も注意したが、改善されることはなかったという。ただし、研修医が説明に同席した2例については、A医師の説明内容が詳しく記録として残されている。

 週1回行われていた消化器外科の症例検討科会にはP教授の出席は半分程度だった。多忙なA医師も参加できない時間帯があった。A医師はその場で、適応、術式についての問題が指摘されなかったので、自身の診療方針に問題がないと認識していたと説明している。

死亡例続き教授が「手術を休むようにアドバイス」

 開復による死亡症例が続いた2009年10月にはP教授のアドバイスにより高難度の肝切除術を停止。12月に再開したところ、膵臓手術も含め3例の死亡事例が続き、2010年3月に再び手術を休むようにアドバイスした。その理由をP教授は「複数の重症患者の術後管理ができるよう状況にないと判断したため」としており、重症患者が亡くなった後は、P教授の承認を得て、時間を置かず手術は再開された。A医師は「紹介患者が来るため、手術を休み続けることはできなかった」と説明している。

腹腔鏡術、中止を進言した医師も

 2010年にA医師らからP教授に対し、腹腔鏡下手術に取り組みたいとの申し出があった。P教授は「よく勉強すること、動物でトレーニングすること、他施設を見学すること、内視鏡外科の技術認定医を参画させること、無理をしないこと」などを条件に許可した。

 2010年12月に導入され、最初の2例は技術認定医が深く関わった。11例目までは小開腹を伴う腹腔鏡補助下手術で、12例目から完全腹腔鏡下術に移行した。

 導入後1年間で4例の死亡事故が発生。旧第二外科内部でもP教授に「危険なので中止させた方が良い」と進言した者もいた。しかし、A医師は「術後の合併症による死亡」と説明し、「新しい技術を導入している過程での出来事であり、改善に結びつけることが重要」と説明。P教授も「A医師は良く勉強し、技術訓練も実施している。院内外からの信頼も厚い」と考えていた。

アピールのための論文、後に撤回

 2012年8月にはP教授による論文が学術誌に掲載された。「2010年11月から2011年10月まで、腹腔鏡下肝切除術20例中2例で合併症が見られ、うち1例が術後2カ月で死亡した」と記載されていたが、しかし、同時期までに実施した14例のうち4例で死亡していた。10人の共著者の中には、保険適用外の手術であるとして投稿に反対する者もいたという。同論文は2014年11月に「倫理審査委員会の許可を得ていなかった」としてP教授の申し出により撤回されている。

 同論文について「先進的医療に挑戦し、成功しているというイメージを対外的にアピールするものとなっており、肝胆膵外科担当への患者紹介が続いた背景要因の一つとも考えられる。また、合併症に対する真剣な検討が行われていなかったことを示唆する重大な内容」と指摘した。また、論文取り下げの検証や発表を行っていない大学の姿勢も問題とした。

【事故調査委員会が作成した「概要」の総括部】
 長年にわたり死亡事例が続発していたにも関わらず、群大病院において、それが見過ごされ、対応されてこなかった種々の要因が明らかになった。

 群大病院旧第二外科の肝胆膵外科担当は、脆弱かつ孤立した陣容で、連日深夜におよぶ過酷な勤務環境の中、手術や術後管理に当たっていた。人員確保や指導体制、手術適応を検討する体制などが不十分なまま、高難度の外科治療が導入されていった。術前に患者の自己決定権を尊重した十分な説明や熟慮期間は確保されておらず、インフォームド・コンセントは不十分な内容であり、患者本位の医療とは言い難い状況が生じていた。また、医療安全管理部門に報告すべきことは何か、何らかの疑念が生じた際には何をすべきか、死亡例が続発した時にはどのような検証を行うべきかが、曖昧にされたまま、医師たちは、多忙な日常診療に追われ、病状悪化時の説明や、診療録への記載も不十分となっていた。そのような状況を長期間許していた旧第二外科の管理体制にも、問題があった。

 また、群大病院は、長年にわたって、特定機能病院として地域住民から「最後の砦」とされてきたが、専門性を同じくする二つの診療科が併存することから生じる弊害を改善できなかった。さらに、安全性が確認されていない診療を行う際の倫理審査や手続きが周知徹底されていない、インフォームド・コンセントを管理する体制が整っていない、重大事例の報告システムの重要性が周知徹底されていない、など、先進的な医療を実施する基盤となる仕組みや機能が不十分であったにもかかわらず、手術数の拡大を院是とし、高度医療を推進していった。その結果、旧第二外科肝胆膵担当という院内の最小診療単位(マイクロシステム)に発生していた重大かつ深刻な問題を、長期に渡って把握することができず、手術死亡の続発にも対処することができなかった。本事案の背景には、患者中心の医療とは大きくかい離した診療・学術における旧弊が存在し、病院全体としてのクリニカル・ガバナンス(医療組織を、医療の質と安全で規律づけて、診療を統治する仕組み)に不備があったと指摘せざるを得ない。

