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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月29日 

http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E3%81%AE%EF%BD%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%8D%8F%E9%80%A0%E5%A4%A7%E5%9B%BD%EF%BD%A3%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%A0%B9%E5%9B%A0-%EF%BD%A2%E3%82%AB%E3%83%8D%E5%8F%96%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%83%80%E3%83%A1%EF%BD%A3%E3%81%8C%E4%B8%8D%E6%AD%A3%E7%94%9F%E3%81%BF%E5%87%BA%E3%81%99/ar-BBtzUpt
日本が世界一の「研究捏造大国」になった根因 「カネ取れなければダメ」が不正生み出す
塚田 紀史
東洋経済オンライン 2016.05.28

STAP細胞は組織ぐるみの不正にはなりえない性格の研究だった(撮影:ヒラオカスタジオ)© 東洋経済オンライン STAP細胞は組織ぐるみの不正にはなりえない性格の研究だった(撮影:ヒラオカスタジオ)
 輝かしいノーベル賞受賞の一方で、科学者たちは時として「研究不正という暗い影を生み落としている」という。『研究不正 科学者の捏造(ねつぞう)、改竄(かいざん)、盗用』を書いた東京大学の黒木登志夫・名誉教授に、詳細を聞いた。

 ──日本人が研究不正で「世界トップ」なのですか。

 2014年まで11年間の撤回論文数のワーストワンは日本人、ワースト10に2人、30位内に5人も名を連ねている。撤回数を国別に見ると、いちばん多いのから順にインド、イラン、韓国、それから中国、日本、米国と続く。日本は捏造が多く、ほかの国は盗用が多い。また3分の1は間違いが理由。それも不名誉なことには違いない。

 研究不正は2000年まで日本では目立つものはなかった。2000年に麻酔科医が摘発されて以降、次から次へと出てきている。撤回論文を俎上に載せたブログ「リトラクションウオッチ」によると、この麻酔科医の撤回した論文は20年間分で183を数え、世界一。ものすごい「才能」だ。何しろ英文で論文を仕上げ、一流ジャーナルの審査にパスする。しかも掲載されるにはその時々に何が問題テーマか理解していなければならない。実は世界にはそれができる人物はいっぱいいる。

 ──この本では42例が特筆されています。

 データの改ざん、成果の捏造、盗用など、欧米や日本、中国、韓国などを揺るがした重大不正事例を抜き出した。

 ──なぜ日本で今世紀に入る前後から多くなったのですか。

 大学、研究機関が経済的に苦しくなって、自らおカネを取ってこなければ研究ができない。任期が不安定化し、腰を落ち着けることも簡単にはできない。そういう研究の競争社会入りがバックにある。

 この本に現れた不正は氷山の一角で、東芝の会計不正、フォルクスワーゲンや三菱自動車はじめ、企業にも社会一般にも不正はたくさん見られる。企業の場合は縦社会だから組織ぐるみになってしまう。大学や研究者は縛りが緩やかだから、むしろ一人ひとりが勝手にやっているところがある。

 ──単独不正だと?

 STAP細胞事件の理化学研究所の場合には組織ぐるみでないかという見方もあったが、組織ぐるみにならない性格の研究だった。STAP細胞の場合は社会的に関心を引きすぎた。STAP細胞よりノバルティス ファーマのほうが罪は大きい。

 ノバルティスはスイスに本拠を置く世界的な大企業で、米『フォーチュン』誌によると最も尊敬される製薬会社に該当していた。その日本法人がやってしまった。本部長クラスが立案し、10年かけ計画的にマンモス降圧剤に仕立て上げた。年商1000億円計画の下で、いい効能のデータを出し、いいジャーナルに載せる。社員が大学に非常勤講師で入り、データ作りを筒抜けにさせた。

 まさに日本の臨床医学の弱点を突いた。

 ──同じ分野の薬剤で武田薬品工業は京都大学医学部に「奨学寄付金」の供与をしていましたね。

 ノバルティスから5大学に渡った総計11億円も奨学寄付金だった。しかし、この額に驚いてはいけない。武田薬品と京大とで行った降圧剤の臨床研究で京大が受け取った寄付金は、5年間で20億円。しかもこれには症例検討に必要な経費は含まれていない。そこでの都合のいいデータを武田は広告に使い、問題になって引っ込めた。

 ──降圧剤分野は儲かる?

 一度飲み始めるとずっと飲み続けることになる。常用する人口も多い。武田はこの分野の研究で先陣を切っていた。

 ──実際、不正を現場近くで見られた経験もありますね。

 東京大学分子細胞生物学研究所の事例だ。スター研究者の教授がこういう結果のデータを出せと最初から指示した。初めにシナリオありき。大阪地検特捜部による厚生労働省の事件と似ている。

 ──課題設定に無理がある?

 おカネを取ったら取ったで成果が求められる。それがプレッシャーになる。大事なのは風通しのいい、研究の運営だ。みんなが自由にものを言える雰囲気がないといけない。

 ──研究不正は医学、生命科学に多い?

 数学のように厳密にロジックを考える分野は下手なことをすればバレる。医学、生命科学における現象データの場合は追求されても、そのときはこうなったと言えば通るところがある。STAP細胞にしても、「できます」と言えば通ったところがあった。

 ──視界を世界に広げれば、希代の「論文泥棒」は米国人のエリアス・アルサブチ氏ですか。

 東京大学医科学研究所が被害を受けたときの助教授だったのでよく覚えている。医科研の英文ジャーナルに盗作論文が掲載されてしまった。こんなことをしてもしょうがないと思ったのだが、すぐにバレるようなことを平気でやる。病的な人もけっこういる。不正をやっているうちに自分を信じきってしまうのだろう。

 ──ジャーナルの審査は確かなのですか。

 ノバルティスでの論文が通ったのを見ても、だいぶお粗末になってきているのかもしれない。研究は、英文論文として一流のジャーナルに発表することで一応完結する。今や、ネットのジャーナルもいっぱい出てきて、これもいいかげんなものが少なくない。投稿料目的でやっているものもある。

 ──ところで、岐阜大学の「落下傘学長」をされました。

 法人化前の3年から法人化後4年までの7年間だ。工学部長と病院長が対立して、皆嫌気が差し、第3の候補者として指名された。当初から知っている教授は4人しかいなかった。中堅規模の大学だけにずいぶん改革ができた。法人化して大学の定員がなくなり、予算をどう使うかは大学次第。給与をポイント制にして、工学部には4000点とかを配付した。東大はじめほかの大学も取り入れるようになったが、このポイント制給与は小生が始めたものだ。

 大学施設の他大学への貸与や、さらには入試過去問題活用宣言をして、ほかの大学の過去問を使う入試も始めた。職員組合から「思いつき学長」と揶揄されたが、予算や、参加するプログラムをきちんと取ってくる。いろいろ経験した。

 ──研究不正は犯罪ではない?

 重大な研究不正の底辺には不注意なもの、軽微の不適切な研究行為などがいっぱいあって、そうしているうちに改ざんなどに手を染めてしまうのだろう。研究不正は犯罪ではない。倫理規範違反。ただし、おカネが絡むと返還が問題になる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/428587?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160529&dcf_doctor=true&mc.l=160034941
シリーズ: 医師不足への処方せん
1位総合診療医、2位地域枠、3位は「医師の計画配置」
日病が医師不足対策を調査、医師の地域偏在は拡大

2016年5月28日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会は5月28日の記者会見で、会員病院を対象に実施した「2015年地域医療再生に関するアンケート調査報告書」の結果を公表、5年前と比較した常勤医師数は、政令指定都市・中核市等の病院では「増加した」が64.7%に上ったものの、反対に群部・町村の病院では、42.5%が「減少した」と回答、勤務医の確保状況は地域差が大きいことが明らかになった。勤務医不足の解消策として、総合診療医への期待は高く、加えて「医師の計画配置」を支持する病院は70.2%に上るなど、従来とは異なる対策を期待している病院が多いことも示されている。

 本調査では、勤務医の労働実態も調査、「時間外勤務が月80時間を超える医師」が存在する病院は42.1%、宿直の翌日は「通常通り勤務」の病院は59.7%で、勤務医の多くが依然、厳しい労働を強いられている現状も浮き彫りになっている。労働基準局から是正勧告を受けた経験がある病院は24.7%に上り、「日本の医療は、労基法違反を前提として成り立っていると思う」と回答したのは46.9%を占めた。

 会見した常任理事の塩谷泰一氏は、「国、都道府県、各病院のレベルで、さまざまな医師確保対策が講じられてきたものの、医師の地域偏在は解消するどころか、益々拡大している。それに伴い、現場の不安感はむしろ増大している」と指摘した。「勤務医は不足している」との回答も、政令指定都市・中核市等の病院では72.7%、郡部・町村の病院では92.5%と約20ポイントの差がある。勤務医不足の解決策について、「発想を変えて、今までとは異なるアプローチをしていかなければいけないと考えているのだろう」と塩谷氏は語る。

 規制的な医師不足対策については、「職業選択の自由」との兼ね合いから問題視する声も根強いが、塩谷氏は、日本医師会と全国医学部長病院長会議の2015年12月の緊急提言などを例に挙げ、「世の中の雰囲気は、少しずつ変わりつつあるのではないか」と述べた(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。

 厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会」で、医師需給などの検討を進めている(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』などを参照)。日病は、本調査結果がこうした検討の場で活用されることを期待する。ただし、日病会長の堺常雄氏は、規制的な医師不足対策については、「検討は必要だと思うが、クリアすべき課題は幾つかあると思っている」と慎重な議論が必要だとした。

 9割が「大学医局からの派遣」に依存

 調査は2015年10月1日から11月20日にかけて、2431病院を対象に実施、664病院から回答を得た(回答率27.3%)。回答病院は500床以上が20.0%と多いものの(日本全体では500床以上は約5%)、200床未満も38.0%に上った。「日病の会員の割合をほぼ反映している。今回の調査結果は、日病会員の総意を反映したものと言える」(塩谷氏)。

 医師の確保方法は91.0%が「大学医局からの派遣」と回答し、いまだ大学への依存度は高い(複数回答)。以下、2位「人脈や個別紹介など個人的関係」(47.6%)、3位「公募」(42.5%)。4位に「人材あっせん会社」(37.6%)が入り、4割近くを占めることから、塩野氏は「憂慮すべき事態」と指摘。他の回答は、1桁だった。厚労省は、医師確保対策の一環として都道府県に「地域医療支援センター」を設定しているが、「医師確保については、全く機能していないことが分かった」(塩谷氏)。

 「大学医局からの派遣」で医師を確保している病院のうち、大学・医局に研究費等を支援しているのは、34.7%に上った。金額は「500万円未満」が76.3%を占めたが、「1000万円以上」も計8.7%。
 「保険医定員制」「自由開業の制限」は支持低く

 「勤務医確保は困難」と回答した病院は90.3%と高率。「勤務医不足の本質は、医師の絶対数の不足ではなく、地域偏在・診療科偏在と思う」と答えた病院は72.9%に上る。

 勤務医不足の解消策として賛成率が高いのは、「総合診療医の養成」(79.7%)がトップで、2位は「医学部地域枠入学の活用」(73.1%)。地域枠といっても、大学によりルールが異なることから、塩谷氏は「義務年限や赴任先病院の在り方など、運用ルールの基本は、ある程度全国的に統一化すべきではないか」と指摘。

 3位「医師の計画配置」(70.2%)、4位「地域ごと基本診療科ごとの医療需要の把握と設定」(60.4%)、5位「へき地勤務の義務化」(57.9%)と、規制的な医師不足対策が並んだ(複数回答)。もっとも、「保険医の定員制の設定」(13.6%)や「自由開業の制限」(32.4%)を支持する意見は少なかった。「一般論では賛成するものの、より具体的、自分に身近な対策となると反対意見が出てくる」と塩谷氏は分析した。



https://www.m3.com/news/general/428569
手術8人死亡、リスク説明不十分 外部調査委が報告書、千葉・海浜病院
2016年5月29日 (日) 毎日新聞社

海浜病院:手術8人死亡、リスク説明不十分 外部調査委が報告書 /千葉

 千葉市美浜区の市立海浜病院の心臓血管外科で、昨年4~6月に心臓や大動脈の手術を受けた患者8人が死亡した問題。外部調査委員会は27日に公表された報告書で、手術のリスクの評価や患者・家族への説明などに不備があり、医療体制も十分でなかったと問題点を指摘した。「手術リスクの高い症例が多く、明らかな医療過誤と思われるものはなかった」と結論付けたが、寺井勝院長は記者会見で亡くなった患者と遺族に向けて頭を下げた。

 病院によると、8人は55~81歳の男女で、手術後1~44日以内に死亡したことが昨年8月までに明らかになった。調査委は高本真一委員長(三井記念病院院長)ら6人で、同月から医師への聞き取りなどをしてきた。

 報告書などによると、心臓血管外科の医師は4人で主に2人が執刀した。リスクは患者の状況や手術の難しさなどから計算するが、4例は死亡率20~50%とみられるのに3~10%と低く評価し、手術を勧めた。適切に評価されていれば患者や家族が手術を避けた可能性がある例もみられたという。

 予測不能な大動脈瘤(りゅう)破裂があった1人以外は ▽止血に難渋し輸血量が5リットルを超えた(5人) ▽大動脈の遮断時間が3時間を超えた(4人) ▽手術時間が10時間を超えた(6人)――という共通点があった。一つ一つの手技にも時間がかかっており、チーム体制をさらに充実させる必要があったと指摘した。

 病院は報告書を受け取った24日以降、遺族に説明し、「重症とは理解していたが正確な数字を言ってほしかった」「死亡例が相次いでいた状況を知らせてほしかった」との意見が寄せられたという。

 寺井院長は「緊急手術や高いリスクの手術が続いた。連続する重症手術や術後管理の対応には少人数では限界があり充実した体制づくりが必要であると考えている」と釈明した。【田ノ上達也】



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54179/Default.aspx
メーカー公取協 医師主導臨床研究の支援と公競規の関係の検討 今年度も継続
公開日時 2016/05/30 03:50

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)は5月27日、通常総会を開き、医師主導臨床研究に対する支援と公競規との関係の検討について「まだ道半ば」として、16年度も引き続き検討することを決めた。

医師主導臨床研究の不祥事では、当該企業による社外調査委員会で過大な労務提供などによる規約違反の可能性が指摘されていた。それを受け15年度、同協議会は、具体的な違反の確認には至っていないものの、メーカー側の関わり方によっては医療用薬の使用を不当に誘引するおそれがあるとして、公競規上の対応が可能か検討してきた。まだ結論が得られていないことから16年度事業計画に検討することを盛り込み「必要に応じて運用基準を見直す」とした。

15年度規約違反 指導なし 注意は1件 講演会後の慰労で上限超える飲食

メーカー公取協は同日の通常総会で、14年度の公競規違反状況を報告し、広域の対応が必要な本部事案、指導はなく(14年度は本部2件、指導3件)、注意は1件(14年度2件)だった。

「注意」とされた違反概要は、2014年7月31日に自社医薬品の講演会開催後、役割者の慰労会において1人当たりの上限2万円を超える3万2450円の飲食を提供したというもので、15年4月21日に当該企業を「注意」した。

新会長は大日本住友の多田氏

メーカー公取協は同日の通常総会で、任期満了に伴う役員改選を行い、新しい会長に大日本住友製薬社長の多田正世氏を選出した。任期は2年。


  1. 2016/05/30(月) 05:39:06|
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5月28日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/427403
シリーズ: The Voice(医療)
厚労省に有利な「医師過剰」推計に異議
医学部定員1.5倍でも医師不足続く

2016年5月27日 (金) 上昌広(NPO法人医療ガバナンス研究所理事長)

 3月末、厚労省は「医師の需要推計について」というレポートを発表した。そして、「医師需給は、中位推計においては、2024年(平成36年)頃に、上位推計おいては、2033年(平成45年頃)に均衡すると推計される」と結論した(資料は、厚労省のホームページ)。

 この報告に基づき、厚労省の有識者会議は、2020年以降は医師の偏在解消策の効果などを考慮しながら、削減も含めて検討する方針を盛り込んだ中間報告をまとめた。

 私どもは、医師不足について研究を続けてきた。2012年には、情報工学の専門家である井元清哉・東大医科研教授らと将来の医師不足をシミュレーションし、その結果を『プロス・ワン』誌に発表した。 (Yuji, Koichiro, et al. "Forecasting Japan's physician shortage in 2035 as the first full-fledged aged society." PloS one 7.11 (2012): e50410.)

 実は、今回の厚労省の推計と、私どもの推計の結果は全く違う。我々の推定では、2035年に2010年レベルの医師不足の状態に維持したければ、医学部定員を2010年の定員の53%増やさねばならなかった。特に後期高齢者の医療需要の増加は著しかった。図1は、医師の労働時間100時間当たりの後期高齢者の死亡数を示したものだ。全ての県で医師不足は悪化し、特に首都圏、中部地方、関西圏が深刻であることが分かる。

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図1 医師の100時間労働当たりの後期高齢者の死亡数(提供:上氏。上氏らの推計による)

 我々の解析結果は、遅くとも2033年までには医師は充足すると言っている厚労省の見解とは相容れない。なぜ、乖離が生じるのだろう。

 医師は週54.4時間勤務?

 医師の需給を検討する場合、需要と供給を正確に評価しなければならない。その際、どのような指標を使い、どのような仮定を置くかで、結果は変わってくる。推計の信頼度は、その方法論に依存する。

 では、厚労省と私たちは、どのような推定のやり方をしたのだろうか。

 まずは、医療供給だ。供給とは医師の労働量だ。医師の技量に個人差はあるものの、実際には医師の労働時間を用いることが多い。その際に重要なのは、医師の年齢、性別を考慮することだ。これも個人差はあるが、妊娠・出産・子育てにかける時間が多い女性医師や、体力が衰える高齢医師は若年男性医師ほど働けない。

 厚労省は、どのように彼らの労働時間を、どのように仮定したのだろうか。厚労省の報告によると、「30~50歳代の男性医師を1とした場合に、女性医師0.8、高齢医師0.8」としている。

 では、基本となる男性医師の労働時間はどうだろう。厚労省は、平均労働時間を54.4時間としている。これは2012年に労働政策研究・研修機構が発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」に基づいたものだ(資料は、同機構のホームページ)。この調査は、全国の20床以上の病院に勤めている24歳以上の勤務医を対象にインターネットを用いて実施し、有効回答数は3467票だった。

 報告書には「実際の労働時間を含む。休憩時間は除く」、「他の勤務先も含めた週当たりの全労働時間」と書いてあり、方法論としては妥当だ。ただ、勤務医の30-50代の労働時間の平均が週に54.4時間というのは、多くの読者の実感に合わないだろう。完全週休2日制、当直なしとして、毎日の残業時間が3時間ということになる。私は、このような勤務医をみたことがない。

 ちなみに2006年に開催された「第12回医師の需給に関する検討会」には図2のような資料が提出されている。この推計では休憩、つまり院内待機時間など、あらゆる間接業務の時間が含まれている。30歳代男性の平均労働時間は週に80時間を超える。
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図2 病院医師勤務時間(提供:上氏。2006年に開催された「第12回医師の需給に関する検討会」に提出された資料)

 後述するが、米国でも週の労働時間は80時間とされている。こちらの数字の方が、多くの読者の実感に合うだろう。労働政策研究・研修機構の調査が、なぜ、このような結果になったのかは分からない。ただ、若年男性の労働時間を低く見積もることは、医師を増やしたくない厚労省にはありがたい。女性や高齢医師の仕事量が相対的に高くなるからだ。

 厚労省は「女性医師の労働時間を踏まえた仕事量が0.8」としており、その際「供給推計には就業率が加味されており、休職・離職による影響は既に考慮されている」と述べている。図2を見れば、そんな仮定が出鱈目であることは一目瞭然だ。

 実は、若年男性の労働時間を低く見積もることは、厚労省にとって、別の意味でも都合がいい。それは、医師の過剰労働問題を議論せずに済むからだ。世界では、医療安全の観点から、医師の労働時間規制が進んでいる。きっかけは1984年に米国で起こったリビー・ジオン事件だ。過労のレジデントが誤投薬をして、患者が亡くなった。現在、米国では週80時間以内、EUでは週平均48時間に規制されている。米国では、医師研修施設の認定にかかわるACGME(Accreditation Council for Graduate Medical Education)が基準を定めており、このルールを守らなければレジデントを採用できなくなる。また、欧州では「working time directive」というEU法で定められており、雇用主に定期的なモニタリングが義務づけられている。

 日本にも労働基準法があり、週に40時間という法定労働時間を定めているが、勤務医は実質的に適用外だ。睡眠不足や過労が人間の判断力を鈍らせるのは公知の事実だ。そんな医師に治療を受けたい患者はいない。ところが、このことは、厚労省の推計には全く考慮されていない。あえて、この問題を避けるため、現実離れした調査を前提においたように見える。このように、厚労省の医療供給の推計は、前提条件に問題がある。現実を反映したものとは言いがたい。

 医療需要も過少推計

 では、医療需要の推計はどうなっているだろう。実は、こちらも科学の体をなしていない。

 厚労省は医療需要を「将来の医療需要」x「医療需要当たりの医師数」として定義している。そして、「将来の医療需要」を「地域医療構想等の必要病床数」、「将来の外来患者数」、「将来の施設の入所者数」で代替している。需要の推計に、「施設数」という供給側の指標を盛り込んでいる。この方法を使えば、施設数を絞ることで、需要を過小評価できる。これは、現在、厚労省が推進している政策そのものだ。

 医療需要を推計するなら、こんな指標を使ってはならない。主要疾患の年齢別罹患率と人口構成を掛け合わせるか、あるいは年齢別死亡率と人口構成を掛け合わせればいい。我々は後者を選択した。その結果が、冒頭にご紹介したものだ。厚労省の推計と、大きな乖離が生じるのも頷けるだろう。

 厚労省の推計は、かくの如く、方法論として問題がある。実は、このことは関係者の間では有名だ。首都圏の県庁に勤務する知人は「厚労省は定期的に医師推計を出しますが、そのたびに、医師が充足するのは、10年ずつ後ろになります」と言う。地方行政の担当者からは、厚労省は現状を肯定するための、辻褄合わせをしているとみられており、はなから信頼されていない。彼は、医学部新設を含め、独自に医師確保に取り組んでいる。

 厚労省の推計には、もう一つ問題がある。地域差を考慮していないことだ。わが国の医師数は西高東低。人口10万人当たりの医師数は久留米市が543人、長崎市414人に対し、千葉県173人、千葉市は255人だ。久留米市や長崎市の医師を千葉県に強制配置できない以上、全国平均で医師数が充足しても、首都圏の医師不足は解決しない(有識者の一部に強制配置を望む声があるが、これは憲法違反だ)。

 では、首都圏はどうなるのだろう。図3は首都圏で75歳人口当たりの60歳未満の医師数の推移を示す。団塊世代が亡くなる2035年ころに一時的に改善するが、その後、再び悪化する。少なくとも、首都圏で短期的に医師が充足することはあり得ない。
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図3 首都圏における75歳人口当たりの60歳未満の医師数の推移(提供:上氏。上氏らの推計による)

 データ公開し、オープンな議論を

 かくの如く、わが国の医師不足は深刻だ。短期的に解決することはなく、過剰になるなどあり得ない。

 確かに、私を含め医師にとって医師不足は好都合だ。多少、過剰労働はあるが、給与が上がり、仕事に困らない。大学教授たちは、さらにおいしい。医局員の派遣に伴い利権が生じるからだ。寄付講座や新専門医制度など、その典型だ。詳細は、以下の拙文をお読みいただきたい。

◆医師不足深刻化でも、大学医学部が定員増に必死の抵抗…「医師不足利権」の病理(2016年12月8日)

◆巨額税金投入の福島医大、被災地からの医師派遣要請に応じず…見返りに寄付金受領(2016年3月10日)

 医療界も、そろそろまともな議論をしたらどうだろう。いつまでも詭弁を弄していると、やがて社会の信頼を失う。厚労省の官僚たちも問題点は理解しているだろう。業界団体の意向を汲む与党や医療費抑制を迫る財務省からの圧力は、相当なものだ。彼らの苦労は察して余りある。

 ただ、審議会を隠れ蓑に辻褄合わせをするのは、そろそろ止めたらどうだろうか。こんなことを続けていると、わが国は駄目になる。

 どうすればいいのだろうか。私は厚労省が統計データを公開すればいいと思う。研究者が解析し、その結果を学会や論文で発表し、自由な議論をすればいい。医師は足りないけど、お金もない。さてどうするか。現状を国民が認識できるはずだ。そこからは国民的な議論が始まる。マスコミを巻き込み、オープンに議論すれば、やがて国民的コンセンサスができるはずだ。わが国は民主主義国家だ。地に足の着いた議論を始めようではないか。



http://mainichi.jp/articles/20160528/ddl/k09/010/099000c
佐野市
市民病院、18年度から民営化へ 「大胆な改革必要」 /栃木

毎日新聞2016年5月28日 地方版 栃木県

 佐野市は27日、指定管理者制度に移行して8年になる佐野市民病院について、2018年度から完全民営化する方針を明らかにした。この日の市議会全員協議会で説明した。同市政策審議会に諮問したうえで正式に決める。

 同病院は04年の研修医の新臨床研修制度の導入などを背景に、一時常勤医師が全員退職するなど深刻な医師不足に陥った。08年10月に指定管理者制度を導入。医療法人財団「青葉会」(本部・東京)が運営を引き継いだ。

 08年度末に7人だった常勤医師は14年度末には14人に倍増し、患者数や経常収益も増加している。しかし、赤字体質は変わらず、14年度末で2億5994万円の経常損失を出した。同市は毎年度、7億〜8億円を一般会計から補填(ほてん)している。

 青葉会との指定管理者の協定は18年3月末で満了するため、同市は今後の経営形態を検討。現在の「公設民営」方式を見直し、民間譲渡を目指す方針を固めた。同市健康医療部によると、地域の中核病院として存続するためには大胆な改革が必要と判断したという。

 同市によると、総務省が07年に「公立病院改革ガイドライン」で公立病院の経営効率化や再編などを打ち出し、これまでに全国で46病院が民営化したという。【太田穣】



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201605/CK2016052802000147.html
【千葉】
外部調査委「医療過誤なし」 千葉市立海浜病院の術後死

2016年5月28日 東京新聞 千葉

 千葉市立海浜病院(美浜区)の心臓血管外科で昨年四~六月、心臓や大動脈などの手術を受けた患者三十一人のうち八人が相次いで死亡した問題で、外部調査委員会は二十七日、「明らかな医療過誤はなかった」とする報告書を発表した。一方で、患者側への説明で手術のリスクが甘く見積もられていたと批判。担当医が少なく、疲労が重なっていた可能性もあるとして態勢の充実を求めた。 (内田淳二)

 八人は五十五歳~八十一歳の男女で、手術の翌日から一カ月半の間に死亡した。三カ月間で前年度の四人を大きく上回る事態に、病院側は三井記念病院の高本真一院長ら六人による調査委を設置。死亡と手術との因果関係などを調べた。

 手術チームは、前年度と同じ三人の医師らが中心となって構成されていた。調査委はビデオなどで手術経過を確認し「手術リスクの高い症例が多く、予測不能の死亡例もあった」と結論づけた。

 患者側への事前の説明については不足していたと批判。死亡率3~10%とされた手術も、調査委の見立てでは20~50%だったとして「十分な説明があれば患者が手術を選択しない可能性もあった」とした。また、医師の人数が少ない中、手術などが相次ぎ「疲労が重なり手術成績の低下に関連していた可能性も否定できない」と指摘した。

 病院は昨年七月以降、同様の手術を中止。当時の担当医三人はすでに退職した。再開時期は白紙という。寺井勝院長は会見で「一年余り十分な説明責任を果たせなかった」と遺族に陳謝するとともに「報告書の指摘を真摯(しんし)に受け止め、改善に努めたい」と話した。遺族からは「死亡例が相次いでいた状況を知らせてほしかった」といった意見があったという。



https://www.m3.com/news/general/428556
パワハラ「改善せず」…医学部教授を停職6か月
2016年5月28日 (土) 読売新聞

