Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月22日 

https://www.cbnews.jp/news/entry/20170921203624
都市部の専攻医の上限値、厳格運用で振り分けも
専門医機構が決定

2017年09月21日 20:50 CB News

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は21日、専門医を目指す専攻医が都市部に集中することを防ぐために設けた、東京や大阪など5都府県の募集定員のシーリング(上限)について、厳格に運用することを決めた。上限を超えた場合、他の道府県に振り分ける方針だ。【新井哉】

 同機構は、都道府県別の募集定員に上限が設けられている初期臨床研修と同じように、大都市圏の東京と神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県で上限を設定。各領域の学会の過去5年間の採用実績を超えないとしている。この日の記者会見で、吉村理事長は、募集定員の上限について、「これを厳しく規定していく」と述べた。

 一次募集(10月10日-11月15日)が終わった後、11月末までに調整を行う予定。対象となるのは、医師数が減少・不足している外科、病理、産婦人科、臨床検査を除く14領域。



https://www.m3.com/news/iryoishin/558756
真価問われる専門医改革
専攻医の1次登録遅れる、開始は10月10日
日本専門医機構、1次審査合格プログラムは「3026」

レポート 2017年9月21日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は9月21日の理事会後に記者会見を開き、専攻医の1次登録開始を、当初予定の10月1日から10月10日に変更すると発表した。総合診療専門医の専門研修プログラムの1次審査に時間がかかり、都道府県協議会からの意見集約の期限も延ばしたため。

 今後、都道府県協議会に諮り、9月29日までに意見をもらい、同機構が2次審査を行い、10月10日に1次登録を開始する。採否は12月15日に決定、引き続き2次募集を行い、2018年2月15日にその採否を決定する(スケジュールは、下記に掲載)。

 1次審査に合格した専門研修プログラムは、19の基本領域で合計3026。うち新しく基本領域に加わった総合診療専門医では、436のプログラムの応募があり、1次審査で360に絞られた。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏によると、へき地・過疎地域で十分な研修を行うプログラムが優先的に合格したという。

 19の基本領域別の専門研修プログラム数は、2次審査終了後に公表される見通し。19の基本領域別の専攻医数は2次募集の採否決定以降、公表される予定になっている。新専門医制度をめぐっては、専攻医が都市部、あるいは大病院に集中するなど、医師の地域偏在を増長するとの懸念がある。理事長の吉村博邦氏は、一連の専攻医募集の過程でも、厚生労働省のほか、必要に応じて都道府県協議会にも専攻医の登録状況を中間報告する方針を説明した。

【専攻医募集のスケジュール(2017年9月21日理事会決定)】
2017年10月10日~11月15日:1次登録
2017年11月16日~11月30日:採用確認期間
2017年12月1日~12月14日:採用期間
2017年12月15日:結果通知
 ※プログラム統括責任者 採用・不採用の可否をシステムにアップ

2017年12月16日~2018年1月15日:2次登録
2018年1月16日~1月31日:採用確認期間
2018年2月1日~2月14日;採用期間
2018年2月15日:結果通知
 ※プログラム統括責任者 採用・不採用の可否をシステムにアップ

5都府県、「1次登録」でも不採用のケースも
 吉村理事長は、「初期臨床研修施設と研修医向けに、専攻医登録に関するマニュアルなどを近く送付する」と説明。専門研修を希望する医師は、18の基本領域については各学会のホームページから登録、総合診療専門医については日本専門医機構のホームページから登録する。専攻医が登録できる専門研修プログラムは1つのみで、事前に基幹施設のプログラム統括責任者と話し合った上で登録する(『専門研修、「プログラム登録は1つのみ」』を参照)。

 専攻医の総数は、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県については、医師数が減少している外科、産婦人科、病理、臨床検査を除く15の基本領域別に、専攻医総数の上限を定める。上限は、原則として過去5年の専攻医採用実績の平均値を超えない数。1次登録の後、5都府県において上限を超える基本領域があれば、日本専門医機構と各学会が話し合い、最終的には同機構が調整する。その結果、1次登録しても希望施設で研修できず、2次募集で改めて登録が必要になるケースも生じ得る。



https://www.m3.com/news/iryoishin/558748
医師の働き方改革とキャリア
「医師は労働者」は自明、「高プロ」も対象外
厚労省「医師の働き方検討会」、年明けに中間整理、2019年3月に最終報告

レポート 2017年9月21日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は9月21日、第2回「医師の働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)」を開き、今後の議論の進め方や論点を整理した。10月~12月にかけて、「医師の勤務実態について」、「勤務環境改善策について」、「働き方と医療の質や安全性、健康との関係」などについて議論し、2018年1月に中間整理をまとめて「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」の議論に反映。

 以降は具体的な医師の働き方改革について検討し、2019年3月を目途に、最終的な報告書を取りまとめる予定(第1回会議は『医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理』、医師需給分科会は『勤務医・開業医の地域別の多寡、「指標」で見える化』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 21日の議論では、医師は労働者か、一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の対象かなどの質問が構成員から出た。これに対し、岩村座長は、「労働基準法上の労働者であることは争う余地がない」としたほか、「医師の仕事は『高度』で『プロフェッショナル』なもの」としたものの、勤務形態などから高プロには該当しないと回答した。今後、これらを前提に議論が進められる見通し。


医師の働き方改革に関する検討会
 厚労省が提示した主な論点は次の通り。

1.医師の勤務実態の正確な把握と労働時間の捉え方
・医師の勤務実態の精緻な把握
・労働時間への該当性
・宿直業務の扱い
・自己研鑽(論文執筆や学会発表等)や研究活動の扱い

2.勤務環境改善策
(1)診療業務の効率化等
・タスクシフティング(業務の移管)、タスクシェアリング(業務の共同化)の推進
・AIやICT、IoTを活用した効率化
・その他の勤務環境改善策(仕事と家庭の両立支援策等)の検討
(2)確保・推進策
・医療機関の経営管理(労働時間管理等)の在り方
・勤務環境改善支援センター等の機能強化
・女性医師の活躍支援
・その他勤務環境改善のための支援の在り方

3.関連して整理が必要な事項
・医師の応召義務の在り方
・病院の機能、医師の偏在、へき地医療等、適切な地域医療提供体制の確保との関係
・医師の労働時間の適正化に関する国民の理解

4.時間外労働規制等の在り方
・時間外労働規制の上限の在り方
・医療の質や安全性を確保する観点からの勤務の在り方
・適切な健康確保措置(休息・健康診断等)の在り方
(2017年9月21日医師の働き方改革に関する検討会資料より)

 厚労省は議論の材料として、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」が2016年12月に行った「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」から勤務実態に関するデータを提出。これに関し、日本医師会副会長・女性医師支援センター長の今村聡氏は「この調査をした時点では、『働き方改革』という視点はなかったのではないか。この調査を基に全ての議論をするのか」として、本検討会の議論に合わせて新たな調査をする必要性を指摘。千葉大学医学部附属病院院長の山本修一氏も、「地方の病院を中心に、特に産科や救急で崩壊の危機にあると言われるが、実態がどうなのか、医師の時間外労働にどれくらい依存しているのか、現状では客観的に見えないと思う」と同調した。厚労省は、必要な調査を行うかどうかを検討すると答えた。

 ビジョン検討会の座長を務めた東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏は、「この調査は時間を計る目的ではないことを確認しておきたい。今得られる最良のエビデンスだと思っている。働き方改革を時間だけで議論すると、誤ることになる」と指摘。議論の進め方については、「他の会議体と論点を互いに共有して、サマリーをここでの議論に反映してほしい」と、関連する会議との連携を求めた。

高プロの議論とはなじまず
 社会医療法人ペガサス理事長の馬場武彦氏は、政府が成立を目指している改正労働基準法に含まれる、一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」については議論の対象にしないのかと質問。これについては、岩村座長が「高プロは職務の特殊性ゆえに勤務時間を自分で決められる制度だ」と指摘。本検討会の議論の対象は勤務医であり、診療時間、勤務時間は医療機関側で決定され、それに従う必要があるとして、「高プロは本検討会の議論にはなじまないと理解している。医師の仕事は『高度』で『プロフェッショナル』なものではあるが、それと労働時間の制度は別のものではないか」として退けた。

 また、福岡県済生会福岡総合病院名誉院長で日本病院会副会長の岡留健一郎氏は、「資料は医師が労働者であることを前提としているが、それに根拠はあるのか。医師は病院管理者のためでなく、患者のために働いている」と質問。

 「医師は労働者か否か」に関しては、医療界からは否定的な意見も表明されているが(『「医師は労働者か、抜本的議論を」横倉会長』、『勤務医は労働者」との決めつけ、乱暴すぎる - 邉見公雄・全自病会長に聞く◆Vol.2』などを参照)、これに対しては早稲田大学法学学術院教授の島田陽一氏が「勤務医は労働時間が決まっている。労働者かどうかという議論は閉めていただきたい」と反論。岩村座長も、勤務医と病院が時間外手当の支払などを争う裁判を例に、「病院側の代理人弁護士ですら『勤務医が労働者である』という点については、勝つ見込みがないため争わない。労基法上の労働者であることは争う余地がない。『患者のため』という意識は問題にならない」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/558473
益田市医師会「親父の背中」、へき地医療研修プロジェクト
医師不足対策、若手医師を呼び込め

レポート 2017年9月20日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 島根県の益田市医師会は9月20日に東京都内で記者会見し、全国の若手医師を対象としたへき地医療研修プロジェクト「親父の背中」を2018年4月に開始すると発表した。医師不足解消を目指すとともに、若手医師にとっては益田地域医療センター医師会病院に所属し、地域の開業医の指導も受けながら地域医療に触れてスキルアップを図れるという(益田市医師会のホームページを参照)。

 同医師会会長の神崎裕士氏は、「医師会病院の特徴は、歩ける範囲で機能が全部集中していること。患者の急性期から回復期、慢性期へのシフトや、開業医に戻す、地域包括ケアシステムはほぼ満たしているが、肝心のそれを動かす医師がいない」と医師不足に苦しむ現状を説明。今年4月に独自の離島・へき地研修プログラム「RURAL GENERALIST PROGRAM JAPAN」を開始した、合同会社ゲネプロ代表の齋藤学医師の協力を得て、今回のプログラム立ち上げに至った。

 参加者はすでに一人前の医師として活躍する若手を想定して広く募り、新専門医制度の総合診療専門医とは全く別の枠組みとして行う。最大4人程度をゲネプロと益田市医師会で選考し、益田地域医療センター医師会病院で採用。2年間の研修期間中、午前中は参加者自身が選んだ診療科について講師役の開業医のもとで学び、午後は医師会病院で総合内科の入院診療に当たる。齋藤氏は「益田には、がっぷり四つで患者を診療するために、包み隠さず教えてくれる、素敵な親父(開業医)たちがいる」と、プログラムの名称の由来を説明。将来的には女性医師のための研修プロジェクトの立ち上げも考えているという。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201709/20170920_13030.html
石巻市立病院1億2000万円赤字 16年度再建後に患者数戻らず
2017年09月20日水曜日 河北新報

 東日本大震災で被災し、昨年9月にJR石巻駅前に移転新築した石巻市立病院の2016年度決算がまとまり、約1億2000万円の経常損失を計上した。当初見込みより赤字幅は小さかったものの、5年半の休業期間で患者離れが進み、医師の充足が急務になっている。
 市病院局によると、経常損失は決算見込みの赤字額より約1億3000万円縮小した。患者数が目標に及ばず医療経費が圧縮されたほか、人件費や維持管理費が見込みより少なく済んだのが要因という。
 外来患者は昨年9月~今年3月で1日平均93.2人にとどまり、目標の199.1人を大きく下回った。病床(180床)利用率は47.6%で、目標の65%より17.4ポイント低かった。
 利用者の伸び悩みは医師不足が一因で、手術日には外科、整形外科の外来診療をできなかったり、午後診療をしたくてもできなかったりするという。医師数の目標は常勤20人だが、現在は常勤17人に東北大病院からの派遣1人に加え、東北医科薬科大病院などの応援医師で対応している。
 市は2月に作成した病院改革プランで20年度の黒字転換を目指す。病院総務課の阿部仁課長は「医師を充足させ、患者数を目標に到達できるように努力したい」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547995
医師と地域・多職種連携の在り方
必要性と疑問、「在宅医療」、「地域包括ケア」への意見◆Vol.14
「普通の家庭で在宅は無理」「国が思うように進まず」

医師調査 2017年9月20日 (水)配信高橋直純(m3.com編集部)

 Q医療と介護、地域包括ケアシステムなどについてのお考え、疑問点がありましたらお書きください。

【体制の問題】
・自院への通院患者であっても、急変時の受け入れが不可能なケースがある。常勤医師不足によるもの。地域包括ケアシステムがうまく回るためには、1次・2次救急病院の受け入れ態勢が整わない限りは無理。医師の地域偏在は早急に解決されなければならないと思われる。自助・公助・互助・共助だけでは到底不可能!【民間病院】

・急性期病院からの早期の追い出しと介護側の手間のかかる患者の丸投げのために、地域包括ケアという言葉が利用されていると思わざるを得ない事例が多々見受けられます。【民間病院】

・勝手に在宅へと言うけれど、地域医療が崩壊しているのに、誰がそれを担うのか。点数などもないのに人的なリソースも投入できない。【診療所】

・自宅での療養、介護には限界がある。施設を利用するケースが多くなると思われる。そのためにも、経済的に余裕のない患者でも利用できる施設が必要である。【民間病院】

・人が足りない。特に医者。それから、それを評価する仕組みがない。また、無駄な医療や無駄なお金を使うことがないよう、行政も入るべき。また、これらのことが過剰になりすぎて、子供や若い世代にお金が回らなくなることがないよう、限度を設定すべき、また自己負担も絶対的に増やすべき。【公立病院】

・在宅!と国が進めるのは、団塊の世代をこれまでの病院施設で対応すると、多くの施設を作らなくてはならないからだと思う。その後、高齢世代の増加がなくて一定してくれば、病院と介護と老健施設が一体でも良いと思います。【公立病院】

・国がそうしようとしているのだから、従うしかない。しょうがない。本当は反対で今まで通りでいいのだが、国にもお金がないのでしょう。(本当なら教育とか医療には十分お金かかっても仕方ないのでしょうがね。他の事にお金使いたいのでしょう。我々が学生でお金のない時、食費を削ってでも遊ぶ金は作っていたときのようにですね、笑)。【民間病院】

・医療費の削減が主たる目的であってはならない。もしそうならば、弱者、高齢者は、医療を控えるように誘導される。また、弱者には、それに対抗する、経済力も体力も能力もない。【民間病院】

・システムを整備する必要はあるが、かなり作業は多くかつ煩雑で、何の収入もないボランティアとなっている。地域に熱心なスタッフあるいは事業所があれば進んでいくが、多くはそうではない。【民間病院】

・財政優先のシステムでは実情にそぐわないのではないか。【民間病院】

・医療資源が乏しい地域では、患者がかかりつけ医を探すことさえ難しく、厚労省が描くようなスムーズな動きは無理である。【公的病院】

・医師、看護師の人数が少なすぎるので、集約的な医療と介護が必要である。私の働く地域は農村部であり、公的医療機関が減床しており、私的医療機関は地域からサービスを更に期待されていますが、人材不足で医療、介護とも縮小を余儀なくされています。【民間病院】

・地域間で必要なシステムに差があると思うので難しいとは思いますが、自分たちが行なっていることが、他の地域(他の医療機関)と比べてどの程度のレベルなのか判断する方法がありません。【民間病院】

【在宅医療の“困難”】
・在宅は困難な場合が多い。介護は施設で行うことを原則とすべきと感じる。【公立病院】

・在宅医療(介護)の負担を減らすことを第一に考えるべきだと思います。【公的病院】

・在宅では現状医療の質の担保が困難なことを、行政は包み隠さず伝えるべき。【診療所】

・在宅は負担が多く普通の家庭では無理。【診療所】

・在宅はそのために仕事をやめるなど、社会全体の効率を落とす。施設介護をランク付けしてでも、施設介護がいいと思う。【診療所】

・在宅介護には限界がある。結局、家族に負担を強いている。【民間病院】

・今のシステムでの在宅は不可能。家族の要求が総合病院並みの無茶。【民間病院】

・離島では、無理。サービスがないところから金だけとるのはおかしい。【診療所】

・一般市民、家族の理解、支援がないと在宅医療介護で家庭崩壊の危険がある。丁寧に多職種で包括ケアをする必要がある。【診療所】

・高齢者だけの家族や、独居の患者がどんどん増えていく中で、在宅に移行させていくことは無理がある。患者側の要求も下げて、グループホームのようなものの拡充が必要なのではないか。【診療所】

【看取りの問題】
・死生観を確立せずに家で死ぬようにと言っても無理がある。【診療所】

・在宅で看取りどころか、救急車で搬送され、病院で看取りが増えている。施設でも看取りをしない。在宅でも夜間は病院頼み!現実と理想が乖離している。【民間病院】

・在宅への看取りが前提で在宅への移行の紹介を受けることがあるが、詳細が不明なことがある。【診療所】

・在宅でも家族の介護力が低下しているので、看取りなどはとてもできない家族が多い。【診療所】

・全ての患者さんが在宅で最期を迎えるのは、無理だ。共働きの家庭や、未婚男性が母親を介護する家庭もあるが、専門家のそろっている、スタッフの多い病院でなければできないこともある。最近は、介護付き住宅などの老人がすぐに入院できなくて重症化することが多いように思う。【診療所】

【医療機関の在り方】

・一部事業者の囲い込みが生じている。例えば介護施設入所の際に系列医療機関の訪問診療を条件とするなど。【その他】

・当法人は医療系、社会福祉系の施設を多く持っているので、法人内では問題はなし。【民間病院】

・職務や権限を十分理解していないため、それぞれの連携が悪い。特に病院看護師が介護職に対して看護と同等のレベルを要求してしまい、間で困ったことがある。【公立病院】

・終末期を担う病院で、在宅への移行はほとんどない。行政の方針とは逆行するが、必要とされているかぎり存続を図りたい。【民間病院】

・自身で診察している患者に対して往診を行わない開業医あり。【診療所】

・入院先の病院からの情報提供が不十分な場合が多い。【診療所】

・地域包括ケアシステムは病院より開業医の姿勢の問題。病院と家の中間施設は必要と思う。【民間病院】

・診療所の対応能力を考えず、家族に言われるがままに在宅移行し、だから僻地や離島の医師が疲弊し、対応できない診療所で、そこの医師やスタッフが悪者にされるのはいかがなものでしょうか?【診療所】

【行政に対して】
・サービス給付の基になる、手帳類の利用について(身体、精神、療育など)の丁寧な説明を行政に求めたい。医療機関の施設基準についての説明もしかり。【診療所】

・行政が動かないと包括ケアシステムは出来ない。きれいごとを言っているが、つまるところ医療費削減。【診療所】

・行政の誘導がやや強引で利用者の十分な理解を得ていないこと。【公立病院】

【その他】
・まず飲んだり食ったり歌ったりすることが大事だとなぜ言わないのか。【診療所】

・施設より病院の自己負担が安いのはおかしい。【民間病院】

・小児を対象とするところが少ない。小児科を卒業してからの受け入れ先がない。【公的病院】

・障害児を含めた地域の連携が必要で、圏域で行う方がよい。【民間病院】

・小児の地域包括ケアが抜けていることに疑問がある。【診療所】

・医療費削減の国の方針の中で、各病院や各施設が利益追求に走りすぎている。【民間病院】

・努力に見合う診療報酬がない。【診療所】

・隣近所との付き合いが昔から濃厚な地域は良いが、地域全体で見守ろうと声がけしても、新しく構築するのは難しい。学童誘拐事件などが報道されると、隣近所に依存すること事態が問題にならないかと腰が引ける。また余計なお節介を嫌がる人も少なくない。【診療所】

・構想だけ、画を描くのが上手い医師会幹部、開業医がいる。【民間病院】

・指揮者が複数(医療の指揮者と介護の指揮者)おり、考え方も違うのでうまくいかないことがある。【民間病院】

・医療の場(患者生活圏)と自宅との基本構造は全て共通では無く、また、認知症の高齢者は、暗闇でも従来の動き方をすることを全スタッフに理解させてほしい。【民間病院】

・重症の場合の責任の所在が不明確になりやすい。【民間病院】

・円滑に進めるには収益にならない部分も大きく、個々の施設や個人の負担が大きい。【診療所】

・リハビリの介護施設と医療機関での併用が複雑。【診療所】

・介護職の待遇改善は急務である。【診療所】

・ケアマネの段階で情報が途切れることが多く。必要とする情報の差が大きい。【民間病院】



https://www.nikkansports.com/general/news/201709200000558.html
女性医師の4人に1人、過労死ライン超の時間外労働
[2017年9月20日18時4分] 日刊スポーツ

 日本医師会(日医)が病院勤務の女性医師を対象としたアンケートで、4人に1人が「過労死ライン」と呼ばれる月80時間以上の時間外労働をしていることが20日、分かった。

 約半数が休職、離職の経験があり、理由に出産、子育てを挙げる人が最も多かった。月80時間以上の残業がある女性は働く女性全体の3%程度で、女性医師を取り巻く環境の厳しさが浮き彫りになった。

 女性が医師全体に占める割合は約20%、近年は国家試験合格者に占める女性比率も30%を超えている。残業規制を柱とする政府の働き方改革が進む中、医師は5年間適用を猶予されているが、医師不足を加速させないためにも労働環境の整備が急がれる。

 調査は、2~3月にかけ全国の約8500病院を対象に実施。約1万人人から回答を得た。

 その結果、月80~100時間の時間外労働に相当する週60時間以上65時間未満の女性医師は全体の12%、月100時間以上の人が13%に上り、合わせて25%だった。救急や脳神経など100時間を超える人が30%近くいる科もあった。

 研修医が多い20代は21%が80~100時間、27%が100時間以上だった。宿直や緊急時の呼び出しがあるのは全体で62%、研修医が多い20代は93%だった。宿直翌日は全ての年齢層で70%以上が通常勤務をしていた。

 全体の38%に当たる3896人が小学校6年生までの子を子育て中で、「普段子どもの面倒を見ている人は誰か」という質問に「本人のみ」「本人と保育所など」と答えた人が最も多かった。

 さらに、38%が夫の育児参加を「不十分」「どちらかというと不十分」と回答。「全く協力しない」も5%いた。日医は「医療現場で男女共同参画や育児支援の意識は高まりつつあるが、家庭内ではまだ女性の負荷が大きいようだ」と指摘している。(共同)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201709/CK2017091802000136.html
【千葉】
47億円の赤字に 95年度以降最大 県立病院決算16年度見込み

2017年9月18日 東京新聞

 県は、2016年度の県立6病院の事業会計をまとめた決算見込みを発表した。純損益は47億円の赤字で、15年度の16億円と比べて3倍に拡大、1995年度以降で過去最大となった。
 収益合計は1.6%減の421億円だったのに対し、費用合計は5.5%増の469億円。純損益の赤字のうち、がんセンターが28億円。腹腔(ふくくう)鏡手術の相次ぐ死亡事故をきっかけに発覚した診療報酬の不正・不当請求で、返還費用約21億円を特別損失に計上したのが響いた。佐原病院の純損益は十億円の赤字。
 入院患者数は、がんセンターが3385人減の8万7738人、医師不足の佐原病院が3808人減の4万8711人。 (村上豊)



http://www.asahi.com/articles/ASK9F5KGCK9FUTFL00L.html
医師も患者も「コスト意識」不足? 無駄遣い指摘の声も
生田大介
2017年9月18日05時02分 朝日新聞

医療費は伸び続けるが、それをまかなう税収や給与は増えていない

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 高齢化と医療技術の進歩で増え続ける医療費をどう抑えるのか。8月に3回にわたって朝刊に掲載した「医療とコスト」の企画に、読者から多くの反響が寄せられました。その声の一部とともに、医療経済の専門家、医療経済研究機構所長の西村周三さん(71)の見方も紹介します。

■「タダだから」安易に

 寄せられた意見からは、増え続ける医療費を前に、「無駄遣い」を続けることへの危機感が浮かび上がります。
     ◇

●5年前、末期がんの父が延命治療を拒否し、私はそれを受け入れました。「ない袖は振れない」というのが私の基本的な考えです。たとえ自分や自分の身内であっても、ベッドの上で闘病生活を続ける時間を少しだけ延ばすために、高額の血税を投じて欲しいと要求する権利はないと思っています。ただし、それでは新薬の開発意欲が低下する、といった反作用はあるかもしれません。それに対しては、血税を投入しても、大学などの研究をもっと手厚く援助するべきだと思います。(大阪府・50代女性)

●私が問題だと思うのは、自治体によって違いますが、子ども医療費の無料化です。病院に行くと、少し鼻水が出た、少し湿疹が出た、など本当に病院に行く必要があるかわからない子どもが大勢います。子どもはすぐに病気になり、医療費が大変ということはわかりますが、無料ということで安易に病院にかかる親が多いのも事実です。医療費を1割でも0.5割でも負担することにして、少しでも出費があれば、不要な受診は控えると思います。今後ますます高齢化が進む中、互いに痛み分けをして少しでも長くこの医療制度が保てたらよいと思います。(岡山県・40代女性)

●費用対効果と言われても、それが命にかかわる場合、やはり割り切れないことも多い。本来受けられる治療を、自分なら断れるけど、それが親なら、子どもならと思うと複雑です。まずは無駄に使われているコストを削減するために、特に高齢者が、必要な薬を本当に飲んでいるか、効果はどうか、と一括管理してもらえる仕組みがあればいい。「保険診療で自己負担は多くないから、出された薬は何でももらう」という意識の改革も、高齢者を別の病気から救うことにもなると思います。(兵庫県・50代女性)

●入院中に同じ部屋だった60代の女性は生活保護の受給者で、がんとうつ病を患っていました。自分の死を穏やかに受け止めているすてきな方でしたが、時々、「飲んでないうつ病の薬がどんどんたまってしまうから捨てている。でも、生活保護で薬代がタダだからいいの」と話していました。記事では、生活保護を受給している人の医療費が無料であることが記載されていません。生活保護受給者を差別することが本意ではありませんが、医療費を押し上げる要因の一つであること、その受給者が増加している実態についても取り上げていただきたいと思います。(神奈川県・40代女性)

■薬を減らすどころか

 医療現場からも声が寄せられました。
     ◇

●私は開業医ですが、症状に合った最良の選択をし、それが高かろうが安かろうが、全く意識にありません。患者のコスト意識には、かつて実施されていた高齢者医療費無料化も影響しているのではないでしょうか。今頃になってコスト意識が低いと言われても、政府の責任転嫁としか思えません。簡単に「風邪薬を保険から外す」と言いますが、風邪と肺炎を誰が判断するのですか。市販薬を飲んでいて肺炎の発見が遅れ重症化したら、政治家が責任を持ってくれるのですか。(茨城県・60代男性)

●調剤薬局の事務をしています。いったん生活習慣病で薬を処方すると、大抵の医者は薬を減らす努力を患者と共にしていないと感じます。内科受診のついでに湿布70枚を毎月出し続けているというのも多数あります。日本の医療制度は本当に素晴らしいと思いますが、今いちどその制度が国民に支えられて出来ていることに気付いてほしいと思います。本当に病気で困っている人のために医療制度が崩壊しないよう、国民一人一人が自覚してほしいです。(神奈川県・50代女性)

●私が勤める整形外科のクリニックでは、内科や皮膚科、耳鼻科などの薬でも、患者が希望すればした分だけ処方します。患者が希望しなくても、太った人には「痩せるから」と漢方薬を出したり、中性脂肪値を下げる薬を「高級サプリメントだよ」と言って処方したりします。誠実な医師もいますが、患者をお金としか思っていないような医師もいます。患者の側も、医師に言われるがまま検査を受け、診療明細書も見ないのでは、他人任せすぎると感じます。(神奈川県・30代女性)

■医師と患者、コスト話し合って 西村周三・医療経済研究機構所長

 欧米では「シェアード・ディシジョン・メイキング(shared devision making =共有意思決定)」という取り組みが広がっています。医師と患者が診察の場で、お金のことも含めて相談する。「これお金がかかるけど、どうする? 我慢する?」といった感じです。

 一方、日本では医師からの一方的な説明になりがちで、反論できる患者はあまりいない。医師がコスト意識を高め、もっと患者と話し合うべきです。例えば、腎臓病を治療する透析を受ける患者は30万人以上いて、1人あたり年500万円程度かかる。糖尿病も原因の一つですが、医師が「予備軍」の患者に透析の費用を伝えると、健康管理をする人が増えたという話もあります。

 抗がん剤など高額な薬も問題になっていますが、(薬の効果を調べる)治験の対象は現役世代が多く、75歳以上に本当に効くのか十分にわかっていません。抗がん剤を投与するより、緩和ケアなど精神面も含めたケアを受けながら生きる方が、高齢患者にとってより良い生活を送れる可能性があります。その結果、医療費が減るかもしれません。

 ただ、現役世代の人に対しては、高額な薬でも保険で使える状態を維持しておくべきです。公的保険の意義は、患者の負担が過度に大きくなるのを抑えること。だから、例えば風邪で診察を受ける場合は、逆に自己負担率を今より高めてもいい。

 財源としては、働けない高齢者にも負担を求める消費税の税率をある程度上げざるをえません。高齢者は資産を持っている人も多いので、資産課税の強化も必要になってくると思います。(聞き手・生田大介)

■西日本、医療費多い傾向

 医療費には地域差があります。

 年齢構成の違いを調整した1人あたりの医療費を都道府県別に見ると、2015年度に最も多かった福岡県は64.1万円。最も少ない新潟県(46.6万円)の1.4倍近くになりました。

 厚生労働省の分析では、西日本は多く、東日本は少ない傾向があります。5位の北海道を除き、九州、四国、中国地方がトップ10を占めました。

 医療費の多い地域は医療機関のベッド(病床)数が多く、平均的な入院日数も長くなります。在宅での死亡率は低い傾向にあります。例えば医療費が全国2位の高知県は、10万人あたりの病床数が約2700と全国平均の約2倍、最も少ない神奈川県の約3倍にのぼりました。厚労省は、都道府県ごとの病床数を適正な水準に抑える施策を進めています。

 高齢者の医療費が多い地域は介護費も多いという分析もあり、食事や運動など生活習慣の改善が重要だと指摘されています。そのため厚労省は、特定健診の実施や糖尿病の重症化予防などを進めた自治体に対する財政支援を手厚くする制度を18年度から本格的に始める予定です。

■都道府県別の医療費ランキング(2015年度、1人あたりの年額)

【多い順】
1位 福岡県 64.1万円
2位 高知県 63.7万円
3位 佐賀県 62.7万円
4位 長崎県 62.0万円
5位 北海道 61.1万円

【少ない順】
1位 新潟県 46.6万円
2位 千葉県 47.7万円
3位 静岡県 47.8万円
4位 岩手県 47.9万円
5位 栃木県 48.2万円

※厚生労働省の資料から。国民健康保険と後期高齢者医療制度の合算。年齢構成の違いは調整している。全国平均は53.7万円

     ◇

 日本では効果があればどんな薬でも保険適用される――。予算上、使える薬に制約がある英国で、患者団体の代表にそう話すと「天国のように思えるけど、みんなの負担を考えると……」と困惑しました。一方、日本では負担に関する意識が薄いと感じます。読者からも医師や患者のコスト意識の低さを指摘する声が多く寄せられました。私の家にも、子どもが無料でもらって使い切らないままの薬が多くあります。自らのこともかえりみながら、医療とコストについて今後も考えていきます。(生田大介)

◆ほかに伊藤綾が担当しました。



https://www.m3.com/news/general/558656
市民病院計画、初の住民投票へ 滋賀・野洲市議会で可決
地域 2017年9月21日 (木)配信京都新聞

 JR野洲駅前の野洲市民病院計画の是非を問う住民投票発議案について、滋賀県野洲市の山仲善彰市長が審議をやり直す再議を求めたことを受け、同市議会は20日の定例会本会議で改めて発議案を賛成多数で可決し、住民投票の実施が決まった。同市での住民投票は2009年12月の条例制定後、初めて。

 住民投票で問うのは「野洲駅南口市有地に市民病院を整備することについて」。定例会閉会後の25日に山仲市長が実施予算を専決処分し、市選挙管理委員会が日程を決める見通し。10月22日投開票予定の市議選後となる公算が大きい。

 市民病院は民間の野洲病院の経営悪化を受け計画。立地や運営形態を巡り市議会で反対の声が上がり、関連予算案が5度否決された。計画は基本設計の段階でストップしている。

 住民投票は山仲市長が「住民コンセンサス(合意)を得るべき」との意見を受けて実施を目指したが、6月定例会で付帯決議が可決され発議を見送った。8月定例会で反対派議員らが発議を提案し、今月6日の本会議で可決。市長が市議選の結果によっては意見の相違が解消されることなどを理由に再議を求めた。

 この日の本会議は市長が再議の提案理由を説明し、議員の反対、賛成討論のあと、採決で再び賛成11、反対7で可決した。



https://www.m3.com/news/general/558368
北村山病院分娩問題、支援の方針を確認 山形蔵王協議会の臨時総会
地域 2017年9月20日 (水)配信山形新聞

 山形大医学部と関連病院でつくる蔵王協議会(会長・嘉山孝正山形大医学部参与)の臨時総会が19日、山形市の同学部で開かれた。北村山公立病院(東根市)が来春から分娩(ぶんべん)扱いを休止することに関して、嘉山会長は「(協議会として)情報を共有しながら応援していく」と述べ、北村山地域を含む周辺の周産期医療体制を支援する方針を確認した。

 北村山公立病院は東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町でつくる組合が設置主体。嘉山会長は管理者の土田正剛東根市長と13日に対応を協議し、来春以降について、妊婦健診は同病院が引き続き担うことや、分娩は医療体制が整った協議会加盟の総合病院などで扱うため協議会の情報網を生かしたシステムを構築する考えなどを共有している。協議会に先立ち、山形大学地域医療医師適正配置委員会でもこの方針を了承したという。

 この日は約200人が出席。日本専門医機構が来年度から始める新専門医制度の制度設計に関し、10月からの専攻医1次登録の開始に合わせた本県の研修体制なども説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/557679
「医師は社会性に欠けるのか」、全日病学会
シンポジウム「医療の社会性をデザイン」で議論

レポート 2017年9月17日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 9月10日に金沢市で開催された第59回全日本病院学会のシンポジウム「医療の社会性をデザイン」では、「医師の社会性」という切り口で、ディスカッションが展開された。

 「医師になりたくて、医師になった人がどのくらいいるのか」

 こう問いかけたのは、慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏。バブル経済が崩壊した1990年代以降、医学部の偏差値が上がり、「成績が良かったから医学部に入学という学生が増えたと考えられ、社会性を求めるのは、昔より難しくなってきたのでないか」と見通した。

 社会医療法人河北医療財団理事長の河北博文氏も、「医師が社会性に欠けるというより、社会性に欠けた人が医師になっていると考えた方がいい」と指摘し、米国のようにリベラルアーツ等を学んだ後に、メディカルスクールに進学するなど、医師養成課程の多様化を提案。

 これに対し、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「今の医学生はすごく真面目であり、昔の先生の方が社会性がなかったのではないか」との見方を示し、「大事なのは、学生が求めているものを教える側が提供していくこと」と述べ、教育の重要性を訴えた。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏も、民間病院とは異なり、公的病院では「病院長になって、初めて経営を考えた」という医師がいると聞き、「それまで社会との関わりを学ぶ機会がないことに驚いた」と言い、学びの場が求められるとした。

 ディスカッションは、医学部の偏差値問題にも発展。権丈氏は、「社会が複合的に変化する中で、偏差値が高い学生が医学部に集中したり、医師を目指したいが、地方の高校生が医師になれない社会が本当にいいのか」と問題提起。渋谷氏は、「偏差値を指標に大学を選ぶ国は、日本と韓国くらいではないか」と述べ、例えば米国では、教育内容、卒業生の就職先や初任給などを指標に大学が選択されており、「偏差値を重視し、それによって志望大学が変わること自体がおかしい」と指摘した。

 そのほか、武田氏が、「大学の問題だけでなく、医師が社会人になった後、どんな人と付き合うかも重要ではないか」などと述べ、三師会など医療界内だけでなく、さまざま立場の人とより良い関係性を作る大切さなど、さまざまな視点から医師の社会性が議論された。

 ディスカッションに先立つ4人のシンポジストの講演では、医療の社会性、また医師が社会的存在であることがさまざまな視点から論じられた。その主な発言は以下の通り。


第59回全日本病院学会のテーマは、「大変革前夜に挑め!今こそ生きるをデザインせよ」。「デザイン」をテーマにさまざまなプログラムが企画された。

社会医療法人河北医療財団理事長の河北博文氏
 キリスト教的社会では、「プロフェッショナル」とは、神学、法学、医学を習得した人を指す、つまり「神から人の命の判断を預けられた存在」に当たる。元日本医師会長の武見太郎氏が設立した、米ハーバード大の武見国際保健プログラムは、「School of Medicine」ではなく、「School of Public Health」に置かれた。「メディスンは基礎科学、自然科学を学ぶ場。パブリックヘルスは、社会から政治など全てを包括して学ぶ場」であり、医療と社会の結び付きの表れと言える。

厚労省医政局長の武田俊彦氏
 過去には病床規制、最近の施策としては地域医療構想などに見られるように、医療提供体制は自由放任ではなく、一定の仕組みの中で構築されてきた。地域医療構想は、民間も含め、合法的に医療の在り方を話し合う仕組みであり、他の分野にはあまり例がない。2013年の日本医師会・四病院団体協議会合同提言でも、治療だけでなく、地域包括ケアシステムの実現なども機能として位置付けていることから、かかりつけ医や病院を社会的存在と捉えていることが分かる。
 医師養成のコストも社会が負担しているが、医学部定員を増やしても、医師偏在は改善しないと言われていることから、自由開業医制とのバランスで、どんな議論ができるかを考えていかなければいけない。新専門医制度にも社会性が求められ、行政はプロフェッショナルとしての医師の自主性を最大限尊重するとともに、地域医療に責任を持つ立場から関与していく。

慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏
 (2013年8月の)社会保障制度改革国民会議の報告書に基づき、医療提供体制、医療保険制度、「地域医療構想の医師配置版」としてのマンパワーの改革は、「三位一体」で進む。(自身が構成員を務める)厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」の2016年9月の会議で、「医師というのは、ガス、水道、電気に似ている。無いと皆が生活できない」「ニーズと提供体制がマッチするなら政策介入は必要ないが、ギャップが生まれるならば、ガス、水道、電気のような形で政策を展開しなければならない」と発言した。2015年12月の日本医師会・全国医学部長病院長会議の「医師偏在解消策検討合同委員会」でも「問題解決のためには、医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならい」としている。
 医師偏在対策は、医学部の「地域枠」を地元出身者が多く占めるようにするなどの方法が考え得る。また医学部ばかりに優秀な人が来て、他の分野に行かなくていいのかという問題もある。一方で医学部の中でも多様性が必要なことから、社会全体のマンパワーの在り方も、社会性というテーマの中で考えていかなければならない。

東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授の渋谷健司氏
 最古のプロフェッショナルは、聖職者、調停者・弁護士で、「神にprofessする存在」から「社会にprofessする存在」に変化している。(自身が座長を務め、2015年に報告書をまとめた)「保健医療2035」のキーメッセージの一つが、「保健医療は社会システムとして進化させる」ということ。
 医学教育も、1900年代は学ぶ対象はサイエンスで、学ぶ場は大学だったが、1970年代は関連施設などで仮説を立て問題解決の手法を学ぶ教育に変わった。2000年代には保健システムを学ぶことが目的となり、教育の場も多様化しており、その観点から医学教育を再編成しなければいけない。
 医師数の問題についても、「医師不足⇒医師を増やす」「医師偏在⇒医師を強制配置する」といった問題の裏返しを答えにするのではなく、医師が地方に行かない理由を解決して「土壌」を耕すことが必要だが、それをせずに医師を地方に行かせても問題は解決しない。医師をどのように養成し、どのように配置するかについて、知恵を絞って考えることが必要。



http://www.asahi.com/articles/ASK9J3DR1K9JUBQU005.html
匝瑳市民病院が建て替えへ 議会からは異論も
福田祥史
2017年9月16日20時30分 朝日新聞

 千葉県匝瑳市が運営する国保匝瑳市民病院(110床)の建て替え案が公表された。現病院の近くに約59億2千万円をかけて建設し、2022年度の開院を目指すとしている。ただ、建設地などをめぐり、市議会からは異論も相次いでいる。

 市の検討委員会が、建て替えの基本構想案と基本計画案を今月1日に公表。10月1日まで市民から意見を募るパブリックコメントを実施している。

 計画案では、新病院は一般病床70、地域包括ケア病床30の計100床とし、現病院の北約400メートルにある市の介護老人保健施設の隣接地に、地上3階一部4階建てで建設するという。

 同病院は1958年に旧八日市場市が開設した。JR八日市場駅の北西約2キロの山間部にあり、最も古い建物は71年建築で、大地震の際に倒壊の危険があるとされるなど老朽化が進む。市は有識者らによる委員会の提言を受け、15年に建て替え方針を決定。市民や病院関係者らによる検討委員会をつくり、計画案などの策定を進めてきた。

 公表された案に対し、今月14、15日の市議会一般質問では、これまでに市議から「八日市場駅南側への建設も検討を」などとする意見があったことも踏まえ、「案を見ると市民はあの場所しかないと思ってしまう。意見誘導だ」「我々の意見は論議されたのか」など厳しい声が上がった。

 市側は「あくまで検討委の提案。答申後に議会の意見も聴きながら検討していくことになる」と答弁したが、市議からは「議会としての見解を出さないといけない」との意見も出た。

 16年度決算によると、同病院の収支は1億1689万円の赤字。一般会計からの繰入金4億4814万円を除くと実質的には5億6503万円の赤字だった。医師不足も深刻で、01年度に22人いた常勤医が、現在は8人になっている。



https://dot.asahi.com/dot/2017091400070.html
医局トップでも「手取り40万円代」 大学病院の権威低下で広がる"副業"のカラクリ
連載「メディカルインサイト」
上昌広2017.9.15 07:00 dot.#朝日新聞出版の本#病院 AERA

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。だが、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、「副業」がはびこる医療界の現状について解説している。

*  *  *
 医局員だけでなく、医局のトップである教授も副業に勤しんでいます。首都圏の私大の教授を務める50代の外科系医師は、「給料は手取りで40万円台です」と言います。

 教授職にある彼も、毎週大学以外の病院で診療しています。アルバイト料は若干高いかもしれませんが、診療のアルバイトをしているという点は普通の医局員と変わりません。

 ただし、教授には、医局員ではできない副業があります。それは、医師派遣の斡旋です。

 日本のほとんどの民間病院は、大学医局から派遣される医師によって診療されています。大学の医局に所属する医師を招聘し、民間病院は最新の医療技術を導入してきました。大学医局と民間病院の人的交流は、地域医療の向上に大きな貢献を果たしてきたのです。

 大学病院は、あくまでも教育・研究・診療機関であり、人材派遣会社ではありません。法的には、大学病院が人材派遣により利益を得ることは認められていません。ただし、これは建前であり、両者の関係は時に不適切なものになります。都内の病院経営者は「外科医などを常勤で派遣してもらえば、億単位の売上が期待できる。教授に数百万円戻しても十分に元はとれる」と言い切ります。

 教授職に対する医局員派遣の見返りは、「顧問料」や「奨学寄附金」です。こうやって、医局を仕切る教授たちは「不労所得」にありつきます。

 教授の立場に立てば、給料が固定している大学で診療するより、関連病院での診療にウェイトを置いた方が儲かる。大学のガバナンスを考える上では、由々しき問題です。

 教授は、大学病院の経営陣という立場と、医局のトップという2つの立場を有します。

 大学病院の経営の立場からは、勤務医は安い給料で、できるだけ働いてもらう方がありがたい。一方、勤務医は、できるだけ待遇がよくなることを望みます。

 医局のトップとしての教授は、「医局員のエージェント」としての役割を担っています。医局員に投資し、成長させ、彼らをできるだけいい条件の関連病院に派遣する方が、利益が上がるからです。

 つまり、病院と教授の関係は、株式会社と取締役という側面と、興行主と芸能プロの社長のような側面があります。前者では教授は経営陣の一員ですが、後者では病院は取引相手です。教授の果たすべき役割は全く違います。

 これまで、これが問題にならなかったのは、大学に権威があったからです。山崎豊子さんの『白い巨塔』で描かれたように、医師が大学教授を目指して激しく競争する状況なら、大学は何もしなくても優秀な人材を確保することができたでしょう。

 ところが、昨今、大学病院の権威は低下しつつあります。首都圏では大学病院よりも専門病院を志向する医師が増えつつあります。がんならがん研有明病院、国立がん研究センター、循環器なら榊原記念病院、甲状腺なら伊藤病院という具合です。

 さらに、診療報酬が下がり、首都圏の大学病院は経営難に陥り、これまで医局に依存していた医師もキャリアを自分で考えなければならなくなりました。大学病院に勤務することは選択肢の一つに過ぎません。大学病院の経営と医師個人の利益が両立しないこともあります。大学教授の役割も、病院経営者と医局員のエージェントとの間で揺れ動いています。

 米国では、両者の立場は比較的明確に分かれています。日本の「勤務医」のような存在は少なく、医師は独立した事業主で、自らの患者を入院させるときには、個別に病院と契約します。このため、入院治療を受ける患者は、病院と主治医それぞれに治療費を支払います。前者はホスピタル・フィー、後者はドクター・フィーとして区別されています。

 今後、首都圏では大学病院の経営は悪化する一方で、医師の希少価値は高まるでしょう。大学教授は自らの病院で診療して稼ぐより、医局員のエージェントとしての側面を強めていくでしょう。これが大学病院の無責任体制を悪化させるのは言うまでもありません。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



http://www.niigata-nippo.co.jp/life/medical/news/20170921347404.html
紫雲寺診療所、来春閉院
新発田市 医師の確保困難

【医療】 2017/09/21 14:02  新潟日報

 新発田市は20日までに、同市真野原の国保紫雲寺診療所の診察を来年2月に終了し、3月末で閉院する方針を決めた。診療所でただ一人の常勤医師の診療所長が来年3月末で退職する予定。後任の医師確保が困難なことや、近隣の民間医療機関で地域医療機能をカバーできることなどを理由としている。

 紫雲寺診療所は、明治時代に旧紫雲寺村などが整備した伝染病隔離病院が前身。1950年に国民健康保険診療所として再発足した。旧紫雲寺町が診療所と特別養護老人ホーム、保育園と一体化した複合施設として整備し、合併後は新発田市が診療所を運営している。

 現在は内科と心療内科があり、常勤医師1人と看護師3人が勤務している。

 診療所によると、延べ受診者数は2006年度には約1万7千人だったが、16年度は約8千人に減少。近隣にも民間医療機関があることから患者数が低迷し、実質的に赤字経営が続いていた。

 市は7月に地元住民らに診療所閉院を検討していると伝えた。出席者から意見などなかったことから「理解が得られた」としている。患者や予防接種などの利用者には、診療所内などで周知し、近隣の医療機関を紹介するなどして混乱がないよう対応する考えだ。



http://www.medwatch.jp/?p=15866
医師の勤務実態を精緻に調べ、業務効率化方策を検討―医師働き方改革検討会
2017年9月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師における「罰則付きの時間外労働上限規制」の特例を検討するにあたり、当面、「医師の勤務実態の精緻な把握」「労働時間の捉え方」、「勤務環境改善策」、「医療の質や安全性、健康との関係」などを議論していく—。

 9月21日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」では、こういった方針を固めました(関連記事はこちら)。年明け(2018年)早々に「今後の医師の働き方の在り方」に関するいくつかのシナリオを盛り込んだ中間整理を行い、それを2020年度以降の医学部定員の検討につなげ(医師需給分科会で議論)、さらに特例に関する議論などを深め2019年3月に報告書を取りまとめることになります。

ここがポイント!
1 病院の種類で医師の働き方がどう異なるのか、詳細に調査せよとの要請
2 救急・産科医療をどう確保するのか、国民への「適正受診」の勧奨も重要課題


病院の種類で医師の働き方がどう異なるのか、詳細に調査せよとの要請

医師も「罰則付きの時間外労働の上限規制」(▼1か月当たり45時間・1年当たり360時間の上限を違反した場合には罰則課す▼労使が合意しても年720時間(月平均60時間)の上限を超えてはならない▼労使合意による特例の上限を、2か月から6か月の平均で80時間以内、単月で100時間未満、年6回までとする)となることが決まっていますが、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があるため、検討会で「規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策」などを議論します。

厚生労働省は▼10-12月に医師の勤務実態や勤務環境改善策などを議論する▼年明け(2018年)1月に中間整理を行う(結果を踏まえて、医師需給分科会で2020年度以降の医学部定員を検討する)▼検討会で引き続き、働き方改革について検討し、2019年3月目途に報告書を取りまとめる—という大きなスケジュール案を示しました。

さらに、8月2日に開催された初会合の議論を受け、今後の論点として(1)医師の勤務実態の精緻な把握、労働時間の捉え方(労働時間への該当性や宿直・研究活動の扱いなど)(2)勤務環境改善策(タスクシフト、タスクシェア、AIの活用、勤務環境改善支援センターの機能強化など)(3)整理が必要な事項(応召義務、医療提供体制の確保、国民の理解)(4)時間外労働規制の在り方(上限の在り方、医療の質・安全性確保など)―を例示しています。
 
このうち(1)で「勤務実態の把握」については、今年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、昨年12月に実施)結果があり、例えば▼医師の39%で週当たり勤務時間が60時間を超え、ほとんどが病院勤務医である▼診療科によって勤務時間や、その内訳は多様である▼当直回数が5-8回のケースと9回以上のケースとを比べると、「待機時間」に大きな差がある(診療時間や研究などの診療外時間に大きな差はない)▼大学病院では勤務時間、とくに研究などの診療外時間が他病院より長い傾向にある▼20-40代で子供のいる女性医師では勤務時間が比較的短くなる—といった状況が明らかになりました。
時間外労働が60時間を超える医師が4割弱おり、そのほとんどは病院勤務医である(10万人調査結果から)(図 略 )

診療科によって、時間外労働60時間となる医師の割合は異なる(10万人調査結果から)(図 略 )

月あたりの宿直回数が5-8回と9回以上とを比べると、診療時間・診療外時間に大きな差はないが、9回以上では待機時間に大きな差があるようだ(10万人調査結果から)(図 略 )

大学病院では、研究などの診療外時間が多く、結果として勤務時間が長くなっているようだ(10万人調査結果から)(図 略 )

10万人調査における、診療時間・診療外時間・待機時間・勤務時間の定義。「労働時間」とは異なる(労働時間のほうが短くなる)(図 略 )

 
過去最大規模で詳しく行われた「現時点で最良のエビデンス」(渋谷健司構成員・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)となる調査結果ですが、例えば診療外時間となる研究が、自発的に行われたものなのか、管理監督の下で行われたものなのか、などは明らかになっていないという限界もあります。このため、今村聡構成員(日本医師会女性医師支援センター長)らは「勤務実態をより詳細・整理に把握するための調査」を行うよう要望。厚労省は「検討する」との答えにとどめていますが、例えば「大学病院と地方の一般病院とで、研究時間にどのような差があるのか」などをタイムスタディ形式で調べることも視野にいれた新調査設計が検討される見込みです。この点、山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)も「現在の医療提供体制、とくに救急・産科において、どれだけの時間外勤務に依存しているのかなどが見えるようにしてほしい」と強く求めています。
同じく(1)の労働時間の捉え方では、例えば「学会発表のための研究・資料作成」が労働時間にどこまで含まれるのか、「宿直」のうちどの部分が労働時間に含まれるのか、などを検討することになります。現在、「宿直許可基準」では▼宿直の中で行われる業務は、定時巡回・少数の要注意患者の定時検脈・検温など、特殊の措置を必要としない軽度・短時間のものに限る▼応急患者の診療、出産などで昼間と同態様の労働従事が状態のものは許可しない—といった例示をしていますが、さらに具体的な例示に向けた検討なども行われる可能性があります。

医師の宿直に関する規定・考え方(図 略 )

救急・産科医療をどう確保するのか、国民への「適正受診」の勧奨も重要課題

 また(2)の勤務環境改善に関しては、▼特定看護師の活用なども含めたタスクシフト・タスクシェアの推進▼AI・ICT・IoTの活用―などによる業務効率化、▼勤務環境改善支援センターの機能強化▼労働時間管理(経営管理)▼女性医師の活躍支援—といった方策などを幅広く議論します。

 この点について山本委員は「例えば大学病院では積極的な研究が必要となる」点を強調(このために勤務時間が他病院よりも長くなる)。タスクシフトを含めた『業務の効率化』なども積極的に議論すべきと訴えています。


大学病院では、研究などの診療外時間が多く、結果として勤務時間が長くなっているようだ(10万人調査結果から)(図 略 )

 なお業務効率化に関しては、今村構成員らから院内会議・文書作成の効率化・簡略化を求める声が出ています。診療報酬改定に向けた議論でも、こうした指摘がなされており、2018年度の診療報酬改定における対応にも期待が集まります(関連記事はこちら)。
 
 (3)の整理が必要な事項では、▼応召義務の在り方▼医療提供体制確保との関係▼国民の理解—という難しいテーマが列挙されました。

 医師法第19条には応召義務(診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない)が定められおり、これが長時間労働を招く大きな理由の1つとなっています。この点、渋谷構成員は「時代にあった応召義務を検討することも必要かもしれない」とコメント。「国民の理解」とも関係しますが、例えば夜間の救急外来に極めて軽症の患者が来た場合にも「応召義務」があるために当直医が対応しなければならないのか、いわゆる「適正受診の啓発」というテーマにも真正面から検討が行われる見込みです。

また「医療提供体制確保」に関して岡留健一郎構成員(福岡県済生会福岡総合病院名誉院長、日本病院会副会長)は「とくに救急医療、産科医療における時間外労働が重要テーマになる」と指摘。重点的な議論を要請しています。

 
さらに(4)では「時間外労働規制の上限の在り方」や「医療の質・安全の確保」などが論点として挙げられていますが、馬場武彦構成員(社会医療法人ペガサス理事長)や渋谷構成員、今村構成員らから「新たな裁量労働制」も検討してはどうかとの意見が出ています。

現在でも教授研究業務に従事する医師には「専門業型裁量労働制」を適用することが可能ですが、時間配分の決定を自身で行えない臨床医は「裁量労働制の適用に馴染まない」とされています。しかし、渋谷構成員や今村構成員は、医師の働き方が多様化する中で「例えば特殊な技術を持ち、自身の裁量で時間配分を行える臨床医もいるのではないか。新制度検討の余地は残しておくべきである」と要望しています。今後、おそらく年明け(2018年)に検討テーマの1つとなる可能性があります。

 

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/213884
決算書でわかる有名病院のフトコロ事情
7校のうち6つが黒字決算 私立医科大学は儲かっているのか

2017年09月20日 by 永田宏  日刊ゲンダイ

 大学付属病院は、教育施設という位置付けになっています。そのため課税対象外となっています。国公立大学の多くが1病院か、せいぜい2病院しか持っていないのに、私立の医科大学が3ないし4病院を開設していることに、ある種の違和感を覚える人が多いかもしれません。金儲けに走っているのでは、という批判もあります。
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 しかし、各大学の決算書を見ると、そうではないことが分かります。2016年度の事業活動収支を<表>にまとめました。関東の7つの私立医科大学のうち、6校までは黒字決算になっています。埼玉医大の黒字額は約109億円、業績好調という印象を受けます。しかし他大学の黒字幅は決して大きくありません。独協医大はわずか1・3億円、日本医大は5・5億円ほどにとどまっています。

 医学部には金がかかります。入学定員はせいぜい120人ほどに過ぎませんが、教えることが多いため、多くの教員を抱える必要があります。しかも設備・備品などは、常に新しいものに更新していかなければなりません。学生が何万人もいる総合大学なら、医学部の負担を全体でならすこともできますが、単科の医科大学には無理な相談。代わりに複数の付属病院を持つことによって、なんとか帳尻を合わせているのが実情です。そうでなければ学費を6年間で1億円も取らなければ、採算が合わないでしょう。つまり、私立医科大学の付属病院は、日本の医師供給の何割かを支える、裏方の役割を担っているというわけです。

 東京女子医大は22億円の赤字に終わりました。前年度に特定機能病院の指定が取り消されたことが、付属病院の収入に影響したといわれています。特定機能病院は一般病院よりも、入院基本料などの診療報酬が高めに設定されています。国や自治体からの補助金・委託金も多めに入ってきます。また臨床研修医を集めやすいというメリットもあります。取り消しによってそれらの特典が失われたことと、風評による患者数の減少などが重なったことが響いたのでしょう。

 しかし、名医が揃っている上に、循環器・リウマチ・神経疾患・血液疾患などで定評があり、信頼を取り戻しさえすれば、すぐに経営を立て直すことが可能でしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/558214
医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革、「究極的には医療産業改革」
小西・関東労災病院経営戦略室室長、医療・病院管理学会で講演

レポート 2017年9月20日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 関東労災病院(川崎市中原区)経営戦略室室長・救急総合診療科科長の小西竜太氏は、9月18日に東京都内で開催された第55回日本医療・病院管理学会学術総会のパネルディスカッション「働き方改革の未来~医療者についてはどのようか~」の基調講演で、医師の働き方改革は究極的には「医療産業改革」につながり、医師の専門特性に応じた「働き方の多様性」を導入するなど、医療の生産性向上を進める必要性を強調した。

(図)(提供:小西氏)(略)

 「医療産業改革」に発展させず、時間外労働の上限規制や応招義務の見直しなど、表面的な対応にとどまっていたのでは、「将来の需要増に、“現有の労働力”では対応できない」とし、医療の衰退に陥る懸念を呈した。「医療産業改革」には、「労働力確保」「資本投入」「生産性向上」の方策がある。そのうち最も全国レベルでの実行可能性が高いとしたのが、ICT活用などのイノベーションの推進と診療体制の改革などの「生産性向上」。

 診療体制の改革の一つとして、小西氏が提案したのは、医師の専門特性に応じた「働き方の多様性」の導入。医師の働き方は、「空間固定的か、否か」「24時間対応が必要か、時間的に自由裁量があるか」の2軸で分類が可能とし、それに応じて「通常労働」「変形労働時間制」「裁量労働時間制」「シフト勤務」など、多様な働き方を認めていくべきと提言した。

(図)(提供:小西氏)(略)

 診療体制の変革については、「単独主治医制」に代わり、「複数主治医制/グループ診療制」の導入、医師から他職種へのタスク・シフティングなども提案。小西氏が属する関東労災病院救急総合診療科は、スタッフ医師と研修医数人で「複数主治医制/グループ診療制」とし、「ICU、HCU、病棟:20~30床」を24時間365日カバーしているという。

 基調講演後のディスカッションでは、小西氏の提案は支持しても、日本は少数医師体制の中小病院が多いことから、複数主治医制などの実現可能性を問う声も上がった。

 これに対し、小西氏は、「遠隔ICU」(集中治療医が、ネットワークを介して地域のICUにいる医師の診療支援を行う仕組み)などの例を挙げ、ICTの活用など、発想を変えて行けば対応は可能であるほか、小児科や産婦人科では複数主治医制の導入例が現に増えていると説明。「一番の抵抗勢力は医師」と指摘し、外科などメジャーな分野、また大学などで変革を進めれば、5年、10年と時間はかかるものの、全国に改革のうねりが広がっていくとした。

 さらに小西氏は、米国で医療安全の議論が進んだのは、「ダナ・ファーバー事件」(1994年にあるジャーナリストが抗がん剤の過剰投与で死亡した事件)であったことを挙げ、「残念ながら改革は、不幸な事件をきっかけに進むことが多い」と述べ、それを避けるためにも「医療産業改革」を進める大切さを説いた。

 本学術集会の会長で、パネルディスカッションの座長を務めた、労働者健康安全機構理事長の有賀徹氏も、小西氏の提案を支持、医療界が総力戦で「医療産業改革」を進める必要性を強調した。

「病院勤務医、約25%の減少に相当」
 小西氏の基調講演の内容は、政府が「働き方改革」を進める背景や医療へのインパクト、「働き方改革」に対する総論的打ち手、応招義務の問題など、多岐にわたった。

 まず医師の「働き方改革」は、診療報酬改定、医療計画、地域包括ケアシステム、地域医療構想、新専門医制度、医師偏在・需給問題など、現在進行形の改革の全てに影響し、「難しい舵取りが迫られる」と指摘。

 政府が2017年3月にまとめた「働き方改革実行計画」の内容は多岐にわたるが、中でも「時間外労働の上限規制」によるメリットとデメリット、「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」による医療界へのインパクトについて説明。後者については、特に非正規雇用が多い看護師での取り扱いが問題になるとした。

(図)(提供:小西氏)(略)

 「負の病院人材連環図」
「働き方改革」に対する総論的打ち手として、「医療産業改革」の必要性を挙げたのは、「時間外労働の上限規制」ばかりに目を向けていたのでは、下図のように負の連鎖に陥る危険性があるからだ。

(図)(提供:小西氏)(略)

 女性医師、高齢医師の活用も視野に
 「医療産業改革」を進めるに当たって、全国レベルで実行可能性がある施策として、「労働力確保」では女性医師や高齢医師の活用など、「資本投入」では医療産業外からの投資など、「生産性向上」ではイノベーションと診療体制の改革などをそれぞれ挙げた。

(図)(提供:小西氏)(略)

 診療体制の改革として、前述のように医師の専門特性に応じた「働き方の多様性」の導入を提言したのは、専門特性によって「時間」と「空間」で見た働き方が異なり、一律のルールを当てはめるのは難しく、非効率の場合もあるからだ。「通常労働」以外に、「変形労働時間制」「裁量労働時間制」「シフト制」など、多様な勤務体制を検討すべきとした。

 小西氏は応招義務の問題にも言及。歴史的経緯を見ると、明治・大正期において救急医療の担い手だった開業医に対する法令として始まったものの、今は救急医療の担い手が病院中心に変わっていることから、「現代の医療体制に合わせた応招義務に転換すべき」と提言した。

(図)(提供:小西氏)(略)

医療観、個人の責務を混同すべきではない」と指摘。「国家・行政による法の解釈」と「職能団体による綱領・規範」とは分けて考える必要性も強調し、講演を締めくくった。



https://www.m3.com/news/general/558066
【北海道】休診の納内診療所、再開見通せず 深川市、前院長と運営費巡りトラブル
地域 2017年9月20日 (水)配信北海道新聞

 【深川】深川市郊外の市立納内(おさむない)診療所が、市と前院長(52)の対立で6月に休診してから3カ月がたった。地方での医師確保が難しさを増す中、市は好待遇で前院長を招いたものの、契約の解釈を巡り両者に亀裂が入った。診療所経営への市のチェックが甘かったとも指摘され、後任医師の確保にも課題を残している。

 「市民の財産を立ち会ってチェックするのは公務員の『いろは』でないか」。6日の市議会一般質問で、診療所に対する市の管理体制をただす声が上がった。

 開設から70年以上たつ納内診療所は市中心部から約7キロ離れ、2016年の年間患者数は延べ約5千人。人口約1800人の過疎地域で1次医療を支えてきただけに、突然の休診に住民の間には困惑が広がる。



https://www.m3.com/news/general/558052
「かつらお診療所」11月再開へ 田村医師会協力、複数医師派遣
地域 2017年9月19日 (火)配信福島民友新聞

 内科医不在となっている葛尾村は、村唯一の医療機関「かつらお診療所」で内科診療を再開させる。田村医師会が医師派遣で協力し、11月の再開を目指す。15日開催の村9月議会で関連条例案が可決された。村は医療環境を整え、住民の帰還につなげたい考え。

 かつらお診療所は村が建設した。震災以前は田村市の男性医師1人が診療していたが、震災後、90歳を超える高齢などを理由に引退した。東京電力福島第1原発事故による避難指示が昨年6月に解除されたが、内科医の不在は続いている。

 村は田村、三春、小野の3市町の医療を担う田村医師会に相談、13人の医師が協力する意思を示した。村は診療所を村営にして、医師の受け入れを図る。内科診療は平日の1~2日間行い、複数の医師が交代で患者を診る見通し。

 馬場弘至副村長は「田村医師会などの助言を受け、できる限り早く再開させ、住民や働く人の安心につなげたい」と話している。



https://www.m3.com/news/general/558067
【北海道】天売島の常勤医不在 診療所長、8月末辞職
地域 2017年9月19日 (火)配信北海道新聞

 【天売】天売島(留萌管内羽幌町)で唯一の医療機関、道立天売診療所の所長の医師(64)が8月末で辞職し、9月から常勤医が不在になっていることが分かった。道は当面、札幌などから代診の医師を派遣して対応するとともに、後任の医師を募集している。

 道によると、医師は今年4月に赴任していたが「自己都合」で辞職願を提出した。現在、看護師1人が常勤している。



https://www.m3.com/news/general/558081
一志病院運営は津市で 三重県議会 提案説明で知事が考え
地域 2017年9月19日 (火)配信伊勢新聞

三重県は15日に始まった県議会9月定例月会議で、9億円を増額する一般会計補正予算案など11議案を提出した。鈴木英敬知事は冒頭の提案説明で、県立一志病院の運営について「地域の医療提供体制の確保は住民に身近な市町の役割」と述べた。

鈴木知事は「医療人材の育成は広域性の観点から県が関与すべき」としつつ「医療や介護を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築は市町の役割」と説明し、病院運営は津市で担うべきとの考えを示した。

本会議に先立ち、人事委員に任命された伊勢学園常務理事の戸神範雄氏(66)と、県公安委員の大阪大学名誉教授山本進氏(69)が議場で議員らに就任のあいさつを述べた。

補正予算案は、県産業支援センターからの返済金として9億円を計上。うち8億円は県を通じてセンターに貸し出していた中小企業基盤整備機構に返還する。残る1億円は財政調整基金に積み立てる。

提出議案はこのほか、産業廃棄物除去工事の契約金額を見直す議案など。県職員が公務中に起こした25件の交通事故について、損害賠償額を専決処分したことも報告した。



https://www.m3.com/news/general/557767
米沢2病院、病床数:適正数を算出 連携後、共に20床減方針
地域 2017年9月17日 (日)配信毎日新聞社

 医師不足解消を目的に医療連携を目指す米沢市立病院(同市相生町、322床)と三友堂病院(同市中央、190床)は、連携後の病床数を共に20床程度減らす方針を明らかにした。

 嘉山孝正・山形大医学部参与や中川勝市長らによる検討委員会の第4回会合で決まった。人口減少を見込んだ県の地域医療構想に沿い、市立病院300床、三友堂病院170床が適正と判断した。10月の次回会合までに、適正な医師の配置や新病院の概算建設費などを議題に挙げる予定。

 これまでの会合で、市立病院は高度・急性期医療、三友堂病院が回復期医療を担うことが決まっている。市は12月に連携の最終的な方向性を決定したいとしている。【佐藤良一】


  1. 2017/09/22(金) 05:38:42|
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9月15日 

http://www.medwatch.jp/?p=15757
医師偏在是正の本格論議開始、自由開業制への制限を求める声も―医師需給分科会
2017年9月14日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師偏在を是正するため、無床診療所を開業する場合にも「入院医療と同様に、地域の医療審議会の許可を要件とする」仕組みを導入してはどうか。ただし、一足飛びに開業制限を設けるのではなく、地域に必要な無床診療所数などの情報を提示し、医師自身で開業の是非を考える機会を設ける仕組みを導入してはどうか―。

13日に開催された医療従事者の需給に関する検討会「医師需給分科会」では、こういった議論が行われました。ほかにも▼都道府県主体の医師確保対策▼医師養成過程の見直しによる医師確保対策―などの論点が示され、年内に「偏在対策」に関する意見を取りまとめる考えです。

ここがポイント!
1 ビジョン検討会の意見踏まえて、実効性ある医師偏在対策を策定
2 無床診療所の新規開業、規制的に制限すべきか、自主的な調整に委ねるべきか
3 都道府県が「地域の医師の多寡」を判断できるような【指標】を設定
4 医学部地域枠の在り方や臨床研修医の募集定員なども検討テーマに

