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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月14日 

http://news.livedoor.com/article/detail/16305600/
産婦人科医不足で分娩休止 北海道・市立旭川病院  
2019年4月12日 12時34分 共同通信

 北海道旭川市の市立旭川病院の産婦人科が、医師不足のため4月から分娩や手術を休止していることが12日、病院への取材で分かった。

 病院によると、産婦人科はこれまで3人の医師で運営してきたが、3月末で60代の男性医師と30代の女性医師が退職。4月からは臨時職員の60代の男性医師と50代の男性医師の2人体制になり、人手が足りないため分娩と手術を当面、休止することを決めた。

 6月末には、50代の男性医師も退職する予定で、7月以降は外来診療のみ受け付ける。現在入院している患者には6月末までに、市内の他の医療機関を紹介する。



https://www.sanyonews.jp/article/888531
美咲「西川診療所」業務スタート 民間から町運営、週3回医師診察  
(2019年04月10日 19時16分 更新)山陽新聞

 本年度、運営母体が民間から岡山県美咲町に変わった「西川診療所」(同町里)の診療業務が9日スタートした。金田病院(真庭市西原)を指定管理者とし、週3回(火、木、金)の午前中、同病院などから派遣された医師が診察に当たる。

 診療所は2018年度まで一般財団法人が運営していたが、国民健康保険診療所として運営を引き継いだ。診療は従来通り内科のみで原則予約制。町によると、旧診療所には旧旭町地域の高齢者を中心に約40人が通院していたという。

 町は金田病院と診療所をオンラインで結ぶ電子カルテのシステム構築や心電図などの医療機器購入といった開設準備費用に3200万円を充てた。建物などの施設は同法人から寄付を受けた。

 診療再開に当たり、青野高陽町長が診療所を訪問。「医師不足の中、指定管理者を受けていただきこの日を迎えることができ、ひと安心。住民の命と安全な生活を守る施設の運営をよろしくお願いします」と呼び掛けた。

 一方、町は18年度限りで国民健康保険大垪和診療所(大垪和西)を閉院した。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190411_33060.html
<いわてを考える>第4部・県内格差(2)医師の偏在/半数超 盛岡周辺に集中  
2019年04月11日木曜日 河北新報

<一歩間違えば>
 2017年1月11日午前9時15分ごろ、岩手県久慈市から岩手県立二戸病院に向かっていた救急車が久慈市大川目町の国道281号でスリップし、前方に停車していたトラックに接触。救急車には出産直前の妊婦が乗っていた-。
 妊婦は別の救急車で二戸病院に運ばれて出産。母子ともに無事だったが、一歩間違っていれば最悪の事態もあり得た。
 事故の背景には、2次医療圏を形成する久慈・二戸地域にあって帝王切開、多胎児などの高リスク出産は二戸病院でしか対応できないという事情があった。
 久慈・二戸地域の産科医は計7人。出産を取り扱えるのは久慈病院と二戸病院に限られ、しかも産科医が1人だけの久慈病院は自然分娩(ぶんべん)にしか対応できない。
 久慈市の会社員三河真知子さん(36)は現在妊娠3カ月。県境を越えて八戸市の病院で出産する予定だ。
 「帝王切開なので、久慈では産めない。二戸は車で1時間以上かかる上、緊急事態になれば、さらに盛岡まで運ばれる可能性もある」と嘆息する。
 県中南部の中核医療を担う奥州市総合水沢病院では18年12月、小児科が休診に追い込まれた。常勤小児科医が退職したためだ。
 補充しようにも県内で最も小児科医が手薄な地域とあって、代わりの人材は見つからない。市医療局は「募集はしているが、再開のめどは立っていない」と頭を抱える。
 厚生労働省は2月、地域人口の年齢構成などを反映させて医師の充足度合いを数値化した医師偏在指標を発表。47都道府県や2次医療圏ごとの順位を示した。
 岩手の医師充足度は全国最下位。医療施設で働く医師2458人のうち半数超の1305人が盛岡周辺に集中しており、偏在が著しい。

命守れぬ現実
 県内で最も医師が不足している宮古周辺は、全国335地域中330位だった。18年度のドクターヘリ出動要請は115回で県内最多。地元の医療機関だけでは住民の命を守れない現実を物語る。
 県は06年度以降、医学部卒業後に県内の公的医療機関で働くことを条件にした奨学金貸与制度を打ち出したが、対策は奏功していない。
 18年度も産科診療所のない市町村で新規開業する産科医に1000万円を助成する制度を創設したものの、応募はなかった。
 県は19年度、助成額を2000万円に倍増するが、久慈市の開業医は「新規開業しようにも緊急搬送先が近くになければ難しい」と県の施策に疑問を投げ掛ける。
 県医療政策室は「医師を増やすのは長い時間がかかる地道な作業。できるものは全て手を付ける」と説明するが、全国最下位を脱する新機軸は見いだせていないのが実情だ。



https://www.m3.com/news/kisokoza/666230
広域分散型・積雪寒冷な北海道における医療人材確保の現状-夕下司・北海道保健福祉部地域医療推進局地域医療課医療政策グループ主査(総括)に聞く◆Vol.1  
2019年4月10日 (水)配信m3.com地域版

 北海道保健福祉部地域医療推進局は2018年9月「北海道医療人材確保ポータルサイト」を公開した。北海道医療計画に基づき、北海道において良質かつ適切な医療サービスの提供を目指す同局。そこから生まれたポータルサイトの背景にある、北海道の医療人材確保の課題や現状について、同局地域医療課医療政策グループ主査の夕下司氏に話をうかがった。
(2019年2月7日インタビュー、計3回連載の1回目)

▼第2回はこちら(近日公開)
▼第3回はこちら(近日公開)

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北海道の医療人材の偏在を表す医師数の状況(2016年12月末)、 北海道医療計画(平成30年度~平成35年度)

――北海道の特性と、それに関わる医療分野の課題について教えてください。
 北海道の地域性についてよく用いられるのは、「広域分散型」と「積雪寒冷」という二つの言葉です。北海道の総面積8万3457㎢は日本の約22%を占める一方で、人口は538万1733人で日本の総人口の4.2%となります。また、気候は他都道府県と比べて冷涼で、年の平均気温が6度から10度程度。特に冬季はマイナス30度に至る地域や、年間最大積雪深が3メートルを超える多雪地域も存在します。

 こうした地域性を持つ北海道では、大都市への人口集中に伴う少子高齢化と生活関連サービスの減退が進んでいます。医療分野においても同様の問題は起こっており、医療従事者の地域偏在の解消や地域の実情に即した医療提供体制をどのように構築していくかが課題となっています。

 医療圏ごとの適切な医療提供体制の構築を図るためには、医療人材の確保や地域偏在の解消が不可欠です。北海道では、広域分散型であることが医療圏の設定にも影響を与えています。

――医療圏の概要と、医療圏という視点で見た北海道の特殊性を教えてください。
 医療圏とは、地域医療の配置や体制を体系化するための圏域を指し、各都道府県で設定されています。第一次医療圏は、地域密着型の健康相談やかかりつけ医、かかりつけ薬剤師などによる初期医療を提供するための基本的な地域単位で、北海道では179圏域(179市町村)が指定されています。第二次医療圏はこれより広域のものを指し、専門性の高い医療サービスの提供を扱う圏域です。北海道では21圏域がこれにあたります。そして、さらに広域となる第三次医療圏については、通常は県が1つの圏域として指定されていますが、北海道は広域のため6圏域が設けられています。

 北海道の特殊性は、広域での医療サービスの提供を目的とした、複数の第三次医療圏にあります。第三次医療圏では、救急医療体制の確保対策が主となりますが、範囲が広域であることに応じた対応が求められます。救命救急センターを各圏域合計で12施設指定しているほか、全国に先駆けて2017年7月に本格運航を開始したメディカルウイング(住民の誰もが必要に応じ、高度・専門的な医療が受けられるようにするための、医師等の搭乗が可能な医療機器等を装備した「北海道患者搬送固定翼機」)は、北海道の地域特性を踏まえた取り組みです。

 また、北海道における医療人材の地域偏在については、第二次医療圏単位での現状分析を行っています。北海道全体で考えた場合、データ上は医師数が増加していますが、一部の地域では人口10万人あたりの医師数が全道平均の2分の1以下と、顕著な医師不足が課題になっています。引き続き圏域単位での調査や分析を行い、課題を抽出して施策を考えることが課題解決の基本となります。

――医療人材の偏在について具体的な現状を教えてください。
 例えば、第二次医療圏をもとに道内の医師数(人口10万対)を比較した際、全道平均との対比において100%以上となる地域は札幌と上川中部のみです。中空知や西胆振、後志(しりべし)など8地域が70%以上100%未満、釧路や留萌(るもい)、富良野など8地域が50%以上70%未満と続き、根室、日高、宗谷地方は50%未満になります。同様の傾向は歯科医師数、薬剤師数、看護職員就業者数においても見られ、地域偏在が深刻であることを表しています。道全体の医師数の確保と、医療人材の不足が顕著な地域に対する施策は、それぞれ異なるアプローチが必要であると言えるでしょう。

 こうした問題の根本にあるのは、あらゆる機関の都市集中です。例えば医師の場合、医療施設や専門教育機関がある都市に必然的に進路が集中します。つまり、医大や大病院がある札幌市(札幌圏域)と旭川市(上川中部圏域)に医師が集まるということです。こうした現状を変えるためには、医療従事者に医療人材の少ない地域に対して興味を持っていただくことや、医療人材の少ない地域に生まれた方が幼少期から医療に携わることをこころざし、生まれ育った土地で地域医療に貢献する意志をもっていただくことが重要になってきます。

――北海道の医療人材に関わる課題に対して、どのような施策を打ち出していますか?
 例えば、リソースに余裕のある医大や都市部の医療機関から短期、中期的に医師不足の地域に医師を派遣するケースがあります。また、僻地の医師の休暇取得に伴い、都市部の医師が代診(出張)することもあります。こうした派遣制度は事業として体系化されており、北海道側から金銭的なサポートをする事業もあります。

 一方で、これらの医師派遣は根本的な解決策とは言えず、僻地に住まう医療従事者の総数を底上げしていくことが大切です。そのため、北海道医療計画における医療従事者確保対策では「将来の医療を担う人材の確保」、「医療機関における勤務環境改善」、「道外からの移住促進や潜在有資格者の掘り起こし等」という3点を骨子として、具体的な施策を進めるよう方針を定めています。

 具体的な施策内容については多岐にわたり、道庁だけで完結するものは少なく、医師会、医大、医療機関や市町村等と連携して進めている取り組みがほとんどです。また、こうした医療人材確保の施策は人口減少や住民流出など他の課題を解決する可能性もあり、町づくりの観点からも北海道の将来に関わるものだと認識しています。



https://www.m3.com/news/kisokoza/665326
地域情報(県別)
茨城県西地域における医療資源の活用と展望-茨城県西部メディカルセンター・病院長、梶井英治氏に聞く◆Vol.2
 
2019年4月10日 (水)配信m3.com地域版

 2018年10月1日、公立2病院の機能を統合して誕生した、新たな中核病院「茨城県西部メディカルセンター」。その背景にあった医師不足を解消するため、メディカルスタッフという医療資源をどのように確保し、活用しているのか。「すべてを医療圏内で完結させる必要はない」と話す病院長の梶井英治氏に、力を入れているという若手育成や、現状の体制、将来展望についてお話を伺った。 (2019年2月13日インタビュー、計2回連載の2回目)

▼第1回はこちら

――開院から約4カ月が経ちましたが、現在の1日あたりの患者数はどのくらいでしょうか。
 2019年1月のデータでは、外来患者数は1日平均331人、入院患者数は1日平均133人となっています。年齢層としては65歳以上が多く、外来のピークは75~80歳です。入院患者は少し年齢層が違い、男性のピークは80~85歳、女性は85~90歳です。入院患者の症状としては、肺炎、心不全、脳血管障害、大腿骨頚部骨折、脊椎圧迫骨折などの患者が多くなっています。

 救急患者は1日平均29人で、そのうち救急車での来院は7人です。旧・筑西市民病院と旧・県西総合病院の救急車受け入れ数は、両院合わせて1日平均3.4件でした。茨城県西部メディカルセンター設立時の目標として、救急車の受け入れ数を2倍の6.8人にすることがありましたが、おおむねクリアできているのではないかと思います。以前は、筑西・下妻保健医療圏内での救急車応需率は60%程度でした。当院が旧2病院の2倍受け入れると、救急車の約80%が医療圏内の搬送で対応できる計算になります。救急車を呼んでもなかなか搬送先が決まらないということでは、地域のみなさんの医療不信につながりますから、1人でも多くの救急患者を受け入れるようにしています。

――茨城県西部メディカルセンターでは受け入れが難しい3次救急患者には、どのように対応しているのでしょうか。
 そこに筑西・下妻保健医療圏の特殊性があります。じつはこの地域には、30キロ圏内に筑波大学附属病院、筑波メディカルセンター病院、茨城県立中央病院、土浦協同病院、茨城西南医療センター病院など、大学病院や複数の救命救急センターがあります。さらに隣接する栃木県まで含めると、自治医科大学附属病院も入ってきます。救急搬送のすべてを医療圏内で完結させようとすると、医師の数も揃えなければなりませんし、さまざまな設備も必要です。筑西・下妻保健医療圏の現状では、それは難しいでしょう。しかし医療圏外まで視野を広げることで、「医療圏内で完結させる必要はないのでは」という考えに至りました。

 急性心筋梗塞など明らかに高度な医療が必要な患者さんの場合は、医療圏にこだわらず、救急隊から高度医療機関に直接連絡をとって搬送します。そのために、当院の開院までの3年間に各医療機関との連携を図り、医療圏を越えた受け入れの了承をいただきました。脳梗塞の場合は、初期治療は当院で行いますが、血管内治療などが必要な場合は、当院から高度医療機関に搬送しています。心不全に関しては、高齢化に伴って今後は増加が予想されますので、重点課題として心不全治療に取り組んでいます。

 患者さんやご家族にとっては、搬送されるならできるだけ近隣の病院が望ましいことでしょう。しかし疾患によっては、症例数の多い高度医療機関に搬送したほうが、治療成績が良いという報告もあります。30キロ圏内であれば、救急車なら30分程度、ドクターヘリなら10分程度で搬送が可能です。当院は災害拠点病院として屋上にヘリポートを設置していますし、地域のみなさんにも納得していただける医療体制を整備し充実させていきたいと思います。

――茨城県西部メディカルセンター設立の理由として、この地域の医師不足の問題がありました。今後ますます医師数が減っていく可能性も否定できませんが、対策はお考えでしょうか。
 まず考えられるのは、メディカルスタッフとなる若い層を育てていくことです。そのためには教育体制を整えなければなりません。当院でも筑波大、自治医科大と協力して、研修医や学生の実習を積極的に受け入れられるように整備を進めています。その一環として、筑波大と自治医科大による地域臨床教育センターが、当院内に設置されました。2大学合同の教育センターというのは、日本でも初めてのことではないでしょうか。

 さらに、スタッフが働きやすい体制・環境作りも行っています。例えば内科診療ではチーム制を採用し、各チームで協力して診療を行うようにしました。医師1人で患者を抱え込んでしまうと、なかなか休暇をとることができません。チーム制にして患者さんの情報を共有することで、「担当の医師が休みだから診察が受けられない」といったことがなくなりました。チーム制には、さまざまな視点から複合的に患者を診ることができるので、治療成績が上がるという利点もあります。


スタッフエリアには、2大学合同の地域臨床教育センターの看板が掲げられている
 また、院内にスタッフ向けの保育室を設置しました。さすがに希望者全員を受け入れるのは難しいのですが、夜勤時の一時保育によく利用されています。病児保育室も併設いたしました。昔は家庭を顧みずに医療に邁進することを尊ぶ風潮がありましたが、今はそんな自己犠牲は通用しません。スタッフの生活が充実していてこそ、よりよい医療が提供できるのではないでしょうか。もちろん、ご家族の理解を得なければならない部分は少なからずありますが、長く勤めたいと思える環境をスタッフみんなで作っていければと思っています。

――今後の課題や展望についてお聞かせください。
 超高齢社会が進むにつれて、在宅医療の需要も増してくるでしょう。在宅医療については筑西診療所が対応していますが、ニーズに十分対応できているとは言いがたい状況です。しかし1医療機関の努力のみでは、解決につながりません。地域の医療機関、介護施設、福祉施設が連携協力して当たらなければならない問題です。当院は地域中核病院として、そういった連携体制のコントロールタワーにならなければと考えています。そのために現在、地域医療支援病院の認定を目指しています。

 地域医療の充実には、住民の皆さまのご理解、ご協力も欠かせません。開院までの間に、住民の皆さまに向けての説明会を50回近く開催しましたが、今では住民グループが主催する地域医療についてのグループディスカッションが行われるまでになっています。私も何度かお邪魔して、車座になって膝をつき合わせて、忌憚のない意見交換をしました。与えられた環境をそのまま受け入れるのではなく、限られた医療資源を活用し、よりよい地域医療体制を作っていこうという思いが、住民の皆さまの中にも根付いてきているのではないでしょうか。その勢いを推進するためにも、現状に満足することなく、さらなる連携を図っていきたいと思っています。

◆梶井 英治(かじい・えいじ)氏
1978年、自治医科大学卒業。鳥取県立中央病院でのローテート研修を経て、地域医療に従事。その後母校に戻り、血液学、人類遺伝学等の研究に勤しむ。1995年に自治医科大学法医学・人類遺伝学教授、1998年に地域医療学教授、2001年に総合診療部長、2008年に地域医療学センター長に就任。2017年自治医科大学退職、筑西市医療監に就任。2018年10月より茨城県西部メディカルセンター 病院長。所属学会は日本プライマリ・ケア連合学会、日本内科学会、日本血液学会、日本輸血・細胞治療学会。

取材・文=浜田望生



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/178575
無医村状態の佐井村に診療所開業 月1回診察  
2019年4月13日 東奥日報

 2008年から無医村状態だった青森県佐井村に13日、整形外科診療所「さいクリニック」が開所した。初日は受け付け開始前から多くの村民が訪れ、診察開始時刻を40分程前倒しして診察を始めた。村民からは「これまでは大間町やむつ市への通院が大変だったから助かる」と喜びの声が聞かれた。



https://mainichi.jp/articles/20190409/ddl/k04/010/161000c
大橋・涌谷町長
「病院運営、財政圧迫」 生前、知事に相談 /宮城
 
会員限定有料記事 毎日新聞2019年4月9日 地方版

 村井嘉浩知事は8日の定例記者会見で、4日に死亡が確認された涌谷町長の大橋信夫さん(当時69歳)から2月上旬に携帯電話へ町立病院の運営などについて直接相談があったと明らかにし、「病院経営をいかに立て直すか話し合っている最中の訃報。大変ショックを受けている」と述べた。

 大橋さんは4日午後、同町の山林で見つかった。(以降有料記事)


(参考)
https://mainichi.jp/articles/20190201/ddl/k04/010/205000c
涌谷町
「財政非常事態宣言」 2年後、赤字転落のおそれ /宮城
 
会員限定有料記事 毎日新聞2019年2月1日 地方版

 涌谷町は1月30日、積み立てから財政危機時に取り崩す財政調整基金(財調)の残高が2年後になくなり、赤字転落が予想されるとして、「財政非常事態宣言」を出した。税収が増えない中、10年あまりで倍増した医療関連費など住民生活に欠かせない部分の負担拡大が、町財政を圧迫している。【山田研】

 町企画財政課によると、2017年度の町一般会計の歳出(決算額)は、07年度の1・3倍の約78億円に膨らんだ。障害者自立支援事業や民間保育所委託費などの「扶助費」がこの間に1・7倍に増えた。また、一般会計から公設公営の病院を運営する病院事業会計への繰出金は同期間で2・5倍の4億7988万円にまで増加した。この間、町は職員給与などの「人件費」などを削減してきたが、効果は限定的だ。

 一方、歳入のうち町税は減り、地方交付税も伸び悩んでいる。これら一般財源の不足を補うため、町は近年、…(以降有料記事)


(参考)- - - - - - - - - - - - - - - -
https://www.m3.com/news/iryoishin/655646
私の医歴書◆前沢政次・初代日本プライマリ・ケア連合学会理事長
目指せ御調町!目指せ「御三家」!◆Vol.17
 
スペシャル企画 2019年2月17日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――涌谷町町民医療福祉センターのオープンは1988年11月。モデルとした広島県御調町に近づくため、どのような取り組みを重ねていったのだろうか。

 当時、地域包括ケアの先駆け的な取り組みをしていたのは、広島県のみつぎ総合病院、長野県の諏訪中央病院、新潟県のゆきぐに大和総合病院。これら「御三家」に続け、と号令をかけ、スタートしました。
 涌谷町には、箟岳という標高200メートルくらいの低い山があり、その麓にあるのが、涌谷町町民医療福祉センター。涌谷町国民健康保険病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど医療・介護サービスの拠点のほか、涌谷町の保健、医療、介護、福祉の関係課も全て揃っています。

 1988年11月、病院は40床でスタート。翌1989年4月には健康推進員制度が発足、増床(62床)、1991年1月に在宅介護支援センター開設、3月には増床(100床)という形で、段階的に体制を整えていきました。

 当初力を入れたのは職員の採用ですが、苦労しましたね。医師は私と、自治医大の1期生2人、2期生1人の計4人。内科系2人、外科系2人という内訳でした。整形外科の患者さんが多かったので、東北大に派遣を依頼しに行ったりしましたが、なかなか相手にしてもらえませんでした。自治医大時代の教え子たちも10年選手くらいになり、脂が乗ってきた時期なので、整形外科や産婦人科を中心に交代で来てもらったりしました。

 幸い保健師は5人くらいいたので、順次増やして10人程度の体制にしました。病院の中にいて、患者さんを待つのではなく、自分たちから町に出て行き、公民館などで、予防的リハビリなど早期の健康維持のための体操教室を開催するなど、幅広い保健活動に取り組んでもらうためです。

 「予防から看取りまで、きちんと時間をかけて継続的にお付き合いをしていく看護の面白さをぜひ経験してみませんか」――。そんな言葉で、看護師養成校を回っては、採用活動をしていました。今では当たり前ですが、当時では先駆的な取り組みを念頭に置いていたのです。リハビリ職など、その他のコ・メディカルの養成校にも、時間を見付けては回っていました。


涌谷町町民医療福祉センター
――涌谷町で何より力を入れたのが、予防活動だ。
 「前沢さん、私の理想としては、病人を作らない病院を新たに作ってほしい」

 住民の健康問題に理解がある本間八郎町長からは、こう言われていました。保健、医療、福祉まで幅広く手がける。その中核としての病院を目指していたのだと思います。

 予防の面でモデルにしたのは、長寿かつ低医療費で有名な長野県の取り組み。今でも続いていると思いますが、「保健補導員」という制度を、涌谷町でもやってみよう、ということになりました。「小さなソーシャルキャピタル」とも呼ばれてますが、住民組織が予防活動に従事し、地域住民と医療をつなぐ役割を果たし、高い在宅死亡率などにもつながっています。

 もともと涌谷町には、栄養指導などを行う食生活改善推進員と、住民健診で受付などを手伝ってくれる保健協力員が住民の手で組織されていました。私が両者を発展的に解消させて統合させて、涌谷町健康推進員協議会をつくり、健康推進員制度の発足を提案したところ、町長が了承してくれました。保健活動を幅広く担う住民組織です。

 町として予算も付けてくれました。子どものお小遣い程度ですが、最初は健康推進員一人当たり年8600円。2年の任期で採用。各地域健康推進員が、町内会単位でいろいろなイベントが企画できるよう、各町内会組織からまんべんなく集めました。1989年4月の発足当初、203人に上りました。一つの町内会に年4万円の活動費も支給。健康教室や運動会を開催するなど、使い方は自由。草の根的に健康への意識が広がるように、いろいろな仕掛けを設けたのです。

 当時の厚生省から、「ヘルスパイオニアタウン」という補助金を受け、「健康づくり町民会議」といったワークショップも開催するなど、一定の下地はありました。私は涌谷町健康推進員協議会のサポーターという立場でした。保健師さんたちと、保健活動や地域包括医療については、何度も話し合いました。また地域健康推進員の活動に先立ち、皆で温泉に泊まり込みで合宿し、夜を徹しての話し合いなども行いました。地域健康推進員は、保健について専門的教育を受けたわけではありません。月1回は集まっていただき、保健師たちは、とても熱心に健康教室の開き方などを指導していました。

 当時の涌谷町は、30代後半から40代ぐらい、子育てが一段落するくらいの世代が結構多かったと思います。地域健康推進員は主に女性で、仕事を持っておられる方も少なくなかったですが、教員や農協職員をリタイアされた方など、いろいろな立場の方に関わっていただきました。3年目には300人にまで増えました。当時、見学に来た後輩からこう不思議がられたことがあります。

 「先生、僕には涌谷町の保健活動がなぜうまく行ってるのか、よく分かりません」

 私自身の感触ですが、病院では、24時間体制で救急医療を行い、何でも相談に乗るという医療を実践していました。「そんなにちゃんとやってくれてるんだったら、先生方には恩返ししないといけない」――。そんなギブ・アンド・テイクの信頼関係が住民との間に構築されていったのではないでしょうか。

 「私たちにできることがあるのなら」となり、住民の活動につながった。私が各町内会の健康教室に顔を出すと、「先生、お疲れのところ、わざわざ来てくださって」、「この前、父がお世話になりました」などとお礼を言われることが多かった。「先生、昼間の顔と違う」と、親近感を持って話しかけられたりもしました。

 お子さんの健康づくり、働き盛りのご主人のたばこやお酒の問題など、いろいろな問題を抱えておられる方が多かった。医療に対する考えも、すぐに薬に頼るなど依存的だったり――。地域健康推進員自身が、住民と同じ悩みを抱えていたりするので、皆が同じ目線で相談に応じていたのが、よかったのかもしれません。

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https://www.medwatch.jp/?p=25803
高収益病院は総じて増収傾向、低収益病院では大幅増益から大幅減益までバラつき―厚労省  
2019年4月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

病院の1施設当たり医療費は、2017年度には平均は27億2000万円で、前年度に比べて8400万円・3.2%増加した。ただし、収益の多い病院では総じて増収傾向にあるが、収益の少ない病院では、大幅増収となるケースから大幅減収となるケースまでバラつきが大きい―。

厚生労働省が3月28日に公表した2017年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収益のバラつき度合いは年々拡大傾向
厚生労働省は、「医療費の動向」(MEDIAS)を毎月公表し、医療機関1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。しかし、このデータは医療費÷医療機関数」で1施設当たりの数値を算出しており、医療機関の規模や状況を勘案したものとはなっていません。そこで医療機関の規模(病床数ではなく、「1施設当たりの医療費階級」)別に医療費の状況を分析し、「施設単位でみる医療費等の分布の状況」を示しています(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、2017年度の1施設当たり医療費は平均で27億2000万円となりました。2011年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり(▼11年度:23億4900万円→▼12年度:24億1600万円→▼13年度:24億6400万円→▼14年度:25億2200万円→▼15年度:26億円→▼16年度:26億3600万円▼→17年度:27億2000万円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています(▼11年度:37億3900万円→▼12年度:39億900万円→▼13年度:40億600万円→▼14年度:40億9800万円→▼15年度:42億8100万円→▼16年度:43億7100万円→▼17年度:45億3400億円)。

1施設当たり医療費は「病院の収入」と読み替えることができます。バラつきが大きくなっているということは、「収入の多い病院はより高収入となり、収入の少ない病院はより減少している」可能性が高い、つまり「地域における競争が激化している」と考えることができるでしょう。

平均在院日数の短縮が進み、その中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。そこで「より広範な地域からの新規患者獲得」を目指すことになりますが、すべての病院が同じ状況に置かれているため、地域での患者獲得競争が激化していくのです。

自院の等身大の姿を確認した上で、▼競合となる近隣の他院の状況▼全国における自院の状況▼地域での立ち位置(今後果たすべき機能)▼地域の患者動向―などを総合的に把握し、病床削減(ダウンサイジング)や統合・再編も視野に入れた経営戦略を練っていく必要があります。

 
また「1施設当たりの医療費階級」別に「1施設当たり医療費の伸び率」を見てみると、次のような傾向を伺うことができます。

▽1施設当たり医療費の少ない病院(つまり収益の少ない病院)では、医療費の伸び率に大きな幅がある

▽1施設当たり医療費の多い病院(つまり収益の多い病院)では、医療費伸び率の幅が小さく、かつ医療費伸び率が大きい
 
ここから次のような点が推測できます。

▽収益の少ない病院(医療費の少ない病院)では、大幅増収となっている病院もあれば、大幅減収となっている病院もある(伸び率の幅が大きい)。例えば、1施設当たり医療費が2億円未満の病院では、上位25%は医療費伸び率が8%近い(つまり8%近い増収)が、下位25%では医療費伸び率がマイナス6%を超えている(つまり6%超の減収)

▽収益の多い病院(医療費の多い病院)では、安定的に増収となっている(伸び率が高く、幅が小さい)。とくに1施設当たり医療費が70億円以上の病院では、下位25%であっても、医療費伸び率がプラス(つまり増収)になっている。

 
 入院と入院外に分けてみても同様の傾向にあります。とりわけ収入の少ない、小規模な病院では、地域における、いわば「勝ち負け」がさらに明確になってきており、経営戦略の見直しを急ぐ必要があります。例えば▼機能転換(比較的競争力の強い分野への機能集中など)▼近隣医療機関との再編・統合―などを真剣に考える時期に来ていると言え、とくに「公立病院」「公的病院等」においては、地域医療構想調整会議の議論も踏まえた経営戦略の見直しを考えることが重要でしょう(関連記事はこちらとこちらa>とこちらとこちらとこちら)。

 
さらに、機能別に病院の「1日当たり入院医療費」(患者単価)を見てみると、病院全体では2万6000円ですが、▼特定機能病院:7万4000円(前年度から4000円増)▼地域医療支援病院:5万9000円(同2000円増)▼DPC対象病院:5万円(同増減なし)▼それ以外の病院:2万3000円(同増減なし)—などとなっています。

また、▼特定機能病院では単価のバラつきが極めて小さい▼一般の非DPC病院でバラつきが大きい―などの特徴もあります。



https://www.asahi.com/articles/ASM4B71TXM4BULBJ01W.html
救急病院の半数、残業上限時間に対応出来ず 日医調査  
有料記事 姫野直行 2019年4月11日06時00分 朝日新聞

 日本医師会は10日、医師の働き方改革に関する緊急調査の結果を公表した。2024年度から罰則付きで勤務医に残業の上限規制が導入され、特例の一部の医療機関では年1860時間となる。だが今後5年の間に対応できるとした医療機関は約半数だった。

 調査は3月、救急病院など全国の4243施設に実施。41%の1739施設が答えた。このうち、地域医療の維持に必要とされる特例の対象になり得る821施設に、5年間に残業を1860時間以下にすることについて聞くと、できると答えたのは50%の408施設。ほぼ不可能、医師の半数程度は可能など、対応が困難としたのが計18%の150施設だった。

 特例が適用されると、次の業務までに9時間以上の休息を取るなどの健康確保措置が義務付けられる。このため、医師不足が加速すると心配されている。今回の調査で、大学から医師を引きあげられる恐れを聞くと、2次救急を担う1501施設のうち11%が救急医療が成り立たないほど、18%は相当程度縮小せざるをえない程度と答えた。

 横倉義武会長は「手段を講じな… (以降有料記事)



https://www.data-max.co.jp/article/28853
【統合医療の現状と課題】「病院完結型」医療から「地域完結型」医療へ CAMは予防医療の分野でも重要な役割を担う(中)  
2019年04月10日 09:00 Net IB News

がん拠点病院での免疫療法、厚労省が実態調査

 ただ、免疫療法と称されるもののなかには、有効性(治療効果)が科学的に証明されていない治療法がいまだに多く存在する。効果が明らかになっていない治療法は、当然保険診療として認められず、治療費は患者が全額支払う自由診療として行われている。これらのなかには商業主義で、高額な治療費を請求するケースもある。ネット上で広告されるがん専門クリニックなどでは、温熱療法やリンパ球療法のように効果が確認されていない療法があり、主にクリニックなどで自由診療として施行されている。

 その一方で、厚労省が注視しているのが、高度ながん治療を行う医療機関として国が指定する、がん診療拠点病院や地域がん診療病院で、科学的根拠が明確になっていない免疫療法が行われていた問題だ。報道によれば、一部のがん拠点病院では、「5回実施で157万円と公表している病院もある」(読売新聞)ことから、がん細胞の増殖を抑える免疫細胞を培養して体内に戻す活性化自己リンパ球療法が施行されていたと考えられるが、実態は定かではない。

 拠点病院などは2006年に成立した、がん対策基本法に基づき策定された「がん対策推進基本計画」の1つとして創設されたもの。18年4月1日現在の地域がん診療連携拠点病院は348施設。都道府県がん診療連携拠点病院は50施設。これに、がん診療連携拠点病院などを加えると現在434病院が指定されている。厚労省が事態を重く見たのは別の理由もある。拠点病院の指定を受けていた群馬大学病院で、10年から14年の間に、腹腔鏡による肝臓切除手術を受けた患者8人が相次いで死亡した事故を受けて、厚労省が、がん拠点病院の指定要件の見直しを進めているからだ。

 厚労省検討会の議論では、医療安全管理責任者の配置や、専従の医師・薬剤師らを医療安全管理部門へ配置させることを新要件に盛り込む方針が示されている。安全性が確認されていない治療法は、排除される方向にあり、要件見直しを進めるなかで、保険外診療の実態を探る狙いもある。

 厚労省が17年10月に実施した「保険適用外の免疫療法に関する実態調査」(対象:拠点病院など434施設)では、保険外の免疫療法を行っていたのは84施設で、うち79施設は保険診療を目指す臨床研究として行われていた。残り5施設は、個別の症例の適応などを考慮して医師の判断で行っていたが、このうち1施設は院内の倫理委員会の審査を行っていなかったという。

統合医療的治療の免疫学的評価を

 免疫療法は、がん治療の有望な手段と見られているが、がん治療にともなう副作用・合併症・後遺症による症状を軽減させる「支持療法」としても期待されている。

 18年3月9日に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」では、免疫療法の科学的根拠の形成に努めることや、免疫療法に関する適切な情報を患者や国民に届けるための情報提供のあり方を検討することが明記されるなど、免疫療法の確立と普及が推進計画の柱に据えられている。このため、一般のクリニックやがん拠点病院の違いに関わらず、治療手段に用いる際のルールや支持療法としての枠組みづくりを早急に整備する必要があるだろう。その前提には、科学的な評価法の確立が必須であることはいうまでもない。

 とくに、統合医療のなかで免疫療法を施行するケースでは、免疫学的エビデンスのしっかりした統合医療的治療法を選別して、これを既存のがん治療に組み合わせることが重要となる。統合医療という新たな集学的治療によって、がん治療の効果を高めていくためにも、がん患者の免疫学的モニタリングが不可欠となる。

 この点について、(一社)日本統合医療学会で免疫部会長を務める赤木純児医師(熊本県・玉名地域保健医療センター院長)は、「当学会は、統合医療的治療法を免疫学的に評価し、いかにすれば免疫力をさらに増強することができるかに最も熱心でなければならない立場にあるが、現状では統合医療的治療が実際に免疫を改善するというエビデンスを出していく体制が整っているとは言い難かった。統合医療の発展ばかりではなく、がん治療の成績向上のためにも、日本統合医療学会内に免疫部会を立ち上げて、統合医療的治療の免疫学的評価を行い、それに基づいてエビデンスのある統合医療的治療を既存のがん治療と組み合わせていくことは大変有意義なことだと考えている」と話す。

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※クリックで拡大
(つづく)
【取材・文・構成:吉村 敏】



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/igakusei/report/201904/560514.html
2019年度から「総合診療専門研修」を開始
若手が総合診療を選ばない理由が見えた
 
2019/4/8 横田 雄也(岡山大学病院 総合内科・総合診療科) 日経メディカル Cadett.jp

横田雄也(よこたゆうや)氏:2017年、岡山大学医学部卒。岡山協立病院での初期研修を経て岡山大学病院総合内科・総合診療科に。総合診療専門研修プログラムを専攻。日本プライマリ・ケア連合学会所属で、中四国若手医師フェデレーション副代表を務める。第1回レジデンピック優勝チームのメンバーでもある。

 私は卒後3年目の医師です。学生時代から、患者を総合的に診療できるジェネラリストに憧れておりました。そして地域に根ざした中小規模病院で初期研修を行い、全人的に患者を診療する「総合診療医」になりたいと思いました。そこで、2019年度より日本専門医機構の総合診療専門研修プログラムで研修を始めております。

 総合診療専門研修プログラムでは、訪問診療や継続外来診療、総合診療部門を有する病院での病棟診療を行い、さらに救急科と小児科をローテートすることとなっています。臓器横断的に、地域のあらゆる患者を多角的に診療できる医師となることが目標とされています。私は将来、地域の中小規模病院で病棟医として働きながら家庭医療を実践し、地域のコミュニティ形成にも関わっていけるような総合診療医になりたいと考えております。

 しかし、総合診療専門研修に進むことを決断するまでには、様々な不安や葛藤がありました。そして、総合診療に進もうと考えている同年代の研修医の声を聞いてみて、「もしかしたら、同じように不安を感じる研修医が多いのではないか」ということに気が付きました。また、実際に研修を始めるに至って、なぜ若手医師が総合診療専門医を選ばないのかが見えてきました。日々尽力して総合診療部門の運営に頑張っておられるベテラン指導医の先生からすれば的外れな意見かもしれませんが、一研修医の考えを発信させてください。

総合診療専門研修の選択は「ハードルが高い」
 結論から言うと、2018年度よりスタートした総合診療専門研修プログラムは、現時点では専攻を決断するにはハードルが高過ぎると、個人的には感じます。

 日本専門医機構による新専門医制度は、「専門医の質を高め、良質な医療が提供されること」を目的として創設されました。そして、世界に類をみない超高齢化社会に突入している日本の医療を支えていく上で、全人的に診療できる医師の必要性が強調され、専門医制度の19番目の基本領域として「総合診療科」が新設されました。紆余曲折を経て、ようやく2018年度より新専門医制度研修がスタートしました。ですが、新専門医制度で目玉とされた総合診療専門研修を始めた専攻医は、全国で184人という結果でした1)。今年度も150人余と低迷しています。「他の領域と異なり運営を専門医機構の直轄としたために制度設計が遅れ、総合診療医像を明確に描くことができず、専門医となった後のキャリアを示せなかったことなどが影響したとみられる」との指摘1)もあり、まさにその通りだと思いました。

 かくいう私も、日本専門医機構の研修プログラムの応募が始まる数カ月前まで、総合診療専門研修プログラムに進まずに1~2年間ほどはトランジショナル・イヤー(Transitional year:専門研修に入る前のインターン期間)として初期研修病院に残り、プログラムに縛られずに自由に研修を積むことも考えました。無理に、何かの専門研修プログラムに乗る必要もないと考えていたためです。また、専門医資格を持たずとも、実際にジェネラリストとして非常に高いレベルで診療されている先生方をこの目で多く見てきたという事実もあります。

 そんな私が、最終的に総合診療専門研修に進むことを決めた理由の1つは、自分がこの専門研修プログラムにチャレンジし、修了後に総合診療専門医となることで、その医師像やキャリアパスを後輩達に明確に示すことができるのではないか、と思ったことです。

 また、自分はある程度、自律的に自学自習し成長できるタイプの研修医であると、初期研修の経験から自己分析していたので、まだ総合診療専門研修を終えた先輩医師がいない中でも、一定のレベルまで成長できるのではないかとも考えました。

 総合診療専門医の資格を持っておくことのメリットも考えました。それは、自分のことを知らない第三者からみて、その医師がどのような研修を積んできたのかを客観的に示すことができる点が挙げられます。そして研修を積むことで、ある一定レベルの能力を身に付けられる点が、総合診療専門研修に進む利点の1つと思います。

 また、専門医の資格を取った先にある総合診療医のキャリアパスも考えてみました。一言でいうなら、総合診療医のキャリアパスは多彩です。役割も、その医師が置かれている環境によって様々です。急性期病棟においては、医学的な問題にフォーカスした対応が求められることが多くなります。一方、診療所などで診療にあたる場合には、医学的側面だけでなく心理・社会的側面からのアプローチも必要とされることが多いと思います。

 後者については「心理・社会的にと言う前に、まずは医学的な対応ができるようになるべき」との意見もあります。個人的には、どれを優先して身に付けるべきとかいう話ではなく、いずれの視点も並行して持ちながらそれぞれの技術を養っていくことが重要だと思います。そして、それは実際に可能だと思います。

 皆さんご存知の生物心理社会モデル (Bio Psycho Social:BPS)は、生物的側面、心理的側面、社会的側面という3つの視点から、患者さんに接していくことを求めています。全人的に診療できる医師を育てることを目的としている総合診療専門研修プログラムでは、この3つのどれかに偏ることなく、満遍なく研修することができます。このことが総合診療専門研修へ進むことのもう1つの利点ではないでしょうか。

 ただ現状は、こうした利点が分かりにくく、実際にプログラムとしての質が担保されているかどうかが不透明であることも問題であるように感じます。総合診療専門研修を選択する際の「ハードルが高い」と考える理由です。

自ら作り上げないといけないキャリアパス
 また、キャリアパスの多様性が総合診療の強みであるのに、多様であるがゆえに、とらえどころのなさや分かりにくさが生じています。これも、総合診療の道へ進むことのハードルを高めている原因なのではないかと思いました。可能性を多く秘めている領域ではありますが、決められたレールがなく自由であるために、キャリアパスをそれぞれが自分自身で一から作り上げていかないといけない状況になっています。

 私は、医学生や研修医に向けて総合診療医としてのキャリア選択に必要な情報を発信している「総合診療医という選択」2)を参考にしています。日本プライマリ・ケア連合学会が運営しているウェブサイトで、情報にアクセスしやすく、総合診療の説明や総合診療医のキャリアパスを提示しています。自分のキャリアパスを描く際の判断材料になりますので、ご覧になってください。

 必ずしも総合診療に興味がある人が、自ら道を切り開いていく情熱とパワーを持った人とは限りません。総合診療へ興味を持ちながらも悩める医学生・研修医に対して、総合診療専門研修の先にあるキャリアパスを具体的に提示することが重要であると思います。

 ところが残念ながら、現時点での総合診療専門研修プログラムは、総合診療医像を明確に描くことができていません。また研修医の側からすれば、一定レベルの能力を身に付けることを担保できていることが見えにくく、総合診療専門医となった後のキャリアが示されていないことも不安要因になると感じます。「総合診療医を増やしたい」という目的の下、専門医の質を担保するために始まった総合診療専門研修であるにもかかわらず、先行きが不透明でリスクが高いように感じるプログラムでは、自ら進んで選択する研修医は少ないと思います。ともすれば、研修プログラムの指導医側も不安に感じている様子が見て取れ、なおさら専攻しようと考える研修医は少なくなるはずです。
安心して総合診療を志すことのできる専門研修プログラムへ
 好き好んでフロンティアに飛び込んでいこうとする変わり者や、チャレンジャーしか選ばない(選べない)ような専門研修プログラムでは、国が掲げる総合診療医の拡充は難しいでしょう。総合診療の道に進もうと考える若手医師が、大きな不安を抱えることなく、総合診療専門研修プログラムに進もうと思えるようなプログラムである必要があります。そのためには、研修プログラムに進むことで得られる経験や技術、専門医となった後のキャリアパスを明確に示す必要があります。これらが十分に示されることによって初めて、門戸の広い専門研修プログラムとして総合診療科を拡充していけるのではないでしょうか。

 まだ専門医制度として走り出したばかりの状態なので不安定な要素はあるかと思いますが、何より一番不安に感じているのは、当事者である若手医師です。私たち若手医師が少しでも声をあげることは、小さいようで大きな意味があるのではないでしょうか。
■参考記事
1)加納亜子.「特集◎走り出した新専門医制度《プロローグ》 新専門医制度、期待と不安の中で8400人が船出」
2)一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会。「総合診療医という選択」



https://www.m3.com/news/iryoishin/671078
2次救急病院の5割、大学の医師引き揚げ懸念
日医「働き方改革と救急医療」で緊急調査
 
レポート 2019年4月11日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 医師の働き方改革の影響で、大学が自院のため医師を引き揚げる――。日本医師会が行った緊急調査で、2次救急病院の56.6%がこうした懸念を抱いていることが分かった。日医常任理事の石川広己氏は「何年間かで現実にこういうことが起こったら大変なことになる。問題意識を持っている。大学の医局だけで集めて、他に派遣できないということのないようにしないといけない。専門医にも関係してくる。 5年間できっちり考えないといけない」と述べた。

 調査は3月4日から31日にかけて、インターネットで実施。回答数は2次救急医療機関等が3954施設中1568施設(39.7%)、3次救急医療機関、小児救命救急センター、周産期母子医療センターが計289施設中171施設(61.2%)で、総計4243施設中1739施設(41.0%)だった(「2次救急医療機関等」には上記いずれにも該当しないが、救急告示医療機関等である場合を含む)。

 「医師の労働時間規制や勤務間インターバルが導入されたとき、貴院に医師を派遣している大学が自院の医師充足のため、派遣医師を引き揚げる恐れはあるか」との質問に対し、2次救急医療機関(1501施設)のうち171施設が「当院の救急医療が成り立たないほど、医師の引き揚げがある恐れ」、267施設が「当院の救急医療を相当程度縮小せざるを得ない程度の恐れ」、412施設が「当院の救急医療に支障を来す程度の恐れ」とそれぞれ回答。合わせて56.6%の850施設に上った。人口30万人までの地域に立地し、当該地域に他の2次救急医療機関が0から3カ所のケース(411施設)に絞ると、それぞれ13%、18%、29%で計60%だった。救急車を年間1000台以上受け入れている3次救急医療機関ではそれぞれ4施設、20施設、35施設の計59施設で36.4%だった。

 救急部門の医師について、今後5年間に時間外労働時間を年960時間(月換算で80時間)以内にすることについては、2次救急(救急車年1000台未満、918施設)で70.9%の651施設が「おおむね可能、既に対応できている」と回答したが、2次救急(救急車年1000台以上、583施設)では48.4%、3次救急(162施設)では41.1%と半数を割った。

 他院との兼業の扱いは今後議論されることになるが、「他院での勤務も含め、今後5年間で時間外労働時間を年1860時間以下とすること」については、2次救急(救急車1000台以上、583施設)で「おおむね可能、既に対応できている」は305施設(52.3%)で、「医師の半数程度は可能」が54施設(9.3%)、「医師の3分の1程度は可能」が32施設(5.5%)、「ほぼ不可能」が37施設(6.3%)だった。

 タスク・シフティングについては、「どの業務をどのように委ねるか、十分な検討が必要」との回答が2次救急(救急車年1000台未満、918施設)の616施設(67.1%)をはじめとして全ての種別で半数を超えた。医師以外の職種についてはこの4月1日に働き方改革関連法が施行されており、石川氏は「他職種も業務過多になってしまうこともあり得る。現場では議論がまだまだ難しいと思っている」と述べた。

 4月1日から医師以外の職種について施行された働き方改革関連法で、最も課題が大きいと思われるものについて、「ほとんど影響はない」や未回答を除く630施設のうち34%が「時間外労働の上限規制(年360時間、月45時間」と回答。27%が「年次有給休暇の時季指定義務」、19%が「勤務間インターバル導入の努力義務」、15%が「正規職員と非正規職員の不合理な待遇差禁止」だった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/670983
「医師の生産性、2040年までに7%以上改善」医療・福祉サービス改革プラン
根本厚労相、経済財政諮問会議で説明、プランは今夏に
 
レポート 2019年4月10日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 根本匠厚労相は4月10日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、2040年を展望し、本年夏を目途に「健康寿命延伸プラン」と「医療・福祉サービス改革プラン」を策定する方針を説明した。健康寿命については、2040年までに男女ともに2016年と比べて3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指す。医療・福祉分野の生産性は、少ない人手でも回るようにするため、全体として5%以上の改善を図る。

 この5%以上の改善は、2018年5月21日の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」に基づくマンパワーのシミュレーションでも打ち出されていたが、医師については「7%以上」の数値が新たに加わった。医師の働き方改革を念頭に置いた目標設定と見られる(資料は、内閣府のホームページ)。

 二つのプランは、(1)1億総活躍、(2)イノベーション、(3)社会保障の枠組みを超えた他分野との連携――という3つの視点で検討を進める方針。「健康寿命延伸については、ナッジの考え方など、個人の行動変容の視点を新たに取り入れていくとともに、特定健診とがん検診の同時実施など、好事例の横展開を進める。保険者インセンティブについては配点基準のメリハリ強化とともに、成果指標の導入拡大も検討する。医療・福祉サービス改革については、ロボット、AI、ICT等の活用を進める」(根本厚労相)。

 4人の民間議員は連名でこの日の経済財政諮問会議に、「新経済・財政再生計画の着実な推進に向けて~社会保障制度改革~」との資料を提出。その中で、第一に掲げたのが、「地域医療構想の実現等」だ。「消費税財源を活用し、病床のダウンサイジング支援を拡充すべき。地域によって進捗が遅れている要因の検証と成果につながる追加的方策を諮問会議に報告すべき」などと求めた。

 民間議員の一人は、「社会保障改革の問題は喫緊の課題だ。期限を区切ってスピード感をもって取り組むことが重要。とりわけ、地域医療構想の実現、次世代型医療サービスにおけるデジタル化を通じた生産性の向上が重要になる」と指摘。これを受け、根本厚労相は、経済財政諮問会議で次回、社会保障について議論する際に地域医療構想の進捗状況等を説明すると答えた。

 麻生太郎財務相は、「今後の社会保障を取り巻く環境を考えると、必要なサービスを効率的に提供していくことが重要な課題だ。本日議論になった過剰な病床の削減や調剤報酬などの公定価格の適正化、医療や介護の保険者向けのインセンティブ施策のメリハリ強化などをしっかり進めていく必要がある。こうした取り組みで、社会保障制度の持続性を確保するため、今後、給付と負担の見直しを含めた社会保障全般にわたる改革に取り組んでいかなければいけないと考えている」と発言した。

 経済財政諮問会議では、根本厚労相と民間議員による資料説明の後、出席議員と民間議員が議論を交わした。

 石田真敏総務相は、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めることが重要」と述べ、2020年度からの実現を目指すとした。「転職によって職場が変わっても、新たな保険証の発行を待たずに医療機関で受診できるとともに、過誤請求や保険者の未収金やなりすましの防止、高額医療費の限度額認定証の発行等の削減などの効果が期待される。また医療分野のデータの正確性、信頼性が向上することで、効果的な保健事業の実施などにも貢献できると考える」。

 世耕弘成経産相は、3月20日の未来投資会議で、「疾病・介護の予防・健康インセンティブ」をテーマに議論したことを紹介した(『「保険者へのインセンティブ強化で疾病予防」未来投資会議で安倍総理』を参照)。



https://www.m3.com/news/general/671033
大学無償化、今国会成立へ 衆院委で法案可決  
行政・政治 2019年4月11日 (木)配信共同通信社

 低所得世帯の学生を対象に大学など高等教育機関の無償化を図る法案は10日の衆院文部科学委員会で、与党や国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。11日の衆院本会議でも可決、参院審議を経て今国会で成立する見通しとなった。

 法案は、消費税増税分を財源に、国や自治体が学生の授業料や入学金を減免するほか、生活費などに充当できる返済不要の「給付型奨学金」を支給する。対象は住民税非課税世帯とそれに準じる世帯で、夫婦と子ども2人(1人が大学生)の家庭の場合、年収380万円未満が目安になる。

 高校卒業から2年を過ぎた学生は対象外となり、停学や留年になれば支援は打ち切る。また進学先の大学などにも、理事や教員への外部人材活用や、情報公開の状況などに一定の要件を設ける。

 採決に先立つ質疑や討論では、立憲民主党の初鹿明博氏が「国が線引きをして支援対象を決めるべきではない」と批判。消費税増税分を使わず、ほかの安定財源を確保すべきだとの指摘も野党から上がった。

 衆院文科委では、一つの国立大学法人が複数校を傘下に収め運営できるようにする国立大学法人法改正案なども可決された。



https://www.m3.com/news/general/670660
医師の偏在問題新指標 意見交換 福井県医療審議会  
地域 2019年4月9日 (火)配信福井新聞

 福井県医療審議会がこのほど、福井市の県国際交流会館で開かれた。医師が都市部に集中する偏在問題で国が策定した新たな指標について意見交換。複数の市町がまとめて指定される「2次医療圏」をより細分化して医師の充足状況を把握するよう県に求めた。

 厚生労働省は、住民の年齢や性別から導き出される受診率、医師の年齢などから推定される労働量、患者の流出入状況などのデータを基に算出される医師偏在指標を策定。都道府県、2次医療圏ごとの暫定的なデータを2月に公表した。

 福井県の医師偏在指標は暫定値で全国25位となり、2次医療圏別では福井・坂井が医師の「多数区域」、奥越と丹南は「少数区域」とされた。会合では、事務局の県がこうした状況を説明。出席した委員からは「もう少し狭い地域で考えないと、地区の中でも偏在が出る」といった意見が出た。

 県は本年度、改正医療法に基づく医師確保計画を策定、2020年度からの具体的な取り組みにつなげる考え。



https://www.m3.com/news/general/670627
ネパールで医師がスト 配置転換の法案に抗議  
その他 2019年4月9日 (火)配信共同通信社

 【カトマンズDPA=共同】ネパールでは5日から、国立病院の医師らが公務員の配置転換を行う法案が可決したことに抗議しストライキを実施、8日までに患者数千人が診療などを受けられない事態となっている。救急患者を除き、一般の患者の受け入れが停止されている。

 1400人の国立病院医師からなる組織の責任者によると、法案により多くの医師らがネパール全土7州の病院に配置転換されるという。この結果医師としてのキャリアを積み、新しい技術を学ぶ機会が奪われるとして反対の声を上げている。



  1. 2019/04/14(日) 10:42:40|
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4月7日 

https://biz-journal.jp/2019/04/post_27229.html
ジャーナリズム
医師不足が深刻になる都道府県マップ…5年後、全国で2万人も不足に
 
文=山田 稔/ジャーナリスト
2019.04.01 Business Journal

 少子高齢化、人口減が進むなか、将来的な医師不足が大きな問題になっている。厚生労働省がこのほど、将来の地域の医師数を新たに試算した結果をまとめて公表した。医師の偏在を解消する目標年である2036年で見た場合、全国で約2万4000人の医師の不足が見込まれる。

 厚労省の試算データには、先進的な技術を必要とする特殊な医療に対応する三次医療圏(ほぼ都道府県単位)と、一般的な保健医療を提供する二次医療圏(県内をブロック分け)ごとの不足医師数が表記されている。それによると、36年に医師不足となっていないのは奈良県のみだった。

 二次医療圏の合計でみた都道府県別の医師不足上位10都道県は次の通り。

 愛知県2250人、埼玉県1563人、新潟県1540人、北海道1406人、茨城県1402人、千葉県1112人、群馬県1110人、静岡県995人、栃木県959人、東京都929人。

 厚労省は、現時点での都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」(推計)も明らかにした。医師数や医師の労働時間、人口などを基に算出した「医師偏在指標」の全国平均は238.3。この指標の下位33.3%未満の三次医療圏(都道府県)を「医師少数三次医療圏」(医師少数県)とした。

 医師少数県は全部で16県ある。下位から順番に並べると以下のようになる。

 岩手県、新潟県、青森県、福島県、埼玉県、茨城県、秋田県、山形県、静岡県、長野県、千葉県、岐阜県、群馬県、三重県、山口県、宮崎県。

 2つの指標を比較すると、現時点でも医師少数で、将来的にも医師不足が解消されない県は新潟県、埼玉県、茨城県、静岡県、千葉県、群馬県となる。一方、東京都は医師偏在指標が329.1で全国トップだが、36年には929人の医師不足となってしまう。

10万人当たりの医師数、看護師数、一般病院数の上位は西日本

 さまざまなデータを加味した医師偏在指標とは別の、都道府県別の単純な医療実態をみてみよう。

 まずは「人口10万人当たりの医療施設に従事する医師数」(厚労省の医師・歯科医師・薬剤師調査=2016年)。

 全国平均は240.1人。多い順に、徳島県315.9人、京都府314.9人、高知県306.0人、東京都304.2人、岡山県300.4人となっている。近畿以西で全国平均を下回っているのは宮崎県のみ。西日本各県は270人を超える県が多い。

 一方、少ないのは、埼玉県160.1人、茨城県180.4人、千葉県189.9人、新潟県191.9人、岩手県193.8人の順。下位5県はすべて「医師少数県」に入っている。東北、関東圏に200人を切る県が目立つ。

 看護師数はどうか。

「人口10万人当たりの医療施設に従事する看護師・准看護師数」(厚労省の衛生行政報告例=2016年)によると、全国平均は953.3人。上位は高知県1574.8人、鹿児島県1535.4人、佐賀県1506.0人、長崎県1480.8人、熊本県1457.9人。九州と四国で上位を独占している。四国、九州は、沖縄県を除くすべての県が1100人を上回っている。

 下位は埼玉県665.4人、神奈川県666.8人、千葉県701.6人、茨城県740.9人、東京都748.0人となっている。

 もうひとつ、一般病院数をみてみよう。
「人口10万人当たり一般病院数」(厚労省の医療施設調査=2016年)によると、全国平均は5.8。多い順に、高知県16.5、鹿児島県13.1、徳島県12.9、大分県11.4、佐賀県・宮崎県11.2。病院数も四国、九州が上位を独占だ。

 病院数が少ないのは、神奈川県3.2、滋賀県3.5、愛知県3.8、埼玉県・千葉県4.0と続く。東京都も4.4で平均以下だ。人口の多い大都市圏や周辺部は、10万人当たりの病院数は少なくなる。

 10万人あたりの数値となると、どうしても高知県のように人口の少ない県が優位になりがちである。そこで、より実態に即すために医師の労働時間などを加味した「医師偏在指標」をつくったのだろう。

5年後の医師不足、診療科別では内科が1万4468人でトップ
 厚労省は医師不足の推計値について、診療科別のデータも公表した。24年、30年、36年の3段階の数値があるが、ここではもっとも近い5年後、24年の不足数をみてみよう。主な診療科別の数値は次の通り。

診療科、24年の必要医師数(A)、(A)と16年の医師数との差
内科、  12万7446人、1万4468人
小児科、 1万7813人、  1227人
皮膚科、  7999人、   -686人
精神科、 1万4919人、  -772人
外科、  3万4916人、  5831人
整形外科、2万4374人、  2345人
産婦人科、1万3624人、   992人
眼科、  1万2336人、  -388人
耳鼻咽喉科、8621人、   -554人
泌尿器科、 8599人、   1173人
脳神経外科、9789人、   2077人

 もっとも医師不足となるのが内科で、次いで外科、整形外科の順となっている。逆に、精神科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科の4科は現時点で5年後の必要医師数を超えている。なお、このデータに歯科医は入っていない。

 都道府県別、診療科別の医師不足の実態をみてきたが、目標年度の36年においても医師不足解消のめどは立っていないのが現状だ。不足の解消に何が必要なのだろうか。

 地方における医師不足、医師偏在の原因として、「研修医の都市部への集中」「都市部での開業医の増加」「診療科別の偏在」などが指摘されている。私立医大を中心とした入試不正問題で、入試が医局就職のステップになっているといった指摘もあった。大学病院による青田買いのようなことを放置していたら、問題解決にはほど遠い。過疎地域勤務医へのインセンティブ、医師が充足している地域から医師不足地域への派遣制度などの対策を早急に打ち立てていくべきだろう。

 一方で、患者側にも問題はないのか。不要な診療、救急要請などで医療現場の負担を重くしている面も見受けられる。医師の過重労働につながる問題だ。

 今回の「医師偏在指標」で、状況の可視化はできた。必要なのは、医師不足や偏在を解消するための効果的な具体策である。国は一日も早く、国民にわかりやすいかたちで提示すべきだ。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)



https://www.asahi.com/articles/ASM307TDKM30UBQU001.html
消化器外科を縮小、医師不足のため 姫路医療センター  
直井政夫 2019年4月1日09時00分 朝日新聞

 国立病院機構「姫路医療センター」(兵庫県姫路市本町)が、消化器外科の業務の縮小を決めた。3月25日に一部の外来患者に他の医療機関へ移るよう要請した。センターは「医師不足のため、対応できなくなった」としている。

勤務医の残業「一般並みに」 一部除き年960時間上限

 センターによると、消化器外科は12人の医師がいたが、3、4月に転勤などで5人の医師が退職して7人となり、補充もできなかったという。退職した医師が受け持っていた外来患者188人に対し、和田康雄院長名で、他の医療機関での受診などを求める通知を25日に郵送した。

 センターは引き続き、医師の派遣などで支援を受けている京都大などに医師の補充を求めるという。広報担当は「今後、大きな手術を続けられるかについても検討する」としている。

 センターでは、脳神経外科でも医師不足のため、2017年秋から手術をやめ、入院も受け入れていない。

 センターは27診療科があり、411床で、1日あたりの外来患者が約650人の地域の中核病院。(直井政夫)



https://www.m3.com/news/iryoishin/669255
シリーズ 日医代議員会
「医師確保、カギは地域・地元枠の活用」城守日医常任理事
第144回日医臨時代議員会、「医師偏在指標」への関心高く
 
2019年4月2日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、医学部の地域・地元枠出身の医師は地元定着率が高いことから有効に活用する必要性を指摘した。特に「地元出身者の地域枠」の医師では、地元枠の定着率が8割を超えているというデータも挙げ、地域医療対策協議会でその活用の在り方を十分に議論するよう求めた。

 医学部の臨時定員増が2021年度に期限が切れ、2022年度以降の在り方が注目される中、厚生労働省の医師需給分科会のこの3月の第4次中間取りまとめで、恒久定員の中にも一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示されたことも紹介した(『医師需給「第4次中間とりまとめ」承認』を参照)。

 医師不足対策について質問したのは、岩手県代議員の小原紀彰氏。関連で出た「医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい」との質問には、城守常任理事は今後の課題であるとし、日医副会長の今村聡氏は、支援の一環で今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたと説明した。

 この4月から、都道府県で医師確保計画の策定が始まり、2020年度から実行に移される。新たに導入された「医師偏在指標」、それに基づく医師確保対策への代議員の関心は高く、第144回臨時代議員会の計16の「代表質問」のうち、3つを占めた(他の質問については、『外来医師偏在指標「管理統制にあらず」松本日医常任理事』、『「医師養成数の増加、将来に深刻な影響」松本日医常任理事』を参照)。

医師確保対策に関する質問と答弁の概要

質問:岩手県代議員の小原紀彰氏
 岩手県の3次医療圏の医師偏在指標は全国最下位で169.3であり、最も高い東京都はその1.94倍(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。岩手県では地域枠の定員を順次拡充してきたものの、医師確保は喫緊の課題であることから、医師養成の一律の抑制ではなく、医師不足県においては(1)医学部定員数を減らさない、(2)地域枠存続――のほか、県境を越えた医師の配置調整にも取り組むことが必要だ。岩手医科大学は、定員130人で、そのうち地域枠は28人分、うち15人分は岩手県出身者が対象。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 2018年5月に公表された医師需給分科会の第3次中間取りまとめにおいて、全国レベルの医師需給推計結果が示された。医師の働き方改革により、年間の時間外・休日労働を960時間に制限することを前提とした場合、2028年に国全体では医師の需給は均衡するとしている。その上で、暫定的な方針として、2020年度、2021年度の医学部定員数は、2018年度の9419人をおおむね維持するする方針が示された。2022年度以降の医学部定員数については、医療計画や医師の働き方改革、医師偏在対策の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の適正化に向けて方針等を見直すとしている。
 しかし、これらはあくまで国全体の方針であり、必ずしも各地域や診療科での需給均衡を意味するものではない。2018年度の医学部定員9419人の定員のうち、臨時定員増による地域・地元枠は1010人に達している。地域・地元枠の医師は地域への定着率は高く、特に地元枠は、2次医療圏間や診療科間の偏在調整機能があり、地域への貢献がより期待できる。2021年度でこれら臨時定員増はいったん解消される予定だが、地域・地元枠医師の地域への貢献度の高さに鑑み、医師需給分科会の議論の中で実効性のある医師偏在対策を行っていくためには、臨時定員の見直しによって、地域・地元枠をなくすのではなく、恒久定員の中で確保するよう主張してきた。3月22日の第4次中間取りまとめでは、医学部の恒久定員内に一定の地域・地元枠を設けることや、将来時点で不足する医師数については、地域・地元枠のための臨時定員設置の必要性を検討する方針が示された。
 さらに2018年の医療法改正によって、各都道府県の地域医療対策協議会の協議を経た上で、知事から大学に対して、地域・地元枠の設置・増員について要請できる仕組みを構築することができた。
都道府県医師会においては、地域への貢献がより期待できる地域・地元枠医師が十分に活用されるよう、地域医療対策協議会で議論を尽くしてもらいたい。
 県境を越えた医師の配置調整については、国において、専門研修等の個別医師のキャリア等を可視化した全国データベースを構築し、地域医療支援センターが機動性を高めた上で、このデータベースを活用することが打ち出されている。この考え方は、日医が全国医学部長病院長会議とともに2015年12月に取りまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」によって提案された、「医師キャリア支援センター構想」を盛り込んだものだ。都道府県の地域医療対策協議会では、このデータベースを有効に活用し、派遣調整機能を発揮してもらいたい。
 日医としても、県間の調整が円滑に進むように、厚労省に適切に支援することを求めており、今後、都道府県が医師確保計画を作成するに当たって、国が示す予定である基本方針には、国が県間の調整を支えるための役割が明記されるよう、求めていく。
 なお、都道府県間の配置調整を検討する際、医師法に基づく医師の届け出票のデータを有効利用することも必要。日医の要請により、主たる勤務先に加え、従たる勤務先、つまり兼務先も記載することになった。日医総研のリサーチエッセイでも分析を行っている。日医として、医師が地域を超えて勤務している状況など、各種データを十分に活用した議論ができるよう、厚労省に求めていく。

質問:岡山県代議員の武田正彦氏
 過疎という問題が、医師の偏在に大きな影を投げかけている。医師の奉仕の精神だけでは、過疎地の医師の数は変わらない。補助金など経済的なサポートも含めて検討してもらいたい。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 人口が少ない地域では、医師偏在指標は正確ではないと言われている。特に外来医師偏在指標については、僻地等は考慮に入っていないところもある。地域枠で入ってきたドクターでも、義務年限が終わると、県外に去っていくという話だが、地域枠と地元枠を組み合わせて、「地元出身者の地域枠」という形にすると、地元枠の定着率が8割を超えているので、そうした形での取り組みを地域医療対策協議会で検討していただければと思う。
 また僻地において、どんな形の医療提供体制を取るかだが、巡回診療などの体制が取れればいいが、できない場合は、インセンティブとしては、診療報酬は全国一律なので、何らかの財政的、税制的支援も政策的には必要になってくると思うので、この辺りは今後検討していく。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師需給分科会でも、そうした支援の必要性が強くうたわれている。日医から、医療事業の承継なども強く要望し、今般の税制改正の中で、個人版事業承継税制が新たに認められたのは、こうした支援の一環だ。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 長崎県は、医師多数区域。ただし、離島が多く、県内の格差が大きい。指標を今後、どのように活用していくかだが、医師過剰県では、他から医師を引っ張ってこないように、とされている。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 医師多数区域(都道府県)においては、他都道府県から医師を調整してもってくることは駄目であるという建て付けになっている。一方で、医師少数区域であっても、実施には機能している2次医療圏もあると思う。各先生には、2次医療圏で医師少数区域と認定しても、医療の実態として困っていることは何かを正確に分析して国に報告することをお願いしたい。実態とマクロの医師偏在指標との乖離のファクターとしてどんなものがあるかも見えてくる。

答弁:日医副会長の今村聡氏
 医師多数県と医師少数県の話と、県内の2次医療圏の医師多数区域と医師少数区域の話が混同されがちだ。都道府県が医師確保計画を策定するに当たっては、都道府県内の医師少数区域の医師をどう確保するかが大前提。それを踏まえた上で、都道府県全体としての医師をどう確保するかという話になった時に、医師多数県と位置付けられている場合、積極的に外に向かって医師を確保することはしないという前提。例えば、もともと外の病院に行って、戻ってくることを前提にしている人に、そうしたことを働きかけてはいけないという話ではない。まず都道府県がやるべきことは、都道府県内の医師少数区域をなくす、標準的なところまで引き上げる計画をしっかり作る。その時に地域医療対策協議会が中心となるので、医師会の役割が大きい。

質問:栃木県代議員の稲野秀孝氏
 日本の人口10万人当たりの医師数は、約230人で諸外国と比べて少ない。また医師の働き方改革で、時間外労働上限の暫定特例水準が2035年度末まで延長することを考えると、日本の医師数が不足していることは間違いない。人口10万人当たり何人の医師を目標としているのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 従来、医師の偏在指標として、人口10万人当たり医師数が使用されてきた。しかし、この数字には、将来の人口の変動、患者流出入、地理的な要素、またドクターの性・年齢分布などの要素が欠けている。正確な医師偏在を表わす指標ではないという考えの下に、今回新たに医師偏在指標が提案された。
 その中で、(マクロの)医師の供給推計と需要推計が34万人辺りで均衡するのは、2028年という形になっている。現在の計算式、数値は、三師調査と医師の勤務実態の厚労科研の調査などを用いている。今後の医師の働き方改革の詳細な設計によって医師の推計値は異なってくる。2036年度の必要医師数の推計値の精度を、国としても高めていく。2036年度には、全国値と各都道府県の医療圏ごとの偏在指標が合致する、つまり医師偏在が解消されることになっている。

質問:兵庫県代議員の坂本泰三氏
 地域・地元枠を作ると、入試の際の合格点が変わり、その点が問題になる。地域・地元枠を作った場合、事前に公表していたら問題はないのか。合格者を出した後に、地域・地元枠に割り振ると問題なのか。

答弁:日医常任理事の城守国斗氏
 地域・地元枠を各都道府県、各大学がどのように設定していたかだろうが、実は文科省が調査をしたところ、受験をする前の段階で分ける別枠方式で採っている場合、あるいは一般枠と同様に受験し、後から決める手挙げ方式があった。今後、厚労省、文科省は、手挙げ方式は原則認めず、別枠方式とし、地域・地元枠の意義を学生に理解して、受験、入学してもらう建て付けになっている。



https://www.asahi.com/articles/DA3S13965233.html
(社説)医師の働き方 偏在対策にも踏み込め  
2019年4月5日05時00分 朝日新聞

 医療機関の勤務医に24年度から適用される残業時間の規制案がまとまった。

 一般の勤務医は過労死の労災認定の目安である「過労死ライン」を上回らない月100時間未満、年960時間を上限とする。ただし、地域医療のためにやむを得ない場合と、研修医や専門医をめざす医師など技能向上のために集中的な診療が必要な場合には、特例で年1860時間まで認める。

 「過労死ライン」の2倍近い残業を認めることに対し、厚生労働省の検討会では「非常識な数字」といった批判も出た。しかし一律に残業を制限すれば、地域で医療を受けられない患者が出かねないという医療関係者の声に配慮した。

 忘れてならないのは、本来改めるべきは、勤務医の過重労働に依存する、そうした地域医療の現状の方だということだ。

 最大の課題は、地域の医師不足などの構造的な問題である。その解消に本気で取り組み、特例なしで成り立つ地域医療を早期に実現しなければならない。

 厚労省は従来、研修医などの特例は将来的に縮減し、地域医療確保のための特例は35年度末を目標に終了するとしていた。しかし最終段階で「35年度目途に廃止することについて検討」との表現に後退した。

 35年度末という目標は、厚労省が進める地域の医療提供体制の見直しや医師偏在是正対策が前提だ。それなのに、こんなあいまいな表現しかできないのでは、自らその実現性に疑問符をつけたようなものではないか。医療機関の集約化や地域・診療科ごとの医師の偏在是正が思うように進まなければ、特例もずるずると続く。そんなことは許されない。

 医療現場ではこれまで、労働時間がきちんと管理されておらず、議論の前提となるデータも十分ではなかった。

 厚労省は今後、医療機関の業務の効率化や勤務環境改善への支援、労働時間などの実態把握に乗り出すという。そうした施策も踏まえ、特例で認める残業時間を適宜短くするべきだ。

 特例の対象となる医師の健康を守るため、連続勤務を28時間以下にする、次の勤務までに9時間の休息を確保する、残業が月100時間以上になる場合は産業医らが面接指導することなどを医療機関に義務付ける。

