Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月28日 3.11震災関連

https://www.m3.com/news/iryoishin/403081?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160228&dcf_doctor=true&mc.l=146245431
シリーズ: 東日本大震災から5年
被災3県、「勤務先が全壊・半壊」が8%◆Vol.1
宮城は「全壊・半壊」が他県の2倍

医師調査 2016年2月28日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 2011年の東日本大震災から5年。震災前から医師不足や人口高齢化の進展が問題となっていた被災地の医療現場では、いまだ多くの問題を抱えている。m3.com編集部では岩手、宮城、福島の被災3県に在住、在勤の医師を対象に、2016年1月26日から2月23日までの間、震災時の状況や復興の現状を尋ねる調査を行った。回答総数は392人(岩手県78人、宮城県183人、福島県131人)。その結果を紹介する。

Q1 ご自宅または勤務先は、震災でどのような被害がありましたか。【複数選択】

02281_20160229054200444.jpg

 まずは2011年の震災時の被災状況を複数選択で尋ねたところ、3県全体では「自宅が全壊・半壊」が6%、「勤務先が全壊・半壊」が8%だった。ライフラインについては、自宅で79%、勤務先で57%が「ストップ」していた。 県別の状況を見ると、宮城県で「自宅」「勤務先」が全半壊したという回答が、岩手県と福島県の2倍に達するなど、被害が甚大だったことが分かる。
02282_201602290542008d5.jpg

 具体的な被害の状況については『「家族に会えたのは10日後」「漏水で200万円持ち出し」◆Vol.2』で紹介する。
◆回答者の性別は以下の通り。次回以降で年齢、勤務先、診療科を紹介する。
02283_201602290541538ec.jpg



https://www.m3.com/news/iryoishin/403089
シリーズ: 東日本大震災から5年
「家族に会えたのは10日後」「漏水で200万円持ち出し」◆Vol.2
東日本大震災:被災状況に関する自由記述

医師調査 2016年2月28日 (日)配信 高橋直純(m3.com編集部)

Q ご自宅または勤務先は、震災でどのような被害がありましたか。もし良ければ、被災状況について具体的にご記入ください。

【岩手県】
・自宅では水道、ガスは数日で復旧しましたが、電気の復旧は1週間かかり、暖房がない日々が続きました。食器は半分くらい割れ、壁にはひびが入りました。地震保険のおかげで後に保証金も出ました。

・自宅、勤務先ともに建物にひびが入る程度の被災。ただ、停電2日間、食品は不足気味であった。勤務先は自家発電で何とか乗り切ったが、薬品・診療材料不足から外来はERを優先し、通常の外来診療を1週間(?)中止。稼働できる手術室も2、3カ所に制限し、必要最小限の手術とした(3、4週)。重油などの燃料の供給が綱渡り状態で、病院機能は著しく制限された。

・ライフラインは4、5日ストップ。ガソリンは入手困難。病院に缶詰で仕事。自宅は盛岡で単身赴任だったため それぞれの状況を知ったのは5日目以降、再会したのは10日目以降。病院は、2010年の8月に耐震補強ずみであったので壁の一部が崩れたのと、屋上にある水タンクに小さな亀裂、エレベーター一基がストップしたのみ。

・停電が数日あり、本災の時は大丈夫だったが、4月7日の最大の余震後、水が一時的に止まり、大変だった。家の中の食器や本、CDはめちゃくちゃだった。本災と余震で同様にめちゃくちゃになるダブルパンチだった。

・スプリンクラーの誤作動で、病棟が水浸しになりましたが、臨機応変のスタッフの対応により大過なく、被災を乗り越えることができました。

・病院は内外壁が一部損壊したが、発電装置など支障がなく、当座は最低限の対応はできた。電力がないと、ただのコンクリートの箱となる。厳冬期でなかったのが幸いした。自宅は高気密高断熱住宅だったので、暖房がなくても室温15度前後はキープしたので、数日最低限度で過ごせた。通常の住宅では0度から10度まで下がり避難が必要と思った。

・隣の母宅に避難。薪ストーブで食事を作り、豆炭炬燵で暖を取り、余震に備えて普段着のまま、皆で炬燵に足を突っ込んで寝ていました。TV映像が見られないので、ラジオから壊滅という言葉を聞いても、状況を想像できずにのんびりと過ごしていた。

・自宅は電気、ガス、水道は全ストップ。数日で回復した。自宅の数件隣まで津波が来た。地震による被害は皆無。食器棚なども何事もなかった。病院は高台にあり無傷であった。ライフラインは一時的にストップしたが、数日で復旧した。建物に損壊はなかった。

【宮城県】
・建造物の被害は軽微だったがライフラインの復旧には時間がかかった。電気は1週間、水道は3週間、ガスはずいぶん長く。ガソリン不足や交通網の寸断により物資が入手できず食事や薬の提供は綱渡りだった。

・停電のためパソコン使用不可、診療所自体もめちゃくちゃで大変でした。

・自宅の賃貸マンションは大規模半壊。家の中は家具、家電全てが破壊されつくしていました。もちろんライフラインは全てストップ。職場もライフラインがストップ、診療はしたものの薬も2日分しか処方できず、実際は開けているのがやっとでした。

・建物の被害は軽微だが、電気が3日、ガスが1カ月弱止まった。水道は、診療所は止まらなかったが、自宅は20日近く止まった。

・ライフラインの完全喪失で 病院の機能は全く果たせず。また、悲惨な状況を把握してもらえる手段もなく。茫然自失で毎日の入院患者の管理に追われていた。震災関連入院死も多数経験した。

・仙台市内の自宅マンションは半壊、借りていたマンションはライフラインは全てストップ。トイレ、エレベーターは使えず。勤務先のライフラインも止まっていたが、給水車による給水や自家発電、患者さんの農家からの食料の提供があって入院患者さんの治療や急患の対応は何とかできていたが、手術はできなかったようだ。2週間経っても電話は復旧しなかった。

・建て替えたばかりの病棟はごく軽微な破損で済んだが、まだ建て替え前であった医局等が入る建屋は一部大破した。水道は地下水からのものがあり、使えた。ガスは使えなかったが、電気は非常用発電機で最低限を確保した。その間、発電用重油の供給を各方面に依頼した。当地は県内で1番最後に電気が復旧した。エレベーターが使えないため、食事前には人的リレーで上層階まで患者の給食を運んだ。給食のおかずは缶詰など保存食が主だった。温かいのはご飯だけであった。また町外からの職員が多いため、通勤困難者が多かった。まずガソリンが手に入らないため、職員間の自動車乗り合いや自衛隊の仙台-病院間運送提供に頼った。自衛隊トラックの荷台は思った以上に寒かったようだ。自宅は家具が倒れた程度で済んだ。電気が1週間以内で供給されたが、ガスが1カ月間ストップしていた。風呂、温水供給がガスのため、自宅では入浴できず、休みになると温泉施設に行った。どこも大勢の方が来ており、一苦労だった。おかげでそれ以来、子供たちは2、3日に1回しか入浴しなくなり、たまに臭くてしょうがないことがある。

・勤務先:病院は深い基礎の上に建っていたため、その周辺が沈下し多少段差ができました。スプリンクラー関連の配管が破損し、事務・医局・手術室が水浸しになりました。ライフライン全てストップしましたが、重油タンクがほぼ満タンだったため、暖房や自家発電は割と制限せずに利用できました。自宅:ライフラインがストップし、ガスの復旧に長期間掛ったため、自宅で風呂に入れたのはゴールデンウィークの頃でした。

・停電・断水が4日間ほど。勤務時間内の震災だったため、病院に10日寝泊り。病院は、水・湯が出てある意味快適だった。自宅にいた家族は、はるかに苦労したようだ。

・自宅では電気、水道は数日で回復したが、ガスは1カ月かかった。病院は自家発電に余裕があり、業務に支障ない程度の電力は得られた。水道は町が独自の水源から病院に優先的に供給してくれたため、通常どおりに使用できた。ガスはプロパンなので問題なかった。一番の問題はガソリン不足であった。

・ガスが止まったため医療器材の滅菌ができなくてこまった。電気水道は確保されていた。

・5階建ての1階部分の天井まで土砂が流れ込み、外来、薬局、営繕使用できなくなった。ライフライン寸断。1階に備蓄食料、薬剤使用不可。瓦礫や海水で出入りできない状態。休みの看護師3人が死亡。

【福島県】
・水道と都市ガスガスが1週間ストップ、ガソリン、重油の枯渇。

・水道、電気は止まったが、自宅はテレビが壊れた程度で、本棚や食器棚はひっくり返った。職場も水道、電気は止まったが、免震構造の建物なので、被害は軽度。

・屋根の瓦が全て崩落した。壁という壁に亀裂が走り、ドアが歪んで開かなくなった。駐車場には地割れができた。

・電気、水道がとまった。建物の被害はその時は一見無かった。ただし、その後、漏水が判明した。どこから漏れているか分からず。それまで1万円代だった水道代が徐々に増加し、20万円代に至ってやっと普通でないことに気づいた。修理したのはごく最近。もっと早く気づけば補助が出たが、時既に遅く、約200万円の持ち出しとなった。

・病院ではエレベーターが使えず、食事を職員一丸となって手と足で患者さんに運んでいました。水がなくて、透析、内視鏡検査に支障をきたしていました。当院では他病院からの受け入れが多くありました。

・病院のスプリンクラー誤作動で3F、4Fは水浸し。エレベーターは故障してしばらく復旧できず。1Fのホールの天井が落ちて復旧には約2年かかった。

・勤務先は幸い病棟の立て替え工事が終了していたので、入院患者の安全は確保できましたが、外来診療は、極めて制限されたものでした。水・電気は確保できましたが、薬が不足し、やりくりに苦労しました。個人的には、ガソリンが入手困難のため、通勤に支障がありました。

・電気はつくが、6週間にわたり断水、 救援物資も初めの1週間はなし。風評被害による物流の停止、ガソリンなし、薬なし、食料なしの状態。

・水が赤濁、放射線汚染の可能性もあり、飲用に使えなかった。

・(福島第一原発の)3号機が爆発した3月14日が最終処方日。10数人に処方した。光電話だったため、NTTのサーバーがダウンしたせいで一般電話も携帯電話も使えなかったのが一番困った。

・附属病院は停電はなかったが、断水となった。入院患者の飲料水・食事は確保。職員の食糧、飲料水支給は発災当初無し。暖房は病棟のみ。研究室の本はほとんど落下。試薬は耐震対策が行われていたので、自分の部署の危険薬の破損はなかった。自宅は1週間後に帰ってみたら停電、上下水道破断、食器は収納庫の扉が開いたところは全て落下し破損、床中に散乱、妻が一人で片づけていた。書斎の本はほとんど落下し、部屋に入れない状態。家の後ろの土手が崩壊したが、幸い自宅には届かなかった。新幹線は停止、高速道も通行止め、ガソリンの供給がなくなり、移動手段が限られた。原発事故後15日ごろ空間線量は20μSv/h程度に達し、降雪に伴いプルーム中の放射性物質が土壌に定着。

・自宅、勤務先とも居住制限区域内。1年前に勤務先の再興ならず廃院となる。



http://www.asahi.com/articles/DA3S12232198.html
(東日本大震災5年)災害拠点病院、策定3割のみ 被災時の医療継続計画
2016年2月28日05時00分

災害拠点病院のBCPマニュアル策定状況
02284_20160229054227842.jpg

 全国約700の災害拠点病院のうち、被災時に医療を継続するためのマニュアルを策定しているのは昨年春時点で約3割にとどまることが、朝日新聞の調べでわかった。病院が被災し、停電や薬の不足で患者が亡くなった東日本大震災の教訓をもとに、厚生労働省が求めている。「策定の仕方が難しい」といった声もあり、厚労省はログイン前の続き、具体例を示すなどして整備や普及を促す。

 被災時に医療を中断させないための準備や行動計画をまとめたもので、企業などで使われる「BCP(事業継続計画)」の考え方に基づく。災害を想定し、弱点を事前に補うとともに、外部との協力が必要になってくる。例えば、自家発電の燃料や薬を優先的に供給してもらうための取り決めなど対外的な調整▽衛星電話など通信手段の確保▽医療スタッフが不足した場合の応援要請や受け入れ体制の整備などが求められる。

 厚労省は2012年と13年、都道府県を通じBCPマニュアルの整備を要請。朝日新聞が各都道府県に確認すると、15年4月時点で策定済みは、695の災害拠点病院のうち228病院(33%)。東京(83%)や岩手(82%)など7都県で5割を超えた。首都直下地震に備える東京は、独自の指針をつくるなどして策定率が上昇。南海トラフ地震が予想される高知県では、ノウハウを持つ企業が支援する。長野、和歌山、岡山では策定済みの病院がなかった。

 阪神大震災を教訓に作られた災害対応マニュアルは、救命救助など初動対応に重点が置かれ、病院の被害を具体的に想定しているケースは多くない。本間正人・鳥取大教授(救急・災害医学)は「内陸には津波はこないから必要ないと考えている病院があるのではないか。洪水や豪雨などあらゆる災害を想定する必要がある」と指摘する。

 (田内康介)



http://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20160228-OYTNT50089.html
帰還促進、医療と交通カギ…震災5年知事に聞く
2016年02月29日 読売新聞 福島

 来月11日に東日本大震災から5年となるのを前に、内堀知事は読売新聞などのインタビューに応じ、東京電力福島第一原発事故の避難指示が解除された地域で公共交通網の整備を進め、医師確保に継続的に取り組む考えを示した。

 ――震災5年となる。

 「復興の途上にある。今もなお10万近くが避難生活を続ける。インフラの災害復旧査定を見ても現状把握すらできていないところもある。原子力災害の大きさを改めて感じる。復興はまさにこれからが正念場だ」

 ――課題は。

 「一つ越えてもまた新しい課題が出て、増え、広がっていく。中間貯蔵施設の建設や搬入受け入れは節目だったが劇的に片づいたわけではない。整備や地権者説明も十分でない。除染も片づいていない。風評被害もそうだ。福島は原子力災害という特殊な事情の中で新しい課題に挑戦し続けなければいけないのだと実感している」

 ――反省点は。

 「災害公営住宅はできるだけ早く整備しようと全力で取り組んでいるが、どこにどれだけ造るかが難しい。望ましい土地が手に入らない。資材や人材の不足などで遅れている。県として十分スピード感を持って対応できない部分だ」

 ――今後、多くの地域で避難指示が解除される。

 「戻ろうか迷っている人に聞くと、仕事や病院、買い物の場、郵便局があるかなど、悩みは百人百様だ。県として安心して生活できるようにするが、幅広い、きめ細かい対応をしなければならないのが一番難しい。国や他県の力を借りながら、市町村と一緒に取り組んでいくしかない」

 ――どうやって住民に帰還を促すか。

 「医療と公共交通が基軸になる。地域医療では2次救急医療体制整備に取り組むが、県内全体が医師不足だ。国と相談し、基金を作って医師を県内に呼び込む施策を継続的に行い、県内での融通も行う。商業などの様々な施設の建設や運営の構想があるが、国の補助が対象とならない事業もある。県として財政支援も含めて積極的に関わりたい」


  1. 2016/02/29(月) 05:49:32|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月28日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/399567
シリーズ: 若手・中堅座談会:「2035年の医療を語る」
インセンティブが重要?「医師にも成果報酬を」◆Vol.7
「真のブレークスルーは起こらない」の声も

スペシャル企画 2016年2月28日 (日)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:成相通子(m3.com編集部)

司会の渋谷健司氏が達成感について尋ねた。

渋谷 今までの話では、先進医療は医療の進歩に必要だが、革新的なものに関われる医師は一部の人だけで、コモディティ化していく人もいる。今ある適正な医療技術で回していけば、それがアウトカムにも良いという意見が出た。それは正しいと思う。

ただ、医療はある程度、革新的なものに取り組み、進化させていくことが絶対必要。そのバランスが重要。そういう場合に、皆はどちらにいたいか。大学にいたいのか、一般病院にいたいのか。それは偉くなりたいとか、欲望の話ではない。自分の達成感、人がやっていないことにチャレンジしようというのが達成感になると思う。どう考えるか。

杉原 僕は教科書に載るような仕事がしたい。そういう夢がある。その意味では最先端の開発の方にいたい。

渋谷 でも、一般病院の泌尿器科部長でも良いと言っていたが。

杉原 大学で一旗揚げて、部長になりたいですね。面倒な仕事を押し付けられる前に……。

渋谷 調子良いですね(笑)。公平先生は?

公平 ジェネラリストとスペシャリストだったら、やはりスペシャリスト。あと、クオリティも保つためには、ある程度大きい施設にいないといけない。それで自分の安心感と達成感が得られる。

渋谷 お二人は、自分で開業したいとは思わない?

杉原 ないですね。

公平 ないですね。40歳ぐらいまでで、何となく方向性が見えてくるんだと思う。

杉原 私は、医療の進歩について、「もう真のブレークスルーはないのでは」と思っています。抗生剤、麻酔、予防接種、CTといったレベルのブレークスルーとなる発明は出尽くしてしまい、今後は高額だが効果は限定的な治療しか生まれない。再生医療も遺伝子治療もロボット手術も、発達すればするほど高額すぎて皆保険制度にはなじみません。

 頂上をぐっと持ち上げるような医療の進歩は限界に来ています。底を上げるのではなくて、中央値を上げるような方向に移るべきだと感じています。一発で皆のOS(全生存期間)が改善する治療はもう無いと思います。

渋谷 技術進歩が価格破壊を起こせば別ですが。それに、今までと違って、単体のどこかのパーツが壊れるというよりも、(高齢者の病気の多くは)生活習慣や加齢のプロセスだから、ますますそういうことになりますね。医療自体がより生活に近いところになる。

 では、達成感について。診療報酬は(誰がやっても)値段が同じです。成果による報酬があるとやる気になりますか?

公平 例えば、専門医を取得して、部長になったり、重症例を診たりとか、そういうインセンティブが確実に付いていないと。今の状況では5年目、10年目、15年目であっても、報酬は変わらない。インセンティブがほとんどない状況です。大学ではアルバイトに行かないと収入が減る、大学に残ることがデメリットにならないようすべきです。成果主義というか、取得した専門医資格試験などが必ず給料に反映されるように。

伊藤 外科医は自分の腕がいいと言うのが、一番のモチベーションだと思います。それを評価して認定してくれる、専門医、認定医があるといい。

杉原 専門医は専門に集中させてほしいです。特に日本のドクターは雑用が多い。医師免許がないとできないことに特化してやらせてほしい。

吉野 外科医は忙しいことが多いですが、他の暇そうで、いつも医局でお茶飲んでいる先生と給料が同じというのは、「どうかと思うよね」という話はあります。

公平 眼科や耳鼻科など、診療科の保険点数の差によっても、大きく違う。そのことが病院の中でも、やる気をだいぶ変えていると思う。ベースの給料は一緒でも、外来患者数など、何か給料に反映させるものが必要です。

吉野 忙しいことと儲かることは、また別の話ですよね。すごく働いていてとても大変な科なのに、病院経営で見ると良くない、となってしまうこともある。

渋谷 忙しさとは別に、何を見てほしいですか。仕事の割に給料が悪いなら辞めて他に移ればいい。でも、 本当に患者のためになっていて、結果が出ているならきちんと評価されるべきですよね。

吉野 外科では、「患者が元気になってくれればありがたい、それがやりがい」と言ってやっている人だけが残っている。若い先生は「自分の生活を大事にしたい、そんなコスパ(コストパフォーマンス)の悪い科は嫌だ」となって、外科医はどんどん減っていると思う。

森田 値段は自由化しないといけないと思う。今は診療報酬で、在宅医療に誘導したりしているが、それをやったために“悪徳業者”が出てきた。利益誘導しているのだから、利益を取ろうとする人が出るのは当然です。それならば、利益誘導しなければいいと思う。需要があるのなら、価格を自由にすれば、ある程度お金を払う人は絶対に出てくる。経営がそれで成り立つ。

渋谷 確かに一律の診療報酬と価値がマッチしていないのは問題 。でも全てが市場原理のみでは、医療は成り立たない。そういうコンセンサスはある。

岡崎 渋谷先生の生きがいは何ですか?

渋谷 僕は、生まれたからには世の中の役に立ちたい、と思う。そして、いつも、自分がわくわくすることをやっていたい。志を共にできる人との出会いが全てで、「この人と一緒に仕事がしたいな」「楽しいな」と思う。そこで自分の力が発揮できたら最高です。

渋谷 岡崎先生は?

