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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

Google Newsでみる医師不足 2015年12月31日

Google Newsでみる医師不足 2015年12月31日
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Doctor Shortage Worsens, Particularly In Southern States
Forbes‎ - 2015年12月29日 (USA)
There are 91 active primary care physicians per 100,000 population in the United States, but there needs to be more if Americans are going to get the right care, in the right place and at the right time, a group representing the nation's medical schools and teaching hospitals says in a new report.

The Association of American Medical Colleges (AAMC) this week released its annual physician workforce report, which looks at the supply and makeup of U.S. physicians, as well as the general expanding state of graduate medical education in the U.S. The report drew on data that includes information from AAMC researchers as well as the American Medical Association’s “Masterfile.”


New laws to ease doctor shortage see long delays, criticism
Yahoo News‎ - 2015年12月12日 (Missouri, USA)
JEFFERSON CITY, Mo. (AP) — A new Missouri law offered a first-of-its-kind solution to the physician shortage plaguing thousands of U.S. communities: Medical school graduates could start treating patients immediately, without wading through years of traditional residency programs.

Following Missouri's lead, similar measures were enacted in Arkansas and Kansas and considered in Oklahoma. The idea appeared to be a new model for delivering medical care in regions with too few physicians to meet needs.

Yet more than 18 months after that first law passed, Missouri regulators are still trying to make it work. And not a single new doctor has gone into practice in any of the three states as a result of the new laws.


Local organizations working to fix Meaford family doctor shortage
Simcoe.com‎ - 2015年12月22日 (Ontario, Canada)
“Yes, we have a shortage of family physicians. Dr. Weiss has now retired, and we do not believe all of Dr. McCall's patients had yet been picked up. We also have another physician who is likely going to be leaving at the end of the year,” she said. “We also do not have numbers, but we believe we could take on two more doctors and have sufficient patients to keep them occupied.”


Easing Nevada's Doctor Shortage
KTVN‎ - 2015年12月15日 (Nevada, USA)
They say this office will serve as a "center for engagement" between the physicians who work at Renown and UNR professors, and especially the students who are considering a career in medicine. There's an urgent call for something like this: Nevada's alarming shortage of doctors and nurses. Rochier calls it "A real problem, and it’s a serious problem. Depending on which survey you look at, we rank somewhere between 38th and 47th in the country in physicians per capita."

Especially primary care doctors, and nurses. Dr. Rochier has been in the medical field for 40 years now. He says he's never seen a shortage like this. UNR's Melissa Piasecki, an MD who serves as an executive associate dean told us, "We only have a few residency programs, and many of our students have to go out of state to get the training and specialty they want.".


Lawmaker touts Cuban medical school as fix for rural doctor shortage
Charleston Post Courier‎ - 2015年12月5日 (North Carolina, USA)
Just north of Greenville, farmers in rural Henderson County grow 65 percent of all the apples in North Carolina — the seventh largest aggregate crop in the country. The Ginger Golds and Pink Ladies, the Honey Crisps and more than a dozen other varieties peak on their own schedules from August through October, which is just to say that a lot of migrant apple pickers walk into the low-income clinic where Dr. Kari Koch works each fall.


(他に10位以内のニュースは、米国:全米、モンタナ州、カナダ:ブリティッシュコロンビア州(2)、マニトバ州などからも)


  1. 2015/12/31(木) 09:23:07|
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12月30日 

http://mainichi.jp/articles/20151230/ddl/k10/040/036000c
群馬大病院
術後患者死亡「マンパワー不足」 事故調 /群馬

毎日新聞2015年12月30日 地方版 群馬県

 群馬大医学部付属病院で同一医師による肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、医療事故調査委員会の上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)は29日の記者会見で「マンパワーがきわめて不足していた」と病院の診療体制が十分でなかった可能性に触れた。日本外科学会に委託した医学的調査の対象は2007〜14年度、手術後に死亡した64例で、他の医師14人による34例も含まれていた。来年4月をめどに報告書をまとめる予定。

 京都市で記者会見した上田委員長によると、対象は旧第1、2外科の計15人が行った消化器外科手術約6700件中、術後に院内で死亡した64例で、「全てに問題があったわけではない」。旧第2外科の肝胆膵(かんたんすい)チームだった男性医師(3月に退職)による腹腔(ふくくう)鏡手術8例など30例も含む。

 日本外科学会の検証委は約50人で構成され、部位別に九つの小委員会を設置。24日の第1回会合で64例中13例を除外し、今後、男性医師による30例を含む残り51例について、遺族の了解を得て手術前後の記録を精査する。男性医師にも聞き取り調査するとみられる。

 また、事故調は20日、男性医師からヒアリングを実施。男性医師は、死亡症例検証会が開かれていなかったことを認めた一方、「患者の容体変化や死亡は毎日、外科内の引き継ぎとして情報共有されていた」という趣旨の話もしたという。【尾崎修二】



http://news.livedoor.com/article/detail/11012525/
現役医師が明かす「医者が行きたくない病院を見た目で判断する方法」
2015年12月30日 9時38分 マイナビスチューデント

8日に放送された「まさかソコなん?」(関西テレビ)では、各分野のプロが見た目だけで、その善し悪しを見分けている判断基準を暴露。その道のプロは、素人ではわからない目で判断をしていることが明らかになった。

現役医師が明かしたのは、「見た目でわかる、行きたくない病院」まず、医師がひとりでやっている町医者の場合は、簡単にわかるそうで、それは看板。

おおたけ消化器内科クリニックの大竹真一郎医師によると、何種類もの科が書いてある病院は行きたくない病院だとか。

医師免許を取得すれば、どの「科」でも掲げられる。町医者の場合、需要があるため内科を表記することが多いが、決してその医師が内科専門とは限らないという。

大竹医師によると、実は、2番目に書いてある科が、専門の場合にしていることが多いとか。風邪の症状はひとつではない。安易に風邪と診断して薬を処方する医師は危険だ。逆に、ひとつの「科」のみ書いてある病院は、自信がある証拠だそう。病院に入る前に、まず看板をチェックしよう。

次は、歯医者。丸橋全人歯科の丸橋医師は、「私だったら行きたくない歯医者はすごく多いんです」という。

丸橋医師は、「行きたくない歯科医院の本棚には、多くの場合、ゴルフの本がたくさんあります」とのこと。
待合室に並べてある本で、その医師がどういう思考なのか傾向がはっきりわかる。握力を使うスポーツをすると、手の繊細な作業に支障が出て、震えが出たり、固定がきかなかったりすることがある。

歯科医師は、手先を使って繊細な治療をする。雑な治療をされないためにも、歯科にかかるときには、待合室をチェックしよう。

そしてもうひとつチェックしたいのが、待合室にある表彰状。感謝状がたくさん飾ってある歯科医にはいきたくないという丸橋医師。

感謝状や表彰状は、講演に参加したり、学会に参加したり、登録するだけでも、貰えるので手に入れるのは簡単。そのため、感謝状がたくさんあっても意味がないとか。

しかし、その中に「認定書」がある場合は別。「認定書」は、優秀な医師にのみ与えられる場合があるため、優れているかどうか判断基準になる。

今や、コンビニよりも多い歯科医。
サービスが過剰になっているが、やはり医師の技術が一番大事。どの病院を選ぶか迷ってしまったら、以上のような目で判断してみてはどうだろうか。



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2015/1230038104/
【2015年 私の5大ニュース】
新春特別企画 2015年私の5大ニュースと2016年の抱負

(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長 木戸 道子)
2015.12.30
 2015年はどのような年だったでしょうか。医療を必要とする人々を支援すべく,奔走を続ける先生方も多いことと思います。一方,第三者機関による医療事故調査制度の開始,次々と現れる新薬とジェネリックの躍進など,医療を取り巻く環境の変化を感じる出来事も相次ぎました。Medical Tribuneは医療関係者と医療・医学の最新情報をつなぐ架け橋として,鋭意活動を続けていきます。本企画では魅力あるコンテンツづくりに多大な貢献をいただいている,さまざまな診療科・領域でご活躍の先生たちに,2015年の5大ニュースと2016年の抱負としてそれぞれの身の回りに起こった変化や展望を語っていただきました。

1. 産婦人科医不足は改善せず

 分娩取り扱い施設の減少,出産年齢の上昇,ハイリスク妊婦の増加などを背景に、少子化にもかかわらず勤務先ではお産が増加しており,2012年以来は年3,000件超が続いている。全国的な産婦人科医不足で,自分の夜間休日の勤務もまだ続きそうである。元気で仕事ができることに感謝し,母子の大切な命を預かる仕事を次代に継承していきたい。

2. 妊娠出産育児マンガ本の発刊

 診療のかたわら,マタニティ・育児雑誌の記事監修や,妊娠出産育児情報をまとめた「Baby+」の執筆協力などに携わった。気軽に読める「マンガ解説 よくわかる!妊娠と出産」(学研)も4月に発刊した。妊産婦さんやご家族の参考になるとよいのだが。

3. 女性ヘルスケアアドバイザープログラムに参加

 知識を整理して新しい情報を学ぼうと日本産科婦人科学会主催の「女性ヘルスケアアドバイザープログラム」に申し込んだ。医学的なことのみならず女性の貧困やDVなど社会問題にも対応した盛りだくさんの内容に毎回感動。全国から集まった産婦人科医が熱心に聴講している姿にも励まされた。女性の生涯にわたる健康支援がさらに進んでいくことが期待される。

4. 「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」報告書が公表される

 昨年(2014年),厚生労働省に設置された懇談会に構成員として参加してきた。今年1月に報告書が公表され,資料は厚労省のホームページで閲覧できる。離職防止のための支援策のみならず,指導的立場となる人材の育成に向けて一段進んだ施策が求められている。課題は山積しているが,取り組みを継続していくことが大切である。

5. 医療勤務環境改善支援へ動き出す

 医療介護総合確保推進法に基づき,全国で医療勤務環境改善支援センターの設置が進んでいる。厚労省「医療分野の勤務環境改善マネジメントシステムに基づく医療機関の取組に対する支援の充実を図るための調査・研究」に参加し,実施における課題について検討を行っている。秋からは社会保障審議会医療部会委員の重責も担うことになった。医療者の過重労働が改善し医療安全が向上していくことを願っている。
2016年の抱負

 診療やさまざまな担当業務で忙殺されがちだが,出会いを大切にし,家庭や職場などで温かく見守ってくれる人々に感謝しつつ,地道な活動を続けていきたい。



http://gigazine.net/news/20151230-human-3-0/
無料で人体の構造を立体的に隅々まで確認できる3D解体新書「HUMAN 3.0」レビュー
2015年12月30日 12時00分00秒 GIGAzine

普段は皮膚に覆われて見ることのできない骨格・内臓・筋肉・神経などの人体構造を、3Dグラフィックで好きなだけ見ることができるブラウザ版の解体新書のようなウェブサイトが「HUMAN 3.0」です。病気を患った時に自らの体内について勉強したい患者や、人体構造の知識が必要な介護士、医療系の学生・教師から本職の医者から単に人体構造に興味のある一般ユーザーまで、誰でも無料とは思えないレベルで人体構造を学習できるとのことなので、実際に使ってみました。

HUMAN 3.0
https://human.biodigital.com/index.html

ブラウザからHUMAN 3.0にアクセスすると、トップページには男性の骨格模型が読み込まれます。

マウスでドラッグすると骨格模型の向きを変えることができ……

マウスホイールが縮小・拡大に対応。


調べたい部位をクリックすると、英語で部位の名称や説明が表示されます。

左側のメニューには「Skeletal System(骨格系)」「Ligament System(靱帯系)」「Digestive System(消化器系)」「Urinary System(泌尿器系)」「Respiratory System(呼吸器系)」などの項目があり、トグルボタンをオンにすると、該当部位が骨格模型に肉付けされます。

残りの「Endocrine System(内分泌系)」「Nervous System(神経系)」「Cardiovascular System(心臓血管系)」「Lymphatic System(リンパ系)」「Viscera System(内臓)」「Muscular System(筋肉系)」「Integumentary System(外皮系)」も全てオンにするとこんな感じ。人体の知りたい部位だけを表示できるわけです。

右下にある「Explorer」のアイコンをクリックすると、左側のメニューを非表示にでき、全画面で人体模型をチェックできます。


操作方法に慣れれば「口の中から外を見る」のようにピンポイントで普段は見られない人体の部位について勉強できるようになります。

右上のバーにある鉛筆アイコンをクリックすると、表示している人体を編集するメニューが出現します。「Transparency Mode」だと人体の全ての部位を透明にすることができ……

メスアイコンはクリックした部位を削除することができ、半分人体模型を作り出すことも可能。

人体の一部分のみのプリセットは「Featured」から表示することができますが、いくつかの項目がロックされています。これらは有料のプレミアムアカウントに移行すると閲覧可能になります。

ウェブサイトやブログに自分が見ていた部位をウィジェットにして埋め込むことも可能で、右上の埋め込みアイコンから「GENERATE CODE」をクリックすると……

埋め込み用のHTMLタグが生成されました。これをHTMLエディタに貼り付ければOKです。

実際に埋め込みを表示すると以下のような感じ。複数人に同じ人体パーツを共有できるため、同じ勉強を行っているグループ内などで活用できそうです。



http://mainichi.jp/articles/20151230/k00/00m/040/076000c
化血研
業務停止110日 厚労省処分、1月上旬にも

毎日新聞2015年12月30日 07時45分(最終更新 12月30日 07時45分)

 熊本市の一般財団法人「化学及(および)血清療法研究所」(化血研)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造していた問題で、厚生労働省が化血研に対する業務停止処分の期間を110日とする方針を固めたことが関係者への取材で分かった。医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく業務停止処分としては過去最長という。

<化血研>「最初は試験的」元理事長、隠蔽認識は否定
<化血研>無届けでボツリヌス毒素運搬

 厚労省の業務停止処分の最長はこれまで、抗ウイルス剤「ソリブジン」の臨床試験で発生した死亡事例を国に報告しなかったなどとして、1994年に製造元の日本商事(当時)に出した105日。

 厚労省は既に処分内容を化血研に伝えており、弁明を聞いた上で早ければ1月上旬にも処分する。

 厚労省は5月に化血研を立ち入り検査し、献血で作る血液製剤が国の承認と異なる方法で製造されていることを確認した。

 化血研の第三者委員会の調査で不正は遅くとも1974年から続き、12製品の31工程で無断で添加物を加えるなどしていたことが判明。国の査察で不正が発覚するのを免れるため、承認通りに作ったとする虚偽の記録を作成するなどしていた。

 厚労省はこうした隠蔽(いんぺい)工作を特に悪質と判断。「医薬品の製造販売業の許可取り消しに相当する事案」として検討し、業務停止処分にする方針を固めていた。化血研のシェアが高い血液製剤やワクチンは処分の対象から外す予定。

 化血研の不正製造で健康被害は確認されていないが、塩崎恭久厚労相は「組織的に長期間にわたって監督当局をだましてきた。健康被害が出ようが出まいが関係ない」と厳しく処分する考えを示していた。【古関俊樹】



http://mainichi.jp/articles/20151231/ddm/016/040/003000c
戦後70年・日本のサイエンス
医療の進歩、変わる死生観 延命最優先から患者の意思尊重へ

毎日新聞2015年12月31日 東京朝刊

戦後、病院で亡くなる人が増えたが、最後の時を過ごす場所は多様化している=千葉県内のホスピスで宮間俊樹撮影


 戦後、衛生状態が改善し、高度な医療が誰でも受けられるようになったため、日本は世界有数の長寿国となった。一方、脳死や延命治療などを巡り、新たな問題も起きている。技術や医療の進歩は、日本人の生と死をどのように変えてきたのだろうか。【下桐実雅子】

 ●感染症に抗生物質

 戦前、日本人を苦しめてきたのは感染症だった。結核は「国民病」として恐れられ、1918年から世界中で大流行したインフルエンザ(スペイン風邪)では、国内で38万人の死者が出たと報告されている。

 長く死因の上位を結核や肺炎、胃腸炎が占めていたが、戦後、抗生物質の普及により感染症で亡くなる人は激減し、平均寿命は延びていく。61年には、国民皆保険制度が整い、誰もが薬や医療技術の恩恵を受けられるようになった。感染症に代わって、脳卒中やがん、心臓病が死因の上位に浮上した。

 60〜70年代には、口から食事が取れなくなっても、血管に栄養を注入して長期生存できる「中心静脈栄養(高カロリー輸液)」と呼ばれる技術が開発された。駆け出しの医師として大学病院の外科に勤務していた東京都小平市の山崎章郎(ふみお)さん(68)=ケアタウン小平クリニック院長=は「抗がん剤の種類が限られ、がんは切るしかない時代。根本治療ができなければ、少しでも命を延ばすことが最優先された」と振り返る。

 病院での死の迎え方に一石を投じてベストセラーになった山崎さんの「病院で死ぬということ」(90年)の中には、臨終を迎える人への蘇生術の様子が生々しく描かれている。「呼吸が停止し、心臓が停止しそうになったとき、医師たちの一人は人工呼吸を開始し、一人は心臓内に強心剤を注入するや即座にベッド上に飛び上がり、患者にまたがると、全身の力を込めて心臓マッサージを開始した」。できる限りの治療を求める社会のニーズに応えた結果でもあった。

 ●「病院死」50%超える

 77年、日本人の亡くなる場所は病院が自宅を抜き、79年には「病院死」が50%を超えた。山崎さんは「病院で迎える死は、その過程が医学的に管理されており、家族が入る余地はない。病名の告知もタブーの時代、患者本人は自分がなぜ死ぬのかを知らされず、その意向が反映されることはなかった」と語る。

 大阪では77年、終末期医療のあり方に関心を持つ医療関係者が集まり、「日本死の臨床研究会」が発足した。終末期医療に詳しいノンフィクション作家の柳田邦男さん(79)は「研究会はその後のがん医療の転機となった。死を陰に置くのではなく、表に出してしっかりと向き合い、患者がその人らしく、最期まで納得して生きられるよう支援することを目指した」と話す。

 ●終末期の関心高まる

 80年代には、全国的にも安らかな最期を目指す「ホスピスケア」「ターミナルケア」が注目された。81年、聖隷三方原病院(浜松市)に国内初のホスピスが開設され、3年後には淀川キリスト教病院(大阪市)にもできた。

 抗がん剤など、がん治療の効果を判断するのに、「Quality Of Life」(QOL、生活の質)の視点が入り始めたのもこのころだ。東京大特任教授の清水哲郎さん(68)=死生学・倫理学=は「『治療で命が延ばせるか』だけではなく、快適に過ごせるのか、人生の中身を考えようという動きが出てきた。QOLを大事にするホスピスケアと同じ流れだった」と語る。QOLという考え方は、がんがモデルとなり、その後、高齢者の医療に広がった。

 市民の中でも「生と死」を考える活動やホスピス設置を求める運動が全国に広がった。90年代に入ると、「病院は本来、治療の場だ」と考える医師たちが、家に帰ることを望む患者を住み慣れた自宅でみとる在宅医療の試みも、各地で目立つようになった。

 また91年、東海大病院の医師が58歳の末期がん患者に薬物を投与して死なせる事件が起こり(のちに殺人罪が確定)、終末期の医療への社会の関心が高まった。死期が迫った時に延命治療を拒否する意思をあらかじめ文書で示す「リビングウイル」の普及を進めていた「日本尊厳死協会」の会員数はこの事件後、急増した。2004年と06年には、北海道立羽幌(はぼろ)病院と射水(いみず)市民病院(富山県)で末期がん患者らの人工呼吸器を取り外して死なせたことが発覚した。

 こうした多様な動きが広がって、がんや難病に対する死生観が変化し、死を表に出して議論する「死の社会化」が起こったと、柳田さんは分析する。「一人一人が自分の死の迎え方や死を前にした時、いかに生きるかを考えるようになり、実際にその状況も変わってきた」。死に直面した人たちが人生の意味や死への考えを社会に発信する闘病記が増えたことも、大きな影響を与えたという。

 ●「脳死」の概念生まれ

 一方、人工呼吸器の普及は、心臓は動いていても脳の機能が失われ元に戻らない「脳死状態」という新たな概念を生み出した。68年に札幌医科大で和田寿郎教授(当時)が行った国内初の心臓移植は、提供者が本当に脳死だったのかが疑われ、大きな問題になった。その結果、日本では移植医療は長く停滞したが、85年、厚生省(現・厚生労働省)の研究班が新たな脳死判定基準(竹内基準)を発表し、再び議論に上った。

 90年、首相の諮問機関・脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)が設置され、「脳死は人の死か」を巡って、33回の会合で大激論が展開された。92年に当時の宮沢喜一首相に手渡された最終答申は、脳死を「人の死」とし、脳死者からの臓器移植を認めたが、人の死とすることに反対の梅原猛氏ら4人の少数意見が併記される異例の内容だった。参与として議論に参加した東京大客員教授の米本昌平さん(69)=科学史=は「医師の専権事項だった脳死の判定が社会に引きずり出されてコントロールできなくなり、政治的なテーブルができた」と話す。

 しかし、答申から臓器移植法が97年に施行されるまでは5年の月日を要した。2010年の改正法施行で15歳未満や家族同意での臓器提供も認められるようになったが、脳死は今なお、「死とは何か」という問題をわれわれに突きつけている。

 人工呼吸器は、難病患者の医療も大きく変えた。全身の筋力が徐々に低下する進行性の難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者は、呼吸にかかわる筋力も低下するため、生きるためには人工呼吸器が欠かせなくなる。80年代から在宅でも人工呼吸器を使えるようになり、その後、健康保険の適用にもなった。

 しかし、人工呼吸器を使うALS患者は国内で3割にとどまる。ALSの母を10年以上、在宅で介護した経験がある川口有美子さん(53)=NPO法人さくら会副理事長=は「呼吸器をつけて20年以上生きる人もいる。延命ではなく人生そのものだ。しかし、療養の場が家になり、介護してくれる人がいないと生きられない」と指摘する。

 今、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った難病治療や再生医療に大きな期待がかかる。それが実用化したとき、日本人の死生観はどう変わるだろうか。(このシリーズは今回で終わります)
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http://biz-journal.jp/2015/12/post_13094.html
連載  不要ながん治療が患者を殺す?
がん診断の9割は間違い?治療やめたら治る例も

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
2015.12.31   Business Journal

 1年がもう少しで終わりますが、今年も芸能界やスポーツ界では多くの人ががんで亡くなりました。すぐに頭に浮かぶ名前を挙げても、歌舞伎役者の坂東三津五郎さん(すい臓がん、59歳)、俳優の今井雅之さん(大腸がん、54歳)、フリーアナウンサーの黒木奈々さん(胃がん、32歳)、女優の川島なお美さん(肝内胆管がん、54歳)、大相撲理事長の北の湖敏満さん(大腸がん、62歳)と多数に上ります。
 もちろん一般の人でもがんで亡くなっているケースは非常に多く、我が国では統計上3人に1人ががんで死亡しています。また、がんを発病している人は2人に1人といわれています。これは、国立がん研究センターが2014年に発表した、男性の60%、女性の45%ががんを発病しているというデータに基づいています。
 ところで、一括りにがんといっても、それらにはさまざまな状態があり、本当にがんといえるのか疑われるケースも多いようです。『医者に殺されない47の心得』(アスコム)の著者である近藤誠医師(元慶應義塾大学医学部講師)は、がんと診断されているケースの多くは「本当のがんではない」、すなわち“がんもどき”であると指摘しています。特に、乳がんと前立腺がんの9割以上は、がんもどきであるといいます。

がんと腫瘍の違い

 がんとは悪性の腫瘍のことです。腫瘍は正常な機能を失った細胞の塊で、悪性とそうではないものがあり、悪性でない場合は単なる腫瘍です。ちなみに医学界では、「良性腫瘍」という言葉がよく使われていますが、これは「良い腫瘍」とも受け取られ、誤解を招く恐れがあります。腫瘍は正常な機能を失った異常な細胞の塊ですから、「良いもの」ということはあり得ません。ですから、「良性」ではなく「悪性ではない」という表現が正しいといえます。
 腫瘍が生じる原因は、放射線、ウイルス、化学物質、紫外線などであることがわかっています。それらが細胞の遺伝子を壊したり変形させたりすると、細胞分裂の際に突然変異を起こし、異常な細胞になります。これは、本来の細胞の機能を果たすことができないものです。これが腫瘍細胞であり、その塊が腫瘍です。
 ただし、悪性ではない腫瘍は、それほど問題はありません。一定の大きさにとどまり、臓器を機能不全に陥れることはないからです。また転移することもなく、ほかの臓器を侵食することもありません。近藤医師は、この悪性でない腫瘍をがんもどきと呼んでいるのです。
 一方、悪性の腫瘍は際限なく増殖して正常細胞を侵食し、臓器を機能不全に陥れます。また、転移して他の臓器で増殖し、それも機能不全にします。その結果、人を死に追いやるのです。これが、がんです。
 腫瘍が悪性か悪性でないかを判断するのは、なかなか難しいようです。以前岩手県に行った際に開業医の方々と懇談する機会があったのですが、悪性かどうかを判断できるのか質問したところ、内科医は「判断できる」と答えましたが、脳外科医は「判断できない」と答えました。また、近藤医師も「がんの見極めは、とても難しい」と述べています。

がんではないのに、手術や抗がん剤で命を落とす?

 あるケースを紹介しましょう。知人の元テレビディレクター(男性、54歳)は、東京都内の大学病院で前立腺がんと診断され、検査のために肛門から金属の棒を入れられたところ、翌日から腰に激痛が走り、歩けなくなってしまいました。前日まで普通の生活をしていたにもかかわらずです。そのため、「このままではがん治療で死んでしまう」と考え、その後の治療を拒否しました。そして、自然食を心がけるようにしたところ、体調は回復し、がんは消失したとのことです。
 この知人の場合、実際はがんではなく、悪性ではない腫瘍だった可能性が高いといえます。前述のように近藤医師も、前立腺がんの9割以上はがんもどきであると指摘しています。
 さらに、肝内胆管がんのため54歳という若さで亡くなった川島なお美さんの場合も、本当にがんだったのか疑わしいとの声があります。実は川島さんは、近藤医師にセカンドオピニオンを求めていました。近藤医師は川島さんとのやりとりを、インタビューに答えるかたちで「文藝春秋」(文藝春秋/11月号)で述べています。それによると、川島さんは都内のある病院でのMRI検査で肝臓に2センチほどの影が確認されました。つまり、腫瘍が見つかったわけで、担当医に手術をすすめられたようです。
 しかし、その腫瘍は悪性か悪性でないかわからなかったため、川島さんは手術を拒みました。そして、近藤医師にセカンドオピニオンを求めてきたのです。
 近藤医師は、「川島さんがDVDに入れて僕のところに持ってきた検査画像では転移の所見は認められなかった」と述べています。がんとは、増殖を続けて正常細胞を侵食し、また転移して他の臓器をも侵食する腫瘍のことです。その意味では、「転移がない」ということは、がんではない可能性があるということです。
 そこで近藤医師は、ラジオ波焼灼術という治療法をすすめました。これは、ラジオ波を患部に照射してがんを焼き切ってしまうというものです。しかし結局のところ、川島さんはがんを切除する手術を受けて、その後亡くなってしまったのです。
 冒頭で述べたように、現在2人に1人ががんを発病しているといわれていますが、筆者の知人や川島なお美さん、また近藤医師の指摘を総合すると、それらの多くは実際にはがんではなく、悪性ではない腫瘍の可能性があります。それをがんと診断され、手術や抗がん剤の投与などによって、結果的に命を落としているケースが少なくないのかもしれません。
 健康診断などでがんと診断されても、その言葉を鵜呑みにせずにセカンドオピニオンやサードオピニオンを求め、悪性か悪性でないかを十分に確認する必要があるでしょう。そうしないと、取り返しのつかないことになりかねません。なにしろ直接生死にかかわることですから、慎重の上にも慎重を期すようにしましょう。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)



https://www.m3.com/news/iryoishin/387429
シリーズ: The Voice(医療)
オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~ 第2回 医療制度および薬局を取り巻く背景

2015年12月30日 (水)配信 藤田健二


 創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。第2回は、「医療制度および薬局を取り巻く背景」についてお話しいただきます。

かかりつけ医を中心としたプライマリケア・システム
 オーストラリアでは、日本の人口のわずか6分の1に相当する約2,300万人が、日本の約20倍の国土に暮らしています。さらに、内陸部は砂漠や草原が大部分を占めており、人口の多くは沿岸部に集中しているため、医療機関へのアクセスの容易さが住む場所によって影響を受けやすいという特徴があります。
 オーストラリアの医療保障制度は、税方式による国民皆保険制度を基本として、病院での診療部分をカバーするメディケアと、処方せん医薬品をカバーするPharmaceutical Benefits Scheme (PBS)によって支えられています。この2つの公的システムによって、患者の医療費負担を軽減していますが、対GDP総医療費は2012年で9.1%に達しており(日本は10.3%)、増大する医療費の抑制が喫緊の課題となっています。
 オーストラリアで医療機関を受診する場合は、一般医(General Practitioner/ GP)に電話をして予約を取ります。ただし、イギリスのような1人のGPをかかり医として登録する制度ではないため、受診するGPを自由に決定および変更することができます。GPは歯科を除く全ての診療科の疾患が対象。専門医や病院への受診は緊急な場合を除いてGPからの紹介状が必要なため、GPがプライマリケアにおけるゲートキーパーの役割を担っています。

医療機関と薬局の利用頻度
 2009年時点でのGPの人数は2万5707人で、人口10万人当たりのGP数は113人。参考までに、日本の診療所に従事している医師数は10万0544人(2012年)、人口10万人当たり79人です。また、オーストラリアでは、1人当たりの年間受診回数6.6回に対して(日本は13.1回)、薬局の年間利用回数は14回以上というデータがあります。
 なぜ、オーストラリアでは、医療機関の年間受診回数が薬局の利用回数の半分なのでしょうか。1番の要因は、オーストラリアではリピート処方せん(処方せん1枚で複数回に渡りGPを受診せずに薬局で薬を受け取れる制度)が導入されており、患者の症状と使用医薬品によっては最大12ヶ月間GPの診察を受けないからだと考えられます。しかし、それは同時に、薬局薬剤師も患者の薬物治療管理に相応の責任を担っていることを意味しています。

薬局が置かれている状況
 ここで、オーストラリアと日本の薬局が置かれている状況を3つの側面から比較します。
 まず、1薬局がカバーしている人口についてです(表1)。2012年時点でのオーストラリアの薬局数は5240店、1店舗が4100人をカバーしているのに対し、同年での日本の薬局数は5万5797店、1店舗が2300人をカバーしており、オーストラリアの薬局の方が1店舗当たり約1.8倍多くの住民をカバーしている計算になります。
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表1.人口と薬局数についての日豪比較

 次に、1店舗当たりの薬剤師数を見てみましょう(表2)。2012年時点でのオーストラリアの薬局薬剤師数は1万3451人(人口10万人当たり 59人)、日本の薬局薬剤師数は15万3012人(10万人当たり 120人)です。ただし、オーストラリアには、ファーマシーテクニシャン(テクニシャン)と呼ばれる調剤助手が薬剤師1人につき1~2人いるため、調剤業務を担う従業員数を日本と比較する場合、テクニシャンの人数もカウントする必要があります。薬剤師と同数のテクニシャンが勤務していると仮定して2職種の人数を合算すると、人口10万人当たりの薬局薬剤師とテクニシャン数の合計は119人となり、上述した日本の120人とほぼ同数になります。
 つまり、日本の薬剤師数は海外と比較して過剰だという話をときどき耳にしますが、薬局薬剤師とテクニシャンを合算した総数で比較すると特別過剰にはなりません。ここで取り上げた数字を用いて1店舗当たりの薬剤師(テクニシャン含む)の人数を比較すると、オーストラリアは6.6人、日本は2.7人となり、1店舗で調剤業務を担う従業員数はオーストラリアの方が2.4倍多いことが分かります。
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表2.薬局薬剤師数についての日豪比較

 最後に、1店舗当たりの処方せん応需枚数についてです(表3)。年間の処方せん枚数はオーストラリアでは2億7500万枚、日本では7億6000万枚であり、これを1店舗当たりの応需処方せん枚数(月間)に換算すると、それぞれ4400枚と1100枚に相当します。つまり、日本の薬局と比べて、オーストラリアの薬局の方が1店舗当たり約4倍多く処方せんを調剤している計算になります。
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表3.処方せん枚数についての日豪比較

 以上をまとめると、オーストラリアの薬局は、1店舗当たりの調剤業務を担当する従業員数は日本よりも2.4倍多いものの、日本よりも1店舗当たり1.8倍多くの住民をカバーして、4倍量の処方せんを応需していることが読み取れます。このような違いが生じる理由は、両国間に大きく3つの違いが存在するからではないかと考えています。
 1つ目は、調剤方法の違いです。オーストラリアでは包装単位で調剤を行うため、日本のように箱から薬を取り出してシートをハサミで切って輪ゴムでとめる業務がありません。服用方法などの必要事項が記載されたラベルを箱に貼って完了なので、ピッキング時間が短時間ですみます(写真1)。
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写真1.箱出し調剤の様子(筆者撮影)

 2つ目は、薬歴記載方法の違いです。オーストラリアでは、薬歴の記載が必須ではありません。ただし、患者と話をした結果、薬学的介入につながった場合は、決められた方法で記載する必要はあります。よって、このことも業務時間の短縮につながります。
 3つ目は、法規制の違いです。オーストラリアでは、日本のように薬剤師一人当たりの処方せん応需枚数に制限がないため、少人数でも多くの処方せんを応需することができます。また、オーストラリアでは、薬局の開設や移転に対して政府が厳しいルールを設けています。その結果、適正数の薬局が適切な位置に配置されており、全ての国民が平等に薬局へアクセスできることを可能にしています。
 このように、患者の薬物治療管理に悪影響を及ぼさない範囲での調剤業務の効率化と偏りのない薬局配置が、日本よりも少ない薬局数で多くの処方せんを応需することを可能にしていると考えられます。

オーストラリアは「コンサルタントファーマシスト」を活用
 今後、日本で、かかりつけ医による医療提供体制が構築されて医療機関の機能分化が進めば、大病院の前で林立している薬局数が減少するとともに、薬局の立地面での偏りも徐々に解消されていくと考えられます。今回取り上げたデータをもとに、将来的な処方せん枚数の伸びなどを考慮せず、単純に両国の人口対薬局数だけを考えると、日本は約3万1000店舗あればオーストラリアと同等のサービスが可能という結論になります。
 しかし、こうした単純な数値比較だけでは意味を持ちません。なぜなら、近年オーストラリアでは、薬局内での業務が忙しくて在宅や介護施設での活動ができない薬局薬剤師の代わりに、薬局外でのサービス提供を専門とする薬剤師「コンサルタントファーマシスト」が誕生しており、こうした動きは、日本が目指す健康サポート薬局とは異なる方向に進んでいく可能性があるからです。そのため、海外の薬局事情を日本と比較考察する場合、今回取り扱った定量的なデータだけでなく、薬局に求められる機能を含めて、さまざまな角度から考察する必要があります。

【主な参考文献】
Duckett, S., and Wilcox, S. (2015).The Australian Health Care System (5th ed.).South Melbourne,Vic: Oxford University Press.
Hattingh, L., Low, J. S., & Forrester, K. (2013).Australian pharmacy law and practice (2nd ed.).London: Elsevier Health Sciences APAC.
The Pharmacy Guild of Australia. (2015).Retrieved November 27, 2015, from http://www.guild.org.au/.