 疲労の状況を客観的にどうチェックするのか。ドクターストップがかかった場合に代わりの医師をどう確保するのか。実効性のある仕組み作りも課題だ。

 医療現場で働く人たちを守るために、必要があればさらに踏み込んだ施策を考える。それが厚労省の責任だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25709
医療計画中間見直しに向け、2019年中に指標追加などの見直し方向を固める―医療計画見直し検討会  
2019年4月2日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2021年度の医療計画見直しに向けて、今年(2019年)中に見直し事項を固め、来年度(2020年度)いっぱいをかけて都道府県で見直し作業を固めることとする―。

 3月29日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういったスケジュール等が確認されました。
 
ここがポイント!
1 2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業
2 在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業

 2018年度から、新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしています。

 2014年施行の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、▼地域包括ケアシステムの構築▼病院・病床の機能分化・連携の推進―が極めて重要な課題であることが再確認され、医療・介護連携を進めるために、従前の「5年を1期とする」計画から「6年を1期とする」計画に改めるとともに、介護保険事業(支援)計画(3年を1期とする。2018年度から第7期計画がスタート)と歩調を合わせることとなりました。

もっとも6年間は長期間であり、その間に地域医療を取り巻く状況も大きく変化すると考えられることから、「3年後」(第7期計画では2021年度)に中間見直しを行うこととなっています。

2021年度に中間見直しを行う(見直し後の指標等に沿って計画等を進める)ためには、▼2020年度に各都道府県で見直し作業を進める → ▼2019年度中に見直し事項等を固める―必要があります。このため、厚生労働省は3月29日の会合で「2019年中(2019年12月まで)に検討会の意見を取りまとめる」考えを提示し、了承されました。

もっとも「中間見直し」において、それほど大きな見直しをすることは好ましくありません。医療計画では、5疾病5事業および在宅医療の各項目について、いくつかの指標を定めます(全国統一指標に加えて、都道府県が独自の指標を一部定めることも可能)。各都道府県は、その指標に基づいて自地域(都道府県および2次医療圏)の状況を確認し、必要な対策を打っていきます。

たとえば5疾病のうち「がん」対策については、例えば▼がん診療連携拠点病院数(ストラクチャー指標)▼末期がん患者へ在宅医療を提供する医療機関数(同)▼がん検診受診率(プロセス指標)▼がん患者指導の実施件数(同)▼緩和ケア(入院・外来)の実施件数(同)▼がん性疼痛緩和の実施件数(同)▼がん年齢調整罹患率(アウトカム指標)▼がん患者の年齢調整(同)―などが重点指標に据えられており、ほかに▼がん認定看護師を配置しているがん診療連携拠点病院割合(ストラクチャー指標)▼診療ガイドラインに基づく治療実施割合(プロセス評価)▼がん診療連携拠点病院の5年生存率(アウトカム評価)―なども指標となっています。

これらに基づいて、各都道府県では医療計画の中に、例えば「がん患者指導の実施件数」について「2023年度に年間●●件を目指す」などの目標を立てるとともに、達成に向けた施策とその実施方法などを定め、実施していくことになります。

中間見直し時点で、こうした指標を大幅に見直せば「医療計画の前提が崩れ、これまでの取り組みが水泡に帰してしまう」こともありうるため、厚労省では「中間見直しでは、指標の追加等の小幅見直しにとどめる」考えです(関連記事はこちら)。

具体的には、これまで(2018年度の1年度分)の取り組み状況、検討会(例えば「がん対策推進協議会」など)やワーキンググループ(地域医療構想、在宅・医療介護連携)などの下部組織の検討状況などを踏まえて、「指標の追加」などを検討します。

この点に関連し尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は、「第7次医療計画からは、医療・介護連携の強化に向けた大きな見直しが行われた。中間見直しに当たっては、介護保険事業(支援)計画との整合性についても重視すべきである」旨を要請しています。

在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

また3月29日の検討会では、医療計画に関連の深い▼医師偏在対策(医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の第4次中間とりまとめ)▼地域医療構想の実現▼在宅医療の充実―に関する報告等も行われました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

このうち「地域医療構想の実現」に向けては、下部組織である地域医療構想に関するワーキンググループで、地域の医療機関の診療実績を勘案し「公立病院・公的病院等の改革プラン内容」を検証する方向が示されるとともに、厚労省で診療実績データに関する分析を進めることとなっています。3月29日の検討会ではこの方向を正式に了承しており、厚労省は急ピッチで各地域の医療状況の分析を進めます(関連記事はこちらとこちら)。

また在宅医療の充実に関しては、地域医療構想の実現に伴って生じる新たな在宅医療ニーズ(例えば「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を在宅等に移行することとなっている)に応えるために、都道府県が市町村の取り組み支援していく方針が示されています(関連記事はこちらとこちら)。

この点、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)から「杓子定規な対応はすべきでない」旨の指摘がありました。例えば、上記で言えば、「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を、在宅医療や介護施設等で受け入れることになりますが、都道府県・市町村によっては「在宅医療の整備が思うように進まない」「介護医療院への転換が進まない」ところもあるでしょう。こうした患者を「療養病棟に入院することはできません。在宅医療の整備はまだですが、頑張って在宅で生活してください」などと放り出すことはできないことから、城守構成員は「一定の柔軟性を認めるべき」と訴えているのです。厚労省では、こうした指摘も踏まえながら、都道府県や市町村の在宅医療推進をサポートしていくことになります。
 


https://www.chunichi.co.jp/article/toyama/20190402/CK2019040202000229.html
【開院】 地域医療のモデルへ 富山まちなか病院  
2019年4月2日 中日新聞 富山

 富山市が新たに運営する「富山まちなか病院」(旧富山逓信病院)が一日、開院し、開院式が同市鹿島町の同病院で開かれた。

 まちなか病院は、市が日本郵政から逓信病院の事業を引き継いで運営。将来的に在宅医療や回復期医療の提供を基本とし、高度専門医療や急性期医療を強みとする市民病院(同市今泉北部町)と機能を分けることで中心市街地に医療拠点を維持し、住み慣れた地域で市民が医療サービスを受けられる地域完結型医療を目指す。

 式には、市の関係者や病院スタッフ三十人が出席。森雅志市長は他医療機関との連携を強化して「全国から注目される新たな富山市型の医療モデルへ」とあいさつ。樋上義伸院長は「地域包括ケアの核として成果を出し、市民がいつまでも健康に暮らせる豊かな社会に貢献したい」と誓った。

 診療科は逓信病院と同じ内科、外科、整形外科、婦人科、眼科で、一般病床は五十床を設置する。 (柘原由紀)



https://tanba.jp/2019/04/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%94%AF%E3%81%8884%E5%B9%B4%E3%80%80%E3%80%8C%E6%9F%8F%E5%8E%9F%E8%B5%A4%E5%8D%81%E5%AD%97%E7%97%85%E9%99%A2%E3%80%8D%E3%81%8C%E9%96%89%E9%99%A2%E3%80%80%E7%97%85/
地域医療支え84年 「柏原赤十字病院」が閉院 病院ボランティアに感謝状/兵庫・丹波市  
2019年4月3日 丹波新聞

 兵庫県丹波市柏原町柏原の「柏原赤十字病院」で3月29日、閉院式が行われた。前身病院を含め明治時代から地域密着型の医療を提供してきた同病院。関係者50人ほどが出席し、「84年の軌跡」を振り返るスライドショーが上映され、慣れ親しんだ病院の閉院を惜しんだ。今夏、柏原赤十字病院と県立柏原病院(同市柏原町柏原)が統合移転し、同県丹波市氷上町石生に新病院が開院する。

前身病院は明治30年開院

 同病院は、明治30年に開院した氷上郡立柏原病院が前身。明治41年に財政上の理由で柏原町に移管され、昭和10年に日本赤十字社兵庫支部柏原診療院となった。当時は病床30床、職員25人だった。

 患者が増え昭和17年に増築、日赤兵庫県支部柏原病院となり、後に柏原赤十字病院と改称した。200床を超えた時代もあったが、閉院時は59床、職員数は約120人だった。

「赤十字精神、新病院へ」

 閉院式で、2017年4月から、県立柏原病院と兼務で16代目の柏原赤十字病院長を務めてきた秋田穂束氏は「私自身、日本赤十字社の地域社会への奉仕に対する真摯な取り組みなど、非常に感銘を受けながら学ばせていただいた。柏原赤十字病院は閉院するが、赤十字精神を受け継ぎながら、新施設でも地域社会に貢献していくものと確信している」などとあいさつした。

 また、日本赤十字社長の代理で、同社医療事業推進本部統括副本部長の矢野真氏は「84年に渡る歴史に幕を下ろすのは残念だが、地域住民のための医療を続けてきたことを誇りに思う」と述べた。

 丹波市の谷口進一市長は「日赤がなくなるのは寂しいが、(新しく開院する)市健康センターミルネにその機能がしっかりと引き継がれる。地域に根付いた日赤の精神はそこでより大きく育まれていくと思う」とあいさつした。

病院支えたボランティア「旅立ちは希望。新病院でも継続を」

 前日の28日には、同病院を支えた「病院ボランティア」への感謝状贈呈式があった。急激な医師減少による病棟縮小が行われた2008年に始まった「病院ボランティア」は、来院する患者のサポートや、清掃、洗濯、夏祭りやクリスマスなど季節のイベントの手伝い、伝票運びなどを担った。感謝状贈呈式には対象者23人中18人が出席し、感謝状を受け取った。

 他病院で行われている活動を参考に立ち上げを提案した元丹波市連合婦人会長で、氷上郡(現丹波市)時代から日赤奉仕団の委員長を務めた荻野美代子さん(83)は、「私たちにできることをと始めた。家族も自分もお世話になった一番身近な病院」と言い、30年以上ドライフラワーを贈り続けた川上朋子さん(81)は、「職員の息子が交換してくれるので年に6回ほど新作を渡していた。喜んでもらえていたのなら幸い」と話した。

 式典に出席したリハビリ科長で理学療法士の石原直幸さん(56)と井上恭子看護師長は、ともに同病院勤続30年超。「細かいことに良く気づいてもらった」「手が回らないところを助けてもらった」と感謝。閉院について石原さんは「職員は仲が良く、いい病院だった。寂しい」と言い、井上さんは、「とうとうこの日が来てしまったという思い。寂しいが私たちがやってきたことを新病院に引き継ぎたい」と前を向いた。

 雛倉恵美看護部長は、「看護師が全然足りないなかで、患者の側で助けてもらった。みなさんに来てもらって、地域とつながった気がした。今日までありがとう」と涙ながらに謝辞を述べた。

 ボランティア代表の増南文子さん(71)は、「長い柏原日赤のわずかの期間だが病院と共にあった。別れ、旅立ちは希望。たくさんの希望を持ち新病院でもボランティア継続を」と締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/669007
シリーズ 日医代議員会
「公立・公的病院、代替・再編の可能性を議論」中川日医副会長
第144回日医臨時代議員会、「地域医療構想、働き方改革、新専門医制は一体」
 
2019年4月1日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、3月31日の第144回臨時代議員会で、「他の医療機関による役割の代替可能性」「再編統合の可能性」がある公立・公的医療機関等について、期限を切って地域医療構想調整会議で議論する仕組みが今後導入されると説明した。

 さらに地域医療構想の実現に向けて、公立医療機関を有する地方自治体の首長が調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを防ぐ手立てのほか、公立・公的医療機関等への補助金等の投入状況の「見える化」も検討しているとし、公立・公的等と民間の医療機関が役割分担しながら、地域医療構想の実現を目指す方針を表明した。


日医副会長の中川俊男氏
 地域医療構想において、公立・公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、その役割を明確化し、2019年3月末までに調整会議の合意を得るとされていた。ただし、形式的な合意で終わるケースが少なくないことから、新たな仕組みの導入につながった。厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の議論を踏まえたもので、同省は具体的作業を進めている(『17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し』を参照)。「例えば、『民間と、公立・公的が競合している』『公立・公的しかない』『民間しかない』などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい」。

 中川氏はその他、調整会議で医療機能に関する「定量的な基準」を導入する動きがある中、「病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握するだけのことだ」と説明。

 地域医療構想との関連で、都道府県別の診療報酬の導入も浮上するものの、現行の「高齢者の医療の確保に関する法律」(高確法)の下では導入のハードルは高い上に、「両者の関連はないと認識してもらいたい」と説明。ただし、「高確法を改正して、都道府県別の医療費抑制を狙う人達もいる」と述べ、注視していくとした。

 さらに地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、努めていく方針も表明した。

 地域医療構想について質問したのは、三重県代議員の馬岡晋氏。それに対し、日医常任理事の釜萢敏氏が答弁した後、関連質問が相次ぎ、中川副会長が回答した。

地域医療構想に関する質問と答弁の概要

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 (1)1年ごとの地域医療構想の策定、厚生労働省への報告は変更を検討できないか、(2)医療区分1の在宅への移行は、各地域に自由に設定させることは考えられないか、(3)病床区分における基本ルールの策定の是非の検討を含め、地域医療構想調整会議の活性化に取り組む意思は日医執行部にあるか――の3点を質問。

答弁:日医常任理事の釜萢敏氏
 調整会議では、年4回会議を行うことが示されている。協議内容は、地域の不足する医療機能の確認、それを補うための具体策、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用などになる。こうした年間スケジュールを毎年繰り返すことで、各地域における病床の機能の構成が、自主的に収れんされ、地域医療構想で描いた姿に近付くことになる。
 調整会議は、定期開催と随時開催ができるよう、地域医療構想策定ガイドラインに記載されている。コアメンバーによる随時会議をあらかじめ行い、論点を整理するなど、医療職以外の委員の負担を軽減し、会議の効率を高めるようにしてもらいたい。2025年を見据え、議論を掘り下げていくことも必要。都道府県が短期的な目標のみならず、中期目標などを設定できるよう、国に働きかけていく。
 「医療区分1の70%」は、各地域において病床機能の分化により、在宅医療の追加的需要がどれだけ発生するか、その一つの目安にすぎず、それに縛られる必要はない。それから得られる数値は参考値にすぎない。病床の削減、在宅への移行を強いるものではない。高齢化に伴う在宅医療の需要の自然増にも対応しなければいけない。地域の実情に応じて、実現可能な方法で体制を構築していくことになるが、在宅での受け入れは、かかりつけ医の確保にかかっている。中小病院や診療所の医師偏在解消、在宅医療を担う医師の育成、介護施設の整備など、基盤が整って初めて在宅での受け入れが可能となる。これらの現状を確認し、地域の自主性をもって在宅医療を進めることになっている。
 病床の区分割り当てに関する各都道府県独自の判断基準の作成とは、昨年厚労省が通知で示した、地域医療構想調整会議の活性化のための地域の実情に応じた定量的な基準のことだと思う。都道府県独自の基準が診療報酬の都道府県化につながることを懸念しているが、そのようなことを決してない。日医は、国民皆保険の理念に合致しない、都道府県別診療報酬算定には断固反対する。
 日医は、急性期機能を全く発揮していないのに、急性期機能の病棟と報告するような極端な場合を除き、全国一律の定量的な基準を入れることにあまり意味がないと、一貫して主張してきた。この考え方は、厚労省からも了承されている。地域の実情に応じた定量的な基準は、厚労省が通知で説明している通り、調整会議の議論を活性化させる観点のもの。あくまでも各構想区域の実態を把握するツールであり、必ずしも導入しなければいけないものではない。
 最後に、公立・公的医療機関等は、「それらでなければ担えない機能」に重点化すべきである。一方、これらのプランがさしたる議論もないまま、調整会議で合意される実態もあると聞いている。日医は、その点を公の場で厳しく指摘してきた。その結果、厚労省も調整会議に対し、病床数に固執した機械的、形骸化した議論ではなく、公立・公的医療機関等の実績をしっかりと分析評価し、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向。

質問:三重県代議員の馬岡晋氏
 調整会議の本質は、今まで中川副会長が何度も言われていたが、地域医療の再生、在宅医療の充実に向けて、いかに皆で手を携えるかという観点であり、住民全員を巻き込んだ議論をしなければいけないと思う。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は、ガイドラインの策定時から、定例会議と臨時会議に分け、地域住民も含めて大きな会議(定例会議)では、その構想区域のデータを共有する。しかし、踏み込んだ議論はたくさんの人が参加する会議では難しいので、利害関係者も含めて、(臨時会議で)しっかりと議論することから始まる。その使い分けを上手にやっていただきたい。
 また「定量的な基準」のことだが、2018年8月に(厚労省医政局)地域医療計画課から課長通知が出されたのは、当時、全国の構想区域で「回復期機能が不足している」ということが頻発したので、それに対して危機感を持ったため。独自の定量的基準を導入して、しっかり実情を把握してもらいたいという意味だ。その結果、全国で次第に回復期が不足しているという認識が改められてきたと思う。「定量的な基準」を導入する目的は、病床機能報告制度と病床の必要量を、できるだけ一致させることが目的では全くない。構想区域の医療提供体制をより具体的に把握する、それだけのことだ。

質問:岐阜県代議員の川出靖彦氏
 一番、今問題になっているのは、新専門医制度が始まり、医師が急激に不足しつつあること。中小病院では、医師の引き揚げが起きている。医師の働き方改革でも医師の不足が生じる。医師の確保と医師の働き方改革も、調整会議で議論してもらいたいが、これらを把握、評価するためのデータはない。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 医師がどのくらい必要なのかという把握が難しい状態。三師調査では、今回から「主たる勤務先」と「従たる勤務先」の両方を書くようにした。「従たる勤務先」で何日間働いているかも含めて、分析を始めている。精緻なことを始めているので、ぜひご提供したい。地域医療構想、医師の働き方改革、新専門医制度は全て一連のものであり、縦割りにならないように、しっかりと詰めていきたい。

質問:宮城県代議員の橋本省氏
 釜萢常任理事は「都道府県別の診療報酬にはつながらない」と回答したが、地域医療構想、現状には都道府県による差が大きい。そのような状況下だと何が出てくるか分からない。奈良県では昨年、都道府県別の診療報酬が出た(『地域別診療報酬の検討、奈良県が事実上凍結』を参照)。本当に大丈夫か。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 都道府県別診療報酬の特例に関する根拠法は、高齢者の医療の確保に関する法律、すなわち高確法だ。その中で、関係しているのは第13条と第14条だ。「第13条に基づいて都道府県が診療報酬の特例を要望して、第14条で厚労大臣が許可する」と考えている方も多いが、それは誤解。第13条は、都道府県が全国一律の診療報酬について、意見を提出することができるというだけの条文。一方、第14条は、厚生労働大臣が、医療費適正化を推進するために支障がある、都道府県別の診療報酬を導入した方がいいと判断した時に、実行ができる。厚生労働大臣の判断の基準は、全国の医療費適正化計画がうまく行っているかどうかだ。全国と都道府県の計画目標の両方がうまく行かない時に、初めて都道府県別の診療報酬導入の可能性が出てくる。
 この法律は、非常に精緻になっており、都道府県間の給付に不公平になってはいけないとまで書いている。実質的に導入は不可能。このことも認識して、地域医療構想と都道府県別の診療報酬の関連はないと認識してもらいたい。
 しかし、問題は、高確法を改正して、都道府県別まで医療費抑制を狙う人達もいる。日医は、しっかりと警戒して、注視していく。

質問:愛媛県代議員の久野梧郎氏
 民間に先立ち、公立・公的医療機関等の病床の議論が進んでいる。休床になっていることが多々ある。人口が減少する地域では、隣接地域の中間に基幹病院を作った方がいい場合もある。公立・公的医療機関等の問題は、調整会議のみに任せるのではなく、もう少し国として指導力を発揮してもいいのではないか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 調整会議は法律上、強大な権限を持っているが、なかなか機能しにくいのはその通りだ。なぜ公立・公的医療機関を問題にするかだが、公立・公的医療機関と、民間病院の機能が競合する場合には、公立・公的医療機関がひくという文書が厚労省から出ている。公立病院には年間5000億円以上の税金が投入されているからだ。公的医療機関も県によって違うが、補助金や税制優遇など、いろいろな形で支援をしている。
 (厚労省の)地域医療構想に関するワーキンググループで、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」が、全国の調整会議で「合意された」とされるが、ほとんどさしたる議論もなかった。それを検証し直すことにした。例えば、一般的な術式の手術について、競合していないかどうかを類型化して、そのデータを構想区域に返すことにした。
 さらにもっと踏み込み、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」という名前を付けて分類し、そのことを調整会議で調整して、期限を切って結論を出すことにした。
 「他の医療機関と再編統合の必要性について、特に議論が必要な公立・公的医療機関等」という分類も行い、これについても期限を切って議論し、方策を得ることになっている。
 さらに大事なことは、補助金が公立・公的医療機関等にどのくらい入っているのか、トータルの額は分かるが、内容は全く分からない。それを「見える化」することも考えている。公立医療機関を有する地方自治体の首長が、調整会議の意向に沿わない判断をする時、それを何とか防ぐ手立てを考えようとまで踏み込んでいる。

質問:兵庫県代議員の大江与喜子氏
 「新公立病院改革プラン」等の合意だが、3月末までに合意しないと、補助金が減額されるという脅しがあり、あまり議論しなかった経緯がある。また公立病院等の医師は、地域医療構想をほとんど理解せず、勝手に自分たちが作りたい病院を作っているという姿勢がある。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 日医は、公立・公的医療機関等に対する何のうらみも持っていない。地域医療構想を進めていくのは、東京都や大阪府といった地域を除いて、ほとんど病床が間違いなく余ってくるからだ。その最初の役割、ダウンサイジングする、統廃合する役割は、公立・公的医療機関等が担うべきだと一貫して主張している。また基金等を減額することがないよう、厚労省に厳しく言っている。

質問:長崎県代議員の釣船崇仁氏
 公立・公的医療機関等しか担えないような機能を担っているかを判断するとされているが、それは誰が判断するのか。

答弁:日医副会長の中川俊男氏
 法的には地域医療構想調整会議が判断する。ただ判断すると言っても、基準がないと判断できない。先ほど言ったように、類型を作り、例えば「民間と、公立・公的が競合している」「公立・公的しかない」「民間しかない」などの判断する基準を作っているので、早急に全国にお伝えしたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668858
シリーズ 日医代議員会
「平成の次の時代の医療、構築は我々の責任」横倉日医会長
第144回日医臨時代議員会、23のサブスペ「見直すよう要望」
 
2019年3月31日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月31日の第144回日医臨時代議員会で、「平成の次の時代の医療制度を、医師と患者・国民との信頼関係の上に、持続可能なものとして築き上げていくことは、未来に対する我々の責任」との決意を表明した。

 「かかりつけ医の心」を全国の医師が涵養した上で、地域医療構想を通じた医療機能の分化・連携等の促進をはじめ、5つの取り組みを高度に相関させながら、人生100年時代に即した医療の在り方を模索する方針。高齢社会のネガティブなイメージを払拭し、一元的に捉えられてきた健康概念を、個々人の価値観に即した多元的なものへと提言していく構えだ。

 横倉会長が挙げた5つの取り組みとは、地域医療構想のほか、▽医師確保対策を通じた医療資源の地域間格差の是正、▽医師の働き方改革を通じた医師の健康確保と地域医療を支える各医療機関の継続性の両立、▽医師の養成を通じた医療の質の向上と医師偏在の是正、▽地域包括ケアシステムを通じた切れ目のない医療・介護提供体制の構築――だ。

 直近の話題として、新専門医制度にも言及。同制度は、プロフェッショナル・オートノミーが基本であることを指摘した上で、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「23のサブスペシャルティ領域を見直すことを要望した」ことを紹介。「新専門医制度は、国民にとって分かりやすい制度にすることが目的。しかし、23領域を見ると、領域の一部が重なっているなど、国民に分かりにくい部分があるという危惧を覚える」(横倉会長)。「制度設計に当たっての混乱は、国の関与を強める結果にもなりかねない」との懸念を呈し、「丁寧な議論を基に、目的にかなった早期の制度実現に向けて、日医は引き続き、日本専門医機構を支援していく」との方針を示した。

 「グランドデザイン2030」策定を説明
 横倉会長は、まず「国民生活にとって欠かせない医療は、いつの時代も政治に大きく影響されてきた」と述べ、4月の統一地方選挙、7月に予定されている参議院選挙を控え、「医療政策を政治家の方々にも十分ご理解していただく必要がある」と指摘。その考えの下、日医総研が新たな「グランドデザイン2030」をまとめたと説明した(『「日本の医療のグランドデザイン2030」、日医総研まとめる』を参照)。具体的な提言と行動計画については、今後、日医総研のワーキングペーパー等を通じて公表する予定であり、その中から、高齢化する日本社会全体の活性化につながるようなものを選択し、日本医師会の政策に取り入れていく方針。

 医師偏在指標「数字が独り歩きしないように」
 具体的施策として、この4月から都道府県による医師確保計画の策定が始まることから、「医師偏在指標の数字が独り歩きしないよう注視しつつ、医師偏在対策の実効性の確保に寄与していく」とした。

 地域での医師確保対策は、地域医療構想や医師の働き方改革の議論とも密接に関係するとし、3月28日の厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の取りまとめについては、次のように解説。「過度な長時間労働で地域医療を支えてきた医師達の健康管理、労働環境の改善等について議論されるとともに、地域医療への影響を考慮した暫定特例水準のほか、臨床研修医や専攻医など、一定期間集中的に技能向上に務める際の水準も示された。これらの水準はいずれも要件に適合する医療機関や、希望する医師にのみ適用される」。「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」の両立を訴えてきたとし、引き続き、勤務医の健康確保に向けた医療機関の取り組みを支援しつつ、地域の実情に柔軟に対応可能な制度設計に寄与していくとした。

 医師の働き方改革実現のほか、良質な医療提供のためにも、医療におけるAI(人工知能)やICTを活用する必要性も指摘。集まった医療データ分析により、地域の医療ニーズに見合った医療提供体制を構築していく際のエビデンスにすることも可能であるとした一方、その活用に当たっては安全性を担保しつつ、医師と患者の信頼関係が脆弱になることがあってはならないとした。

 かかりつけ医機能研修制度は2期目
 その上で、横倉会長は「かかりつけ医」の普及、定着、充実に向けた取り組みの重要性を強調。「日医かかりつけ医機能研修制度」は、この4月から2期目を迎えることから、応用研修の講義内容を刷新し、かかりつけ医の社会的機能の充実を図ったという。「かかりつけ医の心」は、「寄り添う心」「和の心」であるとし、こうした心なくしては超高齢多死社会で医療は立ちゆかなくなるのでは、との考えを述べた。

 全ての団塊の世代が後期高齢者となる2025年、また高齢者人口がピークとなる2040年に向けた社会保障の在り方を考えることが必要だとしたほか、今年10月に消費税率が引き上げられた後も、しっかりとした議論の場を作り、国民全体で合意の上、納得を得られる負担と給付を導き出すべきではないかと考えていると表明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25754
医師等の労働時間短縮に資する機器やソフト、共同利用するCT・MRIなど購入費の一部を特別償却可能―厚労省  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医療従事者の働き方改革に資する機器等の購入、地域医療構想の実現に向けた病院の改築等、共同利用を推進する場合の全身用CT・MRIの購入にかかる費用について、一定割合を特別償却することを認める―。

 厚生労働省は3月29日に通知「地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度について」を発出し、こうした点を明らかにしました。

ここがポイント!
1 医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象
2  地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象
3  稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

医療需従事者の勤務状況を把握・労働時間短縮に資するさまざまな機器・ソフトが対象

 本年(2019年)の税制改正において、(1)医師、その他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等(2)地域医療提供体制の確保のために地域医療構想調整会議で合意された病床の再編等に資する建物・その附属設備(3)共同利用推進など効率的な配置の促進に向けた高額医療機器―について「特別償却」の対象拡充・見直しが行われました(関連記事はこちらとこちら)。「医師の働き方改革」「地域医療構想の実現」「高額医療機器の適正配置」などといった医療提供体制改革を進めるため、また厳しさを増す病院経営における設備投資負担への配慮を行うための見直しと言えるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、これらの詳細を明らかにしています。

まず(1)「医師等の労働時間短縮に資する機器」の特別償却制度について見てみましょう(関連記事はこちら)。

制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、医師等の勤務時間短縮やチーム医療推進に資する未使用の器具・備品・ソフトウエア(勤務時間短縮用設備等)を取得・製作して、医療保健業の用に供した場合に、普通償却限度額に加えて「特別償却限度額(取得額の15%に相当する額)まで償却する」ことを認めるものです。

具体的な勤務時間短縮用設備等の要件としては次のとおりで、1台・1基の取得価額が30万円以上のものに限定されます。

【類型1】労働時間管理の省力化・充実に資する勤務時間短縮用設備等
▼ICカード、タイムカード、勤怠管理ソフトウエアなど「客観的に医師の在院時間等の管理が行える」設備▼勤務シフト作成支援ソフトなど「医療従事者の効率的な配置管理が行える」設備―

【類型2】医師の行う作業の省力化に資する勤務時間短縮用設備等
▼AIによる音声認識ソフトウエアやその周辺機器など「医師が記載(入力)する内容のテキスト文書入力が行える」設備▼画像診断装置(CT)など「救命救急センター等の救急医療現場において短時間で正確な診断を行う」ための設備▼ベッドサイドモニター、患者モニターなど「呼吸回数や血圧値、心電図等の病態変化を数日間のトレンドで把握する」ための設備―

【類型3】医師の診療行為を補助・代行する勤務時間短縮用設備等
▼手術支援ロボット手術ユニット▼コンピュータ診断支援装置▼画像診断装置等(核医学診断用検出器回転型SPECT装置やX線CT組合せ型ポジトロンCT装置、超電導磁石式全身用MRなど)▼在宅診療用小型診断装置―など「医師の診療行為の一部を補助・代行する」設備

【類型4】遠隔医療を可能とする勤務時間短縮用設備等
▼遠隔診療システム▼遠隔画像診断迅速病理検査システム▼医療画像情報システム▼見守り支援システム―など「医師が遠隔で診断することに資する」設備

【類型5】チーム医療推進等に資する勤務時間短縮用設備等
▼院内搬送用ロボット、患者の離床センサーなど「医師以外の医療従事者の業務を補助する」設備▼通信機能付きバイタルサイン測定機器やタブレット等活用システムなど「予診」のための設備▼電子カルテ、カルテ自動入力ソフトウエア、レセプトコンピューター、医療画像情報システム、画像診断部門情報システム、医療情報統合管理システムなど「診断情報と医師の指示を管理できる」設備▼医療機器トレーサビリティ推進のためのUDIプログラム、画像診断装置等のリモートメンテナンス、電子カルテ、レセコンのリモートメンテナンスなど「医療機器等の管理効率化」のための機器・ソフト等―

 こうした勤務時間短縮用設備等を取得等した医療機関では、次のような手続きを行うことで特別償却制度を利用できます。

▽都道府県の医療勤務環境改善支援センター(いわゆる勤改センター)の助言をもとに「医師等勤務時間短縮計画」を作成する
  ↓
▽「医師等勤務時間短縮計画」の中に勤務時間短縮設備等を記載して、都道府県医療勤務環境改善担当課(室)長の確認を受ける
  ↓
▽勤務時間短縮用設備等を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)して、医療保健業の用に供する
  ↓
▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、勤務時間短縮用設備等について「通常の償却費の額」と「取得価格の15%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、医師等勤務時間短縮計画の写しを添付する

現時点では、取得等および医療保険業の用に供した期間が「2019年4月1日-2021年3月31日」のものが特別償却制度の対象となります。

 医師の時間外労働時間上限(年間960時間以下、1860時間)は2024年4月から適用されますが、それまでの間、すべての医療機関で「労務管理の徹底」と「労働時間の短縮」を強力に進めていく必要があります。また医師以外のスタッフ(看護師等のメディカルスタッフ、事務職員など)については、この4月から新たな時間外労働上限が設定されています。この特別償却制度も活用し、労務管理の徹底・労働時間短縮に直ちに取り組むことが重要でしょう。

地域医療構想の実現に向けた、病院の新築・改築や転換などが対象

 次に(2)「病床再編等の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちらとこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、地域医療構想の実現に向けて、2019年4月1日-2021年3月31日の間に▼新築・改築▼増築▼転換―に該当する工事で建物・附属設備を取得・建設して医療保健業の用に供した場合、取得価額の8%について特別償却を認めるものです。

例えば地域医療構想調整会議において「病床機能の転換」や「回復期機能を持つ病床の新設」などに関する合意が得られた後に、▼病室の新設▼病床の設置▼廊下幅の変更▼入浴介助設備の設置―などを行うケースが想定されます。減築や廃止(単なる解体撤去)は対象に含まれません(なお、地域医療介護総合確保基金において、病床削減等で発生する費用が助成対象となっている、関連記事はこちら)。

このような工事等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽特別償却制度の対象となる建物・附属設備であることを証明する書類(▼工事計画等の工事の概要や範囲が特定できる書類▼具体的対応方針(病床転換の方針など)―で、医療機関の開設許可申請等書類や地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出して、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の8%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

稼働率の高い、あるいは共同利用を進める全身用CT・MRIが対象

 さらに(3)「医療用機器の効率的配置の促進」に向けた特別償却制度を見てみましょう(関連記事はこちら)。

 制度の骨格は、青色申告を行う「医療法人(連結親法人、当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人を含む)・個人医療機関」が、2019年4月1日-2021年3月31日の間に、以下の要件に該当する高額医療機器を取得等(所有権移転外リース取引による取得を除く)し、医療保健業の用に供した場合に「取得価額の12%」の特別償却を認めるものです。

▽「租税特別措置法第12条の2第1項及び第45条の2第1項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件」(2009年厚労省告示第248号)に定める医療用機器(従前から特別償却対象)のうち、「病院」の全身用CT・MRI(▼超電導磁石式全身用MR装置▼永久磁石式全身用MR装置▼全身用X線CT診断装置(4列未満除く)▼人体回転型全身用X線CT診断装置(4列未満除く)―)は、次のいずれかの条件を満たす場合に限り特別償却の対象とする(診療所の全身用CT・MRIは従前どおり特別償却の対象となり、次の条件を満たす必要はない)

【買い換えの場合】(既存の全身用CTを廃止して、別の全身用CTを発注・購入する場合、既存の全身用MRIを廃止し、別の全身用MRIを発注・購入する場合)
→買い替え前年の1-12月までの各月における「買い替え前の全身用CT・MRIの利用回数」が、全身用CTでは20件(1か月当たり)、全身用MRIでは40件(1か月当たり)を上回っていること

【新規購入の場合】(▼既存の全身用CTを廃止せず、追加で全身用CTを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用CTを発注・購入する場合▼既存の全身用MRIを廃止せず、追加で新たに全身用MRIを発注・購入する場合▼全くの新規で全身用MRIを発注・購入する場合)
→他の病院・診療所と連携して共同利用を行う(紹介患者のための利用を含む)予定であることが外形的に確認できること

【上記以外の場合】
→地域医療構想調整会議で協議を行い、「当該構想区域等における医療提供体制の確保に必要なものとして買い換え・新規購入が適当」と認められること

高額機器の購入等を検討している医療機関では、次のような手続きで特別償却制度を利用できます。

▽全身用CT・MRIについて、上記条件のいずれかを満たすことを証明する書類(▼利用回数を示す書類▼連携先医療機関と連名で作成した共同利用合意書などの「特定の医療機関と共同利用を行う予定について連携先医療機関と合意している」ことを示す書類▼地域医療構想調整会議で全身用CT・MRIに係る協議を行った際の資料などの「地域医療構想調整会議で協議を行い、適当と認められた」ことを示す書類―で、医療機関の開設許可申請等書類や外来医療提供体制の協議の場・地域医療構想調整会議への提出書類などを活用できる)を都道府県に提出し、確認を受ける

▽医療保健業の用に供した日の属する事業年度(個人では年)の青色申告の際に、「通常の償却費の額」と「取得価格の12%」との合計額以下で必要経費として計算した額を記載し、都道府県の確認を受けた書類の写し添付する

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/669780
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
働き方改革「皆が対等に協議する場が重要」、日医・今村副会長
厚労省検討会報告書「日医の主張が反映された」と評価
 
2019年4月4日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の今村聡副会長は4月3日の定例記者会見で、3月末に取りまとめられた、厚生労働省の医師の働き方改革の報告書について、「日医が主張してきた『医師の健康への配慮』と『地域医療の継続性』の両立という観点から取りまとめられたと理解している」との見解を示した。同時に、「中身について、現場の医療機関がご理解いただいていない部分がある」として、病院団体などと連携して説明会などを開催していく考えを示した(報告書の詳細は『医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ』を参照)。

 「医師の働き方改革に関する検討会」には、日医からは今村氏ら2人が委員として参加したほか、2018年7月には日医が主導した「意見書」を提出するなどしていた(『松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」』を参照)。

 今村氏は報告書について、日医の見解が反映されたと評価し、「中でも勤務間インターバル、連続勤務時間規制の一部義務化という従来にない方法が取り入れられた。月々の労働時間管理だけに頼り、結果として休息が確保できないという事態を回避する手段として、極めて有効だと思う」と指摘した。

 同時に医療機関に求められる36協定の締結や労働時間短縮計画の策定などのマネジメントシステムの構築については、「勤務医に長時間働いてもらうための必要条件であり、医療機関の責務である。皆が対等な立場で協議する場の設定が重要になることを医療機関の管理者は認識する必要がある」と述べた。

 「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)で、年1860時間となった時間外労働上限時間については「実現の難しい低い上限目標を設定することで、隠れて残業を行うような事態を招いてはならない。1860時間は高い上限ではあるが、罰則適用で医療提供が過度に制限されたり、罰則適用で地域医療が崩壊したりすることのない制度設計になっている」と評価。B水準であっても2036年4月から960時間を目指すことになった点を「960時間という最終目標の認識を強く持つことになった」と述べた。

 C水準については、「研修医には現場での十分な研鑽が求められ、学びたいという意志を持っている医師も多い」と指摘しつつ、「効率的な研修をすることで労働時間を短くしていくことが求められる」と強調した。

 今後もC水準の審査組織の設計や兼業管理などさまざまな論点が残っていることを指摘しつつ、「これまでにない大改革で、一定の時間をかけて慎重に取り組まなくてはならない。将来の地域医療提供対策は『偏在対策を含む医師確保計画』、『地域医療構想』、『医師の働き方改革』が三位一体になって形作られていく。個々の医療機関では不可能で、地域医療機関の連携が不可欠」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25743
「12月」分データを追いかけると、2012年以降、在院日数短縮と新規患者獲得を一定程度両立―病院報告、2018年12月分  
2019年4月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「12月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを一定程度両立できているのではないか―。

 こうした状況が、厚生労働省が4月3日に公表した昨年(2018年)12月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1   2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減
2  12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減

 厚労省は、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として、毎月、公表しています(2018年11月末の状況はこちら、2018年10月末の状況はこちら、2018年9月末の状況はこちら)。

 昨年(2018年)12月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万6039人で前月比1万2551人・1.0%減▼外来:130万7197人で同じく8万6099人・6.2%減―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万6511人(前月比1万1365人・1.7%減)▼療養病床:27万5923人(同86人・0.0%減)▼精神病床:28万1967人(同1093人・0.0%減)▼結核病床:1570人(同7人・0.4%減)―などとなっています。
病院報告(2018年12月)1 190403
  
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では27.4日で、前月から0.3日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:15.9日(前月から0.1日延伸)▼療養病床:138.0日(同1.3日延伸)▼介護療養病床:318.9日(同15.6日延伸)▼精神病床:272.1日(同7.8日延伸)▼結核病床:62.2日(同0.6日短縮)―となり、結核病床を除き延伸してしまっています。
病院報告(2018年12月)3 190403

  
 さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では71.9%で、前月から7.7ポイントも低下しました。病床種別に見ると、▼一般病床:62.0%(前月比13.2ポイント低下)▼療養病床:86.7%(同0.2ポイント低下)▼介護療養病床:90.5%(同0.1ポイント低下)▼精神病床:85.4%(同0.2ポイント低下)▼結核病床32.6%(同0.9ポイント向上)―という状況です。一般病床で著しい低下が目立ちますが、「年末年始はなんとか自宅に戻りたい」という患者の要請に応えているという背景もあり、例年も同様の傾向にあることからさほど驚く必要はありません。
病院報告(2018年12月)2 190403


12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

 このような暦月の変動を除外するために、一般病床における「12月分」の平均在院日数の動向を見てみると、2012年から15年にかけて減少が続きましたが、その後、横ばい状態となっています。

▼2012年:17.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2013年:16.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7日短縮)
  ↓
▼2014年:16.2日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.3日短縮)
  ↓
▼2015年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2016年:16.0日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.2日短縮)
  ↓
▼2017年:15.8日(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.1日延伸)
  ↓
▼2018年:15.9日(厚労省のサイトはこちら)

  
 一方、月末病床利用率は、次のように低下と上昇を繰り返しながら、緩やかに上昇しているように見えます。

▼2012年:61.4%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.1ポイント低下)
  ↓
▼2013年:60.3%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.6ポイント上昇)
  ↓
▼2014:60.9%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.4ポイント低下)
  ↓
▼2015年:59.5%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.3ポイント上昇)
  ↓
▼2016年:60.8%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(1.9ポイント上昇)
  ↓
▼2017年:62.7%(厚労省のサイトはこちら)
  ↓
(0.7ポイント低下)
  ↓
▼2018年:62.0%(厚労省のサイトはこちら)

 
 大きくみると、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」とを一定程度実現できているように思われます。

 
 メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院においては「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結します。

 もっとも、「在院日数の短縮」は「空床」発生・増加にもつながり、出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため経営悪化につながりかねません。そこで、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に採る必要があります。

 「12月分」の状況をみると、2012年以降、この難しい両立を一定程度実現できていると考えることができます。

 もっとも、地方によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、新規患者の獲得が難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。各病院におかれては、やはり「ダウンサイジング」(病床の削減)や共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を早急に進める必要があります(関連記事はこちら)。


  1. 2019/04/07(日) 10:47:37|
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Google Newsでみる医師不足 2019年3月31日

Google Newsでみる医師不足 2019年3月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 26,000
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 20,100
First 5 in Google in English 


https://www.abqjournal.com/1298000/torres-smalls-bill-aims-to-reduce-doctor-shortage-ex-sponsors-of-legislation-want-to-boost-number-of-medicaresupported-residency-positions.html
Torres Small's bill aims to reduce doctor shortage
Albuquerque Journal Friday, March 29th, 2019 at 11:35pm (ニューメキシコ州)

ALBUQUERQUE, N.M. — U.S. Rep. Xochitl Torres Small has introduced a bill she hopes will address the doctor shortage in rural parts of New Mexico. Torres Small, D-N.M., introduced The Resident Physician Shortage Reduction Act of 2019 along with representatives from Alabama, New York and Illinois, legislation they hope will help reduce nationwide physician shortages, with an emphasis in rural areas, by increasing the number of Medicare-supported residency positions by 15,000. There are currently 90,000 positions.



https://www.turlockjournal.com/news/local/brothers-return-home-amid-doctor-shortage/
Brothers return home amid doctor shortage
The Turlock Journal March 29, 2019, 9:17 p.m. (カリフォルニア州)

Turlock and the surrounding Central Valley are hit harder than other areas in the state by the doctor shortage. For example, the San Joaquin Valley has 39 primary care providers per every 100,000 residents, while Sacramento and the Bay Area have 54 and 64, respectively. In 2017, the Valley’s number was 48 physicians per 100,000.



https://www.forbes.com/sites/miriamknoll/2019/03/07/doctoring-the-doctor-shortage/#417213bc76f3
Doctoring The Doctor Shortage
Forbes Mar 7, 2019, 11:03am (米国)

We need more doctors in private practice. As the U.S. population ages and needs more medical care, there is growing concern this will exacerbate the projected physician shortage. The number of Americans age 65 or older is expected to double over the next 40 years. A report from the American Association of Medical Colleges predicts a dearth of 120,000 physicians by 2030. Without adequate physicians, patients may experience long wait times, receive delayed medical attention, and be limited to care from non-physician providers.



https://www.kgun9.com/news/local-news/bill-would-use-50-million-to-train-and-keep-doctors-in-arizona-amid-shortage
Why Arizona is facing a huge doctor shortage, and how a bill aims to fix that
KGUN 9:56 PM, Mar 26, 2019 (アリゾナ州)

Arizona is facing a statewide primary care physician shortage, and the problem is expected to get worse over the next 10 ... Senate Bill 1354 is being moved through the state legislature that could help alleviate the shortage that's affected all counties.
Research from the University of Arizona Center for Rural Health ranks Arizona near the bottom nationally.
"So many medical students come out in such huge debt, that they have to go look sometimes for the money, rather than the location," Rick Anderson, the Senior Vice President and Chief Medical Officer at Tucson Medical Center said.



https://www.delawarepublic.org/post/bayhealths-planned-residency-program-takes-aim-delaware-doctor-shortage
Bayhealth's planned residency program takes aim at Delaware doctor shortage
Delaware First Media Mar 30, 2019 (デラウェア州)

Bayhealth says it plans to launch a residency program for doctors who have recently graduated medical school. Delaware Public Media's Nick Ciolino spoke with Bayhealth President and CEO Terry Murphy and Bayhealth's Chief Medical Officer Dr. Gary Siegelman about this attempt to address the lack of physicians in the state of Delaware.



(他に10位以内のニュースは、米国(全米、テキサス州、カリフォルニア州)、カナダ・ノヴァスコティア州、イスラエル、からも)




*: Other interesting news
https://www.everythinglubbock.com/news/klbk-news/texas-tech-university-health-sciences-center-tries-to-alleviate-rural-doctor-shortage/1869647694
Texas Tech University Health Sciences Center tries to alleviate rural doctor shortage
By: Mari Salazar
Mar 28, 2019 04:07 PM CDT KLBK News

Lubbock, TX - With a rural doctor shortage impacting several counties in Texas, the Texas Tech Health Sciences Center is trying to help alleviate the shortage by expanding their Rural Health Residency Program in the summer.
In Texas, there are 27 counties without a physician, 157 without OBGYNs, 137 without pediatricians, and 175 without a psychiatrist.
Dr. Billy Philips, the Executive Vice President for Rural and Community Health for TTHSC, said there are a few reasons why there's a rural doctor shortage.
He said one example is physicians not showing interest in rural work because there isn't much access to comforts of urban life. Another example would be a large percentage of physicians who are baby boomers are close to retirement, he said.
Right now, he said there are 8 residents in Tech's rural training track and by July 2019 it will expand to 10 residents.
"We have great people and we save lives," Phillips said. "We improve outcomes and we do it with a lot of fun. It's exciting. It's never boring."
The program is designed to primarily get physician trainees into rural areas where Texas' long-standing doctor shortage is most severe.


https://www.floridaphoenix.com/blog/is-telehealth-and-big-tax-breaks-the-answer-for-floridas-doctor-shortage/
Is “telehealth” – with big tax breaks – the answer for Florida’s doctor shortage?
By Mitch Perry -March 19, 2019 Florida Phoenix
Florida has a a growing shortage of doctors – and lawmakers say “telehealth” is the answer. Legislation proposed by state Rep. Clay Yarborough, a Republican from Duval County, would increase the use of telecommunications – using remote professionals – to provide services where there’s a shortage of medical services. The shortage is so bad, legislative analysts say that it would take 1,577 primary care, 1,242 dental care, and 404 mental health practitioners to fill Florida’s medical services gap.


https://www.ft.com/content/e265604c-4a80-11e9-bbc9-6917dce3dc62
NHS doctor shortages cannot be filled, think-tanks warn
Sarah Neville in London MARCH 21, 2019 Financial Times
Urgent action is needed to tackle severe staff shortages in Britain's National Health Service, including a big expansion in nurse training and deploying other staff to make up for a chronic shortage of GPs, according to three think-tanks.



  1. 2019/03/31(日) 06:21:30|
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3月31日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/663312
シリーズ 平成の医療史30年
もう一つの“医療危機”、基礎目指す医師減少【平成の医療史30年◆大学編】
 
清水孝雄・前東京大学医学部長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月30日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――研究環境悪化に加えて、基礎研究を志向する医学生、医師も減っているとお聞きしています。

 東大医学部の場合、研究者の道に進む医師の割合は、近年では1986年がピークで、約100人の卒業生のうち約2割という状況。ところが、その後は減少し、私が医学部長に就任した2007年度前後には年に1、2人にとどまっていました。


清水孝雄氏は、政府には予算の拡充を求めると同時に、大学自身の努力も必要だと強調。

 他の大学でも同様に、基礎研究者の減少に直面していました。研究医のポストが減るだけではなく、なり手自体が減っていたわけです。その原因の一つは、2004年度の臨床研修の必修化です。臨床に行けば給料がもらえる一方、大学院に進めば授業料を払わなくてはならず、その差は大きいでしょう。その後に続く学会による専門医制度も、2000年代に数多く作られました。専門医制度は、医療の質を高めるために、必要な面もありますが、多すぎます。一種の“不安産業”。「専門医を持っていないと、どこか不安」などと、多くの医師が考えるようになってしまった。

 また以前は最初に臨床に従事し、臨床上の問題意識を持って、その後に基礎研究に入る医師も少なくなかったのですが、2004年度の国立大学法人化に伴い、臨床が忙しくなり、基礎分野に医師を回す現場の余裕がなくなったことも大きい。その上、臨床の内容も高度になっており、事故が起きれば訴訟に発展しやすい時代になりました。「中途半端に研究に携わるよりも、きちんと臨床をやってもらいたい」というプレッシャーはあったでしょう。さらに教員も減少、教える体制が充実していなければ、この分野を目指す人が少なくなるのは当然です。

 さらに大学自身の努力も欠けていたと思います。私は2007年度に東大の医学部長に就任しました。まずは、全国調査を実施。その後、厳しい研究環境について現状を広く知ってもらうため、阪大、京大、名大とともに文科省と議論をしたり、新聞に投稿、テレビにも出演したりしました。2007年当時、産科や救急医療の分野での医師不足として“医療危機”が叫ばれていましたが、研究医が不足しているという認識は、あまり皆さんお持ちではなかった。研究医不足は10年後、20年後の日本の医療にとって危機であることを、私たちの働きかけにより、徐々には理解されるようになったと思います。日本製薬工業協会も私たちを支援してくれました。メディアの力は大きいということを、あの時、実感しました。

――全国の基礎系大学院入学者に占める医師比率も低下しているとのことです。

 臨床系大学院の場合は、9割前後が医師(MD)。これに対し、1990年(平成元年)頃は、基礎系大学院における医師の比率は7割前後だったのですが、2007年当時は3割弱まで減少していました。医学部教授に限ってみるとMDは7、8割だったのですが、助教だと2、3割にとどまります。将来を考えた場合、さらに医師比率は低下するという懸念を持っていました。

 適正な比率は分かりませんが、生命科学分野の研究は、医師とそれ以外の研究者が協同して取り組んだ方がいいのは間違いありません。理学系出身者の方が、生化学や分子生物学などの知識や技術を持っている場合が多い。一方で臨床上の疑問を研究につなげたり、研究成果をどのように臨床に展開していくかを考えた場合、医学の経験や知識を持った医師も必要。例えば、50%ずついて、両方が協力してやっていくのがいいと思うのです。

――研究医不足という“危機”を打開するには、政府、医学界、各大学、それぞれが行動する必要がある。

 政府ができることは、“お金”の問題。研究費や奨学金、人件費のための予算の拡充をお願いしたい。またその配分においても、日本の研究にとって、いったい何が重要なのかを研究者たちが加わって、しっかりと考える枠組みが大切です。研究者は自分のエゴを主張しがちだと言われますが、エゴではなく、次世代を考えて何が必要かを考えられるブレインは必ずいるはずです。

 もっとも、政府ができることには限界があります。大学自身の努力も必要です。米国には、MSTP(Medical Scientist Training Program)という、NIHと各大学が半分ずつ資金を出し合い、協力して研究医を育成するプログラムがあります。また教員は医学生にとって一番近い存在。「研究は面白い」という姿を見せ、いい成果を出す。研究の魅力を伝えることが大切です。この辺りはもっと努力すべきです。

 私自身、医学部の授業を受けながら、研究もできる環境づくりをするプログラムを作るべきではないかと考え、東大で2008年度にMD研究者育成プログラムを作りました。これは医学部の4年間(3年生から6年生)の間に、平日の講義が終わった夕方、あるいは週末のほか、夏休みなどのまとまった期間に研究することができるプログラム。研究成果を論文としてまとめれば、大学院の入学試験は免除される。ジャーナルにも投稿できる。特に優秀な学生には奨学金を出すなど、経済的にも支援するという仕組みです。同窓生からの寄付も受けました。

 従来もMD-PhDプログラムがあったのですが、いったん医学部や同窓生と離れ、大学院に4年間所属するため、ハードルが高く、このプログラムを選ぶ人は数年間に1人程度でした。それに比べてMD研究者育成プログラムは、敷居を下げており、医学部に所属したまま研究ができるメリットは大きいと思います。面白いもので、それなりの成功体験をし、研究者の生活を見ると、「研究をやってみよう」と考える人が出てくるのです。文科省医学教育課も2009年度からは、MD研究者育成プログラムは有効なシステムだとして、経済的支援をするようになりました。このプログラムで良い研究をし、日本学術振興会の「育志賞」を受賞した学生が何人かいます。

 社会全体としても、研究医がどのくらい必要か、またその育成のためには何が必要かをもっと考えるべきでしょう。研究医がいなくなれば、大学の基礎医学教育が崩壊するだけでなく、医薬品や医療機器の産業にも影響が及ぶことは目に見えています。税制などの変更が必要かもしれませんが、企業や個人がアカデミアに寄付ができる枠組みなども構築することが必要です。

――ここ数年は、ノーベル医学・生理学賞の受賞者が続きましたが、今のままでは将来は続かないと見ておられますか。

 それは明らかだと思います。山中伸弥先生の仕事は違うかもしれませんが、(受賞者の研究は)ほとんどが1980年代から1990年代にかけて基盤が作られた仕事です。

――最後に改めて先生が考える生命科学分野の研究の在り方、魅力をお教えください。

 私が医学部を選んだのは、「人を対象とする学問、文系的理系」と考えたからです。卒業後はまず臨床をやってみようということで、東大第三内科に入局したのですが、呼吸器系を中心にいろいろな患者さんを診ていく中で、特に気になったのが肺線維症の患者さん。治る人は自力で治っていくけれども、本当に難しい患者さんはなかなか治らない。この病気のメカニズムを勉強してみたいと考えたのが、研究の道に入ったきっかけです。アウェイの大学で研究した方が自分のためになると考え、京大と阪大の二つのラボに手紙を書き、京大の早石修先生の教室で生化学の研究に取り組みました。何年間か研究をして、博士号でも取って、また臨床に戻ろうと考えていたのですが、「研究にはまってしまった」というのが正直なところです。

 臨床の現場にいて、課題はたくさんあり、しかもオリジナルの物も多い、それに気付かないでいるのは、すごくもったいない。それにはやはり若い頃に、基礎的な研究の経験があるかどうかがすごく大きいと思います。いったん研究を経験すれば、臨床の現場に行っても課題を見付けやすく、その解決のためには誰と相談したらいいかが、どこと協働したらいいかが頭に浮かびやすくなります。自分自身でまた研究に戻ってもいいし、他の研究者に研究課題を託してもいい。基礎と臨床がお互いに行き来したり、相互に交流できるシステムを作ることが理想だと思います。また、MDがもっと製薬企業や医療健康の機器メーカーで仕事をすることも大切かと思います。



https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/121363
9地域で10連休対策 医療態勢 当番医増や自主開院 県が全域調査、来月公表へ 
[2019/03/29] 上毛新聞

 皇太子さまの新天皇即位に伴う10連休(4月27日~5月6日)への対応で、上毛新聞が郡や市ごとに置かれる13医師会を取材したところ、群馬県の少なくとも9地域で、通常の休日より診察する医療機関を増やす対策が取られることが分かった。休診が集中し、地域医療に支障が出る事態を避ける。一方、医師不足などで特別な態勢が難しい地域も存在しており、県は状況を調査し4月に県民へ周知する。

 連休を控え、前橋市医師会は各医療機関の対応方針を確認。例年は平日に当たる4月30日~5月2日について、当番医の引き受け手を多数確保できることが分かり、通常の休日より大幅に増やす方向。

 高崎市医師会は、外来の需要が特に高いとみる小児科(4月30日、5月2~4日)と整形外科(5月2日)の当番医を増やす。小児科、整形外科とも当番医は通常1カ所だが、それぞれ1カ所増やす。自主的に診察する医療機関もあるが、「当番医を確保しておき、日によって施設数が偏らないようにしたい」としている。

 藤岡多野医師会は連休中の4月30日、5月1、6日の計3日、当番医を増やすことを決定。当初は通常通りの編成だったが、県医師会から医療態勢を整えるよう通達を受け急きょ決めた。調整に手間取ったといい、担当者は「国や県が態勢をしっかり決めてくれれば、より早く対応できた」とした。

 このほか、桐生、太田、沼田利根、渋川、富岡甘楽、安中の各医師会が、少なくとも連休の一部で通常の休日より診察に当たる医療機関を多く確保できると見込んでいる。

 吾妻郡でも、独自に開院する医療機関はあるとみられるが、吾妻郡医師会は医師不足を背景に、当番医を増やすことまではしない方針。担当者は「郡内は医療機関が少なく(連休中に)2度担当が回ってくる先生もいる。増やすのは難しい」と説明する。

 一方、伊勢崎佐波医師会は4月30日~5月2日について平日同様に当番医を設定せず、各医療機関の判断に任せる。同医師会病院は外来対応する。同医師会は「過度な患者の集中、医師の負担増などは想定していない」としている。

 県は医師会や市町村、病院を調査し、連休期間に開ける医療機関を集計し、連休前にホームページで公表する。



https://www.yomiuri.co.jp/national/20190328-OYT1T50203/
医師残業 上限1860時間…24年度から適用 地域勤務・研修医が対象 
2019/03/28 15:00 読売新聞

 医師の働き方改革を議論する厚生労働省の有識者検討会は28日、地域医療を担う勤務医の残業時間の上限を年1860時間(休日労働含む)とすることを柱とした報告書の最終案を了承した。月155時間の残業に相当し、「過労死ライン」(月80時間)の2倍近い。2024年度から適用される。

 この上限が適用されるのは、勤務医の中でも地域医療を担う特定の病院の医師と、技能を磨きたい研修医ら。研修医らは本人が希望する場合に限られる。通常の勤務医は年960時間で、休日労働を含めた一般労働者と同じ長さにした。

 対象となる特定の病院は、国が定めた指標を基に都道府県が選定する。救急車の受け入れが年1000台以上の2次救急病院など、1500か所程度になる見通し。国が医師不足の解消を見込む35年度末までの特例として扱われる。

 1860時間の上限が適用される医師について、健康確保のための措置を病院側に義務付ける。当直から日勤など、連続勤務は28時間までに制限。深夜帰宅で早朝出勤といった過重労働を防ぐため、次の勤務まで9時間のインターバル(間隔)を設けるとした。

 また、長時間労働を是正するため、医師の仕事の一部を他職種に任せる「タスクシフト」や、都市部に医師が集中する「偏在」対策の推進が必要だと指摘。安易な受診が医師の負担になっている現状を踏まえ、電話相談の活用を周知することなどを課題に挙げた。

 正当な理由がなければ診療を拒めない医師法の応召義務が、医師の長時間労働の背景にあるとされる問題にも言及。応召義務は、医師に際限のない長時間労働を求めているわけではないとして、厚労省研究班が今年夏頃までに、法律の具体的な解釈を示すとした。

報告書案のポイント

▽地域医療を担う病院の勤務医、研修医らの残業上限は年1860時間

▽通常の勤務医の残業上限は年960時間

▽2024年度から実施する。地域勤務医の年1860時間は35年度末までの特例

▽医師の仕事を他職種に任せるタスクシフト、医師の偏在対策の取り組み推進

▽長時間労働の背景にある応召義務の解釈見直し

【解説】実態は過重労働の追認

 焦点だった勤務医の残業時間の上限は、地域医療を担う特定病院で年1860時間に決まった。一般労働者の2倍近い水準で、長時間労働の是正に向けた道筋が示されたとは言えない。常態化する過重労働を追認する形で、過労死を防げるのか疑問が残る。

 ただ、勤務医の1割が年1900時間を超える残業をしている実態がある。地域の中核病院で残業を大幅に制限すれば、医師確保が難しい現状を考えると、救急医療などに支障が出る恐れがあるのも事実だ。

 まずは医師の労働時間を正確に把握し、問題の所在を探る必要がある。国は労働環境の改善に努める医療機関の支援を急ぐべきだ。医師の偏在対策も、働き方改革の成否に関わる。地域医療を守るため、労働時間の短縮と両輪で進めなければならない。(医療部 加納昭彦)



https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201903_post-15006/
置き去りにされる「医師の働き方改革」…医師の自己犠牲を前提に成り立つ医療の限界 
ビジネスジャーナル 2019年3月29日 20:00 0

 働き方改革により本年4月からは、労働者の残業時間に制限が設けられたり、企業によっては社員の5日間の有給休暇取得が義務付けられます。そのようななか、医師の働き方改革の議論も加速しています。

 医師数を増やすことがよく対策として挙げられますが、産業医としていろいろな企業をみてきた経験からいうと、働く人(医師)を増やしてほしいという社員(医師)の声はたくさんあっても、働く人を増やしたからといって、長い目で見て問題が解決した会社はみたことがありません。

 今回は、医師の働き方改革実現のために、最優先課題を1つ挙げさせていただきます。

 私は、医師の働き方改革にはナース•プラクティショナー(NP)の導入が最優先課題だと考えます。NPとは、米国でみられる資格です。日本語では、上級看護師、診療看護師でしょうか。イメージとしては、医師と看護師の間の位置づけで、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療、薬の処方などを行うことができます。

 実は日本ではこれに似た資格として「特定看護師」というものの創設が2011年頃から議論されたことがあります。行政だけでなく、日本医師会や日本看護協会を巻き込んださまざまな議論があったと思いますが、最終的には「医療行為の質の担保」などのもっともらしい理由で法制化されませんでした。ですので、現在このような資格はありません。

 しかし、当時から5年以上が経過した現代は、医師法が制定された半世紀以上前には予想できなかったような、さまざまなテクノロジーが発達しています。体温、血圧、脈拍だけでなく血中酸素濃度などは、医師ではないと測れないものではまったくなく、街の電化製品店で購入できる機械で誰もが測定可能です。血糖値をはじめとする従来は採血が必要だった数値データも、ウェアラブルデバイスで24時間測定可能になりつつあります。

 画像診断をはじめ、病気の検査方法も質(精度)の向上だけでなく、種類も複数選択することができ、より安全、また確実に異常を知ることができるようになってきました。また、電子カルテによっては、患者のアレルギー既往に基づき処方してはならない薬や、相互作用があり同時に処方されるべきではない薬に対してはアラート機能がついています。医療を取り巻く環境は、より進歩しているのです。

 そのようななか、発達した医療デバイスをすべての医師が使いこなさないといけない必要はなく、一定基準を満たしたNPにも任せることで、医療の専門職種同士が、それぞれの能力を活かして能動的に働くことができる仕組みこそ、まさに働き方改革なのではないでしょうか。

●医療を受ける側のメリット

 NPの導入は医療提供サイドの自己満足だけではなく、医療を受ける側のメリットにもなるはずです。

 例えば毎年冬に流行するインフルエンザ。本当に医師の指示がなくては、インフルエンザの迅速判定を行い、診断してはいけないのでしょうか。NPが問診で同居家族でのインフルエンザ患者の存在、そして診察で一定以上の発熱を確認した場合、インフルエンザの迅速キットで判定をすることは理にかなっていると思います。

 判断を迷ったり紛らわしい場合については、医師と相談することは当然ですが、このようなタスクシフトにより、医師の業務負担軽減だけでなく、患者側にも医療機関に滞在する時間が短くてすむことや、重症の場合にはもっと時間を割いて対応してもらえる、というメリットが生まれるはずです。

 もちろん、どのような医療行為をNPに任せるかは、議論の余地はあります。まずは、医師でなければできない仕事(タスク)、NPに任せても質の落ちない仕事(タスク)を見直さなくてはならないでしょう。場合によっては、NPに任せた方が結果がいい仕事(タスク)もあるかもしれません。

●過重労働が医療事故を招く

 働く人々の幸せのために行われるはずの働き方改革ですが、“医師不足の地域や診療科に勤める医師たち”においては“患者や地域医療への影響を考慮したため”、ますます医師たちの自己犠牲が求められてしまっているのが、多くの医療現場での現状です。

 その背景には単なる医師不足ではなく、医師数の偏在、医療組織における組織マネジメント・経営管理の未熟さ、国民の医療のかかり方のあり方などの問題があります。しかし、労働時間が長い医師には疲労が溜まります。疲労の蓄積は、判断力の低下や些細なミスの増加につながることは、数々の臨床研究が明らかにしているのも事実です。

 3年前にはじまった「こころの健康診断」ともいえるストレスチェック制度、近年の飲食店での受動喫煙防止の動きなどは、実はいきなり始まったものではありません。何度も法制化されそうなところで中止になりましたが、何年かかかって法制化され、現在に至ります。多くの人々は、これらの制度により恩恵を受けていると思います。

 NPの導入に関しても、ぜひ再度多くの場で議題に挙がり、検討され、法制化されることを願ってやみません。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)




https://www.medwatch.jp/?p=25569
医師偏在対策を了承、各都道府県で2019年度に医師確保計画を策定し、20年度から実行―医療従事者の需給検討会 
2019年3月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)が3月22日に、医師偏在対策を柱とする「第4次中間とりまとめ」を了承しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この中間とりまとめをもとに、厚労省は3月中(2018年度中)に「医師確保計画」作成などに関する指針を都道府県に提示(関係省令の公布や通知発出等を行う)。都道府県は来年度(2019年度)に「医師確保計画」を作成し、2020年度から実施することになります。
 
ここがポイント!
1 医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能
2 産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能
3 3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す
4 現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保
5 将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施
6 外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す
7 「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

医師少数の地域では「医師多数の地域からの医師確保」が可能

 地域の医師偏在が大きな課題として指摘される中で、分科会では改正医療法・医師法に基づく「医師偏在対策」を昨秋(2018年秋)から精力的に議論してきました。対策の内容は、これまでメディ・ウォッチで詳しくお伝えしてきましたが、改めてポイントを眺めてみましょう。

 都道府県の作成する「医師確保計画」には、(1)医師確保の方針(2)目標医師数(3)具体的な医師確保に関する施策―を盛り込むことになります。
医師需給分科会(2)の2 181024
 
 まず(1)の医師確保方針については、▼「医師多数」の都道府県・2次医療圏▼「医師少数」の都道府県・2次医療圏▼医師多数でも少数でもない都道府県・2次医療圏―でそれぞれ立て方が異なり、次のように整理することができます。

【都道府県(3次医療圏)】
▽医師少数:医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
▽医師多数:他の都道府県からの医師確保を方針に定めることはできない
▽それ以外:管内に「医師少数」の2次医療圏がある場合に、医師多数の都道府県からの医師確保を方針に定めることが可能
 
【2次医療圏】
▽医師少数:医師多数の2次医療圏(医師多数区域)からの医師確保が可能
▽医師多数:他の2次医療圏からの医師確保は行わない
▽それ以外:必要に応じて医師多数区域からの医師確保を行える
 
これらを組み合わせて、例えば「医師少数県にある医師少数2次医療圏(医師少数区域)」では、他県(医師多数県)から医師確保を行い、「医師多数県にある医師少数区域」では、同県(医師多数県)の医師多数区域から医師確保を行う、などの方針を立てることになります。
「医師多数」「医師少数」は、人口10万対医師数に地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)や性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)などを加味した、新たな「医師偏在指標」に基づいて、上位3分の1を「医師多数」、下位3分の1を「医師少数」と定めています。

どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに「候補」が厚労省から示されており、今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、2019年度早期に最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●医師偏在指標(暫定)

産科・小児科では全国的に医師が不足、医師少数でない地域でも医師確保が可能

 なお、産科・小児科については、全国的に医師が不足しているため、「多数」という概念を設けず、相対的に医師が不足している区域(やはり下位3分の1、「相対的医師少数」)を定め、▼医療圏の見直し▼医療圏を超えた連携―による対応をまず進め、その上で医師確保対策(医師派遣調整や産科医・小児科医の養成数増加要請など)を進めます。また、相対的医師少数でない地域においても、将来を見越した「医師確保」策を進めることも可能です。

●産科における医師偏在指標(暫定)
●小児科における医師偏在指標(暫定)
 

3年後に「医師少数」から抜け出せるような医師確保目標を設定し、これを繰り返す

 次に(2)の目標医師数設定は、主に「医師少数」の都道府県・2次医療圏で重要となります。

 具体的には2036年までに偏在対策が解消されることを最終目標とし、まず「3年後に、現在の下位3分の1ラインをクリアできる」ように目標医師数を設定します。医師確保計画は3年を1期としており(2020年度からの当初計画のみ4年計画なので4年後)、当該計画の終了時点で「下位3分の1を抜け出す」ような目標を立てるイメージです(もちろん、各地域で医師確保を進めるので必ず3分の1から抜け出せるというわけではない)。
 
例えば2次医療圏の下位3分の1ラインは「医師偏在指標147.0」となっており、医師少数区域では「147.0」を確保できるように目標医師数を設定します。最下位の秋田県北秋田医療圏(医師偏在指標69.6)では、その差が「77.4」なので、2020-23年度の4年間で約78人分の医師を確保するという目標を立てるというイメージです。

現在、医師が少数の地域では、医師派遣等の「短期的施策」で医師を確保

こうした目標を達成するための施策を(3)に盛り込むことになります。

ところで医師確保策は、大きく医師派遣調整などの「短期的施策」と地域枠設置要請などの「長期的施策」に分けられます。

現時点で医師少数の場合には「短期的施策」のみで対応し(医師の育成には10年近くかかり即効性がないため)、将来(2036年)時点で医師少数の場合には「短期的施策」と「長期的施策」の両方で対応することになります。

短期的施策は、例えば医師多数の都道府県に対し、「医師の派遣」を行ってもらえるよう要請することなどが考えられます。厚労省では、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築する考えです。

また、「医師少数区域等での勤務」(6か月以上が要件だが、1年以上の勤務が望ましい。またベテラン医師では断続勤務も可能)を厚生労働大臣が認定し、この認定資格を「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院の管理者(主に院長)要件とする」仕組みも設けられています。2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師が対象となります。

さらに、医師少数の都道府県では、医師派遣を要請するとともに、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことも求められます。

将来も医師少数の地域では、医学の地域枠等設定養成などの長期的施策も実施

長期的施策では、「都道府県知事から大学医学部へ地域枠や地元枠の設置を要請する」ことが中心になり、その概要は次のように整理できます。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:下記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:下記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない
 
 地域枠と地元枠とは次のように性質が異なります。
▼地域枠:専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務する」ことを条件に奨学金等を貸与する
→都道府県の中で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持つ

▼地元枠:地元出身者を対象とした入学枠で、奨学金等の貸与はない(地元出身者は奨学金等がなくとも、地元の医療機関に定着する)
→各都道府県で医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持つ

このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数区域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

●将来時点(2036年時点)における不足医師数等

外来医療の見える化を行い、外来医師多数地域での新規開業には条件を付す

 ところで、分科会等では、従前より「医師偏在が大きな問題となっているのは、病院の入院医療である。これは自由開業制が医師偏在を助長していると考えられる」との指摘がありました。このため一部には「自由開業制を一定程度制限すべき」との強い指摘もありましたが、まずは「診療所の設置状況等の可視化から始める」ことで落ち着いています。

具体的には、▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組みが創設されます。

●外来医師偏在指標(精査中)
 
もっとも、こうした仕組みによっても「自由開業が医師偏在を後押ししている」と考えられる場合には、さらなる措置(自由開業制の一部制限など)が検討されることになるでしょう。

「地域医療体制の在り方をまず決め、それに沿った医師偏在対策をすべき」との指摘も

 こうした第4次中間とりまとめ内容について、3月22日の検討会・分科会では、主に検討会の構成員から異論が複数出ました。

 相澤孝夫構成員(日本病院会会長)は、「人口当たり医師数でみると、我が国はさほど医師が不足しているわけではない。しかしベッド当たり医師数になると、我が国は極端な医師不足となる。これはベッドが過剰であることを意味しており、医師偏在対策の前に、あるべき医療提供体制の姿を議論する必要がある」「2次医療圏単位の議論を全国一律の指標で行えば、大きな誤りが出るのではないか。2次医療圏単位の議論は都道府県に委ねてはどうか」と指摘。

 また山崎學構成員(日本精神科病院協会会長)も、「我が国には医師が絶対的に多数な地域はないのではないか。さもなくば医師紹介業などは成り立つはずがない。医師派遣もうまく進まないのではないか。外来についての話し合いなどを行っても、新規の開業医がそれを遵守するわけがない」と厳しく指摘しています。

 こうした指摘に対し、厚労省は「医師偏在対策は、地域医療構想の実現、医師の働き方改革と連環し、一体となって進めるものである」旨を説明。

 また分科会のメンバーである今村聡構成員(日本医師会副会長)や小川彰構成員(岩手医科大学理事長)は、「これまで人口10万対医師数のみで議論してきた医師偏在対策について、限られた情報の中で画期的な精緻化を行っており、スタートラインに立つことができた。さらに、医師確保計画は進捗状況を見て3年に一度見直していく」「都道府県が計画を定め医師確保を進める上で、一定の目安が必要となる」旨を説き、相澤構成員や山崎構成員に理解を求めました。