 横浜市立大学医学部の50歳代の男性教授が、複数の学生、教職員に対し、頭をたたいたり、過度な叱責をしたりするパワーハラスメントをしたとして、停職6か月の懲戒処分を受けていたことが、市大への取材で分かった。

 処分は4月27日付。教授は2011年度にも暴言により停職3か月となっており、市大人事課は「改善が見られず、さらに重い処分にした」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/428388
シリーズ: 真価問われる専門医改革
日病協「永井私案含めて、機構の在り方はおかしい」
薬価改定は組織横断的な議論が必要と指摘

2016年5月28日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会の神野正博議長(日本社会医療法人協議会副会長)は5月27日の代表者会議後の記者会見で、2017年度から開始予定の新専門医制度について、「今の永井私案を含めて、現在の機構の在り方についてはおかしいと懸念を表明する。走りながら進めていくと転んでしまう」と話した。

 医師の診療科や地域の偏在について、これまでは学会や医師会、病院団体はこれまでプロフェッショナルオートノミーを発揮できていなかったと反省しているとした上で、神野議長は2017年4月開始に向けて「全団体の共通認識は『議論は煮詰まっていない』というもの」と説明。永井私案(『新専門医制度、永井委員長が“私案”で改善提案』を参照)についても「時期尚早。議論するに至っていない」と指摘した。

 原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は「(永井私案では)地域の協議会で(医師の偏在などを)議論することになっているが、協議会が作られていない地域も多く機能してない。形だけで実態がない」とコメント。原澤氏は個人的な意見として、「新専門医制度は地域医療崩壊につながり、学会、大学主導の制度である。(日本専門医機構の)池田理事長は止めたら二度と動かせないように発言しているが、そんなことはない。まずは総合診療専門医をスタートさせ、他の専門医は既存の学会に委ねながら3年ぐらいかけて専門医機構に暫時移行するのが妥当だと思う」と述べた。

 神野議長は高額な薬価が問題になっている薬剤費についても触れ、「薬価の決め方に疑義が出ている。早急に組織横断的に薬価改定をするようにしないと、総額が決まっている医療費の中で、薬剤費だけが膨張することになる」とし、議論が始まった第7次医療計画の在り方については「医療計画と地域医療構想の整合性が考えられないまま進むことを懸念している」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/428587
シリーズ: 医師不足への処方せん
1位総合診療医、2位地域枠、3位は「医師の計画配置」
日病が医師不足対策を調査、医師の地域偏在は拡大

2016年5月28日 (土) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会は5月28日の記者会見で、会員病院を対象に実施した「2015年地域医療再生に関するアンケート調査報告書」の結果を公表、5年前と比較した常勤医師数は、政令指定都市・中核市等の病院では「増加した」が64.7%に上ったものの、反対に群部・町村の病院では、42.5%が「減少した」と回答、勤務医の確保状況は地域差が大きいことが明らかになった。勤務医不足の解消策として、総合診療医への期待は高く、加えて「医師の計画配置」を支持する病院は70.2%に上るなど、従来とは異なる対策を期待している病院が多いことも示されている。

 本調査では、勤務医の労働実態も調査、「時間外勤務が月80時間を超える医師」が存在する病院は42.1%、宿直の翌日は「通常通り勤務」の病院は59.7%で、勤務医の多くが依然、厳しい労働を強いられている現状も浮き彫りになっている。労働基準局から是正勧告を受けた経験がある病院は24.7%に上り、「日本の医療は、労基法違反を前提として成り立っていると思う」と回答したのは46.9%を占めた。

 会見した常任理事の塩谷泰一氏は、「国、都道府県、各病院のレベルで、さまざまな医師確保対策が講じられてきたものの、医師の地域偏在は解消するどころか、益々拡大している。それに伴い、現場の不安感はむしろ増大している」と指摘した。「勤務医は不足している」との回答も、政令指定都市・中核市等の病院では72.7%、郡部・町村の病院では92.5%と約20ポイントの差がある。勤務医不足の解決策について、「発想を変えて、今までとは異なるアプローチをしていかなければいけないと考えているのだろう」と塩谷氏は語る。

 規制的な医師不足対策については、「職業選択の自由」との兼ね合いから問題視する声も根強いが、塩谷氏は、日本医師会と全国医学部長病院長会議の2015年12月の緊急提言などを例に挙げ、「世の中の雰囲気は、少しずつ変わりつつあるのではないか」と述べた(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。

 厚生労働省では「医療従事者の需給に関する検討会」で、医師需給などの検討を進めている(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』などを参照)。日病は、本調査結果がこうした検討の場で活用されることを期待する。ただし、日病会長の堺常雄氏は、規制的な医師不足対策については、「検討は必要だと思うが、クリアすべき課題は幾つかあると思っている」と慎重な議論が必要だとした。

9割が「大学医局からの派遣」に依存

 調査は2015年10月1日から11月20日にかけて、2431病院を対象に実施、664病院から回答を得た(回答率27.3%)。回答病院は500床以上が20.0%と多いものの(日本全体では500床以上は約5%)、200床未満も38.0%に上った。「日病の会員の割合をほぼ反映している。今回の調査結果は、日病会員の総意を反映したものと言える」(塩谷氏)。

 医師の確保方法は91.0%が「大学医局からの派遣」と回答し、いまだ大学への依存度は高い(複数回答)。以下、2位「人脈や個別紹介など個人的関係」(47.6%)、3位「公募」(42.5%)。4位に「人材あっせん会社」(37.6%)が入り、4割近くを占めることから、塩野氏は「憂慮すべき事態」と指摘。他の回答は、1桁だった。厚労省は、医師確保対策の一環として都道府県に「地域医療支援センター」を設定しているが、「医師確保については、全く機能していないことが分かった」(塩谷氏)。

 「大学医局からの派遣」で医師を確保している病院のうち、大学・医局に研究費等を支援しているのは、34.7%に上った。金額は「500万円未満」が76.3%を占めたが、「1000万円以上」も計8.7%。

「保険医定員制」「自由開業の制限」は支持低く

 「勤務医確保は困難」と回答した病院は90.3%と高率。「勤務医不足の本質は、医師の絶対数の不足ではなく、地域偏在・診療科偏在と思う」と答えた病院は72.9%に上る。

 勤務医不足の解消策として賛成率が高いのは、「総合診療医の養成」(79.7%)がトップで、2位は「医学部地域枠入学の活用」(73.1%)。地域枠といっても、大学によりルールが異なることから、塩谷氏は「義務年限や赴任先病院の在り方など、運用ルールの基本は、ある程度全国的に統一化すべきではないか」と指摘。

 3位「医師の計画配置」(70.2%)、4位「地域ごと基本診療科ごとの医療需要の把握と設定」(60.4%)、5位「へき地勤務の義務化」(57.9%)と、規制的な医師不足対策が並んだ(複数回答)。もっとも、「保険医の定員制の設定」(13.6%)や「自由開業の制限」(32.4%)を支持する意見は少なかった。「一般論では賛成するものの、より具体的、自分に身近な対策となると反対意見が出てくる」と塩谷氏は分析した。



https://www.m3.com/research/polls/result/107
意識調査
結果日本の臨床研究、どうなる?

回答期間: 2016年5月17日 (火)~24日 (火) 回答済み人数: 2250人

 降圧剤を巡る論文不正事件に関する裁判が現在、東京地裁で行われています(『降圧剤論文問題と研究不正』を参照)。事件をきっかけに政府は5月13日、製薬企業から資金提供を受けた薬などの臨床研究などについて第三者によるデータチェックなどを義務づける「臨床研究法案」を閣議決定しました(『臨床研究法案、国会へ 第三者がデータ確認 閣議決定』を参照)。

 研究の透明性が向上に期待できる一方、「ただでさえ、やりにくくなっているのに、日本の研究がさらに停滞する」という声も上がっています。日本の臨床研究についてのお考えをお聞きします。

「医療従事者の7割が「臨床研究の経験あり」

 臨床研究の参加経験を尋ねたところ、「ある(直近1年以内に)」が28%、「ある(直近3年以内に)」が10%、「ある(3年超の前に) 」が32%で、70%が経験があるという結果でした。思いのほか、臨床研究は身近な行為かもしれません。

 臨床研究の在り方については、「現状で良い」が44%を占めました。「今より強化すべき」は25%、「今より緩くすべき 」は18%でした。

 現在国会で議論が行われている「臨床研究法案」の影響については、「質の向上につながる」が26%、「質は現在と変わらない」が31%、「質の低下につながる」が12%、「分からない」が31%と意見が分散しました。自由意見では「質は向上したとしても数は減る」という指摘も多かったです。

 臨床研究の在り方について、多くのご意見が寄せられました。m3.com医療維新でご紹介します。
臨床研究規制「官僚の責任逃れ」「ルール違反の罰則を強化」」(次項)

Q1 臨床研究(治験含む)に携わった経験ある?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果

Q2 臨床研究への規制、強化すべき?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果

Q3 「臨床研究法案」、日本の臨床研究の質の向上につながる?
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開業医 : 456人 / 勤務医 : 1500人 / 歯科医師 : 5人 / 看護師 : 15人 / 薬剤師 : 234人 / その他の医療従事者 : 40人
※2016年5月24日 (火)時点の結果



https://www.m3.com/news/iryoishin/428386
シリーズ: m3.com意識調査
臨床研究規制「官僚の責任逃れ」「ルール違反の罰則を強化」
規制の在り方についての自由意見、賛否分かれる

2016年5月28日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 日本の臨床研究の在り方についてお考えをお聞かせください
調査結果はこちら⇒『「医療従事者の7割が「臨床研究の経験あり」』

【規制・ルールは重要】
・日本の臨床研究の信憑性が問題になっているのは、大変ゆゆしき問題と感じています。これまでの不備を出来るだけ是正して、より適切なものになるように願っています。【開業医】

・どうしてもお金が絡むので資金の管理、途中途中のチェック(効果判定も含めて)を行うこと。【勤務医】

・研究登録制を観察研究にも拡げる。【勤務医】

・ルールを守っての臨床現場主導の臨床治験の拡大が、新しい治療開発につながると思います。【勤務医】

・しっかりとしたルールを作り、ルール違反の罰則を強化したらいいのでは。あたりまえだが患者さんの利益のために正々堂々と研究をするべきでしょう。日本の臨床研究の信頼を取り戻すためには、20年以上かかるでしょう。【開業医】

・世界水準で考えれば、ルールとしては妥当と思われる。逆にルールに従っていない研究は、今後主要な国際誌には採択されなくなると思われる。現在の日本における問題は、医師以外のスタッフ(事務、統計学者など)による臨床研究のサポート体制が整っていないことだと思われる。【勤務医】

【研究環境の整備を】
・教授の部下でなく、研究員として、仕事をさせること。【開業医】

・質の良い臨床研究が求められるのは当然ですが、スピードも大事であると考えます。【勤務医】

・臨床的学術的に優先すべき臨床研究を学会主導で、国や製薬会社の支援で行っては?【開業医】

・臨床研究に携わる職種の採用拡大にかかわる費用を臨床研究を行う施設に国が補助を与える必要あり。【勤務医】

・不正をしたら製薬会社に薬剤の承認取り消しと3年間の営業停止ぐらいのことをしないと懲りない。【薬剤師】

・一般病院の熱意のある医師が臨床研究がしやすいようにすべきです。【勤務医】

・海外の臨床研究結果をそのまま、日本人に当てはめても同様の結果がでるかわからないため、日本でも積極的に臨床研究をすべき。【勤務医】

・製薬会社で治験に携わっていたころは、医師にも負担で患者さんにもメリットがあまりないように感じられた。奉仕の精神に頼るだけでは国際的な競争力を持つ企業に成長的ないのではないかと感じた。【薬剤師】

・基礎医学との連携をもっと強化すべき。臨床研修医制度によって大学院へ進む医師が少なくなっている現在、研究そのものの衰退が懸念される。【勤務医】

・確かに第三者によるチェックはある方がいいとは思うが、そのやり方次第では、臨床で使用することができるまでの期間をいたずらに伸ばす結果を招くことも考えられます。よって、迅速な第三者でのチェックが行われることを条件にするならば、現状よりも強化することを考えてもいいのかもしれません。確かに予期せぬ副作用に苦しむ患者さんがいる一方、世の中に治療薬が認可されていないことで苦しんでいる患者さんがいることも忘れてはいけないと思います。【薬剤師】

・FDAのように臨床研究の開始段階におけるプロトコルに関するアドバイスや介入をより実施すべき。監査を強化・新設しても第三者機関の追加による研究開発費が膨らむだけであまりメリットはない。監査はプロトコル通りに実施しているかの点に絞り、費用面でも可能な限り効率化してほしい。【薬剤師】

・CRCなどサポートする職種を増やすことが必要。【勤務医】

【規制の問題】
・おそらく国が出す提案は賢い製薬会社の研究員や実際の取りまとめをしている医師には見透かされ、不正はあまり減らない。逆に巧妙になるだけ、判断できなくなるのではという危険性がある。一方でまっとうな試験をしている人にとっては邪魔でしかない。また、規制が増えれば、製薬会社の負担も増え、それが結果薬価や儲からない薬剤開発の停滞につながる。本当は性善説が成り立てばいいんだけど、それは無理か。どちらにせよ、規制強化は何かしらのデメリットとなって出てくると思われる。【勤務医】

・治験に限って言えば、各科ごとに特徴があり、それを踏まえてすべきであり、どれも同じやり方である限り、無理がある。【勤務医】

・今後の学会では企業治験か、施設のレトロスペクティブ試験しか発表できないことになるでしょう。もう、医師主導の臨床試験からはEBMは出てこないでしょう。というより、臨床試験ができない。【勤務医】

・政府からの規制が多くて、良い研究は芽生えないと感じている。【勤務医】

・まさに狩人、森を見ず。規制を強化すれば、全体のアクティビティーの低下は必至。官僚が当面の責任逃れに考えているとしか言いようがない。長い目で見れば必ずダメになることばかりしている。不正をした人間に対する罰則を強化すべき。不正論文を作って、のうのうと教授を続けている人間のなんと多いことか。【勤務医】

・世界と規制の仕方がまったく異なり、異様なほど枝分かれしていてわけの分からん規則だらけ。こんなもの、使えるわけない。そして、法の網を潜るやつが必ず出てくる。【勤務医】

・倫理審査が厳しすぎて雑用が増えてしまい、本質的な業務以外に無駄な時間を浪費せざるをえなくなっている。日本の臨床研究が更に世界レベルから遠のき、研究者の数が減り、最終的には日本の医療レベルの低下につながる。【勤務医】

・大学との共同研究を始める前に、自施設でも倫理委員会に諮らなければいけない、個人情報保護に関する規制などなど、研究開始までにクリアすべきことが多すぎる。介入研究と観察研究では、違った対応でよいと思うが臨床研究として指針がでているので、それらをクリアするのに時間を取られ過ぎる。【勤務医】

・質の向上にはつながると思うが、国内での研究は進まず、海外での研究にしふとしていくのではないか?優秀な人材が海外へ行ってしまうのもどうかと思う。【薬剤師】

・現状、かなり面倒くさい。そのため、暇な医師しか参加できない。偏った医師による研究になるので、偏った結果が出やすいように思う。【勤務医】

・臨床研究を実施できる施設が限られてしまう。適応外使用が多い小児がん領域には多大なる痛手となる可能性があり影響が懸念される。【勤務医】

【その他】
・ネズミをいじって基礎研究論文を書いて教授になった人たちに、臨床研究主査をさせること自体大間違いですね。【開業医】

・最近、臨床研究での学位取得が安易になってきたように思う。もっとoriginalityのある臨床研究に期待したい。【開業医】

・官・民とも前例主義強く、新規の研究テーマや、発見が育たない。【勤務医】

・何でも第3者委員会をつくれば良いという風潮に危機感を覚えます。【勤務医】

・データシェアリングの世界の潮流との整合性が必要。COIを厳しくしたために、研究費がなくなり、臨床研究が世界から取り残されていることを危惧しています【勤務医】

・怪しい研究論文が多すぎる。【勤務医】

・法案はよいが人材と資金がない研究者は大変なことになるし、旧帝大系の大学だけが生き残ることになり、シーズも育ちにくくなると思われる。【勤務医】

・わが国では医療費が安く提供されるからか、治験に入る必要性が薄いという患者さんの背景がある。したがって、治験に参加する人は金儲け半分、自分の医療費軽減目的が半分の人に偏る傾向あり。治験を進めにくい環境にある。【開業医】

・日本ではごまかしの研究風土ができており、医学博士が他の博士の中でもダントツに多いことをみればわかる。大事な発見がそうそうある訳がない。【勤務医】

・基本的に臨床現場の声が軽視されないことを強く望む。統計的には表面には現れない軽微な不都合な事象が臨床家は最初から気付いていることが多い。自由な意見の言える治験であるべきだ。【勤務医】

【長文でのご意見】
・研究倫理について、その歴史と実際に起こった事件、そこからどのような経緯で倫理委員会の役割が決められ、ヘルシンキ宣言につながっていったのか、ということの教育がほとんどなされてこなかったのが日本の医学(もちろん看護も含みます)教育であり、それゆえに介入研究に関する各種規制や情報公開といったことが単なる面倒な事務手続きとして認識されてしまっているのは悲しいことです。厳しい言い方ですが、これらの規制を面倒なものと認識している医療スタッフは研究をする資格はないとせざるをえません。 しかし、規制をすれば良い、という発想ではいつまでたってもこの精神的な風土は変わることは期待できません。医療行為と研究行為を明確に区別して考える考え方を地道に普及させるため、時間はかかっても医学教育を改革する方向にしなければ、ヨーロッパ文化(米国は若干,経済活動優先な面があるので,欧米とはしません)の考え方で実施される臨床試験には日本はハイリスクで参加させられない、という状況になるはずであり、おそらく臨床の先生のうち一部の方々はすでにこのことを実感されているのではないかと思います。私自身は疫学を専門としており、日本で実施されるすべての介入研究のうち85%程度を全て概要のみですが把握する立場にあるものです。【勤務医】

・個々の臨床研究の質は高くなると思います。しかし、参入が非常に難しくなるために、若手が勉強する機会が減るだけでなく、「非凡な着想が生かされなくなる」「ごく一部の病院でしか実施できなくなる」という弊害があります。プラスマイナスすると弊害の方が遥かに大きい。研究というのは大半がgabageであり、その中から珠玉が生まれてくるものです。そういうprincipleに反する規制強化は、日本の研究力を大幅に低下させるでしょう。つまり見かけの質の向上は「非常に質の低い臨床研究が減るために平均値が上がる」結果に過ぎません。また、「どんなに厳しい条件をつけても違反はなくならない」と思います。昔の緩やかな基準で十分だった、と思います。私の研究マインドも、そんな中で育ったのでした。倫理教育は必要ですが、規則は緩やかでいいと思います。何でも締め付ければいいという風潮は、必ず科学を萎縮させ、未来を閉ざすでしょう。【勤務医】

・アメリカでも過去に似たことがありましたが、その時にアメリカではどういう議論になったか? たしか、有力な意見のひとつは「政府が研究資金を出して臨床研究をさせるべし」であったと思います。研究資金の出所は別に製薬会社で差し支えありませんが、政府が資金を召上げて市販後の臨床研究をさせる訳です。研究責任者が研究のパトロンの顔色を窺う必要がない様にする訳です。今の制度では、すでにSMOなどが研究の遂行やデータ入力などに関わっています。第三者機関など作っても今度は第三者機関がパトロンの顔色を窺うだけで、研究責任者が研究の本来のパトロンたる製薬メーカの影響を受ける図式は変わりません。【勤務医】

・治験なんて製薬会社にとっていいデータを出さないと2度と治験を依頼されないから本当に効いているかどうかがわからない。かつて抗真菌剤の治験で僕の担当した10症例のうち8例を既存の抗真菌剤と比べて優れていると思えないと回答したところ、教授から呼び出され「同程度か優れているに変更してくれ」と頼まれたことがある。父親が開業医で抗真菌剤の治験を頼まれたときも、20症例すべて既存の抗真菌剤より劣っていると回答したところ、治験論文の協力してくれた医療機関から外されて論文が出ていた。まあそんなもんだと思います。【開業医】

・海外で研究グループを主宰しており、現地で共同研究者として臨床研究にも関わっています。日本の臨床の教室では基礎的な研究が多く、臨床研究の経験者が少なすぎるので研究デザイン、患者データのハンドリング、利益相反のチェック、統計解析の専門家などなど、すべてが足りないのが現状だと思います。また、必要なコスト(人件費)をかけずにやる事が美徳のように語られますが、コストをかけないとどこかに無理が生じて、結果として不正が生じる温床となりえます。なので、データ管理ツールやstudy nurseなどのコストをきちんとかけて研究を行うことができない組織では臨床研究はあきらめるというふるいが必要なのではないかと思います。あとは、日本では研究者主導治験と言いつつ実際には迂回財団を通したsponsoredであることも多く、これを徹底的に是正する必要があると思います。【勤務医】
  1. 2016/05/29(日) 06:11:24|
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5月28日 

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1371288.htm
「課題解決型高度医療人材養成プログラム(平成28年4月)」の申請状況
文部科学省 2016.5.28

「課題解決型高度医療人材養成プログラム」において、医療現場等で人材が不足している2領域について、平成28年4月15日~5月23日までの間、医師養成課程を置く各国公私立大学に対し公募を行った結果、合計20件の申請がありました。

1.事業の背景・目的
 平成26年度より実施している本プログラムは、全国の大学・大学病院における人材養成機能を一層強化し、我が国が抱える医療現場の諸課題等に対して、科学的根拠に基づいた医療を提供でき、健康長寿社会の実現に寄与できる優れた医療人材を養成することを目的に事業を実施しておりますが、今般新たに医療現場等で人材が不足している以下の2領域についてテーマを設定し、公募の上で支援を行うこととしました。

2.事業の概要
○選定件数:4件
 テーマ1 放射線災害を含む放射線健康リスクに関する領域(2件)
 テーマ2 慢性の痛みに関する領域(2件)
○補助期間:平成28年度から最大5年間
○補助金基準額:20,000千円(初年度・年間)
○補助事業上限額:40,000千円(初年度・年間)

3.今後のスケジュール
 今後、専門家・有識者により構成された「課題解決型高度医療人材養成推進委員会」で審査を行い、8月頃に選定結果を公表する予定です。

4.「課題解決型高度医療人材養成プログラム(平成28年4月)」の申請一覧
 「課題解決型高度医療人材養成プログラム(平成28年4月)」の申請一覧 (PDF:65KB) PDF
お問合せ先

高等教育局医学教育課
医学教育係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3306)
(高等教育局医学教育課)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48864.html
茨城のホスピタル坂東の再生支援を決定- 地域経済活性化支援機構
2016年05月27日 22時00分

 官民ファンドの地域経済活性化支援機構は27日、ホスピタル坂東(茨城県坂東市、精神340床、一般60床、医療療養50床)と医療法人清風会の再生支援を決定した。同院では、精神科救急機能や、認知症やアルコール依存症への対応を強化し、入院の拡大を目指す。【大戸豊】

 ホスピタル坂東は2012年5月、看護師の人数水増しなどによる約650万円分の診療報酬の不正請求が発覚。同年保険医療機関の指定を取り消されたが、地域の精神科医療を維持するため、運営法人の清風会と切り離し、院長の個人病院として存続が認められてきた経緯がある。しかし、その後は患者数が減少し、医業収益が大きく低迷していたが、業務改善を進め16年3月期の連結決算では、事業収益37億6400万円、事業利益1億6700万円と黒字に転換する見込みだ。ただ、多額の負債(金額は非公開)を抱えており、自力での再生は困難だった。
 茨城県では、人口当たりの精神科医師数が全国46位と医師不足が目立つほか、ホスピタル坂東と清風会が、精神保健福祉サービスをフルラインで提供し、重度アルコール依存症にも対応できる県内でも数少ない医療機関であることなどから、機構は地域での必要性を認め、今回再生支援を決めた。
 機構では、福祉医療機構と地銀から成る4つの金融機関に対し、債権放棄などの支援を求めることで、有利子負債を圧縮し、法人と病院の財務体質の改善を図る。また、社員や理事についても清風会に派遣し、病院を含めて経営管理体制を強化する。
 清風会は出資持分の放棄により、持分の定めのない医療法人に移行する。創業家出身の社員や理事は退任し、理事長には外部から招聘する医師が就任する予定だ。
 機構では今後、ホスピタル坂東の精神科救急機能のほか、認知症やアルコール依存症における専門医療を強化する。患者の受け入れも県西部に限定せず、県内全域で連携体制を結び、新入院患者の安定確保につなげていく考えだ。

事業再生に向けた仕組み
関係金融機関による債権放棄などの金融支援を受ける。機構は、社員・理事を清風会に派遣し、ホスピタル坂東を含めて一体的に経営改善を支援する
0528.jpg

地域経済活性化支援機構の資料を基に作成



https://www.m3.com/news/iryoishin/428386
シリーズ: m3.com意識調査
臨床研究規制「官僚の責任逃れ」「ルール違反の罰則を強化」
規制の在り方についての自由意見、賛否分かれる

2016年5月28日 (土) 高橋直純(m3.com編集部)

Q 日本の臨床研究の在り方についてお考えをお聞かせください
調査結果はこちら⇒『「医療従事者の7割が「臨床研究の経験あり」』

【規制・ルールは重要】
・日本の臨床研究の信憑性が問題になっているのは、大変ゆゆしき問題と感じています。これまでの不備を出来るだけ是正して、より適切なものになるように願っています。【開業医】

・どうしてもお金が絡むので資金の管理、途中途中のチェック(効果判定も含めて)を行うこと。【勤務医】

・研究登録制を観察研究にも拡げる。【勤務医】

・ルールを守っての臨床現場主導の臨床治験の拡大が、新しい治療開発につながると思います。【勤務医】

・しっかりとしたルールを作り、ルール違反の罰則を強化したらいいのでは。あたりまえだが患者さんの利益のために正々堂々と研究をするべきでしょう。日本の臨床研究の信頼を取り戻すためには、20年以上かかるでしょう。【開業医】

・世界水準で考えれば、ルールとしては妥当と思われる。逆にルールに従っていない研究は、今後主要な国際誌には採択されなくなると思われる。現在の日本における問題は、医師以外のスタッフ(事務、統計学者など)による臨床研究のサポート体制が整っていないことだと思われる。【勤務医】

【研究環境の整備を】
・教授の部下でなく、研究員として、仕事をさせること。【開業医】

・質の良い臨床研究が求められるのは当然ですが、スピードも大事であると考えます。【勤務医】

・臨床的学術的に優先すべき臨床研究を学会主導で、国や製薬会社の支援で行っては?【開業医】

・臨床研究に携わる職種の採用拡大にかかわる費用を臨床研究を行う施設に国が補助を与える必要あり。【勤務医】

・不正をしたら製薬会社に薬剤の承認取り消しと3年間の営業停止ぐらいのことをしないと懲りない。【薬剤師】

・一般病院の熱意のある医師が臨床研究がしやすいようにすべきです。【勤務医】

・海外の臨床研究結果をそのまま、日本人に当てはめても同様の結果がでるかわからないため、日本でも積極的に臨床研究をすべき。【勤務医】

・製薬会社で治験に携わっていたころは、医師にも負担で患者さんにもメリットがあまりないように感じられた。奉仕の精神に頼るだけでは国際的な競争力を持つ企業に成長的ないのではないかと感じた。【薬剤師】