 すでに、群馬大学、群大病院は改善に着手しているが、今後同じような事態を二度と繰り返さないために、本報告書の提言を着実に実行することが求められる。特に、本件を貴重な先例として、これまで我が国の医療界では議論が不足していた「日常診療の中に標準から逸脱した医療が登場した場合、それを早期に発見し、より安全な医療へと是正する自浄的な取り組みをするにはどうすればよいか」という命題に対し、医療界の叡智を集めて解決することが求められる。そして、まさに近い将来、その命題に対し、「群大病院に学ぶ」として、多くの医療機関の改革が実現し、クリニカル・ガバナンスが充実していくことを期待する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/446169
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
群大事故調、「医師の責任追及」から「組織の問題」に変化
上田委員長、「我が国には同僚評価の文化が根付いていない」

2016年7月31日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「計35回の会議以外にも、昼夜を問わず、各委員が報告書の内容に手を入れて、共有するやり方で進めた。私が海外出張の時は、Skypeで報告書を読み合わせるなどした。結局、210時間以上に及ぶ審議を行い、長い時は2日間連続の委員会も開催している」

 7月30日に公表された、群馬大学医学部附属病院の肝臓手術の死亡事故に関する外部委員会の記者会見の冒頭、委員長の上田裕一氏(奈良県総合医療センター総長)が言及したのは、報告書作成のプロセスや考え方だ。3時間に及んだ会見のうち、約2時間は報告書内容の説明に充てられた(報告書は、群大のホームページ)。

 報告書の内容は、群大病院が、院内の委員に外部委員を交えて調査を行い、2015年3月に公表した報告書(以下、前回報告書)とは大きく異なる(今回の報告書は『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」』を参照。)。前回報告書では、群大旧第二外科の執刀医の技量を問題視する箇所が目立った。これに対し、今回報告書は、死亡事故の続発は、同科と群大病院の診療および安全管理の体制という組織上の問題が大きいとしている。

 前回報告書をめぐっては、外部委員の了解を得ずに、執刀医の行為に「過失があった」と追記、それが問題視され、文言を削除するという混乱があった(『最終報告書から「過失あり」を削除、群大病院』を参照)。その後、群大病院は、特定機能病院の承認取消に至った。一連の事故の検証と再発防止策の検討が求められ、社会的に注目される中で、群大病院ではなく、群大学長自身が設置したのが今回の外部委員会だ(『「承認取消は数億円の影響」、群大病院』を参照)。

 上田氏は記者会見で、調査は、個人の法的責任の追及ではなく、再発防止のための改善策の提言を目的としたと強調。その旨は今回報告書に明記されている。

 二つの報告書の相違を記者会見で問われた、副委員長の長尾能雅氏(名古屋大学医学部附属病院副病院長、医療の質・安全管理部教授)は、「今回は外部委員のみで集まり、調査をした。私は前回調査も担当したが、ほとんど委員会には招かれず、調査が進んだ」「今回は、前方視的な視点で調査し、広い視野で事故の背景から探っていくことにこだわったのが特徴」と説明した上で、次のように答えた。「前回報告書で、『過失があった』と記載されたのは、内部主体で調査が行われたことの弊害だと感じている。群大ではこれまで、内部主導で調査をしてきた歴史があった。そのこと自体が、前回のような結果を生み得るものだった」。

 今回報告書には、前回調査と報告書作成の経緯に触れた部分がある。「前調査委員会の報告書は、事故調査委員ではない病院長が、総括報告書案を作成していたという問題に加え、病院長が、遺族に分かりやすいように、との配慮から、個別報告書の事例ごとに、『過失があったと判断される』と追記し、外部委員の許可なく、それを最終報告書として公表したことは大きな問題であった。このような問題を招いた要因として、これまで群大病院で行われていた医療事故調査の多くが、病院長および副病院長の指導の下で行われていた経緯が指摘できる。病院長がリーダーシップを発揮し、責任を果たそうとしてきた姿勢は理解できるが、第三者性、独立性、校正性の面からは問題があり、医療事故調査のあり方に大きな課題を投げかけた」。

 上田氏も、「前回調査では、迅速な対応を非常に重視し、できるだけ早く報告書をまとめたいという意向があったのではないか。今回はそうしたプレッシャーはなかった」と説明。外部委員会は、医師2人、看護師1人、弁護士1人、患者・一般の立場2人という6人で構成。全員が院外委員だが、消化器外科の専門家はおらず、医学的な検討は、日本外科学会に依頼して実施した。上田氏自身は、心臓外科医。「外部委員の専門性はあまり関係がないと思う。調査を左右するのは、委員の“気持ち”であり、(前回調査と今回調査の相違は)委員の構成メンバーの違いにあったのだろう」(上田氏)。

