Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月18日 

http://www.sankei.com/life/news/180217/lif1802170027-n1.html
埼玉・草加市立病院 産科を9月に休止 医師不足で 
産経新聞2018.2.17 12:10

 埼玉県草加市は16日、同市立病院の産婦人科の医師数が昨年末時点で5人から3人に減ったことを受け、9月から同科を一時休止すると発表した。現在、在籍する3人のうちの2人が年齢や健康上の不安を抱えており、24時間365日の診療体制の維持が困難になったという。

 同病院によると、8月に同病院で分(ぶん)娩(べん)を予約している妊婦については9月以降同科が休止することを伝える。患者には外来診療で対応する。

 同病院は引き続き、同科の医師の確保を進めるとしている。



https://www.asahi.com/articles/ASL2J6F25L2JUTNB011.html
基準満たさず腹腔鏡手術69件 埼玉・草加市立病院 
米沢信義2018年2月17日00時12分 朝日新聞

 埼玉県草加市立病院は16日、国の基準を満たさないまま、子宮がんの腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を5年間に計69件実施していたと発表した。腹腔鏡手術より金額の低い手術をしたことにして診療報酬を請求していたという。請求額は約1億円で、健保組合などの保険者への返還を検討している。

 病院によると、腹腔鏡手術は主に非常勤のベテラン医師が担当し、2012年度から昨年度までに計69件を手がけた。腹腔鏡手術の診療報酬を請求する際、国の基準は常勤の病理医を配置するよう求めているが、同病院は基準を満たしていなかった。

 診療報酬は、点数の低い開腹術をしたとして請求。患者には腹腔鏡手術を施したと説明し、開腹術分の手術代を請求していた。

 これまでに患者の急変などの事故はなく、患者に新たに負担を求めることもしないという。高元俊彦事業管理者は「診療報酬の請求について認識不足があった」と陳謝した。(米沢信義)



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180216-OYT1T50116.html
基準満たさず腹腔鏡手術、開腹として不正請求も 
2018年02月17日 07時46分 読売新聞

 埼玉県の草加市立病院は16日、必要な基準を満たしていないにもかかわらず、子宮がんの腹腔ふくくう鏡手術を行い、開腹手術をしたとする不正請求をして診療報酬を受け取っていたと発表した。

 2012年度からの累計で不正請求は69件、受け取った診療報酬と患者側の支払い分は計約1億円という。

 問題があったのは、58人に対する子宮体がん手術と、11人に対する子宮頸けいがん手術。国の基準では、早期の子宮体がんの腹腔鏡手術は、経験豊富な常勤医が配置されている場合に限り保険適用が認められている。子宮頸がんの場合は保険適用外だ。

 発表によると、同病院は保険適用の条件を満たしておらず、非常勤の男性医師(48)がすべて担当していた。高元俊彦・病院事業管理者は、この医師に手術を許可した理由を「良性腫瘍の腹腔鏡手術の施術例が多数あり、高度な技術があると判断した」と説明。手術を受けた患者から術後の異常の訴えはないという。不正請求をしていた理由としては、「開腹手術として請求できると解釈していた。診療報酬請求について理解不足だった」と述べた。



http://www.saitama-np.co.jp/news/2018/02/17/03_.html
手術名変えて診療報酬請求、草加市立病院が発表 保険適用の基準満たさない腹腔鏡手術を開腹手術として請求 
2018年2月16日(金) 埼玉新聞

 草加市立病院は16日、産婦人科の子宮がんの腹腔(ふくくう)鏡手術69件について、保険適用に必要な国の基準を満たしていなかったため、開腹手術として診療報酬請求していたと発表した。病院は「開腹手術として請求して問題ないと判断していた。医療行為自体に問題はない」としている。

 病院によると、同院では2012年度から累計で子宮体がん58件、子宮頚(けい)がん11件を腹腔鏡で手術していた。子宮がんの腹腔鏡手術は、国の基準として、常勤の病理医の配置などが定められているが、同院では非常勤の医師が派遣されていたなど、保険を適用して腹腔鏡手術をする基準を満たしていなかった。そのため腹腔鏡手術ではなく、開腹手術として診療報酬を請求していた。

 昨年9月、退職する産婦人科の女性医師が診療報酬請求事務の問題を指摘。病院は手術を担当した別の医師から話を聞き、有識者らによる委員会で検討したところ、有識者から診療報酬請求上、問題があるとされた。

 同院は厚生労働省に請求ミスを申し出るとともに、昨年9月以降は腹腔鏡手術を中止している。

 高元俊彦病院事業管理者は「担当医師は開腹術として請求して問題ないと判断していた。医療行為自体に問題はないが、このようなことが見過ごされてきたことに責任を感じている」と話した。

 会見で同院は女性医師を含め2人の退職者が出るなど、産科診療の継続が困難となったため、9月から産科を一時休止することも明らかにした。



http://news.livedoor.com/article/detail/14309090/
医師少ない日本に世界一病院が多いという謎 
2018年2月16日 11時0分 東洋経済オンライン

日本の医療を支える仕組みで、最も特徴的といえるのが「国民皆保険制度」です。社会保険方式の1つで、簡単に言えば、すべての人から少しずつおカネ(保険料)を徴収して、その集めたおカネを、医療を必要としている人に再分配するという仕組みです。

「皆」という字からわかるように、原則として日本では望むと望まざるとにかかわらずこの制度が適用されます。たとえば、自家用車を運転するとき、事故を起こさないという自信があれば保険に入らないという選択ができますが、「自分は病気にかからないから病院のお世話になることはない!」と思っていたとしても、給与から保険料が差し引かれるのを止めることはできません。

日本では誰でも医療機関にかかることができる

この皆保険制度のお陰で、日本では「誰でも・どこでも・いつでも医療機関にかかることができる社会」を実現しています。

僕はかつて脳神経外科の医師として働いた経験を持っています。ここまで患者さんの負担を抑えながら医療の質の高さと、アクセスのしやすさを両立している仕組みを持っているのは、日本だけだと言っても過言ではないでしょう。しかし、医師になってしばらくして日本の医療が危機的な状況にあると知りました。

拙著『脳外科医からベンチャー経営者へ ぼくらの未来をつくる仕事』でも指摘していますが、日本の医療の問題点の1つが国民皆保険制度です。今後維持できないのではないかという懸念が至るところで叫ばれ、中には「すでに破綻している」という見方もあります。

日本の医療費、年間いくらかご存じですか?

厚生労働省の発表では2015年にはおよそ42兆円のおカネが医療に使われています。あまりに額が大きすぎてピンと来ないかもしれません。このおカネは誰に使われていて、誰が負担しているのでしょうか。

42兆円のうちのおよそ6割が65歳以上の患者さんに使われています。75歳以上の患者さんで見ると全体の4割弱の医療費が使われています。人口に占める75歳以上の割合は13%程度ですから、いかに高齢者に対して医療費が使われているのかがよくわかると思います。

ただし、年齢が上がれば上がるほど病気をして医療を必要とする確率が上がるのは当然のことですので、高齢者が医療費を多く使っていることは不自然なことではありません。今後、高齢者の人口が増えることは明白であり、また高額な新薬も増えるだろうと考えると、医療費が増えていくことは防ぎようがありませんし、道理であるともいえます。

誰が負担しているのか

問題は、その42兆円を一体誰が負担しているか、です。日本の国民皆保険制度は、給与などから一部支払われる「保険料」と、患者が病院の窓口で支払う「患者自己負担」で支えられるのが原則です。
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しかし、その内訳を見てみると、保険料は全体の5割、患者自己負担は1割にすぎません。残りの4割は税金などの公費が支えているのです。「日本の医療財政は保険制度としては半分破綻している」と言う人がいるのはこのためです。

僕はこの事実を自分が研修医だったときに知って驚愕しました。医学部ではこのような医療経済のことを教えてくれません。もちろん、医療はインフラ、セーフティネットという意味合いを大きく持った産業ですので、国などが一部を支えることはおかしくありません。

しかし、保険の仕組みから考えれば、財源に補助が入らなければいけないのであれば、保険制度として自立していませんし、その補助の割合が4割となればなおです。

もし仮に、全てを保険料できちんとまかなうとしたら、僕たちは保険料をどのくらい納めなければいけないのでしょうか? 実際のところ、会社員の保険料は個人と会社が折半して負担しており複雑なのですが、ここでは「社会全体で見て、働いている人あたりどのくらい医療費を負担しなければいけないか」ということを考えてみます。

仮に現在の日本の就労人口を6000万人とならしたとすると、42兆円÷6000万人=70万円。つまり理論的には、働いている全ての人が年間70万円、月に5万円以上の社会的負担をすることで維持される仕組みが現在の国民皆保険制度なのです。

もちろん給与や家族の有無などで負担額は異なってきますが、「日本の医療費42兆円」という数字が、もう少し手触りをもって感じられると思います。

現状の保険料ですら高いという声は聞かれますが、現在、私たちが無意識にその恩恵を受けている医療制度は、本来このくらいの負担がなければ維持できないのです。

「医療費を支える人が減り、使う人が増える」

そして、少子・高齢化が進んでいる日本では、「医療費を支える人が減り、使う人が増える」のは明らか。2025年には医療費は50兆円を超える予想で、就労人口が5000万人とすると、1人あたり年間100万円の負担が医療を支えるためには必要になります。

先に述べた通り、医療は国全体のセーフティネットですので、実際には消費税などの税金による補助の増大が現実的ですが、これも国民全体が公的に負担しているおカネに変わりありません。

国民皆保険で支えられている日本の医療財政が、限界を迎えていることは明らかです。今の日本の医療をどうやったら持続可能なものとして維持していくことができるのかを、改めて考えていかなければいけません。

日本ではいたるところで医師が足りない、と叫ばれ医師の過重労働が問題となっています。

僕は初期研修医、脳外科医として働いていた経験がありますが、当時を今振り返ると「まあよく働いていたなあ」と思います。当時の感覚として、休日、残業という概念は全くありませんでした。問題だとは思いますが、自分の所定労働時間というものが存在していたかどうかすら知りません。

しかし、驚くことに、「医師が足りない、足りない」と叫ばれている日本ですが、病院の数はおよそ9000施設あり、これは世界ダントツの1位です。
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病院数世界2位のアメリカが5000ちょっとであることを考えると、日本の病院が「異常なほど」と言っていいくらい多いのが、よくわかると思います。医師が不足しているのであれば、病院の整理・統廃合を行い限られた医療資源を最大限に活用できるような環境を整えるべきです。

日本は世界で最も多くの病院を抱える国

しかし、現状は真逆。日本は世界で最も多くの病院を抱える国なのです。

医療現場で働いていた当時、僕は当直するたびに、“小さな病院がたくさん散在するのではなく、しっかりとした大きな病院が必要十分にあるほうが、病院スタッフ1人ひとりの負担は減るし、病院の設備や維持にかかるコストも割安になるし、ゆくゆくは患者さんのためになるのではないか”とずっと感じていました。

僕は比較的マンパワーに恵まれた病院で働いていましたので、人手不足を実体験で痛感したわけではないのですが、同じエリアに小規模の病院があったりすると、“なんでみんながバラバラにやっているのだろう”といつも疑問に思っていました。

たとえば、大きな病院まで車を飛ばしても1時間くらいかかってしまう、というようなエリアには、小規模でもある程度救急を受け入れられるような病院は必要だと思います。

しかし、大きな病院まで車で○分もあれば行けてしまうようなエリアのなかで、いくつもの病院が救急を受け入れるのは効率的とはいえませんし、近いエリア内で多くの病院がCTやMRIなどの高額の医療機器を導入して利用することも、全体としてみたら合理的でありません。

病院が多数散在しているということを、医師の数からも具体的に考えてみます。

たとえば、脳神経外科において、専門医は日本全体で約7000人登録されています。専門医を取る前の若手脳外科医は1学年300人×5年分として約1500人程度と推定されますので、計8000~9000人程の脳外科医が日本にいることになります。

一方、脳神経外科を標榜している病院は、日本全体で約2500病院存在しています。仮にすべての脳外科医がクリニックではなくて病院で働いているとしても、1病院あたり平均3~4人しかいない計算となります。

現場にいた僕の感覚ではありますが、計3~4人の脳外科医のチームでは、提供できる医療はかなり限られてしまいます。脳外科の手術には最低でも3人ほどの医師は必要ですし、その間の外来や病棟や救急対応を行う医師も必要です。

日本には3人程度の脳外科医チームで踏ん張っている病院が同じエリアに複数存在していることがありますが、このような3つの病院がくっついて、脳外科チームをつくったほうが患者さんのためにも働く側にとってもいいだろう、と思ってしまいます。

日本の医療の特徴

また、病院の数だけでなく、日本の医療の特徴として、民間病院を中心とした医療提供体制があります。

日本の約9000の病院のうち、約7割が民間病院(私立病院)で、3割が公的な病院です。普段はあまり気にしないと思いますが、病院は「◯◯会」のような医療法人が経営している病院に代表されるような民間病院と、「市立〇〇病院」や「国立〇〇病院」のような公的な病院の、大きく2つの種類に分けられます。

日本の社会保険のように公的な仕組みで医療財政をまかなっている国(ドイツ、フランス、イギリスなど)では、大半の病院が公的病院となっており、医療の提供体制が統制されています。イギリスでは医療は税金を財源としているため、医師は公務員です。

一方で、医療財政が民間の医療保険で成り立っている国の代表がアメリカです。アメリカでは75%が民間病院となっていて、医療はインフラというよりもサービスという側面が強くなります。

つまり、日本は公的な仕組みで医療の財政が成り立っている一方で、その財政を使って医療を提供する病院の多くが民間という、世界的にみると特殊な状況で成り立っているのです。民間病院の経営努力により、日本の医療費が抑えられているという現状もありますが、政府や公的な制度によって病院の数を規制することは難しくなります。



http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20180215/CK2018021502000035.html
ふるさと納税で医師を いなべ市、民間病院に制度活用 
2018年2月15日 中日新聞 三重

 地方の医師不足が問題となる中、いなべ市は2018年度、ふるさと納税制度を活用し、市内の民間病院の医師確保を目的とした寄付金を募る。市によると、民間病院の医師確保に限って同制度を利用するのは初めて。

 市によると、目標額は三千万円で、同市北勢町阿下喜の「三重北医療センターいなべ総合病院」への内科医の派遣に役立てる。県内外の医学部のある大学と交渉し、寄付金で地域医療を研究する講座を設置、代わりに内科医3人を3年間派遣してもらう計画だ。寄付金の不足分は市が支出する。

 寄付はインターネットのふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を通じ一万円から募集する。返礼品はペンやバッジなどの記念品を想定し、医師確保の経過はサイトを通じて報告する。市政策課の担当者は「返礼品競争ではなく、制度本来の古里を応援する趣旨から医師確保という目的に絞り、寄付者の充足感や共感につなげたい」と説明する。

 いなべ総合病院は1953年10月に開院し、JA三重厚生連(津市)が運営する。市内唯一の総合病院で内科、皮膚科、産婦人科など22科がある。内科医は以前は十一人いたが、退職に伴い今年4月には3人となるため、診療態勢に支障が出かねないと病院が市に相談した。

 同病院の奥田聖貴事務部長は「地方の病院にとって医師不足は課題。地域医療を存続させるために、より多くの支援をお願いしたい」と話す。日沖靖市長は「寄付を通じ、いなべ出身の人に故郷の医療の現状を知ってもらいたい」と強調する。

 (高島碧)



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018021190095630.html
土岐市病院、4月から外来制限 内科初診、常勤医不足で 
2018年2月11日 09時56分 中日新聞 岐阜

 岐阜県土岐市の市立総合病院(病床数350)の内科が4月から当面の間、医師不足のため、紹介状がない患者の初診外来を休止することが分かった。

 関係者によると、内科の外来は紹介状があるか、既に通院中の患者で、電話予約した場合のみ診察する。

 同院の内科の常勤医師は昨年4月時点で14人だったが、他病院への移籍に伴い、今年4月から8人に減る。病院全体の医師数も、34人から25人に減少する見込み。

 土岐市は医師確保のため、市立総合病院と、隣接する同県瑞浪市でJA岐阜厚生連が運営する東濃厚生病院との統合を、瑞浪市などと検討している。3月末までに結論を出す見通し。

 厚生労働省は、大規模な総合病院に行く前に、近所の医院や診療所などで受診することを患者に推奨。総合病院側も、診療所などの紹介状の提示を求めることが増えている。

 病床数が500を超える大規模病院の場合、初診外来で紹介状のない患者に対し、特別な料金の支払いを求めるケースもある。

(中日新聞)
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http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20180215_12
18年度は12人が県内病院配置 本県奨学金養成医師 
(2018/02/15) 岩手日報

 県関係の奨学金養成医師42人が2017年度に初期研修を終え、現時点で12人が18年度から県内の公的病院に配置される見通しとなった。前年度当初に比べ2人多い。大学院進学などで配置猶予を希望するのは25人で、進路が「未定」は2人。養成医師の本格的な現場配置3年目となる18年度の配置数は計33人に上り、医師不足の改善効果が徐々に広がっている。

 県によると、18年度から新たに現場配置を希望する「3期生」12人の医療圏別配置先は盛岡5人、岩手中部4人、胆江、気仙、宮古が各1人。配置と未定、猶予のほか、3人は奨学金返還を予定している。

 これに対し、16年度に配置が始まった「1期生」、17年度の「2期生」の養成医師は計59人。このうち18年度の現場配置希望は21人で、猶予は31人。未定は7人だが、配置に前向きな医師もおり、調整を続ける。
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https://mainichi.jp/articles/20180214/ddl/k32/040/459000c
島根大病院
医師派遣にデータ 透明性確保目指す 人件費や充足率など 来年度から /島根
 
毎日新聞2018年2月14日 地方版 島根県

 島根大学医学部付属病院(出雲市塩冶町)は、県内の医療機関への医師派遣について、来年度から人件費や地域の医師充足率などのデータを活用することを明らかにした。島大病院は「派遣先の病院と教授との個人的な関係で決めるのではなく、客観的なデータに基づいて、公平で透明性の高い医師派遣をしたい」としている。【山田英之】

 島大病院は今年度、42人の医師を各地に派遣している。来年度は4月時点で32人の派遣を予定し、年度途中にも派遣する医師を増やすという。

 島大病院では2016年3月、教授らによる医師派遣検討委員会を設置。県内の地域や診療科ごとの医師不足や医師偏在の問題解消に向けて、各医療機関からの派遣要請を審議している。

 派遣医師数は、地域ごとの常勤医数▽医師充足率▽地域や診療科ごとの医師の年代▽島大病院各診療科の診療費用請求額や医師の人件費から算出した派遣可能医師数--などのデータを分析して決定する。

 また、透明性を確保するため、県や「しまね地域医療支援センター」の担当者を、学外から委員に加えた。委員会メンバーの小村浩二・県健康福祉部次長は「県内の病院や診療所の医師充足率は80%に達していない。県西部は50~60代の医師が多く、医師の高齢化は厳しい状況になっている」と語る。

 井川幹夫病院長は「医師の偏在は大きな課題。地域や診療科ごとの偏在の解消に向けて、島大病院は役割を果たす使命がある」と話している。【山田英之】



https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201802/0010989767.shtml
長時間勤務や人手不足… 病院の問題、神戸で意見交換 
2018/2/16 06:50 神戸新聞

 勤務医を中心に医師の長時間労働が問題となる中、医療職場の改善を考えるワークショップが15日、神戸市中央区の三宮研修センターであった。兵庫労働局などが初めて企画。市内外から集まった看護師や病院事務局長ら23人が、働きやすい職場を目指して意見を出し合った。(末永陽子)

 政府が昨年まとめた「働き方改革実行計画」では、医師は罰則付きの時間外労働規制の対象となったが、応召義務などから適用は5年間の猶予期間が設けられた。厚生労働省による調査では、勤務医では男性の4割、女性の3割で1週間の労働時間が60時間を超えていたという。兵庫県内でも、当直や救急をこなす医師の過労、看護師不足などが課題となっている。

 この日、4班に分かれて行われたワークショップでは、各病院に共通する課題が浮き彫りに。長時間労働に加え、所属する部署によって残業時間や有給取得率に偏りがある▽慢性的な人手不足▽上司からのパワハラ▽非正規の増加-などが出た。「激務で離職する若者が多く、残された看護師がさらに忙しくなるという悪循環に陥っている」など、深刻な現状を報告する声もあった。

 解決策として、書類作成を代行する「医療クラーク」の採用、時間給や週休3日制の導入、管理職の意識を変えるための研修が提案された。



https://mainichi.jp/articles/20180215/ddl/k28/010/411000c
川西病院
公設民営化で基本協定案 市が議会特別委に示す /兵庫
 
毎日新聞2018年2月15日 地方版 兵庫県

 川西市が公設民営化を進める市立川西病院を巡り、市議会市立病院整備調査特別委員会が14日開かれ、市は指定管理者に内定した医療法人「協和会」(同市)と交わす基本協定案を示した。市は指定管理者の選定議案として16日開会の市議会に提出、4月の協定締結を目指す。

 現在の川西病院は2019年度から、新設の「市立総合医療センター(仮称)」と「北部診療所」は21年度から運営委託する予定で、今回示されたのは川西病院に関する基本協定案。

 基本協定案と細則を定めた仕様書の案によると、指定管理者は現行の13診療科3専門センターの維持に努め、市は指定管理者の業務実施状況を定期的にモニタリング調査する。指定管理料は年間2億5000万円を見積もり、地方交付税交付金を充てる。運営上の赤字や資金不足は補填(ほてん)しないと明記した。

 委員会では、市議から「診療科を維持する担保がない」と指摘があり、市側は「協和会は6病院を運営し、医師を確保できると見込んだうえで指定管理者候補に選んだ。一般的な医師不足で診療科が閉鎖することはない」と回答した。

 21年度から運営委託予定の新病院については今夏までに基本構想を固め、改めて協定を結ぶ。【石川勝義】

〔阪神版〕



https://news.mynavi.jp/article/20180214-584390/
長時間労働で疲労困憊の医師たち。医療現場の労働環境は改善できるのか? 
2018/02/14 07:30:28 マイナビニュース

医師の過重労働の実際・・・4割は週60時間以上の勤務

今、医療現場での医師の過重労働が問題となっています。

週60時間以上勤務する医師の割合は、常勤医師の39%に達しています。診療科別にみると、産婦人科53%、臨床研修医48%、救急科約48%、外科系約47%となっており、日常的に緊急性を要する診療科の長時間勤務が目立ちます(平成28年厚生労働省調べ)。

全産業で週60時間以上勤務する従業者の割合は約7.8%ですので(平成28年総務省「労働力調査」)、やはり医師の長時間労働が際立つ結果となっています。

24時間365日人命を預かる仕事ですから、医師に求められる責任の程度は、他の業種とはまた異なってくるのは当然かもしれません。しかし、医師も人間です。いかに高い志を持っていようと、緊張感を保ちながら長時間休みなく診療にあたるのは不可能です。医療現場を支える医師たちの労働環境を改善するにはどうしたらよいのでしょうか。

雇用者(病院)側の問題…高額な給与が医師の労働者性を薄くしている

医師と病院の間で交わされる雇用契約は、慣例的にあいまいで不明瞭なことが多く、そもそも医師が労働者として認識されていないような風潮すらあるように感じます。

医師という職業が、高度な知識・技能を要し、雇用される段階でプロフェッショナルとして扱われることや、給与が他の業種に比べて比較的高額であることが、医師の労働者性を薄くしてしまっている要因かもしれません。

しかし、病院の指揮命令下で働く勤務医は、まぎれもなく労働者であり、病院側には医師の労働を管理・監督する義務があります。もちろん病院が勤務医に残業をさせれば残業代を支払う義務も生じます。

昨年7月に、定額の年俸制で働く医師について、年俸が高額だからといって、基本給と残業代が区別されていなければ、その年俸に残業代は含まれないとする最高裁の判断が下されました。

このことは、医師の給与の多寡にかかわらず、病院は残業を管理し残業代を支払わなければならいということであり、医師であっても労働者としてきちんと取り扱わねばならないという意味を持ちます。医師と病院の雇用関係について、今一度認識を改めなければならないでしょう。

医師側の問題…一人の医師がかかえる仕事量が多すぎる

医師になるためには、受験競争を勝ち残って医学部へ入り、6年間勉強の末に国家試験に合格し、さらに、卒業後も2年間研修医として実務を身に着けなければなりません。本人の努力に加え、経済的な負担もかなりのものです。医師の報酬が高いのも頷けます。しかし、報酬が高いということは雇用する側にすればコストがかさむということです。

医師の長時間労働が問題となっている背景として、一人の医師にかかる仕事量が多すぎることがあります。もし、これを複数人でシェアできる状態であればどうでしょうか。

医師業界全体として、医師になるためにかかる金銭的負担を下げる取り組みや、医師の報酬レベルの見直しなどをしていかなければ、新たに医師になる人も増えませんし、雇用環境も変化していかないように思います。

医師が大都市に集中しがちな状況の改善も求められる

また、医師が大都市周辺部に集中し、人手不足となった地方の医師の労働環境を圧迫していることも改善を要する問題です。

これまでは、人の命を守るという崇高な職業理念と高額な報酬により、少々負担の多い現場であっても医師は魅力ある職業でした。しかし、過酷すぎる労働環境がそれらの魅力を消し去ってしまえば、医師を志望する人も減ってしまうでしょう。

医師法には「医師は原則、診察、 治療の求めを拒むことはできない」と規定されています。人命を預かる仕事であるが故の大切な規定ですが、医師の過重労働の一因ともされています。責任感だけで過重労働に耐え続けても身体がもちません。医師自身も、自らのワークライフバランスを守るためにできることは何かを考える時期がきています。

(大竹 光明:社会保険労務士)



http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=410822&comment_sub_id=0&category_id=142
「多死社会」の医療 在宅推進まだ物足りぬ 
2018/2/17 中国新聞

 2025年問題が差し迫っている。団塊の世代全てが後期高齢者となる節目の年で、その後には医療や介護のニーズが爆発的に高まる。今のままでは病院のベッドが不足し、収容しきれなくなる事態に陥りかねない。
 1年間に亡くなる人の数は、既に17年で推計134万人と戦後最多を記録している。問題の25年に150万人を超え、ピークの40年には170万人近くになると見込まれる。
 自宅や介護施設でも終末期の医療を受けられるよう、「多死社会」に即した選択肢づくりを急ぐ必要がある。
 厚生労働省が先ごろ決めた4月からの診療報酬の改定方針も、入院中心の医療から在宅医療への転換をさらに加速し、医療と介護との連携を強める内容となっている。
 大きな柱は、かかりつけ医の役割強化である。訪問診療や夜間・休日に対応する医師には初診時の報酬を上乗せする。介護施設での「みとり」を支えるため、特別養護老人ホームに医師が出向いて患者をみとった場合も報酬が出るようにした。
 いずれも、身近な地域で医療や介護を受けられる態勢づくりに沿うもので、一歩前進であるのは間違いない。
 ただ、報酬アップによる誘導には限界があろう。これまでの改定でも在宅医療には手厚くしてきた。にもかかわらず、日常的な訪問診療に取り組む病院は全体の約30%、診療所では約20%にとどまる。みとりまで担っているのは病院、診療所ともに約5%にすぎない。
 24時間対応の負担が二の足を踏ませているのは間違いない。今回、複数の診療所でネットワークを組み、往診に当たる場合の報酬を新設している。在宅医療に一歩踏み出すきっかけになるよう期待したい。
 それでも、医師頼みの構図は変わらない。忘れてはならないのが、医師の過重労働である。在宅医療の推進で、長時間労働や休日返上を押し付けることがあってはならない。
 とすれば、医療と介護との一層の連携は殊更欠かせない。
 同時改定となった介護報酬でも新しく、みとりに取り組む介護施設への加算が設けられた。着実に連携の足場を固めていくほかない。
 私たち患者や家族も、連携を取るべきだろう。
 「入院しないと不安」といった、行き過ぎた医療依存の意識はないか、自己点検をする必要がある。
 その点、広島県医師会などが患者に呼び掛けているアドバンス・ケア・プランニングの試みは参考になりそうだ。「先生に任せるけえ」と医師任せではなく、どんな治療を望み、何をしてほしくないか、医師と語らいながら伝えておく。そんな積み重ねは、かかりつけ医を育むことにもつながるだろう。
 終末期は「住み慣れた自宅で」との志向はもともと根強い。内閣府の意識調査でも、最期を迎えたい場所として55%が自宅を挙げる。実際には十数%しかなく、開きを埋めるのは医療と介護、そして患者や家族との連携にほかなるまい。
 みとりや在宅医療について学ぶ場を地域で増やし、リテラシー(理解し、考える力)をどれだけ高められるか。患者、家族の努力も不可欠である。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180217_33003.html
<岩手県立高田病院>地域医療の拠点再び 高台に新築、来月診療開始 
2018年02月17日土曜日 河北新報

 東日本大震災の津波で全壊した岩手県立高田病院(陸前高田市)が海抜51メートルの高台に新築され、現地で16日、落成式が開かれた。3月1日に診療を始める。これにより、震災で被災した岩手の県立病院は大槌、山田の両病院と合わせて3病院全てが再建された。
 新病院は鉄筋コンクリート2階で、延べ床面積は4265平方メートル。総事業費は37億7600万円。診療科は震災前と同じ8科で、病床は10床減って60床となった。職員は常勤医7人を含め72人。震災を教訓に、3日分の電力を供給するための発電機と燃料を備えた。
 高田病院は気仙医療圏で慢性期の患者や訪問診療に力を注ぐ方針。田畑潔病院長は「最期まで気仙で暮らせるよう、信頼される医療を提供する」と述べた。
 旧病院は津波で4階まで浸水。患者と職員の計22人が犠牲になった。震災発生から2日後には拠点をコミュニティー施設に移して救護活動を開始した。2011年7月に仮設診療所で診察を再開した。
 新病院は旧病院から約2キロ北東の内陸に移転。敷地内に旧病院の銘板を設置して震災を後世に伝える。



http://www.medwatch.jp/?p=18857
医療を将来に引き継げるかの重要な岐路、自覚持って地域医療構想を実現させよ―厚労省 
2018年2月13日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 現在、医療制度や国民皆保険制度を将来に引き継げるか否かの重要な岐路に差し掛かっている。その自覚を持って地域医療構想の実現に向けて取り組んでほしい―。

 厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木健課長は、2月9日に開催した2017年度の「医療計画策定研修会」で、都道府県の担当者にこうに呼び掛けました。

ここがポイント!
1 佐々木課長「課題は地域ごとでも、岐路に立たされている点は全国共通」
2 公民の役割分担、診療実績を踏まえて地域ごとに検討せよ
3 非稼働病床の削減など知事権限の行使も必要

佐々木課長「課題は地域ごとでも、岐路に立たされている点は全国共通」

 いわゆる団塊の世代が2025年に全員75歳以上の後期高齢者となることから、医療・介護ニーズが今後急速に増加していくと予想され、現在の医療提供体制では十分に対応できなくなってしまうと考えられています。そこで、各都道府県において「一般病床・療養病床という大きなくくりだけでなく、医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの必要病床数」などを定めた地域医療構想が策定されています(すでに全都道府県で策定済)。

 一方、各病院・有床診療所には「自院の病棟がどの機能を持つと考えているのか、また将来持たせようと考えているのか」を毎年報告する義務が課せられています(病床機能報告)。

 両者(地域医療構想と病床機能報告結果)には、大きな隔たりがあり、これを地域の医療関係者等が集う「地域医療構想調整会議」における議論の中で埋めていくことが、地域医療構想の実現に向けて極めて重要となります。具体的には、調整会議での話し合いを通じて「自院は急性期機能を担っているが、将来、地域の急性期患者は減ってしまう。将来的には回復期や慢性期機能に転換していくべきである」と病院自身が考えることが求められます。

 都道府県には、地域医療構想調整会議を各地域で開催し、医療関係者同士の協議をまとめる役割が求められています。厚労省は、各都道府県に向けて「地域医療構想調整会議をどのように運営すればよいか」をさまざまな場面を通じて、周知していく考えです。

 1つ目が、まさに2月8日開催の「医療計画策定研修会」、もう1つが2月7日に発出した通知「地域医療構想の進め方について」です(通知の内容については後述します)。

 1つ目の医療計画策定研修会の冒頭で佐々木地域医療計画課長は、「地域医療構想の達成に向けた課題が地域ごとに異なることもあり、進捗状況にばらつきが出ている」と指摘。その上で、「日本の人口動態などを考えると、今の医療制度・国民皆保険制度を守り、地域医療を守り、将来世代にバトンを渡せるかどうかの岐路に立っているということは全国共通だ。そうした段階であると自覚して、厚労省と一緒に責任を持って進めてほしい」と都道府県に呼び掛けました。

公民の役割分担、診療実績を踏まえて地域ごとに検討せよ

 厚労省の2つめの通知「地域医療構想の進め方について」では、主に次のような取り組みを都道府県に求めています(関連記事はこちら)。

(1)各医療機関が「2025年時点でどのような役割を担い、そのためにどのような病床(医療機能ごとの病床数)を有する方針か」を、地域医療構想調整会議で議論してもらい、合意に至った分を毎年度取りまとめる
(2)過去1年間に一度も患者が入院していない病棟(非稼働病棟)がある場合、その病床削減について地域医療構想調整会議で議論してもらう
(3)病床新設が申請された場合、地域医療構想調整会議で議論してもらう

 (1)の各医療機関の方針をどう協議するかは、大きく▼公立病院▼公的医療機関等▼その他の民間医療機関―で異なります。地域の基幹病院として機能することが多い「公立病院」「公的医療機関等」に関しては、今年度中(2018年3月末まで)、その他の民間医療機関については遅くとも来年度末(2019年3月末)までに「今後、地域でどのような役割を担うのか」を協議してもらうことになります。この点、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、「協議の結果をまとめるまでには時間がかかるかもしれないが、期限までに必ず議論をスタートさせるようお願いしたい」と訴えました。

 また、公立病院や公的医療機関等は、補助金が交付されるなど財政補填が行われるほか、税制上の優遇措置が設けられていることから、「民間医療機関では担えない分野」に重点的に取り組むことが求められます。ただし、「救急医療などの提供体制が厚い民間医療機関が複数ある」地域もあれば、「民間医療機関がほとんどない」地域もあり、厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、「各医療機関の診療実績などを共有しながら、その地域に合った役割分担の在り方を話し合ってほしい」と求めました。まさに「地域ごとに医療提供体制を再構築していく」ことが求められると言えるでしょう。

非稼働病床の削減など知事権限の行使も必要

 都道府県知事には、「稼働していない病床の削減を要請・勧告(対民間医療機関)および命令(対公的医療機関等)」する権限が与えられています。それを踏まえて(2)については「非稼働病棟を持つ医療機関に、地域医療構想調整会議に出席のうえ、▼病棟を稼動していない理由▼再稼働させる予定の有無―などを説明してもらい、再稼働させる必要性や、非稼働のまま維持する必要性が乏しい場合は、病床削減を要請・命令する」よう求めています。

 また(3)の病床新設を申請した医療機関について、都道府県には「病床新設を認める代わりに、将来不足する医療機能を提供する条件を付ける」権限などが与えられています。地域医療構想調整会議での協議では、病床新設を申請した医療機関に「新設する病床で担う医療機能」などを説明させ、▼医療機関が説明したとおりの医療機能を新設病床で担わせれば、その医療機能の病床数が、地域でますます過剰になってしまう▼他医療機関の今後の機能転換の方針を踏まえても、病床不足が見込まれる医療機能が別にある―ような場合、知事権限を行使することが求められるでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/586685
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
次回以降「本丸」の上限規制など議論
医師の働き方改革に関する検討会
 
レポート 2018年2月16日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は2月16日の第7回会議で、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」と「中間的な論点整理」をまとめた。この日に出た意見も踏まえて文言の調整を行い、近く通知などの形で医療機関に実施を求める。

 厚労省医政局医事課医師養成等企画調整室室長の堀岡伸彦氏は会合後、「(検討会の)後半戦は『本丸』の(時間外労働時間の)上限規制の話に入らないといけない。具体的な時間の議論もしていただく」と述べた(資料は厚労省のホームページ、前回会議の記事は『働き方改革の緊急対策、労働時間管理など5項目は「当然」』を参照)。

 緊急的な取り組みは次の6項目から成る。
(1)労働時間管理の適正化
(2)「36協定」の自己点検
(3)既存の産業保健の仕組みの活用
(4)タスク・シフティング(業務の移管)の推進
(5)女性医師等に対する支援
(6)医療機関の状況に応じた取り組み

 討論で出た意見はほとんどが中間整理についてのものだったが、(5)について岡山大学医療人キャリアセンターMUSCATセンター長の片岡仁美氏が「育児は女性だけの話ではないので、男女共同参画の意味で項目名から『女性』を外してはどうか」と提案。岩村座長は「考え方はその通りだが、項目名としては『女性』があった方が分かりやすいのでは」と応じ、片岡氏も同意した。

 厚労省の堀岡氏は会合後に報道陣に対し、特に(4)の重要性を強調。2007年12月28日付け医政局長通知では「関係職種間で適切に役割分担を図り」としていたところを「原則医師以外の職種により分担して実施」と強い表現をしているとして、医療機関が推進するよう求めた。

 中間整理については、前回会議で骨子案を提示した後に構成員から厚労省に寄せられた意見を基に修正した案が提示された。「地域医療提供体制の確保の観点」の項目で「集約化の議論」との文言が削除されたことについて、千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏が「集約化には微妙な問題があるのは承知しているが、小規模な自治体立病院が少人数で、かつ赤字を出しながらやっている実態がある。集約化をしなければ十分な医療ができず、医師は疲弊する」と指摘。「公的病院の集約化」などの表現で復活させることを求めた。

 次回以降の議論の主な論点となる時間外労働時間の上限規制では、順天堂大学医学部附属順天堂医院医師の猪俣武範氏が、大学の医師は臨床に加え研究、教育も担っていることを強調し、「次代の医療へのイノベーションを制限しない形でお願いしたい。特性に応じた検討をしてほしい」と要望。青葉アーバンクリニック総合診療医の三島千明氏も「診療科や専門分野で必要な時間も違う。各科や専門分野ごとに検討が必要だ」と述べた。

 「健康管理措置の充実」については、全国衛生部長会会長の鶴田憲一氏が「医師は健診の受診率が一番悪い」と指摘。日本医師会副会長の今村聡氏も「医師は医師に相談しないという調査結果も出ている。教育、養成課程で、医師自身が健康でなければいけないことを教えないといけない。これは中期的に大事だ」と同調した。

 16日の検討会には、厚労省副大臣の高木美智代、牧原秀樹両氏も出席。高木氏は最後に「この検討会は入り口だ。一朝一夕ではできないと思うが、できることから取り組んでいただけるよう、お願いしたい」と述べた。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59513/Default.aspx
高知県の近森病院 院長を懲戒解雇 県条例違反の疑い報道を受け 
公開日時 2018/02/13 03:50 ミクス OnLine

 高知県高知市の社会医療法人近森会近森病院は2月9日の臨時理事会で、同院の院長に係る不祥事の報道を受け、近森正康院長の懲戒解雇を決定した。院長が男子中学生にみだらな行為を行ったとして県の青少年保護育成条例違反の疑いで8日に逮捕されていた。新院長は近森正幸理事長が兼任する。

 近森会の近森正幸理事長は8日付で、「患者様をはじめご家族の皆様に、大変なご迷惑とご心配をおかけして誠に申し訳ございません」とお詫びした。また9日の臨時理事会後には、「患者様をはじめご家族の皆様や多くの方々に、改めましてお詫び申し上げますとともに、医師をはじめ職員一同は、これまで通り誠心誠意、患者さまへの診療に専念致す所存でございますので、何卒ご理解をお願い申し上げます」とコメントしている。

 近森病院は、高知県の地域医療において、医療連携、病棟連携、チーム医療などの各分野で先進的な取り組みを行い、高い実績を誇っている。同院は救命救急医療に特化し、近森リハビリテーション病院などとの「垂直統合」で入院患者の在宅復帰を推進している。加えて、地域医療連携を徹底し、より密接な「アライアンス連携」を進めるなど、地域包括ケアのモデル施設として全国の病院経営者から注目を集めていた。近年は新たなビジネスモデルにも挑戦しており、多職種によるチーム医療への転換の実績も高く評価されてきた。こうした病院改革の実績を背景に、2017年1月には近森正康氏を院長に据え、組織改革に着手していた。



http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180211-OYT1T50101.html
診療報酬改定 「在宅」支える体制作りを急げ 
2018年02月12日 06時00分 読売新聞

 団塊の世代が全て75歳以上になる2025年に向けて、効率的で質の高い医療提供体制への転換を着実に進めたい。

 18年度の診療報酬改定の内容が決まった。

 超高齢社会の医療ニーズに合わせ、病院中心から在宅重視への流れを加速させることが主眼だ。高コストの重症者向け病床は、要件を厳しくして絞り込みを図った。退院支援を担う回復期向け病床や在宅医療の報酬は手厚くした。

 高齢化に伴い、生活習慣病や認知症が増えた。高齢者の多くが複数の持病を抱える。手術などの集中治療で完治を目指す医療から、慢性病患者の暮らしを支える医療への転換が急務である。

 現状では、重症者向け病床が過剰になり、症状の重くない高齢患者らを多数受け入れている。適切なリハビリや在宅ケアがあれば、退院可能な人も少なくない。

 限られた人材と財源を配分し直し、医療の質向上と費用抑制を両立させることが大切だ。それが、高齢者の希望にも適かなうだろう。

 入院の報酬については、重症者の割合、治療やケアの内容などの実績評価も導入した。実情に合ったきめ細かな報酬体系に変えるのは、合理的である。

 看護師配置が基準の現行方式では、診療内容と報酬が必ずしも合致しない。報酬の高い重症者向け病床に病院が固執し、削減が進まない要因になっている。報酬見直しを病床再編につなげたい。

 在宅医療では、かかりつけ医の普及に重点を置いた。初診料に上乗せをつける。複数の診療所が連携して24時間対応する体制を整備した場合の加算を新設する。タブレット端末などを用いた「遠隔診療」の報酬も明確化した。

 病院との役割分担を図るため、紹介状なしで受診した患者に追加負担を求める病院の範囲は拡大する。患者の大病院集中や重複受診を減らす狙いは妥当だ。有効に機能させるには、かかりつけ医の質と量の確保が欠かせない。

 6年ぶりの介護報酬との同時改定となる今回は、介護との連携強化も大きなテーマだ。入退院時やリハビリでの情報共有、在宅や施設での看取みとりなど、様々な報酬を充実させた。現場での積極的な取り組みが望まれる。

 診療報酬による誘導だけでは、改革には限界がある。都道府県では、25年を見据えた地域医療構想を具体化するため、医療機関などとの調整が本格化する。今回改定の理念を実現できるかどうか、都道府県の力量も問われる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/585800
シリーズ  中央社会保険医療協議会
地域包括ケア病棟入院料1は180点引き上げ
「自宅などから入棟1割以上」など要件に
 
レポート 2018年2月13日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)
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 2018年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟で、自宅などでの急変時に対応できるよう、入院料1で「自宅などから入棟した患者の割合が1割以上であること」との算定要件を追加し、点数は180点引き上げる。また、急性期一般病棟などと同様、基本的な評価部分と在宅医療提供など診療実績に係る評価部分を組み合わせた体系に見直す。

 入院前の居場所で患者の状態、手のかかり具合が異なるため、従来の「救急・在宅等支援病床初期加算」(150点)は自宅などからの入院と、自院や他院からの転棟、転院など「急性期後」を分けて評価し、前者は「在宅患者支援病床初期加算」として300点、後者は「急性期患者支援病床初期加算」として150点を加算する(資料は、厚生労働省のホームページ)。

2018年度診療報酬改定!徹底解説
◆地域包括ケア病棟入院料1:2738点(現行2558点)
 (生活療養を受ける場合にあっては)2724 点
【算定要件】(診療実績の評価に係る新要件)
ニ:当該病棟に入棟した患者のうち、自宅などから入棟した患者の占める割合が1割以上であること。
ホ:当該病棟において自宅等からの緊急入院患者の受け入れが3カ月で3人以上であること。
ヘ:以下の a、b、c または d のうち少なくとも2つを満たしていること。
 a. 当該保険医療機関において在宅患者訪問診療料の算定回数が3月で20 回以上であること。
 b. 当該保険医療機関において在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料または精神科訪問看護・指導料Ⅰの算定回数が3月で 100 回以上、または同一敷地内の訪問看護ステーションにおいて、訪問看護基本療養費または精神科訪問看護基本療養費の算定回数が3月で500 回以上であること。
 c. 当該保険医療機関において、開放型病院共同指導料(1)または(2)の算定回数が3月で 10 回以上であること。
 d. 介護保険における訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、介護予防訪問看護または介護予防訪問リハビリテーション等の介護サービスを同一敷地内の施設等で実施していること。
ト:当該保険医療機関において、厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、看取りに対する指針を定めていること。

地域包括ケア入院医療管理料1     2738点(現行2558点)
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2724点
地域包括ケア病棟入院料2       2558点
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2544点
地域包括ケア入院医療管理料2     2558点
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2554点
地域包括ケア病棟入院料3       2238点
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2224点
地域包括ケア入院医療管理料3     2238点
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2224点
地域包括ケア病棟入院料4       2038点
 (生活療養を受ける場合にあっては) 2024 点

◆在宅患者支援病床初期加算:300点(1日につき)
当該病棟または病室に入院している患者のうち、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等または自宅から入院した患者に対し、治療方針に関する患者またはその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して14日を限度として、在宅患者支援病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。

急性期患者支援病床初期加算は、現行の救急・在宅等支援病床初期加算と同じ150点で、要件も同様となる。

2018年度診療報酬改定!徹底解説 https://www.m3.com/special/news/shinryohosyu_kaitei.shtml



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201802/554864.html
記者の眼 従来とは一線を画す新たな医師偏在対策 
2018/2/15 土田 絢子=日経ヘルスケア

 多くの地域で長年の課題とされてきた医師不足。この課題に対して、国は2008年度から大学医学部の入学定員を増やしたり地域枠を設定するなど手を打ってきたが、一向に解消していない。今でも人口10万人対医師数を見ると最多の徳島県(315.9人)と最少の埼玉県(160.1人)の間には約2倍の開きがあるし(2016年の医師・歯科医師・薬剤師調査)、外科や産婦人科では長時間労働が常態化しているが、それらの診療科を選択する医師数はあまり増えていない。全国的に医師数を増やしても、都市部などの地域や一定の診療科に医師が集中し、その他の地域や診療科は医師不足のままになってしまうからだ(図1)。

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図1●医師偏在の現状 (出典:1月22日厚労省「医療計画の見直し等に関する検討会」資料)※クリックすると拡大表示します

 そこで医師偏在を抜本的に是正するため、新たな一手が打たれようとしている。昨年12月21日に厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」が策定した「医師需給分科会 第2次中間取りまとめ」の提言である。関連する医療法や医師法の改正法案はこれから国会に提出され、実行に向けた検討が進められる。これらの内容が実現すれば、地域の医療提供体制の再編に関する議論に大きな影響を及ぼすだろう。

 提言の主なポイントは、(1)医師偏在の状況の徹底的な「見える化」、(2)医師の少ない地域での勤務を促す環境整備、(3)外来医療機能の不足・偏在等への対応、(4)医師養成過程への都道府県の関与、(5)都道府県の体制整備――の5つ。地域や診療科における医師の多寡を誰もが分かるよう可視化して医師や関係者に気づきを促し、必要な協議を通じて具体的な対策に結び付けることが重視されている。協議や対策は都道府県が主体となって行う。以下、この5つのポイントを説明していこう。

 (1)「医師偏在の状況の徹底的な『見える化』」は、国が「医師偏在の度合いを示す指標」を新たに導入し、医師が多い、少ないといった多寡を地域ごとに明らかにして全国ベースで客観的に比較できるようにする狙いがある(図2)。現在、「人口10万人対医師数」が地域ごとの医師数の比較に一般的に用いられているが、医療ニーズや将来の人口・人口構成の変化、患者の流出入といった要素は勘案されていない。新たに導入される指標はこのような項目も考慮したものとなる見込みだ。

 指標を基に都道府県は「医師少数区域(仮称)」と「医師多数区域(仮称)」を指定し、「医師確保計画」を医療計画の中で策定する。

 医師確保計画は、都道府県における医師確保の総合的な方針を示したもので、確保すべき医師数の目標値や、それを達成するための医師少数区域への医師派遣のあり方、医師養成過程を通じた医師の地域定着策などが記載される。計画の期間は3年で、PDCAサイクルの下で目標の進捗管理が図られる。

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図2●医師偏在の度合いを示す指標の導入 (出典:1月22日厚労省「医療計画の見直し等に関する検討会」資料)

 (2)「医師の少ない地域での勤務を促す環境整備」は、医師少数区域での勤務に関する負担を軽減して、医師に魅力を感じてもらえるような環境整備を指す。例えば、医師少数区域の医師が定期的に休暇を取得したり中核病院で研鑽することができるよう交代勤務の医師を派遣したり、専門外の症例に関して医師間で遠隔相談ができるようにする。また、医師少数区域で働く医師の希望に沿った中長期的なキャリアプログラムを都道府県や大学病院、医療機関などが協力して作成する。

 一方、医師少数区域内の指定された医療機関で一定期間以上勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度を創設する。1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会では、この認定医を「認定社会貢献医(仮称)」と呼称し、広告可能事項に追加したり、地域医療支援病院などの管理者として評価するといった案が示された(図3)。

 なお、都道府県の要請に応じて医師を派遣する病院に対して経済的インセンティブを付与する方針も打ち出されている。

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図3●医師少数区域での勤務の環境整備 (出典:1月24日厚労省「社会保障審議会・医療部会」資料)

 (3)「外来医療機能の不足・偏在等への対応」は、無床診療所の開設が都市部に偏り、医療機関間の連携が個々の医療機関の自主的な取り組みに委ねられている現状への対策。まず、(1)で説明した医師偏在の指標により「地域ごとの外来医療機能の偏在・不足」を明らかにして、新たに開業しようとしている医療関係者にその情報を提供する(図4)。その際、地域ごとの疾病構造や患者の受療行動の特性など、どのような内容を「外来医療機能の偏在・不足」情報として可視化するかは事前に地域の関係者で協議する。

 加えて、地域での外来の機能分化・連携の方針(救急医療提供体制、グループ診療、医療設備・機器の共同利用など)についても協議する。議論の場としては、おおむね二次医療圏ごとに設置されている地域医療構想調整会議が活用できるとされた。
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図4●外来医療機能の不足・偏在などへの対応 (出典:1月22日厚労省「医療計画の見直し等に関する検討会」資料)

(4)「医師養成過程への都道府県の関与」は、「医学部」「臨床研修」「専門研修」の各過程において都道府県が医師偏在対策のために介入できる仕組み作りをいう。地元出身の医学部入学者はその都道府県に定着する割合が約80%と高いことが明らかになっているため、医師養成段階から医師偏在の解消に向けた取り組みを促す。

 例えば医学部に関しては、医師が少ない都道府県の知事が、管内の大学に対して地元出身の入学者枠の設定・増員を要請できるようにする。臨床研修に関しては、大学病院を含めた臨床研修病院の指定および募集定員の設定権限を国から都道府県に移管する。専門研修に関しては、国や都道府県が地域医療の観点から日本専門医機構などに対して意見を述べられるようにする。

 また、若い医師が将来の診療科別の医療ニーズを踏まえて診療科を選択できるよう、診療科ごとに将来必要な医師数の見通しを、国全体、都道府県ごとに明確化して国が医師に情報提供する(図5)。
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図5●「専門研修」における医師確保対策 (出典:1月22日厚労省「医療計画の見直し等に関する検討会」資料)

 以上述べた(1)~(4)の取り組みを都道府県が推進する上では都道府県の体制整備が重要だが(先述の5番目のポイント「都道府県の体制整備」)、それに関しては、都道府県の医療審議会が医師確保計画を策定し、「地域医療対策協議会」が具体的な方針を協議する場として提案された。

 地域医療対策協議会は2006年の医療法改正により都道府県の医療従事者の確保対策を議論する場として設置されたが、現状では未開催の都道府県もあり十分に活用されていない。しかも、都道府県によっては地域医療支援センター運営協議会、へき地医療支援機構や新専門医制度に関する都道府県協議会など、医師確保に関する会議体が乱立している。

 そこで地域医療対策協議会は医師確保計画で定められた内容を具体的に協議する機関と明確に位置づけられ、構成員を改めて機能を強化する方針が示された。併せて、ほかの各種会議体は原則として廃止される。

 そして地域医療対策協議会の決定事項を実行する部隊としては「地域医療支援センター」が位置づけられる。厚労省の第2次中間取りまとめでは、同センターの機能を高めるため、大学医学部・病院と連携する、医師の派遣先が理由なく公立・公的病院に偏らないよう医師派遣の方針を明確化する、といった方向性が示された(図6)。
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図6●都道府県の体制整備 (出典:1月22日厚労省「医療計画の見直し等に関する検討会」資料)

 これらの内容を実現しようという厚労省の本気度は高い。昨年12月の経済財政諮問会議では加藤勝信厚生労働大臣が医師偏在対策の内容を議長の安倍晋三首相らに説明。関連する医療法・医師法の改正案を今年の国会に提出するとした。現在調整中ではあるが、目安となる施行スケジュール案も示されており、例えば、医師確保計画の策定や外来医療機能の偏在・不足等への対応は2019年4月、医師少数区域の一定期間の勤務経験を有する医師の認定制度は2020年4月などとされている。

 これらの内容が実現すれば、都道府県を中心に医師の偏在解消が進むことになりそうだ。一方で、既にスタートしている入院病床の適正配置を進める地域医療構想も主体は都道府県。将来的には各都道府県で医師確保計画と地域医療構想を通して、医師の配置や外来、入院病床は整合的に検討されることになるだろう。

 もちろん、取り上げた内容には様々な意見が出ると想定され、実現に向けた関係者間の調整は難しい局面もあるだろう。それでも、これから少子高齢化や人口減がますます進む日本で、医療提供体制の再編は待ったなしの段階に差し掛かってきている。医師の働き方改革にも対応しなくてはならない。“自然な成り行き”では医師の偏在解消が望めないことは確かであり、制度改革に向けた建設的な議論の必要性は高い。



http://www.medwatch.jp/?p=18852
新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構 
2018年2月13日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新たな専門医制度の専攻医登録状況を見る限り、専攻医は適正に配置されている。現時点で、医師偏在が助長されているとは認識していない―。

 日本専門医機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、2月9日の定例記者会見で改めてこのようにコメントしました。

専攻医の勤務先をリアルタイムで把握する仕組みに基づいた議論が重要

 2018年度からの新たな専門医制度全面スタートに向けて、現在、専門医を目指す研修医(専攻医)の登録が行われています。

 日本専門医機構では、昨年(2017年)11月15日までの1次登録での採用状況(7791人分)を既に公表しています。現在、2次登録が終了し、その精査が行われています。

この専攻医登録結果について、例えば全国自治体病院協議会は▼群馬県、山梨県、高知県では外科領域の専攻医が1名しかおらず、将来、大学病院ですら外科手術ができない都道府県が現れるかもしれない▼10自治体で脳神経外科領域の専攻医がゼロ名、2自治体で皮膚科領域の専攻医がゼロ名などとなっている—などの点を踏まえ、「医師偏在が助長されているのではないか」と問題提起を行っています(関連記事はこちらとこちら)。

これに対し、松原副理事長は「登録状況を見る限り、専攻医は適正に配置されており、大きな問題が生じているとは認識していない。日本専門医機構の理事会にも、病院団体から参加を得ており、こうした旨を説明している」と改めてコメントしました。

もっとも、現在の専攻医登録データを基にした議論には限界があります。厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(検討会)では、「専攻医が実際にどこに勤務しているのか」が十分に把握されていないことが問題視されました。X医師が「▼A県の基幹施設▼B県の連携施設―で研修を行う」という専門医養成プログラムに登録したとします。登録はA県の基幹施設で行うため、X医師はB県の連携施設で勤務している間も「A県で勤務」とカウントされてしまうという問題です。また、大都市(例えば東京都)には専攻医が集中しがちですが、近隣県の連携施設での研修をプログラムに組み込んであれば、「大都市に集中しているように見えるが、近隣県への医師配置も同時に達成できている」ことになります(関連記事はこちら)。

日本専門医機構は、こうした問題点について「専攻医がリアルタイムで、どこに勤務しているのかを把握する仕組み」を構築する考えを明らかにしており(関連記事はこちら)、2月9日の定例会見では▼東京都の研修プログラムが、近隣県をどの程度カバーしているのかを明確にする▼基本領域学会に、リアルタイムでの専攻医把握に関するスケジュールを提示してもらう—方針が固まったことが報告されました。

この仕組みに基づけば、全自病の指摘するように「医師偏在が助長されている」のか、日本専門医機構の主張どおり「大きな問題は生じていない」のかが明確になるため、この仕組みやそれに基づくデータに注目が集まります。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/nhc/201802/554872.html
病院が地域で生き残るための「切り札」は?
2018改定で加速! 診療実績ない病院は淘汰へ
 
2018/2/16 日経ヘルスケアon the web

 2018年度診療報酬改定は、病院の規模や受け入れる患者像に応じた機能分化をさらに促進します。中小病院は地域の医療需要の変化を的確に捉えた上で、早期に自院の機能を見直すことが大きな経営課題です。

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は、2月号の特集「中小病院の生き残り戦略2018」で、軽度急性期や急性期後の機能を整備して経営力をアップさせた地域密着型の病院のケースを紹介しました。

地域の医療需要や病院の規模に見合った機能選択を

 2018年度診療報酬改定の全貌が明らかになりました。改定の基本方針の一つが、「医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価」です。人口構造や疾病構造の変化により入院医療のニーズが多様化する中、医療機能の分化・強化や連携を推進し、地域に必要な医療を効果的・効率的に提供できる体制を整備する狙いがあります。

 こうした基本方針の下、入院医療においては多くの入院料が再編・統合(表1)。看護職員配置や平均在院日数などの「基本的な診療にかかる評価」(基本部分)と、重症患者割合や在宅復帰率などの「診療実績に応じた段階的な評価」(実績部分)の2階建ての構造になります。重症患者を受け入れたり、早期に退院させるといった「アウトカム」が問われ、一定の診療実績を上げられなければ高い入院料は算定できなくなるのです。

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表1 2018年度診療報酬改定における入院料の再編・統合の概要(中央社会保険医療協議会資料を基に編集部作成)

 2018年度改定では病院の規模に応じた機能分化の推進も色濃く打ち出されました。これまで「病床数500床以上」が要件とされていた診療報酬については、原則「400床以上」に基準が引き下げられます。そのため2018年4月以降、400床以上の病院でも地域包括ケア病棟入院料の届け出が1病棟に制限。一方、同入院料に上位ランクが新設され、要件には「病床数200床未満」が盛り込まれます。

 今後の病院運営を考える上では、地域の医療需要や病院の規模に見合った機能を選択することが一層重要になってくるといえそうです。

際立つ10対1病棟の稼働率低下

 ただ、現在の病院の運営状況に目を向けると、200床未満の中小病院が厳しい環境に置かれていることが分かります。厚生労働省が示した一般病棟入院基本料の区分別の病床稼働率の推移を見ると、多くの区分で稼働率が低下。特に落ち込みが目立つのが10対1入院基本料です。厚労省の資料によると、10対1病棟を持つ病院の約9割が200床未満の中小病院であり、こうした病院が稼働率低下に直面している実態がうかがえます。

 それでは今後、200床未満の中小病院が生き残る上では、どんな戦略が考えられるでしょうか。急性期病院として生き残るのであれば、脳神経外科や整形外科などの専門に特化する道がありますが、そうでなければ肺炎や熱発のように高度な医療資源の投入を必要としない医療を担ったり、在宅医療を手がけるなどして、地域に密着した病院を目指すことになるでしょう。

 具体的には、地域の高齢者を主な対象とした軽度の急性期医療(いわゆる「サブアキュート」)に加え、急性期を脱した患者の受け入れ(いわゆる「ポストアキュート」)、リハビリ機能を担うことが求められます。脳血管疾患や骨折などの後に自宅生活に戻れるよう、リハビリを提供する回復期の機能を担ったり、退院後に必要な介護サービスを利用できるよう、介護との連携機能も期待されます。

地域包括ケア病棟の要件見直しでさらに競争激化?

