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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月28日 

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151128-OYT1T50062.html
医師の偏在解消へ、医学部「地域枠」の拡大検討
2015年11月28日 17時53分 読売新聞

 医師が都市部に偏り、地方や診療科によっては不足していることについて、厚生労働省は、改善策を議論する検討会を年内に設置する。

 大学の医学部を卒業した後に地元で働くことを条件とする「地域枠」の拡大をするかどうか検討する。一方で、全国的には医師は増加傾向にあるため、2018年度以降の大学医学部の定員についても、16年度中に方向性を打ち出す。

 医師の数は増え続けており、12年には30万3268人となっている。しかし、04年度に研修医が病院を自由に選べるようになった影響で、地方や診療科によっては医師不足が深刻化した。

 政府は、医師が将来は過剰になるとの推計をもとに医学部の定員を抑制する方針だったが、08年度から方針を転換。全国の医学部の入学定員は、07年度に比べ15年度は1509人増加している。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO94494560X21C15A1L41000/
北海道のせたな町、医師の奨学金未返済分 無利子で貸し付け
2015/11/28 10:59 日本経済新聞

 檜山管内のせたな町は医師が大学時代に借りた奨学金の未返済分について、同額を無利子で貸し付ける制度を設ける。町立の医療機関に一定期間勤務すれば、返済を一部免除する。同町は町立病院と、2カ所の診療所を経営しているが、医師が不足しており、新制度で医師を確保する。

 対象は現役医師。町立医療機関で一定期間勤めることを条件に、借りている奨学金の未返済分に対し、全額貸し付けを受けられる。返済期間は10年以内。契約期間を満了すれば貸付額の3分の1の返済を免除する。第1弾として町外で働く男性医師に貸し付けを行う予定。来年4月には町立病院の常勤医に採用する。

 道によると、現役医師が他の組織から借りた奨学金を貸与する制度は道内の自治体で初めてという。厚生労働省の担当者は「同様の制度の存在はこれまで聞いたことがない」と話している。



http://www.asahi.com/articles/ASHCW5HW5HCWULFA021.html
千葉・成田に医学部新設決まる 例外除き38年ぶり
大内奏
2015年11月28日18時39分 朝日新聞

 政府は27日、国家戦略特区に指定している千葉県成田市に、医学部を新設する計画を正式に認めた。成田空港との近さをいかした国際水準の医師の育成や、外国人患者を受け入れる「医療ツーリズム」の拡大を目指す。2017年4月に開設する予定。

 新設されるのは、国際医療福祉大学(栃木県)の医学部。医学部の新設は、東日本大震災からの復興目的で特例的に認められた東北薬科大(16年4月開設)をのぞくと、38年ぶりとなる。教員200人以上のうち10人以上を外国人とし、学生も定員140人のうち20人を留学生とする。大多数の科目で英語の授業を行うほか、全ての学生が海外での臨床実習を最低4週間受ける。

 20年には付属病院を成田市内につくり、10カ国以上の外国人患者を受け入れる計画。人間ドックや先端医療と、首都圏の観光をセットにして外国人を呼び込む考えだ。(大内奏)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=127075
日本の医学教育レベル、国際基準で評価へ
(2015年11月28日 読売新聞)

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 大学の医学教育が国際基準を満たしているかどうかを評価する一般社団法人「日本医学教育評価機構(JACME)」が、12月に発足する。

 日本の医学教育は、大学ごとにカリキュラムが決められ、医学教育の質を担保する明確な基準と評価システムがなかった。初めて第三者の目で統一的に審査し、医学部を持つ全国80の国公私立大などの医学教育の底上げを図る。

 同機構は、文部科学省の支援を受け、全国医学部長病院長会議が主導して発足。高久史麿・日本医学会会長が理事長に就任する。

 審査は、世界保健機関(WHO)の下部組織「世界医学教育連盟」などが設ける国際基準に基づいて来年度以降に始める。具体的には、▽診療現場に出る臨床実習が、全カリキュラムのおおむね3分の1(約70週)を確保しているか▽学生や教員が議論するなど主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」を導入しているか――など計72項目にわたる。

 項目ごとに「適合」「部分適合」「不適合」の3段階で評価し、国際基準を満たしている場合には、同機構が大学に認定を与える。結果は公表され、認定は7年間有効となる。

 米国は2010年、海外の医学生が卒業後の臨床研修を23年以降に米国内で受ける場合、国際基準を満たした医学部の卒業生に限ることを、各国に通告した。米国での臨床研修を受ける日本人は卒業生全体の約1%(年間80人程度)だが、大学が国際基準に認定されないと、海外で医師として活動を希望する優秀な学生を集めにくくなる恐れもある。

 日本の医学教育は、臨床実習の時間が短く、講義も受動型といわれる。その結果、一般に日本と米国の医学部卒業生の間では、卒業後の臨床研修2年間ほどの経験の差があるとされる。

 同機構の理事に就任する奈良信雄・順天堂大特任教授は「米国の通告は、日本の医学教育にとっての『黒船』。これを外圧ととらえず、国際的に通用する医学教育を普及させる転機と考えたい」と話す。



http://mainichi.jp/area/mie/news/20151128ddlk24040094000c.html
志摩市民病院:医師3人退職へ 市長「存続へ努力」 /三重
毎日新聞 2015年11月28日 地方版

 志摩市民病院(同市大王町)の常勤医師4人のうち、大和俊信院長(58)ら3人が「一身上の都合」などを理由に辞表を提出し、来年3月末に退職することが分かった。大口秀和市長は「医師確保に努め、病院存続のために頑張りたい」と述べた。

 同病院は2012年4月には7人の常勤医師が在籍していたが、次第に減少。ここ数年は1億円を上回る赤字が続いており、指定管理者の募集を行ったが応募がないなど、運営を巡る混乱が続いていた。医師の補充ができない場合は、総合診療を担当する30代の男性医師だけとなる。

 現在の診療科目は外科、内科、整形外科、リハビリテーション科で、40床の療養病棟を運営する。非常勤医師は3人いる。【林一茂】

〔三重版〕



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=127060
腹腔鏡手術、5病院で高い死亡率…10例に医学的問題
(2015年11月28日 読売新聞)


 群馬大学病院で肝臓の腹腔鏡手術後に患者の死亡が相次いだ問題を受け、日本肝胆膵外科学会が、全国の主な病院で行われた肝臓と膵臓の腹腔鏡手術の成績を調べたところ、死亡率が4%以上と高率の病院が五つあることが27日、わかった。5病院の死亡例10例の診療経過にいずれも何らかの問題があったことから、同学会は各症例をさらに精査し必要があれば指導を行う方針で、年内に結論を出す。

 群馬大の問題発覚後、同学会は昨年11月~今年1月、肝胆膵分野の高度な手術を担う病院として学会が認定している全国約210病院を対象にアンケートを実施した。2011年から4年間に行われた肝臓と膵臓の腹腔鏡手術の死亡率などを調査。死亡率が5%前後と群馬大の死亡率(8・7%)に近い高率と考えられる5病院に対し、死亡例の診療経過に関する詳細な報告を求めた。

 学会が設置する安全管理委員会が死亡例10例について、手術に適しているかどうかの判断や手術の技術、術後管理のあり方を検証したところ、何らかの医学的問題が見られたという。

 同学会は今後1か月かけ、死亡例をさらに精査。問題が大きいと判断されれば、高度な手術を担う病院としての学会の認定を取り消すことも含め、処分や指導を行う見通しだ。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=127061
死亡率8%超2病院、「高難度」認定更新認めず
(2015年11月28日 読売新聞)

 日本肝胆膵外科学会が、開腹も含めた肝臓と膵臓の高難度手術で死亡率が8%を超える2病院に対し、肝胆膵分野の高度な手術を担う病院としての認定更新を認めなかったことがわかった。

 この2病院ほどではないものの、死亡率が5%を超えた病院も6病院あり、今後、指導を検討する。うち2病院は、腹腔鏡手術の死亡率が4%以上と高率の5病院にも含まれていた。

 同学会の認定病院は毎年度、開腹か腹腔鏡かといった手術方法を問わず高難度手術の成績を学会に報告しているが、群馬大の問題を受け、同学会は、改めて12~14年度の各病院の報告を調査していた。その結果、2病院は死亡率が8%を超え、死亡例の診療内容にも問題があった。

 群馬大での開腹及び腹腔鏡による手術の死亡率は10%を超えていた。問題を受け、群馬大と、同様の問題が起きた千葉県がんセンターは認定が取り消されている。



https://www.m3.com/research/polls/result/27?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151128&dcf_doctor=true&mc.l=133075867
意識調査 結果
医療者自身の服薬コンプライアンスは?【薬剤師会員からの質問】

カテゴリ: 医療 回答期間: 2015年11月17日 (火)~24日 (火) 回答済み人数: 4520人

 今回は、m3.comの薬剤師会員からの質問です。医療従事者、ご自身の服薬コンプライアンスについて尋ねた質問で、「医療者は患者に対し、とかく服薬コンプライアンス維持を要求するが、医療者自身が患者の場合、自身で実行することはなかなか難しいことが多い。この部分について「医者の不養生」になっていないかを調査したい」とのことです。


風邪に罹患、医師で「必ず服薬」は2割以下

 今回は、医療者自身の服薬に対する意識についてお伺いしました。風邪をひいた時、インフルエンザに罹患した時、生活習慣病になった時の3つの状況で、「必ず服用する」「服用しない」「場合による」の中から選んでいただきました。全体で見ると「必ず服用する」と答えたのが多かったのは、「インフルエンザ」「生活習慣病」「風邪」の順番となりました。

 インフルエンザでは概ね7~8割が「抗インフルエンザ薬」を服用すると答えましたが、生活習慣病では、「必ず服用」は4割弱から5割強に。風邪では1割から3割とバラつきがありました。特に、生活習慣病にかかった時、薬物治療を行うかどうか、医療従事者でもその判断は迷うようです。

 風邪の時に「必ず服用する」と答えた割合が高かったのは、「その他の医療従事者」で28%、最も少なかったのは「勤務医」で13%でした。風邪は「服薬しない」を選ぶ割合も高く、特に勤務医の20%は「服用しない」を選び、「必ず服用する」が「服用しない」よりも少ないという結果になりました。

 インフルエンザの時、「抗インフルエンザ薬を服用する」と答えた割合が高かったのは「看護師」で88%、低かったのは「歯科医師」で69%でした。高血圧などの生活習慣病でも同じ傾向で、「必ず服用する」の割合が高かったのは「看護師」で55%、低かったのは「歯科医師」で37%でした。

 最後に、服薬コンプライアンス維持のための工夫を尋ねました。あると答えたのは16%~27%で、歯科医師の割合が高い結果となりました。

 具体的な工夫の中身は、コメント欄で回答を募りました。多かったのは、「食卓など目につく所に置く」「事前に準備」「容器を工夫」「回数を減らす」「携帯アプリを使う」などの工夫。「薬の効果により、重要なものはキチンと飲むが、やはり忘れることはあるのが人間である」(医師)といった、薬の重要度が高ければ忘れないという意見もありました。

 生活習慣病に関しては、「高血圧などの生活習慣病になったら夜勤の多い今の職場を辞めて、生活習慣を正すことから始めます。生活習慣病の薬は崩れた生体機能を化学物質により矯正するものなので、生活習慣を正してもなお、高血圧などが続いたら、薬を飲み始めます。降圧剤などは特に、飲んだり飲まなかったりが一番生体にとって悪いので、飲み始めたら絶対に服薬順守します」(薬剤師)、「自分が媒体となって患者にうつすようなことがあってはならないと考えているので、インフルエンザに関しては、内服は絶対します。ほかの生活習慣病等に関しては、薬より先に食事療法を試してみたりします。それでも検査データが悪化するようであれば、あきらめます」(看護師)といった声もありました。

回答者総数は、4520人。開業医715人、 勤務医2447人、歯科医師51人、看護師150人、 薬剤師878人、その他の医療従事者279人でした。

 本調査へのコメントは、引き続き募集中です。本ページ最下部の「コメントする」から、ご意見、ご感想をお寄せください。

Q1 風邪を引いたら薬を服用しますか
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必ず服用する (757人)服用しない (742人)場合による (3021人)
セグメント   必ず服用する 服用しない 場合による
開業医     139      78      498
勤務医     317      506      1624
歯科医師    14      7       30
看護師     37      19      94
薬剤師     173      96      609
その他の医療従事者 77    36      166
開業医 : 715人 / 勤務医 : 2447人 / 歯科医師 : 51人 / 看護師 : 150人 / 薬剤師 : 878人 / その他の医療従事者 : 279人
※2015年11月24日 (火)時点の結果

Q2 インフルエンザに罹患したら、薬を服用しますか
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抗インフルエンザ薬を…その他の医薬品を服用…基本的に何も服用しない(538人)
セグメント   抗インフル  その他の医    基本的に
        薬を服用する 薬品を服用する 何も服用しない
開業医     615      40       60
勤務医     1929     183        335
歯科医師    35      8         8
看護師     132      5        13
薬剤師     721      74       83
その他の医療従事者 223    17       39
開業医 : 715人 / 勤務医 : 2447人 / 歯科医師 : 51人 / 看護師 : 150人 / 薬剤師 : 878人 / その他の医療従事者 : 279人
※2015年11月24日 (火)時点の結果

Q3 高血圧などの生活習慣病に罹患したら、薬を服用しますか
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必ず服用する (2278人)服用しない (206人)場合による (2036人)
セグメント     必ず服用する 服用しない  場合による
開業医       415      15      285
勤務医       1231      114      1102
歯科医師      19        8        24
看護師       83        2        65
薬剤師       421      37      420
その他の医療従事者 109      30      140
開業医 : 715人 / 勤務医 : 2447人 / 歯科医師 : 51人 / 看護師 : 150人 / 薬剤師 : 878人 / その他の医療従事者 : 279人
※2015年11月24日 (火)時点の結果

Q4 ご自身の経験で、今まで服薬コンプライアンスを守っていますか?
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完全に守っている(482人)ほとんど守っている(2250人)どちらとも言えない(1344人)ほとんど守っていない(374人)全く守っていない(70人)
セグメント    完全に守っ  ほとんど  どちらとも  ほとんど   全く
         ている    守っている 言えない   守っていない 守っていない
開業医      104     400     167     38       6
勤務医      278     1230     725     171      43
歯科医師     1       28       15       5       2
看護師      13       78       45      14       0
薬剤師      66       369     301     126      16
その他の医療従事者 20      145     91      20       3
開業医 : 715人 / 勤務医 : 2447人 / 歯科医師 : 51人 / 看護師 : 150人 / 薬剤師 : 878人 / その他の医療従事者 : 279人
※2015年11月24日 (火)時点の結果

Q5 ご自身の服薬コンプライアンス維持のための工夫はありますか? ※工夫の中身や、これまでの回答の理由・ご意見について、「回答する」ボタンを押した後のページ下、コメント欄にご記入ください。
112806.jpg
ある (891人)ない (3629人)
セグメント    ある       ない  
開業医      156       559
勤務医      411       2036
歯科医師     14        37
看護師      38        112
薬剤師      228       650
その他の医療従事者 44       235
開業医 : 715人 / 勤務医 : 2447人 / 歯科医師 : 51人 / 看護師 : 150人 / 薬剤師 : 878人 / その他の医療従事者 : 279人
※2015年11月24日 (火)時点の結果



http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151129-OYT1T50000.html
診療報酬、マイナス改定へ…1700億円を抑制
2015年11月29日 08時28分 読売新聞

 政府は、医薬品の値段(薬価)や、医師、薬剤師らの技術料の価格(本体)を見直す2016年度の診療報酬改定で、全体の改定率をマイナスとする方向で調整に入った。

 16年度予算編成の焦点である社会保障費の抑制は、目標とする約1700億円の抑制分をほぼ診療報酬のマイナス改定でまかなう考えだ。

 診療報酬改定はほぼ2年に1度実施される。全体の改定率がマイナスになれば8年ぶりだ。

 厚生労働省による16年度予算の概算要求では、医療、年金、介護などの社会保障費は15年度予算より約6700億円増える。要因は、高齢化や、医療が高度化していることなど様々だ。政府は財政再建を着実に進めるため、高齢化で避けられないとされる年約5000億円増にとどめる方針だ。



http://biz-journal.jp/2015/11/post_12646.html
連載  富家孝「危ない医療」
手術の下手な医師蔓延で、多くの患者が死亡という現実…医師だけ特別扱いは許されない

文=富家孝/医師、イー・ドクター代表取締役
2015.11.29 Business Journal


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「医療事故調査制度について」(厚生労働省HPより)

 この10月から「医療事故調査制度」がスタートした。これは、たび重なる医療過誤事件の原因究明と再発防止を目的としたもの。この制度によって、第三者機関「医療事故調査・支援センター」が設立され、医療機関は患者の死亡事故が発生した場合はセンターに届け出て、自ら院内調査を行う。その調査結果は遺族に開示され、遺族が納得できないときはセンターに再調査を依頼できるようになった。

 こうした第三者機関の設立は、医療過誤事件の被害者となった患者側にとっても、医療機関側にとっても一見すると「大きな前進」のようにみえるが、実情はとても「前進」とはいえない。
 なぜなら、制度スタートから1カ月あまり経った11月13日、センターを運営する日本医療安全調査機構が発表した事故は全国でたった20件にすぎなかったからだ。センターでは年間1000~2000件を想定していたので、まさに想定外なのである。
 また、寄せられた相談は250件で、その相談内容の4分の1は医療事故として届け出る必要があるかどうかというもので、事故そのものではなかった。
 こんな状況だから、現場の医者の関心・反応は本当に鈍い。私が聞きおよんだところでは、医師会や日本医療法人協会などがシンポジウムや説明会などを活発化させているにもかかわらず、「新制度は機能しない」と言う医者が多い。医者の関心は、事故を起こしてしまったとき、どう責任を取らされるかだが、新制度になってもこの点はまったく曖昧なままだからだ。

新制度の致命的欠陥

 医療は人間が人間に対して行う以上、事故は必ず起こる。それが、過誤(ミス)によるものかどうかを判定するのは、本当に難しい。当事者である医者側が口を閉じてしまえば、ほとんどが隠蔽されてしまう。
 そのため、第三者機関が必要なのだが、新制度ではその調査はまず院内で行われる。また、調査の対象になるのは「予期せぬ死亡事故」に限定されている。治療中などに死亡する危険性を患者に事前に説明していたり、カルテに記載していたりすれば、対象から除外することも可能で、その判断は医療機関に委ねられている。さらに、院内調査の報告書を遺族に提供するかどうかについても、任意とされた。
 結局、第三者機関による調査が行われるのは、院内調査の結果に納得できない遺族からの求めがあったときだけ。しかも、医療事故1件の院内調査には数十万円から100万円かかり、その調査費用は医療機関側が負担することになっている。

 これで、医療事故が本当に解明されるだろうか。

医者だけが例外は許されるべきではない

 じつは、新制度発足に当たって、被害者団体は遺族などが相談できる窓口をセンターに設置することを求めていたが、退けられてしまったのである。
 私は息子が医療事故に遭ったため、医者を訴える裁判を経験している。この裁判は医者が医者を訴える、しかも私は母校の医者を訴えたので、マスコミで大きく取り上げられた。
 しかし、残念ながら民事でも刑事でも敗訴した。その根底には「医療は本来不確実なもの。いくら過誤があっても刑事免責されるべきだ」という考え方があった。しかし、これは交通事故などで業務上過失致死罪が成立するのに比べたら、医者だけが例外にされていることになる。
 医療事故の多くはミスから起こるが、外科手術では手術が下手、あるいは未熟な医師が行い、死ななくてもいい患者が死亡してしまうことがある。去年、群馬大学病院で腹腔鏡手術により8人が死亡していた事件は、この典型である。群馬大では過失を認め、院内調査が行われて謝罪した。しかし、これは現場医師のせいにした「とかげの尻尾切り」であって、事故の真相解明は不十分だった。
 私は、事故の真相究明と責任追及は切り離すべきで、院内調査より第三者機関の調査を優先すべきだと考える。そうしたうえで、あくまで医学的な見地による真相解明を行い、その調査に基づいて患者側がいつでも訴訟を起こせるようにすべきだと考えている。
 そうしないと、事故を起こした医療機関は確実に口をつぐむ。それを防ぐためには、事故調での発言は免責するなどの処置も必要だろう。
 さらに、外科手術が下手、未熟な医者が手術を行って患者を死亡させた、などの場合は、確実に刑事罰を科すことだ。つまり、「下手くそ罪」のようなものをつくらないと、遺族は泣き寝入りするだけになる。運転が下手なプロのドライバーのクルマに乗って事故に遭った場合のことを考えてみてほしい。医者もドライバーも同じなのだ。
 しかし、今回の事故調制度では、当事者である医者側が「事故は予測不可能」と言うだけで、「免罪符」を手に入れている。「前進」と言うより、「後退」である。この制度は来年6月に見直しが行われることになっているが、厚労省も医師会ももっと患者側に立って制度を見直してほしい。
(文=富家孝/医師、イー・ドクター代表取締役)



http://www.sankei.com/region/news/151129/rgn1511290008-n1.html
手作り模型「巨大な胃」 倉敷・川崎医科大の「現代医学教育博物館」人気 岡山
2015.11.29 07:00 産経ニュース

 ■副館長「小学生も楽しく学べる」

 倉敷市にある川崎医科大の「現代医学教育博物館」が人気を集めている。見学者は年間約8千人。人気の理由は、人体模型など全てが職員の手作りによる展示で、楽しんで学べるように工夫が凝らされているためだ。

 高さ約2・5メートル、幅約5メートルある巨大な胃の模型には、がんや潰瘍などの病巣がリアルに作られている。胃がんは分類の仕方に合わせて4カ所あり、腫瘍の形も分類ごとの特徴を表している。胃の内部を見る疑似体験ができる人体の上半身の模型では、モニターを見ながら手元で胃カメラを操作できる。

 昭和56年の開館以来、来館者の声や世間の関心を反映して、展示内容を替えてきた。副館長の森谷卓也教授は「病気予防のコーナーを充実させ、小学生にも対応できるようにしています」と話す。

 腸に見立てたクッションを見学者が板に貼り付けて全長を実感する展示や、何秒でボタンを押せるかで反射神経を測定する機器もあり、楽しみながら医学に触れられる。

 職員が製作する展示は、最短でも約3カ月、手の込んだものでは約2年かかるものもある。特に病気や患部の説明や、模型作りには細心の注意を払う。

 館内には、主に医療関係者らに公開している専門性の高い別フロアもある。付属病院の患者から提供を受けて保存した臓器約1700点を展示。病状によって変わる心臓の鼓動を確認したり、採血の練習をしたりできる装置もあり、他大学の医学部の学生や看護師でも学べるようにしている。

 団体見学の場合は事前に連絡が必要。開館日など問い合わせは同医大を運営する川崎学園(電)086・462・1111。
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川崎医科大の「現代医学教育博物館」に展示されている、職員手作りの巨大な胃の模型。手前は副館長の森谷卓也教授=岡山県倉敷市


  1. 2015/11/29(日) 10:28:56|
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11月27日 

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015112700811
患者減り診療中止=肝移植5人死亡の病院-神戸
(2015/11/27-19:57)時事通信

 生体肝移植手術を受けた患者9人のうち5人が死亡した神戸国際フロンティアメディカルセンター(神戸市)は27日、患者の減少で診療体制を一時縮小すると発表した。いったん診療を中止するが、再開時期は未定という。
 同センターでは昨年11月の開院以降、今年6月までに患者5人が相次いで死亡。夏以降は生体肝移植を見合わせ、9月に移植再開を発表した。しかし、患者の数が想定を大きく下回り、「これまでの体制で病院事業を維持することがかなわなくなった」としている。 
 同センターの代理人弁護士によると、既に医師やスタッフを削減し、患者には転院などの措置を取ったという。今後は再建に向け、支援者を募集する方針。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20151127-OYT1T50069.html
がん報告、主治医が見落とし…患者2人治療遅れ
2015年11月27日 17時34分 読売新聞

 新潟県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)は26日、患者2人について、がんが見つかったとする検査結果をそれぞれの主治医が見落とし、治療の開始が遅れるミスがあったと発表した。

 同病院は患者と家族に経緯を説明し、謝罪した。

 同病院によると、昨年10月、胃がん手術をした新潟県燕市の70歳代男性が陽電子放射断層撮影(PET)検査などを受けた際、肝臓がんがあると分かった。

 しかしがんの所見が書かれた検査結果報告書について、検査部門と連絡ミスがあり、主治医は確認せず放置した。今年9月に男性が定期検査を受け、検査結果の見落としが発覚。男性は10月、肝臓がんの切除手術を受けて退院した。

 これを受け、同病院は医師が確認していない検査結果報告書を一斉点検した。新潟市の60歳代女性患者でも同様に検査結果の見落としがあったことが判明した。

 女性は4月に主治医が交代し、引き継ぎが不十分で、6か月間検査結果が確認されなかった。女性は現在経過観察を受けているという。

 佐藤信昭院長は「チェック態勢が甘かった。今後は医師に検査結果を強制的に確認させて再発防止に尽くしたい」と話した。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26HCG_X21C15A1000000/
体内に18年間ガーゼ放置 石川・能美の市立病院
2015/11/27 12:43 日本経済新聞

 石川県能美市の市立病院が、首の手術をした同県川北町の60代女性の体内にガーゼを18年間も放置するミスをしていたことが27日までに分かった。病院が市議会の委員会で報告した。ガーゼは体内で丸まり、周囲が腫瘍状になっていたが、既に病院が摘出した。

 病院によると、女性は1996年9月、交通事故で首を脱臼骨折したため、骨盤の上部の骨を削り取り、首の部分に移植する手術を受けた。その際、医師が止血のために約30センチ四方のガーゼを右腰に押し込み、取り出すのを忘れていたという。

 女性は今年に入って腰に違和感が生じるようになり、3月に痛みに変わったため、市立病院で受診。検査でガーゼが見つかり、周囲が13センチにわたり腫瘍状になっていた。18年前に手術を担当した医師は既に市立病院にいなかったが、連絡を受けて女性に直接謝罪したという。

 能美市立病院総務課の担当者は取材に「二度とこのようなことがないよう努めたい」と話した。〔共同〕



https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20151127_2
県内病床、25年に23%減 地域医療構想の素案示す
11月27日(金)岩手日報

 県は26日、2025年時点で必要な病院ベッド(病床)数を県全体で14年比3183床(23・0%)減とする地域医療構想の素案を県医療審議会医療計画部会(部会長・岩動孝県医師会副会長)に示した。高齢化を踏まえて限られた医療資源を効率的に活用し、医療費抑制にもつなげることが狙い。今後は病床機能の転換や在宅医療への移行を目指すが、民間病院の理解を得ることや在宅医療の充実をどう図るかが課題になる。 

 必要病床数は、入院患者数や「団塊の世代」が75歳以上となる25年の推計人口、病床稼働率を基に推計。14年は1万3859床だが、25年時点で必要なのは1万676床で、3183床が過剰になると試算した。

 内訳は救命救急や集中治療に対応する「高度急性期」が1053床、「急性期」が3055床、療養が必要な「慢性期」が938床それぞれ過剰となる。

 反対にリハビリや在宅復帰を担う「回復期」は2149床の不足と推計。急性期や慢性期から回復期へ病床機能の転換を求める。



https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20151127_10
「在宅医療の受け皿は」 県の病床削減構想で関係者ら
11月27日(金) 岩手日報

 県が26日、県医療審議会医療計画部会に出した地域医療構想の素案では、県内医療機関の入院ベッド(病床)数の大幅削減の必要性が示された。2025年時点で約3千床(14年比)が過剰との試算について、県は「あくまで目標値」と説明。だが、委員や医療関係者からは実現性に対する疑問や病床に代わる在宅医療を充実できるか懸念の声が上がっている。

 「在宅の受け皿が整わない場合は病床を維持するのか」「医療と福祉の連携を促す国のインセンティブ(刺激策)はあるのか」

 同日の医療計画部会では、医師や福祉関係者でつくる委員から在宅医療に関する質問が集中した。入院ベッド削減に代わる在宅医療の充実策が示されなかったためだ。

 現場の医療関係者の間でも不安の声が相次いでいる。関係者は「訪問看護師の絶対数が不足している。専門の知識や経験が必要とされ、責任も重いため志すことをちゅうちょする傾向がある」と人材確保の難しさを指摘する。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47439.html
地域医療構想、41都道府県で来年度半ばに- 厚労省調査
2015年11月27日 17時00分 キャリアブレイン

 今年4月に都道府県で策定作業が始まった2025年に目指すべき医療提供体制を実現するための施策などを盛り込んだ地域医療構想(ビジョン)について、41都道府県が来年度半ばまでに策定する予定であることが分かった。厚生労働省が26日に開催された「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に報告した調査結果=関連記事病床報告制度に地域医療ビジョンで追加項目=で明らかになった。【君塚靖】

 厚労省が実施した「都道府県の地域医療構想の策定の進捗状況」調査によると、ビジョンの策定時期については10月20日現在、20府県が今年度中を予定し、21都道府県が来年度半ばまでに策定するとしている。ビジョンは、都道府県の医療計画に追記することになっており、法律上18年3月までに策定するよう定めているが、厚労省は来年半ばごろまでに策定するのが望ましいとしている。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47449.html
次期改定での病棟群単位実現へ最後のお願い- 日病協が2回目の要望書提出へ
2015年11月27日 20時00分 キャリアブレイン

 12の病院団体で構成される日本病院団体協議会(日病協)は27日の代表者会議で、2016年度診療報酬改定に向けた要望書を、厚生労働省に提出することを決めた。日病協は7月にも要望書を出しているが、入院基本料を病棟群単位で届け出できるようにするといった見直しの必要性を改めて訴える“最後のお願い”で、その実現を目指す。また、新たに救急医療の評価の見直しなども求める。【佐藤貴彦】


 一般病棟入院基本料には、7対1や10対1といった区分があるが、原則として一つの病院で複数の区分を届け出ることが認められていない。日病協は、1棟以上の病棟で構成する病棟群ごとに、さまざまな区分の一般病棟入院基本料を届け出できるようにする仕組みを導入すべきだと主張している。

 要望書は来週にも提出する。7月に要望した項目のうち、入院基本料を病棟群単位で選択できる仕組みの導入のほか、患者の重症度を評価する「重症度、医療・看護必要度」の抜本的な見直し、診療報酬での維持期リハビリテーションの評価の継続など5項目の実現を、改めて要請する。

 さらに、救急医療の評価や、同一日に複数の診療科を受診した場合の評価、多職種連携による食事指導などの評価についても、16年度改定で見直すよう求める。

■大病院に生保受給者が殺到する!? 出席者が懸念

 この日の代表者会議では、16年度改定に向けた中央社会保険医療協議会(中医協)での検討状況に関する意見交換も行われた。会議終了後に記者会見した楠岡英雄・日病協議長は、紹介状を持たずに大病院を受診した患者に定額の支払いを求める新制度について、出席者から、生活保護受給者が大病院に殺到しないように施策を講じるべきとの意見があったことを明らかにした。

 同制度は来年4月にスタートするもので、中医協では、患者が公費負担医療の対象の場合などは支払いを求めない方向で検討が進んでいる。

 そのほか、DPC制度で入院費用が包括支払いになる期間のうち、点数が最も低い「入院期間III」を延長する方向性について、結果としてその期間の一日当たりの報酬額が減る可能性があることから、病院に及ぼす影響を調べて延長の是非を決めてほしいといった要望もあったという。

 また楠岡議長は、DPC対象病床に入院した患者の入院費用の計算方法が月をまたいで変わった場合、必要に応じて病院が診療報酬の請求をやり直すルールを新設する方向性についても、結果として病院の資金繰りに悪影響を及ぼすといった懸念が示されたことを紹介した。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47431.html
27病院、12月中データ加算を算定できず- 厚労省が通知
2015年11月26日 17時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、DPC対象病院など27病院に、12月中は「データ提出加算」の算定を認めないと地方厚生局などに通知した。7-9月分の患者データを、決まった形式で締め切りまでに提出しなかったため。【佐藤貴彦】

 データ提出加算は、既定の形式で患者のデータを定期的に提出する病院の評価。報酬額は病院の規模や提出するデータによって違うが、退院時に100-160点を算定できる。

 9月までの3カ月分のデータの締め切りは10月22日だった。通知の対象となった病院は以下の通り。

 愛心メモリアル病院(札幌市東区) ▽ 倶知安厚生病院(北海道倶知安町) ▽ 協立病院(同帯広市) ▽ 鶴岡協立病院(山形県鶴岡市) ▽ 蓮江病院(埼玉県久喜市) ▽ 国際医療福祉大三田病院(東京都港区) ▽ 鈴木病院(同江東区) ▽ 東急病院(同大田区) ▽ 東京北医療センター(同北区) ▽ 仁和会総合病院(同八王子市) ▽ 山本記念病院(横浜市都筑区) ▽ 身延町・早川町組合立飯富病院(山梨県身延町) ▽ 佐久市立国保浅間総合病院(長野県佐久市) ▽ メイトウホスピタル(名古屋市名東区) ▽ 豊橋医療センター(愛知県豊橋市) ▽ 大仙病院(堺市西区) ▽ 東和病院(大阪市東住吉区) ▽ うえだ下田部病院(大阪府高槻市) ▽ 堀病院(同泉南市) ▽ 合志病院(兵庫県尼崎市) ▽ 出雲徳洲会病院(島根県出雲市) ▽ 阿知須同仁病院(山口市) ▽ 田岡病院(徳島市) ▽ 寺沢病院(福岡市南区) ▽ ヨコクラ病院(福岡県みやま市) ▽ 新生会病院(北九州市八幡西区) ▽ 阿蘇温泉病院(熊本県阿蘇市)



http://mainichi.jp/select/news/20151128k0000m040148000c.html
厚労省:高齢者療養病床の代替、2案示す
毎日新聞 2015年11月27日 22時20分

 厚生労働省は27日、有識者による「療養病床の在り方等に関する検討会」に、新たな高齢者向け施設の設置を提案した。容体の安定している患者の多い療養病床について、政府は医療費抑制のために大幅削減する方針を打ち出しており、新施設はこれに代わる高齢者の受け皿となる。

 厚労省は2案を提示。一つは施設内に医療機能があり、医師や看護師が常駐する特別養護老人ホームのイメージ。当直体制を取り、夜間や休日に症状が悪化しても、すぐに診察を受けられる。もう一つは医療機関と住まいの併設型で、住宅と医療機関が同じ敷地内にある。いずれも、日常的な医師の診察やみとりのケアも受けながら暮らせる「住まい」を目指す。

 療養病床には、介護の必要性の高い人向けの介護型と、医療的ケア中心の医療型がある。政府は、介護型を2017年度末に廃止、医療型についても削減する方針を打ち出している。病床を削減した際に高齢者が行き場を失わないようにするための対応が課題となっている。

 検討会は今後、必要な医療や介護などの機能や、想定される利用者像などを議論し、年内に提言をとりまとめる。【細川貴代】



http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015112702000168.html
危険任務を想定 強化される自衛隊の医療態勢
2015年11月27日 東京新聞

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)などのメンタル対策、感染症への準備や前線での救急救命態勢の拡充、移動式コンピューター断層撮影(CT)装置の導入…。自衛隊の現在進行形である。海外での戦闘参加に道を開いた安保関連法の成立と前後し、その医療・衛生態勢が強化されている。自衛隊病院の新設計画も浮上した。観念的に考えがちな新安保法制だが、足元では実戦に備えた動きが急ピッチで進んでいる。 (榊原崇仁、三沢典丈)



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H6G_X21C15A1MM8000/
診療報酬引き下げへ 厚労省など、社会保障費抑制めざす
2015/11/28 2:00日本経済新聞 電子版

 厚生労働省と財務省は2016年度の診療報酬を引き下げる調整に入った。薬の公定価格にあたる「薬価」と医師らの技術料にあたる「本体」を合わせた全体でのマイナス改定は8年ぶりとなる。病院の収入が減る一方、患者や国・地方の負担は減る。社会保障費の伸びを抑制する政府目標に向け、診療報酬を下げざるをえないと判断した。

 診療報酬は医療サービスの公定価格で2年に1回見直している。前回の14年度改定は消費増税分の上積みを除くとマイナスで、実質的には2回連続の引き下げとなる。

 医療費の総額は15年度の見通しで43兆円。診療報酬を1%引き下げると医療費を4300億円削減できる。これにより国費の負担が1110億円減るほか、患者の窓口負担も540億円減る。

 政府は6月に閣議決定した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)で、高齢化による社会保障費の伸びを年5000億円(国費ベース)に抑える目標を掲げた。厚労省が8月末に財務省に提出した16年度予算要求から1700億円の削減が必要になる。

 政府は27日の臨時閣議で、6月の社会保障費の抑制目標を踏まえて来年度の予算を編成する方針を確認した。16年度は年金や介護で大きな制度改正はないため、1700億円の大半を診療報酬の引き下げでまかなう必要がある。

 診療報酬のうち薬価部分は薬の実勢価格に応じて毎回下がっており、近年は1.4%前後のマイナス改定が続いている。技術料の本体部分は財務省が引き下げを求める一方、厚労省は引き上げを求めている。今年末にかけての予算編成の過程で攻防が続きそうだ。

 仮に本体部分が小幅なプラス改定になったとしても、薬価のマイナス幅を埋めることは難しく、全体ではマイナスになる見通しだ。



http://www.m3.com/news/general/378653
岐阜、医療ミス:69歳死亡 中津川市民病院、患者遺族と2200万円和解 /
2015年11月27日 (金)配信 毎日新聞社

 中津川市民病院(中津川市駒場)は26日、心臓カテーテル治療でミスがあり、今年1月に県内の女性患者(当時69歳)が心破裂を起こして死亡したと発表した。遺族に対し、2200万円の損賠賠償金を支払うことで和解したという。

 同病院によると、この女性は他の病院で冠動脈狭窄(きょうさく)の診断を受けて中津川市民病院に入院。今年1月13日、内科の男性医師(48)が、心臓に細長い管を挿入して心臓の状態を調べる心臓カテーテル治療をしたところ、女性は冠動脈解離となり心破裂を起こした。愛知県内の病院に搬送して開胸による止血術を施したが、消化管からの大量出血により同17日に死亡した。

 市民病院側は内部の事故調査会を経て「治療管理に注意義務違反があった」と過失を認め、今月25日に遺族と和解した。

 病院で記者会見した安藤秀男病院長は「当院による医療ミスであり、深くおわびします」と謝罪。同病院には心臓血管外科の常勤医師がおらず、事故防止対策として、心臓カテーテル治療の際には他院の心臓血管外科医師による援助を受ける基準を作成するという。【小林哲夫】



http://www.m3.com/news/general/378608
若手研究者1割増やせ 政府、海外流出防ぐ
2015年11月27日 (金)配信 共同通信社

 若手研究者の海外流出を食い止めるため、政府の総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会は26日、40歳未満の若手の大学常勤教員を5年で1割増やす目標を示した。

 目標は2016~20年度の科学技術政策の指針となる「第5期科学技術基本計画」に盛り込まれる方向だ。

 調査会によると、13年度の若手の大学常勤教員は、全体の25%にあたる約4万4千人。任期が付いた不安定な雇用形態が増えた影響で海外の研究機関などに出て行く人が増え、10年前と比べて7ポイント下がった。

 調査会は「若手研究者向けに雇用期限のない安定的なポストを拡充することが求められる」と提言。長期的には大学の若手教員の比率を3割以上に増やすのを目指す。

 26日に開かれた調査会では「数値目標を掲げると影響が大きいため現場の意見を聞く必要がある」「ある程度の目標は必要」などの意見が出た。



http://www.m3.com/news/general/378565
研究者育成など、2020年度へ8目標 科学技術基本計画案
2015年11月27日 (金)配信 朝日新聞

 来年度から5年間の科学技術政策の指針となる政府の第5期科学技術基本計画案が26日、内閣府の有識者会合に示された。科学技術の革新をもたらすため、若手研究者の育成や産学連携の推進など八つの数値目標が盛り込まれた。

 計画案では未来の産業創造や社会変革に向けて、情報技術を駆使した「超スマート社会」の実現をうたう。そのために、人材育成や大学改革など基盤的な力の強化も求めている。

 計画を進める指標として2020年度までの達成を目指す数値目標を新たに設けた。若手研究者の減少を食い止めるため、現在約4万4千人いる40歳未満の大学教員数を1割増やしたり、研究開発型ベンチャー企業の新規上場数を約60件に倍増させたりすることを掲げた。これらは全体の目標で、個別の大学などに求めるものではないという。

 年内に政府の総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)が答申としてまとめ、年度内の閣議決定を目指している。