 もっとも、今回報告書は全体的には評価しつつも、遺族には不満が残る(『群大の被害者弁護団「執刀医への刑事告訴を検討」』を参照)。「執刀医の問題」についての記載が薄れているほか、今回調査が腹腔鏡下および開腹の肝切除術の計18例を対象としているのに対し、日本外科学会は2007-2015年に旧第一外科、旧第二外科の死亡症例64例のうち、検証の必要があると判断した計50例を調査対象としており、遺族らは他の事例についての調査も求めている。

 記者会見の中で、上田氏が語った象徴的な言葉がある。「なぜ私が委員長に指名されたのか、その理由は分からない。察するに、(地理的に群大に)近い多くの医師が断られたから、奈良という遠くから、私が来なければいけなかったのだろう。我が国には、同僚評価の文化が根付いていない」。こう上田氏は述べつつ、日本外科学会による50例の事故調査については、「専門領域の学会としての見識を示した」と評価した。


 「ブリストルの遺産」を参考に調査

 外部委員会は、2015年8月30日から、2016年7月14日まで計35回開催。計12人の病院関係者にヒアリングを行い、執刀医に対しても2回ヒアリングを実施している。事前にヒアリング対象者に開示した上で、今回報告書を公表した。

 対象としたのは、2009年度以降で、執刀医が関与し、腹腔鏡下もしくは開腹による肝切除術後の死亡例で、合計18事例(予定手術後1カ月以内、もしくは同一入院期間内の死亡)。「18事例を対象に調査するのは初めて。今まで3事例くらいの事故調査は行ったことがあるが、それ以外は1事例程度。それでも3カ月から6カ月は要することがあった。18事例を委員6人で調査するのは、大変なこと」(上田氏)。

 今回報告書で扱う「医療事故」は、2015年10月からスタートした医療事故調査制度における、医療法に基づく「医療事故」とは概念が異なり、厚生労働省のリスクマネージメントマニュアル作成指針などで示されている広義の「医療事故」の定義を用いていると説明。

 さらに、上田氏は記者会見で繰り返し、「調査の目的は、責任追及ではなく、再発防止である」と強調した。今回報告書は、(1)はじめに、(2)事実経緯、(3)検証結果、(4)「日本外科学会報告書」の抜粋、(5)再発防止に向けた提言、(6)おわりに――から成り、83ページのうち、23ページを(5)に充てている。

 事故調査や再発防止策の検討に当たって、参考にしたのが、英国ブリストル王立病院で起きた一連の小児心臓手術事故について分析した、「ブリストルに学ぶ:ブリストル王立病院小児心臓手術(1984~1995)特別調査委員会報告書」と、この報告書の要点を紹介した「医療の質の保証―ブリストルの遺産―」(古瀬彰:胸部外科59巻第5号~11号、2006年)。「報告書の評価の範囲は、特定の医師の手術死亡率といった単純な指標にとどまらず、病院の設備、医療スタッフのコミュニケーション技術やチームワーク、管理者のクリニカルガバナンス(医療組織を医療の質と安全で規律づけるための仕組み)など、さらには英国の医療体制(NHS)にも及んでおり、多岐にわたっていた」と、今回報告書に記載している。

 「提言内容の進捗状況を1年後に確認」

 上田氏は、「できるだけ前方視的な視点の評価に務めたが、調査自体は後方視的に行ったため、明確ではない点があるなど、難しさもあった。また日本外科学会の支援なくしては、調査は到底できなかったが、手術の成功例や合併症例などの調査は行っておらず、群大病院の手術症例全体を検証したわけではないなどの限界があることを理解してもらいたい。ただし、当初予想した以上に、種々の要因があることが分かった。それぞれに深めていくと、マンパワーが圧倒的に不足しており、とても時間が足りず、十分に調査ができたとは思っていない」とその苦労を語った。またヒアリングを了承した遺族に対しては、感謝の言葉を述べるともに、「患者側には弁護団も付いている。他の事故調査と比べると、いろいろなハードルがあったというのが実感」と難しさにも触れた。

 今回報告書では、「提言した内容の進捗状況を1年後に確認する機会を持ち、その結果について公表する予定」と明記。特定機能病院の承認取消状態が続く群大病院が、本報告書を基にどんな改善策を講じ、医療安全体制の確立に務め、患者や社会からの信頼を回復できるか、これからが再生に向けた本番だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/446173
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
群大の被害者弁護団「執刀医への刑事告訴を検討」
報告書を評価も、執刀医の記述に不満残る

2016年7月31日 (日) 高橋直純(m3.com編集部)