※本記事は、エムスリーグループが運営する薬剤師向け情報サイト『薬キャリPlus』で、2015年12月25日に掲載したものです。  https://pcareer.m3.com/plus/article/report-from-australia-2/

専門家プロフィール/藤田 健二(ふじた けんじ)
昭和薬科大学大学院卒業後、杏林製薬会社に入社、新薬の探索研究に3年間勤務。その後、薬樹株式会社の薬局薬剤師として3年、同社における社内外の学習支援・薬局研究のマネジメント業務に4年従事した後、渡豪。2015年6月、シドニー大学大学院臨床疫学プログラム修了。2016年3月より同大学院博士課程へ進学予定。35歳。



https://www.m3.com/news/general/387433
注射の痛み、塗り薬で緩和
2015年12月29日 (火)配信 毎日新聞社

 注射などの痛みで子どもが泣き叫び、手に負えなくて困ったという体験をもつ親は多い。つい最近、注射の痛みを感じなくさせる塗り薬が登場したが、医師の間でさえ認知度は低く、あまり普及していない。いったいどのような薬なのか。

 ●小児用局所麻酔薬

 この薬はエムラクリーム。皮膚に塗るクリーム状の局所麻酔薬(主成分はリドカインとプロピトカイン)だ。世界ではすでに70カ国以上で使われ、国内でも大人向けには使われてきたが、今年6月にやっと注射針を皮膚に刺すときの局所麻酔薬として小児用にも承認された。

 ●処置の苦労も減り

 東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)では10月から、子どもの採血や点滴挿入時、注射針を刺すときに苦痛が伴う検査処置時などでエムラクリームを使い始めた。以前は注射と聞いたり、針を見たりするだけで泣く子が多く、人形やおもちゃを持たせてあやすなど、処置の必要を説明し協力を求めるにも大変な苦労をしてきたという。

 しかし、「エムラクリームの導入後は、自発的に手を差し出す子どもまで出てきた」と看護師でチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の原田香奈さん(38)は痛みや苦痛の軽減効果を話す。

 原田さんは「それにしても、日本でも子どもに使えるようになるまでの道のりは長かった」と感慨深げに話す。8年前、子どもや家族に心理社会的な医療支援を提供する専門職であるチャイルド・ライフ・スペシャリストの資格を取るため、米国の大学に2年半留学、オハイオ州の子ども病院で研修を受けた。

 そこで驚いたのが採血や点滴挿入時の光景だった。米国の病院では採血や注射などで子どもの皮膚に注射針を刺すとき、看護師たちは「これから痛みを取るために魔法のクリームを塗るよ」と言って腕に白いクリームを塗っていた。これが局所麻酔の塗り薬だった。日本と異なり、子どもたちが嫌だと暴れたり、泣き叫んだりする光景はほとんどなかった。

 それから8年。同大森病院では、子どもの腕からカテーテルを入れるときにも、腕に塗ってみたところ、通常の挿入時の痛みの度合いを8~10とすると、クリームを塗ったときの痛みは0~1の感じだと答えた。

 いまも緊張と不安で泣く子どもはいるが、注射針を刺す時の痛みを緩和できるようになった。4歳の子どもでも絵本を見ながら、「本当だ、痛くない」とエムラクリームの効果に驚いている。

 エムラクリームは以前でも、成人患者の血管腫や母斑の治療では皮膚へのレーザー照射時に使用が認められていた。注射時の痛みが嫌で病院へ行きたがらない子どもが多い現状があるだけに、同クリームの有効性などを研究してきたJR東京総合病院の花岡一雄名誉院長(日本麻酔科学会専門医)は「注射や点滴などで局所麻酔薬が乳幼児や14歳以下の小児にも使えるようになったことのメリットは非常に大きい」と今後、痛みの緩和に大きく貢献すると話す。

 クリームを使うときは注射針を刺す約1時間前に、腕など注射針を刺す部分に塗って、プラスチックフィルムで密封した状態にしておく必要がある。塗ってすぐに注射できないもどかしさはあるが、以前のように子どもが腕を出して落ち着くのを待ったり、処置の仕切り直しに時間がかかったりするのに比べると相当に楽だ。

 ●全国に普及を

 原田さんは「日本では痛みを我慢し、頑張ったらほめる文化がある。しかし、何度も採血が必要な子どももいるので、痛みを軽くする方法があるならば、痛みの我慢は必要ないはずだ」と全国の病院に普及することを願っている。【小島正美】



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シリーズ: The Voice(医療)
ドイツの薬局・薬剤師レポート 第1回 ドイツの医療制度と薬剤師を取り巻く環境

2015年12月28日 (月)配信 アッセンハイマー慶子

 ドイツでは2004年、増大する医療費を抑えるため大規模な医療制度改革が実施されました。これが薬局・薬剤師にとっての転機となりました。医療保険で償還される医薬品数の減少、保険請求薬価の見直し、OTC価格の自由化、支店の解禁(3店まで) など、ドイツの薬局は厳しい経営環境に置かれることになったのです。そのような中でも、「国民の健康を守る医薬品の専門家」というマインドを忘れず、業務の効率化とサービス・学術面の向上を図り、信頼される「行きつけ薬局」の地位を保つべく地道な努力を続けるドイツの薬局・薬剤師をレポートします。

ドイツの医療保険制度
 ドイツは皆保険制度を採用しており、国民の約9割が公的医療保険に加入し、約1割が民間医療保険を利用しています。公的医療保険の保険料は給与額の15%前後で、日本同様に労使折半ですが、扶養家族の保険料は徴収されません。
 また、一定給与水準以下の国民は公的医療保険に加入する義務があり、その給与水準は、2015年現在、月給4575ユーロ、年給で5万4900ユーロ(源泉徴収前)。加えて、公務員、自営業者、自由業者は給与額に関わらず民間医療保険に加入できます。

医療機関にかかるまで
 医師はホームドクター(主に総合医か内科医)、専門医と役割が明確に分担されており、国民はかかりつけのホームドクターを任意に選ぶことができます。
 軽い症状であれば、国民の7割はまず薬局に相談に行きます(ABDA統計より:IFAK Insutitut 2011調べ)。
 疾患の種類や症状によって異なるホームドクターを受診し、その後必要に応じて、ホームドクターに専門医を紹介してもらいます。受診に際して、初診料はかかりませんが、検査費は項目によって自己負担となる場合があります。
 ドイツは完全医薬分業のため、処方箋は全て院外に出ます。医師には調剤権がないので、医療用サンプルを除き、医薬品を患者さんに直接渡すことは許可されていません。

ドイツで薬剤師として働く
◆薬剤師になるまでの道

 ドイツでは22の大学に薬学部を設置しており、4年制(8ゼメスター制)を採用しています。2年次と4年次の終了時にそれぞれ国家試験があります。また、薬学生は2年次終了までに学期休みを利用して8週間の実務実習を行なわなければなりません。卒業後、1年間の実務実習を経て、薬剤師資格取得のための第3次国家試験を受けます。

◆ドイツの薬局、従業員数
 ドイツでは薬局は営利目的のためだけに経営されるべきでないという理念から、薬局開設者は薬剤師の資格が必要で、他資本や外国資本によるチェーン店経営を許可していません。
 2014年現在、ドイツ全土では2万441店の薬局があります(人口約4000人あたり1店の割合)。4万9821人の薬剤師が働いており、このうち女性の占める割合は71.3%。薬剤師の他にも、以下のスタッフが働いています。

薬学実習生 1467人
PTA(薬学技術アシスタント、いわゆるテクニシャン。実習生を含む) 6万1973人
薬剤師アシスタント、薬学エンジニア(両者旧資格で現在のPTAにあたる) 6543人
ヘルパー、PKA(薬学商業従事者。主に在庫管理を行う)、その他 3万2946人

 薬局数は2004年の医療改革後は増加傾向にありましたが、2008年の2万1602店をピークに減少し始めています。今後は統廃合が進み、各薬局が経営の効率化を図るだろうと言われています。(出典:Die Apotheke Zahlen Daten Fakten 2015)

薬局の業務
 ドイツでは医薬品を「要処方箋薬(Verschreibungspflichtig)」、「薬局指示薬(OTC, Apothekenpflichtig)」、「普通薬(Freiverkäuflich)」の3つのカテゴリーに分類します。
 このうち「要処方箋薬」と「薬局指示薬」は薬局でしか販売できません。原則的に大人へは「要処方箋薬」のみ、子ども(18歳未満)へは「要処方箋薬」と「薬局指示薬」が法定保険償還対象となります。ドイツの薬局は処方薬のみならずOTC、 医薬部外品、ホームケア用品、化粧品など、多くの品物を扱います。日本の調剤薬局とドラッグストアの両方の機能を合わせたような混合型です。
 そして薬局は、「速やかな医薬品供給」と「医薬品の有効性、安全性、品質の維持」を業務の2本柱とし、また、国民の健康を守る職務から、以下の業務を行っています。

・調剤業務
・OTC医薬品、サプリメントの相談販売
・介護施設、医院への医薬品供給
・処方された医薬品の配合禁忌・相互作用のチェック
・疑義照会
・輪番制の夜勤 (ひと晩に全国で約1400店の薬局が担当)
・血糖値、血圧の測定
・調剤用原料の確認試験
・製品情報、健康管理情報の提供
・副作用の関係当局への報告
・市販医薬品検査(外観、表示の適正をチェック)
・医薬品不良ロットの報告・回収・返品
・不良医療機器、不適サプリメント等が疑われた際の関係当局への報告

 上記以外にも町の健康イベントへの参加、学校での授業など、国民に薬局の仕事を知ってもらうためのアピール活動も行っています。

◆調剤業務
 調剤業務といっても日本と異なり「箱出し」が原則。箱は適応症、投薬期間に合わせて3サイズがあります。処方箋の受け取りから医薬品を出すまで非常に短時間で済むため、薬局には待合室を設置していません。もちろん、処方内容によっては製剤を調合することもあります。
 平日は医薬品の卸会社から1日に3~5回の配送があり、薬局に在庫がない場合も迅速に商品の補充ができます。
 医薬品の支払いは箱ごとに請求され、保険請求価格が50ユーロ以下なら、1箱あたり5ユーロ。50ユーロを超える場合は1箱当たり10%の負担で、上限は10ユーロです。

◆OTC医薬品、サプリメントの相談販売
 2004年の医療制度改革で、大人へのOTC医薬品処方が保険償還外となりました。これを機にOTC医薬品の相談販売も重要な業務の一つになり、応対にあたる薬剤師、PTAの力量が問われています。ですから、薬剤師やPTAは学術セミナーやメーカーによる医薬品の勉強会に参加し、知識を積極的に吸収しています。
 また、患者さんの中には、医薬品やサプリメントに関する質問、健康相談のためだけにいらっしゃる方もいます。たとえ即答できなくても、調べて必ず何らかの情報を提供しないと、薬局は来局者に見放されてしまいます。「ありません」「できません」「知りません」だけの回答は、薬剤師には認められないのです。

※本記事は、エムスリーグループが運営する薬剤師向け情報サイト『薬キャリPlus』で、2015年6月25日に掲載したものです。

専門家プロフィール/アッセンハイマー慶子(あっせんはいまーけいこ)
ドイツ「セントラル薬局」開設者、薬剤師。一般社団法人日本コミュニティファーマシー協会理事。
「29年前、ドイツの大学院に入学したばかりの頃、研究室の同僚の働きぶりを見て、『薬学は衣食住に関わるオールラウンドな学問である』と感じました。大学で取得した専門知識を職場だけでなく、趣味や日常生活に生かしていたことに大変驚いたのです。連載を通してドイツの医療制度と薬剤師を取り巻く環境や、仕事の大切さや楽しさを伝えていければと思います」



https://pcareer.m3.com/plus/article/report-from-north-america-6/
北米現地レポート
第6回「カナダ薬剤師の実態と免許取得までの道」

薬キャリPlus 2015.12.24

日本で調剤薬局、ドラッグストアでの薬剤師勤務を経て、その後カナダの薬局でテクニシャンとして経験を積んだ五味さやかさん。その経験をもとに、現在お住まいのカナダ・ブリティッシュコロンビア州から、北米の薬剤師・テクニシャン事情をレポートしていただきます。
Contact :http://w-oasis.co.jp/globalpharmacist/contact/

カナダの医療者数
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カナダと日本の薬剤師数比較
(Canadian Pharmacists Association、厚生労働省のデータをもとに作成)

カナダには現在、約3万9000人の薬剤師が存在します。2009年~2012年の間にその数は10%増え、人口および労働人口の増加率(両者とも4%以下)をしのぐ勢いで伸長。人口10万人に対する薬剤師数は95人に達しています(なお医師は209人、看護師は1046人)。
なお、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師の調査 平成24年」によると、日本の場合は、人口10万人に対する薬剤師数は219.6人。医師数は237.8人です。

薬剤師数は年々増加していますが、平均年齢(43.5歳)は数年前からほとんど変化がありません。50歳以上の薬剤師は3割以上、日本同様に女性薬剤師の割合が多く、6割をしめています。

薬剤師の勤務先とその割合
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薬剤師の勤務先
(Pharmacist Workforce, 2012)

各州の薬剤師の勤務状況を調査した「Pharmacist Workforce, 2012」によると、勤務中の薬剤師のうち8割強(85.3%)はフルタイム(正社員・パートタイム)で勤務しており、自営は1割弱(7.6%)、残りは派遣を含む臨時的な雇用形態で雇用されています。

勤務先は、薬剤師約3万9000人のうち、薬局が2万7500人、病院が6500人、残りの5000人が製薬会社や政府、大学の他、NOPやNGO団体、弁護士やジャーナリスト、コンサルタントとして活躍しています。
なお、日本の薬剤師は、「薬局の従事者」が15万3012人(総数の54.6%)。「薬局勤務」の割合は年々増加しており、「病院・診療所勤務」は平成8年以降横ばいです。

しかし近年は、都市部における薬剤師の就職難が問題になっています。2012年の調査では、登録薬剤師のうち8%は未就業で、その3分の2以上は求職中でした。

実際、筆者が知る薬剤師の話では、ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市内では新卒の就職が困難で、大学卒業およびコースを修了後、ほとんどの人が全国規模で就職活動をしているそうです。郊外や引越しを伴う派遣先での勤務経験を経て、市内へ戻ってくるケースも多くあります。

給与

Payscale.comによると、カナダの薬剤師の平均年収は、ボーナスや残業代なども含めると平均約748万円(C$1=¥92.66で換算)で、平均時給は約4165円(2015年時点)。これらは、勤務している地域によっても異なり、年収で約590万円~1057万円、時給で3274円~4964円程度のばらつきがあるようです。
また、5年以下の薬剤師と20年以上の薬剤師とでは約100万円の差があり、最も給与の高い都市と最も安い都市とでは、150万以上の差がみられます。

<経験年数による薬剤師の平均給与の差>
  ・5年以下の新入り:約825万
  ・20年以上のベテラン:約936万

<都市による薬剤師の平均給与差>
  ・最も給与が安い都市(バンクーバー):約750万
  ・最も給与が高い都市(カルガリー):約908万

外国人薬剤師の実態

外国人薬剤師(国外で薬剤師資格を取得した後、カナダの薬剤師資格を取得した外国人)の割合は、全薬剤師数の4分の1(24.5%)に上るそうです。国別にみると、上位5ヵ国はエジプト、アメリカ、インド、イギリス、フィリピン国籍で、外国人薬剤師の全体の3分の2を占めています。

外国人薬剤師の就業比率が最も高いのがトロント市のあるオンタリオ州で、2012年にオンタリオ州で勤務していた薬剤師の約4割(39.6%)が外国人薬剤師であったそうです。なお、ブリティッシュ・コロンビア州は15.6%、アルバータ州は15.4%。また、海外薬剤師の9割近くが「薬局」に勤務しています。

薬剤師免許取得への道

薬剤師やテクニシャンの資格試験を実施しているのはNPO法人のThe Pharmacy Examining Board of Canada(PEBC)ですが、資格を与えるのは各自が所属する州政府のため、薬剤師資格が全国すべての州で有効というわけではありません。これは、州によって法律や医療制度が異なるためです。異なる州で薬剤師として働く際は、実務実習や語学力、法律の知識などに関する試験に合格すれば、新たにその州での資格を取得することができます。

州によって多少異なりますが、一般的に薬剤師資格取得の条件は以下の通り。

 カナダの大学(現在10の大学が認められている)において薬学士、もしくは薬学博士課程を修了

 薬剤師免許試験(筆記・実技)および各州の薬事法試験に合格
 一定期間の実務実習を終了
 一定レベル以上の英語もしくはフランス語能力を証明(試験の要件を満たす)

カナダの大学で学士もしくは博士課程を修了していない場合でも、書類審査により同等のレベル(学位証明、成績証明、免許証、語学力等)が保証された場合、海外薬剤師にも資格取得の機会が与えられます。

3種類の試験を受験し、必要な時間数の実務実習を受けるのが一般的です。

◆審査試験(Pharmacist Evaluating Examination)
他国の大学で受けた薬学の知識が、カナダの薬学部の教育レベルに達しているかどうかをチェックするための試験です。選択マーク式で、全300問中60%以上(180問)の正答率で合格できます。

◆国家試験1-筆記試験(Multiple Choice Question)
選択マーク式で全300問を出題。合格のための基準正答率は設けておらず、試験の難易度に応じて適当な合格ラインが定められています。

◆国家試験2-実技試験:オスキー(OSCE)
日本で実施されているオスキーよりもレベルの高いカウンセリング力が求められます。合計約12個の課題が出題され、各問題の解答時間は7分間。出題内容は、服用歴の確認や処方せん監査、薬剤に関連した問題の解決、服薬指導、フォローアップ内容の考案などで、問題によっては一般用医薬品や医療機器の選択や推奨も含まれます。ほとんどが患者や患者家族、医療従事者等との対話形式で行うものですが、一部医薬品情報(DI)の回答や処方せん内容に関する問題点等の指摘と推奨医薬品の提案など、記述問題も含まれます。

費用と時間

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資格取得までにかかる時間と費用(Cost and Time to Licensure by NAPRA)

資格所得までに要する時間と費用をWebサイト「Cost and Time to Licensure by NAPRA」で試算したところ、すべての試験に1回で合格した場合、以下のようになりました。

ただし、それぞれの試験を1回で合格している人の割合が少ないのも事実で、以下の内容に、さらにOSCE試験(1回$1500)や実務実習の時間、生活費などを考慮に入れると、200万〜300万円以上かかることが予想されます。

各州が提供している実技演習プログラムや政府が支援している公式のWebサイトなどではさまざまな情報が提供されています。

※詳細は、以下のサイトをご覧ください。
National Association of Pharmacy Regulatory Authorities (NAPRA)
The Pharmacy Examining Board of Canada (PEBC)

変わりゆく薬剤師の世界

カナダでは、昨今、政府の政策により移民の受け入れを進めています。一方、その移民の人口増加率をしのぐ勢いで薬剤師が増加。特に外国人薬剤師の割合が増えているという事実は、興味深い内容です。仮にこの事態が日本で起きた場合、皆さんはどのように感じるでしょうか。日本で移民の数が増加し、海外医療従事者達が皆さんの身近なところで活躍している姿を、頼もしいと感じますか、それとも脅威と感じますか。

また、薬剤師増加に伴い、都市部における就職難という新たな問題が生まれています。目下、大学側は薬学部の学習項目の拡大や修学年数の増加を検討しており、そうした動向からも、今後はさらに薬剤師の「質」に重点が置かれると思われます。

外国人薬剤師の増加や、都市部での就職難など、カナダの薬剤師業界が抱える課題は、日本にも起こりうる事態。ぜひカナダだけでなく、諸外国の薬剤師事情にも目を向け、考える機会を作ってみてください。

参考:
“Pharmacists in Canada”:Canadian Pharmacists Association
Pharmacist Income (Canada) : Payscale.com

  1. 2015/12/31(木) 06:10:42|
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12月29日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/387441
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
外科学会が50人態勢で調査、群大腹腔鏡死亡問題
調査対象は8年間で51の死亡症例

2015年12月29日 (火)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 群馬大学医学部付属病院で腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡した問題を受けて、同大が新たに設置した外部委員による「群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会」(委員長:上田裕一・奈良県総合医療センター総長)は12月29日、京都市内で会見し、日本外科学会が専門調査を受託し、調査を開始したことを報告した。同学会は総勢50人態勢で9つの小委員会を設け、群大病院での消化器外科手術後に死亡した51例について医学的な調査する。

 2015年8月に発足した新たな群大事故調査委員会は、当初から医学的な調査については専門学会などに依頼するとしていた(『群大、新たな事故調が始動「負から正の遺産に」』を参照)。日本外科学会は11月24日に受託、12月24日に第1回の委員会を開いた。上田氏によると、外科学会は本件調査に当たって、総合的に検討する合同委員会とその下に9つの小委員会を設置。小委員会は臓器別に構成され、それぞれ3、4人の医師が参加する。肝胆膵分野での死亡例が多いことから半数は同分野になる。合同委員会は小委員会の委員長と弁護士や医療安全の専門家などで構成され、全体で総勢50人規模になるという。

 外科学会の調査対象は、8人の腹腔鏡手術を担当した執刀医が群大病院で手術を始めた2007年度から2014年度までの8年間で、旧第1外科と旧第2外科で行われた消化器に対する手術で、術後に在院死亡した症例。当該執刀医以外が担当した手術も対象にし、術式や手術から死亡までの期間は問わない。8年間で約6700例の手術が行われており、そのうち在院死亡した64例についての基礎データ(年齢、疾患名、術式など)を外科学会の第1回委員会で検討。51例については、診療録、画像データなどを基に、さらに詳しく調査する必要があると判断された。今後、大学が遺族の同意を得た後に資料を提出し、外科学会の小委員会で専門的に調査する。

 各小委員会は2016年1月と2月に2、3回ずつ開いて、それぞれ5、6例を検討する。その後、合同委員会でまとめ、外科学会の理事会で承認を得た後、群大事故調に提出される。群大事故調は2015年度内の報告書提出を予定していたが、外科学会の学術総会が2016年4月に予定されていることなどから、その後にずれ込む見通し。

 検討対象となった64例の内訳は、第1外科で肝胆膵16例、上部消化管4例、下部小器官6例の計26例。問題となった当該執刀医が所属する第2外科では、肝胆膵33例、上部消化管4例、下部小器官1例の計38例。同期間の肝胆膵の手術数は、第1外科で約600例、第2外科で約570例だった。術後の在院死亡の基準は外科学会が決めており、上田氏は「消化器外科の全体を判断すべきと考えられたのでは」と説明した。

 64例の執刀医は計15人。これまでの会見などで当該執刀医の死亡症例は腹腔鏡下、開腹手術を合わせて30例あることが明らかにされており、51例に全て含まれる。

 費用については、1例につき30万円程度を大学が外科学会に支払う。交通費などの実費に充てられ、調査を担当する医師への謝礼金はないとみられる。外科学会の受託が遅れた理由について、上田氏は「新たな医療事故調査制度が10月から始まり、ファジーな時期だった。(3月に公表された大学による)事故調査報告書では『過失あり』という文言が入るなど、新しい制度への多大な影響があった。外科学会内部で議論に時間がかかったようだ」と説明した。

 群大事故調は12月20日までに10回の委員会を開催した。20日には当該執刀医、診療科長へのヒアリングも行った。それぞれ弁護士を同席した上で、2時間以上のヒアリングになったという。「答えなくない質問には答える必要がないことを話した上で、全ての質問に答えてくれた」(上田氏)。

 ヒアリングでは、診療科の体制やインフォームド・コンセントの在り方などのほか、3月の報告書の作成過程などについても質問したという。執刀医と診療科長は「前回調査ではヒアリングが1回20分程度で、事前に報告書の確認できず、一部は事実と異なる」などと主張したとのこと。また、診療体制については、死亡症例検討会を行っていなかったことが確認された。

 上田氏は「(群大事故調では)専門領域の質問はできない」として、医学的な内容については外科学会が別途、ヒアリングを行う見通しであると説明した。

 そのほか、これまでの委員会で対象とする腹腔鏡手術8例、開腹手術10例のうち、15遺族からヒアリングを行い、さらに1遺族から行う予定。2遺族からは「必要ない」との回答があったという。



http://www.asahi.com/articles/ASHDY4R2YHDYULBJ01T.html
術後死64人、半数が同じ医師 群馬大病院の症例調査へ
竹野内崇宏
2015年12月29日22時00分 朝日新聞デジタル

 群馬大病院で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、外部の有識者でつくる医療事故調査委員会は29日、日本外科学会に医学的な検証を委託し、同じ期間に肝臓を含む消化器の手術後に病院内で死亡した全症例64人分を調べることを発表した。問題が指摘されている40代の男性医師(退職)が執刀した手術では術後に30人が死亡しており、約半数を占めている。

 調査委は学会からの報告を受け、4月にも報告書をまとめる予定。

 会見した上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)によると、学会が調査対象としたのは、男性医師が群馬大病院で手術を執刀した2007~14年度に、消化器外科で実施された手術約6700例のうち、問題の有無にかかわらず院内で死亡した64人について。診療体制などを調べるには、男性医師が担当した手術だけを対象とするのは適切でないと判断した。64人の手術を執刀した医師は男性医師のほかに14人。

 また上田委員長は、今月20日に調査委が男性医師から聞き取りをしたことを明らかにした。男性医師は、術後の死亡例については病院内の検討会や会議の場で情報を共有していたと説明したという。

 上田委員長は「マンパワーが足りないなど、病院の診療体制に問題があったと考えている」と話した。(竹野内崇宏)



http://mainichi.jp/articles/20151230/k00/00m/040/025000c
群馬大患者死亡
日本外科学会へ医学的な検証委託

毎日新聞2015年12月29日 19時52分(最終更新 12月29日 22時14分)

 群馬大医学部付属病院(前橋市)で、同一の医師から肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、同病院医療事故調査委員会の上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)は29日、京都市内で記者会見し、日本外科学会(東京)へ医学的な検証を委託したと明らかにした。

 上田委員長によると、検証は責任追及ではなく再発防止が目的。日本外科学会は、約50人のメンバーで同病院消化器外科全般の診療態勢を検証するため、問題の医師の担当だけでなく2007〜14年度に同病院で手術後に亡くなった64症例すべてを調べる。うち51症例は病院側に詳細なデータの提出を求めたという。

 調査委は「64症例すべてに問題があったわけではない。今後は資料要請があった患者の診療記録などを、病院が遺族の同意を得て提供していく」としている。日本外科学会は来年4月までに検証を終える見通し。【土本匡孝】



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128648
群大術後死、外科学会が51例検証へ…問題医師以外の執刀も
(2015年12月30日 読売新聞)

 群馬大学病院(前橋市)で肝臓の手術を受けた患者が相次ぎ死亡した問題で、第三者による調査委員会(委員長=上田裕一・奈良県総合医療センター総長)は29日、2007~14年度に行われた消化器外科手術後に死亡した患者51人を対象に、診療に問題がないか詳細な医学的検証を行うと発表した。

 この中には、既に明らかになっていた問題の男性医師による30人も含まれる。検証は日本外科学会に委託されており、来春にも結果をまとめる予定だ。

 この日、京都市内で記者会見した上田委員長によると、同学会は、問題の男性医師が旧第二外科に在職した07年4月から15年3月まで8年間の調査を実施。難易度の低い手術も含め、旧第二外科と旧第一外科で行われた消化器外科の全手術(約6700例)から、入院中に死亡した64人(旧第一26人、旧第二38人)の病名や手術方法といった基礎データを検討した。64人の手術は、問題の男性医師を含む15人が執刀した。

 検討の結果、51人に詳細な調査が必要と判断。今後、遺族の同意を得てカルテや検査画像を精査し、手術や術後管理など診療に問題がないか調べる。51人のうち30人は、問題の男性医師が執刀した肝胆膵かんたんすい(肝臓、胆道、膵臓)外科手術の患者(腹腔ふくくう鏡8人、開腹22人)だった。

 また、上田委員長は、今月20日に男性医師と上司だった教授に聞き取りを行い、教授が、患者の死亡が相次いでいたことを認識していたことを明らかにした。それでも手術を継続した理由については、上田委員長は明言を避けた。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128640
検査怠り誤診、重い障害…佐賀大病院が患者に謝罪
(2015年12月29日 読売新聞)

 佐賀大付属病院は28日、40歳代の女性患者へのMRI(磁気共鳴画像)検査や治療などが遅れ、女性の下半身に重い障害が残るミスが発生した、と発表した。

 同病院は女性に謝罪し、厚生労働省などへ報告した。

 同病院によると、女性患者は10月、「両足に力が入らない」と来院。診察した総合診療医(40歳代)は、別の医師から勧められたMRI検査を見送り、女性の病歴などから「ストレスなどが原因」と診断して別の病院を紹介した。

 女性は症状が改善せず、数日後に別の病院でMRI検査を受け、脊椎に血腫が見つかった。佐賀大付属病院で血腫を取り除く手術を受けたが、下半身にまひが残った。

 同病院の森田茂樹院長は「速やかに(血腫を)除去すれば、まひは残らなかった可能性がある。再発防止を徹底する」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/386093
シリーズ: 2015年の医療界:1000人アンケート
2015年、診療室の波乱万丈エピソード◆Vol.5
「勤務先が不祥事で閉鎖」「75歳で専門医取得」

医師調査 2015年12月29日 (火)配信 成相通子(m3.com編集部)

 Q6-1.  2015年に、医療関連でご自身の身の回りで起きたことの中で、良かったことはありましたか。最も印象深かったエピソードを、可能な限り具体的に教えてください。(任意)
 Q6-2.  2015年に、医療関連でご自身の身の回りで起きたことの中で、悪かったこと、困ったことはありましたか。最も印象深かったエピソードを、可能な限り具体的に教えてください。(任意)

 2015年の印象的なエピソードを、良かったことと悪かったに分けて任意で尋ねました。世相を表すような患者とのエピソードや、診療にまるわるヒヤリとした出来事、ショッキングな思い出、波乱万丈な人生の一コマなどが多数寄せられました。

「悪かったこと・困ったこと」

<院内環境・職場環境の悪化>

・勤務先の医療法人が不祥事で全部理事辞職。勤務先が閉鎖され解雇された。【勤務医】
・大学病院からの当直医の応援がなくなり、60歳を前に再び当直勤務に就くことになった。【勤務医】
・勤務していた医療法人が理事長の暴走で解散(計画倒産)し職を失ったが再就職した。【勤務医】
・部長が定年退職したために後任の部長になったが、人は減る、仕事量は多い、給料は少ないで肉体的にも精神的にもきつい年になった。【勤務医】
・税制が変わり、給料が減った。看護学院長を併任になり、仕事が増えて忙しくなった。次第に体力が低下。【勤務医】
・自分の専門分野以外の病院業務を分担させられ、その業務にかなりの時間を割いていること。【勤務医】
・病院の採算環境がますます悪化し、急性期医療が崩壊しつつある。【勤務医】
・バイト先が看護師不足で診療を中止した。【勤務医】
・勤務病院を変えましたが、どこも問題は同じであることを実感しました。【勤務医】
・院長が相談もなく科の方針を決め、医師も事務も振り回されているので、転職を決意。給料は下がるし勤務時間はかなり伸びるし、退職金や福利厚生も期待できなくなるけど、新しいスキルは身につけられるのかな…。【勤務医】
・業績の悪化で役員報酬の1割カット、冬のボーナス2分の1に。とほほ。【開業医】

<薬の関係>
・患者の方がインターフェロンフリーの新薬の情報が早くて、説明に難渋した。【勤務医】
・院内薬剤がジェネリック医薬品に強制的に替えられた。【勤務医】
・製薬会社との関係性が難しくなった。【勤務医】
・政府主導でジェネリックが決まり、新薬開発において製薬メーカーとの協議、すなわち、未来へ向けての議論が少なすぎたように感じる。【開業医】
・医療費無料の患者に3倍量の座薬を間違って処方してしまったが、薬局で無料だからいいでしょうと言われて、大量の薬をもらいましたと患者から報告受けたこと。【勤務医】
<診療でヒヤリ>
・脊椎の手術でレベル誤認したこと。患者さんに謝罪し、再手術をさせていただきました。幸いにしてその後の経過は良好です。【勤務医】
・予防接種後の水痘を誤診したかもしれない。【勤務医】
・心臓血管外科との手術連携が旨く行かず、患者さんを混乱させてしまったこと。結果的には上手く行きましたが、連携の際、患者さんへの説明の手順について考えさせられました。【勤務医】
・スタッフの処方ミス。【開業医】

<世相と患者の問題>
・患者がインターネットで入手した「生半可な医学知識」を振りかざすので、当方が閉口する。【開業医】
・早期発見・早期受診の名の下で、特に問題のない物忘れや頭痛の患者が増加した。【勤務医】
・些細なことで患者さんがどなり、辟易したことが以前よりも増加した。昼休みがなくなるくらい多忙を極めた。【勤務医】
・なぜか予約時間よりもかなり早く来院していた方を、順番通りで良いということだったので、予約時間通りで診察室にお呼びしたら「いつまで待たせるんだ!」と30分くらい罵倒された。【勤務医】
・受診を控えたり、投薬日数を増やせように申し出る方の激増。【開業医】
・重症患者が在宅において増えた。【勤務医】
・神経内科専門医で勤務医ですが、見当違いの紹介患者が増えていること。【勤務医】
・年々ネット情報が氾濫し、患者さんが知っている病名を上げ続けて尋問される外来になり無駄な検査と説明の時間がかかるようになってきた。【開業医】
・外来診療を依頼されたが、入院から退院までの1カ月の間に、次第に血性アルブミン値が低下しており、退院時1.8mg/dlの状態で紹介されたこと。すぐに病院へ戻した。【開業医】
・長年、診療させていただいておりました患者さんが亡くなられたこと。【開業医】
・患者さんの窓口負担の未納が増えた。【開業医】

<その他>
・医局の医師が病気により急逝されたこと。【勤務医】
・PAが高値を示し、同時に大腸ポリープも癌が疑われた(現在、前立腺癌も大腸癌も疑いが晴れつつある)。【勤務医】
・電子カルテがとうとう導入されたが、仕事が楽にならない。【勤務医】
・昨年メーカーを変えた電子カルテに不具合が多く、明らかな欠陥をメーカーにクレームを付けても対応しない。カルテの電子化を進めたのは厚生労働省なのに監査もしていないのはなぜだろう?【勤務医】
・開業10年以上経って、機械類が次々壊れ買換えに追われた1年であった。【開業医】
・施設や設備の老朽化で、新規購入や買い替えが必要になったが、どれにももれなく8%の消費税が付いてきたこと。診療報酬は引き下げられるし、消費税は相変わらず損税のままで収入は減少傾向なのに、大変きつい出費だった。【開業医】
・知らないところで事務長の不正請求があり、訴訟問題に発展しかかった。【開業医】
・税務署が来て、重加算税を取って帰った。【開業医】
・特になかった。自分自身が加齢からと思うが、色々と能力的に低下してきている。【開業医】


「良かったこと」

<個人的なエピソード>
・75歳で日本人間ドック学会健診専門医の試験に合格。【勤務医】
・子どもが医学部に合格した。【開業医】
・自分が腹腔鏡の手術を受けて、無事終了したこと。【勤務医】
・自分が心筋梗塞に罹患して、運良く助かったこと。短期間、患者にもなったが、また医師に復帰。通院しながら診察・検査も行うという両面性を初めて体験したこと。自分の運命は自分だけで左右できるものではないということを実感させられた年であった。【開業医】
・一泊二日で自分自身が心臓カテーテルを2回して、費用が高くて驚いた。安くはないと思うが、普段病気をしないのでびっくりした。たまには医者も、患者になった方が良い経験になるだろう。【開業医】

<仕事で良かったこと>
・私(整形外科医)が勤務する病院の手術室ナースの多くが、私の手術の介助に入りたがっているという事実を知ったこと。おそらく私が手術中に声を荒げたりすることがない(つまりおっかなくない)からと推察されます。外科医にとって手術室ナースは仕事上の最も重要なパートナーですので、ありがたいことと思っています。【勤務医】
・研修医が処置や問診の取り方が素晴らしく外来負担が減った。【勤務医】
・売り上げや稼働率の低下が、医療の質の向上に伴ってやむを得ず派生していることに、勤務している病院が一定の理解を示してくれていること。【勤務医】

<医療の発展に感謝>
・C型肝炎ウイルスの経口薬が画期的な治療成績を示していること。【勤務医】
・糖尿病内科をしている者にとって、画期的な新薬が出たことは実に喜ばしいことであった。他の分野でも言えることであるが。【開業医】

<患者とのエピソード>
・長く待たせた外来で、待たせたことを謝罪した後に、患者さんに全く怒ることなく「先生優しいから、いろいろ話聞いてくれるから大変でしょ」と労われたこと。看取った患者家族に、「本当に先生に診てもらってよかったです」と言われたこと。【勤務医】
・月並みですが、患者さんに喜んでいただけるのが一番うれしいです。【勤務医】
・救急外来で、救急車の無理な利用を減らそうとする旨の発言を、患者さん自身から何度も御聞きしたこと。【勤務医】
・重症仮死で生まれた新生児を蘇生したが、無事後遺症なく退院させられたこと。【勤務医】
・胃癌のため胃全摘後でうつ病の50代の患者が、るい痩と低カリウム血症で入退院を繰り返していたが、ようやく落ち着いて外来通院していること。【勤務医】
・地道に患者様のこと考えて診療していたら患者さんが戻ってきたこと。【開業医】
・ジェネリックが、増えることが当たり前のようになり、患者さんから、喜ばれました。【開業医】
・20年以上前の勤務医時代に看取った患者の家族と偶然再会し、一家4人全員のかかりつけ医になったこと。【開業医】
・以前から診ていたAS患者が他院で弁置換術をして無事だったこと。【開業医】
・以前診た患者さんが、お母さんになって子供を連れてきたこと。【開業医】

<新しい職場で気持ちを新たに>
・6月末で今まで23年務めた病院を辞め、7月より現在の職場に就いたこと。ストレスが激減しました。【勤務医】
・大学病院に転勤となり、多様な症例が経験できるようになった。【勤務医】
・思い切って東京を跳び出してみて良かった。地方にはまだまだ活躍できる場所がある。【開業医】

<その他>
・メーカーさんが提供してくれる勉強会に数多く出席して、多くの知識を得ることができた。【勤務医】
・民事医療訴訟の被告となったが、訴訟ビジネス集団の弁護士や専門医のもっともらしいデッチ上げの訴えをことごとく論破していること。【開業医】
・初めて聴診した心疾患で勉強になった。【開業医】
・警察の検死官の定員が増えたお陰で、死体検案の際に検死官が立ち会う機会が増えて検案がスムースに行えるようになった。【開業医】
・W台風で床上浸水になったが 清掃業者も終日緊急で対応してくれ スタッフも文句一つなく通常の勤務についてくれました。ひたすらみなさんに感謝、感謝でした。【開業医】
・医師会を辞めることにより、時間が作れるようになり、当直も無くなり、改めて現在の医師会が制度疲労を起こしているのを再認識致しました。【開業医】
・長年のスポーツドクターとしての仕事が認められ、県よりスポーツ功労賞を授与された。【開業医】
・診療所をやっていますが、後輩に副院長職で来てもらって時間的余裕から旅行に行けるようになった。【開業医】
・世の慢性的な看護師不足の中、良い人材に巡り会えたこと。【開業医】

<良いこともあれば⇒悪いことも>
・「患者さんが宿舎の玄関先に何も言わず置いていってくれた野菜の数々が今年は上出来でうまかったこと」⇒「就職活動の準備をせざるを得なくなったこと。いつも目にするWeb広告の「ちくしょう!転職だ!」が洒落にならない」。【開業医】
・「当院が訪問診療を開始してそれなりの売り上げになったこと」⇒「訪問診療開始でオンコールが頻繁になり精神的・体力的に疲れた」。【開業医】
・「最悪な理事長を退任させた」⇒「最悪な前理事長の借金が残った」。【開業医】 
・「患者さんの数が一気に増えて、全国レベルに並べたこと」⇒「同業者から根拠のない誹謗中傷を受けたこと」。【開業医】
・「長い公務員生活にピリオドを打ち開業したこと」⇒「開業の手続きの複雑性にびっくり」。【開業医】
・「大会長を任じられた学会地方会を無事に終わらせることができたこと」⇒「職員の内部におけるいじめ、それに伴う退職、それに伴って私自身が円形脱毛に陥ったこと」。【開業医】



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201512/CK2015122902000147.html
乳房切除医療事故 「患者、家族に申し訳ない」
2015年12月29日 東京新聞【千葉】

 森田健作知事は二十八日の記者会見で、県がんセンター(千葉市中央区)で患者の検体を取り違え、県内の三十代の女性が直ちに必要のない手術で右乳房を切除された医療事故について「患者、家族に申し訳ない。おわび申し上げる」と陳謝した。
 知事は「女性にとって乳房は命。それを間違えたのは忍びがたい。『私の人生をどうしてくれるの』というお気持ちだと思う」と述べた。県は、外部専門家を含む「院内事故調査委員会」を年明けの一月初旬にも開催し、取り違えが、どの過程で発生したかなどを調べる。 (村上一樹)



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2015/1229038107/
【2015年 私の5大ニュース】
新春特別企画 2015年私の5大ニュースと2016年の抱負

香坂 俊
2015.12.29 Medical Tribune

 2015年はどのような年だったでしょうか。医療を必要とする人々を支援すべく,奔走を続ける先生方も多いことと思います。一方,第三者機関による医療事故調査制度の開始,次々と現れる新薬とジェネリックの躍進など,医療を取り巻く環境の変化を感じる出来事も相次ぎました。Medical Tribuneは医療関係者と医療・医学の最新情報をつなぐ架け橋として,鋭意活動を続けていきます。本企画では魅力あるコンテンツづくりに多大な貢献をいただいている,さまざまな診療科・領域でご活躍の先生たちに,2015年の5大ニュースと個人的ニュースを語っていただきました。

5. 血圧はもっと下げた方が良い? SPRINT試験(N Engl J Med 2015年11月9日オンライン版)

 まずはSPRINT試験の結果である。血圧(収縮期)は140mmHg前後よりも厳格に120mmHg前後をターゲットとした方が予後は良いという結果をたたき出したランダム化比較試験であるが,注意すべきは,試験に登録されたのはCKD(慢性腎臓病)やCAD(冠動脈疾患)などさまざまな背景疾患を持ち,10年リスクが「15%以上」という超ハイリスク症例にとどまるということである。ほとんどの日本人の高血圧患者には当てはまらず,かつ平均3〜4剤という重層的な降圧薬投与がなじむとも思えない。「慎重な解釈が必要」に1票。

4. LCZ696が全てのリスクの心不全で効果的(J Am Coll Cardiol 2015; 66: 2059-2071)

 LCZ696は,ACE阻害薬やARBに代わって(おそらくは強力なプロモーションとともに)導入されてくるであろう次世代の心不全治療薬である(米国の商品名:Entresto)。その有効性を証明したのはPARADIGM-HFという試験であったが,自分はこの薬剤が全方位的に使えるのかどうか疑問に思っていた。SPRINT試験の降圧薬のように,そのリスクの大小によって効果に違いが出るのではないかといぶかしんでいたのである。しかしこの論文では,既存の予後予測モデルを活用し,そのリスクの大小にかかわらずLCZ696が威力を発揮しうるとの結果をきっちりと出した。臨床試験のpost-hoc解析もここまで来たかと感嘆した次第である。

3. エンパグリフロジンが劇的な予後改善,EMPA-REG試験(N Engl J Med 2015年9月17日オンライン版)

 エンパグリフロジンのこの結果には驚かされた。DPP-4阻害薬が「引き分け」ばかりだったのでSGLT2阻害薬も同じだろうと高をくくっていたら,ごく早い時期から著明な予後改善効果が見られ,そのまま突っ走ってゴールしてしまった。糖尿病には簡単な対処法は存在しないと思っていたが,SGLT2阻害薬は意外なブレイクスルーとなるかもしれない。ただ,効果の出方が非常に早く,単なる血糖のコントロールによる帰結だけではなさそうである。米国型の糖尿病患者(この試験の患者の平均BMIは30)には心不全治療に近いアプローチが必要なのかと考えさせられた。

2. Precision Medicine の威力の定量化(BMJ 2015; 350: h1302)

 この論文は薬剤を扱ったものではない。臨床系の論文でちょくちょく出てきている統計的な予後予測モデルを臨床現場に持ち込んだらどうなるか,というテーマを扱ったものである。その具体的な内容であるが,電子カルテと連動し患者情報を入力した際にその出血リスク(%)が同意書に印刷されるようにしただけで,カテーテル手技後のイベント発症を半分近くまで落とすことができたというものであり,恐るべき結果といえる。今後この論文のタイトルにもなっている「Precision Medicine(適格化医療)」は1つのキーワードになっていくのではないか? まさに次世代のEBM手法である。