ビジョン検討会の意見踏まえて、実効性ある医師偏在対策を策定

医師需給分科会(以下、分科会)では、名称どおり「将来の医師需給」についてエビデンスに基づいて推計し、将来どの程度の医師が必要になるのかを検討しています。ただし、その過程で「医師の地域偏在・診療科偏在の是正が急務である」との認識が委員間で一致し、この点も重要検討テーマに据えられました。

昨年(2016年)9月には中間取りまとめが行われ、▼医学部における地域枠の在り方▼医師情報のデータベース化▼地域医療支援センターの機能強化▼チーム医療のさらなる推進―などのほか、「医療機関の管理者要件に医師不足地域での一定期間勤務を盛り込む」「自由開業・自由標榜の見直しを含めた、診療所の開設制限」など、いわば「強制的」な偏在対策を検討していってはどうかという考え方が示されています(14項目の偏在対策案)。

しかし、「医師の働き方」も含めた総合的な検討を行うべきとの塩崎恭久前厚生労働大臣の意向を踏まえ、分科会論議は一時中断、その間、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(以下、ビジョン検討会)で偏在対策を含めた働き方ビジョンの議論が行われていました。

今年(2017年)4月にビジョン検討会が意見を取りまとめたことを受け、6月に分科会が再開。「すぐに実施可能な偏在対策」をまとめるとともに、9月から「法改正も視野に入れた実効性のある偏在対策」の検討を行うこととなったのです(関連記事はこちら)。

無床診療所の新規開業、規制的に制限すべきか、自主的な調整に委ねるべきか

9月13日に開催された分科会では、厚生労働省から実効性ある偏在対策の策定に向けて(1)都道府県主体の実効的な対策(2)外来医療提供体制の在り方(3)医師養成過程と偏在対策―という大きく3つの論点が提示されました。

このうち(2)について厚労省から、「基準病床数」制度に関する資料が提示されたため、分科会では「自由開業制をどう考えるか」という議論が行われました。

都道府県の定める医療計画では、地域の事実上の病床数上限となる「基準病床数」が定められます。医療機関が基準病床数を超過するベッド整備を行おうと考えた場合には、都道府県医療審議会の意見を踏まえて、都道府県知事は開設許可を与えないことが可能です。この点を踏まえて神野正博委員(全日本病院協会副会長)は、「無床診療所も入院医療と同じではないか。『地域に無床診療所が多い』と判断された場合に、新規開業の無床診療所を保険医療機関として指定しないという仕組みもあり得るだろう」との見解を披露。無床診療所の開設に厳しい制限を設けてはどうかという、かなり踏み込んだ指摘です。

(図 略)
基準病床数制度、超過分のベッド整備について、都道府県知事は開設許可を与えないことなどが可能で、事実上の「病床上限」として機能している
 
これに対し、今村聡委員(日本医師会副会長)は、「この地域には患者がどの程度おり、高齢化がこの程度進んでいるので、無床診療所はどの程度必要になるか」というデータを公表する、というステップをまず踏むべきと強調。一足飛びに開業制限をするのではなく、まず医師側の自主的な調整を進めるべきとの見解と言えます。
いわば両極の意見と見ることができますが、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、こうした「自由開業の制限」方策を今後の論点に据えるかどうかについて明らかにしていません。前述のとおり、自由開業の制限などは分科会の中間とりまとめにこそ盛り込まれてはいるものの、ビジョン検討会が「個々の医師の能動的・主体的な意向を重視する」「モチベーションを引き出す方策を講じる」「規制的手段に依存すべきではない」との見解をまとめているためです(関連記事はこちら)。

このほかにも、病院団体が提唱する「医療機関の管理者要件として、一定期間の医師不足地域での勤務実績を盛り込む」という手法も、ビジョン検討会では「規制的手段」に位置付けており、分科会で真正面から議論されるか否かは不透明です(関連記事はこちら)。

都道府県が「地域の医師の多寡」を判断できるような【指標】を設定

 また(1)の「都道府県主体の実効的な対策」では、厚労省から次の2つの論点が提示されています。

▼「医師の多寡を把握できる指標」を導入し、都道府県自らが地域の状況を把握し、実効性のある医師確保対策を自らとれる(例えば医師養成に積極的に関与するなど)ようにしてはどうか

▼都道府県における医師確保対策を強化するため、管内の医療機関が主体的に役割分担・協議する体制を構築するとともに、各種ある医療提供体制に関する協議会について実効性を持たせる

 前者では、「人口10万人当たり医師数」といった乱暴な指標ではなく、より精緻に「地域における医師の多寡」を把握できる指標の開発を目指すもので、現在、厚労省内で研究が進められています。この指標が策定され、全国で用いられるようになれば、「隣接地域や全国平均と比べて、自地域にどれだけの医師が足らないのか」といった定量的な把握を都道府県が自ら行えると期待されます。これを出発点に、○科の医師が何名足らないので、専門医の養成枠について学会と調整しよう、などといったアクションに結びつけることも可能になるでしょう。

ここで、例えば外科医については、患者調査などから地域の症例数を推測し、ここに外保連指数で示されている必要医師数を組み合わせることなどで、相対的な「必要医師数」を導くことができそうですが、内科系では難しそうです。委員からは「距離」を勘案すべきと言った指摘もあり、どのような指標が設定されるのか注目されます。

なお山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)や新井一委員(全国医学部長病院長会議会長)、今村委員らは、「都道府県の担当者には力量の差が大きい」という点を指摘。厚労省による強力なサポートや、思い切った権限移譲などを検討してはどうかと提案しています。

(図 略)
医師が多いのか少ないのか、定量的に判断できる「指標」の開発を厚労省が進めている
 
一方、後者では、多くの委員から「医療提供体制に関する地域の協議会が多すぎる。一本化してはどうか」との意見が出されました。ただし、一本化しても稼働が担保される保証はないため、都道府県の状況に応じて「協議会が実効性を持つ」ような仕組みを工夫していくことになります。

(図 略)
都道府県に設置が求められている、各種の医療提供体制に関する協議会について、「実効性」を持たせる工夫が必要となる
 
現在、法定の「地域医療対策協議会」、専門医養成のプログラムをチェックする「都道府県協議会」、地域医療構想の実現に向けた「地域医療構想調整会議」などがありますが、法定の地域医療対策協議会ですら、7自治体では5年間に一度も開催されていないという実態があります。開催のハードルとなっている要素は都道府県によって異なると考えられ、地域ごとに「協議会が動く」ような柔軟な仕掛けが期待されます。

(図 略)
都道府県に設置が求められている、各種の協議会

(図 略)
法定の地域医療対策協議会であっても、7つの県では、ここ5年間で1度も開催されていない

医学部地域枠の在り方や臨床研修医の募集定員なども検討テーマに

(3)では、▼医学部地域枠の工夫▼臨床研修指定病院の指定・定員設定(都道府県の関与強化と、募集定員の圧縮など)▼新専門医制度における工夫(診療科ごとの専門医需要の明確化と、自治体関与の法制化など)―という論点が示されました。

医学部地域枠については、前述した「すぐに実施可能な偏在対策」の中でも触れられており(原則として地元出身者に限定するなど)、より実効性のある工夫を検討していくことになります(関連記事はこちら)。

(図 略)
地域枠には、医師確保に大きな効果があり、より強力な仕組みとする必要がある
 
また初期臨床研修を行った地域に定着する医師が多いことから、募集定員の圧縮を更に進めて地方へ研修医を誘導するなどの方策も検討することになるでしょう(都市部の募集定員が小さくなれば、超過した希望者は地方部へ行かざるを得なくなる)。

(図 略)
都道府県における臨床研修医の募集定員を圧縮することで、都市部への偏在を解消できると期待される

(図 略)
専門医制度において、「診療科ごとの専門医の需要」を明確化することなどで、地域偏在対策が一歩進むことになる
 
厚労省医政局医事課の担当者は、9-11月にかけて上記の論点に沿った議論を行い、12月に意見とりまとめを行ってほしいと要請。例えば「協議会の設置根拠をすべて医療法に持たせる」などの意見が示されれば、年明けの通常国会に医療法改正案が提出される可能性もあります。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/557160
医療従事者の需給に関する検討会
勤務医・開業医の地域別の多寡、「指標」で見える化
医師需給分科会が議論再開、年末に偏在対策取りまとめ

レポート 2017年9月14日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の第11回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学学長)は9月13日、実効性のある医師偏在対策の検討に向け、議論を再開した(資料は、厚労省のホームページ)。

 都道府県がPDCAサイクルを回しながら、計画的な医師偏在対策を実施できるよう「各地域の医師の多寡を客観的に評価できる、全国ベースで比較可能な指標」を導入したり、外来医療についても、無床診療所が都市部に偏る傾向があるため、その是正を図ることを検討するなど、注目すべき論点が並ぶ。

 「指標」は今後の検討課題だが、勤務医と開業医の両方の地域別の多寡を「見える化」する方針。厚労省は外来医療の偏在是正策案を提示しなかったが、構成員からは「病床が基準病床数制度で規制されているように、無床診療所についても過剰な地域は、保険指定を行わない」という案も挙がった。

 さらに医師養成過程においても、(1)医学部については地元出身者の入学生が増えるような仕組み、(2)臨床研修制度については、都道府県が管内の臨床研修病院の指定・定員設定に主体的に関わる仕組み、(3)専門研修については、将来の診療科ごとの専門医の需要の明確化のほか、地域偏在を助長しないよう法律上、専門医制度構築において、地方自治体の意見を踏まえる仕組み――などを検討する。

 医師需給分科会は今年6月に、2018年度からの第7次医療計画に盛り込むための「早期に実現可能な医師偏在対策」を取りまとめていた(『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』を参照)。今年末にかけて前述の医師偏在対策についての議論を深め、取りまとめを行う予定であり、医師養成過程における(2)と(3)など、都道府県の権限の明確化に向けて、医療法等の改正も視野に入れる。来年初めからは、2020年度以降の医学部入学定員の議論に着手する予定。

 なお、医師需給分科会は、2016年10月に発足した厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」により、同年10月から4月の間、議論がストップした経緯がある(『医師偏在対策、5月から集中的議論、医療計画に盛り込む』を参照)。13日の医師需給分科会では、ビジョン検討会座長の東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏へのヒアリングも実施。またビジョン検討会のメンバーだった聖路加国際病院副院長の山内英子氏のほか、国立がん研究センター中央病院呼吸器内科病棟医長の堀之内秀仁氏の2人が医師需給分科会の構成員に加わった。さらに在宅医療と「医療における役割分担」に関連した2人の構成員を今後追加予定。

 医師の需給や偏在対策は、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論とも関係する(『医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理』を参照)。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「同検討会の議論を踏まえながら、並行して実効的な医師偏在対策を強力に進めていくことが大切」との方針を示した。


医師需給分科会は月2回程度開催し、今年末に取りまとめを行う予定。
 医師偏在対策、3つの柱
 厚労省が提示した今年末までの「実効性のある医師偏在対策」の主な論点は、以下の通り。

1.都道府県主体の実効的な医師確保対策と実施体制の強化
・医師の多寡を把握できる指標を導入し、都道府県が、PDCAサイクルを通じて医師確保できる実効的な計画とする。
・地域医療対策協議会を中心に、管内の医療機関が主体的に役割分担・協議する体制が必要。
・医師確保に関する協議会等について、関係性を整理・統合するとともに、関係政策と医師確保対策の整合性を確保。
2.外来医療提供体制の在り方
3.医師養成過程と医師偏在対策
・医学部に地元出身者の入学生が増えるような仕組みの工夫が必要。
・臨床研修については、都道府県が管内の臨床研修病院の指定・定員設定に主体的に関わり、格差是正を進める、臨床研修病院の募集定員をさらに圧縮、臨床研修修了後における出身地や出身大学の都道府県への定着を図る。
・専門研修体制の構築に当たっては、将来の診療科ごとの専門医の需要を明確化していくほか、専門研修が地域偏在を助長しないよう、法律上、地方自治体の意見を踏まえる仕組みとすることが必要。
 「無床診療所、過剰地域は保険指定NG」との意見も
 構成員の間で意見が分かれたのが、「2.外来医療提供体制の在り方」。厚労省は「無床診療所の従事医師数は、病院・診療所の3分の1」「無床診療所は、都市部に開設が偏る傾向があるが、病床規制や地域医療のある病院・有床診療所と異なり、偏在解消策が不十分」と問題提起。

 これに対し、日本医師会副会長の今村聡氏は、医師需給分科会の2016年6月の中間取りまとめで、「自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討」となっている点を挙げ、「かなり踏み込んだ書きぶりになっている」と指摘。「開業する医師にとっては十分な情報がないのが現状で、開業して失敗するケースもある」とし、各地域の患者ニーズや現有・必要医師数などのデータを用意し、それを基に医師が開業地域を判断する仕組みがまず必要だとした。「そうしたこともやらないで、いきなり規制的なことをやるのは好ましくない」。

 これに対し、全日本病院協会副会長の神野正博氏は、基準病床数制度では、病床過剰地域では医療審議会の意見を聞いて、病院開設や増床等の申請中止などが可能なことから、同様の考え方で「自由開業制を拒むものではないが、医療審議会で診療所が多すぎると判断した場合には、保険医療機関の指定を行わない」とする方法もあり得ると提案。

 なお、中間取りまとめでは、医師偏在対策として「特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所等の管理者の要件とする」案も挙がっていた。ビジョン検討会では、規制的な手法を否定したものの、13日の医師需給分科会では検討を求める意見が出たことから、「今後、議論するか否かを検討する」(厚労省医政局地域医療計画課)。

 「都道府県の権限、法的な整備必要」
 「1.都道府県主体の実効的な医師確保対策と実施体制の強化」の方針については異論が出なかったものの、果たして可能なのか、実際に都道府県が対応できるよう、その責任と権限を明確化するとともに、国が指針を示す必要性などが指摘された。

 現行でも地域医療対策協議会以外に、地域医療支援センター運営委員会、へき地保健医療支援対策に関する協議会、専門医協議会など、医師確保に関する協議会等が多数ある。日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は、「同じような会議があっても、設置の根拠が違うために同時に開催できないなどの問題がある。また専門医協議会の根拠は(厚労省)通知にすぎない」と述べ、法的な整備を行う必要性を指摘した。

 そのほか、「医師確保対策についての都道府県の協議会は一本化して、ミッションを明確にして、国から指針を出す必要があるのではないか」(神野氏)、「都道府県の力量に差がある。また地域医療対策協議会を開催しても、機能しているとは思えない。これまで機能していなかった原因を把握して、都道府県に委ねるならどんな権限が必要かなど、もう少し掘り下げた施策が必要ではないか」(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏)などの意見が挙がった。

 「医師の多寡を把握できる指標」について、山内氏は、県を越えた患者移動なども踏まえ、地域と診療科を踏まえた指標の必要性を指摘。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「地域医療構想を進めても、医師がいなかったら、意味がない。地域医療構想をスタート地点として議論すべき」としたほか、医師不足の県では自県内で医師偏在対策を実施するには限界があることから、「国がマンパワーを配置できるような仕組み」を求めた。堀之内氏は、「若い時期にどこで研修するかが、その後の勤務地に影響する」として、地域医療構想だけでなく、専門研修に関係するデータベースなども活用しつつ、有効な指標を作ることを提案。

 「3.医師養成過程と医師偏在対策」について、厚労省は下記の案を提示。聖路加国際病院院長の福井次矢氏は、「個人的には日本専門医機構だけに任せていると、専門研修アプローチは難しいのではないかと考えている」と述べ、厚労省の関与を求めた。

 ビジョン検討会「正直言って、そんなに新しいことはない」

 今年4月に公表されたビジョン検討会の報告書については、座長を務めた渋谷氏自身が、医師偏在対策を中心に説明(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

 医師を対象に実施した「働き方実態調査」(『医師10万人調査、結果公表!』を参照)を基に、医師の44%が「地方勤務をする意思を持つ」ことから、「土壌を耕さなければ、花は咲かない。きちんと土壌を耕し、花を咲かせることが必要」と述べ、地方勤務の障害を取り除き、「土壌を耕す」必要性を指摘した。

 福井氏は、ビジョン検討会が打ち出した医師偏在対策は、医師需給分科会の議論でも出ていたとし、「データを取って、それを裏打ちしたことは評価できる」としたものの、「これまで随分聞いてきた話。どんな違うことをビジョン検討会では提言したのか」と質した。他の複数の構成員からも、同様の指摘が出た。

 渋谷氏は、実際に調査をしてファクトを基に検討したこと、また「特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、管理者の要件とする」などの規制的な手法を否定したことと、タスク・シフティングやタスク・シェアリング、AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーの活用など、将来の医師の働き方についての構造的変化を取り上げ、医師需給推計等に反映させていることなどを挙げた。「正直言って、そんなに新しいことはない。『そんなに変わらないのではないか』というのはその通りだと思う。ただ、それをデータを基に提案した。規制的な手法以外は、一緒であることは、エンカレッジされる(勇気付けられる)メッセージではないか」。



https://hibishinbun.com/news/?a=8293
石巻市立病院 再開から1年 外来患者数 目標の半分程度
想定下回るも今年は改善傾向 マンパワー・病床利用など課題

石巻市 社会 石巻日日新聞 9月13日(水) 17時15分 配信

 東日本大震災で全壊し、石巻駅前に移転新築された石巻市立病院は、今月1日で再開から1年が経過した。一日当たりの患者数は開院初月が想定の半分以下の75.6人と低迷したが、今年7月はその1.7倍の129.2人となり、増加傾向。一般病床の利用率も7割を超えた。同院では市民の医療ニーズに合った診療科の拡充や専門外来の新設などに取り組む考えだが、医師確保をはじめとする課題を踏まえた運営改善が求められている。
 外来患者数は平成28年度(昨年9月―今年3月の7カ月間)で1万3053人、29年度(4―7月の4カ月間)で9676人。一日平均の外来患者数は28年度が収支目標の199.1人に対して46.8%の93.2人、29年度は改革プランで目標とした205人の57.6%にあたる118人となっており、増加傾向にある。
 昨年9月の開院時に80床だった一般病床は、翌月に140床に拡大。今年3月からは療養40床も稼働した。年間の月平均利用率は28年度(目標値65%)が47.6%、29年度(同79.4%)は56.6%。いずれも目標値を下回っている。
 ただ、直近の7月は一般病床70.3%、療養18.8%で全体では58.9%。一般に限れば開院時の24.3%の約3倍で、ほぼ目標値に達しているという。また、一般のうち20床は、来年度以降に圏域初の緩和病床となる計画で、機能が整えば利用率向上が見込まれる。
 課題は療養で、開設から間もないとはいえ2割に満たない。想定以上に圏域内の病床数が充足していたと分析されており、一部を介護者の休暇目的の入院(レスパイトケア)に充てるなどの対策を検討していく。
 復興基本計画で求められている石巻赤十字病院との相互連携では、急性期(石巻赤十字)と回復期(市立病院)の機能分担は円滑という。救急は圏域全体の1割ほどを受け入れており、石巻赤十字病院が以前に担っていた一部がそのまま移行した形になっている。
 圏域内のその他の医療機関との連携では、在宅患者の急変時対応などで実績を積んでいる。しかし、より細やかな連携を進める上では、担当スタッフや医療内容の浸透不足などが課題という。
 開院時に常勤19人だった医師は、前院長の伊勢秀雄氏が退職したほか、2人の常勤医が開業に伴って離れている。病棟診療や内部活動での医師の負担は増大しているようだ。
 医師不足は石巻市に限らない問題だが、患者目線では医師確保がサービス充実に直結する。実際に、市立病院では当初から常勤麻酔医がおらず手術日が限られている悩みもある。

 常勤医の退職の一方で、外部医師の派遣で呼吸器内科や乳腺科など専門外来は新設されており、ニーズに応じて診療の幅を広げている。同院では今後も医師の招へいに努めつつ、ハードの整備コストや圏域全体の医療体制を鑑みて診療体制の向上を図るという。
 市の28年度決算は、同院と牡鹿病院を合わせた病院事業会計は9億円弱の純利益を計上したものの、営業成績にあたる医業収益と費用の収支は16億円の赤字になっている。
 椎葉健一病院長は「目算が外れた部分を含めての2年目。32年度には黒字基調に乗せたい。実績の向上に特効薬はなく、いくつもの対策を講じて、全体を底上げしていく」としていた。



https://www.m3.com/news/general/556657
住民投票の再議求める 滋賀・野洲市長、市民病院計画巡り
地域 2017年9月11日 (月)配信京都新聞

 滋賀県野洲市のJR野洲駅南口に建設予定の市民病院計画を巡り、是非を問う住民投票の発議案が市議会で可決されたことを受け、山仲善彰市長は8日、審議のやり直しを求める再議書を坂口哲哉議長に提出した。

 山仲市長は会見し「今回の発議に基づく住民投票には多くの問題があり、再議を求めた」と説明。再議書では▽(10月22日に投開票される)市議選の結果によっては市議会と市長との意見の相違が解消され、(病院計画の是非が)重要事項でなくなる可能性がある▽発議は「住民投票の結果に従うこと」を実質的な条件とし、住民投票制度の趣旨に反する―など8項目の理由を挙げている。

 再議を受け、市議会は再び発議案を審議、採決する。坂口議長は「発議者とも相談し、審議日程などを決める議会運営委員会の時期を決めたい」とした。

 山仲市長は「住民コンセンサス(合意)を得るべき」との議員の意見を受けて住民投票の実施を表明したが、6月定例会で付帯決議が可決されたことを理由に発議を見送った。計画に反対する議員らが改めて発議案を提案し、6日の定例会で賛成多数で可決された。



http://kyoto-np.co.jp/politics/article/20170912000237
市民病院の経営移行を正式発表 滋賀・守山市長「直営限界」
【 2017年09月12日 23時00分 】京都新聞

 滋賀県守山市の宮本和宏市長は12日、慢性的な赤字が続く守山市民病院(同市守山4丁目)の社会福祉法人「恩賜財団 済生会」(東京都港区)への経営移行について「2018年4月から15年間の指定管理の後、33年4月に譲渡する」との方針を正式に発表した。20日から市民のパブリックコメント(意見公募)を行う。

 宮本市長は「(市による)直営は限界に来ている。比較検討し、市民への最善の医療提供ができる形態を選んだ」と話した。県内の公立病院で指定管理者制度を導入しているのは東近江市立能登川病院のみで、民間譲渡の例はない。

 指定管理後の病院名は「済生会守山市民病院」。一般病床と診療病床を合わせて現在と同じ199床とし、内科、外科、小児科など18診療科目を維持する。救急とリハビリ機能を強化するとしている。

 指定管理料として市は15年間で計約38億円を同法人に支払い、財源は地方交付税で賄う。期間を15年としたのは、過去の本館建て替え費の借入金の返済に少なくとも今後12年かかるためとしている。

 市は19年度中にリハビリ室や回復期病床を整備した新館を建設。本館は約8億円かけて改修し、別館は壊して駐車場とする。同法人は施設利用料として約17億円を市に払う。指定管理期間の市の負担額は総額で約35億円、年間約2億3千万円になるという。

 守山市民病院の累積赤字は16年度末で18億円を超える。一般会計からの繰り入れは年間約2億円だが、医師不足による収益減少などで今後10年間で年間約3億5千万円に膨らむと見込まれ、指定管理の方が負担が少ないとしている。

 パブリックコメントは10月3日まで募集し、市役所などで資料を閲覧できる。約15年間通院する田中登美子さん(91)=同市守山2丁目=は「経営が難しくなって変わるのは仕方がない。長年、診察してくれた医師が急にいなくならないか不安。近くの高齢者が安心して通院できる環境をつくってほしい」と話した。



https://www.nikkei.com/article/DGXLZO20994490R10C17A9L71000/
千葉県立病院 赤字47億円 過去最大
2017/9/12 7:00 日本経済新聞

 千葉県がまとめた病院事業会計の2016年度の決算見込みによると、最終損益は47億5700万円の赤字と15年度の3倍に拡大した。3年連続で最終赤字に沈み、比較可能な1995年度以降では最大の赤字幅となった。県がんセンターで診療報酬の不正請求が発覚し、国への返還金として約21億円の特別損失を計上したのが響いた。

 県立6病院の収益は前の年度に比べて1.6%減の421億円だったのに対し、費用は5.5%増の469億円。経常損益の赤字幅は前の年度に比べて66%増の33億7400万円に広がり、赤字幅は過去2番目に大きかった。

 医師不足を背景に患者数が減少し、佐原病院や循環器病センターの医業収益が落ち込んだ。08~14年に腹腔(ふくくう)鏡下手術による死亡事故が相次いだがんセンターも患者数の減少傾向に歯止めがかからず、収益は厳しい。

 赤字体質の解消を目指し、県は今年度から県立病院の本格的な経営改革に乗り出す。医師の増員などで診療体制を充実させ、入院・外来収益を伸ばす。割安な後発医薬品の使用割合を増やし、コスト削減も進める。25年度には病院事業の経常損益を黒字に転換させたい考えだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/556586
医師の働き方改革とキャリア
「医療が壊れるか、勤務医が壊れるか」
都内で医師の過重労働シンポジウム

レポート 2017年9月11日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医師ユニオンと東京過労死を考える家族の会、過労死弁護団全国連絡会議が9月9日、「過重労働と医師の働き方を考えるシンポジウム~医師の働き方改革への提言~」を東京都内で開催した。過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の松丸正弁護士は、国立循環器病研究センターで、勤務医に「月300時間、年2070時間」まで時間外労働をさせられる「36協定」が結ばれていたことを「常軌を逸した協定」と指摘。ただし、過労死を生まず、健康を守るためには、勤務時間の適正把握が最も大事であるとし、「今は医療が壊れるか、勤務医が壊れるかの二律背反の状況だ」と訴えた。

国循300時間、「常軌逸した36協定」

 シンポジウムは、今年2件が相次いで労災認定された後期研修医の過労による自殺などを題材に議論が行われた。

 松丸氏は、国立循環器病研究センターの「36協定」を、情報公開請求により入手。同センターの「36協定」は、2012年度に結んだもので、第2条で時間外労働時間の上限を医師から事務職員まで全ての職種で一律に「月45時間、年360時間」とした上で、第4条で「特別の事情がある場合の時間外労働時間」として、医師は「月300時間、年2070時間」、臨床工学技士は「月100時間、年870時間」、交代勤務の看護職員は「月150時間、年1170時間」と規定。松丸氏は「こんなものがあるとは思わなかった。常軌を逸した36協定だ。これでは労働時間の管理が放棄されている」と厳しく批判した。

 松丸氏はもともと、「36協定」に盛り込まれるこのような「特別条項」が、「何時間働かせてもいい」という根拠になり、過労死の大きな原因があると考えていたが、多くの事例に携わる中で、考えが変わってきたという。現在は「そんなに生やさしいものではなかった。一番の問題は、勤務時間が適正に把握されていないこと。そこでは労働基準法は死に、『特区』が生まれる」と考えていると指摘。勤務時間の把握は、過重労働に関する裁判で必ず突き当たる問題で、パソコンのログイン・ログアウトや電子カルテのアクセス記録などを用いて、使用者側が適正把握に努めるべきだとした。

「客観的な把握が全てのスタート」

 2016年1月に新潟市民病院で後期研修中の女性医師が過労で自殺し、2017年6月に新潟労働基準監督署から長時間労働是正などの勧告を受けた問題で、女性医師の遺族の代理人を務めている齋藤裕弁護士は、過重労働の改善を求め、新潟市に対して労働時間の把握や医師の負担軽減などについての申し入れをたびたび行っていることを紹介(『新潟過労自殺、「医師の勤務適正化図る」―新潟市長』、『病院の責任と「働き方改革」のジレンマ - 片柳憲雄・新潟市民病院院長に聞く』などを参照)。新潟市民病院の回答では、労働時間の把握が「自己申告によるもので、各医師が適切に申告していると信じている」というものだったとして、「これでは速度計のない自動車を走らせているようなものだ。客観的な把握が全てのスタートだ」と述べた。また、これまでに過労死に至った事例について、プライバシーに配慮しながら、年齢や診療科などのデータを詳細に公表し、過労死予防のための議論をしていくべきだと主張した。

「公共性とは何ぞや」

 東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた男性医師が2015年7月に自殺し、長時間労働が原因だったとして、労災認定された事件で遺族側代理人を務める川人博弁護士は、開業医だった父が、元々肺が弱かったこともあり、深夜にドアを叩く患者の診療をした後には、たいてい体調を崩していたことを紹介し、「倫理観や応招義務があるから医師は頑張ってきたが、限界に達している。解決していく必要がある」と指摘(公的医療機関の記事は、『『産婦人科後期研修医の自死、労災認定』』を参照)。長時間労働を正当化する理由として「公共性が高いこと」が挙げられることに対して、「全ての仕事には公共性があるはず。『俺の仕事は公共性が高い、おまえは金儲けだけだ』などというのは変な話。公共性とは何ぞや、公共性と労働とは、ということも提起したい」と述べた。

 全国医師ユニオン代表の植山直人氏は、長時間労働の主な原因になっているのは医師の絶対数不足で、「当直明けで手術するような国は、先進国では日本しかない。制度の問題であり、ヨーロッパではそんなに働かずとも命を守っている」と指摘。トラック運転手では拘束時間に厳しい条件があり、破れば道路交通法違反で「免許取り消しと、3年以下の懲役または50万円以下の罰金」という重い罰則があることを例に、「安全性が求められる職業には、体調管理が求められる」と述べた。

 また、長時間労働の問題は、その多くが時間外勤務手当の不払いとリンクしていることも指摘。「300時間も時間外勤務をさせたら、病院はそんなに(手当を)払えない。だから不払いになる」ことも問題点であるとの見解を示した。

応招義務、「廃止すべき」、「現代に合わせて」

 自由討論では、時間外労働の上限規制について、応招義務などの医師の「特殊性」を理由に5年間の適用猶予とされたことなどが議論された。植山氏は応招義務について定めた医師法19条についての旧厚生省の解釈が、1948年から1955年にかけてのものであることを挙げ、「現代の医療水準に合った、現実的な解釈を厚労省には求めたい」と主張。川人氏は「廃止すべき。国が個人に対し、業務上の義務を課す規定で、これが過重労働を肯定する背景になっている」、松丸氏は「個人の義務として位置付けるのは無理。医療機関の義務として議論しないといけない」とそれぞれ述べた。



http://www.tonichi.net/news/index.php?id=62908
来年4月赤羽根診療所開設へ
田原市 空白地域解消と在宅医療充実図る/地域の強い要望を受け/医師の往診も実施/22日にも条例可決/地元から歓迎の声

2017/09/14 東日新聞(愛知)

 医師の空白地域解消と在宅医療の充実を図ろうと、田原市は2018年4月、赤羽根福祉センター内に、公設民営の「赤羽根診療所」を開設する準備を進めている。

 赤羽根地域は15年度、医師が亡くなるなどして閉院が相次ぎ、約2年間医師がいない状態(準無医地区)となった。

 「無医地区」は、中心的な場所から半径4キロ以内の区域に50人以上が居住している地区であって、容易に医療機関を利用することができない地区。それに対し赤羽根地域の場合、日中のバスが少なく医療機関を利用しづらい状況にある「準無医地区」にあたる。

 同地域では、田原方面の病院や診療所などへ車で通う人が多いが、車を持たない人は家族などに「病院まで乗せてと頼みづらい」と、通院をためらうようになったケースもあったという。

 地域住民から近くで医療機関を設立するよう求める声が多く寄せられるようになったため、市は医療従事者の確保や診療所を開設する場所、運営方法などについて検討し、準備を進めてきた。

 診療所は、歯科・乳児健診などを行っていた赤羽根福祉センター内にある旧保健センター約300平方メートルを改修。医師は往診も実施する。

 設計・改修などに関する一般会計補正予算は、市議会6月定例会で約7500万円を計上。9月定例会の最終日にあたる22日には、設置と運営に関する条例が可決される見込み。医師は10月をめどに確保できる見込みで、11月中旬頃には着工。12月定例会で施設運営を行う指定管理者などを決定する予定。

 地元サーファーらでつくるボランティア団体「安全波乗隊」の加藤昌高隊長は「以前のように、事故にあったサーファーなどが、ちょっとした傷を負った時にすぐみてもらえるようになる。住民も安心」と期待している。

 農業の60代男性は「バスを使って田原の総合病院へ行くとなると半日以上かかる場合も。高齢者や小さい子どものいる家庭にとっては朗報」と喜ぶ。



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikuhou/article/357762/
全内科常勤医退職を表明 くらて病院 「町長が逸脱した権限行使」 徳島町長は否定「無責任」 [福岡県]
2017年09月12日 06時00分 西日本新聞朝刊=(福岡)

 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の院長を含めた内科常勤医師6人全員が来年3月末までに退職を表明している問題が11日、町議会一般質問で取り上げられた。病院職員約270人は「町長独断の逸脱した権限行使で町への不信感が募った」と徳島真次町長への要求書、町議会議長への嘆願書を提出している。徳島町長は要求書の内容を全面的に否定した上で「6人の医師が辞めるのは無責任」と話している。

 要求書などによると、徳島町長の「逸脱した権限行使」として(1)事務統括・新病院建設担当の副理事長を退職に追い込んだ(2)外部理事3人を含む役員構成を指示した-など6項目を挙げ、6人の医師の診療継続が困難と主張している。内科医の退職に伴い、産業医科大病院からの医師派遣も困難になるという。要求書などは病院職員約330人の大半の署名を添え、8月30日付で町と議会に提出された。

 一般質問では、無所属の岡崎邦博議員が嘆願書の内容などをただした。徳島町長は6項目全てについて否定。取材に対して「6人の医師の退職はあるまじき行為。町として対抗策を考えていかなければならないが、まだ話し合う余地はある。町民にも説明したい」と語った。

 一方、病院関係者は「内科医がいなければ外科の手術も困難になる」「このままでは病院の存続が危うい」と危機感を募らせている。8月に就任した河野公俊理事長は「各大学を回っているが、常勤医師の確保は厳しい。地域医療を守るため、今後もできる限りリクルート(求人)は続ける」という。

 くらて病院は、元炭鉱の病院を町が譲り受け、1965年に町立病院として開設。2013年に地方独立行政法人に移行した。町で唯一20床以上の入院施設を持つ医療機関。17診療科で、222床。1日220~230人の外来がある。町は老朽化などを理由に移転新築を予定。同病院整備基本構想では18年度着工、20年度完成を目指している。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170912202352
病床機能、どれを選んでも「入院料に影響なし」
厚労省が今年度のマニュアル公表

2017年09月12日 22:00  CBNews

 厚生労働省は12日、今年度の病床機能報告のマニュアルを公表した。医療機関が自院の医療機能をどう報告しても「診療報酬の入院料等の選択等に影響を与えるものではない」と明記し、実情を踏まえて適切に報告するよう促している。医療機能などの報告は10月中、インターネット上などで受け付ける。【佐藤貴彦】

 また、「回復期機能」を選ぶと急性期の7対1入院基本料を算定できなくなる、といった懸念を一部の医療関係者が示していることから、マニュアルでは、今回選んだ機能が診療報酬などの選択に影響を与えることはないと強調した。

 2014年度にスタートした病床機能報告は、病院や有床診療所が、自院の機能や診療実績などの情報を年1回、都道府県に報告する仕組み。集まった情報を基に、地域の医療機関同士の役割分担などを進める狙いがある。

 団塊世代が75歳以上になる25年には、リハビリテーションなどで患者を在宅復帰させる「回復期機能」の病床の需要が増すと予想される。

 病床機能報告では4つの医療機能の中から、自院が担っているものや今後担うつもりのものを医療機関が病棟単位で選び、自己申告する。昨年度の報告では、病床数ベースで「急性期」が46.8%、「慢性期」が28.4%などで、「回復期」は11.1%にとどまった=グラフ=。

 機能ごとの病床数が今後も変わらなければ、全国的な「回復期機能」の病床不足に陥りかねない。ただ厚労省では、医療機能を適切に選択できていないケースがあるとみており、今回のマニュアルで機能の選び方などを明確化させた。



https://www.m3.com/news/general/557318?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170914&dcf_doctor=true&mc.l=247067931&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
年間赤字4億円見込み 新設予定の県立病院精神医療センター
地域 2017年9月14日 (木)配信大分合同新聞

 県は13日、2020年度中に県立病院(大分市)に新設予定の「精神医療センター(仮称)」について、年間約4億円の赤字が見込まれるとの収支見通しを明らかにした。医師・看護師の人件費に加え、他県の医療機関などを参考に必要経費を試算した。県は経営効率化を徹底した上で、一般会計からの繰り出し金で経費を補い、安定的な精神医療体制の確立を目指す。

 センター(36床)は休日・夜間を含めて24時間体制で救急対応し、家族らの同意があれば入院できる「医療保護入院」の患者を受け入れる。原則1カ月以内の短期入院型で、民間の医療機関では対応が難しい急性期か、身体合併症があるケースが基本になる。

 県病院局によると、運営体制は▽医師 5人以上▽看護師 24人以上▽精神保健福祉士 2人以上―の他、臨床心理士などの医療技術職や事務職員の確保が必要。収支の具体的な内訳は明らかにしていないが、収入は診療報酬が主体となり、支出は人件費、医療材料費、建設償却費などという。

 同局は経営効率化に向け、コスト削減の徹底や診療報酬の加算確保に取り組む方針。救急医療やがん診療などの必要経費は地方公営企業法で一般会計から負担(本年度は約12億円)することになっており、県は精神医療でも繰り出し金を負担して運営を支援する。

 田代英哉病院局長は13日の県議会本会議で「24時間365日の救急体制の収支や他県の状況から厳しい面も想定されるが、徹底した経営の効率化に努める」と述べた。衛藤明和氏(自民)の一般質問に対する答弁。



https://www.m3.com/news/general/557096
県立3病院:4年連続赤字 累積赤字約200億に 昨年度 /香川
地域 2017年9月14日 (木)配信 毎日新聞社 香川

 県立病院事業を評価する経営評価委員会(会長=久米川啓(はじめ)・県医師会長)が高松市内であり、県立3病院の昨年度決算がすべて赤字となり、計11億6900万円となる見通しが県側から示された。県立病院事業の赤字は4年連続だが、15年度の18億9400万円から縮小した。

 県病院局によると、赤字額は3病院別で、▽中央7億2000万円▽丸亀1億9200万円▽白鳥2億5700万円。前年度は、それぞれ15億900万円、1億9600万円、1億8900万円だった。

 中央病院は、入院延べ患者が15万6657人(前年度16万667人)▽稼働病床利用率85・2%(同87・1%)▽外来延べ患者が25万1611人(同25万7945人)――と減少する指標が目立った。ただ、診療単価が入院で7万1442円(同6万9270円)、外来で1万9282円(同1万8172円)と上昇したため、赤字額が大きく減った。

 また、県の病院事業会計の累積赤字は199億9500万円に達した。【植松晃一】



https://www.m3.com/news/iryoishin/557393
「医師支援死亡にどのように対応するか」、高久氏がCMAAOで講演
「終末期医療」テーマに東京で総会開催

レポート 2017年9月15日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 アジア大洋州医師会連合(CMAAO)の第53回総会・理事会が9月14日、東京都内で開催され、「終末期医療」をテーマに各国の出席者によるシンポジウムが行われた。第15回武見太郎記念講演として日本医学会前会長の高久史麿氏が講演し、日本の終末期医療を巡る議論の歴史や現状について説明。今後の課題として「海外で増加しつつある『医師支援死亡』(PAS、PAD)などにどのように我が国で対応するか」などと指摘した。

 高久氏は高齢化が進む日本の将来や、自身が座長を務めた日本医師会生命倫理懇談会の報告書などを踏まえて、日本の終末期医療の現状を紹介。依然として、「医療の目的は『キュア』だけだと考えていて、延命だけが目的と考えている医師がいる。亡くなる人の8割が病院で死亡するが、病院では何らかの措置をすることが役割となっていて、過剰な医療が行われる。患者の尊厳ある死、平穏な死を助ける『ケア』も医療だとする医学教育が不十分だった」との見方を示した。

 喫緊の課題は「平穏で適切な死に至ることを、個々の高齢者において実現すること」とし、課題を次の3点に整理した。(1)患者の意思決定支援の仕組みをどのように工夫するか、(2)在宅、施設、病院での望まない延命を防ぐために具体的にどのような方策があるか、(3)海外で増加しつつある医師支援死亡(PAS:Physician assisted suicide)に対して、わが国としてどのように対応するか――だ。PASについては、「日本でも避けて通れない課題である」と強調した。

 次いで、2011年の東日本大震災をきっかけに生まれた臨床宗教師の活動を紹介。海外からの参加者に向けて、「宗教、宗派を超えて協力する」という日本ならではのあり方を説明した。最後に、「穏やかな終末を迎えるため、自分の意思を適切に伝えておくことが大事」として、リビング・ウィルの重要性を呼びかけた。

 高久氏は現在86歳。約1時間の英語のスピーチを立ったまま行い、会場からは大きな拍手が送られ、講演の最後にCMAAO会長で、日本医師会会長の横倉義武氏が記念の盾を贈呈した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/557388
邉見全自病会長、「医療なければ人は住めず」
「管理者要件に医師不足地域勤務実績」実現訴える

レポート 2017年9月14日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は9月14日の定例記者会見で、5団体の連名で9月6日に厚生労働省に提出した、医師の地域偏在対策として医院の管理者要件に医師不足地域での勤務実績などを求める要望書について、「実現しなければならない。医療と教育、産業がない所は滅びてしまう。医療がなければ人は住めず、『コンパクトシティー』どころか『コンパクトネーション』になってしまう」と述べ、実現を改めて強く訴えた(『「医師不足地域での勤務実績」、病医院の管理者要件に』を参照)。

 邉見氏は、提出の際の厚労省医政局長の武田俊彦氏らとの会談では、「このまま『保険あって医療なし』の状況では困ると、行政訴訟も辞さないというくらい強く話しをした」とし、武田氏からは、「ピンチは逆にチャンスでもあり、医療崩壊の引き金を引いたときの医政局長は誰だ、と言われないように頑張る」という内容の話があったことを披露。この回答について、「一歩前進かなとは思う」と述べた。

 医師不足地域での勤務実績を病医院の管理者要件とする案は、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」で、2016年6月の「中間取りまとめ」に盛り込まれたが、同年10月以降は「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の設置により議論が中断。

 ビジョン検討会が2017年4月にまとめた報告書では、医師需給分科会の「中間取りまとめ」とは方向性の違う「『不足する地域に強制的に人材を振り向ける』という発想に頼るべきではない」などの提言がなされ、医師需給分科会では今後、議論するかどうかを検討される見込み(医師需給分科会の中間取りまとめは厚労省のホームページ、ビジョン検討会の報告書はこちら。関連記事は『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』、『勤務医・開業医の地域別の多寡、「指標」で見える化』)。

 邉見氏は、管理者要件について「医師需給分科会が2016年12月に最終報告を出す予定で、予算化されようとしていたが、ビジョン検討会が潰して、遅れた」と批判。医師の働き方改革の議論とも関連が深いとして、過重労働を減らすためには「医療の質を落とすわけにはいかないから、医師をものすごく増やすか、(態勢を縮小して仕事の)量を減らすしかない。働き方改革は医師偏在対策とも関係が深い」との認識を示した。全自病が行っている医師の働き方の実態調査については、結果は出そろっており、10月にも提言をまとめるとした。

 新専門医制度に関しては、10月から専攻医の1次登録が始まることについて、「どういう人を採用して、どういう人を落とすかという決まりがないなど、あいまい。初期臨床研修の施設でそのままという人が増えると思う。基幹施設に初期研修医が集まって、連携施設が総崩れになるのではないか」との懸念を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/556527
「全国一律の施策は限界、地域医療構想で対応を」
武田・厚労省医政局長、全日病学会で特別講演

レポート 2017年9月11日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局長の武田俊彦氏は、9月9日に金沢市で開かれた第59回全日本病院学会で地域医療構想について講演、人口の高齢化の状況が地域により異なる現状を踏まえ、「今後は全国一律の施策、物差しが当てはまらない」と指摘、地域医療構想の策定と調整会議による協議で、地域の実情に合った医療提供体制を構築していく必要性を強調した。

 地域医療構想は2016年度中に各都道府県で策定を終え、調整会議でその実現に向けた協議が進められている。武田局長は、現場では同構想への理解が十分ではなかったり、一部誤解もあるという。誤解の一つが、病床機能報告制度に基づく4つの医療機能の現状の病床数と、2025年の「病床の必要量」の関係であり、両者の意味は異なり、一致し得る数値ではない。また「地域包括ケアシステム構築に向けて、多様な機能を担う病院こそ必要」とも述べ、機能の集約化が解になるとは限らないケースもある。公的病院の役割についても、その病床を所与とするのではなく、調整会議での協議を踏まえ、検討することが求められる。

 武田局長は1983年の入省。「大きく分けて、10年ごとに施策のターニングポイントがあるのだろう」と述べ、次のように概観した。「1990年代は、高齢者介護が大きな問題になり、2000年度に介護保険制度がスタートした。2000年代は医療機能の分化と連携であり、急性期医療の充実が進められた。そして2010年代は、地域包括ケアの推進が課題となっている」。

 2018年度は、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるほか、第7次医療計画、第7期介護保険事業(支援)計画などが始まる。武田局長は、「いろいろな施策が一斉に動くので、ぜひ協力をお願いしたい」とした上で、「2018年度で全てが解決するわけではなく、2025年に向けて何度も改定がある。誤解のない形で、関係者の理解と納得の上で、医療提供体制の見直しを進めていきたい」とコメント。さらに新専門医制度、医師偏在対策、医師の働き方改革などを挙げ、各種の改革の動きを一体として進める必要性を指摘した。

 「全国一律の施策、当てはまらず」
 武田局長の特別講演のテーマは、「医療機関に求められる地域における役割の明確化と地域の合意」。(1)地域医療構想と調整会議、(2)公的医療機関等2025プラン、(3)病床機能報告制度――について解説した。

 (1)の地域医療構想については、前提として、人口の高齢化やその都道府県格差が今後の医療の在り方に大きな影響を与えることを指摘。日本は人口減少の局面を迎えているものの、今後の課題は、「高齢化率」ではなく、「高齢者数」であると注意を促した。都道府県によって状況が異なるのも特徴で、今後は首都圏をはじめ、都市部を中心に高齢者数が増加するものの、一方で人口減少が既に始まっている県もある。2020年から2025年までの65歳以上人口の増加数は、東京、大阪、神奈川、埼玉、愛知、千葉、北海道、兵庫、福岡(増加数の多い順)の9都道府県で、日本全体の約60%を占める。

 武田局長は、「従来の医療政策は、人口の高齢化が全国で進むという前提で対応してきた。しかし、今後は全国一律の施策、物差しが当てはまらない」と指摘。そのために導入したのが、地域医療構想の策定と調整会議による協議という仕組みであると説明した。

 地域医療構想の3つのステップ
 今年6月に政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」では、地域医療構想について、「病床の役割分担を進めるためデータを国から提供し、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する」ことを求めている。

 武田局長は、地域医療構想は、3つのステップで進むと説明。(1)2025年の地域ごとの医療需要(4つの医療機能ごとの病床の必要量)を推計、(2)医療機関は医療提供内容を公開(病床機能報告制度)、(3)関係者が地域最適化に向けて調整会議で協議――だ。厚労省はこれらを進めるために、各種データと、病床機能の転換等を進めるための地域医療介護総合確保基金という二つのツールを用意。

 武田局長は、「地域によっては、地域医療構想や調整会議の狙いについて、若干受け止め方が異なる場合があり、より正確な情報提供に努めていく」と説明。例に挙げたのが、下記の仮想の地域。C病院は手術件数が少ないものの、リハビリテーションの実施件数は他院と同等であり、「C病院を回復期機能へ転換」といった議論が想定され得るが、必ずしもそうとは限らないとした。

・A病院、急性期250床、手術件数月50件、リハビリ件数月200件
・B病院、急性期200床、手術件数月40件、リハビリ件数月160件
・C病院、急性期100床、手術件数月5件、リハビリ件数月100件

 「2000年代の議論では、同じ領域であれば集約化し、急性期医療の質を向上していくという流れがあった。しかし、2010年代は、地域包括ケア機能を担う病院は、一定の急性期機能を持つことになるのではないか。調整会議では、こうした点も踏まえて議論してもらいたい」。武田局長はこう述べ、各調整会議では、「単純に手術件数が少ないから、集約化」ではなく、慎重な議論が求められるとした。

 一方で、「同じ地域に同じような機能を持つ病院があれば、経営は厳しくなる」とも指摘。武田局長は「こうした地域こそ、調整会議の意義がどこにあるのかを踏まえ、将来像を議論してもらいたい」と述べ、地域医療連携推進法人の活用も視野に入れながら、議論を進めることを提案。

 「公的病院ありき、では議論進まず」
 武田局長は、調整会議における公的医療機関の扱いについても言及。「まず大きな病院、大抵は公的病院になるが、その機能から決め、その残りの機能を他の病院で分け合うとなると、なかなか議論が進まない」。公的病院は、公的医療機関等2025プランの策定と実行が求められている。「公的病院は、自ら改革目標を掲げ、調整会議でそれについて話し合う。その上で自らの役割をもう一度、見直すことが必要ではないか。公的病院の病床数を所与として考えていくと、今後、入院ニーズの総量が減少していく中で、議論は進みにくくなる」。

 「多様な機能を担う病院こそ必要」
 さらに武田局長は、病床機能報告制度と地域医療構想の2025年の「病床の必要量」の相違にも注意を促した。病床機能報告制度は病棟単位で報告するが、さまざまな病期の患者が入院していても、一つの機能しか選べない。「急性期」と報告しても、急性期の病期以外の患者も入院している。一方、「病床の必要量」は患者数をベースに病床数を将来推計したもの。病床の転換を進めても、4つの医療機能別の病床機能報告制度の報告数と、「病床の必要量」は2025年においても一致するわけではない。

 「今後、特に問題になるのは、2次救急医療の受け入れ。回復期機能と報告していても、急性期機能も担っているケースもある。地域包括ケアシステム構築に向けて、多様な機能を担う病院こそ必要」。武田局長はこう述べ、「誤解のない議論を進めてもらいたい」と繰り返した。



https://www.m3.com/news/general/557290
蔵王協、北村山病院の分娩支援へ 診療情報の共有図る
地域 2017年9月14日 (木)配信山形新聞

 北村山公立病院(東根市)は来春から扱いを休止する分娩(ぶんべん)について、山形大医学部と関連病院でつくる蔵王協議会と連携し、周辺の総合病院で対応できる体制づくりを進めることが13日、分かった。来春以降も妊婦健診の機能は維持し、同協議会のネットワークを生かして診療情報の共有を図る。

 北村山公立病院は東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町で組織する組合が設置主体で、管理者の土田正剛東根市長と、嘉山孝正山形大医学部参与らが同日、来春以降の村山地区の周産期医療供給体制について意見を交わした。

 関係者によると、村山地区での広域産科連携システムとして、妊婦健診は北村山公立病院が引き続き担い、小児科や麻酔科など十分な医療体制が整った同協議会加盟の総合病院が分娩を行うシステムづくりを進める方針を確認したという。

 蔵王協議会の会長を務める嘉山参与は「(北村山公立病院と総合病院とが)診療情報を共有していれば、いつでも安心してお産ができる。協議会としてバックアップしていく」とし、土田市長に妊婦の移動手段の確保を要請した。

 同学部産科婦人科学講座の永瀬智教授は北村山地区の出生数の約7割が他地域での出産である点を挙げ、「県産婦人科医会、県産科婦人科学会と具体的なシステムについて協議していきたい」と話している。

 意見交換を踏まえ、土田市長は「負担なく安全に出産できる環境は重要。情報共有を通じて地域住民が不安にならないような体制づくりに取り組みたい」としている。



https://www.m3.com/news/general/557115
2島の病床全廃、説明不足おわび 松浦市長が答弁 伊万里松浦病院移転問題
地域 2017年9月13日 (水)配信毎日新聞社

 松浦市が伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)誘致のため鷹島と福島の病床を全廃する計画で、友広郁洋市長は12日の市議会で「島のみなさんに十分説明せず、不安を与えたことをおわび申し上げたい」と述べ、早期に説明会を設けるとした。

 武辺鈴枝議員の一般質問に答えた。市は佐世保県北医療圏が過剰病床のため、誘致後の新病院の87病床を上回る88病床の削減を、両島の市営診療所の病床全廃と市内2病院の協力で達成する計画。友広市長は「診療体制を維持した上で、地域の意見を聞いて病床を介護施設などに転換する」と説明した。

 新病院を巡っては、同じ医療圏に属する佐世保市の朝長則男市長が病床削減の市内医療機関へのしわ寄せを危惧して「認めたくない」と発言している。武辺議員から「発言の影響は計り知れない」と指摘され、友広市長は「残念に思っている。病院誘致なくして市民の医療は確保できないと思っているので、理解を求めたい」と述べた。【峰下喜之】

〔長崎版〕



https://www.m3.com/news/general/556654
熊本市民病院、赤字36億円 震災で患者大幅減
地域 2017年9月11日 (月)配信熊本日日新聞

 熊本市は2016年度の病院事業会計決算をまとめた。市民病院(東区)は熊本地震で被災し、患者受け入れを休止した影響で、純損益は36億3134万円の赤字。植木病院(北区)も1億9016万円の赤字で、総額38億2149万円の純損失を計上した。累積欠損金は100億円を突破し、111億3277万円に膨らんだ。

 市民病院の延べ患者数は、入院が前年度比94・8%減の6407人、外来が52・4%減の7万8529人だった。震災で病棟3棟のうち2棟が使用不能になったことで、大幅に減少した。医師が49人減るなど、職員総数は583人となった。

 結果、入院収益が94・6%、外来収益が59・2%それぞれ減り、医業収益は84・7%減の16億7801万円。そのほか、駐車場使用料金の減収などにより、医業外収益も22・5%減り、9億3270万円になった。

 植木病院では、入院患者が1・9%増の3万7101人、外来患者が3・3%減の2万7186人。市民病院からの患者や職員受け入れにより支出が増えたことなどから、赤字を計上した。

 2病院と芳野診療所(西区)を合わせた病院事業会計の総収益は55%減の64億9015万円。総費用は29・9%減の103億1164万円だった。同診療所は、一般会計で赤字を穴埋めするへき地診療所のため純損益はない。(馬場正広)



  1. 2017/09/15(金) 07:40:02|
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9月10日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/556314
始動する“医療事故調”
「センター調査の結果公開、逸脱行為」
医法協医療安全部会長名で日本医療安全調査機構を問題視

レポート 2017年9月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療法人協会医療安全部会長の小田原良治氏は、9月8日に会見し、日本医療安全調査機構が「センター調査の結果」を公開する方針を示していることに対し、「これが事実とすれば、センター業務の法律からの逸脱行為」と問題視する声明を公表した。「同機構が、このままセンター機能を担うことには、不安を感じざるを得ない」とし、厳格に法に従った活動を行うべきと指摘している。

 声明は、同日開催した同協会医療安全部会の緊急会議で決定した。「今回の問題は、機構の“フライング”と言えるが、センター調査の公表は、『厚生労働省と協議をして詰めていく』ということだったので、火を消さなければいけないと考えた」(小田原氏)。同部会に先立ち、小田原氏らは厚労省医政局総務課との面談の場を持ち、声明のたたき台を説明。小田原氏によると、同課は、日本医療安全調査機構に対し、「勇み足をしないように、と言った」と説明したという。

 2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、医療安全を目的とし、それに資する事故調査を実施するため、事故を起こした関係者の秘匿性を原則としている。しかし、「報道によると、8月30日に開催された日本医療安全調査機構の医療事故調査・支援事業運営委員会で、同機構事務局は、医療事故調査・支援センターに依頼した再調査の結果を、個人情報保護に留意した上で、公開することを提案したという」(小田原氏)。

 医療事故調査・支援センターとして厚生労働大臣から指定されているのが、日本医療安全調査機構だ。医療事故調査制度では、医療事故が起きた場合、まず院内調査を実施するが、その結果に遺族等が不満を持った場合、あるいは医療機関がさらなる調査を必要と考えた場合に、センター調査を依頼できる。「センター調査で得られた情報は、個別事例として取り扱うのではなく、院内調査結果の報告と同じように、医療法第6条の16の規定に従い、複数事例の類別化、分析を行い、その共通課題を見付けることがセンター業務」(小田原氏)。

 小田原氏は、医療事故調査制度は、「有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン」に基づき、医療安全と責任追及の仕組みを分け、前者を目的とした制度としてスタートした経緯を説明。個人情報保護に留意してもセンター調査の結果が公表されるのであれば、医療現場の混乱を招き、事故調査だけでなく、医療自体が萎縮する恐れがある、と強い懸念を抱く。

 日本医療法人協会の顧問弁護士を務める井上清成氏も、「日本医療安全調査機構は、医療事故調査・支援センターとして厚生労働大臣から指定を受け、法律等で規定された制度の枠内で業務を行うことが求められる。にもかかわらず、枠内から逸脱した行為を意図的に行うことは、その地位にふさわしくない。法律等に則って、効果的な医療安全への取り組みを進めてもらいたい」とコメントした。「事故調査の報告書が公表されると分かった時点で、事故調査において萎縮、逡巡が起きる懸念があり、それでは再発防止に向けた調査が難しくなる」(井上氏)。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170908151302
病院・診療所管理者、医師不足地域勤務を条件に
全自病などが提言

2017年09月08日 16:00

 全国自治体病院協議会(全自病)などは、医師の地域偏在対策に関する提言書を厚生労働省に提出した。病院・診療所の管理者について、医師不足地域での勤務実績を条件とするよう求めている。【新井哉】

 提言書は、全自病と全国厚生農業協同組合連合会、全国国民健康保険診療施設協議会、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会が連名で取りまとめた。

 医学部の定員増や地域枠の創設などの医師需給に関する対策について、地域偏在の解消に結び付かず、有効な対策となっていないと指摘。医師が開業する場所や勤務先の選択が自由であることに触れ、「住民の公平に医療サービスを受ける機会を奪う」としている。

 こうした状況を改善するため、「病院または診療所の管理者となるためには、一定期間医師不足地域での勤務実績を条件とする」とし、各都道府県の医師不足地域における受け入れ人数、診療科、期間などを基に、国や全都道府県で組織する協議会で募集や調整を行うよう提案している。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0908510673/
都市部に偏る医師、不足地域で一定期間勤務を...5病院団体が提言〔読売新聞〕
2017年09月08日 12:14(2017年9月8日 読売新聞)

 全国自治体病院協議会(辺見公雄会長)など5病院団体は7日、医師が都市部に偏り、地方で不足する地域偏在問題の解消に向けた提言書を厚生労働省に提出したと発表した。

 提言書は、病院や診療所の管理者になる条件として、医師が不足する地域で一定期間勤務するよう提案。また、地域医療の確保に関する国の責務を明確にし、厚労省や文部科学省、総務省など関係省庁が協力して問題に取り組むため、検討の場を設置するよう求めた。偏在問題を巡っては、厚労省の有識者会議が年内をめどに対策をまとめる予定。



http://www.medwatch.jp/?p=15651
医療機関の管理者、「医師不足地域での一定期間の勤務実績」を要件とせよ―全自病ら6団体
2017年9月8日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域偏在の是正に向けて、医療機関の管理者要件として「医師不足地域での一定期間の勤務実績」を盛り込むべきである—。

 全国自治体病院協議会、全国厚生農業協同組合連合会、全国国民健康保険診療施設協議会、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会の6団体が9月6日、こうした要望を厚生労働省医政局の武田俊彦局長に行いました。

医師のモチベーションを維持しながら、地域偏在を是正していくことが重要

6団体は、医師の地域偏在は30年以上前から問題視され、これまでに医学部定員増や地域枠創設など各種の対策が講じられたものの、必ずしも有効ではなかったと指摘。そのため「実質的に高齢化の進んでいる地方ほど医師が少ない」状況になっており、国が「地域偏在を解消し、地域医療確保のための『緩やかなルール』を打ち出すべき」と提案。

緩やかなルールとしては、我が国医療の特色の1つである「医師が自由に開業地・勤務地を選べる仕組み」が偏在を招いている点に鑑み、【病院・診療所の管理者となるためには、一定期間、医師不足地域での勤務実績を条件とする】よう提案しています。

自由開業制を真っ向から廃止すれば「医師のモチベーションを阻害」してしまいかねず、一方、自由開業制を現在のまま維持すれば偏在対策が進まないため、モチベーションを確保したまま偏在を是正する観点で「一定期間の医師不足地域での勤務」を打ち出したものです。

6団体は、▼各都道府県の医師不足地域における受入人数、診療科、期間などをもとに、募集・受入人数の調整を全国組織で実施する▼受け入れ都道府県においては、勤務する医師について、できるだけ当人の意向を反映させて勤務地などを調整するとともに、その後のキャリア形成に資する体制を整える—との具体的な仕組みも提案しています。

 
今秋から厚労省の「医療従事者の需給に関する分科会・医師需給分科会」で、法改正も視野にいれた偏在対策論議が進められることになっており、6団体の提言もここで俎上にあげられる可能性があります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/555934
「医師不足地域での勤務実績」、病医院の管理者要件に
全自病など5団体、厚労省に要望書提出

レポート 2017年9月7日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国自治体病院協議会など5つの病院団体は9月6日、厚生労働省に対し、医師の地域偏在対策として、病医院の管理者要件に医師不足地域での勤務実績などを求める要望書を提出した。

 要望書で提案された医師の地域偏在対策は、二つ。(1)病院、診療所の管理者となるためには、一定期間、医師不足地域での勤務実績を条件とする、(2)地域医療の確保に関する責務について明確にし、国において検討の場を設置する――だ。今秋議論が本格化する厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」で、偏在対策の方向性について結論を得ることを期待している。

 (1)について要望書では、各都道府県における医師不足地域における受け入れ人数、診療科、期間等を基に、募集や受け入れ人数の調整は、国または全都道府県で組織する協議会で実施することを求めている。また受け入れる都道府県においては、勤務する医師について、できるだけ当人の意向を反映させ勤務地等を調整するとともに、その後のキャリア形成に資する体制を整える。

 要望書は、全自病をはじめ、全国厚生農業協同組合連合会、全国国民健康保険診療施設協議会、日本慢性期医療協会、地域包括ケア病棟協会の5団体の連名。

 提案に至った背景として、要望書ではまず医師の地域偏在対策が生じた理由に言及している。2004年度の臨床研修必修化で、大学医局による医師派遣システムが弱体化したものの、その代替機能がないまま現在に至っているなどと指摘。また、医師の開業地・勤務地の選択の自由が、医師の地域偏在をもたらし、住民の公平に医療サービスを受ける機会を奪うものとなっている点も問題視。その上で、「国政選挙における一票の格差問題と同じように、医師の地域偏在についても、国が率先して解消し、地域医療の確保のために緩やかなルールを打ち出すべき」と求めている。



https://mainichi.jp/articles/20170907/ddl/k22/010/208000c
沼津市
医師に就業支度金 市立病院人材確保 貸し出し条例制定へ /静岡

毎日新聞2017年9月7日 地方版 静岡県

 沼津市は6日、市立病院で新たに働く中核的な医師に700万円の就業支度金を貸し出す条例案を制定すると明らかにした。人材確保が狙いで、5年間勤めれば返済が免除される。市は「滋賀県高島市民病院で例があるが県内公立病院ではおそらく初めて」としている。13日開会の9月定例議会に提案する。

 全国的な医師不足を背景に、市立病院には常勤医がいない診療科がある。支度金貸与は「診療科の開設または維持に貢献できると市長が認めた」医師が対象で、具体的には泌尿器科▽腎臓内科▽麻酔科▽救急科--の医師を求めている。

 支度金の額は、勤務段階で沼津市内を住所とする人は700万円、市外の人は300万円。高給の医師が市内で5年暮らせば、市民税を約500万円支払う計算であることや、定住促進を勘案して差をつけた。

 市立病院の岩瀬宗一・病院管理課長は「医師確保で患者数増加、ひいては安定した病院経営につながれば」としている。【石川宏】



https://www.m3.com/news/iryoishin/555850
「医師の働き方改革」、2018年度改定の基本方針に
社保審医療保険部会で議論スタート、12月に策定予定

レポート 2017年9月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は9月6日、2018年度診療報酬改定の基本方針の検討を始めた。厚労省は、「医療・介護現場の新たな働き方の実現、納得感の向上」など3項目の「改定に当たっての基本認識」と、4項目の「改定の基本的視点と具体的方向性」から成る基本方針のたたき台を提示した(資料は、厚労省のホームページ)。

 委員からは、追加意見や各論での要望が挙がったが、たたき台に対する異論は出なかった。厚労省は2018年度改定のスケジュール案も提示。ほぼ例年通りで、今後、社保審医療部会と並行して議論を深め、今年12月頃の基本方針の策定を目指す。基本方針を受け、中央社会保険医療協議会は2018年度改定の具体的な点数設定に係る審議などを行う。


(2017年9月6日の社保審医療保険部会資料)(図 略)

(2017年9月6日の社保審医療保険部会資料)(図 略)

(2017年9月6日の社保審医療保険部会資料)(図 略)

 「人は評価、薬関係は引き下げ」
 2016年度改定までの基本方針は、「重点課題」と「改定の視点」で構成。2018年度から「改定に当たっての基本認識」と「改定の基本的視点と具体的方向性」の2つの柱に組み替えられる予定だが、盛り込まれる項目は従来からの継続が多い。

 特徴の一つは、政府が「働き方改革」を進める中、2つの柱のいずれにも「医療者の働き方改革、負担軽減」が盛り込まれている点。この7月に設置された厚労省の「医師の働き方改革推進本部」は、「新たな医師の働き方を踏まえた診療報酬上の対応の方向性」も検討課題としていた(『医師の働き方、診療報酬も議論対象に』を参照)。具体的方向性の例として、「チーム医療の推進」(タスクシェア、タスクシフト等)、勤務環境の改善、業務効率化・合理化の取り組みを通じた医療従事者の負担軽減、遠隔医療も含めたICT等の活用が挙がった。

 さらに、介護報酬と同時改定となるため、地域包括ケアシステムの構築や多職種連携の取り組みの強化、医療介護の連携、病床機能の分化・強化、連携に合わせた入院医療の評価、在宅医療・訪問看護の確保なども重要課題となる。

 一方、「効率化・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める視点」では、薬価制度の抜本改革をはじめ、医薬品関連の項目が目立つ。2016年度改定に続き、薬価や調剤報酬については厳しい改定になるのは必至だ。

 「遠隔医療の定義、明確に」
 医療者側の委員からは、各論の要望が相次いだ。日本医師会副会長の松原謙二氏は、「遠隔医療」の定義を明確にすることを要望。「きちんと定義しないまま、何もかも遠隔医療とするのは間違い」。「かかりつけ医」等の評価に当たっては、「どんな機能を持つのかを十分に把握し、それを評価することが必要」と指摘。さらに医療の透明性を高めるため、外部評価を施設基準に加える点数を増やすことを要望した。

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、地域包括ケアシステムが進む中で、かかりつけ薬剤師が複数の医療機関を受診している患者の服薬を一元管理する重要性を強調。医療安全と医療費適正化のために、ポリファーマシーへの対応も大切だとした。さらに最近、医療機関の敷地内に調剤薬局(いわゆる門内薬局)を作る動きが出ていることを踏まえ、「通常の保険薬局とは明らかに異なり、かかりつけ薬剤師の機能を発揮できない。それに見合った評価をすべき」と訴えた。

 日本看護協会副会長の菊池令子氏は、厚労省のたたき台を妥当とし、特に(1)医療従事者の負担軽減と働き方改革の推進、(2)(1)を実現するためのチーム医療の推進(タスクシェア、タスクシフト)、特定行為の研修を修了した看護師の活用、(3)強化型の訪問看護ステーションの増加、(4)外来医療の機能分化・強化、糖尿病などの重症化予防への取り組み――などが重要だとした。

 「働き方改革」については、連合副事務局長の新谷信幸氏からも、「医療従事者の勤務環境の改善を進めていくことは当然のこと。過重労働を強いる医療体制であってはならない」との意見が上がった。

 そのほか、日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏は、診療報酬と介護報酬の同時改定をどうリンクさせていくかを書き込むべきと指摘。日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、医師不足で医療が成り立ちにくい地域もあるとし、「保険診療で何らかの手当てをしないと厳しい」と述べ、医師の地域偏在対策を診療報酬上でも検討すべきと指摘した。