 群馬大学医学部付属病院での腹腔鏡手術事故に関する事故調査報告書が公表されたことを受けて7月30日、群馬大学病院被害対策弁護団(団長・安東宏三弁護士)と遺族会は群馬県庁で会見し、報告書は「病院や診療科長である教授(旧第二外科)の責任を指摘し、全体として高く評価できる」とコメントした一方で、執刀医の「問題」に対する指摘が薄いことを問題視。引き続きヒアリングを求めていくとし、実現されない場合やヒアリング内容によっては、「執刀医については説明次第で、刑事告訴、行政処分の要求も検討する」と主張した(報告書の内容は『死亡事故の背景、「手術数の限界を超え、悪循環」 』を参照)。

 会見は被害対策弁護団事務局長の梶浦明裕弁護士と2遺族の代表らが出席し、事故調査委員会の会見が終わった午後5時半ごろから始まった。梶浦弁護士は「全体として基本的に高く評価できる」とし、病院全体や肝胆膵チーム、旧第二外科教授の問題点や責任を明らかにしたことを特に評価した。特に「教授の違法性の高さが明らかになった」と述べた。

 一方で、さらに検討を要する点として(1)日本外科学会が調査した死亡50例のうち事故調が対象とした18例以外、(2)2005年の生体肝移植問題に遡った検討がされていない、(3)「執刀医」の問題が薄れている、(4)改善策に優先順位がない――という点を挙げた。

 今後は事故調のヒアリング結果の開示や日本外科学会の医学的評価報告の全例の開示、公表などを求めるとしている。特に診療科長と執刀医に対しては、「留保条件としていた事故調の報告書が公表された」として、同日付で改めてヒアリングを要請した。要請書では「診療録などに基づいて説明する法的義務(顛末報告義務)を負っている(民法656、645条、医療法1条の4第2項)」と主張している。

 また、梶浦弁護士は「執刀医については説明次第で、業務上過失致死罪での刑事告訴、医道審議会などへの行政処分の要求も検討する」方針とし、業務上過失致死罪での刑事告訴については「患者ごとに強弱はあるが、術前検査をしないなど複数の過誤があり可能」と説明した。

 会見には2遺族の代表者も同席した。60歳代の父を腹腔鏡手術後に亡くした男性は、「もっと厳格な基準や資格などで大丈夫と認めた上で、手術をするようにしてほしい。この報告書を踏まえてどのように改善していくかが重要」と述べた。

 開腹による膵頭十二指腸切除術後に20歳代の妹が亡くなった男性は、事故調の検証対象に、妹の事例が含まれていないことに対して、「18例のみで頭が真っ白になった。全体的な問題点は明るみに出たが、残り32例に言及されていない。似たような事例ととらえれば流用できるかもしれないが、詳細を出してほしい」と不満を訴えた。

 また、遺族への説明とカルテの記載が異なっていたという自身の体験を基に、「執刀医のコメントが正しいかのような扱いは遺憾」。群大病院に対しては「結果的に死亡するにせよ、『お任せして良かった』と思えるのが医療だと思う。安心できる医療機関になってほしい。群大病院がなくなるのは困るので、意見を取り入れてもらいながら改善策を一緒に考えていけたらと思う」と求めた。



https://www.m3.com/news/general/446179
群馬大病院、手術死続発 執刀医独走、組織に問題 調査委が報告書
2016年7月31日 (日 毎日新聞社

群馬大病院:手術死続発 執刀医独走、組織に問題 調査委が報告書

 群馬大病院(前橋市)で同一医師の肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、同病院の医療事故調査委員会(上田裕一委員長)が30日、同大で記者会見した。この医師はほぼ一人で手術の実施判断や治療に携わり、複数の医師らが出席する症例検討会に参加しないこともあった。心臓外科医でもある上田委員長は「外科医一人の手術がうまくいけば全部がうまくいくわけではない。組織運営に問題があった」と総括した。

 調査委は、問題の医師が関わった18例の死亡事例を検証。死亡原因を分析し、改善策を盛り込んだ報告書をまとめ、同大の平塚浩士学長に同日提出した。

 報告書では、2009年度の1年間に、この医師が手術を担当した計8人が死亡していたことなどから、「体制を振り返って対応をとっていれば、その後の死亡を防げた可能性があった」と指摘。患者への説明も情報提供が不十分だったとし、改善策として、医師の説明を理解できたか患者がチェックする用紙の導入や、患者がカルテを閲覧できる仕組みの整備を提言した。

 この医師は10年から腹腔(ふくくう)鏡を使った難易度の高い手術を始めたが、専門的な知識や技術を持つ内視鏡認定医がかかわったのは、最初の2例のみ。上司の教授は腹腔鏡手術の経験がなく、肝臓手術の経験も多くなかった。別の医師から手術中止の進言もあった中、8人が死亡した。

 肝胆膵(すい)(肝臓、胆道、膵臓)手術が専門の具英成(ぐえいせい)神戸大教授は「高難度の手術を担える技量のない教授が、部下を適切に指導監督することは難しい。こうした人を責任者にしたことが問題の始まりとも言える」と指摘した。【野田武】



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03185_01
【座談会】
国際標準の集中治療提供体制の構築に向けて