 サブアキュートやポストアキュート、回復期の機能を担うに当たっては、病棟再編が必要になることもあります。一般病棟からの転換先として最も有力なのは地域包括ケア病棟でしょう。

 2018年度改定では、地域包括ケア病棟を届け出る要件に「同一敷地内に訪問看護ステーションがあること」が追加されます。従来は在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院(直近1年間に在宅患者の緊急受け入れ実績3件以上)、二次救急病院、救急告示病院──のいずれかを満たす必要がありました。要件の選択肢が広がることで地域包括ケア病棟への転換がますます進み、競争が激化する可能性が高いため、病棟再編を検討する場合は早期の決断を迫られそうです。

 地域にリハビリを担う病院が少なければ、回復期リハビリ病棟への転換も選択肢の一つになり得ます。ただし、回復期リハビリ病棟の届け出病床数は2016年時点で7万9000床を超え、回復期リハビリテーション病棟協会が目標とする「人口10万人当たり50床」を既に上回っており、既に「量的整備」から「質的整備」のフェーズに入ったといえます。

 「回復期リハビリを担う病院」と周辺の医療機関や患者に認識してもらうためには、早めに意思決定した方がいいかもしれません。一方、一般病棟からの転換が増えれば既に回復期リハビリ病棟を運営している病院にとっては競争激化は避けられず、一層質の高いリハビリを提供することが求められそうです。

 病床稼働率が低下する中、中小病院が生き残るには2018年度改定の内容や地域の医療需要、医療提供体制を踏まえて自院の機能を見直す必要があります。今回の特集記事では、将来の医療・介護需要の予測や地域の医療提供体制の動向などを基に、各病院がどのような戦略を立てて病棟を運営しているのかを解説しました。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201802/20180215_61032.html
双葉郡の2次救急担う 医療センター4月23日開院 福島・富岡 
2018年02月15日木曜日 河北新報

 福島県は富岡町に整備を進める「ふたば医療センター付属病院」(30床)を、4月23日に開院する方針を明らかにした。東京電力福島第1原発事故で被災した双葉郡の2次救急を担うとともに、入院を通じた食事指導にも当たり、帰還した住民らの健康を守る。
 救急科と内科を開設する。平日は院長と非常勤医師4、5人、休日は非常勤医師2、3人を配置。第1原発の廃炉作業などに携わる関係者や住民らの救急外来に24時間対応する。
 入院による食事指導などは地域の糖尿病患者らを対象に実施。服薬方法なども指導する教育プログラムを用意する。
 出動が多い県所有のドクターヘリが使えない事態を想定し、多目的ヘリを民間から借りる形で導入。病院のヘリポートに常駐させ、患者搬送にとどまらず、患者家族の移送や医薬品の運搬などにも利用する。
 医療センターは付属病院内に入り、同病院と、2016年2月に開所した「ふたば復興診療所」(楢葉町)を管轄する。
 双葉郡内の医療機関は原発事故前、歯科などを含め80カ所にあったが、現在は仮設なども合わせて12カ所で、入院機能を持つのは1病院のみ。18年度の開設も2病院にとどまり、施設と医療・介護人材の確保が課題となっている。



https://www.m3.com/news/general/586756
震災7年:とうほくの今 陸前高田・津波で全壊、高田病院が高台に再建 90人態勢で来月1日開院 /岩手 
地域 2018年2月17日 (土)配信毎日新聞 岩手

 東日本大震災の津波で全壊し、患者と職員計22人が犠牲になった陸前高田市の県立高田病院が高台に新築され、16日に落成式が行われた。大槌病院、山田病院と合わせ、被災した県立3病院がすべて再建された。3月1日に開院する。【藤井朋子】

 同市気仙町にあった旧高田病院は、最上階の4階まで浸水して全壊。患者16人と職員6人が亡くなった。その後、同市米崎町の仮設施設で2011年7月に診療を、12年2月に入院を再開している。

 新病院は、海から約2キロ離れた同市高田地区の山を切り崩した造成地で、海抜51・2メートルの高台にある。鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積は4265平方メートル。総事業費は約28億8100万円。

 診療科は、内科▽外科▽小児科▽整形外科▽婦人科▽眼科▽耳鼻咽喉(いんこう)科▽リハビリテーション科――の8科で、病床数は震災前より10床少ない60床。常勤医は7人で、非常勤の職員を含む90人態勢で再スタートする。今後、病院の隣に市の保健センター(仮称)が整備され、連携して地域医療を支えていく。

 落成式には、達増拓也知事らが出席。陸前高田市の戸羽太市長はあいさつで「目指すのはノーマライゼーションという言葉の要らないまち、誰もが安心して暮らせる社会だ。この病院がその拠点になってほしい」と期待を寄せた。

 県医療局によると、仮設病院は現在、1日平均約180人が外来で受診し、その多くが高齢者という。新病院のX線テレビ室では、喉の形やのみ込み方に問題がないか調べる嚥下(えんげ)造影検査ができ、のみ込みやすい体位や適した食べ物の硬さなどを検討できる。また、院内に子どもたちが遊べるキッズルームも設けた。

 田畑潔院長(57)は「高齢の方が最後まで気仙で暮らせる地域づくりを支えながら、子どもたちも大切にする病院にしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/general/586588
市立伊勢総合病院 院長と事業管理者を分離へ 経営改善に専念 三重 
地域 2018年2月17日 (土) 伊勢新聞

【伊勢】慢性的な赤字経営が問題となっている伊勢市立伊勢総合病院の運営体制を改善しようと、三重県伊勢市は経営担当の病院事業管理者が院長を兼務する現在の体制を改め、院長と管理者を分離させる方針を固めた。市議会3月定例会に条例改正案を提出する。可決されれば来年度中に新たな管理者を設け、新管理者は経営改善に専念する。

市が15日の市議会教育民生委員会で報告した。管理者は市長が任命した特別職で医師免許は不要。人事や予算編成など、病院経営において大きな権限を持つ。一方、院長は院内の医療行為の管理責任者で医師が務める。市は経営を効率化するため、平成16年4月から管理者が院長を兼ねている。

ただ、伊勢病院は16年度から本業の医業収支が毎年赤字となっている。16年度の医業収支は約2500万円の赤字だが、28年度の赤字額は9億5千万円まで増加。そのため、市議会からは管理者と院長を分離し、新管理者は経営改善に専念するよう求める声が度々上がっていた。

県内の市立病院では亀山市立医療センターが管理者と院長を分けている。



https://www.m3.com/news/general/586102
高知県の室戸病院存続を 住民3063人が市に署名提出 
地域 2018年2月14日 (水) 高知新聞

 1月末に閉院した室戸病院(高知県室戸市元甲)の存続や地域医療の確保を求め、地区の住民有志が市民3063人の署名を集めて13日、室戸市に提出した。

 室戸病院は内科や眼科、皮膚科などを備えた総合病院として、多くの市民に長年利用されてきたが、経営不振に伴い閉院した。署名は元地区の杉本忠士さん(72)らが中心となって1月中旬から集めてきた。

 この日、杉本さんらは市役所に小松幹侍市長を訪ね、署名を手渡した。

 小松市長は閉院までの経緯や、地域医療について県などと協議を続けている旨を報告。室戸中央病院(同市室津)と協定を結び、室戸病院が担ってきた内科外来を2月から引き継いでいることも説明した。

 住民たちは「『総合病院があってほしい』という声が多くある」「救急や入院は、田野(病院)、あき(総合病院)まで行かんといかん。とても困る」と切実な思いを伝えた。

 小松市長によると、市内の他の医療機関で医療サービスの拡充を図ることが当面の対策といい、「地域の医療を守るために全力で取り組む」としている。
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https://www.m3.com/news/general/586100
【新潟】十日町の上村病院、3月閉院 医療スタッフ不足や患者数減少で 
地域 2018年2月14日 (水) 新潟日報

 新潟県十日町市田中の一般財団法人上村病院が3月末で閉院し法人を解散することが分かった。医療スタッフ不足や患者数減少による収入減が理由。4月以降は同じ敷地内の福祉施設を運営する社会福祉法人が診療所を開設し、外来診療を継続する。入院中の患者約20人は、3月中旬までに全員退院する見通し。

 上村病院によると、現在の常勤医師は歯科も含め4人。看護師は二十数人で慢性的なスタッフ不足が続いていた。また、2014年に社会福祉法人「清津福祉会」を新設し、それまで病院内で運営してきた介護療養型医療施設と、併設の介護老人保健施設を、15年に特別養護老人ホームに転換。これに伴い計約200床のベッド数が現在の45床に大幅減少。病院収入も減った。16、17年度の2年間で計約3億円の赤字を見込む。

 現在45床の稼働率は50%割れを続けていることもあり、病院継続は限界と判断した。

 4月以降は、清津福祉会が「上村診療所」を開設し、外来を受け付ける。内科、外科、整形外科など9診療科と健康管理センターを設け、医師配置は現体制を維持。送迎バスも引き続き運行する。同福祉会の特養「桜湯の里」「桜湯の里2号館レインボー」は継続。十日町市から移管される「中里なかよし保育園」も予定通り4月に開園する。

 上村斉理事長・病院長は「すべてがこれまで同様というわけにはいかないが、地域住民の暮らし、医療と福祉、介護と子育てに役立てるよう精いっぱい努力する」とコメントした。



https://www.m3.com/news/general/586106
獨協日光医療センター新病院「5年以内に開院したい」 寺野理事長 
大学 2018年2月14日 (水) 下野新聞

 獨協医大を運営する獨協学園の寺野彰(てらのあきら)理事長は13日、下野新聞社の取材に応じ、日光産業団地(日光市森友、土沢)への移転・新築を目指している同大日光医療センター(同市高徳)について、5年以内に開院したい意向を示した。

 整備費は100億~150億円程度とし、県西部の地域医療を担い続けるには行政の支援が不可欠との考えを強調した。また小児科や産婦人科の設置も検討していることを明らかにした。

 新病院の役割について、寺野理事長は「最先端設備を置く(集中的な治療などに対応する)急性期病院」と説明。現在のセンターは16診療科で199床(ベッド)備えるが、「県から小児科、産婦人科新設を要望されている。(県の調整による増床で)230~240床程度になる可能性が高い」との見方を示した。医師や看護師向けの寮や、ドクターヘリ用のヘリポートを設ける考えも示した。



  1. 2018/02/18(日) 12:18:17|
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2月11日追加

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180207-00007394-bengocom-soci
「はぁ、おめえ何様なんだよ」福生病院職員、上司のパワハラで提訴 上司自ら命じた録音が証拠に
2/7(水) 18:00配信 弁護士ドットコム

公立福生病院(東京都福生市)の男性課長(50代)が、上司からのパワハラで精神疾患にかかり、休職を余儀なくされたなどとして2月7日、病院の運営元を相手に損害賠償約550万円を求めて東京地裁立川支部に提訴した。

訴状によると、パワハラが始まったというのは2016年秋ごろから。机を叩くなど威圧的な態度で、長時間罵倒されるなどしたという。男性は精神疾患にかかり、2017年4~7月まで休職している。

男性は東京管理職ユニオンに入り、病院側に団体交渉を求めたが、病院側が謝罪などを拒んだため、提訴に至ったとしている。

男性によると、上司は「何度も言わせるな」と、叱責時の録音を命じていたという。音声は裁判の証拠として提出されており、提訴後の記者会見で、その一部が再生された。まくし立てるような語調で、次のような発言があった。

・「はぁ、おめえ何様なんだよ。俺より上司か?」

・「日本語通じんのか、おめえは」

・「この病院から去ってほしいよ」

中には、次のように「確信犯」的な発言も。

・「普通はみんな嫌がって、これで行くとノイローゼになるけど、お前はならないところを見ると、よっぽど図々しいか、てめえのことしか考えてねえ人間だよ」

●パワハラで辞めた人、何人もいる

男性は現在職場復帰している。業務上、上司との接触が減ったため、叱責されることはないという

ただし、「被害者は私だけではない。昔からパワハラがひどく、やめた人、被害を組合に訴えている職員も何人もいる」と述べ、「パワハラをなくして、良い病院にしたい」と裁判の目的を語った。

なお、上司自身を訴えなかったことについて、男性の代理人の上田貴子弁護士は、「裁判例上、公務員の場合は国家賠償法が適用される(編注:福生病院は公立)。上司に(損害賠償を)請求しても棄却される可能性があったため」としている。

一方、福生病院は「訴状が届いていない」としてコメントを控えた。ただし、この上司については、今年1月に「行き過ぎた言動があった」として、訓告処分にしているという。懲戒処分の一種で口頭注意に近いものだそうだ。

弁護士ドットコムニュース編集部



http://www.sankei.com/affairs/news/180207/afr1802070058-n1.html
パワハラで組合提訴 公立福生病院職員「長時間罵倒された」
2018.2.7 23:18 産経新聞

 「うそつき」「狂ってる」など長時間にわたり上司から大声で怒鳴られるパワーハラスメントを受けたとして、公立福生病院(東京都福生市)の事務職員の男性が7日、病院を運営する福生病院組合(管理者=加藤育男福生市長)に慰謝料など約550万円を求める損害賠償請求訴訟を東京地裁立川支部に起こした。

 訴状などによると、男性は平成17年から同院で働き始め、25年に医事課長に昇任。28年秋ごろから上司に当たる事務次長の男性から「ばかのまま何年もやってる」「生きてる価値なんてない」などと長時間にわたり罵倒されるパワハラを受け、29年4月に適応障害のため休職。4カ月後に復職したが、謝罪や再発防止の措置が不十分という。

 7日会見した男性は、「パワハラを受けた職員は他にもいる。パワハラをなくし、患者さんのための良い病院にしていきたい」と訴えた。

 福生病院組合は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

 福生病院は福生、羽村、瑞穂の2市1町で作る一部事務組合「福生病院組合」が運営する公立病院。



  1. 2018/02/11(日) 22:26:27|
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2月11日 

http://www.sankei.com/column/news/180209/clm1802090001-n1.html
【主張】
診療報酬改定 医師不足と偏在に答えを
 
2018.2.9 05:03 産経新聞

 団塊世代がすべて75歳以上となる「2025年問題」に対応するには、医療費抑制を図っていかざるを得ない。

 診療報酬を定める上でも、医療の在り方の見直しが求められている。

 詳細が固まった今回の改定の最大の特徴は、高コストとなる入院から在宅医療に移行させようとさらに踏み込んだことにある。

 具体的には、かかりつけ医の初診に加算する仕組みを新設した。また、複数の診療所が連携し、24時間対応する体制を整えた場合の報酬を手厚くした。

 高齢化が進む中で慢性疾患の患者数は増える。身近な診療所と先端医療を担う大病院の役割分担を明確化し、両者が連携する体制を推進することが急務である。

 問題は、それらの前提となるかかりつけ医の整備が遅れていることだ。改定を体制づくりを推し進める契機としてもらいたい。

 かかりつけ医に求められる大きな役割は看取(みと)りにある。日本は「多死社会」に突入する。現在は病院で亡くなるケースが多いが、やがて対応しきれなくなる。

 今回、医師とケアマネジャーの連携強化を促した。特別養護老人ホーム(特養)で外部の医師が看取った場合、高い報酬を得られるようにしたのも前進だ。

 とりわけ特養の実態は非常勤医のみのところが多く、夜間に入所者の容体が急変した際に救急搬送することが課題となっていた。

 もっとも、厚生労働省が描く在宅医療へのシフトが、報酬改定で直ちに実現するわけではない。

 医師の不足や偏在は深刻化している。診療所が1カ所しかない地域では、24時間体制の実現は難しい。医療提供体制の立て直しを同時に進めなければならない。

 パソコンなどを通じて診療する遠隔診療の保険対象拡大にしても、医師が個別に対応すべき状況は変わらない。

 医師の過労も問題化している。限られた時間で医師が効率的に診療するには、看護師や介護職員、事務スタッフが行える仕事を移していくべきだろう。

 紹介状なしで大病院を受診する際の患者負担金について、徴収対象の病院を広げた。大病院への集中解消のため、やむを得ない。

 一定の効果を期待しつつも、診療報酬による誘導には限界がある。厚労省にはさらに改革を進めてもらいたい。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59505/Default.aspx
中医協 18年度診療報酬改定を答申 診療実績を報酬体系で評価 地域包括ケアへの布石
公開日時 2018/02/08 03:54 ミクスオンライン

中医協(田辺国昭会長)は2月7日、2018年度診療報酬改定について加藤勝信厚労相に答申した。昨年末の予算編成過程で薬価・材料を1.740引き下げ、診療報酬本体を0.550引き上げる方針を決定した。これを踏まえて年明けの中医協は個別改定項目への財源配分の議論を行った。焦点となった入院医療の報酬体系については、今後の人口減少や高齢化の進展など地域の実情を見据え、診療実績に応じて病院経営者自らが病床機能の転換を判断できるよう見直した。一方、外来医療については、地域包括ケアシステムの中核を担う「かかりつけ医」の機能を診療報酬で評価し、地域の急性期病院や訪問看護ステーション、介護施設と連携できる医療提供体制を構築する。さらに医療ICT関係では、「オンライン診療料」、「オンライン医学管理料」を新設し、情報通信機器を活用した診療を評価する。

2018年度診療報酬改定は、2025年に到来する超高齢社会に向け、今後の方向性を決定づける“分水嶺”に位置づけられる。政府は、2025年の医療需要を策定すべく、47都道府県に「地域医療構想」を策定させた。首都圏を除くほぼすべての道府県が人口減少に直面し、その結果、医療需要そのものに大きな変化をもたらすことが明らかになっている。特に入院医療については、急性期病床の需要が減り、空床に伴う病院経営の悪化が予想される。一方で、救急搬送される脳卒中や心筋梗塞などの患者について、処置後の受入れ先となる回復期リハ病床の絶対数が不足している。さらに、在宅と病院の連携を前提とした病床機能の整備を唱える声も高まっていた。今回の診療報酬改定は、まさに病床機能の再編・統合を病院経営者自らが判断し、地域の実情に応じ、必要な機能転換を促す狙いが込められているのだ。

◎急性期一般入院基本料 重症患者割合300-診療実績評価を導入

こうした背景を踏まえ、入院医療は、基本的な医療の評価部分と診療実績に応じた段階的な評価部分の2つの評価を組み合わせた新たな体系に見直した。具体的には、看護配置7対1と10対1が再編・統合された急性期一般入院基本料は入院料1~7の7段階に区分された。現行の7対1に相当する入院料1については、点数を1591点に据え置いた。ただし、医療看護・必要度を見直し、これに応じた重症患者割合を現行の250以上から300以上(DPCデータベースでは250以上)に基準を引き上げた。平均在院日数は18日以内、在宅復帰・病床機能連携率も8割以上、医師数も入院患者の10/100以上、看護配置も7対1を求めるなど、厳しい要件を定めた。

一方で、新設する入院料2は1561点(重症患者割合:290以上、DPCデータベース:240以上)、入院料3は1497点(同:280以上、230以上)で、平均在院日数は21日以内とした。そのほか、200床未満の医療機関には経過措置を認めるものの、DPCデータの提出を求めることを要件とした。看護配置も10対1が基本となる。一方で、現行の10対1に該当する入院料4~7は点数を据え置いた。

なお、それぞれの病院は診療実績に見合う入院料を選択できる。先述したように、入院料1は急性期病院として高めの要件を設定しており、これを満たさない病院は必然的に入院料2~7を選択する。ただし、現段階で入院料2~3を選択する病院は、入院料1(7対1)の届出実績が必要なため、入院料4~7(10対1)から入院料2~3を直接届け出ることはできない。

◎地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院基本料

一方、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料については、入院料1~4に区分される。看護配置は13対1を基本とする。加えて、実績部分の評価(入院料1、3)として、自宅等からの入棟患者割合(1割以上、10床未満は1人以上)、自宅等からの緊急患者の受入れ(3月で3人以上)、在宅医療の提供、地域医療機関との連携、介護サービスの提供、看取りに対する指針の策定などを求めた。この結果、入院料1は2738点、入院料3は2238点となる。

回復期リハビリテーション病棟入院基本料については、新入院料1~6に区分される。看護配置は15対1を基本に、PT2人、OT1人を配置。実績部分の評価として、リハ病棟のアウトカム評価の実績を入院料1、入院料3、入院料5の点数に上乗せした。このほか、重症者割合は入院料1、2で3割以上、入院料3、4で2割以上。在宅復帰率は入院料1~4で7割以上とする。

◎かかりつけ医 緩やかなゲートキーパー機能を評価

今改定で、病床機能と同レベルで重要視されたのが、「かかりつけ医」の機能評価と言える。主に外来機能を担う、かかりつけ医を軸に、専門医療機関、介護施設、訪問診療、かかりつけ歯科医などとの連携を診療報酬で評価した。いわば、地域における“扇のかなめ”的な役割として、かかりつけ医に緩やかなゲートキーパー機能を持たせることを意味する。

具体的には、かかりつけ医機能をより一層推進する観点から、地域包括診療加算について在宅患者に対する 24 時間対応等に係る施設基準を緩和した。今改定では、従来の地域包括診療料とは別に「地域包括診療料Ⅰ」(1560点)と「認知症地域包括診療料1」(1580点)を設けた。施設要件として、現行の算定要件にある常勤医師2名以上の配置を、常勤換算2名以上と改め、常勤医師は1名以上に緩和した。また、診療料1の算定に際しては、「当該医療機関での外来診療を経て訪問診療に移行した患者数が10人以上」という実績評価を導入した。

このほか地域包括診療料等の要件である患者の受診医療機関や処方薬の把握について看護師等が実施可能であることを明確化した。さらに、かかりつけ医と入院医療機関等が連携して行う医薬品の適正使用に係る取組について、「薬剤適正使用連携加算」(30点)として評価する。そのほか、かかりつけ医が、生活習慣病や認知症などで、専門医療機関への受診の要否の判断を初診時に行えるようにするため、「機能強化加算」(80点)を新設する。このほかにも、かかりつけ医とかかりつけ歯科医の間の情報共有を評価するほか、がん患者に対しての治療と仕事の両立のため産業医と情報共有や連携を評価する。

そのほか病院との連携では、入退院支援を評価する。仮に住民が近隣の病院に入院しても、住み慣れた地域で継続して生活できるよう、入院前から関係者との連携を推進するなど、切れ目ない支援を評価する。医療疎開などを防ぐ狙いもある。これに伴い、現行の退院支援加算を「入退院支援加算」に名称を変更する。さらに地域連携診療計画加算の算定対象を拡大するほか、支援の対象となる患者要件を追加した。
さらに、紹介状なしで大病院を受診した患者については、現行の一般病床500床以上の規定を「許可病床400床以上」の地域医療支援病院に見直す。なお特定機能病院はこれまで通り含まれる。

◎医療ICT オンライン診療料・70点、オンライン医学管理料・100点

医療ICTの関係では、情報通信機器を活用した診療について、対面診療の原則の上で、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、診療報酬上の評価を新設する。具体的には、有効性や安全性等への配慮を含む一定の要件を満たすことを前提に、オンライン診療料(70点・1月につき)、オンライン医学管理料(100点・1月につき)を新設する。

このほか関係機関間・医療従事者間の効率的な情報共有・連携を促進する観点から、感染防止対策加算や退院時共同指導料等について、連携会議や情報共有等にICTを活用することができるよう、要件を緩和する。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018020702000262.html
【政治】
在宅医療・みとり推進 診療報酬改定 かかりつけ医を強化
 
2018年2月7日 東京新聞

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 厚生労働省は七日、医療機関に支払う診療報酬の四月からの改定内容を決めた。高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせる仕組みづくりを掲げており、介護と連携して在宅医療や施設でのみとりを進める。高齢で慢性疾患を抱える患者の増加を背景に、ニーズに合わせた病床再編を促し、かかりつけ医の役割を強化する。医療費抑制につなげたい考えだ。

 加藤勝信厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が答申した。

 高齢化で死亡者が増えており、自宅や介護施設でのみとりをしやすくする。現在、特別養護老人ホーム(特養)の患者を外部の医師がみとる場合、特養が介護報酬の加算を取ると医師は診療報酬の加算を受けられないが、医師も報酬をもらえるようにして訪問診療の担い手を増やす。

 情報通信技術(ICT)を活用してテレビ電話などで患者を診る「遠隔診療」の報酬を新設。過疎地や離島といった医療機関や医師が不足している地域で在宅でも診療を受けられるようにする。

 身近な診療所にかかりつけ医として日常的な診察を担ってもらい、先端医療を担う大病院との役割分担をさらに進める。今回の改定では、訪問診療や夜間・休日に対応するかかりつけ医を対象に初診時に八百円を上乗せする(自己負担は最大三割)。一方、紹介状なしで大病院を受診した人に五千円以上の追加負担を求める制度は、対象病院を五百床以上から四百床以上に拡大。二百六十二カ所から約四百十カ所に増える。

 重症患者向けの「急性期病床」は現在、看護師の配置人数が多いほど高い報酬を支払っている。重症者の割合や治療内容で段階的に配分する仕組みに改め、ニーズが高い慢性疾患を抱える人向けの病床への転換を促す。病院前で営業する「門前薬局」は、利益が大きい大手薬局グループの報酬を引き下げる。

 診療報酬は原則二年に一回改定され、二〇一八年度は昨年末に全体で0・9%(薬価制度の改革分を含めると1・19%)のマイナスと決まった。今回は三年に一回の介護報酬との同時改定。

◆医療と介護 連携不可欠
<解説> 厚生労働省が診療報酬改定で、在宅医療や介護施設でのみとりの強化に取り組むのは、団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年が目前に迫り、変化する医療ニーズへの対策が急務となっているからだ。この課題をクリアするには、医療と介護の連携強化が不可欠だが、目新しい政策が打ち出されたとは言い難い。

 今後、加齢による慢性疾患を抱えて暮らす高齢者が増え、重症患者向けの急性期病床よりもリハビリや在宅医療の体制整備が求められる。既に日本は「多死社会」に突入し、十年も待たずに年間の死者が百五十万人を超える。現在は八割近くが病院で亡くなっているが、病院でのみとりの対応も間もなく限界が来る。

 二五年を前にした診療報酬と介護報酬の同時改定は、実質的に今回が最後となる。中医協では、委員がそれぞれの団体の利益を主張するばかりで、連携強化の議論が深まることはなかった。高齢者が暮らし慣れた地域で住み続けることができる「地域包括ケアシステム」の実現に向け、厚労省を中心に、医療と介護の垣根を低くする努力を続けるべきだ。 (共同・筋野茜)

<診療報酬改定> 公的医療保険を利用して受ける医療サービスの対価として、病院や薬局などに支払われる公定価格「診療報酬」を見直すこと。手術や検査など個別に単価が決まっており、原則2年に1回改定される。医師や薬剤師の技術料や人件費に当たる「本体部分」と、薬や医療材料の価格である「薬価部分」を合わせた全体の改定率は政府の予算編成で決まる。個別の単価は中医協の検討を経て決定する。



http://toyokeizai.net/articles/-/207487
「新専門医制度」は医師にも患者にも"迷惑"だ
地方の医師不足を助長、新制度は問題だらけ

井艸 恵美 : ライター 2018年02月07日 東洋経済オンライン

より腕のいい医師から、よりレベルの高い治療を受けたい――。患者ならば誰もがそう願うはずだ。その判断材料を「専門医」という肩書に求める患者もいるだろう。専門医の取得は義務ではないが、医師の9割が取得を目指すという。

この専門医をめぐって、大きな動きが起こっている。従来の専門医取得のしくみを見直した「新専門医制度」(以下、新制度)が2018年4月から始まるのだ。実はこの制度、開始が1年延期され、やっとスタートにこぎつけた。だが、いまだに批判の声が鳴りやまない。

新制度の内容は後述するとして、今回、現役医師に新制度についてアンケート調査を行うと、740が「反対」だった。「制度自体がわかりにくく見切り発車という感が否めない」「医療のためというより既得権益のためのように感じる」「勤務地や専門の選択の自由が制限される」などの理由があがった。

既得権益の「政治闘争」で混迷する新制度

医学生の間にも不安が広がる。

「専門医にはなんとなくなるものだと思っている人が多い。新制度が始まったから早めに専門を考えないといけないと言われるが、何をしていいかわかりません」(医学部3年生)