・基礎医学との連携をもっと強化すべき。臨床研修医制度によって大学院へ進む医師が少なくなっている現在、研究そのものの衰退が懸念される。【勤務医】

・確かに第三者によるチェックはある方がいいとは思うが、そのやり方次第では、臨床で使用することができるまでの期間をいたずらに伸ばす結果を招くことも考えられます。よって、迅速な第三者でのチェックが行われることを条件にするならば、現状よりも強化することを考えてもいいのかもしれません。確かに予期せぬ副作用に苦しむ患者さんがいる一方、世の中に治療薬が認可されていないことで苦しんでいる患者さんがいることも忘れてはいけないと思います。【薬剤師】

・FDAのように臨床研究の開始段階におけるプロトコルに関するアドバイスや介入をより実施すべき。監査を強化・新設しても第三者機関の追加による研究開発費が膨らむだけであまりメリットはない。監査はプロトコル通りに実施しているかの点に絞り、費用面でも可能な限り効率化してほしい。【薬剤師】

・CRCなどサポートする職種を増やすことが必要。【勤務医】

【規制の問題】
・おそらく国が出す提案は賢い製薬会社の研究員や実際の取りまとめをしている医師には見透かされ、不正はあまり減らない。逆に巧妙になるだけ、判断できなくなるのではという危険性がある。一方でまっとうな試験をしている人にとっては邪魔でしかない。また、規制が増えれば、製薬会社の負担も増え、それが結果薬価や儲からない薬剤開発の停滞につながる。本当は性善説が成り立てばいいんだけど、それは無理か。どちらにせよ、規制強化は何かしらのデメリットとなって出てくると思われる。【勤務医】

・治験に限って言えば、各科ごとに特徴があり、それを踏まえてすべきであり、どれも同じやり方である限り、無理がある。【勤務医】

・今後の学会では企業治験か、施設のレトロスペクティブ試験しか発表できないことになるでしょう。もう、医師主導の臨床試験からはEBMは出てこないでしょう。というより、臨床試験ができない。【勤務医】

・政府からの規制が多くて、良い研究は芽生えないと感じている。【勤務医】

・まさに狩人、森を見ず。規制を強化すれば、全体のアクティビティーの低下は必至。官僚が当面の責任逃れに考えているとしか言いようがない。長い目で見れば必ずダメになることばかりしている。不正をした人間に対する罰則を強化すべき。不正論文を作って、のうのうと教授を続けている人間のなんと多いことか。【勤務医】

・世界と規制の仕方がまったく異なり、異様なほど枝分かれしていてわけの分からん規則だらけ。こんなもの、使えるわけない。そして、法の網を潜るやつが必ず出てくる。【勤務医】

・倫理審査が厳しすぎて雑用が増えてしまい、本質的な業務以外に無駄な時間を浪費せざるをえなくなっている。日本の臨床研究が更に世界レベルから遠のき、研究者の数が減り、最終的には日本の医療レベルの低下につながる。【勤務医】

・大学との共同研究を始める前に、自施設でも倫理委員会に諮らなければいけない、個人情報保護に関する規制などなど、研究開始までにクリアすべきことが多すぎる。介入研究と観察研究では、違った対応でよいと思うが臨床研究として指針がでているので、それらをクリアするのに時間を取られ過ぎる。【勤務医】

・質の向上にはつながると思うが、国内での研究は進まず、海外での研究にしふとしていくのではないか?優秀な人材が海外へ行ってしまうのもどうかと思う。【薬剤師】

・現状、かなり面倒くさい。そのため、暇な医師しか参加できない。偏った医師による研究になるので、偏った結果が出やすいように思う。【勤務医】

・臨床研究を実施できる施設が限られてしまう。適応外使用が多い小児がん領域には多大なる痛手となる可能性があり影響が懸念される。【勤務医】

【その他】
・ネズミをいじって基礎研究論文を書いて教授になった人たちに、臨床研究主査をさせること自体大間違いですね。【開業医】

・最近、臨床研究での学位取得が安易になってきたように思う。もっとoriginalityのある臨床研究に期待したい。【開業医】

・官・民とも前例主義強く、新規の研究テーマや、発見が育たない。【勤務医】

・何でも第3者委員会をつくれば良いという風潮に危機感を覚えます。【勤務医】

・データシェアリングの世界の潮流との整合性が必要。COIを厳しくしたために、研究費がなくなり、臨床研究が世界から取り残されていることを危惧しています【勤務医】

・怪しい研究論文が多すぎる。【勤務医】

・法案はよいが人材と資金がない研究者は大変なことになるし、旧帝大系の大学だけが生き残ることになり、シーズも育ちにくくなると思われる。【勤務医】

・わが国では医療費が安く提供されるからか、治験に入る必要性が薄いという患者さんの背景がある。したがって、治験に参加する人は金儲け半分、自分の医療費軽減目的が半分の人に偏る傾向あり。治験を進めにくい環境にある。【開業医】

・日本ではごまかしの研究風土ができており、医学博士が他の博士の中でもダントツに多いことをみればわかる。大事な発見がそうそうある訳がない。【勤務医】

・基本的に臨床現場の声が軽視されないことを強く望む。統計的には表面には現れない軽微な不都合な事象が臨床家は最初から気付いていることが多い。自由な意見の言える治験であるべきだ。【勤務医】

【長文でのご意見】
・研究倫理について、その歴史と実際に起こった事件、そこからどのような経緯で倫理委員会の役割が決められ、ヘルシンキ宣言につながっていったのか、ということの教育がほとんどなされてこなかったのが日本の医学(もちろん看護も含みます)教育であり、それゆえに介入研究に関する各種規制や情報公開といったことが単なる面倒な事務手続きとして認識されてしまっているのは悲しいことです。厳しい言い方ですが、これらの規制を面倒なものと認識している医療スタッフは研究をする資格はないとせざるをえません。 しかし、規制をすれば良い、という発想ではいつまでたってもこの精神的な風土は変わることは期待できません。医療行為と研究行為を明確に区別して考える考え方を地道に普及させるため、時間はかかっても医学教育を改革する方向にしなければ、ヨーロッパ文化(米国は若干,経済活動優先な面があるので,欧米とはしません)の考え方で実施される臨床試験には日本はハイリスクで参加させられない、という状況になるはずであり、おそらく臨床の先生のうち一部の方々はすでにこのことを実感されているのではないかと思います。私自身は疫学を専門としており、日本で実施されるすべての介入研究のうち85%程度を全て概要のみですが把握する立場にあるものです。【勤務医】

・個々の臨床研究の質は高くなると思います。しかし、参入が非常に難しくなるために、若手が勉強する機会が減るだけでなく、「非凡な着想が生かされなくなる」「ごく一部の病院でしか実施できなくなる」という弊害があります。プラスマイナスすると弊害の方が遥かに大きい。研究というのは大半がgabageであり、その中から珠玉が生まれてくるものです。そういうprincipleに反する規制強化は、日本の研究力を大幅に低下させるでしょう。つまり見かけの質の向上は「非常に質の低い臨床研究が減るために平均値が上がる」結果に過ぎません。また、「どんなに厳しい条件をつけても違反はなくならない」と思います。昔の緩やかな基準で十分だった、と思います。私の研究マインドも、そんな中で育ったのでした。倫理教育は必要ですが、規則は緩やかでいいと思います。何でも締め付ければいいという風潮は、必ず科学を萎縮させ、未来を閉ざすでしょう。【勤務医】

・アメリカでも過去に似たことがありましたが、その時にアメリカではどういう議論になったか? たしか、有力な意見のひとつは「政府が研究資金を出して臨床研究をさせるべし」であったと思います。研究資金の出所は別に製薬会社で差し支えありませんが、政府が資金を召上げて市販後の臨床研究をさせる訳です。研究責任者が研究のパトロンの顔色を窺う必要がない様にする訳です。今の制度では、すでにSMOなどが研究の遂行やデータ入力などに関わっています。第三者機関など作っても今度は第三者機関がパトロンの顔色を窺うだけで、研究責任者が研究の本来のパトロンたる製薬メーカの影響を受ける図式は変わりません。【勤務医】

・治験なんて製薬会社にとっていいデータを出さないと2度と治験を依頼されないから本当に効いているかどうかがわからない。かつて抗真菌剤の治験で僕の担当した10症例のうち8例を既存の抗真菌剤と比べて優れていると思えないと回答したところ、教授から呼び出され「同程度か優れているに変更してくれ」と頼まれたことがある。父親が開業医で抗真菌剤の治験を頼まれたときも、20症例すべて既存の抗真菌剤より劣っていると回答したところ、治験論文の協力してくれた医療機関から外されて論文が出ていた。まあそんなもんだと思います。【開業医】

・海外で研究グループを主宰しており、現地で共同研究者として臨床研究にも関わっています。日本の臨床の教室では基礎的な研究が多く、臨床研究の経験者が少なすぎるので研究デザイン、患者データのハンドリング、利益相反のチェック、統計解析の専門家などなど、すべてが足りないのが現状だと思います。また、必要なコスト(人件費)をかけずにやる事が美徳のように語られますが、コストをかけないとどこかに無理が生じて、結果として不正が生じる温床となりえます。なので、データ管理ツールやstudy nurseなどのコストをきちんとかけて研究を行うことができない組織では臨床研究はあきらめるというふるいが必要なのではないかと思います。あとは、日本では研究者主導治験と言いつつ実際には迂回財団を通したsponsoredであることも多く、これを徹底的に是正する必要があると思います。【勤務医】



https://www.m3.com/news/iryoishin/428063
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「医師不足地域の勤務が院長の要件」、日医
「基本方針2016」と「規制改革答申」の見解説明

2016年5月27日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は5月26日の定例記者会見で、医師の地域・診療科の偏在解消は、日医と全国医学部長病院長会議の2015年12月の「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」に基づき、対応していく必要性を改めて強調した。同緊急提言は、病院・診療所の管理者要件への「医師不足地域での勤務経験の導入」の導入、地域別・診療科別の現状および将来の医療需給などのデータを把握する必要性などが盛り込まれている(『医師のキャリア形成、大学が生涯にわたり支援』を参照)。

 この日の会見は、経済財政諮問会議が18日にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2016(仮称)」など、政府が進める医療制度改革についての見解を説明するのが目的。「基本方針2016(仮称)」では、医師の地域や診療科による偏在解消するため、「規制的な手法」も含めて検討するとなっていた(『医師偏在、「規制的手法」も検討へ』を参照)。しかし、その後の自民党内の20日の検討で、日医が表現に注意するよう申し入れたこともあり、「実効性のある手法」という文言に変更されたという。

 横倉会長は、「今後の医師養成数については、人口が減少する中で、慎重に対応する必要があるという主張を続けていく」と説明。緊急提言では、各大学に医師キャリア支援センターの設置も提言しており、「医師の異動をフォローアップして、医師のキャリアを支援することは、医師の各出身大学の責任ではないかと感じている」(横倉会長)。


 そのほか、政府の掲げる方針には、高齢者のフレイル対策の推進など、日医の考える方向と一致するものがある一方、医療費の地域差の半減、かかりつけ医普及の観点からの診療報酬上の対応や、外来時の定額負担の検討などの点で問題があるとした。

 薬価の毎年改定については、医療機関や製薬企業、医薬品卸にとって、薬価調査の実施や薬価改定時のシステム変更の負担が重くなり、コスト増になることが想定されることから、「結果的に納入価格の高止まりを招く」と指摘。そもそも薬価差益は、「潜在的技術料」であるとし、薬価の毎年改定により、薬価差益が縮小する方向性をけん制するとともに、薬価差益の在り方を精査して議論していくべきとした。

 横倉会長は、規制改革会議が5月19日にまとめた、「規制改革に関する第4次答申」についての見解も述べた。同答申では、看護師の確認などを条件に、医師が死後24時間経過後も、死亡診断書を交付できるようにすることなどがを提言している(『死後24時間後、「看護師の確認で死亡診断書を」規制改革委』を参照)。この点については、離島の患者、あるいは施設入所の場合などに限るべきとの考えを示し、「最終的に医師が死亡確認をする点では変わりはない」と安易な規制緩和に釘を刺した。

 「基本方針2016(仮称)」や「規制改革に関する第4次答申」などは、来週には閣議決定される見通し。横倉会長は、「財政抑制による給付範囲の縮小が、国民皆保険を形骸化させる一番の要因」と述べ、「国民皆保険を堅持し、過不足ない医療が提供できるよう引き続き、提言していく」との方針を改めて表面した。

 さらに横倉会長は会見で、7月に予定されている参議院議員選挙にも言及。前回の2013年の参院選では、日本医師連盟推薦の現職議員がいない状況下で、日医副会長だった羽生田俊氏が当選したと説明。今回の選挙では、日医連は自見はなこ氏を推薦しており、「前回を上回る得票を目指す」と横倉会長は意気込みを見せた。

地域別の診療報酬の「特例」を問題視
 「基本方針2016」や「規制改革に関する第4次答申」は、例年であれば6月末の取りまとめだが、今年はG7 サミットの開催や、参院選があることから、約1カ月前倒しになっている。

 横倉会長は、まず最近の医療費が、民主党政権時代、自民党の福田、麻生政権時代の医療費推計よりも下回っている現状を指摘。その要因として、病床数の減少や平均在院日数の短縮、病床利用率の低下、入院単価や外来単価の抑制などが考えられるとし、日医総研でその精査を進めているという。

 政府が進める医療制度改革には、高齢者のフレイル対策の推進や現役被用者の報酬水準に応じた保険料負担の公平化など、「日医の考える方向性とほぼ同じ項目がある」とした。

 一方で、横倉会長は、「国民の安全な医療に資する政策か、公的医療保険制度による皆保険を堅持できるか、二つの政策判断準に照らし合わせると、受け入れ困難な提案がある」と述べた。特に、全国一律に過不足ない公平な医療を提供する観点、応能負担と患者負担の増加などの観点に照らし合わせると問題があるとした。

 前者の観点から問題となるとしたのが、地域医療構想と整合的な形で、都道府県ごとに医療費の水準や医療提供に関する目標を設定する医療費適正化の策定だ。都道府県の地域差の半減を目指すとされている。高齢者医療確保法の第14条に、診療報酬の特例として、医療費適正化の推進のため、「適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」とされている点を問題視した。

 患者負担の増加などの観点から問題があるとしたのは、かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や、外来時の定額負担の検討など。

「レセプト審査はピアレビュー」
 「規制改革に関する第4次答申」では、健康・医療分野については、4分野の具体的項目が上がっている。そのうち、(1)在宅での看取りにおける規制の見直し、(2)診療報酬の審査の効率化と統一性の確保、(3)一般用医薬品および指定医薬部外品の広告基準等の見直し――の3点について、横倉会長は日医の見解を説明。

 (1)については、地域における看取りを円滑に進めるために、「在宅医療に取り組む医師間の連携は必要」などと前置きした上で、日医としても、最後の診察後24時間を経過しても死亡診断書を交付できるよう要望していたものの、「あくまで離島や遠隔地で、医師がいない限られた条件のもとに限るべき」とし、前提条件として、十分な教育を受けた看護師による死亡確認が必要だとした。「在宅での看取りを安心してできる環境を整えることは重要だが、死因の正確な究明も疎かにはできない」と横倉会長は述べ、現場に混乱を来さないような配慮が必要だとした。

 (2)については、レセプト審査の効率化は必要としたものの、「審査はあくまでピアレビュー」と指摘。審査は、保険者と医療者の信頼関係の上に成り立っているものであるとし、「単に適応がないからと、コンピュータで審査したりすると、医療機関と審査支払側の信頼性が欠如すると心配している。効率化も必要だが、現状の質の高い審査が阻害されることがないようにすることが必要」と横倉会長は述べ、今後の具体的検討の場で主張していくという。

 (3)については、健康食品による健康被害も報告されていることから、健康食品も含め、広告の在り方を再考することが求められるとした。



https://www.m3.com/news/general/428258
妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁
2016年5月27日 (金) 共同通信社

 2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受け死亡した妊婦=当時(24)=の遺族が、病院を運営する「JA静岡厚生連」(同)と医師らに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、請求を退けた一審静岡地裁判決を変更し、約7490万円の支払いを命じた。

 富田善範(とみた・よしのり)裁判長は医師の過失を認めた上で「妊婦の死亡との因果関係があった」と判断した。

 JA静岡厚生連の担当者は取材に「判決を確認しておらず、コメントできない」としている。

 控訴審判決によると、妊婦は08年4月、陣痛を訴え来院。医師の診察で、胎盤が子宮壁から剥がれ、胎児は死亡していると分かった。帝王切開手術をしたが、妊婦は大量に出血し死亡した。

 判決は「医師らは正確な出血量を把握しておらず、実際に輸血した量は極端に少なかった」と認定。その上で「妊婦は死亡率が高いと当時考えられていた羊水塞栓(そくせん)症を発症していた可能性があるが、適切に治療すれば救命できた」と判断した。

 原告の夫は「傷が癒えることはないが、明るく優しかった妻のため前向きに生きていきたい」とのコメントを出した。

 14年12月の一審静岡地裁判決は、医師らの過失を認めたが「死亡当時の医療水準に照らした治療では、救命できたとまでいえない」としていた。

原告側「極めて意義深い」 控訴審判決を高評価

 「極めて意義深い判決だ」。帝王切開手術を受けた妊婦の死亡を巡り、医師の過失と死亡との因果関係を認めた26日の東京高裁判決。原告代理人の青山雅幸(あおやま・まさゆき)弁護士は同日、静岡市内で記者会見し判決を高く評価した。

 一、二審ともに焦点となったのは、妊婦が発症した疑いのある「羊水塞栓(そくせん)症」に対する治療の可能性だった。羊水が血液中へ流入する病気で、従来は母体死亡率が高いとされたが、控訴審判決はこれまでの医療訴訟と異なり「適切に治療すれば救命できた」とした。

 青山弁護士は「羊水塞栓症が関係する訴訟では、病院側に過失があっても患者側の訴えは退けられてきた」と説明する。発症すれば呼吸困難や意識低下に陥ることもあり「過失の有無にかかわらず、救命は難しい」と考えられてきたからだ。

 過去には根拠を明示せずに死亡率を8割としていた文献もあったが、控訴審判決は「根拠がはっきりした全国調査の結果では、手術当時でも死亡率は20~30%にとどまる」と認定。その上で、今回の妊婦は、中でも治癒しやすいケースだった可能性があるとした。

 青山弁護士は「最新の知見を基に、正確な死亡率を引用した新しい判決だ」としている。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48861.html
新専門医制度、“永井私案”は「時期尚早」- 来年春の試行運用に危惧、日病協
2016年05月27日 20時00分 キャリアブレイン

 13団体でつくる日本病院団体協議会(日病協)が27日に開いた代表者会議で、来年春に始まる予定の新専門医制度で都道府県ごとに養成する研修医の数に上限を設けるなどとする、いわゆる「永井私案」について、「時期尚早だ。まだ議論する段階に至っていない」として、来年4月に学会主導で試行運用されることを危惧する声が上がった。【敦賀陽平】

 会議終了後に記者会見した神野正博議長(日本社会医療法人協議会副会長)は、「永井私案を含め、来年の4月に向かっている現在の機構(日本専門医機構)の在り方はおかしい」との懸念を表明。その上で、「専門医の在り方そのものをもう少し議論しないと、来年4月から走りながら進めると“転倒する”という意見でほぼ一致した」と述べた。

 この日の代表者会議では、医師の「プロフェッショナル・オートノミー」(職業的自律)に関しても議論となり、「今まで学会や医師会、病院団体がプロフェッショナル・オートノミーを発揮していなかったのではないかという結論になった」(神野議長)という。

 神野議長は「プロフェッショナル・オートノミーと言うからには、われわれがきちんと医師の偏在、専門医の偏在や在り方について、もう少し議論を深めるべきではないかという意見があった」とした。

■「総合診療の枠を取った上で議論を」
 永井私案では、研修プログラムの調整を都道府県単位の協議会が行うことを提案しているが、原澤茂副議長(全国公私病院連盟常務理事)は「協議会は全然機能していないし、つくっていない都道府県も結構ある」と指摘し、「形だけで実態がないということで、時期尚早ということだ」と述べた。

 また神野議長は、「(基本領域の一つの)総合診療の枠を取った上で、他科の専門医の枠をどうするかという議論をしなければならないと思う。在るべき論がないままに、単に枠(都道府県別の上限)とおっしゃっても、なかなか納得できるものではない」と語った。

■適応拡大による薬剤費の膨張に懸念も
 代表者会議ではまた、抗がん剤「オプジーボ」の適応拡大に伴う薬剤費の急激な増大を懸念する意見が相次いだ。神野議長は「早急に組織横断的に、全体を見渡せるような薬価改定にしなければならない。総枠が決まった医療費の中で、薬剤費がこれ以上膨張することを懸念する声があった」とした。

 中央社会保険医療協議会では、薬の適応が拡大された段階で、2年に1度の改定を待たずに薬価を決め直すことができるよう求める意見が出ており、日病協の各団体からも、こうしたルールづくりを進めるべきだとする声が上がったという。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160527-079259.php
「周産期医療」集約へ 郡山・太田西ノ内、須賀川・福島病院
2016年05月27日 08時32分  福島民友新聞

 太田西ノ内病院(郡山市)と国立病院機構福島病院(須賀川市)で行っている周産期医療について、2017(平成29)年4月を目安に太田西ノ内病院に同医療機能を集約することが26日、分かった。同日、福島市で開かれた県周産期医療協議会で県が説明した。

 県によると、現在、両病院は福島医大から医師の派遣を受けて周産期医療を行っている。同医大から派遣できる医師が減少し、機能を集約することになった。

 国立病院機構福島病院で対応していた周産期医療は、新たに「周産期医療協力施設」として認定する方向で調整している公立岩瀬病院(須賀川市)などでカバーしていくという



https://www.m3.com/news/iryoishin/428241
シリーズ: 社会保障審議会
調剤医療費8.2%の大幅増、C型肝炎新薬が影響
2015年4~11月、過去3年比で高めの伸び

2016年5月27日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の5月26日の会議で、最近の医療費の動向が説明された。2015年度の4月から11月は対前年度比3.1%増で、2%程度の増加で推移していた2012年度から2014年度までの3年間と比較して高めとなっており、特に調剤医療費は8.2%、中でも薬剤料の伸びが大きい。

 その一番の要因は、C型肝炎治療薬のソバルディ(一般名ソホスブビル)と、ハーボニー配合錠(同レジパスビル/ソホスブビル)の登場だ。それぞれ薬価収載は5月と9月だった。

 厚労省は、1カ月当たりの概算医療費は約3.4兆~3.5兆円、ソバルディやハーボニー配合錠を含む「抗ウイルス薬」の2015年11月の対前年度同期差は348億円のため、「抗ウイルス薬」の薬剤料で、医療費総額を約1%押し上げていると推計。調剤医療費の薬剤料は、院外処方分のみのため、院内処方分を含めると、「抗ウイルス薬」の薬剤料は増えるが、一方で、インターフェロンなどの他のC型肝炎治療薬の減少も想定されるため、「約1%」はあくまで目安だが、画期的新薬の登場が医療費に少なからず影響しているのは確かだ。

 保険者の立場からは、「11月くらいから各国保財政が厳しくなっている。2016年度前半は補正予算を組まなければならなくなっている」(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、佐賀県多久市長の横尾俊彦氏)など、医療保険財政への影響を懸念する意見が出た一方、日本医師会副会長の松原謙二氏は、ソバルディなどでC型肝炎が根治すれば、肝硬変などの減少につながるため、長期的なスパンで見れば医療費に与える影響はプラスになると発言した。

 26日の医療保険部会ではこのほか、高齢者医療の現状、厚労省の「子どもの医療制度の在り方等に関する検討会」の取りまとめも説明された。委員からは、高齢者と小児ともに、コスト意識を持ってもらうためにも一定の患者負担を求めるべきとの意見が多かった。特に小児医療費については、医療費助成を行う地方自治体が増える中、結果的に患者負担の在り方が地域により異なる現状を問題視する指摘もあった。いったんは窓口で払い、後に償還するなど、負担能力が低い患者への配慮もしつつ、今後、医療保険部会で患者負担の在り方を検討する。

 高齢者医療については、現役世代の肥満対策に重点を置いた生活習慣病対策から、フレイル(虚弱)に着目した対策に徐々に移行している現状も説明された。低栄養防止、あるいは重症化予防が重視され、2016年度の厚労省予算における後期高齢者医療制度の保健事業でも、これらの視点から予算化されている。高齢者の保健事業については、今後、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」の下に、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」を新設して議論する。

薬剤料の増加はいつまで続く?
 2015年4月から11月の調剤医療費は、対前年度比8.2%増。同時期の入院1.6%増、入院外2.5%増、歯科1.2%増と比べて高い。

 薬剤料の多くを占める、処方せん1枚当たりの内服薬薬剤料を薬効分類別に見ると、抗ウイルス薬(4~11月の対前年度同期差1305億円)、その他の腫瘍薬(同283億円)、糖尿病薬(同206億円)。抗ウイルス薬の対前年度同期差は、2013年度は年63億円、2014年度は年400億円で、2015年度は大幅増となっている。

 横尾氏は、新薬の登場で希望が持てる治療が可能になっていることを認めつつ、「後期高齢者医療と国保の財政を見ると、11月くらいから厳しくなっている」と述べ、2016年度前半は補正予算を組まざるを得ない保険者も出ているとした。「(新薬の効果は)口コミで広がるので、(薬剤料の増加は)もうしばらく続くのかと見ている。何とか財政をねん出してやっていかなければいけない」(横尾氏)。

 これに対し、松原氏は、C型肝炎治療に使用されるインターフェロンなどの薬剤料が下がるほか、肝硬変になる患者が将来減少することなどから、長期的に見れば、保険財政に対しプラスになると見通した。

 健康保健組合連合会副会長の白川修二氏は、「画期的な薬であることは知っている」「長期的には(医療保険財政の)引き下げに働くことは分かる」と述べつつも、「一時的には財政の圧迫要因になる。これが1、2年で終わるのか、5年、10年続くのか」と問いかけ、抗がん剤のオプチーボ(一般名ニボルブマブ)など、最近登場した高額薬剤も併せ、年間の使用患者数、今後の薬剤料の推移について推計を出すよう、厚労省に求めた。

 法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏からは、ソソバルディが2016年度薬価改定で特例拡大再算定の対象になったことを踏まえ、薬価収載時に製薬企業が提出する売上予測は、「もう少し透明性を持って推計することが必要」と、ルール作りを求める意見も出た。

高齢者の窓口負担、高額療養費見直しを
 高齢者医療の現状について、横尾氏は佐賀県の取り組みについて発言。全首長が集まる会議では、データヘルス事業が進みつつあり、医療費抑制で成果を出す市町村に取り組み例を聞くなど、「具体的なデータを踏まえた具体的な対策ができるようになっている」と説明。また鍼灸などの療養費について、不正を防止し、適正化すべきとの意見も出ていることを紹介。

 白川氏は、後期高齢者の医療費の約40%が現役世代の支援であることから、「将来成り立たなくなる懸念がある」と指摘。(1)後期高齢者の患者負担、(2)窓口負担や高額療養費の負担区分に用いる現役並み所得者の定義――のほか、(3)70~74歳の外来での高額療養費の特例措置、についての検討を求めた。「高齢者の負担問題にさわると、政治がプレッシャーをかけてくるが、論理的に議論を重ね、結論を出すことが必要」(白川氏)。

 全国健康保険協会理事長の小林剛氏も同様に、制度の持続可能性の観点から、高額療養費の限度額などについて見直しが必要だとした。

 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、フレイルについて発言。「フレイルは年齢とともに徐々に進行するという概念があるかもしれないが、入院した後に急速にフレイルになる」と指摘、急性期入院の際に介入し、予防や治療に取り組んでいく重要性を強調した。

小児医療費の無料化でコスト意識欠如
 小児医療費については、患者負担の無料化を疑問視する声が相次いだ。

 東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏は、「医療にはコストがかかることを認識してもらうことを前提に、制度が成り立っている。(1973年の)老人医療費の無料化を例に見ると、コスト意識がないとどうなるかは、歴史的事実として皆が知っている」と指摘、小児の医療費助成を一般に広げるのは、政策として適正なのか、疑問が残るとした。仮に窓口負担を軽減するのであれば、収入や資産を踏まえニーズがある人を対象に行い、その場合でも、1回は窓口で支払ってもらった上で、償還するなど、コスト意識を持ってもらう仕組みが必要だとした。

