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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月15日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/615477
シリーズ 医師の働き方改革
「医師の労働と自己研鑽」、線引きの指針作成へ、全自病
今夏を目途、働き方改革や新専門医制度など4つが「重要課題」
 
2018年7月12日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国自治体病院協議会は7月12日に記者会見を開き、この6月に新たに会長に就任した小熊豊氏は、「変革の荒波が強く、自治体病院も苦しい状況に陥っているが、荒波に負けず、一歩一歩進んでいきたい。医療政策自体にはさまざまな課題があるが、しっかりと取り組んでいかなければならない」との抱負を述べた。全自病は、地域医療構想、医師確保・医師偏在解消、医師の働き方改革、消費税制度の改善――の4つの重要課題を中心に取り組んで行く方針。

 医師の働き方改革について、小熊氏は、「国の判断が出るのはまだ先になると思うが、自治体病院としてどう考えて、どのように対処していけばいいかを会員病院に提示できるような形でなるべく早く対応していきたい」と説明。具体的内容については、担当副会長の望月泉氏が説明。「医師の労働時間については、労働と自己研鑽をいかに切り分けるかが課題」と指摘し、その切り分けについて全自病では現在検討を進めており、考え方を整理し、ガイドライン的なものとして公表する予定だという。早ければ8月中にも取りまとめ、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」にも参考資料として提出する予定だ。

 小熊氏は会見で、自治体立病院を取り巻く環境として、「全自病の会員には、大都市の大きな病院と、地方の中小病院があるが、全体では200床以下が約半数。その上、政令指定都市と地方の拠点地域以外にある病院が約8割であり、これらの病院が大変な半面、大都市の自治体病院はその役割、存在意義が問われている」などと述べ、少しでも問題解決につなげていきたいとした。

 続いて副会長の原義人氏が、公明党の「自治体立病院対策推進プロジェクトチーム」について説明。この6月と7月に開催され、全自病として、先の4つの重要課題について考え方や要望などを述べたという。

 望月氏は、日本医師会が主導となり進めた「医師の働き方検討会議」のメンバーでもある(『松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」』を参照)。同提言について、「勤務医の環境を良くしたい一方、医療の質を落とさないという、両方のバランスが重要という視点からまとめたもの」と説明し、今の労働基準法が成立したのは1949年(昭和24年)であり、宿日直の定義は実態にそぐわないことから、今の病院事情に合った形で制度改正を行う必要性を指摘。

 さらに医師の労働時間と自己研鑽の切り分けも問題になるとした。「病院の中にいる時間が、全て労働というわけではない。若い医師ほど自己研鑽をしている。その辺りの切り分けをどうするかが課題」と述べ、両者の切り分けの例示なども交え、ガイドライン的なものの作成を進めていると説明した。「これら二つの課題の根底にあるのは、医療の質を落としてはいけないということ。そのためには、良質の医師を育てていかなければならず、こうした視点も重要」(望月氏)。

 新専門医制度「東京一極集中をさらに助長」

 新専門医制度について、原氏は、(1)東京一極集中をさらに助長、(2)診療科によっては既に深刻な影響、(3)期待された総合診療専攻医は184人(全体の2%)――が問題であると指摘した。「総合診療専門医については、スタートが遅れたことが影響しているのかもしれないが、われわれとしてはもう少し今後は増えてくる必要があると考えている」(原氏)。

 これらの課題解決に向けて、前全自病会長の邉見公雄氏が、日本専門機構の理事になっていることから、邉見氏を通じて働きかけていく方針。小熊氏は、「邉見氏は、医師の偏在解消に向け、シーリングの在り方など、直すべきところは直すべきと提言していくという。われわれはそれをサポートしていく」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/615193
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
松本・日医常任理事 、「過労死ライン超えた働き方も」
日医主導「医師の働き方検討会議」の意見書を説明
 
レポート 2018年7月11日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は7月11日の定例記者会見で、日医主導で開催した「医師の働き方検討会議」がまとめた意見書について説明し、「改革するべきはまず改革することが前提。医師に合った制度自体を検討するという発想だ」と基本的な考え方を述べた。時間外労働の上限設定については、「過労死ラインで設定すると、現時点では対応が難しく、地域医療が崩壊し、命を救える患者も救えない状況になる。過労死ラインを超えたような働き方も認めていただきたい」として、過労死ラインにとらわれない設定を慎重に検討する必要性を訴えた(関連記事は『時間外労働「医師の特別条項」など提言、日医主導会議』を参照)。

 意見書は次の13の項目で構成。まとめとして、「現行法令の枠に拘らない柔軟な議論を」と結んでいる。

  1 医師と医療の特殊性
  2 医師の健康確保対策
  3 医師の自己研鑽
  4 医師の宿日直
  5 院外オンコール待機
  6 長時間労働是正のための仕組み
  7 医師における専門業務型裁量労働制
  8 研修医等について
  9 第三者機関の設置
 10 女性医師支援
 11 地域住民における医療への理解
 12 労働関連法令の幅広い見直し・医事法制との整合性確保
 13 今後の進め方

上限設定には「非常に慎重な議論必要」

 「長時間労働是正のための仕組み」では、医師の時間外労働の上限について、「医師の特別条項」と、さらに「医師の特別条項の『特例』」を設けることを提言。具体的な時間は盛り込んでいないが、「医師の特別条項」は脳・心臓疾患の労災認定基準(いわゆる「過労死ライン」、発症前1カ月に100時間または2~6カ月間平均で月80時間)を基にし、それを超えざるを得ない場合の「医師の特別条項の『特例』」として、精神障害の労災認定基準(発病直前の1カ月に概ね160時間、または3週間で120時間などこれと同程度の時間外労働)や海外の事例を手がかりとして検討することを求めている。

 松本氏は、社会的な長時間労働抑制の潮流について、「確かにこれを求めるのは厳しいと認識している」と述べた上で、「現実的に医療現場の働き方を考えると、(1カ月の時間外労働が)160時間以上の医師も10%程度、200時間を超える医師も数%いる。どういった健康確保策をすれば、そういった働き方ができるのかも焦点だ」 と指摘。一方で、あまり上限を高いところに設定すると、改革が進まなくなることも懸念されるとして、「設定には非常に慎重な議論が必要だ」と述べた。

宿日直「現実に合わせた働き方、賃金を」

 「医師の宿日直」では、いわゆる「寝当直」に当たる「許可を受けた宿日直」(断続的・監視的労働で労働時間の適用除外)、と「通常業務と同じ宿日直」の間に「中間業務」を設けることを提案。全国医師ユニオンが2017年に実施した勤務医労働実態調査で、宿日直の業務内容が「通常よりは少ない」との回答が47.2%あったことから、試案として、「全拘束時間に占める労働時間が○%の場合に、全拘束時間の25%を勤務時間とし、それに相当する賃金を支払う」ことを示している。

松本氏はこの試案の意図として、昨今は「寝当直」よりは働いているが、通常業務よりは業務量が少ないような勤務の場合にも、全拘束時間分の賃金を支払うことを求められているが、「現状はAll or Noneの考え方になっている。現実に合わせた働き方や賃金もあるのでは、という提案だ」と説明した。当直明け勤務の負担軽減や、勤務間インターバルとの関係でどのような扱いをするかについては、今後の検討課題だとした。

 「医師の自己研鑽」では、「まずは『明らかな労働』と『純粋な自己研鑽』を明確化」した上で、これらの両方の側面を持つ活動の取り扱いについて、研鑽を妨げず、また健康にも配慮した制度を検討することを提案。これらの定義については厚生労働省医政局のガイドラインで明確化することを求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614775
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「緊急的な働き方改革」、実施は大学30.3%、大学以外26.8%
「36協定なし」病院も存在、「危機感を覚える」との指摘も
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は、7月9日の医師の働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の第8回会議で、今年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」についての自主的中間フォローアップ調査の結果を公表した。

 「緊急的な取組」について、院内での検討や具体的取り組みを「実施」したのは、大学病院30.3%、大学病院以外では26.8%、「今後実施を予定」は大学病院55.7%、大学病院以外33.7%。合計で大学病院86.0%、大学病院以外60.5%にとどまった。調査では、法定労働時間を超えて労働させる場合などに必要な「36協定」を締結していなかった病院もあるなど、医療現場での労働基準法への対応、労働環境改善の遅れが浮き彫りになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 構成員からは、「緊急的な取り組みとして打ち出したにもかかわらず、実施したのが3割や2割で満足しているのはどうか。『予定、検討中』などは、誰でも答えられる。(2月から調査時期までの)4カ月経っても、やってないのでは危機感がないと思う。この先、現状維持的になってしまうリスクがある」(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏)などと問題視する声が上がった。 

 調査は5月28日から6月11日にかけて、厚労省から、医療関係団体(全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、全国自治体病院協議会)を通じて、全国の病院管理者を対象に実施。調査対象は大学病院122件、大学病院以外が1071件。「緊急的な取組」は、以下の6項目(『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。全病院を対象としたフォローアップ調査は、今年10月頃に実施予定。

「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」
(1)労働時間管理の適正化
(2)「36協定」の自己点検
(3)既存の産業保健の仕組みの活用
(4)タスク・シフティング(業務の移管)の推進
(5)女性医師等に対する支援
(6)医療機関の状況に応じた取り組み

 (1)の「労働時間管理の適正化」のうち、「客観的な在院時間管理方法等の導入」は、「従前より実施している」病院(大学病院50件、大学病院以外565件)がある一方、いまだ導入していない病院のうち、「緊急的取組を受け導入」(同7件、同32件)は1割に満たず、「導入を予定または検討中」(同63件、同319件)、「導入の予定なし」(同1件、同102件)が大半で、病院による開きは大きい。

 「36協定等の自主点検」についても、「既に適正に適用しているため、自主点検の必要なしと判断」した病院(大学病院27件、大学病院以外296件)がある一方、それ以外の病院のうち、そもそも「未締結であったために、新たに締結・届出をした」(大学病院6件、大学病院以外22件)病院が存在した。

 タスクシフティング、一定程度進む

 医師の働き方改革では、医師の業務の看護師等へのタスクシフティングなども重要なテーマ。「緊急的な取組」にも盛り込まれており、その実施状況を見ると、10項目のうち、大学病院では最も多いのは「静脈採血」で122件中、116件、次が「静脈採血」で115件。一方、最も少ない「初診時の予診」でも42件。大学病院以外では最も多いのは「静脈採血」で1071件中、976件。最も少ない「診断書等の代行入力」でも497件であるなど、タスクシフティングは一定程度、進んでいる現状が分かった。

 「女性医師等の支援」について、「推進の予定なし」が大学病院3件、大学病院以外21件という結果に対しては、青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏が、「まだまだ必要な部分と改めて感じている」と述べ、管理者と現場レベルでそれぞれ何が障壁になっているかについて意見を聞く必要があると指摘した。

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は、調査結果を踏まえ、「こういう労働環境で医療が成り立っていることをまず理解いただければと思う」と述べるとともに、「一部、あまり考えてない方々もいるかもしれないが、恐らくは大多数はやりたくてもできない、身動き取れないという状況で、次の一手が打てない、ということもあるだろう」と理解を求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614699
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
大学病院の臨床系教員は「裁量労働制」を
2019年度概算要求見据え、国立大学附属病院長会議が要望公表
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信大西裕康(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は7月9日の記者会見で、国の2019年度予算概算要求を念頭に置いた要望として、「大学病院の臨床系教員に対する裁量労働制の適用」を含む計6項目を公表した。同会議の常置委員長を務める山本修一氏(千葉大学医学部附属病院病院長)は、「関係者への説明を始めている」と説明した。

 要望事項は下記の6項目。

 (1) 国立大学附属病院の機能維持と事業の継続性確保
 (2) 大学病院関係予算の確保・充実
 (3) 消費税補填不足に対する抜本的な対応
 (4) 地域医療構想の実現に向けた財政支援
 (5) 大学病院の医療安全等の強化に向けた支援の充実
 (6) 大学病院の臨床系教員の働き方改革

 (6)では、臨床系教員への裁量労働制適用のほか、「客観的な勤怠管理の仕組み導入」「職員の健康管理の徹底」「タスク・シフティングの推進にかかる支援」を挙げた。(4)では、大学病院が地域の拠点としての機能を維持・充実させるため、地域医療構想の実現に向けた積極的な取り組みに対する財政的な支援を要望。(5)では、医療安全管理を専門とした医師などを安定的に確保するための仕組みやサポート体制の構築を求めた。

 (1)には2004年度に国の管理から国立大学法人へと移行した際に承継した、債務に関する財政措置や大学病院の借入金償還額に対する財政支援を盛り込んだ。(2)では、減額傾向にある運営費交付金について、「病院機能強化分」として充実を図るよう要請。(3)では2019年10月に消費税率10%への引き上げが予定されていることを取り上げ、「特定機能病院に対する診療報酬による適切な評価」や「非課税還付などの仕組み導入」「消費税補填不足の解決に向けた抜本的な対応」の必要性を指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614698
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
国立大学病院の借金返済、2020年度に滞る?
「今そこにある危機」、国立大学附属病院長会議が試算公表
 
レポート 2018年7月10日 (火)配信大西裕康(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は7月9日の記者会見で、国立大学附属病院の収益構造が悪化し2020年度には借入金の返済が滞る可能性が生じるとの試算結果を公表した。同会議の常置委員長を務める山本修一氏(千葉大学附属病院病院長)は会見で、「冗談では済まない話だ。すぐそこにある危機とわれわれは認識している」と述べた。より具体的なシミュレーション結果などをまとめ次第、文部科学省などの関係省庁や国会議員などに説明する機会を求める考え。

 試算では、全45病院(歯科系2病院、研究所附属の1病院を含む)における借入金の実績に基づき、機能を維持するための借入金見込み額、毎年度の収支差額から投資などに使うことができる資金として「経常利益と減価償却費」(借入金整備分)などを算出し、借入金償還額の見込み額と比較した。その結果、2020年度の借入金見込み額は600億円で、借入償還額である621億円を下回った。2020年度以降も、2028年度までこの逆転現象が続くとの予測だ(図1参照)。

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図1(国立大学附属病院長会議提供)

 その最大の原因は増収減益傾向が続いている状況だ。各病院が診療の機能強化などに取り組んだ結果として収入が増えている一方、国の運営費交付金は減り続け、高額薬剤の使用や医療材料の上昇などの診療経費が増加、消費税率8%への引き上げによる負担も増している。同日の会見で公表した資料によると、運営費交付金は2017年度が45病院全体で1216億円と2010年度比で183億円減った。2017年度の診療経費は、2010年度比1751億円増の7221億円にまで膨らんでいる。

 消費税負担については、8%に上がった2014年度からの4年間で累積748億円が補填不足との試算を報告。山本氏は、「現状のまま10%に上がれば、さらに年間100億円超の負担増になる」と説明。「経営が成り立たないことは明確。抜本的な見直しを強く求める」とも述べた。

2017年度は赤字6病院、3病院は2年連続

 同日の会見では、国立大学附属病院の2017年度決算概要も公表。全45病院中、赤字は6病院で、うち3病院は2年連続の赤字だった。全体の収益は1兆3006億円(前年度比422億円増)、人件費、診療経費、教育研究費などを合わせた支出は1兆2710億円(同439億円増)、経常利益は296億円(同18億円減)。

働き方改革で人件費増を懸念

 人件費については、医師の働き方改革に関する結論次第で増加するとの懸念を表明。山本氏は、医師の労働時間に関する規制について、2019年3月までに結論が出ることに触れつつ、「正直、現状は十分に(残業代など)その辺りが手当てできておらず、客観的な勤怠管理ができているとは言えない」と指摘。その上で、「現状の診療内容を維持しつつ、労働時間規制を守るとなると、医師を増やさなければならないなど、人件費の増加要因の方が多くなるのではないかと懸念している」と述べた。

 国立大学附属病院における人件費は、2017年度が4900億円と2010年度比で1095億円増。一方、収益に占める人件費率は2017年度が44.4%と、2010年度比では0.4ポイント減になるなど、ほぼ横ばい状態が続いている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/614502
倉敷市のまび記念病院、患者・職員ら救出完了、西日本豪雨
DMATは81隊が展開、9日午前5時時点
 
レポート 2018年7月9日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 西日本豪雨について厚生労働省がまとめた7月9日午前5時時点 の被害状況によると、岡山県倉敷市真備町のまび記念病院が一時は孤立状態にあったが患者は他院へ転送、職員と住民も全員が救出された。その他、長崎、京都、福岡、広島、愛媛の各府県で医療機関に被害が出ている。

 DMATは岡山、広島、兵庫、高知、島根、鳥取、愛媛、香川、徳島、福岡、山口の11県で81隊が活動、または移動中。全日本病院協会によると、全日本病院医療支援班(AMAT)は先遣隊が岡山県に2チーム、愛媛県に1チーム入って情報を収集し、後続隊派遣の必要性を判断する。日本医師会のJMAT(日本医師会災害医療チーム)に対しては、岡山県から9日に派遣要請があり、今後派遣を検討する。

 その他の主な被害状況は次の通り。

◆医療機関
岡山県:倉敷市のまび記念病院で停電、断水、ガス停止、電話不通、床上浸水。患者、職員、避難住民は救出、転院を完了。
京都府:亀岡市の1診療所で床下浸水があるが、診療可能。1病院が冠水のため孤立していたが、道路が開通し解消。
広島県:1病院で水が不足したため1人を転院搬送。1病院で停電があるが自家発電機で対応中。27医療機関で断水があるが、うち15医療機関で貯水槽により対応中。
愛媛県:1病院で停電があったが、1病院は電源車で対応中。1病院で停電があったが復旧、水不足に対し応急給水手配中。2病院で職員不足があり、診療支援のためDMATを派遣。

◆精神科病院など
広島、岡山両県でDPAT(災害派遣精神医療チーム)調整本部設置。
広島県:広島市の1病院で床上浸水、患者を別棟に移動、診療可能。1病院が河川氾濫で周辺道路が浸水したが、孤立状況ではなく、給水等の支援を受けているところ、7日に念のため4人の患者をDPATが別の病院へ搬送協力。病院被害なし。
岡山県:高梁市の1病院で断水、応急給水で対応、9日以降に食糧不足の懸念があったが、他病院から救援物資などを受け、数日は心配なし。医療的な問題なし。



https://www.m3.com/news/iryoishin/615608
「岡山・真備の医療が壊滅状態」、松山・岡山県医師会長
被災者健康支援連絡協議会、「平成30年7月豪雨」受け開催
 
レポート 2018年7月13日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会をはじめ、医療関係の21組織(40団体)で組織する、「被災者健康支援連絡協議会」が7月13日、日本医師会館で開催され、岡山県医師会会長の松山正春氏は、「岡山・真備の医療が壊滅状態であり、いかに復旧して、住民に戻っていただくかが一番の課題」として、全国の関係者に支援を要請した。

 松山氏のほか、広島県医師会会長の平松恵一氏、愛媛県医師会会長の村上博氏が、テレビ会議システムを通じて参加。JMAT(日医災害医療チーム)を日医に要請したのは、今のところ岡山県のみ。ただ豪雨から約1週間が過ぎ、3県からいずれも、避難生活の長期化と暑さに伴う被災者の健康被害を懸念する声が上がり、感染症、DVT(深部静脈血栓症)、不眠への対策や、心のケアなど、多角的かつ継続的な支援の必要性が浮き彫りになった。また医療機関については、建物は使用可能でも、上下水道設備が被害を受け、断水が続き、平松氏と村上氏は、異口同音に「水の供給が最大の優先事項」と訴えた。

 岡山県倉敷市真備町は、「平成30年7月豪雨」で甚大な被害を受けた地域。11の医療機関のうち、精神病院は水の確保に苦慮しているものの診療は可能だが、患者が全員避難した「まび記念病院」と9つの診療所は診療不能の状態だ。真備町の多くの住民も、「12日現在で44カ所、約3600人が避難生活を送っている」(松山氏)ため、11日に日医に対し、JMATの派遣を要請。日医は12日、岡山県医師会による2チーム、他都道府県からのJMAT6チーム、常時8チーム体制で、14日から2週間派遣することを決定した。13日から福岡県医師会のJMATが現地入りし、統括JMATの兵庫県医師会が14日から活動する予定。

 平松氏は、「多くの医療機関は断水による水不足にあるが、懸命の努力により、必要な診療機能は確保している」と説明。広島県医師会によるJMATで今のところ対応しているものの、「避難所生活の長期化に伴い、暑さなどもあり、医療ニーズがどう変化していくか。県内チームで対応できなくなった場合には日医に対応を依頼することもあり得る」と述べた。

 村上氏は、「7月11日の17時時点で、診療所は8施設が断水で診療不能、病院は全て診療可能。おおむね機能回復の過程あるものの、職員の被災に伴う人員不足、上下水道の復旧の遅れがあり、水提供の支援が必要」と状況を説明。JMATについては、愛媛県医師会で対応しており、他都道府県への派遣要請は今のところない見通しだという。

 その他、松山氏は、医療費の窓口負担の対応に苦慮している現状を説明。厚生労働省は7月12日、「平成 30 年7月豪雨」による被災者に係る一部負担金等の取り扱いについて、事務連絡を発出している(資料は、厚労省のホームページ)。

 まび記念病院、患者等329人を救出

 「被災者健康支援連絡協議会」は、2011年の東日本大震災を機に発足。2016年の熊本地震の際にも開催された。今回は「平成30年7月豪雨」を受けての開催で、被災各県の医師会から現状の説明を受けるとともに、厚労省や同協議会の参加団体が現状および支援状況を説明した。

 同協議会の代表を務める日医会長の横倉義武氏は、会議の冒頭、「被災されている方々の生活が1日も早く改善し、より良い生活ができるように関係団体と行政が連携することが必要」とあいさつ。

 松山氏は7月6日からの豪雨の状況を説明。7月7日の午前中に、県内の24の各郡市医師会会長と連絡を取って、被災状況を確認したという。「一部の病院が被害を受けたとは聞いたが、まだ確実ではなく、これほどとは思っていなかった」(松山氏)。その後、まび記念病院が冠水し、孤立しているという情報が入り、透析患者などの搬送のため、DMAT派遣を要請したが、病院にたどり着けず、自衛隊等に救助要請をし、月8日中に搬送を終えた。同じく7月8日に、県医師会内に災害対策本部を設置し、対応に取り組んできたと説明した。

 岡山県医師会としては、JMATを2チーム派遣。「7月12日現在で44カ所、約3600人が避難生活を送っている。確認されていない自主的な避難などもあり、その確認も急がなければならない」(松山氏)。避難所は当初は暑さが問題になっていたが、クーラーの設置が進み、今は避難生活の長期化に伴い、被災者の医療ニーズが変化してきているとした。また避難所にいても、日中は自宅に戻り、後片付けなどを行い、その際に負傷するケースもあるという。医薬品についても最初は「お薬手帳」がなく、服用薬確認に苦労したものの、今は倉敷市保健所に仮設薬局が設置され、災害処方箋調剤に対応している。現在は、冒頭のように「岡山・真備」の医療復旧が課題であるとした。

 倉敷市で病院等を運営、岡山県医師会理事を務めていた日医常任理事の江澤和彦氏は、協議会後の記者会見でまび記念病院と介護老人保健施設「ライフタウンまび」の避難状況を説明した。7月8日の朝の時点で、下記の患者・職員が残っており、住民も病院に避難したため、江澤氏が「病院では、日曜日(8日)で食料と水が尽きてしまい、全員を搬出することがミッションだった」と説明。自衛隊と消防署がボートで患者等を救出しても、ボートから陸路で各病院に搬送する際に手立てがなく、急きょ、各民間病院が持つ救急車なども出動して患者搬送に当たったという。病院の患者は倉敷市内の複数の医療機関に、介護老人保健施設の入所者は、母体の倉敷成人病センターなどにそれぞれ搬送された。7月8日から搬送作業が始まり、「まび記念病院の患者等は8日の午後8時30分頃までに、ライフタウンまびの入所者等は午後3時頃までに全員を救出した」(江澤氏)。

◆まび記念病院からの救出者
・計329人:患者76人、職員25人、避難住民212人、併設のサービス付高齢者住宅入居者等16人

◆「ライフタウンまび」からの救出者
・計75人:入所者54人、職員6人、併設のサービス付高齢者住宅入居者9人、避難住民6人



https://www.m3.com/news/iryoishin/613354
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「時間外上限300時間」報道の国循、勤務実態は!?-小林順二郎・国立循環器病研究センター病院長に聞く◆Vol.1
労災申請に報道、「2回の波」があった
 
レポート 2018年7月8日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 2017年9月に、時間外勤務・休日勤務に関する労使協定(いわゆる「36協定」)で特別な場合の1カ月の時間外勤務の上限を300時間と設定していることが報じられた国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)。批判を浴びたこともあり、同年10月1日付で上限を100時間とする協定を結び直したのだが、では実際に現場の医師の勤務はどのようなものだったのか。院長の小林順二郎氏に聞いた(2018年6月14日にインタビュー。全2回の連載)。

――上限が300時間であれば、時間外勤務がこれに達してしまうことはないと思いますが、100時間とすると超えてしまうこともありうるのではないでしょうか。
 それが、その前後では超えていないのですよ。変化もないです。実はその1年前、2016年7月に看護師がストレス障害で労災申請をしたときに、労働基準監督署がきて、勤務の管理簿と電子カルテのログインの記録にかい離があり、勧告がありました。未払いの賃金は払い、いろいろなことを整理したのです。その前の2年間分の勤務時間を確認して、サービス残業がないかをチェックしなさいということで、一人一人聞き取りをしたのです。対象は全職員、約1700人。

――かい離にはどのような理由があったのでしょうか?
 ログインして放っておいても、自動でログオフされる仕組みになっていなかったのですが、今は15分か30分かで自動的にログオフされるようになっています。当時は医師がログインして放っておいて、ほかの人が操作することもあったのです。

 時間外勤務は、12カ月のうち6カ月は、1カ月当たり45時間以内にしなさいという命令も一緒に出ています。それを受けて超過勤務を見直すと、170時間くらいの人がいました。順番に指導しながら、2017年4月からの平均は11.8時間で、48時間から59時間くらいが一番多いです。今のところ45時間超えは月に2~3人ですね。医師だけの数字ではないですが。それは300時間の報道が出る前からそうです。それは2016年7月に労基署から指導を受けたからですね。

――170時間の方はどのような事情だったのでしょうか。
 これは2016年の7月のことで、医師です。CCUに若い先生がローテーションしますが、救急が終わって、勉強するために残っていた人がそのまま書いているのですよ。それまでは、その分も払っていたのです。逆に言えば、払っていたからサービス残業はありませんでした。一方で、面倒くさいので全然書かない人もいまして、それではおかしいですよね。もう後からは把握できないので、こんなのは駄目ですよと指導して、そういうのはなくなりました。

――そのくらいの時間外勤務で収まるのでしょうか。
 2010年4月に独立行政法人化(2015年4月からは国立研究開発法人)するときに、当直を申請し直さなければいけなかったので(編集部注:労働基準法施行規則第23条「使用者は、宿直または日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によって、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第32条の規定にかかわらず、使用することができる」)、そのときに当直は寝るだけにしなければいけないということで、それではまずいとなって、部署によっては交替性勤務を採用しました。

 あとは、勤務後も院内に残っていた場合、それは翌日までに、業務命令に基づいてやったということで必ず上司にハンコもらいなさいとしました。労基署の指導でも、超過勤務は「これとこれ、こういうものですよ」と但し書きがありまして、それに従ってやりました。それからレジデントや、勉強したい若い人はもちろん、院内にいてもいいけど、仕事をした分は業務命令として、必ず上司の許可を得なさいということですね。

 交替性勤務は、ICUなどで行っています。私の心臓血管外科などは交替制ではないので、オンコールで行っています。緊急で手術が入ったら、オンコールを呼ぶ。電話が来たときには、当直が受けて、ファーストタッチまではやりますが、そのまま手術には入りません。当直の医師がそのまま手術に入るときは、オンコールと当直を交代します。当直がそのままやってしまうと、(診療報酬上の手術料の)加算が取れない。この加算が大きいですよ。休日、時間外、深夜加算で「予定手術前の当直(緊急呼び出し当番を含む)の免除を実施していること(年12日までは実施しなくてもよい)」となって、年12回以上、手術前に当直したら加算を取れないようになったので、それに対応しました。病院全体、全診療科で12回までですからね。うちは、大動脈解離やバイパスがあって、年間1億円近くなるのかな。そこをクリアしないといけないので、前々から対処はしていました。

――診療時間が終わって残って勉強して、その後また何か仕事というケースもあると思いますが、その辺りの管理はどうしていますか。
 手術など記録に残るものであれば、勤務ですよ。自己申告ではありますが、管理者、医長や部長の責任です。管理しなければ、極端に言ったら(時間外勤務が)150時間や200時間になっているのに、身体も休めず学会に行くなんていうのはおかしな話なのでね。

――医師の文化として、働く側も管理者もあまりきちんと考えてなかったのでしょうか。
 そうですね、そういうところがあったのではないかなと思います。そこをきっちりやろうということで、それがもう、(2017年9月に)新聞に載る1年前。早めに労基署が入って、指導を受けていて、300時間が報道されたときには全部片付いていました。後で出ていたら困ったな、逆に良かったなと思います。その2回の波があったのです。



https://www.asahi.com/articles/ASL7B436GL7BUBQU009.html
研修病院指定で医師不足打開? 宮城・登米市の休診問題 
角津栄一2018年7月10日15時00分 朝日新聞 宮城

 医師不足で8月から市立登米診療所の休診を決めた宮城県登米市。現在の3病院4診療所を維持するには、医師確保に加えて、老朽化した施設や医療機器の更新も課題だ。市は病院再編や民間への運営移管なども視野に、事業再建の具体策を模索している。

宮城・登米診療所、8月から休止に 医師確保めどたたず

 「若い医師の受け入れ態勢が整っていなかったことが最大の要因」

 6月市議会の一般質問。診療所の勤務医を確保できなかった原因を問われた市側は、こう答弁した。

 打開策として示したのが、中核病院である登米市民病院を、初期研修医を受け入れる「基幹型臨床研修病院」に指定させること。研修を終えた若手が、勤務先に選んでくれると期待するからだ。

 指定の条件は①年間の新規入院患者3千人以上②基幹型臨床研修病院に協力して研修医を通算2年間以上受け入れ――の2点。昨年度、市民病院の入院患者数は2684人、研修受け入れ実績は14カ月だった。病院事業管理者の大内憲明氏は「来年度中にはクリアできる見通しがある」と述べた。

 ソフト面と同時にハード面の整備も不可欠だ。市医療局によると、医療機器の9割程度が耐用年数を過ぎている。「最新の設備を備えた環境で教育を受けてきた若い医師が、ここで働きたいと思える環境とは言いがたい」と大内氏。

 ただ、病院事業の累積赤字は約150億円を抱え、昨年度決算も約12億円の赤字を見込む。毎年度、一般会計から15億円超を繰り入れているのが現実だ。

 熊谷盛広市長は7月の定例会見で、「今の経営状況では起債も制約を受ける。財源確保について県と相談し、国にも足を運びながら努力したい」と述べた。

「高齢者はタクシー運行を」住民不安も

 登米市は市立登米診療所の休診についての住民説明会も開き、熊谷盛広市長が「医師の配置がかなわず、いったんは休まざるを得ない。何とか再開させたい」と理解を求めた。

 市医療局の千葉勝範次長が①県派遣の診療所長が2年間の期限を迎えたが、後任の配置ができなかった②他病院からの応援診療も医師の心身の疲労が強く、診療自体が成り立たなくなる恐れもあった、などと休診に至った経緯を説明した。

 出席した住民からは「なぜ休診を決める前に意見を聞かなかったのか。医師の確保も協力できたのに」「高齢の患者向けにタクシーの運行を」など、不満や要望が相次いだ。

 6月下旬、診療継続を求める住民の署名約3300人分を市に提出した、登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長は「この地区は交通弱者の高齢者が多い。身近にかかりつけ医がいるからこそ、安心して生活できる」と訴えた。



http://blogos.com/article/311077/
お偉いさんが崩れてる 医師会の理事の発言 若手の先生誰も賛同しない! 
中村ゆきつぐ 2018年07月14日 14:19 BLOGOS

ヤフー記事です。過労死ラインが上限なら「救える患者も救えない」 - 日医、医師の働き方改革に関する意見書を公表。念のため元サイトも。

>松本常任理事は、医師の働き方の実態を踏まえると、「過労死ライン」での上限設定は医療現場が努力しても対応が難しく、医師不足などで地域医療が崩壊する恐れを指摘した。その上で、「命を救える患者さんも救えない状況になる」と訴え、上限を超えることを「特例」として認めるべきだとの認識を示した。意見書では具体的な上限を提言していないが、医師の健康への配慮が必要になる一方で、上限が高過ぎると働き方改革の取り組みが進まなくなることも考えられるため、松本常任理事は、「慎重な議論が必要だ」と述べた。

日本医師会の常任理事というお偉いさんのこの言葉に大きな問題があります。

1 偉い医師でありながら実際厳しい現場で働いている医師の状況がわかっていない
 開業医代表と勤務医との違いはあるのですが、他人を思いやる医師としての能力が?

2 医師も人間であることをわかっていない
 今の地方の医師の現状、仕事がわかっていないのが根本でしょうか。それとも今の利益のため?それとも医師は普通の人間以上に働ける?死亡事故があったことをわかっていない?

3 現状を変える事なく他の若手の医師に患者を助けるために我慢しろという提言しかできていない
 これが自分勝手と思わないことが悲しい。慎重な議論は今までいっぱいやってきたでしょう。で結果は出てるの?

結論として現状を変えるつもりはないという本当常任理事として非常に程度の低い提言です。

医師としてわかる部分はあります。学会準備、医学の勉強、自分の社会的研鑽、病院敷地に残って行う全ての行動を労働と捉えることは間違いだという要素はあると思います。であるからこそ、当直だとか実際の勤務時間外の労働をしっかり定義しそこへの絶対的制限をかけることを提言すればいいのに、今の若手、大病院の医師たちに今のままで我慢しろというのは反発しか生みません。

もちろん記事の内容以外にもきっと話されているとは思います。今回のこの報道に対し医師会のさらなる説明を期待します。

なんか日大とか東京医大とか本当にお偉い人が崩れてます。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201807/CK2018071102000184.html
【群馬】 県北部で医師の負担大 適正配置向け地域医療会議 
2018年7月11日 東京新聞  群馬

 医師不足や地域の医師偏在化が指摘される中、県と群馬大学、県医師会など関係団体が医師の適正配置などを協議する「ぐんま地域医療会議」が九日夜、県庁であった。県の実態調査で、吾妻地域など県北部で常勤医の人数が少なく一人当たりの負担が大きいことや、地域によって勤務医の高齢化や特定の専門診療科の医師不在などの課題が明らかになった。今後、群大が新設する医師や医療機関の相談窓口「ぐんま医療人ネットワーク」などと連携し、医師偏在の解消や人材確保を目指す。 (石井宏昌)

 地域医療会議は三月に発足し、県医師会の須藤英仁会長が議長、群大病院の田村遵一病院長らが副議長。今回が本年度の第一回で、県が群大に委託して県内百三十病院を対象に行った医師勤務実態等調査(昨年四月一日現在、回答百二十六病院)の結果を示した。

 それによると、一般的な入院医療を提供できる二次保健医療圏別で、県内十地域のうち、前橋地域は常勤医が七百七十九人で突出して多く、専門診療科の常勤医も満遍なく分布しているが、吾妻地域は常勤医が五十三人と県内最少で、耳鼻咽喉科、脳神経外科、精神科の常勤医は不在。利根沼田地域も常勤医八十五人と吾妻に次いで少なく、耳鼻咽喉科、泌尿器科、精神科の常勤医が不在だった。他地域でも耳鼻咽喉科や眼科の不在、小児科の受け入れ困難などがあった。

 入院担当常勤医一人当たりの病床数では、県平均九・六床に対し、吾妻地域は一九・三床で、最少の前橋地域七・四床の二・六倍になった。東毛地域でも桐生地域一二・二床、太田・館林地域一一・八床と県平均を上回った。

 県や群大によると、以前は群大医学部が中心になって地域の病院へ医師を派遣するケースが多かったが、近年では大学病院だけで担うのは難しくなっているという。こうした医師不足や偏在などの課題解消のため、群大は学内の地域医療研究・教育センター内に「ぐんま医療人ネットワーク」を設置し、県内で就業を考えている医師や、医師を求める医療機関の相談に対応する。群大病院の田村病院長は「県内で就業するにしても医師によってさまざまな希望がある。単に就職のあっせんではなく、群大医学部と連携することで、医師の意向を踏まえて厚みのある支援ができると思う」と話した。



http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180711000044
災害拠点病院に医師6割出勤できず 豪雨で京都の交通遮断 
2018年07月11日 11時20分 京都新聞

 西日本豪雨では降り始め翌日の6日に、京都府亀岡市以北と京都市を結ぶ交通網がすべて遮断され、地域災害拠点病院に指定されている京都中部総合医療センター(南丹市)の医師の約6割が出勤できない事態となった。京都市在住の医師が多いためで、5診療科が休診を余儀なくされた。被災者は搬送されなかったが、今後の災害対応に不安を残す形となった。住民らは「地元に住んでほしい」と要望するが、同センターは「医師確保に悪影響が出る」と慎重で、地域の医師不足の課題も浮き彫りとなった。

 5日夜から6日にかけ、JR山陰線、京都縦貫自動車道、国道9号老ノ坂峠が不通となり、京都市-亀岡市間の行き来ができなくなった。このため、同センターの常勤医74人中44人が出勤できず、残りの医師で救急や外来患者に対応した。麻酔医も不在で、予定していた手術は見送られた。

 同センターは亀岡市、南丹市、京丹波町が共同設置し、3市町の「南丹医療圏」では唯一の災害拠点病院。幸い南丹医療圏で甚大な被害はなかったが、3カ月ごとに通院している南丹市の松本史郎さん(71)は「地元に住む医師を増やすなどの対応をしてほしいという願いもある」と話す。

 同センターには災害マニュアルがあるが、これだけ多くの医師が通勤できない事態は想定していなかった。このため、マニュアルの見直しに着手し、大雨が予想される場合は病院近くの医師宿舎などでの宿泊を検討している。

 ただ、地元在住の医師を増やすのは難しいという。川野一男事務局長は「『京都、大阪から通勤圏』という点が、医師集めに有利に働いている。地元居住を強制すれば、医師に来てもらえず、地域医療に影響が出る」と頭を抱える。

 また、亀岡市立病院も常勤医15人のうち、2人しか出勤できなかった。非常勤1人を加えた計3人で対応したが、外来診療は中止。救急体制もとれず、2件の受け入れを断った。

 府医療課は「地域の開業医が災害拠点病院へ駆けつけるなど、地元医師会との連携を検討したい」とする。



https://www.hokkaido-np.co.jp/article/208104
京極診療所 無床化検討 町、8月にも結論 常勤医不足、赤字続き 
07/12 05:00 北海道新聞

 【京極】町は、町国保診療所「ひまわりクリニックきょうごく」(19床)について、来年4月からの無床化を検討している。常勤医の1人体制が続き入院患者の管理が難しくなっていることと財政難が主な理由で、8月中にも結論を出したい考え。正式決定されれば町内唯一の診療所で入院ができなくなる。

 同診療所は町国保病院(43床)が2012年に縮小して開業。一時は医師4人体制だったが独立などで退職が相次ぎ、昨年12月からは前沢政次所長が1人で入院患者に対応している。町は随時医師を募集しているが、1年以上応募がない。

 町によると病床稼働率はここ数年35%前後と低迷しており、毎年実質1億~1億5千万円の赤字を町の一般会計で負担している。無床化した場合の赤字額は現在より数千万円減る見込みという。

 こうした状況から町は来年度から診療所を無床化した上で指定管理とし、外部の事業者に新たな常勤医探しを委託することを検討。診療所と町議会、住民でつくる「ひまわりクリニックサポーターの会」には既に検討内容を伝えた。



http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180714000119
唯一の常勤医退任、診療所ピンチ 京都の山間地、後任探し難航 
【 2018年07月14日 22時10分 】京都新聞

 京都府南丹市美山町の美山診療所で1人しかいない常勤医が退任することになり、後任探しが難航している。山間地の医療を守る拠点だけに、存続への危機感を募らせた住民や行政が医師の確保に努力しているが、見通しは立っていない。

 昨年11月に開かれた診療所の理事会で、約15年にわたり常勤医を勤めてきた尾嵜博所長(74)が7月限りで退任する意向を示した。体力の衰えなどで「75歳の誕生日を区切りに」と考えたという。

 美山診療所は、町内にあった民間診療所の閉鎖を受け、旧美山町と医療法人財団・美山健康会が公設民営方式で1999年に建設した。内科や外科、心療内科などがあり、入院用ベッドも備える。

 町内にはほかに週1~3回診察する医療機関が2施設あるが、美山診療所は夜間を含め週6日診ており、町民の半数に当たる約2千人が年1回以上受診している。「高齢化が進む美山町になくてはならない医療機関。住民の命を守る砦(とりで)」。住民でつくる美山まちづくり委員会の大野光博委員長は強調する。

 住民たちは2月に医師確保対策委員会を結成し、診療所とともに市や府などに支援を求めた。町内5地区(振興会)で説明会を開いたり、地元出身の医師に協力を求めたりしたが成果は出ていない。

 確保が難しい背景には、医師の地域偏在がある。10万人当たりの医師数は府全体で314人と全国2位だが、南丹市を含む南丹医療圏では177人で全国平均(240人)を下回る。府医療課は「若い医師は技術を学ぶため、都市部の病院を希望する傾向がある。山間部では家族の生活面なども考慮しなければならない」と話す。

 常勤医の多忙さ、施設運営の難しさも課題だ。尾嵜所長は週6日の診療日のうち、夜間を含めて5日間を担うなど負担は大きい。経営面では昨年度約1700万円の赤字となった。人口減で利用者は年々減少し、今後も見通しは明るくない。

 原龍治事務長は「常勤医を招くには、負担軽減や業務に見合った報酬の再検討に加え、住民に提供できる医療内容の検討も必要」と指摘する。

 市は6月の定例市議会で、医師確保への支援費として、千万円の補正予算を計上した。しかし、市議からは恒常的な支援を求める声が相次いだ。西村良平市長は「診療所の灯を消さないのが最大の目標」として支援に前向きな姿勢を示したが、民営の性格を踏まえ「市民全体の理解を得られる方策を考える」と答えるにとどめた。

 大野委員長は「民営の施設だが、住民も懸命に努力する」と気を引き締め、原事務長も「厳しい状況を乗り越え、地域医療の先進地にする思いで取り組む」と意気込む。

 後任が決まらないため、尾嵜所長は退任を予定していた今月以降も勤務を継続する意向だが、医師の確保は住民が安心して暮らすため、早急に解決すべき課題に変わりはない。



http://www.medwatch.jp/?p=21407
医師の労働時間上限、過労死ライン等参考に「一般労働者と異なる特別条項」等設けよ―医師働き方改革検討会(1) 
2018年7月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師は労働者であるとともに、「患者の生命を守る」責務を負い、またその働き方は極めて複雑・多様である。このため一律の上限規制を設定することは難しく、▼医師の労働時間上限に関する特別条項を設け、過労死ライン等を参考に労働時間上限を設定する▼「特別条項」を超えた労働をしなければならない時期等もあり、「特別条項の特例」を設け、第三者機関で特例の対象としてよいかの承認を得る―といった仕組みを検討する必要がある。

 こういった提言・意見書が、7月9日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」に医療界の統一見解として提出されました(検討会に関する厚労省のサイトはこちらとこちら(参考、日医委員会の答申))。

意見書では、このほかにも「自己研鑽の在り方」「宿日直の在り方」「研修医等の在り方」などについて基本的な考え方を示すとともに、今後、具体的な検討を行うべきと提言しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!

1 医療界の総意として、「医師の働き方改革」に関する意見・提言
2 医師の労働時間、過労死ライン等踏まえた特別条項と、さらなる特例を
3 医師の働き方改革には、「国民の理解・協力」が不可欠
4 労働者サイドからは意見書への疑問や、応召義務の根本的な見直しを求める声も


医療界の総意として、「医師の働き方改革」に関する意見・提言

 安倍晋三内閣が進める「働き方改革」の一環として、医師にも「罰則付きの時間外労働の上限規制」を導入(改正労働基準法)することになりました。ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る▼法改正から5年後を目途に規制を適用する—こととされています。

 このため、厚生労働省は「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)を設置し、医師の労働時間上限に関する「特例」の設定などに向けた議論を行っており、そこでは、今村聡構成員・日本医師会副会長から「医療界で、新たな労働時間制度(例えば、医療版の裁量労働制のような仕組みが考えられないか)を提案する」考えが示されていました(関連記事はこちら)。

 今般、今村構成員や岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)、馬場武彦構成員(日本医療法人協会副会長)、山本修一構成員(全国医学部長病院長会議「大学病院の医療に関する委員会」委員長、千葉大学病院長)といった医療界の重鎮に、赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)ら現場の医師も加わり、医療界の統一提案と言える「医師の働き方改革に関する意見書」(以下、意見書)が取りまとめられ、検討会に報告されたものです。いわば、今後の検討会論議のたたき台の1つと言えるでしょう。

医師の労働時間、過労死ライン等踏まえた特別条項と、さらなる特例を

 意見書ではまず、▼医師には「学ぶこと」そのものが職業の中に組み込まれている▼医療は個別性・複雑性が高く、治療方針やリスクなどについて、個々の患者・家族に「説明と同意」を行うことが求められる▼医師は、その働き方が厳しくなろうとも、「地域医療の質と量」を維持しなければならない責務を負っている▼「地域医療の継続」と「医師の健康への配慮」とのバランスをとることが求められている―などといった点をまず確認。

 また「学ぶこと」に関連して、医師には日々自己研鑽を行うことが求められていますが、その内容はカルテ作成や地域連携業務など「労働」に該当するもの、学会参加など「純粋な自己研鑽」に該当するもの、さらに論文作成や文献検索など「労働と自己研鑽の二面性を持つ」ものが存在し、この「二面性を持つ業務」をどう取り扱うのか(研鑽を妨げることはできないが、医師の健康にも配慮しなければならない)という重要な課題があることを指摘。

 こうした、一般労働者と異なる「医療、医師の特殊性」に鑑みて、医師の労働を、例えば次のように考えてはどうかと提言しています。検討会の議論の行方によっては、「医師の労働法制」に関する更なる法改正なども行われることになるでしょう。

【労働時間上限の考え方】
 一般労働者では「時間外労働を原則として月45時間・年360時間までとし、特別に月100時間・年720時間までなどの例外を認める」こととされているが、医師について、その特殊性に鑑み、次のような仕組みを設ける
(1)脳・心臓疾患の労災認定基準(過労死ライン、「発症前1か月間の時間外・休日労働が概ね100時間超」「発症前2-6か月間の月平均時間外・休日労働が概ね80時間超」など)を基にした、医師の労働時間上限に関する「特別条項」を設ける(厚労省令)
(2)(1)の「特別条項」を超えざるを得ない場合には、精神障害の労災認定基準(「発病直前2か月間連続して月当たり概ね120時間以上の時間外労働」「発病直前3か月間連続して月当たり概ね100時間以上の時間外労働」など)を手掛かりに、「特別条項の特例」を設け、そうした労働を認めてよいか否かを、都道府県の医療勤務環境改善支援センターや地域医療支援センターを中心とした第三者機関で判断し、承認を得ることとする

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医師の労働時間に関する「特別条項」および「特別条項の特例」のイメージ(その1)

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医師の労働時間に関する「特別条項」および「特別条項の特例」のイメージ(その2)

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医師の適正労働等を担保するために、第三者機関を設置し、そこが監視・支援を行うべきとの提言

【宿日直の在り方】
 現在の宿日直許可基準(1949年の厚生省通知)では、宿日直業務を「病室の定時、検脈、検温」としているが、医師の業務実態に合わず、次のように内容を見直す
▼「許可を受けた宿日直」(断続的・監視的労働で労働時間の適用除外)と「通常業務と同じ宿日直」との間に、「中間業務」を設ける
▼中間業務については、(1)拘束時間のX%(例えば25%)が労働である「中間業務1」は、X%(同25%)を勤務時間とし、相応の賃金を支払う(2)拘束時間のY%(例えば50%)が労働である「中間業務2」は、Y%(同50%)を勤務時間として、相応の賃金を支払う―といった基準、賃金ガイドラインなどを定める
▼各医療機関・診療科が「労働時間等設定改善委員会」(衛生委員会を活用)で中間業務に関する取り決めを行い、労働基準監督署に届け出る
▼都道府県の第三者委員会(上述)で個別医療機関の実態を確認し、適切な運用を担保する(アドバイスを行うなど)

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医師の宿日直と一口に行っても、大きく分けて「通常業務と同程度の業務を行う」ケース、「通常業務はほとんど行わない」ケース、「通常業務を少なく実施する」ケースの3パターンがある
 
【専門業務型裁量労働制の在り方】
 現在、大学病院において▼教授▼准教授▼講師―が専門業務型裁量労働制の対象であるが、「2023年以降、世界標準の教育レベルを公的に認証された医学部卒業者でなければ米国で医療に従事できなくなる」ことを踏まえて、「助教」についても対象に加える
【研修医等の在り方】
 上述の「医師の特別条項の特例」の枠組みの中で、別途、制度を定める

 さらに意見書では、医師の「長時間労働」を是正するための仕組みづくりが、医師の健康確保のために重要であると強調し、例えば「休日、勤務時間インターバル」「連続勤務時間規定」を導入することも提案しています。例えば、医療機関の実情に応じて、A医療機関では「連続勤務の基準時間をa時間と定め、これをb時間超えた勤務を行った場合には、勤務明けから次の勤務に入るまでのインターバルとしてc時間を確保する」といった規定を設け、これを遵守していく仕組みです。
 
医師の働き方改革には、「国民の理解・協力」が不可欠

こうした仕組みを作ることそのものは、議論に時間などは要しますが、それほど難しくはありません。難しいのは、これを適切に運用していくことです。例えば、医師の時間外労働上限を●時間と決めたとしても、患者の家族が「勤め先を抜けられない。インフォームドコンセントの時間は夜9時以降にしてほしい」と要望したり、一部の住民が「平日の日中は外来が込み合っている。夜間の救急外来を利用しよう」などと不適切な行動を続ければ、医師の負担は一向に減りません。責任感の強い医師ほど、患者・家族から、いわば「サービス残業」を強いられることになってしまいます。医師の負担軽減、ひいては地域医療の確保に向けて、我々国民全員が「適切な受診」等を心がける必要があります。

このため意見書では、「各地域の医療事情、医師の勤務実態、医療機関への適切なかかり方について、地域準の理解と協力を得ることが必要。そのための啓発活動に積極的に取り組む必要がある」と指摘。例えば「学校保健や産業保健の活用」(高等学校等で、我が国の医療の現状、それを踏まえた適正受診の在り方などを教育する)などに期待を寄せています。もっとも、国民サイドが過度に反応し、「医療を必要とする人が受診を控える」ことになっては本末転倒であり、保険者か国民へ適切に働きかけることも提案しています。

さらに、こうした制度改革には「財源が必要となる」点にも言及。診療報酬や地域医療介護総合確保基金などでの対応を検討するよう要請しています。

今後、これらの諸課題についてより具体的な検討を行い、可能なものは前倒しで進める(医師に関する働き方改革の施行は2024年4月施行)こと、施行後5年程度で状況を踏まえた見直しを検討すること、なども求めています。

労働者サイドからは意見書への疑問や、応召義務の根本的な見直しを求める声も

この意見書については、7月9日の検討会では具体的な議論は行われませんでしたが、いくつかのコメント・感想が寄せられています。

今般の意見書作成に深く携わった岡留構成員は「医師、医療の特殊性」について、改めて強調。医師の特殊性に十分配慮した労働法制となければ、医師のプロフェッショナリズムを阻害し、「ひいては患者に悪影響が出る」と強く指摘しました。

一方、労働者の立場で参加している村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は、宿日直の在り方などは検討に値するとしたものの、「意見書の方向性には疑問を感じる」と述べました。

また「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の座長も務めた渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は、「医師の健康確保と、地域医療確保は『どちらをとるか』というトレードオフの関係にはない生産性を高めることで、両立可能な部分もある。また、時間外労働については、割増賃金を適切に支払うよう厳しく指導すれば減っていくのではないか」とコメントするとともに、「必ずしも医療の必要性がない人のアクセスをどう制限するかが重要である。意識改革では変わらない」と述べ、応召義務の見直しの必要性を強調しています。

なお、「国民の理解が重要な鍵となる」点には多くの構成員が賛同していますが、「国がイニシアチブをとって周知していく必要がある」(馬場構成員)、「国民の意識改革には時間がかかる。現在、医療現場への労働に関する指導等が行われているが、本末転倒な対応となりがちである。長期の改善計画と、それに向けた支援などが必要」(福島通子構成員・塩原公認会計士事務所特定社会保険労務士)、「子供の授業参観などには親は会社を休んで出席するので、医療に関しても『診療時間内の説明』などは可能なはずである。有給休暇などをしっかり使えるような意識改革が必要である」(戎初代構成員・東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)といった指摘がなされています。

今後の論議に備えた「ジャブ」の応酬が始まっています。
 


  1. 2018/07/15(日) 10:59:39|
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7月8日 

http://www.saga-s.co.jp/articles/-/239918
好生館、救急医不足で急患受け入れ一部制限
休日前夜間5症例で

7/5 9:00 佐賀新聞

 佐賀県医療センター好生館は、救急医不足のため、4月から救急患者の受け入れを一部制限している。専門医のいる循環器や脳血管、外傷の患者は24時間態勢で受け入れているが、心肺停止や急性薬物中毒など5症例に関して一部平日の夜間で受け入れが難しい。兒玉謙次館長は「一日でも早く通常の救急医療体制に戻すため、救急医を緊急募集している」と話している。

 救急医不在の時間帯は金・土曜日と祝日前日の各夜間(午後5時15分~午前8時半)。いずれも日中の救急医の勤務体制維持のため。心肺停止や急性薬物中毒のほか、「重症多発外傷」「環境障害(熱中症・低体温症)」「溺水」の患者受け入れが難しい。

 好生館によると、常勤の救急医は4年前には10人ほど勤務していたが、今年3月末で6人にまで減少。うち1人は子育て中の女性医師で、夜間勤務は実質、5人で担っている。兒玉館長は「全国的に医師が不足している。救急医となると県内の他の病院でも補充がままならない」と厳しい状況を説明。夜間の救急医は外科、内科から1人ずつ配置している状態で、医師の疲弊が目立つようになった。

 また医師や看護師らへの時間外手当て未払い問題により、全面的な勤務体制の見直しも迫られた。救急医の場合、休日を確保するため、(休日)前日の勤務体制を時間内だけに制限せざるを得なくなったという。

 患者受け入れの一部制限について兒玉館長は「4月スタートまでに佐賀大医学部附属病院と話し合い、(制限時の患者受け入れについて)理解してもらった」と話した。また県に説明しており、現在のところ目立った混乱はないという。ただ、4月以降、好生館への月当たりの搬送数は前年比2割減となった。

 兒玉院長は「できるだけ早期に救急医を少なくとも10人にそろえたい」と述べ、近隣の大学医学部を中心に募集をかけているという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/610090
シリーズ 大学医学部「地域枠」の今
大学の大半は「地域枠」の存続希望 - 小林誠一郎・AJMC委員会委員長に聞く◆Vol.2
実効性を高めるカギは「卒前・卒後の支援体制の強化」

インタビュー 2018年7月7日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――奨学金を支給する地域枠の卒業生の「辞退率」は、地域枠制度発足以前の都道府県医師養成奨学金の卒業生よりも低いという結果です。


 卒後年数が経過するにしたがい、「辞退率」が増加する可能性もあり、義務年限を終えた時点でないと、最終的な結果は言えませんが、「辞退率」は都道府県医師養成奨学金の卒業生と比べて改善傾向にあると言えます。その理由として、主に二つが考えられます。一つは、地域医療に関する教育や啓発活動などの卒前の支援体制の拡充、もう一つは卒後のキャリア形成などに対する支援です。これらは地域枠を今後、より実効性のあるものにする施策とも言えます。

 本研究の3カ年の調査からも、各大学が地域枠の学生を対象とした交流会やセミナーの開催、キャリアパスの提示、相談窓口の設置、特別教育プログラムの提供、メンター制度などの卒前の支援体制を充実させていることが示されました。その大きな原動力となっているのは、各大学に設置されている地域医療学講座などです。同講座は、地域枠の学生と密接な関係を持ち、地域枠の学生のさまざまな支援に取り組んでいます。各大学、特に地方の大学は地域枠に期待するところが大きいので、「一人の脱落者も出したくはない」と本当に熱心に取り組まれています。

 また、奨学金支給枠の義務履行年限は9年程度のケースが多いのですが、この時期は専門医取得や学位取得など、医師として重要なキャリアを形成する時期に相当します。義務履行とキャリア形成をいかにすり合わせるかが重要であり、地域医療支援センターなどの役割がカギとなります。以前は都道府県医師養成奨学金の卒業生の配置は、都道府県が主体となって決めていたのが各地域の実情ではなかったかと思います。2008年度以降の地域枠の設置に伴い、地域医療支援センターなどが、地元の自治体、大学、医師会、病院なども交えて、医師の需要と供給のバランスに加えて、卒後のキャリア形成も十分に加味して、地域枠の卒業生の研修場所配置を検討調整するようになっています。その成果が、「辞退率」の低下に表われていると思います。

――2020年度からの初期臨床研修の見直しでは、「地域枠等の一部のマッチングを分けて実施」する方針です(『2020年度からの初期研修の見直し案を了承、7科必修化へ』を参照)。

 今はマッチングに参加する際に、地域枠であるか否かを記載する欄があります。地域枠の卒業生を受け入れる側が、その点を考慮するか否かにもよりますが、地域枠の実効性を高めるための外形的なアシストにはなるでしょう。また、マッチングは全国規模で実施するものであり、「地域枠の学生を先に行う」という例外を作ることに反対意見がないわけでもありませんが、初期臨床研修のカリキュラムは病院により大きな差はないので、さほど問題にならないと思います。