岡崎 自分は自分の手で患者に診断をつけて、治療していければ...実家の父も医師ですが、実家には帰ってくるなと言われています。地元で医師をするなら、地元の大学卒でないと厳しいようです。自分が東京大学で勉強できたのは、家族の助けがあり、とても恵まれていると思います。社会に対して還元しないといけない。そう考えています。

将来的なことについては、進みたい科すら決まっておらず、具体的な将来が思い描きにくいのが正直なところです。最終的には、日本の医療・患者さんに最大限貢献したいので、幅広く世の中や医療のことを知らなければならないのは間違いないと思います。

【参加者プロフィール】(※所属は2015年11月末現在)
【司会】渋谷健司氏 東京大学大学院教授
公平順子氏(静岡市立静岡病院所属、2000年卒)、吉野美幸氏(新座志木中央病院、国境なき医師団に所属、2004年卒)、杉原亨氏(東京医科大学病院所属、2005年卒)、伊藤丈二氏(東京ベイ浦安市川医療センター所属、2006年卒)、森田知宏氏(相馬中央病院所属、2012年卒)、岡崎幸治氏(日本海総合病院所属、2015年卒)。



https://www.m3.com/news/general/403396
(フォーラム)最期の医療:2 何を望むか
2016年2月28日 (日)配信 朝日新聞

 人生の最終段階で医療を受ける場合、「苦痛の緩和」と「延命」のどちらを優先するか、患者や家族が悩む場面があります。患者が直面する苦痛に、どう向き合えばいいのでしょうか。東京都内のクリニックで長年、主に末期がん患者の在宅ホスピスケアに取り組んできた医師の川越厚(こう)さん(68)に聞きました。

 ■独居の在宅ケア、地域力で支える 在宅ホスピスケアに取り組む医師・川越厚さん

 がん患者の場合、8割以上の方が「痛み」と「呼吸のしづらさ」で苦しむと言われています。苦しみ方は、「歯が痛い」なんてものではありません。だから、モルヒネなどの麻薬を用いて苦しみをしっかり緩和する医療が最後まで絶対に必要です。緩和をきちんと行えば、がん患者でも家で普通に過ごせます。がん以外の病気では、緩和すべき症状があまりないので、介護支援が重要となります。

 最後まで自宅で過ごすためには、看護師を含めた緩和医療の専門チームが24時間きちんと対応するシステムが不可欠です。残念ながら、このようなチームは全国で見ればまだ十分とは言い難いです。

 一方、頼れる家族がなく、独居で末期がんとなる人は近年増えています。私のところでも、独居患者の割合は最近2割を超えています。また、高齢の夫婦2人暮らしは独居予備群です。家族の介護力を期待できない中で在宅ケアをどう推し進めるかが、深刻な問題となっています。

 一人暮らしの場合、医療保険と介護保険だけでは、どうしても支援の隙間ができてしまいます。国や自治体にできることは限られているのです。経済力がある人は自費でその隙間を埋められますが、多くの方はその余裕がありません。この問題はこれからの大きな課題です。

 私が考えている一つの答えは、「地域力」をうまく引き出すこと。我々のところではボランティアがいますが、独居の場合にはそれ以外に配食サービスの人など、日頃、患者さんの所へ顔を出す人たちにも協力してもらいます。持てる地域力をどういかしていくかを考えることは現実的な解決法です。地域力をうまく動員すれば、独居の方の在宅死も不可能ではありません。私の今までの経験から手ごたえを感じています。

 人生には「生老病死」の苦しみが必ずあります。「苦」とは思うようにならないこと。それにあらがう生き方もありますが、どこかで向き合わなければなりません。今、現場での患者さんたちの「苦」は深刻です。平均寿命が延びるのはよいのですが、当然来るべき「お迎え」がなかなか来ないことで多くのお年寄りや家族が苦しんでいます。生きるがゆえに苦しむ人がいる現実を直視し、そのために私たちは何ができるかを考えることも大事です。

 医療は今も昔も、人の死や病を否定しようとします。アンチエイジングの試みや再生医療などを頭から否定するものではありませんが、どういう人にそのような医療を適用すべきか、厳しく問われる時代になりました。たしかに命はみんな平等に貴いものです。しかし、やはり90代には90代の命があり、40代には40代の命があります。命に対する哲学、その哲学に基づいた医療が今ほど問われている時はないでしょう。(聞き手・中村靖三郎)

 

 ■緩和か延命か、悩む家族

 第1回のアンケートには、来たるべき「最期」にどう備えるか、不安やとまどいの声が寄せられました。医療の現場をよく知る人たちからの問いかけもあります。

     *

 ●「職業柄、老衰と思われる高齢者にも容赦ない延命治療が普通になされている現場にいます。血圧から呼吸から尿量の確保まで全て機械と投薬で管理され、結局全身浮腫(むく)んで最期を迎えているのです。あまりに痛々しい最期です。しかし、こういった延命治療を家族が望むケースが少なくありません。私たち日本人はもう少し老齢による生理的機能の衰えや、老いに対する根本的な学びをすべきではないでしょうか。私は年をとることが恐ろしく感じます。自分が延命治療を望んでいなくても家族が望めば、家族の意思が優先されますから…」(千葉県・30代女性)

 ●「母は看護師で、医療について理解があるため、『延命治療なんてやらなくていいからね』と言っていますが、果たしてその場になって本当にそんな判断ができるかどうか…」(神奈川県・10代女性)

 ●「延命治療を希望すると、それが逆に本人を苦しめると言って医師が推奨しないことがある。しかし、それが本当にそうである場合と、病床の特性上医師がうまく説明しているだけの場合があると思う。延命治療を望むことが悪いことであるかのような印象を与えられる。少しでも長く生きて欲しいと、家族は望んではいけないのか。早く追い出されるだけの急性期、延命治療出来ない療養病床。看(み)る人がいないのに推し進められる在宅。それ相当のお金がなければ入れない施設。終末期の精神的不安や苦痛を生み出しているのは、日本の制度そのものだ」(神奈川県・30代女性)

 ●「40代で小学生の息子がいます。私自身、延命は望みませんが、息子がママに生きていて欲しいと思うなら、私はどんなに苦しくて一縷(いちる)の望みしかなくても延命治療をして生きる努力をしなければと思います」(愛媛県・40代女性)

 ●「親が人生の最後を迎える際は緩和治療を望む。しかし、恋人となると延命治療を望む」(滋賀県・10代女性)

 ●「母は91歳で、『看取り』を考えるよう施設から促されています。母も私も『延命はしない』という意思を持っていますが、治療をしないで苦痛を十分取り除けるのか、自然に衰弱していく中での苦痛はどんなものなのか、全くわかりません。また、在宅や施設の『看取り』で、どの程度のケアができるのか、ということも具体的にわかりません。やはり具体的に考えることができる材料がほしいと思います」(大阪府・50代女性)

 ●「外科医をしております。日常がん末期の患者さん、ご家族さんと接しております。そこで感じることは緩和ケアへの移行が遅れることで、余計な抗がん剤治療を受ける方、余計ながん疼痛(とうつう)に悩まされる方が多いことです。担当医としてはがん医療の限界を説明しているつもりですがなかなか理解してもらえないのが現状です。国民の2人に1人ががんを罹患(りかん)する時代ですので一般の方への『がん教育』の必要性を感じております。がんになる前から知っておくことが大事だと思います」(群馬県・50代男性)

 ●「息子が2人おりますが、2人ともここに戻ってくることはないでしょう。仕事が有りませんから。最後を看取ってくれる人はいないつもりでいます」(茨城県・40代女性)

 ●「現在一人暮らしを選択しています。独りで死んでいきます、ということを意味しています。死期が近づいている場合どこで息が切れるのか予測されません。本当は独りで死ぬことはとても怖いのですが、仕方ないことと覚悟をするつもりです」(神奈川県・60代女性)

 ●「看取ってくれる人として連れ合いを想定していますが、先のことは分かりません。独身の子どもにも期待できないので、誰かにお世話になるかと思いますが、さて公か身近の他人か悩ましいところであります」(香川県・70歳以上男性)

 ■男女に微妙な差

 今回のアンケートには、中高年以上の方々が多く回答してくれました。女性の回答数が男性を上回り、多くの女性が実際に夫、親をみとった体験を書き込んでくれました。

 人生の最終段階について心配なことを尋ねた質問で、回答には男女で微妙な違いがありました=グラフ。年代別にみると、女性の60代以上、男性の70歳以上で「病気での体の痛み」を挙げる人が多くなりました。

 アンケートについて、年代を答える欄が「70歳以上」をひとくくりにしているのは、最期の医療というテーマから、そして高齢化社会の実情からも乱暴ではないかとの指摘がメールで寄せられました。いま実施中の第2回アンケートでは、70代、80代、90歳以上と、より細かく年代を尋ねるようにしました。



https://www.m3.com/news/general/403273
遺体の解剖率微増 都道府県別、大きな差 昨年
2016年2月28日 (日)配信 朝日新聞

 犯罪性がないか調べるため警察が昨年取り扱った遺体のうち、解剖した割合(解剖率)は12・4%で、前年の11・7%から微増にとどまった。解剖率は都道府県警によって大きな差があった。新たな解剖制度も3年前から始まったが、その実施状況もばらつきがある。

 警察庁が25日発表した。警察が取り扱った遺体は前年より約2%少ない16万2881体で、このうち2万121体を解剖した。犯罪の疑いが強いとして司法解剖したのが8424体(前年比260体減)▽死因・身元調査法に基づく署長の判断による解剖(新法解剖)が2395体(同474体増)▽監察医などによる解剖が9302体(同515体増)――だった。

 解剖率は都道府県警によって大きな差があり、高かったのは神奈川39・2% ▽兵庫33・4% ▽沖縄30・8%。低かったのは広島1・5% ▽岐阜2・7% ▽大分3・1%。

 犯罪性の有無を判断する検視官が現場に出向いた割合は76・0%で、前年の72・3%から増えた。

 新法は、暴行を受け死亡した大相撲の力士を警察が病死と判断していた問題などをふまえ、2013年4月に施行された。新法解剖は、神奈川558体 ▽兵庫382体 ▽警視庁350体などだったが、大分は0、13県警で1桁だった。警察庁によると、新法解剖で不審点が見つかり司法解剖に切り替えた例が13~15年に7件あったという。(編集委員・吉田伸八)



https://www.m3.com/news/general/403337
治療中断、鳥取県内医療機関40%経験 患者の経済的理由で /鳥取
2016年2月28日 (日)配信 毎日新聞社

 患者の経済的理由が原因の治療中断を経験した医療機関が県内で40%に上ることが県保険医協会(木村秀一朗理事長)のアンケートで分かった。5年前の前回調査の38%と比べやや増加しており、同協会は「患者の受診抑制は症状悪化につながりかねず深刻。患者の窓口負担の軽減が必要」と訴えている。

 全国調査の一環で昨年12月から今年1月にかけ、医科、歯科の県内協会員の約2割に当たる112機関が回答した。

 「この半年間に主に患者の経済的理由と思われる治療中断を経験」と回答した医療機関が40%で、「医療費負担を理由に検査・治療を断られた経験」も46%(前回38%)を占めた。医科では高血圧、糖尿病やコレステロールなど脂質異常が多く、歯科では入れ歯、虫歯、歯周病が目立った。

 具体的な事例では「薬が切れているのに来院しない」「受診回数や薬代を減らしてと言われた」「痛みが取れたら来院しない」「保険の範囲で治療してと言われた」などの回答が目立った。一方で患者負担の未収金が発生した医療機関は50%(前回65%)と改善した。

 国が検討している75歳以上の窓口負担2割(現行1割)への引き上げの影響については「受診抑制につながる」との回答が79%を占めたという。【小松原弘人】



https://community.m3.com/v2/app/messages/news/2494802?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160228&dcf_doctor=true&mc.l=146245447
医師への退職勧奨「違法」 愛知・碧南市に賠償命令
共同通信社 16/02/24

 碧南市民病院(愛知県碧南市)の歯科口腔(こうくう)外科部長だった男性医師(61)が、パワーハラスメントがあったとの理由で退職を勧奨され、拒んだのに退職に追い込まれたとして、市に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は23日、「自由な意思決定を妨げており違法」として市に約4100万円の支払いを命じた。
 倉田慎也(くらた・しんや)裁判長は判決理由で、病院側は退職勧奨を拒んだ医師が所属する大学医局の教授を通じて退職を求めたと指摘。「退職勧奨は自由意思で拒否できる。事実上の人事権を持つ医局に退職を勧めさせ、自由な決定を妨げた」とした。
 判決によると、2010〜11年、市役所や新聞社に医師がパワハラをしたとの投書が届いた。医師は否定し詳しい調査を求めたが、病院側は調査せず退職を勧めた。医師は12年3月末で退職した。
 碧南市は「判決文が届いておらず、詳細を把握していない」としている。



http://mainichi.jp/articles/20160228/ddl/k42/040/191000c
松浦市
佐賀県の総合病院移転、誘致目指す /長崎

毎日新聞2016年2月28日 地方版 長崎県

 佐賀県伊万里市の伊万里松浦病院が老朽化から移転することになり、隣接する松浦市が誘致を目指している。友広郁洋市長は26日の記者会見で「早く良い報告ができるよう精力的に取り組む」と述べた。庁内に伊万里松浦病院関係検討本部を設置し、県境を超えた誘致の実現を図る。

 伊万里松浦病院は独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)の運営で、12診療科と112病床を備えている。機構は採算面から現地改築は困難として当初、伊万里市中心部の伊万里市民病院跡地への移転新築を考えたが、地元医師会の同意を得られなかった。

 機構は松浦市立中央診療所の指定管理者を引き受けている関係から昨年9月、松浦市に移転を打診した。市議会は今年1月、市内の医師不足を考慮して「移転を求める決議」を採択。市は市役所周辺の市有地の無償貸与を機構に提示した。

 県境を超える病院移転には、県医療審議会の承認が必要。松浦市を含めた佐世保県北医療圏の病床数が県の基準より931床上回ることから、市は県に「特例措置の適用」を求めている。機構の照会に、県医療政策課は「特例措置で不可能ではない」と回答した。一方、伊万里市では「病院がなくなると医療の空白地帯が生じる」として市区長会長会が署名活動を展開するなど、巻き返しに躍起となっている。【梅田啓祐】

〔長崎版〕



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03164_01
【interview】
情報を共有し,周産期医療体制の再構築を
海野 信也氏(北里大学病院長/日本産科婦人科学会医療改革委員会委員長)に聞く

週刊医学界新聞   第3164号 2016年02月29日

 日本産婦人科医会の2015年の調査によると,分娩取扱施設に所属する産婦人科医の1か月当たりの平均当直回数は他科よりも多く,1か月当たりの推定平均在院時間は296時間と,平均値にもかかわらず過労死の認定基準を超える値となっている1)。こうした状況を受け,日本産科婦人科学会は周産期医療体制の再構築,勤務医の勤務環境改善に向けて,「産婦人科医療改革グランドデザイン2015(GD2015)」2)(表)を発表した。本紙では,同学会の医療改革委員会委員長としてGD2015の作成に携わった海野氏に,周産期医療をめぐる現状と課題,GD2015の狙いについて聞いた。

――先生は長年,周産期医療の問題に取り組んでいらっしゃいます。どのような点に問題意識を感じていますか。

海野 周産期医療を取り巻く状況は,日々変化しています。その中でも注目すべきなのは,産婦人科を専攻する女性医師の割合が増加している点です。2005年度と2015年度の日本産科婦人科学会員の年齢・性別分布を比較してみると,女性の割合が増えており(図1),新規専攻医の男女比は1:2でほぼ固定されている状況にあります。この状況がさらに進めば, 10年後20年後には周産期医療体制の維持は間違いなく困難になるでしょう。

02285_2016022905422593e.jpg
図1 日本産科婦人科学会員の年齢・性別分布(参考文献3より)(クリックで拡大)
 女性が仕事を続けていく上で,出産・育児の話は絶対に避けては通れません。その期間は当直・常勤勤務は難しくなりますし,現在のような厳しい勤務環境では出産後に復帰できず,そのまま現場を離れてしまう可能性も危惧されます。実際そうした事態は,以前から起きていました。もちろん産婦人科を専攻してくれる女性医師は,産婦人科の厳しい状況もよく理解していて非常に熱心に働いてくださる方ばかりです。しかし,このままでは現場を担いきれなくなるのでは,という懸念の声が上がるようになり,本格的に議論を始めたのが10年ほど前のことです。

02286_20160229054223974.jpg
表 「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」基本的方向性(参考文献2より抜粋)(クリックで拡大)

医療水準の維持・向上のために産婦人科医の確保が急務

海野 周産期救急の現場は主に30-40歳代の産婦人科医によって担われています。その年代で多数を占める女性医師は,ちょうど出産や育児といったライフイベントを迎える時期で,現場を離れる方も少なくありません。大量養成が可能であれば,それでも問題にはならないかもしれない。ですが,産婦人科の新規専攻医数は年々減少している上に,専門医の養成には時間を要します。ですから,新規専攻医を一定数確保し養成することと,全ての産婦人科医が継続的に就労可能な環境を整えることで現状を打破したいと考えています。

――具体的にはどのくらいの産婦人科医が必要でしょうか。

海野 学会では,安定した周産期医療体制の確保・維持に必要な新規産婦人科専攻医数として,年間500人という数値目標を掲げています。また,周産期母子医療センター等の基幹的施設については,無理なく当直体制を組める体制の整備を進めているところです。

 ところが,この数値は達成できていません。地域によっては産婦人科医の減少さえ認められている。医師の数が減れば,医療水準の低下が懸念されるようになります。産科の場合,医療水準の低下がまず現れるのは妊産婦死亡率です。実際,日本よりも産婦人科医数の減少が深刻な韓国では,妊産婦死亡の増加が問題となっています。

――日本は妊産婦死亡率が低く,国際的にもかなり高い医療水準にあると聞きました。

海野 年間の分娩約100万件のうち,妊産婦死亡は40-50件ほどで,2万件に1件程度の割合です。現在は妊産婦死亡をさらに減らせるよう,発生した妊産婦死亡を全例登録制とし,原因分析をした上で,その結果を全産婦人科施設に配付しています。日本は今日に至るまで妊産婦死亡率を下げることに成功しているので,事態はそこまで悪化していないとも言えるかもしれません。しかしながら,今の周産期医療体制はいつ破綻しても不思議ではない。今後もこの水準を維持し,さらに向上させていくためにも,適切な医療提供体制を再構築することが不可欠なのです。

――そのためにまず必要なのが,人材の確保というわけですか。

海野 はい。残念なことに,学会員の新規登録数は2010年度をピークに減少を続けています(図2)。2004-05年の新規入会者数の減少は,現行の医師臨床研修制度への変更で卒後2年間の初期臨床研修が義務化されたためです。一方,2010年度以降の減少に関しては,2010年度の医師臨床研修制度の見直しに伴い,産婦人科での研修が必修から選択必修へと変更になったことが一因として考えられます。2015年度の見直しの際,産婦人科の研修を必修に戻すよう厚労省に要望を出しましたが,実現しませんでした。私たちには,次回の見直しが行われる2020年度まで待つ猶予が残されていません。したがって,制度見直し以外の方法でも新規専攻医の確保を図っていくことが求められています。

02287.jpg
図2 日本産科婦人科学会新規入会者(産婦人科医)数の推移(参考文献3より一部改変)
※2015年度は2015年9月30日時点の人数。

基幹病院の“重点化”と,地域の分娩を担う開業医の育成を

――どのような方法が考えられますか。

海野 若手の医師が産婦人科を専攻した場合のキャリアパスを,より明確に示す必要があります。各都道府県で増加している医学部地域枠推薦の学生が,初期研修で産婦人科を経験するよう促すことも有効かもしれません。とはいえ,私たち産婦人科医だけでできることには限界があるということも感じています。

 そこで,学生や研修医をリクルートするためにも,十分な診療規模をもった研修施設を地域ごとに作っていかなくてはならないと考えています。なぜかと言うと,経験の浅い医師はそこで指導者の下,最終的なキャリア形成をしていくからです。産科だけでなく婦人科の診療も扱う施設でなければ,十分な経験を積むことができず,地域で研修が完結しないことになります。そうなると,より研修内容が充実した地域を求め,若い医師は県外に流出してしまう。そもそも,十分な診療規模がないと,必要な人員を確保するだけの投資ができない可能性だってあるのです。

――施設の集約化が人員確保の鍵になる,と。

海野 集約化ではなく,“大規模化・重点化”です。それも基幹的な役割を果たす病院の重点化であって,決して他の病院や診療所をなくすという意味ではありません。

 現在,病院と診療所の分娩取扱の割合はほぼ同程度です。ハイリスクな分娩は基幹病院,ローリスクな分娩は地域の開業医,と役割を分担したほうが産婦人科の医療提供体制はより安定します。

――今後は施設ごとの役割をより明確にしていく必要があるのですね。

海野 その通りです。ただ,ここにも問題があります。第一に,多くの病院や診療所は民間施設として運営されるため,一定数の分娩が確保できる地域でなければ新たな開業が難しいということ。そしてもう一つが,現在の開業医の年齢が比較的高いということです。産科を開業するにはある程度の実力が要求され,病院で多くの経験を積んだ後に開業するのが一般的です。したがって,現在一次分娩施設での分娩は主に40-60歳代の男性医師が担っています。20年後,彼らが全員現役であるということはあり得ません。ですから,開業医として地域の分娩を担っていく次世代の支援と育成も必要になるのです。それと同時に,緊急時に搬送が可能な高次医療施設を適切に配置し,各診療所と密接に連携をとっていくことが求められます。

地域に合った解決策をそれぞれの地域で考える

――昨年公表されたGD2015でも,一次分娩施設から三次分娩施設までの連携強化の重要性が指摘されていました。GD2015がめざす周産期医療体制の在り方とは,どのようなものでしょうか。

海野 基本的な方向性としては,2010年に作成されたGD2010とほとんど変わっていません。ただ,GD2010では目標を達成するための具体的な道筋を示せていなかったこと,各地域の現状を把握する体制が整備されていなかったことから,結果的には十分に機能せず,提案の域を出なかったという反省があります。そのため,GD2015はより具体的な行動指針となり得るものをめざしました。

 また,医療を受ける側の視点に立ち,何が本当に求められているのかという点についてもかなり議論を重ねました。患者さんからすれば,コスト,アクセス,質というのはどれも大切です。ところが,質を担保するためにはある程度の診療規模と人員が必要になるため,そうした施設をたくさんつくることは現実問題として困難なのです。

――当然アクセスは悪くなる。

海野 はい。質の担保とアクセスの利便性,両者のバランスをいかに取るかが非常に重要です。ただ,具体的な解決策は地域によって異なります。ローリスクな分娩は診療所などの一次分娩施設,ハイリスクな分娩は周産期センターや大学病院が担うという方法も一つですし,分娩施設と妊婦健診施設を分離するのも一つの手だと思います。人口稠密な地域であれば大規模施設への一本化でも対応できるかもしれない。産婦人科医や産科施設が十分でない地域であれば,総合診療医や家庭医に協力をお願いするといった方策も検討していく必要があります。実際に浜松医大や亀田総合病院などでは,家庭医にも産婦人科の研修を受けてもらい,地域の周産期医療を共に支えていくための取り組みが始まっています。

 医療資源や人口分布などは地域によって本当にさまざまなので,その地域に合った解決策は,それぞれの地域で考えていかなければならないのです。

――現在策定が進む地域医療構想では,基本的な構想圏域として「二次医療圏」が想定されています。GD2015の「地域」とはどの程度の範囲を想定しているのでしょうか。

海野 産婦人科に限って言えば,二次医療圏レベルでは患者数が少ないため,質の担保ができるような医療提供体制は成立しません。「周産期医療圏」とでも呼ぶべきもう少し大きな医療圏を,地域の実情に合わせて設定していくべきなのです。既に周産期高次医療を担う周産期センターは各都道府県に整備されているので,その配置を考慮した上で周産期医療圏を検討する必要があります。周産期医療は町や市のレベルでは完結できず,地域の枠組みを大きめにとらえる必要があることを患者さんにも理解してもらえるのであれば,安全で安心な地域分娩環境の確保は保証できると考えています。

正確な情報の共有が適切な医療提供体制構築の鍵

――周産期医療に限らず,医療提供体制構築の主体は自治体にあります。

海野 はい。ですから,適切な医療提供体制を各地域で構築していくには,自分の地域のどこに,何が,どのくらい足りていないのかを自治体側にも正しく知ってもらわなければならない。それがわかっていないと,見当違いな議論になりかねません。予算にも限りがある中で,適切なところに予算を回していくには,データとして現状を示すことが必要だと考え,昨年「地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト」を立ち上げました。

 このプロジェクトは学会が中心となり,各医療機関に分娩状況や常勤の医療従事者数,産婦人科医の構成などに関する調査票に回答してもらい,その集計・分析を行うものです。この調査には,所属する産婦人科医の年齢・性別の構成,夜勤不可の医師や非常勤の医師がどの程度いるのかといった項目も含みます。そうした情報を自治体やその地域の産婦人科医に提供すると同時に,さまざまな提案を自治体に対して行っていく予定です。そして自治体と現場の医療者で協議を行い,地域の実情に即した解決策を地域ごとに検討してもらいたいと考えています。2015年度は,8つの道県で先行調査を行っており,2016年度は全都道府県で実施する予定で調整を進めています。最終的に全ての調査・分析結果が出れば他の地域との比較も可能になり,より検討を進めやすくなるのでは,と期待しています。

――自治体と医療者が情報を共有することが大切なのですね。

海野 “地域で安全・安心なお産を”という願いは,皆が共通して持つ思いです。ただ,これまでは情報の共有がうまくできておらず,皆で同じ方向を向くことができずにいました。立場が違うぶん,同じ情報を共有しても受け止め方は違うかもしれません。ですが,正確な情報を共有し,検討を重ねていくことが何よりも重要なのです。そのため学会では,広く情報共有を行うことを目的に,「周産期医療の広場」4)というウェブサイトでさまざまな情報発信も行っています。

 2016年度には「周産期医療体制整備計画」の策定,2018年度には「医療計画第七次改正」が控えています。それに間に合わないとまた次の改正まで待たなければいけなくなりますから,行政や自治体と密接に連携し,一丸となって周産期医療体制の再構築を進めていきたいと考えています。

(了)

◆参考文献・URL
1)日本産婦人科医会.産婦人科勤務医の待遇改善と女性医師の就労環境に関するアンケート調査報告.2015.
http://www.jaog.or.jp/all/document/94_160113_2.pdf
2)日本産科婦人科学会医療改革委員会.産婦人科医療改革グランドデザイン2015.2015.
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/gl2015_20150620.pdf
3)日本産科婦人科学会医療改革委員会.過去10年間のわが国の産婦人科医の年齢・性別分布の変化.2015.
4)日本産科婦人科学会.周産期医療の広場.