 「メリハリのある報酬体系を」
 一方、保険者や経済界の立場の委員からは、「効率化・適正化」を念頭に置いた発言があった。経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長の望月篤氏は、「2025年を見据えて、質が高く、効率的な医療を目指した改定をしていくべき」とし、(1)医療と介護の連携のさらなる充実、サービスの効率化、(2)地域包括ケアシステムの構築、医療機能の分化と連携の推進、(3)限られた財源の中で、メリハリのある報酬体系を目指す――などを求めた。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0906/ym_170906_1774257055.html
医師の過労防止 地域偏在の解消が欠かせない
読売新聞9月6日(水)6時0分

 医師が過労で心身に不調を来せば、医療の安全が脅かされかねない。患者にとっても問題が大きい。医師の働き過ぎの防止策が求められる。
 厚生労働省の有識者検討会が、医師の働き方改革に関する議論を始めた。残業の上限規制や労働時間の短縮策について、2年後をめどに結論を出す。
 政府は、働き方改革実行計画で残業時間に罰則付きの上限規制を設けることを決めた。
 医師については、適用を5年間猶予する。正当な理由なく診療を拒めない「応召義務」など、職務の特殊性に配慮したためだ。
 患者の命を預かり、容体に応じて対処する医師に、画一的な労働時間制限がなじまないのは事実だ。使命感から長時間労働を厭いとわない医師も少なくない。技術や知識の習得といった自主的研究と仕事の切り分けも難しい。
 業務実態に合った実効性ある対策を打ち出してもらいたい。
 1週間の労働時間が60時間を超える医師は、42%に上っている。全職種平均の14%を大幅に上回り、職種別で最も多い。
 中でも病院の勤務医は、宿直や緊急の呼び出しが頻繁にあるために、多忙を極める。
 勤務医の過労自殺も相次いだ。都内の総合病院に勤めていた男性研修医が自殺したのは、長時間労働による精神疾患が原因だとして7月に労災認定された。5月にも、新潟市民病院の女性研修医の自殺が労災と判断されている。
 医師は、手術時の緊張感や患者からの訴訟リスクなど、精神的重圧にもさらされている。医療機関は危機感を持つべきだ。
 女性医師が増え、家庭との両立に関心が高まったことも、働き方改革が必要とされる理由だ。
 地方や一部の診療科では、人手不足が深刻化している。医療機関には、一律の残業規制は地域医療を崩壊させるとの懸念が強い。
 人手不足の背景には、地域間などでの医師の偏在がある。働き方改革では、その解消が不可欠だ。医師の適正配置を促す効果的な方策を工夫せねばならない。
 医療機関の役割分担は重要だ。初期診療は診療所に委ねる。拠点病院に医師を集約し、当直などの負担軽減を図る。地域の実情に応じた取り組みが求められる。
 医師の業務見直しも進めたい。患者への基本的な説明や書類作成など、看護師や事務職に任せられる日常業務は少なくない。
 患者も、不要不急の受診をできるだけ避けることが大切だ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/555335
「医師の過重労働規制、焦眉の課題」
全国医師ユニオンなど3団体が声明

レポート 2017年9月4日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国医師ユニオン代表の植山直人氏、東京過労死を考える家族の会代表の中原のり子氏、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博氏は9月4日に都内で記者会見し、医師の働き方改革に関する3団体連名の声明を発表した 。政府が進める働き方改革の問題点を指摘した上で医師の労働条件改善策を提言し、「新たな医師の過労死の労災認定が出るなど犠牲者が後を絶たず、医師の過重労働を規制することは緊急焦眉の課題だ。早急な医師の労働条件改善を求める」との内容で、今後厚生労働省に提出する方針。

 植山氏は、政府の働き方改革の問題点として、2017年3月に策定された「働き方改革実行計画」で労使が合意した場合に特例として、時間外労働は年720時間(月平均60時間)を上限とすることなどが盛り込まれているが、医師については改正労働基準法施行から5年間の適用猶予が決まっており、同3月から2年間を目途に議論するとされている点を指摘。「その間に一体どれだけの過労死が出るのかを危惧している。現行の労基法が全くだめなのではなく、守られていない。医師の労働時間を管理せず、自己申告に任せて放置している。医療の安全性を保つためにも、医師の過重労働は良くない」と訴えた。 また、今後の議論の中で、交代制勤務や労働時間の管理、時間外労働手当の支払いを行うと「当直が組めず、地域医療が崩壊する」という声が上がることが予想されるとして、「それは間違いではないが、それでは医師の過重労働は放置していいのか」とも主張。そうした議論の土台にするために、交代制勤務を導入して過重労働を減らしつつ地域医療を成り立たせるには、どのくらいの医師が必要なのかの詳細なデータを厚生労働省が出すべきだと述べた。

 2015年7月に自殺し、今年7月に長時間労働が原因として労災認定された、東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた男性医師の遺族側代理人を務める弁護士の川人氏は、後期研修医の負担が重くなっているという見方をする。初期研修医は短期間で異動するために病院側が多くの仕事を任せにくいが、後期研修医は「若く、ある程度経験があり、一定期間病院にいる。言い方は悪いが、病院としては酷使しやすいような誘惑に駆られる」と問題視。過労による自殺の具体的な事例を分析するなどして対策するべきだと主張した(関連記事は『産婦人科後期研修医の自死、労災認定』、『産婦人科医の過労自死を受けて声明、学会・医会』、『産科婦人科学会理事長「新しい視点で配慮を」』)。

 1999年に小児科医の夫を過労死で失った中原氏は、医師法19条の応招義務を、個人ではなく組織として負うべきものとするよう法改正が必要として、「過労死を生み出しかねない医療界を、変えていただきたい」と訴えた。

 声明の全文は以下の通り。

医師の働き方改革に関する声明
 現在、働き方改革が大きな社会的な焦点となっている。政府は、働き方改革として罰則付きの残業時間規制を行うとしているが、医師に関しては、時間外労働規制の対象とするものの、改正法の施行期日の5年後をめどに規制を適用することとし、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等についても検討し結論を得るとしている。8月2日に第1回の検討会が開催され、今後議論が進むものと思われる。一方、新たな医師の過労死の労災認定が出るなど犠牲者が後を絶たず、医師の過重労働を規制することは緊急焦眉の課題である。

 私たちは、これらの点に鑑み、政府が進める働き方改革の問題点を指摘するとともに、政府や使用者に対し、以下のとおり、早急な医師の労働条件改善を求めるものである。

政府の進める働き方改革の問題点

「100時間未満」との上限設定は、厚生労働省が策定している「過労死ライン」(月80時間の時間外労働)を容認することになり、また、労働時間の短縮に努力している使用者の取り組みに逆行している。
医師の深刻な過重労働が社会問題となっているにもかかわらず、5年にもわたり、医師に対して規制の対象から外すのは医師の命と健康に深刻な影響を与え、かつ、医療事故の原因となる。

考慮すべき重要事項

医師も人間であり、他の職種の労働者と同様、過重労働に耐えられるものではない。そして、人の命に直接的にかかわり責任が重くミスが許されないなど過度の緊張を求められており、ストレスの高い職業である。したがって、通常の労働者以上に健康障害に陥りやすいことを熟慮する必要がある。
医師の健康障害は、医療の質の低下や医療安全を脅かすのみならず、患者への説明責任等にも悪影響を及ぼすことを考慮する必要がある。
今回の働き方改革案では、深夜の交代制勤務の過重性を考慮した労働時間の視点が欠落している。医師の当直時に30時間を超える連続労働となることは、命に関わる職業として絶対に避けるべきである。
厚労省はトラック運転手の拘束時間に関して改善基準告示を策定し、一日の拘束の上限は原則13時間(例外16時間)としているが、医師に関しては、かかる行政上の規制がない。
国際的にみれば、我が国では医師不足を長時間労働で補っている。この現実を真摯に受け止め、改善策を作成すべきである。
医師法19条の応招義務は戦前以来の前近代的な内容であり医師が疲れていても診療に従事すべきと解釈されており、医師の過重労働を助長するものとなっている。政府案は、この応招義務を理由として医師の長時間労働を固定化しようとするものであり、本末転倒である。応招義務は廃止ないしは改正すべきである。

早急な医師の労働条件改善について

まずは現行の労基法遵守を徹底し、一刻も早く労働環境の改善を進める必要がある。とりわけ以下の点に関してはすぐに改善すべきである。
使用者が医師の労働時間管理を適正に行うこと。

 現状は、この管理が極めてずさんであり、単なる自己申告のみにもとづくところが多い。この間の医師の過労死労災認定では、使用者側が主張する時間外労働時間と労基署が認定した時間外労働時間との間に大きな乖離が認められる。さらに医師の年俸制に関する最高裁判決によっても労働時間管理の間題点が指摘されている。
 医師の労働時間を客観的資料に基づき適正に管理すること、及びそれに基づき割増賃金を含む残業代の支払いを正確に行うことが大切である。この適正な賃金支払を徹底することにより、使用者が経営・財政面からも長時間労働を減らすことの必要性に迫られる。

研修医に対する適正な処遇を行うこと。
 研修医について、医師としての労働を行っている時間帯にもかかわらず「自己研鑽」との名目で労働時間に算入しない傾向があるが、これは研修医の労働者性を否定するものであり、最高裁判決にも違反している。
 また、使用者は、研修医に対して、その健康管理のために、また、医療安全のためにも、労働時間管理をしっかりと行う必要がある。
「過労死ライン」を超える長時間労働を速やかに改善すること。
 この間の医師労働に関する調査などから、「過労死ライン」を超えた勤務、ならびに1カ月間を超えて全く休日のない勤務の常態化が明らかになっている。長時間労働の是正、休日の確保について、速やかに改善する必要がある。
医師の健康管理を厳格に行うこと。
 適正な労働時間管理の下で月80時間を超える時間外労働を行った医師に関しては、必ず産業医の面接を行うことが求められる。
 医師の過労死には、脳・心臓疾患による突然死も少なくないが、最近の特徴として、精神疾患を発病した後の自死が多い。現状ではうつ病等の精神疾患を抱えながら診療を行っている医師も少なくない。
 したがって、労働時間の削減とともに、早い時期からの精神科等への受診を促進する環境を整えるべきである。



http://toyokeizai.net/articles/-/186889
新専門医制度、「地域医療ファースト」の波紋
都市部の募集人員に「上限」

「CBnews」編集部 2017年09月04日

当記事は「CBnews」(株式会社 CBnews)の提供記事です

「基幹施設」の要件は緩められたが…(写真:Graphs / PIXTA)
地域医療への懸念から1年間延期されていた新専門医制度が、来年4月からスタートすることが確実になった。日本専門医機構(吉村博邦理事長)は8月25日、専門医を目指す医学生・臨床研修医に対し、制度開始が遅くなったことを「謝罪」する文書をサイトに掲載。この制度が「地域医療への配慮」を優先し、都市部の募集人員に「上限」を設けたことへの理解を求めている。紆余曲折を経た同制度の意義と今後の方向性を探った。

旧整備指針の「画一的な制度設計」見直す

新専門医制度は、なぜ都市部の扱いを厳格化し、「地域医療への配慮」を全面に打ち出す必要があったのか――。新制度の方向性が明らかになりつつあった1年半ほど前、大学病院に医師が集中するなどして「地域医療が崩壊する」との懸念が噴出。昨年7月に当時の同機構執行部のほとんどのメンバーが入れ替わるといった「再スタート」を余儀なくされた。このため、今年6月に公表した新整備指針では、旧整備指針を「画一的な制度設計」と評し、見直す必要があったことを率直に認めている。

地域医療にどのような配慮をしているのか。まず挙げられるのが、研修の中心となる「基幹施設」の要件を緩めたことだ。旧整備指針では要件などが厳しく、大学病院以外の医療機関が基幹施設になることは難しかった。これを改善するため、専攻医の採用実績が年間350人以上の領域(内科、外科、小児科、麻酔科、精神科、救急科など)については、大学病院以外でも基幹施設になれるようにした。

さらに都市部への集中を防ぐため、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県については、過去5年間の都市部の専攻医の採用実績の平均値を上回らないようにすることを「運用細則」に明記した。

しかし、都市部の定員を厳しく制限すると、他の県に医師を派遣していた大学病院が、自院の診療機能を落とさないために派遣医師を引き揚げる恐れもある。このため、地域医療に不都合が生じた場合は調整したり、仕組みを見直したりする方針だ。

医師不足地域の連携施設、指導医確保で“救済策”も

記者会見する吉村博邦理事長=写真右=と松原謙二副理事長(8月4日、東京都内)
専攻医を受け入れる中小病院などの連携施設は不可欠な存在だが、課題や問題点もある。原則として専攻医3人に1人の指導医が付くが、医師不足の地域では、常勤の指導医を確保できない連携施設が少なくないとみられる。このため、同機構は“救済策”を用意。指導医が連携施設に常時いなくても、テレビ会議を開催したり、指導医が施設を定期的に訪問して指導したりすれば、研修が可能とした。ただし、研修の質を担保することが「必要条件」だ。

同機構は専攻医の待遇も明確にした。研修は「職場内訓練」と位置付けられており、それぞれの研修施設が専攻医に給料を支払い、健康保険にも加入させることになる。妊娠や出産、介護などで研修を中断する場合は「中断前の研修実績は引き続き有効」との見解を示しており、研修復帰に道が開けている。

都道府県、医師会、大学、病院団体などで構成する都道府県協議会も重要な役割を担う。各領域(内科、精神科、外科など19領域)の研修プログラムを同機構が承認するが、都道府県協議会と事前に協議することが求められているからだ。

今後、研修プログラムが適切かどうか、各都道府県協議会による審議が本格化するが、プログラムの修正を求められた場合、10月上旬に予定されている専攻医の一次登録などにも影響が出かねない。

来年4月の開始に向けてタイトなスケジュールとなっているが、12月上旬から来年1月上旬まで予定されている二次登録の終了後も研修先が決まらない希望者について、同機構は「空席のある各領域の基幹施設と連絡を取り、研修プログラムへの登録を可能とする予定」と説明。研修プログラムに参加する機会を制度開始直前まで確保したい考えだ。



http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20170902/CK2017090202000013.html
指定管理後に譲渡検討 赤字続く守山市民病院で市長
2017年9月2日 中日新聞 滋賀

 守山市の宮本和宏市長は1日の市議会本会議で、赤字経営が続く市民病院について、社会福祉法人「恩賜財団済生会」(本部・東京)へ一定期間、指定管理を委ねた後、土地と建物を譲渡する方向で検討していることを明らかにした。議案の提案理由説明の中で述べた。

 市民病院は、診療報酬の改定や医師不足で慢性的な赤字経営が続き、2016年度決算で18億3853万円の累積赤字を計上。市直営の病院経営には限界があるとして、市は17年度に入ってから経営移行に向けた協議を済生会と続けている。

 市は18年度から15年間、済生会に指定管理を委ね、33年度に土地と本館を無償譲渡する案を練っているが、市民病院移行準備室は「まだ確定したわけではなく、これから市民の意見なども聞いていく必要がある」と話す。

 今月中旬までに市の方針をまとめ、市民から広く意見を募るパブリックコメントを実施し、市民説明会も開くことにする。

 (平井剛)



https://www.m3.com/news/iryoishin/554615
医療者の勤務改善に8.7億円、厚労省概算要求
2018年度、実質的に過去最大の31兆4298億円

レポート 2017年8月31日 (木)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は8月31日、2018年度予算の概算要求を発表した(資料は、厚労省のウェブサイト)。予算規模は31兆4298億円で、2017年度より7426億円増加し、実質的に過去最大規模となる。そのうち6300億円は高齢化による自然増。重点施策や新規施策では、「医療従事者等の業種ごとの勤務環境の改善」「医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援」などが挙がっている。

 財務省はここ数年、高齢化による社会保障の増加分を5000億円以下とする「目安」を示している。2016年度は診療報酬のマイナス改定などで概算要求段階から1700億円削減。2017年度は「高額療養費」の一部負担を引き上げるなどで1400億円削減し、5000億円以下を達成してきた。2018年度は1300億円の削減が必要になり、今年末に向けた予算編成の焦点になる。

 厚労省は2018年度重点施策として、
(1)働き方改革の着実な実行
(2)質の高い効率的な保健・医療・介護の提供の推進
(3)全ての人が安心して暮らせる社会に向けた環境づくり
の3点を掲げている。

 加藤勝信厚生労働相の前担当が一億総活躍担当大臣だったこともあり、特に働き方改革に重点を入れる方針。同分野での医療関連としては「医療従事者等の業種ごとの勤務環境の改善」(要求額8.7億円)があり、「働き方改革実行計画において、医師については時間外労働規制の対象となることから、医師の長時間労働是正に向け、病院実態調査を実施するほか、相談体制の強化を図ること等により、都道府県医療勤務環境改善支援センターがより効率的・効果的な支援を行う」としている。その他、「産業医・産業保健機能の強化」(45億円)、「治療と仕事の両立支援」(21億円)が入っている。

 2018年度予算編成では全体で要求総額は101兆円前後となり、4年連続で100兆円を超えた。財務省は98兆円程度まで絞り込む方針。

■医療関連の主要施策
・医師不足地域における若手医師のキャリア形成支援 (新規:8億円)
地域枠出身の若手医師が医師不足地域への派遣により地域診療義務を果たす場合等に、休日代替医師の派遣、複数医師によるグループ診療、テレビ電話等を活用した診療支援等をモデル的に実施し、派遣される医師のキャリア形成や勤務負担軽減を図るために必要な経費を支援する。

・地域の医療施策を担う人材の育成 (新規:1400万円)
地域における主体的な医療施策の企画立案能力の向上に向け、地域医療構想をはじめとする地域の医療施策や診療データの分析等に精通し、都道府県を支援することのできる専門家人材の育成を行う。

・AI、ゲノム医療、iPS 細胞等の最先端技術を活用した医療機器等に関する情報の収集、分析評価の体制整備 (新規:9500万円)
最先端技術を活用したゲノム検査装置やAI 診断プログラム等は、製品性能に影響する新たな知見が日々世界中で発表されていることから、最新の知見に基づいて適正かつ迅速に評価するために、これらの情報を随時収集するとともに、評価指標等を作成するための体制を整備する。

・保健医療分野におけるAI 開発の加速 (新規:3100万円)
保健医療分野でのディープラーニングや機械学習等のAI 開発を戦略的に進めるため、画像診断支援、医薬品開発、手術支援、ゲノム医療、診断・治療支援、介護・認知症の重点6 領域について開発・実用化を促進する。また、保健医療分野におけるAI 開発を効率的・効果的に進めるため、「保健医療分野AI 開発加速コンソーシアム(仮称)」において、AI 開発に必要なデータの円滑な収集や開発されたAI の実用化を加速するために必要な施策を整理・検討する。

・受動喫煙防止対策の推進 (一部新規:55億円)
飲食店等における喫煙専用室等の整備に対する助成や自治体が行う公衆喫煙所の整備への支援、国民や施設の管理者への受動喫煙防止に関する普及啓発を行う。

・医療従事者等の業種ごとの勤務環境の改善等 (8.7億円)
働き方改革実行計画において、医師については時間外労働規制の対象となることから、医師の長時間労働是正に向け、病院実態調査を実施するほか、相談体制の強化を図ること等により、都道府県医療勤務環境改善支援センターがより効率的・効果的な支援を行う。

・女性医師等のキャリア支援 (6600万円)
出産・育児・介護等における女性医師のキャリア支援を行う医療機関を普及させるため、男性医師や医師以外の医療従事者も対象とした普及可能な効果的支援策モデルの構築に向けた支援を行うとともに、モデル事業の取組みを更に展開するために全都道府県で「先進的な女性医師等キャリア支援連絡協議会」を開催する。

・医療保険分野における番号制度の利活用推進 (160億円)
2018年度からの段階的運用開始、2020年からの本格運用を目指す、医療保険のオンライン資格確認システムの導入等について、システム開発のために必要な経費を確保する。

・医療等分野におけるIDの導入 (43億円)
医療保険のオンライン資格確認の基盤を活用し、2018年度からの段階的運用開始、2020年からの本格運用を目指して、システム開発のために必要な経費を確保する。

・革新的医療機器・再生医療等製品等に関する日本発の有効性・安全性の評価方法の確立及び国際標準獲得推進 (1.9億円)
世界に先駆けて、革新的な医療機器・再生医療等製品・体外診断用医薬品の有効性・安全性に係る試験方法等を策定し、試験方法等の国際標準化を図り、製品の早期実用化とともに、グローバル市場における日本発の製品の普及を推進する。

・専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取組 (4.8億円)
新たな専門医の仕組み導入に伴う医師偏在の拡大を防止するため、研修プログラムについて協議する都道府県協議会の経費を増額するとともに、地域医療支援センターのキャリア支援プログラムに基づいた専門医研修の実施にあたり、指導医を派遣した場合や、各都道府県による調整の下で、医師不足地域の医療機関へ指導医の派遣等を行う場合に、必要な経費を補助する。また、日本専門医機構が各都道府県協議会の意見を取り入れて専門医の研修体制を構築するための連絡調整経費の増額や、医師偏在対策の観点から研修プログラムをチェックするために必要な経費等を補助する。

・特定行為に係る看護師の研修制度の推進 (4.3億円)
「特定行為に係る看護師の研修制度」(2015年10月1日施行)が円滑に実施されるよう、指定研修機関の確保、研修修了者の計画的な養成、指導者育成のための支援等を行う。また、2017年6 月に実施した厚生労働省行政事業レビューの公開プロセスの結果などに基づき、特定行為に係る看護師の研修の実態把握や課題分析等を行うとともに、eラーニング導入経費などを支援する。

・がん医療の充実 179億円
がんゲノム情報や臨床情報を集約化し、質の高いゲノム医療を提供するため、がんゲノム情報管理センター及びがんゲノム医療中核拠点病院等の体制整備を実施するとともに、がんゲノム医療に対応できる人材を育成する。希少がん対策の中核的な役割を担う「希少がん中央機関」を指定して、病理コンサルテーションの集約化、情報提供等を一体的に実施する。また、希少がんにおける病理診断の質の向上に必要な知識と技術を身につけるための人材育成を支援する。ゲノム医療の実現に資する研究、ライフステージやがんの特性に着目した研究(小児・AYA 世代(思春期世代と若年成人世代)のがん、高齢者のがん、難治性がん、希少がんなど)、がんの予防法や早期発見手法に関する研究などを重点的に推進する。



http://blogos.com/article/245172/
残業300時間 主治医制・応召義務・そして人件費 システムの問題
中村ゆきつぐ BLOGOS 2017年09月09日 09:08

昨日のNHKNW9にも出ていましたが、医師の労働時間に関する話題です。(国循、時間外労働「月300時間」の労使協定結ぶ…国の過労死ラインの3倍、見直しの方針示す)

本当旧国立病院の昔からのやり方を変えないことの弊害だと思われますが、まだ36協定結んでいるだけましかもしれません。(2009年では36協定結んでいるのは国公立病院の15%程度) ちなみに2月の新聞記事ではこのようなものもあります。(是正勧告 関電病院に 残業、36協定の200時間超え)

また労働者としてどの医師達が協定を結んだのかとても興味深いです。それこそ部長クラスの管理者が病院と締結していたのなら、まさに若い人たちの奴隷化です。そして残業代はどれだけ出ていたのか、そこまで報道してくれたらまさにブラック企業認定となるでしょう。

ちなみに私の若い時は、患者さんの病態にあわせて病院に数日泊まってもほとんどお金は出ませんでした。(正規の当直ならば数千円は出ます)つまり残業しても残業代がもらえるという感覚は正直医師にはなかったんですよ。それでもやりがいで楽しく働いていましたが。

主治医制・応召義務。人件費。

最初の2つが医師の仕事を増やす原因で、最後の高い人件費が医師を増やすことができない大きな理由です。もう主治医制ではなくチーム制に変えている病院も増えてきましたが、やはり患者さんにとって主治医は一人の方が安心という感覚を捨てられない医師が多いんですよね。そして応召義務が不規則な勤務体系を医師たちに課しています。そしてそれを当たり前と思う医師が中年以降にまだ多いんですよ。もう一人の頑張りで続けられるような昔の医療が通用する時代ではないのですが。

循環器内科はカテーテル治療で心筋梗塞で亡くなる方を大幅に減らしました。それは医師たちが常に待機し、時間をおかず救急で処置を行うようになったからです。それでも助けるためにカテーテルを1本多く使うと病院が赤字になります。そう、一生懸命患者を助けても病院が赤字になる、つまり儲かってないからどんなに忙しくても人なんて雇えないという流れがあるのです。
>「医師を増やしたり、事務作業を支援したりする仕組みを作り、労働時間の削減や適正な管理につながるよう取り組む必要がある。一方で、行政機関は『過労死ライン』を逸脱する36協定をなくす決意で、監督や指導にあたるべきだ」
弁護士さんのありがたい言葉ですが、安心安全な医療を行うためにはお金と人が必要です。今までボランティアをやっていた医師たちを守ろうとするのなら、今の医療料金体制を変えないと無理だと思っています。



http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20170908/CK2017090802000051.html
規模縮小し診療所に 東栄病院、整備構想固まる
2017年9月8日 中日新聞 愛知

 東栄町は、町が設置し運営を指定管理者に委託している東栄病院(同町三輪)を町直営の診療所として整備する基本構想を固め、町議会に報告した。施設の老朽化に加え、利用者の減少で経営が悪化。医師や看護師の確保もままならないことから、町内の医療、社会福祉関係者と住民代表、町職員らでつくる「地域包括ケアシステム推進協議会」(佐々木経人会長)が5月以降、抜本的な見直しを進めていた。

 基本構想によると、2018年4月に直営化し、医師や看護師を町職員として採用。19年4月、病院を有床診療所(19床以下)に縮小する。20年9月には病床を廃止し、「町医療センター」として移転・新築。移転先の候補地として、東栄小学校の向かいにある町有地(同町本郷)を挙げている。

 東栄病院は1961(昭和36)年、国民健康保険病院として設立され、66年、町立病院となった。2007年の公設民営化後は、社会医療法人財団「せせらぎ会」が運営している。

 現在は内科、消化器科、整形外科など九つの診療科目と40床の入院設備を持ち、北設楽郡三町村の中核医療機関になっている。過疎化による利用者の減少などで、ここ数年は収益が悪化。赤字補填(ほてん)のため、町は13年度から交付金を支出し、16年度は1億8200万円に上った。

 村上孝治町長は「病院の建物は建築後40年以上がたち、改築が急務。これを機に医療、保健、介護、福祉が一体となった施設の整備を目指す。奥三河の市町村と連携し、医師や看護師の確保など医療の充実に努めていく」と話した。

 (鈴木泰彦)



http://www.asahi.com/articles/ASK973HG7K97UBQU00B.html
医師の残業規制は「猶予」 相次ぐ過労死に見直しの声
千葉卓朗2017年9月7日12時05分 朝日新聞

 医師の過労死が後を絶たないなか、高度医療を担う病院で「月300時間」までの時間外労働を可能にする労使協定が結ばれていることがわかった。医師の「働き方改革」をめぐる議論にも影響を与えそうだ。

 政府は、残業時間の罰則付き上限規制を2019年度に導入することを目指して、労働基準法改正案を今秋の臨時国会に提出する方針。ただ、医師については猶予期間を設け、改正法の施行5年後をめどに規制を適用するとしている。医師には原則として診療を拒めない「応召義務」があり、「特殊性をふまえた対応が必要」というのが理由だ。

 政府は、医師の残業規制について2年後をめどに検討して結論を得るとしている。このままいけば、残業時間の上限規制が導入されても、医師の残業時間は当面、これまで通り青天井で決められることになる。

 だが、総務省の112年の調査によると、「過労死ライン」とされる月80時間を超えて残業する人の割合は雇用者全体では14%だが、医師は41・8%。職種別では最も高い割合だ。都内の公的医療機関の産婦人科に勤めていた男性研修医や、新潟市民病院(新潟市)の女性研修医が今年、労災認定されるなど過労死も相次いでおり、規制の猶予を懸念する声が強まっている。

 過労死弁護団全国連絡会議(幹事長・川人博弁護士)や東京過労死を考える家族の会など3団体は今月4日、医師に対する規制の猶予を見直すよう求める声明を発表した。応召義務は「過重労働を助長する」として、廃止するか改正するべきだとしている。



http://www.medwatch.jp/?p=15643
2018年度診療報酬改定、効率的医療提供や働き方改革推進を視点に―医療保険部会
2017年9月7日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、社会保障審議会の医療保険部会で「基本方針」策定議論が始まりました。

 6日の会合では、厚生労働省から▼改定に当たっての基本認識▼改定の基本的視点と具体的方向性—に関する叩き台が示され、これに基づく議論が行われました。「質の高い医療提供」のみならず、少子化を踏まえた「効率的な医療提供」や、働き方改革の推進に向けた「業務負担軽減」など、次期改定に向けたキーワードが見えてきました。

 基本方針策定論議は、社会保障審議会の医療部会でも並行して進められ、12月上旬にはまとまる見込みです。

ここがポイント!
1 人口減少社会の中で医療の支え手不足が生じる、「効率性」も重視した改定に
2 12月初旬には基本方針を固める、委員からは具体的な改定要望も

人口減少社会の中で医療の支え手不足が生じる、「効率性」も重視した改定に

 2006年度の診療報酬改定から、▼基本方針を社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で策定する▼改定率は内閣が予算編成過程で決定する▼基本方針と改定率に沿って、具体的な点数設計を中央社会保険医療協議会で行う—という役割分担が行われています。かつて、中医協に改定に関する権能が集中し、汚職事件が起きてしまったためです。

 概ね、12月初旬に基本方針が決定され、12月下旬に改定率が定まり、年明け1月から中医協で「短冊」と呼ばれる具体的な改定項目案に沿った議論が行われます。もっとも基本方針を待っていたのでは改定論議が間に合わないことから、中医協では先んじて基礎的な議論が進められていることはメディ・ウォッチでもお伝えしているとおりです。

 9月6日の医療保険部会では、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長から基本方針策定論議のための、いわば「叩き台」が示されました。黒田課長は、2018年度には介護報酬との「同時改定」が行われることから、地域包括ケアシステム構築に向けて「医療・介護の役割分担と連携」が重要テーマになることを強調した上で、政府の進める働き方改革やこれまでの重点課題なども踏まえて、▼基本認識▼基本的視点と具体的方向性—のそれぞれについて、柱を立てるとともに、具体的な改定方向を例示しています。

 まず前者の基本認識では、(1)健康寿命の延伸、人生100年時代を見据えた社会の実現(2)地域包括ケアシステムの構築(3)医療・介護現場の新たな働き方の実現、制度に対する納得感の向上―という3つの柱を立てました。

このうち(1)では、「質が高く効率的な医療の実現」や「制度の持続可能性」など『効率性』を強く意識した項目が並んでいます。また(2)の地域包括ケアシステム構築に関しても、「切れ目のない医療・介護提供体制の構築」を上げるとともに、「生産年齢人口の減少などを踏まえ、将来を見据えた医療提供体制の構築」といった点を掲げており、ここでも「効率性」が意識されています。

さらに(3)では、安倍晋三内閣の進める「働き方改革」や「未来投資戦略2017」「ニッポン一億総活躍プラン」などへの対応と同時に、「医療資源の効率的な配分」といった項目にも言及され、やはり「効率性」が重視されています。

「高齢化の進展に伴う医療・介護ニーズの増大」が強調されますが、我が国では出生数そのものが減少しており、今後、医療の支え手(財政面はもちろん、医師・看護師などの医療従事者、メディカル・スタッフ)が減少していきます。こうした点を踏まえて「効率性」が強調されており、「医療費の適正化」だけの視点ではない点に留意する必要があります。
2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(その1)(図 略)

12月初旬には基本方針を固める、委員からは具体的な改定要望も

 後者の基本的視点としては、これまでの診療報酬改定基本方針も踏まえ、さらに近年の醸成などを勘案した次の4本の柱が立てられ、それぞれ「改定の方向性」が例示されました。

(1)地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
例えば、▼病床機能の分化・強化、連携に合わせた入院医療の評価▼退院支援、医科歯科連携、病診薬連携、栄養指導▼質の高い在宅医療・訪問看護の確保―など

(2)新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療を実現・充実する視点
例えば、▼質の高いリハビリの評価などアウトカムに着目した評価の推進▼質の高いがん医療の評価▼難病患者への適切な医療の評価▼小児・周産期・救急医療の充実▼ICTなどの新技術を活用した医療連携、医療に関するデータの収集・利活用の推進―など

(3)医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点
例えば、▼チーム医療(タスクシェア、タスクシフトなど)、勤務環境の改善、医療従事者の負担軽減▼遠隔診療も含めたICTなどの活用―など

(4)効率性・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める視点
例えば、▼薬価制度抜本改革の推進▼費用対効果評価▼退院支援などの取り組みによる在宅復帰の推進―など
2018年度の次期診療報酬改定基本方針に向けて、厚労省が示した「叩き台」(図 略)
 
 この叩き台に沿って、12月初旬まで基本方針策定論議が行われますが、9月6日の会合でも委員から多数の意見が出されています。

 松原謙二委員(日本医師会副会長)は、「遠隔診療を含めたICTなどの活用」に関して、「医師が患者と対面してきちんと診療を行うことが基本である。スマートフォンで診療ができると主張される方もいるが、間違っている」と指摘。今後の中医協論議を牽制するものと言えます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。同じく医療者である武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、過疎地では医療・介護サービスそのものが不足しており、保険制度で誘導しなければ医療・介護提供がかなわなくなってしまう」とし、診療報酬による地域偏在の是正を検討すべきと提言しています。

 菊池令子委員(日本看護協会副会長)は、▼機能強化型訪問看護ステーションの拡充▼医療保険の訪問看護レセプトの電子化推進▼特定行為研修を修了した看護師の活用推進―などを具体的に要望。

一方、費用負担者側のうち経営者サイドの望月篤委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会長)は、▼連携の強化とサービスの効率化▼地域包括ケアシステムの実現に向けた機能分化の推進▼メリハリのついた報酬体系―の3点を掲げ、「診療報酬改定にあたっては、経済成長や財政健全化との調和も重要な柱の1つ」と訴えています。

また、同じ費用負担者側でも労働者サイドの新谷信幸委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「病院に勤務する医師も看護師も労働者である。働き方改革を推進する中で、医療従事者の勤務環境改善を進めてほしい」と強調しています。

さらに元中医協会長である遠藤久夫部会長(国立社会保障・人口問題研究所長)は「診療報酬と介護報酬の同時改定がメインテーマであるなら、基本方針にも両者のリンクが明確になるとよいのではないか」と提案しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/556421
医師の勤務実態、病院種別、診療科別にタイムスタディ
鈴木・厚労省医務技監、全日病学会で講演し説明

レポート 2017年9月9日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏は、9月9日に金沢市で開催された第59回全日本病院学会で特別講演し、医師の働き方改革の議論に資するデータを得るため、病院種別や診療科別などの医師の勤務実態調査を実施する予定であることを公表した。講演後、m3.comの取材に対し、「医師のタイムスタディを検討している」と説明。タイムスタディとは、医師がいつ何を実施しているかを、一定の時間刻みで調べていく調査だ。病院団体や医師会などと協力して進める予定だという。

 鈴木医務技監は、厚労省の「医師の働き方改革推進本部」の本部長を務める(『医師の働き方、診療報酬も議論対象に』を参照)。

 今秋の臨時国会に法案提出予定の労働基準法改正法案では、「時間外労働」の上限規制は、医師は適用猶予とされ、2018年度末を目途に医師への適用の在り方を議論する。鈴木医務技監は、「医師は一般労働者、ここは変えられない」とし、変更の余地があるのは医師の応招義務であると指摘。また「労働と研修の線引き」「地域医療への影響」「(管理)当直」の問題のほか、「女性医師、若手医師」の視点からの検討も必要だとした。「病院に泊まり込んで覚える、といったやり方は、今は通用しない。(働き方改革を進めるには)医師にしかできない業務にシフトしていくことも必要ではないか」。

 その上で、「あまり厳格なルールを適用すると、救急医療や入院医療をやめる例も出てきかねない」とし、医師の勤務実態調査の実施予定を説明した。

 「なぜ変わらなければいけないか」

 鈴木医務技監の特別講演のテーマは、「平成30年 医療・介護同時改定 toward & beyond」。昨今の医療情勢を概説した上で、2018年度診療報酬改定の注目点を説明した。

 「なぜ変わらなければいけないのか。今、変わらなければいけない」

 講演の前段でこう問いかけた鈴木医務技監。「今までの人口の高齢化とこれからの高齢化は全く違う。今までは、高齢者人口が増加していたが、今後は高齢者人口はほとんど変わらない一方、生産年齢人口が減る。保険料収入も減少し、財政的に厳しくなる。現場にとっても大変であり、労働人口が減少する。また日本全国一律ではなく地域差があり、今後の高齢者増加の70%は大都市部」。

 団塊の世代が75歳を迎える2025年の医療、介護の体制を整えることが喫緊の課題だが、それから10、15年後が医療介護のニーズのピークであり、2040年を過ぎるとニーズはピークアウトする。病院経営においては、30、40年のスパンで、ニーズの増加と“引き戦”について考えていく必要性を指摘した。

 同時改定、ポイントは?

 同時改定については、まず財源論に言及。2018年度の社会保障費の「高齢化等に伴う増加額」は6300億円と推計されるが、政府の「経済・財政再生計画」の3カ年の集中改革期間の最終年度であることから、5000億円への抑制が求められる。「子育て支援にどのくらいかかるのか、それが大きなネック」と述べたほか、薬価改定財源をどの程度、診療報酬の改定財源に振り向けることができるかもポイントであるとした。

 さらに同時改定の内容について、「私見」と断り、(1)医療・介護サービス提供体制、(2)地域医療構想、(3)患者本位の医薬分業――について解説。そのほか、在宅、7対1入院基本料、ICT、遠隔医療などにも言及した。

 (1)に関しては、「これまで医療で対応していたものを、介護に変更するのは、同時改定時しかできない」とし、看取りも含めた適切なサービス提供体制などを検討課題として例示。(2)については、病床の機能分化と連携の推進(医療密度に応じた評価)などを例示。(3)の医薬分業については、処方情報の電子化・共有化(電子お薬手帳)などを例示したほか、「なぜ医薬分業を進めるのか」と問いかけ、最近話題の「敷地内門前薬局」を問題視した。院内処方と「敷地内門前薬局」の調剤の技術料には現行では差があるが、「同じ敷地内であるのに、これだけ差があるのは、本当にいいのか」と問いかけた。

 ICTの関連では、地域ネットワークに言及したのが注目点で、「これまでICT投資に対する診療報酬は少なかったが、これからは地域全体で進めるICTについては評価していく方針」。遠隔医療に関しては、「その是非を神学論争するのではなく、最新の技術を臨床現場でどう取り入るかを考えるべき」とした。

 特別講演の最後に、鈴木医務技監は、「将来に向けて(私見)」とし、今後の医療の在り方として、下記の4点について言及。さらに医療財源問題が一層厳しくなることを想定し、「私はここ1、2年のうちに、Catastrophic保険か、混合診療是認かなど、国民的議論を行うことが必要ではないかと考えている」と述べた。Catastrophic保険とは、個人では背負いきれない費用を皆で負担し合い、日常的な医療は保険外とする方法。反対に日常的な医療こそ保険とし、稀な医療は民間保険で対応するのが混合診療是認だという。

【将来に向けて(私見)】
1.Outcomeに基づく評価へ
 人員配置や患者数等のInput/Outputに基づく評価から、在宅復帰率や改善率などのOutcomeni基づく評価へ。
2. Best mix professional
 医師は診断し、診療方針を決定。フォローアップは、他の職種が行うといった、業務内容に応じた職種の適正配置。
3. Precision medicine
 ゲノム医療の進歩により、慢性疾患も遺伝子型により重症化や合併症発現リスクに応じた疾病管理が可能に。
4. ICTの推進
 ICTの導入、推進により、診療データの収集・一元化・分析により、診療状況をリアルタイムんで把握し、それらのデータに基づく電子診療支援システム等の提供を通じて、診療内容を標準化



https://www.m3.com/news/iryoishin/555034
真価問われる専門医改革
専攻医の1次登録、10月1日から開始、日本専門医機構
「研修医の先生は積極的に動いてほしい」

レポート 2017年9月3日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本専門医機構は9月1日の理事会で、2018年4月開始に向けた専攻医の登録スケジュールを合意した。19の基本領域で10月1日から1次登録を、12月16日から2次登録を受け付ける。同機構副理事長の山下英俊氏は 「研修医の先生は各施設に話を聞くなど、積極的に動いてほしい」と話した。

 この日の理事会で合意した、専攻医の登録のスケジュールは以下の通り。
■1次登録
 10月1日 ― 11月15日:受付
 11月16日 ― 11月30日:各学会での採用に対する調整
 12月1日 ― 12月15日:採否の決定

■2次登録
 12月16日 ― 2018年1月31日 受付
 2月1日 ― 2月14日:各学会での採用に対する調整
 2月15日 ― 2月28日:採否の決定

 2次登録決定後も、空席のある施設では登録申請をすることができる。

 理事会後の記者会見で、同機構理事長の吉村博邦氏は「変更があるかもしれない」としつつ、このスケジュールで進めると報告した。総合診療を除く各基本領域では、それぞれの学会ウェブサイトから登録する。総合診療について、副理事長の松原謙二氏は「医師の偏在にも私どもは責任があり、私どもの所で担当し表示していく」として、同機構のウェブサイトからとなることを説明した。同機構は登録のやり方などを記したマニュアルと、「学生と研修医に対する声明」を近く公表するとしている。

 来年度以降は5、6月に1次登録を受け付けるようなスケジュールにしたいとしている。

 専門研修プログラムについても、都道府県協議会の意見などを踏まえて9月中に確定させる。現時点でプログラムが確定しないことに研修医が不安を抱いているという指摘に対して、山下副理事長は「プログラム登録は、初期臨床研修のマッチングのようなものではない。研修医の先生はどこで何をしたいかというイメージを持っていると思う。各プログラムの情報は既に各学会から出ている。個人的にコンタクトを取ることには何の制限もない。自分の将来のことなので積極的に動いていただきたい。基幹施設もどんどん説明してくれる」と呼びかけた。

総合診療、「内科12カ月確認を」

 8月25日に受け付けを締め切った総合診療専門研修プログラムでは、8月28日に「内科研修についての確認のお願い」とする呼びかけを出した。『「内科研修」は「単独で 12 カ月」の研修が必要です。修正が必要の場合は、8月31日までに再提出をお願い申し上げます』と呼びかける内容で、松原氏は、「いくつか、(12カ月ということを)知らないまま出しているところもある。日本内科学会から正式に『自分たちもきっちり育てたいので、12カ月を取ってほしい。オスラー(J-OSLER:日本内科学会の専攻医登録評価システム)を使って内科専門研修と同じようにやる以上は、それが条件である 』 という申し入れがあったので掲載した」と説明した。



https://www.m3.com/news/general/556405
野洲市立病院:住民投票、再議へ 市長、市議選前理由に
地域 2017年9月9日 (土)配信毎日新聞社

 JR野洲駅前に計画される野洲市立病院の是非を問う住民投票の発議案が6日に可決されたことに対し、山仲善彰市長は8日、記者会見し、市議会に対し、採決をやり直す再議を求めたことを明らかにした。市議会は開会中の定例会最終日の22日までに再度審議し、採決する見通し。

 山仲市長は会見で、来月22日に市議選が投開票されることを念頭に「住民投票が仮に市議選前に実施されても、投票結果を基にした議論は改選後の市議会で行われる」と指摘。その上で「選挙結果によっては、市長と市議会の意見の相違が解消される可能性がある」などと理由を述べて再議を求めた。一方、再議で発議案が再び可決された場合、「速やかに住民投票を実施するための予算案を議会に提出する」と語った。【衛藤達生】



https://www.m3.com/news/iryoishin/552078
勤務医の半数以上、「年収少ないと思う」
看護師の声「今の給与では質の担保難しい」

2017年9月8日 (金)配信m3.com編集部

 2017年8月8日 (火)~14日 (月)に実施したm3.com意識調査「現在の収入は、妥当?」において、現在の年収が妥当だと思うかについて質問したところ、全体の半数以上(53.2%)が「少ないと感じる」と回答した。職種別に見ると、看護師の78.6%が仕事の質・量を考慮すると現在の年収を少ないと感じると回答した。
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Q:現在の年収が少ないと感じる理由があればお書きください。
【開業医】

・離島医療に従事しているが、昨今の諸種の物価値上げで実質目減りしている。緊急時携帯電話を常時携帯しているが、その分の拘束料は支払われていない。(50代男性)

・以前経営状態が悪化し、そのため2015年4月から減給となり、その後、徐々に経営状態が改善傾向にあるが少しも昇給がない。(50代男性)

・税金および社会保険料が高いので、働いた労力に比べると勤労意欲がわかない。江戸時代の六公四民状態。(50代男性)

・借金や医療機器更新や人件費などを考えれば、実際に、手元に残る金額が少なすぎる。(50代男性)

・誰にもできないことを自分の時間や命を削って医療に捧げている以上、収入が十分でないと気力が湧かなくなってしまう。(60代男性)

【勤務医】

・今後大学院生活を控えておりできるだけ貯蓄しておきたい。医師一般としても収入が年により(赴任先、大学院生になるか)かなりムラがあり安定しない。(30代男性)

・うちの病院自体が、他県の同職の同キャリアの医師と比べてもらえていない。(30代女性)

・アメリカの癌治療や癌手術する外科医と比較すると低い。日本国内の物価とのバランスや、日本の外科医は技量が高い割に給与が少ない。(40代男性)

・大学病院ではアルバイト込みでやっと近隣基幹病院勤務医の収入に近づくが、超えるわけではない。福利厚生にも差があるようだ。(40代男性)

・研修医教育のため、年間140回講義しています。12~14時間労働かつ土曜日は1日中平日扱いで仕事です。(40代男性)

・脳外科の最高峰の難しい手術を引き受けるのに、他科と給料が同じということには納得ができない。(40代男性)

・そもそも、医学部の教授と教育学部などの他学部の教授の給与体系が全く同じなのが理解できません。また、学生の夏休み・冬休み・春休みは実質的に休みである他学部の教授に対して、医学部の教授は年間休みなく臨床業務を行っているのに給与が同じであるのは納得できません。また、年間麻酔件数が東京都・関東圏内の3倍以上である自分の給与が都内の麻酔科医の給与とほぼ同じことに納得がいきません。決して軽傷例だけを麻酔しているわけではなく、3列並列で1日平均6~7件の麻酔をしているのに、この給与は納得できません。(50代男性)

・勤務時間を考えれば全く少ないと考える。日当直の勤務も入れれば週70時間は働いている。完全な休日が1日も無い週が頻繁にある。私は当然研修医では無く、いわゆるベテラン医師です。(50代男性) ・患者を診ることより、そのシステムを構築すること、管理することを主業務としているので、現実的には膨大な仕事量をこなしている。(50代男性)

・後輩の教育など、業務に入るかどうか微妙な仕事が多く、実務が多いのに管理職で、臨時収入なし。(50代男性)

・専門医資格2種類の評価はなし。訪問診療にも行かされるが、老人ホームからの悪化症例を緊急で受け持つ。これは病院外に別の病棟を持たされているのと同じで、多忙。 週1回の当直あり。66歳より顧問での雇用に変更になったが、仕事の内容は同じかやや多くなったのに、年収は大幅に減らされてしまった。不満を感じる最大の原因は同一労働に対する年齢差別を感じること。(60代男性)

・現在は仕事量から考えれば、妥当な収入と思うが、若い頃、倍以上働いていたのに、収入は半分以下と少なかったので、また退職金制度はないので、他業種に比して、生涯収入は少ないと思う。余生を楽しむための貯蓄額は不十分なので、まだ働かなければならない。(60代男性)

・業績に対する評価としては 不十分。ただし、正確に一般化して評価できるスケールはないためやむを得ない面もある。(60代男性)

・否応なく管理職にさせられたため仕事が以前より忙しくなったにもかかわらず、時間外勤務手当を申請できない。(60代男性)

・労働条件が厳しく、他に研修医の教育や委員会などの活動もあり、自分の印象では、安すぎる。(60代男性)

【看護師】

・看護師の給料の低さについていつも不思議に思います。責任やリスクのある業務をしているにも関わらず、夜勤をしなければ手取りで15万なんて話を聞くと悲しい気持ちになりました。基本給の上昇率が低く、以前の病院では8年目の先輩と住民税がかからない新人の給料がほぼ同じでした。プリセプターをやっても1年で上がる給料は500円。普通の会社で500円なんて金額はないです、患者さんに暴言暴力、感染のリスク、腰痛や慢性疲労を受けるにしては安いと感じます。(30代女性)

・責任、役割が大きくなっているのに、額面が少ない感じがする。(30代男性)

・この収入で夢と希望を持って就職しようと思ったり、離職することで、この収入を手放したくないという気持ちになるような年収ではない。厳しい仕事量と質に対する単価が割に合わない。もっと医療全体の報酬を上げないと、質の保証が厳しくなる。(40代男性)

・現在の勤務先で、私と同じ業務がこなせる人材がなく、唯一無二の存在であるにもかかわらず、経済的評価はなく、自施設にとどめておこうという誠意が見られない。実際、転勤の話があったが、いなくなっては後が困るという理由でこちらに打診もなく上層部がつぶしたという一件があった。そんなに必要ならそれなりの報酬があっていいと感じている。(40代女性)

・夜勤はハードにもかかわらず、手当がかなり少ない。病院によってかなり違いがある。(40代女性)

・基本給が安いと思う(40代女性)

・勤務中にできない持ち帰りの仕事がある。またキャリアが長くなると、責任が重くなるが同じキャリアでも同等の責任配分ではない。(50代女性)

・ある年齢から減る仕組みにされている。(50代女性)

【薬剤師】

・勤務管理をしている管理薬剤師に月20時間程度残業時間を間引かれており、支払賃金が月4万前後少ない。同じ店舗でそのような扱いを受けているのは他におらず、月によっては残業時間の少ない管理薬剤師自身の残業時間のほうが多いこともあり、納得がいかない。当事者曰く「上から庇ってやっている」と脅され、恐怖を覚えた。人事責任者に訴えたところ、未払い分の支払いもなく、3カ月を置かずに2回転属を強要されている。もはや訴訟案件だとは思うものの、家庭内収入を考えると安易に転職もできず、同じm3.comを利用しているので掲示板に相談するわけにもいかず。また、同じ店舗の薬剤師の正社員は、自分のほか管理薬剤師とその妻であり、訴訟を起こすと薬局自体が立ち行かなくなるのは明らかでどうしようもない。(30代女性)

・当直を月3~4回。残業もほぼ毎日やっている。それくらい業務量が多いのに、給料が上がらない。(30代女性)

・管理職ということで残業代が支払われないが、管理職手当が月に1万円では割に合わないです。毎月50時間以上の残業ですし、座る暇もない程の仕事量です。(40代男性)

・調剤薬局勤務薬剤師は給料が頭打ちになる 700万円以上行けばよい方だ。他の職種で1000万円オーバーはざらにある。(40代男性)

【その他の医療従事者】

・大卒、6年目と考えると、やや少なく思える。また、年間での伸びしろがほとんどない状態。(20代男性)

・診療放射線技師として主にMRIの撮像、管理を行っています。各診療科医師も放射線科医もMRIの知識が乏しく、患者さんの安全性に関しては医師から丸投げ状態。また撮像シーケンスに関しても現場で考えて判断している状況です。読影に関しても明らかな見逃しが多く、私たちで医師に報告しなければ患者さんの命に関わることも多い状態です。(30代男性)

・パートの掛け持ちから常勤へ転向して、拘束時間ばかり増えて年収は増えていない。(50代女性)

【調査の概要】
調査期間:2017年8月8日~14日
対象:m3.com医師会員
回答者数:1735人(開業医227人、勤務医840人、歯科医師11人、看護師28人、薬剤師268人、その他の医療従事者45人)
回答結果画面:現在の収入は、妥当?



https://www.m3.com/news/iryoishin/552077
開業医「年収3000万超え」2割以上
講演料、不動産収入…勤務先以外からの収入源も

レポート 2017年9月8日 (金)配信m3.com編集部

 2017年8月8日 (火)~14日 (月)に実施したm3.com意識調査「現在の収入は、妥当?」において、現在の年収について質問したところ、医師と医師以外の職種で年収に大きな差が見られた。特に、開業医の2割以上が「年収3000万円を超えている」と回答した(22.5%)。また、勤務医で最も割合が高かったのは「1500万円~2000万円未満」の層だった(26.7%)。
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 医師のみで切り出して見ると、男性医師と女性医師の年収にも差が見られた。年収1000万円以上の回答者の割合が、男性医師が77.9%であるのに対して、女性医師は48.8%だった。
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 収入源について質問したところ勤務医の4割以上(41.1%)がアルバイト先から収入を得ており、開業医の割合(22.9%)の約2倍と大きく差をつけていた。
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Q3:【勤務先以外】の収入源について、どのような仕事(趣味)か、収入額はいくらかなどについてご自由にお書きください。
【開業医】

・内視鏡バイト半日4万5000円、講演料1時間で1万円~2万円程度。(30代男性)

・健診や内科、糖尿病外来、訪問などのスポットバイト。(40代女性)

・株の配当譲渡益、製薬会社の講演会座長など。(50代男性)

・支払基金の審査、50万程度。(50代男性)

・内科開業医です。校医をしています。(50代男性)

・介護保険関連や介護認定審査会の収入。(60代男性)

・リハビリテーション学校の講師。(60代男性)

・不動産賃貸、管理。1500万円。(60代男性)

・以前の勤務先を退職して、現在非常勤で週2日勤務している。別に他の病院でアルバイトを週1回程度している。時間は十分にあるので、若い時にできなかった医学以外の勉強(哲学、経済、歴史など)をしている。収入は少ないが生活には困らない。充実した生活を送っている。(60代男性)

・社会保険審査12万円前後、 産業医11万円、医師会出務費4万5000円(60代男性)

【勤務医】
・アルバイト先は定期非常勤が月2回、医局のバイト、ほぼ寝当直で4万円/回。自分で探したスポットが月1~3回ほど、大体が当直(寝当直)で3~5万/回。FXがほぼ趣味、良くて月数千円程度。(20代男性)

・きちんと報酬のある病院へ移りたい。おそらく、月3000万円以上売り上げている。年収1億程度が適切と考える。来年移動しようと考えている。(30代男性)

・常勤の勤務先以外に、内科外来・救急当直をしています。契約は年単位で月額も定額で100万円以上です。(30代男性)

・自分の診療科のバイト。週1でも、主たる勤務先の倍の額をもらえる。(30代男性)

・寝当直。半分以上はバイトが収入源。(30代男性)

・家賃収入・配当など。約2000万。(30代男性)

・バイト先から年収600万円程度。(30代男性)

・不動産投資で年収300万円ほど。(30代男性)

・株式の配当金100万円程度。(40代男性)

・保健所の嘱託医業務、製薬メーカーでの講演料、当直・日直アルバイトなど。(40代男性)

・看護学校等の講義。1コマ90分の講義で1回1万3000円。医学生に教えることと看護学生に教えることは異なり、90分の講義でもその準備には大変な労力がかかります。それでこの金額は信じられません。ただ、看護学校の学長が元医学部長なので断れません。本来、保健学科の教授が講義すべきですが、保健学科の教授の能力不足でできない状態です。(50代男性)

・医療機関顧問 年間150万円、講演料 年間120万円。(50代男性)

・公立病院の外科部長。年収税込みで1500万円くらい。(50代男性)

・緩和ケアに関連した外勤先が主。大学からの収入と同程度を得ている。(50代男性)

・子ども急患センターの準夜勤(19:00~23:00)が月2回+GW・年末年始に各1回で、140万円、4つの保育所の園医として健康診断等で25万円、保健所等の講演依頼があれば1回2~3万円。(60代男性)

・近くの旧国立病院(現在産婦人科なし)での入院患者のための出張診療(他科からのコンサル)、以前住んでいたところを賃貸に出している家賃収入。(60代女性)

・地域の急患診療所月1回当番。日中4時間または夜間3時間。1回で5~6万円。(60代男性)

・公務員なので何もやらせてくれない 禁止ですと宣言された。(60代男性)

・学校法人、社団などの理事報酬 。(60代男性)



https://www.m3.com/news/iryoishin/555529
医師「貯蓄額4000万円以上」2割超え
貯蓄の目的「老後のため」1位

2017年9月9日 (土)配信m3.com編集部

 2017年8月15日~8月21日に実施したm3.com意識調査「お財布のひも、固い?緩い?」において、現在の貯蓄額について質問したところ、開業医の6割以上、勤務医の半数以上の貯蓄額が1000万円以上だった。「貯蓄額4000万円以上」との回答も、開業医の28.6%、勤務医の18.9%で、医師全体で2割を超えた。また、医師以外の医療者を見ると、「100万円以上500万円未満」とした回答者の割合が最も多かった。
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 毎月の貯金額について質問したところ、勤務医で最も多かったのは「20万円以上40万円未満」。それ以外では、「5万円未満」との回答が最多だった。
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貯蓄の目的について質問したところ、以下の順位だった。

1位「老後のため」
2位「子どもの学費、生活費のため」
3位「積極的に貯金をしようとしていない」
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  1. 2017/09/10(日) 08:42:41|
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Google Newsでみる医師不足 2017年8月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年8月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 8,670
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 17,700
First 5 in Google in English 

Paging Dr. Freelance: Hospitals' use of contract doctors soars amid physician shortage
STAT AUGUST 28, 2017 (米国)

These shortages take a toll on Canadians' health. Patients with no regular doctor are less likely to get annual exams or other preventive care. Many are forced to use walk-in clinics staffed with doctors who don’t know them or their medical history. And the evidence shows that there’s a strong correlation between a population with access to effective primary care providers and positive health outcomes.



The rise of the freelance doctor: Hospitals are turning to pay-per-hour staff amid 10,000 physician shortage in the US

Daily Mail‎ online 28 August 2017 (米国)

In 2015, there was a shortage of close to 10,000 physicians across the US. Hospitals are hiring freelance doctors to help make up for the shortage. Freelancing in the medical field is growing due to better benefits and the ability to make your own schedule.



Rural areas hit hardest by growing doctor shortage
Herald-Whig‎ - Aug. 19, 2017 (米国、イリノイ州)

Quincy -- A doctor shortage is looming in America, and rural medical centers are bracing themselves to take the hardest hit. Sitting at the laptop computer in his office, during a rare moment of downtime, Scotland County Hospital's Dr. Randy Tobler picked apart every aspect of the shortage, as he sees it. Cultural factors, the lack of resources in rural areas, goverment red tape, doctor burnout -- all have melded to fuel what the Association of American Medical Colleges believes could be a shortage of up to 100,000 physicians by 2025.



Doctor Shortage Under Obamacare? It Didn't Happen
New York Times‎ - AUG. 14, 2017 (米国)

When you have a health problem, your first stop is probably to your primary care doctor. If you've found it harder to see your doctor in recent years, you could be tempted to blame the Affordable Care Act. As the health law sought to solve one problem, access to affordable health insurance, it risked creating another: too few primary care doctors to meet the surge in appointment requests from the newly insured.



Dr. Gene Dorio: Doctor Shortage
KHTS Radio‎ - August 26, 2017 (米国、カリフォルニア州)

We do not have enough doctors. Passage of the Affordable Care Act (Obamacare) amplified this deficiency in our healthcare system. Even with new insurance in hand, many patients had no where to go, or waited months for an appointment.
There is a solution to this shortage: Enroll experienced nurses, physician assistants, and nurse practitioners in accelerated medical schools for two years…not four. Cover their tuition costs with loans and service-back-to-the-community.



(他に10位以内のニュースは、全米、米国・フロリダ州、カナダ・マニトバ州(2)、ノバスコチア州、からも)


  1. 2017/09/01(金) 05:41:56|
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8月31日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170830-OYTET50033/
田村編集委員の「新・医療のことば」
「専攻医」は、「研修医」とどう違う?

2017年8月31日 読売新聞

新専門医制度がスタート

 新しい専門医制度が、2018年4月に導入される見通しです。特定の診療領域について十分な知識や経験を持って適切な医療を提供できる「専門医」は、これまでさまざまな学会が独自に認定していました。新制度では、学会や医師会、病院団体らが参加する日本専門医機構が設けた統一基準で認定されます。目的は、専門医の質を確保するとともに、患者にも分かりやすい制度を作ることです。

 医師が専門医と認定されるには、原則3~5年程度の研修プログラムを修了した上で、試験に合格しなければなりません。新制度では、この専門医研修プログラムに登録、実践中の医師を「専攻医」と呼びます。

「研修医」に広義と狭義の意味

「専攻医」は、「研修医」とどう違う?