 問題になるのは、専門研修です。キャリア形成と義務履行をいかに調整していくかが重要です。最近は地域枠の卒業生については、専門医取得の便宜を図ったり、義務履行期間中に猶予期間を設けるなど、制度的にもかなり柔軟に対応するようになっていると思います。

――厚生労働省では2022年度以降の医学部定員について、減らす方向で議論を進めています(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)。今回の調査で「地域枠を減らしたい」という意見はあったのでしょうか。先生は今後どうあるべきだとお考えですか。

 地域枠を導入している68大学のうち、「奨学金支給編入学枠」がある6校中、2校は「廃止したい」と回答しました。それ以外は、「奨学金支給枠」がある64校のうち50校は「このまま存続させたい」と回答するなど、定員の問題はあるにせよ、継続を希望する意向が大半です。私の個人的な見解ですが、2008年度の地域枠入学生でもまだ卒後4年目のため、「効果を感じつつある」ところまでは行っていないかもしれませんが、「このまま地域枠を続ければ、地域の医師不足が解消してくる」という実感を持てるようになったのでは、と思っています。
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(出典:地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告)

 また今後の「地域枠」の扱いですが、「地域枠は残し、その代わりに一般枠を減らす」、あるいは「地域枠を全て廃止し、一般枠は維持する」という両方の意見があり得るでしょう。前者の場合、アドミッション・ポリシーに基づく各大学の独自教育、研究、高度医療の提供という部分ミッションが損なわれていくるのでは、との懸念があります。一方、後者の場合、医師不足への影響が心配されます。各都道府県の実情によりますが、医師不足の程度に応じて「地域枠」をある程度残しておく必要があると考えています。

 つまり、2022年度以降、どのくらいの「地域枠」が必要かは、大変難解な課題ですが、診療科の問題も含め「必要医師数」をいかに定義するかで決まるでしょう。義務履行の終了後、どのくらいの医師がその地域に残るのかも加味しながら、「必要医師数」を基に、各都道府県の医師需給を推計し、「地域枠」の在り方を検討していくことが求められます。われわれ大学の立場としても、義務年限を終えた後の地域定着を見るためにも、今後10年、15年は今回のような調査を継続して、その結果、浮かび上がった問題点を抽出して、対応していくことが必要だと考えています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/613007
シリーズ Dr.木川の「川越救急クリニックから見えた医療の現実」
医師が過剰になるって本当?救急現場からの疑問
調査「全国的に見て、医師不足とは?」

オピニオン 2018年7月3日 (火)配信木川英(川越救急クリニック副院長)

 前回のコラム(『救急クリニックからみた川越、そして埼玉の医療』を参照)、読んでくださってありがとうございます。ご意見もたくさんいただき、刺激になります。そんな中で、何件か質問もございましたので、まずはお答えしたいと思います。

『コンビニ受診の件』
 回答してくだった先生もいらっしゃいますので、少し補足いたしますと、10年前くらいから3次医療機関(埼玉医大総合医療センター)に、1次患者が殺到して、高度救命救急センターとしての本来の業務が難しく なりました。規模を縮小せざるを得なくなり、病院全体として疲弊したことが救急クリニック設立した経緯です。

 救急クリニックがあろうがなかろうが、コンビニ受診は患者側の要因ですので、医療関係者や医療機関が何を言っても、結局どこかにしわ寄せが来ます。それならば、その「隙間」を突いて診療していくというのが、当院の目指すところです。当院は、午後4時から10時までを外来診療時間にしておりますので、時間外算定はもちろんしていません。

 ちなみに、隣の川越QQ接骨院は、以前当院に勤務していた柔道整復師が開業した接骨院です。巷にあふれる適当なマッサージ屋さんではなく、昔ながらの伝統の職人芸であります骨接ぎをしており、院長共々、彼を信用して整形外科的な患者さんをお願いしています。

『当院の信念について』
 他の先生が診療をやっていない時間に営業しており、毎日夜勤みたいなものですが、いい意味で楽しくやっています。やりたくないことをやっているわけではないので、そこが大事かな、と思っております。拘束時間は長いかも知れませんが、全ての時間で診療している訳でもありませんし、こうして記事を書く時間もありますし、オリンピックやサッカーワールドカップも観れます(笑)。

 医師の数だけ、考えがあるのも承知しておりますし、当院の理念を押し付けようなんておこがましいことは全く考えておりません。当院は当院でできることを粛々としているだけです。

 給料のことにコメントして下さった先生方もいらっしゃいますが、そもそも儲かっていませんので、そんなに払えないというのが実情です(涙)。それこそ、お金ではなく、高尚な信念がある先生方のご応募をお待ちしております。

 医師会に入れないのは、医師会の偉い方々の反対に遭っているようですが、政治的なことは分かりません。医師会に属さなくても、独自にやっていますので、あまり困っていません。まあ、彼らからすると目の上のたん瘤状態かも知れませんが。

『私自身のこと』
 青森県に医師が余っている訳ではありませんが、私の専門であります救急の分野に関しましては、八戸市立市民病院の偉大なる今明秀院長のご尽力で相当整備されました。その教え子として、何かできることを模索している途中で、川越救急クリニックの上原院長と出会いました。私を必要としてくれたこと、救急クリニック開業という奇抜な発想、革命を起こそうとする行動力に共感して、今があります。

 そこで、ようやく今回のテーマなのですが(苦笑)、先日、以下の記事がありました。

 
医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」-第3次中間取りまとめ案を了承、「週60時間勤務に制限」が前提
記事の概要:性年齢階級別の詳細なデータを用いて仕事量を算出することで、医師の労働時間として3つのケースを仮定し、需給推計を算出している。週60時間を超す医師の勤務時間を、週60時間以内に制限する場合、医学部定員が2018年度の9419人のまま推移すれば、2028年頃には約35万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約3.5万人過剰となる。

 この問題が議論される時にいつも疑問に思っているのですが、医師の人数自体が増えることが問題になるのだろうか、ということです。いまだかつて、医師が増えて問題になったことはあるのでしょうか、という疑問です。現状でこんなにも「医師不足」が叫ばれているのに…。供給が過剰になってから議論すれば良いのではと個人的には思ってしまいます。

そこで、読者の皆様に何点かお聞きしたことがあります。

1.医師の数不足もそうですが、実力や技術不足、やる気不足という観点を踏まえて「医師不足」の実感や情報はございますでしょうか。結局、仕事ができる人間が全てを請け負ってしまい、過重労働になっている気がします。

2.診療科目的にはいかがでしょうか。人員過剰な科目はあるのでしょうか。少なくとも、救急医が余っている事案は聞いたことがありません。病院数が多すぎるのが問題なのでしょうか。集約をするといいのでしょうか。

3.時間帯での医師不足みたいな情報はございますか。この時間は医師不足だ、みたいな。昼間はある程度充足しているが、夕方以降になると圧倒的にどの科目も足りなくて困っているなど。

4.医師の偏在が問題だという指摘もありますが、実際はいかがでしょうか。現状では、偏在どころか、あふれている地域があるのかどうかも不透明です。臨床研修制度が始まってからこういう議論が出てきたという意見も見たりしますが、これも実際はどうなのでしょうか。


http://www.mutusinpou.co.jp/news/2018/07/51816.html
県内自治体病院の常勤医減少
2018/7/7 土曜日 陸奥日報

 県内22自治体病院の常勤医数(5月1日現在)は前年同期より20人減の504人となり、2年連続で減少したことが6日、県自治体病院開設者協議会のまとめで分かった。病院側が施設運営上必要と考える常勤医740人に対する充足率は68・1%で前年同期比2・4ポイントの減。県内の医師不足がより深刻化した。



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/51960
青森県内22自治体病院、常勤医が前年度比20人減
2018年7月7日 東奥日報

 青森県内22自治体病院の常勤医数(5月1日現在)は504人(研修医113人含む)で、前年度より20人減ったことが6日、県国民健康保険団体連合会(県国保連)のまとめで分かった。常勤医の減少は2年連続で、市部を中心に計9病院で減った。全体の充足率は前年度を2.4ポイント下回る68.1%だった。
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https://style.nikkei.com/article/DGXKZO32415730Z20C18A6TCC000?channel=DF130120166089
新設医学部、時代に寄り添う 海外実習・奨学金手厚く
2018/7/2付 日本経済新聞 朝刊

 2016年、17年に2つの大学が相次いで新たに医学部を開設した。国は長年、医学部の新設を認めてこなかったが、11年の東日本大震災からの復興をめざし東北医科薬科大の新設を認めた。国際医療福祉大は国際的に活躍できる人材を育成する使命を負う。特色的な2つの医学部は日本の未来を変える起爆剤になるのか――。

 「自然と積極的に英語を話せるようになった」。17年に国際医療福祉大の医学部1期生として入学した長谷川聖さん(32)は英語は苦手だったというが、同大学は1年生の後期から2年生までほぼ全ての授業が英語。6年次は4週間以上の海外での臨床実習が義務付けられ、約30の国・地域の提携施設で経験を積む。

 「グローバルで活躍する医療人材」の育成をめざす同大学は英語での授業だけでなく、医学部の定員140人のうち、毎年20人を留学生枠として受け入れている。

 その一人、ベトナム出身で1期生のダン・タン・フイさん(21)はホーチミン市医科薬科大からの特待生として来日した。「語学に戸惑いもあった」というが、「日本の高度な技術を学び、患者に寄り添える医師になりたい」と意気込む。

■詰め込み避ける

 新設大学だからこそ、医療の学び方も大幅に変えた。国内の医学部の多くはまず一般教養を学び、次に基礎医学、そして患者に接する臨床実習の順で学ぶ。一方、同大学では最初から基礎医学と臨床の統合型講義で早期から臨床の視点を取り入れている。

 「今までのカリキュラムだと、ただテストのために知識を詰め込みがちだった」という吉田素文医学科長。「実際の患者の症状と、自分が学ぶ知識の関連性が最初から分かれば、学生は当事者意識をもって学べる」と狙いを話す。


国際医療福祉大ではシミュレーションセンターを活用した授業を行っている
 医学部の拠点となる成田キャンパス(千葉県成田市)には約5300平方メートルのシミュレーションセンターがあり、診察室や手術室、病室などを再現。大学内でシミュレーションを繰り返し、医療現場での臨床実習もスムーズに取り組める。

 同大学の医学教育統括センター長、赤津晴子教授は「21世紀型の医療教育を行う点も特徴」と強調。「医療現場では、チームでの連携がますます重要になる。現場に出る前に失敗を繰り返して学び、優秀なチームプレーヤーとして巣立ってほしい」と期待を寄せる。

 仙台駅から電車で約15分の仙台市宮城野区に真新しい建物が現れた。東北医科薬科大の3年生以上が過ごす福室キャンパスだ。16年に入学した1期生は3年生として眼下には穏やかな七北田川が広がる教室で医療を学んでいる。

■手厚い奨学金

 11年3月11日、東日本大震災で東北地方は大きな被害を受けた。廃業に追い込まれる医師もおり、東北地方の医師不足は拍車がかかる中、医学部新設の機運が高まり、政府は復興へ向けた特例として東北医薬大の医学部新設を承認した。

 そのため同大学は医師免許取得後も東北地方で働いてもらう取り組みを取り入れている。

 その一つが手厚い奨学金制度だ。1学年の定員100人のうち半数を超える55人を対象とし、6年間で3千万円程度を免除する。自己負担額は約400万円となり、国立大とほぼ同水準となるが、医師免許取得後、8~10年間は東北地方で勤務することが条件だ。

 私立大の医学部だと学費は高額だが、「幼い頃からへき地で働く医師に憧れていた」という3年生の中谷拓郎さん(22)が「奨学金制度が手厚く、金銭面の不安を取り除いてくれた」と同大学への入学動機を語る。

 このほか同大学は「地域医療ネットワーク」を構築。同ネットワークに属する東北地方の病院の協力を得て、入学初期から滞在型の実習などを行う。医学部生の6年間を通して同じ病院を訪問し、関連施設などでも実習を重ね、学生時代から地域医療に身近に接し、理解を深めてもらう。

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 災害医療の教育にも力を入れる。例えば1年次には被災地を訪れて震災後の現状を実際に感じる機会を設けた。3年生の島田佳林さん(22)は「初めて被災地を見て、ショックを受けたと同時に、現状を何とかしなければという問題意識を抱いた」と振り返る。

 同大学の福田寛医学部長は「東北の医療現場の問題点は震災が起きた7年前から変わっていない。復興に向けて人々が安心して暮らせるためには医師が不可欠。東北に定着する医師を育てていきたい」と地域の未来を支える医師の卵の育成に力を入れる。

◇  ◇  ◇

■揺れ続ける国の施策 人手不足や偏在顕著に

 医師数を増やすか、減らすか。政府の医師養成方針は戦後から今に至るまで模索が続く。40年近く凍結してきた医学部新設を相次いで認めた背景には、医師の高齢化による人手不足や都市部に医師が集中する偏在化の課題がある。

 高度経済成長期には、国民皆保険制度や年金増額で医療機関の利用者が増えた。73年には各都道府県に1つ以上の医学部を設けるよう促す「1県1医大構想」を閣議決定し、全国各地で新学部を次々と新設し、定員を大幅に増やした。

 「将来的に医師が過剰になる」との日本医師会などの声を受け、国が削減策へとかじを切ったのは82年。2003年には文部科学省が医学部の新設を禁止する告示を出した。

 2000年代に入り、医療現場から医師不足や地域医療の崩壊が指摘され、08年度から医学部の定員を増やす政策に転じた。ただ今回のような医学部新設について、文部科学省の担当者は「あくまで特例であり、凍結状態は変わらない」という。

(鬼頭めぐみ、松浦奈美)



https://www.sankei.com/economy/news/180702/prl1807020431-n1.html
7割の医師が「医師の働き方改革」は必要と回答。一方、8割の医師が“期待していない”
2018.7.2 16:52産経新聞

 株式会社エムステージ
「医師の働き方改革」への医師の本音を調査

 医師人材総合サービスを手掛け、「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」を運営する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役社長:杉田 雄二)は、会員医師を対象に「医師の働き方改革」に関するアンケート調査を実施しました。

 ■ポイント

 医師の働き方改革は「非常に必要」「必要ではある」と回答した医師は72%。
一方、医師の働き方改革による労働環境への良い影響を「それほど期待していない」「全く期待していない」「内容を知らないので分からない」と回答した医師は79%。
現状の働き方には課題があるという認識がありながらも、現在検討中の「医師の働き方改革」には期待できないという考えが浮き彫りとなった。
残業については、「残業せずに帰宅したい」という否定的な意見が81%に及んだ。
政府が検討中の医師の残業上限規制への意見は、「特に困ることはない」が61%、「十分な診療ができなくなる」と回答した医師が39%であった。

 ■調査の背景
働き方改革関連法案に含まれる時間外労働の上限規制について、医師は「応召義務」などの特殊性から5年の適応猶予がもたれました。現在「医師の働き方改革に関する検討会」にて、規制の具体的な在り方や労働時間の短縮策を検討しています。そこで、株式会社エムステージでは「Dr.なび」の会員医師に対して、「医師の働き方改革」への意見と労働環境の現状についてアンケート調査を実施しました。

 ■調査結果
<1>「医師の働き方改革に関する検討会」自体を知らない医師が3割。
Q.厚生労働省が行っている「医師の働き方改革に関する検討会」をご存じですか?
[画像1: https://prtimes.jp/i/19504/24/resize/d19504-24-655049-0.jpg ]

 <2>医師の働き方改革は必要だと考える医師は7割超。一方で、医師の働き方改革に期待している医師は2割のみ。現状の働き方には課題があるという認識がありながらも、現在検討中の「医師の働き方改革」には期待できないという考えが浮き彫りに。
Q.「医師の働き方改革」は、日本の医療現場に必要だと思いますか?
[画像2: https://prtimes.jp/i/19504/24/resize/d19504-24-895669-1.jpg ]

 Q. 「医師の働き方改革」によって、現在のご勤務先の労働環境に良い影響があることを期待していますか?
[画像3: https://prtimes.jp/i/19504/24/resize/d19504-24-853582-2.jpg ]

 Q.上記問いの期待できるまたは期待できない点とその理由について、具体的にご記入ください。※自由記入
■「とても期待している」「まあ期待している」の回答者
・1人常勤のため、電話や夜間のコンサルもすでに減って来ている。以前のような理不尽な連絡も減った。

 ■「それほど期待していない」「全く期待していない」の回答者
・他職種のようにしっかり勤務時間を拘束する(他病院でも働けないなど)と、総医師数が不足すると思われる。
・休暇を取った際、業務を代理する医師数が増えるとも思われないので。
・患者さんの病状はコントロール出来ない。現場に立つ限り、仕事が忙しいとか、きついとか言える職業では無いと思います。
・病院、科ごとに異なるわけでお役所がつくった一律な基準を当てはめるのは困難。
・時間外労働が正当に評価されない可能性を懸念している。

 <3>8割を超える医師が、残業せずに帰宅したいと希望している。しかし、患者の状況などで難しい現実がある。
Q. 残業についてのご自身の考え方で、最も近いものはどれですか?
[画像4: https://prtimes.jp/i/19504/24/resize/d19504-24-503210-3.jpg ]

 <4>時間外労働の上限規制には賛否が分かれる。十分な診療ができず、医療ニーズを満たせなくなると考える医師も4分の1いる。
Q.5年後をめどに、医師の残業上限規制が適用される予定ですが、その際に困ると想定されることはありますか?
[画像5: https://prtimes.jp/i/19504/24/resize/d19504-24-514783-4.jpg ]

 ■株式会社エムステージの「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」について

 「Dr.転職なび」:https://tenshoku.doctor-navi.jp/
 「Dr.アルなび」:https://arbeit.doctor-navi.jp/

 株式会社エムステージが運営する医師向け転職求人サイト、アルバイト求人サイト。会員医師数22,000人(2018年6月現在)。多様な働き方を推進し、医師の不足・過重労働などの課題解決を目指しています。日本全国の専任担当者が「医師が本当に欲しい情報」にこだわり、詳細な求人情報を収集。質の高い情報を提供することで、医師の求職を支援します。「Dr.アルなび」では、マイページ内で応募から勤務まで完結する独自システムを提供し、年間2万件のマッチングが成立しています。

 ■調査概要
「医師の働き方改革」に関するアンケート
集計期間:2018年5月23日(水)~2018年6月19日(火)
有効回答数:101名
調査対象:「Dr.なび」会員医師
調査方法:インターネット調査(会員医師へのメールマガジンにより回答フォームを送信)

 ※引用・転載時のお願い
本調査結果の引用・転載時には、「株式会社エムステージ」若しくは「Dr.なび」と弊社クレジットを明記ください。

 ■会社概要
商号 : 株式会社エムステージ
代表者 : 代表取締役 杉田 雄二
事業内容:
医師人材総合サービス事業(厚生労働大臣許可13-ュ-010928)
医療機関の経営支援事業
企業向け産業医サポート事業
企業向けヘルスケアマーケティング事業
メディア運営
設立 : 2003年5月9日
資本金 : 6,250万円
所在地 : 〒141ー6005 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5階
URL : https://www.mstage-corp.jp/



https://mainichi.jp/articles/20180704/ddm/016/040/029000c
病床再編目指す 「削減前提」反発強く 対応決めた医療機関1%未満
毎日新聞2018年7月4日 東京朝刊

 病院ごとの役割を明確化し、全体で病床数を減らす「地域医療構想」がなかなか進まない。政府は、医療費などの社会保障費が膨らみ、医療従事者の人手不足も懸念される2025年を医療の効率化で乗り切ろうとするが、「削減ありき」のため地域の反発も大きい。【酒井雅浩】

25年の必要数推計
 「公立病院ですら地域の実情や政治に左右され、病床の再編は容易でない。将来の推計で余るからといって、民間病院に病床数削減の要請なんてできるのか」。ある自治体の担当者はため息をつく。

 地域医療構想は、都道府県が高齢化率や患者の傾向を踏まえ、25年の医療需要や病床数を推計、その上で、複数の市町村からなる2次医療圏ごとに16年度中に策定した。だが、構想に基づいた病床数の削減など対応が決まっている医療機関は17年度末現在、全国1万4000カ所のうち117カ所で、1%にも満たない。



https://answers.ten-navi.com/pharmanews/14438/


地域医療への貢献 医師に評価された製薬会社は?求められるのは「連携支援」
2018/07/02 Answers News

地域医療に貢献していると思う製薬企業は?インテージグループでヘルスケア領域の市場調査を手がけるアンテリオが全国の医師1万6000人を対象にこんな調査を行いました。トップとなったのは武田薬品工業で、上位10社中8社が日本企業という結果に。製薬企業に期待する取り組みとしては、多くの医師が「地域連携支援」を挙げました。

地域貢献 評価トップは武田薬品 上位10社中8社が内資系
「地域の情報提供」「施設越えた勉強会」に期待
地域にフォーカス 企業側も体制整備

地域貢献 評価トップは武田薬品 上位10社中8社が内資系
アンテリオは6月27日、全国の医師に「地域医療に貢献していると思う製薬企業」を尋ねたWebアンケートの結果を発表しました。調査は今年2月に行われ、27診療科の医師1万6012人(病院勤務医1万2264人、開業医3748人)が回答しました。

調査の結果、最も多くの医師が地域医療に貢献していると思うと答えたのは武田薬品工業。2位は第一三共、3位は大塚製薬でした。上位10社のうち8社を内資系企業が占め、外資系からはファイザー(5位)とMSD(9位)がランクインしました。

アンテリオは「国内での長い活動、生活習慣病や認知症といった国の重点疾患に対する医薬品開発、市民に向けた啓発活動など、実際の医療現場での具体的な取り組みが総合的に評価された結果ではないか」と分析しています。

医師が評価する「地域医療に貢献している製薬会社」ランキング表。
  1位:武田薬品工業。
  2位:第一三共。
  3位:大塚製薬。
  4位:アステラス製薬。
  5位:ファイザー。
  6位:エーザイ。
  7位:田辺三菱製薬。
  8位:小野薬品工業。
  9位:MSD。
  10位:塩野義製薬。

広がる自治体との連携協定
トップとなった武田薬品は今年4月、国内の営業体制を再編し、全国13支店の下にある営業所を細分化して88から154に倍増。MRに医療経営士の資格取得を促しているほか、今年に入ってからは、地域包括ケアシステムの推進に向けて北海道旭川市、広島市、滋賀県と相次いで連携協定を結びました。

2位の第一三共や6位のエーザイも、認知症患者を支えるまちづくりに向けて自治体と連携協定を締結。3位の大塚製薬も今年3月時点で45都道府県と生活習慣病予防などを目指した連携協定を結んでいます。

「地域の情報提供」「施設越えた勉強会」に期待
同じアンケートで「地域医療について製薬企業に期待すること」(複数回答)を尋ねたところ、最も多くの医師が挙げたのが「医療従事者に向けた勉強会の実施」(39.4%)。次いで「地域における他施設の動向に関する情報提供」(34.8%)が多く、「医師会や他施設とタイアップした研究会の実施」(34.5%)、「地域における患者の特徴に関する情報提供」(30.2%)と続きました。地域の動向に関する情報提供や、医療従事者間の連携を促す取り組みに対するニーズが高いことがうかがえます。

大学病院・大学病院以外の病院・医院が回答した、「地域医療に関して製薬会社に期待すること(複数回答)」の棒グラフ。全体の1位:39.4パーセント、医療従事者に向けた勉強会の実施。2位:34.8パーセント、地域における他施設の動向に関する情報提供。3位:34.5パーセント、医師会や他施設とタイアップした研究会の実施。4位:30.2パーセント、地域における患者の特徴に関する情報提供。5位:25.4パーセント、疾患領域における幅広い情報共有。
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ただ、施設形態ごとに細かく見ていくと、それぞれ違ったニーズを持っていることが分かります。

それぞれ特徴的なところを挙げてみると、大学病院では「地域における患者の特徴に関する情報提供」を、大学病院以外の病院では「地域における他施設の動向に関する情報提供」を、診療所では「疾患領域における幅広い情報提供」を求める傾向にあります。病床の機能分化で施設の役割の見直しが急務となっている病院では他施設の動向に関心が高く、かかりつけ医機能を中心的に担う診療所では幅広い疾患に関する情報を求めていることがうかがえます。

地域にフォーカス 企業側も体制整備
国は団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに、住み慣れた地域で医療・介護・予防・住居・生活支援などのサービスを包括的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。2016年度には、これを実現するために必要となる病床数などを盛り込んだ「地域医療構想」を都道府県が策定。今後、構想をもとに全国各地で地域医療提供体制の再編が進むことになります。

製薬企業側でもこれに対応するため、組織体制の整備が進んでいます。

エーザイは16年4月、営業の最前線を担う「地域統括部」をそれまでの35から70に倍増させ、上位組織として8つの「地域連携推進本部」を設置。中外製薬も17年4月、それまで11支店だった体制を、都道府県単位の活動を基本とする36支店に細分化し、武田薬品も18年4月に営業所を倍増する組織再編を行いました。営業部門とは別に、地域連携をサポートする組織を立ち上げる企業も少なくありません。

地域医療をめぐる環境が大きく変化し、地域の実情にあったきめ細やかな対応が求められる中、製薬企業も新たな価値の提案を模索しています。



http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180701000058
地域包括ケア、「垣根」どう克服 京都で全国大会、事例報告
【 2018年07月01日 17時30分 】京都新聞

 高齢者が住み慣れた地域で療養生活を送ってもらう「地域包括ケア」推進へ、医療や介護、福祉の多職種連携を考えようと、医師と歯科医師、薬剤師でつくる「全国在宅医療医歯薬連合会」が5月下旬、京都市左京区の国立京都国際会館で全国大会を開いた。介護職や栄養士らも参加した大会では、京滋の医師が、全国有数の医療密集地と医療機関が一つしかない過疎地という対照的な事例を紹介しながら、在宅医療の現状や地域包括ケアの事例を紹介した。

■医療密集地では

 京都市は人口10万人あたりの医師数が政令指定都市トップ(2016年厚生労働省調査)で、下京西部医師会の下京区、南区エリアは15病院、126診療所が集まる。藤田祝子副会長は、医療密集地ならではの二つの「垣根」を課題に挙げ、取り組みを紹介した。

 医療間の垣根としては、大規模病院を核に在宅支援部門も持つ医療機関は地域包括ケアがグループ内で完結してしまうため、グループ外の開業医らにはケアの中身が見えず、「患者を診る上で不安がある」と問題提起した。その上で、病院の総合内科と地域の開業医がつながる場として、2カ月ごとの勉強会を4年間続けているとした。複数の医療機関を受診する患者の病歴や採血データ、内服薬の情報をインターネット上で共有する仕組みを導入したことも紹介した。

 医療と介護、福祉の垣根については、各分野の関係者が介護保険制度の開始前から交流を重ね、「顔の見える関係づくり」を目指してきた。ただ、患者の退院後の支援を検討する会議に医師の出席が少ないなど、「まだ垣根は低くない」と指摘。「医師が『聞きに来てくれたら』という姿勢ではなく、もっと現場に行くべき」と訴え、多職種連携に医師からの歩み寄りが必要とした。

■高齢化進む村

 南山城村の高齢化率は45%、高齢者に占める要介護認定者は22%と、ともに全国平均を大きく上回る。村内唯一の医療機関となる診療所を運営する相楽医師会の竹澤健理事は、「過疎地はサービスが行き渡りにくいと思われがちだが、『顔の見える関係』を大切に患者中心の地域包括ケアを実践している」と強調した。

 週4日、地区の集会所を使った出張診察と、歩いて行けない人には自宅を訪問して診療する。2週間で一巡し、出張診察は50人、訪問診療は70人を診る。介護事業所はわずか3カ所だが「医療・介護スタッフが少人数な分、連携はしっかりしている。いち早く状態を把握する上で目を配り合う住民間のつながりも生きる」とした。

 診療では「死」について話すよう心掛けているとして、「死の話をタブーにすべきではない」と訴えた。相楽医師会の調査では、どこで死にたいかや延命治療を望むかどうかについて、在宅療養患者の大半が明確な考えを持つにもかかわらず、家族と話し合った人は少なかったという。「家族と共有しないと希望通りにはなりにくい。医師として患者が口に出しやすい雰囲気づくりも大事」とした。

■先進地の取り組み

 地域包括ケアの先進地として、東近江市など2市2町の東近江医療圏で活動するNPO法人「三方よし研究会」の小串輝男代表理事が事例発表した。「医師一人に頼る医療は終わった。医療・介護をはじめとした多職種が共同し、患者に切れ目なく寄り添うことが大切」と呼び掛けた。

 月1回、症例について車座での意見交換を2007年から行っている。参加する職種は医師や看護師、歯科医師、保健師、薬剤師、理学療法士、ケアマネジャーら多岐にわたる。ここで築いた関係が、例えばリハビリ計画をつくり終えて患者の退院を待つといった好循環につながっていると説明した。

 「地域全体を一つの医療機関」ととらえているという。病状に応じて介護やかかりつけ医などが役割分担することで、患者を病院だけに集中させず、医療体制を守ることにもなる。小串氏は「年をとっても認知症やがんになっても、地域で安心して住み続けられることを目指して地域包括ケアを進めれば、それがまちづくりにもなる」とした。



http://www.medwatch.jp/?p=21290
地域医療構想の実現に向け、都道府県単位の調整会議を設置せよ―厚労省
2018年7月2日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 各都道府県において「都道府県単位の地域医療構想調整会議」を設置し、学識者を「地域医療構想アドバイザー」として推薦してほしい―。

 厚生労働省は6月22日に通知「地域医療構想調整会議の活性化に向けた方策について」を、6月26日に事務連絡「『地域医療構想アドバイザー』の推薦について」を発出し、都道府県にこういった点を要請しました。

調整会議メンバーに助言を行う地域医療構想アドバイザーの推薦を
 いわゆる団塊の世代が2025年にはすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していきます。この増大するニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制を再構築するために、例えば「地域医療構想の実現」が求められています。骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を明らかにし、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されました(関連記事はこちら)。

 病院・病床の機能転換は「調整会議の議論などを踏まえて、医療機関が自主的に進める」ことが基本です。このため調整会議の議論を活性化することが、早急に求められ、厚労省の「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、(1)都道府県単位の調整会議を設定する(2)都道府県主催の研修会を設ける(3)学識者を「地域医療構想アドバイザー」とし、調整会議を支援してもらう―といった方針が固められました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

厚労省は、この方針を具体化し通知・事務連絡を行ったものです。

まず(1)の「都道府県単位の調整会議」は、▼各構想区域の調整会議の運用(協議事項や年間スケジュールなど)▼各構想区域の調整会議の進捗状況(具体的対応方針の合意状況、再編統合論議の状況など)▼各構想区域の調整会議が抱える課題解決(参考事例の共有など)▼病床機能報告等から得られるデータ分析(定量的基準など)▼構想区域を超えた広域での調整が必要な事項(高度急性期の提供体制など)—に関する事項を協議するために設置されます(関連記事はこちらとこちら)。

いわば「都道府県内の各調整会議が足並みを揃える」ための会議と言えるでしょう。したがって「各構想区域の調整会議の議長」が全員参加することが必要で、ほかに「診療に関する学識経験者の団体、その他の医療関係者」「医療保険者」などが参加することになります。もっとも、要職につく方々ばかりであり、日程調整等が難しくなることから、「既存の会議体などを活用し効率的に運用する」ことが可能です。
 
また(2)の「都道府県研修会」は、調整会議のメンバー等が地域医療構想の進め方について認識を共有するために行うものです。厚労省は定期的に都道府県の担当者や都道府県医師会・病院団体の関係者向けの研修会を開催しており、そこではワーキング等の議論の状況に関する情報提供、先進的事例の共有、グループワークなどが行われます(関連記事はこちら)。こうした研修を都道府県が、地域の関係者(調整会議のメンバーなど)向けに実施することになりますが、厚労省に講師派遣を求めることも可能です。
 
さらに(3)は、調整会議に参加し、助言等を行う「地域医療構想アドバイザー」を厚労省で養成するものです。都道府県から▼医療計画・地域医療構想を理解している▼医療政策・病院経営に関する知見を有する▼各種統計や病床機能報告などに基づいたアセスメントを行える▼都道府県医師会等の関係者と連携がとれる▼都道府県内に活動拠点を持つ―人材の推薦を受け、厚労省でアドバイザーとして選出し、研修の実施・データ提供などを行います。地域医療構想ワーキングでは、例えば「地元大学医学部の公衆衛生学研究者」などがアドバイザー候補としてあげられました(関連記事はこちら)。

各都道府県はアドバイザー候補者を7月27日までに、厚労省に宛てて推薦することになります(アドバイザーの任期は原則1年間)。
 
このほか厚労省は、今年度末(2018年3月31日)までに「すべての医療機関」について調整会議で協議を開始することを要請。まだ協議を開始していない医療機関については、2017年度の病床機能報告データ(6年後および2025年における各病棟の機能)を調整会議で共有し、協議を始めるよう指示していいます。
 


http://www.medwatch.jp/?p=21350
二次医療圏に固執せず、生活実態に即した圏域で医療・介護提供体制を再構築すべき―総務省
2018年7月5日|医療・介護行政全般 MedWatch

 自治体間の連携を深め、▼救急医療提供体制▼病院間連携▼在宅医療・介護連携―などを調整し、住民の生活実態に即した医療・介護提供体制を構築すべきである。また増大する「東京都の慢性期医療・介護ニーズ」に対応するため、近隣県を含めた「東京圏域」で医療・介護提供体制を考えなければいけない―。

 総務省の「自治体戦略2040構想研究会」が7月3日に、このような提言を盛り込んだ第2次報告をまとめました(総務省のサイトはこちらとこちら(概要版))。

総務省研究会の提言と地域医療構想、どう調整していくべきか
 我が国では高齢化と同時に「少子化」が進み、急速な人口減少社会に入っています。そうした中では、多くの自治体では「存続(消滅の危機)」「行政サービスの継続」「医療・介護提供体制の再構築」などさまざまな課題に直面しており、「自治体戦略2040構想研究会」(以下、研究会)は、「危機を乗り越えるための新たな施策」と「その施策を実現するための自治体行政の在り方」について議論してきました。

 今年(2018年)4月には第1次報告がまとめられ、例えば▼個々の自治体がすべての行政機能を持つのではなく、圏域単位あるいは圏域を超えて連携して都市機能を維持し、住民の生活を保障する▼都道府県と市町村の「二層化」を柔軟にする▼東京都では、医療・介護ニーズが急増するが、千葉・埼玉などを含め「東京圏域」でサービス提供体制を構築する―などの提言が行われました(総務省のサイトはこちら)。

今般の第2次報告では、こうした提言内容についてさらに議論を深めています。医療・介護に関連の深い事項をみると、次のような提言・提案がなされています。

(1)現在、都道府県の設定する「二次医療圏」内において地域医療が一定程度、完結できることとされているが、連携中核都市(相当の規模と中核性を備える「圏域の中心都市」が近隣の市町村と連携するもの)で▼救急医療▼圏域内の病院間連携▼在宅医療・介護連携―などを調整することで、住民の生活実態に即した医療・介護提供体制を構築できる

(2)東京都では、今後、急速に高齢化が進行する(団塊の世代が後期高齢者となりはじめる)ため、▼入院・介護需要の増加▼外来需要の減少―が生じるが、慢性期病床や介護施設等は23区の外(多摩地区や埼玉県、千葉県など)に依存している。東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で連携して、長期にわたる医療・介護提供体制を構築・運営していく必要がある

 まず(1)の「医療提供体制を考える圏域」については、現在は、上述のとおり二次医療圏がベースになっており、この中で「病床過剰となり医療費が過度に膨張しないように基準病床数を定める」「5疾病5事業および在宅医療提供を担う医療機関等を指定する」「地域医療構想を実現する」ことになっています。

 しかし、例えば5疾病5事業については、急性心筋梗塞など一刻を争う医療分野については「二次医療圏」単位で考える必要がありますが、がんなど比較的、時間に猶予のある医療分野では「より広域」(複数の二次医療圏単位など)で考えるべきとされています。

 さらに、例えば関東地方では「埼玉県や神奈川県の居住者が東京都の勤め先に通勤する」といった生活実態に合わせた医療提供体制を構築することも重要です。

今般の検討会の提言は、こうした点を踏まえた、現在の「医療計画」の在り方に一石を投じるものと言えそうです。
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連携中核都市の概要
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場合によっては県境を超えた、住民の生活実態に即した医療・介護提供圏域を考える必要がある
 
また(2)の東京都については、高齢化が急速に進む一方で、「地価が高いために、単価の低い慢性期病床や介護施設などの整備が難しい」という状況があります。今後も、この状況は変わらず、「増大する慢性期医療・介護ニーズにどう対応するか」が極めて深刻な課題であり、研究会は「より広域に、東京都単独ではなく、近隣県を交えた『東京圏域』で医療・介護提供体制を考えていくことが必要」と訴えているのです。
 
これらは、現在進められている「地域医療構想の実現」にも関係するテーマです。地域医療構想は、主に二次医療圏をベースとした地域医療構想調整区域ごとに、病院等の病床を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に機能分化してくもので、研究会の「より広域な圏域で医療・介護提供体制の在り方を考えるべき」との今般の提言とは、若干方向が異なるようにも思われます。今後、医療・介護提供体制の再構築(地域医療構想の実現もこの一環)を考える上で、どのように議論していくのか(例えば、自治体の首長選挙では「公立病院の整備」などが公約に掲げられるケースも多く、自治体間で「急性期医療は●●地区の病院に集約して機能強化を図る」などの調整が極めて難しく、より広域での議論・調整はさらに難しさを増す)、大きな注目を集めそうです。


http://news.livedoor.com/article/detail/14965162/
なぜ東京の「名門病院」が赤字に陥るのか
2018年7月5日 9時15分 プレジデントオンライン

■経営危機が表面化し、「突然死」する病院
姿を消す病院が増えつつあることをご存じだろうか?

帝国データバンクの調査によれば、2017年、病院や診療所など、医療機関の倒産件数は25件だった。00年以降の累計が586件で、年平均にすると約32件。特別大きな数字には見えないが、倒産のデータが病院経営難の実態をすべて反映しているわけではない。それ以外にも、医療機関の休廃業、解散、身売りが激増している。

少し古い統計になるが、14年に休廃業・解散した医療機関は347件で、集計を始めた07年以降で最多の数字を記録した。

医療機関の中でも病院は経営が悪化しても、手遅れになるまで破綻の兆候が表れない組織である。外来や入院で日銭が稼げ、高い診療報酬を得ていた古きよき時代の莫大な蓄えがあるため、赤字が続いても資産の切り売りでしばらくは食いつなげるからだ。だが、赤字病院の延命にも限界がある。経営危機が急に表面化し、「突然死」する病院が相次ぐのも、時間の問題だろう。

■聖路加国際病院のような名門病院でも本業は赤字
数ある倒産予備軍の病院の中で、経営破綻の可能性が高いのが東京の総合病院だ。たとえば聖路加国際病院のような名門病院でも、本業は赤字で、不動産収入で何とか利益を出している。最近では、100年以上の歴史がある三井記念病院が債務超過に転落したことが明らかになった。三井グループをバックにした名門病院でもそうした経営状態なのだから、ほかは推して知るべしだろう。

この状況を不思議に思う人もいるかもしれない。人口の高齢化とともにニーズが高まる医療は、数少ない成長市場である。さらに首都圏という巨大市場に恵まれ、患者が集まりそうな東京の大病院は、いかにも儲かりそうだからだ。しかしそうした要因が利益に必ずしも結びつかない理由は、病院の収支構造の特殊性にある。

病院の主たる収入源は診療報酬である。ところが、公定価格である診療報酬は全国一律で、大都会だろうが地方の僻地だろうが、同じ治療内容であれば同じ金額だ。

病院は工場経営に似た側面がある。地方は人件費や土地代の固定費が安くあがって、利益を出しやすい一方、首都圏の病院は高コスト体質で不利になる。こうした背景もあって、最近では東北や九州などの病院グループが、地方の稼ぎを元手に東京に進出する事例も、目立つようになった。

■経営資源の選択と集中ができるのは専門病院に限られる
さらに、国家財政の悪化によって、診療報酬は抑制される傾向にある。小泉政権の構造改革以降、診療報酬の水準は約1割弱も下がった。17年末の予算編成で、診療報酬本体が0.55%引き上げられたが、焼け石に水の感は拭えない。消費税増税も、病院経営に大きな打撃を与える。医薬品などの仕入れに消費税を負担しても、それを患者には請求できないからである。

もっとも東京の病院は患者数が多いから、病床稼働率のアップといった経営改善策も考えられそうである。だがそうした手が打てるのは、経営資源の選択と集中ができる専門病院に限られる。

がん研有明病院、井上眼科病院、伊藤病院(甲状腺疾患)といった東京の専門病院は、マスコミが特集する「いい病院ランキング」にしばしば名前があがり、高収益を実現している。地方では仙台厚生病院が、心臓血管・呼吸器・消化器であれば救急患者は断らず、それ以外はカバーしないという、まさに「選択と集中」の方針で、支持を集めるようになった。総合病院は、小児科や産婦人科、救急といった稼働率が低い不採算部門があっても、簡単には廃止できない。青息吐息だ。

■大学病院は百貨店と同じ末路をたどる
東京の総合病院の中でも、もっとも倒産リスクが大きいのが私立大学病院である。なぜかといえば、経営が傾いて破綻しそうなときに、国公立大学や国公立病院とは違って、税金の注入といった公的支援を期待しにくいからだ。さらにここでも総花的な診療科目が足かせになる。

ほかの総合病院であれば、儲からない診療科を閉鎖するという「外科手術」も可能だが、大学病院は医学の教育機関という性格上、あらゆる診療科目を網羅しなければならない。さまざまな行政上、法制上の規制もあって、たとえ不採算の診療科であっても、簡単に看板を下ろせない。お荷物の診療科を抱えていると、強みのある診療科もつくりにくくなって、専門病院に患者を奪われるようになった。

首都圏の私立大学病院は、専門店との競争に敗れた百貨店と、同じ末路をたどっているのである。結果、診療報酬だけでは経営が立ち行かないため、高い学費で埋め合わせているのが現状だ。現に東京女子医科大学病院や日本医科大学病院は、財務諸表を見る限り、かなり危機的な状況である。

■病院倒産で真っ先に被害を被るのは地域住民
それでは、大学病院の経営を再建する手立てはないのだろうか。私は、大学病院を救済するなら、思いきった規制緩和が必要だと考えている。

大学病院は大学医学部の教育研究に必要な施設として位置づけられているが、大学が病院を手放すという方法もある。米国の医学部のように、医学生の研修はほかの病院と連携して実施すれば、支障はないはずだ。また、アジア圏からドクターや看護師を受け入れるのも有効な手段になるだろう。放射線科医であれば患者に接する機会はほとんどないから、言語の壁もない。日本人と同じ待遇でそれ以上に働いてくれれば、コストは下がる。

大学病院の倒産が現実のものになったとき、真っ先に被害を被るのは地域住民だ。かかりつけの診療所から大学病院を紹介してもらうといった、地域医療連携が途切れてしまうし、大学病院は地域経済の中核にもなっているので、周辺の商工業者に与えるダメージも甚大だ。大学病院には、高度急性期医療を必要としている患者も少なくない。受け皿となる医療機関にスムーズに移れるような取り組みが求められる。政府は、国有化も視野に入れた病院の破綻処理のスキームを、早急に整備すべきである。

ただしこうした議論は、なかなか活発にならないだろう。かつて北海道拓殖銀行が都市銀行として戦後初の破綻をしたとき、その衝撃があってから、ようやく政府は重い腰を上げて制度の整備に動くようになった。近い将来、大きな病院が破綻し、泣いている患者の映像がニュースにでも流れないと、誰も目を覚まさないような気がする。

■「いい病院」はどう選べばいいのか?
とはいえ、国の政策に期待するだけでは、私たちは病院倒産の被害を免れない。自分や家族の生命を安心して預ける病院を、どうやって選べばいいのか。それは病院の財務諸表をチェックすればいい。大学病院は現在、財務諸表を公開するようになっており、会計の知識があるビジネスパーソンであれば、これを活用しない手はない。

財務諸表は、よく「企業経営者の通信簿」といわれるが、それは病院経営者にとっても同じことだ。経営が健全な病院は、医療の質も高いと見て間違いない。利益が上がっていれば、人材や医療設備、医療施設への再投資も可能になる。逆にいえば、病院も「貧すれば鈍する」のである。

赤字続きの病院は、医師や看護師の人件費カットに走り、それが安全性の低下を招く。大学病院からの給与だけで生活できない医師は、アルバイトに精を出し、その結果、病院は「無医村」になる。近年、私立の大学病院で起きている医療事故を見ていると、起こるべくして起こったと感じる。

「医は算術ではない。金儲けを考える医者に、いい医療ができるのか」という反論が出るかもしれない。しかし、赤ひげ先生でも病院経営ができた時代は過去のこと。診療報酬が低水準の中、博愛主義を貫いていれば、病院経営はたちまち行き詰まる。私は経営を持続でき、地域住民に医療を安定的に提供できる病院こそ、真の「いい病院」だと考える。

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上 昌広(かみ・まさひろ)
医療ガバナンス研究所理事長・医師
1968年、兵庫県生まれ。93年、東京大学医学部卒。虎の門病院、国立がんセンター中央病院で臨床研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究する。著書に『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など。
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(医療ガバナンス研究所理事長・医師 上 昌広 構成=野澤正毅 撮影=的野弘路)



https://www.m3.com/news/iryoishin/612765
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外労働、「結論早まる可能性」厚労省・鈴木医務技監
第68回日病学会、「病床の集約」など中長期対応の検討も示唆

レポート 2018年7月2日 (月)配信大西裕康(m3.com編集部)

 医師の時間外労働規制の具体的なあり方に関する結論の取りまとめが、想定よりも早まる可能性が出てきた。厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏が6月29日、金沢市内で開かれた第68回日本病院学会のシンポジウムで「来年の3月までに法令上の基準は決めなければならないが、それよりもかなり前に結論を出していただくことも含めて検討しなければならない可能性がある」との認識を示した。結論をまとめる時期が早まる理由としては、医師の時間外労働の上限規制を他の職種とは異なる形で特別に設けるために法律改正が必要になった場合、法案に関する与党との調整などに時間を要することを挙げた。

 医師の時間外労働については、政府が2017年3月28日に公表した「働き方改革実行計画」で、「医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」との方針を記載。厚生労働省が「医師の働き方改革に関する検討会」(2017年8月2日に初会合)を設け、検討を進めてきた(同検討会での議論については『次回以降「本丸」の上限規制など議論』などを参照)。2018年2月27日に「中間的な論点整理」を公表後、議論はいったん中断していたが、同7月9日に会合を開き、議論を再開する。

まずは医師の残業上限を設定か
 鈴木氏は、現時点で「出口はどちらかになる」と想定している結論として、下記の2つを挙げた。

・医師1人1人の業務内容などを把握し、(業務か業務外かなどの)白黒を分けて時間を判断する
・病院はグレーゾーンが多いという前提で、医師の時間外労働時間の上限自体を他職種より増やす

 「個人的に前者(医師1人1人の把握)は現場に負担があると思っている」と実現性が乏しいとの認識を示した。ただ、「全ての科の先生について、残業時間の規制の例外扱いが必要ではない。また、同じ科でも年齢によって働き方が違うし、役職での職能も違う。自分が例外に当てはまるかどうか、それを手上げ方式とし、その人をきちんと管理する必要があるかもしれない」とも述べた。

 医師を対象に他職種を上回る時間外労働の上限を設ける可能性のある状況だが、鈴木氏は、「健康管理の面は譲れない」と説明。「これがないと国会でも審議に耐えられない。一定の時間以上、勤務せざるを得ない医師に対しては、産業医なりの健康管理がきちっと組み込まれていることが必要だ」と強調した。

「病床の集約」「医師が得意業務に専念できる環境整備」必要
 一方、私見と前置きした上で、「(働き方関連法施行から、時間外労働の上限規制の医師への適用が猶予される)5年プラスアルファの期間で、(医師の働き方改革が)全てクリアになるのは難しい」との認識も示した。「短期的な対応として来年3月までに地域医療に影響が出ないようにしたい」と前置きした上で、中長期的な対応として検討する課題に「病床の集約」と「医師が得意とする業務に専念できる環境整備」を挙げた。

 病床の集約については、「人口1000人当たり医師は諸外国と比べても変わらないが、病床100床当たりの医師は少ない。米国比では5分の1程度」と指摘。「これをある程度は改善し、少なくとも欧州水準にしないと、医師の忙しさは変わらない」との見方を示した。鈴木氏が当日のシンポジウムで示したOECDの資料では、病床100床当たり「臨床医師数」は米国が79.7人、フランス50.9人、ドイツ45.2人、イギリス92.0人。

 「医師が得意とする業務に専念できる環境整備」については、脳外科を例に挙げ、「日本は米国に比べて脳外科の医師数が人口当たりで大変多い。1人当たりの手術症例数は(米国が日本の)20倍。医療水準については、日本の方が優れていると思うが、外科医が本当に手術に注力できる環境が整っているからこそ」と述べた。環境整備の具体例としては、「手術をアシストするようなPA(physician assistant)のような職種、記録も口述するとタイプしてくれる人がいるなど」と挙げた。

第68回日病学会シンポジウム「医師の『働き方改革』はどうあるべきか」
・医師の時間外労働、「結論早まる可能性」
・労基署介入「労働時間の短縮のみ、センスがない」
・「“医療は特殊”では思考停止」、「女性支援は男性支援に」



http://univ-journal.jp/21552/
都道府県間の医師の流出入を過去20年にわたり全国推計 医療ガバナンス研究所
大学ジャーナルオンライン編集部 2018年7月6日 

地域医療調査
 特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所は、厚生労働省の公開資料などを用い、都道府県別の医師移動を推計した。その結果、医師勤務地選択には最大313%の都道府県格差があり、各地域の医学部出身者のうち石川県では68%、東京都でも13%の医師が他地域へ流出していることがわかった。

 1961年に10万人(人口10万人あたり約104人)だった日本の医師数は、2016年には32万人(人口10万人あたり約240人)まで増加。しかし医師不足は一部では依然として深刻で、都道府県間の医療資源格差は縮まっていない。
都道府県別に人口10万人あたりの医師数をみると、上位は徳島県(315.9 人)、京都府(314.9 人)、下位は埼玉県(160.1 人)、茨城県(180.4 人)となっている。

 日本では医師はほぼ自由に勤務地を選択できるが、医学部卒業後、医師がどの地域で勤務しているのか、これまで具体的な数字を出したデータはなく、医師の移動については不明なままだった。そこで、研究チームは、1995年から2014年の厚生労働省の公開データ※を分析し、都道府県別の医師養成数と実働医師数の差から見かけ上の医師の移動割合を推計した。

 調査の結果、医師の流出が最も多かったのは、卒後医師の68%が他県へと移動していた石川県。逆に流入が最も多かったのは卒後医師の245%が他県より移動していた千葉県だった。医師の流出は、石川県、島根県、高知県などに多く、流入は大都市近郊、千葉県、埼玉県、静岡県などで多かった。一方で、大都市である東京都は13%の医師が流出、愛知県、大阪府、福岡県では、7.7%~.8%の幅で医師が流入していた。

 医師の流入している都道府県には人口当たりの医学部の入学枠が少なく、流出している都道府県には医学部の入学枠が多い傾向にあることが分かった。これは、医学部入学枠数が多い都道府県にいる医師が、他の地域へと出て行きやすいと考えられる。東京都の場合、医学部が13校あり、人口当たりの医学部入学枠も比較的多いことから流出しているといえる。東京近郊の千葉県では、医師養成数の2倍以上の医師が他の都道府県から流入しているが、それでもなお人口10万人あたりの医師数は非常に少ない(千葉:180.4 人)。

 研究チームは、日本全国でみると医師の都道府県間の移動が医師偏在に与える影響は大きく、今後の医療政策を考える上で重要な視点の一つとなると指摘している。

※使用した公開データは、厚生労働省公開資料を用い、医師・歯科医師・薬剤師調査より都道府県ごとの医師数、各医学部別の医師国家試験合格者数より都道府県ごとの医師養成数を抽出。人口データは、住民基本台帳を元にした人口データを使用。

論文情報:【MedicineA model-based estimation of inter-prefectural migration of physicians within Japan and associated factors: A 20-year retrospective study



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7月1日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180626-OYTET50045/
医師不足の刑務所…93人の刑執行停止中、透析受けられないことを理由に
2018年6月27日読売新聞

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 刑事事件で実刑判決が確定したのに、腎臓病の人工透析が刑務所で受けられないことを理由に、刑の執行が停止されている確定者が5月末現在で93人に上ることが、法務省への取材でわかった。医師不足に加え、機器を備える施設と受刑者の「ミスマッチ」も起きており、刑の執行に不公平感を生じさせかねない異例の刑事手続きが常態化している。

 2008年10月に開設された官民で運営する「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)。15台の人工透析設備が設置され、治療が必要な受刑者30人を収容する予定だった。ところが、治療を受けた受刑者は11年の13人をピークに年々低下。16年11月に4人まで落ち込み、同センターは同年末、治療設備を廃止した。

 「誤算」が生じたのは、同センターが受け入れる収容者を「初犯で集団生活に適応できる模範囚」に限定したためだ。定員約2000人の受刑者を収容する同センターの収容棟の大半は個室になっており、テレビやベッドがあるが、窓に鉄格子はない。

 法務省の担当者は「入所条件に合致しつつ、人工透析治療が必要な受刑者が予想より少なく、設備の利用が伸びなかった」と話す。

 同省によると、全国69の刑務所や少年刑務所のうち、人工透析治療の機器があるのは9刑務所、63台。今年1月に全国最多の30台が設置された「東日本成人矯正医療センター」(東京都昭島市)が開所し、治療可能な受刑者数は大幅に増加した。それでも治療を受けている受刑者は5月末時点で全国で81人にとどまる。

 63台の機器は現在、緊急用の予備機を除きすべて稼働しているが、機器を扱える専門医は非常勤が多く、人手不足が続いている。東日本のセンターでは、1台で複数の受刑者が治療できるよう週3回の治療日を月、水、金と、火、木、土曜日の二つに分け、48人が治療を受けるが、小規模な施設では医師不足からこうした取り組みはできていない。

 刑事訴訟法では、実刑判決が確定した者が心神喪失の状態にある時は、執行を停止する。さらに刑の執行によって著しく健康を害する時や生命を保つことのできない恐れがある時も執行を停止できる。同省関係者によると、透析治療以外で執行停止が認められるのは、再審が開始されたり、脳疾患などで重体となって入院が長期化したりした場合など「極めてまれなケース」に限られるという。

 透析治療を理由に執行が停止された場合、自宅などから病院に通い、治療可能な刑務所に空きが出れば順次収容される。その間は刑期に算入されず、警察などの監視下には置かれない。

 同省によると、執行停止中の93人の中に殺人などの凶悪犯はいないが、再犯者は少なくないとみられる。中には執行停止中に再び罪を犯しながら、透析治療を理由に刑の執行が再び停止されている者もいるという。

 同省幹部の一人は「再犯防止や刑の執行の公平性を考えれば重大な問題だが、医師や予算を確保するにも、『なぜ罪を犯した者に予算を割くのか』という意見は根強く、解消のメドは立っていない」と明かした。

           ◇

【人工透析】  機能が低下した腎臓の代わりに機器を使うことで、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く治療方法。治療は週に3回、1回あたり数時間を要する。人工透析を受ける患者は年々増え続け、2016年の患者数は全国で約33万人。



http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20180629/CK2018062902000033.html
長良医療の産科医5人移籍 県総合センターへ、連携で充実図る
中日新聞 岐阜 2018年6月29日

 医師不足に悩む県総合医療センター(岐阜市野一色)が、国立病院機構が運営する長良医療センター(同市長良)の産科医八人のうち五人の移籍を受け入れる見通しになったことが、関係者への取材で分かった。同じ地域内で中核的な役割を担う両病院が連携、周産期医療体制の充実を図る。

 産前産後の母子を診療する周産期医療の医師不足は全国的に深刻さを増す。両病院は県と医師の人事権を持つ岐阜大医学部を交え、病院間の役割分担や連携のあり方を議論してきた。

 複数の関係者によると、長良医療センターは二十八日、院内会議で幹部らに方針を伝えた。県総合医療センターも近く、院内で受け入れを公表する。移籍時期は来年一月と三月の二段階を想定しているという。

 長良医療センターは、胎内の子どもを診断、治療する胎児診療で広く知られ、県内外から患者を集めている。産科医八人の大半が移ることになるが、同院幹部は「新たに医師を確保し、産科は維持する」と説明している。

 県総合医療センターは独立行政法人の運営で、リスクの高い妊婦や新生児を診療する総合周産期母子医療センターに県内で唯一指定されている。分娩(ぶんべん)を担う常勤の産婦人科医は六人。同院の関係者は「今の人手ではいっぱいいっぱい。医師が増えることで、若い医師の教育もしやすくなる」と歓迎する。

 同大教授の一人は「医師に余裕ができるようになれば、医師不足が深刻な県内の他地域にも派遣できるようになる」と話している。

◆慢性的な医師不足
 県によると、県内の分娩(ぶんべん)取り扱い施設は二〇一七年が四十六カ所で、一〇年(六十四カ所)に比べ三割減った。一方、産婦人科・産科医師は一六年が百七十三人で、この二十年は微増減を繰り返し、慢性的な医師不足の状況が続いている。

 加えて、県内のある産科医師は「出産年齢の上昇などでリスクの高いお産が増えた」と厳しい環境を明かす。県内の四十歳以上の出生数は一五年に六百七十五件で十年間で二・三倍に。リスクのある妊娠二十八週未満の分娩数は一四~一六年で二・二倍に増えた。

 名古屋市立大病院の産婦人科医師、尾崎康彦教授は、産科医師不足の背景には過酷な労働状況があると指摘。「二十四時間体制でお産に備える必要がある上、医療訴訟が比較的多い。そのイメージから産科医師を志望する若手が減り、悪循環を生んでいる」と話す。同院では当直の翌日は昼で帰るなど、働き方改革に取り組んでいるという。