 検討会では最終的に、第4次中間取りまとめを了承しており、厚労省は3月中(2018年度内)に中間取りまとめ内容に沿った「医師確保計画」作成に関する指針などを各都道府県に示します。その後、計画作成(2019年度)・計画実行(2020年度から)段階に入りますが、その時点で的確な計画実行等が進むよう、厚労省は相澤構成員や山崎構成員らの指摘を踏まえたチェック等を行うことになるでしょう。さらに、2023年度の第1期計画終了時点の状況を見て、相澤構成員や山崎構成員の懸念が現実化しているような場合には、より大きな見直し(例えば自由開業制の一部制限など)が検討される可能性もあります。



https://www.medwatch.jp/?p=25626
医師の働き方改革、診療報酬で対応できる部分も少なくない。医師増員に伴う入院基本料引き上げも検討を―四病協 
2019年3月28日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革においては、宿日直の在り方、副業・兼業の取扱いが大きなポイントになり、今後の動きを注視していく必要がある。また、医師働き方改革の推進に向けて、「専従要件の弾力化」「常勤要件の緩和」など診療報酬で対応できる部分が小さくない。また、医師の働き方改革を進めれば「医師の増員」が必要となり、その分のコストを入院基本料などに反映させることも検討すべきではないか―。

 3月27日に開かれた四病院団体協議会(日本医療法人協会、日本病院会、全日本病院協会、日本精神科病院協会で構成)の総合部会後に記者会見を行った全日本病院協会の猪口雄二会長は、個人的見解も含めて、こうした考えを示しました。
 
ここがポイント!
1 医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い
2 医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を
3 診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

医師働き方改革、ポイントは宿日直や副業・兼業の取扱い

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は本日(3月28日)、意見とりまとめを行う予定です。すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進めていくとともに、2024年4月から新たに時間外労働の上限を設定するといった内容が盛り込まれる見込みです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 こうした内容について四病協の総合部会では、「概ね了承できるが、今後の▼宿日直許可基準(4月以降に改正通知が示される見込み)▼副業・兼業の取扱い(別の検討会で議論中)―の2点がポイントになる」という点で一致していることが、総合部会後に記者会見を行った猪口雄二・全日本病院協会会長から報告されました。

 宿日直のうち、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働時間に該当しません。許可するか否かの基準(宿日直許可基準)は、1949年(昭和24年)に作成されたままであり、今般、現在の医療現場にマッチするような改正が行われます(4月以降の予定)。この点、どういった業務等が「労働時間に該当する」のか、あるいは、どういった場合であれば「労働時間に該当しない」のかが非常に重要となります。

 また、大学病院等の若手医師が、副業・兼業で中小病院の宿直等を行うことが多々ありますが、「副業・兼業でも労働時間は単純に通算(合算)する」のか「一定程度の調整が行われる」のかなども極めて重要なポイントとなります。

現時点では、この2点の取扱いがどうなるのかは不透明であり、四病協では「今後の動きを注視していく」ことを確認しています(関連記事はこちら)。

 
前述したように、今後、5年間(2024年4月まで)の間に、すべての医療機関で「労務管理の徹底」「タスク・シフティングなどによる労働時間の短縮」を強力に推し進め、まず、原則となる「時間外労働、年間960時間以内」(A水準)を目指します。労働時間短縮等をしてもA水準を満たせない救急医療機関等では、都道府県知事による特定(この場合、年間1860時間(B水準)までの時間外労働が可能となる)を目指します。

この点について猪口全日病会長は、個人的見解であるとした上で、「働き方改革の影響が最も出るのは急性期病院、とくに2次救急病院であろう。連続勤務時間制限や勤務間インターバルが義務化されることから、どうしても医師の増員が必要となる。しかし、医師を派遣してくれる大学病院も働き方改革を進めなければならず(やはり医師増員が必要)、どれだけアルバイト医師を確保できるかが不安である。今後、急性期病院、救急病院は集約されていくのではないか」と見通します。

さらに、副業・兼業の取扱い如何によっては、「宿日直をするアルバイト医師がいなくなり、日本中の中小病院は成り立たなくなる」と危機感を募らせています。

医師働き方改革で必要となる「医師増員のコスト」、入院基本料引き上げで対応を

 また、3月27日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、▼患者の年代別の課題▼働き方改革など昨今の医療と関連の深いテーマ―について、今夏(2019年夏)まで横断的に議論していく方向を固めました(関連記事はこちら)。

 この点について中医協委員でもある猪口全日病会長は、「医師の働き方改革により、全国的に医師不足感が加速し、『効率化』が求められる。そうした中では、人員配置などのストラクチャー評価から、結果・成果に着目したアウトカム評価への移行や、医師の専従要件の弾力化(2018年度改定で緩和ケア診療加算等に導入した、緩和ケアチームでは専従者は1人で良いとするなど)、常勤配置要件の緩和(リハビリ職員なども短時間職員の組み合わせで常勤換算しても良いとするなど)といった、診療報酬で対応できる部分も相当ある。さらに、医師を増員すればコストに跳ね返る。診療報酬改定財源は厳しいが、入院基本料等の引き上げも検討する必要があるのではないか」との見解を示しました。

 4月からの中医協論議が注目されます。

診療実績を踏まえた機能分化、公立病院等にとどまらず、民間病院にも影響するのか

 また、厚労省の「地域医療構想ワーキング」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)では、公立病院・公的病院等について「地域での診療実績を踏まえた機能改革」論議を進め、検証していく方針が固まりつつあります。具体的には、地域の公立病院・公的病院等における、がんなどの診療実績データを分析し、例えば「地域で、一定数以上の診療実績を持つ医療機関が複数あり、近接している」場合や、「診療実績が特に少ない」場合などには、その機能を他の医療機関への集約できないかを検討・検証することが求められます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 この点について四病協では、「公立病院・公的病院等に限った話」なのか、「民間病院にも影響する話」なのかを注視する必要があると見ています。後者は、「地域に、公立・公的の基幹病院があり、周囲に中小の民間病院があったとして、公立・公的病院で手術等の診療実績が圧倒的に勝っている場合、中小民間病院は手術等機能を公立・公的病院等に集約しなければならない」という点にまで進むのか、という問題です。

地域医療構想ワーキングでは、構成員間で「民間病院は自然淘汰されるのを待つことになるだろう」との議論が行われていますが、明確に確認されたわけではありません。猪口全日病会長は、この点についても「今後の動向を注視する必要がある」との見解を示しています。

このほか、3月27日の四病協・総合部会では▼新専門医制度について、基本領域(19領域)は日本専門医機構がグリップすべきだが、サブスペシャリティ領域については線引きが難しく学会の裁量を認めるべきではないか▼医師の需給について、働き方改革の動きも見て、検証していく必要がある―といった議論も行われています。

 

http://www.saitama-np.co.jp/news/2019/03/29/08_.html
秩父中央病院、4月から入院中止 医師やスタッフ不足続く 外来・訪問診療などに重点 
2019年3月29日(金) 埼玉新聞

 秩父地域で唯一、精神科の病床がある秩父市寺尾の秩父中央病院が4月から、入院機能を中止して診療所へ移行する。医師やスタッフ不足が続いており、入院や外来の診療の質を保ち続けることが困難になったことが大きな要因。

 国も精神科病床を減少させる政策を進めているが、患者の家族には負担も広がっている。

 精神障害への偏見や過去の隔離収容政策の影響で、日本の精神医療は国際的な遅れや人権侵害が指摘されている。人口当たりの精神科の病院ベッド数は先進国最多で、患者の平均入院日数も突出して長い。

 厚生労働省の2017年度調査で、入院患者は全国で約28万4千人に上り、約5万5千人は入院期間が10年以上だった。手足をベッドにくくり付けるなどの身体拘束を受けた患者は1万2千人強。施錠された部屋に隔離された患者も1万3千人近くおり、いずれも10年間で2倍近く増えた。

 秩父中央病院によると、診療所になっても移転はせず、現在の場所で外来診療を実施。デイケアや作業療法室での活動を継続するほか、訪問看護も訪問看護ステーションとなり、継続していく。

 訪問診療(往診)も始める予定で、4月からは外来診療を午後も行う予定。歯科診療は継続するが、内科外来はなくなるという。

 同病院は方針変更で入院を縮小し、外来・訪問診療や地域生活支援に重点を置くこととなり、17年4月に新入院の大部分に対応してきた精神一般病棟を休床していた。

 同病院は「地域全体の医療スタッフ不足や人口減少などの現状を考えた上で、秩父地域に一つしかない精神科医療機関として長く地域に役立つために決断した。秩父地域で精神科医療やケアを受けられ、患者がなるべく入院しないで自分らしい生活が続けられるよう努力していきたい」としている。

 同病院の診療所移行については市議会3月定例会でも取り上げられた。

 議員から精神疾患患者の対応や市立病院での精神科設置について問われた市側は「現在、精神科医療は外来対応が主流であり、日頃より定期受診を励行し、病状の悪化を防ぐよう心掛けてもらうことも必要。市立病院での精神科設置は非常に要件が難しい状態」と答えた。

 同病院から別の病院への転院を余儀なくされた患者の家族は遠方の病院まで定期的に通うことになり、体力的な負担も大きくなったと明かした。

 「精神障害は誰にでも起こり得る病気ではあるが、現在も社会の偏見があるので、声が上げにくい。地元では暮らせなくなったということで、行政には声なき声をくみ上げて、対策を講じてもらいたい」と話していた。

G3註:秩父中央病院 精神科病床数 123床(診療科:精神科、内科、歯科、口腔外科)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668281
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革案「やむを得ない」、四病協
全日病猪口会長、「急性期、救急医療は集約化の方向では」
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は3月27日の総合部会で、28日に結論が出る医師の働き方改革の厚生労働省案などについて議論した。部会後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は「我々にとって、やむを得ないかなという感じだ。何が何でも変えろということではない。宿日直基準や兼業・副業のあり方については今後出てくるものを見ていこうということだ」と説明した(医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへを参照)。


 猪口氏は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の議論も踏まえ、「働き方改革が医師にも適用されて、医師が十分に余ることは絶対にないわけで、ますます厳しくなる。女性医師も増えてきて、(男性医師を「1」とした場合の)0.8で計算しているが、もっと少ないという話もあり、余計不足感が強くなる。数を合わせるという話よりも、現場での不足感をどうするか。(医学部定員の臨時増員が終了する)2022年度以降の話をしなければいけない」と述べた。

 医師の働き方改革の経営面への影響については、「一番影響が出るのは急性期だと思う」と指摘。三次救急や救命救急センターは輪番制を取っているところもあり、二次救急でこれまで当直として扱っていたものを勤務にすることや、勤務間インターバルを取らないといけないことから、「医師の数が余計に必要になってくる。大学病院などがどう厳しくなるかによって、アルバイトの医師がどれくらい出てくるかという話になる」と説明。さらに、四病協ではなく猪口氏個人の意見として「急性期、救急医療が集約化されてくるのは流れとして出てくると思う」と述べた。

 その他、新専門医制度については、基本領域とサブスペシャルティの連動研修4月開始が見送られたことについて、サブスペは多すぎてどこまでやっても整理がつかないとして、「日本専門医機構は基本領域だけきちんとしておいて、サブスペは学会に任せるのがいい」という意見が出た。「最初から見直すべきだ」という意見もあったが、猪口氏は「動いている以上はなかなかそうもいかない」と指摘した(サブスペシャルティの議論は、『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667417
シリーズ 社会保障審議会
医師需給「第4次中間とりまとめ」承認
親会構成員からは異論続出「ビジョンない」
 
レポート 2019年3月25日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)は3月22日、下部組織の医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)との合同会議を開き、2月27日の同分科会で了承された「第4次中間とりまとめ」を審議した。検討会の構成員から分科会の取りまとめへの異論が相次いだものの、細かな修文は森田座長に一任の上で了承した。厚労省は医師確保計画の策定方針を3月末までに都道府県に通知し、都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す(資料は厚労省のホームページ、分科会の議論は『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。

 森田座長は、分科会構成員は既に取りまとめについて議論を終えていることから、主に検討会構成員に積極的な発言を求めた。日本精神科病院協会会長の山崎学氏(検討会構成員)は、「将来時点における不足医師数等」の資料に「過剰医師数」との言葉が使われていることについて、「医師が過剰なのはどこなのか。少なくとも精神科医療で過剰なところは全くない。業者に高額な紹介料を払って集めているのが現状だ。どういう現場を知っていて過剰という言葉を使うのか。数字だけで過剰と言われるのは心外だ」と激しい口調で指摘。

 厚労省医政局医事課は「これまでは人口当たりの医師数だけでやっていたが、できるだけ実感に近いものでやりたいということだ」と説明したが、山崎氏は納得せず、「誤解を招くような表現で審議が行われているような気がしてならない。全ての診療科で足りないし、へき地に行けなんて言ったら医師は辞めてしまう。バカみたいなことを書いていて、現実に合っていない。これでやっていけばまた医療が壊れる」と話した。


 分科会座長の片峰氏は「具体的なエビデンスは初めて出てきて、具体的な偏在対策をすることが可能になった」と取りまとめの意義を説明したが、日本病院会会長の相澤孝夫氏(検討会構成員)は、「医師が過剰、不足というのは全ての医師を言うのか。病院医師、大学で研究する医師、診療所の医師も全て含めて多い少ないという指標か。また、需要は入院医療需要ということか」と質問し、医事課は診療に従事する医師だけで研究者は入っていないこと、入院と外来双方の需要であることを回答。相澤氏は「そこから矛盾が生じる。日本の医師数は人口当たりで欧米に比べてあまり少なくないが、ベッド当たりでは極端に少ない。病院で働く者にとって医師が不足するという感覚はだぶんそこに起因する。地域でベッド数が決まれば必要医師数が出るわけで、この議論は逆からやっている。医療提供体制をどうしようかというビジョンが全くない」と厳しく切り捨てた。

 日本医師会副会長の今村聡氏(分科会構成員)は「議論の過程を親会の方々が詳らかに知る機会があまりなかったのかなと思う」と指摘。同じく日医副会長の松原謙二氏(検討会構成員)は「あまりにも仮説の上に仮説を重ねて仮説の結末を出している。これで全てが解決するのではなく、一つの案として謙抑的にやっていただきたい」と述べた。森田座長は「これに基づいて具体化して取り組まなければならないので、ゼロベースでもう一度議論している余裕はない。今回のところはこの形でご承認いただきたい」とまとめ、承認された。



https://www.medwatch.jp/?p=25575
医師の働き方改革に向け、特定行為研修修了看護師の拡充や、症例の集約など進めよ―外保連 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革論議が進む中で、医師から他職種へのタスク・シフティングが重要である。そうした中で「特定行為研修を修了した看護師」への期待が高まっており、まず特定機能病院が指定研修機関となり、自院の看護師が「働きながら研修を受けられる」体制を構築してはどうか―。

 外科系学会社会保険委員会連合(外保連)が3月19日に開催した記者懇談会で、このような考えが示されました。

ここがポイント!
1 特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき
2 産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき
3 消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

特定機能病院は、特定行為研修の指定研修施設となるべき

 医師(勤務医)にも働き方改革が求められており、厚生労働省の「医師の働き方改革検討会」で、時間外労働上限の設定とともに、さまざまな労働時間短縮策に関する議論が進められています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 労働時間短縮策の中でとくに重視されている項目の1つとして医師でなくとも可能な業務の他職種への移管(タスク・シフティング)があり、既に制度化されている「特定行為研修を修了した看護師」の拡充はもちろん、新たに「ナース・プラクティショナー(NP)」を制度化していくべきとの指摘もあります。

 「特定行為研修を修了した看護師」は、指定された研修機関で一定の研修(特定行為に係る研修、以下、特定行為研修)を修了した看護師のことで、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38行為(21分野)の診療の補助(特定行為)を実施することが可能です。

 2020年4月からは、研修科目を精査し「研修の質を担保しながら、研修時間の短縮を行う」とともに、▼在宅・慢性期領域▼外科術後病棟管理領域▼術中麻酔管理領域—の3領域において特定行為研修をパッケージ化するなどの見直しが行われます(関連記事はこちらとこちら)。

 パッケージ化研修を修了すれば、例えば「外科術後病棟管理領域」では▼呼吸器(気道確保に係るもの)関連▼呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連▼呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連▼胸腔ドレーン管理関連▼腹腔ドレーン管理関連▼栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連▼栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連▼創部ドレーン管理関連▼動脈血液ガス分析関連▼栄養及び水分管理に係る薬剤投与▼術後疼痛管理関連 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整▼循環動態に係る薬剤投与関連―の特定行為を実施可能となり、医療現場でのさらなる活躍が期待されます。さらに、研修を受ける看護師にとっても、看護師を研修に送り出す医療機関にとっても「負担の軽減」が図られ、「特定行為研修を修了した看護師」の拡充も見込まれます。
 
 ただし、研修修了者は2018年3月時点で1006名にとどまっており、厚生労働省の掲げる「2025年度までに研修修了者を10万人とする」との目標達成までには、まだまだ険しい道のりがあります。

こうした状況を踏まえ、日本外科学会の馬場秀夫理事(熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学教授)は、「特定機能病院が、特定行為研修の指定研修機関となり、特定行為研修修了看護師の養成を進めることが重要」と訴えています。
 
 指定研修機関は、2019年2月に追加されましたが、それでも全国で39都道府県113機関にとどまっています(関連記事はこちら)。新たに設けられる「外科術後病棟管理領域」のパッケージ研修でも、短縮されるとはいえ、総研修時間は「365時間(共通科目250時間+区分別科目115時間)+各区分別科目の症例実習(科目によって5-10症例)」と長く、看護業務に携わりながら遠方の指定研修機関で研修を受講することには相当の負担が伴います。
 馬場理事は、特定機能病院が指定研修機関となれば、「当該病院に勤務する看護師が、業務に携わりながら研修を受講するハードルは低くなる」と見通します。

 さらに馬場理事は、外科医師の働き方改革に向けて、「地域の実情に応じた手術症例の集約化」も検討すべきと提案。例えば、▼肝臓がん▼胆のうがん▼食道がん―のような高度手術は、症例を集約することで、効率的な治療や周術期管理が可能となるとともに、治療成績の向上も期待できると馬場理事はコメントしています。一方で、▼大腸がん▼胃がん―などでは「ある程度の症例経験を積めば標準的な手技が実施可能となる」とし、集約化の是非を検討する必要があるとも指摘しています。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」でも、医療機関の集約化を地域で検討する必要があるとの議論が行われており、同じ方向を向いていると考えられます。

産科医療の実態を踏まえ、宿日直の基準を一時的に緩和すべき

 また、医師の中でも特に負担が大きいとされる産婦人科領域について、日本産婦人科医会の中井章人代議員(日本医科大学教授、同大学多摩永山病院院長)は、宿日直について一般に「宿直は週1回、日直は月1回を限度とする」との厚労省基準の見直しが必要と指摘します。
 
 産婦人科医の即座の増員が不可能(医師の養成には10年単位の時間が必要)な中で、この限度どおりに産婦人科医師を配置した場合、全国の医療機関で運営が困難になると中井代議員は指摘。
 なお、総合周産期医療センターなどで宿日直基準を守り、夜間の医師業務を「夜勤」とすれば、多くの医師で「週あたり2-4日の休日確保が可能」となり、この休日中に市中の産婦人科医療機関での宿日直を担当する(アルバイトなど)ことができます。しかし、こうした場合、当然、総合周産期医療センターなどの平日・日中の医師配置が手薄となってしまい「本末転倒」な状況が生まれてしまいます。

 中井代議員は、当面は「宿日直の基準を緩やかに設定し、段階的に厳格な基準に戻していく」ことが現実的であると訴えています。例えば、総合周産期医療センターでは、夜間でも平均1.15回の分娩等が行われており、「日中に近い労働」となっていることから「宿日直ではなく、夜勤」と扱うことが必要ですが、一般病院の産婦人科では、夜間の分娩等件数は平均0.61回であり、一定程度柔軟な対応(夜勤でなく宿日直とし、回数基準を当面、緩和する)をとることなどが考えられそうです。なお、宿日直許可基準については「内容の現代化」方向が固められていますが、回数緩和方向はこれまでに示されていません(関連記事はこちら)。

なお、中井代議員は総合周産期医療センターや地域周産期医療センターの機能強化を図るために、産科の有床診療所については現行体制を維持したまま、▼総合周産期医療センター▼地域周産期医療センター▼一般病院の産婦人科―について、一定の集約化を図ることも検討すべきと提案しています。

 「医師の働き方改革に関する検討会」では近く意見をとりまとめ、5年後の2024年4月から時間外労働上限規定などが適用されます。こうした働き方改革について外保連の岩中督会長(埼玉県病院事業管理者)は、「医師の地域偏在、診療科偏在が大きく、1860時間を超える医師も少なくない。一方で、病院経営も厳しい」とい現実を紹介し、改革実現に向けた道のりの険しさを強調しています。
 
消費税率10%への引き上げで、高度急性期・急性期病院の負担が増加

 さらに、外保連の川瀬弘一手術委員長(聖マリアンナ医科大学小児外科教授)は、今年(2019年10月)予定の消費税率引き上げに関し、高額な医療機器等を使用する術式においては「償還されない費用が消費増税で増大し、病院経営がますます厳しくなる」と訴えています。
 
 例えばK046【骨折観血的手術】の1「肩甲骨、上腕、大腿」とK932【創外固定器加算】を実施した場合、診療報酬点数表では前者1万8810点と後者1万点が設定され、入院料等を除いて28万8100円が請求できます。一方で、▼手術用の基本的な医療機器のセット:1万7928円▼創外固定器の一連のシステム(テイラースペーシャルフレーム):137万5000円―などの償還できないコストが発生します(創外固定器については、特定保険医療材料としての価格が設定されず、上記K932【創外固定器加算】で評価)。
消費税率引き上げにより、機器購入に当たっての消費税負担も増加します(特定保険医療材料であれば、償還価格の引き上げが行われる)。また、昨今では医療安全を重視した使い切りの機器(ディスポーザブル製品)が増加しており、病院の負担する控除対象外消費税負担のさらなる増加も予定されます。

この点、日本医師会では「医療に係る消費税問題は、2019年度の消費税対応改定での精緻化で解消した」との見解を示していますが、特に、高度急性期・急性期の償還不可材料等を多く使用する医療現場(特定機能病院や地域の中核病院など)では「控除対象外消費税」は依然として大きな課題であることは間違いありません。クリニック等の状況のみを踏まえて「解消した」とするのではなく、医療現場全体をみた「消費税問題の解決」に向けた再検討が期待されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/668429
シリーズ 真価問われる専門医改革
「新専門医制、国が関与を強めている印象」横倉日医会長
日本専門医機構社員総会、「23のサブスペの必要性、議論を」との指摘も
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、3月28日の日本専門医機構社員総会で、「新専門医制度への国の関与がかなり強まっている印象」と述べ、プロフェッショナル・オートノミーで運営する重要性を強調した。同機構認定の23のサブスペシャルティ領域と基本領域との連動研修の4月開始が見送りになったが、同機構が厚生労働省に先手を打ち、専攻医や各学会、地域医療関係者などに説明可能な対策を講じる意味からも、「もう少し整理できないか」と発言したという。

 非公開で行われた社員総会後、横倉氏は、「国民に分かりやすい専門医制度にする必要があり、23のサブスペシャルティ領域についても、必要かということをもう一度、議論してもらうことが求められる」と発言の趣旨を説明した。

 社員総会では、四病院団体協議会の加納繁照氏(日本医療法人協会会長)も、サブスペシャルティ領域の検討を求めたという。

 横倉氏が、「国の関与がかなり強まっている印象」を持つ理由の一つが、連動研修の4月開始が見送りとなった3月22日の厚労省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(『 23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。「サブスペシャルテイ領域と専攻医採用におけるシーリングについて議論されたが、いずれも厚労省の事務局より対応案が提示された」(横倉氏)。

 同機構は3月27日付で、その旨に加えて、「連動研修を行うに当たっては、サブスペシャルティ領域の研修を当初より予定している基幹施設および連携施設での基本領域研修にマイナスの影響がでないように十分に留意する」ことを求める文書を、プログラム統括責任者や各専攻医、関係学会に通知した(資料は、同機構のホームページ)。

 連動研修を予定していた23領域の内訳は、内科15領域、外科6領域、放射線2領域。日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、社員総会後、記者らに対し、「厚労省の医師専門研修部会では、『専攻医に不利益にならないようにする』ことは確認された。社員総会では、(連動研修ではないが)4月からは研修プログラム通りに研修し、J-OSLERやNCDで管理していくことはご理解いただいた。それを報告することによって、(連動研修として)認めてもらう方向で、話は結んだ」と説明した。

 さらに横倉氏の問いかけについて、寺本理事長は、「各学会で相当な議論をして、サブスペシャルティ領域を決めた。日本専門医機構としてもそれを踏まえ、理事会でサブスペシャルティ領域として認めた。23領域についてはそうした流れの中で決まっている」旨を説明したという。「23領域を崩していくのは、厳しいと思う」(寺本理事長)。

 医師専門研修部会では、都道府県が連動研修による地域医療への影響を検証するデータの不足が問題となった。寺本理事長は、サブスペシャルティ領域の現状が分かるデータは学会がまとめていると言い、「できれば4月中にそれを出した上で、それを厚労省に送ることはしたいと考えている」と説明した。

 社員総会には、社員計23団体の代表(もしくはその代理)が出席。サブスペシャルティ領域の問題、2019年度の事業計画や収支予算書、カリキュラム制、事務局体制のほか、2019年度研修開始の専攻医の登録状況等が説明された。3月15日時点で8604人が登録済みだ。



https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/201903/0012178017.shtml
市立川西病院が民間運営へ 1日から診療体制は維持 
2019/3/25 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県川西市立川西病院(同市東畦野)が4月1日、これまでの市直営から、指定管理者制度により、医療法人「協和会」(同市)の運営に変わる。長年の赤字体質からの脱却を目指して市が進める再編事業の一環で、現行の診療科は維持。看護師ら職員も一定数が残るものの、民間への移行直前に収支が急激に悪化するなど、不安も抱えながらの船出となる。

 同病院は2002年度から赤字が続く。建物などの老朽化もあり、市は17年春に再編構想案を発表した。現病院を市中心部と現在地の2カ所に分け、本院機能は市中心部に22年秋をめどに完成する新病院に移す。先行して今年4月から、現病院で協和会が運営を始める。

 職員給与は平均2割減(4年間は市が一部補助)となるものの、看護師や准看護師、助産師約190人のうち約100人が残留。さらに新卒採用などで計約140人を確保した。常勤医も今の36人から32人程度への減少にとどまり「診療体制に問題はない」と市。今後も採用は続けるという。

 ただ、収支は厳しさを増している。18年度は資金不足で、市は従来の補助に加えて、補正予算として約9億2千万円の追加支援を計上する事態に陥った。

 主因は入院患者数の減少。1日平均で17年度の約190人から150人台に落ち込む見通しだ。再編構想を受け「病院がなくなるといううわさが広まり、患者の選択肢から外れやすくなった」と市担当者。協和会が示した19~21年度の収支計画では、200人前後の入院患者数で年間4~5億円余りの赤字。市議会では不安の声が相次いだ。

 民間運営への移行後は、病院経営の赤字を市は補てんしない。病院ではチラシなどで診療継続をPRし、他病院からの転院を増やすなどして患者数の確保を図る方針。新病院の完成後は、高度急性期医療の導入や病室の全室個室化などで収支改善が期待できるといい、24年度の黒字化を見込んでいる。

 市の担当者は「しばらくは赤字覚悟。民間運営の下、医師らにも経営の一角を担っている意識を持ってもらうことが必要」と話している。(伊丹昭史)



https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019032902000170.html
【茨城】なめがた地域医療センター 機能縮小を正式決定 高萩でも病床数削減 
2019年3月29日 東京新聞

 行方市の土浦協同病院なめがた地域医療センターが入院病床数の削減や診療時間外の救急受け入れの取りやめを検討している問題で、運営するJA県厚生連は二十八日、水戸市の県JA会館で臨時総会を開き、機能縮小を正式決定した。また、県北医療センター高萩協同病院(高萩市)についても、入院病床数を減らすことを発表した。 (水谷エリナ)

 JA県厚生連によると、なめがた地域医療センターで四月から、入院病床数を百九十九床から四十九床に減らす。夜間や休日の救急受け入れは土浦協同病院(土浦市)で対応する。常勤の医師数も十九人から十人になる。ただ、診療の一部は新しく医師を派遣するなどで強化するという。

 県北医療センター高萩協同病院でも、四月から入院病床数を百九十九床から百四十四床に削減する。

 機能縮小の背景には、患者数減少などによる経営状況の悪化がある。二病院は赤字が続き、本年度は合わせて約十億三千万円の赤字になる見込みという。

 経営管理委員会の佐野治会長は「今後の三年間で、土浦協同病院が黒字化して、経営がある程度安定化すると思う。それまで迷惑をかけることもあるが、理解いただきたい」と話した。

 山田保典理事によると、なめがた地域医療センターの機能の代替などを検討するため、行方や潮来、鉾田の三市や県の関係部署や関係医療機関と四月から協議の場を設ける。

◆職員「命の危険出てくる」 維持求め署名2万筆
 なめがた地域医療センターの大幅な機能縮小に反対しようと、センターの職員らが署名活動し、約二万人分を集めた。職員は「救急受け入れができなくなると、命の危険が出てくる」と訴える。

 職員が機能縮小の方針を知ったのは二月上旬。住民に現状を知ってもらうため、職員で「なめがた地域医療センターを守る職員の会」をつくった。

 系列病院の関係者らと協力し二月中旬から、入院病床数や診療時間外の救急の維持を求め、チラシを配ったり、署名を呼び掛けたりした。

 「脳疾患や心疾患は三十分以内の対応で救命率が高くなる」と職員の一人。夜間や休日の救急は土浦協同病院などで対応することになるが、センターから約二十五キロあり、治療に時間がかかる。「手遅れになる恐れがある」と懸念する。

 職員は「経営者も、まずは住民のニーズに応えてほしい。それでも赤字なら、職員や病院、行政などと協力して解決しないといけない。赤字や患者数などの数字だけを見て、判断できる問題ではない」と説く。

 集まった一万九千八百十三筆の署名は、二十六日にJA県厚生連へ提出。約二百通の住民のメッセージも添えた。(水谷エリナ)



https://www.m3.com/news/iryoishin/668283
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方報告書取りまとめ、「改革」スタートへ
暫定特例1860時間「2035年度廃止検討」を法令に明記
 
レポート 2019年3月28日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は3月28日の第22回会議で報告書を取りまとめた。病院勤務医の時間外労働上限を年960時間(A水準)、「地域医療暫定特例水準」(B水準)と「集中的技能向上水準」(C水準)を年1860時間として労働基準法施行規則に明記し、2024年4月から適用する。B水準については、2035年度末の廃止を検討することを同施行規則に書き込む。B、C水準の適用に当たっては労務管理や医師の健康確保策などが義務となることが法令上明確となり、これまでおろそかにしてきた問題に医療界が向き合う「改革」がスタートする(資料は厚労省のホームページ、働き方改革に関する法令や告示などはこちら、前回の議論は『医師の働き方改革、報告書取りまとめへ大詰め』を参照)。

 岩村座長は議論の結びとして、「取りまとめはあくまでこれから何をやっていくかを明らかにし、課題解決を目指していくためのものだ。さまざまな改革や改善を、後戻りすることなく強い決意を持って進めることが大事だ」と述べ、改革の推進を呼びかけた。

 B水準の2035年度末廃止を法令に明記することについては、3月15日の前回会議で労働組合関係の構成員が強く主張する一方、病院団体の構成員は「今の段階でがちがちに固めるのは地域医療を危うくする可能性がある」と反対。結局、「検討を行うことを法令上明記する」との表現に落ち着いた。さらに、「医療計画の策定または変更のサイクルに合わせ、3年ごとに段階的な見直しを行う」ことも法令に明記し、2027年度、2030年度、2033年度に合わせて、検討することになる。


 改正労働基準法は今年4月1日に施行され、時間外労働時間に関する労使協定(36協定)で定めた時間外労働時間を超えて労働させた場合に、使用者を「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処することとされている。医業に従事する医師に関しては適用が5年間猶予されて2024年4月からの適用となるが、この規定を報告書の脚注に書き込んだ。

 B水準適用のための要件としては「地域医療の観点から必須とされる機能を果たすために、やむなく長時間労働となる医療機関である」ことなどを示しているが、前回に出された意見を受け、「実際に医師の時間外労働が短縮していること」や「労働関係法令の重大かつ悪質な違反がないこと」などを加えた。

 A、B、C 各水準の対象となる医師の範囲としては、あくまで「医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医」と明記。医師免許を有していても、行政機関などに所属して医業に従事しない医師は今年4月1日施行の一般則が対象となる。介護老人保健施設と介護医療院の勤務医は診療を行うが、実態からB、C水準は該当しないとして、A水準が適用される。また、血液センターや健診センターの医師は、「疾患を有する患者の治療を直接の目的としない」として、一般則が適用される。

積み残しは「兼業・副業」、タスク・シフティングの具体的業務など

 報告書に具体策を盛り込むに至らなかったものとしては、「兼業・副業」やタスク・シフティングの具体的業務などがある。千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は「大学病院の医師に大きく関わる。しっかり考えてほしい」と指摘。また、日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、法令上どの業務を医師から他職種へ移譲できるかを病院団体で精査していることを明らかにし、「これは現行法では変えられない、これは解釈によっては変えられるかもしれないという切り分けが難しい」と指摘。厚労省医政局医事課は今後検討すると回答した。

 B水準を適用する医療機関を特定する新たな組織については、「評価機能」を設けることが盛り込まれたが、具体的にどのような組織をつくるかは「都道府県から中立の機能であること」「地域医療提供体制の実情やタスク・シフティングの実施状況等を評価するために必要な医療に関する知見を有すること」が必要で、引き続き検討することとなった。C水準についても、適用の前提となる「我が国の医療技術の水準向上に向け、先進的な手術方法など高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要である分野」を指定する「審査組織」を今後検討し、設ける。

 宿日直や研鑽の扱いについては、報告書の参考資料に考え方が記載されており、今後通知などで具体的に示すことになる。これについては日本医師会常任理事の城守国斗氏が「宿日直や研鑽、副業・兼業の取り扱いや評価機能のあり方などが極めて大きな影響を及ぼすことになる。できるだけ早く、しっかりとした検討をしてほしい」と求めた。



https://www.medwatch.jp/?p=25551
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1) 
2019年3月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度において、基本領域(例えば内科)とサブスペシャリティ領域(例えば循環器)との連動研修を認めた場合、「サブスペシャリティ領域の指導医がいないために、基本領域の連携施設となっていた医療機関での研修(勤務)を避ける」といった事態が生じはしないか。こうした点を検討するためのデータが現時点では存在しないため、「連動研修の是非」を検討する段階にない。この4月(2019年4月)からの連動研修は見送るべきである—。

 3月22日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)は、こういった判断を行いました(関連記事はこちらとこちら)。

もっとも連動研修を前提とした研修プログムで研修を行っている専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)に不利益が生じないよう、2019年4月以降も当該プログラムに沿って研修を受け、後にサブスペシャリティ領域の単位として認定(追認)するなどの配慮が行われます。
 
ここがポイント!
1 データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない
2 専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

データが示されておらず、連動研修の4月実施の是非を論じる段階にない

新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタート。19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域
医師専門研修部会(1)1 190322
 
サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認定する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認定することとなっています(例えば、地方の中核的病院で標榜されている診療科や、国民の「どこに専門医がいるのか知りたい」とのニーズの強い診療科など)(関連記事はこちらとこちら)。

ところで、内科・外科・放射線科の各基本領域学会では、社会的意義や国民への認知の程度などを踏まえ、以下の23学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推薦し、日本専門医機構でもこれを認定しています。とくに内科・外科領域については、一定の症例について「基本領域での経験症例」と「サブスペシャリティ領域での経験症例」との重複カウントを可能とし、より早期に「基本領域とサブスペシャリティ領域の資格を保有する専門医」を養成する「連動研修」が計画されています。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―議論

 連動研修はこの4月(2019年4月)からスターとする予定でしたが、専門研修部会では「一部(消化器内視鏡など)、国民にとって分かりにくいものがある」「整備基準(サブスペシャリティ領域として認定するための基準)をまず策定し、その上で認定を行うべきである」との意見が出されていました(いわば「待った」がかかった)(関連記事はこちら)。

 さらに3月22日の専門研修部会では、厚生労働省から、連動研修の重要性を確認した上で、「現時点で『地域医療に与える影響』に関するデータが示されていない。連動研修の是非を検討する段階に至っていないのではないか」との指摘もなされました。

2018年の改正医療法・医師法により、新専門医制度が地域医療に悪影響を及ぼす恐れのある場合には、厚生労働大臣の意見を踏まえて、日本専門医機構は制度見直しを検討する努力義務を負っています。具体的には、▼「サブスペシャリティ領域の連動研修が地域医療へ悪影響を与えないか」を各都道府県の地域医療対策協議会などで検討する→▼厚生労働大臣が、地域医療対策協議会や専門研修部会の意見を踏まえて、必要な見直しを要請する→▼日本専門医機構で制度見直しを行う―ことが必要ですが、4月までの1週間でこうした一連の業務を完了することは事実上不可能ではないか、との指摘です。

基本領域である内科において「A病院・B病院・C病院を循環する」という研修プログラムが組まれていたとします。「地域医療の確保」という各方面からの強い要請を受け、例えば「基幹病院のみで完結させない」などの配慮・工夫が凝らされています。

しかし、サブスペシャリティ領域との連動研修となった場合、「B病院には当該サブスペシャリティ領域の指導医がいないので、A病院とC病院のみで研修を完結させ、B病院での研修(勤務)を行わない」という事態が生じてしまう可能性が指摘されているのです。この場合、B病院の所在する地域において、医師確保に困難が生じるなど「地域医療への悪影響」が生じる可能性を否定できないのです。
 
この点、日本専門医機構の理事長である寺本民生参考人は、「連動研修を念頭において研修プログラムを組んでおり、プログラム全体を通じて、地域医療に悪影響が出ないような研修(勤務)が行われる」旨を説明しましたが、厚労省は「データが示されておらず、地域医療への影響があるのかないのかを判断・検討できない」と指摘。

医学会や日本専門医機構副理事長ら他の参考人も「専攻医に不安を与えることはできない」とし、この4月からの連動研修実施を認めてほしいと強く要請しましたが、専門研修部会の構成員や遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)らはデータが示されていない点を重くみて、「この4月からの連動研修実施は見送るべき」との結論に達しました。

専攻医に不利益が生じないよう、経験症例は遡及して単位認定するなどの配慮

もっとも、内科や外科で「連動研修」を念頭において研修を受けている専攻医が不利益を被ってはいけません。このため、山内英子構成員(聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)らは「経験した症例は、将来、過去に遡ってカウントするなどの配慮が必要である」と強調しています。この点、寺本参考人も「専攻医に不利益が生じないように配慮する」ことを約束するとともに、個々の専攻医や指導医等に宛てて日本専門医機構から事情とともに「不利益が生じないような配慮を行う」旨を連絡する考えを示しています。

 
今後、専門研修部会において▼サブスペシャリティ領域の在り方▼連動研修の在り方―も検討していくことになります。

なお、上記23領域・学会については、既に日本専門医機構が認定を行っていますが、消化器内視鏡や老年病など一部について「待った」がかかっていました。この点、3月22日の専門研修部会で具体的な議論は行われませんでしたが、片岡仁美構成員(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授)や山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)らは、「高齢者を診るスキルはすべての医師に求められるが、老年病の専門医がそのリーダー役に就くことなどが期待される」との考えを占めました。寺本参考人は、このように23領域・学会のサブスペシャリティ領域認定に向けて構成員の理解が進んでいる点について「大きな収穫であった」とコメントしています。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/667901
宿日直やアルバイトの扱い「大きな問題」、日病会長
医療提供体制「データを整えて提言していく」
 
レポート 2019年3月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は3月26日の定例記者会見で、公明党の厚生労働部会に医師の働き方改革に関する要望書を提出したことを明らかにした。宿日直やアルバイトの扱いなどについて「病院の実態を考慮の上、適正な制度の設計を要望する」などの内容で、相澤氏はこれらをどこまで労働時間として扱うかどうかは「どう考えていくのか、極めて大きな問題だ。(会員病院から)不安の声が上がっている。早い時期に明確化していただかないと困る」と述べた。


 要望書では宿日直で「睡眠時間も十分確保できている場合も多くある」と指摘。また、オンコールは「緊急時の呼び出しに備え、医師個人の自由時間として過ごしている」ため、労働時間とは考えにくいと説明している。アルバイトについては、医師の生活が兼業・副業で成り立っていることや、それによって派遣元の病院経営が成り立っていると指摘。このことが、「長い年月の中で育った日本の教育、医療の現状であることから、労働時間のみをもって対応することは、地域医療の崩壊、派遣元病院の存続など、医療現場に多大な混乱を生ずることになる」とした。

 2019年度の事業計画についても説明した。重点項目は次の通り。

一般社団法人としての基盤整備
適正な医療確保に向けた病院の基盤整備
医療の質と安全の推進
情報提供と広報活動
病院職員の人材育成
国際活動
医療関連団体との連携推進

 相澤氏は、「適正な医療提供体制に向けた取り組みということで、まずはしっかりとデータを整えて提言していこうということだ」と説明。地域、診療圏における人口や患者数、病院機能などのデータを集め、「各病院が地域の状況を見ながら自分の立ち位置を判断しながら、将来の構想をつくっていくのに役立つことをしていきたいと思っている」と述べた。

 医師の働き方改革に関しても、「病院が働き方を変えたときに、いったいどう変化するかは、実行してみてデータを取らないと分からない」と指摘し、こうしたデータも収集していく考えを示した。今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについては、「病院間の格差を生まないのかどうか、できるだけ早く検証した方がいい」と指摘。さらに、今後の病院経営にとって、生活習慣病の予防や、軽い病状の時点で重症化を予防することが非常に重要だとして、「健診や指導、教育は病院の役割で、講習などを行っていきたい」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25585
<オンコール時間を労働時間に含めるのか、副業等の労働時間をどう扱うのか、早急に明確化を―日病・相澤会長(1) 
2019年3月26日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革に関し、病院経営の面で非常に重要になるのが「宿日直の取り扱い」である。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、「使用者の明示・黙示の指示で、労働者が業務に従事する時間」は労働時間であるとの議論がなされているが、例えば、呼び出しに備え自宅で待機(オンコール)している時間も、使用者の指示に基づく待機であることから「労働時間」として扱うのだろうか。そういった点を明確にしてほしい―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は3月22日に定例記者会見を開き、こうした要望を与党である公明党厚労部会の高木美千代部会長に示したことを明らかにしました。
 
待機時間、使用者の指示を受けての待機だが、自由に過ごせる点をどう考えるのか
 「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が大詰めを迎え、3月中に意見を取りまとめることになっています。

 例えば、36協定を労使で結んだとしても超過できない時間外上限を、原則年960時間、地域医療確保のための特例年1860時間とすることや、医療界を挙げてタスク・シフティングを進め、医師の労働時間を短縮していくことなどの方向性が固まってきています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

そうした中で「宿日直」については、「業務がまばらである」などとして労働基準監督署長の許可を得た場合には、労働基準法上の労働時間等に関する規定が適用されません(労働時間と見做されなくなる)。ただし、許可基準は1949年(昭和24年)のもので「定時巡回、異常事態の報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温などの業務が稀で、一般的に見て睡眠が十分にとりうる場合には宿直を認めるが、その業務時間は割増し賃金を支払うこと」などとされ、現在の医療現場にマッチしません。このため、厚生労働省は「4月以降に改正を行う」考えを明確にしています(関連記事はこちら)。

この点、ある時間が労働時間に該当するのか、労働時間外と扱われるのかが、極めて重要となります。例えば、夜間の当直が労働時間としてカウントされれば、前述の960時間や1860時間の中に含まれますが、労働時間外と扱われれば、それは960時間・1860時間の外となるためです。

労働時間の定義として「使用者の指揮命令下におかれている時間、つまり使用者の明示・黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」とされていますが、例えばオンコール時間(呼び出しに対応するための自宅待機時間)はどのように扱うのだろうか、と相澤会長は疑問を呈します。

緊急患者等で呼び出されてから診療に従事する時間は「労働時間である」ことに疑いはありませんが、待機時間については、「使用者の指示を受けている」点を考慮すれば「労働時間」に該当しそうですが、「待機時間の多くは自由に過ごせる」ことを考えれば一律に労働時間と扱うことに疑問も生じます。さらに、病棟で当直をする場合にも類似の疑問が生じます。相澤会長は「こうした点を早急に明確にする必要がある」と強調しています。

 また、医師の働き方改革では、副業・兼業をどう取り扱うのか、という問題も生じます。厚労省は、一般則(一般労働者の副業・兼業の取り扱い)の議論を行っており、そこでの結論を踏まえて「医療の特殊性を踏まえた対応」を検討する考えを示しています。

 この点についても相澤会長は、▼特に大学病院に勤務する若手医師は、市中病院でのアルバイト(当直等)収入が大きな生活の基盤となっている▼アルバイトを受け入れる派遣先の市中病院においては、当直体制等の確保に若手医師のアルバイトが欠かせない▼派遣元となる大学病院との経営は「アルバイトを行っている医師が、アルバイト収入を含めて生活している」ことから、成り立っている―という実態があることを強調。

 その上で、例えば「副業・兼業」(アルバイト)の時間を単純に労働時間として合算(通算)するのか、別の取扱いとするのかを慎重に検討すべきと指摘しています。単純な合算(通算)となれば、上記のように多くの関係者に大きな影響がでることでしょう(若手医師はアルバイトが大幅に制限され、収入が減少する可能性がある。市中病院では当直体制確保が非常に難しくなる。大学病院等においても人件費が大幅に増加する、など)。とくに労働時間の長い若手医師がアルバイトをする機会が多く、その影響は甚大と考えられます。
 
 「医師の働き方改革に関する検討会」では、こうした点については結論を出さず、別途の検討に委ねる見込みです。しかし医療提供体制の確保にとっては、これらも極めて重要な問題であり、今後の検討内容に注目が集まります。

 なお、時間外労働上限などは5年後(2024年4月から)に適用され、今後5年の間に、全医療機関で労務管理の見直し(まず36協定を締結するところから)や労働時間の短縮を進める必要があります。この点についても、相澤会長は「労働基準監督署の指導等において、医療現場に大きな混乱が生じないよう、医療現場の意見を十分に考慮することが必要」と訴えています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/general/668463
医師「できることやった」 意向確認の経緯説明 福生病院、透析中止 
事故・訴訟 2019年3月29日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で腎臓病の女性=当時(44)=が昨年8月、人工透析を取りやめて死亡した問題で、この判断をした同病院の担当医(50)が28日、初めて取材に応じ、透析続行のために必要な手術の準備をしていたが、女性に拒まれ、物理的に透析が不可能になったという経緯を明らかにした。女性側の意思を尊重したとした上で「できることは全部やらせてもらったつもりだ」と述べ、問題はなかったとの見方を示した。

 松山健(まつやま・たけし)院長も取材に応じ、この透析の取りやめについて倫理委員会を開くべきか事前に担当医から相談を受けた際、日本透析医学会の提言を参照した上で開催が必要ないと判断したと説明。「提言に違反も、無視もしていない」と主張した。

 一連の経緯に問題がなかったか都が調べている。

 担当医によると、女性は、透析のために設けられる腕の血管の分路(シャント)の管理のため、半年に1度来院。昨年8月9日に来院した際、分路が閉塞(へいそく)した状態で、医師は手術によって鎖骨付近にカテーテルを入れる治療法を提示。女性は拒否し「元々、シャントがつぶれたらやめようと思っていた」と透析中止の意向を示した。

 担当医は、エックス線撮影を行うなど、事前に女性の手術の準備を進めていた。意向を知り、驚いたという。

 担当医は、夫を呼び、看護師、ソーシャルワーカーの5人で改めて意向を確認した。女性は手術を拒否し、夫も同調。「死期を早めるリスクがある」と記載された意向確認の書面にサインした。

 普段透析をしている診療所に手術を受けるよう説得された女性は10日に再び来院。別の医師が意向を確認し、手術を受けないことになった。

 14日に女性は体調不良を訴え入院。16日未明にパニック状態になり「こんなに苦しいなら透析した方がいい。撤回する」と看護師に話した。担当医は、女性が落ち着いている時に意向を確認すると夫に説明。同日正午ごろ、女性に対し、手術して透析するか、苦しみの症状を軽減するかの意向を改めて確認。女性は軽減を選び、午後5時すぎに死亡した。



https://www.m3.com/news/general/668627
大町診療所、内科だけに 民営化2年 医師退職、改修困難で 
地域 2019年3月29日 (金) 佐賀新聞

 2年前に大町町立病院から民営化された「大町診療所」(杵島郡大町町)の診療科目が4月から、現状の3科から内科だけになる。医師の退職や空調設備など建物の改修が困難なことが理由という。

 町立病院は大町町が2017年、社団法人「巨樹の会」(武雄市)に約3億5千万円で経営譲渡した。同年4月に内科、整形外科、脳外科、耳鼻咽喉科の「大町病院」として開院。入院病床60床を系列の新武雄病院(武雄市)に移した同年9月に「診療所」になった。17年に患者数が少なかった脳外科を休診した。

 病院関係者によると、3月末で整形外科の医師が退職するため4月以降の診療を休止する。空調設備が改修できない耳鼻咽喉科の診療も取りやめる。内科の医師1人が異動するため、診療は現状の週5日から3~4日になる見通しという。関係者は「医師の確保というより施設面の問題が大きい。設計図面がなく耐震診断も簡単にできず、空調設備の改修も容易ではない。そういう現状を総合的に判断した」と話す。



https://www.m3.com/news/general/668507
【福島】檜枝岐診療所 常勤医不在に 来月から 医師退職、後任を募集 
地域 2019年3月29日 (金) 読売新聞

 檜枝岐村の唯一の医療機関である檜枝岐診療所が、4月から常勤医不在となる。現在いるただ一人の医師が今月末に契約満了で退職するためだ。28日が最後の診療日となり、村は後任を急募している。

 村総務課によると、退職するのは2017年から同診療所に勤務していた70歳代の男性医師。昨年10月に、退職の意向を村に伝えていた。今年1月に後任者がいったん内定したものの、最終的に契約には至らなかった。

 村は4月以降、南会津町の県立南会津病院から週1回程度、医師の派遣を受ける方向で調整を進めている。同病院からは現在も月2回の派遣を受けている。

 今月、村ホームページに募集の告知を掲載したが、これまでに応募はないという。橘千春・総務課長は「幅広く診療できる医師に来てもらえれば、村民も安心できる」と話している。

 同診療所は内科・小児科の外来診療のみで、患者数は1日平均11・5人。募集しているのは70歳ぐらいまでの医師。年収は2000万円(税込み)で、医師住宅も用意されている。問い合わせは村総務課(0241・75・2500)へ



https://www.m3.com/news/general/668316
天売 また常勤医不在 島民、根本解決求める声 
地域 2019年3月28日 (木) 北海道新聞

【天売】天売島からまた常勤医が不在となった。島内唯一の医療機関である道立天売診療所の田中耕治所長(60)は、27日を最後に診療を取りやめた。31日付で退職する。道は4月以降、代診の医師を月3回派遣して対応する方針だが、島内では根本的な解決策を求める声が上がっている。

 島内で旅館を経営する男性(61)は「田中先生は親身に診てくれ、いい先生だった。何年もいてくれると思っていたのに」と残念がる。別の男性(41)は「長くいてもらうためには医者の負担を減らすなど何か工夫が必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/668315
血液内科の新患受け入れ休止/八戸赤十字病院 
地域 2019年3月28日 (木) デーリー東北

 八戸赤十字病院(瀬尾喜久雄院長)は、常勤医の減少により、4月1日から血液内科の外来と入院診療を縮小し、新規患者の受け入れを休止する。白血病や悪性リンパ腫など血液疾患の入院設備を備えている施設は、青森県南地方では同病院のみ。黒沢裕之事務部長兼総務課長は「県南、岩手県北地域一帯の患者さんを受け入れてきただけに大変心苦しい。医師を確保でき次第、新規患者を受け入れたい」としている。

 同病院によると、医師の派遣元である岩手医科大付属病院血液腫瘍内科の医師不足の影響を受け、八戸赤十字病院血液内科の常勤医を3人から2人に縮小。これにより、現状の診療体制の維持は困難、と判断した。周辺の医療機関や患者らには既に通知をして、理解を求めている。

 血液疾患の治療には、無菌室など専用の設備が必要。青森県内で現在、血液内科の入院設備を備えているのは、同病院のほか、県立中央病院、弘前大付属病院、つがる総合病院の3病院のみ。

 八戸赤十字病院は今後、入院や通院している患者については従来通り診療を継続するが、経過を見ながら、患者の希望に応じて他の医療機関をあっせんする考え。



https://www.m3.com/news/general/667788
南相馬・小高病院:入院再開へ方針決定 市が病床再編計画で /福島 
その他 2019年3月26日 (火) 毎日新聞社

 南相馬市は、市立小高病院の入院機能について、いったん無床診療所とした後、将来的な入院再開を目指す方針を正式に決定した。

 25日公表した小高病院と市立総合病院(同市原町区)の病床再編計画に盛り込んだ。計画は、現在小高病院のもつ入院病床99床のうち70床を総合病院に集約。総合病院を計300床とし、小高病院は無床診療所とする。その後、医師確保や、見込まれる赤字に対する財源確保など準備が整えば、19床の入院用病床を整備する。

 方針決定を受け、市は来年度、東日本大震災で損傷した病院本館などを解体する。解体中は診療環境を考慮し、今年8月をめどに、小高区内に一時移転。来年の3月定例市議会で関連議案の改廃を目指し、無床診療所としての運営がスタートする。診療所の場所は、小高病院敷地内の他、同区内の医療機関跡などへの移転も検討する。【高橋隆輔】



https://www.m3.com/news/general/667761
竹田のこども診療所「月末で終了」と所長 来月以降の体制未定 
地域 2019年3月26日 (火) 大分合同新聞

 竹田市唯一の小児医療機関、市立こども診療所の所長を務める男性医師(50)が3月末で診療を終えることが25日、医師らへの取材で分かった。「市への不信感が拭えなかった。もう続けられない」と述べた。同日の市議会対策委員会で表明する見通し。

 4月以降、診療所の運営体制は未定で、市は空白が出ないよう対策を急ぐ。

 医師は委員会開会前に「留任の署名をしてくれた約5300人の保護者の思いに応えようと頑張ってきた。市は何ら問題を解決してくれなかった」とコメント。本年度末で所長を辞める考えを明らかにした。

 市内飛田川にある現診療所の玄関には「長らくのご愛顧ありがとうございました」と記した紙が張られている。

 診療所を巡っては、市が市内玉来へ新築移転させるのを機に運営を市直営から外部委託に変更することを計画。指定管理の条件面で医師と溝が生じ、関係が悪化した。

 医師は1月末の委員会で辞意を示唆。市内の母親らが署名を集め、診療継続を求めていた。市は話し合いを重ねたが平行線が続いていた。



https://www.m3.com/news/general/667495
滋賀・野洲市民病院、収支計画二転三転 整備費も膨張、市民疑心 
地域 2019年3月25日 (月) 京都新聞

 2021年開院予定の滋賀県野洲市民病院の事業収支計画が二転三転している。建設費は増加の一途をたどり、黒字になる時期も繰り返し変更されている。市は「大きな目で見て事業の見通しを考えるためのもの。影響はない」とするが、新たに市の一般会計から7億円を支出する計画も示され、市民からは「将来に不安を感じる」との声も上がる。

 新病院の建設に関して初めて収支計画が示されたのは12年5月。市による整備の可能性を探って専門家らの委員会が検討し、開院20年後も赤字が続くという結論だった。以後、病院事業が黒字化するまでの年数は計8回変更された。

 特に市議会での対立が深まった15年は頻繁に修正された。1月には、それまで「5年目で黒字」としていた見通しを、建設費の高騰などで20年後も赤字が続くと発表。しかし3月と10月には一転して「16年目で黒字」「8年目で2400万円の黒字」に変わった。理由としては、14年度の野洲病院の業績の反映▽見込み患者数の増加―などと説明されたが、市議会は病院関連予算を重ねて否決した。

 直近では昨年12月の収支計画で、黒字になる時期を従来の「2年目」から「12年目」に遅れると修正。今年2月に市が示した改善策では、貸付金の予定だった当初資金7億円を返済義務のない「出資金」に変更する▽医療機器の本格的な更新を6年目以降にずらす―などを行うことで「4年目で8万2千円の黒字」となり、7年目以降は黒字が続くとの見通しを示した。

 収支計画の変遷について山仲善彰市長は開会中の市議会などで「情報を全て公開しているため見通しが変動するのは当然。大きな目で見て病院事業が成立可能かどうかを判断するためのもので、数年で(黒字)転換するのであれば問題ない」と説明する。

 一方で、新病院の整備費は膨らみ続けている。11年8月の検討委員会では(民営の)野洲病院の提案通りに実施した場合、整備費は約55億円と試算した。その後建設費は徐々に増加し、15年3月には病床数を減らすなどして費用削減を試みたが、現在は当初と同じ建設面積と約200の病床数で約100億円を見込む。駐車場など周辺整備を含めると約110億円に上る。

 整備費について山仲市長は「用地取得費や駐車場整備費を含まずに整備費を安く見せることもできるが、含むことで国の交付金が得られるなどの利点がある」と説明。また「野洲病院は本来11年に経営不振で閉院していたが、新病院計画があることで保ってきた。市民に適切な医療環境を提供することが何よりも大切」と話し、病院事業に取り組む意義を強調する。

 収支計画の変遷について市民の受け止めは複雑だ。無職男性(69)は「病院があれば便利だが、大きな赤字を抱えるのなら考え直さないといけない。収支計画がころころ変わることには怖さを感じる」と話す。病院整備の中止を求めて提訴した市民団体の山川晋代表(67)は「これだけ頻繁に変動する収支計画は信用できない。(改善策は)お金を一般財源から投入しているだけ。経営改善とは言えない」と指摘する。

■健全な改善策と言えず

 滋慶医療科学大学院大学(大阪市)の宇田淳教授(病院管理学)の話

 収支計画は患者数や職員給与などをどう見るかによってその都度変動するものだが、赤字になるから市が一般会計から7億円を出資するというのは、健全な収支改善計画とは言えない。

 整備費については、建設業の人手不足で上昇傾向にあり、今後も上昇するだろう。2017年11月の実施計画を見ると、病床稼働率は21年度で73・8%、25年度で81・9%。2割の空きがある計算だが、病床数を減らすことで建設費が削減できる可能性がある。

 市は病院事業を進めるなら、市民にとってのメリットやコスト負担を丁寧に説明する必要がある。特に今後は、一つの病院だけでなく地域の病院間で役割分担する「地域包括ケア」が重要になる。湖南地域で新病院がどんな役割を果たすのかも周知していくべきだ。



  1. 2019/03/31(日) 06:19:21|
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3月24日 

https://www.yomiuri.co.jp/local/akita/feature/CO038652/20190320-OYTAT50000/
県病院協会長 小棚木均さん(65)
《1》医師不足県が対策を
 
2019/03/20 05:00 読売新聞 秋田

 29日告示、4月7日投開票の県議選を前に、医療、自殺対策、女性活躍、外国人労働者の受け入れ、地場産業振興――の五つの県政課題について、識者の意見を聞く。



 医師偏在の解消に向けた対策は、国も進めている。ただ、全国でも人口減が特に深刻な本県では、実態に即した独自の施策を考える必要がある。少子高齢化の最先端にあり、全国の歩調に合わせても問題の解決へは向かわないと考えられるからだ。

 行政が急務とするべきは1次医療を支えるシステムの構築だ。

 今、1次医療は地域の開業医の尽力で成り立っている。しかし、医師の高齢化も進んでおり、事業承継がうまくいっていないという側面がある。

 医師の「都会志向」もある。都市部の医療設備が整った医療機関で、多くの症例をこなすことで、専門性を高めることができるだろう。「働き方改革」が叫ばれる今の時代、地方の一人勤務の診療所では24時間、365日気が抜けない状態となるため敬遠するのも無理はない。

 地方の診療所の周辺にある病院も、診療報酬改定や新システムの導入などで経営が厳しく、多くの医師を受け入れる体力が損なわれているのが現状だ。患者数が多ければ、診療報酬も増え、病院経営が持ちこたえることもできるだろうが、人口減に歯止めがかからない状態では、先行きは厳しい。

 県民に身近な1次医療の態勢を充実させるため、財政状態が厳しいことは分かるが、県はもっとお金をかけるべきだ。

 一方、高度医療については、秋田市などの拠点となる都市に集約するのが現実的だろう。

 「良い医者がいる」と聞けば、患者さんはよその地域の医療機関でも出向いていくのが実際のところだと思う。高度な治療を2次医療圏の中で完結させようとこだわっているのは、行政や医療関係者だけではないだろうか。

 様々な症状に対応できる総合病院を整備するのはもちろんだ。併せて、患者さんが圏域をまたいで医療機関にかかりやすくなるように、救急車に準ずるような新たな公的交通手段を導入するなど、交通アクセスの整備にも力を入れるべきだと考える。

 人口減が進む中、提供する医療サービスはどうあるべきか。20年後、30年後を見据えた長期的な対策が求められている。

(聞き手・杉本和真)

「偏在指標」ワースト7位
 厚生労働省がまとめた医師の充足状況を示す「医師偏在指標」(暫定値)で、秋田県(180.6)は47都道府県(平均238.3)で7番目に低いことが判明。さらに全国335の2次医療圏別では、上小阿仁村と北秋田市で構成される「北秋田医療圏」(69.6)が最下位となっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667239
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医のシーリング、「県、基本領域別」への変更検討
厚労省・医師専門研修部会、時期や詳細は今後の検討課題
 
レポート 2019年3月23日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、新専門医制度における専攻医数の上限(シーリング)の方法を見直し、「都道府県別、基本領域別」に設定することを、3月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で提案、おおむね了承された。ただし、時間切れで内容の詳細な議論には至らず、見直し時期については意見が分かれた。日本専門医機構は厚労省提案を基にシーリングの在り方を検討、その結果を踏まえ、本部会で検討する(資料は、厚生労働省のホームページ。22日の本部会の他の議論は、『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。

 現行のシーリングは、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)で、14の基本領域(外科、産婦人科、臨床検査、病理、総合診療を除く)で、過去の採用実績を基に設定している。対象とする地域、基本領域が違うだけでなく、将来の医師需要を踏まえて設定し、医師不足地域の専攻医を増やすことを目的としている点で、厚労省提案は現行のシーリングと大きく異なる。

 具体的には、2016年の医師数が、医師の働き方改革を進めた場合に必要な医師数や将来の必要医師数(例えば、2024年)を上回る「都道府県、基本領域」について、シーリングを設定する。ただし、救急科と総合診療については対象外とする。これらのデータは、厚労省の医師需給分科会で議論されている(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。同分科会では、「医師多数県」と「医師少数県」を設定し、医師偏在の解消を狙う。東京都、大阪府、福岡県は「医師多数県」だが、神奈川県と愛知県は「医師多数県」ではないことも、厚労省はシーリングを見直す理由として挙げた。

 シーリングの対象となった「都道府県、基本領域」では、「医師少数県」と連携プログラムを組むことを必須とする。

 ただし、「医師多数県」と「医師少数県」のいずれにも該当しない県の専攻医減少を防ぐため、「地域貢献率」(研修プログラムの所在地以外の都道府県で研修する専攻医の割合)も指標として、研修プログラムの定員を検討する。

 シーリングの考え方は支持、データの精査は必要

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「医師偏在対策ということで、医師偏在指標が出た。愛知県や神奈川県は、医師多数県でなかった」と指摘した上で、シーリングの方法を見直すという厚労省の提案自体は支持するが、「それ以外はこの(限られた)時間では判断できない」とコメント。

 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、「シーリングの考え方は賛成。将来の医師の需給予測と働き方改革を踏まえ、どれだけの医師を養成していくかを考えないと、地域医療は崩壊する」と厚労省提案を支持。

 長野県知事の阿部守一氏も、「医師の偏在是正につがる方向でのシーリングは、しっかりかけてもらいたい」と述べ、連携プログラムで「医師少数県」に行く仕組みを強化すべきと提案。

 ただし、「考え方はいいが、医師多数県や医師少数県の基になる数字には納得していない」といった意見も出た。

 参考人として出席した日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、2019年度研修開始の専攻医数は、東京都のシーリングに限って、前年度比5%減としたことを説明した上で、「5%の根拠ははっきりしていないが、その社会への影響を検証した上で、次の検討をすべきだ」と指摘し、2020年度研修からシーリングを見直すのは「時期尚早」とした。さらにシーリングに一番関係するのは専攻医であり、医師偏在解消は専攻医だけの問題なのか、その辺りは慎重に考えてもらいたいと求めた。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏も、「地域医療を崩壊させないように、調整していくことが必要だが、専門医の問題で、診療科偏在の全て解決するわけではない。あまり重きを起きすぎると、専攻医は、シーリングをかけられることを苦痛に思う」と述べた。また厚労省が示したデータについても、関係者が納得できるよう検証する必要性を指摘した。



https://www.medwatch.jp/?p=25500
公立病院等、診療実績踏まえ「再編統合」「一部機能の他病院への移管」を2019年夏から再検証―地域医療構想ワーキング  
2019年3月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年(2019年)3月までに、全国の地域医療構想調整会議において、まず「公立病院および公的等病院の機能改革」に関する合意を行うこととなっている。ただし、その合意内容について妥当性等を疑問視する声もあることから、厚生労働省で「地域で公立・公的病院等が担っている機能について、近隣の民間病院等で代替できないか」などを今夏(2019年夏)までに分析し、その結果を踏まえて、必要があれば「公立病院および公的等病院の機能改革」内容について厚生労働省から再検証・検討を要請する―。

3月20日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が概ね固められました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。厚労省は早速、分析に入る考えです。
 
ここがポイント!
1 がん手術や心筋梗塞治療などの診療実績を見て、公立・公的病院等の機能を分析
2 診療実績の分析から、公立病院等の機能を「他の民間病院で代替できないか」を再検証
3 病院の再編統合が進み寡占状態になった際、医療サービスの質が低下していないか検証を

がん手術や心筋梗塞治療などの診療実績を見て、公立・公的病院等の機能を分析

地域医療構想の実現に向けて、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)では、まず今年度中(2019年3月まで)に「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」に関する合意を得ることになっています。昨年(2018年)12月末時点の合意状況を見ると、ベッド数ベースで、▼公立病院は48%(2018年9月末から9ポイント向上)▼公的病院等60%(同8ポイント向上)―となっており、現在、最終的な調整論議が行われている最中です。

ただし、「合意を急ぐ」あまり、「形だけの機能改革」「現状追認」にとどまっているケースもあると指摘され、ワーキングでは「合意内容の検証が必要」と判断しています。

この点、厚労省は(1)地域の医療提供体制の詳細な分析を行う(2)分析結果を踏まえて、各調整会議で「「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」を再検証・検討する―という2段階で検証する枠組みを示しました。

まず(1)の分析については、以下の17項目について、地域の公立病院・公的病院等と民間病院等が、どのような診療実績を有しているのかを調べます。詳細な分析内容については、今後、ワーキング構成員とさらに詰めていくことになります。

【分析項目】
▽がん手術の実績(▼肺・呼吸器▼消化器(消化管/肝胆膵)▼乳腺▼泌尿器/生殖器―)
▽がん化学療法の実績
▽がん放射線治療の実績
▽心筋梗塞等の心血管疾患の診療実績(▼心筋梗塞▼外科手術が必要な心疾患―)
▽脳卒中の診療実績(▼脳梗塞▼脳出血(くも膜下出血を含む)―)
▽救急医療の実績(▼救急搬送等の医療▼大腿骨骨折等―)
▽小児医療の実績
▽周産期医療の実績
▽災害医療の実績
▽へき地医療の実績
▽研修・派遣機能の実績

 これら17項目それぞれについて、病床機能報告データなどをもとに今夏(2019年夏)までに厚労省で分析。その結果は各地域医療構想調整会議等に提示されるとともに、分かりやすく整理した形で公表もされます。

例えば、胃がん手術について、A公立病院が地域の大多数の症例に対応していれば、その公立病院・公的病院等は「地域において、他の民間病院ではできない機能を担っている」と考えることができます。

また、乳がん手術について、A公立病院とB民間病院とが、それぞれ半数程度の症例を診ている場合、「競合している」「すみ分けている」などと考えることができるでしょう。

一方、救急医療について、多くの公立病院・公的病院等で対応している場合、「分担をしている」ケースもあれば、「症例や医師等の医療資源が分散し、非効率になっている」ケースもあると考えられます。
地域医療構想ワーキング(1)の3 190130
 

診療実績の分析から、公立病院等の機能を「他の民間病院で代替できないか」を再検証

厚労省はこうした分析結果を踏まえて、地域の公立病院・公的病院等のうち、次のようなケースでは「調整会議で、機能改革内容(合意内容)を再検証する必要がある」と見ています。

(I)上記17項目のうち1つ以上の項目で、▼構想区域内に「一定数以上の診療実績を持つ医療機関」が複数あり、近接している▼診療実績が特に少ない―場合には、当該項目(機能)について、他の医療機関への代替可能性がある

(II)上記17項目のうち大半の項目で、▼構想区域内に「一定数以上の診療実績を持つ医療機関」が複数あり、近接している▼診療実績が特に少ない―場合には、当該公立病院・公的病院等は、再編統合を検討する必要がある

 前者(I)の「ある機能(例えば、胃がん手術)について他医療機関での代替可能性あり」との分析結果が示された公立病院・公的病院等については、調整会議において、当該機能を他医療機関に統合するべきか否かを、ベッド数も含めて改めて議論することになります。例えば、A県立病院の消化器外科(40床)とB民間病院の消化器外科(40床)とで、胃がん症例を同程度診ている場合、「A県立病院の胃がん手術機能を、B民間病院の消化器外科に集約できないか」「集約できるとして、スタッフ・設備等・患者などもB民間病院の消化器外科にどう移管していくか」「合計80床であるが、地域の人口減少動向を踏まえて60床に削減してはどうか」などといった点を調整会議で、改めて検討することになります。

また後者(II)の「多くの機能について他医療機関での代替可能性あり、または診療実績が特に少ない」との分析結果が示された公立病院・公的病院等については、調整会議において、当該病院を他医療機関と再編・統合すべきか否かを検討することになります。例えば、診療実績の低いC市立病院を、近隣のD県立病院に統合するなどのイメージです。

ところで17項目の分析結果で、例えば「胃がん手術についてA公立病院とB民間病院とが地域患者の半数程度ずつを診ている」ことが分かったとして、機械的に「胃がん手術はB病院に集約する」との結論が導かれるものではありません。例えば「ベッド数の関係でA・B病院で患者を分け合っている」ケースもあれば、「A病院が合併症などのある重症患者を診ており、B病院では比較的軽症の患者を診ている」ケースもあるでしょう。調整会議での再検証では、こうした点も十分に考慮することが求められます。

さらに、「医師の働き方改革が進められる中で、機能集約などによってかえって医師の負担が重くならないか」、「機能集約をすることで医師偏在が助長されないか」、「公立病院では補助金が投入され、公的病院等では税制上の優遇があり、民間病院と必ずしも同じ競争条件ではない」などの点も調整会議で勘案することが必要です。

  
調整会議での再検証・検討期限は今後検討していくことになります。厚労省は「新公立病院改革プランの対象期間が、2020年度を終期とすることが標準である」点を考慮する必要があると指摘しており、ここからは「2020年度央までに調整会議で再検証・検討する」ことなどが考えられますが、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「再検証とは、これまで2年間、調整会議で行ってきた議論を1からやり直すことを意味する。拙速な議論(例えば、従前の合意内容を安易に追認してしまうなど)を調整会議で行っても意味がない」と指摘しており、今後、具体的な再検証方法などについてワーキングで詰めていくことになります。

公立病院・公的病院等の機能改革に関するスケジュールは、次のように整理できるでしょう。

▽厚労省が今夏(2019年夏)までに地域の各医療機関の診療実績等を分析する

▽分析結果に基づいて、厚労省が「機能集約」「病院の再編統合」などを検討する必要性がある公立病院・公的病院等をピックアップし、調整会議に「機能改革の再検証・検討」を要請する(今夏目途)

▽調整会議で機能分化・再編統合の必要性について、地域の詳しい事情を踏まえながら再検証・検討する(検討期限については、今後、さらに検討)