 それでは、専攻医と研修医はどう違うのでしょうか。

 実は、研修医という言葉も、専門医認定が学会次第でばらばらだったように、あいまいに使われてきました。

 狭義では、医師国家試験に合格した後に2年間義務づけられている「初期臨床研修」中の医師を言います。初期臨床研修は、基本的な診療能力のある医師を養成することを目的に、2004年度に始まりました。法律に義務づけられた制度で、内科、外科、救急などを2年間かけて回ります。

 これに対して、初期研修を終えて専門の診療科へ進んだ医師を、よく「後期研修医」と呼びます。おおむね3~5年目の医師をさします。そこで、広義では、後期研修医も研修医という枠に含めてきました。

 ただ、初期研修と後期研修では、制度的な位置づけでも仕事の内容でも、両者の立場は、大きく異なります。3年目以降の後期研修医ともなれば、病院は若手の貴重な「戦力」と捉えます。

 新制度の「専攻医」は、この後期研修医にあたります。初期研修医とは呼び名でも区別されます。今後耳にすることが増えるでしょう。

10月初旬に登録開始の予定だが…

 新しい専門医師度は、もともと、今年度からの導入が予定されていました。しかし、大学病院中心の研修プログラムが、地域の中小病院の医師不足を助長するのではないか、との懸念が指摘され、制度の見直しのために1年延期されました。

 日本専門医機構は今月4日、新制度を来年4月に開始すると正式に表明しました。今年10月初旬をめどに、来年度の専攻医の募集、登録を始めたい考えです。

 制度の見直し作業に時間がかかったことから、来年4月の開始に向けたスケジュールはかなり厳しくなっています。これから9月にかけて、各都道府県で関係者による協議会が開かれ、研修プログラムが適切かどうか審議がされます。10月の登録開始後も、専攻医の応募状況に地域や診療科の偏りが出るかも知れません。機構は、今後も様々な調整を求められそうです。(田村良彦 読売新聞東京本社編集委員)



https://www.kobe-np.co.jp/news/seiban/201708/0010509599.shtml
赤穂市民病院が分娩受け入れ休止 再開めど立たず
2017/8/30 22:30神戸新聞NEXT

 兵庫県の赤穂市民病院(同市中広)が9月1日から、産婦人科の分娩の受け入れを休止する。常勤医師1人が今月に退職し、出産態勢が整わなくなった。同病院は、新たな医師を確保して早期の再開を目指すが、医師不足もあり見通しは立っていない。市内では赤穂中央病院(同市惣門町)が受け入れを続けているが、近隣市町の住民も利用する市民病院の休止に、関係者らからは不安の声も漏れる。(西竹唯太朗)

 同市民病院の休止に伴い、姫路市以外の西播磨地域で出産できるのは、赤穂中央病院と公立宍粟総合病院(宍粟市山崎町鹿沢)、公立神崎総合病院(神河町粟賀町)の3病院のみとなる。

 同市民病院によると、産婦人科は1952年に開設。医師不足のため2008~11年、分娩の受け入れを一時制限したことがある。

 その後、同科には昨年まで常勤医師が4人いたが、今年4月に定年などで2人が退職。さらに8月にも1人が退職したため、残る1人では帝王切開など緊急時の対応に不安があると判断し、休止を決めたという。

 産婦人科は9月以降、婦人科として診療する予定。出産を予定していた妊婦には希望を聞き、姫路市などの病院を紹介する。

 赤穂市民病院は「大学病院の医局に医師の派遣を依頼しているが、産婦人科医が減っており厳しい状況。できるだけ早く再開させたい」としている。

 赤穂市内の2病院が2016年度に扱った分娩は計648件。市民病院は249件(うち市外からの利用は144件)、赤穂中央病院は399件(同252件)だった。隣接する岡山県も含めて市外の利用者が約6割を占めた。

 このため、市民病院の分娩受け入れ休止で、赤穂中央病院の負担が増す可能性もあるが、同病院は「妊婦が増えても受け入れを制限する予定はない」とする。

 同病院は市民病院から100人程度の妊婦が移ってくると予想。産婦人科には常勤医師が3人と非常勤が2人在籍しており、「グループ病院から医師の応援もあるので、受け入れに問題はない」と力を込める。

 ただ、市民らの間には不安の声もある。出産を予定する赤穂市御崎の主婦(36)は「もし中央病院に受け入れてもらえなければ、姫路か宍粟まで行かないといけない。どうしたらいいのか…」と漏らす。

   ◇   ◇

 ■医師の地方派遣、余裕なく 少子化対策に壁

 分娩の受け入れを休止する赤穂市民病院。病院側は新たな医師の確保を模索するが、地方の産婦人科医不足が壁となっている。同市を含む近隣市町は若者の定住を狙い、出産や子育て支援の充実を掲げており、自治体の施策に影響する可能性もある。

 赤穂市は上郡町、岡山県備前市とともに「東備西播定住自立圏」を構成。中核病院に位置付ける同市民病院では通常、市民以外は医療費を高くしているが、自立圏を結ぶ両市町民は同額で出産することができる。

 このため、隣接する岡山県備前市などからも妊婦が訪れる。同市民病院で長男を出産した備前市の女性(32)は「岡山市の病院よりも近く便利だった」と振り返る。

 兵庫県医務課によると、県内で2014年度に勤務した産婦人科医は482人。医師数は10年前と比べてほぼ横ばいだが、地域別では差があるという。

 神戸市が最多の159人で、阪神154人、東播磨62人、中播磨49人と続く。一方で、西播磨は11人と丹波6人、但馬9人に次いで少なかった。

 日本産婦人科学会は、04年に導入された新臨床研修制度が影響しているとみる。同学会の担当者は「研修医が大学病院だけでなく、一般病院を研修先に選べる制度となり、大学病院は地方に派遣する余裕がなくなった」と推測する。過酷な労働環境もなり手不足に追い打ちをかけているという。

 赤穂市の明石元秀市長(66)は今月、市民病院の分娩受け入れ停止の決定を受けて、病院長と一緒に大学病院を訪れ、医師の派遣を申し入れた。明石市長は「少子化対策を打ち出す市にとって非常事態。一刻も早く再開させたい」と話している。



http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170830/KT170829FTI090007000.php
市立大町総合病院 再び分娩休止恐れ 医師1人が退職へ
(8月30日)信州毎日新聞

 大町市立大町総合病院が医師不足を理由に、10月から分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止する可能性があることが、29日分かった。2人いる常勤の産婦人科医のうち70代の医師が9月末で退職し、「1人態勢では困難になる」ことが理由。大北地方で唯一分娩を取り扱っており、2015年3〜9月も医師不足で分娩を休止した。病院は9月末までに新しい医師を確保し、休止回避を目指すとしている。

 牛越徹市長が市議会9月定例会のあいさつで明らかにした。退職する医師は分娩休止中の15年9月に着任。井上善博院長兼事業管理者は「懸命に働いてくれた」とするものの、一身上の都合で7月末に退職を申し出たという。

 産婦人科では現在、40〜50人の妊婦が検診を受けている。分娩休止となれば、安曇野市内や松本市内などの病院へ行くことになるが、最寄りの穂高病院(安曇野市)でも車で30分ほど遠くなる。

 大町総合病院は県医師確保対策室や民間の医師紹介会社などに医師確保を依頼しており、すでに数人と連絡を取ったという。井上院長は「どこの病院でも産婦人科医は不足している。確保のハードルは高いが懸命になって確保したい」と話している。

 県内では、飯山赤十字病院(飯山市)も医師不足により16年4月から分娩の取り扱いを休止している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/554433
日医会長「医師の倫理観と社会的使命、認識を」
臍帯血無届け投与事件受け声明

レポート 2017年8月30日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 他人の臍帯血を使った再生医療が無届けで行われ、臍帯血を投与した医師と臍帯血販売業者計6人が逮捕された事件を受け、日本医師会は8月30日、「医師には医療倫理や生命倫理に対するより深い理解と責任ある行動が強く求められている。改めて、医師として持つべき倫理観と社会的使命を、全ての医師が認識すべきと考える」などとする声明を発表した。

 声明は、倫理観とともに、再生医療の実施に当たって安全性と有効性の慎重な判断を医師に求め、国には臍帯血など人体組織の保管や流通について、法規制を含めた監督・監視体制の整備を求める内容。都内で記者会見した日医会長の横倉義武氏は「安全・安心な医療の提供は医師の責任だが、それによって民間の臍帯血バンクに対する(公的な)監督はなくてもいいということにはならない。血液は日本赤十字社を中心に準公的な機関で管理されており、少なくともそれに準ずるものが必要だと考えている」と述べた。横倉氏によると、今回逮捕された医師は日医の会員ではないという。

 日医の声明全文は次の通り
臍帯血の違法投与に対する声明

 今般、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、再生医療等安全性確保法という)違反容疑で、民間の臍帯血販売業者と臍帯血を投与した医師が逮捕された。この事件は、本年5~6月にかけて、再生医療等安全性確保法で義務付けられている第一種再生医療等提供計画を、国に提出せず臍帯血の投与をしていたとして、10以上の医療機関が同法の規定に基づく当該再生医療等の提供の一時停止命令を受けたことに関連するものである。

 再生医療は、難病治療への活用をはじめとして大きな期待のかかる医療である。その一方で、再生医療にはまだ未解明な部分も多く、その実施に当たっては安全性と有効性の慎重な判断、治療を受ける患者に対する十分な説明と同意が、医師に強く求められることは論をまたない。今回逮捕された医師は、再生医療等提供計画の届出違反のみではなく、再生医療等安全性確保法の適用除外となるよう、カルテの傷病名を改ざんしていたとの一部報道もある。事実関係の解明が急がれるが、これが事実だとすれば極めて悪質と言わざるを得ない。

 高い倫理観と医療安全の追求は、常に医師の根幹になければならない。日本医師会では1998年に「会員の倫理・資質向上委員会」を設置し、医師の倫理向上のための種々の取り組みを行っている。2000年に採択 した「医の倫理綱領」では、「医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める」こと、また「医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める」ことなどを、医師の持つべき倫理観としてうたっている。医学・医療の進歩と発展は、再生医療やゲノム編集などの新たな可能性を開き、国民にとって大きな福音となる可能性を秘めている。しかし同時に、医師には医療倫理や生命倫理に対するより深い理解と責任ある行動が強く求められている。改めて、医師として持つべき倫理観と社会的使命を、全ての医師が認識すべきと考える。

 また、今回医療機関が投与した臍帯血は、倒産した民間の臍帯血バンクが保管していたものを別の業者が販売したものであるといわれており、保管状況によっては深刻な感染症のリスクも懸念されるものである。今回の事件によって、再生医療全体の進歩が阻害されることがあってはならないと考える一方で、国は、民間の臍帯血バンク等の業者による臍帯血などの人体組織の保管や流通に関して、法的な規制を含め厳格な監督・監視体制の整備を早急に検討する必要があると考える。加えて、国民に向けた再生医療に関する正しい知識の普及と啓発に、一層の努力を傾注することを望む。

 日本医師会は,厚生労働省の厚生科学審議会再生医療等評価部会などの場を通じて、それらの実現にむけて積極的に発言していくとともに、国民の健康に資する再生医療の環境整備に向けて、今回の事件の真相が速やかに解明され、適切な再発防止策が取られるよう今後とも注視していきたい。



http://inamai.com/www/ictnews/detail.jsp?id=49002
新山診療所廃止を諮問 
2017年8月28日(月曜日)  伊那毎日新聞

 伊那市は患者数が減少し収支が悪化していることや、担当する医師の負担が大きいことなどから、新山診療所を今年度末をもって廃止したい考えを示しました。
 25日に伊那市医療政策審議会が伊那市役所で開かれ、新山診療所の廃止について、審議会に諮問されました。
 新山診療所では、毎週水曜日の午後3時30分から午後4時30分までの1時間診療を行っています。
 収支は年々悪化していて、昨年度は126万円の赤字でした。
患者数も減少傾向にあり、平成26年度に9人だった患者数は、今年度は固定の4人となっていて、今後も増える可能性は少ないとしています。
 また、担当する医師は、高遠町長藤、西箕輪、新山の3診療所を兼務していて負担が大きくなっているということです。
 これらのことから、伊那市では今年度末をもって新山診療所を廃止したい考えを示しました。
 地元からは廃止はやむを得ないとして一定の理解を得ましたが、廃止後の通院手段の確保について支援を求める意見が出されたということです。
 審議会の委員からは、「診療所の跡地はどうするのか」「送迎ボランティアの充実が必要だ」などの質問や意見が出されていました。
 審議会では9月中に再度会議を開き、答申書をまとめることにしています。



https://www.jiji.com/jc/article?k=20170830Pr4&g=jmp
横須賀市立市民病院に産科常勤医師が着任します=神奈川県横須賀市
(2017/08/30 13:54:08)時事通信/横須賀市プレスリリース

 平成29年9月16日、市民病院(指定管理者:公益社団法人地域医療振興協会)に産科常勤医師1人が着任します。
 市民病院では、平成22年11月から助産師が分娩を介助する「院内助産」に取り組んできましたが、産科常勤医師の着任により分娩受付の対象妊婦を拡大し、里帰り出産などのニーズにも応えてまいります。
1 対象妊婦
 (1)現在の妊娠経過が順調な方
 (2)持病の無い方
 (3)経産婦の場合で、前回の妊娠・分娩経過で異常が無かった方
【新たな対象者】
 (4) (1)から(3)を満たさないが、医師の診察の結果、市民病院での分娩が可能と判断した方
 (5)里帰り出産の方(医師の診察により判断します)
2 分娩予約受付開始日
 平成29年9月1日(金曜日)(分娩予定日が平成30年1月以降の方)
3 他の地域で里帰り出産を予定している方の妊婦健診
 平成29年9月から始めます。
 市民病院産科・婦人科外来までご相談ください。
4 問い合わせ先
 横須賀市立市民病院
 (電話)046-856-3136(代表)産科・婦人科外来へ
 (受付時間)平日午前8時30分から午後5時まで



https://www.m3.com/news/iryoishin/553179
地域医療構想調整会議の『調整』を、千葉大病院の取り組み-竹内公一・千葉大病院特任准教授に聞く◆Vol.1
大学の地域医療連携部、高度急性期病院としての使命を果たすこと

インタビュー 2017年8月31日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 地域医療構想調整会議を『調整』する――。千葉大学医学部附属病院地域医療連携部は千葉県からの依頼を受けて、千葉県内9つの調整会議にファシリテーターとして参加している。特任准教授の竹内公一氏は「厚労省が提示するツールがどうであれ、会議の『調整』に対して責任を負う人が必要」と語る(8月2日にインタビュー。全3回の掲載)。

 地域医療構想は2016年度末までに全国で策定され、今年度は各地域で具体的な医療機関名を挙げての調整を進めるように厚生労働省は求めている(『地域医療構想、47都道府県、構想区域別に一挙掲載』、『2017年度下期には「具体的な医療機関名を」、地域医療構想調整会議』を参照)。

――千葉県から委託を受けて、地域医療構想調整会議を『調整』しているとのことですが、そもそも千葉大病院の地域医療連携部はどのような組織なのでしょうか。

竹内公一氏 多くの病院にある地域連携部のように、看護師やソーシャルワーカーが中心となって退院調整を行っています。千葉大病院の独特な点としては、私たちのような研究部門も内部に抱えており、電子カルテ、病院情報システムを扱う企画情報部とも密接な関係にあることが挙げられます。研究部門は、もともとは地域医療再生基金によって設置された千葉県の医療政策について分析する研究組織が母体になっています。県庁からは常に1人が客員研究員として出向してきています。

 研究部門と入退院支援業務の関係ですが、地域の医療機関の情報が最も入ってくるのが入退院支援業務です。「この地域では新しい先生が開業して、みんな持って行っているらしいよ」「訪問看護ステーションが潰れた影響で混乱が生じている」といった、地域の医療状況をダイレクトにウオッチできます。イメージとしては、そういった情報を基に研究部門が地図を描き、その上で入退院支援のメンバーが仕事をするといった感じでしょうか。

 大学病院の地域医療連携部としては、高度急性期病院としての使命を果たすために、いかに患者さんを外に転院させていくか、在院日数を短くするかが重要です。そのための環境作りが研究部門に求められており、今ある地域資源の中で理想的に何ができるかを考えるのが我々の責務です。

――地域医療構想との関わりについて教えてください。
 地域医療構想策定に向けて話し合いが始まった2015年度は、一参加者としての立場でした。県庁から内々で見ておいてほしいという要請があり、最初はそれぞれの地域のホームページを見て、そこから傍聴希望を出していました。傍聴した結果を部内でシェアし、ディスカッションしていました。

 正直に言って、どこの会議も何を行うべきなのかが分かっておらず、議論がかみ合っていませんでした。日頃、行われている医療圏ごとの保健医療審議会は形骸化している面もあり、そこから脱していません。県庁と会議の実施主体である保健所の間にギャップがあり、さらに参加している医師たちとの間にもギャップがありました。「地域医療構想とは何か」という説明も、短いところでは10分、長いところでは1時間かけていましたが、どちらも上手く伝わっていませんでした。率直に言って、時間の無駄と言わざるを得ない状況でした。

 千葉大のある千葉市では、政令市であり県から離れていることもあり、うちの病院長が会議を呼びかけて病院長会議を開催し、実質上の調整会議のようなことをやっていました。

――計画策定が本格化した2016年度はどのような関わりだったのでしょうか。
 2016年度には県庁から地域医療連携部に「研究者」として出席依頼がありました。会議に参加している医師会の先生が、「さすがにこれはまずいよね」と県庁に相談したようで、我々にファシリテーションや会議を仕切れる人を派遣してほしいと話がきました。7月に依頼があり、8月に千葉県内の保健福祉センター長(保健所長)を対象とした、「調整会議で何をすべきか」というコンセンサスを得る勉強会を開催し、その後、10月までに各圏域での保健医療連携会議・地域医療構想会議に参加しました。

 やったこととしては、資料の徹底活用があります。これまでは大量のデータが紙で配られていましたが、それでは誰も見てくれません。我々は各地域の実情をまとめたA4表裏の箇条書きコメントシートを作成し、20分で話せるようにしました。

 私が担当している東葛南部(市川市、船橋市、習志野市、八千代市、鎌ケ谷市、浦安市:人口約180万人)では、高度急性期はやや過剰、急性期は過剰、回復期は不足となっています。しかし、回復期の病棟からは「いやいや、結構空いているよ」、急性期からは「回復期が見つからなくて困っている」との声がありました。急性期病床でも、患者さんを出す先が見つからず、事実上の回復期機能を担っていたりします。

 データを共有し、当事者たちの肌感覚を話してもらうだけで、すぐに「この地域ではこことここがつながればいいのでは」という話が、病院長、事務長同士ですぐに始まりました。会議として上手くいったかなと思います。



http://www.news24.jp/nnn/news8848364.html
大町総合病院 お産再び休止か
(長野県)[ 8/30 11:58 テレビ信州]

大町市の大町総合病院で、産婦人科の常勤医師2人のうち、70代の男性医師が9月末で退職することになり、10月からお産の取り扱いを休止する可能性があることが分かった。この病院では2年前にも半年ほど、お産を一時休止している。



https://www.kochinews.co.jp/article/121926/
嶺北中央病院 4年ぶり赤字 医師不足、患者減響く
2017.08.30 08:30 高知新聞

 嶺北地域唯一の公立・救急病院、長岡郡本山町の町立国保嶺北中央病院(佐野正幸院長)が、2016年度決算で4年ぶりの赤字に転落したことが分かった。病院事務局は「医師不足による患者数の減少が要因として考えられる。改革プランを進めて経営の安定化を目指したい」としている。赤字額は4771万円で、町は29日開会の町議会9月定例会に決算議案を提出した。...



http://www.medwatch.jp/?p=15468
適切なデータから、各病院が「地域の状況」と「等身大の姿」を把握してほしい―日病・相澤会長インタビュー(1)
2017年8月29日|GHCをウォッチ MedWatch

 今年(2017年)5月末に、日本病院会の新会長に相澤孝夫氏(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)が就任されました(関連記事はこちらとこちら)。
 
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、かねてより相澤会長・相澤病院と共同研究を続け、例えば「地域医療構想における、医療資源投入量に着目した高度急性期や急性期の切り分け」「重症度、医療・看護必要度のデータ精度向上」などが、国の政策にも取り入れられています。また、日本病院会が展開する出来高算定病院向け戦略情報システム「JHAstis(ジャスティス)」では、GHCが分析やレポート作成の支援を行っております。

 このたび、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)代表取締役社長の渡辺幸子と、米国グローバルヘルス財団理事長のアキよしかわが、相澤会長に、日本の医療改革に向けたお考えを詳しく伺いました。

相澤会長インタビューは2回に分けてメディ・ウォッチでお伝えします。第1回は、日本の医療変革において求められる視点と、日本病院会の「病院総合医」構想です。

ここがポイント!
1 データを基に、地域と自身の「等身大の姿」を見なければいけない
2 チーム医療から病院全体までマネジメントできる「病院総合医」養成
3 適切なデータをもとに、国への提言を進める

データを基に、地域と自身の「等身大の姿」を見なければいけない

渡辺:日本最大の病院団体である日本病院会の会長に就任されました。これから2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定が行われ、あわせて第7次医療計画、第7期介護保険事業(支援)計画のスタート、国民健康保険の財政単位都道府県化など、大改革が進みます。今後、病院自らも変革が求められると思われます。日本の医療、さらには病院がどう進んでいくべきか、お考えをお聞かせください。

相澤:日本の医療は嵐の中にあると思います。今、変わらなければいけない。私は、大きく2点の変革が急務であると考えています(関連記事はこちら)。

1つは、自院の機能、等身大の姿を見ることです。

これまで、ともすると「公立病院だから」「大学病院だから」「国が指定した認定病院だから」という設立主体の議論で、役割分担を考えてきたように感じます。

しかし、実際に提供している医療の内容から機能を見ていくことが重要でしょう。各病院が、客観的に「地域の状況」を把握して、「等身大の姿」を見ることがまず必要です。ここがスタートになります。

2つめに、適切なデータの整備が必要です。地域の状況を把握しようとしても、今のところデータはバラバラです。地域の状況が今どうなっていて、将来はどうなるのか、各病院の機能・役割を考えていく上で、こうしたデータが必要不可欠なのです。

 日本病院会の会長として、この2点をまず進める必要があると考えています。

 この2点を進めた上で、各病院のトップや経営陣が、適切なマネジメントをしていくことが求められます。日本の病院では、例えば肺がんなど、個別の疾患治療に関するマネジメントはしっかり行えていますが、病院という組織全体でのマネジメントは必ずしも適切に行えていないのではないでしょうか。そのために非効率になっている部分があると思います。

チーム医療から病院全体までマネジメントできる「病院総合医」養成

渡辺:非効率というと、具体的にはどういった点でしょうか?

相澤:先ほどの肺がん治療でいえば、執刀医自身が、術後の管理を行い、退院後も外来でフォローしています。これではあまりに非効率・非生産的なので、執刀医が「この先生なら信頼できる」という医師に術後の管理などを任せる仕組みを作りたいと思っています。現在、日本病院会では「病院総合医」養成に向けた体制づくりを進めています。

渡辺:新たな専門医制度の中で、「総合診療専門医」の養成が始まりますが、異なるものなのですか。

相澤:総合診療専門医は、卒後2年間の初期臨床研修を修了した医師を対象としています。しかし、まだ若手の先生であり、例えば肺がんの手術を担当した医師が「安心して任せられる」と考えるかどうか疑問です。これでは、執刀医が「自分で術後の管理も行わなければいけない」と考え、非効率の循環を断ち切れません。

そこで日本病院会では、6年・8年と一定の臨床経験を積んだ医師を対象に「病院総合医」として養成していこうと末永裕之副会長(小牧市民病院病院事業管理者)を中心に検討を進めています(関連記事はこちら)。アメリカでは、病棟管理と総合内科診療を行う「ホスピタリスト」という総合医が活躍しており、日本版のホスピタリストと言えるかもしれません。

10月頃に「病院総合医」の養成カリキュラムを固める予定です。このカリキュラムを実施できる施設を日本病院会で認定し、カリキュラムを修了した医師を「病院総合医」として日本病院会で認定することになります。

渡辺:壮大な計画ですね。術後管理のほかに、どういった役割を担うのでしょうか。

相澤:まず重要なのが「チーム医療のマネジメント」です。執刀医ではない、病院総合医が多職種のチームを調整します。その際、チームのリーダーを看護師が担うケースもあれば、リハビリ専門職が担うケースもあると思いますが、チーム全体のマネジメントは病院総合医に行ってもらう。

 こうした経験を積むことで、チームマネジメントとはどういうものかが分かってきます。その上で、病院総合医が病棟全体を管理し、さらには病院全体を管理する院長、副院長になることも期待しています。チーム医療が分かり、地域の状況・病院の組織全体が分かる人間に病院全体を統括してもらいたいと考えています。

 組織を統括するためには、「データを見て、考え、どう判断すべきか」を学ぶ必要があります。地域を見ることができ、かつ地域の変化も認識でき、さらに自院の医療も見ることができる。こういう人材が求められています。

 各病院でこういう人材を養成できれば、日本の医療全体が良い方向に動いていくでしょう。

 病院総合医を養成するには、少なくとも3、4年が必要です。来年(2018年)から養成を初めていけば、2025年にはなんとか間に合うのではないかな、と思っています。

適切なデータをもとに、国への提言を進める

アキ:相澤会長は、地域の医療を考える上でのデータの重要性に着目された草分けです。相澤会長がデータを見ることを初め、それが現在の政策論議にもつながってきています。厚生労働省も地域医療構想の実現に向けて、さまざまなデータを地域に提供していると聞きますが、そうしたデータを活用していくことになるのでしょうか。

相澤:さまざまなデータが出されていますが、まだまだしっくりときません。失礼を承知で言えば、今はまだ「中途半端なデータ」で物事が動いていると言わざるを得ません(関連記事はこちら)。

アキ:データによって、恣意的な導き方もできてしまいますね。だれか1人ではなく、いろいろなグループでデータ分析することが大事だと思います。

相澤:おっしゃる通りです。同じデータでも、切り口が異なれば、まったく異なる結論にたどり着いてしまいます。

 先日も「医療計画の見直し等に関する検討会」で、入院前後の患者の動きから病棟の機能が分かるのではないか、といった研究結果の中間報告がなされましたが、どうでしょう。もっと単純に、誰もが納得できる切り口があるのではないでしょうか。

例えば、以前にGHCと共同で「DPCの入院期間に基づき、資源投入量がどう変化していくのか」という研究を行いました。それを見れば、どこで資源投入量が大きく減少しているかが把握でき、それはまさに病棟が提供している医療機能を反映していると言えます。
一部の研究班では、患者が入棟前にどこからきて、退棟後にどこにいくのか、看護配置がどの程度かといった切り口で病棟機能を把握しようとしていますが、そうではなく、もっと明確に考えられると思うのですが。

アキ:「医療」については、なぜか難解に考えたがる傾向があるようですね。

相澤:日本の医療は国の政策に左右されます。厚生労働省や内閣に、おかしいものはおかしいと言わなければいけません。このためにはデータによる裏付けが必要ですね。日本病院会でもデータ整備に力を入れていきます。【続きます】
 

 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017082902000128.html
高野病院が経営ピンチ 福島第一から22キロ 再出発5カ月
2017年8月29日 東京新聞 朝刊

 東京電力福島第一原発事故後も避難せず、福島県双葉郡八町村で唯一、診療を続けてきた高野病院(広野町)が経営危機に陥っている。昨年末に高野英男元院長=享年(81)=が亡くなり、今春新たな医師を招いて再出発したが、財政問題が深刻化。病院関係者は「このままでは、休院も検討せざるを得ないのではないか」と懸念を強めている。 (片山夏子)
 「原発事故後、収入が減る中で、経費が膨れ上がっている」。元院長の次女の高野己保(みお)理事長が明かす。「元院長は過労で倒れながら『患者のために』とぎりぎりでやってきたが、さらに苦しくなっている」。今春以降、毎月五百万円の赤字が続くという。
 収入減の理由は、外来患者の減少。事故前は月に五百人前後だったが、事故で一時は数十人まで落ち込んだ。帰還した住民や原発作業員らでやや持ち直したものの、原状回復にはほど遠い。長期入院患者が多い高野病院のような現場に不利な昨年の国の診療報酬改定も、追い打ちとなった。

 一方、膨らむ経費の理由は人件費。一人で何人分も働いていた元院長の死去で、常勤・非常勤医が四人増えた。また県外から医療スタッフを呼んでいるため、高い給与を支払い、被災地手当も必要に。寮となるアパートも借りた。
 県外から雇用した場合、給与の半額を補助することを目指した県の支援策がある。しかし、その基準となるのは給与の全国平均額。これに対し、原発周辺地域の給与水準は事故前の一・五倍前後に高騰しているため、現実には給与の四分の一程度の補助にしかならない。高野理事長は「今のこの地域の水準に合っていない」と訴える。
 県は新たな支援の枠組みを検討すると二月に発表したが、今も決まっていない。県地域医療課の平(たいら)信二課長は「財政支援は避難指示区域全体の中で考え、個別に考えるわけにはいかない」と、高野病院だけの支援には後ろ向きだ。
 高野理事長は「地域の高齢化は一層進むため、長期入院できる病院はますます必要になる。先は見えないが、何とか続けたい。スタッフもあきらめてはいない」と前を向く。

 病院の代理人の馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士は「周辺は原発事故でできた過疎地。住民は簡単に戻らない。今後はへき地医療に準じる支援が必要だ」と指摘している。
<高野病院> 福島第一原発の南22キロに位置し、医療法人社団養高会が運営する。精神科や内科などがあり、病床は118床。双葉郡内では夜間対応や入院が可能な唯一の医療機関。昨年12月に高野英男元院長が死去し、常勤医が不在に。国や福島県、広野町などと協議し、今年4月から常勤・非常勤の医師計3人の派遣を県から受けている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/all/welcome_leaf.jsp?http%3A%2F%2Fmedical.nikkeibp.co.jp%2Fleaf%2Fmem%2Fpub%2Freport%2F201708%2F552513.html
動向解説◎どう変わる医師国家試験
問題数減の医師国試、臨床実地問題重視で難化へ
金沢医科大学教育学習支援センター長の東田俊彦氏に聞く

2017/8/29 聞き手:加納亜子=日経メディカル

 来年2月に行われる第112回医師国家試験は、出題数が現行の500問から400問に減り、試験期間が3日間から2日間になる(関連記事)。それに伴い、来年度以降の医師国家試験では、臨床の思考過程に力点を置いた「臨床実地問題」が重視されるのではないかとみられている。医師国家試験や医学部教育は今後、どのように変わるのか。金沢医科大学教育学習支援センター長で医師国家試験予備校マック・メディカル・アカデミー・コーポレーション講師の東田俊彦氏に聞いた。

――来年の医師国家試験では何が変わるのでしょうか。

 出題数と配点、そして試験期間が変わります。必修問題は今まで通り一般問題、臨床実地問題が50題ずつですが、医学総論・医学各論は、一般問題が200題から100題に減り、臨床実地問題は変わらず200題になると発表されています(厚生労働省ウェブサイト)。

 配点はこれまで一般問題は1問1点、臨床実地問題は1問3点でしたが、それが次回の国家試験では必修問題の臨床実地問題のみ1問3点となり、それ以外の問題は全て1問1点に変更されます(表1)。

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表1 第112回医師国家試験の変更点

 必修問題以外については合格基準の設定方法も変わってきます。

 これまでの評価方法では、必修問題の合格ラインは計200点の80%以上、そして必修問題以外の問題は一般問題、臨床実地問題それぞれで、識別指数などの一定の処理をした後の平均点と標準偏差を用いた相対基準によって合格基準が設定されていました。

 しかし、来年の試験からは必修問題以外の合格基準の定め方が変わります。一般問題と臨床実地問題の得点の合計をベースに相対基準により合格ラインを設定することになったのです。

 そこに、今まで通り禁忌肢を3問以上選んだ場合には不合格になるという基準が定められる予定です。

 確実に医師国家試験に合格するには、配点の高い臨床実地問題を含む必修問題の正答率を8割以上にし、さらには必修問題以外の300問で少しでも多くの点を取る必要があるのです。


金沢医科大学の東田俊彦氏は、「次の医師国家試験では医学知識だけではなく、臨床現場で患者を目の前にしたときに必要な判断力を問う問題が、さらに増えるのではないか」と推測する。

――問題の内容に変更はあるのでしょうか。

 問題の質も大きく変わると私は見ています。おおむね4年ごとに医師国家試験出題基準(ガイドライン)は改訂されており、この改訂の前年度の国家試験にはその傾向が表れるのが通例となっています。

 今年が改訂の年に当たり、それに向けて実は2017年に行われた第111回医師国家試験では難易度が上がっていたのです。十分な合格者数を出すために、臨床実地問題の合格基準は下がっていました。

 何が難しくなったかと言えば、臨床現場で患者を目の前にしたときに必要な知識を尋ねる問題が増えたという点でしょう。目の前にいる頭痛を抱えた患者に何を聞き、どのように対応するかといった、現場で求められる知識が問われる問題が増えたのです。

 こうした問題を出されると、疾患に関する知識を丸暗記することで何とか乗り切ろうとしていた学生は、何をどう考えて答えを導き出せばよいか分からなくなり、非常に難しく感じてしまいます。設問内容を見ると、今の臨床医の先生方は驚かれるかもしれません。試験問題はまるで内科専門医の試験かと思うほど、臨床的に高レベルな設問ばかりになっていますから。

――どんな問題が出ているのでしょうか。

 例えば、「頭痛を主訴に来院した患者が『頭が痛いのでCTを撮ってほしい』と訴えている。それに対してどう対応するか?」といった問題です。

 頭痛を訴える初診患者であれば、適切な問診と診察を行い、重篤な疾患が除外できると判断されれば頭痛薬を出して1~2週間様子を見るのが通常の対応でしょう。ですが、「来院した初診患者に『CTを撮ってほしい』と言われたらどう対処するか」とだけ聞かれてしまうと、現場の医師でも判断に迷うはずです。

 頭痛の程度など患者の状態や病院のリソース、環境、患者や医師の考え方の違いにより対応は変わります。細かな情報を記載してくれれば考える余地もありますが、医師国家試験ではそうした記載はありません。正解がなさそうな設問が複数提示されているのです。

 以前に、この問いを臨床医に解いてもらいましたが、医師によって答えは異なっていました。「医療はサービス業だから患者の満足度を高めればよいと思えば撮ればよい」という価値観を持つ医師がいれば、「検査は必要最小限にすべき」「医療費の抑制を考えなければならない」といった意見を持つ医師もいたのです。このように、医師の価値観により実際に何をするかという答えは変わってきてしまいます。

 では、正解は何かというと、「どうしてそれを知りたいと思ったのですか?」と聞く、という解答です。患者が訴えることには理由があり、その訴えの原因を解消すればよいという考えで設問は作られているのです。つまり、○か×かの答えを選ぶのではなく、判断に迷うようなグレーゾーンの選択肢がある中で、どの答えを優先すべきかを考える必要があるのです。

 本来は、万人が「それは確かに正しい答えだ」と納得できる回答を選ばせるのが国家試験の問題です。だからこそ、解くのにはテクニックが必要になります。問題の背景を理解し、何を考えさせたいのかまで把握する必要があるのです。

 こうした判断の難しい問題が出されていることからも、今までのように座学で疾患に関する情報を丸暗記するような対策では、今後はさらに合格しにくくなると気付いていただけると思います。たとえ、過去の国家試験の問題の答えを全て覚えていたとしても、今後は半分程度の点数しか取れなくなるのではないかと私は捉えています。

――では、医師国家試験の変更にどう対処すればよいのでしょうか。

 臨床現場に則した設問に対応するため、現在の医学部は患者・疾患をどのようにマネジメントするかという点を重視した教育に切り替えていかざるを得ない状況に置かれています。臨床実習の比重を高め、学問的知識や画像診断の意味、治療の知識を踏まえて判断するための思考力を育てなければならないのです(参考記事)。

 具体的には、診療現場で医学生が臨床医(指導医)の傍らで、問診や診察をする経験を積ませ、様々な患者のマネジメント方法を長い時間をかけてしっかりと教え込むことが求められています。

 これは、米国での臨床研修資格を発行するECFMG(米国における外国医学部卒業生のための教育委員会)が、2023年以降は世界医学教育連盟(WFME)か米国医学教育連絡委員会(LCME)と同等の基準で認証された医学部の出身者にのみ米国医師国家試験(USMLE)の受験資格を与えると発表したことを受けての流れでもあります。今、各医学部はUSMLEの受験基準に合わせて、臨床実習の時間を延ばす必要に迫られ、さらには医学教育モデル・コア・カリキュラムが変更されたこともあり、カリキュラムを大きく改変し始めています。各医学部からすれば、まだ改変のさなかというのが実情ですが、世界的な流れに合わせ、臨床問題を重視した教育の拡充を進める動きが出てきているとも捉えられるのです。

 とはいえ、ただ臨床実習の期間を延ばせばよいというわけではありません。臨床現場に則した判断方法を身に付けさせるための教育に注力し、システマティックに取り組める環境を作ることが求められています(参考記事)。

 理想を言えば、臨床医の後ろについて、どんなことをしていて、検査では何を考えてどんな検査を実施しているのか、何を参考に治療方針を考え、さらには薬剤をどのように選んでいるのかなどを見て逐一理解できる臨床実習がよいでしょう(参考記事)。

 しかし、どの大学も教員のマンパワーと教育に割ける時間が圧倒的に不足しています。多くの医学部では長時間の実習を設けても教えられる教育基盤ができておらず、学生は何をどのように身に付ければよいのかが分からずただ時間を過ごしてしまうこともあるようです。そうした医学部の学生は、せっかく目の前に患者がいるにもかかわらず、患者の症状や病態についてただカルテを基に文献を調べ、レポートを書いて終わりにしてしまっています。中には、国家試験の過去問を隙間時間でやっているという学生もいるのが実際のところです。そうした大学では今後、臨床研修先において、医学生を含めた屋根瓦式の教育体制を構築するなど、抜本的な教育体制の改変が求められていくでしょう。

――臨床実習だけでなく、座学も変化しつつあるのでしょうか。

 USMLEへの対応に加え、医師国家試験が変わることで臨床実習の期間・内容だけではなく、座学の内容についても少しずつ変わりつつあります。以前は臓器別での座学が基本となっていましたが、症例検討を重ね、症状をマネジメントするには何が必要か、どのような症状や患者の訴えに目を向け、判断していくのか、さらにはどのように鑑別診断を進め、治療方針を組み立てていくのかといった思考力を付ける取り組みが広がり始めています。

 このように、症候別にマネジメントをする方法を学ぶには、一般的な医学知識を事前にしっかりと蓄えておくことが求められます。低学年時代の座学で得た1つひとつの知識をつなぎあわせ、実臨床で使える多面的な考え方を身に付けていく。症例検討はその1つの手段だと言えるでしょう。

 その他にもテーマやケースを提示して、それを少人数で話し合う機会を作り学びを深めていく方法や、模擬患者の協力を得てシミュレーションをしてみたりと、様々な方法が各医学部で取り入れられています。

 教員からしてみれば、考え方を学ばせるのは時間と手間が掛かり非効率的です。そして、考え方から学ぼうとする学生ほど、成績だけを見るとなかなか伸びない傾向があります。ですが、歩みはゆっくりででも考え方や学び方を得た学生は、後になって様々な知識がつながりやすく、理解や思考力が急速に伸びることが多いように思います。さらに、そうした学生の大半は、医学部を卒業して医師になった後にも自ら学び、学習して伸びていく習慣が身に付いています。

 急速に思考力が成長する学生に共通するのは、医学への興味・関心や、医師として医療を行うことで人を救いたい、困っている人を助けたいという気持ちが強い点です。

 40~50代の医師が医学生・研修医だった頃は、医学部に卒業試験はないか、あってもそれほど難しくなく、もし国家試験に落ちたとすると、それは自らの責任だと、自分たちで勉強するよう指導されていました。医師国家試験に通るために自ら学ぶ技術を身に付けることが今よりも強く求められていたのです。だからこそ、受かった後にも勉強を継続していた医師が非常に多くいました。

 自ら学ぶ力を身に付けさせるためにも、ポリクリやベッドサイドラーニング(BSL)といった病院実習の間には、試験には絶対出そうにもないことも含め、臨床に関する様々なことを徹底的に教育されました。各診療科の実習が終わるたびに毎回、口頭試問や実技試験があり、それにパスすることを要求されていたのです。

 一方で、今の実習には多くの場合、実技試験も口頭試問もありません。国家試験に似たペーパー試験しか課せられていないところが多いのです。では学生はどうするか。過去の国家試験の問題を丸暗記することで対応しようとするのです。その積み重ねで、医師になった後にも医学への興味を失ってしまうという悪循環に陥っているともいえるでしょう。

 私は医学教育の根幹として、学生に「医師になりたい」という強い気持ちがなければならないと思っています。今後の医学部では、やる気のある学生をいかに選抜するか、そしてやる気を維持させるための興味、知的好奇心をいかに与えられるかがさらに重視されるようになるはずです。

 医学生が元々持つ医療へのモチベーションを保たせながら、知的好奇心をくすぐるようカリキュラムを作ることが求められているのです。

 とはいえ、医師に対してどのような姿をイメージしているかは学生により異なります。学生一人ひとりが違うポイントに興味を持っていることを前提に、しっかりとヒアリングをして学生の興味・関心を伸ばしていくカリキュラムを提供することが今後の医学部教育には求められているのでしょう。医学生が今・将来どうしたいのかを丁寧に拾い上げ、医学生に合わせた個別の教育を考えることが医学部には求められています。



https://mainichi.jp/articles/20170831/ddl/k45/010/300000c?ck=1
西諸自治体
地域外出産市民に支援金 妊娠1回2万円、出産可能な医療機関なく /宮崎

毎日新聞2017年8月31日 地方版

 西諸地域(小林、えびの市、高原町)で出産ができる医療機関がないため、えびの市は地域外で出産する市民に妊娠1回につき2万円を交付する出産支援金を一般会計補正予算案に計上、30日の臨時会で可決した。小林市と高原町でも来月開会の定例会に、同様の支援金を提案する方針。

 小林市では昨年11月に産婦人科診療所が休診。西諸地域で唯一分娩(ぶんべん)を扱っていた産婦人科病院(えびの市)も7月15日から受け入れを停止した。

 えびの市によると、多くは隣接の熊本県人吉市の医療機関で出産、妊婦健診に通院するなどの交通費に充ててもらう。対象は妊娠36週目以降で、今年度は150人分と市雇用の助産師の報酬を含めた402万円。小林市も妊娠1回に2万円を交付。多くは都城、宮崎市の医療機関で出産。妊娠22週目以降で今年度は240人分など約563万円を計上。高原町でも妊娠1回につき2万円を交付する支援金を補正予算案に計上している。【重春次男】



http://www.medwatch.jp/?p=15483
公立病院、大規模ほど経営が良好、小規模病院は近隣病院との統廃再編も視野に入れよ―内閣府
2017年8月30日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公立病院では、大規模なほど医業収支比率が高く、一方で小規模病院では医業収支比率が低下傾向にあるため、大規模公立病院と小規模公立病院とで収支比率の差が広がっている。立地状況などにより経営課題は異なり、「地域の状況を踏まえた経営改善戦略」を建てる必要がある—。

 内閣府が25日に公表した、「公立病院経営の状況と小規模公立病院の経営課題-持続可能な地域の医療提供体制の確立へ向けて-」(政策課題分析シリーズ12)からこういった状況が明らかになりました(関連記事はこちら)(内閣府のサイトはこちら)”>こちら)。

ここがポイント!
1 大規模病院ほど医業収支比率が高く、小規模病院では繰入金比率が高い
2 入院単価の向上が経営改善の鍵、大規模なDPC病院で単価向上目立つ
3 地域の状況を踏まえ、近隣病院との「統合再編」なども視野に入れる必要

大規模病院ほど医業収支比率が高く、小規模病院では繰入金比率が高い

 公立病院については、「経営改善」と「地域医療構想の実現」を目指す改革プラン(新改革プランの作成)が求められていますが(関連記事はこちらとこちらとこちら)、収支改善が困難なケースもあり、内閣府では病床規模別に経営状況や経営課題などを調査・分析しています。

 まず病床規模別に公立病院の医業収支比率を見てみると、「大規模病院ほど医業収支比率が高い」(つまり経営状況が良い)ことが分かります。ただし公的病院・私的病院と比べると、公立病院では医業収支比率が低い(つまり経営状況が悪い)点には注意が必要です。
公立病院の医業収支比率を病床規模別に見ると、大規模なほど良好、つまり経営状況が良いことが分かる
(図 略)
公立病院の医業収支比率を病床規模別に見ると、大規模なほど良好、つまり経営状況が良いことが分かる
 
また公立病院については、赤字部分を自治体などからの繰入金で賄うことになりますが、これを病床規模別に見ると、50床未満・50-99床の小規模病院において高い割合となっています(小規模病院では医業収支比率が低く、繰入金による補てんが大きくなる)。
(図 略)
公立病院に対する繰入金比率を病床規模別に見ると、小規模な病院では、著しく高いことが分かる

入院単価の向上が経営改善の鍵、大規模なDPC病院で単価向上目立つ

次に、経営形態の変化(例えば地方独立行政法人化など)を行っていない605病院について、自治体からの繰入金などを除いた「修正医業収支」の状況を見てみましょう。

修正医業収支が改善した病院は257病院あり、規模が大きくなるほど「収益と費用がともに増加して経営が改善した」病院の割合が高くなり、逆に規模が小さい病院では「収益と費用がともに減少したが、経営が改善した」割合が高くなります。

一方、修正医業収支が悪化したのは348病院で、小規模になると「収益と費用がともに減少し、経営が悪化した」割合が高くなっています。
(図 略)
経営状況が改善した病院では、大規模なほど「収益・費用ともに増加して改善」する割合が高く、逆に経営状況が悪化した病院では、小規模なほど「収益・費用ともに減少して悪化」してしまった割合が高い
 
この点について内閣府では、とくに「入院単価の向上が収益増加に寄与している」点に注目。次のように公立病院をグループ分けし、単価の変動状況を見ています。
【グループ1】(400床以上の大規模、DPC導入、98病院):2014年度の入院単価は5万7479円で、5年前(2009年度)に比べて1万203円・21.6%増加。入院料と手術料が入院単価の8割程度を占め、主な単価向上要因も入院料と手術料である

【グループ2】(200床以上400床未満の中規模、DPC導入、73病院):2014年度の入院単価は4万8539円で、5年前から7192円・17.4%増加。入院料と手術が入院単価の8割程度を占めるが、大規模病院では手術料のシェアが26.9%なのに対し、中規模病院では23.2%にとどまる。主な単価向上要因は入院料である

【グループ3】(200床以上400床未満の中規模病院、非DPC、32病院):2014年度の入院単価は3万6813円で、5年前から3743円・11.3%増加。手術料のシェアは18.4%にとどまり、DPC導入病院と比べて「その他」(検査、放射線、食事など)が単価増に大きく影響している

【グループ4】(200床未満の小規模病院、非DPC、306病院):2014年度の入院単価は2万5554円で、5年前と比べて9377円・7.2%増加。他のグループと異なり手術料が減少、手術料のシェアも10.0%にとどまっている

 また各グループについて2009年度から14年度までの5年間における入院単価の1年度当たり伸び率を見ると、▼グループ1(大規模、DPC)4.0%▼グループ2(中規模、DPC)3.3%▼グループ3(中規模、非DPC)2.2%▼グループ4(小規模、非DPC)1.4%—となっています。もっとも単価の高いグループ1と、もっとも低いグループ4では、3万1925円・2.2倍の開きがあります。つまり、入院単価の高い大規模DPC病院はより単価が上がっており、入院単価の低い小規模非DPC病院は単価の伸びが小さく、「格差が広がる」傾向にあることが改めて認識できます。
(図 略)
大規模なDPC病院では、入院単価が高く、伸び率も高い。このため小規模病院との入院単価の格差は広がる一方である
 
 なお外来単価については、次のような状況です。入院ほどの大きな格差はないようです。

▼グループ1(大規模、DPC):2014年度単価は1万4621円で、5年前から20.9%増

▼グループ2(中規模、DPC):2014年度単価は1万2777円で、5年前から10.0%増

▼グループ3(中規模、非DPC):2014年度単価は1万733円で、5年前から11.4%増

▼グループ4(小規模、非DPC):2014年度単価は8856円で、5年前から4.0%増
(図 略)
入院単価ほどではないが、大規模なDPC病院で外来単価が高く、伸び率も高いため小規模病院との格差が広がる

地域の状況を踏まえ、近隣病院との「統合再編」なども視野に入れる必要

このように見ると、病院経営の改善には「大規模化」「DPC参加」などの方向が見えるようにも思えますが、人口規模の小さい地方の自治体に設立された小規模公立病院に、それを求めることはできません。

内閣府は、200床未満の小規模病院の経営改善方策を探るため、近隣病院との地理的配置などに着目した分析を実施。さらに、病院関係者の意見(インタビューを実施)も踏まえて、次のような改善方向を示しました。地域の状況を踏まえて、「病院の統合再編」を踏まえた検討を行うよう提言しています(こちら)とこちらとこちら)とこちら)。

【タイプ1】(不採算地区の外に設置され、15㎞圏内に300床以上の競合病院がある):▽人口規模が大きい▽人口密度が高い▽高齢化率が低い—という好立地環境にあることが分かったが、病床シェアは低く、修正医業収支比率・病床稼働率は低下している(ただし他のタイプに比べて低下幅は小さい)。ここから▼他病院と機能分担を進め、地域にとって必要な医療を提供する▼地域包括ケアシステムの確立に貢献する—ことが必要と考えられる。地域によっては「病院の統廃合」などの抜本的な見直しも検討する必要がある

【タイプ2】(不採算地区の外に設置され、15㎞圏内に300床以上の競合病院はない):▽人口規模は小さい▽人口密度は低い▽高齢化率・人口減少率が高い—という厳しい立地環境にあり、「地域に必要な医療機能の維持」が最優先の課題となる。将来、大幅人口減などが生じた場合には「病院規模などの見直し」を実施することが必要である

【タイプ3】(不採算地区に設置され、15㎞圏内に300床以上の競合病院がある):近隣に規模の大きな病院があることから、▼他病院との機能分担を進め、地域に必要な医療を提供する▼地域包括ケアシステムの確立に貢献する—ことが必要。近隣病院との距離が近い場合には「統合再編」の検討も必要

【タイプ4】(不採算地区に設置され、15㎞圏内に300床以上の競合病院はない):1日平均外来患者数や病床稼働率が低く、経営指標は最も厳しい。「地域唯一の病院」と言うケースが多く、地域医療の確保という観点からも支援が必要。ただし、将来的には、地域の医療ニーズ見通しなどを踏まえ、▼病床削減・機能転換(診療所と老人福祉施設の複合施設への転換など)▼同一医療圏内の病院との統廃合・ネットワーク化―などを検討し、「産業・雇用・交通などを含めた地域全体の街づくりの中で、公立病院の位置づけを明確にしつつ、地域に一定の医療・介護サービスが確保される体制」を目指すことが必要である
公立病院を立地条件などに応じて分類すると、それぞれにおいて経営課題は異なっていることが分かる



http://www.medwatch.jp/?p=15455
2015年度1人当たり医療費、最高の福岡と最低の新潟で1.38倍の地域格差—厚労省
2017年8月29日|医療保険制度 MedWatch

 2015年度の1人当たり医療費(市町村国保+後期高齢者医療)は全国では53万7000円だが、都道府県別に見ると最高の福岡県(64万1000円)と最低の新潟県(46万6000円)との間では1.38倍の格差がある。また「西日本で1人当たり医療費が高く、東日本で低い」傾向は変わっていない—。

厚生労働省は25日に、2015年度の「医療費の地域差分析」を公表し、こういった状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 入院医療費で地域格差が大きく、「在院日数の短縮化」が地域差是正の鍵
2 1人当たりの実績医療費、高知県の自治体が上位を独占

入院医療費で地域格差が大きく、「在院日数の短縮化」が地域差是正の鍵

1人当たり医療費は年齢との関係が強いため、地域差を分析する際には「地域ごとの年齢構成(高齢者割合など)の差」を調整することが重要です。

市町村国保加入者と後期高齢者医療制度加入者を合計した1人当たり年齢調整後医療費を見てみると、全国では53万7000円ですが、都道府県別に見ると、最高は福岡県の64万1000円(全国の1.194倍)で、高知県63万7000円(同1.186倍)、佐賀県62万7000円(同1.168倍)と続きます。また最低は新潟県の46万6000円(同0.867倍)で、千葉県47万7000円(同0.888倍)、静岡県47万8000円(同0.890倍)などとなっています。最高の福岡県と最低の新潟県では1.38倍の開きがあります。

(図 略)
2015年度の、1人当たり年齢調整後医療費と地域差の状況
(図 略)
都道府県別に見た、1人当たり年齢調整後医療費のグラフ
 
医療費の地域差を、日本地図を色分けした医療費マップで見てみると、「西日本で高く、東日本で低い」(西高東低)の傾向が依然として続いていることを改めて確認できます。
(図 略)
地域差指数(年齢構成を調整し、医療費が平均からどれだけ離れているかを指数化)のマップ。西日本で高い地域(オレンジ色)が多く、東日本で低い地域(青色)が多いことが分かる
 
入院医療費を▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解して、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、入院医療費の高い地域(高知県、福岡県、鹿児島県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院医療費の小さな地域(静岡県、新潟県、千葉県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります。ここから、「入院回数が多く、入院日数の長いことが1人当たり入院医療費の高騰を招いている」と伺えます。
入院外医療費(調剤を含む)について、同様に▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解した寄与度を見てみると、入院外医療費の高い地域(広島県、香川県、佐賀県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院外医療費の小さな地域(新潟県、沖縄県、富山県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります(入院と同じ構造)。「頻回の医療機関受診が、入院外医療費の高騰につながっている」ことが伺えます。
(図 略)
地域差指数に対する三要素別の寄与度。入院(上段)、入院外(下段)ともに「受診率」「1件当たり日数」の高さが地域差指数を高く(つまり医療費を高く)していることが伺える
 
さらに「入院では地域格差が大きく(最高と最少の格差は1.75倍)、入院外では地域格差が小さい(同1.20倍)」ことも踏まえると、医療費の地域差是正に向けて「在院日数の短縮」が最重要テーマ(入院外では頻回・重複受診などの適正化)であることを再認識できます。

1人当たりの実績医療費、高知県の自治体が上位を独占

 市町村別に1人当たり実績医療費(年齢調整をしていない)を見てみると、最も高いのは高知県馬路村で102万1965円。次いで高知県大豊村96万5906円、高知県北川村87万9101円、高知県奈半利町84万7872円、高知県大川村83万8166円となり、上位5市町村を高知県の自治体が独占しています。

 逆に1人当たり実績医療費が低いのは、下から東京都小笠原村25万5304円、長野県川上村31万7842円、東京都御蔵島村32万643円、沖縄県竹富島35万1008円、長野県南牧村36万7825円などで、離島や山間地が目立ちます。

 
 また年齢構成を調整した上で、医療費が全国平均からどれだけ乖離しているのかを示す「地域差」を市町村別に見てみると、もっとも高いのは高知県馬路村の1.49で、高知県奈半利町1.41倍、北海道壮瞥町1.36、高知県芸西村1.36、高知県大豊町1.35と続きます。

逆に地域差が低い自治体は、福島県檜枝岐村0.67、長野県王滝村0.68、長野県天龍村0.68、岩手県九戸村0.69、山梨県小菅村0.70となっています。



http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20170826_7
奥州・新市立病院計画に異論 医師会、有識者会議を辞退
(2017/08/26) 岩手日報

 奥州市総合水沢病院(149床)に代わる新市立病院の建設計画が難題に直面している。奥州医師会(関谷敏彦会長、194会員)が市の有識者会議への出席を辞退した。同会は市の計画に対し「機能維持が前提」として異論を唱えている。医師会との連携は新病院の運営に欠かせず、認識の隔たりが解消されなければ2021年度の開院にも影響しそうだ。

 医師会は24日までに、市に文書を送付。辞退の理由について「有識者会議と決定会議は別。議論が意味のないものになるのではないか」と疑念を記した。一方で「建設に反対ではなく、懸念が払拭(ふっしょく)されれば再考の余地はある」とした。

 有識者会議は胆江地域の医療機関など16団体の委員で構成。庁内で検討した計画案に意見を述べる。8月末に初会合を予定していたが、医師会の辞退により奥州歯科医師会、奥州薬剤師会、県立江刺病院、奥州保健所の4団体からも出欠の回答が得られていない。

 医師会は病院機能の維持方針に対し「財政負担が大きく人材確保も難しい」「少子高齢化に対応する機能検討が必要」と主張。6月、歯科医師会、薬剤師会と医師確保計画などをただす質問書を市に提出した。



  1. 2017/09/01(金) 05:40:52|
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8月27日 

https://dot.asahi.com/dot/2017082300035.html
看護師不足が医師不足よりも深刻な理由
連載「メディカルインサイト」  上昌広
2017.8.25 07:00dot.#病院

全国の看護師の有効求人倍率。「平成25年度都道府県別求人数等の実績」「平成25年看護関係統計資料集」より。東大医科研 森田知宏、児玉有子(出典:医療ガバナンス研究所調べ)

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。だが、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、深刻な看護師不足の現状についても明かしている。その解決策とは。

*  *  *
 高齢化が進む日本で、看護師不足対策は喫緊の課題です。ところが、その解決は医師不足以上に困難です。看護師の多くが女性であり、他の地域からの移住が期待できないからです。多くの看護師は、地元の学校を卒業し、地元に就職します。結婚して家庭を持つと、看護師不足の地域で働くための「単身赴任」は難しくなります。看護師不足を緩和するには、看護師の労働条件を改善するとともに、地元での育成数を増やすべきです。

 海外から看護師を受け入れることも原理的には可能ですが、現実的ではありません。日本語という言語の壁があります。また、多くの新興国では看護師の社会的な地位は高いため、日本に来るインセンティブがないのです。

 労働条件の改善については、さまざまな対策が採られ、成果が上がりつつあります。日本看護協会によれば、新卒看護師の離職率は7.50(14年度)。大卒の新入社員の約3割が入社後3年間で辞めるとされる中、看護師の離職率は飛び抜けて高いわけではありません。

 人口あたりの看護師の数は、人口あたりの看護師養成数に比例します。看護師が不足しているのは、地元での看護師養成数が少ないからです。首都圏の看護師を増やすには、地道に育成するしかありません。看護師養成数にも、地域間格差があります。12年現在、人口10万人あたりの看護師養成数は西日本が80人程度であるのに対し、関東は約40人に過ぎません。看護師数と同じく、養成数も2倍程度の差があるのです。この「西高東低」の格差は、日本の近代化を反映しています。明治以降、病院や医師会が中心となって、看護師を養成してきましたが、医師の数や医学部数は前述したように「西高東低」だからです。

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全国の看護師の有効求人倍率。「平成25年度都道府県別求人数等の実績」「平成25年看護関係統計資料集」より。東大医科研 森田知宏、児玉有子(出典:医療ガバナンス研究所調べ)

 看護師不足解消のため、平成以降、政府は看護師養成数を年間約4万人から6万人に増やしました。大学看護学部が急増しています。1989年には看護系学部があったのは11大学(関東に5大学)でしたが、2016年末現在で254大学(関東に73大学)に増えています。一方、専門学校の定員はむしろ減少傾向を示しています。平成以降の看護師養成数の増加は、ほぼ看護大学によると言っても過言ではありません。しかし、看護師を育成しても、急増する患者ニーズに応えることは困難です。

 看護師が多いとされる九州と四国で、看護師の有効求人倍率は1~2倍程度。つまり、最も看護師数の多い地域でも、看護師は足りていません。関西より東では看護師の有効求人倍率は2~5倍です。

 首都圏の看護師養成数を九州や四国並みに増やそうとすれば、さらに1万7000人、看護師養成数を増やさねばなりません。東京だけでも5000人です。震災復興や東京五輪を控え、人手不足が深刻な建設業よりも、看護師の人手不足は深刻です。

■急増する看護学部が希望か

 では、どうすればいいのでしょう。私は、市場はニーズがあれば、必ず成長すると考えています。この10年間で看護学部の定員が倍増しましたが、志望者数は3倍に増え、定員割れは起こしていません。

 大学経営者にとってありがたい活況です。看護学部は、医学部のように新設に対する規制がなく、事業者が看護学部設立を望めば、基本的に認められます。課題は教員の確保です。看護師の多い九州地区ですら、看護大学の教員確保は難しく、年収1000万円以上が珍しくないと言います。博士号を取っても就職先がない「ポスドク問題」とは対照的です。

 少子化が進み、大学経営が冬の時代を迎えた昨今、看護学部設立は大学経営者にとっても、教員にとっても魅力的です。東京や京都など、私立大学が多い地域では、私大がリードして看護師の養成数を増やしています。15 年4月には、関西の名門同志社女子大学も看護学部看護学科を開設しました。

 ただし、看護師不足が深刻な千葉県・埼玉県・神奈川県は、看護学部を作ろうにも、設立母体となる大学自体が多くありません。既存の私立大学が看護学部を開設するのを待っているだけでは、首都圏の看護師不足は緩和されそうにありません。私立大学の看護学部の授業料は決して安くなく、初年度納付金が200万円を超える大学も珍しくありません。それでも看護学部で学びたいという高校生は跡を絶ちません。

 なぜ、多くの高校生が看護学部を目指すのでしょうか。もちろん、看護師職にやりがいがあり、患者を支える「聖職」であることは大きいでしょう。最も大きな理由は、業務独占の国家資格であるため、看護師不足の昨今、食うには困らないということでしょう。給与も高く、14年の平均年収は473万円で、サラリーマンの平均年収(415万円)を上回ります。ある大手予備校の講師は「医学部や薬学部と比べて、看護学部の偏差値は低い。40台の学校も珍しくない。それでも卒業して、国家資格を取れば、高給が保証されている。こんな仕事はほかにはない」と言います。

 かつて「3K」といわれた職業もずいぶんと変わったものです。看護大学の人気を考えれば、偏差値も急速に上昇するでしょう。その過程で混乱が生じることも予想されます。今後、教育の質を担保しながら、さらに看護師養成数を増やす必要があります。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋
病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日
朝日新聞出版
定価:1,620円(税込)
978-4023314931



http://www.sankeibiz.jp/econome/news/170824/ecd1708240500001-n1.htm
厚労省、地方への医師呼び込み 若手対象、週4日勤務制も
2017.8.24 05:00 SankeiBiz

 厚生労働省が来年度から、医師不足に悩む地方で働く若手医師を対象に、勤務環境の改善に乗り出すことが23日までに、関係者への取材で分かった。
 週4日制など柔軟な勤務体系やテレビ電話での診療支援などを進める。「働き方」を改善し、地方に若手を呼び込み、地域間の医師偏在を解消するのが狙いだ。
 国公立の医療機関だけでなく、民間で働く医師も対象。都道府県などによる環境整備を後押しするため、来年度予算案の概算要求に8億円を盛り込む。
 地方で働いてもいいという医師は一定数いるものの、人手不足で休みが取りにくいことや、希望する仕事ができないといった労働環境の厳しさやキャリア形成の難しさなどが地方定着を阻んでいるとみられる。
 新たな事業では、若手医師が休暇や自己研鑽(けんさん)のための時間を確保できるようにするため、週4日勤務制を導入したり、非勤務日をカバーする代替医師を派遣したりする自治体の取り組みを支援。テレビ電話を活用し、遠隔地からアドバイスを受けられるような仕組みも想定している。
 地方で一定期間働くことを条件に、医学部在学中の奨学金の返済を免除される「地域枠」制度を利用した若手や自ら地方勤務を選択した医師も対象になる。
 厚労省は、医療機関が医師不足地域にベテランの指導医を派遣する際に、旅費や代替医師の雇用にかかる費用を援助する事業も実施する予定だ。



https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082300127&g=soc
診療所の継承、相続税免除=過疎地の個人開設に-厚労省
(2017/08/23-15:24) 時事通信

 厚生労働省は、過疎地などで診療所や病院を相続した後継者の医師が安定的に運営を続けられるよう、医療業務に必要な土地・建物などにかかる相続税を免除する方針を固めた。対象は個人開設の医療機関で、相続後に5年間継続して運営することが条件。2018年度税制改正要望に盛り込む。
 近年、医師が都市部へ偏り、人口の少ない過疎地では医師不足が深刻化している。こうした地域で内科や外科などの医療を担ってきた医師も高齢化し、次世代への円滑な事業継承が喫緊の課題となっている。
 しかし現状では、過疎地の医療機関を親族の医師が相続しようとしても、診療所や病院の土地・建物を含めて多額の相続税が課されるため、やむなく廃業するケースも少なくない。
 そこで同省は、個人開設で都道府県知事が地域医療に不可欠と認定した診療所や病院に限り、土地・建物や検査機器など医療に必要な資産額相当の相続税を納税猶予とする。後継者の医師が5年間運営した時点で相続税を免除する。 
 事業承継をめぐっては、中小企業の後継者が先代から株式を引き継いだ場合、相続税や贈与税の納税が猶予・免除される仕組みがある。個人経営者でも事業用地の相続税を減額評価する制度があり、医師の後継者でもこうした事例を参考にした。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201708/CK2017082302000190.html
【千葉】
医学生が知事に修学資金の制度改善を要望 県庁で意見交換

2017年8月23日 東京新聞

 医師不足の解消を目的とした県の修学資金貸付制度を利用している医学生が、県庁で森田健作知事と意見交換をした。医学生は修学資金に感謝しつつ、「使い勝手を良くしてほしい」と要望した。
 千葉県は人口十万人当たりの医師数が一八二・九人と、全国四十五番目に少ない。医師を確保しようと、二〇〇九年度から同制度を設けた。貸し付けは公立で月十五万円(私立は月二十万円)程度で、県内の医療機関に九年勤めれば返還が免除される。
 意見交換は今月十七日にあり、医学生は、診療科が少ない地域病院に配属された場合や、卒業から勤務までの猶予期間が四年間と少ない点を踏まえ、「専門コースに進みたい人のキャリアプランを狭めてしまう」と指摘した。「妊娠、出産のタイミングが難しい」との声も上がった。 (村上豊)



http://www.asahi.com/articles/DA3S13098421.html
(社説)医師過労防止 地域医療と両立めざせ
2017年8月23日05時00分 朝日新聞

 東京都内の病院で働いていた研修医が、長時間労働が原因で自殺したとして、7月に労災認定された。5月にも新潟市民病院で同様の労災が認められたばかりだ。

 医師は、正当な理由がなければ診察や治療を拒めない。とりわけ病院の勤務医の多忙さはよく知られる。総務省の就業構造基本調査では週の労働時間が60時間を超える人の割合は医師が420と職種別でもっとも高い。

 だが、勤務医も労働者だ。過労で心身の健康がおびやかされれば、手術ミスなど医療の質の低下にもつながりかねない。患者の命と健康を守るためにも、勤務医の働き過ぎを改めていくべきだ。

 政府は働き方改革として、秋の臨時国会に「最長で月100時間未満」などと残業を規制する法案を提出し、長時間労働の是正に取り組む方針だ。

 ただ、医師については、画一的な規制が地域医療を崩壊させかねないとする医療側に配慮し、適用を5年間猶予して、これから残業規制のあり方を議論することになっている。

 実際、労働基準監督署から長時間労働の是正を求められた病院で、外来の診療時間や診療科目を縮小する動きがある。医師の過労防止で必要な医療が受けられなくなる事態は避けねばならない。

 そのためには、残業規制の強化を実行できる態勢を、同時に作っていく必要がある。

 まずは、病院の勤務医の仕事の量を減らすことだ。医師でなければできないことばかりなのか。看護師や事務職など、他の職種と仕事をもっと分かち合う余地はあるはずだ。

 初期の診療は地域の開業医に担ってもらうなど、病院と診療所の役割分担を進めていくことも重要だ。

 医師不足の背景には、地域や診療科ごとの医師の偏りという問題もある。実情に合わせて正す方策を考えたい。地域によっては、病院を再編し医師を必要なところに集中させることが適当なケースもあるだろう。

 様々な取り組みを進めたうえで、それでも全体として医師が足りないようなら、いまの計画より医師を増やすことも考えねばなるまい。

 そうした議論が、働き方を巡る規制の検討会、医師の需給見通しの審議会など政府内でバラバラに進むことのないよう、横断的・一体的に検討すべきだ。

 地域医療との両立をはかりながら、医師の働き方の見直しに道筋をつける。難題だが、避けては通れない。



https://www.komei.or.jp/news/detail/20170822_25353
主張 新専門医制度  患者の期待に応える内実に
公明新聞:2017年8月22日(火)付

内科や外科、小児科などの「専門医」を育成・認定する新たな制度が、来年4月にスタートする。医療の質の向上により、「専門医」に対する国民の信頼を高める契機としなければならない。

現在、多くの医師が「専門医」という肩書を使っているが、各学会が独自の基準で認定してきたものだ。その数は100を超え、一つの病名に複数の診療科名が存在しているケースもある。患者にとって分かりにくく、認定基準も学会によって異なるため、専門医の水準にばらつきを生む点が指摘されてきた。

新制度では、専門医の認定を第三者機関の日本専門医機構が行う。医師国家試験に合格し2年間の初期研修を終えた医師が、医療現場でさらに3年程度の研修を受け、機構が実施する試験に合格することで認定される。

医療現場での研修内容は各科の学会が策定するが、機構の審査が必要となる。専門医のレベルアップへ、研修から試験まで関わる機構の役割は極めて大きいといえよう。

機構はまた、専門医の種類を内科や外科など19の基本領域にまとめた。患者にとっては、耳慣れた科目名の方が分かりやすいのは当然だろう。

「総合診療専門医」の新設も新制度の特徴の一つだ。

総合診療専門医は、内科や外科など複数の領域にまたがり、病院で診察するだけでなく在宅医療や介護など幅広く担当する。住み慣れた自宅や地域で暮らしながら医療や介護サービスを受ける「地域包括ケアシステム」では重要な役割を担う。地域医療を重視した試みは期待できよう。

課題も指摘しておきたい。例えば、新制度による研修は大都市に多い大学病院などで行われるため、専門医をめざす医師が都市部に集中し、地方が医師不足に陥るのではとの懸念があるという。

機構は既に、▽大都市圏の研修定員に上限を設ける▽研修施設を地域の中核病院にも広げる―などを決めた。地域医療に従事しながら専門医をめざす医師が少なくない点にも目を向ける必要がある。

高齢化に伴い国民の医療への関心は高い。まして専門医となれば患者の信頼は格別だ。この点を肝に銘じ、新制度のスタートに臨んでほしい。



https://www.hokkaido-np.co.jp/article/126840
社説 働き方
医師の過労死 働き過ぎ解消は急務だ

08/21 05:00 北海道新聞

 人の命を救う医師が過重労働で疲弊し、自殺に追い込まれるケースも後を絶たない。

 東京都内の総合病院の産婦人科で働く30代の男性研修医が2015年7月に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因として労災認定された。

 遺族の代理人弁護士によると、自殺直前の1カ月の残業は約173時間に上り、厚生労働省の過労死ライン(直前1カ月100時間)を大幅に上回っていたという。

 医師の過労自殺では、今年5月にも、新潟市民病院(新潟市)に勤務していた30代の女性研修医が労災認定されている。

 もはや看過できない事態である。重い使命を担うとはいえ、医師も生身の人間だ。

 政府は、一刻も早く医師の長時間労働の解消策を打ち出さなければならない。

 男性研修医は自殺する前の半年間、月に143~208時間の残業を行い、休日はわずか5日間だった。当直明けが日勤の場合、拘束時間は30時間を超えていた。

 休日の呼び出しも多く、抑うつ症状があったという。すさまじい労働実態と言うほかない。

 医師の長時間労働は常態化している。厚労省によると、週60時間以上働く医師は41.8%に上り、職業別で最多だ。

 休日は月平均5.3日だけで、ゼロも11.4%いた。自殺(未遂含む)など労災認定は、16年までの5年間で21件に上る。

 医療過誤の原因として、慢性疲労を挙げた医師が7割を超えたという調査報告もあり、長時間労働の放置は、医療の質を低下させる恐れがある。

 政府が進める「働き方改革」には問題が多い。そもそも医師は残業時間の上限規制の例外として、5年の猶予期間が設けられた。

 医師には正当な理由なく診療を拒めぬ「応召義務」があるとしても、これでは何も変わらない。

 長時間労働の是正には、医師不足や偏在の解消も不可欠だ。

 人口比で見ると、日本の医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟29カ国中26位で、1位のオーストリアの半分以下である。

 病院運営者は、医師も労働者との視点で、労働環境を再チェックしてもらいたい。交代勤務制への転換や、事務の役割分担などさまざまな工夫をすべきだろう。

 患者の側も、かかりつけ医などを活用し、時間外にむやみに駆け込む「コンビニ受診」は控えたい。意識改革が求められる。



http://www.asahi.com/articles/ASK8V23T0K8VUBQU004.html
膨らむ高齢者の医療費 治療、どこまで?
生田大介
2017年8月26日06時41分 朝日新聞

 日本は世界に誇る長寿国となった一方、それが医療費を膨張させている。薬や医療機器の高額化も進むなか、高齢者への医療はどうあるべきなのか。

■相次ぐ、画期的医療技術

 西日本のある病院に昨年末、90代後半の重症心不全の女性が運び込まれた。心臓から血液を全身に送るための弁が硬くなり、呼吸困難に陥った。本来なら胸を切って人工弁を埋める外科手術が必要だが、高齢過ぎて体力的に耐えられない。

 そこで、太ももの血管から細い管を通して人工心臓弁を届ける「経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI(タビ))」という治療が行われた。体への負担が少ない最先端の技術で費用は700万円ほど。保険が利くので患者負担は少ないが、保険料や公費の負担は大きい。

 治療は成功して女性は無事に退院したが、その数カ月後に肺炎で亡くなった。治療を担当した医師は振り返る。「症状が悪化するまで畑仕事をしており、『もう一度元気になりたい』という思いが強かった。高齢になるほど肺炎や脳梗塞(こうそく)のリスクは高くなるが、発症するのか予測は難しい」

 TAVIは国内では2013年に保険適用され、8千例以上行われた。だが、比較的余命が短い「超高齢者」にどこまで使うのか、医療現場は模索している。

 北里大学では、95歳の患者まで対象としたことがある。阿古潤哉教授は「体力や認知能力などから適応をしっかり選んで実施している。国民皆保険がこのまま持つかどうか懸念はあるが、年齢だけで区切っていいのか難しい」と漏らす。

 TAVIの費用対効果は高いとされるが、合併症を起こす可能性が大きい高齢者には費用対効果が低いという海外の研究もある。TAVIの関連学会協議会の事務局を務める鳥飼慶・大阪大講師は「手術できない高齢者にとってTAVIは福音となる技術。ただ、超高齢者にどこまで適応をするかは、医療費の観点も含めて議論していく必要があるのではないか」と話す。

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■75歳以上の医療費、年14兆円

 日本人の平均寿命は伸び続け、16年は女性が87・14歳、男性が80・98歳になった。一方、高齢になるほど医療費はかさみ、14年度の医療費(約41兆円)の3分の1以上にあたる約14兆円は、後期高齢者医療制度に入る75歳以上が使った。