 県周産期医療協議会の冨田栄一会長は「医師不足に一つの特効薬はなく、地域に応じた連携を今後も県全体で考えていく必要がある。労働環境の改善も、同時に進めていかなければならない」と話している。



https://mainichi.jp/articles/20180627/ddl/k08/040/055000c
県立中央病院
昨年度の時間外労働 3診療科で増加 「医師不足 運用では限界」 /茨城

毎日新聞2018年6月27日 地方版 茨城県

 県立中央病院(笠間市鯉淵)で昨年度、勤務医の時間外労働が過労死ライン(月80時間)を超えた問題で、特に長時間労働が常態化している整形外科など3診療科の年間時間外労働が一昨年度より増加していたことが分かった。同病院では過労死ラインを超えた場合、業務量を減らすなど改善するよう診療科に求めているが、救急対応などは削減が難しく、関係者は「絶対的に医師数が足りない。現場の運用改善だけでは限界がある」と漏らす。【加藤栄】

 毎日新聞が情報公開請求で入手した2016、17年度の時間外労働に関する記録文書を比較して判明した。

 病院全体の勤務医数は1人減って130人に、年間の時間外労働(平均)は3時間増えて453時間だった。

 同病院の約30診療科のうち、17年度に過労死ラインを超える月があった勤務医23人の大半(13人)を占めた整形外科▽産婦人科▽循環器内科▽麻酔科--の4診療科で見ると、合計の勤務医数は37人で増減はなかった。

 一方、年間の時間外労働(平均)を見ると、整形外科700時間(前年度比75時間増)▽産婦人科502時間(同34時間減)▽循環器内科629時間(同44時間増)▽麻酔科502時間(同16時間増)--だった。

 同病院では、勤務医の時間外労働が過労死ラインを超えた場合、院長名の警告文書を各診療科の部長に出し、患者への説明など業務量を削減するよう改善を求めているという。しかし同病院は2次救急指定病院で、交通事故や出産などの、緊急手術が必要な急患も多い。こうした事態を専門とする整形外科や産婦人科などは、交代要員がいない場合、時間外勤務として対応することも多いという。また循環器内科は手術後の急変への警戒に時間を取られるという。

 関係者は「絶対的に医師が不足する中、忙しい診療科の時間外労働を削減するのはさらに難しい」と漏らす。

 大井川和彦知事は昨年8月、医師不足対策などを公約に初当選。今年2月には「県医師不足緊急対策行動宣言」を発表。今年度当初予算では22億7600万円を計上した。

 この問題について、大井川知事は今月19日の定例記者会見で、「医師数が不足している」と認めたうえで、「(患者への説明などの業務を他の職種に任せる)タスク・シフティングや振り替え休日の促進などを組み合わせ、労働時間の削減に向けた取り組みを進めていきたい」と話している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/610089
シリーズ  大学医学部「地域枠」の今
「地域枠の入学生、学力低い」は誤解 - 小林誠一郎・AJMC委員会委員長に聞く◆Vol.1
調査結果公表、国試現役合格率「一般枠」より高く

インタビュー 2018年7月1日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議の「地域における医師養成の在り方に関する調査実施委員会」が、文部科学省の委託研究として実施した「地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告書」がこのほど公表された。
 医師不足対策として2008年度から増加した「地域枠」については、「学力が低いのではないか」「奨学金を返還して、卒後の義務履行を果たさないケースがかなりの数に上るのではないか」などの指摘もある。しかし、地域枠を有する大学医学部・医科大学を対象に実施した調査では、これらの懸念を払拭する結果が示された。同委員会委員長を務める、岩手医科大学副学長の小林誠一郎氏に、調査概要をお聞きした(2018年6月11日にインタビュー。全2回の連載。報告書は全国医学部長病院長会議のホームページ)。

――まずこの研究を実施した経緯をお教えください。

 本研究は、全国医学部長病院長会議が文部科学省から委託を受け、2015年度から3年間の事業としてスタートしました。2008年度から始まった地域枠の入学制度について、実効性はどの程度あるのか、どんな問題点があり、どのように改善につなげればいいかなどを明らかにするのが目的です。3カ年継続して全国の大学医学部を対象に調査を実施してきました。2017年度の対象は77大学(産業医科大学、防衛医科大学校、自治医科大学、新設医学部を除く)で、うち地域枠を有する68大学から得られたデータを集計しました。

 調査内容は大きく2つに分かれます。一つは地域枠学生の卒前・卒後の状況をいくつかの指標で客観的数値として評価するもの(地域枠学生の転帰調査)で、実効性に関する客観的な数値指標としては、学習成果、つまり入学後6年間で卒業した学生の割合である「ストレート卒業率」、「医師国家試験の現役合格率」のほか、奨学金返還などを行い、義務履行から離れる「辞退率」などを調べています。もう一つは、地域枠制度の問題点・改善点や支援体制などに関する調査です。両者の集計結果は、奨学金や義務履行の有無、選抜時期などでグループ分けした制度区分別(下図)、大学の設立別、中大都市群と小都市群別などで比較しています。

調査対象とした地域枠の制度区分
A:奨学金を支給する制度
 A1:別枠で入学選抜を実施し、卒後一定の年数の義務履行を課すもの
 A2:入学後選抜し、卒後一定の年数の義務履行を課すもの
B:奨学金を支給しない制度
 B1:別枠で入学選抜し、卒後、一定の年数の義務履行を課すもの
 B2:別枠で入学選抜をするが、卒後義務履行年数が明示されていないもの

――学習成果の結果はいかがでしょうか。「地域枠の学生は学力が低い」との指摘もありますが。

 2008年度の地域枠の入学者は、ストレートに行けば2013年度卒業。本研究では、2016年度卒業までの4年度分を調べています。年度による変動はありますが、地域枠の入学者の「ストレート卒業率」は、B1の2016年度以外は、全ての制度区分で一般枠を上回っていました。また、国試の現役合格率は、全ての制度区分で、地域枠卒業生の方が、一般枠卒業生よりも高いという結果でした。

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(出典:地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告)
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(出典:地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告)

 地域枠に対しては、「入試の合格基準が低いので、学力が低い学生が入学してくるのではないか」との指摘もありますが、現時点ではその懸念は払拭されていると思います。入学後の学習成果で見ると、何ら問題はなく、一般枠の学生よりも優れている結果になっています。

――地域枠の合格基準は、一般枠よりも低く設定しているのでしょうか。

 その点については本研究では調べていませんが、各大学の多くの教員は、「入試の成績と在学中の成績は、必ずしもパラレルではない」ことを実感しています。このため本研究では、入学後の学習成果として「ストレート卒業率」などを指標としました。

――「辞退率」はいかがでしょうか。

 奨学金支給枠に関する大学への調査では、2008年度以降の地域枠の卒業生が辞退するのは、医学部6年生が最も多く、次いで卒後1年目であることが明らかになっています。これは、キャリア形成に対する考え方がある程度、はっきりしてくる時期に当たり、「義務履行とキャリア形成が合致しない、自分が希望する専攻と齟齬が生じた」などが理由として考えられます。本研究では、この時期を過ぎた卒後2~4年目の医師の「辞退率」を調べました。

 この辞退率を見ると、地域枠全体では4.6%(入学生1554人中、辞退者72人)、制度区分別では、義務年限の縛りが厳しい奨学金支給枠のA区分で6.1%〔A1が最も高く6.5%(入学生925人中、辞退者60人)、A2は4.2%(入学生168人中、辞退者7人)〕、奨学金を支給しないB1が1.1%(入学生461人中、辞退者5人)でした(B2は義務履行が明確ではないので除外)。B1が低いのは、初期研修あるいは専門研修1、2年目までなどと義務年限が短く、自由度が高いことが一因として考えられます。

 一方、地域枠制度発足以前の都道府県医師養成奨学金を受けた卒業生(2004年度から2013年度の卒業生。2008年度以降に入学した地域枠の卒業生を原則除外)に関する都道府県への調査では、初期臨床研修が終わった卒後3年目くらいに辞退のピークが来ています。これらの卒業生については、最大卒後10年目までの「辞退率」を調査しました。その結果、卒業生全体では18.7%で、卒後4年目時点までに限ると14.6%でした。経過年数が異なるため単純な比較はできませんが、先にお話した現行制度の6.1%に比べかなり高い辞退率となっています。

 奨学金支給枠に関して、両者をマッチさせて奨学金支給枠を比較するために、卒後2~4年目の各時点での「辞退率」も比較しています。大学調査では、2年目まで5.5%、3年目まで7.8%、4年目まで5.0%。これに対し、地域枠制度発足以前の都道府県医師養成奨学金を受けた卒業生では、2年目まで6.5%、3年目まで12.4%、4年目まで15.2%で、大学調査の方が現時点では低いという結果でした。ただし、大学調査での4年目までの辞退率が低いのは、まだ母数が少ないことによる可能性があると思われます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/612492
「医師と個別に契約書」「専門医も総合的なマインドを」
第68回日病学会、特別シンポジウムで医療団体トップが議論

レポート 2018年6月30日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 金沢市で開催された第68回日本病院学会で6月28日、「今後の医療・介護の行方~地域・包括医療・ケアを中心に~」をテーマに、特別シンポジウムが開かれ、医療関係団体のトップら4人が登壇。地域医療・介護の提供体制そのものよりも議論になったのは、その担い手である医師の働き方や求められる医師像だ。

 働き方改革関連法案が今通常国会で成立、医師の働き方改革は急務。地域包括ケアシステムの構築に当たっては、その担い手、また専門分化した医療を補うため総合診療的なマインドを持つ医師が求められている。昨今の医療情勢を反映した議論になった。

 特別シンポジウムに登壇したのは、日本医師会会長の横倉義武氏、日本病院会会長の相澤孝夫氏、全日本病院協会会長の猪口雄二氏、地域包括ケア病棟協会会長の仲井培雄氏。司会は、全国自治体病院協議会の前会長で、赤穗市民病院名誉院長の邉見公雄氏が務めた。

 相澤氏は、自身が理事長を務める社会医療法人財団慈泉会の相澤病院(長野県松本市)では、医師一人一人と業務内容と給与を記載した契約書を交わしていることを紹介した。「『先生には、これだけの仕事をやってもらいます。だから給与はこの額です』と提示している。こうしたことをやらないと、多分もたない」と相澤氏は説明。医師によって得意分野、可能な業務内容や業務量は異なる。ワーク・ライフ・バランスについての考え方も違う。個々の医師に対して、あらかじめ業務内容や業務量を規定し、それに応じた給与を規定することにより、皆が納得感を持って仕事ができる体制を構築するという発想だ。「排除するのではなく、皆を巻き込んで、うまく人材を活用することが必要」(相澤氏)。

 横倉氏は、「労働基準法通りにやると、地域医療は崩壊してしまう。『医療、医師は特別』とは言わないが、医療の現状を理解してもらい、どこまで医師の働き方改革ができるかを検討していく必要がある」とコメント。日医主催で、四病院団体協議会、全国医学部長病院長会議などが参加する「医師の働き方検討会議」の報告書がまとまったことを紹介。「若い人の意見も取り入れた。労働法制の方にも理解いただける内容」(横倉氏)。医師の働き方改革の基本的考えとして、一つは医師と医療の特殊性を洗い出すこと、もう一つは医師の健康を確保するためには何が必要かを考え、各医療機関での実施を徹底することを挙げ、横倉氏は「医師の自己研鑽が労働に当たるかどうか、宿日直の在り方、オンコールの労働性などの議論が今後、必要になってくる」と述べた。

 さらに横倉氏は、「国民の理解を得る必要がある」とも指摘した。「国民皆保険下では、いつでも、どこでも、誰でも受診できる。このアクセスの良さを現状のまま維持することができるか、国民に考えてもらうことが必要」と述べた。

 「総合医」の養成、位置付けが今後の課題

 新専門医制度において、総合診療専門医は19番目の基本領域の専門医として位置付けられた。一方、一定のキャリアを積んだ医師を対象に、日医はかかりつけ医機能研修制度、日本病院会では病院総合医の研修事業、全日本病院協会では「総合医育成事業」をそれぞれ行っている(『病院総合医「便利屋でなくリスペクトされる存在目指す」』などを参照)。邉見氏は、総合診療的なマインドを持つ医師が、地域包括ケアの中心的な担い手となるとした。

 横倉氏は、「総合診療医が、今後、どうなっていくかのかが大きな課題」と提起した。「内科、外科などの基本診療科に所属することが、医師のキャリアアップの中で大きなウエイトを占めている。われわれはかかりつけ医の重要性を主張している。知識や技術の習得に偏ることなく、専門医として活躍する医師に、かかりつけ医のマインド、全人的な医療を行うマインドを持ってもらうことが必要」。横倉氏は「米国のホスピタリストの現状をもう一度、把握しておく必要がある」とも指摘。

 猪口氏は、全日病でもこの7月から、「総合医育成事業」をスタートさせることを紹介。「諸外国を見ると、米国なら家庭医、イギリスならGP(General Practitioner)が診ているが、しかし、日本では相変わらず、縦割りの専門医が診る体制であり、これではいつまで経っても医師不足。横串を刺す医師をいかに増やすかが重要」と述べ、各団体がいろいろいな方法でトライしなら、総合診療的なマインドを持つ医師が増えることで、「日本の医療が変わってくるのではないか」と見通した。猪口氏は、医師需給や偏在対策の検討に当たって、専門医と総合医の比率を考えることも必要だとした。

 「国民皆保険を世界文化遺産にしたかった」

 司会の邉見氏は、「国民皆保険を世界文化遺産にしたかった」と述べ、今後の皆保険の行方についても演者に問いかけた。

 仲井氏は、「ハイクオリティー、ローコスト、フリーアクセス」の全てを維持するのは無理との考えを示した。自身の経験を踏まえ、原則60日以内の入院となっている地域包括ケア病棟について、早期退院の努力をして30日など短期間で退院させた方が、60日の入院よりも収益性が低いなどの問題点を指摘、診療報酬体系に改善の余地があることを示唆した。

 猪口氏は、厚生労働省が今年5月にまとめた「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」で、経済成長の「成長実現ケース」の試算では、「名目経済成長率3%以上」という数値が用いられていることを踏まえ、「GDPが増加し、国が豊かになれば、皆保険を維持できる。医療や介護を一つの産業として、日本を豊かにしていくことが必要」と提起した。

 相澤氏は、「日本の医療には、まだまだムダがたくさんあると思う」と述べ、次のようにコメント。「いい医療とは何か、質の高い医療とは何か、それを担保するために診療報酬があるはずだが、その視点が日本では抜けているのではないか。GDPの3%成長は極めて難しいと思う。1%台になった時でも、体を張ってでも、医療の質を守らなければいけない」。

 横倉氏は、「国民皆保険を維持するためには、医療の質と財源確保の両面から考えていかなければいけない。地域別の診療報酬、医療版マクロ経済スライド制などの議論に当たって、国民の健康を守るために、われわれが努力していることを、国民に、また国民の代表者である議員に理解してもらうことが必要」と述べ、皆保険の「改革」という言葉には副反応が強く出るとし、微調整を繰り返しながら制度を変えていくことが求められるとした。



https://diamond.jp/articles/-/172986
医療の問題は「誰が」悪いのか
医療経済の嘘(3/3)

森田 洋之:医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表。
2018.6.28 ダイヤモンドオンライン

病床の削減、医師不足、医療費の高騰など、医療や医療費に関する報道が後を絶たない。
そうしたなかで、かつて財政破綻後の夕張に医師として赴任していた森田医師が、夕張および全国のデータ、さらに医療経済学的知見から見えてきたのは、医療経済の拡大が必ずしも健康と比例しない現実であった。最近、『医療経済の嘘』(ポプラ社)も上梓した森田医師が提唱する医療と経済のあるべき関係とは。最終回では医療経済の問題を解決する方法を提唱します(医師、森田洋之)

医療費はなぜ高いのか

 現在の高齢者は、1週間の抗生剤投与や外科手術でピシャッと治るとは言い難い「慢性疾患」を一つひとつ獲得しながら歳を重ね、長い療養の後にやがて死を迎えます。
その結果、日本の医療費は膨張を続けています。
 いくらなんでもこれでは国の財政がもたない、ということで、今から40年ほど前の1980年代に「医療費亡国論」が唱えられ、そのあたりから、「医療費上昇の要因」として「医師数」や「診療報酬」が問題視されるようになります。
 結果として医師数も診療報酬も、国家政策によって制限されるようになりました。
 国の立場からすると
  「医療費が高騰するので診療報酬を抑える」
 は正論ですが、銀行から多額の借金をして病院を建て、借金を返しながらギリギリの経営をしている民間病院の立場から考えるとそれは容認しかねる話です。
 とはいえ、それでも報酬は抑えられる。では病院はどうしたらよいでしょう?
 診療報酬(≒診療一回に対する収入)が目減りするなら、患者を多く集めて診療回数を稼ぐしかありません。商売の世界でいう、いわゆる「薄利多売」の方法論です。医療業界は、業界全体でその方向に舵を切らざるを得なくなったわけです。
 こんなことが日本中で繰り返されるようになって数十年、知らない間に日本は、
  ・病床数世界一
  ・外来受診数世界2位
  ・CT・MRIも保有台数も世界一
 こうして現在の「国際的に見て異次元レベルの薄利多売の世界」が形成されていった、というのが本当のところなのではないでしょうか。
 海外から見て異次元レベルの医療の量、しかも医師は少ない、そりゃ医師不足にもなるでしょう。では、医師を増やそう→そしたらまた医療の量が増えちゃった。どうしてそうなってしまうのか、その原理を考えると「医療市場の失敗」に行き着くのです。

医療の問題は「誰が」悪いのか

 こう説明すると、
  「命を守る医療なのに、こんないい加減なことでいいのか!」
 とお怒りになられる気持ちもよくわかります。
 「どうしてこんなことになってるんだ! 誰が悪いんだ! どの業界があくどく儲けてるんだ!」
 と犯人探しをしたくなりますよね。
 でも、こうした「社会のモヤモヤした問題」を誰かのせいにした時点で「思考停止」に陥るような気がします。
 悪者を見つけて叩くと気持ちいいですけどね、でもその気持ちは問題の本質から目をそむける結果にもなりかねません。
 たしかに、医療側も広告や宣伝などで必要以上に需要を喚起したり、情報の非対称性をうまく使って医療供給を増やしたり、反省すべき点も多々あります。
 しかし、病院の経営者も雇用している医師や看護師・薬剤師にリハビリのPT(理学療法士)・ОT(作業療法士)、彼らとその家族の生活を背負っていて必死なのです。
 それぞれに事情があるなかで犯人探しをして、誰かを悪者にして溜飲を下げる、などということにもましてもっと大事な、本質的なことがあるように思います。

 そもそも論で言えば、国民が、
 「医療も市場に任せていれば大丈夫」
 と思っていることこそが、つまりあなたが、
 「病院がいっぱいあっても競争に負けたところが淘汰されていく」
 という幻想を抱いていること、また、
 「病院のことや病気のことはよくわからないから先生にお任せしよう」
 という当事者意識の欠如こそが、問題の本質なのかもしれません。
 つまり、「病院が悪い」「◯◯が悪い」と誰かのせいにして終わり、という話ではなく、
 「薬を飲む前に、いまの生活習慣で治すべきところはないか」
 とか、
 「CTやMRIをただただ、ありがたがって、大きな病院に通ったりしてはいないか」
 とか、
 「自分に家族に、本当に必要な医療ってなに」
 とか、国民全員が、当事者意識を持って、ゼロベースで考えてみることが大事なんじゃないかな、と思うのです。
 「自分や家族に本当に必要な医療の量」がわかって、初めて「地域に必要な医療の量」を知ることができる。
 そこから始まらないことには、
 我々はかけがえのない医療資源を使い果たしながら、どこまでも病院ばかりを求めてしまうでしょう。
 もちろん、例えば若い方の大病や怪我など、緊急の処置や専門的な手術が必要な場合などは躊躇なく救急車や総合病院を使うべきです。

 私も20代の頃、盲腸を緊急手術してもらった命をとりとめました。そうした急性期医療の部分は確実に確保されていなければならない(とはいえ、現状のように全国津々浦々にそうした病院が必要なのか、もっと集約化して全ての疾患・全ての救急を受けられる病院が必要なのではないか、という部分は議論の余地があると思います)。
 それは間違いないのですが、実は今の医療現場における患者の多くは高齢の方々で、しかも対象疾患の多くは慢性疾患なのです。
 「うちのお爺ちゃん・お婆ちゃんに必要な医療・介護って何なのだろう?」
 ということを、家族で、みんなで、本気で考えて、それでもやはり専門家の意見が聞きたい、そのときにはぜひお近くのお医者さん(できれば専門医ではなく家庭医)に相談してください。
 本当の家庭医なら、あなたやご家族に、収益重視でなく、文字通りの「過剰でも不足でもない医療」をアドバイスしてくれると思います。

 これからの地域の医師(家庭医・かかりつけ医)の存在意義はそこにこそあるのではないでしょうか(ただ、本当の意味で患者中心の医療を実践してくれる家庭医・かかりつけ医が地域に十分そろっているかと言われれば、現時点ではまだまだそうではないと思いますので、ここは期待を込めての発言でもあります)。
 私は現場の患者さんや地域の方々の声をたくさんお届けしていますが、それは医師として、
 「地域の方々の良き相談相手」
 「わかりにくい医療の世界の翻訳家」
 でありたいと強く願っているからです。

森田 洋之(もりた・ひろゆき) / 医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表
1971年横浜生まれ、一橋大学経済学部卒業後、宮崎医科大学医学部入学。宮崎県内で研修を修了し、2009年より北海道夕張市立診療所に勤務。同診療所所長を経て、現在は鹿児島県で研究・執筆・診療を中心に活動している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/612179
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「真の医師の働き方改革とは何か」、武田厚労省医政局長
第68回日病学会、「医師の特殊性、健康管理、地域医療への影響」を勘案

レポート 2018年6月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省医政局長の武田俊彦氏は6月28日、金沢市で開催された第68回日本病院学会で「将来を見据えた医療提供体制の構築に向けて」をテーマに、特別講演した。「医師の働き方をどのように規律すれば、真の『働き方改革』になるのか」と問いかけ、「単に労働時間を短くする」のではなく、医師という職業の特殊性、医師の健康管理、地域医療への影響などを総合的に勘案して、検討していく必要性を強調した。

 「結局、今の働き方をある程度、維持できる、認める形での規制をしなければいけない一方、どのような統計データを取っても、今の医師の働き方は圧倒的に長時間労働であるのも事実。地域医療を守りながら、これから医師を目指す若手のことも念頭に置き、健康確保の方策について、われわれ医政局として医療行政の一環として考えていかなければいけない。また、たくさん働いている医師には、それに応じた賃金が支払われることも必要」(武田氏)

 さらに医師不足問題について、武田氏は「マクロにおいては解消されつつある」と述べ、医師偏在対策を強力に進めていくことが求められるとした。一方で、医学部定員の問題をはじめ、医師需給については、医師の働き方改革が関係してくることから、この7月9日から厚労省の「医師の働き⽅改⾰に関する検討会」を再開、当初の予定通り2019年3月末までには結論を得る方針を説明した。同検討会は、今年2月27日に「中間的な論点整理」を行った後に休会していた。厚労省としても今後、議論のたたき台を出す予定だという。

 武田氏は、「医師の特殊性」としてよく指摘されるものとして、
(1)医師の特性・社会的要請に関するもの(人の生命を扱う公共サービスであるなど)、
(2)医師の供給面に関するもの(医師養成には長時間を要する、業務独占など)、
(3)医師の職業倫理に関するもの(患者を最優先に考えるなど)、
(4)使用者との関係に関するもの(診療方針は、医学的判断によって担当医師・チームが立てるなど)――を挙げた。

 医師以外の専門職として、大学教授、民間組織の研究員、弁護士、新聞記者、本社の企画職(ホワイトカラー)、管理職、ディーラー・アナリストを挙げ、「いずれも何らかの労働時間規制がある。なぜここに医師が入ってこなかったのか。それは医師自身が自分を労働者として認定していなかったという面があるだろう。医師の働き方改革は、取り残された問題であり、今回はしっかりとした議論をすることが必要」(武田氏)。

 その上で、武田氏は、「医師の働き⽅改⾰に関する検討会」のこれまでの議論を踏まえ、「私見」と断り、(1)労働法の観点から、医師の働き方をどのように規律すれば、真の『働き方改革』になるのか、(2)医師が健康に働き続けられる勤務環境とはどのようなものか、(3)その他、必要と考えられる視点――の3点を提示。

 (1)については、外来や手術、自己研鑽、宿日直など、「密度が異なるさまざまな仕事」を手がける医師の勤務の特殊性などを踏まえる必要性を指摘。一方で、自己研鑽は「良質かつ適切な医療を行う」ための大前提であり、「自己研鑽を抑制するような規律の仕方であってはならないのではないか」との見解を示した。

 (2)については、「単に時間を短くすればいい、わけではないのではないか」と問いかけた。「一人一人の医師がやりがいを持ちながら、無理をせず経験、研鑽を積むことができることが重要なのではないか」とする一方、「勤務時間インターバル」(終業から始業までの間隔)の設定、連続労働時間や当直回数の制限、完全休日の設定などにより働きづめにならないこと、メンタルヘルスなどの健康管理の必要性も挙げた。

 (3)については、医療機関の経営の観点、行政の関与の在り方、地域医療の確保などを挙げた。

 武田氏は、医師確保対策、地域医療構想、医師の働き方改革は相互に密接に関係する問題であるとも指摘。地域医療構想について、「もともと必ずやらなければいけないことについて、国として枠組み、財源、ツールを用意した」と説明。「一番良くないのは、何も変わらない、何もしないということ。その結果、経営が悪化し、医師が来なくなり、患者の満足度が低下してしまう」とし、改革を進めれば、経営的、医療機能や医師の確保でもいい影響が出てくるとした。

 「医療費、過去の急速な伸びとは異なる」
 武田氏は講演でまず、政府が5月21日に公表した「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」について、「年金についてはそれほど伸びず、医療介護がどうなるかが課題」と説明。「新聞では、社会保障給付費が190兆円になると報道された。経済規模(GDP)が1.4倍になる中での1.6倍(2018年度との比較)。過去の急速な伸びとは、質的に異なる」。

 一方で、武田氏が大きな問題として提示したのは、医療・介護のマンパワーの確保。同じく5月21日に厚労省が公表した2040年のシミュレーションでは、医療・介護のマンパワーの需要が増加することなどを踏まえ、「医療保険における自己負担の在り方などではなく、医療提供体制の方が今後の主要なテーマ」と語った(『「2040年問題」、主眼は給付費増より医療福祉従業者数』を参照)。

 「医師不足はマクロ的には解消されつつある」
 マンパワーのうち、医師については現在、医師の需給、医師の働き方改革、地域・診療科の医師偏在という3つの柱で議論を進めていると説明。

 武田氏は、今通常国会に提出している医療法・医師法改正法案について、「一刻も早くこの法案が成立することを望む」と述べた。同法案は参議院で可決済みで、衆議院での審議待ちの状況。改正内容について(1)医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、(2)都道府県における医師確保対策の実施体制の整備――の2つについて説明(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』などを参照)。

 (1)について、武田氏は次のようにコメント。「積極的に、医師の方々に地域に出てもらいたい。ただし、地域に出た医師、またはその医師を派遣した医療機関に対する評価制度がないのが実態。強制的ではなく、まず実際に地方勤務をする医師と、その医師をバックアップする医療機関を評価する仕組みを作る必要がある」。

 (2)については、地域医療対策協議会と地域医療支援センターの役割などを明確化したことが特徴であるとした。地域医療対策協議会の役割は、「地域枠」の卒業生についての医師派遣方針の決定、キャリア形成プログラムの策定などであり、大学医局からの医師派遣との間で整合性を確保するための調整なども必要になってくるとした。

 さらに「日本の医師数は少ないのか多いのか」と武田氏は問いかけ、日本の人口は減り始めている一方、2008年度以降の医学部定員増で医師数は増えていることから、「人口10万人当たりの医師数は、今までの伸びのトレンドから、上方にシフトする。医師不足は、マクロにおいては解消されつつある」との見解を示した。一方で、いまだ医師の偏在は解消されていないことから、「偏在対策は強力に実施していかなければいけない」とし、医療法・医師法改正法案に盛り込まれた一つである、「医師需要の見える化」を、人口構成や患者の流出入の補正をしながら取り組む重要性を強調した。

 「医師不足はマクロ的には解消されつつある」
 武田氏は、医療提供体制のもう一つの課題として、地域医療構想を挙げた。同構想については、4つの医療機能区分について、既存病床と「病床の必要量」を数合わせのように進めるのは「誤解」と説明した(『「全国一律の施策は限界、地域医療構想で対応を」』を参照)。「地域全体でどんな患者がどのくらいいて、各病院でどう分担していくか、という議論が大事」。

 地域医療構想への取り組みには、都道府県によって開きがあることも問題視した。調整会議での議論には、病床機能報告に基づくデータが前提となるが、「報告していない病院があり、その督促ができていない県がある」。新公立病院改革プランについての協議などにも、遅れが見られるとした。さらに地域医療構想の実現に当たっては、調整会議での議論だけでなく、地域医療連携推進法人なども活用しながら進めることを求めたほか、医師確保計画も併せて策定、実施することになると説明。

 そのほか武田氏は講演で、健康寿命の延伸について、高齢者の低栄養対策やポリファーマシー対策などに取り組む重要性も強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/611071
シリーズ 日医代議員会
「医師少数区域勤務で所得税優遇を検討」中川日医副会長
第143回日医臨時代議員会、地域・診療科別の医師必要数を提示

レポート 2018年6月24日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月24日の第143回日医臨時代議員会で、医師偏在対策について、「深刻な医師不足の現状を踏まえると、医師配置の強制的な仕組みの導入が必要な時期とも思う」としつつも、できる限り、あるべき医師配置への自主的な収れんを目指したいとの意向を表明した。その実現に向け、「地域ごと、診療科ごとの医療需要とそれに基づく医師の必要数を分かりやすく提示して、地域医療を守っていこうという思いをしっかりと共有していく」との方針を掲げた。

 日医は、医師少数区域で勤務する医師に対する所得税の優遇措置の検討に着手、医師のみならず受験期の子息などのeラーニングなどの利用、育児サポートなどの支援も検討していると説明した。

 鹿児島県代議員の牧角寛郎氏は、医療法・医師法改正法案に、医師偏在対策として盛り込まれている「医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度(認定制度)」について、「運用を慎重にすべき」と指摘した。認定制度は、地域医療支援病院等の病院管理者になるためには、医師少数区域等での勤務を必要とする仕組みだが、牧角氏は「将来、病院管理者など責任ある立場になる意思はないので、医師少数区域へ行く義務はない」と捉えられ、逆に医師偏在を助長するなどの懸念があるとした。一方で、「病院管理者に適任であっても、医師少数区域での勤務経験がないことをもって任に就けないことも問題」と述べた。

 その上で、今求められるのは(1)臨床経験を多く積める地域医療の意義・魅力の発信、(2)現場での労働環境の整備、(3)昨今の若手気質を勘案した医学生・若手医師への倫理教育――であるとした。

 医師偏在対策については、静岡県代議員の徳永宏司氏も質問している(『「医師強制配置ではなく、自主的な判断の仕組みを」中川日医副会長』を参照)。

 「国民に受療行動を変えてもらうことも必要」
 中川副会長は、牧角氏の3つの指摘について、以下のように回答。

 第一の「地域医療の意義、魅力の発信」については、鹿児島県では地域医療介護総合確保基金を活用し、緊急医師確保対策事業として、離島やへき地での研修など、医学生への積極的なアプローチを実施されていると説明。「全国各地でも同様な取り組みが見られるが、成功事例、問題点が共有されておらず、手詰まり感も見られる。全国の事例を分析し、都道府県医師会の取り組みを支援していく」とした。

 第二の「医療現場での労働環境の整備」については、「地域医療の継続性と医師の健康への配慮の両立が不可欠であり、労働時間だけの問題ではない」とし、日医に「医師の働き方検討会議」を設置し、慎重に議論をしていると説明。「例えば、かかりつけ医機能の推進や外来機能の分化を進め、国民に分かりやすい形で示し、受療行動の在り方を考えてもらうことも必要だろう。また、病院と診療所の連携、病院内の医療関係職種との連携など、地域医療連携、多職種連携が重要」などと述べ、都道府県医師会が、地域住民の方への啓発活動をはじめ、地域全体の課題として検討するよう働きかけた。

 第三の「医学生、若手医師の倫理教育」については、日医の綱領で「人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指す」としており、この綱領の理念を医学生、若手医師のみならず、全ての医師と理念を共有し、行動変革につなげられるように努めていくとした。「若い医師たちとはこれまで以上に交流を図り、日医自体も自ら意識改革を図りつつ、時代に即応していく」。

 認定を受けなくても管理者になることは可能
 中川副会長は続いて医師偏在対策として、2015年12月に全国医学部長病院長会議とともにまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」で、「医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならない」との考えから、「医師のキャリア形成支援を行っていくことを前提に、医師不足地域で勤務した経験を管理者要件にする」と提言したと説明。

 今国会に提出された医療法・医師法改正法案で、医師少数区域等での勤務経験を認定する制度が創設された。「認定医師を一部の地域医療支援病院の管理者とすることは、医師少数区域医師不足地域で勤務しようとする医師を支援する一つ」と受け止め、できるだけ早い段階で医師のキャリア形成支援を実現する必要があるとした。

 牧角氏の「地域医療支援病院の病院管理者に適任であっても医師少数区域での勤務経験がないことをもって任に就けなくなる」との懸念に対しては、「地域における医療の提供に影響を与える場合には、認定を受けていなくても管理者になれるという、ただし書きが付いている」と説明。

 さらに日医は、医師少数区域で勤務する医師に対する所得税の優遇措置の検討に着手、その他の支援策を検討しているとした。

 牧角氏は、中川副会長の答弁に対し、「医療法・医師法改正法案には、日医の意見がかなり反映されているとのこと。これをきっかけに偏在が解消していけばと思うが、国や県の権限が強くなる書きぶりがあるので、今後の開業規制につながらないようにしてもらいたい。『地域』という言葉がよく出てくるが、必ず地域の実情を勘案してもらいたい」と求めた。中川副会長「必ず地域の実情を反映するとしている」と答え、理解を求めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/611070
シリーズ 日医代議員会
「医師強制配置ではなく、自主的な判断の仕組みを」中川日医副会長
第143回日医臨時代議員会、「新専門医制度で偏在助長」は回避

レポート 2018年6月24日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月24日の第143回日医臨時代議員会で、医師偏在問題について「決定打があるわけではない」と前置きし、「強制的な仕組みではなく、医師本人の意思を尊重し、地域医療に貢献したいという気概を持った医師を支え、かつ強力に支援する仕組みを目指す。医師の自主的な判断を促す仕組みを模索することが遠いようで、実は偏在解消の近道」と答弁した。

 さらに、新専門医制度のみで医師偏在を解消することは困難だとしつつ、「少なくとも医師偏在を助長することは絶対に回避しなければならない」と答弁した。

 日医として、かかりつけ医機能を高め、全ての医師が、どの地域でも地域医療や地域包括ケアを担っていけるようにすることが、究極の医師偏在対策となると考えているとし、「医療現場の先生方、これから医師になる若い人たちの思いを大切にしながら、日医は医師偏在解消のために取り組んでいく」との方針を示した。

 医師偏在対策について、代表質問したのは静岡県代議員の徳永宏司氏。静岡県内でも「西高東低」の医師偏在があり、その対策として義務履行のある「静岡県医学修学研修資金」を2007年度から開始したが、必ずしも有効ではないと指摘。今国会に提出されている医療法・医師法改正法案では、「医師需要の見える化」などが盛り込まれており、静岡県でも浜松医科大学に寄附講座を新設し、医療圏・診療科ごとの医師需要数等について調査・分析、医師偏在解消への取り組みを着手したものの、実効性のある対策につながるか疑問であるとし、「自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策」も避けられないのではないか、と提起した。

 医師偏在対策に関しては、鹿児島県代議員の牧角寛郎氏も質問している(『「医師少数区域勤務で所得税優遇を検討」中川日医副会長』を参照)。

 「地域医療構想アドバイザー」、静岡で先駆け

 中川氏は、まず地域枠については厚生労働省が2017年度に実施した臨床研修医修了者に対するアンケートで、地元定着率が高いという結果が示されている一方、地域医療介護総合確保基金を活用した奨学金制度については、現段階ではまだ有効性が確認されていないケースもあるため、地域枠の成果を分析し、次の対策につなげていくとした。

 「医療需要の分析に基づく医師需要の見える化」については、厚生労働省が、地域医療構想や医療計画などの制度を理解し、医療政策に関する知見を有して、データ分析を基にアセスメントを行う「地域医療構想アドバイザー」の設置を計画していると説明(『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』を参照)。候補は大学関係者などであり、静岡県医師会が浜松医科大学と連携している取り組みを、全国展開してもらいたいと求めた。日医としても、都道府県の分析に役立つよう、厚労省とともに、将来の地域別の医療需要を分析し、それに基づく医師の必要数を推計して、都道府県に示していく方針だという。

 「医師キャリア支援センター」に近付く

 もっとも、「真に有効な医師偏在対策とは何か」との質問には、具体的な手立てがないのが現実であり、「大変苦慮している」と述べた。

 日医は、2015年12月に全国医学部長病院長会議とともにまとめた「医師の地域・診療科偏在解消の緊急提言」で、地元の大学に「医師キャリア支援センター」を設置し、医学生および医師のキャリア形成を支援し、医師不足地域で勤務した経験を管理者要件とすることを提言した。

 今通常国会に提出された医療法・医師法改正法案により、「地域医療対策協議会」の役割と機能が強化されることになるが、「医師キャリア支援センター」構想に少し近付いたとした。

 今後は、地域医療対策協議会の協議を経て、都道府県主体で、地域枠の医師の派遣方針を決定するほか、若手医師の希望やライフイベントに配慮したキャリア形成プログラムを策定し、医師が安心して勤務できる体制を整えていくことになる。地域医療対策協議会では、都道府県医師会がその中心であり、都道府県医師会が主導的役割を果たせるよう、日医は支援していく方針。

 新専門医制度でも地対協の役割重要

 新専門医制度については、「偏在対策に資するのか」という疑問もあるが、「専門研修のみで医師偏在を解消することは困難だと認識しているが、少なくとも医師偏在を助長することは絶対に回避しなければならない」と回答した。

 今回の医師法改正案では、(1)日本専門医機構が専門研修に係る計画を立てる際に、あらかじめ厚生労働大臣の意見を聞かなければならない、(2)厚生労働大臣が意見を述べる際には、関係都道府県知事の意見を聞かなければならず、その際に知事は地域医療対策協議会の意見を聞く――となっていることから、地域医療対策協議会における都道府県医師会の役割は極めて重要だと説明した。

 徳永氏と牧角氏への中川副会長の答弁後に、関連質問を受け付け、山口県代議員の加藤智栄氏は、(1)医師偏在解消策としてのインセンティブ付与、(2)専攻医のシーリング(募集定員の設定)だけでなく、外科専攻医が1人しかいない県があることも踏まえ、「下限」の設定――について質問。中川副会長は、医師不足地域・診療科や過剰地域・診療科を示すことがまずは大事であると繰り返し、「下限」の設定は検討課題であるとした。

 兵庫県代議員の橋本寛氏は、医学部定員の「地域枠」について質問。中川副会長は、「近い将来、医師過剰時代が来るのは間違いないので、早急に医学部定員の在り方と地域枠の議論をしていきたい」と答えた。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32173810U8A620C1CR8000/
始業前の時間外労働、7割が請求せず 医労連調査
2018/6/24 18:53 日本経済新聞

 始業前の時間外労働について、医師や看護師などの約7割が残業代を請求していないことが24日までに日本医療労働組合連合会の調査で分かった。職場に請求しにくい雰囲気があり、終業後の残業代も請求できない人が2割に上る。医労連は労働時間の管理などの徹底を求めている。

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 調査は2017年9月~18年1月、医労連の職員が加盟する組合員の医師や看護師など1万1189人を対象に聞き取りし、結果を集計した。全体の57%が始業前に時間外労働をしていると答え、3%は1時間以上、業務に従事していた。

 このうち始業前の残業代を全額請求していた人は11%で、73%は請求していなかった。終業後の残業についても20%が「請求していない」と回答した。

 残業代が請求できない理由を尋ねた質問に対し、26%が「請求できない雰囲気が(職場に)ある」と答え、「請求できると思わなかった」(11%)、「上司に請求するなと言われている」(2%)などが続いた。

 医師には正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」があり、急患などに対応する必要があるほか、診療に役立てようと自己研さんを積んでいる。看護師も夜間勤務などを伴い、それらを含めると法定労働時間や労使協定上の時間外労働の合計を超えてしまう。

 このため病院側が医師や看護師の勤務時間を不正に調整し、労働基準監督署から是正勧告を受けるケースも各地で起きている。

 勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」が17年に大学病院の医師を対象に実施した調査によると、労働時間がタイムカードなどで客観的に管理されていると答えたのはわずか6%だった。

 医労連の担当者は「現場の人手不足などを背景に、病院側が責任を持って医師や看護師の労働時間を管理していない」と指摘。「労組も巻き込み、労働者も働いた分は請求するという姿勢を徹底していくべきだ」と強調する。



https://digital.asahi.com/articles/ASL6W3T6RL6WUBQU005.html?rm=680
外科医は嫌? 新専門医制度の専攻、群馬では1人だけ…
篠原あゆみ2018年6月27日15時00分 朝日新聞

 4月から導入された新専門医制度で群馬県内の外科の専攻医は1人にとどまった。外科医のなり手不足は全国的な傾向で、長時間労働や訴訟リスクなどから敬遠されているという。危機感を抱く県や群馬大学は奨学金制度を設けたり、講習会でやりがいを伝えたりするなど、対策に乗り出している。

新専門医制度の登録約8千人、「都市部の集中なし」

 5月中旬、群大であった手術基本手技講習会に、県内の医学生や研修医約90人、講師の医師ら約60人が集まった。参加者は縫合や切開、シミュレーターを使った腹腔(ふくくう)鏡手術など約20のブースに分かれ、ベテラン医師から技術を教わった。

 これまで年に2回開いてきたが、今回初めて、県内各地の病院にも参加を呼びかけたという。群大医学部付属病院で外科診療センター長を務める調憲教授は「若いうちからトレーニングの機会を増やすことで、外科医に興味を持ってもらい、手技のおもしろさを知ってもらいたい」と話す。

 こうした取り組みの背景に、外科志望者が減っていることへの危機感がある。県医務課などによると、新専門医制度で新たに県内で専攻医になった79人のうち、外科専攻医は1人だけ。3月15日時点のまとめでは、基本診療科のうち最も多かったのは内科で25人、精神科や放射線科、麻酔科、救急科がそれぞれ6、7人だった。

 調教授によると、外科は長時間勤務で、訴訟のリスクも大きく、医学部入学時に外科医を志望していても実習などを通して体力的に不安を感じる学生が多いという。講習会に参加した、群大医学部5年の女子学生(22)も「外科は多忙というイメージ。ワーク・ライフ・バランスを考えると、不安もある」と話す。

 外科医のなり手は全国的にも減っている。厚生労働省の調査によると、2008年に全国の医療施設で働く外科医は1万6865人いたが、16年には1万4423人に。県内では278人から235人と15%ほど減った。

 県は06年から実施している「医師確保修学研修資金貸与制度」に、昨年度から外科も加えた。研修医に対し月額15万円を貸与し、一定期間、県内の指定病院の医師不足の診療科で働けば返済が免除される制度で、ほかには産婦人科や小児科、救急科などが対象だ。

 医師不足の診療科の魅力を伝えるセミナーも開催している。初回の昨年は、現役の外科医が研修医にやりがいなどを伝えた。県医務課の担当者は「県内で手術ができる医療体制を今後も継承していけるかが大きな問題。医師確保に力をいれていく」と話している。(篠原あゆみ)

 <新専門医制度> 2018年度から導入された制度。国家試験に合格後、2年間の初期臨床研修を終えた医師が、内科や外科など19の基本診療科から専門領域を選び、3年程度で複数の病院を回りながら知識や技術を現場で学ぶ。その後、第三者機関の日本専門医機構から専門医の認定を受ける。



http://news.livedoor.com/article/detail/14937246/
「病院が多い県」に住むと「医療費」が2倍になるという驚きの真実 「医療経済」から考える日本の課題
2018年6月29日 12時0分 現代ビジネス【森田 洋之】

2009年から財政破綻後の夕張に赴任していた森田医師は、当時、市民が笑顔で生活していたことに驚いたという。その後、夕張および全国のデータさらに医療経済学的知見から見えてきたのは、医療経済の拡大が必ずしも健康と比例しない現実であったーー。
最新刊『医療経済の嘘』で、医学的・経済学的な見地から医療や地域の問題を鮮やかに描出した森田氏が、病床数と医療費の関係に着目し、日本の「医療経済の歪み」を明らかにする。

高知県の入院医療費は、神奈川県の2倍!

病院の多い県(正確には人口あたりの病床数が多い県)の県民は、健康度や平均寿命は大差ないのにもかかわらず、入院医療費を2倍使うーー。そんなショッキングなデータをご存じでしょうか。

これは、今月発売された拙著『医療経済の嘘』にて掲載したデータの一つなのですが、いま「これは事実なのか?」との問い合わせをいくつも頂いています。

今回は、このデータの信憑性について考えるとともに、その裏に潜む「医療市場の失敗」とその処方箋について考えてみたいと思います。

拙著で紹介したデータはこちらです。

図1 全病床数(人口10万人当たり)と一人当たり入院医療費の関係(図 略)

*図の出典 神奈川県HP:病床数の状況(平成24年度)

人口10万あたりの病床数(横軸)と県民一人あたりの一年の入院医療費(縦軸)を都道府県別にプロットしその相関関係を見たものです。よく勘違いされるのですが、ここで言う一人あたり医療費は、「入院した人、一人あたり」ではなく「県全体の入院医療費を、赤ちゃんから高齢者まで県民全員の人口で割った額」です。つまり本当の意味での「県民一人あたり」です。

グラフのとおり、一人あたり入院医療費が全国一高いのは、病床数が最も多い(人口10万あたり約2400床)高知県で、県民一人あたり約19万円。病床が最も少ない神奈川県民の一人あたり医療費(約9万円)の2倍以上を使っていることがわかります。

いま、このデータについての問い合わせとして、主に以下の2つのパターンを頂いています。

・このデータは県民一人あたりの「入院医療費」だが、より重要なのは「総医療費」である。そちらはどうなのか?

・高齢者の多い県で医療費が多くなるのは必然である。各都道府県で高齢化率は大きく違うのだから、高齢化率の影響を排除する必要があるのではないか?

これらについての私からの回答は「若干相関関係は落ちるが、やはりどちらについても上記の相関関係は成立すると考えられる」と言うところです。

「高齢化率」を考慮しても結果は同じ

まず「総医療費」について。こちらは神奈川県のHPに掲載されているグラフにその答えがあります。

図2 全病床数(人口10万人当たり)と一人当たり医療費の関係(図 略)

*図の出典 神奈川県HP:病床数の状況(平成24年度)

縦軸が「一人あたり入院医療費」から「一人あたり医療費(総医療費)」と変わっていますので、まさにご質問への回答そのものだと思います。相関係数は0.964から0.914へと若干減少していますが、相関関係は依然として強く存在していると言っていいでしょう。

次に「高齢化率の影響」についてですが、こちらは厚生労働省が「年齢調整後の一人あたり医療費」について「市町村国民健康保険(主に高齢者以外が対象)」と「後期高齢者医療制度」でデータを出しています。

ここでは病床数との関連(相関係数)まではデータ化されていないのですが、やはり「年齢調整後の後期高齢者一人あたり医療費」が最も高い高知県(人口あたり病床数も日本一)は一人あたり68.3万円を使っていて、これは最も低い岩手県34.1万円の約2倍です。

市町村国保(主に高齢者以外が対象)でも同様で、最も高い鹿児島県(病床数は日本で2位)は一人あたり18.6万円。これは最も低い愛知県10.6万円に比較して、実に1.76倍となっています。繰り返しますがこれは都市部と地方の高齢化率の影響を排除した「年齢調整後」の数字です。

つまり、「高齢化率」という交絡因子の存在を除外してもなお「病院の多い県の県民は入院医療費を2倍使う」という言説が成立する可能性はかなり高いと言えるでしょう。

もちろん、相関関係は因果関係ではないので、更に多くの交絡因子(個人的には高齢化率以外に有力な交絡因子は思い浮かびませんが)を除外していかなければ真の「因果関係」にはたどり着きません。こちらは専門家による精緻な因果推論の結果を待ちたいところです。

なぜ、県によってこんなに病床数に差があるのか?

因果関係の有無はともかくとして、これらのグラフから読み取れることの一つが、「日本では都道府県によって人口あたり病床数に最大で3倍の差がある」という厳然たる事実です。そもそも、なぜ県によってこんなに病床数に差があるのでしょう?

ラーメン屋さんやパン屋さんの場合、地域で店舗が過剰になれば(供給過剰になれば)、徐々にお店が淘汰されてゆき適正な供給量に落ち着きます。これがいわゆる自由市場における「市場原理」です。

ではなぜ病院・病床の多い県では、病院が淘汰されないのでしょうか。

その背景には、1990年代の「駆け込み増床」など近代医療史的な部分もあるのですがそれは表面的な話。もっと根本的な議論をするならそこは「医療市場の失敗」という概念を避けて通ることはできません。

「医療市場の失敗」については拙著で詳しく解説していますが、簡単に言えばこういうことです。

「医療業界では、*需要・供給の間に情報の非対称性(患者側と医療者側との間の医療知識の格差)が強く存在し、患者側が本当に自分に必要な医療を選択できる状況にない、また、*医療保険によるモラルハザード(実際に受ける医療サービスの対価の大半は医療保険で支払われるのでサービス利用者のコスト意識は希薄になりがち)が存在する。こうした業界では、多くの場合市場原理による適正化にはいたらない」というものです。

確かに、貴重な医療資源である「病院・病床」に最大3倍もの地域差が発生しまっている現状を考えれば、これは市場原理が適正に機能しているとは言いにくい状態かもしれません。では、モラルハザードの経済的要因である国民皆保険制度をやめる?

いえいえ、日本の国民皆保険制度は世界に誇る日本の宝です。国民が平等に、しかも安価に質の高い医療を受ける事ができる国民皆保険制度を放棄するという選択肢は多くの国民から支持されないでしょう。ではどうすればよいのでしょうか?