うんの・のぶや氏
1982年東大医学部卒後,同大病院産科婦人科学教室入局。都立築地産院,焼津市立総合病院等を経て,94年米国コーネル大獣医学部生理学教室客員助教授。帰国後は東大病院産科婦人科医局長,長野県立こども病院産科部長,長野県総合周産期母子医療センター長等を歴任し,2004年北里大産婦人科主任教授,12年より現職。日本産科婦人科学会特任理事,同学会医療改革委員会委員長,日本周産期・新生児医学会理事長,日本産科麻酔学会会長など役職多数。


  1. 2016/02/29(月) 05:45:34|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月27日 3.11震災関連 

https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20160227_10
「防ぎ得た災害死」41人 本県被災地、医師調査
(2016/02/27) 岩手日報

 東日本大震災の被災地で、医師による「防ぎ得た災害死」の調査が進んでいる。本県では津波後に救えた可能性のある犠牲者が少なくとも41人に上る見通し。避難所での医療の遅れや、病院のライフライン途絶、薬品不足で治療できないケースがあった。震災から間もなく5年。大規模災害で失われる命を減らすため、平時の備えが問われている。

 調査は国の研究事業で、岩手医大医学部の真瀬智彦教授(災害医学講座)らが実施。2011年3月11~31日に沿岸15病院で亡くなった患者174人の死亡例を調査して災害医療の専門家10人が協議し、「可能性がある」などを含めた41人を防ぎ得た災害死と判定した。

 調査は沿岸部が終了し、内陸の35病院を対象に継続中。年度内に調査を終え、5月ごろ結果をまとめる。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=130929
東北大病院100年
第3部 東日本大震災(4)迅速対応へ 仮設診療所を 元院長に聞く

(2016年2月26日 読売新聞)

 東日本大震災で、東北の医療拠点である東北大病院(仙台市青葉区)はどう動いたのか。震災から5年を前にどんな課題が残されているか。当時、病院長として陣頭指揮にあたった里見進・東北大学長に聞いた。

 ――東北大病院は沿岸部の病院の後方支援に回った。

 震災直後、沿岸部の医療が壊滅しているようだという情報が入ったため、石巻市などの病院にバスで医療スタッフを送った。ところが、戻ってきた医師は「現地の病院から来なくていいと言われた」という。現地の医師は当時、次々と応援派遣されてくる災害派遣医療チーム(DMAT)を配置する作業に忙殺されていた。やみくもに人を派遣しても、混乱に拍車をかけると考え、派遣は現地が要望する人数に抑えた。

 「現地入りしたい」と訴える医師もいたが、後方支援に徹する方が役に立つと説得し、無条件で患者を受け入れる態勢を整えた。4月末までの約2か月間で受け入れた入院患者は約1500人。そのうち、約450人は沿岸部からだった。

 ――医師全員に専門を捨てて、総合医になるようにと伝えた。

 災害時は「眼科だから肺炎の患者は診られない」とは言っていられない。東北大病院にはあらゆる分野の専門家がそろっている。困ったら誰かに相談することにして、まずは患者を診るように、と要請した。

 ――震災後、通信回線が機能しない病院もあった。

 東北大病院など災害拠点病院は、国の医療情報システムを通じ、各病院の被災情報や受け入れ可能な人数などをインターネット上で共有できる。だが、今回の震災では、最大190万回線の固定通信が被災し、最大2万9000の基地局が停止した。非常用の通信手段の確保が不可欠だが、その手段や運用ルールの具体化は遅れている。

 総務省の研究会は昨年12月から非常用の通信手段を整える議論を始めた。東北大病院の医師も研究会のメンバーになっている。震災の教訓を議論に生かしてほしい。

 ――震災を経て見えた課題は。

 災害時にすぐに仮設診療所を設置できるよう準備しておくべきだ。そこにDMATなどが集まり、医療の拠点になれば、災害医療は変わる可能性がある。今回の震災で、イスラエル軍が南三陸町に設置した仮設診療所はエックス線撮影の機器などを備え、非常に有用だった。当時、言葉の問題などから設置に反対したが、彼らの装備を見て驚いた。

 仮設診療所1か所につき10億円かかるとしても、10か所の仮設診療所ができれば、ほとんどの災害に対処することができる。支援活動が終わったら、診療所は撤収して次に備えればよい。

 また、海外で災害が起きた場合、救援隊と一緒に持っていけば、感謝されると思う。効率的な海外支援のあり方としても活用できると思う。

 (第3部おわり。この連載は加納昭彦が担当しました)

さとみ すすむ 東北大医学部卒。同大第二外科教授などを経て現職。国立大協会長。専門は移植外科学。67歳。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160227-053289.php
双葉郡2次医療体制確保へ 「国がリーダーシップ」明記
2016年02月27日 10時12分 福島民友新聞

 政府が26日に示した復興基本方針の素案では、帰還困難区域を除いて2017(平成29)年3月までに避難指示が解除される双葉郡について、住民からの要望が強い2次医療体制の確保に向け、国がリーダーシップを取り、医療・介護などの専門職の人材確保に取り組むことを明記した。

 素案は26日に開かれた自民党東日本大震災復興加速化本部の幹部会合で示された。東京電力福島第1原発事故の影響で中長期的な対応が必要な本県復興について「国が前面に立って取り組む」と位置付けた。

 避難指示が解除される区域の営農再開にも力を入れ、農業関連インフラの復旧から除染後農地での作付け実証試験、帰還した農家の経営基盤を安定させるための大規模化や施設園芸の導入などを、切れ目なく支援する体制を整える方針も盛り込んだ。

 また、県内各地の災害公営住宅に入居する被災者と、避難を受け入れている市町村の住民の間で「地域の絆」を結ぶコミュニティー維持・形成事業の強化、子どもたちが古里の現状を正しく理解する「ふるさと創造学」などの教育課程の普及など、復興の進展に応じた支援策も示した。

 基本方針は「東日本大震災復興基本法」に基づき、政府が復興の全体像を示す。現行の方針は11年7月に策定されたが、復興期間の後期5カ年に入ることを踏まえ、現状に合わせた改定作業に着手。復興庁が今年1月に骨子案をまとめ、本県や被災市町村から素案に盛り込むべき政策内容について意見を求めた。


  1. 2016/02/28(日) 05:56:06|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月27日 

http://www.socinnov.org/blog/p512
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (14): 相矛盾する死生観
小松秀樹
| 2016.02.11 | Blog | ソシノフブログ


死生観には相矛盾するものや対立するものがある。死後の世界、永遠の生命があるという確信を持つか持たないかが一つの境界を画する。

広井良典は、前者に属する。以下、『死生観を問い直す』(ちくま書房)に述べられた広井の意見をまとめる。

「わが国のターミナルケアについての議論が、技術的な話が先行しすぎ、『死』とはそもそも何か、というターミナルケアの本質とも言える点についての対応が遅れがちになっている。」

死生観とは「私の生そして死が、宇宙や生命全体の流れの中で、どのような位置にあり、どのような意味をもっているか、についての考え方や理解」である。

団塊の世代は、経済成長をゴールに欧米志向で突っ走るという時代に育ったため、「『死』が無であり、死についてそれ以上あれこれ考えても意味のないことで、ともかく生の充実を図ることこそがすべてなのだ」という考え方をもつ人が比較的多い。

「死にゆく場所としての『魂の帰っていく場所』を自分のなかでしっかりと確かめ位置づけるということ―こそが、ターミナルケアそして死生観の確立においてなによりも本質的なことである。」

「『死とはただ無に帰すること』という考え」を本書の中で退けた。

「不条理なかたちで襲いかかる苦難や不幸について、それを何らかのかたちで意味づけ、そのことを通じて、人びとにある種の、『救済』を与えることに」宗教の本質がある。

「人間はどのようなことがあっても自分はケアされている、という絶対的な確信といったものを得たいという深い欲求をもっている。」「仏教やキリスト教といった高次宗教は、まさに人間のこうした根源的な欲求に応えるもの」であり、「イエスやブッダといった存在は、」「どんなことがあっても自分の存在を肯定し受容してくれる」「絶対的なケアラ―」とでも呼べるものと思える。

『死生観を問い直す』のあとがきの最後で、広井は自身の宗教体験の原点ともいえる経験について述べている。広井が育った山間部の田舎での墓参りで、墓の向こう側にある世界のほうががはるかに大きく、永続的なものであり、帰って行くべき場所であり、生者と死者がともに属する場所なのだと思えるようなかすかな感覚が生じたという。

広井の体験は、柳田国男の日本の固有信仰説を思わせる。島薗進の『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版)によると、柳田国男の最大の研究テーマは日本の固有信仰だった。柳田は、近代日本人の中に円環的永遠回帰的な時間意識と死生観が濃厚に引き継がれていること、それがお盆などの行事の中で長く蓄えられてきたことを明らかにした。死んでも盆毎に家に帰ってきて、子や孫その孫と飲食を共にする。死後も魂が消えないとすれば、生きて居た間の最も痛切な願い、すなわち、子孫の安全のために役立とうという思いは死後も残るとするのが日本の常民の信仰だった。柳田は、「家存続の願い」が日本の「固有信仰」の中核部分と考えたが、島薗によると、柳田自身は、固有信仰そのものを信じていたわけではない。

中江兆民は、広井の反対の立場に属する。死の直前『続一年有半』(岩波文庫)で、霊魂の存在をあからさまに否定する議論を展開した。

空間、時間、世界を認識するにあたり、人類の都合を持ち込んではならない。世界は人間の価値と無関係に厳然と存在する。

死後の世界、霊魂の不滅を想定することは、人類の都合によるものであり、禽獣虫魚を阻害し、軽蔑するものである。死に近づきつつある人間にとって、霊魂が不滅で死後の幸福を保障してくれるとすれば、慰められるかもしれないが、理性的な人間には到底信ずることはできない。人類を慰めるための方便で世界のあり様が変わるわけではない。

世界が人間の価値と無関係で、冷たい、剥き出しで、殺風景であるからといって、合理的な考えを捨ててはならない。

そもそも精神は本体ではない。本体は身体であり、精神は身体の働きである。死によって精神は同時に消滅せざるをえない。唐辛子がなくなっても辛味は残るとか、太鼓が破れても堂々たる音は独り残ると主張するようなものであり、合理性をわきまえる哲学者が真面目に議論すべきことではない。

身体を構成する元素は死後も不朽不滅である。釈迦耶蘇の精魂ははるか昔に消滅しているが、路上の馬糞は世界と共に永続する。身体の作用たる精神は、身体が死ねば、即座に滅びる。世界は人間の価値観と無関係に存在する。

不条理、不公平などの人間社会の不始末を、不合理極まりない霊魂などを想定して、死後の裁判で片づけてもらおうとするのは、意気地なしである。昔に比べると悪人の多くは罪を逃れられず、善人は世の称賛を得て、社会の制裁は徐々に力を得つつある。

造物の説では、世界のすべて、山河草木、人獣虫魚、土石瓦礫にいたるまで何もないところに神が作ったという。無から有を得るという無茶な論理は、まともな脳髄で理解できることではない。しかも、進化論が示すように、生物は時間と共に変化している。造物の説と進化論は相容れない。

兆民は、喉頭がんを発病。医師に1年半の命と告げられた。永遠の命を一切信じなかったが、新聞を読むこと、『一年有反』を執筆すること、飲食すること、さらに、文楽鑑賞などを楽しんだ。死の前月、河野広中夫人の紹介で来訪した僧侶の加持祈祷を拒んだ。

広井良典は、死が無であり生の充実を図ることがすべてという考え方が、戦後、それも団塊の世代に特徴的だとしたが、明治30年代半ば、中江兆民、正岡子規は、死を前にして、死が無であると考え、来世に希望を託することはなかった。残りの人生を精一杯楽しもうとした。

中江兆民は、辛さを詳細には表現しなかった。宗教に対する嫌悪感を露わに表現した。正岡子規は病にある自分の生活を、苦しみや心の動きを含めて、型に当てはめることなく自由に描写した。

正岡子規は、自らの死期についての閻魔とのやり取りを、歌舞伎風の文章にすることでつかの間の楽しみを得た。最後の落ちの部分を記す。

「今夜はあまりに早うございますな。
「それでは明日の晩か。
「そんな意地のわるいことをいはずに、いつとなく突然来てもらひたいものですな。
閻王はせせら笑ひして
「よろしい、それでは突然とやるよ。しかし突然といふ中には今夜も含まれて居るといふ事は承知して居てもらひたい。
「閻魔様。そんなにおどかしちや困りますよ。(この一句菊五調)
閻王カラカラ笑ふて
「こいつなかなか我儘ツ子ぢやわい。(この一句左団調)
拍子木       幕 (『墨汁一滴』)



http://mainichi.jp/articles/20160227/ddl/k12/010/059000c
東金市
産科ゼロ解消へ 東千葉メディカルセンター、新年度に医師着任 /千葉

毎日新聞2016年2月27日 地方版 千葉県

 東金市などが設立した地域中核病院「東千葉メディカルセンター」(同市丘山台)に、開院3年目となる新年度、待望の産科医が着任する見通しとなった。市内では昨年4月に民間の産院が分娩(ぶんべん)を中止したため、出産できる医療機関はゼロという深刻な状況が続いている。

 26日の東金市議会での市の説明によると、産婦人科は当面、常勤医2人、非常勤医1人、助産師・看護師合わせて十数人の体制。5月中旬をめどに分娩を始めることを検討している。ベッドは15床を確保し、年間約500件程度の出産を想定している。同センターは一昨年4月に146床16科でオープンした。しかし、医師や看護師が不足し、産婦人科も非常勤医が週1回、婦人科の診察だけをしていた。今年4月に314床23科の体制にする計画だったが達成できず、見直しを迫られている。【吉村建二】



https://www.m3.com/news/iryoishin/403326
大学病院、「院長の選考方法」改革へ、厚労省検討会
今夏取りまとめ、特定機能病院の承認要件再度見直しへ

2016年2月27日 (土)配信 成相通子(m3.com編集部)

 厚生労働省の第1回「大学附属病院等のガバナンスに関する検討会」(座長:田中滋・慶應義塾大学名誉教授)が2月25日に開かれ、大学病院長の権限強化や選任方法の見直しについて議論した。本検討会は、大学病院等で医療安全の問題が昨今相次いだことを受けて厚労省が取りまとめた改善策に基づいて設置されたもので、塩崎恭久厚労大臣が「病院長は意向投票による選任ではなく、どのような方法が適切か、検討が不可欠だ。大学病院等のガバナンスをゼロベースから議論し、特定機能病院の承認要件についてさらに見直しを進めたい」とのあいさつを寄せた。

 今後、数回の議論を重ね、今夏をめどに報告書を取りまとめる予定。

 第1回の検討会では、座長をはじめ出席した7人の構成員が、病院長に求められる資質や権限、選考方法について自由に意見を述べた。オブザーバーとして、千葉大学医学部附属病院長の山本修一氏と文部科学省高等教育局医学教育課長らが出席した。

 大学病院の病院長は、学長らが病院長を選考し任命する。学内教職員による意向投票(予備調査)を行い、候補者を推薦してから選考会議をする場合が多い。51大学(国立31、公立3、私立17)が意向投票を実施しているが、国公立大学の法人化やガバナンス改革に係る法改正等をきっかけに、実施していない大学も増えている。

 特定機能病院については、群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大学病院で医療安全事案が相次いで発生したのを踏まえ、厚労省が「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を設置。集中検査を実施してその結果と医療安全確保のための改善策を取りまとめた(『特定機能病院、監査委員会の設置義務化へ』を参照)。

 それを受け、「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」で特定機能病院の承認要件の見直し案を策定(『大学病院、医療安全の専従医師を配置』を参照)。2017年度までに全死亡例の報告や管理者の医療安全管理経験の要件化などが義務付けられる。

病院長の権限は強化すべきか

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、特定機能病院に対する集中検査のヒアリングに同行した経験から、医療安全の責任者となる病院長の権限強化が必要だと指摘した。大学の理事会が人事や予算の決定権を握り、「問題が起きても病院長が迅速な対応がしづらい」と話す病院長が多かったという。

 オブザーバーの山本氏は「病院長の権限を明確化した方が仕事はやりやすくなるのは事実」とした上で、選考方法の問題点を強調した。病院長は一般的に臨床系の教授の中から選ばれるが、「他の診療科の意向を無視したり、内部の混乱を招いたりすれば内部的な圧力がかかる」(山本氏)。「病院長に求められる資質を明らかにして、ふさわしい人物を選考委員会で選び、それを参考に学長が選ぶのが重要ではないか」と提案した。

 日本赤十字社事業局技監の矢野真氏は、権限の規定よりもその実効性が重要だと指摘。教授同士のしがらみや、医学部長や理事長との役割分担の問題もあるとして、選考方法を見直すべきだとした。さわやか法律事務所の弁護士、田島優子氏は、病院長の権限の強化と選任方法の見直しが必要だとし、病院長には「医療安全の管理経験を積んだ人が望ましいと思う」と述べた。

医学部附属病院と大学直轄の病院

 山口氏は、医学部附属病院と大学直轄の病院の違いも指摘。「医学部長の権限が強いところでは、病院長の権限が弱いところが多かった」と紹介した。

 山本氏は、医学部附属病院の問題として、医学部の教授会が人事を決定する点を指摘。現状では、病院機能の強化のために病院独自で人事選考をしたくても、約3分の1が臨床系教授以外の医学部の教授会を通さないといけない。一方で、個人的な感想として、国立大学では「学長が病院のことは病院長に任せた」という感覚が強く、私学は全て理事会がしっかり握っていると説明した。

 日本公認会計士協会副会長の梶川融氏は、組織のトップにとって、給与や配置を決定する人事権は不可欠だと指摘。その上で、病院は非営利で、全体として専門性の高い職業の組織、かつ診療科ごとの専門性も高く、セクショナリズムの危険性もあるとした。

専任か兼任か、任期は?

 日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏の代理で出席した、同常任理事の松本純一氏は、病院長の「専任」問題について言及。臨床の教授と病院長の兼任は困難だが、病院長には任期があり、「臨床科を離れて病院長に専任すると、病院長の職を辞めると行き場が無くなってしまう人がいる」と指摘。山本氏も同意し、自身も病院長の任期が終わった後のポストについては「悩ましい」と述べた。

病院長に「経営能力」は必要か

 公益財団法人がん研究会理事長の草刈隆郎氏は、大学病院の病院長は医療安全と医療の質の向上が大事な職務とした上で、病院長に経営責任を負わせる必要があるのか、疑問を呈した。これに対し、山本氏は大学病院の厳しい経営状況を指摘しつつ、経営も重要な病院長の職務だと強調した。

 2014年度は 大学病院の半数以上が赤字決算。山本氏は「大学本部の積立金を食いつぶしてなんとかしている状態だが、行き過ぎれば大学そのものがキャッシュアウトになってしまう。病院では次の設備更新を遅らせて出費を抑えているが、最終的に診療機能が落ち、スタッフの不満も募る」と説明。

 病院長の仕事について、山本氏は「仕事の大半は、ベッドの回転をどうするか。そこに力を投資しないと大学病院そのものが地盤沈下してしまう。国公立、私立を問わず大きな問題だ。医療安全はもちろんだが、経営のことも重要だ。経営についてはほとんど素人集団だが、それでやらなくてはならない」と経営能力の重要性を強調した。

 また、国立大学病院では、財政的な自立を求められており、運営費補助金も「世間で思われるほどは入っていない」(山本氏)。診療以外に教育や臨床研究の役割もあり、大学病院内で内部留保を持ち、必要なところに投資することが重要だが、「そこが薄くなっていて苦しい状況だ」と訴えた。



http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160227-OYS1T50003.html
宮崎大医師、インサイダー取引で停職処分
2016年02月27日 読売新聞

 宮崎大(宮崎市)は26日、公表前の臨床試験に関する内部情報で株のインサイダー取引を行い、不正に約60万円の利益を得たとして、医学部の男性医師を停職3か月の懲戒処分にしたと発表した。医師は、内規で禁じられた勤務時間中に株取引をしていた。所属や年齢などは、個人名が特定されるとして公表しなかった。

 発表によると、医師は2013年3月から、製薬会社「アールテック・ウエノ」(東京)と網膜の病気に関する目薬の臨床試験をしていた。15年3月、同社から臨床試験中止の連絡を受けた医師は、中止公表後の値下がりを見越して同社株800株を信用取引で売買し、約60万円の利益を不正に得たという。中止が公表されたのは、この取引の約1時間20分後だった。

 証券取引等監視委員会は同年9月から大学への立ち入り検査を行い、11月に金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で、医師に課徴金60万円を科すよう金融庁に勧告した。医師は大学に報告書を提出後、12月に課徴金を納付した。

 医師は「軽はずみな行為で大変反省している」と話しているという。



https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/02/27/013337536
「超過勤務」を申告 事件の時間帯に医師
2月27日大分合同新聞

 児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで、県警に逮捕された大分大学医学部付属病院の医師野田祥平容疑者(28)=大分市賀来西=が、事件のあったとされる時間に「超過勤務」をしていたと申告していたことが26日、同大学への取材で分かった。県警の捜査では女子高校生とホテルにいたとみられる。大学は、虚偽申告だった場合は手当の返還を検討する。
 同大学によると、事件のあった昨年11月15日、野田容疑者は県外へ出張していた。同日午後に帰県。病院での勤務日ではなかったが、午後8~11時まで仕事をしたとして超過勤務手当を申請していた。
 県警は26日、同容疑で野田容疑者を大分地検に送検した。送検容疑は昨年11月15日午後8時ごろ、市内のホテルで16歳と15歳の女子高校生に現金計約2万円を渡し、わいせつな行為をした疑い。県警によると、容疑を否認している。



http://mainichi.jp/articles/20160227/ddl/k31/040/604000c
治療中断
県内医療機関40%経験 患者の経済的理由で /鳥取

毎日新聞2016年2月27日 地方版 鳥取県

 患者の経済的理由が原因の治療中断を経験した医療機関が県内で40%に上ることが県保険医協会(木村秀一朗理事長)のアンケートで分かった。5年前の前回調査の38%と比べやや増加しており、同協会は「患者の受診抑制は症状悪化につながりかねず深刻。患者の窓口負担の軽減が必要」と訴えている。

 全国調査の一環で昨年12月から今年1月にかけ、医科、歯科の県内協会員の約2割に当たる112機関が回答した。

 「この半年間に主に患者の経済的理由と思われる治療中断を経験」と回答した医療機関が40%で、「医療費負担を理由に検査・治療を断られた経験」も46%(前回38%)を占めた。医科では高血圧、糖尿病やコレステロールなど脂質異常が多く、歯科では入れ歯、虫歯、歯周病が目立った。

 具体的な事例では「薬が切れているのに来院しない」「受診回数や薬代を減らしてと言われた」「痛みが取れたら来院しない」「保険の範囲で治療してと言われた」などの回答が目立った。一方で患者負担の未収金が発生した医療機関は50%(前回65%)と改善した。

