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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月25日 

http://www.nnn.co.jp/news/150725/20150725003.html
「皆さんと地域医療を」 健康講座通し理解促進
2015年7月25日 日本海新聞

 公立浜坂病院(兵庫県新温泉町二日市)による健康講座が24日、同町の居組地区公民館で開かれた。健康維持のこつを解説したほか、同病院の現状や診療体制充実への取り組みを紹介。魅力ある病院づくりに向け、住民の理解と協力を求めた。

運動機能を維持する方法を紹介する宮階さん(左)の講話。病院と住民の距離を縮める試みが始まった=24日、新温泉町の居組地区公民館
 医師不足解消と並行し、同病院への関心を呼び戻そうと企画。県の養成医で内科の八幡晋輔医師(32)と医療スタッフが各地へ出向く。初回のこの日は約30人が耳を傾けた。

 八幡医師は「今こそ地域医療! 医師不足を考える」と題し、各地で医師不足が起きている原因を解説。研修制度の変化や、専門分野の細分化が主な原因と指摘した。一方、招致した医師を地域で支え育てる環境が必要と強調。「きょうは地域と病院の連携の第一歩。病院だけでなく、皆さんと地域医療をつくりたい」と協力を呼び掛けた。

 理学療法士の宮階大輔さん(32)は、加齢とともに筋肉や関節などが衰え、日常生活に困難をきたす「ロコモティブシンドローム」の対策を紹介。テーブルや椅子を使ったトレーニングを実演した。

 同地区の岡島康治さん(81)は「若い先生たちの情熱に応えられるよう、少しでも病院に足を運びたい」と話していた。



http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=34744
社会 : 伊那に産婦人科医院27日開業 市補助制度適用第1号
更新:2015-7-25 6:01 長野日報

 産科・婦人科の「菜の花マタニティクリニック」が27日、伊那市日影のベルシャイン伊那店近くに開業する。市が昨年度創設した産科医の新規開業を支援する補助制度の適用第1号。同クリニックでは年360件の分娩を取り扱うほか、不妊治療にも取り組む方針だ。少子化対策が大きな課題となる中、安心して産み育てる環境の充実に向けて期待されている。

 市健康推進課によると、上伊那地域では現在、出産ができる医療機関は伊那市の伊那中央病院と駒ケ根市にある民間診療所の2施設のみ。産科医の不足で負担が集中する伊那中央病院では2008年度から里帰り出産の受け入れを行っていない。

 このため、市は分娩を取り扱う産科医の市内への開業を促そうと、昨年7月に補助制度を創設。10年以上継続して分娩を扱う医療機関を対象に、施設整備費の5分の1、2000万円を上限に補助する仕組み。同クリニックでは上限の2000万円の補助を受ける見込みだ。

 開業するのは、元飯田市立病院婦人科部長の鈴木昭久さん(44)。現在、駒ケ根市に住む鈴木さんは上伊那地域の産科医療態勢を憂い、少子化対策に熱心で補助制度もある伊那市が「最適地」と判断し、開業を決めた。昨年12月に着工。設計・監理を城取建築設計事務所、施工を窪田建設が請け負った。

 同クリニックでは自由な姿勢で出産できる「フリースタイル分娩」を導入。分娩室にはベッドにもなる広めの分娩台を備えたり、畳の上で出産できる和室を設けた。風呂もあり、リラックスできる環境を整えた。部屋は全て個室(洋室11、和室4)とし、プライバシーに配慮。家族が喜びを分かち合ったり、絆を深めるようにした。

 医師は鈴木さんのほか、非常勤の女性医師が就任。医局の後輩という女性医師は不妊症が専門で、当初、数年後としていた体外受精も半年後をめどに開始する見通しだ。助産師外来も充実。妊婦健診では取り上げられないような妊娠中の悩みや体の不調などの相談に応じる。

 鈴木さんは「補助金を受けたことも踏まえ、この地域の少子化対策に貢献していけるよう取り組んでいきたい」と話していた。



http://mainichi.jp/edu/news/20150725ddlk31100533000c.html
鳥取養護学校:復職の看護師辞職で2人に /鳥取
毎日新聞 2015年07月25日 地方版

 5月に6人の看護師全員が一斉辞職を申し出て、医療的ケアの必要な児童生徒が一時登校できなくなった県立鳥取養護学校(鳥取市江津)で、6月に復職した看護師が7月22日付で辞職したことが分かった。県立中央病院などから1日3人の緊急派遣も1学期で終了。一方で7月21日には1人を新規採用しており、現在、看護師は2人という。

 辞職した看護師は6月15日に復職し、主に他の看護師の指示役を務めていたが、7月から週1日の勤務になっていた。県教委によると、辞職理由は「家庭の事情」という。

 9月1日付で更に1人を採用予定だが、少なくともあと3人の確保は必要で、山本仁志教育長は24日の定例教育委員会後の取材に「夏休み期間中に確保して通常状態に戻したい。引き続き全力をあげる」と述べた。また、とりまとめ役となる常勤看護師1人を配置するため9月補正で予算要求することを検討している。【小野まなみ】



http://mainichi.jp/area/shiga/news/20150725ddlk25040553000c.html
懲戒処分:民間施設でバイト 高島市民病院、看護師を停職処分 /滋賀
毎日新聞 2015年07月25日 地方版

 高島市民病院(高山博史院長)は24日、病院の看護師(33)が県内の民間福祉施設でアルバイトをしていたとして、停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。看護師は同日付で依願退職した。

 病院によると、この看護師は2012年4月〜今年5月の3年2カ月にわたり、平均月3回、福祉施設で日勤や夜勤をして報酬を得ていた。病院には無届けで、地方公務員法の営利企業等の従事制限や職務専念義務などに違反するとしている。 病院は、監督責任などがあったとして看護師の上司にあたる部長2人も文書訓告とした。【塚原和俊】



http://apital.asahi.com/article/news/2015072500017.html
腹腔鏡手術死亡、4医師懲戒処分 千葉県病院局
2015年7月25日 朝日新聞

 県がんセンターで腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者が死亡した問題で、県病院局は24日、医師4人を懲戒処分とし、発表した。

 死亡11例中8例の手術を担当した男性医師(52)は、倫理審査委員会への申請を行わずに手術をしたことなどが病院への社会的信用を失わせた、などの理由で減給3カ月(10分の1)。同医師は同日付で退職した。同様に、11例中1例を担当した男性医師(56)は減給1カ月(10分の1)。当時の上司の男性医師(61)と、医療安全管理の責任者だった永田松夫・現病院長(64)の2人を戒告処分とした。

 このほか、医師や事務職員ら12人を文書訓告、1医師を厳重注意とした。



http://www.m3.com/news/iryoishin/341706
後発品、地域別報酬…変わる制度どう見るか?
医療費地域差原因「患者」が最多、僅差で◆Vol.7
「医療者」「レセプト審査」とほぼ三分

医師調査 2015年7月25日(土)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 Q8では、医療費の地域格差への影響への大きいものを、「医療者の要因」「患者の要因」「レセプト審査」「その他」の中から、順位を付けてもらった。1位に選ばれたものを4ポイント、2位3ポイント、3位2ポイント、4位2ポイントとして回答を集計した。回答者は勤務医が304人、開業医が200人。

【勤務医の集計結果】
1位 患者側の要因  892ポイント(29.3%)
2位 医療者側の要因 890ポイント(29.3%)
3位 レセプト審査  855ポイント(28.1%)
4位 その他     403ポイント(13.3%)

 勤務医で最も多かったのは「患者側の要因」で、892ポイント、29.3%となった。ただ、2位の「医療者側の要因」は890ポイントで、差がほとんどなかった。レセプト審査も含めて、いずれも3割に満たず、三分する結果となった。

【開業医の集計結果】
1位 患者側の要因  604ポイント(30.2%)
2位 レセプト審査  564ポイント(28.2%)
3位 医療者側の要因 560ポイント(28.0%)
4位 その他     272ポイント(13.6%)

 開業医で最も多かったのは「患者側の要因」で、604ポイント、30.2%となった。「レセプト審査」「医療者側の要因」はともに、28.0%程度だったことを考えると、開業医は、患者の要因がわずかながら強いと考えていることがうかがえる結果となった。

 2位は「レセプト審査」で、勤務医と逆転した。レセプト審査に接することが多いことから、勤務医より実感が強いとみられる。
 大きな差はなかったものの、勤務医、開業医ともに「患者側の要因」が最も多い結果となった。

Q.9 地域の入院医療費の格差は解消できるか。
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 Q9では、地域ごとの入院医療費の格差について、解消可能かどうかを聞いた。政府は、2020年度のプライマリーバランスの黒字化に向けて、社会保障費を「本丸」と位置づけ、抑制したい考え。中でも、たびたび言及されるのが、地域の入院医療費の格差だ。

 最多だったのは、勤務医、開業医、ともに「分からない」で、半数近くなった。「短期的(2018年ごろまで)に可能、長期可能」としたのは、勤務医で23.7%、開業医で31.5%となった。「短期的に可能」は、勤務医3.3%、開業医3.5%で、1割にも満たなかった。

 「その他」で寄せられた、医療費の地域格差の具体例は以下の通り。

・意識がない、あるいは意思表示不能の超高齢患者への胃瘻増設、高カロリー輸液を、医療制度や患者家族の要望のために実施せざるを得ない日本の異常性。
・「健康を維持するための努力」に対して自覚があるかないかという環境や地域の民度の差。
・気管支喘息の治療が公費負担されている東京では、レセプトが通りやすいらしい。
・レセプトの影響で必要な検査ができない→結果的に医療費削減。患者側が貧しいと、最低限の医療でOKとなる→結果的に医療費削減。
・患者側が副作用を心配して後発品を好まないことがある。
・病院に来るバス代金が惜しくて、かなり重症になってからでないと、地方では病院に来ない。実家の病院(地方)で無料巡回バスを走らせたら、患者数が2倍になった。
・都市部と地方とのレセプト審査の差が大きい。外科手術の予防的使用の抗生剤の種類で感じた。
・糖尿病治療のCSIIなど、医療者患者とも使いこなしに熟達する必要あり、田舎では難しい。
・寝たきりや重度のリハビリが必要な場合など、患者家族は医療機関に入院を希望するところが多い。
・病名が合っていても査定してくる。



http://www.m3.com/news/general/342869
予防で医療費抑制/廃校を貸し出し 政権、新たな歳出改革
2015年7月25日(土)配信 朝日新聞

 安倍政権が、新たな歳出改革の取り組みを始めた。景気を冷やす単純な歳出カットは控え、予防医療を進めて医療費を抑えたり、少子化で廃止された小学校を民間に貸したりと、公共サービスの質を落とさずに財政を改善することを目指す。ただ、効果が出るまでには時間がかかりそうだ。

 内閣府と財務省は24日、各省庁の事務次官を首相官邸に集め、歳出改革への協力を求めた。西村康稔・内閣府副大臣は「無駄の排除、民間活用を徹底して、歳出増加を抑えることが重要だ」と呼びかけた。

 政府は2020年度の基礎的財政収支の黒字化を目指している。ただ、実質2%の高い経済成長率を実現しても、20年度で6・2兆円の赤字が残る見通しだ。

 そのため、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)の下に専門調査会をつくり、年末までに歳出改革の工程表を策定。自治体の優れた取り組みを全国に広げるための組織もつくる。

 具体的な改革案としては、健康になる努力をした人には商品などに交換できる「ヘルスケアポイント」を発行して医療費を抑える仕組みや、自治体の窓口業務の民間委託を広めることなどが検討されている。政府は今後3年を集中改革期間と設定している。


  1. 2015/07/26(日) 05:56:54|
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7月21日 

http://www.hochi.co.jp/topics/20150721-OHT1T50032.html
【メディカルNOW】「ベッド数削減」医学部定員削減策の二の舞い、医療難民が増加へ
2015年7月21日15時0分 スポーツ報知

 今も一部の地域では「ベッドの空き待ち」で入院できない人がいるが、今後はそんな人がもっと増えるに違いない。政府が先月、10年後の2025年までに病院のベッド数を現在の135万床から16~20万床減らして115~119万床とする目標を示したからだ。地域別では東京・大阪・神奈川・埼玉・千葉・沖縄の6都府県では増えるが、それ以外の41道府県は大幅削減になる。狙いは高齢化で増加する一方の医療費を抑えることだ。入院できない患者は自宅や介護施設で治療してもらうのだという。しかし、独り暮らしの高齢者にも自宅で治療しろというのか。今でも空き待ちが多い特別養護老人ホームなど介護施設が10年後にどれほど増えているのか。

 誰しも好きで入院するのではない。治療が必要だから入院するのだ。ベッド数削減は、現場を知らない連中が机上の計算でひねり出した政策としか思えない。前例がある。1982年に閣議決定された医学部入学定員削減だ。医師の数を抑制すれば医療費を抑えられると考えたのだ。

 それを受けて医学部入学定員は85年の8340人をピークに年々削減され、03年には7625人(8%減)まで減少した。しかし、この頃から医師不足が深刻化する。地方の病院の勤務医不足、診療科別では産科・小児科・麻酔科の医師の不足だ。

 そのため08年から医学部入学定員を年々増やし、15年には9134人(21%増)になった。医学部入学定員削減は明らかに誤りだった。それで定員増に転じたが、一人前の医師になるには医学部6年と卒後研修2年の計8年かかるから、定員増の効果が表れるのは来年以降だ。

 ベッド数削減は、それに勝るとも劣らない愚策だ。高齢化が進むほど入院が必要な患者が増えるのは当たり前。ベッドが足りないと、感染症の流行や大規模な事故や災害にも対応できなくなる。ベッド数削減は、治療を受けたくても受けられない医療難民を増やすだけだ。(医療ジャーナリスト・田中 皓)



http://news.livedoor.com/article/detail/10372185/
働くならアメリカ、医療を受けるなら日本がいい? 現場の医師が語るアメリカの驚くべき医療事情
2015年7月21日 10時45分 All About

 アメリカの医療現場というとどのようなことをお考えになりますか? ドラマのような救急医療の現場を想像する方が多いかもしれません。医師にかかり、薬を処方してもらうという基本的な流れは日本と同じですが、システムは相当異なっています。

■1. 保険が一人ひとり違う

 まず、アメリカは国に統一された保険のシステムがありません。日本では通常3割負担で国が一律で保険を提供していますが、アメリカでは民間の保険がメインなので、人それぞれ違う名前の保険に入っています。

 たとえば通常の診療、救急医療、入院など項目ごとにいくらまでは個人の支払いになり、どこまで保険がカバーする、というような詳細が保険ごとに決まっています。

 私も雇用主から提示された2つの保険のうち、この項目を見比べて、1つを選びました。アメリカの保険は高いとよく言われていますが、私の場合は雇用側のサポートが手厚かったため、日本にいた時よりも安い保険料ですんでいます。これは雇用主によりますので、一概には言えません。

 オバマケアも現在保険に加入していない人が主なターゲットですので、日本のような国民全部をカバーする保険制度ではありません。

 一般的な医療であれば保険がカバーしてくれるので個人レベルではあまり意識することはありませんが、医療費の請求額自体はアメリカが圧倒的に高いです。飲み過ぎて倒れたら救急車で運ばれて、気づいたら病院だったという友人がいましたが、救急車代と診察代で1000ドル弱とられたとのことでした……。幸い保険がほとんどカバーしてくれたようですが。

 アメリカの保険と比べると日本の医療は平等でわかりやすく、優れている点が多いです。料金は一律で保険料も決まっているので、安心して医療を受けられます。また、高額な薬を使った治療を行う場合でも、高額療養費制度によって大部分は政府が肩代わりしてくれます。働くならアメリカ、医療を受けるなら日本がいい、というのがアメリカで働く日本人医師の定説になっていますが、まさにその通りだと思います。

■2. とにかく効率重視

 アメリカは短時間で効率よく仕事をまわすことを常に考えています。分業がはっきりしているので、自分の専門分野に集中して仕事をします。私が皮膚科の外来にいて一番驚いたのは、脚に潰瘍(かいよう)という皮膚に10cmほどの傷がある患者さんが受診したときのことでした。すでに診断はついていたので担当の皮膚科医が飲み薬の変更を指示しました。

 そこまでは通常通りなのですが、そのまま患者さんを返してしまい、傷自体の手当はまったく行わず、それに対するぬり薬を使った治療法の指導もありませんでした。

 不思議に思い「傷の処置はしないのか?」と聞いたところ、「それは傷を治療する専門のナースの仕事だから、皮膚科では診ないよ」とのことでした。日本では傷にぬり薬の治療をするだけのために皮膚科を受診することもあるくらいですから、この差には驚きました。

 ただ、皮膚科医が皮膚科医でなければできない仕事、つまり特殊な皮膚病の飲み薬の管理などに集中して効率よく多くの患者さんを診ることが重要、と考えているアメリカの医療からすると、これはもっともなことです。

 傷の処置をして長い時間を1人の患者さんにとられるよりは、その間に3人の患者さんを診察したほうが皮膚科医は限られた時間を有効に使えて患者さんの治療にも貢献できるというわけです。

■3. 診察時間が長い

 アメリカでは医師が一人あたりの診察にかける診察の時間が長いです。日本のように3分診療ということはまずなく、特に最初の診察時には場合によっては30分など長い時間をとって、すみからすみまで情報をとります。これにはカルテをしっかりと記載し、訴訟を避けるという意味もあります。

 一方で、日本のようにいぼやにきびといった病気で2週間ごとに皮膚科医にかかる、ということはなく、受診の間隔は長めです。

■4. 診察時の説明が専門的

 診察時間が長いためなのか、医師がかなり専門的な内容を話していることには驚きました。例えば乾癬(かんせん)の患者さんに新しい注射薬を始めるときに、その薬がなぜ効くのか、といった医学的な専門知識も話し、そして患者さんもそれにたいして質問し、よりよく理解しようと務めていました。

 アメリカではテレビで処方薬のCMが流れることも多く、その効果もあって病気のことを患者さんがよく知っているようです。

■5. プライベート重視

 日本では、診察中にはよほど重要な案件でない限り医師は電話に出ません。ところが、アメリカでは家族からの電話がかかってくると、「ちょっと待ってて」といい患者さんの目の前で電話に出ます。患者さんにとってもそれが自然で、電話の後にはその内容について2人で盛り上がっているくらいです。

 アメリカというと医療訴訟大国として有名で、医師と患者の関係が悪いのではないか、と予想してしまいますが、 むしろお互いかしこまった感じがなく、気を使わない間柄のことが多いです。

 医師の側から見るとアメリカの医療は効率がいい、残業が少ない、プライベート重視、と働く環境がいいです。ところが患者さんから見ると、主治医制でなくシフト制のため入院中に担当医がすぐ変わってしまう、医療費が高い、医療費の請求額が一定ではなく保険会社との交渉が必要、とマイナス面が目立ちます。

 医療の質、としてはアメリカのレベルは世界的に高いので、中国から来た友人はアメリカの医療のほうが中国よりも間違いなくいい、と言います。しかし、日本の医療レベルは(移植や新薬など特殊な分野を除けば)アメリカと遜色が無いので、その医療を低価格で受けられるというのは非常に恵まれていた、とこちらに来て実感しています。

【医療情報・ニュースガイド:野田 真史】



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46256.html
「精神科」が労働者の身近な存在に- ストレスチェック導入で、診療所医師が期待
2015年07月21日 19時17分 キャリアブレイン

 従業員50人以上の事業場に対し、労働者の心理的な負担の程度を把握する検査が義務付けられる「ストレスチェック制度」が12月から始まるのを前に、同制度の課題や解決策を話し合うシンポジウムが17日、日本うつ病学会総会であった。東京都内で精神科クリニックを運営する医師はその中で、同制度のさまざまな問題点を指摘した一方、同制度が契機となり、労働者にとって精神科の医療機関が身近な存在になることに期待を示した。【丸山紀一朗】

 「なかなか自分からメンタルクリニックには行かないが、ストレスチェックでたまたま引っ掛かったことがきっかけで来てもらうようになり、『こういうところなんだ』と分かってもらえる。『また何かあった時には、行けば治療してもらえるかもしれない』といった風潮が広がり、精神科の敷居が下がる」-。都内で精神科の「紫藤クリニック」を運営する紫藤昌彦院長は、同制度が始まることによるプラスの影響をこのように予想した。

 同制度は改正労働安全衛生法に基づいて導入されるもので、産業医や保健師らが実施者となり、職場での労働者のストレスの程度を点数化し、その度合いの高い人を選定。労働者の希望に応じ、産業医もしくは外部の医師による面接指導を実施し、必要に応じて例えば精神科の専門医などへ紹介することを通じて、ストレス要因となる職場環境の改善につなげる。

 紫藤院長はまた、同制度の評価すべき点として、産業医や保健師らといった産業保健スタッフと、外部の精神科医との接点が増えることで、連携が深まることを挙げた。さらに、産業保健に関心を持つ精神科医が増えるとの見方を示した上で、「精神科と産業医はあまり関係ないと思っていたこともあり、日本医師会の認定産業医を取っていなかった」と自身の例を出し、今後取得を目指すことも明らかにした。

 一方で、企業側から面接指導を依頼されて困ることとして、その企業の職場の状況などを詳しく把握できない状態では適切な指導を実施するのが難しいと指摘。また、面接指導の結果として、医師から企業側に意見する労働時間の短縮や就業場所の変更といったストレス軽減策が、待遇面などで労働者側の希望と異なる場合はどうすればいいのかといった疑問も提起した。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H17_R20C15A7000000/
小児患者190人に禁忌鎮静剤 人工呼吸中、厚労省13年調査
2015/7/21 12:12 日本経済新聞

 小児集中治療室(PICU)を持つ国内23の医療機関で2013年に人工呼吸器を付けて治療を受けた子供の4%超に当たる約190人に対し、禁忌とされる鎮静剤プロポフォールが投与されていたことが21日、厚生労働省研究班の調査で分かった。

 プロポフォールは添付文書の禁忌事項で、集中治療下で人工呼吸中の子供への使用禁止が明示されているが、実際には医師の判断で使うこともある。昨年2月、東京女子医大病院で投与された2歳男児が死亡する事故が発生。事態を重く見た研究班が同12月、PICUのある全国29施設の13年のプロポフォール使用状況を調べた。

 有効回答があった23施設で、PICUに入室し人工呼吸器が必要だった16歳未満の子供は計4283人。うち7施設で計189人にプロポフォールを使用していた。この中の3施設では計8人に対し、海外の文献などに基づき医師の間で使用の目安とされ、重い副作用を招く恐れがある48時間を超えて使用。うち7人への使用は72時間を超え、1人は1週間以上だった。

 投与の理由は「手術中に使用していたので継続した」「他の薬剤による副作用のため」「他の薬剤の効果が薄れてきたため」などが目立った。

 研究代表者で日本集中治療医学会の氏家良人理事長は「使用は限定的だと確認された」とする一方、「医師は禁忌であることを再認識し、保護者への説明を尽くし同意を得ることを原則としなければならない」と指摘。報告書に(1)複数の医師やスタッフによる使用可否の判断(2)投与時間は48時間以内(3)心電図や血圧、肝機能の測定など経過観察――を徹底するよう明記した。

 研究班は「今回は、女子医大病院の問題発覚前の13年が対象期間だったが、現在はさらに使用が減っている可能性がある」としている。〔共同〕



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/51849/Default.aspx
厚労省・鈴木審議官 調剤薬局は「“物販業”から“サービス業”への転換を」
公開日時 2015/07/21 03:50 ミクスOnLine

厚生労働省の鈴木康裕技術総括審議官は7月19日、調剤薬局の経営の柱は医薬品販売によるものだとの認識を示した上で、今後は在宅医療の中で残薬や健康情報サービスに対応した“対人サービス”による付加価値を生み出す業態への展開が求められているとした。次回以降の調剤報酬改定でも、こうした機能面の評価を見据えたものになるとした上で、薬局には従来の薬価差に依存した経営から脱却し、「付帯サービスによる技術料を収入の柱に」と呼びかけた。第8回日本在宅薬学会学術大会(千葉県・幕張メッセ、7月19~20日)で講演した。

鈴木審議官は、生活習慣病が増加する中で、在宅療養における服薬の機会が増加すると見通した。その上で、今後の薬局が在宅医療において役割を担うことが必要との認識を示した。特に、飲み残しなどの残薬問題については、「効果や安全性の懸念だけではなく、医療費の有効活用という点でも課題」と述べた。


こうした中で、地域調剤薬局は生活習慣病を中心としたラインアップを在庫に揃えることが必要との見方を示し、「飲み方や、コンプライアンスを指導していただくことが必要」と強調。従来のような薬価差に依存した経営から脱却し、「飲み残しや健康情報について在宅サービスに対応できる業態への転換が求められている」と述べた。一方で、処方頻度が低く、副作用頻度が高い希少疾患治療薬などは院内処方が中心になるとの見方を示した。

調剤薬局が在宅医療にかかわる上での課題のひとつとして、特に郡部では移動距離が長く、薬剤師の確保が難しいケースもあると指摘。薬剤師が1、2名の小規模薬局単独では難しいとの見方を示し、「日本薬剤師会を中心に、共同で行うのか考えていただきたい」と述べた。

◎薬薬連携 医療従事者用SNS活用も視野に

在宅医療の推進に際しては、病院の薬剤部と地域調剤薬局との“薬薬連携”を通じ、情報を共有化することも重要になる。鈴木審議官は、個人のプライバシーに配慮した医療マイナンバーの推進などで、インフラ構築も進んでいくことを紹介した。


こうした中で、「最大の課題は情報交換コスト」との見方を示した。これまで、医師、薬剤師、看護師など多職種が一同に会して症例検討会などが開催され、一定の成果をあげてきた。ただ、地域で在宅医療が進展する中で、患者によって、多職種連携のメンバーや形態も変わる。「患者によってサービスの主体もかわるし、忙しい在宅のサービスを介する人が集まるのが難しい」と指摘。こうした情報共有でもIT化が力を発揮するとの見方を示した。