個人的な見解として、以下の3つの課題が重要なのではないかと思います。

(1)医療政策的課題(国の課題)

まず国(もちろん国民も)は、医療の提供を自由市場に任せても市場の失敗が発生するということをより強く認識すべきでしょう。医療提供は青天井です。

実は冒頭のグラフの横軸・都道府県別病床数で最多が高知県(人口10万あたり約2400床)、最少が神奈川県(人口10万あたり約800床)でしたが、他国を見るとアメリカが人口10万あたり約280床、イギリスが約270床と、日本で最少の神奈川県よりはるかに少ない病床数。事実、日本の病床数は世界一、日本は他国から見れば、たとえ日本一病床が少ない神奈川県の病床数であっても驚異的な病床数だと見られているのかもしれません。

これは、「医療の提供が青天井である」ことに対する間接的な証左と言えるでしょう。もちろんこのことの基礎には、前記「医療市場が失敗する要因」の一つとしての「情報の非対称性」があります。

また、確かに戦後~高度成長時代の人口爆発時代、日本中で医療が不足していた時代においては、民間病院のスピード感を期待して医療の提供を自由市場に開放したことは理にかなったことだったかもしれません。事実、この時代に病院・病床などの医療提供体制は驚くべきスピードで達成されたました。

しかし、これからは人口減少時代です。しかもすでに病床は世界一の規模に達しています。当然、医療は適正な規模に縮小して行くことが求められるわけで、もちろん国もこのことはわかっています。

国も「地域医療計画」によって病床削減などを計画していますが、これがかなり難航しているのはご存知の通り。莫大な借金を抱えて病院を整備した民間病院に「病院をやめなさい」とは言いにくいのが現状です。

(2)医療提供側の課題

医療提供側は、上記のような「医療における情報の非対称性」を解消すべく、患者側に適切な情報提供を行うようこれまで以上に務めるべきでしょう。

ただ、医学知識は高度に専門的で複雑、しかも不確実なもので、一般市民にとっては容易には理解出来ないものかもしれません。

であれば、「最善を尽くしても情報の非対称性は一定程度残る」ことを想定したうえで、それでもそれに便乗して医療提供を増やすようなことのないよう、professional autonomy(専門職としての倫理を前提として自ら姿勢を正し、自らを律していくこと)の精神をもとにしたpeer review(医師・病院相互間での批判的な評価・検証)をしっかり行うことが重要だと思います。

日本の現場では、医師による医師への評価はほとんど行われていません。専門医制度などの高度専門知識レベルでの標準化は実践されていますが、現場の病院や診察室での診療内容(高齢者に対する多剤処方、過度な安全志向での絶飲食指示による廃用症候群、医療法人グループ内の病院・施設での高齢者や障害者を囲い込み診療など)は標準化とはほど遠い状況にあり、むしろそれらについて他医または他院を評価/批判することはタブー視されていると言っていいでしょう。

私も研修医時代、先輩医師から「他医の診療を批判してはいけない(それはいつか自分に還ってくるから)」と教わりましたし、事実、私個人もいままでどんなに「これはひどい」と思われる医師に出会ってもそれを指摘することはできませんでした。また、私自身の診療の質を他医から批判された経験もありません。

もちろん患者側は高度に専門的で複雑な医療の世界に対して正当な評価は出来ないでしょう。そのうえ、唯一の高度専門知識を持つ医師も他医を評価できない……、となると医師はどこからの評価・批判にもさらされない孤高の存在になってしまいかねません。

イギリスでは、医師の年間の処方傾向がネットで他医に公開されているということです。これだけではまだまだですが、業界全体が自らを律するこのような方向に進んでいくことこそが、適切な医療提供体制を構築する上で欠かせない要素だと思います。それこそがprofessional autonomyと言えるのではないでしょうか。

(3)患者側(医療を受ける側)の課題

患者側も意識を変えていくべきです。

特に高齢になったら、昔のような「病院や医師にお任せ」はやめるべき。昔のように、肺炎・結核・胃腸炎のような感染症が死因の上位を占めていた時代であれば、1週間抗生剤の点滴をすればピシャッと治るので「先生におまかせ」でよかったかもしれません。しかし、今の死因の上位は、ガン・心疾患・脳卒中など1週間の点滴でピシャッと治るかといわれればそうでない病気ばかり。

現代の高齢者は「治らない病気を一つ一つ獲得しながら」歳を重ねて行くのです。その治らない病気を一つ一つ全力で治そうと思ってしまうと、「どんどん薬が増えていく」ことになり、最終的には「管だらけで寝たきり」となってしまいます。

人間の死亡率は100%、特に歳をとってから発生する問題の多くは、実は医療で根本的な解決に至る問題ではありません。そういう意味では、実は社会の高齢化が進むに従って「医療費が下がる」ということだって実は有り得る話です。事実私がいた高齢化率日本一の北海道夕張市は今でも高齢化率は上昇していますが、それにもかかわらず高齢者医療費は減少しました。

「自分の健康を自分ごと」として自ら意思決定していく。今後の高齢会社会を元気に生き抜くためには、こうしたことが大事なのではないかと思います。そして、その意思決定の良き道先案内人(コンシェルジュ)として「かかりつけ医」を上手に活用してほしいと思います。

上記3つの課題は、なかなか達成できる課題ではありません。国家行政・医療提供側・患者側の3者みんなが意識を変えて取り組むべき課題でしょう。現在の延長ではなく、ゼロベースで「本当に大事なもの」をみんなで模索していく。そうでなければ、我々は世界一の病床を持ちながら、さらにどこまでも病院・病床を求めてしまうでしょう。

日本が、この容易には抜け出せないであろう「医療市場の失敗」から抜け出すには、まずは我々の「意識」から変えていかなければいけないのではないでしょうか。子どもたちに明るい未来を残すために今最も求められているもの、それは、私達の世代の「意識改革」なのかもしれません。

現役医師が、医学的・経済学的な見地から医療や地域の問題を鮮やかに描き出し、日本の明るい未来への処方箋を提示する希望の書。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607515
シリーズ 大学医学部「地域枠」の今
地域医療の担い手養成は「社会の総力戦」 - 長崎大学◆Vol.3
教育予算と安定した組織づくりが不可欠

スペシャル企画 2018年6月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――地域医療教育の充実に当たって、どんな点に苦労されたのでしょうか(地域医療教育の詳細は、『離島医療・保健実習、医学生全員が必修』を参照。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏と、長崎大学医学部地域包括ケア教育センター・センター長の永田康浩氏へのインタビュー。文中、敬称略)。

前田 教育に対する予算の確保と安定した組織作りです。地域医療教育を実施するには、当然ながら、地域に出なくてはいけません。医学生たちの交通費、宿泊費のほか、医学生を受け入れる側への謝金なども必要になります。大学の運営費交付金が減額される中で、これらアカデミックではない分野の予算を確保するのは結構大変です。

 また安定した組織作りですが、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に地域医療教育を入れて、推進するのであれば、大学にも正規の講座を置くべきです。私が所属する長崎大学大学院医歯薬総合研究科地域医療学分野のように正規講座を持っている大学はまだ少ないのが現状。期限付きの寄附講座では不安定であり、そこに優秀な指導者を集めるのは難しいでしょう。

 一方で、地域における大学の拠点も必要です。大学ではなく、地域医療実践の場である拠点にドクターが常駐し、地域医療教育や地域医療のサポート、行政との連携に取り組まなければ、大学と地域との本格的な連携に至りません。長崎大学も、五島市に寄附講座を作らなかったら、成功していなかったと思うのです。私は今、大学の教授ですが、五島中央病院内に設けた、本学の「離島・へき地医療学講座」の教授も兼任し、毎週1回は五島での教育に従事しています。

――地域医療介護総合確保基金は、人材育成も対象にはなるはずですが。

永田 卒後の医師養成のための研修等の予算は、その見返りとして医師派遣に結び付くので受け入れられやすいが、卒前教育については適切性が理解されにくいのが現状です。教育の成果を何とか見えやすくするような、われわれの工夫も必要ですが、卒前から卒後にシームレスに育成する必要があるので「教育は、大学の役割」と切り捨てず、地域づくりの一環として支援いただきたい。

――では今後、医学部の「地域枠」はどのように運営していくべきかだとお考えですか。

前田 長崎大学の長崎県出身者を対象とした「地域枠」には、長崎県による修学資金貸与がある「地域枠B」(貸与期間の1.5倍の期間、県が指定する医療機関等に勤務すれば、返還免除)と、貸与がない「地域枠A」(義務年限は卒後3年)があります(その他、佐賀県枠と宮崎県枠あり)。

 「地域枠B」の2018年入試の枠は、15人ですが、3人しか合格しませんでした。合格基準は、「一般枠」と「地域枠」は同じなので、合格基準に達する学生が少なかったということです。「地域枠B」の入学枠の一部を、「地域枠A」に当てはめました。

 全国の医学部の「地域枠」の充足率は88%程度。長崎大学の場合は、90%を超え、全国平均よりも高く、「一般枠」と「地域枠」の学生の入学後の成績や医師国家試験の合格率には差がないものの、入試制度をどうするかが今後の一つの課題でしょう。

――「地域枠」か否かにかかわらず、地域医療に関心を持つ学生が増えれば、長崎県の医療に従事する医師の増加につながるという見方もできます。

永田 はい。最終的なゴールはそこではないでしょうか。質も確保でき、介護や福祉の視点もしっかりと持った教育を積み重ねていくことが必要です。そうすればたとえ特定の専門分野に特化した医師でも、地域における「生活モデル」の視点を持っているか否かで、その医師が担う医療の幅は異なってくるはずです。

前田 前提として考えなければいけないのは、義務年限で従事する「地域」とはどこか、ということ。長崎県に限らないことですが、自治体としては、自治体立病院を運営する立場から、義務年限のある医師は自治体立病院を中心に循環させます。一方で、大学は自らの関連病院への医師派遣が中心です。その結果、どうしても漏れてしまう地域、あるいは医療機関が出てきてしまいかねません。

 自治体や大学の思い、考えも分かります。一方で、仮に「地域枠」がなくなっても、地域医療を守るのがわれわれの使命なので、地域医療教育に力を入れていく必要があります。これらをうまく両立させることが必要です。地域医療の充実に伴う受益者は地域住民。地域医療教育に当たっては、大学、地域の関係者などが“総力戦”で取り組んでいく必要があると考えています。

地域医療実習を経験した医学生の声
●医学部1年生:病院見学実習
・地域病院と大学病院のような大病院が連携して、一人の患者のためにそれぞれの病院の特性を生かして協力していることが分かった。
・退院後、患者が希望する生活に近付けることが地域医療の使命であり、病院と患者だけでなく、ケアマネや家族など周囲の人々を巻き込んで医療は展開されていくと理解できた。

●医学部2年生:高齢者福祉施設見学実習
・今回、私たちは高齢者の方や統合失調症を持っている方と話をさせていただいたが、きちんと話を聞き、その姿勢を出すことで、相手により多く話してもらうことができた。これは、高齢者だけでなく、医師になった時、患者さんなどと関わる時においても大事なことであると思えた。

●医学部3年生:診療所見学実習
・医師の役割の一つは患者の生活を支えることなので、普段の会話の中から生活状況や今後のことについて考えるということを知り、医師の役割は病気を治すという点に集中してしまいがちなので、「生活を支える」という発想は新鮮だった。

●医学部4、5年生:臨床実習(地域包括支援センター、訪問看護ステーション、消防署)
・地域包括ケアは、医療者・専門職でやるものと思っていたが、「民生委員」や「スーパーの店員」までも巻き込んだケアをしていくことを知ることができた。今回の経験を臨床実習に生かしたい。
・今まで「医と社会」で学んできたことを実際の事例を通して考えることで、ケアマネジャー、訪問看護師などがどのような仕事をしてき、どのような時に必要とされるかを学べた。

●医学部5、6年生:高次臨床実習
・在宅医療とは、究極のオーダーメイド医療だと知りました。五感を総動員して患者さんの背景を知り、患者さんの希望に合わせて治療を行っていく。高齢社会において今後求められていく医療の形だと思いました。
・地域医療というと、慢性期疾患のイメージが付きつつありましたが、場合によっては緊急疾患の第一接触医療者として診なければいけないということを改めて知りました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/612151
「地域密着型病院の整備がカギ」、相澤日病会長
第68回日病学会、「病棟」より「病院」単位での機能分化・連携を提唱

レポート 2018年6月28日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第68回日本病院学会が6月28日に金沢市で開催され、日本病院会会長の相澤孝夫氏は、「社会環境の激変と医療制度改革の荒波を受ける病院の未来」をテーマに講演した。

 相澤氏は、人口の高齢化など急激な社会環境の変化とケアニーズの変化が進む中で、地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携が重要であるとし、これらを病棟単位ではなく、病院単位で進める必要性を強調した。希少なニーズには拠点ごとに充実した「基幹型病院」(広域型病院)を整備して対応、その周囲に日常的に頻度が高い疾患を診る複数の地域密着型病院(近隣型病院)がある構想を提示。「病院単位」を提唱するのは、入院医療と同様に、在宅医療でも複数の職種がチームで関わることから、「各職種が病棟業務の片手間でできるものではない」という理由からだ。「地域密着型病院をいかに整備していくかが、地域医療構想において極めて大事ではないか」(相澤氏)。

 「人口減は医療の担い手の減少」

 相澤氏はまず講演で、医療を取り巻く急速な変化として、人口構成、それに伴う医療ニーズの変化を挙げた。今後、75歳以上人口が増えていくものの、肺炎や骨折などの疾患も多く、「それほど重症ではなく、中等症や軽症の患者が多い。今後、若い人なみに入院日数が減少してきたら、入院受療率は減少する」と相澤氏は指摘し、医療ニーズの変化に対応した医療提供体制構築の必要性を強調した。「75歳以上の患者は、医療以外の要因で自宅等に帰れないことが多い。社会環境を整えれば、退院でき、さらに入院日数は減少する」(相澤氏)。

 一方で、今後の社会的な変化として、人口減少に伴う働き手の減少があると指摘。2040年には5人に1人が医療・介護に従事するとの政府推計もあることから、「医療提供体制はこれまで通りではだめ。同じ体制では綴られない」と相澤氏は警鐘を鳴らした。

 医療提供体制については現在、地域医療構想を策定し、その実現に向けて各地域で協議が進められている。相澤氏は、「今議論されているのは、病棟機能と病床数の話が中心。『構想』というのは本来、これからしようとする物事について、内容、希望、実現方法を考えて、骨組みをまとめるものであり、数値だけの議論ではうまくいかない」。

 「軽症急性期の扱いをどうするのか」

 さらに相澤氏は、2018年度診療報酬改定にも言及。同改定では「急性期一般入院基本料」と「地域一般入院基本料」など、入院料の体系が再編されたが、「(高齢者に多い)軽症急性期の扱いをどうするのか、どう評価するのか」と手薄な部分があると指摘した。

 地域医療構想や病床機能報告制度の考え方は病棟単位。地域包括ケア病棟も同様だ。これに対し、相澤氏は病院単位で機能分化を進め、「基幹型病院」(広域型病院)と地域密着型病院(近隣型病院)を地域の実情に合わせて整備していく必要性を指摘した。

 入院では医師、薬剤師、看護師、介護福祉士、リハビリスタッフ、管理栄養士、MSWなどさまざまな職種がかかわる。この「入院医療チーム」は、退院後は「在宅医療チーム」に引き継がれる。「病棟業務の片手間にできるものではない」ために、相澤氏は、病棟単位ではなく、病院単位で取り組む必要性を説いた。「地域密着型病院は介護の重症化予防や、地域・町づくり、予防・健診・健康増進などにも取り組む。この地域密着型病院をいかに整備していくかが、地域医療構想において極めて大事ではないか」。

 外来も同様で、広域型病院・専門病院と近隣型病院・診療所という機能分化を進める必要性を指摘。「大病院、中小病院という規模による区分はそろそろ卒業し、病院機能区分で考えていくことが必要」。

 相澤氏はさらに、病院マネジメントの重要性も指摘。病院組織では、「マネジメント力を専門力より軽視する傾向がある」「明らかなヒエラルキーが存在する組織」などと、病院組織と人材の特殊性を挙げ、「革新の時代を生きるために、「自立型(適応性の高い)組織」(組織マネジメント)と、「本物のプロ(個性・人間重視)」(人財マネジメント)が重要だとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/611354
シリーズ 日医代議員会
「医師確保に実効性持たせる第三者機関が必要」松本日医常任理事
第143回日医臨時代議員会、各県の「医療勤務環境支援センター」改組を

レポート 2018年6月25日 (月)配信大西裕康(m3.com編集部)

 日本医師会は、医師の勤務環境改善に向けて地域の医師確保策などの実効性を担保するため、全都道府県が直営か外部への委託で運営している「医療勤務環境改善支援センター」を中心に、医師の主体的運営に任せる第三者機関へ改組するよう厚生労働省に求めていく方針だ。6月24日の第143回日医臨時代議員会で、日医常任理事の松本吉郎氏が明らかにした。今年4月に日医主催で設置した「医師の働き方検討会議」で、具体化を進めている。

 愛知県代議員の大輪芳裕氏が、医師の勤務環境改善のためには社会保険労務士が中心の同センターの充実強化を図るのではなく、医師が自ら運営して医師確保の機能も有し、病院管理者や勤務医へ実効性のある相談支援を担う別組織に改組すべきと訴え、日医の見解を質問したのに答えた。

 松本常任理事は、同センターの取り組みが現時点では医師以外の医療従事者に対する内容がほとんどであるとの認識を改めて示した上で、「同センターには医師確保に関する権限はない」とも述べ、医療機関が医師を確保する仕組みにはなっていないと指摘。

 一方、期待できる効果が現状は看護師確保などによる間接的な効果のみではあっても、同センターの医師に関する取り組みは不可欠との認識も示し、「現行法令がある以上、内容を知って、法令趣旨を踏まえた改善に向けた努力が必要で、労務管理の専門家(として同センターに配置されている社労士など)に相談するのが第一歩」と求めた。「労基署の監督を受けた場合、センターを活用していること自体、努力として評価されるとも考えている」との認識も示し、同センターの活用を進めながら発展的な改組の具体化を考える姿勢を示した。

地域医療支援センターとの連携、予算確保で本領発揮へ

 今国会で成立する見通しの改正医療法で、同センターと地域医療支援センターの連携が義務付けられるほか、今年度の運営予算が昨年度比で2倍以上となっているなど、同センターの本領発揮は今年度以降との見方もにじませた。松本常任理事は、「同センターが勤務環境改善に十分取り組めていないのは、社労士が(地域の)院長と直接話せていないのが原因の一つとして挙がっている」と指摘した上で、当初は確保できた予算が少なく訪問支援ができなかったと説明し、今年度は「約5億円と前年度比2倍以上」と強調。来年度予算の概算要求に向けては、10億円を求めているとも明らかにした。

 社労士に関しては、全国社会保険労務士連合会が、医療に関する一定の知識を求める「医療労務コンサルタント制度」を2014年2月から始め、養成人数が累計5000人を突破している状況に言及。「その中から、センターに配置されている。国の働き方改革が始まる前から、医師の働き方改革について必要性を感じて取り組んでいただいてきた。貢献いただけると期待している」と述べた。



https://resemom.jp/article/2018/06/29/45372.html
医学部出身者の勤務地、地域格差あり…石川は7割が流出
リセマム  教育・受験 大学生   2018.6.29 Fri 12:45

都道府県別の医師流出入の推計(青系:流出、赤系:流入) 医療ガバナンス研究所
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http://mgri.sakura.ne.jp/files/20180602%20Medicine%20-OKADA.pdf

 各地域の医学部出身者のうち、石川県では68%が他県へ流出する一方、千葉県では245%が他県から流入しており、医師の勤務地選択に都道府県格差があることが、医療ガバナンス研究所が2018年6月4日に発表した研究結果より明らかになった。

 都道府県別の医師流出入の推計は、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」などの公開資料をもとに、都道府県別の医師養成数と実働医師数の差を死亡・退職者の推計値で補正したうえで、1995年から2014年の20年にわたる見かけ上の医師の移動割合を推計した。日本では医師はほぼ自由に勤務地を選択することができるが、今まで医学部卒業後、医師がどの地域で勤務しているのか、定量的に具体的な数字を出したデータはなかったという。

 医学部卒業後、医師が他県へ移動する「医師の流出」は、石川県が68%ともっとも多く、島根県、高知県、鳥取県、秋田県が続き、いずれも半数以上が流出していた。

 一方、「医師の流入」は千葉県が245%ともっとも多く、埼玉、静岡、兵庫、広島などが続き、大都市近郊でより人口密度の高い都道府県で流入が多かった。

 大都市では、東京都は13%が流出していたが、愛知県や大阪府、福岡県では、7.7%から22.8%の幅で流入していた。

 調査の結果、医師の流入している都道府県には人口あたりで医学部の入学枠が少なく、流出している都道府県には医学部の入学枠が多い傾向にあることがわかった。また、医師を流出させている都道府県では高齢化が進んでいる傾向にある。

 医療ガバナンス研究所は、「日本全国でみると、医師の都道府県間の移動が医師偏在に与える影響は大きく、今後の医療政策を考えるうえで重要な視点の一つとなる」と考察。「このような客観的なデータに基づき、医師偏在の対策を講じる必要がある」とコメントしている。
《工藤めぐみ》



  1. 2018/07/01(日) 10:04:17|
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Google Newsでみる医師不足 2018年6月30日

Google Newsでみる医師不足 2018年6月30日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 89,400
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 122,000
(2018.6から検索エンジンを SafariからOperaに変更)

First 5 in Google in English 


How Trump's Visa Crackdown Worsens The Doctor Shortage
Forbes JUN 3, 2018 @ 09:15 AM(米国)

"Delays or denials of H-1B visas for non-citizen international medical graduates can have a serious downstream impact on patients’ access to care in both the immediate and near future,” American Academy of Family Physicians president Dr. Michael Munger said. “Community health centers, federally qualified health centers and teaching hospitals rely on medical residents to provide care to thousands of patients each year.”.


Doctor Shortage Leads to Long Wait Times
Iceland Review June 22, 2018 11:00(アイスランド)

The wait time to see a doctor in North Iceland has gotten much longer than it was last year, RÚV reports, with wait times of up to six weeks to see a GP in Akureyri and three weeks in Húsavík. Jón Helgi Björnsson, the director of the Health Care Institution of North Iceland, said the situation is unacceptable, but also that there aren’t enough doctors on staff to meet demand.


How Hope is avoiding the rural doctor shortage
Hope Standard Jun. 1, 2018 1:30 a.m(カナダ、ブリティッシュコロンビア州)

With rural communities facing shortages as doctors retire without anyone to take their place, Hope has found a formula where not only are doctors coming here and staying here, they are also expanding their services up the Fraser Canyon.


Residency Programs, Internet Offer Hope for Doctor Shortage
Keith Davis became Lincoln County's only doctor at the stroke of midnight.

US News June 2, 2018, at 2:01 a.m(米国、アイダホ州)

TWIN FALLS, Idaho (AP) — Keith Davis became Lincoln County's only doctor at the stroke of midnight.
It was a late summer night in 1985, and Davis had recently completed his residency, the last month of it spent working at Shoshone Family Medical Center. The center's lone doctor, Royal "R.G." Neher, M.D., was retiring, and he needed a replacement.
Davis had interviewed at clinics in slightly larger cities in Idaho and Washington. But neither city offered the same opportunity for long-term employment that Shoshone did. So when the clock chimed midnight on Aug. 1, Neher stepped down and Davis took his place.


Medical school numbers must double to combat NHS doctor shortage
June 25 2018, 12:01am, The Times (英国)

In a report for the college, he calculated that rates of part-time working that they said meant a headcount of 15,700 consultant physicians equated to just 14,510 full-time equivalent doctors. He said that a current shortage of 2,330 consultants ...


(他に10位以内のニュースは、米国 、米国・アイオワ州、テキサス州、カナダ・ノバスコシア州、英国、からも)



  1. 2018/06/30(土) 08:50:45|
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6月24日 

https://www.asahi.com/articles/ASL6R2QFBL6RUBQU00J.html
地域医療支える公立病院減少、統合や民間譲渡で存続図る
小西正人、大野晴香、豊平森、北上田剛
2018年6月23日17時00分 朝日新聞

 地域医療を支える公立病院が、愛知県内で減っている。経営難や医師不足の問題が背景にあり、各地の自治体は統合や民間譲渡などで存続を図ろうとしている。

 西尾市は今年1月、碧南市に市民病院の統合を持ちかけた。

 両市民病院とも15年以上赤字が続くが、その性質は異なる。2016年度決算によると、短期的な支払い能力を示す「当座比率」(1年以内に返済しなければいけない負債に対する現金預金の割合)は碧南の125・4%に対し、西尾は20・8%。100%以上が望ましいとされ、西尾市の方が厳しい。「財政的に困り始めている。早く手を打ちたいのだろうと感じた」と碧南市の禰宜田政信市長は話す。

 だが碧南市も単独で市民病院を存続させるのは容易ではない。医師不足が深刻で、3月下旬から消化器内科の診療を制限し、4月には小児外科を診療科目から外した。市の調査でも、現場の医師の悲痛な声が相次いだ。「当直医が少なく、50歳を過ぎても当直をしている」「若い人は辞めていく。今後の医療をどうするか」

 碧南市側は「碧南市内への新病院設置を前提とするなら、統合協議に応じる」と条件を付けている。医師を確保できるなどの利点は認めながら統合に慎重なのは、人口が約2・4倍の西尾市に新病院を「奪われる」ことを心配しているからだ。両市の間には矢作川があり、災害時に渡れなくなる懸念もある。

 県がんセンター愛知病院(岡崎市)は来年4月、岡崎市に経営移管され、岡崎市民病院と機能を再編することになった。両病院とも赤字が続いてきたため、市は統合による経営効率化を見込む。だが市の担当者が気をもむのが、20年4月に市南部に開業する藤田保健衛生大学の新病院の影響だ。診療科は22科、一般病床400床の予定で、「患者を奪われかねず、さらなる経営悪化につながる恐れがある」と心配する。

 病院統合の先進事例とされるのが、15年に東海、知多両市の市民病院が統合した西知多総合病院(東海市)だ。総務省が3月にまとめた「地方公営企業の抜本的な改革等に係る先進・優良事例」に挙げられた。

 統合のきっかけはやはり医師不足で、岡田光史事務局長は「大きな病院にしたことで医師が集まりやすくなった」と説明する。常勤医師は旧2病院の合計65人(14年度末)から77人(17年度末)に。入院患者も1日平均263人から327人に増えた。医師は、医療設備が整っていて指導医が多い病院に集まる傾向があるという。入院患者が多いほど症例も増え、医師の育成にもつながる。

 ただ経営はなお厳しい。16年度決算では9億8千万円の純損失で、17年度決算はさらに増える見通しだという。経費削減のため、専門のコンサルタントを入れて月1億円程度の薬品の仕入れ価格の交渉を始めた。17年度は前年度に比べて約3千万円の節減ができたという。岡田事務局長は「(統合で)市民に質の高い医療を提供できるようになった。入院や手術を充実させて経営を改善したいが、効果が出るには時間が必要」と話す。

 県によると、県内の市町村立病院(一部事務組合などを含む)は08年度に32あったが、現在は26。病床数も08年の1万1507床から昨年は1万580床と、9年間で1割近く減った。

 「医師不足で運営できなくなった」(一宮市の担当者)という旧尾西市民病院など、民間に譲渡される事例が目立つ。現在も半田市と常滑市が病院の経営統合も視野に入れた協議をしており、今後も減少が続く可能性がある。

 県の地域医療構想(16年)によると、民間も含めた人口10万人当たりの県内の病院数は4・4で、全国の6・7より少ない。10万人当たりの病床数も全国の74%にとどまっている。

 地域医療に詳しい内海真・県地域医療支援センター長は「公立病院の多くは医師不足が深刻で、解決策の一つに統合があるのは間違いない。ただ効率的な運営が求められる民間病院の方が患者へのサービスが良くなる場合もあり、公立病院が減ることが一概に悪いとは言えない」と指摘。「今後は私立の大学病院などを含め、地域事情に合わせた病院間の連携を深める必要がある」と話している。



https://mainichi.jp/articles/20180620/ddl/k44/040/264000c
中津市民病院
救急と重症に特化 休日・夜間、医師不足深刻で /大分

毎日新聞2018年6月20日 地方版 大分県

 県北部3市や福岡県豊前市など人口24万人をカバーする医療圏で中核的な役割を担う中津市民病院(中津市下池永)が今月から、高次救急対応病院となった。今後、原則として救急搬送患者のほか、他病院から紹介を受けた重症患者のみを受け入れる。医療体制の中で“格上げ”された格好だが、その背景には、深刻な地方の医師不足の問題がある。【大漉実知朗】

 特に変わるのは、中津市の休日・夜間の救急医療体制だ。これまで、医師会が当番を決めて診療に当たる当番医のほか、市民病院を含む七つの救急病院に定められた病院(救急告示病院)が連携して対応していた。今後は、救急車で直接運ばれる重症急患を除けば、まず当番医と市民病院を除く6病院で受診し、対処が困難な場合だけ市民病院で診療することになる。

 体制変更の大きな理由は、市民病院に休日・夜間の患者が集中していたことだ。全ての救急患者に対応するのは困難な状況に陥り、市民病院の医師も疲弊していたという。このため、市や市医師会などと協議。市民病院は症状が重い患者に対応する2次、3次救急に専念することにした。

 地方では、病院勤務医の不足が深刻化している。勤務が自由で患者も確保できる都市部の病院の人気が高く、地方病院に勤務する医師が少ない傾向があるという。医師数が不足しているため、当直など長時間勤務を強いられ、辞める医師も多く、病院側は医師の確保が難しいのが現状だ。

 一方で、患者は「大きい病院の方が安心感がある」という心理が働きがちだ。市などは軽症の場合は診療所でも十分対応できるとして、可能な限り住居に近い医療機関を受診するよう勧めている。市内では開業医の高齢化も進んでいるといい、特に救急告示病院が地域医療を支える重要な位置づけとなる可能性がある。

 市民病院の是永大輔院長は「救急告示病院が1次救急診療の役割を持ち、市民病院は2次、3次救急に専念したい。救急医療の機能分担を明確にし、地域医療体制を支えたい」と話す。ただ、「腹が痛い」と駆け込んでくるなどする患者について、重症と軽症の区別をいかにつけるか。また、市外からの急患をどこまで受け入れるか。課題は多く、今後も医師会や周辺自治体との協議を続ける。

 市民病院は1969年に国立中津病院として開設。その後、市に移管され、2012年に建て替えられた。病床数250、医師は42人。昨年度の救急車搬送は2250台に上る。市内の救急告示病院は、酒井病院▽中津胃腸病院▽梶原病院▽川嶌整形外科病院▽中津脳神経外科病院▽松永循環器病院。



https://mainichi.jp/articles/20180621/ddp/041/040/024000c
当番医「強制」に異議 医師会を提訴 大分・津久見
毎日新聞2018年6月21日 西部朝刊 九州

 医師不足などで夜間や休日に救急患者を診療する「在宅当番医制度」を巡り、大分県津久見市の男性医師が当番医への参加を強制する市医師会決議の無効確認を求め裁判を起こす事態になっている。男性医師は「当番医制度は必要だが強制は行き過ぎで、診療行為の自由を侵害している」と主張するが、市医師会は「決議は地域医療を支えるために必要」と反論。背景には地域医療の危機的状況があり、医師確保など早急な対策が求められる。

 訴状などによると、40代の男性医師は2016年8月、市医師会に土曜夜間の当番医の報酬増額を求めたが応じてもらえず、同年12月の土曜夜間の当番を拒否した。市医師会が当番医を強制する規定を決議すると男性医師はさらに反発。17年10月以降の全ての当番を拒否し、市医師会は男性医師を戒告処分とした。男性医師は今年2月、大分地裁に提訴。市医師会側は請求棄却を求めて争っている。

 市医師会は平日・土曜の夜間と日祝日の日中に当番医制度を導入しており、単科医院などを除く10医院の医師で当番医を振り分けている。報酬は平日・土曜7000円、日祝日8500円。市医師会の担当者は「都市部と比較して会員数は少なく当番医を回すのが窮屈な状況が続いている。協力を得られるよう引き続き努力したい」と危機感を示す。

 男性医師は「医師1人で当番医をせざるを得ず、医療事故のリスクが高い」「看護師ら医療スタッフを確保したくても報酬が少なくてできない」と土曜夜間の当番医を拒否した理由を説明。「安心して医療を受けられる体制にするため、現状を追認せず考えなければならない」としている。

 市内の医療関係者は「任意制にして当番医をやらない医師が出れば、他の医師の負担が増えて地域医療が崩壊しかねない」と男性医師の主張に疑問を示す。男性医師は7月から当番医に復帰する予定だが、あくまで「当番医は必要」との認識を示すためで、当番医の強制への反対姿勢は崩していないという。【田畠広景】

導入地区、10年で1割減

 医師不足や高齢化が進む地方では、在宅当番医制度を含む初期救急医療体制を維持するため、さまざまな取り組みが続いている。

 厚生労働省によると、軽症の救急患者受け入れのため休日や夜間に在宅当番医制度を導入しているのは全国600地区(2017年3月末現在)で、10年前に比べ約1割減った。救急医療体制に詳しい北九州市立八幡病院の伊藤重彦副院長は「在宅当番医は検査機器が限られる中で不特定多数の患者を診療しなければならず、地方では当番医を担う新規開業も少ないため負担が大きい」と指摘する。

 宮崎県延岡市では、09年から市内で新たに開業する医師に休日当番医などの協力義務を条件に奨励金500万円を出す。これまでに内科医や整形外科医など8人が開業し、市は「開業医の若返りにもつながり、現状は良くなった」としている。山口市医師会は昨年、当番医の高齢化などを理由に休日日中の内科患者受け入れを市の急病診療所に集約するよう市に要望。市医師会は「新規開業や後継者もほとんどいない。将来に向けて行政にも対策を考えてほしい」と危機感を募らせる。

 伊藤副院長は「地元医師会を中心にした地域貢献や使命感だけで制度は支えきれない。行政が関わって当番医の利用状況や負担要因を検証し、近隣市町村との連携や病院勤務医から応援を受けやすい急患センター設置などを検討すべきだ」と話す。【青木絵美】



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180622_11024.html
<登米市>8月に診療所休診 住民ら継続求め市に陳情「常勤医確保を」
2018年06月22日金曜日 河北新報

 宮城県登米市登米町の登米(とよま)診療所が医師不足のため8月から休診することについて、同地区の住民らが21日、診療継続を求める陳情書を市と市議会に提出した。
 陳情書は住民3374人分の署名簿を添え、「登米診療所の常勤医を確保して勤務体制を整備し、診療を継続してほしい」と求めている。
 登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長ら15人が市役所を訪れ、熊谷盛広市長、及川昌憲議長に陳情書と署名簿を手渡した。
 熊谷市長は「このような状況に陥り申し訳ない。現段階では医師が確保できる状況になく、8月から休診して送迎バスの運行を検討している。患者さんが不便にならないよう、しっかりと対応していく」と答えた。
 市は7月4日午後7時、登米町の登米公民館で、診療所が休診に至った経緯や市立病院全体の医師不足の現状、他の医療機関への送迎バス運行について説明会を開く予定。



https://mainichi.jp/articles/20180620/ddl/k08/040/116000c
県立中央病院
長時間勤務 知事「短縮へ取り組み」 医師以外に業務委任 /茨城

毎日新聞2018年6月20日 地方版 茨城県

 県立中央病院(笠間市鯉淵)で昨年度、全体の約2割にあたる勤務医23人に時間外労働の「過労死ライン(月80時間)」を超える月があった問題で、大井川和彦知事は19日の定例会見で、「長時間勤務の縮減に向けて取り組みを検討する」と述べ、問題解決に取り組む意向を示した。

 長時間労働の背景について、大井川知事は「医師数が不足しているなか、医師は法律に基づき診療拒否もできない」と、全体的な医師不足が原因と分析。

 医師確保以外の対策として、「(患者への説明など一部の業務を他の職種に任せる)タスク・シフティングや、振り替え休日の促進を組み合わせ、労働時間短縮に向けた取り組みを進めていきたい」と述べ、現場での運用改善を求める方針を示した。

 この問題は、毎日新聞が、勤務医の時間外労働に関する記録を同病院を含む県立3病院に対して情報公開請求して発覚した。【加藤栄】



https://diamond.jp/articles/-/172721
「病院がなくても住民の健康は変わらない!?」
医療と医療費の不都合な真実とは
医療経済の嘘(1/3)

2018.6.20 ダイヤモンドオンライン

森田 洋之:医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表。 

病床の削減、医師不足、医療費の高騰など、医療や医療費に関する報道が後を絶たない。

そうしたなかで、かつて財政破綻後の夕張に医師として赴任していた森田医師が、夕張および全国のデータ、さらに医療経済学的知見から見えてきたのは、医療経済の拡大が必ずしも健康と比例しない現実であった。最近、『医療経済の嘘』(ポプラ社)も上梓した森田医師が提唱する医療と経済のあるべき関係とは?

なぜ私は医者という職業に大きく失望したのか

私は、医者という職業に大きく失望し、職を辞そうとまで考えたことが2回あります。

1回目は、療養病院で意識なく延命されている患者さんたちが病棟を埋めている現実を見たときでした。医療という高度で崇高な技術が、本当に人間のために使われているのか疑われるような光景がそこには広がっていました。

それまでの私は、自分の医療知識を深め医療技術を磨くことこそが「善」だと思っていました。そうすることが患者さんのためになることだ、国民の幸福に貢献することなのだ、とまったく疑っていませんでした。

しかし、療養病院の大部屋で、ただただ白い天井を見つめたまま寝たきりの高齢者がずらっと並んで胃ろうから栄養を入れられている光景を見たとき、それまで自分が磨いてきた胃ろう造設術などの医療技術や医学的知識が「善」に思えなくなってしまったのです。

税金を使って国立大学に通わせていただいたのにもかかわらず、自分のやっている医療が国民のみなさまの幸福に寄与していると思えなくなってしまった。これは本当に辛かったです。

当時、「医療崩壊後」の夕張市で、「住民に近い地域医療」を実践されていた村上智彦先生に頼み込んで夕張市立診療所に勤務したのは、そうした「自分への負い目」もあってのことでした。

夕張では、理想の医療に出合えました。

ベッドが空いているからと言って入院を勧めるわけでもない、老衰としか言えないのならしっかりとその老化の過程に寄り添う、逆に本当にMRIが必要ならしっかりと都市部の病院に紹介する。

医療機関の経営に振り回されることなく、一人ひとりに患者さんに対して「過剰でもなく不足でもない最善の医療」を提供する医療環境が整っていました。

病院が開院しても閉鎖しても、
人々の健康状態はよくも悪くもならない!?


そんな幸せな時間を過ごしていたとき、僕は2回目の衝撃に出会います。

夕張で勤務しながら東大大学院の研究班(H-PAC)で夕張の医療崩壊前後のデータを集め分析していたときです。

分析を進めているうちに、医療崩壊を境に夕張市の高齢者医療費が低下していることがわかりました。しかも夕張市民の死亡率は横ばいで健康被害も出ていませんでした。

私は興奮しました。医療技術の進歩や高齢化の進展に伴い、世界各国で医療費の上昇に歯止めが利かないと言われるなか、夕張市民の「高齢者1人あたりの診療費」は減少したのですから。「これはすごいことだ!」と思ったのです。

ところが私はここで衝撃的な一言を聞くことになります。この夕張の医療費減少について識者に意見を求めたところ、次のようなグラフを提示され、「病床が減れば医療費が減るのは当たり前だ」と言われたのです。
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医療経済学の世界ではこの疑問はすでに研究しつくされていて、一定の結論がでているとのこと。その結論とはだいたいこんな感じです。

「多くの研究の結果、『病院の存在や非存在』と『住民の死亡率』のあいだに因果関係はないことが分かっている。病院が開院しても閉鎖しても、人々の健康状態はよくも悪くもならない可能性が高い」

まさに夕張の実例そのものだと驚きました。

また、先ほどのグラフは、事実として日本の医療の現場では事実として都道府県によって人口あたりの病床数が2~3倍も差があるし、同時に病床が多い県は少ない県と比べて県民1人あたりの入院医療費を2倍も使っている、ということを教えてくれます。

これを提示され、「病床が減ったら医療費が下がるのは、当たり前じゃないか」と言われたのです。

それまでの私は、純粋に「病人がいるから医療がある」と信じていました。しかしこのグラフを見れば、「病床がある分だけ病人が作られる」という、ある意味極論に達してしまいます。

高知県民は滋賀県民より2倍も病気になるのでしょうか。そんなはずはありません。でも事実として、高知県民は滋賀県民より県民1人あたり入院費を約2倍使っています。そして結論として、医療費は病床数に比例しているのです(ちなみに、平均寿命には比例していません)。

調べてみれば、日本の病床数は世界一。日本で最も人口あたりの病床が少ない神奈川県でさえ、アメリカ・イギリスの2倍の病床を持っていて、またCTもMRIも世界一持っていて、さらに外来受診数も欧米先進諸国の約2倍で世界第2位。

「医師不足? それって需要過多なだけなんじゃない?」

そのとき、「医師誘発需要」「医療市場の失敗」という言葉を初めて知りました。

日本の医療は一体何のためにあるのか。私は自分が医師であることが恥ずかしなってしまいました。そして医師をやめたくなりました。

夕張で学んだ「医療への希望」

でも私は決して日本の医療を悲観しているわけではありません。

なぜなら、夕張をはじめとした「医療資源の乏しい離島・僻地」でも、住民同士が支え合いながら元気に生活していることを知ることができたからです。

そして、そうした住民の近くで、「高度な病院医療」とは別に「生活を支える医療」を提供することの重要性を知ることができたからです。

私は、夕張で医療費が減った要因は「病床が減ったから」にもまして「住民の近くで生活を支える医療が整備されたから」というのが大きいと思っています。

夕張では病床が激減した代わりに、村上智彦先生・永森克志先生のご尽力によって「生活を支える医療・介護」が整備されたのです。だからこそ、本人・ご家族の意志を尊重した「延命処置や社会的弱者の収容ありきではない」、本当の笑顔を生み出せる医療が実現できたのだと思います。

そういう意味では、「住民の近くで生活を支える医療」は今後訪れる高齢化社会にとっての救世主になりうる存在だと思います。

今、日本では「在宅医療」をはじめ、住民の生活に近い医療が各地で模索されています。国が提唱する地域包括ケアシステムはそのメインストリームですし、それは欧州をはじめとした世界的潮流でもある「家庭医療」への流れでの一環でもあります。

その中で我々医療者は何ができるのか、そして国民の皆さんがこれをどう考えてゆくべきなのか、そんなことをこの連載で皆さんと一緒に考えられたらと思っています。

森田 洋之(もりた・ひろゆき)
医師、南日本ヘルスリサーチラボ代表
1971年横浜生まれ、一橋大学経済学部卒業後、宮崎医科大学医学部入学。宮崎県内で研修を修了し、2009年より北海道夕張市立診療所に勤務。同診療所所長を経て、現在は鹿児島県で研究・執筆・診療を中心に活動している。11年、東京大学大学院H-PAC千葉・夕張グループにて夕張市の医療環境変化について研究。14年、TEDxKagoshimaに出演、「医療崩壊のすすめ」で話題を集める。16年、著書『破綻からの奇蹟~いま夕張市民から学ぶこと~』にて、日本医学ジャーナリスト協会優秀賞を受賞する。



https://www.asahi.com/articles/ASL5V4K3WL5VUTIL018.html
医学部地域枠が拡大 条件は地元勤務…なのに県外流出も
松浦新、菅沼栄一郎
2018年6月23日15時43分 朝日新聞

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医学部に地域枠がある大学と定員数の合計

 医師になった後、地元で一定期間働くことを条件に、大学医学部に入学しやすくしたり、医学部生に奨学金を支給したりする「地域枠」が拡大し、医学部の定員の2割近くに達している。地方にとって医師確保の頼みの綱だが、過熱気味の状況に懸念の声も出始めている。

 大学の医局が医師の勤務先を調整する仕組みを変えようと、政府は2004年度に医師が自由に研修先を選べる新臨床研修制度を導入。医師の自由度は高まったが、若い医師が都市部などに流れ、医師の不足や診療科の偏在が広がった。

 対策として地方で広がったのが、大学医学部の地域枠だ。政府も医学部の定員の臨時増員を認めるなどして地域枠を後押しした。文部科学省によると、地域枠の募集人員は08年度に403人分(33大学)だったが、17年度には全都道府県に広がり、全医学部定員の18%の1674人分(71大学)と4倍に増えた。定員に占める地域枠の割合は札幌医大(82%)が最も高く、福島県立医大(59%)、旭川医大(59%)、東北医科薬科大(55%)、弘前大(51%)と続く。東北地方の医学部教授は「地域枠がなければ地域医療は崩壊する」と言う。

 厚生労働省は医師確保を後押ししようと、地方の実情に合わせて知事が大学に地域枠の創設や増加を求められるようにする医療法・医師法改正案を今国会に提出。参議院を通過し、衆議院の審議待ちの状態だ。

 地域枠は医学部入試を変えている。秋田大の地域枠の入試は筆記試験がなく、高校の推薦、センター試験、面接、論文で選抜している。秋田県は入学金と月15万円(自宅生は10万円)の奨学金を貸し、国家試験合格後、県内で原則9年間勤めれば返済を免除する。地域枠の一つの典型だ。

 奨学金の対象者を広げる動きもある。静岡県は年間に、浜松医大(浜松市)の20人と、岡山県内の川崎医科大、東京都内の順天堂大など全国の100人に奨学金を貸す。静岡県内で原則9年間働けば、年間最大240万円の奨学金の返済を免除。将来の選択肢を増やせるよう、一定期間、県外での勤務や留学ができるようにしている。県は年間約12億円を投じており、最近11年間に全国73大学の973人が利用した。うち536人は在学中、303人は既に県内に勤務している。鳥取県も、出身地も学ぶ大学も問わない奨学金の枠を10人分設けるなど幅広く確保に動いている。

大学間で綱引き 縛りに疑問も
 地域枠の医師をめぐる綱引きも起きている。

 弘前大(青森県)の福田真作・付属病院長は昨秋、東北大付属病院(仙台市)に対し、弘前大の地域枠で学んで年度末に初期研修を終える医師2人が東北大で次の専門医研修を受けようとしていると電話で伝え、「善処」を求めた。1人が東北大行きをやめ、もう1人は将来青森に戻ると約束して決着した。福田病院長は「東北大側が対応してくれた」と話す。

 福田病院長によると、弘前大の…
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https://mainichi.jp/articles/20180621/ddl/k46/010/490000c
出水市
赤字の病院事業改革へ 市長が給与削減表明 /鹿児島

毎日新聞2018年6月21日 地方版 鹿児島県

 深刻な赤字に悩む鹿児島県出水市病院事業を巡り、同市の椎木伸一市長は、8月~来年3月の自身の給与を2割削減する意向を表明した。医師らを除く236人の病院職員も同期間、18~4%削減し、経営改善を目指す集中改革プランを8月までに作成するという。

 病院事業の核となる出水総合医療センターが約10年前から医師不足となり、経営難に陥った。累積赤字は81億円で九州の公立病院で最多。市一般会計から特別補填(ほてん)していた。

 今年3月、学識者による経営諮問会議は、9月末時点で運転資金7億円を確保できなければ市営から指定管理者制に移行するよう市に答申。病院側は「実情にそぐわず、従えない」と反発していた。

 椎木市長は病院側と意見交換し、答申を保留。一定期間、病院側による自己改革を進めることにした。市長と職員の給与削減により、8カ月で約2800万円の支出カットとなる。【降旗英峰】



https://www.m3.com/news/iryoishin/609693
シリーズ 真価問われる専門医改革
新専門医制度、「日本版ACGME」設立で改善を
第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会、総合診療専門医のサブスペシャルティも議論に

レポート 2018年6月19日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 三重県津市で第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会が開かれ、6月17日の教育講演「日本の総合診療の夜明けと今後の展望」では、同連合学会の前身の3学会トップらが講演。日本専門医機構が専門医認定と研修プログラム認定の両方を担うべきではなく、同機構は前者に特化すべきなど、新専門医制度そのものの問題点が指摘されたほか、総合診療専門医については、サブスペシャルティとして「病院総合医」と「家庭医」を養成する必要性が提起された。


教育講演は4人の講演後、フロアを交えたディスカッションが行われた。
 新専門医制度の問題点を提起したのは、地域医療振興協会副理事長で、元日本家庭医療学会代表理事の山田隆司氏。「専門医認定と研修プログラム認定を、同じ枠組みで行うことには無理があるのではないか。参考にすべきは米国の仕組み。専門医の『Certification』を行うABMSと、研修プログラムの『accreditation』を行うACGMEがあり、それぞれ別の枠組みで実施されている」と指摘し、「日本版ACGME」の創設を提言した。「基本領域やサブスペシャルティなどの在り方や専門医認定は、プロフェッショナル・オートノミーのもとに日本専門医機構が決めていい。一方、研修プログラム認定は、医師の偏在問題など、非常に政治的、政策的なことが絡んでくる。地域医療の視点を持って、関係団体や自治体なども交えた透明性のある議論が必要だろう」。

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日本版ACGMEの考え方(提供:山田氏)

 「病院総合医」と「家庭医」がサブスペシャルティ候補
 三重大学名誉教授で菊川市家庭医療センター(静岡県菊川市)センター長の津田司氏は、2018年度の総合診療専門の専攻医が183人で、2017年度に日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医専門医の専門研修を開始した199人よりも少なく、全専攻医の約2%にとどまることから、「なぜ専攻医募集が少なかったのか」と提起。今後の人口高齢化や人口減少時代を見据えると、医療施設が急性期医療を担う大病院、家庭医療を担う診療所、その間にある中小病院に機能分化していくとし、「ホスピタリストと家庭医がクローズアップされる時代が到来する」と予測。同連合学会が養成すべき「Generalist」は、ホスピタリストと家庭医であり、総合診療専門医のサブスペシャルティとして位置付けるべきと提言。これらの役割をエビデンスで示していくことが、総合診療専門医の魅力を高めることにつながるとした。

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総合診療専門医のサブスペシャルティの考え方の例(提供:津田氏)

 元日本総合診療医学会運営委員長で、七条診療所(京都市下京区)所長の小泉俊三氏は、病院をベースとした「ホスピタリスト」(病院総合医)と、診療所の「家庭医」の必要性は認めたものの、その間に主に中小病院の医療の担い手としての「地域総合医」も求められるとした。「地域総合医というキーワードは、日本の医療の現状に合っているのではないか。日本の病院の約7割は、200床未満の病院。その多くは、地域密着型の医療を行っており、慢性期医療だけではなく、肺炎などの急性期疾患への対応も求められている。これらの病院が今後どんな役割を担うのか、ポジティブな定義付けをしていくと、地域総合医の魅力が出てくると思う」。

 山田氏は、「日本の医療ニーズに適切に応えられるよう、まさにプロフェッショナルとしての対応が求められている。総合診療専門医について言えば、家庭医と病院総合医の問題を整理して議論する必要がある。それぞれかかわる領域、かかわる団体が違う」と指摘した。家庭医については日本医師会のかかりつけ医制度と合同すべきとし、「移行措置を設け、更新制を厳しくするとともに、生涯教育のプログラム作成に対して、学会として協力していく」と提言。病院総合医については、「医師不足に悩む地域の中小病院の在り方が、日本の課題。そこにしっかりとしたトレーニングを受けた医師を送ることが必要。関連学会・病院団体と協議し、病院総合医のプログラムの確立を急がなければいけない」とした。

 これに対し、日本プライマリ・ケア連合学会の初代理事長で、京極町国民健康保険診療所(北海道京極町)所長の前沢正次氏は、「教育の手段としては、ホスピタリストがあっていいと思うが、それは目的ではない。あくまでプライマリ・ケアを担うという精神を忘れないでほしい」として、次のように自身の経験を語った。「7年前に当院は43床の病院だったが、今は有床診療所。さらにベッドをなくすことも考えている。入院医療ができなくなっても、いかにいい医療を提供するかであり、プライマリ・ケア医としての能力をベースに、認知症などの患者にも対応するほか、特別養護老人ホームでの看取りなどもやっている。要は、5年先、10年先を見据えて、どんな力を身に付けていくべきかを考える必要がある」



http://www.sanyonews.jp/article/735060
玉野市民病院、経営統合目指す 三井病院側と近く協議本格化
(2018年06月20日 11時13分 更新)山陽新聞

 玉野市は19日、赤字経営が続く市立玉野市民病院(同市宇野)について、玉野三井病院(同市玉)との経営統合を目指す方針を明らかにした。同病院を経営する三井E&Sホールディングス(旧三井造船)と近く協議を本格化させる。経営母体となる独立行政法人の設立も視野に入れている。

 市の西村薫三病院事業管理者が市議会厚生委員会で説明した。市民病院と同様に医師不足、施設の老朽化といった課題を抱える三井病院側に昨年末、連携を提案。接触を重ねる中で、経営統合に向けた協議入りの了解を得たという。

 黒字経営の三井病院に対し、市民病院は約42億円の累積赤字を抱えている。三井E&Sホールディングス玉野総合事務所は「医療需要が減る中、単独で経営していくのは難しい」とする一方で「市民病院の赤字は巨額。一緒になっても大丈夫なのか慎重に見極めたい」としている。

 西村氏は厚生委で「合併について不安に思う(三井病院の)職員もいるので慎重に議論を進めたい」とした。

 玉野市民病院を巡っては、三井病院、岡山赤十字病院玉野分院(同市築港)と地域医療連携推進法人をつくり、新病院を建設する構想が2016年に持ち上がったが、協議が前に進んでいなかった。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/232304
「非稼働病棟」存廃確認へ 県、病床活用目指し調査
6/19 8:00 佐賀新聞

 佐賀県は、ベッドを使っていない「非稼働病棟」がある診療所などに、病棟を存続させるかどうかの意向を確認する。県内では県保健医療計画で定める基準病床数を、実際の病床数が既に上回っており、原則的に新設や増設ができない状態が続いている。11月までに調査結果をまとめて課題を洗い出し、新増設を必要としている医療機関と、存廃に悩む診療所の調整を図り、病床の有効活用を目指す。

 県医務課によると、8~9月に調査し、病床を再開させるかどうかの見通しや、具体的な後継者がいるかなどを尋ねる。再開や譲渡、病床廃止を希望する施設には、「2年から5年以内」「7年以上」など具体的な対応時期も確認する。

 2015年5月に県医師会が実施した調査では、非稼働病棟があるのは45の診療所(538病床)だった。再開したくても夜勤の看護師が確保できないケースや、高齢になり入院の受け入れが難しくなった医師が、後任への引き継ぎを考慮して病床を残しているところがあるという。

 第7次県保健医療計画(18~23年度)で定める基準病床数のうち、県内全体の療養・一般病床数は7617床。18年4月末の病床数は1万694床と大きく上回っており、県内五つの保健医療圏はいずれも「病床過剰地域」となっている。

 病床数の有効活用を図りたい厚生労働省は今年2月、病床過剰地域で非稼働病棟を維持する必要性が乏しい医療機関に対し、各都道府県の医療審議会の意見を聞いた上で、県が速やかに病床数削減を要請することを求める通知を出した。

 調査結果は11月までに開く県地域医療構想調整会議に報告し、病棟再開に向けた手だてを探ったり、希望する機関が病床数を譲り受けたりする調整に役立てる。県医務課は「一歩踏み込み、具体的な対応時期まで聞く。過不足がない医療環境づくりに向けて、地域全体で考えるきっかけになれば」と話す。



https://www.m3.com/news/iryoishin/609529
シリーズ 地域医療構想
「実態のない急性期病棟」にメス、客観的基準で「外れ値」除外
厚労省・地域医療構想WG、2018年度病床機能報告の見直し案了承

レポート 2018年6月18日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は6月15日、「2018年度病床機能報告の見直しに向けた議論の整理」(案)について文言修正を座長一任の上、了承した。

 2018年度の病床機能報告から、高度急性期と急性期については、手術や救急医療の実績など定量的な基準を導入し、該当しない場合には高度急性期または急性期として原則報告できないようにする。また病床機能報告では、現時点での病床機能と、「6年後の病床機能の予定」を報告するが、2018年度は「2025年の病床機能の予定」を報告するよう改める。さらに、各構想区域の調整会議での議論活性化のために、2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者との協議を経た上で、定量的な基準の導入を求める。これらを盛り込んだ「議論の整理」(案)は、親会の「医療計画の見直し等に関する検討会」、さらに社会保障審議会医療部会での了承を経て確定する(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、病床機能報告における定量的な基準は、全く急性期医療を提供していないのに急性期機能と報告するなど、「外れ値」を除外する目的での使用であることを確認。

 2017年度の病床機能報告の場合、「高度急性期」もしくは「急性期」と報告した2万1265病棟のうち、「幅広い手術の実施」「がん・脳卒中・心筋梗塞等への治療」など、「高度急性期」「急性期」に関連した医療を提供していないのは、1076病棟(約5%)。医療内容を把握するための「様式2」が未提出の病棟(1938病棟)を加えた計3014病床(約14%)が、調整会議で医療機能の確認が必要な病棟だった。

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(2018年6月15日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

 さらに中川氏は、調整会議での定量的な基準の活用について、「不足している機能はないかなどを分析する指標として使うもの。ただし、全国一律の基準を用いてはいけない」と述べ、地域医療の実情に合わせた指標を活用するよう、釘を刺した。本ワーキンググループでは以前、佐賀県や埼玉県が独自に作成した定量的な基準を用いている事例が紹介された(佐賀県は『地域医療構想調整会議、成功のカギは「対話と信頼」』、埼玉県は『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』をそれぞれ参照)。厚労省医政局地域医療計画課は、「定量的な基準に使うのは、あくまでも議論の活性化のため。埼玉県や佐賀県のやり方を、全国一律的な方法で実施するのではない」と説明した。

 2018年度で「2025年の病床機能の予定」の報告を求めるのは、経済財政諮問会議の「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、「個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する」ことが求められているため。調整会議で2025年の病床機能の予定を共有して議論を進めることを目指す。

 都道府県単位の「調整会議」の設置を推奨
 15日の会議ではそのほか、都道府県単位での調整会議を設置するよう、都道府県に対して推奨していくことも了承した。構想区域(大半は2次医療圏)単位の調整会議の議論が円滑に進むよう支援するのが目的。各構想区域の調整会議の議長などから構成する。現時点では20の都府県で設置しているが、参加者や協議事項などに相違がある。

 構成員からは異論は出ず、健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、構想区域の調整会議は法的に位置付けられていることから、都道府県の調整会議についても、「本来、法的に位置付けることが必要。ただし、法制化は待っていられないので、全国知事会にも要請するなど、スピード感をもって進むようにしてもらいたい」と求めた。

 中川氏は、都道府県単位の調整会議が機能する場合として、構想区域単位の調整では限界がある場合などを挙げた。「例えば、公立病院が新公立病院改革ガイドラインを作っても、普段からお世話になっている公立病院に対しては、物を言いにくいことがある。その際には、県単位の調整会議に代弁してもらう。そのためにも、各構想区域の調整会議の議長全員の参加は必要」(中川氏)。さらに都道府県医師会にその事務局機能を置いて、都道府県が支援する体制を提案し、そのための予算措置も求めた。厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「都道府県で議論が進むように、さまざまな予算の確保に取り組んでいきたい」と回答した。



https://www.asahi.com/articles/ASL6N7SRYL6NUBQU020.html
病床減らす地域医療構想、推進したら補助金増額へ
西村圭史2018年6月21日09時00分 朝日新聞

 病院ごとの役割分担を明確にし、病床数を減らしていく「地域医療構想」の進みが遅い現状を打開しようと、厚生労働省は取り組みの進み具合に応じて都道府県に補助金を出す方針を固めた。来年度からの実施を目指す。

 地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上になる2025年に必要な医療体制を構築するため、全都道府県が16年度にまとめた。それぞれの地域事情を踏まえ、高度な医療や慢性の病気に対応する病院や病床がどのくらい必要かなどが盛り込まれている。構想を元に、病院や診療所は18年度内をめどに自院の対応方針を決めることになっている。

 だが、17年度末で方針を決めた病院・診療所は、約1万4千施設のうち117施設に過ぎない。そのうち108は公立や公的施設だ。全体の約8割を占める民間病院は、ほとんどが未決定。このため厚労省は、都道府県が働きかけを強める必要があると判断した。



https://www.m3.com/news/kisokoza/610066
地域情報(県別)地域情報(県別)
福岡「現場は疲弊し、いらつく」「思いの外手堅い」、地域医療構想の意識調査

2018年6月20日 (水)配信津村育子(m3.com地域版)
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 福岡県の医療資源の状況は、全国と比較すると恵まれた状況にあるが、地域偏在が見られる。福岡市、北九州市と他の人口格差も大きい。一般病床の人口10万人当たりの病床数は全国平均を上回っているが、一方で、宗像、筑紫、直方・鞍手、京築の4区域は全国平均を下回っている。病床数のコントロールについては構想区域ごとに地域の医療関係者や保険者等で構成する「地域医療構想調整会議」において情報を共有し、病床転換や地区での役割分担などを協議している。

 福岡県に関連する先生方に、地域医療構想や進捗についての認識を尋ねたところ、「福岡市、北九州市とその他の地域で人口と医療機関のバランスの現状がかなり違うので、一律には難しい面もある」など地域偏在に関する意見が寄せられた。

Q:福岡県の「地域医療構想」、実際に目を通されましたでしょうか。
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 福岡の医療の行く末を指し示す地域医療構想。「中身を把握していない」が35.0%と一番回答が多かった。次いで多かったのが「なんとなく知っている」の29.7%、「実際に読んで中身を確認した」20.3%で、「読んではいないが、内容は理解」(10.6%)を含めると、半数以上が内容について認識していた。

 「地域医療構想」を基に、福岡県の構想区域別、4つの医療機能別に、2025年の必要病床数と2015年度の病床機能報告を比較すると、県全体では、高度急性期、急性期、慢性期では必要病床数が病床機能報告数を下回る一方、回復期では必要病床数が病床機能報告数を大幅に上回る。
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【構想区域別の2025年「病床の必要量」と2015年度病床数(地域医療構想より)】※単位は「床」


Q:2025年に向けて、不足が見込まれる回復期病床の確保に向け、急性期病床等からの病床機能転換について県内13の構想区域ごとに設置した地域医療構想調整会議において検討されています。推計の妥当性について、急性期、回復期それぞれの認識を教えてください。

       推計通り    推計を上回る  推計を下回る  わからない
急性期の推計 36.6%      32.5%     5.7%      25.2%
n=246
回復期の推計 39.4%      29.7%     7.3%      23.6% 
n=246
         図より表に変換

 急性期・回復期ともに「推計通りになると予想」と認識する回答が多く、ついで「推計より需要は高まる」が多かった。

Q:地域医療構想では「急性期等から回復期への病床機能の転換、高齢者住宅等を含む在宅医療の基盤整備を、10年程度かけて合意形成を図り、推進」するとしています。進捗を実感されますか。
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 病床機能の転換や在宅医療の基盤整備の進捗について尋ねたところ、「実感していない(進捗していない)」が半数を超えた一方で、「実感する」も24.8%だった。

Q:福岡県の地域医療構想について、感想や疑問点があればお寄せください。
・従来からの行政データをキチンとベースにおいており、思いの外に手堅く、空理空論の少ない、とても良い構想を拝見できました。これならば今後も福岡県は安心です。また、県独自財源率が、香川県と並んで高く、財源的な裏付けもある中での論議ですから、頼もしい所でした。

・福岡市を中心に人口増加圏が拡大しつつあるので、ドーナツ状に緊急、療養を含め病床の確保がより必要になってくると思われる。

・土地、医療系の人材、利用者とその家族の負担、沢山の問題が山積みだと思います。現実的には難問があるかと思います。

・急性期の拠点病院の待遇を改善する必要があると感じます。現場は疲弊し、些細なことでもイラついているのが現状だと感じます。

・削減ありきで現場は混乱している。中堅の病院は潰れる。これが目的のようにも見えるが。

【調査の概要】
調査期間:2018年6月
対象:福岡県のm3.com医師会員



https://www.m3.com/news/iryoishin/610724
地域医療連携のコストは、関係機関全体で負担を
日医、医療IT推進に向けた報告書を提言

レポート 2018年6月22日 (金)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 日本医師会常任理事の石川広巳氏は6月20日の定例記者会見で、医療IT委員会答申「日医IT化宣言2016 実現に向けた方策―地域医療連携、多職種連携のあるべき姿―」について報告をした(報告書は、日医のホームページ)。地域医療連携に必要なコストは関係機関全体で負担をすること、多職種連携では不可欠となっているソーシャルネットワークサービス(SNS)では専用SNSや業務専用スマートフォンを利用することなどを提言した。

 報告書は、「1.日医IT化宣言2016実現に向けた日本医師会の取り組み」と「2.地域医療連携、多職種連携のあるべき姿」の2部構成。前者では、医療分野のIT政策推進に向け2016年に報告した「日医IT化宣言2016」(『医師資格証の発行数が急増、診療報酬改定で』などを参照)の実現に向けた取り組みをまとめた。

 「1.日医IT化宣言2016実現に向けた日本医師会の取り組み」は「医療等分野専用ネットワーク構築に向けて」「医療等ID創設に向けて」「医療資格証の普及促進」「ORCA 2nd Stage開幕」「次世代医療基盤法への対応」の5項目から成る。

 今年5月に施行された「次世代医療基盤法」では、医療情報の匿名加工を行うことで、医療機関等をまたいだ医療情報の利活用が可能になる。そこで、国は匿名加工を行う事業者を認定する計画だが、日医では今後、匿名化技術や医療情報収集に明るい専門職員を配置し新たな法人を設立して、国から認定を受ける方向で進めているとした。石川氏は、「医療情報の収集や取り扱いで、営利企業が参入してこないように気を付ける必要がある」と話した。