 国が検討している75歳以上の窓口負担2割(現行1割)への引き上げの影響については「受診抑制につながる」との回答が79%を占めたという。【小松原弘人】


  1. 2016/02/28(日) 05:55:16|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月26日 3.11震災関連 

http://tocana.jp/2016/02/post_8983_entry.html
丸川珠代発言こそが日本のホンネか? 福島で甲状腺がんの子どもがさらに増加するも政府、県、メディアは黙殺
2016.02.26 TOCANA

 2月下旬の再稼働が確定的となっていた福井県高浜原発4号機で、20日午後、放射性物質を含む一次冷却水が漏れ出していたことが発覚した。高浜原発では1月29日に3号機を再稼働させたばかりで、それから1カ月も経たない4号機の重大事故に衝撃が走っている。  

 だが、当事者である関西電力、そして福井県原子力安全対策課は早々に「大きなトラブルではない」「周辺環境への影響はない」と事故を過小評価するのに必死だ。

 そして、なぜかこうした"原子力ムラ"の言い分がまかり通り、原発の危険性に警鐘を鳴らす報道はほとんど見られなくなっている。

 最近もある重大なニュースが無視されてしまった。それは、福島原発事故の後の子どもたちの甲状腺がんの増加だ。2月15日、福島の有識者会議「「県民健康調査」検討委員会」が会見で、事故後、甲状腺がんと診断された福島県の子どもたちは167人に上ると公表したのだ。

 福島原発事故後の2011年10月から始まった当時18歳以下だった子どもへの甲状腺がんの検査だが、現在は1巡目が終わり2巡目の検査が行われている。そこで新たに甲状腺がんまたはがんの疑いの子ども51人(男性21人、女性30人)が発見され、最初の検査と合計で167人という膨大な人数に膨れ上がっている。

 しかし驚くのはこの数字だけではない。会見で検討委員たちが次々と発した言葉だ。それらは全て、がん増加と事故のその因果関係を否定したものだった。

 例えば星北斗・福島医師会副会長はもってまわったような言い方で、福島県の甲状腺がんと事故の因果関係をこう否定した。

「チェルノブイリとの比較の線量の話、あるいは被爆当時の年齢などから考えまして、これらのがんにつきましては、放射線の影響とは考えにくいとの見解をこのまま維持する形に、今日の議論としては委員会としてはそうなったと理解しています」

 また被爆医療の専門家でもある同委員会の床次眞司・弘前大学被ばく医療総合研究所教授も「総じて言えば福島の事故における甲状腺被ばく線量はチェルノブイリ事故に比べて小さいことは言えるだろうと考えます」と同様の見解を表明している。

"チェルノブイリより被爆線量が少ない"そんな根拠だけで、専門家たちが福島事故と甲状腺がん増加の関係を否定したのだ。

 さらに同委員会は事故から5年に当たる3月に「中間報告」を取りまとめる予定だが、その最終案にも"チェルノブイリとの比較"から甲状腺がんは放射線の影響とは考えにくいと断定している。

「これまでに発見された甲状腺がんについては、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べてはるかに少ないこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、放射線の影響とは考えにくいと評価する。但し、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ現段階ではまだ完全には否定できず、影響評価のためには長期にわたる情報の集積が不可欠であるため、検査を受けることによる不利益についても丁寧に説明しながら、今後も甲状腺検査を継続していくべきである」

 要するに何もわからないけど、でも事故とがん増加は関係ない。無責任にもそう断定するものなのだ。しかも最終案には「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」と明記されているにも関わらず、だ。

 いや正確な発生率はそれ以上という指摘もある。昨年8月には岡山大学大学院の環境疫学の専門家である津田敏秀教授を中心とした研究グループが甲状腺がん発生率は国内平均の20~50倍であり、潜伏期間やチェルノブイリでのデータから今後も増加は避けられないと公表している。これに対し、政府や原発ムラ学者たちは、甲状腺がんの増加を「過剰診断」や「スクリーニング効果」などと反論したが、それでも説明はつかないほどの増加だという。

 さらに「検討委員会」に先立つ今年1月22日、国際環境疫学会(ISEE)は日本政府に対して「福島県民における甲状腺がんのリスク増加は、想定よりはるかに大きい」と懸念を表明し、リスクの推定をきちんとやるよう警告する書簡を送ったことも明らかになっている。

 福島県の子供たちに甲状腺がんが多発し、国際機関からさえも指摘を受けているにもかかわらず、政府や"お抱え"学者たちは、決してそれを認めない。今後さらに甲状腺がんが激増しようともその姿勢は変わることはないだろう。

 もちろん今回の高浜原発4号機事故にしても同様だ。記事直後から「漏洩した放射性物質の量は国の基準の200分の1以下で、作業員も被ばくしていない」などと嘯いているが、高浜4号機では福島原発事故後でも、同様の一次冷却水が漏れる事故が起きていたことも判明している。

 さらに運転期間が40年を過ぎた高浜1号、2号機においても2月16日に新基準適合検査が終了し、事実上「合格」が確定したが、その審査で大きな問題となっていた地震や津波などへの安全対策は「4号機の審査が終わっているから」としてほぼ無視されたままでの「合格」だった。

 こうした問題は高浜だけではない。福島原発事故後も福井県美浜原発2号機や北海道泊原発、茨城県東海原発、愛媛県伊方原発など冷却水漏れが続いているが、いずれのケースも今回同様「環境に影響がない」として政府や電力会社は"事故"として認める姿勢が極めて低い。

 こうした姿勢、本心が露骨に現れた典型例が環境相の丸川珠代議員の発言だ。

 2月7日、丸川議員は長野県の講演で、東京電力福島第1原発事故後に、国が除染に関する長期努力目標として「年間1ミリシーベルト」と定めていることに関し「何の科学的根拠もない」「反・放射能の人がワーワー騒いだ」と発言して大きな問題となった。さらに衆院予算委員会で発言を追及された丸川議員は一旦はそれを否定したが、後日、一転して謝罪をするドタバタぶりを露呈した。しかしこれは丸川議員個人の問題や見解ではないだろう。原発再稼働や海外輸出をがむしゃらに推し進める安倍政権の"ホンネ"が表れたにすぎない。

 そして、この姿勢はマスコミも同様だ。前述した甲状腺がんの問題は新聞でもテレビでも大きく取り上げられることはほとんどなかった。唯一『報道ステーション』(テレビ朝日系)だけが3月11日、大々的に特集を放映予定だというが、その「報ステ」も3月一杯で古舘伊知郎が降板し、体制が大きく変わる。

 東日本大震災から5年、原発報道のこれからを考えると、暗澹とするばかりだ。
(伊勢崎馨)



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201602/20160226_13028.html
入院遅れて肺炎で死亡 石巻の医療法人提訴
2016年02月26日金曜日 河北新報

 宮城県石巻市の診療所を受診した宮城県内の男性会社役員=当時(70)=が死亡したのは、診療所が適切な治療を怠ったためだとして、男性の遺族が25日までに、診療所を運営する同市の医療法人(石巻市)に約5920万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 訴えによると、男性は2011年2月18日、発熱などを訴えて診療所を訪れ、肺炎と診断された。診療所は必要な血液検査などをしないまま男性に通院治療を受けさせたが、3月7日のエックス線検査で転移性肺がんを疑い、同月10日になって東松島市の病院に入院させた。男性は4日後に重症肺炎で死亡した。
 遺族側は「病原菌を特定する検査は通常2日程度かかるが、入院翌日に東日本大震災が発生して検査ができなくなった。遅くとも3月7日までに肺炎の重症化を把握できれば、病原菌を特定し、有効な治療を開始できた」と主張している。
 医療法人は「弁護士に一任しており、答えられない」と話した。



http://blogos.com/article/163072/
被災40病院 138人「防げた死」? では現実にできる?
中村ゆきつぐ
2016年02月25日 22:59 BLOGOS

本日の朝日新聞の朝刊記事。((東日本大震災5年)被災40病院、138人「防げた死」 厚労省研究班)厚労省の研究班の報告紹介記事です。

震災による停電で人工呼吸器、痰の吸引ができなかった
重症患者が集中し、医療スタッフの手が回らなかった
輸液や薬など医療物質が不足した
受診しないで家、避難所にとどまって容態が悪化
転院ができなくて容態が悪化

それに対する対策として

1 災害による外傷への対応だけでなく慢性疾患を悪化させないような備えも求められる
2 地域外の病院へ転院させる手続きや手順を定めておく
3 薬や医療機材の優先的な供給関する協定を薬の卸会社などと結んでおく

と記事はまとめられています。

この代表の先生はPDFで阪神と東日本大震災の違いを解説されています。外傷がメインだった阪神、溺死がメインだった東日本を比較し改善策を提言されています。(東日本大震災の教訓から課題を抽出し対応策を検討 災害医療体制とDMATの今後とは)

このPDFを読むとまあ納得できるのですが、朝日の記事を読んでも「防げた死」の記載に悪意を感じてしまいました。

まして 対策に上がっている1、2の施策は田舎の医療において平時でも少しハードルが高いものです。転院の場所の確保は言うのは簡単ですが、いざという時のためにベッドを空けておくとその施設は利益が出ません。つまりいつ起きるかわからない有事のために平時の利益を捨てろと言われても現実的には難しいものです。

3の薬も在庫があっても送れなかった輸送の問題があります。正直医療の部分を改善するよりも、食料品などを含めた生活品の輸送手段確保が優先されます。

以前書いた記事です。(NHKスペシャル「原発事故 100時間の記録」現場の意見、平時と有事)どうしても医療者は自分の分野だけでまとめようとしてしまいます。当時と比較しながら変わってないなと少し思ってしまいました。



http://www.asahi.com/articles/ASJ2V2DZ5J2VUBQU006.html
東日本大震災
シリーズ:震災5年へ
福島からの報告(4) きしむ心と体 関連死2024人

大岩ゆり、高田誠、永野真奈
2016年2月26日07時23分 朝日新聞

 福島県内の仮設住宅で独り暮らしの50代の男性の姿が見られなくなったのは昨年春のことだ。

アピタル特集「東日本大震災」
 連絡を受けた親族が、役場から鍵を借りてドアを開けると、男性は玄関口で息絶えていた。死因は肝硬変とみられた。男性が生前、頻繁にタクシーで飲みに出かけていたのを近所の人たちは見かけている。

 男性は原発事故で全村避難する葛尾村の出身。事故で牧場の仕事を失った。関係者が言う。「避難生活が心労となり、もともと好きなお酒にのめりこんだ」

 男性の死は、近隣町村でつくる審査委員会で東日本大震災や原発事故と因果関係がある「震災関連死」と認定された。世帯の生計維持者の遺族には500万円、それ以外の人には250万円の弔慰金が国や自治体などから支払われる。

 浪江町の元高校教師、門馬洋さん(当時70)も昨年2月、震災関連死と認定された。妻の昌子さん(73)によると、事故直後に東京に避難してから坂道を転げ落ちるように体調が悪化し、半年後には「生きていてもしょうがない」が口癖になった。認知症となり、2014年7月、肺炎をこじらせ亡くなった。

 福島では原発事故で飛散した放射性物質による急性被曝(ひばく)で亡くなった人はいない。しかし、事故後約5年間での関連死は2024人に上り、津波や地震による直接死の1604人を超えている。13年に「原発事故によって死亡者が出ている状況ではない」と発言した与党政治家は、後に発言の撤回に追い込まれた。

 関連死の認定にかかわる医師によると、事故後に健康を悪化させて亡くなっても、遺族が申請をあきらめるケースが少なくない。申請には健康に関する詳細な記録が必要になるからだ。

 自殺者の多さも目立つ。内閣府によると昨年末現在で80人。減少傾向にある岩手、宮城の津波被災地とは対照的で、昨年も19人と、前年の15人を上回った。

 心身の問題を抱え、生活習慣病の予備軍になる人も増えている。

 事故前後で同じような健診を受けた40歳以上の男性でみると、糖尿病が強く疑われる人や脂質異常の高中性脂肪血症、肝臓の働きが悪い人の割合が震災後に増えた。女性も似た傾向だ。県の県民健康調査検討委員会では「脂質異常の割合は高いままで、糖尿病は増加し続けている」と指摘する。

県が避難指示区域のある12市町村の住民を対象にした調査では、うつ傾向の比率は事故直後よりは改善したが約10%と高止まり。国内平均より3倍ほど高い。

 避難者を中心に診療を続ける双葉郡医師会顧問の井坂晶さんは「被災者の高齢化だけでは説明がつかない。避難生活による運動量の減少やストレス、先行きの見えない不安や生きがいを失った絶望感。これらが時間がたつにつれ蓄積し、心身の状態が悪化してきている」と分析する。

 及川友好・南相馬市立総合病院副院長は「避難者に定期的に健康診断を受けてもらう、体を動かす機会を増やしてもらうといった地道な取り組みを続けるしかない」と指摘する。

■孤独死防げ 黄色の旗

 一方、住民同士支え合って命や健康を守ろうとする試みもある。大玉村にある富岡町民の復興住宅。約60軒ある住宅の玄関口には早朝になるとぽつりぽつりハンカチ大の黄色い旗が掲げられる。独り暮らしのお年寄りによる「今日も元気」という合図だ。旗は夕方になると取りこまれる。

 復興住宅に隣接する仮設住宅の自治会長、鎌田光利さん(60)が高倉健主演の映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」をイメージして布を用意し、配ったのが始まりだ。夕方に旗をしまっていない独居男性が「苦しい」とうなっているのを見つけ、一命をとりとめたこともある。鎌田さんは言う。「旗だけで孤独死は防げない。気付いてくれる人が周りにいることこそ大切です」(大岩ゆり、高田誠、永野真奈)

=おわり


  1. 2016/02/27(土) 08:29:04|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月26日 

http://medg.jp/mt/?p=6534
MRIC Vol.051 医療の安全と質の分離~医療安全における院内法務の役割
井上清成
井上法律事務所 弁護士
医療ガバナンス学会 (2016年2月26日 06:00)
2016年2月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

1. 医療事故調、手堅くスタート
医療事故調査制度がスタートし、昨年3ヶ月間の医療事故発生報告件数は81件であった(10月19件、11月26件、12月36件)。件数で見る限りでは、手堅いスタートであったと評価しえよう。今後もこの調子で、院内の医療安全推進体制の基盤充実が全国すべての医療機関に手堅く普及していくよう望まれる。
医療事故調査制度において何よりも大切なことは、死亡の予期に関する記録記載が充実し、院内すべての死亡症例の記録一式が管理者の下で一元的にチェックされ、それが院内の医療安全推進体制を向上させていく契機となることであろう。そして、医療安全の向上が全国すべての医療機関で各々それなりに、手堅く徐々に広まっていくことである。

2. 医療安全推進を阻害する法的リスク
ところが、医療安全の推進には常に法的リスクが伏在していることに注意しなければならない。法的リスクの中心は、刑事(特に刑法)と民事(特に民法)である。形式的には法規範そのものではないが、マスコミ公表などの社会的責任や遺族対応などの説明責任も規範的観点から追及されるので、実質的には法的リスクと密接に関連してしまう。
ヒヤリ・ハット報告事例の収集を考えればすぐにわかるように、それが刑事責任・民事責任・社会的責任・説明責任などの責任追及につながる恐れがあると感じられるようでは、医療安全が推進できない。原因究明などと言い換えたとしても、究明の結果が何らかの責任につながりうるとしたら、やはり同様に医療安全が推進できなくなるであろう。
つまり、諸々の責任追及のリスクは、推進しなければならない医療安全の阻害要因なのである。

3. 非懲罰性・秘匿性という知恵
責任追及リスクが医療安全推進の阻害要因であるという現実を直視して、規範的観点からの中立・透明・公正などというフレーズを克服したのが、たとえばWHOドラフトガイドラインにいう「非懲罰性」「秘匿性」という考え方であった。これら「非懲罰性」「秘匿性」は、法的観点からいえばパラダイムシフトと評しえようし、医療安全推進の観点からいえば「知恵」と評しえよう。
厚生労働省も、このWHOドラフトガイドラインの「知恵」を医療事故調査制度に導入し、厚労省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A」のQ1で明言した。
これに伴い、中立性も患者遺族を除外した院内での中立性(管理者vs従事者、医療安全対策vs診療科、診療科vs診療科、医師vs看護師などの院内での諸対立からの中立)に、透明性も患者遺族などの院外には秘匿した上での院内での透明性(院内事故調査情報の管理者や従事者など院内での共有)に、公正性も責任認定や責任分担を除外した純粋に医学的・科学的な公正性に、パラダイムシフトしたといってよいであろう。

4. 再発防止策の法的リスク
非懲罰性と秘匿性を実現すべく、今般の医療事故調査制度では、たとえば,医療事故と医療過誤の概念の分離、事故調査報告の非識別加工、などといった法政策を採用した。
また、再発防止策の報告書記載についても、「調査において再発防止策の検討を行った場合,管理者が講ずる再発防止策については記載する。」(平成27年5月8日付け厚生労働省医政局長通知・別添11頁)という微妙な表現をしている。もちろん,院内の医療安全推進の観点からすれば、これは当然のことであろう。案出した未検証の再発防止策では、果たして当該医療機関で副作用なく上手く現実的に機能するかはわからない。そこで、実際に「管理者が講ずる」場合に限って報告書に記載することとしたのである。
しかし、再発防止策については、法的リスクの観点からも問題が大きい。再発防止策それ自体が、当該医療行為の過失を推認する法的証拠となるからである。

5. 医療行為の医学的評価の法的リスク
再発防止策の明示には、非懲罰性と秘匿性の観点から、常に法的リスクがつきまとう。しかし、それ以上にさらに法的リスクが大きいのが当該「医療行為の医学的評価」である。
もちろん、当該「医療行為の医学的評価」は、当該医療行為の過失と直結する法的証拠とならざるをえない。それは、非懲罰性と秘匿性のルールに真正面から衝突する。
念のため誤解を避けるためここに付言すると、「非懲罰性」とは「懲罰と関わらない」という意味であって、過失を基礎付けてはならないのはもちろんだが、過失が無いことを基礎付けてもいけない。有責にも無責にも一切関わらないという意味である。時に、「医療行為の医学的評価によって無過失になったので良かった。」という声も聞くが、それは「非懲罰性」に対する誤解に過ぎない。

6. 医療の安全と質の分離
法的リスクは医療安全推進の阻害要因となるので、当然、「医療行為の医学的評価」は「再発防止策の明示」以上に慎重でなければならないであろう。現に、今般の医療事故調査制度では、「医療行為の医学的評価」は無視された。
さらに、より根本的に考えると、医療の安全の向上と医療の質の向上とはイコールではない。もちろん、一部で重なっているところはある。しかし、根本的には、医療の安全の向上と医療の質の向上は、もともと別個のものであり、それぞれ別個の観点から向上させていくべきものであろう。
今までは何となく、質向上が即ち安全向上につながると感じられ、疑問すら持たれないことも多かったように思える。たとえば、医療事故調査において「医療行為の医学的評価」を行うことは、医療の安全の向上と医療の質の向上とを同一視することを当然の前提にしてしまっているようにも感じられる。あくまでも私的な予想に過ぎないが、将来は、「医療の安全と質の分離」という新たなパラダイムシフトが生じるのではないか、とも思う。
さて、それはいずれにしても、これら諸々の法的リスクを察知・回避して、真に医療安全を推進できる院内の法的な支援・整備をしていくのが、医療安全における院内法務の役割なのである。



https://www.m3.com/news/general/402952
がんを「胃潰瘍」と告知 奈良、男性死亡で賠償命令
2016年2月26日 (金)配信 共同通信社

 2012年に奈良県橿原市の男性=当時(53)=が胃がんで死亡したのは、検査でがんを発見しながら約1年間「胃潰瘍」と誤って伝えていたためだとして、遺族が同県大和高田市の「土庫(どんご)病院」を運営する法人などに約1億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、奈良地裁は25日、約6200万円の支払いを命じた。

 木太伸広(きた・のぶひろ)裁判長は判決理由で、病院が当初の検査で胃がんと告げ、すぐに治療していれば、男性がより長く生きていた可能性が高いと述べ、病院側の告知ミスと死亡との因果関係を認めた。

 判決によると、病院側は10年9月に男性の病状について胃がんと診断したが、男性が同年2月に別の医療機関で受診した際の診断書を基に誤って胃潰瘍と告知。11年秋の人間ドックで胃がんとあらためて確認したが、12年7月に死亡した。



https://www.m3.com/news/general/403055?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160226&dcf_doctor=true&mc.l=146074739&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
「ハラスメント認定困難」 浜松医大委員会が結論
2016年2月26日 (金)配信 静岡新聞

 浜松医科大(浜松市東区)の中村達学長にハラスメント行為を受けたとして同大の2教授が学内のハラスメント防止等対策委員会に「パワハラの中止」などを申し立てた問題で、同委員会が25日までに、この2件の申し立てについて「ハラスメント行為を認定するのは困難」との結論を出していたことが関係者への取材で分かった。

 申し立てたのは、中村学長と大学に損害賠償などを求め静岡地裁浜松支部で係争中の50代の男性教授と、60代の男性教授。50代教授は長年、学長に威圧的な態度を取られ、担当講座の再編を強要されたなどと訴え、60代教授は自身が手掛ける事業を妨害された上、悪評を吹聴されるなどしたと主張している。

 大学側によると、同委員会などの調査の結果、「客観的事実が乏しくハラスメント行為は認定できなかった」という。

 関係者によると、50代教授の案件に関する通知書には「裁判所の判断に委ねることが妥当と決議した」と付記されている。60代教授の代理人は同日までに、結論の根拠を示すよう同委員会に質問状を提出したという。



https://www.m3.com/news/general/403035
総人口1億2711万人 初の減少、15年国勢調査 東京一極集中続く
行政・政治 2016年2月26日 (金)配信 共同通信社

 総務省が26日公表した国勢調査の速報値によると、2015年10月1日時点の外国人を含む日本の総人口は1億2711万47人だった。10年の前回調査から約94万7千人減り、減少率は0・7%。各種統計の基本となる国勢調査で総人口が減ったのは、1920年の調査開始以来、初めて。人口減少の深刻さがあらためて浮き彫りになった。一方、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の人口は、約3613万人で約51万人増加。東京一極集中が続いている。

 総務省は「死亡数が出生数を上回る自然減は毎年20万人程度で推移している。日本に住む外国人は増加しているとみられるが、自然減が大きく上回った」と分析した。

 人口が減ったのは39道府県で、うち33道府県で減少幅が拡大している。減少率の最大は秋田の5・8%で、福島、青森、高知が続いた。

 増加は8都県で、増加率トップは、沖縄の3・0%。高い出生率と移住増が理由という。東京が2・7%で、以下順に愛知、埼玉、神奈川、福岡、滋賀、千葉だった。大阪は減少に転じた。減少から増加に転じた都道府県はなかった。

 世帯数は5340万3226で2・8%増えた。青森、秋田、和歌山、高知、鹿児島は減少し、ほかの42都道府県は増加した。1世帯当たりの人数は2・38人で、70年以降、最少を更新。世帯の小規模化が進んでいる。

 国連推計による15年の各国の人口と比較すると日本は10番目で、世界人口に占める割合は1・7%。上位20カ国で10~15年の人口増減を見ると、減少は日本だけだった。