鈴木審議官は、情報共有を円滑にするツールのひとつの例として、完全非公開型医療介護専用SNSメディカルケアステーションを紹介し、こうした新たなサービスを活用して連携を深めることが可能になる時代に入ったとの見方も示した。



http://mainichi.jp/opinion/news/20150721k0000m070111000c.html
社説:かかりつけ薬局 患者を守る責任は重い
毎日新聞 2015年07月21日 02時34分

 高齢になるほど複数の病院にかかり、薬を重複して処方されるケースが増える。薬の飲み残しや飲み忘れで多額の医療費が無駄になっているとして、厚生労働省は患者に処方される薬を一元的に管理する「かかりつけ薬局」の拡充を検討している。
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 医療費の膨張を抑えることはもちろん重要だが、薬の飲みすぎや飲み合わせの悪さから副作用を起こす人が多いことにもっと注目すべきだ。「かかりつけ薬局」は高齢の患者の健康を守るためにこそ必要だ。

 高血圧や糖尿病、認知症など高齢になるほど複数の病気にかかる人は増える。専門の病院や診療科で診察され、それぞれの医師から薬を処方されるため、多種類の薬を大量に服用している人は多い。日常的に薬を飲んでいる自宅生活の高齢者の約4割が、6種類以上の薬を飲んでいるとの調査結果がある。

 薬の副作用を軽視すべきでない。70歳以上の約1割が重複して服用しているとされる催眠鎮静剤や抗不安薬は、重複により認知症が悪化すると指摘されている。高齢になるほど服用期間も長くなる。睡眠薬は認知機能の低下や転倒を招きやすく、抗精神病薬は脳血管障害を引き起こす率が高くなるという。日本老年医学会などは副作用の強い薬は高齢者への使用中止も考慮すべきだと診療現場の医師らに呼びかけている。

 副作用のリスクは医師が処方する医療用医薬品だけではない。消費者庁によると、市販薬の副作用が原因とみられる死亡例が昨年3月までの5年間に15件、後遺症が残ったケースも15件あったという。あらゆる薬を一元的に管理してチェックする薬剤師の役割は重要だ。

 「かかりつけ薬局」は、患者ごとに医師から処方された薬や市販薬について記録し、同じ成分の薬が重複していないか、飲み合わせは悪くないかなどの確認をし、医師らと連携して副作用被害を避ける役割が期待されている。

 薬局は全国に約5万5000カ所あり、年間8億枚近い処方箋を取り扱っている。中には患者に対し薬の説明を怠るなど本来の職務を全うしていない薬剤師もいるという。はたして医師や患者と連絡を取り合って「かかりつけ薬局」の役割を担える薬剤師がどのくらいいるのかという疑問も拭えない。

 ただ、最近は介護支援専門員の資格を持つ薬剤師も少しずつ増え、薬の管理や医師・看護師らと連携してチーム医療の一端を担っている例もある。高齢化の進展や薬のネット販売の解禁などに伴って、薬剤師の役割はますます重要になる。患者の安全を守る専門職として信頼を勝ち取らなければならないだろう。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20150720-OYT1T50053.html
「なぜウソ」発言で上司のカルテ不正閲覧が発覚
2015年07月21日  08時57分 日本経済新聞

 宮城県の大崎市民病院(大崎市)で患者の電子カルテが不正閲覧されていた問題で、入院していた姉妹とその母親がプライバシーを侵害されたとして、病院と医療事務委託先のニチイ学館(東京)を相手取り、900万円の損害賠償を求めて仙台地裁古川支部に提訴することが分かった。


 関係者によると、姉妹の母親が昨年10月、夫の暴力でけがをした次女を受診させ、保護目的で長女とともに入院させた。母親は同社社員として病院に勤務しており、上司に「子供が階段から落ちてけがをした」と伝えたところ、「なぜうそをつくのか」と言われ、カルテが不正に閲覧されていたことが分かったという。母親は職場の人間関係に悩み、2月末で退職した。

2015年07月21日 08時57分


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7月20日 

https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20150720_10
勤務医6年ぶり減 県立病院・センター14年度末
(2015/07/20) 岩手日報

 県医療局は2014年度末時点の県立病院と地域診療センターの勤務医数(常勤医と後期研修医)をまとめ、勤務医は558人で、前年同期比4人(0・8%)減と6年ぶりに減少した。震災対応のため新たに本県に着任した招聘(しょうへい)医の減少などが要因。沿岸被災地の県立7病院と同センターの勤務医は146人で同9人(6・0%)減るなど地域間の医師の偏在傾向は解消されていない状況だ。

 病院ごとの医師の増減状況(前年同期比)は、中央8人、磐井2人、釜石、江刺、一戸、東和で各1人増。減少したのは久慈、胆沢各4人、大船渡2人、宮古、遠野、高田、千厩、二戸、大槌、山田、南光で各1人。

 県医療局によると専門医資格の取得を目的とした都市部への大学院進学希望者が増加傾向にあることに加え、全国的な震災への関心の薄れが医師数減につながったとみられるという。震災支援で本県に新たに着任した招聘医は11年17人、12年12人、13年2人、14年1人と減少傾向だ。



http://blogos.com/article/123584/
医学と政治の思考過程 時代は変化しそれにあわせるのは進歩! 
2015年07月20日 09:13 Blogos

中村ゆきつぐ

私は医者です。平成元年に防衛医大を卒業し、医師免許を頂き医師たる幹部自衛官になり、途中選挙に出るため自衛官をやめなければいけず、ブログで自分の意見を発信する変った医者として現在にいたります。

自衛官時代イラクにも行かせていただき、本当に理想と現実の差に巻き込まれながらも、現実的に何をすることが一番大事なのかを決めて、いや自分に納得させて行動してきました。海外に行くことで日本という国の素晴らしさ、日本国民の素敵さを実感しました。その上で自分に与えられた仕事をその当時最大限素晴らしいものにしようと努力してきたつもりです。ただ評価はむずかしいと思います。いつももっとうまくやれるのではという反省の積み重ねです。

今回の集団的自衛権関連事象と、医学的思考過程の共通点について述べてみます。

安倍総理の言葉です。(平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ? 第四回 )
「時代が変わっていく。兵器も進歩していく。国際情勢も変わっていきます。国と国との関係も変わっていく中で、必要な自衛の措置を私たちは考え抜かなければいけないんです。これを考える責任を放棄するということは、もう政治家としての責任を放棄することなんだろうと思います。」

医療において、15年前に教科書にこの時はこうしなさいと書かれていたものが、現在禁忌処置(絶対やってはいけない処置)として教科書に書かれています。いろいろ積み重ねていく上で医学が検証されてきたのです。この変化を、いや以前の教科書に書かれているのだからこの治療をやり続けるべきだと言う方はそういらしゃらないと思うのですが。

いや、医療と政治は違う。それこそ、いや製薬企業が儲けるためにデータを捏造したに違いない、臨床データは改竄できる、医師と製薬会社は患者をモルモットにしている。本当どこかでみた思考過程です。憲法と教科書は違う。アメリカの言いなりになって日本国を戦争させる国にしようとしている。中国や北朝鮮が攻めてくるなんてありえない。あの9条を守ることが大事なんだ!多分そう反論する方がいらっしゃると思います。

医療はこの処置をすることでその患者の生命を維持する上で最良のものを選ぶ積み重ねです。それには副作用もあり、結果やらない方がよかったとなることも多々ありますが、やることによって生命を助ける確率が上がるものです。

放置することでじり貧が予想されれば、さらに危険な介入をすることもやぶさかではありません。もちろんこのタイミングでしかやってはいけない、つまり状況が悪くなったからこの処置が許されるということもあります。

こんなこと、ビジネスの世界でも同じことでしょう。まさにリスク管理です。立ち止まることがいいのか、前に進むことがいいのか。20台の患者さんと90台の患者さんでは当然答えは違いますし、家族の考え方でも答えは違います。それでも考え続け、現在最良と思える手を打たなければいけませんし、そうやってきているつもりです。

ただ一個人の考え方はやはりもろい物だと思います。だからこそ議論しましょうと言っているのです。日本という国、まだまだ元気で生きていて欲しいものを最大限いい方向に向かわせるために。

いろいろコメント頂きました。また真間田弘さんというジャーナリストの方とツイッターでも議論させていただきました。(@mamasan_h)本当とてもいい知識を頂きました。ありがとうございます。

対中国外交上全部は言えないことからも、国民が政府を信じれるかどうかが難しいのはよくわかります。医療不信と政治不信は同様の構図です。だからわかる範囲で議論をしましょう。それが政治です。国民はどうせ忘れるから、患者はどうせ知らないからと開き直るのはまだ早い。

医師と違って人も時間もあるはずです!主要な方はもっと忙しいでしょうが、少なくともプラカードをもったり、国会前で怒鳴る時間があるのですから。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201507/20150720_65003.html
楢葉の内科医が診療所再開準備
10月に再開予定の「ときクリニック」

2015年07月20日月曜日

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が9月5日に解除される福島県楢葉町の内科医土岐高久さん(61)が、町内で診療所を再開する準備を本格的に始めた。原発事故前は、内科では町内唯一の医療機関だった。再開目標は10月1日。土岐さんは「帰町する人たちを支えたい」と話す。

 いわき市出身の土岐さんは2002年、隣の広野町で「ときクリニック」を開業。04年3月に楢葉町へ移設した。町内の特別養護老人ホームの嘱託医も務めた。
 原発事故後、埼玉県に避難した後、茨城県土浦市に移った。将来の診療所再開を見据え、看護師や事務職員の雇用を継続。楢葉町に通い、国や県の補助も活用して建物の修繕や医療機械の整備などを進めてきた。
 再開の時期を決めたのは6月。帰還に向けた準備宿泊が4月に始まったからだ。7月初め、看護師らに10月再開を伝えた。現在、診療所内の再清掃や機器の点検、電子カルテ導入や医薬品発注などの準備に当たる。再開後の診察は火~金曜の週4日を予定する。
 土岐さんは、避難指示を解除する政府の判断には疑問を抱く。「空間放射線量が高い場所が残り、飲料水に不安もある。生活環境も整っていない」。準備宿泊の登録者は約700人と、人口の1割以下にとどまる。
 「当面、楢葉に戻る町民は少ない。廃炉・除染作業員の利用もあるだろうが、どれくらい患者が来るのかは分からない」と土岐さん。「地域に戻る住民がいる以上、再開するのが医療機関の責務。初心を忘れず、地域医療を守りたい」と話す。



http://mainichi.jp/select/news/20150721k0000m040016000c.html
療養病床:削減の検討開始 狙いは医療費の抑制
毎日新聞 2015年07月20日 19時05分(最終更新 07月20日 19時18分)

 ◇厚労省 有識者検討会を設置、年内に報告書まとめ

 厚生労働省は、長期入院患者を受け入れる「療養病床」削減の検討を始めた。現在は医療の必要性が低いのに入院している患者もおり、この人たちを自宅や介護施設などでのケアに切り替えることで病床数を削減し、医療費の抑制につなげるのが狙いだ。同省は有識者検討会を設置し、議論を開始。年内に報告書をまとめる方針だ。【細川貴代】

 療養病床削減は、病院から出た患者の受け入れ先の確保が大前提となる。10日に開かれた検討会の初会合では「高齢化が進行している。現在の制度を前提としない発想も必要ではないか」「新たなニーズに応じる施設の検討も必要だ」など病院と介護施設や自宅をつなぐ新たなサービスを求める意見が相次いだ。

 厚労省の推計では、療養病床にかかる費用は1人当たり月35.8万〜59.6万円だが、老人保健施設なら同27.2万円で収まる。このため、政府はかつて、介護を主とする「介護型」を2011年度末までに全廃する方針を打ち出した。しかし、退院後に行き場を失う「介護難民」の大量発生が懸念され、民主党政権時代に17年度末に延期した経緯がある。療養病床廃止には受け皿として介護施設の整備や在宅で医療を受ける訪問診療の拡充が不可欠だ。

 厚労省は今回、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる25年に向け、医療型の削減にも踏み込む意向だ。厚労省によると、医療型にも医療の必要性の低い患者はいる。さらに、療養病床は都道府県ごとにバラツキがある。人口10万人あたりの入院患者数(13年)は最も多い高知(391)と最少の山形(81)では4.8倍もの開きがあり、この差を縮める方針だ。

 現在は「一般病床」「療養病床」などと分かれているが、患者のニーズに応じて機能別に再編する。例えば、脳梗塞(こうそく)などで入院し、自宅復帰に向けリハビリ中の患者は「回復期機能」の病床、重篤ではないものの医療の必要な患者は「慢性期機能」の病床などと明確に区分。各都道府県が患者のニーズを推計し、効率的に病床を配置するよう医療機関に促す。これにより、療養病床を含む全入院ベッド数は、25年に最大約20万床の抑制が可能との政府の推計が先月公表されている。

 ただ、厚労省の想定通りに病床削減が進むかどうかは未知数だ。民間病院に対して削減を強制できず、政策的に誘導するのが限界だ。また、今回は介護型だけでなく医療型も削減するため、患者の受け皿作りのハードルはさらに高くなる。

 ◇療養病床

 長期にわたって療養を必要とする患者のための病床。医療保険が適用される「医療型」と介護保険適用の「介護型」がある。ただ、両者の患者の状態などに違いはないとされる。医療の必要性が低いのに入院する「社会的入院」の受け皿となっているとも指摘されている。



http://apital.asahi.com/article/news/2015072000003.html
カルテ不正閲覧、母娘3人提訴へ 大崎市民病院
(朝日新聞 2015年7月18日掲載) 2015年7月20日

 大崎市民病院の職員と医療事務を受託していた「ニチイ学館」(東京)の従業員によるカルテの不正閲覧でプライバシーを侵害されたとして、病院に入院していた姉妹と母親が病院と同社を相手取り、900万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁古川支部に起こすことが17日、関係者への取材でわかった。

 訴状などによると、昨年10月、父親からの暴力でけがをした次女が病院で診察を受け、長女とともに保護入院した。その際、同社の従業員だった母親が「子どもが階段から落ちてけがをした」と上司に伝えたところ、「なぜウソをつくのか」と言われ、カルテを無断で閲覧されていたことがわかった。

 母親は職場の人間関係に悩み、2月末で退社した。母娘の代理人の鈴木絢子弁護士は取材に「虐待やDVの被害者が保護されるべき病院でプライバシーの侵害が起きた」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/341240?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150720&dcf_doctor=true&mc.l=112797385
「事故調査報告書、遺族に開示」
日病医療事故調査制度シンポ、現場対応に難しさ

2015年7月19日(日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本病院会主催のシンポジウム「医療事故調査制度の施行に向けて~制度の理解と具体的運用~」が7月18日、都内で開催され、日病会長の堺常雄氏は、冒頭のあいさつで、多くの参加者が集まったことを受けて、「実際に医療事故が発生した際に、どう対応したらいいかが分からないからだろう」と、制度の解釈に難しさがあるとした上で、それ故に「管理者の責任は大きい」と指摘した。医療事故調査・支援センターに医療事故として報告するか否かなど、「管理者の判断」での対応が求められる事項が多いからだ(質疑応答は、『「事故の報告対象」「報告書」に質問集中』を参照)。

 シンポジストは、日病副会長の末永裕之氏が司会を務め、日病の医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏、北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏、名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏の4人が、順に登壇。

 10月から始まる医療事故調査制度は、院内の事故調査を基本とする。同制度をめぐって、解釈や対応が実際に分かれると想定されるのが、院内事故調査の報告書の取り扱い。同制度の省令では、当事者を「匿名性、非識別化」して報告書をまとめるよう求めている。4人の演者はいずれも、遺族への報告書の開示を支持。ただし、どのように「匿名性、非識別化」すればいいか、現場は悩むところだが、具体的な手法についての言及はなかった。

 院内事故調査に当たっては、法律上、義務ではないが、厚生労働省は、「外部からの委員を参画させ、公平、中立な調査に務める」ことを求めている(同省のホームページ参照)。この点についても、シンポジストは外部委員の参画を支持した。

 北大「全ての死亡診断書を確認」

 シンポジウムは、4人の演者の講演の後、質疑応答という形で進められた。医療事故調査制度における医療機関の実務について講演したのは、南須原氏と長尾氏だ。

北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏
 「医療事故発生から院内調査委員会設置までの具体的対応」と題して講演した南須原氏は、(1)日ごろから行っておかなければいけないこと、(2)医療事故の判断のポイント、(3)調査の一般的な流れ――などについて説明した。

 (1)について、南須原氏が強調した一つが、医療事故を拾い上げる体制だ。「院内の報告体制の充実が前提であり、そのためには死亡事例をいち早くキャッチする体制が必要。全ての死亡事例を把握しておかないと、もれてしまう」(南須原氏)。北大病院では2014年11月から、南須原氏が院内死亡例の全ての死亡診断書を確認する体制にした。年間約600例の院内死亡があり、うち約300例は心肺停止の状態で搬送されてきた患者であり、検証が必要なのは残る約300例。「同じ診療科で立て続けに死亡が発生していないかなども見ている。場合によってはカルテを取り寄せたり、ヒアリングをすることもある」(南須原氏)。

 さらに診療記録が今まで以上に重要になることから、正確かつ遅滞のない記載がなされるように徹底したり、事故調査では臨床経過における時刻把握が重要になることから、モニター類や院内各所の時計の定期的な時刻合わせなど、きめ細かな対応をしている。

 (2)については、事例を挙げて判断例を紹介。医療事故調査・支援センターに報告するのは、「医療に起因した、予期しなかった死亡・死産」だが、その判断プロセスとして、院内合議を行い、管理者が判断する重要性を強調。「この判断においては、院内で、第三者的な立場の人を含む会議で、組織として対応せざるを得ない。この際、当事者の意見を聞くことも求められる」と南須原氏は話し、合議によっても判断に迷う場合には、支援団体やセンターに相談することも一つの方法であるほか、解剖やAiも活用できるとした。

 (3)の調査委員会について指摘したのは、設置規程を定める必要性だ。「病院の都合のいいように設置したように見られないようにしたい」(南須原氏)。また調査を進めるために、診療諸記録の保存、事故発生直後の状態の保存(事故と関連する可能性がある物品や薬剤、医療行為を検証するための画像やモニター記録など)なども求められるとした。

 さらに調査に当たっては、当事者の匿名性に配慮する必要性も指摘した。「調査する際に、カルテなどには主治医や患者の名前が入っている。これらの資料は、匿名化する必要はないだろう。調査を誤る可能性があり、委員には守秘義務があるからだ。ただし、それを基に経過表や報告書を作成する場合には、匿名化する。報告書は開示対象だが、委員会の内部資料は非開示という扱い」(南須原氏)。

 「事実は正確に、分析は機械的に、評価は丁寧に」

名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏
 「調査の実際と報告書の作成」と題して講演した長尾氏は、事故調査の実施から報告書をまとめるに当たって、「事実は正確に。分析は機械的に。評価は丁寧に」が基本になるとした。「この点をあえて言うのは、事実が曖昧なままになり、分析はその都度異なり、評価が乱暴に行われることがある。こうした報告書が量産されたら、困る」(長尾氏)。

 院内調査の実施に当たっては、南須原氏と同様に、あらかじめ規程を定めておくことが必要だとした。

 「臨床経過に関する情報収集」は精度の高い分析と良質な再発防止策の立案に重要だとし、各種記録とヒアリングを基に進めると説明。ヒアリングに当たっては、(1)少人数の場でのヒアリング、(2)事故調査委員会でヒアリング――の二通りがあるとし、当事者の意向を踏まえて使い分ける。

 情報収集後は、時系列的に、関係する医療者が分かるように事実関係を整理する。その際、「診療記録など客観的に得られた資料」と「ヒアリングによる情報」を区別して記載することが必要であり、分析・評価に入る前には、遺族も含め、当事者に確認することが求められる。

 その上で分析・評価は、(1)死因、(2)事故の発生要因――の二つの視点から行う。死因については、必ずしも確定できない場合もあり得るという。事故の発生要因は、診療行為の全てに関して深堀するのは、時間がかかることなどから、死亡に関連した点を重点的に行っていく。その際、「何をしたか」(作為型行為)だけでなく、「何をしなかったか」(不作為型行為)に対しても検討するほか、事故の背景要因を探り、再発防止につなげていくことが必要だとした。

 報告書作成についても、その構成や記載する場合の注意点を詳しく説明。注意喚起した一つが、用語。例えば、「相当程度の可能性」「予見可能性」「注意義務」などの法律用語は、医療者が考える意味と異なる場合があるので、使用を避けるべきとした。また、「医療行為の評価」と「再発防止の提言」を区別するなど、記載に当たっての留意点も解説。

 報告書の病院の顧問弁護士に見せるか否かについて、長尾氏は次のようにコメント。「信頼でき、クライアントの意図を理解してくれる弁護士であれば、見せていいと思う。事故調査は、過失判断から切り離して行うものだが、遺族に報告書を説明して、謝罪や賠償への対応、社会への公表など、病院は次の判断をしなければならなくなるからだ。弁護士から、足りない部分などを指摘してもらえる場合もある」(長尾氏)。

 名大病院では現在、報告書はまず原本を遺族に渡して、説明している。それでも遺族の理解が得られにくい場合には、平易な表現で解説を加えたものを渡す。10月に医療事故調査制度が始まった後も、医療事故調査・支援センターに報告する内容と同じものを遺族に渡す方針だ。

 モデル事業、民事訴訟は234事例中6事例

 木村氏は、日本医療安全調査機構の中央事務局長も務める。2005年度から日本内科学会主導で開始し、現在は日本医療安全調査機構で実施している「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の実績のほか、医療事故調査制度の概要を紹介。

日病の医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏
 モデル事業は全国10カ所で、今年4月までに受け付けたのは、239事例。うち、評価結果報告書を交付し、説明会開催までを終えたのは、221事例。機構の調べによると、把握できた234事例のうち、民事訴訟に発展したのは6事例。また2010年4月以降、評価を終えた102事例について、医療機関や遺族にアンケートした結果、医療機関側は「良く了解・理解した」96%、「質問多いが理解」2%、遺族側は「良く了解・理解した」57%、「繰り返し質問し理解」が35%で、おおむね高い評価が得られているとした。

 日病の「医療の安全確保推進委員会」では、2014年10月に会員にアンケートを実施。医療事故(死亡事例)の件数は、全国で年間1225件と推計される。1病院当たりの発生率は年平均0.3件が、病床規模別に見ると規模が大きいほど、発生率は高く、「20~99床」では年0.0285件、一方、「500床以上」では年0.7326件だった。また報告書の遺族への開示について、「当然手渡すべき」「匿名性を配慮した上で手渡すべき」とした回答が73.9%に上るという結果も紹介。

 医療事故調査制度で強調した一つが、院内事故調査に外部委員を入れる点。医療法上では義務ではないが、「病院の職員だけでなく、外部委員を入れることは、ほぼ義務に近い、と厚労省も言っている。外部委員が入ることにより、中立性、専門性、公正性が担保できる」(木村氏)。世界医師会の1987年のマドリッド宣言を引用し、医師が「職業的自主性」と「自己規律」を持って、「個人ではなく、職業団体が有するシステムとしての自律」の下に、医療事故調査に対応していく必要性を強調した。

 「報告書、遺族に開示を」山口氏

 「医療事故調査制度に期待すること」と題して講演した山口氏は、まずCOMLのこれまでの実績を紹介。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏

 1990年から開始した患者からの電話相談件数は、2000年から2005年の間がピークで、多い時は年間4000件を超えたが、最近は1500件弱にとどまっている。相談件数が変化した一因として、メディアが医療事故を取り上げることによる患者の意識の変化と医療現場の取り組みを挙げた。

 医療事故調査制度で期待することとして、山口氏が挙げたのが、報告書の交付だ。制度創設前の厚労省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」の委員を務めた山口氏は、「ガイドライン(省令と通知)作成の議論の際に、検討部会で決めたことから、少し後退する面があったため、残念だと思った」と述べた。検討部会では、報告書について「遺族に開示しなければならない」となっていたが、2015年3月に取りまとめを行った「医療事故調査制度の施行に係る検討会」では、遺族への説明について「口頭または書面、もしくはその双方で」となったからだ。

 報告書について「当然手渡すべき」「匿名性を配慮した上で手渡すべき」とした回答が73.9%に上るという日病の「医療の安全確保推進委員会」アンケートにも言及し、山口氏は、「遺族の理解が深まれば、訴訟が増えるというが、むしろ逆ではないか。透明性を担保することで、患者の医療者への理解は深まる。開示しなければ、医療への不信感が逆に高まり、また医療不信の時代に戻ってしまうのではないか」と指摘した。

 さらに山口氏は、「今後、問題になってくるのが、遺族からの第三者機関への調査依頼」と指摘。「なぜ報告の対象にならないのか、と遺族が疑問を感じた時に、どこが受け皿になるのか。(来年)6月の見直しで、この点が出てくることが必要」(山口氏)。



http://www.m3.com/news/general/341243?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150720&dcf_doctor=true&mc.l=112797387
救える命 見つけに行く
第1部 医師(4)日本初がん集団検診 黒川利雄 (1897~1988)

2015年7月20日(月)配信 読売新聞

 半世紀以上も前のことなのに、栗原市の石川司之もりゆき(82)はその時のショックをはっきりと覚えている。1961年、勤め先の近くに来た検診車で受けた集団検診で、早期の胃がんが見つかった時のことだ。