 大島伸一・国立長寿医療研究センター名誉総長(71)は、こう訴える。

 「平均寿命を超えたら超高額な薬は使わないことや、治療内容によっては自己負担割合を引き上げることなどを本気で考えないと、医療が崩壊するかもしれない」

 とはいえ、高齢者の医療費を削減する議論は、命に直結する問題だけに容易ではない。とりわけ多くの医療費がかかる延命治療のあり方は難題だ。

 患者の意思が確認しづらく、望まない延命治療が行われる場合もあるとされる。そこで京都市は4月、患者の意識が明確なうちに延命治療をするかどうかなどを決めておく「事前指示書」を約3万部つくり、配布を始めた。すると「生命を軽んじている。国の医療費抑制に同調しているのでは」といった反発が出た。

 政府は08年4月に、医師が延命治療などの相談を受ければ報酬を加算する仕組みを導入したが、「高齢者は早く死ねということか」といった強い批判を受け、3カ月後に凍結。10年4月に廃止された。

 国立がん研究センターは4月、高齢の進行期がん患者は抗がん剤による延命効果がみられない可能性があるという研究結果を公表し、波紋を広げた。

 同センターの中釜斉(ひとし)・理事長は「研究の狙いは医療費抑制ではない。体力が乏しく副作用のリスクも大きい高齢者に最適な治療を考える研究の一環だ」と説明。症例数が少ないため、より大規模な研究が検討されている。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/551583
m3.com意識調査
勤務医、暗い見通し「開業して儲かる時代は終わった」
「採算が合わない」開業に踏み出せない勤務医の声

レポート 2017年8月25日 (金)配信m3.com編集部
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 2017年8月1日 (火)~7日 (月)に実施した意識調査「開業したいと思ったこと、ある?」において、 勤務医の会員に対し、開業をしたいと思うかについて質問したところ、約4割が「開業したいと思う」と回答した(39.30)。
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Q2:上記回答の理由があればお書きください。

【開業したい】
・父が開業しており、自分の時間や資産が増えることに大きなメリットを感じる。しかし専門科が異なり兄弟が継ぐため、別に自分で開業する必要がある。(20代男性)
・親のクリニックを継続する。(30代男性)
・理想の地域医療を模索したい。(30代男性)
・勤務医の当直は安く、忙しい。開業医は簡単に総合病院に紹介してくる現状があり、それならば自分も開業したいと思う。(30代男性)
・独立して自分が長として働きたい。(30代男性)
・収入アップのために開業したいとは考えるが、体力に自信がなく、開業に至っていない。(40代男性)
・地域医療に貢献するには最適の形態と思うので。(40代男性)
・開業の方がやりがいがあるが、結局 勤務医が楽なのでこのままいきそうです。(40代男性)
・色々な面で自分でコントロールできるシステムとして組み立てられると思っているので、十分に準備をして開業したいと考えている。(60代男性)
・地域医療の原点であると思う。(60代男性)

【開業したいとは思わない】
・開業医はできることが限られ、接することのできる症例や人にも限られるので現時点ではやりたくない。(20代男性)
・実際場所があり、法人があり、身内が開業に引っ張られることも決定している。大学院に行くつもりもなく、 勤務医をこのまま続けると部長にはなれないので、どこかで追い出される。自分の親の介護を考えるとある程度見切りを付けて開業するのが賢明なのかもしれない。(30代男性)
・医局に属しており、医局のために働きたいと感じているから。(30代男性)
・もう開業医が儲かるという時代は終わったと思っています。(30代男性)
・開業しても借金が多く、返せるかどうか未知数。人口が30万人ずつ減少していく時代においては、破産するのでは。(40代男性)
・資金や来年の診療報酬改定後の採算面でかなり厳しいと思い、諦めました。(40代男性)
・今後、医療経営の厳しさが増すように思われるから。(40代男性)
・電子カルテを扱える医療事務の求人が少ない。(40代女性)
・年齢が時機を逸してしまったのと、今から借金をこしらえたら返済できないと思われるため。(50代男性)
・資金面と夜働く時間、医師会の仕事の割り当てなどで負の部分も多いかなと。(50代男性)
・児童思春期を中心とした精神科クリニックでは採算が合わないと思うから。(50代男性)
・借金してまで、開業しても上手くいくのかと考えてしまいます。(50代男性)
・組織のしがらみも辛いが、リスクは背負えないと思う。(50代男性)
・診療内容の裁量が高まるが、経営業務が負担。(50代男性)
・売り上げだけのために不必要な薬を処方させられるのが嫌。かといって、自分の理想だけでは 集客も経営もできそうにないので。(50代男性)
・近年の医療費増抑制のトレンドの中で、開業医のメリットが見い出せない。(50代男性)
・開業すると経営者になるわけで、職員に給料を出すことが義務になる。その他経費と収入のバランスを考えていると、自分の理想とする医療が行えなくなる。(60代男性)
・経営手腕に欠けていると思う。それに小児科医なので、今後は採算が取れないでしょう。(60代男性)
・開業医が儲かる時代は過去の彼方に消え去った。しかも今や、開業医は儲かるどころか、倒産のリスクも徐々に高まっている。(60代男性)
・年齢のこともあり、うまくいくかどうかの不安もあり、踏ん切りがつかなかった。(60代男性)
・仕事は継続したいが、他人の給料を決めたり、本来の仕事とは違う事をしたくない。(60代男性)
・老医であるが医師になる動機が今も変わらず、海外の無医地区で奉仕したいためであるので。(70代男性)

【調査の概要】
調査期間:2017年8月1日 (火)~7日 (月)
対象:m3.com会員
回答者数:開業医230人
回答結果画面:「開業したいと思ったこと、ある?」



https://mainichi.jp/articles/20170825/ddl/k24/040/270000c
山田診療所
休診へ 医師退職 伊賀市が廃止も検討 /三重

毎日新聞2017年8月25日 地方版 三重県

 伊賀市は市国民健康保険山田診療所(平田)を11月から休診とする方針を固めた。24日の市国民健康保険運営協議会に報告し、了承された。市は廃止も検討する。

 市によると、診療所の医師(83)から6月、退職の意向が伝えられた。診療所には医師1人と看護師2人、事務員2人が勤務。毎週火、水曜に診察している。代わりの医師は探さず、看護師らの新職場を確保したという。

 今後は協議会内の「診療所あり方検討委」で廃止を含め論議する。稲森洋幸・健康福祉部長は「診療所でなくなれば、あの建物をどうするかの調整も必要」と話した。

 山田診療所の受診者は2013年度4463人。16年度は1199人。昨年10月から診療日をそれまでの週4日から2日に減らした。市は市立上野総合市民病院の内科医師が増えたことなども休診や廃止論議の理由としている。

 山田診療所は旧大山田村時代の1993年開設。廃止されると、旧大山田村地区の医療機関は国保阿波診療所と個人医院の2カ所になる。【大西康裕】

〔伊賀版〕



http://www.sankei.com/life/news/170825/lif1708250012-n1.html
「老衰死」10年で3倍 死因より最期重視へ変化
2017.8.25 12:45 産経ニュース

老衰死の推移
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 特定できる病気がなく自然に亡くなる「老衰死」が増えている。平成27年は約8万5千人で、17年から10年間で3倍になった。高齢者の増加が要因とされるが、背景には死因究明より、人生の最期を重視することで死を受け入れようとする本人や家族、医師の価値観の変化もあるようだ。

 「立派な老衰です。大往生ですね」。27年7月、寺田さださん=当時(99)、滋賀県東近江市=を自宅でみとった長女の丸山イサ子さん(77)は、往診した花戸貴司医師(47)の言葉に涙が止まらなかった。「母の人生がいい人生だったと、認められたような気がした」からだ。

 さださんは病気知らずで、大根や白菜など季節の野菜を、自宅裏の畑で丹精込めて育てていた。しかし、死亡の3カ月ほど前から次第に食が細くなり、1週間前には何も食べられなくなった。

 「母は枯れて、美しい姿になっていきました」とイサ子さん。亡くなる前日、さださんは布団から起き上がり、集まった家族や診療に訪れた花戸医師ら一人一人に「ほんまにありがとうございました」と丁寧に頭を下げた。その翌日、さださんは眠るように亡くなり、死亡診断書の直接死因欄には「老衰」と記された。

 長年地域の医療に従事してきた花戸医師は「残された人を納得させるのは、最期を共に過ごす中で語られた本人の言葉ではないか」と話す。在宅医療の普及で、人々の意識は、死の原因ではなく、最期に至るまでの生きた過程を重視する方向に変わってきたという。

 厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死」。人口動態調査によると、老衰死は診断技術の進歩に伴い減っていたが、その後増加に転じ、17年の2万6千人から27年には8万5千人近くに増え、死因の7位から5位になった。

 全国老人福祉施設協議会の24年度の調査によると、特別養護老人ホームでみとりをした人のうち、老衰で死亡した人は6割を超える。

 在宅医療に詳しい東埼玉病院(埼玉県蓮田市)の今永光彦医師は「高齢者の増加の影響が大きいが、終末期のあり方に関する社会の意識の変化も関係しているのでは」と指摘。「在宅で世話をしてきた家族にとって、きちんとみとった証し、勲章のような意味を持つ場合がある」と話す。

 一方、今永医師が、在宅医療で「老衰」と診断したことのある医師を対象に実施した調査では「診断を積極的に行わないことへの葛藤」や「病気の見逃し」に不安があることが分かっている。

 全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田国夫医師は「救える命を医師が『人生の最終段階』と判断し、医療を放棄するケースもあり、老衰の診断は慎重にすべきだ。ただし、本人、家族と医師との間で合意があり、穏やかに亡くなったのなら、問題ないのではないか」と話した。



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/457726
伊万里松浦病院、長崎県に特例申請
移転先、病床過剰地域で

2017年08月25日 08時11分 佐賀新聞

 伊万里市の伊万里松浦病院を長崎県松浦市に移転開設する問題で、松浦市が病床過剰地域に含まれるため医療法の特例措置に基づき病院の移転開設を認めるよう、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(本部・東京)が長崎県に申請したことが24日、分かった。

 申請は23日付。松浦市を含む二次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床数は約5千床で、基準の3858床を上回っている。このため病床を伴う医療機関の新設は原則認められない。しかし、医療法は複数の医療機関の再編で病床数が減少する場合、特例として病床過剰地域でも新設できるとしている。

 同機構は2020年4~7月、松浦市で病床数87床、12診療科の病院を開設予定。誘致を目指す松浦市は圏内の病床数が増えないよう、20年3月末までに市内の88床を減らす計画を策定している。同機構は市内に中核的な公的病院がなく、医師の高齢化や後継者不足などの問題を抱えているとして、「この地域の医療に貢献したい」と特例の適用を求めている。

 申請を受け、県医療審議会は今秋、地域の事情や地元医師会の意向などを審議。その後、特例を認めるべきかどうか知事に答申する。県は答申を踏まえて国と協議し、認可を判断する。(長崎新聞提供)



https://mainichi.jp/articles/20170826/ddl/k42/040/285000c
松浦中央病院
20年新設 伊万里から移転へ特例申請 /長崎

毎日新聞2017年8月26日 地方版 長崎県

 松浦市の友広郁洋市長は25日の市議会全員協議会で、伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を運営する独立行政法人「地域医療機能推進機構」が県に特例を適用して松浦市への移転・新設を認めるよう申請したことを明らかにした。12診療科87病床の「松浦中央病院」(仮称)を2020年4~7月に開設するとしている。

 同市を含む佐世保県北医療圏は基準を上回る過剰病床地域のため、新設には周産期疾患など病床の特定や、公的医療機関の再編統合などの特例適用が必要。同機構は23日付で、市医療再編計画で削減可能とされた「88病床」の範囲内に規模を抑え「市内唯一の救急告示病院」として特例を適用するよう求めた。

 県が新設を諮る県医療審議会は10月に開催予定。答申を経て知事が最終判断するが、特例適用には「地元医師会の理解が重要」とされる。市によると、市内11医療機関でつくる松医会の賛否は割れたまま。全員協議会でも、既存の病院との患者の奪い合いなどを懸念する意見が出た。【峰下喜之】

〔長崎版〕



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0823510281/
皮膚科医が地方で勤務する条件が明らかに
日本皮膚科学会アンケート

2017年08月23日 06:40 Medical Tribune

 医師の偏在や地域医療の崩壊は、多くの診療科が抱える共通の問題といえるが、抜本的な解決策はなかなか見いだすことができない。東北大学大学院皮膚科学准教授の山﨑研志氏は、全国の皮膚科科長や指導医、皮膚科勤務医を対象にアンケートを実施。それらの回答から、地方で皮膚科診療に携わる場合に医師が重視するポイントなどが明らかになったと、第116回日本皮膚科学会(6月2~4日)で発表した。

悪性黒色腫への外科対応不可の施設多い

 複数実施されたアンケートのうち、1つは「皮膚科長、指導医の立場からみる皮膚科診療の現状と要望」をテーマにしたもので、日本皮膚科学会認定主研修施設、一般研修施設に該当する334施設から回答を得た。回答者は皮膚科科長である。

 回答によると、皮膚科の常勤医師数は平均4.6人であるのに対し、必要とする皮膚科医数は平均5.4人で、現状では医師数の不足を感じながら診療している施設が多いことが示された。

 診療状況については、自己免疫性水疱症や乾癬、アトピー性皮膚炎などに対する治療やパッチテスト、ダーモスコピーといった皮膚科特有の疾患や手技、検査は大半の施設で可能であった。しかし、悪性黒色腫に対する外科手技・処置については可能な施設が少なく、原発巣切除は159施設、センチネルリンパ節生検は127施設、鼠径リンパ節郭清は122施設と、いずれも回答が得られた施設の半数に満たなかった。

所属する皮膚科医の数、当直回数が地方に医師を呼び込む鍵

 別のアンケートでは、「勤務医の立場から考える皮膚科医療に求める姿」をテーマとし、同学会認定専門医かつ勤務医の426人から回答を得た。

 出身地・出身大学と現勤務地を地域別に尋ねると、東北、中国、四国地方が出身地あるいは出身大学の医師が同じ地域に勤務する割合は60%前後であり、近畿地方の134.8%、関東や九州・沖縄地方の106.4%に比べ低かった。

 現在の勤務先で困っていることについては、「業務が多忙」との回答が142人と最も多く、次いで「働きがいや自分自身の将来展望」の111人だった。

 医師不足地域で診療に従事する場合に必要となる条件については、「自分と交代できる医師がいる」が317人で最も多く、「他病院とのネットワーク・連携がある」(291人)、「給与が良い」(226人)の順に多かった(表)。

表. 医師不足地域で診療に従事するとしたら、主にどのような条件が必要か(複数回答可)
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(山﨑研志氏提供)

 さらに、同様の観点から質問項目をより具体化し、「ある二次医療圏内で、唯一皮膚科を標榜科とし、皮膚科専門医が在職している病院への勤務を打診された場合」の判断条件を10項目示し、より重視する順に1~10の番号で回答を求める調査を実施。その結果、「皮膚科医の人数」が平均値2.8、「当直の回数」が3.5となり、他の項目よりも重視する条件であることが明らかになった。

 これらの結果を受け、山﨑氏は「多くの皮膚科専門医が、複数人体制で外科治療まで行える医療施設が理想的と考えており、そういった施設での勤務を求めていることがうかがえた」とまとめた。

(陶山 慎晃)



https://www.m3.com/news/iryoishin/553112
医師会立看護師養成所の減少、地域医療に影響
釜萢常任理事「医師会立の役割低減とはさらさら思わず」

レポート 2017年8月24日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の釜萢敏常任理事は8月23日の定例記者会見で、医師会立の看護師学校養成所などの状況について報告。応募者、入学者とも減少傾向にあるが、「医師会立の役割が低減しているとはさらさら思っていない」と強調した。医師会立養成所卒の看護師が減ることで、地域における看護職員の確保が困難になる恐れがあるとする危機感を表した。


 調査は入学者もしくは卒業者のあった施設を対象に2017年5月に実施。医師会立の准看護師課程は182校(2016年度186校)、看護師2年課程72校(同74校)、看護師3年課程70校(同68校)、助産師課程6校(同6校)で、全体では330校(同334校)だった。准看護師課程の入学者は2012年度の9393人から2017年度は7692人に減少している。

 看護師全体の養成数は1998年度の約7万5000人をピークに、1999年度にあった准看護師課程のカリキュラム改正の影響で減少。2005年度の約5万9000人を底に、看護系大学の増加とともに近年は増加傾向にあるが、それでも6万5000人程度に留まっている。看護師の有効求人倍率は2017年5月に1.49倍となり、1974年2月以来、43年3カ月ぶりの高さを記録している。医師会立養成所の卒業生は8割程度が県内に就職するのに対し、他の養成所では6-7割、看護系大学では5割に留まっている。

 釜萢氏は「(医師会立養成所の)役割が低減しているとはさらさら思っていない。なぜかと言うと地域定着は医師会立が高く、ある県に看護系大学ができたからといって、その大学生が定着する率は低い。医師会立の役割は非常に大きい」と強調。それでも、医師会立養成所が減少している背景には若年人口の減少などがあるとし、養成所がなくなった地域では看護師確保に苦労していると説明した。



http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=367463&comment_sub_id=0&category_id=256
地方の若手医師、「働き方」改善へ 厚労省
2017/8/23 中国新聞

 厚生労働省が来年度から、医師不足に悩む地方で働く若手医師を対象に、勤務環境の改善に乗り出すことが22日、関係者への取材で分かった。週4日制など柔軟な勤務体系やテレビ電話での診療支援などを進める。「働き方」を改善し、地方に若手を呼び込むことで、地域間の医師偏在を解消するのが狙いだ。
 国公立の医療機関だけでなく、民間で働く医師も対象。都道府県などによる環境整備を後押しするため、来年度予算案の概算要求に8億円を盛り込む。
 地方で働いてもいいという医師は一定数いるものの、人手不足で休みが取りにくいことや、希望する仕事ができないといった労働環境の厳しさやキャリア形成の難しさなどが地方定着を阻んでいるとみられる。
 新たな事業では、若手医師が休暇や自己研さんのための時間を確保できるようにするため、週4日勤務制を導入したり、非勤務日をカバーする代替医師を派遣したりする自治体の取り組みを支援。テレビ電話を活用し、遠隔地からアドバイスを受けられるような仕組みも想定している。
 地方で一定期間働くことを条件に、医学部在学中の奨学金の返済を免除される「地域枠」制度を利用した若手のほか、自ら地方勤務を選択した医師も対象とする。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO20394750V20C17A8000000/
地域包括ケアのあるべき姿、ビッグデータで分析 
2017/8/26 8:00 日本経済新聞
日経デジタルヘルス

 「地域包括ケアシステムの深化」および「多様化する高齢者像を捉えた地域マネジメント」の実現に向けた最適ケアのあるべき姿を、ビッグデータから定量的に分析する。東芝デジタルソリューションズと筑波大学大学院は、こうした仕組みの共同研究を開始した。

 日本では現在、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」構築の重要性が叫ばれている。そのなかで東芝デジタルソリューションズは、介護サービス利用者のデータを活用したサービス効果の分析業務を、2016年度よりモデル自治体から受託。データにおける心身状態の改善・維持の傾向などから、効果を分析する指標の検証作業を進めている。また筑波大でも、認知症高齢者への実態調査に基づいた認知症予防や重度化防止を研究している。

 今回、両者の研究成果を融合する共同研究によって、ビッグデータから地域包括ケア事業の質の向上につながる最適なアプローチ方法を導き出す分析方法を考案。さらに、その分析結果を共有・提供する仕組みによって、介護保険運営を継続的に支援する地域診断情報の標準化を目指す。

 この共同研究の成果として、東芝デジタルソリューションズは地方自治体に向け「地域包括ケア事業支援ソリューション」を、2017年度中に順次提供開始する計画だ。また筑波大学大学院は、地域包括ケア事業の質の向上につながるアプローチ手法の具体化と標準化に関する研究を進め、国・自治体・サービス現場・有識者へのフィードバックを図る。

(スプール 近藤寿成)

[日経テクノロジーオンライン 2017年8月25日掲載]



http://www.medwatch.jp/?p=15422
入院前からの退院支援、診療報酬と介護報酬の両面からアプローチを—入院医療分科会(3)
2017年8月25日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 退院支援加算1と2の算定対象である「退院困難な患者」について、「家族問題などで支援が必要な状態」や「在宅サービス利用や再調整が必要な状態」なども含まれることを明示してはどうか。2018年度診療報酬改定後に「地域連携診療計画加算」の算定件数が大きく減少していることから算定要件の見直しを検討してはどうか―。

24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」では、こういった議論も行われました(関連記事はこちらとこちら)。

2018年度には診療報酬・介護報酬の同時改定となるため、退院後の円滑な介護施設入所を促進するためにも、診療報酬と介護報酬の両面からのアプローチを求める意見も出ています。

8月24日に開催された、「平成29年度 第6回 診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」
G3註:図略

ここがポイント!
1 退院支援加算の算定対象である「退院困難患者」、より具体的に示すべき
2 入院前・入院早期からの退院支援により、円滑な退院に有用
3 地域連携診療計画加算の算定が大幅減、算定要件の見直しを求める声も
4 再入院率、病棟で提供する「医療の質」を図れる指標として注目

退院支援加算の算定対象である「退院困難患者」、より具体的に示すべき

 病院からの円滑な退院により、▼医療安全の確保▼患者のQOL向上▼医療費の適正化—などの効果が望めることから、診療報酬でも「退院支援」に力を入れる病院を評価しています。2016年度の前回診療報酬改定では、従前の「退院調整加算」を見直し、「退院支援加算」に組み替えています。具体的には、▼施設基準を厳格化(病棟に地域連携連中の看護師などを配置する)した【退院支援加算1】▼従前の退院調整加算に該当する【退院支援加算2】▼新生児の退院調整・支援を評価する【退院支援加算3】―の3区分となっています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

退院支援加算1・2の施設基準・算定要件の概要。加算1を届け出るためには病棟に退院支援業務等専従の看護職員・社会福祉士の配置などが必要となる
G3註:図略

 ところで退院支援加算は、すべての退院患者に算定できるわけではありません。加算1と2では主に「退院困難な要因を有しながら、在宅療養を希望する患者」が算定対象で、具体的には▼悪性腫瘍、認知症、誤嚥性肺炎などの急性呼吸器感染症のいずれか▼緊急入院▼要介護認定の未申請▼排泄の要介助▼入退院を繰り返している—などのほかに、「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」も含まれます。厚労省は24日の入院医療分科会に、この「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」として、病院側が具体的にどういう状態と考えているのか調べ、次のように整理して示しました。
【入院早期から把握し、速やかに関係機関と連携し、入院中から支援する必要があるケース】
▽家族からの虐待や家族問題があり支援が必要な状態
▽未婚などで育児のサポート体制がないため、退院後の養育支援が必要な状態
▽生活困窮による無保険、支払い困難な場合
▽保険未加入者であり市町村との連携が必要な場合 など

【入院早期に「入院前に利用していたサービス」を把握し、退院後に向けた調整が必要なケース】
▽施設からの入院で、施設での管理や療養場所の選択に支援が必要な状態
▽在宅サービス利用の再調整や検討が必要な状態

 この具体像について神野正博委員(社会医療法人財団董仙会理事長)は、「2018年度の次期改定では、悪性腫瘍などと同じように明示すべき」と要望しました。診療報酬点数表などには、同様の「その他、●●に準ずる場合」と記載されることがよくあります。患者の状態などはさまざまで、すべて列挙することは不可能な、こういった記載が用いられますが、可能な限り具体化したほうが、医療機関にとっても、審査支払機関にとっても分かりやすくなると考えられます。

退院支援加算の算定対象患者
G3註:図略

退院支援加算の算定対象患者のうち、「その他」の中にもさまざまなケースが含まれている
G3註:図略

入院前・入院早期からの退院支援により、円滑な退院に有用

 退院支援加算を算定するためには、入院後早期に前述の退院困難な患者を抽出し(加算1では3日以内、加算2では7日以内)、早期に患者・家族と面談し(加算1では7日以内、加算2ではできるだけはやく)、早期に多職種による退院支援に向けたカンファレンスを実施する(加算1では7日以内)ことが必要です。

 さらに、一部の病院では「入院前」から、退院支援に向けた取り組みを行っており、それが円滑な退院に効果をもたらしているといいます。例えば高齢者の予定入院において、外来診療の中で「この患者は入院が必要な状態だが、退院後に在宅介護が必要になるであろう。果たして要介護認定を受け、退院後すぐに介護保険サービスを受けられる状況にあるであろうか」といった点を考慮し、ケアマネジャーと連携することなどが考えられます(関連記事はこちら)。

厚労省の行った調査によれば、7対1病棟・療養病棟の2割程度、10対1病棟・回復期リハビリ病棟の3割程度、13対1・15対1病棟の4割程度、地域包括ケア病棟の5割弱では、入院前から担当ケアマネがおり、半数超で「ケアマネからの情報提供が有用であった」と感じていることが分かりました。

入院前にケアマネジャーとの連携を行っている病院があるが、病棟の種別によって連携状況はまちまちである
G3註:図略

入院前のケアマネとの情報連携について、半数超の病院は「有用」と捉えている
G3註:図略

 
また、個別事例について自治体との連携状況を見ると、7対1では7割弱、10対1では5割弱、地域包括ケア病棟では6割弱が連携しています。
さらに地域ケア会議(自治体職員、ケアマネ、介護事業者、医師、看護師、リハビリ専門職などが集い、個別の困難事例支援などを通じて▼地域支援ネットワーク構築▼高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援▼地域課題の把握―などを行う)への医療機関の参加状況を見ると、病棟の種別で若干の差はあるものの「5割前後が参加」している状況が分かりました。
病棟の種別で差があるが、5割前後の病院は地域ケア会議に参加し、個別の要介護高齢者事例を通じた地域連携ねとワークなどに積極的に関わっている
病棟の種別で差があるが、5割前後の病院は地域ケア会議に参加し、個別の要介護高齢者事例を通じた地域連携ねとワークなどに積極的に関わっている
 
また外来患者が自院に入院する際に、6割超の病院では「連携のための部署・窓口」を整備しており、3割超の病院では「看護師などが調整を行っている」ことも分かりました。ほとんどの病院で、入院前からの退院支援に向けた一定の取り組みを行っていることが伺えます。

ほとんどの医療機関で、外来部門と入院部門が連携し、「入院患者の情報連携」などを行っている
G3註:図略

このように、ケアマネや自治体などと連携した「入院前からの退院支援」などが円滑な退院に有効であることが示唆されており、厚労省は▼入院前▼入院早期—からの効果的な退院支援を診療報酬でどう評価していくか、検討を要請しています。
この点、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)は、▼外来と入院をつなぐ「入退院センター」の設置▼薬剤師による入院前の使用薬剤把握—なども含めた評価を検討するよう要請。筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は、「2018年度は同時改定になるので、診療報酬と介護
報酬の双方からのアプローチ(情報連携した場合、医療機関もケアマネも報酬で評価される)を行ってほしい」と要望しました。神野委員も同旨の考えを述べています。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、診療報酬を担当する保険局医療課と介護報酬を担当する老健局老人保健課とで連携を図っていることを強調しています。

また池端幸彦委員(医療法人池慶会理事長)は、▼高齢者の入院時に病院側がケアマネに連絡し、ケアマネから情報提供を受ける(ケアマネがいない場合には、病院側が要介護認定申請を支援する)▼入院中には病院とケアマネで情報連携する▼退院支援が開始されたら病院からケアマネに連絡し、ケアマネがケアプラン作成などを始める—という福井県退院支援ルール(福井モデル)の有効性を説明するとともに、「入院時の情報連携の評価充実」が重要と強調しています(関連記事はこちら)(福井県のサイトはこちら)。

福井県における退院支援ルールの概要
G3註:図略

地域連携診療計画加算の算定が大幅減、算定要件の見直しを求める声も

 ところで2016年度の前回診療報酬改定では、退院支援加算の創設に合わせて、従前の地域連携診療計画管理料(B005-2)、地域連携計画加算(A238退院調整加算の加算)などを、A246退院支援加算の加算【地域連携診療計画加算】に整理・統合しました。いずれも、いわゆる地域連携パスを用いた連携を評価するものです。

この点、厚労省が算定状況を調べたところ、2016年度改定後に算定件数が大幅に増加していることが判明しました(合計はもちろん、改定前の地域連携計画加算のみと比べても減少)。

2016年度の前回診療報酬改定後、地域連携診療計画加算の算定件数は大きく減少している
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この原因の1つとして、地域連携診療計画加算は『退院支援加算1と3の加算』という点がありそうです(退院支援加算1・3を届け出ていなければ、地域連携診療計画加算は算定できない)。
牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、例えば回復期リハビリ病棟では、患者の身体機能回復状況を踏まえながら退院支援困難者の抽出や多職種カンファレンスを行う実態などを紹介し、「回復期リハビリ病棟で大急ぎで退院支援する(退院支援加算1の取得につながる)必要があるだろうか。地域連携診療計画加算の退院支援加算1と3への限定は疑問だ」と述べ、次期改定での算定要件見直しを求めています。

再入院率、病棟で提供する「医療の質」を図れる指標として注目

 なお、7対1病棟や地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟の施設基準である「在宅復帰率」について、厚労省は「評価の趣旨を踏まえた整理が必要」と考えています。24日の入院分科会でも、多くの委員から「7対1では自宅以外に、地域包括ケア病棟や療養病棟への転院でも在宅復帰率にカウントされる。『連携率』などの名称に見直してはどうか」といった指摘がなされています。

また神野委員は「7対1を早期退院して、他の状態にあった病棟へ移ることを評価すればよい」とし、7対1における在宅復帰率は「廃止すべき」とコメントしました。本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)も「形骸化しており廃止すべき。継続するのであれば『自宅への退院』を手厚くカウントすべき」と求めています。

これに関連して、厚労省は「再入院率」のデータを提示。1年間における再入院率を見ると、200以上300未満の病院がもっとも多く、また「同一疾患での6週間以内の再入院率」は100未満がほとんどとなっていますが、一部には再入院率が400を超える病院もあります。十分な治療をせずに早期退院のみを追い求めれば再入院が多くなるため、再入院率は「医療の質」を図る重要指標の1つと言えます。平均在院日数や退院支援などと併せて、再入院率の評価を組み合わせれば、「適切な医療を提供しながら、早期退院に力を入れている病院」を抽出して評価できるため、今後の検討に注目する必要がありそうです。

医療機関の再入院率を見ると200以上300未満がもっとも多く、ほとんどの病院では「同一疾患での6週間以内の再入院料」は100未満にとどまっているが、一部に400を超えている病院もある
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http://www.medwatch.jp/?p=15404
地域包括ケア病棟、初期加算を活用し「自宅からの入院患者」の手厚い評価へ—入院医療分科会(2)
2017年8月25日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 地域包括ケア病棟では、6割強の入院患者に対して【救急・在宅等支援病床初期加算】が算定されており、現在は「自宅などからの入院患者」でも「急性期病棟からの転院・転棟患者」でも算定可能となっている。しかし、両者では患者の医学的状態や検査実施状況などに違いがあり、これをどう考えていくべきか—。

24日に開催された診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういったテーマでも議論が行われました(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定
2 「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も

自宅などからの入院患者のほうが、急性期後の転院患者よりも状態が不安定

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会や入院医療分科会では「地域包括ケア病棟の機能分化」が論点の1つとなっています。主に「急性期病棟からの転院・転棟患者」を受け入れている病棟(post acute機能)と、「自宅などからの入院患者」も積極的に受け入れている病棟(sub acute機能)とがあり、後者のほうが「状態が不安定」な傾向があることから、報酬上でも両者を分ける必要があるのではないか、という議論です(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

24日の入院医療分科会では、厚生労働省から新たに次のようなデータが示されました。急性期後患者を「自院における転棟患者」と「他院からの転院患者」に分けてみています。

▼患者の主傷病を見ると、骨折の割合が、「自院の7対1などからの転棟患者」(26.00)では、「他院の7対1などからの転院患者」(16.50)、「自宅などからの入院患者」(16.10)に比べて高い

自院の急性期からの転棟患者では、他院の急性期からの転棟患者・自宅などからの患者に比べて、「骨折」の割合が高い
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▼患者の医療的な状態を見ると、「安定している」患者の割合が、「自宅などからの入院患者」(67.10)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(76.20)、「他院の7対1などからの転院患者」(70.70)より低い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者よりも「状態が安定している患者」の割合が若干低い
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▼医学的な要因以外で退院できない患者の割合を見ると、「自院の7対1などからの転棟患者」(17.30)では、「他院の7対1などからの転院患者」(10.60)、「自宅などからの入院患者」(8.20)に比べて高い

自院の急性期病棟からの転院患者では、他院の急性期病棟からの転棟患者や自宅などからの入院患者に比べて、「医学的な要因」以外で退院できない患者の割合が高い
G3註:図略
 
▼状態が不安定で急性期治療を行っているので退院できない患者の割合を見ると、「自宅などからの入院患者」(26.70)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(8.60)、「他院の7対1などからの転院患者」(3.20)よりも高い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、「状態が不安定で急性期治療を行っており、退院できない」患者の割合が高い
G3註:図略

▼検体検査や生体検査、X線撮影などの実施状況を見ると、「自宅などからの入院患者」(生体検査では13.40)では、「自院の7対1などからの転棟患者」(6.00)、「他院の7対1などからの転院患者」(7.70)よりも高い

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その1)
G3註:図略

自宅などからの入院患者では、急性期後の転院・転棟患者に比べて、検査をより多く実施している(その2)
G3註:図略

 改めて「自宅などからの入院患者」では、「急性期病棟からの転院・転棟患者」よりも状態が不安定で、医療の必要性が高いことが伺えます。牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、こうした状況を踏まえ「自宅などからの入院患者を多くい受け入れれば、それだけ病院には負荷がかかることになる。加算などで評価してはどうか」と提案しています。
「自宅などからの入院患者」の評価、初期加算の算定対象限定という手法も

 では、具体的にどういった評価方法が考えられるのでしょう。例えば、▼外形に着目し7対1病棟などを持つ病院の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う(逆に、7対1などを併設していなければ入院料の増点や加算新設などを行う)▼入院患者に着目し、「自宅などからの入院患者」割合が一定以上の地域包括ケア病棟では、入院料の増点や加算新設などを行う(逆に、「急性期後患者」が一定割合以上の地域包括ケア病棟では、入院料の減額などを行う)―ことなどが思い浮かびます。

 この点について厚労省は【救急・在宅等支援病床初期加算】(以下、初期加算)に注目しているようです。この初期加算は、(1)急性期を担う他院の一般病棟(2)自宅・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど(3)急性期を担う自院の一般病棟—からの患者について、14日まで、1日150点が入院料に上乗せされるものです。2016年6月のレセプトからは、件数ベースで630、回数ベースで360の患者に初期加算が算定されています。
初期加算を件数ベースで630、回数ベースで360の患者に算定しているが、ここには「自宅などからの入院患者」と「急性期後の転院・転棟患者」とが混在している
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 この初期加算の算定対象を、例えば(2)の「自宅などからの入院患者」に限定すれば、患者1人当たり最大2100点(2万1000円、150点×14日)の格差を設けることができます。また、上記の案では、「外形だけでは入院患者の状況を適切に反映できない」「自宅などからの入院患者割合などは変動するため、基準をどう設定するかが難しい」などの課題がありますが、初期加算を活用すれば、こうした課題はそもそも生じず、報酬体系上の「簡素で分かりやすい」と言えます。厚労省は「初期加算を活用する」といったコメントはしていませんが、有力候補の1つと言えそうです。
 
 なお、地域包括ケア病棟の患者像をより適切に把握するために、武井純子委員(社会医療法人財団慈泉会相澤東病院看護部長)や筒井孝子委員(兵庫県立大学大学院経営研究科教授)は「重症度、医療・看護必要度におけるB項目」(患者の状況等、いわばADLを評価)の導入を提案しています。

  

https://www.m3.com/news/iryoishin/550240
「働き方改革」医師固有の事情を考慮 - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.3
誤った上限規制、“医療崩壊”を招く懸念も

インタビュー 2017年8月23日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――医師の働き方改革は、医療機関の経営者および現場の医師にとって、非常に関心が高いテーマです。これも、医療と労働の双方の部局が関係する問題です。

 私は、医療の現場が今のままでいいとは思っておらず、改革を進めなければ若い医師たちも付いてきません。ただし、医師固有の事情を全く考慮しないでいいわけではありません。


医師の働き方改革は、医政局、労働基準局、保険局など、関係各局が連携する課題であると指摘する。
 私が医学部を卒業した当時、女性の割合は100台でしたが、今は4割に近い。また最近の若い医師には、ワークライフバランスを重視する人も増えているようです。「皆、病院に泊まって覚えろ」みたいなやり方はもはや通用しないでしょう。

 (今年4月に報告書をまとめた)「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書でも盛り込まれたように、医師でなくてもできる仕事は、いつまでも抱えていたり、「訓練だ」と言って、若手に強制するのではなく、その他の職種にシフトできる部分はどんどんシフト、シェアしていくことが大事だと思うのです。

 その上で言いますが、医師が「9時 - 5時」といった時間管理が可能な工場労働者と全く同じ規制でいいかと言えば、私は少し違うと思うのです。それは一つには、救急や産科のように、自分は休みたいと思っていても、患者が来たら対応せざるを得ない応招義務があること。

 もう一つは、病院に来てから帰るまでの時間のうち、どこまでが「労働」に当たるかという問題です。外来診療や病棟勤務、各種会議などは当然、「労働」に当たります。しかし、例えば最新の知識を得るため、あるいは翌日の手術に備えるために文献を読んだり、臨床の合間に研究を行う場合、別に命令されてやっているわけではなく、「労働」と言えるのかどうか。

――自己研鑽などをどう扱うか、という問題がある。

 その通りです。そもそも今の時間外労働の上限規制は、企業のサイクルがベースになっており、例えば、決算期などの際に、経理担当者が一時的に忙しくなるため、その時期をどうするかという考え方の規制です。ところが医師の仕事にはそうした季節性がなく、今の残業規制のやり方をそのまま当てはめるのは難しいでしょう。

 医師固有の事情をどう考慮するかを、医政局と労働基準局の間で、専門家も含めて議論し、それを保険局なりが資金的にどう下支えをするかを考えることになるのだと思います。2018年度末までに議論し、国民の方にも理解されて、支持されるような仕組みにする必要があります。

――労働基準監督署が入っており、医師にも一律に労働規制を当てはめるため、医療現場の崩壊を懸念する声もあります。また規制を厳しくするあまり、「もっと研修したい」との考えから、自主的に「サービス残業」にするケースもあるようです。

 確かに過労自殺問題で社会の関心が高まっており、時には研修医の親が労基署に訴えるケースもあるとのこと。そうなると動かざるを得ません。

 ただ、都市部で医師が集まりやすい病院であれば、給与水準を下げ、残業手当を支払うことは可能でしょう。しかし、地方では高い給与を出すことで医師を確保できている病院も少なくないので、給与水準を下げたりなどしたら、医師がやめてしまう懸念があります。結果的に都市部に医師が集中し、意図せずに地方の医療崩壊を招いてしまうのは、非常に危ないと思います。

 救急など、誰もが大事だと思っている分野は、当然担ってもらうことが必要。かと言って全く労働規制を無視していいわけでもありません。中には、「36協定」すらも結んでいなかったり、全く労働面を考慮してない病院もあります。基本的な部分は守ってもらうルール作りは必要です。

 さらに言えば、「サービス過剰主義」が日本の病院にもあり、患者やご家族がそれを当然だと思っている一面もあり、この辺りの是正も必要でしょう。“コンビニ受診”をやめるなど、大切な地域の医療資源を守るために、患者さんや住民の方にも、医師の働き方についての現状を理解してもらい、受診行動を見直してもらうことも必要だと思います。

――その辺りは医療機関に任せずに、行政なども含め啓発していくことが必要。

 その通りです。行政、各関係団体の役割も大事だと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/552256
「医師は労働者」、共通認識で議論を - 岡崎淳一・厚労省働き方改革担当参与に聞く
医療政策と労働政策、両面から検討を

インタビュー 2017年8月21日 (月)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 政府は今年3月、「働き方改革実行計画」を策定、長時間労働の是正に向け、罰則付きの時間外労働の上限規制導入などを盛り込んだ。今秋の臨時国会への関係法案提出、2019年度からの施行を目指す。
 ただし、医師は、上限規制の適用猶予対象になり、2018年度末を目途に規制の具体的な在り方、労働時間短縮策などの議論を別途進める。8月には、厚生労働省が「医師の働き方改革に関する検討会」を設置、議論がスタートした(『医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理』を参照)。
 「働き方改革実行計画」策定に携わった前厚労省審議官の岡崎淳一氏(現厚労省働き方改革担当参与)に、策定時の議論や医師の時間外労働について、どう捉えるべきかをお聞きした(2017年8月18日にインタビュー)。

――医師については、時間外労働の上限規制について、適用猶予にすべきという声が関係団体から出てきたのは、今年に入ってからのことです。

 去年の9月に政府は「働き方改革実現会議」を設置、働き方についての全体的な議論を重ねてきました。医療者に限らず、長時間労働の議論が出てきたのは、年明けからで、まず時間外労働についての基本的ルールを決めないことには、個別分野の議論ができなかったわけです。

 現行でも「36協定の適用除外業務」になっている「工作物の建設等の事業」と「自動車の運転の業務」についても、基本的ルールのたたき台が出た後に、国土交通省が関係団体などと本格的な議論、調整を行いました。

 一方、医師は、現行では「36協定の適用除外業務」には当たらないこともあって、医師をどう扱うかという議論が始まったのはさらにその後です。医療関係団体は、たたき台を見て、「(時間外労働の上限規制を)そのまま当てはめるのは難しい」との声を上げたのだと思います。もっとも、タイミングが遅かったため、建設業、自動車運転手については、適用猶予の内容を3月にまとめた政府の「働き方改革実行計画」に盛り込むことができました。しかし、医師についてはとても短期間で議論を深めることができず、「2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討する」とされました。

――建設業、自動車運転手を適用猶予にすることには、異論はなかったのでしょうか。また医師以外に適用猶予を求める職種はあったのでしょうか。

 基本的には、適用除外・猶予はない方がいいと思っていました。ただし、どうしても難しい業種については、杓子定規に当てはめるのは難しいという思いはありました。

 建設業、自動車運転手については、現行のような適用除外ではなく、適用猶予です。建設業は、「改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する」(復旧・復興の場合の例外あり)という話で関係業界と決着しています。自動車運転手に関しては、「5年後でも、そこまでは無理」とされ、まず「改正法の一般則の施行期日の5年後に、年 960 時間を適用」とされました。しかし、将来的には一般則の適用を目指すことになっています。つまりいずれの業種も、最終的には、「適用猶予をなくす」ことになります。

 医師についても、医師法に定める応招義務があり、現実に医療提供体制に支障が生じるといった懸念が上がりました。これはもっともな理由であり、連合を含めた構成員から成る「働き方改革実現会議」での議論で、「2年間かけて議論すべき」という整理になったのです。5年後に「時間外労働の上限規制」をそのまま適用できればいいですが、そうでない場合、どんな取り扱いにするかを、この2年間、実質的には約1年半の間に検討していくことになります。

 なお、職種や業種を問わず、引き続き適用除外となるのは、「研究開発業務」に従事する労働者です。

――そもそも労働基準法は、何を目的とした法律なのでしょうか。「研究開発業務」が適用除外になっているのは、労働時間では対価を計りにくいからなのでしょうか。

 労基法は、労働条件の最低基準を定めて、労働者の生活や健康を守るための基本的な法律です。一部例外もありますが、同法で定めた基準は全て適用するのが基本です。勤務医に労基法を当てはめる場合、地域医療に支障を来さないという観点はもちろん大切ですが、一方で、勤務医も労働者であり、その生活や健康を確保しなければなりません。

 「研究開発業務」の適用除外の意味ですが、1カ月の時間外労働の法的な上限規制が適用除外になっているだけで、「時間で労働時間を管理する」ことには変わりはありません。法的な上限を超えた時間外労働に対しては、割増賃金を支払う必要があります。しかし、法的に上限を規制すると、業務に支障が生じる恐れがあるので、別途、労使協定で上限を定めるという意味です。労働時間ではなく仕事の成果で処遇される働き方は、高度プロフェッショナル制度の考え方です。

――医師が高度プロフェッショナル制度の対象に該当する可能性はあるのでしょうか。

 大学などで研究がメーンの医師をどう扱うかという議論はありますが、臨床に相当程度従事している勤務医については、概念から考えると、あまりないと思います。通常の労基法の概念で考えれば、患者さんへの診療行為を行う時間を勤務医自身が決めているとは言えないからです。

――では医師の働き方について、どう見ておられますか。「自己研さん」の時間の扱いなどは、どう考えればいいのでしょうか。

 医師という専門職としての評価は当然必要でしょうが、一方で医師自身の健康を守るためのルールを設けて然るべきでしょう。夜勤が続く、当直明けも働くなどの現状が本当にいいのか。各病院の経営者から見れば、医師確保の問題もあるのでしょうが、他の業種の働き方と比べても、医師の無定量な仕事はやはり何とかしていかなければいけないでしょう。

 また「自己研さん」ですが、これは他の業種でも議論されることがありますが、勤務先への貢献になる研さんであれば、一般的には労働時間と見なされます。

――応招義務については、勤務医個人ではなく、医療機関単位で考えることも可能かと思います。

 ご指摘の通り、医師法が定める応招義務が、施設単位なのか、個人単位なのか、という点も議論しなければなりません。しかし、短時間で結論が出る話ではなかったので、2年間かけて議論するという整理になったのです。

――医師を「労働者」を見なすことに、心理的な抵抗感を覚える方もおられます。

 「医師は専門職だから、労働者ではない」と言ったところで、労働時間、賃金などの条件について、使用者と労働者は就業時に契約を結び、それを遵守することが必要。これが労働法制のルールであり、「医師は労働者ではない」「労働法制のルールの外側」というのは無理筋の議論。例えば、ノーベル賞受賞学者であっても、大学の教授であれば、労働者。金融機関で何億円もの年収を稼いでいるディーラーでも労働者です。ただし、労働法の全てを一律に適用しているわけではなく、それぞれの業種で例外を認めているわけです。

 また医師が疲弊していて、医師の過労死も見られる現実があるわけです。一方で、各医療機関が必要な医療を提供することを全く無視してルールを作ることはできません。医療政策的な面と、労働政策的な面の両方をにらみながら、検討していくことが必要です。



http://www.medwatch.jp/?p=15349
新公立病院改革プラン、92.70で策定完了だが、一部病院では2018年度にずれ込む―総務省
2017年8月22日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年(2017年)3月末時点で、新たな公立病院改革プランの策定が完了した病院は全体の92.70にあたる800病院。「2017年度に策定予定」が59病院(全体の6.80)、「2018年度に策定予定」が4病院(全体の0.50)となっている―。

 総務省は22日に、こうした状況を発表しました(総務省のサイトはこちら(概要)とこちら(都道府県別の状況)とこちら(個別病院の策定状況、サイトからExcellファイルをダウンロード可能))(2015年度末の状況はこちら)。

公立病院の改革方針は、地域医療構想実現に向けた重要な鍵の1つ

 公立病院については、2015年度または16年度中に「新公立病院改革ガイドライン」に沿った改革プラン(新公立病院改革プラン)を策定することが求められています。

 ガイドラインでは、新改革プランにおいて各病院が(1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化(2)経営の効率化(3)再編・ネットワーク化(4)経営形態の見直し―という4つの柱を立て、それぞれについて具体的な計画と目標を設定するよう指示しています。

 このうち(1)の役割では、具体例として▼山間へき地・離島などの過疎地などにおける一般医療の提供▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供▼県立がんセンター、県立循環器病センターなど民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点―などを提示。(2)の経営の効率化では、対象期間(プラン策定年度または次年度から2020年度まで)中に経常黒字化する数値目標を定める(著しく困難な場合には、経常黒字化を目指す時期と道筋を明らかにする)ことを掲げ、目標達成に向けて▼民間的経営手法の導入▼事業規模・事業形態の見直し▼経費削減・抑制対策▼収入増加・確保対策―などを具体的に示すよう要望しています。

 さらに(3)の再編・ネットワーク化においては、とくに▼施設の新設・建替等を行う予定の病院▼病床利用率が特に低水準(過去3年間連続して700未満)の病院▼地域医療構想などを踏まえ医療機能の見直しを検討することが必要な病院―について「再編・ネットワーク化の必要性について十分な検討を行う」(つまり統合などを行う)よう求めました。(4)の経営形態については、従前どおり▼地方公営企業法の全部適用▼地方独立行政法人化(非公務員型)▼指定管理者制度の導入▼民間への譲渡―などを検討するよう要求しています。

 総務省が2017年3月末(つまり2016年度末)の新改革プラン策定状況を調査したところ、全体の92.70にあたる800病院で改革プランが「策定済」であることが分かりました。ただし、「2017年度に策定予定」の病院が59(全体の6.80)、「2018年度に策定予定」の病院が4(全体の0.50)あり、総務省は「早期策定に向けた取り組みが必要」と訴えています。

92.70の公立病院で改革プランが策定済となっているが、一部は「2017年度中の策定」となり、さらにごく一部は「2018年度にずれ込む」状況である
G3註:図略
 
 都道府県別に新改革プランの策定状況を見ると、策定未完了病院があるのは▼北海道(未策定が8病院、策定率91.00)▼青森県(同3病院、88.00)▼岩手県(同2病院、92.90)▼山形県(同3病院、87.50)▼茨城県(同2病院、77.80)▼群馬県(同4病院、73.30)▼埼玉県(同4病院、71.40)▼千葉県(同8病院、73.30)▼神奈川県(同1病院、95.00)▼新潟県(同1病院、96.30)▼富山県(同1病院、91.70)▼石川県(同1病院、94.10)▼静岡県(同1病院、96.20)▼三重県(同1病院、94.40)▼滋賀県(同1病院、85.70)▼京都府(同2病院、85.70)▼大阪府(同3病院、87.00)▼奈良県(同1病院、90.90)▼岡山県(同1病院、94.40)▼広島県(同1病院、95.00)▼徳島県(同2病院、81.80)▼高知県(同2病院、80.00)▼福岡県(同5病院、72.20)▼佐賀県(同1病院、85.70)▼熊本県(同4病院、78.90)―となっています。多くの道府県で、改革プラン未策定病院があることが分かります。
 ただし、すでに策定に着手している病院を加味すると、未策定病院があるのは▼茨城県(策定済・策定中の合計で88.90)▼新潟県(同96.30)▼奈良県(同90.90)▼広島県(同95.00)▼佐賀県(同85.70)▼熊本県(同94.70)2015年度策定済が8病院・47.10)▼香川県(同5病院・41.70)▼大阪府(同7病院・30.40)▼神奈川県(同6病院・30.00)―となどとなっています。

都道府県別の策定状況(その1)
G3註:図略
都道府県別の策定状況(その2)
G3註:図略
 
これから各地において、地域医療構想の実現に向けた議論が本格化し、そこでは「公立病院の動向」が重要な鍵の1つになります。未策定の病院では、1日も早い改革プラン策定が急がれます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



http://www.asahi.com/articles/ASK8P4CY2K8PUBQU008.html
山あいの公立病院、来春からお産中止 医師ら退職
三木一哉

2017年8月21日15時40分 朝日新聞

 山形県の東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町が組合をつくって運営している北村山公立病院(東根市)が、来年4月から出産の受け入れを中止することを明らかにした。常勤の産婦人科医と助産師2人が退職する予定のため。来年度から北村山地域で出産ができる医療機関は、民間の1カ所のみとなる見通し。

 北村山公立病院によると、産婦人科の常勤医は現在、大塚茂院長1人。日本医科大学から派遣される非常勤医とともに年間に約100件の出産を手がけてきた。受け入れの中止は、今年度末に大塚院長が定年退職し、助産師も2人退職予定で後任の見通しがつかないことが理由という。産婦人科は存続するが、妊婦健診などに限定する。

 同病院では助産師を募集中で、新たな常勤の産婦人科医も探している。

 県地域医療対策課によると、出産ができる医療機関は減少傾向。2008年度には県内に36施設あったのが、現在は25施設になっている。



https://www.m3.com/news/general/553456
三沢病院 累積損失54億円に/16年度決算 7年連続の赤字
地域 2017年8月25日 (金)配信東奥日報

 三沢市立三沢病院の2016年度病院事業会計決算の収益的収支が4億1667万円の赤字となり、前年度比で赤字幅が1億5284万円(57・9%)増えたことが24日、同病院への取材で分かった。赤字は7年連続で、16年度末の未処理欠損金(累積損失)は54億114万円に膨らんだ。病院開設者の種市一正三沢市長は、決算の認定を求める議案を9月4日開会の市議会定例会に提案する。

 減価償却費などを除いた現金ベースの実質赤字は1億1706万円と、前年度より5424万円増えた。給与費や医薬材料費の増加などが響いた。

 収益的収支の赤字が増えたのは、地方公営企業法改正に伴い、14年度から収入に計上が必要となった長期前受金戻入や退職給付費引当金戻入が、導入3年目の16年度は15年度に比べ激減したのが原因。16年度の病院事業収益は前年度比2・8%減の55億1494万円、病院事業費用は同0・10減の59億3161万円だった。

 16年度の延べ患者数は入院が前年度比2・4%減の6万4428人、外来は同3・5%減の9万5830人だった。

 16年10月から、220床の急性期病床のうち51床を地域包括けあ病棟に移行した効果について、同病院の担当者は「入院の1日平均患者数は、16年4月の157人が11月は195人に増えるなど患者数の増加に寄与、赤字幅の圧縮に貢献している」と述べた。


  1. 2017/08/27(日) 10:26:26|
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8月20日 

http://www.47news.jp/localnews/hotnews/2017/08/post-20170818230631.html
北村山公立病院、来年4月から分娩休止 医師、助産師が不足
2017年08月18日 10:47山形新聞

 北村山公立病院(東根市)が来年4月から分娩(ぶんべん)の扱いを休止することが17日、分かった。産婦人科医の定年退職や助産師不足などで十分な医療体制を維持できなくなることが要因。継続・再開を模索するものの、現状で新たな人員の確保は難しい。お産に対応する医療機関は県内でも減少傾向にあり、周産期医療を担う人材不足の深刻化が背景にある。

 北村山地域では同病院の分娩休止により、お産に対応するのは東根市内の民間医療機関のみとなる。北村山公立病院は、東根、村山、尾花沢、大石田の3市1町で組織する組合が設置主体で、管理者の土田正剛東根市長は分娩休止について「総合的に判断した」とし、人材不足により安全な出産環境の確保が難しいことなどを挙げた。

 同病院の産婦人科の常勤医は現在、来年3月で定年退職する大塚茂院長のみ。非常勤医の協力も得ながら年間100件ほどの出産を取り扱っているという。助産師は7人在籍するものの、うち2人は育休中。現在勤務する5人のうち2人が本年度末で退職するため、新年度からは夜勤体制が組めなくなるという。

 同病院によると、大塚院長は来年4月以降も常勤嘱託医として残る予定だが、負担の大きい分娩には携わらず妊婦健診などの外来対応を想定している。後任の常勤医や助産師の確保に努めているものの、人手不足などから難航しており、再開のめどは立っていない。

 出産については、24時間の対応や、命を扱うことに伴うリスクもあり、医師や助産師不足は全国的に慢性化している。県地域医療対策課によると、県内で分娩を扱う医療機関は今年4月現在、25カ所。2008年と比べて11カ所も減っている。対応する医療機関は村山地域に集中する一方、最上地域では県立新庄病院が唯一の分娩機関。病院や開業医の分娩休止により、提供体制の地域偏在が顕著になっている。

 土田管理者は「地方の医師不足を改善するには、めりはりの利いた診療報酬の改定や臨床研修制度の見直しといった国レベルでの改革が必要だ」と話した。



http://www.asahi.com/articles/DA3S13090058.html
(社説)新専門医制度 「患者本位」を忘れずに
2017年8月17日05時00分 朝日新聞 社説

 内科や外科、小児科などの「専門医」を育てる新たな研修制度が来年4月に始まる。

 国家試験に合格したあと、2年間の初期研修を終えた医師が対象だ。3年程度、研修先として複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学び、試験に合格すると認定される。

 「専門医」という肩書・名称はすでにあるが、様々な学会が独自に認定しており、100種類を超えて乱立状態にある。名称も「専門医」「認定医」などが混在し、患者にはわかりにくい。新制度では全体を19の基本診療科に分け、統一した基準で認定するのが目標だ。

 患者本位の制度にするには、医療の質を高める機会とするだけでなく、患者が病院や医師を選ぶときの客観的な目安にできる仕組みが必要だ。専門性を重視するあまり、医師が自分の分野以外の患者は診察しない、ということになっても困る。専門医を認定する第三者機関「日本専門医機構」は、研修プログラムづくりを学会任せにせず、かじ取り役を担ってほしい。

 避けなければならないのは、新制度に伴う研修や指導のため、医師が大学病院や都市部の大病院に集中する事態だ。

 医師の数は04年の約27万人から14年には約31万人に増えた。ただ、研修先を選べるいまの初期研修が04年に始まってから、地方の大学を卒業した医師が大都市圏に流れ、偏在の一因になったと指摘される。

 専門医制度をめぐっても、地方の病院や自治体からは地元の医師不足の悪化を心配する声が強く、今年度の開始予定が1年間先送りされた経緯がある。

 機構は、(1)大都市圏の定員に一部上限を設ける(2)研修施設を地域の中核病院にも広げる(3)都道府県ごとに置く協議会を通じて地元から意見を聞いて研修プログラムを改善する、といった措置をとった。

 とはいえ、不安は解消されていない。自治体や厚生労働省と、研修で中心的な役割を果たす大学病院は、新制度がもたらす影響を注視してほしい。

 「総合診療専門医」の新設も、新制度の特徴だ。

 地域の病院や診療所で患者に対応するだけでなく、在宅医療や介護、みとりまで担うことが期待されている。人生の最後を住み慣れた地域や自宅で暮らすことを目指す「地域包括ケアシステム」に欠かせない存在だ。

 総合性と専門性をどう両立させるか。まずは、果たすべき役割をもっと明確にしたうえで、実践的な研修プログラムづくりに努めることが求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551107
「個別指導で医師の人権侵害阻止」、埼玉の開業医
地方厚生局から画期的回答「カルテに基づく質問は認められず」

2017年8月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 山崎外科泌尿器科診療所(さいたま市浦和区)院長で、埼玉県保険医協会常任理事の山崎利彦氏はこのほど、4年の長きにわたる個別指導を経て、二つの画期的な回答を関東信越厚生局から文書で引き出すことができた。一つは、個別指導は、行政手続法の適用を受けること。もう一つは、カルテなどを見てその内容について質問する「質問検査権」が地方厚生局に認められているのは監査の場合であって、個別指導では認められていないということだ。

 山崎氏への個別指導の第1回は2013年3月。第5回は2017年3月で、関東信越厚生局が、カルテとレセプト内容を突合して質問する場面はなく、レセプト請求の方法などについて一般的なやり取りをする「面談懇談形式」で終了、指導の結果は「おおむね妥当」で、診療報酬の返還などは伴わなかった。

 山崎氏は、「関東信越厚生局から、個別指導において『健康保険法に定めのない事項については、行政手続法が適用されるものと考える』との回答を文書で得た。全国保険医団体連合会をはじめ、全国の保険医が長年主張してきたことであり、厚生局が文書で回答したのは初めてのこと」とその意義を説明。

 個別指導は、レセプトで高点数が続いた場合やレセプト請求に問題があると想定される場合などに、地方厚生局が医療機関に対して実施する。ただし、健康保険法73条には「厚生労働大臣の指導を受けなければならない」とあるだけで、その詳細は「指導大綱」に基づき実施されるが、時に同大綱を逸脱したり、地方厚生局の高圧的な態度を機に、開業医が自殺を図るなど、「行きすぎた行政指導」が問題視されることがこれまで度々あった(『保険医の人権を守れ!指導大綱・監査要綱の改正案』などを参照)。

 1994年10月に施行された行政手続法は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図ることが目的。地方厚生局の恣意性などを排除するため、同法に準拠した個別指導の実施や、「指導大綱」そのものの改正を求める声は依然から根強かった。その意味で山崎氏が関東信越厚生局から受け取った文書の意義は大きい。その内容は、以下の通り。

山崎氏が個別指導について関東信越厚生局から受け取った文書の抜粋

1.個別指導が行政手続法の適用を受ける点について
山崎氏の質問(抜粋):
 行政手続法と健康保険法との関係について、健康保険法第73条では、指導を受ける義務が規定されており、指導の日時・場所・指導内容については一定の裁量権があると思われるが、目的に照らし、合理的な範囲を逸脱してはならないことは明らかであり、また、これら以外について行政手続法の行政指導の条項が適用されるのは当然である。
関東信越厚生局の回答(2015年3月31日付):
 健康保険法に定めのない事項については行政手続法の適用がされるものと考えます。

2.地方厚生局が「質問調査権」を有しない点について
山崎氏の質問(抜粋):個別指導において、質問調査権があるのか否かを明確にしてもらいたい。
関東信越厚生局の回答(2017年2月28日付):
(1)個別指導は、健康保険法第73条に基づいて行うものであり、同法78条に規定されているような質問または調査権限(いわゆる質問検査権)は有していません。
(2)個別指導の実施方法は、保険医療機関等に課せられている厚生労働大臣の指導を受ける義務に基づき、関係書類を閲覧し、個別に面接懇談方式で実施するものであります。
(3)個別指導は、保険医療機関等および保険医等に課せられた義務である以上、指導において指導者の指示を被指導者が拒んだ場合には、個別指導を実施する権限を有する厚生労働大臣が、これを拒否していると判断することがあります。

 山崎氏の支援を続けてきた埼玉県保険医協会の副理事長を務める小橋一成氏は、今回の成果を「徹底して法律に則った個別指導を求めた結果。従来の個別指導では『監査的指導』が見られたが、面談懇談方式が今後徹底されれば、人権を侵害するような個別指導は一掃されるだろう」と評価。

 「山崎氏のケース、特殊」

 ただし、小橋氏は「今回は特殊な事例」と断る。「特殊」とは、山崎氏自身が法的根拠に基づく個別指導を受けるという強い意思を持って理論武装し、日常診療でもカルテ記載やレセプト請求に留意し、「個別指導の拒否」に当たらないよう、弁護士と相談しながら、慎重かつ丁寧な態度で関東信越局とやり取りを重ねたという意味だ。「個別指導の拒否」と判断された場合には、「監査」に移行する場合があり得る。「常に、『必要に応じて協力する』という姿勢で対応することが必要」(小橋氏)。

 山崎氏も、「私が求めたのは、カルテ閲覧の拒否ではなく、あくまで行政手続法に基づいた個別指導を行うこと」と念を押す。「面談している中で、カルテを見てもらった方がいいと私が思う場面があれば、いくらでも見てもらう。例えば、『外来管理加算を算定する際に、どのような内容をカルテに書いているか』と聞かれた時に、一般論ではなく、実際のカルテを見てもらい、その内容が妥当か否かを確認してもらった方が私としても安心」(山崎氏)。

 埼玉県保険医協会副理事長の青山邦夫氏は、「誤解してもらいたくないのは、法的に則り、保険診療のルールについて面接懇談する個別指導を実施すべきというのが、我々の基本的スタンスであるということ」と念を押す。「医学的、かつ保険診療のルールを踏まえた、きちんとした個別指導を実施するには、指導医療官の質も問われる。我々協会にはその資質を備えた医師がおり、指導医療官として採用してもらうよう、関東信越厚生局に申し出ている」(青山氏)。

 集団的個別指導の根拠も示されず

 山崎氏の4年にわたる個別指導は、次のような経過をたどった。まず2011年度に「集団的個別指導」の対象に選定された際、その根拠について示すよう求めたが、回答がなかったために、「集団的個別指導」を欠席。それが理由で、2013年3月に第1回の個別指導を受けた。

 第1回の個別指導において、山崎氏は弁護士の帯同のもと、録音と録画まで行った。そこで、興味深いやり取りが展開された。

 一般的な個別指導は、医療機関が直前に指定された患者数人分のカルテを持参し、個別指導の場で地方厚生局に提示。レセプト請求との齟齬等を指摘され、問題があれば診療報酬の返還を求められる。同様の問題があるか否かを、それ以外のレセプトとカルテについて各医療機関が自主的に調査、その結果として「自主返還」を求められることが多い。

 これに対し、山崎氏は、個別指導の法的根拠を確認し、カルテの提示は、健康保険法や指導大綱には記載されていない上、行政手続法は「任意の協力」により指導が成り立つとしていることから、関東信越厚生局に「カルテ閲覧」の根拠を質したが、同局に加え、埼玉県の国保医療課や立会人からも回答はなかった。「『カルテが提示されないのなら、指導の意味がないので、監査に移行する』などの誤った説明があったが、カルテを提示することなく、診療内容についての一般的なやり取りで終了した。指摘事項も1点だけだった」(山崎氏)。事務官から「本日の指導は、終了した」と告げられた。

 ところが指導の結果通知を待っていたところ、約3カ月後に個別指導の「終了」が撤回され、「中断」扱いに変わった。「カルテを閲覧していなかった」のがその理由だった。第2回の個別指導の再開通知が来たのは2014年3月。第3回が2014年9月、第4回が2016年11月、第5回が2017年3月3日だった。これらの個別指導に加えて、関東信越厚生局との文書による質問と回答というやり取りを続け、結果的に二つの画期的な回答を受け取った。

 カルテ、「持参物の確認」にとどまり、内容は見ず
 第5回の個別指導において、山崎氏はカルテを持参したものの、法律に則った形での個別指導を関東信越厚生局に求めた。「持参物の確認」という範囲でのカルテ閲覧にとどまり、関東信越厚生局がレセプトと突合することはなかった。「保険診療についての理解を深めるやり取りであり、医学的な内容も含めて、本当に有意義な指導を受けることができた」(山崎氏)。以下のやり取りで個別指導は終了、その結果は3月29日に通知された。

 山崎氏らは今後、今回の二つの回答について、医療者に広く周知していくとともに、個別指導の「中断」については健康保険法や通知等には規定がないことから、ルール作りを呼びかけていく方針。「私の個別指導においても、中断のルールがいまだ曖昧。その明確化を求めていくことが今後の課題」(山崎氏)。さらに指導大綱や監査要綱について、改正の対案も検討していく予定だという。

◆山崎外科泌尿器科診療所への2017年3月の個別指導の内容(山崎氏による)
・関東信越厚生局は、カルテの閲覧は、持参物の確認として、持参資料に不足はないかという観点で閲覧した。
・対象患者のカルテとレセプトの突き合わせをするのではなく、指導大綱で規定している「面談懇談方式」が実施された。
・関東信越厚生局側は、レセプトに基づいて診療内容、検査の実施方法・頻度、電子カルテの記述方法など一般的な質問をし、山崎氏が回答。山崎氏からも疑問点を技官に質問し、意見を聞くなどのやり取りが行われた。
・対象患者30件全てに実施、予定時間の2時間ちょうどで個別指導は終了。
・指導日から1カ月経たないうちに、結果通知が送付された。結果は、4年前の第1回個別指導の時と同様、1点の指摘事項を受けたのみで、「おおむね妥当」だった。



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医療維新
「日本医学会と日本医学会連合、併存の訳」 - 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.1  
歴史的経緯や役割の理解を求める

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 この6月、日本医学会連合の会長選挙があり、12年の長きにわたって同職にあった高久史麿氏に代わり、新会長に就任したのが門田守人氏。門田氏は2010年4月から日本医学会副会長を務め、同会を日本医師会から独立した組織にすることを早くから働きかけてきた一人。

 日本医学会連合は2014年4月に、一般社団法人化した。日本医師会内には日本医学会が残り、二つの組織が併存、両方の会長を門田氏が兼ねる。「学術団体として活動する場合には日本医学会連合、日本医師会の学術機能にかかわる事業をサポートする場合には日本医学会として活動する」(門田氏)。門田氏に、会長就任の抱負をお聞きした(2017年7月19日にインタビュー。計2回の連載)。

――先生は2010年4月から、日本医学会副会長を務められていました。今回、会長に就任された経緯についてお教えください。

 自ら立候補したというより、加盟学会(社員)からの推薦です。日本医学会連合には128の加盟学会があり、まず会長にふさわしい人を推薦してもらいます。その上位候補者から日本医学会連合の2017年度定時総会の当日に、各学会が投票し、過半数を獲得できれば決定、過半数に至らなければ上位2人で決選投票という仕組みで、今回は私が選任されました。