 もう一つの「2.地域医療連携、多職種連携のあるべき姿」では、まず、地域医療連携実現に向けて壁となっている運用コストの課題に対して、その成功事例が取り上げられた。運用コストは医療機関だけが負うべきものではないとし、石川氏は「地域医療連携でメリットがあるのは、医療従事者だけではなく、患者、保険者ら医療を巡る関係者全員だ。コストは全体で負担するべきだ」と述べた。

   また、多職種連携では、医療・介護連携が近年進んでいるが、こうした現場ではコミュニケーションのために、SNSやスマートフォン、タブレット端末の利用が不可欠になっている。日医では以前から、非公開で医療・介護連携用のSNS利用と、事業者が管理する端末での利用を訴えているが、個人の端末を業務に利用する「BYOD」は原則禁止と改めて指摘をした。一方で、事業者による端末購入はコストの問題で導入が進まない実態もある。これに対し石川氏は「端末コストを補助金の対象にしたり、多職種連携に対する診療報酬算定を国に働きかけるなど求めていきたい」とした。

 
オンライン診療の適正な実施に向けた報告書を発刊

 「日医IT化宣言2016 実現に向けた方策―地域医療連携、多職種連携のあるべき姿―」にはオンライン診療の推進も盛り込まれた。これに関して、今年2月に発足した情報通信機器を用いた診療に関する検討委員会の報告書「情報通信機器を用いた診療の適正な実施」についても石川氏が報告をした(報告書は、日医のホームページ)。今年4月の診療報酬改訂で新たに評価されることとなったオンライン診療の実施に向けてまとめたもので、オンライン診療の実施に向けたガイドラインについては、今年3月に厚生労働省が「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会 オンライン診療の適切な実施に関する指針」を取りまとめている(指針は厚労省のホームページ)。

 日医の同委員会では4回に渡り議論を重ね、本報告書をとりまとめた。同委員会での議論は「厚労省の指針に基本的にほとんどが反映されている」(石川氏)としており、厚労省の指針と同様の内容となっている。また、指針は今後検証して変更していくものとしており、石川氏は「そこが重要なところで、オンライン診療は実施しながらエビデンスを積み重ね、よりよいオンライン診療にしていくことが重要だと考えている」とした。

   報告書の構成は以下の通り。

はじめに

1.基本原則

2.論点
 (1)オンライン診療の定義
 (2)オンライン診療を行う者について
 (3)オンライン診療の対象となる地域について
 (4)オンライン診療を行う場所
 (5)セキュリティ対策について
 (6)医師の本人確認について
 (7)患者の本人確認について
 (8)情報通信事業者の第三者認証について
 (9)医師教育について



http://www.medwatch.jp/?p=21141
骨太方針2018を閣議決定、公的・公立病院の再編統合、病床のダウンサイジング進めよ
2018年6月18日|介護保険制度 MedWatch

 2025年の基礎的財政収支(PB)黒字化を目指し、2019-21年度を「基盤強化期間」と位置づけ、社会保障費の伸びを「高齢化」相当に抑えることとし、健康づくりの推進、地域医療構想の実現、診療報酬・介護報酬におけるアウトカム評価の推進などを行う―。

 安倍晋三内閣は6月15日に、こういった内容を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2018—少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現—」(いわゆる骨太の方針2018)を閣議決定しました(内閣府のサイトはこちら)。社会保障費の伸びに関して具体的な数値は盛り込まれていませんが、2020年度・21年度には高齢化の伸びが鈍化するため、社会保障費の伸びも相当程度抑えられ、厳しい診療報酬・介護報酬改定となりそうです。

 すでにメディ・ウォッチでお伝えした「原案」から大きな見直しはありませんが、改めて社会保障改革に関する事項を眺めてみましょう(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 2019年10月の消費増税に合わせて、介護職員のさらなる処遇改善を行う
2 市町村と都道府県が連携し、健康づくりを推進せよ
3 公立・公的病院の再編統合、病床のダウンサイジング進め、地域医療構想を実現せよ
4 ADL改善などアウトカムに基づく診療報酬や、AI活用したケアプランなど導入せよ
5 外来における「受診時定額負担」、薬剤自己負担割合の見直しなど改めて検討せよ

2019年10月の消費増税に合わせて、介護職員のさらなる処遇改善を行う

 まず、2025年にはいわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護費をはじめとする社会保障費が増大し、財政を強く圧迫するため、「2025年度の基礎的財政収支(PB、「歳入から国債等の借金収入を差し引いた金額」と「歳出から国債費等を差し引いた金額」とのバランス)の黒字化を目指す」との目標を設定。

このため、団塊の世代が75歳に入り始める2022年度の前まで、つまり2019-2021年度を、社会保障改革を軸とする「基盤強化期間」と位置づけ、社会保障関係予算について次のような編成方針を示しています。

▼「社会保障関係費の実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収める」方針を2021年度まで継続する

▼消費増税とあわせ行う増(社会保障の充実、「新しい経済政策パッケージ」で示された介護人材の確保・社会保障4経費に係る公経済負担など)については、別途考慮する

 前者においては数値目標が定められていませんが、2020・21年度は「75歳以上の後期高齢はとなる人口」の伸び率が鈍化するため、社会保障関係費の増加も「小さく抑えられる」ことになるでしょう。2020年度の次期診療報酬改定、21年度の次期介護報酬改定は厳しいものとなりそうです。

 また後者に関連して、「介護人材の処遇改善を消費税率引き上げ日の2019年10月1日に合わせて実施する」方針も示されています。

市町村と都道府県が連携し、健康づくりを推進せよ

具体的な社会保障改革の内容を見ると、▼健康づくり▼効率化・適正化▼生産性の向上―など幅広い項目が盛り込まれています。

「健康づくり」は、「医療・介護費の伸びそのものを抑える」重要なテーマです。「健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮小」することを目指し、例えば次のような方策が掲げられました。

▼生活習慣病等・慢性腎臓病・認知症の予防
糖尿病等の生活習慣病の重症化予防に関して、県・国民健康保険団体連合会・医師会などが連携する「埼玉県の取り組み」などの優良事例の横展開を、今後3年間で徹底して取り組む

▼がん対策
・早期発見・早期治療(がん検診の見直し、膵がんなど難治性がんの早期発見)
・がん治療と仕事の両立(傷病休暇の導入、活用の促進)

▼データヘルス
医療・介護制度におけるデータの整備・分析、保険者機能の強化、科学的根拠に基づいた施策の重点化、予防・健康づくりに頑張った者が報われる制度の整備

▼認知症対策
研究開発の重点的な推進、予防に関する先進・優良事例の横展開、新オレンジプランの実現、容態に応じた適時・適切な医療・介護提供に向けた「認知症疾患医療センターの司令塔としての機能」強化、相談機能の確立、地域包括支援センター等との連携強化

▼介護予防、フレイル対策
 市町村と都道府県の連携による「高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策」「生活習慣病等の疾病予防・重症化予防」「就労・社会参加支援」の推進

▼アレルギー疾患対策
 アレルギー疾患対策基本指針に基づいた「アレルギー疾患の重症化予防」「症状軽減に向けた対策」の推進

 
健康づくりを進めると同時に、「元気で、働く意欲のある高齢者」には活躍の場を広めてもらうことが重要です。少子化が進む中では、高齢者自身が「社会保障の支え手」となることも期待されるためです。この観点からは、次のような方針が示されています。

▼勤労者が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆保険制度の実現を目指した検討(被用者保険の適用拡大と、それが労働者の就業行動に与えた影響についての効果検証を行う)

▼年金受給開始年齢の柔軟化など

▼既存の施策を含め地方自治体への財政的インセンティブを活用し、「元気で働く意欲のある高齢者を介護・保育等の専門職の周辺業務において育成・雇用する」取り組みの全国展開

▼人生の節目で「人生の最終段階における医療・ケアの在り方」などを本人・家族・医療者等が十分話し合うプロセスの全国展開(関係団体を巻き込んだ取り組み、周知、本人の意思を関係者が随時確認できる仕組みの構築)

▼「住み慣れた場所での在宅看取り」の優良事例の横展開を推進する

公立・公的病院の再編統合、病床のダウンサイジング進め、地域医療構想を実現せよ

 健康づくりによる「社会保障費の伸びの鈍化」効果が現れるには相当の時間がかかります。一方、高齢化の進展による医療・介護費の増加は続いていくため、「効率的・効果的な医療・介護提供体制」の構築が不可欠です。この点いついては、次のような施策の推進が行われます。

▼地域医療構想の実現
・「個別の病院名」「転換する病床数」などの具体的対応方針を集中的に検討し、2018年度中の策定を促進する
・公立・公的医療機関について、「地域の民間医療機関で担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化する」よう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める
・病床の機能分化・連携が進まない場合に、都道府県知事が役割を適切に発揮できるような「権限」の在り方の検討促進
・「病床の転換」「介護医療院への移行」などが着実に進むよう、地域医療介護総合確保基金や入院基本料等の見直しなどの効果やコストの検証を行い、必要な対応を検討するとともに、「病床のダウンサイジング」支援の追加的方策を検討する
・高額医療機器について共同利用を推進するなど、効率的な配置、稼働率向上を促進する方策を検討、実施する

▼1人当たり医療費・介護費の地域差縮減
・「1人当たり医療費の地域差半減」「1人当たり介護費の地域差縮減」に向けて、国・都道府県が積極的に「地域別の取組や成果の見える化」「進捗遅れの要因分析」などを行い、保険者機能の一層の強化を含め、更なる対応を検討する

▼地域独自の診療報酬について、都道府県の判断に資する具体的な活用策の在り方を検討する

▼レセプト情報を活用した「医師や薬剤師が投薬歴等を閲覧できる仕組み」の構築、「診療報酬による多剤投与適正化」、「介護予防等への取り組みの見える化」などを推進する

ADL改善などアウトカムに基づく診療報酬や、AI活用したケアプランなど導入せよ

 少子化が進展する中では、医療・介護従事者の「生産性」向上が不可避であり、次のような方向が明確にされました。

▼「予防・健康づくり」「データヘルス」「保健事業」について、多様・包括的な民間委託を推進し、サービスの質と効率性を高める

▼診療報酬・介護報酬においては、適正化・効率化を推進しつつ、安定的に質の高いサービスが提供されるよう、「ADL改善などのアウトカムに基づく支払いの導入」等を引き続き進める

▼被保険者番号の個人単位化とオンライン資格確認を導入するとともに、「保健医療データプラットフォーム」について、2020年度の本格運用開始を目指し取り組む

▼少ない人手で効率的に医療・介護・福祉サービスが提供できるよう「AI実装に向けた取り組みの推進」「ケアの内容等のデータを収集・分析するデータベースの構築」「ロボット・IoT・AI・センサー」の活用を図る

▼「科学的介護」「栄養改善を含めた自立支援・重度化防止等に向けた介護」を推進する。特に、「自立支援・重度化防止等に資するAIも活用した科学的なケアプラン」の実用化に向けた取り組みを推進し、ケアマネジャー業務の在り方を検討する

外来における「受診時定額負担」、薬剤自己負担割合の見直しなど改めて検討せよ

 また保険制度改革に関しては、「必要な保険給付をできるだけ効率的に提供しながら、自助、共助、公助の範囲についても見直していく」ことが必要とし、次のような改革項目が固められました。

▼団塊の世代が後期高齢者入りするまでに、世代間の公平性や制度の持続性確保の観点から、後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する

▼介護のケアプラン作成、多床室室料、軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する。

▼新規医薬品や医療技術の保険収載等に際して、「費用対効果」「財政影響」などの経済性評価や保険外併用療養の活用などを検討する

▼薬剤自己負担の引上げについて、「市販品と医療用医薬品との価格バランス」「医薬品の適正使用の促進」等の観点を踏まえつつ、対象範囲を含め幅広い観点から検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる

▼かかりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の普及を進めるとともに、外来受診時等の定額負担導入を検討する

▼勤労世代が減少しその負担能力が低下する中で、社会保障改革に関する国民的理解を形成する観点から「保険給付率(保険料・公費負担)と患者負担率のバランス」等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討する

 
 今後、例えば社会保障制度審議会の医療保険部会や医療部会、中央社会保険医療協議会を中心に、これらの方針・項目の制度化・具現化に向けた検討が進められることになります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 


https://www.m3.com/news/iryoishin/604042
新卒医師・匿名座談会2018
医師国試対策、前倒して臨床実習との相乗効果を◆Vol.4
勉強への本腰時期はそれぞれ- 新卒医学生座談会

スペシャル企画 2018年6月22日 (金)配信司会:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:大西裕康(m3.com編集部)

座談会出席者は、計5人。

司会:医師国試対策は、いつ頃から、どのように進めたのでしょうか。
Eさん 5年生の時に大学が提携している予備校の模試があり、結果が悪かったのでそこから勉強し始め、その予備校のテキストやビデオ講座を使い始めました。今振り返ると、臓器別テキストが5年生の終わりくらいに配られたのですが、もっと早ければ、実習との兼ね合いで相乗効果も期待でき、勉強の効率も上がったと感じています。

司会:今年から試験期間が3日から2日に変わったり、問題数が減ったりというのは意識しましたか。

Eさん 5年生の時には噂のような感じで確定ではなく、結局は難易度が変わるわけでないのであまり影響はなかったと思います。

Aさん 大学では、5年生の最後に実力テストがあり、補習の合宿があって対象になりましたが、行きませんでした(苦笑)。まずいと思いながらも映像授業などは見ず、6年生の5月に外部実習で市中病院へ行った際、空き時間に国試の過去問解説集を見始めました。待機しているにしても、医師がいるところにいなければならないなどの決まりはあったものの、空いている時間が結構あったためです。

Bさん うちの大学では国試を意識した勉強を始めるのが結構早く、ネット講座も4年生くらいから契約するような感じで、5年の始めくらいからやっていました。5~6年生の時も、今はテストをするようになったようですが、私の代ではテストもなく、「自分でやらなきゃまずいよね」という雰囲気があり、臨床実習の空き時間に入れる100人くらい入る部屋があり、皆でやっていました。

Cさん 提携予備校のテキストが5年生の最初に配られたので、基本的にはそれを使っていました。また、5、6年生時の大学の定期テストが国試に準じていたので、レベルは高いですが、定期テスト対策と国試対策が重なっているような部分があり、無駄がないような感じはありました。新出題基準についてはガイドラインを読み始めたりしたのが、6年生の10月くらいでした。

Dさん 5年生の最初にビデオ講義が見られるようになったので、臨床実習の空き時間に見ていました。6年生になるくらいからは休みの日も本格的に勉強し始めました。また、面倒見の良い大学なので、模試などで成績下位になると補講があったり、休みの日まで先生が教えに来てくださったりしていました。

司会:実際に受けてみて、直後の手応えと結果については感想などありますか。

Eさん 1日目は自己採点しなかったのですが、必修問題が難しく感じて青ざめていました。前回第111回国試が「必修の年」と言われていたので、必修で落ちるんじゃないかと思いましたが、ふたを開けてみると、ぱんりん(「一般」「臨床」)落ちの方が多かった。そっちは割と余裕を持って臨めたので結果につながったと思っています。

Cさん 手応えはありましたが、「こんなんで人生が決まるんだ」と拍子抜けしました。「模試みたいだな」「こんなもんなんだ」と感じました。しかも、設問も、結構重なっている疾患が多いなど、診療科も、解きながら「血管炎、呼吸器内科、出すぎじゃない?」などの偏りを感じながらだった。「もっといろいろ勉強したのに」とも思いました。

Bさん 成績は良い方ではなかったので結構心配でした。本番では1日目の自己採点はしない方がいいと言われていたが、してしまい……。ただ意外と良くて、これは大丈夫だなと自身を持って2日目に臨めたので結果的に良かったです。ただマークミスもあるので合格発表までは心配でした。

Aさん 初日に皆で採点した際に結果が悪かったので悲惨でした。ギリギリ通ったんだと思います。

司会:大学側に、こういった授業、生活が送れたらよかったなど、医学教育への提言はありますか。また現役医学生に「こういう工夫をすればいい」といったことや、やり残したことは。

Cさん 提携している予備校講師の講義などをもう少し低学年からやってほしかった。基礎医学の講義は専門性が高くチンプンカンプンで、マニアック。予備校講師の方が分かりやすかった(笑)。予備校講師の講義を受けて、間違って覚えていたことに気付いた内容もありました。海外では教育専門の先生がいると聞いたので、そういう取り組みをもっと推進して、私立大学であればアピールしていったらいいと思います。

Eさん 私の大学でも予備校提携していて、5年生の夏休みに成績が悪い人は呼ばれて、特訓がそこから始まりました。予備校講師の指導はやはり分かりやすいので、「今までの講義は、何だったんだろう」と思いました(笑)。基礎から国試に沿って教えてくれるし、1~4年生時は、先生の趣味っぽい内容があり、学生の私ですら「それいる?」と感じる内容もあったので、やりがいを欠く場面もありました。予備校講師だと均一に大事なところとかを教えてくれるので良かったです。

司会:公立では予備校との提携はありませんよね。

Bさん そういうのはありませんでしたが、大学が、5人で1部屋使えるなどの勉強専用スペースを準備してくれました。進級も厳しくなく、大学自体が和気あいあいというか、うちの学年は県内外出身者と県外が半々で、8割が卒業後、県内に残ります。つながりを大事にするような雰囲気で、大学の先生も実習で各科が飲み会やってくれたり、マッチングの結果が地元紙の1面になったり、県全体、地元全体で盛り上がる感じもあり、勉強も連帯感があります。

Aさん うちは留年が毎年20人くらいいるそうで多すぎます。今年も同じくらいでした。1学年2回までしか留年が認められないので、毎年のように10人ずついなくなっていきます。この状況は問題かなと思っています。卒業試験も、訳が分からない問題を出すので、誰も受からない(苦笑)。皆合格までいきませんが、下30人を再試にして、そのうち20人は留年。国試は、今年がとても良くて、受験を申し込んだうち20人は落とて2人しか落ちなかった。でも、“本当”の国試合格率は下の方です。

納得がいかないのは卒業試験です。絶対やらない治療が解答になっていたりしました。質問状のような形で学生が疑義照会できるのですが、「やることはあります」という回答で、勉強する人もしない人も点数が変わらない。先輩方などに話を聞くと、毎年、合格点に誰もいかず、下を切るだけのような感じだそうです。卒試は皆から大きく外れなければ通るからと、国試の勉強をやっていました。社会人経験のある50歳の方がいたのですが、成績は学年1位。国試対策委員もその人がやっていて、皆のために過去問などをインターネットで共有してくれたりしました。ただ本人も臨床実習の時に「大腸ポリープを取る」など話していたり、ボロボロになっていました。

司会:大学の医学教育は、米国で医業を行う資格を審査する団体ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が「2023年以降は国際的な基準で評価・認定を受けている医学部出身者に限る」と、審査の申請について通告したのをきっかけに、卒業前の教育の質の保証や卒前卒後一貫した教育の重視、臨床実習の時間を増やすなどの改革が進んでいます。ご自身が受けてきた医学部教育を振り返って、国試対策との関係についてのご意見やご感想はありますか。

Dさん うちの大学は臨床実習期間が長いものの、実習しないと医学部に来た感じがしないので、患者と接する機会が増えるのは良いと思います。勉強面と兼ね合いでは、実習まで講義だけだとイメージがわきませんが、実習すると、接した患者さんのことを振り返るような機会もあり、学習にも身が入りました。国試で問題を解く面でも、医者になる自覚の面でもすごく良かったです。実習は大学病院本院が主でした。

司会:大学自体の医療機能は高度急性期中心なので、診る患者に偏りはないでしょうか。

Dさん すごく難しい病気で、「大学病院でしか診ないだろう」という症例もありましたが、数カ月間市中病院で実習する機会もあったので、カバーになっていたと思います。

Bさん うちは地域研修が低学年から結構あります。希望すれば1年生から行けます。医学知識や技術も大事ですが、地域に実際に行ってみて、どういうことに困っているのかという話を聞くのも大事だと思います。私は神奈川県と同じくらいの面積にもかかわらず、医者が10人くらいという地域に行きました。昼間は病院、夜は地域の人たちと飲み会と、あまり窮屈な感じはありませんでした。「医者」であれば身構えるかもしれませんが、「若い人が来た」と言って皆、喜んでくれました。大学だけで実習するのでも満足度は高いものの、見学中心で、主体的な部分が少ないと感じます。私は、地域の方々と触れ合って、医師としての使命感を得ました。難しい疾病の知識も重要ですが、コモンディジーズをいかに分かりやすくかみ砕いて説明するかなども意外に難しく、勉強になりました。

Cさん 私は国試の勉強が重要と考えていたので、臨床実習は楽しかったですが、例えば、産婦人科に行くならその前に勉強しておき、分からない問題があれば、実習で確認するなどの流れを徹底しました。実習では、患者さんとのファーストタッチが学生というのも多く、初診で患者が訴えることはめちゃくちゃだったりして、いかに整理するか、何が言いたいのかを考えるのは「実習しているな」と感じました。「ここも痛いし、あそこも痛い、結局何しに来たのですか」というのを引き出していく力を磨くことができました。実習は、基本的には4年生の2月から本院で、5年生の最後の6週間は大学が指定した病院の中から選んで行く。その後、6年生の4、5月はどこでも好きなところで実習できました。

Aさん 5年生の4月から臨床実習でした。5年生の時は別の大学の救急で、6年生の4、5月は自分でアポを取って、1カ月ごとに実習。ちゃんと自分でやれる科の方が印象に残りましたが、5年生の時に行った救急がさかんな病院では、地獄のような日々でした。朝から晩までいつでも起こされ、起こされたら死にそうになりながらすぐ行って、救急車の呼び入れなどをやりました。期間は3週間。当直ではない日の帰りはそれほど大変ではなかったですが、自宅から遠かったので、朝は始発の電車に乗り2時間半くらいかけて通っていました。特につらかったのは救急のトップが理事長で、週1回「向かい合う時間」があり、すごく怖いし、しょっちゅう怒鳴られました。“試問”みたいな感じで学生が並び、色々質問され、答えられないと激怒され学生は退出。全員いなくなったら終わり、という感じでした(笑)。終わると皆で謝りに行き「来週また頑張ります」と伝えるんです。

  市中病院の実習では小児科も回りましたが、風邪、頭痛、腹痛などばかりで、研修医の人も、「自分で外来やって」というところだったので、ペアで振り返ったりしながらやっていました。もう少し市中病院の期間があっても良かったと思います。

Eさん 私の臨床実習は5年生の4月からで、1つの科を1カ月回るので、回れない科もありました。私の場合は、消化器内科、呼吸器内科です。

司会:臨床実習で回っておきたかった科ですよね。

Eさん そうなんです。試験などで「実習で診た……」と書いてあっても、診ていないので国試に向けて困りました。実習する病院の選択肢は複数ありましたが、有名どころは抽選で漏れてしまう。希望があれば海外にも行けますが、私は行きませんでした。逆に、糖尿病部門に1カ月もいる必要があったのかは、いまだに不明です。2型の方ばかりなので、ただ痩せていくのを見ているだけ。血糖コントロールで多様な症例ではない。ただ、患者の心理面には詳しくなった気がしています。仲良くなって深いお話を聞けたりしたので、良い面もありました。それでもやはり国試対策を考えると困りものだと思います。メジャーな診療科をきちんと回れるプログラムであるべきです。昔はそうだったらしいけれど、「臨床現場には1カ月くらいはいないと」「深く知らないと」というわけで、昔は7人くらいだった1班当たりの人数は4人くらいの少人数にして、1診療科当たりの期間も長くなった。2週間だけは、大学から外に出て、都心の市中病院で実習をやらせていただいた。夜のお仕事の方々が、アル中で次々と運ばれてくる現場でした。



https://www.m3.com/news/general/610994
抗認知症薬の効果「不十分」 仏、4種類を保険適用外に
2018年6月24日 (日)配信朝日新聞

 認知症の治療に日本でも使われている4種類の薬が、フランスで8月から医療保険の適用対象から外されることになった。副作用の割に効果が高くなく、薬の有用性が不十分だと当局が判断した。日本で適用対象から外される動きはないが、効果の限界を指摘する声は国内でもあり、論議を呼びそうだ。

 仏連帯・保健省の発表によると、対象はドネペジル(日本での商品名アリセプト)、ガランタミン(同レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)、メマンチン(同メマリー)。アルツハイマー型認知症の治療薬として、これまで薬剤費の15%が保険で支払われていたが、8月からは全額が自己負担になる。

 東京大の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)によると、フランスは薬の有用性に応じて価格や保険で支払われる割合を随時見直している。今回の薬は7年前にも専門機関から「薬を使わない場合と比べた有用性が低い」との評価を受け、保険で支払われる割合が引き下げられた。機関は2016年にさらに低い「不十分」と評価し、今回の決定につながった。

 4種類の抗認知症薬は病気の症状が進むのを抑えるが、病気自体はくい止められない。効果は各国で実施された臨床研究で科学的に確認されている。とはいえ薬から得られる恩恵は「控えめ」(米精神医学会のガイドライン)だ。また、下痢や吐き気、めまいといった副作用がある。

 日本でアリセプトに続いて実施された3種類の薬の治験では、認知機能の指標では効果があったものの、日常生活動作を含む指標では効果が確認されなかった。それでも承認されたのは、アリセプトだけでは薬の選択肢が限られるなどの理由からだ。

 東京都医学総合研究所の奥村泰之主席研究員らの調査では、日本では15年4月~16年3月にかけて、85歳以上の高齢者の17%が抗認知症薬の処方を受けた。処方された量はオーストラリアと比べ、少なくとも5倍多いという。

 兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦(はるひこ)・認知症疾患医療センター長は「欧米はケアやリハビリをより重視する。日本では安易に抗認知症薬が使われている印象だ」と話す。

 ただ、薬を自己判断でやめると症状が悪化する恐れがある。日本老年精神医学会理事長の新井平伊(へいい)・順天堂大教授は「抗認知症薬は病気の進行を1年ほど遅らせることができ、薬がなかった以前と比べればそれなりの価値はある。薬をどう使うかは主治医とよく相談してほしい」という。(水戸部六美、編集委員・田村建二)



  1. 2018/06/24(日) 11:25:06|
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6月17日 

https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/11/16196
総合診療医、県内の専攻ゼロ 4月開始新制度 
2018.06.11 岩手日報

 岩手医大の下沖(しもおき)収(おさむ)教授(総合診療医学分野)は9日、盛岡市内で講演し、4月開始の新専門医制度で、新たに養成が始まった総合診療領域を選択した県内の専攻医がゼロだったことを明らかにした。総合診療医への理解不足や、他領域に比べ医師像が捉えにくいことなどが影響したとみられる。高齢化や医師不足が進む本県で多様な疾患に対応できる総合診療医の需要は高く、その役割や魅力の発信が求められている。

 下沖教授によると、県内では同大のほか県立病院など計7機関で総合診療専門医の研修プログラムがあるが、いずれの機関も専攻医はゼロ。全国では専攻領域の19診療科で約8400人が専攻医登録をしたが、総合診療を選んだのは全体の2・2%にとどまった。

 総合診療医は病院のほか、地域保健や在宅医療など診療の場が多様なため、下沖教授は「特定診療科に比べて医師像が定まりにくく、分かりにくい」と考察。研修で内科やへき地での勤務が必須とされていることなども専攻医の不安を招いたのではないかと指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607513
シリーズ 大学医学部「地域枠」の今
離島医療・保健実習、医学生全員が必修 - 長崎大学◆Vol.1
「地域枠」区別なく、1年次から地域医療教育
 
スペシャル企画 2018年6月11日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師不足・偏在対策の一環として、2008年度以降、全国の大学医学部が「地域枠」を設置、定員数は年々増加し、2017年度では医学部入学定員9420人のうち、1676人を占める。「地域枠」を生かすには、単に入学定員枠を設けるだけでなく、卒前・卒後の教育、研修をいかに行うかがカギとなる。シリーズで各大学の「地域枠」の現状をお届けする。

 その第一弾は長崎大学。同大は、「地域枠」か「一般枠」かを問わず、地域医療教育を医学部の1年生から実践しているのが特徴。2004年度から長崎県と五島市の寄附講座として「離島・へき地医療学講座」を開講し、離島での活動拠点として「離島医療研究所」を設置したのがきっかけだ。日本で最も離島が多い都道府県である長崎県。その地域医療を支える立場として、離島の保健医療の各施設を臨床実習の場とするほか、実習を実のあるものにするための“予習”として、1年次から保健医療福祉の各施設での体験学習、症例検討などを重ねる。学内の歯学部と薬学部に加え、福祉系人材養成の長崎純心大学の学生との共修に取り組んでいることも注目点だ(2018年6月1日に取材。全3回の連載)。

 「長崎大学は『地域枠』制度が導入される前から、地域医療教育に取り組んできたため、『地域枠』の学生か否かを分け隔てなく、医学部の1年生から地域医療教育に力を入れる体制を作り上げてきた。さらに福祉系の学生も含め、多職種を交えた教育も実践している。臨床実習では、本土の中核病院だけでなく、離島の医療機関などが教育の場となっている。高齢社会における地域医療の担い手の養成は、医学部だけでは限界があり、“社会の総力戦”で取り組まなければいけない」――。

 こう語るのは、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏だ。

 2008年度から導入した「地域枠」の入学者も増えているものの、入学者全体に占める長崎県内出身者は3割強にとどまる。「地域枠出身者はほぼ100%、長崎県内で研修する。それに加えて、地域枠以外でも、卒業後、県内で研修する学生が増えている。臨床実習を受けた病院を卒後の臨床研修先として選ぶ傾向が、年を追うごとに高まっている」(前田氏)。長崎大学医学部の卒業生のうち長崎県内で研修する割合は、2012年度は47.6%だったが、年による変動はあるものの、2016年度は58.2%、2017年度は54.3%と5割を超えるようになった。これにも地域医療教育の影響が現れているのではないだろうか。

 1年生から地域医療教育の“実習”

 長崎大学が地域医療教育を充実させたのは、2004年度からだ。長崎県と五島市が、自治体初となる大学医学部への寄附講座として「離島・へき地医療学講座」を開講し、その活動拠点として長崎県五島市の五島中央病院内に「離島医療研究所」を設置したのがきっかけ。前田氏が教授として赴任、その後、2012年に大学内に正規の講座として地域医療学分野が設置されたため、前田氏は同分野の教授も兼務する。

 離島医療・保健実習の実習体制は順次拡充し、現在は4コース。医学部4、5年生は、いずれかのコースで1週間泊まりがけで臨床実習する。その後の5、6年生の高次臨床実習(4週間以上)でも、離島実習を選択でき、希望者は地域枠以外の学生も年々増加している。

 地域医療教育を担当するのは、「離島・へき地医療学講座」と地域医療学分野のほか、2013年度に文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」としてスタートした、長崎大学医学部地域包括ケア教育センターだ。同センター長の永田康浩氏は、「5年生の離島医療・保健実習は、いわば地域医療教育のアドバンスコース。いきなり離島に行っても、単に見学だけに終わってしまいかねない。そうしないためには1年生から積み重ねる“予習”が必要」と指摘する。

 “予習”、つまり準備教育として充てているのが、1年生から4年生までの「医と社会」の講義と実習、そして演習である。地域医療関連のカリキュラムは、下図の通りだ。「徐々にステップを上げて、現場を見せる」(永田氏)という考えから、1年生はリハビリテーション病院などの病院体験実習、2年生は高齢者福祉施設の体験実習、3年生は診療所体験をそれぞれ取り入れ、医療に限らず、保健、福祉の現場を幅広く見てもらうことを目指している。4年生は、長崎大学の歯学部と薬学部の学生とともに、症例検討などのグループワークを行う。

 さらに離島医療・保健実習に行く直前の1週間の“予習”では、地域包括支援センター、訪問看護ステーション、消防署の3施設を拠点として地域包括ケア実習を行う。救急車同乗実習では、救急要請する高齢者宅に出向き、医療機関に搬送されるまでのプロセスを実体験する。

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6年間を通じて、地域医療教育を実践(提供:永田氏)

 福祉系の他大学学生とも共修

 長崎大学の地域医療教育の特徴は、4年生のグループワーク以外にも、“予習”を実践するさまざまな機会で、多職種による教育を取り入れていることだ。福祉系の人材養成に実績のある長崎純心大学とも連携して、異なる大学の学生同士による共修も開始した。

 2年次に取り入れているのは、週2コマ、3週間にわたる講義と共修グループワーク。「“医療モデル”から“生活モデル”へと理解を広げるために、“医療モデル”の思考が固まるのと並行して、若いうちから医療と福祉の垣根を越えた、“生活モデル”の視点を学ぶと、吸収は早い」(永田氏)。講義を担当する長崎純心大学人文学部学部長の潮谷有二氏は、「医師にとって、将来パートナーとなる福祉系の学生とともに学ぶことは、日本の医療の将来を見据えた教育」と語る。プログラムや教材などは、2大学が共同で開発した。

 永田氏が医学部1年生から4年生に、2015年度と2017年度に調査した結果、地域医療教育を通じて、地域医療への関心が高まったことが示された。地域枠と一般枠を分けた分析でも、有意差はないものの、関心は高まったという結果だった。

地域医療教育への関心を5段階で評価した結果、授業後に関心が高まったという結果が表れている(提供:永田氏)

 さらに任意参加の「長崎地域医療セミナー」を五島と平戸の2カ所で、毎年夏に開催。2泊3日の合宿形式で、両大学から40~50人参加する。ここで医学生はより多くの刺激を受ける。長崎大学の医学生は1、2年次の参加が多いが、長崎純心大学の学生は3、4年生が中心。「医学部のカリキュラムは6年間だが、われわれは4年。その中で、1年生の頃から現場に行くなど、福祉系の専門性を早くから形成している上、医学系の学生とは視点のフレームが違う。医療系の知識がそれほどまだない1、2年次の医学生が、どんな社会サービスを活用して患者を包括的に支援していくかなどを学べる好機となっている」(潮谷氏)。



http://www.medwatch.jp/?p=21051
剖検の意義は依然大きく、剖検教育の成否は「上級医」が握っている―病理学会、内科学会 
2018年6月12日|医療現場から MedWatch

 Ai(死亡時画像診断)などの技術が進む中でも、剖検でしか検証しえない病態があり、依然として剖検の意義は大きい。遺族から病理解剖(剖検)の許諾を得るために行う説明について、研修医は「上級医の説明の場に同席して見学する」形で学ぶことが多く、剖検に関する教育の成否の鍵は上級医が握っていると言える―。

 日本病理学会と日本内科学会が6月11日に公表した「病理解剖の許諾 剖検合同アンケート」結果から、こういった状況が明らかになりました(日本内科学会のサイトはこちら)。

ここがポイント!

1 剖検許諾に関する指導、「上級医の説明」を見学する形が多い
2 遺族への説明は「実地で学ぶ」しかない、剖検の意義の再確認を

剖検許諾に関する指導、「上級医の説明」を見学する形が多い

剖検は、個々の症例の死因や病態などを検討することで、医師の「相互検証力」を高めるために極めて重要でが、その件数は減少傾向にあります。こうした状況について「Ai(死亡時画像診断)の普及により、剖検の必要性が低下しているのではないか」「病理医の不足が原因ではないか」「遺族から許諾を得ることが難しくなっている」などの指摘がありますが、いずれも十分な説明とは言えないようです。

両学会では、教育的側面も含めて剖検件数を増やすことが重要との認識に立った上で、まず「剖検に関する取り組みの現状」を把握する必要があるとし、「遺族へ剖検を許諾してもらう」点について研修医にどのような教育が行われているのかを明らかにするため、内科学会の認定教育施設を対象としてアンケート調査を実施しました。492施設(大学病院55施設、臨床研修指定病院である一般病院390施設、臨床研修指定病院でない一般病院47施設)から回答が得られています(日本内科学会のサイトはこちら)。

まず、病床規模別に剖検件数を見ると、当然とも思われますが「規模が大きな病院ほど件数が多い」のですが、大学病院と臨床研修指定病院で若干の相違(1000床超の臨床研修指定病院では必ずしも剖検が多いわけではない)があるようです。

【大学病院】
▼201-500床:10件以下が100%
▼501-1000床:10件以下が5.6%、11-20件が25%、21-50件が69.4%
▼1000床超:10件以下が0%、11-20件が7.7%、21-51件が61.5%、51-100件が30.8%

【臨床研修指定病院(一般病院)】
▼200床以下:10件以下が88%、11件-20件が12%
▼201-500床:10件以下が70%、11-20件が29.2%、21-50件が1.1%
▼501-1000床:10件以下が37.2%、11-20件が53.2%、21-50件が11.7%、51-100件が1.1%
▼1000床超:10件以下が33.3%、11-20件が33.3%、21-51件が33.3%

 
 次に、「遺族に剖検の許諾依頼をする」ことに研修医がどの程度関与しているのかを見ると、初期研修医(医師免許取得から2年間)と後期研修医(初期研修終了後、専門医取得を目指す専攻医)とで状況が異なり、後期研修医では「遺族に説明を行う」ケースが多くなっています。

 また大学病院と臨床研修病院とを比べると、大学病院では「後期研修医であっても自分自身で遺族に説明する」ケースが少なく、逆に「説明には立ち会うが、上級医を見学するのみで、自分自身で説明は行わない」ケースが多くなっています。両学会では「大学病院では、教員などが説明を行う頻度が高い」と見ています。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)1 180611
 
 さらに、病理解剖に関する研修医への指導について見てみると、▼初期研修医・後期研修医ともに指導を行う病院が多く、大学病院では後期研修医へも指導を行うところが多い▼剖検件数の多い病院では、初期研修医・後期研修医ともに指導を行うところが多い―状況が伺えます。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)2 180611
 
 指導内容としては▼病理解剖の意義▼CPC(臨床病理症例検討会)—が多く(病理解剖関連法規への指導は少数派)、また「病理解剖許諾」に関する指導については「上級医の説明の場に立ち会う」という実地指導が圧倒的多数を占めています(講義などは少数派)。
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剖検アンケート(病理学会、内科学会)3 180611
 
また「病理解剖許諾」において苦労している点としては、やはり「遺族の心情への配慮」「遺族からの剖検拒否」をあげる声が多くなっています(日本内科学会のサイトはこちら)。

一方、「病理解剖許諾」を得るために行っている工夫としては、▼病院長名での「剖検お願い」の文書作成▼内科学会による「剖検の際の説明例」の活用—などが参考になるでしょう(日本内科学会のサイトはこちら)。

遺族への説明は「実地で学ぶ」しかない、剖検の意義の再確認を

両学会が、調査結果を踏まえて特筆しているのは、剖検の許諾を得るための説明力などについては「実地で身につけるしかない」といったコメントが剖検件数の言い施設からも寄せられている点です(日本内科学会のサイトはこちら)。上述のような「病院長名のお願い文書」や「学会による説明の雛形」などは参考にはなるものの、それだけで十分な説明を行えるものではなく、実際に遺族に寄り添い、その心情に配慮した上で説明を行うという経験こそが重要なようです。

一方で、「内科学会の認定教育施設(内科剖検体数10体以上、CPC5症例以上などの基準あり)になるためだけに剖検を実施している」との声が指導医クラスからも出ている点にも触れ(日本内科学会のサイトはこちら)、「剖検の意義」(体内の状態を直接確認し、形態にとどまらないさまざまな情報を手に入れられる)を再確認する必要がありそうです。上述のように研修医への指導の圧倒的多数は「上級医の説明の見学」形式(実地指導)となっており、上級医が剖検の意義を十分に理解し、研修医に伝えなければ、研修医は剖検の重要性を理解できず、剖検の必要性・重要性を遺族に適切に説明できません。これでは遺族の理解を得られず、剖検件数が増えていくはずもありません。

こうした結果を受けて両学会では、▼「剖検の許諾から死因説明」といった指導は上級医の見学という形で行われることが多く、剖検に関する教育の成否の鍵は指導医である「上級医」が握っている▼剖検に携わる人材の確保、費用面での支援が急務である▼剖検でしか検証しえない(Ai等ではなしえない)病院もあり、剖検とCPCの役割は依然として大きい―ことを強く訴えています(日本内科学会のサイトはこちら)。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53314
内部資料流出で追いつめられる日本専門医機構 
6月14日(木)6時0分 JBpress

 「正しい数字を書けと言われてもちょっと困るので、一応こうやってしたんですけど」(本田浩理事、九州大学教授)

 「(理事会提出の資料を回収するという指示を受けて)出ちゃうとまずいです」(栄田浩二事務局長代理)

 「(厚労省の)検討会でどうやって言い逃れるか」「黙っとこう」(吉村博邦理事長・北里大学名誉教授)


流出した内部資料
 一般社団法人日本専門医機構(吉村博邦理事長)の内部資料が出回っている。筆者のところにも送られてきた。

 その資料に目を通し、呆れ果てた。冒頭にご紹介したように、幹部たちが自らの責任を回避するための隠蔽・改竄を認めるコメントのオンパレードだ。

 知人の日本専門医機構関係者に資料を見せたところ、「それは本物でしょう」と言われた。どうやら、大変な事が起こっているらしい。

 では、日本専門医機構とは、いったいどのような組織なのか。その前に、日本専門医機構が推進する新専門医制度が導入された経緯について解説しよう。

 迷走ぶりも含め、既に多くの媒体で報じられている。筆者も過去に紹介したことがある(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49835)。簡潔に述べる。

 従来、専門医の資格は、日本内科学会や日本外科学会、あるいはその下部組織である日本循環器学会や日本心臓血管外科学会などが独自に認定してきた。

 学会によって認定の質にバラツキがあることが問題視され、中立の第三者機関が認定することが求められた。

 そのために立ち上がったのが、日本専門医機構だ。日本専門医機構は、主要な19領域の診療科を対象に、専門医を認定することとなった。

 厚労省も補助金を出し、審議会での議論を通じて「お墨付き」を与えることで、この組織を支援してきた。その目的は、地域ごとの専門医育成の枠を制限することで、医師の地域偏在や診療科の偏在を是正することだった。

 「日本専門医機構を裏で操っているのは厚労省(医療業界誌記者)」という声まである。

 今国会で成立した改正医療法では、都道府県等の調整に関する権限を明確化し、診療領域ごとに、地域の人口、症例数に応じた地域ごとの枠を設定する方針が明示されている。


日本専門医機構とはどのような組織なのか
 その際、厚労省や都道府県は日本専門医機構と連携する。

 では、どんな人たちが日本専門医機構を構成しているのだろう。それは、基本的に大学教授の集まりだ。

 27人の幹部(理事長・理事・監事)のうち、16人は医学部教授か経験者だ。9人は東京大学医学部を卒業している。

 残りは知事、日本医師会、全日本病院協会の代表、あるいは医療事故被害者だ。いずれも厚労省の審議会の常連である。

 行政と業界団体が協力して、資源の分配を決めるのは、20世紀の産業政策の遺産と言ってもいい。厚労省や日本専門医機構は旧来の手法を強行したが、上手くいかなかった。

 3月5日、日本専門医機構は3次にわたる専攻医の募集を締め切り、その結果を公表した。

 新制度には8394人の若手医師が応募した。初期研修を終える医師の9割を超える。基礎研究や厚労省など行政職に進む一部の医師を除き、今春3年目を迎える若手医師のほとんどが、新専門医制度のカリキュラムに応募したことになる。

 この結果を当研究所および仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が共同で分析した。

 日本専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。

 我々は、今回の応募者と、厚労省が発表している「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」を比較した。

 この調査では、比較対象を何にするかが難しい。従来の学会は任意参加だ。日本内科学会の会員数が内科医の正確な数を示しているわけではない。私もそうだが、日本内科学会に所属しない内科医が大勢いる。


内科・外科を目指す医師が減る
 ところが、新専門医制度が始まり、内科医を志す若手医師は、日本内科学会への加入が実質的に強制されることとなった。このため、過去数年間の日本内科学会の新規登録会員数と、今春の応募者を比較することは妥当ではない。

 我々が用いた「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」とは、厚労省が2年に1度実施している「医師・歯科医師・薬剤調査」の結果だ。

 これは統計法に基づく悉皆調査で、「性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名等による分布を明らかに(厚労省ホームページより)」することを目的とする。限界もあろうが、現存するデータの中では、今回の研究で比較対象とするに最も相応しい。

 まずは診療科の比較だ。2012〜2014年の平均と2018年の応募者を比較したところ、内科は2650人から2671人へと21人、外科も764人から807人へと43人の微増だった。

 一方、増加が著しかったのは麻酔科(134人)、眼科(121人)、精神科102人などのマイナー診療科だ。

 舛添要一氏が厚労大臣の時(2007年8月〜09年9月)、医学部定員を増やしたため、今年度、専門研修を始めるのは、2012〜14年の平均(6926人)よりも21%も多かった。医師増の影響を考慮すれば、内科は実質的に2割減と言っていい。

 このことは全医師に占める内科医の割合をみれば一目瞭然だ。38%から32%へと低下した。同じように、低下した診療科は、外科(11%から9.6%)だ。まさに、医療の中核を担う診療科を志す医師が減り、マイナー診療科が増えたことになる(下の図1)。
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図1:新専門医制度が診療科選択に与えた影響

 地域偏在に与える影響は、さらに深刻だった。

 すべての診療科で東京一極集中が加速した。図2は内科の状況を示す。

 東京は93人増加した。周辺の千葉(27人減)、埼玉(7人減)などから医師を吸い寄せたことになる。従来から首都圏では東京への医師の一極集中が問題視されていた。

 新専門医制度が始まり、医師の偏在は益々加速した。

 深刻なのは首都圏だけでない。従来、医師数が比較的多いとされてきた西日本などの地方も、新専門医制度によって重大な影響を受けた。

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図2:新専門医制度が医師の偏在に与えた影響

 例えば、12の県(青森、秋田、富山、福井、鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮﨑)では内科志望医が20人以下である。高知に至ってはわずか8人だ。このような状況が数年間続けば、間違いなく地域医療は崩壊する。

 外科も同様だ。東京は76人増加した一方、静岡は20人、神奈川は6人、千葉は5人減少した。内科同様、東京が周辺の都道府県から外科医を志望する若手医師を吸い寄せたことになる。

 さらに、13の県で志望者は5人以下だった(山形、群馬、山梨、福井、奈良、島根、山口、徳島、愛媛、香川、高知、佐賀、宮﨑)。群馬、山梨、高知に至っては1人である。

 実は、この状況は内科、外科に限った話ではない。志望者が激増した眼科ですら、一極集中が加速した。

 東京は36人増加し、2位の京都(14人増)を大きく引き離す。一方、12の県で志望者が減少した。青森・山梨・長野・徳島・長崎では志望者はいなかった。他のマイナー診療科も状況は変わらない。

 調査結果(今回の最終報告の前の中間発表に基づくもの)は、1月29日に共同通信を介して、全国の地方紙で報じられた。事態の深刻さを知った地方自治体や国会議員から、厚労省や日本専門医機構に問い合わせが殺到した。

 新専門医制度については、医師はもちろん、多くの関係者から懸念が表明されていた。

 昨年4月14日には、立谷秀清・全国市長会会長代理が「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」を公開し(http://www.mayors.or.jp/p_opinion/o_teigen/2017/04/290414shinsenmoni-kinkyuyoubou.php)、塩崎恭久厚生労働大臣(当時)に手渡した。

 立谷氏は、「医師の適正配置を決めるのは国民であり、大学教授ではない。市民の代表である市長の立場から懸念を表明した」という。


事実をねじ曲げた日本専門医機構
 このような動きを受け、塩崎厚労大臣は、厚労大臣在任の最終日である昨年8月3日に、日本専門医機構の吉村理事長と面談し、地域医療にマイナスの影響を与えないよう、改めて要望した。

 内科医である立谷氏は、厚労省の検討会のメンバーにも任命された。さらに6月6日、全国市長会会長に就任した。引き続き、この問題に取り組んでいくことになるだろう。

 ところが、日本専門医機構は、このような懸念を「無視」して強引に進めた。彼らの「公約」は守られなかった。

 窮地に陥った日本専門医機構は、内科医は減っていないし、地方の医師不足は悪化しないという主旨の説明を繰り返した。

 例えば、彼らは5都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の14基本領域については、「過去5年間の専攻医の採用成績は超えない」という上限を設定し、松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「おおむね今回はうまくいった」とコメントした。

 彼らが提示したデータを見ると、その主張も一理あるように見えた。

 ところが、前述したように、5月半ばから日本専門医機構の議事録、速記録などの内部情報が外部に漏洩するようになった。

 内部資料を詳細に読むと、日本専門医機構がどのようにして、事実をねじ曲げたかがよく分かる。ここでは東京都の内科医のケースをご紹介しよう。

 今春から都内で内科研修を開始するのは536人。この数字が多いか少ないかは、比較対象によって異なる。

 我々は「平成26年都道府県別医籍登録後3〜5年目の医師数」を比較対象としたが、東京都の内科医は93人増加していた。おそらく、この数字は皆さんの実感にあうだろう。

 多くの診療科で東京一極集中が進んだのに、内科だけ反対というのは、常識的に考えにくい。


都内では内科崩壊が避けられない
 一方、日本専門医機構は各学会に制度導入前の数字を報告させ、比較対象とした。日本内科学会は、過去5年間に内科認定医資格を受験した人数を報告した。

 この調査によれば、東京の受験者数の平均は709人。新制度導入により173人も減ったことになる。我々の調査とでは、比較対象が265人も違うことになる。このような比較は、コントロールを何に置くかで、どんな結果も導き出せる。

 ただ、日本専門医機構の数字を信じれば、都内の内科診療の崩壊は避けられない。

 11月17日の会合では、本田理事は「東京に絞ってみますと、トータルの医師数はマイナス50人。専攻医数。ただし、内科が150人減って、その他の領域で全部増えて、で、トータルでマイナス50人」と発言し、「内科医の数が減ると、やはりダイレクトにその地域医療に影響してきますからね」と認めている。

 そして、ここから長く議論が続き、最後で「ここは議事録残さないよね。今の話は。一応、『終了します』と言った後の議事録はなし。フリーディスカッションだね」で締めている。

 問題を指摘された日本専門医機構は、1月末に日本内科学会に再調査を依頼した。そして、2月9日の理事会に提出された資料では過去5年間の東京都の内科認定受験数の平均は567人に変更されていた。

 これについて、松原副理事長は「再受験の方と、それから小児科などから受けた先生たちも入っていた」ので、それを除いた数字を再提出したと説明した。

 筆者は、この説明に納得できない。過去5年間の内科認定医試験の合格率は88%。全国での不合格者は毎年約400人だから、東京に限れば50人程度だ。

 小児科医を目指すのは年間に約600人。都内では130人程度だ。松原氏の主張が正しければ、全員が内科に転向していることになる。

 関係者も、この説明には納得していないようだ。

 理事会に参加した市川智彦理事(千葉大学教授)も「数字が極端に変わっている理由を説明できるように考えておかないと、何となく、ちょっとまずいような気がする」と述べている。


当事者もデータの誤りを知っていた
 この問いかけに対し、松原氏は「あとは全部きれいに収まったので、これが、正確な数字・・・なんだそうです」と回答している。松原氏も、この数字を信頼していないのが分かる。嘘の上に嘘を積み重ね、収拾がつかなくなっている。

 松原氏らのやり方は、最初から間違っている。日本内科学会を含め、各学会は1人でも多くの定員が欲しい。一部の地域で過去5年間の平均を超えないと言う上限が設定されていたら、過去の実績を多めに申請していたとしてもおかしくない。

 単純比較すれば、マイナー診療科の増加や東京への一極集中が過小評価されるだろう。松原氏が初回の調査で慌てる結果になったのも当然だ。

 この影響を減らすには、前述したように割合で比較するしかない。この方法は過大申告の程度が学会ごとに大きな差がないという前提に立っている。その影響は否定できないが、単純な前後比較よりははるかに正確だろう。

 日本専門医機構の理事たちの多くは大学教授だ。誰も、この程度のことを思いつかないとは考えにくい。

 ところが、誰も意見しない。ここに日本専門医機構の問題がある。このあたり、人事権者である政治家の意向を忖度し、データを改竄した財務官僚に相通じる。

 新専門医制度は日本の医療の根幹に関わる。果たして、こんな連中に任せておいていいのだろうか。

 今回の不祥事は、第三者による検証を行うべきだ。そして組織・制度を抜本的に見直す必要がある。

筆者:上 昌広



http://www.medwatch.jp/?p=21130
都道府県ごとに「急性期や回復期の目安」定め、調整会議の議論活性化を―地域医療構想ワーキング(1) 
2018年6月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議(以下、調整会議)の議論を活性化し、病床機能報告制度の精緻化することなどを目指しに、▼都道府県単位の調整会議を設置し、県内の各調整会議の議長全員の参画を求めることを推奨する▼各都道府県で医療機能を考えるに当たっての目安・指標(定量的基準とも言える)を、医療関係者と協議して導入することを求める▼高度急性期・急性期機能を全く果たしていない医療機関は高度急性期・急性期として病床機能報告することを認めない▼各医療機関に「2025年度の病床機能」に関する報告を求める―などといった見直しを行う―。

 6月15日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方針が概ね固まりました。今後、親組織「医療計画の見直し等に関する検討会」と社会保障審議会・医療部会の了承を経て、省令改正などが行われます。

 今回は、「医療機能を考えるに当たっての目安・指標」の導入などに焦点を合わせ、都道府県単位の調整会議設置などは別稿でお伝えします。

ここがポイント!