▽再検証・検討結果に基づいて、機能集約や再編統合を各地域で進める(順次)


病院の再編統合が進み寡占状態になった際、医療サービスの質が低下していないか検証を

 ところで、一口に「機能集約や再編統合を進めよ」と言っても、地域の特性や病院の設立母体などによって、さまざまな課題があります。こうした課題について十分に検討し、打開策を準備しなければ、機能集約・再編統合は画餅に帰してしまいます。

3月20日のワーキングでは、田渕典之参考人(日本赤十字社医療事業推進本部技監)から、公的病院等において機能集約や再編統合を進めるにあたっての課題がいくつか整理されました。

まず、統合等を行う場合、多大なコストが発生します。例えば、A病院とB病院を統合し、新C病院を建築する場合には、莫大な費用がかかります。新病院建築には至らずとも、機能集約等を行えば、「増床」「設備整備」などに相当のコストがかかります。また、統合を良しとせず職場を去るスタッフも一定程度、出てくると考えられ、想定外の退職金が発生することも考えられます。さらにスタッフを引き留めるために「給与水準を高いほうに合わせる」ことなどが行われますが、その際には人件費が高騰します。

自治体病院が関係する統合再編では、こうしたコストについて公費による補填が行われることがあり(後述するようにこの点での課題もある)、また一般企業では、統合後の収益増(収益増を見込んで統合するケースが大半)によりコスト回収できます。しかし、公立病院等(例えば日赤)では補填の原資もなく、現行の診療報酬の下では「大幅な収益増」を見込むことも難しいでしょう。田渕参考人は「コスト回収」の視点が極めて重要であると指摘しています。

また、再編統合などが進めば、当然、地域において「寡占」状態が発生します。その際、「透明性やガバナンスの確保」が極めて重要となります。もちろん、医療者には高潔な方が多いのですが、一般的に「寡占状態が生じれば、経営管理が緩くなり、サービスの質が低下しがちである」という点を無視することも危険です(正しい競争こそがサービスの質を向上させる)。「診療の質が低下していないか」「患者の満足度が低下していないか」「コスト管理が適正になされているか」などを十分に把握していくことも、今後の重要な検討課題となるでしょう。

 
なお、青森県弘前市(津軽医療圏)において、2019年度には弘前市立病院と国立病院機構が統合した新たな急性期の中核病院が発足します。▼病床を削減する(従前の弘前市立病院250床+国立病院機構弘前病院342床(合計592床)→新中核病院では400-450床)▼病院運営を国立病院機構が担う(多くのケースでは自治体が運営権を希望するが、このケースでは首長が英断し、市民もこれを受け入れた)―などの特徴をもつ画期的な統合再編事例で、中川構成員は「全国の統合再編のモデルケースになる」と高く評価しています。

ただし、新中核病院への移行期間中である現在、▼スタッフのモチベーションが下がり、退職も少なくない(自治体立病院勤務を望むスタッフも少なくない)▼新病院建設等の営繕費用(コスト)などが嵩む―という大きな課題もあります。上述の田渕参考人は「自治体病院に関しては、統合コストを自治体が補填する」ことを指摘しており、事実、弘前市でも補填が行われるのですが、「原資の工面」「コストの平準化」などに大きな苦労をする実態もあるようです。

 
今後、厚労省の分析結果を踏まえ、調整会議で「機能集約や再編統合すべき」との再検証・検討が出てきますが、実際の再編統合等に向けた課題の整理や対応策も幅広く検討していくことが各所で求められるでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/666764
シリーズ 地域医療構想
17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し
構想区域別に2019年年央までに公表、「代替可能性あり」なら統合も
 
レポート 2019年3月20日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)は3月20日の第20回会議で、地域医療構想の進捗状況を把握するため、9領域で計17項目について診療実績の分析を進めることを了承した。構想区域別に、がん、心血管疾患や脳卒中、救急医療などの各領域について、各病院がどのくらいの症例や手術を担っているかなどを「見える化」するのが狙い(資料は、厚労省のホームページ)。

 分析は厚労省が行い、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」の有無について、下記のような結果とともに、2019年年央までに各都道府県に通知する。「代替可能性」の有無は、人口当たりの診療実績、医療機関間の距離等など「一定の基準」を設けて判断する。この基準は分析を進める過程で今後、検討・決定する。地域医療構想調整会議では、「代替可能性がある」とされた役割について検証・協議し、結論を得ることが求められる。

地域医療構想の分析、検証の方向性

・1つ以上の分析項目について、「代替可能性がある」と分析された公立公的医療機関等を、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」と位置づける。
・「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」のうち、大半の分析項目について「代替可能性がある」と分析された公立・公的医療機関等については、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」と位置づける。

 地域医療構想については、「2017 年度以降、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、地域医療構想調整会議において2年間程度で集中的な検討を進める」とされていた。特に公立・公的医療機関等については、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、民間医療機関との役割分担を踏まえ、公立・公的医療機関等でなければ担えない分野へ重点化された具体的対応方針であるかを確認することを求めた。今回の分析・検証は、それが実現しているかを評価するのが狙い。

 20日の会議では、厚労省が分析に入るなど、基本的な方向性が了承された。ただ、その検証の仕方については、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「検証はものすごい大仕事。一から議論をやり直すこと。そのためには調整会議も数段活性化させなければいけない」と述べ、本ワーキンググループで引き続き議論するよう求めた。厚労省は2019年年央に向けて、分析と並行して、検証の仕方について議論を深めると回答した。

 各地域の調整会議では、分析結果を受け、再編・統合の要否などを検討していくことになる。その結論を得る期限は未定で、今後の検討課題となる。健康保険組合連合会理事の本多伸行氏からは、新公立病院改革プラン等が2020年度に終わることを踏まえ、「再編・統合は難しいと思うが、あまり長引くとかえって不安をあおることになる。計画は可及的速やかに公表すべき」との声が上がった。一方で、中川氏は、これまで新公立病院改革プラン等が、あまり議論なく、調整会議で合意されてきた経緯を問題視し、「それを見直そうということ。拙速にならないようにしっかりとやった方がいい」と指摘した。

 そのほか、全日本病院協会副会長の織田正道氏からは、「公立・公的病院の統廃合は、全国で進んでいるが、うまく行っている事例ではなく、まずかった事例を参考にして統合のやり方を検討していかなければいけない」との意見も上がった。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏によると、全国876の自治体病院のうち、400近くが再編・統合され、経営形態の移行が終わっている。2020年度までにさらに五十数病院が再編・統合等の予定だという。


 公立・公的の「統合コスト」が課題

 20日の会議では、青森県弘前市と日本赤十字社へのヒアリングも行われた。公的・公立医療機関の再編・統合がテーマで、両者とも「統合コスト」、つまり2病院を統合する際に、統合までの過渡期において診療機能の転換が段階的に進むことで、その期間中は収入が低下したり、職員の退職手当あるいは雇用確保等の資金が必要になってくるという課題を指摘した。

 「津軽地域保健医療圏における中核病院の整備」では、国立病院機構弘前病院(342床)、弘前市立病院(250床)を再編・統合した中核病院の新設が進められている。弘前市健康福祉部長の外川吉彦氏は、「病院廃止に伴い、資金不足になると予想し、かなり多めに想定していたが、現実になるとかなりつらい。今は過渡期ということで、市の一般会計で支えるしかないが、なかなか厳しい。何らの資金を使って、平準化したい」と説明。

 日本赤十字社医療事業推進本部の田渕典之氏は、全国の3つの日赤病院の再編・統合の事例を紹介。「病院の利益率は数%で、統合コストを賄うことが可能な診療報酬体系になっていない。統合コストをどう考えるかがカギとなる。過去に成功している再編・統合事例は、自治体病院が片方にあり、“大きな財布”を持っている。これを公的、民間病院などにも広げていくためには、特に大規模の病院ではどう考えるかが重要になっていく」との考えを述べた。



 「国立病院機構主体の統合・再編」を支持する市長が当選

 津軽地域保健医療圏は、8市町村から成る。5つの公立病院のうち、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を再編・統合し中核病院にするとともに、他の3病院は回復期、慢性期病院への転換を進める方針。

 弘前市立病院の病床稼働率は、ピーク時は90%を超えるが、平均80%くらいだという。「決して低くない。これで再編・統合を進めるのは結構、思い切ったことだと思う」(中川氏)。

 もっとも、当初は国立病院機構が運営主体になるとの話でスタート。その後、市民等の意見を受け、市長が「市が中核病院の整備運営の主体になる可能性を示した」と発言し、議論が難航。2018年4月の市長選挙で、国立病院機構主体の再編を進める市長が当選し、交代。2018年10月にようやく再編・統合の基本協定の締結に至った。

 中川氏は、「市長選挙では、『市立病院を守らなければ負ける』と言われるが、この場合は逆だったのか。市立病院を国立病院機構にお願いして、弘前は身軽になることを市民が選択したということか」と質問。外川氏は、自身の感触と断りつつ、「中核病院ができる姿を市民が早く見たかったのだろう。県から提案があったものをベースにして進めていく、という市長を選ばれた。財政的な部分についてはそれほど大きな議論にならなかった」と回答した。

 本多氏は、再編・統合を進めるポイントについて質問。外川氏は、「最初は譲り合わなかったが、どちらか一方が主導するのではなく、お互いが譲歩し合うことで条件が整った」と説明。「協議の再開に当たって、顔を合わせ、自分たちが思うことを話す回数が格段に増えた。お互いに思うことが分かり、目指すところは一緒なんだ、ということで、最終的には協定にまで進んだのだと思う」(外川氏)。


 「日赤は本部主導か」との指摘に反論

 田渕氏が紹介したのは(1)兵庫県の県立柏原病院と柏原赤十字病院(2019年)、(2)広島県の庄原赤十字病院の地域医療連携推進法人への参加(2018年)、(3)北海道の道立北見病院の指定管理(北見赤十字病院との一括管理、2018年)――の3事例だ。「その他、統廃合の日赤への打診が、一桁だが、来ている」(田渕氏)。

 日赤病院全体の許可病床数は、2016年の3万4654床から、2018年には3万4358床へと、2年間で296床減少した。16病院の平均は20.5床減(1床減から49床減)。

 織田氏は、地域医療連携推進法人への参加で、「二重ガバナンスになる」との説明に対し、「現場で話し合われたことを追認するならいいが、そこで話し合われたことを否定していてはうまくいかない」と指摘。田渕氏は、「地域の意思を尊重することは重要」と答えつつも、災害医療などの日赤が担うべき事業との整合性なども勘案する必要があるとした。

 中川氏は、「地域医療連携推進法人は、日赤が入るのにやりにくいので、制度を見直すべきだと言うが、それは本末転倒。地域医療を支えるのは現場の医療機関であり、日赤がやりやすいように作ったわけではない。構想区域単位で物事を考えなければいけない。日赤本部の指示で、全国の地域医療構想を進めると考えているのであれば、決定的な間違い」と手厳しく批判。さらに「日赤と公的・公立病院とは、一般会計からの繰り入れの違いがあると言うが、医療法人の立場から言えば、はるかに日赤は優遇されている」とも指摘した。

 これに対し、田渕氏は、「地域医療構想の中で、いろいろな調整を経て、日赤の公的医療機関等2025プランが成立する。また水面下で進んでいる事例も、地元医師会などと話し合いながら進めている。日赤本部が全てリードして決めていくことは全くない」と反論した。



https://wired.jp/2019/03/19/why-your-doctor-should-also-be-a-scientist/
医学の発展には、臨床と研究をつなぐ「フィジシャン・サイエンティスト」の養成が不可欠だ  
019.03.19 TUE 09:00 Wired Promotion

医師として患者を診察しながら研究者でもある「フィジシャン・サイエンティスト」。臨床医療と基礎研究の橋渡し役として医学に革新をもたらす存在と認識されているものの、米国では“絶滅”寸前にまでなっている。医師の臨床志向が強まるなか、その役割を再認識し、改めて養成を強化すべきときが来ている──。ニューヨーク工科大学の生物医学教授による提言。

TEXT BY KURT AMSLER
TRANSLATION BY TOMOYUKI MATOBA/GALILEO

メリーランド大学の研究チームが、神経因性疼痛と呼ばれる神経の機能不全または損傷に起因する痛みの治療に関して、ブレイクスルーになりうる発見をなし遂げた。神経因性疼痛に苦しむ患者は米国だけで1億人を数え、その医療費は毎年5,000億ドル(約54〜55兆円)に上る。

神経因性疼痛の症状は、実際にけがを負って痛みを感じる状態とは異なる。だが、患者が訴える苦痛の度合いは、軽い不快感から耐えきれないほどの激しいものまで、広範囲にわたる。メリーランド大学のチームがこのほど開発したのは、超音波を使って痛みを消失させる新たな技術だ。

この研究チームは、一風変わった特徴をもつ。メンバー全員が医師であると同時に、科学者・研究者でもあるのだ。チームのメンバーたちは専門教育を受けた医療従事者として患者を治療するだけでなく、研究を通じて新たな薬剤や治療法の開発も手がけている。

「フィジシャン・サイエンティスト」は絶滅寸前

米国では、医師と研究者を兼ねる「フィジシャン・サイエンティスト(physician-scientist)」の不足が深刻だ。残念ながら、絶滅寸前の危機を迎えていると言っても過言ではない。いま何か手を打たなければ、患者の命を救う次世代の治療法は、日の目を見ずに失われてしまうかもしれない。

フィジシャン・サイエンティストの強みは何か。それは、典型的なラボの研究者とは異なり、臨床経験から学び得た患者側の視点をもっている点だろう。

フィジシャン・サイエンティストたちは、さまざまな薬剤の相互作用や、重要な外科手術の成功と失敗、患者一人ひとりの反応の違いを目の当たりにしてきた。こうした経験をラボにもち帰り、患者のニーズにあった研究に狙いを定め、成果を得るまでの時間を一気に縮めることができる。

正式な教育訓練を受けたうえ、医学学位に加えて生物学または物理科学の博士号も取得しなければならないという高いハードルがある。だからこそ、なせる技なのだ。

近年も相次いだ功績

メリーランド大学のチームが画期的な発見を発表してまもなく、今度はロサンジェルス市内の大規模な研究病院、シダーズ・サイナイ医療センターのフィジシャン・サイエンティストが、よくあるタイプの心不全に関連する血中たんぱく質を発見した。従来の研究では、明確なバイオマーカーは見つかっていなかった。この発見によって、将来的に簡単な血液検査で、深刻な心疾患の発症リスクを診断する手法を開発できるだろう。

こうした例は、枚挙にいとまがない。2018年6月には、オレゴン健康科学大学のフィジシャン・サイエンティストチームが、がん細胞の転移を阻止する成分に関する論文を発表。数年前には、サンディエゴのシンテロン研究所のフィジシャン・サイエンティストチームが、アルツハイマー病と2型糖尿病に共通する、未知の分子的経路を発見した。

このような画期的な発見は、まさにフィジシャン・サイエンティストの得意分野だ。臨床医療と学術研究をミックスすることで、素晴らしい成果が生まれることを見事に証明している。

助言者としての役割も

フィジシャン・サイエンティストの貢献はこうした例だけにとどまらない。研究の知見を生かし、患者が適切にインフォームドコンセントを行えるようアドヴァイスする役割も果たしているのだ。

例えば、イリノイ大学のフィジシャン・サイエンティストで博士号をもつジャリーズ・レーマンは、自身が執筆した『サイエンティフィック・アメリカン』の記事で、こんな体験を取り上げた。

ある患者がタイの民間クリニックで、物議を醸している心疾患治療法を提案されたと相談に来た。タイの医師たちは、進行した心疾患を治療するため、大金をはたけば骨髄液の注入を行うと述べたという。それは骨髄液中の幹細胞が、損傷を受けた心臓弁や心室、神経を修復するという内容だった。

心疾患治療で幹細胞を利用する研究のスペシャリストでもあるレーマンは、その治療法がインチキだと見破った。そもそも骨髄液に含まれる幹細胞はごくわずかであり、注入には健康上の甚大なリスクを伴う。この患者は彼の説得のおかげで、危険な治療を受けずに済んだ。

いまや絶滅寸前に

このようにヘルスケア業界には、薬剤や医療器具に関する一見すると魅力的なマーケティングがはびこっている。患者が本物を見極めるにはフィジシャン・サイエンティストたちのような専門家の知恵が必要だが、状況は厳しい。

米国医師会の調査によると、もとよりわずかだったフィジシャン・サイエンティストの数は、2003年から12年に約6パーセント減少。いまやフィジシャン・サイエンティストは、医師100人につきたった1人しかいない計算となる。

医療界のイノヴェイションに向け、次世代を担うフィジシャン・サイエンティストの養成は待ったなしだ。現行でも、連邦助成金制度があるが、その大部分が各分野ですでに業績を確立しているフィジシャン・サイエンティストに交付されている。こうした状況を考えれば、若いフィジシャン・サイエンティストを育てるための配分額を増やすことが解決の鍵となりそうだ。

米国医師会雑誌(JAMA)に寄せられた論文によると、12年から17年、米国立衛生研究所(NIH)が小児医療研究助成を交付した対象者は、10人中6人が研究主幹レヴェルのフィジシャン・サイエンティストだった。たいていの若いフィジシャン・サイエンティストは、助成金を得られなければ研究を諦め、臨床医療に専念する道を選ぶだろう。

研究助成金を上積みし、若いフィジシャン・サイエンティストの支援に充てることで、がんやアルツハイマー病などの治療のブレイクスルーを生む可能性がある。

教育機関がいまできること

大学などの高等教育機関にも取り組める対策はある。従来の医学学位しか取得できない学校は、フィジシャン・サイエンティスト養成プログラムを設けるべきだ。優秀な若い人材が集まり、学校にとってもメリットがある。

わたしが所属するニューヨーク工科大学オステオパシー(整骨医学)部は最近、オステオパシー学位と博士号の両方を取得できる7年制プログラムをスタートさせた。

フィジシャン・サイエンティストは、科学理論と臨床医学を橋渡しする存在だ。わたしたちには、その地位向上に努める義務がある。

カート・アムスラー|KURT AMSLER
ニューヨーク工科大学オステオパシー(整骨医学)部の生物医学教授。医学博士。



https://www.m3.com/news/iryoishin/666734
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
自民党PT、時間外労働上限「慎重に設定すべき」
取りまとめを承認、個別事項は今後も議論
 
レポート 2019年3月20日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 自民党厚生労働部会医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム(PT、座長は羽生田俊参院議員)」は3月20日、PTとしての取りまとめ案を議論し、承認した。近く根本匠厚生労働大臣に提出する。医師の時間外労働の上限時間について「上限時間ありきで改革を進めるべきではなく、患者目線、医療安全、医療の質の確保を優先し、慎重に検討したうえで設定すべき」などとする内容で、羽生田氏は4月以降も議論の場を設ける考えを示し、「タスク・シフティングや、病院の中でどういうシステムがつくれるか、市や県の制度上の問題点なども着手していきたい。できる限り並行して動いていきたい」と述べた。

取りまとめは以下の通り。

 本PTは、政府による「働き方改革実行計画」を踏まえ、医師の働き方改革に関し、本年3月末までに方向性を打ち出すために昨年1月31日に設置された。各種団体等からのヒアリングを始め、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の検討状況の報告を受けるとともに議論を重ねて来た。

 医師の働き方改革は、①医師の健康の確保②地域医療の適正な確保という二本の柱を基本に検討することを確認した。

 昨年12月18日には、当直翌日の勤務軽減や勤務間インターバルの確保、地域医療を確保するための医療機関への財政支援など医師の健康の確保と地域医療の確保を両立するための対応等を求める中間提言を取りまとめ、政府に要請を行った。この中間提言の各事項については、その後の厚生労働省の検討会においても議論されるとともに、来年度政府予算においても必要な経費が盛り込まれているところである。

 本来、医師の時間外労働の上限時間は、どのような上限時間が制度上設定されようとも具体的な対応を検討・実行したうえでその効果を基に時間を設定することが望ましい。上限時間ありきで改革を進めるべきではなく、患者目線、医療安全、医療の質の確保を優先し、慎重に検討したうえで設定すべきである。

 この対応には①医師でなければできない業務②他の職種へ移管できる業務③病院のシステム及び地域の制度などの見直しが必要な業務に分類し、それぞれの項目を丁寧に検討し対応して行くことが必要である。また時間外労働の発生要因の一つに、国民の医療や医療保険への充分な理解、医療機関への正しいかかり方などを啓発・教育する必要性と国民の意識改革の必要性を確認した。また働き方改革を実行していくうえでの基本は医療安全であり、医療安全を基本に推進されなければならない。

 医師のみならず医療機関で働くすべての職員の勤務環境の改善が重要であり、ワークライフバランスを中心とした柔軟性のある働き方を実行する。また種々の検討事項については、必要があれば法律改正も含めて検討する。ICT の活用は医療者の時間外勤務の改善に有用であり十分な検討をする必要がある。

 また働き方改革については、勤務医だけでなく、地域医療を支える診療所の医師など医療機関の管理者についても適切に取り組まれる必要があることに十分留意する必要がある。

 働き方改革を実行するためには相応の財源が必要であり、医療者の健康確保、地域医療の確保、人材の確保、タスクシフト、ICTの推進、国民の意識改革等々のための充分な財源の確保を強く要望する。またこれからの5年間に働き方改革を進めて行くためには丁寧な議論が必要であり、本PTで引き続き検討する。

引き続き検討が必要な事項

○医師の健康の確保
 ・医療安全を基盤として、医師の健康をしっかりと確保する
 ・連続勤務時間の規制と勤務問インターバルの確保
 ・健康確保措置の確実な実行
 ・研鑽・研究を妨げることのないような、医師本人の希望や働く意欲を十分考慮した柔軟性のある制度の実現
 ・医師の健康と地域医療の両立を担保できるような上限時間の設定
 ・国民への医療機関へのかかり方の啓発

○地域医療の適正な確保
(1)医師でなければ行えない業務あるいは医師が行うべき業務
 ・応招義務の法的解釈の明確化
 ・研讃や研究の扱いの整理
 ・医療安全に配慮したタスクシェアの実行
 ・医師でなければできない業務と移管可能な業務の整理

(2)医師以外の医療職に業務移管、いわゆるタスクシフト、できる業務
 ・現行法律上可能な行為の確実な実行
 ・医療安全を前提とした業務移管の可能性の検討
 ・医師事務の軽減の為の対応策と検証
 ・業務移管される側の負担増への対応

(3)それぞれの医療機関内やその地域での制度やシステムに関わる業務
 ・過不足無き国民(患者)への診療(医療)提供体制の構築
 ・国民(患者)から見た医療の質の向上
 ・国民の医療機関のかかり方の啓発
 ・複数主治医制の検討と国民の意識改革
 ・副業・兼業の際の労働時間の取扱の整理
 ・地域医療資源の集約化の検討
 ・救急搬送の適正化の検討
 ・医師の将来需給を検討しつつ適正な医師数及び医師養成数の検討と検証
 ・医師養成システム及び専門医の適正な検討
 ・地域枠を含めた医学部定員数及び医師数の適正数・適正配置や将来推計の検討と検証
 ・医学の進歩・研究を阻害することのない体制の検討
 ・女性医師及びワークライフバランスに適した支援体制の検討

○財源の確保
 ・タスクシフトとタスクシェア等を行う際の人員増加や環境整備・体制構築の為の支援
 ・AIや事務軽減に資するシステム整備導入に伴う機器や設備の支援
 ・「医師の健康の確保」「地域医療の適正な確保」「女性医師支援」に資する為の財源確保



https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20190320-00118973/
本当に医者が死なせたのか?「人工透析中止」問題で続く“偽善報道”への大いなる疑問  
山田順 | 作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー
3/20(水) 17:59 Yahoo ニュース

「人工透析中止」により患者が死亡した問題が、大きな波紋を呼んでいる。この報道を始めた毎日新聞は、3月20日付の記事で「『再開要請』聞き入れず、都が認定 病院を指導へ」としている。 

 私は、3年前に腎臓を悪くして大きな手術をした経験があるので、この問題を注視してきたが、当初から報道がおかしいと感じてきた。

 それは、ほとんどのメディアが、ともかく命はなによりも大切、医者は患者の命をどうしても助けるべきだという思いにとらわれすぎているからだ。もっと、「死」という現実を直視し、医療とはなにかと真剣に考えなければならない。

 ところが、これまでの報道を見ていると、ほぼどのメディアも医療側に問題があったという視点でしか報道していない。舞台は、東京都・公立福生病院。ここで、昨年、人工透析治療の中止を希望した女性患者(44)が死亡したことが問題の発端だが、その患者さんは死の前日、透析再開を希望したという。しかし、透析中止(見合わせる)に際しては、すでに意思確認書を書いていて、夫もその意思に同意していたという。

 となると、再開を希望した死の直前の状態がどうだったかは別として、中止の意思は明確だったと考えざるをえない。透析の中止は、即「死」を意味する。それをわからずにサインする人間はいない。

 したがって、この患者さんは「死にたい」と願ったと思うほかない。その願いを、医療側は透析の中止で叶えたのだから、このどこに問題があるのだろうか?

 日本では、「安楽死」は認められていない。ただ、終末期医療の停止による「尊厳死」は認められている。したがって、今回、医師は患者の意思を尊重して、尊厳死を受け入れたことになる。

 ところが、毎日新聞が告発報道したため、その後の報道はすべてそれに引っ張られてしまった。以下、ざっと挙げると、ほぼどのメディアも医療側を非難している。

「人工透析中止、死への誘導ではないのか」(神戸新聞)、「自殺幇助に近い」(テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』コメンテーター玉川徹)、「医師の判断で透析患者を殺してもいいのか」(プレジデントオンライン、沙鴎一歩)、「茂木健一郎氏『看過できない』透析中止問題で持論述べる」(日刊スポーツ)、「透析患者の僕だから言える『透析中止事件』の罪」(ダイヤモンドオンライン、竹井善昭)、「人工透析中止 徹底検証が求められる」(北海道新聞)----etc.

 これらの報道は、私に言わせると、いずれも“偽善報道”だ。“エセヒューマニズム”である。なぜなら、患者の意思が「死にたい」にあるとすれば、医者はそれを無視して、最期まで生かさなければいけないと言っているのと同じだからだ。

 もちろん、いまとなれば患者の意思を確かめる方法はない。しかし、死の前日、痛みと苦しみのなかで再開を訴えたと想像すると、それ以前の意思のほうを尊重すべきだろう。それとも、意思確認書はただの紙きれに過ぎないのか?

 意思確認書は、いまではどこの病院でも用意されていて、終末期医療に関してどこまで延命治療をするか、患者の意思を尊重するようにつくられている。患者は、悩み抜いた末に最終的な結論として、これにサインする。したがって、医者がそれを逸脱した医療をすることはありえない。

 もちろん、医者の使命は最善を尽くして患者を救うことである。しかし、「救うこと=生かすこと」ではない。どんなに治療しても救うことができない病気がある。それが、腎機能の慢性的な低下で、最終的な救命方法は腎移植である。

 これまでの報道を見ると、病院側に説明不足があったり、担当外科医の透析技術に問題があったりしたことも指摘されている。また、日本透析医学会が示したガイドライン(これは高齢の終末期患者に対してのもの)に沿っていなかったこともあるかもしれない。

 しかし、これらはいずれも、この問題の本質ではない。この問題の本質は、患者の意思が明確かどうかの一点にある。前記したように、透析中止は、死を意味する。患者も夫も、透析を中止することが死を意味することを知らなかったはずがない。それでも、それを望んだのは、苦しみに耐えてどうしても助からない命を生きるより、死を選んだほうがいいと考えたからだろう。その意思は尊重しなければならない。

 欧州諸国が、尊厳死ばかりか安楽死まで認めるようになったのには紆余曲折がある。安楽死先進国とされるオランダの場合、安楽死を拒否された寝たきり患者が、それなら絶食をして餓死すると宣言、苦しみぬいて死んだことが、全面解禁の引き金になった。人には自分の人生を自分で決める権利がある。死を選ぶのもその権利の一つというのが、安楽死合法化の背景にあった考え方だ。

 つまり、オランダでは死にたいという意思を持った患者を無理に生かし続けたことが問題視されたのである。

 ところが、日本ではメディアが尊厳死すら認めようとしない。人間が人間らしく死ぬことを許さず、心も体もボロボロになるまで、医療側に治療を続けろと強制する。メディアは、本当に人間を尊重しているのだろうか?

 日本の人工透析には、大きな問題点がある。それは、これが腎移植の「つなぎ治療」であるにもかかわらず、最終的な延命治療になっていることだ。言い方は悪いが、日本は「透析天国」(透析患者数が諸外国に比べて圧倒的に多い国)である。しかも、透析患者数は年々増加していて、2016年には全国で32万9609人にも上っている。

 その原因は、腎移植がほとんど行われていないこと、また透析に保険が効くこと、透析が病院と製薬メーカーの利権になっていることにある。

 それを考えると、透析でしか生きるための選択肢が与えられていない日本の腎臓病治療のあり方を問題にするほうが、メディアの本来の役割ではないかと思う。

「透析天国」が解消され、腎移植が普及すれば、今回の患者さんも助かった可能性がある。



https://www.medwatch.jp/?p=25474
地域住民同士の互助を進め、医療・介護等の専門家の知恵も借りて「地域づくり」進めよ―厚労省・大島老健局長  
2019年3月19日|介護保険制度 MedWatch

 未曾有の少子高齢化を迎える我が国においては、今後、介護をはじめとする「地域づくり」を、市町村が地域住民を巻き込んで進め、これを国や都道府県がバックアップしていくことが必要となる。このためには、地域の高齢者に「通いの場」などに集ってもらうこと、地域住民同士の助け合い(互助)を進めていくこと、医療・介護・福祉の専門家に知恵を出し合ってもらうことが重要となる―。

 厚生労働省老健局の大島一博局長は、3月19日の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、このような内容を盛り込んだ「これからの地域づくり戦略 3部策―集い・互い・知恵を出し合い―」(1.0版)を詳説しました(関連記事はこちら)。

 市長村や都道府県との協議を通じて、逐次、バージョンアップ(版を改める)していくことになります。
 
ここがポイント!
1 まず、地域の高齢者などに「通いの場」に集ってもらう
2 地域の高齢者の日常生活を支援する「互助」の基盤づくりを進める
3 医療・介護・福祉の専門家の知恵を借り、制度でカバーしきれない課題を解決する

まず、地域の高齢者などに「通いの場」に集ってもらう

2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その後、2040年にかけて、高齢化のスピードは鈍化するものの、社会保障の支え手となる現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。減少する若人(現役世代)で、増加する高齢者を支えなければならず、介護保険制度をはじめとする社会保障制度の基盤は極めて脆くなっていきます。

このため、介護保険制度における給付と負担の見直しを進めると同時に、「介護予防も含めた健康づくり」「認知症高齢者対策」「質の高い介護サービス提供」などを進めることが重要となりますが、厚労省では「介護も生活の一部であり、自治体が生活の課題を広く把握し、解決することが今後、極めて重要になってくる」と捉え、介護分野にとどまらない「地域づくり3部策」を作成したものです。

 3部策は、名称どおり(1)集い(2)互い(3)知恵を出し合い―の3つのパートで構成されています。

まず(1)「集い」の部では、体操などの「通いの場」を数多く設置することを提案しています。歩いて5-10分程度の身近な場所で、軽い体操をしたり、お茶を飲みながらお喋りをする場を設置し、そこに住民がお客さんだけでなく、ホストとして主体的に参加するものです。
 
 すでに各地でさまざまな「通いの場」が設けられていますが、日本医療研究開発機構(AMED)の研究によれば、「通いの場への参加者」のほうが、そうでない方に比べて虚弱の割合が低いことが明らかになっています。虚弱が進めば、要支援、要介護状態となり、併せて医療の必要性も高まるため、医療費・介護費が高まる(保険料の上昇につながる)ことはもちろん、住民のQOLが大きく低下してしまいます。健康づくりのためには、まず「通いの場」により多くの高齢者に来てもらうことが重要です。
 
こうした「通いの場」の整備費用は、2018年度から実施されているインセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金)の対象にもなるため、各地でより多く設置することが求められます。

もっとも、「通いの場」が地域の高齢者に知れ渡り、「行ってみよう」と思うようになるまでには時間がかかります。「脳の健康教室」(タブレット端末を使用して指先を動かすトレーニングを実施)や「もの作り教室」(木工作品作りを実施)などを展開する熊本県長洲市でも、2009年の事業実施から3年間は参加人数が低迷していましたが、粘り強く事業を継続し、2017年には参加者は当初の10倍に急増しています。
 
また「通いの場」の先行事例から学べるポイントして、▼手軽・気軽・身軽(自治体や住民の負担が大きくならないように)▼住民参加型―の2点があげられそうです。後者については、茨城県で実施している「シルバーリハビリ体操指導士養成講座」が参考になるでしょう。専門家の研修を受けた住民を「指導士」として茨城県知事が認定し、地域住民に対応の普及を図る仕組みで、指導士は▼1級:講習会の講師を務める▼2級:地域活動のリーダーを務める▼3級:地域活動の実践に当たる―の3区分あり、例えば「3級の人は地域住民に体操を教えるとともに、2級や1級を目指す」ことで地域の活性化が図られているといいます。

さらに東京都西東京市では、医師会・歯科医師会・薬剤師会と協働で「フレイルチェック」等を「通いの場」においてセットで実施。虚弱高齢者の早期発見につなげると同時に、一般に「地域参画が難しい」と考えられている男性高齢者が「フレイルサポーター」として地域活動に積極的に参加するという大きな成果が得られています。

また、山口県防府市のように、「通いの場」を、例えば商業施設(スーパーマーケットやショッピングモールなど)に併設することで、「買い物支援」サービスなどを実施することも重要でしょう。「買い物のついでに体操教室にも寄っていこう」と感じ、より通いやすくなることが期待できる(通ってもらうことが重要)とともに、第2部の「互助」の基盤づくりにもつながります。


地域の高齢者の日常生活を支援する「互助」の基盤づくりを進める

次に(2)「互い」の部では、地域の高齢者を支える「互助の基盤」づくりを提案しています。

「介護が必要となっても、可能な限り住み慣れた地域での生活を可能とする」ことを目指し、各地域で地域包括ケアシステムの構築が進められています。▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を一体的に提供するものですが、例えば、「ごみの分別」「電球の取り換え」「役所での諸手続き」「病院への付き添い」「買い物支援」などは、オフィシャルなサービス(公助)よりも、身近な地域住民の助け合い(互助)により馴染みがあるでしょう。

こうした互助の取り組みを自治体がサポートしていくことが、地域包括ケアシステムの構築を含めた「地域づくり」において欠かせないと厚労省は指摘しています。

例えば、▼生活支援コーディネーター(SC)の養成やSC協議体の設置▼介護ボランティアの養成▼認知症サポーター・チームオレンジ(仮称)▼認知症地域支援推進員▼住まいの確保支援・生活支援―などの「互助基盤」を作成し、展開することなどが考えられます。
 
このうち「認知症サポーター・チームオレンジ(仮称)」は、厚労省が2019年度からの構築を目指している仕組みで、認知症サポーター研修を修了した人が、ステップアップ研修を受講し、チーム(チームオレンジ)を組んで、認知症の方が専門的なサービスを受けられるようになるまでの「空白期間」を支援するものです。
 
また「住まいの確保支援」は、京都府京都市や福岡県福岡市で進められているもので、社会福祉協議会などの「地域の支援団体」と不動産業者等が連携し、例えば「高齢者の見守りサービスを社会福祉協議会が行うので、安心して部屋を貸せる」(大家さんにとっては独居高齢者の健康状態などを考え、部屋を貸すことをためらうケースも少なくない)環境を整えるといった取り組みなどです。

もちろん、新たな「互助の基盤」づくりには、大きな障壁があります(住民自らに「助け合おう」という意識をもってもらうところから始めなければならない)。このため大島老健局長は、「まず生活支援コーディネーターを育成し、宮城県多賀城市のように、例えばお茶のみスペースを設けた街の商店について、地域の集いの場や見守りの場として機能する『お宝』であることを再発見するなどの取り組みから進めてはどうか」と提案しています。
 
こうした互助の取り組みも、前述した「インセンティブ交付金」の対象となるケースがあります。


医療・介護・福祉の専門家の知恵を借り、制度でカバーしきれない課題を解決する

 さらに(3)「知恵を出し合い」の部は、地域の医療・介護・福祉の専門家が集い、制度ではカバーしきれていない地域課題の解決を求めるものです。

この点、介護保険制度には「地域ケア会議」が位置付けられ、「個別事案を積み上げ、地域課題の解決につなげる」ことが求められていますが、「うまく地域ケア会議が機能しない」ケースも少なくないようです。厚労省はこの背景には、▼会議の目的などが共有されていない▼開催数が少なく、経験が蓄積されていない▼個別ケースの検討に終始してしまっている―という課題があると分析。

地域ケア会議の活性化に向けて、▼会議の目的を「その人(要支援者・要介護者)にとって普通の生活を取り戻すために、何ができるのか」という点に絞る(目的の明確化)▼市町村が主体的に地域ケア会議を数多く開催する(まず、やってみる)▼各種専門職の知恵とともに、介護保険サービス以外の資源(上述の生活支援コーディネーターなど)も広く活用する▼対応が欠けている施策については、市長村が制度化を行う―ことが提案されました。

例えば、愛知県豊明市や奈良県生駒市では、地域包括ケア会議の目的を可能な限りシンプルにし、明確化しています(「本人の望む自立は何か」→「自立阻害要因は何か」→「現在のサービス提供体制で解決できるか」など)。
 
また埼玉県和光市や長崎県佐々町では、日常生活圏域ニーズ調査(個別高齢者を訪問するなどした、形だけではないニーズの掘り起こし調査)に基づいて、地域住民のニーズを詳細に把握し、これを介護保険事業計画に反映させることで「ニーズにマッチした介護サービス体制の構築」が可能になっています。

もっとも、こうした取り組みをすべての市町村で今すぐに実施することは難しいでしょう。大島老健局長は「まず(1)の『集い』、(2)の『互い』を全市町村で進めてもらい、(3)の『知恵を出し合い』は余力のある市町村から実施してもらう」という考えも示しています。なお(3)の「知恵を出し合い」に関しては、都道府県による市町村のバックアップも重要な要素となります。

 
 なお、こうした「地域づくり」を進めるためには、市町村の体制整備や地域の風土づくりも重要となります。大島老健局長は、例えば▼担当課長・係長に、地域づくりに「向く人」を「長く」配置し、成果評価も長い目で行う▼「地域のことは地域で解決する」という自主性・自律性の認識を地域住民にも持ってもらう▼医療・介護の専門職や職能団体との良好な関係を構築する―ことなどを提案。さらに、上述したインセンティブ交付金や地域医療介護総合確保基金を活用することで「大規模な事業実施も可能となる」ことを紹介しています。

厚労省では、今後、市町村や都道府県と協議を行い、逐次、3部策のバージョンアップを行い、「地域づくり」の推進に役立ててもらいたいと期待を寄せています。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4279801022032019L60000/
地域医療維持へ日光の挑戦 病院連携、市の調整カギ
(北関東フォーカス)
 
ヘルスケア 北関東・信越
2019/3/22 22:00日本経済新聞 電子版

栃木県日光市や地元の病院、診療所が4月に地域医療連携推進法人を設立する。人口減と高齢化で地域の医療ニーズの変化が見込まれるなか、連携して地域医療の維持を目指す。病院間の役割分担をはっきりさせるのに加え、人材確保に共同で取り組むなどの目標を掲げる。ただ、母体の異なる医療機関が足並みをそろえるのは容易ではない。事務局を置く市の調整力が問われそうだ。

地域医療連携推進法人は2017年度に始まった新しい制度だ。設立する法人「日光ヘルスケアネット」は北関東で初、全国でも8番目となる。県医師会の太田照男会長は制度創設を知り、「日光地域にうってつけの仕組みだ」と直感したという。背景には市の厳しい医療環境がある。

少子高齢化の進展で市人口は45年に15年比で4割強も減る一方、75歳以上の割合は3分の1に達する見通し。県内の市町のなかでも人口構成の変化は著しく、急性期の患者の減少とがんや脳卒中といった疾患の回復期や通院が必要な慢性期の患者の増加が予測される。

日光市は平成の大合併で全国でも3番目に広い市となったが、市内に500床を超える総合病院はない。医療需要の変化には独協医大日光医療センターや今市病院など7つの民間病院が連携して対応する必要がある。足並みがそろわずに患者の奪い合いとなれば、「共倒れの可能性もある」と県医療政策課は危機感を募らせた。

急激な人口減は医師や看護師など地域医療の担い手確保にも痛手だ。鹿沼市も含めた県西地域で働く医師や看護師の人数(人口10万人当たり)は、いずれもすでに県平均を大きく下回っている。各病院ごとの採用では限界があり、奨学金の共同設立など連携を深める必要もあった。

県や医師会は18年1月、市や7病院などを集めた勉強会を始めた。当初は参加病院から「経営の自由度が奪われる」と不安視する声も上がったが、協議を重ねて懸念を払拭。1年余りで法人設立にこぎ着けた。28日の知事認定を経て、4月1日付でまず市と8病院3診療所が参画する形で発足する。

日光ヘルスケアネットの事業目標は患者の容体に応じた病院間の紹介・逆紹介に始まり、共同での採用・研修、医薬品購入、病床の融通など多岐にわたる。ある病院関係者は「患者の紹介・逆紹介については、当院などですでに取り組んでおり比較的スムーズに拡大できる」とみる。

その他の分野については病院経営に直結するだけに、実現までは曲折が予想される。人材確保などは現時点では全くの白紙で実施までに数年はかかる見通し。病院関係者のなかには「具体化は難航するのではないか」といぶかる向きもある。

法人設立を主導した県は認可者のため今後はオブザーバーに回り、協議のかじ取り役は法人の事務局を置く日光市が担うこととなる。ただ、公立病院を持たない市は医療行政に関する専門人材を欠く。県は3月末に退職する国保医療課長を事務局長として派遣するなどして支援する。

県医師会の太田会長は「日光モデルがうまくいけば、県内の他地域でも応用できる」と期待を寄せる。法人設立にとどまらない連携深化の成果を得られるのか、県内の医療関係者の注目も集まるなかの始動となる。

(宇都宮支局 上月直之)



https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019032202000151.html
【茨城】
なめがた地域医療センター 入院・救急受け入れ縮小へ
 
2019年3月22日 東京新聞

 JA県厚生連が四月から、運営する土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市)の病床数を五分の一に減らし、診療時間外の救急受け入れをとりやめる方針を示している。厳しい経営状況が理由。近く正式決定の予定だが、鹿行地域の医療の中核でもあり、地域医療への影響に不安の声が上がっている。(水谷エリナ)

 JA県厚生連によると、センターは二〇〇〇年六月に開院。内科や外科、産婦人科など診療科目は二十五科、病床数は百九十九床を数える。重症の救急患者に対応する三次救急医療機関として、救命救急センターに準ずる「地域救命センター」に県が指定している。

 経営的には開院から黒字はなく、本年度の赤字見込みは約五億円、累計で約六十億円に上る。医師確保も難しく、三次救急の受け入れができていない状況にもある。

 このため、四月から病床数を四十床に減らし、夜間や休日の救急受け入れをやめる。縮小分は本院の土浦協同病院(土浦市)で対応し、センターの外来は維持する。担当者は「土浦協同病院の強みを生かしたい」と説明する。

 一方、縮小方針に対し「事前の説明がなく驚き、いかがなものかと憤慨している」と本紙の取材に語るのは行方市の鈴木周也市長。「命に関わる問題で、地域医療の崩壊につながる恐れがある」と懸念する。

 鈴木市長によると、鹿行地域の医療においてセンターは大きな役割を果たしており、体制を維持してほしい思いは周辺の五市長間で共通しているという。今後の対応には「五市で県やJA県厚生連などに要望を続け、国にも要望したい」と話す。

 県医療政策課の担当者は「JA県厚生連との協議内容を踏まえ、対応を検討したい」としている。

意見交換会であいさつする額賀福志郎衆院議員(右から2人目)=行方市のなめがた地域医療センターで

◆機能縮小方針受け周辺市長ら 医療体制確保で協議へ
 土浦協同病院なめがた地域医療センターの機能縮小問題で、鹿行地域の市長や国会議員、県議が「鹿行地域医療に関する対策会議」をつくり二十一日、センター内でJA県厚生連と意見交換した。

 意見交換では、地域住民が安心できる医療体制をとれるよう、二〇二〇年三月末までに具体的な支援策をまとめることが決まった。JA県厚生連とは、土浦協同病院や地域の医療機関と連携して、現在の医療体制を維持できるよう協議することで合意した。

 対策会議は鹿嶋、潮来、神栖、行方、鉾田の五市の市長と衆院議員一人、県議三人で構成。座長には行方市の鈴木周也市長が就任した。今後、県や国などの関係部署の職員も加える方針という。(水谷エリナ)



https://www.medwatch.jp/?p=25193
わずか4か月で「地域医療支援病院」の基準満たした京都中部総合医療センター  
2019年3月20日|GHCをウォッチ MedWatch

 人口14万人弱の京都府南丹医療圏を支える急性期病院の京都中部総合医療センター(京都府南丹市、464床)。辰巳哲也病院長のリーダーシップの下、2019年1月から「地域医療支援病院」になりました。承認の背景には、短期間で医療連携を一気に推し進めた「驚異の4か月」があります。

 地域医療支援病院は、「かかりつけ医を支援する病院」として、1997年の医療法改正時に創設されました。診療所などで対応しきれない重症患者の受け入れや、高額な医療機器を共同利用できる機能などが期待されています(趣旨、役割、承認要件の詳細は下図参照)。

 二次医療圏当たり一つ以上存在することが望ましいとされている地域医療支援病院ですが、南丹医療圏は京都府で唯一、地域医療支援病院がない二次医療圏。同センターは、南丹医療圏で唯一、施設基準を満たす200床を超える急性期病院だったのです。

 辰巳病院長は、地域医療支援病院の認定に向けた取り組みを本格化させた2017年11月当時を、「僕はあきらめない人間なので、やると決めたら絶対にやる。今できないという人間は、来年もできない」と振り返ります。なぜなら、地域医療支援病院の認定を宣言した2017年度の半分が過ぎた2017年9月時点で、紹介率は45.7%(上図の承認要件③の目標50%)、逆紹介率は56.5%(同70%)。とても年度内に基準を満たすのは難しい状況だったからです。

 こうした状況下、同センターは限られた時間の中で、どのようにして地域医療支援病院の基準を満たすことに成功したのか――。辰巳病院長へのインタビュー記事も交えて、その全貌に迫ります。

 詳細は以下の記事タイトルと主なポイントをご確認いただき、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのホームページに掲載した事例紹介記事(『「地域医療支援病院」認定を決めた「驚異の4か月」舞台裏』)をご覧ください。

「地域医療支援病院」認定を決めた「驚異の4か月」舞台裏
今できなければ来年もできない
不安が希望に変わった瞬間
変わり始めた院内
増収効果5000万円
【病院長インタビュー】「患者のため」に勝る原動力はない
https://www.ghc-j.com/case/consulting/case-1905/



https://www.m3.com/news/iryoishin/667185
シリーズ 真価問われる専門医改革
23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り
厚労省・医師専門研修部会、「専攻医の不利益回避」は必要
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、3月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、4月から開始予定だった日本専門医機構認定の連動研修について、「開始を見送るべきではないか」と提案、了承された。内科、外科、放射線の3つの基本領域で、計23のサブスペシャルティ領域との連動研修が予定されていた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 参考人として出席した同機構理事長の寺本民生氏や、日本内科学会と日本外科学会の代表は、機構認定の連動研修を認めるよう要望したが、委員からは「専攻医の不利益にならない手立てが必要」という意見は出たものの、厚労省提案を認めた。

 寺本氏は本部会後、「4月からの連動研修については、プログラム通りに動いていただき、日本専門医機構としては(サブスペシャルティ領域との連動研修が)認められた段階で、追認できるようにデータを蓄積していきたい」と語った。早急に専攻医や研修の責任者らに電子メール等でその趣旨を伝える方針。3月28日には日本専門医機構の社員総会が予定されており、遅くともそれまでには対応する。今後、同機構は蓄積したデータを用い、サブスペシャルティ領域や機構認定の連動研修の在り方を検証するとともに、本部会で了承を得ることを目指す。


(2019年3月22日の「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」資料)
 卒後2年間の医師臨床研修が国の制度であるのに対し、2018年度からスタートした新専門医制度は、日本専門機構が運営する制度。新専門医制度が地域医療に影響する場合などに、国が同機構と基本領域を担う18学会に意見を言える仕組みは、2018年の医師法改正で新設された。サブスペシャルティ領域でも専門医数は、消化器内科は約1万4000人、循環器内科は約1万2500人であるなど、基本領域に匹敵する規模の領域があり、その在り方は地域医療に影響を及ぼす可能性が高い。

 新専門医制度は、基本領域とサブスペシャルティ領域の「二階建て」。連動研修は、基本領域の研修の一部に、サブスペシャルティ領域の研修を組み込み、トータルの研修期間を短縮するのが狙い。4月からの連動研修開始が見送られたのは、連動研修の在り方が問題視されたのではなく、そもそもサブスペシャルティ領域として何を認めるかが明確になっていないと判断されたため。

 日本専門医機構は、「サブスペシャルティ専門研修制度認定のための基準」(3月15日付)を本部会に提出したが、厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「根拠を持った、エビデンスベースの議論ができるような状況にあるかを考えてもらいたい。私はそうした状況にないと思っており、このままで進めると、地域医療への影響について、自信をもって大丈夫と言うことはできない。実際に研修を受けている専攻医の不利益をどう回避するかを併せて考えていくことを前提に、もう少し立ち止まって議論すべきではないか」と厚労省提案の理由を説明した。

 サブスペシャルティ領域の在り方は、前回の本部会でも問題視する声が出ていた(『「サブスペ、乱立は避けるべき」、一部の領域に不要論』を参照)。寺本氏は3月18日の記者会見で、23領域については連動研修の開始を認めてもらう方針を語っていたが、関係者が納得できるデータ等を示すに至らなかった(『23のサブスペシャルティ領域、厚労省審議会での「追認」目指す』を参照)。

 厚労省「機構はサブスペの状況を把握しているのか」
 寺本氏は、「質を担保しつつ、早期に専門医を社会に送り出すのが使命であり、その意味で連動研修を組み込んだ研修プログラムを作った」と説明。内科ではJ-OSLER、外科ではNCDという症例登録システムがあることから、連動研修の管理も可能であるなどと説明し、4月からの連動研修開始を求めた。日本専門医機構のサブスペシャルティ領域検討委員会委員長の渡辺毅氏も、「全てが連動研修ではない、また既に手を挙げている専攻医がいる」と述べ、「連動研修においては、サブスペシャルティ領域の研修が基本領域の研修を脅かす可能性がある」といった批判も当たらないとした。

 これに対し、委員からは連動研修に反対、もしくは懐疑的な意見が大半を占めた。日本精神科病院協会常務理事の野木渡氏は、「考え方が逆。連動研修ありきで作るよりも、サブスペシャルティ領域に行った時に専攻医が優秀だったら、(研修を)早めに切り上げることができるようにすればいいのではないか」と述べたほか、「消化器内科など分かりやすいものはいいが、それ以外は見直すべき」と指摘し、老年病などをその例として挙げた。

 長野県知事の阿部守一氏は、「今後、どんな専門医が必要なのかをしっかり考えて養成していくことが必要。地域に必要なのは、専門分化した医師ではなく、ジェネラルな医師であり、制度が適合しているのか」と問いかけた。

 一方で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授の片岡仁美氏は、「混乱を避ける必要がある」と述べ、23のサブスペシャルティ領域について、「ある程度、理解でき、歴史的な事実もある。老年病も大切な領域」と連動研修の開始を支持。

 その他にも、委員からさまざまな意見が出たが、厚労省医政局医事課は、この4月から都道府県が医師確保計画の策定を始めるなど、「サブスペシャルティ領域の在り方は、都道府県にとって非常に大きな問題。基本領域と同様に、サブスペシャルティ領域についても、どのくらいの専攻医がどのくらいの期間、どこで研修するかについて、法律上、都道府県に情報提供しなければいけない。日本専門医機構としてそれを把握しているかを聞かせてもらいたい」と質した。

 寺本氏は、「外科では、どのサブスペシャルティに行くかは把握しており、日本専門医機構は各領域から報告いただいている。内科でも、各学会でそれを把握している。それをわれわれの方に報告してもらう。それで数値は出てくるだろう」と回答。

 そこで議論を仕切る形で、強い口調で発言したのが佐々木課長だ。

 「既に専門研修を始めている方のことを一番大事に考えなければいけないが、今回の新専門医制度が1年間立ち止まって考えなければならなくなった原点を考えれば、やはり地域医療への影響がどうなっていくかが非常に重要。日本専門医機構として数字を把握しているとのことなので、できればわれわれも早くそれを拝見したい。都道府県にもデータを示して、地域医療への影響についての意見を聞く時間はぜひいただきたい。われわれは国会で決めた法律を施行する立場。機構がもしまだ持っておらず、各学会が持っているのであれば、それを早急に示してもらえるのかどうか、いつ示してもらえるのか、年度内と言っても、あと1週間と少ししかない。本当にその期間で示していただき、かつわれわれが都道府県の意見を聞くことができるかどうかも考えていただき、議論していただきたい。それで4月から初めていいのか、という結論を今日は出していただきたい」

 日本専門医機構や学会の反論も通じず

 佐々木課長発言に続き、聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内英子氏は、「いろいろ出ている意見をまとめ、またデータも4月までに出さなければいけない段階で、無理に初めてしまうことの方が、専攻医にとって不利益になると思う」と述べた。専攻医に配慮し、連動研修の制度ができた場合には、症例数を後付けで連動研修として認めることも保証した上で、サブスペシャルティ領域の議論を本部会で続けるべきだと主張した。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「連動研修の話は、ある時、突然出てきた。まだ懸念が払拭されない中で、見切り発車することは避けるべき。その後、皆が納得して認めていいという段階になってから始めるべき」とコメント。

 これらの意見に対し、日本専門医機構副理事長の兼松隆之氏は、「内科や外科では、サブスペシャルティ領域と連動研修をどのようにしていくかの話し合いをしている。長年の積み重ねがあって、ここまで来た。学会は23領域の連動研修が認められたということで、会員に通知して準備をしていると聞いている。連動研修を見送るのではなく、スタートさせることを考えてもらいたい」と求めた。

 しかし、日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「事務局案(厚労省案)に賛成。サブスペシャルティ領域は、関係者が納得しないと認められないことを理解してもらいたい」と返した。ただし、専攻医に不利益があってはいけないことから、「しっかりと研修の履歴を残して、日本専門医機構認定のサブスペシャルティ領域となった時に、それが生きる形にしてもらいたい」と要望。

 全国町村会副会長の棚野孝夫氏も、「時期尚早という思いはある。サブスペシャルティ領域の乱立を避け、分かりやすい形にすることが大事」と述べ、日本専門医機構がサブスペシャルティ領域候補となる102学会に、レビューシート(各学会が持つ専門医制度を確認するための書式)を送付したことを踏まえ、「辞退した学会は幾つあるのか。どのような基準で認定していくのか」と尋ねた。

 寺本氏は、「全てを認めるという意味ではなく、各学会がどんな専門医制度をやっているかをレビューシートで把握する。最終的に、サブスペシャルティ領域として認めるか否かは透明性を持って示す」と答えた。

 続いて日本内科学会の前専門部会長の宮崎俊一氏も、「相当慎重にサブスペシャルティ領域を承認したといういきさつがある。非常に長い期間で形成されたものであることを理解してもらいたい。それこそが社会に浸透したことの裏返しではないか」などと現状を説明。連動研修についても、地域医療が悪化しないよう、研修期間もフレキシブルな設計にしていることなどを訴え、開始を認めるよう求めた。

 ここで再び、佐々木課長が発言。まず「参考人の意見も貴重だが、委員の意見で決めてもらいたい」と求め、その上で次のように続けたのだった。

 「根拠を持った、エビデンスベースの議論ができるような状況にあるかを考えてもらいたい。私はそうした状況にないと思っており、このままで進めると、地域医療への影響について、自信をもって大丈夫と言うことはできない。実際に研修を受けている専攻医の不利益をどう回避するかを併せて考えていくことを前提に、もう少し立ち止まって議論すべきではないか」

 これを受け、遠藤座長が次のように提案し、異論が出ず、議論は終了した。

 「われわれは地域医療への影響を考え、厚労大臣に伝えなければいけない。データが出ておらず、十分なプロセスを踏むことができず、4月からの日本専門医機構認定の連動研修を開始することを認めていいのか、というのが、厚労省提案の一番目。二番目は、その連動研修の在り方について、基礎的な分野についておろそかになるのではないか、地域偏在を招くのではないかなどの懸念について、機構に検証をしていただきたいということ。さらに、サブスペシャルティ領域をどう考えるかという議論がまだ続くので、本部会でも検討を進める。これらが厚労省の提案であり、さらに委員からは専攻医に不利益が生じないような手立てを講じてほしいという意見があった。この案について特段、反対、意見がある方はいるか。なければ、『専攻医の不利益を回避する』という一文を入れて、厚労省の原案をこの部会の結論としていいか」



https://www.m3.com/news/iryoishin/666898
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外 「1860時間」に反対、厚労省に要望書提出
「医師の働き方を考える会」、署名も5500人超す
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師をはじめとする医療関係者らで構成する「医師の働き方を考える会」は3月22日、医師の時間外労働の上限を「1860時間」ではなく、他の職種と同様に、過労死ライン(960時間)を目安とすることなど、4項目から成る要望書を厚生労働省に提出した。同会が実施している「1860時間」への反対署名も、5500人を超えたという。同会は3月25日にも、自民党厚生労働部会長の小泉進次郎氏に要望書を提出予定だ。

 提出後の記者会見で、同会の共同代表で東京過労死家族会で活動する中原のり子氏は、厚労省医政局長の吉田学氏宛に提出し、懇談したことを説明。「医師の過労死があってはならないが、今のこの働き方では過労死は減らないのではないか」と危機感を募らせ、過労死した遺族の苦しみなどを吉田局長に訴えたという。厚労省の検討会では、時間外労働を過労死ラインの年間960時間の2倍近い1860時間とする方向で議論されている(『医師の働き方改革、報告書取りまとめへ大詰め』を参照)。

 吉田局長は、「世の中から医師の過労死をなくそうという点では、医政局も全く同じ立場。現状の労働時間がいいとは思っていない」と受け止めたものの、「他方で地域医療は大事で、さまざまな工夫がいる」と述べ、3月末までに検討会の報告書をまとめるのは、規定路線だと説明したという。さらに、▽医学生からSNSやメールで多数意見が寄せられており、真摯に受け止めるものの、中には制度を誤解しているケースがあり、正確な情報発信に努めていく、▽今後、2024年度の時間外労働の上限規制が始まる2024年度に向けてさまざまなルールづくりが必要になるとともに、それ以前の段階でも長時間労働をなくするためのさまざまなプロジェクトを実施していく必要がある、▽在職中の医師の過労死数等について、どんなデータがあるか、把握が可能か調べてみたい――と語ったという。

「医師の働き方を考える会」 の要望書
1.時間外労働上限は他の職種と同様に過労死ライン(脳・心臓疾患に係る労災認定基準)を目安とする。
2.医療機関に宿日直許可状況など36協定の内容公開と、当直を含めた医師の就労データ収集と公開を義務付ける。
3.過労による健康被害を予防する対策については、産業医の面談に留まらず、適切な対応を行うことを医療機関に義務付けるとともに、時間外労働上限が960時間を超える状況であっても、健康被害が発生した場合の労災認定基準は960時間であることを報告書に明記する。
4.労務管理違反に対する管理者への罰則規定適用を徹底し、その監督を行い、労働者からの相談を受け付ける第三者機関を設置する。

 会見には、筑波大学医学群医学類6年生の前島拓矢氏、都内の病院に勤務する30代の産婦人科医、全国医師ユニオン代表の植山直人氏、過労死問題を長年扱ってきた弁護士の尾林芳匡氏が出席。

 前島氏は、この4月からの初期臨床研修を前に、「ちゃんと人間らしい生活ができるかが不安。時間外労働の上限は1860時間なので、過重労働させられる懸念がある。厚労省は若い世代の声を反映してもらいたい」と訴えた。専門を選ぶ際、希望の診療科があっても、長時間労働を懸念し、避けることを考える医学生もいるという現実を説明。

 産婦人科医は、今回の働き方改革で、労働時間管理等が始まること自体は一歩前進であるものの、「1860時間」については、医療安全を守る観点からも「危ない」水準であると指摘した。「長時間労働で、仲間を亡くすことは二度とあってはならない」と心情を述べたほか、産婦人科や救急など、激務とされQOL悪いイメージがある診療科に若手が来なければ、現場は一層激務に陥る「負の循環」になることが懸念されるとした。

 植山氏は、「1860時間」は、憲法上、労働基準法上で問題があるとした上で、研修医等が該当することについて、「根拠がないのではないか。EUではこうした基準が設けられていないのに、なぜ日本だけが、過労死ラインの2倍の基準なのか」と指摘した。

 尾林氏は、約30年過労死の救済に取り組んできた立場から、今の過労死水準である「1カ月当たりの時間外労働80時間」は、厚労省自身が、医学的な知見を基に定めたものであるにもかかわらず、なぜ医師だけが「1860時間」が認められるのかと問題視した。

 「自ら命を断ってしまった医師も現実に複数存在」
 要望書では、先の4項目を解説として、「医療体制を守るためとはいえ、医師という職種のみ、基準を変えることは妥当ではないと考える。働きすぎ、健康を害し、自ら命を断ってしまった医師も現実に複数存在する。生命を守ることを職務とする医師として、二度と同様のことが起こることは看過できない」と訴えている。

 現在、医師の労働時間や宿日直、各々の医療機関における36協定の締結状況などを把握していない医療機関も少なくないことから、これらの把握は働き方改革を進める上で不可欠であるため、データを収集し公開とすることも求めた。

 ただし、一部の医療機関では、960時間を超える労働によらなければ医療の安定提供ができない場合も存在すると考えるとし、このような労働状況に際しては、健康被害予防として産業医による面接にとどまらず、積極的に休息を取らせるなど、より厳重な対策を講じることを明記することを求めた。その他、▽規定時間である時間外960時間を超える勤務を行い健康被害が起こった場合には、労災とすることを明記、▽労働者である医師の保護の観点から、36協定締結時に管理者から不当な圧力がかかり長時間労働が強制されないよう医療機関を監督する、▽労働状況に関し労働者が相談できる窓口の設置、▽雇用者罰則規定の適応の徹底――などを要望。



https://www.medwatch.jp/?p=25449
消化器内視鏡など23学会・領域のサブスペ認定に理解を求める、専攻医は安心して連動研修実施を―日本専門医機構  
2019年3月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度における「サブスペシャリティ領域」(2階部分)について、内科・外科・放射線科の各基本領域から「サブスペシャリティ領域とすべき」とされた23学会・領域(後述)は、日本専門医機構がすでに「認定済」である。今後、医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」で追認してもらうべく、各学会・領域の社会的意義などについて説明し、理解を得られるよう努力する―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は3月18日の定例記者会見で、このような考えを述べました。

 なお万が一、医師専門研修部会での追認に遅れが生じたとしても、「遡及追認」などにより専攻医の研修に影響が出ないような対応が図られる見込みであり、寺本理事長はメディ・ウォッチらに対し「安心して連動研修に臨んでほしい」と強調しています。
 
機構がすでに認定した23サブスペ学会・領域、社会的意義を改めて医道審に報告
 新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタートしました。以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

 サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認定する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認定することとなっています(例えば、地方の中核的病院で標榜されている診療科や、国民の「どこに専門医がいるのか知りたい」とのニーズの強い診療科など)(関連記事はこちらとこちら)。

 ところで、内科・外科・放射線科の各基本領域では、一部の学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推し、すでに日本専門医機構で「サブスペシャリティ領域とする」との認定を行っています。具体的には、以下の23学会・領域で、例えば、「消化器病」では、基本領域の「内科」と連動した研修(内科・消化器のいずれの領域でも重症な症例を経験した場合、内科と消化器病のいずれにおいても「経験済」とカウントするなど)を実施することで、より効率的な研修が可能となり、より早期に専門医資格を取得し、優れた医療を国民に提供できるようになると期待されています(連動研修はこの4月(2019年4月)からスターとします)。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―
 
 
しかし、2月22日に開催された医師専門研修部会では、この認定済の23学会・領域に対し「一部(消化器内視鏡など)、国民にとって分かりにくいものがあるのではないか」「整備基準(サブスペシャリティ領域として認定するための基準)をまず策定し、その上で認定を行うべきではないか」との意見が出されました(いわば「待った」がかかった)(関連記事はこちら)。

こうした意見を踏まえて寺本理事長は、23学会・領域の社会的意義を改めて整理し、3月22日開催予定の医師専門研修部会で「23学会・領域をサブスペシャリティ領域として認めることの必要性・重要性・妥当性」を説き、理解を得たいとの考えを強調しています(追認を求める)。

なお、これら23学会・領域については、すでに機構において「サブスペシャリティ領域」としての認定を受けています。新専門医制度では「プロフェッショナルオートノミー」の下に制度が構築され、ただし「地域医療に悪影響がある」ような場合には、厚生労働大臣の意見を踏まえて制度の見直しを行うことになり、医師専門研修部会で「まだ追認について結論を出せない」との見解が示される可能性もゼロではありません。

この場合、これら学会・領域の研修がどうなるのか気になりますが、23学会・領域の各研修プログラムは連動研修を念頭に置いて組まれていることから、仮に「未確定」であっても4月から連動研修をスタートし、後に「遡及して追認する」など、専攻医に不利益が生じないような対応が図られることになるでしょう。寺本理事長は、メディ・ウォッチらに対し、「23学会・領域で研修を受けている専攻医も、安心して研修に臨んでほしい」とのメッセージを述べています。

 
なお、新専門医制度において、初めての基本領域の研修は、基幹病院と連携施設とで、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を受ける「プログラム制」が原則とされています。

しかし、地域枠出身の医師(勤務地が限定される)や、出産・育児・介護などのライフイベントによって定められた年次の研修を受けられない医師、パワーハラスメントなどを受け別の施設での研修が必要となる医師などでは、期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医試験の受験資格を認める「カリキュラム制」の研修を選択することも可能で、2019年度には、80名程度の専攻医が当初からカリキュラム制を選択すると見られています。
 
日本専門医機構では、すでに「1か月フルタイムでの勤務を1単位とし、プログラム制研修と同等以上の単位取得等を新専門医資格取得試験の要件とする」などの方針を固めていますが(関連記事はこちら)、基本領域学会では「カリキュラム制研修の整備基準」がまだ整っていません。この点について寺本理事長は、各学会の整備基準策定は「6月頃になる」(2019年6月頃)になるとの見通しを明らかにしました。カリキュラム制の専攻医も4月から各病院研修をスタートし、「整備基準の策定後に、4月に遡って単位が認定される」(4月から整備基準策定までに経験した症例などは、すべて認定される)ことになる見込みです。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/201903/560244.html
私の視点
「専門医数のシーリングは意味がない」
全国自治体病院協議会名誉会長邉見公雄氏に聞く
 
2019/3/18 聞き手:山崎大作=日経メディカル

へんみ きみお氏
1968年京都大学医学部卒。京都逓信病院などを経て、87年赤穂市民病院院長。2008 年から2018年まで全国自治体病院協議会会長を務めた。全国自治体病院協議会名誉会長、赤穂市民病院名誉院長。


 全国自治体病院協議会(JMHA)の会長として、新専門医制度について「医師の偏在を進め、地域医療に対して悪影響を与える」と指摘し続けてきた邉見公雄氏。それを回避するために、都市部の専攻医の数にシーリング(上限)を設けるよう働きかけてきたが、昨年末、その考えを変えたという。

─長年、新専門医制度が施行されると地域医療が崩壊するという主張をしてこられました。

 新専門医制度は「良い専門医を作る」「国民に分かりやすい専門医を作る」のが目的だが、その副作用として地域医療が崩壊する。その考えは今も変わらないが、これまでは東京都など医師の集まる都市部の専攻医の数にシーリング(上限)を設ければ医師の集中を緩和できると思っていた。

 だが昨年末、希望する地域での研修に外れてしまった専攻医の話を聞き、考えを改めた。シーリングで選から漏れた専攻医は、他の地域で研修するのではなく、浪人して次年度に受験したり、診療科を変えて元々希望していた地域に残っていた。シーリングさえかければ、都市部への医師集中に歯止めがかけられると思っていたが、全くそんな効果はなかった。

 各学会は「東京など都市部に所属する専攻医が、周辺の地域にローテートするので問題ない」と主張しているが、逆に地方の専攻医が東京に研修に来ている。学会の言い分は必ずしも正しくない。昨年、徳島県と佐賀県の小児科専攻医は0人だった。このような事態が続けば、当該県のその診療科は滅びる。大学に医師がいなくなって、教授にも当直が課せられるようになっては問題だ。

 我々が頭で考えていることと、当事者が考えることは異なる。我々は「住めば都」と考えてきた。今の若い医師たちは「都に住みたい」という思いが強いようだ。

─多くの症例を経験できる都市部に専攻医が集中するのはやむを得ないのではありませんか。

 職人気質の医師にとって、自分の専門領域のことだけを集中して勉強したい時期があるのは分かる。私もそうだった。勉強熱心な専攻医たちが、より良い教育が受けられる地域や施設に集まるのは当然のことだ。大学以外の場にも多くの専攻医を集めるために、1つの都道府県内に基幹施設を複数設置する試みもあるが、専攻医が集まるのは、いい指導医がいる特定の医療機関だけだろう。

 専門医の養成に当たっては、まず国がそれぞれの専門医の必要数を提示すべきだ。それに応じて学会が地域ごとの定員を定めればいい。それなら、地域住民も納得するはずだ。専門医数を絞って、その分、総合診療に従事する医師を増やす。地方では専門医よりも総合診療医の方が求められているのだから。現在、1年間に専攻医の研修プログラムに進む8500人のうち、総合診療を専攻するのは160人程度しかいない。せめて500人は超えてほしい。

─地方の医療提供体制の現状についてどう評価されていますか。

 北海道や九州の病院を訪ねると、院長や事務長が医師探しに飛び回っていて病院にいない。ダメな医者でもクビにできない状況になっている。とにかく頭数が必要だからだ。都市部と地方とで、住民は同じ保険料を支払っているにもかかわらず、地方ではまともな医療が受けられない。344の二次医療圏のうち、お産ができない医療圏が約50もある。

 都市部では医師を選べるが、地方は医師を選べない。「どんな医師でもいてくれればいい」という地域と、ドクターショッピングができるほど潤沢に医師がいる地域との差が激しすぎる。医師が少ない地域では、仮にいい専門医がいたとしても、その専門性で助かる患者は年に1人いるかどうか。むしろ、けがをしたときに縫ってくれる、吐いているときに制吐薬を注射してくれる、痛みがあるときに痛み止めを処方してくれる、そんな医師が求められる。研修医でもいい。地方はそんなに技術的に優れた医師を求めているわけではない。

─では、医師の地域偏在はどのように解決していけばよいのでしょうか。

 若い人が勉強したいというのを止めることはできない。大学入試の時点で将来働く場所を決めておくか、開業の際に地方での勤務経験を必須の条件にするか。その2つしか選択肢はないのではないか。

 大学医学部は東京都に集中している。これを一部移転し、自治医科大学方式にして全寮制で教育すればいい。東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部が新設された際には、そのような特色のある大学になることを期待したのだが……。

 とはいえ、若い人ばかりに偏在対策を押し付けるわけにはいかない。だから、ベテランになって開業する際に、地方での勤務を義務付ければいい。例えば、都市部で開業するなら、専門と関係なく離島などで 2~3年、総合診療医として働いてもらうのはどうか。地方は給与が高いことが多いので開業資金をためるのにも役立つ。

 現在、新専門医制度では、5都府県で専攻医の採用数にシーリングをかけているが、東京でも多摩地区などでは医師が不足している。都内でも全ての地域で医師が充足しているわけではない。住民人口に応じて医師を配置するという方法もあるが、鳥取県など幾つかの県の人口は東京都の世田谷区1区よりも少ない。人口密度が低い地域では医療へのアクセスが非常に悪くなってしまう。考えれば考えるほど難しい問題で、最終的には政府と国民が決めるべきことだと思う。



https://www.medwatch.jp/?p=25420
重症患者割合の向上に向け、地域連携の強化による「医師からの患者紹介」をさらに重視せよ―2017年受療行動調査(確定数)  
2019年3月18日|医療・介護行政全般 MedWatch

 入院患者の過半数、外来患者の4割り近くは「医師からの紹介」で病院を選択しており、重症患者の獲得が重要となる中では、「地域の医療機関との連携」をさらに強化する必要がある。また、入院患者が「不満」に感じる事項として「食事関連」などがあげられ、高齢の入院患者の増加に伴い「説明を受けていない」と感じる患者も1割近くいることなどを冷静に受け止める必要がある―。