 白川氏も、小児の医療費助成について「地方自治体の財政力や政治的な配慮から、各市町村の扱いがばらばら」と指摘し、助成するのであれば法改正して一律に行うべきとした。他の委員からも、医療にはコストがかかるという意識を持ってもらい、“コンビニ受診”を抑制するためにも、小児の医療費助成、患者負担の見直しを求める意見が続いた。

医療費、新生物は高い伸び、循環器系低く
 そのほか、26日の会議で厚労省は「医療費の伸びの構造」についての資料も提示。

 2003年度からの10年間の推移を見ると、入院、入院外ともに増加している。受診延べ日数は減少しているが、1日当たりの医療費の増加が、総医療費の増加につながっている。

 医療費の伸びに占める人口構造の変化を見ると、入院の伸びの多くは、人口の高齢化によって説明できるのに対し、入院外については、それ以外の要因も大きい。厚労省はその理由として、入院期間の短縮に伴う外来移行や在宅医療の進展、日帰り手術の増加などが挙げられるとした。

 疾患別の入院医療費について、人口構成の変化によるものを除くと、新生物、神経系の疾患、筋骨格系および結合組織の疾患などの伸びが大きい。一方で、循環器系疾患は伸びが低くなっており、脳血管疾患の減少などが要因であると厚労省は説明。



http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20160527-OYTNT50142.html
楢葉の消防署に救急医 来月から県立医大
2016年05月28日 読売新聞 福島

 県立医大は6月1日から、楢葉町の富岡消防署楢葉分署に救急医療に当たる専門の医師1人を配置する。東京電力福島第一原発事故後も拠点病院の休止が続く双葉郡の救急医療体制を強化し、避難指示区域で発生した急患にも迅速に対応する。


 医師は平日午前10時~午後4時の間、同分署で待機し、必要に応じて救急車で現場に向かって病人やけが人の初期治療に当たる。県立医大が今年4月に開設した「ふたば救急総合医療支援センター」の3医師を交代で派遣する予定で、救急救命士や看護師の派遣も検討する。

 同郡に四つある拠点病院は今も休止中で、入院が必要な急患は遠方のいわき市や南相馬市などに運ぶ必要がある。だが、大熊町の帰還困難区域を通る常磐自動車道で今月、乗用車と大型バスが正面衝突して母娘が死亡する事故が起きるなど、地元の首長から体制強化を求める声が上がっていた。


  1. 2016/05/28(土) 06:26:32|
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5月23日 

http://www.sankei.com/region/news/160523/rgn1605230033-n1.html
静岡県内勤務の医師140人、医学生向け奨学金利用
2016.5.23 07:02 産経ニュース

 県内に勤務する医師のうち140人が、一定期間の県内勤務で返済を全額免除される県の医学生向け奨学金の利用者であることが県健康福祉部の調査でこのほど、分かった。

 本県の人口10万人当たりの医師数(平成26年度)は全国40位と少なく、医師不足の解消は県政の重要課題の一つ。同部では「奨学金利用者のうち毎年40人ほどが新たに県内で勤務を始めており、医師不足の解消にかなり役立っているのではないか」と分析している。

 この奨学金は医学生らを対象に月20万円を貸与するもので、一定期間の県内勤務で返済が全額免除される。医師不足解消策の一環として県が19年度に導入し、27年度までに770人が利用した。

 今年度は、この奨学金を使った医師35人が新たに県内で勤務を始め、継続して県内で勤務中の医師も60人いる。さらに、規定の期間の県内勤務を終えて返済を免除された54人のうち、引き続き県内で勤務している医師も45人おり、返済完了者の県内への定着率は83・3%という高い数字になっている。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5P4TBPJ5PUBQU010.html
(地域医療・岡山)地方で働く医師を育てなければ崩壊する
中村通子
2016年5月23日06時00分 朝日新聞

 岡山県内には、岡山大医学部と川崎医大の二つの医大があり、人口10万人あたりの医師数は、全国平均の237・8人を超える290・2人。全国有数の医師保有県だ。

 しかし、その配置には大きな偏りがある。

 県内に五つある保健医療圏の中で、最新鋭の設備を持つ大病院が立ち並ぶ岡山市を中心とした県南東部医療圏には医師が集中し、人口10万人あたり332・8人にのぼる。一方で、高梁・新見医療圏や真庭医療圏ではその半数以下しかいない。開業医の高齢化と後継者難による廃業も進む。地方で働く若い医師を育てなければ、地域医療は崩壊する。

 県は2009年、卒業後に医師不足の地で働くことを条件にした「地域枠」奨学金制度を、岡山大医学部医学科に設けた。初年は5人を募集、翌10年から9人に広げた。県はこの制度で、19年までに85人の医師を養成する予定だ。

 学生は、月20万円、6年間で総計1440万円の支給を受ける。卒業後、9年間県内で勤務し、そのうち最低5年間を、指定された医師不足地の病院で働けば返還しなくていい。

 教育内容も少し違う。通常入試で入学した学生では必修の地域実習は6年間で1カ所1週間だが、地域枠は5カ所、計6週間にわたる実習が必修だ。県内40以上の医療機関が学生を受け入れ、指導する。

 最初の実習は1年生の夏休み。1週間ずつ、異なる地域の医療機関2カ所に赴く。

 医学をほとんど学んでいない段階で、現場で実習をする意味はあるのか。

 担当の片岡仁美教授は「1年生だからこそ、大きな効果があるんです」と強調する。医療について先入観がないから、医師だけでなく、看護師や薬剤師、受付事務など、病院内の多様な職種に広く目が向き、強い印象を受けるという。

 「本格的な医師修業が始まる前に、生活に密着した地方の中小病院や診療所を肌で知ることで、多職種への理解が深まり、地方で働く意欲も高まります」と片岡さんは言う。

 6年生の石田智治さん(23)は通常入試と地域枠の両方に合格し「岡山で働く気持ち満々で」地域枠を選んだ。離島の実習では、コンビニも信号機もない環境と、そこに暮らす人々の優しさに驚いたという。

 若い時期に田舎で働くと、専門医の取得に不利かもしれない、と不安に思う時もある。「でも、若い医学生がいるだけで、なぜだかお年寄りが元気になるんですよね」。地方勤務を楽しみに、来年2月の国家試験の準備に励んでいる。

■育て!若い地域医

 来春、地域枠1期生が2年間の初期研修を終え、医師不足地の病院に出る。県は現在、県北部で赴任先の候補選びを進めている。

 希望する病院は、自院の指導体制や待遇、経営状況などを書いた調査票を提出し、その内容を県が得点化して上位を候補とする。

 県医療推進課の則安俊昭課長は「どこも若い医師はのどから手が出るほど欲しい。最も必要性が高い病院を公明正大に選定して、その中で、医師本人の希望と合わせて行き先を決めます」と説明する。

 地域枠2期生の内藤修子さん(25)は、この春国家試験に合格し、岡山大病院で初期研修を受けている。再来年、地方に出る。「患者もその家族も見える身近な医師になりたい。そのために、今は精いっぱい研鑽(けんさん)します」と笑顔で話す。

 岡山の地域医療に、乗り越えるべき難題は多い。地域枠で育った若い医師たちがこの壁に挑む。

 実習協力病院の一つ、矢掛病院(矢掛町)の村上正和院長は、実習の最後にいつもこんな言葉を贈る。「地域医療はこれまでも、これからも必要な医療です。新しい地域医療を切り開くのは、あなた方です」



http://mainichi.jp/articles/20160523/ddl/k03/040/012000c
赤十字ふれあいフェス
内視鏡や模擬縫合、医療の仕事体験 盛岡 /岩手

毎日新聞2016年5月23日 地方版 岩手
 赤十字の活動を広く知ってもらおうと、日本赤十字社県支部は22日、盛岡市前潟のイオンモール盛岡で「ふれあいフェスティバル」を開いた。内視鏡の操作など、子どもたちに医療の仕事を体験してもらったり、盛岡赤十字病院の医師たちが、国内外での支援活動の内容を紹介したりした。

 二戸市立石切所小2年の中野彩詠(あかね)さん(7)は、模擬縫合に挑戦。実際に医師が使う医療用はさみとピンセットを使いながら、うまく縫っていた。「もう一度やりたい。将来の夢は助産師になって、赤ちゃんを取り上げたい」とはにかんだ。

 同病院の外科医、青木毅一さん(46)は熊本地震での救護活動を報告した。脚の静脈にできた血栓(血の塊)が流れて、肺の血管に詰まると肺塞栓(そくせん)症になる「エコノミークラス症候群」を防ぐため、避難所や車中泊をしている人に、弾性ストッキングを配ったという。

 同症候群は、狭い場所で同じ姿勢を取り続けるとなりやすく、重度の場合は死亡することもある。ストッキングでしめつけることで血管が細くなり、血液が狭い所を通ろうとして、流れが良くなるとされている。東日本大震災の時は医療現場でもあまり広がらなかった教訓を生かし、熊本地震では早期の段階で取り組んでいた。【藤井朋子】



http://news.biglobe.ne.jp/topics/domestic/0523/57559.html
群大手術死、50例全てで不備…外科学会が検証
読売新聞5月23日(月)6時0分

 群馬大学病院の手術死問題で、日本外科学会が行った死亡例の検証により、対象となった第一、第二外科(2015年4月に統合)の50例全てで、説明や記録も含めた診療経過に何らかの形で不備が指摘されていることがわかった。
 死亡例全般で、行われた医療の質が問われる結果となった。問題の発端となった第二外科だけでなく、第一外科も含め二つの外科が限られた人員で同種の診療を別々に行う非効率な体制を続けた病院組織の問題が、診療の質の低下を招いたとみられる。
 同学会の検証は、群馬大が設置した第三者の調査委員会が委託。07〜14年度に行われた消化器外科手術(約6700例)の死亡64例のうち50例(第一14、第二36)をカルテや画像、病院関係者の聞き取りを基に医学的に検証した。



http://blogos.com/article/176473/
医療とお金 命と症状改善 いくらまでなら妥当 薬価問題
中村ゆきつぐ
2016年05月22日 16:32 BLOGOS

私が医者になってから医療は進歩し続けています。いろいろ病気も深くわかってきています。それゆえ薬も進歩しています。ただそれでも永遠の命は叶えられません。人間はまだ死を免れることはできません。

医療者がやれること。それは現在の状況において最高の医学を基にして最善の医療を行うことです。(最高の医療・介護のあり方:医療者と事務と行政のチーム医療 その人の生活に関与)価値観が異なり、患者によって最善の基準はいくらか異なっても、医学的妥当性に基づき情報を提示し、共有することしかできません。

ただし医療は医師だけの考えでできるものではありません。保険、政治、教育などその国家においての立ち位置に基づいて施される内容は異なります。先進国、発展途上国では医療レベルは異なりますし、めざましい発展を続けている新興国でも、ジェネリックでないとHIVを治療できない国が存在します。またお金が払えないため簡単な手術が受けられず命を落とす先進国も存在します。つまり世界規模において他の物と同じように医療に格差は存在します。

日本はその意味において医療のインフラは整っている方です。少なくともコストにおいて保険制度のため格差は少ない方でした。しかし整っていたからこそ、より良い医療を求めていろんなことが生じます。そしてもっと良い医療があるに違いないという患者の思い込み、それを使って騙し儲けようとする輩(医師を含むとんでも医療や悪徳弁護士、企業等)が正しい医学に基づく医療(現在において)を行っている医療者たちを疲れさせます。

疲れた医療者に余裕がないと患者に優しくなれません。それこそ間違ったことはしていないと、最高の医学を行うために、患者に寄り添う努力を省きます。自分達が決めたわけではない薬の値段が高くてそれが払えないと言っても、患者に優しく対応する余裕はありません。それは病気にとっては最善でも患者にとっては最善の医療ではないかもしれません。

それこそ大きな病院の医師達は患者に治療手段は提示しますが、仕事をしないと生活できない、タバコ、酒は止めれない、生活習慣は変えれない、そのような患者の言葉に寄り添う時間がありません。(それをカバーしようと介護保険や、ソーシャルワーカーができているのですが) 医師たちは医学以外に社会に対応する余裕がないのです。

今お薬の値段がいろいろな場所で取りざたされています。PD−1抗体を始め、それこそ医療が国を滅ぼす論議もまた出ています。 (昔そのため医師は増えなかったのですが)でも高くても命に関わる薬となると少し仕方ないという気持ちが湧いてきます。ところが命に関係ない症状の場合どうでしょう。

1日薬価1200円の薬を使うことで生命は10年以上保証できるけど、少しだるさと皮膚が痒い状態が続くという病気があるとします。(支払いは3割で月1万円前後)生活はそれほど支障があるわけではありません。ここに新薬で5年以上生命は保証され(多分10年以上大丈夫)様々な症状が取れる薬が出たとします。ただし1日薬価は30倍の37000円!(支払いは3割40万ぐらいですが、高額療養制度を使い多分月4万から11万で済みます)これを使うべきかどうか、値段に見合うかどうかは保険制度、高額療養制度を取る日本では考えなければいけない課題です。もちろん4万でも厳しいという方もいます。

現場の医師たちは、患者さんのためとこの薬を使うことをためらわない人がいます。私もその一人かもしれません。それでも一生飲み続ける可能性があるこの薬、月に100万以上税金を使う薬、そして命には関係ない薬、 悩ましく思っています。

薬価問題。(医療費お薬代考察 1人から1000万とったら後は30%でどう?)あまりにもうかった薬は翌年薬価を減らすという施策で厚労省頑張っていただだいているのですが、製薬会社の態度(あるアメリカの会社がHIV薬の薬価を社長が変わったら10倍以上にあげたという歴史)も含めて少し政治のネタにしなければいけないと思います。
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http://www.qlifepro.com/news/20160523/start-discussion-to-medical-care-plan-review.html
【厚労省】医療計画見直しへ議論開始-地域構想の位置づけ課題に
2016年05月23日 AM11:00 QLifePro

厚生労働省の医療計画の見直しに関する検討会の初会合が20日に開かれ、2018年度からの第7次医療計画の作成指針策定に向けた議論を開始した。地域包括ケアシステムの構築に向け、地域医療構想を踏まえた二次医療圏と構想区域の関係など課題が指摘され、医療従事者の養成と確保の検討に当たって薬剤師も位置づけるよう求める意見も出た。今後、医療圏の見直しなどについて月1回程度議論し、年内をメドに意見をまとめる予定。

第7次医療計画は、18年度からの6年計画で策定されることになっており、25年の地域包括ケアシステムの完成直前まで実行される重要な位置づけとなる。既に各都道府県では地域医療構想の策定に動き出しているが、初会合では構想区域と二次医療圏の関係について意見が相次いだ。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54126/Default.aspx
厚労省 第7次医療計画策定に向けた議論スタート 在宅医療のさらなる推進も
2016/05/23 03:50 ミクスオンライン

厚生労働省は5月20日、第7次医療計画策定に向けて、「医療計画の見直し等に関する検討会(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)」の初会合を開いた。2018年度から6か年計画である第7次医療計画は、2025年に到来する超高齢化社会に向け、医療・介護の一体的推進、地域包括ケアシステム実現までの道筋を描く。2016年度中にすべての都道府県で策定される地域医療構想と一体的な計画にすることで、病床の機能分化・連携の推進を後押しする。また、医療・介護の連携推進に向け、在宅医療のさらなる推進に向けた施策も盛り込む考えだ。今後は、検討会の下部組織である2つのワーキンググループでの議論を踏まえ、基本方針策定に向けて12月にもとりまとめを行う方針。各都道府県は、厚労相が告示する基本方針などを踏まえて医療計画を策定することとなる。

2025年に到来する超高齢化社会に向けて地域包括ケア構築が求められる中で、2018年度は第7次医療計画、第7次介護保険事業計画がスタートする年度だ。それとともに、診療報酬・介護報酬の同時改定も予定されており、高齢化に耐えうる地域医療提供体制を構築する上で、重要な期間となる。

この日の会合では、厚労省側から第六次医療計画策定時・策定後の課題が示され、今後の議論に向けた論点整理が行われた。策定時の課題としては、①二次医療圏と基準病床制度の違いや医療圏の見直し、②五疾病・五事業及び在宅医療への対応として求められる医療提供体制、各種疾病対策と医療計画との連携、③PDCAサイクル推進のための指標設定――。策定後の課題としては、①地域医療構想の位置づけと実現に向けた対応について、②医療・介護の連携推進に向けた対応について、③医療従事者の養成・確保について――をあげた。

◎疾患に応じた医療圏設定も視野 がんなど広範囲で患者が移動

この日は、医療圏の設定などに対して議論が相次いだ。「がん対策推進基本計画は、二次医療圏単位だが、時間的余裕がある。患者が広範囲に移動してしまう。(大学病院やがんセンターなどへ)県外へも簡単にいく。二次医療圏の設定も踏まえて、広範囲な考え方が必要ではないか」(鈴木邦彦氏・日本医師会常任理事)、「病院ベースと居住地ベースでかなりの差がある。患者が移動する中で、範囲を区切って完結させることが難しいのではないか」(相澤孝夫氏・日本病院会副会長)などの声があがった。

これに対し、厚労省医政局地域医療計画課の迫井正深課長は、「救急医療など時間的猶予がない場合は時間的なアクセス、アプローチが必要で、地域での完結が求められる。特に高齢者の場合は、地域包括ケアシステム構築では生活圏域の中で完結することが必要だ。一方で、がんなど、高度急性期であっても疾病や治療の特性で患者が移動するのも事実」と述べた。「一般的な医療は二次医療圏で完結」とした上で、がんなどについての望ましい医療提供体制については、「まさに現場で考えていただくこと」との見方を示した。すでに兵庫県では疾病に応じて異なる医療圏の設定が行われており、疾患ごとの医療圏設定も視野に議論が進められることとなりそうだ。

相澤氏はまた、「ある地理的な区域に限定して物事を考えるのがいいのかどうか。救命救急でも、1時間かかっていたのが、高速道路ができたことで、10分で着く。ドラスティックな変化がいつでも起こりうるなかでどう作っていくのか。計画を作るための計画になっている。地域住民のためになっていないのではないか」と指摘。「人口構成の変化だけでなく、それ以外のさまざまな変化が起こっていることもふまえて柔軟に計画を作らないといけない」と強調した。

◎基準病床数と必要病床数の議論も

「県の構想会議も出ているが、混乱していて、地域医療構想の取りまとめが影響している」(鈴木氏)など、基準病床数と、地域医療構想で示された現時点での必要病床数が合致しないとの指摘も複数の委員からあがった。一方で、厚労省側は、基準病床数は現在の姿であり、地域医療構想の必要病床数は2025年の姿であり性質が異なるとの認識を示しており、その違いから整理を進めていく考えを示している。

そのほか、医療・介護連携の論点項目である在宅医療について、田中滋氏(慶應義塾大学名誉教授)が、「看取りを課題としてしっかり意識すべき」との考えを示した。相澤氏も、「在宅の中の入院は非常に重要な機能。人生の終末期、看取りということを含めてどうするのかが重要だ。それに対する議論がない」と指摘した。また、「(高齢者の)住居も含めて地域がどう対応していくのかが一番の問題」と指摘。認知症患者の増加や、老老介護の世帯増加を踏まえ、「ご高齢者の方に特有な病態や病状に対してどう対応するか。どういう医療をしていくかという議論も必要ではないか。そこをどうするかという計画で必要な医療資源も医療従事者も大きく変わる」との見方を示した。

今後は、検討会に加え、下部組織として、▽地域医療構想、▽医療計画における地域包括ケアシステム構築--をテーマとした2つのワーキンググループを立ち上げ、議論を進める。医療計画における地域包括ケアシステム構築に向けたワーキンググループでは、在宅医療、医療・介護連携推進の体制や、都道府県と市町村との連携に加え、運動器症候群(ロコモーティブシンドローム)や虚弱(フレイル)対策などについても検討される。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48823.html?src=catelink
支払基金、審査基準統一へ改革案を提示- 厚労省検討会で河内山理事長
2016年05月23日 21時00分 キャリアブレイン

 医療機関が請求した診療報酬の内容を審査している「社会保険診療報酬支払基金」(支払基金、河内山哲朗理事長)は23日、業務の効率化に向けた組織改革の案を示した。審査基準をできる限り統一させ、ICT(情報通信技術)を活用した審査の自動化を進めるなどとしている。【佐藤貴彦】

 組織改革の案は、支払基金の改革検討チームが取りまとめたもの。同日に厚生労働省が開催した「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」(座長=西村周三・医療経済研究機構所長)で河内山理事長が示した。

 診療報酬の審査の8割以上をコンピューターが自動でチェックする仕組みに改めるもので、現在は審査を担当する職員を各地に配置しているが、自動化を進めて作業量を減らせば数カ所に集約できるという。

 さらに9000件程度あるとされる審査基準の地域差の解消にも取り組む方針を表明。統一的な基準を策定し、コンピューターによる審査に反映させるという。ただ、判断基準に一定の幅を持たせる必要があり、組織改革を実施した後も医師による審査が必要なケースが2割近く残るとしている。

 委員からは、河内山理事長が示した案を一定程度評価する声が上がったものの、具体的な改革スケジュールの提示や、自動化する審査の割合のより高い設定などを求める意見もあった。また、自動化する審査の割合などの算出根拠となった現状のデータに誤りがあるとの声もあり、次回の会合で再度、支払基金側から同案について説明することとなった。

 支払基金の在り方をめぐっては、政府の「規制改革会議」が非効率などと問題視。今月19日、ゼロベースで見直すべきなどと安倍晋三首相に答申している。厚労省の検討会は、この見直しに向けて議論し、年末にも結果を取りまとめる。


  1. 2016/05/24(火) 02:14:58|
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5月22日 

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03175_02
【寄稿】
総合診療医が見た熊本地震の医療支援

小澤 廣記(諏訪中央病院総合診療科・家庭医療専攻医)
週刊医学界新聞 第3175号 2016年05月23日

 長野県の諏訪中央病院で家庭医療・総合診療の専攻医(後期研修医)として勤務する私は,熊本地震発生7日後の4月21日から5日間,熊本県阿蘇市の阿蘇医療センターにおいて,病院支援を中心に被災地での医療支援を行いました。被災地の様子や支援の経過,現地に行って初めて見えた課題について報告します。


 当院が阿蘇医療センターからの医療支援を打診されたのは4月18日のことでした。以前当院に勤務していた原毅先生(福岡市・がんこクリニック)からも,「阿蘇医療センターの医療資源が困窮している」との情報が入っていたため,当院としてどのような支援ができるか検討を始めている段階でした。私自身,大分県出身者ということもあり,「被災地のために何かできることはないか」と考えていた矢先だったので,すぐに手を挙げ,家族にも了解を得て出発に備えました。

 翌19日には現地への派遣が正式決定し,第1陣として当院院長補佐の山中克郎先生と私の2人が,診察道具と自活していけるだけの荷物を登山用のリュックに詰め込み,20日に長野を出発しました。

 その時点では熊本空港はまだ閉鎖していたため,大分県側からのアプローチを選択。大分空港に降り立ち,レンタカーを借りて阿蘇市に入ることにしました。大分県内は普段とそう変わらない様子でしたが,阿蘇市に入ると目の前の状況が一変しました。自衛隊の災害派遣車両が行き交う物々しい雰囲気で,電気や水道などのライフラインは復旧し始めたばかりでした。震災で崩落した阿蘇大橋は熊本市との交通の要所だったため,物流が滞り,阿蘇地域は“孤立”している状況でした。

あふれ返る患者,不眠不休の対応に疲弊する常勤医

 阿蘇医療センターに到着後,同センターの甲斐豊院長から被災後の状況について説明を受けました。阿蘇地域の中核病院である同センターは2014年に耐震・免震構造に建て直したばかりだったため,幸い建物の損傷はほとんどなかったそうです。一方,阿蘇地域にある近隣の医療機関のいくつかは,震災の影響で診療が不可能になったため,被災直後の週末16,17日には,同センターの救急外来は阿蘇地域から集まる患者さんであふれ返っていたそうです。124床,常勤医9人体制の同センターは発災以降,職員自身が被災しながらも,不眠不休で対応していたのです。いち早く到着したDMATの支援が入っていたとはいえ,外来・病棟を問わず患者さんの対応に当たっている常勤の先生方の疲労は,特に目立ちました。

 「まずは常勤医の先生方に休んでもらわねば」。これをわれわれの第一のミッションとし,総合診療外来・救急外来の診療や当直のサポートを行うことにしました。到着の段階で,諏訪中央病院には第2陣,第3陣と継続支援を要請しました。

感染症拡大に備えICTを展開

 救急外来ではDMAT・救護班からの応援もあり,一日あたり2~3隊がサポートに当たっていました。5日間と比較的長めの滞在予定だったわれわれが心掛けたのは,電子カルテなど現地のシステムにいち早く慣れて「阿蘇医療センターに溶け込んだ医師」として他のチームと協働することでした。

 外来での症例は,処方薬の継続希望や軽症の感冒症状・外傷などがほとんどでしたが,中には自宅の屋根の修繕中に転落した方,慢性疾患の増悪を来した方など重度の症例も見られました。高血圧症や糖尿病のような継続診療が必要な患者さんには,かかりつけ医につなぎ直す業務も必要でした。報道では,エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)の危険性が盛んに取り上げられており,心配して受診する避難者の方も数多くいました。

 活動初日の22日には「避難所でノロウイルスがはやっている」との情報が入り,対応に追われました。胃腸炎患者の大量受診に備え,感染症外来を病院1階の内視鏡室に立ち上げ,院内職員や支援に入っていたチームと協働するため,急ごしらえのICT(infection control team)活動を展開しました。

 胃腸炎患者が集中することで,院内での感染拡大の恐れもあったため,避難所の救護所に胃腸炎症状の方の隔離対応をお願いし,入院適応のある方の受け入れを他院に依頼するなどの体制を整えました。

DMAT撤収後の医療スタッフ充足が必要

 阿蘇地域全体への医療支援は,発災直後から同センター内に阿蘇地域のDMAT本部が設置され対応していましたが,われわれの滞在中には撤収となり,亜急性期・慢性期への移行時期に入りました。阿蘇地域ではその後,ADRO(Aso Disaster Recovery Organization)と名付けられた組織がDMAT本部を引き継ぐ形で結成されました。ADROは,医療チームや保健師だけでなく,リハビリスタッフや栄養士,歯科医師といった多職種の支援団体も出入りしていたのが特徴です。一方で,避難者の情報を収集する役目を一手に担う保健師が疲弊してしまうといった,マンパワー不足が大きな問題となり,被災地支援の難しさと新たな課題を目の当たりにしました。

 被害の大きい南阿蘇村の避難所を視察する機会もありました。胃腸炎の感染拡大が懸念された避難所でしたが,ノロウイルス胃腸炎予防についての手作りの啓発ポスターが貼られ,居住スペースは土足が禁止になっていました。劣悪な環境を想像していましたが,すでに保健師と日赤救護班が介入した後の24日の視察時点では「よく管理された避難所」という印象で,胃腸炎の封じ込めには成功しつつあるのではないかと安心しました。

震災早期から総合診療チームによる支援活動を

 活動最終日の25日には,すでに要請していた諏訪中央病院からの医療チーム第2陣(医師2人,看護師1人)が到着し,任務の引き継ぎとなりました。私たちが出発する際には,阿蘇医療センターの職員の皆さんが集まり,総出で見送ってくださいました。短い期間でしたが,現地の方々から信頼を得られたのではないかと感慨深い光景となりました。これで諏訪中央病院の第1陣としての活動は終了しましたが,当院の支援はゴールデンウィーク明けに派遣された第4陣まで継続し,入院診療も含めた支援業務に当たりました。