1. PCSK9がやってくる(N Engl J Med 2015; 372: 1489-1499)

 PCSK9阻害薬は劇的にLDL値を下げる。しかし,ただそれだけでは今年のニュースの筆頭には置かない。この薬剤は「ただ最大量のスタチンだけを使っていればよい」という現在の米国ガイドラインに挑戦する破壊力を秘めており,おそらくは近い将来再びLDL値をターゲットとした規定が作成されるのではないか。またモノクローナル抗体である本剤は,循環器内科領域に初めて免疫学の内容を持ち込み,脂質治療の在り方を根本から変える可能性がある。この薬剤の開発がこのまま進めば,ワクチンでコレステロールコントロールを行う,ということも将来は十分ありうる。
日本のIABP解析結果が海外で波紋(JAMA Intern Med 2015; 175: 1980-1982)

 自分たちのデータベース(JCD-KiCSレジストリ)から発表した内容であるが,"LESS IS MORE"を標榜するJAMA Internal Medicine誌に採用していただいた。IABPの適正使用をうたったものであるが,驚いたのがこの内容が電子版に出て,すぐに海外のメディアからインタビューや取材の連絡が来たことである。インターネット時代の情報伝達力のすさまじさを思い知ることとなった(関連リンク参照)。なお,この論文の共著者は,一連のプロジェクトで現在も重要な位置を占めている方々で(臨床研究大学院一期生,システムと統計担当,CRC主任,カテーテル班チーフ,主任教授),この場を借りて今年1年分飛び切りの感謝をさせていただきたい。
(慶應義塾大学内科学 香坂 俊)



http://www.kobe-np.co.jp/news/himeji/201512/0008684801.shtml
姫路聖マリア病院に新館 体験型医療を充実
2015/12/29 20:30神戸新聞NEXT

 患者の治療、介護、最期のみとり-。これらを継続的に学べるシミュレーションセンターがこのほど、姫路聖マリア病院(兵庫県姫路市仁豊野)に完成した。生体反応を再現する人形を使った医療処置や、在宅介護、終末期患者への対応などが模擬体験できる。こうした施設は全国的にも珍しいといい、関係者は「地域医療レベルの底上げを目指す」と意気込む。(三島大一郎)

 姫路メディカルシミュレーションセンター「ひめマリア」。11月に同病院にできた新館「タボール館」の4階に整備された。タボールは、新約聖書に記載がある「タボール山(別名・変貌山)」から名付けた。

 模擬体験できるのは「医療」「介護」「みとり」の三つで、具体的な状況を想定した複数のシナリオをもとに行う。

 「医療」では、ナースステーションをはじめ、病室や医療機器類などの臨床状況を忠実に再現。医療処置はもちろん「チーム医療」に欠かせないコミュニケーション力や患者対応なども学ぶ。看護師が医師役を担うなど、他職種の動きを知る機会にもなるという。

 「介護」では、実際に介護ベッドや移動リフトを操作。専門職のトレーナーから技術指導を受ける。「みとり」では、ホスピス病棟のスタッフらが、終末期患者の苦痛を和らげる「緩和ケア」の手法などを直接手ほどきする。

 同センターは、県内外の医療従事者や救急隊員のほか、地元市民や教職員らにも開放される。同センターの田中宏治・エグゼクティブマネジャーは「知識だけでなく、さまざまな状況を実際に体験することが大事。多くの人に必要な技術を身に付けてほしい」と呼び掛ける。

 一方、タボール館には、医療的な要素を取り入れたフィットネスジム「マリアプラス」も併設。利用者は、医師や理学療法士、看護師らのサポートを受けながら、血液検査や心電図などのデータをもとに、体力と目標に応じた運動プログラムが組み立てられる。現在、2週間体験も実施中。

 ひめマリア http://himemaria-sim.jp/ ▽マリアプラス http://mariaplus.jp/



http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015123002000063.html
「レセプト債」56億円償還不能か 田原証券
2015年12月30日 中日新聞 朝刊

 医療機関の診療報酬請求権を基に「レセプト債」と呼ばれる債券を発行したファンドが破綻し、田原証券(愛知県田原市)がこの債券を顧客六百人以上に計五十六億円余販売していたことが、同社の内部資料などから判明した。顧客は償還を受けられない可能性があり、同県弁護士会の消費者問題担当の弁護士らが、被害者弁護団を結成する方向で検討している。

 破綻したのは資産運用会社「オプティファクター」(東京)と、同社が管理するファンド三社。四社の負債総額は二百九十億円に上り、東京地裁は十一月、破産手続き開始を決定した。

 レセプト債はファンド三社が発行し、田原証券やアーツ証券(東京)、竹松証券(金沢市)など七証券会社が延べ三千人の投資家に販売。発行債券の残高は二百二十七億円に上り、償還できない可能性があるという。証券取引等監視委員会はファンドの決算内容に不審な点があるとして、オプティ社や各証券会社などの調査に乗り出している。

 弁護士らによると、レセプト債は年利3%、償還期間は一年で、田原証券は安全性の高い商品として、東三河地区の一般投資家を中心に販売。オプティ社などの破綻直前には顧客らに書面で「見掛け上、商品の運用状況が極めて悪いと認識される可能性があるが、運用状況を確認し改善を図る要請もしている」「運用開始から金利や償還金の未払いが発生したことは一度もない」と説明していた。

 田原証券は本紙の取材に対し「顧客の対応に忙しく、取材には一切応じられない」としている。

 同社は一九二九年創業で、愛知県豊橋市や豊川市に営業所がある。小口取引が中心で、二〇一五年三月期の売上高は三億八千万円。

 <レセプト債> 各医療機関が市町村や健康保険組合に診療報酬を請求する権利をファンドが買い取り、それを裏付けに発行する金融商品。診療報酬は請求から支払いまで約2カ月かかるため、医療機関は請求権を売却すれば、即座に現金を調達できるメリットがある。診療報酬は健保組合などからほぼ確実に支払われるため、安全性が高いとされるが、元本割れすることもある。


  1. 2015/12/30(水) 05:40:35|
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12月28日 

http://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/201512/0008682616.shtml
新規の分娩受け入れ休止へ 明石市立市民病院
2015/12/28 21:30神戸新聞

 明石市立市民病院(兵庫県明石市鷹匠町)は28日、新規の分娩(ぶんべん)受け入れを来年1月から休止すると発表した。出産対応数が10年前の約1割に落ち込んだのが理由だが、同病院は高度医療が必要な妊婦の受け入れ先でもある。市が「子どもを産み育てやすいまち」を掲げることとのギャップを感じる人も出そうだ。

 同病院には現在、産婦人科の医師が3人いる。藤本莊太郎理事長(69)によると、2005年度の分娩数は426件だったが、08~09年度に医師不足で分娩対応を休止した影響や、病棟が新しい病院に人気が集まることなどから、14年度は51件にまで減少した。

 市内では現在、2病院と4診療所が出産に対応。14年度は明石医療センター(同市大久保町八木)で1061件、あさぎり病院(同市朝霧台)で965件などの分娩実績がある。市民病院は子宮が本来の位置から下がる「子宮脱」の手術で近畿1位の実績を誇るが、藤本理事長は「市内の医療機関に、妊婦受け入れ体制の余裕があることが分かったので、休止を決めた」と述べた。

 一方、市民病院は明石医療センターなどとともに2次救急医療も担う。泉房穂市長は、人口30万人を目指すため「任期中、12月末の人口が1月より減る年があればすぐに辞任する覚悟」とも述べており、市議の一人は「利用者数が少ないからといって分娩を中止するのはいかがなものか」と批判する。

 市民病院によると、現在受診中の妊婦は出産まで対応する。里帰り出産を予定する妊婦の健診は今後も受け入れる。(井原尚基)



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/264099
佐大病院、診療ミスで重度障害
2015年12月28日 19時43分 佐賀新聞

 佐賀大学医学部附属病院は28日、下半身の脱力感を訴え外来受診した40歳代の女性患者に、磁気共鳴画像装置(MRI)検査を行わなかったため疾患を見落とし、両下半身まひなど重い後遺症が出る診断ミスがあったと発表した。主治医以外の医師にも意見を求めるコンサルトシステムが機能しなかった。同病院は厚労省九州厚生局など関係機関に届け出るとともに、患者と家族に説明、謝罪した。

 女性患者は今年10月、「両下半身に力が入らなくなった」と訴え、車いすで来院。患者は精神科に通院中で、呼吸が極端に速く、上半身が震えていたことから、主治医の総合診療医は、ストレスなどが引き起こす身体障害「転換性ヒステリー」の可能性が高いと判断した。

 コンサルトシステムで意見を求めた神経内科医から「血液検査とMRI検査を行うべき」との具申があったにもかかわらず、主治医は血液検査だけ行い、MRI検査は後日行うことにして他の病院に転院させた。

 ところが、発症から3日後にMRI検査をしたところ、脊椎に血腫が見つかり、附属病院で緊急手術したが、女性は両下半身のまひとぼうこう直腸障害が生涯続く重い後遺症が出た。病院側は「初診時に検査し、すぐに手術していれば、後遺症は避けられた可能性も否定できない」としている。

 会見した森田茂樹院長は「医師としてベストを尽くせば防ぐことができたミス。患者に多大なる苦痛を与えたことに対し深くおわび申し上げたい」と謝罪。コンサルトシステムを機能させるよう現場に周知するなど、再発防止策に取り組むという。



http://www.yakuji.co.jp/entry48120.html
【2015年回顧と展望】「門前」から「かかりつけ」「地域」への流れ定着を‐日薬副会長
日本薬剤師会副会長 石井甲一
2015年12月28日 (月) 薬事日報

 2015年は、薬剤師会にとって大きな嵐の真っ只中を歩いているような1年だったと思います。しかし一方で、イベルメクチンの開発で大村智氏がノーベル生理学・医学賞受賞という、うれしいニュースもありました。

調剤報酬の不適正請求

 2月、大手薬局チェーンの子会社が薬剤服用歴未記載のまま調剤報酬を請求していたとの新聞報道があり、当該企業もその事実を認めたため、厚生労働省より、全保険薬局を対象とした自主点検が指示されました。

 このような行為は、保険調剤のみならず、薬剤師そのものの信頼性を貶めるものであることから、3月に本会から都道府県薬剤師会に対し、研修会の実施を依頼すると共に、6月には本会の医薬分業対策委員会が作成した研修会用資料を都道府県薬剤師会に提供しました。

規制改革会議からの指摘

 2月、規制改革会議が「医薬分業における規制の見直し」をテーマとして取り上げ、3月に厚生労働省、日本医師会、健康保険組合連合会、有識者と共に、本会からは森副会長が参加した公開ディスカッションが行われました。

 ディスカッションの場では、本会が、かかりつけ薬局・薬剤師による面分業を目指してきていることを強調する一方、薬剤師による疑義照会、後発医薬品の使用促進、残薬支援等による医療保険財政や医療安全への貢献についてデータを示して訴えると共に、本会および都道府県薬剤師会にお願いし、構造規制の緩和に反対する決議を行い、日本薬剤師連盟の協力を得ながら、規制緩和に対する反対活動を展開しました。また、有村規制改革担当大臣、塩崎厚生労働大臣に対しては、決議文を添えた要望書を提出しました。

 その効果もあり、6月30日に閣議決定された規制改革実施計画では、医療機関の敷地内あるいは施設内への保険薬局を認めるとの結論には至らず、具体的な検討の場は厚生労働省に移ったと捉えています。

無資格調剤

 5月には薬局において無資格者に飲み薬の調整、軟膏剤の混合等を行わせていたとの報道がなされました。その後、厚労省より事実の確認と、このような行為が再発しないよう適切な指導を要請する都道府県衛生主管部(局)長宛の通知が発出されました。薬剤師の役割は処方箋の受け取りから始まり、服薬指導、さらには患者さんの服薬状況のフォローまで幅広いものであり、このような事例の発生は、薬剤師業務への信頼性を失うばかりか、薬剤師の存在そのものにも及ぶことになると捉えなければなりません。

健康サポート薬局と患者のための薬局ビジョンからの指摘

 9月、厚労省の「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」が、「健康サポート薬局のあり方について」との報告書をまとめました。健康サポート薬局は、これまで本会が目指してきた「かかりつけ薬局」機能を有しつつ、加えて、要指導医薬品等の供給等と共に地域住民に対する健康相談・健康サポート機能を備えた薬局であるとされました。今後、具体的な基準が作成され、基準を満たす薬局を行政が公表する制度が来年度からスタートすることになります。

 また、10月には「患者のための薬局ビジョン」が厚労省から示されました。同ビジョンには「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へとの副題がつけられており、25年までに全ての薬局が「かかりつけ薬局」になることを目指すべきであるとしています。行政から大きな応援をいただいたと捉えており、その期待に全国の薬局・薬剤師が応えていかなければなりません。

診療報酬・調剤報酬の改定

 来年4月は2年に一度の診療報酬・調剤報酬の改定が行われます。改定に向けて中央社会保険医療協議会が議論を続けてきましたが、一方で財政制度等審議会において、調剤報酬を標的にし、極めて厳しい対応を迫る議論が巻き起こりました。10月の会議に提出された資料には「現行の調剤報酬については、診療報酬本体とは別に、ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直しが必要」とする方向性が示されました。

 本会では、日本薬剤師連盟と連携しながら、医科1:調剤0.3を堅持した公平な改定となるよう陳情活動を展開してきましたが、加えて、調剤報酬のみを対象とした特例的改定を阻止することを訴えることにしました。今月4日の中医協における調剤報酬の検討では、「かかりつけ薬剤師・薬局の評価」「対人業務の評価の充実」「いわゆる門前薬局の評価の見直し」の3点が資料として示され、議論が行われました。

 その結果、今月21日、次期診療報酬改定は0.49%の引き上げ、医科0.56%、調剤0.17%と1:0.3を堅持することができました。しかし、一方で薬価の引き下げが行われ、また、いわゆる大型門前薬局等に対する評価の適正化という制度改革が行われることになり、必ずしも満足できるものではないと捉えています。

今後の展望

 患者のための薬局ビジョンに示されている、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へという流れを着実に実行に移していかなければならず、全ての薬局が、地域住民にとって身近な「かかりつけ薬局」に移行できるよう、本会としても努力していく必要があると考えます。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128622
高齢者の薬どう減らす…副作用増、薬局は出すほど利益
(2015年12月28日 読売新聞)


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 高齢者の多くが不適切な薬の処方を受けている可能性が、厚生労働省研究班の調査で明らかになった。複数の持病のある高齢者には多剤投与が行われている実態もあり、薬の副作用で健康を害する例も少なくない。無益な薬の処方で体調を崩せば、さらに医療費、介護費もかさむ。今後、必要な対策は何か。

■入院中に削減

 「薬を3種類減らしました。時々、病棟に様子を見に行きます」

 宇都宮市の国立病院機構栃木医療センター。内科の矢吹拓医師(36)は、骨折で入院中の95歳女性に語りかけた。60歳代の次女は「こんなにたくさん薬を飲んで大丈夫かと思っていた」と胸をなで下ろした。

 矢吹医師らは今年1月、同病院に「ポリファーマシー(多剤)外来」を開設、入院してきた高齢者の薬を減らす取り組みを始めた。65歳以上で5種類以上の薬を飲み、同意を得た患者を呼び、院内の薬剤師、看護師らと共同で体調を見ながら必要度の低い薬や副作用のリスクの高い薬を減らす。10月までに37人(平均年齢81歳)を診察。入院時に平均8・6種類だった薬が同4・6種類になった。

 退院時にはかかりつけ医に患者の診療情報とセンター長名で薬の削減に協力を求める文書を送る。地域の患者を診る宇都宮協立診療所の関口真紀まさのり所長(60)は「病院全体の取り組みとわかり、診療を見直すきっかけになる」と話す。

■副作用の背景

 総合診療医の徳田安春・地域医療機能推進機構顧問は、「特に影響を受けやすい80~90歳代の患者が増えているにもかかわらず高齢者特有の薬の作用や副作用に対する知識が医師の間に浸透していない」と指摘する。薬の代謝機能が衰えた高齢者が一般成人と同じ量の薬を飲むと副作用が出やすい上、薬同士の相互作用の影響も受けやすい。

 高齢者は飲む薬の種類が増えると、副作用が起きやすいというデータがある。だが、内科、整形外科など細分化した診療体制では患者が飲む薬の全体像を把握しにくく、薬の種類も増えやすい。近年、新薬が相次いで開発され、使える薬が増えたことも背景にある。

 薬局は、薬を処方するごとに調剤料が入るため、積極的に薬を減らそうという動きが起きにくい。

■「収益より信頼」

 薬の削減に取り組む薬局もある。首都圏で約140店を営む調剤薬局チェーン「薬樹やくじゅ」(本社・神奈川県)は約9割の薬局で医師の指示のもと、通院が難しい在宅患者や介護が必要な高齢者宅に薬剤師が薬を届ける。

 「訪問薬樹薬局 保土ヶ谷」(横浜市)の訪問薬剤師、高橋麗華さん(38)は痛み止めなど6種類を飲んでいた神経因性疼痛とうつうの90歳代女性の薬を、医師と相談しながら3種類に抑えた。

 薬樹は店舗の3割に管理栄養士を置く。服薬と栄養両面のサポートを通じて、症状が落ち着き、薬が減った糖尿病患者もいる。薬剤師の訪問事業は約5年前に本格化させた。地域の在宅医や訪問看護師らとの情報共有を徹底し、往診にも同行する。「薬が減れば目先の収益は落ちるが、かかりつけ薬局としての信頼が得られ、リピーターになってもらえる」と小森雄太社長(51)は説明する。

 だが、こうした取り組みは一部の薬局で始まったばかりだ。「薬を出すほど利益が出る、今の仕組みは問題だ」と小森社長は語る。(医療部 赤津良太、社会保障部 辻阪光平)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128615
高齢者への多剤投薬対策、厚労省検討案に「上下関係」の壁?
(2015年12月28日 読売新聞)

 厚生労働省は来年度の診療報酬改定で不適切な多剤投薬を減らす方針を掲げ、今年度中に具体策を詰める。

 いくつもの病院に通う高齢者の服薬情報を集めて管理する「かかりつけ薬局」が多剤投薬を見つけて医師に連絡する。国内外の学会などが作成した高齢者には避けるべき薬のリストを参考に医療機関が不適切な投薬を自ら減らしたり他の医療機関に連絡したりする――などが検討されている。投薬を減らした医療機関や薬局への診療報酬を手厚くする方針だ。

 不適切な処方を減らせば、膨張する社会保障費の削減にも結びつく。副作用の治療費が浮くだけでない。高齢者がいったん体調を崩し入院すると、体力が弱り、自宅に戻れず介護施設に移らざるを得ない例も少なくない。大量に処方された薬の飲み残しも多く、これを減らすことで年間100億円超の薬剤費が削減できるという試算もある。

 だが、医師からは「他の医師の処方に口を出せない」との声が根強い。全薬局の7割が医療機関近くに開設する「門前薬局」で、どこまで汗をかく薬局が出てくるかは不透明だ。「医師と薬剤師は上下関係があり、連携は難しい」との指摘もある。

 徳田安春・地域医療機能推進機構顧問は「本来はかかりつけ医が責任を持って薬の調整をすべきだが、当面は高齢者の薬に詳しい総合診療や老年医学の医師が専門外来を作って適切な処方に変える方法もある」と話す。いかに実効性のある仕組みを作れるかが課題となる。

(医療部 米山粛彦)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128614
佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」
聖マリアンナの虚言

(2015年12月28日 読売新聞)

 2015年4月に多くのメディアが取り上げた精神保健指定医の資格の不正取得問題をご記憶の方は多いだろう。この連載でも関連記事を書いたが、最終的に23人が指定医資格を取り消され、医業停止1、2か月の処分を受けた。その聖マリアンナ医大病院(川崎市)でまたもや、患者の信頼を裏切る問題が起こった。

「シュレッダーで破棄した」と口裏合わせ

 この病院の神経精神科に以前通院していた30歳代の女性が、指定医資格の不正取得問題に不信感を募らせ、協力した臨床試験の原本閲覧を15年8月に求めた。すると、この試験の責任研究者を務める准教授と、病院、大学の職員が口裏を合わせて「シュレッダーで破棄した」とウソをつき、閲覧を拒み続けたのだ。病院は4か月後の12月21日、一転して原本の存在を認め、女性に謝罪したのだが、この幼稚なウソ対応は一体、何なのだろうか。虚言の背景に何があるのか。経緯を詳しく見ていこう。

 女性(別の複数の医師に「精神疾患ではない」と診断され、今は服薬をやめて元気になった)は、10年10月にこの病院を受診した。過労が続いて気が滅入めいり、前月から「周りに見られている気がする」といった強い不安に駆られるようになったためだった。初診の医師は「短期精神病性障害の疑い」と診断した。この障害は1か月以内に回復する。だが、4日後に診察した准教授は「統合失調症」と診断し、抗精神病薬を服用する臨床試験への参加を勧めた。女性は「社会の役に立つのなら」と考えて協力した。

 この臨床試験は、統合失調症を初めて発症した患者を対象に、市販の2種類の抗精神病薬を使って認知機能の改善度を比較する内容だった。女性は11年10月まで参加することになり、複数の認知機能検査と血液検査を繰り返し受けた。臨床試験は09年から12年までの計画で始まり、途中で16年まで延長されて、患者約40人が参加した。

 女性は12年に別の医療機関に移ったが、指定医資格の不正取得問題の報道で、神経精神科の医師たちが患者の治療の記録(症例)を使い回したことを知り、不信感を募らせた。主治医だった准教授も処分を受けたため、女性は15年8月、臨床試験からの自分のデータの削除と、検査結果などの原本閲覧を求めた。

医療安全と研究推進の職員がウソに関与

 准教授はデータ削除には応じたが、原本は「シュレッダーにかけた」として閲覧させず、医療安全管理室の職員2人と、大学院研究推進課の職員1人も「破棄したと聞いている」などと説明した。

 余りにも不自然な説明に納得できない女性が、病院と話し合いを続けると、准教授は12月、「顧問弁護士に相談して、正直に告白しろと言われた」として原本の存在を認め、コピーを女性に提供した。病院は、准教授を含む職員4人がウソに関わったと説明した。准教授は「僕が言い出したのではなく、4人で話して決めた。破棄したことにした方が安心すると思った」と明かし、「結果的にウソをついたと思う」と女性に謝罪したが、女性は「ウソをついてまで隠したかった何かがあるのでは」と、不信感をますます強めることになった。

生命倫理委で試験継続の可否を検討

 厚生労働省研究開発振興課は「臨床試験の指針は患者への十分な説明を求めている。不信感を抱かせる対応は絶対に避けなければならない」とする。研究倫理に詳しい斉尾武郎医師(精神科医)は「医療安全と研究推進の両部門までがウソをつく大学の臨床試験は、全て疑わしい。他の臨床試験も含め、徹底した調査が必要だ」とする。

 女性は「指定医の問題で多くの医師が処分を受けたというのに、相変わらず患者をバカにしている。原本や開示したカルテの記載、利益相反の面でも疑問が多い」として、さらに追及する構えだ。病院もこの臨床試験の調査を始めており、「近く、生命倫理委員会を開いて試験の継続の可否を検討する」としている。

 私は15年夏から、この問題を取材してきた。女性が指摘するように、ウソ対応以外にも不可解な点は多い。まずは、病院名に恥じないウソのない調査と、臨床試験参加者への誠意ある対応を求めたい。



佐藤光展(さとう・みつのぶ)
読売新聞東京本社医療部記者。群馬県前橋市生まれ。神戸新聞社の社会部で阪神淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)などを取材。2000年に読売新聞東京本社に移り、静岡支局と甲府支局を経て2003年から医療部。取材活動の傍ら、日本外科学会学術集会、日本内視鏡外科学会総会、日本公衆衛生学会総会等の学会や、大学などで「患者のための医療」や「精神医療」などをテーマに講演。著書に「精神医療ダークサイド」(講談社現代新書)。分担執筆は『こころの科学増刊 くすりにたよらない精神医学』(日本評論社)、『統合失調症の人が知っておくべきこと』(NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ)、『精神保健福祉白書』(中央法規出版)など。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128613
在宅医療の高齢者、48%に「不適切」薬…副作用も
(2015年12月28日 読売新聞)

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 副作用の恐れがあるため高齢者に「不適切」とされる薬が、在宅医療を受ける高齢患者の48%に処方され、うち8%の患者に薬の副作用が出ていたという大規模調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。高齢者の在宅医療で処方の実態が全国規模で明らかになるのは初めてという。同省では高齢者に広く不適切な処方が行われている可能性があると見て、来年の診療報酬改定で薬の適正使用を促す枠組み作りに乗り出す方針だ。

 高齢者は薬の代謝機能が衰えるため副作用が出やすい。近年欧米では高齢化に伴って社会問題になり、学会などが高齢者には避けるべき薬のリストを作っている。日本にも同様の基準はあるが医療現場には浸透しておらず、高齢者に深刻な副作用が出たとの報告が相次いでいる。

 厚労省研究班は2013年、高齢患者の飲む薬の全容を把握するため、通院が困難な患者を医師が訪問する在宅医療に着目。医師と連携した薬剤師が訪問業務を行う全国3321薬局に調査を実施した。1890薬局が回答し、在宅医療を受ける65歳以上の患者4243人の処方薬を把握した。同研究班がこのデータを米国で高齢者の処方指針とされるビアーズ基準の日本版に基づき分類すると、2053人(48・4%)に「不適切」とされる薬が処方されていた。

 このうち165人(8%)に副作用が認められた。複数の薬の副作用が出ている例もあった。最も多かったのはベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬で、ふらつき、眠気、転倒、記憶障害の他、妄想や幻覚などの副作用が出た患者もいた。心不全に使うジゴキシンは食欲不振や中毒、胃潰瘍や精神症状の改善に使われるスルピリドでは震えやこわばりなどの副作用があった。

 研究代表者の今井博久・国立保健医療科学院統括研究官は「副作用の少ない代替薬があるので、不適切な処方を漫然と続けるべきではない。医師と薬剤師が連携して処方内容を見直す体制作りが必要だ」と話している。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128609
乳房全摘出…検査結果が診察と矛盾、それでも検体取り違えを疑わず
(2015年12月28日 読売新聞)

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 千葉県がんセンター(千葉市中央区)が乳がんの女性患者2人から採取した病理検査の検体を取り違え、誤って1人の右乳房を全摘出した医療事故で、当初の診察とは矛盾する検査結果が出たにもかかわらず、同センターがこれを重視せず、検体の取り違えを疑っていなかったことがわかった。

 2人は同じ日に病理検査を受けており、同センターは「検査結果は、(取り違えに気付く)一つのポイントだった」と認めている。

 2人は10月中旬、針を刺して細胞組織を採取する「針生検」を受けた。1人は30歳代の早期がん患者。もう1人は50歳代で、医師の視診などで当初から「進行がん」が疑われていた。

 生検の結果、30歳代の検体からはがん組織が検出されず、50歳代の検体から進行がんの組織が検出された。しかし、検体が取り違えられていたため、「50歳代の女性からがん組織が見つからない」という事態になったが、同センターは「針生検(の精度)には限界があり、がん組織が採取できないことはしばしばある」として、この結果を「偽陰性」と判断。検体の取り違えを疑わず、再検査を行って進行がんと診断し、必要な治療を行っている。

 一方、生検の結果から30歳代の女性は誤って進行がんと診断され、12月上旬、直ちに必要がないにもかかわらず、右乳房の全摘出手術を受けた。その時に採取された組織と10月の生検で採取された組織ではがんの型が異なっていたため、検体の取り違えが判明した。

 同センターは今月18日、外部専門家を含む「院内事故調査委員会」を設置した。委員会では、どうして検体の取り違えが起きたかだけでなく、検査結果の評価が妥当だったかについても検証の焦点になりそうだ。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128595
乳房全摘出、病院長「原因特定できず」
(2015年12月28日 読売新聞)

 あってはならない医療事故がまた起きた。千葉県がんセンター(千葉市中央区)で患者の検体を取り違え、30歳代の女性が直ちに必要のない手術で右乳房を全摘出された事態を受け、記者会見した同センターの永田松夫病院長らは「患者さま、ご家族に深くおわび申し上げる」と深々と頭を下げた。

 ただ、原因については「現時点では特定できていない」と述べるにとどめ、専門家らによる調査委員会で究明するとした。

 早期がんの30歳代女性と進行がんの50歳代女性の検体は同じ日に採取されていた。永田病院長らによると、取り違えが起きた「針生検」と呼ばれる病理検査は、マニュアル通りに行われていれば、病理医が診断を終えるまでに乳腺外科の主治医と看護師、看護補助者、病理検査科の臨床検査技師、複数の検査補助者、病理医の9人前後が関与する。各段階で取り違えを防ぐため、患者名などを書いたラベルを貼った検体容器や伝票を照合する決まりだ。

 このうち、乳腺外科と病理検査科のどの段階でミスが起きたかについてセンター側は「今のところわからない」と繰り返した。また、必要のない手術で乳房を全摘出した責任を問われると、永田病院長は「そこの部分は戻らない。大変重く受け止めている」と硬い表情で答えた。

 同センターは、透明性を確保するため、弁護士や病理医ら外部委員4人を含む計9人の「院内事故調査委員会」を設置。これに先立ち病院側が行った医師や看護師ら関係者5人への聞き取り調査では、「マニュアル通り行っていた」と答えたといい、調査委で徹底的な原因究明を行い、再発防止策を講じるとしている。

 病理検査は、針などを使い患者から採取した組織を顕微鏡などで詳しく調べる検査。がんの広がりや種類などの診断に活用し、切除範囲の決定など治療方針に大きな影響を与える。

 組織を採取し、臨床検査技師が標本を作り、病理医が診断する。一連の過程には、医師以外に複数の医療スタッフも関わる。

 多くの患者を診療する病院はどこも、検査前に患者本人に名前を名乗ってもらい、検体に貼ったラベルの氏名と照合するなどの手順はマニュアル化している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47721.html
厚生連の「公的医療機関」位置付けを維持- 厚労省、社会医療法人に変更後も
2015年12月28日 09時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、公的医療機関の開設者となっている厚生農業協同組合連合会(厚生連)について、社会医療法人に変更した後も公的医療機関に位置付けることを決めた。今年の通常国会で、厚生連が社会医療法人に組織変更可能な規定が盛り込まれた改正農業法の成立を受けた措置。今年度内に医療法第31条で規定する公的医療機関の開設者の告示を改正する方針だ。【新井哉】


 厚生連をめぐっては、農林水産業・地域の活力創造プラン(2014年6月改訂)で、公的医療機関として地域に必要なサービスを提供する際、組合員以外の利用規制が問題となる場合、「社会医療法人に転換することを可能とする」と明記。こうした状況を踏まえ、社会医療法人への組織変更規定を含む改正農業法が8月に成立した。

 社会医療法人は、へき地や救急、周産期医療など地域で必要な医療の提供を担う医療法人を認定するもので、一定の収益事業が可能。病院や診療所、介護老人保健施設の非収益事業や本来業務の医療保健業については、法人税が非課税となっており、公益性が強く求められている。

 厚生連の病院と診療所は全国に約140施設ある。厚労省は、国民に必要な医療を確保するために設けられた公的医療機関の制度の下で「地域医療の確保に一定の役割を果たしてきた」と指摘。引き続き公的医療機関としての役割が期待されていることや、組織の目的や社会的な役割はこれまでと同じであるとの理由から、「法人格の形式的な変更をもって、ただちに指定を外す理由にはならない」としている。

 ただ、社会医療法人に変更後、都道府県知事に認定を取り消されて通常の医療法人になった場合、地域医療の確保にかかわる役割を十分に果たせない可能性がある。このため、厚労省は、社会医療法人の認定を取り消された際は、公的医療機関の開設者から外す規定を設けるという。改正告示の適用は、改正農協法の施行日と同じ来年4月1日を予定している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47741.html
薬価引き下げの新ルール、「極めて理不尽」- 業界団体が声明
2015年12月28日 17時00分キャリアブレイン

 来年春の薬価制度改革の骨子がまとまったことを受け、日本製薬団体連合会(日薬連)など3団体はそれぞれ声明を発表した。骨子には、既に保険収載されている医薬品のうち、年間の販売額が極めて大きい品目の薬価を最大半額にする「特例再算定」の創設が盛り込まれたが、日薬連側は「極めて理不尽」だとしている。【敦賀陽平】

 特例再算定の内容は、(1)年間の販売額が1000億円超から1500億円以下で、予想販売額の1.5倍以上(2)年間の販売額が1500億円超で、予想販売額の1.3倍以上―のいずれかを満たす品目を対象に、(1)では最大25%まで、(2)では最大50%まで薬価を引き下げる―というもの。

 声明で日薬連側は、薬価設定時の前提条件の変化すら考慮されておらず、単に販売額などで薬価を引き下げるルールだとして、「極めて理不尽なものと捉えている」と主張。その上で、国民皆保険制度の持続性を保つため、「薬剤費全体と個別医薬品の市場規模の在り方を抜本的に検討した上で、最大の当事者である製薬業界にとって納得性のある結論にしていただきたかった」との苦言を呈した。

 また日本製薬工業協会も、「イノベーションの否定そのものと言わざるを得ず、到底容認することはできない」との見解を示した。

■「市場実態に基づかない要望をした」―GE薬協
 骨子には、2020年度末までに後発医薬品のシェアを8割以上に引き上げるとする政府目標の達成に向け、後発品の置き換え率(シェア)が低い長期収載品(後発品のある先発医薬品)の薬価を引き下げる特例(Z2)の基準を厳格化することや、新規の後発品の薬価を先発品の原則5割に引き下げることも盛り込まれた。

 これについて日薬連側は、「後発品への置き換えによる医療費適正効果額は年々スピードを増す形で増加している」などとして、「特例引き下げの強化は容認できない」と主張した。

 一方、経営状況の厳しさなどから新規の後発品の薬価の維持を求めていた日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、厚生労働省が9月に行った薬価調査で、新規の後発品の公定価格と実売価格との乖離率が先発品よりも大きかったことに触れ、「市場実態に基づかない要望をしたことについて深く反省している」と陳謝した。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128600
相次ぐ患者・検体取り違え…医療事故、後絶たず

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 患者や検体の取り違えによる医療事故は後を絶たない。

 横浜市立大病院(横浜市)では1999年1月、それぞれ心臓と肺の手術を受ける予定だった男性患者2人を取り違える事故が起きた。病棟の看護師が1人で2人の患者を搬送し、手術室の看護師に受け渡す際に間違いが生じた。同病院は事故後、名前を記入したリストバンドを患者に着けるなどの対策を講じた。

 乳がんを巡っては昨年、兵庫県高砂市の高砂市民病院で、病理検査を受けた女性2人の検体を取り違え、誤った検査結果を伝えるミスが起きた。良性だった女性は、別の病院で乳腺の一部と周囲を切除する手術を受けた。摘出した組織からがん細胞が見つからず、誤りが判明した。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)では2013年12月、小児がんの一種の「神経芽腫」の男児に移植する予定だった本人の幹細胞を、同じ病気で入院していた別の女児に誤って移植した。主治医の思い違いなどが原因だった。

 また、熊本大病院(熊本市)や大阪市立総合医療センターなどでは、肺がん患者の検体を取り違え、別の患者の肺の一部を摘出した。東北大病院(仙台市)では07年12月、前立腺肥大症の患者を前立腺がんの患者と取り違え、誤って前立腺を摘出する事故が起きている。

(2015年12月28日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/general/387143?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151228&dcf_doctor=true&mc.l=137029029&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
2千万円支払いで和解 がん誤診、胃切除
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 兵庫県立加古川医療センター(加古川市)でがんと誤診され、胃の3分2を切除された男性患者の遺族が県などに損害賠償を求めた訴訟は25日、県が病院側の過失を認め遺族に2千万円を支払うことで、神戸地裁で和解が成立した。県が同日、発表した。

 県などによると、病院は2011年3月、病理検査の際に他人の標本と取り違え、70代の男性を胃がんと誤診した。男性は胃潰瘍で手術は必要なかった。男性は12年8月に術後の後遺症に苦しみ自殺したが、和解内容では「胃の切除との因果関係は不明」としている。

 遺族が今年5月、5500万円の損害賠償を求め提訴していた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/387187
「かかりつけ医推進事業」概算要求から大幅減、厚労省予算案
「地域医療介護総合確保基金」は2015年度と同額の904億円

2015年12月28日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月24日、2016年度予算案を発表した(資料は、厚労省のホームページ)。予算規模は30兆3110億円で2015年度比3963億円の増加。政府全体の社会保障関係費は31兆9738億円で、同4412億円増の過去最大規模となった。新規の重点施策として概算要求で4.5億円を要求していた「かかりつけ医による医療提供体制の構築」は2100万円にとどまった(概算要求については、『「かかりつけ医」推進に4.5億円、厚労省概算要求』を参照)。病床の機能分化・連携、在宅医療の推進する「地域医療介護総合確保基金」は、2015年度の904億円と同額を確保した。

 厚労省地域医療計画課によると、「かかりつけ医による医療提供体制の構築」事業は、8月の概算要求時点では「かかりつけ医を広めるためのモデル事業を市区町村から公募、優れたアイディアを採用する」としていたが、要求額の4.5億円から2100万円に大幅に減額された。モデル事業はできなくなったため、「予防・健康づくり、病診の連携、在宅医療・介護連携等、かかりつけ医として幅広く活動している医療機関について」の効果検証を行うとしている。2.3億円を要求し、1.8億円にとどまった「かかりつけ薬局を推進する『患者のための薬局ビジョン』」と大きな差が付いた。また、後発医薬品については、政府の利用推進の方針を受け、品質確保対策の促進事業は7.1億円を確保した。

 厚生労働省予算内での医療分野は11兆5438億円で、同538億円増(0.5%増)。介護は同1030億円増(3.6%増)の2兆9323億円。年金は同1971億円(1.8%増)の11兆2498億円。

その他の主な予算事項は以下の通り。 

・認知症高齢者等にやさしい地域づくりのための施策の推進  82億円
・「かかりつけ医」による医療提供体制の構築   2100万円
・専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取組  1.9億円
・特定行為に係る看護師の研修制度の推進  4.1億円
・医療事故調査制度の適切な運用  8.2億円
・救急医療体制の整備、医療提供体制推進事業費補助金150億円の内数及び医療提供体制施設整備交付金25億円の内数
・ドクターヘリの導入促進  61億円
・災害医療体制の充実 99億円、医療提供体制推進事業費補助金150億円の内数、医療提供体制施設整備交付金25億円及び国立病院機構運営費交付金144億円の内数
・臨床効果データベース整備  1.4億円
・後発医薬品の品質確保対策の促進  7.1億円
・クリニカル・イノベーション・ネットワークの構築  31億円
・ゲノム医療の実用化に向けた取組の推進  36億円
・革新的な医薬品等の実用化に向けた質の高い臨床研究の推進等  57億円
・データヘルス(医療保険者によるデータ分析に基づく保健事業)の効果的な実施の推進  7.5億円
・糖尿病性腎症患者の重症化予防の取組への支援  0.4億円
・患者のための薬局ビジョンの推進  1.8億円
・予防・健康インセンティブの取組への支援  1.2億円



https://www.m3.com/news/general/387150
研究不正で教授停職1カ月 熊本大、論文の画像流用
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 熊本大は25日、1998~2012年に発表した論文9本に画像の流用などの不正が見つかった研究グループを主宰する同大大学院生命科学研究部の光山勝慶(みつやま・しょうけい)教授(58)を、停職1カ月の懲戒処分にした。

 大学は、光山教授が論文を執筆した助教授や研究員に対して、論文作成やデータの保管方法の指導や確認を怠ったため不正が繰り返されたと判断した。光山教授は「ケアレスミスだった」と説明し、大学も論文の内容に影響を与えるものではないとしている。