 死に直結する病気と考えられていた時代。27歳だった石川は激しく動揺した。「もうダメだ」。しかし、4か月後の手術で胃の3分の2を切除し、助かった。

 がんを克服した人たちでつくる「みやぎよろこびの会」の会長を務める石川は今、「検診でがんが早く見つかれば、必ず助かる」と力説して回る。その礎を築いた医師が、東北大病院の黒川利雄だった。

 北海道の炭鉱労働者の家に生まれた黒川は、姉を結核で亡くし、母も同じ病に苦しんだことから医師を志した。東北帝国大(当時)医学部を卒業後、大学病院の内科医になったが、大正の当時、胃がんの検査は触って確認するだけ。しこりがなければがんと分からず、しこりがあれば末期であることを意味していた。

 転機となったのは、助教授時代の2年間の欧州留学だった。胃がんのX線検査を学び、帰国後に早期発見の研究を本格的に開始。東北大の学長で県対がん協会長だった60年、X線装置を積んだ検診車を完成させ、国内初となる胃がんの集団検診を始めた。

 「患者が来るのを待つのではなく、こちらから出向けばもっと命を救うことができる。先生はそう考えていた」。弟子の一人で、県対がん協会長の久道茂(76)は語る。

 ただ、当初は撮影機器の性能が十分ではなく、早期がんが見つかるのは1割程度だった。長男の雄二(75)は「健康なのに無理やり検査を受けさせている。金もうけのためだ。そんな批判も多かった」と振り返る。

 今や時代は様変わりだ。検診車は各地で導入され、早期にがんを見つける精度も格段に高まった。胃に限らず、様々な部位のがんの集団検診が全国で行われている。

 県対がん協会による胃がんの集団検診を受けたのは昨年10月、延べ800万人に達した。がんが見つかったのは約1万5000人で、このうち6割以上が早期。節目の受診者となった塩釜市の桜井勝江(54)は式典で初めて、黒川の名を教わった。「毎年検診を受けているけど、それが宮城で始まったことだったなんて」と驚いた。

 まかれた種が花を開かせた一方で、黒川を知る人は少なくなった。「がん検診は今や常識ですからね。でも、そういう時代になったことを父も喜んでいるのではないでしょうか」と雄二は語る。

 「がん集団検診発祥の地」。仙台市青葉区上杉にある協会近くの所有地には、黒川の功績をたたえる石碑が立つ。「山上に山あり 山また山」。がん撲滅に挑み続けた黒川の座右の銘が刻まれている。(敬称略)


  1. 2015/07/21(火) 06:25:26|
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7月19日 

http://mrkun.m3.com/mrq/logincampaign/0000378404/36226/mx_login/viewDetail.htm
「医学教育の密室性を排除」◆慈恵医大Vol.2
講座制と教育を分離、実習は74単位に増加

2015年7月19日(日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 東京慈恵会医科大学が、医学教育の外部評価で高い評価を受けた一つが、「統合カリキュラム」だ。その歴史は古く1996年度にさかのぼり、同年にそれまで行っていた講座別の教育を全廃、「統合カリキュラム」を導入、学生試験の在り方も刷新した。

 その狙いについて、慈恵医大教育センター長の福島統氏は、「講座制と教育の分離であり、『私が教え、私が試験を行い、私が採点し、私が合否を決める』という教育の密室性を排除するのが目的だった」と説明する。

 1995年度までは、2年間の教養教育の後、4年間の専門教育、つまり内科学、外科学、解剖学、生理学、生化学、病理学などに関する教育を講座別に行っていた。例えば、解剖学でも、第1講座は肉眼解剖学と神経解剖学など、第2講座は組織学と発生学などをそれぞれ教え、両者の間で教育内容の調整などはしていなかった。その上、教育目標や評価も、各講座が独自に決定しており、「各科目の教育の総和が、『病気を診ずして病人を診よ』という慈恵医大のスクール・ミッション(教育目標)にはなっていなかった」(福島氏)。

 それを抜本的に変えて、導入したのが、「統合カリキュラム」だ。

 「コース・ユニット制」で責任の所在も明確に
 「統合カリキュラム」は、「コース・ユニット制」を採る。「コース」は、医学総論IからVI、総合教育、生命基礎科学、外国語IからIV、医療情報・EBM I~IV、社会医学など、大きな単位ごとに設定される。各コースの下に、「ユニット」という教育単位を設定した。例えば、1年次で学ぶ「生命基礎科学」コースには、生物学、物理学、化学のユニットを、2年次の後期の臓器別正常構造・機能を学ぶ目的の「基礎医科学II」コースには、循環器系、呼吸器系、神経系、生殖器系などのユニットを、それぞれ配置している。3年次の「臨床基礎医学」コースでは、免疫学、感染症、病理学など、基礎医学の中でも臨床に近いものを統合している(詳細は、慈恵医大のホームページを参照)。

 この「コース・ユニット制」の特徴は、教育の責任の所在が明確である点。教学委員会が、各コースの責任者をまず決め、教授会の承認を得る。コース責任者が、ユニット責任者を指名する。ユニット責任者が教育計画を立て、それを教える教員については、所属する講座以外から、場合によっては学外からも指名することができる。各ユニットの教育計画を総括する立場にあるのが、コース責任者だ。コースとユニットの責任者になれるのは、講師以上。その権限は大きいため、任期は1年、ただし再任は可能。

 慈恵医大では、コース責任者の講義・実習依頼は、業務命令としている。福島氏自身、解剖学講座の講師時代に、「運動系」のユニット責任者になったことがあった。当時の整形外科の主任教授に、「関節障害」の講義を依頼したこともあったという。

 過去問題、学生に全て公開
 さらにカリキュラムの見直しの際、評価の在り方も見直した。「試験実施者と、その結果を評価する人を分離した。この思想は、(臨床実習に入る前に各大学が実施する)共用試験につながったと考えている」(福島氏)。試験問題は、まず教育を担当した教員が作成する。それを試験委員会が確認した上で、学生に出題する。試験を実施後、正答率が低かったりするなどの問題は削除などの対応を取る。試験問題についてはデータベース化しており、出題後、作成教員名、学生の回答パターンと模範解答などを「試験問題サーバ」に蓄積し、学生に公開している。問題ある出題をした教員には問い合わせを行うこともある。

 「自分のカリキュラム、学生が作る」
 慈恵医大の実習面での特徴の一つが、「プライマリケア・選択学外臨床実習」。ユニークなのは、「学生が自分で自分のカリキュラムを作る」という点だ。

 学生は、いつでも、どんな期間でも、ユニット責任者が許可すれば実習することが可能。ただし、正規のカリキュラムがある時は実習に行くことができず、土日曜日や夏休みなどを利用する。1日単位で認定し、5日の実習を行った場合に1単位としてカウントする。

 実習先は、他の地域の中核病院や診療所、保健所、離島へき地の診療所、児童養護施設、障害者福祉施設など、極めて多岐にわたる。海外での実習も可能。「医療の場は多様。学生が、自ら学ぶ『場』を選び、学ぶ機会を提供するのが、プライマリケア・選択学外臨床実習。実習先も、学生自身に交渉してもらい、ユニット責任者が実習場所として適当と判断した場合に実習が可能になる」(福島氏)。実習後は、レポート提出を求め、単位を認定する。これとは別に、慈恵医大の姉妹校である、英国のキングス大学には、慈恵医大が補助を出して、毎年3人が実習に行く。

 臨床実習、62単位から74単位に増加
 もっとも、外部評価では、診療参加型の実習の少なさが指摘された。この点については既に2015年度から見直しを進めている。

 2014年度までの実習は、計62単位。医学部1年次は福祉体験実習、2年次は重症心身障害児療育体験実習と地域子育て支援体験実習、3年次は在宅ケア実習と高齢者医療体験実習を行い、計6単位。5年次の41週間、6年次の15週間、合計56週間(単位)が臨床実習だったが、5年次の実習は必ずしも参加型ではなかった。臨床実習は、6年間で計62単位。これ以外に、4年次で看護業務実習を実施していた。

 2015年度からは、4年次以降の在り方を見直し、臨床実習は6年間で計74単位まで増やす。4年次の1年間実施していた臨床講義を4月から6月の3カ月に短縮し、9月から「全科見学型臨床実習」(28週間)に入り、大学での教育を組み合わせながら進め、診療の現場で求められる知識・技能・態度を、実体験を踏まえながら、習得していく。基本的には本院で実施する。その後、6年次の7月まで、1診療科当たり4週間、計10診療科、40週間の参加型臨床実習を行う。実習の場は、分院のほか、関連病院まで広げる方針だ。同実習を終えた時点で、臨床能力が目標に達しているかを評価するため、卒業時OSCEを実施する。

プライマリケア・選択学外臨床実習のレポート
 (3年生が、2年生の時に実習した「児童館」に、再び行った際のレポート)
 今回の実習では、2年生の時、子育て支援体験実習でお世話になった○○児童館で実習させていただいた。個人的な目標としては大きく2つ。前回行ったときに、家庭の事情を抱えている子について、もう少し注意深く観察し、関わること、もう一つは1年半経って子どもたちがどんな変化をしているか見るということである。
 (中略)今回の私のように、一度きりではなく、長いスパンで子どもたちを見ていくというのは、その趣旨に当てはめても実りの多いものだと考えた。
 実は正規の実習期間が終わってからも、秩父への遠足の引率、秋の縁日でのお店屋さん・料理の手伝い、夏の児童館のサマーキャンプで博士に扮しての節電や科学のワークショップ開催など、様々な場面で児童館に呼んでいただき、参加していた。その中で、もちろん勉強以前の問題として、ボランティアとして仕事をしたり、次々と寄ってくる子どもたちの遊び相手をした。今回はその中で培った先生方、子どもたちとの信頼関係があったからこそ、受け入れていただいたと考えている。
 以前、先生が医学部の実習は全部「貢献実習」だということをおっしゃっていたが、最近やっと貢献しながら勉強するということは、どういうことなのか分かってきた。正に今回の実習のようなものが、貢献学習な野だと思う。レポートでは、今回の実習で出会った3つの疾患について、調べたものをまとめ考察を加えようと思う。
 まず1つ目「場面緘黙症」について。この子は去年、児童館を訪れたときに私自身気づいていなかった。(中略)実習初日に、児童館で行われる祭りの準備を一緒にしていた子が、長時間何もしゃべらずに、一人で黙々と作業をしていたことに気付いたのが、その子との出会いであった。(中略)
 2つ目に「アスペルガー症候群」について。(中略)
 最後の「パニック障害」の子について書く。(中略)
 上記のような子どもたちを通じて今回学んだことは、第一に障害を持つ子にはきめ細かいサポートが必要だということである。サポートの第一段階はその障害について知る、勉強することだと思う。(中略)
 人は人のかかわりの中で成長するものである。子どもたちと接して私が勉強させてもらったし、医学生として成長もできた。願わくば子どもたちも私とのかかわりの中で何かを感じ、楽しいだけでなく少しでも成長してくれたら良いと思う。
プライマリケア・選択学外臨床実習のレポート
 (4年生が、地域のリハビリテーション病院で4日間実習した際のレポート)
 今までチーム医療というものの重要性については講義を受けてきたものの、実際の医療機関でのチーム医療というものについて疑問を持っていました。○○病院でのシステムはまさに様々な業種がチームの医療を行っていました。○○病院は教育機関ではないことを感じました。今までの実習では教えてもらえることが当たり前でえしたが、○○病院は多忙で、私の相手をしている暇などありませんでした。
 初日は誰にも相手にされない「放置状態」で、何もできずに、見学に来たことを後悔したくらいでした。しかし、後半は自分から患者さんやスタッフの方に質問したり、患者さんと手を握り話をしたりと、とても有意義に過ごすことができました。今まで、自分が上げ膳下え膳の温室環境にいたんだということを痛感させられました。今回は医師にも、コメディカルにも両方につかせていただいて、両方の目線を体感しました。
 改めて、患者さんがよくなっていくことの喜びを感じられました。



http://www.m3.com/news/iryoishin/341241
「事故の報告対象」「報告書」に質問集中
日病医療事故調査制度シンポ、遅れる準備

2015年7月19日(日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 7月18日に都内で開催された日本病院会主催のシンポジウム「医療事故調査制度の施行に向けて~制度の理解と具体的運用~」の質疑応答では、医療事故制度の入口となる、医療事故調査・支援センターに届け出るべき医療事故の対象と、院内調査の実施報告や報告書の取りまとめについて質問が集中した(シンポジストの講演内容は、を参照)。


 名古屋大学医学部附属病院の副院長で、医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏は、「ばらつきを許した形で制度はスタートする。解釈に幅を持たせ、小さく生む制度」と述べ、医療界への信頼があってこそ成り立つ制度であるとした。それでも、フロアからは、「『私はこう考える』という発表が多かった。10月に制度がスタートするが、講師の意見も違うのではないか、と判断した。もう少しまとめることができないのか」との意見も出た。

 10月の制度開始まで2カ月強と迫っているにもかかわらず、いまだ制度への理解が深まらず、医療現場での準備が進みにくい現状が、シンポジウムから浮き彫りになった。

 シンポジウムでの主な質疑応答は、以下の通り。司会は、日病副会長の末永裕之氏が務め、長尾氏のほか、北海道大学病院医療安全管理部部長・診療教授の南須原康行氏、日病医療の安全確保推進委員会委員長の木村壮介氏の3氏が回答した(質問および回答ともに、全文ではなく、主要点を要約。類似の質問への回答は、まとめて掲載)。


◆報告対象になる医療事故の判断について
Q:患者がベッドから転落し、その後、急性硬膜下血腫で死亡した場合、「予期した死亡」と言えるか。

A(長尾氏):まず転倒転落は医療の範囲なのか、という議論がある。単なる転倒転落で患者が死亡することはあり得るが、それだけで医療に関連したとは言えない。ただ、入院時に、患者の転倒のしやすさなどをアセスメントして、それに応じた介入をする。これは医療行為。これが全く行われていない、あるいは不十分だった場合は、院長は予期していないことになるので、そのことにより死亡したのであれば、報告の対象になり得るのではないか。

Q:「予期しない」の予期の時期はいつか。当該医療行為の開始前になるのか。

A(長尾氏):患者の死亡直後で、主治医団は、「これは予期していなかった」と思い、遺族に説明していなかったが、よく考えると、予期される最悪の合併症だったということがある。診療録を見てみると、「1%の確率で死亡するかもしれない」などと書いてあったりする。(医療事事故調査・支援センターに報告するか否かを判断する院内の)合議体で資料として出し、議論する。それでも1回調査すべきとなれば、報告対象になる。あるいは「主治医団が予期していなくても、医学的には予期されることであり、冷静に考えると説明が付く」となれば、報告はしない。
 二つの事例を紹介する。いずれも合議体開催し、院長が判断した。一つは、血管外科で大動脈の処置中に、出血が止まらなくなった事例。そのまま「テーブルデス」に近い形で患者は死亡した。主治医団は、予期していなかったという。痛恨の思いがあったのだろう。遺族も予期はしていなかった。ただし、合議体で議論し、医学的にはあり得ることになったが、処置から死亡まであまりにも短いので、手技的に問題はなかったのかなどを検証するために調査を実施した。
 もう一つは、呼吸器外科で、気管支をつなぐ処置をした事例。1週間後に、出血を来して、そのまま死亡した。主治医団は予期できたと言っていた。説明文書を見たら、かなりの頻度で、こうしたことが起こり得ると書いてあった。事前に説明もしてあり、遺族側にも疑義がなかったということで、予期し得たということで、調査はしなかった。

A(木村氏):モデル事業においては、手術から合併症等の発症まで1週間以内が約8割、死亡までは1カ月以内が約9割。日病の会員アンケート(2014年10月)では、「合併症であっても、経過等から事故扱いとする選択も必要」との回答が73.5%だった。いくら合併症について説明していても、通常より早い時期に死亡した場合は、事故と考えて調査に踏み切っているのが現状なので、「期間」も重要。

Q:説明同意書の記載内容は、全て予期できる内容と言っていいのか。

A(南須原氏):結果的には、書いていればいいことになるが、単に書けばいいわけではなく、患者側に説明し、納得できる時間も必要。

A(長尾氏):胃カメラをやっていて、顎が外れた事故がある。その時の患者への説明文書には書いていなかったが、教科書には書いてある。この事故を踏まえ、名大病院では、インフォームド・コンセント委員会で、説明文書に顎が外れることを追記する作業を実施した。病院として押さえなければならない説明内容について、説明文書のひな型を見直す必要がある。名大病院にはインフォームド・コンセントに関する文書があり、今年4月からその確認を進めている。

Q:原因が明らかな医療過誤、例えば麻酔薬の10倍投与は報告すべき医療事故になるのか。「説明文書に死亡率0.01%などと書くのはダメ」とされるが、どのような記録になっていればいいのか。

A(南須原氏): 10倍投与は報告対象だろう。また手術の際、死亡率の書き方は難しいが、想定された死亡原因があり、説明文書に書いてあり、それが原因で死亡した場合には予期されたと言っていいのではないか。ただ、(死亡原因も書かずに)漠然と「死亡率0.01%」と書く場合は、予期されたと言いにくいのではないか。

A(長尾氏):本来なら具体的な説明があればいいが、(患者への)説明文書に書かれており、渡されていれば、最低限の説明責任は果たしていて、医学的に予期されていたことなのだろうと解釈している。
 もっとも、説明文書に書かれていても、調査しなければいけない事例もある。例えば、甲状腺の術後に、出血が止まらなくなり、気道狭窄で死亡した。これは何度も起きている事例。事前に説明もしているが、また起きたことは、今の改善案では完全に再発防止できないことになるので、この辺りを検証しないと、「対社会的にも、対患者的にも説明ができない」という判断になる。それで調査を行った。

Q:(誤薬など頻発する類型のエラーなどは)過誤過失であっても報告しなくていいという解釈には、現場では違和感を覚える。

A(南須原氏):法律には、過失という言葉はなく、過失の有無は報告とは関係がない。過失があったら、報告しなくていいとはならない。

A(長尾氏):過誤か過失かは、事故直後には分からない。調べてみて、明らかになる事実は多々ある。過量投与によって死亡していた場合、その過量投与については、予期していなかったことになるだろう。合意体を開催して、検証して、院長が再発防止すべきと判断したら報告対象になり、調査委員会が立ち上がる。

Q:管理者が報告しなくていいと判断しても、遺族が納得しなかった場合の対応は。

A(南須原氏):報告するか否かの判断には、遺族の希望は入らないが、現実にはそうはいかないかもしれない。やはり遺族と話し合った上で、それでも毅然として報告しない、あるいは報告して第三者の判断を仰ぐという考えはあると思う。

A(長尾氏):遺族の疑義が、最後まで拭えない場合はあり得る。院内の合議体で、当事者の意見を聞いて、病院で判断した内容が妥当となる場合もあれば、遺族と主治医団の説明が違い、白紙に戻して議論し、その結果、報告する場合もあり得る。

◆院内調査の進め方について
Q:院内事故調査会について、当事者が医師の場合も委員に入れないのか。

A(木村氏):執刀医は、事故の調査委員会には入らない方がいい。他の委員への影響もある上、本人がストレスを感じながら加わることは問題。ただし、本人へのヒアリングと、報告書をまとめた時点で一度確認してもらうことは必要。

A(長尾氏):悩ましいのは、院長や安全管理者が当事者だった場合。調査委員会のメンバーとして入るのは、適切ではないと思うので、事前に誰を代行にするかなど、事前にシミュレーションをしておくことが必要。

Q:院長が、院内事故調査委員会に入るのは不適切という理由が分からない。委員長になるのは不適切と思うが、委員であれば問題はないのではないか。第三者が委員会に入れば、中立性は保たれるのではないか。

A(長尾氏): 事故直後に、報告対象か否かを検討する合議体には、院長は入る。ここは決定機関であり、検証機関ではない。その上で、調査を行う場合、法律上は禁止していないが、第三者性を保った調査の在り方を考える場合、委員会には院長は入らない方がいい。院長は、調査の結果を受ける側。つまり調査委員会は、院長と遺族という二者に対して、報告書をまとめると言う体制を作りたい。結果を待つ側の人が、報告書の作成過程に入ったり、報告書を書いたりするのは、やはり理解が得られにくいのではないか。もっとも、考え方やリソースの違いもあり、院長が入らざるを得ない場合もある。

Q:職員が証言拒否をした場合に、どのように対応すればいいか。

A(長尾氏):どのくらい権利で守られているか、私も分からないが、突き詰めれば、黙秘権はあるだろう。ただ、この制度は、事実を共有して、原因を探る、再発防止につなげることが目的。当事者たちが証言しないことは前提とはなっていない。当事者の黙秘の下で行われる調査が、成立するのかということだ。
 例えば、(プロポフォール投与事故の)東京女子医科大学の調査に関わったが、確かにヒアリングの過程で、「それは覚えていない」「記憶にない」「答えられない」と回答した人もいた(『「死因は禁忌薬の使用」、女子医大第三者委』を参照)。それに対して、調査委員長は厳しい感触を持った。調査の意図を理解できていないのではないか、ということになった。
 これは長く残る課題だが、(自身が主導した調査で)少なくとも私自身は、当事者に「言いたくはない」と言われたことがない。当事者にとっても調査する意義があるのであり、調査の目的と意義の共有が甘いと、証言拒否ということになるのではないか。

Q:報告書が、裁判の証拠に使われる可能性があれば、聴取の前に当事者に伝えなければいけない。それをやると、きちんとした情報が出ない可能性がある。

A(長尾氏):名大病院の場合には、規約で、報告書をそのまま遺族に渡すことが前提になっている。各医療者へのヒアリング内容そのものは、内部資料なので、外に出ることはない。このことを理解して調査への協力を得ている。(個別のヒアリングではなく)調査委員会の場での発言を希望する人もいる。この場合も議事には残るが、外部に出ることはないという前提でやる。
 遺族が報告書をどう利用するかについては、任せるしかない。私たちはそれを前提に報告書を作成するので、決して個人の非を書き連ねる報告書にはしない。個人であってもチームの一員として医療をやっているのであり、その前提で事故の背景にある要因を探る。
 病院の管理者は、報告書を基に、遺族に謝罪、賠償するのか、あるいはやむを得ない事故だったかなどを判断して、説明する。そのことが適切に行われていれば、患者側が事実が分からないなどとし、弁護士に相談する頻度は減るだろう。恣意的ではなく、事実を丁寧に書き起こした報告書であれば、どこに出されてもやむを得ない。一方、事実経緯が曖昧で、分析もあまりせず、何が言いたいのかが分からない報告書であれば、恐らく遺族の怒りを買い、裁判になるのだろう。どんな報告書を作成するかにかかっている。

A(南須原氏):北大も同じ。内部資料は公表しないが、調査は外部委員を入れて行い、報告書は裁判などに使われることを前提で書く。事実は事実としてしっかり書く。裁判になるかどうかは、報告書の有無にかかわらないのではないか。 分析の結果、病院の非を明らかに認めた報告書であれば、説明した時点で遺族は納得し、損賠賠償になる。報告書が訴訟に使われることは、一定の確率で起きると思うが、長尾先生と同様に、正直に出すことでトラブルを回避する可能性が高いと考えている。

Q:報告書の書き方について。モデル事業では、断言的ではない書き方をしていた。

A(木村氏):モデル事業では、報告書の作成段階では、法律家にも入ってもらって、表現に留意し、個人の責任追及ではなく、根本的な原因は何かを書くようにした。モデル事業の234事例中、民事訴訟になったのは6事例。直近の102例では、遺族が報告書を理解したのは約9割だが、残りが裁判になったわけではない。報告書を渡し、納得しないから裁判になるわけではなく、裁判になる要因はいろいろある。
 なお、モデル事業では、報告書の責任は委員会にあり、個々の委員ではない。関わった委員個人に責任が及ぶことがないようにすることが大事。(報告書についての説明を終えた後、裁判などで)委員個人に報告書についての説明を求められても、対応はしていなかった。報告書が全てであり最終的なもの。

◆医師法21条について
Q:異状死体の警察への届出が一番頭を悩ませること。医療事故調査・支援センターに報告すれば、警察に届出なくてもいいという話になるのか。

A(木村氏):(医療事故調査制度は)医師法21条とは全く別なところで議論されたので、(異状死体の届出は)そのまま残っている。異状死体と判断した場合には、届出なければいけないが、医療側がきちと調査をしているのであれば、現実には司法が出てこないという状態になっている。この制度がきちんと施行されて、社会に認められれば、さらにそうした可能性は高くなっていくだろう。
 また(医療事故調査制度を定めた改正医療法の施行から)2年後の見直しでは、21条についても検討することになっている。自民党のワーキング・グループの主なテーマになっているのではないか。

A(長尾氏):外表異状説は正確な解釈ではない。外表に異状がない過失等が起きた時に、警察に届け出なくていいのかについて、司法の専門家に聞いたところ、過去に裁判例がないという。「もし届出でいなかったら、今の法体系では、ペナルティが下るだろうというのが大方の司法家の見方だ」と言われた。もっとも、最近の愛知県の事情では、警察に届け出ても、電話で「事件性がない。検証するなら、その結果を教えてほしい。それを待つ」などのやり取りをする。検証の場がシフトしつつあるのではないか。警察が入ってくるのが好ましくないと考えるならば、この制度のアウトカムが重要になってくるだろう。

末永氏:これは、微妙な問題。(2012年10月に厚生労働省医政局医事課長による、同省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」における発言で)外表異状説が出たおかげで、多くの病院長はほっとしているのが現状ではないか。ただ、これで(外表に異状ななければ)全ての症例を届け出なくていい、ということにはならないという判断でいいのか。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03134_05
模擬「地域医療構想調整会議」開催
週刊医学界新聞  第3134号 2015年07月20日