 住民基本台帳に基づく人口動態調査では、外国人を除く日本の人口は09年をピークに減少局面に入っている。

 ※国勢調査

 統計法に基づき5年に1度、日本国内に住む全ての人と世帯を対象に実施する国の最も基本的な調査。調査事項は年齢、性別、就業状況や住居の種類など。集計結果は他の統計の基礎資料になるほか、衆院小選挙区の区割りや地方交付税の算定などに利用される。2月の人口速報値の後、主要事項の抽出集計、総人口の確定値などが順次公表される。



https://www.m3.com/news/general/403025
管理医師常駐装った疑い 医療法人理事長ら書類送検
2016年2月26日 (金)配信 共同通信社

 医療法人「秀真会」の医師法違反事件で、警視庁生活環境課は26日、保健所の調査に対し管理医師が常駐しているように装ったとして、医療法違反の疑いで、理事長の歯科医玉置秀司(たまき・ひでし)被告(58)=医師法違反罪で起訴=や、診療所に名義を貸した男性医師(40)=さいたま市=ら計4人を書類送検した。

 書類送検容疑は2014年3月、経営する東京都江東区の診療所が保健所の立ち入り調査を受けた際、別の医師が管理医師に成りすまして常駐しているように見せかけるなどした疑い。

 同課によると、医療法は医療機関に管理医師を常駐させるよう定めている。マスクや眼鏡で変装し管理医師に似せていたという。この診療所では13年9月以降、医師の勤務実態がなく、医師免許のない玉置被告らが診療していた。

 玉置被告は、がん患者らに歯科医師免許で認められていない範囲の医療行為をしたとして1月に逮捕されていた。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48206.html
新専門医制度、「人権侵害になりかねない」- 公私病院連盟、研修開始の延期要望
2016年02月26日 21時00分キャリアブレイン

 2017年度から養成が始まる予定の新専門医について、全国公私病院連盟は26日までに、研修開始の延期を求める声明を出した。声明では、医師の地域偏在の拡大などを懸念。身分保障の制度設計の不備にも言及し、新専門医制度が「人権侵害にもなりかねない」としている。【新井哉】

 専門医をめぐっては、これまでは各学会が独自に認定してきたが、新制度では中立的な第三者機関の日本専門医機構が一元的に認定を行う。専門研修を行う基幹施設は、3月までをめどに専門医機構に研修プログラムを申請。6月にもプログラムを専攻する医師(専攻医)の募集を始める見通し。

 ただ、日本医師会などが制度の改善を要望しており、社会保障審議会の医療部会も今月18日、新専門医制度の在り方について、専門委員会を設けて議論することを決めるなど、制度の「再考」を求める動きが出てきた。

 全国公私病院連盟も今回の声明で、専攻医の研修期間中の給与や健康保険といった身分保障について、制度設計がなされていないことを挙げ、人権侵害の恐れもあることを指摘。また、地方大学の地域枠の医師や自治医科大を卒業した医師らの診療科選択や義務事項との整合性が示されていないとし、こうした医師に「多大な負担を強いる可能性がある」としている。

 さらに、専門研修を実施する基幹病院は、大学病院や都市部の大病院に限られると指摘。「専攻医の都市集中は現状以上となり、医師の地域偏在を増幅させる」との懸念を示している。認定を行う日本専門医機構の社員構成についても「極めて不自然」とし、「専門医を育て雇用する病院の団体」を社員に加えるよう求めている。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016022601002219.html
男性医師インサイダー取引で処分 治験情報悪用、宮崎大
2016年2月26日 20時52分(共同)

 宮崎大(宮崎市)は26日、製薬会社「アールテック・ウエノ」(東京)が依頼した目薬の治験に関する情報を悪用し、同社株のインサイダー取引をしたとして、医学部の男性医師を停職3カ月の懲戒処分にした。医師の詳しい肩書などは公表していない。

 医師は大学の調査に「当時は身内にお金が必要な状況だった。認識が甘く、軽はずみな行為で深く反省している」と話しているという。記者会見した丸山真杉医学部長は「職員の倫理保持に向けた教育を徹底し、再発防止に努める」と述べた。

 医師は治験のリーダー。取引時は仕事中だった。自ら株を売買するのは初めてだったという。



http://mainichi.jp/articles/20160227/k00/00m/040/076000c
インサイダー取引
宮崎大医学部教員を停職3カ月

毎日新聞2016年2月26日 20時24分(最終更新 2月26日 20時24分)

 宮崎大学(宮崎市)は26日、点眼薬の治験契約をしていた製薬会社から得た情報を悪用してインサイダー取引をしたとして、医学部の男性教員を同日付で停職3カ月の処分にしたと発表した。

 大学によると、教員は医師で、製薬会社が医学部に依頼していた点眼薬の治験チームのリーダーだった。昨年3月9日、「治験を中止する」という会社からの連絡を受けた教員は、会社の正式発表前に、同社の800株を空売りして約60万円の利益を得た。

 証券取引等監視委員会が昨年11月、金融商品取引法に違反したとして、教員に対し課徴金60万円の納付を命じるよう金融庁に勧告した。教員は納付後に、大学に事実関係を報告した。

 教員は医学部の調査に「インサイダー取引にあたるとは知らず、軽はずみな行為だった」と話しているという。大学は教員の名前などは公表していない。【中山裕司】



http://mainichi.jp/articles/20160226/dde/041/040/075000c
無資格がん治療
医療法違反容疑、4人を書類送検

毎日新聞2016年2月26日 東京夕刊

 東京都江東区の診療所「東京有明メディカルクリニック」(閉院)での「がん遺伝子治療」を巡る医師法違反事件に関連し、警視庁生活環境課は26日、勤務実態のない医師が管理者として常駐しているように装ったとして、院長で歯科医の玉置秀司被告(58)=同法違反で起訴=や、名義を貸した埼玉県の男性医師(40)ら男4人を医療法違反容疑で書類送検した。いずれも容疑を認めている。

 医療法で、病院や診療所を運営する際には常勤の医師を管理者として置かなければならない。送検容疑は14年3月と5月、保健所の立ち入り検査などの際、4人のうち1人が40歳の男性医師になりすまして、管理者が常駐しているように装い虚偽報告したとしている。【斎川瞳】



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=130878
がん検診、コンビニで…来年度から
(2016年2月26日 読売新聞)

02261_2016022708263291b.jpg
 がん検診をコンビニで――。京都府は来年度から、コンビニエンスストア大手のローソンと提携し、店舗駐車場などでがん検診が受けられる体制づくりに乗り出す。

 府内のがん検診の受診率は、全国平均を下回っているとの統計もあり、買い物ついでに利用してもらうことで、受診率の底上げにつなげたい考えだ。

 各市町村が実施するがん検診は、子宮頸けいがんなど一部を除き、おおむね40歳以上が対象。指定された医療機関か保健センター、公民館などで受診するのが一般的だ。

 市町村では年1回の検診を呼び掛けているが、府内の受診率は低調。2013年に国立がん研究センターがまとめた調査では、胃がんや大腸がんなど「5大がん」全てで全国平均を下回った。

 打開策を探る府は1月、府内に300以上の店舗を持つローソンからの提案もあり、がん検診や、生活習慣病予防を目的とする特定健診(メタボ健診)の受診促進に向けた協定を締結した。

 ローソンは同様の協定を兵庫県尼崎市など全国4自治体と結んでおり、店内や駐車場で健診や啓発を行っている。尼崎市では、定期的に市の健診車が駐車場に出向いて特定健診を実施。希望者は予約なしで血液検査や血圧測定、医師の診察などを受けられる。出張料金は不要で、14年度は16店舗で234人が利用した。

 市の担当者は「公民館など他の会場に比べ、これまで一度も検査を受けたことがなかった人や若年層が目立った」と手応えを示す。

 府は来年度、モデルケースとして数店舗を選んで検診を始め、利用状況に応じて実施店舗の拡大を検討する。府健康対策課の担当者は「日常的に訪れるコンビニの特徴を生かし、検診を身近に感じてもらいたい」と話している。(升田祥太朗)



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/214106.html
常勤整形外科医が不在に 佐久間病院、4月以降
(2016/2/26 07:54) 静岡新聞

 静岡県内に5カ所あるへき地医療拠点病院の一つで、浜松市が開設している佐久間病院(同市天竜区佐久間町)の常勤の整形外科医が4月以降、不在になることが市などへの取材で分かった。近隣の医療機関から非常勤医師の派遣協力が得られたため、外来診療や救急体制は維持できる見込み。市は引き続き、常勤可能な医師の確保に努めるとしている。
 関係者によると、2014年に市が採用した整形外科医が本年度末で退職する。市は昨秋から後任医師の確保に動くと同時に、浜松医科大(同市東区)などに協力を求め、診療継続と当直体制の維持に向けた方策を探っていた。同大は市の要請に応じる構えで、詳細を調整しているとみられる。




2http://www.medwatch.jp/?p=7811016年2月26日|2016診療報酬改定ウォッチ
2016年度診療報酬改定、日病協の要望は4つが実現、8つが一部実現、1つが却下―日病協会見
2016年2月26日|2016診療報酬改定ウォッチ MediWatch

 2016年度改定に向けて日本病院団体協議会が行った13の要望項目に対して、中央社会保険医療協議会では4項目が受け入れられ、1項目は却下され、8項目が一部受け入れられた―。このような評価をしていることが、26日に開かれた定例記者会見で楠岡英雄議長から明らかにされました。

病棟群単位の恒常化に向け、要望を続けていく姿勢を強調
 日病協には、日本病院会や全日本病院協会、日本医療法人協会などが加盟しており、主に診療報酬改定に向け、病院団体として統一した動きをとるための協議会です。

 2016年度改定に向けては、昨年(2015年)7月に第1弾、12月に第2弾、の要望を行いました。それに対し、中医協が2月10日の答申(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)でどのような答えを出したのか、代表者会議(各病院団体のトップによる会議)で検証が行われたことを楠岡議長が説明しています。具体的には次のとおり、「受け入れられた項目(○)」が4つ、「一部受け入れられた項目(△)」が8つ、「受け入れられなかった項目(×)」が1つとなっています。

(1)病棟群単位の入院基本料届け出
   →具体的な内容が、日病協の考えと若干異なるので「△」

(2)看護師の月平均夜勤72時間ルールの見直し
   →日病協は施設基準からの削除を要望したが、例えば7対1・10対1では「計算対象から16時間『未満』を除外する(これまでは16時間『以下』を除外)」となった。現場では大きな影響も予想されるので「△」

(3)重症度、医療・看護必要度の見直し
   →より急性期入院医療の実情を評価してほしいと要望しており、C項目の新設などかなり受け入れられたが、「重症患者割合25%へのは引き上げ」は厳しすぎるので「△」

(4)医療機関のコスト分析と、その結果の診療報酬への反映
   →ICTの利用など具体的な取り組みが評価されたほか、費用対効果評の試行が行われるので「△」

(5)地域包括ケア病棟の評価
   →現在「手術、麻酔の包括評価」は、将来における地域包括ケア病棟の役割(急性増悪患者の受け入れなど)と矛盾する。この点、包括から除外されたので「○」

(6)入院中の他医療機関受診に関する規定の見直し
   →本来は「制約なし(減額なし)」とすべきだが、従来よりも減額措置や要件を緩和しているので「△」

(7)医師事務作業補助体制加算の、急性期以外の病棟での算定容認
   →療養病棟、精神病棟にもある程度拡大されたので「△」

(8)要介護高齢者に対する、医療保険の維持期リハビリテーションの継続
   →2018年3月まで継続されたのと同じ状態であり「○」

(9)手術・1000点以上の処置における休日加算1・時間外加算1・深夜加算1の算定要件の緩和
   →スタートしてみなければ、どの程度の効果が現れているのかが把握できないが、少なくとも要件は緩和されたので「△」

(10)院内処方と院外処方の不均衡是正
   →門前薬局の評価見直しや、かかりつけ薬剤師・薬局の評価新設という形で調剤薬局の役割をある程度明確化されているので「△」

(11)救急医療の評価を充実
→夜間休日救急搬送医学管理料の評価充実などが行われており「○」
   
(12)同一日に複数の診療科を受診した場合の減額措置の見直し
   →従前と変わっておらず「×」

(13)チーム医療における多職種連携の評価の充実
   →栄養サポートチーム加算における「歯科医師連携加算」の新設などが行われており「○」


 楠岡議長は(1)の「病棟群単位の入院基本料」について、「厚労省は当初否定的であったものが、2年間の暫定措置とはいえ導入された点は評価できる」とした上で、「今後も、恒常的な措置となるように訴えていく」という日病協のスタンスを改めて強調しています(関連記事はこちらとこちら)。

またDPCについては、「全体的に係数が低くなっているのではないか」との見方を示しており、今後も各病院の状況をきちんと把握していく考えも述べています。



http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20160226_9
県立病院、15年度は赤字見込み 6年ぶり、患者減影響
(2016/02/26)岩手民報

 県医療局は、25日の県議会議案説明会で2015年度の県立病院事業会計最終予算案を示し、経常損益は約18億円の赤字となる見通しだ。患者数の減少や県人事委員会勧告に準じた給与引き上げで収支が悪化し6年ぶりの赤字を見込んでいる。

 20県立病院と6地域診療センターの収益1003億円(当初予算比2億円減)に対し、費用は1028億円(同9億円増)となる見込み。純損益は約25億円の赤字となる見通しだ。特別損失は花巻厚生病院(花巻市)の解体費用など約7億円。

 入院患者が4万5千人、外来患者が1万3千人それぞれ当初見込みより減少するほか、薬品など材料費の増加を見込む。さらに県人事委員会勧告に準じた給与引き上げで人件費が約7億円増えることで収支が悪化した。

 病院別では中央病院(盛岡市)や中部病院(北上市)など都市部で黒字となる見通しだが、県北や沿岸部を中心に15病院で赤字を見込む。本県は全国で県立病院数が最も多い一方、その維持のために年間約140億円前後を県の一般会計から繰り入れている。


  1. 2016/02/27(土) 08:27:58|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月25日 3.11震災関連 

http://digital.asahi.com/articles/ASJ2L73Q6J2LULBJ010.html?rm=561
医療・健康・福祉(アピタル)
「防ぎ得た病院死」138人 震災で機器停止・薬不足

福宮智代
2016年2月25日10時32分 朝日新聞

0225.jpg
「防ぎ得た死」と判定された例と東日本大震災で「防ぎ得た死」とされる人数
 東日本大震災の際、岩手・宮城両県の病院で亡くなった1042人のうち、少なくとも138人は、通常の診療体制なら救命できた可能性が高い「防ぎ得た死」だったとする調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。停電による人工呼吸器の停止や薬の不足などが主な原因。研究班では災害時に診療を継続するための準備をしておくことを提案している。

 被害が大きかった沿岸部で協力の得られた災害拠点病院を中心にした40病院で、2011年3月11日から約3週間以内に亡くなった1042人を対象に、救命救急の専門医らがカルテや担当医への聞き取りなどを通して一人ひとりの治療経過を調べた。

 その結果、通常の診療体制のもとで治療を受けていれば死亡が回避できた「防ぎ得た死」か、その可能性が高いと判定されたのは計138人。このうち55人は震災前から何らかの原因で入院していた。

 重症患者が集中し、医療スタッフの手が回らなかった▽輸液や薬など医療物資が不足した▽停電などで治療が滞ったなどが原因に挙げられた。避難所や自宅にとどまって容体が悪化するなど病院への到着が早ければ救命できたと判定されたケースもあった。

 警察庁の発表による震災の死者は1万6千人近くに上り、これ以外に各自治体が認定する「震災関連死」がある。今回のケースは両方が含まれるとみられる。

 阪神大震災では、倒壊した建物の下敷きになるケースが続出。教訓として災害発生後にただちに現場に派遣され、救命に当たる災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」が発足するなどした。ただ、津波による溺死(できし)が多数を占めた東日本大震災では、DMAT到着時に亡くなっているケースが多かった一方、震災の数日後から避難先の環境悪化などで医療を必要とする人が増えたという。

 研究班の小井土雄一・国立病院機構災害医療センター臨床研究部長は「災害による外傷への対応だけでなく慢性疾患を悪化させないような備えも求められる」と話す。研究班では、医療機材や医薬品の備蓄、衛星電話などの装備以外にも、患者を地域外の病院へ転院させる手続きや手順を定めておく▽薬や医療機材の優先的な供給に関する協定を薬の卸会社などと結んでおく、などを提案している。(福宮智代)

■「防ぎ得た死」と判定された例

・ 間質性肺炎で入院中、停電で人工呼吸器が一時停止し、病状が悪化して震災4日後に死亡した。
・ 停電でたんの吸引ができず、呼吸困難になった。
・ 避難所で容体が悪くなった患者が災害拠点病院に集中し、医師や看護師、医薬品が不足した。
・ 在庫不足を補うため点滴の回数を減らし、容体が悪化した。
・ 通信手段が断たれ、転院先との調整ができなかった。


  1. 2016/02/26(金) 06:35:32|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月25日

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48194.html
医師法21条改正に慎重姿勢- 医法協・小田原部会長
2016年02月25日 21時00分 キャリアブレイン

 日本医療法人協会(医法協)の小田原良治・医療安全調査部会長は25日、東京都内で緊急記者会見を開き、日本医師会(日医)が24日に発表した医師法21条の見直し案に対して慎重な姿勢を示した。小田原部会長は、昨年10月に医療事故調査制度がスタートしたばかりで、法改正の議論が医療現場の混乱を招くと指摘。また、同法の改正は、医療事故と業務上過失致死などとの関係の見直しとセットで将来的に検討すべき課題で、今はその段階でないと強調した。【佐藤貴彦】

 同法21条は、医師が死体を検案して異状があると認めた場合などに、警察に届け出るよう定めている。日医の提案は、「犯罪と関係ある異状」を認めた場合に限って届け出る規定に改めるもので、21条の規定に違反した者への罰則をなくすことも提言している。一方、「生命・身体傷害を伴う医療事故全てに業務上過失致死罪を適用することの相当性」などについての検討は、「次の段階」で取り掛かるべきとの見解を示している。

 25日に会見した小田原部会長は、医療機関が医療事故の原因を調査し、その結果などを民間の第三者機関に報告することで再発を防ぐ医療事故調査制度の運用が始まったばかりだと指摘。「大事な時期。いたずらに見直しの議論(をするの)は、制度そのものを危うくする」と危機感をあらわにした。

 さらに、医師法21条などの見直しは、医療事故と業務上過失致死などとの関係とセットで検討すべきだと主張。また、「当面は医療事故調査制度の運用を、医療安全の仕組みとしてつくり上げることが(医師法21条などを見直す)前提だ」と述べた。

 同制度を創設した改正医療法の附則で、今年6月までに法制上の措置など「必要な措置」を講じることになっている点にも触れ、「法律を見直すという条文はどこにもない」と強調した。

■医療安全管理指針など、事故調組み入れた内容に-医法協・井上法律顧問が提案

 この日の会見に同席した医法協の井上清成・法律顧問は、附則に基づいて講じる「必要な措置」の案を提示。省令などの改正により、各医療機関が策定することになっている医療安全管理指針などの内容に、医療事故調査制度を組み入れるルールを設けるもので、医療安全体制の基盤を充実させる効果が期待できるとした。



http://www.sankei.com/west/news/160225/wst1602250080-n1.html
児童買春容疑の大分大病院所属の28歳医師逮捕 
2016.2.25 20:18 産経ニュース

 大分県警は25日、女子高校生2人とみだらな行為をしたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)の疑いで大分大病院の医師、野田祥平容疑者(28)=大分市賀来西=を逮捕した。「18歳未満とは知らなかった」と容疑を否認しているという。

 逮捕容疑は昨年11月15日、15歳と16歳の高校生2人に現金を渡す約束をして、大分市のホテルでみだらな行為をしたとしている。

 県警によると、野田容疑者と2人はスマートフォンの出会い系アプリを通じて知り合った。援助交際を求める書き込みを県警が見つけ、2人を補導して発覚した。

 大分大病院によると、野田容疑者は整形外科の医師。津村弘病院長は記者会見し「非常に遺憾。もし事実なら被害者に申し訳なく、厳正に対処する」と話した。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48192.html
「リビングウィル法案」、今国会に提出を- 超党派議連会長
2016年02月25日 20時00分 キャリアブレイン

 終末期の意思を事前に書面などで示す「リビングウィル」の法制化を検討している超党派の「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は25日、東京都内でシンポジウムを開いた。この中で増子会長は、「各党の手続きを終え、何とか今国会に法案を提出したい」と述べた。【敦賀陽平】

 同議連は2005年に設立された「尊厳死法制化を考える議員連盟」が前身で、昨年2月に名称を変更。現在、衆参合わせて196人の議員が名を連ねている。

 国会への提出を目指しているのは、「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」(仮称)。同案では、15歳以上の患者が書面などで自分の意思を示し、2人以上の医師が回復の可能性がない「終末期」と認定した場合に限り、延命措置を受けない「尊厳死」を選ぶことが法的に認められるもので、担当医の免責規定も盛り込まれている。

 この日のシンポジウムでは、米国在住の内科医の大西睦子さんと、長野県須坂市の健康福祉部長の樽井寛美さんが、米国や自治体のリビングウィルの取り組みについてそれぞれ講演した。

■自治体が独自にリビングウィル作成

 米国では、カリフォルニア州でリビングウィルを認める法律が最初に作られた1970年代半ば以降、各州で法制化が進み、今では「尊厳死は自然死という形でとらえられている」(大西さん)という。

 ただ、死について話すことは米国でもタブー視され、リビングウィルを持つ米国人は全体の約3割にとどまっている。また、認知症を持つ高齢者の増加で、意思の表明が困難な事例も発生しており、大西さんは「米国でも一気に法制化が進んだわけではない。各州が試行錯誤しながら、今日まで議論が続いている」と述べた。

 一方、樽井さんは長野県内の須坂市、小布施町、高山村の3市町村による「医療福祉推進協議会」の取り組みを紹介。同協議会では、地域の在宅医療の関係者らが議論を重ねた末、2013年に独自のリビングウィルを作成し、これまで1800部が配布されているという。

 これに法的な拘束力はないが、樽井さんは「目指しているのは、元気なうちに自分の最期を考える文化。救急搬送の際、家族が『そういえば、こんなことを言っていたな』と思い出し、患者本人が後悔しない選択ができるようになれば」と話した。



http://www.niigata-nippo.co.jp/life/medical/news/20160225237419.html
あがの市民病院 3年連続赤字に
2015年度決算見込み 阿賀野市

2016/02/25 15:50 新潟日報

 阿賀野市は24日、市議会新病院・地域医療に関する特別委員会で、あがの市民病院の2015年度決算見込み額が3年連続の赤字になることを明らかにした。

 入院患者の減少や、新病院開院時の旧水原郷病院との並行稼働による施設コストの増加、新病院開院時の医薬品の購入費増加などが原因で、総収入から総支出を差し引いた純損失は、4億9483万円となる。

 10年度に公設民営化された旧水原郷病院は、JA県厚生連が指定管理者として運営。昨年10月に建て替えられ、あがの市民病院と改称してオープンした。

 15年度の延べ患者数は1月末現在、入院が4万6446人(前年同期比466人減)、外来が7万7302人(同比2513人増)となった。

 経営改善に向けて、市地域医療推進課は「常勤医師の確保や、費用圧縮などに取り組みたい」としている。



http://www.iga-younet.co.jp/news1/2016/02/19-9.html
市民病院への赤字補てん 1・9億円を追加 伊賀市の補正予算
(2016年2月25日 15:17) 伊賀タウン情報ユーネット」

 伊賀市は2月25日、病院事業会計の2015年度決算見込みを発表し、厳しい経営が続く市立上野総合市民病院(同市四十九町)に一般会計からの赤字補てんとして、財政健全化補助金1億9320万円の繰り出しを明らかにした。市議会3月定例会で提案する補正予算案に盛り込む。

 同補助金は15年度当初予算でも1億円を計上しており、補正による追加分を合わせると合計2億9320万円。昨年度は当初予算で2億円、補正予算で4億9000万円追加し、計6億9000万円に上った。

 市によると、5階病棟の再開で入院が4億2212万円、医師や看護師の増員で外来が1億1722万円の増収をそれぞれ見込み、前年度よりも大幅に収支改善した。しかし、給与費が約2億2200万円増の23億4983万円に、材料費が7417万円増の6億9824万円に膨らみ、支出が収入を上回った。

 今後の対策としては、唯一閉鎖している4階病棟を4月から再開し、入院収益を増加させ、事務職員の削減や物品管理の徹底、契約の見直しなどで支出を減らすとしている。


http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48180.html
空路で活用始まる医師資格証、今後どうなる- 日医・石川常任理事に聞く
2016年02月25日 16時00分 キャリアブレイン

 医師の本人確認や地域医療連携での認証などに利用可能な「医師資格証」が、日常の医療現場だけでなく、空の救急医療でも活用されるようになった。医師が同資格証の情報をあらかじめ航空会社に申請する「JAL DOCTOR登録制度」がスタートした。日本医師会(日医)と日本航空(JAL)による取り組みで、機内の急病人に対し、搭乗した医師が迅速に応急処置できるようにするのが目的。日医の石川広己常任理事は、「この資格証の使い道の1つとして、ぜひご活用いただきたい」としている。同制度の内容や今後の展開などについて、話を聞いた。【松村秀士】

 医師資格証については、ITを用いた地域医療連携で紹介状などを作成する時の電子署名を行う用途のほか、本人確認ができる身分証としての利用などを目的に開発された。日医電子認証センターが2014年3月から同資格証の発行を開始しており、日医の会員、非会員にかかわらず、すべての医師が申請して所有することができる。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0225050025/
住民検診として「推奨」でも,国は「推奨しない」??
第2回健康診査等専門委員会

2016.02.25 14:15 Medical Tribune

 「自治体にあるPSA検診の推奨ポスターを見て,自分もそろそろ受けた方がいいと思っていた。今,"厚労省は推奨していない"と聞いて戸惑っている」―2月19日,厚生労働省で開かれた第2回健康診査等専門委員会(委員長=東北大学公衆衛生学分野教授・辻一郎氏)でのひとコマだ。大阪大学環境医学教授の祖父江友孝氏によるがん検診の有効性評価に関する解説を聞いた有識者委員が同氏らに詳しい説明を求めた。委員は「住民検診のポスターは厚労省がつくっていると思っていた」とも。いったい,どういうことだろうか??