 今回の医療支援の経験から被災地の医療ニーズを振り返ると,発災直後の急性期でもほとんどはプライマリ・ケアとしての受診患者だったことが挙げられます。避難所でも衛生管理や静脈血栓塞栓症,廃用症候群の予防など,公衆衛生の視点を持って活動できるチームが必要とされていました。こうした状況を鑑みると,現在整備されているDMATに加え,われわれのような総合診療に携わるチームが,震災の早期から病院や避難所での支援活動を開始し,亜急性期以降につなげることも重要なのではないかと感じました。


おざわ・ひろき氏
2012年東大医学部卒。武蔵野赤十字病院にて臨床研修後,14年より現職。11年の東日本大震災では,日本プライマリ・ケア連合学会の支援プロジェクト「PCAT」の被災地派遣チームに医学生として同行し,医療支援に携わった経験がある。「被災地,熊本・大分の一刻も早い復興を祈っています」。



http://mainichi.jp/articles/20160522/ddl/k20/040/013000c
信州・取材前線
「熊本」から学ぶ教訓と備え 救援受け入れ協力を 地域のつながりが大事 /長野

毎日新聞2016年5月22日 地方版

 死者49人、安否不明者1人と大きな被害をもたらした熊本地震は、発生から1カ月以上が過ぎた今も9000人以上が避難を続ける。長野県内には多くの活断層があり、政府の調査では震度7の地震が起きてもおかしくないという。被災地支援に赴いた県内の関係者に、活動から得た教訓、災害に向けた備えについて聞いた。【稲垣衆史】

 長野赤十字病院(長野市)の山川耕司医師(49)は4月21日から医療救護班として看護師ら計7人で熊本県南阿蘇村に派遣された。家屋倒壊などによるけが人の治療はほぼ終わっていたが、約600人が避難した南阿蘇中学校体育館では、避難者20人が下痢や嘔吐(おうと)など胃腸炎の症状を訴え、集団感染が起きつつあった。

 当初、体育館の廊下は避難者が土足で歩いていた。断水のため、避難者はバケツの水でトイレを流した後、そのまま廊下に戻っていた。不衛生なため感染が広がったようだ。館内を消毒した後、廊下は土足禁止とし、出入り時の手指の消毒を徹底。すると感染は収束した。「地元ボランティアに協力を求めることで避難者にもスムーズに受け入れられ、対策を引き継くこともできた」と振り返った。

 東日本大震災など多くの被災地を見てきた山川医師は、「地元だけで災害への備えを万全にしなければいけない」という考えからの切り替えを求める。

 熊本県も防災対策は行っていたが、大規模地震が連続するなど想定外の事態に見舞われた。「災害が起きれば行政や医療関係者も被災者となる。周りからの救援を受け入れ、協力する態勢を整えることが大事」と指摘する。

 熊本地震では、建物が壊れるなどで診療継続が難しい病院が相次いだ。慢性的な病気の患者を支援するには病気や薬の情報が必要になる。派遣された看護師の一人、鈴木良美さん(58)は「『お薬手帳』があると、さまざまな医療支援者が入れ替わって訪れた場合に役立つ」と言う。

 また、災害時に重要な備えとして「地域の人のつながり」を強調するのは、今月8〜11日に南阿蘇村で健康相談に当たった県長野保健福祉事務所の保健師、鈴木由美子さん(56)だ。

 村には水場の管理などを通して地域コミュニティーが残っており、近所の情報把握がきちんとできていることに驚いた。巡回中、ケアが必要な高齢者など災害弱者の把握に漏れがないように心がけたが、被災者からの「○○さんを見かけないが、大丈夫だろうか」と心配する声が役立ったという。

 2014年に最大震度6弱を観測した県北部の地震では、倒壊家屋に残された人たちを近隣住民が救出するケースがあり、被害拡大を食い止めた。熊本地震でも、発生直後から近所の人同士が助け合い、地域住民が避難所の運営を担うなどして長期の避難生活に耐えていたという。

 鈴木さんは「知り合いが身近にいるだけで安心できる。日ごろからの地域の付き合いが大事だと感じた」と話した。



http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20160522-OYTNT50008.html
<被災地はいま>段ボールベッド普及半ば
2016年05月22日 読売新聞 大阪

 ◇段ボール製造会社「Jパックス」(八尾市)社長 水谷 嘉浩さん 45

 4月14日の地震で、段ボールの簡易ベッドが必要になると思い、翌15日夜に熊本に入りました。そして16日の「本震」。朝まで眠れないしんどさを、身をもって体験しました。

 東日本大震災で避難所の高齢者が低体温症で亡くなったと聞き、「段ボールで寝床をつくれば寒さをしのげる」との思いから、段ボールの簡易ベッドを考案しました。

 今回、避難所を回ると、思った通り雑魚寝でした。余震があるので土足。その横でみんな横になっている。エコノミークラス症候群(肺塞栓そくせん症)の要素がそろっている。「これは早く段ボールベッドを入れないと、大変なことになってしまう」と感じました。

 紀伊水害(2011年)、広島土砂災害(14年)などで、避難生活を送る被災者に大手メーカーと共同で段ボールベッドを提供してきました。今回、益城ましき町から正式に支援要請を受けました。ただ、すんなりとはいきません。

 3度目の被災地入りとなった4月下旬のことです。避難所になった熊本空港近くのホテルに、200台の段ボールベッドを運び込もうとしました。すると区長さんから「自分は聞いていない」と、ものすごいけんまくで怒られました。

 いくら説明しても、「聞いてない」の一点張り。一緒だった医師と相談し、いったん引き揚げることにしました。帰り際、「あなたを苦しめるつもりはない。必要があればいつでも言ってほしい」と言うと、「ありがとう」と泣き出しました。自らも被災しているのに、地域を守らないといけないという責任感に押しつぶされそうになり、限界だったんだと思います。

 その姿を見て、僕らの力不足を感じました。飲料水や食料なら、「聞いていない」とはならないと思うのです。段ボールベッドは、まだまだスタンダードになっていないということです。

 僕を含め、東日本大震災で連携した医療、福祉関係者らが発起人となって昨年9月、「避難所と避難生活学会」をつくりました。雑魚寝が当たり前になっている避難所の風景を何としても変えたい。そう思っています。避難所で病気になり、大切な命を落とすことがないように。(聞き手 門脇統悟)


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https://www.m3.com/news/iryoishin/426719
シリーズ: The Voice(医療)
創設趣旨を逸脱、歪曲する産科医療補償制度の暴走を批判
拙速な医療事故調査制度見直しとの連動を懸念

桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)
2016年5月22日 (日) m3.com

 昨年10月施行の医療事故調査制度は、今年6月に法律の附則による「見直し」の検討期限となる。医師法21条の異状死を巡る改定提案などもでているが、制度推移の経過観察に止まるとの観測が大勢である。このような中、3月9日、日本産婦人科医会会長が、「原因分析全例の報告書を公表している産科医療補償制度をモデルに医療事故調査制度の改善を望む」と会見し、訴訟減少に寄与したと功績を誇っている。しかし、産科医療補償制度は創設の趣旨を逸脱、歪曲した制度設計であり、医療事故調査制度は原因分析を目的としたものではない。改めて、このことを指摘し産科医療補償制度の是正と、医療事故調査制度の理解の普及を広く求める。

◆脳性麻痺児の発症の「補償」が制度の本旨 カルテ提出強要は民間団体「機構」の越権
 産科医療補償制度は、福島県立大野病院での分娩事故への警察の介入という衝撃的事件を機に、医療界での産科からの敬遠、産科医不足が加速化し、この歯止めとし、過失の有無を不問とした無過失補償制度創設が強く求められ制度化に至ったものである。当時の与党、自民党の議論を経、厚労省社会保障制度審議会医療保険部会で創設が確認され、妊婦が掛金として負担する保険料相当分の出産育児一時金の引き上げ措置が講じられたのである。厚労省の委託を受けた民間が運営する、準公的性格を帯びた特異な制度となっている。

 この制度は、脳性麻痺児の発症に際し、経済的救済として20歳までに3,000万円を「補償」する制度である。分娩機関(産科医療機関、助産施設)が1分娩2万4千円(制度発足当初は3万円)の保険料を掛金として負担し制度に加入、民間団体の「日本医療機能評価記機構」(以下、「機構」)が制度を運営、東京海上日動火災など4社と保険契約を結び保険金の管理・運用をする格好となっている。

 しかし、「補償」が目的でありながら、専門医による脳性麻痺の「診断書」では判定には足らず、産科医療機関からのカルテ等の提出を義務づけ、それを基に「機構」で「原因分析」を行い、診療ガイドラインを金科玉条とし「医療行為」の優劣の「評価」を加え、個別例の報告書を匿名公表するという「逸脱」を制度化している。しかも、このカルテの目的外利用による「原因分析」には分娩機関の事情聴取の機会はなく、報告書への分娩機関の反論権、説明権限を一切認めないという「異例」の非民主的運営となっている。

 現在、医療事故は「過失責任」の確定が前提の「賠償」責任保険でしか、経済的救済はなされない。そのことが、紛争増加の一因ともなっており、それにより医療機関と患者・患者家族、遺族の双方に過度で過重な、時間的、精神的、経済的負担を招いている。この解消を期した早期の制度創設が、本来の出発点である。

◆矛盾に満ちた「原因分析の解説」 損害賠償との調整を念頭に過失責任を認定 紛争の火種作り出す
 この4月に『産科医療保障制度 原因分析の解説 2016年4月改訂(第3版)』が制度加入の分娩機関に届いている。しかし、内容は矛盾に満ちている。原因分析は分娩機関の「過失の有無を判断するものではありません」としながら、「原因分析委員会」によってカルテ等を医学的観点で原因分析を行った結果、一般的医療からの著しい乖離や、「悪質」なケースは、「医療訴訟に精通した弁護士等」から構成される「調整検討委員会」に諮り、補償請求者(保護者)に通知する。「調整検討委員会」で分娩機関に「損害賠償責任」があると判断された場合、「機構」は分娩機関との間で、「補償金」と「損害賠償金」の調整を行うとなっている。

 つまり、医療訴訟のプロにより、過失の有無(=損害賠償責任)を判定するシステムが制度に組み込まれているということである。しかも、原因分析結果に不服があった場合に異議申し立て、再度の分析を行う仕組みがないとの旨を、堂々と「Q&A」に掲げているのである。

 「調整検討委員会」は、これまでに開催がされていない。つまり一般的医療からの著しい乖離や悪質例は、これまでにないということである。ただ、この原因分析委員会を出発点とする「調整」とは別の「調整」ルートもある。「補償」請求をした分娩機関で、保護者から損害賠償請求が起こされた際、分娩機関から「機構」に報告することとされており、機構の「補償金」と医師賠償責任保険等での「賠償金」との調整が、組み込まれている。この調整は、「機構」の審査課の職員が任に当たっている。

 この調整について、「機構」では、補償申請が行われずに、損害賠償請求が行われている事案が「一定数存在する」としている(H24.2.15産科医療補償制度運営員会資料)。無論、損害賠償の事実の報告がない補償申請や補償認定も想定されうる。訴訟と訴外の「紛争化」の事案の件数は「機構」では、実のところ把握はできていない。つまり、訴訟の減少は一概に言及できないのである。

◆紛争の火種作り出す 原因分析報告書 懸念が現実に 1/3は報告書送付後に紛争化
 医学的な解明が途上の脳性麻痺に関し、医療行為に限定したこの「原因分析」の「報告書」は、分娩機関、保護者双方に送られる。当初より、この報告書が訴訟、紛争に利用されることを医療界は非常に懸念しており、「補償金」の一時金600万円が裁判費用の原資となる可能性が高いと指摘をしていた。

 事実、「機構」の原因分析委員会の委員長も補償金の「金額が合計3,000万円と低額なため、家族には損害賠償請求を行う権利も残されている」(日本産婦人科学会雑誌(平成27,4月)P6、H27.8.7産科医療補償制度運営員会資料)と認めている。

 産科医不足の顕在化、医療崩壊の社会的認知の広がりなども背景にし、近年、医事関係訴訟は減少、産婦人科の訴訟も減少と沈静化している。

 これへ産科医療補償が寄与した部分は否定はしないが、懸念した問題は、実際はどうなのか。「補償」と「賠償」の「調整」の数字や、「原因分析報告書」の数字、送付後の賠償請求の数字は、年1回、運営委員会の資料でしかわからない。しかも累計で示されており、単年変化はすぐには判明しない。これを、単年変化で表(別表)にしてみると、昨年の賠償請求事案13件のうち10件(76.9%)は、原因報告書の送付後となっている。しかも、これまで累計で10件だったものが、昨年だけで一挙に10件と急増している。ちなみに2012年の賠償請求5件は全て原因分報告書の送付後である。また、これまでに訴外から訴訟に回ったとみられるものもある。

 累計でみても、損害賠償の実に1/3は、原因分析報告書の送付以降となっている。紛争の火種を作りだすし、紛争を誘発する制度との指摘は、外れていない。

◆人権無視の原因分析報告書「公開」、補償額の5,000万円への引き上げを
 原因分析報告書は、匿名の概要版が機構のホームページで公開され、「全文」は「マスキング」版とし手数料1,000円で誰でも入手ができる。機構は提供にあたり「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に沿い、内部の研究倫理審査委員会での研究目的を審査、目的外利用の禁止、誓約書提出を要件づけている。が、公開、提供ともに保護者、分娩機関の事前の同意取得は全くない。「マスキング版」といえ個別性が高く識別の可能性は高いため、目的外利用で生じた実害の原状回復は不可能である。「機構」のこの人権感覚の欠落は甚だしく、一向に変わらない。そもそも、カルテの目的外利用をしている「機構」に、目的外利用云々をうたう資格はないのである。

 しかも、補償対象数を800人と過大に想定したため、800億円にのぼる剰余金が発生。批判を受け2015年以降に1分娩8,000円を機構からの保険料補填分とし解消するとしたが、約400人の補償実績から勘案し、毎年、補填分相当額の剰余金が生じ保険会社から返還されるという巧妙なカラクリとなっている。あるべき剰余金の解消策は補償額の増額であり2015年以降は5,000万円、過去分は1億円への引き上げが可能である。

◆国の医療事故調査制度は医療安全が目的 原因究明、責任追及が目的ではない
 医療法に定める「医療事故調査制度」の目的は、「医療安全のためであり、個人の責任追及ではない」(平子哲・厚労省医療安全調査室長:2016.3.5医療安全学会学術総会)。院内調査をベースに、関係者の非識別化を図り医療事故調査・支援センターに調査結果の報告をし、再発防止を目的とする制度である。医療事故の原因究明、責任追及、事故被害の補償のいずれも目的にしていない。WHOのドラフトガイドラインに沿い、複数の目的を制度化しないとしたものである。医療事故のシステムエラーを全国的に集積し、医療現場にフィードバックする仕組みであり、学習に重点が置かれている。それは決して懲罰化ではない。

 これを、産科医、助産師など医療者の人権無視を制度化した、産科医療補償保障制度と同列化し変質させてはならない。この正しい理解を、関係者に広く求めるとともに、医療事故全般に関する「無過失補償制度」の創設に向け、2013年6月以降、中断している厚労省の検討会の再開を強く望むものである。

※本記事は、2016年5月20日付けの「政策部長談話」として、神奈川県保険医協会が同協会のホームページ上で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20160521-OYTNT50193.html
医学部学生向け へき地医療研修…県が募る
2016年05月22日 読売新聞 奈良県

 へき地医療の実態を学ぶ研修に参加する大学医学部の学生を、県が募集している。

 地域医療を担う人材確保につなげようと、県が毎年夏に開催。今年は7月19日~9月2日のうち希望する3日間、県東部や南部の診療所で、医師とともに外来や訪問診療などを体験する。出身地や大学などは問わず、交通費や宿泊費の一部を県が補助する。

 締め切りは7月1日。定員は10人程度で、応募多数なら抽選。希望者はホームページ(http://www.pref.nara.jp/11096.htm)からダウンロードした申込書に住所、氏名、大学名などを記入し、ファクス(0742・27・7811)などで県医師・看護師確保対策室へ申し込む。問い合わせは同室(0742・27・8644)。



http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20160521-OYTNT50216.html
耐震十分な病院 60%
2016年05月22日 読売新聞 福島

◆厚労省調査、全国ワースト2位

 厚生労働省は、全国の病院の2015年の耐震改修状況を発表した。全ての建物に十分な耐震性がある病院の割合は県内では60・2%で、全国平均の69・4%を下回った。都道府県別ではワースト1の京都の58・4%に次ぐ下から2番目だった。

 調査対象は全国の8477病院で、15年9月時点の状況を都道府県が調べた。県内の対象は133で、全建物に十分な耐震性があったのは80にとどまった。都道府県別のトップは滋賀の89・5%。災害拠点病院と救命救急センターに限ると、全国平均は84・8%だったが、県内では調査対象の8のうち、国の基準を満たしていたのは4にとどまり、50・0%となった。都道府県別では岡山と並んでワースト2だった。

 県地域医療課の担当者は「財務状況の厳しさなど、病院ごとに事情があるようだが残念。耐震改修に対する国や県の助成について周知したい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/422067
シリーズ: 今どきの「U35ドクター」2016
専門医、8割強が取得・準備中◆Vol.6
9割超が基本領域の学会に所属

医師調査 2016年5月22日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 専門医の取得について教えてください。
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 専門医については40%が「取得済み」、44%が「取得準備中」で2013年の調査とほぼ同様の結果となった(2013年調査は、『専門医、8割強が取得・準備中◆Vol.4」を参照)。

Q 「基本領域」の所属学会数をお教えください。
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 専門医取得において必要となる学会への所属を聞いたところ、基本領域では「1つのみ」が46%、「2つ以上」が41%となった。

Q 学会に所属するメリットをお教えください。【複数選択】 
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 学会に所属するメリットや理由については、「専門医取得・維持」が88%で最も多かった(複数選択)。そのほかには、「学術大会・総会等への参加を通じてモチベーションを高める」41%、「最新の医学情報を得る」39%「専門分野の研さんが容易になる」28%、「学術大会・総会等への発表を通じてモチベーションを高める」21%――で、2013年の調査と同様の傾向となった。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/54126/Default.aspx
厚労省 第7次医療計画策定に向けた議論スタート 在宅医療のさらなる推進も
2016/05/23 03:50 ミクスオンライン

厚生労働省は5月20日、第7次医療計画策定に向けて、「医療計画の見直し等に関する検討会(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)」の初会合を開いた。2018年度から6か年計画である第7次医療計画は、2025年に到来する超高齢化社会に向け、医療・介護の一体的推進、地域包括ケアシステム実現までの道筋を描く。2016年度中にすべての都道府県で策定される地域医療構想と一体的な計画にすることで、病床の機能分化・連携の推進を後押しする。また、医療・介護の連携推進に向け、在宅医療のさらなる推進に向けた施策も盛り込む考えだ。今後は、検討会の下部組織である2つのワーキンググループでの議論を踏まえ、基本方針策定に向けて12月にもとりまとめを行う方針。各都道府県は、厚労相が告示する基本方針などを踏まえて医療計画を策定することとなる。

2025年に到来する超高齢化社会に向けて地域包括ケア構築が求められる中で、2018年度は第7次医療計画、第7次介護保険事業計画がスタートする年度だ。それとともに、診療報酬・介護報酬の同時改定も予定されてあり、高齢化に耐えうる地域医療提供体制を構築する上で、重要な期間となる。

この日の会合では、厚労省側から第六次医療計画策定時・策定後の課題が示され、今後の議論に向けた論点整理が行われた。策定時の課題としては、①二次医療圏と基準病床集制度の違いや医療圏の見直し、②五疾病・五事業及び在宅医療への対応として求められる医療提供体制、各種疾病対策と医療計画との連携、③PDCAサイクル推進のための指標設定――。策定後の課題としては、①地域医療構想の位置づけと実現に向けた対応について、②医療・介護の連携推進に向けた対応について、③医療従事者の養成・確保について――をあげた。

◎疾患に応じた医療圏設定も視野 がんなど広範囲で患者が移動

この日は、医療圏の設定などに対して議論が相次いだ。「がん対策推進基本計画は、二次医療圏単位だが、時間的余裕がある。患者が広範囲に移動してしまう。(大学病院やがんセンターなどへ)県外へも簡単にいく。二次医療圏の設定も踏まえて、広範囲な考え方が必要ではないか」(鈴木邦彦氏・日本医師会常任理事)、「病院ベースと居住地ベースでかなりの差がある。患者が移動する中で、範囲を区切って完結させることが難しいのではないか」(相澤孝夫氏・日本病院会副会長)などの声があがった。

これに対し、厚労省医政局地域医療計画課の迫井正深課長は、「救急医療など時間的猶予がない場合は時間的なアクセス、アプローチが必要で、地域での完結が求められる。特に高齢者の場合は、地域包括ケアシステム構築では生活圏域の中で完結することが必要だ。一方で、がんなど、高度急性期であっても疾病や治療の特性で患者が移動するのも事実」と述べた。「一般的な医療は二次医療圏で完結」とした上で、がんなどについての望ましい医療提供体制については、「まさに現場で考えていただくこと」との見方を示した。すでに兵庫県では疾病に応じて異なる医療圏の設定が行われており、疾患ごとの医療圏設定も視野に議論が進められることとなりそうだ。

相澤氏はまた、「ある地理的な区域に限定して物事を考えるのがいいのかどうか。救命救急でも、1時間かかっていたのが、高速道路ができたことで、10分で着く。ドラスティックな変化がいつでも起こりうるなかでどう作っていくのか。計画を作るための計画になっている。地域住民のためになっていないのではないか」と指摘。「人口構成の変化だけでなく、それ以外のさまざまな変化が起こっていることもふまえて柔軟に計画を作らないといけない」と強調した。

◎基準病床数と必要病床数の議論も

「県の構想会議も出ているが、混乱していて、地域医療構想の取りまとめが影響している」(鈴木氏)など、基準病床数と、地域医療構想で示された現時点での必要病床数が合致しないとの指摘も複数の委員からあがった。一方で、厚労省側は、基準病床数は現在の姿であり、地域医療構想の必要病床数は2025年の姿であり性質が異なるとの認識を示しており、その違いから整理を進めていく考えを示している。

そのほか、医療・介護連携の論点項目である在宅医療について、田中滋氏(慶應義塾大学名誉教授)が、「看取りを課題としてしっかり意識すべき」との考えを示した。相澤氏も、「在宅の中の入院は非常に重要な機能。人生の終末期、看取りということを含めてどうするのかが重要だ。それに対する議論がない」と指摘した。また、「(高齢者の)住居も含めて地域がどう対応していくのかが一番の問題」と指摘。認知症患者の増加や、老老介護の世帯増加を踏まえ、「ご高齢者の方に特有な病態や病状に対してどう対応するか。どういう医療をしていくかという議論も必要ではないか。そこをどうするかという計画で必要な医療資源も医療従事者も大きく変わる」との見方を示した。

今後は、検討会に加え、下部組織として、▽地域医療構想、▽医療計画における地域包括ケアシステム構築--をテーマとした2つのワーキンググループを立ち上げ、議論を進める。医療計画における地域包括ケアシステム構築に向けたワーキンググループでは、在宅医療、医療・介護連携推進の体制や、都道府県と市町村との連携に加え、運動器症候群(ロコモーティブシンドローム)や虚弱(フレイル)対策などについても検討される。


  1. 2016/05/23(月) 06:27:10|
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5月21日 

https://www.m3.com/news/general/426550
「医師に過失ないが説明不十分」…腫瘍手術で左足にまひ、330万円賠償命令
2016年5月21日 (土)配信読売新聞

 香川県立中央病院(高松市)で手術を受けた高松市内の女性(67)が、左足にまひが残ったのは担当医師の診察や手術内容に誤りがあり、事前説明も不十分だったなどとして、県を相手取り4462万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、地裁であった。

 横路朋生裁判長は、医師の説明義務違反を認め、県に慰謝料など330万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2008年、同病院で神経などに腫瘍の疑いがあると診断された。同年12月に腫瘍の摘出手術を受けたが、左足の神経が傷つき、まひが残った。

 横路裁判長は、「診断や手術などで医師の判断に過失はなかった」と判断する一方で、事前に行った手術の説明については「運動障害が生じる危険性があり、手術と経過観察の選択に当たって、熟慮して判断できるよう女性に説明したとは認められない」と指摘した。

 判決を受け、県病院局は「判決の内容を精査して、今後の対応を検討していきたい」としている。



https://ww w.m3.com/news/iryoishin/426340
医学系研究3指針、個情法改正に伴う見直し優先
臨床研究法案を今国会に提出、成立後にも要検討

2016年5月20日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省、文部科学省、経済産業省合同の「医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」(座長:福井次矢・聖路加国際病院院長)は、5月20日の第2回会議で、今後の検討の進め方について議論、個人情報保護法等の改正に伴う医学系研究の3指針の見直しを優先的に検討し、その後に、関係指針間の整合性を図るための検討に入り、今夏頃までに一定の結論に達した事項について見直しを行うことを確認した。

 改正個人情報保護法等の施行は、2015年9月から「2年以内」だが、時期は未定。「個人情報保護委員会」で、並行して法施行に向けた具体化の議論を進めており、この議論をにらみながら、本合同会議でも検討を進める。

 20日の会議は今後の進め方のほか、指針見直しの基本的考え方の確認、海外の事例紹介にとどまり、指針見直しに向けた具体的議論は、次回以降になる。

 なお、今国会に、臨床研究法案が提出された。ノバルティスファーマ社の降圧剤ディオバンに関する医師主導臨床試験の不正問題を受け、臨床研究に関する利益相反の管理などを徹底するのが狙い。医薬品医療機器等法における未承認・適応外薬等の臨床研究が対象になる。同法が成立すれば、同法との関係でも、医学系研究3指針について見直すべき部分があるか否かを検討することになる。

「医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」は、次回以降、具体的検討に入る。

 改正個人情報保護法に伴う見直しの論点とは?
 医学系研究3指針とは、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」だ。これまでも、5年を目途に見直しが行われてきた。

 今回は、個人情報保護法等の改正に伴い、従来の「個人情報」に加え、「個人識別符号」「要配慮個人情報」が新たに定義され、取得の際の患者同意の要否や利活用の在り方が変わってくるため、指針の改正が必要になっている(『「臨床研究一般の萎縮が生じる」との懸念も』を参照)。

 現行の医学系指針は、患者への侵襲や介入がある場合、人体取得試料を取り扱う場合は、インフォームド・コンセントが必要だが、情報のみを取り扱う場合は、オプトアウトが可能。しかし、改正個人情報保護法では、「要配慮個人情報」には「病歴」などが該当し、原則同意が必要になることから、インフォームド・コンセント等の手続きの見直しが必要になる。

 具体的には、下記の4点が主な論点になる。

(1)個人情報等の定義の見直し
 「個人識別符号」や「要配慮個人情報」などの定義の追加。

(2)インフォームド・コンセントの手続きの見直し
 「要配慮個人情報」の取得・提供等については、患者の同意が原則必要になるため、同意によらない場合の手続きと考え方について、個人情報保護法等との関係を整理した上で、指針で求める措置を検討。

(3)匿名加工情報の取り扱い
 「匿名加工情報」は、既に連結不可能匿名化されている情報と同様の取り扱いとするかを検討する(匿名加工の基準は、「個人情報保護委員会」規則で定められることになっているため、定められた後に議論)。

(4)経過措置
 現行指針等に基づき実施中の研究は、法改正に伴い、法で定める要件を満たさない恐れがあるため、改正後の指針を適用するとともに、必要な経過措置を検討。

 関係指針の整合性も検討課題
 医学系研究が関係する指針としては、3指針のほか、ゲノム研究関連では、健康・医療戦略本部の「ゲノム医療実現推進協議会」や厚労省の「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」で指針(以下、ゲノム指針)を検討している。