池田琢哉氏 2015年5月24日,鹿児島県医師会館(鹿児島市)において,模擬「地域医療構想調整会議」が行われた(弊社発行雑誌『病院』主催)。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて,あるべき医療提供体制を実現するための地域医療構想の策定が,各地域でまさに進行中である。2015年3月に厚労省が発表した「地域医療構想策定ガイドライン」の中で,地域医療構想調整会議(協議の場)を設けることが求められているが,これをどのように行うべきか,対応に苦慮する関係者も多いことが予想される。
 そこで,この会議の実際を具体的にイメージすることを狙いとして,模擬調整会議の試みが行われた。モデル地区として鹿児島県姶良・伊佐地区を取り上げ,司会の池田琢哉氏(鹿児島県医師会会長)をはじめ郡市医師会会長,病院代表,県担当者などの関係者が協議。各担当者がそれぞれどのような役割を担うべきかが示された。また学識経験者として厚労省「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」委員である松田晋哉氏(産業医大公衆衛生学)が医療提供体制の現状に関するデータ分析を行い,地域の諸課題を指摘した。

*この模擬調整会議の全文は,『病院』74巻8号(2015年8月号・特集「地域医療構想策定ガイドラインをどう読み解くか」)に掲載される。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03134_02
【寄稿】
“世界標準”の研究倫理教育を研究者に

週刊医学界新聞  第3134号 2015年07月20日

市川 家國(信州大学特任教授・倫理学・小児科学・内科学/CITI Japanプロジェクト副事業統括)

 近年,日本での研究上の不正問題が明るみに出るようになった。言うまでもなく,研究の不正がもたらす損害は大きい。不正によって確立してしまった研究結果が覆るまでにも,多額の研究資金,何人もの研究者の時間が費やされてしまうのだ。こうした不正行為の取り締まりのために,米国ではいち早く監視機関を設置している。ただ,“取り締まり”による効果も限定的だ。より強固な土台を作るためには,全ての研究者が倫理的認識を共有し,一人ひとりが科学を支える一員として,互いの研究行為を評価・批判する責任感を持つ必要がある。

 文科省は2014年8月,「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」1)を発表した。その中で,大学の各研究機関の部局ごとに「研究倫理教育責任者」を設置し,組織を挙げた定期的な研究倫理教育を義務付けている。研究者も倫理教育を受けるべきという機運が生まれている今こそ,こうした仕組みを構築する大事なタイミングであろう。ただ,これまでの日本では,研究者の行動規範に関する教育カリキュラムや,研究者の育成過程で体系的に学ぶ機会を組織的に設ける研究機関・施設は限られていた。全ての組織で一定のレベルに達した教育をすぐに開始するというのは,おそらく容易でない。

 2012年より,文科省大学間連携共同教育推進事業「研究者育成の為の行動規範教育の標準化と教育システムの全国展開」(CITI Japanプロジェクト)が進んでおり2),同事業では米国の倫理教育で広く使用されているe-ラーニング教材「CITI Program」を日本版にアレンジした教材の導入が掲げられてきた。本稿では,「CITI Program」を紹介するとともに,今,なぜ同プログラムが有用であるかについて述べたい。

上質・効率的な倫理学習ツールとしてのCITI Program

 米国国立衛生研究所・米国国立科学財団は,大学院生や若手研究者に対しては研究者の行動規範教育を,さらに臨床研究(人を対象とした研究)を行う者には被験者(実験参加者)保護教育を義務付けている。こうした事実からも,米国では研究者の倫理教育の重要性が認知されていることが垣間見えよう。

 上質で効率的な倫理学習の機会をいかに臨床研究者に提供するかは,長らく米国においても課題である。この課題に挑むべく,2000年4月,ボストン小児病院といった施設を含む10の大学病院などから集まったボランティアにより結成されたのが,Collaborative Institutional Training Initiative (CITI)であった。このCITIが手掛けたのが,行動規範教育のカリキュラム構築,そしてe-ラーニング教材の作成と配信だ。ネットを通じて学習するシステムを用いて,研究者に必要な倫理教育を開始したのである。CITIの教材は,「各施設に専門家の講師を設ける必要がなく,質が一定に保てる」「時間や場所を選ばない」といった簡便さが歓迎され,世に広く受け入れられることとなった。今や利用者数は世界で700万人を超え,米国内では政府機関・大学病院を含む大多数の施設で採用されるに至っている。

 現在,日本に合う形でCITI教材を構築・普及させようと動いているのが,先述の「CITI Japanプロジェクト」で,私も携わっている。かつて米国で「CITI Program」の教材づくりのプロジェクトにかかわっていた経験を持ち,私自身,CITIの教材で倫理教育を受けて感銘を受けた研究者の一人であるという背景が,その理由にあたる。

 過去の話だ。私が非常勤の研究者として所属していたヴァンダービルト大は,全米でも最初に教育学部を発足させた施設であった。教育に注力してきた歴史的経緯もあるのか,同大ではいち早くCITIの教材を導入し,私も早々に学習させられることになった。“させられる”としたのは,当時,「ただでさえ時間に追われている研究者から,なぜさらに貴重な時間を奪うようなことをするのか」という不満もあったからだ。が,実際に教材を30分ほどで学習した後,クイズ形式の設問を解くという過程をたどると,少し賢くなっている自分に気付いた。その内容は,研究者の身につけておくべき知識,倫理観だったのである。当初の不満は,「こうした教育は全ての研究者が受けるべきだ」という確信に塗り替えられていた。見事,感服させられた私は教材の作者にお礼を述べたいと思い,電話を手に取った。その電話口で作者に根掘り葉掘り話を聞いたことがCITIの教材づくりにリクルートされるきっかけとなったようで,現在の活動にまでつながっているというわけだ。

国を越えた活動が必要だからこそ,世界標準の教材を

 さて,話を戻そう。なぜ倫理教育を通し,研究者が行動規範を身につけるべきかは冒頭で述べたとおりだ。では,なぜCITI教材が薦められるか,である。それは研究者の行動規範もまた,世界標準を満たす必要があるからだと言えよう。研究者は国境を越えた活動が必要になる。いち研究者の行動規範は,共同研究や就職,留学といった場面で求められるだろうし,または自身の研究成果を論文にまとめ,世に問うときにだって求められる。一流の生命科学系の学術誌に投稿する場合,各共著者の利益相反や論文作成における役割を記載する。臨床研究となれば倫理審査委員会での承認の有無を問われ,動物実験の場合にはどのような倫理規範に準拠したかも尋ねられる。こうした世界で一般的となっている行動規範を学んでおく必要が研究者にはあり,その点では世界で広く使われているCITIが有用であると考えられるのである。

 中には,「必ずしも米国で使われている教材が,日本にも適切であるとは限らない」という声もあるだろう。その指摘は正しい。確かにCITI教材は,個人情報の取り扱いをはじめ,米国特有の事情に沿った内容が充実している。したがって,CITI導入に際しては,世界標準のレベルを保ちながらも,教材内の個々の項目・内容は,国の文化・状況を踏まえて濃淡をつけ直す必要がある。つまり,CITIの骨組みに日本の法律や文化,思想に沿った肉付けを行う,「日本化」が求められるのである(実はここにCITIそのものを使う以上の利用価値があって,研究者と倫理の専門家を交えて日本に合う教材を作っていく過程で,日本全体の研究倫理リテラシーの底上げも図られるだろうという期待もあるのだが)。無論,世界標準の質を担保するために,CITI側の査読を設ける必要はあり,事実,CITI Japanも査読を受けた上で教材化している。

「特定不正行為」をはじめ,具体的なケースを交えて解説

 ここでCITI Japanの教材の中身について少し紹介したい。まず,われわれがつくる教材の特徴は下記のとおりだ。

 ● グローバルな見地に立つ教材
 ● 研究機関の大小や地域性に左右されないアクセスの良さ
 ● 全国的な意見集約の産物
 ● 若手から熟練研究者を対象
 ● 幅広い課題をカバー
 ● 外国人留学生・研究者も対象
 ● 習熟を担保するシステム

 具体的な内容としては,例えば「人を対象とした研究:基礎編」という領域であれば,生命倫理学の歴史と原則,研究における個人にかかわる情報の取り扱いなどの13単元がある,という具合だ。

 また,「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」で「特定不正行為」と定義された,捏造・改ざん・他者の研究成果等の盗用(Fabrication,Falsification,Plagiarism;FFP)であれば,具体例や発生する背景,規制などについて解説している。もちろん,昨今の論文不正問題によって着目されるようになったテーマだけではない。科学の進歩に反する行為はFFP以外にもあり,それが「不適切な行為」(Questionable Research Practice;QRP)と言われるものだろう。極めて手ぬるい査読のみの商業誌に発表した自身のデータを根拠に,製薬企業の広告塔の役割を果たすこと。自分の学説に不利なデータを破棄することや,他の研究者が再現実験をする上で必要な情報や材料を提供しないこと――。以上のように,ケースが多岐にわたる「不適切な行為」というテーマも取り扱っている。なお,いずれも1単元につき30分前後で学習し,設問に答え,一定の正解率に達することで「修了」となる。ウェブサイト上に教材の一覧や2),過去にアップしたCITIの教材もあるので参考にされたい3)。



 研究倫理学習の義務化を受け,現在,日本の教育・研究機関でのCITIの利用者は増えており,また,同関係者からも注目されるようになったことを感じている。小規模分散型であり,また倫理教育を担える教育者のリソースが少ない日本の教育・研究機関では,e-ラーニングという教育手段が適しているということなのかもしれない。

 研究倫理教育で扱うべき内容は広範にわたるものであり,科学が進歩する限りは新たな倫理問題も生じ得る。研究倫理教育に求められる内容は質を担保しつつも,アップデートし続けていかねばならないのだ。こうした中で,いかに上質で効率のよい倫理学習の機会を研究者たちに提供するかは,常に検討されるべきことだろう。米国の発達した倫理教育方法の技術を利用しながらも,日本に合った教育内容を検討し,提供していきたいと考えている。

◆参考文献・URL
1)文科省.「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の決定について.2014.
2)CITI Japanプロジェクトウェブサイト.
3)CITI Japanプログラムウェブサイト.


いちかわ・いえくに氏
1972年慶大医学部卒。北里大病院小児科を経て,75年に渡米。カリフォルニア大内科学研究員,ハーバード大小児科学准教授,ヴァンダービルト大小児科学・内科学・生命倫理学教授などを経て,98年に東海大小児科学・生命倫理学教授。2012年より現職。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03134_06
クロストーク 日英地域医療
■第8回 住民本位の地域医療を促進する取り組み

週刊医学界新聞   第3134号 2015年07月20日

川越正平(あおぞら診療所院長/理事長)
澤 憲明(英国・スチュアートロード診療所General Practitioner)
企画協力:労働政策研究・研修機構 堀田聰子

(前回からつづく)

日本在宅医と英国家庭医──異なる国,異なるかたちで地域の医療に身を投じる2人。現場視点で互いの国の医療を見つめ直し,“地域に根差す医療の在り方”を,対話[クロストーク]で浮き彫りにしていきます。

川越 前回(3129号)では,GPと地域の多職種との連携について話を伺いました。医療の質向上に向けた取り組みを考えたとき,英国では地域住民の役割も大きな意味を持つようです。今回はこの点について伺います。

診療所の医療サービスを住民と議論する

澤 近年の英国では,住民参加型の医療サービスが重視されています。それを実現させる1つの手段としてNHSが定めたのが,診療所スタッフと登録住民とで議論を行う「Patient Participation Group Meeting(PPGM)」の実施です。各診療所は,PPGMを通して地域住民のニーズを把握し,提供するサービスに反映させていく。いわば,住民から診療所へと“ボトムアップ”でよりよい医療を構築することが目指されているわけです。

川越 地域の診療所と住民とが膝を突き合わせて話し合う場があるのですか。そうした機会はどのぐらいの頻度で設けられ,どのようなテーマについて話し合われているのでしょう。

澤 3か月に1回のペースで,平日午後の外来を終えた夕方に約1時間開催しています。テーマは毎回変わりますが,基本的に「診療所の登録住民からの要望」によって決められたものです。

 私の診療所の例を出すと,過去,外来診療時間の延長を登録住民の方々と話し合ったことがあります。以前は平日午前8時-午後6時半のみが外来の受付時間だったのですが,住民からの「Extended hours(追加の診療時間)」を求める声が上がったのですね。ちょうどそのとき,「診療時間を延ばすと診療所に追加報酬が入る」という政策上のサポートもあって,住民との話し合いの末,土曜日の午前中にも外来を受け付けるように変更しました。

川越 診療所の提供するサービスのスタイルが登録住民のニーズによって変わるとなれば,同地域でも診療所ごとに違いが生まれそうです。

澤 そうなんです。実はExtended hoursの議論が行われた際,同地域の他の診療所が採用していた「平日の外来診療時間を午後8時までに変更する」という案も考えられました。しかし,私たちの診療所に通う住民の間ではそのニーズが低く,結果的に週末に新たな時間を設けたという経緯があります。こうした例はいくつもあり,同じ地域の診療所であっても,提供するサービスのありようは登録住民のニーズによって変わっていく仕組みです。

川越 その話し合いの場にはGPが立ち会うこともあるのですか。

澤 はい。診療所開業の責任者の立場であるGP(「GP Partner」と呼ばれる)は必ず参加し,医学的な質問はもちろん,責任者として診療所マネジメント全般に関する質問などに応じます。GP以外に参加するのは,「Practice Manager」という立場のスタッフと事務スタッフです。Practice Managerは診療所の経営や運営に詳しいアドバイザーで,その種の質問や議論においてGPをサポートします。一方の事務スタッフは,受付などの事務作業にかかわるような住民の声に応えたり,議事録を作成したりしています。

川越 澤先生の診療所の登録住民は約8500人というお話を第1回(第3100号)で伺いましたが,実際に話し合いに出席する住民数はどのぐらいですか。

澤 参加する住民は10-20人ほどですね。地域のニーズがきちんと反映されるよう,参加者のバランスには注意しているところです。また,こうした場以外にも,「GP Patient Survey」という登録住民アンケートを年に1回行い,患者・家族からの要望やフィードバックも常時受け入れるなどの取り組みも行っています。

川越 なるほど。「地域住民との対話を通し,地域の医療の在り方を考えていく」。この部分だけを取り出して考えると,岩手県一関市にある一関市国保藤沢病院の実践が思い起こされます。同院では,公民館などの地域の現場に出て住民との議論の場を持ったり,研修医の研修成果報告会には住民にも参加してもらったりといった取り組みを行っています1)。澤先生のおっしゃる「住民本位」の取り組みと通底するものが,日本の先行事例にもあるのではないかと感じますね。

地域医療政策を担う組織に住民代表が参加

澤 また,イングランドでは“ボトムアップ型”の政策をさらに推進するべく,2013年4月から新たな取り組みも試みられています。イングランド内の診療所は,必ず「Clinical Commissioning Group(CCG)」と呼ばれる組織の傘下に入ることになったんです。

 CCGは,地域に合う医療サービスを検討し,適切な医療機関に委託する組織です。一次医療の診療所を管轄するほか,病院,専門医療などの二次医療,メンタルヘルス,訪問看護などのコミュニティサービス,リハビリなどのヘルスケアに関して,政策決定や予算配分の調整を行う「地域医療マネジャー」の役割を担っています(註1)2)。

川越 以前,似た機能を持つ「Primary Care Trust(PCT)」という組織を聞いたことがあるのですが。

澤 CCGは,PCTの後継に当たる組織と言えます。PCT時代は,多額の資金が注ぎ込まれていたにもかかわらず,地域のニーズに合わないトップダウンの政策決定を繰り返していたという批判がありました。それで組織改編されたCCGには,地域の医療ニーズを最も的確に把握するGPを運営委員会メンバーに配置し,GPに責任と権限を与えることで,地域医療サービスの質と効率をさらに高めようと設計されています2)。

川越 地域の医療ニーズはGPこそが把握している,と。

澤 その上で,委員会には数人の一般住民代表も入っていて,他の運営委員であるGPや病院医師,看護師と同じテーブルに座り,地域の医療政策に関する議論を行っているんです。数か月ごとに開催されるこの会議は,誰でも傍聴可能で,透明性が担保されたものになっています(註2)。

医療提供体制と国民の意識の違い

川越 PPGMとCCGについては,個々の取り組みに学ぶ点はある一方,それらの実践を支える制度の成り立ちにあらためて大きな違いを感じました。NHSという“ナショナルサービス”として医療が行われているからこそ,実践できるようにも感じるのです。

 日本も公的医療機関や公に準じる医療機関は存在するのですが,私的医療機関のほうが圧倒的に多数を占めます。各医療機関も地域の実情を踏まえて方針を決めるとは思いますが,どのような医療を展開するかを最終的に決断するのは,多くの場合,組織の責任ある立場の方でしょう。決定プロセスに地域住民が参加するという形は,公的医療機関の一部や生協などの住民組織立の医療機関に限られると思います。

澤 公的な色合いが強い英国と,日本の事情は大きく異なるわけですね。

川越 また,お話を伺って感じたのは,そもそも国民一人ひとりの医療に対する意識そのものが大きく異なるのではないか,ということです。日本の多くの国民にとって,医療機関は「疾病・けがが生じたときに受診する場所」でしょう。もし日本で地域住民が主体的に医療機関に対し,地域で果たすべき役割についてまで議論するとなれば,それは「先進的な取り組み」と語られると思うのです。

 英国では「シティズンシップ教育」3)が推進されていると聞きますが,こうした取り組みが「医療を含め,社会は国民が形作る」という意識や考え方を養うように意図され,浸透しているのだとしたら,日本が一朝一夕に真似できるようなものではなさそうです。

澤 確かに,英国では「医療は私たちのもの」といった公共精神が強いと感じます。OECD Health Statistics 2014を見ると,総医療費に占める公的支出の割合は英国84%,日本82%と両国共に高水準ですが4),その一方で国民の認識という点では大きな異なりがあるのかもしれないということですね。

川越 そうした意識の違いを踏まえても英国の実践をそのまま輸入するのは難しい。取り組みからはエッセンスを取り出し,日本に合う形に落とし込む必要があるのでしょう。

(つづく)

註1:1つのCCG当たり,平均約25万人の住民を担当する。澤氏の地域のCCGは約35万人の住民を担当し,約40の診療所を管轄。なお,CCGは本文に挙げた機能以外にも「処方薬剤の外部監査機能」を持つなど,地域の医療サービスを管理する機関として幅広い役割を持つ。
註2:CCG運営委員会に加わるGPは,地域のGPで立候補した者から,GP間の投票により選出される。また,CCGとGPの利益相反を管理するために,澤氏の地域では,住民代表,病院医師・看護師,Cheif Finance Officer,Accountable Officerなど,GP以外からなる別の委員会がCCG内に設置されている。

◆参考文献・URL
1)佐藤元美.住民との対話でつくる地域医療.週刊医学界新聞第3021号(2013年4月1日).
2)NHS.Clinical commissioning group governing body members:Role outlines, attributes and skills.
 http://www.england.nhs.uk/wp-content/uploads/2012/04/ccg-mem-roles.pdf
3)経産省.シティズンシップ教育と経済社会での人々の活躍についての研究会報告書.2006.
 http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2012/10/hokokusho.pdf
4)OECD Health Statistics 2014.


  1. 2015/07/20(月) 06:48:35|
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7月18日 

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20150718_2
被災地医療、志半ば逝く 県立高田病院前副院長
(2015/07/18) 岩手日報


 東日本大震災時に妻の行方が分からないまま、不眠不休で患者や被災者の診療を続けた県立高田病院の前副院長、佐藤敏通さん(61)が亡くなった。「医師として人の力になりたい」。本県の地域医療に力を尽くし、震災後は大切な存在を失った悲しみや、被災地を離れた自責の念と闘いながら、県外で患者と向き合い続けた。最期まで使命感と信念を貫き、医師としての人生を生き抜いた。

 佐藤さんは震災時、高田病院4階の病室にいた。流れ込んだ濁流に巻き込まれながら、助け出した患者と屋上に避難。当時院長だった石木幹人さん(68)=同病院名誉院長=らと目の前の命を救うことに力を注いだ。

 石木さんは「佐藤先生が水に漬かりながら手動で人工呼吸を続けた。そのおかげで助かった命があった」と振り返る。

 長男で東京都中野区のフォトジャーナリスト慧(けい)さん(32)は「父は本当に多くの人に支えられ、救われた。感謝しかありません」と語り、父敏通さんにこう言葉を贈った。「最期まで医師であり続け、常に人のことを案じていた父を誇らしく思う」



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46243.html
神奈川県、県立汐見台病院を康心会に移譲へ- 8月に基本協定を締結
2015年07月18日 15時00分 キャリアブレイン

 神奈川県は17日、県立汐見台病院(横浜市磯子区、225床)について、湘南東部総合病院などを運営する医療法人社団康心会に譲渡することを決めたと発表した。8月に移譲先との基本協定を締結し、来年4月から康心会による運営を始める予定。【新井哉】

 1979年に県立病院として発足した同病院は、県の医師会に運営が委託されており、2017年度末まで医師会が指定管理者となっている。ただ、高度な医療機能を持たず、県側が指定管理者の医師会に年間約7億3000万円の政策医療交付金を出していることなどに批判が出ていた。

 こうした状況を受け、県は同病院を移譲することを決め、今年4月に移譲先の事業者の募集を開始。現在の病床数や診療科の維持に加え、在宅療養患者の入院の受け入れに協力することなどを移譲の条件に挙げていた。

 応募のあった4事業者の提案について、選定委員会が審査を行い、「県内の複数の医療系大学とつながりがあり、医師・看護師の確保が確実に見込める」などの理由で康心会を候補者に選定。この結果を踏まえ、県は「移譲後も移譲の条件が確実に実施できる」として康心会を移譲先に決めたという。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015071802000251.html
子ども4%に禁忌鎮静剤 集中治療で人工呼吸中
2015年7月18日 夕刊 東京新聞

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 小児集中治療室(PICU)を持つ国内二十三の医療機関で二〇一三年に人工呼吸器を付けて治療を受けた子どもの4%超に当たる約百九十人に対し、禁忌とされる鎮静剤プロポフォールが投与されていたことが、厚生労働省研究班の調査で分かった。
 プロポフォールは添付文書の禁忌事項で、集中治療下で人工呼吸中の子どもへの使用禁止が明示されている。ただ、実際には医師の判断で使うこともあり、昨年二月、東京女子医大病院で投与された二歳男児が死亡する事故が発生。事態を重く見た研究班が同十二月、PICUのある全国二十九施設の一三年のプロポフォール使用状況を調べた。
 有効回答があった二十三施設で、PICUに入室し人工呼吸器が必要だった十六歳未満の子どもは計四千二百八十三人。うち七施設で計百八十九人にプロポフォールを使用していた。この中の三施設では計八人に対し、海外の文献などに基づき医師の間で使用の目安とされ、重い副作用を招く恐れがある四十八時間を超えて使用。うち七人への使用は七十二時間を超え、一人は一週間以上だった。
 投与理由は「手術中に使用していたので継続した」「他の薬剤による副作用のため」「他の薬剤の効果が薄れてきたため」が目立った。
 研究代表者で日本集中治療医学会の氏家良人(うじけよしひと)理事長は「使用は限定的だと確認された」とする一方、「医師は禁忌であることを再認識し保護者への説明を尽くし同意を得ることを原則としなければならない」と指摘。報告書に(1)複数の医師やスタッフによる使用可否の判断(2)投与時間は四十八時間以内(3)心電図や血圧、肝機能の測定など経過観察-を徹底するよう明記した。
 研究班は「今回は、女子医大病院の問題発覚前の一三年が対象期間だったが現在はさらに使用が減っている可能性がある」としている。
<プロポフォール> 手術時の全身麻酔や術後管理時の鎮静に使われる。効果が出るのが速く、投与をやめるとすぐに目が覚める特長があるとされる。海外で子どもの死亡例が報告されたのを受け、添付文書では集中治療室で人工呼吸器を付けた子どもへの投与を禁忌としている。まれに起きる循環不全などの特有の重い副作用症状は「プロポフォール注入症候群」と呼ばれる。発症のメカニズムはよく解明されていないが、長期、大量の投与はリスクが高いとされる。



http://www.m3.com/news/general/341057?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150718&dcf_doctor=true&mc.l=112731418
浜への愛 生き続ける
 へき地医療18年 富永忠弘(1927~2013)

2015年7月18日(土)配信 読売新聞


 石巻市・牡鹿半島の寄磯浜。人口約350人の小さな漁村には、今も読み継がれている冊子がある。「一病息災 浜でも里でも」。寄磯診療所の所長だった富永忠弘が、旧牡鹿町の広報に寄せたコラム集だ。

 「一家に1冊。気になることがあれば、パラパラめくるんだ」。漁師で地元区長の渡辺洋悦(63)は語る。

 「歩け歩けの生活習慣を」「水分はたくさんとろう」。冊子には、当たり前の病気の予防法が並ぶ。だがそれは、富永が医者人生最後の18年で、医療過疎地の人びとに伝えたいことだった。

 東北大病院で内科医として勤務し、同大教授や仙台オープン病院の院長を務めた富永は67歳だった1995年、医師の募集に応じて診療所にやって来た。「そんな偉い先生が何で寄磯にって、みんな驚いた」と渡辺は振り返る。

 富永は直前に膀胱ぼうこうがんが見つかり、余命1年と宣告されていた。妻の洋子(82)は「絶対にやめてください」と懇願したが、「へき地医療は若い頃からの夢」と曲げなかった。石巻の開業医の家に生まれ、都市部の大病院に勤めるなか、医療格差の現実を思い知らされていったという。

 日曜の夕方、仙台市の自宅から車で寄磯に向かう。自炊しながら木曜の昼まで診療し、仙台に戻る。寄磯では畑を耕し、野菜を患者らに配った。がんは手術し、再発することはなかった。