 こういった状況が、厚生労働省が3月15日に公表した2017年の「受療行動調査(確定数)の概況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(2017年の概数の分析記事はこちら)。

ここがポイント!
1 患者が病院を選ぶ際の最大の理由は「医師の紹介」である
2 入院では「食事」や「プライバシー」、外来では「待ち時間」で患者の不満大きい
3 入院患者の1.8%は「医師から説明を受けていない」と感じていることを受け止めよ
4 特定機能病院でも8%超の患者が、いわゆる社会的入院
5 特定機能病院でも、3割の患者が依然「紹介状」持たず


患者が病院を選ぶ際の最大の理由は「医師の紹介」である
 受療行動調査は、3年に一度、一般病院の患者を対象として「受療の状況」や「医療への満足度」などを調べるものです。すでに昨年(2018年)9月に概数が公表されており、重複部分もありますが、改めて調査結果を眺めてみましょう。

今般の2017年調査は、2017年10月に14万5700人(入院5万188人、外来9万5512人)から回答が得られました。患者の受診している病院の内訳は、次のとおりです。
▼特定機能病院:26.4%(入院29.8%、外来24.6%)
▼500床以上の大病院:33.6%(入院35.2%、外来32.8%)
▼100-499床の中病院:24.4%(入院22.7%、外来25.3%)
▼99床未満の小病院:8.2%(入院4.3%、外来10.2%)
▼療養病床を有する病院:7.5%(入院8.0%、外来7.2%)

 まず「病院を選んだ理由」を見てみると、入院・外来のいずれでも「医師による紹介」が最も多くなりました。外来では38.1%、入院では51.6%にのぼっています(複数選択)。

 2018年度の診療報酬改定では、入院料等の報酬体系が大きく見直され、看護配置などの「基本部分」と、重症患者受け入れ状況などの「実績部分」を組み合わせるものとなりました。急性期病棟はもちろん、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟、さらには療養病棟においても「重症患者をどれだけ多く受け入れている」かが報酬設定の重要要素となっています。今般の調査結果からは、「重症患者の受け入れには、他院からの紹介が極めて重要な要素である」ことが裏付けられています(関連記事はこちら)。

 また入院では▼専門性の高い医療の提供:25.7%▼医師・看護師が親切:25.0%—などが、外来では▼交通の便:27.2%▼専門性の高い医療の提供:24.1%—などが病院選択の重要要素となっていることも分かります(複数回答)。
 
 さらに病院情報の入手元として、入院では▼家族・知人・友人の口コミ:72.2%▼医療機関の相談窓口:25.1%▼医療機関の発するインターネットの情報:14.5%―などが、外来では▼家族・知人・友人の口コミ:70.5%▼医療機関の発するインターネットの情報:21.2%▼医療機関の相談窓口:16.4%▼医療機関・行政以外のインターネットの情報:12.1%―などが多くなっています(複数回答)。

 自院の機能等について、病院のホームページやパンフレットなどでPRすることも非常に重要な時代になっています。
 

入院では「食事」や「プライバシー」、外来では「待ち時間」で患者の不満大きい

 次に、患者の「満足度」を見てみると、全体では、入院患者の67.8%、外来患者の59.3%が「満足」と答えており、「不満」と感じる人は入院・外来ともに4.3%にとどまっています。

 病院の種類別に、「満足」と答えた入院患者の割合を見てみると、▼特定機能病院:76.7%▼大病院:74.8%▼中病院:69.9%▼小病院:67.4%▼療養病床を有する病院:63.5%—となっておいます。

逆に「不満」と答えた入院患者の割合は、▼特定機能病院:3.5%▼大病院:3.4%▼中病院:4.0%▼小病院:4.2%▼療養病床を有する病院:4.9%—となっています。

大規模な病院ほど、「満足」度が高まり、「不満」を感じる患者が減る傾向があります。これは病院選択時点ではなく、入院中の患者の見解であり、冷静に受け止める必要があります。
 
また項目別の満足度(「満足」と答えた患者の割合)を見てみると、入院では▼医師による診療・治療内容:70.7%(3年前の前回調査に比べて1.0ポイント向上)▼医師以外のスタッフの対応:70.0%(同0.4ポイント向上)▼医師との対話:65.9%(同0.7%向上)―で高く、▼食事内容:43.5%(同0.9ポイント低下)▼病室でのプライバシー保護:56.1%(同0.2ポイント低下)▼病室・浴室・トイレ等:57.0%(同0.2ポイント低下)―では、やや低めになっています。満足度の高い項目では、より満足度が高まり、低い項目では低下しており、「食事などでの工夫」が「選ばれる病院」としての重要要素になってきそうです。

 一方、外来では、▼医師以外のスタッフの対応:58.9%(同0.3ポイント向上)▼医師との対話:57.2%(同1.0ポイント向上)▼医師による診療・治療内容:55.5%(同1.1ポイント向上)―で満足度が高い状況は入院と同じですが、満足度そのものは入院に比べると低めに出ています。

また、外来でとくに満足度の低い項目として、「診療までの待ち時間」(28.9%)があげられます。病院の種類別に見ると、▼特定機能病院:満足22.9%・不満37.8%▼大病院:満足23.7%・不満35.2%▼中病院:満足26.5%・不満27.7%▼小病院:満足37.2%・不満18.7%▼療養病床を有する病院:34.7%・不満18.4%—となっており、大規模病院で「待ち時間に不満を感じる人が多い」傾向にあるようです。

もっとも、「軽症で紹介状を持たずに、かつ予約をせずに特定機能病院や大病院を訪れ、結果として待ち時間が長くなっているのではないか」との疑問も生じます。軽症患者が特定機能病院等の外来に多く訪れれば、本来「特定機能病院を受診すべき重症な紹介患者」の医療アクセスを阻害してしまうほか、医師の外来負担を重くすることにもなります。「医師の働き方改革」においては、「患者が上手に医療機関を受診するよう促していく」ことが非常に重要な施策の1つに位置付けられており、「適正な外来受診」をさまざまな機会を通じて周知していくことが重要でしょう。
 
なお、入院期間が長くなるにつれ、患者の満足度は下がっていきます。いかに整った療養環境であっても、「自宅の気楽さ」などには勝てず、「入院期間の長期化によって患者のQOLが下がっていく。より早期の退院がQOL向上にとって重要である」ことが再確認できます。
 

入院患者の1.8%は「医師から説明を受けていない」と感じていることを受け止めよ

 さらに、入院患者が「医師からの説明」をどのように感じて、受け止めているのかを見てみましょう。

 診断や治療方針にについて「医師から説明を受けた」と答えた患者は、入院・外来ともに95%程度に達しているものの、1-2%程度の患者が「説明を受けていない」と答えていることが分かりました(入院では1.8%、外来では0.6%)。

医師からの説明がなされない事例はなかなか考えにくいですが、患者と医師とでは知識量等に圧倒的な差があり、医師が「説明した」と思っても、患者が「説明を受けていない」と感じるケースがあると考えられます。高齢化が進行し、認知機能や聴力等が低下した患者が増える中では、こうしたケースがますます増加すると考えられます。一方で、説明を「主治医」のみが行うとすれば、その負担が過重になります。現在の医療はチームで行われており、主治医以外の医師、看護師・薬剤師などのメディカルスタッフ、さらにソーシャルワーカーや事務職員も含めた全てのスタッフが協働し、患者への説明についても可能な範囲でのタスク・シェア、タスク・シフティングを進めていくことが必要でしょう。

 さらに、医師の説明が十分であったかどうかを見てみると、「十分であった」と感じた患者は入院66.7%・外来59.7%にとどまり、入院の26.6%、外来の34.7%は「まあまあ十分であった」、入院の6.7%、外来の5.7%は「十分ではなかった」と答えています。こうした点からも、患者への説明に関するタスク・シェア、タスク・シフティングの重要性が伺えます。・
  
一方、患者が「説明に対する疑問や意見を医師に伝えられたかどうか」を見てみると、入院の83.3%・外来の88.8%は「十分に伝えられた」としていますが、入院の6.9%・外来の6.2%は「伝えられなかった」と感じていることも分かりました。「伝えられなかった」背景には、「時間が限られている」「気おくれしてしまった(医師にこんなことを聞いてよいのかわからない)」など、さまざまな要素があると考えられます。疑問の放置は、満足度の低下につながることはもちろん、「医療の質」にも関係するケースが少なくありません(痛みを我慢してしまうなど)。外来では「相談支援窓口」の設置や周知、入院では「患者に最も身近な看護師の工夫や気配り」(日々の会話の中から、疑問点をピックアップする意識を持つ)などが重要でしょう。
 

特定機能病院でも8%超の患者が、いわゆる社会的入院

ところで、入院患者が「今後の治療・療養」についてどのような希望を持っているのかを見てみると、「完治するまでこの病院にいたい」という声が特定機能病院でも44.7%あり、「他の病院や診療所、介護施設などへの転院・退院」を希望する声はそれぞれ数%にとどまっています。
 
これが病院・病床の機能分化・連携を阻む壁の一つとなっているとも考えられます。例えば、急性期治療を終えた患者に「ここでの治療は終わったので、より自宅に近いリハビリ病院に転院してはどうか」と提案すると、患者・家族は「大病院に見捨てられた」などと感じることもあるかもしれません。また、こういった事態が「患者切り捨て」と報道されてしまうこともあります。

「医療提供体制の在り方」について。一般国民・患者に分かりやすく周知していくことがこれまで以上に必要でしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 
なお、退院許可が出た場合でも「自宅療養ができない」患者(いわゆる社会的入院)の割合を見ると、全体では23.6%(3年前の前回調査から2.3ポイント減少)で、病院の種類別では、▼特定機能病院:8.3%▼大病院:10.0%▼中病院:14.7%▼小病院:20.6%▼療養病床を有する病院:35.1%―となっています。
 
徐々に減少はしているものの、入院患者の2割、特定機能病院でも1割近くが「社会的入院」であることは、依然として大きな課題です。なお、同居人のいる場合「社会的入院の割合は18.0%(一般病床に12.4%)にとどまりますが、同居人のいない場合には35.4%(同26.6%)に跳ね上がり、「家族介護」という要素が重要になってくることを再確認できます。
 
自宅療養できない理由を見ると、▼入浴や食事などの介助サービス:39.7%▼家族の協力:31.9%▼療養に必要な用具(車椅子、ベッドなど):25.0%▼緊急時の医療機関への連絡体制:23.0%▼医師・看護師などの定期的な訪問:22.7%▼療養のための指導(服薬・リハビリなど):21.9%—など多岐にわたっています。

しかし、これらの中には、例えば「車医師や介護用のベッドなどでは、介護保険の福祉用具貸与により自己負担が軽減される」、「訪問診療や訪問看護については、多くの地域では適切な紹介によりサービスが確保できる」など、既に制度的な手当てがなされており、患者・家族により十分な説明を行うことで解決可能な部分もあります。

一方で、「家族の協力」などは病院側ではいかんともしがたく、他分野からの支援や協力など、より広範な「退院支援」「自宅療養の支援」策を検討する必要もありそうです。

特定機能病院でも、3割の患者が依然「紹介状」持たず

最後に、外来患者が「最初にどの医療機関を受診したか」を病院種別に見てみましょう。

「最初から、今日来院した病院を受診した」、つまり他院からの紹介などを受けていない患者の割合は、▼特定機能病院:30.4%(前回調査から6.3ポイント減)▼大病院:40.2%(同7.5ポイント減)▼中病院:56.2%(同3.4ポイント減)▼小病院:64.6%(同0.7ポイント増)▼療養病床を有する病院:64.1%(同2.5ポイント減)—となっており、特定機能病院や大病院では「他の医療機関からの紹介患者」が増加していることが確認できました。外来の機能分化が進んでいることが分かります。
 
 ただし、「依然として3割の患者は特定機能病院を紹介状を持たずに受診している」と見ることもできます。こうした患者から、「なぜ、身近なかかりつけ医などを受診せず、直接に大規模病院を受診するのか」「紹介状を持たずに受診した場合の特別料金をどう感じているのか(負担にならないと感じているのか、いくらであれば負担と感じるのか)」などを詳しく聴取し、さらなる外来機能分化に向けた取り組みの基礎資料とすることも重要でしょう。
 



https://www.m3.com/news/iryoishin/663311
シリーズ 平成の医療史30年
大学の研究力低下、二つの“荒波”が原因【平成の医療史30年◆大学編】
清水孝雄・前東京大学医学部長に聞く◆Vol.1
 
スペシャル企画 2019年3月22日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 臨床、教育、研究――。これら3本柱を担い、医療をけん引している大学医学部とその付属病院。平成の時代を振り返ると、論文数が伸び悩むなど、日本の大学の相対的な研究力低下が指摘されている(『2000年代以降、科学立国の危機に』を参照)。2007年度から4カ年にわたり東京大学医学部長を務めた清水孝雄氏は、1990年代に進んだ大学院重点化のほか、国立大学については2004年度の法人化による運営費交付金削減という、二つの“荒波”がその原因と見る。清水氏に、大学を取り巻く研究環境がこの30年間にどのように変わったのか、お聞きした(2019年1月7日にインタビュー。全2回の連載)。

――大学の研究環境を変えた一つが、1990年代に進められた大学院重点化かと思います。


清水孝雄氏は、国立大学の研究力低下の一番の要因は、2004年度の国立大学の法人化にあるとみる。
 一般論ですが、大学院重点化には、二つの大きな問題があると思います。一つは、定員を増やしすぎたこと。大学院生の定員を学部生の1.5倍程度に設定し、全国的には重点化前の2.5倍になりましたが、教員の増員はなかったため、教員一人当たりの仕事は増えたため、研究の質低下につながった。「1.5倍」は明らかに多すぎだったでしょう。大学院生を増やすのだったら、教員数を増やし、それなりの設備も充実させなければいけないと思うのです。しかも、文科省からは、「1.5倍」とした定員を充足させていないと、いろいろと注文を付けられるので、学力が十分に伴わない場合でも入学させていたケースもあるでしょう。「大学院生の適正な数はどのくらいか」について、十分な議論がなされなかったのです。

 もう一つの問題は、大学院重点化の際に、講座の数を増やしたため、小規模の講座に細分化してしまったことです。それまでは「教授と准教授が各1人、助教2人」といった単位が普通でした。特に生命科学の分野ではチームで取り組む研究が多く、そうした体制が必要だったのですが、重点化に伴い、「教授または准教授1人、助教1人」といった講座が増えたのです。PIの数が増えることは良い、という発想があったと思います。

 大学院重点化は、「教授ポストが増え、ありがたい」ということで、飛び付いた大学が多いのですが、小所帯の講座に大学院生がたくさん入ってくる事態を招いてしまった。大型研究費をたくさん確保できる講座は、ポスドクや研究員などを雇用することができますが、そうでない講座は運営が相当大変になったと思います。

――そもそもなぜ大学院重点化を進めたのでしょうか。

 学部だけではなく、大学院で研究すれば、研究力が上がる――。もともとはナイーブな発想からだったと思うのです。しかし、やり方に問題があった。

 ただ東大医学部について言えば、臨床系は、例えばもともと大きな講座だった第三内科を糖尿病代謝、循環器内科、血液内科などと細分化して教授を増やしたため、それに対応するだけのスタッフを確保できました。一方、基礎の講座はあまり変えませんでしたので、臨床系と基礎系ともに「教授と准教授、助教最低2人」という体制は基本的には維持できました。

――大学院重点化についての見直しなどは、行われていないのでしょうか。

 二つの講座が協力して、機能的には一つのユニットとして運営したり、教授が二つの講座を兼任するなどの工夫をしているケースはあると思います。また、大学院生数の適正化も開始されています。

――大学院重点化で、本来の目的である研究力強化にはつながったのでしょうか。何をもって研究力とするかは難しいところですが。

 トップジャーナルに掲載された論文数などは、米国はもちろん、中国などでもどんどん伸びているのに対して、日本では増えないどころか減っています。先進国の中で、生命科学分野を含め、トータルの論文数が減っているのは、日本くらいではないでしょうか。

――中国をはじめ、欧米以外の国でも研究が盛んになり、かつテクノロジーの進歩で研究のスピードが上がる中で、大型研究費を獲得し、チームで取り組むべきところ、小規模の講座では太刀打ちができなかったのでは。

 そうですね。規模の大きい講座においては、研究テーマを分けてグループで取り組むことはできますが、反対に講座を細分化してしまうと、それらを統合することは簡単ではありません。

 さらに研究力の低下について言えば、やはり一番の原因は、2004年度の国立大学の法人化です。いつまでも国立大学のままであるのは、あまりいいことではないので、法人化は必要だったと思いますが、運営費交付金が毎年1%ずつ減らされているのに加えて、教員の定員も同様に毎年1%程度ずつ削減されたのが問題でした。これら二つはかなり致命的です。現実には大学単位ではなく、各学部単位で定員削減が進められましたが、医学部の場合、実収入につながる臨床系の教員ではなく、基礎系や社会医学系の教員を減らすケースが多かった。予算を削減された大学にとっては、大学が生き残る上でやむを得ない措置でした。また、法人と言っても、さまざまな制約や国の管理があり、中途半端な状態です。

 法人化に当たって、研究費の使い方も変わりました。運営費交付金は各大学が自分たちの考えで、計画的にその使途を決めることができます。日本学術振興会の科学研究費も、ボトムアップの発想で進めることのできる研究費です。運営費交付金削減の代わりに増えたのが、文部科学省や厚生労働省などがトップダウン的に課題を決め、期限(最大5年)を切ったプロジェクト型(課題設定型)の研究費や補助金です。研究活動に充当される資金はトータルとしては減らなくても、研究テーマが限定される上、研究費が期限付きのために、教員も任期付き雇用を増やさざるを得なくなりました。また、事務作業量が大幅に増えました。教員を疲弊させています。

 その上、比較的短期に達成できるテーマを選ぶことになり、すごく“当たる”こともあれば、研究不正に結び付く懸念もあるなど、いろいろな問題が起きていると思います。任期付きの教員もかなり増えてきていて、40代前半くらいの方も結構います。こうしたさまざまな変化が、法人化後に急速に進んできました。

――課題設定型となると、独自の研究に取り組みにくくなる一面もある。

 そうだと思います。

――課題の設定は、どのように行うのでしょうか。またそのやり方は妥当なのでしょうか。

 文科省や厚労省が官僚だけで決めているのではなく、研究者や産業界など、さまざまな分野の有識者等を集めた審議会で議論します。ただし、最終的には省単位、省の中の局単位で決め、公募します。

――AMED(日本医療研究開発機構)が2015年度に発足したわけですが、課題設定の方法や研究費の配分などには変化があったのでしょうか。

 明らかに良くなったのは、文科省、厚労省、経産省の3省の情報共有、連携が進み、研究テーマの重複も減ったことでしょう。しかし一方で、テーマ設定などについては問題があり、NIH(米国立衛生研究所)と異なり、AMEDの中に、しっかりとしたブレイン組織がなく、全体の政策立案のシステムができていません。理事長のリーダーシップも発揮できていないように感じます。結局、各省庁、各局が出資した割合に応じて予算を確保し、研究を公募するなど、基本的なところは変わっていません。AMEDの意思決定をどのように行っていくか、また適切なピア・レビュー体制を取れるかは、第二期に向けて、重要な課題だと思います。

――お話をお聞きしていると、平成の30年間、研究の追い風となるような改革は行われていなかったように思うのですが。国立大学の法人化にしても、「臨床が忙しくなったために、研究に割く時間が少なくなった」といった声も聞きます。

 それはその通りだと思います。付属病院の収入は、大学の運営費交付金と匹敵する額だからです。以前は、臨床に従事する中で、いろいろな問題意識を感じて、研究に何年間か従事したり、海外に留学したりしていました。今は現場が忙しくて「そんなことをやっている時間はない」となり、それも医学の研究力を落としている要因です。平成の間、良くなった点がないかというとそうでもなく、間接経費の導入、研究費の一部が基金化されたこと、産学の連携がスムーズになったことなどはあります。

 また、強調したいのは、東大やいくつかの研究大学に資金を集中しすぎるのも問題です。東大で育った人材も全て東大で研究を全うできるわけではなく、必ず別の機関に移るわけです。移る先の疲弊が見えると、東大の若手研究者の意欲も落ちます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663310
シリーズ 平成の医療史30年
「最後の砦」大学に財政的支援を【平成の医療史30年◆大学編】
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.3
 
スペシャル企画 2019年3月21日 (木)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――大学病院にとっては、ここに来て、「医師の働き方改革」という課題もクローズアップされるようになりました。

 千葉大でも、働き方改革は進めています。例えば、タスクシフティング。2019年4月採用に向けて、「診療看護師」を募集しています。ただ、研修期間は現場で働く看護師が減り、戻ってきても、例えば入院基本料算定に必要な看護師配置とは別に置くことになるので、その分、人件費がかかります。十数人配置するとしたら、合計1億円を超えてしまう。


「今のままでは、30年後の日本の医療レベルは低下しかねない」と警鐘を鳴らす、山本修一氏。
――医師の業務の一部を「診療看護師」が担うようになり、医師はその分を医師にしかできない業務に専念すれば、診療収入が上がるけれども、実際には医師の労働時間の短縮が先決であるため、そうはならない。

 その通りです。医師の働き方改革は、社会問題化しており、世間の関心も高い。だからこそ、公開の場であれだけの議論をしているわけです。この議論が、改革を進めるための財政的な支援につながることを期待しています。

――先生は、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員です。医師の時間外労働の上限については「1900~2000時間」という案が出され、議論になっています(インタビューは2019年1月18日に実施)。

 大学病院の勤務医で難しいのは、病院で臨床に従事する傍ら、大学に戻れば研究者であるという点です。大学の他学部の研究者たちは、時間外労働規制の適用対象外です。

 病院にいる間は、タイムカードを使って時間管理が可能。しかし、例えば、たまたま外来が早く終わり、午後3時で臨床の仕事を終え、研究室に行って実験を始めたとしましょう。夕方、いったん自宅に帰り、夕食を食べてまた午後9時ころに戻ってきて、午前0時まで研究していた時に、どこまでを勤務時間として扱うのか。あるいは午後10時すぎまでオペをしていて、翌日は丸1日「研究日」として病院勤務がない場合もあります。

 初期研修医あるいは専攻医、つまり教員になる前の医師たちは、今、議論されている枠組みの対象でいいと思います。ただ問題は、助教以上、いわゆる教員。臨床以外にも、研究、教育に従事する職種の時間外労働は、本来であれば厚労省の検討会の議論では解決できない問題です。

 同検討会は、1月11日に「とりまとめ骨子」を公表しました。そこに一文だけ、「さらに、大学病院における研究を行う医師に対する労働時間制度の運用実態に鑑み、医師の研究を阻害しないような研究者のために必要な議論を開始すべきではないかとの意見もあった」と入りました。けれども研究者の労働時間管理は、日本学術会議まで巻き込んだ、医師以外の全体の研究者の議論にまで発展すると問題は複雑化してしまう。現実には難しいでしょう。

――先生は、大学の教員医師については、どんな時間外労働規制がいいとお考えでしょうか。

 基本的には裁量労働制にして、例えば午後5時以降、診療に従事した場合には、時間外手当を付けるなど、大学教員でもある勤務医の多様な働き方が可能な管理にしていただきたいと思います。

――大学は、最先端の医療や研究、あるいは教育などを担っているため、その魅力の故に、労働環境は厳しくても、あるいは給与は低くても医師が勤務している現状があります。

 「大変だ」と言いつつも、今後もそうした思いで大学病院に勤務する医師は続くでしょうが、一方で辞めてしまい、一般病院に就職する医師もたくさんいるわけです。どうつなぎ留めていくかが課題です。例えば、医師の給与を上げる原資もありません。

 それにはわれわれ自身も努力はしていきますが、繰り返しになりますが、やはり社会が大学病院の役割を考える必要があると思います。社会のためになぜ大学病院が必要か、必要ならどのように支援、維持していくかです。

 今の大学病院であっても、収益を簡単に改善する方法はあります。眼科であれば、診療所でもできる白内障手術を数多くやれば、収益は確実に良くなります。千葉大だって、毎日100件だってできるでしょう。でもそれは本来の大学病院の役割とは違うでしょう。

――医療機能の分化を進める国の方針とは、反します。

 そうであれば、「最後の砦」として大学病院を位置付けるなら、また医学研究に取り組み、新しい医療を切り拓くことを期待するなら、そのための支援が必要だということ。今のままでは、30年後の日本の医療レベルは低下しかねません。しかし、一般の方には身近な話題でないためか、残念ながらピンと来ないようですね。

――これまで国立大学附属病院長会議などから、大学病院の役割や改善策を提示しても、なかなか届かなかった。

 一つには、私たちがおとなしかったのかもしれません。それに病院長が短いサイクルで交代してしまうので、病院長在任中は問題意識を持っていても、それがうまく継承されにくいという問題もあります。大学および大学病院が抱える問題を理解してもらうために、これまで以上に情報発信をしていかないといけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663309
シリーズ 平成の医療史30年
大学勤務医の臨床の比重増加、経営悪化で【平成の医療史30年◆大学編】
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.2
 
スペシャル企画 2019年3月17日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その上、国立大学病院にとっては、控除対象外消費税の問題もあります。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、特定機能病院の補てん率は61.7%という結果でした(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 その通りです。2019年10月の税率10%への引き上げの際は、見直され、特定機能病院全体では補てん率が100%近くになるとのことですが、それはあくまで平均値。われわれは、病院の規模によって補てん不足が億単位でばらつくことを以前から主張してきました。その点は今回も改善される見通しはありません。

 厳しい経営環境が続く中、45ある国立大学病院全体の2017年度の決算は、前年度より18億円のマイナス 。また、医業による収益差額は31億円のマイナスで、前年度より悪化しています。それに運営費交付金が12億円入っても、収支は均衡しません。病院だけでなく、国立大学そのものが今、存続の危機なのではないかと思っています。収入は授業料と運営費交付金がほぼ全て。それ以外の特許料収入などはごくわずか。経営改善につながる手立てがなかなか見当たりません。

 大学病院がこうした厳しい環境に置かれているのは、そもそも医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか、役割は何か、医療の中でどう位置付けるのか、あるいは社会としてどう支えるかが明確になっていないことが大きいと思っています。

――それはどのような意味なのでしょうか。

 大学は、臨床、教育、研究の3つの柱を担っています。臨床面で言えば、「大学は最後の砦」とよく言われます。他で治せなかった患者さんが大学病院に来るわけで、もちろん一生懸命に治療はしますが、コストがその分、かかります。けれども、診療報酬で優遇されるのは、DPCの大学病院本院群の係数と入院基本料くらい。いずれも特定機能病院として高い点数が付いていますが、それは収入全体から見ればわずか。それ以外は、全く他の一般病院と同じ土俵で仕事をしなければいけません。

 DPCは、診断群分類別の評価ですが、あくまで「平均値」をベースに点数を設定しています。正規分布の端に位置するような、多くの医療資源を要する患者さんを診る割合が大きい大学病院では、採算が合いにくくなります。ICUの加算も同様で、2週間を過ぎれば加算はなくなりますが、2週間を超えてしまう重症の患者さんは少なくありません。

 また患者さんは「大学病院だから」と信頼して受診されます。それは有り難いことなのですが、その分、医療の内容や医療安全に対する目は厳しい。大学病院は、専門的で高度な医療が要求されます。しかも、医療が進展するスピードは速く、それにキャッチアップするとともに、高い安全性が求められます。

 大学病院には、臨床以外にも、研究という重要な役割があります。当院は全国で12カ所ある臨床研究中核病院の一つですが、倫理委員会をはじめ、体制を整え、維持するための持ち出しの方が多いのが現状です。

――厳しい環境の中で、医師をはじめ、医療従事者の献身的な努力で大学病院は成り立っている。

 献身的な努力というか、使命感なんですかね。いくら大変であっても、私たちはやめるわけにはいきません。


山本修一氏は、「医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか」を明確にすべきと強調。
――そのひずみなどは現れているのでしょうか。

 まずは大学病院として経営を安定させないといけない。結局、高度先進医療ばかりやっていたのでは、今の診療報酬体系では、経営が厳しいわけです。場合によっては、一般病院でもできるような医療までを手を出さざるを得ないというひずみは出てきています。

――法人化の前後、そして今との比較で、臨床、研究、教育にかける比重は変わってきているのでしょうか。

 臨床が忙しくなっており、教育、研究のウエイトが下がっています。収益を上げるために、われわれ経営陣はいかに数多くの患者さんに受診してもらい、しっかり診療して、地域の医療機関等にお戻しするかに腐心する。急性期病院として機能分化もあり、病床の稼働率、回転率ともに上げなければならず、以前なら1カ月くらい入院していたような患者さんでも、今は病状が安定したら、10日くらいで退院している。当然、労働密度の上昇につながるわけです。

――先生のご専門である眼科であれば、日帰り手術も増えた。

 その通りです。やや古いデータですが、国立大学病院の場合、臨床系教員が診療等に従事する時間の割合は、2002年のは35.8%から、2013年には51.5%まで増えています。一方で、研究に充てる時間は、28.8%から2割を切り、17.7%になっています。今の時点で調査すれば、診療等の時間はさらに増えていると思います。

――これは国立大学に限らないことですが、2004年度の臨床研修必修化で、大学で臨床研修を行う若手が減少した影響もあると思います。必修化前は、7割以上が大学病院で研修していましたが、今は5割弱のまま回復の兆しはありません。

 確かにその通りです。ただし、千葉大に関して言えば、新専門医制度により、後期研修医(専攻医)が増えています。以前は1学年約100人だったのですが、今は150人くらいになっています。千葉県は医師不足なので、東京都や神奈川県と違い、シーリング(専攻医の上限)がかからなかったことが大きいと思います。

 まずは専門医を目指す若手に対して、より良い研修環境を提供することが大事。問題はその先で、専門研修が終わった後、最先端の医療をやりたい、研究をしたいという医師をつなぎ留めるために、いかに魅力のある大学、病院にするかということです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667134
時間外・休日の病状説明を選定療養として提案へ、日病協
10連休対応は人員配置基準の緩和など要望
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会は3月22日の代表者会議で、選定療養に導入するべき事例として、「時間外や休日に患者や家族側の都合で病状説明を行った場合」を提案することを決めた。議長の山本修一氏(国立大学附属病院長会議常置委員長)は、「各病院が患者へ要望しているが、より踏み込んで選定療養の対象にしてはどうかと、満場一致で承認された。医師の負担軽減を推進したいということで、時間外の仕事だということを社会に知っていただくことが重要だ」と述べた(「選定療養として導入すべき事例等」の募集は厚生労働省のホームページ)。


 院内でインフルエンザ感染者が出た場合に、同室の患者に抗インフルエンザ薬を予防投与する場合についても提案する。山本氏は「病室に余裕があれば隔離するという方法が取れるが、冬場はどこも病室が一杯で予防投与も選択肢の一つになり得る」と述べた。過去にも提案し、採用されなかったことがあるという。

 新天皇即位に伴う10連休の対応では、人員配置基準やオーバーベッドの緩和、レセプト提出の受付期限、処方箋の有効期間の猶予について、今月中に取りまとめて根本匠厚生労働大臣に提出する。



https://www.m3.com/news/general/667206
在宅診療にこだわり、南相馬を去る 京都の医師の3年間  
その他 2019年3月23日 (土)配信朝日新聞

 東京電力福島第一原発事故で一時休診した南相馬市立小高病院(小高区)の院長(管理者)が22日、最後の診療を終えた。3年前に京都から単身で移り住み、患者とのつながりを大切にした。しかし運営を巡り、市との溝が深まり、病院を去ることになった。

 「先生がいなくなるのは本当に惜しい。どうもありがとうございました」

 22日正午前、小高区長会長の林勝典さん(71)が病院を訪れ、院長の藤井宏二医師(63)と両手を握り合った。藤井医師は「京都からも見てますから」と応じた。

 藤井医師は京都第二赤十字病院(京都市)を辞め、2016年4月から小高病院で働き、その後唯一の常勤医になった。きっかけは1995年の阪神大震災だった。救護班として現地に入ったが、装備や連絡態勢が不十分で思うように活動できず、無力感を覚えた。いつかは被災地のために力になりたい――。持ち続けていた思いが強くなったのは60歳が近づいたころだ。東日本大震災が起き、「今度こそ役に立ちたい」と決意した。

 小高病院は14年4月、3年1カ月ぶりに外来診療を再開した。震災前はベッド数99床で7科がある地域唯一の総合病院だったが、外来診療に限られていた。医師も足りず、インターネットで医師を募集していた。妻(59)に相談すると、料理の本を渡され「早く行き」と背中を押してくれた。

 病院棟は配管などが壊れて使えず、リハビリ施設を改修して使う。高齢者を中心に毎日約20人が訪れ、藤井医師と非常勤医3人、看護師3人で内科や外科の診察をする。

 小高区の大部分では2年半前、避難指示が解除された。しかし、居住する人は3169人(2月末)と、震災前の約3割にとどまり、65歳以上の高齢者が半分を占める。足が悪かったり、車など移動の手段を持たなかったり、通院さえ大変な患者が多い。

 そこで藤井医師が力を入れたのが、在宅診療だった。2回のうち1回は医師が患者の自宅に行き、1回はタブレット端末を持った看護師が患者宅を訪れ、診察室のパソコンとつないで、遠隔で診察する。

 看護師が測る体温や血圧などの情報もパソコンに送られる。10分ほどの問診だが、「顔を見て話しすると、笑顔が出て満足してくれる」(藤井医師)。約20人が在宅医療を利用し、藤井医師は「地域の現状に合っている」と手応えを感じていた。

 しかし、今年2月に状況が一変した。市の市立病院改革プラン策定委員会が、小高病院に将来的に19床の入院機能を回復させる素案を発表した。それを支持する門馬和夫市長と、方向性の違いが決定的になった。



https://www.m3.com/news/general/666788
東京医科大は全額不交付 日大は35%減額 私学助成  
大学 2019年3月21日 (木)配信朝日新聞

 日本私立学校振興・共済事業団は20日、今年度の私立大学等経常費補助金(私学助成)の交付額を発表した。医学部で不適切入試が発覚した8私大は、「入学者選抜の公正性を害する」とされて減額された。特に前理事長と前学長が贈賄罪で起訴された東京医科大は、全額不交付となった。

 東京医科大は来年度も不交付となる。「十分な改善努力を行った」と判断されれば減額幅が徐々に小さくなるが、全額が交付されるようになるのは早くても5年後だ。アメリカンフットボール部の悪質タックル発覚後の理事会の対応も問題視された日本大は35%、岩手医科、昭和、順天堂、北里、金沢医科、福岡の6大学は25%減額された。

 一方、東京福祉大は「学校法人の管理運営が適正を欠く」として50%減額された。女性教職員に対する強制わいせつ罪で懲役2年の実刑が確定した元理事長を運営に関与させないと文科省に報告していたのに、実際には関与させていた点が問題とされた。(増谷文生)



https://www.m3.com/news/general/666620
読み解きワード:医師需給 偏在の解消が必要  
地域 2019年3月20日 (水)配信毎日新聞社

 医師の過不足のことを「医師需給」と言います。厚生労働省は将来の需給推計で「2028年ごろからは医師が余る」とする一方、「36年時点で医師が足りない地域や診療科がある」との推計もしています。一見矛盾する二つの試算から、どのような対策が求められるのでしょうか。【酒井雅浩】

 ◇全体数は右肩上がり 28年以降「過剰」に

 国内の医師数は右肩上がりに増えている。これは高齢化で引退・死亡する医師より、医学部を卒業して新たに医師になる人の方が多いからだ。00年代後半に地方の医療崩壊が叫ばれ、08年から大学医学部が一定期間その地方で働くことを義務付ける「地域枠」を設けて定員を増やしたことも、その傾向を強めた。

 一方、人口減少により、必要な医師数は徐々に減る。厚労省の検討会は昨年4月、医師が過労死認定の目安となる「月80時間」を上限に残業すると仮定した場合、28年ごろに約35万人で需給の均衡が取れ、以降は医師が余るとの推計をまとめた。医学部生が国家試験に合格し、臨床研修を終えるのは10年ほどかかるため、今春の新入生が一人前の医師になる頃は「供給過剰」になっている可能性がある。

 とはいえ、この推計は全体数だけを見たもので、実際には地域や診療科によって過不足が生じる「偏在」が起こる。日本の医師はどこでも開業でき、専門とする診療科も自由に選べるため、偏在の解消は簡単ではない。

 厚労省は働き方改革の一環で、これまで規制がなかった医師の残業時間も24年度から法律で上限を設ける方針だ。地域医療に従事する医師らは一般労働者より長時間の勤務を容認する構えだが、偏在対策が進まないまま規制が始まれば、地域の医療提供体制に支障が出かねない。

 ◇大都市、地方で二極化 医療の質に影響も

 医師の地域偏在を考える際に大切なのは「必要な医師数」をどう見積もるかだ。

 これまで厚労省は、都道府県ごとの10万人当たりの医師数で過不足を比較してきたが「実態を表していない」との指摘があった。そこで新たに、人口構成の将来予測▽年齢・性別による受診率▽昼夜の人口差▽医師の年齢構成や男女比、労働時間――なども考慮した「医師偏在指標」を算出。指標を基に16年の上位16都府県を「医師多数区域」、下位16県を「医師少数区域」と指定し、大学医学部の地域枠を少数区域の県向けに重点的に割り当てて将来的な偏在解消を図ることにした。

 それでも政府が医師偏在を解消する目標としている36年時点で、12道県で医師が不足する見通しだ。これは若手医師の地域定着を進めるなど最大限の対策を取った場合の想定で、医師不足地域はもっと広がっている可能性もある。

 一方で「全く対策を取らない」と仮定した場合でも、東京、大阪など13都府県では医師が過剰となる。過剰の地域では医師1人当たりの診療経験が必然的に乏しくなり「医療の質」確保の観点からも偏在対策が求められる。

 ◇残業規制で不足深刻化か 自主的な是正に期待

 診療科別の医師数は時代に応じ変動している。1994年から16年までに麻酔科はほぼ2倍、放射線科は7割、精神科は6割増えた一方、外科や産婦人科は横ばいだった。

 診療科の偏在も、放置はできない。医師が増えていない産婦人科や外科、さらに救急科の医師は労働時間が長い傾向にあり、厚労省の16年調査ではそれらの科の約半数の勤務医が残業月80時間を超えていた。上限規制が導入されると、医師不足が一層深刻化する恐れが大きい。

 そのため厚労省は、医療費の算定データから、診療科ごとの将来必要な医師数と、その数を満たすために毎年新たに養成しなければならない医師数を推計した。内科は16年の11万2978人に対し、36年には12万7167人と大幅な増加が必要。精神科は16年で1万5691人いるが、36年は1万4003人で足りる。今は人手不足が著しい産婦人科も、少子化の影響で必要数が減る見通しだ。

 厚労省は医療界の「プロフェッショナル・オートノミー(専門家による自律)」は引き続き尊重しつつ、診療科別の必要な養成数などを示すことで自主的な偏在是正に期待する。それでも解消しなければ、都道府県ごとの医師定員を設けるなど新たな対策の検討も必要になるだろう。



https://www.m3.com/news/general/666449
洲本の4診療所、累積赤字6億超に 一般会計から補てんへ  
地域 2019年3月19日 (火)配信神戸新聞

 兵庫県洲本市立の4国民健康保険診療所の赤字が、2018年度末までの累積で約6億600万円と見込まれることが18日、分かった。人件費や施設維持などにより、18年度だけで最大約7600万円の赤字が想定される。市は一般会計から4国保診療所の特別会計に繰り出し、赤字を補てんする措置を取る方針だ。

 同日の市会教育民生常任委員会で、市幹部が明らかにした。

 市によると、五色(洲本市五色町都志大日)、鮎原(同市五色町鮎原西)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の4国保診療所の累積赤字は、診療報酬に対して人件費などが膨らみ、17年度決算で約5億3千万円に上る。18年度の単年度赤字は、変動の可能性はあるが、現時点で約7600万円を見込み、これまでの分と合わせて約6億600万円になる計算だ。

 市は診療所の特別会計で赤字が出ても、一般会計から補てんしないことを原則としてきた。だが、今回、3月補正予算案に約6億600万円を計上し、補てんで累積赤字を解消させる考え。市は鮎原診療所を10月から閉鎖して民間移譲し、五色診療所の入院事業の休止を検討する方針を明らかにしている。事業整理に合わせた措置により、「持続可能な地域医療体制を目指す」という。

 常任委では、市幹部が鮎原診療所の民間移譲についても言及。「(診療所の建物の)無償譲渡も一つの選択肢」と述べた。



  1. 2019/03/24(日) 12:07:10|
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3月17日 

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190313/CK2019031302000008.html
本当に「医師多数県」? 厚労省新指標、医療現場から戸惑いの声  
2019年3月13日  中日新聞 滋賀

 地域間の医師数の偏りを解消するために厚生労働省が二月に公表した「医師偏在指標」で、県は医師数が比較的多いとされる「医師多数県」に分類された。県内の医療現場では医師不足が長年課題となっており、新たな指標について「医師不足の実感と隔たりがある」と、戸惑いの声が上がっている。

 医師不足の指標では従来、人口十万人当たりの医師数が用いられてきた。県の医師数は二〇一六年度の調査で、十万人当たり二百三十一・四人で、都道府県別で三十四位だった。

 一方、新たに公表された医師偏在指標は、同様に人口十万人当たりの医師数をベースとしているが、住民や医師の年齢などのデータを考慮して、指標の数値を算出。県は全国平均の二三八・三を上回る二四三・五とされ、十六位となった。

 県医療政策課によると、県内では高齢化のペースが緩やかであることや、若い医師が比較的多いことが、数値が上がった要因だという。厚労省の分類で、上位十六位までとされる「医師多数県」に位置づけられ、今後は県外から医師を呼び込むことが難しくなる可能性がある。

 この指標に対し、県内の医療関係者からは「実態と合っていないのでは」と批判の声が上がる。指標の数値は県内でも地域ごとに差があり、県南部の大津保健医療圏(大津市)と湖南保健医療圏(草津、守山市など)を除いた地域は、全国平均を下回っている。

 湖北地域のある病院では、脳卒中に対応できる医師が四人しかおらず、一人の医師が月に十日近く、夜間など緊急の呼び出しに応じなければならない状態という。病院の関係者は「本来は倍ぐらいの医師を雇いたいが、募集しても全然集まらない」と話す。

 湖西地域の病院には産婦人科医の常勤医が一人しかおらず、非常勤の医師が交代で勤務することで、緊急時に対応しているという。県健康医療福祉部の角野文彦理事は「診療科や地域によっても状況は異なっており、全体としては、まだまだ医師不足を感じている。今回の新指標に関わらず、医師の確保に取り組みたい」と話している。

 (森田真奈子)




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-00009370-bengocom-soci
「医師の働き方改革」報告書、取りまとめに暗雲 残業「年1860時間」案めぐり  
3/15(金) 18:01配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月15日、東京・霞が関の厚生労働省であった。地域医療を確保するためやむを得ない場合に「年1860時間」までの残業を勤務医に認める案について、2日前に続いて意見が噴出。了承に至らず、取りまとめは次回に持ち越された。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、すべての勤務医が2024年4月時点で、業務の大幅増などの状況におちいったとしても休日労働込みで「年960時間」までの残業となることを目指す一方、やむを得ない場合には「特例」として、「年1860時間」までの残業を容認するとしている。

「年960時間」は一般労働者の上限と同じだが、「年1860時間」はその2倍近くの水準だ。

具体的には、医師不足のため「年960時間」を守ると地域医療の提供に支障が出る恐れがあったり、若手研修医が技能を集中的に磨いたりする場合などに、特例の適用を限定する。

特例適用のためには、都道府県が真にやむを得ないか状況を見極めたうえで、その病院を指定(特定)することが必要。さらに病院に対しては、勤務医に一定の睡眠時間(1日6時間程度)や勤務間インターバル、代休を与えるなどの措置をとるよう義務づける。

●「人間らしい生活ができる水準ではない」

この日の会合では、2日前に意見が尽きなかったことを受け、引き続き「年1860時間」の是非を中心にメンバーが意見を交わした。

連合の村上陽子氏は「1860時間は、一般社会では過労死水準を大幅に上回る非常識な水準だ。報告書案では(特例水準の)1860時間が、例えばいつ1500時間になるのか、1000時間になるのかも不明で、いつ引き下がるのかを明示し法律的にも明示してほしい」と注文。

保健医療福祉労働組合協議会の工藤豊氏は「1860時間という上限に改めて反対だと明確に言いたい。ここまで働かせることができる、と考えてもおかしくない」と指摘した。

自治労の森本正宏氏は「1860時間という、通常の労働者の2倍にあたるような水準は労災認定を大幅に超える。人間らしい生活ができる水準ではないので反対」などと述べた。

報告書案への賛成意見もあり、社会医療法人ペガサスの馬場武彦氏は「(特例の1860時間の)終了年限をガチガチにすると、地域医療の確保に影響を及ぼす。事務局案に賛成だ」。

日本医師会の今村聡氏は「できるだけ早く改善するというのは賛成だが、医師偏在の問題が前提としてある。偏在対策の年限は法律上記載されていないため、偏在対策との整合性という意味では法律に書くことはなかなか難しいのかなと思う」と話した。

●武勇伝を振りかざすベテラン医師の意識改革が肝

病院経営者や現場医師の意識改革の必要性を訴える声も上がった。

救急医の赤星昂己氏は「1860時間働かせていい、と勘違いしている経営者や病院長もいると思うので、周知を徹底的に進めてほしい」と厚労省に求めた。

外科医でコンサル会社を営む裵英洙氏は「『1丁目1番地』は労務管理だ。しっかり周知しないと絵に描いた餅になる。病院の現場で、いわゆる武勇伝を振りかざす方々(ベテラン医師)にどのように意識改革を迫るのかが肝だ」と語った。

岡山大学医療人キャリアセンターMUSCATの片岡仁美氏は次のように述べた。

「1860時間を、可能な限り少なくする努力をしてほしい。1年後に1500時間とか、段階を見える形にした方がいい。

院内で解決するにも研修医や若手は立場が弱くて声をあげにくい。院内、県内での解決ではなくて、声をあげられるシステムが必要だ。私は20年前に研修医で、長時間労働が当たり前だと身に染み付いていた。特に40代、50代は価値観から変わらないといけない」

弁護士ドットコムニュース編集部



https://blogos.com/article/363726/
【正論】医大入試の男女別枠は是か非か  
笹川陽平2019年03月13日 08:42産経新聞

 医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科や眼科に偏る女性医師

 合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

 厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、2016年の日本の医師数は約31万9500人。女性医師は約6万7500人で全体の21.1%に上る。全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2千時間とする案を示している。一般労働者の2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

 こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇

 それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした〝応急策〟の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

 地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除するなどの優遇措置も採られている。

 2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言って過言ではない。

 日本の女性医師の比率は経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、18年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2~3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療確保

 要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

 外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

 繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳(うた)いながら、現実の入試で差別をした各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのはやむを得ない。メディアの報道も不正入試を追及するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

 少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。

(ささかわ ようへい)



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190316-360126.php
全国初!福島県7病院で「遠隔病理診断」 AI診断実験開始へ  
2019年03月16日 08時00分 福島民友新聞
   
 福島医大は15日、県内で深刻化している病理医不足への対策として、同大付属病院と県内6病院を結び、遠隔で病理診断を行うネットワークの運用と、同ネットワークを利用した胃生検のAI診断システムの実証実験を始めると発表した。AI診断の実証実験は全国初、遠隔病理診断ネットワークの構築は県内初。

 同大医学部病理病態診断学講座の橋本優子教授が日本病理学会と共に取り組むプロジェクトの一環。病理医の業務負担軽減と、AI診断導入を通じた診断の質向上が狙いで、本県での活用状況を踏まえ、全国でのAI診断導入を目指す。

 病理医は、患者から提供を受けた組織を顕微鏡で調べるなどして最終的な診断を下す医師。本県の10万人当たりの病理医は1.27人、平均年齢は60.2歳とともに全国ワースト2位で、病理医不足と高齢化が課題となっている。2人以上の常勤病理医がいる県内の医療機関は福島医大だけで、ネットワークに参加するほかの病院は病理医が1人だけか、常勤医を置かず非常勤で対応しているという。

 ネットワークでは、同大が福島赤十字病院(福島市)、太田西ノ内病院(郡山市)、星総合病院(同)、総合南東北病院(同)、福島医大会津医療センター(会津若松市)、竹田綜合病院(同)とそれぞれ連携。6機関が福島医大に病理画像を送って同大で病理診断を行うことで、病理医が不足している機関でも診断ができる体制を整えた。将来的には難しい症例に関して参加機関同士が連携して判断することも見据えている。

 実証実験は、同ネットワークの遠隔診断で得られた胃生検の病理画像を同学会のサーバーに集積し、AIを使って胃がんを診断する。AIの判断に対して医療機関がフィードバックを行い、診断精度の向上を図る。

 橋本教授と同学会の北川昌伸理事長、倉田盛人福島病理ネットワーク担当が15日、県庁で開いた記者会見で明らかにした。橋本教授は「病理医の診断対象はこれまで以上に幅広くなっているが、AI診断が業務をカバーし、質の高い診断が行えることに大きな期待がある」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663309
シリーズ 平成の医療史30年
大学勤務医の臨床の比重増加、経営悪化で【平成の医療史30年◆大学編】 
 
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月17日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その上、国立大学病院にとっては、控除対象外消費税の問題もあります。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、特定機能病院の補てん率は61.7%という結果でした(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 その通りです。2019年10月の税率10%への引き上げの際は、見直され、特定機能病院全体では補てん率が100%近くになるとのことですが、それはあくまで平均値。われわれは、病院の規模によって補てん不足が億単位でばらつくことを以前から主張してきました。その点は今回も改善される見通しはありません。

 厳しい経営環境が続く中、45ある国立大学病院全体の2017年度の決算は、前年度より18億円のマイナス 。また、医業による収益差額は31億円のマイナスで、前年度より悪化しています。それに運営費交付金が12億円入っても、収支は均衡しません。病院だけでなく、国立大学そのものが今、存亡の危機なのではないかと思っています。収入は授業料と運営費交付金がほぼ全て。それ以外の特許料収入などはごくわずか。経営改善につながる手立てがなかなか見当たりません。

 大学病院がこうした厳しい環境に置かれているのは、そもそも医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか、役割は何か、医療の中でどう位置付けるのか、あるいは社会としてどう支えるかが明確になっていないことが大きいと思っています。

――それはどのような意味なのでしょうか。

 大学は、臨床、教育、研究の3つの柱を担っています。臨床面で言えば、「大学は最後の砦」とよく言われます。他で治せなかった患者さんが大学病院に来るわけで、もちろん一生懸命に治療はしますが、コストがその分、かかります。けれども、診療報酬で優遇されるのは、DPCの大学病院本院群の係数と入院基本料くらい。いずれも特定機能病院として高い点数が付いていますが、それは収入全体から見ればわずか。それ以外は、全く他の一般病院と同じ土俵で仕事をしなければいけません。

 DPCは、診断群分類別の評価ですが、あくまで「平均値」をベースに点数を設定しています。正規分布の端に位置するような、多くの医療資源を要する患者さんを診る割合が大きい大学病院では、採算が合いにくくなります。ICUの加算も同様で、2週間を過ぎれば加算はなくなりますが、2週間を超えてしまう重症の患者さんは少なくありません。

 また患者さんは「大学病院だから」と信頼して受診されます。それは有り難いことなのですが、その分、医療の内容や医療安全に対する目は厳しい。大学病院は、専門的で高度な医療が要求されます。しかも、医療が進展するスピードは速く、それにキャッチアップするとともに、高い安全性が求められます。

 大学病院には、臨床以外にも、研究という重要な役割があります。当院は全国で12カ所ある臨床研究中核病院の一つですが、倫理委員会をはじめ、体制を整え、維持するための持ち出しの方が多いのが現状です。

――厳しい環境の中で、医師をはじめ、医療従事者の献身的な努力で大学病院は成り立っている。

 献身的な努力というか、使命感なんですかね。いくら大変であっても、私たちはやめるわけにはいきません。


山本修一氏は、「医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか」を明確にしてすべきと強調。
――そのひずみなどは現われているのでしょうか。

 まずは大学病院として経営を安定させないといけない。結局、高度先進医療ばかりやっていたのでは、今の診療報酬体系では、経営が厳しいわけです。場合によっては、一般病院でもできるような医療までを出さざるを得ないというひずみは出てきています。

――法人化の前後、そして今との比較で、臨床、研究、教育にかける比重は変わってきているのでしょうか。

 臨床が忙しくなっており、教育、研究のウエイトが下がっています。収益を上げるために、われわれ経営陣はいかに数多くの患者さんに受診してもらい、しっかり診療して、地域の医療機関等にお戻しするかに腐心する。急性期病院として機能分化もあり、病床の稼働率、回転率ともに上げなければならず、以前なら1カ月くらい入院していたような患者さんでも、今は病状が安定したら、10日くらいで退院している。当然、労働密度の上昇につながるわけです。

――先生のご専門である眼科であれば、日帰り手術も増えた。

 その通りです。やや古いデータですが、国立大学病院の場合、臨床系教員が診療等に従事する時間の割合は、2002年は35.8%から、2013年には51.5%まで増えています。一方で、研究に充てる時間は、28.8%から2割を切り、17.7%になっています。今の時点で調査すれば、診療等の時間はさらに増えていると思います。

――これは国立大学に限らないことですが、2004年度の臨床研修必修化で、大学で臨床研修を行う若手が減少した影響もあると思います。必修化前は、7割以上が大学病院で研修していましたが、今は5割弱のまま回復の兆しはありません。

 確かにその通りです。ただし、千葉大に関して言えば、新専門医制度により、後期研修医(専攻医)が増えています。以前は1学年約100人だったのですが、今は150人くらいになっています。千葉県は医師不足なので、東京都や神奈川県と違い、シーリング(専攻医の上限)がかからなかったことが大きいと思います。

 まずは専門医を目指す若手に対して、より良い研修環境を提供することが大事。問題はその先で、専門研修が終わった後、最先端の医療をやりたい、研究をしたいという医師をつなぎ止めるために、いかに魅力のある大学、病院にするかということです。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00009354-bengocom-soci
医師の残業「年1860時間まで」議論大詰め 救急医は「守れるルールを」  
3/13(水) 16:05配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月13日、東京・霞が関の厚生労働省であった。年度末の取りまとめに向け報告書案が示されたが、例外的に勤務医の残業を「年1860時間」まで認める案などへの意見が尽きず、承認には至らなかった。次回は3月15日に開かれる。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、まず前提として、医師も一般労働者と同等の残業時間規制とし、上限を「年360時間」とすることを明記。そのうえで、業務の大幅増など休日出勤がなければまわらない状況に直面したら、休日労働込みで「年960時間」まで認めるとした。

2024年4月時点で、こうした水準をすべての勤務医が達成している状況を目指す。ただ、現実的には、医師不足の地域などでは未達となるケースも想定される。このため、「地域医療確保暫定特例水準」という特例を設け、「年1860時間」まで容認するとした。

この特例の適用は2035年度末まで。具体的には、地域に十分な医療を提供するうえで真にやむをえないかどうか、都道府県が判断し、対象となる医療機関を特定する。特定されないと、「年1860時間」まで勤務医を働かせることは許されない。

さらに、行政による特定だけでなく、勤務医の睡眠時間(1日6時間程度)を確保し、疲労回復ができるよう勤務間インターバルや代休を与えるなどの健康確保措置を義務づける。

また、研修医が技術を重点的に磨く過程においても、医療機関が行政による特定を受け、健康確保措置をとることを条件に「年1860時間」まで認めるとした。

●「過労で命を落とす医師もいる」

「年1860時間」は、いわゆる過労死ラインを大幅に超える水準だ。すべての勤務医に適用されない例外的なものとはいえ、制度として位置づけられることに対し、検討会を見守る現役医師や過労死遺族たちは強い懸念の声をあげている。

この日の検討会でもさまざまな意見が出された。

連合の村上陽子氏は「1860時間が安易に認められることはないことは重々承知しているが、過労で命を落とす医師もいる。1860時間という時間には賛同できない」と発言。

救急医の赤星昂己氏は「守れるルールを作るのが一番大事かなと思う。960時間にすると、表面上このように見せかける病院が出て、本末転倒なことになるかもしれない」。

日本病院会副会長の岡留健一郎氏は「960とか1860は医療界にとって非常に厳しい数字だが、医療界が総力をあげて取り込んでいくことが大事。早く目標を決めて、4月以降、具体的な実行をしていくことが大事」と述べた。

「年1860時間」という数字がひとり歩きしているなどとして、報道への不満も複数聞かれた。ただ、どの意見も具体的な媒体を名指ししたものではなかった。

●副座長が辞任、「若手の医師が希望を持てるよう」

検討会では、2月22日付で副座長の渋谷健司・東大院教授が辞任したことも報告された。

医療系メディア「m3.com」が伝えたところによると、渋谷氏は「1860時間に納得できるロジックがあるわけではないので、前に進めるのならば僕ではない人を副座長に選んでまとめていただきたいと思っている」と語ったという。

座長の岩村正彦氏(東大院教授)は「渋谷さんが残念ながら辞任された。渋谷さんが、『若手の医師が希望を持てるような改革でなければならない』とおっしゃっていたのが印象的だった。そういう観点からも次回の議論を深めたい」と述べた。

弁護士ドットコムニュース編集部



https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20190312-OYTNT50077/
八幡浜での分娩停止へ  
2019/03/12 05:00 読売新聞

 ◇産婦人科3月末で 診療、治療は継続

 八幡浜市内で唯一、出産が可能だった産婦人科医院(19床)が今月いっぱいで分娩ぶんべんの取り扱いを停止することがわかった。八幡浜保健所管内(八幡浜、大洲、西予3市と内子、伊方2町)で出産を取り扱うのは大洲市の2医院(計24床)のみとなる。

 医院によると、少子化や院長の高齢などを停止の理由に挙げている。分娩は扱わないが、一定時期までの妊婦健診を行い、その後は希望する産科施設を紹介するシステムに移行する。産婦人科疾患の診療や治療などの受け付けは継続する。

 八幡浜市内での出生数は2017年度で199人。市内では、市立八幡浜総合病院が出産業務の再開を目指すが、めどはたたない。

 八幡浜総合病院では、医師不足もあって12年1月から出産の取り扱いを中止。現在、産婦人科には医師1人と助産師4人がいるが、新年度には助産師が1人減る。昨年、将来的に分娩の取り扱いの再開を目指して助産師4人程度を募ることにし、資格取得を希望する病院内の看護師に必要経費などを助成する支援策を打ち出したが、希望者はいないという。

 市では愛媛大などに産婦人科医も含めた医師の派遣を要望している。大城一郎市長は「市立病院で出産できるよう今後も働きかけていく」としている。



https://www.sankei.com/affairs/news/190311/afr1903110005-n1.html
【主張】東日本大震災8年 被災地の思い次代に繋げ 新たな発想でまちの復興を  
2019.3.11 05:00社会地震・災害 産経新聞

 8年がたった。東日本大震災の死者は1万5897人、行方不明者は2533人に上る。一人一人の暮らしがあり、家族や友人がいた。それが突然引き裂かれた。

 時を経ても「3・11」は鎮魂の日であることに変わりはない。改めて犠牲者の冥福を祈るとともに震災の記憶と、困難を乗り越えた復興の取り組みを次代に伝えていく責任を共有したい。

 ≪鉄路に映る人々の願い≫

 復旧、復興はなお途上だ。岩手県沿岸を走る第三セクター・三陸鉄道(三鉄)の新生「リアス線」が、震災から8年を経て今月23日に繋(つな)がるのは、復興の道程(みちのり)の長さを象徴する。

 津波で不通だったJR山田線釜石-宮古間が三鉄に移管され、大船渡市の盛(さかり)駅から久慈市の久慈駅まで163キロが全通する。鉄路の再開は生活の足だけでなく、復興への勇気と希望を与える。

 東日本大震災では津波で駅舎が流されるなど寸断された。だが復旧をあきらめなかった。5日後から順次再開した三鉄の関係者の努力は、次代を担う子供たちのため岩手県が進める復興教育の教材にも取り上げられている。

 三陸を訪れた今月初め、北リアス線を運転していた宇都宮聖花さん(24)は宮古出身で、津波で友人を亡くした。首都圏の鉄道会社に入社し駅員を務めていたが震災5年を機に、運転士を募集していた三鉄に採用された。幼い頃から三鉄に親しみ、ふるさとを思う人材が今後を支えていく。

 もちろん「リアス線」を取り巻く環境は楽ではない。車窓から震災直後の凄惨(せいさん)な様子はうかがいしれないが、沿線で高い防潮堤や土地をかさ上げする工事が続いている。工事が終わっても人々のにぎわいが戻らない「空白」が広がる。他の被災地にも共通する。

 被災地の復興は転機にある。政府が総仕上げと位置づける「復興・創生期間」は残り2年と少なくなってきた。福島などを含め全体の避難者は当初の47万人から大幅に減ったものの、なお5万2千人に上る。仮設住宅で暮らす多くの人がいる。

 息長い支援が必要だ。そのためにも行政のみならず、一人一人が被災地をけっして忘れない、との強い思いを新たにしたい。ボランティア、観光を含め、さまざまな機会を捉え、被災地に足を運びその体験を知ることは復興の後押しになるはずだ。

 新生「リアス線」の駅の一つ「鵜住居(うのすまい)」(岩手県釜石市)は、今秋開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の会場となる新スタジアムの最寄り駅だ。スタジアムは津波で大きな被害が出た小中学校の跡地につくられた。

 市立釜石中学の川崎一弘校長は震災の前から市教委で防災教育にかかわった。津波から児童生徒が避難し「釜石の奇跡」といわれたが、奇跡でなく「日頃からの備えが重要」だと指摘する。「命の尊さを十分知っていればマニュアルに左右されず自然と必要な行動に繋がる」とも話す。

 ≪参加促す「芽」広げたい≫

 震災後、力を入れている一つが避難所の開設訓練だ。震災時、日頃から地域との交流が盛んな学校ほど教員らと役割分担し円滑な運営ができた。「学校が地域に何ができるか」双方向の発想は、防災教育だけでなく今後のまちづくりにも生かされるはずだと言う。

 人口減が止まらず、にぎわいが戻らない被災地の課題は、被災地以外の日本の将来を映す。

 地域の再興へ、若い医師の取り組みを紹介したい。震災を機に宮城県登米(とめ)市で地域医療にあたる田上(たのうえ)佑輔さん(38)だ。特徴的なのは東京など都市部と、登米市のそれぞれ在宅診療専門の拠点を設け医師が毎週、ローテーションで勤務する。同僚と立ち上げたが、参加しやすい仕組みで、いまでは仙台などの若手医師も加わり、約30人が参加している。

 東京大学付属病院に勤務していたとき震災が起き、宮城県南三陸町の避難所のボランティアを経て県に相談し、医師不足など深刻な登米市を紹介された。同市は震度6強に見舞われた地だ。

 田上医師は「震災でふるさとを離れても、戻りたい、貢献したいと思っている人は多い。まちづくりに、起業的発想で参加しやすい仕掛けなどが必要ではないか」と話す。震災を機に、絆を生かした復興の芽も息吹(いぶ)いていることを知っておきたい。



http://news.livedoor.com/article/detail/16163083/
医師の長時間労働、「上限規制」だけでは変わらない現実  
2019年3月15日 8時31分 HARBOR BUSINESS Online

「働き方改革」が進むなか、厚生労働省は医師の働き方にもメスを入れようとしている。残業時間に上限を設けることで、長時間労働を解消しようとしているのだ。しかし患者の命を守るという医師の職務の特性上、一筋縄ではいかないようだ。

◆「上限があっても、患者さんの具合が悪いと病院から帰れない」

 厚労省の「過労死等防止対策白書」によると、時間外労働が「過労死ライン」とされる月80時間を超える医師のいる病院が全体の20.4%に上る。月100時間以上も12.3%に上った。

 長時間労働は、医師本人の健康を害するだけでなく、医療ミスを引き起こす可能性もある。医師ユニオンが1803人を対象に医療過誤の原因を複数回答で聞いたところ、56.4%が疲労による注意不足と答えている。

 こうした中、厚生労働省は、2024年4月から勤務医に適用となる残業時間の上限を年960時間とする方向で検討を進めている。ただ、地域医療を担う医師の上限は1860時間とされそうだ。医師の過重労働を解消するためには、上限を引き下げていく必要があるだろう。

 しかしそもそも残業時間の上限を設けるだけで、医師の労働時間を削減することができるのか。そう疑問を投げかけるのは宮崎春香医師(仮名・40代)。専門は血液内科で、これまで大学病院や総合病院で勤務してきた。

「残業時間の上限を設けたところで、受け持ちの患者さんの具合が悪ければ実際には病院から帰れません。大学病院に勤務していた頃は、病棟で10~20人くらいの患者さんを持っていましたが、常に誰かが熱を出したり、誰かの容体が急変したりするので土日も関係なく仕事をしていました。当直の先生もいらっしゃいましたが、当直の先生1人で全ての患者さんを診るのは無理があります。結局、何かあれば担当の医師が呼び出されることになるわけです。20~30代の頃は友人の結婚式をドタキャンしてしまったことも何度かありましたね」

 受け持ちの患者の容体が悪いと病院から帰れないのが実情なのだ。実際、一週間病院に泊まり込んだこともあったという。

 医師が病院を離れられないのは、診療のためだけではない。患者の家族への対応も医師の負担になっている。

「患者さんのご家族にも病状を説明する必要があります。家族への説明も大切な仕事の一つなんです。ただ家族の方が夜遅くや土日しか来られないことも多い。患者さんに何かあったときに『この先生はきちんと説明すらしてくれなかった』ということになってしまうので、結局、夜遅くまで家族の方を待っていたり、土日に出勤して対応することになってくるんです」

◆医師の数だけでなく、「医師事務作業補助者」の拡充も

 こうした状況を改善するためには、医師の勤務をシフト制にして、医師の業務時間と業務でない時間を分ける必要があるという。

「主治医がいつでも対応し夜間も呼び出されて診るのではなくて、シフト制にしていく必要があると思います。シフト制にするには医師の人数を増やさねばならないでしょうし、患者さんにも理解してもらわなければなりません。」

 さらに、医師が担っている周辺業務を減らしていく必要もある。「過労死等防止白書」によると、時間外労働の原因は「診断書やカルテなどの書類作成」が57.1%で最も多かった。伝票や保険会社に提出する診断書の作成を、通称「ドクターズクラーク」と呼ばれる医師事務作業補助者が肩代わりしていく必要があるだろう。

◆徹夜で業務の「当直」、労働時間に算入されないことも

 どこからどこまでを労働時間に算入するのかという問題もある。夜間の当直は、本来の業務を行わずに待機しているだけであれば、労働時間に算入されない。しかし宮崎医師によると、当直も普段の勤務と同じように働いているのが実情だという。


「当直は、何かが起きたときに備えて待機している、要するに寝ているということになっているのですが、実際にはほとんど眠ることができません。ちょっと寝ようと思っても、30分経たないうちに呼び出しが掛かったり、救急車が来たりするんです」

 こうした現状にもかかわらず、当直を勤務時間として扱っていない医療機関も少なくない。厚労省は、労働時間に算入されるかどうかの基準を見直しているが、当直が労働時間にならない限り、過重労働の削減は実現しないだろう。

◆「女性はいらない」時代は終わり

 医師の過酷な労働環境は、女性の排除にもつながってきた。医師の転職支援サービスを提供するメディウェルが医師653人を対象に調査を実施したところ、「医療の現場は男性でないと無理だと思う」といった声がいくつも寄せられた。女性の医師は、“体力面で男性に劣る”、“産休や育休を取得するから迷惑だ”と考える医師が少なくないのだ。

 東京医科大学が女性の受験者を一律で減点したことに対しても、「必要な措置」が8%、「良いことではないが必要悪だと思う」が47%で、過半数が容認している。宮崎医師自身も差別にあったことがある。外科を志していたにもかかわらず、「女はいらない」とはっきり言われたという。

 しかし長時間労働を放置して、体力に自信のある人だけが医師になればよいという考えは改めなければならないだろう。女性の医師が産休や育休を取得しても、働き続けられる環境の整備が必要だ。

「最近は男性でもワークライフバランスを求める人が増えてきています。長時間働けない人でないと医師になれない、外科には進めないとなると担い手が不足してしまうでしょう。誰もが長く働き続けられるような環境が必要ではないでしょうか」

<取材・文/HBO取材班>



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-12550000-cbn-soci
残業上限の厚労省案、「地域医療守るためやむなし」 - 全自病・小熊会長  
3/15(金) 12:55配信 医療介護CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の小熊豊会長は14日の記者会見で、暫定特例として医師の時間外労働(残業)の上限を年1860時間までとする厚生労働省案について、地域医療を守るためにはやむを得ない対応だとの考えを示した。【松村秀士】

 医師の働き方改革を巡って、厚労省は「医師の働き方改革に関する検討会」で、地域での医療提供体制を確保するための暫定的な特例水準として、想定外の業務量の大幅な増加などによって限度時間を超えて医師に労働させる必要がある場合、時間外労働時間の上限を年1860時間とすることなどを提案している。

 これについて、小熊会長は、「地域の医療を維持するために、ある程度やむを得ないのではないか」と一定の理解を示した。その上で、各病院は医師の時間外労働を現状よりも減らす努力をする必要があるとしたが、そのためには医師の代替者などの人件費がかかると指摘。医師の働き方改革を進める際には、代替者の人件費などを国が補助すべきとの考えを示した。

■医師の働き方改革で会員向け調査、5月ごろ結果公表

 14日の会見で全自病は、医師の働き方改革に関する調査を実施していることを明らかにした。対象は、会員の875病院で、▽医師の労働時間の短縮に向けた緊急的な取り組みの進捗▽医師の研さんと労働時間の管理の取り扱い▽医師の宿日直やオンコール、救急医療体制▽経営への影響―などを聞く。

 全自病では、22日に調査票の提出を締め切り、5月ごろに結果を公表する予定だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25413
医師の時間外労働上限、医療現場が「遵守できる」と感じる基準でなければ実効性なし―医師働き方改革検討会  
2019年3月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が、佳境に入っています。

すでにメディ・ウォッチでお伝えしたように3月13日には、厚生労働省による、これまでの検討会論議を踏まえた「報告書」案をベースに熱い議論を行い、さらに15日にも最終に近い意見表明が各構成員からなされました(関連記事はこちらとこちら)。

後述するように、いわゆる「B水準」(地域医療を確保するための暫定的な特例水準)である「時間外労働上限1860時間」には、労働組合を代表する構成員から「過労死認定基準を大きく上回る非常識な数字である」といった根強い反対意見も出ています。しかし、労働法制研究の第一人者である荒木尚志構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」旨を冷静に述べ、当初案としての「年間1860時間」の妥当性を説いています。
 
ここがポイント!
1 医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない
2 B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
3 2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
4 医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ

医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない

 医師(勤務医)の健康を確保しながら、地域医療提供体制を守る―。こうした難しい課題の両立に向けた議論が検討会で進められています。

まず、▼医師の労働時間を的確に把握し、管理する(いわゆる36協定の締結が前提となる)▼医師でなくとも実施可能な業務を他職種に移譲(タスク・シフティング)していく▼病院のマネジメント改革を行う―といった取り組みによって医師の労働時間短縮を進め、2024年4月以降、「原則として、すべての医療機関・医師において時間外労働の上限をA水準(年間960時間)に収める」ことを目指します。

しかし、地方の救急医療機関などでは医師確保が難しいことも手伝い、どれだけ労働時間短縮を進めても「A水準の達成が困難」な場合が出てきます。また、「高度な医療技術を獲得するため、短期間で集中的に多数の症例を経験したい」という医師の志・意向も十分に汲む必要があります。こうした点を踏まえ、厚労省は、2024年4月からの「医師の時間外労働上限」(仮に医師が望んでも超えてはならない上限)を次のように設定してはどうかと提案しています。

【原則】(A水準)
▽年間960時間以下・月100時間未満
▽やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などの努力義務を課す

【地域医療を確保するための特例】(B水準、地域医療確保暫定特例水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とする

【技能向上のための特例】(C水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とし、さらに初期臨床研修医(C1)については更なる配慮を行う
 
 3月15日の検討会では、このうちB水準の「年間1860時間」という数字について、多くの構成員から「最終的な見解」が提示されました。

 労働組合を代表する村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)や工藤豊構成員(保健医療福祉労働組合協議会事務局次長)、森本正宏構成員(全日本自治団体労働組合総合労働局長)らは、「A水準の2倍近い、過労死認定基準を大きく上回る非常識な数値である」「長時間勤務可能な医師でなければB水準医療機関に勤務できなくなり、長期的に見て医療提供体制は脆弱化する」とし、「年間1860時間」案を改めて批判しました。