松田 晋哉氏  (産業医科大学医学部 公衆衛生学教室教授)
志馬 伸朗氏  (広島大学大学院医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門救急集中治療医学教授)=司会
讃井 將満氏  (自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部教授)
週刊医学界新聞 第3185号 2016年08月01日

 在院日数の短縮化によって急性期病院における患者の重症度が増すなか,急性期重症患者の“最後のとりで”である集中治療の役割が高まっている。にもかかわらず,日本の集中治療提供体制は脆弱なままであり,国際標準からは大きく乖離している。

 今後,地域医療構想や病床の機能分化を推進する上で,集中治療の在り方の議論を避けて通ることはできない。本座談会では,集中治療提供体制の現状を踏まえ,必要ICUベッド数や適正配置と,その前提となる重症度評価の標準化,さらには人材育成に向けた今後の展望までを議論した。

日本の集中治療提供体制は先進国の中で“外れ値”

志馬 今年3月,欧州集中治療医学会発行のIntensive Care Medicine誌に,日本の集中治療の現状を紹介するEditorialを執筆しました1)。国際雑誌において,欧米の集中治療が比較・考察されることはあっても,日本に関しては2002年発行の論文2)を最後に全くありませんでした。ですから,この機会に国際的な発信を試みた次第です。

 これには,問題提言的な側面もありました。Editorialでは,日本集中治療医学会雑誌に掲載された内野滋彦先生(慈恵医大)の論文3)から図1を引用しました。横軸に「人口10万人当たりの病床数」,縦軸に「人口10万人当たりのICUベッド数」を取ると,日本は病床数が圧倒的に多い一方,ICUベッド数は英国と並び最低水準にあることがわかります。先進諸国において,日本は明らかな“外れ値”なのです。日米両国での集中治療医としての経験を踏まえ,讃井先生はこのデータをどう見ますか。

07312_20160801053106f5a.jpg
図1 病床数とICUベッド数の相関(文献3より)

讃井 私の実感とも合っています。日本とは逆の意味で“外れ値”となっている米国で集中治療医学フェローをしていたころは,すぐにでも退院できるくらいにまで患者の状態を安定させてから,ICU退室としていました。ですから,日本とは逆に,病床数が少ない割にICUベッド数が多いのでしょう。このように,国によってICUベッドの使い方が異なるので一概には言えませんが,日本のICUベッド数が極端に少ないのは間違いありません。

志馬 議論の前提として,ICUベッドの使われ方が多様であることは押さえておく必要がありますね。ICU入室の主な経路は,手術室,救急,一般病床です。米国と比較すると日本は,手術室経由の術後管理目的の入室が多く,救急経由の入室が少ないのが特徴となります2)。

讃井 ICUベッド数が少なければ,本来はICU患者の重症度は高くなるはずですが,日本の場合は術後管理を中心とした軽症者が多いわけですね。本来はICUでの管理が必要な患者が,救命救急入院料加算ベッドや一般病棟で管理されていると考えられます。

全国に点在する小規模ICU,不足する集中治療専門医

志馬 日本の特徴として,小規模なICUが全国に点在し,施設によってその機能に差が生じていることも挙げられます。松田先生は以前,DPC研究班(厚労科研)の研究代表者として,日本集中治療医学会との合同調査をされています。その研究結果をご紹介ください。

松田 ICUベッド数は2~67床(中央値8床,四分位範囲6~12床)と,やはり病院間でICUベッド数にばらつきを認めました4)。ICUの利用実態をみると,術後管理を目的とする施設では各科主治医の管理によるopen ICUが,治療目的の施設では専従医の管理によるclosed ICUが多い傾向がみてとれます。

 さらには,ICU退室時の死亡に関連する要因を分析した研究では,closed ICUの施設で死亡率が低いという結果が得られました。ICUのクオリティを高めていくためにも,closed ICUの数を増やしていくことが今後重要になってくるのではないでしょうか。

志馬 集中治療専従医の配置による患者アウトカムの改善や診療コスト削減を示す研究結果は,諸外国においても多数あります5)。しかし,こうしたエビデンスも医療関係者や病院や行政には知れ渡っていませんし,そもそも集中治療専門医の数自体が日本全国で900人弱にすぎません。

讃井 ICUの専従・専任者に限ると,その数はさらに少なくなるでしょうね。日本は主治医意識が強く,集中治療専門医の歴史も浅いことから,エビデンスをもってしても,closed ICUの普及は容易ではありません。

必要ベッド数推計に不可欠な入室基準の標準化と重症度評価

志馬 日本は,ICUベッド数も集中治療専門医の数も足りていない。こうした絶対数の不足に対しては,地域ごとの症例数と必要ベッド数を推計し,政策提言につなげていかなければなりません。地域医療構想の基盤データ整備に携わる松田先生は,ICUベッド数の地域配分についてどのように評価されていますか。