 祖父江氏によると,がん検診の目的は一般に「がんの早期発見で,がん死亡を防ぐこと」。がん検診の政策導入に当たっては,国際的に標準化された手法に基づく過程が完成していると述べた。こうした手法に基づき,厚労省が現在,「検診によるがん死亡の減少が確実」として推進する対策型検診は①胃がん(胃部X線など)②子宮がん(細胞診など)③肺がん(胸部X線など)④乳がん(マンモグラフィなど)⑤大腸がん(便潜血検査)―の5つ。ただし,これは健康増進法に基づく市町村事業にのみ拘束力を持つもので,職域のがん検診や人間ドックなどは対象とならない。

 がん検診の評価で重要な項目としては,がん死亡の減少を含む「利益」の他,①偽陰性者の治療遅延②偽陽性者への不要な検査③検診に伴う合併症④寿命に比べ意味のないがんの診断治療(広義の過剰診断)がある―と同氏。特に④は,①~③に見られる「どこかで誤った判断が関与している」のと違い,「亡くなるまでには症状が発現しないがんを検診で発見することにより,早期発見と治療が行われ"良かった"となり,全く間違いはない。ただし,結果的にはどうかということ」と説明する。こうした過剰診断が起こる要因として「余命がある程度限定的」「がんの滞在時間が非常に長い」ことがあると指摘した。

 個々のがんが過剰診断かどうかを判断するのはほぼ不可能だが,集団においては罹患率が期待以上に増え,不要な精密検査や治療の負担が増える。実際に過剰診断が問題となった例として同氏は米国では1990年代に前立腺がん罹患率が,韓国では女性の甲状腺がんの罹患率だけが2006~12年ごろにかけて急激に上昇したことを紹介。「米国では同じ時期にPSA検診が広く普及したこと,韓国では乳がん検診と同じプローブを用いた甲状腺検診が普及したことがその要因と考えられている」と同氏。韓国の場合,専門家らが超音波検査による甲状腺がん検診を行わないよう推奨し,その後甲状腺がんの手術件数が減少したと述べた。

厚労省「自治体事業の検診として推奨せず」,学会「住民検診を推奨」

 祖父江氏は市町村事業として行われる対策型検診だけでなく,それ以外の任意型検診についても利益と不利益のバランスに基づく実施の判断が重要と指摘。日本のがん検診の課題について「不利益の部分の情報が非常に不足しており,サービスとしてのバランス決定の論理も未成熟」と指摘。さらに受診率が低いだけでなく,市町村や職域,医療機関での検診受診率を包括的に評価できるシステムがない,対象年齢の範囲が示されていない,検診間隔の検討が十分に行われていないといった問題もあると話した。

 同氏の説明を受け,ある委員からは「職域での検診の場合,侵襲を伴う検査よりも腫瘍マーカーを優先してしまい,後で余分な精密検査が必要になっているケースもある。不利益の情報がより明確になった方がそうした問題が生じにくくなるかもしれない」といった意見も出された。

 別の委員からは「自治体にはPSA検診のポスターが掲示されているが,厚労省は対策型検診として推奨していないと聞き,戸惑っている。どう捉えればよいのか」との質問も出された。

 同氏は「現在の同学会の立場を確認しているわけではない」と前置きした上で,米国での動きを参考情報として紹介。それによると,政府の諮問委員会(米国予防医療サービス対策委員会;USPSTF)が2012年,PSA検診を「不利益が利益を上回るので推奨しない」と表明。当時,50歳以上の男性の多くが同検診を受けている状態だったため,大きな議論が巻き起こった。

 しかし,その後,米国泌尿器科学会(AUA)などはUSPSTFの推奨に沿ったガイドラインを出すなど「かなり抑制的な対応が取られた」(同氏)。現在,米国では「50歳代,60歳代は医療従事者と相談して判断すること,50歳以下や70歳以上には推奨されていない」と話す。

 日本では,厚労省研究班がPSA検診を対策型検診として「推奨しない」との見解を示すのに対し,日本泌尿器科学会は2011年時点の見解で「住民検診として 50歳以上からの受診」を推奨。学会と厚労省で立場が異なっている。

 同氏は「日本ではかなりの割合の市町村が独自の事業でPSA検診を行っている」と指摘。「実施に当たっては十分な情報を得た上で判断して頂きたい」と述べた。

 厚労省事務局は「PSA検診は,今のところ推奨していない。昨年(2015年)12月に取りまとめた"がん対策加速化プラン"では,一部の自治体で厚労省の指針に基づかないがん検診が行われている実情を踏まえ,推奨する対策型検診だけでなく,"推奨しない"検診にも言及するなどの提言が盛り込まれている」と応じた。

(坂口 恵)



http://www.asahi.com/articles/ASJ2S6FQSJ2SUBQU00H.html
在宅死、半数が「異状死」扱い 在宅医調査、不本意な検視も
佐藤陽
2016年2月25日07時00分 朝日新聞

 できれば自宅で安らかな最期を迎えたいと願う人が多いものの、実際には在宅で亡くなる人の半数ほどが「異状死」として扱われていることが在宅医の調査でわかった。病死の可能性が高くても、事件性を疑い、警察が検視に入るケースも少なくない。専門家は普段からの備えが必要だと指摘する。

迫る2025ショック with you

 一昨年春、がんを患っていた神奈川県の80代独居男性が自宅で亡くなった。かかりつけの在宅医の往診を受け、死亡診断書も出た。

 だがケアマネジャーが自治体のケースワーカーに連絡すると、「事件性があるかもしれない。警察を呼んで」と指示された。警察官に「普段から定期的に在宅医が診ていた」と説明し、引き揚げてもらうまで数時間の混乱があったという。

 昨年夏には横浜市鶴見区の済生会横浜市東部病院の救命救急センターに、重症肺炎の80代女性が搬送された。在宅医の紹介だった。気管を切開し、人工呼吸器をつけるといった治療が施され、女性は1カ月後に病院で亡くなった。

 だが女性は元々、延命治療はせず自宅で穏やかに死にたいと在宅医や家族に伝えていたという。家族は慌ただしい救急現場で短時間での判断を迫られ、「全力での治療」に同意した。センターの山崎元靖部長(45)は「本来、救命救急センターではない病院へ運ぶべき患者だった」と話す。

 医師法では、遺体に異状があった場合、医師に24時間以内の警察への届け出を義務づけている。事故や他殺、心疾患や脳疾患などによる急性死のほか、死因を特定できない場合も、異状死扱いになる。警察が事件性があるかどうかを調べ、遺体の検視をする。

 東京都立川市にある立川在宅ケアクリニックの荘司輝昭医師(50)が、訪問診療をする多摩地域で2012年に自宅で亡くなった1106人を分析したところ、56%にあたる615人が、異状死扱いだった。また異状死扱いの30%が、「老衰」「がん」「肺疾患」などの慢性疾患で、医師が定期的に診ていれば、「病死」として死亡診断書がもらえ、警察を呼ぶ必要はないケースだったという。横浜市や大阪府岸和田市の出水明医師(63)らの調査でも、異状死は自宅死亡者の約半数を占めた。

■「事前意思」書き示す試み

 全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の太田秀樹医師(62)らによると、行政や医療・介護職にも、「自宅で死ぬと、警察を呼ばなければならない」「24時間以内に診察をしていないと、自宅で死亡診断書を発行できない」といった誤解がいまだにあるという。

 家族が呼吸停止や容体急変に驚き、救急車を呼んでしまうことも少なくない。また在宅医から「夜中なら救急車を呼んで」と指示されることもあるという。

 こうした「不本意な最期」にならないように、地域の複数の在宅医がみとりをカバーし合ったり、事前に意思を示すリビングウィルを市民に配布したりする取り組みも進んでいる。

 横浜市鶴見区医師会の訪問看護を受ける松本孝彦さん(80)は、リビングウィルに「終末期の心肺蘇生はしてほしくない」「最期は自宅か施設で迎えたい」などと記している。「こうして書くことで、妻や娘とじっくり話し合うことができ、望んだ最期を迎えられるようになる」

 太田医師は「患者や家族、医師や看護師、介護職員らが何度も話し合い、意思の統一をしておくことが大事だ。特に疎遠な家族が突然来て、『何で救急車を呼ばないんだ』と言い出すケースが少なくない」と話している。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0238850.html
俺の所に来い」 美瑛談合容疑の技師、複数業者に物品要求か
02/25 07:00 北海道新聞

 【美瑛】上川管内美瑛町の町立病院発注の磁気共鳴画像装置(MRI)をめぐる入札妨害事件で、官製談合防止法違反容疑で逮捕された同病院の放射線技師矢野雅人容疑者(48)が、同病院係長になった2007年以降、複数の医療機器メーカーに対し、入札の際などに「まず俺の所に来い。勝手に事務の方に行くな。俺がOKしたら事務に行っていい」などと要求していたことが24日、町懲罰委員会議事録で分かった。道警は同容疑者が医療機器の機種選定を担う立場を悪用し、入札で支配的役割を果たそうとしたとみて調べている。

 議事録などによると、町立病院放射線科では10年4月以降、入札に不正があったとされるMRIを含む、同一メーカーの高額医療機器3件を購入。矢野容疑者はそれぞれの入札に合わせ、このメーカーから少なくとも1脚数十万円のイスを1~2脚ずつ受け取っていたという。同容疑者は他にもソファベッドやパソコンなどを受け取り、技師室などに設置していた。

 病院関係者によると、放射線科の医療機器の選定について、事務方や医師は当時、矢野容疑者の意向を追認していたという。同容疑者は、訪ねてきた複数の医療機器メーカー関係者に対しても、テレビなどを要求していたという。

 矢野容疑者の物品授受問題などを受け、14年12月に町懲罰委員会が開かれた。町議会関係者によると、町は同容疑者がメーカーから物品を受け取ったことを確認する一方、同病院の財産目録に加え正式納入した物品として処理したという。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO97275590V10C16A2000000/
スマホ診療、事実上解禁 外来「7割不要説」も
2016/2/25 6:30 日本経済新聞

 スマートフォン(以下、スマホ)などのモバイル端末を活用した遠隔診療を実現する動きが、国内でにわかに活発化してきた。背景には、厚生労働省による「事実上の解禁」と捉えられる通達がある。“スマホ診療”の動きは、もちろん日本だけのものではない。同分野のイノベーションに造詣が深い早稲田大学 早稲田ビジネススクール 客員准教授の鶴谷武親氏に、遠隔診療の変化の兆しを解説してもらう。

 日本国内でも遠隔診療サービスを開始するベンチャー企業が登場し、にわかに活気づいている。実態としては、へき地医療や慢性疾患、在宅医療などを中心にこれまでも遠隔診療がなされてきたが、ここにきて厚生労働省が2015年8月10日に出した通達が、一部の関係者に「遠隔診療の事実上の解禁」として捉えられていることが大きい。

 いわゆる「平成9年遠隔診療通知」の解釈について、従来は「限定」として解釈されていた具体的利用環境や疾患について、「例示にすぎない」としたもの。結びとして「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、直接の対面診療と適切に組み合わせて行われるときは、遠隔診療によっても差し支えないこととされており、直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではない」としたのである。

 同時に、政府・与党のさまざまな会議や検討会、さらには「骨太の方針」などを通じて、「医療におけるICT(情報通信技術)の利活用」や、中には具体的に「遠隔診療」という言葉が発信されるなど、「政府・与党の意図」が伝わるようになったことも大きい。もちろん、止まらぬ医療費の増大という社会背景や、グレーゾーン解消など政府・関係者が地道に進めてきた改革のお膳立ても大切な要素であろう。

 これらの変化を敏感に捉え、まずはベンチャー企業が動き出した。自己採血ステーションの登場やドラッグストアにおけるさまざまな検査の実施、そしてついに遠隔診療が登場したのである。

 例えばIT(情報技術)関連企業のポートは、スマホなどを用いて医師の診療を受け、必要に応じて医薬品を受け取れる遠隔診療のサービス「ポートメディカル」を2015年11月に発表した。

 公教育と並び、“変化しない業界”と信じられてきた医療の現場も、少しずつ変わろうとしている。我々国民はその契機を前向きに捉え、社会の全体最適はもちろん、世界に先行する高齢社会として地球規模の貢献を目指すべきだろう。

■外来診療の70%が不要に

 医療のイノベーションの動きは日本に限ったことではない。むしろ、制度や文化など、市場環境の異なる世界各国では既にさまざまな「実例」が生まれつつある。

 例えば、最近リリースされたばかりのサービスに、「CliniCloud」がある。このサービスを手掛けるCliniCloudは、若い2人の医師によって設立されたスタートアップ企業である。ヘルスケアITであると同時に、「IoT(モノのインターネット)」の側面も持つ企業として注目されている。

 同社が開発・販売する製品は、小型の個人用デジタル聴診器とデジタル体温計である。スマホに接続することで心音、肺音、体温という基本的な健康データがスマホ上およびクラウド上に記録され、必要に応じてインターネットを通じて医師と共有し、遠隔医療サービスを受けられる、というものである。

 価格は149米ドル、日本円にして1万7000円程度である(2016年2月中旬時点)。興味深いのは、CliniCloudを購入すると、「Doctor On Demand」という名称の遠隔医療サービスの1回無料診察クーポンが付いてくるのである。

 このDoctor On Demandも、注目のベンチャーである。

 同社の経営メンバーにも医師が名を連ねるが、実質的な創業者は取締役会議長のJay McGraw氏である。現在36歳。少年の頃から啓発本のベストセラーを書くなど、著名な文化人型セレブ(有名人)である。テレビ制作会社のCEO(最高経営責任者)を務め、有名なテレビ番組の制作や司会などをしてきた。

 ちなみに、彼の父親は「Dr. Phill」として全米で知られる、著名医師のPhill McGraw氏。彼の名前自体がテレビ番組名になるほどの著名人で、2015年の年収は7000万ドル(約80億円、同)と、『Forbes』誌の世界高収入ランキングで15位となった人である。

 米国医師会の推測では、オンラインによる医療サービスを充実させることで、外来診療の70%が不要になるという。70%の精度は不明だが、日本の医療現場における実感とも決してかけ離れていない見込みであろう。医療資源の不足や偏在が叫ばれて久しいが、社会環境・技術環境の変化を捉え、さまざまな改善や役割分担を進めていけば、“崩壊寸前”と言われる日本の医療制度もまだまだ継続可能かもしれない。

■医師不足の現状改善

 日本の安全を考える際、民間の警備会社の存在は欠かせない。人手による警備だけでなく、いわゆる「警備システム」による常時監視とアラーム発報時の一次対応が重要であるためだ。仮に、こうしたインフラがなければ、現状25万人程度の警察官は、数倍は必要になるといわれている。

 現状、国内で約30万人も不足しているといわれる医師も、技術を駆使した常時監視と1次医療対応の役割分担により、状況は改善される可能性がある。

(早稲田大学 早稲田ビジネススクール客員准教授 鶴谷武親)

[日経テクノロジーオンライン2016年1月18日付の記事を再構成]



http://www.niigata-nippo.co.jp/life/medical/news/20160225237330.html
県立吉田病院 産婦人科を休止へ
4月から医師確保できず 県立病院で初

2016/02/25 10:26 新潟新聞

 県立吉田病院(燕市)の産婦人科が医師不足により4月から休止することが24日、分かった。県病院局によると、県立病院の産婦人科が休止するのは初めて。すでに2年前から出産の受け付けは停止していたが、残る婦人科診療も維持できなくなった。後任の医師探しは難航し、再開のめどは立っていない。

 県内では産婦人科医が不足している。県によると2014年末現在、人口10万人(15~49歳女子)当たり37人で全国41位。県内七つの医療圏では燕市を含む県央圏が21・3人で最も少ない。県立病院では加茂と坂町(村上市)も出産の取り扱いを停止している。

 県病院局によると、吉田病院の産婦人科には2人の常勤医がいたが、14年3月に1人が退職し、出産対応を停止した。その後は残った医師1人で婦人科診療のみ続けていた。14年度の利用者は外来が1日当たり13人、入院は同0・8人だった。

 この医師が3月に定年退職するが、後任を補充できなかった。患者には他の病院を紹介している。藤田桂輔事務長は「常勤でなく週に何回かだけでも医師に来てもらえないかと思ったが、後任のめどが立たない。地域の病院にとって産婦人科は看板。医師確保に努めたい」と話した。

 13の県立病院では、産婦人科以外にも4病院の8診療科が医師不足のため、休止している。


  1. 2016/02/26(金) 06:33:56|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月24日 3.11震災関連

http://www.sankei.com/region/news/160224/rgn1602240034-n1.html
宮城県警と仙台市医師会が災害協定 震災教訓、「検案医」迅速に派遣
2016.2.24 07:00 産経ニュース

 東日本大震災の発生直後に遺体を「検案」する医師が不足した教訓を受け、県警は23日、仙台市医師会と災害発生時の支援協定を結んだ。大災害時に仙台市医師会のほか、他県の医師会に検案医の派遣を要請できるようになる。都道府県警察が市町村の医師会とこうした協定を結ぶのは全国で初めて。

 病院以外で死亡し死亡診断書が作成できないときや、死因や死亡時の状況がわからない遺体が発見された場合などは、警察が検視し、医師が検案を行い、死体検案書を作成する。

 県警は警察署ごとに付近の病院などの医師1~3人を「警察医」として指定。この警察医が変死体の発見時に検案を行っている。

 大災害時に警察医だけでは検案医が足りない場合、県医師会を通じて県内の医師会に派遣要請▽県医師会を通じて日本医師会に他県から派遣要請▽警察庁を通じて日本医師会に派遣要請-のルートがあるが、手続きが複雑で時間がかかることが問題だった。

 5年前の震災時には警察医の多くも被災し、発生直後は県医師会にも連絡がつかず医師不足に陥った。遺体安置所には身元判明後も家族のもとに返すこともできない「検案待ち」の遺体が並び、震災から1週間後のピーク時には約1300体に上った。

 仙台市医師会は平成19年、政令指定都市13都市の医師会と災害時の医師派遣などで提携しており、今回の協定締結で、県警は仙台市医師会に直接検案医の派遣を要請したり、医師会を通して他県からの検案医の派遣要請が可能となる。

 仙台市医師会の永井幸夫会長は「大災害時、県警とお互いに速やかに活動できるだろう。協定は大変意義がある」と話している。

                   ◇

【用語解説】検案

 自殺や他殺、交通事故などによる死亡や死因不明の遺体に対して、医師が表面から観察し、死因や死後経過時間などを医学的に推定すること。検案後に作成する死体検案書か、病院で死亡した場合の死亡診断書がなければ死亡届を提出できない。検案の結果、事件性がある場合や死因が判明しない場合は必要に応じて解剖を行う。



https://www.minpo.jp/news/detail/2016022429087
福医大に4月設置 双葉地域救急医療支援センター
2016/02/24 11:43 福島民報

 双葉郡の2次救急医療体制構築の前段として、県は4月、全国から公募した救急医療専門医らで組織する「(仮称)双葉地域救急医療支援センター」を福島医大に設置する。郡内に現地待機所も確保し、早急に活動を開始する。吉田議員の質問に鈴木保健福祉部長が明らかにした。
 センターは大学の建物の一角に設ける。専門医の当面の拠点となるほか、全国からさらに医師を確保するための業務などに当たる。双葉郡内に確保する現地待機所との連絡調整も担う。
 現地待機所はドクターカーなどを備え、センターから複数の医師を交代で派遣する体制を想定している。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201602/20160224_31002.html
<高田診療所>被災者ケア4年半、3月閉鎖へ
2016年02月24日水曜日 河北新報

 岩手県医師会が東日本大震災後、岩手県陸前高田市に開設した週末診療の高田診療所が3月末で閉鎖される。医師会が役目を終えたと判断した。診療科のうち心の不調をケアする心療内科は、震災からほぼ5年たっても受診者が絶えない。4月以降は県立高田病院が引き継ぐことを決めている。
 高田診療所は2011年8月に開業。同10月に設けた心療内科は、カウンセリングや投薬など心身両面の診療で不調の原因を和らげたり、取り除いたりする。
 昨年12月までの診療所全体の受診者は約2万7000人。うち心療内科の延べ受診者は約2500人と9%余りを占める。14年は667人、15年は592人が受診した。
 高田病院の田畑潔院長は「5年が経過してもケアを必要とする人は一定数いる。仮設の病院でスペースやスタッフは厳しいが、可能な限り対応する」と引き継ぐ意義を説明する。
 市内の仮設住宅に住む女性(77)は1年ほど前に夫を病気で亡くし、将来への不安から不眠を訴え心療内科に通い始めた。
 「内科だと薬の治療だけ。心療内科は先生が話を聞いてくれるので精神的に軽くなった。廃止されたら自分で我慢するしかないので助かります」と存続に安堵(あんど)する。
 昨年11月に盛岡市であった日本心療内科学会のシンポジウムでは「妻を亡くし、張り詰めた気持ちから腹痛や下痢が続く」「自分だけ被災していないのがつらく、眠れない」など被災地の症例が報告された。県内の心療内科医は「震災による環境変化で不調を訴える人はいまも多い」と実態を強調した。
 県立高田病院で診療は続くが、態勢は厳しい。心療内科医はもともと少なく、岩手県内でも十数人、沿岸にはほとんどいない。現在は県内外の医師が交代で派遣されているが、4月以降は平日診療となるため、開業医の協力は得にくくなる。
 高田診療所への応援医師の調整役を担い、診察にも出向く岩手医大の鈴木順准教授は「これまでより少ない人数で対応せざるを得ず、永続的な診療は難しい。態勢を維持しつつ、被災地で受け継ぐための支援も考えなければならない」と話す。