 これに対し、医療者代表として参画する岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「すべての医師に1860時間を強いるわけではない。A水準(年間960時間)に向けて医療界が一丸となって努力していこうとの姿勢を明確にしている」とし、理解を求めています。また実際に地域医療を守る遠野千尋構成員(岩手県立久慈病院副院長)は、「年間1860時間がすべての医師に適用されるわけではない。労使が協議して締結する36協定においても、超えてはならない上限が年間1860時間である点を十分に理解すべき」と強調しています。

 さらに、労働法制研究者である荒木構成員は、「仮に現場で遵守できないような基準を設定しても実効性がなく、罰則を付けても、『患者の命守るために、このような規範は守る必要がない』と考える医師も少なからずでてくる。『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」と冷静にコメント。厚労省の提案する「年間1860時間」の妥当性を説きました。

地域医療提供体制を守りながら、医師の健康を確保していくことが目的であり、「報告書に少しでも短い時間外労働上限を書き込む」ことが重要なわけではありません。荒木構成員のコメントどおり、実現可能性のない目標を設定し、医療現場が「このような無体な目標は遵守できるわけがない。遵守しなくともよい」と考え、「実際は長時間働いているにもかかわらず、罰則を逃れるために形だけ労働時間を短くする」ような事態が生じる可能性もあります。これでは、働き方改革には何の意味もなくなってしまいます。まず「実現可能な当面の目標」を定め、それに向かって努力(労働時間短縮)をし、結果を踏まえて次の新たな目標を考えることが重要ではないでしょうか。

B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
B水準(年間1860時間)は「暫定的な特例水準」に位置付けられ、「働き方改革」の必要不可欠要素の1つである「医師偏在対策」が完了する2036年3月(2035年度末)を解消目標とすることになっています
 
この点、村上構成員や森本構成員は、実効性を持たせるために、「2035年度がB水準の終了年度であることを法律などに明示すべき」と改めて主張しています。

 ただし、例えば厚労省や都道府県が「A医師は●●病院の外科で勤務すること、B医師は◆◆センターの救急科で夜間対応すること」などの強制権限を持てば、2035年度末に医師偏在対策が完了し、医師働き方改革のB水準解消も確実となるでしょう。しかし、当然、行政にこうした強制権限はなく、仮に権限があっても実行すべきではありません。このため、医師偏在対策・働き方改革についても不確実な要素が多々あり、終了年度を法定することに大きな意味があるとは考えられないのです。

もっとも、村上委員らの指摘は「2035年度末のB水準解消に向けて、気概を持って取り組むべき」との趣旨であり、終了年度の法規での明示は別にして、厚労省では「報告書の書きぶりを強調する」考えを示しています。

 なお、B水準の対象は、▼労働時間短縮を進めても、なおA水準を満たせない▼地域医療の確保にとって必要不可欠な機能を持つ―ものとして都道府県が特定した医療機関となります。

後者の「地域医療の確保にとって必要不可欠な機能」として、厚労省は次のような例示を行っています。
▽3次救急医療機関
▽2次救急医療機関かつ「年間救急車受け入れ台数1000台以上また年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画の5疾病5事業に位置付けられた医療機関」
▽在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
▽「公共性と不確実性が強く働く」として、都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関(例えば、特に患者の集中する精神科救急や、小児救急、僻地中核医療機関など)
▽特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替が困難な医療を提供する医療機関(例えば、高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科など)

 この点について岡留構成員は、「都道府県間で、解釈にバラつきが生じないようにすべき」と指摘しています。B水準として特例されるか否かは、病院の存続にもかかわる極めてセンシティブな問題であり、病院側が「不公平がある」と感じれば制度への信頼が揺らいでしまうためです。

2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
 時間外労働上限(A・B・C)は2024年4月から適用され、これからの5年間で、▼適切な労務管理▼労働時間の短縮―をすべての医療機関で進めることが必要となります。多くの構成員からも「5年間の取り組みが極めて重要である」との意見が相次ぎました。
 
例えば、若手医師代表の1人である三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)は「すべての医療機関における労務管理や労働時間短縮の事態を把握し、公表すべき」と提案。また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「労務管理の徹底においては、ミドルマネジャー層(医長など)への周知が重要となる。『俺の若い頃は』というミドルマネジャー層の意識を改革することが必要である」と訴えました。

また、救急現場で命を守る赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)は、「労務管理のために書類が増えては、医師の負担が増加し、本末転倒となってしまう」と述べ、「優れた労務管理を行っている病院」などの好事例を横展開することが重要と指摘しています。

 なお、産業医でもある黒澤一構成員(東北大学環境・安全推進センター教授)は、「現状、2000時間、3000時間という長時間の時間外労働をしている医師がいる。そうした医師への緊急対策(労働時間の短縮や健康確保措置の実施)が必要である」と強調しており、これがまさに厚労省の提案内容そのものです。このためには適切な労務管理が大前提となり、これは今すぐにすべての医療機関で進めるべき事項です。

医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ
また、労働時間短縮などは「個別医療機関だけでは実施できない」部分も少なからずあります。例えば、地域に複数の病院が乱立し、それぞれが救急医療を実施すれば、医療資源が分散しているために、個々の医師の負担は大きくなってしまいます。このため、働き方改革においては「地域医療構想の実現」も必要不可欠な要素の1つとなります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

検討会では、「地域医療構想調整会議において、『平日夜間の救急は●病院に集約する』などの議論を行う必要がある」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)、「医療機関の集約化を進める(医療資源が集中し、効率的な診療が可能となり、労働時間短縮も可能となる)とともに、患者の医療機関へのアクセス確保策を講じるべき」(戎初代構成員:東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)、「個別医療機関へのペナルティよりも、地域の医療提供体制の再構築支援を重視すべき」(今村構成員)といった具体的な提案がなされています。

 厚労省では、3月13日・15日の両日に出された意見を踏まえて「報告書」案を修正。今後、ギリギリの調整を検討会で進め、3月中(2018年度内)に「報告書」を取りまとめることになります。



https://dot.asahi.com/dot/2019031100067.html
連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」
“奨学金”を返済したのに希望する病院で働けない 医師が語る「地域枠入試は誰のため」 
 
山本佳奈2019.3.13 07:00 アエラdot.#大学入試
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は医学部入試の「地域枠」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

*  *  *
 2月末、全国各地で行われた国公立大学医学部の前期入試。昨年、東京医科大が、私立大支援事業に選んでもらう依頼をした見返りに文部科学省の前局長の息子を入試で合格させたとして、同大学の前理事長と前学長が贈賄罪で起訴されるなど、医学部における女子受験生や多浪生減点といった不正入試が明るみになってから初の入試。医学部受験生にとっては、昨夏以降、複雑な思いを胸に抱いたまま、受験に挑まれたことと察します。

 裏口入学だけなら、もしかしたら「まあ、裏口はあると思っていたよね」で終わっていたかもしれません。けれども、女子受験生を一律に減点していたという事実は日本国内にとどまらず、「女子差別である」と、米国や英国をはじめ、世界各国で報道されました。

 これら一連の報道や文部科学省の調査により、女子差別や多浪性差別に隠された医学部入試における闇が明らかとなることを期待したものの、究明されたとは言い難いまま迎えた入試となったのではないでしょうか。

 受験シーズンも佳境を迎えている今、医師の偏在を解決するために、国や県が主導し、2009年の導入以降、大部分の医学部に設置された「地域枠」について、自身の受験体験記も交えながらお話したいと思います。

■地域枠入試とは

「地域枠」とは、自治体から奨学金を得る代わりに医師になったら、約9年間、当該の自治体で医師として勤務することを“約束”するものです。仕組みは様々ありますが、自治体の多くは、地域枠で入学した医学生に、10%以上の年利で月20万~30万円の奨学金を貸し付けます。医学部卒業時に、借金が2000-3000万円にも上ることになりますが、奨学金が支払われた自治体の指定された医療機関で一定期間医師として勤務すれば、奨学金の返済が免除されるという仕組みです。
 医師になる夢を諦められなかった私は、1年間だけ浪人して医学部を目指すことを決めました。

「私立の医学部に入るお金はない」

 そう両親からはっきりと言われた私には、国公立の医学部に合格するしか医師になる方法はありませんでした。しかし、受ける模擬試験全てでD判定かE判定ばかり。「地域枠は一般枠よりも偏差値が下がるから、医学部に入りやすくなる」という噂を予備校で耳にしていた私は、願書を出す際、「医者になるチャンスが、ほんの少しでも広がるなら」と思い、「地域枠」を本気で検討したのでした。

 募集要項には、滋賀で働く意思や義務年限、授業料や入学金が奨学金でまかなわれるということについての内容の記載はあったものの、奨学金返済時の利子のことなど詳しい記載はなかったように記憶しています。地元で医師として働けば、奨学金を返済しなくていいという制度は、親の負担も減るのでは、と少なからず魅力に思えたのでした。

 けれども、生まれ育った滋賀にいるか分からない。卒業後、滋賀にいたいと思うかどうかわからない。県外に出てみたいと思うかもしれない――。そう考えた私は、地域枠を希望することをやめてしまいました。

■「19歳の私」に6年先の人生を決めさせる

 医師になるまで、最短でも6年かかります。つまり、「地域枠」を選択するということは6年先の人生を決めるということ。19歳の私にそんな先のことが、分かるはずも想像できるはずもありませんでした。今思うと、将来のことの約束を守る自信が私にはなかった、というのが正直なところだったと推測しています。

 医師になり、私は生まれ育った関西を離れました。19歳の私と、25歳の私とでは、見ている世界も見えている世界も考え方もまるで違います。医学部の門すら叩いていない19歳に、将来の勤務の仕方を決めさせるのは酷なのではないでしょうか。

 奨学金給付を受けている地域枠の医学生数名に話を聞いたところ、「年利に関する記載が入学願書になく、よくわからなかった」といった声や、「卒後9年間の義務年限や、10%もの金利を考慮すると、もっといい条件の奨学金があったのではないか」と漏らす医学生もいました。

 文部科学省によると、2017年には全医学部入学者の20%を占めるまでになっている「地域枠」ですが、一方で、過去11年間で地域枠の定員の1割以上を占める800人以上の学生が、実際には勤務地に制約のない「一般枠」の扱いになっていることが昨年の厚生労働省の調査で判明しました。つまり、「地域枠」の定員が埋まらなかったというわけです。

■制度の“離脱者”は「採用しないように」

 厚生労働省は「地域枠」離脱者対策として、病院側に、入学時の取り決めを違反した地域枠卒業の医師を採用しないよう事実上の指示を出しています。これは借金を返済した医師を含めて、です。この結果、地域枠で入学した学生は、借金を返済しても希望する病院で働けなくなってしまうというありさま。さらには、地域枠の医学生が、地域枠から離脱しないようにするにはどうすればいいか、という議論すら行われているのです。

 日本国憲法では就業の自由が定められおり、就業場所を強制することはできません。「地域枠」という制度は、10%もの年利付きの奨学金という形でお金を押し付けて多額の借金を背負せることで、勤務先や居住地を選択する自由を奪い、就業場所を強制していると見ることができるのではないでしょうか。

 最近お会いした医師会の先生は、「開業医の子弟をいれるための制度だよね」と、はっきり言っていました。「息子や娘が医師として地元に残って働いてくれるのは大変ありがたい制度。それが地域枠の目的の一つなんだろうね」と。

 現行の「地域枠」は、医師偏在を解消することに特化されており、若手医師の教育に対して十分に注意が払われていないことが最大の問題だと思います。地域医療が抱える問題は個別具体的であり、医師偏在を解消するための数合わせにしかすぎない「地域枠」では、地域医療に取り組む医師を集める解決にはならないのではないでしょうか。



https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00631/00001/
データで斬る、地域医療の今!
在宅医療支える医療機関、400以上の自治体で空白
選択肢ある豊かな「人生会議」ができる町へ 
 
前田 健太郎=ミーカンパニー 代表取締役
日経 xTECH

 自らが望む人生の最終段階における医療やケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い考える――。これは厚生労働省が啓発している「アドバンス・ケア・プランニング」の内容である。2018年11月30日に愛称が「人生会議」に決まった。

 しかし人生会議を経て、もしものときに望む医療サービスやケアを決めたとしても、その選択肢であるはずの在宅医療の環境整備は、地域によって追い付いていない現状が、データから明らかになった。

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図1:在宅療養支援診療所・病院の整備状況
(出所:ミーカンパニー)
[画像のクリックで拡大表示]
 最新の医療施設データベース(SCUEL DATABASE)で、2018年7月(厚生局への届け出時点)の在宅医療を支える医療機関を調べると、全国の2割に当たる400以上の地方自治体で、いまだに環境が整っていないことが分かった。空白地域は主に東日本に目立っている。

 在宅医療を支える医療機関は、「在宅療養支援診療所・病院(在支診・病)」と呼ばれる。24時間連絡および往診可能な体制、他の医療機関との連携機能を備え、在宅医療サービスを提供する。在支診・病の数は、ここ数年、微増にとどまりあまり伸びていないのが実態だ。2018年12月時点で全国に1万5453(2017年は全国で1万5114)あり、内訳は病院が1374、診療所が1万4079となっている。

 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(2017年度)の結果を見ると、末期がんとなった時の療養場所の希望は、医療機関や介護施設を抑えて自宅が過半数に迫る第1位(47.4%)である。自宅で療養するときに、日々の容体に合わせ寄り添ってくれる医療サービスがあることは、本人にとっても家族にとっても、非常に重要であることは間違いない。早急に在宅医療の環境整備が求められる。訪問診療の実施回数に大きな開き
 在宅医療の環境整備は、対応する医療機関の数だけでは判断できない。医療機関の報告書「在宅療養支援診療所(病院)に係る報告書(2018年7月報告)」から構築したデータベースによって、診療の実施回数に大きな開きがあることが分かった。


図2:月間訪問診療実施回数(年間の報告を12カ月で割った値)別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 計画的に診療を行い日常の容体に寄り添ってくれる「訪問診療」の実施回数について、ある医療機関では1カ月に5000回を超えていた。一方で1年間に0回または回答がなかった医療機関は、報告全体の約11%になる1562医療機関に上った。申請をしているが実態として実施が難しいという別の課題を抱えている医療機関もあるだろう。そういった医療機関を含めて、実施回数が1カ月に100回未満の医療機関は1万934あり、全体の約4分の3を占めることが分かった。

 急に診てもらう必要があるときの「往診」実績についても同様だった。年間往診実績がゼロ回もしくは回答がなかった医療機関は10.7%で1546医療機関、1年間の往診回数が12回以下の医療機関は全体の約34%である。


図3:年間往診実績回数別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 実施件数が突出して多い医療機関は、介護施設などへのサービスを実施しているケースが主に想定される。逆に上記のような実施件数が少ないところは、非常に多忙な中、地域の患者のために実施しているケースなども想定される。


図4:医療機関ごとの訪問診療回数と自宅看取り実績の状況
(出所:ミーカンパニー)
[画像のクリックで拡大表示] (略)

 日々の訪問診療が手厚いからといって、そのまま自宅での看取り(みとり)まで寄り添い、診てもらえるかといえば、現状は必ずしもそうではないようだ。往診や看取りは連携の医療機関に任せていると思われる医療機関も多い。

 訪問診療の多い医療機関について、患者の自宅での死亡数を見るとそれがよく分かる。在宅医療サービスとして求められる(1)退院支援、(2)日常の療養支援、(3)看取り、(4)急変時の対応の4つの機能を分担しながら、複数の医療機関で24時間体制をとり、在宅医療の機能を維持しているところも多い。

 誤解のないよう付け加えると、在宅医療のサービス提供は在支診・病でのみ提供されているのではない。24時間体制とはいかなくても、訪問診療・往診などは在支診・病以外の医療機関でも行われている。急変時は救急車も呼べる。介護保険での訪問看護のサービスも提供されている。

 しかし、前述した在宅医療に求められる4つの機能を積極的に担う医療機関が在支診・病である。在宅サービスの提供体制が整ってきているかを判断するには、在支診・病の実態のデータを分析し、検討すべきである。

図5:地図で見る在宅医療の実際(出所:ミーカンパニー)
23の在支診・病がある水戸市のそれぞれの訪問診療・往診・看取りの実態
[画像のクリックで拡大表示](略)

地域のサービスの見える化に期待

 自分や家族の住む地域で、訪問診療や往診、看取りといったサービスが、今どこで受けられるのか知ることは、重要なはずだ。まだ整備は十分とは言えない。しかしデータがあるのだから、それぞれが望む適切な医療機関に本来アクセスできるのだ。分かりやすい「見える化」の仕組みが必要だ。

 2019年1月に厚生労働省は通知「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」で、在宅医療の市区町村単位での見える化を都道府県に促した。これによりまた、地域医療の整備が進むと考えられる。

 自らの残された時間を住み慣れた街や自宅でと考えるとき、在宅医療サービスが選択肢になる。安心して寄り添ってもらえる医療機関や必要なサービスがあってこそ、人生会議にも取り組みやすくなるだろう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42430380T10C19A3EE8000/
病院の高額医療機器、共同利用へ指針 厚労省、無駄な検査抑制   
2019/3/14 1:00日本経済新聞 電子版

厚生労働省は磁気共鳴画像装置(MRI)など高額な医療機器について、近隣の病院間での共同利用を促す。地域ごとに住民の年齢構成や性別を加味して機器の過不足が分かる指標を作り、新規購入や機器の更新を検討する病院に提供する。国内の高額医療機器の配置数は主要国の中で多い。病院が稼働率を上げるために必要以上に検査を促す環境を改め、医療の効率化につなげる。

指標は、複数の市町村をまたぎ一般的な入院医療を提供できる地域単位の「二次医療圏」や都道府県ごとに定める。2019年度にも人口10万人あたりの高額な医療機器台数の配置状況を示す方向だ。機器が普及している地域では共同利用のためのネットワーク作りを支援する。

MRIやコンピューター断層撮影装置(CT)など高額機器の購入には数千万円から高いもので10億円を超える。費用は医療機関が負担するが、検査は基本的に公的医療保険の対象だ。例えば、MRIの検査費は2万~3万円程度だ。自己負担が3割の患者で2万円の検査費がかかったとすると、1万4千円は公費で負担する。医療機関が機器の稼働率を上げる目的で、過剰に検査を行うと医療費の膨張につながる。

国内の病院と診療所は合計で約11万施設ある。約1万施設でCT、5千施設にMRIが設置されている。人口10万人あたりでみるとCTの台数は10.7台で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均の2.6台を大きく上回る。MRIの検査数を人口1千人あたりでみると、主要7カ国ではドイツに次いで2番目に多い。

地域格差も大きく、CTは国内で最も多い徳島県が10万人あたり21.8台、最少の神奈川県は6.4台だ。人口あたりの機器の台数が多いほど、1台あたりの稼働率は低くなる傾向にある。施設の充実ぶりを示すために高額な医療機器を置くケースがあり、厚労省によると検査の実績がない施設もある。OECDは日本の医療事情について「高額な機器の使用効率が低い」と指摘する。

医療機関の間での共同利用はまだ進んでおらず、財務省によると高性能なMRIで1割台にとどまる。一部の実施例では効果が上がっている。熊本県の「天草医療圏」では8割近くの医療機関が共同利用のネットワークに加入。必要に応じて、機器のある病院の専門医と診療所の医師が同じ画像を見ながら治療方針を相談するなど、医療の質向上にもつながっている。

国内の総人口は直近1年間で約30万人減り、人口減は加速することが見込まれている。地方ではMRIなどが増えなくても、医療機関が機器を更新して維持するだけでも需要を上回る設備投資になっていく可能性が高い。厚労省は高額な医療機器の購入制限という強制的な措置には踏み込まず、機器の配置状況を「見える化」することで、医療機関に周辺の病院との共同利用を促す狙いだ。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/190311/prl1903111320050-n1.htm
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表  
2019.3.11 13:20 SANKEIBIZ


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 2019年3月11日、東京・福島 世界の医療団日本(理事長:ガエル・オスタン)と相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ、理事長:大川貴子)は、7年にわたる福島県相双地区での協働の経験によって編み出された包括的なこころのケアのノウハウとパートナーシップの教訓を広く共有する目的で、冊子「福島のこころのケア:実践と教訓」を発表します。

 東日本大震災後8年経てども、終わりの見えない原子力災害の影響で、福島のこころのケアのニーズは時とともに変遷し複雑化してきました。被災から復興の過程で地域のつながりが分断されてしまった浜通り地区では、生活基盤や周囲の環境の激変や度重なる移転のストレスや疲労だけでなく、帰還先や避難先で多様な背景を背負ってくる人々と新たにコミュニティを築いていかねばならず、住民は大きな精神的、心理的、社会的な負担を経験します。

 一方では、原子力災害に起因する子育て世代の専門家の県外流出が著しい福島では、肥大するニーズに対して保健医療福祉人材が慢性的な支援者不足に陥っています。全国的にも保健医療福祉分野の人手不足が深刻化する中、福島県沿岸部では中長期的な保健医療福祉人材の育成、確保、定着に取り組みつつも、短期的には県内外からの人材派遣に頼らざるを得ません。

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福島におけるこころのケアのニーズは、天災に起因するものとは異なり、長期化する復興の過程において新たな課題が提起されます。2012年初めより、世界の医療団となごみは地域の主体性を重んじつつ、外部の知見やスキルを導入する協働体制を組み、当事者の意思を尊重し、個々人に寄り添った包括的で柔軟な支援を心掛けてきました。

 [画像3]https://digitalpr.jp/simg/200/31891/300_199_201903111122095c85c6510470f.jpg

災害直後のこころのケアの手法については、「サイコロジカル・ファーストエイド」のようなガイドがあるものの長期化する災害、またその復興の段階におけるこころのケアについての著作は多くありません。「福島のこころのケア:実践と教訓」は、避難指示解除が続く被災地で帰還先、避難先で今後も必要とされるこころのケアのニーズに応えると同時に、福島を越えて、今後も発生しうる災害の被災者に対するこころの復興に資するものと期待されます。
また、本冊子は、復興の過程における地域の保健医療福祉機関と外部支援団体の連携のあり方を考察し、震災後10年の節目が迫る中、被災3県におけるこころのケアを支える恒常的な支援体制の議論に一石を投じるものです。

 なごみ理事長 大川貴子
「地震・津波・原子力災害という幾重もの被害を受け、かつ精神科医療が崩壊してしまった相双地区において、なごみは地域のニーズを把握しながら、精神医療、保健、福祉に関する新しい支援システムの構築を目指し活動しています。世界の医療団との協働活動を行なうことで得られた教訓を、多くの皆さまと共有し、様々な場で活用頂ければと思います」

 世界の医療団日本 事務局長 畔柳奈緒
「世界の医療団はなごみの理念に共感し、地域の支援者自身が主体的に取り組む復興の過程に関与し、緊急援助から復興まで当事者に寄り添った切れ目のない支援を心掛けてきました。震災後10年を控え、今、外部支援団体として役割やビジョンが改めて問われています」

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 「福島のこころのケア:教訓と実践」2019年3月発行
 執筆・編集・発行
世界の医療団
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ)
 https://www.mdm.or.jp/mdm/cont/uploads/2019/03/fukushima_cocoro.pdf

 [画像4]https://digitalpr.jp/simg/200/31891/700_286_201903111123425c85c6aec16b8.jpg

 本件に関するお問合わせ先
■お問い合わせ先■
特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド・ジャポン
(認定NPO法人)
広報マネージャー/証言活動担当 石川
TEL: 03-3585-6436
Email: ishikawa@mdm.or.jp
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特定非営利活動法人
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会
相馬広域こころのケアセンターなごみ センター長 米倉
TEL: 0244-26-9353
Email: yonekura-k@soso-cocoro.jp

 関連リンク
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表
https://www.mdm.or.jp/news/14075/
福島そうそうプロジェクト
https://www.mdm.or.jp/project/805/

プレスリリース詳細へ 提供:Digital PR Platform



https://www.m3.com/news/general/665812
透析せず死亡、福生病院に立ち入り調査 専門医らの学会  
2019年3月15日 (金) 朝日新聞

 透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)の調査委員会は15日、公立福生病院を立ち入り調査した。透析治療の中止の選択肢を提示され、その後死亡した患者への担当医と病院の対応などについて病院側に確認した。月内にも見解をまとめる方針だ。

 調査はこの日昼過ぎに始まり、午後4時ごろまでに終了した。独自に調査委を立ち上げた日本腎臓学会も調査委員を派遣。詰めかけた報道陣が建物の外から遠巻きに様子をうかがった。学会、病院とも調査内容については明かさなかった。

 透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析の中止などを検討する場合として、がんなどを併発した終末期の患者らを想定。透析を見合わせる際には、患者や家族への十分な説明や、医療チームで検討した上で決めることを求めている。

 透析医学会の調査委は今後、聞き取りをもとに病院を受診した腎不全患者の当時の容体が終末期にあたるのかを検討。さらに、担当医の治療の選択、患者や家族への説明がどうだったかについて調べる。提言についての担当医や病院の認識についても検討し、不適切な点がなかったか評価するとみられる。

 調査委は、早ければ22日の学会理事会に調査結果を報告。学会は内部の倫理委員会で検討し、月内にも見解を示す方針だ。

 腎不全患者の治療に長年携わってきた、大塚台クリニック(東京都豊島区)院長の高橋公太・新潟大名誉教授は「速さを優先して部分的な調査にとどまるのではなく、時間をかけてもしっかりと事実を解明するべきだ」と指摘している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664550
問題は「透析中止」にあらず、マスコミ報道に違和感
核心は「十分な選択肢の提示と納得のいく対話」の有無 
 
オピニオン 2019年3月10日 (日) 永井康徳(医療法人ゆうの森理事長)

 公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題でのマスコミ報道が止まらない。多くのマスコミの論調はこうだ。

 「透析を中止すれば死に至るのが分かっているのに、透析の中止の選択肢を提示して患者は死亡した。そもそも医師は患者を死に至らしめる選択肢を提示していいのか」

 医師が透析の中止を選択肢と提示することはいけないことなのか。そもそもこの出発点のボタンが掛け違っている。私が理事長を務める医療法人ゆうの森(愛媛県松山市)は、在宅医療を主体にする医療機関を運営しており、法人全体の看取りは年間約200人に上る。私自身、透析中止の選択肢を提示した経験が何度もある立場から、一言申し上げたい。

 まずは、現在の日本の人工透析について再確認しておこう。人工透析患者の数は、年々増加し、2016年には全国で32万9609人に上る(日本透析医学会ホームページによる)。

 透析に至る原因は、糖尿病性腎症が最も多く、約4割を占めているが、現在は高齢化に伴う腎機能悪化による透析患者も増加している。1カ月の透析治療の医療費は、患者一人につき外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30万~50万円程度が必要と言われている。このように透析治療の医療費は高額だが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立している。

 人工透析は、医療機関側から見ると最初の医療機器の初期投資は必要だが、一度人工透析を開始すると継続的安定的な患者確保が可能で、透析医療に取り組む医療機関の中には、一種の利権とも言える医療が展開され、人工透析の安易な導入もあるようだ。

 一方、透析患者は基本的に週に3回、1回につき数時間の透析の時間が必要で透析には患者家族にも大きな時間と労力がかかり、公的医療機関では、患者の利便性を考え、人工透析に取り組まざるを得ない状況もある。

 腎不全の患者が、腎機能が悪化した時、人工透析で人工的に腎臓の機能を代用する選択肢が日本にはある。人工透析には多額の医療費がかかるが、日本ではほとんどが公費負担で人工透析を受けられる体制が整っている。多くの海外の国では、医療費が高額のためこの人工透析を受けられない国も多い。

 腎機能が悪化して人工透析が必要になった際、患者家族は、まずは人工透析を導入するか否かという選択を迫られる。医師は透析を導入した場合と導入しなかった場合、その後どうなるかを患者家族に丁寧に納得がいくまで説明する必要があるが、そもそも透析を実施する選択肢もあれば、実施しない選択肢もある。それは、呼吸状態が悪くなったときに人工呼吸器を装着するかどうか、食べられなくなったときに胃瘻栄養などの人工栄養や点滴を行うかどうかを選択することと同じである。医師は、治す医療の選択肢を提示すると同時に、何もせず自然に経過を看る選択肢まで全ての選択肢があることを患者家族に説明する義務があり、患者家族はそのどの選択肢を選択してもよいはずだ。

 ある記事の中に、日本透析医学会監事の医師のコメントがあった。「患者に人工透析を中止する提案をすることは少なく、私自身は経験がない」と発言している。そもそも透析をしない選択や透析を中止する選択はあり、医師はその全てを提示した上で、その患者本人家族にとって最善の方法を選択できるように支援するべきであり、透析をしない選択や中止の選択を提示しないことの方が問題である。

 私たちは、多くの高齢者を診てきたが、最近は、超高齢の患者も多く、腎機能が悪くなっても人工透析を選択せずに、自宅で自然に看取るケースも多い。高齢だからという理由だけで、人工透析をするかどうかを決定できるわけではなく、患者本人にとって最善かどうかが選択の大きなポイントとなる。

 一番問題なのは、人工透析の中止を選択肢として提示して死に至ったことではない。患者家族と十分な話し合いがもたれていたのかということだ。これは、まさにアドバンスケアプランニング(ACP)の問題である。意思決定支援で大切なこととして、本人の気持ちが分からないと家族の気持ちが優先されてしまいがちだが、あくまで本人の命であり、体なのだから、本人が何を望んでいるのかを最優先に考えることがまず大切である。

 そして、自然に診る選択肢から、とことん治療する選択肢も含め、全ての選択肢を関係する全ての人と十分に議論することが大切である。さらに、本人に代わって道筋を選択する家族の重荷に配慮しながら、気持ちは揺れてもいいことをお伝えすることが大切だ。

 本人にとっての最善は何か、正解はない中で、「当事者と支援する医療者で十分に悩んで出した結論が正解なのだ」と言ってあげられるようなプロセスを踏んでいくことが大切ではないだろうか。最終的に出た「結論」ではなく、悩んだ「過程」が大切だと思う。

意思決定支援で大切なこと
 (1)家族だけではなく、本人の意思を最優先する
 (2)とことん治療する選択肢から、何もしない自然の選択肢まで考え得る全ての選択肢を提示する
 (3)その時点で関係する全ての人と十分に議論する
 (4)決断に迷う当事者に寄り添い、決断は変わっても良いことを伝える
 (5)後で「これで正解だったんだ」と言ってあげられるプロセスを踏む(結果ではなくプロセスを大切に)

 現在の社会は超高齢社会となり、今後、団塊の世代の方が後期高齢者となり、死亡者がかつてないほど増加する多死社会を迎える。この多死社会で死亡者が多くなるのは、高齢化が進み、治せない病や老化で亡くなっていく人たちが増えるためだ。

 高齢で亡くなっていく人たちが増えていく時代に、全ての人が最期まで治療を続けて亡くなっていく社会でよいのだろうか。病気だけではなく、人は人生のあらゆる場面で決断を迫られる。もちろん、一人一人にとって最善は違う。どのような決断をしようともその決断をする権利が患者家族にはあるはず。そして、人の命に関わる重要な決断をするときに、迷ったり、決断が変わったりするのも当然のことだと思う。

 支援者にとって大事なのは、本人や家族が命に関わる重大な決断をするときに、「迷ってもいい」というスタンスを示し、十分な説明と対話を繰り返すこと。支援者も当事者と同じ立場に立って一緒に悩んで考えることが大切である。

 そして、一人一人にとっての最善が違う以上、その人にとっての正解は何かは誰にも分からない。そして、一緒に全ての選択肢を十分に議論して出した結論は本人や家族にとっても納得のいくものとなるだろう。一緒に悩んで考える過程を経て、出た結論は「それが正解だった」と後押しをすることが支援者にとって大切である。「結果」ではなく、一緒に悩む「過程」を大切にする。

 今回のこの「透析中止」の報道での核心は、この部分であると思う。十分な選択肢の提示と納得のいく対話が行われていたのか否かなのかが問題であって、透析の中止の選択をして死に至ったことが問題ではない。この点を報道するマスコミの方々にも十分に認識していただきたい。

ACPの3つのコア概念
 (1)人によって最善は違う
 (2)気持ちは変わってもよい
 (3)結果よりも過程を大切にする

 生まれたら人はいつか必ず亡くなる。亡くなるまで全ての人が治療を受け続けなければいけないわけではない。

 医療者はむしろ治療を続ける方が楽であり、死に向き合って、治療を選択しない選択をする方がつらいものである。

 「死」は医療の敗北ではない。それでもいつか亡くなる「死」に患者本人も家族も医療者も向き合って、いつか亡くなるときにどんな最期を迎えたいのかを考えることがこの多死社会では大切になってくるのではないだろうか。

 人生とは「いつか亡くなるまでどうよりよく自分らしく生きるか」だと思う。長く生きることだけが善ではない。このような報道で透析の中止や死に向き合って治療をしない選択が全て非難されるようなことにならないことを私は祈る。



https://www.m3.com/news/general/665562
神栖再編統合 厳しさ続く医師確保 分院完成に遅れ  
2019年3月14日 (木) 茨城新聞

 神栖市の神栖済生会病院(同市知手中央)と鹿島労災病院(同市土合本町)が4月1日、再編統合する。残り1カ月を切り準備が急ピッチで進むが、鹿島労災の駐車場に新設される分院(10床の診療所)の完成は最大で約3カ月遅れる見込みで、医師確保も難航しているのが現状だ。統合し、将来的には地域の中核病院の役割を担う350床の二次救急病院を目指すとしているが、その道のりは険しい。

■最大3カ月

 両病院の再編統合は、神栖済生会を本院とし、3月末で廃止となる鹿島労災の敷地に分院を新たに整備する計画。神栖済生会は増築工事を段階的に行い、現在179床を2021度中に240床、25年度中に350床に増やすことを目標に掲げる。

 分院は鉄骨平屋で延べ床面積719平方メートル。診察室4室、処置室、検査室、エックス線撮影室などが設けられ、診療科は(1)内科(2)和漢(3)整形外科(4)外科(5)小児科―が予定されている。4月1日の開院を目指し、昨年11月に着工した。

 ところが、神栖済生会が今年1月、開院の延期を明らかにした。「来年の東京五輪や昨年相次いだ自然災害の影響で建築資材が不足している」(神栖済生会)のが主な原因で、工期が最大3カ月程度遅れる見通しという。

■鹿島労災3人

 統合で将来的な病床数増加を目指す中、最大の懸案である医師確保は依然厳しい状況が続いている。

 神栖済生会によると、鹿島労災の常勤医は12人。当初大半が移籍し、引き続き勤務することを期待していたが、鹿島労災の派遣元の大学から神栖済生会に派遣されるのは、現時点で3人と分かった。鹿島労災の機能継承や地域で発生率の高い交通事故の外傷患者に対応するため、最重点の一つとして交渉していた整形外科医の移籍は、実現が厳しい状況という。

 神栖済生会の常勤医は23人(18年4月現在)。県が昨年9月に最優先で医師確保に取り組む必要のある医療機関として公表した県内五つの病院の一つで、整形外科3人が必要医師数として挙げられた。4月以降、非常勤の整形外科医1人が勤務する見込みにとどまっている。

■ワースト水準

 厚生労働省が2月に公表した医師の充足度合いを表す医師偏在指標によると、最も医師が充足している東京都の「329・0」に対し、本県は全国ワースト6位の「179・3」で医師少数県に指定された。県内九つの2次医療圏(全国335医療圏)を見ると、つくばが「442・9」で全国4位の医師の多さを誇る一方、鹿行は全国ワースト水準の「86・9」で329位、県内で最下位だった。

 両病院の所在地で、医師確保を重点施策に位置付ける神栖市は、19年度当初予算案に7億5646万円を計上。東京医科大や日本医科大、筑波大などへの寄付講座継続や、指導医確保に対する補助金制度などに取り組む方針を示す。

 神栖済生会も「関係機関と連携して医療体制の充実に努めたい」とし、引き続き各大学を回るなどして医師派遣の実現に全力を挙げる考えだ。

 統合によって医療資源を集約し、地域の中核病院を目指した再編統合。関係者は「鹿島労災の閉院だけで終わらせてはいけない」と口をそろえる。地域医療の再建と山積する課題の解消に向け、関係機関と行政の連携した取り組みが一層求められる。(鹿嶋支社・関口沙弥加)



https://www.m3.com/news/general/665222
医学部入試不正 学生多数 差別を批判…医学連調査 中間報告 「仕方ない」意見も  
2019年3月13日 (水) 読売新聞

 東京医科大の不正入試問題を受け、全国の大学医学部の学生自治組織で構成する「全日本医学生自治会連合(医学連)」は12日、全国の医学部生を対象としたアンケート調査の中間報告を公表した。入試での女子・浪人差別に対し、批判的な回答が数多く寄せられる一方、「仕方がない」との意見もあった。面接では、女子の15%が結婚や出産について質問されていた。

 アンケートは昨年11月以降、ネットなどを通じて実施。2月1日現在で50大学の男女計2186人(男1257人、女890人、無回答39人)から回答を得た。

 東京医科大は医学部医学科の一般入試で、女子と4浪以上の男子の得点を一律に減点していた。差別は、順天堂大など他大学でも発覚した。アンケートでは、「どんな合理的な理由で説明されても、差別や人権を無視することはあってはならない」(6年女子)、「個々人をしっかり見て判断すべきで、一律の減点は個人の尊重に反する」(1年男子)などの批判や憤りが多数寄せられた。

 一方、「医療現場の体制を考えたら正直仕方がない」(6年女子)、「公表していれば不正とは考えない」(4年男子)など一定の理解を示す意見もあった。

 差別の背景には、結婚や出産で職場を離れる可能性のある女性医師を敬遠する医療現場の実情があるとされる。入試の面接では、女子の15%が「出産、育児で退職するつもりか」(2年女子)「妊娠はメリットかデメリットか」(同)などの質問を受けた。年齢についても、全体の5%が「本当に今から医者になる気があるのか」(医学部を受け直した3年男子)などと聞かれていた。

 医学連中央執行委員会の山下さくら委員長(23)は12日、東京都内で記者会見し、「問題の背景には医師の過酷な労働環境があり、不正入試の根絶だけでなく、医師の働く環境を変えていかなければ差別はなくならない」と訴えた。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。




https://www.m3.com/news/general/665039
うつ症状、仕事の満足度が関係 富大大学院助教調査  
地域 2019年3月13日 (水)配信北國新聞

 富大大学院医学薬学研究部(医学)の立瀬剛志助教が、北陸の公務員2088人を対象に仕事と健康状態の関係について1年間の追跡調査を行った結果、抑うつ症状の発症は労働時間より、仕事への満足度が大きく関わっていることが分かった。働き方改革で労働時間短縮に関心が集まる中、立瀬助教は「労働時間が重要なのはもちろんだが、仕事に満足を感じられる職場環境づくりを忘れてはならないとデータで裏付けられた」と指摘している。

 立瀬助教が2010年5月から1年間調査したところ、「あなたは仕事に満足していますか」との設問に否定的な答えをした人は、肯定的な解答をした人に比べて1年後に抑うつ症状を発症したリスクが1・94倍高かった。

 一方で労働時間だけを見ると、9時間と答えた抑うつ症状発症者数を1とした場合、9~11時間1・04、11時間以上0・86で、抑うつ症状発症との間に明確な関係が見られなかった。



https://www.m3.com/news/general/665009
健康促進は切り札か 医療費抑制の「甘い夢」 「2025年 超寿社会」「さまよう財政」  
行政・政治 2019年3月12日 (火)配信共同通信社

 元気に暮らすのに重要な「歩行年齢」を姿勢などから測る機器や、ミネラル豊富な歯磨き粉...。東京都内で2月に開かれた健康長寿産業展は、近年の健康ブームを一段と刺激しそうな商戦に沸いていた。「高齢化が進む日本は有望市場」と話すのは米国系食品大手の担当者だ。独自開発した大豆粉や甘味料を手に「世界に先駆けた新商品ですよ」と力を込めた。

 長寿社会で花開くヘルスケア産業を利用するのは、介護施設や高齢者らにとどまらない。生産性向上を急ぐ企業は、従業員らの健康診断データを解析するシステムを導入し始めている。

 オフィス機器大手の内田洋行(東京)の健康保険組合は2013年に採用。血糖値などから特定の指導が要る人を自動抽出でき、加入者7千人のうち109人の「ハイリスク者」の生活習慣の改善を重点支援して効果を上げた。保健師らの余力を生かし、慢性的な腰痛や若手社員の食事の改善にも手を広げている。

 「生き生きと働ける状態をつくることが企業がもうかる土台になる」と事務長の中家良夫(なかいえ・よしお)(64)。医療費負担の高止まりに悩む企業健保では、収支改善に向けた先行投資の意味合いも帯びる。

 経費圧縮の思惑を込め、健康促進の追求は国レベルでも進む。合言葉は「治療から、予防や健康管理へのシフト」。腹囲を調べる特定健診(メタボ健診)の実施率向上や糖尿病患者数の抑制といった目標達成に加え、先進技術を生かす予防医療の議論が政策の前面に出てきた。

 半面、健康づくりが財政再建の「切り札」になるとの説には異論が強い。首相、安倍晋三(64)が昨年「予防、健康にインセンティブ(動機づけ)を置くことで医療費が削減されていく方向もある」と、今後の社会保障改革に絡めて発言したことで論争に火が付いた。

 専門家の間では効果の一方、施策に伴う支出がかさむとの指摘が相次ぎ、日本福祉大名誉教授の二木立(にき・りゅう)(71)は「世界的に、むしろ医療費は増えたとの研究結果が定着している。そもそも予防医療は生活の質を上げるためのもので、費用抑制手段と考えるべきではない」と断じる。

 08年度に始まったメタボ健診は年2兆円の医療費削減効果がうたわれたが、検証した対象者の実績は1人年約6千円にすぎず、投じた予算を下回った。時の政権が再び「甘い夢」に浸る光景に、政府内では「超長寿社会に備えた財源確保という『苦い現実』からの逃避だ」と冷ややかな声も出ている。(敬称略)



  1. 2019/03/17(日) 09:32:35|
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Never Forget 11-3-11

8th year after disaster
Never Forget 2011-03-11


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  1. 2019/03/11(月) 05:21:38|
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3月10日 

https://www.afpbb.com/articles/-/3214196
フランス、地方の医師不足に住民の不満噴出  
2019年3月6日 10:00 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ] AFPBB News

【3月6日 AFP】仏パリ南方にある小さな町、モンタルジ(Montargis)で医師や歯科医を受診することは実に難しい──。首都から100キロ程度しか離れていないにもかかわらず、それは月の裏側に住んでいるのと変わらないほど困難を極めるという。

 この町では先ごろ、地域社会の問題について話し合うタウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた。参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 タウンミーティングは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、自身の政策に対する抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応の一環と位置付けて各地で開催されているものだ。

 人口約1万5000人のモンタルジや多くの町で、医師不足は大きな問題となっている。フランスでは第2次世界大戦(World War II)終結以降、ほぼ無料で医療を提供する国民健康保険制度を誇りにしてきたが、すべての患者が平等な治療を受けているわけではない。

 公式統計によれば、フランスの医師の数は現在約22万人。1980年からは2倍に増えている。しかし、その多くは地方部や小さな都市よりも、大都市で働くことを好む。

 例えばパリでは住民10万人当たり約798人の医師がいるが、モンタルジ地区では一般開業医が同76人と、全国でも最低水準だ。

■医療砂漠
 フランスでは、全人口の8%が暮らす約9000か所の小都市で、一般開業医の数が不足している。黄色いベスト運動が大きな支持を集めるモンタルジでは、新たな患者を引き受ける一般開業医は一人もいないと住民らは話す。
 地元出身の国会議員で、自身も心臓専門医であるジャンピエール・ドール(Jean-Pierre Door)氏は「誰もかつての休日なし、1日20時間労働だった医師のようにはなりたがらない」と話す。
 マクロン大統領は最近、医師の増員を目指す医学部改革を発表した。だが、ドール氏によれば「医師の養成には12年かかる」。
 モンタルジでは、地区一帯の住民15万人に対して病院は1か所しかない。130人の医師が働いているが、救急医療は依然、人手が足りない。「15年前、この病院では年間1万5000人の患者を扱っていたが、今では6万人だ。しかも、病院での待ち時間は平均5~6時間だ」とドール氏は話す。
 一般開業医が不足しているため、救急外来を受診する患者の60%以上が、耳の炎症や処方箋の更新といった一般外来で対応できる処置のために来院する。

■診断の遅れ
 数か月前に開業したばかりの若手のがん専門医、フランソワ・カミュ(Francois Camus)氏は、受診後の経過観察が十分に行われていないことに驚いたと明かした。「進行がんの患者を何人か診たが…一般開業医が足りないせいで、診断が遅れてしまった人たちだ」

 婦人科医も、同様に不足している。「女性患者の中には20年以上もの間、医師による経過観察が行われていなかったために、腫瘍が大きくなってから診察に訪れた人もいた」とカミュ氏は語った。
 インターネット上の討論サイトでも、医師不足に関する不満が噴出している。ある女性は、「医大を卒業したばかりの若い医師は、医師を必要としている地域で4~5年経験を積むことを義務化すべきだ」とコメントした。
 だがドール氏は、強制しても解決策にはならないと言う。それよりも過去2年間にわたって試験運用されてきたように、開業可能な医師らに無料で診療所となる場所を提供するよう、地元当局に奨励すべきだと同氏は主張する。
 フランスでは現在、カナダ・ケベック(Quebec)州やスウェーデン北部の遠隔地の例を参考に、モンタルジの町が強く要望しているインターネットを通じたオンライン診療の試験運用を行っている。(c)AFP/Anne CHAON



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190305_13043.html
<地域医療>登米から発信 訪問診療の医師が講演 医師不足・赤字経営「市民が関心を」  
2019年03月05日火曜日 河北新報

 「登米市の未来を創造する講演会」が3日、宮城県登米市迫公民館であり、市内で訪問診療を行うやまと在宅診療所登米院長の田上(たのうえ)佑輔氏が「地域医療は登米市から 地域の声が全て、市民が創(つく)る医療」と題し講演した。
 市民約150人が参加。田上氏は「都市と地方を循環する医師の働き方」をテーマに訪問診療を市内で展開し、現在医師25人が全国から登米市にやって来て、交代で地域医療に携わっている現状を解説した。
 看護師や薬剤師がゲストスピーチし、介護施設など他職種の人々が情報共有し連携して在宅療養ができる体制を市内で構築していることも紹介した。
 医師不足や赤字経営が課題となっている市の病院事業について田上氏は「市民が無関心でいることが一番良くない」と指摘。地域住民、医師、病院、自治体の役割を整理、再考した上で「登米市民病院の良いところを応援していく姿勢が必要だ」と語った。
 田上氏は医療問題を含め「将来のまちづくりには人づくりが大切」と教育の重要性を強調。「頑張っている人を世界一応援してくれるまちに登米がなることを目指そう」と呼び掛けた。



https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/feature/CO038191/20190306-OYTAT50038/
医師確保「寄付講座」拡充  
2019/03/07 05:00 読売新聞

 つくば4位、筑西・下妻328位、鹿行329位――。

 全国に335ある2次医療圏の医師偏在の状況を指標化し、順位をつけるとこんな結果になる。厚生労働省が、今夏の正式導入を前に、先月試験的に算出した「医師偏在指標」(暫定値)だ。

 新指標は、人口構成や医師の年齢分布などを考慮しているため、これまで全国比較に使われていた人口10万人当たりの医師数と比べ、地方の医師不足の実態がより反映されるという。暫定値では、県内に9ある2次医療圏のうち上位3分の1に入ったのは、つくばを含め3。一方で、下位3分の1は、筑西・下妻、鹿行を含め5。本県の医師偏在の深刻さが改めて浮き彫りとなった形だ。

 県庁で2月21日に開かれた県医療審議会。県の木庭愛保健福祉部長は「新年度にこの指標を基に医師確保計画を策定する。本県の医療保健政策を進める上で重要だ」とあいさつし、協力を呼びかけた。

■行動宣言4・83%増

 大井川知事の就任後、県は昨年2月に「医師不足緊急対策行動宣言」を発表、「あらゆる手段を講じる」ことを明らかにしている。宣言に基づく医師の確保や育成などの関係費用は、今年度当初予算の22億7643万7000円から、新年度は4・83%増の23億8648万円に拡充される。予算案には主な事業として▽地域医療支援センターの体制強化(1億1735万円)▽県外からの医師確保(2億401万円)▽県立学校への医学コース設置(883万円)――などが盛り込まれた。

 地域医療支援センターの体制強化では、若手医師への情報提供を通じたキャリア形成支援といった既存の事業に加え、新たにセンター分室を筑波大に設置し、県内唯一の医師養成機関である同大との連携を強化する。

■つくば「一極集中

 県外からの医師確保では、県の負担で大学に期間限定の「寄付講座」を開く事業を拡充する。

 この事業は県内ですでに一定の成果が出ている。県は昨年9月に医師不足を最優先で解消する県北、鹿行、県南地域の5病院を公表。うち県北の中核病院である「日立総合病院」(日立市)の産婦人科には4月以降、筑波大の医師4人が派遣される。県が新年度、同大に寄付講座を追加で開講するためだ。

 ただ、常陸大宮済生会病院や神栖済生会病院など、残り4病院は「(公表から)2年以内の医師確保を目指して水面下で進めている」(県医療人材課)段階で、まだ実現していない。さらに県は今年1月、日立総合病院で新たに小児科医2人の優先的な確保が必要と発表した。

 本県は、人口10万人当たりの医師数で全国ワースト2位が続くが、医師偏在指標では同ワースト6位と、依然“下位ゾーン”ながらもやや改善する。全国4位となったつくば医療圏への「一極集中」の影響が大きいとみられる。

 県医療審議会の委員でもある県医師会の諸岡信裕会長は取材に対し、「(偏在指標で上位3分の1に入った)つくば、水戸、土浦から、県北や鹿行などに、どうやって医師に移ってもらうかが課題。医師本人だけでなく、家族にも配慮した生活環境の整備などが必要だ」と指摘した。(山波愛)

 2次医療圏 手術や入院治療など、一般的な医療を受けられるようにするため、都道府県が設定する地域の単位。圏域内の中核病院に車で1時間以内で到着できるなど、患者の受療動向、地理的条件や交通事情などを考慮して決める。多くの場合、1次医療圏は市町村、3次医療圏は都道府県全域。
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https://japan-indepth.jp/?p=44548
福島に新しい医療の風、吹く  
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長) 投稿日:2019/3/8 Japan in-Depth

2018年3月20日、NPO法人医療・健康社会研究所が日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」を受賞した。東日本大震災以降、メンバーの若手医師が福島県浜通りで診療に従事しながら、国内外に情報を発信してきたことが評価された。

このNPO法人の主要メンバーは4人だ。理事長は坪倉正治医師、理事は尾崎章彦医師と森田知宏医師、幹事は関家一樹氏だ。4人とも学生時代から、当時、東京大学医科学研究所にあった私どもの研究室に出入りしていた。

医師は坪倉・尾崎・森田の3人で、いずれも東京大学医学部の卒業生だ。坪倉医師は2011年4月、尾崎医師は2014年10月、森田医師は2014年4月から浜通りの病院に勤務している。

彼らは、「被災地の役に立ちたい」と自ら進んで飛び込んだ。診療を通じて関係者との信頼関係を構築し、地域の課題を共同で解決した。地元の人に魅了され、気がつけば今でも現地で働いている。その間に現地での活動を臨床研究として発表した。医師は現場で育つ。彼らの存在は新しい医師育成の在り方を体現している。

福島が医師不足であることは言うまでもない。人口10万人あたりの医師数は196人。全国平均の240人を大きく下回り、埼玉(160人)、茨城(180人)、千葉(190人)、新潟(192人)、岩手(194人)に次いで少ない。偏在も深刻だ。3月18日、厚生労働省が発表した「医師偏在指標」は177。全国で岩手(169)、新潟(170)、青森(172)に次ぐワースト4位だ。

福島県内でも特に酷いのが相馬市・南相馬市などの相双地区だ。福島第一原発が位置する双葉郡も含まれる。2016年末現在、この地域の人口10万人あたりの医師数は145人。福島市を含む県北医療圏の266人の半分程度だ。紛争が続くシリア(150人)よりも少ない。

ただ、相双地区の医師不足は悪化の一途を辿っているという訳ではない。興味深いことに、人口10万人当たりの医師数は、震災前(2010年)の120人から2016年の145人に25%も増えている。県北地域の19%増よりも高く、福島県の二次医療圏で最高だ。

勿論、原発周囲の住民が避難し、人口が減少した影響もあるだろう。医師の実数は236人から160人に減っている。ただ、この地域の医師密度が増加したという点は注目に値する。

これは坪倉医師をはじめ、今回受賞した若手医師の存在が大きい。現在、彼らが勤務する相馬中央病院と南相馬市立総合病院には合計13人の40歳以下の常勤医が勤務している。震災前の5人から大幅に増加した。興味深いのは、このうち7人が地元の福島医大の医局員でないことだ。震災前、このような医師は名古屋大学脳外科から来ていた1人だけだった。

東日本大震災以降、彼らは自ら進んで浜通りにやってきた。それは、この地域で働くことがキャリアアップに繋がるからだ。今春、南相馬市立総合病院は3人の初期研修医を受け入れるが、このうち2人は志望動機を「論文が書けるようになるから」と言ったという。

昔から医師教育の両輪は診療と研究だった。近年、「やり方」が変わりつつある。かつて医学研究は大学にいなければ出来なかった。大学には大勢の患者だけでなく、文献、実験器具、さらに研究をサポートするスタッフがいた。ところが、状況はかわった。高齢化が進み、大学病院で高度医療を受けたい患者は減り、自宅での終末期医療や介護の需要が高まった。

医学研究の中心は基礎医学から臨床研究、さらに公衆衛生研究や情報工学などと共同した学際的な研究にシフトした。このような研究では高価な実験器具を揃える必要はなく、SNSなどIT技術を駆使すれば、どこにいても論文は書けるようになった。

近年は地球温暖化が進み、世界中で豪雨や干ばつが生じている。災害医療は世界のトピックとなった。中国をはじめとした新興国で原発の建設が進み、原発事故の情報は貴重だ。このように考えると、東日本大震災後の浜通りには世界の医療が抱える問題が凝縮されている。坪倉医師たちは、この地で診療を続け、その結果をまとめていった。

2011年から2018年までの間に、彼らは合計115報の英文論文を発表している。うち95報は福島関係だ。図1に示すように2017年を除き、毎年発表数は増えている。
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▲図1:坪倉グループの英文医学論文数の推移

筆頭著者として発表したのは、坪倉医師19報、尾崎医師8報、森田医師7報だ。これ以外には、彼らの「仲間」である野村周平氏10報、西川佳孝氏9報、澤野豊明氏8報、村上道夫氏7報、レポード・クレア氏4報だ。8人で全体の76%を占める。

特記すべきは、この8人全員が40歳以下の若手だ。坪倉・尾崎・森田・西川・澤野氏は臨床医で、残る3人は公衆衛生学を専門とする研究者だ。臨床医は全員が浜通りの病院で診療を続けている。研究者も福島県で活動している。村上氏は震災後、勤務していた東京大学から福島医大に移籍した。

クレア氏はエジンバラ大学の修士課程に在籍中に南相馬市立総合病院に約1年間勤務して、研究に従事した。彼女の修士課程の論文は東日本大震災が浜通りの住民の健康に与えた影響だった。

野村氏は震災直後に東京大学医学系研究科修士課程に入学した。指導教員は渋谷健司教授(国際保健政策学)。渋谷教授は筆者とともに震災直後から被災地で活動を続けていた。野村氏は渋谷教授とともに被災地で活動し、修士課程の学位論文を書いた。その後、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程に進んだが、そこでも原発事故の健康影響について研究を進め、博士号を取得した。

彼らは、論文を書くために被災地を「利用」した訳ではない。全員が腰を据えて福島で活動し、その活動を世界に発表したのだ。

例えば、2012年8月に坪倉医師がアメリカ医師会誌『JAMA』電子版に発表した内部被曝に関する論文だ。

相双地区で、まっさきに内部被曝検査を始めたのは南相馬市立総合病院だった。この論文では2011年9月~2012年3月までに同院で内部被曝検査を受けた住民9,498人の検査結果をまとめた。小児の16.4%、成人の37.8%で内部被曝が確認されたが、被曝量の中央値は小児で590ベクレル(範囲210-2,953)、成人で744ベクレル(210-12,771)だった。預託実効線量(放射線被曝をした場合の生涯での被曝量の推計)が1ミリシーベルトを超えたのは1人だけで、多くは問題となるレベルでなかった。

これは福島第一原発事故による内部被曝の実態をはじめて世界に報告したものだ。『JAMA』は世界でもっとも権威がある医学誌の1つである。この論文が発表されると、世界中のメディアが紹介した。「福島原発事故の被曝は問題とならないレベル」と報じられ、福島の風評被害対策に貢献した。

私はこの論文を高く評価する。それはインパクト・ファクター47.6という超一流誌に掲載されたからではない。内部被曝に悩む住民を支えるための活動の結果だからだ。

南相馬市立総合病院で内部被曝検査を立ち上げるのは至難の業だった。政府は、専門家集団である放射線医学総合研究所や日本原子力研究開発機構に指示して、原発事故被災地の支援に従事させたが、対象の中心は原発周辺の高度汚染地域だった。南相馬市立総合病院の内部被曝検査をサポートする余裕はなかった。

南相馬市立総合病院での内部被曝検査立ち上げの中心的な役割を担ったのは坪倉医師だった。ノウハウを有する自衛隊や早野龍五・東大理学系研究科教授(当時)らと相談し、試行錯誤を繰り返した。

内部被曝検査開始後は、検査に立ち会い、検査結果が出たあとは希望する住民の相談に乗ってきた。坪倉医師は「立ち会った検査は10万件、個別相談に応じた住民は数千人を超える」と言う。

地道な活動は坪倉医師に限らない。2013年4月、野村氏は米『プロスワン』誌に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。この研究では、避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。

この研究は世界の原発事故対策に大きな影響を与えた。この論文が発表されるまでは、原発事故が起これば避難することが最優先された。ところが、福島では避難が死亡を招いた。チェルノブイリやスリーマイル島と比較して、福島では高齢化が進んでいたからだろう。長時間に渡る移動および見知らぬ土地でのストレスが寿命を縮めた可能性が高い。

野村氏の研究成果は、国際原子力機関(IAEA)の「福島事故最終事故報告書」にも盛り込まれ、高齢化社会では避難がリスクを伴うことがコンセンサスとなった。

野村氏は、この論文を東京で書いたわけではない。相双地区に入り、坪倉医師とともに全ての介護施設をまわった。南相馬市立病院で泊り込み、震災後の記録をデータベースに打ち込んだ。

論文が発表されたあとは、結果を持って協力してくれた介護施設に回った。あるスタッフからは「感じていた通りの結果だった。これで後世に記録が残せました。まとめて頂いてありがとう」とお礼を言われたという。

尾崎医師の活動も興味深い。昨年、彼は英『QJM』誌に故高野英男・高野病院院長の生涯についての論文を発表した。

高野病院は広野町の唯一の入院施設で、故高野院長は震災後も現地にとどまり診療を続けた。ところが2016年末、たった一人の常勤医である高野院長が急逝した。この状況で尾崎医師は「高野病院を支援する会」を立ち上げ、仲間の医師とともに高野病院をサポートした。その記録がこの論文だ。

坪倉チームは、このスタンスを貫いている。長期間にわたり、被災地での活動を続けている。大学の医局から医師不足の病院に派遣される若手医師とは対照的だ。彼らの在勤機関は通常1-2年間だ。これでは病院スタッフは勿論、地域住民と信頼関係が構築出来た頃に異動することになる。

では、なぜ、浜通りではこのような若手医師が活動を続けられるのだろうか。それは、地元が彼らを迎え入れ、応援してくれるからだ。その筆頭が立谷秀清・相馬市長だ。福島医大を卒業した内科医で、坪倉医師や森田医師が勤務する相馬中央病院の理事長でもある。この病院には、森田医師と東大医学部で同期の藤岡将医師も常勤の消化器内科医として勤務する。

本項で詳述はしないが立谷氏は東日本大震災の被災地の復興の象徴的存在だ(上昌広『今知る、震災市長のリーダーシップ』)。そのリーダーシップのもと、相馬市の復興は速かった。実績を評価され、昨年、全国市長会会長に選出された。相馬市の人口は3万5,307人(2月1日現在)。地方の小都市から初めての選出だ。

立谷氏は平素より「復興したければ、自分たちでやらないとだめ。政府や県を批判しても事態は改善しない」という。実力のある政治家だ。私は東日本大震災直後、仙谷由人氏から「被災地の医療を応援してやってほしい」と立谷市長を紹介されたが、携帯電話で少し話しただけで、その力量がわかった。

立谷市長に最初に紹介したのが坪倉医師だった。当時彼は29歳。4月から東大医科研の大学院に進み、私が指導することになっていた。若者は苦労を経験することで成長する。必要なのはメンターだ。坪倉医師にとって、立谷市長は得がたいメンターとなった。彼は4年間の大学院生活を福島と東京を往復して過ごした。

立谷市長の支援もあり、坪倉医師は福島で多くの「人財」と知り合った。数人をご紹介したい。

まずは、産婦人科医である故高橋亨平・原町中央産婦人科医院院長だ。地元を愛し、行動する医師だった。坪倉医師は、高橋医師とともに空間放射線量を測定し、地元の幼稚園の除染作業に従事した。彼は亡くなるまで「この地域に生まれてくる子ども達は、賢く生きるならば絶対に安全であり、危険だと大騒ぎしている馬鹿者どもから守ってやらねばならない」と言い続けた。この言葉は、坪倉医師に強烈な印象を残した。

高橋氏以外にも、南相馬市には気骨がある医師が大勢いた。既に、他の媒体でも広く報じられているため、本稿では詳述しないが、南相馬市立総合病院の金澤幸夫院長(当時)、及川友好副院長(現院長)がいなければ、この地域の医療は崩壊していた(参考:『FACTA』上昌広「南相馬 名もなき『赤髭』物語」)。

同院は福島第一原発から23キロに位置する基幹病院だ。原発事故後、この病院には医薬品はもちろん、食糧も入ってこなくなった。避難を余儀なくされる医師・看護師も大勢いた。残った医師は4名だった。金澤院長のリーダーシップのもと、彼らは獅子奮迅の活躍をする。5人目としてやってきたのが坪倉医師だった。短期的なボランティアではなく、まずは非常勤医師として定期的に勤務することになった。それから8年にわたる長いお付き合いの始まりである。

南相馬市の学習塾経営者である番場さち子先生にもお世話になった。「ベテランママの会」というお母さんたちの集まりを組織し、地元住民を対象とした「正しい放射能のお話し会」を繰り返した。講師は坪倉医師だ。この会を通じて、病院では知りあうことができない住民の声に耳を傾ける機会を得た。また、彼が実際に測定した内部被曝検査の結果を住民に直接伝える貴重な機会となった。

相馬中央病院を支える事務方の佐藤美希さんもかけがえのない存在だ。病院には多くの専門家や事務職が勤務している。多くは旧知の地元の人だ。余所者である坪倉医師や森田医師が働きやすいよう細心の注意を払ってくれた(参考:『HUFFPOST』上昌広「事務方に学べ 若い医師にとっての『先生』は、院内のいたるところにいる」)。

地元紙である福島民友の五阿弥宏安社長の存在も大きかった。2015年1月より坪倉医師に連載のチャンスを与えてくれた。毎週日曜日の「坪倉先生の放射線教室」だ。この連載は現在も続いているが、これを通じて坪倉医師たちの研究が福島県民にとどくようになった。

最後は竹之下誠一・福島医大理事長だ。昨年4月、彼の推薦で坪倉医師は福島医大公衆衛生学教室の特任教授に就任した。現場の診療・活動の傍ら、大学院生も指導するようになった。福島医大は社会人大学院があり、病院で働きながら学びたい医師・看護師が坪倉医師の元に集っている。今年4月には大学院生は9名となる。

大学院生の研究内容は福島関連だけでなく、人工知能を用いた病理診断、在宅医療など多岐にわたる。また、エジンバラ大学博士課程に進学したクレア氏など海外との交流も進めている。ネパール、フィリピン、イギリス、フランス、ロシアなどとも共同研究が進行中だ。坪倉チームは福島原発事故問題に留まらず、多分野かつ国内外に活動の幅を拡げている。

変革は常に辺境から起こる。東日本大震災後に集った若手医師を中心に、福島から新しい医療が生まれようとしている。



https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019030802000324.html
<東日本大震災8年>山谷-福島 魂の医療往復 労働者支え35年・本田さん  
2019年3月8日 夕刊 東京新聞

 東京・山谷地区(台東、荒川区)で日雇い労働者らを35年間、支えた内科医本田徹さん(71)が、先月から東日本大震災の被災地、福島県広野町の高野病院で働き始めた。東京電力福島第一原発の30キロ圏内で唯一、事故後も診療し続けた病院だ。本田さんは「一人一人が居場所を見つけて暮らせる社会に」と思いを新たにしている。 (中村真暁)
 「医師がいれば、故郷に戻ろうという人がいるかもしれない」
 原発から南に約二十キロの高野病院。白衣姿の本田さんが思いを打ち明ける。
 本田さんは三人目の常勤医で、福島と東京を行き来しながら週四回勤務する。医師不足は深刻で、七十代の本田さんも当直に入る。「在宅で生き通したい人を支えたい」と抱負を語り、訪問医療にも取り組むつもりだ。
 高野病院の高野己保(みお)理事長(51)は「高齢者が高齢の家族をみる『老々介護』が問題になっている。本田さんが私たちの病院を見つけてくれたことは、住民のためになると喜んでいる」と歓迎する。
 青年海外協力隊の医師としてアフリカに赴任した経験を経て、本田さんが山谷の街と出合ったのは一九八四年のこと。低料金の簡易宿泊所が立ち並び、日雇い労働者や路上生活者が多い。地域を支援するNPO法人「山友会」が運営する無料診療所で、ボランティアで医療を担い始めた。
 医師不足で診察が受けられない矛盾を目の当たりにする一方、たくましく生きる人々に魅了された。
 「過去の人生に悔いがある人も、充実していたころがある。明るさ、精神的な強さ、多くのことを『人生の先生たち』から教えられた」
 未曽有の原発事故が起きた二〇一一年の東日本大震災。その翌年からは「わずかでも役に立ちたい」と、被災地の福島県いわき市の病院で週一回の勤務も始めた。もともと医師の少ない地域だったが、津波被害と原発事故で医療者は激減していた。
 患者の中には、「なぜこんな目に…」と精神的に追い詰められたり、十分な栄養が取れずにひどい糖尿病で命を削る除染作業員もいた。さまざまな健康被害を眼前にし、「余生は福島で医療をしたい」との思いを強めてきた。
 本田さんは高野病院に勤め始めた今年二月以降も、山谷にある山友会の診療所にも、週一回通っている。高度経済成長期などの日本経済を支えてきた日雇い労働者たちが集まった山谷と、日本の原発政策の舞台となった福島。いずれも国策の陰に置かれた場所として重なって見えるという。
 「住人を大切にしているか」「本当の福祉国家とは何か」。こう問い掛け、国策の果てに苦しむ人々と向き合い続ける。



https://special.sankei.com/a/life/article/20190309/0001.html
医師の残業「過労死ライン」の2倍容認へ 学会など反発 
2019.3.9 産経新聞

 厚生労働省が、一部医師の残業時間の上限「年1860時間」を含む医師の働き方改革の報告書案を13日に開かれる有識者検討会に提出し、今月内に決定することが分かった。「過労死ライン」の2倍となる上限案は既に前回の検討会に示されているが、「納得できない」として会の副座長が辞任したことも判明。各医療学会も相次いで抗議声明を出しているものの、厚労省側は「地域医療を守るため」として押し通す方針だ。
 4月から施行される働き方改革関連法では、罰則付きの残業上限規制が規定される一方、医師はその特殊性から5年間猶予されている。同法による一般労働者に定められた残業上限は、労使協定を結び特別条項を設ければ、年720時間となる。
 医師の残業上限を決める際に考慮されたのは、勤務医約1割の残業が実際に年1920時間を超えていることだ。このまま一般労働者と同様の規制になれば、患者の診療に影響が出る。特に医師が不足している地域では深刻な状態になることを懸念した。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190305-00010000-socra-pol
【舛添要一の僭越ですが】
医学部定員の増加策は反故にされた

舛添 要一 (国際政治学者)
3/5(火) 14:01配信 ニュースソクラ / 産経新聞

いまだに医師は足りていない
 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を(1)医師多数、(2)中程度、(3)少数に分類した。
 (1)は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀
 (3)は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを伝える新聞記事は、いずれも「医師偏在」という大きな見出しである。そこから読者が受けるのは、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するというメッセージである。

 しかし、それは本当であろうか。医師の数は既に十分なのであろうか。次のようなことを考えてみる必要がある。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 また、医師免許を持つ医師が永遠に働き続けるわけではない。高齢で引退する者も、結婚・出産・育児で医療の現場を去る女医もいる。とくに近年、医師全体に占める女性医師の比率が増えていることを忘れてはならない。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 私が厚労大臣になったとき、妊婦のたらい回し事件などが起こり、医師不足や医療崩壊が大きな社会問題となっていた。しかし、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。

 そこで、私は方針を転換して医師数を増やすべきだと考えたが、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭ってしまった。開業医にとっては、医師が増えれば、商売敵が増えて減収につながるからである。また、役人にとっては、医学部定員を制限することが、私学や病院に対する自らの規制権力を強めることになるからである。

 しかし、世論やマスコミの支持もあって、2008年6月17日、私は、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80~90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。激務でも自分の希望する診療科で頑張るという学生のほうが多いと思うが、診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならない。そうなると、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 どの診療科を希望するか、どの地域で医療を行うかは、個人の自由であり、憲法で定められた基本的人権である。厚労省や日本医師会の思惑で医学部定員を決めるべきではない。

 厚労省は、地域枠制度などを活用して偏在を是正することを考えているが、それには限界がある。開業医も、過当競争で減収になれば、稼ぎの多い医師不足地域に移るインセンティヴは増す。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展をとげることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。要は、「この国のかたち」に深く関わっているのである。



https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/808813
論説 医師偏在、国が新指標
地方と連携し具体策示せ
 
2019年3月5日 午前7時30分  福井新聞

 【論説】厚生労働省が、医師が足りているかを示す新たな指標をつくり、都道府県ごとの数値を初めて公表した。「医師偏在指標」で、従来の目安である「人口10万人当たりの医師数」に比べ、より実態に即した数字になる。ただ、同省が医師の効果的な確保策を持ち合わせているのかは疑問だ。国は地方と緊密に連携し、具体策を示す必要がある。

 医療ニーズの充足状況を地域ごとに把握するには、少子高齢化の進展、他地域との間での患者の流出入、医師の年齢構成などを踏まえる必要がある。

 例えば、高齢化がより進んだ地域は医療ニーズが高まることが想定される。医師数が同じでも平均年齢が高くなった場合、提供される医療サービスに影響することも考えられるという。

 10万人当たり医師数はシンプルな半面、地域実情を表せなかった。医療ニーズにかかわる各種の要素を数値化し、それを特定の計算式にあてはめたのが医師偏在指標である。これなら、より地域実態を反映しているといえる。

 厚労省は、指標の数値の下位16県を「医師少数県」と位置付けた。福井は25位でこの中には入っていないが、四つある2次医療圏のうち丹南、奥越が医師少数区域とされた。指標は、こうした地域課題を整理する材料にできるだろう。

 しかし、医師偏在解消への道のりは遠い。同省は2036年度までの医師偏在解消を目指し、医師少数県に対応を求めている。だが、地方の医師不足対策の切り札といわれた大学医学部の「地域枠」制度は、全国的に欠員が目立つのが現状。医師総数そのものは過去最高なのに、「医師不足の地域は勤務が過酷」として若手医師が避ける悪循環も起きている。診療科ごとの偏在もある。

 こうした課題に医療現場からは国の具体的な施策を知りたい、との要望が聞かれる。国はこの声に応えなくてはならない。

 医師偏在問題には、働き方改革の行方も絡む。24年4月から勤務医に適用される時間外労働(残業)上限の特例を、厚労省が1月、最大年2千時間とする案を示したところ、過労自殺した医師の遺族や労働組合の強い反発を受けた。過労死ラインの約2倍の水準で、批判はもっともだ。ただ、同省によると、特例を設けなければ地域医療体制が持たない現実もあるという。

 医師の負担軽減へ、地方も知恵を絞る必要がある。例えば、識者には、緊急性の低い軽症者がコンビニへ行くような感覚で救急医療機関を利用する「コンビニ受診」を減らすため、救急車の有料化を訴える意見がある。全国では実際に、導入を始めた自治体も出てきているという。

 医療ボランティアが活発だったり、地域医療を考える住民団体が活動していたりする地域では、医療に関する理解が進み、医師の働きやすさに結びつくことも考えられる。国と地方が連携し、それぞれの役割を果たしながら、医師確保の具体策を練り上げたい。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42159300X00C19A3000000/
産業医の3割が「対応する自信ない」 4月の働き方関連法施行で民間調べ
働き方改革 ヘルスケア
 