 これらの指針間の関係の整理も課題だ。(1)改正個人情報保護法とは独立して検討ができる論点、(2)改正同法に伴う見直し後、検討を行うべき論点――に分け、(1)を先に検討する。

 第1回の合同会議では、現行制度および見直しの方針について、幾つかの疑問や意見が呈せられ、第2回合同会議では、それに対する説明もなされた。

 その一つが、研究主体によって、適用される個人情報保護関係の法律が異なる点。民間事業者は個人情報保護法だが、国の行政機関や国立研究所などは行政機関個人情報保護法になる。法律により、個人情報保護の在り方も多少異なるが、医学系研究3指針は、個人情報保護法等に上乗せした措置が講じられているため、研究主体を問わず、共通の指針として適用される。今後も、試料・情報のやり取りに支障が生じないよう、引き続き統一的なルールにする。

 海外でも遺伝データ等の取り扱い、厳しく
 第2回合同会議では、海外の動向も紹介された。直近で見直し、改正されるのが、EU個人データ保護規則と、米国コモン・ルール(45CFR part46)。国際的な共同研究を想定して、海外動向も踏まえて指針の見直しを行う必要がある。

 EU個人データ保護規則は2016年5月20日4月に欧州議会で採択され、2018年5月に施行予定。改正個人情報保護法の「要配慮個人情報」に相当する「特別カテゴリ」が設けられ、遺伝データ、バイオメトリックデータ、健康に関するデータの取り扱いは、科学的研究等に限定され、本人の同意が必要とされた。

 米国コモン・ルールの改正については、2016年1月まで意見募集が行われていた。全ての生体試料を用いる研究で、原則同意を必要とするが、将来的な研究利用について「Broad consent」を許容する方針。



https://www.m3.com/news/general/426225
医学部定員、削減も 20年度から検討 人口減で医師余りに
2016年5月21日 (土) 共同通信社

 厚生労働省の有識者会議は19日、増え続けている大学医学部の定員について、2020年度以降は医師の偏在解消策の効果などを考慮しながら、削減も含めて検討する方針を盛り込んだ中間報告を取りまとめた。19年度までは、臨時増員分を含め過去最多となった16年度の水準(9262人)を維持する。人口減少が進み、将来的に医師が余るとの同省の試算などを踏まえ、年内に最終報告を作成する。

 厚労省は、16年度並みの定員が続けば、40年度には全国の医師数は33万3千人となり、必要数に対し1万8千~4万1千人過剰になると試算している。政府は08年に、医師不足や偏在による「医療崩壊」の問題を受け、それまでの医師数抑制の方針を転換した経緯があり、有識者会議の議論や需給試算を踏まえ、あらためて抑制にかじを切るのか注目されている。

 医学部定員は00年代前半、7600人程度で推移したが、08年の政策転換後は増え続けている。医師数も00年の約25万6千人から14年は約31万1千人に増加。地域偏在の問題が深刻化する中、政府は08年以降、臨時の増員措置を取ってきた。

 有識者会議の中間報告は、臨時措置のうち、地元勤務を条件に奨学金を出す「地域枠」として都道府県ごとに原則10人までの増員を認める措置については、19年度まで続けるものの、都道府県からの要望を慎重に検討すべきだとしている。医師不足が深刻な10県を対象に、それぞれ最大10人の増員を認めた措置などは当面継続する。

 その上で、20年度以降の医学部定員は、臨時増員や医師偏在対策の効果を検証して結論を出すとしている。

 一方、医師偏在の解消策として(1)地方での研修が増えるよう募集定員の配分などで都道府県の権限を強化(2)都道府県がつくる医療計画で、医師が不足する診療科や地域で確保すべき数の目標値を設定し、専門医などの定員を調整(3)医学部入学以降の医師の動向を把握するなど「地域医療支援センター」の機能を強化―などの案も示した。



https://www.m3.com/news/general/426552
女子学生2人にセクハラとパワハラ、教授を解雇
2016年5月21日 (土) 読売新聞

 金沢大学は20日、指導していた成人の女子学生2人にセクハラ行為を繰り返したとして、60歳代の男性教授を懲戒解雇処分にした。

 同大によると、男性教授は2014年8月~15年5月、自分の研究室に所属する2人に対し、学内外で身体に触れるなどのセクハラ行為を行った。同月、2人が大学に相談して発覚し、調査委員会は調査を経て、セクハラと暴言などのパワハラがあったと認定した。

 大学は2人から相談があった後、指導教授を代えるなどの措置を取った。2人は休学などはせず、現在も大学に在籍しており、警察への被害届は出していない。

 教授は、行為は認めているもののセクハラに当たるとの認識はなく、反省も学生への謝罪もしていないという。

 同大の福森義宏副学長は記者会見で、教授の氏名や所属学部、行為の内容などについて明らかにせず、「被害者のプライバシーや今後のことを考えると公表できない」と理由を述べた。

 同大が法人化した04年度以降、ハラスメント行為で懲戒解雇処分を出したのは初めて。山崎光悦学長は「事態を重く受け止め、研修受講の徹底など再発防止に向けた活動を推進し、本学の社会的信頼の回復に努める」とのコメントを出した。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5P4Q0TJ5PUBQU00P.html
(地域医療・岡山)地域の病院、ライバルから補完へ
中村通子
2016年5月21日15時56分 朝日新聞

 2025年、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる。本格的な高齢化社会の到来だ。求められる医療の形も大きく変わる。それに向け、岡山県は今春、第7次保健医療計画を発表した。岡山の地域医療はどう変わるのか。課題と、解決に向けた現場の動きを紹介する。

■川中島の戦い

 真庭市にある六つの一般病院のうち、最大の二つ、落合病院(1937年開業、173床)と金田病院(51年開業、172床)は、旭川を挟み、向かい合う。直線距離でわずか約400メートルしか離れていない。

 規模も設備もほぼ同等。地域の医療を支えるライバルとして、長年激しく競ってきた。住民は戦国時代になぞらえ「川中島の戦い」と呼んだ。

 真庭市の人口は、2005年に合併した時の約5万2千人から減り続け、現在は約4万7400人、25年には約4万人と推計されている。一方、65歳以上の高齢者の割合は上がり続けており、25年には4割を超える見通しだ。

 人口構成の移り変わりに基づき、県は今春、真庭市で25年に必要な病床数を約460床と試算し、発表した。現在、市内6病院の計約600床を大幅に下回る。

 過剰感は、すでにある。落合病院の安東正典事務局長は「稼働率がじわりと落ちていると感じる」と話す。

 09年、隣接する津山市の中核病院の一つが倒産した。市内にあるもう一つの病院との競争の結果だった。

 高齢化が進む地域では、病院は安心を保障する社会インフラだ。中核病院が突然消え、住民の安心感が失われると、人口流出が加速する。真庭市で病床の需要が減る中、落合、金田両病院が競い続けて共倒れになると、地域そのものの存亡にかかわりかねない。

 どうするか。

 出した結論は「競争から協調へ」だった。

 落合病院は、人工透析をする50床の腎センターやドクターヘリの発着場など、市内唯一の設備を持つ。産婦人科の常勤医がおり、お産が出来る病院もここだけだ。

 一方の金田病院は、整形外科や脳外科の専門医が複数常勤し、専門的な手術を多数手がけている。

 近さを利点に、それぞれの特性を生かし、補完し合うことで共存を目指す。

 津山の病院が倒産した09年に、金田病院は透析をやめ、患者を落合病院に譲った。落合病院は外科と整形外科の手術をやめ、金田病院に一本化した。

 そして昨年11月、両病院は「連携協力の推進に関する協定」に調印した。地域完結型の医療の推進や、医療機器の相互支援などをうたう。

 今、患者に渡す両病院の外来診療表は、片面に落合病院、もう片面に金田病院の表を印刷している。両病院が受け持つ診療を、地域の人に分かりやすく伝えるためだ。地域医療構想に詳しい産業医大(北九州市)の松田晋哉教授は、この診療表を「病院共生という新しい医療の象徴」と見る。

 課題はまだ多い。だが後戻りする道はない。金田病院の金田道弘理事長はこう話す。「戦いの先に、地域の明日はありませんから」

■模索始まる玉野

 三つの中核病院がある玉野市でも、模索が始まった。

 市民病院、玉野三井病院、岡山赤十字病院玉野分院は、いずれも医師不足に苦しみ、経営も厳しい。

 玉野三井病院の磯嶋浩二院長は「他の中小病院も医師が高齢化している。地域医療の中心となる救急の維持は限界に近い。市全体で再編成が必要だ」と話す。

 解決策を探るため、3病院と市、医師会、岡山大などが「玉野市地域医療連携推進協議会」を結成。4月27日に初会合を開いた。来年始まる地域医療連携推進法人制度などを使い、連携を円滑に進めたい考えだ。

 しかし、市・企業・日本赤十字社と、経営母体が大きく異なる3病院が、譲り合い、役割分担を整えるのは容易ではない。3病院は玉野の医療を支えきれるか。正念場を迎えている。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5P4HRRJ5PUBQU00J.html
群馬大病院、再生なるか
仲田一平
2016年5月21日15時57分 朝日新聞

 群馬県は20日、群馬大学医学部付属病院(前橋市)で肝臓手術の患者が相次いで死亡した問題で、群大病院の再生を進める協議会の初会合を県庁で開いた。特定機能病院の再承認を目指すのが大きな柱。地域医療への悪影響を最小限に抑えようと県が支援に乗り出すが、道のりは険しそうだ。

■特定機能病院、再承認が焦点

 反町敦副知事は会合の冒頭で「群大病院の医療提供、医師確保の拠点機能の維持・回復が県政の喫緊の課題だ。特定機能病院の再承認をなるべく早く受けて正常な形で病院が運営されることが望ましいと考えている」とあいさつした。群大の和泉孝志副学長は「まだ完全な信頼回復、機能の回復には至っていない。県民に安心安全な医療を提供し、信頼を回復できるよう努力していく」と述べた。

 協議会には群大病院の田村遵一病院長、県健康福祉部の塚越日出夫部長らが出席した。冒頭を除いて会合は非公開で行われた。

 県医務課によると、会合では、群大側から診療科の再編統合や全死亡症例の検証、カルテ記載の充実など、事故後の取り組み状況を報告。県側は地域医療への悪影響に対する懸念を伝え、両者で「目に見えた改革」をめざす方向性を確認した。特定機能病院の再承認を最終目標の一つと位置づけたという。

 再承認をめざす時期について田村病院長は会合後、「できるだけ早く。許されるのであれば、来年度と思っています」と述べた。

 第三者による医療事故調査委員会が近く最終報告書をまとめる予定で、協議会の次回会合は7月中旬以降に開く。県内医療関係者らの参加も求める方針だ。

■「空白県」解消へ高い壁

 厚生労働省によると、大学病院を中心に全国に84ある特定機能病院は現在、群馬が唯一の「空白県」だ。

 安全管理体制が不十分だとして、群大が承認を取り消されたのは昨年6月。診療報酬の優遇措置が受けられなくなり、年間数億円の減収となる見通しだ。受診中の患者に直接影響は無いが、「ブランドイメージの低下は否めない」と群大病院幹部。研修医の「群大離れ」も現実化している。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5P2H71J5PUBQU005.html
診療報酬詐欺の捜査終結 総額3億円超詐取か
2016年5月21日08時31分 朝日新聞

 接骨院や歯科医院での健康保険不正請求事件で、警視庁は20日、療養費235万円をだまし取ったとして、会社役員の早川和男容疑者(39)=詐欺罪で起訴=を詐欺容疑で書類送検し、捜査を終結したと発表した。

 組織犯罪対策4課によると、早川容疑者を中心とするグループは、総額で3億3千万円の療養費や医療費をだまし取っていたとみられるという。一連の事件では、指定暴力団住吉会系組長の男(50)やタレント活動もしていた医師の女(37)、歯科医師の男(59)らも逮捕されている。



http://mainichi.jp/articles/20160522/ddm/016/040/013000c
厚労省
将来推計 「医師過剰」現場に違和感

毎日新聞2016年5月22日 東京朝刊

 厚生労働省の医師の需給に関する検討会は、将来の医師数や医療需要について、需要が最も多い想定でも2033年ごろに医師の需要と供給が均衡し、40年には供給が需要を約1.8万人も上回るとする推計をまとめた。現状の医師不足の状態が一変し、「医師過剰」になるという推計に、現場には戸惑いが広がる。検討会は19日、将来の医学部定員の追加増員について「慎重にすべきだ」とする中間取りまとめを了承した。

激務の診療科 「消滅」地域も
 東京都心から電車で1時間半の千葉県香取市。中核病院の役割を担う県立佐原病院は07年、「休みの日も県外に出たことがなかった」という激務を続けた男性産婦人科医が定年退職し、お産の受け入れを停止した。現在、市内でお産を受け入れる医療機関はない。

 この医師は1981年に赴任以来、ポケベルを持ち歩き、病院に隣接する宿舎に寝泊まりして年約150件のお産に対応した。現在、香取市の妊婦は主に車で約30分の同県成田市にある成田赤十字病院で出産する。佐原病院の小林進院長は「当直体制を組んでチームでお産に対応するには、常勤医が8人は必要」と話すが、めどは立たない。「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)が重視される時代に、激務を引き受ける医師もいない。

 04年に始まった新しい臨床研修で、医師免許を取った若手医師は希望する医療機関で複数の診療科を経験する仕組みになった。幅広い診察ができる医師の養成が狙いだったが、若手医師の勤務先を管理してきた医局制度が崩れ、都市部や「楽」と言われる診療科に医師が集まるようになった。この頃から産婦人科や外科、救命救急科など24時間体制勤務の診療科で医師不足が顕著になった。

 産婦人科医の若い世代は女性が半数を超え、出産に携わらない医師も増えた。産婦人科医になる新規医師数は10年度をピークに毎年減少し、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は14年12月、抜本的な対策を取るよう緊急提言を発表した。

 厚労省の将来の需給推計は、子育てに携わることを念頭に女性医師の仕事量を男性医師の0・8として計算するが、小林院長は「激務を前提とする現在の産科医療の現場では、出産を希望する女性医師が働き続けるのは無理だろう」と話す。佐原病院は、医師の派遣を受けてきた千葉大だけでなく医師派遣会社にも頼る。だが「遠いから」と赴任を断る医師もいる。小林院長は「これからも(医師の)偏在は進むだろう。医局のような医師派遣システムがなければ、地方病院は生き残れない」と危機感を募らせる。

 14年時点の調査で10万人当たりの医師数が全国で最も少なかった埼玉県の担当者は「国全体では需要を満たせるのかもしれないが、地域間格差は広がるのではないか」と指摘する。同県の計画によると、25年までに県内で計1万4500人の医師を確保し、医師不足を解消できる予定だ。

 だが、計画の前提となる病床数など政策が変更されれば計画も白紙に戻る。今後、在宅医療が進むと、地域ごとに在宅の患者を担う医師の確保も求められる。同県担当者は「今回の需給推計と現場はリンクしていないような気がする」と、将来への不安をのぞかせた。【熊谷豪、有田浩子】

「偏在対策が先」 異論次々

 国は、医師不足解消のため08年度から医学部定員の枠を暫定的に広げるなどして医師数を増やしてきた。一方、人口当たりの医師数の地域格差はいまだに大きく、産婦人科などの人員不足も解消されていない。このため、厚労省検討会の中間取りまとめは、医師「偏在」を改善するため、医師の配置に関する直接的な対策が必要と盛り込んだ。

 これまでの議論では、「いつになっても田舎は医師であふれない。偏在対策をやってから医師の総数を議論すべきだ」(辺見公雄・全国自治体病院協議会会長)など、将来の医師数が過剰になるとの推計に注文が相次いだ。来年度から専門医養成のプログラムが始まれば、養成プログラムを持つ都市部の医療機関に若手医師が集中し、偏在が強まるとの懸念もある。

 専門家からも異論が出ている。推計は12年に公表された病院勤務医調査を基に、直近の勤務医の週当たりの労働時間を53.2時間とした。一方、国立保健医療科学院の06年の報告では、30代までの男性勤務医の1週間当たりの平均勤務時間は80時間以上。40代半ばまで70時間を超えた。12年の調査でも4割の医師が週60時間以上働いていた。

 東京大医科学研究所のチームは、入院やみとりなど亡くなる前に多くの人手を必要とする75歳以上の後期高齢者に着目し、後期高齢者の死亡者数を「需要」、医師の勤務時間を「供給」として、同院の報告に基づきながら10年から25年後の需給をシミュレーションした。医師の労働時間は週60時間とした。その結果、全都道府県で需要が供給より増加。5割以上増えた都道府県が約半数を占めた。NPO法人「医療ガバナンス研究所」の上昌広理事長は「医師は余るどころか今後も不足すると予想され、医学部新設を含め医師を増やす施策が必要だ」と指摘する。【河内敏康、熊谷豪】

 ◆厚労省検討会推計の手法

医師の需給推計
 厚労省検討会による将来の医師の需給推計の手法は次の通り。

供給
 今後の医学部定員が今年度(計9262人)と変わらないことを前提に2040年までの医師数を推計した。30〜50歳代の男性医師の仕事量を「1」とした場合、女性医師と高齢医師はそれぞれ「0.8」、研修医は経験に応じて「0.3」「0.5」として計算した。

需要
 入院、外来、介護福祉など分野ごとに需要を積み上げた。現在の医療体制で必要な医療サービスをおおむね提供できていることが前提。医師の労働時間や外来受診率などについては医師の需要が大きくなる条件と、小さくなる条件を設定し、それぞれ推計した。

結果
 医師の需要が最も大きくなると仮定した条件では、33年ごろに需給が均衡し、その後は供給が需要を上回るとの結果になった。平均的な条件で推計すると、24年ごろには需給が均衡し、その後逆転するという。
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  1. 2016/05/22(日) 04:47:37|
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5月20日 

http://mainichi.jp/articles/20160520/ddl/k36/010/552000c
四国市長会議
地域医療の充実を 要望53項目を決議 松山

毎日新聞2016年5月20日 地方版

 四国4県の38市長でつくる四国市長会議が19日、松山市で開かれ、過疎地の地域医療充実を国に求めることなどを盛り込んだ要望53項目を決議した。全国市長会を通じて国に提出する。

 決議は、臨床研修医が大都市圏へ集中していることから、地方が慢性的な医師不足に陥っていると指摘。四国にある大学医学部の定員を増やすなどして医師数を確保するよう求めた。

 このほか、瀬戸内海の漁獲量が減少している原因の究明や、南海トラフ巨大地震対策への財政支援も要望した。

 会議は年2回開かれ、加盟する市が持ち回りで事務局を担当する。次回は今年秋に小松島市で開催する予定。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160520-OYTET50005/
将来は医師過剰、医学部定員増「慎重に」…厚労省有識者検討会
2016年5月20日 読売新聞

 厚生労働省の有識者検討会は19日、2008~19年度に臨時で認められている医学部定員の増員について、17年度以降の追加増員は慎重に行うべきだという中間報告をまとめた。

 将来医師が過剰になるという推計に基づく見解で、定員のさらなる上積みは難しくなる方向だ。厚労省と文部科学省はこの見解を近く都道府県に通知する。

 医学部の定員増は、都道府県からの要望を受けて認められるが、検討会は、17~19年度は厚労省と文科省が追加の必要性を慎重に精査するよう求めた。ただ、医師が特に不足する都道府県でこれまで認めてきた定員増は、当面続ける。



https://www.m3.com/news/iryoishin/426207
シリーズ: 医療従事者の需給に関する検討会
偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定
中間取りまとめ、自由開業・標榜制限などを検討

2016年5月20日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の第3回「医療従事者の需給に関する検討会」(座長:森田朗・国立人口問題研究所長)と、第6回「医師需給分科会」(座長:片峰茂・長崎大学学長)は5月19日、医学部定員を2019年度までは現行の9262人を最低でも維持するほか、医師の偏在対策として、専攻医の募集定員枠の設定、保険医の配置・定数の設定、自由開業・自由標榜の在り方などを今年末に向けて検討することを骨子とした「中間取りまとめ」(案)を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医師の働き方や勤務状況などの現状把握のため、全国調査も実施、都道府県が策定する地域医療構想や在るべき医療の姿を踏まえ、「新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン(仮称)」の今年中の策定も盛り込まれている。同ビジョンにより、医師の需給推計を精緻化し、必要医師数を再検討する。

 医学部定員は、2008年度から増加に転じたが、2017年度と2019年度に臨時定員増の期限が切れる。2017年度までの臨時定員増は当面延長する。2019年度までの臨時定員増については、あと3年間は追加増員が可能なものの、本検討会で行った医師の需給推計などを基に、本当に必要な増員であるか否かを「慎重に精査」する(『医学部定員、最低でも「9262人」、2019年度まで』を参照)。

 さらに医学部定員増によっても、地域における医師不足は解消しないとの認識から、医師偏在対策の実施に当たっての課題、法制的な課題などについて今後検討する。「医師が勤務地や診療科を自由に選択するという自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策を行っていく」との観点から、専攻医の募集定員枠の設定をはじめ、13の偏在対策を例示している。

 2020年度以降の医学部定員については、これまでの暫定定員増や医師偏在対策の効果などを検証し、本検討会で結論を得る。

 「中間取りまとめ」(案)に対しては、構成員から基本的には反対意見は出ず、一部追加修正を条件に了承された。複数の構成員から挙がったのは、医師偏在対策を強力に進めるため、「検討する」ではなく、より踏み込んだ表現にすることを求める意見だ。これに対し、厚労省医政局地域医療計画課長の迫井正深氏は、他の審議会などとも関係する問題であり、本検討会で全てを決めることができないため「検討する」との表現にしたと説明、同医事課も「今後、医師の偏在対策を強力に行っていくことを予定している」と述べた。

 医師偏在対策は、経済財政諮問会議でも議題になり、解消に向け規制的手法も検討するとしている(『医師偏在、「規制的手法」も検討へ』を参照)。2017年度から開始予定の新専門医制度については、地域医療への影響から専攻医の地域別の上限設定も検討課題になっており、医師偏在対策がさまざまな場で規制色を強めながら議論される見通しだ(『医師の“適正配置”の一歩か、新専門医制』を参照)。


 2020年度以降の医学部定員についても結論

 本検討会・分科会は、(1)医学部定員の臨時定員増の扱い、(2)医師偏在対策――の二つを検討する目的に、2015年12月に設置された(『医学部定員、増員維持か?削減か?』を参照)。19日は「中間取りまとめ」を行うため、まず「医師需給分科会」が、続いて「医療従事者の需給に関する検討会」が開かれた(以下、各構成員の発言は、いずれかの会議で出たもの)。今回の「中間取りまとめ」では、(1)の結論を出し、(2)については、今後の検討の方向性を示した。

 (1)の結論を急いだのは、2017年度からの医学部定員の設定や医学生募集のスケジュールに支障を来さないとの配慮からだ。議論に先立ち、全国レベルの将来の医師需給推計を、上位、中位、下位の3パターンで実施。中位推計の場合は、2024年頃に約30万人で医師需給が均衡、2040年頃には医師供給が約3.4万人過剰になるとの結論だった(『医師需給、「2024年に約30万人で均衡」との推計も』を参照)。

 「中間取りまとめ」では、「中位推計の場合に、あと約8年で医師需給が全国的に均衡することを踏まえると、既に現時点で将来的な供給過剰が見込まれることになる」と指摘したものの、臨時定員増は医師不足が特に深刻な都道府県などが対象で、初年度(2008年度)の入学生が2016年3月に臨床研修を終えたばかりで十分な効果検証ができないことなどから、前述のように2019年度までは臨時定員増を続けるとした。現行の定員9262人は最低維持されることになる。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、2019年度までの追加増員を「慎重に精査」するとしている点について、「従来とは違う、第三者が見て公平な仕組みがあってもいいのではないか」と指摘、全国医学部長病院長会議会長の荒川哲男氏も、「駆け込み増員が起きる可能性もある。それに対して、どんな精査をするのか。明確に示してほしい」と求めた。厚労省医政局医事課は、従来は県が大学と協議し、合意が得られたものについては増員してきたとし、「今後は今回の医師需給推計を基に、慎重に検討していく」と答え、文部科学省高等教育局医学教育課長の寺門成真氏も、「厚労省と一緒に検討して、必要な分だけを増員する」と回答したものの、具体的方法は示さなかった。

 東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授の北村聖氏は、「慎重に精査」の基準を求めるとともに、2008年度以降、医学部定員は1637人増え、各大学の施設や教員には余裕がないことから、教育環境の充実を図るための財政支援を要望した。

 
 なお、医師需給推計については、岩手医科大学学長の小川彰氏から、人口10万人当たりの医師数を求める意見が出た。本推計では、30~50歳代の男性医師を「1」とした場合に、高齢医師と女性医師は「0.8」とするなど、働き方を加味した必要医師数になっている。医師数の国際比較のためには、常勤換算数に直す必要がある。

 現行の医学部定員9262人は、「恒久定員」8269人、「臨時定員」993人という内訳になっている。今村氏は2020年度以降の医学部定員の検討対象について質した。寺門医学教育課長は、「恒久定員」を全くさわらないわけではないが、まずは「臨時定員」について検討すると回答した。


 「実効性のある偏在対策を出す」

 医師偏在対策については、検討の柱として、(1)医学部、(2)臨床研修、(3)専門医、(4)医療計画による医師確保対策の強化、(5)医師の勤務状況等のデータベース化、(6)地域医療支援センターの機能強化、(7)都道府県が国・関係機関等に協力を求める仕組みの構築、(8)管理者の要件、(9)フリーランス医師への対応、(10)医療事業の継続に関する税制、(11)女性医師の支援、(12)ICT等技術革新に対応した医療提供の推進、(13)サービス受益者に係る対策――が例示された。

 各論では、「チーム医療の視点、コメディカルや医療クラークの充実、業務範囲の拡大」という視点も盛り込むべき、との意見が出た。これらの対策により、医師の負担軽減、必要医師数の減少につながることが期待される。

 総論としては、特に「医師需給分科会」において、医師偏在対策を強力に進めるべきとの意見が相次いだ。

 聖路加国際病院院長の福井次矢氏はまず、「中間取りまとめ」について、「全体的には、今まで述べられたいろいろな意見が十分に取り入れられている」と評価。その上で、(3)の専門医については、「最悪の場合、各学会が独立して必要な専攻医数を推計した結果、医学部卒業生の超える推計数が出てくる可能性もある。診療科をまたいだ推計が必要」と指摘、さらに「偏在対策を十分に行わない限りは、医師数をいくら増やしても仕方がない。偏在対策をどのくらい強い意思でやるのか」と厚労省に質した。

 日本医師会副会長の今村聡氏も、「一番大事なのは、医師の偏在対策であり、これは本当に強力にやる必要がある。その結果、医師の将来の需給予測も変わってくる。具体的に一つ一つ議論していくことになる。ぜひここは強力にやってもらいたい」と求めた。

 「医師の養成数の増加と偏在対策は、どちらか一方というわけにはいかない」(全日本病協会副会長の神野正博氏)、「医師偏在対策が、最も重要なポイント。具体策を提言し、強い対策を打ち出すことが必要」(岩手医科大学学長の小川彰氏)など、医師偏在対策の必要性を指摘する、さまざまな意見が出た。

 全国知事会の荒井正吾氏(奈良県理事)は、知事会として地域医療の検討の場を設置したことを説明、今後月1回ペースで議論していくとした。「(2017年度から開始予定の)新専門医制度は、医師偏在を増長する懸念がある。6月は医師需給と専門医の問題を議論する」(荒井氏)。

 これに対し、厚労省側は、2006年の「医師の需給に関する検討会」でも医師の偏在対策は打ち出し、一定の効果はあったものの、「非常に緩やかな対策」だったとし、「これまで以上に強い偏在対策をまとめていきたい」「各部会と連携して、実効性のある偏在対策を出していきたい」など、踏み込んだ医師偏在対策に取り組んでいく構えを見せた。