 ■第5期科学技術基本計画の数値目標案

 40歳未満の大学教員数         1割増
 自然科学系の女性研究者の新規採用割合  3割に
 引用回数の多さで上位10%に入る論文数 2割増
 企業や大学などの間の研究者の移動数   2割増
 大学との共同研究で企業の出資額     5割増
 研究開発型ベンチャー企業の新規上場数  倍増
 中小企業による特許出願件数       全体の15%に
 大学による特許権の実施許諾件数     5割増



http://www.m3.com/news/general/378692
ドローンを遠隔診療に活用へ 養父市で試験飛行
2015年11月27日 (金)配信 神戸新聞

 国家戦略特区の兵庫県養父市で26日、市と三井物産が小型無人機「ドローン」の試験飛行を行った。ドローンを使った医薬品配達や情報通信技術(ICT)による遠隔診療などの実現を目指している。

 同市と三井物産は2月、医療に最新技術を利用する事業案を政府に合同で提案。実現には薬事法や電波法などに関する特例措置が必要なため、特区での規制緩和を求めている。同市は農業分野を中心に取り組んでいるが、特区では国家戦略特区法の定める特例をいずれの分野でも活用できる。

 試験飛行には、大阪市中央区の計測機器メーカー「アミューズワンセルフ」のドローンを使った。市役所近くの河川敷と市内のスキー場で、プロペラ8枚を備える直径約1メートルの機体が5~10分の飛行を繰り返した。自動操縦を中心に高度50メートルまで上昇し、写真の撮影や地形のデータの収集などを行った。

 同市の構想では、自宅にいる患者が情報端末を使って、病院の医師による問診などを受け、ドローンで医薬品を届けてもらう。

 試験飛行に立ち会った三野昌二副市長は「来年にも、夏場のスキー場をドローンの練習や講習用の飛行場として利用できるようにしたい」と新たな事業案も明かした。(那谷享平)


  1. 2015/11/28(土) 06:07:42|
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11月26日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/378383
シリーズ: 地域医療構想
地域医療構想の策定、41県は「2016年度半ば」
4つの「医療機能」の定量的指標、設定は前途多難か

2015年11月26日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)の第12回会議が11月26日に開催され、各都道府県の地域医療構想策定の進捗状況や、2016年度の病床機能報告制度の現状が報告された(資料は、厚労省のホームページ)。構想策定は一定程度は進んでいるが、2県は「策定時期は未定」とするなど、一部の地域では遅れている。今後の病床機能報告制度の見直しに向けた議論では、高度急性期をはじめとする4つの医療機能に関する定量的指標を設定する難しさのほか、地域医療構想の策定や、病床機能を報告する各医療機関の戸惑いなどが浮き彫りになった。

 地域医療構想の策定予定は、2015年度中が20府県、2016年度半ばが21都道府県。医療法上の策定期限は2018年3月末だが、厚労省は2018年度からの第7次医療計画に組み込むことを踏まえ、「2016年度半ばまでの策定が望ましい」としており、41都道府県が間に合う見通し。残りは、2016年度中が4県(長野、高知、福岡、熊本)、未定が2県(新潟と兵庫)。全ての都道府県で1回以上は、地域医療構想策定に関する会議を開催しており、最多は東京都の6回。「構想区域ごとの会議」の開催は、全ての区域で実施が32都府県、一部のみの実施が6道府県、未実施が9県であり、地域による差はある(いずれも2015年10月20日現在)。

 病床機能報告制度では、毎年1回10月に、各医療機関に報告を求める。締め切りは10月31日。2015年度の報告状況は、11月8日現在で76.2%(報告対象1万4684施設中、1万1196施設)にとどまる。そのうち、提出ファイルが正常だったのは、83.6%。

「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の次回会議では、2015年度の病床機能報告制度の概況が報告される予定。

病棟単位か、病院単位か

 26日の会議で議論になったのは、「病床機能報告の改善」について。初年度の2014年度の報告内容は、(1)特定機能病院は、報告時点の85病院中、75病院が、全ての病棟を、「高度急性期機能」として報告、(2)高度急性期機能を選択し、循環器科を持っている病院でも、PCIの実績がない――など、実施している医療の内容と、医療機能の選択が一致していない例が見られた。

 病床機能報告制度では、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの医療機能から、各医療機関が、現時点でどの医療機能を担っているか、将来どの機能を担うかなどを「病棟単位」で報告する。その際、現時点での定性的な定義では、解釈にばらつきが生じ得る。

 厚労省は、(1)各医療機関が、医療機能の判断に迷わないように、定量的な指標の設定、(2)地域医療構想策定後、各構想区域で、医療機能の分化・連携のための話し合いの際に活用――という目的から、各医療機能の指標となる項目について、分析する方針を示した。(2)は、例えば、急性期機能が過剰、回復期機能が不足している構想区域において、この定量的な指標を基に、急性期機能を担い続ける病棟、あるいは回復期機能に転換すべき病棟を把握する際に用いるイメージだ。

 例示されたのが、病床規模別(200床未満、200~399床未満、400床以上など)に、「全身麻酔手術の件数」「悪性腫瘍手術の件数」「救急車受入件数」を「分析項目」とする案だ。これらの「医療の内容に関係する項目」は、2015年度までは「病院単位」だが、2016年度以降は、同年の診療報酬改定時のシステム改修の際に、レセプトに病棟コードを付記する対応を求めるため、「病棟単位」での把握が可能となる。

 しかしながら、「分析項目」を議論する以前の問題として、病床機能報告制度で把握すべき機能が、「病棟単位」あるいは「病院単位」なのかなど、根本的な疑問や意見が呈せられた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「手術件数はなぜ病棟単位で把握しなければいけないのか、意味が分からない」と指摘。さらに「今日の資料を見ると、先祖返りして、変質しているように見える」との問題意識も示した。地域医療構想の策定後は、各医療機関の自主的な取り組みによって、2025年の医療提供体制の構築を目指すが、定量的な指標の策定により、“見える化”が進むため、医療機能の転換に「強制力」が伴いかねないことを懸念した発言と言える。

 日本病院会副会長の相澤孝夫氏も、「病院機能で見たいのか、それとも病棟機能で見たいのか、両者は異なる。混在していて分からないので、整理をしなければいけない」と指摘。さらに「(各医療機関によって)急性期機能の判断は違う。いったい急性期機能は何かについて合意しないと、議論は始まらない」とも述べた。

 厚労省医政局地域医療計画課課長の迫井正深氏は、さまざまな情報があり、混乱が生じていることは認め、「分析項目」については改めて整理し、検討すると引き取った。

経済財政諮問会議の議員、「7対1」を誤解

 26日の会議では、2回目を迎えた病床機能報告制度でもなお、各医療機関において混乱や戸惑いが見られる現状についても意見が出た。

 中川氏が問題視したのは、社会保障制度改革推進本部「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の今年6月の「第1次報告」を問題視。日医は反対したものの、都道府県別の2025年の医療機能別必要病床数が公表されたとし、「案の定、現場に大混乱、ショックをもたらした。その弊害がいまだに続いている。必要病床数が削減目標と考えている県庁の担当者がたくさんいる」(中川氏)。さらに11月24日の経済財政諮問会議に、民間議員が提出した資料で、7対1入院基本料の病床が全て「高度急性期機能」としており、誤解がある点も指摘した。

 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、2014年度の病床機能報告制度が「急性期機能」が多数を占めたことから、「あの数字を見ると、『急性期機能で報告した方がいい』と思う。数値が独り歩きして、かえって“規制”をしている」と実情を話した。さらに、各地域で地域医療構想の策定会議が実施されているが、「医師会(の役員)が司会をしていても、県主導で会議が進んでいる」(武久氏)。

 相澤氏が、現場で一番問題になるのは、「患者の流入、流出」だとした。地域医療構想は「構想区域」(原則、2次医療圏単位)で策定する。相澤氏が経営する相澤病院は、長野県にある。「県は、なるべく構想区域単位で完結するように、と言っている」と述べる相澤氏は、「構想区域」別の患者の流出入のデータは提示されているが、「どこと、どこの病院が患者のやり取りをしているかなどのデータがない。そのため今、とん挫しており、具体的な話になっていない」のが現状だとした。「構想区域」単位で、4つの医療機能を充足させるために、例えば、過剰な機能から不足している機能に転換すれば、他の「構想区域」の患者の流入は減少する。この辺りの調整が難しいとした。

 これに対し、中川氏は、現状の体制を反映させ、患者の流出入を前提として、地域医療構想を策定すれば済むとの解釈を提示。一方で、全国自治体病院協議会議長の邊見公雄氏は、「そうした時は、今の構想区域を変えればいい」と述べ、2次医療圏を追認する必要はないとした。

構想実現に向けて情報共有

 厚労省はそのほか、地域医療構想策定後の取り組みについても提示。(1)医療機関には、毎年10月の病床機能報告の際に、前年度から病床機能を転換した場合には、どんな施策で何床転換したのか、地域医療介護総合確保基金を活用したかなどについて報告を求める、(2)都道府県には、調整会議の検討状況、病床機能の転換状況、基金の活用状況などの情報提供を求める――という案。情報共有を通じて、構想実現につなげるのが狙い。



http://www.qlifepro.com/ishin/2015/11/26/the-report-of-medical-care-and-long-term-care-part-i/
フランスの医療と介護(1)
2015年11月26日 QLifePro

今回機会をいただき、5日間の日程でフランスの医療介護事情を視察させていただきました。
日本とフランスのこの領域の制度は似通っていると言われますが、もちろん個々の制度設計は事情に合わせて違っています。日本のほうが進んでいることもあるかもしれませんし、逆も然りです。非常に厳しい時期に渡仏することになりましたが、学びや発見の多い貴重な視察となりました。皆様にもシェアできることがあればと、数回に分けてレポートさせてもらえればと思います。

まずはパリ17区で開業する看護師のクリストフ・ラセフ(Christophe Lasserre)氏のもとに伺い、フランスでは一般的な開業看護師についていろいろお話をお聞きしました。

■フランスの開業看護師はどのようなことを行っているのか

フランスで看護師免許を持っているのは約60万人。うち98,249名が開業看護師として独立して仕事をしている。開業看護師のうち15,000人が男性。看護師が開業するためには24カ月以上の勤務看護師としての職歴が必要。やはり専門職としての力が必要だし、バイタルだけでなく「第六感」のようなものが必要。
開業看護師の対人口密度はフランス全土でばらつきがある。偏在を防ぐため、看護師密度の高いところでは新規開業はできないようにされている。逆に、医療サービスの少ない地域でなければ新規開業できない。現実としては密度の高い地域では既存の開業看護師に雇用されるか、開業看護師の廃業を待つ(暖簾を買う)しかない。南仏は看護師の数も多い。中仏や北仏であれば新規開業は容易であり、また年間3,000ユーロの補助金も出る。社会保障費の支払いも軽減される。
一人で開業することもできるが、365日×24時間を一人でやることは難しい。日本の常勤2.5人という制限は理にかなっていると思う。一人開業している看護師はフランスにもいるが、そのような看護師は実際には24時間対応できず、患者が困ることになる。

■クリストフ氏の開業看護師としての取り組み

17区の中心地で開業して13年目になる。3名の看護師で開業した。12万人が暮らす地域内に5つのステーションがあるが、競争ではなく協働という関係にある。(クリストフ氏「だけど僕たちがベスト!」とおっしゃってました)
ちいさな地域(「●丁目」単位)で地域に密着した活動、急変が起こった時にもすぐに対応ができる範囲で仕事をしている。

平均的な1日のスケジュール
07:00~13:00:1回目の巡回訪問、患者住所や処置内容に応じて毎朝プログラムする。
13:00~14:00:ステーションで処置(通院が可能な方への皮下注やガーゼ交換など)。来られる人はできるだけ来てもらうようにしている。空いた時間にサンドイッチなどで軽くランチ。処置の後は電話メッセージへの対応、カルテ記載、緊急対応、入院・退院の管理、請求業務、訪問計画の見直しなど。
14:00~17:30:午後の巡回。
17:30~22:30:ステーションに戻ってきてから、通院可能な方へのステーションでの処置。
その後、翌日のプランニングをしてから、夜の巡回に。自宅に帰るのは22:30~23:00くらいになる。
全員が毎日こんな働き方ができるわけはない。クリストフ氏の場合は月15日くらいがこのような感じだという。

▽急変時の対応
 看護師がファーストで対応する。
 看護師が救急搬送、病院受診、医師への往診依頼などの判断をすることが多い。看護師からの往診依頼に対しては医師はフレキシブルに対応してくれる。
▽対応患者数
 1日あたりの平均的な対応患者数50~70名/看護師1名。
 最高で1人当たり94件を対応することも。地域密着かつ患者を熟知しているからこれが可能になる。
 (ちなみにこの日は遅刻ができないので、午前中は9件「だけ」に制限したとのこと)
 患者とは家族のような関係、自分にとっての祖父や祖母のような関係を作っている。
▽看護師の報酬
 3人の看護師が各自の業務に対する診療報酬をそのまま得ている。
 働く看護師は1人あたり1,000ユーロを支払い、ステーションのプラットフォームを使用する。
 (一匹狼が3人集まっているイメージ)
▽対象患者
 新生児から高齢者まで。現在の患者の最高齢は107歳。
▽移動手段
 徒歩・自転車・スクーター
▽ステーションの設備・施設
 病院の外来や待合室のような感じ。
 処置のためのスペースと設備もある。衛生材料・医薬品キャビネットとデスクとPC。
▽ICT
 看護業務用ソフトがあり、医師からの処方箋(指示箋)や処置内容から訪問計画が容易になっている(PC上ですべての処置内容や訪問計画が管理されている)。予定表をプリントアウトしてポケットに入れて巡回していく。
 PCにはカードの読み取り機があり、患者の持つVITALカード(※1)と、プロフェッショナルカード(医師・看護師などの専門職が持つ)が両方差し込まれて初めて機能するようになっている。これで誰が担当したのかが明確になる。VITALカードには保険情報が入っていて、PCから電子的にレセプトが送られる。
▽処置材料等
 基本的なものは携行しているが、必要な医療材料はあらかじめ医師が処方しているので、患者のベッドサイドに準備されていることが多いとのこと。

■開業看護師の業務内容

▽臨床検査
 臨床検査センターも開業コメディカルによる。これらの検査センターと連携し、医師の指示に基づき、検査が必要な患者は朝早めに訪問し、検体を採取する。
▽医療処置
 筋注・皮下注・ヘパリン注射、糖尿病患者のサポート(インスリン)など対応可能。いずれもプロトコールが決まっている。
▽医療機器管理
 中心静脈栄養や留置カテーテル、ストマなどの医療機器の管理も。カテーテルの挿入や抜去も。栄養バッグの交換を担当している患者もいる。
▽服薬支援
 高齢者の在宅支援のため、看護以外の仕事もする。特に重要なのが服薬管理。服薬カレンダーのセットのみならず、高齢者が薬をきちんと飲めているのかどうか確認するための訪問を組むこともある。
 日本では薬剤師による介入(訪問服薬指導)が可能だが、フランスでは薬剤師にこのような役割はない。地方では薬剤師のボランティア精神による薬剤配達などはあるようだが、フランスでは「薬を飲む」という医療行為の管理も看護の業務に含まれると看護師が考えているとのこと。
▽在宅化学療法
 在宅でも病院の処置室と同じような清潔環境を作ってラインを挿入し、中心静脈からの抗がん剤投与を行う。
▽外科手術後のフォローアップ
 在院日数短縮のため、術直後で退院する患者が多い。外科医の指示箋に基づき抜糸までの創部消毒などの処置などを行う。またドレナージチューブの処置も在宅で行う。多くの患者は通院してくるので在宅訪問はしないで済んでいる。
▽外科処置
 褥瘡や皮膚潰瘍に対し、局所麻酔を伴う処置を行うこともある。
▽在宅緩和ケア
 一般的な緩和ケアに加えて、皮膚に露出した腫瘍の処置など。
▽在宅看取り
 多くの方を看取っている。
 ターミナルケアはかかりつけ医と開業看護師だけではカバーしきれないことがある。緩和ケア入院ができないケースはHAD(在宅入院連盟 ※2)が介入する。HADから看護の業務を請け負う形に移行する。
 またモバイルチームやネットワークとも連携している。
 在宅の看取りには家族がいることが必須条件になる。家族がいたとしても疼痛治療が在宅で十分提供できない場合には、病院がより適しているとクリストフ氏は考えている。フランスでも在宅での看取りを推進しているが、実際には最終的に病院に搬送してしまうケースが多いとのこと。
▽生活支援
 経過に伴いCureからCareに重点が移っていく。入浴支援などの衛生面の支援などもカバーしていくことになる。
▽コスト・請求
 行為ごとに点数が決まっている(AMI(点数コード))。
 例)皮下注射:行為4.73+加算1.35+訪問料2.50=8.50ユーロ
 米国では同じ行為に対し85ドル。
 ガーゼ交換:15.10ユーロ、複雑なガーゼ交換:20.10ユーロ、点滴:30.85ユーロ。
 開業看護師で稼ぐためには、たくさんの業務量をこなさなければならない。情熱や患者への愛情がなければ続けられない。

その 他、クリストフ氏と話してわかったポイントなど、雑感——————

■看護師に処方権
2007年4月15日から看護師に処方権が与えられた。衛生材料(ガーゼ、点滴材料、カテーテル類、外用薬など)は看護師で処方できるようになった。これらの処置や処方のための医師受診が必要でなくなった。
(処方箋がなくてもかなりの範囲の薬をOTCとして購入することができる。)

■やはり連携が重要
自由気ままに仕事をしているように見えるかもしれないが、開業看護師にもチームワークが必要。特にかかりつけ医、病院との連携は非常に重要。また薬局・薬剤師、PTなどのリハ職など。HADとのパートナーシップは(HADからの患者紹介が多いので)非常に重要。特定の薬局を紹介することは禁止されているとのこと。
情報共有は適宜行っているが、時間を合わせてカンファランスなどはしない。ただ、医師とは自由に意見交換できる関係にある。

■請求根拠のトレーサビリティ
処置のトレーサビリティを確実にするために、医師の指示箋と処置内容を照合するために、SCOREというソフトを使用している。

■最後に・・・

「このような事態にもかかわらず、パリに来ていただいて本当にありがとう。
いま医療現場は被害者の治療に追われて大変な状況になっている。
パリは本当に素晴らしい街。またぜひ来てください」

————————-

日本では開業権があるコメディカルは助産師のみ。クリストフ氏からは医療専門職としての自信と誇りを感じました。また協働する看護師が、給与を受け取るのではなく、逆に経費を分担で支払い、それぞれが自分の業務内容を請求するという仕組みも明確でよいと思いました。また、心身共にストレスの多い仕事でもあるが、オンとオフをはっきり分けることでこの仕事を続けていけるとおっしゃっていました。コメディカルのあり方について、フランスのスタイルには参考にできることが多いと思いました。
ただ、看取りの支援のあり方については日本のほうが少し進んでいるかな?
フランス国内では安楽死を望む声も上がってきているという話も聞くそうです。隣国ベルギーのように合法化はされていないが、実際には病院で死期を早めてしまうような治療を行うことが事実上認められているとのことでした。
ちなみにクリストフ氏は44歳とのこと。同世代です。

※1)https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィタルカード
※2)在宅入院(Hospitalisation a Domicile:HAD)、またはその事業を行う事業体の全国的な組織「在宅入院連盟」のこと。2008年現在、フランス全土に177の事業所がある(1事業所あたり60床程度か)。患者さんの自宅のベッドを1床としてカウントする。対象疾患は精神科を除く周産期からターミナルケアまでの急性期疾患。

(編集部より)
佐々木医師がオーガナイザーを務め、各方面で大きな話題となっている「在宅医療カレッジ」の特別企画としてシンポジウムが開催されます。「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」 と題し、厚労省の専門官も含めたパネリスト10人のディスカッションが行なわれるとのこと。詳しくはこちらをご覧ください。

[2015年12月10日開催]在宅医療カレッジ特別企画 「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」

佐々木淳   医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール
筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。



http://www.asahi.com/articles/ASHCV35R9HCVUTIL008.html
「タダで診療」 協力者に芸能関係者も 療養費不正請求
2015年11月26日15時02分 朝日新聞

療養費と診療報酬がだましとられるまでの流れ
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 暴力団員らが総額1億円以上の療養費と診療報酬を不正請求したとされる事件の構図が、警視庁への取材でわかってきた。健康保険が適用されない自由診療をタダですると持ちかけて1千人近くまで協力者を増やし、得られた患者情報でうその請求を繰り返す――。協力者には芸能関係者らも含まれていた。

療養費不正請求、9割が国保加入者 容疑者「審査甘い」

 警視庁は今月、東京都杉並区の接骨院を摘発、指定暴力団住吉会系組長(50)や会社役員(38)ら16人を詐欺容疑で逮捕した。指南役とみられる会社役員は、弁護人に「グループでは自分が始めた手口」と説明し、こう漏らしたという。「どんどん広がり自分の知らない人にまで拡散した」

 大手芸能事務所に所属する30代のお笑い芸人の男性も、「患者役」の一人だった。捜査関係者によると、この男性はアルバイト先の客に「モニター登録すれば無料でマッサージが受けられる」と誘われて接骨院に通うようになったという。

 ある女性は「美容注射が無料で受けられる」と聞き、都内の美容外科医院を訪れた。院長は、テレビのバラエティー番組に出演していた女性医師が務めていた。都心繁華街で飲食店紹介業をしていた30代男性は、「国の助成金を使って歯のホワイトニングを受けないか」と言って客の女性らに千葉県内の歯科医院を紹介した。

 いずれも暴力団員らのグループの関与が疑われ、警視庁が詐欺容疑で捜査している。

 ログイン前の続きマッサージや美容注射、ホワイトニングは本来、費用全額を患者が支払わなければならない。捜査関係者は「けが人は探せないがマッサージを受けたい人ならいくらでもいる。詐欺グループが患者情報を集めるための手口だった」とみる。

 グループは、こうして来院させた患者から健康保険証の情報を入手。それを元に、健康保険が7~9割を負担してくれる保険診療の申請書を作って不正請求を繰り返していたという。

 ある接骨院では、来院者に3~4カ月分の申請書に署名させ、同部位の施術が怪しまれないように施術部位を変える「部位転がし」という手法で不正請求を繰り返していた。サービスに近い自由診療を無料にして患者を誘い、うその保険診療の請求で取り戻す構図だった。

■組長ら逮捕「氷山の一角」

 厚生労働省によると、医療費の不正請求が認定され返還された金額は2009年度は約56億1千万円だったが、13年度には約146億1千万円と急増した。厚労省の担当者は「事件で発覚したのは氷山の一角だ」と話す。

 不正請求に関与したと明かす人が取材に応じた。その手口は、摘発された詐欺グループのものとほぼ同じ。その一人は「使い古された方法」とも話した。

 都内の接骨院で働いていた男性(41)は院長の指示で「モニターとして無料でマッサージします」と知り合いに声をかけ、まず保険証を集めたという。

 来院者に療養費の請求用紙に署名をもらい、打撲やねんざの施術をしたことにした。「(自治体などから)問い合わせがあったら『院に通っている』と答えて」と口裏合わせを頼み、「毎月500万円ほど架空請求した」。患者の署名はコピーし、空欄の用紙と重ねてガラス机の下から照らしてなぞっていたという。

 神奈川県内の接骨院に勤めていた男性(35)は、院長が不正請求する現場を目の当たりにした。慢性の腰痛や肩こりでもねんざや打撲として扱い、患者の体の一部を強く押して痛みを生じさせて「急性の症状」として保険申請することがあった。

 こうした不正を指南する「経営セミナー」も開かれているという。「接骨院にダイレクトメールが送られ、広まっている」と、この男性は話す。講師は接骨院の関係者や経営コンサルで、「保険の使い方」を教えてくれるのだという。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201511/CK2015112602000170.html
【千葉】
成田・新設医学部の事業者候補 国際医療福祉大に内定

2015年11月26日 東京新聞

 成田市に国家戦略特区を利用して新設する医学部の事業者候補に二十五日、国際医療福祉大(栃木県大田原市)が内定した。政府の国家戦略特区会議の分科会が二十日に同大を候補に選び、二十五日までの追加募集で他に応募がなかった。今後、政府の特別区域諮問会議を経て正式決定される見通し。同大は来年三月に医学部の設置認可を文部科学省に申請。二〇一七年四月の開学を目指す。 (渡辺陽太郎)
 同大によると、一学年の定員は百四十人で教員は二百人以上。原則として全学生が海外での臨床実習を履修し、海外経験豊富な医師による英語教育などで「世界的に活躍できる医師」の養成を目指す。
 日本医師会などは、医学部や付属病院が新設されると、地域の医師が教員として引き抜かれ医療崩壊を招くと懸念している。同大はこれに対して「(医師などの)引き抜きはせず、(都内などの同大付属病院や関連病院など)グループ七百人の医師から選ぶほか、国内外からの公募で確保する」と説明している。
 同大は来年四月に看護学部と保健医療学部を市内に開学し、医学部はその隣に設置する計画。市は二十二億七千六百万円かけて用地を取得し、無償貸与する方針。さらに県に協力を求め、八十億円を上限に校舎設置費の半分を補助する方針を表明している。



http://www.j-cast.com/trend/2015/11/26251582.html
超高齢・人口減少社会で、国民皆保険を守るためになすべきこと
2015/11/26 15:48 印刷 J-Cast News

■「医療政策を問いなおす―国民皆保険の将来」(島崎謙治著、ちくま新書)

30代の頃、家族とともに3年ほど、アメリカで暮らしたことがある。初めての海外暮らしだったが、一番、苦労したことは「医療」だった。

日本のように保険証一枚で、どの医療機関でも受診可能なわけではなく、また、料金も医療機関ごとに違っていて、しかも高額だった。自宅に請求書が届くと、少なくとも日本の数倍、ときには10倍を超える医療費にたまげた。

特に、妻が切迫早産のため、3週間の入院の末、次女を産んだときには青ざめた。何と請求総額が300万円を超えたのだ。

あのときほど、日本の「国民皆保険」のありがたみを感じたことはない。「いつでも、どこでも、だれでも」医療が受けられること。日本で暮らしていたときには、気にも留めなかったアタリマエが、いかに素晴らしいことなのかを知った。

それから20年近くが経ち、この世界に誇る国民皆保険も、「超高齢・人口減少社会」という厳しい状況を前にして、大きなチャレンジを受けている。

本書は、厚生労働省で長年、医療行政に従事した後、アカデミアの世界に転じ、内外の医療政策をウォッチしてきた著者が、これからの厳しい時代に、この国民皆保険をどう守っていくかについて、具体的に論じたものだ。

同時に本書は、医療提供体制、医療保険制度、診療報酬など、医療に関する複雑な制度・政策をわかりやすく解説するほか、なぜ日本は社会保険方式なのか(税方式ではないのか)、なぜ被用者保険と国民健康保険の二本建てなのかといった、そもそもの話を平易に説明している。コンパクトながら日本の医療政策の全体像を理解する上でも役に立つ。

国民皆保険の形骸化リスクの最大要因は、人口構造の変容

国民皆保険に対する内外の評価は高い。著者曰く、「(日本において)医療政策をめぐる関係者の対立は激しいが、『国民皆保険の堅持』の一点については広範な支持がある」という。

しかし、今後半世紀以上にわたって続く「超高齢・人口減少社会」という人口構造の変化が、この国民皆保険を危うくする可能性がある。保険財政の面でも、医療提供体制の面でも、必要な資源を確保できず、「国民皆保険の堅持」という旗を掲げたまま、事実上形骸化してしまうことが危惧されるというのだ。

著者によれば、日本の国民皆保険は、1961年に実現し、その後、「右肩上がり」の社会経済の下で成熟し、1973年にほぼその形を整えたという。しかし、今後、日本社会の人口構造、さらにその影響を受けた経済状況が「右肩下がり」になれば、この世界に誇る国民皆保険制度は、1961年以前まで逆行してしまう可能性があると指摘する。

1961年当時の医療を振り返ると、
① 公的保険で利用できる医療の範囲が制限されていた(制限診療)。例えば、抗生物質は自由に使えず、サルファ剤→ペニシリンの順で使用し、それでも効かない場合に初めて使用できるなど、治療方法の順番が指定されていた。
② 同一の病気による給付期間は3年間に制限されていた。
③ 国民健康保険の給付率も被用者保険の被扶養者の給付率も5割にとどまっていた(現在は高額療養費制度の効果もあって実質的な給付率は87 %)。
今から見れば、「そんな時代があったのか」という感覚かもしれないが、今後、高齢者の増加による医療・介護費の増加、生産年齢人口の減少に伴う経済の低迷、そして医療・介護従事者の不足などの条件が重なれば、公的保険の給付範囲や給付率の縮減、地域医療や介護の崩壊が進み、国民皆保険とは名ばかりの状態、すなわち1961年当時の状況と変わらない事態になってしまう可能性があるというのだ。

著者は、こうした事態を回避し、現在の国民皆保険を実質的に堅持するためには、近未来の人口構造の変容の影響を正確に把握した上で、日本の医療の実情に即した医療政策を考えるべきと主張する。

担い手(マンパワー)不足への対応が重要課題

人口構造の変容を考えた際に、医療・介護の財政問題と並んで懸念されるのが、担い手(看護師や介護士などのマンパワー)不足である。

2012年段階で医療・福祉就業者は既に労働力人口の約11%を占めているが、今後、要介護者等が急増する中で、2013年には約16%にまで達すると見込まれている。その後も高齢化率は32%(2030年)→36%(20140年)→40%(2060年)と上昇することを考えると、将来的には医療・福祉就業者が労働力人口の2割超という事態も覚悟する必要がある。

近年、労働需給がタイトとなっていることもあって、都市部を中心に担い手不足がクローズアップされているが、今後は、この担い手問題が、医療・介護政策の中心課題となり続けるのだ。

問題解決には、まずは、医療・介護ロボットの導入など医療・介護現場での生産性向上が最優先だが、著者は、看護・介護人材の確保方策として、以下の4つを挙げている。

① 新規養成数を増やす
② 離職を防ぐ
③ 潜在看護師(約71万人)や潜在介護福祉士(約53万人)等の活用を図る
④ 外国人の看護職・介護職の受け入れを図る
著者によれば、①については、今後、若年労働力の需給がさらに逼迫することを考えると、現実的な選択肢ではないという。また、経済界を中心に主張されている④の外国人労働力の積極的受入れも、送り出す側の東南アジア諸国の出生率が低迷しており、中長期的に見ると、多くを期待することはできないとする。

つまりは、①離職を防ぐとともに、②一度、業界を離れた有資格者にカムバックしていただくほかないのだ。そのためには、看護・介護の仕事の魅力を高めるために、キャリアアップへの道筋とそれに応じた抜本的な待遇改善など、現場の実情に即した、本格的な取組みが不可欠となる。
2018年は日本の医療政策の転換点―方向性は共有、問題は実現できるか―

本書で繰り返し述べられているように、2018年は、次期医療計画や医療費適正化計画の策定、国民健康保険の財政運営の見直し(都道府県の責任主体化)の施行、そして、診療報酬と介護報酬の同時改定という節目の年である。著者の言葉を借りれば、ここ数年は日本の国民皆保険の将来に関わる正念場ということになる。

そこで、ポイントとなるのは、①医療機関の機能分化と連携、そして、②地域包括ケアの推進である。

誤解を恐れずにいえば、前述の2018年に実施される各種施策は、いずれもこの2つを実現することを主眼としているといっても過言ではない。そして、この2つの方向性については、医療界のみならず、費用負担を担う経済界にも財政当局にも異論はない。

問題なのは、本当に実現できるのかという点だ。

振り返れば、この2つの課題は、1980年代以降、常に医療行政の課題として意識され、様々な方策が講じられてきた。しかし総じていうと、目覚ましい進展がないまま今に至っている。その背景には、これらの課題が、自由開業医制、私的医療機関中心の医療提供体制、「医療は都道府県、介護は市町村」という行政の役割分担など、歴史的沿革や日本の医療制度の構造から派生した問題であり、ある意味で必然だったからだ。

また、同時に、問題の射程が、医療にとどまらず、介護、福祉、そして、住まい、まちづくりと、範囲が広がり、総合的・一体的な取組みがどんどん難しくなっているという事情もある。

しかし、団塊の世代が後期高齢者となる2015年まで残り10年を切った今日、医療・介護をはじめ限られた社会資源を効率的にフル活用できる体制を地域ごとに構築していくことは至上命題となっている。

そんな危機感を背景に、ここ数年の間に、地域医療構想、地域医療介護総合確保基金、地域医療連携推進法人制度、総合診療専門医、都道府県による国民健康保険の財政運営など、これまでにない様々な政策手段が整えられてきた。今、これらの仕組みを本当に活かせるかどうかが問われている。

本書において、著者が繰り返し指摘しているように、最も政策効果の高い診療報酬を基本ツールとしながらも、こうした新たな政策手段を適切に組み合わせ(ポリシー・ミックス)、総力戦で臨む必要がある。そのためには、これまで医療政策に距離を置いてきた自治体(都道府県や市町村)をはじめ、各セクターが有為な人材を配置するなど、正面から本腰を入れて医療問題に取り組む体制が求められている。

国民皆保険という日本の貴重な財産を、どう引き継いでいくか、そのために関係者が小異を捨て、知恵を絞り、そして、ねばり強く連帯することが大切だと思う。

JOJO(厚生労働省)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=126992
「Dr.コトー」の後任見つからず…住民「不安」
(2015年11月26日 読売新聞) 読売新聞


 鹿児島県薩摩川内市が下甑島(人口約2400人)にある3診療所を来春、一つに集約する再編計画を示したのに対し、住民らが3診療所体制の維持を求めて署名活動したり、市や市議会に嘆願書、陳情書を出したりしている。

 再編に加えて、下甑手打診療所の所長で人気漫画「Dr.コトー診療所」のモデルになった瀬戸上せとうえ健二郎さん(74)は来年3月に退任の見通しで、住民からは不安の声が上がる。(江上純)

 「納得がいかない」「住民の命を何だと思っているんだ」

 20日、島北部の鹿島地区で行われた市の住民説明会。鹿島診療所に来年4月以降、常駐する医師がいなくなることを聞いた100人超の住民からは、再編計画に反対する意見が相次いだ。

 市の計画では、瀬戸上さんの退任後、従来の3診療所を、医療機器が充実して入院設備もある手打診療所に集約する。鹿島診療所と下甑長浜診療所の医師計2人は手打に移り、それぞれ鹿島、長浜両地区に週2回出張診療するほか、ほかの4地区も含めて週1、2回、希望する住民を手打、長浜両診療所へ市が送迎する方針だ。

 市は昨年3月、瀬戸上さんの市職員としての任期が残り2年になったことを踏まえ、瀬戸上さんが推薦する医師のもとを訪ね、下甑島の診療所に来ることに前向きな返事をもらっていた。ところが今年になって、この医師が家庭の事情で来島できなくなったという。市は後任医師を募ったり、病院を回って常駐医師の派遣を要望したりしたが、後任は見つからず、今回の再編計画を立てた。

 住民の間には「医師が確保できないのだから仕方がない」との意見もある。しかし、不安を訴える声の方が目立つ。

 20日の住民説明会で、鹿島地区コミュニティ協議会の中野重洋会長(68)は、現状の医療体制の堅持を求め、市長宛ての嘆願書と住民296人分の署名を市の春田修一・市民福祉部長に手渡した。春田部長は「皆さんの思いは胸に刺さるが、再編計画は5年後、10年後の下甑島全体の医療を守るための苦渋の選択です」と理解を求めた。

 再編計画に反対する動きは手打地区でも起きている。手打地区コミュニティ協議会の日笠山直宏会長(76)と自治会長3人は連名で、3診療所の維持を求める陳情書を20日、市長らに宛てて郵送した。「75歳を区切りにひと休みしたい」と話す瀬戸上さんについても、地元有志は「瀬戸上先生は島の宝。もう少し頑張ってほしい」と訴えている。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20151126219912.html
がんセンターで2件のがん見落とし
2015/11/26 21:31 新潟日報

 県立がんセンター新潟病院(佐藤信昭院長)は26日、同病院で会見を開き、がんの疑いを示す検査結果を見落とし、適切な治療を怠るミスが2件あったと発表した。病院は本人と家族に謝罪し、慰謝料の支払いなども検討している。同病院では2010年にもCT検査の報告書を見落とし、がんが進行して患者が死亡する医療ミスを公表しており、第三者がチェックする規定をつくったが機能しなかった。

 同病院によると、見落としがあったのは、燕市の70代男性の肝臓がんと、新潟市の60代女性の腎臓がん。

 男性は昨年9月、胃がん手術後の定期検査で肝臓がんの疑いが判明、同10月にMRIとPET―CT検査を受けた。放射線診断医の検査結果報告書にはがんの所見があったが、主治医が確認せず、今年9月の定期検査で初めて気付いた。男性は先月、手術を受けた。他の臓器などへの転移はないという。検査結果を確認する日程などを調整する際、検査部門と主治医の連携が不十分だったとみられる。

 女性は先月、男性のミスを受けたデータの一斉点検で判明した。今年3月にCT検査を受けたが、検査を依頼した医師が退職。引き継ぎが不十分で、検査結果が放置された。女性は経過観察を続けているという。

 同病院では10年の事故を受け、院内でつくる医療安全管理担当が毎月1回、未確認の報告書のリストを出して主治医に確認させていたが、徹底されていなかった。

 同病院は、未確認の報告書がなくなるまで各医師に閲覧を督促するなどの再発防止策を講じるという。会見で、佐藤院長は「おわび申し上げたい」と謝罪。「(10年の事故と)同じような案件が起きたことを重く受け止め、再発防止に全力を尽くす」と述べた。

【社会】



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151126_15019.html
医療と福祉担う病院 被災地の南三陸に完成
2015年11月26日木曜日 河北新報

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の公立志津川病院の後継となる南三陸病院・総合ケアセンター南三陸が完成し、25日に現地で落成式があった。地域医療と福祉の拠点となる施設の誕生に関係者が期待を寄せた。

 防災集団移転事業が進む志津川東地区に整備。鉄筋一部鉄骨3階で、延べ床面積1万2270平方メートル。建設費は55億8000万円。内装に南三陸杉を使った。隣り合う災害公営住宅や新役場庁舎予定地とともに新しい町中心部を形成する。

 新病院は12月14日に開院する。内科、外科、小児科など診療科は10科。病床数は人口減を見越し、震災前より36床減の90床を確保した。保健センターや子育て支援室を置き、一つの施設で医療と保健福祉を組み合わせた地域包括ケアが可能になる。

 落成式典には、台湾紅十字組織やイスラエル医療団といった支援に携わった国内外の団体から関係者約150人が出席。佐藤仁町長は「新病院は町民にとって心のよりどころになるだろう」とあいさつした。

 旧公立志津川病院は津波で5階あった建物の4階まで浸水し、入院患者や職員74人が死亡、行方不明になった。震災後、町は町内に仮設診療所を置く一方、登米市のよねやま診療所に間借りする形で38病床を持つ病院を開設し、2拠点体制を取っていたが、新病院の開院でいずれも閉じることになる。



http://toyokeizai.net/articles/-/94048
薬の大量処方で医者が儲かるという「大ウソ」
薬が減らないのには2つの原因があった

和田 秀樹 :精神科医
2015年11月26日 東洋経済オンライン

医者は金儲けのために薬を出しているのではない

日本人は、諸外国と比べて、医者に行った時の薬の処方が多い。それに疑問を感じているのか、「薬漬け」ということばもよく使われる。

その理由について、医者が利益を得るために薬を必要以上に大量に出しているからだと考える人が少なくない。だから一般の人と比べて医者の収入が多いと思われているフシもある。

どうも日本には医者の「性悪説」のようなものがあるようだ。

たとえば、かつて老人医療費が無料になった時代があるが、当時、病院の待合室が高齢者であふれ返っていた。高齢者のサロンとさえ揶揄された。

その際に待合室で元気そうな高齢者が、次に行く旅行の相談をしているとか、いつも来ているおじいさんが今日は顔を見せないので聞いてみると「風邪をひいてるから」というようなオチになっている。要するに、病気でも何でもない高齢者を医者が集めて金儲けをしていて、本当に病気のときは来ないという話である。

しかし、ここでよく考えてほしい。高齢者の通院患者というのは、風邪をひいたなどの急性の病気で医者にくるほうが珍しく、多くの場合は、高血圧や糖尿病、骨粗しょう症など慢性の病気で医者に来ているのである。体調がいいのであれば、待合室で旅行の相談をするのは何の不思議もないし、むしろ待合室でよぼよぼしているとすれば、薬の出し過ぎか、医者がちゃんと体調を管理できていないことになる。私の外来に通う認知症の患者さんだって、風邪をひいている時は、代わりに家族が来ることなどざらにある。