なぜ、新制度はここまで混迷しているのか。東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司医師は「専門医の質の担保という目的に地域の医師偏在問題が混ざり合い、結局、既得権益同士の政治闘争のようになってしまいました。一番かわいそうなのは巻き込まれた若手医師です」と言う。

渋谷医師が指摘するように、そもそも新制度の狙いは、専門医の質を向上させることだ。

従来の専門医は各学会がそれぞれの評価基準で認定していたため、その基準は学会によってまちまちだった。そこで「日本専門医機構」(以下、機構)という第三者機関が認定することで、専門医のレベルを標準化するしくみをつくった。

その一つが「研修プログラム」だ。新制度で専門医を目指す医師は初期臨床研修を終えた後、19の基本領域で3年間の研修プログラムを受ける。この基本領域の専門医を取得した後、さらに細分化した領域(サブスペシャルティ)の専門医を目指す。

ところが、この研修プログラムを実施できる施設が大学病院や都市部の大きな病院に限定されていたことに批判が集中した。

一つは大学医局の復権が起こるというもの。かつて大学卒業後は医局に入るのが王道だったが、2004年から導入された「臨床研修マッチング」によって、初期研修医は全国の病院から研修施設を選べるようになった。

その結果、大学よりも一般病院で研修を受ける医師が増加している。しかし専門医を取得できるのが大学中心となれば、現場で鍛えられてきた若手医師は、大学に戻らざるを得なくなる。ゆえに大学病院が「強さ」を増してしまうのでは、という懸念だ。

大学病院に若手が集中、地方の医師不足を助長

同時に、都市部に医師が集中することで、地方の医師不足が助長されるのではないかという不安の声が、地域の医療機関からあがり始めた。地域による医師数の偏在は今に始まった問題ではないが、新制度が若手医師の所属病院を左右するとなれば、医師不足にあえぐ地域の中小病院は黙っていられない。

こうした批判が相次ぐなか、延期の決定打となったのは、2016年6月に発表された厚生労働大臣談話だ。当時の塩崎恭久大臣は、地域医療への影響を踏まえた新制度への懸念を示した。

厚労省医政局医事課の堀岡伸彦さんは「この談話は大きかった」と話す。

「本来、専門医は国の制度ではないので厚生労働省が関わる法的根拠は薄いですが、医療法という枠組みの中で国は地域医療に責任を持っています。医師の偏在を加速させないために調整を図るのは厚労省の役割です」

機構は制度の開始を2018年に延期することを決め、地域医療に配慮をした制度の見直しを図った。結果、専門医資格を目指す専攻医の都市部への集中を防ぐため、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の専攻医の採用を調整し、過去5年間の採用実績の平均を超えないようにする方針が決まったのだ。

2017年12月、新制度による初の専攻医の採用結果が出た。機構は「眼科などの一部の診療科を除き、都市部への専攻医の集中は起こらなかった。過去5年の採用実績を超えた診療科は調整する」と発表。特に東京都では眼科の応募者が集中したという。

定員調整で採用にあふれた医師は、別の地域の病院に移る、研修を1年後に延期するなどの対応に迫られることになる。

こうした専攻医数の調整だけでなく、内科や小児科などの専攻医数が多い診療科は大学病院以外の研修施設を設置する、地域の関連病院への一定期間の勤務を義務化するなど、地域医療に配慮した基準の見直しが行われた。

いい意味で「地域医療への歩み寄り」。だが、本来の目的である「専門医の質の向上」という点では反対意見もある。
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医師会の反対強く、新制度で本質的な議論進まず

「医師の地域偏在という社会問題と、質の高い専門医の育成を結びつけるべきではありません」

こう話すのは、筑波大学医学医療系地域医療教育学教授の前野哲博医師だ。前野医師は新制度で新たに誕生する「総合診療専門医」の育成に携わる。総合診療専門医とは、子どもから高齢者まで地域の医療をまるごとみるジェネラリストだ。高齢化で慢性的な病気を抱える人が増加するなか、医療だけでなく介護も含めた地域包括ケアが推進されている。その要となるのが、総合診療専門医だ。

だが、その育成には時間がかかりそうだ。理由は、こうだ。「総合診療医の本質的な議論はあまり進みませんでした。というのも、開業医の入会率が高い日本医師会の反対が強かったのです。トレーニングを受けた総合診療医が町に増えれば、今いる開業医は自分たちのパイがなくなるのではないかという不安があるからです」(渋谷医師)

新制度下の一次募集で集まった総合診療の専攻医は全国で158人。総合診療医への注目が高まっているにもかかわらず、その数は伸び悩んだ。前野医師は「一番の障壁は、へき地勤務」と言い切る。

新制度で総合診療専門医は、東京都や神奈川などの都市部では離島などのへき地へ1年間勤務することが義務づけられた。

「若手医師を強制的に地域に行かせるのではなく、医療資源の乏しい地域でもやっていける実力をつけてから地域で活躍してもらうべきです。もちろん指導態勢が整っていればへき地でもかまいませんが、今回はそのことよりも『へき地かどうか』という条件のほうが優先された。良医を育てる環境を壊してまで地域に医師を配置するのは本末転倒です」(前野医師) 

専門医の研修期間は3年とはいえ、20代後半の修業の場をどこでいかに過ごすかはその後のキャリアを左右する。都内の大手民間病院で外科専門医を目指す26歳の男性はこう話す。

「外科はどれだけ自分で執刀できるかが勝負です。大学病院よりも民間病院のほうが症例を積めるので、この病院を選びました」

制度に巻き込まれアホらしい

4月から大学付属の医療センターで内科専門医の研修を受ける27歳の女性は言う。

「新制度で内科のハードルが上がり、別の科に希望を変えた人もいます。内科は症例提出の件数が増えたので、一つの病院でいろんな症例を見られる大きな病院のほうが有利だと思います」

一方で専門医取得にこだわらず、独自のキャリアを歩む若手医師もいる。
「制度に変に巻き込まれ、アホらしいなと思ってしまって」

こう話すのは、福島県南相馬市の民間病院で働く山本佳奈医師(28歳)だ。

山本医師は1年前まで初期研修医として南相馬市立総合病院で働いていた。研修修了後も南相馬市で働きながら産婦人科の専門医を目指したいと思っていたが、そこには専門医研修を受けられる病院がなかった。専門医を取得するには大学病院に行くしかなかったが、地域に残ることを選んだ。

「実際に医療過疎地で働かないと、その地域の実情や患者さん、家族の声はわかりません。一人前になるには主治医としてひとりでも多くの患者さんをみるしかないと思っています」

山本医師は現在、南相馬市の大町病院で唯一の内科常勤医として働いている。ときに周辺病院の先輩医師に協力を仰ぎながら、外来と入院病棟の両方をこなす。若手の医師としては重責に思われるが、徐々に病院スタッフや患者の信頼を得つつある。

「地域で働くことを強制されたらやる気を失いますが、魅力ある地域には若い人が集まるし、多くの症例も積めます。やりたいという人は私以外にもいると思うんです」

山本医師が師事する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、今後の医師のキャリアについてこう話す。

「今は自分でキャリアを考えないといけない時代です。誰もが専門医を取るならば、それは単なるワン・オブ・ゼムです。自分だけの付加価値を見つけていけなければ国際競争の中では生き残れません」

強制的に行かせても長期的には定着しない

上医師は若手医師のへき地への強制配置にも反対する。

「強制的に行かせても長期的には定着しません。特に医師の偏在の原動力は女性医師です。女性医師は将来子どもの教育を優先し、都市部に戻ってくる傾向が強いからです」

専門医資格を取るまでの期間は、妊娠や出産など女性のライフイベントと重なることも多い。地域の関連病院への派遣やへき地勤務は、専門医取得の障壁になりかねない。必要なのは、地域で長く働き続けられるような労働環境と柔軟な選択肢だ。

前出の渋谷医師は「制度に巻き込まれるより、うまく活用してほしい」と話す。

「プロとしていかに自分が自立して生きるか、どういうキャリアを積みたいのかを自分の頭で考えることです。大学病院にいたら安泰という時代はもう終わりました」

新制度は始まったばかりだ。これから医学部に入る学生が専門医研修を受けるころには、制度に変更があるかもしれない。ただ、旧来の慣習と利権を捨て去って前に進まなければ、若手医師の未来と医療を受ける患者の利益にはつながらないだろう。

本記事は朝日新聞出版 『AERA Premium 医者・医学部がわかる 2018 』(AERAムック)からの転載です



https://www.m3.com/news/iryoishin/580712
未来の医師たちへ―医師のリアルと2035年の医療
2035年、医師は「都会で過剰、地方で不足」◆Vol.2
強制力を持った医師配置、6割が「導入されず」

スペシャル企画 2018年2月4日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 2035年の医師の需給バランスはどのようになるとお考えですか。
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 医師の需給バランスは現在も最もホットなトピックスの一つで、全国的に医師不足が指摘されているが、2035年では「都市部では過剰で、地方では不足している」と予想する医師が全体の70.5%で最も多かった。次いで「全国的に医師が過剰になっている」が16.4%で、「全国的に医師が不足している」の10.9%より多かった。

 その他では以下のような意見が寄せられた。

・専門医は過剰になるが、かかりつけ医として総合診療が出来る医師が不足する。
・専門医は余る。
・都市部ではバランスが取れるが、地方ではますます不足する。
・都市部の高齢化により都市部で不足、地方は人口減のため過剰になる。
・奴隷のように働く医者は不足、サボる医者は過剰。
・必要とされる科は不足し、それ以外は過当競争になる。

Q 地域や診療科の医師偏在を解消するための強制力を持った医師配置の制度が導入されているとお考えでしょうか。
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 医師の配置を巡っては、厚生労働省は現在、「医師少数区域」での勤務経験を有する医師を認定し、地域医療支援病院などの管理者(院長)の要件とすることなどを議論している。
 2035年に強制力を持った医師配置の制度が導入されているかについては、59.70が「導入されていない」と予想。「導入されている」は17.10にとどまった。

◆回答者の属性
診療科
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http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180209000015
医師、月150時間残業容認も 過労死ライン超す協定
【 2018年02月09日 08時40分 】京都新聞

京都滋賀の主な自治体、大学病院の三六協定
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 京都府南丹市の京都中部総合医療センターと同府綾部市立病院が過労死ライン(月100時間、複数月平均80時間超)の残業を認める労使協定(三六協定)を結んでいたことが分かった。両病院とも「医師不足の中、救急態勢を維持する」ことを理由に挙げ、センターは産婦人科医に月150時間、綾部は全医師に月90時間以内に残業時間の上限を設定していた。医師の働き方改革と地域医療確保の両立の難しさが浮き彫りとなった。

 京都新聞社が京都府、滋賀県内の自治体病院、大学病院で救急患者を受け入れる25病院に協定の有無や上限時間を調査した。京都府京丹後市立の弥栄病院、久美浜病院、滋賀県長浜市立湖北病院は協定を締結せずに残業をさせていたことも分かり、両市とも労働基準法に違反していることを認めた。

 京都中部総合医療センターの産婦人科は24時間態勢で患者を受け入れるが、常勤医は3人しかいない。「現在70時間超の残業はないが、医師が減った時に備えている。住民ニーズに応えるには仕方がない」という。綾部市立病院も「残業超過を理由に急患を断るわけにはいかない」と回答した。

 滋賀医科大付属病院は昨年1月、協定の上限を超えて残業させたとして、大津労働基準監督署から是正勧告を受けた。このため、月60時間以内だった協定を4月から過労死ラインギリギリの月100時間未満、複数月平均80時間未満に引き上げた。働き方改革に逆行する改定だが、病院は「実態に合わせないと協定が絵に描いた餅になる」。また9病院で月80時間以内に設定され、勤務医の厳しい労働実態が明らかになった。

 政府は過労死ラインや年間720時間を超える残業をさせた事業所に罰則を適用する労働基準法改正案を通常国会に提案する。この基準に当てはめると、京都市立病院など7病院の協定が超過する。日本医師会などが「地域医療が崩壊する」と慎重意見を出し、医師は5年間、適用が除外されることになった。全国自治体病院協議会は「医師不足地域で自治体病院は急患を一手に引き受けている。規制を強行すれば、診療科縮小や救急を休止する病院が続出する」と危ぶむ。

 信楽中央病院を運営する滋賀県甲賀市は「調査したが、協定があるのか、ないのか分からなかった」とした上で、「常勤医は全員管理職で、非常勤の医師も残業はなく、協定は必要ない」とした。



http://www.sankei.com/west/news/180209/wst1802090036-n1.html
医師らに上限超える残業させた岐阜大病院、是正勧告後も34人が残業
2018.2.9 11:29 岐阜新聞

 岐阜大学が労使協定(三六協定)の上限を超える時間外労働を医学部付属病院の医師を含む職員らにさせたとして、岐阜労働基準監督署から昨年に是正勧告を受け、その後も医師ら34人を協定の時間を超えて時間外労働させていたことが9日、病院への取材で分かった。

 病院によると、昨年1月の労基署の立ち入り検査で、職員が上限の月45時間を超えて時間外労働していることが判明し、岐阜大学が同月18日付で是正勧告を受けた。

 病院は各部署に注意喚起して改善するよう促したが、院内調査の結果、昨年4~11月に医師や薬剤師、技師ら34人が上限を超えていた。うち医師数人は月100時間を超えて勤務していることもあった。

 病院は「勤務時間を確認し早めの退勤を促すなどしているが、医師不足のため早急に効果が出ない」としている。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-648807/
人不足と高齢化で患者激増 医師の労働環境は世界最低レベル
2018年02月04日 16時00分 NEWSポストセブン

 厚生労働省は「過労死ライン」を残業月80時間と定めているが、昨今それをはるかに上回る医師の過酷な勤務実態が次々と明らかになっている。1月13日、東京・渋谷の日赤医療センターで医師の残業時間を「過労死ライン」の2倍にあたる月200時間まで容認する労使協定を結んでいたことが発覚した。

 1週間後の1月20日、東京・三鷹の杏林大学医学部付属病院でも複数の医師が労使協定を超える残業をさせられていたとして、昨年10月に三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けていたことが明らかになった。約700人の医師のうち約20が「過労死ライン超」の残業をしていたという。

 ほかにも北里大学病院、藤田保健衛生大学病院、国立循環器病研究センター、札幌医科大学病院など全国の病院で医師の長時間労働やずさんな労務管理が指摘されている。

◆30時間連続勤務も珍しくない

 NPO医療制度研究会副理事長の本田宏医師は、「これは氷山の一角」と指摘する。

「慢性的な医師不足と高齢化による患者激増により、医師は重労働になる一方。世界のなかでも日本の医師の労働環境は最低レベルです」

 これまで人命を守る医師は聖職者とみなされ、その使命感から労働条件は度外視されてきた。だが大手広告代理店・電通の新入社員高橋まつりさんが2015年に過労自殺した件で社会の意識は変わりつつある。安倍政権が「働き方改革」を掲げたこともあり、医師の働き方にもスポットが当たり始めた。

 医師でジャーナリストの森田豊さんは、「多くの医師は過労死ラインを超えて働いている」と話す。

「日本の病院では長時間労働が常態化していて、朝8時に出勤後、外来診察、当直をこなした後、そのまま再び日勤に突入して、30時間を超える連続勤務となることも珍しくありません」

 人間は24時間睡眠しないと飲酒でほろ酔いになったのと同じ程度に判断力が低下するといわれている。医師の激務で最も危惧されるのは「医療ミス」の発生だ。病院経営に詳しい医療サービスアドバイザーの武田哲男さんが指摘する。

「医療ミスの多くは、医療従事者の疲労による注意力や判断力の低下から生じる『ヒューマンエラー』です。頭がボーッとした状態で医療行為を行うと、誤診したりカルテを間違えたりする。実際に激務で疲弊した医師が乳がんの手術で右と左の胸を間違えたなどの実例がある。医師の労働環境はわれわれの命に直結する重大な問題です」

 勤務医の労働組合である全国医師ユニオンが勤務医1800人に行った「勤務医労働実態調査2017」によると、医療過誤の原因のトップは「医療スタッフ同士のコミュニケーション不足」で以下、「慢性疲労による注意力不足」「医療スタッフの人員不足」と疲労や人手不足をあげる回答が続く。当直明けの翌日勤務については、約8割が「集中力や判断力の低下」を認め、その際実際にミスが増えたと答えた医師は約3割に達した。

 欧米では過重労働と医療ミスの関係性が認められており、医師の長時間勤務は規制されているが、日本は前述の通り、医師の過重労働がまかり通っている。

※女性セブン2018年2月15日号



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-648792/
人口あたりの医師数トップの京都はがんの早期治療環境整う
2018年02月04日 07時00分 NEWSポストセブン

 男女において罹患数が最も多いのが胃がんだが、女性の胃がんにおける「IM比」(がんの生存率を示す数値。『がんに罹った患者数』÷『死亡者数』で算出。値が大きいほど、がんになっても亡くなりにくい)の都道府県別トップは3.02の京都府だ。しかし、京都府は、医師の数が多いという特徴がある。

 深刻な医師不足で地域間の医療格差が指摘されるなか、京都府は人口10万人当たりの医師数が308人で日本一。最も少ない埼玉県と比べると、その差は2倍。

「歴史的な経緯として、京都市内の2つの大学附属病院が、消化器内科の臨床に力を入れてきました。加えて、京都には国が指定するがん診療連携拠点病院と、府が指定したがん診療連携病院などの医療施設が充実しています。身近な病院や診療所で医療を受けることができる機会が多いことが影響しているのではないでしょうか」(京都府健康対策課、以下「」内同)

 がんになったら早期に適切な治療を受けることが求められるが、京都にはその環境が整っているということ。

 だし文化が根づいている京都では、胃がんのリスクを高めるといわれる塩分の摂取量も高くない。

「京都では薄味の料理が好まれるため、塩分摂取量はあまり多くありません。ただ、野菜の摂取量が少ないので、増やしていきたいと考えています。京の家庭の味として受け継がれてきた“おばんざい”は野菜が多く使われているので、おいしさと健康の両立を目指した“おばんざい弁当”の普及を図っているところです。

 また、胃がんの原因の1つといわれるピロリ菌の感染に関しても、全国的に珍しい除菌治療費の助成事業や高校生へのピロリ菌検査事業を行っています」

 さらに、がんに関する教育にも力を入れている。

「子供の時からがんの知識や正しい生活習慣の理解を深めることががんの予防・早期発見に有効です。京都では行政と学校が協力し、中学校や高等学校での禁煙教育に力を入れてきました。府の喫煙率は低く、2016年の国民生活基礎調査によると、男性の喫煙率は全国で最下位。医師とがん経験者が学校で授業を行う“生命のがん教育推進プロジェクト”にも取り組んでいます」

※女性セブン2018年2月15日号



http://www.yomiuri.co.jp/national/20180209-OYT1T50006.html?from=ycont_top_txt
中核99病院、医師の違法残業などで是正勧告 
2018年02月09日 09時18分 読売新聞

 地域医療の中心となる全国約350の病院のうち、少なくとも99病院が2016年1月以降、医師の違法残業などで労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、読売新聞の調査でわかった。

 病院側は長時間労働の理由を、医師不足や正当な理由なく診療を拒めない「応召おうしょう義務」があるためなどと説明。医師の厳しい労働実態と労務管理の難しさが浮き彫りになった。

 読売新聞は今年1月、大学病院など全国85の特定機能病院をはじめ、救命救急センターや総合周産期母子医療センター、基幹災害拠点病院(救急センターは昨年8月、その他は昨年4月現在)として認定されている計349病院にアンケート調査を実施。8日までに約8割の288病院から回答を得た。

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http://www.medwatch.jp/?p=18822
2018年度診療報酬改定、「病院に厳しい」―全自病 
2018年2月9日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度診療報酬改定で創設される7つの【急性期一般入院料】では、7対1と10対1の中間的評価に当たる入院料などの施設基準や点数設定が厳し過ぎる。本体改定率はプラスでも、病院の経営環境はいっそう厳しくなる―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、2月8日の定例記者会見でこのように述べました。

ここがポイント!
1 「病院に厳しく、診療所に手厚い」と指摘
2 対策なしに医師の働き方を変えれば、偏在が強まる
3 脳外領域などで専攻医ゼロの自治体が現れる
4 公精協、全自病・中島副会長が会長に

「病院に厳しく、診療所に手厚い」と指摘

 メディ・ウォッチでお伝えしているとおり、2018年度診療報酬改定では急性期から慢性期までの多くの入院料が再編・統合され、7対1・10対1入院基本料を再編・統合した7つの【急性期一般入院料】などが創設されます。

 このうち、現在の7対1入院基本料に相当する【急性期一般入院料1】(現行7対1と点数が同じ)では、重症患者割合の基準が250から300(重症患者の定義などが見直されることから、現行の重症患者割合で26.60に相当)へと引き上げられます。基準に満たない病棟では、7対1と10対1との中間評価に当たる【急性期一般入院料2】(現行7対1より1日30点低い)や【急性期一般入院料3】(同100点低い)などへの移行を迫られます(関連記事はこちら)。

 邉見会長は、これら急性期一般入院料の点数や施設基準が「厳し過ぎる」と指摘。その一方で、「かかりつけ医機能」を担う診療所などで初診時に算定できる加算【機能強化加算】(80点)が創設される(関連記事はこちら)ことなどから、「病院に厳しく、診療所に手厚い感が否めない」との見解を示しました。

 その一方で、テレビ電話会議システムなどのICT技術を活用した診療を評価する【オンライン診療料】や【オンライン医学管理料】が創設される点について、「患者が無理をして通院する回数を減らすことができ、良かった」と述べています(関連記事はこちら)。

対策なしに医師の働き方を変えれば、偏在が強まる

 ところで邉見会長は、勤務医の長時間労働是正に向けた「緊急対策」が求められていることについて「医師の偏在解消が先だ」と改めて強調しました。

 医師の長時間労働の是正(働き方改革)に向けて現在、「時間外労働の罰則付き規制」の在り方や、労働時間短縮策が、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で議論されています。この検討会では月内(2018年2月中)に、勤務医の労働時間を短縮するために「医療機関がすぐ実施すべき対策」(緊急対策)を取りまとめる予定ですが、厚労省は、対策の実施に向けた検討を今から進めておくよう、全自病などに宛てて事務連絡を発出しています(関連記事はこちら)。

 「緊急対策」としては例えば、【a】法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて時間外労働させる労働者(勤務医ら)との間で、雇用主(病院管理者ら)が結んでおかなければならない協定(労働基準法36条に基づくため36協定と呼称される)の締結状況を確認する【b】1人の患者の主治医を医師複数名が担当する「複数主治医制」を導入できるか検討する―ことなどが求められます。

 邉見会長は、【a】の36協定の確認などに取り組む必要性を認めた一方で、【b】の複数主治医制などは、雇用する医師数が多い病院でなければ実施できないことから、「このままでは、医師の多い病院に、さらに医師が集中する。医師不足に苦しむ病院の傷口に、塩を塗り込むようなものだ。まず偏在対策が必要だ」と訴えました。

脳外領域などで専攻医ゼロの自治体が現れる

 会見では末永裕之参与(小牧市病院事業管理者)から、2018年度に全面スタートする新専門医制度が、医師の地域偏在を悪化させる懸念が改めて表明されました。

 2018年度から全面スタートする新専門医制度では、医師の地域偏在の悪化を引き起こさないための対策の一つとして、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県で、研修を受ける「専攻医」の採用数に基本領域ごとの上限(過去5年間の後期研修医採用実績などの平均値以下)が設定されています(大都市での不足も懸念される外科・産婦人科・病理・臨床検査の4領域を除く)。

 4月から研修を受ける専攻医の採用は、▼昨年(2017年)11月15日までの「1次登録」▼1月15日までの「2次登録」▼2月15日からの「3次登録」(「2次登録」までに研修先が決まらなかった医師のみが対象)―を経て決まります。これまでに、「1次登録」で7791名の採用が決まり(うち18名が辞退)、現在は、「2次登録」に応募した569名の中から採用者の選考が進められています。

 全自病では、「1次登録」で7791名が採用された段階で、外科領域の専攻医が1名しかいない都道府県がある(群馬・山梨・高知の3県)ことなどから「今後、大学病院でも外科手術ができない都道府県が現れるかもしれない」との懸念を示していました(関連記事はこちら)。

 末永参与は、最新のデータ(「1次登録」の採用者数+「2次登録」の応募者数)でも、▼脳神経外科領域:10自治体▼皮膚科領域:8自治体▼小児科領域:2自治体―などで1名もいないことなどを問題視。「どうしても専攻医が大都市に集中してしまうのであれば、専門研修が終わった後に、適切に配置する仕組みも考えなければいけない」と危機感を示しています。

公精協、全自病・中島副会長が会長に

 また、中島豊爾副会長氏(岡山県精神科医療センター理事長)からは、「日本公的病院精神科協会」(公精協)の会長に、中島副会長が就任する旨が公表されました。

 公精協は、精神科病棟を持つ公立・公的病院で構成する病院団体として先月(2018年1月)設立されました(関連記事はこちら)。中島副会長は、「さまざまなデータを集めて公表し、日本の精神科医療のレベルを上げていきたい」と意気込みを語りました。4月に法人登録を行い、公精協会長に就任します。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180205-OYTET50014/
ニュース・解説
奈良県の2病院に労基署が是正勧告…残業超過や手当未払い

2018年2月5日 読売新聞

 奈良県西和医療センター(奈良県三郷町)が、労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせ、時間外手当の一部が未払いだったとして、昨年8月に奈良労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。

 同センターによると、医師との間に特段の事情がある場合、最長月80時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が医師の労働時間を調査したところ、上限を超えて働いたり、超過時間分の時間外手当の一部が未払いだったりした。同センターは、すでに未払い分として38人に計約3000万円を支払っており、「医師不足で長時間勤務になりがちだが、再発防止に努めたい」としている。

 このほか、奈良県立医科大病院(同県橿原市)が、時間外手当の一部が未払いの医師が複数いるとして、昨年9月に葛城労働基準監督署から是正勧告を受けたことも判明した。未払いの賃金は今後、支払うという。同病院は「勧告を 真摯しんし に受け止め、改善したい」としている。



http://news.nicovideo.jp/watch/nw3272913
神奈川県のがん医療を壊す黒岩知事の暴走
2018/02/06 15:15プレジデントオンライン

神奈川県立がんセンターで、放射線治療医が大量退職し、治療の継続が難しくなっている。原因はセンター内での派閥対立だ。2月5日、黒岩祐治知事は、同センターを運営する県立病院機構の土屋了介理事長を解任した。だが土屋理事長は大量退職の穴埋めに奔走していた功労者で、むしろ混乱を招きかねない。患者不在の派閥対立はいつまで続くのか――。

■本当に「医師間のパワハラ事案」なのか?