 原田信志(はらだ・しんじ)学長は「研究者倫理の徹底と再発防止に努める」とのコメントを出した。

 熊本大は3月、光山教授が責任著者を務めた心疾患などの病態解明に関する論文に、実験画像の流用や画像自体の加工が見つかったとして、研究不正を認定した。



https://www.m3.com/news/general/387155
向精神薬、ネットで拡散 生活保護悪用、対策急務 「キャッチアップ2015」
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 副作用の危険性がある向精神薬が、インターネットを通じ拡散した実態が明らかになりつつある。兵庫県警が6月以降、計6人を逮捕した不正転売事件。生活保護など医療費の公費負担制度が悪用され、重複処方された医薬品が横流しされた。薬物中毒で死亡した購入者もおり、防止策の整備が急務となっている。

 「ネットの掲示板で向精神薬の売買を知った」。向精神薬の営利目的所持容疑で今月逮捕された無職女性(32)=兵庫県西脇市=は、県警の調べにこう語ったという。母子家庭への医療費助成制度を使い、2010年以降に約18万錠の医薬品を安価で得ていたとみられる。女性はその後、起訴猶予となった。

 一方、県警はこれまでに転売容疑で生活保護受給者だった京都市の男女2人を逮捕。複数の医療機関に何度も通うなどして、医薬品を無料で入手していたという。

 拡散の「ハブ」とされるのが、東京都の小岩井由香(こいわい・ゆか)被告(56)=麻薬取締法違反罪などで公判中=だ。京都市の男女や奈良市の薬剤師の男、別の京都市の男を通じて西脇市の女性などから向精神薬を仕入れ、09~15年にネット上で123人に販売したとされる。うち埼玉、和歌山、兵庫、鹿児島の4県の計5人が過剰摂取による薬物中毒で死亡。うち4人は自殺とみられる。

 不正は止められなかったのか。京都市は11年度以降、レセプト(診療報酬明細書)を電子化し、生活保護受給者による重複処方を審査。ただ今回の事件では生活保護以外の支援制度も使われており「統合的なチェックができず見抜けなかった」(担当者)という。

 厚生労働省によると、12年11月の1カ月間に重複処方を受けていた受給者は6825人。うち76%は、別の症状で複数の病院にかかるといった正当な理由はなかった。だが調査は改善指導が主な目的で、犯罪につながるケースを見つけ出すのは困難なのが実情だ。

 「不正防止策を医療機関同士で共有することが重要だ」と指摘するのは、日本精神神経科診療所協会の浅野達蔵(あさの・たつぞう)理事。転売目的の患者は、医薬品を指定して処方を求める傾向があるという。浅野理事は「過剰な管理は一般の患者の不利益となる。医師が自覚を持ち、不正を見抜く目を養う必要がある」と話している。

 ※向精神薬

 精神疾患の治療に使われる抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの総称。中枢神経に作用し、精神機能に影響を及ぼす。乱用の危険性があるため、麻薬取締法の対象。過剰に服用すると、幻覚や錯乱などの症状が現れ、死亡するケースもある。インターネットを通じた不正転売が社会問題となっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/383309
シリーズ: 始動する“医療事故調”スペシャル座談会
拙速な制度の見直しは危険◆Vol.7
医師法21条との関連は別問題

2015年12月27日 (日)配信 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新たな医療事故調査制度がどのように機能するか、最初の立ち上がりが重要です。

山本 先ほど武田先生が言われたように、医療事故調査とは何かをきちんと理解して、この制度が前提としている趣旨に従って、運営していける人材の養成は非常に重要な問題だと思います。

 他の分野、例えば消費者事故調でも、やはり人材が足りない。消費者庁がスタートした時は、年間100件の調査を行うとしていましたが、数年経っても、まだ5、6件程度。調査ができるような人材の養成が、日本全体でできていない。今回、センターの役割として、「事故調査に関わる知識、技能の研修」が入ったのは、人材養成という趣旨も含んでいると思います。

3氏はいずれも、医療事故調査制度の見直しは、拙速に行うべきではない、と釘を刺す。

――人材養成のためには、センター自身が体制を整えなければいけない。

山本 その通りです。

武田 国としては、ここで重大決断をした。一種のパラダイムシフトを国が先導した稀有な例であり、これで終わりではなく、ここからが始まりで、人材養成にも、力を入れてもらいたいと思います。

――センター調査の在り方も、今後、問題になってきます。センターには、各分野の専門的人材はいないので、さまざまな学会に支援を仰ぎ、機能させていかなければいけない。

長田 センター調査も含め、事故調査の方法や報告書の書き方について、トレーニングしていくことが必要。報告書一つで、印象が変わってきてしまうからです。

山本 センターには、対象となる医療事故が全て報告されてくることになるので、その中から、この制度にかなった報告書はどんなものなのかを例示していくようなことも必要でしょう。

――医療法において、医療事故調査制度は、「公布後、2年以内に見直す」となっています。先ほど、武田先生から「執行猶予にしてもらいたい」との意見が出ましたが、見直しを延期することは可能なのでしょうか。

山本 「法律の公布後から」とされたのは、見直し規定としては稀有な例です。「法の施行後から」、つまり制度の開始を起点とするのが、普通でしょう。

 今回の制度では、公布から施行まで1年半近くかかっています。いったん始めた制度を、施行からわずか数カ月で見直すのは、制度全体を評価する期間としては、やや短すぎると思います。制度が機能しているのか否かについて、慎重に見極めないと、場合によっては誤った方向に改正のベクトルがかかりかねないと懸念しています。

 法律上は、「公布後2年以内に法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとする」となっています。検討を加えた結果、「必要な措置を加えるかどうかの判断がまだできない」となる可能性ももちろんあるでしょうから、繰り返しになりますが、慎重に考えていただきたい。

――仮に見直す場合、どの辺りの見直しが必要になるとお考えですか。異状死体の届出を定めた医師法21条との関連で、見直しが必要との意見も一部にあります。

山本 医師法21条の問題をまた巻き込むと、問題はかなり複雑になってくることは明らかです。「(医療事故調査制度が)現状の仕組みのまま、21条を廃止することができる」と思っている人がいるとすれば、「難しいことをお考えになっている」と言わざるを得ません。21条を関連付けて改正するには、(2008年に、厚労省が医療事故調査制度案としてまとめた)「大綱案」とは言いませんが、別の制度が必要。21条の問題と切り離した結果、今回のような制度になったわけです。
 もっとも、21条自体をいいと思っているわけでは、必ずしもありません。何らかの検討は必要でしょう。

――医師法21条をどう解釈され、どのように見直すことが必要とお考えなのでしょうか。

山本 医療機関が自らの判断で医療事故を警察に届け出ることが必要か、しかも刑罰を科してまでやる意味があるかということです。「大綱案」自体がいいかは別としても、「大綱案」では、一度、第三者である医療専門家の目を通し、「専門家から見てもこれは許し難い」という事例だけを、警察に通知する制度を作ろうとしたわけです。

 医療の専門家から見れば、現状では「なぜ、これを起訴するのか」という事例があるかもしれません。しかし、警察や検察は、基本的には医療の素人であり、彼らを責めても仕方がない話。医療の専門家の判断を尊重する仕組みは、選択肢としてはあり得ると思います。ただ、「同業者の判断が、責任追及につながる」と問題視する声もあり、どんな制度がいいのか、私自身、結論を持っているわけではありません。医療の専門家を交えて議論する必要はありますが、繰り返しになりますが、今回の制度の見直しとは別の議論です。

――ただ、その専門家が信用できない場合もあり得ると思います。例えば、産科医療補償制度は、「専門家が判断している」制度であり、無過失補償の対象となった事例についての原因分析報告書の内容を問題視する意見も聞きます。報告書を受け取った分娩機関が異議を唱えたため、再検討したところ、委員会での意見は二分したとの報告もあります。その場合には両論併記するのが専門家としての正しい態度ではないでしょうか。警察や検察など、医療者以外が、専門家の意見を過信する懸念もあるのでは。

山本 法律の世界においては、「過失」は、注意義務が前提になります。その「注意義務」には水準論があり、どんな水準を下回れば、過失があったかを考えます。一般的には、民事でも、また刑事でも、「標準的な医療機関の注意義務を、前提にしなければならない」と考えられています。

 しかし、どの世界でもそうかもしれませんが、超一流の方々が集まると、「なぜこんなことをしたのか」「これは絶対におかしい。過失があるはずだ」と厳しく判断し、高いところに「注意義務」を設定しがちです。それを全て警察に送っていたら、大変です。この辺りは、ぜひ医療界の方々に考えていただきたい。

長田 逆のパターンで、「他の病院で起きたのなら、仕方がないけれど、僕に限ってはこれは事故に当たる」という議論になることもあり得ます。「先生にとっては、そうかもしれませんが、一般的にはあり得ます」と言っても、納得されなかったりします。

 日本において「一番の医師」は,たった1人しかいないのです。医師が100人いたら、100番の医師もいるわけです。一番の医師は、「僕に任せれば、手術は成功した」と、言いたいのでしょう。けれども、例えば、野球の世界では、イチローの打率は4割にとどきません。6割失敗しても、拍手喝さいを受けます。なぜ医師だけ、100例の手術をして、大半は成功しているのに、高すぎる目標に届かなかったからといって非難されてしまうのか……。

 話を元に戻して,武田先生はどのようにお考えですか。

武田 医師法21条は、「体表に異状がある場合に届け出る」という解釈であり、私も今回の制度とは切り離して考えるべきだと思います。

 また最後に、患者安全の視点から一言、付け加えさえてください。「事故予防」は、1次予防、2次予防、3次予防という考え方をしなければいけません。病気と同じで、事故が起きる前に防止するのが、1次予防。「早期に発見し、早期に対応する」という2次予防の考え方で言えば、同様の事故、問題が続いた場合、「問題が起きていることに早く気づき、対応策を講じるべきだったのではないか」という議論になります。さらに3次予防では、「事故を拡大させない、同じ事故を起こさない」ことが必要。(2009年に発表された)「WHO医療安全関連国際標準分類のための概念フレームワーク」ではこのような表現になっています。

 さらに言えば、「事故から予防策を学ぶ」のは、「外れ値」、つまり失敗事例から学ぶという、いわゆる「SafetyI」の考え方。しかし、医療事故に至るには、さまざまな分岐点があり、失敗事例だけを分析して、原因を特定することは難しいケースが多い。医療は複雑系であり、「事故予防」の今のトレンドは、「外れ値」に限らず、成功事例まで幅広く目を向けて事故を回避する、「SafetyII」という考え方です。これを法律で進めるのは難しいでしょうが、幸い今回の医療事故調査制度は、「学習型」の仕組みなので、うまく「SafetyII」の考え方につながるように、誘導していただければと期待しています。

 今回の制度で、さまざまなデータが出てきます。他のデータ、例えばDPCデータなどと合わせながら、医療の質や各医療機関の機能を評価していくのが、これからの医療の在り方ではないでしょうか。質が高いところを評価していくインセンティブの仕組みを作れば、日本の医療機関全体の質向上につながっていくと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/384612
シリーズ: 2015年の医療界:1000人アンケート
1位はあの大学の問題、2015年の10大ニュース◆Vol.4
大学の不祥事相次ぐ一方、ノーベル賞の明るい話題も

2015年12月27日 (日)配信 成相通子(m3.com編集部)

Q.4 2015年の10大ニュースは何だと思われますか(10個まで選択可)。

Q.4では、2015年の10大ニュースとして、m3.comに掲載した主要90本のニュースの中から、最大10までの選択肢で聞いた(回答者、勤務医505人、開業医500人)。

全体の順位                    それぞれの票数と順位
                          勤務医 開業医

1  群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術に      291   247
   関する一連の問題(通年)           (1位) (1位)

2  理化学研究所のSTAP問題(通年)         229   228
                          (2位) (2位)

3  ノーベル医学・生理学賞に大村智氏(10月)    130   156 
                          (3位) (3位)

4  東京女子医科大学病院の誤投与の問題(通年)    124   109
                          (4位) (4位)

5  聖マリアンナ医科大学の精神保健指定医      87   91
   不正取得問題(通年)               (5位) (5位)

6  東北薬科大学の医学部新設に向けた動き(通年)    83   85
                          (6位) (7位)

7  韓国でMERSが発生、流行、日本でも対応へ(6月) 72    81
                          (9位) (8位)

8  2016年度診療報酬改定に向けた議論(通年)     66   86
                          (11位) (6位)

9  神戸国際フロンティアメディカルセンターの    77   74
   生体肝移植問題(通年)              (7位) (10位)

10 2017年度の専門医制度改革に向けた議論(通年)   76   69
                          (8位) (11位)


 1位は、2014年末から報道が続いた「群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術に関する一連の問題」。計538票を集め、多くの医師が高い関心を持ち、関連報道を注視していたことが分かった。同問題では、同じ執刀医による肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡したのを受け、大学側は事故調査委員会を設置。3月に「最終報告書」を公表したが、外部委員の意見を聞かずに「執刀医に過失があった」と記載していたため公表後に削除したほか、外部委員が委員会にほとんど出席していなかったなど、事故調査に問題があることも判明した。

 大学は、改めて事故調査委員会を設置し、病院組織としての問題点などを総合的に検証、再発防止案を策定する「群馬大学医学部附属病院改革委員会」も設置した。病院改革委員会はこれまでに、「医療従事者として適格性を疑われる医師が主要構成員として存在したことにより起こった」とする中間まとめを提出(一連のニュースは『シリーズ:群馬大学腹腔鏡死亡事故』を参照)。

 2位は理化学研究所のSTAP論文問題。2014年に引き続きマスコミで大きく取り上げられた。2015年は、3月に理研の「運営・改革モニタリング委員会」が再発防止案をまとめ、野依良治・理化学研究所理事長(当時)が記者会見し、ES細胞の混入した人物が特定できないまま、理研は一応の幕引きを図った。元ユニットリーダーの小保方晴子氏をめぐっては、Nature誌などへの論文投稿料、約60万円を理研が返還請求したほか、早稲田大学が小保方氏の論文に不正があったとして、博士学位を取り消した。兵庫県警は被疑者不詳で、ES細胞の窃盗容疑の告発状を受理している。

 3位は久々の明るい話題となった、大村智氏(北里大学特別栄誉教授)のノーベル生理学・医学賞受賞。大村氏が開発に寄与した抗寄生虫薬イベルメクチンは、発展途上国だけでなく日本でも疥癬などの治療に使われ、多くの医師にとっても身近な話題になったようだ。大村氏のひた向きな研究姿勢や、美術や科学技術振興への積極的な支援も注目された。

 4位は東京女子医科大学病院のプロポフォール投与事件。4月に外部調査委員会による事故調査報告書が公表された(『「死因は禁忌薬の使用」、女子医大第三者委9』を参照)。群馬大と東京女子医大は、6月から特定機能病院の承認を取り消されている。5位は、聖マリアンナ医科大学病院の精神保健指定医の不正取得問題。同大は、教授を諭旨退職、指導医らを懲戒休職などとする学内処分をしたほか、23人が医業停止処分を受けた。

 6位には、医学部新設が決まった東北薬科大学の話題。7位は韓国で発生し、日本でも対策に追われたMERS。8位は2016年度診療報酬改定に向けた議論、9位は術後の死亡率の高さが問題視された、神戸国際フロンティアメディカルセンターの生体肝移植。10位は2017年度の専門医制度改革に向けた議論。総合順位には入らなかったが、開業医の9位は、C型慢性肝炎の画期的新薬に保険収載が認められたニュース。効果が極めて高いものの、高額であることが話題となった(11位以降はこちら)。

11位以降
全体の順位
11  C型慢性肝炎の画期的新薬、「高効果、高薬価」(5月)
12  ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初 厚労省(2月)
13  医療事故調査制度がスタート(10月)
14  千葉がんセンターの腹腔鏡下手術の死亡事案問題(通年)
15  国家戦略特区(千葉県成田市)の医学部新設に向けた動き(通年)

16  亀田総合病院、『医療崩壊』小松氏を懲戒解雇(9月)
17  12月からストレスチェック制度開始、変わる産業医(11月)
18  高血圧学会、元教授を処分 バルサルタンで「データ操作」疑惑 (1月)
19  臨床研修医の採用8千人超え、過去最多更新(6月)
20  国立国際医療研究センター病院の造影剤誤投与問題(通年)

21  生命科学系の論文80本、不正疑いネットで指摘 (1月)
21  マイナンバー制度収賄容疑で厚労省室長補佐逮捕(10月)
21  化血研の処分検討 厚労省、血液製剤問題で(11月)
21  レセプト債4社が破綻、227億円償還不能か(11月)
21  医師の66.2%が受診中断の経験、保団連調査(1月)

26  特定機能病院の承認取消、厚労省の立入検査(通年)
26  41万件で1億7千万円 くすりの福太郎不適切請求(6月)
28  医師に謝礼1千万円超184人 製薬会社、講演料など(4月)
29  酒たばこ「18歳から」紛糾 成人年齢引き下げ、自民提言(9月)
30  ノバルティスに業務改善命令、副作用報告遅れ(11月)

31  医学部定員、2016年度は9262人に、128人増(10月)
32  京都大学病院、元准教授を収賄容疑で逮捕(6月)
33  武田に業務改善命令、誇大広告認定、厚労省(6月)
34  厚労省予算3%増の29兆9000億円、2015年度(1月)
35  骨太の方針発表、後発薬普及、医療費適正化(6月)

36  調剤薬局の薬歴未記載問題が発覚(3月)
36  総合診療専門医の「医師像」、明らかに(4月)
36  群馬県で、健康診断中の女性がX線台から落ちて死亡(5月)
36  ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初 厚労省(2月)
36  教授が医大学長をパワハラで提訴へ、浜松医大(6月)
36  41道府県で病床削減の試算、患者動態現状通りで(6月)
36  国家戦略特区(千葉県成田市)の医学部新設に向けた動き(通年)
36  看護師の特定行為に係る研修制度がスタート(10月)

44  札幌医大、教授を懲戒解雇、兼業で(5月)
44  2018年度から医療に新たな番号制度、産業競争力会議(5月)
46  発症後1日半で急死、インフルエンザ脳症(1月)
46  東大、推薦入試も難関 募集要項を正式公表(7月)
  1. 2015/12/29(火) 06:47:40|
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12月26日 

https://www.m3.com/news/general/386817?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151226&dcf_doctor=true&mc.l=136975602
検査取り違え、乳房全摘出 千葉県がんセンター
2015年12月26日 (土)配信 共同通信社

 千葉県がんセンター(千葉市)は25日、早期の乳がんの30代女性患者(千葉県在住)と、別の患者の検査結果を取り違え、誤って30代女性患者の右乳房を手術で全摘出したと発表した。センターは「直ちに全摘出する必要性は低かった」として手術を受けた患者に謝罪した。

 センターは、外部の専門家を交えた院内事故調査委員会を設置し、原因を究明する方針。

 センターによると、10月中旬、30代女性患者の乳房に針を刺して組織を採取、がん細胞を調べる検査を実施した。だが、同じ日に検査を受け、進行性の高い「浸潤性乳管がん」と診断された別の50代女性患者の検査結果とセンター内で取り違え、12月上旬、30代女性患者に右側乳房の全摘出手術を行った。

 センターは、50代女性患者の現在の病状を明らかにしていない。

 12月15日、30代女性患者の手術時に取り出した検体を調べたところ、取り違えが判明した。

 25日、記者会見した永田松夫病院長は「このような事故を起こし、患者様、ご家族に深くおわびする」と謝罪した。

 センターでは2014年、腹腔鏡手術を受けた11人が08~14年に死亡していたことが判明。県の第三者委員会はことし7月、最終報告書で手術方法の選択などの問題があったと指摘していた。



https://www.m3.com/news/general/386806
患者取り違え乳房全摘出…早期がんの30代女性
2015年12月26日 (土)配信 読売新聞

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)は25日、病理検査を行った乳がん患者2人の検体を取り違え、直ちに手術の必要がない早期がんの30歳代女性の右乳房を全摘出したと発表した。

  発表によると、同センターは10月中旬の同じ日、いずれも千葉県内の30歳代女性と50歳代女性に、針を刺して細胞組織を採取する「針生検」を実施。この際、検体を取り違えたために、30歳代女性を「進行がん」と診断し、本人と家族の同意を得て12月上旬、右乳房の全摘手術を行った。

 しかし、12月15日に摘出した部位を検査したところ、進行がんではなく早期がんと判明。17日、30歳代女性と50歳代女性の検体の遺伝子を調べたところ、2人の針生検の検体を取り違えていたことがわかった。同センターは「30歳代女性は、最初の針生検の時点では全摘出する必要はなかった」としている。



https://www.m3.com/news/general/386816
乳房全摘出、病院長「原因特定できていない」
2015年12月26日 (土)配信 読売新聞

 あってはならない医療事故がまた起きた。

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で患者の検体を取り違え、30歳代の女性が直ちに必要のない手術で右乳房を全摘出された事態を受け、記者会見した同センターの永田松夫病院長らは「患者さま、ご家族に深くおわび申し上げる」と深々と頭を下げた。ただ、原因については「現時点では特定できていない」と述べるにとどめ、専門家らによる調査委員会で究明するとした。

 早期がんの30歳代女性と進行がんの50歳代女性の検体は同じ日に採取されていた。永田病院長らによると、取り違えが起きた「針生検」と呼ばれる病理検査は、マニュアル通りに行われていれば、病理医が診断を終えるまでに乳腺外科の主治医と看護師、看護補助者、病理検査科の臨床検査技師、複数の検査補助者、病理医の9人前後が関与する。各段階で取り違えを防ぐため、患者名などを書いたラベルを貼った検体容器や伝票を照合する決まりだ。



https://www.m3.com/news/general/386805
近所付き合いでPTSDの危険減…ハーバード大など 被災高齢者3000人調査
2015年12月26日 (土)配信 読売新聞

 東日本大震災で被災した高齢者のうち、震災前に近所付き合いなどが活発な地域に住んでいた人は、被災による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する危険性が4分の3に抑えられていることが、約3000人を対象にした米ハーバード大学などの調査でわかった。

 高齢者の被災前の生活状況と、被災後のPTSDの危険性の関連を分析した大規模な研究は初めて。

 同大などが参加する高齢者に関する調査研究プロジェクト「日本老年学的評価研究(JAGES)」は2010年、全国31市町村に住む65歳以上の高齢者に、介護予防などを目的とした生活状況の調査を実施していた。

 調査対象には翌年に起きた震災で被災した宮城県岩沼市の5058人も含まれていた。同市の被害は死者・行方不明者187人、損壊家屋5428棟に上った。

 このため、同大は東北大などと共同で、13年に追跡調査を行い、3606人から回答を得た。

 PTSDを発症する危険性は、個人的に近所付き合いなどが多い人は、少ない人と比べると0.87倍、近隣住民の結び付きが強いエリアに住む人は0.75倍だった。被災前からあった近所とのつながりが被災後の助け合いを生み、PTSD発症の危険性を低減させたとみられる。また、今回の結果から、高齢で体調が悪いなどの理由で個人的なつきあいが少なかった人でも、周囲の人たちの結びつきが強いと、危険性がより小さくなる可能性が示唆された。

 引地博之・ハーバード大客員研究員は、「将来の災害に備えた地域づくりに役立てていきたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/386790
遺伝情報の外部提供、本人同意が必要 有識者会議
行2015年12月26日 (土)配信 朝日新聞

 病気のなりやすさなどにかかわる個人の遺伝情報について政府の有識者会議は25日、医療機関や検査会社が外部へ提供する場合には新たに本人の同意を求めることで大筋合意した。医療保険加入時の差別などにつながる可能性もあることから、病歴などと同様に特に慎重な扱いを求める。

 現在の個人情報保護法では遺伝情報の保護が明確に位置づけられていなかった。近年は検査サービスなどで遺伝情報の入手が容易になっていることから、9月に成立した改正個人情報保護法(公布後2年以内に施行)で位置づける方針。

 具体的には、病気のなりやすさや薬の効きやすさなどが分析できる形になった情報(ゲノム情報)を、改正法で新設された「要配慮個人情報」の対象とし、本人の同意を求める。単純な配列データは指紋などと同様に、明確な拒否がなければ提供できる扱いとする。

 研究者からは、本人同意が厳格になることで研究が進まなくなるとの懸念も出ており、この日の会合では研究の妨げにならないように配慮することも確認した。(竹野内崇宏)


  1. 2015/12/27(日) 05:50:39|
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12月20日 

http://www.socinnov.org/blog/p252
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (7):
高橋泰「首都圏の医療・介護の近未来」について

小松秀樹
2015.12.12   Blog  Socinnovブログ

高橋泰氏は、全国のほとんどの2次医療圏を訪問し、実情を自身の目で確認されている。学者なので、目で見るだけでなく、数字でも把握している。それどころか、誰もが2次医療圏について詳細な比較検討ができるよう、2次医療圏データベースを作成し、公開している。

高橋氏とは、2011年10月、仙台での講演で初めてお会いした。筆者は翌日、被災地支援のため南相馬市を訪問することになっていた。高橋氏は同行することを希望され、南相馬市で我々と行政との生のやり取りを観察された。好奇心旺盛な行動派学者である。

『地域包括ケアの課題と未来』で、高橋氏が提示された首都圏の介護の近未来予想図は衝撃的である。首都圏を含めて関東で入所介護施設が極端に不足する。現在でも東京は、後期高齢者人口当たりの要介護高齢者に対応した施設の収容能力が、日本最低レベルである。2025年には団塊の世代が後期高齢者になる。介護施設の不足している東京とその周辺のベッドタウンで、高齢者が急増することになる。

『地域包括ケアの課題と未来』の編集者の1人、小松俊平は、2012年1月『厚生の指標』に「医療計画における基準病床数の算定式と都道府県別将来推計人口を用いた入院需要の推移予測」と題する論文を発表した。「一般病床の需要は、2010年と比較して2030年には12%増加する。埼玉・千葉・東京・神奈川では20%以上増加する。」高齢化と人口減少の進んでいる地域では、「一般病床の大幅な供給過剰状態が継続する。」一方「療養病床・介護施設(入所施設)の需要は、2010年と比較して2030年には全国で65%増加する。東京では78%増加し、埼玉・千葉・神奈川では100%以上増加する。」

首都圏では独居高齢者が爆発的に増加する。独居高齢者が生活に支障をきたしても、地域での人々の結びつきが弱く、頼れる互助組織がない。このため、東京は、地方に比べて、施設介護の必要度が高い。東京で今、介護施設の新設が進んでいるというが、介護職の給与水準が他の職に比較して低いため、職員を集めるのが難しい。施設が整備されたとしても、年金だけに頼っている高齢者だと、特別養護老人ホーム以外の施設は費用が高いため入所できない。

首都圏では、孤立した高齢者が病院に運び込まれても、退院先がない状態になる。退院をめぐって、解決策のない不毛な争いが頻発するだろう。結果として、病院へのアクセスがさらに困難になり、孤独死が加速度的に増える。さまざまな対応策が講じられるだろうが、首都圏だけで解決するのは難しい。

筆者は、2012年3月、安房地域のまちづくりビジョン安房10万人計画を提唱し、安房地域への高齢者の移住を提案した。高橋氏は日本創成会議の一員として、2015年6月、首都圏の高齢者の地方への移住を提案した。筆者は安房地域の人口減少を課題とし、高橋氏は首都圏の高齢者の急増を課題とした。

安房10万人計画のミッションを以下に示す。安房10万人計画は消滅が危惧される過疎地の生き残りが目的なので、最大の顧客は若者である。

ミッション
 1 首都圏の高齢者に、安房で楽しく穏やかな人生を過ごし、死を迎えてもらう。
 2 高齢者を支える若者に、安房で結婚し、子どもを生み育ててもらう。
 3 安房を活性化することで、住民に職を提供する。

ミッションを実現するために、以下のような基本方針を掲げた。
1 大きな目標を設定し、それに向けて、地域のインフラを含めて、準備をしていく。莫大な投資を必要とする詳細な建設計画は策定しない。
2 地域の医療介護施設全体を必要に応じて利用する。施設の新たな建設は需要が確実に見込め、経営が成り立つ場合に限定する。
3 要介護者を直接ターゲットにしない。都会で仕事しながら安房にも生活拠点を持つ人、健康な高齢者、定期的な通院の必要のある高齢者を首都圏から迎え入れる。
4 安房に文化と魅力を創出する。これは、遊び心、創造力、発信力を持つ人材をどれだけ安房に住んでもらうかにかかっている。
5 官営の事業とはしない。官の役割は、一部のルールの法的根拠を提供すること、可能なものに資金を出すこと。
6 営利組織、非営利組織が参加できるようにする。産業として合理的なものにする。株式会社と非営利組織は異なる。それぞれの組織の原理に一致した機能を担当するようにする。それぞれの原理に従って動いて、活動量を最大にする。
7 金銭的にはフェアネスを貫く。高額の一時金は可能な限り避け、毎月の費用を納入する形にする。途中解約を正当な条件で行えるようにする。
8 富裕高齢者のための有料サービスを拡充する。これで収益を大きくして、給与を高くできるようにする。
9 亀田グループで利益と手柄を独占しない。参加した組織には、医療・介護提供で協力する。亀田グループのメリットは地域の人口が増加することである。

安房10万人計画として、2015年夏まで、インフラ整備に取り組んできた。安房地域医療センターでの無料・低額診療開始、民間公益活動へのふるさと納税利用の制度化、社会人に安定した雇用を提供するための看護学校創設、看護学生寮への高齢者向け住宅併設、高齢者の人生の重要な決定を支えるワンストップ相談サービスの事業化などである。こども園を中心とした複合組織による子育て支援(必要時夜間保育、病児保育、学童保育、母子家庭・父子家庭支援)の準備も進めつつあった。安房10万人計画のハブとして特定非営利活動法人ソシノフを設立した。

政府が提唱する「日本版CCRC構想」が、首都圏高齢者の地方への移住の目玉として注目されている。CCRCとはContinuing Care Retirement Communityの略で、高齢者が健康なうちに地方に移住し、ケアが必要になった場合にケアを受けながら終生過ごすことのできる生活共同体のことである。特徴として以下の3点が挙げられている。(1)健康な段階から入居する。(2)高齢者が、仕事や社会活動、生涯学習などの活動に積極的に参加する。(3)地域社会と交流し、地域に溶け込む。

このようなことが簡単に実現できるとは思えない。補助金の魔力が失敗の原因となる。有識者会議の素案には、「現行の補助金や税制優遇、関連制度のほかに、更なる支援策の在り方(地方創生特区、新型交付金、制度改正、移住・住み替え支援策等)についても、検討を進めることとしたい」と書かれている。従来同様、政府が補助金や交付金を出すための条件を事細かに決める。官僚の責任が問われないようにするための条件なので、事業の邪魔になる縛りが多くなり、事業の成功確率を下げる。天下り団体が設立される。箱ものに予算がでるとなれば、箱もの専門家が予算を求めて群がる。予算を獲得することが活動の中心になる。日本中に、同じような箱ものが誕生する。1987年のリゾート法や年金基金を使ったグリーンピアでは、需要を無視した開発を全国統一ルールで実行し無残に失敗した。

日本の高齢者は簡単には移住しない。筆者は、震災時、避難所で厳しい生活を送っていた高齢者を安房地域に迎え入れようとしたが、彼らは、頑として地元を離れようとしなかった。そもそも、CCRCは新しい事業であり、現時点で、社会に需要はない。東京の高齢者は地方に移住したいとは思っていない。現時点で社会に存在しない魅力を、新たに創りださなければならないのだから、簡単ではない。創り出した魅力を提示して、徐々に需要を拡大していくしかないが、いかに努力しても、実際に需要が生じないかもしれない。あらかじめ完成された事業を想定してはならない。高齢者の地方移住を成功させるには、全国一律の事業ではなく、新しい個別事業を積み重ねるしかない。個々の地域の状況を踏まえて、利用可能な資源と知恵を活用して、小さく始めて、新しい需要を地道に創りだすしかない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/383399
シリーズ: 2015年の医療界:1000人アンケート
医療界の環境、「依然として厳しい」◆Vol.1
勤務医2割、職場環境の改善を実感

医師調査 2015年12月20日 (日)配信 成相通子(m3.com編集部)

 2015年を振り返れば、群馬大の腹腔鏡手術をめぐる問題や聖マリアンナ医科大学の精神保健指定医の不正取得問題など、大学にまつわる不祥事のニュースが相次いだほか、約40年ぶりの医学部新設が正式決定し、2017年度からの専門医制度に向け制度設計の具体化が進むなど、今後の医療界の制度改革 にまつわるニュースが相次いだ。

 安倍政権下の経済・財政再生改革では社会保障費抑制の方針が打ち出され、年末には、2016年度の診療報酬改定や税制改正のニュースが連日、テレビニュースや新聞紙面を賑わせている。海外では、エボラ出血熱やMERSの流行など国境を超えた感染症の拡大や、深刻化する環境問題、テロや戦争、災害と医療の問題もクローズアップされた。

 m3.comでは、年末恒例の医療界1000人アンケートを実施し、2015年の所感と2016年の展望を尋ねた(実施日2015年12月1日~6日、開業医500人と勤務医505人の医師会員計1005人)。調査結果を年末から年始にかけて連載する。

 まず、今年(2015年)の医療界ならびに先生ご自身の仕事環境について、昨年と比較した所感を尋ねた。

Q.1-1 医療政策、メディアでの報道、世間一般の医療に対する見方などを総合的に見た医療界を取り巻く環境は、今年(2015年)と昨年(2014年)を比較してどうでしたか。
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 Q.1-1で2014年と2015年を比較した医療界の総合的な環境について聞いたところ、「変わらない」が55.3%で過半数を占めた。一方で、「悪くなった」「とても悪くなった」が計37.1%を占め、2014年度と比較すると4ポイント減。「良くなった」「とても良くなった」は計7.5%で、2014年度から横ばい。前年と比べると悪くはなっていないが、良くなったという要素もなく、まさに「変わらない」という実感がこもった結果になった(2014年度の調査は『「医療界の環境悪化」が増加、4割超◆Vol.1』を参照)。

 2014年は消費税率8%への引き上げと診療報酬のマイナス改定があり、2013年の調査と比べ、医療界の環境について「悪くなった」とする回答割合が大幅に増えた年だった。2015年に実施された大きな制度改革はなく、2014年の「悪化した環境」から変わらないが過半数、さらに悪化していると感じている人も4割弱いることになり、依然として厳しい環境にあることが伺える。政府は、2016年度からさらに厳しい社会保障費抑制 の方向性を打ち出しており、今後良くなる要素が少ないことも、実感に影響しているかもしれない。

Q.2 仕事のやりがい、勤務時間や給与などの勤務条件、医師・患者関係、職場の人間関係など総合的に見た先生ご自身の仕事環境は、今年(2015年)と昨年(2014年)を比較してどうでしたか。
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 続けて、Q1-2では、回答者自身の職場環境について尋ねた。同じく「変わらない」が56.7%を占めたが、「悪くなった」「とても悪くなった」を合わせて27.2%で、Q1-1の医療界の総合的な環境についての質問よりも10ポイント近く少なく、2014年調査の50.5%から23.3ポイントも下がっていた。「良くなった」「とても良くなった」は16.0%で、前年調査から11.1ポイント増加。全体的に2014年よりも大幅に改善した数字となった。特に勤務医では合わせて19.2%が改善傾向にあると回答した。

回答者の属性は以下の通り(勤務医505人、開業医500人)。
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http://mainichi.jp/articles/20151220/ddl/k10/040/121000c
群馬大病院
「手術で過大侵襲」 遺族側弁護団が独自調査 /群馬

毎日新聞2015年12月20日 地方版 群馬県

 群馬大医学部付属病院(前橋市)で同一の執刀医による手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、遺族側の弁護団は19日夜、高崎市内で記者会見し、開腹手術5例の独自調査を発表した。弁護団は消化器外科医2人に検証作業を依頼。「手術による過大侵襲などがなければ、死亡しなかった」「記録の記載に誤りや不整合が多い」などと病院側の対応を批判した。

 記者会見には開腹手術の遺族4人も同席し、当時の執刀医の対応について「合併症のリスクの説明もなく、手術以外の選択肢はなかった」「事故調査委員会は真相究明してほしい」と語った。3月末に退職した執刀医や元上司の診療科長に対し、直接、遺族に説明するよう改めて求めた。

 病院では5年間で、同じ男性医師による腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた8人と開腹手術を受けた10人が死亡。大学が設けた事故調は計18例の遺族や病院関係者へのヒアリングを進めている。ただ、大学側が8月に新たに示した膵臓(すいぞう)手術を含む死亡事例12例に関し、調査対象に加えるか未定で、20代の妹を亡くした男性は「調査するかの基準が不明。今後、公平に調査してほしい」と訴えた。【尾崎修二】




http://www.minyu-net.com/news/news/FM20151220-036890.php
「避難の健康影響」究明 医療最前線、レポード・クレアさん
2015年12月20日 09時51分  福島民友新聞

 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の発生から4年9カ月。南相馬市は地震、津波、原発事故といった複合災害と向き合い続けてきた。復興の志を抱き、自ら望んで被災地で懸命に働く医師や研究者の姿が、復興途上の地域に新たな活力をもたらしている。同市の医療機関で、地域の医療再生や放射線不安の解消などに心血を注ぐ医療関係者3人の姿を追った。

 「頑張っている人たちの姿を見てるから、自分も頑張ろうと思える」。南相馬市立総合病院で働く英国人女性は屈託のない笑顔を見せる。レポード・クレアさん(22)は現在、被災地の病院で働く医師の姿に刺激を受けながら、仕事の合間に避難住民の健康について研究を進める。

 英国・エディンバラ大の大学院生だった2月、同大学院で講演した坪倉正治医師の話に感動、南相馬市で研究することを決意した。「一緒に研究しよう」と誘った坪倉医師らの尽力により病院職員のビザを取得、5月から同病院の英語指導助手として活躍している。

 同病院には原発事故後、本県の医療支援に入った医師たちがいた。昼夜を問わず懸命に働く医師、震災前の日常生活を少しでも取り戻そうとする市民の姿から、福島の本当の姿を理解した。

 専門は、世界中で疫学調査などを行う「国際保健」。現在は災害の影響が被災者の健康にどのような影響を及ぼしているのかについて研究を進めている。

 同市小高区の市立小高病院に出張することもある。主に接するのは、避難生活を送りながら通院生活を送る住民だ。「被災後に多くの糖尿病患者が血糖コントロールを悪化させている」。避難生活の中で糖尿病を悪化させ、苦しむ住民の姿を目の当たりにしながら、災害発生時は「どんな人にどんな病気のリスクが高いのか」との疑問が頭に残った。

 勤務医の英語論文に対して助言するなどの仕事をこなしながら、医師からカルテの読み方などを教わり、避難生活と糖尿病との関係解明に没頭する。世界中の人々の健康を守ることに応用できるよう、論文にまとめる考えだ。「収入や地位などによる病気リスクの違いを研究することは将来の世界的な災害発生時に大いに貢献できる」。純粋な思いが被災地の復興を後押しする。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03155_03
The Genecialist Manifesto
ジェネシャリスト宣言
「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,“ジェネシャリスト”という新概念を提唱する。
【第30回】
ポリファーマシーという問題と,ジェネシャリスト

岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)
週刊医学界新聞 第3155号 2015年12月21日

(前回からつづく)

大学病院を受診するとき。まあ,全ての大学病院を網羅的に調べたわけではないのであくまでも雑ぱくな感想だけど,受付ではいろいろな主訴を持つ患者をフラグメンタルに複数科受診させることが多いように思う。

 総合診療科が機能していない大きな病院も同じだ。頭痛があり,鼻水が出て,目が充血していて,身体の節々が痛くて熱があれば,脳神経外科と耳鼻科と眼科と整形外科と膠原病科をたらい回し……というのはさすがに極端だけど,このように複数科受診をさせる大病院の受付は割と多いと思う。

 複数の問題を抱える患者であれば,総合的に診療できるジェネラリスト一人が見ればよいわけで,上記の風邪の患者さんも上手にマネジメントできるはずだ。というか,そもそもこの患者は大病院・大学病院に行かず,いつものかかりつけ医にかかるのが筋だと思うけれど,本稿の主題を外れるのでここでは深入りしない。