しかし、日本の医者は薬を出すことで金儲けをしていると厚生労働省(当時は厚生省)も考えたようで、90年代後半くらいから医薬分業を強烈に推し進めた。要するに院内で処方するのではなく、院外薬局で薬を患者がもらうシステムに変えていった。そうするといくらたくさん薬を出しても、医者に入るお金は処方箋料だけとなる。たくさんの薬を書くと余計に手間が増えるのに入るお金は同じというシステムだ。

結論的にいうと、これでほとんど処方は減らなかった。世間や厚生省が考えるほど、医者は金儲けのために薬を出していたのではなかったのだ。

薬漬け医療を生む「専門分化主義」の弊害

では、なぜ、たとえば高齢者だと15種類も出されるような、多剤処方、いわゆる薬漬け医療が蔓延するのだろうか?拙著『だから医者は薬を飲まない』でも解説しているが、私は基本的に医学教育の在り方に問題があるのだと考えている。

ひとつは「専門分化主義」、もうひとつは「正常値至上主義」である。

大病院、とくに大学病院に行ったことがあればお気づきになるだろうが、内科という科はその手の病院では消滅している。代わりに、呼吸器内科、内分泌科、消化器内科、循環器内科という臓器別の診療科が並んでいる。

このような専門分化は、特定の臓器の病気と診断がついている場合、とくに珍しい病気に対して、専門的に治療を行うには望ましい。しかし、それによって専門外の分野の治療はお粗末になってしまうということは珍しくない。

一般に大学病院や大病院の医師などが開業する場合、糖尿病の専門医や消化器内科の専門医として開業できればいいが、それでは広く患者が集めきれないので、一般内科ということで開業するケースが多い。ところが高齢者の場合、一人でいくつもの病気を抱えているほうがむしろ通常だ。高血圧で血糖値も高く、そのうえ、骨粗鬆症も始まっているなどということがざらだ。

その際、循環器の専門医であれば、高血圧に関しては、自分の専門知識で治療ができるだろう。しかし、糖尿病や骨粗鬆症については、専門外の素人のような感じで治療をすることになる。

そういう際の医者向けのマニュアル本はいっぱい出ている。それぞれの病気についての「標準治療」が紹介されている本だ。どんな検査をして、どんな治療をすればいいかが書かれているから、確かに大外れの治療にはならないだろう。しかし、多くの場合は標準治療として、2、3種類の薬を飲ませればいいという話になっている。すると、4つ病気を抱えたお年寄りに「標準治療」を行うと12種類の薬を飲ませることになる。

ところがこの手の標準治療は、ほかの病気が合併していることはほとんど考慮に入れられていない。基本的にその病気の専門家が作るのだが、その病気に詳しくてもほかの病気に詳しくないことには変わらない。そして、多くの場合、ほかの薬を飲んでいる場合に、その処方をどうすればいいのかなどは書かれていない。

結果的にほかの分野のことを知らない専門医が次々と開業していくうえに、患者層の多くが高齢者(これからはその傾向がどんどん強まっていくだろう)なので、多剤併用の傾向がさらに進んでいくことになる。

ところが大学病院というのは、基本的に教育スタッフがほとんどこの手の「専門家」である。こういう人が医学教育を牛耳っている以上、多少制度をいじっても、むしろ受けた教育に忠実なまじめな医者ほど薬をたくさん使ってしまうことになる。

本当は正常ではない「正常値」

もうひとつの問題は、「正常値」主義である。要するに検診などで異常値が出れば、ある病気の早期発見ができたということで、治療が開始されてしまうということだ。

2012年の人間ドック学会の発表によると、人間ドックでどの項目も異常がなかった人はわずか7.8%しかいなかったという。92.2%の人は何らかの形で異常を抱え、それを医者に見せるとその異常値を正常化させるような治療が行われてしまう。

ここでも、専門分野の病気なら、「この程度の異常なら大丈夫」と言えるのかもしれないが、専門外の場合は「一応、治療しておきましょう」になりかねない。

実際、血圧の正常値などは大規模調査の結果などで、ときどき変更されるが、検査の正常値というのは、平均値プラスマイナスアルファなどという「雑な」決め方をされていることが多い。身長が平均よりひどく高くても、ひどく低くても病気とは言えないように、「平均を外れていること=病気である」とは言えないだろう。

どの値を超えれば病気になりやすいという大規模調査をすればいいのに、それがほとんど行われていないのが現実だ。また検査データを正常にしたら、本当に病気が減るのかもわからないということも珍しくない。

本当に「正常な値」と、薬を使うことで「正常にした値」というのは、体に与える意味が違う。たとえば、ピロリ菌があると胃がんになるというので、最近は除菌が盛んに進められるが、生まれつきピロリ菌がない人は確かに胃がんにならないのだが、長い間ピロリ菌が胃の粘膜に影響を与えていた人は、菌を殺しても胃がんにならないとは限らないそうだ。

検査値を正常にしないといけないというイデオロギーに、医者(患者の多くも)が染まっている限り、異常値にはつい薬を使うということになって、どんどん薬が増えていってしまう。

これからの時代に必要な医者とは

最近になって高齢者が増えてきたこともあって、専門医でない総合診療医や、地域の患者への往診を含めて(要するにその患者さんの生活状況もみる)サポートしていく地域医療医が再評価されているという。

総合診療医というのは、専門医ほど各臓器には詳しくないが、人間全体をみて、その人に何が大切かの優先順位がつけられる。15種類の薬を飲んでいる人に、これだけは飲んでくれという5種類が選べるような医師だ。

総合診療や地域医療、そして彼らによる啓もう活動が盛んな長野県は平均寿命が男性1位、女性1位になっていながら、ひとり当たりの老人医療費は全国最低レベルだ。つまりきわめてコストエフェクティブ(コストがかからず、患者さんの健康長寿につながる)な治療を行っていることになる。いっぽうで、大学病院の多い県ほど、平均寿命が短く、老人医療費も高いという傾向がある。検査値の正常主義はむしろ時代遅れなのだ。

高齢化が進んでいるのだから、医学教育の大幅な改変が求められる。しかし、大学の医学部の教授というのは、一度なると定年までやめないし、各医局が定員を削る気がないから、専門医ばかりが養成され、総合診療医がなかなか教育できない。

だとすれば、旧来型のダメな大学病院は半分くらいスクラップして、総合診療や心の治療、がんへの特化などのニーズにあった医学部をどんどん新設すべきなのだ。

厚生労働省は医療費を制度で削ろうとばかりするが、医学教育改革こそが、もっともコストエフェクティブな制度だと私は信じている。



http://www.m3.com/news/general/378301
阪大の医療過誤認めず 遺族の請求棄却 地裁 /大阪
2015年11月26日 (木)配信 毎日新聞社

損賠訴訟:阪大の医療過誤認めず 遺族の請求棄却 地裁 /大阪

 大阪大学病院(吹田市)が悪性リンパ腫の男性(当時70歳)のB型肝炎感染を知りながら、肝炎発症の副作用がある抗がん剤の投与を続けたため死亡したとして、遺族が大阪大に対し計約1億3200万円の賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁であった。川畑正文裁判長は「B型肝炎による肝不全が死因とは認められない」と判断し、原告の請求を棄却した。【三上健太郎】



http://www.m3.com/news/iryoishin/378211
「医療だけ低賃金になる」、横倉日医会長が危機感
社会保障費増の5000億円弱抑制「大きな問題で遺憾」

2015年11月26日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は11月25日に記者会見し、財務省の財政制度等審議会が11月24日、社会保障関係費増を5000億円弱に抑制することを掲げた「2016年度予算の編成等に関する建議」をまとめたことを受け、「地域医療の崩壊につながる大きな懸念がある。到底容認できない」と危機感をあらわにした。その上で、安倍政権が企業に賃上げを要請している点に触れ、「今回の診療報酬改定で削減ありきの議論では、医療従事者だけ賃金上昇が無い、低賃金でやりなさいということになりかねない」と述べ、アベノミクスが目指す所得拡大のためにもマイナス改定は避けるべきだと主張した。

 「2016年度予算編成等に関する建議」では、社会保障関係費の伸びを「確実に高齢化による増加分の範囲内」とする5000億円弱に抑制するように要請。厚労省が増加分として概算要求した6700億円から1700億円強の削減となる(『「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議』を参照)。

 横倉氏は、財政審の建議について、「具体的な削減を示唆しているのは大きな問題で、遺憾に思う」とコメント。建議の根拠となった、社会保障費の伸びを3年間で1兆5000億円以内にするとした「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太の方針)」は、「あくまで目安と受け止めるべき」と述べ、画一的でない柔軟な対応が必要だと主張。現在の医療機関の厳しい経営環境では、厚労省が示した6700億円が必要な財源だと訴えた。

 財政審の建議では薬価引き下げを診療報酬本体の財源に充てないと明記され、同24日開催の経済財政諮問会議でも7対1入院基本料の厳格化等を求める意見が出ており、2016年度診療報酬改定の引き下げ圧力が強まっている(『財務相、社会保障費増「5000億円弱に抑制」と念押し』を参照)。横倉会長は、会見で、「薬価を含めた全体の改定率のマイナスはやむなし」との見方について意見を求められると、この時点では意見を差し控えるとした上で、「全体のプラスマイナスの議論は、必要なのかというのはあると思う」と発言。財政審の審議会長の吉川洋氏(東京大学大学院経済学研究科教授)の言葉を引用し、「分配をしっかり、メリハリを付けてやっていくのは正しいと思う」と述べ、全体の改定率よりも改定の中身の方が重要との見方を示した。

 一方で、7対1入院基本料の算定病床の削減など、診療報酬本体の削減を求める声については、「今の状況では地域医療が困難になる可能性が有る」と指摘。さらに、看護師の夜勤時間の「72時間ルール」(『看護師の「72時間ルール」緩和を提案、厚労省』を参照)の緩和を求める動きを踏まえ、「72時間ルールをクリアするためには、7対1の看護職員がいないと看護体制が組めない。7対1を削減して10対1にした時、72時間ルールをクリアできる看護体制が組めるのか。常に両方を見ないといけない」と述べ、7対1入院基本料の算定病床を削減するならば、72時間ルールの緩和も必要だと指摘した。



http://www.m3.com/news/general/378306
人工呼吸器エラーで死亡 院長ら3人書類送検
2015年11月26日 (木)配信 共同通信社

 京都府警は26日、人工呼吸器がエラーでアラームが鳴っているのに気付かず、患者を死亡させたなどとして、業務上過失致死の疑いで、京都市右京区の泉谷病院の男性院長(68)と女性看護師長(40)、女性看護師(30)の3人を書類送検した。

 送検容疑は、ことし8月4日午前3時ごろから同3時40分ごろまでの間、入院中の男性患者(76)が装着していた人工呼吸器が正常に作動しない場合に鳴るアラームに気付かず、処置が遅れ、低酸素脳症で死亡させた疑い。

 府警によると、同じ階に看護師3人がいたがいずれも仮眠中でアラーム音に気付かず、別の階にいた看護師が気付いて発覚した。人工呼吸器の管が外れていたとみられる。

 3人はいずれも容疑を認め、院長は「全員が仮眠しているとは知らなかった。看護師長に任せていた」、看護師長は「今まで事故が起こらず、誰かが気が付くと思っていた」と供述している。


  1. 2015/11/27(金) 05:48:35|
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11月25日 

http://blogos.com/article/146423/
主張/財政審の建議/“削減ありき”で医療を壊すな
しんぶん赤旗2015年11月25日 09:22

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会が2016年度の政府予算編成に向けた建議(意見書)をまとめ、麻生太郎財務相に提出しました。歳出削減の対象に、もっぱら社会保障を挙げ、国民に必要な医療・介護の費用などを容赦なく削り込むことを要求しています。「社会保障を充実させる」といって、国民に消費税増税で負担を求めておきながら、予算編成のたびに社会保障費の抑制や削減ばかりが焦点になること自体、異常としかいいようがありません。国民の暮らしと安心を揺るがす社会保障費削減路線は、やめるべきです。

機械的カットが前面に

 16年度予算編成では、すでに今夏の概算要求の段階で、社会保障費の伸びを15年度概算要求より1600億円も抑え込み6700億円の増加しか認めていません。24日の財政審建議は、この伸びをさらに削り、5000億円弱の増に圧縮することを要求しました。

 安倍政権が今年6月に決定した「財政健全化計画」では、16年度から3年間で社会保障費の増加分を約1・5兆円に抑える方針を掲げています。それを「先送り」するな、と強く迫る内容です。

 なかでも建議が、「重要課題の一つ」と明記し、「削減」の標的にしているのは、公的医療保険財政から医療機関に支払われる診療報酬です。16年度は2年に1度行われる診療報酬改定の年にあたるためです。患者がかかる医療の範囲や質を左右する診療報酬を「削減ありき」で機械的に引き下げることは、きわめて乱暴です。医療技術の質を保つために必要な報酬が手当てされなければ、国民は安心して医療機関にかかれません。かかりたい医療が保険から外されてしまえば、患者の負担は深刻です。

 財政審の建議は、薬の値段とともに医師の技術料も含めて「マイナス改定が必要」と強調しました。技術料まで踏み込んだマイナス改定が仮に強行されれば、医師不足などで地域の医療機関が撤退するなどして「医療崩壊」を加速させた06年の改定以来です。またもや国民の健康と命を危機にさらそうというのか。まさに無反省です。

 財政審建議は、安倍晋三首相の政権復帰後の予算編成で、13〜15年度と連続して社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑え込んだことを示し、予算圧縮は可能であるかのようにいいます。

 しかし、日本の社会保障費は、高齢者人口の増加や、医療技術の進歩・改善などにより年1兆円規模の「自然増」が必要とされています。それを無理やり半分に抑え込んだ結果、13年度は生活保護費の大削減、14年度は診療報酬の実質マイナス改定が押しつけられました。15年度も、介護報酬を過去最大規模で削減し、特別養護老人ホームなどの経営に打撃を与え、サービス利用者に深刻な影響を広げています。年金も実質カットです。こんな社会保障破壊が続けられては、国民の暮らしは、まったく成り立ちません。

政治の姿勢を変えてこそ

 診療報酬を1%引き下げて削減できる国費約1000億円は、トヨタ自動車1社の研究開発減税1200億円とほぼ同額です。大企業減税の大盤振る舞いをやめれば、社会保障費財源は確保できます。大企業中心の政治から、国民の暮らしを最優先にする政治への転換がいよいよ必要です。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47424.html
日医横倉会長「本体マイナス容認できない」- 「国民が医療受けられない」と強調
2015年11月25日 21時00分 キャリアブレイン

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は25日に開いた記者会見で、前日に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が、2016年度診療報酬改定で本体の改定率をマイナスにするなどして、社会保障関係費の伸びを抑えるよう求める建議をまとめたことについて、「到底容認できない。本体マイナスになれば医療機関の経営が苦しくなり、国民が医療を受けられない事態になる」と述べた。【君塚靖】

 横倉会長は、「診療報酬が下がって一番困るのは、やはり国民。医療従事者は収入が減っても、一生懸命にサービスをしようとするが、それができなくなる地域が出てくることをわれわれは心配している」と述べた上で、日医としては国民が過不足ない医療を受けられるよう、引き続き必要な財源を求めていくとした。

■国公立以外の民間病院は20床―49床で赤字転落

 この日の会見では、今年実施された医療経済実態調査(医療実調)についての日医の見解を発表した。日医の見解はすでに、20日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で明らかにされていたが、見解の詳細と、同日の総会で支払側委員から受けた質問への答えも示した。

 会見で見解の詳細を説明した中川俊男副会長は、中医協総会で支払側を代表して医療実調を分析した健康保険組合連合会(健保連)が、前回や前々回の医療実調を並べて経年として中期トレンドととらえていたことについて、「医療実調は、直近2事業年度の定点調査なので、客体が違うものを経年で比較するのは問題がある」と改めて強調した。

 また、同じく20日の中医協総会で健保連が一般病院について、赤字体質の公立病院を含めると、損益差額率は病床規模別ではすべての規模で赤字だが、公立病院を除くと50―299床規模で黒字を維持していると指摘したことに対し中川副会長は、一般病院は国公立も民間病院も損益差額率が低下したとコメントした上で、「国公立以外の民間病院は20―49床が赤字に転落し、50―99床も損益差額率が連続して低い」とのデータを示した。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/151125/prl1511251622140-n1.htm
他院の処方を「明らかにおかしい」と思ったことがある医師は、4人に3人。しかしその場合でも「処方医への疑義照会・意見・相談」は「全くしない」が多数派~「医師から医師への疑義照会」実態調査~
2015.11.25 16:22 SankeiBiz


グラフ1
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グラフ2
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グラフ3
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月600万人が利用する日本最大級の病院検索・医薬品検索・医療情報サイト群ならびに医療者向けサービスを運営する株式会社 QLife(キューライフ/本社:東京都千代田区、代表取締役:山内善行)は、他医の処方に対する「医師からの疑義照会」がどの程度なされているのか、その実態を確かめるべく、開業医を中心とした医師250人を対象にインターネット調査を実施した。

その結果、7割以上の医師が他院の処方内容を見て、「明らかにおかしい」と思ったことがあった。ただし「明らかにおかしい」と思っても、7割以上の医師は処方医に対して疑義照会・意見・相談を全くしていないことがわかった。

昨今、ポリファーマシー(多剤処方)の問題が指摘されることが増えてきた。特に患者が高齢になると、複数の病態や疾患を抱えていることが多いため、それぞれの専門の医師による別々の治療によって、薬が追加されてしまいやすい。患者がかかりつけ薬局をもち、それが機能していれば、成分の重複や相互作用リスクに「気がつく」ところまでは役割を果たせるかもしれないが、主体的に交通整理するところまでは難しい。まして、ポリファーマシーの弊害を防ぐとの観点で積極的に薬を減らす検討は、かかりつけ医でなければ不可能だろう。

そのため診療所の医師には、個別最適を全体最適の目で補正する役割が期待されるが、実態としては、他院の処方に疑問を呈すだけでもかなり困難であることが明らかとなった。背景として、臨床現場の多忙さや専門性の高い治療法への知識不足もあるが、「言いづらい」「トラブルの原因になりそう」「言っても効果ない」といった理由も多い。ただし、自分が他院から疑義照会を受けた経験がある医師が2割以上はいるため、施設を越えた医師同士のコミュニケーション促進策が望まれよう。

詳細な調査結果は http://www.qlife.co.jp/news/151125qlife_research.pdf からダウンロードできるほか、医療者向け情報サイトQLifePro医療ニュース(http://www.qlifepro.com/news/)でも掲載されている。

【結果概要】
1) 他院の処方に「明らかにおかしい」と思ったことがある
74%の医師は他院の処方内容を見て、「明らかにおかしい」と思ったことがあると回答した。

2) 他院の医師に対して疑義照会・意見・相談をしたことがある
他院の処方内容を見て「明らかにおかしい」と思った場合でも、76%の医師は疑義照会・意見・相談は「全くしない」ことがわかった。疑義照会しない理由としては、「他院を尊重」「面倒・多忙」「トラブル回避」が多かった。

3) 他院から疑義照会・意見・相談を「受けた」ことがある
22%の医師は、他院の医師から、疑義照会・意見・相談を受けたことが「ある」と回答した。

【調査実施概要】
▼調査主体
株式会社QLife(キューライフ)
▼実施概要
(1) 調査対象: 診療所の理事長・院長・副院長・勤務医
(2) 有効回収数:250人
(3) 調査方法:インターネット調査
(4) 調査時期:2015/8/11 ~2015/8/18

………………………………………………………………………
▼株式会社QLifeの会社概要
会社名 :株式会社QLife(キューライフ)
所在地 :〒100-0014 東京都千代田区永田町2-13-1 ボッシュビル赤坂7F
代表者 :代表取締役 山内善行
設立日 :2006年(平成18年)11月17日
事業内容:健康・医療分野の広告メディア事業ならびにマーケティング事業
企業理念:医療と生活者の距離を縮める
URL  : http://www.qlife.co.jp/



http://www.minyu.ne.jp/digitalnews/151125_1.htm
紋別医師会啓発講座を初開催、安易な救急要請遠慮を
(11月25日付け)北海民友新聞

 紋別医師会(小林正司会長)が主催する市民健康講座が20日夜、市文化会館で開かれ、市民約160人が救急車の正しい利用法について理解を深めた。救急車の出動件数は全国的に年々増加傾向で救急車の到着時間と病院収容までの時間が延びている現状がある。その一因として、緊急性のない病気での通報や通院時のタクシー代わりに利用するケースがみられ、社会問題化している。小林会長は「紋別市は脳梗塞や急性心疾患の患者を管外搬送できるようになっており、救急車が出払うことも考えられる。軽度のけがや病気での119番通報はなるべく控えてほしい」と呼びかけた。

 救急医療普及啓発事業として企画したもので、医師会が市民向け講座を開催するのは初の取り組み。

 日本全国で救急車は年間540万件の出動要請があり、そのうちの半数は入院を必要としない軽症者だったという。小林会長の病院にもかつて、人差し指に釣り糸が刺さった市外の釣り客が搬送されてきたことがあった。小林会長は「日本はイギリスと並び救急車配備の先進国といわれ、アメリカと違い無料で医療機関へ搬送してもらえる。だが、安易に利用する人が増えたため、到着時間の遅れが社会問題になっている」と課題を指摘。その一方で「紋別では軽症者による救急要請が全国平均に比べて少ない。市民の皆さんはよく考えた上で通報していると思う」と述べた。

 紋別市では平成20年から3台体制で救急車を運用。搬送区域は市内にとどまらず、平成23年からは脳梗塞患者を北見の道東脳外科病院へ、平成25年からは急性心筋梗塞患者を遠軽厚生病院へ市内の医療機関を経由せず直接搬送することが可能になっているが「直接搬送は救急救命士の判断で行っている。患者に脳梗塞の疑いがあるかどうかを見極める能力は若手専門医並みに高い」(小林会長)という。その上で「管外に直接搬送すると片道で最大2時間かかり、救急車が手薄になる。その間に軽症者が利用すると重傷者の搬送に支障をきたす。安易な利用は避けてほしい」と訴えた。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0205700.html
医師奨学金を肩代わり せたな町、地元勤務で一部免除
11/25 07:00、11/25 08:23 更新 北海道新聞

 【せたな】檜山管内せたな町議会は24日、町立国保病院・診療所の医師確保策として、都市部などの若手医師が町内で一定期間勤務することを条件に、大学在学中に借りた奨学資金の未返済分全額を無利子で貸し付ける条例案を可決した。返済は10年以内で、契約した期間通りに勤務すれば貸付額の3分の1の返済が免除される。

 道によると、医療従事者を目指す学生を対象に奨学金を貸し付ける事業を行っている市町村は道内で約4割あるが、他の機関から受けた奨学金の返済分を貸し付ける形で医師の確保を目指す制度は初めてという。勤務する期間は返済期間などによって町との話し合いで決める。

 町は来年4月、空知管内で現在勤務する30代の男性研修医を町立国保病院の常勤医に採用する予定で、適用第1号として医師が未返済の奨学金約2500万円の貸与手続きを今後行う。



http://news.livedoor.com/article/detail/10873735/
ジェネリック医薬品に半数以上の医師が「不信感」 完全に同じ薬ではない
2015年11月25日 16時0分 NEWSポストセブン

 11月6日、厚生労働省は医師などを対象に行なったジェネリック医薬品についての意識調査の結果を、中央社会保険医療協議会に報告した。

 それによると、病院勤務の医師のうち54.9%、つまり半数以上が、現在のジェネリックに対して「不信感がある」と回答。その主な理由は、先発医薬品との「効果・副作用の違い」(67.9%)、「使用感の違い」(38.6%)などである。

 ジェネリックは、医薬品の「有効成分の特許」が切れた後に発売される低価格の後発薬で、年々かさむ医療費を抑えるための「救世主」と目されてきた。

 新薬の開発には臨床試験などの費用として数百億円かかるといわれるが、先発薬と同じ有効成分を使うジェネリックは臨床試験が大幅に割愛されるため、開発費が節約され、薬価が抑えられる。先発薬と比べて3~5割安くなる場合もある。

 厚労省によると、2012年度の国民医療費は約39兆2000億円。2025年度には55兆円を超えるとみられている。ジェネリックの利用が増えれば患者個人の医療費だけでなく、国民医療費を大幅に削減することにもなる。

 政府は今年5月、2020年度末までにジェネリックの普及率を80%以上に引き上げるとする目標を掲げ、医療財政を健全化するための施策とした。

 そんな中で発表された今回の調査結果は、医療業界で大きな話題となっている。医師たちがジェネリックに不信感を抱く主な理由である先発薬との「効果、副作用の違い」は、“特許が切れた後”という部分に起因している。

『なぜ、あなたの薬は効かないのか? 薬剤師しか知らない薬の真実』(光文社刊)の著者で薬剤師の深井良祐氏が解説する。

「医薬品の特許は、有効成分そのものの『物質特許』や薬の製造過程に関わる『製剤特許』など様々です。最初に切れるのが『物質特許』で、多くのジェネリックはこの特許だけを真似して出されています。

『製剤特許』が切れるまでは成分と用量は先発品と同じでも、製剤法は同じではないのです。さらに薬は有効成分だけでなく、添加物も含まれます。剤形(錠剤、カプセル、粒状などの形)の違いで効果に差が出る可能性もあります」

 つまり、ジェネリックと先発薬は「完全に同じ薬」ではない。

 双方を治療で使用した場合に全く同じ効果が出るかどうかを検証した調査は存在しない。患者がジェネリックに切り替えたところ、発作の悪化や副作用の出現が報告された事例もあるという。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦氏は次のように語る。

「添加物や剤形が変わると、薬の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりします。人によっては効きすぎたり効果が出にくかったりする。同じ料理を同じ材料、分量で作ったとしても、違う調味料が加われば異なるレシピとなり、味も変わるのと同じことです」

 前出の深井氏は、実際に効果の差が表われやすい医薬品を挙げる。

「たとえば、喘息を治療するための貼り薬のジェネリックを敬遠する医療従事者は多い。貼り薬は肌にピタッと貼ることで徐々に薬が溶け出していく。溶け出しのタイミングは、製剤方法に左右されます。それが真似できない状況でジェネリックが次々と出てくるため、効果に違いが表われやすいのです。その他にも“外用薬”といわれる湿布や点眼薬、塗り薬などは、効果に差が出やすいと言われています」

※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1125037868/
日本医療研究開発機構の展望
「がん」と「難病・未診断疾患」からゲノム医療を推進

学会レポート | 2015.11.25 Medical Tribune

 日本医療研究開発機構(AMED)が今年(2015年)4月にスタートして半年が過ぎた。理事長の末松誠氏は,第74回日本癌学会学術総会(10月8〜10日,会長=名古屋医療センター院長・直江知樹氏)でAMEDの現状と今後の取り組みについて説明し,「ゲノム医療実現のため,AMEDの主要9プロジェクトの中でも,まずはがんと難病・未診断疾患の領域から進める方針だ」と述べた。

 AMEDの事業は縦割り(戦略推進部の7つの事業課)と横割り(5事業部)が交差する構造で,研究開発のプラットフォームとして進めている(図では9つのうち7つのプロジェクトを提示)。健康・医療戦略推進会議の下に設置されたゲノム医療実現推進協議会では中間取りまとめが発表され,その中で9つのプロジェクトのうち,まず「がん」と「難病・未診断疾患」の領域でゲノム医療を推進していくとしている。

<図>戦略推進部と他5事業部との「縦横連携」
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(末松誠氏提供)

 末松氏はAMEDが,がん関連学会と共にリードしていかなければならないと認識している課題として以下の6点を挙げた。

 ①病理検体の標準化を中心とした地方拠点構築整備事業(その運営を支える専門医師,分子生物学やゲノムに精通した病理専門医の育成)
 ②実践をしながらのアノテーション人材*1の育成
 ③日本人がんゲノム情報+詳細な治療情報のデータベース構築
 ④次の創薬に向けた検体二次利用の管理体制の構築
 ⑤シーズの枯渇を招かないような基礎研究への力点
 ⑥スピードの遅れは致命傷になる(走りながらprecision medicine*2を構築していかねばならない)
ゲノム研究をゲノム医療に

 日本では40年以上の難病研究の歴史があるが,国際連携に関しては国としての取り組みが進んでいなかった。AMEDは,リーディングプロジェクトの1つとして未診断疾患イニシアチブ(IRUD)を立ち上げた。IRUDはその研究開発を通じて,希少・未診断疾患患者に対して体系的に診断する医療システム,患者情報を収集蓄積し開示するシステムを確立することを目的としている。
 IRUDは,かかりつけ医,拠点病院(総合病院),IRUD解析コンソーシアム,データネットワークなどの連携により診断困難な患者をフォローアップする診断体制を構築し,参加する拠点病院にIRUD診断委員会を設置し,全国配備を目指すという。小児は国立成育医療研究センター,成人は国立精神・神経医療研究センターが中心となり,全国に拠点を配置していく。
 末松氏は「ゲノム研究をゲノム医療につなげるためには,フェノタイプのマッチングが非常に重要と考えており,かかりつけ医,解析コンソーシアム,診断委員会の間で,個人情報を明らかにしなくてもゲノム情報のやり取りができるように体制を整えていきたい」と述べた。
 特に希少疾患・難病の場合は,国内に同じ症状の患者が存在するとは限らないため,国際的に情報を共有する枠組みが必要となる。AMEDはIRUDの立ち上げとともに,7月30日には国際希少疾患研究コンソーシアム(IRDiRC)に加盟した。しかし,IRDiRCもまだ方向性が固まっていない状況で,①データ共有の方法②ゲノム情報の使用に関する世界共通の仕組みがない③Machine-readable consent(どの国のどの情報がどのようなインフォームド・コンセントを得て使用可能になっているのかを世界のどこでも分かる)という概念−などが問題となっている。同氏は「もう1つ重要なことは,難病研究に限らないが,ヒトゲノムの解析が進展した際に,研究のリーダーだけでなく,他の研究者の貢献もできるだけ等しく認めるという考え方(Microattribution)である」と述べた。

医療研究開発の加速を図る

 末松氏は「ぜひ皆さんに知ってもらいたいこと」として研究費の機能的運用について説明。AMEDのウェブサイトには『研究費の機能的運用について(Vol.2)』が掲載されている。現在可能なことは①合算使用(設備・旅費)②目的使用をした場合の目的外使用③直接・間接費による研究補助員雇用④年度末までの予算執行(報告は5月末でよい。各省共通)−などである。
 来年以降は①間接経費の弾力的運用と透明化(各大学・研究機関が本当に研究インフラ・環境の充実に使っているか)②採択から契約完了までのスピードアップ③明許繰越制度の運用(各省バラバラのルールを統一し,できることを明文化)−などを考えているという。同氏は「現場の研究者の皆さんの意見で大学・研究機関の管理体制を改革し,医療研究開発の加速を図る必要性がある。AMEDはそれを応援する」と述べた。
 横割りの事業では,創薬等支援技術プラットフォーム事業,難病創薬支援事業なども進行しており,来年からはClinical databaseを利用した効果的な臨床研究推進体制の強化なども開始される。同氏は「AMEDは,がん研究課以外のがん研究プログラムが明確になる公募情報の提供を目指す。また,他分野で導入した高価な機器を全てのプロジェクトでも利用できる体制を求めていく」と述べ,「がんの研究費はがん研究課以外の部分も大きいということをご理解いただきたい」とまとめた。
(慶野 永)

*1 データの信頼性を評価,解析し,解析結果を解釈,活用できる人材
*2 精密医療:遺伝子プロファイルを利用した個別化治療



http://www.asahi.com/articles/SDI201511233259.html
シリーズ:スタッフを育てる
診療所に医師や看護師を集めるために

アピタル・武藤真祐
2015年11月25日09時20分 朝日新聞

医師や看護師などの医療専門職はとても流動性が高い職業です。武藤真祐さんは日本国内では、東京都文京区と練馬区、宮城県石巻市の3カ所で在宅療養支援診療所を経営していますが、どんどん医師や看護師を採用しているように見えます。医師や看護師の不足が叫ばれる中、なぜこのように貴重なスタッフが集まってきているのでしょうか。(アピタル編集部)

 現在、日本国内の診療所に関しては、常勤医師が11人、非常勤医師が14人います。看護師は15人です。他に理学療法士(PT)が1人、社会福祉士(SW)が1人います。この2人は、その資格を基礎資格として持っているだけでその仕事をしているわけではありません。私たちのクリニックでは、連携部として、看護師やPT、SWが地域医療連携の仕事もしています。

 私たちも、常勤の医師や看護師を集めるにとても苦労しました。開業した当初の常勤医師は私一人で、そのあと少しして整形外科の医師が加わってくれました。彼は、もともと友達だったので、「来てくれないか」と相談したらありがたいことに来てくれたのです。それ以外は、非常勤の医師で対応していました。患者さんが増えていく一方で、常勤医師の採用が難しいので非常勤で埋めていくということが3年ぐらい続いたのです。非常勤医師は、知り合いの紹介をたどったり、医局などから派遣してもらったりしていました。

 私たちの診療所に常勤医師が増え始めたきっかけは、三つあります。一つは、在宅医療の実績を積み上げていくことで興味を持ってくれる医師が増えたこと。二つめは、採用担当者をおいたこと。そして、三つめは組織がだんだんと成熟していくにあたり、非常勤医師として祐ホームクリニックで働くうちに常勤になる決断をしてくれる人も増えてきたのです。

 特に最後のパターンについて言えば、非常勤医師から常勤医師になる決断は非常にハードルが高いのです。どこかに勤めていて週1回アルバイトに行くのと、そこに常勤になるのは全く違うのです。ある意味ではアルバイトは割り切ってやることができますが、常勤となると人生の設計図の中に組み込むということになります。私たちの診療所で非常勤医師から常勤になった医師は、元の勤務していた病院の規模は大きく、またいわゆる有名な病院に勤務していた人も多いです。そして、在宅医療だけではなく外来や検査に従事し、人によっては研究に身をおいていた人も居ます。このような環境では、周囲に在宅医療をやる医師はほとんどいません。そんな彼らが非常勤として在宅医療の現場で働いている中で、祐ホームクリニックの魅力に気づき常勤医師の道を選んでくれたのです。これはとてもうれしいことです。

 我々のクリニックで常勤医になると、約80%は在宅医療に時間を使うことになります。例えば、誰もが知っている有名病院の勤務医から、言ってしまえば無名の診療所の勤務医になる。そのギャップはすごく大きく、人生のキャリアの大きな転換点になることは間違いありません。

 開業して6年弱たち、こうした常勤医たちが、クリニックの診療、研究、教育において、大きな役割を担ってくれるようになってきました。次回以降に医師及び看護師が常勤として勤務してくれるために当院の取り組みをお話ししたいと思います。

<アピタル:医療の実践型リーダーシップ・スタッフを育てる>

http://www.asahi.com/apital/column/innovator/

アピタル・武藤真祐(むとう・しんすけ)
医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック理事長・院長
2002年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。三井記念病院などにて循環器内科、救急医療に従事後、宮内庁で侍医を務める。その後マッキンゼーを経て、2010年医療法人社団鉄祐会を設立。2015年、シンガポールで「Tetsuyu Home Care」を設立し、同年8月よりサービス開始した。現在、東京医科歯科大学医学部臨床教授、厚生労働省情報政策参与も務める。INSEAD Executive MBA。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H53_V21C15A1EE8000/
診療報酬下げ容認 日医会長、技術料は増額求める
2015/11/26 0:23

 日本医師会の横倉義武会長は25日の記者会見で、2016年度の診療報酬改定について医師の技術料の引き下げは「到底認められない」として増額を求めた。一方、技術料と薬価を合わせた全体の改定率については「全体の上げ下げの議論が必要なのか」と必ずしも引き上げにこだわらない考えを示した。

 日医は国の厳しい財政状況を見越して全体のマイナス改定は容認する一方で、技術料のプラスを目指す方向とみられる。診療報酬は2年に1度見直す医療サービスの単価で、薬の公定価格の「薬価」と医師の技術料の「診療報酬本体」からなる。薬価は市場価格の下落に伴って毎回下がる。

 医療機関の収入に直結する本体部分は日医が毎回、大幅な引き上げを要求。本体のプラス幅が薬価のマイナス幅を上回り、全体の改定率は前回まで3回連続のプラスだった。



https://www.m3.com/news/general/377949
稚内市、4600万賠償へ 悪性リンパ腫の判明遅れ
事故・訴訟 2015年11月25日 (水)配信共同通信社

 北海道稚内市は25日、市立稚内病院で悪性リンパ腫の可能性を疑い転院させるのが遅れたとして、昨年3月に転院先の病院で死亡した未成年(当時)の女性の両親に対し、賠償金として計約4600万円を支払うと明らかにした。裁判外の和解。

 稚内病院によると、女性は2013年11月から3回にわたって入院。当初は急性散在性脳脊髄炎と診断されていた。3回目に入院していた昨年1月の検査で悪性リンパ腫が疑われたため、治療設備が整った病院に移ったが、その後、死亡した。

 両親側は「病気の把握と転院が遅れたことが死亡の原因になっている」と主張。市が認めた。賠償に向け、12月定例議会に関連議案を提出する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377690
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
財務相、社会保障費増「5000億円弱に抑制」と念押し
経済財政諮問会議「2016年度予算編成の基本方針(案)」議論

2015年11月24日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 経済財政諮問会議が11月24日開かれ、「2016年度予算編成の基本方針(案)」や経済・財政一体改革の具体化に向けて議論、麻生太郎財務相は、2016年度の社会保障関係費増について、「5000億円弱に抑えていかなければならない」と発言した。高齢化等に伴う伸びとして6700億円増を要求した今夏の予算概算要求から、1700億円強の削減を求めたことになる(資料は、内閣府のホームページ)。

 同日に開催された財政制度等審議会による「2016年度予算の編成等に関する建議」でも同様に、社会保障関係費の伸びを「5000億円弱」に抑えるよう提言している。2016年度は医療以外の分野では主だった改革が予定されていないことから、概算要求から削減されれば、医療費で対応せざるを得ない(『「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議』を参照)。

 民間議員が提出した意見書には、「後発医薬品の薬価は、先発医薬品の価格の半額以下」「7対1入院基本料の一層の厳格化と報酬の引き下げ」など、マイナス改定につながる内容が並ぶ。7対1入院基本料の削減を目指した2014年度診療報酬改定について、「too late,too little」と不十分さを指摘したり、「患者負担増の増加、保険料の増加、手取り収入の減少を踏まえ、2016年度改定は、マイナス改定とすべき」と求める意見も出た。

 財政審の建議では、「薬価改定は、診療報酬本体の財源とはなり得ない」とも明記。2014年度改定では、従来改定とは異なり、薬価・材料改定財源が診療報酬本体の改定財源に充当されなかった(『中川日医副会長、改定で「3つの苦言」』などを参照)。この点を強く問題視する日本医師会をはじめとする医療側をけん制する建議であり、2016年度診療報酬改定が厳しい内容になるのは必至だ。

 もっとも、マイナス改定への圧力が強まる中、塩崎恭久厚労相は、それを正面からは否定せず、「物価や賃金、経営状況を踏まえ、議論する」と述べるにとどまった。

 「2016年度予算編成の基本方針(案)」は、2016年度が「経済・財政再生計画」の初年度に当たることから、「デフレ脱却・経済再生」の取り組みを加速させるとともに、改革工程表を十分に踏まえた上で、歳出改革を着実に推進するのが基本的考え方。11月25日以降、与党自民党の意見をヒアリングし、最終案を作成、経済財政諮問会議に最終的に諮る予定。その後、閣議決定される段取りになる。


2014年度改定、「too late,too little」

 24日の経済財政諮問会議では、民間議員から「経済・財政一体改革の具体化に向けて~社会保障分野~」と題する意見書が提出された。

 基本的考え方として、(1)診療報酬などの改定を通じた、関係者の行動の変化を促すインセンティブ改革、(2)医療・介護関連情報の徹底した開示を通じた国民負担や地域間格差の「見える化」、(3)健康増進・予防サービスにおける優良事例の全国展開の推進――に取り組むことを求めている。

 診療報酬本体については、7対1入院基本料のほか、療養病床入院基本料の引き下げを提言。会議では、民間議員が、「2014年度改定の成果について、厚労相から説明を受けたが、『too late、too little』ではないか。7対1入院基本料の病床も、療養病床もわずかしか変化していない。もっと早く大きな成果を目指して、今回の改定に臨むべき」と対応を求めた。