松田 図2は,都道府県別のICU充足率と利用状況の相関を示したものです。縦軸はSCRで,最大250(佐賀県)から最小20(新潟県)まで,ICUの利用状況には10倍以上の地域差があります。横軸は地域のニーズに対するICUの充足率で,福岡や沖縄はほぼ100%ですけれども,充足率が50%以下の都道府県が複数ある状況です。

07313_20160801053108d58.jpg
図2 ICUのSCRと充足率との相関

SCR(Standardized Claim Ratio;年齢調整標準化レセプト出現比);年齢調整標準化死亡比と同様の手法で,性年齢で標準化したICU関連レセプトの出現比を示したもの。SCR 100.0が全国平均。SCRが100.0より大きければ,その医療行為は全国平均よりも多く行われていること,100.0より小さければ少なく行われていることを意味する。
充足率;ここでは,DCP研究班参加施設のICU利用率を「標準」と考えて推計。推計値に対する実際の病床数の割合を「充足率」と定義。
 地域のニーズに対してICUが充足するほど,ICUの利用率は増えると考えられますが,実際は同程度の充足率であっても,利用状況に大きな差が認められます。つまり,地域格差が医療ニーズとは必ずしも整合していません。必要なICUベッド数の推計のためには,ICU入室基準の標準化や,入室者の重症度を測る標準的な手法の普及が不可欠だと考えています。

志馬 重要なご指摘です。日本のICUにおいては,心電図モニター,観血的動脈圧測定や人工呼吸装着などの診療行為が,保険診療上の重症度を規定します。これは妥当なように見えて,実は医療者によって恣意的に重症度が変わり得る。一方で,患者の基礎疾患や検査値に基づく客観的な重症度評価の方法が存在し,APACHEスコアやSOFAスコアが代表的です。集中治療領域の学術論文においては,これらのスコアを用いて評価することが大前提となります。

 しかし臨床現場において,客観的重症度評価の方法があまり普及していません。もっとも点数の高い特定集中治療室管理料1または2を算定しているICUが全国に約80施設ありますが,そのうちAPACHEスコアを使用しているのは3割に満たないのです。

松田 オーストリアでは,診断群分類ごとの支払いのほかに,TISSスコアを用いた重症度評価と病床当たりの看護師数の組み合わせでICUを6段階に分け,その区分に応じた1日当たり加算点数を設定しています。ICU症例は重症度が医療資源の必要度に強く影響しますから,この方式は妥当性があります。日本も将来的には,重症度を加味したICU評価を導入すべきですし,その大前提として重症度の客観的評価は必要でしょう。

高度医療の集約化に向けてデータベース作成と研究推進を

志馬 2009年に新型インフルエンザの大流行が起きた際,日本における ECMO(体外式膜型人工肺)治療の成績は,諸外国と比較して良好とは言えないものでした6)。ECMO治療では機器管理の習熟やスタッフ教育が不可欠であり,欧米では治療施設の集約化が進んでいます。一方,日本の場合は治療施設が散らばっているせいで,各施設での症例経験やトレーニング,診療の標準化が不足していた可能性があります。ECMO治療は典型例ですが,高度医療に関してはある程度集約化したほうが診療の質は上がるのです。

讃井 病床規模と患者アウトカムの関連をみた私たちの研究においても,大規模なICUをつくることが,患者アウトカムを改善する最適解であることが示唆されています7)。

志馬 ICUの集約化に向けて,政策誘導は可能なのでしょうか。

松田 日本のように民間病院が中心だと,政策誘導は容易ではありません。やるとなると,医療の質に着目するほかないでしょう。ストラクチャー(構造),プロセス(過程),アウトカム(結果)の側面から医療の質を評価し,例えば「病床規模が大きいほどガイドラインに示された項目の順守率が高く,患者の死亡率が低い」というエビデンスを学会として示すことが重要だと思います。

讃井 ICUの場合は肺炎予防や血栓予防など順守すべき共通項目が多いので,プロセスの評価はしやすいかもしれませんね。

志馬 現在の特定集中治療室管理料の施設基準は,基本的にストラクチャーが中心で,プロセスやアウトカムはほとんど評価されていません。これらに関連したQuality Indicatorを設定して,適正な評価のために活用していくべきなのでしょうね。

松田 米国のLong Term Acute Care hospital――日本でいう療養病床に近い施設を先日見学してきました。そこで驚いたのは,カテーテル関連感染症や褥瘡発生率など,あらゆるQuality Indicatorが取られていたことです。こうした数値化の努力はさすがだと感心しました。

讃井 まったく同感です。日本集中治療医学会でも,JIPAD(Japanese Intensive care PAtient Database)というICU入室患者データベースの作成に多施設で取り組んでいます。前述のAPACHEスコアを用いて患者の重症度を評価し,ICUの機能評価につなげていく試みです。ただ,多忙な診療の合間をぬってデータ入力を行う負担が大きく,普及の妨げとなっています。