神奈川県立がんセンターが危機に陥っている。放射線治療医が大量退職し、治療の継続が難しくなったのだ。

きっかけは、昨年8月、中山優子放射線治療部部長(当時。現国立がん研究センター放射線治療科医長)が退職したことだ。残りの5名のうち、3名が1月末までに退職した。

神奈川県は調査委員会を立ち上げ、1月24日に調査結果を発表した。配布資料の中で中山医師らの主張を引用し、「退職医師らが退職を決意した最も大きな理由は、放射線治療科に長年勤務していた医師が外部機関に研修派遣され、退職に至った」と述べ、この事件を「コミュニケーション上の大きな問題」と認定した。そして「派遣の理由や必要性についてしっかりとした説明責任を果たし、病院現場との意思疎通、コミュニケーションを徹底していれば、今回の事態を防ぐことも可能であった」と結んだ。

さらに、「医師間のパワーハラスメント事案」があることを認め、「病院機構の内部規定に則った対応がされていない」と土屋了介・神奈川県立病院機構理事長の対応を批判した。

この主張だけを聞くと、現場の医師をいじめる土屋理事長を、神奈川県庁が懲らしめたように映る。ところが、実態は正反対だ。

私は、改革派の土屋理事長を引きずり降ろすため、既得権者である中山部長や神奈川県庁幹部が策動したのが真相だと思う。2月5日、神奈川県の黒岩祐治知事は土屋理事長を解任すると発表した。患者不在の迷走はどこまで続くのだろうか。

■土屋理事長にしゃべられると困る人がいる

昨年12月8日の午前、首藤健治・神奈川県副知事から携帯電話に連絡が入り、その夜、彼は私のオフィスに訪ねて来た。そして、「土屋先生は問題がある。このままではもたない。(土屋降ろしに)自らの進退をかける」と言った。

首藤氏は灘中学・高校剣道部の2年先輩で、37年のお付き合いだ。嘘は言わないだろう。私は、この時、土屋理事長と神奈川県庁が抜き差しならない関係に陥っていることがわかった。調査は非公開で、8人のメンバーのうち7人は県の役人だ。県の調査が「土屋理事長追い落としの結論ありき」であることが分かる。もちろん、こんなことは許されない。県民視点に立って、公正に評価されなければならない。

神奈川県は、この点を突かれたくない。1月29日、この問題を県議会で取り上げる予定で、自民党が土屋理事長と大川伸一・神奈川県立がんセンター院長を参考人に招致したが、当日になって招致はキャンセルとなった。土屋理事長にしゃべられると困る人がいたようだ。

当日、質問に立った小川久仁子県議(自民党)は「(退職した中山)医師のわがままではないか。県民視点で指導してくれたのなら、それは正しいことではないか」と批判した。

彼女が中山医師を批判した理由は、中山医師が「経歴詐称」をしていたからだ。


■経歴を詐称する人物は信用できない

神奈川県立がんセンターでは「先進医療」である重粒子線治療に取り組んでいる。この治療について、厚労省は施設基準として、施設責任者には1年間の療養経験が必要としている。だが中山医師は放射線医学総合研究所(放医研、千葉県)に3カ月出張した経験があるだけだった。中山医師は放医研で2年間、客員研究員を務めているが、大部分の期間を県立がんセンターで勤務しており、これでは基準を満たさない。この点を指摘された中山医師は「当該外部機関に確認した上で記載した」と説明したが、「経歴詐称」であることは明らかだ。だが、神奈川県はこの主張を追認し、申請書類を厚労省に提出した。

彼らの理屈が通用しないことは誰でもわかる。療養に従事しない客員研究員の期間を臨床経験に加えていいはずがない。それに、「確認」は、共同申請者である「当該外部機関」ではなく、厚労省に対して行うべきだ。

私は経歴を詐称する人物は信用しない。ほかでも嘘をついている可能性が高いからだ。多くの研究不正事件で、ひとつでも不正が見つかった研究者は、その後、数多くの不正が露見することが多い。

■なぜ医道審議会で処分を検討しないのか

中山医師は、神奈川県立病院機構が開設した重粒子線治療センターの責任者になりたかったのかもしれない。だが、平気で「嘘」をつく無資格者に治療されては、患者はたまらない。厚労省に「嘘」をつくのだから、患者をだましていてもおかしくない。

この件を報告された厚労省は調査を開始した。無資格者の治療なのだから、本来、医道審議会で処分を検討すべきだ。2015年、聖マリアンナ医大の精神保険医の資格不正取得事件では、医道審議会での答申を受けて、3人が医業停止、15人が戒告となっている。

2014年に神奈川県立病院機構の理事長に就任し、中山医師の経歴詐称について知った土屋理事長は、外部から有資格者である野宮琢磨医師を招聘し、重粒子線治療科の部長に任命した。そして、中山医師が資格をとれるように、放医研での研修を命じた。

ところが、中山医師はこれに納得せず、退職。同調した若手医師も集団退職した。退職した若手医師にも、彼らなりの言い分があるだろうが、患者を見捨てたことは事実だ。世間知らずの医師たちの「わがまま」と見なすのが妥当だろう。

■神奈川県庁にパワハラを調査する権限はない

どこも報じないが、招聘された野宮医師は、中山部長から「パワハラ」を受けていたことが明らかになっている。「報復を恐れた本人は届け出ずに我慢していた」(県立がんセンター関係者)が、予想外の方向に事態が進むのをみて、神奈川県の調査委員会に資料ととともに提出した。ところが、神奈川県はこのことを公表しなかった。

2月2日、神奈川県の不誠実な対応に業を煮やした土屋理事長は、県庁記者クラブで記者会見を開いた。そして、過去の経過を説明した。また、2人の副知事から辞職を迫られたことを明かした。

実は、神奈川県の問題はお手盛りの調査委員会だけでない。そもそも県立がんセンターは独立行政法人である神奈川県立病院機構が運営しているもので、神奈川県には一般指揮監督する権限がない。神奈川県庁にはパワハラを調査する権限も、副知事が理事長の辞職を迫る権限もない。その根拠は地方独立行政法人法だ。

同法の17条では、「職務上の義務違反があるとき」には、神奈川県知事が県立病院機構の理事長を「解任することができる」と明記されている。

他に介入できる点については、同法122条に規定されており、その条件は「法令若しくは設立団体の条例若しくは規則に違反し、又は違反するおそれがあると認めるとき」である。

独法に詳しい政府関係者は「パワハラは法令違反ではなく、神奈川県が独法に介入する理由にはならない。まして、副知事が理事長に退任を迫るなど論外」と言う。

■神奈川県が横浜市大の提案を拒絶した理由

神奈川県のパワハラ認定も一方的だった。2月2日に配信されたエムスリーの記事「神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題」によると、神奈川県庁の調査報告書では、「病院機構の監査・コンプライアンス室が医師間のパワハラ事案(筆者注放射線科内部のパワハラ)を認定している」が、これは事実とは異なる。

土屋理事長の説明によれば、病院長から報告を受け、監査コンプライアンス室にヒアリングを指示した。この人物は神奈川県警のOBで、この手の問題への対応には慣れている。彼は「ハラスメントに認定しうる」と判断したが、被害医師からパワハラを訴える医師はいないことを確認したため、「ハラスメントの要件は満たさない」と判断し、土屋理事長に報告した。専門家は、パワハラ認定は、あくまで当事者の意向を優先しているようだ。土屋理事長は、加害医師に対して口頭で注意した。適切な対応だと思う。

神奈川県の問題は、これだけではない。放射線科医不足も、もとは神奈川県庁がまいた種だ。重粒子線治療施設の計画が持ち上がり、放射線治療医を確保することが必要となったのは2009年。このとき神奈川県立がんセンター内に横浜市大大学院を設置し、放射線科医を育成する話が提案された。

しかし神奈川県は横浜市大の提案を拒絶した。当時のことを知る県立がんセンター関係者は「中山部長が『横浜市大に頼らなくても、医師は自分たちで確保できる』と言った」という。土屋理事長によれば、「14年に神奈川県立病院機構に赴任したとき、横浜市大幹部から『いろいろと経緯があって、先生には協力できない』と言われた」そうだ。土屋理事長は、「今回、はじめて全貌がわかった」という。

■120億円の施設が止まれば、引責辞任がスジ

神奈川県が立ち上げた医師確保対策委員会(委員長首藤健治副知事、大川病院長と県職員7人で構成)も、奇妙な存在だった。神奈川県は土屋理事長に対して「医師確保はこちらでやるから、そっちは動かないでほしい」と指示した。こんなことは、県と独法の関係を考えればありえない。神奈川県の越権行為だ。

このことを記者会見で追及された黒岩知事は「緊急事態だから」と苦しい説明をしたが、緊急事態だから超法規的に動いていいという道理はない。

神奈川県がやるべきことは、独法への支援だ。一般指示や医師確保ではない。ところが神奈川県はいまだに県直営病院の意識でいる。だからこそ、県庁に「医師確保対策委員会」という組織まで作った。これが、病院機構も神奈川県も責任をとらない「無責任体制」を招いた。

120億円を費やした重粒子線治療施設が止まれば、責任者は引責辞任するのがスジだ。ところが、県立がんセンターの大川院長も、2人の副知事にも、そんな覚悟はないようだ。

■「神奈川の仲間割れに巻き込まないでほしい」

私には、大川院長は「土屋憎し」だけで動いているように見える。大川院長は、院内で「医師派遣を求めた群馬大と東京大学から『土屋理事長が怖いので、辞めないと人は出せない』と言われた」と報告している。

こんな発言を信じる人はいないだろう。飲み屋の愚痴でもあるまいし、大学が「××さんが怖くて」などというはずがない。現に、今回、県立がんセンターに残ったのは東大医局に所属する若手の女性医師だ。

群馬大学のある教授は、土屋理事長に対して、大川院長の発言を明確に否定したという。知人の群馬大学出身者は「腹腔鏡事件で世間から批判されている現在、理事長が嫌いだから医師を出さない、引き上げるなんて言うことはあり得ない。神奈川の仲間割れに巻き込まないでほしい」という。

■放射線治療医の派遣を調整したのは土屋理事長

現場は、こんな体たらくなのに、神奈川県は手柄だけは誇りたいようだ。1月24日の記者会見で、県内外の大学、医療機関に派遣を要請した結果、3月末までは常勤医4人、非常勤医6人の計10人を確保できたと明かした。黒岩知事は自ら病院に足を運び、電話をかけたそうだ。「最終的にトラブル前よりも増えた」といって、派遣元として福島県立医大など4施設の名前を挙げた。

私はあきれはてた。今回、神奈川県立がんセンターの支援に動いているのは3人の専門医を派遣する福島県立医大だが、この派遣を調整した人物こそ土屋理事長だからだ。

医師の派遣は、土屋理事長が福島医大の竹之下誠一理事長に依頼したことで実現した。竹之下理事長と私は、福島での医療支援活動を通じ、知り合った。とても信頼できる人物であり、今回、私が2人をつないだ。竹之下理事長は、放射線科医大量離職の背景をすぐに理解し、「優先すべきは患者さんです。医師同士の仲たがいのどちらかにくみする気は一切ありません」と言って、放射線治療科の鈴木義行教授につないでくれた。昨年12月13日、土屋理事長は福島県立医大を訪問し、鈴木教授に医師派遣を依頼した。鈴木教授は快諾し、今回の運びとなった。私も、土屋理事長に同行し、両者の会談に同席した。

その後、土屋理事長が竹之下理事長に携帯電話でお礼を伝えた。そこで竹之下理事長から「うちは県立医大です。そちらの黒岩知事から、内堀福島県知事に一本電話を入れてもらえませんか」と付け加えた。これが、黒岩知事が記者会見で話した手柄の背景だ。おそらく、黒岩知事は、こうした経緯を副知事から聞いていないのだろう。

■「土屋先生がいなくなったら、辞めた部長が戻ってくる」

神奈川県庁の問題は、これだけではない。首都圏の大学病院の准教授が、空席の部長に応募してきた。私の知る限り、実力・経験ともに申し分ない。少なくとも経歴を詐称するような人物ではない。

ところが、神奈川県の知事室は「この人物は前の職場でパワハラのうわさがある」という理由で、採用しないように指示してきた。これも越権行為だし、パワハラは単なるうわさ話だ。この准教授には処分の前歴はない。

現在、神奈川県立がんセンターが求めるのは、核になりえる管理職だ。この点で、彼は格好の人材だ。うわさ話のレベルでむげに断るなどあり得ない。県立病院機構の職員は「土屋先生がいなくなったら、辞めた部長が戻ってくるんでしょう」という。

神奈川県立病院機構の混乱を調べていると、患者視点の欠落にがくぜんとする。経歴詐称がばれて、徒党を組んで退職した部長に同情の余地はない。厳格に処分すればいい。

■副理事長らが「理事長解任」を求める緊急声明を送付

神奈川県は遵法意識をもつべきだ。2月2日、土屋理事長は県立がんセンターの大川院長を解職し、企画情報部長とする辞令を交付した。これは懲戒処分でなく、人事異動だ。法的な問題はない。ところが、大川院長や県の関係者はこれに抵抗した。県立がんセンター職員によると「大川院長は黒岩知事に人事異動の取り消しを求めて陳情にいき、土屋理事長の指示で院内に掲示された人事異動の張り紙は、事務職員の手ではがされた」という。

そして、2月5日には、神奈川県立病院機構の康井制洋・副理事長以下、6名の幹部が「神奈川県立病院機構土屋了介理事長の解任を求める緊急声明について」という書面を、黒岩知事や県議に送った。このなかに大川氏も名を連ねている。(※編注:記事の末尾で、関係者から入手した「緊急声明」の書面を掲載しています)

同日、黒岩知事は、土屋理事長を呼び出し、大川院長の解任を取り消すように求めたが、土屋理事長が聞き入れなかったので、彼を解任した。黒岩知事は「県知事の指示を聞けないなら、罷免する」と伝えたそうだ。前述したように、知事が独立行政法人の理事長に指示を出すことは法の趣旨に反することだ。知事の権限は任命と罷免で、指示ではない。

独法制度に詳しい前出の政府関係者は「理事長の方針に反対だからといって、知事に理事長解任を申し立てるなど、全くの権限逸脱です。おそらく、県の上層部と機構幹部が通謀してやったのでしょう」という。

■病院機構は法令を無視する「無法地帯」と化した

経歴を詐称する、辞令を拒否する、張り紙を無断ではがす。独法制度のルールを平気で破る。法令を無視し、「無法地帯」と化している。県立がんセンターの職員はみなし公務員なのだから、法令や規則に違反する人物は淡々と処分すればいい。混乱を引き起こした幹部は、しかるべき責任を負うべきだし、副知事は「進退をかける」と言っていたのだから、約束を果たすべきだ。

神奈川県庁と県立がんセンターの暴走は目に余る。暴走を止められるのは県議会だ。県議会では調査委員会の調査結果に対して、公平な立場から質疑が展開されている。しっかり対応すべきだ。

また議会と並んで重要なのがメディアの役割だ。テレビや新聞の県政担当記者には、正確な事実を報じてもらいたい。患者不在の騒動の詳細を、県民に周知してもらう必要がある。

医療は社会的な営みだ。健全な民主主義がなければ、維持できない。神奈川県に必要なのは、県民視点での情報開示、開かれた議論である。

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上 昌広(かみ・まさひろ)
医学博士。1968年兵庫県生まれ。1993年東京大学医学部医学科卒業、1999年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員、東京大学医科学研究所特任教授など歴任。2016年4月より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、理事長に就任。医療関係者など約5万人が講読するメールマガジン「MRIC」編集長。
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http://diamond.jp/articles/-/158392
神奈川がんセンターで重粒子線治療が継続危機、裏に構造的問題
2018.2.6 週刊ダイヤモンド

 神奈川県議会の厚生常任委員会は1月29日、県立がんセンター(横浜市)の放射線治療が非常事態に陥っている問題を終日にわたり議論した。地域がん医療の拠点である同病院で放射線治療医が相次いで退職、がんの放射線治療に支障が生じているのだ。

 医師の不足で新規受け入れを制限するなど、すでに患者に影響が及んでいる。先進医療に指定された重粒子線治療は、人員配置の要件を満たせず継続できなくなる危機に直面。建設に約120億円を投じて2015年に開設された重粒子線施設が、稼働停止でただの箱になりかねない。

 神奈川県は急きょ、県幹部らをメンバーにして、原因究明を目的とした調査委員会を昨年12月に、放射線治療医を確保するための対策委員会を今年1月に、それぞれ立ち上げた。

 対策委員会は1月24日、他の医療機関に派遣の協力を仰ぎ2月と3月は医師を確保できたと報告。同日に調査委員会による調査結果も提出され、パワーハラスメント事案への対応に不満があったことや、コミュニケーション上の問題があったと報告された。

 これに対し、県議たちは29日の議会に所管の県幹部らを招き、原因の調査および報告内容が不足しているなどと追及した。県議たちは調査が核心に触れていないと感じたのか、さらに病院長、病院を運営する県立病院機構の理事長、事態の対応に当たっている副知事を参考人招致する要望を出した。

 これを受けて当日に応じた参考人は副知事だけ。他の人物は姿を現さなかった。

渦中の参考人参加できず

 彼らは逃げたのか──。実はそうではなかった。

 参考人招致を要望された機構の土屋了介理事長は出席の意思があったという。となると、話をされると不都合が生じる者にこの日の参加を阻まれたということになる。

 議会でのやりとりの中で、県は人材の確保や養成のために横浜市立大学など医学部を持つ地元大学との連携を検討する意向を見せた。しかし、人材の安定的な確保は重粒子線施設開設時の重要テーマだったはずだ。

 なぜ開設時に実現し得なかったのか。なぜ危機に陥るまでに連携できなかったのか。そうした深層を捉えて議論ができるだろうメンツが、議会では“不自然”にそろわなかった。

 もっとも、話はこれで終わらない。参考人出席を阻まれた土屋理事長が議会後に口を開き、開設前にあった横浜市大からの連携の申し出に積極的でなかった放射線医の意見が全体の決断に影響を与えたことなどが明らかになってきた。

 4月以降の医師の確保がまだ決まっていない中で目先の対処も重要だが、“病巣”にメスを入れない限り、問題は解決しない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)



http://japan-indepth.jp/?p=38324
「上昌広と福島県浜通り便り」
南相馬の医療崩壊 求められる改革

上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
 投稿日:2018/2/7 Japan In-depth

【まとめ】
・多くの病院の経営が悪化しており、精神科を除く一般病院の利益率はマイナス4.2%だった。
・いわき市内の「ときわ会グループ」、その中核の常磐病院が急成長している。
・南相馬市の医療が崩壊の瀬戸際に。経営状態悪い市立総合病院は「救急医療」に特化すべき。


 五十嵐北斗君という若者が、私が主宰する「医療ガバナンス研究所」でインターンを始めた。笑顔が素敵な好青年だ。五十嵐君は中央大学商学部の4年生。今春、卒業予定だ。実は、彼には大学生とは別の顔がある。「trimy」というベンチャー企業の社長だ。医学生向けの初期臨床研修向けのマッチングサイト「ホクトレジデント」を運営している。ベンチャーキャピタルから資金を調達して立ち上げたらしい。私のところに来たのは、サイトの作り込みについて相談するのが目的だ。

 彼は研修医のマッチングについて随分と調べていた。名門病院はほぼ知っていたし、研修医が抱える問題も熟知していた。商学部の学生のレベルを超えていた。私は彼の経歴を聞いて納得した。世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた華岡青洲の縁戚だという。1966年に有吉佐和子が発表した『華岡青洲の妻』で描かれた一族だ。親族は北海道で病院を経営している。五十嵐君は医者に囲まれて育ち、病院経営を肌感覚で知っているようだ。

 では、彼にどのようにアドバイスしたのだろうか?私は「君のサイトで病院の経営状態を紹介したらどうだろう」と勧めた。幸い、大学病院をはじめ、多くの大病院が財務諸表を公開している。大学生が就職活動をする際、もっとも注目するのは企業の経営状態だろう。慢性的な赤字で、改善の目途がたたない企業に就職するのは、よほど奇特な学生だけだ。ところが、医学生の間で、このことは議論されない。

 我が国では診療報酬は、厚労省が全国一律に決めている。社会保障費を抑制するため、診療報酬が据え置かれ、多くの病院の経営が悪化している。厚労省が発表した2016年度の「医療経済実態調査」では、精神科を除く一般病院の利益率はマイナス4.2%だった。前年度より0.5ポイント悪化していた。

特に深刻なのは、物価が高い都市の総合病院だ。少子化が進み、不採算となる小児科や産科を抱え、「選択と集中」することが出来ない。日本医大、東京女子医大、聖路加国際病院、亀田総合病院などが赤字経営であることは有名だ(参考:プレジデント、FACTA)

最近、三井記念病院が債務超過に陥っていることも明らかとなった(参考:選択 2018年1月号))。高い医療レベルを維持するには、投資が欠かせない。赤字病院には余裕はない。このような病院は、医学生は避けるべきだ。

 ところが、現実は正反対だ。昨年のマッチングでも聖路加国際病院や亀田総合病院が上位に入った。中間発表では、それぞれ定員24人、28人に対して、59人、48人が応募した。投資余力のない病院に大勢の若手医師が集まっている。一般企業ではあり得ないことだ。

この状況は都心の名門病院に限った話ではない。地方では、別の形で若手医師が不適切な病院に配置されている。東日本大震災以降、私は福島県浜通りの医療支援を続けている。震災からもうすぐ7年となるが、健全な形で病院を維持していくには、つくづく「経営」が重要だと痛感する。

 現在、浜通りの医療機関で急成長しているのは、いわき市内の「ときわ会グループ」だ。その中核が常磐病院(一般床150、療養床90)である。泌尿器科・人工透析を中核としたグループで、1982年に常盤峻士医師がいわき市内に「いわき泌尿器科病院」を開設したのがきっかけだ。その後、成長を続け、2010年4月にはいわき市立常磐病院を譲り受けた。現在、グループ全体で2つの病院、一つの有床診療所、5つのクリニック、さらに介護施設、訪問看護ステーション、幼稚園なども経営している。

 筆者が知り合ったのは、東日本大震災の時の透析患者の搬送をお手伝いしたことがきっかけだ。これ以降の躍進は目覚ましい。震災前8名だった常勤医は、この4月には25名になる。うち内科医は9名だ。このグループの特徴は、経営が安定し、しっかりと投資していることだ。それが、医師集めに貢献している。

震災後、即座に内部被曝検査(ホールボディーカウンター)を導入した。ロボット手術であるダヴィンチシステム、PET-CTがん検診、さらに加藤茂明・元東大分子生物学研究所を雇用し、基礎研究室まで立ち上げた。2017年度は32本の英文論文・レターが英文医学誌に掲載された。これはやる気のある医師や看護師にとって、大きなアピールになる。

昨年は前徳島県立中央病院長の永井雅巳医師が赴任した。この4月には日本の血液界を代表するような教授が、大学を辞してときわ会に移籍する。ほか数名の二十代、三十代の医師がやってくる。彼らは「ときわ会なら、新しいプロジェクトにチャレンジできる」という。

人口34万5209人(2018年1月1日現在)のいわき市で、医師は不足している。人口10万人あたりの医師数は199人で、長崎県の五島列島より少なく、対馬と同レベルだ。世界的にはリビアやメキシコと同水準だ。成長の余地が残されている地域に、優秀な経営陣がいるのだから、全国からやる気のある医師が集まるのもむべなるかなだ。

対照的なのが、南相馬市立総合病院だ。同院が位置する相双地区の人口10万人あたりの医師数は110人。全国平均の半分以下で、世界的にはアルバニアやチリと同レベルだ。この地域の医療が崩壊の瀬戸際にある。問題は内科だ。家庭の都合などで、常勤医師の退職が続いた。今春から常勤の内科医は1名となる。

昨年4月、同院の院長に就任した及川友好医師は医師確保に努めるが、問題は容易に解決しそうにない。その理由は、南相馬市立総合病院の経営状態が悪いからだ。

2016年度の決算では、医業収益は約34億1744万円なのに、医業費用は42億5471万円もかかっている。補助金・交付金収入は4億7454万円だ。

さらに固定比率(固定資産/自己資本)は3510、固定長期適合率(固定資産/自己資本+固定負債)は1340もある。自治体病院の平均は710だ。2017年に完成した脳卒中センターなどの固定投資(総事業費58億円)が大きくのしかかっている。

この状況で、さらに人工透析を始める(8床)。1月21日の市長選挙で敗退した桜井勝延市長の肝煎りの政策という。これは、おそらく病院のためにも、患者のためにもならない。人工透析クリニックの経営者は「この規模で始めても、黒字にはならないし、医師や看護師は確保できない。医療事故のリスクがある」という。

南相馬市立総合病院がやるべきは、病院が持続可能なように、診療科を見直すことだ。その際、地域から何を求められているか、具体的に考えるべきだ。

私は市民病院しかできないことは、「救急医療」だと思う。この中には一般外科、脳外科、整形外科、循環器内科、小児科などが含まれる。幸い、一般外科は3人、脳外科は6人、整形外科は2人、循環器内科は2人、小児科医は1人の常勤医がいる。さらに、この病院は初期臨床研修指定病院で、最大8名の初期研修医がいる。

私は「救急医療」に特化し、その他の診療科を削減するしかないと思う。内科は、初期研修医と彼らの教育に熱心な指導医を中心に体制を整備し、足りなければ、6名もいる脳外科医にサポートして貰えばいいだろう。

周辺の病院と競合する人工透析や、開業医と競合する診療科は撤退すべきだ。さらに、専門技量を身につけたい若手内科医を強制的に配置して、内科医不足の数合わせをすべきではない。彼らの成長を損ね、数年後には我が身に返ってくる。嫌気がさして、他の地域にでていくかもしれない。南相馬市の医療の発展を願うなら、いまこそ彼らに投資して、専門的な技量を身につけて貰うべきだ。この判断ができるか否かは、及川友好院長と門馬和夫・新市長にかかっている。

病院経営者の中には、自らの失敗を棚に上げ、他者に負担を押しつける人が少なくない。厚労省の審議会の委員の中には「若手医師に地方での勤務を義務化すべきだ」と主張する者までいる。犠牲になるのは、いつも若手医師だ。「医師を派遣して欲しい」と言われ、ダメ病院に派遣される。

やるべきは、若手医師の派遣ではなく、駄目なリーダーを退場させることだ。南相馬市は市長が交代した。今こそ、過去の問題を総括すべきだ。

残念ながら、これが難しい。我が国の病院は情報開示に消極的で、現状が市民に伝わらないからだ。市民の支持がなければ、働かない医師や事務員などの「抵抗勢力」の利権に切り込むことは出来ない。この点で、冒頭にご紹介した五十嵐さんの取組に期待したい。初期臨床拠点病院だけでなく。広く一般病院も調査してもらいたい。

相双地区は、今後も人口が減少する。縮小する町で如何に医療提供体制を維持するか、難しい問題だ。今回、ご紹介したのは、私がみた被災地の医療の現状だ。患者と現場の医師以外の様々な思惑が交叉し、患者と現場が犠牲になっていることがお分かりいただけただろう。私は、被災地と付き合い続けたいと思っている。どうすべきか思案している。



https://mainichi.jp/articles/20180210/ddl/k14/010/198000c
黒岩知事
県立病院機構理事長解任へ 「任に適さない」 /神奈川

毎日新聞2018年2月10日 地方版

 県議会の2018年第1回定例会が9日開会し、黒岩祐治知事は本会議の提案説明で、放射線専門医が相次いで退職の意向を示した県立がんセンター(横浜市旭区)を運営する県立病院機構の土屋了介理事長について、解任手続きを進めていることを報告した。黒岩知事は「病院長の更迭や対応を踏まえ、任に適しないと認められ、理事長の解任を決意した」と述べた。

 県は先月から、同センターの大川伸一病院長らと連携し、来年度以降の診療継続のための医師探しを進めてきた。しかし、土屋理事長は今月2日付で大川病院長の降格人事を発令。これを受け、一部の機構幹部や職員が5日、黒岩知事に理事長解任を求める要請文を提出した。黒岩知事は「混乱を収束させ、センターと医師確保に全力で取り組み責任を果たす」と述べた。

 第1回定例会の会期は3月23日まで。総額1兆8328億円の18年度一般会計当初予算案や条例案など計97件を提出した。【堀和彦】



http://www.sankei.com/life/news/180207/lif1802070036-n1.html
神奈川県立がんセンターの医師確保 県が病院機構の理事長解任へ 病院長の降格人事公表で混乱招く? 
2018.2.7 12:08 産経新聞

 神奈川県立がんセンター(横浜市)で医師が相次ぎ退職し、重粒子線治療の継続が危ぶまれている問題で、県は安定的な医師確保に支障があるとして、運営する県立病院機構の土屋了介理事長を解任する方針を明らかにした。

 神奈川県によると、土屋氏は医師確保の責任者であるがんセンターの大川伸一病院長の降格人事を内部手続きなしに公表するなどして病院内の混乱を招いた。黒岩祐治知事は報道陣に対し、「診療継続に深刻な影響を懸念している」と述べた。

 土屋氏は取材に「知事の判断は法律に違反している」と反論した。

 がんセンターでは昨年末までに医師が相次ぎ退職する意向を示し、全国5カ所でしか実施していない重粒子線治療の継続が危ぶまれていた。県は先月24日、3月末までは医師確保ができたと発表。4月以降も継続するため、県とセンターは県内外の医療機関に医師の派遣要請を続けている。



http://www.medwatch.jp/?p=18826
病院の統合・再編へ「地域医療介護総合確保基金」から優先補助―厚労省 
2018年2月9日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、2018年度の地域医療介護総合確保基金を「病院の再編・統合」に優先して配分する―。

 厚生労働省は、2月9日に開催した2017年度の「医療計画策定研修会」で、都道府県の担当者にこのような方針を示しました。

 各地でさまざまな病院の再編・統合が進んでいますが、財政的な補助が行われることになり、さらに再編・統合が加速化する可能性があります。

ここがポイント!
1 地域医療構想を実現するための機能転換など、基金で費用補助
2 病床削減に伴う改修費用や処分費用なども補助の対象

地域医療構想を実現するための機能転換など、基金で費用補助

 2025年には、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと予想され、こうしたニーズに現在の医療提供体制では十分に対応できないと考えられています。そこで、各都道府県において「一般病床・療養病床という大きなくくりだけでなく、高度急性期・急性期・回復期・慢性期といった機能ごとの必要病床数」などを定めた地域医療構想が作成されています(すでに全都道府県で作成済)。

 一方、各病院・有床診療所には「自院の病棟がどの機能を持つと考えているのか、また将来持たせようと考えているのか」を毎年報告する義務が課せられています(病床機能報告)。

 両者(地域医療構想と病床機能報告結果)には、大きな隔たりがあり、これを地域の医療関係者等が集う「地域医療構想調整会議」における議論の中で埋めていくことが、地域医療構想の実現に向けて極めて重要となります。具体的には、調整会議での話し合いを通じて「自院は急性期機能を担っているが、将来、地域の急性期患者は減ってしまう。将来的には回復期や慢性期機能に転換していくべきである」と病院自身が考えることが求められます。

 ところで、機能分化を進める中では、構造設備の見直しなども必要となるため各都道府県に設定されている地域医療介護総合確保基金から補助が行われます。

 2月9日の医療計画策定研修会では、厚労省医政局地域医療計画課の担当者から、地域医療介護総合確保基金について、▼医療機関の機能転換について、地域医療構想調整会議で合意できている場合に、優先して配分する▼医療機関が再編・統合する場合には、「単一の医療機関の機能転換」よりも優先して配分する―考えが示されました。

 例えば、「急性期機能が過剰な地域において、急性期機能を担う300床のA病院と同じく300床のB病院が再編・統合して500床のC病院となる」場合、急性期のベッドを100床削減することが可能となり、地域医療構想の実現に一歩近づくことになります。この場合、新病院(500床のC病院)建設のために大きなコストがかかりますが、▼例えば薬剤を購入する際に、A・Bが個別に購入するよりも、Cとして購入したほうが、バイイングパワーが強くなり、購入費を抑えられると見込める▼1病院当たりの医師数が増え、手術件数増加による治療成績の向上や、「当直明けの勤務を別の医師に任せる」ような負担軽減策などを講じることができる―といった利点があると考えられます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

病床削減に伴う改修費用や処分費用なども補助の対象

 また「単一の医療機関が機能転換する」ケースでも、地域医療介護総合確保基金からの補助が行われます。機能分化を進めることが、地域医療構想の実現に直結するためです。2月9日の医療計画策定研修会では、次のような費用が補助の対象になることが説明されました。