 「薬や注射に頼り過ぎちゃダメだよ」。看護師として支えた佐々木美智子(58)は、口癖のように患者を諭していた富永の声が印象深い。「運動や食生活の改善で健康に暮らせるようにすることが、医療のあるべき姿だと先生は考えていた」と話す。

 渡辺の母・あい子(83)も富永の教えを聞いた1人だ。高血圧で診療所に通った。「体を動かすことが秘訣ひけつ」と言われ、なるべく歩くようにすると、血圧が下がった。「先生のおかげだべな」

 震災で海沿いの診療所は跡形もなく流された。80歳を超えていた富永は、仙台の自宅で「寄磯が心配だ」と何度も口にした。周囲の反対をよそに、診療所の跡地を訪れたのは約1か月後。同行した長男の剛(58)は、杖つえを手にカルテの残骸を拾い集めた父の姿が忘れられない。「寄磯を心から大切に思っていたんだ」と感じ入った。

 診療所は2011年秋、高台に建てたプレハブで再開された。富永も一線に戻ったが、体調を崩して13年4月から休み、帰らぬ人となった。

 「診察が終わったらみんなとたばこ。俺の親父おやじとよく酒も飲んでた。もっと長生きしてほしかったな」と渡辺。あの時、反対した洋子も、今は夫の思いが分かる気がする。「仕事と寄磯の人たちが大好きだった。みなさんに支えられて、いい人生を送らせてもらえたと思う」(敬称略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/340750?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150718&dcf_doctor=true&mc.l=112731417
シリーズ: 後発品、地域別報酬…変わる制度どう見るか?
地域の医療費格差、実感なしが7割超◆Vol.6
審査方法、検査回数などの原因指摘も

2015年7月18日(土)配信 池田宏之(m3.com編集部)

Q.7 地域ごとの医療費格差を感じるか
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 Q7では、地域ごとの医療費格差を感じるかを聞いた。政府は、都道府県ごとに入院医療費の格差があることから、6月に出した「骨太の方針」で、格差を是正していく考えを示している。

 回答で最多だったのは、勤務医、開業医ともに「あまり感じない」。「感じない」を含めると、勤務医では77.0%、開業医では71.0%が、格差について意識していない状況となった。地域ごとの医療費格差について、日本医師会は、調剤薬局や院外処方の進み具合などを一因として指摘している。今後、実際の格差が、是正可能かどうかは、実態の精査が必要となりそうだ。

 医療費格差の原因の自由記述の主な回答は以下の通り。

【制度】
・検査回数や投薬制限などが異なる。原因は診療報酬体系。
・西日本は病床が多すぎる。医療費の西高東低傾向はこのため。不要な病床削減は西日本を重点的に行うべき。特に四国!
・審査会の診査方法に地域差があるため、処方量にも差が出ている。
・高齢者や合併症の問題による格差。
・疾患の重症度、加算率が違う。
・保険外診療部分。
・社会的長期入院、院外処方、調剤薬局。
・子どもの医療費無料というのはちょっと気になる。


【医師、医療者】
・医者が少ないところ、過剰なところがある。
・専門医の不均等分布。
・病院数。
・都市部では専門性の高い大病院が多く検査や治療費が高くなるが、それ以外ではかかりつけ医を兼ねた病院が多く医療費は低くなる。
・へき地では診療科を超えた処方があるため1人当たりの単価が上がる。
・都心の病院は差額ベッド代で黒字化していると感じている。


【患者】
・患者の収入。
・患者の受療行動、ドクターショッピングなど。
・高齢者、独居人、生活保護者の増加。
・住民の医療に対するニーズの差。
・病院や医院の待合室が高齢者の憩いの場になっている。接骨院等で健康保険を使うこと自体、非常識も甚だしい。毎日の物理療法などは自費への変更にすべし。


【医療以外の地域差】
・例えば冬の北海道。まだ体力が整わないうちに、退院させても、簡単に肺炎を起こし戻ってくることがある。どうしても入院期間が長くなる。
・地方では所得が低く、最先端医療を提供できる環境があるのに、自己負担分が払えないために、安価な治療選択をせざるを得ない場合が多い。
・人件費が違う。
・いわゆる地方では医療従事者そのものが少なく固定されており、新しい情報が入らない。
・地方は後発薬も種類が少ない。
・地域の広さの違い。
・患者数による経済的な格差があるため、総人口(患者)が少ない地域(病院)は1人の患者から売り上げを多くしなければならない必要がある。
・不動産価格。
・自治体の経済状態の初期格差。


  1. 2015/07/19(日) 06:15:01|
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7月16日 

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20150716-OYO1T50025.html?from=oycont_top_txt
ガーゼ29年放置の訴訟で和解、神戸の市立病院
2015年07月16日 読売新聞

 神戸市長田区の市立医療センター西市民病院で手術を受けた40歳代の男性患者が、29年間にわたって医師が取り忘れたガーゼが体内に残って腫瘍ができ、摘出手術で後遺症が生じたとして、運営する「神戸市民病院機構」(中央区)に1900万円の損害賠償を求めた訴訟が神戸地裁であり、同機構が800万円を支払う条件で和解した。9日付。


 訴状では、男性は1983年12月、市立西市民病院(当時)で腎臓手術を受けた際、腹部にガーゼが残った。2009年9~10月、腹痛で同病院などを受診し、ガーゼを覆うように腫瘍があるのが見つかった。12年11月に、ガーゼの除去と腫瘍摘出の手術を受けたが、腫瘍に癒着した神経の一部も取り除いたため、左足にしびれや痛みが残り、通院している。

 男性は、ガーゼを忘れた執刀医の注意義務違反は明らかだと主張。同機構は「83年の手術記録が残っていないためミスの証拠はなく、摘出による後遺症の可能性も説明した」などと反論していた。和解について、同機構は「早期解決を図るために応じた」としている。



http://mainichi.jp/area/chiba/news/20150716ddlk12040041000c.html
県がんセンター:抗がん剤投与死亡 事故調「医学的問題なし」と結論 遺族、納得せず /千葉
毎日新聞 2015年07月16日 地方版

 県がんセンター(千葉市中央区)で3月、カテーテルによる抗がん剤投与を受けた60代の男性患者が死亡した問題で、センターの事故調査委員会が「医学的に問題はなかった」と結論付けたことが15日、明らかになった。事故調は「遺族の意向」を理由に調査結果を公表していないが、がんセンターの山口武人副病院長は「一部納得できないと遺族に言われた」と認めた。またこの日、2008年以降、腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者の死亡が相次いだ問題を調べてきた県の第三者検証委員会は最終報告書を県に提出した。【野島康祐、金森崇之】

 患者が死亡した抗がん剤投与も、問題の腹腔鏡手術11例中8例を執刀した消化器外科の50代男性医師が担当した。事故調は記者会見して手術の調査結果を公表したが、抗がん剤投与の死亡例の経緯は「遺族の意向で公表できない」と説明した。

 一方、この医師が患者8人の死亡を受け病院長から手術しないよう命じられたが、その3カ月後の昨年8月から今年3月までに「人手不足」などを理由に、手術を担当していたことを明らかにした。執刀1件、助手14件を担当し、合併症を起こした患者が3人いた。事故調の佐野圭二委員長は「手術再開が密室で判断された。安全管理の観点から、もっと開かれた場所で透明性のある判断が必要だった」と批判した。

 第三者委の多田羅浩三会長も記者会見して最終報告書を公表した。第三者委は3月、腹腔鏡手術後の死亡が相次いだ問題で「担当医師の見解を尊重し、原因究明や再発防止に向けた取り組みを行わなかったため」と結論付けた最終報告案を公表した。今回は、抗がん剤投与の問題をどう評価するかが焦点だったが、遺族感情への考慮を理由に報告書には盛り込まず、「医学的に問題がないと第三者委は報告を受けている」と説明するにとどめた。

 この医師は現在、手術など対人的な仕事には一切就いておらず、第三者委の調べに対し文書で「真摯(しんし)に受け止め、反省しなければならないと考えております」と回答したという。
 ◇先端医療に事前審査 がんセンターが防止策

 県の第三者委などの指摘を受け、県がんセンターは15日、新たな先端医療を実施する際は、新設する「未実証医療審査委員会」の事前審査を受けるなど、82項目の再発防止策を発表した。今年度中に実施状況を第三者委に報告する。

 問題となった一部の腹腔(ふくくう)鏡手術など保険適用外の先端医療は、医師の裁量に任されることが多かったため、厳格化が必要と判断した。また、組織内のチェック機能が働いていなかったことを受け、医師が行う臨床研究の実施状況を院内の倫理審査委員会に報告することを義務づけたほか、医療事故の再発防止策を検討する医療安全管理委員会の権限も強化する。事故が起きた場合などは両委員会を開催し、研究や手術の中止を勧告できるようにした。

 また不十分だと指摘されたインフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)を充実させるほか、患者が主治医以外の意見を聞けるように、他病院の医師らを紹介する「セカンドオピニオン・センター」も設置する。



http://apital.asahi.com/article/news/2015071600014.html
電子カルテ閲覧、職務ごとに制限 大崎市民病院
2015年7月16日 朝日新聞

 大崎市民病院の入院患者の電子カルテを職員らが不正に閲覧していた問題で、同院は15日、再発防止策を明らかにした。職員らの職務内容に応じて閲覧範囲を制限し、院内に病院事業副管理者をトップとする「不祥事防止対策委員会」を設ける。

 阿部健雄・事業管理者らが記者会見して発表した。

 閲覧を制限するのは、医師と看護師を除いた職員と業務の委託先企業の社員。制限範囲は8月末までに決める。これまで職員と社員の全員がパソコンでカルテを見ることができた。

 職員と社員を対象に、不正閲覧が常態化していたかどうかを調べるアンケートもする。コンプライアンス(法令や社会規範の順守)の認識度合いも尋ね、8月中に結果をまとめる。

 阿部氏は責任をとり、8月分の給料を3割返す。

(朝日新聞 2015年7月16日掲載)



http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20150716ddlk40040358000c.html
酒気帯び運転:医師を懲戒免職 北九州市病院局 /福岡
毎日新聞 2015年07月16日 地方版

 北九州市病院局は15日、市立八幡病院整形外科主任部長の鈴木暢彦(まさひこ)医師(54)が酒気帯び運転で物損事故を起こしたとして、懲戒免職処分にしたと発表した。

 病院局によると、鈴木医師は6月15日午後10時20分ごろ、酒を飲んだ状態で自家用車を運転し、八幡西区の国道200号引野口交差点でガードレールに車をぶつけたとしている。さらに約2キロ車を運転したが、破損が激しく動かせなくなって道路脇に止めていたところ、八幡西署員が飲酒運転を見つけ、呼気1リットル当たり0・4ミリグラムのアルコールを検知した。

 鈴木医師は、4月1日付で採用され、この日は午後7時から同9時ごろにかけ、八幡東区のホテルで開かれた医局の歓迎会に出席、ビールや日本酒、ワインを飲んでいったん徒歩で自宅に戻った。さらに焼酎の水割り3、4杯飲んだ後で車を運転し、自宅から約6キロ離れた引野口交差点で事故を起こしたという。

 病院局は上司の病院長と整形外科担当副院長を文書訓告とした。【祝部幹雄】

〔北九州版〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/340072
後発品「患者が拒否」「先発品以外データなし」◆Vol.4
後発品を巡るトラブル、副作用やメーカーの対応に疑問

2015年7月16日(木)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 Q.5で、後発医薬品の使用中に、効能効果に疑問を感じた場合の対応を聞いたほか、後発医薬品を巡るトラブルについて、任意で具体的な記述をしてもらった(『後発品「疑問あれば、処方止め」が最多◆Vol.3』を参照)。主な回答を紹介する。

【副作用】
・後発品に変更した途端に薬疹が出た。
・強力ネオミノファーゲンシーの後発品で、肝機能悪化を認めたので、即中断した。
・睡眠薬を後発品に変更したところ、頭痛の訴えがあった。
・薬局より「ジェネリックに変更しても良いか」という問い合わせがあり、成分は同じということであったため変更したところ、副作用が出た。
・何が夾雑物として利用されているかによって、同じ薬剤でも後発医薬品で副作用が出たり、逆なことも起こり得る。
・湿布剤の後発品がかぶれやすいとの訴えが多数ある。
・子宮収縮抑制剤では、効果、副作用の出方が先発品とそれぞれの後発品が違う。
・抗不整脈剤の後発薬変更による薬剤誘発性不整脈発作があった。

【副作用以外の効果】
・1剤内服中の患者が後発品に変えると、「便から少し溶けて小さくなっているものの、薬であると分かるものが一緒に混じっていた」と相談があった。
・遅効性薬剤では効果が一定しないと感じている。
・睡眠薬を後発品に変更したら、眠れないとクレームが来た。
・ジェネリックに変えたら、血中リチウム濃度が不安定になり、再発したことがある(先発品に戻したら、その後は再発がない)。
・鎮痛剤をジェネリック製剤に変えたら鎮痛効果が弱いと言われることが多い。
・感染症の後発医薬品で吐き出す子が増えている。
・後発品の貼付剤は、はがれやすくクレームが来ることがある。
・後発品で明らかに効果の低いものがあり、同僚(他施設)に確認、同様の見解で使用を控えたことがある。
・適応が違うことがある。
・先発で処方したが、薬局で後発に変更、次の診察時、薬が変わり調子が悪くなったとの訴えはよくある。

【メーカーの対応】
・吸湿性の経口剤が以前に色が変わったことがあったので、メーカーに問い合わせたら、「瓶ごとに色は異なる」と言われ、採用をやめた。
・後発品専門の卸と取引があったが、突然会社がつぶれて連絡つかず、薬品も購入できなくなった。
・抗凝固剤の後発品でデータ提供を依頼したが、メーカーは後発品のデータのしか持ってこず、「これしかない」と居直ったため、出入り禁止にした。
・感染症治療薬の後発品内服で全身に発赤が出て、休薬するときれいに治ったため、薬の副作用であると考え発売元に連絡したが、「そうですか」との返事のみで、後は訪問にも電話もなく音沙汰がなかった。
・使用期限を消した状態で流通している。卸からの仕入れで、大量に購入すると7割引き、8割引きがあり、当然使用期限が切れている。
・後発品は品質も劣悪であるが、会社の態度も劣悪である。

【患者への対応】
・ある抗がん剤を後発医薬品へ変更したが、その有効性が疑問視され、急遽先発品に戻したものの、その間に治療を受けた患者への説明、責任等々に困った。
・患者が後発品を拒否した。
・患者から効果が悪い、皮疹などの副作用が出る、など訴えがあった場合、先発薬に戻している。特に報告や問い合わせは行っていない。
・溶け方の違いにも敏感な患者、先発でないと効かない患者がいる。不安を持たれたら、まず元に戻している。
・糖尿病、高血圧コントロール悪化症例あり。消化器病薬で効果不十分となり、いずれも先発薬に戻し以前の状態へ改善。
・鎮痛剤、眠剤、降圧薬で効きが悪くなり、患者から先発薬の処方に戻してほしいとの希望が時々ある。

【その他】
・調剤薬局で成分名だけ書くと適応症がない薬剤を出され、こちらがペナルティを受けた。
・通常の保険診療患者がジェネリックを選び、生活保護患者が正規品を選択する、という矛盾。差別するつもりは全くありませんが、矛盾を強く感じる。
・それより新規合成薬が高すぎる。
・ジェネリックでも信用できそうなメーカーしか使っていない。
・先日某ジェネリック医薬品メーカーの点滴用抗生剤の紹介に来た時に、「この製剤材料国はどこですか」と質問したところ、韓国製品であるとの返事でしたので購入はしなかった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/339753
「保険者よ、柔整師になめられるな」、約80の保険者勉強会
医師も参加、「柔整施術は捻挫と打撲がほとんど」

2015年7月14日(火)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 柔道整復師の施術などの療養費の適正化に向けて、国内の約80の保険者や医師が集まって、7月11日に大阪市内で、「第1回療養費適正化勉強会」を開催した。保険者間の連携がないことや、公的医療保険の保険者の場合、異動などでノウハウが蓄積されないことから、保険者が集まって、事例共有や医学的知識を学んで、適正化に向けて動くことが狙い。参加者からは、後期高齢者医療広域連合について、柔道整復師から、「(審査が甘く)広域連合はドル箱」などと言われた経験が紹介され、不正請求の摘発や報道発表などを活用して「なめられない保険者に」との声が出た。参加した医師は、適正な支給に向けて、柔整師の施術は、応急手当を除くと、「捻挫と打撲」に限定される点などが紹介された。


大阪市内で開かれた勉強会には全国から参加者が集まり、満席となった。
北海道や宮崎県の保険者も参加


 企画したのは、和歌山県海南市保険年金課の宇尾祟俊氏。柔整療養費については、多部位、長期、頻回の請求、不正と疑われる請求が目立つ傾向にあり、財務省の財政制度分科会も適正化を求めるなど、社会的な問題になっている(『財務省、「マイナス改定必要」の考え示す』を参照)。ただ、保険者において、審査のノウハウが共有されないことや、政治的な働きかけがあり適正化が進まない状況にある。

 今回の勉強会は、保険者が、他の保険者や医師と連携して、事例や医学的知識を共有することが目的。関西圏を中心に、北は北海道、南は宮崎県から参加者があったほか、従業員が1万人を超える民間企業の健保も含めて、約80の保険者が参加した。

 宇尾氏は、「療養費適正化に向けて保険者にできること」と題して講演。異動を繰り返す公共における保険者についてはノウハウがたまらないなどの事情があり、「和歌山県後期高齢者医療広域連合に所属していた際、ある柔整師の団体から『広域連合はドル箱』と言われた」との事例を紹介して、適正でない請求が多くある点を指摘し「なめられない保険者にならないといけない」と述べた。その上で、医学知識や、実際の規程を調べる習慣を付けた上で、「不正請求の摘発と報道発表もしていく必要がある」と指摘した。 

 行政が運営する公的な保険者の問題点として、支出を抑えようとするモチベーションがある民間保険者と比較して、「国民福祉の向上」を名目に適正化につながりづらい点を指摘した上で、「市町村国保や、後期高齢者広域連合は行政の一部という意識が抜けにくい。保険者の対応がばらばら」と発言。

 さらに、保険者機能として、支給の可否判断ができる点に言及し、「(学ばないまま)垂れ流して(支給する)のは単なる怠慢」と述べ、慣例にとらわれず、請求を点検した上で、不適当な支出をしないように求めた。さらに、公的保険者は、民間事業者に審査を委託しているケースもあるが、宇尾氏は、「民間の点検業者の知識は不足している」として、安易な委託で、審査を終わらせないように求めた。

 宇尾氏は、保健者以外にも、厚生労働省や被保険者の問題点も指摘。柔整においては、厚労省が「多部位」「長期」「頻回」など明確な定義をしていない背景があり、適正化するためのスクリーニングの基準もない実情がある中で、療養費を請求する側の拡大解釈が横行している側面があることを指摘して、保険者に医学や制度の知識を学ぶように求めた。被保険者については、行政の広報よりも、新聞などのマスメディアの方が影響が大きい点にも言及した。

 宇尾氏は具体的な作業として、申請書を一枚ずつめくるところから始めるように求めて、「負傷部位の確認、接骨院など機関ごとの傾向など、素人目線でおかしいと思うところを(施術者に)問い合わせれば、プレッシャーになる。不正請求ならば、詐欺罪に問われるもので、刑事告訴も1つの手段になる」とした。具体的に、広告規制や医科レセプトとの突合などの取り組みが始まっている例などを挙げ、「正解は1つではない。それぞれの立場でできることを考えてほしい」と呼び掛けた。

「突き指で受診」、41%が骨折

 保険者向けに、柔整師の施術と関連する医学的知識を、参加者に解説したのは、大阪臨床整形外科医会理事の宮田重樹氏。冒頭で、柔整師の施術が認められているのは、「捻挫、打撲、骨折、脱臼のみ」とした上で、応急手当を除くと、「捻挫と打撲」に限定される点を指摘。「単なる肩こり、筋肉疲労に対する施術は、療養費の支給対象外」と強調した。さらに、柔整師が、「原因のはっきりしない痛みは、亜急性の外力による損傷」と主張する「亜急性」についても、「あり得ない」と述べた。

 負傷の実態についても解説。不正請求が疑われる事例では、「負傷個所3カ部位以上」というケースが少なくないが、日本臨床整形外科学会の調べによると平均負傷個所は1.22部位となっている点を指摘。さらに捻挫打撲の治療期間については、大阪臨床整形外科学会理事の骨折を除いた1113例で、「平均通院期間は6.2日、平均通院日数は1.9日」とするデータを示した。ともに、多部位、長期、頻回の日数について、実態が伴わない可能性を示した。

 医学的な判断を伴わない施術が悪影響を及ぼす可能性にも言及。筋内圧が何らかの原因で上昇して、循環器障害を引き起こし、筋壊死などにつながる「急性コンパーメント症候群」を紹介。加えて、大阪臨床整形外科学会で2014年10月と11月に突き指で外来受診した患者のうち、41%が骨折していた点を紹介して、医学的知識を伴わない施術が、治癒の遅れや、重症化につながる点を懸念した。

 さらに、医療機関で治療継続中に、柔整師が施術をしても、療養費の支給対象外となることや、按摩、鍼灸でも、「医療保険との併用は認められていない」と紹介。適正な支給申請かを判断する上で参考となる知識を紹介した上で、「定義を理解して、被保険者に伝えてほしい」と呼びかけた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/340160
「医療ID複数所持の検討を」日医委員会
中間取りまとめ、知られたくない病歴に対応

2015年7月15日(水)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 日本医師会の「医療分野等ID導入に関する検討委員会」は7月、政府で検討が進んでいるマイナンバーとは別にした上で、複数ID付与の検討を盛り込んだ、中間取りまとめをした(資料は、日医のホームページに掲載)。日医常任理事の石川広己 氏が7月15日の会見で、内容を説明し、複数IDが持てるようにする理由について、「(1つのIDだと)知られたくない過去の病歴などが分かってしまう」と指摘し、個人が知られたくない病歴の開示範囲をコントロールできる必要性に言及した。


日医常任理事の石川広己氏は、医療IDへの考え方を披露した。
 政府では住民票を有する一人ひとりに1つの番号を付与して、社会保障や税などで効率的な管理を目指す方針で、制度の検討を進めている。中間取りまとめでは、医療情報が、ナショナルデータベースに登録されるような個人情報保護制度の対象外のものから、実際の病歴、服薬の履歴などの個人情報保護制度内のものまで幅広いため、マイナンバーで管理された場合、「突合リスクが高まる」と指摘し、マイナンバーと別の制度とするように求めている。

 その上で、一人に対して目的別に複数の医療等ID付与できる仕組みを求めているのに加え、本人が情報にアクセス可能な制度で「本人が知られたくなかったり、思い出したくない場合、それまでの情報との名寄せや検索ができない仕組の担保」を求めている。さらに、複数医療等IDが付与された場合、ID間で突合可能な仕組みの検討も盛り込まれた。ただ、個人情報保護制度の対象外の情報については、従来通り活用できる仕組みとしたい考え。


  1. 2015/07/17(金) 05:51:54|
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7月11日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/337786
入学式のあいさつとお薦めの本◆医学部長アンケートVol.6
『権利のための闘争』『星の王子様』など

2015年7月11日(土)配信 成相通子(m3.com編集部)

 医学部の入学式で、各大学の医学部や学長は学生にどんな言葉をかけたのだろうか。それぞれのお薦めの本とともに紹介する(調査の概要は、『「大学の役割、高まる」 ◆医学部長アンケートVol.1』を参照)。


山形大学医学部長 山下英俊氏

あいさつ
* プロフェッショナルとは何か?
* 大学における学問の在り方と勉強の仕方。
* 山形医学部の高いactivity、特色。
お薦めの本
* 『権利のための闘争』イェーリング著(岩波文庫)


筑波大学医学専門学群長 原晃氏

あいさつ
* グローバル人材として育ってほしい(学長)
* 地域から発信する世界水準の医療人を目指してほしい(医学部長)
お薦めの本
* 特にありませんが、英文(内科)教科書の読破


埼玉医科大学医学学長 別所正美氏

あいさつ
* 本学の建学の理念について説明するとともに、本学が現在取り組んでいる「日本のメイヨークリニックを目指す運動」についても紹介し、本学の教育目標である「優れた臨床医」となって社会に貢献するため、高い目標をもって医学部6年間を有意義に過ごすよう話した。具体的な毎日の過ごし方としては、ウイリアム・オスラ-先生が医学生に対して行った講演を紹介し、学生時代に身につけるべき3つの能力(さまざまな誘惑から逃れる能力、勉強方法をシステム化し、その方法を習慣として着実に繰り返し行う能力、徹底的に学ぶ能力)について説明し、医学生としてどのような心構えで毎日を過ごしたらよいかをお話しした。
お薦めの本
* 『医療の場のコミュニケ-ション 言葉を贈る 心を贈る』日下隼人著 (篠原出版)


東京慈恵会医科大学長 松藤千弥氏

あいさつ
* 新入生の皆さんは、大学に所属する我々と建学の精神と大学の理念を共有し、やがてわれわれが理念の実現を託すことになるので、大学にとって宝物である。
お薦めの本
* 『星の王子様』サン=テグジュペリ著


信州大学医学部長 池田修一氏

あいさつ
* 本学の医学教育について
   地域で求められる医療人材の育成、国際的な質保証のための参加型臨床実習等による世界標準の医学教育の実現、研究医養成のための教育プログラム策定→リサーチマインドを持った医師養成が求められており、常に探究心を持った医師を目指してほしい。
* 本学医学部の今後目指す方向について
   社会のニーズに応える研究(再生医療・癌研究、長寿研究)を進めていく。
* 新入生へのメッセージ
   医学を取り巻く環境は急速に変化していくが、地に足をつけて夢を持った学生生活を送ってほしい。