 薬価については、(1)後発医薬品の価格を先発医薬品の価格の半額以下、(2)特許の切れた先発医薬品の価格の大胆な引き下げ、(3)市販類似医薬品(湿布等)を保険収載から除外、(4)薬価改定の成果は、確実に国民に還元――などを提言。

 調剤報酬については、(1)門前薬局などの調剤報酬の適正化、(2)かかりつけ薬局については、医師との役割分担や健康増進サービスにおいて果たすべき役割の明確化――などを求めた。

 そのほか、地域医医療構想や医療費適正化計画の前倒し策定、徹底した医療の「見える化」のためにNDBの活用などのデータインフラ整備・分析などの必要性も指摘している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377605
「医師の強制加入組織」、医療の質保証に必要か
医療の質・安全学会、英独の事例交え議論

2015年11月24日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 第10回医療の質・安全学会学術集会で11月23日、パネルディスカッション「医療職能集団の制度と機能―医療の質保証の体制を国際比較から考える―」で、医療の質保証の観点から、「医師の強制加入組織」の要否やその在り方をめぐり、イギリスやドイツの事例も交え、議論した。

 座長を務めた、小泉俊三氏(佐賀大学名誉教授)は、パネルディスカッションの冒頭、「医療の質、特に医師の質を保証するために、医療のプロフェッションとして、医師の集団はどうあるべきか」と問題提起、日本学術会議が2013年8月に、医師の強制加入組織を提言したことにも触れ(『「全医師加盟組織」は行政からの自立 - 広渡清吾・前日本学術会議会長に聞く』を参照)、海外の事例も踏まえて、医師組織の在り方を検討していく必要性を指摘した。

 イギリスではGMC(General Medical Council;医療総合評議会)、ドイツでは医師会が、それぞれ全員加入の組織として、医師の質の保証を担っている(詳細は、後述)。

 金沢大学付属病院総合診療部特任教授の野村英樹氏は、イギリスの場合、臨床医としての適性評価・診療資格管理などを行うGMC、政治的・経済的交渉を行うBritish Medical Association(BMA;英国医師会)、研究・学術団体であるRoyal Colleges(王立臨床医会)は、相互に利益相反の関係にあるため、「三権分立」しており、この在り方がプロフェッショナルソサイエティとして望ましいとした。「GMCが本当に医師の自律団体なのかを疑問視する声もあるが、医師個人の質保証を目的とした団体が、政府から独立して存在し続けているのは事実」と野村氏は述べ、学ぶべき点があるとした。

 ドイツで約30年、心臓外科医として臨床に従事した経験を持つ、北関東循環器病院院長の南和友氏は、ドイツ医師会が、医療の質・安全に大きな役割を果たしているだけでなく、勤務医の健康管理も行うなど、医師の人権を守る役割を果たしている現状を紹介。「医師の組織は、強制加入にすることが必要。日本においてそれを実現するために、手っ取り早いのは、専門医の認定を行うことではないか。かなり強制力が出てくる」と提案した。ドイツでは、大学医局と地域の病院とは人事的なつながりがないなど、「脱閉鎖体質」であり、風通しのよいことも、医療の質向上につながっているとした。

 これに対し、「医師個人の専門職としての質の保証」よりも、「病院組織としての質保証」に重きを置くべきとしたのが、慶應義塾大学名誉教授の池上直己氏。病院と医師の関係が欧米と日本では異なる上、大学医局を中核とする「医師の階層構造」、基幹病院は公的病院が中心であるなどの「病院の階層構造」が存在するからだ。「ドイツ、イギリスには、技能集団を支えるための基盤があり、専門職はお互いが対等であることが前提。ドイツ、イギリスにも階層構造はあるものの、日本の階層構造は細かく、医師のヒエラルキーや、その医師が勤務する病院のヒエラルキーがあるので、ピアレビューの導入は難しい」。池上氏はこう指摘し、「病院組織としての質保証」には、診療報酬が有力なツールになり得るとした。


 パネルディスカッションでは、「医師の強制加入組織」を考える上で、歴史的な考察が必要という観点から、東京大学医科学研究所公共政策研究分野特任准教授の神里彩子氏が、日本医師会の成り立ちを概説。

 神里氏は1906年制定の医師法以降の医師会の歴史的経緯を説明したが、中でも特徴的なのが、終戦直後の動き。医師会は、戦前は、「強制設立・強制加入制」だったが、戦後はGHQの民主化政策で改組が求められ、「任意設立・任意加入制」となった。その際、医師会執行部は「強制設立・強制加入制」とし、懲戒審議権や医籍の管理などを行うことを検討したとされるが、自治権を持つ重要性について議論し、GHQ側に説明・説得した目立った動きは見られなかったという。GHQのPHW(Public Health and Welfare)医療課長補佐によるPHW覚書には、「医師会の目的、そして医師会に与えられた業務の目的についての理解が多分に欠如しているようである」との記載がある。

 対照的なのが、弁護士会。「弁護士の使命」「弁護士職務の独立の重要性」をGHQに訴え、弁護士法が制定され、「強制設立・強制加入制」が認められた。GHQ民政局法律課長は、弁護士法案を見た際、「本当に占領軍が目的としていたこと、民主化という目的の結晶のように考えられたほど」と述べているという。「GHQの民主化政策、イコール任意設立・任意加入制という図式に必ずしも限らない」と神里氏は指摘、強制設立・強制加入制にはメリット、デメリットがあるとし、「強制設立・強制加入制の組織の要否についての多面的な議論と合意形成が必要」と考察した。

 小泉氏とともに座長を務めた、東京大学教養学部教養教育高度化機構の客員教授の米本昌平氏は、医師組織の在り方の検討に当たって、「医療の質保証や、医療事故の扱いなどに関して、医療プロフェッションが保持すべき機能・制度を整理し直し、取り組むべき政策論的課題を明確化し、共通化する必要がある」と指摘。その実現に向け、オープンフォーラムを継続的に実施していくことが求められるとし、「次のテーマは、(この10月からスタートした)医療事故調査制度の1年後の検証ではないか」と提案した。

 フロアから発言した、医療の質・安全学会理事長で、日本医学会会長の高久史麿氏は、医師組織の在り方は、日医幹部なども交えて議論すべき課題であるとした。「医師のプロフェッショナル・オートノミーを考えると、医師が行政から処分を受けるのはどうか」と疑問を投げかけるとともに、戦後の日医改革について、「トップの判断が、禍根を残す」と述べ、問題が残ることを示唆した。

 イギリスとドイツの現状は、以下の通り(発表内容を編集部で抜粋)。

GMC(英国総合医療評議会):金沢大学付属病院総合診療部特任教授の野村英樹氏

・ GMCは、NHSとは独立した機関で、1858年制定の医療法により設立。イングランド、ウエールズ、スコットランドの全医師が加盟する団体。
・ 9つの診療領域別の学術団体であるRoyal Colleges(王立臨床医会)、政治的・経済的交渉を行う医師の労働組合(trade union)とも言えるBritish Medical Association(BMA;英国医師会)とは、「三権分立」の体制。
・ GMCは、(1)認定された医師の最新状態の登録簿の維持(日本の医籍に相当)、(2)適正診療規範の作成、(3)高い水準の医学教育の促進、(4)診療適性に疑義のある医師に対する毅然とした公正な対処(一部は、MTPSという組織に移行)――の4つが主な役割。
・ 会員からの年間登録維持料(2015年4月現在で420ポンド、年収3万2000ポンド未満者は50%割引)で、運営。
・ 2014年の支出は、約1億ポンド(約190億円)で、うち「診療適性審査」(診療適性調査費45%、診療適性審判費14%)が59%を占める。
・ 「診療適性審査」は、公的組織や一般からの苦情などを基に実施。苦情のうち、審査まで至るのは約10%。審査結果は、「約定」「条件付医師登録」「一時停止」「除名」の4段階で判定。
・ 最近、医療・医師組織の改革が行われ、GMCは医療の質保証における「1階部分」、Royal Collegesは「2階部分」を担っていたが、GMCが専門医・GP資格認定も、行うようになったほか、「3階部分」として、「NICE」(英国国立医療技術評価機構)などが担うようになった。職員は以前は約470人だったが、業務拡大に伴い、増員。

ドイツ医師会:北関東循環器病院院長の南和友氏

・ ドイツ医師会は、1865年設立。16州に17の医師会。医師免許取得者全員が、入会を義務付けられ、加入医師数は約26万人。
・ 主な役割は、(1)専門医の試験・認定、(2)生涯教育の監視、(3)診療所や病院の開業許可、(4)医師年金の運営、(5)医師の勤務実態の把握と管理、(6)医療訴訟の相談、(7)医療の質・安全の監視――など。
・ ドイツ医師会の傘下に、「Marburger Bund」(勤務医の労働組合、勤務医の約70%に当たる11万4000人が参加)、保険者や厚生局と医療費などの交渉を行う、「Kassenaerztliche Verein」(保険医協会、全国に17カ所、開業医全員と勤務医の代表が参加)があるが、「三権分立していると言っていい」(南氏)。
・ 各病院の院内死亡率をはじめとするクリニカル・データを収集・調査する仕組みがあり、各病院には自院のデータと全国平均がフィードバックされるため、成績は一目瞭然。かかりつけ医(国民に持つことを義務付け)が患者を紹介する際の判断に使用されたりする。
・ ドイツの場合、保険者も、医療の質を保つことに貢献しており、「患者のエージェント」として、各医療機関の治療レベルに関する情報を患者に提供している。健康保険は「一般保険」と「プライベート保険」の二本立てで、年収に応じて「プライベート保険」を選択できる。「プライベート保険」は、「一般保険」とは異なり、かかりつけ医が指定する医師以外も、受診でき、「この制度を作ったことにより、いい医師のところに患者が集まるようになり、医療全体の好循環につながっている」(南氏)。
・ 医療提供体制の特徴として、大学主任教授と関連病院の人事的なつながりがなく、教授が定年退職すれば、後任教授は他大学から選ばれるため、「脱閉鎖体質」、風通しの良さが医療の質向上につながる。
・ 専門的な医療の集約化も、専門医教育の充実につながり、医療の質・安全に貢献。2014年の場合、心臓外科手術の1施設当たりの件数は、ドイツは約2400件、日本は約100件と大きな開きがある。



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1125037893/
認知症、早期診断を...厚労省が地域拠点設置を加速化〔読売新聞〕
yomiDr. | 2015.11.25 読売新聞

 厚生労働省は、地域の認知症治療の拠点「認知症疾患医療センター」としての診療所の指定を加速化する方針を固めた。
 住民が早期に診断を受け、治療を始めやすくする狙いがあり、来年の診療報酬改定で、センターに指定された診療所に報酬を手当てする構えだ。認知症の国家戦略(新オレンジプラン)で掲げる、全国500か所にセンター設置の目標達成につなげる。
 センターは、専門医や臨床心理士らが一定人数そろい、脳画像を調べる磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査機器を使える体制が整った医療機関を都道府県や政令市が指定する。住民からの相談対応、かかりつけ医と連携した診断や療養方針の決定、地域の開業医への研修などを行う。
 これまで診療報酬では、指定を受けた病院には診断料などが払われてきたが、昨年枠組みが新設されたばかりの診療所には手当がなかった。
 今年8月現在、全国に335か所ある同センターのうち、診療所は19か所にとどまっている。
 ある診療所では、半年間で、記憶障害が起きるアルツハイマー型や予備軍とされるMCI(軽度認知障害)など認知症関連で計205件の診断をし、患者をかかりつけ医らに計64件橋渡しした。全国の診療所でも同センターの機能を果たせると厚労省は判断した。
(2015年11月25日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/general/377929
保険金詐欺の疑い、接骨院経営者ら逮捕 通院日数水増し
2015年11月25日 (水)配信 朝日新聞

 交通事故で負ったけがの治療の通院日数を水増しし、保険金をだまし取ったとして、愛知県警は25日、愛知県武豊町の「松崎接骨院」元経営、松崎孝信(37)=同町冨貴=と、患者の会社員川野真道(37)=名古屋市天白区元八事5丁目=の両容疑者を詐欺容疑で逮捕し、発表した。いずれも容疑を認めているという。

 岡崎署によると、川野容疑者は昨年11月に乗用車を運転中に追突事故に遭い、接骨院に通院した。その際、柔道整復師の資格を持つ松崎容疑者は川野容疑者と共謀し、通院日数を6日から23日に水増しした施術証明書などを作成。これを損害保険会社に提出し、治療費名目で2回にわたって保険金約18万円をだまし取った疑いがある。

 捜査関係者によると、川野容疑者は、別の保険会社に勤める知人女性から、松崎容疑者を紹介されたとされる。事故直後の医師の診断では1週間程度のけがと診断されたのに、名古屋市天白区の自宅から往復で100キロ近くの距離がある接骨院に、2~3日に一度通院したよう偽装。保険会社から払われる1日4200円の慰謝料を得ていたという。

 川野容疑者が事故の衝撃でデジタルカメラやパソコンが壊れたと不審な物損請求をしたため、損保会社が調査して発覚、県警に相談していた。

 接骨院は今年9月に閉院したが、県警は関係先を家宅捜索するなどして内偵捜査を進めていた。治療費の不正請求はほかに約30件あるとみており、県警はさらに調べる方針。

■日数水増し、双方にうまみ

 自動車事故などの負傷者数は減っている一方、自動車損害賠償責任(自賠責)保険への請求額は増加している。背景には、接骨院による不正や過剰な請求があるとも指摘されている。

 損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構によると、交通事故の負傷者は2009年は約91万人だったが、13年は約78万人。これに対し、接骨院が自賠責に請求した総施術費用は約478億円から1・5倍の約717億円に増加した。

 接骨院関係者によると、自賠責の診療は、診療費が定められた健康保険とは違い、自由に治療費を決められるため、診療日数の水増しや過剰請求につながっているという。損保会社や自動車修理業者などから負傷者を紹介してもらい、患者として抱き込む接骨院も目立つという。

 一方、患者も通院1日当たり4200円の慰謝料が支払われるため、接骨院と結託して不正請求に関与している疑いがあるという。

 不正は見抜けないのか。関係者によると、多くの運転者は損保会社の任意保険にも加入しているため、自賠責保険と併せて損保会社が一括調査し、両方の保険の合計額を患者側に支払う。自賠責保険は立て替えた後で請求する流れのため、損保会社は自賠責の「けがによる損害」の限度額120万円を超えなければ、余計な負担はない。その結果、自賠責分の審査は甘くなりがちという。

 捜査関係者は「一括調査ではなく、自賠責についても審査や調査をしっかりする仕組みが必要だ」と指摘している。

     ◇

 〈自賠責保険〉 自動車による人身事故の被害者を救済するため、加入が義務づけられている。損害保険会社が販売し、保険金の支払いもする。被害者1人当たりの保険金の支払い限度額は、死亡時3千万円、重度の後遺障害4千万円、けが120万円。自賠責だけでは賠償額が足りないことが多く、損害保険会社による任意の自動車保険もある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377007
シリーズ: 社会保障審議会
「多剤投与にメス」「在宅の暴力対策を」との声も
医療保険部会、2016年度診療報酬改定基本方針で意見

2015年11月24日 (火)配信 成相通子(m3.com編集部)


 社会保障制度審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が11月20日に開かれ、11月19日に社保審医療部会で提示された2016年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)について議論した(骨子案と医療保険部会での議論は『「治し、支える医療」に転換、削減のターゲットは薬』を参照)。「多剤投与の適正化」については、医療部会に続いて委員間で意見の対立があったほか、医療従事者の負担軽減について、在宅医療や訪問看護の現場での医療サービス提供者への暴力の問題や、夜勤勤務の対策を求める意見が出た。

 多剤投与をめぐっては、基本方針(骨子案)の具体的方向性のうち、医療費の効率化・適正化の項目で、「残薬や多剤・重複投薬の削減を進める」としている。19日の医療部会では、日本医師会副会長の中川俊男氏が「行きすぎた長期処方の是正」の追加を求めた上で、追加しない場合は多剤投与の是正の削除を要求した。

 この発言に対し、20日の医療保険部会では、健康保険組合連合副会長の白川修二氏が「多剤は絶対に取ってはいけない」と反論。理由としては、精神科の多剤投与を制限した前回改定が「上手く機能していない」としたほか、中央社会保険医療協議会の資料で多剤投与が残薬の要因になるとの研究が紹介されたことを挙げ、「多剤にメス入れるべき」と強く主張した(『「多剤投与の適正化」を評価、認知症患者』を参照)。

 医療従事者の負担軽減や地域包括ケアシステムの推進の観点から、「在宅医療や訪問看護を担う方々の安全確保が重要」と主張したのは、法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏。「先行研究では、施設よりも在宅の医療現場でサービス提供者に対する暴言や暴力を受ける割合が高く、4~7割が受けているとの研究もある。(在宅医療従事者の)離職の大きな要因にもなっている」と指摘し、「今後は認知症対策や精神医療が重要となる。リスクが高い患者も訪問看護や在宅医療でみるケースや、十分な事前準備、情報が無いまま、1人夜間に訪問が必要なケースも考えられる。特に訪問看護の分野では女性の職員も多いので、今から十分な安全対策の議論が必要だ」と述べた。

 医療保険部会と医療部会の意見を踏まえて、基本方針案を作成し、12月上旬に決定する見通しだ。


11月20日の社会保障制度審議会医療保険部会では、骨太の方針の具体化についても議論された<『高齢者の負担増、受診抑制懸念か容認か?』

「数が問題ではない」

 多剤投与の是正については、白川氏以外にも重要性を指摘する声が相次いだ。「患者の立場からも重要なので推進を」(連合副事務局長の新谷伸幸氏)、「あまりに多くて結局飲みきれず、飲みやすいのを適当に飲んでいる人もいる。減らす努力をするのも大事」(日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏)といった意見があった。

 日本慢性期医療協会副会長の中川翼氏(定山渓病院長)は「医療機関だけで調整するのは難しいこともある。本当に効果があるのか検証しないと薬だけ増えてしまう。特に、経鼻胃管栄養や胃ろうでは、患者が(意識して)飲んでいるわけではないので、多いということが患者に認識されない。多剤投与、特に長期の入院患者について確認することは重要」と発言した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、「多剤が即ち悪ではない」と反論。問題は「不適切な多剤や長期処方」だと指摘し、「例えば高血圧ではさまざまな薬が増えて、一種類の薬を大量に使うのではなく、何種類かの薬を組み合わせて治療する方が適切かつ全体の量を抑えることができることもある。治療のやり方が変わってきている」と多剤が適切なケースもあるとして理解を求めた。

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は「薬の数はシンプルがいいのは議論の余地がないと思う。不必要な重複や組み合わせが問題の中心。何剤以上なら良いとか悪いではなく、適切な薬剤使用の上の管理の観点で議論が必要だ」と述べた。

看護師の夜勤72時間ルール

 具体的方向性の「医療従事者の負担軽減・人材確保」の項目で、「看護職員の夜勤負担の軽減」の重要性を指摘したのは、日本看護協会副会長の菊池令子氏。19日の医療部会の議論でも同様の意見が出たが、同項目に「看護職員の夜勤負担の軽減」も含まれており、文言の修正は不要との意見が出ていた。

 看護師の夜勤負担については、2016年度の診療報酬改定で、入院基本料の「看護職員の月平均夜勤72時間以内」(72時間ルール)とする要件の撤廃・緩和を求める声が出ており、日本看護協会は、職員確保や医療安全の観点からも72時間ルールの堅持を強調している(『「看護師の生命線」、72時間ルール』を参照)。

 松原氏は夜勤負担の問題は重要だとしつつ、「病院の経営の問題もあるので、まず十分な供給体制の整備が必要」と主張したが、菊池氏は「看護師は3分の1が潜在職員。人材の確保には、勤務環境の改善が重要だ」として、供給体制よりも勤務環境改善が優先だと訴えた。白川氏は、「ここでどちらが良いというより、中医協で話すべき議題」と指摘した。


  1. 2015/11/26(木) 05:51:21|
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11月23日 

http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-176413.html
<社説>産科が減少 安心して出産できる環境を
2015年11月23日 06:01 琉球新報

 産婦人科や産科を掲げている全国の病院が昨年10月時点で1361施設で前年比14施設減となり、現在の形で統計を取り始めた1972年以降、過去最少となった。24年連続で減少している。県内は産婦人科16施設、産科5施設の計21施設だった。本島北部では恒常的な医師不足が続いており、県内の医師確保も重要な課題だ。

 調査をした厚生労働省は減少理由について「少子化による出生数の減少や夜間・休日対応が多いなど厳しい勤務環境による産婦人科医の不足が背景にある」と分析している。
 県内では医師不足を理由に、県立北部病院の産婦人科ではことし9月まで医師2人体制での診療制限が続いていた。10月に新たに医師2人が赴任したことで約10年ぶりに定数4人体制に戻った。
 2005~07年は医師不足で休診に追い込まれ、08年以降は派遣医師などで一時的に4人だった時期もあるが、短期間で定数割れに戻っていた。北部では年間約千人の出産がある。12年度は県立中部病院への搬送が93件に上った。緊急を要する事態に陥った場合、北部地域から中部病院まで搬送されるのは妊婦にとって大きな負担だ。今後は医師4人の現行体制を何とか維持してほしい。
 県内の医師不足解消のため、県は本年度から保健医療政策課に医師確保対策班を設置した。14年度には北部・離島地区の医師不足解消のため20億円の基金を創設した。北部・離島で産婦人科医が開業する際には助成するなどの施策を展開している。今後も効果的な医師確保対策を進めてほしい。
 一方、日本産婦人科医会などの14年の試算では10年後の24年には26府県で産科医の人数が減少するという。一方で沖縄県は8・8%増加するとの予測になっている。いずれにしても地域にとって必要な医師の数を確保する必要がある。
 第3次安倍改造内閣は看板政策「1億総活躍社会」で、20年代半ばに出生率を1・8に回復させる目標を掲げた。若い世代の理想とする子ども数が実現した場合の「希望出生率」だ。14年は1・42だった。産み育てたいという意識が高まらなければ目標達成は到底実現できないだろう。
 少子化を食い止めるのには産婦人科の医師と施設を十分に確保することは不可欠だ。女性が安心して子どもを産める環境を整える施策を進める必要がある。



https://www.circl.jp/2015/11/23/6988/
やはり日本の公的医療制度は世界一!? 世界各国の医療保険の仕組み比較
WRITER: Hashimoto.M
CIRCL(サークル) 2015/11/23

 「アメリカで盲腸の手術をしたら300万円もかかってしまった……」
 こんな話を聞くと「日本でよかった」と思うけれど、これは本当の話だろうか? この背景には、各国で異なる医療保険の仕組みがある。では、日本の医療保険は、国際的に見るとどのような特徴があるのだろう。

「病院を選べない」「医療費が無料」――各国で異なる医療保険制度

 体調を崩して病院を受診するとき、かかりつけ医や評判の良さなど、その時の状況に応じて、私たちは自由に病院を選択できる。また、一定の自己負担率(2〜3割が一般的)の診察料金を支払うことで、適切な医療を受けられる。
 しかし、医療保険の仕組みは国によって異なり、受けたい医療機関を自由に選ぶという、私たちが当たり前のように行っていることができない国もある。医療費が無料の国や、逆に、場合によってはとても高額になることもあるのだ。
 アメリカへの旅行や出張で体調を崩して現地で医療を受けたときに、日本で同じ治療をした場合に比べて10倍も治療費がかかったなんて話もある。だが、日本とアメリカでは医療保険の仕組みが異なるので、このようなケースも起こり得るのである。

世界の医療保険制度は大きく3つのタイプがある

 世界各国の公的医療保険制度は大きく3つに分けることができるが、ポイントとしては2点。
・お金はどこから支払われるか(財源はどこか)
・医療サービスの提供者は誰か
という点だ。
 以下に3タイプを紹介するが、実際にはこれらがミックスされ、各国の医療保険制度が成り立っている。

1. 社会保険モデル:少ない自己負担、自由に選べる医療機関

 日本の健康保険はこのモデルだ。ほかにも、ドイツ、フランス、オランダなどヨーロッパ諸国で多く採用されている。
 国により制度が多少異なるが、基本的に国民は少ない自己負担で医療を受けられる。また、患者が受けたい医療機関を自由に選択することができる場合が多い。
 財源は社会保険で、医療サービスの提供者は公的機関と民間機関が混在する。

2. 国営医療モデル:無料の医療費、しかし受けたい医療機関は選べない

 イギリス、カナダ、スウェーデンなどが採用するモデルである。全ての国民は基本的に無料で医療を受けることができる。
 しかし、地域ごとに定められた診療所を受診する必要があり、患者が受けたい医療機関を自由に選択することはできない。
 財源は税金で、医療サービスの提供者は公的機関が中心である。

3. 市場モデル:未加入者は高額負担を強いられるケースも

 アメリカで採用されているモデルであり、ほかの先進国とは大きく異なる。高齢者や障害者など一部の人たちを除いて、公的医療保険制度はなく、一般的な現役世代では、自己負担で民間医療保険に加入する必要がある。
 しかし、アメリカでは無保険の人口が約14−15%にも上るとされている。これら保険に加入していない人が医療機関を受診した場合には、多額の費用負担がかかることになる。
 財源は民間保険で、医療サービスの提供者も民間機関が中心である。

日本の公的医療制度は世界一? 民間の医療保険は必要か

 日本の公的医療保険制度は国際的に高く評価されており、私たちは恵まれた環境にあるといえる。それでは、民間の医療保険は必要ないのだろうか?
 例えば、入院や治療が長引けば、費用が高額になることも考えられる。また、先進的な医療サービスは、公的医療保険の保障対象外となる場合もある。そんなとき、民間の医療保険に加入していれば、その分を賄えることもある。
 自分が将来病気になった際に、どんな医療を受けたいか、そんな視点から保険について今一度考えて見る機会を持つのも良いかもしれない。

参考:厚生労働省ホームページ/医療保障制度に関する国際関係資料について http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken11/
 Lify.jp(ライフィ) http://lify.jp/contents/health/index.php?p_no=0002



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0033214.html
【社説】 道立病院の経営 住民の健康守る視点で
11/23 08:55 北海道新聞

 道は赤字経営が続く道立6病院の立て直しに向けて、給与や人事の権限を持った病院事業管理者を2017年度に新設する方針を固めた。経営判断を早めて収支改善を図るのが目的だ。

 6病院は地域医療や専門医療の中核となっている。さらに経営が悪化すれば、道民への医療サービスが低下しかねない。再建に向けた動きは歓迎だ。

 しかし、収支ばかりに目が向き、過度に効率を追求すれば、不採算医療の切り捨てなどを招く。経営改善で忘れてならないのは、住民の健康を守る視点である。

 道立病院は江差(檜山管内江差町)、羽幌(留萌管内羽幌町)、緑ケ丘(十勝管内音更町)、向陽ケ丘(網走市)、北見(北見市)、子ども総合医療・療育センター(札幌市手稲区)の六つだ。

 過疎地の医療を支え、精神医療や高度な小児医療など民間の参入が少ない不採算医療を担っている。維持を求める声は根強い。

 道はこれまでに、道立病院全体の収支改善に向け、11年に紋別をオホーツク管内の一部事務組合に移管し、14年に苫小牧を廃止するなどの措置を講じてきた。

 ただ、赤字体質の改善にまでは至らず、累積赤字は522億円に上る。解消は急務だ。

 知事が持つ職員の採用や異動、給与の決定権を、新設する事業管理者に移せば、迅速で自由な判断ができるようになる。

 たとえば、人材確保に向けた職員の待遇改善や、診療報酬が多く配分される医療への重点的な人材配置などだ。

 道はこうした取り組みに期待をかける。先例があるからだ。

 事業管理者の新設には、病院事業を地方公営企業法の「財務など一部適用」から「全部適用」に変更する条例改正が必要だ。

 道によると、病院事業を「全部適用」としている都道府県は24県で、道内では札幌、旭川、函館の市立病院などが移行している。収支が改善した例は多い。

 心配なのは、道の関与が弱まり、効率を重視する企業的な運営が行き過ぎると、患者が置き去りにされかねないことだ。患者への負担増や職員削減となれば、本来の目的から大きく外れる。

 あくまでも公立病院であることを忘れてはならない。

 北海道は人口減少や高齢化が進んでいる。対策の一つのカギは地域に安心して暮らせることだ。道立病院を含めた地域医療体制の整備が欠かせない。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/151124/bsk1511240032006-n1.htmv
【ファイザー合併】「バイアグラ」巨大化で日本の製薬会社、劣勢に
2015.11.24 00:32 産経ニュース

 米製薬大手ファイザーがアイルランドの同業大手アラガンを事実上買収する方向となり、米欧製薬大手の巨大化が一段と加速する見通し。規模で見劣りする日本の製薬会社が米欧勢との競争に立ち向かうのは一段と困難になり、経営戦略の練り直しを迫られそうだ。

 製薬業界は「規模の経済」が働きやすく、医師が処方する医療用医薬品を収益の柱とする米欧大手は同業他社との合併・買収(M&A)に積極的だ。

 新薬は特許切れになるとジェネリック医薬品(後発薬)に市場を奪われるため、競争力のある製品を投入し続けていけるかどうかが収益力を左右。ファイザーとアラガンの年間売上高を合算すると600億ドル(約7兆4千億円)を超え、スイスのノバルティスの売上高も約580億ドル(昨年12月期)に上る。

 これに対し、国内最大手である武田薬品工業の今年3月期の売上高は1兆7778億円にとどまり、日本勢の生き残りは難しさを増している。(共同)



http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H7Q_T21C15A1FFB000/
米ファイザー、成長M&A頼み アラガンを事実上買収
2015/11/23 23:20 (2015/11/24 0:15更新) 日本経済新聞

 【ニューヨーク=高橋里奈】米製薬大手のファイザーによるアイルランドの同業アラガンの事実上の買収は、自前での規模拡大が望みにくくなった環境の変化が背景にある。各社は主力品の特許切れが相次ぎ、後発医薬品メーカーとの競合も激化している。M&A(合併・買収)により新薬候補獲得を含めて製品ラインアップを拡充して局面の打開を図る。今回の買収のもう一つの目的とされる租税回避を巡っては米当局が規制強化に動く中で強行突破を図る格好だ。
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 両社の発表によると、アラガン株の評価額は363.63ドルと10月28日の株価に比べ約3割上乗せした水準。アラガン株主は1株につき新会社の株式11.3株を、ファイザー株主は同1株を受け取る。買収は2016年下半期に完了する予定。新会社の最高経営責任者(CEO)にはファイザーのイアン・リードCEOが就き、社長にはアラガンのブレント・サンダースCEOが就任するとしている。

 ファイザーはこれまでもM&Aで事業成長の壁を切り抜けてきた。2000年のワーナー・ランバート、03年のファルマシア、09年のワイスと大型M&Aを繰り返した。今年9月には後発医薬品7位の米ホスピーラの買収を完了した。収益を支えてきた高脂血症治療薬「リピトール」も元はワーナーの開発品だ。この手法は「ファイザーモデル」と呼ばれてきた。

 ファイザーの医療用医薬品の売上高はリピトールの特許切れが始まった11年と比べ100億ドル以上減り、14年にはノバルティス(スイス)に業界首位を奪われた。自社の有望な新事業が少ない中、世界各地に抱える営業部門を支えるためにも規模拡大を追わざるを得ない。今回もM&A頼みで首位に再浮上する。アラガンも米アクタビスが旧アラガンを買収し15年に社名を変更した。

 もう一つの狙いは租税回避だ。形式上は規模の小さいアラガンがファイザーを買収する格好をとる。本拠を法人税率が35%と先進国で最高水準の米国から12.5%のアイルランドに移すことで節税を図る。ファイザーのリードCEOもかねて税率が高い米国から国外に本社を移し、合法的に租税回避を実現する狙いを示唆してきた。

 製薬業界では、カナダのバリアントが米サリックス・ファーマシューティカルズを111億ドルで買収するなど大型のM&Aが相次いでいる。調査会社ディールロジックによると世界の製薬業界のM&A総額は15年に3千億ドル近くに達し、過去最高を更新する勢いだ。

 米調査会社IMSヘルスによると、世界の医薬品市場は20年に1兆4千億ドルと現状から約3割拡大する見通し。日米欧など先進国と新興国の格差が縮まり、中国、インド、ブラジル、インドネシアなどの需要の伸びが支える。同時に、ファイザーなど欧米製薬大手が収益源としてきた米国では後発薬が3割以上増える見込みで、各社は収益モデルの転換を迫られる。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52378/Default.aspx
中医協・費用対効果評価専門部会 1,2回改定経た製品が対象 業界側は原価計算方式には反対
2015/11/24 03:50 ミクスOnline

中医協費用対効果評価専門部会は11月20日開かれ、費用対効果評価の試行的導入に向けて対象品目など骨子が示された。この日厚労省が提示した案では、対象品目の要件として、保険収載後1、2回の改定を経た予想ピーク時売上高の高い医薬品で、有用性加算など一定の補正加算のある類似薬効比較方式、もしくは原価計算方式で算定することをあげた。指定難病、血友病、HIV感染症など治療法が十分に存在しない医薬品や、未承認薬等検討会議及びニーズ検討会からの開発要請品目、公募品目は除外する。これに対し、専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬株式会社常務執行役員)は、「(比較薬を置くことの難しい)原価計算方式で算定された新薬を対象にするのは困難ではないか」との考えを示した。対象品目は今年度内に決定する方針。


厚労省は、対象品目について、算定方式や加算の有無、売上高、対象年度を軸に案を提示した。加茂谷委員は、原価計算方式の医薬品は、適切な類似薬がないために原価計算方式で算定されていると説明し、「比較薬の存在しない新薬を対象に、何ならかの比較対象を置いて費用対効果評価を行い、仮に薬価が引き下がるような状態になれば、現行の原価計算方式そのものを否定する」と指摘した。これに対し、厚労省保険局医療課の眞鍋馨企画官は、中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドラインを引き合いに、「比較対象は無治療や経過観察を用いることもされており、直ちに対象にならないとの考え方はしていない」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/374589?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151123&dcf_doctor=true&mc.l=132263646
「慈恵医大は偏差値56から72へ上昇」、2016年度医学部入試動向◆Vol.2
プレジデントFamily編集長・中村亮氏インタビュー
2015年11月23日 (月)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――大学の難易度はどのように変化していますか?
 国公立前期では1位が東大(偏差値79)、2位:京大(77)、3位:大阪大(73)、4位:東京医科歯科大(71)、5位:名古屋大、九州大(70)となっており、以前からそれほど変化はありません(駿台予備学校のデータ、以下同)。一方で、私立大は軒並み偏差値が上昇しています。1位が慶応大(77)、2位:東京慈恵会医科大学(72)、3位:防衛医科大(71)、4位:自治医科大、順天堂大、大阪医科大(69)となっています。

 都市部の大学ほど高難易度の傾向がありますが、これも都市部の生徒の「地元志向」の表われという面もあります。

 偏差値の推移を見ると、東京慈恵会医科大学は1990年の偏差値56から72(※同じく、駿台予備学校の数値だが、対象とする模試が違うため数値に若干のずれが生じている)に、順天堂大も同55から68、杏林大、愛知医科医大が48から61へと大幅に上昇しています。私大最難関の慶応大も70から76にさらに難化しています。2000年代になって学費を下げた順天堂大、昭和大、帝京大などは受験者数も大幅に増えました。大学間の競争も激化しており、受験者は増えても各学校はいかに良い生徒を確保するかに力を入れています。

――「地域枠」も増えていますね。
 一般入試より倍率が低くなることもあり、条件に合う受験生にとっては狙い目です。筑波大の2015年度では一般入試の4.5倍に対して、地域枠は1.9倍でした。札幌医科大では定員110人に対して、地域枠は55人と半数を占めます。大学のある県以外の学生を受け入れる枠もあり、鳥取大では鳥取県枠のほか、兵庫県枠、島根県枠、山口県枠があります。

 地方だけでなく、首都圏でも私立大学を中心に杏林大、順天堂大、東京慈恵会医科大学などに東京都枠、北里大学には山梨県枠、茨城県枠、相模原市枠があります。

――2016年には37年ぶりの医学部新設となる東北医科薬科大医学部ができます。
 東北地方の私立大は岩手医科大のみということもあり、関心は高いようです。定員100人のうち、半数以上に奨学金が貸与されます。一般枠では自己負担が3400万円ですが、奨学金の枠によっては国立並みの400万円程度で済む場合もあり、人気が出そうです。

――m3.comの医師会員には子弟を医学部に入れたいとお考えの人も多いです。保護者としてどのように向き合うべきでしょうか。


 お医者さんの方にとっては、医学部受験はかつてご自分が挑んだ道ですが、当時の常識が通用しない面もあります。特に、私大も総じて難易度 が高騰しているため、国公立、私立を問わず、早めの準備をされることをお勧めします。実際、お医者さんに子育てについて尋ねたアンケートでは、「数遊びに親しんでいた」「身近に図鑑や科学の本を置いていた」など、理系の素養を自然を身に付ける家庭の工夫をしている方が多かったです。

 また、現実問題としては学校選びも重要になっています。小学生のお子さんをお持ちの場合は、医学部への進学実績の高い中高一貫校を目指すための中学受験を検討するのもいいかもしれません。受験生のお子さんをお持ちの場合は、各大学の入試制度がとにかく煩雑なことに注意してください。同じ大学でも、受験科目や方式が複数あるのが当たり前。子供の得意科目や学力に合わせて選択できないと、思わぬ不利な戦いとなることもあります。学校の進路指導担当の先生でも、国公立と私立合わせて80校の制度を把握するのは難しいのが現実です。その意味では、親の情報力が問われます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377342
“医師有罪”でも続く、造影剤の誤投与事故
医療の質・安全学会、大磯浜松医大教授

2015年11月23日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 11月22日、千葉県で開催された第10回医療の質・安全学会学術集会のシンポジウム「最近の医療事故から薬剤に関する医療安全を考える」で、浜松医科大学医学部法学教授の大磯義一郎氏は、国立国際医療研究センター病院をはじめ、ウログラフインなどの脊髄腔への誤投与事故に関する分析結果を紹介。


 報道などで調べた結果、脊髄腔への誤投与事故で刑事事件化し、医療者が有罪になった事例はこれまでに7件あるが、繰り返し同様の事故が起きており、その当事者は経験が浅い若い医師が多いという。大磯氏は、医師の刑事責任を問うことが、事故の再発防止にはつながらないと指摘。

 10月から医療事故調査制度がスタートしたが、大磯氏は、事故調査報告書にも、警鐘を鳴らした。「人が間違えたから、事故は起きる。気合いを入れたら、事故は起きないというのが、裁判官の論理」。こう指摘する大磯氏は、事故原因を人的要因に帰着させた報告書を作成すれば、裁判官の「ストライクゾーン」に入り、結果的に、若い医師が刑事責任を問われることになりかねない上、再発防止にもつながらないとした。

 「刑事事件化すれば100%有罪」

 これまで国内で新聞報道されるなどして明らかになった脊髄腔への誤投与事故は19件、患者数では32例(同一事故で、複数の患者に誤投与した例あり)で、うち死亡したのは13例(死亡率は41%)。回復した事例もあることから、「造影剤の誤投与、イコール死亡ではない」(大磯氏)。

 13例のうち、10例(7件)において、最終行為者となった医療者が刑事訴追された。全員が、罰金20万~50万円、もしくは執行猶予付きの禁錮1~2年の有罪判決を受けている。医師の経験年数が判明した4件について見ると、経験年数は平均2.8年。若手研修医が多いのは、最終行為者になる機会が多いからだ。

 「患者が死亡すると、高い確率で刑事事件化する。刑事事件化すれば、100%有罪になる」。こう大磯氏は指摘した上で、刑事事件で有罪になっても、繰り返し同様の事故が起きていることを踏まえ、「刑事事件化により、故意犯であれば予防効果が期待できるが、医療事故は過失であるため、その効果は期待できない」と述べ、医療事故の刑事事件化に疑問を投げかけた。

 米国ISMPの緊急警鐘、徹底されず

 米国では、1994年にFDAが、「ヨード性造影製品の箱、バイアルおよび添付文書に警告をする必要がある」と警告した。しかし、再発防止につながらなかったことから、2003年、ISMP(米国医薬品安全使用協会)が、「箱やアンプルの警鐘は容易に見逃されている」ため、「脊髄造影剤とイオン性造影剤を厳密に分離して保管する」など、5項目の緊急警鐘を行った(下表)。

 一方、日本では、1991年に当時の厚生省が、ウログラフインの箱、容器、添付文書上で「警告」するよう行政指導があったが、その後、繰り返し同種の事故が発生しても、追加対応がない。「司法の理解は、我が国の医療安全水準に近い」(大磯氏)。