 今の医療、医学は非常に複雑で、課題は多岐にわたっています。それを解決していくには、各加盟学会の力を結集していくことが必要。そのためにはまず日本医学会の成り立ち、日本医学会連合として2014年4月に一般社団法人化した経緯を理解してもらうことが必要です。いまだに日本医学会と日本医学会連合の二つの組織がなぜあるのかを理解していない方が少なくありません。二つの組織が誕生した経緯や目指すべき方向性について共通理解を得た上で、日常活動において日本医学会の集合体としての活動を推進することが重要です。


会長としての当面の仕事として、日本医学会と日本医学会連合の役割について、関係者に理解してもらうことを挙げる。
――先生は、日本医学会と日本医師会の関係については、2006年に日本外科学会会長に就任した際に、問題意識を持たれたとお聞きしています。
 以前から、日本医師会と日本医学会は対等の関係にあり、役割分担をしていると思っていたものの、専門医制度についての考えなど、両者で意見が食い違うところがあるという認識を持っていました。

 日本外科学会会長に就任した時には、各分科会は日本医学会から「分科会助成金」が支給されていることは知っていました。当時の額は年20万円です。詳細を確認したところ、「なお、送金は日本医師会から行います」とあり、「こんなに意見が食い違う日本医師会から送金されるとは、どういうことか」と疑問を感じたのです。

 日本医学会の事務局に、「定款を見せてほしい」と聞いたら、「我々医学会には、定款がありません。それは日本医師会の下部組織だからです」との回答でした。日本医師会の定款を確認したら、「日本医師会に、日本医学会を置く。医学会は各分科会より成る」と記載され、各学会は、分科会という形で日本医師会の中に位置付けられていました。しかも、「日本医学会の重要な会務については、日本医師会長の了承を得ること」となっていた。

 こうした現状を知り、「分科会助成金をもらうと、定款に書いていることを我々が認めていると解釈されても、おかしくはない」と考え、助成金を受け取ることをやめました。

――どんな点で日本医学会と日本医師会は、意見が対立していたのですか。もう少し詳しくお教えください。

 例えば、専門医制度。各学会がバラバラに制度を作っていたので、何とか標準化しようという機運が長年ありました。学会認定医制協議会(1981年に22の学会で発足)の議長、日本医師会長、日本医学会長の三者懇談会で、各学会の認定医あるいは専門医を承認する仕組み(承認シールと承認通知書の発行)などを作ったのは、1993年。しかし、「認定医の表示は、院内にとどめる」など、制限付きの仕組みにとどまりました。日本医学会や各学会は、専門医制度を整理し、国民がどこにどんな専門医がいるのかが分かる仕組み作りを目指していたのですが、自由標榜制を堅持する日本医師会とは相容れなかったのです。

 その後も、専門医制度については、第三者が評価する仕組みを作ることはなかなかできませんでした。それ以外にも、例えば診療報酬をめぐる議論など、日本医師会とは見解が違うとの思いがあります。

――それで日本医学会の歴史をひもとくことを始められた。

 日本医学会が、日本聯合医学会としてスタートした1902年は、明治35年に当たります。日本の西洋医学は明治の初期、主にドイツから輸入されましたが、ようやく自主独立できそうになった時期が明治35年頃。各専門分野が一堂に会して、医学のあるべき姿を議論すべきという機運が出てきました。しかし、日本医師会が全国組織としてスタートしたのは、それより10年以上遅れた1916年です。それ以降、日本医師会と日本聯合医学会は、並列して存在しました。

 日本医師会は第2次世界大戦時に全員加入の組織になり、戦後、GHQにより解散させられ、新制の社団法人日本医師会が誕生したのは1947年11月。一方、戦前戦後も日本医学会は継続して存在し、4年に1回の日本医学会総会を開催しており、戦後1946年開催予定の総会を1年延期したくらいです。

 しかし、米国のAMA(American Medical Association)が学術機能を持っているのに倣い、GHQの方針で1948年に日本医師会は日本医学会を統合。その頃の記録を見ると、「日本医師会は、医師一人一人が参加する団体。一方、日本医学会は学会が所属する団体であり、活動内容も違う」として、日本医学会内には統合を疑問視する声があったようですが、日本医師会の定款に、「日本医学会を置く」という規定が設けられました。

 こうした状態が2006年に我々が問題視するまで、約60年間続いてきたわけです。私は問題は日本医学会側にあると考えました。2007年に日本外科学会定期学術集会の会長を務めた際、会長講演でこの点に触れ、その後、日本医学会独立に向けた活動を始めました。2009年に日本医学会分科会に対してアンケートをすると、大半は独立すべきとの意見でした。

――「日本医学会側にも問題があった」とのことですが、どんな意味でしょうか。

 各学会を束ねるという役割を理解して、それに向けた活動をしていたのかが疑問という意味です。例えば、医師法21条の問題。1994年に日本法医学会が「異状死ガイドライン」を公表しました。臨床に関係する全学会が関係する問題でもあり、前もって医学会全体で議論しておけば、その後の混乱は少なかったのではないかと思います。医学会全体にこのような視点がなく、「日本医学会は、4年に1回、総会を開くだけの組織」というのが、多くの医師の認識だったと思います。

 もっとも、私達は何度も日本医師会などに日本医学会の独立を働きかけてきましたが、なかなかうまく行きませんでした。日本医師会の定款変更には時間がかかると想定され、日本専門医機構の社員になる場合など、法人格が必要な活動があることから、「名前を変えて法人化する」という選択肢を選び、「一般社団法人日本医学会連合」を設立したのが、2014年4月、日本専門医機構が同年5月に設立される1カ月前のことです。

――日本医学会と日本医学会連合は、どのような関係にあるのでしょうか。

 128の学会が集まった連合体であることは、日本医学会も日本医学会連合も同じもので変わりはありません。学術団体として活動する場合には日本医学会連合、それ以外に、日本医師会の学術面での機能を支援する場合、医療制度などについて日本医師会と協力関係を築く必要がある場合には日本医学会の名称で活動しています。ただ、法人化してまだ3年。歴史的経緯も含め、日本医学会と日本医学会連合の役割が理解されていないので、その説明に当面力を入れていき、その上で128学会のエネルギーを結集して、ガバナンスを利かせて各種課題に取り組んでいく方針です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549981
医療維新
新専門医制度、「2年延期は問題」- 門田守人・日本医学会会長に聞く◆Vol.2  
医学会の横断的課題に対処する体制構築

インタビュー 2017年8月18日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――具体的な活動としては想定されている課題があればお教えください。

 各種研究に関する倫理指針や個人情報の取り扱い、さらに国の研究費助成が最近減少している問題など、医学の学術団体として社会に対して発信していくべきことは多々あります。

 国の研究費助成が伸び悩む一方で、例えば、防衛省からの研究費助成が大幅に増加している現状があります。日本学術会議は今年3月、「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表、軍事目的の学術研究をけん制しましたが、医学研究が軍事目的に使われることは想定され、我々としても医学研究分野についてのあるべき姿を検討していくべきでしょう。

 さらに教育の問題、例えば卒後臨床研修や新専門医制度についても、学術的観点から、卒前と卒後の医師養成全体を踏まえて提言していく必要があります。

新専門医制度については、2年延期すべきではないと指摘する。

――新専門医制度は、日本医学会連合の加盟学会である各学会が直接的に関わる問題であり、かつ喫緊の課題です。

 先ほども触れましたが、専門医制度について我々日本医学会連合は、学会単位で運営する制度には限界があり、第三者機関による認証の仕組みを作るべきとの考えでした。2013年4月に厚生労働省の検討会報告書を経て、ようやく2014年5月に日本専門医機構が設立されました。

 しかし、2016年2月頃から、地域医療への影響を懸念する声が出始めました。厚生労働省が2016年3月に立ち上げた「専門医養成の在り方に関する専門委員会」において、私は「立ち止まることはない。微調整してスタートさせるべき」と主張しましたが、賛同が得られませんでした。そして、2017年4月の開始は延期になりました。その結果、専門医研修を始めようとした約8000人の若手医師たちが、宙に浮く状態になってしまった。確かに地域医療への配慮も大事ですが、これから立派な医師になろうとしている若手も大事。しかし、ブレーキをかけてしまったのです。

 今の新専門医制度をめぐる議論は、当初の精神はどこかに消えてしまい、おかしな方向に行っているのではないかと危惧しています。

――どこが一番問題だとお考えなのでしょうか。

 日本の医療提供体制の全体を考えた上で専門医の領域を決めるべきであり、各学会がそれまで運営してきたという理由で、各専門医を認定する制度では不適切だということです。

――新専門医制度の19の基本領域の妥当性について、あまり議論されたことはないように思います。

 だからこそ、我々は学術集団として、現状把握と分析を冷徹に行い、十分に議論を交わし、是々非々で主張すべきことは主張していかなければいけないのです。

――日本専門医機構は、2018年度開始に向けた準備は整ったとしています。スタートしつつ、軌道修正すべきなのか、あるいはもう一度、立ち止まるべきとお考えでしょうか。

 2年にわたって、若手医師たちを路頭に迷わせるのは問題。最初からパーフェクトな制度はあり得ませんので、スタートさせた上で、徐々に改善していくべきでしょう。

――領域横断的な問題としては、医療事故の問題もあります。
 私は、医療事故あるいは合併症などの問題は、必ず発生するという大前提に立ち、それを包み隠すのではなく、透明性を持って、医療者だけではなく、患者さん、国民も含めて議論していかないことには進歩がないと思うのです。そのための組織を作っていくことが大切だと考えています。

 最近読んだ本に、『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』(文藝春秋)があります。日本は、縦割り型の組織がそれぞれ仲間集団を作り、相互間の意思疎通を困難にさせるという“たこつぼ型社会”、小さな組織で対応しようとしがちです。そうではなく、お互いが納得するシステムをいかに作っていくか、多くの人が参画できるシステムを作れば、解決には至らなくても、納得が行く制度が作れると思うのです。日本医学会連合はありとあらゆるステークホルダーが関わっており、そうした場を作れば、問題解決の糸口を作れると考えています。

――日本医学会連合が取り扱うべき課題は、各領域にまたがる横断的な内容が多いと思います。どのような組織運営を想定しているのでしょうか。

 常時検討できる体制を作り、何か問題が生じれば、社会に対して迅速に発信し、専門学術集団としてのミッションを果たすことが重要だと考えています。

 日本医学会連合には4人の副会長がいます。幾つかの重要なテーマについて、副会長と担当理事を置き、委員会を作るなどして、議論を深めていきます。各加盟学会の専門家の方々の協力を得て、日本医学会連合としての方向性を整理しながら、定期的にメッセージを出していく方針です。こうした取り組みを強化しないと、我々の存在意義はありません。

――その辺りの体制はいつ頃までに、例えば今秋くらいまでにでき上がる見通しでしょうか。

 体制は早く作る必要があり、その方向性は今秋くらいには打ち出したいと考えています。ただし、実際に提言などを出していくには、もう少し時間がかかると思います。

――4年に1回の日本医学会総会は、形骸化しているとの指摘もありますが、そもそもどうあるべきだとお考えですか。

 確かに、ご指摘の通りの側面もあります。既に2年後の次回2019年の日本医学会総会の内容は決まっています。次々回をどうするかですが、各学会単位の学術集会と日本医学会の総会をどうすみ分けるか、どんな形態にするかなど、さまざまな検討課題があります。まだ時間的余裕があり、その前に優先的に検討すべき課題があるという認識です。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20170818-196772.php
小高病院再編「医療の質...落とさないで」 説明会で南相馬市民
2017年08月18日 09時05分  福島民友新聞  

 南相馬市は17日、経営状況が悪化している市立小高病院(同市小高区)の経営再編について市民説明会を開いた。市は早ければ本年度中に入院病床99床を市立総合病院(同市原町区)に移管し、サテライト診療所とする方針を示したが、地元住民は病床の維持や医療サービスの質の向上を求め、反発した。


 小高病院は2006(平成18)年の市町合併後も、7診療科99病床を有し、地域密着型の1次医療を提供しながら、急性期医療と在宅医療の橋渡し役を担っていた。東京電力福島第1原発事故により小高区が警戒区域になった影響で一時閉鎖されたが、13年4月に外来診療を再開した。一方、入院医療は東日本大震災による建物の損壊や医療従事者不足により休止している。

 医療収益だけでは診療体制が維持できないため、国や県の補助金などに依存する経営状況が続いている。常勤医師や看護師など医療人材不足が深刻化、医療提供体制の維持は困難な状況だ。原発事故の避難による人口減少で、見込み患者数も減っている。

 市は16年度、総務省のガイドラインを基に市立病院改革プランを策定。小高病院を診療所として経営基盤を確立することや、全病床の移管により、外来診療と在宅診療への特化、総合病院との連携強化を取り組み方針に掲げている。

 説明会で地元住民は「小高に帰還する住民のために医療の質を落とさないでほしい」「診療所に認められている病床数19床は維持してほしい」などと求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550239
「2025年問題」後の“引き戦”も視野に - 鈴木康裕・厚労省医務技監に聞く◆Vol.2
2018年度同時改定、カギは「予見可能性」

インタビュー 2017年8月16日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――日本の医療が抱える問題としては、2025年に向けてどのように提供体制を構築していくかという問題もあります。

 70歳を超えると、患者自己負担が3割から2割になります。仮に医療費自体は変わらなくても、公費負担は増えるわけです。その上、2025年には団塊の世代が全員、後期高齢者になります。恐らくそこから5年、10年が日本の医療、介護のニーズのピークになるでしょう。ニーズの急増にどう対応するのか、財源はどう確保するか、これは全省的な課題であり、総力戦で取り組まなければなりません。

 さらに厳しいのは、医療、介護のニーズがピークを迎えた後、今度は減少してくる点です。言葉は適切ではないかもしれませんが、“引き戦”になるわけです。ニーズが増加する時代は、財源をどう確保するかなどは、いわば交渉ごとになります。しかし、医療費が前年度より減少する時代は、相当につらい。既に設備投資した費用をいかに回収するか。医師や看護師は今は非常に有効求人倍率が高いけれども、将来はどうなるか――。

 将来直面する諸問題をうまく乗り切るためには、その基盤をここ2~3年できちんと作らなければいけません。

2018年度診療報酬改定において重要なのは、2025年を見据えた「方向性」だという。

――「基盤」を作る際の基本的な考え方は。

 医療や介護のニーズが増え、その後は下がる時代。例えば、各職種の養成人数や仕事のやり方などをあまり固定的に決めてしまうと、ある時は足りない、またある時は余ってしまうということになりかねません。うまく全体のニーズの変化を見ながら、微妙なかじ取りができるようにしておくことが必要だと思うのです。

――2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定も控えています。

 同時改定は、6年に1回しかありません。2018年度の次が、2024年度。2025年の1年前の時点なので、大きな舵を切れず、切ったとしても2025年に間に合うとは思えません。したがって、2018年度は、2025年を迎えるための同時改定としては、実質上最後になると思うので、方向性やペースを誤らないようにしないといけません。

――突然、大きく舵を切ることも難しいと思います。

 診療報酬の点数自体は、改定率や全体の財源の中でどう分配していくかによります。それに一喜一憂するよりも、私が大事だと思っているのは、全体の方向性、つまり予見可能性です。経営者は、借り入れして資本を投下、多数の職員を雇用して医療を営んでいます。その中身や規制の在り方が、2年ごとにコロコロと変わるようでは、安定的な経営はできません。経営者の思いを100%実現するのは難しいかもしれませんが、例えば、「10年後に、制度はこう変わる」と予見できれば、各医療機関は計画を立て、対応できるようになるでしょう。

――2018年度改定は、消費増税が延期された状態で、厳しい財源の中での改定になることが予想されます。

 2018年度は「経済財政運営と改革の基本方針2015」に基づく集中改革期間の3年目なので、社会保障費についてはまだ「5000億円増」に抑えるという目安があり、これを念頭に置いて改定することになります。問題なのは、その後ではないでしょうか。先ほども触れましたが、人口構成の変化は、公費負担割合に影響してくるため、高齢者が増加すれば、医療ニーズも、また医療費もある程度は高くならざるを得ないのだと思います。

 財政的な責任は、一義的には財務省にあります。しかし、内閣全体として考えた場合に、厚労省として責任を果たすためには、医療費増を所与とするのではなく、例えば健康・予防医療に力を入れるなど、医療費を一定程度抑制したり、ムダな部分は省く努力などをしなければなりません。

――「3つの境」や2018年度の同時改定以外に、注目されている分野は何でしょうか。

 個人的な関心もあって私が注目しているのは、製薬、医療機器産業です。年によっても若干違いますが、法人税の担税能力を産業別に見た場合に、最近は必ずトップ3に製薬企業が入るなど、日本の中で業績がいい産業の一つです。外資系であっても、また海外でまず治験をやり、そのデータを用いて日本で承認を得るなど、企業戦略はさまざまですが、いずれにせよ日本で売上を上げれば、当然法人税も納めるわけです。

 担税能力があり、これから少なくとも20年以上は成長していくと予測される産業における課題は、イノベーションにどう報いるかです。他から容易に財源を持ってくることはできず、国民の負担を増やすわけにもいかない。長期収載品とジェネリックに着目し、一定の財源をシフトして、「開発フレンドリーな環境」を整えていく必要があるのではないでしょうか。

 医薬品については、特に従来の低分子化合物からバイオ製品へのビジネスモデルの変化に、いかに対応するかが企業にとっての課題であり、その対応に報いることを考えなければいけません。

 低分子化合物の場合、各企業がライブラリーを持っており、その組み合わせで新薬候補の開発につながれば、研究者の方から提案する形が多かった。このやり方は、製薬企業の内製的な研究モデルに適しています。

 一方、バイオ製品はそうではなく、標的となるタンパク質が分かれば、それを抑える分子標的薬の開発につなげるなど、現場発、例えば大学発、ベンチャー発の分子標的薬が多いわけです。先取性、革新的な技術力や研究開発力を持って、バイオ製品の波にいかにうまく乗るかが重要。

 最近の成功例は、再生医療等製品。「条件及び期限付き承認」という制度を導入した結果、日本に今まで興味を持っていなかった多くの欧米系のメーカーが、日本への進出を検討しています。メーカーの狙いは、日本のマーケットではなく、ICH(医薬品規制調和国際会議)の参加国内で最初に承認を取得することにあるのでしょう。承認が取れれば、米国や欧州での資金調達が容易になり、次のステップに進める意義は大きい。その意味で、日本は再生医療についてはハブとして機能している好例と考えています。

――日本は、医療提供体制も整うなど、先端医療を提供しやすい環境が整っているのでしょうか。

 例えば、癌のゲノム医療については、承認範囲や実施施設を限定して比較的早期に承認、ただし結果については副作用も含めてきちんと報告してもらう。そして一定程度、知見が蓄積されたら、他の医療機関でも使える承認にするという2段階で考えてもいいと、私は思うのです。

――その辺りは、冒頭に言われたように、「省内の境」を越え、研究開発、承認、保険適用まで全て関わってくる問題です。

 だから、全省的にうまくチームを作り、一定の方向性を目指して取り組む必要があるのです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551452
医師の働き方改革とキャリア
産婦人科医の過労自死を受けて声明、学会・医会
基幹の分娩取扱病院、大規模化・重点化を推進

レポート 2017年8月15日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は8月13日、「分娩取扱病院における産婦人科勤務医の一層の勤務環境改善」を求める声明を公表、「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」に基づき、地域の基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を強い決意を持って推進する方針を表明した(資料は、同学会のホームページ)。分娩取扱病院の管理者に対しては、産婦人科医の勤務実態を把握して、それを正当に評価・処遇し、勤務環境の改善に取り組むよう要望している。

 今回の声明は、都内の病院の30代半ばの産婦人科勤務医が自死したのは、長時間労働が原因であるとし、労災認定されたことが9日に公表されたことを受けた対応(『産婦人科後期研修医の自死、労災認定』を参照)。

 声明ではまず「現場で奮闘していた若い仲間を、このような形で失うことになったことは、専攻を共にする同僚として痛恨の極み」であるとし、「学会・医会は、産婦人科医の勤務環境の適正化に対し、極めて重大な責任を感じている」と厳しく受け止めていることを説明。

 学会・医会はこれまで、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を通じて、勤務条件の改善を進めてきた。1施設当たりの分娩取扱病院の常勤産婦人科医数は、2008年の4.9人から、2016年は6.5人となり、33%増加したものの、妊娠育児中の医師の増加等により、夜間勤務可能な医師数の増加は限定的のため、推定月間在院時間は2008年の317時間から、2016年の299時間へと6%減にとどまっている。

 学会は、2015年度に「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」を策定、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化の推進を提唱した。声明では、24時間対応が必要な基幹病院の産婦人科では、人数が多ければ、当直等の負担軽減、弾力的な勤務体制への対応などが可能となると指摘。産婦人科医の増加とともに、地域基幹分娩取扱病院の大規模化、重点化を推進する方針を改めて掲げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550917
新専門医制度、行方見えない不安- 医学連インタビュー◆Vol.2
女性医師のキャリアも心配

インタビュー 2017年8月13日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――自身のキャリアについては、どのような考えを持っていますか。また、情報はどのように得ているのでしょうか
土肥 病院実習が始まるまでは、リアリティーを持って考えていなかったのですが、実習が始まると、興味がなかった科も、どの科も面白いです。内科に興味があったのに、外科回ってみたら好きかもしれないとか、実際見てみると変わりますね、目移りします。途中で結婚・出産などで離れたときにどうなるのか、いまいち分かりません。「戻れるよ」という話も、やっぱり「復帰はきつい」という話も聞きます。新専門医制度に関しても、やってきた人がいませんから、結果的に専門医を取るまで長くなるという話も聞くと、年齢的にどうなのか、自分の医師人生がどうなっていくのかが少し不安です。制度の内容がもう少し明らかになり、「ここで1回休んだらこうなるよ」というのが見られると安心するのかなと思いますね。

 女性でも働けるよというコラムなどをよく見るのですが、その先生方は自分とは違うのではないか、スーパーマンなんじゃないか、と感じて等身大のものとして見られない部分があります。その人だから頑張れたのではないかと思ってしまうので、もう少し自分に落とし込めるものがあるといいと思います。

 またキャリアについては、地域枠入学者たちはどうなるのかなというのも気になっています。地域枠の人に話を聞くと、(義務年限の)9年間残らざるを得ないといったマイナスな気持ちも聞くため、もっと前向きに考えられるような制度だったらと思います。

山田 地域枠も「しばる」のではなく、地域で働きたい医学生の想いを後押しする制度であってほしいですね。そのための地域枠の学生同士の交流の場や学習の場を年1回でも設けている大学はあります。

大滝 ポリクリが始まって、医局の先生方の働き方を見たり、「どういう風にキャリア形成されていますか」と女性だけでなく男性の先生にお聞きしたりすると、おおよそどの先生も、その場での出会いや流れに乗っていつの間にか今に至る、というようなキャリア形成をされているような印象を持ちました。どこの業界でもそうなのかもしれないですけど、「こういう人に知り合って、この人に教えを請いたいな」とか「ここの医局は雰囲気がいい」とか、そういうところでみなさん決めているのかなというのはあると思います。

 ただ一方で、自分のプロフェッショナリズムを維持し研鑽していかないといけないという点で専門医制度があると思うのですが、今制度が改変されている最中で今後どうなるかがまだ見えない中で考えていかなければならないことは難しいことです。働く場所に関して今のところ同期で話しているのは、新専門医制度もあるのでまずは出身大学に残り研修を終えてから移動した方がキャリア形成しやすいのではないかということです。

山田 (まだ始まっていないので、新専門医制度下で研修を受けた人がいないため)新専門医制度に関しては参考になる人がいません。「君たちが参考にされる側だよ」と先生方から言われることもあります。キャリアについては、だいたい研究者か、臨床で何科になるかくらいの選択肢しか、先輩からも先生からも提示されないようにも思えます。例えば山中伸弥先生みたいにiPS細胞を作るとか、医療にAIが導入されたときに、開発をする人になるとか、医療行政の道に進む人など、臨床や研究以外の働き方の多様な提示があったら多くの医学生はありがたいなと感じるのではないかと思います。そういうロールモデルに出会っていなかったので、病院見学に行くにしても、「君は何科になりたいの」としか聞かれないし、どんな医師になりたいとか、どんな働き方がしたいとか、生涯を懸けて何を極めたいとか、そういうことはあまり聞かれないですね。病院によっては、「君は残るつもりはあるの」と、それを最初に聞くところもあって、「いきなりそこか」と思って答えたりします。

――キャリアについての大学のサポートはどのようなものがありますか。
山田 前向きに取り組んでいる大学もあれば、そうでない大学もあると聞いています。極端なところでは、そんなことやるくらいなら勉強しなさいという言い方をするところもあります。学生としては具体的な取り組みやサポ―トがあればいいですが、そこまではいかないとしても、困ったときに相談できる窓口があるかないかだけでも全然違うと思います。あれば学生も安心します。学校として用意されていないときには、自治会などが、学生ですが役割を果たしていたりもします。

大滝 大学には就職相談窓口があると思います。医学部の場合は、大学によっては教育センターがあるところも幾つかありますが、教育センターがなく学務課の担当者が対応するのみで専門的にキャリアの相談をする窓口がない大学もあります。自分を含めて将来どうするか相談するとき、友人やポリクリで回っている時に先生方に尋ねるくらいです。キャリアについて相談できる機会は非常に限られているなと感じています。



http://www.medwatch.jp/?p=15300
地域包括ケア病棟の2分論、少なくとも2017年度データを見てから議論すべき—日病協
2017年8月18日 | 2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 中央社会保険医療協議会などでは、地域包括ケア病棟について、例えば「在宅で急変した患者を多く受け入れている病棟」と「急性期後の患者を多く受け入れている病棟」などに2分する議論が出ているが、現段階での議論は時期尚早である。少なくとも2017年度のデータを見てから議論すべきではないか—。

 全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会では、現時点ではこういったスタンスをとっていることが、18日に開催された定例記者会見で明らかにされました。

認知症治療病棟、急性期対応を行うが、9割の患者は在院日数61日以上

2016年度改定直後のデータでは、現状を反映していない可能性も

 地域包括ケア病棟(病室含む、以下同じ)は、(1)急性期からの受け入れ(post acute)(2)在宅・生活復帰支援(3)緊急時の受け入れ(sub acute)―の3機能を合わせ持つ病棟・病室として、2014年度の診療報酬改定で創設されました。

 2018年度の診療報酬改定に向けて、中医協や下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で議論が進んでいますが、その中で「機能に応じた2分論」が浮上しています。これは、厚生労働省の調査から、▼自院や他院の急性期病棟からの受け皿(前者55.4%、後者15.8%)として活用している病院もあれば、5.4%と少数派ながら「在宅医療の後方支援として、急変時などの受け皿」として活用している病院もある▼「自宅や特別養護老人ホームなどから入棟した患者」と「それ以外の患者」とを比較すると、前者で「患者の状態が不安定で急性期治療を行っているので入院継続が必要」という割合が高い—ことなどが分かったことから、浮上したものです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

この点について日病協の代表者会議では、「厚労省の示したデータは、手術と麻酔を出来高評価とした2016年度の前回診療報酬改定直後のもので、病院側が十分に改定内容に対応できておらず、現状を適切に反映していない可能性がある。少なくとも、改定から1年を経過した2017年度のデータを見てから機能に応じた評価が必要かといった議論をすべきではないか」という意見が多数出ていることが、原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました。

入院医療分科会では、2016年度・2017年度の2度に分けて、2016年度改定後の状況を調査しており、2017年度調査の結果は今秋に報告されます。地域包括ケア病棟の2分論を含めた見直し論議は、秋以降に本格化すると見られます。

 
なお、日病協では2018年度診療報酬改定に向けた第2回要望の検討も進めています。現在、各団体からの要望を受け、▼急性期病棟(主に7対1・10対1)▼地域包括ケア病棟▼精神病棟▼慢性期病棟▼医療介護連携(訪問看護やリハビリなど)―の5つの柱に沿って取りまとめ作業を行っている最中で、原澤議長は「11月末の代表者会議で取りまとめる方向で検討している」ことを明らかにしましたが、医療経済実態調査の公表時期如何によっては少し遅れる可能性もあります(関連記事はこちら http://www.medwatch.jp/?p=13574 )。



http://www.medwatch.jp/?p=15294
療養病床入院患者の在宅移行促進に伴い、在宅医療や介護サービスの整合的な整備を―厚労省
2017年8月18日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)と新たな介護保険事業(支援)計画(第7期介護保険事業(支援)計画)がスタートするが、在宅医療や介護サービスの整備量を見込む際には、両計画の整合性を図る必要がある—。

 厚生労働省は10日に発出した通知「第7次医療計画及び第7期介護保険事業(支援)計画における整備目標及びサービスの量の見込みに係る整合性の確保について」の中で、こうした点を改めて強調するとともに、整合性を保つための基本的な考え方を整理しています。7月31日に発出された第7次医療計画作成のための通知(改正通知)を補完するものと言えます。

ここがポイント!
1 療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進
2 療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

療養病床入院患者のうち医療区分1の70%相当は在宅への移行を促進

 第7次医療計画に包含される地域医療構想では、▼一般病床に入院する医療資源投入量が少ない患者(C3未満の患者)▼医療療養病床に入院する医療区分1の患者の70%▼医療療養病床における入院受療率の地域差解消分―を「在宅医療や介護施設などで対応する」こととされています。高齢化の進行で在宅医療や介護施設などの需要が増加しますが、こうした「新たな需要増」も考慮して、医療計画・介護保険事業(支援)計画の中で在宅医療・介護施設などの整備量を見込む必要があるのです。医療計画の見直し等に関する検討会での議論を経て、今般、考え方が整理されました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

今般の通知では、まず「新たな需要増」として、次の点を考慮することを改めて指示しています。具体的には下記(1)から(3)について、将来推計人口を用いて▼2020年度末(第7期介護保険事業(支援)計画の終了時点)▼2023年度末(第7次医療計画の終了時点)―における「新たな需要増」を推計します(市町村間での調整は可能)。

(1)慢性期入院患者(療養病棟入院基本料、療養病棟特別入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、有床診療所療養病床特別入院基本料を算定する入院患者)のうち、構想区域に住所を有し、医療区分1である患者の数の70%相当
(2)慢性期入院患者のうち、構想区域に住所を有し、入院受療率の地域差を解消していくことで介護施設・在宅医療などの需要として推計する患者の数((1)を除く)
(3)一般病床入院患者(回復期リハビリ病棟入院料の算定患者を除く)のうち、医療資源投入量で、構想区域に住所を有する者の数から、「在宅復帰に向けて調整を要する者(医療資源投入量175点以上225点未満)」「リハビリを受ける入院患者でリハビリ料を加えた医療資源投入量が175点以上となる者」の数を控除して得た数

療養病床から介護医療院への転換や、退院患者の動向データなどを勘案

 次に、推計した「新たな需要増」に対応するために必要となる在宅医療・介護保険施設などの整備量を推計することになります。具体的に「在宅医療でどの程度対応するのか、介護保険施設などでどれだけ対応するのか」は、都道府県(医療計画、介護保険事業支援計画を作成)と市町村(介護保険事業計画を作成)との「協議の場」で調整・協議することになりますが、厚労省は以下のような基本的な方針を示しています。

 まず(3)の「一般病床における医療資源投入量の少ない入院患者」の多くは、退院後に外来医療を受診することが分かっており、「新たな需要増」のほとんどは、「療養病床の入院患者が在宅移行する」ために生じるものと言えます((1)と(2))。一方、2018年度からは「療養病床から介護医療院への転換」も進められます。そこで、厚労省は別途お伝えする転換意向調査を行い、▼医療療養については2020年度末・2023年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する▼介護療養については意向調査により把握した2020年度末の見込み量を「追加的需要の下限」として設定する(2023年度末に介護療養の全数相当を追加的需要として設定する)―よう求めています。

また、介護医療院で対応する分を除く部分については、▼現在の療養病床数▼これまでの在宅医療・介護サービス基盤の整備状況▼病床機能の分化・連携、地域包括ケアシステムの深化・推進を踏まえた将来の在宅医療・介護サービス基盤の在り方―などを踏まえて、在宅医療と介護保険施設などとの間で対応分を按分して、それぞれの整備目標に反映させることになります(前述のように、具体的には都道府県と市町村との協議の場で設定)。

さらに、在宅医療・介護保険施設など整備量を考えるに当たっては、次のような資料も参考にすることが求められます。

▼患者調査や病床機能報告における「療養病床を退院した患者の退院先別のデータ」などを参考にする

▼各市町村において国保データベースを活用し「療養病床を退院した者の訪問診療や介護サービスの利用状況」などを把握する

▼各市町村における独自のアンケート調査、現状における足下の統計データなどを活用する

 ところで、第7次医療計画は2018-23年の6年計画ですが、2020年度に中間見直しを行います。また介護保険事業(支援)計画としては、2018-20年度の第7期計画と2021-23年度の第8期計画があり、▼2020年度▼2023年度―の2つの節目があると言えます。このため、在宅医療の整備目標についても▼2020年度末の整備目標▼2023年度末の整備目標―の2点を設定することが求められます(介護保険施設などの整備目標は、当然、第7期・第8期計画のそれぞれで設定することになる)。

 また厚労省では、「第7期に必要な整備が行われない場合には、第8期に繰り越して対応しなければならない」点に言及し、「計画的な整備」の必要性を強調しています。例えば、介護保険施設などの整備は介護保険料の上昇につながるため、「とりあえず、当面の介護保険料を抑えよう」と考えてしまえば、後の第8期計画で「急激な整備→介護保険料の急激な上昇」となってしまう恐れがあるためです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/551240
m3.com意識調査
高校、大学所在都道府県の勤務が最多
医師確保には「解決策にならず」

レポート 2017年8月14日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省が7月31日、医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、医学部の地域枠の入学生は、原則として地元出身者に限定することや、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けることなどの内容だ(『「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知』を参照)。

 医学部の地域枠についてm3.com医師会員に聞いたところ、Q2の「出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?」で「全て同じ」が開業医26.6%、勤務医26.4%でともに最も多かった。一方で、「出身地と出身大学が同じ」、つまり勤務地だけが別という会員は一番少なかった。

Q1:地域枠の入学生を、その大学がある所在地の地元出身者に限ることが、地方での医師確保につながると思いますか?
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 勤務医では「思う」が約半数で、「思わない」と差が開く一方、開業医では、「思う」との回答が多いものの、あまり差が出なかった。

Q2:出身地(本質問では、出身高校の都道府県)と出身大学の所在都道府県、現在の勤務地は同じですか?
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Q3:修学資金貸与を受けた地域枠学生の卒後の「義務年限」、何年くらいが妥当だとお考えですか。
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 「5年」と、医学部の修業年限の1.5倍に当たる「9年」がいずれも30%前後と多くを占めた。

【地域枠は医師確保につながらない】

(医師のコメント)
個人の卒後勤務地を入学条件に加えたり、経済条件を加えたりしても、勤務地偏在の根本的解決策にはならない。防衛医科大や自治医科大でも卒後返済して自由を選ぶ人がいることがその証である。都市に政治経済文化機能を偏在させている今の政治に原因の根幹がある。大学の学費は先進ヨーロッパ並みに(奨学金ではなく)無料化すべきで、公立大の学費を値上げして就学を経済的に困難にしているのは国家の損失である。

私の出身大学は当時推薦枠があり、現役生20人を高校推薦で入学させていたが、ほぼ全員が出身大学に残らなかった。

本来の目的は地域医療における医師確保だったのだが強制力がなかった。

地域枠に対してその地域に関連のない受験生も広く受験できるのであれば良いですが、実質はその地域に関わりのある受験生に限定されていることが殆どで、受験生の受験機会を奪うことになっています。それを県立大学が行うのであれば、ある程度の納得はできますが、国立大学が行うのには違和感があります。私たちの治めた税金で賄われる国立大学であれば、国民が等しくその恩恵を享受できる環境にあるべきだと思います。

【強制力を伴う対策を】
(医師のコメント)
現実的ではないが地域枠には地域限定医師免許証にして、出身大学研修必須、その後一定期間貢献したら普通の免許証も交付される。拘束期間が10年ぐらいあれば、妻子などもできて定着する人も多いのでは?これぐらい強制しないとただの推薦枠と変わらない。

国立大学は全て都道府県に委譲し、知事のもとで半数は大学所在地の学生を受け入れ、大学所在地内での研修を義務付ければよいと思う。国立大学である必要があるのだろうか。東京医科歯科大や京都府立医科大が既にあるので、東大と京大は研究大学として病院施設は廃止する方向はどうだろうか。



http://www.sankei.com/region/news/170820/rgn1708200035-n1.html
千葉の医学部生が知事と面談 資金貸し付け就業条件などで要望
2017.8.20 07:02 産経新聞

 人材不足が叫ばれる医師の確保に向け、県が設置している医師修学資金貸し付け制度を利用している医学部生6人が森田健作知事と県庁で面談。目指す医師像や、制度への要望などを伝えた。

 厚生労働省の調査によると、平成26年の人口10万人当たりの県内の医師数は全国45位の182・9人。全国平均の233・6人を大きく下回り、県は21年度から貸し付けを実施。医師免許取得から一定期間を県内の医療機関で勤務すれば返還が全額免除となる。

 この日は、千葉大医学部の学生らが知事と面談。将来の夢を伝えるとともに、県内での一定期間の就業が返還免除の条件とされていることからキャリアへの影響を懸念する声や、医療現場の要望が反映される行政運営を求める意見なども伝えた。

 市川市出身で帝京大医学部(東京都)4年の笠井健司さん(23)は「資金のおかげで学費がまかなえるのでありがたい。医療を通じた地域の活性化に貢献できる医師を目指したい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/552225
日病協、来年度改定要望第2弾は5項目が柱
リハ病院・施設協会が正式加盟、地域包括ケア病棟協会はオブザーバー

レポート 2017年8月19日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏は8月18日の定例記者会見で、2018年度診療報酬改定に向けての日病協としての要望書の第2弾について、▽急性期関連▽地域包括ケア病棟関連▽精神病床関連▽慢性期関連▽医療と介護の連携――の5項目を骨子としていくことが決まったと報告した。要望書の第1弾は今年5月に提出しており、第2弾は中医協などの議論を見据えながら11月を目処に提出予定(第1弾は『日病協、2018年度改定への要望書案を策定』を参照)。

 6月からオブザーバー参加している日本リハビテーション病院・施設協会が9月から正式加入することが決まった。前回の会議で議題に上がった地域包括ケア病棟協会(仲井培雄会長)の日病協への加入については9月からオブザーバーとして参加する(『日病協、地域包括ケア病棟に関する議論を注視』547671を参照)。原澤氏は「次回改定は地域包括ケア病棟がかなりの軸になる。専門的な見地から意見をお聞きしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/552133
眞榮会が民事再生法申請 佐倉の社福法人 負債24億円
地域 2017年8月18日 (金)配信千葉日報

 帝国データバンク千葉支店によると、佐倉市の社会福祉法人、眞榮会(石岡英明理事長)が17日までに、千葉地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は約24億円。

 2013年設立の同法人は、同市下志津で特別養護老人ホームや居宅介護事業所など3施設を経営。16年3月期の売上高は約2億5600万円だったが、施設開設に伴う借入金負担などから今回の措置となった。

 千葉県内での負債額10億円以上の倒産は、16年12月以来8カ月ぶり。



https://www.m3.com/news/general/552252
浜松医大付属病院:女性医師、復職を支援 「センター」を開設 県内全域でキャリア断絶防ぐ
大学 2017年8月19日 (土)配信毎日新聞社

 子育てしながらのキャリアアップや出産後の復職などを支援しようと、浜松医科大医学部付属病院(浜松市東区)に「ふじのくに女性医師支援センター」が開設された。県内の病院同士の情報網を確立し、女性医師の早期復職を促そうとする取り組みだ。【古川幸奈】

 厚生労働省の2014年の統計によると、医師全体に占める女性の割合は20%以上に上る。しかし、実際に仕事をしている女性医師の割合を示す就業率は他業種と同様に結婚・出産期に当たる年代に低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」をたどる。大学の医学部で6年間学んで就職してからおおむね11年が経過した36歳前後、女性医師の就業率は76%で最低になる。時間外勤務や夜勤の多い診療科では、女性の離職率が高くなるという。

 こうしたキャリアの断絶を防ごうと、浜松医科大は14年に「女性医師支援センター」を設立。相談窓口のほか、女性医師同士の交流会を設けるなどし、仕事と家庭の両立をサポートしてきた。今回はその取り組みを発展させ、県の委託を受けて県内全域でのキャリア支援に乗り出す。

 ふじのくに女性医師支援センターは今年4月に開設され、医師の谷口千津子さんら2人がコーディネーターとなった。現在は、県内の病院を訪れたり、アンケートを配ったりして、センターの周知を図り、各病院との連携強化に力を入れる。

 県内の病院で行われているキャリア支援の内容や勤務形態をまとめて閲覧できるウェブページの作成にも取り組んでおり、夫の転勤などで県内に移住した女性医師が復職しやすい環境作りを目指す。

 一方で、仕事と家庭の両立には、上司や夫の理解も欠かせない。谷口さん自身、子ども2人を産んでから病院を離れた一人で「産婦人科医としての勤務は多忙を極め、常勤医として働くことの限界を感じた」という経験を持つ。

 谷口さんは「そもそも、夫婦両方が医者だと『子どもの不測の事態に対応するのは母』とされる風潮がある。最初は時短勤務を快く受け入れてくれても、次第に白い目で見られるようになることもあり、職場の理解は必要」と指摘する。



https://www.m3.com/news/general/552137
北茨城市民病院ボランティア 患者目線、心強い存在
2017年8月19日 (土)配信茨城新聞

 北茨城市関南町関本下の北茨城市民病院(植草義史病院長)で、来院者が車椅子を必要とした場合に介助したり、バスの待ち時間に話し相手をしたりする市民ボランティアグループの活動が好評だ。玄関から受付窓口までの短い距離の活動ながら、明るい笑顔と素早い対応が、「通いやすい病院」との評判確立に一役買っている。15年間続く活動に病院側も「なくてはならない存在」と頼りにしている。

 「北茨城市民病院ボランティア」(小松礼子代表)の活動は2002年の旧市立総合病院(同市大津町北町)時代に始まった。発足のきっかけはメンバーの久保田三枝子さんの夫の入院。「その病院では案内をするボランティアがいて、高齢者が迷うこともなかった。夫が親切にしてもらった恩返しが少しでもできれば」と友人に声を掛けた。

 10人でスタートし、現在は40~70代の女性会員23人。黄色のエプロンが目印だ。月~金曜日の5日間、午前8時半~11時まで、2人態勢で活動する。開院前に車椅子を用意し、来院者に「車椅子は必要ですか」などと声を掛ける。車椅子を押して待合スペースまで案内する。一方で患者を送って来た車が駐車場へスムーズに進めるため、玄関前の混雑緩和にもつながっている。

 場合によっては赤ちゃんの面倒を見たり、入院患者や帰りのバス待ちの人と世間話もする。雨の日の傘の整理や草取りなども行う。「気付いたことで、やれることは何でもやりますよ」と会員は口をそろえる。菊池光子さんは「患者の目線になって声掛けする」と心構えを明かす。菅野しのぶさんは「母の通院で大変だったので参加した。活動は少しも大変ではない」と笑顔を見せる。

 年2回市社会福祉協議会の研修を受け、車椅子の扱い方やサポートの仕方はもちろん、病院ボランティアの目的や心得、注意点などを習っている。

 患者目線の活動は病院利用の改善点提案や、患者からの要望を病院側に伝える橋渡し役にもなっている。同病院医事課の滝浩課長は「真面目な取り組み、メンバー同士の信頼関係が長続きの鍵なのでは。患者や家族などから頼りにされ、病院としても心強い存在」と期待を寄せる。

 小松代表は「不安な気持ちの初診者や足元が心もとない人など、お手伝いのつもりでやっている。地味な取り組みだが、喜んでくれる人が一人でもいる限り続けていきたい」と話す。協力者が増えれば活動の幅も広げたいとも考えている。

(飯田勉)



https://www.m3.com/news/general/552123
【神戸】救急車の「適正利用」強調で119番にためらい?
地域 2017年8月19日 (土)配信神戸新聞

 突然の激しい頭痛、救急車を呼ぶべきですか―。神戸市消防局がこんなアンケートを実施したところ、「呼ぶべきでない」「分からない」と答えた市民が3分の1を占めた。実はこの症状、くも膜下出血などの疑いがあり、「100%呼ぶべき状況」との想定に基づく設問だった。予想外の結果に、同局は「『救急車の適正利用』が強調されるあまり、119番のためらいにつながっている可能性がある」と懸念している。

 アンケートは、増加傾向にある救急車の出動件数の背景を調べようと、神戸市消防局が今年5月に実施。市内在住のネットモニター2230人が答えた。

 「倒れて意識がない人がいる」など具体的な17の状況を挙げ、救急車を呼ぶべきかどうか、呼んでもよい▽呼ぶべきではない▽分からない―の3択で質問。例えば「突然、激しい頭痛が起こった」場合は、「呼んでもよい」が65・5%にとどまり、「呼ぶべきではない」が11%、「分からない」が23・5%だった。

 激しい頭痛と同様に重症の恐れが強い「急にろれつが回らなくなった」と「胸が締め付けられるように痛む」でも、「呼んでもよい」は8割程度。症状により認識に差はあるものの、タクシー代わりに呼び出すなど救急車の不適切利用が社会問題化する中、119番に対し慎重になっている市民の姿が浮かび上がる。

 高齢化に伴い、同市内の救急出動は2016年、8万件を突破。全国では7年連続で過去最多を更新している。消防当局は「適正利用」を積極的に広報しているが、その際、不適切な通報事例が象徴的に取り上げられ、市民の意識に過度に影響しているとみられる。

 同局は「危険な変調などを感じたら、ためらわずに救急車を呼んでほしい」と強調。通報すべき状況を丁寧に説明するなど、誤解の解消に努めるという。

 救急車を呼ぶかどうか迷った際には、同市が運用する無料ウェブサービス「救急受診ガイド」を利用するようPR。今秋には、救急相談ダイヤル「#7119」を導入する予定という。

 総務省消防庁も救急車を呼ぶ必要があるかどうか緊急度を判定するスマートフォン用アプリ「Q助(きゅーすけ)」を無料提供している。(小川 晶)



https://www.m3.com/news/general/551524
「改革しっかり進める」 医師の働き方で厚労相
行政・政治 2017年8月15日 (火)配信共同通信社

 加藤勝信厚生労働相は15日の記者会見で、東京都内の総合病院に勤めていた産婦人科の研修医が過労自殺したことを受け、「医師についても働き方改革をしっかりと進めていく必要がある」と述べた。

 政府が3月にまとめた働き方改革の実行計画には「最長で月100時間未満」などとする残業時間の上限規制が盛り込まれたが、医師については正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして適用が5年間猶予されている。

 厚労省は今月初め、医師の働き方改革に関する有識者の検討会の初会合を開催、2019年春をめどに報告をまとめるとしており、加藤氏は「応召義務を踏まえて時間外労働規制の在り方、具体的な勤務環境改善策の検討をしっかりやっていきたい」と述べた。



https://www.m3.com/news/general/551349
海部病院移転3カ月 利用者から不満の声
地域 2017年8月14日 (月)配信徳島新聞

 南海トラフ巨大地震に備えるため、県立海部病院が5月8日に牟岐町中村の高台に移転してから3カ月余り。移転先は町中心部から離れた場所で、旧病院周辺に店を構える経営者は「来店客が一気に減った」と嘆く。通院が不便になったことにも利用者から不満の声が聞かれる。防災面への不安が解消された一方、町民の生活には影響が出ている。

 旧病院は、牟岐駅から約150メートルにある町中心部に立地していた。近くには町内唯一のショッピングセンター「ポルト牟岐」があり、通院患者や見舞客らの利用も多かった。

 病院の移転は、ポルト牟岐のテナントに打撃を与えた。衣料品店「タニモト」は、入院患者が使う寝間着やタオル、下着などの売り上げが約半分に落ち込んだ。経営者の谷本敦子さん(53)は「以前は診察の待ち時間に来てくれるお客さんもいたのに、急に店内が寂しくなった」と肩を落とす。飲食店「ポケット」も、来店客が減少傾向にあるという。

 旧病院周辺に店を構える経営者らが期待しているのは建物や土地の活用だ。町商工会の横尾政明会長(60)は「町の中心部から大きな病院がなくなったのは町経済にとって痛手だ。早急に跡地を再生し、地元住民や観光客を呼び込む場所にしなければならない」と訴える。

 旧病院は敷地面積約1万平方メートルで、本館(鉄筋コンクリート4階、延べ5386平方メートル)や別館(同2階、延べ340平方メートル)などがある。所有する県病院局は「今後の跡地利用については未定だが、牟岐町から利活用や譲渡の相談があれば前向きに対応する」としている。

 これに対し、大森博文副町長は「町としても跡地の活用を考えなければならない。早い時期に県や町内の民間団体と話し合いを進めていきたい」と話す。

 津波に備えて海抜15・6メートルの高台に移った新病院は、災害時は医療拠点としての役割を担う。しかし、これまで徒歩や自転車で通院していた住民からは「通院が不便」との不満の声が聞かれる。

 ほぼ毎週、自転車で通院している近藤将子さん(79)=同町中村、無職=は「以前は徒歩で楽に通えていたのに・・・。自転車で坂を上るのは年寄りにはつらい」とこぼす。

 同町は通院対策として、4月から80歳(4月1日時点)以上の町民を対象にしたタクシー利用の助成制度を始めた。1回当たり300円を補助し、年24回使える券を希望者に配布している。

 6月末時点の交付者数は343人で、80歳以上の町民のうち約43%に当たる。今後、対象年齢の引き下げなど制度の拡充が求められ、町総務課は「現在の利用状況の分析やタクシー業者との協議が必要だが、今後検討していく」としている。



https://www.m3.com/news/general/551348
伊万里松浦病院 松浦移転へ 既存病床減らし 新たに87床
地域 2017年8月14日 (月)配信長崎新聞

 伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市山代町)の移転問題は、県境沿いに隣接する同市と松浦市が候補地として競合。手詰まり状態だったが、運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(本部・東京)が今春、松浦市への移転方針を固めたことで、2020年4月開設を目指し、大きく動きだした。松浦市地域自治会連合会(市内144自治会で組織)が、市内11の医療機関でつくる「松医会」に対し、公的病院の開設実現へ理解を求める要望書を6月に提出するなど、医療サービス向上への期待感も高まっている。開設が実現すると、市内の地域医療はどう変わるのか。再編の青写真を探った。

■特例措置が必要

 発端は伊万里松浦病院の老朽化だった。築50年以上が経過し、建て替えは急務。同機構は、伊万里市内での移転を考えたが、同市と佐賀県有田町が共同設置した病院が既にあることなどから、伊万里有田地区の医師会が反対。同機構は一転して、隣接する松浦市内で建て替えができないか協議を進めてきた。

 松浦市への移転のハードルとなっているのが、同市を含む二次医療圏「佐世保県北医療圏」の病床の過剰状態だ。同圏内は基準より900床以上多く、新病院の開設は原則認められない。開設するには国、県による特例措置の適用が必要。そのためには、新病院ができても現状の市内372床(16年10月時点)を超えないように既存の診療所などの病床数を減らす努力が求められる。

 そこで同市は、開設までにどれだけの病床を減らせるか民間医療機関へのアンケートを実施。20年3月末の市内の削減目標を市立、民間合わせて88床とする「市医療再編実施計画」を今年3月に策定した。これを基に、市は正式な誘致交渉を推進し、同機構が候補地を同市内に固めたとされる。27年3月末の、16年10月からの削減目標は107床。

■診療科は12科目

 同市内の現在の医療サービスの課題は▽知事が認定し救急患者を24時間受け入れる救急告示病院がない▽医師の高齢化、後継者不足―など。この課題を解決するには、同市は機構の新病院開設が不可欠としている。

 では、いったいどんな病院ができるのか。同機構が4月に示した新病院の基本構想によると、病床数は87床を予定。市内の民間医療機関の病床数の変化に応じ、随時100床まで増やす計画だ。診療科は12科目を予定。肛門外科は、市内唯一の診療科として設ける。これまで市立中央診療所だけが担ってきた人工透析内科も引き継ぐ。

■市外搬送減るか

 新病院開設で大きく変わるのが救急医療。市内では14年から救急告示病院がない。軽症患者の救急は輪番制などで対応しているが、医師の高齢化で今後、輪番ができる医療機関は減る可能性があると市はみる。入院や手術を要する救急患者の約7割(15年度)は市外に搬送している。

 新病院について、市は「原則、極めて重度な症状以外の患者は受け入れる」と説明する一方、「ケース・バイ・ケース」とも。重篤でなくても近隣の高度な医療機関へ搬送されるケースもありそうだ。同市志佐町のパート従業員、吉井ネリ子さん(69)は「新病院が救急を受け入れてくれるのは心強いが、どれほどの症状まで対応してくれるのだろう」と話す。

■「介護型」の療養

 市が20年3月末に削減可能としている既存病床は88床。内訳は、国が社会保障費抑制のため削減などの方針を示す「介護型」の療養病床を中心に二つの市立診療所で38床、三つの民間医療機関で50床が対象となる。

 大きく影響を受けるのが離島の福島、鷹島両町。両町内の2診療所には現在、療養病床31床、24時間対応の医師がいないため使われていない一般病床7床、計38床があるが、計画により病床ゼロになる。

 市は、療養病床で受けられる介護サービスは、福島町の高齢者福祉施設などで代替対応が可能。同施設がない鷹島町については、島内で介護サービスを受け続けられる対応を考えると説明する。

 町民からは不満の声が聞かれる。福島町の自営業、松尾逸子さん(68)は「病床がなくなるのは島民の不安に直結する。市中心部には病院ができて、島内ではベッドがなくなることで、地域間で差が出てくる」と指摘する。

■賛否は五分五分

 医師の確保も課題だ。計画では伊万里松浦病院に在籍する職員が引き続き勤務する予定。加えて長崎大などにも協力を要請するという。厚生労働省の内部資料によると、大学側からは「多くの医師がいるので協力したい」との発言を得ているとされる。だが市内のある開業医は「医師の確保は簡単ではない。看護師を含めたスタッフの体制を確保できるか疑問が残る」と首をひねる。

 安定した運営には患者数も鍵を握る。15年度の伊万里松浦病院の入院患者は1日平均54人。患者の減少で厳しい運営が続いており、同年度の経常収支は約1億4400万円の赤字だった。新病院は入院患者の1日平均目標79人。1日25人も多く設定しており、地域で患者の奪い合いが生まれて既存の民間医療機関の経営に影響を与えるという指摘もある。「松医会」の新病院開設への賛否は、ほぼ五分五分。

■市民説明はまだ

 「この移転話を逃せば、地域医療の中核となる公的病院の開設が今後実現することはない」―。医師の高齢化などによる医療サービスの低下が懸念されるだけに、市幹部の言葉には誘致への熱意がにじむ。

 新病院の20年4月開院予定から逆算すると、開設申請は今秋の県医療審議会に諮らなければならないという。同審議会で特例措置適用の可否も検討する。同市は、審議会で重要となる地元医師会の理解を得るため、説明を重ねている。一方、医療再編の影響を受ける市民向けには説明会を開いていない。

 同市は「まだ開設も認められていない状況で具体的な説明はできない」と弁明。ある市議はこう指摘する。「市民の期待感だけが独り歩きしている。開設できるとしても、今の地域医療に弊害がない形で期待通りの病院ができるのかどうか、まだ見えない」



https://www.m3.com/news/general/551377
一志病院の運営、どこに? 三重県地域医療の今後
地域 2017年8月14日 (月)配信伊勢新聞

【津】鈴木英敬三重県知事は6月、県立一志病院(津市白山町南家城)の民間移譲方針を撤回すると表明した。公営の継続に津市からは安堵(あんど)の声が上がる一方、運営形態をどうするかは現在検討が進められている。津市が今後、経営に参画する意思を示すかどうかが、議論の行く末を握りそうだ。

同院は津市の山間部に位置し、白山、美杉地域では唯一の入院できる施設。総合診療医7人が常勤で働く。平成28年度、1日当たりの患者数は入院が38・1人、外来が85・1人だった。

総合診療医の県内育成拠点として、初期・後期研修医や医学生の受け入れに取り組んでいるほか、看護師を志す学生の研修の場にもなっている。

「(診療圏の)面積は非常に広いが、人口は津市の5%ぐらい。ビジネスモデル的には効率が悪い。少ないマンパワーで、なるべくこの地域に住み続けてもらう体制をとらないといけない」。四方哲院長が語る。

四方院長は24年9月に就任した。病床の有効活用や在宅医療の推進などに取り組み、翌25年度には決算の黒字化を達成した。

例えば、受け入れ可能な救急搬送者はなるべく同院で治療しようと、救急隊員が直接、日当直医に電話できるようにした。救急搬送の時間短縮や搬送者数の増加につながっている。

在宅医療では、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションに加え、薬剤師による訪問薬剤指導、栄養士による訪問栄養指導も実施している。

今年4―6月の延べ患者数は、訪問診療が252人、訪問看護が646人、訪問リハビリテーションが456人、訪問薬剤指導が10人、訪問栄養指導が22人だった。

■ ■

県立病院は現在、四院ある。総合医療センター(四日市市)は地方独立行政法人化し、志摩病院(志摩市)は指定管理者制度を導入、こころの医療センター(津市)は県営を続けている。一志病院に関しては22年に民間移譲の方針を固めたが、今年6月に取りやめを発表した。

県地域医療推進課によると、総合診療医や看護師、介護職員の人材育成機能は県が担うとしている。ただ「地域の医療を県がするのは検討する必要がある」と、県市の役割分担の見直しを示唆する。

16年に市が合併するまでは複数市町が診療圏だったため、広域性があった。現在の患者は8―9割が白山、美杉、一志町の住民。市外は5%以下にとどまっている。また、決算状況は黒字だが、一般会計からの繰入金は3億円以上になる。

一方の津市。前葉泰幸市長は会見で、同院について「医療、福祉、介護の連携拠点。われわれの責任である福祉分野にもっと関与していくという提案は、これからもしていける」と話した。

市のスタンスを「今ある人的資源で、もっと訪問看護をしてもらうとか、介護予防のために地域を回ってもらうとかをしてくださるのであれば、事業費を出す」と説明し、連携する事業への支出には前向きな姿勢を強調。その上で「ただ単に経営参加と言われると筋が違う。共同経営では、もともとない」と述べ、経営への参画には難色を示している。

運営形態について、県から津市への正式な打診などはまだない。県は、県と市、三重大でつくる「津市白山・美杉地域における在宅医療・介護の提供体制等に関する検討会」で議論するとし、6月29日に初会合を開いた。

次回は8月22日に開き、地域包括ケアシステムの目指すべき姿や各主体の役割、取り組み方向などについて話し合う予定だ。その後、今年中に報告書骨子をまとめ、運営形態について一定の方向性を決める。

同地域は高齢化、過疎化の“先進地”。今後の地域医療を考える上でも議論の着地点に注目が集まる。



https://www.m3.com/news/general/550881
住吉市民病院跡地:民間病院の誘致断念を撤回 大阪市が公募へ /大阪
地域 2017年8月10日 (木)配信毎日新聞社

 来年3月末で閉院する大阪市立住吉市民病院(住之江区)の跡地への民間病院誘致について、吉村洋文市長は9日、「民間病院の誘致の可能性があるなら追及すべきだ」と述べ、一度断念した誘致に再び取り組む方針を表明した。近く事業者を公募する。

 市議会民生保健委員会で自民党の前田和彦議員の質問に答えた。市によると、7月に府内や兵庫県で複数の病院を運営する社会医療法人「愛仁会」が跡地での病院新設に関心を持っていることがわかり、誘致を断念していた方針を転換。3度目の公募実施を決めた。手続きの透明性を図るため今月中にも事業者を公募する。

 市民病院は二重行政解消の一環で、約2キロ離れた府立急性期・総合医療センターと機能統合する予定。医療の空白を作らないため跡地には別の民間病院の誘致が決まっていたが、建設計画の不備などの問題から5月に辞退し、市は民間病院の誘致を断念していた。【椋田佳代】


  1. 2017/08/20(日) 11:05:48|
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8月12日 

https://dot.asahi.com/dot/2017080900092.html
連載「メディカルインサイト」
深刻な看護師不足の現状 極端な「西高東低」で医療事故も…

上昌広2017.8.11 11:30 dot.#朝日新聞

各都道府県の人口10万人あたりの看護師数(正看護師と准看護師の合計)。厚生労働省「平成24年衛生行政報告例」と人口推計より、森田知宏、児玉有子(ともに東大医科研)作成
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 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。だが、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、深刻な看護師不足の現状についても明かしている。

*  *  *
 東京近郊では看護師も不足しており、そのために一部の病床が閉鎖されています。2007年7月には、東京都保健医療公社荏原病院の産科病棟の一つが閉鎖しました。

 原因は看護師の欠員です。当時、荏原病院の看護体制は定数316人に対し、欠員が58人。これでは、病院機能は維持できません。14年6月、千葉県は県内の59病院で合計2517床が稼働していないと発表しました。このうち38病院は「看護師不足」を理由に挙げています。

 背景には、厚労省が定めた看護師の配置基準と診療報酬の連動があります。06年度の診療報酬改定で「7対1入院基本料」が導入されました。入院患者7人に看護師1人以上を配置している病院に対して、一患者あたり一日1万5550円が診療報酬として支払われることになりました。そのため、看護師争奪戦が始まりました。看護師を確保できなかった病院は、診療報酬が下がるため、病床を閉鎖するところも出てきたのです。

 ところが、日本の看護師不足は全国一律に生じているわけではありません。14年末現在、人口あたりの看護師数は極端な西高東低になっています(図)。東京都の人口10万人あたりの就業看護師数は727人で、埼玉県(569人)、千葉県(625人)、神奈川県(672人)、茨城県(674人)、愛知県(725人)に次いで少ないのです。

 看護師が多いのは高知県で人口10万人あたり1314人です。ついで鹿児島県(1216人)、佐賀県(1200人)、熊本県(1189人)、長崎県(1182人)と続きます。高知県には人口10万人あたり東京都の2倍近い看護師が就労しています。

 看護師不足が深刻化している東京近郊では、今後、団塊世代が高齢化し、医療ニーズが急速に高まります。看護師確保をめぐり、東京近郊の病院間で、さらに熾烈な競争が繰り広げられることになるでしょう。

 看護師不足のツケも、最終的には患者にまわってきます。東京近郊、特に東京の病棟閉鎖の主たる理由は、看護師不足です。病床が閉鎖されれば、住民はまともな医療を受けることができなくなります。

 看護師が不足すると、医療事故も起こりやすくなります。03年に米国の研究者らがJAMA(アメリカ医師会誌)に発表した研究によると、外科や救急病棟では大学卒の看護師が10%増えると、患者の早期死亡率が5%低下していました。日本では患者7人に1人の看護師が配備されていますが、この研究では患者4人に1人の看護師を配備することが推奨されていました。つまり、高学歴の看護師を大勢配置した方が、致死的な医療事故が減るというのです。この研究は欧州でも再現され、14年英国の医学誌ランセットで報告されました。

 日本からの研究はまだありませんが、看護師の質と量が急性期医療の現場では患者の生死に直結することは、世界の医療界でコンセンサスとして受け入れられつつあります。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20170810-OYTNT50064.html
旭川医大、地域枠制度の定員削減へ…「医師、将来的過剰に」
2017年08月10日 読売新聞 北海道

 旭川医大は9日、道が指定する医療機関で一定期間勤務すれば、返済が免除される修学資金貸付制度(地域枠制度)の定員について、現在の17人から来年度以降は12人に減らすと発表した。道は、医師不足対策として同制度を創設したが、同大は「将来的に医師が過剰になる」などと判断した。医師不足に悩む道内自治体からは、将来を不安視する声があがっている。

都市部集中 地方に不安

 同制度では、卒業後9年間の道内研修・勤務を確約する学生に対し、授業料や生活費など計約1200万円を貸与。9年間のうち、道指定の医療機関で5年間勤務すれば、返済が免除される。2008年度に札幌医大で導入され、09年度には旭川医大でも始まり、17年度までに計260人が利用した。

 旭川医大の吉田晃敏学長は9日、記者会見を開き、〈1〉将来的に医師が過剰になる〈2〉学内での同制度利用者が16年度入学生までは15人前後で推移していたが、17年度は9人に減少した――ことなどを削減の理由に挙げた。

 吉田学長は「旭川医大には独自の地域枠があり、地域医療に与える影響はない」などと述べた。これに対し、町立病院の医師確保に悩む和寒町の奥山盛町長は「道内では札幌などに医師が集中する中で、地方は現状の体制を維持するのも厳しい」と懸念を示している。

 道地域医療課によると、道内の人口10万人当たりの医師数(2014年末時点)は230・2人で全国平均(233・6人)とほぼ同数。ただ、札幌や旭川など都市部に医師が集中し、それ以外の地域では足りないという状況となっており、同制度は、地方の医師不足対策の切り札として期待されていた。

 高橋はるみ知事は4日の定例記者会見で「地方における医師確保に向けて、この制度を創設したところで、(旭川医大の決定は)大変残念。医師の足りない地域に対して、様々な手段を講じてしっかり対策をしなければいけない」と語った。



http://www.asahi.com/articles/ASK8C337ZK8CUBQU006.html
旭川医大が「国際医療人」育成枠 世界の地域医療現場へ
渡辺康人2017年8月11日11時30分 朝日新聞

 旭川医大(旭川市)は来春の入学試験から、意欲ある学生を面接や書類審査で選考するAO入試に「国際医療人」育成枠を新設する。定員は5人で、国際社会で臨床医として通用する語学力や診療能力、世界各地の地域医療を向上させる能力の習得をめざす。同大によると、全国の国公立大学で初の試みという。

 同枠での合格者は入学後、通常のカリキュラムとは別に年1回の外部英語試験を義務づけ、在学中に海外の医療施設で1カ月間の留学を2回ほど経験させ、それらの費用として6年間で最大50万円を助成する。海外滞在経験を持つ先輩を指導員としてつける。

 旭川医大のAO入試の定員は来年度から2人増の42人となる見通し。これまでは道内出身者を優先させる「北海道特別選抜枠」のみだったが、来年度入試では5人分を「国際医療人特別選抜枠」として全国から募集する。高校とセンター試験での成績に下限を設けたうえで、1次選考で書類審査、2次選考で論文と面接を行い選抜する。

 ログイン前の続き同大は過去に1割程度だった道内出身学生を、2008年度から地域枠を設けたことで6割以上にした実績を持つ。吉田晃敏学長は「人口減の中で地域枠に力を入れるだけではなく、国際社会の発展に寄与する医療人を育て、旭川を国際医療都市にしたい」と狙いを話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550747
産婦人科後期研修医の自死、労災認定
代理人弁護士「産婦人科医療がそうさせている」

2017年8月10日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた男性医師(30代半ば)が2015年7月に自死したのは、時間外労働が月170時間を超えるなど長時間労働が原因だったとして、労災認定されたことが明らかになった。8月9日に記者会見を開いた遺族側弁護士の川人博氏は長時間労働の背景を「産婦人科医療がそうさせている。あまりにも仕事が多く、人数が足りていないことに尽きる」と訴えた。

 男性医師は2010年4月に医師免許を取得。2013年から 産婦人科の後期研修のために東京都内の公的総合病院に勤務していた。労災認定をした品川労働基準監督署の説明によると、死亡1カ月前(2015年6月9日-7月8日)の時間外労働時間は約173時間だった。同年7月12日は勤務日だったが、出勤することなく自死した(死体検案書では、死亡時刻を同日午後と推定)。

 男性医師の両親は2016年5月30日に労災申請し、2017年7月31日付けで認定された。亡くなる直前に「F3 気分障害」を発症していたとしている。8月9日に労基署から遺族や代理人弁護士に口頭で認定理由の説明があり、それを受けて遺族代理人が記者会見を開催した。