1 佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を
2 地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない


佐賀・埼玉などの事例も参考に、医療関係者と協議し「都道府県ごとの目安」設定を

2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者になり、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に増加していくため、こうしたニーズに的確に応え、効果的・効率的な医療・介護サービスを提供できる体制の再構築が求められています。

その一環として「地域医療構想の実現」が重要テーマとなっており、骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨を指示しています(関連記事はこちら)。

機能転換は「医療機関が自主的に進める」ことが基本であり、調整会議の議論活性化が何よりも重要となります。

この点について、埼玉県や佐賀県、奈良県では医療関係者と協議し、「医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を考える上でも目安・指標」(ある意味で機能に関する定量的基準とも言える)を独自に設定しています。地域医療構想においては、病床の必要量を設定するために「1日当たりの資源投入量が3000点以上を高度急性期とする」などの全国基準が置かれましたが、これは各地域における機能分化を考える上での物差しではなく、現実的には「高度急性期から慢性期を考えるに当たっての特段の目安・指標」は存在しないのです。目安・指標がないところで機能分化の議論をすることは難しく、「調整会議の議論を活性化する」ために目安・指標を置くことが重要となるのです。

埼玉県では、高度急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの手術件数が2.0回以上」などの、急性期の目安として「1か月・稼働病床1床当たりの胸腔鏡・腹腔鏡下手術0.1回以上」などの基準値を設定しています(あくまで目安にとどめている)(関連記事はこちら)。
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地域医療構想ワーキング(1)の1(埼玉の定量基準) 180615
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地域医療構想ワーキング(1)の2(埼玉の定量基準) 180615
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地域医療構想ワーキング(1)の3(埼玉の定量基準) 180615
 
また佐賀県では、「平均在棟日数が22日を超える急性期病棟」は「回復期に近い急性期」と考えるとの目安を設置(関連記事はこちら)。

一方、奈良県では、「50床当たりの手術+救急入院件数が1日2件」という目安を設け、これを超える病棟を「重症急性期を中心とする病棟」、そうでない病棟を「軽症急性期を中心とする病棟」と区分けして考える方針を立てています(関連記事はこちら)。
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奈良県では、急性期と報告した病棟について、一定の基準を設けて「重症急性期病棟」と「軽症急性期病棟」に細分化した報告を求めている
 
6月15日のワーキングでは、こうした先進事例を踏まえ、他の都道府県でも「2018年度中に、都道府県医師会などの医療関係者等と協議した上で、医療機能を考えるに当たっての目安・指標を導入する」ことを求めるとの方針が概ね了承されました。
ここで留意すべきは、目安・指標は「病床機能報告制度において強制力を持つものではない」「調整会議の議論において強制力を持つものではない」という点です。

病床機能報告は、毎年度1回、「自院の各病棟が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれの機能を持ち、将来、持たせる予定か」を医療機関の「自主的な判断」によって都道府県に報告する、というものです。これまでに「診療報酬の特定入院料・入院基本料と機能との紐づけ」(例えば特定集中治療室管理料は、その施設基準に照らし高度急性期であることが明確である)が行われていますが、各機能の選択は「医療機関が自主的に行う」ことが基本であり、今後、都道府県が設定する(あるいは既に設定している)目安・指標が報告内容を縛ることにはなりません(ただし、別稿で述べるように、急性期等の機能をまったく果たしていない医療機関では、急性期等と報告することが今後認められなくなる)。

また、調整会議においても「●●病院は目安・基準を満たしていないので、機能転換を図ること」といった強制的な議論は行われません。

これらの目安・指標は、例えば、「自地域では、急性期が多く、回復期が不足している。まず、各医療機関において目安・指標をどの程度満たしているか全体を見てみよう。その上で、客観的・俯瞰的な視点で機能分化が必要かどうかを検討してはどうか」といった活用方法が期待されます。

したがって目安・指標は「全国一律」ではなく、都道府県ごとに「医療関係者と協議し、合意を得た上で設定する」ことが重要です。この点について佐賀県の目安・基準作りで中心的な役割を果たした織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は「50回にもわたる議論を行った。目安・基準の内容よりも、議論のプロセスが重要である」と強調しています。

地域医療構想の「病床の必要量」と病床機能報告結果、単純比較はできない
 ところで、6月15日のワーキングでは、こうした目安・指標の設定に関し、構成員の間で激しい意見の衝突がありました。

口火を切ったのは織田構成員。現場では、「2025年における病床の必要量」(地域医療構想)と「毎年度の病床機能報告結果」とを比較し、機能転換に向けた議論をしていきます。しかし病床の必要量は「患者数」をベースに設定しているのに対し、病床機能報告は「病棟」をベースとしており、両者の比較は難しいのです(病床機能報告で1病棟・40床を急性期と報告しても、その病棟には回復期患者などもいるため)。そこで織田構成員は「病床機能報告を見直し、例えば『急性期』と報告する際に、あわせて『うち回復期相当のベッドが●割』などと報告してもらうことで、病床機能報告結果を補正し、病床の必要量との比較が容易になる」と提案しました。

これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「病床の必要量と、病床機能報告結果は、性質が異なり、そもそも比較してはならないものである。仮に織田構成員の提案が導入されれば、『急性期病棟では重症患者割合が60%・70%いなければならない』といった診療報酬や施設基準の議論につながってしまう可能性がある」旨を述べ、織田構成員の提案に強く反対しました。もっとも、上述の「調整会議の議論を活性化するための目安・指標を設定する」ことには賛意を示しています。

この議論・論点は、調整会議で実際に機能分化を検討していく際にも非常に重要なもので、織田構成員の「円滑な病床機能報告や調整会議論議のために目安・指標が必要」と言う意見にも、中川構成員の「病床機能報告と病床の必要量を単純比較することは好ましくない」との意見にも頷けるものがあります。今後、各都道府県や各地域医療構想区域(主に二次医療圏)においても、こうした点にまで議論を深め、その上で個別病院の機能転換に向けた具体的な議論が展開されることが期待されます。

 
なお、冒頭に述べたように、調整会議の議論活性化に向けては「都道府県単位の調整会議設置」、病床機能報告の精緻化に向けては「高度急性期・急性期機能を全く果たさない場合の報告方式(急性期等での報告を認めない)」なども方針が固められており、それらは別稿でお伝えいたします。
 



https://www.m3.com/news/iryoishin/607514
大学医学部「地域枠」の今
「地域枠、イコール総合診療医」にあらず - 長崎大学◆Vol.2
“2023年問題”、コアカリキュラム改訂などの追い風
 
スペシャル企画 2018年6月17日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

――長崎大学では「地域枠」の学生を分け隔てなく、地域医療教育を実践されています(地域医療教育の詳細は、『離島医療・保健実習、医学生全員が必修』を参照。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏と、長崎大学医学部地域包括ケア教育センター・センター長の永田康浩氏へのインタビュー。文中、敬称略)。

前田 「地域枠、イコール総合診療医」というイメージはありますが、「地域枠」と「一般枠」を分け隔てなく教育しているのは、臓器別専門医も含め、どんな臨床医を目指すとしても、地域医療には裾野が広い臨床知識や経験、総合診療的なマインドが求められるからです。「地域枠」を創設したのは2008年度で、それまでの地域医療教育の中に、「地域枠」の医学生の教育を組み込んでおり、1年生での五島や平戸での「長崎地域医療セミナー」を必修とし、5年生の後半から6年生にかけて行う高次臨床実習で、6カ月のうち、1カ月以上は学外での研修を組み入れる以外は、カリキュラムは一般枠の医学生と変わりません。

――改めて今の体制を作るまでの経緯をお教えください。

前田 長崎県の医学修学資金貸与制度は1970年度からスタート、1982年度からは県養成医師の離島勤務が始まっています。その後、2004年度から長崎県と五島市の寄附講座「離島・へき地医療学講座」を開講以降、われわれは地域医療教育の充実を図ってきました。寄附講座の教員は現在、教授の私(兼務)と助教2人の3人体制です。

 2004年度当時は文部科学省「医学教育モデル・コア・カリキュラム」にも、まだ地域医療教育が入っておらず、どんな臨床実習をすればいいのか、最初は手探りの状態でした。一方で、臨床実習を受け入れる医療機関の側にも、「特別なプログラムを用意しなければならないのか」などの戸惑いがありました。「日常の業務を見せてほしい」とお願いし、(医学生ができる医行為を定めた)「前川レポート」を基にどんな医行為ができるかを説明、訪問看護やデイサービス、住民向けの健康講話などでは、できるだけ一員として参加させてもらいたいと要請しました。なお、医療機関へのファカルティ・ディベロップメント(FD)は、今でも毎年1回実施し、医学生の声を伝えたり、現場の指導医の声を聞く機会を設けています。

 われわれとしてはある程度、成功したと思っていたのですが、2004年度の開始から2年後に受けた外部評価では、当時の長崎純心大学の学長から、「社会福祉の視点が欠けている」ことを指摘されたのです。これを受け、臨床実習の準備段階から、社会福祉の視点を入れるための講義、見学やグループワークなどを充実してきました。

永田 医療・介護・福祉の資源が凝縮されており、課題を含めて地域医療を学ぶのにふさわしいのが離島です。離島医療・保健実習は2004年度に下五島コースからスタート、その後、上五島、対馬、壱岐コースを追加しました。

 2013年度には、文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」として、長崎大学に地域包括教育センターを設置。センターの事業として、1年生から6年生までの一貫したこれまでの地域医療教育プログラムを整備しました。要は、5、6年生の時点で、いきなり離島実習に行っても、何も響きません。何のために実習をするのか、その目的を理解してもらうためにはさまざまな教育上の仕掛けが必要であることに気付かされました。

 長崎純心大学の学生との共修の機会を設けているのも、長崎大学の特徴です。学内の他学部との共修を行う大学は増えていますが、他大学との共修は全国的にも珍しいでしょう。毎年夏に五島で開く「長崎地域医療セミナー」は当初、県外の医学生や研修生が長崎に来てもらうことを目的としていましたが、今は長崎大学医学部1、2、3年生と長崎純心大学の学生が中心。症例検討などを行い、地域包括的なマネジメントの視点を学ぶ機会になっています。

 両者の視点が全く違うのが、興味深いところです。例えば、訪問診療を見学した学生たちに「今日、何を見てきたか」と聞くと、例えば医学生は在宅患者の疾患や状態などを語り始める。一方で長崎純心大学の学生は、「独居だったけれど、いったい誰がケアをしているのか」と指摘する。地域医療を支えるには、介護や福祉も必要なことは、実際に従事すると痛いほど分かりますが、両者が混じり合うことで、学生の時代から自然と気付き、自ら考える力を持ってもらうことが共修の狙いです。

――地域医療教育に関する講義や臨床実習を始めるに当たって、学内でのコンセンサスは得られたのでしょうか。

前田 幸い、さまざまな“風”が吹きました。一つは、2007年度の「医学教育モデル・コア・カリキュラム」の改訂で、「地域医療臨床実習」が新たに加わったこと。また“2023年問題”、つまり医学教育が国際認証を受けるためには、臨床実習の充実が必要になりましたが、学内での実習時間を増やすのには限界があり、学外実習への理解が得られやすい状況にありました。1、2年生の教養教育に少し余裕があったため、講義などを組み込むことが可能だったのです。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/501533.html
地域医療確保へ県に名称申請 伊東市民病院、圏域初 
(2018/6/13 08:54) 静岡新聞

 静岡県や熱海、伊東両市の医療、行政関係者らでつくる熱海伊東地域医療協議会の会合が11日夜、熱海市の県熱海総合庁舎で開かれた。伊東市民病院がかかりつけ医らの支援などを通じ、地域医療の確保を図る「地域医療支援病院」の名称承認を静岡県に申請することなどを了承した。
 地域医療支援病院は中小病院や診療所から紹介を受けた患者への専門的な医療の提供、他施設の医療従事者を対象とした院内医療機器の共同利用といった役割を果たしている施設。承認には紹介患者の割合や病床数、設備などで一定の要件を満たす必要がある。県は県保健医療計画で、県内に八つある2次保健医療圏域すべてで整備を進めるとしていて、伊東市民病院が承認を得れば熱海伊東圏域で初となる。このほか、がんのターミナルケアを担う医療機関などとして熱海市のさくら医院を追加することも了承した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/609374
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医の “シーリング”、対象領域含め見直しを検討
がん薬物療法専門医、内科・外科等のサブスペシャルティに
 
レポート 2018年6月15日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月15日の理事会で、日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医を同機構認定のサブスペシャルティとして了承した。基本領域は、内科、外科、小児科をはじめ、計14領域。サブスペシャルティは、内科系13領域、外科系6領域、放射線科2領域のほか、5月の理事会で消化器内視鏡専門医が新規に了承されていた(『消化器内視鏡専門医、日本専門医機構認定のサブスペに』を参照)。

 注目される2018年度募集の専攻医のシーリングの在り方は、同機構の基本問題検討委員会で検討しているが、15日の会議でも決まらなかった。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、「9月初旬の専攻医の募集開始は決まっているが、それ以外のスケジュールは未定。どのようにシーリングすれば目的を達することができるか、今議論している」と説明した。

 専攻医のシーリングとは、外科などを除く14の基本領域(2017年度の場合)について、5都府県では「過去5年間の専攻医の採用実績を超えない」ように調整する仕組み。日本専門医機構は、基幹施設が都内であっても、都外の連携施設で研修する専攻医数などを踏まえると、「東京都への専攻医集中」との指摘は当たらないとしてきた(『東京都に登録の専攻医、「3年目は都外」は43.8%』などを参照)。神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の基幹施設についても、他の都道府県の連携施設で研修する専攻医数などを現在調べている。

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、その調査結果を踏まえてシーリングの在り方を検討するとし、「変えるべきところは、変えるべきという意見が出ている」と紹介、「9月スタートに合わせて、今後は検討スケジュールを加速していく必要がある」とも語った。外科、産婦人科、病理、臨床検査の4基本領域以外に、シーリングから外す基本領域を追加すべきという意見も出ているもようで、この点も含め、2018年度のシーリングの在り方が検討されることになる見通し。

 15日の理事会後の記者会見には、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏も顔を見せた。6月末で2年間の任期が満了になるため、過去2年間を振り返った上で、理事会の内容について、2017年度の事業報告と決算報告、6月29日の開催予定の日本専門医機構社員総会の議題などを議論したと説明。同機構の役員の任期は1期2年。現在、「役員候補者選考委員会」で選考を進めており、6月27日に役員候補者が決定する予定(『日本専門医機構の新役員の選考開始、6月末に決定』を参照)。

【吉村博邦・日本専門医機構理事長の6月15日の記者会見冒頭のあいさつ】
 2年前に理事長に就任した際、基本方針として、機構と学会が連携して制度を運営することを確認した。各学会が専門医の制度設計をして、機構の理事会がそれを認定してオーソライズする仕組みにした。開始は1年遅らせ、2018年4月からということで準備を進めてきた。途中、昨年の4月から、国に「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」が設置され、全国市長会や知事会など、各方面から「地域医療が崩壊するのではないか」という意見が出され、新しい制度のスタートが危惧されたが、幸い各学会、関係者の努力により、今年4月から、8378人の専攻医が参加してスタートすることができた。多数の若手医師が専門研修を行うということは、わが国の高い医療レベルを維持し、発展させる上でも、大変意義深かったと思っている。

 また地域の医師の偏在も今以上に増長させないということで、5都府県で専攻医の採用数に、過去5年間の採用実績の平均を超えないように、シーリングをかけた。初年度だったので、必ずしも正確な数値ではなかったが、幸い各学会の尽力により、かなり調整された学会もあるが、過去5年間の採用実績の平均を超えないよう設定した数値をクリアすることができた。(シーリングの対象から)外科や産婦人科、病理、臨床検査は除いたが、外科も50人くらい増え、産婦人科も増加した。シーリングから外すことは、診療科偏在を解消する一つの方策だろう。

 ただ、本機構の本来の設立の目的は、乱立気味の学会専門医、学会が個別に認定する専門医の仕組みを何とか統一的にしたいということ。また医師の卒後の研修としては、初期臨床研修しか制度がなかったが、ぜひ若い先生方には専門研修をしっかりと行ってもらい、わが国の医療レベルを維持、発展させる仕組みを作りたい。これら二つの目的があった。その過程で、医師が偏在しないような配慮は必要。確かに東京に偏在しているが、過去5年間の平均値を考えると、それ以上に偏在したわけではない。東京に集中はしているが、偏在を加速させなかったということで、よかったのではないかと思っている。もっとも、東京に集中しているのは望ましいことではないので、何らかの方策を考えていく必要がある。次回の理事会に申し送りたいと思っている。若い先生方は一生懸命に専門研修をやっており、なぜそれに反対するのかと思っている。ぜひご理解いただきたい。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201806/556467.html
総合診療専門研修プログラムの審査基準が変更
5都府県はへき地などの研修を12カ月以上に
 
2018/6/14 加納亜子=日経ヘルスケア

 日本専門医機構は6月11日、新専門医制度における総合診療専門研修プログラムの一次審査の基準と総合診療専門研修プログラム整備基準の変更を、日本専門医機構のウェブサイトで公表した。

 専門医資格取得における研修期間に変更はないが、審査の新たな「条件」としてへき地・過疎地域、離島、医療資源の乏しい地域での研修を、「東京、神奈川、愛知、大阪、福岡(の研修プログラム)では12カ月以上」とすることを定めた。

 なお、へき地・過疎地域とは、総務省の指定する過疎地域、厚生労働省の指定するへき地、都道府県が指定するへき地。過疎地域を合併した市町村については、県庁所在市および人口30万人以上の市を除き過疎地域とした。また、過疎地域として指定された町村を含む郡部は、過疎地域としている。

 「医療資源の乏しい地域」は、自治体・医師会の意見を参考にして、「日本専門医機構が定める」という方針を示した。都道府県の地域医療対策協議会から医療資源の乏しい地域として認定を求められた場合には、その市町村、二次医療圏及び医療機関における研修は、「医療資源の乏しい地域における研修として機構が定める」こととなる。

 新専門医制度は、日本専門医機構が専門医の認定と研修プログラムの評価認定を担う仕組み。総合診療科以外の基本領域は、関連学会が中心となり、認定・更新基準、養成プログラムの基準の策定などを担い、研修プログラムや専攻医の認定、専攻医の定員数の調整を機構が担っている。だが、総合診療領域だけは、これら全てを機構が担当しており、今回は研修プログラムを認定する上での審査基準に加え、総合診療専門研修プログラム整備基準を変更した。

大学病院に対する基幹施設基準の緩和措置は2023年まで
 総合診療専門研修プログラム整備基準では、大学病院に対する研修基幹施設の施設基準に関する緩和措置に期限を設けた。大学病院を基幹施設とする研修プログラムは現在、研修全体の統括組織としての役割を果している場合や、適切な病院群を形成できる場合、大学病院が基幹施設の施設基準を満たさなくてもよいことになっている。しかし、大学病院を特別に扱うことへの批判が寄せられたため、その緩和措置を2023年までとする方針を示した。

 また、総合診療専門研修を行う環境として、一定期間以上の研修を求めていた、へき地、離島、医療資源の乏しい地域に「過疎地域」を追加した。さらに、「3年毎に適宜見直し・更新を行う」としていた総合診療専門研修プログラム整備基準は、「理事会決定に基づき適宜見直し・更新を行う」ことと定めた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/606432
シリーズ Dr.木川の「川越救急クリニックから見えた医療の現実」
救急クリニックからみた川越、そして埼玉の医療
医療従事者に優秀な人材が多い
 
オピニオン 2018年6月11日 (月)配信木川英(川越救急クリニック副院長)

 「世に小京都は数あれど、小江戸は川越ばかりなり」と謳われた埼玉県川越市にある全国初となる救急科で開業した「川越救急クリニック」に勤務しております木川英(きがわあきら)と申します。

 設立8年目の当クリニックは、夜間専門で診療を行っており、診療時間は16時から22時まで救急・一般外来行い、翌9時まで救急車を含めた急患を診療しております。救急車の受け入れは1年間に1600台から1700台。埼玉県の救急指定病院の平均が1病院あたり700台程度で、倍以上の台数を受け入れていることになります。私は5年前に青森県八戸市から移って参りました 。

 m3.comで執筆するにあたり、第1回では私が勤務する埼玉県の川越地区の救急医療、特に一次、二次の状況について、思うところを記したいと思います。自虐的ではありますが、この救急クリニックが成り立っている時点で問題山積と思われます。

 夜間休日診療所がどの自治体にもあるかと思いますが、川越市ではまずそれが機能していません。あることはあるのですが、ほとんど診察もしてくれないようで、患者さんから「今、休日夜間診療所にいるのですが、ここでは診れないと言われました。そちらでは診察可能でしょうか?」といった電話が当院に来ます。このような状況が日常茶飯事ですので、(緊急性はともかく)夜間や休日に受診できる医療機関がないのも同然です。

 夜間休日に救急受入の病院群輪番制度を敷いている地域がほとんどだと思いますが、川越市は大小様々な病院はあるからか、それもありません。数があるゆえにたらい回しになるケースが多いです。A~J病院があったとして、A病院に救急要請があった場合、「まあB~Jまであるし他が診てくれるだろう」と考えます。同様にB病院も同じように考えます。それで、5-6件以上断られて当院に要請がきます。

 また、市内の病院で週一でアルバイト、月に2回当直もしていますが、そこで実感するのは常勤医が当直している病院がほとんどありません。基本的に東京からのアルバイトの先生でやっています。常勤医は当直免除の病院が多いようです。専門外の救急要請が来たら断る、「自分の病院」のような帰属意識が弱い感じでの当直になってしまっており、専門であっても断ってしまうケースが多々あります。

 市内には、3次救急医療機関の埼玉医大総合医療センターERおよび高度救命救急センターがありますが、基本的な役割はやはり「高度」な医療を提供していただけることです。特に外傷にはめっぽう強い救命センターとして機能しています。それ故、2次以下の救急事案ですと、場合によっては、(3次救急に支障を来たす可能性があるため)受け入れ困難のこともあります。限りある人材の資源を生かすためにも、最後の砦を守るためにも、当院を含め他の医療機関でできることはしていかねばなりません。

 私の認識では、「当直」というのは全科当直であり、もし自分が手に負えない、分からない患者の診察に出くわした場合はその病院で分かる先生に電話して指示を仰ぐ、または来てもらう。さらにその病院で手に負えそうもなければ近隣の大病院にコンサルトする、というものだと思っていたので、埼玉県に来た時は衝撃しかありませんでした。しかし、これは長い年月をかけて構築されてきた伝統のようなものですので、個々人の力ではどうにもならないことと思われました。

 そして、これは川越だけでなく、埼玉の都市部全体に言えます。少なくとも、近隣市(さいたま市、富士見市、坂戸市、鶴ヶ島市、東松山市)および東京都接している市(川口市や戸田市)では間違いなく川越市と同じです。群馬や山梨に近い田舎の所では問題にはなっていません。

 こんな状況を理解して受け入れてしまっている自分がいるのも情けない気持ちですが、このクリニックが機能しているのもこのような現状だからという面も否定できません。他の地域の話や私自身がかつて勤務した、茅ヶ崎市(神奈川県)や八戸市(青森県)でこのクリニックが通用するとは到底思えません。つまり、夜間休日に患者さんが受診する病院または診療所が機能している地域では、救急クリニックは必要ありません。また、輪番制度が構築されている、またはその地域に救急病院が一つしかない、などといった場合はいわゆるたらい回しは起きないでしょう。

 その現状を打破すべく、日々奮闘していますが、そのような活動を通して見えてきた良いところもありました。救急車を呼んだはいいが、病院選定でなかなか決まらず、救急隊の現場滞在時間が長いことは問題ですが、このことを通して、救急隊の現場での能力が格段に高くなっている印象があります。救急隊の把握力や処理能力は他の地域をはるかに凌駕していると思います。

 それと共に看護師さんや技師さん、リハビリテーションスタッフなど医療従事者に優秀な人材が多いと思います。私は、昔ながらの医師としてのプライドがまるでないので、何でも聞いてしまうのですが、期待以上の回答や行動をしてくれることが多々あります。これは、本当に埼玉県の財産です、宝です! また、患者さんもいわゆるモンスターペイシェントみたいな人は少ないと思います。人口当たりの医師数が少ないことを理解していただいているのか、我々医療者側のことを思ってくれている人たちが多いと感じています。

 以上、埼玉県の現状をお伝えすべく思うままに書いてしまいましたが、5年以上もここで働いていることを考えるとここが好きなんでしょうね(笑)。


※m3.com編集部 m3.com埼玉版にご投稿いただいた内容を全国向けにリライトしていただきました。木川先生にはこれから救急医・地域医療の視点から、医療を取り巻く問題について考察していただきます。ご期待ください!

木川英(川越救急クリニック副院長)
2005年東海大学医学部卒後、神奈川県茅ケ崎徳洲会総合病院初期研修医、2008年青森県八戸市立市民病院救命救急センター。2013年から川越救急クリニック。院長の上原と共に、地域の救急医療を変えようと日夜色々なモノやコト(行政や法律、病魔や睡魔)と戦っている。



  1. 2018/06/17(日) 10:49:52|
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6月10日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180609_11056.html
<登米市>市民病院新築移転へ 医師確保へ環境整備 
2018年06月09日土曜日 河北新報

 宮城県登米市は同市迫町佐沼の市民病院(257床)を新築移転する方針を固めた。慢性的な医師不足を解消するため、新人医師の実習を独自に行える国の制度の指定を目指し、施設整備する。熊谷盛広市長は8日開かれた市議会6月定期議会で、建設財源確保のため国や県と折衝を進めていることを明らかにした。
 市は、新築移転の時期と場所、規模は未定としている。関係者によると、市内一円からアクセスしやすい交通の利便性の高い場所が有力候補地として挙がっているという。
 市議会一般質問で熊谷市長は「あらゆる選択肢を視野に入れ、県や国と相談し多種多様な財源メニューを検討している。病院環境の整備はラストチャンスだと思っている。早急に示したい」と答弁した。
 同病院は市内7カ所にある市立3病院4診療所のセンター機能を果たすが、新人医師が2年間、幅広い診療経験を積む場となる「基幹型臨床研修病院」の指定を受けていないため独自に研修医を募集できず、その後の若手の地元定着が望めない状態が続いている。
 加えて建物の一部は築43年で老朽化が著しく、非常用電源や調理施設などの重要設備が地下にあり、水害などの災害時に機能を失うリスクがある。研修先は新人医師が選択するため、市は古い医療設備のままの増改築だと敬遠される恐れもあるとみている。
 市立病院の医師は2005年の広域合併による登米市誕生時は計45人いたが、現在の3病院4診療所体制で計30人に減少。うち60歳以上が11人と高齢化が著しく今後も減少する見通し。
 常勤医が足りず、津山診療所は今年4月に休診に追い込まれ、登米(とよま)診療所も8月から休診する方針を決めている。



http://blogos.com/article/302815/
「地方に医師がいないなら、医師を増やせばいいじゃない」というマリー議論  
やまもといちろう
2018年06月07日 21:30 BLOGOS

 「地方に医師がいない? 医師が都市に集まりすぎている? なら医師を増やせばいいじゃない」って話は、前厚生労働大臣であった塩崎恭久さんの時代に議論が出ました。なんかこう、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない (byマリーアントワネット)」みたいな感じです。もちろん、塩崎大臣自身が既存の厚労省や某分科会での議論に同意する立場ではないので、いったんその会議を止めてまで「働き方ビジョン検討会」を作り進めてきたわけなんですけど、そこでも必ずしも「医師を増やせばいいじゃない」という単純な結論には至らなかったわけであります。

地方都市から医者がいなくなる!?戦略的な“無医村”づくりが進んで「急病になっても安心」という自治体はどんどん減っていくことになります https://www.minnanokaigo.com/news/yamamoto/lesson23/
新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html

 そんなこんなで、この辺の議論を「みんなの介護」に書いたところ、反応で少なくない数「医師を増やせばいいじゃない」っていうのが出てきます。この辺は、医療業界にいる人にもいろんな考え方があり、また医療については「べき論」と医療従事者の負担の議論が並行して進むので、どうしてもごっちゃになりやすいって点はあります。

 整理すると、現状すぐにでもどうにかしなければならないのは2つあります。

・医師が偏在していて、無医村ができまくる。
・医師を含め、とりわけ勤務医は非常に労働条件が悪く、ブラックな職場になっている。

 なので、高齢者が増える現状において、医療環境を整えつつ僻地医療も充実させようとなると、都市部で働いている医師を高給や好環境で「釣って」地方医療を担わせるか、医学部の地元採用枠から地方勤務期間を義務付けるかしか方法がないよなあって結論になるわけであります。

 ところが、医療の現場においては僻地医療は高級でもやりたくないというのがもっぱらで、その最たるものは「とにかく僻地の医療は患者のモラルが低く、医師が勤務時間を終わっても診療しろと平気で言う地域住民が後を絶たず、プライベートの時間が持てずやっていられない」という話であり、先日も東北某県自治体が高報酬でも医師が集まらないとか、医師の過去の些細な問題を市議が市議会で問題視したため心が折れて医師が辞めてしまうなどの問題を続発させます。

 そんなところに市立病院を建てても医療圏を支えられるほどの人口もないところでは医師も集められないということで、文字通り自壊していくことになるのです。

 一方、問題の解決のために「医師を増やせばいいじゃない」という話が進まない理由は、少子化にあります。単純にこれ以上増やすと医学部定員から毎年1万人以上の医師が生まれかねないわけですが、2017年の日本人の子供の出生数は94万人であって、ぶっちゃけ100人に1人以上医師ができる社会になります。これらは普通に知的エリート層を担う人材となるのであって、いろんな分野で優秀な若者を奪い合う中で医師だけが高いコストをかけて育成され続け、その稼ぎ口はたいして国富に貢献しない地方都市や僻地で高齢者を診察するために投入されるというのは亡国の道筋を辿ることになりかねないだろうという話であります。

 また、どちらにせよ日本の高齢化問題は2040年をピークに解消に向かっていくため、近い将来都市部においても病床あまり、医師あまりを起こす可能性が高くなります。2025年から2033年ぐらいまでが一番医療と高齢者の点ではしんどいという話であって、いまから定員数増やしても研修医を終えてまずまず一人前になるころには高齢者問題がピークアウトしちゃっているわけであります。

 当面苦しいのであれば、ビジョン検討会でも話し合われ、また厚生労働省も省内で準備してきた歯科医師、衛生士、看護師などが簡便な医療行為を代行できる仕組みの創設や、人工知能や遠隔医療などを用いた外来診療の自動化なども視野に入れて、医師の診療負担を極力減らすしか方法はないだろうと思います。

 ところが、中期医療計画や都道府県の検討しているプランを並べてみていると、一様に「地域医療構想で患者を巻き取る」話が出てきます。地域って誰のことなんですか、ってのはもう少しちゃんと議論したほうがいいと思うんですが、要するに町内会や互助会などの地域で暮らす人たちの集まりや、家庭・家族で傷病者、高齢者は面倒見てよ、医療や介護への負担を減らしてよという筋道になります。これはもうその通りなんだけど、でも読者の方でも思い返していただきたいのですが、地域に医療といって、いままで皆さんどなたか町内会やボランティアで地域の高齢者をお世話したりしたことありますか。ないんじゃないかと思います。特に都市部は「地域や家庭で患者を支える地域医療構想を」と言われても、地域って誰よ、家族ったって結婚できない男女めっちゃ増えてるよ、ってことで、かなり本気で誰も助けてくれない社会になりかねないよね、ってのが正直怖いわけであります。

 解決策はないのか? ってのは、たぶんないんだと思います。結婚が一番優れた制度だと言い切るつもりはありませんが、何らかパートナーや集団で住むようなコミュニティ、疑似家族のような仕組みを社会が用意し、容認していかないと、体調悪くして通院しようにも誰も助けられないとか、自宅で倒れて誰も気づかず死後数カ月異臭騒ぎで死亡しているのが確認されるとか、そういうのは避け得ない状況になるわけでしょう。伴侶がいて子供がいて初めて生物として存続し遺伝子が遺されて… というすんごい哲学的というか身もふたもないレベルの話をしなければならなくなるのが現代です。

 やはり、この手の話をすると「衰退する日本はもう駄目だ」という話になりやすいし、一方で「医師を増やせばいいじゃない」ってのがどれだけ優秀な日本人を生産性の低くなった高齢社会対策に割り当てるつもりなのかってことの裏返しで、優秀な人を生産性の低いところに張り付けるのが日本の衰退を推し進めることになりかねないことは気づいてほしいと思うわけです。健康で長生きしてほしいというのは、社会にとってその人が生産的である限りという留保付きになる時代がもうすぐ来ると感じます。健康寿命の延伸も生活習慣病の予防中心の医療にしようという議論も、いずれも働いて自力で生活できる割合を少しでも増やして社会を富ませ、人々が安心して暮らせるようにするための医学・公衆衛生にシフトしているということの裏返しでもあります。

 オブジーボが高額医療で月額かなりの金額の治療費を公的保険で支払い本人負担は数万円です、でも本人は80歳ですってのが、果たしてそれが生産的な社会になるんだろうかというのはどっかで考える必要があるんですよね、正直なところ。



https://www.asahi.com/articles/ASL663CTXL66UBQU005.html
産科医増員の医療機関に補助金 山口市が制度開始 
金子和史2018年6月6日13時00分 朝日新聞

 子どもを産みやすい環境づくりにつなげようと、山口市は、産婦人科医の増員や新たに産科診療所の開設をした病院や医療法人に費用の一部を補助する制度を始めた。背景には全国的な産科医不足がある。

 市健康増進課によると、市内でお産を取り扱う医療機関は三つで、そのうち、ハイリスクな出産に対応する病院は山口赤十字病院だけという。5年前には五つあった。

 「昼夜を問わない勤務体系や医療訴訟に発展するケースが多いことから産科医のなり手が少ない」と同課の担当者は話す。加えて産科医の高齢化も重なり、全国的に産科医の数は減少傾向にあるという。

 こうした状況をうけ、市は4月から医療機器の購入や増員した医師に支払う給料などの経費の3分の2(上限2千万円)を補助する制度をはじめた。

 新たに診療所を開くか、産科医を増員した医療機関が対象。市内で継続して10年以上お産を取り扱う見込みがあることなどが条件になる。

 市内の産婦人科「ながやレディースクリニック」の長屋寿雄院長は「補助金制度は現状改善に向けた追い風になる」と期待を寄せる。一方で「補助金で全てが解決するわけではない。医師不足などの問題解決の足がかりになれば」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/602627
大学病院における総合診療医育成の在り方 - 古屋大典・埼玉医科大学国際医療センター総合診療・地域医療科教授に聞く◆Vol.2
「これからは、初めから総合医を目指すのが良い」
 
インタビュー 2018年6月6日 (水)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――古屋先生のもともとのご専門は何でしょうか。
 脳卒中です。神経内科で脳梗塞を主に診ていて、t-PA静注などをやっていました。(医学部がある)毛呂の埼玉医大では神経内科でしたが、国際医療センターが10年前にできて、脳卒中センターを開設する時に救命救急センターに移りました。例えば秩父からヘリコプターで搬送された超急性期の脳梗塞を起こしたばかりの患者さんに、アルテプラーゼを使ったt-PA静注療法をしたり、血管内治療をしたりというのを4年ほど担当しました。

 その後、飯能市東吾野の医療介護センターにいました。もともとは飯能市立病院だったのですが、指定管理者制度が導入されたときに、上司から「行ってこい」と白羽の矢が立てられました。有床診療所19床と小規模老人保健施設29床を合わせた小規模多機能施設 で、医療と介護の両方の経験を積むことができました。老健と有床診療所、在宅医療もやりました。医師会の先生に教えてもらいながら、何とかやってきました。その経験を買われて今こういう仕事をさせてもらうことになりました。

―――医療介護センターではどのようなご経験をされたのでしょうか。
 看取りは、高齢者の場合、夜中の2時や3時に亡くなることがあります。まず訪問看護師さんが呼ばれて、先に浴衣に着替えさせてもらって「朝になったら先生を呼ぼうね」と、朝の6時頃に電話がかかってくることが多かったですね。訪問看護の方も家族の方も医師不足なので気を使ってくださっていました。

 地域の特徴かもしれませんが、“お互い様”の雰囲気がありました。僕は毎月、飯能市で開催されるケア会議にも出ていましたので、訪問看護師さんやケアマネさんから、「こんな人がいて困っている」という相談を受けては、実際に診せてもらっていました。その中で気遣う意味での“お互い様”の関係が生まれたように思います。

―― 日頃からそういう勉強会にいるのといないのとでは違うのでしょうか。
 痛感したのは、「医者は患者のことを全然診れていない」ということでした。例を挙げると「週末になると患者さんが吐いてしまう」という話がありました。原因を胃カメラや超音波で調べたり、地域の先生も一生懸命だったのですが、なかなか解明には至りませんでした。

 原因は薬の副作用でした。その患者さんは認知症で、アリセプトが処方されていました。普段は一人でお住まいで、ご自身ではなかなか薬を飲むことができず、娘さんが帰ってくる週末にだけ薬を飲ませてもらう。認知症の薬は急に飲むと副作用で吐くんです。普段から少しずつ飲んでいれば、嘔吐などの症状は少ないのですが、週末だけ飲むとなると、副作用が強く出てしまう。

 判明したのはケアマネさんからの情報です。ケアマネさんと普段から仲良くしておくと、「家に行くとタンスに薬がたくさんありますよ」とか患者さんの話を聞ける。民生委員の方とも普段から接しておくと情報を得られます。患者が生活する環境や家族の背景といった情報が入らないと、実は薬の副作用だったという診断はすぐにつかないですよね。こういうケースなんかは、ケア会議に出ないと分かりません。こうしたことを学べるよう、研修医や学生を連れて行けたらと思います。

――先生は最初は神経内科で、現在は総合診療を担当されています。総合的な医師養成の在り方についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
 これからは、初めから総合医を目指すのが良いのではないでしょうか。これだけ医師不足が叫ばれる時代なので、総合的にある程度標準的な治療ができる医者がたくさんいないと対応できないですよね。専門医療はやりたい人がやればいいわけで。

 ただ、総合診療に関心の高い学生は僕たちのような病院には残らず、地域の病院に行ってしまいます。そうすると、コモン・ディディーズばかりを診ることになって、逆に専門治療や最新の医療に触れたいという思いも出てくるみたいです。

 総合診療と専門領域を学べるよう、何年かは大学にいてもらって、論文も書いてもらう仕組みができると若い医師にとっては良いと思います。大学の中にいると、救命救急科にいても「意識障害や脳に関しては、あの先生に聞こう」ということができます。

 これからの人材は、総合的な力を付けることが求められるでしょうし、一つの専門性を磨くことに集中しないにしても、その時代によって色々と必要な知識って変わってくると思います。実際に僕が専門の脳卒中の患者は減り、癌が増えています。癌の患者さんの精神面をケアすることが欠かせない課題になっています。どこの臓器の内科であろうと、癌のメンタルは切っても切り離せない。そうするとそれに見合った知識が必要になりますよね。総合診療の中で時代のニーズに合わせた知識を、勉強し続ければいいのではないでしょうか。

――総合的な医師の必要性はどのような時にお感じになるのでしょうか。
 これだけ専門が細分化されてきたら、脳の領域や脳血管のこと、どんな薬を使えば良いかは分かっても、患者さんが送ってきた社会生活にどれだけ近い状態に戻せるかを考えるのが難しくなります。そうすると、「あの先生は、脳は診ても患者は診ない」って言われてしまう。脳の治療ばかりをやっていて、全身を診ていないから、足の爪の病気とかに気が付かない。そのまま地域の先生に紹介してしまうというのは、ありがちですよね。回復期の病院に移ってから、「足の爪の治療もしてもらってなかったね」と言われてしまったり。

 やはり全身くまなく診ないといけないし、社会的背景であったり、家庭環境であったりを含めないと患者さんを診たことにはならないと、僕は思っています。

――どのような教育をされているのでしょうか。
 総合診療や地域医療に強い医者を育てることもしなければいけないのですが、現実はなかなかできていないですね。本当は一緒に往診に行きたいのですが、紹介患者さんを学生と診るくらいのことしかできていません。ただ、埼玉医大の学生さんは、自ら地域に足を運んで色々な経験してきていますよ。地域のミーティングに出たり、何日間かお邪魔させてもらったり。系統立てて授業に取り込むのはまだまだこれからです。

 いろんな専門科の“寄せ集め”が総合診療ではないと思います。自分一人の力である程度の診察ができて、どれくらい緊急性があるのかを見極める力が求められるのが総合診療。そういう人材をどんどん育成して、総合診療の医者を増やしていきたいですよね。

 僕らのところに、一時的に在籍してもらうだけでもいいかなと思っています。親御さんが地方で開業していて、在宅医療をやらないといけないからとか今まで専門は心臓内科をやっていたけれども、全身の病気だとか癌の治療、麻薬の使い方なんかも勉強したいとかという人が来てくれてもいい。そういう中で大学の中で役に立っていただければ、一石二鳥になります。



http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2018/20180607036458.asp
自治体病院の医師確保、30町村長が青森県に要望 
2018年6月7日(木) 東奥新聞

 県は6日、青森市のラ・プラス青い森で本年度の市町村長会議(町村の部)を開き、県内30町村長(三戸町は代理)と、三村申吾知事ら県幹部が健康づくりの強化や医師確保対策などについて意見交換した。町村長からは、県内で医師数は増えている一方、自治体病院では充足されていない現状を受け、地方の医師不足解消に向け、県がより強い関わりを持つよう求める意見が相次いだ。



https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/6/8/16023
協定超える時間外労働 県立中央病院に是正勧告 
2018.06.08 岩手日報

 盛岡市の県立中央病院(宮田剛院長)が、適正な手続きを踏まずに労使間の協定(三六協定)を超える時間外労働を職員にさせたなどとして、盛岡労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが7日までに分かった。医師の超過勤務手当が不足しているとの指摘もあり、県立病院の給与制度の在り方の検討も必要になりそうだ。

 県医療局によると勧告は4月16日付。内容は▽同協定を超えた時間外労働▽同協定を超えた休日労働▽臨床工学技士の待機時間への賃金不払い▽医師の超過勤務手当ての不足▽衛生管理者らの選任報告の遅れ▽衛生工学衛生管理者の不配置-の6項目。是正報告の提出期限は20日。

 同病院によると、協定で定めた上限時間を超える残業を命令する際に病院側が行うべき手続きを取らずに職員に残業させていた。

 同病院は勧告を受けて手続きを適正化し、職員に出退勤時間を記入させるなど、勤務実態の把握を始めた。



http://www.kanaloco.jp/article/337251
逗子の病院開院2年超遅れ 病床数確保見通せず 
2018/06/08 02:00 更新:2018/06/08 02:00 神奈川新聞

 逗子市は、医療法人社団「葵会」(東京都千代田区)と進める総合的病院の整備計画で、開院時期を2年以上後ろ倒しした。当初「早ければ2020年度中」としていたが、構想段階で200床以上とする病床数を思うように確保できていないことから、「最短でも22年度中を目標に手続きを進める」に見直した。これまで3度頓挫してきた、市の悲願でもある総合的病院の整備は、先行きが不透明になっている。

 市は16年12月、総合的病院の運営法人を葵会に決定したと発表。葵会に市有地(同市沼間3丁目)を無償貸し付けし、開設時200床以上、最終的に300床規模で、小児科や婦人科など13の診療科目を有する「(仮称)葵会逗子病院」を整備する構想だ。

 そもそも今回のきっかけは、県が16年7月、横須賀・三浦二次保健医療圏の基準病床数(5334床)に対し、「175床不足している」と示したことだった。

 これを受け、市は総合的病院を誘致することを決断。公募で選ばれた葵会に対し、県が109床を割り当てた。構想より少ないものの、同医療圏の病床数が今後も足りなくなるとの見通しから、18年度以降に増床を申請することで不足分を補うことにした。

 だがことし2月、事態が変わる。同医療圏の医療、福祉などについて話し合う会合の場で、出席者から「圏内の既存の病院に利用されていない病床が349床あり、その活用を優先すべきだ」「この地域でも医師や看護師不足が深刻で、増床しても対応できない」などの意見が出された。

 こうした意見を踏まえ、県は3月同医療圏の18年度の基準病床数(5307床)に対し、現状は「不足」ではなく、50床の「過剰」と判断。増床の見込みがなくなった。

 増床が見通せなくなったことで、構想や開院までのスケジュールも流動的で、不確定なものに。市は「市民に現状を丁寧に説明する必要がある」とし、早期開院を目指して簡略化していた関係条例の手続きを原則に戻し、住民説明会や計画の縦覧などを行うことを決めた。これにより、開院が少なくとも2年以上遅れることが確実になったという。

 市が今月3日に開いた市民説明会。市民からは「どんな病院ができるのか、形が見えない」「良いものを建ててほしいと待っているのに遅れる一方だ」などと不満の声が上がった。平井竜一市長は約30人の参加者に向かい、力を込めた。「多少時間がかかっても、高齢化が進む逗子で病院を実現することを、諦めるべきでないと思っている」



http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20180610/CK2018061002000053.html
県東部の医師確保へ 清水町で研修医ら合同研修 
2018年6月10日 中日新聞 静岡

 新人医師として県東部の病院に配属された初期臨床研修医の交流や技術向上を図る合同研修が九日、清水町長沢の静岡医療センターで開かれた。

 合同研修は、県東部の医師確保に取り組む「ふじのくに地域医療支援センター東部支部」が年2回行っており、沼津市立病院や富士市立中央病院など六病院から研修医31人が参加。地元医師らの指導を受けながら、災害時に負傷者の治療の優先度を判断するトリアージ訓練や、縫合や超音波診断の演習を行った。

 県東部の医師数は2016年末現在で人口10万人当たり191人と、全国平均の240人よりも少なく、医師確保が課題となっている。合同研修の担当者は「初期研修が終わった後も医師に東部地域に残ってもらうため、いろいろな経験が積めてスキルアップできる環境をアピールしていきたい」と狙いを語った。 

(杉原雄介)



https://www.m3.com/news/iryoishin/607761
シリーズ 「医学部卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~
医師の意識が変われば進む、「地域包括ケア」は“時代”の要請
全国57病院、公的医療・介護グループの考え
 
オピニオン 2018年6月8日 (金)配信独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO) 尾身茂理事長

 医師の多様なキャリアを紹介する「卒後10-15年目の医師たち」~JCHO編~。今回からは「地域包括ケア」をテーマに、病院の内外で活躍するさまざまな医師たちが登場します。JCHO理事長の尾身茂氏は、57病院を持つ医療・介護グループであるJCHOが実践している地域包括ケアについて語っています。
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 地域医療機能推進機構(Japan Community Health care Organization=JCHO、ジェイコー)は、全国57病院を中心に訪問看護ステーション(訪看ST)や介護老人保健(老健)施設、居宅介護支援事業所など、多様な施設を持つ公的医療・介護グループです。病院の半数には老健施設が隣接しているほか、地域の多様な医療機関、自治体などと連携しているため、国が推奨する“地域包括ケア”の概念を実践する能力が備わっているグループです。

 しかし、JCHOは旧社会保険病院、旧厚生年金病院、旧船員保険病院をそれぞれ運営していた、全国社会保険協会連合会、厚生年金事業振興団、船員保険会という3つの団体を統合して誕生した組織のため、統合直後はJCHOの組織全体で能力を発揮し、地域包括ケアを実行するためには、さまざまな障壁がありました。

まず医師の意識改革に着手

 私が理事長としてまず必要だと感じたのは、各病院の院長をはじめとする医師たちの意識改革でした。社会保障制度国民会議が2013年8月に公表した報告書でも指摘しているように、日本の医療は高齢化に伴って、「病院完結型」から「地域完結型」へと移行すべき時期に直面しています。医療の進歩などで、疾病に罹患した状態でも長生きする人が増え、医学に基づいて「治す」だけでなく、地域全体で患者・療養者の生活を支えなければなりません。病院の内外で、医療従事者だけでなく介護従事者、福祉関係の方々、行政、そして地域住民のみなさんにも参加してもらうことが必須なのです。

 ところが、これまでわが国の医学・医療のメインストリームは急性期です。現在の医療提供体制を支えている多くの医師たちは、疾病の診断方法や治療法は学んできていますが、リハビリテーションが中心の医療や、疾病と長く付き合っていくような慢性期医療、さらには介護の領域などには、ほとんど関心がないのが実態でした。特に介護は、医療従事者が関わる領域ではないと考えられがちだったと思います。しかし、時代が、急性期医療に加えてリハや慢性期医療を含めた地域包括ケアを求めているのです。

 意識改革に取り組んだ結果、今では医師の意識はずいぶんと変わってきました。定例ミーティングなどでの発言からも、地域包括ケアに対する理解は深まってきており、各病院の実績からも明確に地域への貢献が見て取れます。地域に出ていくと、関係者間での信頼関係が面で築けているため、「いざという時はJCHOに頼もう」という関係になってきた。地域との連携については、国も診療報酬などで促進していますので、結果的に各病院の経営もプラスになっています。

訪看など実践ツールの強化、人材育成強化、好事例の共有

 JCHO組織全体として、地域包括ケアの観点では主に、以下の3点に取り組んでいます。

・地域包括ケアを実践するためのツール(事業所)を充実させる
・従事者の育成強化
・好事例の横展開

 事業所の充実としては訪看STを強化してきました。2014年度は、事業所数15カ所の訪問件数は延べ8万3000件だったのに対し、2017年度は事業所数を26カ所にまで増やし、訪問件数も延べ14万件にまで増えました。JCHO老健施設全体の在宅復帰率も、2014年度のおよそ34%から50%超にまで引き上げることができています。

 従事者の育成強化では、病院の看護部長や師長などを育成するため、認定看護管理者教育課程を採用しています。訪看ST事業で中核を担う人材育成にもつながるためです。また、公的医療グループとしては初めて、看護師の特定行為研修機関の指定を受け、昨年から研修を始めました。現在は80数人が受講中です。

 好事例の横展開については、組織のスケールメリットを発揮できるよう、各病院が地域で取り組む好事例を共有できるよう「医療機関が地域包括ケアに取組むための事例集」を発行するなど、工夫しています。ホームページで「地域包括ケアことはじめ五か条」も共有しています。

 今後は、リハビリ、老健施設、介護領域も含めた“見える化”を実現したいと考えています。既にDPCのベンチマークに基づく評価などは実行しており、JCHO組織全体として地域包括ケアに関する評価を可能にする、効果的な取り組みにつなげていきたいと考えています。

「先のものが後になり、後のものが先になる」

 私はキリスト教の信仰者ではありませんが、聖書には「先のものが後になり、後のものが先になる」という言葉があります。今まで医療界においては、ともすれば“お荷物”のような存在として光があまり当たってこなかった、リハビリや介護も含んだ領域が、今や時代の最先端になっています。ある意味では、われわれJCHOと同じような状況です。社会保険病院など、多くの病院は売却を前提に事業を整理していていく方向で検討が進んでいましたが、今では地域医療の一角を担う存在になっています。これからも「うちの地域にはJCHOがあるから安心だよね」と言ってもらえる存在でなければなりません。



http://www.medwatch.jp/?p=20911
都道府県担当者は「県立病院改革」から逃げてはいけない―厚労省・医療政策研修会 
2018年6月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、都道府県担当は「県立病院等の機能明確化、再編・統合」などから逃げてはいけない。そこで公平なジャッジが行われるかを、公的病院や民間病院は見ている。また、地域医療構想調整会議の議長等と、都道府県(本庁)の担当者との間で「ざっくばらんに議論できる」関係を構築できるかが、地域医療構想の実現に向けた重要な要素となる―。

 6月1日に厚生労働省が開催した「都道府県医療政策研修会」では、こういった議論が行われました。

ここがポイント!
1 県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要
2 公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要
3 調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

県立病院等の再編から逃げるな、他の公的・民間病院との「公平性」確保が重要

 地域医療構想は全都道府県で策定され、その達成に向けて「如何に、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で実のある議論を進めるか」というフェーズに入っています。厚労省は定期的に調整会議の開催状況などをチェック(4半期に一度)しており、そこからは都道府県によって調整会議の進捗状況等に非常に大きなバラつきがあることが分かっています。

 会議冒頭、厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「地域医療構想の業務は、地域の医療提供体制を守る大きな仕事である。これに携わることは宿命・運命であると捉え、真剣に取り組んでいただきたい。現在、国会で医療法・医師法の改正法案を提出し、医療政策に関する業務を都道府県に担っていただくことが増える。この点、厚労省も『都道府県が医療政策を担える』と考えており、そのための研修会でもある」と檄を飛ばしました。

 さらに佐々木地域医療計画課長は、想調整会議では、まず公立・公的病院の機能について「公立・公的病院でなければ担えない機能」に重点化・明確化していく点に触れ、「自治体病院を抱える都道府県もあると思うが、その取扱いを他病院はしっかり見ている。逃げずに、公平なジャッジをお願いする」と強く要請しました。自治体病院については、後述するように「首長の選挙公約マター」になっているケースもあり、ベッド数の削減や再編・統合に向けて都道府県が物を言いにくいこともあるようです。しかし、ここから逃げてしまうと、他の公的病院や民間病院から信頼を失い(身内に甘いと見られてしまいかねない)、地域医療構想調整会議の議論が進まなくなってしまうのです。佐々木地域医療計画課長は「覚悟をもって取り組んでほしい」と強調しています。
 
公立病院等の再編・統合、住民への丁寧な「メリット」の説明が重要

 都道府県医療政策研修会では、主に地域医療構想の実現に向けて、厚労省から都道府県や地区医師会の担当者等に対し「地域医療構想ワーキンググループ」や「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(いずれも「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)における議論の最新動向や、データ活用のためのスキルなどが伝授されるとともに、先進的な取り組みを行う都道府県からの事例報告と意見交換などが行われます。

 今般の研修会でも、5月16日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(関連記事はこちらとこちら)、5月23日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」における議論の状況が詳しく報告されました(関連記事はこちら)。

 前者の地域医療構想ワーキングでは、▼公立・公的病院の機能分化▼公立・公的病院の再編・統合▼都道府県単位の「調整会議」の設置と開催▼調整会議のアドバイザー育成―などが議題となりました」(関連記事はこちらとこちら)。

 このうち「公立・公的病院の再編・統合」については、参加者の関心も高く、活発な意見交換が行われています。

 例えば奈良県では、3つの公立病院を▼1つの救急病院(急性期機能)▼2つの地域医療センター(回復期・慢性期)―に機能分化。急性期機能を担う病院(南奈良総合医療センター)に医師配置を重点化したところ、急性期機能や医師派遣機能の向上、若手医師への魅力向上などの効果が出ているといいます。この点について厚労省担当者は「再編・統合のメリットを地域住民に丁寧に説明した」ところが大きいと分析。特に公立病院では、開設者である首長(県知事や市町村長)が、選挙の際に「公立病院の維持、さらには新規開設や増床」などを公約で打ち出すケースがあります。その中で、「病院の再編・統合」を病院側が単独で唱えれば、住民から猛反発を受けることもあります。そこで、例えば県知事が大所高所に立ち「現在のベッド数を維持することのデメリット」「再編・統合し、病床削減などすることのメリット」「再編・統合後の医療機関へのアクセス保障」などを丁寧に説明し、理解を得ることで、地域医療構想の実現に向けた大きく動きだせると考えられます。

 また茨城県では、例えば、▼筑西・下妻医療圏において、公立の2つの急性期病院と、1つの民間病院を再編・統合し、「2つの公立病院」(1病院は地方独立行政法人化、1病院は再編に参加した民間病院が指定管理者)とする【公立の県西総合病院、公立の筑西市民病院、民間の山王病院→公立の茨城県西部メディカルセンター、公立のさくらがわ地域医療センター】▼鹿行医療圏において、公的の2つの病院(済生会と労災)を再編・統合し、「本部病院」(350床)と「分院」(10床)として、本部病院に資源・機能を集約する【神栖済生会病院、神栖労災病院→神栖済生会病院の本院と分院】—ことが決まっています。

 
 後者については茨城県の担当者から、「済生会病院が労災病院を引き取る形になったが、給与等の格差が大きく(労災病院の給与>済生会病院の給与)、人員確保のために労災病院については現在の給与保障をせざるをえなかった。再編・統合を進めるために、こういった部分への支援も必要になるのではないか」との提案が改めてなされています。
 ちなみに、「病院が自主的にダウンサイジング(ベッド削減)」を行う場合、不要となる建物や医療機器の処分に係る損失(財務諸表上の特別損失に計上されるものに限り)について、2018年度から地域医療介護総合確保基金の対象事業に含まれています。病院が再編・統合する場合、病床規模を削減するケースも少なくなく、その場合、基金の活用によってハードルが少し低くなると言えそうです。厚労省担当者は「今後も、基金の対象事業について必要な拡大を行っていく」考えを示しています。

 もっとも、後者の統合事例では、現在の「合計378床」から新たに「合計350床」となり、わずかなベッド数削減しか行われません。この点について茨城県サイドは▼筑波大学病院からの医師派遣を受けるために、必要な教育環境を整える必要がある▼圏外の流出患者を圏内で診ることを想定している―と説明しましたが、会場(他の都道府県や医師会等の担当者)からは「合併した場合、医師数が減る可能性が高い。医師確保の見通しを立ててからベッド数を決めるべきではないか」として「再編・統合後の350床は多すぎる」との指摘が数多く出されています。この点、茨城県も「最終的に350床すべてをオープンできるかどうかは不透明である」ともコメントしています。

調整会議議長等と都道府県担当者とで「ざっくばらんに議論できる」関係の構築を

 ところで、大学病院や大規模な公立・公的病院では「高度急性期」機能を持つ病棟を抱えることが多くなります。地域医療構想では、地域(構想区域、主に2次医療圏)ごとに▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期―の必要病床数を定めますが、「高度急性期は都道府県全域の患者の診ることになり、都道府県単位での検討が必要なのではないか」との意見も出ています。

 この点について厚労省担当者は、「地域医療構想を策定する段階で、高度急性期の機能等を織り込んでいるはず」と指摘した上で、「想調整会議で議論を進める中で見えてくる課題もある。そこで、都道府県単位の調整会議を設置し、例えば各調整会議の議長や基幹病院の管理者等が出席し、意見を調整することが期待される」とコメント。例えば、仮に「高度急性期病棟を持つ大学病院が、県全域の高度急性期医療を一手に引き受ける」方針が都道府県単位の調整会議で固まれば、アクセスの問題等は残るものの、各調整会議では「高度急性期を除く、急性期から慢性期に至る医療機能」について議論すればよく、より効率的な議論を円滑に進めることが期待されます。

 なお、関連して厚労省担当者は、調整会議の議論を円滑に進めるための重要な要素の1つとして、「調整会議の議長と、都道府県本庁の担当部局等がざっくばらんに議論できる関係の構築」を掲げました。この点からも、都道府県単位の調整会議を設置することで、各調整会議の議長等と、これまで以上に「顔の見える関係」を築けると期待されます。すでに県単位の調整会議を設置している佐賀県では、通常の調整会議以外にも、2年間で50回以上の懇談会、研修会、意見交換会を開催。公立病院の再編論議なども円滑に進んでいるといいます。
 
 なお、厚労省は8-9月に第2回研修会を開催する予定で、同時に各都道府県から推薦された地域医療構想アドバイザー(地元大学医学部の研究者などを想定)への最新情報提供なども行う考えです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/607404
「2040年問題」、主眼は給付費増より医療福祉従業者数
医療部会、社会保障給付費の将来推計等について議論
 
レポート 2018年6月6日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)が6月6日開かれ、厚労省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏は、2040年度の社会保障給付費の将来推計について、「とても負担できないのではないか、という意見があったが、社会保障給付費が対GDP比24%という水準は、今のドイツに近く、フランスではもっと高い。世界に類を見ない水準というわけではない」と説明した。

 厚生労働省は5月21日、経済財政諮問会議に対し、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を提示した。日本の高齢者数がピークを迎えるのが2040年頃だ。医療・介護給付費については、「現状投影」と、病床機能分化や後発医薬品の普及などを実施した「計画ベース」で推計。「計画ベース」と「現状投影」の差は、医療給付費はマイナス1.6兆円、介護ではプラス1.2兆円で、全体ではマイナス0.3兆~0.4兆円。年金等を含む社会保障給付費の対GDP比は、2018年度の21.5%から、2040年度には23.8~24.0%に増加すると推計(『2040年度の医療費、66兆7000億円、政府推計』を参照)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、伊原審議官の説明を評価、「社会保障の持続可能性を危ぶむという議論ばかりだったが、久しぶりに安心した。ぜひその雰囲気で話してもらいたい」とコメントした。中川氏は、「医療給付費がマイナス1.6兆円という推計は、地域医療構想を進めても、あまり変わらないという認識か」とも質問。厚労省保険局調査課長の山内孝一郎氏は、「見方はいろいろあると思うが、介護と合わせてみればそれほど変わらない」と答え、今回の推計は給付費の増減ではなく、将来の給付費の規模感を示すのが目的であると説明した。

 これに対して、将来推計で危惧されたのは、医療福祉分野における就業者数の見通し。日本の就業者数全体に占める割合は、2018年度は12.5%だったが、2040年度は18.8%と推計(計画ベース)。医療・介護の需要が一定程度低下し、ICT等の活用により、医療・介護の生産性が向上した場合は、16.5%となり、「規模感としては、2025年度の14.7%と同程度の水準」(山内課長)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、社会保障給付費については「アンコントローラブルではないという印象」とした一方、経済財政諮問会議で在留資格を緩和して、外国人人材の受入拡大方針を打ち出していることを踏まえ、「外国人の介護労働力を受け入れるべきではないと言っているわけではないが、東南アジアの特殊出生率は急激に減少しており、若年の労働者は減っている。在留資格を緩和すれば、外国人が来てくれると考えるのは間違いで、その点を考慮する必要がある」と指摘した(『介護分野で外国人人材の受入拡大、経済財政諮問会議』を参照)。

 経団連常務理事の井上隆氏は、「就業者数に占める割合が2割くらいになれば、日本経済の重要な産業分野になる。産業としての社会保障を前向きに捉えてもらいたい」と述べ、成長の可能性がある産業という側面に光を当てた前向きな議論を求めた。

 地域医療構想と5疾病5事業の調整は?