 このような日米の対応の違いを紹介した上で、大磯氏は2014年4月に事故が発生した国立国際医療研究センター病院の事例を分析。

 本事故については、2014年8月に病院が事故調査報告書をまとめたが、「分析結果や再発防止策として、ISMPの緊急警鐘が列挙されているにもかかわらず、主たる要因を人的要因に帰着させた」(大磯氏)。その後、担当医が今年7月、東京地裁で有罪判決を受けたが、同判決においても、「ISMPの緊急警鐘では、医療安全上の有効性が否定されている箱やバイアルの警告を過度に重視し、人的要因を主たる原因としている」と大磯氏は指摘した(『造影剤の誤投与「初歩的、重い過失」、禁錮1年』を参照)。

米国FDA/ISMPの警鐘内容            実施状況
 箱、バイアルおよび添付文書の警告         ○
 1.脊髄造影剤とイオン性造影剤を厳密に分離して保管 ×
 2.目立つ補助ラベルを使用             ×
 3.払い出しの際、ダブルチェックを行うこと     ×
 4.定期的に薬剤師が保管場所を訪れること      ×
 5.現場スタッフの教育等の具体的対策を取るよう提起 ×
米国FDA/ISMP警鐘の国立国際医療研究センター病院における事故当時の実施状況(大磯氏による)


  1. 2015/11/24(火) 06:12:00|
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11月21日 

http://www.townnews.co.jp/0610/2015/11/21/309436.html
小学生が外科医を体験 教育
秦野赤十字病院が初開催

 タウンニュース 秦野版 掲載号:2015年11月21日号

 秦野赤十字病院で11月14日、市内の小学生を対象に外科医の仕事を体験する「第1回ブラック・ジャックセミナー」が開催された。 同セミナーは、医師不足が懸念される現代、将来を担う子どもたちに、人の命を救う医療体験をしてもらい「医師になりたい」「医療に携わる仕事がしたい」と関心を持ってもらおうと行われた。

 参加した24人の子供たちは、少人数のグループに分かれて様々な医療機器を体験。手術室では、用意された鶏肉の中に入れられた腫瘍に見立てた異物を、超音波メスで取り出した。

 また、実際に研修医などがトレーニングとして使用するシミュレーターでは、モニターに映し出されたリアルなCG画面を見ながら、胆のう摘出手術にチャレンジ。体験した子供の1人は「腫瘍がなかなかつかめず難しかった。お医者さんってすごい」と感想を話した。また、実際の手術針と糸を用いて縫合・結紮を体験した子供は「最初はうまくできなかったけど、何度もやって少しずつきれいにできるようになった。楽しかった」などと感想を話した。同病院では「今回外科医や看護師など現場で働くスタッフと直接交流を持つ機会を設けました。こうしたことがきっかけで将来1人でも多くの人に医師を目指して欲しいと願っています」と話す。



http://www.gifu-np.co.jp/news/zenkoku/main/CO20151121010014621830061A.shtml
認知症薬、審査に地域差 9県で少量投与認めず 
2015年11月21日 18:30 岐阜新聞/共同通信

 認知症の進行を遅らせる抗認知症薬を規定の有効量を下回って少量投与した場合、過去3年間で全国の国民健康保険団体連合会(国保連)のうち9県が医療機関からの診療報酬支払い請求を認めない査定をしたことが、共同通信の調査で21日、分かった。26都県では、認めない査定はなかったとし、12県が少量投与を認めるべきだとするなど、抗認知症薬の扱いに地域差があった。

 興奮などの副作用を避けるため少量投与した医師側が不利益を受けたとの指摘がある。個々の患者に適した認知症医療に向けた審査の在り方が課題となりそうだ。



http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151120-OYT1T50102.html
特区・成田の新設医学部、国際医療福祉大に
2015年11月21日 08時10分 読売新聞

 政府は20日、国家戦略特区会議の分科会で、千葉県成田市での医学部新設について、国際医療福祉大(栃木県大田原市)を候補に内定した。


 年内にも特別区域諮問会議を開き、正式決定する。同大は2017年4月に新設する予定だ。

 特区「東京圏」に含まれる成田市での医学部新設は、19日まで希望大学などを公募したが、応じたのは同大だけだった。

 同大の計画では、新設する医学部医学科は1学年の定員が140人。国際的な医療拠点を目指し、定員のうち20人を東南アジアの政府や大学からの留学生とし、200人以上を予定する教員のうち5%(10人)以上は外国人教員とする予定だ。

 同大は成田空港に近い立地を生かし、海外からの患者に高度医療を提供する「医療ツーリズム」の実施も想定している。併設の大学病院は20年の東京五輪・パラリンピックの開催前に開院する予定だ。



http://mainichi.jp/edu/news/20151121ddlk12100061000c.html
成田市:医学部新設 医療福祉大に内定 国の特区分科会 /千葉
毎日新聞 2015年11月21日 地方版

 国の東京圏国家戦略特区会議成田市分科会は20日、成田市内での新設を認めた医学部の設置について、事業者として国際医療福祉大を内定した。

 国は12〜19日に医学部の設置事業者を公募し、同大のみが応募。20日の分科会で課題点を精査した上で、「事業を実施すると見込まれる者」として特区計画に位置づけた。

 同大の計画では、2017年4月の開学を目指し、入学定員140人、教員数200人以上、国際医療拠点として学生全体の14%の留学生を受け入れることを目指している。

 分科会では「教員や医師、看護師の確保のため、引き抜きなど地域医療に影響を及ぼさないか」などの懸念が指摘されたが、同大は「医師は関連機関からの配置転換などで対応し、教員も(東日本大震災被災地の)東北以外で公募する」といった方針を示した。

 小泉一成市長は「大学側の熱意が結果に結びついた」とコメントした。【渡辺暢】



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151121_13013.html
民間医療ヘリ長期運休へ 運航費賄えず
2015年11月21日土曜日 河北新報

 東日本大震災を機に医療用多目的ヘリコプターを運航してきた気仙沼市のNPO法人「オールラウンドヘリコプター」が今月末での運航休止を決め、法人関係者が20日、市に報告した。寄付金が減少し、年5000万円の運航費確保が難しくなった。再開を模索するという。
 ヘリは2013年10月に復興支援として運航を開始。これまでに石巻赤十字病院(石巻市)や仙台厚生病院(仙台市)など12カ所と協定を結んで無償で救急患者や医師らを運び、出動件数は39件に上った。
 運航費は公益社団法人シビックフォース(東京)などが集めた寄付金で賄ってきたが、寄付は年々減少。ことしは国の助成金もなくなったためヘリを隔週運航にしたり、ファンを増やすイベントを開催したりと工夫したが、運営基盤を見直す必要があると判断した。
 現時点で撤退は考えておらず、今後はヘリやスタッフ数人を広島市内のNPO法人に貸し出して資金確保の一助とする。
 市役所を訪れた法人の渡部圭介事務局長は「利用が年々増えていただけに休止は苦渋の決断だが、基盤強化を図り気仙沼で再び活動したい」と説明した。ヘリポート用地を無償貸与した菅原茂市長は「多くの人を救う活動をしてくれた」と復帰に期待した。



http://news.livedoor.com/article/detail/10859822/
医学部生の知られざる実態 自信喪失するケースも多々
2015年11月21日 16時0分 LiveDoor News / NEWSポストセブン

 大学入試で医学部人気が続いている。しかし難しい入試を突破しても、疲れ切ってバーンアウトする研修医も多いという。知られざる医者の世界をコラムニスト・オバタカズユキ氏が紹介する。

 * * *
 インフルエンザの季節も到来、塾や予備校の前を通ると、マスク姿の子供たちの姿をよく見る。受験生もいよいよ追い込みの時期だ。

 大学受験でいうと、医学部人気上昇が止まらない。特に私立大学医学部医学科の人気が高い。2015年度の一般入試志願者数は8.9万人と過去最多だった。合格倍率は18.4%と狭き門だ。

 入試偏差値も高騰しており、かつて「お金さえかければ子供を医者にできる」といったイメージのあった下位層の医学部はもはや存在しない。河合塾のデータによれば最低偏差値ラインは62.5だ。私立大医学部の大半は早慶の理系学部以上の難関校になっている。

 その要因は、やはり将来の不透明感が増す中で、「免許さえ取ればエリートになれる」確実性にあると思われる。私立大学医学部の6年間学費総額は、
もっとも安い順天堂大学や慶應義塾大学で2100万円台、高いところでは川崎医科大学や金沢医科大学が4000万円を突破している。医学生は開業医や社長だけでなく、一般サラリーマンの子供たちも少なくないという。

 それだけ難関の医学部に入るには、生半可な受験勉強では通用しない。医学部合格者数の多い学校の大半は私立の中高一貫校だ。実際に私立中学の説明会を覗いたり、学校案内のパンフレットやホームページの受験者向けサイトを見ると、東大京大の合格実績数と並んで、医学部合格者数の増加具合をアピールしているところが目立つ。

 田舎のふつうの公立高校から苦学して国立大学医学部に、といった層も残ってはいるが、医学部合格への王道は、遅くとも小学4年生からガッツリ進学塾に通い、難関中高一貫校に入学してからも医学部受験予備校でガリガリ勉強してゴールイン、というものになっているのだ。

 医学部入試が難しくなること自体は悪くない。医療研究、医療技術が高度化する中、受験勉強で試されるような情報処理能力に秀でた人材はどうしても必要だからだ。

 ただし、医師免許取得者の大半は、臨床医になる。臨床医は、生身の人を相手にする仕事だ。相手の命を預かる場合も少なくない。勤務医は労働時間が長く、持久走をなんなくこなせるような体力を要する現場が多い。適性のあるなしも大きい。

 そうした医学部に入るまでと、入ってからの求められる能力の違いに戸惑い、自信喪失をし、大学留年を重ねる医学生がずいぶんいる(その状況を公的に調査・公表してほしいものだ)。また、「勉強ができたから医学部を選んだ」という入学同期の医学生、研修医を中心に、自分が進むべき診療科を選べずに迷い悩むケースも増えている。

 基本的に医師になる人は真面目であり、研修医時代もハードな仕事を懸命にこなそうとする。が、医学部や医局の世界はかなり閉鎖的で、自身が抱えている辛さや悩みを相談する機会が少ない。結果、一人で疲れきってバーンアウト(燃え尽き)になる研修医が3割はいるという調査結果もある。

 とはいえ、無事に医師免許をとって、2年間の初期研修でいろいろな診療科の臨床経験を重ね、後期研修で専門医としての修業を積む流れにうまく乗れれば、やりがいはもちろん大きな仕事だし、将来の高収入も確率高く期待できる。順調に医学部を卒業、研修を終えて、市中病院に就職した場合、30歳前後で年収1000万円超えはごく一般的だ。

 その頃に給与がグンとアップし、金銭感覚が麻痺するドクターも少なくない。基本的にモテモテなドクターたちは年収がアップした頃に結婚することが多い。一番多い組み合わせは医師同士、次いで医師と看護師などコメディカル、一般女性と結婚するのはその次だというが、「ブランドとしての医者」を狙い撃ちした妻の金づかいの粗さに苦労している男性医師は想像以上によくいるそうだ。

 自身や配偶者のセレブな生活を維持するため、そうしたドクターたちは研究日や休日になるべく効率よく稼げるアルバイトを入れる。医師のバイト代の相場は、時給1万円だ。日勤+当直の「日当直」バイトは15万円~20万円出る。それを月1回入れるだけでも年収は200万円以上プラスされる。ただし、勤務医のたいていはふだんの仕事もハードだ。そこにバイトの負荷か加わって、疲弊していくドクターも方々にいる。

 医師はマスメディアでも何かと注目されることが多くなった。バラエティ番組でよくみかけるタレントのような医師も増えている。

『総合診療医ドクターG』(NHK総合)、『ためしてガッテン』(NHK総合)、『きょうの健康』(NHKEテレ)、『駆け込みドクター!運命を変える健康診断』(TBS)『たけしの健康エンターテインメント! みんなの家庭の医学』(テレビ朝日)、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京)など、医療情報番組はひっきりなしに放送されている。

 この秋は、『デザイナーベイビー』(NHK総合)、『破裂』(NHK総合)、『コウノドリ』(TBS)、『無痛』(フジテレビ)と医療ドラマもたくさんあった。

 受験界でも一般世間からも注目され、人気を集めているドクター。だが、その悩める等身大の姿は知られていない。

 そこで、医学部合格だけがゴールではない、そこから先が問題なのだというコンセプトで、医師専任キャリアコンサルトが著者の『医師・医学部のウラとオモテ「悩めるドクター」が急増する理由』という書籍を企画・編集協力して作った。医学部受験生やその保護者、教育関係者には実用書として役に立ち、医療問題に関心のある人には網羅された「業界の常識」が参考になるはず。一読してもらえたら幸いだ。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20HCO_R21C15A1CR0000/
がん死亡率減少へ「検診受診率の向上を」 有識者会議
2015/11/21 12:17 日本経済新聞

 厚生労働省の有識者会議は21日までに、がんによる死亡率減少を目指した「がん対策加速化プラン」の基になる提言をまとめた。がん検診の受診率向上や、がん医療情報の提供体制の充実、喫煙率減少に向けたたばこ対策などが柱。提言を基に、政府は年内に同プランをまとめる。

 国内のがん検診の受診率は40%程度と欧米に比べて低く、国は受診率の50%への引き上げを掲げている。提言では早期発見や治療に結び付けるため、市町村ごとの検診受診率を比較可能な形で公表することや、職場での検診の実態調査を行って企業向けガイドラインを策定すべきだとした。

 患者へのがん医療情報の提供体制が不十分だとして、がん拠点病院の診療実績や、専門医の配置が簡単に調べられるようなシステムをつくることも盛り込んだ。

 喫煙率のさらなる減少に向け、たばこ税の税率引き上げや容器包装に書かれた注意文言の見直し、ニコチン依存症患者の禁煙治療の保険適用を拡大することも求めた。



http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20151121ddlk09070301000c.html
二言三言:窓口無料化は「麻薬」か /栃木
毎日新聞 2015年11月21日 地方版

 足利市の屋内子供の遊び場「キッズピアあしかが」の入場者が先月24日、15万人を超え、年間目標をクリアした。市の想定よりひと月半も早い。

 同市が先行モデルとしたのが、同じ遊具メーカーがプロデュースした福島県郡山市の「ペップキッズこおりやま」。東京電力福島第1原発事故から1年半後の2012年12月に開所した。同市は当時、飛散した放射性物質のため子供たちの外遊びが制限され、公園には除染土を詰めたフレコン袋が埋められていた。小児科医らは運動不足が子供の心身に及ぼす悪影響を調べ始め、親たちは心配を募らせていた。ペップキッズは被災地の親子の切羽詰まったニーズに的確に応えた施設であり、施策だったと思う。

 行政の施策にはきちんとした市民ニーズが必要だ。そう思うから足利市のキッズピアは評価できなかった。確かに市民アンケートでは欲しい施設の上位に入り、特に子育て世代の要望は強かったが、問われるべきはその切実さではないか。被曝(ひばく)の心配がない地域で、外遊びの代替施設のため、遊具代に1億円補助し、運営に毎年3000万円の公費を払い続ける必要性が本当にあるのか。

 個人的な思いは今も変わらない。だが、利用状況を見る限りキッズピアも子育て世代に歓迎されたのは確かなようだ。さすが、子育て世代にやさしいまち、と拍手したいが、そうもいかない。引っ掛かるのは、子ども医療費助成制度の上乗せサービスへの姿勢だ。

 近隣では佐野、栃木市、群馬県側の太田、桐生、館林市が中学3年生まで医療機関での負担がない窓口無料。足利市は未就学児は窓口無料だが、小中学生はいったん医療費を払い、後日市役所に請求する償還払いで、1カ月500円の自己負担もある。近隣並みを求める子育て世代の声は根強いが、助成費を抑えたい同市はかたくなだ。9月議会では格差是正を求めた若手市議に対し、和泉聡市長が「無料化は麻薬」と応じた。役所に出向く暇さえ見つけづらい共働き夫婦やひとり親、自己負担が受診の枷(かせ)になる世帯にとって、窓口無料のニーズは切実だ。麻薬にするもしないも行政の手腕次第ではないか。【太田穣】



http://mainichi.jp/area/gunma/news/20151121ddlk10040174000c.html
藤岡新病院:建設、109億円予算可決 17年秋開設へ /群馬
毎日新聞 2015年11月21日 地方版

 藤岡、高崎、神流、上野の4市町村でつくる多野藤岡医療事務市町村組合の定例議会が20日開かれ、公立藤岡総合病院の入院と外来を統合して新設する新病院の建設工事費約109億円の予算を可決した。来年2月着工、2017年秋オープンを目指す。

 昨年9月の指名競争入札では9社のうち8社が辞退し不成立となった。工事費は、この1年で建設費高騰などで約1割上昇した。【畑広志】



http://mainichi.jp/shimen/news/20151122ddm002010071000c.html
診療報酬:マイナス改定へ 本体の引き下げ焦点 政府調整
毎日新聞 2015年11月22日 東京朝刊

 政府・自民党は、医療の値段である診療報酬を2016年度の改定で引き下げる調整に入った。マイナス改定は8年ぶり、前回(14年度)は消費増税分が加算されており、実質では2回連続マイナスになる。診療報酬のうち、「薬価」部分は1%超の引き下げとした上で、医師や薬剤師の技術料など「本体」部分も横ばい程度で調整しており、10年ぶりの本体マイナスに踏み込むかが焦点になる。【宮島寛、阿部亮介】

 診療報酬改定は国家財政に与える影響が大きく、16年度予算編成の最大の焦点の一つ。厚生労働省は8月末の概算要求で、高齢化に伴う年金・医療費などの自然増を6700億円と見積もっているが、政府の財政健全化計画に基づき、1700億円程度の圧縮を求められている。同省は来年度に大きな制度改正などがなく、主に診療報酬改定で解消しなければならない。1%下げで約1100億円の国費抑制効果が見込まれ、全体の下げ幅は最大1・5%程度を軸に検討している。

 診療報酬のうち、薬価については毎回、実勢価格下落に合わせ1〜2%程度下げてきた。来年度も同水準の引き下げをする。一方、本体でも、大病院に隣接して多くの処方箋を受け付けるだけで、服薬指導などをしていない「門前薬局」の報酬引き下げなど薬剤師の技術料にも切り込む。

 ただ、日本医師会は来春に会長選を控えており、大幅なマイナス改定には自民党内に来夏の参院選への影響を懸念する声がある。このため、本体のうち医師の技術料などへの切り込みは抑え、「政治的に許容できる範囲」(自民政調幹部)で調整する方針だ。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=126790
薬の費用対効果分析…新薬の価格適正化狙う
(2015年11月22日 読売新聞)


限られた財源で有効治療

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 医療費が年間約40兆円に膨らむなか、厚生労働省は来年度から薬や医療機器の価格が効果に見合っているのかを考える「費用対効果」の分析を踏まえた値段の見直し作業を始める。

 限られた財源で多くの人に有効な治療を医療保険で受けてもらうための方法だが、慎重な運用も求められる。

 「天国と地獄です」。会社員の佐久間泰博さん(50)は、今年保険適用になった新薬と、かつて使った治療薬の違いをこう表現する。

 30歳の時、C型慢性肝炎と診断された。標準的に使われるインターフェロンという薬の注射を始めると、副作用で連日、39度を超す高熱に悩まされた。別の副作用のうつ症状も表れ、半年間、仕事を休んだ。だが、C型肝炎ウイルスは消えなかった。

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 転機が訪れたのは2年前。米国で飲み薬の新薬が開発され、日本で始まった治験に参加した。目立った副作用はなく、ウイルスも消えた。「会社にも家族にも迷惑をかけずに済む。普通の生活は何物にも代え難い」と笑顔で話す。

 佐久間さんが治験で使ったのは、今年9月に発売されたC型慢性肝炎の治療薬「ハーボニー」だ。患者の7割を占めるタイプのウイルスに効き、治験では全員が治癒している。世界的にも高い効果で話題になった薬だが、もう一点、耳目を集めたのが、薬の値段だ。薬1錠あたり8万円強。治療は12週間で、合計の薬剤費は約670万円に上る。日本の場合、患者の負担は国の肝炎への助成で月に最大2万円に抑えられるが、財政への影響は大きい。

 ハーボニーだけでなく、近年、世界では続々と高額な新薬が誕生している。そこで、各国政府が取り入れ出したのが、薬や医療機器の価格が効果に見合うかを分析する「費用対効果」という手法だ。

 効果は、生活の質と生存期間を組み合わせ算出する「QALYクオリー」という単位が使われる。1年を健康な人と同じに過ごせるなら1QALYだが、副作用から寝たきりが続くと0・3QALYになるイメージだ。

 具体的には、薬を使い「歩き回れるか」「痛みはあるか」「ふさぎ込んでいないか」を患者たちに聞き、生活の質を数値化。生存期間と合わせ効果を計算する。新薬と既存薬を比べ、効果の伸び1QALYにつき、価格の伸びが500万~600万円以下なら費用対効果は「良い」とされる。

 東京大の五十嵐中あたる特任准教授(薬剤経済学)がハーボニーを分析すると「良い」という結果になった。1錠の値段が高くても、効果が高く、ずっと飲み続けるわけではないことなどが効いたようだ。逆に「悪い」とされたケースは、ある抗がん剤が1QALY当たり1100万円強と海外の研究で算出されたことがある。

 厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会は来年度から、この「費用対効果」を試行的に導入する。すでに販売されている薬から高額と判断したものを選び、企業に分析を求める。その後、厚労省など公的機関が改めて分析し、医師や経済学者らからなる有識者会議が、他に治療法はないか、価格が適正かを検討する。価格に反映されるのは2018年度の見通しだ。

 価格の適正化に使うための手段だが、下げすぎると採算が取れないため、製薬会社の販売控えも想定される。五十嵐特任准教授は「患者に必要な治療が届かなくなるようなことが起きないように、丁寧な議論が必要となる」と指摘している。

豪州は保険適用の可否に使用

 海外では費用対効果を価格の調整や保険適用をするかどうかに使っている。

 価格の調整に使うのはフランスやドイツ。既存薬より高い値付けを企業が求めるときに、費用対効果の分析を提出する。ドイツは企業と保険者の間で価格設定でもめたときに判断材料の一つとしている。

 オーストラリアは全ての新薬、英国は主に高額な薬剤を費用対効果の分析対象にし、保険適用の可否に反映させている。英国では費用対効果が悪いとして抗がん剤を保険の対象から外し、患者の不満が高まる事態も起きたことがある。

 日本で保険適用の可否に使うかは将来の本格導入に向けた検討課題だ。英国には分析結果によって薬の患者負担の割合が変わる制度もある。医療保険制度の維持のために、どんな負担の仕組みがいいかを国民全体で考えていく必要がある。(米山粛彦)



https://www.m3.com/news/iryoishin/374056?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151121&dcf_doctor=true&mc.l=132191814
シリーズ: 医師と看護師、業務の在り方調査
医師の看護師への評価が下落◆Vol.11
医師と看護師、お互いが61点の評価

2015年11月21日 (土)配信 成相通子(m3.com編集部)

Q.13 勤務先病院の看護師または医師に期待する総合的レベル(知識や技術、仕事に対する姿勢などを総合的に見て)を100点とすると、現状は何点くらいですか。

      医師が評価した 看護師が評価した
       看護師     医師
 平均点   61.36点     61.52点
 最高点   100点     100点
 平均点   1点      10点
 中央値   60点      60点

 Q.13では、病院勤務の医師(n=302)と看護師(n=238)に対し、お互いの評価を100点満点で尋ねた。平均点はともに約61点という結果だった。2年前の同様の調査では、医師が評価した看護師の点数は68.2点、看護師が評価した医師は59.4点で(『「医師は60点弱」、看護師が評価◆Vol.1』)、看護師による医師の評価は、約2点上がったのに対し、医師による看護師の評価が7点ほど下落していた。

 回答者数が異なるなど調査上の限界があり、断言はできないものの、看護師への評価は厳しくなったようだ。看護師の特定行為の研修制度が始まるなど、看護師に求められる業務の拡大が進み、看護師業務への期待が高まっていることへの裏返しと捉えられるかもしれない。

Q.14  勤務先病院の看護師の平均的な医学的知識や技術のレベルをどう感じていますか。対象:医師(n=302)
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Q.14  勤務先病院の医師の平均的な医学的知識や技術のレベルをどう感じていますか。対象:看護師(n=238)
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 Q.14では、病院勤務の医師と看護師に対し、それぞれ勤務先のお互いの職種について、平均的な医学的知識や技術のレベルをどう感じているか尋ねた。

 医師が看護師に対して不十分と感じているのは「基礎的な知識」(44.7%)が多かったのに対し、看護師が医師に対して不十分と感じているのは「新しい技術習得の意欲」「新しい知識習得の意欲」(37.4%)が比較的多かった。

 全体的に、医師の看護師に対する評価の方が、看護師の医師に対する評価よりも辛口な結果になった。



https://www.m3.com/news/general/376964
ベッドで暴れ転落、検査機器に挟まれ女性死亡
2015年11月21日 (土)配信 読売新聞

 愛知県一宮市の「総合大雄会病院」は20日、同県江南市の女性患者(74)が院内で検査中に機器に挟まれて死亡したとして、県警一宮署に届け出たことを明らかにした。

 同署で詳しい原因を調べている。

 同病院によると、女性は肺血栓の手術を前に、同日午前11時半頃から、放射線を使った画像化装置で肺の血流機能を調べていた。装置は、回転する円形の撮影機内にベッドが入る仕組みで、転落防止のため、女性の胸や太ももなどはベルトで固定されていた。

 検査開始から約1分後、女性がベッド上で暴れ出して転落したため、検査を中止。看護師らが助けようとしたが、女性は撮影機とベッドの隙間に胸部を挟まれ、3時間後に死亡が確認された。死因は窒息死。同病院は事故調査委員会を設置して詳しい原因を調べる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/376963
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
DPCのアップコーディング防止、一定の成果
中川日医副会長、DPC批判「複雑」「不適切事例も」

2015年11月21日 (土)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 11月20日の中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の会議で、2016年度診療報酬改定に向けたDPC評価分科会の「中間とりまとめ」が報告された(資料は、厚生労働省のホームページ)。2014年度改定における、DIC(播種性血管内凝固症候群)へのアップコーディング防止、再入院ルールの見直し、持参薬の制限など、4つのDPC算定ルールの見直しが、一定の成果を挙げていることが示された。いずれも、今後も継続する方針。

 2016年度改定に向けた見直しは、「機能評価係数II」を中心に、多岐に、細部にわたる。健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「後発医薬品係数」は、「数量シェアは2017年央に70%以上」という政府目標を基に、「70%以上を評価上限とする」などに変更した点を支持。最終的には80%が政府目標であることから、80%に早期に引き上げることを要望した。

 これに対し、「中間とりまとめ」に対し、「数え切れない見直しがなされており、ますますDPCの制度が複雑化している。中医協委員も、何人が理解しているのか」「もう少し分かりやすく整理してから、出し直してもらいたい」と苦言を呈したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。さらに、中川氏は(1)DPCでは、出来高制に比べて、アップコーディングなど不適切な請求が多い、(2)出来高制からDPCへの移行で、どの程度、点数が上がるのかを比較すべき――など、DPCそのものにも疑問を呈した。厚労省保険局医療課企画官の真鍋馨氏は、「DPC評価分科会に持ち帰り、検討し、また報告する」と引き取った。

 そのほか、基本問題小委員会では、「治癒」「軽快」の定義の見直しについて、DPC評価分科会が検討した3案が提示された。DPCについては、早期退院などに伴う医療の質の低下が生じていないかなどを評価するため、退院時転帰の経年変化を調査しているが、定義が徹底されていないことが問題になっていた。「再入院」の定義も見直し、対象は一般病棟グループへの再入院に限定し、その期間は退院から「6週間以内」を「4週間以内」に短縮する方針。

 これらの見直しは、DPC対象病院へのヒアリング結果を踏まえたもの。DPC評価分科会では、現状の「治癒」「軽快」「再入院」を用いた場合は、「正確にDPC制度導入による医療の質への影響が評価できない可能性が示唆される」としている。中川氏は、この点についても問題視。これまではDPC導入により、早期退院など医療の質低下は起きていないとされてきたが、「今までは良かった(問題がなかった)と、言いきれないのではないか」と指摘した。

 中川氏の問いかけに対し、DPC評価分科会・分科会長の小山信彌氏(東邦大学医学部特任教授)は、例えば、従来は抜糸するまで入院していた場合でも、外来で抜糸するようになるなど、治療形態が大きく変化したことが、定義の見直しの理由であると説明したが、DPC導入に関する過去の評価には、言及しなかった。

 中川氏は、過去の評価についてはそれ以上、追及しなかったものの、「治療形態の変化が、医療にとっていいかどうかは別問題。DPCでは、平均在院日数を短縮して、新規患者を入れるほど収入が上がる。(治療形態の変化は)これを追及してきた結果」と指摘し、「今回の定義見直しに伴い、以前との経年的な比較はできない。真摯にDPCの評価を行うべき」と求めた。

 20日の基本問題小委員会における議論のポイントは以下の通り。

 11月20日は、中医協総会も開催、医療経済実態調査について、診療側と支払側双方が意見(『「公立病院は高コスト体質」と問題視、保険者』を参照)。

◆2014年度改定におけるDPC算定ルールの見直しに伴う影響:DICの算定は減少

 アップコーディングとは、より高い診療報酬を得るために、意図的に傷病名コーディングの操作を行うこと。その代表例がDICで、2014年度改定で、レセプトに「DICの原因と考えられる基礎疾患」の記載を求めるなど、請求ルールを厳格化した。その結果、全入院件数に占めるDICの割合は、2012年度0.14%、2013年度0.17%と増加していたが、2014年度は0.14%に減少に転じるなど、適正化が見られた。

 同一傷病名による再入院についても、2014年度改定で、「前回入院と一連のものと見なす時期」を「3日以内」から「7日以内」に延長。その結果、改定前は「1日目から3日目」の再入院は少なく、「4日目」の再入院が不連続に増加する傾向にあったが、改定後は再入院までの日数による入院数のバラツキは減少した。

 持参薬に関しては、「入院の契機となる傷病の治療に係る薬剤を持参させることは、特別な理由がない限り、原則禁止」とされ、その検証調査で一定の理解が得られていることが確認された。今後も継続する方針で、「特別な理由」として、「病院の方針」「医師の方針」なども見られることから、次回改定では、これらを認めないことを明記するとともに、持参薬使用の場合には、使用量も含めたデータ入力を求めることを検討する。

 さらに2014年度改定では、癌患者に対する化学療法目的の入院など、入院初日の「医療資源投入量」が多い診断群分類については、入院初日の点数が高く、その翌日は低くなるよう、メリハリのある点数設定(点数設定方式D)に変更した。28のうち、21の診断群分類で、2014年度の在院日数は、2013年度に比べて減少。

 以上の結果について、日医常任理事の松本純一氏は、「分かりやすい方向に行くように、引き続き検討してもらいたい」と述べ、各論では、持参薬についてのみ言及した。「引き続き原則禁止でいいが、入院の契機となる疾患以外の治療薬については、持参薬を原則認めるべき」(松本氏)。

◆DPC評価分科会のDPC制度の対応についての検討結果(中間とりまとめ)の骨子

 DPCの包括評価部分の点数は、「診断群分類別点数」×「医療機関別係数」で決まる。「医療機関別係数」は、(1)I群からIII群の医療機関群別の「基礎係数」、(2)各医療機関の機能に応じて変わり得る「機能評価係数I」(人員など医療機関の構造を評価する係数)と「機能評価係数II」(医療機関の実績などを評価する係数)、(3)「暫定調整係数」(前年度の実績を保証するための係数)――で決まる。「暫定調整係数」は段階的に「基礎係数」に置き換わり、2018年度に廃止予定。

 DPCは、I群(大学病院本院)、II群(I群に準じる病院)、III群(それ以外の病院)に区分される。これらの区分の見直しも、検討されたが、3区分は現状を維持し、II群の定義を、従来は「大学病院本院の最低値」以上の実績を有するという相対評価だったが、「地域における医療機能を要件」とした「絶対値による基準値」を定める方針になった(『DPC、新たな転換期に、II群は絶対評価へ』を参照)。また大学本院の中には、分院よりも機能が低い例が見られることから、この点についても調整する方針。

 これらの前提を踏まえ、複数の見直しが検討されているが、現時点での議論の主なものは、以下の通り。

・基礎係数:「地域における医療機能を要件」は、現時点では客観的なデータがないことから、2016年度改定以降、引き続き検討。現行の「実績要件」のうち、「高度な医療技術の評価」は、「外保連試案」だけでなく、内保連が2013年12月に作成した「特定内科診療」(2014年度版で25疾患)を追加。

・機能評価係数I:現行の評価方法を継続。

・機能評価係数II:(1)新たな項目を検討するに当たって、現行の考え方を基本的には継続、(2)機能評価係数IIを構成する7つの指数については一部調整、(3)「分院よりも機能の低い大学病院本院」については、保険診療指数を減算、(4)保険診療指数で「病院情報の公表」(「診療科別症例数の多いものから3つ」など7項目)を評価、(5)がんや小児などの専門病院を評価するために、カバー率指数の調整、(6)後発医薬品指数について、「数量シェアは2017年央に70%以上」という政府目標を基に、70%以上を評価上限とする――など。

・算定ルール等の見直し:入院期間IIIの日数を見直すなど請求方法を簡素化、差額調整の仕組みの変更――など。

・退院患者調査の見直し:様式1(簡易診療録情報)、EF統合ファイル、Dファイルの見直し。

◆退院時転帰、「治癒」「軽快」の定義見直し:3案を提示

 DPCに対しては、1日当たりの包括点数が、入院期間に応じて漸減するために、不十分な治癒・軽快の状態で退院させ、医療の質低下につながるとの懸念がある。この点を検証する指標が、退院時転帰に占める「治癒」「軽快」や、「予期せぬ再入院」の割合。ただし、その定義が徹底されていないとの指摘があった。

 現状では、「治癒」は「退院時に外来通院治療の必要が全くない、またはそれに準じるもの」、「軽快」は「疾患に対して治療行為を行い、改善が見られたもの。原則として退院時点では外来等において継続的な治療を必要とするが、必ずしもその後の外来通院の有無は問わない」と定義されている。

 DPC評価分科会では、3つの見直し案を提示。A案は「治癒」「軽快」を1つの区分にまとめる案、B案は「治癒」と「軽快」の間に、「経過観察のみ」(退院後に、入院時に医療資源を最も投入した傷病名に関連して数回の経過観察のみの外来通院を必要とするもの)を設ける案、C案は、「治癒」「軽快」のままだが、「治癒」の定義を見直し、B案の「経過観察のみ」も含める案。

 DPC評価分科会では、多数の委員が「データ入力に関与する他の職種でも、理解可能」という分かりやすさの理由から、A案を支持。これに対し、基本問題小委員会では、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏が、「的確に評価できる理由にはならない」とし、あくまで「治癒」と「軽快」は分けるべきとし、C案を支持した。

◆医療の質を評価するための「再入院」の定義の見直し:一般病棟グループに限定

 「再入院」も、DPC制度導入の影響を評価する指標の一つ。現状では、「前回退院年月日より6週間以内の再入院」と定義されるが、入院の病棟種別は問わない。

 この定義を今後、病棟種別を「一般病棟グループ」に限定するとともに、「4週間以内」に短縮。「一般病棟グループからの退院年月日より、4週間以内の一般病棟グループへの再入院である場合」とし、再入院した場合に、(1)計画的再入院(前回退院時に、入院日が決定していた場合)、(2)計画外の再入院(前回退院時に、入院日が決定していなかった場合)――に分けて、その内容の報告を求めるようにする。

 「一般病棟グループ」とは、一般病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料などを届け出ている、いわゆるDPC対象病棟。


  1. 2015/11/22(日) 05:56:16|
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11月19日 

http://www.sankei.com/life/news/151119/lif1511190025-n1.html
産婦人科と産科、過去最少 24年連続減、厚労省調査 少子化、医師不足影響か
2015.11.19 18:45 産経ニュース

 産婦人科や産科を掲げている全国の病院は昨年10月時点で1361施設(前年比14施設減)で、現在の形で統計を取り始めた昭和47年以降、過去最少となったことが19日、厚生労働省の平成26年医療施設調査で分かった。24年連続の減少。小児科も前年より24施設少ない2656施設で、21年連続減となった。

 厚労省の担当者は「少子化による出生数の減少や、夜間・休日対応が多いなど厳しい勤務環境による産婦人科医の不足が背景にある」と分析。地域で産科の集約化、重点化が進んでいることも影響しているという。

 調査によると、精神科病院を除く一般病院は7426施設で、前年と比べて48施設減った。このうち産婦人科は1176施設、産科は185施設。二つを合わせた数は最も多かった昭和47年の2855施設と比べ半数以下となった。

 小児科は統計を取り始めた28年以降、平成2年の4119施設をピークに、6年から減少が続いている。



http://www.m3.com/news/iryoishin/376290
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「高齢化増加分の1700億円削減で地域医療崩壊」
横倉日医会長、財政審の方針に反発

2015年11月19日 (木)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は11月18日の記者会見で、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会で議論が進む「2016年度予算の編成等に関する建議案」が医療分野で1700億円の削減を求める方針を示したことに対して、「地域では医療機関の経営破たんが現実化する」と危機感を示した。

 11月16日に開かれた財政審財政制度分科会で出された建議案は、11月18日時点で公開されていない。一部報道などでは、厚生労働省が高齢化等に伴う社会保障費として概算要求した6700億円を5000億円に削減するよう主張しているとされる。6700億円の内訳は、医療が2900億円、介護が1100億円、年金が1900億円、その他(生活保護など)が800億円となるが、2016年度診療報酬改定を控える医療以外では改定や制度改正がないことから、財政審が求める1700億円の削減は医療のみが対象になることが見込まれる。横倉会長は「病院、診療所は厳しい経営状況に置かれている。高齢化に伴う6700億円の増加額は必要。大幅なマイナス改定は医療崩壊という10年前の状況の再来を招く」と強調した。

 また、高齢化以外でも医療消耗品や医療機器の高額化、電子カルテの保守費用増大などで、医療機関の経営が圧迫されていると主張。厚労省の毎月勤労統計調査によると、 医療機関の費用のうち、人件費の割合は2000年の50.2%から、2012年は46.4%に低下しており、医療機関の平均月間給与総額も全産業が2009年と比べて100.4と微増なのに対し、医療では98.0に低下していると説明した。医療分野の雇用誘発力は高いとして、「医療に財源を投入することで、地方では経済活性化につながる」と訴えた。

 11月18日には健康保険組合連合会などが塩崎恭久厚生労働相に対し、診療報酬のマイナス改定を求める要請書を提出した。健保連の行動に対しては「必要な負担は国民に求めざるを得ない。健保連には適切な医療を受けられなくなることが良いのかと申したい」と話した。

 同日には来年度予算編成に向けた自民党のヒアリングあり、財源確保のほか、財政改正では、医療機関の仕入税額控除を要望したことも明らかにした。



http://www.m3.com/news/general/376305
診療報酬の引き下げ要請 健保連など6団体
2015年11月19日 (木)配信 共同通信社

 2016年度の診療報酬改定で、健康保険組合連合会(健保連)や経団連、連合などの6団体は18日、医師の技術料などの「本体」と薬の値段である「薬価」を合わせた全体でのマイナス改定を求める要請書を塩崎恭久厚生労働相に提出した。「患者負担や保険料負担の増加につながる報酬引き上げは国民の理解と納得が得られない」と訴えた。

 日本医師会(日医)は「プラス改定を行わなければ医療崩壊の再来を招く」として、本体部分の引き上げを求めている。これに対し18日記者会見した健保連の幸野庄司(こうの・しょうじ)理事は「医療機関や薬局の収益を分析してもマイナス改定が医療崩壊につながるという結果は得られない」と反論。入院料の適正化や多剤投与の是正などで医療費を抑制すべきだとした。

 また薬価の引き下げ分を本体に充当する従来のやり方も改め、「国民に還元する必要がある」としている。

 6団体はこのほか、国民健康保険中央会と全国健康保険協会(協会けんぽ)、全日本海員組合。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52366/Default.aspx
社保審・医療部会 次期診療報酬改定基本方針骨子案を大筋了承
2015/11/20 03:51 ミクスOnline

次期診療報酬改定を控え、厚生労働省は11月16日、社会保障審議会医療部会に改定の基本方針骨子案を提示し、大筋で了承された。2025年にも超高齢化社会が到来することが想定される中で、地域包括ケアシステムの推進、外来診療や退院支援まで含めた“医療機能”の分化・強化、連携を行う改定に位置付けた。高齢化がすすみ、複数の慢性疾患を抱える患者が増加する中で、“かかりつけ”機能を重視。患者に応じた診療を行うようかかりつけ医の機能評価を高めるとともに、残薬や多剤、重複投与などの減少に向けて医薬品の適正使用を進める、かかりつけ薬剤師・薬局を評価することも盛り込んだ。一方で、いわゆる門前薬局の評価適正化も進める。そのほか、後発医薬品の使用促進・価格適正化、長期収載品の仕組みの検討も盛り込まれた。基本方針は、きょう17日に開かれる社会保障審議会医療保険部会を経て、とりまとめられる。

改定の基本方針は、「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携」に関する視点を重要課題に、▽患者にとって安全・安心で納得できる効率的で質が高い医療を実現できる、▽重点的な対応が求められる医療分野を充実する、▽効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める—の4つの視点から具体的方向性を示した。

後発医薬品については、数量シェア80%という新目標が示されるなかで、実現に向けた診療報酬上の取り組み、価格適正化に向けた価格算定ルール、長期収載品の価格引き下げルールについての見直しを盛り込んだ。

残薬や多剤、重複投与を減らすための医薬品の適正使用の推進では、医師、薬剤師の協力による取り組み推進の重要性を強調。それぞれの“かかりつけ機能”を評価することを盛り込んだ。かかりつけ医については、複数の慢性疾患を抱える患者に対し、個別の疾患だけでなく、療養上の指導、服薬管理、健康管理などの対応を継続的に実施することを評価する。2014年度改定では、診療所や中小病院の外来での主治医機能を評価する地域包括診療料、地域包括診療加算が新設されたが、こうした機能分化をさらに推し進める。

かかりつけ薬剤師・薬局については、患者の薬物療法の有効性・安全性確保の観点から服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう評価する。一方で、こうしたかかりつけ機能をもたない門前薬局の評価を見直すなど、患者本位の医薬分業を実現するために調剤報酬を見直すことも盛り込んだ。

◎多剤併用で議論 原因は長期処方?