 医師偏在対策、規制的手法に疑義も

 もっとも、「中間取りまとめ」に対して、幾つかの疑義、意見も呈せられた。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、医師の需給推計は、今の医療ではなく、終末期医療や在宅医療をはじめ、超高齢社会を踏まえた医療の在り方、病診連携の推進、医師の業務負担の軽減などを議論してから行うべきであると指摘。さらに専攻医の募集定員枠の設定など、規制的手法についても疑義を呈し、「個人の自由を奪っていく手法は、結局はうまくいかない。医師が自発的にどの分野をやりたいかを選び、その中で120%の力を発揮できる仕組みを考えるべき」と提言した。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、全国調査や「新たな医療の在り方を踏まえた医師の働き方ビジョン(仮称)」の作成により、新たに医師需給を推計しても、試算の根本は変わらず、結果にはあまり差が出ないと想定されることから、「同じリソースを使い、効果的な対策を打つなら、医師偏在対策について、しっかり対策を練って行くことが必要ではないか」と提言した。



http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/05/21/04.html
校医10人が大量辞任 吉川の小中学校、健康診断の日程影響…懸念も
2016年5月20日(金) 埼玉新聞

 埼玉県吉川市の小中学校の校医16人のうち10人が3月末に辞任し、市内11小中学校の健康診断が例年通りに実施できない可能性があることが20日、市や吉川松伏医師会などへの取材で分かった。市と医師会側は事実関係を認めた上で、学校保健安全法規則に基づいて6月末までに、全小中学校の健康診断を実施するとしている。

 市などによると、3月末に同医師会の担当者が市教育委員会を訪れ、校医10人の「解任届」を提出したという。辞任の理由は「一身上の都合」。任期は2年で、昨年4月から来年3月までの予定だった。

 市教委は毎年度当初の4~6月、市内11の小中学校で健康診断を行っており、残った医師6人の協力で日程を調整。全ての学校の児童、生徒が6月末までに健康診断を終了することができるよう日程を組み直したとしている。

 校内の健康診断については、学校保健安全法規則に定められており、6月末までに行うとされている。吉川市では例年、6月上旬までに終わるという。5月上旬に予定していた小学校は健康診断を行わないまま、5月末に運動会を予定している。関係者は「健康診断をしないまま、児童に何か起きたらどうなるのか」と懸念している。

 市内小学校の男性校長は「児童の健康診断で、当初予定していた5月にできない日があった。市教委から『お医者さまの都合が悪くなった』と学校に連絡があった。別の日程を設けてもらったため、何かトラブルになったということはない」と話している。

 吉川市は内規に沿って、同医師会の推薦を受け、小学校8校、中学校3校の計11校で兼務を含め16人の校医を選任していた。

 同医師会は「解任届」を提出して、複数の校医が辞任した事実を認めた上で「6月末までに健康診断を終わらすために全力を尽くす」とコメントしている。



http://www.asahi.com/articles/ASJ5N5WJCJ5NUTIL04W.html
療養費不正事件、総額3億円超か 書類送検し捜査終結
2016年5月20日20時43分 朝日新聞

 接骨院や歯科医院での健康保険不正請求事件で、警視庁は20日、療養費235万円をだまし取ったとして、会社役員の早川和男容疑者(39)=詐欺罪で起訴=を詐欺容疑で書類送検し、捜査を終結したと発表した。

 組織犯罪対策4課によると、早川容疑者を中心とするグループは、総額で3億3千万円の療養費や医療費をだまし取っていたとみられるという。一連の事件では、指定暴力団住吉会系組長の男(50)やタレント活動もしていた医師の女(37)、歯科医師の男(59)らも逮捕されている。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0520503567/
「医師に過失ないが説明不十分」...腫瘍手術で左足にまひ、330万円賠償命令〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.05.20 18:00 読売新聞

 香川県立中央病院(高松市)で手術を受けた高松市内の女性(67)が、左足にまひが残ったのは担当医師の診察や手術内容に誤りがあり、事前説明も不十分だったなどとして、県を相手取り4462万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、地裁であった。

 横路朋生裁判長は、医師の説明義務違反を認め、県に慰謝料など330万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は2008年、同病院で神経などに腫瘍の疑いがあると診断された。同年12月に腫瘍の摘出手術を受けたが、左足の神経が傷つき、まひが残った。

 横路裁判長は、「診断や手術などで医師の判断に過失はなかった」と判断する一方で、事前に行った手術の説明については「運動障害が生じる危険性があり、手術と経過観察の選択に当たって、熟慮して判断できるよう女性に説明したとは認められない」と指摘した。

 判決を受け、県病院局は「判決の内容を精査して、今後の対応を検討していきたい」としている。



http://www.qlifepro.com/news/20160520/consumption-tax-increase-correspondence-of-drug-price-survey-is-unacceptable.html
【中医協】製薬業界「容認できない」-消費増税対応の薬価調査
2016年05月20日 AM11:00  QLifePro

中央社会保険医療協議会は18日、総会で日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、日本医薬品卸売業連合会などから、来年4月に予定している消費税再引き上げに伴う薬価改定について意見聴取した。業界側は、予定通り消費増税される場合でも必要最低限の調査とすることや、引き上げが見送られた場合は、薬価調査・改定を行う理由はなくなるとの認識を示した。
日薬連、PhRMA、EFPIAが中医協に提示した資料では、2年に1度の診療報酬改定では、「薬価本調査」と「医療経済実態調査」がワンセットで実施されているため、薬価改定のみを行えば、診療報酬体系とのバランスが損われる怖れがあると指摘。


  1. 2016/05/21(土) 08:48:33|
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5月19日 

http://www.asahi.com/articles/ASJ5L73FYJ5LUBQU017.html
シリーズ:特集
熊本の病院、半数が損壊 6施設が通常診療できず

斎藤靖史、森本大貴、熊井洋美
2016年5月19日06時23分 朝日新聞

 熊本県を中心とした一連の地震で、県内214病院のうち半数以上の122病院が建物や設備などの被害を受けていたことが、県の調べでわかった。地震発生から約1カ月が過ぎても、6病院で通常診療ができない状態。医師や看護師らの解雇につながっているケースも出ている。

 県によると、122病院で壁のひび割れや天井落下、エレベーター停止などが確認された。20床未満の診療所1477施設のうち328施設も被災した。災害拠点病院など主要病院や益城町、南阿蘇村周辺の62施設では、12日現在で6病院が「通常通りの診療ができていない」と報告。診療を中止したり入院を受け入れなかったりしているという。

 熊本市民病院(熊本市東区)は病棟の天井や壁の一部が崩落し、給水施設も被災。入院患者310人全員が転院や退院となり、新生児38人は県内外の病院に緊急搬送。一部の建物は「危険」と判断された。再診のみ受け付けてきたが、18日から新規患者の受け付けも始めた。移転しての再建を決定し、2018年度中の再建を目指す。

 同病院は県内に2カ所しかない総合周産期母子医療センターのひとつで、小児の心臓手術も県内で唯一扱っていた。市によると、年間600人を超える妊婦や新生児の受け入れが困難になっている。川瀬昭彦・新生児内科部長は、再建まで、妊婦や重い心疾患の新生児らを県外の医療機関に受け持ってもらわざるを得ないと説明している。

 南阿蘇村で唯一の総合病院、阿蘇立野病院では壁が崩れて床にひびが入り、CTやMRIなどが使えなくなった。裏山では土砂崩れの危険性も生じている。約70人いた入院患者は転院。再開の見通しが立たず、10日付で医師や看護師ら職員約150人を解雇した。

 厚生労働省によると、県内の病院の耐震化率は62・6%(全国平均69・4%)で全国ワースト7位。ただ、通常の診療ができなくなった6病院のうち、少なくとも3病院は新耐震基準を満たしていたという。

 宮崎大工学部の原田隆典教授(地震工学)は「病院は被災しても水や電気などの自給が必要。阪神大震災では貯水タンクが使えなくなるなど水の問題が起きた。病院がきちんと対応できていなかった可能性もあるのではないか」と話す。

 熊本大大学院の松田泰治教授(地震工学)は「現状の耐震基準は人の命を守るものだが、診察機器は倒れれば破損する。破損防止のために免震構造を採用している病院もある。防災拠点は様々なリスクを考えなければならない」と話した。



http://kumanichi.com/news/local/main/20160519011.xhtml
地震後2週間で心不全11倍 熊本医療センター2016年05月19日

 熊本地震後、心不全を発症して入院する救急患者が急増し、国立病院機構熊本医療センター(熊本市中央区)では、発生2週間で地震前の11倍に上ったことが19日分かった。
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 地震の被害や相次ぐ余震に伴うストレス、睡眠不足などが原因で、今後も患者は増加するとみられる。専門医は「塩分摂取を控え、薬をきちんと飲んでほしい」と呼び掛けている。

 同センターによると、地震前2週間の心不全患者は2人だったが、地震後2週間は22人で11倍に急増。地震後4週間では35人に上り、昨年同期と比べても3・2倍だった。

 患者35人は、ほぼ半数が体温37~39度台で、感染症を合併。肺炎を併発していた2人は亡くなった。3分の2は高血圧だった。

 循環器内科医長の宮尾雄治医師(52)は「被害が甚大で余震も続くため、避難所暮らしや車中泊の人が多い。精神的・肉体的ストレスの増加や塩分の多い食事、睡眠不足などが発症につながったと考えられる」と指摘する。

 東日本大震災では、震災後6週~2カ月間は心不全の患者が増加したという。宮尾医師は「高血圧につながる塩分摂取を控えて野菜・果物を食べる、肺炎や感染性胃腸炎などの感染症に注意する、薬を処方通りにきちんと飲むなどを心がけてほしい」と呼び掛けている。(高本文明)


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http://mainichi.jp/articles/20160520/k00/00m/040/094000c
厚労省検討会
医師不足の地域で開業前の勤務義務づけ

毎日新聞2016年5月19日 22時14分(最終更新 5月19日 22時14分)

 将来の医師数のあり方を議論している厚生労働省の有識者検討会は19日、医師が大都市などに集中する現状の是正策として、開業前に医師が不足している地域や診療科での一定期間の勤務を義務づけることを盛り込んだ中間取りまとめを了承した。必要な法整備などを整理し、年内に報告書をまとめる。

 国は2000年代に問題化した医師不足を解消するため、08年度から医学部定員の枠を暫定的に広げるなどして医師数を毎年約4000人ずつ増やしてきた。その結果、00年は201.5人だった人口10万人当たりの医師数が14年は244.9人まで増えたが、最も多い京都府(307.9人)と最少の埼玉県(152.8人)では約2倍の差がある。女性医師の比率が高い小児科や産婦人科などの人員不足も解消されていない。

 このため検討会では、医師配置に関わる直接的な対策が必要だとして、勤務地や診療科を調整する方法を模索、その一つとして、診療所などを開業する場合は、特定の地域・診療科で一定期間診療に従事することを許可の要件とする案を盛り込んだ。勤務期間などは今後議論する。

 一方、大学の医学部定員については、今年度(9262人)程度を当面維持するとした。厚労省は、今の定員だと40年には人口減などで医師が1万8000人程度余ると試算しているが、医師不足が著しい地域で設けている増員枠を撤廃すると悪影響が大きいとの判断から、以前の定員に戻すことは見送った。【細川貴代】



http://www.jiji.com/jc/article?k=2016051900869&g=soc
医学部定員、19年度までは維持=20年度以降は削減も-厚労省
(2016/05/19-20:29)時事通信

 厚生労働省は19日、医師の需給に関する有識者検討会を開き、医学部の現在の定員を2019年度までは維持するとした中間報告を了承した。ただ、将来的に医師が供給過剰になるとの推計が出ており、20年度以降については削減も含め検討する。
 厚労省が示した推計によると、医学部の定員が現在の9262人のまま推移すると仮定した場合、15年に27万4000人だった医師数は40年には33万3000人に増え、必要な人数を1万8000~4万1000人上回るとされる。 
 このため、医師不足が深刻な地域などを対象に実施している臨時増員は当面延長するが、政府の「新成長戦略」に基づいて都道府県が19年度まで要望できる追加増員については、必要性を慎重に判断する。20年度以降の削減の可否は、医師偏在対策などの効果を検証し判断する。



http://www.medwatch.jp/?p=8933
医学部定員「臨時増員」の一部を当面継続、医師偏在対策を見て20年度以降の定員を検討―医療従事者の需給検討会
2016年5月19日|医療・介護行政をウォッチ

 現在、医学部の入学定員については、(1)「医師不足が特に深刻」な青森など10県における増員(2)医師確保が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するための都道府県ごとの増員(3)地域医療に従事する明確な意思をもった学生などに配慮した増員―という臨時増員措置が行われています。

 19日に開かれた「医療従事者の需給に関する検討会」と、検討会の下部組織である「医師需給分科会」は、この臨時増員措置のうち(1)と(2)は「当面延長」し(現在は2017年までとなっている)、(3)は「慎重に精査」することを内容とする「中間とりまとめ」を概ね了承しました。

 また、(3)の増員措置が切れる2020年度以降について、今後詰められる医師偏在対策の効果などを見ながら、医学部の入学定員そのものを検討していく方針も固めています。


ここがポイント! [非表示]
1 医師不足地域などを考慮し、2008年度から医学部入学定員を臨時増員している
2 医師の需要・供給の推計によれば、2018-33年度以降は医師過剰時代に
3 医師不足が深刻な地域のための臨時増員は当面「延長」することに


医師不足地域などを考慮し、2008年度から医学部入学定員を臨時増員している

 医学部の入学定員は、現在、「恒久定員8269名」に、「臨時定員993名」を加えた形で設定されています(合計9262名)。臨時定員は「地域の医師不足を補充する」ことなどを目的に設けられているもので、具体的には次の3つとなっています。

(1)新医師確保総合対策(2006年)に基づいて、「医師不足が特に深刻」な10県(青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重)と自治医大について、それぞれ「最大10名」まで増員する(2008-2017年度)【図の黄色の部分の下段】

(2)緊急医師確保対策(2007年)に基づいて、医師確保が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するために、厳しい条件の下、都道府県ごとに「最大5名(北海道は15名)」まで増員する(2009-2017年度)【図の黄色の部分の上段と中段】

(3)経済財政改革の基本方針2009と新成長戦略(2010年)によって、都道府県の地域医療再生計画等に基づき、地域医療に従事する明確な意思をもった学生に奨学金を貸与し、大学が地域定着を図ろうとする場合の医学部定員について、都道府県ごとに「毎年原則10名までの増員など(140名まで増員可能)」を行う(2010-2019年度)【図の赤色の部分】

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医学部入学定員の概要、恒久定員(ブルー)と臨時定員に分けられる。臨時定員は医師不足地域への対応部分(イエロー)と、地域医療再生計画に基づく部分(レッド)に分けられる

 (1)と(2)の臨時増員は来年度(2017年度)で期限が切れてしまいます。そこで、来年度の医学部入学希望者募集までに、これを終了すべきか、継続すべきかを決めなければならないのです。


医師の需要・供給の推計によれば、2018-33年度以降は医師過剰時代に


 ところで検討会と分科会では、地域医療構想などを踏まえて将来における医師の需要量と供給数を推計しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。その結果、次のように推計の前提によって差はあるものの、現在のペースで医師養成を行っていけば、近い将来、医師が過剰になることが分かりました。

▽上位推計(医師需要が最も大きくなると仮定):2033年頃に約32万人で需給が均衡し、2040年には医師が1.8万人過剰となる

▽中位推計(一定程度、医師需要が大きくなると仮定):2024年頃に約30万人で需給が均衡し、2040年には医師が3.4万人過剰となる

▽下位推計(医師需要が最も小さくなると仮定):2018年頃に約28万人で需給が均衡し、2040年には医師が4.1万人過剰となる

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将来の医師需給の試算結果、早晩、供給量が需要量を上回ることが明確に(上位推計でも2033年以降は医師供給過剰になる見込み)


医師不足が深刻な地域のための臨時増員は当面「延長」することに

 将来、医師が過剰となるので「医学部入学定員を増加させる必要はない」(つまり臨時増員は終了すべき)とも思えますが、これはあくまでマクロ(日本全国)の推計で、地域によっては医師不足・偏在が厳然として存在するのです。

 そこで、検討会・分科会では、医学部入学定員について次のような考え方をまとめました。

▼(1)と(2)の臨時増員については、「医師不足が深刻な地域を対象としたものである」「効果が現れていない(制度開始に入学した学生が、臨床研修をこの3月に終えたばかり)」といった点を考慮して、当面「延長」する

▼(3)の臨時増員については、上記の推計を踏まえて、「本当に必要な増員であるかどうか」を慎重に精査する

▼2020年度以降(臨時増員がすべて終了)については、臨時増員の効果や、今後の医師偏在対策の効果などを検証したうえで、検討会・分科会で検討していく

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厚労省の方針案では、臨時増員措置のうち「医師不足に対応する部分」について当面、延長することとし、地域医療再生計画に基づく部分については「慎重に精査」することとしている


 図で見ると、黄色部分が延長されるので、2017年度の医学部入学定員は少なくとも9262人が維持される見込みです。また点線で囲んだ赤色部分については「慎重に精査」されるので、増加が認められない可能性もあります。「精査」の基準については、厚生労働省・文部科学省が示す通知などの中で、一定の考え方が示される見込みです。

 なお、(1)(2)の臨時増員延長に関連して、北村聖構成員(東京大学大学院医学系研究科附属医学教育国際研究センター教授)は「奨学金や教育環境充実などに関する財政支援を考えてほしい」と要望しています。前者については厚生労働省、後者については文部科学省が、来年度(2017年度)予算編成に向けて検討していく見込みです。


 ところで、医師偏在を放置すれば、地域住民が医療に適切にアクセスする機会を奪うことにもなるため、偏在を是正する具体的な方策が必要です。厚労省は、医療従事者の自主性を重視した偏在対策を採っており、小児科や産科などの医師数が増加するなど一定の効果が上がっていますが、全体としてみれば十分とは言えないのが実際です。そこで検討会・分科会では、別途お伝えするように、偏在是正策についてもメニュー(是正策案)を固めており、これから年末にかけて具体的な仕組み・制度に仕上げていくことになります。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48795.html
医学部入学定員暫定増、19年度まで維持- 厚労省検討会が中間取りまとめ案了承
2016年05月19日 22時00分

 厚生労働省は19日、医学部定員の2017年度までの暫定的な増加措置について、19年度まで「当面延長する」とした中間取りまとめ案を医療従事者の需給に関する検討会の下にある医師需給分科会に示し、了承された。分科会の後に開かれた検討会でも中間取りまとめ案は了承された。【新井哉】


■都道府県の追加増員要望は「慎重に精査」

 医学部の定員増をめぐっては、医師が不足している県に加え、医師確保が必要な地域や診療科に医師を確保・配置するための臨時定員として、08年度は128人、09年度以降は317人の暫定増が認められていた。ただ、この措置が17年度で終了することから、分科会で18年度以降の取り扱いについて検討が行われていた。

 厚労省が19日の分科会で示した中間取りまとめ案では、こうした措置が「医師不足が特に深刻な都道府県」などを対象に設けられた仕組みであることに加え、08年度の定員増の入学生が3月で臨床研修を終えたばかりで、その効果を十分検証できないことを挙げ、暫定措置を当面延長するとした。

 一方、この暫定措置とは別に、新成長戦略に基づいた暫定増については、17年度から19年度までは、医学部の定員を毎年追加で増員できることになっているが、各都道府県からの追加増員の要望に対しては「慎重に精査していく」とした。

 また、中間取りまとめ案では、医師需給の推計結果を踏まえ、「すでに現時点で将来的な供給過剰が見込まれる」と指摘。今後、推計結果や医学部定員の暫定増の効果などを検証し、20年度以降の医師養成数を決める方向性を示した。

■全国調査で医師の働き方や勤務状況を把握へ

 中間取りまとめ案には、医師偏在対策で今後検討する事項を記載。特に医師が不足する特定の診療科や地域については、都道府県が策定する医療計画で、確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医などの定員の調整を行えるようにするといった「医師確保対策の強化」を挙げている。

 こうした医師の偏在対策などについては、分科会や検討会の委員から「数を増やすだけでは対策とならない」などと地域・診療科の実情に即した対応を求める意見や、「具体策がないと結局はうやむやになる」といった指摘もあったが、中間取りまとめ案に対し、反対の意向を示す委員はいなかった。

 中間取りまとめ案では、40年に最大4.1万人の医師が余ると推計したが、データが限られ、実態を十分把握できなかったことから、厚労省は年内に医師の働き方や勤務状況を把握する全国調査を実施する方針。


http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0519/jj_160519_7972456018.html
患者同意なく臨床研究=愛知県がんセンターの医師
時事通信5月19日(木)19時18分

 愛知県は19日、県がんセンター愛知病院(岡崎市)消化器内科部長の男性医師(60)が患者の同意を得ず、20年近く臨床研究を行っていた可能性があると発表した。院内の承認手続きも取っていなかった。県病院事業庁によると、医師は「(必要性について)十分な認識がなかった」と説明しているという。
 臨床研究の対象になっていたのは、1997年から今年3月に診療を受けた自己免疫性胃炎などの患者約450人。医師はピロリ菌感染と胃がんの関連性について研究するため、診療に必要のない採血をしたり、胃の粘膜の組織を余分に取ったりした可能性がある。健康被害は確認されていない。 



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48788.html
新専門医制度、自治体関係者から批判相次ぐ- 地域医療の混乱に懸念
2016年05月19日 17時00分

 来年春に始まる予定の新たな専門医制度に対して、公立病院の関係者からの批判が相次いでいる。関西広域連合は17日、地域医療を担う公立病院が基幹施設となり、研修医の採用や派遣を行いやすくすることなどを求める意見書をまとめたほか、自治体病院議員連盟は同日、塩崎恭久厚生労働相に対して、延期を含めた慎重な検討を要望する決議を行った。新制度の開始時期が迫る中、依然として混乱が続いている。【敦賀陽平】


 意見書では、総合診療以外の分野で、地方の中小病院が研修の基幹施設になることは「事実上困難だ」と指摘。研修の連携施設となっても、研修医の派遣を常時受けられる担保はないとして、「地域医療を支える医師の確保に多大な影響が生じる」と問題視している。

 また、基幹施設には指導医数などの基準が設けられているため、優れた指導医がいる地方の公立病院が量的な基準のみによって排除されることに懸念を表明。さらに、基幹施設が都市部に集中することで、専門医の資格取得を目指す初期研修医が地方の公立病院に集まらなくなり、「医師の養成システムに影響が生じる」と危惧している。

 同議連が行った決議でも、専門医が一部の都市の大病院に集中する可能性を指摘し、「地域の医療崩壊をも招きかねないという現場からの強い声がある」とした上で、新制度の在り方について再検討することを要望している。

 17日には、都道府県知事や市町村長でつくる「全国自治体病院開設者協議会」と、公立病院の病院長らによる「全国自治体病院協議会」も連名で国に要望書を提出し、地方に若手医師がバランスよく配置される仕組みに改めるよう求めた。

 新制度をめぐっては、社会保障審議会の専門委員会の永井良三委員長(自治医科大学長)が、面積や患者数などを考慮した都道府県ごとの定員を設けるとする私案を示しており、今後の議論の行方が注目される。



http://www.medwatch.jp/?p=8920
「新専門医の定数枠」方向性は正しいが時間がかかる、1年延期し諸課題の解決を―全自病・邉見会長
2016年5月19日|医療・介護行政をウォッチ

 新専門医制度のあり方について議論する検討会の永井委員長が示した、「過去の専門医の採用実績をベースに、新専門医の地域別・診療科別の定数枠を設定していく」という試案。方向性は正しいが、精緻に設定するためには時間がかかる。少なくとも1年間は新専門医の養成を延期するべきである―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長は、18日の定例記者会見で改めてこのように強調しています(関連記事はこちら)。

ここがポイント! [非表示]
1 地域医療構想やNDB用いれば、精緻に地域別・診療科別の専門医定数枠を設定できる
2 自治体病院の開設者である知事や市町村長も「地域医療崩壊」を懸念
地域医療構想やNDB用いれば、精緻に地域別・診療科別の専門医定数枠を設定できる

 「専門医の認定と、養成プログラムの認証を公正中立な第三者機関で統一して行い、全体として医療の質を向上させる」ことを目指す新専門医制度は、来年(2017年)4月から新専門医の養成がスタートする予定です。

 しかし、医療現場からは「地域の医師偏在を助長する可能性が高い」との強い批判があり、社会保障審議会・医療部会の下に「専門医養成の在り方に関する専門委員会」を設け、偏在をストップし、改善するための方策が検討されています(関連記事はこちら)。

 4月27日に開催された専門委員会では、永井良三部会長(自治医科大学学長)から▽過去3年間の専門医採用実績の1.1-1.2倍を日本全国の定員枠とする▽都市部以外の道県に対してより配慮した都道府県・診療領域別の定員枠を設定する―といった偏在是正に向けた試案が提示されました。

 この試案について邉見会長は18日、「試案の方向性は正しい」と強調した上で、「定員枠をきちんと設定するには時間がかかる。『えいや』っと定数枠を設定するよりも、1年間新専門医の養成開始を延期し、指摘されている課題・疑問を1つ1つつぶして良い制度でスタートしたほうが良い」と指摘します。

 地域医療構想では、地域における2025年時点の▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―といった機能別のベッド数が決まります。ベッド数が決まれば、必要な医師数を算出できます。さらに、DPCデータやNDB(National Data Base)を活用すれば手術件数なども見えてきます。これらをベースに「地域で、どの診療科に何人の専門医が必要とされているのか」(需要)を精緻に計算すれば、専門医をどれだけ養成・配置すればよいか(供給)を需要とのミスマッチなく算出できます。

 しかし、こうした精緻な計算には時間がかかるため、「延期したほうがよい」邉見会長は指摘しているのです。

 また邉見会長は、「現在、都道府県では地域医療構想の策定が進められるなど、さまざまな医療提供に関する仕組みが変わろうとしている。そうした状況を見てから、新専門医制度を動かしても、少しも遅くはない」との考えも述べました。

 来年4月から専攻医(新専門医を目指す医師)となるのは、主に「現在の初期臨床研修2年目の医師」となるでしょう。邉見会長は「彼らも新専門医制度がどうなるのかを心配している。腰が据わらない制度よりも、1年間ゆっくり検討し、良い制度でスタートしたほうが良い」と強調しています。

自治体病院の開設者である知事や市町村長も「地域医療崩壊」を懸念

 新専門医制度については、自治体病院を開設する都道府県の知事や市町村の首長も「専門医が一部都市の大規模病院に集中し、医師確保に困難を極めている地域医療の苦境を助長し、結果として地域医療の崩壊を招く」といった懸念を持っているようです。

 全国自治体病院開設者協議会(自治体病院を開設する都道府県の知事や市町村の首長で構成される組織、会長は西川一誠・福井県知事)と全自病は17日、「新専門医制度への慎重な検討・対処、偏在是正対策の実施」などを11項目の要望書を、厚生労働省や総務省に提出しています。

 また兵庫県の井戸敏三知事ら、関西地方の12名の知事・市長で構成される関西広域連合も、新専門医制度について(1)公立病院を基幹施設に位置付ける(2)日本専門医機構(新専門医の認定などを行う第三者機関)の運営に自治体病院などの代表者を参画させる(3)制度開始までに地域医療に及ぼす影響などの諸課題を解決する―といった3つの具体的な改善意見を17日に取りまとめています。



http://www.qlifepro.com/news/20160519/experience-about-60-of-the-generic-brand-designation-of-physician.html
一般内科医の約6割がジェネリックの銘柄指定の処方経験あり-アンテリオ調査
2016年05月19日 PM03:45  QLifePro

GEの銘柄指定、中医協総会で健保連と医師会による論争も

近年、後発品(GE)の使用促進が進むなかで、新たな問題として浮上してきているのが処方医によるGE銘柄指定問題である。処方医側が処方箋発行時に特定GE銘柄を記載し、他のGEへの変更不可の指定を行うことで、応需する保険薬局では指定銘柄のGE在庫がなく、対応に苦慮するといった事態も発生している。