大阪市立大学医学部長 荒川哲男氏

あいさつ
* コミュニケーション・スキルを磨くことが大事。方法としては、クラブ活動に積極的に参加することを勧める。大学生活を謳歌しながら、自然に先輩・後輩とどのように向き合うかのトレーニングができる。本大学はグローバル医療人材育成を目指している。英語はあくまで手段でブロークンでもいいから臆することなく話すこと。重要なのは国際的に信頼される人間形成である。
* 上記2点に共通するキーワードは「思いやり」である。自分を先に考えると「思いやり」が持てない。急ぐ人が多い出勤時間など、階段を使うようにするといった配慮ができる学生になれ。
お薦めの本
* 『人間やっばり情でんなあ』竹本住大夫著(文藝春秋)
* 『まいど!』青木豊彦著(近代セールス社)


兵庫医科大学長 中西憲司氏

あいさつ    
* 本学の歴史について
* 本学の建学の精神について
* 本学の教育、研究、診療のレベルの高さについて  (新卒国家試験合格率98%、IL-18の発見、科学研究費の採択額、文科省からの研究医枠による定員増の承認、週刊誌の病院評価で兵庫県1位)
* 本学の位置する西宮市の素晴らしさについて
* 目標達成に向けた物事の取り組み方について
* 吉田松陰の事例を基にした自身の心構えの大切さについて
* 大学院で研究をスタートさせる皆さんに対して、研究の楽しさと研究倫理の遵守について
* 北里柴三郎の言葉を引用した激励の言葉
お薦めの本
* 『セレンディピティと近代医学 - 独創、偶然、発見の100年』モートン・マイヤーズ 著 (中公文庫)


広島大学医学部長 木原康樹氏

あいさつ    
* 医師は公僕である。
* 医師は生涯学び生涯発展しつづける職業である。
お薦めの本
* 『私を離さないで』カズオ・イシグロ著


鹿児島大学医学部長 佐野輝氏

あいさつ
* 鹿児島医学校の祖、ウイリアム・ウイリスの言葉に基づき障害に渡って謙虚な勉学の精神を忘れぬことを説き、また国際的に羽ばたくことを期待を込めて要請した。
お薦めの本
* 『平静の心-オスラー博士講演集』ウィリアム・オスラー 著



http://www.m3.com/news/iryoishin/339135
2016年度改定へ、診療報酬の基本方針を議論
スケジュールは例年通り、各種制度改革も具体化へ

2015年7月11日(土)配信 成相通子(m3.com編集部)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学法学部教授)が7月9日、開催された。今後、2016年度の診療報酬改定の基本方針のほか、医療費適正化計画、後期高齢者支援金の加算・減算措置、国保改革等の改正法の施行関係、「経済再生運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)の具体化に関する議論、短時間労働者の適用拡大などについて議論を行う予定。今国会での法案成立を受け、2018年4月からスタートする「紹介状なし大病院受診時の定額負担の導入」と「患者申出療養」については、主に中医協で議論する(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 2016年度の診療報酬改定に関しては、同部会が今夏以降議論し、11月から12月初旬にかけて基本方針を策定する。12月下旬には、内閣が来年度の予算編成過程で診療報酬の改定率を決定し、中央社会保険医療協議会が社会保障審議会の基本方針と内閣の改定率を受けて、具体的な診療報酬点数の設定を審議する。これらは例年通りのスケジュールと同じだ。

 昨年以降の動きとして、厚労省保険局医療介護連携政策課の渡辺由美子氏は2014年に制定された医療介護総合確保推進法の医療介護総合確保基金について、「診療報酬と並ぶもう一つの財政支援ツールとなる」と説明。「診療報酬と医療介護総合確保基金の役割分担」と、その次の2018年度が介護報酬との同時改定になることを踏まえた「2016年度改定の位置づけ」が改定のポイントになると述べた。

後発医薬品をめぐり意見
 9日は、医療保険制度改革関連法や骨太の方針、「保健医療2035提言書」などの報告を受け、各委員の意見交換を行った。特に負担能力に応じた公平な負担や給付の適正化、後発医薬品の使用率80%以上などの目標が掲げられた「骨太の方針」の報告では、委員からは「投薬する医療者に使いやすい後発医薬品にしてほしい」「質の担保が必要」などの目標達成のための課題が指摘された。

 日本医師会副会長の松原謙二氏や日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は「品質の担保」が重要だと指摘。松原氏は「投薬している立場から見ると、(同じ構造式でも)効き方が異なることがある」と紹介した上で、後発医薬品の名前を分かりやすい付け方にするなど、「投薬する医療者が使いやすい状態にしてほしい」と求めた。

 武久氏も「以前と比べて改善されてきたが、処方する際には使いなれた薬だったり、信頼性など考えて処方する」と指摘し、患者が調剤薬局で薬剤師から尋ねられた時に、後発医薬品を選ぶ根拠となる情報が不足しているのではないかと疑念を呈した。

 日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏は「作る立場も考えて」と呼び掛け、「安く、信頼性も上げて作らないといけないが、急激に需要が増えて製造が追いつかなくなったり、手続きに大変手間がかかっていたりする」と指摘し、製薬における課題を指摘した。

 薬価に関しては、武久氏は「創薬会社は莫大な費用をかけて開発するが、後発医薬品の値段設定は適切かについての議論が必要。日本は諸外国に比べて薬価が高い」と発言。松原氏は「安くなりすぎるのも問題」と指摘した。

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、利用拡大の目標達成のためには「関係者が今まで以上に協力して課題を乗り越えないといけない」と述べ、連携を呼びかけた。

マイナンバーとレセプト情報
 マイナンバー制度をめぐっても、意見が相次いだ。日本労働組合総連合会副事務長の高橋睦子氏は、レセプト情報は「他人に知られたくない疾患や健康状態など、まさに個人のプライバシーに関わる繊細な情報」と指摘。マイナンバー制度とレセプト情報の連携について「慎重に対応すべき」だと述べた。松原氏も、社会保険庁の年金情報流出問題に触れて、「健康情報がマイナンバーと一緒に流出したら大問題。マイナンバーと健康情報は紐づけしても、別立てにすべき」との意見を示した。

 国民健康保険中央会理事長の柴田雅人氏は、マイナンバー制度のスムーズな開始に向けて早めに制度説明の告知や説明が必要だと指摘した。



http://apital.asahi.com/article/news/2015071100011.html
不正に研究費500万円、慶大教授を懲戒解雇
2015年7月11日(土)配信 朝日新聞

 慶応大学は10日、薬学部の40代男性教授が研究費計約500万円を不正に受けとったなどとして、2日付で懲戒解雇したと発表した。国からの研究資金も一部含まれているという。

 慶応大によると、教授は参加したセミナーの主催企業から旅費をもらったのに、大学にも請求。インターネットで購入した航空券を旅行業者で購入したようにみせかけて、手数料分を上乗せして請求。学生らに支払われた旅費の一部を徴収するなどして、2011年から研究費を不正に受給していたという。

 ほかにも、公的資金の助成を申請する際、申告書にうそを書いたり、半期計15回の担当授業を数回しかやらなかったりしたなど不適切な行為があったとされる。

 今年1月、内部告発で発覚した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/332685
不十分な項目、実効性に問題- 野村忍・早稲田大学人間科学学術院教授に聞く◆Vol.3
工夫次第でメリットも、新制度

2015年7月11日(土)配信 聞き手・まとめ:成相通子(m3.com編集部)

――産業医にとっては負担が大きい新制度ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 心身医学を専門とし、自身も産業医の経験がある早稲田大学人間科学学術院教授、野村忍氏に伺った。
 メリットはメンタルヘルスの一次予防が挙げられますが、実は今の57項目では非常に不十分です。もし一次予防をやるなら職場のストレス要因、環境要因をきちんとチェックできるようなツールを使わないといけないと思います。

 厚生労働省の57項目では、職場の要因に関する項目が数項目しかなく、メンタルヘルスの一次予防には不十分だと思います。

――57項目の妥当性は新制度の検討会でも問題になっていました。

 57項目では一次予防にも、二次予防にも不十分です。メンタルに関する項目も数項目で、それで拾い上げるのはどうかと思います。例えば民間企業が提供しているものでは200項目ぐらい、多くの質問項目でいろんな要因を踏み込んで調べようというツールがあります。そうしたものを使った方が役に立つ可能性はあります。

――メンタルを専門としない医師が産業医をされている場合、急に57項目を渡されると混乱が起きないでしょうか。

 困るでしょうね。厚労省の委員会でも、57項目でいいのかという議論はずっとありました。ただ、他の調査票を使ってもいいことになっています。57項目で測れないのをほかのツールを付けてやるなど、そういう工夫も必要になると思います。

――工夫して使えば、新制度にはプラス面もある。

 厚労省の言っているように、一次予防に役立てて職場を良くする環境作りに貢献する可能性も、上手く使えばあると思います。それはいいと思っています。

 また、二次予防でうつ傾向の人を早く発見して、治療ベースに載せればうつも早く治り、やりやすくなるので、もちろんメリットも大きいと思います。

 研修などで産業医の理解を深め、ツールも57項目ではなく、もっといいものを使えば、(治療対象者を)スクリーニングできると思います。

――産業医の研修と言っても、うつの面談にはスキルが必要だと聞きます。

 とりあえず精神科や心療内科の先生はできる人がほとんどで問題ないですが、それ以外の内科や外科の先生がどう対応できるかが問題です。

 産業医の研修会では今までもメンタルヘルスに関するものはありましたが、一コマ聞いたからできるものではありません。実際に実務をやってみて練習が必要なので、ちゃんとした研修が必要です。

――57項目の調査票についてはいろいろな意見がある中、始まることになりましたが、現場から反対の声はないのでしょうか。

 57項目で必ずやらなければいけないわけではなく、今までのものでもいいと言っているので、反対のしようもないでしょうね。

 見切り発車というか、いろいろな問題があるがとりあえずやってみて、その中で考えて行きましょうということだと思います。

――調査票は57項目でなくても、『仕事のストレス要因』『心身のストレス反応』『周囲のサポート』の三領域に関して検査すればいいということですが、そこに異論などはないのでしょうか。

 それはありません。ストレス反応とストレス要因とソーシャルサポートの三つの測定は、現状で使われているものでは、だいたい含まれています。それを継続してやるのは問題ないでしょう。

 問題は費用で、厚労省のものならそのまま使えるので、ソフト制作にしても1人当たり300円ぐらいでできるでしょうが、民間企業のツールは1000円や2000円ぐらいするでしょう。

 それはストレスチェックだけでなくそのあとの組織分析や事後のフォローアップ、電話相談やネット相談、あるいは面談するということも含めて少し高い値段で契約している場合が多いからです。

 しかし、事業所としては費用は安い方がいいので、どこまで実効性を持ったストレスチェックが行われるかという点が問題だと思っています。

――事業所の負担に加え、産業医の負担増加も懸念です。

 報酬が増えればなんとかなると思いますが、報酬を増やすのも難しいでしょう。

 産業医にとっての負担は、業務量が増えるという負担と、責任が追及されるという心理的な負担。その両方だと思います。特に訴訟の対象になり得るという心理的負担は大きいです。そのための訴えられた時の保険ができるかもしれないですね。



http://apital.asahi.com/article/news/2015071100003.html?iref=comtop_btm
痛み止め薬、「高級品」が人気 働く女性が主な買い手
2015年7月11日(土)配信 朝日新聞

 痛み止めなどに使う解熱鎮痛薬の「高級品」が売れている。昨年以降、相次いで発売され、効き目のはやさをうたう。頭痛や生理痛に悩む働く女性たちに、受け入れられている。

 ライオンが2014年2月に売り出した「バファリンプレミアム」は、実勢価格が標準品の約3倍する。それでも14年の売れ行きは計画の1・5倍になった。

 エスエス製薬が昨年10月に出した「イブA錠EX」も、実勢価格は標準品より2割前後高い。シリーズ合計の売上額は今年6月までの9カ月間に12・9%伸び、解熱鎮痛薬市場全体の伸びの5倍以上だったという。第一三共ヘルスケア(HC)は今年6月、胃への負担を和らげた新商品「ロキソニンSプラス」を売り出した。7月17日から大量のテレビCMを流し、シェア確保をねらう。

 ■市場、4年連続伸びる

 市場調査会社インテージによると、14年の解熱鎮痛薬の市場は486億円。4年連続で伸び、4年間で8・5%増えた。同じ期間に市販薬全体の販売は6%減り、ドリンク剤や胃腸薬は1割以上減っているなかで、勢いがある。ここに「高級品」が加わり、さらに市場は広がりそうだ。

 解熱鎮痛薬の主な買い手は20~40代の女性という。ドラッグストア大手スギ薬局の仕入れ担当者は「働く女性が増え、会社を休めないからと解熱鎮痛薬を服用する頻度が増えた。高くても良い薬を選ぶ傾向が出ている」と話す。

 好調な流れにのり、男性にも買ってもらおうと「肩こり、腰痛を和らげる」とうたう商品も登場。エスエスの担当者は「今後も、高機能な商品は伸びる」とみる。

 高級品を各社が出す流れをつくったのは、11年1月に売り出された第一三共HCの「ロキソニンS」だった。主成分のロキソプロフェンは1986年に医療用で発売され、この分野で20年以上国内トップだったもの。それが市販薬に転用されたことで、「イブプロフェン」を使った商品が中心だった解熱鎮痛薬の勢力図は一変した。ロキソニンSは、14年4月時点で市場シェアの15・8%を占め、イブ、バファリンと並ぶ3強になった。

 (伊沢友之)



http://apital.asahi.com/article/news/2015071100017.html
群馬大病院の重粒子線治療、新患受け付け再開
2015年7月11日 朝日新聞

 群馬大医学部付属病院は、新たな患者の受け入れを停止していた重粒子線治療について、新規患者の受け付けを再開した。個人で直接予約はできず、通院する医療機関を通じた完全予約制にする。

 病院によると、重粒子線の治療を新たに予約していた患者は119人いたといい、患者に連絡して7日から順次治療が始まっている。今後、予約する新たな患者についても13日以降、治療を始めるという。

 同病院は肝臓手術を受けた患者18人が亡くなるなど、安全管理体制の不備が問われ、厚生労働省が5月、先進医療で新たな患者を受け入れないよう求めていた。病院は重粒子線治療を含めた計11の先進医療で、初診患者の受け入れを停止し、適切な処置がされていたか自主点検した。厚労省の専門家会議が今月2日。再開に問題ないと判断した。

 重粒子線治療と担当医師がいなくなり、治療が出来なくなった医療を除く九つの先進医療はすでに受け付けを再開している。2014年度には重粒子線治療を約500人が受けていたという。

(朝日新聞 2015年7月11日掲載)

  1. 2015/07/12(日) 06:28:41|
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7月10日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/338895
患者申出療養、来年度開始に向け検討開始
10月に省令予定、制度の在り方にいまだ見解の相違

2015年7月10日(金)配信 成相通子(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が7月8日に開かれ、2016年4月に施行される「患者申出療養」の具体的な運用方法に関しての議論が始まった。制度そのもののイメージに委員の間で相違が見られたほか、患者の申出を起点とした実施計画の責任者、迅速審査の実施に伴う安全性の担保など、さまざまな意見が出た。

 4月の施行に向けて、7月から8月まで議論を進め、9月に制度の詳細を取りまとめた上で、10月をめどに省令や通知等の整備をする方針(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。(1)患者申出療養におけるインフォームド・コンセントの内容・手続等、(2)臨床研究中核病院および特定機能病院の申出や相談の応需体制等、(3)実施可能な医療機関の考え方、(4)患者申出療養に関する会議の具体的な進め方等、(5)有害事象発生時の対処方法等、(6)実施計画対象外の患者からの申出に係る国の審査の在り方、(7)報告、情報公開の在り方――が今後の検討事項になる。

臨床研究との関連に疑義

 患者申出療養は、新たな保険外併用療養制度の一つとして、2015年5月に医療保険制度改革関連法で創設が定められた。先進医療と同様、評価療養制度の一つだが、先進医療とは異なり、患者の申出に基づき、国の会議による審議を経て臨床研究中核病院 で実施するほか、特定機能病院、患者の身近な医療機関で実施できる。

 臨床研究中核病院は医療法に定められたもので、厚労省の「医療法に基づく臨床研究中核病院の承認要件に関する検討会」で、病床数や過去の実績、人員やガバナンス体制の確立など細かい要件が定められている(詳細は『高いハードル、臨床研究中核病院の承認要件』を参照)。4月から申請受付が始まり、現在11の病院からの申請について審議中だという。

 8日の中医協では、厚労省からの説明で、原則的に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づいた臨床研究として臨床研究計画を含む実施計画を作成して行い、その対象外の患者については個別に判断して実施するとした。

 これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、臨床研究と患者申出療養との関係が必ずしも明確でないことから、論点を整理するよう求めた。昨年の中医協で、患者申出療養の対象は、(1)既に実施されている先進医療を身近な医療機関で実施することを希望する患者に対する療養、(2)先進医療の実施計画(適格基準)対象外の患者に対する療養、(3)先進医療として実施されていない療養、(4)現在行われている治験の対象とならない患者に対する治験薬等の使用――の4類型に整理された(『患者申出療養、「先進医療普及の契機」と保険局長』などを参照)。患者申出療養は、保険収載を目指すものの、新たに研究計画が必要なのは、(3)であるとし、それ以外とは区別して、運用手順を整理するよう求めた。

 患者申出療養は先進医療と異なり、患者の申出を起点とするため、もともと研究者が希望していなくても、研究計画を立てて研究しないといけないケースなどが想定され、「臨床研究中核病院に相当な負荷がかかる」(日本労働組合連合会の花井十伍氏)などの意見も出た。

 さらに中川氏は、患者申出療養の安全性や有効性を審査するために、新たに国で設置する予定の会議が、「最終的な責任を負うべきだ」と意見。日本労働組合総連合会総合政策局長の花井圭子氏は、申出が患者になることから「患者の自己責任として、患者に全て責任が行くようなことだけは避けてほしい」と求めた。

 臨床中核研究病院は、患者の申出を受けた場合に意見書を提出するほか、患者が製薬企業等から誘導されて申出をしていないことを示す資料として、患者との面談記録やインフォームド・コンセントの書類を出すことも、厚労省から提案があった。「責任がどんどん重くなっている」(花井委員)との指摘もあり、その対応能力や責任の所在についても十分な議論が必要との声が上がった。

 患者申出療養は、新規技術の場合は6週間、患者申出療養として前例がある場合には2週間で審査することになっている。健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、「安全性の確認から短すぎるのではないか。6週間、2週間の考え方について、どのような運用していくかを具体的に提示してもらいたい」と質問。厚労省保険局医療課は、6週間などの期間は、各医療機関の倫理委員会の審査を経た上で、国に申請が来てからの期間であると回答。医療機関での審査が遅れれば、その分、患者の申出から実施まで時間を要することになる。

 このほか、「民間療法など、エビデンスが不十分な医療は含まないと明記することが必要」との声や、「先例となる先進医療の制度を参考にすべき」「保険収載につなげるための道筋を明確にする」「患者の意思表示が不可能な場合の制度適用の可否」などに関して意見が出た。



http://mainichi.jp/area/mie/news/20150710ddlk24040294000c.html
伊賀市立上野総合市民病院:小児科休診で陳謝 副院長「報告指示を失念」 /三重
毎日新聞 2015年07月10日 地方版〔伊賀版〕

 伊賀市立上野総合市民病院の小児科が1日から休診したことなどについて、伊賀市議会は9日、全員協議会を開いた。市民への広報や議会への報告の遅れなど病院の対応に批判が相次ぎ、福永泰治副院長は「(報告の)指示を失念していた。誠に申し訳ございません」と陳謝した。

 病院によると、常勤の嘱託医で契約満了日が6月30日だった小児科医は5月20日、契約を更新しないことを病院の事務局に伝えていた。安本美栄子議員(かがやき)はその後の対応を「事務局の失態だと思う」と述べた。

 病院は、小児科医が着任した昨年3月〜今年6月の小児科外来の延べ患者数が636人(月平均39・75人)だったことや、医師は入院患者を診察したい希望を持っていたが、入院に対応するには最低でも小児科医の3人態勢が必要と言われていることも説明した。

 市民病院では6月末で麻酔科医1人も辞めている。議員からは「このままで市民病院は大丈夫かと、市民が心配する状況だ」と指摘する声も上がった。

 また、市議会が3月議会で、病院の2カ月ごとの収支を報告するよう求めた付帯決議に基づき、病院は4、5月の実績報告もした。

 それによると、2カ月合わせた外来患者、入院患者、収益とも前年同期を上回った。一方、支出も増え、増加は医師、看護師の給与費や委託料などだった。委託料では電子カルテの保守費が今年度、新たに年間3993万7536円(2カ月で665万6256円)必要になったことを説明した。電子カルテは4億4992万円をかけて導入、昨年1月28日から本格稼働している。【大西康裕】



http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015071000326
新規患者の受け入れ再開=重粒子線治療、13日から-群馬大病院
(2015/07/10-11:29)時事通信

 群馬大学医学部付属病院(前橋市)は10日までに、がんの重粒子線治療について新規患者の受け入れを再開したと発表した。厚生労働省の先進医療会議で再開が認められたことを受けた措置で、患者は13日以降の診察を予約できる。
 新規患者の受け入れを停止していた11種の先進医療のうち9種は3日に再開しており、これで10種目となった。麻酔科の1種のみ担当医師不在のため実施していない。
 厚労省は今年5月、同病院での肝臓腹腔鏡手術を受けた患者の死亡事故を受け、重粒子線を含む先進医療の安全性確認を要請。病院側は自主点検のため、11種の先端医療の新規患者受け入れを停止。今月2日の先進医療会議で点検結果を報告し、再開が認められた。 



http://apital.asahi.com/article/news/2015071100005.html
「療養病床」巡り、厚労省検討会
2015年7月11日 朝日新聞

 高齢者らが長期入院する医療機関の「療養病床」の今後のあり方などを議論する厚生労働省の有識者検討会が10日、初会合を開いた。2025年の医療提供体制を示す都道府県の「地域医療構想」で療養病床の大幅削減の可能性が示されており、年内に制度改正に向けた選択肢をとりまとめるとしている。この日の検討会では「すべて介護施設に転換させるのは無理だ」といった声が相次いだ。

(朝日新聞 2015年7月11日掲載)



http://www.yomiuri.co.jp/local/gifu/news/20150710-OYTNT50174.html
富山県と共用ドクターヘリ 飛騨出動へ協定
2015年07月11日 読売新聞

 飛騨地域で発生した急病人などの処置に、富山県が8月下旬に導入するドクターヘリを利用することになり、両県は10日、高山市国府町の福祉の里で、共同運航を円滑に行うための協定を結んだ。飛騨地域の救急医療体制の強化に弾みがつきそうだ。(宮地語)

 協定は、高山、飛騨市と白川村を共同運航の対象地域とし、ドクターヘリの出動要請件数によって、県が費用の一部を富山県に支払うという内容。ドクターヘリは富山市の県立中央病院に待機しており、最も離れた高山市内の地域でも90キロ圏内となり、離陸から20分以内で現場周辺に到着できるようになる。

 県医療整備課によると、県内では2011年2月からドクターヘリの運航を開始。岐阜大病院(岐阜市)を基地として、今年4月末までの約4年間で、計1514回出動している。飛騨圏域(下呂市含む)には457回出動したが、遠方のため到着や搬送までに時間がかかるほか、出動要請が重複した場合に対応できないなどの課題があった。

 昨年7月、古田肇知事に富山県の石井隆一知事が共同運航を提案し、以降協議が進められてきた。

 協定締結式には、両知事、地元首長や病院長らが出席。石井知事は「新たに導入されるドクターヘリが両県の県民の安心・安全につながり、救命率が向上するようになってほしい」と期待を寄せ、古田知事は「飛騨地域の救急医療体制が格段に向上する。緊密な連携のもと、役割を果たしていけるようにしたい」と述べた。

 両県では今後、運航事例を検証し、運航調整をしていくことにしている。

 締結式後には、富山県のドクターヘリが式会場周辺に飛来し、関係者から歓声が上がっていた。



http://apital.asahi.com/article/news/2015071100008.html
患者選定ミス「意識の欠如」 第三者委、移植ネットの体制批判
2015年7月11日 朝日新聞

 脳死臓器提供を受ける患者の選定ミスが相次いだ問題で、あっせんを担当する日本臓器移植ネットワークは9日、第三者委員会による原因分析をまとめた報告書を公開した。「プロ意識、知識の欠如」などと批判している。ネットワークは8月にも、再発防止策を含めた改革案を厚生労働大臣に提出するという。ミスの原因について「20年以上前のコンピューターシステムを抜本改修せず、マニュアルもない」などを挙げた。



http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2015/07/tpp-6_1.php
TPPが医療費高騰を招く? U.S. Tries to Elbow out Generic Drugs
米製薬業界の圧力で安価なジェネリック医薬品の利用が困難になるかもしれない

2015年7月10日(金)19時38分 Newsweek Japan
オーウェン・デービス

不都合な真実 アメリカのTPPは製薬業界の利益のためか

 12カ国が交渉中のTPP(環太平洋経済連携協定)で、アメリカの担当者による「不都合な真実」が発覚した。製薬業界の利益を守るためTPP参加国内での安価なジェネリック医薬品の承認阻止に奔走していたのだ。

 きっかけとなったのは、アメリカが後押しするTPPの知的所有権条項の草案のリークだ。草案では、国境を越えた特許権保護を強化し、「特許リンケージ」なるルールを加盟国に強制。これが認められると、既存薬の特許権所有者が法的異議申し立てをすれば安価なジェネリック医薬品が承認されなくなる。