 大病院の専門家はルーチンで特定の検査をしたがることも多い。件の患者には,おそらく何ひとつ特別な検査を必要としないが,頭部CTや内視鏡検査やあちこちのX線撮影や各種抗原抗体検査がなされかねない(まじで)。そして,たくさんの薬剤処方も――。「ポリファーマシー」はこのようにして起きる。

  *

 ポリファーマシーは,医療者の怠慢から起きているのではない。逆である。各医師が自らの専門性に照らし合わせて良心的に,真摯に診療したが故に,ポリファーマシーなのだ。

 本連載でも過去に述べてきたように,各科専門家はまれな病気や珍しい合併症,非典型的なケースを熟知している。そういうピットフォールに陥らないように,どうしても検査過剰,治療過剰になる。しかし見ているのが自分の領域だけなので,他科の医師がどのような検査をオーダーし,どのような薬剤を処方しているのかについての配慮が足りないこともある。そして,似たような薬剤がカブってしまう。時にそれらが,患者にとって有害なものになる。

 こういうときのスペシャリストの目は,「虫眼鏡の目」「ミクロの目」であり,細かいところ,小さいところを見る眼差しとなっている。しかし,複数の主訴を持つ患者のケアで大事なのは,「全体」を見ること。木を見つつ,森を見ることである。木を見つつ森を見るということは,問題の全体を相対的に見る,ということでもある。全体のパースペクティブから見る,ということでもある。自らの専門領域を相対化する(絶対化しない!)ということでもあるのだ。

  *

 そのとき,諸問題にはプライオリティーの高低が生じるだろう。緊急性の高低もある。諸臓器の症状が同じ病因から生じており,重なった検査や治療を省略できることもある。進行がん患者の尿酸値を薬剤治療で下げる必要はあるだろうか。そりゃ,腫瘍崩壊症候群のハイリスク患者とかは別だけど。あるいは,血糖値は? コレステロール値は?――。

 前回(第29回/第3150号),ファイナンシャル・プランナー(FP)との相違点を交えながら述べたが,全ての健康問題を最大限に治療する必要はない。少なくとも,「治療しない」という選択肢はあるはずだ。患者の中には,「Aという病気は治療したいけど,Bについては今は放っておきたい」と思う人もいるかもしれない。金銭的コストは下がるかもしれないし,薬剤の数が増えず面倒くさくないし,相互作用といった別のリスクをヘッジできるかもしれなくてもだ。

 しかしそうした中で,スペシャリストのほとんどは自領域のプライオリティーを「低い」と判断したくはないだろう。オレの担当する病気“だけ”は治療したい,という欲望はどうしてもあるものだからだ。それはぼくにもある。でもそこをぐっと抑え,「オレ様の専門領域」というオレ様目線をやめ,もっと総合的に全体的に患者を把握する必要がある。そのためには全てのスペシャリストがジェネ“シャ”リストになる必要がある。いや,それしかない。

  *

 大学病院の受付でも,どこの科が担当すべきか判然としない場合は,まずは総合診療科のようなジェネラリスト系の診療科“だけ”を受診させるべきだ。必要があれば,そして必要があるときだけ,ジェネラリスト・グループが各スペシャリストに相談する。その場合であっても,ポリファーマシーを回避するためには患者の全体像がきちんと把握できておいたほうがよい。

 “政治的”に,ジェネラリスト・グループが各スペシャリストに「そちらの治療はやめて」と促すことは難しい。それは可能かもしれないし,実際にやっているジェネラリストも知っているが,その場合に生じる感情的なしこりまで克服するのは困難で,また多くのジェネラリストがこのようなコンフリクトに苦しめられてきた。だから(たとえジェネラリスト・グループが大学病院にいたとしても),やはり各スペシャリストがジェネラリスト的エキスパティーズを身につけたほうがよい。そうすれば,不要なコンフリクトは回避でき,皆が「全体」を見ながら診療できるはずだ。

  *

 昔からそうだったのだが,大学病院においてジェネラリストが高いプレゼンスを保つことは難しく,またそれによって多くのジェネラリスト・グループは消滅した。または,各科が担当したくない患者の“ゴミ箱”のような役回り(言い方は悪いが)を押し付けられてきた。

 しかし,上述のように大学病院のようなタコツボ的,セクショナリズムが強い組織においては,本来,ジェネラリストの存在は貴重である。だからこそ,大学病院におけるジェネラリスト・グループはそのプレゼンスを高めるような突出した武器が必要だろう。例えば,神戸大学病院総合内科は,集中治療が強く,ICUケアのときにはしばしば諸科から相談されている。実際,ぼくら感染症内科も相談している。

 このように大学病院のジェネラリストは突出した武器を持っていたほうが生きやすい。日本の現状に合わせてもう少し世知辛い言い方をすれば,生き延びやすい。やはり,こちらもジェネ“シャ”リストになったほうがよいのである。

 ポリファーマシーの克服は難しく,こうやれば解決,という単一のソリューションは存在しない。たいていの難問がそうであるように。しかし,ジェネシャリストの普及はその克服に大きく寄与することだろう。必要条件,といってもよいと思う。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53508/Default.aspx
16年度診療報酬改定 改定率本体0.49%引き上げ きょうの大臣折衝で600億円の「外枠改定」追加合意へ
2015/12/21 03:52 ミクスオンライン

安倍晋三首相と麻生太郎財務相は12月18日午後5時ごろ、首相官邸で2016年度診療報酬改定の改定率について会談し、本体を0.49%引き上げることを確認した。薬価は、市場実勢価格に基づく改定を行うこととし、1.22%引き下げる。材料は0.11%引き下げる。これにより診療報酬全体(ネット)の改定率はマイナス0.84%となる。ただ、特例再算定や大型門前薬局の適正化など改革項目による「外枠改定」で約600億円を追加財源とする考え。「外枠改定」は、きょう21日に塩崎恭久厚労相と麻生財務相による大臣折衝で合意される見通しだ。

16年度改定は、診療報酬全体(ネット)では、2008年度改定以来のマイナス改定となる。ただし、14年度改定は消費税増税分を上乗せしており、実質的には2回連続マイナス改定となる。医科、歯科、調剤の配分は1:1.1:0.3を堅持し、医科はプラス0.55%、歯科はプラス0.61%、調剤はプラス0.17%となる。

◎「外枠改定」特例再算定で280億円、大型門前適正化で40億円

「外枠改定」の項目は、C型肝炎治療薬や抗がん剤・アバスチンなど1000億円超の巨額医薬品に対する「特例再算定」で280億円、通常の市場拡大再算定で200億円、大型門前薬局の適正化で40億円を財源とした。“抜本的な改革”を求められた調剤報酬だが、これによりネットでも30億程度のプラス改定となる見通し。そのほか、後発医薬品の初収載時の0.5掛け(10品目を超える内用薬は0.4掛け)に加え、湿布薬や経腸栄養食品の適正化などで、約80億円の財源を確保した。

そのほか、協会けんぽへの補助金を抑制。財務省は社会保障費の伸びを当初の6700億円から1700億円圧縮し、年間約5000億円とすることを求めていた。厚労省側は5000億円まで圧縮した上でさらに、プラス改定の財源を確保したことになる。

◎「プラス改定」を実現させた政策プロセスの変更

厚労省は、2016年度、18年度、20年度の改定を通じて、2025年に到来する超高齢化社会に向けて「地域包括ケアシステム」の構築を目指している。財務省もこの点には理解を示し、社会保障改革を単年度ベースとせず、今後3年間を重点改革期間とした改革工程表を作成し、それに基づいた政策を実施するようプロセスを変更している。このため今回の診療報酬改定に向けた財務・厚労の折衝では、社会保障費の伸びの圧縮が必要であるものの、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師の推進など、診療報酬本体プラスを容認する方向に傾いてきた。

2000年代前半の小泉政権時代には社会保障費の自然増に2200億円のキャップがはめられ、診療報酬本体に切り込むマイナス改定の連続から地域医療が崩壊した経緯がある。加えて日本医師会など医療団体も改定ごとに執行部が交代を繰り返し、政策の路線が定まらない時期もあった。今回の地域包括ケアシステムはまさに地域医療の再整備を目指すものであり、厚労省は、地域医療を担う医師会や薬剤師会との連携・協力が必要と判断した。なお、16年には参院選に加え、日本医師会、日本薬剤師会ともに会長選挙が控えている。

この間の財務省との折衝を通じても、厚労省はこの点を強く訴求し、2008年度改定のプラス0.38%を上回る改定率を目指した。さらに与党自民・公明の厚労関係議員とも連携し、最終的には日本医師会の横倉義武会長や日本薬剤師会の山本信夫会長が安倍首相に直談判するなど強い要請により、0.49%のプラス改定を実現させた。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53505/Default.aspx
厚労省14年調査 在宅医療患者が過去最多 入院は減少傾向
2015/12/21 03:50 ミクスオンライン

厚労省が12月17日に発表した2014年患者調査によると、在宅医療を受けた患者数は2014年の1日当たり推計で15万6400人で、過去最多となった。3年前の11年調査は宮城県の石巻と気仙沼の両医療圏と福島県を除いているが、同年調査と比べると41.3%と急激に増えた。医師・歯科医師による訪問診療(往診除く)を受けた患者が約11万人を占め、在宅医療の増加を押し上げている。

患者調査は3年ごとに行われている。2005年調査以来、推計患者数は在宅医療では増加傾向にある一方、入院では減少傾向にあり、医療の在宅シフトが鮮明になっている。14年の入院患者数(1日当たり推計)は131万8800人で、11年調査と比べ1.7%減だった。平均在院日数は0.9日減の31.9日で、減少傾向にある。

その中にあって入院患者の約7割を占める65歳以上は増加傾向。都道府県別の入院受療率は、最も高い高知と最も低い神奈川とでは3.2倍の開きがある。


  1. 2015/12/21(月) 06:18:31|
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12月19日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/383306?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151219&dcf_doctor=true&mc.l=135989458
シリーズ: 始動する“医療事故調”スペシャル座談会
報告書は「非識別化」が前提◆Vol.4
個人の特定、「やむを得ない場合も」

レポート 2015年12月18日 (金)配信 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――院内調査については、報告書において「非識別化」にどう対応するかも、難しい問題です。

長田 私は、先ほどからお話している通り、学術的な論文に相当するような報告書を作成するというスタンスです。したがって、「この患者さんにこのような薬を投与した」「このような治療を行った」「その結果、このような変化が出た」など、具体的であっても、「誰が行ったのか」ではなく、「患者さんの状況」に重きを置いた報告書を書く方針です。ご遺族がそれを見れば、「うちのおじいちゃんは、こうした経過をたどったんだな」と理解してもらえると思います。

 しかし、ご遺族から、「誰かが悪いことをしたのではないか」「誰が、と書いてない」と言われることもやはり想定され、その点が我々が考える学術的な視点との違いでしょう。医療法の省令で、報告書作成などの際に、「非識別化」するよう求めているのは、そのためだと思います。法律家の方々が努力してくださったおかげで、学術的な症例報告に近い形で報告書を書くよう、指示されたと理解しています。

山本 その点はご指摘の通りで、具体的に「誰が何をしたか」ということ自体は、重要な問題ではなく、再発防止に関係がないのであれば、「誰が」については書く必要がないと思います。責任追及をしたい人にとっては、「なぜ書いていないのか」となるかもしれなせんが、それは制度の趣旨から言えば、問題はありません。

 しかし、「誰がどのように行動したか」が、再発防止の措置を考える際に重要な情報ならば、それは書くべきなのでしょう。ただその際も、その人に「過失があった」などの評価は無用です。責任追及が目的ではありません。

長田 「誰がどのように行動したか」という情報が必要な場合には、例えば、「名前を書く」のではなく、「医師が」あるいは「看護師が」など、担当する職種で説明すれば、「非識別化」になると考えています。


医療事故調査制度は、責任追及が目的ではなく、報告書は「非識別化」が求められるものの、現実には難しい場面も出てくる、と、一橋大学の山本和彦氏はみる。

――医療法の省令上の「非識別化」は、「匿名化」とは違うと理解しています。

長田 私は今年、アメリカの病院を見学させていただき、個人情報保護について勉強させていただきました。アメリカでは、HIPPA (Health Insurance Portability and Accountability Act)という医療機関の個人情報保護の法律があり、非識別化に当たって、記載してはいけない項目が列挙されています。「○○病院の院長」と書いたら、院長は1人なので、同定できてしまい、これは匿名化であっても、非識別化ではありません。

山本 医療事故調査制度では、「他の情報との照合による識別」によっても、識別化できないように加工することが、求められています。

 ただ、この「非識別化」は、具体的な適用場面では、かなり難しい状況が出てくると思います。報告書には、「医療事故が発生した日時、場所、診療科名」を記載することになっています。その日時、その場所で、その診療科で働いていた医師が1人しかいないのであれば、他の情報との照合によって識別される可能性が高くなるでしょう。では、全く診療科名を書かない場合、報告書の体裁をなすのか、再発防止や医療安全のために役に立つのか、という問題になります。

長田 報告書を書く際に、そこまで配慮したものが書けるでしょうか。再発防止に役立つでしょうから、時刻は書くにしても、異なる日付を書いたりすることも、選択肢としてあり得るのでは、とも思っています。

山本 おっしゃる通り、再発防止に関係がない情報で、かつそれにより個人の識別につながるような情報は、消去すべきと思います。恐らく一番難しいのは、「担当医がやった」などと書かないと、再発防止に意味がない場合です。特にご遺族は、ずっと付き添っていれば、それは誰であるかが特定されてしまう。この点は非常に難しい。
 ただ私は、医療安全を目的とする制度の趣旨から考えると、ギリギリの局面では医療従事者が特定されることがやむを得ない場合もあり得ると思っています。ただ、そう解釈しない人もいるかと思いますが。

長田 医療事故がメディアで報道されてしまうと、非識別化はさらに難しくなります。こうした事情もあり、学会での症例報告も今、非常にセンシティブになってきています。

 ところで、アカデミックなお立場からのご意見をお聞きしたいのですが、そもそも調査報告書を書けるような教育は、日本で行われているのでしょうか。また、学術的な症例報告ならば、私たちは研修医の頃から多数、作成しています。けれども、医療事故調査を行い、報告書を作成した経験がある医師はほとんどいません。「調査報告書の手本はどこにあるのか」といった点も、問題になっています。

武田 私個人の意見ですが、医学系の教育は基本的にはテクニカルスキルを中心に、「縦型」の教育をしていた。医師は医師の実力を、ナースはナースの実力を高める教育をしていた。ところが現場は、チームで働く複雑系になってきており、「縦型」に加えて、「横型」の考え方を加えないと、日々の業務はもちろん、事故調査も難しくなっています。従来型の教育を受けてきた人のみで、システム志向で、横串を刺した事故調査を行うことは容易ではないでしょう。

 厚労省が医療安全管理者の要件としている「専任リスクマネジャー」研修があります。仮に医療事故が起きた場合、「事務局として、医療事故調査委員会を組織しなさい」と言われるかもしれません。しかし、研修時間は40時間であり、今回の制度に対応するための教育は受けていないので、担当するのは難しい。10月のセンターの報告件数が20件にとどまるのは、誰に相談していいか、その時点で分からないケースがあるからかもしれません。

 卒後教育、特に各医療施設の医療安全講習では、「横型」のチーム連携、「システム志向」「学習志向型」の発想を教えていかなければいけません。調査において、さまざまな要素を抜き出した際に、横の連携も見ながら、きちんと記述できるように教育しなければいけません。さらにさかのぼれば、卒前教育も含め、「システム志向」「学習志向型」という視点を教育に入れる必要性を訴える好機だと思います。

長田 調査に慣れてもらうのは、大変なことですが、必要なことです。私たちの病院でも、死亡に至らなくても、有害事象が起きた時にピアレビューの形で検討しています。医師や看護師などは当初、「失敗について、叱られるのではないか」との懸念を持っていたようですが、プレゼンテーションしてもらい、調査を進める取り組みを重ねたところ、「どこが問題だったのかが、今まで気づかなかった視点も指摘してもらえた」と受け止め方が変化してきました。大きな事故が発生した時に、冷静に対応できるかがまだ不安ですが、死亡に至らない事例から調査をスタートさせることも有用でしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/384929?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151219&dcf_doctor=true&mc.l=135989464
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
45症例で報告データと解析データに違い、検察側解析結果
府立医大論文改ざん事件、第3回公判

2015年12月19日 (土)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第3回公判が12月18日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、検察側は「KYOTO HEART Study」(KHS)に登録された45症例で、参加医師が登録したデータやカルテと解析に使われたデータが違っているとする分析結果を示した。

 第2回公判(『「生データを白橋被告に送付」、データ管理会社スタッフ証言』を参照)に続いて、12月18日も検察側の証拠調べが続いた。白橋伸雄被告やKHS事務局の医師などから押収したり、任意提出を受けたりしたUSBメモリやパソコン内のデータやメールを解析した結果が出された。その中でKHSに登録された45症例で、参加医師がウェブを通じて入力したデータや実際のカルテと解析に使われたとみられるデータで異同が見つかり、多くは脳卒中などのイベントの報告がないのに、解析データでは「イベント発生あり」となっているというものだった。

 45症例のうち43症例は非ARB群で、イベントに該当するカルテの記載や主治医による報告がなかったが、解析データでは脳卒中に関するイベントが21症例、心不全が4症例、狭心症が2症例などとなっていた。バルサルタン群でも2例が報告データと解析データが違っていた。検察側が主張する非ARB群でのイベント数の水増しを支持する結果となっている。

 検察側は45症例で実際のカルテと主治医の供述調書を提出。解析データには「脳梗塞を発症。CTで確認」などの記載があり、脳梗塞として登録された症例でも、主治医は「そのような事実はなくカルテにも記載がない。エンドポイント委員会などから追加の確認を求められたこともない」などと供述しているという。

 京都府立医科大学の松原弘明教授(当時)や事務局を務めた医師が主治医だった症例も複数あり、検察側は松原氏らへの証人尋問でも報告データと解析データの違いについて確認するとしている。  このほか、本裁判が直接の対象とする、2011年に投稿された「リスクが高い高血圧患者に対してCCB(カルシウム拮抗薬)とバルサルタンを併用した場合の心血管系イベントの抑制への効果」(CCB論文)についても、押収したデータと論文中の図の関係などの解析結果を説明した。

 次回は1月20日の予定で、引き続き検察側の証拠調べが行われる。



https://www.m3.com/news/nonmedical/2471?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151219&dcf_doctor=true&mc.l=135989460
今年の「画期的発見」は遺伝子編集技術「クリスパー」、米科学誌
科学 2015年12月18日 (金)配信  時事通信

【マイアミAFP=時事】米科学誌サイエンスは17日、「クリスパー」と呼ばれる遺伝子編集技術を「2015年の画期的発見」に選定した。保健・医薬分野で革命をもたらす可能性があるという。≪写真は遺伝子編集技術クリスパーの参考画像≫
 この技術は中国の研究者が今年、不妊治療院から得た生育不能のヒト胚のDNAを故意に編集したと発表して以降特に、物議をかもしている。
 このような研究に対する懸念、さらにはある種の望ましい特徴を増進させるように人間を改造するという見通しから、世界の科学者らは最近、人間に恒久的変化をもたらしかねないとして、妊娠を予定している胚への介入は避けるよう、研究者らに促している。
 だが、サイエンスは、多くが「クリスパーがゲノム編集で他の手法に比べ、遺伝子を適切な部位に配置する能力が優れていることと、その手法が低コストで使いやすいこと」に興奮していると述べている。【翻訳編集AFPBBNews】【時事通信社】



https://www.m3.com/news/iryoishin/383373
「コウノドリ」モデル医師が語る医療とメディア◆Vol.1
りんくう総合医療センター荻田和秀氏インタビュー

インタビュー 2015年12月14日 (月)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 男性週刊漫画誌「モーニング」の連載で人気を集め、現在放送中のテレビドラマも好評の「コウノドリ」(原作者:鈴ノ木ユウ)。主人公の産科医、鴻鳥サクラのモデルはりんくう総合医療センター泉州広域母子医療センター長を務める荻田和秀氏だ。医療ドラマは人気ジャンルだが、現役の医師として荻田氏はドラマ、漫画にどのように関わったのか。12月18日のドラマ最終回を前に、ドラマの反響の含めてお聞きした (12月9日にインタビュー。計2回の連載)。

――原作は2012年8月から連載が開始され、累計300万部を突破した人気漫画です。どのようなきっかけで漫画のモデルになることになったのでしょうか。
 前任地が大阪大学病院で、そこに鈴ノ木先生の奥さんが里帰り出産に来られて外来を担当させてもらった。そこからどのような経緯で漫画になったのかは、実はよく分からないのです。鈴ノ木先生によると、そのころはフリーターをしながら漫画を描こうとしていて、連載の話が来た時に何かするかとなって産婦人科の話となったらしい。出産後しばらくしてから、「今度、先生をモデルにして漫画を描いたんですけど」と言われて、東京で会うことになりました。したたか呑んだ帰りの道中、最終の新幹線の中でネーム(下書き)を読んだところ、呼吸困難になるほど、涙が出てきてしまい……。

 既に鈴ノ木先生の幼馴染みの産科医など、僕以外の数人から綿密な取材をされていたようでした。その後は、半年に1回くらい取材に見えられたり、メールで「こんなんどうですか?」と問い合わせが来たり。個人情報が分からないようにいくつかの症例をミックスしていますが、全部が自分が担当した症例。学会発表した症例を混ぜて、医学的に問題ないようにしたりしています。もちろん、ストーリーは鈴ノ木先生。ほんと見てきたように話が作られるので、いつもすごいなと思います。

――テレビドラマ化に際しては、どのような関わり方をしているのでしょうか。
 取材協力という形で、医療監修とは別です。医療監修の先生の意見があった上で、医学的に破たんがないかの確認をしたり、救命救急センターを取りあげてもらったので救急の部長を紹介したりしました。12月18日に放映される最終回の撮影には、外傷外科部長と撮影現場に行き医療指導もさせて頂きました。乞うご期待!です。

――テレビドラマ化の影響はいかがでしょうか。
 患者さんの意識は高まったような気もするけど、大きな影響はないかな。「テレビ、応援してますよ」と言ってくれる人も多いけど、どれくらいの人が見ているのかは分からないです。

――医療ドラマが人気ですね。
 個人的には医療ドラマは見ないんですよ。唯一の例外が「ER」ぐらい。医学的に破たんしていたり、スーパードクターが活躍して解決するようなことはあり得ない話しですし、そのようなものなら関わり合いを持ちたくないと、脚本家やプロデューサーが来た時にも力説しました。彼らはスーパードクターの話ではなく、日常の人間ドラマを書きたいと強調しました。切迫早産の放映回の下書きを見せてもらうと、「無事に育つか分からない」という文章で締めくくられていた。それは「元気に育ちました」ではなく、究極のリアリティ。それを見て痺れまして、そういうことを書こうとされているのでしたら、僕ができることはしようかと。見てくれる同業者が多いことはうれしいです。あり得ない設定だと見ませんから。

――最近はメディアの取材を受けたり、『嫁ハンをいたわってやりたいダンナのための妊娠出産読本』を出版されたりするなど、マスメディアに登場する機会も増えています。
 ほんとコウノドリ応援のためです。m3.comの取材も放映中だから受けさせていただいた。あとは産科医、助産師さんが増えてくれたらという思いもあります。産科の現状を知ってほしいということには、手ごたえを感じています。

――テレビドラマ「コウノドリ」の公式ページでは、ドラマの舞台となる架空の「ペルソナ総合医療センター産科外来」として、視聴者からの妊娠、出産に関わる悩みを受け付けており、沢山の質問が寄せられています。
 忙しそうとか、込み入っているとか、なかなか担当の先生には聞きづらいのでしょう。お医者さんとの信頼関係を尊重するあまり、やはり日本人はセカンドオピニオンを躊躇してしまう。だったら協力しますよ、ということでやっています。自分の病院でも妊娠前相談の機会を設けており、多くの先生も同様のことをやっているのでしょうが、対面だと冷静に聞けないのかもしれませんね。

――漫画は2012年から連載されていますが、産科医志望の若手は増えていますか。
 見学に来る先生はかなりの確率で読んでくれています。来る数自体はあまり変わらないですが。新たな専門医制度は非常に複雑な形になっていて、確かに専門医のトレーニングをするには良いシステムかもしれないが、個人的には産婦人科医志望が300人台前半にまで減ると思っています。200人台にまで減ると危惧している先生もいます。

 ただ、研修制度がどうであれ、産婦人科に行こうという気持ちをエンカレッジするためには、まず産婦人科医の背中が見えないとだめ。自身の反省も含めて、産科医が今まで発信力不足だったと思う。漫画やドラマに対して、いろいろご意見はあると思うが、現場で悩んでいることも含めて現状を知ってほしいです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/383391?portalId=mailmag&mmp=RA151218&mc.l=135898920&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
「たらい回し報道で喪失感」、コウノドリの荻田氏◆Vol.2
りんくう総合医療センター荻田和秀氏インタビュー

インタビュー 2015年12月16日 (水)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――産科医療では、「妊婦のたらい回し」「搬送拒否」といった言葉で報道された過去があります。当時はどのような影響がありましたか。
 もちろん影響はありました。来てくれる妊婦や患者がどう思うかというのもありますが、一番は同業者で心が折れるやつがすごく多くて、「ここまで一生懸命やっているのにこういう評価をされるのは耐えられない」と言っている人は多かった。自分の手技や方針が上手くいかなかったら、どうしようと思い怖くなってしまう。そこに報道の影響が加わるとダメージが大きくなる。僕ら医師もピュアというか子供が多いので、報道イコール世論と思ってしまう。患者とも本来なら同じ目線で話ができるのに、報道が出た後は目が合わなくなってしまいます。そういう意味では、報道が出るたびに大きな喪失感を感じていました。

――10月に出版した『嫁ハンをいたわってやりたいダンナのための妊娠出産読本』では、最後の一章を使って、大阪の産科医療の現状や周産期医療に対する考え方を説明しています。
 漫画でも一貫して言ってもらっているが、僕らは神様でも、スーパードクターでもなく普通の人間。人間同士で話をしていくためにディスクローズした方がいい。神様やスーパードクターを期待する医療システムは必ず破たんします。

 一方で、周産期医療の理想は「オムニポテント(全能性)」と「ユビキタス(偏在性)」だとも考えております。どんな症例でも受け入れるだけの資材や人員を確保する必要はどうしてもある。アクセスしやすさも重要。断らない施設が一つあって、その周りにアクセスしやすい施設があるのが一番イメージとして近いです。

 この地域でやろうとしているのは電子カルテの活用。泉州南部では「なすびんネット」という、患者さんの同意のもと診療情報を共有するネットワークシステムを運営しており、それは進めていく必要があります。「オムニポテント」と「ユビキタス」はどちらも神学の言葉で、僕らは神ではないと言っていますが、近付く努力はしないといけないとも思っています。

――大阪の周産期医療体制は上手くいっているのでしょうか。
 大阪はアナーキーな街なので、お上からの話ではみんな言うことを聞かないが、仲間内で「こんなんしましょうか」と相談して決めていくことができる。学閥関係なく周産期をやっている人間で、定期的に飲みに行ったりして、困った時に相談できる信頼関係があります。東京のような「スーパー総合周産期センター」システムはないですが、それぞれが使命感を持ってやっており、行政も一緒になって考えてくれる。大阪で仕事ができて本当に良かったと思っています。

――主人公の鴻鳥サクラは医師であり、ジャズピアニストでもあります。萩田先生がジャズピアニストでもあることからの設定ですが、今もライブを行っていますか。
 いろんな仕事を仰せつかっているので、エフォートの95%は本業で、ライブをやるのは4カ月に1回ぐらい。全く練習できていません。ドラマのように、音楽もやって仕事もやってというのはなかなか難しい。休みの日でも、「相談はカジュアルにしてね」と言っているので電話は来ます。飛び出していかなくていけないのは月に1回ぐらい。ドラマのようにライブ途中に飛び出していくことはないです。

――産科医は医師の中でもハードという印象があります。
 オンのときどれだけ忙しくても、しっかりオフが取れればおそらくチャラになるんですよ。良く寝て、家族と過ごす時間を確保できれば。産婦人科は半分以上女性医師ですから、できるだけオフの時はオフとして過ごしてもらえるような体制作りをしないといけない。男性医師も含めて早く帰るなど、フレキシブルな勤務ができるように気を使っています。当センターは、主治医制ではありますが、当直は2人体制で、ファーストコールはオンコールで、次は僕。よほどのことがない限り、主治医が呼ばれたりしないようにしています。

――ドラマをきっかけにマスメディアにたくさん関わられました。その経験から医師、医療従事者に訴えたいことはありますでしょうか。
 もっと発信してほしい。医師は職人ですが、自己満足でいいかと言えば、絶対違う。いろんな人に評価され、こちらからも思いを伝えることで、我々の仕事は展開していくと思う。僕もやっているが、子供の見守りグループ活動をしたり、地域で講演をしたりしていけばいい。確かに忙しいけど、僕らの世代でなんとかしないと。僕(1966年生まれ)ら、は非常に泣きを見てきた世代。研修医残酷物語と言われた時代に医師になり、2004年の新研修制度のあおりを食って、産科崩壊の時に第一線にいた。これからもこのまま何事もなく終われるはずはない。もう少し地域や妊婦さんの目線に下がっていく努力をし、発信していくことで産科を取り巻く環境を良くしていけたらと思います。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H5T_Z11C15A2000000/
「手術ありきの説明違法」 群馬大病院患者死亡、弁護団が報告
2015/12/20 0:41 日本経済新聞

 群馬大病院で男性医師(退職)の腹腔(ふくくう)鏡や開腹の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、被害対策弁護団は19日、群馬県高崎市内で記者会見し、開腹手術を受けた患者5人について「術前に手術をしない選択肢を示さず同意を得たのは違法」とする中間調査報告を公表した。

 報告は医師の術前の説明やカルテの記載に不備があった点などを問題として指摘。「手術をしなければ、延命できた」としている。

 弁護団は一部遺族から依頼を受け、カルテの分析や専門医の意見を聞くなどして独自に調査。腹腔鏡手術についての中間報告は今年3月に公表した。

 学外の有識者だけでつくる調査委も遺族らから聞き取り調査などを進めている。19日にヒアリングを受けた40代男性は「父親に手術を受けさせたのを後悔している。執刀医から説明してもらいたい」と訴えた。

 男性医師は旧第2外科で2007年から昨年、肝臓や膵臓(すいぞう)などの手術を担当した。病院では昨年、この医師の手術を受けた患者18人の死亡が判明。その後の調査で、さらに12人が術後一定期間内に死亡していたことも明らかになっている。〔共同〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/384970
大学病院、医療安全の専従医師を配置
「キャリアパスの花形にすべき」の声も

2015年12月19日 (土)配信 成相通子(m3.com編集部)

 厚生労働省の「第10 回特定機能病院および地域医療支援病院の在り方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が12月18日に開かれ、特定機能病院の承認要件の見直しについて議論した。医療安全管理部門に医師らの専従職員の配置、全死亡例の報告、内部通報窓口や外部監査委員会の設置などを新たに義務付ける案が示され、方向性に大きな異論は出なかった。2016年1月下旬をめどに取りまとめ、同4月に新しい承認基準を示した省令や通知を出す予定だ。

 委員からは、専従職員の配置について、「貼り付けにしたら誰もやりたがらない」(東京慈恵会科大学名誉教授の森山寛氏)として専従条件を柔軟にするよう求める声のほか、「医療安全を専門にするドクターが必要」(千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏)、「医局の花形の医師を行かせ、出世に不可欠なキャリアパスにすべき」(日本医師会副会長の中川俊男氏)といった、医療制度全体の改革が必要との意見が出た。また、「専従の医療職だけでなく、データの分析などをする事務職も必要だ」(産業医科大学教授の松田晋哉氏)といった意見も出た。

 特定機能病院をめぐっては、東京女子医科大学病院や群馬大学附属病院の問題を受け、塩崎恭久厚生労働大臣を本部長とする「大学病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」を2015年4月に設置。同6月から3カ月、全84の特定機能病院に対して集中検査を実施し、その結果と対応についての報告書が11月にまとまった(『特定機能病院、監査委員会の設置義務化へ』を参照)。それを基に、同検討会が具体的な要件を検討する。

 厚労省が示した、特定機能病院のガバナンスの確保・医療安全体制に関する見直し案は、(1)医療安全管理責任者の配置、(2)医療安全管理部門に医師・薬剤師・看護師の専従、(3)診療内容のモニタリング、(4)インシデント・アクシデントの報告(全死亡例と一定基準以上の有害事象の報告)、(5)内部通報窓口の設置、(6)医薬品情報の整理と周知、適応外・禁忌などの確認と指導、(7)管理者における医療安全管理経験の要件化、マネジメント層向け研修、(8)監査委員会による外部監査、(9)特定機能病院間相互のピアレビュー――の9点。


 ただし、経過措置として、(1)(4)(5)(6)は2016年10月まで、(3)(8)(9)は2017年4月、医療安全部門の専従を義務付ける(2)と(7)は2018年4月まで、既に承認を受けている特定機能病院は、新基準を満たさなくても取り消しは受けない。

医療安全をキャリアパスの必須に

 専従職員の配置に関して、厚労省の案では、医療安全管理部門には医師、薬剤師、看護師の3職種について、常勤で就業時間の8割以上(同職種で複数人いる場合は5割以上)当該業務に従事する「専従」職員を配置するとしている。

 日本薬剤師会理事の川上純一氏は「条件が厳しいと張り付いた状態になってしまう。現場と行ったり来たりしながら情報を伝達できるように、現状を阻害しないような条件にしてほしい」と要望。中川氏は、「深刻な事態で、厳しい対応が求められていることを認識すべた。全くの専従でもできるのではないか」とより厳しい専従条件の検討も必要だと指摘した。

 森山氏は、「貼り付けたら誰もやりたがらない。現場からかい離しては意味がない」と主張。山本氏は、「現状では医療安全だけでキャリアパスを築くのは困難で、専門とするドクターも少ない。専門医制度で医療安全部門に勤めることを要件にすることや、専門のドクターを育てる体制配備が必要だ」と指摘。さらに「専従を配置するには予算措置が必要だ」と要望した。

 中川氏は「医療安全部門を経験しないと出世できないようにすべき。医局の花形の医師を順番に行かせるような位置づけにしないといけない。不可欠なキャリアパスになるよう、強制力を持ってやるべきだ」と応じ、森山氏は「実際、そのような方向になっており、賛成だ」と述べた。専従の定義をめぐっては、今後改めて議論をする見通し。

「一定基準」の有害事象を報告

 「インシデント・アクシデントの報告」では、全死亡例のほか、「一定基準」以上の有害事象も報告対象になるが、その基準の考え方についても議論する。厚労省は、「通常の経過では必要が無い処置または治療が必要になったものとして特定機能病院の管理者が定める水準以上の事例が発生した場合」に、発生の事実と発生前の状況を医療安全管理部門に報告することした案を提示。

 また、この一定基準について、「軽微な処置や治療(入院日数が延長する等の影響が無い処置や治療)は含まない」としたほか、「行った医療等に起因するか否か、事例を予期していたかは問わない」とする考え方も示した。

 (1)の「医療安全管理責任者の配置」に関しては、医療安全管理責任者は、連携の不備が指摘されていた医療安全管理部門や医療安全管理委員会、医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理者の4つの業務を統括すると明記。医療安全管理責任者は、常勤の医師又は歯科医師で、医療安全担当副院長が担うとしている。

 このほか、診療報酬上の対応や、インフォームドコンセントの実施状況の確認、高難度医療技術の実施に係る確認部門の設置や職員研修の必須項目の追加などについても提案があり、議論を進める。



http://mainichi.jp/articles/20151219/k00/00e/040/168000c
特定機能病院
承認へ 要件に全死亡例報告 厚労省方針

毎日新聞2015年12月19日 10時51分(最終更新 12月19日 10時51分)

 高度医療を提供する特定機能病院の安全対策を進めていた厚生労働省は18日、特定機能病院として承認する要件に、患者の全死亡例を院内の医療安全管理部門に報告することを盛り込む方針を明らかにした。来年4月にも省令を公布し、同10月以降の適用を目指す。

 群馬大病院や東京女子医大病院の医療事故を受け、厚労省の特別チームが11月に改善策をまとめていた。既にある全国84の特定機能病院にも要件の順守を求める。

 死亡例を報告させ、組織として把握し必要な検証をするのが狙い。このほか、看護師しか専従でいなかった安全管理部門に、新たに専従の医師や薬剤師を配置することや、第三者を含む監査委員会の設置なども義務付ける。各項目の実施までには半年から2年程度の経過措置の期間を設ける。

 18日に開かれた特定機能病院のあり方を議論する有識者検討会では改善策を基に議論。「医療安全を専門にする医師の養成が必要」といった意見や「地方では人材確保が難しく監査が形骸化しないか」といった懸念が示された。来年1月下旬をめどに報告書を取りまとめ、厚労省は来年4月にも承認要件を示した省令の公布や通知を出す。(共同)



http://mainichi.jp/articles/20151219/ddl/k43/040/520000c
医師法違反
無免許で採血の看護師ら不起訴 地検 /熊本

毎日新聞2015年12月19日 地方版 熊本県

 熊本地検は、医師免許なしで採血をしたとして医師法違反容疑で書類送検された熊本市の美容整形クリニックの40〜60代の看護師ら7人を起訴猶予処分とした。処分は17日付。地検は理由について「関与が従属的だった」などとしている。

 このクリニックを巡っては、医師の名義を借りて無許可で開設したなどとして、熊本市の美容関連会社「ダイアン」の元社長、上田恭子被告(46)が医療法違反罪などで起訴された。また、無許可開設を手助けしたとして熊本市の80代と60代の医師2人が医療法違反ほう助容疑で熊本地検に書類送検されている。【柿崎誠】



http://blogos.com/article/150749/
診療報酬に関する各新聞等記事!どれだけミスリーディングさせたいの?
中村ゆきつぐ
2015年12月19日 09:54 BLOGOS

診療報酬に関する各新聞等記事です。
  診療報酬改定 「本体」0.49%上げ 全体は8年ぶり減額 毎日、
  診療報酬、本体0・49%上げ…全体はマイナス 読売、
  診察料など0.49%引き上げ、薬価は減額へ 診療報酬 朝日、
  診療報酬 医師の人件費など0.49%引き上げへNHK、
  診療報酬、本体0・49%増で決着 28年度改定 産経

今回予想通り診療報酬は全体でマイナスです。(NHKニュースさん!診療報酬は上げるか下げるかを言うのならちゃんと情報を)にもかかわらず全てのタイトルがさも上昇したかのようなタイトル!一体どうミスリーディングさせたいの?医療者は仕事の割に儲けてると思わせたいの?

毎日、読売は実質2年連続マイナスとかタイトルを含めて事実を淡々と書かれていますが、他は下がったことをタイトルには出さない!その中でも朝日は記事の中でも本当いやらしい書き方。

>前回の2014年度改定時の0・1%に比べ、大きく上積みする。
>本体が増額される分、診察料も上がる。

全体は下がるということを無視して、さも医療のお金が上がるような書き方。今まで本当に安い診察料が少し上がることを強調し、薬代が減るので患者の払いは少なくなることをわざと書かない!

今まで儲かりすぎていた?薬品代、薬局代を削り、低すぎた医師の技術料を上げてもらっただけなのですが。本当医療を叩きたいだけ?