  1. 2016/02/25(木) 06:07:52|
  2. 未分類
  3. | コメント:0

2月24日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/402403
シリーズ: 始動する“医療事故調”
医師法21条の届出、「犯罪と関係ある異状」に変更を
日医が改正を提言、罰則規定の削除も求める

2016年2月24日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会は2月23日の常任理事会で、「医事法関係検討委員会」(委員長:柵木充明・愛知県医師会長)の答申、「医師法第21条の規定の見直しについて」を、日医の現時点での21条に関する見解として取り扱うことを了承した。同答申は、警察への届出対象を、「死体を検案して犯罪と関係ある異状があると認めたとき」とし、21条に違反した場合の罰則規定(33条の2、50万円以下の罰金)の削除を求める内容だ。24日の定例記者会見で、日医常任理事の今村定臣氏が明らかにした(資料は、日医のホームページ)。

 今村常任理事は、「医療事故調査制度は、司法は関与しない制度設計になっている。21条の見直しも、基本的には同制度とは関係ない」と説明。しかしながら、同制度は、2014年6月に成立した改正医療法の附則で、施行後2年以内、つまりこの6月末までの見直しが求められており、21条の届出の在り方も検討課題となっていることから、「その点では、無関係ではないだろう」と補足した。今後、与党自民党などに21条改正を提言していくとし、「今の通常国会は難しいが、今秋に臨時国会があれば同国会で、あるいは来年の通常国会で改正できればありがたい」(今村常任理事)。

 「医事法関係検討委員会」は、改正医療法の附則を踏まえ、2015年7月から21条について検討を開始。計4回の委員会などを経て、2月9日に答申した。

 21条の異状死体の届出をめぐっては、2004年に東京都立広尾病院事件の最高裁判決で、「外表異状説」と判断された後も、診療関連死を届け出るか否かなど、その解釈や運用をめぐって混乱が生じている。21条の改正を求めるのは、改正医療法附則への対応と、これらの混乱を収めるのが狙い。

 今回の21条改正案の考え方について、今村常任理事は次のように説明。「死体の検案を唯一委ねられている職業が医師であり、医師は犯罪の痕跡が認められた場合には、警察に協力する責務を負うという前提に立っている。この協力は、あくまで医師の職業倫理によるべきであり、罰則を持って強制される性質のものではない」。

 委員会での検討過程では、「犯罪と関係がある異状」との表現が医師に馴染みにくく、かえって混乱を増大させるとの意見も出て、「病死または自然経過による死亡でない疑いのある死亡」との表現案も出た。しかし、立法技術上、法律に新しい用語を入れる手続き上の困難さなどから、「犯罪と関係がある異状」に落ち着いた。「書きぶりについては、かなり議論があった。より良い表現があれば、それを採用することはやぶさかではない」(今村常任理事)。

 医師が「犯罪と関係がある異状」をどう判断するかについて、今村常任理事は、「外表の異状がない場合でも、実際には犯罪の痕跡が認められることはあり得る」と述べ、外表の異状だけでなく、血液検査や画像診断などの異常で犯罪が疑われる場合には届出の対象になると説明した。



http://news.biglobe.ne.jp/economy/0224/prt_160224_9335176823.html
【医師アンケート調査】花粉症の最新治療「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻科医の34%が「やるかどうか思案中」で最多
PR TIMES2月24日(水)14時3分

医師10万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)は、会員医師を対象に、「舌下型免疫治療*について」のアンケートを実施いたしました。以下、結果をご報告します。

*「舌下免疫治療」は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、アレルギー反応を弱めていく「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」の内、舌の下に薬を滴下する治療法です。スギ花粉症では2014年10月より、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎では2015年11月より、この舌下型免疫療法薬が発売されています。処方するために、医師はあらかじめ指定の講習会やeラーニングを受講する必要があります。

■調査結果:花粉症などのアレルギー疾患に対する「舌下型免疫治療」の施行について

(対象者:耳鼻咽喉科の医師102人**、調査期間:2015/1/18 〜 2015/1/24)
[画像1: http://prtimes.jp/i/10134/60/resize/d10134-60-798030-1.jpg ]
02241_20160225060219028.jpg

[画像2: http://prtimes.jp/i/10134/60/resize/d10134-60-679434-2.jpg ]
02242_20160225060221a7b.jpg

**全回答者(2,576人)の内、耳鼻咽喉科を標榜する医師105人から、「診療する機会がない」と回答した医師3人を除いた計102人を対象として集計しています。

■サマリー

「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻咽喉科の医師102人が回答をした。結果、最も多かったのは「やるかどうかを思案している」で34.3%であった。治療薬の発売から間もないため、もう少し様子を見て「効果や安全性を確認してから」という声や、導入における「手続きの煩雑さ」を懸念しているケースが多かった。
「すでに始めている」と回答した医師は26.5%だった。「患者の希望で、まずスギ花粉から始めている」という声が多かった。
「やりたい」と回答した医師は12.8%であり、そのほとんどが講習会やeラーニングは受講済みであった。価値は感じているものの、患者のニーズや適正が懸念点になっているようだった。
「やらない」と回答した医師は26.5%だった。主な理由は、「治療期間の長さ」や「副作用などのリスク」であった。


■回答コメント(一部を抜粋)

「すでに始めている」  27件
・スギに関しては安全性が高いと考えて、開始しました。(50代、勤務医)
・患者さんの希望で始めている。(50代、開業医)
・例数は少ないが、始めてます。ダニは、副作用が出るらしく考慮中です。(50代、開業医)
・効果が出ている患者さんも増えています。(50代、勤務医)
・症状の度合いにより考えます。必ず毎年あって、症状がひどくなるようなら、免疫療法勧めます。(50代、勤務医)

「やりたい」  13件
・唯一の根治療法ですので。ただし患者を慎重に選ぶ必要はあります。(50代、勤務医)
・若年者はやる価値があると思います。(40代、勤務医)
いつでもできますが、効果など見極めてからにしたいです。(40代、開業医)
・やりたいですが、なかなか投与期間も長いので、適した患者がいません。(30代、勤務医)

「やるかどうかを思案している」  35件
・発売後日も浅いので、もう少し経過を見てからと考えています。(70代、勤務医)
・安全性や有効性を確認してからです。(40代、勤務医)
・講習会も受講済みですが、あまり積極的にやりたいとは思っていません。中途脱落が非常に多いみたいですし、効果が出るまで2年というと、対象になる人は少ないのではないでしょうか?(50代、開業医)
・すでに資格があります。すぐにでもできます、しかしいったんアナフィラキシーショックが起こったときの対応をしにくい今はできないでしょう。(50代、開業医)
・講習は受けているが、地域からニーズが上がってこない。(30代、勤務医)
・手間がかかる割には診療報酬が少ない。(40代、勤務医)

「やらない」  27件
・長期間に及ぶ治療が継続できるか疑問。(30代、勤務医)
・時間がかかる、効果が確実ではない、アナフィラキシーなどのリスクがある。(30代、勤務医)
・十分に対応できないと、モンスター患者がこわい。(50代、勤務医)
・自分がスギ花粉症でとても困っているなら、後鼻神経切断術を受けます。(40代、勤務医)
・緊急時対応が困難です。(50代、開業医)
・需要が増えれば考え直すと思いますが。(30代、勤務医)


■記事引用時のお願い
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ、と明記ください。
WEB上での引用に際しましては、「MedPeer」にhttps://medpeer.jpへのリンク付与をお願い致します。

■参考
昨年2015年2月に行った、「医師が自身で行っている”花粉症対策”」についての調査結果は以下をご覧ください。

◇医師が自身で行っている”花粉症対策”について
治療の開始時期は「2月」、最重要視する花粉除去対策は「マスク」、治療法は「薬物療法(ケミカルメディエーター受容体拮抗薬)」が1位に。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2015/02/Posting_201502232.pdf


【メドピア株式会社について】
・社名:メドピア株式会社( https://medpeer.co.jp )
・代表者:代表取締役社長 石見 陽 (医師・医学博士)
・設立:2004年12月
・運営サービス:医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」( https://medpeer.jp )

メドピア株式会社は、「Supporting Doctors, Helping Patients.」を理念として、現在10万人以上の医師(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用サイト「MedPeer」を運営しています。医師同士が臨床現場で得た知見を「集合知」として共有する場を提供することで、医師の診療を支援するとともに、MedPeerの医師会員および集合知を源泉として、製薬企業をはじめとした企業に対して医師向けのマーケティング支援サービスを提供しています。

【お問い合わせ先】
メドピア株式会社 広報担当 藤野
電話:03-6447-7961 | メール:pr@medpeer.co.jp



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0224050022/
働くがん患者サポート、企業に治療と両立の支援促す...厚労省が指針
(2016年2月24日 読売新聞)

 がん患者らが治療を受けながら働き続けられるように、企業が行う支援策などを示した指針を厚生労働省が23日公表した。

 がん対策基本法に基づく就労支援の一環で、このような指針の策定は初めて。

 がんは、治療技術が向上し、長く付き合うことができる病気になった。仕事を持ちながら通院している人は約32万人いるが、仕事を辞めてしまう人もおり、対策が急務だった。

 指針では、企業は、労働者から病気の症状や就業上必要な配慮などについての情報を得て、産業医と相談しながら、無理なく働くことができる計画を立てるとした。また、時間単位の休暇制度や時差出勤制度などの検討や導入を図る。

 労働者が安心して働けるための相談窓口の設置や、告知を受けて動揺し、退職を早まることがないよう精神的な配慮も求めた。

 対象とする病気としては、がんのほか、心臓病や脳卒中など長期間の治療が必要な病気も盛り込んだ。厚労省は今後、経団連や医師会などとも連携しながら、指針の周知を進めていく。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「患者と企業、医師らが、治療しながらどうすれば働き続けられるかを一緒に考えるきっかけとなる大きな一歩と評価したい。一方、病気を理由とした人事面での不当な扱いを防ぐ仕組みなども必要」と話している。



指針のポイント

▽ 労働者が安心して相談できる窓口を設置
▽ 労働者からの病状報告などを受けて、企業が支援計画を作成
▽ 無理なく働けるように時差出勤や短時間勤務、在宅勤務も検討
▽ がん告知のショックで早まって退職しないよう精神面に配慮


http://www.medwatch.jp/?p=7763
有床診の減少止まらず7864施設に、2016年度診療報酬改定の効果のほどは?―医療施設動態調査(15年12月)
2016年2月24日 MediWatch

 何度もお伝えしていますが、有床診療所が減少を続けています(関連記事はこちらとこちら)。2015年12月末には前月から41施設減少し7864施設となったことが、厚生労働省が毎月公表している医療施設動態調査から明らかになりました。


有床診、前月から41施設・596床減少
 厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています。

 2015年12月末の医療施設総数は、全国で17万8366施設。前月に比べて77施設減少しています。これまで「無床の一般診療所の増加」が続いていましたが、15年11月から12月にかけて無床診の増加は1施設に止まりました。一方、有床診療所や歯科診療所は前月から二桁の減少となっています。

 病院は8475施設で、前月から4施設減少しています。種類別に見ると、一般病院が7412施設で4施設減少、精神科病院は1063施設で前月から増減なし、都合、4施設の減少となっています。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3841施設(前月から1設減少)、地域医療支援病院は503施設(前月から3施設増加)という状況です。

 有床診療所は7864施設で、前月から41施設減少しました。8月末に8000施設を割り込み、その後も減少にまったく歯止めがかかっていません。

有床診療所の減少には歯止めがまったくかからず、2015年11-12月は減少に加速がかかっている
02243_20160225060222646.jpg

 2016年度の診療報酬改定に関する答申を、中央社会保険医療協議会総会が2月10日に行いました。有床診に特有の改定項目としては、▽在宅復帰機能強化加算の新設(1日につき一般では5点、療養では10点)▽夜間看護配置加算の評価充実(加算1、加算2ともに5点引き上げ)―があり、このほか「認知症地域包括診療料・同加算の新設」や「処置に関する評価の充実」「診療所型認知症疾患医療センターとかかりつけ医が連携した取組の評価」などがあります。

 これらが4月から運用されますが、有床診の減少に歯止めがかかるのか注目したいところです。

一般病床、療養病床は前月から増加したが、長期的には減少傾向
 一方、病床数を見ると、2015年12月末の全病床数は167万1898床で、前月から737床減少しました。

 このうち病院の病床数は156万5530床で、前月に比べて141床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から174床増えて89万3682床に、療養病床も71床増加して32万8803床となりました。ただし、長期的には平均在院日数の減少や医療の外来シフトなどによって、病床の必要数は減少傾向にあります。

 また有床診療所の病床数は前月から596床減少し、10万6294床となりました。減少ペースがやや早まっており、状況によっては2016年中に10万床を切る可能性もあります。

病院の病床数は、長期的に見ると減少傾向にある。ここ最近停滞していたが、また減少カーブを描きだした
02244_2016022506022388d.jpg

療養病床数は長期的に見ると、緩やかな減少傾向にある
21245.jpg



http://news.mynavi.jp/news/2016/02/24/081/
外国人が考える日本の医療費問題 - 「母国の5倍」「風邪の費用は半分」
  [2016/02/24] マイナビニュース

「日本のほうが医療費が高額」と答える回答者が多かった
体調が優れないときに病院やクリニックで診察をしてもらうのは万国共通といえる。日本のような皆保険制度では医療費が安く抑えられるが、各国で医療事情は異なり、国や地域によっては手術などを受けると法外な値段を請求されるケースもある。

そこで今回、日本在住の外国人20人に母国と日本の医療費の違いについて、具体的な金額なども含めて答えてもらった。

Q.  日本の病院の医療費(受診費)は母国と比べて高いですか、低いですか。風邪などの診療にかかった費用など具体例で説明してください

■日本のほうが高額
・「母国に比べては高いが、日本の収入からすると普通だと思う。風邪になった場合、診療から処方で保険が効いても1,000円。やっぱり母国に比べて高い」(韓国人/34歳/男性)
・「初診料、検査料が高い」(チェコ人/58歳/男性)
・「高いです。母国より5倍ほど高いです」(ウクライナ人/25歳/男性)
・「保険を考えると、やはり日本の方が高いと思う。保険をかけていない簡単な身体検査だけでも、何千円もかかってしまう」(中国人/28歳/男性)
・「非常に高いです。風邪のときも高いです。ベトナムでは処方箋がなくても薬を買うことができますので、風邪のときにお医者さんに行かなくてもいいです」(ベトナム人/36歳/男性)
・「日本の医療費は高いです。しかし、健康保険があるから結果的に母国と同じ費用になってます」(フィリピン人/35歳/女性)
・「高いと思う。風邪の診療の場合、日本は保険分を引いても3,000~4,000円かかるが、母国の場合は保険に入っていれば1,000円以内ですむから」(香港人/34歳/女性)
・「イギリスがタダですから、比べたら日本が高いです。国民保険を使っているので、受診費はほどよいと思います」(イギリス人/31歳/女性)
・「保険があれば、母国の方が安いです。風邪ぐらいなら診療は400円ぐらいです」(イラン人/28歳/女性)
・「会社員は医療保険があるので、とても良いと思いました。母国と比べて高いです」(ブルガリア人/33歳/女性)

■日本のほうが低額
・「健康保険があるから、安いです」(インドネシア人/36歳/男性)
・「低いです。というのは母国はタダですが、それは国立に限られており、私立に行くとすごく高いです。風邪は母国だと0円です」(ポーランド人/30歳/女性)
・「安いです。母国では健康保険は普及していないので、風邪にかかる費用は日本の倍です」(マレーシア人/31歳/女性)
・「日本における治療費は母国に比べて安いです。風邪の場合は健康保険を使えば2,000円以下の費用で受診できます。薬も安いです」(エジプト人/33歳/男性)
・「低いです。大病院~診療所(クリニック)まで病院の規模によって負担金が異なるんですが、母国は基本外来診察の場合は100~360元、急診は200~450元、歯科診療は150元~です。また、漢方も負担してます」(台湾人/30歳/女性)

■その他
・「昔、母国の病院は無料だったんですが、最近はいろいろ変わってよくわかりません」(ギリシャ人/33歳/男性)
・「入院したことがないのでわかりません」(フランス人/35歳/男性)
・「日本の病院はまだ通ったことがありません……」(シリア人/35歳/男性)
・「病気にもよりますが、風邪でしたら母国が安くて、ガン治療は日本の方が高い」(モンゴル人/39歳/女性)

■総評

結果を見ると、「母国よりも日本の医療費は高い」と答えた人の割合が多かった。日本では保険に加入していれば、検査や手術などにかかる費用(自己負担割合)は70歳未満なら3割ですむし、医療費が一定限度額を超えないようにする「高額療養費制度」という制度もある。かなり抑制されているように感じるが、世界には医療費がかからない国もあるため、1円でも払うとなれば「高い」と感じる人たちもいるようだ。

原則として医療サービスが無料の「国営保健サービス」と、治療費用が全額患者負担の「プライベート医療」のいずれかより医療機関を選択できるイギリスなどにみられるように、各国の医療体制は実にさまざまだ。海外旅行に行く際は、事前に当該国の医療サービスや医療費事情などを調べておくとよいだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/402265
元東大教授、「重大な詐欺」で懲役5年求刑
研究費の不正利用、被告・弁護側の反論採用せず

2016年2月24日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 元東京大学政策ビジョン研究センター教授の秋山昌範氏が、研究費を不正受給したとして詐欺罪に問われた裁判の第26回公判が2月24日、東京地裁(稗田雅洋裁判長)で開かれ、検察は懲役5年を求刑した。3月に弁護側の最終弁論が行われ、結審し、今夏に判決が出る予定。

 検察は、2009年度の長寿医療研究委託事業の委託費(以下、委託費)と、2009年度から2011年度の厚生労働科学研究費補助金(以下、科研費)について、秋山氏は、パストラルコンピューターシステム株式会社(PCSK)をはじめIT関連会社計6社(以下、関係会社)と共謀して、業務を行った事実はないにもかかわらず、あるように装って内容虚偽の納品書と請求書を発注、東京大学から1894万4400円、岡山大学から294万円、計2188万4400円を不正受給したことが詐欺罪に当たると主張。6社には5~10%の金額を支払い、約1949万円を秋山氏が実質的に経営していた「有限会社ARI」の運転資金に充てたとしている。

 論告求刑で検察は、委託費と科研費は公的な資金であり、適正使用が求められるとし、仮に調査報告書などの成果物があったとしても、発注先を偽ることは「重大な詐欺」に当たると指摘。秋山氏について、「全く反省するところがない」などとし、懲役5年を求刑した。

 これに対し、秋山氏および弁護側は、2015年3月の初公判から一貫して容疑を否認(『秋山・東大元教授、「私は無罪」と主張』を参照)。関係会社はプロジェクトマネジャーの役割を務め、ARIと共同して成果物として調査分析報告書を作成、同報告書は秋山氏がその後の研究を進める上で、重要な意味を持つなどと反論していた。2015年12月に計4回行われた秋山氏への本人尋問では、「私はいまだになぜここにいるのかが分からない」「検察官の取り調べでは、不当な捜査がされていたとずっと主張し続けた」と語った。24日の公判でも、「私は無罪。今回の研究費は、全て研究目的に使用した」と主張した。

 勾留期間は666日に及ぶ
 秋山氏は、2009年8月に東大政策ビジョン研究センター教授に就任。本事件の勾留期間中で、本裁判の初公判の直前の2015年3月6日、東大から懲戒解雇処分を受けた(『東大、秋山教授を懲戒解雇、研究費不正で』を参照)。本処分について、東大は「処分に対する弁明も代理人を通して行った」としているが、秋山氏は12月の本人尋問で、「処分に先立ち、弁明の機会を設けるよう求めたが、認められなかった」と証言している。

 本裁判で問題になったのは、東大政策ビジョン研究センター時代の研究。2013年7月25日に逮捕、同年8月14日に起訴された(『東大教授、研究費の詐欺罪で起訴』を参照)。保釈されたのは2015年5月20日で、勾留期間は666日に及んだ(『秋山元東大教授、逮捕から約1年8カ月で保釈』を参照)。

 東大、岡山大、IT会社から多数証人に
 公判は、2月24日で26回に及んだ。公判で証人した関係者は多岐にわたる。ARIの元社員2人、PCSKをはじめ計6社の関係者、委託費の研究分担者の岡大教授、科研費研究を受託するよう依頼を受けた名古屋工業大学の教授、東大と岡大の研究費の経理処理を担当する会計担当者、東大政策ビジョン研究センターの当時のセンター長や秘書、医療ITに詳しい新潟大学教授などだ。

 本裁判で問題になっていたのは、(1)関係会社は、ARIに「再委託」するための会社であり、見積書・仕様書・納品書・請求書等の作成を行ったにすぎないのか、あるいは業務を行った事実があるのか、(2)秋山氏は、関係会社が業務を行った事実があるか否かを認識していたかどうか、(3)関係会社が業務を行った事実がないとしても、納品物があれば、科研費等は支払われるか否か――の3点だ。

 ARIの元社員2人と関係会社の証人らは、総じて検察側の主張を支持する証言をしていた。これに対し、12月の秋山氏への本人尋問は、これらの証人と食い違う場面が多々あった。検察は、証人の証言について、相互の整合性が取れている上、当時のやり取りのメール等の内容と合致しているとし、「高い信用性が認められる」と採用。一方で、秋山氏および弁護人の反論は、客観的な根拠に欠け、曖昧などの理由から、信用性が低く、採用できないとした。またARIが研究を不正利用したのは、従業員2人の給与支払いを一時停止するほど、経営が悪化したARIの運転資金に充てるためだとした。

 (1)について、検察は、ARIの元社員2人と関係会社の証人らによる「研究には関与していない」との証言を採用、関係会社が「東大や岡山大から業務を受注して、それを行った事実はない」と結論付けた。証人は公判で、「名義貸し」「中請け」「スル―案件」「口座貸し」「商社機能」など、実にいろいろな言葉で、ARIに再委託をしたことを認めていた。科研費等の研究において、再委託は原則禁止されている。秋山氏から研究の話があった際、「ARIの名前は、出さないでもらいたい」「何もしなくていい」と言われたとの証言も出た。ただし、民間企業では、再委託はあり得る業務形態であるために、公的な研究費において再委託は原則禁止されていることを当時は知らず、「悪い」という認識に欠けていた証人もいた。

 (2)で検察は、秋山氏が、関係会社が業務を実施していないことを認識していたとした。その理由として、関係会社が見積書等の作成や大学への納品物の納品、ARIが納品物作成という役割分担をするよう指示していたことなどを挙げた。また検察は、秋山氏が東大教授就任時、ARIの役員を辞めたものの、実質的に経営しており、東大に兼業届を出しておらず、禁止規定に違反すると指摘、それを隠すために、間に関係会社を置いたなどとし、これらの事実からも、関係会社が業務を実施していないことを認識していたのは明らかだとした。