▼病床数を減らす結果、使わなくなる病棟・病室の改修費用
 病床削減について地域医療構想調整会議で合意できていれば、教育研修棟に改修したり、建物のワンフロアを職員の休憩スペースに改修するための費用が対象となる。おおよそ、「鉄筋コンクリート」の場合は単価が20万900円/平米、「ブロック」の場合は17万5100円/平米までであれば補助される。ただし、改修する建物が、地域医療構想策定後に取得したものの場合は対象から外れる

▼病床削減や機能転換の結果、不要になる建物や医療機器の処分費用
 不要となった建物・医療機器の撤去にかかる費用補助や、「帳簿上の固定資産としての価格」と「売却価格」の差額補填などに活用できる。ただし、地域医療構想策定後に取得した建物や医療機器は対象から外れる。また、医療法人の役員に売却する場合などは、▽売却価格が市場価格と大幅にずれていないことが、複数の不動産鑑定士らの鑑定によって確認できる▽購入者が使用する▽売却した後は使わない―をすべて満たすことを条件に、活用を認める
 
【更新履歴】病床削減に伴う改修費用や処分費用について、「地域医療構想策定前に取得した建物」などは地域医療介護総合確保基金の対象外であるとしていましたが、「地域医療構想策定後に取得した建物」の誤りです。お詫びして、訂正させていただきます。記事は訂正済です。
 



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59504/Default.aspx
【解説】2018年度診療報酬改定 地域包括ケアで機能分化・強化に動き出す医療機関
公開日時 2018/02/08 03:53 ミクスオンライン

「高度急性期、急性期、回復期、慢性期という4つのカテゴリーに収斂していく。人口構造が変化し、急性期病床は空床が出てくる。そうした中で、各医療機関が選択することであるべき姿に収斂する。それを後押しするのが今回の診療報酬改定だ」-。日本医師会の横倉義武会長は2月7日、中医協が2018年度診療報酬改定を加藤厚労相に答申したのを受け、日本医師会館で開いた会見でこう話した。18年度改定では、入院基本料を医療資源投入量と診療実績に応じた段階的な評価へと抜本的に見直した。これまで診療行為に応じた報酬体系であったこともあり、急性期病院は様々なメニューを揃えた総合デパート方式とも揶揄されてきた。18年度改定を皮切りに各医療機関が自らの強みを発揮し、それ以外の医療機関と連携する形へと動き出すことになる。地域包括ケアシステム構築へ向けて、入院医療は急性期病院の転換を皮切りに大きく動き出すこととなりそうだ。

◎新たな医療提供体制に歩みだす 「それに寄り添う診療報酬改定だ」横倉日医会長

「18年度は各都道府県で策定される地域医療構想が実行に移され、それに向けて新たな医療提供体制に歩みだす。今改定は、それに寄り添う診療報酬改定だ」-。横倉会長はこう語る。間近に迫った今年4月は、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定にとどまらず、第3次医療費適正化計画、第7次地域医療計画がスタートするタイミングでもある。

これまで政府が最も医療資源、そして医療保険財政を投入してきたのが看護配置7対1に代表される急性期病床だ。7対1入院基本料と10対1入院基本料との間には診療報酬上で300点の格差があった。10対1への転換は、看護師の雇用を含め、病院経営へのダメージも大きかった。一方で、人口構造が変化する中で、急性期病床はすでに稼働率が低下しているとの声も医療現場からはあがっている。今後はさらに高齢化に伴って、脳・心血管疾患の発症やその後のリハビリテーションや肺炎、骨折などの増加も見込まれる。こうした中で、18年度改定では、7対1と10対1の中間的な点数を新設した。点数の格差が縮まることで、医療機関の転換を促す。ここでひとつポイントとなるのが、新たな点数である入院料2、3を算定に際して、重症患者の割合の判定について診療実績データ(DPCデータ)を用いることを要件化したことだ。

地域医療構想の策定も相まって、自身の医療機関の実診療データをベンチマークすることで、医療機関自ら病床機能の転換について判断することを後押しする。この姿は、2025年度の改定に向けて、「過渡期」との見方を全日本病院協会の猪口雄二会長は示す。

厚労省は将来の姿として、すでに看護配置10対1を基準として診療実績を評価する、入院料を5段階とする姿を示した。今後は各医療機関が、自ら医療ニーズに合致した、医師、看護師、薬剤師、OT、PT、STなどの人員配置を選択する姿へと移行することとなる。これにより、医療費も自然と適正な範囲へと抑制される姿を描く。

◎ますます重要性を増すネットワーク型医療

こうした中で、医療機関同士や訪問看護ステーション、保険薬局などとの連携の重要性を増す。18年度改定では、地域包括ケアシステムの要の役割を担う、かかりつけ医に手厚い評価を行ったが、それだけでなく、看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどの多職種連携、医療連携に手厚い配分を行った。

患者の入院前に入院生活におけるオリエンテーションや持参薬の確認、褥瘡・栄養スクリーニングなどを外来で実施し、支援を行った場合の点数として、「入院時支援加算」を新設。あわせて、退院時共同指導料についても医師、看護師に加え、薬剤師やOT・PT、ST、社会福祉士(MSW)が共同指導する場合も評価対象とするよう見直した。入院前から入院、退院までを一貫し、がんや認知症患者であっても住み慣れた地域で継続して生活できるよう促す。

看護配置7対1を確保する医療機関では、看護配置を見直し、訪問看護ステーションを併設するケースの増加も見込まれる。多死時代を迎える中で、在宅での看取り、ターミナルケアの重要性が増す中で、役割を発揮することも期待される。さらには、複数の疾患を合併し、ポリファーマシーに陥る高齢者が増加する中で、医療機関と保険薬局の連携による医薬品の適正使用を促すことも視野に入る。地域の実状に合致した連携体制が構築されることで、これまで以上にネットワーク型の医療が重要性を増すことになる。

2013年度に「税と社会保障一体改革」の方向性を示した安倍政権は、一貫した改革路線を貫いている。高齢化のピークを迎える2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築すべく、様々な施策を繰り出してきた。診療報酬改定も2014年度、16年度、18年度と歩みを進めている。冒頭にも書いたが、この4月はトリプル改定のほかに、地域医療計画もスタートする。都道府県の保健ガバナンスも強化され、いよいよ地域包括ケアシステムの外堀が完成することになる。

18年度改定を取材して、ひとつ見えたことがある。先の薬価制度抜本改革の時も感じたが、薬価にしても診療報酬・調剤報酬にしても、既定路線の延長に我々は存在しないということだ。逆に、この3回の診療報酬改定を取材して、その延長線上にある医療の姿の輪郭が見え始めてきた。すでに2020年度改定にむけた改革議論の火蓋は切られたと見るべきだろう。(望月英梨)



http://biz-journal.jp/2018/02/post_22256.html
連載  上昌広「絶望の医療 希望の医療」
内科・外科志望医が激減、眼科志望医ゼロの県も…新専門医制度失敗で地方の医療崩壊
 
文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
2018.02.08 Business Journal

 日本の地域医療の崩壊が加速する。原因は、今春から始まる新専門医制度だ。従来、専門医の資格は、日本内科学会や日本外科学会、あるいはその下部組織である日本循環器学会や日本心臓血管外科学会などが独自に認定してきた。学会によって質にバラツキがあることが問題視され、中立の第三者機関が認定することが求められた。そのために立ち上がったのが、一般社団法人日本専門医機構(吉村博邦理事長)だ。

 専門医機構は、主要な19領域の診療科を対象に、専門医を認定することとなった。厚生労働省もこの組織を支援してきた。厚労省の目的は専門医のレベル向上に加え、都道府県や病院ごとの専門医育成の枠を制限することで、医師の地域偏在や診療科の偏在を是正することだった。今年の通常国会に提出する医療法改正案では、専門医機構と連携し、都道府県等の調整に関する権限を明確化し、診療領域ごとに地域の人口、症例数に応じた地域ごとの枠を設定する方針だ。

 昨年12月15日、専門医機構は新専門医制度の1次募集の結果を公開した。新制度には7791人の医師が応募した。初期研修を終える医師の約9割となる。基礎研究や厚労省など行政職に進む一部の医師を除き、今春3年目を迎える若手医師のほとんどが、新専門医制度のカリキュラムに応募したことになる。

 この結果を仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が分析した。専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。

 遠藤医師らは、今回の応募者と、厚労省が発表している「平成26年都道府県別医籍登録後3―5年目の医師数」を比較した。この調査では、比較対象を何にするかが難しい。従来の学会は任意参加であり、日本内科学会の会員数が正確な内科医の数を示しているわけではない。私もそうだが、日本内科学会に所属しない内科医が大勢いる。ところが、新専門医制度が始まり、内科医を志す若手医師は、日本内科学会への加入が実質的に強制されることとなった。このため、過去数年間の日本内科学会の新規登録会員数と、今春の応募者を比較することは妥当ではない。
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https://www.m3.com/news/iryoishin/583347
自見氏、吉田氏、岡本氏の鼎談
医師議員「医療提供体制の見直し、待ったなし」◆Vol.3

スペシャル企画 2018年2月9日 (金)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――2025年にむけて、医療提供体制の在り方について、議論も進んでいます。
吉田統彦氏(眼科)
 ソフト・ハードともに見直すべきです。国立、公立、公的病院の役割についても、これからどういう役割を担っていくべきか。私はそもそも民間でできるものは民間ですべきだと考えております。公的病院は政策医療に特化して、赤字になるのはしょうがない、結核医療がその典型です。そういった部分のハードの見直しも必要だと思います。


岡本充功氏(内科)
 人口が減る中で、どこでどういうサービスを展開できるかを、国民の皆さんと冷静に議論しないといけない。どこでも全てがありますというのは、残念ながらできないということを説明していくのも政治家の仕事だと思います。国民の皆さんにどういうサービスが提供できるか、医療だけでなくインフラ整備も含めて、冷静に我が国の在り方を考えていく必要があると思います。

自見はなこ氏(小児科)
 全く同感です。私たちは医師なので、例えば末期癌の方に「今後10年、20年元気に生きられます」とムンテラをしないのと同じように、この国の形がずいぶん、そして急速に変わっていく中で、本当の話をしなくてはいけない時期に入っています。明らかな人口減少の中で、どういう社会を、特に地方で作るかを公的医療機関の在り方もフラットに俎上に載せて、地域医療構想の中で話していく必要があります。

 ただ、なかなか議論としてかみ合っていないところが現実的にあります。福岡県などは過去に県立病院を民間移譲している一方で、岩手県のように沿岸は今も全て県立病院という地域もあります。地域の実情もあり、全国一律にはできないですが、国の財政状況もあり、待ったなしでもあり、そろそろみんなで素直な話をすべきだと思います。

――地域医療構想の作成に当たっては、調整会議という仕組みもありますが、どういう仕組みがあれば率直な議論ができるのでしょうか。
自見
 私は地方議員の先生と勉強会をすべきだと思います。市立病院、県立病院は市議、県議の先生が非常に強いステークホルダーですので、そういった先生と率直に話し合うべきです。

吉田
 公的病院に過度な負担がかかりすぎているので、もうちょっと上手く機能するための国立、公立、公的で分けた機能分化をしつつ、できるだけ私立病院を生かした方が日本の医療にとっては良いのではないでしょうか。効率的な医療運営と地域の産業、雇用を担うという意味では民間病院が優れているのはどこを見ても明らかです。様々な民間病院が地域の医療を守りながら、雇用、産業となっています。税金も納めています。

 私の選挙区は名古屋ですが、似たような規模の病院が多く、公的病院が3つ並んでしまっているのは変えていかなくてはならないでしょう。市立病院、県立病院は抜本的な話し合いが必要です。公的病院は税金が免除されており、公立病院は、税金が補填という形で入っています。

岡本
 私も「国立病院改革をしてくれ」とずっと言っていて、国立病院の職員の皆さんには大変つらい思いをさせたかもしれないし、裁判にもなり、正直言っていろいろ思うところもありますが、現に今の国立病院の経営実態は大幅に改善しました。

 公立病院もやり方を考えていけば、経営状態はだいぶ変わると思います。もちろん、今更どうにもならない建設費などコストもありますが、調達費用などを工夫をすることで一定程度の財務状況の改善ができるはずです。それをどう広げていくかは、まさに自見先生がおっしゃるように地元議会、病院、役所が話し合う中で、答えを見つけていくしかないでしょう。

――どのような議論が求められるのでしょうか。
岡本
 議論しなくてはいけないポイントとして、看取りを誰がするかという点でしょう。これから先も医師のみなのか、医師以外にも認めていくべきかという議論も必要だと思います。受診間隔を延ばして開業医の先生方に在宅の看取りに関与してもらうという仕組みを作ることもあるでしょう。このままでは、病院以外から医師の数が足りないという声があがるような気がします。

 特定看護師の時にも議論がありましたが、医師でなければならないことは何なのか。いったん決着していますが、もう一度振り返って、特定看護師が在宅、診療所でなにができるかを考えていく必要があります。医師会の立場は違うかもしれませんが。

吉田
 
 AI(人工知能)の話も盛んにされるようになりましたが、カナダは広い国土の割には人口も少なく、医療提供体制もそれほど整っていない国ですが、患者さん自らがCTAS(Canadian Triage and Acuity Scale; 緊急度判定支援システム)に入力していくと緊急度の判定をしてくれます。日本版のJTASができています。そういったものを使いながら、今のような状態から変わっていくのでしょうね。

自見
 人口減少・偏在は切実な問題です。能登半島に行った時に聞いた話ですが、地域枠ができて8年が経ち、3人の医師が来てくれたが、地元の住人が少なくなってしまって3人も医師がいらなくなってしまったと。これが日本の現状だと思います。そういった現実を見据えながら、日本の医療提供体制を守っていく必要があります。また医療資源を効率的に活用していくために医療ICTをこのタイミングで積極的に発展させていく必要があります。

 今日は先生方と率直に意見交換ができてとても良かったです。医師として日本の医療を守り、発展させるため一緒に協力していけたらと思います。ありがとうございました。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201802/CK2018021002000132.html
【千葉】
東千葉MC、全面開業は8年遅れ2025年度 東金市議会中期案可決
 
2018年2月10日 東京新聞

 東金市丘山台の地域中核病院「東千葉メディカルセンター(MC)」の全面開業が、当初計画から八年遅れとなる二〇二五年度にずれ込む見通しとなった。少子化で入院患者数の減少が見込まれ、小児科病棟の開業時期を見直すなどしたため。九日の東金市議会臨時会は、東千葉MCの一八~二一年度の中期計画案を可決した。

 東千葉MCは、東金市と九十九里町が設立した地方独立行政法人「東金九十九里地域医療センター」が運営する。一七年十二月現在で二十診療科、二百四十三床。今月十四日には九十九里町議会臨時会で同案が提案される。

 東千葉MCは一四年四月に一部開業。当初は一七年四月に全面開業する予定だったが、必要な看護師を確保できず、全面開業を二一年度に延期していた。

 東金市によると、今回の計画案では、少子化に伴う入院患者減で、小児科病棟の二一年度中の開棟が困難となったことや、開業できていない泌尿器科・眼科・耳鼻咽喉科の三科について「地域の医療需要や医師確保、収益性などを考慮しながら、慎重に検討する」ことなどを盛り込んだ。

 東千葉MCの一七年度の累積赤字は約五十七億三千四百万円に上る見込み。県は建設費を含めて約八十五億六千万円を財政的支援している。 (黒籔香織)



https://www.m3.com/news/iryoishin/585308
3次募集は2月16日から、5都府県は全領域で“締め切り”
2019年度は9月1日から専攻医登録を予定
 
レポート 2018年2月9日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は2月9日の理事会後の記者会見で、2018年度から開始予定の新専門医制度の専攻医の3次登録を2月16日から実施すると説明した。登録期間は3月5日まで。3月14日まで採用選考を行い、3月15日に採用通知をする。ただし、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の全19の基本領域での募集は行わない。

 2019年度開始予定の新専門医制度についてのスケジュール案も公表。4月末までに研修プログラムの申請・変更等を受け付け、各基本領域学会による1次審査、都道府県協議会における協議、日本専門医機構による2次審査を経て、9月1日から専攻医の登録を開始する予定だ。

 新専門医制度をめぐっては、地域医療に影響を来さないことが求められる。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏は、1月の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」で、5都府県のシーリングなどに用いたデータを公表すると回答していた(『「5都府県シーリングのデータ公表」、松原・専門医機構副理事長』を参照)。

 9日の記者会見でも、松原副理事長は、「2次募集の採用結果がフィックスした時点で、公表する」と説明。2次募集の採用結果通知は、2月15日に予定している。2019年度の新専門医制度について、大きな制度変更等が必要と考えているか否かとの質問に、松原副理事長は、「恐らく今あるデータで見れば、このまま変更なく行けると思う」と回答。今後、東京都の基幹病院から関東他県などの連携病院に、どの程度専攻医を派遣するかなどについて、各基本学会に調査を依頼する予定であり、「そのデータを見て将来どうすべきかについては議論を続ける」(松原氏)。

 サブスペシャルティについては、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が素案を出し、それをたたき台として検討していく方針。なお、病気療養中だった吉村氏は9日の理事会から復帰した。



http://www.minpo.jp/news/detail/2018021049058
style="font-size:x-large;">「ふたば医療センター病院」4月23日診療開始 富岡 
( 2018/02/10 08:53 )福島民報

 富岡町に新設される県立「ふたば医療センター付属病院」は4月23日に診療を始める。9日、福島市で開かれた避難地域の医療提供体制検討会で県が示した。東京電力福島第一原発事故で失われた双葉郡の二次救急医療機能を回復させるとともに、近隣の診療所などと連携して地域医療を支える。
 新病院は富岡町本岡字王塚地区に整備される。救急科と内科を設け(1)救急搬送(2)地域の医療機関の診療時間外(夜間・休日)の来院(3)他の医療機関で入院が必要と判断された-の各ケースに対応する。高度医療の必要な重篤者は福島医大付属病院などに搬送する。
 常勤の院長に就く田勢長一郎氏(福島医大付属病院ふたば救急総合総合医療支援センター副センター長)のほか、福島医大付属病院の医師19人が非常勤で勤務する。平日の日中は4~5人、休日の日中は3~4人、平日、休日とも夜間は2人体制とする。病床数は30床。より高度な医療機能を備えた病院への患者の搬送、医師の移送に使える多目的医療用ヘリコプターを導入する。
 通院治療の段階まで回復した患者を郡内の医療機関に紹介するほか、訪問診療や訪問看護をサポートする。原発事故後、増加傾向にある糖尿病患者の教育入院プログラムの実施なども検討している。
 双葉郡では東日本大震災前、4つの病院が入院・手術の必要な二次救急医療を担っていたが、原発事故の影響で全て休止している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/585173
全自病邉見氏「病院に厳しく、診療所に手厚く」
2018年度改定、働き方緊急対策には反論多数
 
レポート 2018年2月9日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は2月8日に定例記者会見を開き、2018年度診療報酬改定の答申について、邉見公雄会長は「点数を見たら、病院はますますしんどくなると思う。全体的に、病院に厳しく、診療所に手厚い感が否めない」と危機感を示した(『2018年度診療報酬改定、加藤厚労相に答申』)。

2018年度診療報酬改定!徹底解説
 邉見氏は、かかりつけ医に関する項目の算定要件については、診療所の医師1人で満たせるが、7対1入院基本料は1人でできず、チームでするものだと指摘。「7対1入院基本料で減る分が、かかりつけ医・歯科医・薬局に行っている。地域包括ケアシステムの推進が基本方針の一番にあるからだろうが、病院にはあまりにもしんどい」と話した。

 評価できる項目としては、「メリハリの『ハリ』の部分は、オンライン診療。患者が大勢に抱えられて診療に来なくても良くなるのはいいと思う」と述べた。医師事務作業補助体制加算についても、「医師が一番楽になる項目だ。点数はもう少しほしいが、良かった」と評価。算定要件が厳しくなったが、既に加算を取っている病院は満たせるとの見方を示し、「次の改定でまた付けてくれるのではないか」と期待も示した。

 全自病副会長の中島豊爾氏は、認知症治療病棟入院料で患者の入院期間が31日を超えても加算が付くよう変更があったことについて、「普通はもっと早く退院しないといけない。31日を超えても何点と付くのはおかしい」と疑問を呈した。

「働き方緊急対策」の説明に反論多数
 2月8日には常務理事会を開催し、厚生労働省の担当者から医師の働き方改革の緊急対策と中間整理について説明があり、出席者からは「気の毒になるくらい」(邉見氏)の反論があったという(『働き方改革の緊急対策、労働時間管理など5項目は「当然」』を参照)。邉見氏は、医師の地域偏在、診療科偏在の問題を先に解決しなければ、「傷口に塩を塗るような改革になってしまう」と強調。他の出席者からも、「やれることはやるが、根本的なことを解決しなければ、救急や地域医療が崩壊する」などの意見が上がったという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/584801
横倉日医会長、2018年度改定「60点より少し上に」
三師会が合同会見、「限られた財源でより良い配分に」
 
レポート 2018年2月7日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は2月7日、日本歯科医師会、日本薬剤師会との合同記者会見で、同日答申された2018年度診療報酬改定について、「前回改定に引き続き、少ない改定財源でもそれなりの評価ができたと認識している」との見解を示した。診療報酬本体の改定率0.550は「60点」との評価だったが、その60点の財源で、「中医協委員の先生方、中川(俊男)副会長を中心に、より良い配分をしてくれたと理解している。60点より少し上に行ったと思う」と一定の評価をした。

 日歯会長の堀憲郎氏も、「改定率の時点では60点という評価だった。限られた財源の中では、70-75点ぐらいまでできたのではないか」、日薬会長の山本信夫氏の代理で出席した副会長の森昌平氏も、「調剤報酬の改定率は65点と評価したが、0.190という改定率の中では、自分たちが目指す方向性を改めて示すことができたのではないか」とそれぞれ述べた(『2018年度診療報酬改定、加藤厚労相に答申』、『横倉・日医会長、「改定率は60点、希望は0.76-0.78%だった」』を参照)。

 横倉会長は、具体的な改定のポイントとして、(1)外来医療の機能分化とかかりつけ医機能の評価、(2)医療従事者の負担軽減と働き方改革の推進、(3)医療と介護の同時改定、(4)薬価制度の抜本改革、(5)医療技術の適正評価、(6)入院評価体制の見直し――の6つを挙げた。

 入院評価体制の見直しでは、7対1入院基本料をはじめ、一般病棟の入院料が再編・統合されたことが特徴。横倉会長は、「高度急性期、急性期、回復期、慢性期と4つのカテゴリの中に、徐々に在るべき姿に収斂していくだろう。これを後押しするのが、今改定」とした。ただし、「病棟運営を考えた時に、本来は7対1くらいの看護職員の配置が必要。7対1(入院基本料)を一つのターゲットとして減らそうという今回の方向性はいかがなものかとは思っている」とも述べた(『「7対1」点数据え置き、重症度割合は新定義で300』を参照)。

 外来関係では、初診料に「機能強化加算」(80点)が新設されるなど、かかりつけ医機能を評価する方針が明確に打ち出されたことが特徴(『かかりつけ医機能「機能強化加算」80点、初診3割アップ』を参照)。「今改定が日医が進める、かかりつけ医機能の充実という方向性に合致しているか」との質問には、「かかりつけ医機能の評価については、(地域包括診療料・加算が)4年前の前々回改定で新設され、前回改定で要件が緩和された。今改定では、かかりつけの先生方が困難に思われている、24時間対応の問題、複数医師の要件が見直され、かかりつけ医機能が発揮しやすくなっていると思っている」とし、加算の新設を含め、「日医が考えるかかりつけ医機能の方向に合致していると考えている」と横倉会長は回答した。

 「今改定は、開業医に対するどんなメッセージだと受け止めているのか」との質問には、横倉氏は次のように答えた。「地域に密着した医療をしっかりやってほしいというメッセージだと思っている。今後人口構成が変わり、高齢者が増えてくる。今まで通院できた患者が通院できなくなってくる。しかし、それだけの入院医療を提供できないのも事実であり、在宅医療も含めて、『地域でしっかりささえる』という方向性が今改定で打ち出されたと受け止めている」。改定で対応が不足した点については、「専門的な技術の評価をもう少しすべきだったのではないかと考えている」と回答。

 日歯の堀会長は、歯科報酬について、「口腔の機能の維持、向上に資する歯科医療」と「国際的に見て低く抑えられている、我が国の歯科医療への対応」という二つを重点課題として議論してきたと説明。前者については、かかりつけ歯科医機能について一定の整理がなされたとし、今後も引き続き具体的な方向性の検討が必要だとした。後者については、「一定の引き上げがあった」としつつも、「今後も段階的な対応を求めていく」と表明。その他、医科歯科の連携推進に向け、患者の診療情報を共有する「診療情報連携共有料」の新設などを評価した。

 日薬の森副会長は、0.190という調剤報酬の改定財源の中で、「既存点数の合理化、適正化を図りつつ、評価すべき部分に配分できた」とした。「医薬分業が本来在るべき姿から乖離している」との指摘や、門前薬局への締め付けなど、「非常に厳しい状況の中で、議論が進められた」と振り返りつつ、「対物業務」から「対人業務」への構造的な変換、薬剤服用歴管理指導料やかかりつけ薬剤師指導料の評価、地域医療に貢献する薬局の評価、ポリファーマーシーへの取り組みの評価などを挙げ、「地域包括ケアシステムにおける薬局薬剤師への期待と受け止めている。薬局薬剤師として取り組むべき方向がさらに明確になったと認識している」と述べた。

 地域医療構想に「寄り添う」改定

 横倉会長は、2018年度改定全般について、「超高齢社会に対応する上で最重要課題である地域包括ケアの推進に向けて、地域における医療資源を有効に活用しながら、継続して改革を進めるためにも、適切な財源配分を行うことが必要。今改定では、前回改定に引き続き、少ない改定財源でもそれなりの評価ができたと認識している」と評価。

 さらに「改定とは本来、その時代を反映して、在るべき姿に是正していくもの。しかし、折しも2018年度は、地域医療構想が実行に移され、2025年の医療提供体制の構築に踏み出していく時期であり、それに寄り添う形で今回の報酬改定が行われた」とした。

 「(昨年の)12月12日に、堀会長、山本会長とともに、自民党本部を訪問し、二階(俊博)幹事長と岸田(文雄)政調会長、吉田(博美)参議院幹事長に対して、医療従事者への手当等のために、前回本体改定率0.490を上回るプラス改定をすることを要望した。三師会会長がそろって自民党に要望したのは、歴史上初めて」というエピソードも披露。

 その上で、「今改定の影響を適正なタイミングで検証しつつ、2025年に向けた新しい医療提供体制に寄り添った改革をしていくべき」とした。

 さらに今後について、「骨太方針2018に続いて、いろいろな議論が予想される」と見通した。「社会保障費が過度に抑制されることがないようにしなければいけない。さらに2019年10月には100への消費増税が予想されるため、今年末に策定される2019年度税制改正大綱が重要な意味を持つ。医療等にかかる消費税問題の抜本的な改革に向けて、医療界としての方向性を打ち出した上で、しっかりと対応していく」との決意を示した。

 オンライン診療、「対面診療が原則」

 2018年度改定の各論では、入院料に用いる重症度、医療・看護必要度が、2016年度改定に続いて見直された点について、「現場の混乱を考えると、(見直しは)いかがなものかと主張してきた」とし、次のようにコメント。「今回2つの項目が評価対象に上乗せになり、該当患者割合も上げることになった。評価のための研修をしっかりやっていかなければいけないものの、看護師、医師がベッドサイドで本来業務に集中できるような仕組みを作ってもらいたい。(重症度、医療・看護必要度の)評価のために、相当長い時間が取られるのは、いかがなものか。その意味でも頻回の見直しはすべきではない。ある一定の評価基準を設けたら、しばらくの間、それを使うことが必要」。

 新設された「オンライン診療料」については、離島などでのニーズはあることは認めつつ、「対面診療が基本という大原則は崩してはいけない」と釘を刺した(『オンライン診療料70点、医学管理料100点』を参照)。患者の安全をいかに担保するかが重要であり、それに則った形にする必要性を強調した。



http://www.medwatch.jp/?p=18739
有床診療所の減少続く、2018年度同時改定で歯止めがかかるのか―医療施設動態調査(2017年11月) 
2018年2月6日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 昨年(2017年)10月末から11月末にかけて、病院の一般病床数が309床増加した一方で、療養病床は320床減少した。また有床診療所は、前月から25施設・306床減少し、7236施設・9万8537床となった―。

 このような状況が、厚生労働省が2月5日に公表した医療施設動態調査(2017年11月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 有床診、前月から25施設減少し、2017年11月末は7236施設に
2 有床診療所のベッド数、前月から306床減少し、2017年11月末には9万8537床に
3 介護サービスを提供する有床診療所、高い報酬の要件緩和や加算の新設で経営を下支え

有床診、前月から25施設減少し、2017年11月末は7236施設に

 厚生労働省は、毎月末における全国の病院・診療所数の増減を「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。

 昨年(2017年)11月末の状況を見ると、全国の医療施設は計17万9314施設で、前月末から13施設増加。うち、病院の施設数は、前月末よりも3施設減少して8411施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7354施設(前月比2施設減)▼精神科病院:1057施設(同1施設減)—という状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3790施設で、前月末から3施設減少し、「地域医療支援病院」は557施設で、同じく1施設増加しました。

 一方、医科診療所は10万1981施設(前月比12施設増)で、うち有床診療所は7236施設となり、前月末から25施設減少しています。

 有床診療所は、2年前(2015年11月末)には7905施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には7575施設(厚労省のサイトはこちら)あったので、2015年11月末から16年11月末までの1年間で330施設、さらに昨年(2017年)11月末までの1年間で339施設減少しています。有床診療所の施設数は、2016年11月末以降、次のように推移しています。