 消費者保護団体は、特許リンケージのせいでTPP加盟国内ではジェネリック医薬品の製造販売が困難になり、医療費も急騰すると口をそろえる。「そうなれば世界中で薬価が上がる」と、国境なき医師団の政策担当責任者ロハット・マルピニは訴える。

 ジェネリック医薬品協会の推定では、ジェネリック医薬品の使用でアメリカでは10年間で1兆5000億ドルが節約された。

 特許リンケージ推進派の言い分はこうだ。環境と労働者の保護を強化しつつ、加盟国間の貿易を拡大する。特に製薬業界は、草案のように特許を保護するなら、数十億ドルにも及ぶ新薬への投資を続けられる──。製薬業界のロビー団体である米国研究製薬工業協会は、TPPや類似の協定の有力支持組織として大きくなり、成果も挙げている。

 患者側の権利擁護団体は、アメリカが製薬会社の利益確保をTPP交渉の主な目的にしているとする。全米退職者協会など11の組織が発表した書簡によれば、TPPは「製薬業界の優先事項をあまりにも重視しており、処方薬の適切な価格や安全、有効性、費用対効果といった消費者にとっての優先事項に重きを置いていない」。

 現段階で、リークされた草案は最終決定ではない。TPP交渉の行方を、製薬業界も固唾をのんで見守っている。

[2015年7月14日号掲載]



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46161.html
手術で改善見込める認知症「知らない」9割- ジョンソン&ジョンソンが調査
2015年07月10日 19時19分 キャリアブレイン

 手術によって改善が見込まれる認知症「特発性正常圧水頭症」(iNPH)の存在を知らない人は9割に達することが、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニー(J&J)の調査で分かった。また、iNPHの診療経験がある医師は、脳神経外科や神経内科では半数前後に達するものの、一般内科などの医師では全体の1割にも満たないことも分かった。【ただ正芳】


 iNPHは、頭蓋内に過剰に髄液がたまることで脳が圧迫される病気。認知症のほか、歩行障害や尿失禁などの症状が現れるが、手術によって改善が見込める。認知症の原因疾患の約5%を占めるとされ、国内には約36万人の患者がいると推測されている。

 J&Jでは昨年6月、インターネットを通じ、iNPHに関する調査を実施。一般の男女1000人(男性500人、女性500人)から回答を得た。また、昨年11月には、34の診療科の医師に対し、iNPHの診療経験の有無をアンケートし、2万288人から回答を得た。

 一般の男女に対し、iNPHを知っているかどうかを聞いた質問に対しては、「知っていた」と回答した人は全体の9.9%で、「知らない」と回答した人が90.1%だった。

 また、「身近な人に認知症の症状が出たら、どうするか」との質問に対しては、医療機関を訪れると答えた人は80%を超えた。医療機関の中で最も多かったのは「脳神経外科」の27.1%で、以下は「かかりつけの医院」(22.7%)、「神経内科」(17.9%)、「精神科」(12.3%)の順となった。分からないと答えた人は18.2%だった。

 一方、iNPHの診療を経験したことがあると答えた医師の割合は、「脳神経外科」が最も高く51.9%で、次いで高かったのは「神経内科」の42.5%だった。しかし、かかりつけ医を含む「一般内科」や「精神科」でiNPHの診療経験があった医師は、いずれも6%にとどまった。



http://apital.asahi.com/article/news/2015071000013.html
患者7人の死亡、市が外部調査委 千葉市立海浜病院
2015年7月10日 朝日新聞

 千葉市美浜区の市立海浜病院の心臓血管外科で4~6月に手術を受けた患者7人が術後20日以内に死亡した問題で、市は9日、外部調査委員会を設置すると発表した。

 市病院局経営企画課によると、第三者である日本心臓血管外科学会(上田裕一理事長=奈良県総合医療センター総長)に委員の推薦を依頼している。委員数や日程は未定で、市は調査終了後に結果を公表する。

 市は当初、病院職員を含めた委員会設置を検討していたが、専門家による中立的な調査が必要だと判断し、市職員を含まない外部委員会形式にすることとした。

(朝日新聞 2015年7月10日掲載)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46169.html
在宅専門の診療所、来年4月にも保険指定へ- 塩崎厚労相、改定に合わせて認可
2015年07月10日 14時30分 キャリアブレイン

 在宅医療の提供体制を確保するため、厚生労働省は来年4月をめどに訪問診療を専門に行う診療所の保険指定を認める方針だ。10日の閣議後の記者会見で塩崎恭久厚労相は、「(次期)診療報酬改定に合わせて(認可する)というのが基本的な考え方」と述べた。【松村秀士】

 在宅医療については現在、厚労省の地方厚生局が健康保険法上の趣旨から、必要に応じて医療機関に対して外来応需体制を確保するよう指導しており、在宅医療を専門に行う保険医療機関を認めていない。しかし、今後の高齢化の進展に対応するために在宅医療の提供体制をさらに拡充する必要があることから、在宅医療を専門に行う医療機関の取り扱いについて明確化することが課題となっている。

 これまでに、政府の規制改革会議が外来応需体制を求める運用の在り方の見直しを求めていたほか、先月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015でも、新たに講じるべき施策の1つとして、外来応需体制のない医療機関の設置に関する要件の明確化を検討し、年度内に結論を得ることが盛り込まれた。

 こうした状況を踏まえ、厚労省は来年4月をめどに在宅医療を専門に行う診療所を認める方針。10日の会見で塩崎厚労相は、在宅専門の診療所を認めた場合に、「(保険医療機関として)最低限守らなければいけないことが守られるかどうかを、年末に向けて議論を深めていかなければならない」とした。



http://www.m3.com/news/iryoishin/338575
小泉改革の印象根強く、医療制度改革◆Vol.1
「医療制度改革のニュースに興味ない」は1%程度

2015年7月10日(金)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 2025年に向けて、地域医療構想の策定に向けた動きが本格化する中で、医療をはじめとする社会保障制度は、内閣府の経済財政諮問会議などからの改革の圧力が続いている。内閣府が見据えるのは、「2020年度のプライマリーバランスの黒字化」という財政再建であるため、緩やかな変化で2025年を目指す医療界とは隔たりがある。今回は、m3.com医師会員を対象に、後発医薬品や地域別診療報酬など、現在浮上している各種改革についての考えを聞くアンケートを企画した。回答期間は7月6日。総回答数は504人(勤務医304人、開業医200 人)。その結果を随時紹介する。

Q.1 医療制度改革関連のニュースへの興味
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 Q1では、医療制度改革関連のニュースへの興味を聞いた。最多だったのは、勤務医・開業医ともに、「新聞やインターネットで見かけたら、自身に関係がありそうなら読む」で、勤務医では45.4%、開業医で40.0%となった。

 開業医で2番目に多かったのは、「ニュースの有無と関係なく、関心を持って経過を追っている」で31.5%。勤務医の17.8%と比べて高い割合だった。診療報酬や地域医療構想をはじめとした医療制度改革は、経営に直結する側面が強く、医療機関経営者を含む開業医の関心が高いのは自然な結果といえる。

 「全く興味がない」は、勤務医で1.0%、開業医で1.5%となった。


Q.2 過去の医療制度関連改革で、一番影響した改革
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 Q2では、過去の医療制度関連改革で、一番影響した改革として思い浮かぶものがあるかを聞いた。「ある」と回答したのは、勤務医で27.0%、開業医で35.5%となり、Q1同様、開業医の方が、割合が高い結果となった。

 実際に印象に残っている改革としては、毎年2200億円の社会保障費の自然増抑制を目指し、医療崩壊につながったとされる小泉純一郎政権下での改革を挙げた人が9人。研修医制度と在宅医療関連の制度改革も、9人ずついた。他の回答で、5人以上が挙げた回答は以下の通り。

・高齢者医療費の自己負担増(7人)
・医薬分業の推進(6人)
・介護保険制度の創設(5人)

 回答者の属性は以下の通り。
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http://www.m3.com/news/iryoishin/338578
後発品使用、 「7割未満」が7割超◆Vol.2
後発品使用目標「難しい」が約半数

2015年7月11日(土)配信 池田宏之(m3.com編集部)

Q.3 2014年度における自身の診療環境における後発医薬品の使用率
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 Q.3では、2014年度における自身の診療環境における後発医薬品の使用率について聞いた。政府は、6月に示した「骨太の方針」において、「2017年 半ば までに、後発品使用率を70%以上」とする方針を、閣議決定している。

 最多だったのは、勤務医、開業医ともに「40%以上、70%未満」(勤務医40.5%、開業医42.5%)となった。次いで多かったのは「40%未満」となった。合計すると、2014年度の時点で、70%に満たなかったのは、勤務医で73.7%、開業医で74.5%となった。後発品の使用率を把握していなかったのは、勤務医で12.8%、開業医で14.0%。後発品の使用率が70%未満の医療機関は、より多い可能性がある。

 後発医薬品の使用に当たっては、政府は、医療者でなく、使用する国民の理解を深めることで抵抗を少なくしたい考えを示しているほか、保険の給付範囲を後発品に基づいて設定して、差額を患者負担とする制度の検討方針を示している。


Q.4 「2017年半ばに70%以上」とする後発医薬品の使用目標の達成可能性
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 Q4では、政府が示している「2017年半ばに70%以上」とする後発医薬品の使用目標の達成可能性について聞いた。

 「とても達成が難しい」「比較的達成が難しい」を合わせた割合は、勤務医で46.4%、開業医では58.0%となり、全体の半数が、目標達成が難しいとの認識を示している。難しいと回答した人の割合は、開業医の方が高い傾向にあった 。薬剤部がある病院と異なり、開業医の方が自身で後発医薬品の有効性・安全性を見極めたり、患者からの問い合わせに答える機会が多いため、使用に抵抗感を持ちやすいことが一因と言えるかもしれない。

 「とても達成が容易」「比較的、達成が容易」を合わせた割合は、勤務医で17.1%、開業医で12.5%となった。Q.3で2014年度の使用率を聞いた質問で、既に70%以上を達成していたのは、勤務医で13.5%、開業医で11.5%だったことを考えると、現状で使用率が70%を達成していない医師の多くが、目標達成に対して難しさを感じているか、見通しの不透明さを感じている結果となった。


  1. 2015/07/11(土) 10:09:39|
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7月6日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/332210?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150706&dcf_doctor=true&mc.l=110669882
シリーズ: その時どうする?患者トラブル調査
シ「結婚してください」「終末期、任せます」◆Vol.12-3
医師会員に聞いた、患者・家族の非常識な言動

2015年7月6日(月)配信 成相通子(m3.com編集部)

 Q9: ご自身が「最も非常識だ」と感じた患者やその家族の言動はどんなものがありましたか?(自由回答)

  アンケートの回答者501人にこれまで遭遇した「最も非常識」な患者やその家族の言動を聞いた。前々回(『「老衰で死んだのは医師のせい」「外で談笑するな」◆Vol.12-1』)と前回(『「胃癌見つけてと言ってない」「医師より接骨院」◆Vol.12-2』)に続けて、さまざまな患者・家族の予想外の言動を目の当たりにした回答者の声を紹介する。

【お金にまつわる話】

・支払いをせずに帰る。
・検査で異常がなかったのだから検査代は払わない。
・保険が下りるから、入院したことにしてほしい。
・「よくならないから金返せ」
・後で支払うと言っておきながら、電話にも出ない非常識な人が増えてきた。
・「インフルエンザワクチンを接種したのにインフルエンザに罹患した。ワクチン接種料金が他院より安かったので、安物のワクチンを接種したのではないのか?」
・入院保険金目当てで数々の体調不良を訴え、退院せず病院に数カ月も居座り続けた。
・「治療が長引いたのはお宅のせいだから」と、延長した医療費は払わない。

【医師に対する不満】

・医師はこうあるべき、とういう患者の勝手な幻想がある。
・医者にはプライベートがなく、24時間働けと言われること。
・「病院で一番上手な医師に処置をしてほしい」
・ちゃんと治せる医者を紹介しろと言われた時。
・診療行為一つひとつに対してため息をつき、最後に「あなたでは、私の診療は無理ですね」と言われ、ほかに行くから手紙を書いてと言われた。

【患者としての矜持】

・終末期治療に関して選択肢を示した際に、決められないので先生に任せると言われた時。
・親子姉妹患者の母親、全て母親が説明する。
・もともと治そうとする気がない患者。
・病状の悪化が治療拒否によるものであるにもかかわらず、必要な治療を受けられないとの言動。
・自分の物忘れを当院のせいにする。
・了解もなく診察中に録音しようとしたとき。
・予約日に来ない。来ても予約時間とかけ離れた時間に来院し待たせるなと怒る。服薬コンプライアンスが悪い。血圧測定も含め問診以外のすべての診察を拒否。
・救急車で来院したが、治療拒否。
・事前に病気について話し安静を指示していたにもかかわらず、安静にしておらず病状が悪化したが、後でそんな事、聞いてないと言われたとき。

【説明にまつわる話】

・説明しても医者じゃないので分からないと言う。
・説明を充分にしているにもかかわらず、説明が足らない、紙に書いてくれなかったと自分の非を棚に上げて声を荒げた。
・医療費を公費負担にしたために、治療を実験的なものと誤解された。

【無理な要求】

・付き合ってくれと迫られた。
・結婚してくださいと言われた。
・「紹介先の病院へなぜ御見舞に来ないのか?」
・「入院してるのに、悪うなるっちゅうのはどうゆうことやねん。ちゃんとやっとんのんかい」
・「明日までによく治せ」
・自宅に時間を問わず、頻回に往診を強要する電話をかけてくる。
・アトピーの治療をこうしてくれと頼まれて、ガイドラインの面からもできないと答えたのに、不払いで逃げた。
・生きるのが当たり前で、死ぬのが何かの間違いだと思っている。
・「お前が付き添え」

【その他】

・健診クリニックで看護師さんが採血をする際に、穿刺しようとする部位を消毒したアル綿をいったん採血台の上に置き、もう一度消毒したところ、不潔だと怒り出した人がいた。医師の私も説明対応することになったが、採血台にいる菌やウイルスなどが体内に入ることだってあり得る、それで病気になったらどうしてくれるんだ、とか言っていた……。
・他施設で受けた手術後の不具合について延々と訴えるので、執刀医に相談するよう説明し話を打ち切ると、聞く耳を持たないと非難された。
・院内食堂にアルコールを持ち込んで、宴会を行っていた。
・酸素ボンベで殴り掛かられる。
・タクシー代わりに救急車を呼ぶ。
・「注射のためにリウマチになった」
・自主退院なのに、医者が許可したかのようにさせようとした。
・全く理不尽なことで文句を言われ、「私も医療従事者なので、敢えて言わせてもらった」と言うが、その職業は病院の調理師だった。
・治療方針が決まるのは初診ではないことを常識としてわきまえてほしいものです。
・大勢で何時間も取り囲む。
・長時間に及ぶ、非常識な恫喝(2時間以上)。
・飛び込み分娩や自宅分娩で、出生児や母体の状態が悪いことに対しての責任転嫁。
・糖尿病性腎不全にて透析中の患者さんはかなり頑固。詳細は忘れたが、会話中につい指二本ぐらいで患者さんの腕を叩いたら、医者が患者を叩いたと騒ぎ出した。謝罪を入れてことは終息した。
・Web情報を参考にした診療・治療方針に関する見当違いなクレーム。



http://www.m3.com/news/general/337440?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150706&dcf_doctor=true&mc.l=110670029
介護クライシスに対応を 高橋泰・国際医療福祉大大学院教授 高齢者移住インタビュー
2015年7月6日(月)配信 共同通信社

 東京圏(千葉、埼玉、東京、神奈川の4都県)の75歳以上の高齢者は、今後10年間で約175万人増えると予測される。医療・介護施設が不足し、高齢者が行き場を失う「介護クライシス(危機)」が起きることは目に見えている。

 団塊世代に残された時間は少ない。郊外の住宅の資産価値は低下しており、マイホームを売って地方に移る資金が残るのは2020年東京五輪までだろう。急がないと手遅れになる。

 対応策の一つとして日本創成会議が提言したのが医療・介護態勢に余裕のある地方への移住だ。元気なときから移り住み、医療や介護も受けられるコミュニティー「日本版CCRC」を、地域の受け入れ拠点にする構想も盛り込んだ。

 地方移住のリスクは、医療はあるのか、買い物はできるのかといった本当に生活できるのかということ。CCRCは仕事やボランティアなどの活動も可能で、メンバーが移住者という共通点があるため人間関係もうまくいきやすい。「個人で努力してくれ」というところより付加価値は高い。

 人が移り住めば、現地の若い人の雇用が生まれる。雇用があれば地方で生活したい人はいくらでもいる。移住者と組んで、地元の若い人がビジネスを始めるかもしれない。ただ高齢者が来ると医療、介護の財政負担が増えると懸念する自治体があるのは当然だ。移住者数に応じた交付金の調整など、国による支援が絶対条件となる。

 地方の首長が若い人に来てほしいといっても、給与水準が東京より低ければ簡単ではない。60歳近くの人に老後の選択材料をたくさん示し、退職したらすぐに実行してもらうのが私の移住のイメージ。移住を推進する自治体はどんな人に来てほしいのかを明確にし、まちづくりを計画することが不可欠だ。趣味を前面に「釣り天国」を打ち出す漁村があってもよい。認知症に取り組む村という発想もある。

 政府は地方の病院ベッドが過剰として削減を目指している。創成会議の提案とつじつまが合わないとの批判もあるが、表裏一体だ。手を打たなければベッドが減って医療・介護従事者が失業し、ますます地域は衰退する。移住者を呼び込めば需要が増えてベッドを減らさずに済む。自治体は実態を踏まえて戦略を練る必要があるだろう。

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 たかはし・たい 59年金沢市生まれ。金沢大卒。09年から現職。医療政策が専門で、日本創成会議首都圏問題検討分科会メンバー。



http://medg.jp/mt/?p=5951
医療ガバナンス学会 Vol.132
安倍総理大臣と厚生労働省-ホールディングカンパニーをめぐる齟齬

亀田総合病院 小松秀樹
2015年07月06日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

◆安倍総理大臣のダボス会議発言

 2014年1月22日、世界を代表する政治家や実業家が集まるダボス会議で、安倍総理大臣が日本の総理大臣として初めて基調講演を行った。
 「昨日の朝私は、日本にも、メイヨークリニックのような、ホールディングカンパニー型の大規模医療法人ができてしかるべきだから、制度を改めるようにと、追加の指示をしました。既得権益の岩盤を打ち破る、ドリルの刃になるのだと、私は言ってきました。春先には、国家戦略特区が動き出します。向こう2年間、そこでは、いかなる既得権益といえども、私の「ドリル」から、無傷ではいられません。」

 医療システムは、世界で正しさや標準が競われ、目まぐるしく変化し続けている。米国では近年、医療・介護事業の統合化が進んでいる。中心となっているのはIHN (Integrated Healthcare Network 統合医療ネットワーク)と呼ばれる非営利医療複合体である。メイヨ―クリニックは、IHNの老舗ともいうべき存在であり、オバマ大統領から「高い質の医療を提供しながら、医療費を低く抑えている」として称賛された。

◆IHN

 IHNによって、米国でどのような変化が起きたのか。ペンシルベニア州のピッツバーグは鉄鋼の町として知られていたが、1980年以後、USスティール社が経営不振に陥り、廃墟と失業の町になった。地元の有力者が協議し、ピッツバーグ再生の最初の一手として、附属病院の競争力を高めるために、ピッツバーグ大学から附属病院を切り離した。1986年、UPMC(ピッツバーグ大学医療センター)を設立し、附属病院と提携先病院合わせて3病院を経営統合した(1)。この後10年間で世界最先端の医療・介護事業体として成長し、1996年には海外進出を含めた多角化戦略を策定した。
 UPMCは20の病院、400を超える診療所、介護施設などのサテライト事業拠点を持つ。医療圏の人口は400万人。その広がりは、州や自治体の境界とは無関係で、ペンシルベニア州のみならず、オハイオ州、ニューヨーク州の一部に及ぶ。
 ピッツバーグ大学、カーネギーメロン大学と一体になって、医療・介護の提供のみならず、医学教育、医師の卒後教育、研究開発で大きな成果を上げている。例えば、スターズル医師が切り開いた肝臓移植は、UPMCを舞台に発展した。
 2011年6月期、ピッツバーグ大学とカーネギーメロン大学の事業収入は合計29億1900万ドルだった。これに対し、UPMCの事業収入は90億100万ドルと膨大であり、従業員は55,000人に達する。非営利法人なので、非課税であるが、2010年6月期には5億6300万ドルを地域貢献のために拠出した。内訳は、慈善医療2億1800万ドル、研究・教育2億4400万ドル、地域健康プログラムなど1億100万ドルだった。
 IHNは、教育、研究を含めた巨大な医療・介護複合産業であり、世界最高水準の医療を実現し、その進歩を担っている。同時に地域で、巨大な雇用を生みだしている。
 UPMCを含めて米国のIHNの特徴は、政府から独立した純民間組織であり、活動の自由度が大きいことにある。行政が活動内容に細かな指示を出すわけではない。

◆日本の大学病院と医学教育

 従来、日本の大学病院は、診療規模が小さいのみならず、信頼性に問題があると思われてきた。このため、世界規模の臨床試験に参加するのが難しかった。加えて、最近明らかになった数々の不祥事によって、日本を代表する医学者たちが日常的に不正を行っているのではないかと思われ始めた(2)。
 降圧剤であるバルサルタンは、単なる降圧効果以上に、直接臓器障害ひいては疾患発症を抑制する可能性があるとするデータで売上を伸ばし、年間売上1000億円を超えるに至った。しかし、京都府立医大、東京慈恵医大、滋賀大学、名古屋大学、千葉大学で行われた医師主導臨床試験にノバルティス・ファーマの社員が関与し、データを操作した疑いがもたれている(名古屋大は操作を否定している)。多額の奨学寄付金を受け取っていた大学の教授たちがこぞって宣伝に参加していた。多くは、日本高血圧学会の幹部だった。2014年1月、厚労省がノバルティス・ファーマを東京地検に告発した。
 東京大学では、軽度認知障害を持つ被験者を対象としたJ-ADNI臨床研究で改ざん問題が浮上した。東大の主導で行われたSIGN試験は、慢性骨髄性白血病の治療薬をイマチニブからニロチニブに切り替える臨床試験だった。イマチニブの特許切れが近づいてきた中での、ノバルティス主導の拡販活動だったと理解されている。
 そもそも、中世ヨーロッパで、大学は修道院によって、あるいは、修道院との競合で生まれた。13世紀のパリ大学のスター教授、ロジャー・ベーコンとトマス・アクィナスはいずれも修道士だった。現実とかけ離れた長期間の修行が行われ、儀式と位階獲得のために多大なコストがかけられた。
 日本の大学は、現実社会から遊離している点で、ヨーロッパの古い大学の特徴を色濃く残している。日本の大学病院の臨床水準は高いとは思われていない。手術ができない外科系教授は珍しくない。大学病院の幹部医師の主たる関心事は位階争いなので、診療能力が二の次になるのは避けられない。
 日本では、医学部が中核であり、医学部に附属病院が併設されている。所管する文部科学省の主たる関心事は教育・研究であって医療ではない。安倍総理大臣が言及したメイヨ―クリニックは、1886年に創設されたが、メディカル・スクールが併設されたのは、1972年である。日本の大学病院と逆で、病院があり、その附属施設として医学校が設立された。研究機関としても世界で高い評価を受けているが、日本の大学病院と異なり「患者のニーズ第一」が実質を伴うチャッチフレーズになっている。
 米国、カナダの医学教育では、臨床実習が重視されている。医学教育プログラム認証基準は、多くの疾患を、実際に体験することを求めている(3、4)。単独の病院では、到底要求を満たせないので、多くの教育病院が臨床実習に参加している。日本の大学病院ではこの基準をクリアできない。

◆地域医療連携推進法人

 松山幸弘氏は、米国のIHNを念頭に、ホールディングカンパニーという言葉を広めた。安倍総理大臣のダボス会議での発言は、松山氏と同様、教育、研究を含めた最先端の巨大医療事業体をイメージしている。
 厚労省は、ホールディングカンパニーという言葉の意味を変えてしまった。2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書は、地域の連携を推進するために、「ホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことのできる道を開くための制度改正」を提唱した。地域医療連携推進法人がこれにあたる(5)。厚労省は二次医療圏を想定した小さな組織を念頭にしており、松山氏がイメージしていた世界最先端の巨大医療事業体という側面を消し去った。
 地域医療連携推進法人が、IHNと根本的に異なるところは、行政の「強制力」を受けることである。社会保障制度国民会議報告書の記載が示すように、最近の厚労省は、一貫して「強制力」を強めようとしている。都道府県の権限を強め、「病床機能報告制度」と「地域医療ビジョン」によって、かつての共産圏の統制経済のように、行政が医療の需要と供給量を決めようとしている。一方で、消費税増収分を活用した基金を創設した。病院の購入する物品やサービスに消費税がかかっているにもかかわらず、診療報酬に消費税がかけられていない。消費税率引き上げ分が診療報酬に十分に反映されていないことを合わせると、この基金は、病院の収益の一部を取り上げ、それを、支配の道具に使う制度であり、再投資の判断を経営者から行政が奪い取るものである。
 都道府県知事は、地域医療連携推進法人に対し、理事長就任を許可し、都道府県医療審議会の意見に沿って、認可・監督を行う。また、地域関係者による地域医療連携推進協議会(仮称)を創設して、その意見を尊重させるとともに、地域関係者を理事に加えて、地域の意見を反映させる。とりわけ問題なのは、地域医療連携推進法人が、参加法人の事業計画等の重要事項について、意見を聴取し、指導または承認できるようになることである。行政の持つ権限によって、「できる」ことが「強いられる」ことになりかねない。