この日の社保審では、残薬や多剤、重複投与をめぐる議論があった。日本医師会副会長の中川俊男氏は、残薬、多剤併用の問題は長期処方の増加にあると主張。処方日数が年々伸び、90日処方が常態化する事態を問題視し、「行き過ぎた長期処方の是正という言葉をぜひいれていただきたい」と述べた。

これに対し、厚労省保険局の宮嵜雅則医療課長は、長期処方が残薬、多剤併用の原因となる可能性を認めた上で、「処方箋をそういう形で制限するのかどうか、ということにもつながる」と述べ、中医協での議論を求めた。
中川氏はさらに、多剤併用について必要があれば行うことを地域包括診療加算で認めているとの認識を示した上で、「今回の改定は逆行している。現場では不必要な薬をたくさん出しているわけではない」と強調した。

調剤報酬については、NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長は、院外処方では院内処方に比べ患者負担が増えることに言及し、「患者負担がそこまで増えない方向での見直しをお願いしたい」と述べた。

また、将来を見据えた課題として、「予防・剣道作りやセルフケア・セルフメディケーションの推進、保険外併用療法の活用等について広く議論が求められる」とされた。患者申出療養の新設が検討されている中で、経済的に裕福な人との格差が生まれることへの懸念も示された。

そのほか、この日厚労省側は「医療費の伸び率の要因分解」の資料を提示。要因のひとつに診療報酬改定がある。2014年度改定は、実質的にはマイナス改定だったものの、消費税増税があったために見かけ上プラスに転じており、0.10%と記載されている。この資料について、全日本病院協会の西澤寛俊会長、日本医師会の中川副会長らから、2010年度から3回連続プラス改定との誤解を生むと指摘。厚労省側は、指摘を踏まえて資料の修正を検討するとしている。



http://www.sankei.com/column/news/151120/clm1511200002-n1.html
【主張】
診療報酬 改定へ国民の視点足りぬ

2015.11.20 05:02 産経ニュース

 高齢社会を迎える中でいかに最適な医療体制を築くか。医師や薬剤師が受け取る診療報酬の見直しは、そのための大きな手立てである。

 厚生労働省は来年度の改定で、患者が住み慣れた地域で医療や介護を受けられる「地域包括ケアシステム」を重点的に推進する方針を示した。

 リハビリを要したり、慢性疾患を抱えたりする高齢患者の激増が予想されている。改善の見込みが低いのに、そのまま入院を続けても医療費がかさむばかりだ。

 往診や服薬指導などの在宅医療への報酬を厚くし、逆に必要性の薄い高度医療を抑えるなどの「在宅シフト」は避けられない。

 問題は、地域包括ケアを重視するとしながら、実際には思うように定着していないことだ。これを打開できるかが問われよう。

 分かりにくいのは、厚労省が在宅推進を掲げる一方、政府全体では「介護離職ゼロ」に向けて施設を増やそうとしていることである。ちぐはぐな印象は拭えない。安倍晋三首相はこの整合性を丁寧に説明すべきだ。

 厚労省の方針は地域包括ケア推進の具体策として、患者の状態に応じて診療や指導を行う「かかりつけ医」などの強化を挙げた。

 ただ、「質の高い在宅医療を提供する」という大義名分で、過剰な治療や効果の薄いサービスが入り込むようでは元も子もない。

 例えば「かかりつけ薬局」である。薬の重複や飲み残しの指導を徹底し、過剰投薬を減らすと説明するが、医師との連携を確立しないまま「かかりつけ薬局」だけを強化しても効果は乏しい。

 病院前の「門前薬局」の報酬を引き下げる代わりに「かかりつけ薬局」を手厚くするのが目的だとすれば、単なる加算の付け替えだと言わざるを得ない。

 医療の必要性が低くなった患者への過剰治療が続くこともあってはならない。医療保険と介護保険の境界を明確にし、任せられるサービスは介護保険に切り替えるべきである。

 診療報酬改定は、限られた財源の中で、いかに報酬にメリハリをつけられるかが肝要である。

 医療界は報酬全体の引き上げを求めているが、それは同時に、保険料や患者の窓口負担の増加を意味することを忘れてはならない。国民の視点に立った議論がまだまだ足りない。



http://www.m3.com/news/iryoishin/376097
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「多剤投与の適正化」を評価、認知症患者
紹介状なし大病院受診、定額負担「5000円」の声も

2015年11月18日 (水)配信 成相通子(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が11月18日に開かれ、2016年度診療報酬改定に向け、外来医療について議論した。厚生労働省は、地域包括診療料・加算で認知症患者の多剤投与の適正化を評価する方針や、紹介なしの大病院受診時の定額負担で、対象病院を特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院とすることや、最低金額を国が定めるとする案を示した(資料は、厚労省のホームページ)。

 多剤投与に関しては、診療側と支払側から慎重な議論を求める意見が出たが、定額負担に関しては概ね異論はなかった。その額については、「5000円ぐらいが妥当」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)、「(初診・再診ともに)簡単に支払える金額ではなく、若干高額にすべき」(日本医師会常任理事の松本純一氏)といった意見が出た。

 このほか、小児医療の主治医機能の評価を目的に、3歳未満を対象としている小児科外来診療料について、対象を3歳以上に引き上げる方針が示され、概ね了承された。

多剤投与の適正化、評価すべき?

 厚労省が示したのは、地域包括診療料・加算で、「高血圧症、糖尿病、高脂血症以外の疾患を有する認知症患者」を対象に、多剤投与など薬剤投与の適正化と適切な服薬管理について評価する方針。厚労省の資料によると、高齢者では薬剤投与数が増えると意識障害や低血糖などの薬物有害事象が増えるほか、服薬回数の増加とともに服薬アドヒアランスが低下する傾向が見られる。厚労省は、認知症患者への多剤投与の是正が必要だと説明した。

 松本氏は「2014年度診療報酬改定の流れに反する。臨床をしていても薬は少なくしたいと思うが、やむを得ない場合がある。多剤投与の減算は不合理。多剤でも一包化すれば問題は減る」と猛反発。日医副会長の中川俊男氏も「服薬アドヒアランスで問題なのは、多剤投与よりも長期処方だ」と厚労省が示した資料の解釈に疑念を投げかけ、厚労省に再検討を求めた。

 2014年度改定で新設された地域包括診療料・加算では、対象患者を「高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上を有する」と規定し、7種類以上の内服薬を投与した場合に処方料、処方せん料、薬剤料が減算される「7剤投与の減算規定」は適用されない。多数の疾患を持つ患者に対し主治医が「継続的で全人的な診療に当たる」ため、多剤投与が必要なケースが多く想定されるからだ。今回の厚労省の案では、地域包括診療料・加算の算定対象でも一部の患者には「多剤投与の適正化」が求められることになる。

 松本氏は「認知症で、高血圧、糖尿病、高脂血症以外の疾患が複数ある患者でも、多剤投与はいけないということか」と厚労省に質したが、厚労省は、「今後の中医協の議論」として、具体的な評価方法については言及しなかった。

 一方で、支払側は、地域包括診療料・加算の中でさらに「評価を加算」する方向性を問題視。幸野氏は「2014年度の地域包括診療料の設定では、診療を包括的に評価するもの。それに対してさらに加算するのは後戻りになる」と主張し、評価方法については慎重な制度設計が必要であると指摘した。

再診時の定額負担が重要

 紹介状なしで大病院を受診する際の定額負担導入に関して、厚労省が提案した論点は、(1)対象病院を特定機能病院に加えて500床以上の地域医療支援病院とする、(2)緊急その他やむを得ない事情がある場合は定額負担を求めず、緊急かどうかの判断は医療機関が実施する、(3)定額負担は最低金額を国が設定し、医科・歯科で異なる設定にする――など。

 初診時の定額負担は、これまでの議論で厚労省が3000円、5000円、1万円の3案を提示(『紹介状なし大病院受診、定額徴収義務化』を参照)。2014年の厚労省の調査では、保険外併用療養制度では、紹介のない初診時の徴収額の最高額が1万円を超えるなど、高額化が進んでいる(『「紹介なし初診」、最高額は1万円超』)。今回、支払側は5000円を軸にした金額設定を提案した。

 意見が対立したのは、再診料の設定。日医副会長の松原謙二氏は、「初診時の特別料金はほとんどの対象病院で徴収しているが、再診時は少ない。勤務医の疲弊解消が目的ならば、一番実効性があるのは、再診時の定額負担もきっちり取ること」と指摘。松本氏も初診時と同様に再診時も「若干高額にすべき」と主張した。幸野氏も「医療機関の判断で取らない患者にすることもできるので、高めに設定すべき」と述べた。

 一方で、日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「初診時と再診時は少し差を付けて考えるべき。極端な設定は混乱を招く」として、再診時の定額負担は初診時よりも差を付けて安価にすべきとの見解を示した。具体的な金額設定は今後、議論する。



http://www.m3.com/news/iryoishin/376405
地域医療連携用ID(仮)の創設を提案、厚労省研究会
ネットワークを介した診療情報の共有の手段に

2015年11月19日 (木)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」(座長:金子郁容・慶応義塾大学政策・メディア研究科教授)の第10回会合が11月18日に開催され、年内に公表予定の報告書案が大筋で了承された(資料は厚労省のホームページホームページ)。医療機関同士や介護施設との連携のために「地域医療連携用ID」(仮称)を作ることなどが盛り込まれた。報告書は年内に取りまとめられ、今後の政策に反映させるとしている。

 報告書案では、(1)マイナンバー制度のインフラを利用した医療保険のオンライン資格確認、(2)地域医療連携用ID(仮称)を活用した地域医療連携ネットワーク――について方向性を示した。(1)では、2015年の国民健康保険法などの改正で、2018年4月から社会保険診療支払基金と国民健康保険中央会が、被保険者番号を一元的に管理することになっている。医療機関では、窓口で「個人番号カード」の提示を求め、専用回線を通じて支払基金 と国保中央会が作る「資格確認サービス機関」に接続し、資格情報を照会できるようにする。

 「個人番号カード」には、被保険者番号などは書き込まれず、内蔵のICチップを使って、オンラインで確認することになる。ICチップ読み取り装置やレセプト請求システムの改修などについては、「2018年度の診療報酬改定に伴うシステム改修と合わせて対応する方法が考えられる」としている。

 「個人番号カード」はマイナンバーの通知を受けた希望者が交付申請し、2016年から市町村で受け取ることができる。「個人番号カード」の普及に時間がかかると見込まれることから、過渡的には保険証の使用も認められるとしている。

 (2)に関しては、地域医療連携用ID(仮)の制度化を提案。患者個人に付番され、被保険者番号と同時にオンラインで確認する。医療機関は地域医療連携用ID(仮)を使って、自身が参加している「地域医療ネットワーク」に患者情報を登録する。同IDを使うことで、ネットワークを介して、他の医療機関や介護施設などの受診、利用状況などを確認できるようになる。

 ただ、厚労省政策統括官付情報政策担当参事官室によると、地域医療ネットワークは全国各地に200程度あるとされるが、加入していない医療機関が大半と見られる。今後も、国として一つのネットワークの作る予定はなく、ネットワーク同士の連携で患者情報の共有を進めるとしている。また、個々の医療機関内に保存されているカルテや投薬録などの情報をネットワークに登録するかなどについては、報告書の対象になっていない。

 将来的にはマイナンバー制度の「マイナポータル(情報提供等記録開示システム)」を使って、「患者自身で自らの健康や医療情報も把握できるようになることも期待される」としている。 日本医師会常任理事の石川広己氏は「一つの番号で国民、患者のプライバシーが分かるようなものが出てきてはまずい。医療界は、現物給付のところにマイナンバーを使ってほしくないというのは変わっていない。一方で、医療、介護連携は番号があった方が便利で、間違いが減る。番号制度があってもプライバシーが守れるように熟練するまで、医療は別番号でやらせてほしい」と要望した。

 委員からは「今回の報告書は国民にとっての利点が分からない。国民向けのメッセージを示すべき」という声が相次いだ。東京大学大学院医学系研究科特任准教授の山本隆一氏は「(医療分野の番号制度で)国民が自分の情報を知る権利を確保すること、医療、介護の透明性を挙げることが、国民にとって重要なメリット」との考えを示した。金子座長は「国民にとって、安全と便利になるという実感がないと、支持が得られない」として、分かりやすい報告書になるよう工夫すべきとの考えを示した。



http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151120/k10010313181000.html
産婦人科設置の病院 過去最少に
11月20日 4時29分 NHKニュース

 産婦人科や産科を設置している病院は、去年10月の時点で全国で1300余りと、少子化の影響などでこれまでで最も少なくなったことが厚生労働省の調査で分かりました。

 厚生労働省は、毎年、全国の医療機関を対象に診療科の状況や医師の数などについて調査を行っています。それによりますと、去年10月の時点で産婦人科や産科を設置している病院は全国で1361施設と、24年連続で減少しこれまでで最も少なくなりました。小児科を設置してる病院も2656施設と21年連続で減少していました。これについて、厚生労働省は「少子化の影響や夜間や休日の対応が多いなど厳しい労働環境が背景にあるのではないか」と分析しています。

 一方、人口10万人当たりの病院の常勤医師の数は全国の平均で165.3人と前の年より3人増えていました。医師の数が最も多かったのは高知県で234.8人、次いで、徳島県が215.9人、福岡県が208.7人でした。最も少なかったのは埼玉県で114.8人、次いで、新潟県が129.7人、福島県が131.3人でした。厚生労働省は地域による医師の偏在を解消するため近く専門家による検討会を立ち上げ対策を検討することにしています。



https://www.carenet.com/news/journal/carenet/40998
入院医療費が高額な医師ほど訴訟リスクは低い/BMJ
公開日:2015/11/20 ケアネット

 同じ専門科の中で医療資源の使用(入院医療費)が高額の医師のほうが、低額の医師に比べ、翌年の医療過誤訴訟の発生リスクが低い傾向にあることが明らかにされた。産科婦人科については、帝王切開実施率が高い医師ほど、同訴訟リスクが低かった。米国・ハーバード大学医学校のAnupam B. Jena氏らが、約2万5,000人の医師について行った観察試験の結果、報告した。先行研究で、多くの医師が自衛的医療を行っていることが明らかになっていたが、医療資源の使用と医療過誤訴訟リスクとの関連については検討されていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告より。

7つの専門科における入院医療費データを調査

 研究グループは2000~09年にかけて、フロリダ州の急性期病院入院データを用い、7つの専門科担当医(内科、内科各専門、家庭医、小児科、一般外科、外科各専門、産科婦人科)について、使用した医療資源(入院医療費)が高額なほど、翌年の医療過誤申し立て件数が少ない傾向がみられるかを調べた。入院医療費は五分位に層別化して評価。患者の特性、併存疾患、診断名について補正を行った。

 調査では、医師2万4,637人、延べ15万4,725人年、入院1,835万2,391件、医師に対する医療過誤訴訟数4,342件(2.8%/医師年)のデータが得られ分析した。

専門科を問わず、入院医療費が高額なほど訴訟リスクは低い

 結果、専門科を問わず平均入院医療費が高額な医師ほど、医療過誤で訴えられるリスクが少ない傾向が認められた。

 具体的には、内科医の医療過誤訴訟発生率は、平均入院医療費が最も低い第1五分位(入院1件当たり1万9,725ドル)群では1.5%(95%信頼区間:1.2~1.7)だったのに対し、最も高い第5五分位(同3万9,379ドル)群は0.3%(同:0.2~0.5)だった。同様に、内科各専門医は1.7%(入院1件当たり2万3,626ドル)と0.2%(4万6,654ドル)、家庭医は0.5%(1万3,809ドル)と0.2%(3万5,305ドル)、小児科医は0.7%(9,121ドル)と0.1%(1万9,916ドル)、一般外科医は2.3%(2万5,141ドル)と0.4%(5万1,987ドル)、外科各専門医は1.7%(2万6,979ドル)と0.1%(6万1,907ドル)、産科婦人科医は1.9%(8,653ドル)と0.4%(1万8,162ドル)だった。

 産科婦人科では、帝王切開が医師の自衛的医療の影響を受けると考えられており、帝王切開件数と翌年の医療過誤件数との関連を調べた。

 その結果、リスク補正後の帝王切開年間実施率が高い医師のほうが、翌年の医療過誤訴訟の発生率が低かった。具体的には、年間実施が最も少ない第1五分位(実施率5.1%)群では5.7%であり、最も多い第5五分位(31.6%)群では2.7%だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
原著論文はこちら

Jena AB, et al. BMJ. 2015;351:h5516.
http://pmc.carenet.com/?pmid=26538498&keiro=journal



http://www.sanyonews.jp/article/261052/1/?rct=iryo_fukushi
児島市民病院が6年連続増収確保 14年度決算案 会計見直しで赤字
(2015年11月19日 22時27分 更新) 山陽新聞

 倉敷市は市立児島市民病院の2014年度決算案をまとめた。常勤医師を増員して医療サービスの向上に努めたことなどが奏功し、6年連続で増収を確保した。ただ、国の会計制度見直しに伴って計上した特別損失が響き、4年ぶりに赤字となった。

 総収益は25億4200万円で前年度から8・0%増えた。これに対し、総費用は32億6300万円で前年度に比べ46・1%増と跳ね上がった。赤字額は7億2千万円だった。

 入院、外来など医業収益は前年度比5・7%増の23億5300万円。入院は手術、検査件数の増加、外来は内科の常勤医師を迎えたことが寄与していずれも増えた。1日平均の患者は、外来が401人(前年度395人)、入院が139人(同140人)。

 一方、費用では地方公営企業会計制度の見直しで退職金の引き当てが義務化されたことなどから、医業以外で8億9千万円(前年度103万円)の特別損失を計上。決算のマイナス要因となった。

 児島市民病院は内科医師が大量退職した08年度に5億2700万円の純損失を計上して以降、10年度まで3年連続で赤字に転落。経営健全化を目指して10年度から3年間、常勤医師の増員などを盛り込んだ改革プランを進め、11年度以降は黒字が続いていた。

 14年度当初17人だった常勤医師は内科と消化器内科で1人ずつ増え、現在19人となっている。

 市は、17年度の建て替え開院を目指して着工準備を進めている。改革プラン評価委員会(委員長・鳥越良光岡山商科大名誉教授、7人)に14年度決算案を報告した5日の会合で、江田良輔院長は「新病院開院に合わせ新たに10人程度の常勤医師を確保したい。施設や設備面も含め、さらなる医療体制の充実を図る」と述べた。

G3註:倉敷市立児島市民病院 198床(一般165、療養型33) 19診療科



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47374.html
6千万円を不正受給、訪問介護を指定取消- 徳島市、県は詐欺容疑で告訴検討
2015年11月19日 20時30分 キャリアブレイン

 実際には行っていないサービスを提供したと偽り、介護報酬を不正に受給したなどとして、徳島市は、メイト(同市)が運営する訪問介護事業所「メイト訪問介護ステーション」の指定を、介護保険法に基づき18日付で取り消したと発表した。併せて、介護予防訪問介護の指定も取り消した。受給額は約6000万円。【松村秀士】

 同市によると、「メイト訪問介護ステーション」では、2013年4月から今年7月にかけて、サービスを行っていないにもかかわらず、提供したかのように見せ掛けて介護報酬を架空請求し、不正に受給した。さらに、監査時に事実とは異なる虚偽のサービス提供記録や出勤簿を提出したりもしていた。

 同市を含めた6市町は今後、メイトに対して不正に受け取った報酬額に加算金を加えた額の返還を求める方針。また、徳島県は詐欺容疑での告訴を検討しているという。



http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015111900806&g=soc
医師数、高知が12年連続トップ=最少は埼玉、人口10万人当たり-厚労省
(2015/11/19-18:50)時事通信

 厚生労働省は19日、人口10万人当たりの医師数は昨年、高知県が234人で最多だったと発表した。最少は埼玉県の114人で、都道府県別の統計を取り始めた2003年以降、いずれも12年連続で同じ順位。
 同省によると、14年10月1日時点の病院の医師数は、前年比1.7%増の約21万112人。看護師は同2.8%増の約76万7700人だった。 
 人口10万人当たりの医師数は、全国平均で165.3人。都道府県別では、高知234.8人、徳島215.9人、福岡208.7人の順に多く、埼玉114.8人、新潟129.7人、福島131.3人などが少なかった。
 患者20人以上の入院施設を持つ病院数は8493施設で、前年より47施設減った。小児科がある病院は21年連続、産科・産婦人科は24年連続の減少で、同省の担当者は「出生数の減少や勤務条件の厳しさが影響したとみられる」と話した。



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1119037856/
健診項目のエビデンス取りまとめへ,特定健診の「腹囲」も対象
第1回健康診査等専門委員会

2015.11.19 Medical Tribune

 昨日(11月18日),第1回厚生科学審議会地域保健健康栄養部会健康診査等専門委員会(委員長=東北大学大学院公衆衛生学教授・辻 一郎 氏)が開催された。国の各法律に基づき,乳幼児期から高齢期までさまざまな健診や検診が実施される中,個別の検査項目や健診プログラム全体の科学的知見に基づく有効性の評価を行い,2017年半ばの改訂指針の取りまとめを目指す。事務局などによると,特定健診での検査項目の1つ「腹囲」の評価も行われる見通し。

2017年半ばをめどに健診の指針を改訂

 この委員会では2004年8月に施行された「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」の見直しに向けた検討が行われる。同指針は国内で実施されている各種健診(検診)制度(図)に共通する健診の在り方や精度管理,保健指導や情報管理などの基本事項を示したもの。 厚労省事務局によると,指針の見直しに当たり,作業班による健診の在り方や健診項目のエビデンスの収集・分析が行われる。2016年半ばをめどにエビデンスを取りまとめ,2017年半ばまでに同指針の見直しに関する報告書を作成する予定。
図. 
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(当日配布資料)

福井氏「エビデンス不十分イコール無効ではない」

 第1回となった今回の会議では,福井次矢氏(聖路加国際大学理事長),磯博康氏(大阪大学公衆衛生学教授),永井良三氏(自治医科大学学長)の3人の参考人が健診の評価の国内外の現状を解説した。
 福井氏は「日本では健診などの保健事業について,厳密な科学的評価はほとんど行われてこなかった」と指摘。健診の評価が求められる背景にはEBMの考え方や医療の質に対する社会的認識の高まりといった要素があるとの考えを示した。同氏によると,世界保健機関(WHO)は「検診計画のWilson-Jungner基準」を定め,科学的知見の蓄積に伴い内容の見直しを行っている他,カナダや米国でも個別の健診項目を定期的に評価し,エビデンスレベルや推奨度を改訂している。特に注意が必要なのは「エビデンス不十分」についての解釈で「時にメディアが"この健診は無効だ"などと大きく報道してしまうが,無効の意味ではないことに注意しなくてはならない」などと述べた。

磯氏「生活習慣が変化する幼少期からの一貫したデータ収集が重要」

 磯氏は英国での事例を紹介。医学分野のスクリーニングの定義はこの数十年で大きく変わっていると述べた。また,スクリーニング検査を適用するための要件として①疾患・前状態の早期,あるいは無症状での把握ができること,②スクリーニング後に確定診断する適切な方法があること,③効果的な治療・介入手段があること,④スクリーニング導入による費用対効果が見込めること,⑤適切で継続的な運用・評価と精度管理が行えること―の他,より詳細な22項目の要件が明文化されていると述べた。制度内容などは一致しないが,同じく健診の基本的項目を定めた日本の指針と比べると,網羅されている項目に異なる部分もある(表)。
表. 日本と英国の健診に関する指針または要件
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(当日配布資料と厚労省公式サイトから編集室で作成)
 同氏はまた,健診の大きな目的の1つである生活習慣病の予防についても「生活習慣が変わっていくという意味で非常に重要な時期である幼少期から30歳代にかけてのデータベースが非常に少ない。日本では母子保健法,学校保健法,健康増進法,高齢者医療確保法などに基づき,さまざまな健診が行われている。個人のデータをライフコースで串刺しできるようになると健診の(有効性)評価が可能になってくる」などの見解を示した。

永井氏「非肥満例を含む全体最適を目指す転換が必要」

 永井氏は疾患の自然史をよく理解して,どの段階で何を予防することを目的として健診を行うかを明確にする必要があると指摘。がん検診と異なり,心血管疾患のリスクを見つけ早期に対応することを目的とする特定健診では,コホート研究による同疾患の高リスク例の定義,介入研究によるリスク因子の除去や軽減で同疾患の発症や死亡が減少する結果を示したエビデンスが必要と述べた。ただし,介入研究の実施は場合によっては難しいこともあることから,観察研究による再現性の証明などで代替可能とした。これまでの研究で示された介入による心血管疾患の予防効果が明らかな高リスク因子として,高血圧,脂質異常症,糖尿病,喫煙を挙げた。特定保健指導の対象者を抽出する基準とされている腹囲(内臓肥満)については,「メタボリックシンドロームは内臓肥満が原因で喫煙以外の高リスク因子を伴った状態として整理することができる」と述べた。
 一方,企業で4年にわたり特定健診を受診した被保険者約27万人のデータを解析した検討からは,肥満例は非肥満例に比べ心血管疾患の相対リスクが高かったが,非肥満例においても肥満とそれ以外のリスク因子がない人に比べ相当のリスク上昇が見られたとの成績を紹介。「現在の特定健診後の介入では,多くの高リスク例を見逃している」と述べ,肥満例だけでなく非肥満例を含めた「部分最適から全体最適を目指す予防施策への転換が必要」との見方を示した。
 特定健診の腹囲基準が妥当か否かについては,これまでも厚労省検討会で議論が行われている。当時,検討会委員や参考人からは「腹囲を最初のスクリーニング基準としていることで100人やって40人は特定保健指導対象にならない。公衆衛生学的にはおかしい話と思うので十分議論する必要」「腹囲により肥満者を判定し,他のリスクと併せて階層化して保健指導を行う現行の枠組みは妥当。ただし,非肥満でリスク因子を有する者は同様に循環器疾患の高リスク者であるため,制度的な対応が必要」など意見が分かれていた(参考資料:厚生労働省保険局総務課「平成23年10月13日 第5回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」)。
 厚労省事務局によると,健診項目などに関しては必要に応じて検討会を設置し,エビデンスの収集と分析を行い2016年半ばに中間取りまとめ,2017年半ばに最終報告書がまとめられる予定。「特定健診に関しても,一定の意見の取りまとめを行って,同委員会に報告したい」と述べた。

ご存じでした?「健診」と「検診」の分類

 委員会の冒頭で示された資料によると,「健診」と「検診」には一部重復する部分はあるものの,陰性の取り扱いなどに関して異なる定義が示されている。委員からは「自分が健診に携わるまで両者の違いをあまり意識していなかったが,"検診"は臓器を対象としたもので,にんべんの入った"健診"は人の全体を対象としたものと聞いて納得していた」とのコメントもあった。
(当日配布資料)
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(坂口 恵)



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93958760T11C15A1000000/
診療情報を地域で共有 年明けにユニシスが運用開始、富士通は実証実験
2015/11/19 6:30日本経済新聞 電子版

 医療や介護関連の施設が地域の患者情報などを共有する仕組みづくりが始まっている。日本ユニシスは岩手で2016年4月にシステムを稼働予定で、富士通は富山で実証実験を進めている。システムを使えば、介護施設が薬局の処方箋情報を見て高齢者が正しく薬を飲んでいるかなどを確認できるようになる。IT(情報技術)で患者や高齢者を支える仕組みの現状と課題を探った。

 日本ユニシスは、医師会や薬剤師会などで構成する一般社団法人未来かなえ機構(岩手県気仙郡)が事業を運営する大船渡市、陸前高田市、住田町の地域でシステムを構築する。当該地域の居住者は6万7千人程度だ。

■医療機関に散らばる診療情報を集約

 「中核の大病院をつなぐだけでは、地域の住民を適切にカバーできない」と未来かなえ機構の安部白道事務局長は力を込める。宮城県で広がる病院間の情報連携では、データベース上から抜け落ちている住民が数多くいたという。

 各医療機関に散らばる診療情報を日本ユニシスのシステムに吸い上げて通信規格の違いなどを処理し、各施設の端末で見られるようにする。歯科や介護施設が病院の診療情報を利用できる仕組みは珍しい。

 今回の仕組みを活用することで、例えば、介護施設が薬局の処方箋情報を見て高齢者が正しく薬を飲んでいるかを確認できる。他にも麻酔が効きにくくなる糖尿病患者かどうかを歯科医が調べるといったこともできる。患者が病院の窓口などで受け付けする際には、情報共有に対しての同意書を渡す。他の施設に知られたくない情報は診察を受けた病院外にデータを出さないようにすることも可能だ。

 「いざというときに運ばれたい病院と居住地の病院が違うこともある」と安部氏は語る。当該地域の病院には隣接する宮城県気仙沼市北部の住民が運ばれてくる場合もある。今後、県を越えた情報連携も視野に入れる。

 病院向けの電子カルテに強いIT企業も動く。富士通は医療機関と保健師との情報共有を進める実証実験を富山県で始める。黒部市など1市2町で16年1月から3月まで実験し、NTTデータ経営研究所が事業全体を統括し、富士通はデータベースシステムなどを提供する。

 当該地域の富山県立中央病院や黒部市民病院の電子カルテは富士通製。これまでも大病院をハブとして地域の診療所が電子カルテを閲覧できるようになっていたが、今回、保健師も情報を得られるように新たにデータベースを構築した。

 保健師は糖尿病患者を対象に個別に訪問し、患者の状態をデータベースに登録。受信状況や検査結果を把握し、専門医らがいない地域で患者の病状が悪化するのを防ぐ。実証実験の成果をもとに今後、対象を糖尿病患者から広げていく。

■診療情報共有システムの採用広がる

 病院間で電子カルテを共有する仕組みは広がる。調査会社のシード・プランニング(東京・文京)によれば、地域で医療情報を連携し合うシステムを採用する数は20年に223院まで増える。

 ただ、介護施設や薬局などとの情報連携は進んでいない。システム構築費が高額となるためだ。そのため、医療に特化していない汎用的なクラウドサービスを活用した情報連携もある。

 訪問診療や介護を手掛ける医療法人ゆうの森(松山市)は医師や介護士、理学療法士など職種の垣根を越えて患者の情報を共有する仕組みを構築した。13年11月にサイボウズの情報共有ソフト「キントーン」を採用。患者ごとに年齢や住所、診療履歴などを項目別でまとめたDBを構築した。

 院内のパソコンやスマートフォン(スマホ)から診療情報を閲覧・検索できる。毎朝8時半に実施する全体会議で、医師だけでなく介護士や事務作業のスタッフまでを含めて患者の治療方針を議論している。

 他職種を漏れなくつなぐシステムや、安価なクラウドサービスが登場してきた。医療機関の選択肢が増えてきたことで今後、地域の情報連携が加速しそうだ。

(企業報道部 川上宗馬)



http://diamond.jp/articles/-/81915
健康知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴【第106回】
国民皆保険を崩壊させる財務省の「受診時定額負担」

早川幸子 [フリーライター]
2015年11月20日ダイヤモンドオンライン

 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、テレビのバラエティー番組などでは黒船脅威論のごとく、「医療費が高騰する!」「混合診療が解禁される」といった話がまことしやかに語られているようだ。

 だが、11月5日に外務省が発表した「TPP協定の全章概要」を読むかぎり、その心配はないように思う。医療分野で直接言及されているのは医薬品の特許期間だが、妥結内容は日本の国内制度と乖離するものではなく、この点での影響はない。

 アメリカの通商代表部(USTR)が毎年発表する「外国貿易障壁報告書」を見ても、2012年以降はアメリカの要求は医薬品や医療機器の算定ルール(新薬創出加算の恒久化)に絞られてきている。

 薬価の高止まりは健康保険財政にとっての不安材料ではあるが、そのことと混合診療の全面解禁の関係性は薄い。「TPPで日本の医療が崩壊する」という地獄のシナリオが現実のものとなる可能性は極めて低いといえるだろう。

 それよりも今問題にすべきは、本来は国民生活を守るべき日本の財務省からジワジワと医療給付を縮小する圧力が働いていることだ。

 今年6月に発表された「財政健全化計画等に関する建議」には、健康保険の理念を損なうとして過去に否定された「受診時定額負担・免責制の導入」が、ちゃっかりと復活しているのだ(PDF)。

2011年に猛烈な反発で消えた
受診時定額負担の蒸し返し


 現在、病院や診療所の窓口で負担するのは、年齢や所得に応じてかかった医療費の1~3割。定率の負担をするだけでよい。財務省が提案する受診時定額負担や免責制は、この定率負担に加えて、医療機関を受診する人から一定額を徴収しようというものだ。

 受診時定額負担は、医療機関を受診するごとに年齢や所得に関係なく、すべての患者から1回につき100円などの定額を徴収することが想定されている。免責制は、医療機関を受診しても500円~1000円などの一定額までは健康保険を適用せず、それを超えた分が健康保険の対象になる。

 このように医療の財源確保のために、患者から定額の負担を徴収しようという動きは初めてではない。

 最初に持ち上がったのが免責制で、2005年に小泉政権下の「経済財政諮問会議」で、「健康保険は大きなリスクを保障し、風邪など軽度な症状は自己負担すべき」といった考えから提案された。また、受診時定額負担は、2011年の「社会保障改革に関する集中検討会議」で、当時、見直しの議論が行われていた高額療養費の財源確保のために提案された。

 だが、そもそも社会保険とは「収入に応じて保険料を負担し、必要に応じて医療を利用する」もので、“定率”負担が原則だ。受診者から、収入に関係なく“定額”を徴収する免責制や受診時定額負担は、日本の健康保険のあり方を揺るがす大問題で、実施されると病気になった患者のみに負担の皺寄せがいくことになる。そのため、過去の議論では医療関係者や専門メディアなどから猛烈な反発を受け、導入が見送られたという経緯がある。

 それが、再び蒸し返されたのだから穏やかではない。もしも、導入されると国民の負担はどの程度増えるのだろうか。

1回100円の徴収で
2000億円規模の増収に


 財務省の2015年の建議の参考資料には、制度導入イメージとして「受診時定額負担」の図が示されているので、今回は免責制ではなく、受診時定額負担の導入が本丸だと予測される。

 ここでは受診時定額負担の導入による財政影響には触れられていないが、2011年に受診時定額負担の是非が議論されたときの厚生労働省の資料(PDF)をたどると、1回あたりの徴収額が100円の場合で、年間約2060億円の新たな収入が見込めるという(低所得層への配慮なしの場合)。

 だが、逆の見方をすれば、そのお金は患者が負担するということだ。これまで社会保険料や税金の形で国民全体で負担していたお金を、病気で苦しむ人の負担に付け替えることになるのだ。

 しかも、こうした定額負担は、いったん導入されると財源不足を理由に、どんどん引き上げられる可能性もある。最初は1回100円でも、1回500円になれば約1兆円、1000円なら約2兆円もの負担が、患者に押し付けられることになる。

 患者負担の増大というと、健康保険が適用されない先進医療に目が行きがちだが、こちらは2014年度の実績でも約174億円(厚生労働省「平成26年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」より)。それに比べると、受診時定額負担の財政への影響のほうがはるかに大きいといえるのだ。

法的に矛盾するものを
選定療養費で強引に導入


 これまで定額負担の導入が見送られてきたのは、反対の声をあげてきた関係者の力もあるが、法的な拘束力があったのも大きい。

 2002年の改正健康保険法の附則では、「医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するもの」とされている。附則は法律の本則と同じ効力を持つもので、健康保険の自己負担割合は今後も3割を超えないことを約束しているのだ。

 患者の自己負担割合については、2006年の改正健康保険法でも付帯決議がつけられており、法的には患者に3割を超える負担を求めることは難しい。そのため、2011年の厚生労働省の審議でも受診時定額負担の導入は見送られ、これまでは患者負担の増大を阻止してきたという面もある。

 最終的に高額療養費の見直しは、税と社会保障の一体改革によって決まった消費税の引き上げを財源とすることで決着したが、その後、安倍政権は安全保障関連法の成立を優先させるために消費税10%への引き上げを凍結。改革のための財源の見通しが立たなくなったため、公的医療費を抑制させ患者負担を拡大させる傾向が強まっている。

 今年5月に成立した医療制度改革関連法では、紹介状なしで大病院を受診した場合に5000~1万円の特別料金を徴収することが義務化された。一方で、患者の負担は3割を超えてはならないことが、附則や付帯決議で決められている。

 そこで、国は、保険外併用療養費の選定療養の枠組みで、大病院を受診した際の特別料金を義務化するという荒業で制度化させたのだ。

 本来、選定療養費は、患者が自分の意志で利用するかどうかを決めるもので、国や医療機関が強制するものではない。それを義務化するというのは、明らかに制度的に矛盾している。

 これまでの法律の解釈では、財務省が提案する受診時定額負担も、前述した附則や付帯決議に抵触することになる。だが、憲法違反や違法性が指摘されながらも、強引に安全保障関連法を成立させた第2次安倍政権のやり方を見ていると、受診時定額負担も選定療養費を使うという荒業によって、あっさり患者負担増額への道が開かれてしまうのではないかと不安になる。

国民皆保険の理念を損なう
2015年の財務省建議


 財務省の建議では、受診時定額負担・保険免責制の導入の必要性を次のように理由付けしている。

〈我が国の医療保険制度は、定率の患者負担を求めつつ、高額療養費(患者負担の月額上限)を設けることにより、医療費が多くかかった場合にはより厚めの保険給付を行う(患者の実行負担率が逓減する)、つまり、リスクの大きさに応じて公的保険がカバーする範囲が大きくなる仕組みとなっている。この考え方に立って、限られた医療資源の中で、疾病等に伴う大きなリスクをカバーするという保険の基本機能を十分に発揮しながら、国民皆保険制度を維持していく観点から、現行の定率負担に加え、少額の定額負担を導入すべきである〉

 だが、健康保険の基本機能が大きなリスクをカバーするものという考えには根拠が示されておらず、この理由づけは取りやすいところからお金をとるために、健康保険の存在意義を歪曲した解釈でしかない。

 そもそも健康保険は、「大きな病気になったときの保障」と限定して作られたわけではなく、病気になったときには「いつでも、どこでも、だれでも」、少ない自己負担で医療を受けられることを理念としている。

 高額療養費によって、医療費が高額化した場合に多くの給付を受けられるのは事実だが、これは医療費が家計に過度な負担を与えないために配慮したもので、制度全体が高額な医療費に保障の比重を置いているわけではない。

 国民皆保険ができた理念や歴史的背景を無視して、受診時定額負担が導入された場合には、本当に具合が悪いのに経済的な理由から受診を控える患者を今まで以上に増やすことになるのは確実だ。