 電子カルテや勤務時間管理表、手術記録、投薬オーダー記録などから時間外労働時間数は、「少なくとも」(川人氏)、下記のように推計している。

【男性医師の死亡前の時間外労働時間】
1カ月前(6月12日-7月11日)  173時間20分
2カ月前(5月13日-6月11日)  165時間56分
3カ月間(4月13日-5月12日)  143時間24分
4カ月前(3月14日-4月12日)  148時間19分
5カ月前(2月12日-3月13日)  208時間52分
6カ月前(1月13日-2月11日)  179時間40分

 川人氏ら代理人の調査では、パワハラや個人的な悩みなど、長時間労働以外の要因は確認されていない。当時の産婦人科は10人程度で、そのうち後期研修医は4人。男性医師が研修医の中では最も年次が高かった。遺書や家族へのメッセージなどもなく、「責任感が強く愚痴を言いたがらなかったようだ」(川人氏)。

 当直勤務は月4日程度あり、死亡前の6カ月間の休日は5日のみだった。2015年4月以降に抑うつ状態、睡眠不足と疲労感、集中力と注意力の衰退などの症状が見られるようになった。この頃に信号無視による道交法違反が2度あり、公共料金も5月以降支払いを忘れるなどしていた。川人氏によると、「病院の寮の部屋は、あまりに忙しいからか整理できていなかった。冷蔵庫には何もなく、色々なものが散乱し、私(わたくし)の生活が全くない状況だった」と説明。部屋には睡眠剤などがあったが、心療内科などへの受診は確認されていない。

 一方で、同僚などへの聞き取りでは、「診療行為がおかしかった」などの証言はなく、「最後まで仕事はきちんとしていた」という。生前に診察を受けた元患者は、代理人らの調査に「挨拶をしてくれた姿がとても印象的だった。若いのにしっかりしていた。出産で入院中は病室にもよく来てくれた」と証言している。

 川人氏は長時間労働の背景を「産婦人科医療がそうさせている。あまりにも仕事が多く、人数が足りていないことに尽きる」と説明。新潟市民病院でも後期研修医が自殺し、労災認定された件について触れ、「2回続いたのは、恐らく全く偶然ではないと思う」と語った(『新潟・女性医師過労死事案、担当弁護士の説明』を参照)。

 病院側に対しては「長時間労働を認識していたにもかかわらず、十分なサポート体制を取っていなかった」と非難。同病院の労使協定(36協定)では、医師の場合は3カ月で計120時間と定められていたが、亡くなる3カ月前の時間外労働は480時間を超えていた。

 特別な事情(緊急手術の対応など)がある場合は、病院からの通知によって3カ月で計600時間、年間1440時間まで時間外労働を延長することができるとしているが、今回はこのような通知はなかった。川人氏は3カ月600時間という上限自体に問題があるとも指摘している。

 残業代も全額は出ておらず、病院側は労基署の指導を受けて、不払い残業代を遺族に支給するなどの対応を始めている。

「労働時間を管理するという発想が極めて希薄」
 川人氏は、本件に限らず医療機関全般は「医師の労働時間を管理するという発想が極めて希薄だと思う」と指摘。2016年度だけでも過労死認定された医師は4人いるとし、「政府の働き方改革では、医師の時間外労働規制を5年間猶予するとしているが、医師の過労死を放置、促進するもので、極めて危険であり、撤回すべきである。医師の過労死、過重労働をなくすために、国を挙げて早急に着手すべきである」と訴えた。

 自己研鑽の時間を業務時間に含めるべきかどうかについては、「実際問題として余裕を持って(自己研鑽を)図るような状態ではない。それがほとんどの研修医の実態」と指摘した。

 会見で公表した、遺族の手記は以下の通り(全文)。
息子の死の労災認定に思うところ
都内在住 父・母


今回、息子の死後2年、労災申請より1年2カ月余を経過して、労災認定がなされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです。

息子は、産婦人科を専攻する後期研修医でありました。彼は亡くなる少なくとも半年前よりほとんど休みなく勤務し、毎月時間外勤務として150時間、月によっては200時間に及ぶ仕事に従事し、手術、夜間の緊急対応に明け暮れていたものと思われます。現在、厚生労働省で推進されている「働き方改革」において医師の応招義務の観点から医師への時間外労働規制の適用が5年先送りにされたことは、この間に同じような不幸が起きないかと懸念されます。応招義務は、開業医よりも24時間稼動する病院に勤務する勤務医に課せられ、夜間、あるいは緊急対応は息子のような若手の医師に託されることが多いのが現状と思われます。

医師の自殺率、特に若いこれからの医師の自死が一般人口よりも高い理由は、不眠の継続による、または、過重な労働、責任の重さによる過大な精神的負担が原因と考えられます。さらに研修医は卒後研修のめまぐるしい環境の変化に耐えなくてはならず、また、後期研修では、専門医資格の取得に向けた準備段階に入り、精神的疲労の蓄積はさらに増していくものと考えられます。また、産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるか分からない分娩への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います。

その中で、責任を委託された者に過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています。医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います。

                                  以上



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017081002000139.html
研修医自殺で労災認定 産科、残業208時間の月も
2017年8月10日 朝刊 東京新聞

 独立行政法人国立病院機構が運営する東京都内の病院に勤務していた三十代半ばだった産婦人科の男性研修医が二年前に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因だとして、品川労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが分かった。遺族の弁護士が九日、記者会見して明らかにした。認定は七月三十一日付。
 弁護士によると、男性は二〇一〇年四月に医師免許を取得し、一三年四月から、この病院の産婦人科に勤務。一五年四月以降、抑うつ状態や睡眠不足、注意力の減退などの症状が見られるようになり、精神疾患を発症。同年七月十二日に都内で自殺した。
 男性は病棟での分娩(ぶんべん)や手術を中心にカルテや書類の作成、カンファレンス(会議)への出席などをこなしていた。男性の使ったパソコンが電子カルテにアクセスした時間や、手術記録などを遺族側が調べたところ、死亡までの半年間の一カ月当たりの残業時間は百四十三~二百八時間に上った。休日は半年間でわずか五日だった。
 遺族側代理人の川人(かわひと)博弁護士は会見で「病院は男性が長時間労働に従事していたことを認識していたにもかかわらず、十分なサポート体制を取っていなかった」と批判。背景に深刻な産婦人科医不足があるとも指摘した。病院側は「会見内容を把握しておらず、答えられない」としている。
 政府は三月、「働き方改革実行計画」をまとめ、残業時間に罰則付きの上限規制を設けることを決めた。医師については、正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして、適用を五年間猶予とした。

◆両親の手記全文
 医師の働き方改革を巡る議論が進む中、東京都内の病院に勤める産婦人科研修医の過労死が発覚した。東京都内に住む60代の両親は9日、代理人弁護士を通じて「息子の死の労災認定に思うところ」と題する手記を発表し、医師にも残業時間の上限規制を設けるべきだと訴えた。手記の全文は次のとおり。
     ◇
 今回、息子の自死後2年、労災申請より1年2カ月余を経過して、労災認定がなされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです。
 息子は、産婦人科を専攻する後期研修医でありました。彼は、亡くなる少なくとも半年前よりほとんど休みなく勤務し、毎月時間外勤務として150時間、月によっては200時間に及ぶ仕事に従事し、手術、夜間の緊急対応に明け暮れていたものと思われます。現在、厚生労働省で推進されている「働き方改革」において医師の応召義務の観点から医師への時間外労働規制の適用が5年先送りにされたことは、この間に同じような不幸が起きないかと懸念されます。応召義務は、開業医よりも24時間稼働する病院に勤務する勤務医に課せられ、夜間、あるいは、緊急対応は息子のような若手の医師に託されることが多いのが現状と思われます。医師の自殺率、特に若いこれからの医師の自死が一般人口よりも高い理由は、不眠の継続による、または、過重な労働、責任の重さによる過大な精神的負担が原因と考えられます。さらに研修医は卒後研修のめまぐるしい環境の変化に耐えなくてはならず、また、後期研修では、専門医資格の取得に向けた準備段階に入り、精神的疲労の蓄積はさらに増していくものと考えられます。また、産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるかわからない分娩(ぶんべん)への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います。
 その中で、責任を委託された者に過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています。
 医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います。



http://www.huffingtonpost.jp/2017/08/09/karoushi_n_17706324.html
残業173時間、30代医師の自殺を労災認定 「労働環境を整えないと不幸繰り返される」両親の悲痛な思い
Huffpost Japan | 執筆者: 濵田理央(Rio Hamada)
投稿日: 2017年08月09日 20時43分 JST 更新: 2017年08月09日 20時55分 JST KAROUSHI  ハフィントンポスト

東京都内の病院に勤務していた産婦人科の男性研修医(当時30代)が自殺したのは過労が原因だったとして、東京労働局の品川労働基準監督署が労災認定した。遺族代理人の川人博弁護士が8月9日、記者会見を開いて明らかにした。

川人弁護士は会見の中で「病院側は長時間労働を認識していたのに十分なサポートをしていなかった」と指摘した。

■「長時間労働で疲弊しきった中での自殺だった」

男性は2010年4月に医師免許を取得し、13年4月から都内の総合病院で勤務を始めた。分娩や手術などの通常業務に加え、緊急手術などの対応も。150時間を超える長時間労働が常態化していった。

男性は2015年4月ごろから睡眠不足と抑うつ状態の症状が見られるようになったという。男性は同年7月12日に自殺した。遺書は見つかっていないという。

男性の両親は2016年5月、品川労基署に労災を申請。7月31日、労災が認定された。

労基署の決定によると、男性は自殺する直前に精神疾患を発症していた。また電子カルテや関係者の証言などから、6月9日から7月8日の1カ月の残業時間が173時間だったと確認した。こうした理由から、男性の自殺は過労が原因だったと認定した。

遺族側によると、自殺する直前の6カ月で男性が取った休日は5日間。残業時間も月160時間前後で、多い時には月200時間を超えていた。

これは、男性と病院側の労使協定が定めていた、3カ月120時間という残業時間をはるかに超える数字だった。

「月200時間はひどい。医師に対する労働環境の整備をしようとする意識が、一般企業と比べて極めて希薄だ。本人に通知した記録は確認されていないが、何れにしても今回のケースは労基法違反にあたる」

病院側が男性と結んでいた労使協定は、長時間労働を助長するような内容だった。緊急手術などの特別な事情がある場合、病院から本人に通知すれば、残業時間を3カ月で600時間まで伸ばすことができると定められていた。

「産婦人科医療の現状がそうさせている。あまりにも仕事の量が多いのに、それに見合う人数が足りていない。あまりにも長時間労働で疲弊しきった。そういう中での自殺だった」。川人弁護士はこう訴えた。

■両親がコメント「労働環境を整えないと不幸繰り返される」

労災が認定されたことを受けて、男性の両親が弁護士を通じてコメントを発表。「医師も人間」「(労働環境が)整備されなければ不幸は繰り返される」と、悲痛な思いが込められていた。

「労災認定がされたことに感謝いたします。息子は研修医として、その激務にまさに懸命の思いで向かい、その業務から逃げることなく医師としての責任を果たそうとし、その過程で破綻をきたしたものと思われます。親としては、その仕事ぶりを今回認めていただいたと受け取り、救われる思いです」

「産婦人科を専攻した息子は、産婦人科特有の緊張感、いつ訪れるかわからない分娩への待機、正常に出産させることを当然とする一般常識など、精神的ストレスは大きく、その負担から解放されることはなかったことと思います」

「その中で、責任を委託されたものに過重な労働負担がかかり、その結果、逃げ場を失いこのような不幸な転帰を迎えたものと考えています」

「医師も人間であり、また、労働者でもあり、その労働環境は整備されなければこのような不幸は繰り返されると思います」

■医師の過労死「国をあげて対応すべき」

医師の過労死を巡っては、今年5月、新潟県の新潟市民病院に勤務する女性研修医が自殺し、過労死と認定された。

川人弁護士はこれについて、「前期研修医はいろんなとこにどんどん移っていくが、後期研修医は基本的に同じところにいる。病院経営者から見れば大変な戦力。経験があるし若いし、偶然ではない」と指摘。

政府の働き改革案で、医師が長期労働規制の対象外となっていることにも触れ、「医師の過労死を放置・促進するもので、極めて危険だ。医師の過労死、過重労働をなくすため、国をあげて早急に対応するべきだ」と訴えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550724
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制の2018年度開始、重み増す「大臣談話」
厚労省検討会、都道府県の協議会、制度化の可能性も

レポート 2017年8月9日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は、8月9日の第4回会議で、新専門医制度に対する日本専門医機構の対応を確認。さまざまな懸念が出たが、同機構は8月2日の塩崎恭久前厚労相の「大臣談話」に沿って対応していくと表明、厚労省も「大臣談話」に基づき、本検討会も活用しながら、地域医療への影響を注視していく方針を示した(大臣談話は、『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 新専門医制度の地域医療への影響を検証する場である都道府県の協議会については、確実に開催し、実効性を担保する声が上がり、厚労省は今秋以降、検討すると説明。議論次第では、医療法で位置付ける可能性も出てきた。

 日本専門医機構は8月4日の記者会見で、10月から専攻医募集を開始し、地域医療等への配慮を前提に、2018年度から開始する方針を説明したため、9日の本検討会の議論が注目されていた(『新専門医制度2018年度開始、「地域医療等に配慮」が前提』を参照)。「大臣談話」を実行に移す前提付きだが、2018年度開始に向け準備を進めることに反対する意見は出ず、延期を求める声はなかった。一方で、本検討会は、「2018年度開始」を決定する場でもないことから、論点はやや曖昧なまま議論が進んだ。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「基本的には来年度からの開始を止める話ではなく、懸念を整理した上で、前に進めるということだろう」と前置きし、「大臣談話」の骨子を読み上げ、その対応を確認。同談話は、日本専門医機構と学会に対し、専攻医の応募状況や配置状況などを厚労省に報告し、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には厚労省が日本専門医機構や学会に実効性のある対応を求める内容だ。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「開始してみないと、本当に実現できるのかどうかが分からない、というところまで来ているのだろう」とコメントした。

 これらの質問に対し、参考人として出席した日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「地域ごとに事情は違う。各地域に最もいい医療提供していきたいと考えており、何か問題があれば対応していく」との基本方針を提示。「渋谷先生が言ったことは、実行していく」と述べ、その際、厚労省や学会とも相談しながら、進めていくと説明した。

 全国市長会副会長で相馬市長の立谷秀清氏は、「前回の会議の際に、来年度から始めることを明確に決めたわけではなく、問題が解決された場合に、という前提付きだった。(専攻医の募集を)10月から開始すると発表され、違和感を覚えているが、それにこだわっても仕方がないので、議論を深めていきたい」とコメント。その上で、「地域医療に従事している医師でも、専門医資格の取得が可能か」「研修プログラム制だけでなく、研修カリキュラム制も選択できるなど柔軟な運用ができるのか」「総合診療専門医は、あせって作るものではない」などと問いかけ、さらに新専門医制度の地域医療への影響の検証について、「各都道府県の協議会だけでは、若干無理があるのではないか」と懸念を呈した。

 これに対し、松原氏は、「地方の市長の意見を受け止めて対応していきたい。ただ、(2017年度からの開始が)延期になったことで、一番心配しているのは専攻医。走りながら、きちんとしたものに変えていきたい」との基本方針を説明。立谷氏の懸念は、「専門医制度新整備指針」(第二版)や運用細則(改訂)などで対応済みであるとし、研修カリキュラム制を導入し、地域医療に従事していたり、キャリアが中断した場合などでも専門医資格の取得を目指せる仕組みになっていると説明した。総合診療専門医についても、関係者による協議を進め、内科などと同様、大都市部に集中しないよう配慮しているとし、「確実にスタートできる準備態勢が整っている」。都道府県の協議会については「何らかの問題が生じた場合には、日本専門医機構が責任を持って対応する」と明言した。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「都道府県協議会で調整が困難な場合、日本専門医機構に意見を出し、調整をしてもらい、それでも改善しない場合には厚労省に報告してもらい、厚労省が支援を行う。それでも改善しない場合には、この検討会で議論し、機構や学会に要請していく」などと答え、「大臣談話に基づき、この検討会も活用しながら、しっかりと対応していきたい」との方針を示した。

 協議会については、日本医師会副会長の今村聡氏が、開催状況などの現状について質問。「“お願いベース”で開催を求めているが、当然のこととして開催するよう求めていきたい」(今村氏)。これに対し、厚労省医政局医事課は、「都道府県への説明会を複数回にわたって開催した。今のところ『開催するつもりはない』という都道府県はない」と説明し、この8月、9月に集中的に開催を求め、その状況について報告を求めるとした。さらに都道府県の協議会の位置付けについては今後検討すると回答。

 厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」は、今秋以降、「抜本的な医師偏在対策」を議論する方針(『「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」』を参照)。同分科会で協議会の役割が議論され、医療法で設置を求めている地域医療対策協議会などと同様に、法的根拠を持つ可能性も出てきた。


 山形県、「蔵王協議会」で医師の適正配置

 9日の会議では、山形県と島根県の医師養成や医師適正配置への取り組みについてのヒアリングも実施。

 山形県の事例を説明したのは、山形大学医学部参与の嘉山孝正氏。山形大学、山形県内の医療関係団体、行政などで組織する「蔵王協議会」を2004年に設置し、卒後臨床研修体制の整備、関連医療施設の連携、医療事故調査制度など、県全体で取り組むべき課題に対応してきた。

 「地域医療医師適正配置委員会」は2005年に設置、各医療機関からの医師派遣の要請は、医局単位ではなく、同委員会を通し、「エビデンス」に基づく対応をしてきたと説明。「個々の病院長からの主観的な要望ではなく、県内の医療機関別の診療機能や経営状況、患者の受療動向、医師の勤務実態などを基に、“説得”ではなく、“納得”する形で、配置する医師を決めている。現在のところ、『分娩ができない』、『小児医療ができない』といった、目立った医療崩壊は起きていない」(嘉山氏)。

 新専門医制度についても、蔵王協議会の研修部会内に「山形県専門医制度対応委員会」を設置。行政、病院、医師会、大学の各代表者、計10人の委員で、検討を進めている。

 島根県、「地域枠」充実やキャリア支援

 島根県では、2006年度から島根大学に「地域枠推薦入試制度」を設けるなど、医師養成・確保に取り組み、2011年度に「しまね地域医療支援センター」を設置、2013年3月に一般社団法人化した。島根大学、行政、医師会、病院など、県内の関係者が会員で、(1)若手医師のキャリア形成支援、(2)地域の医療機関での研修体制の充実支援や研修機会の提供、(3)大学・医療機関等の情報を発信し、県内外から研修医を確保、(4)ワークライフバランスの推進、(5)医師不足状況の把握・分析――が事業内容。

 中でも「地域枠」の学生のキャリア支援に取り組んでいるのが特徴。2017年度の「奨学金貸与枠」は、島根大学に22人、鳥取大学に10人、計32人。卒後も「私のキャリアプラン」を毎年提出してもらい、その実効性を高めるために、面談をしたり、病院とも意見交換を重ねるなどしている。「地域枠」の学生が島根県内で後期研修を受ける数が増加傾向にあるなど、「徐々に地域医療支援センターの成果が出つつある」(県担当者)。



http://www.asahi.com/articles/ASK89752RK89UBQU019.html
新専門医制度、2018年度開始 厚労省検討委に報告
野中良祐2017年8月9日21時37分 朝日新聞

 地方の医師不足が加速する懸念などから、導入が延期されていた「新専門医制度」を議論する厚生労働省の検討会が9日、開かれた。認定機関の日本専門医機構は、地域医療を担う医師の相談窓口を置くなどの対策を説明し、2018年度に始めると報告した。

新専門医制度、来年度からスタート
 検討会メンバーの自治体首長や大学教授は「地域医療にプラスになるようにしていかなければならない」「懸念はあるが、前に進めよう」などと述べ、理解を示した。

 新制度では、国家試験に合格し2年間の初期臨床研修を終えた医師は、内科や外科など19の基本領域を選び、全国の大規模病院や地域の病院を回り3年間の研修を重ねる。その後、第三者機関の専門医機構から専門医の認定を受ける。

 これまでの制度は、各学会が症例数や受けた研修など独自の基準で認定していた。質が統一されず、わかりにくいという課題があった。



http://www.medwatch.jp/?p=15236
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
2017年8月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの新専門医制度の全面スタートを目指した検討が進められています。9日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)では、日本専門医機構における「地域医療への配慮」内容や、制度の運用面で問題が生じた場合には厚生労働省が対応に乗り出すことなどを確認しました。

 今後、各基幹病院から示される研修プログラムの内容や、専攻医の配置状況などを注視していくことになります。

 また検討会では、より大きなテーマとも言える「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」について次回以降、本格的な議論を行っていきます。

ここがポイント!
1 厚労省や検討会で地域医療への悪影響を監視し、必要な見直しを求める
2 プログラム制に拘泥してはいけないと、立谷構成員が強く要請

厚労省や検討会で地域医療への悪影響を監視し、必要な見直しを求める

 新専門医制度は、これまで各学会が独自の行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで、「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指す仕組みです。

 ただし、質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高く、地域医療に悪影響を及ぼすのではないか、といった指摘などがあり、厚労省に設置された検討会で、「質の担保」と「地域医療への配慮」の両立に向けた議論が行われています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 9日の検討会では、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長)から、検討会の指摘を踏まえて▼カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)の実行を担保するための相談窓口などを日本専門医機構に設ける▼日本専門医機構と学会は、都道府県協議会における研修プログラムチェックなどに協力する—ことが説明されました(関連記事はこちら)。

 これに対し、住民に最も身近な自治体である市町村の立場で出席している立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は、▼地域医療に従事しながら専門医資格を取得できる仕組みが十分に見えてこない▼論部や学会発表は専門医資格の要件として不要である▼総合診療専門医の創設により、地域の医師が総合診療を行えないと誤解する—などといった問題点があると指摘。これに対し、日本専門医機構の副理事長である松原謙二参考人(日本医師会副会長)は「指摘された事項を重く受け止め、機構として対応する。走りながらきちんとした制度を構築したい」と答弁し、一定の理解を得られたようです。

 
 また立谷構成員は、都道府県協議会(地域の関係者が集い、新専門医制度で地域医療への悪影響が出ないかをチェックする組織)が必ずしも「学会などに物申せる組織」にはなっていないところもあると指摘し、「検討会で逐次、専門医制度の運用状況を確認する必要がある」と要望しました。

この点、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は「検討会も活用しながら、必要な対応を行う」考えを示しています。塩崎前厚労相は2日に、専攻医の▼応募状況▼配属状況―を厚労省で確認し、地域医療への影響が懸念される場合には、日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する旨の談話を示しています(関連記事はこちら)。

今般の武井医事課長の説明や談話などを組み合わせると、いわば次の4層構造で地域医療への悪影響を防止する構えをとることになります。

(1)新整備指針などで大都市への集中を避ける規定や、必要な場合にはカリキュラム制を認めることなどを規定し、これを担保する仕組みも設ける【事前チェック1】

(2)都道府県協議会で研修プログラムなどのチェックを行い、問題があれば必要な見直しを求める【事前チェック2】

(3)厚労省が実際の運用状況を確認し、問題があれば必要な見直しを求める【事後チェック1】

(4)問題が解決しない場合には、検討会で議論を行い、必要な見直しを強く求める【事後チェック2】

また厚労省は都道府県協議会の運用状況などを近くチェックする考えで、そこで仮に「十分に機能していない」ようなことが明らかになれば、実効性を持たせるために「法制化」などが検討される可能性もあります(現在は通知で設置を要請している)。

プログラム制に拘泥してはいけないと、立谷構成員が強く要請


ところで日本専門医機構は4日、「新たな専門医制度の開始に向けた声明」を公表し、▼塩崎前厚労省談話に真摯に対応する▼10月初旬を目途に基本19領域の専攻医一次登録開始し、12月中旬を目途に二次登録を開始する▼応募状況を見て必要な調整を行う—ことなどを明らかにしました(関連記事はこちら)。また、その中では「プログラム制(研修年限や施設を指定し、そこでの研修を経て専門医試験受験資格を得られる仕組み)とカリキュラム制とで、従来と専攻医数は大きく変わらない。プログラム制の導入で地域医療が崩壊するとの意見を支持する調査結果は得られていない」ことにも言及しています。

これに関連して立谷参考人は、「プログラム制に拘泥することは好ましくない」と極めて強く主張しています。検討会でカリキュラム制導入を求め、日本専門医機構側もこれに沿った対応をとっている一方で、吉村構成員が「最初の基本領域学会の研修は原則としてプログラム制となる」と説明した点を問題視したものです。

仮にプログラム制にこだわった研修プログラムなどがある場合には、前述の4層構造のチェックがなされ、見直しが要請される(応じなければ研修プログラムとして認定されない)ことになります。

このほか立谷構成員は「地域医療に従事する」ことを専門医資格取得の中で「加算ポイントとする」ことを提案。この点、専門医資格はあくまで「当該領域における専門医療の知識・技術」の修得状況に応じて付与されるものであり、単純に「地域医療に従事したので、専門医の取得が容易になる」仕組みは好ましくなさそうです。もっとも武井医事課長は「医師偏在の解消にもつながる可能性がある」として、医師需給分科会の中で検討俎上に載せる可能性も示唆しています(関連記事はこちら)。
 
このように新専門医制度は▼研修プログラムの募集▼専攻医の募集—など、2018年度の全面スタートに向けて動いていますが、前述のとおり「地域医療への悪影響」が生じていないかが逐次チェックされています。検討会では、運用状況を注視すると同時に、今後は、もう一つの、より大きな検討テーマである「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」について本格的に議論していくことになります。



http://www.huffingtonpost.jp/foresight/cancer-particle-beam-therapy_b_17698838.html
「厚労省vs.文科省」利権争いで停滞する「がん治療」最前線--
上昌広
投稿日: 2017年08月09日 11時27分 JST 更新: 2017年08月09日 11時27分 JST ハフィントンポスト

粒子線治療という言葉をお聞きになったことがおありだろうか。がんの放射線治療の一種だ。

水素原子核である陽子を用いた陽子線治療と、炭素以上の重たいイオンの原子を用いる重粒子線治療がある。粒子線治療は、陽子や重粒子を加速させ、がん組織を攻撃する。

従来のX線を用いた放射線治療は体表で効果が最大となり、体内では効果が減弱する。つまり、体内のがん病巣を狙いうちしようとすれば、どうしても皮膚など周辺組織を傷めてしまう。

一方、粒子線治療はがん病巣で放射線量をピークできる特性(ブラッグ・ピーク)がある。がん組織にピンポイントに狙いを絞れば、正常組織への副作用を抑えながら、効果を最大限にすることができる。

両者の差は散乱の程度だ。陽子線はがん組織に当たると、周囲に散乱する。照射線量を増やすと、周囲の組織への影響が避けられないが、重粒子線には、このような問題点はない。

スキャニング法など照射方法も開発が進んでおり、上手く調整すれば、周囲の組織を傷つけず、照射線量を増やすことができる。極論すれば、1回の照射で治療を終えることも可能だ。がん患者にとって「夢の治療」と言っていい。ところが、この治療はなかなか普及しない。

第1の問題は費用だ。重粒子線治療施設は初期投資が高い。内訳は建物に約70億円、照射装置に約70億円を要する。これに年間約6億円の維持費と、約5億円の人件費がかかる。この経費を賄うため、治療費も高額になる。1人当たり約300万円程度だ。

ただ、生命保険やがん保険の多くが先進医療特約を備えている。「先進医療」とは、厚生労働省が特例として混合診療を認める医療行為のことだ。重粒子線治療は2003年から認定されており、このような保険に契約していれば、患者の自己負担はない。

余談だが、我が国の重粒子線治療は世界をリードしている。治療施設は世界中で11あるが、このうち5つは日本だ。ただ、日本がリードしているのは偶然の産物に過ぎない。

「ついていた」日本

放射線治療は原子力開発と密接に関連する。世界をリードするのは、もちろん米国だ。1957年にローレンス・バークレイ国立研究所で重粒子線の臨床研究を始めた。ところが、1992年に開発を断念した。現在は陽子線治療に専念し、全米で26の施設が稼働している。

当時、アメリカが主たる対象としたのは消化器がん。その後の研究で、重粒子線治療は消化管のような管腔臓器のがんには応用しにくいことがわかった。専門家は「アメリカはターゲットを間違えた」という。

また、当時はCT(コンピュータ断層撮影)が出たばかりで、MRI(核磁気共鳴画像法)もPET(ポジトロン断層法)もなく、腫瘍の位置決めが正確にできなかった。腫瘍の場所がわからない以上、正常組織に当たってしまった時に被害が大きくなる重粒子線治療より、破壊力の小さい陽子線治療を選択したのは、当時としては合理的な判断だった。

日本で重粒子線治療の議論が始まったのは、1984年の「対がん10カ年総合戦略」からだ。総額1114億円の予算のうち、326億円を千葉県の「放射線医学総合研究所(放医研)」での重粒子線治療装置の開発に投じた。

先行する米国の情報や、当時、MRIが普及し始めたことが、日本に有利に働いた。さらに、1992年に米国が重粒子線治療から撤退したときは、バブル経済の真っ只中。予算の大盤振る舞いが続いた。日本はついていたのだ。

「横取り」されたプロジェクト

話を戻そう。我が国で重粒子線治療が普及しない最大の理由は、実は費用ではない。厚労省と文部科学省の省庁間の権益争いである。

対がん10カ年総合戦略は、杉村隆「国立がんセンター(以下、国がん)」総長(当時)の助言を受け、中曽根康弘総理(当時)の肝煎りで始まったものだ。

杉村氏は発がんのメカニズムを研究する世界的に高名な基礎医学者である。当時、世界のがん研究の中心は、自らが専門とするがん遺伝子だった。

対がん10カ年総合戦略は6つの重点研究課題を定めたが、3つはがん遺伝子に関するものだった。研究費の多くは、自らが総長を務める「国がん」におりる筈だった。

ところが蓋を開けてみると、文科省が所管する放医研には326億円の予算がついたのに、国がんを含む厚生省全体ではわずか180億円だった。「国がんが立ち上げたプロジェクトを、科学技術庁(現文科省)に横取りされた」(国がん関係者)ことになる。

その後、1995年の補正予算で国がんには陽子線治療施設が建設されるが、放医研との圧倒的な差は埋まらなかった。このあたり、川口恭氏の『がん重粒子線治療のナゾ』(大和出版)に詳しい。ご関心のある方には一読をお奨めする。

「保険適用」を一蹴した厚労省

現在、重粒子線バッシングの先頭に立つのが厚労省だ。屁理屈を言って、普及を邪魔しつづけている。

まずは、「先進医療」への承認を遅らせた。我が国では混合診療が禁止されている。例外的に認めてもらうには、厚労省の承認を受けなければならない。そのために、厚労省は先進医療制度という枠組みを設けている。2017年7月現在、104の医療行為が認定されている。

「先進医療」への承認を決めるのは先進医療会議で、もちろん厚労省が恣意的に運用している。

1994年に始まり、安定稼働していた放医研での重粒子線治療が高度先進医療(当時、現在の「先進医療」)の承認を受けたのは、9年後の2003年だ。一方、1998年に稼働し、なかなか安定的に稼働しなかった国がんの陽子線治療は、わずか3年後の2001年に認定された。

先進医療制度は、「将来的な保険導入のための評価を行うもの(厚労省ホームページ)」で、臨床経験を積み、この治療法の効果を実感した医師は保険適用を求める。

2012年1月19日に厚労省で開催された先進医療専門会議で、田中良明・日本大学客員教授(放射線科)が、小児がんや骨・筋肉の腫瘍での保険適用を強く求めた。

小児の脳腫瘍では全脳照射が行われるが、発達障害が不可避だ。骨や筋肉の腫瘍では、下肢が切除されることが珍しくない。重粒子線治療のメリットは明らかだ。

ところが、厚労省は費用対効果という概念を新たに持ち出し、「費用対効果のエビデンスが示されているとは考えておりません」と一蹴した。

巧妙な「印象操作」

重粒子線治療は、陽子線治療と異なり、1回当たりの線量を上げて、照射回数を減らすことができる。放医研では、一部の肺がんに既に1回照射を試みており、将来的には多くのがんに応用することを考えている。

2015年度に放医研が治療したのは745件だが、原理的には何千人でも対応可能だ。

そうすると1人あたりの金額を下げて、現在の何分の1かにすることができる。100万円以下になる可能性がある。「ニボルマブ(小野薬品、商品名オプジーボ)」など、最近開発された抗がん剤に要する年間の医療費の10分の1以下だ。

医薬品と違い、医療機器は保険収載されることで、価格が大幅に下がる。初期投資が高いが、ランニングコストは低いからだ。症例数が増えれば、損益分岐点が下がる。

2016年1月に保険収載された内視鏡手術ロボット「ダヴィンチ」は、収載前に200万円以上の費用がかかったのが、54万円となった。おそらく重粒子線治療でも同じ事がおこる。

元岐阜県知事で、放医研で前立腺がんの治療を受けた梶原拓氏は、「いまのうちに保険適用し、世界に輸出すればいい」と公言する。彼は元建設官僚。初期投資の高い公共事業を取り扱う役人なら、誰でも同じように考えるはずだ。

もちろん厚労省も、こんなことは分かっているだろう。ところが、診療報酬を検討する「中央社会保険医療協議会(中医協)」で、費用対効果の議論が始まったのは2012年だ。高額な薬剤が社会問題化したために、動かざるを得なくなった。

それまで、重粒子線治療の費用対効果など、真面目に考えたことはない。

形勢悪しと見た厚労省は、最近になって新たな戦略を考えついた。

2016年5月に厚労省で開催された先進医療会議で、藤原康弘委員(国がん中央病院副院長)が、「各施設が前立腺がんの診療をストップすると、ランニングコストも出なくなって重粒子線や陽子線の施設が成立しないから、だらだらと何とかして引きずりたいという醜悪が見え隠れする」と批判した。

その根拠として、「日本放射線腫瘍学会の理事長さんが、粒子線は前立腺がんには効かないと明言された」と付け加えた。

将来性が全く異なる重粒子線治療と陽子線治療を意図的に混同させ、悪徳医師の金儲けの手段と印象づけようとしている。

「既存の放射線治療でも治療できるから、重粒子線治療は無駄」という論理だ。しかし、前立腺がんでは、重粒子線治療は12回の治療で終了するが、既存の放射線治療では28回~40回程度が必要である。

この間、患者は毎日通院する必要があり、放射線治療スタッフの人手もかかる。通常よりも治療回数を減らしたい人は、自らコストを負担して重粒子線治療を選択すれば良いだけである。効かないなどと印象操作する必要はない。

このように、「粒子線は前立腺がんには効かない」という発言は医学的に不適切で論外だが、後者のコスト関連の指摘は当たらずとも遠からずだ。藤原氏は、そこを上手く突いた。

患者のメリットは何もない

粒子線治療施設の建設は巨大公共事業で、請け負うメーカーは数社に限定される。利権が生じやすい。2016年12月には、放医研を運営する「量子科学技術研究開発機構」と、東芝・日立などの4社が次世代の重粒子線治療装置開発で協定を結んだ。

東京電力福島第1原子力発電所事故の後遺症に喘ぐ原子力メーカーにとり、重粒子線治療器機の開発は、新たな成長領域である。

粒子線治療は、これまで採算度外視で進められてきた。たとえ赤字になっても電力会社からの寄付金で埋め合わせが効くからだ。その証左に、我が国の粒子線施設は佐賀や福井など、原発立地地域に建設されることが多い。

『選択』8月号によれば、東日本大震災で九州電力から予定されていた総額39億7000万円の寄附を貰えなくなった「九州国際重粒子線がん治療センター」(鳥栖市)は経営難に陥った。

現在、厚労省は陽子線治療と重粒子線治療を意図的に混同させることで、その効果を過小評価し、さらに原発利権が絡み、悪徳医師の金儲けの手段と化していると印象づけることで、規制の強化を狙っている。

具体的には、粒子線治療を「先進医療A」から「先進医療B」に変えようと提案している。

「先進医療A」は、条件さえ満たせば、どのような施設でも治療を受けることができるが、「先進医療B」は、厚労省が認定する臨床研究中核病院を中心に、厳密なプロトコールに沿って複数の施設での共同研究を実施することになる。

先進医療はあくまで保険適用を目指すもので、臨床研究目的でなく、治癒を目指せない進行がん患者に使うことはまかりならんという論理だ。

こうなると、多くの施設と患者が参加できなくなる。先進医療から外れれば、先進医療特約が使えず、混合診療を受けるためには、全額を自己負担しなければならなくなる。

1回照射を目指す放医研も、他施設と足並みを揃えて、すでに検討を終えた照射方法に戻さざるを得なくなる。患者にとっても何のメリットもない。この制度が始まれば、重粒子線治療を受ける患者は激減する。

医療界の宿痾

そこまでして厚労省は何を守ろうとしているのか。知人の国がん関係者は、「重粒子線治療が普及すれば、国がんは放医研に患者を奪われてしまう。研究費も放医研に回されてしまう」と言う。

国がんの中で、特に強い危機意識を抱くのは外科医だ。これまで国がんを仕切ってきた人たちだ。ところが、内視鏡が普及し、早期胃がんの治療が外科医から内科医に移ったように、重粒子線治療が発展すれば、放射線科医にお株を奪われる。

国がんは存亡の危機に立つ。私は、これこそが国がんが重粒子線治療に反対する本当の理由だろうと思う。そこに患者視点はない。

これまで、重粒子線治療の分野では、日本は世界をリードしてきた。ただ、このリードをいつまで維持できるかは覚束ない。世界が追い上げているからだ。中国は、2006年に蘭州、2014年には上海で重粒子線治療施設を稼働した。

米国の国立がん研究所は、2015年にテキサスサウスウェスタン大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校に、重粒子線センター準備のための予算を措置した。厚労省・国がんを中心に重粒子線たたきに懸命な日本とは対照的だ。

重粒子線治療は、我が国の医療界の宿痾を象徴している。既得権者の利権ではなく、患者の利益を考えて行動しなければ、我が国の医療の地盤沈下は止まらない。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201708/CK2017080902000177.html
救急医療維持へ統合 神栖済生会病院と鹿島労災病院
2017年8月9日 東京新聞 【茨城】

 医師不足が深刻化していた神栖済生会病院と鹿島労災病院(ともに神栖市)の二病院が統合することで合意し八日、県庁で基本合意書を締結した。早期に神栖済生会病院に拠点をつくり、医師を集約して救急医療などで効果的に対応するのが狙い。(鈴木学)
 今年四月に取りまとめられた基本構想によると、現在の神栖済生会病院を増築して、本院として整備する。ベッド数は三百五十床程度を目指す。
 鹿島労災病院を解体し、跡地に分院の有床診療所を開設する。新病院に移籍を希望する医師や看護師らは全員受け入れるという。
 これまでの検討では、開院の目標は二〇二〇年度と設定されているが、まだはっきりとはしていない。県医療政策課の担当者は「早期に実現したいとしか言えない」と話した。
 両病院の常勤医師は〇九年に計五十人いたが、鹿島労災病院で大量退職があり、一三年に二十六人に。昨年四月現在は三十四人に増えたものの、救急患者らの受け入れが不十分な状況だった。病床の利用率も一四年の全国平均74・8%に対し、神栖済生会病院が44・7%、鹿島労災病院が15・1%と極めて低く、経営も厳しかった。
 鹿行地域は医師不足が深刻で、一二年の十万人当たりの医師数は八八・六人で、入院対応のため県内九つの地区に分けられる二次保健医療圏でワースト、全国でもワースト3に入る。
 八日の締結式では、県や市の関係者も出席し、統合を支えていくとしている。
 今回の再編統合を主導してきた前県医師会長の小松満さんが「この締結がスタートライン。医療体制を整え、地域住民のためになる病院をつくっていただければ」と期待を語った。



http://www.sankei.com/region/news/170809/rgn1708090024-n1.html
神栖の2病院、再編統合で合意書締結 茨城
2017.8.9 07:02 産經新聞

 医師不足で経営難が続いている神栖市の鹿島労災病院(土合本町)と神栖済生会病院(知手中央)の再編統合をめぐり、県庁で8日、両病院と県、同市の4者間で基本合意書が締結された。両病院は平成30年度内の統合を目指し、準備や検討を加速させる。

 基本合意書によると、30年度下半期をめどに鹿島労災を神栖済生会に統合。神栖済生会を増築して「本院」とし、鹿島労災の所在地に「分院」となる診療所を新築する。鹿島労災の職員のうち、希望者は原則神栖済生会に採用するとしている。

 神栖済生会は、最終的に約350床を有する2次救急病院を目指す。鹿島労災から災害拠点病院としての機能も継承する。

 再編統合協議会の小松満会長は「スタートラインに着いたばかり。地域住民のためになる病院になると期待している」と述べた。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201708/20170806_63024.html
いわき市が民間病院の寄付講座開設支援 勤務医確保図る
2017年08月06日日曜日 河北新報

 福島県いわき市は、市内の民間病院などが医学部を持つ大学に寄付講座を開設する経費の3分の2を負担する事業を始めた。東日本大震災後、勤務医不足が深刻化する市内での研究、診療を促し、医師定着につなげる。
 市立総合磐城共立病院を除く市内の26病院が設ける寄付講座が対象。がんや脳卒中など5疾病と、救急医療や災害時医療など5分野、産科や小児科など市内に医師が少ない診療科の各研究に関する講座開設を支援する。
 2~5年の開設期間中、大学の医師が市内で臨床研究(診療)を行うことが必要。市の年間負担額は1病院当たり5000万円を上限とする。
 市は福島県立医大と北里大に寄付講座を設け、共立病院に産婦人科医と整形外科医、小児科医の派遣を受けている。担当者は「民間病院の取り組みを応援し、市全体で勤務医を増やしたい」と説明する。
 市は、病院と大学の協議が整えば、予算措置を取る。財源の一部支援を県に働き掛けている。市内の勤務医不足は震災後に拍車が掛かり、人口10万当たり88.3人(2014年12月時点)と全国平均の153.4人を下回る。



http://www.medwatch.jp/?p=15242
地域医療構想踏まえ、9月または12月までに「公的病院改革プラン」を策定せよ—厚労省
2017年8月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けた議論が本格的にスタートしていることを踏まえ、公的病院などにおいて「地域の現状と課題」「自院の現状と課題」「地域において今後、自院が担う役割」「今後持つべき病床機能」「機能分化などに向けた年次スケジュール」などを明確にした【病院改革プラン】を作成してほしい—。

 厚生労働省は4日、こういった内容の通知「地域医療構想を踏まえた『公的医療機関等2025プラン』策定について(依頼)」を発出しました(関連記事はこちら)。

 救急医療や災害医療といった政策医療を担う公的病院などでは今年(2017年)9月末まで、それ以外の公的病院などでは今年いっぱい(2017年12月末)に改革プランを策定し、地域医療構想調整会議に提示することが求められます。

ここがポイント!
1 地域医療構想の実現に向け、公的病院などの機能をまず固める
2 地域と自施設の現状と課題を客観的に把握することで、進むべき方向が明らかに

地域医療構想の実現に向け、公的病院などの機能をまず固める

 いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向けて、地域の医療・介護ニーズが飛躍的に増大していくため、現在の医療提供体制ではこれらに対応しきれないと指摘されています。そこで国は「病床機能分化・連携の推進」「地域包括ケアシステムの構築」の2つを最重要政策に位置付けています。

 とくに前者については、2025年における▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期—の各病床数を推計した「地域医療構想」が全都道府県で策定され、この実現に向けた議論が、各地の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で進められています。

 調整会議の進め方に特段の定めはありませんが、厚労省は、まず「▼救急・災害医療などの中心的な医療機関▼公的医療機関や国立病院▼地域医療支援病院・特定機能病院—などが担う医療機能を固める」ことから初めてはどうかと例示しています。まず中核機能を担う医療機関を定め、次いで他の医療機関がそれらとどう連携し、機能分担していくことが近道と考えられるからです。

さらに今般、地域医療構想に関するワーキンググループの意見を踏まえて、公的病院などに対し【病院改革プラン】の作成を求め、これを調整会議論議の土台にすることが求められるに至りました(関連記事はこちら)。公的病院などにとっては「負担」と感じられるかもしれませんが、地域の実情と自院の事態を客観的に把握することで、「見えなった」「見ようとしなかった」ものが見えるようになるため、積極的な改革プラン策定が求められます。ただし、期限は厳しく設定され(調整会議の論議のベースとするため)、救急医療や災害医療といった政策医療を担う公的病院などでは今年(2017年)9月末まで、それ以外の公的病院などでは今年いっぱい(2017年12月末)に改革プランを策定し、地域医療構想調整会議に提示することが求められます。また、改革プランと地域医療構想との間に齟齬が生じた場合には、改革プランの見直しなども求められます。
 
なお、改革プランの策定が求められるのは、▼公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会が開設する医療機関、ただし公立病院を除く)▼医療法第7条の2第1項第2号から第8号に掲げる者(共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構、全国健康保険協会)が開設する医療機関▼その他の独立行政法人(国立病院機構、労働者健康安全機構)が開設する医療機関▼地域医療支援病院▼特定機能病院—ですが、例えば社会医療法人などにも自主的な【改革プラン】の策定が期待されています。

地域と自施設の現状と課題を客観的に把握することで、進むべき方向が明らかに

改革プランには次の点を具体的に記載することになります。
(1)構想区域の現状と課題
(2)自施設の現状と課題
(3)今後、自施設の▼地域で担うべき役割▼持つべき病床機能▼見直すべき点
(4)現在および2025年における、高度急性期から慢性期の病床数(方針)と年次スケジュール
(5)現在および2024年における診療科の見直し(維持、新設、廃止、変更・統合)
(6)▼病床稼働率▼手術室稼働率▼紹介率▼逆紹介率▼人件費率▼医業収益に占める人材育成費用の割合―などの数値目標

このうち(1)の「構想区域の現状・課題」では、地域における人口の推移、医療需要、医療受給の特徴などのほか、「急性期機能が重複していないか」「post acute機能が不足していないか」などを、地域医療構想を参考に記載します。

また【病院改革プラン】の要(自施設の客観的な把握)とも言える(2)の「自施設の現状と課題」では、診療実績や他医療機関などとの連携の実態を正確に記載するとともに、例えば「地域の医療需要の減少が見込まれる、近隣病院と機能の重複があり、現状を維持すべきか否かを検討する必要がある」「地域で不足するpost acute機能の整備に向けて、自院の役割を再検討する必要がある」などといった課題・検討テーマを明らかにします。
 
こうして(1)と(2)で地域と自施設の状況(現状と課題)を客観的に把握することで、自ずと「自院が将来目指すべき方向」が明らかになってきます。例えば、「地域において急性期入院医療を提供している。今後も急性期医療を提供する」と考えている病院であっても、地域と自院の現状を把握することで、実は「地域において急性期ニーズは急速に減少する」「高度な手術などが必要な高度急性期・急性期患者数は自院では減少傾向にあり、近隣の病院で急性期患者数が増加している」などの状況が明らかになるかもしれません。この場合、「機能強化して急性期を維持する」方向も考えられますが、「post acute機能に転換していく」方向もありえます。この方向を探るために、地域と自院の状況を「客観的に」把握することが不可欠なのです。この方向が明確になれば、(3)から(6)の各項目は、これらを具体化していけばよく、(1)と(2)が改革プランにおける極めて重要なポイントと言えると考えられます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549719
地域包括ケア、「概念自体が深化・進化」―田中滋・地域包括ケア研究会座長に聞く◆Vol.1
「主役は住民・専門職はサポーター・地域は舞台・行政は仕掛け人」

インタビュー 2017年8月9日 (水)配信高橋直純(m3.com編集部)

 2025年を見据えた地域における医療提供体制の在り方を巡る動きが本格化している中で、最も重要な取組の一つが「地域包括ケアシステム」の構築だ。

 厚生労働省老人保健健康増進等事業として実施されている「地域包括ケア研究会」座長であり、「地域包括ケアシステム」を理論、実践の面でリードする慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏に、概念の成り立ちや医療従事者としてどのように向き合うべきかを尋ねた(2017年6月28日にインタビュー。計4回の連載)。

――m3.com編集部が医師会員に行った調査では、「地域包括ケアシステム」という言葉の理解は、6割強にとどまり、「言葉は聞いたことがあるが、概念は分からず」「言葉を聞いたことがない」も3割を超えていました(『「地域包括ケアシステム」、医師会加盟医師で理解度高く◆Vol.1』を参照)。改めて、『地域包括ケアシステム』とはどのような考え方、概念なのかをお聞きします。「地域」「包括」「ケア」「システム」という単語は、それぞれどのようなことを意味しているのでしょうか。

田中滋氏 そのように分解して考えたことはありませんでしたが、順に解説すると、「地域」とは日常生活圏域、およそのところ中学校区を指しています。二次医療圏や県などの広い地域ではなく、比喩的に言えば歩いて生活できる範囲と理解して下さい。

 地域包括ケアシステム概念は英語では「Integrated Community Based Care System」が一番近い。この表現を用いると、「包括」はIntegrated、すなわち「統合」に当たります。関係者が目標を共有し、共通のゴールに向かうあり方です。また、地域包括ケアシステムの理念を「切れ目のない(seamless)、連続的(continuous)、統合的(integrated)」と表す場合もあります。入院か、在宅か、施設かなど――ステージやサービスの提供者が変わっても、地域の住民と提供者、自治体が理念を共有した上で、サービスの授受が行われ、本人の尊厳ある自立を支援する仕組みが大事です。

 地域包括ケアシステムでは、「キュア」については中学校区ごとに存在するわけではない急性期入院医療には直接は関係しません。主に圏内で完結する生活と「ケア」にかかわります。なお未だに、「キュアからケアへ」と唱える人がいますが、「キュア」は決して不要になるはずがない。心臓発作や癌に対応する急性期医療は「キュア」に決まっており、いつの時代にも欠かせない行為でしょう。だから「キュアからケアへ」なるスローガンは意味を成しません。

 一方で、医療の幅が広がり、「治し・支える医療」と2つの機能が両立連携する趨勢に変わっている変化も事実です。地域包括ケアシステムにおいても、中重度要介護者を中心に医療の役割は大きく、ケアだけを取り上げているわけではありません。

 最後に「システム」とはプラットフォームの意味で、全体像を指します。プラットフォームの上で展開されるチームによる行為が、個別の利用者に対するサービス、すなわち地域包括ケアです。

――「地域包括ケアシステム」を説明する「植木鉢」図があります。先生が座長を務める「地域包括ケア研究会」では、これまでに6回報告書を作成されており、少しずつ図が変わってきています。

 地域包括ケアシステムの概念自体が深化・進化してきているからです。2008年度の最初の報告書では、五輪の花(介護、医療、予防、住まい、生活支援)図でした。この図は、高齢者の尊厳ある自立を支える要素は「医療、介護だけではない」と伝えることを主眼に置いていました。

 その後、2012年度報告書で植木鉢図に到達し、立体化させました。「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・予防」という3つのプロフェッショナルワークと、本人が責任を持つ「生活」、それが崩れないための「すまいとすまい方」の5つの要素です。それを、「本人・家族の選択と心構え」である皿が支えている図柄です。皿がないと、共助や公助に頼りすぎるかもしれず、団塊の世代が75歳をすぎた後の超高齢社会を乗り切れません。

 この植木鉢は一つ一つの家庭を表しています。圏域にもし5000世帯が住んでいるなら、5000個の植木鉢が置かれた姿を想像してください。植木鉢によっては花が咲いているかもしれないし、つぼみの段階かもしれません。葉っぱの大きさもバラバラです。中には鉢が壊れて、土が流れている家庭もあるでしょう。地域ではなく、一つ一つの家庭を意味しています。

 付け加えると、厚労省が使っている下記のような平面的な図では、要素の関係性が示されておらず、本質を捉えていないと思います。

 2015年度の研究会報告書では、更なる深化・進化を遂げました。具体的には土の部分に置いていた「福祉サービス」を、プロフェッショナルワークと位置づけなおし、医療、介護に並ぶ「葉」に記した一方、「介護予防」は本人、とりわけ団塊の世代の責任と捉え、土に含めました。皿の部分では「本人の選択と本人・家族の心構え」と変え、より「本人」の選択を強調しました。

――「介護予防・生活支援」はプロフェッショナルワークではないのでしょうか。
 違います。確かに一部はそうですが、生活全体や心身および社会的健康はもっと幅広いテーマです。例えば生活をしていくための食事の準備は、出前をとってもいいし、スーパーで買っても良い。介護予防も、時々はプロの助けを借りるとしても、地域の公園で行われる毎朝の体操会に行ったり、高齢者向けスポーツクラブに行ったりするなど、本人の責任、自助に属する部分がコアに置かれるべきです。

――「システム」と聞くと、担い手がいて、受け手がいるようなイメージを持ちます。地域包括ケアシステムでは、そういう考え方は正しいでしょうか。
 主体はあくまで利用者であり、それが地域包括ケアシステム論の本質です。専門職はそれを支える役割を担う。「主役は住民・専門職はサポーター・地域は舞台・行政は仕掛け人」という姿勢が大事です。福岡県大牟田市の職員の発言と聞きますが、見事に本質を捉えていますね。支える人、支えられる人は、医療とは異なり、場面によって相互に入れ替わりえる。要介護の方がこども食堂プロジェクトで、ご飯づくりに参加して元気になるなどの話をよく伺うようになりました。「支え、支えられ」は決して一方通行ではない。

 一方で、地域包括ケアシステムの「構築」の主体は、市役所、町役場など地方自治体です。最新の報告書となる2016年度の報告書では、「地域マネジメント」の重要性を指摘しています。構築に資するさまざまな「場」を設置し、運営していく主体は自治体、テーマによっては介護保険者としての自治体です。

――「地域マネジメント」とはどのような考え方でしょうか。
 地域包括ケアシステム構築に際して、工程管理に用いる手法です。報告書では「地域の実態把握・課題分析を通じて、地域における共通の目標を設定し、関係者間で共有するとともに、その達成に向けた具体的な計画を作成・実行し、評価と計画の見直しを繰り返し実施することで、目標達成に向けた活動を継続的に改善する取組」と定義しています。多くの自治体で「地域包括ケア推進課」といった部署が作られるようになってきました。

田中滋氏 慶應義塾大学名誉教授、地域包括ケア研究会座長
1971年慶応大商学部卒。2014年3月まで同大大学院経営管理研究科教授。現在、社会保障審議会委員(介護給付費分科会長、福祉部会長、医療部会長代理)などを務めている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201708/552235.html
記者の眼
大学病院の「全床高度急性期」報告に厳しい批判

2017/8/8 土田 絢子=日経ヘルスケア

 団塊の世代が全て後期高齢者になり、人口減少がより一層進む2025年。医療ニーズが激変するこの2025年に向けて、将来の医療需要と現状の体制とのギャップを明らかにし、医療機関の自主的な取り組みによって病床の機能分化・連携を進めるのが「地域医療構想」だ。2016年度末に全ての都道府県で地域医療構想の策定が完了し、その内容を踏まえた会議(地域医療構想調整会議)が2017年度から各地域で始まっている。

 具体的には、図1のように年4回の会議を実施するよう厚生労働省が示しており、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の医療機能のうちどれが将来過剰になるか、または不足するかをデータを見ながら確認するなどの第1回目の会議が今夏までに各地域で開催されたはずだ。なお、現状では多くの地域で将来急性期機能が過剰になり回復期機能が不足するとされている。


図1●地域医療構想調整会議の想定スケジュール※(図 略)


図2●特定機能病院などに対する都道府県知事の権限(5月10日地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※ (図 略)

 この地域医療構想において公立病院や公的病院、特定機能病院などは率先した役割が求められている。都道府県知事はこれらの病院に対し、不足する機能への転換の指示や、過剰な機能に転換しないよう命令などを行うことができるからだ(図2)。

 そうした状況で、「地域医療構想では医療教育や高度先進医療を担う大学病院本院の特殊性が考慮されるべきだ」という主張が強い反発を受け、大学病院のあり方が問われるという事態が厚労省の検討会で起きた。

 発端は6月2日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、参考人として出席した小山信彌氏(東邦大学医学部特任教授)が全国医学部長病院長会議の提言を説明したことに遡る。大学病院本院は医育機関、高度先進医療を提供する特定機能病院としての機能を有し、事実上、地域の最大の急性期病院として専門性の高い医療を提供していると小山氏は述べつつ、地域医療構想の策定過程においてこのような大学病院の特殊性が十分考慮されていないことを懸念。

 そこで全国医学部長病院長会議は「大学病院本院の地域医療構想における位置づけを明確にすること」「大学病院本院からの病床機能報告については、地域の他施設の病床と単純に合算せず、その特殊性を十分勘案した上で、集計するように配慮すること」――などと提言した(図3)。これから激変する医療ニーズにどう対応するか話し合う地域医療構想において、大学病院本院の病床は他施設の病床とは単純に合算しない「特別扱い」を求めた形だ。

図3●大学病院の位置づけに関する提言内容(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※ (図 略)

 これに対して強い反発を示したのが同ワーキンググループ構成員の中川俊男氏(日本医師会副会長)だ。「意味が分からない、地域医療構想を理解されていないのではないか」と指摘。大学病院の機能は十分に把握しているとした上で、医療需要の変化に備えて地域医療構想の枠組みにきちんと参画すべきだとした。

 厚労省側の見解も中川氏と同様だ。担当官は「地域医療構想について十分に説明できていない部分がある」と述べつつ、大学病院も2025年に向けて地域における役割や連携を検討する必要性を訴えた。

 同ワーキンググループで、大学病院側の理解の低さが最も表れている点として中川氏が問題視したのは、2016年度病床機能報告において「全床高度急性期」と報告した大学病院が少なくなかったことだ。全床高度急性期と報告した病院は128施設あり、そのうち特定機能病院が54施設・総病床数4万1924床を占めた。現状や将来の医療機能を病棟ごとに報告する「病床機能報告制度」は医療提供体制のデータの基となるもので、実態とかけ離れていては地域医療構想調整会議での議論に支障が生じ得る。

図4●病床機能報告制度における4医療機能の定義(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より)※(図 略)


図5●特定入院料などと4医療機能の対応(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 各医療機能は図4のように定義されており、特定入院料等を算定する病棟との関係は図5のような整理がなされている。つまり、大学病院が高度先進医療を提供しているとはいえ、「全床高度急性期」と報告するのであれば、ICUに入院するような状態の不安定な患者が全病床に入院していることが前提となる。だが通常は、入院当初に重度で医療資源を多く投入していても、退院前には回復期などの状態に落ち着くため、全床が高度急性期にはなり得ない。

 また、大学病院の中には、出来高換算での報酬点数の平均値が3000点を超えるから「全床高度急性期」と判断したケースがあることも同ワーキンググループで明らかにされた。だが以前、都道府県が将来の医療需要を推計するために医療機能の境界として厚労省が示した出来高報酬点数(高度急性期と急性期の境界は3000点など)は、あくまでマクロの推計のために設定されたものであり、個々の病棟の医療機能の選択に用いる基準には適さないとされている。

 全床高度急性期といった不自然な報告は特定機能病院だけでなく、他の施設からも散見されている状況だ。これは制度の分かりにくさも大きく関係している。例えば図4に示した医療機能の定義で「高度急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」「急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能」とされており、曖昧で分かりにくい。

 そこで厚労省は次回の報告では実態をより正確に反映させようと、矢継ぎ早に対応策を打ち出した。まず図6のように、各病棟において、4つの機能のうち最も多くの割合を占める患者の機能を報告することを基本とした。

図6●病棟の患者層と医療機能のイメージ(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 また、図7のように、これまで不明瞭だった一般病棟入院基本料などと4つの機能との対応が整理された。図中の組み合わせと異なる機能を選択することは可能だが、地域医療構想調整会議での確認が必要になる。


図7●一般病棟入院基本料と4医療機能の対応(6月2日第5回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 こうして病床機能報告制度の見直しをした上で7月19日の会合では、厚労省が「公的医療機関等改革プラン(仮称)」を提案した(図8)。これは特定機能病院や公的病院(日本赤十字社や社会福祉法人恩賜財団済生会などが開設者)などが地域において将来担うべき役割をつまびらかにして、地域で共有するためのものだ。


図8●公的医療機関等改革プランで記載が求められる内容(7月19日第7回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)


図9●公的医療機関等改革プランの策定プロセス(7月19日第7回地域医療構想に関するワーキンググループ資料より))※(図 略)

 現状や課題、地域において担う役割、今後提供する医療機能や具体的な数値目標(病床稼働率、手術室稼働率、紹介率・逆紹介率、人件費率)などを記載したプランを地域医療構想調整会議で示してもらうという(図9)。まだ記載内容は確定してはいないが、近く、厚労省はプラン作成のためのガイドラインをまとめて通知を出す予定だ。

 大学病院は今後、病棟の実態をより正確に反映した病床機能報告だけでなく、経営に関する項目をプランに記載して、地域医療構想調整会議で議論することが求められていく方向だ。いわば外堀を埋められ、大学病院は地域医療構想に真正面から向き合わなくてはならなくなる。
 



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03235_03
【寄稿】
Patient Experience(PX)を用いたプライマリ・ケアの質評価・改善

青木 拓也(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野)
週刊医学界新聞 第3235号 2017年08月07日

 近年,国際的に「患者中心性(Patient-centeredness)」の重要性が再認識され,医療の質における大目標の一つに掲げられるようになった。わが国でも地域包括ケアの文脈から,患者中心性の向上をめざした医療提供体制の構築が求められている。

 本稿では,患者中心性のQuality Indicator(以下,QI)であるPatient Experience(以下,PX)の概念や,プライマリ・ケアにおける我々の研究活動について紹介したい。

医療の質における「患者中心性」と「PX」

 「質(Quality)」は,もともと一般産業から医療に輸入された概念であり,その本来の定義は「顧客要求への適合」である。ただし,医療の場合は高度化・専門分化に伴い,患者・医療者間の情報の非対称性が拡大した結果,EBMに基づく臨床プロセスなどの客観的指標が重視される一方で,患者の視点は医療の質評価において軽視されてきた。しかし近年,疾病構造の変化や医療の地域移行の影響により,「患者中心性(患者のニーズや価値に応じたケアの提供)」の重要性が改めて見直され,医療の質における大目標の一つに掲げられるようになった1)。

 患者中心性を定量的に評価するQIとして,患者満足度は以前から用いられている手法であるが,客観性・弁別性などの点において限界があり,施設間比較や継時的変化の検出,質改善課題の特定が困難であった。そこで近年,欧米を中心に,患者満足度に替わる新たな患者中心性のQIとして,PXが注目されている。

 中でも英国や米国では,既にPX調査が全国的かつ継時的に実施され,各医療機関での継続的質改善のみならず,医療機関の認証や専門医認定・更新といった医療提供側の質の保証,診療報酬制度(Pay for performance)などにも利用されている。なお米国IHI(Institute for Healthcare Improvement)は,Population Health,Per Capita Costに加え,PXを主要3課題(Triple Aim)の一つに掲げている。

「経験」を測定するPXが国際的に注目される背景

 PXは,「患者がケア・プロセスの中で経験する事象」と定義され,その評価には計量心理学的特性が検証された尺度を用いるのが一般的である。患者満足度が「満足」を測定するのに対し,PX尺度が測定する概念は「経験」である。前者の項目例は「あなたは,医師の態度にどの程度満足していますか?」,後者の例は「医師は,あなたが問題について話す時間を十分にとっていますか?」であり,PXのほうが患者属性による影響が小さく,弁別能が高いことがわかっている。またPX尺度は,複数の項目を合わせて一つの構成概念を測定するため,妥当性や信頼性が高いことも特徴である。

 PXが国際的に注目されるようになった背景として,患者中心性そのものが医療の質における重要な目標であることに加え,これまでの多くの研究により,PXが,臨床プロセス,患者のアドヒアランス,予防医療行動などを通して,健康アウトカムに影響を及ぼし,さらに患者安全とも関連するといった知見が徐々に明らかになってきたことが挙げられる2)。

日本版PX尺度「JPCAT」の開発と研究から得られた知見

 わが国では,これまでPXに関する研究活動や活用事例は非常に乏しく,特にプライマリ・ケアや地域包括ケアにおいて重要な目標である患者中心性の評価・改善に必要な体制は整備されていない。そこで我々は,Johns Hopkins大のStarfieldらが開発し,プライマリ・ケア領域において国際的に普及しているPX尺度:Primary Care Assessment Tool(PCAT)を,わが国の背景に即して改良し,Japanese version of PCAT(JPCAT)を開発した3)。

 JPCATの妥当性・信頼性の検証は既に完了し,ウェブサイトで情報を公開している4)。JPCATは,成人外来患者を対象に,プライマリ・ケアの特性に対するPXを測定する尺度であり,近接性,継続性,協調性,包括性,地域志向性といった複数の領域で構成される(プライマリ・ケアの特性については,日本プライマリ・ケア連合学会ウェブサイトを参照5))。計29項目のリッカート尺度であり,スコアは0~100点で,高スコアであるほど質が高いと評価される。

 我々がJPCATを用いて行ったヘルスサービス研究は,臨床プロセスとの関連を確認したことに加え6),PXの新たな効果も明らかにした。例えば,良質なPXを持つ患者は,プライマリ・ケア医とアドバンス・ケア・プランニングに関する議論を交わしやすい傾向がある7)。他にも,良質なPXは,ケアのバイパス(ゲートキーパーを介さず,直接高次の医療機関を受診する非効率な受療行動)を抑制し,患者に医療資源の適正利用を促す可能性があることもわかった(論文投稿中)。このように,PXが患者の行動や他の医療の質と関連することが,わが国の研究からも明らかになってきた(図1)。

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図1 Patient Experience(PX)と他の医療の質との関係(筆者作成)

医療の質評価・改善に向けてJPCATの活用と今後の展開

 JPCATは,既に医療機関レベルや自治体レベルでの活用が始まっている。我々が全国約30施設で実施したパイロット調査では,似た属性の医療機関であっても,施設レベルのJPCATスコアは最高81.4点~最低45.6点と大きな開きがあり,患者中心性の質には施設間でばらつきが存在することが定量的に示された。

 PXを用いて,医療機関の質改善課題を特定する際には,Priority Matrixが一助となる(図2)。これは,マーケティングなどで使用されるポートフォリオ分析をPXに応用したものである。横軸にパーセンタイル順位,縦軸に総合的評価との相関係数を取り,PXを領域ごとに2次元のグラフに配置することによって,優先的改善領域を明らかにする手法である。パーセンタイル順位が低く,かつ総合的評価との相関が強い領域ほど,質改善の優先度が高い(Top priority)と評価される。

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図2 Priority Matrixの例(筆者作成)

 本稿で紹介した我々の活動はプライマリ・ケアが中心だが,既に一部の国では入院から在宅医療に至るまで幅広いセッティングでPXが活用されている。患者中心性は,わが国が推進する地域包括ケアにおける主要目標の一つであり,前述のように,PXはさまざまな医療の質(有効性,安全性,効率性)にも影響を及ぼすことが明らかになりつつある。今後わが国でも,医療機関レベルや政策レベルで,PXを医療の質評価・改善に積極的に活用すべきだと考える。そのために我々は,医療者や患者に対する啓発・普及活動,多様なセッティングに合わせたPX尺度の開発,患者中心性の質の均てん化に有用なヘルスサービス研究などに今後も取り組んでいきたい。

参考文献・URL
1)Institute of Medicine. Crossing the Quality Chasm:A new health system for the 21st century. National Academies Press;2001.
2)Med Care Res Rev. 2014 [PMID:25027409]
3)Fam Pract. 2016[PMID:26546033]
4)日本におけるプライマリ・ケア質評価指標開発研究班.患者中心のプライマリ・ケア質評価.
5)日本プライマリ・ケア連合学会.プライマリ・ケアとは?.
6)Int J Qual Health Care. 2017 [PMID:28371903]
7)Fam Pract. 2017 [PMID:28334740]

あおき・たくや氏
2008年昭和大医学部卒。日本医療福祉生協連家庭医療学開発センターで家庭医・総合診療医として研鑽を積む。15年より現職。日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医・指導医,医療政策学修士(MMA),臨床疫学認定専門家。15,17年に日本プライマリ・ケア連合学会日野原賞受賞。



https://www.m3.com/news/general/550108?portalId=mailmag&mmp=RA170812&mc.l=240055308&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
<東北公済病院>女性の目線で運営評価 グループ結成
地域 2017年8月7日 (月)配信河北新報