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画像はリリースより

2015年10月に開催された厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の総会では、同協議会診療報酬改定結果検証部会が実施した「平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」からGE銘柄指定するとの回答がその前年度調査から倍増して4割超となったことに対し、支払側である健康保険組合連合会(健保連)の委員が薬剤師の調剤権を行使したGE使用促進の妨げになっているという認識の下、「異常事態」との意見を表明。これに対して診療側である日本医師会の委員が反論し、健保連の委員が医師会の委員に一部発言の取り消しを求めるという事態にも発展した。

こうした状況を受けて、このほど医療専門調査会社の株式会社アンテリオが行ったGP一般内科の医師を対象に行った調査では、過去1年間にGE銘柄指定の処方経験がある医師は約6割にのぼり、うち4割弱が変更不可欄にチェックした経験があることが分かった。変更不可の理由については、品質への信頼が高い製薬企業の製品指定とともに、患者が服用している既存GEの継続処方のためという回答が最も多かった。

変更不可チェックの理由「信頼できるメーカー」「患者さんの要望・好み」など

調査はアンテリオのインターネット調査・クイックサーベイを用いて19床以下の一般内科を対象に今年1月21~22日に実施し、101人から回答を得た。回答医師の61%(62人)が過去1年以内にGE銘柄指定の処方経験があるとし、この内訳としては43%が「一般名も記載あり」、18%が「一般名の記載なし」だった。

銘柄指定処方経験のある医師のうち、処方箋の変更不可欄にチェックを入れた経験がある医師は37%、全くチェックしなかった医師は63%。

変更不可にチェックをしたことがある医師の理由(複数回答)に関して、最多は「品質の面で信頼できる後発品メーカーを指定する」、「患者さんが継続して使用している製品」であり、この他には「特定の疾患領域や薬効群の場合」、「剤形、味、添加物など、患者さんの好みや体の状態を考慮した処方」、「(価格や継続使用以外で)患者さんの要望がある場合」などが挙げられた。

一方、変更不可の処方経験の有無にかかわらず、回答医師にGE銘柄指定に関する見解を尋ねた自由回答では、「処方する側からは指定したい気もするが、受ける薬局からすれば不良在庫が増える」「手間なだけと思っている」などGE銘柄指定そのものに否定的な意見が最多で、これに次いで「薬局で判断してくれればいいので、指定するつもりはない」、「かかりつけ薬局のある方は、銘柄指定している」など、保険薬局側の対応に合わせている趣旨の意見が多いなど、回答医師全体としては薬局や患者などの状況に応じて対応していることも浮き彫りになっている。(村上和巳)



http://mainichi.jp/articles/20160519/ddl/k27/040/448000c
ひらかた病院
医療事故で和解 市と患者家族 /大阪

毎日新聞2016年5月19日 地方版

 市立ひらかた病院(枚方市禁野本町2)が2010年2月、同市の女児(当時3歳)のへんとう腺を焼き切る手術をした際、女児の唇にやけどをさせる医療事故があり、枚方市が女児の保護者に224万円余りを支払うことで和解が成立した。18日、市議会で報告された。

 同病院によると、手術は男性と女性の医師2人が担当。女性医師が金属製ピンセット(長さ約20センチ)でへんとう腺を焼く間、高温の柄が女児の唇にあたっていた。女児は全身麻酔をされており、手術後に医師がやけどに気付いたという。女児の上唇に約1センチの傷痕が残ったが、生活への支障はないという。

 女児の保護者が昨年9月に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したが、今年3月に和解が成立した。【米山淳】



https://www.m3.com/news/general/425889
富山大賃下げ控訴審初弁論 原告「支払う余裕あった」
2016年5月19日 (木) 共同通信社

 国家公務員の賃下げに合わせ給与を削減されたのは不当だとして、富山大学教職員組合の教授ら47人が、富山大に未払い給与約5700万円の支払いを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が18日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之(ないとう・まさゆき)裁判長)であり、原告は一審判決取り消しを求めた。

 一審で棄却された原告は「経費の節約や積立金を間接的に使うなどすれば財政的に余裕ができ、給与を支払えた」と主張。富山大は控訴棄却を求め、即日結審した。

 昨年12月の一審富山地裁判決は、国家公務員の給与を削減する臨時特例法に合わせ、富山大が2012年7月~14年3月に教職員の給与を最大約9・77%削減したとし、「当時、財政的余裕がなく削減は合理的だった」と認定した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/425660
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
高額薬剤、「皆保険の危機要素」と支払側
「切実な問題と感じている」と厚労省薬剤管理管

2016年5月19日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 「医療費の約20%を占める薬剤費が国民皆保険の危機要素になる。薬価を総額的に統制する仕組みが必要ではないか」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)

 「オプジーボの話題が、相変わらず医療界を席巻している。オプジーボの適応拡大について承認申請中、あるいは治験中のものがあり、これらが終了して薬事承認されると、薬剤費は増大し、医療費は到底もたなくなる」(日本医師会副会長の中川俊男氏)

 5月18日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)。同総会では、新薬の薬価を承認したが、その関連で高額薬剤の問題が改めてクローズアップされた。抗体医薬のオプジーボ(ニボルブマブ)の適応が、悪性黒色腫から、手術不能または再発の非小細胞肺癌に2015年12月に拡大され、それに伴い市場規模も拡大しているのを機に、繰り返し議論になっている問題だ。

 中川氏は4月13日の中医協でも、薬事承認から原則90日以内に薬価収載するという仕組み自体を早急に見直すべきと提言していた(『高額新薬「適応拡大なら期中改定も」、日医・中川副会長』を参照)。オプジーボに代表されるように、適応拡大に伴う市場規模や患者数などの拡大を踏まえて、抜本的に薬価算定の仕組みを見直すことが急務だと、改めて指摘した。

 厚労省保険局医療課薬剤管理管の中井清人氏は、新薬については「必要な患者に確実に提供できる」ことが前提であるとしつつ、「切実な問題であると感じている」と認め、本当に必要な患者のみに投与されているかどうかを検討するとともに、具体的な議論ができるよう、問題点を整理するとした。

 なお、5月18日の中医協総会では、成分数16(内用薬10、注射約5、外用薬1)、27品目(内用薬15、注射薬11、外用薬1)の薬価が承認された(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 オブジーボ、続々適応拡大の治験中
 高額薬剤の問題について口火を切ったのは、健保連の幸野氏。2015年9月以降、調剤費が、対前年同期比で2ケタ増が続いている現状について、「異例の伸びが続いている」と問題視し、製薬企業の業績が好調なのも、この辺りに要因があるとした。「高薬価の医薬品の収載で、医療費の約20%を占める薬剤費が国民皆保険の危機要素になる。薬価を総額的に統制する仕組みが必要ではないか。効果が高いからいい、という論理は通じない」と幸野氏は述べ、新たな制度の検討を求めた。

 中川氏は、薬剤費の在り方、製薬企業の業績、さらには高額薬剤の問題は分けて考えるべきと指摘しつつも、幸野氏と同様に高額薬剤について検討が必要とした。具体例として年間売上が1000億円を超す、C型肝炎治療薬のソバルディ(ソホスブビル)、ハーボニー(レジパスビル)、オブジーボを挙げ、分子標的薬、特に抗体医薬が高額薬剤になるとし、「今の薬価算定方式のままでいけば、公的医療保険に支障を来す、と誰もが考える」と述べ、出席していた製薬団体の代表らに意見を求めた。オブジーボは、腎細胞癌の適応は承認申請中であり、フェーズ2や3の段階の適応拡大の治験もあり、今後もさらに市場が拡大することが予想される。

 これに対し、日本製薬団体連合会会長の野木森雅郁氏は、「高額な医薬品をどう扱うかは大きな課題と捉えている。これからは、希少疾患の薬も出てくる。より狭い患者層の中で、しかも高額な開発費用を使って開発した薬では、いずれにせよ高額になる。イノベーションはもちろん評価してもらいたい」と求めた上で、製薬企業だけでなく、さまざまなステークホルダーが最大限の努力をして、医薬品が本当に必要とする患者のために使われる仕組みを検討すべきとした。「本当に使うべき患者には使うべきであり、それをどのように選んだらいいか、その仕組みを作り上げる努力も必要」と述べ、高額薬剤については、薬価の問題だけでなく、処方の在り方も適正化する必要性を指摘した。

 続いて米国研究製薬工業協会のパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長は、最近はドラッグラグが短縮したものの、年間売上1000億円超の医薬品を対象とした薬価の「特例再算定」はイノベーションの体力を削ぐ仕組みであること問題視。今後、2025年まで日本の医薬品市場はほぼ横ばいと予想されることなどにも言及し、イノベーションを促す政策を求めていくと述べた。欧州製薬団体連合会のフィリップ・フォシェ副会長は、医療費全体のコスト、財源論という視点で議論していく必要性を指摘、ソバルディなどの高額薬剤については、費用対効果評価でより良い判断ができるとし、「短絡的に議論すべきではなく、どれだけ患者に利益をもたらしたのかという視点から検討しなければいけない」と釘を刺した。

 イノベーションとの兼ね合いも必要
 他の中医協委員からも、高額薬剤の薬価について、イノベーションの視点を重視しつつ、検討すべきとの声が相次いだ。

 日医副会長の松原謙二氏は、「適応拡大した時の国家財政がものすごい負担になっている」と指摘、適応拡大があり、かつ一定以上の売上の医薬品については、再算定などを検討すべきと主張した。

 日本薬剤師会常務理事の安部義弘氏は、調剤医療費が二桁の伸びが続いているのは、薬価が高い薬の影響があると指摘し、「新薬は大切な財産であり、イノベーションの体力を削がないことは大事。一方で日本は国民皆保険で、高額療養費制度があるため、高額であっても、多くの患者が必要に応じてアクセスできることが諸外国とは違っている。この点も踏まえて、バランスの良い薬価の議論が必要」とした。

 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「イノベーションについては最優先とは言わないが、かなり優先すべきとは思っている。ただし、イノベーションの推進とコストの在り方については、広い立場で議論していくべき」と述べた。

 中医協の薬価算定組織委員長の清野精彦氏は、「今までは薬の効果を重要視し、評価していたが、コストに対するベネフィットがどうかが重要になってきている」との考えを示し、さらに(1)薬物治療により治癒する場合、あるいは治癒せず永続的に治療を続ける場合に分け、薬価の在り方を検討、(2)分子標的薬で適応拡大が予想されている薬については、その点も踏まえて薬価を考えることが必要――などの必要性を指摘した。

 類似薬効比較方式の「類似薬」、選定は妥当か?
 そのほか中川氏は、18日に薬価承認された新薬についても、二つの点を質問。

 1点目は、新薬を類似薬効比較方式で算定する場合の類似薬の考え方。再発または難治性の慢性リンパ性白血病薬であるイムブルビカカプセル(イブルチニブ)は、化学合成で製造されるのに対し、その類似薬として選定されたのは、抗体医薬であるアレムツズマブ。生物由来製品は、化学合成の薬よりも製造コストがかかるとの考えから、同薬を類似薬として選定した理由を質した。

 中井薬剤管理官は、生物由来製品の中には、さまざまな種類があり、製造コストも違うとしたものの、一般論としては安くはないと回答。アレムツズマブを類似薬として選んだ理由は、効能効果、薬理作用、投与形態、剤形、用法などを総合的に踏まえた上であるとし、現行ルールに則っているとした。中川氏は、「それでは現行ルールを見直さなければいけない」と返した。

 2点目は、薬価と特定保険医療材料を、原価計算方式で算定する場合の一般管理販売費率や営業利益率の算定根拠。薬価では「産業別財務データハンドブック」(日本政策投資銀行)を使用しているのに対し、特定保険医療材料は「医療機器産業実態調査報告書」(厚労省)を使用。

 厚労省医政局経済課長の大西友弘氏は、新薬を開発製造しているのは、新薬メーカーであり、「医薬品産業実態調査報告書」(厚労省)を使用すると、対象企業のうち新薬メーカーは3割程度にすぎず、一方、「産業別財務データハンドブック」はサンプル数は少ないものの、新薬メーカーが8割を占めるため、より新薬メーカーの実態に近いことが理由だとした。少なくとも1998年以降は、同調査を使用しているという。



https://www.m3.com/news/general/425976
敷地一体化、2018年度末 徳島・徳大病院と県立中央病院
2016年5月19日 (木) 徳島新聞

 隣接する徳島大学病院(徳島市蔵本町2)と県立中央病院(同町1)を隔てる塀を撤去し、駐車場などの敷地を一体化させる工事が2018年度末にも終わる見通しとなった。敷地の有効活用策もほぼ固まり、災害時の連携、国道192号の渋滞緩和にもつなげる。両病院の連携を深めて県内医療の拠点とする総合メディカルゾーン(MZ)整備の一環。

 県病院局は、中央病院北側の駐車場を4区画に分け、16年1月から工事に着手。徳島大側も16年度に一部の工事を発注して工事に入る。18年度末には病院間のブロック塀約80メートルが撤去され、双方の敷地を結ぶ車道と屋根付きの歩道が完成する見込み。

 現在それぞれ異なっている駐車場の料金体系を統一するほか、駐車場ゲートを敷地内部に移設。これまで病院に入る車が国道まで連なって引き起こしていた渋滞の緩和を図る。

 また災害時の連携を想定し、中央病院の駐車場の一部は車止めを置かず、ヘリポートや緊急車両用の駐車場として活用。同病院玄関前の大屋根スペース周辺は、負傷者の治療の優先順位を決めるトリアージを両病院が共同で行う場所にする。

 中央病院側の総事業費は約6億円。徳大病院側は旧外来診療棟の解体も含め約11億円。徳大病院は旧外来診療棟の跡地を生かし、路線バスが乗り入れられる大型のロータリーも設ける。

 県の香川征病院事業管理者は「敷地の一体的な活用を図り、総合MZのコンセプトの一つである効率的な運営を進めたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/425873
肺がん診療指針、薬の優先順位に値段反映を検討…高額新薬が医療費圧迫の恐れ
2016年5月19日 (木) 読売新聞

 日本肺 癌がん 学会(理事長=光冨徹哉近畿大学教授)は、肺がんの診療指針で示す治療薬の優先順位に薬の値段を反映させるかどうか、検討を始めた。

 高額な新薬が登場し、広く使われると医療費を圧迫しかねないためだ。海外では、薬の値段が効果に見合っているかを分析した上で、安価な薬を薦める指針を作る国があるが、国内の学会が検討するのは極めて異例だ。

 きっかけとなったのは、昨年、肺がん治療に使えるようになった新薬「オプジーボ」。最も多いタイプの肺がんに使え、約3割の患者に高い効果があるとされるが、月2回の治療で体重60キロの患者の薬代は260万円かかる。

 どの患者に効果があるかを事前に判別することは難しく、5万人の患者が年間を通して使えば総額が1兆7500億円になるとの試算もある。

 同学会では今後内部の委員会で、薬の使用の優先順位を決めるのに値段を判断材料とするかを検討する。医療経済の専門家や患者の意見も聞いた上で、海外の先行事例も参考にする。

 英国では、高血圧や糖尿病で、薬の価格が治療効果に見合っているかを分析し、最新の薬ではなく、実績が豊富で安価な既存の薬を薦める指針を作っている。

 学会の診療指針は、医療現場での治療法に多大な影響を与えるため、同学会は慎重に議論を進める。

 指針の検討委員長の山本信之・和歌山県立医大教授は「高額な薬の使用が医療保険制度に打撃を与えれば、その後、患者が保険を使えなくなる恐れがある。多くの患者を救うのに一番良い方法を考えたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/425938
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
財政審建議「偏在解消に都道府県の権限強化を」
2017年度からの消費税率の10%引き上げ求める

2016年5月19日 (木) 高橋直純(m3.com編集部)

 財務省の財政制度等審議会は5月18日、『「経済・財政再生計画」の着実な実施に向けた建議』を麻生太郎財務大臣に提出。2017年4月の消費税率の10%への引き上げについては「遅滞なく、かつ着実に実施していくことを強く求めたい」としたほか、医療分野では地域医療構想や医療費適正化計画の早期策定、都道府県の権限強化などを求めた(資料は、財務省のホームページ)。

 建議では消費税率10%への引き上げなどを求めた総論の後に、「社会保障」「文教・科学技術」「社会資本整備」「地方財政」の4分野について具体的な要望を出している。「社会保障」では、さらに、(1)医療・介護提供体制の改革、(2)インセンティブ改革、(3)公的サービスの産業化、(4)負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、(5)薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革、(6)年金、(7)生活保護――の7項目を挙げており、2015年12月に出た「経済・財政再生計画改革工程表」の着実な実施を求めている。

■医療分野での主な要望
(1)医療・介護提供体制の改革

・地域医療構想や医療費適正化計画の早期策定を促すべき。 ・都道府県による病床再編や地域差是正のため、診療報酬の特例(都道府県ごとの診療報酬:高齢者医療確保法第14条)の活用、都道府県の権限強化などを進めるべき。 ・入院時の光熱水費相当額の原則患者負担化、かかりつけ医普及の観点からの外来時の定額負担の導入等の検討を進めるべき。

(2)インセンティブ改革、(3)公的サービスの産業化
・ヘルスケアポイントの付与や保険者努力を支援する仕組み(特例調整交付金の一部の傾斜配分)の前倒し。

(4)負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化
・高額療養費制度及び高額介護サービス費制度の見直しについて、2016年末までに結論を得て、速やかに必要な措置を講じる。 ・後期高齢者の窓口負担の在り方についても、集中改革期間中に検討し、結論を得るべき。 ・公的保険給付の範囲の適正化に向け「医薬品の費用対効果評価の本格導入」「生活習慣病治療薬の処方の在り方見直し」「かかりつけ医普及のための外来時の定額負担の導入」等について、改革のスピード・深度を高めていくことが特に求められる。

(5)薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革
・2016年度診療報酬改定では、後発医薬品の価格の引き下げや、大型門前薬局に対する調剤基本料の引き下げが図られるなど、一定の進展がみられたが、改革はなお途上であり、更なる取組が必要である。



  1. 2016/05/20(金) 05:35:52|
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5月16日 熊本震災関連 

http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0516/mai_160516_2722827116.html
<熊本地震>南阿蘇で活躍 大船渡の「DCAT」とは
毎日新聞5月16日(月)12時6分

 熊本地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村で、岩手県大船渡市の医療法人が4月下旬から、災害派遣医療チーム「DMAT」の福祉版「DCAT」として活動を続けている。今回の地震で、災害弱者を支援する「福祉避難所」が機能しない中、要介護者ら弱者への支援を行って「震災関連死」などを防ぐ役目を担う。派遣された今野千賀子さん(56)は東日本大震災の被災者で、「今後も専門知識を持った人の応援を続けないと、災害弱者だけでなく現場の職員が潰れる」と危機感を募らせる。

 今野さんは同法人「勝久会」の看護部長。同僚3人と4月27日、同村にある24時間態勢の老人福祉施設で活動を始めた。翌日に訪れた施設では、入所者約60人が要介護3以上で寝たきりの状態。2階建ての建物に被害はなかったが、入所者は慣れない地震で1階の食堂に集まり、ベッドを持ち込んだり床に布団を敷いたりして過ごした。日中は気温も上がり、多くの人がぐったりした表情だった。

 2011年の東日本大震災では、定員152人の今野さんの施設は高台にあったため、津波を免れた。しかし、避難してきた人や被災施設の入所者を受け入れたため、施設は400人であふれかえり、備蓄していた食料はすぐ底をついた。介護に追われるストレスから、携帯電話の緊急地震速報が鳴ると突然過呼吸になったり、夜に眠れなくなったりする職員が続出した。

 熊本で活動する中、今野さんは自身の経験から、注意は施設の職員にも向けられた。職員も被災者で、入所者の対応に追われて疲れ果て、精神状態が崩れることを心配したのだ。実際に、熊本市と村を結ぶ阿蘇大橋の崩落で、同市から施設まで通常30分のところ迂回(うかい)路で3時間以上かかる事態に陥り、同市から通勤する職員の消耗は激しさを増した。

 今野さんは「自分の子どもを心配した管理職が突然泣きだしたこともあった。本人に寄り添って話をよく聞くようアドバイスしたが、混乱する現場ではこの当たり前の助言でも案外迷ってしまう」と話す。

 現在の課題は、介護の知識を持った専門職をいかに継続的に派遣するか。「現場の職員を休ませられるよう、どの場所にどう専門職やボランティアを配置するか、調整するのがDCATの仕事になった。今後は医師や保健師など専門職や自治体担当者との横の連携が必要」という。同法人は3〜4人を約1週間のローテーションで派遣を続けている。支援終了の時期を「6月末」としているが、見通しが立つ状況ではないという。【二村祐士朗、野崎勲】

 ◇DCAT

 Disaster Care Assistance Team(災害派遣福祉チーム)の略。東日本大震災で、高齢者を中心に長引く避難生活のストレスが原因で震災関連死が相次いだことなどを受けて、各地で整備が進んでいる。国が主導するDMATと違い、法的位置づけがないため、派遣職員の宿泊費や介護職員の緊急招集をどうするかなどが課題となる。

2016 毎日新聞社 ALL Rights Reserved.



http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160516-OYS1T50000.html
20医療機関が診療制限 建物損壊や機器破損
2016年05月16日 読売新聞

特集 熊本地震
 熊本地震で熊本県内の医療機関約20施設が、建物損壊や医療機器破損のため救急受け入れや検査を制限し、うち4施設は建物が使えないなど深刻な状況にあることがわかった。地震で被災した県内の医療機関は450施設と全体の約3割を占める。高齢者施設も11か所が使用不能となっており、地域医療や介護への影響の長期化が懸念される。

 県が、建物や医療機器などに何らかの被害があった医療機関の数を集計した。

 県などによると、建物が損壊した市立熊本市民病院(熊本市、556床)と西村病院(嘉島町、96床)は、全ての入院患者を別の病院などに移し、建物の一部やプレハブで再診外来や薬の処方のみ行っている。東熊本病院(益城町、52床)は入院患者を移し、診療を中止。阿蘇立野病院(南阿蘇村、88床)は土砂崩れの危険から閉院を決め、近くの老人ホームに診療所を開設する準備を進めている。

 このほかの医療機関でも、新患の受け入れ休止や磁気共鳴画像(MRI)などの高度医療機器が使えないといった影響が出ている。


  1. 2016/05/17(火) 06:11:44|
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5月15日 熊本震災関連 

http://www.asahi.com/articles/ASJ596TNBJ59TIPE052.html
研修医「故郷支えたい」 熊本出身26歳、被災地駆ける
岩田智博
2016年5月15日15時01分 朝日新聞

 震度7の地震に2度襲われた熊本県益城町で、物資も医療支援も届かなかった平田地区を、発生直後から支えた研修医がいた。重症者に診察を受けるよう勧め、足りない物資を募ってきた。研修先の山形県に戻ったが、「これからも、できることを一緒に考えていきたい」と話している。

 「体調、お変わりないですか」。7日昼、益城町の平田地区。熊本市出身の研修医、岡崎幸治さん(26)が体をかがめ、家の軒先で90代の男性に話しかけた。「大丈夫、足がはれているくらい。お風呂にも入れるようになったよ」。男性が応じた。

 男性は地震の発生直後、家が倒壊する危険があるからと屋根付きのガレージに畳を敷いて生活していた。今は近くの息子家族のもとに身を寄せる。岡崎さんは「元気そうでよかった」とほっとした表情を見せた。

 中学まで熊本市で育った岡崎さんは、東京大学の医学部を卒業。現在は日本海総合病院(山形県酒田市)に勤める。故郷の役に立ちたいと、院長や指導医の許可を得て、本震翌日の4月17日、鹿児島空港からレンタカーで熊本に入った。

 2011年の東日本大震災では、医療支援が届かなかった場所があったことが頭に浮かんだ。「同じような場所があるはず。早く見つけて何とかしたい」。避難所を訪ねるうちに、益城町の平田地区に支援が届いていないと聞いた。

 18日夜に車で駆けつけ、目に入ったのは、公民館の駐車場や広場などで、多くの高齢者が車中泊をしている姿だった。「エコノミークラス症候群のリスクの塊だ」。しかも、人手も物資も足りていなかった。

 国家試験に合格した医師には2年間の臨床研修が義務づけられ、研修医は指導医の下でしか医療行為は認められていない。それでも、翌日から車中泊の高齢者を中心に声をかけた。

 心筋梗塞(こうそく)の病歴があり、足にむくみがある男性には医療機関への受診を進言。歩行がおぼつかない女性にはケアマネジャーへの連絡を勧めた。さらに「自分の強みは発信力」と、支援が届いていない状況をフェイスブックで発信し続けた。

 そのかいあってか、次第に各地から物資が届くように。寝泊まりや女性の着替えに必要なテントが新潟から送られてきた。知り合いを通じてJMAT(日本医師会災害医療チーム)にも、平田地区に来るように求めた。

 結局、実家がある熊本市内から平田地区に通ったり、現地で車中泊をしたりと滞在は初日も含めて11日間。地元の人から信頼されるようになり、「本当のニーズが分かるようになった」と振り返る。

 いったん山形県に戻った後、5月7日に平田地区を再訪した。車中泊は大幅に減っていた。「物資は足りても食が偏れば健康によくない。生活の基盤を失われた人も多く、今後が心配だ」と話す。

 山形県で研修を再開した岡崎さんは「病院からしか医療を見ていなかった」と自身を振り返る。「患者さんにずっと寄り添う医師になりたい」と前を向く。(岩田智博)



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0514/mai_160514_1728911465.html
<熊本地震1カ月>続く休院、戻らぬ体調
毎日新聞5月14日(土)23時3分

 熊本地震では、熊本県内の医療機関の3割にあたる450の病棟にひびが入るなどの被害が出た。震源に近い益城町では17の医療機関が被災。16機関は順次再開したものの、今も続く断水や医療機器の損傷、職員の被災による人手不足のため、開院時間を短縮したり、新規患者の受け入れを取りやめたりしている。町で唯一、急性疾患に対応する病床がある東熊本病院は地震から1カ月がたった今も再開できておらず、地域医療と患者の苦難は続いている。

 14日朝、益城町から約60キロ離れた多良木町の病院のベッドに横たわった田上カツエさん(95)は、次男英行さん(65)の姿に表情を緩めた。心臓が悪く、入院していた東熊本病院が震度7の揺れで損壊し、多良木町への転院を余儀なくされた。被災前は毎日見舞いに来た英行さんだが、車で往復4時間かかるここにはめったに来られない。地震発生から1カ月。この間、2回しか会えなかった。

 「来てくれてありがたい」。カツエさんは涙を拭った。

 東熊本病院にはカツエさんを含め45人が入院していた。しかし、4月14日夜の揺れで電気や水道が停止。職員らが夜通しで入院患者を別の病院に搬送していた16日未明、2度目の震度7に襲われ、病棟の一部が傾いた。

 益城町の自宅が倒壊し、避難所の体育館に身を寄せている吉山澄子さん(90)は日中、段ボール製のベッドに腰掛けて過ごす。血圧が高く、約20年通った東熊本病院は休院中。今は避難所で各地から派遣された医師チームに診てもらっている。

 「いつもの病院に行きたい」とつぶやく吉山さんの横で、親類の女性は「ここでもよく診てもらっているが、体調を崩しやすくなっている」と心配する。

 別の避難所にいる北村澄子さん(81)の通院先は再開したが、持病の薬の処方などに限られ本格的な診療とはほど遠い。次男良二さん(52)は「何かあったら熊本市の病院に救急車で行くしかない」。

 阪神大震災で被災者の診療にあたり、益城町にも入っていた兵庫県医師会の田中良樹常任理事(65)は「かかりつけ医の方が患者の変化に敏感に気づけ、安心感も与えやすい」と一刻も早い復旧を願った。【蓬田正志、佐野格】


  1. 2016/05/16(月) 05:58:46|
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