 症状が悪化してから受診すると、本人の健康を妨げることはもちろん、治療費にお金がかかって反対に医療費が増大してしまう可能性もある。それはとくに、低所得層に重い負担となってのしかかってくる。

「たかが100円」と思うかもしれないが、全体ではスケール感は変わってくる。そして、受診時定額負担はいったん導入されてしまうと、政府側の都合によっていくらでも引き上げ可能な「医療費の財源」となる危険を秘めているのだ。

 それはまさに、ボディーブローのようにジワジワと家計を追い詰め、国民皆保険を空洞化させることになるだろう。

 社会保険の原則にのっとれば、医療費の財源は所得の再分配機能をもった保険料で徴収するのが筋であるし、そもそもプログラム法で決めたスケジュール通りに消費税を引き上げていれば受診時定額負担の提案などはなかったはずだ。

 公的な医療費抑制や患者負担増大は、今に始まったことではなく、過去、ずっと引き継がれてきた政策ではある。だが、第2次安倍政権になってから、その傾向は強まっている。このままこの政権に政治を任せておくと、セーフティネットであるはずの社会保障の機能はどんどん低下していきそうだ。

 日本が長い時間をかけて築いてきた「いつでも、どこでも、だれでも」の安心の医療を突き崩す魔の手は、TPPによる外国からの圧力ではなく、日本国内にこそ潜んでいる。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H40_Z11C15A1EE8000/
診療報酬、財制審「マイナス改定必要」 社会保障費を抑制
2015/11/20 1:30日本経済新聞 電子版

 財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は2016年度予算案の編成に向けた建議をまとめた。医療サービスの公定価格である診療報酬は「一定程度のマイナス改定が必要」と指摘する。診療報酬の引き下げなどで、6700億円と想定される社会保障費の伸びを5千億円弱に抑制するように求める。

 24日に麻生太郎財務相に提出する。政府は2年に1回のペースで診療報酬を改定しており、今年末に16~17年度分を決める。診療報酬が下がれば患者の負担や医師などの収入が下がり、社会保障費の抑制につながる。

 建議では社会保障費の伸びを今後3年で1兆5千億円程度に抑える政府の財政計画の目安から「逸脱するようなことがあってはならない」と強調。薬価の下落は「適切に医療費の減少に反映すべきだ」と提案する。調剤薬局の報酬になる調剤報酬は引き下げを求める一方、「(患者の幅広い病気に対応する)かかりつけ医の役割を果たしている薬局を重点評価する」とする。

 経済財政諮問会議の民間議員も24日、診療報酬の引き下げを提言する。湿布などの市販品と同じような効果を持つ医薬品は保険の適用対象から外す必要があると主張する。特許切れの先発薬の価格も「大胆に引き下げるべきだ」と求める。

         ◇

 財務省が財政制度等審議会の建議の起草委員にBNPパリバ証券の中空麻奈・投資調査本部長を起用したことが19日、わかった。財務省によると女性の起用は13年ぶりで2人目。



http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201511/0008580183.shtml
誤って違う指を手術 三田市などに賠償命令
2015/11/19 20:20 神戸新聞

 三田市民病院(兵庫県三田市けやき台)で健常な右手中指を誤って手術され障害が残ったとして、三田市の男性(68)が市と整形外科医に計約3200万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は19日、医療ミスによる障害と認め、市と医師に計約1130万円の支払いを命じた。

 病院側は「リウマチの影響も否定できない」と主張していたが、寺西和史裁判官は「リウマチ症状がある他の指より、右中指の可動域は大きく制限されており、障害は手術によるもの」と退けた。

 判決によると、男性は2013年3月、断裂した右手薬指の腱(けん)の修復手術で、中指も切られ動きにくくなる症状が残った。

 三田市民病院は「対応を協議中でコメントは差し控えたい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/376360?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151119&dcf_doctor=true&mc.l=131846054&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
胃ろうの実施件数、「あまり減っていない」
2014年度診療報酬改定の検証調査結果

2015年11月19日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 11月18日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で「2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の「胃ろうの造設等の実施状況調査」結果概要(速報)が公表された。2014年度診療報酬改定では、胃ろう造設術の減少を目的に評価の見直しが行われたが、調査対象の医療機関の平均実施件数は、見直し前の2013年度と2014年度で1.8回減の微減にとどまった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 連合総合政策局長の平川則男氏は「胃ろうの造設件数はあまり減っていない。理由を検討する必要がある。胃ろうについて、現場で悩んでいるという話を聞くが、しっかりと原因究明をすべきだ」と述べ、調査結果の詳細な分析と原因究明を求めた。

 胃ろう造設については、2014年度改定の議論で、日本の胃ろう造設数が諸外国と比較して多いことや、胃ろう造設前後に嚥下機能の評価を行っていない医療機関が多いことなどが問題視された(『安易な胃ろう造設にメス』を参照)。これを受けて同改定では、胃ろう造設術の診療報酬の点数引き下げと施設基準の新設、胃ろう造設時嚥下機能評価加算と経口摂取回復促進加算が新設された。

 調査は、胃ろう造設の施設基準の届出をしている施設と届出をしていない消化器内科標榜の病院など、1031施設を対象に実施。527施設から回答を得た。

 新設された胃ろう造設時の嚥下機能評価加算の届出は、全体の49.7%の施設が実施。一方で、50件以上実施している施設は12.7%の7施設にとどまり、大多数の48施設が届出をしていなかった。その理由として多かったのは、「経口摂取回復率の計算に必要なデータ収集が困難」(77.1%)、「経口摂取回復率35%以上達成が困難」(68.8%)、「術前に全例に嚥下機能検査を実施できない」(39.6%)だった(複数回答)。

 それぞれの理由の詳細としては、「胃ろうの患者の退院・転院が多く追跡調査が困難」(「経口摂取回復率の計算に必要なデータ収集が困難」の81.7%)、「摂食嚥下機能の回復が困難な患者が多い」(「経口摂取回復率35%以上達成が困難」の90.9%)、「検査を行わなくても胃ろうの適応が明らかな患者がいる」(「術前に全例に嚥下機能検査を実施できない」の63.2%)が挙がった(複数回答)。

 経口摂取回復促進加算の届出は、全体の7%にとどまり、50件以上の胃ろう実施施設(上記の55施設)では届出をしている施設は無かった。届出をしていない理由としては、「経口摂取回復率の計算に必要なデータ収集が困難」(63.6%)、「経口摂取回復率35%以上が達成困難」(60.0%)、「摂食機能療法専従の常勤言語聴覚士を1名以上配置できない」(21.8%)などの理由が大半を占めた(複数回答)。

 2014年度の見直しの効果についての質問では、「胃ろうの増設を断ることが増えた」に「当てはまる」「大いに当てはまる」が全体の6.9%だったのに対し、「あまり当てはまらない」「全く当てはまらない」が50.2%と過半数を占めた。また、「経胃管栄養で栄養管理を行う患者が増えた」に「当てはまる」は1割未満だったのに対し、「当てはまらない」は4割に達し、胃ろう造設術の適正化があまり進んでいない結果となった。



http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/local/miyazaki/20151119-OYS1T50027.html
串間市民病院に総合診療科新設へ
2015年11月19日 読売新聞 宮崎

 串間市は18日、市民病院に来年1月、地域に根ざして幅広い患者を診療する「総合診療科」を新設すると発表した。県内の市町村立病院で初めて。24日開会の市議会定例会に関連する条例改正案を提案する。

 市民病院は現在、内科や整形外科、産婦人科など計10の診療科を開設しているが、高齢化で複数の疾患がある患者が増えるなどしており、従来の専門診療科では対応が難しくなっているという。

 宮崎大医学部から派遣されている医師が担当する。総合診療科の新設で、日常的な医療サービスを提供する1次医療の充実を図る。将来的には在宅医療や訪問看護と連携させる構想もあるという。

2015年11月19日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

G3註:串間市民病院 120床 10診療科


  1. 2015/11/20(金) 08:19:06|
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11月17日 

http://www.m3.com/news/general/375663?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151117&dcf_doctor=true&mc.l=131488399&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
「レセプト債」8社が破産 負債総額400億円以上か
2015年11月17日 (火)配信 共同通信社

 医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行、運用していた資産運用会社「オプティファクター」(東京都品川区)と、その関連会社の計8社が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが16日、分かった。

 帝国データバンクによると、負債額はこれまでに判明した4社分だけで計約291億7700万円に上り、総額は400億円以上になる可能性もあるという。

 決定は、オプティ社など6社が13日付、残り2社が6日付だった。



http://www.m3.com/news/general/375727
テレビ見過ぎで死亡率上昇 「医療新世紀」
2015年11月17日 (火)配信 共同通信社

 テレビを長時間見るほど死亡率が高まるという研究結果を米国立がん研究所のチームが米医学誌に発表した。運動不足に陥ることで、さまざまな病気になるリスクが高まるためだという。

 1995~96年の時点で慢性疾患がなく、年齢が50~71歳だった米国在住の約22万人を平均約14年間追跡し、テレビ視聴時間と死因別の死亡率の関係を分析した。

 その結果、「がん」「心臓病」「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」「糖尿病」「インフルエンザ・肺炎」「パーキンソン病」「肝臓病」「自殺」では、視聴時間が1日2時間増えるごとに死亡率が増加するという関係のあることが分かった。

 注)AMERICAN JOURNAL OF PREVENTIVE MEDICINE

G3註:
Keadle, Sarah K., et al. "Causes of Death Associated With Prolonged TV Viewing: NIH-AARP Diet and Health Study." American journal of preventive medicine (2015).
http://www.ajpmonline.org/article/S0749-3797(15)00265-2/abstract
“television viewing time mortality” で検索すると多数の論文がヒットする


http://www.m3.com/news/general/375430
精神医療 評価を点数化、病院選択の一助に 全国850機関、NPOがWEB公開
2015年11月17日 (火)配信 毎日新聞社

精神医療:評価を点数化、病院選択の一助に 全国850機関、NPOがWEB公開

 精神障害があっても生きやすい社会を目指すNPO法人「地域精神保健福祉機構(略称コンボ)」(千葉県市川市)は16日から、精神科病院・クリニックに通う当事者(コンボ賛助会員)へのアンケートを基に、全国の医療機関を点数化した情報をコンボのウェブサイト(http://comhbo.net)で公開している。【坂根真理】

 コンボが2012~13年、信頼できる精神科の医師に出会うまでにかかった時間を尋ねると「5年以上かかった」との回答が4割を超え、うち「10年以上」が2割を占めた。その間に症状を悪化させるケースも多く、病院でどのような医療が行われているか一目でわかる仕組みの検討を進めてきた。

 アンケートは6月から実施。質問は「通院している病院・診療所を他人に紹介するか」「医師は話を聞いてくれるか」「治療終了の見通しの説明はあったか」「飲んでいる薬の種類はいくつか」など25項目で、4択で評価してもらう。

 約1200件の有効な回答が寄せられ、11月9日現在で843の医療機関の情報が集まった。4択の回答は数値化して項目ごとに全国平均を割り出し、各医療機関の点数と比較できる。

 賛助会員になっている医療機関は反論などのコメントを寄せることができる。

 コンボ専務理事の島田豊彰さんは「透明化を図り、自分に合った病院を選択できるようになればと期待している。まだスタートライン。今後も継続して回答を集めていきたい」と話している。

 ウェブサイトは30日まで誰でも閲覧できるが、それ以降はコンボの賛助会員に限定して公開する予定。問い合わせはコンボ(電話047・320・3870)へ。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015111790214831.html
検査の5人に「ホルマリン」誤投与 松本市立病院
2015年11月17日 21時48分(中日新聞)

 長野県松本市立病院(同市波田)は17日、医師2人が健康診断で胃の内視鏡検査を受けた30~50代の男女計5人(男性1、女性4)に対し、発がん性が指摘される「ホルムアルデヒド」を含む「ホルマリン」を誤って投与したと発表した。5人のうち3人が胃の炎症で一時入院したが、現在は快方に向かっている。

 病院によると、5人は13日に内視鏡検査を受けた。女性医師が4人、男性医師が1人にそれぞれ胃などの収縮を抑える薬剤を投与する際、容器を取り違えてホルマリン20ミリリットルを投与した。

 前日に女性看護師が薬剤を置く場所に誤ってホルマリンを置いていた。名前を記したラベルは張られていたが、ともに茶色のプラスチック製容器に入っており、医師や同席した看護師も気が付かなかったという。

 検査直後に異臭がしたため、医師が誤投与に気付いた。病院は5人に謝罪、血液検査などをしたところ、患者の男性1人と女性2人に胃の炎症が確認されたという。

 会見した同病院の高木洋行院長は「劇物ホルマリンの管理が不十分だった。ホルムアルデヒドの影響はないとみられるが、5人の健康診断を継続する」と陳謝した。



http://www.asahi.com/articles/ASHCK6X23HCKUOOB01B.html
内視鏡検査で薬剤誤り胃に炎症 長野・松本市立病院
2015年11月17日22時33分

松本市立病院の高木洋行院長は、二つの薬剤を同じ色と形のボトルで保管していたため、取り違えが起きたと説明した=長野県松本市波田
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 長野県松本市の市立病院が、胃の内視鏡検査を13日に受けた42~59歳の男女5人に、本来使用すべき薬剤ではなく、間違って劇物のホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)を使った、と17日発表した。3人の胃に軽度の炎症が見られ、経過観察のために入院したが、17日までに退院したという。

 高木洋行院長によると、消化管の動きを抑制するミントオイルのボトルと、ホルマリンのボトルとを取り違えた。検査は午前9時ごろに始め、同11時ごろ、医師が異臭に気づき、すぐに5人の胃を洗浄した。

 二つの薬剤は、いずれも同じ形の茶色のボトルに入っていた。ホルマリンは検査前日、病理検査の標本を作るために使われたが、看護師が片付ける際、他の薬剤と勘違いし、冷蔵庫に入れた。検査当日、別の看護師が取り出した。このときも、ボトルのラベルにホルマリンと記されているのを見落とした。

 病院はボトルの色を変えるなど「管理方法を改善した」と説明した。



http://www.sankei.com/west/news/151117/wst1511170068-n1.html
「Dr.コトー」モデル退任へ 74歳、瀬戸上健二郎医師「潮時だと思う」
2015.11.17 18:16 産経ニュース

 人気漫画でテレビドラマにもなった「Dr.コトー診療所」のモデルとして知られる鹿児島県薩摩川内市・下甑(しもこしき)島の瀬戸上健二郎医師(74)が本年度末で下甑手打(てうち)診療所長を退任することになった。市職員の任期が切れるためで、瀬戸上医師は「総合的に考えると良いタイミング、潮時だと思っている」と話している。

 瀬戸上医師は同県東串良町出身。県本土の病院勤務を経て昭和53年、下甑島に赴任した。設備やスタッフが不十分な中、昼夜を分かたず離島医療の充実に注力し、その姿は無医村に赴任した医師の活躍を描く漫画のモデルになった。

 もともと定年は65歳だったが、住民の要望から市は定年延長などで対応。70歳の時には任期付き職員として採用したが、来年3月で期限(5年)が切れ、法的に続投は困難と判断した。

 市は後継を探したものの、見つからなかった。このため、現在は島内に3カ所ある診療所を1カ所に集約。医師2人が常駐し、出張などで島全体をカバーする。

 瀬戸上医師は取材に「今の医療体制は長い年月かけて築いてきたもので、維持していくべきだ」と語った。

 下甑島は薩摩川内市の川内港から約50キロにあり、人口約2400人。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52359/Default.aspx
アドレナリンの濃度間違いで注意喚起 250倍濃度で投与も
公開日時 2015/11/18 03:52 ミクスOnline

日本医療機能評価機構は11月16日、注意が必要な医療ミスを定期的に取り上げる「医療安全情報」で、アドレナリンの濃度間違い投与について注意喚起した。2012年1月から15年9月30日までに6件報告され、約33倍~最大250倍の濃度で注射され、患者には頻脈、高血圧、心室細動が現れたケースもみられたという。外用目的の院内製剤を注射したケースが4件あり、ミスがあった医療機関では、ラベルに「禁注射」と表示する対策が取られたことを紹介した。

「医療安全情報No.108」で取り上げられたもの。その中の事例によると、医師がアドレナリン50万倍希釈液(0.0002%ボスミン)を皮下注射するつもりで、手術前、医師は看護師に「ボスミン生食をください」と指示したのに対し、看護師は、院内製剤の0.05%ボスミン液(アドレナリン2,000倍希釈)を準備。医師が手術部位に計60mLを皮下注射したところ、頻脈・高血圧が出現し、心室細動となったという。看護師は「0.05%ですか」と医師に確認したものの、詳細を確認せず「うん?うん」と返答があり、また、看護師も0.05%ボスミン液が外用目的の製剤だと知らなかったという。


  1. 2015/11/18(水) 05:48:38|
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11月15日 

http://medg.jp/mt/?p=6260
Vol.229『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (4): 和田勝「介護保険制度の設計思想」を語る
医療ガバナンス学会 (2015年11月14日 06:00)
小松秀樹
2015年11月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

この原稿は、ソシノフブログ http://www.socinnov.org/blog/p221 より転載です。

 ある会合で役人が嫌いですかと聞かれた。とんでもない誤解である。例えば、和田勝氏の業績と背景にある考え方を私は高く評価する。和田氏は1990年代半ば、高齢者介護対策本部事務局長として、厚生省(当時)のエースたちを率いて、介護保険制度の設計を指揮した。
 当時、家族の介護負担は深刻な社会不安になっていた。介護サービスは公費による老人福祉と医療保険という2つの異なる制度で提供されていたが、不公平で使いづらいものだった。94年細川護煕首相の国民福祉税構想があっけなく挫折した。この事件で厚生省は税に頼ることの難しさ、危うさを痛感し、社会保険による介護の提供を本気で考え始めた。

『地域包括ケアの課題と未来』から、和田氏の考え方を示す文言を抜き出す。

「重視したのは、単なる財源対策ではなく介護に関する新たな理念を打ち出すこと」「それが、『個人の尊厳』の尊重であり、それに由来する『自立支援』です。」

「保険制度の下では、サービス利用は被保険者の権利ですから、『選択・契約』の仕組みとなり、その結果、市場機能が効いて事業者のサービス提供拡大や質の改善の意欲を刺激します。介護ニーズの拡大は確実で、サービス利用があれば保険から事業者に金が支払われます。予算範囲内でしかサービスを提供できない措置制度に比べて、サービス提供量が増加します。」「拡大するニーズに対応するため、在宅サービス分野では営利法人・協同組合・NPOなどの民間事業者の参入を認めました。」

「(保険者は)地方自治の本旨からすれば、当然市町村が担うべき役割です。」

 「給付は、現物給付とし、家族への現金給付は制度化しないこととしました。足りないのは『カネ』ではなく『良いサービス』だからです。」

 和田氏は中央統制より市場機能を重視し、サービスの受け手と提供者の自由意志を尊重する。その背景に憲法があることが、「個人の尊厳」と「地方自治の本旨」という日本国憲法固有の文言がそのまま使われていることから読み取れる。

 高橋和之(『立憲主義と日本国憲法』有斐閣)によると、「憲法はその社会の基本価値を体現」しており、日本国憲法の基本価値は「個人の尊厳」である。「社会あるいは国家という人間集団を構成する原理として、個人に価値の根源を置き、集団(全体)を個人(部分)の福祉を実現するための手段とみる個人主義の思想に基づく。」「『個人の尊厳』を表明した日本国憲法は、全体主義を否定し個人主義の立場にたつことを宣言したのである。」全体主義のナチスドイツでは、社会的弱者が大量殺戮の対象になった。弱者への福祉サービスは個人主義に親和性を持つ。

 「地方自治の本旨」という文言には「団体自治」と「住民自治」という2つの意味がある。「団体自治」とは、自治体に、国家に対するチェック・アンド・バランス機能を持たせることであり、一定以上の規模が要請される。都道府県が想定されるが、日本の都道府県の実態は憲法の期待を裏切っている。和田氏が求めているのは「地方自治の本旨」のもう1つの意味「住民自治」である。個人に身近な基礎自治体が住民参加により個人の尊厳の確保をすべく努力することを意味する。

 筆者は、過去10年間、厚労省の医系技官とくに、医療事故や感染症に関わる医系技官と厳しい議論を繰り広げてきた。彼らは医療事故調査委員会の設計にあたり、医療を善悪の尺度で、中央主導で裁こうとした。医療における正しさを法システムで固定し、進歩を阻害しようとした。医学における正しさは善悪というより知に関するものであり、仮説的、暫定的である。知を増大させるために、未来に向かって議論が継続されなければならない。新型インフルエンザ騒動では、大量の事務連絡を連発して、医療現場を混乱させた。科学的に無意味な検疫と停留措置で人権を侵害した。「社会保障制度改革国民会議報告書」以来、医療行政の「強制力」を強めようとしてきた。医療の需要を測定し、医療サービスを計画的に供給することを目指してきた。医療機関から消費税損税を取り上げ、それを補助金としてばらまき、医療機関を支配し、経営努力の空間を狭く窮屈にした。あたかも、旧共産圏の統制医療を目指しているかのようである。

 和田氏の介護保険の設計思想は、今日の医療政策の進んでいる方向と真逆である。

 少し脱線する。筆者は2015年9月、行政官の違法行為を指摘したことを理由に、医系技官の指示に従った経営者によって懲戒解雇された。経営者は、医系技官に筆者の行政批判を止めさせないと、補助金を出さないと脅された。経営者は、筆者に補助金がもらえないと困るので、行政批判を差し控えられたいと、当たり前のごとく、何の屈託もなく述べた。脅した医系技官も経営者も、立憲主義の基本的な考え方を知っていたとは思えない。日本国憲法は、憲法の基本価値である「個人の尊厳」を守るため、国家権力を制限している。日本国憲法が、国民ではなく、公務員に憲法を尊重し擁護する義務を負わせているのはこのためである。憲法という制限がなくなると、国が暴走して人権侵害が生じ、国が危うくなるというのが憲法の前提である。医系技官という集団に憲法無視の傾向が見られるとすれば、医系技官制度の基本部分を考え直さなければならない。

 話を元に戻す。和田氏の文章には、措置制度に対する強い問題意識がみてとれる。措置制度は個人の尊厳と密接に関連する。和田氏の問題意識は周囲で共有されていた。

 大森彌東大教授(当時)は、地方分権を専門とした行政学者である。高齢者介護・自立支援システム研究会の座長として、介護保険法成立に大きな役割を果たした。大森教授の措置制度に対する考え方を大熊由紀子氏の『物語介護保険』(岩波書店)から紹介する。大森教授は、座長役になることを依頼されたとき、「厚生省は本気で措置制度を廃止する決心をしているのですか」と尋ねた。「大森さんは幼くして父を失い、町工場で働きながら夜学で高校を卒業した経験の持ち主です。」「生活保護を受けていることが小学校の担任教師の口から、級友に知られてしまい、惨めな思いもしました。人間の誇りを傷つける『措置』という制度の宿命を、身をもって体験していたのでした。」

 元キャリア官僚の武田雅弘氏は、自ら介護事業を立ち上げた経験を有する。厚生省に入省直後に、和田氏の部下として薫陶を受けた。武田氏は『新13歳のハローワーク』(幻冬舎)で、中学生向けに介護保険について解説した。メインテーマは「措置から契約へ」である。「介護をしてあげる側」と「介護をしてもらう側」という、片方がもう片方に一方的に恩恵を与えるという関係そのものを変えていかなければ、介護サービスの質は向上しない。人が人に何かを「してあげる」という関係は、一歩間違えると「善意でしてあげているのだから、してもらったことには文句を言うな」とばかりに、「してあげる側」は強者の立場に立つ。これは悪徳によるのではなく、関係が対等でなかったために、人の心の働きによって自然にそうなった。措置から契約になって「してもらう側」が「お客様」に変化すると、介護事業者はサービスの品質を高くしないと、サービスを買ってもらえなくなり、事業を続けていけない。「お客様」も、利用可能な範囲を超えるとすべて自腹になるので、何でもかんでもしてほしいという甘えは通用しなくなる。

 1990年代半ばの厚生省の法令事務官たちと、現在の医系技官の違いがなぜ生じたのか、国を危うくしないためには、人間の深い部分にまで立ち入った研究が必要である。



http://medg.jp/mt/?p=6254
Vol.226 震災避難民をおそう「寝たきり」の恐怖
医療ガバナンス学会 (2015年11月11日 06:00)
九州大学整形外科
石井武彰
2015年11月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 「あぁもう限界。」「いやぁ、やったことないから難しいわぁ。」

相馬市の仮設住宅では一風変わった健康診断が行われました。ここでは一般の健康診断にあわせて、高齢者を対象とした体力測定を行っています。受診者の笑顔と賑やかな雰囲気が、ともすれば殺風景な健診会場を活気のあるものとしています。
 相馬市は福島第一原子力発電所からおよそ40km北に位置する自治体です。東日本大震災では沿岸部が津波による甚大な被害をうけました。また山間部においては、避難区域として指定はされませんでしたが、原発事故に伴う放射能汚染が生じています。市の中心部では津波の直接被害は無く、震災前とほぼ変わりない生活が営まれているのにくらべ、仮設住宅では生活環境が急変し健康を損ねている方も少なく有りません。医師でもある相馬市長は、被災者の健康対策に力を入れており仮設住宅健康診断を定期的に実施しています。そして健康促進の一環として、2012年より仮設住宅で実施される健康診断に体力測定を導入しました。

 私は東日本大震災後の2012年の1年間、当時所属していた大学院を休学し福島県相馬市の民間病院で整形外科医として勤務しました。大学院復学後も非常勤の医師として診療に相馬市に通うかたわら、整形外科医の視点から被災者の健康診断や復興支援に関わっています。◯月◯日、冒頭の体力測定の結果が英文医学誌Preventive Medicine Reportsで発表され[1]、仮設住宅住民では明らかに足腰の力が衰えていることがわかりました。一番の原因は仮設住宅生活にともなう生活習慣の変化から身体を動かす機会が減ったことに有ると考えられます。足腰の衰えは転倒そして要介護のリスク因子となり寿命を縮める可能性も指摘されています。仮設住宅生活にともなうリスクの一つとして啓発そして対応が求められます。

 今回の発表では65歳以上の高齢者で、仮設住宅住民を対象とした体力測定の結果と、一般住民を対象とした体力測定の結果を比較しています。仮設住宅での体力測定は、2012年7月におこなわれた仮設住宅健康診断に併せて実施されました。一般住民を対象とした体力測定は、同年9月から10月にかけておこなわれた特定健康診査、後期高齢者健康診査に併せて実施されました。それぞれ207人、1683人の方が受診しています。

 体力測定の項目として「握力」、「バランス」、「歩行能力」を測定しました。「握力」は握力計を用いて測定しました。「バランス」は、目を開けて両手を腰においた姿勢で何秒間片脚立ちができるかを測定しました。「歩行能力」は椅子に座った姿勢から、立ち上がって3m先の目印を回って椅子に戻り、座るまでの時間を測定しました。それぞれ2回測定して良い値を結果として採用しています。「バランス」は15秒未満、「歩行能力」は11秒以上が体力低下の指標とされています。

 仮設在住高齢者では、「バランス」および「歩行能力」で体力低下と判定された割合が、一般高齢者の約2倍という結果でした。「バランス」で体力低下であったのは、仮設在住高齢者の約60%に対して一般高齢者は約30%。「歩行能力」で体力低下であったのは仮設在住高齢者の約8%に対して一般高齢者は約3%でした。特に「バランス」においては年齢のばらつきを考慮した統計学的解析でも差がある(偶然ではない)と判定されました。仮設住宅で体力測定を実施している際に、あまりに成績が悪いことに戸惑いを感じたことを覚えています。

 仮設在住高齢者の成績の悪さは、仮設住宅生活にともなって身体を動かす機会が減ったことが一因となっていると考えました。仮設住宅の世帯あたりの面積は30m2弱であり、「半径3mの生活」と自嘲する人もいます。「家じゃ畑してたんだけどな」「掃除する部屋もへって家事が減ったんだ」と家でじっとしている時間が増えているようです。病院の患者さんからは、「介護ベッドを置くと他に何もおけなくなる」といった悩みも聞こえてきます。周辺環境の変化も影響が有るようです。「震災前は散歩してたんだけど、仮設の周りは散歩しても気がめいるからな」と運動を止めてしまったという人もいます。また多くの仮設住宅は市街地から慣れた場所に建設されて、買い物等の移動も基本的には車での移動となり生活の中で体を動かす機会が減少しています。

 今回の震災の特殊事情として原発事故による失職もあげられます。仮設住宅には沿岸部の漁業関係者も多数生活しています。2012年当時、放射能汚染への不安から本格的な漁は再開されておらず、仕事で身体を動かしていた人が家で時間を持て余している話も聞こえてきました。農業従事者に置いても、作付けを控えて家で過ごしていたという方もいます。実際に外来患者さんで、1年ぶりに耕運機を動かそうとした所、思うように動かせずに転倒して背骨を骨折してしまった方がいます。「(耕運機は)慣れた操作だったのに、身体がなまっていたのかもしれない」と気を落としていました。失職に伴う身体活動の低下という要因も見逃せません。

 一方で、「握力」は仮設在住高齢者が一般高齢者より強いという、「バランス」や「歩行能力」と一見矛盾する結果なりました。仮設高齢者の握力平均値は男性35.2kg, 女性23.7kgに対して、一般高齢者の握力平均値は男性32.2kg, 女性21.3kgでした。年齢のばらつきを考慮した統計学的解析でも差がある(偶然ではない)と判定されています。これは下肢の筋力が低下し、上肢の筋力は保たれていることを示唆します。

 この矛盾が生じた理由として、仮設高齢者は震災前より一般高齢者より「握力」が高かった可能性を考えています。仮設住宅に避難しているのは、津波で家を失った沿岸部の住民の方がほとんどです。震災前は漁業関連の体を動かす仕事をしていた方が多く、少なくとも震災前に「握力」を含め体力が一般高齢者より弱かったとは考えにくいです。また「バランス」や「歩行能力」の低下が疑われる中、「握力」だけあがったと考えることにも疑問を感じます。ベッドで寝たきりになった人でも上肢筋力は比較的保たれやすいとの過去報告もあり、今回の結果と矛盾しません。

 今回の結果を受けて、相馬市は高齢者の体力維持・増進に寄与する公園を整備する計画でいます。また相馬市社会福祉協議会のメンバーが市内4カ所ある仮設住宅を毎日訪問しており、定期的にお茶会を開催しています。お茶会では住民同士の「交流の場」となるように活動が展開されていますが、そのなかで運動不足解消のための運動も取り入れられています。地域の理学療法士も介護予防講演会などで積極的に地域住民に啓発活動を行っています。また仮設住宅では今回の結果の説明会をかねた運動教室も複数回開催されています。

 今回の体力測定は筆者が当地で整形外科診療をおこなうなかで気付いた問題意識から始まりました。仮設住宅の患者さんとの会話の中から、「家じゃ何にもしてねぇ」、「まえは散歩してたんだけどな」など身体を動かさなくなった話を多く聞いていました。足腰の力が弱ることによる転倒・骨折のリスクが高まっていると思いました。また相馬市には骨折した時に手術可能な施設が公立相馬総合病院のみでした。しかも、そこで常勤ではたらく整形外科医は一人という明らかな医師不足の状態でした。そこで転倒・骨折の予防が必要と考え、そのために体力測定を行って自分の体力に対して啓発をおこなうことが有効ではないかと思い至りました。

 仮設住宅での体力測定には福岡豊栄会病院の旧知の理学療法士の力が大きな助けになりました。もともと仮設住宅での一般的な健康診断が計画されていましたので、同時に体力測定をおこなうことを相馬市長に提案したところ了承を得ました。そこで福岡豊栄会病院の旧知の理学療法士に相談したところ、手弁当で駆けつけてくれることとなりました。実際の健診では、体力測定をした後に、結果を踏まえて経験豊富な理学療法士あるいは作業療法士から個別に時間を取って日常生活指導を行いました。

 実際の体力測定中に、測定結果が想定より悪いため首をかしげる事態となりました。体力測定の練習のため、整形外科手術後の入院中の患者さんで希望者を対象に、同様の項目を測定していたのですが、手術後の患者さんに比較しても、仮設住宅の測定結果が悪いように感じられたからです。集計の結果でも成績が悪いことがわかりました。相馬市長に報告したところ、一般住民と比較する必要を指摘され、特定健康診査、後期高齢者健康診査でも同様の体力測定を実施することが決まりました。その結果は前述のとおりです。

 体力測定を行うことは、一部の方ではありますが行動変容のきっかけになったようです。自身の体力と向き合うきっかけとなり、後日受診した方から「散歩を始めた」、「近くのジムに通い始めた」、「バランスの練習してんだ」などの話を聞くことが出来ました。年齢に伴いなんとなく体力の低下を感じているひとは多いのですが客観的な結果を知る機会は限られています。健診の機会を利用して体力測定することは、近所の顔見知りや年齢平均の値と結果を比べることで、自分の体力を振り返る機会となります。子供の体力測定をおこなっているので大人も体力測定を実施してもおかしくありません。

 また体力測定では病気という程では無いが、これから病気に向かうリスクのある「未病」状態の方を見つけることが出来る可能性があります。これらの方々は病気としては捉えられませんので、病院の診察室で出会うことはありません。しかし何らかの介入を行うことで元気に老いを過ごしてもらえる可能性が高まるかもしれません。超高齢社会に突入した日本では、病は未病の状態で食い止め健やかな老いを過ごしてもらう援助が有効と考えています。

 健診での体力測定はその一つの方法になりうると思いますが、今回の経験から反省すべき点も有りました。まずは測定項目に再考の余地がありそうです。秒単位で測定する「バランス」「歩行能力」は結果のばらつきが大きい印象が有ります。次に、仮設住宅での成績が悪い原因として、身体を動かさなくなったことが一番の原因だと考えていますが、他の原因が有るかもしれません。そのほか、仮設住宅での体力測定ではリハビリ専門家による丁寧な個別指導が実施できましたが、特定健康診査、後期高齢者健康診査ではそこまでの対応は出来ませんでした。実現可能な方法を探って行く必要が有ります。また体力測定の効果も、今後取り組みが進む中で検証の必要が有ると思っています。

 最後になりましたが、今回の論文でとりあげた体力測定は、相馬市職員、福岡豊栄会病院の他、瀬戸健診クリニック、星槎グループ、相馬郡医師会、公立相馬総合病院、相馬中央病院、相馬市社会福祉協議会、東京大学医科学研究所の皆様をはじめ、多くの健診支援者の御協力のもと実施されました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

[1] Ishii T, Ochi S, Tsubokura M, et al. Physical performance deterioration in temporary housing residents after the Great East Japan Earthquake. Prev Med Rep. 2015 XXX



http://www.m3.com/news/iryoishin/373299
シリーズ: m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
美座椅子、腸内洗浄、ミドリムシ……. NP読者は医師より健康オタク◆Vol.9
健康法を実践する医師は41.6%

2015年11月15日 (日)配信 佐藤留美(NewsPicks編集部)

 m3.comとNewsPicks(以下、NP)共同特集の締めくくりは、m3.comのアンケート回答者である医師と会社勤めが79.8%を占めるNPのアンケート回答者が実践する「健康法」と、その違いについてリポートする。まず、両者に「実践している健康法はありますか」と聞いたところ、NP読者のうち、58.4%が「ある」と回答した。一方、医師では「ある」と答えた人は41.6%に留まった。連載7回目で紹介した通り、今回のアンケートに回答してくれた医師のうち7時間以上の睡眠を確保している人は25.8%にすぎない。過剰労働による睡眠不足で、自身の健康にかまっている余裕はないのかもしれない。
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 では、「健康法がある」と答えた医師の具体的な内容とは。その中身は意外なほどシンプルで、自由回答欄を見ると、食事法と運動、もしくはその両方を行っている場合が大半を占めた。食事法については、「夕食の炭水化物制限。野菜中心の食事」「糖質を適切な量に管理」「炭水化物をなるべく採らない」「ケトン食」など糖質制限の支持が高い。

 また、実践しているスポーツについては、ランニングと答えた医師が多勢派で、その他は「散歩」「スクワット」「筋トレ」など。食事法と運動以外の回答としては、「サプリメント」「ココナッツオイル、オメガ3油を積極的に摂取している」「マインドフルネス瞑想」などの回答が見受けられた。

ベジタブルファースト、泣く、喋る
 一方、NP読者の「健康法」は多種多様、それもユニークなものが目立った。例えば、「ストレス社会に入らない」「家族とのコミュニケーションによる心身のリフレッシュ」「関わる相手全てに敬意を持って接することが健康法です。情緒を安定させることができ、ひいては身体の健康にもつながると確信しています」など、人との接し方を変えることでメンタルを整える健康法を実践している人が見られた。

 また目立ったのが、複数の健康法を同時進行で実践する人の多さだ。「美座椅子、青汁」「1日2食、水を2リットル以上、スポーツ週3時間以上」「野菜ジュース、腸内洗浄」「Lアルギニンを飲む、糖質制限、ランニング」「ヨガ、キックボクシング」「運動、筋トレ、人参リンゴジュース、サプリメント」「月100キロのランニング&ミドリムシ」「溜め込まず吐き出す。体にある不要物を出すことが健康維持と考えています。泣く、喋る、排せつも含む」「昼休みを利用したランニング、抗酸化作用の高いキウイフルーツを毎朝摂取、免疫力を高めるヨーグルトを毎晩摂取」などの回答に、驚くほどの健康意識の高さがうかがえる。

 食事にしても、そのこだわりは「ベジタブルファースト」「牛乳を一切やめた、赤肉、乳製品を控える、自炊」「添加物や化学調味料を避ける」「塩分控えめ」「ココナツオイルをとる」など相当にマニアック。極め付きとして、「不食(1日のうち何も食べない。水分のみ。)。または1日1食。始めてから2カ月で体重7キロ減。血管年齢が実年齢よりマイナス9歳」というやや極端な回答も見受けられた。

 病気や健康のプロである医師が、適度な食事に有酸素運動中心のごくオーソドックスな健康法を実践するのに対し、健康に関する知識は元来門外漢であるはずのNP読者は、果敢に最新の健康法に挑む――。この対照的な結果が印象的だ。

ビジュアル作成:櫻田潤(NewsPicks編集部) ※健康法に関するm3.com会員、NewsPicks読者のコメントははこちら⇒



http://www.m3.com/news/iryoishin/373428
シリーズ: m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
医師の健康法「糖質制限」「ココナッツオイル」
m3.com×NewsPicks共同企画◆Vol.9 自由回答

2015年11月15日 (日)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 『m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」』の第9回「医師の健康法「糖質制限」「ココナッツオイル」で紹介した、仕事への悩みについての医師、NewsPicks読者の自由回答を紹介する。

Q 実践している健康法を教えてください。

■■NewsPicks読者
・瞑想。
・家族とのコミュニケーションによる心身のリフレッシュ。
・関わる相手全てに敬意を持って接することが健康法です。情緒を安定させることができ、ひいては身体の健康にもつながると確信しています。
・水を2リットル以上飲む。
・美座椅子、青汁。
・夕食炭水化物制限。
・黒酢を飲む。
・野菜ジュース、腸内洗浄。
・マッサージ。
・スクワット。
・ココナツオイルを採る。
・Lアルギニンを飲む、糖質制限、ランニング。
・添加物や化学調味料を避ける。
・運動、筋トレ、人参リンゴジュース。
・腹筋に力をいれた状態で過ごす。
・砂糖や牛乳は食べない、飲まない。
・牛乳を一切やめた。
・溜め込まず吐き出す。体にある不要物を出すことが健康維持と考えています。泣く、喋る、排せつも含む。
・昼休みを利用したランニング。
・抗酸化作用の高いキウイフルーツを毎朝摂取。
・免疫力を高めるヨーグルトを毎晩摂取。
・ビール酵母を愛用している。天然食材で栄養価が高いのが理由。
・武道の稽古。
・喉が痛い、あるいは痛くなりそうだな、と感じたら、それが感じられなくなるまで、朝・昼・晩と常にイソジンでうがい!これでもう何年も風邪をひいてない。イソジンと水道代だけで治る。病院に通うための時間や治療費、ドラッグストアで買う風邪薬代の節約になるし、ゴホゴホして周りに迷惑をかけることもない。何より、自分が快適ですよ。
・ベジタブルファースト。