松田 外科系学会のNCD (National Clinical Database)は成功例ですが,外保連試案をはじめ技術評価の長い歴史に加えて,入力フォーマットを標準化したのが大きいですよね。ベンダー各社の協力も得ながら,通常業務以外の負担を極力減らすシステムを電子カルテ上に構築することが,成功の鍵になると思います。

集中治療医の専門性を,地域社会とチーム医療で発揮する

志馬 最後に,人材育成の議論に移ります。ICUベッド数だけでなく,集中治療に携わる医師もまだまだ不足しています。讃井先生は,日本集中治療教育研究会での活動を含め,若手医師の育成に尽力されています。どのような将来展望をお持ちですか。

讃井 門戸を広くすることがまず大事で,救急科医や麻酔科医はもちろん,内科医や外科医,総合診療医など,さまざまなバックグランドを持つ医師が集中治療のトレーニングを受けることができるような取り組みは,今後も継続していきたいと考えています。

志馬 スペシャリスト志向の強い日本では,ジェネラリストに対するネガティブな風潮が依然としてあります。この点はいかがお考えですか。

讃井 「ジェネラルという専門性」があると思うのです。つまり,「重症患者の全身管理に関しては,集中治療医の右に出る者がいない」という医師像を描いています。

 もちろん,国際標準のINTENSIVISTを全国的に輩出していく上では,トレーニングの質・量ともに改善の余地があるのは確かです。新専門医制度に向けて学会での議論も今後深まっていくと期待しています。

松田 集中治療の専門性ということで言えば,生命予後はもちろんのこと,QOLを含む長期予後が今後は重要になってくるような気がします。ICUにおける全身管理の良しあしで,ICU退室後のQOLは全く異なるはずですよね。

志馬 その点は国際的にも注目が集まっており,近年はPICS(Post Intensive Care Syndrome)という疾患概念も提唱されています。確かに,死亡以外の長期予後を評価するのも,集中治療の専門性に対する社会的な認知を深めていく上で重要でしょう。

讃井 その専門性を地域で発揮していくこともできるはずです。院内急変に対する見張り番の役割をさらに拡大して,地域で重症患者が発生した際の見張り番の役割をする。遠隔医療を活用したシステムの構築を,臨床研究として考えています8)。

松田 例えば人工呼吸器を装着した高齢者が,人生の最期を病院で過ごさなければならい状況は,QOLの観点からは望ましくありません。そこに全身管理の専門家が介入することで,地域で生きていく可能性を高めることができるならば,本当に素晴らしいですし,ぜひ集中治療の専門性を地域で発揮する仕組みをつくっていってほしいです。

志馬 さらには,多職種によるチーム医療を発展させることも,これからの集中治療医に求められる役割です。

讃井 確かにそうですね。米国にもチーム医療がありますが,マンパワーが充実していることもあって,関係性はわりとドライです。米国と違い,日本はそもそもの医療従事者の絶対数が少ないなか,いかに多職種と協力してチーム医療を発展させるかは,大きなチャレンジです。

松田 私も,その視点はとても大事だと思います。米国は職種ごとに業務が細分化されすぎていて,職員数が増えるぶん高コストになるし,業務間のニッチが生じて医療安全上も望ましくありません。日本の場合は,多職種の業務がわりと重なっていて協力し合える関係にある。これを強みとして意図的に活かしていくことが求められます。その人員配置とアウトカムをエビデンスとして示すことができれば,ストラクチャーの評価として診療報酬にも反映されるはずです。

 集中治療は新しい領域であるだけに可能性に満ちていて,私のような社会医学者の立場でみても面白いです。今後とも何らかの形で協力させてください。

志馬 さまざまな医療関係者や研究者,あるいは行政官の協力を得て,できることはたくさんありそうです。国際標準の集中治療提供体制の構築に向けて,今後も努力を続けていきたいと思います。どうもありがとうございました。

(了)

◆参考文献・URL
1)Shime N. Clinical and investigative critical care medicine in Japan. Intensive Care Med. 2016;42(3):453-5. [PMID:26762107]
2)Sirio CA ,et al. A cross-cultural comparison of critical care delivery:Japan and the United States. Chest. 2002 Feb;121(2):539-48.[PMID:11834670]
3)内野滋彦.わが国の集中治療室は適正利用されているのか.日本集中治療医学会雑誌.2010;17(2):141-4.
4)日本集中治療医学会ICU機能評価委員会,平成20年度厚生労働科学研究班.ICUの人員配置と運営方針が予後に与える影響について.2011;日本集中治療医学会雑誌.18(2);283-94.
5)Pronovost PJ, et al. Physician staffing patterns and clinical outcomes in critically ill patients:a systematic review. JAMA. 2002;6;288(17):2151-62. [PMID:12413375]
6)Takeda S, et al. Extracorporeal membrane oxygenation for 2009 influenza A (H1N1) severe respiratory failure in Japan. J Anesth.2012;26(5):650-7. [PMID:22618953]
7)Sasabuchi Y,et al. The volume-outcome relationship in critically ill patients in relation to the ICU-to-hospital bed ratio. Crit Care Med. 2015;43(6):1239-45. [PMID:25756414]
8)讃井將満. 集中治療医が遠隔から重症患者診療をサポートする――tele-ICU導入の試み. 週刊医学界新聞2015年4月20日号.