以前したツイートです。
  中村 幸嗣 @yukitsugu1963
   「私たちはどこまでの医療を求め、
    どれだけの医療費を負担したいのか。
    また、次世代の子どもたちに負担させたいのか。」
  これが基本!
  一体、誰が得をするの?
  患者申出療養制度|joynet(ジョイネット)  http://www.joystyle.net/articles/92
  2015年12月16日 22:03

ここに引用されている患者申し出制度部分や、高額療養制度も含めて医療費の患者払いを増やそうとする施策の中で、今回は実質含めて2回連続診療報酬を減らしたということを前面に出せないのかな。それでも(一部の)医師たちにさらに我慢し続けろというのかな。一般に医療者は儲かっているというイメージを植えつけたいのかな?本体部分が上がっても、病院の収入が上がらないと勤務者の給料は上がりませんよ。そんなのどの会社でも同じでしょ。

高齢化社会、進歩した医療を考えると、残念ながら医療費は減ることは考えられません。ではどこまでの医療を望み、どこまでお金をかけることを良しとするのか。国民は考えなければいけません。ただではできませんし、お金をかけてもできないものがあります。



http://news.mynavi.jp/news/2015/12/19/228/
群馬大手術死で弁護団が調査報告 - 「手術ありきの説明違法」
  [2015/12/19] マイナビニュース

 遺族(左)と記者会見する被害対策弁護団=19日午後、群馬県高崎市
 群馬大病院で男性医師(退職)の腹腔鏡や開腹の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、被害対策弁護団は19日、群馬県高崎市内で記者会見し、開腹手術を受けた患者5人について「術前に手術をしない選択肢を示さず同意を得たのは違法」とする中間調査報告を公表した。

 報告は医師の術前の説明やカルテの記載に不備があった点などを問題として指摘。「手術をしなければ、延命できた」としている。

 弁護団は一部遺族から依頼を受け、カルテの分析や専門医の意見を聞くなどして独自に調査。腹腔鏡手術についての中間報告は今年3月に公表した。

共同通信



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyazaki/news/20151219-OYTNT50075.html
高校生が手術を模擬体験
2015年12月20日 読売新聞

 宮崎市郡医師会病院(宮崎市)で19日、高校生が医療機器を使い、手術や治療を模擬体験するイベントが開かれ、39人が参加した。

 高校生は手術用の衣服や手袋を着用。医師から病気の説明や機器の使い方を聞き、医療用のピンセットなどを使って皮膚に見立てたスポンジに手術用の縫合糸を通す「縫合体験」や、患者役の人に超音波をあてて心臓の動きや血液の流れを確認する「エコー体験」を行った。

 宮崎西高2年の山口幹雄さん(17)は「心臓がどのように動いているかよくわかった。将来は医師になりたい」と話していた。

 体験イベントは、少子高齢化で将来の医師不足が心配されることから、医療関係を志望する生徒を増やそうと、医療機器製造などを手がけるジョンソン・エンド・ジョンソン社が全国で行っている。同病院での開催は今年で3回目。



http://blogos.com/article/150769/
病院・診療所の32.3%が赤字、調剤薬局は14.1% 
診療報酬見直しで収益環境逆転の可能性も

MONEYzine 2015年12月19日 14:00 BLOGOS

 超高齢化社会を迎えつつある中、平成37年(2025年)にはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる。人口の減少という課題を抱えながら、将来にわたって持続可能な医療制度を整備する必要がある。そこで厚生労働省は12月7日、平成28年度診療報酬改定の基本方針を発表した。

 基本方針の中では、患者の状態にあわせた質の高い医療を適切に受けられる体制を確保するため、医療機能の分化・強化、連携を進め、効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築が重要であると訴えている。また、後発医薬品の使用促進や価格適正化、患者の早期退院を促すための退院支援の取り組み、残薬や重複・過剰投薬を減らすための取り組みなど、増大する医療費を抑えることの必要性にも言及している。今後は、この基本方針に従って診療報酬などが見直されることになる。

 そんな中、東京商工リサーチは12月8日、「病院・診療所と調剤薬局の業績動向調査」の結果を発表した。調査は同社が保有する約300万社の企業データベースの中から、売上高と利益が3期連続(最新期は2014年4月期~2015年3月期)で判明した2万5,179社の「病院・診療所」と672社の「調剤薬局」を分析したもの。

 それによると、病院・診療所の総売上高は前期比1.3%増の11兆5,716億円で2期連続の増収となったものの、利益の合計額は2,466億円で前期より16.6%減少した。また、病院・診療所の赤字比率は32.3%で、前期の30.3%、前々期の27.0%と比較して、赤字比率が年々高まっている実態も判明した。

 一方、調剤薬局の総売上高は前期比6.6%増の1兆7,042億円で2期連続の増収、利益の合計額は365億円で前期比4.1%減少した。また、調剤薬局の赤字比率は14.1%で、病院・診療所と比べると収益環境は良好であることも分かった。

 東京商工リサーチによると、2016年度の診療報酬改定では、病院付近で処方箋を対象とする門前薬局の調剤報酬の見直しが検討されており、その内容次第では病院・診療所の経営内容が改善され、調剤薬局が厳しい状況に陥る可能性も想定されるという。

 医療費の増大が問題となっている一方で、国民が質のよい医療を継続して受けられる仕組みが求められている。今後の医療制度や医療業界の動向に注目が集まる。



http://mainichi.jp/articles/20151220/k00/00m/040/085000c
化血研
「最初は試験的」元理事長、隠蔽認識は否定

毎日新聞2015年12月19日 21時54分(最終更新 12月19日 22時15分)

 熊本市の一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研)の理事長を2012年まで8年間務めた船津昭信氏(70)が19日までに共同通信の取材に応じ、血液製剤の製造で20年以上前から続いた、血液が固まるのを防ぐヘパリンの未承認添加について「最初は試験的に入れ、いずれはやめるか何かするはずだった」と明かした。問題の長期化や隠蔽(いんぺい)工作は知らなかったと釈明した。

 船津氏は1988年ごろ、血液製剤部門の部長を務め、92年に理事、04年に理事長に就任。化血研第三者委員会の報告書は「圧倒的な発言力を有し、不正や隠蔽を認識しながら漫然と放置した」と組織への影響力の大きさを指摘していた。

 報告書はヘパリンの未承認添加が91年に始まったと認定。船津氏は「より良い血液製剤を作るためだった。一時的だったものが、いつの段階からか入れ続けなくてはならないものになり、今に至ったのだろう」と語った。

 当時の認識に関して「薬事法(現医薬品医療機器法)が厳しくなる前で、国の承認書と不整合だと言えるほどではなかった」と述べ、不正と受け止めていなかったと説明した。

 報告書が指摘した影響力については「誰かが悪かったという原因をつくらなければならないから書いたのだろう」と否定。理事就任後の経緯や隠蔽工作は問題発覚後に知ったとして「(役員として)きちんとフォローすべきだった」と謝罪した。(共同)


  1. 2015/12/20(日) 10:25:32|
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12月12日 

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201512/20151212_13023.html
<震災>精神科病院 3日間闇に孤立
2015年12月12日土曜日 河北新報

 4年9カ月前。東日本大震災では、救援を待つ人たちに公的支援が届かなかった。患者24人が津波で亡くなった宮城県石巻市の民間精神科病院。生き残った患者や職員は3日間、気付かれないまま孤立した。医療と福祉の挟間に置かれた精神科のもろさが浮き彫りになる。(報道部・伊東由紀子)

 最も弱い人たちが、闇に取り残されていた。
 石巻漁港から北へ約1キロ、石巻市伊原津地区に精神科の恵愛病院(120床)はあった。
 震災が発生した2011年3月11日、115人の患者を2階に避難させる途中、津波が1階の窓を突き破った。逃げ遅れて命を落とした24人は寝たきりや車いすだった。
 水の中から患者を押し上げていた看護部長(当時)の藤中好子さん(67)も一時、意識を失った。
 患者と職員、避難してきた住民、約140人が取り残された。備蓄庫は水没。わずかな薬やゼリーを拾い集めて分け合った。
 「これ以上、誰も死なせない」。職員は家族の安否も分からないまま、一睡もせず看護に当たった。
 救援を信じ、屋根にシーツでSOSと書いた。ヘリの音が聞こえると身を乗り出して手を振った。
 二晩待っても、誰も来ない。「困窮しているところほど自ら発信できない。気付かれないまま、見捨てられた」。院長だった木村勤さん(66)は唇をかむ。
 患者の多くは重い統合失調症や認知症。環境の変化に弱い。興奮して大声を出したり暴れたりする人が出始めた。
 そのころ、民間の精神科病院でつくる宮城県精神科病院協会事務局長の沼田周一さん(61)は嫌なうわさを耳にした。
 「恵愛病院は壊滅した」
 「もう誰もいない」
 被害を直接確認しようと、沼田さんは仙台市から足を運んだ。14日夕、泥だらけになって恵愛病院にたどり着く。廃墟のような病院に大勢が取り残されていた。
 藤中さんは沼田さんに泣きながら訴えた。「患者さんを死なせてしまった」
 生存者の転院が急務だった。沼田さんと木村さんは関係先を回り、受け入れ先を見つけ、移動のバス、燃料などを自力で調達した。
 木村さんは「民間病院は支援の蚊帳の外だった。沼田さんが来てくれなかったらどうなっていたか」と感謝する。
 沼田さんは「精神疾患は治療の必要がないとの誤解から緊急性が理解されず、災害時などの対応は優先順位が下がりがちだ」と福祉に近い精神科の難しさを指摘する。
 避難した患者全員の転院が完了したのは4月1日。恵愛病院はその後閉院となり、木村さんは石巻市内の精神科病院に移った。
 24人を助ける方法はなかったか。藤中さんの自責の念は消えない。ただ、孤立した現場で職員たちは必死に頑張った。「二次災害を防いだ誇りを持ってほしい」と当時の仲間への思いも強い。
 藤中さんは現在、福祉施設に勤務する。職場からは恵愛病院の跡地が見える。
 亡くなった人の分もちゃんと生きなきゃいけない。今はそう感じている。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201512/20151212_11017.html
<震災>精神科、災害医療の盲点
2015年12月12日土曜日 河北新報

 東日本大震災では通信の乱れや交通網の寸断などから被害状況が伝わりにくく、孤立した精神科病院が食料や医薬品の確保、入院患者の転院調整などで自助努力を迫られた例があった。
 「震災直後、民間の精神科は自力で何とかしてほしいというのが行政の対応だった。公的病院との支援面での格差を痛感した」。宮城県精神科病院協会の沼田周一事務局長が漏らすように、精神科病院への公的支援の薄さを感じた関係者は少なくない。
 東北大大学院医学系研究科の松本和紀准教授(精神医学)は「精神医療が行政の災害医療体制から漏れていたことと、公立病院が民間よりも優先されたこと。二重の問題があった」と指摘する。
 行政で精神医療を所管するのは障害福祉関連の部署だ。厚生労働省では一般医療を医政局、精神科医療を社会・援護局障害保健福祉部が担当する。
 精神疾患と身体疾患の合併症などがある患者は特別な管理が必要な場合もあり、移送の調整には一般医療との連携が欠かせない。
 厚労省は10月、精神医療と一般医療との連携や、災害派遣精神医療チーム(DPAT)の体制整備を進めようと、医政局に「精神科医療等対策室」を新設した。
 宮城県は、震災時に精神医療を十分に調整できなかった教訓を踏まえ、災害医療本部で活動する災害医療コーディネーターの業務に精神科入院患者の移送先の調整を加えた。精神科医師への初のコーディネーター委嘱も検討している。
 松本准教授は「災害時の精神科救急体制を確立するため、災害拠点病院を含めた一般医療との連携や、平時からの情報網の整備が重要だ」と話す。



http://medg.jp/mt/?p=6347
Vol.256 卒後教育における医師・病院連携
医療ガバナンス学会 (2015年12月12日 06:00)
小松秀樹
2015年12月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●亀田総合病院事件

 亀田総合病院事件がオンラインメディアにとどまらず、新聞や週刊誌など紙ベースの媒体でも大きくとり扱われている。ツイッター、facebookなどSNSでも情報が飛び交っている。2015年12月段階で、議論が拡大しつつある。沈黙している大手メディアも情報収集に熱心に動いている。若い医師は情報をネットメディアに依存している。亀田総合病院に対する評価が変化することになる。このままでは、亀田総合病院の医師集めが難しくなる。研修医の応募が減少すると亀田総合病院を維持できなくなる。
筆者は、行政の違法行為を批判したことを理由に懲戒解雇されたが、解雇されるまで、言論活動と行動実績により、亀田総合病院に一つの色彩を加えてきた。行政からの自立の主張には、経営者たちも同調してきた。彼らも独立自尊の印象を社会に発信することに熱心だった。

 東日本大震災では、いわき市の透析患者の避難、老健疎開作戦、知的障害者施設利用者約300名の鴨川への受け入れ、磐城共立病院の人工呼吸器装着患者8名の受け入れなどを主導した。安房10万人計画を提唱し、無料低額診療、ふるさと納税の民間公益活動への利用制度、安房医療福祉専門学校創設、看護学生寮への高齢者向け住宅併設、ソーシャルワーカーによるワンストップ相談サービスの事業化などに起点として関わった。複合組織による子育て支援の理念を提案。これは現在実現しつつある。すべて経営者の同意を得て実施した。

 亀田総合病院地域医療学講座では、多くの専門家と共に地域包括ケアの問題を議論した。映像シリーズを作成し、書籍を出版した。これは経営者の要請で開始したことであるが、行政による違法な妨害に経営者が同調した。

 今回の事件で、亀田総合病院は、違法な医師派遣で利益を得ていることが判明した。複数の自治体病院が、この違法派遣に頼っている。亀田総合病院が医師を集められなくなる、あるいは、違法派遣が停止されると、自治体病院が困ることになる。自治体病院への医師の供給を維持するためには、亀田総合病院が経営を刷新して評価を回復し、さらに、違法派遣を合法的な連携事業に転換する必要がある。

●南相馬市立総合病院の医師確保

 全国で医師確保対策が問題になっている。医師を確保するためには、その病院が医師にとって魅力的でなければならない。魅力とは、優れた卒後教育を提供していること、社会の要請に応えようとしていること、医師のやりがいと誇りを演出することである。特定の大学に支配されていないことも、全国から医師を集めるための必須条件である。魅力を提示できない場合、大学に多額の費用を支払って、寄付講座を設置し、そこから医師を派遣してもらうという方法がとられている。少数の医師を確保できるかもしれないが、他大学の卒業生の参入を減らす。大規模病院では必要医師数が多いため、特定大学だけに頼るのは自殺行為である。

 南相馬市立総合病院(180床)は、東日本大震災後、12人いた常勤医師が4人にまで減少した。筆者は、桜井勝延南相馬市長、金澤幸夫院長に依頼され、東京大学医科学研究所の上昌広教授と共に、医師確保策を立案、実行した。筆者は、公立相馬病院と南相馬市立総合病院を統合させて臨床研修病院にすることを提案した。統合は実現できなかったが、亀田総合病院が研修の足りない部分を補完するという条件で、南相馬市立総合病院は臨床研修病院に指定された。

 医師確保の基本戦略は、全国の医師に呼びかける、価値観に訴える、心意気に訴えることである。観客がいる、あなたはいいことをやるんだよ、というのを見える形にする。具体的には、坪倉正治医師が、内部被ばくについて科学的に調査し、世界に向かって発信し続けた。亀田総合病院から出向した原澤慶太郎医師が仮設住宅で診療を開始し、医学雑誌ランセットに実情を報告した。根本剛医師が在宅診療部を創設した。東大の国際保健学チームが震災関連の情報を科学的に分析し、世界の学術雑誌に発信した。2015年4月に入職した4人の初期研修医の1人は、若い医師が活躍していること、価値がありいきがいの感じられる活動が行われていることをインターネットで知って応募した。2015年4月段階で、常勤医師数は29人になった。

●ケアシステムのパラダイムシフト

 現在、ケアについての考え方が大きく変化しつつある。病気の治癒を目指す医学モデルから、病者や障害者の生活の質の改善を目指す生活モデルに社会の要請が転換しつつある。厚労省の目指す地域包括ケアは、医学モデルから生活モデルへの転換に他ならない。

 従来、医師は、生物学的医学研究、新しい治療方法の開発、新しい手術などに大きな価値を見出してきた。ケアについての考え方の変化とともに、在宅医療、総合内科、家庭医を目指す医師が増えてきた。WHOも健康格差を解消するのに、人々の日常生活条件の改善と不平等の解消が重要であると主張するようになった。医学の中心が生物学から社会科学に移行しつつある。

 医学モデルでは病気の定義、治癒などケアの目的を医師が決める。これに対し、生活モデルではニーズすなわちケアの目的を、当人を含めて、現場に近い人たちがそれぞれ認識する。地域包括ケアを発展させるには、現場に関わる複数のサービス提供主体が、地域固有の状況を踏まえた上で連携しなければならない。国は、国を頂点とするピラミッド型の階層構造によって、国→都道府県→市町村→サービス提供主体へと同じ情報を流すことで、医療、介護、福祉サービスの統合を図ろうとしている。これに強制力が伴うと、各サービス主体は行政しか見なくなり、現場のニーズに対応できなくなる。地域の状況を踏まえた横方向の連携が阻害される。地域包括ケアが目指すべきは、階層構造ではなく、ネットワーク構造による多元的アプローチである。

●病院連携

 筆者は、千葉県以北の太平洋沿岸に広がる医療過疎を解消するのに、価値観を共有する医師と病院が参加する卒後教育のための連携組織を作ることを模索してきた。地域の代表的な病院を訪問して議論し、一部から強い賛同を得てきた。大きな理念の下に、大学医局より緩やかな形で人事を動かしたい。このネットワークに多数の医師が結集して、医師の卒後教育に取り組めば、千葉県、茨城県、福島県の浜通りの医療過疎の現状を改善できる。卒後教育のための非営利法人を設立すれば、補助金の受け手になりやすい。必ずしも、多くの診療科が参加する必要はない。総合内科のような診療科は、研究重視の大学と相性が悪く、どうしても冷遇される。連携して自分たちの卒後教育の主導権をとればよい。総合内科はその存在感と発言力を高めることができるし、社会にとっても有用である。

 このような連携組織を実現するには、誰もが納得する大きなビジョンを提示しなければならない。具体的場面では多様性を許容しなければならない。これは、ドラッカーが『非営利組織の経営』で述べた、「本質における一致、行動における自由」である。そのためには、視野と心の広い、そして何より個別利害から自由なリーダーが必要である。

 筆者は、2014年12月、病院連携の具体案として、亀田総合病院と成田赤十字病院における感染症科医師の共同育成を提案したが、亀田隆明理事長と厚労省の井上肇結核感染症課長の介入で、人事の議論から遠ざけられた。最終的に、金銭による派遣になった。成田側は苦い思いを持ったと伝え聞いた。

 筆者は、この経験で、亀田総合病院が病院連携のハブになることは不可能だと痛感した。

 2015年10月2日、筆者は、成田赤十字病院の院長に成田赤十字病院への派遣が刑事事件に発展する可能性があることを伝えた。院長は、派遣された医師の活動を高く評価し、感染症科医師を引き揚げられると困るという懸念を口にした。筆者は、もし事件が立件化された場合、現状の違法派遣ではなく、当初の構想を生かして、病院連携として発展させていくべきだと話した。

 病院連携は、医師の卒後教育以外にもさまざまな分野で必要とされている。地域包括ケアでは、行政の命令ではなく、可能なことから、現場に近いところで直接連携する必要がある。地域医療連携推進法人のような重い組織は必要ない(1)。たいていの連携は単なるプラットフォームでも可能である。以下、連携プラットフォーム私案を示して稿を終える。

●連携プラットフォーム私案

1.目的
 参加法人が、連携活動を行うことによって、ケアを必要とする人たち対する医療、介護、福祉サービスを向上させることを目的とする。

2.参加法人
 参加法人は、地域の医療、介護、福祉サービスを提供している非営利、あるいは営利法人で、参加を希望するものとする。

3.地域の範囲
 医療は必ずしも二次医療圏で完結していない。例えば、亀田総合病院の入院患者の60%弱は二次医療圏外の患者である。地域の範囲は、連携の内容によって異なる。範囲を固定せず、問題によって広くあるいは狭くする。

4.連携プラットフォーム
 単なるプラットフォームであり、複数の参加法人の合意で成立する。同一地域に複数のプラットフォームが存在してもよい。

5.連携は各参加法人の自由意思に基づく
 参加法人が、地域のケア向上に意義があり自らのメリットにもなると判断した上で、連携を成功させるために自発的に努力するのでなければ、連携によって成果を上げることはできない。

6.参加法人の独立性
 参加法人は法的主体であり、権利義務を有する。公共の福祉に反しない限り、参加法人の権利を侵害することは憲法上許されることではない。

7.連携活動
 知識の収集、議論による意見の集約、意見の公表、提案、異議申し立て、参加法人同士の合意、契約あるいは協定がありうる。個々の連携活動に、すべての参加法人が加わる必要はない。

8.具体的課題
 (1)地域での医療の役割分担
 (2)外部への情報の発信
 (3)規格の共有
 (4)機器の共同利用
 (5)ソフトの共同利用
 (6)人事交流
 (7)職員の教育・訓練
 (8)職員のキャリア支援、転職支援
 (9)病院同士が許可病床のやり取りを直接行うこと

9.チェック・アンド・バランス
 現場を知る活動主体による行政の監視は、社会の発展に不可欠である。例えば、米国を代    表する環境保護NPOであるエンバイロンメンタル・ディフェンスは、専門家集団として、現在は各州の環境政策策定に関与して大きな成果を上げているが、かつては、各州の環境政策を批判し、訴訟作戦を展開していた。

10.プラットフォームは連携活動の当事者ではない
 連携プラットフォームは、連携の場でしかない。連携活動の責任は、当該連携活動に参加した法人が負う。原則として、契約や協定などの違反は、参加法人間の紛争として扱う。行政を含めて外部との交渉が必要な場合は、個々の連携活動ごとに当事者が担当する。

11.合理性のない非法的強制力を排する
 契約や協定による行動の制限については、医療、介護、福祉サービスの向上に資するのに合理的であることを要する。連携プラットフォームにおける、合意、契約、協定は強者が弱者を支配するもの、あるいは、多数が少数の権利を奪うものであってはならない。

12.連携活動の公開
 複数の参加法人が連携活動として合意し、報告・公開すれば連携活動として認知される。必ずしも、全参加法人が合意する必要はない。

13.信頼性の担保としての規格
 筆者らは、地域の契約や協定が参照するための地域包括ケアの規格の作成を計画している。これは、改変可能なものとしてCCライセンスhttp://creativecommons.jp/licenses/で公開予定である。規格は、合理性に基づく行為の標準化であり、地域包括ケアを検証、再現、共有可能な形で提示することで、質の保障と向上に寄与する。非権力的枠組みで社会課題の解決を図ろうとするものである。

14.信頼性の担保としての地域の優位性
 少子化により自治体の消滅が危惧されるようになった。連携による医療、介護、福祉サービスの向上は地域の優位性を高める。地域の優位性が高まれば参加法人の生存確率が高まる。これが連携活動の質を高く保つのに役立つ。参加法人には、政治や行政よりよほど信頼するに足るインセンティブが共有される。政治や行政は、しばしば私益や共益で動くので、必ずしも信頼性は高くない。

15.矛盾を許容
 強制力を持たず、言論を活動に含めるので、内部での意見の相違が生じうる。少数の権利を保護するためにも、連携プラットフォーム内部での意見の相違を排除しない。

16.法人の設立
 財政上、あるいは、組織上の必要があれば、その目的に特化した法人を設立する。

引用
(1)小松秀樹:地域医療連携推進法人を構想するセンス. 厚生福祉, 第6153号, 10-14, 2015年4月17日. (MRIC転載http://medg.jp/mt/?p=3591)



https://www.m3.com/news/iryoishin/382737?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151212&dcf_doctor=true&mc.l=134949272
シリーズ: 始動する“医療事故調”スペシャル座談会
医療安全の“ボール”は医療界に◆Vol.1
「ヒト、モノ、カネ」の手当の遅れも

スペシャル企画 2015年12月12日 (土)配信 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 この10月から、医療事故調査制度がスタートしたが、いまだその制度の解釈をめぐって、混乱が生じている。正しい理解と運用がなければ、「医療安全」という本制度の目的を達することは難しい。

 同制度の省令等の検討を進めた、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の座長を務めた、一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦氏、大阪大学で長年、医療安全に取り組んできた武田裕氏(滋慶医療科学大学院大学学長)のほか、現場で実務を担当する、がん研有明病院(東京都江東区)医療安全管理部長を務める長田理氏の3氏に、医療事故調査制度の解釈や現場での対応の在り方などを語ってもらった(座談会は、2015年11月25日に実施。計7回の連載)。

――まず山本先生に、お伺いします。先生が座長を務められた厚労省医政局長の私的諮問機関である「医療事故調査制度の施行に係る検討会」は、議論の終盤の第6回会議でも議論が紛糾、その後、第7回会議を開催する予定もありましたが、結局、持ち回りで取りまとめを行い、3月20日、報告書を公表しています。同日の記者会見では、「取りまとめが本当にできるのかと思ったこともある」と回想されました(『医療界の自発的な取り組みへの信頼が基本』を参照)。


 山本 私は、医療事故調査制度に関する法律(医療法)を作る際の厚労省の「医療事故に係る調査の仕組み等に関する検討部会」の座長も務めさせていただきました。その際も、いろいろな議論があって、意見が分かれている部分がかなりあったのですが、最終的にはほぼ全員一致の形で取りまとめができ、それが法案になりました(『院内調査、「外部の医療者の支援」が原則』を参照)。国会の審議では、医療法改正は、計19本の一括改正法案だったため、介護保険法改正などについては異論が出ていましたが、医療事故調査制度については、全ての政党が基本的には一致して支持したと理解しています。

 その後、省令やガイドラインを作る話があった時に、法律は成立していたので、「テクニカルな話が中心で、それほど議論がなく、まとまるのではないか」と思い、座長をお引き受けしたのです。しかし、蓋を開けてみると、最初はかなり意見の幅があったため、「果たして取りまとめができるのか」と、不安を覚えたのは事実です。

 ただ「この制度を、より良いものにしよう」という点では一致していて、「より良いもの」にする方法、山の登り方に意見の食い違いがあったわけですが、議論を重ね、最後には、おおむね意見の一致を見て、この制度をスタートさせることができたのは、私としては非常に良かったと思っています。

――2008年のいわゆる「大綱案」と、今回の医療事故調査制度との相違を、どう捉えておられますか。

山本 私は「大綱案」作成の際も、厚労省の検討会の委員でした。「大綱案」の時代から、制度の目的そのものは一貫していると思います。つまり「個人の責任追及ではなく、医療事故の原因を究明して、再発防止、さらには医療の安全・安心につなげる」のが目的です。

 ただ手法に相違があります。大綱案は、行政的な機関を作り、ある程度、強制的な仕組みにする。それと引き換えに、と言いますか、その代わりに(異状死体の警察への届出を定めた)医師法21条を改正するスキームで議論していました。「第三者調査中心型」の仕組みです(『厚労省の「大綱案」の骨格はもはや変わらず』などを参照)。結局、それは法案にならずに終わりました。

 医療界には、「医療事故が起きた場合に、その原因を解明して、医療の安全につなげることが、プロフェッションの責任」という認識が、以前からあったとは思いますが、それ以降、強く表に出るようになってきたという印象があります。

 それを受ける形で、今回の制度を検討する過程では、医療界のプロフェッションとしての自己規律を尊重するようになっています。その結果、第三者調査よりも、院内調査を中核として置き、また第三者調査も、行政が行うのではなく、民間機関に委ねる制度になりました。

 ただ、事故調査を強制的な仕組みにしなければ、医師法21条の改正はできません。そこで、21条の問題とは切り離す形で、純粋に医療安全のための制度を作る方向に、議論の舵が切られたというのが、私の認識です。

――その辺り、ここ数年来の議論の変遷、制度創設に向けた動きや制度の評価について、武田先生はどのようなご認識でしょうか。「大綱案」の目的を、責任追及と受け止める向きもあります。


 武田 私はこの間に行われたモデル事業(「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」)が、若干、中途半端だったと思っています。この事業の評価をあまりきちんとせずに、新しい制度をスタートさせた印象が強いのです。

 モデル事業を引き受けていた中央組織(編集部注:日本医療安全調査機構。医療事故調査制度では、第三者機関である「医療事故調査支援センター」の役割を担う)が同じようにやるのか、という矛盾が若干あるわけです。率直に言いますと、「かつてやれなかった人たちがやれるのか。できるはずはない」というのが正直な感想です。

 けれども、制度そのものは大変すばらしく、「学習志向型」で、医療者の専門性に基づくピアレビューを「是」として、独立して調査を行う制度をよく作ることができたと思っています。つまり、ボールは医療界に投げられた。逆に言うと、医療界がこの制度をきちんとやらなければ、次の2016年6月の見直しは、大きな“逆風”にさらされることになるでしょう。

 センターへの報告事例は、1カ月当たり100件程度あると想定されていたものの、10月は20件(『医療事故の報告、最初の1カ月間は20件』を参照)。これは何を意味するのか。制度が周知されていないのではなく、医療者の間に「戸惑い」があるのではないでしょうか。今回の制度では、報告対象は限定され、まず死亡例に限り、それも「医療行為に起因する、予期できない死亡等」とされているので、あまり議論せずに報告できると思うのですが、現場では戸惑っているようです。

 また別の視点から、医療事故をめぐる動きを考えてみると、(東京都立広尾病院事件や、杏林大学の“割り箸事件”が起きた)1999年の“医療事故”元年から、15年以上が経過した今、医療安全についてどれだけ進歩したのでしょうか。徐々には進歩していても、予想以上に遅く、国立大学病院の事故のように、「まだこんなことが起きているのか」という事例も見られるわけです。根源的な問題が解決されずに医療事故調査制度が動き出すところに、国の施策として対応が不十分だと思っています。

 関西で2014年末に起きた誤投与事故が典型ですが、医療提供側における「ヒト、モノ、カネ」の絶対的な不足があるのではないでしょうか。もう少し人がいれば、あるいは後発医薬品が欠品せず、通常通りピッキングマシーン(注射薬自動払い出し機)に入っていれば、今回の事故は恐らく生じなかったと考えられるからです(『筋弛緩薬の誤投与死亡事故、「10の疑問」』を参照)。

 医師をはじめとする医療者はかなり疲弊しています。効率化が求められ、一方で「2025年問題」への対応を求められ、業務がますます増えているけれど、人が増えない。「説明と同意」などについての文書ワークも増えてきて、疲弊している。

 このような状態で、医療事故調査制度に取り組もうとすると、貴重な時間は取られ、さらに負担は増える。外部に支援を求める場合も、費用はかかる。この辺りをどのように解決するかという問題も大きい。皆が医療事故調査制度に注目するため、医療安全をめぐる問題が、この制度のみに限定され、それ以前の医療安全の根本的問題への対応が遅れる懸念があります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/382875?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151212&dcf_doctor=true&mc.l=134949274
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
DPC病院、「高度な内科系技術」も評価
「臨床研究中核病院」の評価は反対意見も

2015年12月11日 (金)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会の診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は12月9日の会議で、診療報酬調査専門組織DPC評価分科会(分科会長:小山信彌・東邦大学医学部特任教授)の検討結果について議論した(資料は、厚生労働省のホームページ)。従来の「外保連試案(第8.2版)」に加えて、内保連(内科系学会社会保険連合)による「特定内科診療(2014年度版)」で定められた技術の実施も、DPCの中で評価する方針で合意を得た。

 内科系技術は、DPCのII群の「基礎係数」における「高度な医療技術の実績要件」に追加する。「特定内科診療(2014年度版)」が定める、重症脳卒中、髄膜炎・脳炎、急性心筋梗塞、劇症肝炎など計25疾患について、「症例割合(対象症例数を総入院症例数で除した割合)」「DPC算定病床当たりの症例件数」「対象症例件数」の実績を見ていくことになる。

 「機能評価係数II」も見直す。7つの係数のうち、「保険診療係数」については、(1)実績要件のうち、一定の項目が本院よりも機能が高い分院(DPC対象病院)を持つ大学病院本院、(2)精神病床を備えていない大学病院本院、II群病院――などの場合に減算する一方、「病院情報の公表」を行う場合は新たに評価する。「病院情報の公表」の対象としては、(1)年齢階級別退院患者数、(2)診療科別症例数の多いものから3つ、(3)初発の5大癌のUICC(国際対がん連合)病期分類、再発患者数――など7項目が案として出ている。「後発医薬品指数」は、政府の「2017年央に数量シェア70%以上」という目標を踏まえ、「70%」を評価の上限とする。

 これらの係数のほか、一定の入院期間を超えた場合に出来高算定に切り替えるルールをはじめ、運用の見直しも行う。議論になっていた「持参薬」については、「特別な理由がない限り、使用不可」という現行ルールを継続するが、「やむを得ない理由がある場合に限る」という旨を明確化、使用した場合には「使用量も含め、データ入力」を求め、次々回以降の改定でそのデータを基に議論する。

 医療資源必要量をより反映した評価にするため、患者の「重症度を考慮した評価手法」として、CCP(Comorbidity Complication Procedure)マトリックスという指標も、脳血管疾患、肺炎、糖尿病の3疾病で導入する。病院ごとの肺炎患者の病態・重症度の違いを評価するのが目的。

 これらは、DPC評価分科会の検討結果による方針通り、中医協総会で認められた。一方、検討結果に反対意見が出たのは、2015年4月から医療法上で位置付けられた、「臨床研究中核病院」を「高度・先進的な医療の提供」という観点から、「機能評価係数II」において評価する案。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「臨床研究中核病院」は、高度・先進的な医療の提供に限らず、研究の不適正事案防止のための管理体制の充実など、さまざまな機能を備えていることから、「診療報酬ではなく、一般財源で政策医療として評価すべき」と反対した。

 DPCをめぐっては、さまざま改革案が挙がっていた(『DPCのアップコーディング防止、一定の成果』を参照)。前述は主要な見直し案だが、「現状維持」とされたものも多い。「臨床研究中核病院」の評価の在り方などは引き続き、2016年度診療報酬改定に向けて議論する。

 DPCの包括評価部分の点数は、「診断群分類別点数」×「医療機関別係数」で決まる。「医療機関別係数」は、(1)I群からIII群の医療機関群別の「基礎係数」、(2)各医療機関の機能に応じて変わる「機能評価係数I」(人員など医療機関の構造を評価する係数)と「機能評価係数II」(医療機関の実績などを評価する係数)、(3)「暫定調整係数」(前年度の実績を保証するための係数)――で決まる。「暫定調整係数」は、段階的に「基礎係数」と「機能評価係数II」に置き換え、2018年度に廃止予定。

 なお、前回の中医協基本問題小委では、DPCについて「複雑化し、分かりにくい」との指摘が出ていた。小山氏は、その理由として二つを挙げた。一つは、DPCは最初は特定機能病院(2004年の開始当初は、82)から導入されたが、その後、100床規模、あるいはケアミックスで1病棟のみDPCとするなど、さまざまな規模、運営形態の病院がDPC対象病院になったこと。多様な病院を、I群(大学病院本院)、II群(I群に準じる病院)、III群(それ以外の病院)に区分して評価する必要性が出ている。もう一つは、「暫定調整係数」の段階的廃止だ。「医療従事者からは、複雑化しているという指摘はそれほどない。DPCは、自院の実績が2年ごとの改定で評価される仕組み」(小山氏)。


 専門医制度をDPCで評価する布石?