2019/3/7 17:29 日本経済新聞

産業医の3分の1が長時間労働を受けた面談の増加に「対応する自信がない」――。4月施行の働き方改革関連法で、労働者が医師の面談を受ける残業時間の要件が引き下げられる。メドピアが7日発表した産業医を対象としたアンケート調査によると、多くの医師が現状のままでは面談の需要増に対応できないと感じている現状が浮かび上がった。

調査は2月中旬にインターネットを通じて実施した。産業医519人(常勤120人、非常勤399人)の回答を得た。

産業医は企業内で従業員の健康管理について指導や助言をする役割を担う。現行の法制度では1カ月の残業時間が100時間を超えると医師の面談が受けられる。4月の法改正で同要件は80時間に引き下げられ、長時間労働やメンタル不調に関する面談数の増加が予想される。

これに対してアンケートでは常勤医師の32%、非常勤医師の30%がそれぞれ「対応しきれる自信がない」と回答した。理由としては「面談者が増えており、今の勤務時間では不足する」「常勤医での仕事が忙しく、面談が多くなれば対応できない」といった声が相次いだ。「メンタルヘルスへの対応に自信がない」といった言及も目立った。

医師側の時間の不足と専門性の不足――両面での問題解決が、働き方関連法の施行に伴い、課題となりそうだ。
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詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000010134.html



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15517854072706
なめがた地域医療センター 入院機能を縮小し継続
県厚生連方針 救急・休日夜間休止へ
 
2019年3月6日(水) 茨城新聞

土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市井上藤井)の規模縮小問題で、運営するJA県厚生連が4月から、同病院の入院機能を約5分の1に縮小して継続する一方、診療時間外の救急は休止する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。救急や休日夜間の患者は、道路距離で約25キロ離れた「本院」扱いの土浦協同病院(土浦市)と連携して対応する。

同センターの規模縮小は当初、今年4月からの休日夜間の救急受け入れ休止のほか、入院病棟の将来的な閉鎖などが浮上。地元自治体などから機能を継続するよう要請を受け、県厚生連は地域医療に与える影響を最小限にする方向で、医師派遣元の筑波大や自治体などと協議している。

複数の関係者によると、同センターの病床数は199床から40床に大幅縮小するが、入院機能は「地域包括ケア病棟」として継続する見通しとなった。

一方で、診療時間外の休日夜間や救急の患者受け入れは休止し、本院機能を担ってきた県南地域の基幹病院の一つ、土浦協同病院が代替する形で調整を進めている。常勤医は16人から8人程度に半減する見込みだが、土浦協同から非常勤医の派遣を得て診療機能の維持強化を図る。通院患者の利便性を図るため県厚生連は両病院間を結ぶシャトルバス運行も検討している。

同センターは2000年6月に開院。全国最下位レベルの医師不足に悩む鹿行地域の拠点として役割を担ってきた。土浦協同が16年3月、土浦市の中心部から約4・5キロ東側の同市おおつ野に移転し、鹿行地域寄りとなったのを機に、土浦協同との連携を強化し、18年10月からは土浦協同の「分院」に位置付け機能分担を図ってきた経緯がある。

同センターは、24時間365日体制で重症の救急患者を受け入れる3次救急に指定されてきたものの、実際は医療体制が整わず、重篤な患者は水戸地区や土浦協同に運ばれているのが実態だった。規模縮小後は土浦協同との役割分担をより明確にした上で、鹿行地域の救急患者の扱いなどに関し県厚生連が関係機関と協議している。

県厚生連の財務事情は、土浦協同の移転新築に伴う設備投資で悪化した。さらに、なめがた地域医療センターは開院以来一度も単独で黒字を計上できず、近年は患者数の減少が進み、18年度収支は赤字が5億円を超えるまで膨らむ見通しとなった。同センターは199床のうち稼働が179床にとどまり、実稼働病床はさらにその半数程度に低迷しているという。

「働き方改革」による人件費の増加や今年10月の消費増税などコスト高も今後見込まれるため、県厚生連は経営状況のさらなる悪化を防ぐため、最小限の入院機能を残した上で、同センターの規模縮小を判断したとみられる。

規模縮小について県厚生連は、茨城新聞の取材に「関係機関と協議中で、方針は正式に決まっていない」としている。(成田愛、石川孝明、黒崎哲夫)



https://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20190309-OYTNT50170/
<震災8年>地震想定 護衛艦に医療施設  
2019/3/9 05:00 読売新聞

府や舞鶴市など初の設置訓練
 東日本大震災から11日で8年を迎えるのを前に、府と舞鶴市、海上自衛隊舞鶴地方隊は9日、府北部での大規模地震を想定し、海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「ひゅうが」に負傷者の搬送拠点となる臨時医療施設(SCU)を設置する初の訓練を実施した。

 約30機関1200人が参加。午前7時30分、府北部を震源とするマグニチュード7の地震が発生し、舞鶴、綾部両市で震度6強を観測、140人の負傷者が出たとの想定で行われた。

 府が海自にSCU設置を要請し、海上保安庁などが、周辺の海域を漂流していた負傷者役の海上保安官をヘリでつり上げて救助し、ひゅうがの格納庫に搬送。災害派遣医療チーム(DMAT)が、ほかの負傷者役の女性らに「せきをしていますが大丈夫ですか」などと話しかけ、氏名を確認するなどした。海保の巡視船から、陸上自衛隊などの車両に給水する訓練もあった。

 参加した西脇知事は、「『ひゅうが』なら同時に(複数の)ヘリが着艦できるので、救急救命に有効だと実感した」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25254
東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例、福島では継続するが、宮城・岩手は最長2021年3月で終了―中医協総会(2)  
2019年3月7日|医療保険制度 MedWatch

 東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例について、福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続けるが、宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末まで(最長2021年3月まで延長)とする。また熊本地震および北海道胆振東部地震に伴う被災地特例は、この3月(2019年3月)末で終了し、西日本豪雨に伴う被災地特例については、2019年9月末まで延長する―。

 3月6日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点も了承されました。
 
ここがポイント!
1 診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断
2 2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始
3 「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断

 大地震などの大きな災害に見舞われた地域では、▼多くの傷病者が発生する▼医療機関の中にも通常診療が行えないところが出てくる▼医療スタッフが十分に確保できなくなる―などの事態が生じます。

 こうした事態に、「入院患者に対しスタッフが不足しているので、診療報酬を減額する」などといった対応をとることは人道に悖るでしょう。そこで、厚生労働省では▼一時的な定員超過入院▼平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの施設基準の一部欠如―などが起きた場合でも、通常の診療報酬算定を認めるなどの特例(被災地特例)を設定しています。

 現在、次の4つの「被災地特例」が設けられており、「半年に1度、現地の状況を中医協で確認し、特例の延長を認めるか否かを判断する」ことになっています。
(1)東日本大震災に伴う特例
(2)熊本大地震(平成28年)に伴う特例
(3)西日本豪雨(平成30年7月)に伴う特例
(4)北海道胆振東部地震(平成30年)に伴う特例

 このうち(1)の東日本大震災特例に関しては、▼岩手県の1医療機関では2019年12月中に特例解消▼宮城県の1医療機関では2020年3月に、同じく宮城県の1医療機関では2021年3月に特例解消―が見込まれています。一方、福島県の1医療機関では「帰還困難地区の入院患者を受け入れており、特例解消の時期が見込めない」状況にあることが報告されました。

これを受け、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、▼福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続ける▼宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末までとする(最長2021年3月末まで延長)―ことを提案しました。

 また、(2)の熊本地震特例に関しては、現在1医療機関が利用していますが、この3月末(2019年3月末)までに「閉院」が決まっており、(3)の北海道胆振東部地震に関しては、現在、利用している医療機関がないことから、森光医療課長は「2019年3月末で被災地特例を終了する」ことを提案しました。

 一方、(4)の西日本豪雨特例に関しては、現在、7医療機関等が利用しており、継続の要望も強いことから、「2019年9月まで延長し、再延長の可否を改めて判断する」ことを森光医療課長が提案しています。

 特例の実際の活用状況を十分に踏まえた対応案で、中医協ではこれらを了承しています。

2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始

 また3月6日の中医協総会では、森光医療課長から「2020年度の診療報酬改定」に向けた検討スケジュールが報告されました。

 夏頃まで「医療全体、入院・外来・在宅等に関する総論」(第1ラウンド)の議論を行い、秋以降「個別改定項目」(第2ラウンド)の議論を行う、というものです。第1ラウンドでは、まず「医療全体」に関連する幅広い事項についての検討が行われる見込みです。医療提供体制に目を向ければ、▼医師の働き方改革▼医師の偏在対策▼地域医療構想の実現―という3つの連環する動きがあり、診療報酬もこれを下支えしていく(少なくとも方向を合わせる)ことが求められるでしょう。2020年度改定に向けたスタートの議論は、こうした点もにらんだ「幅広」なものとなると考えられます。

 もちろん、併行して下部組織(診療報酬調査専門組織等)で▼入院医療やDPC制度の改革▼2018年度改定の結果検証―などに関する議論も行われ、逐次、中医協総会に検討状況や中間とりまとめなどが報告されることになります。

「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

 このほか、2016年度・18年度の診療報酬改定に倣い、2020年度の診療報酬改定に合わせて「選定療養の拡大」なども検討されます。

 選定療養は、快適な療養環境を求める患者の要望に応えるために、「保険診療と保険外診療を組み合わせ」を認めるものです。例えば▼特別の療養環境(個室などの差額ベッド)▼予約診療▼時間外診療▼大病院の紹介状なし患者に対する初診・再診▼180日超の入院(入院料が減額され、その減額分を患者から徴収可能)▼制限回数を超える医療行為―などが選定療養として認められています。

 厚労省は、医療関係団体や関係医学会、国民から広く「新たな選定療養」要望を募り(2019年3月から1-2か月程度)、中医協に示す(2019年7月予定)考えを提示しました。あわせて「医療通訳」など「『療養の給付』とは直接関係なく、実費徴収が可能な事項(テレビ貸与料金などもこれに該当)」の拡大も検討することになりそうです。



https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/201903/0012119999.shtml
洲本の鮎原診療所10月から閉鎖 建物は民間公募へ  
2019/3/6 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県洲本市は、同市五色町鮎原西の「洲本市国民健康保険鮎原診療所」を10月1日から閉鎖する方針を固めた。近年、医師が減って入院事業を休止するなど診療体制の見直しを進め、年々利用者は減少。ほかの診療所を含めた累積赤字は約5億3千万円に上り、危機的な経営状況に陥っていた。今後、民間医療機関への施設移譲を目指す。平成の大合併により現在の3市体制になって以降、島内で市立診療所の廃止は初めて。(上田勇紀)

 市は1日に開会した市会3月定例会に関連議案を提出した。

 洲本市立診療所は2種類5カ所。鮎原のほか、五色(同市五色町都志大日)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の国民健康保険診療所と、応急診療所(同市港)で、鮎原は旧五色町が1988年に現在の場所に開設し、市合併後も引き継がれた。

 五色地域の基幹的な診療業務を担い、医師2人体制で内科などの診察や19床の入院も受け入れてきた。だが、退職に伴い2010年度からは医師1人になり、14年度に入院事業を休止。16年度から通所リハビリテーション事業を休んだ。

 週2回は診療時間を延長するなど地域医療の確保に努めたが、近隣の専門的な医療機関の利用もあり、13年度に9808人いた外来患者数(延べ)は、17年度には5082人に半減。診察による診療報酬に対して人件費や施設維持の費用がかさみ、17年度決算で4国保診療所の累積赤字は約5億3千万円に膨れ上がった。旧五色町地域では、鮎原診療所の外来患者数の減り幅が、五色診療所より大きいという。

 市は4月以降、約1300平方メートルの鮎原診療所の建物を利用する民間医療機関を公募する。貸与か譲渡かなど詳しい条件は未定だが、民間による20年4月の開業を目指す。市健康福祉部は「住民サービスが低下しかねず、苦渋の判断となった。利用者に不安を与えないよう、民間医療機関を見つけたい」としている。

 淡路市は三つ、南あわじ市は五つの市立診療所があるが、いずれも市発足後に廃止されたケースはないという。



https://www.medwatch.jp/?p=25163
病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日で、依然大きなバラつき―2017年・患者調査  
2019年3月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2017年の1日当たりの入院患者数(推計)は131万2600人で、3年前(2014年)に比べて微減。人口10万対の入院受療率も1036で同じく微減。入院患者の年齢構成など見ると、高齢者が大きく増加しており、各医療機関においては「地域の医療ニーズ」を十分に勘案する必要がある。なお、平均在院日数は短縮が続くが、都道府県間のばらつきが依然として大きい―。

厚生労働省が3月1日に公表した2017年の「患者調査」結果から、こうした状況を伺うことができます(厚労省のサイトはこちら(概要)とこちら(詳細な統計表、e―Statサイト https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001124800&tclass2=000001124802&second2=1))。

ここがポイント!
1 入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要
2 精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%
3 入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差
4 病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日
5 在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要

 患者調査は、医療機関を利用する患者の傷病などの状況を明らかにするもので、3年に1度行われます。「どの地域に、どのような疾病が多いのか」「年齢によって、どのように疾病構造が異なるのか」などを詳細に知ることができます。病院にとっては、地域のニーズを把握するために極めて重要なデータと言えます。

2017年の患者調査は、6427の病院、5887の一般診療所、1280の歯科診療所を対象に行われました。

 まず2017年の1日当たり推計患者数(2017年10月17日から19日のいずれか1日)を見てみると、入院131万2600人(3年前の前回調査に比べて6200人減少)、外来719万1000人(同4万7400人減)となりました。

 年次推移を見ると、入院では2008年調査から概ね「減少」を続けています。さまざまな理由(入院医療から外来医療へのシフト(例えば抗がん剤治療など)、入退院支援の充実、人口減少など)で入院医療ニーズが減少しており、病床規模が適切なのかを再検証することが重要です。

 
一方、外来では2005年調査からほぼ横ばいとなっていますが、病院では「減少」傾向にあります。外来医療の機能分化(一般外来は診療所で、病院は専門・紹介外来を担う)が進んでいることが伺えます。
 
なお、年齢階級別に見ると、65歳以上の高齢者で入院・外来ともに患者数の増加が続いています。医療ニーズの内容についても、「回復期・慢性期」のニーズが増加していることが伺え、とくに病院において「機能転換」を積極的に考える必要性がさらに高まっていると言えるでしょう。
 

精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%

 次に、入院患者の傷病に着目してみましょう。

入院患者数のトップ4は、依然として▼精神及び行動の障害:25万2000人(前回調査比1万3500人減)▼循環器系の疾患:22万8600人(同1万1500人減)▼新生物:14万2200人(同1900人減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:13万7700人(同6400人増)―です。

それぞれが入院患者全体に占める割合は、▼精神及び行動の障害:19.2%(前回調査比0.9ポイント減)▼循環器系の疾患:17.4%(同0.8ポイント減)▼新生物:10.8%(同0.2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:10.5%(同0.5ポイント増)―となっており、これら4分類で入院患者全体の57.9%を占めています。4大傷病のシェアは徐々に低下しており、傷病が多様化している状況が伺えます。

 
 入院患者の重症度合いを見てみると、全体では(1)生命の危険がある:5.9%(前回調査比0.2ポイント増)(2)生命の危険は少ないが入院治療を要する:75.2%(同0.9ポイント増)(3)受け入れ条件が整えば退院可能:12.9%(同0.7ポイント減)(4)検査入院:1.0%(同0.1ポイント減)(5)その他:4.9%(同0.5ポイント減)―という状況で、入院患者の重症化が進んでいるように感じられます。

また(3)のいわゆる「社会的入院」の割合を年齢階級別に見ると、▼全体:12.9%(同錠)▼0-14歳:7.0%(前回調査比0.6ポイント増)▼15-34歳:9.7%(同増減なし)▼35-64歳:11.8%(同0.8ポイント減)▼65歳以上:13.6%(同0.8ポイント減)▼75歳以上(再掲):14.0%(同0.9ポイント減)―と、前回調査から減少傾向にあるようです。今後の推移を注意深く見守る必要があるでしょう。

入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差

 次に人口10万対の受療率を見てみましょう。患者数そのものは、人口の多い都市部で必然的に多くなるため、人口規模の差などを除外して地域比較をすることが重要なためです。

 全国の受療率は、入院1038(同2ポイント減)、外来5675(同21ポイント減)となりました。入院・外来とも微減、あるいは横ばいと見ることができそうです。

 年齢階級別に見ると65歳以上で高くなることが再確認できます(これが高齢者の医療費が高騰する大きな要因です)。ただし、年次推移を見ると65歳以上の受療率は入院・外来ともに下がってきていることが分かります。
 
 傷病分類別に見ると、患者数と同様に▼精神及び行動の障害:199(前回調査比10ポイント減)▼循環器系の疾患:180(同9ポイント減)▼新生物:112(同2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:109(同6ポイント増)―の4大分類で受療率が高いことが分かります。

 さらに都道府県別に受療率を見てみると、入院では、▼高知県:2101(前回調査比114ポイント減)▼鹿児島県:1880(同5ポイント減)▼長崎県:1803(同9ポイント減)―などで高く、逆に▼神奈川県:706(同23ポイント増)▼東京都:745(同14ポイント減)▼埼玉県:753(同30ポイント増)―などとなっています。

 全国平均との乖離状況を見ると、高い方では▼高知県:2.03倍(前回調査から0.8ポイント低下)▼鹿児島県:1.81倍(同増減なし)▼長崎県:1.74倍(同0.1ポイント低下)―と、低い方では▼神奈川県:0.68倍(同0.2ポイント上昇)▼東京都:0.72倍(同0.1ポイント低下)▼埼玉県:0.73倍(同0.3ポイント上昇)―となっています。最高の高知県と最低の神奈川県との格差は2.98倍で、前回調査に比べて0.26ポイント縮小しましたが、いわゆる「西高東低」の状況に変化はありません。

 一方、外来の受療率は、▼佐賀県:7115(前回調査比265ポイント増)▼香川県:6952(同443ポイント増)▼長崎県:6812(同307ポイント増)―などで高く、▼沖縄県:4586(同269ポイント増)▼京都府:5014(同36ポイント増)▼長野県:5033(同89ポイント減)―などで低くなっています。最高の佐賀県と最低の沖縄県との格差は1.55倍で、前回調査から若干縮小しています(0.04ポイント減)。

病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日

 また2017年9月中に退院した患者について平均在院日数を見ると、慢性期や精神科病院なども含めた病院全体では30.6日となりました。3年前の前回調査に比べて2.6日減少しており、年次推移を見ても着実に減少していることがわかります。
 
 傷病分類別に平均在院日数(診療所も含めた全体)を見ると、▼精神及び行動の障害:277.1日(前回調査比14.8日短縮)▼神経系の疾患:81.2日(同1.0日短縮)▼循環器系の疾患:38.1日(同5.2日短縮)―などで長くなっています。より細かく見ると、▼統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日(同14.3日短縮)▼血管性及び詳細不明の認知症:349.2日(同27.3日短縮)▼アルツハイマー病:252.1日(同14.2日短縮)▼気分[感情]障害(躁うつ病を含む):113.9日(同0.5日短縮)▼脳血管疾患:78.2日(同9.3日短縮)▼慢性閉塞性肺疾患:61.5日(同6.6日短縮)―などが長い状況です。
 
 次に、一般病床について在院期間別の推計退院患者数の構成を見ると、▼0-14日:71.9%(同1.3ポイント増)▼15-30日:15.9%(同0.6ポイント減)▼1-3か月:10.5%(同0.4ポイント減)▼3-6か月:1.3%(同0.2ポイント減)▼6か月以上:0.3%(同0.2ポイント減)―となっており、在院日数の短縮化が進んでいることが分かります。

 さらに、退院患者について「入院前の居場所」と「退院後の行き先」をクロス分析してみると、「家庭に帰る」人の割合は、「家庭から入院した人」では90.2%(前回調査比0.1ポイント増)なのに対し、「他の病院・診療所から入院(転院)した人」では43.2%(同0.4ポイント増)にとどまることが分かりました。「転院患者(他院からの入院患者)の自宅復帰は難しい」ことが患者調査でも裏付けられた格好です。
 
2018年度の診療報酬改定では、▼急性期一般病棟1における「在宅復帰率」の見直し(「在宅復帰・病床機能連携率」と名称変更等)▼地域包括ケア病棟、療養病棟における「救急・在宅等支援(療養)病床初期加算」の見直し(急性期患者支援(療養)病床初期加算と在宅患者支援(療養)病床初期加算との2分し、後者を高く評価)―などの見直しが行われました。こうした報酬改定が、患者の流れにどのように影響するのか、今後の調査結果にも注目する必要があります。
 
 ところで、都道府県別の平均在院日数(病院のみ)を見てみると、▼高知県:56.2日▼佐賀県:48.1日▼長崎県:44.1日―で長く、逆に▼宮城県:20.9日▼神奈川県:23.9日▼愛知県:34.6日―で短くなっており、依然として大きなばらつきのあることが分かります。受療率の高い地域で、在院日数が長い傾向があり、「不適切な入院の長期化」あるいは「入退院支援の努力放棄」(消極的な入院の長期化)などが生じていないか、詳しく見ていく必要があるでしょう。在院日数の不適切な長期化は、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者や家族のQOL低下(職場復帰等が遅れることによる経済的な損失なども含めて)▼高齢者における認知機能の低下―などのデメリットが大きく、厳に慎むべきでしょう。

在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

 最後に在宅医療の状況を見てみると、2017年10月17から19日のいずれか1日に在宅医療を受けた患者数は18万100人で、前回調査に比べて2万3700人増加しています。

 2008年以降、とくに「訪問診療」が急増していることが分かります。厚労省は、患者自身が医師等の適切なアドバイスを受けて「入院医療を選択するのか、在宅医療を選択するのか」を選べる環境の整備を進めています。あわせて、地域医療構想の中では「2025年には、『療養病床に入院する医療区分1の患者』の7割を、在宅や介護施設等で受け入れる」こととなっており、高齢化による在宅・介護施設ニーズ増に加えて、「約30万人分のニーズ増」が新たに生じる計算です。在宅医療提供体制のさらなる整備が期待されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25215
2018年、病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄していないか―全国公私病連  
2019年3月6日|医療現場から MedWatch

 2017年から18年にかけて、病院の平均在院日数は延伸している。病床利用率を維持するために「在院日数短縮の努力」を放棄している可能性も考えられ、各病院において「病床の規模は、地域の医療ニーズに照らして適正か」を客観的に考えていく必要がある。また病院経営は依然厳しく、全体の75%近くの病院が「赤字」である―。

 こういった状況が、全国公私病院連盟が2月26日に公表した2018年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(全国公私病連のサイトはこちら(概要)とこちら(図表1)とこちら(図表2))(前年の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 病院の平均在院日数は短縮しているが、、、
2 病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も
3 2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行
4 赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る
5 入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

病院の平均在院日数は短縮しているが、、、

 この調査は、全国公私病連に加盟している病院等について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2018年調査では915病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▼自治体:443(調剤客体の48.4%)▼その他公的:215(同23.5%)▼私的:225(同24.6%)▼国立・大学付属等:32(同3.5%)―となっています。

 まず平均在院日数を見てみると、病院全体では14.92日で、前年(14.84日)から0.08日延伸してしまいました。

 一般病院の平均在院日数を病床規模別に見ると、次のような状況です。
▽全体:14.32日(前年から0.11日延伸)
▽700床以上:12.94日(同0.34日延伸)
▽600-699床:11.34日(同0.45日短縮)
▽500-599床:12.10日(同0.32日延伸)
▽400-499床:12.70日(同0.18日短縮)
▽300-399床:14.35日(同0.38日延伸)
▽200-299床:17.32日(同0.14日短縮)
▽100-199床:23.35日(同0.08日短縮)
▽99床以下:22.03日(同1.41日短縮)
 
 前年に比べて、とくに大規模の病院で「延伸」が目立ちます。大規模な病院では急性期入院医療を提供しているケースが多く、今般の結果から「急性期入院において在院日数の短縮に限界が来ている」と見ることもできます。しかし、先進諸国と比べて我が国の急性期入院医療の平均在院日数が長いことが知られており、次項の「病床利用率」とあわせて考えると、違う景色も見えてきそうです。

病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も

 次に病床利用率を見ると73.37%で、前年同月(73.18%)に比べて0.19ポイント向上しました。

 一般病院の病床利用率を、病床規模別に見ると次のような状況です。
▽全体:72.39%(同0.29ポイント低下)
▽700床以上:77.44%(同0.63ポイント向上)
▽600-699床:75.86%(同0.53ポイント向上)
▽500-599床:75.99%(同0.01ポイント向上)
▽400-499床:72.52%(同0.39ポイント向上)
▽300-399床:68.90%(同3.64ポイント低下)
▽200-299床:69.90%(同1.42ポイント低下)
▽100-199床:71.64%(同0.25ポイント低下)
▽99床以下:67.54%(同0.16ポイント低下)
 
 400床以上では向上、400床未満では低下とくっきり分かれています。利用率だけを見れば「大規模な病院で新規患者獲得等の努力が実を結んでいる」と見ることができるかもしれません。

 しかし、前述した平均在院日数の動向と併せて見てみると、「大規模病院では、病床利用率を維持するために、平均在院日数を調整している(少なくとも短縮に向けた努力を抑えている)」のではないかという可能性が考えられるのです。

 メディ・ウォッチでは、たびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です(在院日数短縮のみで、病床利用率向上を目指さなければ単なる減収になってしまう)。利用率向上のためには「重症な紹介患者の獲得」や「救急搬送患者の積極的な受け入れ」などが重要ですが、地域によっては人口減少傾向に入っており、限界があります。このため、病床利用率の低下を抑えるために、平均在院日数の短縮に向けた努力を放棄してしまうケースもあります。

在院日数の短縮、つまり早期退院には▼ADL低下の防止▼院内感染リスクの軽減▼患者のQOL向上(経済的な面も含めて)―などのメリットがあり、すべての入院医療で進めるべきテーマです。ただし、「病院の経営を二の次にして、在院日数短縮を進めよ」と求めることも非現実的です。

この点、医療現場では「地域の医療ニーズを踏まえたダウンサイジング、再編・統合」を進めると同時に、行政(厚生労働省)では「DRG/PPS」などの1入院当たり包括支払い方式の検討を進める必要があると考えられます。

2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行

 次に患者数の動きを見てみましょう。2018年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月(7531人)に比べて209人減の7322人、外来患者も929人減の1万1337人となっています。

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見てみると、次のようになっています。在院日数の延伸によって、入院患者が見かけ上増加していると考えられるでしょう。
▽700床以上:2万987人(同836人増)
▽600-699床:1万5795人(同116人増)
▽500-599床:1万3078人(同166人減)
▽400-499床:1万625人(同289人減)
▽300-399床:7702人(同101人減)
▽200-299床:5707人(同95人増)
▽100-199床:3552人(同46人増)
▽99床以下:1514人(同77人増)
 
 また外来患者数は、次のようになっています。
▽700床以上:3万4209人(同553人減)
▽600-699床:2万5170人(同247人減)
▽500-599床:2万1303人(同1639人減)
▽400-499床:1万6869人(同319人減)
▽300-399床:1万2120人(同454人減)
▽200-299床:8777人(同282人減)
▽100-199床:5577人(同349人減)
▽99床以下:2972人(同320人増)

 99床以下を除き、外来患者数が前年から減少していることが分かります。厚労省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という外来機能分化の方向を描いており、また病院経営という面で見ても、スタッフの負担や収益性などを考慮すれば「大病院で軽症の外来患者を多く受け入れる」ことは好ましいことではありません。

今般の結果から見られる「大規模病院の外来患者減少」は、こうした方向に沿っていると見ることができます。ただし、中小規模の病院における外来患者の減少は、「地域ニーズにマッチしていない」ことや、そもそも「地域ニーズが減少している」可能性もあるため、十分な分析が必要です。

赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る

 さらに、病院の規模の違いを除外するために、2018年6月における「100床当たりの収支」を見てみましょう。

総収益は1億9836万7000円で、前年(1億9896万1000円)に比べて60万円・0.3%の微増となっています。一方、総費用は2億1117万6000円で、前年(2億1095万円)に比べて22万6000円・0.1%の微増です。赤字基調(赤字額は1280万9000円)で、赤字幅は前年に比べて82万円拡大しています。

 収益の内訳を見ると、▼入院収入:1億2963万7000円(前年に比べて44万6000円・0.3%増)▼外来収入:5778万3000円(同99万3000円・1.7%増)―など。

 一方、費用の内訳としては、▼給与費:1億792万6000円(同67万5000円・0.6%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5256万8000円(同9万円・0.2%減)▼委託費:1607万円(同8万円・0.5%増)▼減価償却費・1393万1000円(同31万8000円・2.3%増)―などとなっています。
 
2018年6月の医業収益を100とした場合、医業費用は106.7(前年より0.5ポイント増加)で「医業だけに絞っても赤字」となり、また、給与費は55.6(同0.5ポイント増)、材料費(医薬品・医療材料)は27.1(同0.1ポイント増)という状況です。
 
 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2018年は黒字26.4%、赤字73.6%となっています。赤字病院の比率は、前年に比べて4.6ポイント減少しており、病院経営の厳しさが増していると考えられそうです。
 
 なお、「医師の働き方改革」に関連して、「医師の負担」をどう軽減するかが重要課題となっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。この点、「医師1人・1日当たり患者数」を見てみると、入院の平均は4.3人で前年から増減ありません。患者数が多いのは、▼精神科:14.3人(同0.3人減)▼リハビリ科:13.7人(同1.2人増)▼整形外科:7.9人(同0.2人減)—などの診療科となっています。
 
またDPC病院における「医師1人・1日当たりの診療収入」(入院)を見てみると、平均では22万6000円で、前年から増減ありません。診療科別で見ると、▼心臓血管外科:52万4000円(同2万4000円増)▼リハビリ科:45万7000円(同3万円減)▼整形外科:44万6000円(同2000円減)▼循環器内科:41万1000円(同9000円増)▼脳神経外科:40万5000円(同1万7000円減)―など、診療科によってバラつきがあります。

入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

 最後に、DPC病院について、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入(つまり単価)を見てみると、次のような状況です。自院の状況と平均とを比較してみてください。
▽総数:6万500円(同900円増)
▽内科:4万8100円(同増減なし)
▽呼吸器内科:4万7000円(同1500円増)
▽循環器内科:9万4100円(同700円減)
▽消化器内科:5万300円(同800円増)
▽皮膚科:4万3000円(同増減なし)
▽小児科:6万6600円(同100円減)
▽外科:6万7300円(同1100円増)
▽呼吸器外科:9万6400円(同7200円増)
▽心臓血管外科:15万5600円(同4100円増)
▽消化器外科:7万5100円(同2200円増)
▽脳神経外科:6万6600円(同3300円増)
▽整形外科:5万9800円(同1600円増)
▽小児外科:10万9400円(同3300円増)
▽産婦人科:6万6900円(同2500円増)
▽リハビリ科:3万8100円(同6000円減)
 
診療科によってバラつきがあり、「呼吸器外科では大幅向上」「リハビリ科では大幅減少」などが目立ちます。



https://globe.asahi.com/article/12171782
英国のお医者さん
家庭医ってどんな医者?トリブリッドな視点が生み出す調和とバランス
 
2019.03.04 朝日新聞 GLOBE

みなさん、家庭医というと、どんな医者をイメージしますか?

家族を診る医者、町医者、幅広く診る医者...。

これらは決して間違いではありませんが、必ずしもそうとは限りません。前回お話ししたプライマリ・ケア同様、家庭医がどういった医師であるかをご存知の方は少ないと思いますし、ご存知でも、誤解されていることがある印象です。今回はそんな家庭医の知られざる姿についてお話しします。

一言で言うと、家庭医は、「プライマリ・ケアを専門とする医師」です。世界で関心が高まっているプライマリ・ケアを強化していく上で欠かせないピースの一つと国際的に言われています。聞き慣れないかもしれませんが、内科や外科などの医師と同様に重要な役割を担う、専門の研修を受けた医師です。日本でも家庭医としての働きが期待される「総合診療専門医」の育成がいよいよ始まろうとしています。

ただ、この家庭医という医師を分かりやすく説明するのは簡単ではありません。なぜなら、家庭医の本質は「患者・地域のニーズに応える」ことで、これらニーズは千差万別であるため、これが家庭医!とひとくくりのイメージで表現するのは難しいのです。家庭医は自分が診る問題を自分で定義しません。加えて、家庭医の仕事は国の制度にも影響を受けるので事はより複雑です。水が注がれた器によって形を変えるように、また家庭医も状況に合わせてその姿を変えていく存在です。

こうした専門性をより良く発揮するために、家庭医は以下のように「部分」「全体」「自分」を見る3つの視点を持ち、状況に応じてこれらを使い分けるがことできる「トリブリッド型」とも言える医師です。

(1)部分を見る視点(細胞・臓器・病気・治療など)
(2)全体を見る視点(患者を人としてまるごと・家族・地域社会・システム・国・世界など)
(3)自分を見る視点(医師としての知識・技術のみではなく、自己の感情・姿勢・価値観など)

なぜ家庭医にとってこの3つの視点が重要なのか?

医療の専門家としてはまず、部分を診る(1)の視点は不可欠です。けれども、家庭医の専門性である「患者・地域のニーズに応える」ことをより良く行うためには、ものごとの一部にとらわれず全体にも目を配る(2)の視点も必要になります。また、患者のことをより良く知るためには、(3)の自分を診る視点が欠かせません。なぜなら、自分の外をより良く知るためには自分の中を知ることが必要になるからです。例えば、医師自身の感情や姿勢、価値観という内面によっても患者が医師に伝える情報は変わってくる上、医師によるその情報の解釈さえも変わってきます。

健康問題の原因やその影響の多くは単純ではなく複雑です。そのため、部分を見て、全体を見て、自分を見て、それらの結びつきを理解することが重要です。

ここまではやや抽象的な話になりましたが、では、家庭医の専門的な能力とは具体的に何でしょうか?家庭医は、その柔軟性を持ってニーズに応えようとすることで、前回でまとめた現代医療の課題のすべてに対応できるよう発展してきました。そのため、現代版プライマリ・ケアのすべての要素にフィットする専門性を持っています。ここでは主な6つを紹介します。

(1)あらゆる相談に乗り、適切なサービスへと導くゲートオーブナー

家庭医は、保健医療サービスの玄関口として、すべての人のあらゆる健康上の問題や相談に対応します。どの問題を何科で相談すればいいのか、迷う必要はありません。また、外来診療の他にも電話相談や在宅診療など、サービス利用者のニーズに合わせた多様な受診方法を提供します。

もちろん家庭医がすべての問題を解決できるわけでも、すべきでもありません。けれども、複雑で専門性の高い保健医療という世界の中で患者が適切なサービスを受けられるよう、責任を持ちます。

チームケアを基本とし、他の様々な職種や各科医師と連携を取り、必要に応じて、他科の医師や他の医療機関はもちろん、介護・福祉など、適切なサービスへと導いていく「ゲートオープナー」とも言える存在です。チームが役割分担し、連携し合うことによって、お互いの専門性をさらに高めていくことができます。

これを適切に行うには、自分が何を知っているかよりも、何を知らないかを知ることが重要で、家庭医はこのマインドを大切にする文化を持っています。一方で、前回お話ししたように、いつ医療を提供しないべきかを理解し、判断することも大切で、家庭医はこれに長ける医療者でもあります。

(2)当事者本人を中心に据えたケア

医療に絶対的な正解はありません。ですから、医学的な視点、患者の視点、両方を大切にしながら、何が問題なのか、それぞれのシチュエーションにあった解決策は何かを一緒に考えます。二人三脚で事を進める医療のパートナーの存在によって、医療がもっと身近で主体的なものになります。患者が本当に伝えたいことを伝えられるように、医師は聞き上手、引き出し上手である必要があります。また、難しい医学情報をわかりやすく伝えられるように説明上手である必要もあります。こうしたコミュニケーションスキルを専門的に学び、それと同時に自分自身を知るトレーニングも受けます。

(3)環境に応じた適切な臨床アプローチ

第6回で、地域や病院といったリスクの違う環境によって、求められる臨床アプローチが本質的に異なることについてお話ししました。家庭医はそれを理解し、環境に応じた適切な臨床アプローチを取ることができます。加えて、地域は基本、患者が初めに医療サービスを受診する場であり、曖昧な症状が早期に、かつ多様に訴えられる環境です。また、複数の慢性的な病気や複雑な問題の対応も求められます。家庭医はこうした状況にも適切に対応できる専門のトレーニングを受けます。

(4)生活や地域の目線を持った包括的なケア

生活や地域の目線に沿った広い視野も家庭医には求められます。食生活、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣に関するアドバイスや、予防接種や検診などの予防も含めて、個人だけではなく地域全体に健康を広める役割を持ちます。また、必要に応じて地域の介護支援専門員などとも情報を共有しながら、介護と医療の連携を図ります。

(5)安全性と高い質を保ち、個人と地域のニーズのバランスを取る

患者を第一に考える家庭医は、提供するサービスの質と安全性にこだわります。だからこそ、その科学的裏づけ(エビデンス)を大切にします。一方で、地域のニーズにも応えるため、その地域で利用可能な資源の分配にも気を使います。結果、家庭医は患者個人のニーズと地域のニーズが相反する際に上手くバランスを図るバランサーでもあるのです。

(6)患者を人としてバランス良くサポート

現代医療で見失われがちな、患者を一人の人間として診ることを家庭医は大切にします。人間が人としての感情を内に秘め、家族、社会といった集団の中で生活する心理的・社会的存在でもある以上、訴えられる身体的問題のみに表面的に対応するだけでは、健康における重要な側面を見逃してしまいます。例えば、風邪の症状で頻繁に医療機関にかかる一人暮らしの高齢患者に対し、その影にある社会的孤立や寂しさ、メンタルヘルス、喫煙といった状況にも注意を払うことができなければ、問題のより良い解決は難しいでしょう。

このように家庭医は、患者・地域のニーズにより良く応えることを専門とするゆえの多面性を持っていて、調和とバランスを大切にします。家庭医が本当はどういった医師であるのか、少しでもお伝えできたら幸いです。

次回からは、話の内容をイギリスに移していきます。

澤憲明 英国GP
1980年富⼭県⽣まれ。英国GP(General Practitioner)。レスター⼤医学部卒業。英国初期研修を経て、2012年英国GP専⾨医研修・試験を修了。現在、英中部リーズ近郊の診療所にて勤務。NHK『視点・論点』、NHKスペシャル⽇本新⽣『⽇本の医療は守れるか?〜“2025年問題”の衝撃〜』などに出演。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664435
<シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
時間外「1920時間以上」、産婦人科医の4人に1人
筑波大・石川氏らの調査、厚労省水準6割が「長い」
 
レポート 2019年3月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの石川雅俊氏は、「全国の産婦人科医師の勤務実態等を踏まえた医師の働き方改革の推進に向けたアンケート調査結果(暫定値・速報)」をこのほど公表、時間外労働が過労死水準に当たる年960時間以上の医師が65.5%、年1920時間以上の医師も27.1%で、月5回以上当直をしていた医師は52.7%と半数を超えるなど、過酷な勤務実態が改めて明らかになった。

 「勤務環境を理由に病院をやめたい」あるいは「勤務環境を理由に産婦人科をやめたい」と1年以内に考えたことのある医師はそれぞれ63.0%、40.2%。「希死念慮あり」と回答した医師も3.0%おり、勤務環境の改善が急務なことが確認された。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、時間外労働の上限を「年1900~2000時間」(2月の調査開始時点。現時点では年1860時間)を軸に検討しているが、39.1%が「とても長い」、19.0%が「やや長い」と回答、合計で約6割に上った。一方で、「ちょうどよい」「短い」と回答したのは計22.0%。「分からない」は20.0%。

 適正な勤務時間については、「週60時間以下」という過労死水準以下の水準を求めていたのは計77.4%。

 厚労省は、時間外労働上限の特例として「年1860時間」を認めるのは、「勤務間インターバル」と「連続勤務時間制限の導⼊」などが条件。「とても厳しい」「やや厳しい」の合計は、「勤務間インターバル」82.1%、「連続勤務時間制限の導⼊」82.0%で、いずれも8割を超えた。

 石川氏は、「厚労省において現在、医師の働き方改革に関する検討が進められている。しかし、診療科別に見ると、産婦人科医は最も時間外労働が長い水準にあるにもかかわらず、公の場で現場医師の意見が表明される機会は限定的」と述べ、「暫定値・速報」ながら、結果を公表したのは、議論が佳境を迎える厚労省の検討会の議論に間に合わせるためだと説明。

 「働き方改革を本当に推進するためには、過労死水準に十分に配慮した時間外労働時間の上限を設定するとともに、勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏は指摘する。労働時間の短縮や医師の健康確保に係る施策、労働に対する対価の支払いなどに加えて、タスク・シフティング、医療機関の集約化や医師の地域・診療科偏在対策などを強力に進めていく必要があると考えている」(石川氏)。

 調査は、2018年度の文部科学省科学研究費補助金による研究。2019年2月18日から開始、全国の分娩取り扱い施設893病院を通じて、個々の産婦人科医にWebアンケートへの回答を依頼した。労働時間等は、直近の1週間(外勤・アルバイトを含む)について聞いた。

 今回の暫定値・速報では、3月3日時点で、194施設、864人から得た回答を集計した。回答者の属性は男性49.8%、女性50.2%。年齢は、30歳未満8.5%、30歳代42.3%、40歳代24.3%で、50歳未満が計75.1%を占める。本記事で紹介した時間外労働の項目以外にも、調査項目は多岐にわたる。

 タスク・シフティング「労働時間1時間以上短縮可」は65.8%

 「勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏が指摘するのは、現在厚労省から示されている宿日直の定義を踏まえた「労働時間」を試算したところ、時間外労働にカウントされない宿日直が一部あることから、年1920時間以上の医師は、「勤務時間」ベースより7%少なかったからだ。「厚労省は、時間外労働時間の上位10%を上限とする提案をしている。仮に厚労省の宿日直の定義を踏まえると、上位10%の水準はもう少し下がるはずだ」と石川氏。

 もっとも、そもそも「過労死水準」以下に抑えるべきだというのが石川氏の考え。そのための方策として、重要視されるのがタスク・シフティング。今回の調査では、事務作業系、診療行為系の両方について選択肢を提示し聞いたところ、「今後は移管すべき」項目、「今後も移管すべきでない」項目、「両者が拮抗した」項目は、以下の結果だった。

・今後は移管すべき:オーダー代行、紹介状や退院サマリーの代行入力、症例登録、造影剤や化学療法のラインの確保、オンライン診療、患者からの問い合わせへの対応、胎児エコー、ルーチンの薬の処方、陣発時や破水時の内診など。
・今後も移管すべきでない:電子カルテの代行入力、陣痛促進薬の開始、手術の助手、会陰切開・会陰縫合、術中の麻酔・呼吸・循環管理など。
・両者が拮抗:胎児スクリーニング、陣痛促進薬の調節、産後1カ月健診、術後の創部管理

 「働き方改革による医療の質・安全への影響」は、「かなり向上する」「やや向上する」が計37.9%、「変わらない」20.2%、「やや低下する」「かなり低下する」が計26.2%(残りは、「分からない」)。

 タスク・シフティングによる労働時間の短縮は、「2時間以上」20.2%、「1時間以上2時間未満」45.6%。タスク・シフティングで、時間外労働の短縮は期待できるものの、さらなる短縮を進めるために、医療機関の集約化などの必要性を石川氏は説く。



https://www.m3.com/news/general/664465
東京・公立福生病院:透析中止 「独断専行、事実ない」 福生市長、問題受け  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をやめる選択肢を示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、病院は8日、「(女性の)家族を含めた話し合いが行われ、記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はない」とするコメントを発表した。

 病院を運営する「福生病院組合」の管理者である加藤育男・福生市長と、松山健院長の連名。女性の死亡について「悪意や手抜きや医療過誤があった事実もない」と主張している。また、都が6日に実施した病院への立ち入り検査や日本透析医学会が設置した調査委員会の調査を念頭に、「第三者機関の検査結果等も待ちつつ、早急な事実関係の把握に努め、適正に対応する」としている。

 一方、東京都の小池百合子知事は8日の定例記者会見で「患者の意思確認が適切にされていたのかどうか、一連の経緯を含めて確認を進めている」と述べた。

 また、立ち入り検査の結果などを踏まえ、「医療法に基づき適切な指導を行っていく」との考えを示した。【梅田啓祐、森健太郎】

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 ◇情報をお寄せください

 人工透析治療に関する情報、疑問や悩み、記事へのご意見をお寄せください。郵便は〒100―8051(住所不要)毎日新聞生活報道部。メールは表題を「透析治療」としてkurashi@mainichi.co.jp。ファクス(03・3212・0256)でも受け付けます。



https://www.m3.com/news/general/664462
東京・公立福生病院:透析中止で女性死亡 「腹膜透析」示さず 治療法限定  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で外科医(50)から人工透析治療をやめる選択肢を提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、女性に対して「腹膜透析」という別の治療法の説明はなく、「血液透析」をやめるか続けるかという二つの選択肢しか示されなかった。透析治療に詳しい関係者は「医療を受ける患者の権利が奪われている」と指摘している。

 透析治療には(1)腕などに針を刺したり首周辺から管(カテーテル)を入れたりして血液を浄化する血液透析(2)腹腔(ふくくう)内に透析液を入れて毒素や老廃物を取り除く腹膜透析――の2種類がある。女性は腕からの血液透析が難しくなったため、昨年8月9日、福生病院を受診。外科医は、首周辺に管を挿入する治療法と、「死に直結する」という説明とともに透析治療をやめる選択肢を示した。同席した夫(51)によると、外科医はこの際、腹膜透析を女性に示さなかった。翌10日には腎臓内科医(55)も女性と面談したが、説明はしなかった。

 腹膜透析は腹部に管を一度埋め込む必要があり、血管ほど長期間は使えず、10年程度が限界とされる。一方で、針を刺す必要はなく、透析液の交換も1日1~4回。生活の自由度は比較的高いといわれる。厚生労働省は「外国と比べ、腹膜透析や腎移植が普及していない」として、普及・推進が必要との立場だ。日本腎臓学会や日本透析医学会などによると、血液透析と腹膜透析は相互移行ができる。

 外科医と腎臓内科医は「(腹膜透析を)やってできないことはなかった」としたうえで、「女性の容体を考えた時、数カ月で血液浄化に不具合が出る。かなり困難と判断したので提示しなかった」と説明している。

 女性の長男(28)によると、女性は血液透析の針を刺す痛みを嫌がっていたという。長男は「母は生前、『痛くないなら透析を受けたい』と話していた」と話す。透析治療に詳しい春日井市民病院(愛知県)の渡辺有三院長は「すべての治療法が提示されておらず、患者の権利が奪われている」と指摘する。

 一方、遺族によると、女性は1999年に抑うつ性神経症を発症し自殺を図ったことが3回あったという。外科医は当時、この病歴を把握していなかったことを毎日新聞の取材に認めた。【斎藤義彦、田口雅士】



https://www.m3.com/news/general/664424
透析中止で死亡「密室で独断専行してない」 病院が反論  
地域 2019年3月8日 (金)配信朝日新聞

 腎臓病患者の40代女性が人工透析治療を中止し、死亡していた公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)で、医師が終末期ではない患者に透析治療をしない選択肢を提示していたことがわかった。透析をしない選択をした約20人のうち複数が死亡したとみられる。このほか、透析中止後に死亡した患者が女性以外に3人以上いることも判明。日本透析医学会の提言から逸脱している可能性もあり、学会は来週後半にも病院に立ち入り調査に入る方針だ。

 福生病院は8日、透析治療をめぐる手続きについて「多職種で対応し、家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はございません」とのコメントを公表し、病院の対応に問題はないとの考えを示した。

 都などによると、福生病院では2013年以降、腎臓病患者149人が受診。透析を始めるかどうかの相談の際に、医師が透析をしない選択肢も示していた。学会の提言では、透析を中止もしくは始めないことを検討できる状況について、全身の状態が極めて悪い場合などに限定。しかし福生病院では、終末期のように極めて悪い状態でなくても透析をしないことを検討し、実際に約20人が透析を選ばなかった。病院側はいずれのケースでも、患者の同意書をとっていると説明しているという。



https://www.m3.com/news/general/664399
東京・公立福生病院:医師から透析中止提示 「命諦めろ」感じた 治療継続の患者親族  
2019年3月8日 (金)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、外科医は昨年、終末期ではない80代女性と70代男性に治療中止の選択肢を示し、いずれも断られていた。分路(シャント)に障害が発生した場合などに「(治療中止の選択肢を)必ず提示している」と外科医は話している。【斎藤義彦】

 関係者によると、腹腔(ふくくう)に透析液を入れ、腹膜を利用して老廃物を除去する「腹膜透析」をしていた80代女性は昨年3月、腹膜が使えなくなったため外科医に相談。外科医は女性の親族に対し、首周辺に管(カテーテル)を入れて透析を継続する治療法とともに「中止する選択肢もある」と話したという。

 親族は「『透析する人は国のお金をたくさん使っているので、もう透析はしないでほしい』『命を諦めろ』と言われたように感じた」という。結局、女性は管にしたが、ショックを受けた親族は治療中止の選択肢を示されたことを女性に明かせなかったという。

 また昨年11月、40年以上透析を続けている70代男性が、血液交換のために針を入れる血管の分路の検査で病院を受診したところ、外科医から「透析をそのままやっていくのか?」「今後分路が使えなくなった時、透析をしない選択もある」と中止の選択肢を示された。男性は承諾しなかった。

 妻は「今までそんなことを言われたことは一度もなかった。医療が変わったのか」と振り返り、男性も「(家族もいて)自分だけで決められない」と戸惑ったという。

 分路に障害が出た場合などに「(透析中止の選択肢を)必ず提示する。(透析継続という)選択肢を取らない決定も当然あるべきだ」と外科医は話す。そのうえで、透析は延命治療で、腎不全は治らないことを理解した上で患者が治療法を選ぶべきだと主張。「適正な選択の話を聞いていないから患者は衝撃を受ける。最初から聞いていれば普通に考えられる」とし、「『さじを投げられた』と感じる患者もいるが仕方ない」と話している。



https://www.m3.com/news/general/664334
来週にも学会が病院調査へ 透析中止の女性死亡で  
2019年3月8日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で昨年8月、腎臓病の女性=当時(44)=に医師が人工透析治療をやめる選択肢を示し、治療中止を選んだ女性がその後死亡した問題で、日本透析医学会が設置した調査委員会が来週にも、病院に調査に入る見通しであることが8日、関係者への取材で分かった。

 医師だけでなく病院が組織としてどう対応したか、患者の生命に関わる判断をチェックする仕組みが院内にあったかなどを確認。2014年に学会の作業班が作成した透析治療の継続や中止に関する提言に沿って今回の手続きを行ったかどうかも調べる見通しだ。

 調査委員会は委員長の土谷健(つちや・けん)・東京女子医大教授のほか、腎臓が専門の医師委員6人、国会議員や弁護士などの外部委員5人で構成し、結果のまとめを急ぐ。

 根本匠厚生労働相は8日の閣議後記者会見で、病院を立ち入り検査した東京都や日本透析医学会の対応について「注視していきたい」と述べた。

 病院の運営組合を構成する福生市と羽村市、瑞穂町も8日までに事実関係の把握に乗り出した。病院側は「2市1町に説明する機会をつくる」と説明しているが、時期の見通しは立っていないという。

 福生病院では昨年8月、医師が腎臓病を患った女性に、治療継続と治療をやめる選択肢を両方提示、治療中止のリスクも説明した。女性は治療をやめることを決め、意思確認書に署名。その後、体調が悪化し死亡した。東京都は今月6日、病院の管理運営体制を確認するため、医療法に基づき立ち入り検査した。



https://www.m3.com/news/general/664264
病院「透析選ばなかった患者20人」…死者も  
2019年3月8日 (金)配信読売新聞

 東京都福生市の「公立福生病院」の医師が、腎臓病患者の女性に人工透析治療をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した問題で、同病院がほかにも、透析治療を検討するために来院した患者に対し、透析治療を行わない選択肢を示していたことがわかった。病院側は都に「透析治療を選ばなかった患者は約20人」と説明。死亡した患者がいるとみられ、都は事実関係を調べている。

 都によると、同病院は過去に、他の医療機関からの紹介で来院し、これまで透析治療をやったことのない患者に対して、透析をしなければ命に関わるとの説明をした上で、今後の治療で透析治療を行わない選択肢を示していたという。

 病院側は都に、透析治療を受けないと決めた患者約20人は大半が高齢者と説明しているという。

 日本透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析治療の見合わせを検討する状況について、「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を著しく損なう危険性が高い」などとしている。

 都は今後、約20人についても、カルテや患者の生死の確認、関係した医師の聞き取りなどを行い、一連の医療行為が適切だったかどうかを慎重に調べる。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。



https://mainichi.jp/articles/20190305/k00/00m/040/249000c
複数主治医制が必要 医師の働き方改革で自民PT提言  
毎日新聞2019年3月5日 20時29分(最終更新 3月5日 20時29分)

 医師の働き方改革を巡り、長時間労働是正のために「複数主治医制」の普及や救急車利用の適正化が必要だとする提言を5日、自民党のプロジェクトチーム(PT)が大筋でまとめた。厚生労働省は一連の働き方改革で、地域の医療体制維持のため、一部医師の残業時間を一般労働者の2倍の年1860時間まで容認する方針で、PTは負担軽減には患者側も意識を変える必要があるとしている。今月末に厚労省に提出する。

 提言案では、医師の長時間労働を改善するために「医療機関への正しいかかり方の啓発と、国民の意識改革が必要」と指摘。日本の医療は入院患者の診察から手術、術後の経過観察まで1人の主治医が担う形が一般的だが、診察と手術に別々の主治医を置くことを検討すべきだとした。軽症での夜間・休日の受診を控えることや、軽症と判断した場合は救急搬送を見送ることなども課題に挙げた。

 厚労省は医師の負担軽減策として、一部の医療行為や患者への説明を看護師に移管する「タスク・シフティング」の導入を目指している。PTは人員確保に向けた財政措置や、医療機関への人工知能(AI)などのシステム導入の支援を求めた。【酒井雅浩】

自民PTの主な提言内容
・複数主治医制
・救急搬送の適正化
・タスク・シフティングに向けた環境整備
・AIなどのシステム整備の支援



  1. 2019/03/10(日) 15:57:55|
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3月3日 

https://www.carenet.com/news/general/carenet/47580
会員医師が感じる医師不足・偏在の問題 
ケアネット  2019/02/28

 2月15日に厚生労働省において「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)」が開催され、将来の医師数不足、診療科による医師数偏在に関する資料が公開された。CareNet.comでは、この発表をうけ、「現在・将来の医師不足、偏在について」をテーマに緊急アンケートを会員医師に行った。今回、その結果がまとまったのでお伝えする。

 調査は、2019年2月20日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は340名。

約6割の医師が「医師不足、診療科偏在を実感」
 Q1で「今回発表された医師不足や偏在、将来の推計の数字への実感の有無」を質問したところ、「実感できる」という回答が58.2%、「実感できない」という回答が41.8%だった。

 Q2でそれぞれの理由について聞いたところ、「実感できる」と回答した会員医師では、「東京一極集中への懸念」「医師の都会志向」を危惧する声が一番多く、続いて「外科、小児科、産婦人科医の成り手不足」「小児科医の高齢化、産科の閉院」「開業する医師の増加」など診療科の偏在を心配する声が多かった。また、「医局人事の崩壊」「地方での医療崩壊」「医師の就業環境が悪化の一途」など医療全般や労働環境からの声もあった。

 一方、「実感できない」と回答した会員医師では、「医師数だけは足りている」「患者の過剰受診が問題」「医師が医療に専念できない環境に問題」など医師の人数よりもその働き方や偏在への是正を求める声が多かった。

医師不足はマイナー診療科を超えた!
 Q3で「医師が不足していると思う診療科」を質問したところ、「産婦人科」(175)、「外科」(155)、「小児科」(139)、「内科」(136)、「救急科」(119)、「病理科」(77)、「麻酔科」(58)、「脳神経外科」(57)の順番で多かった(以上は複数回答)。少子化による人口減少社会の中で「産婦人科」「小児科」の担い手が減少、多忙な勤務環境や訴訟リスクなどから「外科」「救急科」を目指す医師が少なくなっているだけでなく、地方の医療機関では高齢者医療の担い手である内科医師の不足も顕在化しつつあることが示唆された。

地方で勤務する医師には特別な配慮を
 Q4で「医師不足・偏在」への解決策について質問したところ、「病院・診療所・クリニックの適正配置」(155)、「診療報酬で地域差を設ける」(119)、「医師の就業の流動性」(107)、「患者の診療抑制の実施」(100)、「専門医制度の改革」(76)などの順番で多かった(以上は複数回答)。

 また、具体的な提言について質問したところ「地方勤務医師の専門医資格の緩和」「地域枠採用の医師の拡大と固定化」「医師免許の2段階化」など、地方と都会で働く医師に差を設ける施策を求める声が多かった。また、医療制度全般では「外科の診療報酬増額」「患者の多い診療科の診療報酬減額」「大学医学部の再編成と地域義務医療の創設」など診療報酬制度や医学教育制度への変革を求める声があった。

 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントなどはCareNet.comに掲載中。

■参考
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)

■関連記事
推計1万6,226人の内科医が2030年に不足
16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?
(ケアネット 稲川 進)



https://www.medwatch.jp/?p=25136
医師偏在対策まとまる、2019年度に各都道府県で「医師確保計画」定め、2020年度から稼働―医師需給分科会(2) 
2019年3月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 お伝えしているように、厚生労働省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)が2月27日に医師偏在対策に関する意見とりまとめを行いました(第4次中間とりまとめ)(関連記事はこちら)。

 医師偏在の解消に向け、法律の改正を行い(医療法・医師法)、膨大なデータを駆使した精緻な議論の結果である今回の第4次中間とりまとめには、構成員からも「画期的である」との賞賛の声が出ています。
 
ここがポイント!
1 医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める
2 医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可
3 将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定
4 外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に


医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める

 医師偏在対策は、都道府県が新たに作成する3年を1期とした「医師確保計画」(2020年度からの当初計画のみ4年計画)に沿って進めます。第4次取りまとめの内容をもとに、偏在対策の概要を眺めてみましょう。

 医師確保計画には、▼医師確保に向けた方針▼医師確保の目標値▼具体的な医師確保策―を盛り込みますが、「医師が少数の地域」と「医師が多数の地域」とでは、そもそもの方針の立て方が異なってきます。医師の養成数には限りがある(2017年度の医学部入学定員は9420人)ため、「医師が多数の地域」が「もっともっと医師が必要だ」と考えて医師確保を進めれば、「医師が少数の地域」での医師確保がますます難しくなってしまうためです。
 
そこでまず、1つ1つの都道府県・医療圏について「医師が多数なのか、少数なのか」を客観的に把握することが求められます。このため、「人口10万対医師数」に▼地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)▼地域医師の性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)―などを加味した、新たな「医師偏在指標」を設定。これを用いて全国の都道府県・医療圏の「医師配置状況」に順位をつけ、▼上位3分の1を医師多数3次医療圏・医師多数区域▼下位3分の1を医師少数3次医療圏・医師少数区域―と定めました(関連記事はこちらとこちら)。

医師少数とされた地域では、3年後(1期の医師確保計画終了時点、当初は4年後)に「現在の下位3分の1ラインに到達できる」ように、医師確保の方針・目標数を設定し、医師確保施策を進めていきます。
医師需給分科会(2)の4 190130
 
一方、医師少数でない地域では、医師確保計画の中に「他地域からの医師確保」方針などを盛り込むことは原則としてできません(偏在が進んでしまうため)。ただし、医師多数と判断された都道府県でも、一部に医師少数の地域が存在することもあり、また将来は医師が少数になる可能性もあります(人口増等で医療ニーズが増加するなど)。こうした場合には、もちろん「医師確保」に向けた施策などを盛り込むことが可能です(関連記事はこちら)。

 どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに候補が厚労省から示されています。今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●全体の状況(候補)はこちら

 なお、産科・小児科については「特別の考えに基づく対策」を採ることを、既にメディ・ウォッチでお伝えしています(関連記事はこちら)。


医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可

 医師確保のための施策は、「他地域からの医師派遣」などの短期的施策と、「大学医学部での地域枠・地元枠設定」などの長期的施策に分けられます。医師の不足状況に応じて、これらを組み合わせていきます。

 後者の地域枠等については、効果が出るまでに時間がかかる(医学部入学から医師免許取得・初期臨床研修修了まで早くでも8年間が必要)ため、「今、医師が不足している」という状況には対応できません。一方、前者の「医師派遣」では、「いずれ派遣を終えて帰ってしまう」ため、継続的な仕組みが構築されない限りは、一時的な効果しかありません。このため、「現在の医師不足」へは短期的施策によって、「将来の医師不足」へは長期的施策と短期施策の組み合わせによって対応することが原則となります。

 このため、短期的施策は、「医師多数3次医療圏・医師多数地域」では採用できず(医師偏在が進んでしまうため)、「医師少数」の地域などでのみ実施できます。その際、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように、国において「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築することになります。
 医師多数区域では、偏在の助長を防ぐために、「他地域からの医師派遣など」を医師確保計画に盛り込むことはできない(好ましくない)(その1、2次医療圏)
 
 また「医師少数区域等での勤務」を認定する仕組みも、短期的施策の1つと考えることができそうです。
 6か月以上(1年以上が望ましい)、医師少数区域等で勤務した医師を厚生労働大臣が認定するもので、2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師では、この「認定」がない限り、「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院」の管理者(主に院長)になることができません。なお、卒後10年以上のベテラン医師では、「断続的な勤務」(例えば週に2日、医師少数区域等で勤務する)の合計が180日となれば、この認定を受けることができます(関連記事はこちらとこちら)。

 医師少数区域等を抱える都道府県では、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことが必要です。

 また、医師需給分科会では、各団体が自ら「病院管理者の要件として、認定制度を活用する」と考えることへの期待も寄せています。


将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定

 長期的施策(地域枠等)は、「将来の医師不足」に対応するものです(今般の改正医療法・医師法で、都道府県知事が大学医学部に地域枠等設定を要請できることとなった)。将来、医師がどれだけ不足するかは、地域ごとに「将来の医療ニーズ」と「将来の医療供給数」とを勘案して把握することができます。

 ところで、医師を無計画に増員していけば、人口減少社会にある我が国では、いずれ医師過剰となり、例えば「医師の生活維持が困難になる」「不適切な過剰な医療提供を行う」といった弊害がでてしまいます。そこで、医療ニーズを勘案して、精緻に「医学部の入学定員」を設定しています(恒久定員、医師偏在に対応するための臨時定員)。このうち臨時定員については2021年で一旦廃止され、2022年度以降は、医師の働き方改革などを踏まえた需給バランスを踏まえて検討しなおすことになっています。

 こうした点を踏まえ、医師需給分科会では次のような方針を固めました(関連記事はこちらとこちら)。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:上記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:上記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない

 なお、地域枠は、専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務することを条件に奨学金等を貸与する」もので、都道府県内で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。一方、地元枠は、「地元出身者には奨学金貸与等をせずとも、地元の医療機関に定着する」というエビデンスから、各都道府県において医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。

 このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数地域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

 厚労省の試算では、「将来も医師少数」となる都道府県は限られており(▼北海道▼青森県▼岩手県▼秋田県▼福島県▼群馬県▼埼玉県▼新潟県▼長野県▼静岡県▼山口県▼宮崎県―の12道県)、ここが「地元枠」「臨時定員を活用した地域枠」の設定候補になると考えられます。

 一方、「将来も医師少数」となる区域(2次医療圏)はほとんどの都道府県にあり、「恒久定員における地域枠」の設定は、ほぼ全都道府県で可能になると思われます。
●全体のデータはこちら(厚労省、医師需給分科会のサイト)


外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に

 なお、「自由開業制が医師偏在を助長している」との議論もあり、医師需給分科会では、まず▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組み創設を提言しました(関連記事はこちら)。

 こうした仕組みの効果を見て、将来、「より強力に自由開業に一定の制限を加える必要がある」といった議論が行われる可能性もあります。

 
 近く、親組織(医療従事者の需給に関する検討会)との合同会議で正式とりまとめを行い、これをもとに厚労省で「医師確保計画」作成のための指針(ガイドライン)等を策定します。各都道府県は指針(ガイドライン)等に基づいて2019年度中に「医師確保計画」を作成し、2020年度から各種の医師確保策を進めることになります。

 取りまとめにあたり、「大学医学部での教育過程において、地域医療の重要性をより強力に伝えるべき」(福井次矢構成員:聖路加国際大学学長ら多数)、「国民の『上手な医療のかかり方』の重要性等をより強く説いていくべき」(権丈善一構成員:慶應義塾大学商学部教授)などの意見が出ています。

 
 なお、診療科別・都道府県別の地域偏在対策に関する研究も厚労省で進められています。そこでは、「医師の働き方改革」の方向に合わせ、診療科別に「年間960時間を超える時間外労働を行っている医師を、960時間までに抑える」形で医療ニーズを把握していく考えが示されています(関連記事はこちらとこちら)。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/662417
医療従事者の需給に関する検討会
2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ
医師需給分科会第4次取りまとめ、「医師偏在の見える化」がカギ
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第29回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)が2月27日に開催され、二次、三次医療圏の医師偏在指標や医師確保計画の方針などを盛り込んだ「第4次中間取りまとめ(案)」を、修文を座長一任の上、了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は3月下旬に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」との合同部会に諮った後、医師確保計画の策定方針を作成、3月末までに都道府県に通知する。都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す。マクロ、つまり全国平均では2028年頃に医師需給は均衡すると推計されるが、医師の偏在解消、つまり全ての都道府県において医療ニーズを満たす医師を確保するのは2036年度が目標となる(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。


 今後の医師偏在対策の一番のポイントは、「医師偏在」の実態の見える化だ。医師が多い地域から少ない地域へと医師が移動することを期待する。その際に活用するのが、「医師偏在指標」。人口10万人当たりの医師数に、将来の人口構成の変化や患者の流出入などを加味して、二次、三次医療圏(都道府県)単位で算出する。その下位33.3%を「医師少数区域」、上位33.3%を「医師多数区域」に設定する(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。

 医師偏在解消に取り組む主体は都道府県で、大学なども参加する地域医療対策協議会を開催し、「医師偏在指標」などを基に、地域医療支援センターが行う医師の派遣調整などについて議論する。医師少数区域等に6カ月以上勤務する医師を厚労大臣が認定する仕組みや、医学部地域枠の卒業生なども活用して、医師確保を進める。「医師偏在」の見える化は、外来医療のほか、診療科別では産科・小児科でも行う(『「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく』、『産科医と小児科医、都道府県で2.2倍の格差』を参照)。

 医学部定員は、2008年度から続いてきた臨時定員増の全てが2021年度に期限を迎える。2022年度以降の臨時定員は、医師の働き方改革に関する検討会などの結論も踏まえ、今後、改めて議論の場を設ける。

 「第4次中間取りまとめ(たたき台)」は2月18日の第28回医師需給分科会で提示され、おおむね了承を得ていた(『医師偏在対策、第4次中間取りまとめ(たたき台)を提示』を参照)。

 大学教授にも医師少数区域での勤務経験求める声
 「第4次中間取りまとめ(案)」はおおむね了承、幾つか修正、追加意見などが出た。

 医師確保対策の一つとして新設されるのが、医師少数区域等における勤務経験を厚生労働大臣が認定する仕組み。地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院の管理者要件とすることが、認定のインセンティブの一つ。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「対象病院の範囲を拡大していくことが重要」と述べ、地域医療支援病院等以外でも、病院側が自発的に認定医師を管理者要件にできるような表現にするよう求めた。

 過去の議論で、大学関係者の要件にも加えるべきだとの意見が出ており、この日の会議でも同様の議論があった。全国医学部長病院長会議の前会長の新井一氏は、「将来的な方向性として、大学に残る医師であっても、地域医療にエクスポージャーすることは必要だろう。そうした方向で検討してはどうか」と提案。

 文科省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「認定医師を大学病院の病院長の要件とすることは、将来の検討対象となり得るだろうが、医学部教授全体について、となると、大学の人事そのものの話になるので、難しいのではないかと考えている」と回答した。

 地域枠、「別枠方式」の把握、公表へ
 医学部地域枠の卒業生をいかに地元に定着させるかも、重要になる。2020年度以降は、臨時定員における地域枠は、一般枠とは別枠の募集定員を設ける「別枠方式」しか認められなくなる。別枠方式の方が地元定着率が高いためだ(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「手挙げ式はやめて、別枠方式とすることにより、どれだけ地域枠が埋まるかを確認する必要がある」と述べ、実態を継続的に把握するだけでなく、その公表を求めた。

 医師確保計画においては、都道府県知事が大学に対し、地域枠の創設または増員を要請できる。恒久定員枠、あるいは臨時定員枠に設けることになるが、新井氏は、恒久定員に占める地域枠の割合については「5割という数字が独り歩きしないよう、慎重になってもらいたい」と要望した。過去の議論で、「5割程度までは可能ではないか」といった意見があったからだ。

 厚労省医政局医事課は、2022年度以降の医学部定員については、恒久定員に地域枠を設け、それでもなお地域枠が足りない場合に臨時定員を認めるかどうかという議論になると説明した。文科省によると、地域枠には幾つかの種類があり、広義の地域枠の占める割合は平均1割程度だという。

 適切な受診呼びかける国民への啓発も必要
 「第4次中間取りまとめ(案)」の「地域住民に対して、医療のかかり方に関する啓発を行っていくことも、限られた医師で医療を提供していくうえで重要」との一文について、権丈氏は、国民が適切に医療機関を受診するよう国民の努力義務を定めた、2014年6月に成立した改正医療法第6条2の3の一文を追加するよう提案。本改正は、2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書が基になっているとし、「疲弊おびただしい医療現場を守るためにも、フリーアクセスを『必要な時に必要な医療にアクセスできる』と理解する」という説明の追加も求めた。

 その他、今回の取りまとめは、医師の地域偏在対策が主眼だが、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、診療科偏在を是正する必要性を強調。特に総合的な診療を担う医師の養成数を議論し、提示することを求めた。「どのくらいジェネラルな医師を養成するかによって、他科の必要医師数などが変わってくる」とした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「問題は診療科偏在が解消されていないことであり、ここがものすごく医師需給に影響してくるのではないか」と述べ、早急な検討を求めた。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、福井氏の発言に対し、総合診療の専攻医はさほど多くはない一方、地域には、総合的な診療能力を発揮しているかかりつけ医がいるとし、「できるだけ多くの医師にそうした力を発揮してもらうかが重要ではないか」と述べ、総合的な診療能力を持つ人がどのくらいか、という議論はいいが、総合診療の専攻医の割合を決めるのは問題だと釘を刺した。

 「画期的な取りまとめ」との指摘も
 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、地域医療対策協議会の役割が重要になるものの、現状では温度差があるとし、「同じスタンダードで、できるのか。厚労省が介入しないとやっていけないのではないか」と指摘。厚労省医政局地域医療計画課は、丸投げではなく、都道府県の医師確保計画を把握するほか、具体的な助言、好事例を共有、担当者レベルの人材育成支援などに取り組んでいくと回答。

 小川氏は会議の最後に、次のように発言した。「過去の医師需給推計では、(医師不足対策等の)方法は打ち出されなかったが、今回はかなり突っ込んだ議論をし、第4次中間取りまとめになった。多少不満は残るが、今回の医師需給分科会の議論ほど着実に進んだものはなく、その意味では画期的な取りまとめになった」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/661496
真価問われる専門医改革
47都道府県別の「診療科別、2036年の必要医師数」暫定版公表
診療科偏在解消に向け「専攻医数でコントロール」を検討
 
レポート 2019年2月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は2月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、47都道府県別の「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」を公表した。18の基本領域別の医師数の2036年までの将来推計で、全国推計は2月18日の医師需給分科会で公表されていた(『内科、外科など10科は必要数増、精神科など8科は減』を参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/660394)。

 厚労省は「今後、専門医制度を通じて専攻医の診療科偏在や地域偏在を是正するために、都道府県別診療科別の必要医師数の活用を具体的に検討してはどうか」と提案、委員からは異論は出なかった(資料は、厚労省のホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03730.html)。