■■医師(m3.com会員)
・ジムトレーニング。
・自転車に乗る。
・多少早めに歩くとか・・勤務中はエレベーター類を一切使用しないで怪談を使って移動しています。
・糖質制限食。
・水泳。
・バランスの良い食事と適度な気晴らし。
・体にいいものを食べる。魚を食べる。有機野菜を食べる。コーヒーを飲む。豆乳を飲む。無理しない。
・筋力トレーニング。
・なるべく階段を利用する。
・朝5時におきて、ジョギングして、仕事中は片足6ポンドの重りを付けています。
・ランニング、寝る前に布団の上での軽く体を動かすこと。
・週一回の加圧トレーニング。
・9時以降は飲食しないダイエット。
・玄米食。
・ケトン食。
・運動を定期的にして、運動量を測定管理している。
・プチ糖質制限。
・糖尿病の食事療法。
・コレステロールを下げる豆乳を飲んでいる。気休めですが。
・マインドフルネス瞑想。
・サプリメント。断食3日間。朝は水分のみ。
・ココナッツオイル、ω3油を積極的に摂取している。



https://www.m3.com/research/polls/result/23?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151115&dcf_doctor=true&mc.l=131254225
意識調査意識調査一覧
結果【医師会員からの質問】今の収入の満足度

カテゴリ: キャリア・働き方 回答期間: 2015年11月6日 (金)~12日 (木) 回答済み人数: 2000人

今回のテーマは、「収入と満足度」。m3.comの複数の医師会員から質問のテーマとして提案がありました。 11月4日に開催された中央社会保険医療協議会で医療経済実態調査の概要が公表され、2014年度改定前後を比較した病院や診療所の経営状況や常勤職員の年収などが明らかになりました。

一般病院では、病院長の平均年収は1900万~2900万円、医師の平均年収は約1400万~1500万円ほど。一方、診療所では、医療法人の院長は約2900万円、医師は約1200万円程度でした(『病院は1.4ポイント赤字増、診療所は黒字維持』)。

開業や起業などの選択肢もある医療従事者の方々は、ご自身の医療資格と業務の内容を鑑みて、収入や今後の勤務体系をどのように考えているのでしょうか。

収入増策、開業よりもアルバイト増

 今回のm3.com意識調査では、医療従事者の収入についてお伺いしました。収入満足度が比較的高かったのは、医師。開業医は「満足している」(46%)が「満足していない」(27%)を大きく上回りました。勤務医でも「満足している」(39%)が「満足していない」(37%)を上回っています。一方で、他の全ての職種で「満足していない」が「満足している」よりも割合が高い傾向にありました。特に看護師は、「満足していない」(59%)が「満足している」(12%)を凌駕しました。

 ご自身の周りで、「仕事の内容に比べて収入が多いと感じる職種」について尋ねましたが、実際に平均給与が高い「医師」を選ぶ人が多い傾向にありました。

 では、収入を増やすための方策として、どのようなことを検討しているのでしょうか。「アルバイト先を増やす」が人気だったのは、勤務医と歯科医師(いずれも40%)。「勤務先を変える」に票が集まったのは、看護師(47%)と薬剤師(40%)。収入満足度が高い上、勤務先の変更は困難で、アルバイトするのも容易ではない開業医は、必然的に「いずれも検討していない」(51%)の回答が圧倒的に多くなりました。「開業・起業」を考えているのは、歯科医師(30%)が多かったほか、勤務医(13%)、薬剤師(18%)、看護師(16%)という結果でした。

Q1 今の収入に満足していますか?(単一選択)
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

Q2 ご自身の周りで、仕事の内容に比べて収入が多いと感じる医療従事者の職種はどれですか。
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

選択肢の設定に不備がありました。2015年11月6日午後9時に「該当なし」の選択肢を追加しました。これまでに180人の方にご回答いただいております。ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

Q3 収入を増やすために、検討したいことがあれば教えてください。
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

Q4 Q3までのご自身の回答について、理由やご意見があれば教えてください(任意)

皆様の自由なご意見などをお伺いしました。一部をご紹介します。

【開業医】
・医師間でも診療科による、労働対収入の乖離が酷い。調剤薬局は、責任の割には法外な利益。看護師も人手不足を背景に、高賃金にすぎる。
・年齢的に収入増は望まない。
・仕事の内容や拘束される時間、ストレスなどを考えた場合、収入はそれには見合わないほど少ないが、贅沢さえしなければ生活はできるし、金のために働いているわけではない。
・65才の開業医ですが、身の丈以内で充実した医師生活を誇りを持って送りたいと思っています。自分の趣味(読書、旅行、音楽、スキー、ゴルフ、お酒など)もほどほどに楽しんでいきます。一生医師でいられることを、ありがたく思っており、患者さんにとって自分が役に立てると思われる間は、勉強会や学会などにも積極的に参加して自己研鑽を積んでいきます。その限りにおいては、現在の収入で十分だと思います。
・医師には患者さんに対し「応召の義務」が法的に規定されて居り、アルバイトとしてではなく職場での業務専念から職場を離れることは許されることを周知徹底する必要がある。他の医療施設で医療に従事せざるを得ない事情がある。
・一般サラリーマンに比べ金額的には確かに多いですが、仕事をしている時間ははるかーーーーーに多いです。好きでなければやっていけない。ちなみに私は医療法人の院長ですが、上記の実態調査の半分以下です。
・措置法第26条の範囲で小さく開業すれば、かなりお得です。
・開業するのが一番の収入アップの近道だと思うが、精神的ストレスや長期休暇が取りづらいことなどを考えると、美味しいとこ取りはないのかな、と納得するしかない。
・78歳です。6月から診療時間を9時から13時にしました。従来の1/2です。従業員の給与は70%にしましたが引き続き来てくれています。いつまで継続できるか疑問です。11月からは私の給与も70%にする予定です。
・インカムはおおむね満足だが、アウトカムが多大で出納バランスが取れていないのが問題。
・福利厚生、退職金、年金などを考えれば、さほど恵まれているとも思えない
・医療事情を知らない医事評論家、マスコミ、政治家、官僚達は勤務医の収入と開業医の収入を単に数字だけで比較して開業医は儲かっているといい加減な発言をしているが、開業医は大きな債務を負って、さらに患者に対する責任の重さ、従業員に対する責任の重さ、運営・経営等々雑多な全責任を勤務医と比べると、はるかに質的・量的に困難な業務を行っている。そういうリスクや重圧や困難度を考慮すればむしろ差が少なすぎると言える。 そしてほかの業種と比べれば困難度・責任の重さ等を鑑みれば収入は明らかに少ない。
・家庭のこととパートをある程度両立できているので、収入としてはこんなものかと満足しています。ただキャリアアップやスキルの持続の面では不安な要素はあります。
・勤務医でも業績上げれば収入も増えるし、バイトも効率良く働けば結構な収入になる。自分を必要とされている職場をさがせば良い。贅沢言うから収入に結び付かない。どんな仕事でも同じと思うが。ちなみに給料バイト合わせて4K超え、他に事業者所得もあるけど・・・

【勤務医】
・歩合制の要素を含んだ報酬体系に加えて、患者や職員からの評価を取り入れた給与になれば、努力が収入に結び付く割合が高くなると思います。
・医療従事者の収入は、自分の仕事内容を周囲が観て、それに対し評価、つまり収入は いつの間にか後からついてくるものという考え方が良いと思うし、そう考えるのが正しいという 医療の世界であってほしい。
・一時は開業を考えましたが、国の政策がどう変わるかで先行き不透明であり、諦めました。
・若い頃は収入より経験重視で医師の仕事をしていたが、子供もでき、次第に大きくなると収入もある程度必要になり、仕事の割に給料が安い病院は就職の域からは除外するようになりました。ただし、仕事の内容も医師のプライドを捨ててまで高収入に拘ることはない。
・世間では開業医と勤務医の収入格差が取りざたされているが、開業医は医師としての業務以外に経営者としての業務、責任があり、比較すること自体がナンセンスだと思う。
・私自身は家族(小学生2名)のことも考慮して、勤務内容、勤務時間、院外での拘束と年収とのバランスを重視しました。9-17時、残業なし、オンコールなし、当直なし、週4.5日勤務で2000万円です。転職前はもう少し高給でした。
・65歳以上となり悠々自適ではないが、不自由なく生活し満足している。
・勤務医ですが、自分の病院で昇進しようが当直増やそうが大して給料増えないことが分かっているから。
・医局人事で派遣された医者とフリーで採用された医者とで給料に違いがあり、不公平感満載。
・定時出勤定時退勤、呼び出しもない科の医師と、定時などないに等しく土日も出勤、呼び出しも頻繁、リスクの高い手術をこなす我々外科(系)医師の収入に大差ないのは納得できない。
・所得税減税や扶養者控除(特に児童・生徒を持つ世帯)が絶対に必要だと思う(そう思いませんか?)
・公務員の副業禁止規則をなくしてほしい。アルバイトができる機会すらない。
・勤務医の場合、やればやるほど損をする。
・公務員で、バイト禁止であるが、専門外来を土曜日などに実施したい。
・開業医と比べ経費なども使えず、著しく勤務医の給料が安い。そのために勤務医は足りず開業医のみ過剰になっているのでは、と思います。
・忙しさに対する適切な報酬とは考えられないことが多いので、収入を増やすより勤務緩和をしてほしいと考えます。
・当直や救急などの時間外、予定外の労働が少なく、完全予約で仕事量をコントロールできる歯科医師は労働のコスパが高いと感じる。
・国公立から民間病院に来ると、QOLの高さは開業医に近くなります。
・一般に60歳を超えると勤務医の契約年報は低下する傾向ですね。一方、生活水準は給与の高い時のままのことが多いようです。相対的に暮らしにくくなったと考えがちです。現行の年金水準では老後悠々などとはほど遠く、それこそ死ぬまで働かねばならいようです。さてどうなることやら。
・医師の名ばかり管理職問題を解決してほしい。
・医師で内科認定医および学会指導医および難病指定医ですが、現在の大学ではそれを生かす場が限られています。公務員給与がむしろ下がる傾向の昨今に不安を感じています。元気なうちにと思っている次第です。
・違う職場で同じ業務をしても金額の評価が違うことに、医者という職業の矛盾を感じる。
・薬剤師は、業務内容(重要度)を私が正確に理解していないのかも知れないが、基本定時の仕事で6年間も大学に在学してくる割には単純作業だと思う。
・医者は医者である限り、給料は頭打ち。
・勤務医のため、必要経費など、税金対策がよく分からない。
・診療報酬が、適切に配分されていない現状を全国民に知らせることが必要。
・既に67歳、定年を迎えた友人もいます。私はまだ現役です。お金はあって困るものではないけど、子供達も巣立ってしまい、それほど大金を必要とする訳でもない。そうなると、あまりお金に関心が向かなくなってしまいますね。
・学会維持費の増額や税金の増額で収入減であり、学会出張が困難になりつつある。これ以上の業務を増やすと学会準備や情報集取の時間や体の維持管理の時間がなくなる。
・勤務医の常勤収入にはある程度限界があり、業務量や昇格による昇給は微々たるもの。アルバイトは直接的収入増加、能力があるなら転職による増収が現実的。
・日本の現状をみると今の収入でしょうがないとは思うが、退職金が年々少なくなるのは不安である。特に自分は婦人科医なので再就職は女性医師に比べて不利である。他の職種について言えば、常勤の事務職は恵まれていると思う(非常勤の人達は大変ですが)。
・大学病院勤務は研究目的ですので、楽しい面もございますが、遠方にバイトに行かないと生活が厳しいと伺っております。現在は研修中でバイトができないので。
・放射線技師の給料が看護師よりいいのは納得できないところ。
・診療報酬改定により手術点数は上昇傾向にあるが、それが給料には全く反映されていないのは不満です。
・医師は一見、収入が多いように見えるが、経営上のリスクなどがあり、そのための予備費としての取り分は必要である。このようなサイトでも、金額だけが目立つような記事を載せないでほしい。他の業種は薬剤師にしても看護師にしても、最終責任を医師に任せている点では、給料が安くても仕方がない。患者の診療結果に対して最終責任を取るつもりで医療に従事するか否かで、給料が決まると言うことであれば,医師の給料は、やはり高くないと、不公平である。知的労働としての評価が必要である。
(一部省略)勉強している方が収入にならない経験がある。慢性の咳の患者が他院で2週間入院して気管支鏡の検査をして結果的に結論が出なくて退院した。その患者、仕方なく当院を受診した。初診の時に服薬している薬を聞いたところ、血圧の薬による慢性の咳と分ったので、その薬をやめるように言った上で代替えの血圧の薬を処方した。次の診察時には咳は出ていなくて感謝された。2回の受診と1枚の処方せんで治った場合と2週間の入院と気管支鏡では、どちらが医療費をたくさん請求したか想像してほしい。税金も無駄になったと思う。自分はプライドで仕事をしているから良い仕事をすることで満足だが、同時に公平である事も重要視しているので、ぜひ公平になるような診療報酬のあり方を検討してほしい。
・公的病院の看護助手の正規職員の給与が、看護師の給与より高額なのはおかしい気がする。年功序列制度の見直しが必要に思う。
・この年になってもう現役で働く必要はないのですが、設備の悪い施設なので若い医者がやって来ないので仕方なく働いているといったところです。医療事故を恐れてリスクを回避したいのです。若い医師は。

【看護師】
・田舎と都会の賃金差が大きすぎる。愛媛県の南予の看護師は安すぎです。求人を見ても軒並み15万~16万円くらい。手取りだと10万円くらい。家賃は都会並みで平均6万円くらい。ライバル店が少ないので物価は高い。インフラ整備が遅れているので自家用車は必要。共稼ぎは当たり前。そのくせ医師の賃金は全国で12位とのこと。報酬の点数は全国一律のはず。まるで都会暮らしを推進しているような感覚です。
・時間外手当が全てきちんと支給されるなら、それなりの額になるので経営側の体制や残業を申請しにくい雰囲気が問題。

【薬剤師】
・今の職場は昇級しても手当がかなり少ないようなので、どうせなら早いうちに職場を変えるのも手だと思う
・組織内のイチ薬剤師は昇進しても給料があまり上がらない。また昇進すると臨床現場から離れ、管理職になることが多く、業務自体に魅力がなくなるため昇進自体に魅力がない。
・仕事内容はともかく、大学の授業料が高いのに薬剤師の給料はあまりにも安すぎると思います。若いときはそこそこ良い給料が貰えますが、年をとっても殆ど昇給しません。普通の会社員なら50代で、年収は800万〜1000万くらいになりますが、薬剤師で800万ある人はほとんどいないでしょう。このままだと、薬学部に進学する学生はいなくなると思います。実際、自分も子供達は薬学部へは進学させませんでした。
・医師で固められている当院の理事会はコメディカルスタッフの能力を正しく評価してくれず、辞職願を出して初めて所得アップを提示してきます。結局、能力のあるスタッフは転職し、能力のないスタッフのみ残ります。分かってはいますが、管理職となった今、現場を見捨てて去るわけにもいきませんし、これまで培った職場内外の人脈をリセットして転職するのも勇気が要ります。
・地方の薬剤師は基本的に給料が高いです。個人の経験が浅かったり技術量が低くても高いことがあります。
・診療報酬等の引き下げが顕著になる中、これまでの収入を維持するにはもっと多くの業務量をこなす必要が出てくる予感がしている。現状でも多くの業務目標がある中でこれ以上、働く必要が出てくるのであれば、思い切って異業種へ転職するのもいいかもしれないと感じている。
・仕事の割にはもらっていると思う。(調剤)
・どの職種であってもしっかり仕事をされている人であれば、それなりの対価があってよいと思います。次期診療報酬改定はモチベーションの維持ができるものであってほしい。
・サラリーに不満があるなら、手持ちの資産を運用すればずいぶん解消するのでは?
・責任のある職に就かないと充実した条件にはならないと思います。
・薬剤師としての資格だけでは給与的には頭打ちになってしまい、卒後10年もすれば薬剤師能としてはさほど変わらないと思う。それ以外のマネージメント力や他資格とかを有しないとワーキングプアになりかねない。
・調剤薬局の専務取締役で妻が社長をしています。近くの公立病院が院外処方にする時に、私は薬局が宣伝をすることには賛成できないので、広告もしませんでした。地区薬剤師会の一部会員が、共同で門前薬局を作りましたが、私は宣伝しなかったので、隣の眼科の患者でも、市民病院はそちらに行っている患者が多い状態です。病院からの距離はほとんど同じですが、初めに市民病院の処方も受け付けることをPRしておくべきだったと思いました。
・公務員の薬剤師は医2(栄養士、臨床検査技師等)で一括で給与表が決定される。これは民間の給与を反映しているとは言えないと思う。
・調剤薬局は医療関係ではあるが、病院のような医療法人とは異なり株式会社。利益を出さないといけないため、人件費にそこまでかけられない。
・Q2は便宜上付けましたが、同業でも任されていることは異なるのに給与体系は年功序列であるため、不公平感はあります。学会における学術奨励金のような「基本給+α」の制度があれば、熱心な方は頑張るのではないでしょうか。
・103万円の壁で仕事量を減らさざるを得ず、家庭との両立に悩むここ数年。フランスのように短時間勤務の常勤など福利厚生が保てる所があっても良いのにと、来年は壁が下がる可能性もあり超える予定にしています。
・薬剤師は、保険薬局と病院で収入差が大きすぎる。
・病院の収入は減少傾向にある。将来の収益増に繋がる業務を開拓し種を蒔いていきたい。 ・リウマチ科のある病院の薬局長なら転職を考える。

【その他の医療従事者】
・一般病院勤務ですが、収入はそれほど上がらないのでバイト先を増やすことで一定の収入を保っています。
・田舎の公的病院の労働環境が悪すぎる。組合がないためか、人が少ない職種の新採用だけ基本給を上げており、今までいた人との補正や他の職種と不均衡が、起こっている。また、公務員にもかかわらず、基本給を下げたりとブラック企業のようなことをしている。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03150_03
クロストーク 日英地域医療
■第12回(最終回) 地域の健康を支えるために

川越正平(あおぞら診療所院長・理事長/松戸市医師会在宅ケア担当理事)
澤 憲明(英国・スチュアートロード診療所General Practitioner)
企画協力:国際医療福祉大学大学院教授 堀田聰子
週刊医学界新聞   第3150号 2015年11月16日

日本在宅医と英国家庭医──異なる国,異なるかたちで地域の医療に身を投じる2人。現場視点で互いの国の医療を見つめ直し,“地域に根差す医療の在り方”を,対話[クロストーク]で浮き彫りにしていきます。

 本連載では,地域で活躍する医療者の視点から,日英の医療現場の違い,そして互いの国の強みと課題(表)を考えてきた。最終回となった今回,川越氏,澤氏,さらに企画協力の堀田氏にまとめとなる寄稿をいただいた。

表 英国GPの8つの役割
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澤氏は,英国GPの役割を上記の8つと提示。本連載でもこれらを軸にして対話を進めてきた。

日本と共通の課題に取り組む,英国の実践

澤 憲明


 連載を通して日本の地域医療の課題を伺いましたが,英国も似た状況と言えます。例えば,「社会の高齢化に伴う多疾病患者」への対応です。現在,英国でも日本同様,複数の慢性疾患や複雑な健康問題を抱える集団にも対応できるシステム作りとその強化が急務となっています。まさに日本と共通の課題にチャレンジしているわけです。

共通課題に英国はどう挑んでいるか

 そうした課題を前に,英国では「医師単独」体制から「チーム」体制への転換が図られています。各専門職の専門性が強化され,役割は拡大しており,GPに期待されるものも従来的な「臨床医」としての狭義の役割から,それぞれの地域に合った小規模チームの舵取り・後方支援や,運営に責任を持つ“コミュニティーコンサルタント”としての役割へと変わってきています。私の地域でも,家庭医の専門性が求められていない問題に対しては,他職種が対応するという流れが生まれています。例えば,在宅医療の場における軽度な医療的問題であれば,十分な訓練を受けた看護師によって対応がなされるということが始められています。また,シンプルな薬剤処方,用量調整を必要とする患者に対し,家庭医を通さずに臨床的な訓練を受けた薬剤師(Clinical pharmacist)を受診してもらうという試みも検討されています。

 こうした流れを支えているのが,ツールの充実によるGPと各専門職との連携強化と言えます。例えば,訪問看護師によるSkypeなどのビデオコール(テレビ電話)を使った連携もその一つでしょう。訪問看護師は,出先の患者宅で何かGPに確認すべきことがあれば,ビデオコールを用いて,診療所にいるGPに連絡を取る。GPはモニター越しに患者の様子を見て,必要に応じて検査のオーダーや治療方針を決定する,という取り組みも試験的に導入されています。また,地域の専門職らの間で電子カルテによる情報共有も進みました。私の地域ではGP,診療所看護師,助産師,保健師,訪問看護師,訪問理学療法士,訪問作業療法士,「社会的処方(Social prescribing)」の専門家(第7回/第3129号参照)などの職種だけでなく,最近ではホスピスともつながるようになっています。医療・ケアにかかわる関係者が同じ情報を共有しながら,地域住民の幅広い問題に対応できる仕組みが整ってきているのです。

 さらに,ヘルスケアとソーシャルケアの統合も現在,重要な課題として議論され始めています。これは地域住民の広義の意味での「健康」を支えていくためには欠かせないことでしょう。私の地域では,介護施設,GP,病院,地方自治体,救急車サービス,ソーシャルケア,住宅行政,Age UK(第7回/第3129号参照),地域の支援団体などが一つとなり,幅広い健康の決定要因に対応できるように「Connecting Care」と呼ばれるパイロット事業を始めたところです。児童虐待のようなSafeguarding(安全保護)に関する情報も電子カルテを介して共有されるようになりました。地域住民にどのようなメリットをもたらすことができるのか,今後が期待されています。

個の実践に優れた日本に学ぶこと

 なお,来日した際にはいくつかの医療機関を見学しました。数は限られていますが,在宅医療の施設(中心となる実践者)として,下記3施設が印象に残っています。いずれも,英国の在宅医療の現場で参考になる実践が行われていました。

①ものがたり診療所(佐藤伸彦氏)
②桜新町アーバンクリニック(遠矢純一郎氏)
③あおぞら診療所(川越氏)

 ①で注目したのは,患者固有の「人生の物語」に寄り添う姿勢です。一つの例としては,患者・家族・スタッフとのフォトブックのようなものをカルテ内に取り込むことで,患者の自伝的な記憶・記録を大切にされていました。まるで,ろうそくの火を両手で囲うようにして,患者の人としての尊厳を,医療の“高度細分化”“商業化”の力から守っているように感じられるものでした。②では,ITの積極的な活用を通し,業務の効率化が図られています。例えば,往診医は往診車内でボイスレコーダーに診療記録を吹き込み,音声データを在宅勤務する看護師(休職中の潜在看護師を活用)に送る。その看護師が音声データを文字に起こし,医師が確認した上で,事務方スタッフが電子カルテに転記する,という役割分担が行われています。さらに③では,ジェネラリストとスペシャリストが,ひとつ屋根の下でグループ診療を提供しています。特定の臨床領域において,二次医療レベル以上の専門性を持つ医師たちが親密に協働しておられました。日本の現場の一部を垣間見ただけですが,英国と同様の課題を持つ日本では,全国各地で“現場発”の先進的な取り組みが実践されているのだと実感できた貴重な経験でした。

 健康を完全に良好な状態とする世界保健機関(WHO)の定義は,医学では治らない疾患が増えている現代社会ではもはや適切ではない――。そう感じるのは私だけではないと思います。さまざまな問題を抱えた人々が,それらとともに自分らしく生きていくのを助けるため,健康概念そのものの再定義,そしてシステムの再構築が求められています。そうしたチャレンジングな新しい時代を,日本と英国は一緒に迎えているのではないでしょうか。


英国GPから読み解く,かかりつけ医がめざすべき道

川越 正平


 英国のGPは,患者をトータルにサポートする「主治医」として,継続的な意思決定の支援や「過度の医療化」から患者を守ることも自らの役割だと明瞭に認識しています。病院の医師が治療方針の決定に苦慮する場合には,「GPに意見を求めてくる」というエピソードがその存在意義を象徴しています。その一方でGPは,「子どもがジャンクフードばかり食べている」「一人暮らしが寂しくて仕方がない」というような住民の相談事にも関心を示し,必要に応じてソーシャル・キャピタルを紹介するというような「社会的処方」をも担っていると伺いました。

 翻って,わが国ではどうでしょうか。症状が現れて,患者自身が受診を思い立ち,クリニックを訪れて初めて,医師は患者と出会うこともしばしばです。ややもすると訴えられた症状だけに対応したり,継続的に管理している疾病に対して医学的に対処することに終始している場面もあることでしょう。しかし,英国GPが提供する全人的アプローチを,日本の開業医が提供できないわけでは決してありません。個人レベルで見れば,日本にも優れた実践者,かかりつけ医は多く存在します。

 人口構造の急速な変化が進行しつつあるわが国においては,「地域完結型医療」への転換が急がれています。かかりつけ医がその中心的な役割を担うためには,専門外の領域も含め対象者の健康問題を丸ごと引き受け,予防や健康増進にもかかわる。そして患者だけでなく,その家族や家庭背景,地域社会との関係性にも関心を払うなど,臨床に臨む姿勢を地域包括ケアの文脈で再整理していく必要があります。

 「ただでさえ忙しいのに,もっと役割を果たせとはめまいがしそうだ」という声もあるかもしれません。ここで本連載を通して学び得た,英国の診療所像や各職種との役割分担が大いに参考になりそうです。つまり,①診療スタイルや医療機関の形をニーズに応じて柔軟に見直すこと,②多職種間の役割分担や協働を先例にとらわれることなく進めていくこと,③地域における診診,診看,病診など連携体制の構築,が鍵になるのではないでしょうか。考え方の基本線として,医師の負担を減らしより専門性を要する役割に集中させる,多職種が総力を挙げて「チーム」としてさまざまな命題に対応するという方向で策を講じる,地区医師会などを基盤として医師職能団体が力を合わせて地域で役割を果たしていく,ということになるのだと思います。

 これまでの対話を通し,多くの示唆をいただいた澤先生に感謝いたします。

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 お二人の語りは,あらためて私たちの暮らしを持続可能な形で支える医療・医療者,患者の在り方,それを支える仕組みや基盤となる哲学について,さまざまなヒントを投げ掛けるものでした。関係者全てが「持てる力を最大限出し切る」ことが,必ずしも患者のベストインタレスト(最善の利益)につながるわけではありません。患者を中心とする「目標共同体」としての信頼に基づく多主体多職種チームと,専門職の「人間的な」働き方,たゆまぬ対話に基づいた協働を促すガイドラインや制度など,イノベーションをさらに加速させたいものです。
堀田聰子

(了)



http://wired.jp/2015/11/15/illegally-share-papers/
秘密のことばで論文を違法に「シェア」する若手研究者たち
ある研究者が、科学論文をこっそり交換することを同僚たちに奨励するハッシュタグをTwitterにつくった。合法的にダウンロードするにはお金がかかりすぎるのだ。
TEXT BY SANDRO LANNACCONE
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED NEWS (ITALIA)
2015.11.15 SUN  WIRED.jp

音楽や映画、ソフトウェアやゲームに続いて、オンラインでの著作権侵害は科学の分野にもやって来ている。

BBCが報じているように、世界中のより多くの科学者たちが、論文の違法ダウンロードの力を借りるようになっている。専門誌があまりにも高額になりすぎて、大学や研究機関では購読できないからだ。

記事では、アンドレア・クシェウスキがこの現象を解説してくれている。彼女は認知科学の分野の科学者でありながら、科学ジャーナリストでもあり、Twitterのハッシュタグ#IcanhazPDFを立ち上げた人物だ。IcanhazPDF[訳注:「PDFもらえますか?」という意味]は、ネットでよく知られている英語の言葉遊びを改変したものである。

「必要としている論文のリンクに、このハッシュタグと自分のメールアドレスを付けてツイートします。待っていると、誰かが返信するでしょう。それは、例えば、所属する大学が専門誌を購読しているので、論文にアクセスできる科学者たちからかもしれません」とクシェウスキは説明する。

一度コンタクトが取れると、会話は非公開になる。論文のファイルはメール経由で送られ、元のツイートは削除される。交換の痕跡は何も残らない。もちろん、このシステムは著作権を侵害している。一方で、科学者のなかでもとくに、経済的に貧しい発展途上国の大学の科学者たちが最新情報を入手して、自分の研究を続けるためには不可欠だという研究者もいる。

出版社たちは当然のことながら、このシステムに不満がある。

BBCは、例えば英国の医学誌『ランセット』を出版しているオランダの出版グループ、エルゼヴィアが、Sci-Hubというサーヴィスを提訴したと報じている。これは、カザフスタンの科学者アレクサンドラ・エルバキアンのつくった論文交換サイトだ。

クシャウスキーは自分が正しい側にいると確信していいて、論文の交換が窃盗だとは思わないと語る。

「窃盗は、あなたが物を盗んで誰かから所有権を奪うときに起こるものです。著作権の侵害の場合は、あなたは誰からも何も盗みません。多くの科学者は、こうした論文にアクセスしなければ、研究ができません。その理由は、購読に費用がかかりすぎるからなのです」


  1. 2015/11/16(月) 06:13:44|
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11月14日 

http://mainichi.jp/edu/news/20151114ddlk12100366000c.html
成田市:大学医学部設置 内閣府と文科省、市に認める告示 /千葉
毎日新聞 2015年11月14日 地方版

 内閣府と文部科学省は12日、国家戦略特区として成田市に大学医学部を設置することを認めると告示した。医師余りを防ぐため医学部設置は基本的に認めてこなかったが、国際的な医療人材の育成のため、特例的に認める。

 国の東京圏国家戦略特区会議成田市分科会は7月末、市内に大学医学部の新設を認める方針を出しており、今回の告示で法的に裏付けられた。19日までの日程で設置事業者の公募も始められ、特区構想を市と共同提案した国際医療福祉大が応募する方針だ。小泉一成市長は「2017年度開学に間に合うよう気を引き締めて取り組む。世界最高水準の医学教育を行う医学部を整備したい」とコメントした。【渡辺暢】



http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2015/11/14/20151114m_04.html
JCHO登別病院が温泉街から撤退の方向、市内移転視野に
【2015年11月14日(土)朝刊】室蘭民報

 独立行政法人地域医療機能推進機構登別病院(JCHO登別病院、登別温泉町)が、早ければ2016年度(平成28年度)にも温泉街での病院運営を廃止する方向で検討していることが13日、分かった。年間3億円超の赤字が背景にあり、市内移転と規模縮小による事業継続の可能性を探る見込みだ。

 機構本部担当者が9日来道し、道、登別市、室蘭市医師会、同病院関係者に「現在地での運営継続は難しい。16年もしくは17年度を目途に温泉街での運営を廃止、移転を視野に規模や機能の縮小を協議したい」と伝えた。

 機構によると、経営難が要因。機構は14年度から病院運営を引き継いだが、病床稼働が6割程度で、経営赤字が常態化。温泉街の立地が、医師確保難にも影響。築50年を経過した施設への対応も課題という。

 上京中の小笠原春一市長は12日、機構の尾身茂理事長に「協議継続」を要望。週明けにも庁内で対応を調整する。登別観光協会の大野薫事務局長は「外国人や修学旅行誘客には医療機関の立地が重要で、影響は大きい」と危惧する。

 機構企画課は「アクセスの悪さなど将来を見据えた経営改善が必要。早く手を打たないといけない」と強調。運営方針として財政の自立経営を目指しており「赤字では厚生労働省評価に影響を与える」と話した。

 同病院は旧登別厚生年金病院時代にも廃止が検討され、官民挙げて存続運動を展開した経過がある。病院ホームページによると、14年4月現在の職員数は248人、7診療科、242床。
 (鞠子理人、粟田純樹)



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93963780T11C15A1000000/
遠隔で「診断・処方・薬配送」までを提供するサービス
2015/11/14 6:00  日本経済新聞・日経デジタルヘルス

 メディア事業などを手掛けるポート(東京都)は2015年11月13日、遠隔診療プラットフォームサービス「ポートメディカル(PORTメディカル)」の提供を開始した。スマートフォン(スマホ)などを使い、遠隔で診断、処方、医薬品の配送までをワンストップで提供する国内初のサービスという。一部については保険適用を想定している。

 ユーザーは病院に行かなくても、スマホなどを介した遠隔での診察と医薬品の処方、受け取りが可能。ユーザーからの診察依頼に対し、サービス提携先の医療機関の医師が応える。まずは高血圧症や高尿酸血症、高脂血症など約10種類のカテゴリーでサービスを提供する。料金は「高血圧診療パック」の場合、診察料・サービス料が1000円、医薬品料・配送料が1610円から。

 サービスの流れは(1)診療サービス内容の選択、(2)担当医師からの問診、(3)相談・診療、(4)決済・薬の配送。処方箋を発行して決済が完了すると薬が配送され、数日で利用者の手元に届く。

 訴求するメリットは大きく3つある。待ち時間なく診療を受けられること、対面では言いにくい相談もしやすいこと、LINEやFacebook、メールなど自身が利用しているツールで診療が受けられること、である。

 今後はさらに多くのカテゴリーへサービスを拡大する予定。必ずしも病院に行かなくても「世界中どこからでも適切な診療を受けられるサービスを目指す」(ポート)。メディア事業などで培った集客ノウハウを生かし、2016年3月までに10万人の利用者獲得を狙う。

■「厚労省通達」が背中押す

 開発のきっかけは、厚生労働省が2015年8月10日に出した、遠隔診療の解釈に関する通達。患者側の要請に基づき患者側の利点を十分に勘案した上で直接の対面診療と組み合わせて行われるときは、遠隔診療でも差し支えなく、「直接の対面診療を行った上で遠隔診療を行わなければならないものではないことが改めて確認された」(ポート)。このような流れを受けて今回のサービスを開始するという。

 医師同士が患者の眼や皮膚の写真画像を共有し、可能性のある症状を特定するといった形での遠隔診療は既に実施されている。こうした実績を踏まえ、医師と患者を直接つなぐ遠隔診療の安全性や信ぴょう性についても、専門医の協力のもとで担保していく考え。ただし「すべての症状について遠隔診療で行うことは難しい」(同社)ため、医師が診療において診断名を特定できない場合などは、直接の対面診療を推奨するとしている。

(日経デジタルヘルス 大下淳一)

[日経テクノロジーオンライン 2015年11月13日掲載]



http://www.miyakomainichi.com/2015/11/82593/
病床数、半減の415床提示/医療構想検討会議
2025年宮古地区 在宅医療の整備必要

2015年11月14日(土) 9:03 宮古毎日新聞

 県による地域医療構想策定に向け地域から意見を聞く2015年度宮古地区医療構想検討会議の第2回が12日、宮古福祉保健所で開かれた。参加者たちは圏域の将来の病床数や患者の流入出などについて意見を交わした。事務局は2025年の宮古地区の病床数について現在の804床から415床までに削減するなどの県の構想を説明。参加者からは実現可能か疑問を呈す意見も挙がった。

 地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、地域の医療需要の将来推計や報告された情報などを活用し、その地域にふさわしいバランスの取れた医療機能の分化と連携を適切に推進するために各都道府県で策定作業が行われている。県では今年度中の策定を目指し、県と県内各圏域に検討会議を設置し審議を進めている。

 2025年の病床数については第1回会議では、在宅医療を充実させ、入院医療と介護が連携した医療体制を確立することで、宮古地区では現在の804床から417床を削減し387床にするとの県の構想が示された。その後、県の検討会議で見直しが行われ、389床を削減し415床とする修正案が今会議で事務局から示された。

 会議に参加している医療関係者らからは「いきなりここまで削減しろと言われても厳しい」や「病床が半減すると市民は不安を感じる」、「現実的に在宅での受け入れは可能になるのか」、「現状にあった構想にすべき」など大幅減の提示に不安や疑問を呈す意見が挙がった。宮古福祉保健所の山川宗貞所長は、国としては病床を減らし、在宅を増やす方向性であるとしながらも、在宅での受け入れ態勢が整備できなければ病床を減少させることは難しいとの考えを示した。

 患者の流入出については、病気の種類や患者の都合などにより一部、宮古地区から流出する患者がいる現状を事務局が説明。課題として緩和ケアの整備や回復期機能を担う病床の充実などを挙げた。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0032562.html
社説  療養費詐取 審査の厳格化が必要だ
11/14 08:50 北海道新聞

 接骨院で施術したように装い、柔道整復師の診療報酬に当たる療養費を不正受給したとして、暴力団組長ら16人が警視庁に詐欺容疑で逮捕された。

 同様の手口で、医院や歯科医院を使って診療報酬を詐取した疑いもあり、追及を受けている。

 警視庁は、「患者」役の協力者は数百人に上り、首都圏の自治体などから1億円以上の療養費と診療報酬を得て、それが暴力団の資金になったとみている。

 療養費や診療報酬の不正受給では、過去に例がない大規模な詐取事件になりそうだ。

 深刻なのは、公的医療保険の中でも国民健康保険(国保)が狙い撃ちされたことだ。

 厳しい家計から保険料を納めている人も少なくない。制度の信頼にかかわる問題と受け止める必要がある。

 なぜつけ込まれたのか。国と地方自治体などは徹底的に原因を解明し、早急に不正を根絶する手だてを講じなければならない。

 療養費は、接骨院などが患者に代わり、医療保険の保険者に請求する受領委任が認められている。

 事件の主舞台となった東京の接骨院では、2011年6月の開業直後からほぼ2年間、療養費の申請書類に協力者の名前を使い、架空請求を重ねたという。

 患者の負傷部位を適宜変えて施術したと見せかける「部位転がし」が使われた。同じ部位だと不正が疑われやすいためだ。

 被害を受けた9割近くは、国保とみられている。サラリーマンが加入する健康保険に比べ、審査が甘いと言われる国保の弱点を悪用したと言えよう。

 日本の医療費は今や年間40兆円を超え、財政上の課題に挙げられている。

 そんなさなかに発覚した医療費の詐取である。保険料や税金が暴力団の資金源として流れてしまうことなど、あってはならない。

 今回の事件には、多くの「協力者」が、報酬目的に患者役として関与したことが分かっている。安易な気持ちで関わった協力者にも反省が求められる。

 療養費は、接骨院や整骨院の過当競争を背景に架空・水増し請求が目立つとも指摘されている。

 個人経営が多く部外者が関わりにくいことで、不正を招きやすくなっていないか。受領委任のあり方とともに検討が必要だろう。

 不正を防ぐには、審査の厳格化が不可欠だ。関係機関は連携して監視を強めなければならない。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1114/mai_151114_1831004631.html
<レセプト債>監視委、販売窓口の証券7社検査を本格化
毎日新聞11月14日(土)11時55分

 医療機関の診療報酬請求権を買い取り、「レセプト債」と呼ばれる債券を発行していたファンドが破綻した問題で、証券取引等監視委員会は販売窓口となった証券会社7社への検査を本格化させる。各社は「破綻していたとは知らなかった」と説明しているが、監視委は債券の安全性や運用状況を十分に確認した上で販売していたか調べる方針。問題点が認められれば、金融庁に行政処分を勧告することも検討する。

 破綻したのは資産運用会社のオプティファクター(東京都品川区)と関連ファンド3社。債券発行残高は計約227億円で、多数の投資家が償還を受けられない可能性がある。

 関係者によると、問題のレセプト債は約10年前から販売されていた。ファンドが医療機関から診療報酬請求権を実際の報酬より安く買い取り、債券を発行して買い取り資金を調達、債券を購入した投資家に利ざやから年3%の利子を支払う仕組みだった。医療機関には健康保険組合側からの支払いを待たずに資金を回収できるメリットがあるとされる。

 「ご飯がのどを通りません」。破綻発覚後、投資家への説明と謝罪に追われる証券会社の幹部は苦悩をにじませた。債券の償還をどれだけ受けられるか不明だが、ほぼ毎日店頭に抗議に訪れる顧客もいるという。

 レセプト債を販売していた7社はアーツ証券(東京都中央区)、共和証券(同)、上光証券(札幌市)、田原証券(愛知県田原市)、竹松証券(金沢市)、六和証券(京都市)、おきなわ証券(那覇市)。取材に応じた6社は、オ社やファンドの財務状況の悪化を「知らなかった」とし、破綻直前まで投資家に「金利や償還金の未払いは一度もない」と説明していたという。

 ただ、監視委内には「そもそもレセプト債が商品として成立していたのかが疑問だ」との見方もある。国民皆保険制度が確立している日本では、診療報酬は原則約2カ月後にほぼ確実に支払われるため、「ファンドが利ざやを十分に確保できるほど診療報酬請求権を安く売る医療機関がどれだけあるのか」という指摘だ。

 オ社は破綻後に「決算書に実態不明な資産や売り上げが多額に計上されていた」と説明している。投資家から集めた資金が適切に運用されていなかった可能性があり、監視委は運用の実態解明を進める一方、証券会社7社の管理体制も調べる方針。既に3社を検査中で、残る4社も近く着手する。【一條優太】


  1. 2015/11/15(日) 05:58:22|
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