▼2016年11月末:7575施設
 ↓(25施設減)
▼2016年12月末:7550施設
 ↓(27施設減)
▼2017年1月末:7523施設
 ↓(38施設減)
▼2017年2月末:7485施設
 ↓(21施設減)
▼2017年3月末:7464施設
 ↓(38施設減)
▼2017年4月末:7426施設
 ↓(29施設減)
▼2017年5月末:7397施設
 ↓(17施設減)
▼2017年6月末:7380施設
 ↓(17施設減)
▼2017年7月末:7363施設
 ↓(21施設減)
▼2017年8月末:7342施設
 ↓(25施設減)
▼2017年9月末:7317施設
 ↓(56施設減)
▼2017年10月末:7261施設
 ↓(25施設減)
▼2017年11月末:7236施設

 この1年間は、1か月当たり28施設強のペースで減少が続いています。後述するように、2018年度診療報酬改定によってこの流れが止まるのか、今後の調査結果に注目する必要がります。

有床診療所のベッド数、前月から306床減少し、2017年11月末には9万8537床に

 次に、医療施設の病床数を見てみましょう。医療施設全体では昨年(2017年)11月末で165万4758床あり、前月末と比べて780床減少。このうち病院の病床数は155万6157床で、前月末から474床減少しました。病床種類別に見ると、▼一般病床:89万1609床(前月比309床増)▼療養病床:32万5859床(同320床減)▼精神病床:33万1664床(同380床減)—などという状況です。

 一方、有床診療所の病床数は前月末から306床減少し、9万8537床となりました。2年前(2015年11月末)には10万6890床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2016年11月末)には10万2737床(厚労省のサイトはこちら)であったことから、2016年11月末までの1年間で4153床、昨年(2017年)11月末までの1年間で4200床減少しています。2016年11月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2016年11月末:10万2737床
 ↓(287床減)
▼2016年12月末:10万2450床
 ↓(305床減)
▼2017年1月末:10万2145床
 ↓(448床減)
▼2017年2月末:10万1697床
 ↓(335床減)
▼2017年3月末:10万1362床
 ↓(489床減)
▼2017年4月末:10万873床
 ↓(407床減)
▼2017年5月末:10万466床
 ↓(226床減)
▼2017年6月末:10万240床
 ↓(221床減)
▼2017年7月末:10万19床
 ↓(282床減)
▼2017年8月末:9万9737床
 ↓(206床減)
▼2017年9月末:9万9531床
 ↓(688床減)
▼2017年10月末:9万8843床
 ↓(306床減)
▼2017年11月末:9万8537床

 この1年間、1か月当たり350床のペースで減少が続いています。

介護サービスを提供する有床診療所、高い報酬の要件緩和や加算の新設で経営を下支え

 ところで、有床診療所の減少が続く要因の1つは、厳しい経営環境だと指摘されます。有床診療所の中でも、とくに「在宅医療の拠点」「在宅・介護施設への受け渡し」「終末期医療提供」などの機能を果たす施設は、地域包括ケアシステムの重要な構成要素となります。そこでは、厚労省は2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定において、有床診療所の「地域包括ケアモデル」(医療・介護併用モデル)での運用を支援する考えです。

診療報酬では、▼介護サービスを提供する有床診療所では、報酬の高い入院基本料1-3までの要件を緩和する▼介護サービスを提供する有床診療所で、要介護者の入院受け入れを、新たに【介護連携加算】として評価する▼在宅復帰機能の高い有床診療所を評価する【有床診療所在宅復帰機能強化加算】について、平均在院日数要件を緩和する—といった見直しが行われます(関連記事はこちら)。

また介護報酬では、▼食堂を持たない有床診療所でも、短期入所療養介護事業所の指定を受けられるよう要件を緩和する▼利用者専用病床を1床確保すれば、看護小規模多機能型居宅介護の「宿泊室」の設備基準を満たしていると見なす―などの見直しが行われます(関連記事はこちら)。

こうした見直しが有床診療所経営にどのように影響するのか、さらに有床診療所数の減少に歯止めがかかるのか、今後の動向に注目する必要があります。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26534270V00C18A2CN8000/
中部
愛知県がんセンター愛知病院、岡崎市に移管へ
 
2018/2/5 21:15 日本経済新聞

 愛知県は5日、赤字経営が続く県がんセンター愛知病院(岡崎市)を2019年4月をめどに岡崎市に移管する方針を発表した。同市が運営する岡崎市民病院と統合し、診療科の統廃合などで効率化を図る考えだ。

 大村秀章知事は同日の定例記者会見で「より充実した地域医療につなげるため、一体的に運営することが効果的だ。(統合の方針について)17年度内の合意を目指していく」と話した。

 県がんセンター愛知病院は1954年開院で病床数は276床。県東部の三河地域のがん治療の拠点病院として、高度で専門的な医療を提供してきた。ただ、人件費がかさむなどして、16年度は4億3千万の赤字を計上していた。



https://www.asahi.com/articles/ASL256X1ZL25UCLV00Z.html
「入院より在宅」促進 診療報酬改定、遠隔診療も拡大
水戸部六美
2018年2月10日23時44分 朝日新聞

 医療機関で治療を受けたり、薬を出してもらったりする時の4月からの値段が7日、決まった。医療ニーズが急増する「2025年問題」を乗り切るため、患者がなるべく入院せずに住み慣れた自宅や施設で治療を受けられる体制づくりを一層加速させる内容だ。遠隔診療の対象も広がる。

 中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)がこの日、医療サービスの公定価格となる診療報酬の個別の改定内容を決め、答申した。診療報酬は2年に1度見直す。政府は昨年末、全体で1・190引き下げると決定。治療代などの「本体」は0・550引き上げ、薬代の「薬価」などは1・740引き下げるとした。中医協はこの範囲に収まるよう値段を決めた。原則1~3割の患者の自己負担額も変わる。

 今回の改定は、団塊の世代がすべて75歳以上になる25年を強く意識したものになった。今の年約42兆3千億円から健康保険組合連合会の推計で約57兆8千億円に膨らむとされる国民医療費をいかに抑えるかが課題だ。患者の急増で入院中心では受け皿が足りなくなる恐れもある。

 在宅の患者を支えるための柱は、24時間診療に応じられる新たな仕組みだ。地域の複数の診療所などが連携し、24時間連絡がついて往診できる体制を築いたら報酬を患者1人当たり月2160円加算する。

 スマートフォンやパソコンを通じて診察する遠隔診療は、保険対象を拡大する。対面診療と適切に組み合わせ、診察や日常生活の指導などをした場合の報酬を新設する。糖尿病といった生活習慣病患者の利用などを想定し、訪問診療や外来の代わりとしても使ってもらう狙いだ。1回当たりの治療代は安くなり、生活習慣病なら対面の2割ほどになる。

 国民医療費の4割ほどを占める入院費の新たな抑制策も打ち出した。急性期向けで患者7人に対して看護職員1人と最も配置が手厚く、報酬が高い「7対1病床」は高齢化による慢性疾患患者の増加でニーズが下がっているが、なかなか減らない。次に手厚い病床との入院基本料の差額が大きいためで、二つの基準を残しつつ基本料を7段階に細分化し、診療実績も加味して支払う基本料を決める。

 多死社会の本格化を前に、いまは8割が医療機関で亡くなっている「みとり」に備える見直しもした。6年に1度の同時報酬改定となった介護とも連携。患者の住み慣れた特別養護老人ホーム(特養)で外部の医師がみとった場合、医師側も特養側も報酬を受け取れるようになる。(水戸部六美)
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https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180206/mca1802060500004-n1.htm
公立病院の62%が赤字 16年度、6年連続で拡大 
2018.2.6 05:00 SankeiBiz

 全国873公立病院の2016年度決算を集計すると、61.7%に当たる539病院の経常収支が赤字だったことが5日までに、総務省の調査で分かった。前年度より3.3ポイント増え、6年連続で拡大。病院が受け取る診療報酬のマイナス改定や、医薬品などの価格上昇が影響した。

 公立病院は、民間では採算が取れない離島や山間部の地域医療を担っているケースが多く、自治体が特別会計を設けて運営している。総務省の有識者研究会は昨年末の報告書で、民間のノウハウを持つ外部人材の登用や経営の見直しを提言。これに沿って同省は自治体に改善を促す方針だ。

 赤字病院の割合は、医師不足が深刻化した06年度に74.3%となり、国は07年に病院の統合・再編を含む効率化を要請。10年度の赤字割合は46.1%まで減ったが、その後は地方の人口流出などで経営が再び悪化した。全病院の収支を合算すると16年度は831億円の赤字となり、15年度の542億円から1.5倍に拡大した。

 小規模な病院ほど、自治体の一般会計からの繰入金に依存する割合が高く、経営の維持が難しくなっている。

 病院の数と病床数(計21万23床)は、統合が進んだり、患者数の減少から病院として扱われない診療所に移行したりした結果、いずれも06年度(975病院、23万3874床)から減少傾向が続いている。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/179096
医師常勤の診療所を 伊万里市が要望書 病院移転 
2/8 7:55 佐賀新聞

 伊万里市山代町の伊万里松浦病院が長崎県松浦市へ移転する問題で、伊万里市は7日、病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)に対し、常勤医師を配置した診療所機能の存続などを求めた。

 塚部芳和市長と前田久年市議会議長らが北九州市にある機構の九州事務所を訪れ、要望書を手渡した。

 要望の内容は「市の財政負担が伴わないサテライト診療所の設置」「健診車による市民および市内企業への健診継続」「施設取り壊し後の跡地の管理」の3点。診療所については、常勤医師の配置や移転前と同様の診療時間の確保なども求めている。

 塚部市長は「移転により市民が健康の維持に不安を抱えることがないよう、ぜひ実現してほしい」と述べた。移転後のことを巡っては、機構側が市に要望書を出すよう求めていた。今後両者で協議していく。



https://www.m3.com/news/iryoishin/584690
「外来で入院生活・退院後の経過を説明」、点数新設
地域包括ケア推進に向け各種情報連携も評価

レポート 2018年2月7日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2018年度診療報酬改定の「重要課題」となった「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」では、住み慣れた地域で継続して生活できるよう、入院予定の患者に対し、外来で入院に関する説明をした場合の「入院時支援加算」200点(退院時1回)を新設するほか、入院早期から退院後までの切れ目のない支援を評価している実態に合わせて「退院支援加算」を「入退院支援加算」に名称を変更するなど、さまざまな改定を行う(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 在宅復帰率についても定義等を見直し、急性期一般入院料1、7対1特定機能病院入院基本料等については「在宅復帰・病床機能連携率」に名称を変更、その他の入院料に係る指標は「在宅復帰率」とする。4月から新設される「介護医療院」は「自宅等」の扱いとする。

 医科と歯科の連携を推進する観点から、かかりつけ医とかかりつけ歯科医が連携した場合の「診療情報連携共有料」120 点を新設。医師と看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も、「退院時共同指導料」の算定を可能にするなど、退院後の診療等の療養に必要な情報提供も評価する。

◆入院時支援加算 200点(退院時1回)(新設)
【算定対象】
(1) 自宅等(他の保険医療機関から転院する患者以外)から入院する予定入院患者であること。
(2) 入退院支援加算を算定する患者であること。

【施設基準】
(1) 入退院支援加算の届出を行っている保険医療機関であること。
(2) 入退院支援加算1 、2または3の施設基準で求める人員に加え、入院前支援を行う担当者を病床規模に応じた必要数、入退院支援部門に配置すること。
(3) 地域連携を行うにつき十分な体制が整備されていること。

【留意事項】
 入院の予定が決まった患者に対し、入院中の治療や入院生活に係る計画に備え、入院前に以下の内容を含む支援を行い、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有すること。
① 身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握
② 褥瘡に関する危険因子の評価
③ 栄養状態の評価
④ 持参薬の確認
⑤ 入院中に行われる治療・検査の説明
⑥ 入院生活の説明
⑦ 退院困難な要因の有無の評価




https://www.m3.com/news/general/585364?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180210&dcf_doctor=true&mc.l=274929382
日医大6.6億円申告漏れ、国税指摘 謝礼計上せず 
2018年2月10日 (土)配信朝日新聞

 学校法人・日本医科大学(東京都文京区)が、2017年3月期までの7年間で計約6億6千万円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことがわかった。このうち約2千万円は、付属病院の医師の派遣先からの謝礼などを計上していなかったとして所得隠しと認定されたという。同大は「ほとんどは解釈の違いによるものだが、指摘に従い修正申告した」としている。

 関係者によると、申告漏れの大半は学校法人などの非課税制度をめぐるもの。公益目的事業に関係するとして申告した管理費の一部を、課税対象の収益事業に関係すると認定された。

 さらに、同大は各地の医療機関からの求めで付属病院の医師を派遣しているが、派遣先が支払った謝礼や紹介料などの一部を、学校法人の口座ではなく、派遣された医師が所属する医局の口座で受け取っていた。民間企業からの委託研究費などの一部もこうした口座に入っていたという。

 国税局は、これらの入金は収益事業で法人所得として申告すべきだったと認定した模様だ。



https://www.m3.com/news/general/584751
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島大病院が医師派遣拡充 18年度常勤7人増32人県西部に重点
2018年2月11日 (日)配信山陰中央新報

 島根県内の医師不足の解消に向け、島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)が2018年度、地域病院への医師派遣を拡充する。4月に常勤医として、前年同期より7人多い32人を新たに派遣。医師不足が深刻な県西部に重点を置く。今後も派遣要請に積極的に応え、地域医療を支える。

 同病院によると、22の地域病院から新規派遣と、開業などによる離任に伴う補充、派遣医師の交代を合わせて、110人を4月に派遣するよう要請があった。院内の専門委員会(委員長・井川幹夫院長)で対応を検討し、新規派遣15人、補充6人、交代11人と決めた。

 新規派遣の圏域別の内訳は、浜田7人▽大田2人▽松江3人▽雲南と出雲、隠岐が各1人―とし、県西部に半数以上の9人を充てる。補充は出雲が3人、松江と雲南、大田は各1人。要請に対する充足率は29%となり、114人の要請に対して25人を派遣した前年同期を7ポイント上回る。

 県内では、新人医師が自由に研修先を選べる新臨床研修医制度の導入により04年度以降、医師の県外流出と高齢化が進んだ。

 県によると、17年10月現在で1138人の常勤医がいたが、必要な医師数に対する充足率は77・0%にとどまった。浜田は71・1%、大田71・0%、益田73・7%と、特に県西部が低い。このため溝口善兵衛知事は同年11月、島根大の服部泰直学長に常勤医の派遣充実を求めた。

 島大病院の常勤医数は増加傾向にあり、同年10月現在で320人。18年4月には新たに専攻医(後期研修医)が37人入る予定。中堅医師の育成を強化する狙いもあり、派遣の拡充を決めた。



https://www.m3.com/news/general/585266
福井大病院オペ延期 医療物資届かず 緊急以外で 
2018年2月9日 (金)配信福井新聞

 大雪の影響で医療物資が届かず、県内の一部の医療機関では手術や受診に支障が出ている。

 福井大医学部附属病院(永平寺町)は、輸血用血液や滅菌した使い捨てのシーツなど予定していた医療物資が届かない上、出勤できない医師や看護師がいることから8、9の両日、緊急を要するもの以外の手術を延期した。外来についても、一部の診療科で予約患者に対し可能な限り延期を要請した。

 同病院は「医療物資が補充できないので不足する可能性がある。手術を予定していた(緊急以外の)患者に連絡し延期をお願いした」と説明。「治療を待っている患者がいるので、一刻も早く物資を届けてほしい」としている。

 国立病院機構あわら病院(あわら市)も予約患者に延期を要請、坂井市立三国病院は一部診療科を急きょ休診した。

 在宅医療が専門のオレンジホームケアクリニック(福井市)は、患者の体調を電話などで確認した上で、6~8日に予定していた定期的な訪問約70件を見合わせた。9日の再開も難しい状況で、担当者は「外出や通院が困難な患者を支えるのが在宅医療の本来の役割なのに、非常に歯がゆい。道路状況が改善しなければ定期訪問がおぼつかない」と話した。

 県済生会病院(福井市)と公立丹南病院(鯖江市)は、金沢方面からの一部の医薬品配送が遅れたものの大きな混乱はなかった。



https://www.m3.com/news/general/585213
子ども死亡率、米が最悪 先進20カ国中 
2018年2月9日 (金)配信共同通信社

 【ワシントン共同】欧米や日本など20の先進国で2001~10年の子どもの死亡率を比較し、米国が群を抜いて高かったとする研究報告を、米ジョンズ・ホプキンズ病院(メリーランド州)などのチームが8日までに米医学専門誌に発表した。

 米国の子どもの死亡率は1960年代から他国よりも高い水準を記録し続けている。銃乱射事件や交通事故、早期新生児死亡などが原因で、チームは「政府による対応が必要だ」と警告している。

 20カ国で01~10年、20歳未満の死亡率を比較すると、米国は1歳未満の乳児では平均より75%高く、1~19歳では57%高かった。乳児に関しては平均より50%以上高かった国は米国だけで、日本は25%以上低かった。

 15~19歳の死因では、最も割合が高かったのは交通事故と銃による襲撃。他の19カ国との比較で、米国の若者は交通事故で2倍、銃で82倍も多く死亡したとの結果が出た。



  1. 2018/02/11(日) 10:08:53|
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2月4日 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26477860S8A200C1ACYZ00/
沖縄北部、医師不足深刻に 名護市の医療拠点、整備急務 
九州・沖縄 社会
2018/2/2 21:30日本経済新聞 電子版

 沖縄県名護市が位置する県北部では医師不足が深刻だ。拠点病院で一部の診療科が休診になったり、急患を遠方まで搬送せざるを得なかったりと、利用者は不便を強いられている。名護市長選でも新たな基幹病院の整備などが取り沙汰されるが、先行きは不透明だ。有権者からは「命の問題。政治に振り回されることなく対策を進めて」との声が出ている。

 「すぐに代わりの医師を見つけるのは難しい。診療再開のメドは立たない」。名護市にある沖縄県立北部病院の担当者は頭を抱える。医師の退職に伴い、今月から眼科を休診せざるを得なくなったためだ。

 県北部医療の中核の一つの同病院だが、若手医師の流出などが続き医師不足にあえぐ。昨年8月には夜間の緊急外科の患者を受け入れる日を限定するなどした。急な出産となった妊婦への対応も体制が整わないままだ。

 急患でもわざわざ遠方の県中部の病院に搬送される患者も少なくない。県によると、人口約10万人の北部医療圏から中南部の病院に流出する患者数は2割を超える。

 こうした現状は医療現場の疲弊にもつながっている。細胞の働きが低下する難病と糖尿病を併発し、県立北部病院に長年通う山入端保さん(56)は「人手不足で現場が苦しんでいると医師から悩みを打ち明けられることが増えた」と話す。

 山入端さんは自身の闘病体験を生かし、難病患者やその家族を支援するボランティア活動をしている。医療関係の知り合いも多いが、過酷な勤務を見るにつけ、持病の発作が起きても救急車を呼ぶのをためらうほどだという。「医師には患者の悩みに寄り添うゆとりも必要なはずだが、今の体制では不可能。このままでは医師も患者も不幸になるばかりだ」と警鐘を鳴らす。

 名護市には県立北部病院のほかに、北部地区医師会病院もある。限られた人材が分散し、地域全体として効率的な医療体制が取れないという問題が指摘されており、約4年前から有識者や医師らから両病院の統合を求める声が出ている。

 翁長雄志知事は昨年12月、両病院を統合して新たな基幹病院を整備する方針を表明。もっとも「(統合には)病院職員の身分の取り扱いなど課題が多い。これまで政治に振り回されてきた側面もあり、本当にこれで統合が進むかは不透明だ」(医師会幹部)と、先行きは見通せていない。

 名護市長選では現職の稲嶺進氏(72)と新人の渡具知武豊氏(56)がともに基幹病院設置を訴え、主張に大きな違いはない。ただ米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡る翁長知事と政府の対立を映し、稲嶺氏が「知事との協調」、渡具知氏が「国からの支援」を打ち出す構図が目立つ。

 1月下旬、8歳の娘が体調を崩し入院するため県立北部病院を訪れた母親(39)は「病院整備は命に関わること。(政治の事情で)どこと協力するか選ぶのではなく、患者のため団結して解決して」と訴えた。



http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180201000067
産科・小児科医不足課題に 長岡京市が「地域医療ビジョン」印刷用画面を開く 
【 2018年02月01日 11時13分 】京都新聞

 京都府長岡京市は、10年後の地域医療の在り方を示した「地域医療ビジョン」の中間案をまとめ、13日からパブリックコメント(意見公募)を予定している。市内の現状について、周産期や救急の医療を担う産科医や小児科医の不足を課題に挙げ、誘致に向けた対策や病院間連携の必要性を強調。中核病院の済生会京都府病院(同市今里)に求める役割を明記した。

 中間案では、正常分娩(ぶんべん)や軽度異常分娩を扱う市内の診療所が1985年の7カ所から2カ所に減少しており、産科医療機関の不足を課題の一つとした。市内の出産年齢は上昇傾向でハイリスクの出産が増加する一方、重症新生児を受け入れるNICUは4床にとどまり、不足を指摘した。

 また、外来で帰宅可能な軽度患者の一次救急医療に関し、乙訓休日応急診療所(同市今里)で内科医と小児科医の確保が困難になっていると言及。小児外科の一次救急を担う外科医の在宅当番医制では、専門的な判断が求められる場合などで受け入れ困難なケースが出ているとした。対策として重度患者の救急を担う病院との連携強化などを掲げた。

 同ビジョンは、府が京都市と乙訓2市1町を一体の医療圏域と設定する中、長岡京市独自の将来像を示し、医療の充実につなげるため策定する。乙訓医師会や地元医療機関の代表でつくる懇談会の意見交換を踏まえ、市が中間案をまとめた。

 パブコメの開始に合わせて市ホームページで中間案を掲載する。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201802/CK2018020102000168.html
【茨城】 筑波大と自治医大、医師派遣 筑西の新病院 合同で臨床教育センター 
2018年2月1日 東京新聞

 筑西市で十月に開院予定の「県西部メディカルセンター」で、筑波大と自治医科大(栃木県下野市)が、合同で医師を派遣し、臨床教育センターを設置することが三十一日、決まった。複数大学による合同の教育センターは珍しいといい、医師不足の解決などが期待される。

 両大学によると、教育センターには、両大学から最大で計八人の医師が派遣される予定。派遣医は教育センターの教員として研修医を指導するほか、診療にもあたる。

 筑西市によると、複数大学による教育センター設置は、県内では初めて。二つの大学の特色を生かした教育や研修を展開できるほか、医師の安定的な確保などのメリットがあるという。

 西部メディカルに再編されることになっている筑西市民病院内に四月に設置され、活動をスタートする。

 この日、市役所で開かれた協定締結式で、筑波大の永田恭介学長は「地域医療に寄与できると確信している」とあいさつ。自治医大の永井良三学長は「医療教育は、地域での実践が重視されるようになっている。教育センターは、そうした場として極めて重要」と語った。

 県西は医師不足が深刻で、筑西市と桜川市は九年前から、県と協力して中核病院の整備を進めてきた。西部メディカルは、重症患者を受け入れる施設として十月に開院する予定となっている。 (越田普之)



https://www.m3.com/news/iryoishin/583822
神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題(2月3日追記)
土屋機構理事長「副知事2人から辞職迫られた」
 
2018年2月2日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 神奈川県立がんセンター(大川伸一病院長)で放射線科医が一斉退職した問題で、神奈川県が1月24日に公表した調査報告書に対して、センターを運営する神奈川県立病院機構理事長の土屋了介氏は2月2日、記者会見を開き、事実と異なる記載があり、結論ありきの調査だったとして「反論」を提出したことを明らかにした。反論書では「偏波的、拙速に作成された『監査結果報告書』をなぞる程度で調査報告書が作成された」と強く非難している。

 また、土屋氏は神奈川県副知事2人に辞表を出すよう求められたが、県知事に面会すると任期まで継続するよう指示されたなど、県内部での混乱があると指摘、「知事に正確な情報が上がっているのか、大変危惧される」と述べた。機構独自に新たに一連の問題を調査する委員会を設置することも表明。土屋氏が理事長任期満了となる2018年3月末までに調査を終える方針を示した。

 会見後に大川病院長を更迭したことも明らかにした(『大川がんセンター病院長を更迭、神奈川県立病院機構』を参照)。

県の調査「結論ありき」

 神奈川県は放射線治療医の一斉退職問題が表面化した2017年12月に、「神奈川県立病院機構の医療の提供体制に関する調査委員会」(委員長:県保健福祉局長)を設置。2018年1月24日に黒岩祐治知事が調査委員会の報告書を公表した(『医師退職の原因「不本意な研修やパワハラ対応の不備」』を参照)。1月29日には神奈川県議会に首藤健治副知事が出席し、事情を説明している(『「退職医師はわがままでは」、県議会で指摘』を参照)。

 土屋氏は会見を開いた理由を、1月29日の県議会に出席し事情を説明する予定だったが、直前に出席しないよう言われたと説明。「両者の意見を付け合わせていただいて、法令に基づいた判断をしてほしいのが心からの願い」だったが、議会の場でそれが叶わなかったため、2月2日の会見直前に県保健福祉局長に反論書を提出したと述べた。

 土屋氏は副知事2人から、今回の問題で責任があると追求され、辞表を求められた経緯も明らかにした。調査委員会の委員長が県保健福祉局長であり、「上司(副知事)が結論を持っているのに、その部下から逆らう結果は出てこない。結論ありきだった。第三者が入るべきだった」と指摘した。反論書は県の見解を求めるものではないが、「県の主張を否定しているので、このままでも県も困ると思う。ご回答をいただけるだろう」との見方を示した。機構顧問弁護士の井上清成氏も、調査委員会の報告書について「見込みを付けて予断と偏見に充ち満ちている。そこら辺が出ていたので、(真相究明の)大きな側面が欠落している」と指摘している。

 会見での主張を盛り込んだ反論の概要は以下の通り。

神奈川県病院機構の反論

■調査の経緯
・地方独立行政法人に対する県の調査は、法律違反、または違反するおそれのある行為に対してでなければならないが、監査結果報告書では具体的記載がなく不十分である。
・監査に際し、監事は退職する医師からのみ聴取し、理事長、病院長、監査コンプライアンス室長には質問書のみで聞き取りを行っていない。監査は偏波的、拙速だったことは明らか。
・監査結果を基に調査委員会が設置され、機構は監事が聴取しようとしなかった真実が明らかになると期待したが、結果は監査結果報告書をなぞる程度だった。

■医師退職の理由について
・退職した医師が重粒子線治療の経験年数を2年間とした記載した問題では、退職医師は放射線医学研究所での客員研究員の実績も参入できると主張しているが、年に数回会議に出席する程度で、「療養実績」とはできない。厚生局、厚生労働省に確認した上で、「7カ月」に修正して、書類を提出している。
・この点は調査委員会にも再三指摘したが、両論併記を採った。法令違反に両論などなく、県が違反を追認する認定を行ったものである。

■パワハラの認定
・調査報告書では「病院機構の監査・コンプライアンス室が医師間のパワハラ事案を認定している」と記載しているが、事実に反する。
・病院長からの報告を受けた理事長の指示によって監査コンプライアンス室長がヒアリングを行い、「ハラスメントに認定しうる得る」と考えたが、被害医師からパワハラを訴える意志がないことを確認した。そのため「ハラスメント」の要件を満たさないと判断し、理事長に報告した。理事長は口頭で、加害医師に対して注意をした。
・認定権限のない監事や委員会による独自の認定は越権行為である。

■調査報告書に記載されていない重要な事項について
・放射線治療医不足を招いた原因としては、県議会でも大学との連携不足が指摘されたが、その点は機構も指摘していたが報告書には反映されていない。2009年度に県立がんセンター内に横浜市大大学院を設置する提案がされていたが、県病院局自身が横浜市大との連携を拒絶していた。

副知事2人が土屋氏に辞職を要求

 土屋氏は2017年12月6日に筆頭副知事の中島正信氏と医師でもある首藤健治副知事が機構を訪れ、「今まで大変世話になったが、今回の問題の責任は土屋氏にあるので辞めてほしい」と言われたと説明。12月7日には国立がん研究センターで同僚だった上昌広氏(医療ガバナンス研究所主宰)から電話があり、「首藤副知事が尋ねてきた。何が悪いことをしたのか?」と問い合わせがあったという。

 12月9日に首藤氏と2人で会った際には「知事に辞表を持って行けば良いのか」と尋ねると、首藤氏は頷いたという。12月11日の黒岩知事との面会では、土屋氏は辞表を用意していたが、黒岩知事は事態に対処すべく任期満了までは続けてほしい旨を語ったという。土屋氏が副知事から辞表を求められたと説明すると驚いた様子だったという。土屋氏は「知事に正確な情報があがっているのか、大変危惧される」と述べた。

 黒岩知事に対しては、「良好な関係を続けていきたい。知事から不愉快な思いを受けたことはない」と強調。特に、常勤医師を派遣してもらえることになった徳洲会湘南藤沢徳洲会病院については、当初は非常勤の予定だったとし、「フルタイムのご支援をいただけるのは知事のおかげと感謝している」と述べた。一方で、県全体に対して、「法令に準拠しているのか、副知事以下の動きに疑いがある」と批判した。

パワハラ事案は「20分間の叱責」

 個人情報に当たるとして県が詳細を明らかにしていなかった「パワハラ事案」についても説明した。放射線治療部内でのカンファレンスの時間変更をめぐって、加害側の医師が「きつい言葉で20分間叱責した」ことが当たるという。