 「臨床研究中核病院」の評価に反対する中川氏に対し、小山氏は、「地域医療指数」の1項目として評価するため、それほど財源はかからないとし、理解を求めた。「機能評価係数II」を構成する「地域医療指数」は、医療法の「5疾病・5事業」、在宅医療などへの取り組みなど、現在は計12項目で評価するが、「臨床研究中核病院」を加え、13項目とするのがDPC評価分科会の案。そもそも「臨床研究中核病院」に指定されたのは、今年10月現在で4病院と少なく、「シンボリックな意味合い」もあるとした。

 これに対し、中川氏は「そうした議論であれば、ますます必要はない」とし、「シンボリックな意味合い」と、診療報酬で評価することとは無縁であるとした。

 厚労省保険局企画官の眞鍋馨氏も、(1)病院長を中心に、強力な管理体制が構築され、革新的な医薬品・医療機器を安全に使用できる体制の整備、(2)医薬品・医療機器の最新知見を有した医療従事者の配置、(3)診療ガイドラインの根拠となるような質の高い臨床研究論文の発表、(4)患者相談窓口の設置――などが「臨床研究中核病院」の承認要件であることから、「保険診療の質が高いのではないか、と類推し、地域医療指数で評価するよう提案するに至った」と説明。

 眞鍋氏の説明に対し、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「臨床研究中核病院はまだ数が少なく、(地域医療指数に追加しても)影響が少ないのだろうが、医療の質が高いという類推に基づいて、診療報酬を付けるのはいかがか」と異議を唱え、アウトカムなどエビデンスを基に導入すべきとした。さらにDPC評価分科会での議論について、「専門医制度についても、DPCの中で評価するという意見が出ており、方向性としては問題だと思う」と指摘した。2017年度からの新専門医制度では、専門研修基幹施設が中心となり、複数の施設と連携し、「専門研修施設群」を形成するのが基本。専門研修基幹施設をDPCで評価すれば、診療報酬と専門医制度が関連づけられる布石にもなり得る。

 厚労省医政局研究開発振興課長の神ノ田昌博氏も、眞鍋氏と同様に、「臨床研究中核病院」は、質の高い臨床研究や治験を推進する病院であり、高度・先進的な医療を提供する基盤を有しており、それを評価することは、保険診療を受ける患者にとってメリットがあると説明したものの、「臨床研究中核病院」の取り扱いについては結論が出なかった。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1212/san_151212_8888136430.html
兵庫県立病院で検査結果見落とし 患者2人治療遅れる
産経新聞12月12日(土)15時28分

 兵庫県県は11日、県立柏原病院(丹波市)と県立がんセンター(明石市)でCT(コンピューター断層撮影)検査の結果を見落とし、患者2人の治療が遅れるミスがあったと発表した。
 県によると、柏原病院では、丹波地域の50代の女性が今年2、6月の腹部のCT検査で、大腸の一部の粘膜が腫れているのを指摘されたが、担当医が電子カルテの添付文書を確認していなかった。女性は腫れがもとで7月、腸閉塞(へいそく)になり緊急入院。10月、女性は内科系の難病で死亡した。県は「腸閉塞と死亡の因果関係はない」と説明している。
 また、がんセンターでは、神崎郡の60代女性が受けたCT検査で、放射線医師が指摘していた膵臓(すいぞう)がんの結果を担当医が見落とし、治療が遅れた。女性は現在も他病院で治療を続けているという。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1212/ym_151212_6561384501.html
群馬大、外科学会に医学検証を委託…肝臓手術死
読売新聞12月12日(土)9時1分

 群馬大学病院(前橋市)で肝臓の手術後に患者の死亡が相次いだ問題で、日本外科学会(理事長=國土典宏・東大教授)が、手術をはじめ診療が医学的に問題なかったかどうかの検証を群馬大から委託されたことがわかった。
 同学会は、近く学会内に委員会を発足させ、検証を始める。
 群馬大病院では、同一の男性医師が手がけた肝臓の腹腔鏡手術後に8人、開腹手術後に10人が、約3か月以内に死亡したことが昨年発覚した。今年8月に第三者からなる調査委員会が発足して改めて調査を開始。この18人のほか、膵臓も含め12人の術後死亡例があることも明らかにされた。
 第三者委員会は、遺族や関係者に聞き取りするなどして全体像を調査している。ただ、手術やその前後の診療の問題については専門家による検証が必要なため、専門学会に委託されることになっていた。同学会は今後、手術ビデオやカルテなどの記録から診療内容を検証する。今年度中のまとめを目指すが、新年度にずれ込む可能性が高い。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201512/CK2015121202000179.html
医療費大国ニッポン 月1000万円以上1700件
2015年12月12日 東京新聞

 医療費の超高額化が進んでいる。国民健康保険中央会(国保中央会)と健康保険組合連合会(健保連)がそれぞれ、二〇一四年度に医療機関からあった高額な請求の内容を調査したところ、月額の医療費が一千万円以上となるケースが、両者の合計で千七百件に迫った。件数は増加傾向にある。
 技術の進歩に伴って命に関わる病気への新たな治療法の開発が進み、高額な医療機器や医薬品が増えていることが影響しているようだ。
 国保中央会は、自営業者や無職の人たちが加入する国民健康保険と、七十五歳以上の後期高齢者医療制度について調査。
 その結果、一年間に受け付けたレセプト(診療報酬明細書)のうち一千万円以上のものは千三百八十六件だった。前年度比二百二十八件増で、一〇年度(八百九十八件)の一・五倍になった。
 大企業の従業員が加入者の中心である健保連では、一千万円以上は三百件。過去最多だった前年度の三百三十六件からは減ったが、一〇年度と比較すると一・七倍になっている。
 疾患別の内訳を見ると、国保中央会では「心臓」が八百二件で58%を占め、次いで「血液」(23%)、「消化器」(6%)の順。健保連は分類方法が異なるものの、心臓など「循環器系」が37%(百十一件)と最多で、「先天性疾患」(29%)、「血友病」(16%)、「がん」(6%)などが続いた。
 近年普及した高額医療機器の例としては、重い心臓病の治療用に一一年に保険適用された埋め込み型の補助人工心臓(約千八百万円)などがある。
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  1. 2015/12/13(日) 09:11:51|
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12月6日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/381258?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979820
シリーズ: 改革進む医学教育
国際医療福祉大学、「明治以来の医学教育を変える」
「新時代の医学教育を考える」をテーマにシンポ

2015年12月6日 (日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 NPO法人日本医学ジャーナリスト協会主催の公開シンポジウム「新時代の医学教育を考える」が12月5日、都内で開催され、国際医療福祉大学総長の矢崎義雄氏は、「明治以来、100年以上の伝統がある医学教育システムは、巨木のようにでき上がっている。そこを変えるのは難しい。本学は白地のキャンバスに絵を描ける。新しい木を育てるために、根の部分からシステムを作ることができる」と述べ、医学部新設にかける意気込みを示した。


 国際医療福祉大学は、国家戦略特区の「東京圏」として指定された成田市で、2017年4月の開学を目指し、医学部新設の準備を進めている(『成田の医学部新設、正式決定目前』などを参照)。矢崎氏は、医学部新設の事業者として正式に決定した11月27日の国家戦略特区諮問会議での安倍晋三首相の発言を紹介、「医学部改革のモデル事業として、新しい医学部を作りたいという、私どもの訴えを的確にコメントとして表してもらった」と評価した。

 矢崎氏は、m3.comの取材に対し、同大学では今秋、医学部教員を公募していたが、外国人および海外在住の日本人から100人以上、国内でも同大学の病院などに勤務する医師を含め、数百人の応募があったと説明。採用教員は200人以上の予定であり、教員の選考をはじめ、2016年3月までの文部科学省への設置認可申請の準備を進めている。

 シンポジウムの冒頭のあいさつで、同協会会長を務める水巻中正氏は、「日本の医学教育は、変革期に差し掛かっている」とし、その理由として、国際医療福祉大学のほか、東北薬科大学が宮城県仙台市に2016年4月に医学部新設を予定していることに加え、医学教育の「2023年問題」を挙げた。「2023年問題」とは、米国以外の医学部出身者に対して、米国で医業を行う資格を審査するECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)は、2023年以降のECFMGへの申請は「国際的な認証評価を受けている医学部出身者に限る」方針を掲げたため、それをクリアするよう、臨床実習の充実などの対応を迫られていることだ。

 シンポジストは、矢崎氏を含めて4人。東京医科歯科大学医学部特命教授の奈良信雄氏は、国際的な認証評価を行う日本の組織として、「日本医学教育評価機構」(JACME;Japan Accreditation Council for Medical Education)をこの12月に設置したことを紹介。理事長には、高久史麿・日本医学会会長が就任した。奈良氏は、「医師の養成は、国民の役割でもあることを理解してもらいたい」と述べ、今後の医学教育の一つの課題となる臨床実習の充実には、国民の協力が重要だとした。

 名古屋大学大学院医学系研究科教授で、日本医学教育学会理事長の伴信太郎氏は、「今の医学教育は、社会のニーズに応えていない」とし、「地域医療」と「国際貢献」への対応が遅れていると指摘。東京医科大学の元学長・理事長の伊東洋氏は、変革が求められる医学教育には、リーダーシップを持つ人材が求められるとした。

 国際医療福祉大学、専任教員25人以上を配置

 矢崎氏は、新設医学部の目的について「国際性豊かな、総合的な診療能力の高い医師の養成」と述べ、グローバル化の時代には、ボーダレスに教育を考えていかなければならないと説明。医学部定員140人、うち留学生を受け入れる国際枠は20人だ。

 カリキュラムの特徴は4つ。第一は、講座単位、あるいは基礎と臨床を分けた講義ではなく、「基礎・臨床統合型カリキュラム」を器官系統別に組むこと。座学ではなく、臨床応用して学ぶ機会、グループ討議などを多用し、参加型で進めるほか、1コマ90分の大学が多い中、60分にする。模擬患者を育成して活用するほか、シミュレーションセンターも充実させる。5300平方メートル規模になるといい、「米国のトップクラスのシミュレーションセンターの規模」(矢崎氏)。

 第二は、国際的コミュニケーション能力を高めるため、教員として英語のネーティブスピーカーを採用、1、2年次は集中して英語教育を行うとともに、大多数の科目で英語による授業を行う。希望者には、USMLE(米国医師国家試験)に対応できる特別授業を行う。海外での臨床実習を最低でも 4週間にわたり実施する方針。

 第三は、リベラルアーツの重視で、広い視野で物事を考え、自分で学ぶ力を身に付けるのが狙い。第四は、チーム医療への理解を深める機会を設けること。「成田キャンパスでは、看護師や理学療法士なども養成する。多職種の医療者が、患者を中心して働くというチーム医療を学生の時代から学んでもらう」(矢崎氏)。

 これらを実践するために、設置するのが、「医学教育統括センター」であり、この点が大きな特徴だという。各教授が別個に教育をするのではなく、教育全体を統括する権限を持ち、カリキュラムの編成や評価などを行う。専任教員を25人以上配置する予定だ。

 国際医療福祉大学は、栃木県大田原市のキャンパスを中心に、多くの医療者の養成に取り組んでいる。矢崎氏は、海外から多くの留学生が来ている実績があり、中国のリハビリテーションを学ぶ大学が、国際医療福祉大学の卒業生を中心に運営されている例も挙げ、新設医学部でも同様に、「東南アジアを中心に、各国の公衆衛生、医療人材を育成するためにも、留学生を受け入れていきたい」とした。

 医学教育、課題は地域医療と国際貢献

 名大の伴氏は、医師の卒前から生涯教育までの教育体制を紹介。医学教育については、6年のうち、3分の2が各大学共通のコアカリキュラム、残る3分の1が選択科目で、「この3分の1について、各大学は、ミッション、目指すところに向かって、独自の教育をやっている。新しい医学部を作るなら、よほど特徴のあるものにならないと意味はない」と伴氏は指摘した。

 また伴氏は日本の医学・医療が抱える問題として、「社会のニーズに医学部が応えられていない」ことを挙げた。「高度先端医療と地域医療」、あるいは「国内での貢献と国際貢献」という視点から見るとバランスの悪さがあるとした。「高度先端医療と地域医療」については、地域医療のニーズが高まっているにもかかわらず、その担い手を十分に養成しきれていないとし、「地域枠」の学生をいかに教育していくかが課題だとした。「国内での貢献と国際貢献」については、国連機関で働く日本人医師が少ない点を挙げ、「保健医療において、世界への平和的貢献ができていない」と指摘。地域医療と国際貢献について、「これらは両極端のように聞こえるが、地域で教えながら、国際人を育てていくことも可能」であるとし、名大に来る留学生は、地域包括ケアへの取り組みに関心を示すと言い、伴氏は「これからの日本には、先端医療ではなく、この分野での国際貢献が求められるのではないか」と述べた。

 JACME、12月に設立

 奈良氏は、この12月に設立したJACMEは、「2023年問題」への対応が契機になったものの、医療自体がボーダレスになり、医師も海外で活躍する時代にあり、医学教育の質保証の観点からも求められるとした。

 JACMEでの取り組みに先立ち、奈良氏らは、全国医学部長病院長会議の「医学教育の質保証検討委員会」の取り組みとして、既に5大学で2014年度までにトライアル認証評価を行ったことを紹介(『「JACME」、全80大学が参加し今秋発足』を参照)。この9月以降も、3校への認証評価を行ったという。

 グローバル時代における医学教育改革の方向性として、奈良氏は、(1)カリキュラムの充実(学習成果基盤型教育、統合型カリキュラムの導入)、(2)少人数教育(講義から少人数のアクティブ・ラーニングへ)、(3)鎮床実習の充実(見学型から診療参加型実習へ)、(4)シミュレーション教育の活用――などの方向性を提示。(3)について、2013年の時点で、国際的な認証評価の目安になる、臨床実習の「72週以上」に相当する「2000時間以上」を満たしている大学は80大学中26大学であり、「1500時間未満」も9大学あったほか、臨床実習後にOSCEなどによる評価を実施している大学も、54大学にとどまることから、「2013年からは増加したかもしれないが、臨床実習の時間だけでなく、中身の充実が不可欠」(奈良氏)。

 伊東氏は、東京医科大学で進めている医学教育改革を紹介。医療倫理や医療安全など横断的な科目を充実させるなど、カリキュラムを見直すほか、臨床実習は従来44週だったが、段階的に52週、将来は74週に増やす予定であり、東京慈恵会医科大学、昭和大学、東邦大学と連携し、取り組んでいる。学生の主体的な学びを促進するため、「eポートフォリオ」も導入。学習成果の蓄積・共有、教員からのフィードバック、実習日誌など、学生と教員の双方向のさまざまな情報を、「eポートフォリオ」上で展開することにより、学生の成長レベルや問題点を抽出し、学生個人に合わせた指導ができるなど、手間はかかるものの、メリットが大きいという。「今の医学教育はさまざまな変化が求められ、トップがリーダーシップと根拠に基づき、改革を進めることが必要」と伊東氏は述べ、講演を締めくくった。

 医学教育にも多職種連携の視点必要

 4人のシンポジストの講演の後、フロアとの質疑応答があったが、問題提起された一つが、医療、介護、福祉の連携、ひいては多職種連携の在り方。

 奈良氏は、「10年前とはかなり異なっている」と述べ、各大学は、看護師や理学療法士、作業療法士などとのチーム医療に関する教育を取り入れていると紹介。

 矢崎氏は、国際医療福祉大学が、看護師をはじめとする医療職の質向上を目指して、医療関連職種の総合大学として発足した経緯を説明、「関連職種の連携授業をこれまでやってきた。医学部とコメディカルの学部を持つ大学は少ない。こうした視点からさらに充実していきたい」と回答。成田市に新設予定の医学部に先立ち、2016年4月に看護学部と、理学療法士などを要請する医療保健学部を開設するため、医学生と他学部の学生が同じキャンパスでの授業が可能であるとした。

 これに対し、「多職種連携は、従来の臨床実習においては、視野に入っていない」「私は楽観していない。そんなに簡単にできるものではない」とコメントしたのが、伴氏。「同じキャンパスで学ぶという感覚ではなく、地域に出て、住民も参加した多職種による学びが必要」とし、こうした教育の実践には、教育担当者のリーダーシップが求められるとした。

 アクティブ・ラーニング(能動的学修)への取り組みも議論になった。中央教育審議会は2012年8月の答申で、「生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学」を目指すため、知識の伝達ではなく、学生が主体的に問題を発見し、解を見いだしていくアクティブ・ラーニングへの転換を求めている。

 矢崎氏は、アクティブ・ラーニングの実践には、教員の確保が課題になるとした。教員は、教育だけでなく、臨床や研究にも取り組んでいるため多忙であり、教育に関する評価は遅れ、個人の努力に任されているのが現状だという。この問題解決のため、成田の医学部に設置するのが、医学教育統括センターであり、基本的には教育に専念する教員を確保し、そのためのキャリアパスも考えていくとした。「本学で成功すれば、他の医学部にも広がっていくのではないか」(矢崎氏)。

 奈良氏は、「卒業した時点から、(日常診療という)応用問題から始まるが、そのトレーニングができていない。日本の教育全体を考えなければいけない」と述べ、教員の養成や意識改革に加えて、医学部入試の方法自体を変えていくことも必要だとした。

 そのほか、「医学部入試の偏差値が、異常に上がっている。一方、福祉系の大学入試の偏差値は下がっている」と指摘し、チーム医療実践に当たっての弊害にもなり得るのでは、との指摘も上がった。伴氏は「高大連携」が必要であるとし、高校教師にも偏差値がいい生徒ではなく、「将来、医師になったら、かかりたい」と思える生徒に、医学部を勧めるよう、日本医学教育学会でもさまざまな場で働きかけていくとした。



https://www.m3.com/research/polls/result/29?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979823
意識調査
結果医療従事者の休日の過ごし方は?【薬剤師会員からの質問】

カテゴリ: 生活・趣味 回答期間: 2015年11月26日 (木)~12月3日 (木) 回答済み人数: 2180人

 忙しい医療従事者の皆さまはどのように休日を使ってリフレッシュしているのか、はたまた休日を取ることもままならないのでしょうか。今回は薬剤師会員から寄せられた「休日の過ごし方」についてお尋ねします。

医療従事者の66%が休日「月4日以下」

 「丸一日の休日」を尋ねたところ、最多は「月3-4日」の34%。「月1-2日」の25%、「ゼロ」の7%を合わせると、66%が「週休二日」の半分以下しか休みが取れないという結果でした。特に136人が休日ゼロと答えた「医師」で休日が少ない意向にありまいた。
 休日の過ごし方では「自宅」と「外出」はほぼ半々。複数選択で尋ねた「休日にやること」では、「買い物」(51%)、「掃除・洗濯」「睡眠」(ともに36%)、「読書・DVD観賞、ゲームなど」が34%でした。
 お勧めの「リフレッシュ法」では、買い物、運動、温泉(スーパー銭湯)、子供と遊ぶ、飲酒などが多かったです。
回答者総数は、2180人。開業医336人、 勤務医1174人、歯科医師8人、看護師46人、 薬剤師546人、その他の医療従事者70人でした。

Q1 丸1日休みという日は、平均して月に何日ありますか?
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q2 休日の過ごし方として多いのは?
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q3 休日にやることとして多いのは?【複数選択】
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q4 お勧めのリフレッシュ方法を教えてください。 【任意】

お勧めリフレッシュ方法

・感動モノの小説を読んで思い切り泣くこと。【薬剤師】
・スーパー温泉でサウナに入ります。【勤務医】
・お風呂で大声で熱唱すること。【その他の医療従事者】
・Active rest【勤務医】
・マッサージに通う。【勤務医】
・実家に帰る。【勤務医】
・園芸で土いじりもリフレッシュできます。【開業医】
・バイクに乗って、温泉に入りに行く。【開業医】
・整体やマッサージ店でリラックスする。仕事以外の友達としゃべる。【薬剤師】
・好きな音楽を大音量で聞く。【薬剤師】
・その時、自分が何を望んでいるかを自身に尋ねて、1番ピンとすることをする。【薬剤師】
・月に一回はダイビングで違う環境を作るようにしている。【薬剤師】
・仕事のことは考えずに好きなことをする。【勤務医】
・爆買い!笑【勤務医】
・何も考えずにひたすら歩きます。20㎞も歩けば爽快な疲労感で、風呂もゴクラク、メシもうまい。下肢のポンプ機能が増して下肢虚血が防げます。金もかからず、自分の身の丈に合ったリフレッシュ健康法だと思っています。【勤務医】
・海を見に行く。【開業医】
・スポーツクラブでの筋トレやウォーキング、その後のサウナ、あとはゴルフ練習場での球打ち、くらいでしょうか。【勤務医】
・日の出とともに起き、屋外で十分体を動かし、暗くなったら眠る。【勤務医】
・ドトールで勉強。【勤務医】
・早起きしての洗車!【看護師】
・カフェ巡り。【勤務医】
・旅行のことを考える。行かないまでも計画を立てる。【勤務医】
・SNSのオフ会参加。【歯科医師】
・体を動かすことです。寝過ぎるとよくないし、起きるリズムはなるべく崩さないようにしています。【薬剤師】
・3000円/人以上のランチを妻と食べに行く。【看護師】
・運動ですね。やはり、体を動かすっていいですが、家事であまり時間がありません。子供と遊ぶもいいですし、でも、ひとりで映画もいい。昼から酒飲んで、こたつで昼寝。気持ちいいですね。【看護師】
・普段なかなかでき難く乱雑になっているところを掃除すると、かなり気分的に爽快になりお勧めです。【開業医】
・息子の野球の応援が唯一のリフレッシュです。【看護師】
・75歳、男性医。ラジオ深夜便・明日への言葉を聞きながら約60分の早朝ウォーキングすることが週4~5回。ラジオ体操ほぼ毎日。【開業医】
・自宅からも勤務先からも遠い地域に旅行することは、よいリフレッシュ法と考えます。【勤務医】
・大好きな紅茶の飲み比べをしながら、読書や音楽DVD鑑賞をすること。【薬剤師】
・特ににないが、老後の趣味を見つけようと思っている。【薬剤師】
・疲れて何もできねー。【勤務医】
・登山!森林浴もできて、体力作りもできる。新鮮な経験もできて健康的でお金もかからない。【薬剤師】
・学会出張以外、丸1日、病院に行かない日がない。リフレッシュ法は、WOWOWで映画見ること。【勤務医】
・シャツのアイロンかけ。【勤務医】
・何と言っても宝塚歌劇の観劇です。まるで夢の中です。【勤務医】
・青春18切符で時間に関係ない旅行をする。でもなかなかできない!【開業医】
・ももクロ(ももいろクローバーZ)にはまる。【開業医】
・休みがありません。酒。【勤務医】
・犬と一緒に温泉旅行でゆっくりくつろぎ、乗馬で馬と触れ合って癒される。人間から離れるのが良いのかもしれません。【開業医】
・土日休日のため、金曜の夜にリフレッシュする。そうすると、土曜日まるまる自分のしたいことをして充実した一日を送っても、日曜日には本当にだらだらと過ごせる。【勤務医】
・家庭菜園は楽しい。できたものも新鮮でおいしい。【勤務医】
・M3でポイントを稼ぐ。【勤務医】
・朝から酒を呑む。呑んだくれる。夕方には呑むのを止める(二日酔いにならぬため)。【開業医】
・家にいると家族サービスで疲弊するので、たまに緊急手術などで呼び出されると逆にリフレッシュされる。【勤務医】
・日頃車で通りすぎるだけの場所に歩いて行く。地元のイベントに意識して参加する。メールではなく手紙を書く。【看護師】
・晴耕雨読をモットーとしています。具体的には、晴れた日はハイキング、露天風呂、ガーデニング、雨の日は専ら映画館にこもり、待ち時間に読書。要は人と会わないことです。【勤務医】
・学会に遠出するとき寄り道をすること。【勤務医】
・情報が入らない状況に自分を置く。【勤務医】
・何もしないで、だらだら過ごすのが贅沢と思うが、もったいなくて何かしてします自分がいます。何もしないのは、体は休まりますが、気分的に損した気持ちになります。【勤務医】
・朝一番で映画に行き、散歩しながら感じのいいカフェやレストランを見つけブランチ、その後また散歩して途中にカフェで読書。家族と夕食を食べて、子供の近況を聞いて、余力があれば家でまたお気に入りの映画をDVDで見ながらいつのまにか入眠、おやすみなさい!【勤務医】
・ラグビーの試合で走る。【勤務医】
・愛車をサーキットで走らせること。集中できてすっきりします。【勤務医】
・ギター職人として、ギターを修理調整する。【開業医】



http://www.m3.com/news/general/381259?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979825
化血研、20年前から「隠蔽工作」研究チーム
2015年12月6日 (日)配信 読売新聞

 一般財団法人・化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が血液製剤などを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が約20年前から、不正を隠したまま承認を得るための研究を血液製剤の製造部門で進めていたことが関係者の話でわかった。

 研究を踏まえて承認申請する際、虚偽の製造記録を国の検査で提示してきたことが露見しないよう、別の虚偽を記載して承認を得たケースもあった。厚生労働省は、ウソにウソを重ねた化血研の行為の悪質性は高いとみて、隠蔽工作の全容を調べている。

 化血研の第三者委員会の調査報告や関係者の話によると、化血研では1974年以降、承認書と異なる製法で多くの血液製剤が作られるようになった。

 国の検査(査察)態勢の厳格化が見込まれた95年頃から、虚偽の製造記録を検査で提示する隠蔽工作が始まったが、こうした不正を長く続ければ、発覚を免れるのは難しいとの危機感が所内で高まった。このため、血液製剤の各製造部門では、製造実態に合わせて承認内容の変更を申請することを目指した研究を開始し、「プロジェクトチーム」も発足させた。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47518.html
有床診入基料、医師配置加算など引き上げを- 日医・検討委が答申
2015年12月06日 12時00分 キャリアブレイン

 日本医師会の「有床診療所委員会」は、有床診療所(有床診)に関する課題などを取りまとめ、横倉義武会長に答申した。有床診の医師の業務負担が軽減されるよう、有床診療所入院基本料における医師配置加算の点数の引き上げなどを求めている。【松村秀士】

 答申書では、有床診の4割は、1人の医師が対応しているとし、医師の負担を軽減するために、複数の医師で対応できる体制の整備の必要性を強調。その上で、診療報酬上の評価として、医師配置加算1(88点)と同加算2(60点)を引き上げるべきだとした。

 また、有床診での夜勤の看護職員を増やし、夜間の安全体制を強化するための措置として、夜間看護配置加算1(80点)と同加算2(30点)の引き上げも要望した。

 答申書は、有床診の事業継承についても触れ、一般診療所だけでなく、有床診でも開設者の高齢化が進んでおり、「継承問題を解決することが喫緊の課題」と指摘。この課題の解決策として、2017年度に施行が予定される「地域医療連携推進法人制度」の活用に期待を示した。

 同制度は、地域の複数の病院や診療所を一体的に運営できる仕組み。答申書では、有床診が「地域医療連携推進法人」に参加した場合、「法人間で、病床再編やキャリアパスの構築、医師・看護師などの共同研修、医療用機器の共同利用、資金貸し付けなどを行うことができる」とし、事業継承を円滑に進められる可能性があるとした。

■ショートステイへの参入に向け、施設基準など緩和を

 答申書では、有床診の介護分野への対応についても言及した。有床診が短期入所生活介護(ショートステイ)を実施すれば、利用者の健康管理や家族の負担軽減につながるほか、医療も提供できると説明。ただ、現状は有床診のショートステイへの参入が進んでいないとし、その普及に向けて施設基準や要件の緩和が必須だとした。



http://www.sankei.com/life/news/151207/lif1512070002-n1.html
診療報酬本体微増へ 高額療養費見直し担保に
2015.12.7 05:00 産経ニュース

 政府は6日、平成28年度診療報酬改定について、29年度に患者の自己負担を軽減する「高額療養費制度」を見直して財源確保することを担保に、診療報酬の医師らの技術料にあたる「本体部分」を微増させる方向で検討に入った。28年度は、景気回復により全国健康保険協会(協会けんぽ)への補助金が減額される分を一時的に充当する方向だ。

 高額療養費制度に関しては、政府の経済財政諮問会議の専門調査会が4日に公表した歳出抑制に向けた工程表案で「関係審議会で具体的内容を検討し、28年末までに結論を得て、その結果に基づいて速やかに必要な措置を講ずる」と明記。70歳以上の高齢者で優遇されている負担上限額を現役世代の基準に合わせることなどが想定されている。

 政府内で検討されている案では、高額療養費制度の具体的な見直し内容の決定は世論の反発を避けるため参院選後に先送りするが、年末の28年度予算案の編成過程で見直し実施を確約することにより、捻出される財源を29年度以降の「本体部分」に充てる方針を容認するとしている。

 28年度については、景気回復による保険料収入の増加などで協会けんぽの準備金に余裕が生じているため国庫補助金が減額されることになっており、減額分を「本体部分」の財源に充当する方向で調整する。

 政府は28年度に始まる財政健全化の計画で、社会保障費の伸びを3年間で計1兆5千億円程度を目安にすることを決定。28年度予算案では厚生労働省の概算要求から約1700億円の削減が必要だが、診療報酬の医薬品や医療材料の「薬価部分」の引き下げ分約1500億円しか確保できていない。来年度は診療報酬の「本体部分」の引き下げも想定していたが、来年夏の参院選を控え、大票田の日本医師会など医療関係団体に配慮。高額療養費の見直しで財源を確保し、「本体部分」への切り込みは見送ることにした。一方で、薬の過剰投与が指摘される大病院周辺の大型門前薬局が問題視されており、「本体部分」の中の調剤報酬に関しては引き下げられる方向だ。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03153_02
【寄稿】
全米チーフレジデント会議に参加して
聖路加国際病院,レジデント教育の新たなチャレンジ

松尾 貴公,岡本 武士,北田 彩子,矢崎 秀,石井 太祐,望月 宏樹(聖路加国際病院内科)
週刊医学界新聞   第3153号 2015年12月07日

 現職のチーフレジデントとその候補者が全米から集まる「全米チーフレジデント会議(Chief Residents Meeting)」が,2015年4月27-28日の2日間にわたって米国テキサス州にて開催されました。今回,日本の病院のチーフレジデントとして初めて,聖路加国際病院のチーフレジデント経験者および予定者の計6人が参加しました。本稿では,当院と米国のチーフレジデント制度の特徴と,参加した会議の模様,そして帰国後の当院の取り組みについて報告いたします。

レジデント育成の要となるチーフレジデントの役割とは

 日本では2004年に新医師臨床研修制度が発足し,初期研修医は2年間のスーパーローテーションが義務付けられています。それ以前にもいくつかの臨床研修病院では独自の研修システムに基づいた研修医教育が行われていました。当院は1967年にレジデント制度を導入し,それと同時に初期研修医のまとめ役である「チーフレジデント」という役職を設け,研修医の指導に力を入れてきました。当院の内科チーフレジデントは教育者としての役割だけでなく,研修プログラムの作成,病床運営,院内における各種委員会への出席や研修医採用など,さまざまな分野の役割を担います。内科チーフレジデントは,毎年レジデントの投票によって3人選出され(多くは卒後4-5年目),その3人が4か月ずつ職務を果たします。

 一方,米国のチーフレジデント制度を見てみると,当院とは異なる点がいくつかあります(表)。大きな違いは,任期は原則1人1年間で,2-3人で分業する場合が多いことです。また,就任時期は,日本での初期研修に当たるResidency programを終えた後,各専門領域のFellowshipに進む前の卒後3-4年目で,内科プログラムの責任者であるProgram directorや前年度のチーフレジデントから推薦を受けて選考されます。

表 聖路加国際病院と米国のチーフレジデント制度の比較(任期・役割)
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 チーフレジデントに就任すると臨床から離れ,レジデントや医学生の教育,ローテーション表を含むカリキュラム作り,研修医の採用・評価など幅広い業務に従事します。任期中にProgram directorやレジデントから360度評価を受けることも米国ならではの特徴です。任期を通してリーダーシップや教育のノウハウを体得し,その後医学教育のFellowshipや,比較的人気の高い各専門領域のFellowshipに進むことになります。この1年間のチーフレジデントとしての経験が,その後の医師としてのキャリアにおいて有利に働くそうです。

Workshop参加で役割を再確認,新たに見えた改善点

 さて,私たちが日本のチーフレジデントとして初めて参加した全米チーフレジデント会議は,例年4月に2日間かけて行われます。今年はテキサス州のヒューストンで開催されました。

 同会議は,米国の臨床研修プログラムを評価・認定するAccreditation Council for Graduate Medical Education(ACGME)認定施設所属のProgram Directorsの会であるThe Association of Program Directors in Internal Medicine(APDIM)が主催します。APDIMは,Alliance for Academic Internal Medicine(AAIM)という米国とカナダの医学部や教育病院で組織された団体の傘下にあり,APDIMの他にはThe Association of Professors of Medicine(APM),The Clerkship Directors in Internal Medicine(CDIM)などが所属しています。

 米国ではProgram directorと呼ばれるレジデンシープログラムの責任者が存在し,レジデントの採用や病院のプログラムの作成などを担っています。チーフレジデントはこのProgram directorの指導の下,研修医の教育を軸に管理職としての役割,さらには臨床研究や論文執筆などの学術的活動も積極的に行っています。会議の参加者は,各病院で次期チーフレジデントになるレジデント(多くは3年目レジデント)であり,今回は800人強が集まりました。

 2日間にわたるプログラムは,全員で講義を受ける6つのPlenary sessionと,スモールグループに分かれて参加者同士で話し合う3つのWorkshopがありました。Plenary sessionではチーフレジデントの役割には何があるのか, 医学教育の方法,自己啓発や問題解決の方法,メンターシップなどについてのレクチャーが行われました。

 また,計3回のWorkshopは,1回につき約10個のプログラムから興味のある内容1つを選んで参加します。私たち6人は,おのおのが興味を持つものの中から異なるプログラムを選び,最終的には全員で内容を共有できるように受講しました。

 ここではその内の,“Chief Resident Mistakes”をテーマにしたプログラムの内容を紹介します。

 チーフレジデントは毎年異なる人が務め,その任期には限りがあります。そのためチーフレジデントは,起こしやすい失敗などを事前に学ぶことはもちろん,自分の起こした失敗を後任に伝え,よりよい活動ができるよう引き継いでいくことが必要になります。Workshopでは,まず代表的な注意事項を実例に沿って受講しました。その後15人程度のグループに分かれ,自院のチーフレジデントのこれまでの問題点を出し合い,気を付けるべきことを議論し,グループごとに発表しました。このDiscussionを通して米国でのMistakesを共有することができ,チーフレジデントが抱える問題は日本と共通する部分も多いと実感しました。

 この他,ベッドサイドティーチングの効果的な方法,Burnout(燃え尽き症候群)への介入の仕方などのセッションが人気を集めていました。

 2日間を通して,今まで体系的に学ぶことのなかったチーフレジデントの役割を学習するとともに,当院の改善点や今後の展望を議論することができました。また,米国のチーフレジデントとの交流やメーリングリストの参加といったネットワークも形成することができ,それぞれの病院で抱える問題を共有できたことも収穫です。

よりよい研修の実現に向けて学びをすぐに教育に実践

 4月の会議に参加してから,私たちはそこで得た知識を早速院内の取り組みに生かしています。一つは「教え方」についての教育です。当院は屋根瓦方式の教育をモットーとしており,初期研修医は医学生への,シニアレジデントは初期研修医への教育を担っています。ただし,細かい「教え方」に関しては個々人の裁量に委ねられていた部分がありました。そこで,この機に体系立った「教え方」を学ぶことができるよう,自己満足に陥らないレクチャーの仕方や,「Teach less(一度に教えすぎない)」の概念を当院のレジデント全員で共有する機会を設けました。

 また,当院の目玉ともいえるグランドカンファレンスの症例検討会においては,チーフレジデントが他のレジデントの手本となるようファシリテーター役を務めたり,ランチョンカンファレンスにおいて,インタラクティブな教授方法であるクイズ形式の“Jeopardy”を取り入れたりと,活発な教育活動を率先して展開しています。

 チーフレジデントが担う個々の役割からも,構想を考えています。まず「Administrator」の役割としては,ちょうど今,新・内科専門医制度への移行という転換期にあるため,内科専門研修プログラムの作成やレジデントおよびシニアレジデントの採用試験の改革にかかわっています。採用基準や試験問題の作成にまでチーフレジデント経験者が一丸となって取り組んでいます。さらにこの機会を生かし,教育や採用試験に関連した臨床研究もできないかと,企画しているところです。

 「Mentor」の視点からは,レジデントの進路支援強化を検討中です。既存の「メンター委員会」では年に数回,当院の修了生を招いて先輩方のキャリアを聞く講演会を開いています。今後はメンター委員会と修了生の連携をより深め,市中病院をターゲットとした卒業後のキャリアプランについて提示していくことを予定しています。

 今回全米チーフレジデント会議に参加したことで私たちは,チーフレジデントの4か月間,日々奮闘し,時に失敗しながら任期中に多くのことを学んだことを思い返すとともに,その解決のヒントを発見することができました。次回からは,チーフレジデント就任前のシニアレジデントが心構えを身につけられるよう,経験者ではなく,予定者のみを派遣することに決めました。経験者,現職者,予定者の三者で連携を図りながら,当院チーフレジデント制度の取り組みに継続性を持たせ,よりより研修作り,よりよい病院づくりに貢献していきたいと考えています。

◆参考URL
2015 APDIM Chief Residents Meeting.



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03153_01
【対談】
「家庭医」って何だ?

吉田 伸氏(頴田病院/飯塚・頴田家庭医療プログラム 臨床教育部長)
藤沼 康樹氏(医療福祉生協連家庭医療学開発センター センター長/千葉大学大学院看護学研究科附属 専門職連携教育研究センター 特任講師)
週刊医学界新聞   第3153号 2015年12月07日

 「地域を支える医療」の重要性は共有されるところとなっている。その中で,大きな役目を果たすと期待されているのが「家庭医」と呼ばれる医師だ。しかし,一口に「家庭医」といっても,想起されるイメージは,各人の住む地域や受療経験に影響され,定かなものでない。日本プライマリ・ケア連合学会で認定する「家庭医療専門医」の総数も約450人(2015年6月時点)と,決して多くはないのが現状だ。一体,家庭医とはどのような医師であり,どんな役割を果たすべき医師なのだろうか――。本紙では,日本の家庭医の先駆者で,その在るべき姿について考察を重ねてきた藤沼康樹氏と,若手家庭医の吉田伸氏による対談を企画。吉田氏の問いに藤沼氏が答えるかたちで,「家庭医」像の輪郭線をなぞっていく。



吉田 私にとって藤沼先生は,日本の家庭医のパイオニアで,1つの拠点をベースに活動される家庭医というイメージです。驚かされてしまうのが,ローカル的な発想にとどまることなく,看護学や哲学,または文化人類学など,多様な領域の知見を取り入れながら,家庭医について考察されている点ですね。

藤沼 そんなイメージでしたか。

吉田 私も一つの地域で10年間働き,また米国・英国の家庭医との交流を経て,自分なりの「家庭医」像を固めつつあります。今回は,あらためて藤沼先生に家庭医像について尋ねたいと思って,この場に来ました。

多様な学問が越境的に結びつく知の体系

藤沼 ただ,僕も海外の家庭医に言わせれば「self-taught family doctor」。あくまで“自習を頑張った医師”です。確かに,僕が若手のころは家庭医療を系統的に教えるプログラム・指導者が存在してなかったので,事実なんですけれど。

吉田 当時はそうですよね。独学を迫られる時代にあって,藤沼先生はなぜ家庭医療の道へ進んだのでしょう。

藤沼 僕の場合,家庭医療が持つ「知の体系」に興味を持ったというのが一番の理由です。だから他の家庭医と比べたら,僕自身は対人援助の志向はあまり強くないほうだと思いますよ。

吉田 え,そうなのですか。

藤沼 でも,だからこそ家庭医療に強い関心を抱いたんだろうとも感じていて。もともと僕の関心は,「人が人をケアするってどういうことか」「『患者』と言われる人はどういう存在か」とか,そういうところに向いていた。ただ,こうした問いって,現代医学のいわゆる生物医学的な学問体系とはそぐわないじゃないですか。でも家庭医療は全然そんなことない。疫学や経済学,心理学,人文諸科学など,あらゆる領域の知が越境的に結びついて成り立っている。偶然,米国家庭医療の専門雑誌を手にとったとき,「自分の求めていた知の体系がここにある!」と思い,以来ここまで進んできたという感じです。

吉田 家庭医療を俯瞰して語る藤沼先生のスタンスの原点が見えますね。

藤沼 今は「イノベーター」を自負するようにしていて,家庭医療の理論的な裏付けや,それに基づく専門的な知識・技術について伝えていく役割を担いたいと考えているんです。

内科学とも異なる射程

吉田 藤沼先生は家庭医療を知っていく過程で,家庭医療の言説に対し,疑問を感じることはありませんでしたか?

 私はもともと初期研修を飯塚病院で過ごし,救命救急センターや総合診療科では病歴聴取,身体診察や検査を行い,鑑別診断に応じた治療を進めるという診療スタイルの経験を積みました。その意味では,医師として最初にインストールされたOS(operation system)は「内科医」だったわけです。だからなのかもしれませんが,家庭医として後期研修を開始した際,家庭医療で語られるメソッドにどこか懐疑的な思いもありました。例えば,Stewartらの「患者中心の医療」で示されている解釈モデル1)。「患者さんの解釈をこんなきれいな言葉で語れるものかな」と疑っていたんです。

藤沼 僕も「患者中心の医療」を読んで心理社会的な要因を考慮した外来診療のスキルを知ったのですが,やはり当初は「どれほど診療に役立つものなのだろうか?」と思いましたよ。でも,書籍に書かれているアプローチを外来診療に取り入れてみたら,患者の反応が違う。外来診療構造の枠組みから考え直していく必要性さえ感じました。「すごい,本当に効果あるんだ!」って感動した記憶があります。

吉田 そう,実践してみると,現場の患者に当てはまっていく感覚があるんですよね。私も数年をかけ,ようやく患者中心の医療で語られていることが理解できるようになりました。それで痛感したのが,家庭医療にはきちんとしたスキルやメソッドの裏付けがあるんだ,ということです。

藤沼 患者と医療者の共通基盤の形成をめざした方法論が,明確に言語化されているんだよね。だから卓越した家庭医であれば,患者の一つひとつの所作に対し,「どのような意味に根差した行動であるのか」まで認識できる。だから診療時の患者への声掛けも,単なる接遇として発しているわけでなく,ラポール形成のための一言であったりするわけです。

吉田 まさにそうした点が「内科医」として身につけた診療スタイルとは異なる点だと感じます。

藤沼 内科学の体系とは異なる世界観が,家庭医療学には広がっているということなのでしょう。内科学は,内科的疾患の病態生理と治療を中心に考察していくもので,患者の「疾患」がポイントとなっている。一方,家庭医療学が扱うのは,疾患どころか診断自体がつかない健康問題であったり,患者の家庭や患者と相対する医師の姿勢であったりと,あらゆる方向に向かっていく。ですから,家庭医療学は,内科学と異なる射程を持つ学問体系であるととらえるべきだと考えています。

対人関係上の継続性の構築が鍵

吉田 そういう部分に,私も家庭医療の面白さを感じるようになりました。それで日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会などを通して家庭医の面白さを広報してきたのですね。

 ただ,多くの方にとって「家庭医」という存在がとらえづらいようなのです。もちろん皆,優れた家庭医が各地にいること自体は経験的にわかっているものの,「ではどういう能力を持つ人が家庭医なの?」と感じるようです。

藤沼 前提として,「家庭医」の能力は,核となる「core」と,個性である「own style」によって規定されています。coreは普遍的に持つ能力で,後者のown styleは医師自身の性格,地域やプライマリ・ケアの対象となる人口集団の性質,周囲の保健・医療・福祉リソースなど,多様なものに影響を受けて成り立っている。このような能力そのものの構成や,coreとown styleを切り分けて個々の能力を考えられていないと,「どこかとらえづらい」と感じてしまうのでしょう。

吉田 なるほど。

藤沼 だから家庭医の原像を共有し,それらを言語化していくとわかりやすいと思いますよ。例えば,ぱっと思いつくのが,幼児だったころは頻繁に診ていた患者が,中学生になって数年ぶりに受診したというケース。「こんにちは」ってあいさつされたりして。

吉田 「成長したなぁ」と感動する場面ですね。

藤沼 あぁ,僕はそこで情緒的な感動はないんですよ。「これがSaultzの言う『interpersonal continuity』2)かな」と感動するタイプなので(笑)。

吉田 藤沼先生らしい! でも,ご指摘になったinterpersonal continuityは,家庭医のcoreに該当するものだと思います。これは必ずしも「数週間,数か月に1回など,定期的に訪れる患者との関係性」や「ある患者の特定の疾患を治療し続けていること」を指しているわけではないのですよね。

藤沼 一部を指しているけど,全てではありません。大事なのは,「対人関係上の継続性」が基盤にあること。つまり患者の頭の片隅に家庭医の姿があり,「また困ったことがあったとき,あの医師に相談しよう」という認識が存在しているという点が重要なんです。

吉田 患者が必要なときにその医師を思い起こすかどうか,ですね。

藤沼 そう。ですから家庭医は,疾患に由来した問題が解決を見ても,医師-患者関係を終了させることはしません。むしろ,患者の健康問題の解決に必要なリソースとして「いつでも存在している」という認識を持たれるような関係性作りに努める。家庭医のcoreの一つに,こうした継続性の構築が挙げられます。

地域に腰を据える――「20年」が1つの目安

吉田 「継続性」に関連して私が関心を持っているのが,家庭医が拠点を変えることについてです。「家庭医=地域に根付いた医師」というイメージがある中,家庭医はどのぐらいの期間を一つの地域で過ごすべきなのだと思いますか。拠点を変えるに際しても,適切なタイミングってあるのでしょうか。

藤沼 なるほど。まず,卒後10年までは診療所に限らず,いろいろセッティングで系統的に学ぶのが理想です。

 その上で,いよいよ地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務としようと思うなら,個人的には「20年間は1つの地域に腰を据える」ことをお勧めしたい。比喩的に言えば,「0歳のときに診た患者が,20歳になるところまで診る」経験ができるぐらいですね。

 感覚的なものですが,そのぐらい継続してかかりつけ患者を診ていると,地域の患者を人口集団として,さらに時間軸を伴ってとらえられるようになります。その経験は,家庭医としての視野を広げる印象がある。ですから20年は1つの地域を診て,それから別の地域に移るというのがよいかと思います。

吉田 20年ですか。確かにある程度まとまった時間を過ごすことで,interpersonal continuityを実感できるという面もありますからね。

 ちなみに,その視野の広がりというのは,「家庭医が地域に溶け込む」ことによる影響もあるのでしょうか。

藤沼 いや,あえて言うなら,溶けこむか否かは「関係ない」と思います。というのも僕自身,患者さんの居住地域には住まないタイプで,決して地域に溶け込んではいませんから(笑)。ですがそのことによる支障も経験していないので,地域とのかかわりの程度は各家庭医の嗜好に任せてよいんじゃないかと考えています。

 しかしこの点について,もともと英国の家庭医に相当するGP(General Practitioner)であったMcWhinneyは,書籍『Textbook of Family Medicine』の中で「家庭医は地域の一員になるように」と推奨していますね3)。

吉田 私はMcWhinney同様,地域に溶け込んだほうがいいのではないかというスタンスです。同じ生活圏を共有し,自分たちの日常をよく知る医師に診てもらうことが,住民にとっての安心につながるという考え方には共感できますから。しかし一方で,それを全ての家庭医に求められないとも正直感じています。「地域に住むのが絶対!」というのは,重い決断を迫りすぎる,というか。

藤沼 文献を読んだり,海外の家庭医に話を聞いたりする限り,他国の家庭医も地域に根を下ろす医師ばかりではないようですけれどね。「Rural」と言われる田舎の地域であればまだしも,都市型の家庭医となると,そうした人はグッと少なくなるみたいです。

地域のかかりつけ患者に“責任”を持つ

藤沼 だから僕は,「住む/住まない」はともかくとして,「かかりつけとなっている人口集団を意識し,必要とするケアの性質によってレイヤー化していくこと」,それがプライマリ・ケアを担うという意味では重要なことなのだろうと考えています(図1)。

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図1 プライマリ・ケアを提供する診療所や病院外来におけるレイヤー化のイメージ(クリックで拡大)

藤沼氏の作成による例。診療所や病院の一般外来に通院している患者群を,仮の健康リスクに基づいてレイヤー化した。図のように,リスクが高いレイヤーには個別の手厚い介入(ケア・マネジメント)を,リスク中等度から低いレイヤーには多職種連携による集団教育の介入(パネル・マネジメント)を行うなど,レイヤーを意識した介入の戦略を発想しやすくなる。
吉田 人口集団をレイヤー化する?