 (3)に関し、まず検察は、公的な研究費については、透明性のある適正な執行が求められるとし、目的外使用、不要な手数料の支払い、利益相反取引、架空発注、再委託などは認められず、不正行為があった場合には研究費返還の可能性があるとした。各研究者は、当該業務を実施する意思が認められるからこそ各業者に発注しているのであり、大学の会計担当者は各種書類でその確認を行っているとし、「受注業者が誰であるかについて、大学側は高い関心を持っている」とした。仮に納品物があったとしても、受注業者の名前が偽られているのであれば、研究費等の支払いはなされないと結論付けた。

 「なぜ被告と証人の証言が食い違うのか」
 2015年12月に計4回行われた秋山氏の本人尋問の最後日、12月22日の最後の時間に行われた、裁判官による尋問。裁判の争点に加え、なぜ各証人と秋山氏の証言が食い違うのかを質す場面が多々あった。

 裁判長とは、以下のようなやり取りがあった(発言内容の要旨。カッコ内は、編集部による補足)。

裁判長:PCSKのA氏は、結局、実際の作業はARIの元社員が実施したと証言している。
秋山:報告書作成でワープロを打つ作業は彼らがやった。ただし、報告書作成までの検討など、特にラディス(PCSKが開発していた物流システム)関係のことは、A氏と話し合わないと報告書は作成できない。
裁判長:A氏は、ARIの元社員との会議には参加したが、業務の中身については口出ししていないと証言している。
秋山:私の記憶とは違う。
裁判長:ARIの元社員も、2009年度の委託費の納品物は、(2009年12月19日に在宅医療の現場を見るための)新居浜視察に関する資料と秋山氏のレクチャーで作成し、A氏は関係していないと言っている。
秋山:全く認識が違う。
裁判長:ではなぜ元社員は、そう証言したのか。
秋山:分からない。私もそこが一番の疑問。

裁判長:新居浜視察は、証人(PCSK の役員、ARIの元社員)は、(岡山大の)委託費の研究とは関係するものではないと証言していた。事前に話していなかったのか(委託費の研究成果物は、新居浜視察などに基づく調査報告書)。
秋山氏:彼らの証言が嘘だと思っている。事前に、(委託費の研究を依頼した岡山大教授が作成した)パワーポイントは見せていた。
裁判長:パワーポイントは見ていたけれども、新居浜の視察は、エクスカリバー(秋山氏が開発していたPOSシステムを医療に応用したシステム)に関するものであり、委託費のためではなかったと証言している。
秋山:それは私の記憶と全く違う。誰が見ても、不自然だと思うが(視察翌日の12月20日に、岡山大教授と打ち合わせを実施)。
裁判長:12月22日に、(ARIの元社員がメールに書いていた)委託費の作業は、iPhoneを使ったシステムの概要等に関するものであり、現地調査報告書にはなっていない。これはなぜか。
秋山:その後に、ARIの元社員から「勘違いだった」とメールがあった。iPhoneはフラッシュに対応していないので、私は現時点ではシステムを作ることは難しいと考えていた。
裁判長:電話した際に、「iPhoneがフラッシュで対応していないなら、現地調査報告書でいい」と言わなかったのか。
秋山:私は、言ったと思う。
裁判長:ではなぜシステムのことを、ARIの元社員は話しているのか。
秋山:彼は頑固なので、システムを作りたいと考えていたのだろう。だから、後で謝っている。
裁判長:現地調査報告書を成果物にするという話はその段階で出たとは思えない。間違いなく言ったのか。
秋山:はい。



https://www.m3.com/news/general/402288
医師への退職勧奨「違法」 愛知・碧南市に賠償命令
2016年2月24日 (水)配信 共同通信社

 碧南市民病院(愛知県碧南市)の歯科口腔(こうくう)外科部長だった男性医師(61)が、パワーハラスメントがあったとの理由で退職を勧奨され、拒んだのに退職に追い込まれたとして、市に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は23日、「自由な意思決定を妨げており違法」として市に約4100万円の支払いを命じた。

 倉田慎也(くらた・しんや)裁判長は判決理由で、病院側は退職勧奨を拒んだ医師が所属する大学医局の教授を通じて退職を求めたと指摘。「退職勧奨は自由意思で拒否できる。事実上の人事権を持つ医局に退職を勧めさせ、自由な決定を妨げた」とした。

 判決によると、2010~11年、市役所や新聞社に医師がパワハラをしたとの投書が届いた。医師は否定し詳しい調査を求めたが、病院側は調査せず退職を勧めた。医師は12年3月末で退職した。

 碧南市は「判決文が届いておらず、詳細を把握していない」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/402269
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
男性医師、イベント発生となるように加筆?ノバ社側尋問
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第12回公判

2016年2月24日 (水)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第12回公判が、2月23日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、前日に続きKHS(Kyoto HEART Study)の事務局を務めた男性医師への弁護側による反対尋問が行われた。弁護側は男性医師が行ったデータの加筆について、「イベントと言うには難」という記述を削除するなど、イベント発生と判定されるような行為があったと示唆する質問をした。男性医師は検察側尋問に対して「もともとの結果に忠実に加筆した」と証言していた。

「イベントというには難」を削除
 2月1日公判の検察側主尋問で、男性医師は2009年4月にエンドポイント委員会で差し戻しとなった約40症例について、白橋伸雄被告に「何とかしてください」と言われ、当直の最中に加筆したと証言している(『「全て白橋氏がやってくれた」、府立医大医師』を参照)。ただ、「もともとの報告に忠実に加筆した」として、どちらかに有利になるような加筆はしなかったと強調していた。

 23日の公判で、弁護側は加筆の内容について追及。加筆は40例ではなく60例だと指摘した上で、入力データに「登録直後に冠動脈新規病変ありと診断。イベントと言うには難」と記載されている例を紹介。主治医の考えを男性医師に尋ねたところ、「主治医としては、登録前から病変があったとして、治療はしたが、イベントではないと判断されると思って報告しているのだろう」と述べた。その上で、弁護側は男性医師が行った加筆内容を「わずか半年後に狭心症の発作発現。ステント留置試行、狭窄度90%、半年後に狭心症発作出現」と指摘。「イベントと言うには難」という記述が削除されていた。

 弁護側が「これはイベントを肯定する方向か、否定する方向か」と尋ねると、男性医師はしばらく間をおいて、「否定する方向。『わずか半年後』という記述がある」と釈明。「イベントとしては難」を残すべきではと指摘されると、「その通り」と、肯定する方向に加筆されているのではと尋ねられると「私はそうは思いませんでした」とそれぞれ答えた。

 エンドポイント委員会から「入院を伴うか否か」というコメントがついた別の症例では、「うっ血性心不全、救急受診で入院加療」と加筆していた。弁護側の尋問に対し、男性医師は心不全のイベント発生基準に「入院加療」があることを知っていると説明。入院加療を付け加えた理由を「登録医は大学院時代に指導した部下。面倒くさがりやで、よほどのイベントでないと報告しない。報告する以上は、心不全入院はまず間違いなく、加筆した」として、主治医の判断を超えていないと述べた。いずれの症例もエンドポイント委員会でイベント発生と判断されている。

 「加筆がバルサルタン群に有利になったのでは」という指摘に対しては、「どちらの群かは分からなかった。間違えて加筆しても同等に影響が出るはず」と述べた。

「CASE-Jはあんな結果、学会幹部は苦々しい思い」

 弁護側は、東京慈恵会医科大学で行われた医師主導臨床試験「JIKEI HEART Study」(JHS)や京都大学で行われた降圧剤ARB「ブロプレス」に関する臨床試験「CASE-J」との関連についても質問。CASE-Jは、心血管イベントの発生などを主なエンドポイントとして、プロプレスと、CCB(カルシウム拮抗薬)のアムロジピンの2種類の降圧剤の有効性を検証した多施設の医師主導の臨床研究試験(『京大研究者「広告内容知らず」、CASE-J』を参照)。主要評価項目の複合系心血管イベントについては、両群に有意差がなかった。

 2007年7月の京都府立医大元教授の松原弘明氏と男性医師のメールのやり取りでは「JHSが立派なデータを出したのに、CASE-Jがあんな結果になり、日本高血圧学会の重鎮の先生方が苦々しく思っているような噂を耳にした」という記述があったと紹介。男性医師は「あんな結果とは、有意差が出なかったこと」と説明した。

 また、2009年6月の男性医師から松原氏へのメールでは「インパクトファクター(IF)ではEuropean Heart Journal が7.9、Lancetが28.6。ランセットは格が高く、JHSもLancetで発表しており、目標は高くいかがですか」とあったと指摘。このメールを書いた時の心境について「私はこんな立派な雑誌に投稿したことがなく、白橋氏に勧められて書いたメール。向上心のない私には関係ないが、(IFが高い雑誌に掲載されると)研究者として格が上がる」と説明した。

調査委に最新データを提供せず

 論文に疑義が呈された後、2013年に京都府立医科大が設置した調査委員会に対しては、男性医師がデータを提供していた。調査委員会報告書によると、提供された「web入力データ」は2009年1月21日に作成されたもの。しかし、データ管理会社からは2009年7月か8月ごろまで更新されたデータが送られてきていたことを明らかにした。最新のデータを提供すべきだったのではと問われると、「一番新しいファイルだと思って提出した。あわてて送付資料を作った」と述べた。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0238460.html
メーカー、MRI以外も受注 美瑛談合事件 4年で1億6千万円
02/24 07:10、02/24 08:15 更新 北海道新聞

 【美瑛】上川管内美瑛町の町立病院発注の磁気共鳴画像装置(MRI)の指名競争入札を妨害したとして、官製談合防止法違反容疑で同病院放射線技師矢野雅人容疑者(48)が逮捕された事件で、この入札で導入したMRIのメーカーが2010年以降、MRI以外にも高額の医療機器を次々と受注していたことが23日、同町への取材で分かった。受注件数は4年間で3件計1億6124万円に上り、道警捜査2課などは、ほかの入札についても発注の経緯を慎重に調べている。

 町によると、町立病院は《1》10年4月、コンピューター断層撮影装置(CT)を3286万円《2》11年4月、入札に不正があったとされるMRIを1億130万円《3》13年5月、透視診断装置を2707万円(いずれも税込み)―で購入。納入業者は一部異なるものの、いずれも同一メーカーの製品で、放射線科で使用する医療機器だった。予定価格に対する落札率は《2》《3》は99・9%で、《1》は不明という。

 旭川東署などによると、矢野容疑者は11年4月、町立病院のMRI発注に関する指名競争入札で、あらかじめ購入を決めていた医療機器メーカーの40代男性社員と共謀し、意中の旭川市の医療機器納入業者に予定価格を下回る卸売価格を告げて落札させ、入札の公正を害したとされる。



http://www.asahi.com/articles/ASJ2S6RJDJ2SULBJ017.html
医師会、異状死の届け出義務を明確化 医師法改正案公表
武田耕太2016年2月25日00時04分 朝日新聞

 医師に異状死の届け出を義務づけた「医師法21条」について、日本医師会は24日、届け出義務の対象について、医師が「犯罪と関係があると認めたとき」と明示する改正案を公表した。現在は対象があいまいで、医療現場が混乱しているなどの指摘を受けたという。

 改正案ではこのほか、医師の倫理に基づいて報告するのが基本理念とし、届け出義務に違反したときの罰則規定(50万円以下の罰金)を削除する、とした。

 医師法21条は、死体や、妊娠4カ月以上の死産児を検案して異常を認めたときには、24時間以内に警察に届け出ることを医師に義務付けている。福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故では、手術した医師が業務上過失致死と医師法21条違反の疑いで逮捕され、その後無罪判決を受けた。医師からは、異状死の範囲を明確にするよう求める声があがっていた。

 医師会は改正案を盛り込んだ提言のなかで、医師法21条は本来、殺人や傷害致死など重大な刑事犯罪の捜査の端緒を得やすくするために定められた、などとしている。

 昨年10月に始まった医療事故調査制度は、医師が「予期せぬ死」と判断すれば、第三者機関に届け出ることを求めている。医療界には医師法21条の届け出義務との整理を求める声もあり、今年6月までに、医師法21条のあり方も含め、制度を見直すことになっている。(武田耕太)



http://diamond.jp/articles/-/86878
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴【第111回】
紹介状なしの大病院受診で
「5000円以上」上乗せが決まった理由

早川幸子 [フリーライター]
2016年2月25日 ダイヤモンドオンライン

 2月17日、TBSラジオの「荒川強啓 デイキャッチ」という番組に出演し、4月から始まる「紹介状なしで大病院にかかった場合の特別料金」についてコメントした。


 特別料金の導入について、番組に寄せられたリスナーの投稿から関心の高さが伺えたが、限られた時間のなかで伝え切れなかったことも多かった。

 本コラムでは、過去にも大病院の初再診料の特別料金については紹介しているが、4月からの制度開始を前に、改めて導入の背景にあるものを整理しておきたい。

新制度導入の目的は
金持ち優遇なのか?


 2月10日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で、2016年度からの診療報酬(医療費の単価)が正式に決められ、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入」についても発表された。

 診療所や中小病院などの医師の紹介状(診療情報提供書)を持たずに大病院を受診した患者に対して、窓口での一部負担金に加えて、定額負担を義務化することが決定。定額負担の対象となる医療機関、金額など具体的な内容は次の通りだ。

○対象となる医療機関:
 ・特定機能病院
 ・一般病床500床以上の地域医療支援病院
 具体的には、高度な医療を提供している大学病院や国立病院機構、複数の診療科がある大きな民間病院など。

○定額負担の最低料金
 ・初診時5000円(歯科は3000円)
 ・再診時2500円(歯科は1500円)
 この金額は最低料金で、実際の金額は病院の裁量で決められる。

○例外規定
 ・緊急その他やむを得ない事情がある場合
 救急の患者、難病などで公費負担医療の対象になっている患者、無料定額診療事業の対象患者、HIV感染者。

 ・その他、定額負担を求めなくてもよい場合
 同じ病院内の他の診療科を受診中の患者、メタボ健診やがん検診などの結果で精密検査を受けるように指示された患者、症状が重くて受診後すぐに入院した患者、その病気を専門に治療する診療所が地域にない場合、新しい薬などの治験に協力している患者、災害で被害を受けた患者、など。

 今回の改正に対して、「金持ち優遇」「貧乏人は大病院に来るなといわんばかり」といった批判も出ているが、緊急時の例外規定なども設けられており、紹介状を持たない患者を何がなんでも大病院に寄せ付けない措置ではない。

 特別料金の負担の対象となるのは、軽症にもかかわらず、「大きな病院のほうが安心だから」「ブランド病院に通院したい」「いちばん近いから便利」など、個人的な理由で大病院を受診している患者だ。

 なぜ、国はこのような仕組みを作ったのだろうか。

勤務医の4割の労働時間が
過労死認定基準を超えている


 医療制度の国際比較をしたとき、日本の特徴のひとつとしてあげられるのが医療機関へのアクセスのよさだ。

 日本では、「いつでも、どこでも、だれでも」の標語に象徴される通り、健康保険証1枚あれば、規模の大小を問わず日本全国どこの医療機関でも受診できる。このような医療体制を敷いている国は、世界中どこを探してもない。

 この「いつでも、どこでも、だれでも」というシステムは、これまで「いつでも自分の好きなときに、好きな医療機関を自由に使ってよい」と理解されてきた。それが患者の大病院嗜好、設備の整った病院を好む傾向を生み、軽症・重症にかかわらず、大病院に患者が押し寄せる構図を作ってきた。

 この「フリーアクセス制」は、医療を利用する患者にとっては自由度が高く、便利なシステムだが、限られた医療資源を効率よく使うという観点では弊害も多い。

 大病院が専門性の高い治療に特化していれば、医療器材や人材も集中的に投入できる。だが、日本の現状は、軽症、重症にかかわらず、さまざまな患者に広く対応せざるを得ない状態なので、経済的にも、運営的にも、効率が悪い。

 そして、症状に関係なく大病院に患者が押し寄せることで、患者本人に悪気はなくても医療全体の効率を阻害し、病院で働く勤務医に過酷な労働を強いる原因になっていることは否めない。

 夜中の患者の急変や救命救急に対応するための当直、オンコールは当たり前で、24時間どころか、36時間連続勤務を行っている医師もいる。短時間の仮眠だけで、当直明けに十分な休養もとらないまま、通院患者の外来診療に当たるということが日常となっているのだ。

 実際、勤務医の4割が1週間60時間以上の労働をしているが、これは一般的に考えると残業が120時間で、過労死認定基準を超えた労働時間となる。また、宿直をした翌日も86.2%が通常通りに勤務しており、勤務医の過酷な労働環境が伺えるのだ(独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の4割が週60時間以上の労働 ~『勤務医の就労実態と意識に関する調査』調査結果~」より)。

 今は、大手メディアではほとんど報道されなくなり、「医療崩壊」という言葉も聞かれなくなったが、世間がその言葉を忘れただけで、勤務医の労働環境が根本的に改善されたわけではない。

 今日もどこかで、36時間勤務の疲れきった医師が患者の診療に当たっている。病院医療は制度的な保証ではなく、「現場医師のがんばり」という非常に脆いものの上に成り立っている面が大きいのだ。

 すでに医療現場が限界にきているところに加えて、目前に迫っているのが2025年問題だ。団塊の世代が75歳以上になると、医療を必要とする人が今まで以上に増え、病院のベッド数が足りなくなることが予想されている。

 そこで国が目指しているのが、「大病院は専門性の高い手術や抗がん剤の治療」「診療所や中小病院は慢性期の治療や日常的な健康管理」などと医療機関が役割分担をして、病院完結型の医療から、地域全体で患者を治し支える医療への転換だ。

 国民にも医療機関の利用方法を見直してもらう必要があるため、その対策として導入されたのが、4月から始まる紹介状なしで大病院を受診した患者への特別料金の義務化だったのだ。

特別料金による患者誘導に
大きな効果があるかは疑問


 こうした特別料金の導入は、今回がはじめてではない。すでに入院用のベッド数が200床以上の病院では、紹介状なしで受診した患者から特別料金を徴収してもよいことになっている。だが、特別料金を加算していた病院は、初診時45%と半数に満たなかった。

 さらに、2013年4月からは「低紹介初・再診料」という制度も導入された。高度な医療が必要ないのに患者の自己都合で通ってくる患者が多い大病院の初再診料を引き下げ、その分、患者に特別料金を請求するという制度だ。

 だが、この仕組みも患者を誘導する大きな手立てにはならず、今もまだ大病院の通院患者のうち6~8割は紹介状を持たずに受診している。

 そこで、今回、特定機能病院、ベッド数500床以上の地域医療支援病院には、特別料金の徴収を義務付けることでインパクトを与え、患者の誘導をはかろうとしたわけだが、露骨な誘導に不快感を覚えた国民も多いだろう。

 筆者自身も、限りある医療資源を有効活用するために医療機関の役割分担は必要だと思うが、お金を使った誘導には疑問を覚える。しかも、大病院が特別料金を徴収しても、さしたる効果はないことが報告されているのだ。

 2015年4月16日、全国医学部長病院長会議が発表した「選定療養費と外来患者数についての調査結果報告」では、次のような報告がある。

 《選定療養費の金額変更により、選定療養費算定患者数の減少、紹介率・逆紹介率上昇について一部確認することが出来ますが、金額変更はあくまでも一端であり、紹介・逆紹介の向上への取り組みを行っている病院が、数値に表れているかと思われます》

 つまり、紹介状を持たない患者から特別料金を取ることよりも、大病院と中小病院、診療所が連携して、患者を紹介しあう取り組みを行っている地域のほうが、医療機関の機能分化に貢献していることが報告されているのだ。

 また、2013年度の中医協の資料「入院医療等調査評価分科会調査と日本医師会・四病院団体協議会調査との比較について」では、医療機関の機能分化が進まない理由として次のようなことがあげられている。

 ・選定療養費(特別料金)をとっても、紹介状を持たない患者が多数受診する
 ・地域に連携できる医療機関が少ない
 ・患者数を確保するなど経営上の理由がある

 こうした問題を解決しないで、ただ患者から特別料金をとっても、本当の意味での医療機関の機能分化をすることはできないだろう。

 反対に、今回の制度は「お金さえ払えば、いつでも大病院で診てもらえる」といった誤解を与えることになりかねない。また、「たくさんお金を払っているんだから、早く診療しろ!」とモンスターペイシェント化する患者を増やすのではないかといった心配も生まれる。

 お金を使った誘導には限界があるし、新たな弊害も生む。前出の調査報告にもあるように、医療機関の役割分担を推進するためには、医療機関同士が連携を強めて、患者を紹介しあう仕組み作りが急がれる。

 時間はかかっても、制度変更の背景にあるものを患者に説明し、患者教育をしていくことが何よりも大切なことなのだと思う。

 勤務医の労働環境を含めた医療の実態が理解されれば、自律的に医療機関を使う患者は増えていくはずだ。そして、必要なときはいつでも大病院にかかれることがわかれば、安心もできる。

 そのためには、医療者を中心とした患者への説明が必要だが、患者もたんなる傍観者ではいられない。

制度導入の効果を検証し
きちんと国民に報告を


 日本の医療制度は、国民が支払う税金と健康保険料によって運用されている公共性の高い事業だ。医療者に負荷を与えすぎて病院が機能しなくなったら、いちばん困るのは医療を受けらなくなる国民だ。医療者だけではなく、国民も、限られた医療資源を有効活用するように心がけなければならないだろう。

 2014年に改正された医療法では、国民に対して、次のような責務が盛り込まれた。

 医療法 第六条の二の3
 国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるように勤めなければならない。

 つまり、「いつでも好きなときに、好きな医療機関を使ってよい」というこれまでのフリーアクセスの概念を改め、「必要なときに、病状に合った医療機関を使う」といった考えに変えていく必要があるということだ。

 今回の制度改革は、決して、国民に「大病院に行くな」というメッセージではない。「いつでも大病院ではなく、その時の病気の症状にあわせて、医療機関を使い分けてください」というものだ。

 特別料金の徴収による患者の誘導に不快感を覚える人も多いはずだが、それだけ日本の医療制度が切羽詰っていることの表れでもある。

 診療所や中小病院で紹介状を書いてもらえば、大きな病院で必要な治療は受けられる。ちなみに、紹介状の正式名称は、診療情報提供書といい、書いてもらうには費用がかかる。ただし、健康保険が適用されるので、3割負担の人で750円、1割負担なら250円だ。

 いきなり大病院に行くよりも、自己負担する医療費も抑えられるので、まずは地域に信頼できるかかりつけの診療所を見つけて、今後は賢く医療機関を使い分けるようにしたい。

 そして、当然のことながら、国民に負担を強いる制度を導入した国の責任も問われる。

 2016年度の中医協の答申書の付帯意見には、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の影響を調査・検証し、外来医療の機能分化・連携の推進について引き続き検討すること」が付け加えられている。

 紹介状なしの大病院受信時の定額負担が、たんに病院の収入を増やすための施策ではなく、医療機関の役割分担を促すためのものであるならば、その効果を国民に報告する義務があるし、もしも効果が出ないということが政策の方向転換をしなければならないだろう。

 答申での約束通り、制度導入の効果があったのか否か、国民は報告を待っている。


  1. 2016/02/25(木) 06:07:13|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
次のページ