 外部の目線で病院運営をチェックしてもらおうと、東北公済病院(仙台市青葉区)は幅広い年代の女性による評価グループ「Tohoku Kosai Angels(トウホク・コウサイ・エンジェルス)」を結成した。

 宮城県内の公認会計士や企業経営者、団体職員、マスコミ関係者ら20~60代の女性10人がメンバーで、今後大学生も任命する。24日の顔合わせでは早速、「外国人向けの案内はどうなっているか」「授乳室の感染症対策は確保できているか」などの質問が出た。

 メンバーは年3回程度、病院を訪問。「受け付けスタッフの対応は丁寧か」「女性のプライバシーは守られているか」「病棟のセキュリティーは十分か」などの項目を評価する。病院食も試食して、気付いた点をアドバイスする。

 同病院は産科、婦人科、乳腺外科といった女性特有の診療科や女性専用の病棟がある。日本医療機能評価機構や東北厚生局、日本母乳の会などの評価を受けているが、地域に根差した病院の在り方を探るため、グループをつくった。市民による評価組織がある総合病院は珍しいという。

 岡村州博院長は「市民感覚で病院の裏表をしっかり見てもらい、地域住民がストレスなく病院を受診できるよう改善点を挙げてほしい」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/550989
シリーズ m3.com全国医学部長・学長アンケート
女性医師の働き方、周囲含め意識作り重要◆Vol.9
活躍なくして「日本の未来ない」

レポート 2017年8月11日 (金)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

Q:女性医師を巡る状況についてのご意見があればお願いします。


【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医師・研究者という職業が、時間外労働をやむなくされる、あるいは昼夜を分かたず自己研鑽を余儀無くされるということを、一般市民がしっかりと認識して家庭維持のサポートに当たってくれることを願う。
【東北医科薬科大・福田寛医学部長】医学部の女子学生が増加しており、女性医師の働く環境の改善、活躍できる環境作りは喫緊の課題である。方策は出尽くしている。職場全体で支える周りの意識作りが肝要か。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】短時間の勤務を希望する医師向けの給与表の整備。

【富山大・北島勲医学部長】女性医師のキャリアアップを図る。学生に活躍する女性医師のセミナーを数回行うようにしている。

【福井大・内木宏延医学部長】特になし。

【京都府立医科大・竹中洋学長】本施設において女性医師支援のための環境整備と管理職側の意識改革は着実に進んでいる。今後は卒前からの意識改革推進による学生のモチベーション向上を目指し、キャリア教育の充実が必要と考えられる。働き方改革も含めて、一歩踏み込んだ論議が必要と考えている。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】私の教室では特別扱いしないようにと、女性医師から言われています。

【兵庫医科大・野口光一学長】女性医師が一生活躍できる体制、社会の変化が必要であり、これなくして日本の未来、医療の改善はないと思われる。

【広島大・秀道広医学部長】結婚、出産、育児を経ながら男性医師と同じ働きをすることは、ほとんどの女性医師にはほぼ不可能な課題と思います。よほど気力、体力のある人材に絞って医学部に入学させるか、医師の数を増やして医師1人の負担を少なくする、非常勤や当直を免除するといった働き方の間口を広げるとともに、フルタイムで働く医師との給与待遇の違いを大きくするといった対応が必要と思います。現在、女性医師の勤務条件はかなり緩和され、働きやすい環境が実現しつつあると思いますが、その割には給与待遇が高いままの傾向があり、男女を問わず、フルタイム勤務の医師からの不満を生じやすくなっていると思います。

【徳島大・丹黒章医学部長】出産・育児、急な子供の病気等に関しても複数でサポートし、できるだけ同性同士でサポート体制をつくっている。そのためには、複数の女医の採用が必要である。

【産業医科大・東敏昭学長】ライフサイクル、ワークライフバランスのとれる分野でのキャリア形成、就業形態の多様化が医師数増加とともに可能となると考える。



https://www.m3.com/news/general/549858
新潟市民病院、救急搬送者が減少 市「緊急宣言」で集中緩和
地域 2017年8月5日 (土)配信毎日新聞社/新潟

 新潟市民病院(同市中央区)が新潟労働基準監督署から長時間労働改善などの是正勧告を受け、紹介状のない一般外来患者の診断を7月から取りやめた問題で、篠田昭市長は4日の定例会見で、市民病院への救急搬送者の集中が緩和し、市民病院の適正利用と医師の過重労働削減が進んでいると明らかにした。

 市によると、患者受け入れ制限を柱とした「緊急対応宣言」を市が発令した6月6日から7月15日までの間に、市消防局が市民病院に救急搬送した人数は559人で、前年同時期の619人から1割減少。一方、市民病院を除く市内18の救急告示病院への搬送者数は2402人と、前年同時期の2241人から7%増加し、搬送者の市民病院への「一極集中化」防止に一定の効果が表れた。入院する必要がない軽症の救急搬送者も前年同時期に比べ4割減少した。

 篠田市長は「市民の協力もあり、市消防局が宿直医師の専門分野を把握したうえで各病院に搬送し始めたのが大きいのでは」と話した。【堀祐馬】

  1. 2017/08/12(土) 16:38:29|
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8月5日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/549804
真価問われる専門医改革
新専門医制度2018年度開始、「地域医療等に配慮」が前提
日本専門医機構「新たな専門医制度の開始に向けた声明」

レポート 2017年8月4日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は8月4日の理事会で、「新たな専門医制度の開始に向けた声明」を取りまとめ、塩崎恭久前厚労相の「大臣談話」を踏まえ、2018年4月からの新たな専門医制度の開始に向けて、本年10月初旬を目途に、19の基本領域の専攻医の1次登録を、12月中旬を目途に2次登録を開始することを決定した。7月の同機構の理事会では、「2018年4月開始に向け、機構の準備は整った」としていた(『「専攻医の登録、10月スタート」目指す』を参照)。

 日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、理事会後の記者会見で、「機構は2018年4月から新しい専門医制度を開始する。ただし、途中でいろいろな議論で問題が出てきた時には、私たちは真摯な態度で対応する。各学会や厚生労働省とよく相談しながら、適切な形で決して地域医療に偏りが出ないように対応する。それを前提として開始したいと思う」と説明。

 同機構理事長の吉村博邦氏は、「副理事長がこれでスタートすると言ったが、もちろんまだ検討会もある。地域の皆様方の理解を得るよう、さらに努力を続ける」と補足した。検討会とは、8月9日に予定されている厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」だ。同検討会は、新専門医制度の地域医療への影響を検証しており、9日の第4回会議でも「これまでの議論を踏まえた日本専門医機構・各学会の対応」を議論する(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)。

 「大臣談話」は、8月2日に塩崎前厚労相が吉村理事長と面談した時に手渡したもの。新専門医制度の地域医療への懸念を表明した内容で、日本専門医機構の対応が注目されていた(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 日本専門医機構の「声明」には、「大臣談話」への対応として、2018年当初を目途に専攻医の登録状況の概要が明らかになった時点で、各基本領域の学会に対し、報告を求める。万が一、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」には、「専門医制度新整備指針」などに鑑みて、理事会等での審議を経た上で、各学会に制度や運用の修正変更を依頼するほか、必要に応じて応募状況等の調整を行うと記した。

 吉村理事長によると、塩崎前厚労相との面談では、新専門医制度に関する検討経緯を説明、その上で「できれば来年4月からスタートさせるべく、10月くらいから専攻医の登録を開始したいと申し上げた」という。これに対し、塩崎前厚労相は、「これまでの取り組みについては理解しているが、いまだ地域医療に影響する懸念が払拭されていない」とし、応募状況や専攻医の配置状況についての厚労省への報告を求めるなど、「大臣談話」の概要を説明。「塩崎前厚労相の意向を重く受け止め、日本専門医機構として真摯に対応したい」と吉村理事長は答えたという。

 松原副理事長は、新専門医制度の準備状況について、「ほとんどの学会は、専門研修プログラムの1次審査が終了しつつある。総合診療専門医については、8月21日を専門研修プログラム応募の締め切りとし、それから1次審査を鋭意実施し、他と同じく10月初旬から専攻医の募集を開始できるようにする」と説明。新専門医制度では、都道府県の協議会で、専門研修プログラムの1次審査後に地域医療への影響の有無を検証することになっている。「協議会開催の実績はないが、各都道府県で準備を進めている」(松原副理事長)。

 専攻医の調整が必要な場合とは?
 「声明」では、「地域医療への影響や専門研修レベルについて改善が必要になった場合」に対応するとしている。

 「地域医療への影響」とは、都市部や大病院に専攻医が集中した場合など。松原副理事長は、「地域医療に問題が生じるかどうかが分かるのは、都道府県の協議会で協議した時」と指摘。その上で、「応募状況を見てあまりにも偏っていたら、2次募集で調整するなど、あらゆる手段で対応していく」と説明した。ただし、1次募集で研修先が決まった専攻医が研修先の変更を迫られることはないという。

 「専門研修レベルについて改善が必要になった場合」について、日本専門医機構理事長の山下英俊氏は、「例えば、領域全般にわたって研修しなければいけないのに果たして可能なのかなど、(専門研修プログラムを)承認した後に疑義が生じた場合には、変更を求めることなどが考えられる」と説明。

 「大臣談話」と思いは同じ
 記者会見では、「大臣談話」と、その翌日の日本医師会会長の横倉義武氏の会見内容についての質問も出た(『日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」』を参照)。「大臣談話」では、新専門医制度に国が一定の関与をする方針が記されているのに対し、横倉会長は、「あくまでプロフェッショナルオートノミーに基づき、運営すべき」としているからだ。

 日医副会長でもある松原氏は、「厚労省は、医療行政に対して責任を持っている省庁。(地域医療への影響を)心配するのは当たり前。一方、日医は、医師の団体として医療を預かっている。地域医療への影響が生じないようにしたいという思いは同じであり、それぞれがお互いの立場で取り組んでいる」と説明、プロフェッショナルオートノミーが最も医師の能力を引き出せる仕組みであると考えているため、横倉会長の会見につながったとした。

 山下副理事長は、「大臣談話には、『専門医制度新整備指針等は、新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解している』と書かれている」と説明。この指摘を踏まえ、専門医制度新整備指針、運用細則、補足説明などのルールに準拠して実施する重要性を強調した。「ルールを決めてやらないと、うまくいかなかった場合にその理由が分からない。ルール通りにやっても問題が生じた場合には、そのルールをフレキシブルに変更していくことが必要」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549460
真価問われる専門医改革
日医会長、「新専門医、国の関与は謙抑的に」
厚労相「談話」受け緊急会見、2018年度開始に向け準備を

レポート 2017年8月3日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は8月3日、新専門医制度について緊急記者会見し、「医療法に規定する国の責務として、厚生労働省が地域医療への配慮を求めること自体は理解」と認めつつ、同制度は法的な強制力を持つものではないことから、「国の関与は、あくまで謙抑的であることが望ましい」とけん制した。その上で、日本専門医機構がガバナンスを強化し、国と同機構が協力・連携、関係者の意見も調整しながら、2018年度のスタートを見据え、着実に準備を進めることが必要だとした。

 記者会見は、前日2日、塩崎恭久前厚労相が、新専門医制度による地域医療への悪影響が生じる懸念を完全に払拭できないことから、日本専門医機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の「大臣談話」を発表したことを受けた対応(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。

 横倉会長は、地域医療への影響について、塩崎前厚労相と同様の認識か否かの質問に、「かなり改善されていると認識している。しかし、まだ地域によっては不安を訴える病院管理者の声もあると聞いている」と答えた。「今後、専攻医の配置状況などは、各都道府県の協議会のもとで、医師の配置について議論する場を作ることになっている。その動きをバックアップし、不安の解消に努めていく」。

 「大臣談話」では、「万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、厚労省が日本専門医機構と各関係学会に対して、実効性のある対応を求める」としている。この点について横倉会長は、「各都道府県の協議会の中で、解決していくことだと理解している。(大臣談話で)機構と各学会に要望しているのは、そうした懸念が生じないように、専門研修プログラムをしっかり作ってもらいたいということだろう」との解釈を示した。

 日医が求める「国の関与は、あくまで謙抑的」という意味について、「新たな専門医の仕組みは、医師が自律的に自分の能力を高めるものであり、国がさまざまな規制をかけることは、やるべきではない」と説明。「以前、一部に強制的な配置を求める声もあった。そうならないように、謙抑的という言葉を使った」とも付け加えた。

 さらに2018年度の新専門医制度の開始について、横倉会長は次のように述べた。「今、1年間、待ってもらった。誰が待ったのか、それは専門医を目指す若い医師。2年間待ってもらうと、キャリアへの影響が大きい。スタートして、問題があれば改善していくべき。専門医になろうという医師に対し、キャリアの道を開けることが必要」。

 「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべき
 横倉会長は会見で、2016年11月に日医が提出した7つの要望項目を「専門医制度新整備指針」に盛り込むなど、日本専門医機構は真摯に対応してきたと認識しているとし、各領域学会と専門医の質向上に努めるとともに、医師の偏在助長の回避、医師のキャリア・パスへの配慮などを「懸命な努力を重ねている」と評価した。

 「専門医制度新整備指針」における制度の基本理念については、(1)プロフェッショナルオートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる制度である、(2)国民に信頼され、受診に当たり良い指標となる、(3)専門医の資格が国民に広く認知される制度である、(4)医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分に配慮した制度である――と整理。

 その上で、地域医療提供体制の確保は、最重要課題であるとし、今回の「大臣談話」において、「医療法に規定する国の責務として、厚労省が地域医療への配慮を求めること自体は理解する」と認めた。しかし、新専門医制度は、法的な強制力を持つものではないものの、医師の自律的な取り組みを学問的に評価するものであり、「専門医制度新整備指針」の基本理念にあるように、「プロフェッショナルオートノミーに基づき運用されるべきものであることは論を俟たない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549268
真価問われる専門医改革
「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話
吉村理事長と面談、プロフェッショナルオートノミーに歯止め

レポート 2017年8月2日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 塩崎恭久厚労相は8月2日、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏と面談、同機構と各関係学会に対し、学会ごとに応募状況と専攻医の配置状況について厚生労働省への報告を求める内容の談話を手渡した。同機構は2018年度からの新専門医制度の開始に向けた準備を進めているが、地域医療への影響を懸念する厚労省が、プロフェッショナルオートノミーを基本とする同制度に一定の歯止めをかけた格好だ(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は、報告を受け、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうかを領域ごとに確認する。その結果、万が一、地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、日本専門医機構と各関係学会に対して実効性ある対応を求める方針。

 塩崎厚労相が新専門医制度についての談話を発表するのは、2016年6月に次いで2度目(『塩崎厚労相、新専門医制度への「懸念」理解』を参照)。当時も地域医療への影響を懸念する声が上がり、「一度立ち止まって検討の場を設ける」ことなどを求め、結局、2017年度に予定していた新専門医制度の開始は延期された。

 塩崎厚労相と吉村理事長の面談は、8月2日の午後4時から約15分にわたり関係者を交えずに行われ、その場で、談話が手渡された。

 談話は、一度立ち止まって検討した以降の経緯を記した上で、(1)専門医の取得は義務ではなく医師として自律的な取り組みとして位置付けられる、(2)研修の中心は大学病院のみではなく、症例の豊富な地域の中核病院等も含むことの明確化、(3)女性医師等の多様な働き方に配慮したカリキュラム制の設置――などを「専門医制度新整備指針」等に明記したことについて、「新たな制度の施行により地域医療に影響を与えないような配慮がなされていると理解」と評価。

 しかし一方で、新専門医制度は、プログラム制の導入など、これまでに無い新たな仕組みであるため、「実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか」「専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか」などの懸念を完全に払拭するには至っていないと指摘した。

 それ故に、新専門医制度の開始に当たっては、「こうした懸念に真摯に向き合い、都道府県、市町村、医師会、大学、病院団体等からなる都道府県協議会等地域医療関係者と十分に協議が行われた上で、運用の中で問題があれば速やかに是正が行われる必要があると考えている」とし、応募状況等の厚労省への報告を求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548584
シリーズ
m3.com全国医学部長・学長アンケート
専門医研修、基幹施設は「大学病院」優勢◆Vol.5
「学会主導で」、「地域格差起こらぬよう」

スペシャル企画 2017年7月31日 (月)配信水谷悠、高橋直純(m3.com編集部)

 日本専門医機構は7月7日の理事会で、2018年4月からの新専門医制度開始に向けて、準備を進めることを決定したが、有志の医師らが2018年度開始反対の署名を塩崎恭久厚生労働大臣に提出するなど、制度開始への懸念はなお残る。全国医学部長・学長アンケートでも、さまざまな意見が寄せられた。

 なお、アンケートは4月から5月にかけて行った。

Q:専門医研修の基幹病院は、大学病院、市中病院、どちらを主にすべきとお考えですか。

Q::専門医を巡る議論についてご意見があればご記入ください。

【大学病院にすべき】
【山形大・山下英俊医学部長】多様な医療機関が専門医を育成のためにそれぞれの役割を果たすことが重要と考えます。その中で大学病院の果たす役割は大変重要と考えております。このような協力体制を山形大学医学部蔵王協議会では構築し、実施し、効果を上げております。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】地域の病院の医師の配置や1人の医師のキャリアアップを調整できるのは大学のみ。

【福井大・内木宏延医学部長】初期研修では幅広いプライマリ的な診方(ス―パーローテート)を目指しているのに対して、専門医研修ではそれぞれの領域の専門性の高さが要求されている。大学病院は若手医師への教育資源や指導者が豊富であるのに対して、市中病院では不足しているのが現状と考えられる。そして最先端の医療が目覚ましい進歩を遂げている現状においては、市中病院に配属される前に若手医師が身に付けるべきことは年々増加しており、これまで以上に大学病院が基幹施設として専門医教育に時間をかけることが必要となっている。
 さらに、10年以上前に始まった初期研修制度のみで満足していた市中病院の若手医師にとっても、2018年度からの大学病院を中心とする新専門医制度は現行のレベルダウンを補うものになると思われる。その結果として、社会や地域が目先の医療資源の確保に翻弄されずに、高いレベルを担う医師を多く育成することができれば、将来はその地域の医療水準が飛躍的に向上することに繋がると考えられる。

【京都府立医科大・竹中洋学長】市中病院を基幹施設にすると、研修医は都市部に集中し、郡部の病院で研修する者は減少すると推測される。大学病院が基幹施設となり、かつ郡部の病院とのたすき掛けプログラムを提供することにより、都市部、郡部いずれにおいても特徴のある研修が行われると考える。地域におけるニーズ調査が不可欠となる。

【領域による】
【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】領域によって事情が異なるので一概に議論することは難しいが、共通して言えることは、研修の質を落とすことなく専攻医分布の地域格差の助長が起こらないように努めることが肝要ということである。専門研修制度を改善することはもちろん必要だが、できるだけ医療を受ける国民や研修を受ける専攻医に不利の無い形で行う必要がある。

【産業医科大・東敏昭学長】質の担保は重要だが、プログラム方法に固執せずカリキュラム方式での研修を、より取り入れる。試験での質の担保を重視しても良い。また更新制度はゆるやかでも必要。

【学会の役割が重要】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】プロフェッショナルオートノミーの名の下に、専門医の質を担保するという意図は分かるのだが、専門学会を差し置いて始められたのは、稚拙としか言いようが無い。初期臨床研修制度が、地域医療の崩壊を早め、かつ医科大学における基礎医学研究の低迷を招いたことに対する反省も無しに、専門医制度が議論されてきたのは、誠に寒心に堪えない。医師需給とともに長期的展望を基にした指針を作らないと、教育は弥縫的にならざるを得ないと思う。

【金沢医科大・神田享勉学長】学会主導が良いと思います。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】大学と医師会・自治体との闘いである。周りに振り回されない、堅牢なシステムを学会内で作れば恐れるものは何もない。一方で、日本ではインセンティブが付くことは医療費削減の中であり得ないことであり、名誉を重んずる日本独特の制度に不思議さを感じる。このインセンティブのない雇用体系が日本の医療費削減の支えとなっている。

【その他】
【東北医科薬科大・福田寛医学部長】我が国における「専門医」の位置付け、国民から何を期待されているかなど、原点に立ち返った議論も必要。

【富山大・北島勲医学部長】新専門医制度の早期実行を! 国民に専門医とはどのようなものであるか、見える形にしてもらいたい。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】大都市においては専攻医の募集定員に上限が設けられ、また大学では診療実績から受け入れ上限数が算出されるため、私立大学にとっては不利になると考える。

【兵庫医科大・野口光一学長】専門医研修はあくまでも質保証を目的としての制度改革であるべきで、それと医師偏在問題とを無理に結びつけるべきではない。

【島根大・山口修平医学部長】来年度からのスタートが決定した以上、十分な地域医療への配慮の下で進めていきたい。同時に、卒前、卒後教育のシームレス化の議論を早く進める必要がある。

【広島大・秀道広医学部長】優れた知識と技能を修得することは大変重要であるが、医療において専任教員の設置は不向きである。すなわち、専門医となったものは、研修医を指導する役割を担うことが必要で、教えてもらっただけの専門医を作るべきではない。

【徳島大・丹黒章医学部長】専門医の選択が研修医の自由意思で決められ、高給を求め、死と責任を避ける傾向にある。よりハードルの高いプログラムは敬遠される方向にあり、評価、報酬等でメリハリを付けるべきである。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】新専門医制度は、その研修期間に大学のみならず、関連施設へ出向しなければならず、また、大学医局のローテーションを難しくする。また、専門医を取得することのみを目的として、腰掛け的に大学医局へ所属する可能性がある。したがって、系統立った長期的な指導(10年間ほど)が困難となる。また、専門医取得第一となり、研究がおろそかとなることもあり得る。さらに、大学院への進学も激減する可能性があり、多大な影響を及ぼす懸念がある。研究志向の若手医師は、明確に少なくなるのは確かである。
 総合診療専門医は、内科から外科、その他の診療科などへ、どの程度の診療までカバーすべきであるかが見えてこない。つまり、総合診療専門医の医師像がいまだ明確でないのみならず、統一した見解がない。特に、大学病院のように専門性を求めた場においては、その育成が中途半端となる可能性が懸念される。一般内科医、一般外科医別の総合診療とするのが、大学としては望ましいと考えられる。地域性によっても、総合診療専門医の定義が異なることも以前から指摘されている。専門医制度と地域医療は別問題である。第一に地域医療、特に、医師の偏在化(都市集中)を考えていくべきである。また、地域枠で入学した学生の義務化に関しても問題がある。
 自学は、地域枠を9年前にスタートさせた。奨学金制度などを取り入れてないために、さまざまなバリアントが生じる可能性がある。また、地域枠入学者が優先的に専門医制度や専攻医に選ばれる雰囲気があるのはいかがなものであろうか?

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



http://www.asahi.com/articles/ASK847WVRK84UBQU013.html
新専門医制度、来年度からスタート 統一的基準で認定へ
野中良祐
2017年8月4日23時56分 朝日新聞

 地方の医師不足が加速する恐れがあるなどとして、導入が延期されていた「新専門医制度」について、日本専門医機構は4日、2018年度に始めると発表した。第三者機関の日本専門医機構が、質を上げるため統一的な基準で専門医を認定する。

 2年間の初期臨床研修を終えた医師は、内科や外科など19の基本領域を選び、全国の大規模病院や地域の病院を回って3年間の研修を受けて専門医の認定を受ける。介護やみとりを含め幅広い範囲を担う「総合診療科」もその一つ。希望者はさらに専門性の高い領域の専門医に進む。医療機関は、専門医がいることを広告できるようになる。

 これまでの専門医制度では、それぞれの学会が医師の経験した症例数や研修への参加など、独自の基準で専門医を認定していた。会員数は数千人程度から10万人以上と規模も異なり、一口に専門医といってもわかりにくかった。

 ログイン前の続き今年度に新制度は始まる予定だったが、医師が研修の主力を担う大学病院などに集中し、地域偏在が加速すると懸念する声が上がり延期になっていた。04年から始まった初期臨床研修では、地方の大学を卒業した医師が都市部に流れ、地域偏在の一因になったと指摘されている。地方自治体の首長らには、新専門医制度でも同様の事態が起こるのではないかと心配する声が今も残っている。

 これを受け、日本専門医機構は規定を改め、専門医を必ずしも取得しなくてもよいことや、自治体や医師会などでつくる都道府県協議会の要望に協力することなどを明示した。塩崎恭久・前厚生労働相は2日、談話を公表し、「地域医療に影響を与えないよう配慮がなされている。他方、懸念を完全に払拭(ふっしょく)するには至っていない」と指摘。開始後、各診療科の応募や医師の配属といった状況を報告するよう求めた。日本医師会の横倉義武会長は3日、「自律的な研修であって、国が規制をかけるべきではない」と話すなど、関係者の間で温度差はあるが、制度開始への理解は広がってきた。

 今後、各学会が承認した研修プログラムを協議会で検討。同機構の審査を経て正式に研修内容を決定する。医師の登録は10月に始めたいという。同機構の松原謙二副理事長は「新専門医制度によって、このお医者さんにかかれば適切な医療を受けられる、という安心感を得ることができる」と話す。



https://medical-tribune.co.jp/news/2017/0803509955/
「地方で医師不足進む」懸念払拭を...新専門医制度で厚労相が談話〔読売新聞〕
2017年08月03日 13:10(2017年8月3日 読売新聞)

 学会が独自に行ってきた専門医の認定を一元化する新専門医制度について、塩崎厚生労働相は2日、制度を運営する日本専門医機構に対し、2018年度の導入で、地方で医師不足が進むという懸念を 払拭(ふっしょく)するように求める談話を発表した。地域医療に悪影響がないか確認を行うため、研修プログラムへの応募状況や医師の配属状況を学会ごとに報告するように求めた。

 制度は17年度に開始予定だったが、地域医療の現場が混乱するなどの批判を受け、1年延期された。



http://www.medwatch.jp/?p=15144
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2017年8月3日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度からの全面スタートに向けた準備が進められている新専門医制度について、学会(基本領域)ごとの▼応募状況▼専攻医配属状況―を厚生労働省に報告することとし、地域医療への影響を確認する。万が一、地域医療への影響が懸念される場合には、厚労省から日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する。

塩崎恭久厚生労働大臣は2日、日本専門医機構の吉村博邦理事長と面談し、このような談話を発表しました(厚労省のサイトはこちら)。

地域医療に悪影響が出るとの懸念、完全には払拭されていない

新専門医制度は、専門医の認定と、研修プログラムの認証を学会と日本専門医機構が共同して行い、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」専門医制度とすることが狙いです。当初は今年(2017年)4月からのスタートを目指していましたが、日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)から「地域の基幹病院ですら研修病院になれないなど養成プログラムのハードルが高すぎる。地域の医師偏在を助長する可能性が高い。一度立ち止まり、専門医を目指す医師の意見を聞くとともに、▼地域医療▼公衆衛生▼地方自治▼患者・国民―の代表による幅広い視点も大幅に加えた『検討の場』を設けて、その検討結果を尊重するべきである」などの要望が出されました(関連記事はこちらとこちら)。

その後、機構は組織を再編し、「全面スタートの1年延期」を決定した上で(関連記事はこちらとこちら)、地域医療へ十分な配慮を行うことなどを制度の根幹規定となる「整備指針」などの中で規定しました(専門医制度新整備指針)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

しかし、その後も全国市長会から▼中小病院が危機に陥りかねない▼医師偏在が助長されかねない—などの懸念を表明し、塩崎厚労相も、さまざまな懸念を払拭した上で新制度を2018年度からスタートする必要があると判断し、「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、改めて関係者間での意見調整を行うこととしました。

検討会では、「専門医の質の担保」と「地域医療の確保」とを両立する方策について議論を行い(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)、例えば、都道府県ごとに地域の関係者が集い、地域の医師偏在が助長されないかなどをチェックし、必要があれば改善を行っていく仕組み(都道府県協議会)をより強固なものにするため、▼「都道府県協議会」において、研修プログラムに関する情報を共有し、確認、検討などを行う▼都道府県協議会において研修プログラムの確認、検討などを行った後、地域医療確保の観点から改善が必要な事項を日本専門医機構へ提出し、日本専門医機構と連携して改善事項などについて調整する▼都道府県で調整に努めたにもかかわらず状況が改善しないような場合には、適宜、厚労省に報告する▼調整終了後、プログラム認定前に、管内のプログラムについての調整結果を都道府県協議会で確認した旨、都道府県協議会の活動実績を厚労省へ報告する—ことなどが固められました(関連記事はこちらとこちら)。

日本専門医機構でも、こうした指摘を重く受け止め、都道府県協議会によるチェックに協力する(さらに地域の基幹病院から都道府県へ、直接「こうした懸念がある」などと報告できる仕組みも確保)考えを明確にし、2018年度の全面スタートに備えて「10月から、研修プログラムへの専攻医の登録(いわば仮登録)を始める」方針を明らかにしています(関連記事はこちら)。

 
塩崎厚労相は、こうした流れを振り返り「地域医療に影響を与えないような配慮がなされている」と評価した上で、▼実際の専攻医の応募の結果、各診療科の指導医や専攻医が基幹病院に集中することで地域医療に悪影響が生じるのではないか▼専攻医がその意思に反し、望んでいる地域、内容での研修を行えなくなるのではないか—といった懸念は「完全には払拭されていない」と判断。新専門医制度を運用する中で、問題が生じた場合には適宜対応していく考えを示しました。具体的には次のような取扱いとなります。

▼日本専門医機構・各関係学会に対し、「学会ごとの応募状況および専攻医の配属状況」を厚労省に報告することを求める

▼厚労省で、新専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、領域ごとに確認する

▼確認の結果、新専門医制度により地域医療に影響を与える懸念が生じた場合には、「国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制」を確保する医療法上の国の責務に基づき、厚労省からも日本専門医機構・各関係学会に対して実効性ある対応を求める



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170804204349
専攻医の応募、地域医療に影響あれば調整も
専門医機構が声明発表

2017年08月04日 21:10 CB News

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は4日、新たな専門医制度の開始に向けた声明を発表した。来年4月からの新制度開始に向け、10月上旬ごろに専攻医の一次登録、12月中旬ごろに二次登録をそれぞれ始める。また、地域医療に影響が出る恐れがあれば、応募に関する調整を行う方針だ。【新井哉】

 声明では、塩崎恭久前厚生労働相が今月2日に出した、新制度が地域医療に悪影響を及ぼす懸念を完全に払しょくできていないとする談話に触れ、吉村理事長が塩崎前厚労相に「意向を重く受け止め、機構として十分に検討した上、真摯に対応したい」と回答したことを説明。この談話を踏まえ、二次登録開始後も研修先の決まらない専攻医希望者に対する救済措置を検討するという。

 同機構は、専攻医がどの診療科のプログラムに所属するかの概要が明らかになった時点で、新制度による地域医療への影響について、各学会に報告を求め、専攻医の偏在などで地域医療に影響が出る場合は、「必要に応じて、応募状況等の調整を行う」との方向性を示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/547920
m3.com全国医学部長・学長アンケート
医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6
卒業試験後の集中講義、予備校の活用など

スペシャル企画 2017年8月2日 (水)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

 2017年の第111回医師国家試験の合格者は前年より2.8ポイント低い88.7%で、過去10年で最も低くなるなど、近年は国試の難化も指摘される。第112回では、これまでの3日間・500問から2日間・400問になるなど、質量ともに改革が進んでいる。医学部における医師国家試験対策について尋ねた(『合格率88.7%、過去10年で最低、2017年医師国試』を参照)。

Q 近年の医師国家試験は難化しているとも言われております。貴大学・医学部で医師国試合格を目的とした、通常の講義以外の対策を実施されているでしょうか。
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【実施している】
【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】チューターによる少人数指導。医師国家試験予備校による集中講義。

【山形大・山下英俊医学部長】通常の講義の枠内で行われていますが、以下の2つが国家試験対策を主眼とした講義です。
(1)臨床実習が長期化しているため、5年生後半から6年生前半にかけてのクリニカルクラークシップ(4週間毎)の期間内、各Phaseの最終日(4週間目の金曜日)に知識の整理と習得を目的とした講義を行っています。この講義は1年間で計9日間行われることになりますが、知識習得が不足していると思われる科目を学生に挙げてもらい、講義を組んでいます。
(2)6年生の9月で卒業試験が終了するが、その後の2か月半は国家試験対策を目的とした講義を行っています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】卒業試験終了後、数週間のみ出席は任意で行っている。(総括講義)

【横浜市大・井上登美夫医学部長】
・学生の国家試験対策の進捗状況を把握するため、5年次3月に学年末(進級)試験、6年次5月、9月、1月に国家試験形式の実力試験を実施している。また、年2回、民間模試を全員受験とし、進捗状況を把握し、成績下位者には、フィードバックのための面談と個別指導を実施している。
・学生が不得意な分野を中心とした、国試対策授業(2016年度は14テーマ)を実施している。

【富山大・北島勲医学部長】過去の医師国家試験の解説をセミナー形式で行っている。

【金沢医科大・神田享勉学長】1.教育学習支援センターを設置し、取り組んでいる。2.スチューデント・ドクター医局で6年生は学習している。

【福井大・内木宏延医学部長】
・学部6年次生対象に、4〜5月に医師国家試験予備校の講師を招き、前年度国家試験結果分析と次年度国家試験対策に関する特別講義を実施している。学生だけでなく、教育関連委員会の委員および教務関係職員も出席し、学生指導の参考となるようにしている。
・昨年度より、学部3年次生も対象に予備校講師によるCBTおよび国家試験対策特別講義を実施し、学生に早期に国家試験対策を促す対策をしている。
・医学部長より依頼された教員による「国試サポートチーム」を組織し、学部4年次生のCBT成績下位者および6年次生の国家試験模擬試験成績下位者に対し、指導や相談に応じる対策を実施している。
・今年度より、6年次卒業時学科試験(卒業試験)を、内容及び期間などの形式を国家試験に準じたものとし、学生にとってできるだけ卒業試験対策が国家試験対策と重なるように実施することとした。

【兵庫医科大・野口光一学長】成績不良での特別授業、合宿、個人指導など。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】5年生では水曜日の午後、6年生では土曜日全日に、国試対策として、教員あるいは外部講師による小テストや解説、講義等を行っている。

【島根大・山口修平医学部長】業者による模擬試験を8月までに2回受験することを義務化している。費用は医学部から拠出している。各講座に依頼して試験準備用の場所(勉強机等)を提供している。

【広島大・秀道広医学部長】6年次4月に3日間の集中講義を設定し、その中の一部を国家試験対策を意識した講義に充てている。

【徳島大・丹黒章医学部長】補習。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】予備校を使って、成績下位30人に対する合宿を行う、予備校の全国模試を4回受験するなど、また、卒業試験のブラッシュアップ委員会からの介入など。

【実施していない】
【京都府立医科大・竹中洋学長】※直近の国試成績を考えると、何らかの介入が必要と考えている。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】まだ2学年までしか進行していないので、今後検討する。

■回答大学・回答者名(北から)
岩手医科大 佐藤洋一医学部長
東北医科薬科大 福田寛医学部長
山形大 山下英俊医学部長
福島県立医科大 錫谷達夫医学部長
東京医科歯科大 北川昌伸医学部長
横浜市大 井上登美夫医学部長
富山大 北島勲医学部長
金沢医科大 神田享勉学長
福井大 内木宏延医学部長
京都府立医科大 竹中洋学長
大阪医科大 大槻勝紀学長
大阪市立大 大畑建治医学部長
兵庫医科大 野口光一学長
島根大 山口修平医学部長
広島大 秀道広医学部長
徳島大 丹黒章医学部長
産業医科大 東敏昭学長
福岡大 朔啓二郎医学部長



https://www.m3.com/news/iryoishin/547921
m3.com全国医学部長・学長アンケート
国試の目指す方向、医学部長の考え◆Vol.7
「OSCEは正しい」「根本的な議論が必要」

スペシャル企画 2017年8月5日 (土)配信高橋直純、水谷悠(m3.com編集部)

Q 2018年の第112回試験では問題数が大幅に削減されるなど、大改革が予定されております。今後の国試の目指す方向性などについてご意見があればお聞かせください。
⇒国試対策については「医学部での国試対策、多くの大学で実施◆Vol.6」を参照。

【岩手医科大・佐藤洋一医学部長】医師国家試験が資格試験では無く、実質的な競争試験になっているというのは、利他精神を貴ぶべき医療プロフェッショナルを養成する上で、決して良いものでは無いことを認識した上で、医育行政に当たってほしい。問題数削減は、試験の妥当性を増すものでは無く、むしろ資質に富んだ学生の取りこぼしの可能性を増やすことになろう。「国家試験の評価の妥当性に関する議論」を寡聞にして知らない。CBTで問われている事項を削っていくというのは、アメリカのSTEP方式をまねたのかも知れない。しかしながら、日本の医療人育成課程(医学部入学~CBT~卒業試験~国家試験~認定医試験~専門医試験)は、基本的に「認知領域に優れた人材」を選別して育成するものとなっており、それから抜け出ることは難しいと思われる。とはいえ、STEP方式で育成されたアメリカの医師が、優れたプロフェッショナルになっているという証拠があるのであれば、段階的な試験の性格分けは意味があろう。

【東北医科薬科大・福田寛医学部長】現在議論されている内容を正確には把握していないので、コメントは保留する。

【山形大・山下英俊医学部長】今後の国家試験は、卒後の臨床における研修にシームレスにつながる基本的な幅広い診療能力獲得を確認するものであることが求められています。

【福島県立医科大・錫谷達夫医学部長】臨床実習が72週、初期研修が2年と専門に進むまでの病院での修練が長くなったので、国試や研修の内容、あるいは医学部が6年間必要か否かなど、もっと根本的な議論が必要。

【東京医科歯科大・北川昌伸医学部長】問題数を削減することに賛成。知識を問う問題と、現場での実習が生きる内容とを適切な割合で出題することが必要。現在のブルーブックシステムは悪くはないが、問題作成の過程で重複する内容の出題をできるだけ減らすことで対応可能かと考える。

【富山大・北島勲医学部長】知識のみでなく、態度・技能の基礎力を客観的に評価すべき。国家試験にOSCEを入れる方向は正しいと思います。

【金沢医科大・神田享勉学長】臨床重視の問題が大切である。

【福井大・内木宏延医学部長】現在の国家試験が、医学教育分野別評価基準および医学教育コア・カリキュラムに準拠していないため、分野別認証評価(国際認証)に応じた医学教育改革(アウトカム基盤型教育へのパラダイムシフト)において、国家試験を教育のアウトカムにすることはできない。そのため、医学部では、国際認証対応と国家試験対策のダブルスタンダード状態となり混乱を招いているように思われる。現在、多くの大学が重点的に取組んでいる国際認証に応じた教育改革を実質的なものにするためにも、国家試験が卒前教育のアウトカムとなるように、コアカリおよび国際標準に準拠したものにすべきであると考える。

【京都府立医科大・竹中洋学長】今後、全大学で実施されていくPCC-OSCEについて、実施基準や評価基準を統一化し、技能やプロフェッショナリズムを持ち合わせるなど、一定のレベルに達した学生を、医師国家試験の合格基準として適用するなど検討が必要と考えている。

【大阪医科大・大槻勝紀学長】問題数が500題から400題に、試験実施日数が3日から2日に短縮されることは、学生にとって肉体的には負担は軽減するが、1問当たりの重みが増すため、精神的負担が大きくなるのではと危惧する。

【大阪市立大・大畑建治医学部長】医学部は専門学校であり、入学した以上、合格させなければならない。医師数削減の中で医学部を作り、定員数を増やす行政に異議を申したい。もし、医師数を削減したいのならば、早々に入学定員を削減すべきである。

【兵庫医科大・野口光一学長】臨床実習後にペーパーテストを行う現時点での国家試験を根本的に改革しないと、臨床実習の真の改革は無理と思われる。

【島根大・山口修平医学部長】基礎知識についてはクリニカルクラークシップの前後にCBTを厳格に行うことで対応し、国家試験問題は臨床重視の問題を増やすべきである。

【広島大・秀道広医学部長】問題数の削減は良いが、症例問題で問われている問題のレベルが高すぎるものがある。本来の資格試験としての位置づけを守るべき。

【徳島大・丹黒章医学部長】問題解決型の設問を多くする。

【産業医科大・東敏昭学長】課題解決型へ持って行くことに同意。

【福岡大・朔啓二郎医学部長】国試での負担を下げていく必要がある。医学系大学間共用試験(OSCE,CBT,PCC-OSCE)などによる評価が行き着く先は、国家試験の簡略化と考えますが、それでいいのではないかと考えます。臨床推論を中心とした最終試験は必要と感じます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549829
退任の塩崎前厚労相「新しい医療の形とその下での働き方を」
受動喫煙対策「立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」

レポート 2017年8月5日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 塩崎恭久前厚生労働大臣は8月4日、退任挨拶の中で、退任前日に第1回を開催した「医師の働き方改革に関する検討会」に関連して、「新しい医療の形とそこの下での働き方の新しい形を絵に示して提供した。今後、本格的に実施の段階になる。後任の加藤勝信大臣はこの分野に詳しい方であり、引き続きご尽力いただけると考えている」と話した。

 塩崎氏によると、厚労相在任期間は1066日で、坂口努氏(公明党)の1361日に次いで、歴代で2番目に長い。自民党議員では舛添要一氏の752日を超えており、「自民党では最長不倒距離」と笑顔を見せた。

 就任時には安倍首相から「医療、年金、労働制度を所管しており、岩盤のように硬い制度を打ち砕いてほしい」という指示をもらったと振り返り、「『成長と分配の好循環』と言っているが、分配である社会保障を守って行くには成長していかなくてはいけない。厚労省設置法3条に、『経済発展に寄与する』という言葉が入っている。高齢化、少子化、人口減少、労働人口の減少の中でも、皆様が地域で納得できる暮らしができるように、あらゆる改革をやっていくのが安倍内閣がやってきたこと」と振り返った。

 最後に力を入れた健康増進法改正案については、塩崎前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。法案提出が遅れている。

 塩崎氏は「科学的に被害があるということが証明されており、年間1万5000人が亡くなり、3000億円の医療費、国費ベースでは1200億円がかかっている。科学で、望まない受動喫煙を完全に排除する制度を作っていかなくてはいけない」と改めて強調。「どこの国でも簡単ではないということを学んだ」として、当初案ではパブとプライベートクラブは提供除外としながらも政府と議会が調整し、建物内禁煙を実現させたイギリスの例を出しながら、「どんなに山は高くてもちゃんと努力をすれば上れると思う。立場は変わるが厚労省と一緒に努力していきたい」と語った。

 最も思い出に残っていることを尋ねられると、2015年の国会対応を挙げた。労働者派遣法改正と、日本年金機構の情報漏洩で、「答弁回数がなんと3100回を超えた」と説明。「集中審議の連発だった。9月が終わって本当にほっとした」と振り返った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549720
受動喫煙防止対策で数値目標の扱い言及せず
加藤新厚労相、特に関心が高い「働き方改革」に全力

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 加藤勝信新厚労相は8月4日、就任後最初の閣議後記者会見に臨んだ。政府が今夏の閣議決定を目指している第3次がん対策推進基本計画に、受動喫煙防止の数値目標を盛り込むかどうかについて、「安倍総理からは受動喫煙防止対策を徹底して進めることを昨日の段階で言われている。それに沿って進めていく」と述べたものの、具体的な数字への言及を避けた。

 健康増進法改正案については、塩崎恭久前厚労相時代には、飲食店内は原則禁煙とし、30平方メートル以内のバーなどに限って例外を認める厚生労働省と、例外拡大を求める自民党が対立。この点についても、受動喫煙対策を徹底するとの安倍首相の指示を重ねて示し、「いろいろな所から意見が出てきている。それらを聞きながら、答えを出していく」と述べるにとどめた。

 厚労相として特に関心のある分野については、働き方改革担当大臣を第2次安倍内閣から引き続き務めることから、「まずは働き方改革に全力を挙げる」と述べた。継続審議となっている労働基準法改正案で、年収1075万円以上で高度な専門的知識を持つ場合に労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」と、時間外労働の上限規制を今秋の臨時国会で一括審議する政府方針については、「同じ労基法の改正について二つの法案が出てくると、それぞれ成立するときの状況も違ってくるし、混乱を招きかねない。これまで一つにまとめて議論してきており、それを踏まえて対応していく」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549587
医師の働き方改革とキャリア
新潟県立病院の勤務医「時間外勤務80時間超」は17人
県調査、2016年の長時間勤務の状況と改善策を発表

レポート 2017年8月4日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 新潟県病院局は8月3日、県立13病院の長時間勤務の状況と改善に向けた取り組みを発表した。7月3日にがんセンター新潟病院で長時間労働などが問題視され新潟労働基準監督署から是正勧告を受けたことに対する措置で、労基署には改善状況を報告した。管理職を除く常勤医師340人中、2016年度に時間外労働が「過労死ライン」とされる80時間以上の月があったのは17人(延べ43人)、100時間以上は6人(延べ13人)。改善策は、診療科内の業務平準化や複数主治医制の検討、時間外勤務の適正な管理などを挙げた。

県立がんセンター新潟病院
 時間外勤務は、時間外勤務手当の支給データを基に算出。7月6日の県議会では80時間以上が30人(延べ81人)、100時間以上が10人(延べ23人)と報告したが、これは県の所定労働時間である1日7時間45分、週38時間45分を超えた時間を計算したもので、今回は労基署の指摘に基づき、労働基準法に規定のある1日8時間、週40時間を基に計算した。

 改善に向けた取り組みは、(1)業務の平準化、(2)医師の業務軽減、(3)病院機能に対応した良質の医療の提供、(4)時間外勤務の適正な管理と意識啓発、(5)医師確保の一層の取り組み――から成る。(1)は、特定の医師への患者集中の是正や、時間外労働が多くなっている医師の宿日直を他の医師に代わってもらうことなど。(4)では、病院ごとに、週1回など定期的に時間外勤務の状況を各医師に通知して長時間勤務の抑制を図ったり、「36協定」や関係法令の周知徹底を図ったりする。

 もっとも、これらの改善策は、どの程度、実行可能かは疑問が残る。その上、労基署の是正勧告内容への対応として長時間労働の抑制を図るもので、医師の時間外労働の上限規制の議論で主要なテーマとなっている医師の特殊性や、「どこまでを労働時間として算定するか」といった内容には踏み込んでいない。労働時間算定の基準を示した内規はあるが、改定などの具体的な検討は始めておらず、県病院局総務課参事の原田正則氏は「国の働き方改革の議論を注視しながら、どのように動くのかということになる」と述べた。

調査結果は以下の通り。

【長時間勤務の状況】
(非管理職の常勤医師340人、かっこ内は延べ人数。)
【80時間以上】
病院別:中央病院4(6)、十日町病院4(6)、がんセンター新潟病院3(8)、新発田病院6(23)
診療科別:内科6(20)、小児科1(1)、外科6(14)、整形外科4(8)
【100時間以上】
病院別:新発田病院4(11)、がんセンター新潟病院1(1)、中央病院1(1)
診療科別:内科3(9)、外科2(2)、整形外科1(2)
【長時間勤務の内容と要因】
(「年間」の時間は、非管理職の常勤医師340人の時間外労働時間の合計で、総計は4209時間)
入院患者診療(急変等):年間2288時間(54.4%)
当該診療科において重症患者が多く、勤務時間外に急変時診療の回数が多いこと。
診療科間、医師間における業務量の偏りがあること。
当該医師が主治医となった患者に重症患者が多いこと。
当該診療科(病態)の担当医が不足していること。
外来患者が多いことなどにより、入院患者の診療が勤務時間外になってしまうこと。
急患診療:年間944時間(22.4%)
急患が多いこと。
常勤医師数が絶対的に不足していること。
手術:355時間(8.4%)
当該診療科において手術件数が多いこと。
診断書等の作成:321時間(7.6%)
診療や手術以外の準備、記録作成などの業務が多いこと。
その他:301時間(7.2%)
周辺医療機関からの紹介患者が多いこと。
勤務時間にかかわらず患者の治療を優先。
若手医師が経験を積むために多くの症例や実技に参画していること。また、多くの若手医師が経験できるよう、時間外に指導に当たっていること。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549316
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外労働の上限規制、年明けにも中間整理
厚労省の検討会始まる 、最終結論は2018年度内

レポート 2017年8月2日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は8月2日、「医師の働き方改革に関する検討会」の第1回会議を開き、医師の時間外労働の上限規制の在り方や勤務実態、勤務環境改善策などについての検討を始めた。塩崎恭久厚労相が会議の冒頭、「医師の時間外労働の上限規制について、特例の在り方を議論していただくのが目的。具体的な勤務環境改善策を推進することで医療の生産性を高め、提供する医療の質の維持向上をしながら、働き方を改善するのも重要だ」と挨拶した。

 座長には、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏が就任、年明けには中間整理を行い、最終的な結論は、2018年度内に得る予定。

 政府が3月28日にまとめた「働き方改革実行計画」で、時間外労働に罰則付きの上限規制を設ける方向性が示された。医師に関しては2年後を目処に規制の具体的な在り方や労働時間の短縮などについての結論を得るととともに、改正法施行から規制の適用まで5年間の猶予期間を設けるとされたことを踏まえ、本検討会では議論を進める。

 検討会の構成員は、医療団体の幹部や医療法人の経営者、勤務医、労働法の研究者、病院経営コンサルタント、看護師、労働組合など、さまざまな分野から集められた。2日の会議では、各構成員が順に現状認識などの見解を述べた。主な意見は次の通り。

【日本医師会常任理事・市川朝洋氏】
 医師の働き方を論じる上で大切なのは、できることから始めることではないか。将来の議論は大切だが、まず医療界として自主的な改善を進め、その着地点を予想しつつ、医師の特殊性を踏まえた将来の在り方について考えるべきではないか。応招義務に加え、自己研鑽や高い職業意識、倫理観などの特殊性により、長時間労働、連続勤務、労働時間の突発的な変動、労働時間の解釈の違いが起こり、その結果、労働時間管理や健康管理の難しさが生じている。これが一番の問題点であり、一般労働者と違う点であると考えている。日医の働き方改革の目的は長時間労働の是正ではなく、勤務医の健康を守りつつ、地域医療を守っていくことだ。医師に対する安全衛生体制全般にも目を向けて対応していく必要がある。

【千葉大学医学部附属病院院長・山本修一氏】
 多くの大学病院も労働基準監督署から指導を受けている。全国医学部長病院長会議でも危機感を持ち、医師の労務管理についての検討を進めている。大学病院の特殊性としては診療の他に教育と研究というミッションがあり、それらがモザイク状に絡み合って切り分けられず、問題を複雑にしている。大学教員の場合、通常は教育と研究が主体の場合には裁量労働制が採られている。基礎系の教員は裁量労働で、臨床型の場合は診療が入るので裁量労働になじまない部分がある。どこからどこまでが上限規制の対象になるかということも、この検討会での議論を踏まえて全国医学部長病院長会議で検討したい。

【福岡県済生会福岡総合病院名誉院長・岡留健一郎氏】
 病院の勤務医は管理者と労使協定を結んでいるのかどうか。全然結んだことがなく、「36協定って何だ」と、近年こういう議論が出てきて初めて知ることになった。医師の労働者性ということが根本的に問われる時代であるとともに、労働管理について、オンなのかオフなのかをきちんと定義付けていかないといけない。そのためには現在の医師がどういう働き方をしているか、実態調査をすることが必要だ。

【東北大学環境・安全推進センター教授・黒澤一氏】
 東北大学病院では時間外労働が月80時間を超えると強制的に面談をしているが、その内容を見ると、目の前に患者がいれば診なければいけない現状がある。コメディカルに業務負担を移したり、産業医が業務の内容を仕分けたりしているが、それでも患者は来る。地域で基幹病院にしても大学病院にしても、そこしか診るところがない。また、大学の給料だけではやっていけず、大学で80時間働いた後、アルバイトで当直に行く分の管理ができていない。当病院は産業医がいるが、いないところも多い。疲れた医師、過労死になりそうな医師を見付けて「休め」と言う人がいないことも、問題だと思う。

【順天堂大学医学部附属順天堂医院 医師・猪俣武範氏 】
 質の高い医療と、職場環境の確保が必要だ。医師には医学生や市民の教育、研究、病院の経営など多岐にわたる仕事があり、自己研鑽や学会への参加も重要だ。それに対して画一的な労働規制をするべきではない。多様な仕事をこなす上での環境は整理すべきだ。

【ハイズ株式会社代表取締役社長・裴英洙氏】
 私は元外科医で、今は病院経営のコンサルティング会社を経営している。医師が提供する価値は量と質のかけ算だと考えている。つまり、労働時間と生産性だ。今回は働き方改革ということで、「働く時間改革」ではないと思う。時間の議論は当然ながら、時間を減らして、どのようにしたら質が上がっていくのかという議論もセットで考えないと、時間を減らすだけでは提供する価値が下がってしまい、患者や地域にマイナスになる。

【全日本自治団体労働組合総合労働局長・森本正宏氏】
 医師が他の職種と違って長時間労働が過労死にはつながらない、などということはあり得ない。どのように働き方を変えれば長時間労働を抑えられるのかということや、応招義務に対して個人ではなく組織的に対応できる体制を作っていくのかを検討していきたい。



http://www.sankei.com/region/news/170805/rgn1708050065-n1.html
新潟市民病院、医師の増員検討
2017.8.5 07:10 産經新聞

 新潟市の篠田昭市長は4日の記者会見で、新潟市民病院(同市中央区)の医師の長時間労働を是正するため今年度中に産婦人科などの医師を増やす方向で検討していると明らかにした。

 篠田市長は「(労働環境が)厳しい部分がある産婦人科などは、新潟大医学部にお願いするなどで医師の増員を検討したい」と述べた。同病院では昨年1月、女性の研修医が過労が原因で自殺し、新潟労働基準監督署が今年6月、改善を求める是正勧告を行った。



http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/121769
2年分で18億円 沖縄の県立病院、当直医師の残業代支払いへ
2017年8月2日 07:43沖縄タイムス

 沖縄県立病院の当直医師らへの時間外勤務手当の未払い問題で、県病院事業局(伊江朝次局長)は全6病院での未払い額が2015年度と16年度の合計で約18億6千万円に上ると概算し、該当者に相当分を支払う準備を進めていることが1日までに分かった。同局は「労働基準監督署からの勧告内容を精査し、従う方針を決めた。できるだけ早く支払い手続きを進めていきたい」と説明。財源を見極めながら、県議会9月定例会での予算補正を含め、早めに対応したい考えだ。(社会部・石川亮太)

 同問題では昨年8月に北部病院が、同11月に北部病院と南部医療センター・こども医療センターが、労基署から過去2年分の未払い賃金を支払うよう是正勧告を受けた。同局は全県立病院で共通した給与の取り扱いがあるとして、全6病院に15、16年度の当直医師の人数と未払い額の報告を求めていた。

 7月21日、債務者である各病院長が債権者の医師らに対して債務があることを認める承認をし、同日からさかのぼって過去2年分の支払期間を確定させた。公務員の給与請求権の時効は労働基準法で2年間と定められており、実際の支払額は概算額より少なくなる見込みだ。

 対象の医師らは延べ830人。病院別で最も報告額が多かったのは南部医療センターで約5億9千万円。最も少ない精和病院で約5700万円となっている。

 当直医師は午後5時から翌日午前8時半までの15時間半、救急対応などに当たる。未払いの背景には1972年に当時の厚生部長から各県立病院長に出された内部通知を受け、拘束時間のうち8時間を勤務とみなし、1時間当たり2・5割増で支給する「慣例」があった。

 県職員給与条例、規則では時間帯によって平日、土日・祝日は2・5~6割、時間外勤務が月60時間を超えた場合は最大7・5割の割増賃金を設定。労基署はこれに対し、拘束時間中は救急対応に備えた「待機」で勤務の一環であり、適切な割増賃金を支払うべきだと指摘していた。

 同局は6月30日、伊江局長名で同通知を廃止。7月分からは実質的な休憩時間を省いた時間外手当を支給している。



https://mainichi.jp/articles/20170803/ddm/002/040/142000c
医師の残業
医療機関と労組、規制賛否 厚労省検討会

毎日新聞2017年8月3日 東京朝刊

 厚生労働省は2日、医師の「働き方改革」に関する検討会の初会合を開いた。残業時間の上限規制を巡り、医療関係者の委員から「極端な規制は地域医療を崩壊させる恐れがある」と慎重論が出た一方、労働組合の委員は「医師であっても労働者だ」と主張、意見が対立した。

 政府は3月に策定した働き方改革実行計画で「最長で月0時間未満」などと定めた残業上限規制について、正当な理由なしに診療を拒めない「応招義務」があるとして医師への適用を5年間猶予している。検討会は規制のあり方を議論、再来年をめどに結論を出す方針。

 検討会では、堺市の「社会医療法人ペガサス」の馬場武彦理事長が「医師の勤務には自己研さんの面があり、制限されることに不満を持つ医師もいる。慎重な対応をお願いしたい」と述べた。連合の村上陽子・総合労働局長は「医師は特殊性もあるが、紛れもなく労働者で同じ人間だ。知恵を出し合って検討を進めるべきだ」として、残業上限規制を導入すべきだと主張した。

 昨年1月には新潟市民病院(新潟市)に勤務していた研修医が過労自殺。厚労省によると、2016年度に過労死や過労自殺(未遂含む)で労災認定された医師は4人に上る。

 厚労省が昨年12月に実施、医師約1万6000人から回答を得た調査では勤務医のうち、男性の約4割、女性の約3割で1週間の労働時間が60時間を超えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/549410
不採算地区での医師確保「財政措置の充実を」総務省研究会
独法化病院、経常収支悪化の背景に繰入金減少

2017年8月3日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第6回会合が8月2日に開催され、研究会の報告書の内容について議論。「不採算地区において、医師確保に係る財政措置の充実について検討」といった文言が盛り込まれることなどで大筋で合意した。

 地方独立行政法人化した公立病院で2012年度以降に経常収支比率が悪化傾向にあることについては、経営改善に伴い自治体から繰入金減少が主たる原因と考えられると事務局から説明があった。

 事務局が提示した報告書骨子案では大きく分けて【現状・課題】と【今後の公立病院経営に向けた提言】の2部構成になっている。

後半部の構成は、下記の通り。
1.病院マネジメントの観点からの経営手段の充実
(1)公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成
(2)公立病院の経営指標の「見える化」と地域における経営展望の理解促進
(3)経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開
2.公立病院に対する財政的・制度的支援
(1)地域医療確保のための財政支援
 〔1〕不採算地区における医療を確保するための必要な措置
 〔2〕近年の資材単価等の動向を勘案した、公立病院の施設整備に関する措置
(2)地域医療構想を踏まえた多様な形態の再編・ネットワーク化の推進
 〔1〕多様な再編に向けた病院事業債(特別分)の活用促進
 〔2〕医療と介護の連携のために必要な措置
(3)経営形態の見直しを支援する制度運用上の対応

 2.-(1)-〔1〕では、「医師確保の重要性に鑑み、医師確保対策に係る財政措置の充実について検討」という記述が盛り込まれた。北海道奈井江町長の北良治氏は「医師確保に対して深い理解が書かれたことに敬意と感謝を示す。看護師、薬剤師の確保も重要であり「等」としてほしい」と要望した。

 骨子案で大筋合意し、今後の研究会で細部を詰めていく。

独法化病院、経常収支悪化は「繰入金の減少」
 前回の会議で示された独法化した病院の経常収支比率が、2009年度の104.3%から2015年度には100.1%に悪化しているという資料について、分析結果を事務局が説明した(『不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会』を参照)。医業収支に限定して見ると、2012年度までの上昇傾向を経て、2013年度に減少しその後は横ばいで推移していた。

 一方で、経常収益に対する自治体からの運営費繰入金の割合は2009年度の18.8%から2015年度は12.5%に減少していた。その理由を事務局が自治体に聞き取りをしたところ、収支改善により収支差を埋める運営費繰入金が減少していることが判明した。指定管理者制度でも、2009年度の9.0%から2015年度には6.3%に減少していた。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20170802338434.html
上越の新潟労災病院160床休止
医師減少、稼働200床に

2017/08/02 10:49 新潟日報

 上越市東雲町の新潟労災病院は31日までに、稼働する病床数を200床に減らした。同病院の使用許可病床数は360床だが、常勤医の減少に伴い、160床の休止を決めた。

 新潟労災病院の常勤医は現在20人。昨年9月以降、麻酔医や外科医、泌尿器科医、消化器内科医の常勤医が相次いで異動や退職などしている。

 これに伴い、新潟労災病院は昨年9月とことし4月に2病棟の病床を休止。さらに7月1日、病院運営上の理由から病床削減を行い、計200床とした。現在稼働している機能別病床数は、病気やけがをしたばかりの患者を受け入れる「急性期」157床と、リハビリを重点的に行い、在宅復帰を目指す「回復期リハビリテーション」43床。

 沢野貴博事務局長は、新潟日報社の取材に「医師の退職に伴い、入院患者を受け入れることができなくなった。現在、関係する大学や民間業者などを通じて医師確保に努めており、確保できれば再度、病床を増やしたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/548891
「6つの医師確保対策」、第7次医療計画の厚労省通知
医学部地域枠は原則地元出身者、医師DBも構築

レポート 2017年8月1日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は7月31日、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定したり、医師の配置が把握できるデータベース(DB)の構築など、計6つの柱から成る医師確保対策を盛り込んだ、医療計画に関する通知を都道府県に発出した。2018年度からの第7次医療計画の関連通知は2017年3月31日付で出されていたが、医師確保対策は盛り込まれておらず、社会保障審議会医療部会などで議論、了承された内容を今回の通知で追加した(『医学部地域枠は「地元出身者に限定」、例外も』を参照)。

 医学部地域枠の入学生については、修学資金を貸与する都道府県の地元出身者を原則とし、特に修学資金貸与事業における就業義務年限については、自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)として、地域医療支援センターが当該医師のキャリア形成プログラムを策定する。社保審医療部会では、他の都道府県の大学医学部に地域枠を設ける場合の扱いが議論になった。通知では、こうしたケースも認めるものの、卒業後の臨床研修は出身地の都道府県で受けるほか、勤務地や診療科を限定するキャリア形成プログラムとする。

 都道府県は、地域医療対策協議会において、これらの点を踏まえた医師確保対策を議論、第7次医療計画で地域医療支援センターの事業内容を定めることになる。

【地域医療支援センター事業等の記載にすべき事項】

(地域枠およびキャリア形成プログラムについて)

ア:大学所在地都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、地域枠の入学生は、原則として、地元出身者に限定。特に、修学資金貸与事業における就業義務年限については、対象者間のばらつきを全国で是正するため、同様の枠組みである自治医科大学と同程度の就業義務年限(貸与期間の1.5倍)とし、これを前提として「イ」に規定するキャリア形成プログラムを策定。

イ:地域枠医師の増加等に対応し、医師のキャリア形成が確保された医師確保が進められるよう、以下の点に留意して、キャリア形成プログラムを必ず策定。

・医師のキャリア形成に関する知見を得ることや、重複派遣を防止するなど医師確保の観点から大学(医学部・附属病院)による医師派遣と整合的な医師派遣を実施することができるよう、キャリア形成プログラムを策定する際には、大学(医学部・附属病院)と十分連携すること。

・大学所在都道府県における臨床研修修了者は、臨床研修修了後、大学所在都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置付けること。

・医師が不足する地域や診療科における医師を確保するという医学部定員の暫定増の本来の趣旨に鑑み、キャリア形成プログラムにおいて、勤務地や診療科を限定すること。

・特段の理由なく、特定の開設主体に派遣先が偏らないようなキャリア形成プログラムとすること。

・出産、育児、家族の介護の場合や、事前に想定できないやむを得ない特段の事情が生じた場合には、キャリア形成プログラムの内容の変更等について、柔軟に対応できるようにすること。
(医師の勤務負担軽減について)

ウ:医師の勤務負担軽減に配慮した地域医療センターの派遣調整等。

・グループ診療を可能にするよう、同一の医療機関に同時に複数の医師を派遣したり、他の病院から代診医師を派遣するよう斡旋したりすること。

・へき地以外でも代診医師の派遣や遠隔での診療が進むように支援すること。

・地域医療支援センターが医師を派遣する医療機関における勤務環境改善を進めるため、例えば次のような方法により、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターが連携すること。
 
派遣前:医療勤務環境改善支援センターが、派遣候補となっている医療機関の勤務環境を確認し、勤務環境の改善につながるような助言等を行うこと。

派遣後:地域医療支援センターが派遣医師から継続的に勤務環境等について聴取し、課題等を把握した場合は、医療勤務環境改善支援センターが勤務環境を再度確認し、その改善につながるような助言等を行うこと。
(へき地の医師確保について)

エ:地域医療支援センターによるへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地に所在する医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含めた一体的な医師確保を実施。
(その他)

オ:詳細な医師の配置状況を把握できる新たなデータベースの医師確保への活用

カ:地域医療支援センターの取り組みの認知度向上や医師確保対策の実効性向上のため、SNS等の活用や、医師確保対策に若手医師の主体的な参画を促すなど、若手医師へのアプローチを強化。


  1. 2017/08/05(土) 17:14:43|
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Google Newsでみる医師不足 2017年7月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年7月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 6,500
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 19,300
First 5 in Google in English 


Doctor Shortage In Rural Arizona Sparks Another Crisis In 'Forgotten America'
NPR‎ - July 14, 20171:18 PM ET (米国アリゾナ州)

For Heather Gijanto, going to the doctor means taking a day off work and driving at least 60 miles round trip from her home in McNeal, Ariz., to the town of Bisbee. And that is assuming there is a primary care doctor available in Bisbee to get her in.

"You select one doctor and then you find out a few months later that that doctor is no longer going to be available," Gijanto says. "So then you have to start the whole process over again. And then you find that doctor and, for whatever reason, that doctor leaves as well."


OP-ED SUBMISSION: Medical schools can solve Canada's rural doctor shortage.
The News‎ - Published on July 28, 2017 (カナダ)

OP-ED SUBMISSION: Medical schools can solve Canada's rural doctor shortage ... Canada is short primary care doctors in part because graduates of Canadian medical schools are growing more reluctant to pursue careers in family medicine. Just one-third of Canadian medical graduates go into primary care.


Doctor shortage affecting NHS crisis care
Scottish Daily Record‎ - 11:08, 28 JUL 2017 (英国スコットランド)

Crisis mental health support for Perth and Kinross will continue to be based in Dundee for the next six months because of a shortage of doctors. The shortfall specifically affects the out of hours arrangement which had been sited at Murray Royal Hospital until February of this year. But an ongoing lack of junior doctors to cover the service means it is now facing being out of the area for at least a year.


New UW program aims to fill a rural doctor shortage
WQOW TV News 18‎ - Jul 24, 2017 6:20 PM JST (米国ウィスコンシン州)

Madison (WKOW) -- A brand-new, first-of-its-kind program at the UW School of Medicine and Public Health is aiming to fill a shortage of doctors in rural areas. Experts predict Wisconsin could be facing a shortage of up to four-thousand doctors by the year 2035. The problem is even more extreme in rural areas and in women's health care.


Georgia Looks To Grenada To Help Ease Doctor Shortage
WABE 90.1 FM‎ - JUL 14, 2017 (米国ジョージア州)

Georgia is taking steps to address its ongoing doctor shortage. Recently, the state's composite medical board decided to let students from St. George's University in Grenada finish their clinical training in Georgia. It's part of an effort to get more primary care physicians to practice in underserved areas.


(他に10位以内のニュースは、米国 (全米、ミシガン州)、カナダ、日本、オーストラリア、からも)



日本の記事
https://asia.nikkei.com/magazine/20170720/Tech-Science/AI-and-deep-learning-could-help-alleviate-a-doctor-shortage-in-Japan
AI and deep learning could help alleviate a doctor shortage in Japan
July 20, 2017 10:00 am JST NIKKEI Asian Review

In the near future, doctors will be using diagnostic imaging technology that employs artificial intelligence to find abnormalities so small even the most knowlegable physician might miss them. Groups of physicians, major computer hardware companies and venture firms are competing to develop this kind of technology, fueling hope that it may help alleviate the shortage of physicians in specialized fields.
(AIによる診断技術の進歩が医師不足を緩和する)



  1. 2017/07/31(月) 18:28:01|
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