◆医療費の抑制

 日本の年金と高齢者の医療費は、現役世代の保険料と税金が支えている。2010年には65歳以上の高齢者1人を2.57人で支えていたが、65歳以上の高齢者人口がピークになる2042年には1.34人で支えることになる。しかも膨大な財政赤字があり、これが現在も増え続けている。2013年度予算では、収入の半分が借金、支出の4分の1が借金返しだった。現役世代1人当たりの負担が同じで、国の借金が帳消しになり、かつ、新たな借金ができなくなったと仮定すると、支出は4分の3から4分2になる。2042年、一人当たりの給付は単純計算で1.34÷2.57×2÷3=0.35となる。
 社会保障制度改革国民会議報告書は、財源確保、給付の抑制、効率化、能力に応じた負担増を訴えている。2014年の診療報酬改定と消費税率引き上げで、診療報酬が実質的に引き下げられた。従来、日本の病院の経営に余裕がなかったため経営状況が悪化した。もし、社会保障給付が現状の0.35になるとすれば、医療の形は大きく変貌する。無駄の削減は極めて重要だが、医療・介護を発展させることも重要である。
 そもそも、日本は世界で最も高齢化率が高い割に、医療費の対GDP比は低く保たれてきた。このため、日本の病院は先進国と比べると貧相である。米国の病院用の標準的家具は、高価なため日本の病院では購入できない。医療水準を保つには、国民負担率を北欧よりさらに上げなければならないが、国民の同意を得るのは不可能といってよい。このまま診療報酬を絞り続けると、医療が荒んでくる。採算のとれない医療が増えてくると、一部の医療サービスは供給したくてもできないことになる。
 日本の官僚のDNAには、江戸時代以来の質素倹約、財政再建路線が刷り込まれている。自動車や観光より、医療・介護ははるかに切実な需要である。医療・介護サービスを、雇用拡大と経済成長に組み込む知恵がなにより必要とされている。

◆混合診療

 厚労省は、統制医療を強めることで財源不足を乗り切ろうとしている。従来通り、すべての医療を社会保険でカバーしようとする姿勢を崩していない。
 治療に使われる高価な機器やカテーテル類の多くは輸入されている。最近発売されている薬剤は極めて高価である。進行前立腺がん患者に使われるジェブタナという薬剤は、1バイアル60万円で3週間に1回投与される。ほとんどの患者に有害事象が発生する。ジェブタナ投与群の生存期間の中央値が15.1か月、対照群は12.7か月とその差はわずかである。厚労省は、このような薬剤まで保険診療で使用することを認めている。高価な新薬の多くが外国で開発されているので、医療費として使われた金が外国に流れる。その分、現場を支えるための費用が削られる。
 保険診療を行いつつ、財源不足に対応する方法として混合診療がある。混合診療は、医療保険を使いつつ、医療保険でカバーされない医療サービスを自費で購入するものである。日本では現在、医療保険で認められていない診療と保険診療の併用は原則として禁止されており、併用するとすべて自費で支払わなければならない。厚労省は、統制医療に固執し、混合診療を徹底して排除してきた。
 混合診療に関して、以下の3つの選択肢が考えられる(6)。

1)混合診療を認めない。新しい高額医療もすべて国民皆保険で実施する。
 どうなるか。医療費を賄うために保険料、税金を上げざるを得ない。それだけで足りずに、国債発行が増える。高齢化による経済活動の低下と相まって、ハイパーインフレになる可能性がある。
2)混合診療を認めない。新しい高額医療は取り入れない。
 どうなるか。日本の保険診療が世界の医療の進歩から取り残される。一方で、民間医療保険による医療が大きくなる。国民が二つに分断される。民間医療保険加入者を、通常の健康保険に強制的に加入させるための根拠が薄弱になる。紛争化する可能性がある。
3)国民皆保険を守るために、混合診療を本格的に導入する。
 日本の医師は、高血圧学会の重鎮と同様、製薬メーカーの拡販攻勢に弱い。同じ薬効でも高価な薬を使おうとする。2014年度、薬剤売上ランキングのトップは、抗血栓症薬プラビックス1288億円だった。1人1日分282.7円で、同じ目的で使われるバイアスピリン5.6円の50倍である。値段差は大きいが、心血管イベントの予防効果の差はごくわずかでしかない。薬価と効果の差を説明することを前提に、バイアスピリンとの差額の相当部分を患者負担にしてはどうか。
 前述のジェブタナも、高価ではあるが、副作用が強く、わずかな効果しか期待できない。投与することが患者の幸せにつながるとは思えない。保険診療から外しても問題は生じない。

◆ガラパゴス化

 現代社会では、経済、学術、テクノロジー、医療などの社会システムの分化とグローバル化が進んだ。こうした機能システムは、固有の正しさを発展させて、世界横断的な部分社会を形成し、日々その正しさを更新している。一方で、国民国家に内部化された社会システムは、政治や法システムと共鳴して、「国民生産レジーム」(トイブナー『システム複合時代の法』信山社)を形成する。国民生産レジームが、世界標準に背を向けて、変化を拒み続けると、合理性が大きく失われ、国際社会のみならず内側からも問題視されることになる。日本の農業国民生産レジームは、既得権益を擁護するために、農業を小規模に保ち、日本の農業をガラパゴス化させた。日本経済が大きくなる中で、農業の改革を阻害し続け、結果として、農家の零細化、兼業化を進めた。地方の貧困化に寄与したかもしれない。
 厚労省の統制医療政策、混合診療禁止原理主義、二次医療圏内封じ込め政策は、日本医師会、全国医学部長病院長会議などの国内政治と国民生産レジームを構成し、日本の医療を世界標準からかけ離れたものにしつつある。日本の医療水準が低下すれば、国民の一部は、世界標準の医療を求める。世界の医療産業が参入しようとする。世界第2位の医療市場を持ちながら、世界から孤立して、ガラパゴス医療を継続するのは困難である。世界標準を求める圧力に抗することができなくなったとき、日本の医療は、世界に存在感を示すどころか、日本でも主導権を持てなくなる。
 ガラパゴス化を防ぐためには、メディカル・スクールと研究施設を持つ、メイヨークリニックのような巨大IHNが必要である。すでに岡山大学病院がIHN創設を目指して動き始めた。筆者は、東大医学部をメディカル・スクールに改組すること、東大病院を東大から切り離してIHN化することを提案したい。成長戦略としてもきわめて有望である。
 東大医学部は歴史的役割ととっくに終えている。世界で存在感を示すためには、新たな理念と組織が必要とされている。存立を危うくするような不祥事が頻発しているが、ビジョンと勇気を持って本気で状況にコミットする指導者がいない。現状の東大は改革の阻害要因になっている。逆に、東大の改革が進めば、日本の医療が大きく動き出すきっかけになる。東大にとっても大きなチャンスである。
 日本の医療が世界標準作成のプレーヤーになるのか、医療国民生産レジームの望むままに国内で縮んでいくのか、安倍総理大臣と厚労省のどちらが将来の医療に対し主導権を持っているのか、注目していきたい。

1.松山幸弘:医療産業集積ピッツバーグのビジネスモデルUPMC. 竹中工務店広報誌approach, 2012年秋号.  http://www.canon-igs.org/column/pdf/120912_matsuyama_approach.pdf
2.谷本哲也:起こるべくして起きた高血圧治療薬バルサルタン事件. JB press, 2013年6月10日.   http://jbpress.ismedia.jp/
3.小松秀樹:メディカル・スクールの認証基準について(その1/2). MRIC by 医療ガバナンス学会.メールマガジン; Vol.56, 2013年3月2日.   http://medg.jp/mt/2013/03/vol56-12.html
4.小松秀樹:メディカル・スクールの認証基準について(その2/2). MRIC by 医療ガバナンス学会.メールマガジン; Vol.57, 2013年3月3日.   http://medg.jp/mt/2013/03/vol57-22.html#more
5.小松秀樹: 地域医療連携推進法人を構想するセンス. 厚生福祉, 6153, 10-14, 2015年4月17日.
6.小松秀樹:社会保障制度改革国民会議報告書を読む, ④医療介護分野(下)・完. 厚生福祉, 6024号, 2-6, 2013年12月27日.



http://www.m3.com/news/general/337530
誤った薬飲まされ女性死亡 埼玉県熊谷市の特養、過去の事故も県に報告せず
2015年7月6日(月)配信 埼玉新聞

 熊谷市平戸の特別養護老人ホーム「いずみ熊谷」(岡部陽子施設長)で昨年12月、入所者の女性=当時(88)=が誤って渡された別の入所者の薬を服用後に嘔吐(おうと)し、誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡していたことが4日、県などへの取材で分かった。県は同施設に再発防止と改善を指導。県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。また、この事故を含む昨年発生した8件の事故について、施設が県への報告義務を怠っていたことも判明した。

 同施設や県によると、女性は入所翌日の昨年12月19日、朝食時に別の入所者が服用しているパーキンソン病治療薬を飲み、約1時間半後に嘔吐。病院に搬送され、3日後の22日に死亡した。診断の結果、薬の副作用で嘔吐した可能性が高いという。

 薬はケースに入れられ、朝食のお膳に乗せて女性に渡し、ホームヘルパー2級の資格を持つ男性職員(48)が飲ませた。別の入所者の名前を呼んだ時、女性が「はい」と応答したため、誤配してしまったという。女性は認知症を患い意思決定ができない状態で、高血圧のため血圧降下剤などを服用する予定だった。男性職員は事故後、体調不良などを訴え退職した。

 事故原因について、岡部施設長は「職員の認識不足。利用者の方の顔と名前が把握できていなかった」と説明。チェック体制にも不備があった点を認め、謝罪した。施設は再発防止に向けて服薬に関するマニュアルを見直し、本人確認の徹底や職員の増配などの措置を講じているという。

 県が事故を把握したのは女性が死亡して1カ月後の今年1月16日で、女性の遺族からの通報が発端だった。県は同28日、施設の立ち入り調査を実施し、2月26日に文書で改善を指導。ほかにも過去1年で誤嚥事故など7件の事故が未報告だったことが発覚し、管理責任者の処分を求めた。

 いずみ熊谷は2012年4月に開所。ショートステイを含めて約100人が利用し、約70人の職員で運営している。

■誤嚥(ごえん)性肺炎

 細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込んで生じる肺炎。高齢者の肺炎は70%以上が、口の中や胃の中のものが誤って気管に入る誤嚥に関係しているといわれている。誤嚥性肺炎を含む肺炎で死亡する人は年間で12万人を超え、死因別では3位となっている。また、肺炎による死者数の約95%が65歳以上の高齢者と、高齢になるほど発症しやすい。


  1. 2015/07/07(火) 06:00:19|
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7月5日 

http://mm.m3.com/r/7UDw6-16Lf-1aRI.html?dcf_doctor=true
大学の悩み、「研究時間の確保が困難」◆医学部長アンケートVol.4
「医師も経済的豊かさ求め、束縛嫌う風潮」との声も

2015年7月5日(日)配信 成相通子(m3.com編集部)

 医学部の定員増や臨床研修の必修化などの制度変更で、医学教育は大きく変容してきた。さらに、臨床研修医の大学離れ対策や、医学部教育の国際水準対応が求められる中、医学部や医科大学の運営における悩みについて尋ねた(調査の概要は、『「大学の役割、高まる」 ◆医学部長アンケートVol.1』を参照)。

第4問 貴医学部・医科大学の運営における悩みはどのようなものがございますか。下記の選択肢からお選びください。 (当てはまるものは、いくつでも)
_  ア.運営費交付金・私学助成金等の削減  
_  イ.研究における競争的資金の増加  
_  ウ.臨床多忙で、研究時間の確保が難しい  
_  エ.基礎および臨床研究者の少なさ  
_  オ.2023年問題、医学部教育の国際水準対応  
_  カ.医学生の質の低下 
_  ク.教員の質の低下  
_  コ.入局者の減少
_  サ.その他

 最多は「臨床多忙で、研究時間の確保が難しい」で7人。次は「基礎および臨床研究者の少なさ」で6人。「運営費交付金・私学助成金等の削減」(5人)、「入局者の減少」(4人)、「研究における競争的資金の増加」(3人)と続いた。「医学生の質の低下」を選んだのは1人で、他の選択肢を選んだ人はいなかった。東京慈恵会医科大学の松藤千弥学長は、「その他」として、「コンプライアンスの徹底、医師のマナー問題、仕事と家庭の両立を含むキャリアサポート」を挙げた。

 研究者育成にまつわる悩みが、多くの大学に共通する課題であることが分かった。また、広島大学の木原康樹医学部長は「研究者の質低下、研究機関確保の困難さは甚大である。継承職員枠の減少、任期制職員枠の増加が安定した研究時間の確保をさらに困難にしている」と指摘した。

 その他の意見として、「最近は医師であっても経済的な豊かさを求め、束縛を嫌う風潮が強まり、大学で勤務したり研究を志す若手が減少している」という声もあった。

(G3註:記事中の設問にキ, ケ なし)



http://blogos.com/article/120660/
地方の血液内科医高齢化進む 絶滅危惧種を絶やすな!
中村ゆきつぐ
2015年07月05日 11:44 BLOGOS

昨日筑波で行われた日本血液学会関東甲信越地方会に参加しました。現場でおきている珍しい患者をみんなで共有しながら、血液内科を志望する若手に発表の機会を与える教育の一貫です。

患者さんの発表、症例報告といいますが、やはり面白い物でした。ただ質問をするのがみんな大御所の血液の先生ばかり!ほんと若手を鍛えるためとはいえ、すこし大人げない?いやみんな学問に厳しい方ばかりです。ちなみに私も質問をしてしまいましたがw

その中で教育講演。山形大の血液内科石澤先生の悪性リンパ腫の話、元名古屋大教授直江先生の急性骨髄生白血病(診断は進歩!しかし20年間幹細胞移植以外治療の進歩なし)の話はやはり学問的にためになりました。

いかに過剰な抗がん剤治療を少なめにとか、新規治療の話も良かったのですが、じつは学問的な問題よりも石澤先生のこの発言がとても気になりました。

人口110万人の山形県の血液内科医の数は19人!そして50台以上が8/19!

細かい数字は書き取りきれずやや不正確ですが、山形県で血液内科をみてもらえる病院での血液内科の医師数は、山形大(5?忙しいのかHP更新されていない!)の他、山形県立中央病院2(HP画面では4?)、山形市立病院2など山形市に集中。その他の地域は 日本海総合病院2(副院長と副部長)以外は、1人体制で血液内科を診ている病院ばかりだそうです。多分地理的に仙台等へ患者さんは流れているのでしょうか。(埼玉が東京、栃木、群馬へ流れるように)

今までも挙げてきていますが、県が今後地域医療の計画を立てていきます。それこそ道州制にでもしない限り東北地方の血液診療はかなり厳しそうです。

癌検有明の畠先生が別の機会にお話しされていましたが、いかにこの少ない血液内科医を有効に活用するのか。全国に2000人(実働数?)しかいないこの絶滅危惧種を滅ぼさせないためには何をすべきか。私の一番のテーマですが、現場の先生も危機感を持っています。

ボランティアだけでは無理です。医師以外でできる仕事の排除、パラメディカルとのチーム、健康を管理するための労働管理、ドクターズフィーなどやって欲しいことは多々あります。でも病院内をまとめるだけでもハードル高いんですよね。

すぐに変化してしまうかもしれない目の前の命を必死に守る医師達に、もう少し尊敬と感謝と報酬を与えてください!そうしないと人材が来ず、高齢化が進みます!(まあ官僚等も優秀な人材が減っているそうですが)

ただ学会の重鎮が厚労省に言ってもお金がないの一言で動きそうにないんですよね。馬鹿な国立競技場のキールをなくせば一部できると思うのだけど。(ミャンマーへのお金は必用!)やはり政治が必用なんだよな。ジレンマです。



http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2015070602000006.html
「職場改善」に医師ら疑問 12月導入のストレスチェック
2015年7月6日 中日新聞

 労働者の精神的な不調を防ぐため、従業員五十人以上の企業を対象にしたストレスチェック制度が、十二月に義務化される。労働安全衛生法改正によるもので、定期的な検査でストレスの高い人の治療につなげたり、職場の環境改善に活用することを目指す。しかし、現場の精神科医や産業医からは「実効性のある制度になるとは思えない」「職場がギスギスするのでは」と懸念する声が多い。
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◆「一度の面接で判断は困難」

 ストレスチェックが義務化されるのは、職場のストレスが原因でうつなどの精神的な疾患にかかり、休業する人が多いためだ。

 厚生労働省によると、仕事が原因で精神に障害を受けたとして労災補償を請求した件数は、二〇一四年度に過去最高の千四百五十六件を記録。前年度比四十七件増だった。

 このため、メンタルヘルス対策に取り組む企業は増えており、一三年には前年より13・5ポイント上昇し61%。国は八割以上の取り組み目標を掲げている。

 ところが、六月に大阪市であった日本精神神経学会のシンポジウムでは、制度義務化に対する批判が相次いだ。

 日本精神科産業医協会の共同代表を務める渡辺洋一郎医師(大阪府茨木市、渡辺クリニック院長)は、この制度に外部の精神科医がかかわるには限界があると強調。「その人の性格や会社のことを知らずに、一度だけの面接指導で事後処置の意見書を書くのはきわめて難しい」と訴えた。

 精神科医は、精神的な疾患を診断する訓練は積んでいるが、メンタルヘルスの不調の予防ははるかに広い対象。労働関係の法規や職場の集団心理学などについても知識は十分ではないという。「この制度は、うまくいけば労働者にも事業所にもいい結果をもたらすが、普通にやるだけなら職場の不信感、不安感の増大、労使トラブルの増加につながる」と訴えた。

 産業保健の分野に詳しい北九州古賀病院の中村純院長も「むしろメンタルヘルスの充実に逆行するのではないか。ストレスチェックに、労働者は正直に回答するのだろうか。企業で個人情報が本当に守られるのか」と疑問を呈した。

 シンポジウムとは別に、産業医の立場から制度を疑問視するのは、なごや産業医事務所代表の新井孝典医師(42)だ。「名義だけの産業医も多い。何をやっていいか分からないのが本音だと思う」と、制度の土台が不十分なことを強調。企業向けのセミナーなどでは、ストレスチェックを請け負う企業からの売り込みが激しくなっていることに触れ、「すぐに導入せず、十二月から半年の猶予期間は様子を見た方がよい」とアドバイスしているという。

 精神科医の懸念に対して、厚生労働省産業保健支援室は「制度を適切に実施するために、具体的な実施方法を説明していくとともに、医師に対する研修会も開催したい」としている。

◆問診票を基に面接指導

 ストレスチェックは、仕事の負担度や最近の体調、上司や同僚との会話の頻度などを、労働者が問診票(国推奨は57項目)に記入。総点数が高いと「高ストレス者」と認定され、本人が希望すれば、医師(産業医や精神科医)の面接指導を事業所(勤務先)に申し込める。

 面接指導の後、会社は医師の意見書を基に業務軽減などを検討し、職場ごとに集団分析を行う=図参照。特定の職場にストレスの高い人が集中する場合は、職場の環境改善が重要になるためだ。

(編集委員・安藤明夫)



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03132_06
The Genecialist Manifesto
ジェネシャリスト宣言  「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,“ジェネシャリスト”という新概念を提唱する。
【第25回】
ジェネシャリスト診断学 その2 スペシャルに考える

岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)
週刊医学界新聞 第3132号 2015年07月06日

(前回からつづく)

 医者にとって極めて重要な把握観念は,「時間の観念」である。時間の観念把握に優れた医者は診断戦略に優れており,時間の観念に鈍感な医者は有効で戦略的な診療ができない。この話は『構造と診断――ゼロからの診断学』(医学書院)にまとめた。悲しいかな,多くの医者は時間の観念に鈍感である。その話は『1秒もムダに生きない――時間の上手な使い方』(光文社)で詳説した。

 宣伝ばかりしていても埒(らち)が明かないので,本題に入る。ジェネラリストの多くは「前医」である。「後医は名医」=「前医は名医ではない」のは,結果としてそうなっているのではない。そうあるべきだから,そうなのだ。フォワードが全てのボールをカットしたりしないよう,前線では「ほどほど,見逃す」くらいがちょうどよい。そう前回(第3129号)で述べた。

 そのようなプラクティスの正当性を担保しているのが,時間性である。前医・後医という言葉の使い方がすでに「前後」という時間性を内包している。



 多くの疾患は即座の診断を必須としない。どんな慢性疾患にも必ずオンセットというものがあり,全ての慢性疾患も最初は急性疾患(発症からの時間が短い)なのだが,オンセット直後に慢性疾患を診断することは極めて困難で,そしてその必要はない。最初は風邪だと思っていたのに,実はリンパ腫だった。最初は肩こりだと思っていたのに,実は関節リウマチだった。最初は単なる疲労だと思っていたのに,実は筋萎縮性側索硬化症(ALS)だった――。この「最初」の時点で,こうした疾患全てを想起し,また精査しなくても,後からゆっくり診断すればよいのである。もちろん,ゆっくり過ぎるのも問題で,いたずらに患者を長らく苦しめる必要もないから,ここでも「時間性」は重要なのだが。

 悪性疾患のオンセットは患者本人にも感じ取れない。もっと言えば,多くのがん細胞は自分の免疫細胞で処理されているだろうから,多くの「オンセット」は「オフセット」になってチャラにされてしまう。そのようなオフセットにされる事象を「がんだ!」と見つける術があったとして(ないけど),それは無意味な作業である。がんの早期診断=スクリーニングが必ずしも有効な手段とは言い切れないために,今も前立腺がんや乳がんの検診問題はもめにもめているわけだ。

 もちろん,最前線で見逃せない疾患もある。“超急性疾患”で,ここで拾い上げておかねば患者の命にかかわる,という場合だ。心筋梗塞然り,くも膜下出血然り,大動脈解離然り,細菌性髄膜炎然り,壊死性筋膜炎然り(こうして見ると血管の病気と感染症が多いのに気付く)。甲状腺クリーゼや急性白血病も見逃したくない。しかし,こうした疾患群を初診で見逃さないために必要なスキルもまた,「時間性」を念頭に置いている。

 時間性を自家薬籠中の物とすれば,見逃せない超急性疾患(あるいはその疑い患者)を十分に拾い上げ,かつ「見逃しても差し支えない」患者を戦略的に見逃すことができる。

 超急性疾患疑い患者は,速攻で後方のスペシャリストにパスする。「見逃しても差し支えない」患者の場合は,再診時に後方にパスされる(あるいは自ら診断する)。これがチーム医療の枠内での前線の医者の在り方だ。プライマリ・ケアとはサッカーにおけるフォワードみたいな存在なのだ。普通は逆に考えられがちだが……。



 もう少しサッカーのアナロジーで言うと,フォワードが寄せて前線からプレッシャーをかけていると,相手のパスコースは限定される。よって,たとえフォワードがカットできなくても,ボールの来る方向はかなり予見できるようになる。「開業医に診てもらってもなかなか診断がつかない熱」という時点で,それは『ドクターG』的,診断カンファレンスのネタになりそうな疾患にかなり絞りこまれていることを意味している。こうしたカンファレンスで,やたらと「血管内リンパ腫(IVL)」と連呼されるのはそのためだ(超まれなのに)。

 後方の医者(スペシャリスト)は,コストや時間のかかる検査の連打を正当化できる。「熱」に対して行い得る検査は山のようにあり,全ての発熱患者にそれをやるのは無理筋だ。しかし,「不明熱」=前線で診断がつかなかった熱に対して,ブルセラ症の抗体検査をオーダーするのは,リーズナブルな判断である(かもしれない)。繰り返すが,「後医は名医」なのは単に現象的にそうなのではなく,構造的にそう振る舞うべきなのだ。

 まれな疾患の成れの果ては,「存在しない病気」だ。病名は現象に対してつけた名前だ。多くの現象には,名前がまだついていない。そうした病気を新しい疾患概念として提唱するのも大切な後医の仕事である。そこには,前回述べたような研究的な要素も加味される。



 もちろん,サッカーがそうであるように,前線は前線,後衛は後衛と役割分担を硬直的に決め付ける必要はない。プライマリ・ケアのセッティングで新しい疾患概念を提唱したっていいし,スペシャリストが先鋭的な自分の専門外領域をカバーしたっていい。要は患者ケアが結果的にうまくいけばよいのであって,システムは手段であって目的ではないのである。

 このように,診断戦略は目的から逆算し,セッティングから逆算して,帰納的に決定される。正しい,一意的な診断戦略は存在しないのである。診療のセッティングが変わったとき(異動のとき),誤診が増えるのもそのためだ。

 よって,「病歴と身体診察派」と「検査派」のような二元論は全く無意味,ということになる。プライマリ・ケアのセッティングで検査を乱用するのは,前線のフォワードが守備に走り回るのと同じで,目的から逆算して合理的ではない(そのような“汗かきフォワード”を褒めたたえる日本のサッカー評論家はなんとかしてほしい)。後衛のスペシャリスト的アプローチが絨毯爆撃的検査の連打になるのは,多くの場合は当然であり,まれな疾患,まだ名もない疾患をほじくりだすには合理的な選択肢なのである。

 もちろん,診断は魅力的な営為であり,そこには“お色気”の要素がある。「普通の高血圧」から褐色細胞腫を,「普通の腹痛」から鉛中毒や急性間欠性ポルフィリン症を拾い上げてやりたい,という欲望を持たないプライマリ・ケア医は,いかにもつまらない。なので,時には欲望に身を任せるのも悪くない。もちろん,いつも欲望にカラれるばかりの色ボケ爺になってはダメなのだけど。

  1. 2015/07/06(月) 05:46:20|
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