 そのほか6日の社保審医療部会では、地域医療構想の進捗状況(『「地域医療構想アドバイザー」、都道府県単位で設置へ』を参照)、医師需給分科会の第3次中間取りまとめ(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)、検体検査の精度管理等についての省令改正、医療放射線の適正管理に関する検討会の検討状況、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の施行などについても報告された。

 地域医療構想について、島崎氏は、「医療計画の5疾病5事業は、どのように整理されていくのか」と質問。「地域医療構想は、構想区域、ほとんどが2次医療圏であり、その中での医療機能を議論している。一方、5疾病5事業を医療計画に定めたのは、2次医療圏という単位に必ずしもこだわらない仕組みを構築していくのが目的だった」。

 厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、医療法に基づき、各都道府県に医療審議会が設置されており、医療計画および5疾病5事業については、同審議会やそのワーキンググループで議論していると説明。地域医療構想の構想区域ごとの調整会議は、医療審議会とキャッチボールしながら検討していくことが必要であるとした。

 奈良県福祉医療部長の林修一郎氏は、「医療計画、地域医療構想などは、それぞれ別々の会議体で議論し、県庁内でも所管が異なるため縦割りになる。そこをいかに調整するかが県の腕の見せどころ。奈良県では、集約化すべき医療と、均てん化すべき医療を考えながら進めている」と述べ、5疾病5事業と地域医療構想の調整は県に委ねられている現状を説明した。

 地域医療構想についてはそのほか、中川氏が次のようにコメントした。「地域医療構想における公立病院、公的医療機関等の扱いについて、私はこれまで『新公立病院改革プランや公的医療機関等2025プランを策定して、民間病院と競合していたら、公立病院等は引くべきだ』を発言してきたが、少し舌足らずだった。たとえ競合していても、医療レベルによっては、公立病院等が頑張るべき場合もある。税金を投入しているからと言って、『公立病院等、イコール悪』と決め付けるべきではない」。

 医療放射線、線量の把握が第一

 医療放射線の適正管理については、その推進を求める声が複数出た。日本では単純X線撮影やX線CTの検査件数が多く、有益性と有害性を踏まえ、医療被ばくをいかに適正管理するかが課題となっている。

 NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「患者は複数の医療機関を受診している場合もある。(全体で)継続的にどのくらいの線量を浴びているかというデータを把握していないと、適正化を図ることができないのではないか」と質問。佐々木課長は、「現時点では各医療機関レベルで医療被ばく量を記録するルール自体がないことから、それを記録していくことが優先」と説明。継続的な医療被ばく量の管理については、引き続き検討していくとした。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「日本の医療被ばく量が多いことは分かるが、それによって診断性が向上し、早期発見につながっている面もある」と指摘し、有害性についてのデータの有無などについて質問。佐々木課長は、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告の「診断参考レベル」などを基に検討していくと回答した。



https://mainichi.jp/articles/20180606/ddl/k11/040/046000c
増床計画を公募 不足7医療圏で 来月から /埼玉 
毎日新聞2018年6月6日 地方版 埼玉県

 県は7月から、今後3年で不足すると推計される医療機能に対応する病院などの整備計画を公募する。県内10の「2次保健医療圏」(入院医療体制を整備するため、医療法に基づき都道府県が設定する地域単位)のうち、7医療圏で計1638床の増床を目指す。

 昨年3月末の県内の病床数は5万375床。医療法に基づく基準病床数4万3598床は上回っているが、県の地域医療構想では2025年には5万4210床が必要になると推計されるため、県は国と協議。20年度末までの必要数として7141床の加算が認められた。このうち、病床不足が見込まれる地域の整備計画を医療機関などから公募することにした。

 公募する病床の機能は、地域包括ケアや回復期リハビリテーションなどに必要な病床▽がんや脳卒中、心血管疾患に対応する高度専門医療や救急、周産期、緩和ケアなどの病床。21年3月末までの着工が条件。対象地域は、医療機関が不足していないさいたま(さいたま市)▽北部(熊谷市など3市4町)▽秩父(秩父市など1市4町)--以外の7医療圏。

 7月23日~8月24日に受け付け、地域医療構想調整会議で協議の上、来年1月に採用する計画を決定する予定。【内田幸一】



https://this.kiji.is/376751300249207905?c=39546741839462401
長崎大病院が「医療人育成室」 民間病院内に開設 地域医療維持と研修医教育を両立 
2018/6/6 00:136/7 00:13 長崎新聞

 長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)は、研修医が学外で地域医療を学ぶ教育拠点「長崎医療人育成室」(N-MEC)を、同市南部の民間病院、長崎記念病院(深堀町1丁目)内に開設した。市中心部から離れた南部地区は人口減少地域で、十分な医療人材が確保しにくい状況。このため、長崎大学病院の医師が長崎記念病院に常勤しながら研修医も指導。地域医療の維持と教育充実を両立させ、人材育成を進めるのが狙い。
 長崎大学病院として初の試みで、全国的にも珍しい。研修医は、2年間の初期研修期間中に地域の医療機関で最低1カ月間の地域医療研修が義務付けられている。N-MECは、この受け入れ拠点で、長崎大学病院医療教育開発センター(濱田久之センター長)の下部組織として1日発足。小出優史副センター長が同日付で室長(教授)に就いた。
 N-MECは長崎記念病院が人件費を負担。小出室長は同病院で診療に従事しながら研修医の教育に当たる。今月中旬から本格始動し、本年度は研修医5人を順次配属。地域医療を学びたい大学病院の看護師も受け入れ、既に2人が勤務している。
 高齢化の進展で全国的に医療需要が増大する中、医師や看護師は都市部に集中し、過疎地などでは確保が困難な傾向。長崎記念病院は救急から在宅医療まで担う地域の中核病院だが、近年、医師や看護師の確保に苦慮していた。
 一方、研修医の研修先も大都市部に人気が集まる傾向。長崎大学病院は研修医確保のため、教育内容の充実に努めてきた。N-MEC開設については、費用負担が抑えられる上、教員のポストを増やせるという大学病院側の運営上の利点もある。今後、県北地区にも拠点を1カ所設ける方向で検討している。
 濱田センター長は「地域医療の崩壊を防ぎながら、地域に根差した若手の医療人が育つことを期待したい」。長崎記念病院の福井洋会長は「優れた医師や研修医により病院を活性化できる。地域ぐるみで若い医師、看護師を育てたい」と話している。



  1. 2018/06/10(日) 09:25:04|
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6月3日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201806/20180602_21054.html
<青森・深浦>町営診療所苦難の門出 公募不発医師不足の懸念続く 
2018年06月02日土曜日 河北新報

 青森県深浦町が直営する深浦診療所が1日、開所した。少ない医師で町全体の医療体制を確保するのが目的。新設と並行して実施した、医師の公募は好条件にもかかわらず、不発に終わった。医師不足は今後も続くことが見込まれる。

 深浦町は南北に約80キロある海岸線に沿って、集落が点在している。以前は町の北部と南部に町の診療所があるほかに、中心部に民間の診療所があった。だが、民間の診療所は2017年3月に閉院し、町中心部から医者がいなくなった。
 深浦診療所は中心部の高台に建てられた。勤務する医師は常勤2人。1日約80人の外来患者を見込む。入院施設はないが、在宅での診療にも取り組む。
 町内の各地区に停車する無料の送迎バスも整備した。開所に伴い、南部の診療所は今年4月に閉じた。
 診療所を新設した目的は少ない医師で、南北に距離がある町全体の医療を確保するため。町の診療所は14年6月から、常勤の医師は1人しかいない状態が続いていた。
 町は診療所新設計画と並行して、同年7月から医師の公募も始めた。年収は2200万円に設定し、光熱水費などのかからない一戸建ての住宅を用意。年間40万円を上限に、医師が学会に参加する旅費にも補助を出すことを決めた。
 それでも医師は見つからなかった。16年に北海道の60代と関東地方の50代の医師から内諾を得たが、体調不良や家族の健康問題を理由に辞退された。結局、13年度に退職し県内の別の病院に勤務していた山田悦輝医師(76)が、町の診療所に戻ることを決めた。
 山田医師は「事情を知って見て見ぬふりはできなかった。医療の専門性が高まっているため、若い医師は地方で勤務しづらいのだと思う。若手が自分を高められる環境をつくっていきたい」と語った。町は今後も医師の公募を続ける。



https://www.sankei.com/region/news/180601/rgn1806010011-n1.html
医師公募、破格条件でも集まらず断念 青森・深浦町 年収は2200万円 
2018.6.1 07:10 産経ニュース

 深浦町が過疎地の医師不足に直面した。1日から業務を始める新たな診療所「深浦診療所」に勤務する医師を3年かけて破格の条件で公募したものの1人も採用できないまま断念。結局、町内に勤務経験のある医師に依頼し、開業にこぎつけた。全国的にも医師が1人もいない「無医村」や医療機関へのアクセスが難しい地域は少なくない。地方や過疎地が抱えている医療の現実をこの町のケースが如実に映し出している。 (福田徳行)

 ◆常勤1人のまち

 人口8300人余(4月末)の同町には平成25年度まで町営の2つの診療所に3人の医師が勤務していたが、26年度から常勤医(69)1人の状態が続いていた。

 医療体制の整備が喫緊の課題となる中、町は27年、中心部の高台に複数医師体制の新診療所整備基本プランを策定し、公募で医師を確保することになった。

 町が提示したのは年収2200万円、無料の住宅提供、家賃以外に光熱費、学会への参加費と旅費ともに町が負担するという厚遇ぶり。いったんは2人の医師が応募したが「家庭の事情など条件が合わなかった」(同診療所の小山司事務長)ことから辞退されたという。

 ◆待遇よりも実績

 町は公募を断念。新診療所の開設が控えていたことから、25年度まで勤務していた76歳の医師に戻ってもらい、現在の常勤医と合わせて2人体制を確保、内科と外科の診療に当たってもらうことになった。

 だが、2人の医師は経験値が高い一方、高齢であることに変わりはなく、先行きへの不安も残る。

 「若い医師は都市部の設備が充実した医療機関で腕を磨き、専門分野を極めたいと思っている。郡部ではやはり無理だ」

 小山事務長は過疎地の医療が抱える問題を訴える。ある開業医も「若い医師は将来に備えて実績を積みたがる。待遇ではない」と意識の違いを強調する。

 ◆広域連合に期待

 都市部に比べ交通アクセスや教育環境が整っていないことも若い医師が二の足を踏む理由だ。「自然景観という魅力はあるが、それだけで若い人は集まらない。特に子供がいる人ならなおさら」と小山事務長。

 同町は五所川原市など2市4町でつくる「つがる西北五広域連合」を構成する自治体の一つで、小山事務長は「町だけで医師を集めるのには限界がある。広域連合からの医師派遣や情報提供などをしてもらい、医師確保に努めていきたい」と話す。

 医師不足や偏在は深刻な問題だ。28年の厚生労働省の統計によると、青森県の人口10万人当たりの医師数は198人で、全国平均の240・1人を大きく下回る。

 県は弘前大の学生に対し、卒業後の県内勤務を条件に医師修学資金の免除やU、I、Jターンによる医師確保などの対策を進めているが、効果は未知数だ。



https://mainichi.jp/articles/20180601/k00/00e/040/274000c
茨城県立中央病院
勤務医23人 過労死ライン超える
 
毎日新聞2018年6月1日 11時02分(最終更新 6月1日 13時02分)

 2次救急指定されている茨城県立中央病院(笠間市鯉淵)で2017年度、全体の約18%にあたる勤務医23人に時間外労働の「過労死ライン(月80時間)」を超える月があったことが毎日新聞が情報公開請求で入手した文書で分かった。時間外労働が年間計1146時間に上った医師もおり、医師の不足や偏在を背景に、24時間対応の総合病院で過酷な労働が常態化している現状が浮かんだ。【加藤栄】

 毎日新聞は今年4~5月に、同病院のほか、「県立こころの医療センター」(同市旭町)と「県立こども病院」(水戸市双葉台3)の県立3病院に対して、勤務医の時間外労働に関する記録を県条例に基づき情報公開請求した。

 開示された時間外勤務実績によると、17年度に県立中央病院で勤務した医師は130人。同病院によると、免許を取ったばかりの研修医や、地域医療支援と研究を兼ねた「寄付講座」で大学から派遣された医師も含まれている。

 このうち過労死ラインを超える月があったのは23人だった。診療科別にみると、整形外科が4人(全体8人)で最も多く、産婦人科3人(同10人)、循環器内科3人(同9人)、麻酔科医3人(同9人)--と続く。最も多かった医師は整形外科医で、年間累計は1146時間。10カ月で過労死ラインを超えており、138時間を記録した月もあった。勤務時間はタイムカードではなく、自己申告に基づき算出しているという。

 同病院は2次救急に指定されており、24時間対応するため、夜間も当直体制を敷いているほか、緊急手術が必要な場合に呼び出す「オンコール」の制度も実施している。特に整形外科は交通事故などに伴う緊急手術のほか、入院患者の包帯の交換などで勤務が長引きやすいという。

 労働基準法では、労使協定を結んで労働基準監督署に届ければ、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働が認められる。同病院の協定では「月60時間、年540時間未満」まで認められるが、64人にこれを超える月があった。

 一方、県立こども病院は2人が過労死ラインを超える月があった。こころの医療センターはゼロだった。

 県立中央病院の担当者は「大きな問題と考えている。医師不足の一方で、医療の高度化に伴い仕事が増えている。作業補助者を増やすことで負担軽減を図りたい」としている。



http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2018053002000120.html
社説
医師の偏在対策 都道府県は腰を据えよ
 
2018年5月30日 中日新聞

 地方は医師不足が深刻だ。都市部などに医師が集まる偏在が問題となっている。その対策を盛り込んだ医療法などの改正案が国会で審議されている。対策を担う主役となる都道府県の責任は重い。

 医療は生活に不可欠だ。医師はそれを支える重要な存在であり、医師がいなくて必要な医療が受けられなければ地域は成り立たなくなる。地方ではその問題に直面している。

 医師は約三十二万人いる。大学医学部定員枠を広げてきたことで増えてきた。これからの人口減社会を考えると医師数を増やすことには限界がある。

 問題は、専門的な医療に携われる都市部に集中していることだ。地方間にも偏在はある。都道府県別の人口十万人当たりの医師数は最多の徳島県や京都府と最少の埼玉県では二倍の開きがある。同じ県内でも地域で違う。診療科も産科、外科が少ないなど偏りがある。

 実は医師の四割が地方で働く意思がある。二十代では六割になる。大学医学部の入学者で地元出身者は卒業後もその地域への定着率は高い。一方で、労働環境やキャリア形成への不安が定着を阻んでいる。こうした不安を取り除き、地方勤務に魅力を感じられたら地域で働く医師を増やせる。

 厚生労働省の解消策は、国がデータを基に偏在の「見える化」をする。都道府県がそれを活用し「医師確保計画」を作る。それに基づき地域の大学医学部に対し、地元出身者の入学枠や、地域で一定期間働くことを条件に入学できる「地域枠」の設定を要請できる。卒業後の研修先を決める権限も国から都道府県に移す。

 偏在解消の役割を都道府県に託すことで対策を進めることを狙う。地方が権限を持ち主体的に取り組むことは当然である。

 自治体の力量が問われるが、人材育成など課題が残る。医療関係者との協議での調整力を持ち、県域を超えた連携などを実現する人材が不可欠になる。都道府県はその責任の重さを自覚してほしい。人材確保に国も支援すべきだ。

 医師が働きやすい環境整備も求められる。働き過ぎ防止のための交代派遣や周囲の医師の相談支援、出産・育児などへ配慮した勤務形態の実現などにも取り組む。こうした支援も都道府県の役割は大きい。個々の医師のニーズに応える目配りが必要だ。

 医療関係者も地域医療に責任を持っている。その魅力を若い医師に伝える努力をしてほしい。 



http://president.jp/articles/-/25266
連載 先見力の授業 AI時代を勝ち抜く頭の使い方
マスコミが「外科医不足」を報じない事情
数字で示せる「不都合な真実」とは
 
掛谷 英紀
筑波大学システム情報系准教授 掛谷 英紀
政治・社会 2018.6.1 プレジデントオンライン

今後、数十年のうちに、日本では外科医の数が半数近くまで落ち込むことが見込まれています。なぜ外科医が劇的に減るのか。ハッキリと数字で示せる答えは「女医の増加」です。女医が増え続けている一方、外科を選ぶ女医は極めて少ないため、診療科に偏りが生じているのです。しかしこうした事実はほとんど報じられません。筑波大学の掛谷英紀准教授は「マスコミに頼らず、自分の力で調べることが重要だ」といいます――。(第3回、全4回)
※本稿は、掛谷英紀『先見力の授業 AI時代を勝ち抜く頭の使い方』(かんき出版)の一部を再編集、加筆したものです。

外科医不足が深刻化していることを知っていましたか?
まずはクイズから始めましょう。


今後、数十年のうちに、日本では外科医の数が半数近くまで落ち込むことが見込まれています。外科医がそこまで劇的に落ち込むと見込まれる理由は何でしょうか?

講義でこのクイズを何度か出したことがありますが、仕事がハードだからだとか、医療事故による訴訟リスクがあるなどの答えがほとんどです。たしかに、その影響はあるかもしれませんが、統計的にはっきりした数字を出せる答えがあります。

外科医が今後急激に減るのは、女医の増加が主要因です。以下の議論は、吉田あつし著『日本の医療のなにが問題か』(NTT出版)からの引用です。図1に示すとおり、戦後女医の割合は一貫して伸び続けており、医師に占める割合はかなり大きくなっています。ところが、図2に示すとおり、女医の診療科選択は皮膚科、眼科などに集中しており、逆に外科を選ぶ率は極めて低いのです。この2つの事実を組み合わせれば、今後外科医が急激に減少していくとの予測が導かれます。

吉田氏の著書によると、この事実は「医師の間でひそかに語られている」だけで、表には出てこないとのことです。なぜ、表には出てこないのか。ここではあえて書きませんので、皆さんでその理由を考えてみてください。
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胎児の染色体異常の出生頻度は
続いて、もう1つクイズを出しましょう。


45歳で出産する場合、25歳で出産する場合と比較すると、染色体(遺伝子)異常児の出生頻度は何倍になるでしょうか?

A 2倍
B 5倍
C 10倍
D 20倍
E 50倍

この質問を講義ですると、よく出てくる答えはA、B、Cあたりです。しかし、正解はEです。図3は染色体異常の1つであるダウン症の母体年齢別出生頻度です。このように、指数関数的な上昇が見られます(他の染色体異常も同様に指数関数的に増加します)。そのため、25歳と45歳では大きな差が生まれます。過去40年の間に出産年齢の高齢化が進んでいます。1975年には第一子出産の平均年齢は25.7歳でしたが、2014年には30.6歳になっています。ダウン症の子供が生まれる頻度は25歳では0.08%、30歳では0.12%で、リスクは5割増しなのですが、このことはあまり知られていません。

福島第一原発の事故の後、放射性物質の拡散が胎児に与えるリスクが盛んに報じられました。しかし、放射線によって胎児の染色体異常発生の確率が有意に上昇するのは、100ミリシーベルト以上被曝した場合であることが疫学調査で分かっています。

もちろん、今後標本数が増えると、それ以下でも統計的有意差が出る可能性はあります。ただ、これまで広島・長崎やチェルノブイリなど、相当数の標本があった中で有意差が出ていないということは、今後標本が増えて有意差が出るとしても、確率がたかだか数%上昇する程度の影響でしかないことは既に確定的に言えます。その数%のリスクで大騒ぎしている人が、ダウン症の5割増しのリスクには口を閉ざすのがこの世の中です。

こうした情報の偏りが、人々に間違った判断をさせていることがあります。たとえば、2012年5月17日、読売新聞は妊娠を先延ばしにする妊婦についての記事を掲載しました。その記事によると、いわき婦人科で行ったアンケート調査の結果、福島の不妊治療中の女性(27~46歳)の約7割が「放射線被曝の心配をせずに妊娠・出産できるのは『3年以上後』」と回答したそうです。また、50人中40人が「今後の妊娠・出産で被曝を心配する」、50人中21人が「周りに被曝を心配して妊娠を控えている人がいる」と回答したとのことです。高齢出産のリスクについて知っていれば、この判断が非合理的なことはすぐにわかるはずです。3年待つことのリスクが、放射線のリスクをはるかにしのぐからです。

高齢出産には、胎児の染色体異常以外にも、自然流産率の上昇、不妊の割合の上昇、体外受精の成功率低下など、様々なリスクを伴います。こうした高齢出産のリスクに関する情報は、一般にはほとんど知られていません。本来ならば、中学校の保健体育で教えるべき高齢出産のリスクを、学校で一切教えてこなかったからです。なぜ、こうした大事なことを学校で教えないのか。その理由についても、ぜひご自分で考えてみていただければと思います。

日本の大学では、最近中国人留学生が増えています。私も研究指導や演習などを通して、多くの中国人留学生を指導してきました。そこでいつも聞くのが、天安門事件を知っているかです。せっかく言論の自由がある国に来たのですから、今まで検閲で遮断されていた情報を知ってもらおうという意図です。

検閲がある以上、知らない学生が多いと思っていたのですが、聞いてみるとほとんどの学生が知っていると答えました。どうやって情報を入手したかと聞くと、天安門事件の動画が入ったUSBメモリを回して見ているとのことでした。

ある時、中国人留学生とそういう会話をしていると、横から日本人学生がこう聞きました。「天安門事件って何ですか。」それをきっかけに、多くの日本人学生に天安門事件を知っているか聞いてみたのですが、名前は聞いたことがあるという学生はそれなりにいるものの、事件の内容まで知っている日本人学生はほとんどいないことが分かりました。

中国人学生は、マスコミや学校の先生が大事な情報を隠していると知っています。だから、真実を知ろうと思って自分でいろいろ調べるわけです。一方、日本人学生は、マスコミや学校の先生を信じていて、大事な情報は漏らさず教えてもらえると思っている。そのため、自分で調べようとしないのです。

これはある意味恐ろしいことです。マスコミや学校に対する信頼が著しく高い社会では、それらの情報発信源さえ特定の思想に染め上げてしまえば、出版物やネットの検閲がなくても、中国よりもはるかに強固な情報統制社会が実現するのです。

今回紹介した例から分かる通り、現実にマスコミや学校が人々の人生にかかわる大事な情報を伝えないこともあります。ですから、マスコミや学校の先生の言うことだけに頼って生きてはいけないのです。

本来、学校教育で一番大事なことは、そうした健全な懐疑の精神を身に着けさせることです。ところが、その肝心な知的態度が今の日本人学生には身についていません。私は、自分の講義で必ず言うことがあります。「ぼくの言っていることもウソかもしれないから、後でちゃんと自分で調べて、自分で考えるように」。みなさんも、ぜひ実践していただければと思います。

掛谷 英紀(かけや・ひでき)
筑波大学システム情報系准教授
1970年大阪府生まれ。93年東京大学理学部生物化学科卒。98年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程修了。博士(工学)。通信総合研究所(現・情報通信研究機構)研究員を経て、現職。専門はメディア工学。NPO法人「言論責任保証協会」代表。著書に『学問とは何か 専門家・メディア・科学技術の倫理』『学者のウソ』など。近著に『「先見力」の授業』(かんき出版)がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605448
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承
2020年度と2021年度は現行範囲、2022年度以降は減員に向け議論
 
レポート 2018年5月28日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「第6回医療従事者の需給に関する検討会」(座長:森田朗・津田塾大学総合政策学部教授)は、その下部組織に当たる「第21回医師需給分科会」(座長:片峰茂・前長崎大学学長)との合同会議を5月28日に開催し、同分科会による第3次中間取りまとめ(案)を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医学部定員について、2020年度と2021年度は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」にし、2022年度以降は、「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とする内容だ。医師の需給を推計、将来的には需給が均衡することを前提としている(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。第3次中間取りまとめ(案)は、5月21日の医師需給分科会で了承していた(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。

 森田座長は会議の最後に、今回の取りまとめの経緯について、「医師の働き方改革についての結論がまだ出ない段階で、暫定的に医学部の定員を早く決める必要があった」と述べ、「将来的な方向性については、人口減が進む中で、現実的なものだと考えている」とコメント。その上で、「ミクロの議論については、さまざまな意見がある」とし、医師偏在対策について引き続き議論していくとした。

 医師需給分科会の「第2次中間取りまとめ」を基に、医師偏在対策を盛り込んだ医師法・医療法改正法案が今通常国会に提出されている(『「医師少数区域」勤務の認定医師、専門医取得の支援も検討』などを参照)。「医師少数区域」を設定し、対策を講じることなどが対策の柱であり、医師需給分科会では法案成立後、具体的な施策の検討に入る予定。

 さらに、医師需給は医師の働き方改革とも関連するため、2018年3月に最終的な結論を得ることになっている医師の時間外労働規制等、2019年12月公表予定の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2018年12月分)の結果などを踏まえ、2022年度以降の医学部定員の在り方についても議論する。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「通常は2年くらい前までに議論して方向性を出すため、2022年度の医学部定員については、2020年5月くらいには結論が必要。2019年のしかるべきタイミングに、医学部定員に関する議論を再開する」と説明した。

 構成員からは第3次中間取りまとめ(案)に関する異論は出ず、今後の議論のスケジュールや内容について幾つかの意見が出た。

 順天堂大学学長の新井一氏は、前全国医学部長病院長会議会長の立場から、第3次取りまとめの内容を迅速に大学等に周知することを要望。日本病院会会長の相沢孝夫氏は、第3次中間取りまとめで「定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべき」と求めていることから、今後の検討スケジュールについて質問。その答えが前述の武井課長の発言だ。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医師需給に関係する医師の働き方改革において、他職種へのタスクシフティングが進められると想定されることから、薬剤師などの需給の議論についての進捗を質問。厚労省医政局医事課は、理学療法士と作業療法士について、「1年前に需給推計の方法まで議論したが、今は止まっている。適切なところで議論を再開したい」と回答。同局看護課長の島田陽子氏は、「看護職員の需給推計は、医師の需給推計と考え方を揃えるということで中断していた。医師と同じ前提での推計が可能になったので、看護職員についても議論を再開したい」と答えた。

 医師偏在対策、総合医数の設定求める声も

 第3次取りまとめでは、「マクロの医師需給が均衡することは、必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することを意味しない」と記載。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「今後、医師少数区域などの議論が進む。国全体としての基準を示すことは必要だが、各地域の医師不足の実感を反映して、関係者の意見を集約しないとうまくいかない」と指摘。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、「病院医療の現場では、まだ医師不足が続いているのが現実。ミクロの部分を各都道府県でしっかり対応していくことが必要」と述べた。

 総合医(総合診療医)も議論になった。聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、効率的に医療を提供するため、臓器別専門医と総合医の割合を推計することを提案。日本精神科病院協会会長の山崎学氏も、総合医が地域包括ケアシステムの中心になるべきとし、総合医養成のほか、卒後の臨床研修と専門研修を併せて検討し、医師が地域に残る仕組み作りの検討を求めた。一方で、釜萢氏は総合医を養成する趣旨は「理解する」としたものの、卒後すぐに総合医の道に入るのではなく、専門領域にかかわらず、日医が実施するかかりつけ医研修などを受けて、幅広い診療能力を涵養するという道筋がふさわしいとした。

 医師偏在対策、総合医数の設定求める声も

 今後の医学部定員について、相沢氏は、「2040年頃には、人口が40万~50万人くらいになる県が出てくる」と述べ、まず医療提供体制の将来をしっかりと議論した上で、医師需給を推計する必要性を指摘。また人口が40万~50万人の地域では、「1県1大学(医学部)」を運営することが難しくなってくると見通した。釜萢氏も、「若年人口が減少してくる中で、医療従事者数を大きく増員するのは、極めて厳しい状況になることを、今後の議論の基礎、共通認識としておく必要がある」とコメント。

 山崎氏は、「ここ10年、15年は高齢者が増えてくるので、医療ニーズは増えてくるので、それほど急減に減らすと混乱のもとになる」と慎重な検討を求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=20778
2020・21年度の医学定員は全体で現状維持、22年度以降は「減員」―医療従事者の需給検討会 
2018年5月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2020・21年度の医学部入学定員は「暫定措置」として現状を概ね維持し、2022年度以降については「医師の働き方改革」や「医師偏在対策」の結果などを踏まえ、「減員」に向けて定期的に検討していく—。

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」(以下、検討会)と、下部組織の「医師需給分科会」(以下、分科会)は5月28日に、こういった方針を盛り込んだ「第3次中間とりまとめ」を大筋で了承しました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 遅くとも2033年以降は医師供給が過剰に、2020・21年度は全体で現状を維持
2 医師供給過剰を踏まえて、地域の状況に配慮した上で、2022年度以降は「減員」方向

遅くとも2033年以降は医師供給が過剰に、2020・21年度は全体で現状を維持

 厚生労働省は今般、▼高齢化の進展による医療ニーズの増加▼人口減少に伴う医療ニーズの減少▼医療提供体制の再構築(地域医療構想の実現)▼医師の高齢化▼医師の働き方改革等による業務の効率化▼ICT・AI等の活用による医師の業務効率化▼性・年齢に基づく「医師の仕事量」—などさまざまな要素を考慮し、将来の医師需給について精緻な推計を行いました。

もっとも「医師の働き方改革」については、検討会(医師の働き方改革に関する検討会)の議論がまとまっていないこと、ICT・AI等の活用については技術が今後も進展していくこと、などから一定の仮定を置いたものとなっています。それによると、「2018-33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

【医師の需要がもっとも大きくなるケース1】(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)
→2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要が中程度となるケース2】(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)
→2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要がもっとも少なくなるケース3】(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)
→2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる

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医師需給分科会3 180412

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医師需給分科会2 180412
 
 検討会および分科会では、こうした見通しを踏まえて「将来的に、医師の養成数、つまり医学部の入学定員を『減員』していく」方向性を確認しています。

ただし、「医師の働き方改革」については、「医師の働き方改革に関する検討会」の議論が2019年3月まで続くこと、さらにクローズアップされている「医師偏在」対策を規定した医療法・医師法等の改正案が、現在、国会で審議中であること、などを踏まえ、▼2020・21年度▼2022年度以降―に分けて、医学部入学定員に関する考え方を示しています。

まず、前者の「2020・21年度」については、▼近い将来、医師供給が過剰になる(上述)▼すでに過去最大級の医学部入学定員の増員を行っている―ことを踏まえ、「暫定的に現状の医学部定員を概ね維持し、各都道府県・各大学の要望は、2019年度の医学部定員を超えない範囲で慎重に精査する」ことを示しています。

この方針をもとに、2020・21年度における各大学医学部の入学定員が設定されます。現在の高等学校2年生が、2020年度に医学部に入学することとなり、進路決定などに支障が出ないよう、早急に調整が行われます。

医師供給過剰を踏まえて、地域の状況に配慮した上で、2022年度以降は「減員」方向

後者の「2022年度以降」については、▼「医師の働き方改革に関する検討会」の意見(2019年3月予定)▼医師偏在対策の効果(直近では、2019年12月に示される「2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査」結果)—を踏まえて検討することになります。ただし、「働き方改革」や「偏在対策」については、一気に課題が解決するわけではなく、時間をかけて徐々に改善が進んでいきます。また、前述したICTやAIの技術はめまぐるしく進展していくと予想されます。このため、検討会および分科会では「医師養成数(医学部入学定員)について定期的に検討していく」ことを確認しています。

また「減員」の方向は示されているものの、「地域別・診療科別の偏在」をいう現実から目を背けることはできません。検討会および分科会では「地域間で医師偏在がある場合には、地域枠のニーズは残る」点を強調しています。

5月28日の検討会・分科会では、こうした方針に異論は出ていませんが、「2022年度以降の議論」に対する注文が数多出されました。

例えば「減員」の方向について加納繁照構成員(日本医療法人協会会長、検討会の構成員)は、「地域別・診療科別などミクロに見ていけば、医師が不足しているところもある。今後、医療ニーズを定期的に見直し、ミクロにおいて医師の適正配置がなされるようにする必要がある」旨を強調。

地域偏在を是正する方策として「地域枠」の重要性が指摘されます。この点について新井一構成員(前全国医学部長病院長会議会長、分科会の構成員)は、「地域枠の学生は一般の医学部生よりも優秀である、との報告もある」ことを紹介し、地域枠の重要性を再確認。その上で、「各大学にアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)があり、それを無視した、都道府県等からの『地域枠を設け、拡充せよ』との要請は好ましくない。大学には、それぞれ使命があり、意思を確認したうえで地域枠等を進めていく必要がある」と述べています。地域枠については、現在「臨時の定員増」の中で設定されていますが、分科会では「恒久定員の中に盛り込む」方向も出ています。全国医学部長病院長会議では、この点についても「各大学の意思を尊重すべき」と要請しています(関連記事はこちら)。
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当面の医学部入学定員
 
また、山崎學構成員(日本精神科病院協会会長、検討会の構成員)や釜萢敏構成員(日本医師会常任理事、検討会の構成員)は、地域においては「幅広い領域を診れる医師」(総合医)のニーズが高いことを改めて強調。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長、分科会の構成員)は「専門医と総合医の適正比率(いわば黄金比)を国が示す必要がある」と提言しています。

さらに荒井正吾構成員(奈良県知事、検討会の構成員)は、▼医師養成を独立して議論するのでなく、医療を「産業組織」として捉え、さまざまな要素を含めて「最適化」を図る視点を持つ必要がある▼医師需給の前に「医療需給」を客観的に把握する努力をする必要がある▼ミクロ(地域別)の「医療需要」を客観的に図る手法(例えば、地域のニーズとウォンツを図り、後者が前者を上回る場合には「医療需要が過大」と判断する、など)を開発する必要がある解を図る必要ある▼医師が果たさなければならない役割の明確化、医療従事者の業務分担、医療行為の標準化・適正化などを行った上で「医師の能力の最適配分」を考える必要がある―と提言しています。

このうち「医療従事者の業務分担」(タスク・シフティング)については、検討会の下部組織である「看護職員需給分科会」と「理学療法士・作業療法士需給分科会」が近く再開され、それぞれの需給について検討を行いますが、今村聡構成員(日本医師会副会長、分科会の構成員)は「我が国は先進諸国に比べて薬剤師が多い。しかし、必要とされる病院の現場に勤務する薬剤師は少ないという。この点も検討すべきではないか」と提案しています。

なお、相澤孝夫構成員(日本病院会会長、検討会の構成員)は「地域の人口が大きく減少していく中では、『今後とも、医学部できちんとした教育がなされるのか』という視点・議論が欠かせず、『1県1医大構想』も見直していく必要性があるのではないか」と指摘し、今後の急速な変化を踏まえて、検討会・分科会でも「短いスパンで議論していくべき」と訴えています。

 今後の検討スケジュールについて詳細は固まっていませんが、「2020年度以降の医師養成」に関する議論は、早くとも「働き方改革」の方向が明確になる2019年3月以降になりそうです。

また「医師不足地域か否か」を判断するための指標論議については、国会における医師法・医療法改正案の成立を待つ必要があり、今夏から今秋以降になると予想されます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605304
シリーズ 安倍政権の医療制度改革
「地域別の診療報酬は“伝家の宝刀”」、荒井奈良県知事
社会保障制度改革推進会議、地域医療構想と国保改革を議論
 
レポート 2018年5月28日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会保障制度改革推進会議(議長:清家篤・慶應義塾大学商学部教授)が5月28日に開催され、地域医療構想や国民健康保険改革の進捗等について議論、国保改革の取り組みを紹介した奈良県知事の荒井正吾氏は、「受益と負担を総合的にマネジメントしていく」と説明、受益と負担が均衡しない場合、「地域別の診療報酬設定の活用は、最終的な選択肢の一つ」と説明した(資料は、内閣府のホームページ)。

 荒井知事は、「診療報酬の引き下げありき、という政策ではない。むやみに“伝家の宝刀”を抜くことはしないが、法律で規定された権能であり、抜けないのもおかしい。どんな時に刀を抜くべきか、法律の趣旨をいかに解釈するかが重要」と述べた。地域別の診療報酬設定は、「高齢者の医療の確保に関する法律」に規定された権限であり、診療報酬の1点10円という単価を変更できる規定。都道府県の申請を受け、最終的には厚生労働大臣が定める。

 国保の都道府県単位化は、2018年度から全国でスタート。奈良県では、2018年度には国保の赤字補てんのため一般会計からの法定外繰り入れを解消、2024年度には各市町村で異なる保険料水準の統一を目指す。その実現に向け、(1)医療費適正化の推進、(2)国保事務支援センターの設置、(3)国保事務共同化の推進――を3つの施策の柱に据える。医療費適正化では、後発医薬品の普及推進、医薬品の多剤投与・重複投与の適正化、糖尿病性腎症の予防、レセプトデータやKDB(国保データベース)を活用した医療費分析と分析結果の具体的活用――などに取り組む方針。

 慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏は、「地域別の診療報酬については、賛否があると承知している。法定外繰り入れが解消され、保険料の県内統一という大前提が達成された後に、受益と負担の調整方法として、保険料をアップするか、地域別の診療報酬を“伝家の宝刀”を使うのかを判断するのだろう」と受け止めた。「負担には限界がある。給付について国が決めれば、その負担はするものだと考えるのは問題。負担できる限界に対して、どこまで給付するかという、給付と負担の間でより良いけん制関係を構築することが必要であり、その方法の一つとして地域別の診療報酬があるのだろう」(土居氏)。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、奈良県の施策は、2013年の社会保障制度改革国民会議報告書で提言していることであり、これらを実施しないことには「国保改革が実現できない」と指摘。権丈氏は同会議の委員も務めた立場から、国保の保険料水準統一は重い責任を伴うことであり、地方であっても、都会と同様に、医療を受ける機会を提供できることを保障しつつ、水準統一を進めていくことが報告書の趣旨であると説明した。

 地域医療構想については、茨城県と奈良県の事例が紹介された(『地域医療構想8府県は未設定、医療計画「原則記載」の在宅目標』を参照)。

 安倍晋三首相は、5月21日の経済財政諮問会議で、地域医療構想について、「今年秋を目途に、全国での策定状況を中間報告し、先進事例を横展開するなど、対応方針の策定を後押ししてほしい」と発言している。清家議長はこの発言を引用し、「まさに今日の事例は、大変貴重であり、好事例の横転換を図っていく必要がある」と指摘した。

 「なぜ地域医療構想が進んでいない地域があるのか」という委員の質問に、茨城県の担当者は、「地域医療の崩壊の危機が迫っているかどうかで、進捗状況が決まってくるのではないか」と回答した。



https://mainichi.jp/articles/20180529/ddl/k12/040/032000c
深掘りちば
鴨川市立国保病院再建問題 市と院長「亀田」対決 いとこ同士、市長選のしこり /千葉
 
毎日新聞2018年5月29日 地方版

 赤字が続く鴨川市立国保病院の再建を巡り、市と、同市に本拠を置く亀田総合病院が対立している。病床数を維持したまま約20億円を投じて新病棟の建設を目指す市に対し、亀田病院側は現在の規模を縮小し、近隣の病院とともに新たに作る「地域医療連携推進法人」の元で介護も含めた地域サービスに当たるべきだと主張。人口減のなか地域医療のあり方が問題となるが、対立の背景には昨年の市長選を巡るしこりが尾を引いているようだ。【中島章隆】

 鴨川市立国保病院は戦後間もない1948年、旧吉尾村の無医村解消のため診療所として開設。数次の町村合併を経て73年に現在の場所で70床の市立国保病院となった。海岸沿いの市中心部から約10キロ内陸に入った人口まばらな地域のため、過疎化に伴い来院者が年々減少し、2013年度に経常赤字に転落した。

 施設も築40年を超え、老朽化したことから前市長時代の15年、学識経験者を交えた「国保病院あり方検討委員会」を設置し、病院の再建策を練った。しかし、結論は「施設整備の前提として、医師・看護師の積極的な雇用により収支の改善を図るべきだ」。施設改修は先送りされた。

 流れが変わったのが昨年3月の市長選だった。亀田郁夫氏が国保病院の機能強化を公約に掲げ、現職を破って初当選した。亀田氏は市長就任後直ちに全面改築計画に着手。現施設の南隣に鉄筋3階建ての新病棟(延べ床面積5000平方メートル)を造り、70床全てを個室とする新病棟建設計画を今年3月、発表した。総工費20億円で、20年度オープンを目指している。

 亀田市長は亀田総合病院の亀田信介院長のいとこで、同じ「亀田一族」だが、市長選で亀田病院は落選した現職を全面的に応援していた。亀田病院側は市長が掲げる国保病院の改築計画に猛反発。昨年9月には、亀田院長が「国保病院の建て替えは、現在県が進めている地域医療構想策定のプロセスに反し、負の遺産を残すことが予想される。白紙に戻すべきだ」と国や県、市の関係者に訴えた。

 亀田院長は社会福祉法人「太陽会」の理事長を兼ねる。太陽会は館山市の安房地域医療センターを経営し、昨年から、南房総市立富山国保病院と県内初の「地域医療連携推進法人」を結成する準備を進めている。

 この連携法人は、鴨川国保病院と鋸南町国民健康保険鋸南病院との連携も視野に入れ、安房地域が一体となって、医師や看護師を派遣したり、病床を融通したりする構想を持つ。それだけに、お膝元の鴨川国保病院の離脱は、連携法人の設立に水を差す結果になりかねない。

 亀田市長は国保病院の内陸部という立地を強調し、「大津波が襲った場合、救急体制の拠点になる」と主張。海岸線に施設が集まる亀田病院をけん制する。

 一方、亀田院長は「70床維持なら現在の医師5人では無理。病床利用率も60%以下で、経営的に行き詰まるのは目に見えている。連携法人のもとで介護や在宅支援に特化するなど役割分担すべきだ」と反発している。

市保健医療参与「全国のモデルに」

 鴨川市は鴨川国保病院の整備を含む保健医療行政の総合的な推進を図るため、4月から千葉大付属病院地域医療連携部長の竹内公一医師(51)を非常勤特別職「保健医療参与」に迎えた。任期は1年。亀田病院側と対立している状況を打破するため、医療の専門家を招いた形だ。

 竹内氏は自治医大出身で、国や県が進める地域医療構想の策定に当たり要職を務めてきた。着任後、亀田院長や南房総市立富山国保病院の鈴木孝徳院長と面談するなど、安房地域全体の医療体制整備に向け、ニュートラルな立場を示し、精力的に活動している。

 竹内氏は毎日新聞の取材に「安房地域は人口減少が続く中、医師や看護師が手厚く配置されている特異な環境にある。医療機関の連携により、全国のモデル地域になる可能性もあり、精力的に取り組みたい」と意欲を語った。

 ■ことば
地域医療連携推進法人
 人口減少が進む中、同じ地域にある複数の病院や診療所、介護施設などが役割を分担しながら連携して設置する法人。2015年の医療法改正で創設が可能になった。法人内で病床数や職員などの再配置ができ、患者情報の一元化、医薬品の共同購入などを通じて、効率的な医療・介護体制を整備するのが狙い。今年4月現在、山形、兵庫、鹿児島など6県の6法人が国に認定されている。



https://www.sankeibiz.jp/business/news/180530/prl1805301722133-n1.htm
<医師1,637人調査>「専門医の取得理由やメリット」に関する最新アンケート結果を公表 
2018.5.30 17:22 SankeiBIZ

専門医に関する医師1,637人の最新アンケート

 地域医療への影響の懸念などから1年延期されていた新専門医制度が2018年4月から開始された中、医師向けキャリア支援サービスなどを提供している株式会社メディウェルが、専門医の取得理由やメリットに関する最新のアンケート結果(回答医師数1,637人)を公表しました。

専門医に関する医師1,637人の最新アンケート

 URL: https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 若手医師の9割以上が専門医の取得を目指している状況の中で、医師が取得を目指すことへのモチベーションや、実際に専門医取得後に感じたメリットなど、専門医をめぐる医師の本音が明らかになる内容となっています。

 本調査は、専門医のメリットに関する医師への調査として過去最大規模であるとともに、新制度開始前後での医師の意見が反映された最新の調査となっています。

 調査では、医師の専門医の取得理由で最も多かったのが「自身のスキル・知識の向上のため」で、専門医の取得を「自己研鑽」の機会として捉えている医師が多い一方で、実際に取得してからの専門医のメリットについては、「見合っていない」が半数以上を占めており、専門医の取得や維持にかかる費用・労力の負担感が医師にとって大きいことが窺える結果となりました。

 調査の概要については、以下のようになっています。

 ■調査概要
調査内容 : 専門医の取得とメリットに関する医師へのアンケート調査
調査対象 : 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 : 2018年3月20日~2018年5月7日
有効回答数: 1,637件
公開URL : https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 ■結果の概要
・専門医を取得した理由は「自己研鑽」が最多で7割以上が挙げていた。
・専門医取得後のメリットは「自己研鑽」を除くと、「特にない」が28%と最多だった。
・専門医の取得や更新の労力・コストに対するメリットは「見合っていない」が53%と半数以上を占めた。
・他の医師を評価する際には6割以上が「専門医の有無は参考になる」と回答した。
・専門医以外に自身のキャリアアップや他の医師の評価において重要視していることで、多かったのは「他の医師からの評判」「経験年数」「症例数」だった。
・自由回答では専門医のメリット・デメリット、専門医のスキルとしての指標の是非などについて医師間で意見が分かれた。診療報酬に反映して欲しいという声や、制度・運営上の問題を挙げている意見も多く見られた。

 ■専門医制度・運営に関する自由回答(一部)
・申請料が高すぎる、学会参加誘導しすぎている
・専門医の維持は、権力とお金の維持でなく、専門医個々の経験と実力の維持であるべき。専門医から見て、専門医機構は何をしたいのか全く分からない。
・新専門医制度は迷走していて研修医が振り回されすぎ今のままで問題ない。機構は即刻解体すべし
・労力に見合う対価、インセンティブがあるべき。学会のお偉いさんの集金手段になっている新制度もあらたな利権が生まれるだけで、医師にも患者にもメリットがない。
・専門医更新において専門医機構の介入があったことで、単位の取得が以前より複雑かつ手間が多くなった。既に学術集会でもそちらに気を取られ、聴講する議題がそれに左右されて、本末転倒となっている現状に辟易している。

 株式会社メディウェルでは本調査の結果を受け、専門医をめぐってキャリア上の不安や不満を抱えている医師一人一人に対して、新たな選択肢の提案など、より一層のキャリア支援に取り組むべく邁進してまいります。

 本調査の詳細に関しましては以下のURLをご参照ください。
https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/

 ■引用・転載時のお願い
・本調査結果の引用・転載時には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記をお願いいたします。

 ・WEB上での引用・転載を行なう場合には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記と、引用元のURL( https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-medical-specialist/ )へのリンク付与をお願いいたします。

 ■サービス・会社概要
【医師転職ドットコム】
URL : https://www.dr-10.com/
サイト概要: 2004年より運営している会員数35,000人以上の医師向け転職支援サイト

 【会社概要】
企業名 : 株式会社メディウェル( https://www.mediwel.net/ )
所在地 : 〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西5丁目2番地 興銀ビル9階
事業内容: 医療機関を対象とした経営コンサルティング事業、
病院経営に関する情報発信、
医療従事者の紹介事業、医療関係職員の研修、
セミナー並びに各種イベント企画、立案
代表者 : 代表取締役 中村 知廣



https://www.m3.com/news/iryoishin/605677
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「医師の働き方、ベテランと若手で意識に差」
自民・医師の働き方改革PT、四病協と全自病にヒアリング
 
レポート 2018年5月29日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 自民党の厚生労働部会「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」は5月29日、四病院団体協議会と全国自治体病院協議会へのヒアリングを実施した。会議後、座長を務める参議院議員の羽生田俊氏は、「意見はかなり出尽くしている」とし、「若手とベテランの医師では、考え方や意識の違いがあり、この辺りをどう考えるかが大きな問題」との認識を示した。

 さらに「病院や地域によっても異なるため、『医師の働き方』として一括りにすることができるのか」とも述べ、現状の問題は明らかになってきたものの、その解決策を見いだすのは容易ではないと示唆した。

 次回の医師の働き方改革PTでは、全国医学部長病院長会議と日本私立医科大学協会へのヒアリングを行う。さらに次回以降、若手医師の意見も聞く方針。


 5月10日の会議では、日本医師会へのヒアリングを実施している。また羽生田氏自身、直近では秋田県と新潟県を視察したという。医療者から出てくる意見として、仕事と自己研鑽との関係、宿日直の定義とその扱い、労働時間をどのように把握するかなど。「時間外の自己研鑽でも、上司から命令された場合には時間外労働に含め、自らが実施する場合には含めない、といった考え方も出ている」(羽生田氏)。

 さらに羽生田氏は、「また医師の働き方改革をめぐる議論は現在進行中であるため、労働基準監督署の立入調査は、『少し考えてもらいたい』というのが、(厚労省)医政局の立場。一方、労働基準監督署は、医療機関に集中的に調査しているわけではないが、情報が入ってくると労基署は法律に則って、行かざるを得ない状況」と現状を分析した。

 四病協は、加藤勝信厚労相に4月18日に提出した「医師の働き方改革」についての要望を説明、「医師の働き方については、医師の労働の特殊性を明確にした上で、現行の労働法制とは異なる医師労働法制を制定する」ことなどを求めた(『「独自の医師労働法制」を要望、四病協』を参照)。

 全自病は、2017年7月から8月にかけて会員病院を対象に実施したアンケートを基に、医師の働き方の実態を紹介(『上限規制で「手術、年4000件を半減する必要」の病院も』を参照)。「医師に対する時間外労働の上限規制の適用が、地域医療の崩壊を招くことにならないよう、慎重な検討が必要」と要望。労基署に対しては、さまざまな諸課題が検討会で議論されているところであるため、謙抑的に対応するよう要請した。


  1. 2018/06/03(日) 10:08:07|
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Google Newsでみる医師不足 2018年5月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年5月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 8,250
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 17,900
First 5 in Google in English 


Residency Programs, Internet Offer Hope for Doctor Shortage
U.S. News & World Report - June 2, 2018, at 2:01 a.m.(米国、アイダホ州)

With just one practicing physician, Lincoln County is one of seven counties in south-central Idaho that's a federally designated Health Professional Shortage Area (HPSA) for primary care physicians. And it's not just the Magic Valley —a recent report by the Association of American Medical Colleges placed Idaho 49th in the nation for the number of physicians per capita.


With physician shortage looming, hospitals turn to telehealth tools
Healthcare Finance News - 2018/06/01 (米国)

Telehealth is beginning to mature as a viable arm of the healthcare industry, and it couldn't be happening at a better time. Thanks in part to an aging baby boomer population, many experts are predicting a physician shortage in the coming years -- one that can be addressed through telehealth technology, which allows doctors and specialists to be anywhere, anytime.


How Hope is avoiding the rural doctor shortage
Hope Standard - 2018/06/01 (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

With rural communities facing shortages as doctors retire without anyone to take their place, Hope has found a formula where not only are doctors coming here and staying here, they are also expanding their services up the Fraser Canyon.


New grads offer hope during local doctor, psychiatrist shortage
WBAY - 2018/06/01 (米国 ウィスコンシン州)

It's viewed as a step to address a doctor shortage in Wisconsin and keep doctors in the Badger State. "We know that when you build a campus in a region, students will come back and practice," said Dr. Matthew Hunsaker, Dean, Medical College of Wisconsin-Green Bay. "The historical data in Wisconsin shows about 80 percent of the students who do both medical school and practice in the area return to the area."


Fiji in talks with Australian uni to plug doctor shortage
Radio New Zealand - 2018/05/29 (ニュージーランド/フィジー)

Fiji is in talks with a university in Australia to recruit experienced doctors. The Fiji Times reports a recruitment campaign is underway to counter the country's doctor shortage. The Permanent Secretary for the Civil Service, Bernadette Welch, told the newspaper an international recruiter was assisting in the search for doctors.