志馬 伸朗氏 しめ・のぶあき氏
1988年徳島大医学部卒,京府医大麻酔学教室入局。米カリフォルニア大サンフランシスコ校(UCSF)研究員,京府医大集中治療部副部長,国立病院機構京都医療センター診療部長/救命救急センター長などを経て,15年9月より現職。日本集中治療医学会理事,同学会社会保険対策委員会委員長。


松田 晋哉 まつだ・しんや氏
1985年産業医大卒。91~92年フランス政府給費留学生(フランス保健省公衆衛生監督医見習い医官),92年フランス国立公衆衛生学校卒。99年3月より現職。フランス公衆衛生監督医(Diplôme de la Santé),英国王室医学会公衆衛生医学会フェロー。DPCの開発者としても知られる。『地域医療構想をどう策定するか』(医学書院)など著書多数。

讃井 將満 さぬい・まさみつ氏
1993年旭川医大卒。飯塚病院などで研修後,99年に渡米。米マイアミ大にて麻酔科レジデント,臓器移植麻酔フェロー,集中治療医学フェロー。自治医大さいたま医療センター講師,慈恵医大准教授を経て,2013年より現職,15年よりセンター長補佐を兼任。NPO法人日本集中治療教育研究会(JSEPTIC)理事長。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54437/Default.aspx
厚労省・ベンチャー懇報告書「イノベーションを評価する薬価制度構築を」
2016/08/01 03:51 ミクスオンライン

厚生労働省は7月29日、医療のイノベーションを担うベンチャー企業の新興に関する懇談会の報告書をまとめ、塩崎厚労相に手渡した。イノベーションを評価する薬価制度の構築や、PMDAの承認審査・相談料の減免の拡充やオーファン疾患に対する開発助成の増額などを求めた。厚労省内に「ベンチャー等支援戦略室(仮称)」を1年以内に設置し、“オール厚労省”でのベンチャー支援体制を敷くことも盛り込んだ。厚労省は、ベンチャー支援対策強化について、2017年度予算案の概算要求に盛り込む方針。

報告書では、基礎研究から承認、販売、市販後調査、海外展開まで見据えたエコシステムを醸成する制度づくりが必要と指摘。イノベーションを評価する薬価制度として、▽医療系ベンチャーの費用構造を含む実態を調査した上で、その特性に対応した薬価における評価、▽既存の画期性加算で十分に評価できなかったイノベーションの評価、▽革新的な抗体医薬品などに対する研究開発や製造の高コスト化に見合った評価――をあげ、中医協のワーキンググループで検討することなどを提案した。

また、上市後のサポートとして、事業規模の小さい医療系ベンチャーにとって、市販後調査(PMS)は多大な負担になっていると指摘。疾患領域別にクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の3年以内のフォーマット統一を目指すことなど、電子的な臨床データなどを活用したPMSの推進を求めた。また、PMSにかかわる資金面の費用軽減も求めた。


◎厚労省、PMDA、臨床研究中核病院との連携強化を

医療系ベンチャー振興施策の企画・実行・モニタリングを行う組織として、厚労省内にベンチャー等支援戦略室(仮称)を1年以内に設置。あわせてPMDAには、医療系ベンチャーを含めた小規模事業者がもっているシーズの実用化を支援する「小規模事業者シーズ実用化支援室」(仮称)、臨床研究中核病院にベンチャー支援部門を設置し、連携することも求めた。

報告書では、ベンチャー振興に向けて、①規制から育成へ、②慎重からスピードへ、③マクロからミクロへ――をベンチャー振興方策の3つの原則(パラダイムシフト)--を3つの原則(パラダイムシフト)に位置づけた。その上で、①エコシステムを醸成する制度づくり、②エコシステムを構成する人事育成と交流の場づくり、③オール厚労省でのベンチャー支援体制の構築――を3つの柱とした具体的な取り組みを示している。

米国では開発された新薬の半数がベンチャー由来であるなど、医療系ベンチャーが製薬企業のイノベーションのカギを握っている。日本では、大学や研究機関が有するシーズは世界でも高い水準であるものの、企業家が少なく、人材確保が困難であることや、投資などが少なく、資金面での支援も弱いなどの弱みがあり、支援策が求められていた。


  1. 2016/08/01(月) 05:35:54|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
前のページ