内科と小児科の推計例(2019年2月22日「医師専門研修部会」の参考資料7 https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000482825.pdf)
 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、専攻医の募集人数(定員数)は、研修を希望する医師数の約2倍になることから、「好きな領域に行けるので、不足する領域の医師はいつまで経っても不足する。不足する領域で医師を確保できる募集の仕方を今後、考えるべきではないか」と提案した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「いつどんな形で、これから専門医を目指す人に情報提供していくのか」と質問。厚労省医政局医事課は、今回のたたき台はあくまで暫定版であり、医師需給分科会で出された意見を踏まえて修正を加えていくことから、「具体的な時期はまだ言えない」と答えた。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、医師需給分科会についての報道で、「医師が足りなくなり、養成しなければいけない、といった論調の報道が多かったが、これまでのマクロの医師養成数と整合性が取れているのか」と確認した。厚労省医政局医事課は、診療科別の将来推計とマクロの推計は整合性が取れていると回答。同省は、医師需給分科会で医師不足対策の議論を進めているが、その際、「将来時点(2036年)において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、地域ごとに、将来時点の医師偏在指標が全国値と等しい値になる医師数を必要医師数とする」などとし、2036年までには医師需給が均衡することを前提としている。

 「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」は、従来の人口10万人当たりの医師数という指標ではなく、(1)診療科ごとの医師の需要を決定する代表的な疾病・診療行為を抽出し、診療科と疾病・診療行為の対応表を作成、(2)現状の医療の姿を前提とした人口動態・疾病構造変化を考慮した診療科ごとの医師の需要の変化を推計し、現時点で利用可能なデータを用いて、必要な補正を行った将来の診療科ごとの医師の需要を推計――という手法で実施(詳細は、2月22日「医師専門研修部会」の資料3を参照)。



https://www.m3.com/news/kisokoza/661899
埼玉県、医師確保事業に7億7000万円、2019年度予算案 
2019年2月27日 (水)配信m3.com地域版
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 埼玉県は2月20日、2019年度当初予算案を発表した。保健医療部全体では昨年度比マイナス1.1%の1750億2041万円の予算を計上。医師確保事業に7億6916万円を計上する。県の予算全体では、1兆8884億6000万円で、前年度より227億円、1.2%の増となっている「医師確保対策の推進」として7億6919万円を計上した。

事業の概要は

 (1)埼玉県総合医局機構の推進 1億156万円

  臨床研修医の県内医療機関への誘導、若手医師が安心して地域医療に従事できるキャリア形成支援、地域医療教育センターの運営など、埼玉県総合医局機構において一元的・総合的な医師確保対策を実施する。

 (2)医学生・研修医の誘導・定着促進 6億5519万円

  医学生や研修医に奨学金や研修資金を貸与することにより、医師が不足している診療科や医師不足地域(特定地域)への医師の誘導・定着を促進する。

 (3)医師にとって魅力ある「埼玉ブランド」の構築(新規)1243万円

 最先端の知識・技術を習得するための留学支援制度の創設や、外部機関による臨床研修プログラム評価制度の県内臨床研修病院への導入促進により、研修医等の若手医師にとって魅力的な「埼玉ブランド」を構築し、医師の確保・定着と質の高い医師の育成を図る。


 医師の不足及び医師の偏在を解消するため、医学生に奨学金を貸与すること等により医師の確保を図るとともに、若手医師へのキャリア形成支援や地域医療教育センターによる医師等の教育・研修環境の向上により、医師の県内医療機関への誘導・定着を図る狙いだ。

 看護職員確保対策の推進として予算総額10億4447万円を計上した。

事業概要は

 (1)看護職員の養成  6億5338万円

看護職員を新たに育成するため、看護師等養成所の運営に必要な経費の一部を補助するとともに、看護学生の実習受入れを拡充する施設を対象に実習指導者の養成などを支援する。

 (2)潜在看護職員の復職支援  3129万円

 ・ナースセンターにおいて、資格を持ちながら就業していない方を対象に、 無料の職業紹介を実施するとともに、離職時の届出制度を活用した情報提供・相談体制を強化する。

 ・ 離職している方の技術的な不安を解消し復職を支援するため、県内各地の病院など医療現場での講習会や個人の希望や経験に応じた採血などの基礎技術に特化した講習会を実施する。

 (3)離職防止・職場定着の促進  3億5979万円

 ・子どもを持つ看護職員等の離職防止と復職を支援するため、病院内保育所を運営する医療機関に対して、その運営に必要な経費の一部を補助する。

 ・新人看護職員の早期離職の防止、職場定着及び看護の質を向上させるため、看護実践能力の修得を図る新人看護職員研修の実施を支援する。
 急速な高齢化による医療ニーズの増大が見込まれており、看護職員の更なる確保を図るため、看護職員の養成、復職支援、離職防止・職場定着を促進する。

 保険診療部の担当者は、新規事業である埼玉ブランドの構築について、「留学支援」、「外部評価制度の導入支援」の2つの事業を柱としていると説明。「留学支援に関しては海外留学を対象とし、1人最高1年間、最大300万円で2名の支援を予定している。外部評価制度の導入支援については、臨床研修の第三者機関による評価の導入を目的として、県内の臨床研修病院36カ所の内、今年度は10カ所への支援を目標としている。初回費用の50万円を支援する予定」とコメントした。

 新規事業では地域医療体制を充実させるため「医療提供体制のあり方の検討」「救急医療体制の充実」「移行期医療支援体制の整備」の3事業を策定した。

 「医療提供体制のあり方の検討」では2317万円を計上。国保データベースを活用し、県内の医療需要を把握。需要を踏まえた医療提供体制と保険・医療・介護予防をすすめる取組を検討する。

(1)有識者等を含む検討プロジェクトチーム  45万円
(2)国保データベース(KDB)加工及び分析業務委託 2205万円
(3)ビッグデータ分析ОJT研修参加費  66万円
が主な事業。データの分析により、医療課題の見える化と対応策を目標とする。

 「救急医体制の充実」には予算総額  920万円を計上。

(1)救急医療情報システム機能強化費  600万円
(2)救急医療機関外国人対応サポート事業 320万円
の2事業を柱としている。救急医療情報システムにスマートフォンなどを活用した新たな機能を追加し、救急搬送の更なる迅速・円滑化を図るとともに、救急病院から後方病院への円滑な転院を支援する。 また、ワールドカップ開催などで急増が見込まれるため、救急病院等における外国人患者の円滑な受入れも推進する。

 「移行期医療支援体制の整備」には590万円の予算をあて、移行期医療支援センター(県内医療機関を想定)を開設し、以下の事業を行う。

(1)小児期医療機関と成人期医療機関の連携促進
(2)在宅介護や緊急時対応も含めた、受け入れ医療機関の確保
(3)各医療機関の取組支援及び患者の自立(自律)
 支援在宅緩和ケアの推進には2186万円の予算をあて

(1)在宅緩和ケア地域支援事業 1301万円
(2)在宅緩和ケア地域連携構築事業  885万円 を行う。

 患者のための薬局のかかりつけ機能の強化推進に予算総額 490万円を計上し、2つの事業を行う。

 (1)認知症対応薬局の推進(新規)

薬局での窓口対応で薬剤師が認知症の疑いのある人に早期に気付き、受診を勧めたり、 地域包括支援センターやかかりつけ医などと連携したりすることにより、早期に対応 できる体制を築く。
 (2)ポリファーマシー対策の推進(継続)

 複数の疾患を抱え多剤を処方される高齢者を対象に、保険者、医師及び薬剤師が連 携してポリファーマシー(多剤併用による薬物有害事象の発生)対策を実施することにより、患者本位の安全な薬物療法と医療費の適正化を推進する。

 病院事業会計全体では昨年比7.8%増の707億8822万円の予算を計上。新規事業として、
1.循環器・呼吸器病センターにおける「脳神経センター」の設置 2億1609万円
2.がんセンターにおける総合診療体制の構築 2億4256万円
の取り組みを行う。

 県立病院の診療体制の強化を行う。医療ニーズの高度化、多様化に対応する必要から、県立病院の診療体制を整備・強化し、脳血管内治療を必要とする救急患者や心臓疾患等の合併症があるがん患者の受入体制を構築し、高度で専門的な医療を提供する。

 経営形態の見直しを目的として、地方独立行政法人化の準備 1億9392万円を計上した。



https://blogos.com/article/360171/
医大入試の男女別枠は是か非か 
日本財団2019年02月25日 15:01
(産経新聞【新春正論】2019年2月21日掲載)
日本財団会長 笹川陽平

医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科、眼科に偏る女性医師
合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、日本の医師数は2016年、約31万9500人。女性医師は約6万7500人、全体の21.1%に上る。

全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。以下、産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2000時間とする案を示している。

一般労働者の約2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も何度か耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。

「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇
それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした“応急策”の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」、「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除する、などの優遇措置も採られている。

2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言っても過言ではない。

日本の女性医師の比率はOECD(経済協力開発機構)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、2018年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2%〜3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療の確保
要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。

院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳いながら、現実の入試で差別をしたのは各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのは止むを得ない。メディアの報道も不正入試を追求するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190226-00010000-jij-sctch
奨学金・修学資金はお得か=医学部「地域枠」の特徴は? 
2/26(火) 17:15配信 時事通信

 医学部の奨学金・修学資金は、どのような大学で給付がされるのか。大学時代に奨学金を利用した場合、貸与型給付金であれば卒業後に返済しなければならず、苦労をしている人も多いようで、たびたびニュースにも取り上げられています。では医学部の場合は、学費が高額になりますが、これらのことがどのようになっているのか。

 ◇地域医療を支える入試枠
 その説明の前に、ほぼ医学部だけに存在する「地域枠入試」という入試区分に触れる必要があります。ご存じの方も多いかと思いますが、「地域枠入試」は、主に地方での医師不足や診療科の偏在が問題となっている地域で、将来、地元の医療を支えてくれる受験生のために行われる入学試験枠です。
 「地域枠入試」には、主に次のような特徴が考えられます。

(1)医師不足の解消
(2)地元占有率が高まる(他県からの受験者が減少)
(3)本当に医師になりたい人が合格する(面接試験も重視)
(4)地方においては、少し入りやすい大学も出てきた
(5)現役合格率のアップ(出願資格を現役生に限った場合)
(6)奨学金・修学資金の貸与によって、一般家庭からの進学者の増加

 今回の話では(6)の内容が関係します。

 国公立、私立を問わずにほぼ全ての大学が「地域枠」での入学者に対して、奨学金・修学資金の貸与を行っています。「一般入試」や「推薦入試」「センター利用入試」の中で「地域枠」を募集する大学が多いですが、入学後に希望者を募る大学もあります。大学によって異なるため注意が必要です。

 ◇生活費の支給も
 例えば、先述の順天堂大学を例に挙げると、「東京都地域枠」「新潟県地域枠」「千葉県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」の五つの地域枠があります。「東京都地域枠」の奨学金=正式名称「東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度」=は、6年間総額の学納金に加えて、月額10万円の生活費も支給されます。これだと一般家庭の受験生でも順天堂大学に通うことは可能です。

 一般的な奨学金と医学部地域枠の奨学金は、どのように違うのか。

 ほとんどの「地域枠入試」は、『貸与』という形式で奨学金を支給しています。それでは医学部卒業後に全額を返済しなければならないかと言えば、その限りではありません。一定条件を満たせば返還が免除されます。順天堂大学の「東京都地域枠」の場合には、大まかには次の二つの条件を満たすことです。

(1)大学を卒業した日から2年以内に実施される医師国家試験に合格し、合格後は速やかに医師免許を取得すること。
(2)医師免許取得後、直ちに、東京都内の地域で、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療を担う医療機関において、奨学金貸与期間の1.5倍の期間、医師として従事すること。

 ◇9年間は大学に拘束
 「奨学金貸与期間の1.5倍の期間」ですから、通常は大学に6年間在籍しますので、卒業後に9年間は卒業した大学に拘束されることとなります。

 なお返済免除に関する条件などは大学ごとに異なります。地域枠に関しては、各大学のホームページや、公益財団法人へき地ネットをご参照ください。

 参考までに、支給金額の大きな大学のみをまとめています。

 学納金が支給・貸与される「地域枠入試」は、経済的理由から医学部受験を諦めなければならない人にとっては朗報ではないかと思います。ただし、「地域枠入試」の場合には、出願の際には多くの大学で出身高校や出身地の制限がある場合があります。順天堂大学の場合には、「東京都地域枠」や「千葉県地域枠」の場合には出願条件の制限がありますが、「新潟県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」については制限がありません。

 ◇「地域枠入試」は、よく考えて受験を!
 そして、本当に地域医療のために尽力したいとの気持ちがなければいけませんが、これに関しては、面接試験で医師志望の理由とともに、しっかりと面接官にアピールできなければなりません。

 一般枠入試で入学した場合、医学部卒業後は初期の研修先として全国から自分の希望する医療機関を選択することができます(臨床研修マッチングプログラム)。また、例えば、将来は研究医となりiPS細胞を研究したいと考えていた場合、そのような進路の選択が可能です。しかし、「地域枠入試」で入学・卒業した場合は、少なくとも9年間は自分の進路を自分自身で決定できない可能性があります。

 「地域枠」での入学を考えている場合には、自分が受験を考えている大学について、卒業の条件などがどのようになっているのかを調べた上で、受験をしなければなりません。

 それでも「地域医療への貢献」と「学納金」また、大学によっては志願者倍率や合格に必要な偏差値が一般入試よりも低い大学も多いことから、「地域枠入試」は一考の余地があると思います。(医系専門予備校メディカルラボ 山本雄三)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190228-OYTET50039/
医師充足度、最大2・2倍差…産科・小児科の都道府県別推計 
2019年2月28日  読売新聞

 医師が都市に集中し、地方で不足する「偏在」の解消を目指している厚生労働省は27日、産科医と小児科医の都道府県別の充足度について、両科とも最大2・2倍の開きがあったとの推計結果を明らかにした。

 単純な人口比の医師数ではなく、医師の性別や年齢、患者の需要などの影響も加えた指標で示した。値が大きい方が充足度が高い。

 産科で1位は東京(18・4)で、秋田(15・8)、和歌山(14・3)と続いた。最下位は新潟(8・2)で、熊本(8・6)、福島(8・8)の順だった。

 小児科では1位が鳥取(173・8)で、東京(142・4)、京都(140・6)が続いた。最下位は茨城(78・3)で、埼玉(79・0)、鹿児島(82・7)の順だった。

 医師全体の偏在指標でみると、1位は東京で、最下位の岩手とは1・9倍の開きがあった。値はいずれも暫定値としている。

 厚労省は、この日開かれた有識者検討会に産科、小児科の推計結果を示すとともに、医師の偏在解消策などを盛り込んだ中間とりまとめ案について大筋で了承を得た。
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https://gentosha-go.com/articles/-/20156
連載勤務医の「キャリア&資産形成」戦略【第3回】
「医局ブランド」ではもう稼げない!? 医学部教授の懐事情
藤城 健作2019.2.28医師向け勤務医キャリア設計資産形成開業医
 

今回は、医学部教授というブランド力の変遷と、2004年に施行された「新研修医制度」が医局に与えた影響を考察します。※医師を取り巻くキャリア環境が激変しています。医局に頼ってきた従来とは異なり、自らキャリアを形成し、開業医を目指す医師が増えているのです。しかし、安易な開業が取り返しのつかない失敗を招く場合もあります。本連載では、開業医を志す医師に向け、開業を成功に導くポイントと、開業を磐石なものにする資産形成の方法を解説します。

かつては様々な収入源があった「医局の教授」だが…
大学病院の医局は、多くの人がドラマの「白い巨塔」でイメージするように、医学会の頂点に君臨する存在として認識されていました。

大学病院のなかには、外科医局、産婦人科医局など数十の「医局」と呼ばれる組織が存在し、それぞれの医局には数十人から数百人の医師が所属。医局のなかにもピラミッドが存在していました。

医師としての出世コースにおいてゴールになる「教授」を頂上として、助教授(准教授)、講師、助手(助教)、医員、研修医という明確な序列があったのです。

一般的に大学病院で教授のポストに収まるには、大学を卒業してから20年から30年ぐらいかかると言われています。長年かけてようやくたどり着ける教授の地位。医局におけるその力は絶大でした。

有力な大学医局は多くの関連病院を持っており、医局員は自分で就職先を探す必要がありません。それは就職先に困らないということを意味しています。

ただし、それは医局のサポートがある場合だけ。医局を牛耳る教授に睨まれれば一転して就職先が閉ざされ、医師であるのにもかかわらず職にあぶれてしまう危険性と表裏一体だったのです。

医局は関連病院の人事権をも掌握しており、博士号を授けるだけではなく、市中病院への就職も教授の推薦が重要という時代もありました。このような絶大な権力を持った医局では教授同士の派閥争いも激しく、派閥争いに負けると地位を追われることも珍しくありませんでした。

大学病院から支給される給料は第2回でご紹介した通りさほど多くはなく(関連記事『医師の年収…開業医と勤務医ではどのくらいの差があるのか?』参照)、教授になってもそれほど高給取りというわけではありません。

しかし、教授の年収は給料で決まるのではなく、教授の肩書きを利用したアルバイトによって決まります。

有名な教授ともなれば、大学病院だけでなく、他の病院にアルバイトに出かけることもあります。そうしたアルバイトの年間報酬が500万円以上になることも珍しくないのです。

たとえば、大学病院でも特別診療として特別な患者に対して回診することで1回5万円から10万円の報酬を得られるという話もあります。そのほかにも、人手が不足している病院に対して教授の力で若手医師を配置することで、その病院から大きな報酬を得ることもできていたそうです。また、芸能人や政治家などを相手にした完全個室の病院などでは、教授のブランドを求めて半日で10万円ぐらいのアルバイト料を払ってくれるケースもあったといいます。

他にも、医局の絶対君主制が機能していた時代には、医師が博士号を取得する際、研究費の名目で教授に数十万円を渡すこともざらにあったようです。

地方病院に医師を派遣するときの謝礼や仲人のお礼、製薬会社からの袖の下、講演料や原稿料・・・医局の頂点に立つ教授になれば、さまざまな収入源を駆使して懐を暖めることができたのです。

「新研修医制度」施行で、医局に属さない研修医が急増
しかし、近年、大学医局の衰退によって教授のブランド価値は大きく低下し、アルバイトの収入も減っているといわれています。

そのきっかけとなったのが2004年4月、新研修医制度の施行です。新研修医制度とは、医師免許を取ったばかりの新人医師が、2年間特定の医局に属さずに多数の科を回るという制度です。

この制度に合わせて導入されたのが、医師臨床研修マッチング制度です。臨床研修を受けようとする研修医と臨床研修を行う病院の研修プログラムをお互いの希望を含めて、一定の規則に従って、コンピューターでマッチングするシステムです。

自分自身や研修先の希望に基づいてマッチングする研修の仕組みが導入されたおかげで、出身大学の大学病院の医局に属さずに、待遇の良い市中病院で研修を行う研修医が増えたといわれています。

新研修医制度が導入された2004年、大学病院で研修する研修生の数は4216名だったのに対して、臨床研修病院の研修生の数は3784名でした。ところが、それから13年後の2017年、臨床研修病院の研修生の数が5285名であったのに対して、大学病院の研修生の数は3738名。臨床研修病院の研修生の数が大きく増えたのです。

藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長



https://www.medwatch.jp/?p=25046
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から全面スタートした新専門医制度について、基本領域の2階部分となる「サブスペシャリティ領域」をどう認定するかが議論になっている。これまでに内科学会等から推薦されている23領域のうち、「消化器内視鏡」や「老年病」については、「国民への分かりやすさ」という視点からサブスペシャリティ領域として妥当と言えるだろうか―。

12月11日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)で、こういった議論が行われました。

日本専門医機構と関係学会で、「サブスペシャリティ領域としての必要性」などを改めて精査し、3月の次回専門研修部会で改めて検討されます。
 
ここがポイント!
1 サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘
2 カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき
3 診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示


サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘

 新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタートしています。従前、各学会が独自に専門医を認定していたため、「質の担保が難しく、国民に分かりにくい」との批判があり、学会と日本専門医機構とが連携し、研修プログラムの設定や専門医の認定等を行う仕組みを設けています。

 以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

 サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認証する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認証することとなっています。

現在、サブスペシャリティ領域への認証を希望する学会に対し、「研修体制は整っているか」「国民への認知はなされているか(基幹的な病院に当該分野の診療科はあるか)」などの項目について自己レビューを求め、そのレビューシートに基づく事前審査が始まっています。今後、「認証する基準」(整備基準)を設定し、その基準をクリアしているかを審査(本審査)することになります(関連記事はこちらとこちら)。

事前審査の希望は、約90の学会・領域から出されており、その中には、すでに基本領域学会である内科・外科・放射線科の各基本領域から「サブスペシャリティ領域とすべき」とされた23学会・領域も含まれています。例えば、「消化器病」については、基本領域である「内科」と連動して研修ことで、より効率的に症例経験を積むことができるとされ、この4月(2019年4月)からサブスペシャリティ領域としての研修が始まることになります(関連記事はこちら)。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―

 
しかし、2月22日に開催された専門研修部会では、この23学会・領域の一部に「待った」がかかりました。

例えば、「消化器内視鏡」領域。この領域について、▼日本肝臓学会▼日本消化器病学会▼日本消化器内視鏡学会―の3学会が連名で「サブスペシャリティ領域」を希望し、基本領域学会である内科学会が「消化器分野は非常に幅広く、患者数も多く、すべてをカバーすることは難しい。消化器内視鏡の分野は、社会的にも既に存在が確立している。行政の行う健診でも『内視鏡使用』が必須とされてきている」といった状況を踏まえ、サブスペシャリティ領域として認証する方針が固められているものです。

これに対し、専門研修部会では、「一般国民からは、『消化器病』と『消化器内視鏡』とどう違うのは分からないのではないか」(棚野孝夫構成員:全国町村会副会長、北海道白糠町長)、「学会の要請を1つ1つ聞いていれば、サブスペシャリティ領域が乱立し、国民に分かりにくくなってしまう」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)という意見が相次ぎました。山内構成員は、「乳腺外科分野では、マンモグラフィの技術等に関する研修・試験を行い、それを専門医とは別に認定する仕組みを設けている。内視鏡に関しても、消化器病分野の専門医資格とは別の認定としたほうがよい」とも提案しています。

また、老年病についても、「若人とは異なる薬剤治療などを行う必要がある」「複数の疾患を抱えることが多く、臓器別でなく、全人的に診る必要性が高い」「小児が成人のミニチュアではないことと同じように、老年者も若人の延長というわけにはいかない」といった点を考慮して、内科分野のサブスペシャリティ領域として認証する方針が固められていますが、「医師であれば老年の診察は誰でもできるはずである」(立谷秀清委員:全国市長会会長、福島県相馬市長)、「かえって患者はかかりにくいのではないか」(棚野構成員)といった厳しい声が出ています。

さらに専門研修部会では、「サブスペシャリティ領域とは何か」を明確にした上で、「認証の基準」を設け、その基準に合致する学会・領域をサブスペシャリティ領域として認証すべき、との指摘も数多くだされました。

牧野憲一構成員(日本病院会常任理事)は、「基本領域は、その分野について標準的治療を習得した『詳しい医師』レベルなのに対し、サブスペシャリティ領域の一部では、相当な『エキスパート』のイメージを持つ。一般国民に同じ『専門医』として理解できるだろうか」と指摘。この点、寺本民生参考人(日本専門医機構理事長)は「専門医制度で育成する専門医はエキスパートではない。取得領域について標準的治療を習得し、ある程度の知識を持つ医師である」旨を説明しています。基本領域のみの専門医もいれば、サブスペシャリティ領域も習得した専門医もおり、少し一般国民には難しいかもしれず、十分な「説明」「PR」が必要でしょう。

また立谷構成員は、「内科や外科といった基本領域がメインであり、サブスペシャリティ領域はあくまで補完である。『自分の専門分野しか診ない』という医師の存在が地域医療確保における大きな課題となっている。サブスペシャリティ領域に重きを置けば本末転倒になるのではないか」との見解を示しています。

こうしたさまざまな指摘を踏まえ、日本専門医機構と関係医学会では、サブスペシャリティ領域の「認定の基準」(整備基準)を早期に設定するとともに、上記の23学会・領域についての審査を行うことが求められるでしょう。その結果を専門研修部会にあげ、構成員の了承を得ることが必要になります。

 なお、サブスペシャリティ領域については、次のように類型化して、「認定の基準」(整備基準)の在り方を考える方向も探られています。

【A型】日常診療を担い、医療需要が高く、偏在対策が講じられるべき領域(例えば、循環器内科などのイメージ)→研修体制は都道府県単位で整備する(各都道府県に研修施設を設定するなど)

【B型】専門性が高く集約化が進むものの、単独領域として一定の患者数が見込まれる領域(例えば、小児がんなどのイメージ)→研修体制はブロック単位で整備する(関東ブロックに1つ専門研修施設を整備するなど)

【C型】特殊性が高く、研修を行える施設が限られる領域(例えば、臨床遺伝など)→研修体制に地理的要件は設けない(全国に数か所の専門研修施設を整備するなd)

一部のサブスペシャリティ領域では、上述の「連動」研修が、この4月から行われることになっており、専攻医(新専門医の資格取得を目指す後期研修医)に不安・混乱が生じないようにしなければなりません。なお、仮に専門研修部会の了承が得られず、連動研修部分のサブスペシャリティ領域としての認証が4月に間に合わない場合について、釜萢敏構成員(日本医師会常任理事)は「遡及して単位取得を認めることが必要」と提案しています。


カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき

 また2月22日の専門研修部会では、「カリキュラム制」の整備についても議論が行われました。

 新専門医制度では、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行う「プログラム制」による研修が原則となっています。基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行うもので、「初めての基本領域の研修では、集中的に必要な標準治療を学ぶ必要がある」と説明されています。

 ただし、医師免許取得後に定められた医療機関での勤務が求められる自治医大出身の医師や、出産・育児・介護などで一時休職しなければならない医師では、このプログラム制に沿った研修が困難となります。そこで、期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医資格取得を可能とする「カリキュラム制」(単位制)による研修も認められています。

日本専門医機構では、カリキュラム制の対象となる医師について、▼義務年限を有する医科大学卒業生、地域医療従事者(地域枠医師など)▼出産、育児、介護等のライフイベントにより、休職、離職を選択する医師▼海外、国内留学する医師▼その他領域学会と日本専門医機構が認めた「相当の合理的理由」のある場合(パワーハラスメントを受けたなど)―とし、また、「1か月フルタイムでの勤務を1単位とし、プログラム制研修と同等以上の単位取得等を新専門医資格取得試験の要件とする」などの方針を固めています(関連記事はこちら)。

この方針に対して大きな異論は出ていませんが、「カリキュラム制選択をより柔軟に行えるようにすべき」「カリキュラム制の研修認定施設は、柔軟に認定すべき」との指摘が立谷構成員や牧野構成員らから出されています。カリキュラム制堅守はすべての学会で設けることとなっていますが、現状では、十分な整備がなされていないようであり、早急な検討・整備が求められます。


診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示

なお、厚労省からは「診療科別の必要医師数の見通し」(たたき台)も報告され、都道府県別の数値も示されました(関連記事はこちら)。

現状でも「大きく不足している」と試算された、外科と内科について見てみると、2036年(医師偏在解消の目標年)の医療ニーズを満たすための「年間の医師養成数」は、次のようになっています。また2018年度の専攻医登録状況と比較し、不足分・過剰分をカッコ内に単純計算で示しました。カッコ内が「不足●」となっている場合には、2018年度の専攻医登録が、2036年の医療ニーズ充足までに「●名の医師不足」状態となっていることを示します(あくまで単純計算ですが)。なお、全体と都道府県合計とは、ここでは合致しません。

【内科】全体で2978名(不足307)
▼北海道:137名(不足40)▼青森県:39名(不足21)▼岩手県:37名(不足16)▼宮城県:56名(不足5)▼秋田県:28名(不足12)▼山形県:32名(不足11)▼福島県:57名(不足36)▼茨城県:85名(不足44)▼栃木県:50名(不足15)▼群馬県:55名(不足30)▼埼玉県:214名(不足144)▼千葉県:175名(不足90)▼東京都:222名(過剰314)▼神奈川県:224名(不足46)▼新潟県:66名(不足22)▼富山県:28名(不足9)▼石川県:22名(過剰17)▼福井県:20名(不足7)▼山梨県:22名(不足3)▼長野県:61名(不足26)▼岐阜県:47名(不足17)▼静岡県:111名(不足67)▼愛知県:187名(不足54)▼三重県:45名(不足5)▼滋賀県:34名(不足6)▼京都府:37名(過剰48)▼大阪府:163名(不足54)▼兵庫県:130名(過剰17)▼奈良県:30名(不足2)▼和歌山県:16名(不足7)▼鳥取県:13名(過剰2)▼島根県:13名(不足1)▼岡山県:35名(過剰31)▼広島県:67名(不足20)▼山口県:36名(不足22)▼徳島県:14名(不足5)▼香川県:23名(不足10)▼愛媛県:34名(不足12)▼高知県:14名(不足6)▼福岡県:84名(過剰73)▼佐賀県:17名(過剰2)▼長崎県:26名(過剰8)▼熊本県:35名(不足7)▼大分県:25名(不足過剰なし)▼宮崎県:31名(不足22)▼鹿児島県:34名(不足4)▼沖縄県:35名(不足4)―

【外科】全体は1217名(不足410)
▼北海道:51名(不足17)▼青森県:12名(不足6)▼岩手県:12名(不足4)▼宮城県:19名(過剰1)▼秋田県:9名(過剰1)▼山形県:10名(不足5)▼福島県:17名(不足6)▼茨城県:26名(不足15)▼栃木県:17名(不足2)▼群馬県:20名(不足19)▼埼玉県:73名(不足56)▼千葉県:56名(不足30)▼東京都:123名(過剰54)▼神奈川県:88名(不足46)▼新潟県:24名(不足16)▼富山県:10名(不足4)▼石川県:10名(不足4)▼福井県:7名(不足5)▼山梨県:7名(不足6)▼長野県:19名(不足5)▼岐阜県:19名(不足3)▼静岡県:34名(不足27)▼愛知県:75名(不足24)▼三重県:16名(不足9)▼滋賀県:13名(不足4)▼京都府:16名(過剰7)▼大阪府:74名(不足3)▼兵庫県:49名(不足19)▼奈良県:12名(不足9)▼和歌山県:8名(不足2)▼鳥取県:5名(過剰2)▼島根県:6名(不足3)▼岡山県:15名(過剰10)▼広島県:23名(不足5)▼山口県:11名(不足7)▼徳島県:6名(不足1)▼香川県:9名(不足5)▼愛媛県:11名(不足6)▼高知県:6名(不足5)▼福岡県:41名(不足2)▼佐賀県:7名(不足3)▼長崎県:10名(不足4)▼熊本県:16名(不足4)▼大分県:10名(不足2)▼宮崎県:9名(不足6)▼鹿児島県:14名(不足3)▼沖縄県:14名(不足5)―



https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20190226-OYTNT50186/
小高病院「赤字でも継続」 入院機能 南相馬市 住民向け説明会 
2019/02/27 05:00 読売新聞

 東京電力福島第一原発事故後に入院機能を休止している南相馬市立小高病院について、市は26日、小高区内で住民説明会を開催した。市の担当者は、集まった帰還住民ら約100人に、将来的な入院機能の再開を目指す考えを改めて示した。


 同病院を巡っては、地元医師会などでつくる委員会が、人手不足の解消を図り19床の入院機能を整備するとした素案を、門馬和夫市長に提出している。一方、市側と考えが異なるとして、ただ1人の常勤医が退職届を提出する事態となっている。

 会場の住民からは、「病院があれば不安も解消される、と思って帰還した。病院が今後どうなっていくのか不安だ」との意見が出た。また、「病院の赤字を市の財政で負担できるのか」との質問もあり、門馬市長が「赤字でも市民に必要ならば、国の補助を受けたり、市の税金の一部を回したりしても継続しないといけない」と述べて理解を求めた。

 市は原町区でも2月27日、説明会を開催する。3月12日までは、住民からの意見を公募している。



https://www.medwatch.jp/?p=25051
2019年の10連休、診療報酬に関する施設基準等の一時的な緩和を―日病協 
2019年2月25日|医療現場から MedWatch

 今年(2019年)の10連休において、一部の医療機関に患者が集中することも予想される。その際に診療報酬に関する施設基準を一時的に満たせなくなる可能性もあり、一定の要件緩和をしてほしい―。

 日本病院団体協議会は2月22日の代表者会議で、厚生労働省に宛てて近くこうした要望を行う方針を固めました。
 
一時的な定員超過などが生じる可能性あり、診療報酬上の配慮を

 今上天皇陛下が今年(2019年)4月30日に退位され、皇太子殿下が5月1日に新たな天皇に即位されます。これに伴い、政府は4月27日から5月6日まで「10連休」とすることを決定しました(天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律)。

 10連休の間には、医療機関の稼働が縮小することになると考えられるため、救急患者などが一部の稼働医療機関に集中することが予想されます。その際、一時的に入院患者数が増加し、診療報酬の施設基準(例えば、看護配置など)を満たせなくなる可能性もあります。

 また、急性期病院から回復期・慢性期機能を持つ病院への転院等が一時的に困難になることも予想され、この場合、急性期病院において「重症度、医療・看護必要度」の基準を一時的に満たせなくなる可能性もあります。

国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、こうした可能性を踏まえ、一時的な「診療報酬に関する施設基準等のな緩和」を厚労省に要望する考えをまとめました。

具体的な要望内容は今後さらに詰められますが、山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から、▼10連休中の人員配置基準緩和▼救急患者の集中による定員超過入院にかかる減算緩和▼レセプト提出期限の延長―などが例示されました。

10連休中の医療確保に関しては、すでに厚労省から「都道府県ごとに救急医療機関などの稼働状況を調べ、必要な連携体制を確保するとともに、十分な情報提供を行う」、「休日加算などについては、従前どおり算定でき、投与日数制限を超える医薬品投与などを可能とする」旨の通知が発出されています。今般予定される日病協要望は、さらなる配慮を求めるものと言えるでしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=25113
病院の人材確保・育成費用、厳しい経営環境の中で「医業費用の1.52%」と大きなシェア占める―日病 
2019年2月28日|医療現場から MedWatch

 医療の質向上のためには、「医療人材の確保・研修」に係るコストを投下する必要がある。日本病院会の会員病院を対象に行った調査では、病院の医業費用の「1.52%」を研究費、研修費、福利厚生費、諸会費、寄付金に充てていることが分かった。病院経営が厳しく、限られた財源しかない中で、比較的高額な費用を人材・確保に投下している現状が伺える―。

 2月26日の日本病院会・定例記者会見において、万代恭嗣副会長(JCHO東京山手メディカルセンター名誉院長)と医業税制委員会の安藤文英委員長(西福岡病院理事長)から、こういった状況が報告されました(日病のサイトはこちら)(関連記事はこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷
2 認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷

 医療の質向上は、すべての医療機関にとって永遠の命題と言え、その一環として「優秀な医療人材の確保」が極めて重要となります。このためには相応のコストが必要ですが、病院経営が厳しさを増す中では、このコスト捻出にも大きな苦労を伴います。

 こうした背景を受けて日病では、会員病院を対象に「医療人材確保と育成に係る費用」に関する調査を実施。321施設から有効回答が得られました(有効回答率は12.9%)。

回答病院の内訳を見ると、我が国の病院全体とは大きく異なる構成(▼全体では公的等の割合が18.9%だが、今回調査では62.0%と公的等の割合が大きい▼全体では200床以上病院の割合が小さい(31.5%)が、今回調査では74.1%と大きい―など)となったため、結果分析に当たっては「日本の病院の状況に近い姿」への補正が行われています。

補正を行ったうえで、321病院の「100床当たり医業収入」合計を見ると7296億7491万円。対して「100床当たり医業費用」合計は、7555億8188万円で、収支差額はマイナス259億円余り(マイナス3.43%)の赤字となっています。先頃発表された日病・全日本病院協会・日本医療法人協会合同の「2018年度 病院経営定期調査」では、病院の医業損益はマイナス6.46%となっており、安藤委員長は「近しい数字である」とし、今般の調査結果の信頼性を強調しています(関連記事はこちら)。

さらに日病では、「医療人材確保と育成に係る費用」として▼研究費▼研修費▼福利厚生費▼諸会費(学会費用など)▼寄付金―に着目。これら費用の合計は114億5116万円で、あり「100床当たり医業費用」の1.52%を占めています。

医業税制委員会では、この「1.52%」という数字について「ほとんどの病院の収支差額がマイナス(赤字)である中、全費用の1.52%をこの領域に充当するのは経営上、大変な負荷である」とし、病院が多大な努力をしている現状を強調するとともに、人材確保・育成に向けたさらなる支援の必要性(助成など)を訴えています。なお、現在の各種助成(地域医療介護総合確保基金や人材開発支援助成金など)については、交付を受けている病院が少なく、ハードル(交付要件)の高さが妥当かどうかも検証していく必要がありそうです。


認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


次に、人材確保・育成に関する費用の中身を少し見てみると、▼95.3%の病院が雑誌、書籍等の購読料を負担している▼90.3%の病院が各種学会年会費を負担している▼98.1%の病院が各種学会等参加費を負担している▼97.5%の病院が各種学会等旅費を負担している▼64.2%の病院が研究経費を負担している▼94.1%の病院が内部研修会・勉強会の費用を負担している▼95.0%の病院が外部研修会・勉強会の費用を負担している―ことが分かりました。また8割程度の病院が住宅費等の補助を行う一方で、従業員の慰安や懇親会等の費用については、補助を行っている病院は4割程度にとどまっており、内容に応じた傾斜を付けていることも分かります。

 
さらに、外部研修・技術習得への支援状況について「認定看護師」「専門看護師」を例にとって見てみましょう。

まず認定看護師については、321医療機関中、272医療機関・84.7%に総数2951人が配置されています。認定されるためには、一定期間(6か月以上)、日本看護協会の所定プログラムを受講する必要などがあります。つまり病院を離れることとなりますが、▼75.7%の病院では、その期間中「研修扱い」(33.0%)または「出張扱い」(42.7%)とする▼期間中の給与・賞与について、71.0%の病院では「全額支給」する▼受講費用(入学金、受講料、旅費など)について、60.1%の病院が「公費として全額・一部負担」をし、9.3%の病院が「奨学金として助成」をし、4.7%の病院が「補助金として助成」をする―など、さまざまな形でバックアップをしています。なお、認定資格取得のために「退職」を求める病院はありませんでした。医業税制委員会では、優秀な看護師確保とともに診療報酬の獲得に向けて多くの病院が努力していると見ています。

また専門看護師については、321医療機関中、117医療機関・36.4%に総数288人が配置されています。やはり資格取得のための研修受講などに対し病院のバックアップが一定程度ありますが、認定看護師に比べて履修期間が長い(2年)ため、▼期間中「研修扱い」(11.8%)または「出張扱い」(15.0%)とする病院は28.3%にとどまる▼期間中の給与・賞与を「全額支給」する病院は27.7%で、給与等の支払いを「なし」とする病院も12.1%ある―状況です。ただし、受講費用(入学金、受講料、旅費など)については、回答のあった病院(152%)のうち3分の2で何らかの支援(公費として病院負担:78病院、奨学金で助成:14病院、補助金で助成:3病院)が行われています。

なお、「特定行為研修を修了した看護師」については、まだ若い制度(2015年10月からスタート)であるため、配置は56病院・17.4%にとどまり、費用助成などを行っている病院も少数派にとどまっています。

 
また、人材確保・育成全般に関する病院の考え方を見ると、▼45.8%が「人材の過不足で病院経営が阻害されている」と感じている▼31.8%が「自院のみでの人材育成に限界があると感じている▼人材育成ツールとしては、「院内研修」「育成プログラム実施」「院外セミナー」などが多く用いられている▼42.1%がグループ病院、39.3%が外部病院、20.2%が教育専門機関に人材育成への連携を求めている▼離職防止策としては「医師事務作業補助者や看護補助者の配置」(88.5%)、「子育て・介護中の職員への配慮」(87.9%)、「メンタルヘルス対策、ハラスメント対策等」(72.6%)、「ワークライフバランスの確保に向けた風土づくり」(72.0%)、「多職種による役割分担等」(68.8%)などが多い―ことなどが明らかになりました。

なお、医業税制委員会では、公立病院等には補助金が投入されている状況を横目で見ながら、「人材の育成・確保において設立母体の違いによる差があってはならない。人材育成・確保に関するコストの補填は、診療報酬本体の中に組み込んでいくべき」旨も提言しています。今回の調査からは、「公立病院等と私的病院等との間で、人材育成・確保に投下する費用には明確な差はない」ようです。補助金等の投入に鑑みれば、「民間病院において人材の育成・確保により大きなコストを投下しなければならない(大きなコストを投下しなければ医療従事者が確保できない)」と見ることもでき、それが今般の提言につながっているものと推察されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25083
医師の働き方改革論議、「地域医療をどう確保するか」などの議論なく遺憾―日病・相澤会長 
2019年2月26日|医療現場から MedWatch


 医師の働き方改革に向けた議論が進められ、原則960時間以内(いわゆるA水準)、救急など地域医療確保に不可欠な場合には当面1860時間以内(いわゆるB水準)などの時間外労働上限案が提示されている。しかし、病院側では「想像を絶する努力」をしなければ、これをクリアすることはできない。またB水準医療機関として特定される要件として、「救急車受け入れ台数が年間1000件以上」などが示されているが、病院団体への事前のすり合わせもなく、非常に遺憾である。怒りすら覚える―。

日本病院会の相澤孝夫会長は、2月26日の定例記者会見でこのような見解を述べました。
 
 なお、同日の記者会見では、ほかに▼医療人材確保・育成費用に関する調査結果▼新専門医制度に関するアンケート調査結果―の報告も行われており、これらは別稿でお伝えします。
時間外上限クリアには、医師増員が必要だが、地域には医師がいない
厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が大詰めを迎えています。これまでに、勤務医の時間外労働上限(いわゆる36協定を結んでも超過できない基準)について、▼原則として年960時間以内・月100時間未満(いわゆるA水準)▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1860時間以内(いわゆるB水準)▼研修医など医療技能獲得のために必要な水準として年1860時間(いわゆるC1・C2水準)―という案が厚労省から示されています(関連記事はこちらとこちら)。
 
これら上限は2024年4月から適用されることとなり、すべての医療機関で「労働時間の管理」を徹底した上で、「労働時間の短縮」を可能な限り進め、A水準(年間960時間以内)クリアを目指すことになります。

ただし、救急医療機関などでは、労働時間短縮をしてもなおA水準をクリアすることが難しいと考えられるため、一定の要件を満たすことを条件に都道府県知事の特定を受けた上で、B水準(年間1860時間以内)クリアを目指すことになります(関連記事はこちらとこちら)。
 
2月23日の日病常任理事会では、「こうした上限をクリアするためには医師の増員が必要となるが、費用が嵩むことは当然として、そもそも地域に医師がいない。タスク・シフティング(業務移管)の必要性も言われるが、業務のシフトを受ける看護師等の教育も必要となり、そこでも費用が嵩むと同時に、やはり地域での看護師確保も難しい。想像を絶する努力をしなければ上限クリアはできない」との悲鳴が出ていることを相澤会長は紹介しました。

また、個別病院の努力には限界があるため、地域で、例えば「救急患者が各病院に分散されるような体制を組む」(1病院に救急患者が集中すれば、当該病院の医師負担が過重になってしまうため)などの、機能分化・連携の強化がどうしても必要となります。しかし、「病院の機能分化・連携の強化は20年以上も前から指摘されているが、十分には進んでない。これをあと5年間(2024年3月まで)で進められるのか」といった疑問の声も多数出ているといいます。

さらに、上限クリアにおいては、「宿日直」が労働と扱われるのか、労働ではないと扱われるのかが、非常に重要となります。例えば、週に1回、16時間の宿日直があったとして、これが「労働である」とされれば、それだけで時間外労働が768時間になってしまいます。この点について、検討会では「労働とみなされない宿日直許可の基準」を、現代の医療実態に沿ったものに改訂することが決まっていますが、その見直し内容は必ずしも明確になっておらず、医療現場での不安は非常に大きいようです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

こうしたことを考えれば、上限クリアをするために「診療時間の縮小」や「救急搬送患者の受け入れ制限」などをしなければならない病院の出てくる可能性も小さくありません。これでは、「地域医療を守る」ことはできず、また病院によっては「経営の維持」が困難になるところも出てきそうです。相澤会長は、「時間外労働の上限をはじめとする働き方改革の制度づくりの議論はなされているが、その上で、どう地域医療を守るのか、といった議論がまったくなされていない」と指摘。

さらに、B水準(1860時間以内)として特定されるための要件として、「2次・3次救急医療機関」で、かつ「年間の救急車受け入れ台数が1000件以上」などの要件案が示されていますが、「同じ救急車受け入れでも、夜間と日中、平日と休祭日では、まった意味合いが異なる。1000件の根拠はどこにあるのか」と疑問を呈した上で、「要件案を示す前に病院団体と、実現可能性などをすり合わせるべきだが、そうしたことが一切ない。極めて遺憾であり、怒りすら覚える」と強い調子で述べました。

検討会では、「医師の健康確保」と「地域医療の確保」とは、トレードオフの関係(一方を求めれば、他方を犠牲にしなければならない)にはない、ことが確認され、「両立」が不可欠とされています。しかし、「労働時間の短縮」論議は、その必要性も含めてさまざま指摘・提案がされますが、「どのように地域医療を確保していくのか、どういった体制を組んで救急患者に対応するのか」などの議論は活発とは言い難い状況です。検討会では、「働き方改革」に関する制度を固める(2019年3月までに結論を得なければならない)場であり、後に、別の場などで「地域医療確保」論議を行うことになると思われますが、この議論が不十分な点に医療現場の不安は大きくなっているようです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/662413
「二次医療圏の考え方を整理しないと」四病協
働き方改革、2024年度までの対応を懸念
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は2月27日の総合部会で、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」や「医師の働き方改革に関する検討会」の内容について議論した。終了後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「公立・公的と民間の役割分担になるであろうということはみんな理解しているが、約300の二次医療圏、構想区域を一つの規則で動かしていくのは無理なのではないか。そもそも二次医療圏の考え方を整理しないといけないのでは」などの意見が出たことを紹介した(地域医療構想に関するWGについては『病床機能報告「稼働病床数」は廃止、3項目を見直し』などを参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/661408 )。


 WGで厚労省が提出した資料では、「公立・公的病院等」と「民間医療機関」で色分けした図やグラフが多くあった。地域医療支援病院は「公立・公的病院等」に分類されているが、民間の地域医療支援病院もあるため、総合部会では「不正確ではないか」との指摘があったという。また、大半が構想区域と一致する二次医療圏自体が人口数万人から数百万人まで幅があることや、ある医療圏に急性期病院が集中して隣にはない、これは良くないという議論になったとしても、「交通網が整備されて患者が行き来できれば何の問題もないではないか」という意見も出た。

 猪口氏は「調整会議で話して公立は公、民ができることは民でという考え方は出ているが、実際には人口が減っているところで公のベッドを減らしましょうと書いていても全然減らないで、地域包括ケア病棟に鞍替えをするとかいう話もある」と指摘。調整会議でそうした指摘が出ても、医療機関が減らすことを拒否しても法的拘束力がないため、「あと6年で2025年だから、本当に有効な動きになるのかどうか」という危惧が出席者からは上がったという。

働き方改革「5年間でどうなるか」

 医師の働き方改革に関する検討会については、最終的な結論がまもなく出る見通しだが、2024年度に時間外労働時間の上限などが適用されることになった場合に「(それまでの)5年間でどうなるのか」という危機感が示されたという。

 猪口氏は例として、これまで大学病院などで当直に対し時間外勤務手当は付けずに、それよりも少ない当直料で運用してきているが、「これを整理しないといけないが、そうすると今よりも医師の数がうんと必要になる。大学病院も基幹病院的なところも医師がふんだんにいるわけではないので、大変だ」と指摘。2016年に労働基準監督署から是正勧告を受けて診療体制を縮小するなどの対策をした聖路加国際病院を例に挙げ、「東京は急性期の病院がいっぱいあるので、他の病院がカバーする形で社会問題にはならないが、全国一斉に始まるとどうなるか」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25040
公立病院等の機能、▼代表的手術の実績▼患者の重症度▼地理的状況―の3点で検討・検証せよ―地域医療構想ワーキング 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 全国の地域医療構想調整会議において、今年度(2018年度)中にまず「公立病院および公的等病院の機能改革」に関する合意を行い、その合意内容の妥当性等を検証していくことになる。その際、(1)がんなどの代表的な手術等の診療実績(2)手術以外の診療実績や患者像(3)地理的条件―を確認し、公立病院・公的病院等(以下、公立病院等)が民間病院ではなしえない機能を担っているかを見ていくこととしてはどうか―。

 2月22日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が概ね固められました。
 
ここがポイント!
1 手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる
2 人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要
3 病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に


手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと見込まれます。そうした中では、より効果的かつ効率的な医療提供体制を構築することが求められ、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において「地域医療構想の実現」に向けた議論が進められています。

調整会議では、まず「公立病院等の機能改革等」について、今年度(2018年度)中に合意を得ることとなっています。そこでは、「公立病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が1つの指針として掲げられており、具体的な公立病院等が担うべき機能として、▼高度急性期・急性期機能▼山間へき地・離島など過疎地等における一般医療▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門の医療▼がんセンター、循環器病センターなどの高度・先進医療▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣拠点機能―など例示されています。

 前回(1月30日)のワーキングでは、各地域医療構想区域(以下、構想区域)において、「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院がどの程度実施しているかという診療実績を見ていく方向が確認されました。代表的な手術実績を厚労省で分析したところ、多くの構想区域は次の4パターンに分類できそうなことが分かってきています(他のパターンも存在する可能性がある)(関連記事はこちら)。

【パターン(ア)】手術(例えば胃がんや乳がんなど)を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが存在する構想区域

【パターン(イ)】手術を一定程度実施する病院(公立・公的等、民間の双方)が数多く存在する構想区域(東京や大阪などの大都市に多いパターン)

【パターン(ウ)】複数の公立・公的等病院が一定程度の手術を実施する構想区域

【パターン(エ)】複数の病院に手術が拡散し、いずれの病院でも手術実績が低い構想区域
地域医療構想ワーキング(1)の3 190130
 
 ただし、【パターン(ア)】のような構想区域でも、例えば「公立病院等と民間病院とが『競合』している」構想区域もあれば、「公立病院等が重症患者を引き受け、民間病院では比較的軽症患者を診ている、という具合に『棲み分け』をしている」構想区域もあるでしょう。

そこで厚労省は、「手術以外の診療実績や患者の状態(患者像)を確認する」必要があると考えています。

例えば、実在のB構想区域では、代表的な手術の1つとされる「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」実績について、民間のA病院と公立病院等のB病院とか拮抗していますが(【パターン(ア)】に該当)、患者像を見ると「A病院が重症の患者(観血的動脈圧測定や人工呼吸器を実施)を多く受け入れている」ことや、手術以外の化学療法や放射線治療について「A病院がより多く実施している」ことが分かりました。B病院では、「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

一方、別の実在するA構想区域では、複数の公立病院等が存在し、代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」についてそれぞれ一定の実績を持っています(【パターン(ウ)に該当】。しかし、患者像や手術以外の化学療法等の実績を見ると、「A・B・C3つの公立病院等では、重症患者を受け入れ、化学療法等も実施している」のに対し、公立病院等のD病院では「重症患者等の受け入れ実績が低い」ことが分かりました。この場合、D病院では、やはり「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

 さらに厚労省では、「各病院の地理的状況を勘案する必要がある」と考えています。

 例えば上記のA構想区域では、実績のやや低いD病院は、A病院・B病院と近接しており(自動車で10-15分程度の距離)、D病院の手術機能等をA・B病院に移管したとしても、患者のアクセスを大きく阻害する可能性は小さいでしょう。

 また上記のB構想区域では、重症患者等の受け入れ実績がやや低い公立病院等のB病院と、A病院(重症患者を多く受け入れ)とは、一定程度近い場所に位置しています(自動車で25分程度)。この場合、民間のA病院のキャパシティが許せば、公立病院等のB病院が持つ手術機能等をA病院に移管することも選択肢の1つに入ってきそうです。

一方、別の実在するC構想区域では、多くの病院がありますが、2つの公立病院等が代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」を数多く実施(【パターン(ウ)】に該当)。重症患者等の受け入れも、両病院ともに積極的に行っていることが分かります。さらに、地理的状況を見ると、両病院は自動車で80分もかかる離れた場所に位置しており、A・Bいずれかに機能を集中した場合、例えば急性心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの緊急を要する患者に、適切な医療提供をできなくなる恐れが出てきます。こうした場合には、安易に「再編・統合」を考えることは危険でしょう。

このように、「公立病院等の機能改革等」に当たっては、次の3つの視点で検討・検証していくことが重要となります。

【視点1】:「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院が、どの程度実施しているかという診療実績を見ていく(パターン(ア)から(エ)のいずれか、あるいは別のパターンとなるか)

【視点2】:手術以外の診療実績や患者像を確認し、「棲み分け」をしているのか、「競合しているのか」を見ていく

【視点3】:地理的条件(位置関係や移動に要する時間など)を確認し、再編・統合等による医療提供体制への影響を見ていく

 こうした方向はワーキングでも確認されましたが、例えば「地理的条件については、近隣の構想区域(2次医療圏)も併せて考えるべきである」(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)、「構想区域はもちろん、より広域的な都道府県単位での医療提供体制の確保も重要だ。そのため、都道府県単位の構想区域でも、十分な検討をする必要がある」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)といった注文も付いています。

 さらに中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「個別医療機関のキャパシティや、担当医師の状況などは、各調整区域でなければ把握しきれない。視点1-3を指標として、地域の状況を十分に勘案する必要がある」と強調。厚労省も同じ考えを示しています。


人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要

調整会議で議論を進め、「病院の再編・統合が必要になる」との結論が出た場合でも、実際の再編・統合には大きな課題があります。とくに、経営母体が異なる場合には、「職員の身分・待遇をどう考えるのか」などの調整が難しくなります。

この点に関連し、2月22日のワーキングでは、▼自治体立の弘前市民病院と国立病院機構の弘前病院の再編(2022年の新病院スタートを目指す)▼市立の酒田市立酒田病院と県立の山形県立日本海病院の再編(日本海総合病院として2008年スタート)―の事例についてヒアリングが行われました。

後者は、稀有な「市立病院と県立病院との合併『成功』事例」として知られ、メディ・ウォッチでも、栗谷義樹理事長にインタビューを行っています。日本海総合病院では、統合後に診療実績が大きく向上するとともに、経営も改善。結果として自治体からの法定外繰入金が大幅に縮小しています。

さらに栗谷理事長は、今後、地域で人口減少が加速度的に進むことを踏まえ、▼急性期基幹病院の集約化(症例の確保による医療の質の向上はもちろん、働き方改革においても重要な要素となる)▼医療圏の見直し(より広域から患者を受け入れなければ、急性期病院の経営基盤が安定しない)▼行政によるアクセスへの予算確保(集約化により、患者のアクセスは一定程度悪化するため対策が必要)―が緊急に必要であると訴えています。

また、前者では、250床の市立病院(弘前市民病院)と342床(国立病院機構弘前病院)を再編・統合し、142床ダウンサイジングした中核病院を新設することになりますが、「統合までの間に、看護師等の退職が続く。新中核病院の発足までに、どのように両病院の機能を維持するかが当面の重要課題である」ことが紹介されました。

さらに、設立母体の異なる病院同士の再編・統合では、個別病院間の協議・調整(人事やクリニカルパス、使用薬剤など)はもちろん、設立母体同士(ここでは国立病院機構や自治体)の協議・調整の重要性も指摘されています。そこでは「住民への十分な説明」も重要となるでしょう。一般の住民は「医療機関へのアクセス」を重要事項と捉えがちですが、実は「医療機関が複数あり、症例が拡散すれば、医療の質が下がってしまう」という点を、丁寧に説明していくことが非常に重要と考えられます。


病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に

なお、2月22日のワーキングでは、病床機能報告制度の見直しに関する議論も行いました。一般病床・療養病床を持つすべての医療機関(病院・有床診療所)は、毎年、自院の機能と、将来担おうと考えている機能、さらには診療実績などを都道府県に報告することが義務付けられています(病床機能報告)。この報告内容は、調整会議の論議においても極めて重要となるため、適切な報告が求められます。

一方で、報告を実施する医療機関の負担にも配慮する必要があります。過重な負担では正確な報告ができなくなってしまうためです。

厚労省は、こうした点を勘案し、▼2019年度の報告から「病棟ごとの築年数」の報告を求める(建て替え時期の目安を把握するため)▼2020年度の報告から「稼働病床数」の報告を廃止する(許可病床数と近似するため)▼2021年度から「通年データ」の報告を求める(6月単月の診療実績では、季節変動を勘案できないため)―という3点の見直しを提案しています。

見直し方向に異論は出ていませんが、「稼働病床数の報告廃止」について中川構成員は「2019年度から見直すべき」と提案。厚労省では「廃止の影響などを踏まえ、2020年度見直しとしたい」と考えており、今後の調整が待たれます。



https://www.medwatch.jp/?p=25092
<新専門医制度スタート後、地域の基幹病院で専攻医(研修医)数は激減―日病・末永副会長 
2019年2月27日|医療現場からMedWatch

 新専門医制度がスタートし、地域の基幹病院での専攻医数は激減した。大学病院での研修が増加していると考えられ、新専門医制度の改善に向けた幅広い議論が今なお必要である―。

 日本病院会の末永裕之副会長は、2月26日の定例記者会見で、こういった考えを明らかにしました(日病のサイトはこちら https://www.medwatch.jp/?p=25083)。
 
ここがポイント!
1 日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施
2 基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき


日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施

 今年度(2018年度)から新専門医制度が全面スタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定について、学会と日本専門医機構が協働して、統一的な基準で行うことで、「専門医の質の担保」「国民への分かりやすさ」を目指すものです。

 もっとも、「質を追求するあまり、専門医を養成する施設の基準が高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。例えば、「従前、後期研修施設であった医療機関を、新制度下での連携施設等に組み込む」「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」などの対策が図られています。

ただし、こうした対策にもかかわらず、医療現場では「新専門医制度により、医師の地域偏在等が進んでいるのではないか」との指摘が後を絶ちません。このため日本病院会では「感覚ではなく、データに基づいて新専門医制度を検証する必要がある」と考え、日病役員が所属する病院を対象にアンケート調査を実施。73病院(回答率9割超)からの回答を分析した結果が、末永副会長から発表されたものです。

まず、2017年度の後期研修医(専門医資格取得を目指す研修医)数と、2018年度の専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)数とを比較すると、次のように大きく減少していることが分かりました。

【全 体】  2017年度:615名 → 2018年度:387名(マイナス228名・37.1%)
【内 科】  2017年度:238名 → 2018年度:151名(マイナス87名・36.6%)
【小 児】  2017年度:49名 → 2018年度:27名(マイナス22名・44.9%)
【皮膚科】  2017年度:11名 → 2018年度:4名(マイナス名7名・63.6%)
【精神科】  2017年度: 7名 → 2018年度:4名(マイナス3名・42.9%)
【外 科】  2017年度:99名 → 2018年度:67名(マイナス32名・32.3%)
【整形外科】 2017年度:39名 → 2018年度:20名(マイナス19名・48.7%)
【産婦人科】 2017年度:28名 → 2018年度:18名(マイナス10名・35.7%)
【眼 科】  2017年度:18名 → 2018年度:8名(マイナス名10名・55.6%)
【耳鼻咽喉科】2017年度:15名 → 2018年度:2名(マイナス13名・86.7%)
【泌尿器科】 2017年度:17名 → 2018年度:12名(マイナス5名・29.4%)
【脳神経外科】2017年度:14名 → 2018年度:13名(マイナス1名・7.1%)
【放射線科】 2017年度:14名 → 2018年度:9名(マイナス5名・35.7%)
【麻酔科】  2017年度:19名 → 2018年度:10名(マイナス9名・47.4%)
【病 理】  2017年度: 3名 → 2018年度:5名(プラス2名・66.7%)
【臨床検査】 2017年度: 0名 → 2018年度:0名(プラスマイナス0名)
【救急科】  2017年度:29名 → 2018年度:21名(マイナス8名・27.6%)
【形成外科】 2017年度: 8名 → 2018年度:8名(プラスマイナス0名)
【リハビリテーション科】2017年度:1名 → 2018年度:2名(プラス1名・50%)
【総合診療】 2017年度: 6名 → 2018年度:6名(プラスマイナス0名)

 この大幅減少について末永副会長は、「従前は地域の病院で専門研修(後期研修)を受けていたが、相当数が大学病院で研修を受けるようになったと考えられる。特に内科と外科の減少は大きく、このままでは地域で内科・外科を担う医師がいなくなってしまう。非常に大きな危機感を持っており、待ったなしの対策が必要である」と強調しました。

 新専門医制度のスタート前には病院団体を中心に、「大学病院が、地域の基幹病院からも医師(指導医)を引き挙げ、また研修医の確保もままならなくなるのではないか」との危惧がありましたが、これを裏付けるデータとなってしまいました。地域の基幹病院で医師確保がさらに難しくなっている状況が明らかになったと言えるでしょう。なお、ここからは地域偏在が進んでいるのかを見ることはできません。


基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき

 このように、病院団体の懸念が一部実際のものとなっていることも手伝い、新専門医制度に対し、病院経営者は次のように厳しい評価を行っています。

▼43.8%が新専門医制度の開始は「時期尚早」と考えている

▼74.0%が新専門医制度で「地域偏在・診療科偏在が進む」と考えている

▼43.1%が新専門医制度の「新整備指針」(基本規定)を全面的に見直すべきとし、52.8%が修正の必要ありと考えている(問題なしはわずか4.2%)

▼基本領域については84.9%が、サブスペシャリティ領域については86.1%が、「見直し」「再検討」が必要と考えている

▼78.1%が「日本専門医機構に問題あり」と考えており、具体的には「学会主導である」「事務局体制に不備がある」などと考えている

 
また「専門医」の在り方については、現在、3年間の基本領域に関する研修を終えた医師から「専門医」を名乗れる(広告できる)方向で検討が進められていますが、26.4%は「サブスペシャリティ領域を終えてから名乗るべきではないか」と考え、中には「少なくとも10年以上の臨床経験がなければ『専門医』を名乗るべきではない」「基本領域の専門医と、サブスペシャリティ領域の専門医を分けた呼称とすべきではないか」との指摘もあります。

一般国民からすれば、専門医という呼称からは、どうしても「エキスパート医師」を想像しがちであり、今般のアンケート結果からも、「国民に分かりにくい部分がある」と考えている医師も相当程度いることが分かりました。今後の、広告に関する検討(医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会での議論)においても、こうした問題・課題が浮上してくる可能性があります。

 
もっとも批判ばかりではありません。今回のアンケートでは、新専門医制度の改善に向けて、次のような提案も行われています。相反する提案もありますが、まさに「意見が割れている」部分であり、医道審議会・医師分科会「医師専門研修部会」も含めた検討が期待されます。

▼地域・診療科偏在を解消するために、「地域ごとの、基本診療科ごとの医療需要把握を行う」「医師の計画的配置を行う」「総合医を育成する」「自由開業を制限する」ことなどを検討すべき

▼専門医はどのような医師かと言う議論を、「国民から見て理解しやすい専門医」といった原点に立ち返って議論するべき(あわせて能力に応じた呼称設定なども)

▼専門医や指導医にも診療上の利点(診療報酬上の加算など)を付与すべき

▼専門医制度と地域偏在対策とは切り離して考えるべき

▼各領域の地域ごとのニーズを算出し、それに合わせた専攻医の定員上限を設けるべき

▼専攻医数のせいぜい1.1-1.2倍を定員上限とすべき(現在は2倍超)

▼3年の研修で、本当に専門医レベルに達しているのか疑問も残り、十分に検討すべき

▼専攻医の給与体系を含めた処遇の在り方を明確にし、身分保障を行うべき



https://www.m3.com/news/iryoishin/660324
シリーズ 佐々江龍一郎の「英国GP、日本に戻る」
「病気ではなく患者を治療しろ」人生に関わる英国GP
なぜ日本は高度医療を提供しているのに患者の満足度が低いのか
 
オピニオン 2019年3月2日 (土)配信
佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部総合診療医)

 英国の家庭医の診療所で勤務していると机の上にある沢山の書類、絶え間ない患者からの電話と家庭訪問の要求などで忙殺されそうになることがある。英国の家庭医ひとりにつき登録患者は平均約1500人、フルタイムの家庭医がひとつの診療所に4~5人勤務しているとすると、診療所単位では大体6000~8000人を受け持つことになる。この数には近年大きな変化はないのだが、日本と同様に高齢化社会の到来、そして従来総合病院で診ていた患者を可能な限りプライマリーケア(家庭医)にシフトする長年の政策の結果、家庭医が担当する疾患の範囲は明らかに拡大し、また患者個々の病態も複雑化してきている。

 英国では勤務時間が増えることはないが、昨今では社会からの安全性、医療および接遇の質、EBMに対する期待も増し、患者と触れ合う時間が相対的に削られて来ている印象を受ける。診療以外の仕事に忙殺されそうな時には原点に戻り、何故自分が家庭医になったのかを考えることにしていた。

 私が2005年に英国ノッティンガム大学医学部を卒業した年に、英国でも研修制度改革があった。従来の制度では研修医が労働者として扱われ教育の側面が不十分であったことが問題視され、Modernising Medical Careerという機関のもと、研修制度は一新された。その結果、日本の初期研修と似たFoundation programという二年間の初期研修プログラムが必修化された。そして、私たちはその新プログラムの第一期生であった。2段階のマッチングを経て、私は、母校の関連病院を選択、勤務する事になった。新制度では旧制度とは異なり、家庭医療(GP)が選択科の中に積極的に組み込まれていたことも特徴的だった。

 私が家庭医療の初期研修を行なった診療所は5人のパートナーで経営されており、そこは家庭医療専門研修医の研修施設でもあった。初期研修医は通常家庭医が患者ひとりに対して10分の診察を行うところ、30分ほどの時間を与えられ、問診、診察、指導医への報告、フィードバック、そして必要があれば指導医とともに患者を診察して学ぶという実質的な研修をする。家庭医寮を肌で触れる経験するには、理想的な環境である。私の指導医はDr H、普段は笑顔が印象的な優しい先生だったが、ある日私が診た患者についてプレゼンテーションをしたところ、彼は珍しくきつい口調でこう言った。

 「Practicing General practice requires you treating a patient and not just the disease. We need to go back and listen to the patient」(家庭医寮では病気を治療するだけではなく、患者を治療をする必要がある。戻ってもう一度患者の話を聞こう)。

 この時診察をした48歳の女性患者は、長年原因不明の動機や息切れなどに苦しみ、様々な症状を訴えていた。これまで総合病院にも紹介されあらゆる検査を受けていたが、いずれも明らかな異常が指摘されず、途方に暮れていた。そんな患者に対し、私は症状や鑑別疾患ばかりに気をとられ、彼女の精神的や社会的な背景について何一つ問診を行なっていなかった。

 その後Dr Hとともに患者を再度診察したが、衝撃的だったのは彼女がDr Hを見た瞬間、私としゃべっていた時とは打って変わり、昔からの友人を見たかのような笑顔になったことだった。Dr Hは患者から彼女の不幸な結婚生活、叶わなかった夢や自己表現の難しさといった悩みを限られた時間の中で巧みに聞き出していた。診察が終わる頃には患者は笑顔になり、特に薬も要することなく満足な笑みを浮かべて帰って行った。病院での先進医療だけでは救えない患者がいることを身に染みて感じた瞬間であった。

 私が家庭医療に惹かれたのはこうした人間的な側面である。英国の病院は日本の様にフリーアクセスではないため、全ての患者は近所のいくつかの家庭医診療所から選択・登録する。緊急でない限り、患者はまずこの診療所の家庭医にかかることになり、必要があれば病院への紹介を受ける。つまり、家庭医は継続的に同じ患者を診る環境にあるため、医師と患者は常に二人三脚の関係となり、医師の患者に対する理解度は病気のみならず私生活にまで及び、深い。沢山の患者に対して医療以上に彼らの人生に関わり、地域へ貢献しているという実感も湧きやすいのだ。

 例えば看取りの時である。長い間を知っている患者を家で看取ることは医師にとって非常につらいことではあるが、同時に患者や家族が普段は見せない感情を垣間見ることができる。安らかに死を迎える患者の周りに輪になり、家族の方々が口を揃えて私に言うのだ、「長い間家族を支えてくれてきた先生には心から感謝しています、彼も天にいっても感謝をしているはずです」と。こうした何気ない言葉が、私にとって大変な時の支えであった。クリスマスの時期になると家庭医の診療所は決まって患者からのギフト、手紙で埋め尽くされる。地域の患者からの満足感と喜びが、まさに英国家庭医の活動の原動力となっていると感じる。

 英国では家庭医に対する患者の満足度は非常に高い。英国政府が2018年に220万人の患者を対象にしたGP Patient survey という大規模調査によると、診療所受診の総合評価に、「よい」と答えたのは83.8%(回答数75万人)にのぼる。一方、2014年のNHKの国際比較調査グループの調査によると、日本の医師の治療に満足している人は70%、医師を信頼している人は62%。統計に参加した31カ国中22位と、順位は高くない。

 ある日本人の医師がこんなことを言っているのを思い出す。「なぜ日本はこんなに高度医療を提供して、医療アクセスは良好なにも、患者満足度は低いのだろうか」と。これについて私は、「患者が求めているのは、単に高度医療やアクセスの良い医療だけではないからだ」と考える。継続的な関係から築かれた揺るぎない信用と安心感、患者中心のコミュニケーションや全人的なアプローチなど、人間的な側面が患者の満足度につながっていると英国の家庭医の経験から私は感じている。私も家庭医後期研修医時代には患者との診療をビデオで撮り、指導医と共にそれをよく振り返っていた。このため、現在英国の家庭医療では標準化されたコミュニケーションスタイルが定着している。

 日本ではかかりつけ医制度が広がりつつあるが、医療連携の「継続性」だけではなく、医師患者の関係を「継続」し、それをもとに包括的な「人間味」のある医療を提供できるようになれればと考える。


佐々江龍一郎
NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部 総合診療医

1981年4月生まれ。2005年英国ノッティンガム大学医学部卒業。英国の家庭医診療専門医の資格を取得し、キングスミル病院、ピルグリム病院、テームズミードヘルスセンター、WEST4家庭医療クリニックなど、英国内の医療機関で約12年間家庭医として活躍。2016年に日本の医師免許を取得し、帰国。2017年からNTT東日本関東病院総合診療科、国際診療部に勤務。



  1. 2019/03/03(日) 11:16:54|
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Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日

Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 14,900
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 18,900
First 5 in Google in English 


https://www.columbiavalleypioneer.com/news/b-c-medical-students-call-for-more-residency-spots-to-curb-doctor-shortage/
BC medical students call for more residency spots to curb doctor shortage
Columbia Valley Pioneer‎ - Mar. 2, 2019 (カナダ ブリティッスコロンビア州)

Now, a group of students and alumni are calling on the B.C. government to fund more residencies to increase the number of practicing doctors, especially as the province deals with a doctor shortage. No Docs Left Behind, organized by members of the Medical Undergraduate Society, estimates that for every unmatched graduate, 1,875 patients in the province lose out on stable health care. That’s 26,250 patients each year.



https://www.star-telegram.com/news/local/community/fort-worth/article225525290.html
Why does it take so long to get a doctor's appointment?
Fort Worth Star-Telegram‎ - MARCH 01, 2019 07:00 AM (米国 テキサス州)

Ashley's experience is a common symptom of the physician shortage in Texas, where there are 63,871 practicing doctors serving a population of 28 million. The results are often long wait times for patients to get appointments and limited access to healthcare.



https://www.reviewjournal.com/life/health/las-vegas-hospitals-add-residencies-to-ease-doctor-shortage-1608396/
Las Vegas hospitals add residencies to ease doctor shortage
Las Vegas Review-Journal‎ - March 1, 2019 (米国 ネバダ州)

The Valley Health System will welcome 26 new resident physicians in general surgery and family medicine in July as the Las Vegas-based hospital chain aims to make its mark in graduate medical education. The hospitals will enroll 10 will enroll 10 first-year family medicine residents and 16 general surgery residents in their first and second years of residency, said Dr. Andrew Eisen, chief academic officer for Valley Health.



https://www.star-telegram.com/living/health-fitness/article226862939.html
Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas
Fort Worth Star-Telegram‎ (米国 テキサス州)

Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas ... Texas is facing a doctor shortage. ... of Health and Human Services predicts that the state could see a shortage of 3,375 primary care physicians by 2030.



Doctor shortage being felt in Nova Scotia ERs: Sydney doctor
Cape Breton Post‎ Feb 27 at 6:07 p.m. (カナダ ノバスコシア州)

With increasing numbers of people showing up at emergency departments who don't have family doctors, ER physicians are having to deal with people who have much more serious health concerns, a Sydney doctor says. The NDP this week released figures it obtained through Freedom of Information on increases in the numbers of patients presenting at regional hospital emergency departments from 2013-2018 who identified as being without family doctors.



(他に10位以内のニュースは、米国 フロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州、カナダ ノバスコシア州、インド、からも)



  1. 2019/03/03(日) 11:06:31|
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