(他に10位以内のニュースは、カナダ、米国、アラバマ州、アイダホ州(2)、からも)



  1. 2018/06/03(日) 10:02:16|
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5月27日

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-05-26/2018052605_03_1.html
医師不足の実態深刻
倉林氏“健康のため増員を”
参院厚労委
 
2018年5月26日(土)しんぶん赤旗

 日本共産党の倉林明子議員は17日の参院厚生労働委員会で、医師の人員不足と長時間労働の問題を取り上げ、医療の安全と医師の健康のために診療報酬引き上げと増員を求めました。

 経済協力開発機構(OECD)調査で、日本の人口1000人当たりの臨床医数は加盟国の下から4番目、病床100床当たり医師数でイギリスは日本の7・5倍、フランス、ドイツは3・7倍です。武田俊彦医政局長は、「日本は諸外国より病床数が多い。近年、医学部の定員を増やしている」などと言い訳しましたが、医師不足を否定できませんでした。

 倉林氏は、フランスの医師は、週の労働時間が48時間、当直後24時間休息の義務付けとなっていると紹介し「これが目指すべき医師の働き方ではないか」と指摘。厚労省が2028年には医師数が充足すると推計していることについて「時間外・休日労働も含めて推計しているのか。多くの医師は労働時間が自己申告制で正確ではない。推計をやり直し、医師を増員すべきだ」と主張しました。

 加藤勝信厚労相は「医師の養成数、時間外労働など、医師の働き方改革に関する検討会での議論を踏まえていく」と述べました。



https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201805/0011296023.shtml
医師不足、赤字穴埋め限界に 三田市民病院再編へ 
2018/5/26 21:30神戸新聞NEXT

 三田市民病院(兵庫県三田市けやき台3)の他病院との統合・再編に向けた動きが、徐々に進んでいる。経営に民間の視点を持ち込んだり、病院の規模を拡大したりして、国主導で公立病院の経営を効率化する動きが加速しているためで、三田でも2018年度中に一定の方向性が決まる見通しだ。

 ■集まらない医師
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3092965024052018L21000/
新潟県村上市、医師不足解消へ新たな奨学金
北関東・信越
 
2018/5/24 23:00 日本経済新聞 

 新潟県村上市はこのほど、地域の医師不足解消を目的とした医学生向けの新たな奨学金の貸与を始めた。2018年度から実施を始めた制度で、将来市内の病院に医師として一定期間勤務した場合は返済を免除する。初年度はまず私立大学生1人を対象に、月30万円の修学資金を無利子で貸与する。

 新たな奨学金制度は村上市内で医師として勤務する意思を持っている人が対象で、国立大学、私立大学の学生にそれぞれ月額15万円、30万円を貸与する。19年度の貸与対象者は今年12月から来年2月頃に若干名を募集する予定だ。

 臨床研修後の12年以内に、市内の病院で4年間勤務すると資金の返還が全額免除になる。市の担当者は「免除要件が過ぎた後も長期間、村上市で活躍し続けてほしい」と話している。

 新潟県内の人口当たり医師数は全国平均を大幅に下回り、村上市は県平均よりも水準が低い。

 新たな奨学金を通じて将来の医師確保につなげる。



https://www.kahoku.co.jp/editorial/20180525_01.html
医学部定員減へ/医師偏在の解決が先決では 
2018年05月25日金曜日 河北新報

 厚生労働省が全国の大学医学部の定員を削減する方向性を打ち出した。医療従事者の需給に関する検討会の専門部会が2022年以降、定員を削減する方針を承認した。
 医学部定員は06年にそれまでの抑制策から増加策に転じた。その後も地域の医師確保の観点から定員の増加を図ってきた。しかし、東北地方をはじめとして、地方の医師不足の問題は、なお解消には程遠いのが現状だ。
 削減を議論する前に、地域医療を充実させる具体的かつ実効性のある方策を実現に移すのが先決ではないか。医師の地域的な偏在だけでなく、診療科における偏在の問題も残されたままだ。
 地方の医師不足の解消に向けては、国会に医療法などの改正案が提出されている。定員削減を巡る検討は、改正案の成立の後、その実効性が実際に確保されてからでも遅くはない。地域医療に不安を与えるような性急な削減は避けるべきだろう。
 厚労省の推計によると、全国の医学部の定員が現状の約9400人のまま維持されると、28~33年には需給が均衡し、医師不足は解消すると見られる。その後は需給が逆転するため、卒業が28年以降となる22年の入学者から削減する必要があるという。
 確かに、医学部学生の定数は、緊急医師確保対策や学部の新設などで約10年前より1800人近く増えた。近い将来、医師不足が解消するという厚労省の推計は間違っているとは言えない。
 ただ、医師の総数が充足したからと言って、地域間での医師の偏在が容易に解消されるわけではない。現に、厚労省は「医学部の定員が抑制から増加に転じて以降、むしろ地域間での格差が広がっており、その解消が急務」と分析している。
 厚労省のアンケートによると、医師の44%が地方で勤務する意思があると回答。それにもかかわらず、実際には勤務に結びついていない。理由は労働環境や仕事内容の過酷さ、子どもの教育に関する不安などだ。
 改正案は、医師確保のための都道府県の体制強化を中心に、研修病院の指定権限の国から地方への移譲、入学者の地域枠を設定するよう要請する権限の創設など、多様な対策を盛り込んだ。
 目新しいのは、医師不足に悩む地域で一定期間、勤務した医師を「社会貢献医」として認定し、各種の優遇策の対象とする制度の導入だ。効果については賛否があるが、地域医療への貢献の動機付けになり得る新たな制度と言っていいのではないか。
 医師不足に悩む地域の住民はこれまで長い間、都市住民に比べると、健康面での不利益を受けてきた。地域医療に従事する医師など医療従事者の不安を解消し、医療を充実させるさまざまな対策をまずは実行したい。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180524202015
医師の働き方改革、「慎重な検討を」
全自病が厚労省などに要望
 
2018年05月24日 20:40 CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は24日の記者会見で、全国自治体病院開設者協議会と共同でまとめた要望書を、厚生労働省などに提出したことを明らかにした。医師の働き方改革について、医師への時間外労働の上限規制が地域医療の崩壊につながらないよう、慎重な検討を求めている。【松村秀士】

 要望書は、15日に厚労省や文部科学省、総務省に提出された。その中で、国が医師の働き方改革について検討する際は、医師の応召義務と労働量規制との関係についての十分な議論と整理が不可欠だと強調。また、時間外労働規制の課題をクリアするための医師らの増員は「実現が困難」と指摘している。

 その上で、厚労省の検討会などで医師の働き方改革について議論する際は、「慎重な検討」を行うよう要望。さらに、国が医療機関に対して労働時間に関する指導を行う場合、病院で働く医師の勤務実態などを十分に考慮すべきだとの考えも示している。

 医師の働き方改革をめぐっては、厚労省の検討会の会合が6月末ごろに再開される見通しで、今後、医師への時間外労働規制の在り方などの議論が本格化する。

■開業規制と診療科ごとの医師数規制の導入検討を

 要望書には、医師の地域偏在や診療科偏在の解消に関する提言も盛り込まれた。医師の需給調整に必要な開業規制と診療科ごとの医師数の規制の導入を検討し、専門医数の制限や医師不足地域で一定期間勤務することを義務付け、医療提供体制の「均てん化」施策を早急に実行することを求めている。

 また、医師不足を解消するため、女性の医師が出産や子育てなどで休職した後、医療現場に復帰できる「働きやすい環境」の整備も必要だとしている。

■医師の偏在対策などで日医と懇談

 邉見会長は会見で、「医師の働き方改革」や「医師の偏在対策」をテーマに、日本医師会と懇談したことを明らかにした。今後も年に2回程度、意見交換する予定だという。




https://mainichi.jp/articles/20180522/k00/00m/040/053000c
厚労省
医学部定員、削減検討 22年以降 報告書まとめ
 
毎日新聞2018年5月21日 19時31分(最終更新 5月21日 19時31分)

 医師不足の問題を検討する厚生労働省の専門家会議は21日、2022年以降の全国の医学部入学定員を削減するよう求める報告書をまとめた。将来的に医師数が過剰になるとみられるためで、削減幅など詳細は20年までに検討する。

 医師不足問題を受け、国は卒業後地元で一定期間働くことを要件とする「地域枠」を設けるなど医師増員を図ってきた。専門家会議は当面、現行の医学部定員(約9400人)を維持することを認めた。この場合、20年の入学者が臨床研修を終える28年ごろまで医師不足が続くが、その後は需給が逆転すると推測される。

 このため専門家会議は、卒業が28年からとなる22年以降の入学定員は削減する必要があるとの考えで一致した。ただ、全国的には医師数が足りても、地域間や診療科間で偏在が解消されない可能性がある。こうした動向を踏まえて定員削減を議論する。【熊谷豪】



http://www.medwatch.jp/?p=20639
2022年度以降、医学部入学定員を「減員」していく方向で検討を―医師需給分科会 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2020・21年度の医学部入学定員は、トータルで現状を維持したうえで、各都道府県や各大学の要望を慎重に精査していくこととしてはどうか。2022年度以降については、将来的に医師供給が過剰になることに鑑み、医師の働き方改革論議や医師偏在対策の効果を踏まえながら、「減員」に向けて検討していくことしてはどうか―。

 5月21日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方向(第3次中間取りまとめ案)が確認されました(関連記事はこちらとこちら)。近く、親会議「医療従事者の需給に関する検討会」と医師需給分科会との合同会議を開き、そこで正式に取りまとめることになります。
 
ここがポイント!
1精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに
2 2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討
3 総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も
4 地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張
5 2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査


精密な医師需給見通しの結果、2018-33年以降、医師の供給過剰が明らかに

 医師の需給見通しについては、2016年5月の医師需給分科会(以下、分科会)で、地域医療構想に基づき、高度急性期や回復期などの機能ごとに医師の必要数を推計する手法を用いて、「2018年から33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」との結果が導かれました(医師の勤務時間改善状況に応じて、均衡時期がずれる)(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 その後、▼「医師人口ピラミッド」を作成し、医師人口の動態を見ていく(長時間労働の多い、若手医師数の変化などを勘案する)▼最新の調査研究に基づき性・年齢階級別の「仕事量」を勘案する▼医師の働き方改革について一定の仮定を置く(医師の時間外労働を▼一般労働者並みの月60時間とする▼過労死ガイドラインに基づき月80時間とする▼米国の研修医並みの週80時間とする―など)―といった「精緻化」を実施。次のように、やはり「2018-33年頃に医師の需要と供給が均衡し、以降、医師の供給数が過剰になる」ことが分かりました(関連記事はこちら)。

【医師の需要がもっとも大きくなるケース1】(医師にも、一般労働者と同じ時間外労働規制(月60時間まで)を行い、AI等の活用で2040年には業務が7%削減される、などと仮定)
→2033年頃に医師の需給が約36万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には2万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要が中程度となるケース2】(医師の時間外労働規制を、過労死ガイドライン水準(月80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が10%削減される、などと仮定)
→2028年頃に医師の需給が約35万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には3万5000人程度の医師過剰となる

【医師の需要がもっとも少なくなるケース3】(医師の時間外労働規制を、米国の研修医並み(週80時間まで)とし、AI等活用で2040年には業務が20%削減される、などと仮定)
→2018年頃に医師の需給が約32万人で均衡し、以降、医師供給数が過剰となり、2040年には5万2000人程度の医師過剰となる
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2022年度以降、医学部の入学定員を「減員」する方向で検討

 このように「将来的に医師の供給過剰となる」ことが予想される中では、医師の養成数、つまり「医学部の入学定員」を徐々に縮小していくことが必要となるでしょう。

医学部の入学定員については、地方の医師不足・医師偏在を是正する観点から、現在、「恒久定員」(下図の青色の部分)に加えて、臨時の定員増(臨時定員)が行われています。臨時の定員増は、▼医師確保が必要な地域・診療科のための暫定増(下図の黄色の部分)▼地域枠などを設定するための追加増(下図の赤色の部分)—に分けられます。
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当面の医学部入学定員
 
分科会では、「将来の医師供給過剰」を踏まえて、「将来的(2022年度以降)な医学定員の『減員』」に向けた議論の必要性が確認されました。もっとも、▼地域・診療科によっては医師不足が生じる(解消できない)▼AIなどの技術進展により、医師を取り巻く環境が短期間に変化していく—ことから、「定期的に医師需給推計を行い、将来的な医学部定員の『減員』に向けて、医師養成数の方針などを見直していく」ことになります。医師配置の直近の状況(つまり偏在対策の効果)を見ることができる医師・歯科医師・薬剤師調査が2年に一度行われることに鑑み、「2年ごとに見直してはどうか」との指摘も出されています。
この点、前者の医師不足については、「何を持って医師不足と判断するべきか」という論点があります。現在は、「人口10万対医師数」を用いて医師の供給状況を判断していますが、今後はより多面的に、例えば▼医療ニーズ▼将来の人口・人口構成の変化(高齢者が増えるのか、高齢者も減っていくのかなど)▼医師偏在の単位(区域、診療科、入院/外来)▼患者の流出入▼医師の性・年齢(働き方が異なるため)▼へき地や離島等の地理的条件—などを加味した、医師の供給状況を判断するための「指標」を作成することになります。厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、「この分科会で、指標作成に向けた議論をしてほしい」との考えを示しました。当該指標に沿って「医師が不足している」と考えられる地域についてはもちろん、各都道府県が「医師が散在しており、特別の対策が必要ではないか」と判断した場合などには、医師供給に向けた対策をとることが求められるでしょう。

総合医と専門医の必要数を示し、医師の過不足を検討すべきとの指摘も

また、将来の医師需給に関して、神野正博構成員(全日本病院協会副会長)や今村聡構成員(日本医師会副会長)、福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)らは「診療科別の偏在」についても十分に検討する必要があると強調しています。例えば福井構成員は、「今は、医師が自由に専門性を選択できるが、『ジェネラリスト(総合医)とスペシャリスト(専門医)のバランス』を勘案し、コンセンサスを得た上で、一定程度の調整を行っていくことも必要になってくるのではないか」と問題提起。神野構成員も「総合医はこれだけ必要となり、領域別の専門医の必要性はこの程度にとどまります」という数字を「強い偏在対策」として打ち出す必要があると訴えています。

こうした指標の作成や、総合医と専門医のバランスを考慮するためには、すべての医師が「どういった専門性を持ち、かつてどこで勤務し、現在はどこで診療を行っているのか」を明らかにする必要があります。分科会でも、今村構成員や羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)が、いわゆる「医師データベース」の構築を厚労省に強く要望。このためには、例えば新専門医制度を統括する日本専門医機構や各学会の全面的な協力が不可欠となるでしょう。

 
ところで、2022年度以降の医師需給を考えるに当たっては、現在、議論されている「医師の働き方改革」の結論、国会で審議中の「医師偏在対策」(医師法改正案)の効果を踏まえる必要があります。しかし、前者「働き方改革」の結論は2019年3月を、後者「偏在対策の効果」確認は早くても2019年12月(2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査結果)を待たなければなりません。一方、2022年度の医学部入学定員に向けた方針は、遅くとも2020年5月には固めなければいけません。この短い検討時間からは「議論が十分に行えないのではないか」とも思われますが、厚労省は「下準備となる議論を早めに進める」などの対策をとる考えです。

 なお、松田晋也構成員(産業医科大学医学部公衆衛生学教授)は、「若手医師や医学生の声、さらに60歳代、70歳代の医師が今後のキャリアをどう考えているのかという声を調査する必要がある」と、裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は「大学医学部の経営・マネジメントを考えたとき、随時の情報提供を行うことはもちろん、急激な方向転換は避ける必要がある」と指摘しています。

 厚労省医政局の武田俊彦局長は、こうした意見を踏まえ「大学関係者等も含めて『予測可能』な形で、かつ全体像が見え(例えば医師需給と偏在対策は表裏一体の関係にある)、堂々巡りにならないように議論が進むよう努力していく」旨のコメントをしています。

地域枠の恒久定員化、大学医学部は「各大学が自主的に判断すべき」と主張

 医学部定員の「減員」を行う際には、順序として「臨時の定員増」の縮小や廃止をまず考えていくことになるでしょう。

 しかし、臨時の定員増のうち「追加増」には、「地域枠」が含まれており、これをどう考えるのかが大きな論点となります。

 分科会では、これまでに「医師の地域偏在解消にとって地域枠は極めて有用である。地域枠は『恒久定員に含める』形としてはどうか」といった意見が多数出されています。ただし、新井一構成員(全国医学部長病院長会議会長)は、「地域枠の設定は、各大学が判断すべき事項であり、一律に『地域枠を恒久定員に盛り込む』ようなことは避けるべき」との考えを示しています。各大学で「本学では、恒久定員の中で地域枠を設けよう」と自主的に考えるべきとの主張で、「地域枠を恒久定員に盛り込んではいけない」とコメントしているわけではない点に留意が必要です(関連記事はこちら)。

2020・21年度は、現在の定員を維持した上で、各地域の状況を精査

 これまで2022年度以降の医学部定員を見てきましたが、2020・21年度はどうなるのでしょう。2020年度には現在の高等学校2年生、2021年度には現在の高等学校1年生が大学医学部に入学します。

この点について、検討会では「医師の働き方改革に関する結論が出ていない」「医師偏在対策の効果が明らかになっていない(現在、医療法改正案の審議中)」ことなどを踏まえ、暫定的に現状の医学定員を概ね維持する考えを固めています。具体的には、「2019年度の医学定員を超えない範囲で、医学部定員増に関する各都道府県・各大学の要望について必要性を慎重に精査していく」ことになります(具体的な各大学の医学部入学定員は、これから検討)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605066
会長に山下・山形大医学部長、副会長は羽生田・愛知医大病院長、AJMC
「卒前・卒後のシームレスな医師養成で、諸問題の解決目指す」
 
レポート 2018年5月26日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)の新会長に山形大学医学部長の山下英俊氏、副会長に愛知医科大学病院長の羽生田正行氏がそれぞれ就任することが5月25日に決定した。任期は2年。

 AJMCは25日に定例社員総会を開催、任期満了に伴う役員選挙を実施した。全国6つのブロックから推薦された計30人の理事選任を決議。その後の理事会で山下会長、羽生田副会長の選任が決議された。会長推薦候補は、山下氏以外にはいなかった。

 山下氏は、理事会後の取材で、「医学教育を充実することで、医師の地域や診療科の偏在、医師の働き方改革などの問題を解決していきたい。地域医療構想においても、大学の果たす役割は大きく、教育を軸にして社会貢献をしていきたい」と語り、卒前・卒後のシームレスな医師養成に力を入れていくと表明した。AJMCでは、医師養成に関連した長年蓄積したデータ等を有することから、エビデンスを基に、各種提言、対応をしていく方針。AJMC の各種専門委員会の構成や委員の見直しにも着手する。

 羽生田氏は、大学病院が抱える課題として、「医師の働き方の問題は非常に大きい。医師の自己犠牲の上に、医療が成り立っている現実が明らかになってきた」などと述べ、今の局面を乗り切っていく必要性を指摘した。

 山下会長は、「医学教育が非常に大事な時期。医師の卒前教育から卒後の研修まで大改革が進んでいる」と指摘。教育を軸に医療の諸問題を解決していくに当たって、卒前・卒後のシームレスな医師養成、その中での医学教育における臨床実習を充実させる必要性を強調した。「それにより、その後の研修も充実できる。幅広い臨床能力を持った中で、それぞれの専門性を持つような医師を養成していきたい」。

 山下会長は現在、日本専門医機構の副理事長も務める。新専門医制度は医師の地域・診療科偏在の問題と密接に関係するが、「法律で強制的に医師を配置するのではなく、医師が育つプロセスの中で医師の配置を考えていかなければならない。(医師不足などの)地域に医師が定着するためには、循環型の研修で地域にいても専門医が取得できる仕組みが必要」と指摘した。

 地域医療構想についても、「成否は大学をいかに使うかにある」と山下会長は指摘。大学は地域医療をよく知る立場から、実情に合わせた医師派遣を通じて、医療のクオリティー・コントロールができるとし、地域医療対策にも積極的にもかかわっていく方針。



https://toyokeizai.net/articles/-/221256
ピンチ!がん治療の危機を招く「病理医」不足
病気の発見・診断・治療が遅れるリスクを生む
 
小倉 加奈子 : 順天堂大学練馬病院病理診断科先任准教授
2018年05月25日 東洋経済オンライン

今、日本のがん治療が危機的な状況を迎えようとしている。

日本人の死因で最も多いがんの治療には、外科医だけでなく、病気の診断を専門とする病理医の存在も欠かせない。だが、その数が圧倒的に不足しているのだ。

このまま病理医が増えないと、日本の医療の根幹が揺らいでしまう。

■最も不足している「もうひとりの主治医」

昨年、女優の芦田愛菜さんが将来の夢に病理医を挙げて話題をさらったことで、病理医の存在を初めて知った方も多いのではないだろうか。

病理医は、検査で採取された細胞や組織の一部である「病理検体」を顕微鏡で観察して、病気を診断する専門医である。病理医がいる検査室には、頭のてっぺんから足の先まであらゆる細胞や組織が届けられる。

病理診断は病気を確定する最終診断となり、病理診断がないと治療は始まらない。それはがんも同様である。

病理医は、がんの手術で切除された臓器を観察し、ステージを確認する。腫瘍が取り切れているのかどうか、がんがどの程度進行しているのか。こうした視点でも病気の広がりを診断する。手術の方針を決めるための診断も行う。

このように病理医は、患者に直接会うことのめったにない医師であるが、誰よりもその患者の病気を熟知している「姿の見えないもうひとりの主治医」といえる。

だが、病理医は非常に不足しているといわれる。

一般的に病理医を必要とするのは、病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つ「病院」だ。厚生労働省の医療施設調査・病院報告(2016年)によると、病院数は8442。これに対し、病理医数は2405人(日本病理学会調査、2017年10月現在)となり、その差は6037にも上る。

一方で、病理診断件数は増加している。

診療行為の状況を毎年6月に調査する厚生労働省の社会医療診療行為別統計によると、2011年に43万8533件だった病理診断の数は、5年後の2016年には53万948件と9万2千件以上も増えている。単純にこの数を12カ月分で計算すると、年間ベースで100万件以上も増えたことになる。

これは、抗がん剤の開発が非常に進んでいる中、抗がん剤の効き目があるのか否かを病理検査で確認する機会が増えていることが主な理由である。

このようにがん治療において、病理医が大きな役割を担うことが増えているが、がん専門の病理医数は十分とはいえない。

厚生労働省によると、2016年時点でがん診療連携拠点病院に指定されていた400施設うち、50施設で常勤の病理専門医が不在だったという。がん診療拠点病院はいわゆる「大病院」が多い。ところが、その「大病院」ですら病理医を抱えていないという心もとない状況なのである。

■病理医不足は患者にも影響する

病理医が不在の病院は当然、自前で検査できないため、外部の検査センターに病理検体を送る。しかも、わざわざ日常業務以外の時間を割いて別の病院から駆けつけた病理医が診断しているというありさまである。

さらに、検査センターでの診断は歪んだ状況を生んでしまっている。

診断という医療行為は、医師法によって医療施設で行わなければならないと定められている。よって、検査センター経由の病理検査は法律上診断とみなされないが、病理医が不足している現状では、こうした実態を「暗黙の了解」として認めざるをえないのである。

患者にも影響を及ぼす。

検査センターで診断を下す病理医は、依頼主である医師と面識がない場合がほとんどである。こうなると、仮に病理医が診断する上で確認したいことがあっても、医師とうまくコミュニケーションを取れなくなる。

病理診断はかなり専門性が高いため、その内容を病理医と主治医の間で直接ディスカッションする必要が時にある。

筆者が勤める病院では、手術に向けた話し合いを総合外科と週2回行うほか、婦人科腫瘍・皮膚疾患・脳腫瘍・乳がん・肺がん・泌尿器腫瘍・血液疾患の担当医たちとも、治療に向けた話し合いの場を月1回のペースで設けている。

だが、病理医が不在だと、患者の主治医と病理医がさまざまな症例を討議する場すら作れない。

主治医と病理医の連携が取れていないと、病理診断やその後の治療方針などを相談することが難しいといった弊害も起きる。結果、検査に要する時間が長くなり、患者に診断結果を伝えるスピードが落ちる。これに加えて、病院に病理医が不在の場合、手術中に迅速な診断を下せなくなる。

がんの治療は早期発見、早期治療が原則。だが、診断が遅れれば治療も遅れる可能性がある。いわば患者が「病理診断難民」になる恐れがある。

■病理医不足の解消は待ったなし

常勤の病理医が1人しかいない「ひとり病理医」という問題も起きる。病理診断件数が増加し、病理診断の専門性もどんどん高まる中、病理医1人で全臓器、全疾患の病理診断を担うことは負担が大きすぎる。

病理診断は一つひとつまったくケースが異なる。良性の病気なのか悪性の病気なのか非常に慎重に見極めなければならない症例があれば、まれな病気だとエキスパートの病理医に意見を仰ぐ必要がある場合もある。実際、病理医1人では診断をさばききれず、検査センターに病理検査の一部を外注するケースも増えている。

医師である以上完璧な仕事を目指すべきだが、いくら優秀であってもケアレスミスがまったく起こらないとも限らない。こうしたことから病理診断は、2人以上の病理医で行うことが推奨されている。

病理診断の件数が今以上に増えていけば、病理医の日常業務が過密になり、2人以上の病理医で診断を下したとしても、誤診が起こる可能性も否定できなくなる。しかし、病理医の数が圧倒的に増える見通しはない。

病理医は病気の最終診断を下す。医療現場における「最後の砦」ともいえる病理診断で誤診が起きれば、致命的なミスになりうる。必要のない治療がされるか、あるいは必要な治療が行われないという可能性だって出てくる。

病理医不足の解消は待ったなしなのである。



http://www.medwatch.jp/?p=20634
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構 
2018年5月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 来年度(2019年度)の新専門医制度を目指す専攻医の募集に向けて、2018年度の専攻医登録データをより詳細に分析し、早急に5都府県のシーリング(募集定員の上限)などを見直す必要がある。また「地域枠」出身の医師が近く専攻医となるため、適切な専門医研修を受けられるよう、機構でも知恵を出し、都道府県などにも協力を要請する―。

 日本専門医機構の山下英俊副理事長(山形大学医学部長)と松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は5月18日の定例記者会見で、このような考えを示しました。
 
今年(2018年)9月から、2019年度の専攻医募集開始、シーリングの見直しも検討

 2018年度から、新たな専門医制度がスタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

ただし、「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘があり、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省などが重層的に、「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けています。

その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました。

2018年度の状況を踏まえて、機構は「少なくとも医師の地域偏在は助長されていない」と強調していますが(関連記事はこちらとこちら)、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では「医師の東京集中が促進されているのではないか」との指摘もあります(関連記事はこちら)。

機構は、こうした指摘も踏まえ「2019年度の専攻医定員」などを、どのように設定すべきかを検討する考えを提示しています。2019年度の専攻医については、この9月1日(2018年9月1日)から募集開始となる予定です。募集は各基本領域学会が行い、その前に「研修プログラムの設定」などを行う必要があり、「2019年度の専攻医定員をどう考えるか、5都府県のシーリングをどう設定するか」などを早急に決定する必要があります。

5月17日の機構理事会では、「2018年度の専攻医登録状況について、東京都では『1年目、2年目、3年目に、地方にどれだけの医師が派遣されるか』などを分析し、『3年目には半数近くが地方派遣となる』ことを確認した。シーリングをかけている、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県でも同様の分析を行う必要がある」「診療科別に偏在が助長されていないか、まず登録状況を詳しく分析する必要がある」といった意見が出たことが紹介されました。

診療科別の状況について、松原副理事長は「内科、外科では、専攻医全体と同じように『地方から東京都の基幹病院に専攻医として登録している医師は、関東地方やその近隣県からが多く、全国から東京都に医師が集中しているわけではない』ことが明らかになった」(例えば、東京都に5名以上の外科専攻医が移動したのは北海道、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県のみ)とコメント。診療科別に、ローテ―ト状況(例えば、東京都の基幹施設に登録している医師が、1年目、2年目と地方で勤務する状況)を分析する考えを示しています。

また山下副理事長は、「2019年度の定員について、2018年度の状況を踏まえて修正してくことになるのではないか」とも見通しており、上述した5都府県のシーリングについても見直しが行われる可能性があります。

 ところで、2010年度から地域の医師不足解消のために医学部の定員増(追加増員、下図の赤色部分)が行われました。その中では「地域枠」が設けられており、この地域枠で大学医学部に入学した医師が、新専門医制度の専攻医となります。その際、「地域での勤務」と「研修施設」との関係をどう考えるのか、が一つの論点として浮上しています。

地域枠出身医師には「一定期間、地域の医療機関に従事する」ことが求められており、これがために、適切な専門医研修を受ける機会が奪われてしまっては困ります。一方、「どこで研修を受けても構わない」となれば、地域枠の趣旨が失われてしまいます。これを両立するために機構はもちろん、都道府県や基本領域学会がアイデアを出し合い、協力していくことが求められるのです。

 この点について山下副理事長は、専門医制度新整備指針において「地域枠入学や奨学金供与(給与・貸与)を受けている専攻医に関しては、機構は、地域枠や奨学金供与の義務の発生する各都道府県等及び各基本領域学会に対して、専門医制度を適切に行えるように要請する」と定められていることを引き合いに、都道府県等に協力を仰ぐ考えを強調しています。

図:当面の医学部入学定員(既出のため略)
 
 なお、5月17日の理事会では、「消化器内視鏡」専門医がサブスペシャリティ領域として正式に了承されました。近く、「日本臨床腫瘍学会」もサブスペシャリティ領域として認められる見込みです。



http://news.livedoor.com/article/detail/14743365/
過剰医療大国ニッポンの不都合すぎる真実 
2018年5月21日 6時0分 東洋経済オンライン

ほとんどの風邪には抗菌薬(抗生物質)が効かないことは、医者の間では常識だ。風邪の原因の9割はウイルス感染症とされるが、細菌に効き感染症の治療にかかせない薬である抗生物質はウイルスにはそもそも効かない。

だが、風邪で通院すると、今でも「フロモックス」や「クラビット」などの抗生物質が処方されることが少なくない。「抗生物質が風邪の特効薬だと誤解している患者はまだ多い。『なぜよく効く薬をだしてくれないのか?』といぶかしげな表情で迫られると、つい経営のことも考えて希望どおりに処方してしまう」とある医師は打ち明ける。

抗生物質を多用しないよう厚労省も動いた

『週刊東洋経済』は5月21日発売号(5月26日号)で「医療費のムダ」を特集。命や健康を脅かす過剰な検査・検診、あふれる残薬、人工透析、整骨院、終末期医療といった、「聖域」だらけとなっている医療の現実を描いている。

抗生物質の多用が続くと、薬が効かない耐性菌の広がりにつながりかねない。厚生労働省は昨年、重い腰を上げ、抗生物質の適正使用の手引を作成。細菌感染が疑われる重症のときに使用を限り、軽い風邪や下痢には用いないよう勧めている。今年4月の診療報酬改定では、乳幼児の風邪や下痢に際し、適切な説明により抗生物質の処方を避ければ、医師に報酬が支払われる仕組みが新設された。

風邪に抗生物質を処方するような「過剰診療」「効果の薄い医療」が医療現場では蔓延している。過去の慣習や医療関係者の既得権益、世間の無理解などが背景として複合的に絡み合う。日本の医療費が膨張の一途をたどる中、このままでよいのだろうか。

過剰な医療を見直す動きは、今や世界的な潮流だ。代表的なのは、北米の医師が中心となり治療や検査が過剰になってないかを検証する「チュージングワイズリー(賢い選択)」運動である。2012年に米国内科専門医認定機構(ABIM)財団が、賛同した専門学会からそれぞれ提示されたムダな医療の「五つのリスト」を公表し、本格的にスタートした。

運動はカナダや北欧、豪州などにも広がり、70超の学会が約500項目のムダな医療のリストを打ち出している。2016年10月には佐賀大学名誉教授の小泉俊三医師(特集内でインタビュー)を代表に日本支部も立ち上がった。『週刊東洋経済』の特集「医療費のムダ」では医療経済ジャーナリストの室井一辰氏の協力を得て、同リストの中から、日本の医療現場でもよく行われている60項目をピックアップし解説している。

米国で始まったキャンペーンに呼応し、日本でも総合診療指導医コンソーシアムが日本におけるムダな医療の「五つのリスト」を公表した。「通常の腹痛で腹部CT(コンピュータ断層撮影)検査を勧めない」「無症状で健康な人にMRI(磁気共鳴断層撮影)検査による脳ドックを勧めない」など5つのうち4つが検査・検診に関する提言となっている。

「過剰医療は先進国の共通課題だが、中でも日本では検査や検診の過剰が深刻だ」。コンソーシアムの世話人を務める、群星沖縄研修センターの徳田安春センター長は語る。

実際、日本医学放射線学会が指針で推奨していない「通常の頭痛を訴える人への頭部CT、MRI検査」を頻繁に行っている病院は、調査対象の半数を占めた――。昨年1月、順天堂大学の隈丸加奈子准教授がそんな調査を行った。隈丸准教授は「CTのような被曝を伴う検査のデメリットへの認識が、現場に浸透していない」と危惧する。経済協力開発機構(OECD)加盟各国中でも、日本のCT、MRIの台数は圧倒的だ。人口100万人当たりの機器台数は両者とも加盟国中トップに立つ。

検査するだけ収入が増す出来高払い

日本の外来診療は検査をするだけ収入が増す出来高払いとなっており、病院経営者からすれば、こうした高額な機器を入れた以上、稼働率を上げようとなりがちだ。過剰検査の弊害は患者本人の不利益にとどまらない。検査が重なると、本当に必要な検査が後回しになったり、重要な指摘を見落としたりしかねないためだ。それは特定の病気の有無を調べるための検診でも同様で、典型的なのが胃がん検診だ。

胃がん検診は1982年に開始され、2015年に内視鏡検査が選択肢に加わるまで、40歳以上を対象に年1回、胃部X線検査(バリウム検査)で行うものとされてきた。胃がん死亡者数は年約5万人と50年近くほぼ変わらず高止まりする中、国が一貫して推奨してきたバリウム検査だが、患者からも医師からも評判は芳しくない。

患者にとっては発泡剤を飲み検査台上で無理な体位を求められる身体的苦痛に加え、バリウムによる排便障害もある。何より「胸部X線検査の数十倍から100倍近くの被曝量」(複数の医師)のデメリットは無視できない。

医師にとっても現在、消化器内科の臨床現場で活躍するのはもっぱら内視鏡検査であり、バリウム検査はそれこそがん検診の場でしか扱うことはない。特に若手医師はほとんどが、学生時代にも臨床現場でもバリウム検査を学んでいない。

そのため「経験がないから不安で、つい内視鏡での再検査に回してしまう。結果はほとんどが異常なし」(若手医師)。患者にとっては二度手間のうえ、医療保険財政にも負担をかけることになる。「内視鏡が未発達だった時代は、外からでも工夫して見ようとするバリウム検査の意義は確かにあった。だが内視鏡技術が著しく進歩した今もバリウム検査に頼っているのはおかしい」。NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構事務局長の笹島雅彦医師は話す。

実は内視鏡検査を新たに推奨した現行の「胃がん検診ガイドライン2014年版」(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)の当初案では、推奨するのは引き続きバリウム検査のみで、内視鏡検査は推奨しないとなっていた。だが、臨床医たちからの猛反発を受けて、ようやく盛り込まれた経緯がある。数千万円するX線装置を積んだ検診車や検診センター、放射線技師など、バリウム検査にかかわる利害関係者への配慮が働いていたといわれている。

ただ胃がん検診で内視鏡検査を行っている自治体は今も少数だ。内視鏡医の人手不足の問題が大きく、医師不足の地域ではより厳しい。そもそも全国民が一律に毎年胃がん検診を受ける必要性があるのか、という根本的な疑問の声も専門家からは上がっている。「胃がんは生活習慣病ではなく、99%がピロリ菌による感染症だと判明している。危険度が診断できるようになった以上、一律の検診は合理的ではない」。北海道医療大学の浅香正博学長は力を込める。

ピロリ菌と胃粘膜委縮双方が陰性なら?

そのため一部の先進的な自治体や健康保険組合は「胃がんリスク層別化検査」(胃がんリスク検診)を導入している。ピロリ菌感染の有無と、胃粘膜萎縮の程度を血液検査で確認して、胃がん発症の危険度をグループ分けする。ピロリ菌と胃粘膜萎縮双方が陰性なら、胃がんのリスクはほぼゼロで内視鏡検査は基本必要ない。

いずれかが陽性ならば内視鏡検査を受け、胃炎があれば保険適用で除菌治療を行う。ピロリ菌陽性率は4割弱とみられ、「検査が必要な人を絞り込むことで、確かな診断力を持った内視鏡医による対応が可能になる」(国立国際医療研究センター国府台病院の上村直実名誉院長)。

「もし、もっと早い時期に胃がんリスク検診を経て、内視鏡検査を受けていたら、夫は助かったかもしれない」。スキルス胃がんの患者・家族の会「NPO法人希望の会」理事長の轟浩美さんは話す。轟さんの夫は毎年自治体の実施する住民検診でバリウム検査を受けていたが、見つかった時はすでに末期のスキルス胃がんだった。「全員検査でリスク分けもされず、流れ作業のようになっているバリウム検査では救える命も救えない」(轟さん)。

大手企業の健康保険組合では、胃がんリスク検診への切り替えが続々進むが、市区町村の住民検診ではまだ限定的だ。厚生労働省が「死亡率減少効果が明らかになっていない」(健康局がん・疾病対策課)などとして、住民検診などでは胃がんリスク検診を「推奨しない」としているためだ。自主判断できる企業健保とは異なり、行政の実施する住民検診では「国の推奨と異なる選択には相当の覚悟がいる」(複数の医師)のが現実だ。

厚労省が推奨しないとする根拠となっているのが、先の国立がん研究センターの胃がん検診ガイドラインだ。内視鏡検査こそようやく推奨に転じたが、胃がんリスク検診をほぼ名指しする形で「科学的根拠不明な検診」などと強い調子で批判している。

胃がんリスク検診導入を働きかけた医師の末路

『バリウム検査は危ない』(小学館)著者でジャーナリストの岩澤倫彦氏によれば、関西のある市では基幹病院の検診担当部長だった消化器内科医が、胃がんリスク検診の導入を自治体に働きかけて実現手前までこぎつけた。だが突然理由も告げられず、検診担当部長の職を解かれ閑職に追いやられた。結果、同市でのリスク検診導入は白紙に戻った。この直前に、「国立がん研究センター検診研究センターの幹部が市を訪れていた」という複数の証言があるという。

ただ、胃がんリスク検診を強く批判していた当時のガイドライン作成の担当者2人は、今春そろって退任。後任となった国立がん研究センターの中山富雄検診研究部長は「検診というかは別にして、リスク分類することの有用性は高い。どう検査としてシステム化するのか、運用面での支援を含め、対話を深めていきたい」と話す。

旧来のシステムやしがらみに固執することなく、国民の命や健康を守るためにできることは何なのか。広く医療者に問われている。



http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20180522-OYTNT50017.html
津島市民病院 黒字に…昨年度 
2018年05月22日 読売新聞 愛知

病床減らし「V字回復」…専門性高いHCU稼働も

 2001年度から赤字が続いていた津島市民病院の経常収支が、17年度は約1億7700万円黒字の見通しとなることが21日わかった。過大な増床などの結果、市と金融機関から限度額ギリギリまで借金するなど“経営破綻”も心配されていたが、病床数を減らし、専門性の高い「重症患者専用病床(HCU)」を本格稼働させるなどして「V字回復」を遂げた。病院の担当職員は「収益を増やし、地域医療の拠点として安定させていきたい」と話している。


 市民病院は、1943年に津島町立病院としてスタート、47年から市民病院となった。

 97~2005年度に、診療科を充実させて患者数の増加を目指そうと、増改築などを行い、同年度には440床の病院となった。

 しかし、周辺の市にも病院があり、名古屋にも近いことから、患者数は伸び悩み、赤字経営が続いた。

 累積赤字は17年度で約95億円の見込み。市の規定で、市と金融機関からの一時借入金の限度額は20億円と決まっているが、16年度末には19億円。担当職員は「20億円を超えれば一般企業でいう破産。綱渡り状態だった」と振り返る。市は17年に運営資金の不足を補うため6億円を出資した。

 同年夏から病院内に医師や看護師らのプロジェクトチームを作り、10月に51床を休止して389床とすることを決めた。

 同時に、余裕のできた人員を振り分け、重症患者専用病床(HCU)を本格稼働。循環器内科医を新たに採用し、それまでは難しかった平日の昼間の救急搬送も常時受け入れた。HCUや救急搬送は、診療報酬が高く、17年度の収支は一気に黒字へと転換を果たした。

 病院によると、医師や看護師ら現場のスタッフが危機意識を共有したことが大きいという。医師たちは、地域の開業医を訪問して、市民病院で行っている専門的、高度な医療を説明するなど、市民病院をPRする活動にも力を入れる。

 今後も約2億円の黒字を確保できる見込みで、病院の担当職員は「経営が安定すれば、不足している専門医の採用にも弾みが付く」と期待している。(沢村宜樹)



https://www.m3.com/news/iryoishin/597532
シリーズ いよいよ開始!新専門医制度の一期生調査
「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」◆Vol.10
新専門医制度への自由意見、情報不足・少なさへの不満も多数
 
医師調査 2018年5月25日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 m3.comの新専門医制度一期生への調査で、同制度についての意見を聞いたところ、「初年度ということもあり、後期研修のイメージが付きづらく多少不安だったが、始まったものは仕方ないのでしっかり経験を積んで頑張りたいと思う」と前向きな意見もあったが、圧倒的に多かったのが制度への不満、不安の声だ。「一期生として今後どうなっていくか、不安しかない」「単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じる」「全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた」などだ(調査のバックナンバーはこちら)。

 「とにかく情報が少ないし、来るのが遅い」「制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた」など、制度決定の遅さや情報公開への不満も目立った。

 新専門医制度は、5都府県の14の基本領域で専攻医数のシーリング(上限設定)が設定されたのが特徴の一つ。「各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず、落とされた人がいて、いかがなものかと思った」「人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録」などの実例が挙がり、「最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは」との指摘も。

 その他、内科専門医については、「研修ローテートの負担がかなり大きく、マイナー科に転向した」などの意見も挙がった(『内科専門医、「取得が厳しくなった」』を参照)。

◆制度決定、情報開示
・新専門医制度の概要が確定したのは昨年9月であり、これに伴い各病院とも専門研修プログラムの公表が遅くなった印象がある。私は研修医2年目になる段階で、内科に進むことをほぼ決めており、現在所属している出身大学の附属病院で専門医研修も行うことを考えていたため、悩むことは少なかったが、それでもこのように曖昧な部分の多い専門研修過程については、不安を抱かざるを得なかった。
 新専門医制度はまだ走り出したばかりであり、これまでの迷走ぶりを見るに、今後も制度にさまざまな改変が加えられるのではないかという懸念がある。無論改善すべき点は残っているのだろうが、個々の医師が自身のキャリアパスについて考える上で、支障の無いようにしていただきたいと強く願う。

・情報がまとまってなく混乱を招いていたにもかかわらず、見切り発車になった。ある程度基盤を固めてからの開始ではないと、手探り状態ではお互いにメリットはないと思う。今後新しいルールや、「やはりなかった」的なことが出てくると予想されるので、内容にもよるが、改正等がある場合は、早期に情報の公開、流布を期待します。一期生として今後どうなっていくか、不安しかないです。

・あまりに拙速に始まり、十分な情報が開示されることなく、単に医師の強制配置のみが先行しており、人権無視的だと感じます。現場の意見を全く反映する気のない制度設計で辟易しています。結局、全て今まで通り学会が専門医試験などを管理するのであれば、そもそも機構にお金を払わなければならない理由も分かりません。日本の医療衰退に拍車をかけただけではないでしょうか。

・とにかく情報が少ないし、来るのが遅い。後期研修を決める時点で今後10年先を考えて計画を立てようというのに、こんな混乱した状態で強行するのは無理があるし、あまりに失礼。現場の人間を全く無視している。子供じゃないんだからもっと人の意見を聞いて、前持って計画してほしい。

・詳細を詰めていないのに、日本専門医機構のメンツのためだけに見切り発車された印象が強い上に、情報の公開が遅かったり、後出しで先行枠の調整がされたりと、全ての負債を研修医が被るようなやり方にされていたように感じた。控えめに言って最悪の運営だった。いい大人の仕事とは思えない。

・とにかく後手後手で、不安の多い始まり方。運営が中学校の生徒会レベルであった。 また、そもそも制度開始の意義がよく分からない(明確な説明もされていない)。必要な制度だとしても、当事者への不安や負担が小さくなるようにちゃんと準備してほしかった。

・制度設計ができていないのに、よく分からない理由で振り回されて迷惑きわまりない。結局、専門医の質については何も改善されていない。医師偏在の道具として医局復権させようとしているが、時代はもう戻らない。失敗に終わるのは見えている。

・制度が成立するまで紆余曲折がありすぎ、研修医が振り回されていた。自分はもともと地元での研修を希望していたので今回は混乱はなかったが、今後何らかの制度変更が起きた際に同様のグダグダがあっては困る。

・制度ちゃんと決定していない間にプログラム決定を急かされたように感じ、選択を後悔した同期がいます。私自身も本当にこれで良かったのかと思っています。

・新専門医制度の目的とそれを達成するための手段があいまいに感じた。一期生に対する説明もほとんどないままのばたばたとしたスタートであった。

・とにかく一貫した情報がなく、公表もされていないため、研修医側も施設側も大混乱だった。 他の業界ではあり得ないことだなと感じた。

◆専攻医数のシーリング、医師の地域偏在対策
・情報公開が遅く、非常に困りました。また、眼科を代表とした人数調整では、各プログラムで内定が出ているのにもかかわらず落とされた人がいて、いかがなものかと思った。そうなるのなら、最初から定員人数を抑えておけば良かったのでは。

・人数調整の対象になり、医局の方針で住んだこともない地域、見学もしたことのないプログラムに登録しました。日本専門医機構の登録上、入局先の所属ではなくなり、今後が非常に不安である。このような制度の撤廃を祈らずにはいられません。

・とにかく導入決定から制度の流れまでの公開も遅く、準備不足が目立ったと思います。地域偏在に対する対策として都市部の応募人数を制限すると言っても、結局は応募人数に対して母数が多すぎるから意味なかったです。

・混乱が多いのが気になりました。首都圏に研修医が集まったため、首都圏外の病院の機能が保てなくなる可能性が高いと思います。首都圏の研修医の定員を、さらに減らす必要性を感じました。

・募集定員に達していないのに人数を制限したり、2次募集の際に急に5都府県を制限するなど、最初から提示しておいてほしい。

◆専攻医の登録方法
・開始時期が遅れたこともあり、登録が慌ただしく1次に募集できなかった人もいると聞いているため、もっと早期から登録システムについては練られているべきだった。 また、1施設しか応募できない現状では、自分の望む科での研修ができない可能性もあり、改善してほしいと思う。また、施設ごとの募集定員の枠は、施設ごとに自由設定の方が良いと思う。

・初期研修のマッチングと異なり情報が少なすぎるし、1病院しか応募できず、都市の病院で2次募集をかけないことがどこからも情報がなかったので、漏れた人たちがかわいそうと感じた。

◆研修プログラム制
・マイナー科なので大きな影響はなかったが、自分が所属したプログラムでは、基幹病院に1年目にローテーションしなくてはいけないことになってしまい、半年で異動の予定になった。専攻医側も雇う病院側もメリットが乏しいように思った。

・副病名での登録も可とするべき。病院によっては現状の新内科専門医制度ではローテートが必要になってしまうが、ローテートして経験する疾患、言い換えると、将来的に専門家に紹介するであろう疾患を、たった1カ月ほど主治医として診療することに大きな意義があるとは思えない。

・サブスペシャルティに早く進めるプログラムにしてほしい。半年間、周囲の連携病院での研修を廃止してほしい。

・プログラムに参加しなくては専門医取得する資格がないというのは、医師の質の均一化に寄与する半面、職業人としての選択の自由を狭めることにつながると思います。

・何しろさまざまな決定がころころと変わり、しかも遅くとても負担でした。また、プログラム制ではなく、カリキュラム制も選べるようにしてほしかったです。

◆新専門医制度と大学
・教授の一任で専門研修のメンバーが決まってしまうことに疑問を覚え、昔の教授権力が偉大な時代にさかのぼったように思えた。

・出身大学の関係と新専門医制度のしがらみで、これまでより専門医取得が厳しい状況です。本来の目的を再考する必要があります。

◆その他
・無駄。症例数や就業期間、学会参加回数などではなく、一括で試験すれば良い(外科手技はまた別)。専門医として知っておかなければならない知識を確認するためには、厳格な試験が最も正確かつ効率的。 時代遅れの徒弟制度なぞまだ残しているのなんて医療業界含めたごく少数の業界だけですよ。

・時間の無駄でした。専門研修先を選ぶのに、現在の研修そのものに支障をかなり来したものの、メディアで公表されるほどの充実した説明や安心感等は皆無でした。各学会認定に戻してほしいです。

・初期研修先が基幹病院に指定されるかどうかで初期研修病院の選択も変わっていたはずだが、既に働いているために受け入れるしかなかった。制度の移行期間が必要だと感じた。

・日本専門医機構に責任感が感じられない。何を問い合わせても「それぞれの学会判断です」としか帰ってこなかった。

【調査概要】
・調査対象:m3.com医師会員:296人
・回答者プロフィール
 性別:男性217人、女性79人
 年代:卒後2年目
 2018年4月からの新専門医制度に基づく研修:開始276人、開始せず20人
  (開始276人の勤務先:大学病院本院82人、大学病院分院12人、市中病院177人、その他5人)
・調査時期:2018年2月16日~3月11日



http://www.medwatch.jp/?p=20684
新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協 
2018年5月23日|医療現場から MesWatch

 新専門医制度のサブスペシャリティ領域を、「あいまいな基準で、五月雨式に追加する」ことは好ましくない―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は、近く発足する日本専門医機構の新執行部にこのような要請を行う方針を固めつつあることが5月23日の定例記者会見で明らかにされました(関連記事はこちらとこちら)。

 また来年度(2019年度)予算の概算要求に向け、四病協は同日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて「控除対象外消費税問題の解決」「働き方改革への対応に伴う医師確保」「介護療養や医療療養から介護医療院への転換」などに関する予算措置を行うよう要望しています。
 
ここがポイント!
1「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である
2 2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

「平均的な都市での中核病院で掲げる診療科、診療部門」との基準は、曖昧である

 今年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートとなりました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指しています。

 新専門医制度は、「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となります。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

この4月(2018年4月)から、19基本領域で新専門医の資格取得に向けた研修が始まっています。

2階部分のサブスペシャリティ領域は、基本領域学会の上に設置される(内科領域などでは基本領域とサブスペシャリティ領域が一部融合する形もある)ことになり、現在、学会からの申請をもとに、日本専門医機構での認証が進められています。

サブスペシャリティ領域は、「国民への分かりやすさ」をいう新専門医制度の基本方針に基づき、「全国の平均的な都市での中核病院に掲げてある診療科、診療部門とする」こととされ、日本専門医機構で(1)いずれかの基本領域学会が認めている(2)関連する基本領域学会またはサブスペシャルティ領域学会がある場合は、その学会の合意を得る(3)機構理事会(出席委員)の過半数の承認がある―ことを確認して、認証します(機構のサイトはこちら)。これまでに▼内科13領域▼外科6領域▼放射線科2領域▼消化器内視鏡—がサブスペシャリティ領域として認証され、近く「日本臨床腫瘍学会」も認められる見込みです(関連記事はこちら)。

この点について、四病協では「平均的な都市とはどこを指すのか?中核病院とは何を指すのか?サブスペシャリティ領域の認証基準が曖昧ではないか」という意見が出ており、「曖昧な基準のまま、五月雨式にサブスペシャリティ領域が認証されることは好ましくない。抑制的に、国民の目線で認証すべきである」との要望を近く日本専門医機構に行う予定です。

ところで、日本専門医機構は近く役員の改選が行われ、6月には新執行部が誕生します。四病協の要望は、新執行部に宛てて行うことになる見込みです。

2019年度予算概算要求に向け、消費税問題の解決や地域の医師確保等の予算を確保せよ

また、四病協では5月23日に、加藤厚労相に宛てて次のような要望を行いました。来年度(2019年度)予算概算要求に向けて、必要な予算の確保を求めるものです。

(1)消費税(関連記事はこちら)
▽消費税率引き上げ(2019年10月予定)による増収分を、医療をはじめとする社会保障財源に確実に充当すること
▽医療界が要望する「仕入税額相当額を上回る仕入消費税についての還付(税額控除)」を実現するとともに、必要な財源を確保すること

(2)働き方改革(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)
▽地域医療の維持に伴う医師確保と、厳密な勤怠管理のための仕組みづくりを補助すること
▽タスク・スフティング、タスク・シェアリングに必要な人材を要請し、採用を支援すること
▽育児・介護等で離職した医師、看護師等の復職支援に向けた研修を行う医療機関を支援うること
ほか

(3)医療従事者の能力向上
▽病院において「医師の総合的診療技能」を高めるためのキャリア支援事業などに財政的支援を行うこと

(4)介護施設、介護従事者
▽介護療養や医療療養から介護医療院へ転換するために必要な修繕工事などに財政支援を行うこと
ほか

(5)地域医療介護総合確保基金
▽「消費税率10%」による増収分から基金に手当を行い、公私の隔たりなく適切に配分すること

(6)医療機関のICT化
▽電子カルテ等のICT技術を積極的に導入する医療機関に財政的支援を講じること
▽電子カルテはベンダー間で互換性に乏しいため、標準マスタ、標準データフォーマットの普及に関する財源を確保すること

(7)国際化等への医療の対応
▽がん患者以外の難病患者や若年性認知症患者等の幅広い層を対象とした「治療と仕事の両立」に向けた予算措置を講じること(関連記事はこちら)
ほか

(8)障害保健福祉
▽精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に必要な予算を確保すること
ほか

(9)災害対策(関連記事はこちら)
▽全日本(全国)病院医療支援チーム(AMAT)の平時からの訓練や資材準備などに要する資金や、派遣費について補助を行うこと
▽災害派遣精神医療チーム(DPAT)についても、事務局事業費を拡充すること
▽病院の耐震化に向けた費用を補助すること
ほか



https://www.m3.com/news/iryoishin/604077
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」
第3次中間取りまとめ案を了承、「週60時間勤務に制限」が前提
 
レポート 2018年5月21日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、5月21日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第20回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に対し、2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」にし、2022年度以降は、「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とする第3次中間取りまとめ(案)を提示、修文等は座長一任の上で、構成員の了承を得た。

 2008年度以降の医学部の臨時定員増では、「地域枠」を中心に増やしてきた。第3次中間取りまとめ案では、「臨時定員を削減する場合でも、地域間で医師偏在がある場合には、その偏在に応じた程度まで、地域枠のニーズは残ることになる」と指摘。第3次中間取りまとめ(案)は、5月28日に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」で議論し、了承が得られれば確定する(資料は、厚労省のホームページ)。

 これらの結論のベースとなったのは、第19回会議で提示された、労働時間別の医師需給推計(『医師需給2028年頃に均衡、「週60時間程度に制限」で』を参照)。3つのケースが示されたが、中位の「ケース2」(週60時間を超す医師の勤務時間を、週60時間以内に制限)でも、医学部定員が2018年度の9419人のまま推移すれば、2028年頃には約35万人で医師需給が均衡し、2040年には医師供給が約3.5万人過剰となる。2022年度の医学部入学生が臨床研修を終えるのは2030年度以降であること、また3つのケースのいずれでも長期的には供給が需要を上回ることなども踏まえて、結論を得た。

 医師需給分科会は、医学部の臨時定員増の期限を迎える2020年度と2021年度分については、早急に結論を出すことが求められていた(『2020年度以降の医学部定員、5月にも結論』、『医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」』を参照)。

 医学部定員の問題は、2019月3月末までに結論を出すことが求められている「医師の働き方改革」や、今国会に法案提出された医療法改正法案に盛り込まれた医師偏在対策と密接に関係する。第3次中間取りまとめ(案)では、「マクロの医師需給が均衡することは、必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することは意味しない」とし、2022年度以降の医学部定員については、「働き方改革や労働実態、医師偏在対策や医師偏在の状況等を勘案し、定期的に医師需給推計を行った上で、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針等について見直していくべきである」としている。

 構成員から主に出たのは、2022年度以降の医学部定員の検討に当たって、医師偏在対策等についての議論を深める必要性だ。今後の議論の進め方についても、幾つかの注文が付いた。

 東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師の戎初代氏は、医師の働き方改革の結論が2019年3月末まで、また2018年の医師・歯科医師・薬剤師調査(三師調査)の結果が2019年12月公表予定であることを踏まえ、「2022年度以降の医学部定員については、その2年前、(2020年度と2021年度の例に倣えば)2020年5月頃には結論を出さなければならないことになる。(2019年12月から)5カ月という短いスパンで、議論をするのか」と質問。厚労省医政局医事課は、「数値が出る前に、準備しておくことは当然できる」と回答した。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「(第3次取りまとめ案には)暫定的という言葉が幾つもある。本検討会は息が長く、当初は2016年12月に結論を出す予定だったが、(議論が途中で中断したことなどから)暫定的とせざるを得ない状況になった。次の際にはそうしたことがないようにしてもらいたい」と議論の進め方に釘を刺した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医師の働き方改革、医師需給、医師養成などについて、厚労省内で複数の検討会があることから、バラバラに議論していくのではなく、厚労省が全体を見渡してコントロールし、有意義な議論とするように要望した。

 産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「これからの議論では、当事者がどう考えているかが重要なポイントになる」と指摘し、若手医師への意識調査の実施を要望。さらにフランスでは医師に定年制があり、団塊世代がリタイアした後、医師が減り、医師養成数増になったことから、60、70代の医師への意識調査も併せて要望した。

 厚労省医政局長の武田俊彦氏は、「医師の働き方、医師需給、医師養成などの議論は、相互に網の目のように関連しており、整合性を持って進めなければいけない。とかく医師需給をめぐる議論は、『昔と同じ議論をしている』という指摘もあるが、データ等に基づく議論は着実に進化している。さらに進化した議論を続けてきたい」と受け止めた。

 「医師偏在指標」、医師需給分科会で検討

 権丈氏は、「医師偏在問題を何とかしなければ、どうしようもない。ようやくスタート地点に立っているというのが、今の状況」とも指摘した。医師偏在対策についての意見は、地域ごとの医師偏在の度合いを示す医師偏在指標など、今後の議論のたたき台になる資料と、医師の診療科偏在に関するものが多かった。

 医療法改正法案では、医師偏在指標を基に、都道府県が「医師少数区域」等を設定して、対策を講じることになっている。聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「この指標が非常に重要」と指摘し、その検討の進め方について質問。

 厚労省医政局地域医療計画課の佐々木健氏は、「医師偏在指標は、法案が成立したら、本分科会で議論していく予定になっている」と説明。医師偏在指標は、人口10万人当たりの医師数ではなく、患者の流出入など、地域の実情を踏まえたものになるとした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「医師の診療科偏在も当然あり、新専門医制度の医師偏在対策にも絡んでくる。診療科偏在も、医師偏在指標に入るという理解でいいか」と質問。厚労省医政局医事課は、「そうした方向で議論していきたい」と回答した。

 今村氏は、厚労省が構築を進めている医師データベースの進捗について質問。これは三師調査を基に、医師の卒業大学からその後の勤務先など、医師のキャリアを経時的に調査できるデータベースだ。厚労省医政局医事課は、「構築を進めており、今後、都道府県に提供できるように検討していく」と答えた。日本医師会常任理事で、日本専門医機構理事の羽鳥裕氏は、同機構で「地域枠」出身者も分かる専攻医データベースを構築していると説明、「医師の履歴が分かるデータベースを本気で厚労省は作るべき。今後の議論がなし崩し的にならず、データを基にした議論ができるよう、悉皆性を持つデータベースを作るのが厚労省の役割」と要望した。

 医師の診療科選択、「調整が必要」との意見も

 医師の診療科偏在対策について、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「医師需給は、現在の診療パターンの継続を前提としているが、国全体としてジェネラリストとスペシャリストはどのくらいの割合が妥当であり、それを目指して国がどう取り組んでいくかによって変わってくる」と述べた。「今のように、専門性を自由に選択できる状況は、国全体としての効率的な医療の提供という視点がない。個々の選択に今後も任せるのか否かによって、医師の需給や専門性の分布が変わってくる。国全体として望ましい専門性の分布を考え、そこを目指して調整していくことも必要ではないか」。

 神野氏は、「今のままで(臓器別の)専門医志向は強いので、専門の選択が自由のままであれば、まだまだ医師数は足りない。強い診療科別の偏在対策を視野に入れないと、将来的な医師不足対策にはならない」と指摘した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/605012
消費税問題「診療報酬での手当限界、無理」
医療界の意見一本化目指す、日病協
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の山本修一氏(国立大学附属病院長会議常置委員長)は5月25日の定例記者会見で、控除対象外消費税問題について同日の代表者会議で「従来の、診療報酬で手当する方法は不完全で限界、無理だ」との見方で意見が一致したと明らかにした。正式に決議したものではないが、医療界として今後の方向性について早急に意見を一本化するべきだとの認識も共有したという。

 代表者会議では、や財務省の財政制度等審議会で議題に挙がった都道県別の診療報酬についても議論し、否定的な意見が支配的だったという。山本氏は「はっきり言って無理でしょうというのが皆さんの意見だ。同じ県内でも(医療の)事情は 異なる」と述べた。実務者会議からは「医師の働き方改革」の議論の行方について、会員の病院から不安が上がっていることが報告された。



https://www.m3.com/news/iryoishin/604903
偏在や働き方改革などで要望、全自病
日医と意見交換の懇談会を開催
 
レポート 2018年5月25日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は5月24日に定例記者会見を開催し、全国自治体病院開設者協議会と連名の厚生労働省と総務省宛ての要望書を、同月15日に厚労大臣官房審議官の椎葉茂樹氏に提出したと発表した。医師偏在対策や働き方改革、東日本大震災の被災地などでの医療提供体制の確保など13項目から成る内容だ(項目の一覧は記事の末尾に掲載)。

 全自病会長の邉見公雄氏は会見で、全自病と日本医師会の懇談会を5月16日に開催し、今後は1年に2回程度行っていくことになったことを報告。全自病からは邉見氏や副会長ら、日医からも横倉義武会長や中川俊男、今村聡両副会長らが出席し、地域包括ケアや地域医療構想などについて意見交換した。邉見氏は、例えば自身が名誉院長を務める兵庫県の赤穂市民病院と赤穂市医師会ではほとんど意見が一致するが、「兵庫県医師会との間では10%くらい、麹町と駒込(全自病と日医)では20%くらい意見が違う」との認識を披露。「われわれの意見を日医にも反映してもらえるようにしていきたい」と述べた。

 医師の働き方改革に関連しては、5月29日に自民党の「医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム」に出席して意見陳述を行う。自治体病院議員連盟の会員数が、2017年10月の第48回衆議院議員総選挙後の133人から2018年5月末で162人に増加したことも報告した。

厚労省、総務省への要望書の項目は次の通り。

1. 東日本大震災の被災地等における医療提供体制の確保
2. 地域医療構想について
3. 医師確保、医師偏在解消について
4. 医師の働き方改革について
5. 新専門医制度について
6. 医療事故調査制度について
7. 医療機関に対する消費税制度の改善について
8. 精神科医療について
9. 看護師等確保対策について
10. 薬剤師確保対策について
11. 財政措置等について
12. がん医療提供体制の充実について
13. 医療分野におけるICT化の推進について



https://www.m3.com/news/general/605096
医療連携:2病院同じ敷地に 23年度までに建て替え 米沢 /山形 
地域 2018年5月26日 (土)配信毎日新聞社

 施設の老朽化や経営効率化などの観点から、建て替えの検討や医療連携を進めている米沢市立病院(同市相生町、322床)と民間の三友堂病院(同市中央、190床)をめぐり、同市は25日、現在の市立病院の敷地内に両病院を建設する方針を公表した。三友堂のリハビリテーションセンター(同市成島町、120床)も同じ敷地内に移す計画。

 市立病院の敷地面積は3万6250平方メートル。連携の中で高度・急性期を担う米沢市民病院(仮称、300床)、三友堂病院とセンターを集約した回復期の病院(250床)を建設し、2023年度までの開院を目指す。1000台分の駐車場も整備する。

 同市によれば、同一敷地内に複数の病院が建つのは県内では初めて。医療機器、エネルギー設備、会議室などの共同利用が可能になる。施設間での患者の誘導や、1カ所への集約による交通渋滞などが課題になる可能性があるという。

 25日の市議会全員協議会で市立病院事務局が説明した。三友堂病院側から4月に同一敷地内での建設意向が示され市側と協議していた。【佐藤良一】



  1. 2018/05/27(日) 10:41:52|
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