藤沼 「自施設を利用する人たちのほぼ全数について,どんな人たちがどれくらい存在し,どのようなかたちで利用しているのかを分類して把握すること」と言えるでしょう。

 家庭医は目の前の患者だけでなく,地域の人口集団の健康状態についても目を配らねばなりません。そこでレイヤー化という方法が有効で,数年に1回急性疾患でかかる人,2年に1回くらい風邪でかかる人,月に1回は慢性疾患でかかる人……などに整理できるのはもちろん,レイヤーごとに健康状態の向上をめざした効果・効率的な介入を発想しやすくなるのです。

吉田 面白いです。「地域の人口集団を診る」という認識はありましたが,それらをレイヤー化するという方法論は初めて聞きました。

藤沼 あまり言われていないことかもしれません。でも,離島や山間地域の無床診療所で活動するような家庭医なら,レイヤー化は自然と意識していることだろうと思いますよ。彼らは担当するエリアが定まりやすく,人口も固定的で年齢,性別,疾病構造なども把握しやすい環境にありますから。そうした実践を都市部で再現することが理想なのですが,まだ十分ではないのが現状でしょう。

 このような意識を持てるようになると,発展的には「本来受けるべきケアを受けていない患者」を同定することが可能になる。さらに,これまであまり関心を向けられてこなかった「状態の安定した単一慢性疾患患者や健診のみで受診する患者」といった群まで把握できる。そうなれば,それらのレイヤーに対するケアや予防的介入など,地域の健康状態の向上を狙った戦略を具体的に発想することにもつなげていきやすいと思うのですね。

吉田 フリーアクセスの医療提供体制をとる日本では,そうした層まで把握するのは難しいと思っていました。しかし,この方法なら有効ですね。

藤沼 ええ。推計でもいいから,地域のかかりつけ患者の集団について把握しようと試みるのが大切です。人口集団を通し,どんな医療がどの程度,どのような質で求められているのかを分析する。さらに,そこからアンメット・ニーズを拾い上げて,適切なケアや医療を構築することまで行う必要があります。つまり,「患者が何かを訴えてきたときに対応するのが仕事」という考え方からは脱却が必要で,「自分の担当する人口集団の健康状態に“責任”を持つ」という意識が求められるということなのです。

社会構造の変化で,地域基盤の家庭医がより重要に

吉田 藤沼先生のご指摘を踏まえると,家庭医はより広範の対象者を相手にすることになるわけですから,おのずと単独では限界を迎えることになります。必然的に,多職種との連携を今以上に密にする必要がありそうです。

藤沼 まさにそのとおりです。現状,都市の診療所や病院一般外来でプライマリ・ケアを担っている医師は,高リスク群への対応に消耗しており,中等度-低リスク群にはあまり関心が持てないか,流してしまっているだろうと予想されます。

 「じゃあ総合診療医を増やせばいいじゃないか」という指摘を受けそうですが,そう簡単にはできないでしょう。海外の医療の歴史をさかのぼっても,プライマリ・ケアを専門とする医師が爆発的に増えた例がないんです。日本だけがうまくいくとはなかなか思えません。そう考えると,不足しているケアを充実させるためには,専門職連携を促進させる,さらに看護師・保健師に権限を委譲し,裁量権のあるヘルスプロフェッショナルとして活躍できる体制を築く必要があるでしょう。

吉田 現場での感覚からも,安定した慢性疾患などリスクの低い患者であれば,必ずしも医師の介入でなくてもいいというのは納得できますね。

 ここまでお話を伺い,藤沼先生が「プライマリ・ケアを核にヘルスシステムを考えるのがいい」とかねてより指摘されている理由がわかってきました4)。

藤沼 特に,今後起こる人口構造の変化を踏まえて持続的なシステムの在り方を考えると,それがスムーズな発想だと思うのです。

 人口全体に占める「子ども+高齢者」の割合の変化を見ると,1990年頃をボトムに,以降は一貫して上昇していきます(図2)。子どもと高齢者には重要な共通項があって,それは「地域とのかかわりが強い」ということ。学校・会社などの要因で地域を離れる可能性の高い他世代と比較し,子どもと高齢者はライフサイクルの中で最も地域への土着性が強くなる時期なのです。全人口に占めるそれらの世代の割合の増加が見込まれる点から,医療に限らず,社会福祉サービスも含めて,「地域」を基盤にした社会を構築する必要性があると指摘されています5)。

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図2 人口全体に占める「子ども+高齢者」の割合の推移(1940-2050年)

吉田 地域基盤がキーワードになる,と。

藤沼 そう。つまり,ローカル型のヘルスケアのオペレーションシステムにアップデートが求められている,というわけですね。

 ここで家庭医に引き寄せて考えると,家庭医の重要性が相当増していることがわかります。くしくも子どもも高齢者も,もちろんそれらの方々と共に暮らす家族も,家庭医が診る患者群です。何より,地域・共同体にアプローチする「地域志向性」(community orientation)は,家庭医の得意とするところでしょう。このように,今後の人口動態とそれに伴う社会構造の変化から見ても,家庭医は多職種との連携・協働の中心に位置して,地域住民の健康問題などに対応していく,それが持続発展可能なシステムだと考えられるのです。

キメラ状態にひるまない,よろづ相談医であれ

吉田 今後は多職種との連携・協働を充実させていく必要性があるとよくわかりました。しかし,こうして考えていったとき,家庭医に“しか”できないことって何になるのでしょうね。

藤沼 いい質問です。実は,「これは家庭医だけにしかできません」と主張すべきものはないのかもしれない。でも「これは家庭医としてやるべきことだ」というものはあります。

 その一つが,「multimorbidity」(マルチモビディティ)という多疾患併存状態にある患者への対応です6)。併存疾患が多い場合,全ての疾患に対し,診療ガイドラインに従った医療を注ぎ込むことが,必ずしもベストな選択ではありません。ここでは患者自身の目標も重要で,患者中心にアウトカム設定しながら医療を提供する必要があります。そこで力を発揮すべきがジェネラリストである総合診療医であり,その一翼は家庭医も担うべきでしょう。

 さらに「家庭医ならでは」を挙げるなら,「そもそも問題があるのかすらわからない“キメラ状態”の患者」へのファーストタッチです。医学的問題であるか否かも定かでないし,患者やその家族の心理社会的な問題に要因があるのかもしれない。あるいは本当に何も問題がないのかもしれない――。そういう混沌にアプローチし,その状態を言語化していき,対象者が必要なケア,サポートを受けられるように導いていく。実はこれこそ「Generalism」と呼ばれるものの基本なんだけれど,こうした対応は家庭医療を身につけた医師が得意であるべきことで,もっとも適任なはずなのです。

吉田 思い返すと,最近そうした患者さんを診る機会が多くなりました。併存疾患の多い患者さんであったり,「何が問題だかわからない」「治療は終わったのですが……」といったかたちで他科から患者紹介を受けたり。私としては,「そんなこともあるよね」と自然に受け入れてきましたけど。

藤沼 吉田先生はすでに家庭医のマインドセットを身につけているんですよ。でもその姿勢が重要で,要は家庭医は“よろづ相談医”であるべきってことです。「これは自分の仕事じゃない」なんて言ったら看板を下ろさなきゃいけません(笑)。



吉田 今日,家庭医ができることの幅広さと奥深さを再認識しました。

藤沼 僕は,英国のGP・Iona Heathの語った言葉が気に入っています。「GPの仕事は,通り一遍にやるならこれほど簡単そうに見える仕事はない。しかし,クオリティを高くしようとするとこれほど難しい仕事はない」。

吉田 いやあ,本当にその通りです。

藤沼 現在,社会から“ハイクオリティ・プライマリ・ケア”が求められているわけですから,まさにその「難しい」ことに,われわれはチャレンジしなければならないんですよ。

(了)

◆参考文献
1)Stewart M, et al. Patient-centered medicine : Transforming the clinical method. 3rd ed. Oxon : Radcliffe Medical Press ; 2013.
2)Saultz JW, et al. Interpersonal continuity of care and care outcomes : a critical review.ann Fam Med. 2005 ; 3(2) : 159-66. [PMID:15798043]
3)McWhinney IR, et al. Textbook of Family Medicine. 3rd ed. Oxford University Press ; 2009.
4)舟見恭子.家庭医という選択――19番目の専門医.エイチエス株式会社.2015.
5)広井良典.「コミュニティの中心」とコミュニティ政策.公共政策.2008;5(3):48-72.
6)Boyd CM. Clinical practice guidelines and quality of care for older patients with multiple comorbid diseases: implications for pay for performance. 2005 ; 294(6) : 716-24[PMID:16091574]

ふじぬま・やすき氏
1983年新潟大医学部卒。東京都老人医療センター血液科生協浮間診療所所長などを経て,2006年より医療福祉生協連家庭医療開発センターセンター長,15年より千葉大大学院専門職連携教育研究センター特任講師。専門は家庭医療学,医学教育。第21回武見奨励賞受賞。日本プライマリ・ケア連合学会理事,『総合診療』誌編集委員などを務める。家庭医としての診療を続けながら,家庭医療後期専門研修プログラムの運営や,診療所グループによる家庭医療学研究プロジェクトなどを進める。blog「藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Education」

よしだ・しん氏
2006年名市大医学部卒。飯塚病院で初期研修後,同院総合診療科を経て,13年より現職。家庭医療専門医。13年から2年間,日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会の代表として,若手家庭医ネットワークの発展に尽力。WONCA APR Rajakumar Movement(世界家庭医療機構アジア太平洋支部若手家庭医ネットワーク)代表,日本プライマリ・ケア連合学会専門医部会国際活動班,国際キャリア支援委員会委員,国際関係委員会協力委員なども務める。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53455/Default.aspx
中医協総会 “かかりつけ薬剤師”包括的な評価導入へ 大型門前、調剤料に切り込みも改定小幅か
2015/12/07 03:52 ミクスOnline

厚労省は12月4日の中医協総会で、“かかりつけ薬剤師”を包括的に評価する新たな点数の導入を提案した。一方で、大規模門前薬局の調剤基本料や一包化加算など調剤料を引き下げる。2016年度から3年間でこうした方向性を段階的に強め、薬局機能の転換をうながす。地域包括ケアの中で残薬や多剤投与を減らすなど医薬品の適正使用を推し進め、医療費の伸びの適正化につなげたい考えだ。焦点の改定財源については、調剤報酬の見直しだけでは100億円を切るとみられ、調剤報酬自体も大幅なマイナスとはならない見通し。予算編成も大詰めを迎えるが、財務・厚労両省の折衝は市場拡大再算定や巨額再算定など薬価制度改革への比重が高まっている。

調剤医療費7.2兆円のうち、技術料は1.8兆円。このうち、調剤基本料は5077億円と3割を占める。一方で、調剤料・製剤加算は9756億円で約6割を占める。財務省が財政審に示した提案通り調剤料を現行の半分の水準まで引き下げたと試算すると、損益差額は個人で約半分、法人では約1/4にまで低下する。店舗数でみれば、1店舗の薬局や2~5店舗の薬局では、損益差額三桁の大幅な赤字に転落する。6店舗以上では黒字を維持できるものの、損益差額は半分の水準にまで低下する。

一方、調剤基本料も、仮に特例引下げの範囲を財務省提案の提案(処方せん回数1200回以上で集中率70%以上、処方せん回数2500回で集中率50%以上)通りに拡大すると、店舗数によらず、400~500億円の減収となる。むしろ20店舗以上の薬局ではなく、1店舗の薬局では損益差額は300億円を超える大幅な赤字となると試算される。

こうした状況から、16年度改定だけで調剤報酬を深堀することに慎重論も示されている。今改定は小幅にとどめ、今後数回の改定を経て、かかりつけ薬剤師の職能の向上を目指しながら医療費全体の適正化を図るべきとの意見も見られるところだ。

◎かかりつけ薬剤師・薬局の職能発揮をうながす 調剤偏重、立地依存からの脱却を

厚労省が中医協総会に示した調剤報酬の見直し案は、これまでのモノと立地に依存し、調剤偏重と呼ばれた業務から脱却し、超高齢化社会の中で、かかりつけ薬剤師・薬局が職能を発揮するよう強く促す内容となっている。服薬情報の一元的・継続的把握や、在宅業務を“かかりつけ薬剤師”として手厚く評価する一方で、これまで収益を支えてきた調剤基本料や調剤料には切込みを入れる。

かかりつけ機能については、従来の基準調剤加算に加え、包括的な点数を新設する。医師と連携した服薬情報の一元的・継続的な管理、24時間対応・在宅対応を具体的な要件とする考えだ。

前回の14年改定では、かかりつけ機能の評価として、医科では地域包括診療料、地域包括加算が新設され、調剤では基準調剤体制加算の要件に24時間対応や在宅訪問などの要件が盛り込まれた。今回の改定では、この方向性をさらに強め、調剤版の地域包括診療料の新設や基準調剤加算の要件追加などを盛り込んだ。基準調剤加算の要件は、24時間対応や在宅訪問を実績ベースに見直すほか、休日・夜間対応など開局時間や相談時のプライバシーの配慮などを追加する。そのほか、“かかりつけ薬剤師”が勤務することの重要性を強調し、「一定時間以上勤務する薬剤師」がいることを要件に追加することも提案した。

◎残薬確認と調整を行う“ブラウンバッグ”を評価 調剤後の継続的管理を

服用薬の一元的・継続的管理については、残薬や重複投与の防止、薬剤服用歴管理指導料の見直しを提案した。

残薬を評価する仕組みとしては、患者に残薬を保険薬局に持ってきてもらい、残薬確認と調整を行う“ブラウンバッグ”を評価する点数の新設を打ち出した。福岡市や鹿児島県で実施され、薬剤費の削減効果が認められており、全国的な普及を目指す。これまでの調剤業務は、主に処方せんを受け取り調剤した薬剤を患者に渡すところまでだったが、調剤後の服薬管理・指導の評価を手厚くすることになる。これまでの病院完結型から在宅へとシフトする中で、薬剤師が調剤後まで視野に入れた継続的な服薬状況の把握・管理をすることで、残薬の解消につなげたい考えだ。

重複投与の防止では、「重複投薬・相互作用防止加算」の算定率が1%にも満たないことから要件を緩和し、浸透を進める考えだ。過去の副作用歴やアレルギーなどによる処方変更、同一医療機関などからの処方せんに基づく疑義照会について現行ルールでは算定できないが、要件を緩和する。

◎電子版のお薬手帳も紙媒体と同様の点数に

そのほか、薬剤服用歴管理指導料は、お薬手帳発行後、2回目以降の点数を低く設定する。日本薬剤師会などがすすめる電子版のお薬手帳も紙媒体と同様の点数とすることも盛り込んだ。

一方で、これまでインセンティブの高かった調剤基本料や調剤料は見直す。特に、大規模門前薬局の調剤基本料については、今後段階的に引下げの範囲を拡大する。現行ルールでは、集中率70%以上で処方せん回数月4000回以上、集中率90%以上で処方せん回数月2500回以上の薬局を特例として基本料を引き下げていた(41点→25点)が、この範囲が拡大される。特例除外とされていた24時間開局薬局も引き下げの対象とする。20店舗以上など店舗数の多い薬局や特定の医療機関から処方せんを多く受け付けている薬局、医療モールなど特定の医療機関との関係性が深いとみなされる薬局などについては引下げを検討する。そのほか、投与日数に応じて増加してきた調剤料や一包化加算の仕組みを見直すことも盛り込んだ。

診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は財政審の建議について、「内容は非現実的で、乱暴なものと言わざるを得ない。薬局の廃業、倒産に結びつく内容であることは明らか。地域包括ケアの薬局推進に取り組む前に小規模薬局から消滅してしまい、ひいては地域医療提供体制が崩壊する」と述べ、急激な政策転換ではなく、複数回にわたる段階的な施策の実施を求めた。

その上で、「地域の薬局薬剤師が地域包括ケアシステムの一員として顔の見える関係として、24時間対応、在宅対応、医療機関との連携を発揮する方向に着実に進んでいく」と述べ、日本薬剤師会としてかかりつけ薬剤師、薬局を浸透させる決意を示した。


  1. 2015/12/07(月) 05:50:50|
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12月5日 

http://www.asahi.com/articles/ASHD52S5THD5UBQU001.html
診療報酬、マイナス改定へ 薬価は1%超引き下げ
小泉浩樹、奈良部健
2015年12月5日10時02分 朝日新聞

■診察料、小幅プラス改定で調整

 来年度の診療報酬見直しで、政府は全体の増減割合である改定率を引き下げる方針を固めた。マイナス改定は2008年度以来8年ぶり。診療報酬のうち、薬代の「薬価」はマイナス1%超とする。一方、診察料などの診療報酬本体は、小幅のプラスを軸に検討。厚生労働省と財務省が調整を進めている。

 前回の14年度改定では全体でプラス0・1%だったが、消費増税対応分として1・36%分を上乗せしていたため実質的に2回連続の引き下げとなる。ただ、08年度からプラスが続く本体部分は今回も切り込まない。

 政府は6月に決めた経済財政運営の指針(骨太の方針)で、高齢化に伴う社会保障費の国費分の自然増を今後3年間で1兆5千億円とする目安を設けた。財務省はこれを受け、厚労省が来年度予算で概算要求した増加幅の6700億円のうち1700億円ほどを削る方針。来年度は年金や介護で大きな見直しがなく、主に診療報酬の削減でまかなう考えだ。

 薬は仕入れ値が徐々に下がるため、薬価は改定ごとに下がる。厚労省は4日、薬の市場価格が9月時点で公定価格より平均8・8%安いとの調査結果を公表した。政府は国費ベースの差額分約1500億円を削る方向で調整。薬価はマイナス1・4%ほどになる。

 安倍政権が企業に賃上げを求める中で医師らの給料も上げる必要性から、医師の人件費につながる本体部分は日本医師会や厚労族議員らがプラス改定を強く要求。政府は小幅のプラス改定で調整するが、薬価のマイナス幅は上回らない。

 残る削減分は、中小企業の会社員らが入る公的医療保険「協会けんぽ」への補助金を減額して対応する案を検討。景気の回復基調で財政が好転し、来年度の国の補助金が400億円ほど減る見通しのためだが、一時的な財源にすぎない。(小泉浩樹、奈良部健)

 

【診療報酬】 医療機関が行う診療行為の公定価格で、診察料や手術料、入院料などの「本体」と薬代の「薬価」がある。改定は原則2年ごと。改定率がマイナスだと医療機関の収入が減り、財源となる公費や保険料、原則1~3割の患者の窓口負担も減る。マイナス1%なら年間で国費は約1110億円、窓口負担は約540億円減る計算だ。過去最大の下げ幅は小泉政権時の2006年度のマイナス3・16%で、「医療崩壊」を招いたと批判された。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/381063?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151205&dcf_doctor=true&mc.l=133942173
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
門前薬局から、かかりつけ薬局・薬剤師への転換迫る
「対物から対人へ」「立地から機能へ」

2015年12月5日 (土)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は12月4日の会議で、調剤報酬について議論、かかりつけ薬局・薬剤師を評価する一方、門前薬局に規制をかける方針で合意した(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 保険薬局の調剤報酬は従来、「対物業務」、つまり備蓄品目などの体制が評価されてきたが、今後は服薬情報の一元的・継続的管理などの「対人業務」を評価する方向に転換する。薬局という事業体ではなく、「人」、つまり、かかりつけ薬剤師の業務を包括的に評価することも検討され、医科での主治医機能を評価した「地域包括診療料」のようなイメージの要件での点数設定も想定される。

 一方で、門前薬局については、処方せん枚数が多く、かつ特定の医療機関からの処方せんの集中率が高い場合、低い調剤基本料しか算定できないが、さらにその対象を拡大する上、かかりつけ機能を担っていない薬局についても評価を下げる方針。

 日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏は、調剤報酬の改定方針に同意し、「患者本位の医薬分業」を進めるため、「門前薬局から、地域のかかりつけ薬局」へと進めていく必要性を認め、2025年の地域包括ケアシステムにおける必須の一員として、薬剤師が、かかかりつけ機能などの役割を果たしていくとした。具体的な改定項目についても、慎重な検討を求める項目はあったが、全面的に否定した項目はなかった。ただし、調剤・監査業務は、医薬品を適切に取り扱い、調剤過誤の防止には重要であり、「対人業務の充実に当たって、対物業務にマイナスにならないよう、慎重な対応をしてほしい」と要望した。

 日薬以外の委員も、調剤報酬の改定方針を支持。日本医師会副会長の中川俊男氏は、大手薬局チェーンとそれ以外では、収益構造が大きく異なることから、分けて考えるべきとした上で、「今回の改定に対して、2つの柱を提案したい」と発言。柱の一つは、厚労省が提案したように、薬局の体制を評価している今の調剤報酬体系を見直し、かかりつけ薬剤師を評価する体系への変更。もう一つの柱は、医科と調剤で異なる点数があり、整合性を図る必要性だ。その実現に向け、「薬剤服用歴管理指導料」をかかりつけ薬剤師の役割として評価するほか、かかりつけ薬局機能を評価する「基準調剤加算」や「調剤料」などの見直しを提言した。

 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「ようやくここに至って、(薬剤師の)専門性が発揮される時代になった」と受け止め、「原点に立って、さまざまな加算を一度、洗い出すことが必要ではないか」とコメント。服用歴管理など、本来、薬剤師・薬局が担うべき機能は、加算ではなく、包括して評価すべきとの指摘だ。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「今回提示された資料で、印象に残ったのはこの数字だ」と述べ、福岡市薬剤師会が取り組んでいる「節薬バッグ運動」で、次回来局時に残薬を入れて持参してもらい、残薬確認と調整を行う取り組みで、処方された薬剤費の約20%削減できた点に着目。「この推進に向け、薬剤師の業務として要件化していくことが必要」と述べたほか、中川氏と同様に、「基準調剤加算」の見直しを求めた。


12月4日の中医協総会は、薬価調査の結果なども公表された(『薬価調査、平均乖離率は8.8%、前回より増加』を参照)
 「患者本位の医薬分業」は政府方針
 調剤報酬についてさまざまな観点からメスが入るのは、今年6月に閣議決定した規制改革実施計画で「調剤報酬の抜本的見直し」「門前薬局の評価の見直し」などが、「骨太方針2015」では「服薬管理や在宅医療等への貢献度による評価や適性化を行い、患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」などの方針が、それぞれ打ち出されたからだ。今年10月の厚労省の「患者のための薬局ビジョン」でも、「かかりつけ薬剤師・薬局」の推進が打ち出され、(1)服薬情報の一元的・継続的把握、(2)24時間対応・在宅対応、(3)医療機関等との連携――という3つの機能を担うべきとされた。

 今後、累次にわたる改定で対応していくことが求められており、2016年度改定がその第一歩となる。同改定の柱は4つだ。

1. 患者本位の医薬分業の実現に向けて
2. かかりつけ薬剤師・薬局の評価
 かかりつけ薬剤師の評価/かかりつけ機能を有する薬局の評価(基準調剤加算)
3. 対人業務の評価の充実
 薬剤服用歴管理指導料の見直し/継続的な薬学的管理/減薬等のための処方内容の疑義照会に対する評価/調剤料の適正化
4. いわゆる門前薬局の評価の見直し
 調剤基本料の適正化/未妥結減算/かかりつけ機能を有していない薬局の適正化

 「点数引き下げ」で患者にインセンティブ
 中でも注目されるのが、今改定で新たに導入される「かかりつけ薬剤師」の評価と、「かかりつけ薬局」の在り方の見直し。

 「かかりつけ薬剤師」については、「薬剤師が医師と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握する業務を評価」する方針。備蓄品目や調剤・監査業務の「物」にまつわる評価ではなく、患者への直接対応を評価する点数が想定される。

 「かかりつけ薬局」に関しては、従来から「基準調剤加算」で評価され、備蓄品目などのほか、2014年度改定では、在宅薬剤管理のほか、24時間の調剤体制が要件として加わった。在宅業務の充実などの要件がある「基準調剤加算2」と、要件を緩和した「基準調剤加算1」がある。2016年度改定では、(1)在宅訪問の実績要件をさらに求める、(2)開局時間、相談時のプライバシーに配慮した要件の追加、24時間対応に関する実態に即した要件の明確化、(3)一定時間以上、勤務する薬剤師の配置を加算の要件に追加、(4)薬局の施設基準やサービス内容についての患者への情報提供の推進――などを実施する方針。

 さらに、厚労省は「患者が同じ薬局に、お薬手帳を持参して、繰り返し来局するインセンティブを与えるため、2回目以降に手帳を持参して来局する場合、薬剤服用歴管理指導料を低くする」という、ユニークな改定も提案。従来の改定では、「加算」という薬局へのインセンティブを付けてきたが、これは負担軽減という患者へのインセンティブになる。「これまでとは違う、逆転の発想。その趣旨を患者に理解してもらうことが必要」(安部氏)。

 「かかりつけ薬剤師」については、まだ要件が固まっておらず、「具体的なイメージがわかない。要件を示してもらいたい」(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理の石山恵司氏)との発言があった程度だが、厳しい目を向けられたのは、「基準調剤加算」。

 日本医師会常任理事の松本純一氏は、「かかりつけ機能」を持つことが当然であるとし、「かかりつけ薬剤師がいない薬局は、基準調剤加算の算定対象外とすべき」などと指摘したほか、病院の病棟業務に従事する薬剤師の評価よりも、薬局薬剤師の評価が甘くならないよう、くぎを刺した。

 中川氏は、「基準調剤加算」を抜本的に見直し、「かかりつけ薬局」の機能を満たすよう、厳格化を求めた(詳細は後述)。幸野氏も、服薬指導や服用歴管理などが薬局の本来業務であるなら、「薬剤服用歴管理指導料」と「基準調剤加算」の統合が、将来の目指す方向であるとした。

 門前薬局の規制、「24時間対応」でも対象に
 調剤基本料は41点だが、門前薬局では25点と低い点数しか算定できない特例がある。対象は、従来は「処方せん受付回数月4000回超、かつ特定の医療機関からの集中率70%超」だったが、2014年度改定で「月2500回超、かつ集中率90%超」が追加された。

 これらに該当する場合でも、「24時間開局している薬局」は除外されるが、2016年度改定では、この除外規定を廃止するほか、特例の対象を拡大する方針。医薬品購入において妥結率が低い薬局(毎年9月末の時点で50%以下)の調剤技術料を減算する仕組みも、2014年度改定で導入されたが、妥結率の基準をより高くし、減算対象を拡大するほか、かかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていない薬局の評価も見直す。

 安部氏は、基本的な方針は支持したものの、処方せん受付回数という薬局の「規模」と「集中率」で規制する場合、1つの薬局を、複数の薬局に分けて対応するケースがあり得る一方、地域によっては「集中率」が高くならざるを得ない場合もあるとし、門前薬局規制の基準設定の際には、「丁寧な配慮が必要」と求めた。また、「かかりつけ機能に係る業務」の有無による門前薬局の規制は理解し得るものの、「かかりつけ薬剤師」という概念は今改定で新たに議論されるものであり、「時期尚早だ」とした。

 幸野氏は、小さな薬局でも、大手薬局チェーンが経営している場合もあるとし、処方せん受付回数の多寡によらず、「集中率」が高い薬局に対して、規制を加えるべきと指摘した。

 「節薬バッグ運動」で薬剤費20%削減
 幸野氏が注目した、福岡市薬剤師会の「節薬バッグ運動」は、薬局で同意が得られた患者に対し、「節薬バッグ」を渡し、次回来局時に残薬を入れて持参してもらい、残薬確認と調整を行う取り組み。2013年2月から2014年1月までの間では、薬局127、患者1367人が参加・協力、処方された薬剤費は約1659万円、削減された薬剤費は約349万円、削減率は21.05%だった。同様の取り組みは、鹿児島県でも2013年4月から実施している。

 幸野氏は、他の地域でも横展開していくべきと求めたのに対し、このデータに異議を唱えたのは、日医副会長の松原謙二氏。「5分の1もの薬が、余計に出ていることは、にわかには信じがたい」と指摘し、長期投薬の場合に残薬が起きやすいとし、是正すべきは、むしろ長期投薬であるとした。

 「調剤料、1調剤当たりの定額にすべき」
 日医の中川氏が提案した「2つの柱」とは以下のような内容だ。

 まず「調剤報酬の議論をする場合に、全てを一括して議論するのは難しい」と指摘。その理由として、大手調剤薬局チェーン4社の2014年の純利益の合計は139億円、内部留保の増加額は120億円、配当は約26億円に達するという数字を挙げ、株式会社の薬局が公的医療保険の中に並存していること自体も議論の対象となり得るとした。

 その上で、(1)薬局の体制を評価している調剤報酬を抜本的に見直し、かかりつけ薬剤師を評価する、(2)医科の診療報酬と整合性がない調剤報酬の是正――という二つの柱を提案した。

 (1)に関連して、「基準調剤加算」については、備蓄品目を要件の一つとしているが、地域密着型のかかりつけ薬剤師が医療機関と連携していけば、必要品目を絞り込むことができると指摘。同加算は、大手調剤薬局チェーンでは、約9割が算定しているのに対し、全国平均では約6割にとどまる。「大手に有利な加算」であるとし、「基準調剤加算」を抜本的に見直し、かかりつけ薬剤師を評価する報酬の設定を提言した。

 (1)と(2)の両方に関連する点として、「薬剤服用歴管理指導料」と「調剤料」などを挙げた。院内処方の場合、医科の院内処方では、「薬剤情報提供料」(10点)と「手帳記載加算」(3点)は月1回算定できるのみだが、「薬剤服用歴管理指導料」は調剤のたびに算定できる(手帳記載あり41点、なし34点)。中川氏は、今年初め、薬剤服用歴未記載でも同指導料を算定しているケースが問題になったことも指摘(『薬歴未記載81万件「保険制度への影響大きい」』を参照)。「薬剤服用歴管理指導料」の医療費は、年間約2900億円に上るという。「そもそも薬剤に関する情報提供は、かかりつけ薬剤師の本来業務ではないのか。これを大前提として、かかりつけ薬剤師が、患者の服薬管理を一元的・継続的に管理した場合のみに評価することとしてはどうか」と中川氏は提案。

 「調剤料」は、医科(院内処方)は何剤投与しても9点の定額だが、調剤の場合は、1剤に付き、7日目以下の分が1日5点(内服薬)、8日以上14日分までは1日4点、15日以上21日分までは定額71点など、段階的に高くなる。調剤料(内服薬)は年間約7100億円と推計されるが、医科の9点で計算すると約4800億円になる。そのほか「一包化加算」が医科にないことも指摘。「調剤という行為は、薬局と医科で同じであり、調剤料は同じであるべき」などとし、「薬局の調剤料は、1調剤当たりの定額としてはどうか」と提案した。

 そのほか中川氏は、薬剤服用歴未記載問題について、まだ結論が報告されていないとし、厚労省にその後の対応を質した。厚労省保険局医療課医療指導監査室長の鈴木健彦氏は、「6月の段階では、関係団体から報告で、1220店の薬局において未記載があった。そのほか、厚労省への未記載に関する自主点検報告があり、合計で1491店となっている。その後、各地方厚生局に対し、薬歴未記載に関する返還作業の手続きを指示し、薬歴未記載以外の保険薬局に対し、薬剤服用歴管理指導料の算定要件を再確認するよう周知するとともに、9月から10月の上旬にかけて未記載の保険薬局に対し、未記載事例にかかる調剤報酬の返還を要請している。11月末現在1130店の薬局から返還関係の書類が提出されている」と回答した。



http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20151205ddlk43040292000c.html
予防接種ミス:インフルで接種ミス 菊池の医療機関 /熊本
毎日新聞 2015年12月05日 地方版

 菊池市は4日、市内の医療機関で、インフルエンザの予防接種を受けに来た女性(62)に対し、成人用肺炎球菌ワクチンを接種するミスがあったと発表した。女性の健康状態に異常はないという。

 市によると、女性は11月19日に来院して誤って成人用肺炎球菌ワクチンを接種された。医療機関が問診票にワクチンのシールをはる際に間違いに気付き、その日のうちに女性に謝罪したという。【出口絢】



https://www.m3.com/research/polls/result/28?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151205&dcf_doctor=true&mc.l=133942174
意識調査
結果産業医と面談した経験は?労働と健康問題

カテゴリ: 現場の思い 回答期間: 2015年11月24日 (火)~30日 (月) 回答済み人数: 2178人

今年12月に労働安全衛生法が改正され、従業員数50人以上の事務所にストレスチェック制度が義務化されるなど、産業医や職場での健康の在り方が注目されています。2015年11月24日に開催された第63回日本職業・災害医学会学術大会のシンポジウム「働く女性を支援する」では、働く女性の健康支援の一環として、産業医面談や職場の健康診断の重要性が指摘されました(『女性の仕事と健康、「産業医や健診、法整備が重要」』を参照)。

労働と健康について、患者だけでなく、労働者である医療従事者の意識も高めることが重要です。夜間勤務や不規則な勤務が多い医療従事者の方の職場での労働と健康問題についてお伺いします。
 医療従事者は労働者としての意識が低く、自らの健康管理に無頓着――。そんな声が医療界からしばしば聞こえてきます。実際にm3.com会員はどのような労働環境で、どんな労務管理を受けているのでしょうか。2015年12月のストレスチェック制度開始に合わせて本調査を実施しました。

 結果を見ると、特に医師の長時間勤務は顕著で、6~7割が月100時間以上の超過勤務があると回答。しかし、産業医の面談を受けたのは、わずか数パーセントでした。2~3割は現在、産業医として仕事をしており、医師として他の労働者の健康に気遣う生活をしながらも、ご自身の労働と健康の問題について意識が高い人は少ないと言えそうです。ストレスチェック制度について知っていると答えたのは、全体の約半数を占めました。

 回答総数は2178人、開業医 417人、勤務医1405人、歯科医師3人、看護17人、薬剤師244人、その他の医療従事者92人でした。詳細な結果は下記の通りです。

 労働安全衛生法では、「時間外の労働時間」が1カ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者は、産業医による面談が必要とされています。この基準に該当すると答えた(「ほとんど毎月」、「年に半分以上」、「時々」の合計)のは、804人で、全体の約4割を占めました。職種別では、開業医(65%)と勤務医(75%)で割合が高く、特に「ほとんど毎月超える」と回答した人はともに16%に上るなど、長期間にわたり長時間勤務されている方も多いようです。「ほとんどない」「全くない」と答えたのは2178人でした。

 医師を対象に、現在産業医としての仕事をしているかを尋ねた質問では、開業医の36%が該当すると回答。勤務医でも19%に上りました。常勤の勤務先に務めている方よりも、非常勤で勤務されている方が多いようです。

 義務化が始まったストレスチェック制度について、「知っている」と「知らない」の回答者数はそれぞれ1082人と1096人でほぼ拮抗しました。勤務医や薬剤師で「知らない」とする回答が多い傾向にありました。

 本調査へのコメントは、引き続き募集中です。本ページ最下部の「コメントする」から、ご意見、ご感想をお寄せください。
Q1 労働安全衛生法で労働者は、「時間外の労働時間」が1カ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる場合、産業医による面談が必要とされています。この基準に該当する勤務を経験したことはありますか。
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開業医 : 417人 / 勤務医 : 1405人 / 歯科医師 : 3人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 244人 / その他の医療従事者 : 92人
※2015年11月30日 (月)時点の結果

Q2 産業医による面談を受けたことはありますか
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開業医 : 417人 / 勤務医 : 1405人 / 歯科医師 : 3人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 244人 / その他の医療従事者 : 92人
※2015年11月30日 (月)時点の結果

Q3 現在、産業医としての仕事をしていますか?(医師の方に質問)
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開業医 : 417人 / 勤務医 : 1405人 / 歯科医師 : 3人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 244人 / その他の医療従事者 : 92人
※2015年11月30日 (月)時点の結果

Q4 12月から義務化されるストレスチェック制度についてご存じでしょうか。※ストレスチェック制度や、これまでの回答の理由・ご意見について、「回答する」ボタンを押した後のページ下、コメント欄にご記入ください。
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※2015年11月30日 (月)時点の結果


  1. 2015/12/06(日) 05:56:29|
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