 被害を受けた側の医師が直接、監査・コンプライアンス室に被害を訴えることはなかったが、病院長を通じて土屋氏の耳に入り、理事長の職権として調査が始まった。清水岩雄同室長は当事者を含む9人にヒアリングを行い、「ハラスメントに認定しうる」と判断したが、被害者から「訴えたり相談する意思がない」ことを確認したため、「ハラスメント」と認定しなかった。監査・コンプライアンス室の報告を受けた土屋氏は、加害医師に対して注意、指導を行った。

 県の調査委員会報告書では、機構がパワハラを認定し、その対応が機構内規に違反していることや一連の対応に対する医師の不信感が退職につながったと指摘している。機構の反論書では「機構本部は十分な対応を行っているのであるから、医師らの退職の間に関連はない」と反論している。  また、パワハラをめぐっては、病院機構監査監事による監査結果報告書でパワハラを認定しているという。清水氏は監事にはパワハラを認定する権限がないとした上で「被害者のみに聞いて認定している。どうして被害者のヒアリングだけで認定できるのか」と疑問視した。

一斉退職の原因、「親元がやめて不安に」

 医師が一斉に退職した原因について、土屋氏は「2017年8月に辞めた部長が取り仕切っていた。親元が辞めて、不安で辞めていったと解釈している」と説明した。年度途中で医師が辞めたことについては「医師免許を持った者が年度途中に辞めるのは想像だにできなかった。年度途中に辞めることに対して医師のモラルを教育していくことになる」。機構の責任については「個々の人事の問題なので、病院長のところで止まると考えている」とした。

 2017年8月に辞めた元部長の医師については、「(重粒子線治療でエビデンスを作っていくという機構の方針について)十分な理解がなく、周りの医師を巻き込んで臨床試験に協力しないと発言した」と説明。県の調査報告書では「反省も含めて1年間の研修を命じた」と記載されたことについては、「懲罰的な意味は全くない。法令遵守については反省してほしいと指導したが、派遣自体は無関係」と説明。研修期間中はがんセンターを離れるから「病院長付の部長」にした対応について、「それを懲罰的に感じたかもしれないが、そういう意図はない」と述べた。

放射線科医確保、横浜市大との連携不可欠

 放射線科医の確保をめぐっては、土屋氏も「10人以上の医師が必要で、がんセンター単独では不可能であることはこの10年で明らか」として、横浜市立大学との連携が不可欠との考えを示した。2009年度に横浜市と横浜市立大学から、がんセンター内に大学院設置を提案する要望書が出されていたが、当時の放射線科治療部長は県に「横浜市大からの派遣に気を遣って譲歩する必要はない」との報告をし、県病院局長も知事に対し「市大には派遣余力がない」と報告していたという。土屋氏は「大変失礼な態度だった。県民の期待を裏切る元凶だった」と指摘した。

 4月以降の医師確保に関連して、部長職の公募に対して応募があり、1月に面接の予定もあったが、がんセンターや県から「当該医師はパワハラの風評がある」として面接をやめるように言われたという。土屋氏が確認を取ったところ確かに風評はあったが、事実は確認されなかったという。

 県の調査報告書ではコミュニケーション不足が指摘している点では、「十分とっていたつもりだったが、指摘自体は同感で、もっとコミュニケーションの時間を作りたい。ただ、どのコミュニケーションが足りなかったかの指摘がない。具体的に何かが報告書から分からない」と述べた。



http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20180203-OYO1T50009.html
奈良2病院に是正勧告…労基署、残業超過などで 
2018年02月03日 読売新聞

 奈良県西和医療センター(奈良県三郷町)が、労使協定(36協定)の上限を超えて医師を働かせ、時間外手当の一部が未払いだったとして、昨年8月に奈良労働基準監督署から是正勧告を受けたことがわかった。

 同センターによると、医師との間に特段の事情がある場合、最長月80時間の残業を可能とする協定を締結していたが、同労基署が医師の労働時間を調査したところ、上限を超えて働いたり、超過時間分の時間外手当の一部が未払いだったりした。同センターは、すでに未払い分として38人に計約3000万円を支払っており、「医師不足で長時間勤務になりがちだが、再発防止に努めたい」としている。

 このほか、奈良県立医科大病院(同県橿原市)が、時間外手当の一部が未払いの医師が複数いるとして、昨年9月に葛城労働基準監督署から是正勧告を受けたことも判明した。未払いの賃金は今後、支払うという。同病院は「勧告を真摯しんしに受け止め、改善したい」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583128
3人の医師国会議員が語る日本の医療の課題と未来◆Vol.1
自見氏、吉田氏、岡本氏の鼎談
 
スペシャル企画 2018年1月31日 (水)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 医療政策における主戦場が政治の場に移りつつあるのは、多くの医療者が感じているところだろう。その中で、医師出身の国会議員には、現場の思い、実態を政策に反映させるために、ますます期待が高まる。m3.com編集部ではこのほど、自由民主党の自見はなこ氏、立憲民主党の吉田統彦氏、希望の党の岡本充功氏の3人に、医師養成の在り方や偏在対策、働き方改革について議論していただいた(2017年12月8日に鼎談。全3回の連載)。

――まず、先生方のご経歴、特に医師としての修業時代についてお聞かせください。

自見はなこ氏(小児科)

 2004年に東海大医学部を卒業しました。初期臨床研修必修化の第1期生で、そのまま大学に残りました。大学に残ったのは、東海大医学部付属病院は創立当時からスーパーローテート制だったこともあり、教育風土が出来上がっていたことと、救急が一次から三次救急まで充実していたこと、そして、実習で慣れ親しんだ先生方のすでに知っている人間関係の中で研修したいと思ったからでした。市中病院に行った同期と比べても全く遜色なく、むしろすごく良かったと思っています。外科を半年回ったのも今となれば、大変有益でした。

 その後、池上総合病院で内科の後期研修をしました。その理由は単純で、医師としてもう少し成長して一人前になりたかった、感覚として、専門に入る前に、一人で内科のICUを管理できるようになりたかったからです。東海大学の関連病院で黒川清先生が理事長でしたが、とにかく野戦病院。初めての後期研修医で、私以外が皆10年目以上のベテランだったので、ここだったら可愛がってもらえるだろうと考え(笑)、飛び込んでみました。ほとんどの期間は、循環器内科を回りました。

 認定内科医を取得した後は、東大の小児科に入局しました。小児科に行くことは、初期研修の終わりの時に決めました。東海大に残る選択肢もあったのですが、都内には東海大の関連病院で小児科がありませんでした。父が政治家で家族の生活の拠点が東京でした。都内で勤務せざるを得ないと思って、都内の大学の小児科に入ろうと思って、黒川先生に相談しところ、東大小児科を紹介してもらい入局しました。

岡本充功氏(内科)

 1996年に名古屋大学を卒業して、愛知県内の安城更生病院で初期研修をしました。名大は当時からスーパーローテート制で、大学に残る人はほとんどいませんでした。その後は名大血液・腫瘍内科(当時は第一内科)に入局して、引き続き安城更生病院で働きました。2000年まで働き、2000年4月に大学院に入り、一宮市立市民病院に移りました。大学院生になってしばらくは市中病院で働いていました。2004年ごろに博士号、専門医を取得しました。

 専門は初期研修の中で決断しました。父親を早くに癌で亡くしたので、腫瘍の治療を研究したいと思い、外科、婦人科を含めて考える中で、研究して治療に結びつけるのでは、血液・腫瘍内科が最もフロントランナーとして走っている気がしたので、選びました。

吉田統彦氏(眼科)

 私も岡本先生と同じ名古屋大学を1999年に卒業し、名古屋第二赤十字病院で初期研修を行いました。ものすごく忙しい病院でした。医師の働き方について議論になっていますが、当時は月に7回か8回当直し、しかも当時は救急車の受け入れ数は日本で10本の指に入っていましたから、全く寝られず。そのまま翌日も21時ぐらいまで仕事をしていましたから、過酷でした。

 初期研修が終わった後は名大病院、大学院に入って、分子生物学的な研究をしました。専門を決めたのは初期研修の最後のころ。候補になったのは眼科と外科、血液内科で、最後まで悩みました。患者さんが自分の介在によって良くなることが明らかな科がいいなと思い、眼科を選びました。現実はどの科もそうじゃないんですけど(笑)。

 2005年に博士号を取り、その後すぐ眼科専門医も取りました。医局人事で、江南市の厚生連昭和病院(現・江南厚生病院)、東京医療センター(旧・国立東京第二病院)で勤務しました。その後は、渡米して、ジョンズホプキンズ大学ウィルマー・アイ・インスティテュートで研究と臨床をしました。

 過酷な研修医の生活は今の年齢でやると命に関わると思いますが(笑)、でも日本の医療の中ではオーソドックスな、恵まれているとも言える教育を受けてきたのだと思います。

――2017年度は医師養成の在り方を巡って議論が盛んでした。初期臨床研修でも外科や産科を復活することが決まりました。

岡本
 名大は昔からスーパーローテートで、その後のいろんな疾患の理解をする上でも重要だったと思います。今の研修を見直すにしても、ストレート研修でない方法があった方が良いと主張してきました。

自見
 初期研修の初年度の人間ですが、東海大は地方(神奈川県伊勢原市)にある大学病院で、病院を設立する際の地元との約束事で、一次からの救急を受けることが決まっていました。3つのチームがあり、8名程度の医師のチームで24時間当番になりますが、三次救急から一次救急まで診るので、症例数も幅広く、また土地柄、重症例も多かったです。今も同じかはわかりませんが、東海大学は大学病院の中では、紹介率が少ない分、一般病院で診るような症例もありつつ、大学病院での専門性を要する疾患の症例もあり、ファーストコールは全て研修医と決まっていましたので、体育会系ではありましたが、指導医の下で研修は充実していました。救急の3カ月、外科の半年は臨床まみれで楽しかったです。今回の初期研修の見直しに当たって、外科必修化にこだわったのは自分の経験から、一般臨床能力を高めるには外科は重要だと感じたということもあります。

吉田
 スーパーローテートは絶対良いと思います。ただ、今行われている初期研修より、名古屋大式の方がより普遍的な知識を得ることができるので良かったと感じています。

自見
 今の医師養成課程は無駄が多いことも問題です。2004年に医師になった人間として、1年半前に国会へ送っていただき、もう臨床研修制度が必修化されて10年以上は優に経つのに、これまで厚労省、文科省が定期的に医師の養成について両省で合同会議を開いていなかったことには、正直なところ憤りを覚えました。医師のキャリアデザインに一貫性を持たせて欲しいと働きかけ、ようやく2017年2月に医学部教育のモデルコアカリキュラムと、初期研修の整合性を取る形で、共通のゴールセットが定まりました。

 医学生が実施できる医行為を定めている、通称“前川レポート”も、四半世紀ぶりに見直すことになりました(『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。CBTテスト、国家試験の整合性も取るべきで、国試のために6年時に実習から離れて、予備校の提供する座学ばかりに時間を費やすような現状は、改めるべきです。医学部生5-6年生の臨床実習と初期研修2年間の計4年間で、一般診療能力が高い医師を養成しますよと宣言するくらいの改革が必要です。

吉田
 自見先生のお考えを実現するには、国家試験の改革が必要ですね。今は基礎から臨床まで全部が対象ですが、それをやめて2年修了時に、米国のように基礎をクオリファイした学生だけが次に進んで、3年からは臨床の知識、クリニカルスキルに関するテストを課していく方がより効率的な人材育成ができると思います。

自見
 イギリス系の国では、医学部は全て国立ですが、国家試験がなくて、医学部卒業したことで、医師資格を与えています。役所からかなり抵抗があると思いますが、そういった形も検討し、大学でもっと落ち着いて学べる、臨床にも集中できる環境作りも真剣に議論した方がいいと思います。CBTとの整合性の中で国家試験撤廃になるのか、OSCEを国家試験化していくのか、別枠の議論としてあると思いますが、いずれにしても、もう少し落ち着いて、安心して、医学部生には臨床実習をしてほしいです。

――医師不足という声に対応するため、地域枠の拡大や医学部新設がされました。

吉田
 国会でも質問しましたが、もし医師を増やすなら、自治医大のような大学であるべきでした。自治医大の定員を増やした方が良かったです。

 人材育成で言うと、アメリカのようなメディカルスクール型、四大を卒業したあとに文系理系にかかわらず、4年で卒業できる医学部を作る方が有益だったと思います。米国では法曹から医師になる人がかなりいます。医師と弁護士のダブルライセンスを持っている人も結構いて、ジョンズホプキンズ時代はそういった学生を指導していました。メディカルスクールを作ることで、幅広い人材ができるはずです。数の議論では言えば、今以上に増やす必要はないでしょう。

岡本
 そういう議論もありましたね。昔を振り返ってもしょうがないですが。民主党時代に「第2自治医大」という話もありました。地域枠出身の医師がだいぶ増えてきましたが、そこで育った医師がその後どう成長するかを検証すべきと今も言っています。数の問題ではないです。

吉田
 おっしゃる通り、数の問題ではなく、地域と科の偏在が原因です。需給バランスはどんどん悪くなっていますよね。今の制度、医師養成の仕組みのままでは、医療過疎地域を守ることができません。本来すべきは医学部定員の増加や新設医大ではなかった。少なくとももっと仕組みを整えてからやるべきだったと思います。人口が減る一方で、AI診療などが導入されようとする中で、無計画に新設医大を作ったことは、今の与党は非常に責任が重いと思います。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15175707588985
茨城県内自治体 産科医確保へ独自策
開業支援や奨学金 効果は未知数 「広域性が必要」
 
2018年2月3日(土) 茨城新聞

深刻化する産婦人科医不足の解消に向け、茨城県内の自治体による独自の取り組みが出始めている。水戸市は、2018年度に産婦人科と小児科の新たな医療施設開設を支援していく方針を打ち出した。坂東市は既に開業支援や奨学金を導入した。医師の高齢化などが課題となる中で、各自治体は産婦人科の機能を維持しようと対策を模索している。(水戸支社・前島智仁)

■県内は217人

「体力的に、夜間の当直勤務が難しくなってきている」。昨年12月、石岡市の冨田産婦人科医院は分娩(ぶんべん)の受け付けを休止した。1986年以降、同医院で分娩を担ってきた冨田雅弘院長(70)は「出産年齢が高くなっていることもあり、他の診療に比べてリスクの高い分娩を高齢の医師が続けることは困難。(開業医が)1人でお産を担う時代ではなくなっている」と、休止の理由を話した。

同医院による分娩受け付けの休止で、石岡市内で開業・勤務する産婦人科医はいなくなった。市保健福祉部の担当者は「出産、子育ては人口増加を考える上でも、市の大きな課題。医師会など関係機関と協議し、医師の確保を進めていきたい」と危機感を抱く。

厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査(2016年12月末現在)によると、県内で開業・勤務する産婦人科医は217人。市町村別では、常陸太田、那珂、鉾田など計20市町村で産婦人科医の人数がゼロとなっている。

■平均年齢63歳

水戸市は18年度、産婦人科と小児科を対象に、診療所など新たな医療機関の開業資金を支援する計画を打ち出す。市内で一定期間開業することが条件で、1施設程度の開業を想定する。市の3カ年実施計画(18〜20年度)の中で、単年度事業として盛り込んだ。

このほか、産婦人科や小児科、救急科の医師として就業を目指す医学生に、修学資金支援も行う計画。開業支援と同様、研修後は市内で勤務することを条件に返済を免除する。年に2人程度を支援する見込みだ。

市内で診療を行っている産婦人科は、17年8月現在で公的病院を含め11施設に上る。ただ、過去20年間、新規開業はなく、「この3年間で4施設が閉院、または診療を休止している」(市保健センター)。

同センターによると、市内で開業医として勤務する産婦人科医の平均年齢は63・7歳。市議会文教福祉委の意見交換会で、市医師会の原毅会長は「あと10年持たない病院も多い」と指摘するなど、新たな産婦人科医の確保は喫緊の課題となっている。

■申請ゼロ

産科・産婦人科の開業医の不在が29年間続く坂東市は14年度、県内に先駆けて医療機関の開業支援を導入し、開業資金のほか、医学生向けの奨学金貸し付け制度を設けた。

これまでに開業資金に関する申請はなく、新規の開業には至っていない。市健康づくり推進課は「申し込みの受け付けは継続しているが、最近は問い合わせもほとんどない」とする。

県医療人材課によると、これまでに神栖や常陸大宮など4市でも奨学金制度を実施していた例があるものの、開業支援は坂東市が初めてという。

開業支援を立ち上げる水戸市保健センターの小林かおり所長は「医療体制充実は広域的に行う必要があり、市独自による医師確保策の効果は未知数。それでも、新たな開業を待っているだけでは医師確保は進まない」と話した。
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(G3註:オリジナルよりレイアウト変更)



https://mainichi.jp/articles/20180202/ddl/k32/040/494000c
医師数
県内、過去最多 充足率77% 奨学金制度、効果表れ 診療科別に偏在も /島根
 
毎日新聞2018年2月2日 地方版 島根

 県は、昨年10月現在で県内の病院や公立診療所などに勤務する医師の実態調査の結果をまとめた。医師の充足率は前年比1・5ポイント増の77%だった。06年の調査開始以降、医師数は過去最多になったが、医療の高度化によって業務量が増え、必要数も過去最多となった。一方、診療科別では眼科53・9%、リハビリテーション科58・7%、救急60・1%となるなど、診療科によっては医師が偏在し、慢性的な不足状態が続いている。【長宗拓弥】

 県医療政策課によると、県内51病院、40診療所から回答を得た。必要数は今年4月1日に必要な人数を尋ねた。非常勤医師は勤務状況に応じて小数点で示した。

 教育機関の島根大医学部付属病院を除いた医師数は969・7人(前年比29・5人増)。ただ、必要数は1260人(同14・1人増)で291人の不足となった。

 診療科別では、16診療科で必要数を満たした診療科はなく、5診療科で充足率70%を下回っていた。一方、精神科(充足率90・1%)、麻酔科(同86・1%)、脳神経外科(同83・6%)は高い水準にあった。

 入院も含めた一般的な医療が域内で完結できるとされる2次医療圏別の充足率は、松江81・3%▽雲南70・1%▽出雲76・6%▽大田71・0%▽浜田71・1%▽益田73・7%▽隠岐92・4%。益田以外の地域では前年から回復した。充足率を診療科別でみると、大田・耳鼻咽喉(いんこう)科10%▽益田・耳鼻咽喉科14・3%▽松江・救急17・5%など不足が顕著な地域があった。

 県は医師の確保を目指し、06年に医師確保対策室を創設。医学生向けの奨学金制度を設け、島根大を中心に32人の推薦枠があり、医学生に6年間で748万~1069万円貸与している。

 奨学金は卒業後12年間に県内の医療機関で初期臨床研修(2年)を受け、その期間も含めた9年間を県内で勤務すれば返還を免除する。地域の偏在を改善するため、4年間は松江、出雲両市以外の医療機関での勤務などを求めている。

 県医師確保対策室の児玉信広室長は「対策の効果が表れつつある。ただ、診療科別の偏在は医師の職業選択の自由もあり、コントロールできない。大学と課題を共有しながら改善に努めたい」と話す。

 一方、県は看護師についても同様の調査をまとめた。51施設が回答し、看護師数は6275人(前年比107人増)で必要数は6513人(同34人増)。充足率は前年比1・2ポイント増の96・4%だった。

 ◆2017年の県内医師の充足率
診療科   医師数  必要数 充足率
内科群   354  458  77
精神科    87   96  90
外科群   125  162  77
整形外科   76   99  76
脳神経外科  25   30  83
皮膚科    14   20  74
泌尿器科   26   38  68
産婦人科   44   58  75
眼科     14   26  53
耳鼻咽喉科  13   19  68
リハビリ科  21   35  58
放射線科   30   38  78
麻酔科    46   54  86
救急     13   21  60
その他    32   40  80
合計    969 1260  77
 県調べ。単位は人(充足率は%)。
 小数点以下切り捨て



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018012902000118.html
専門医研修 都市に集中 外科「10人未満」27県 
2018年1月29日 朝刊 東京新聞

 若手医師に分野ごとの高度な知識や技術を身に付けてもらうため、四月から新たに始まる専門医養成制度で、医師が希望する研修先が大都市に集中し、地域に大きな偏りがあることが二十八日、分かった。外科は東京での研修希望者が百七十人に上る一方、青森、高知など二十七県は十人未満、内科でも九県が十五人以下だった。指導医の数など、研修機関としての基準を満たす病院が地方に少ないことが背景にある。
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 新たな制度は大学の医学部教授や公的機関の代表で構成する一般社団法人「日本専門医機構」(二〇一四年設立)が運営。研修先登録結果は同日までに機構が公表した。

 若手医師は研修終了後も即戦力としてとどまることが多く、地域偏在が続けば地方ではさらに医師の確保が難しくなる。専門家は「研修先の基準見直しなど、早急な対策が必要だ」としている。

 制度の対象は医師国家試験に合格し、国が義務付けている二年間の初期臨床研修を終えた若手で、希望する診療科と、研修先の医療機関を選ぶ。

 診療科ごとに研修プログラムが決まっており、例えば外科では消化器官や心臓などさまざまな部位の手術を執刀医として百数十例経験する必要がある。研修終了後、試験と合否判定は各学会が行い、機構が専門医認定する。患者は病院を選ぶ際に、治療水準を判断する目安にできる。

 一八年度の登録結果によると、外科希望者が十人未満だったのは二十七県で、群馬、山梨、高知は一人しかいなかった。東京が百七十人と圧倒的に多く、大阪六十九人、愛知五十一人、神奈川三十八人が続いた。内科も同様の傾向だった。

 研修の中心となる基幹病院は、指導医の数や年間手術件数といった厳しい基準があり、大都市の大学病院や大病院が多い。結果を分析した仙台厚生病院の遠藤希之(まれゆき)・医学教育支援室長は「当初から地方の病院では専門医(の認定)取得が難しいという批判があった。早急に制度全体を見直さなければ手遅れになる」と指摘する。

 専門医はこれまで各学会が独自に認定していたが、基準がばらばらで「医師の質や統一性に問題がある」として新制度が導入された。

◆偏る原因、議論を

<日本病院会の相沢孝夫会長の話> 「医師不足」「地域偏在」が言われるようになって久しいが、いまだにどの地域にどれくらいの医療体制が必要なのか、正確に検討、把握されていないのが実態だ。今回の登録結果を受け「大都市に偏っているから定員を地方に振り分けよう」という短絡的な対応に終始するべきではない。なぜ偏っているのか、根本的原因をもう一度正面から議論し、必要な医師の数だけでなく、医師を育てる基盤をどう整えていくのか、総合的に考えていく必要がある。

<専門医> 日本では国家試験に合格して医師免許を取得すると、基本的な診療ができるように2年間の臨床研修が義務付けられている。その後は各地の病院などで本格的に働き始めるが、特定の診療科で高度な知識や治療技術を身に付けるため「専門医」の認定を目指す人が多い。これまでは各学会が独自に認定していたが、基準が異なり、領域も100以上に細分化していたため、2014年に第三者機関の「日本専門医機構」が発足。外科や内科など基本的な19診療科について学会の養成プログラムをチェックし、専門医を認定する制度が18年度に始まる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582923
「5都府県シーリングのデータ公表」、松原・専門医機構副理事長
新専門医制度に関するデータ開示求める声、相次ぐ
 
レポート 2018年1月29日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は、1月29日の第6回会議で、2018年度開始予定の新専門医制度の「専攻医の採用・登録状況」について議論、日本専門医機構理事長の吉村博邦氏の代理で出席した、同機構副理事長の松原謙二氏(日本医師会副会長)は、「東京に専攻医が集中しているように報道されているが、それは間違っている。内科の専攻医減少という報道も違う」と説明、その上で構成員から5都府県のシーリングに用いたデータ等の開示を求める声が上がったことから、「なるべく早く対応する」と回答した(資料は、厚労省のホームページ)。

 新専門医制度は、地域や診療科の医師偏在を増長させないことが求められ、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の14の基本領域(外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療を除く)では、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないというシーリングがかかる。しかし、シーリングに用いたデータをはじめ、新専門医制度の影響を検討するために必要なデータは、1月19日の日本専門医機構の記者会見でも、本検討会でも開示されなかった(記者会見は、『「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構』を参照)。

 遠藤座長は、新専門医制度は新たな制度であるため、「やりながら、さまざまな調整をしていけなければならない」とした上で、「透明性が重要という指摘があった。日本専門医機構には、この場で必要なデータについては開示してもらいたい」と要望した。

 シーリングのデータを求めた一人が、東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏。松原氏の説明に対し、「かなり定性的なスペキュレーション。今回の懸案は、都市部のシーリングの在り方。どんな制御が働いたのかを数字で明らかにしないと、この問題は収束しない」と強調。これに対し、松原氏は、「スペキュレーションなので、証明したいと思っている」とし、各学会に4月以降、精査を求めると回答。渋谷氏は「4月以降のフォローアップも必要」としたものの、1次募集時の採用人数を決める際、各基本領域は何人を過去の専攻医の採用実績としたのか、その根拠は何か、またどのようなシーリングがかかったのかなど、使用した実データの公表を求めた。

 奈良県の荒井正吾知事の代理で出席した、同県医療政策部長の林修一郎氏も、渋谷氏と同様に、「どのようにシーリングをかけたのか、次年度の設定の前にきちんと議論しなければいけない」と指摘。さらに医学部入学定員は、2009年度、2010年度に「地域枠」を中心に大幅に増え、臨床研修では大都市(5都府県)以外の採用割合が増加傾向にあるものの、厚労省が毎年実施する2年目の臨床研修医を対象としたアンケートと、新専門医制度の1次、2次登録者数を比較した結果、「後期研修では、大都市以外の採用割合が増加傾向にあったが、新専門医制度ではこうした傾向が見られない」と指摘した。「地域枠の医学生に、県は相当なお金を投じており、その成果がやっと出てくると期待した。過去数年と同じ傾向であれば、それでいいという結論ではなく、少なくとも臨床研修と同等に(地方の専攻医が)増えているかを議論しなければいけない」と提起した。

 松原氏は、「何も資料のないところから始め、今の形で何とかやっている」と理解を求めるとともに、「早くデータを出したいと思っている。なるべく早く対応したい」と回答。新専門医制度で、専攻医の地域別、診療科別の数が把握できるようになったとし、「今年、来年、再来年と積み上げ、これらのデータを基に議論していきたい」と強調した。

 林氏はさらに、都道府県協議会から、「地域医療従事者や女性医師への配慮に関して、各学会の研修カリキュラム制の具体的な仕組みを明らかにする」など、さまざまな意見が出ているものの、「日本専門医機構から、いまだ回答がなく、対応が明らかになっていない。回答はもらえるのか」と問題視。松原氏は「早く出すように言っているが、十分に対応できていない」とし、お詫びの言葉を述べ、今年3月末までに回答すると明言した。

 専攻医数、三師調査と比較できず

 新専門医制度をめぐる質疑応答に先立ち、まず松原氏は、12月の1次募集の採用結果と2次募集の状況を説明。1次募集では7791人が採用、その後、辞退者もいるという。2次募集登録者は、569人。「大都市部への専攻医集中を避けることが大命題だった」とし、専攻医の過去5年間の採用実績について、「各学会にお願いし、各学会から出された数値を日本専門医機構は採用した」と説明。

 その上で、2016年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(三師調査)による卒後3~5年目の医師数(地域別、診療科別)と、1次、2次募集の専攻医数と比較し、地域偏在の状況を口頭で解説した。これまでは2014年の三師調査データしか公表されていなかった(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。ブロック別に見ると、関東ブロック(1都6県のほか、山梨県、静岡県)は両者の比較で増えているが、「そう大きな差ではなかった」とした。同ブロックの専攻医増加率として「1.44%」という数字にも言及したが、その詳細は示されなかった。東京都は2次募集の登録者数は、内科16人を含む計60人。

 松原氏は、三師調査と新専門医制度の専攻医数を比較しても、地域偏在を議論できない理由として、(1)三師調査は、全ての医師が回答するわけではない、(2)専攻医数には、卒後4年目以降の医師も含まれる、(3)専攻医は基幹病院に登録、連携病院に派遣される仕組みのため、現在の勤務地を調査する三師調査と相違が生じる――などを挙げた。(3)の関連で、東京都には大学が多く、関東各県、さらには静岡県や山梨県にも医師を派遣している現状を説明。さらに内科専攻医については、1次登録採用者数と2次登録者数は計2659人で、認定内科医試験の受験者数から再受験者数などを差し引くと、ほぼこの数値に近くなるとし、「内科の専攻医が減少したという報道も違う」と述べた。いずれも1月19日の記者会見とほぼ同様の趣旨の説明だ。

 なお、総合診療の専攻医は、1次募集採用数の153人に加え、2次募集の登録が30人。そのまま採用が決まれば、計183人になる予定。

 研修プログラム制、「大学医局の復権か」

 29日の第6回検討会では、新専門医制度が採用する研修プログラム制も議論になった。福島県相馬市長の立谷秀清氏は、基幹病院から連携病院に専攻医が派遣される仕組みは、「基幹病院に人事権が発生する。大学医局の復権ではないか」と批判。派遣先として選択されない病院は医師不足に陥る上、「基幹病院で相当がっちりやらないと専門医を取得できない。取得できなければ医師としてやっていけないなどの恐怖心を医師たちに植え付けた」とし、研修カリキュラム制でも専門医取得をできるだけ可能にするなどの配慮が求められるとした。

 この点については、日本精神科病院協会常務理事の森隆夫氏も、「基幹施設が人事権をコントロールすることになっている」と問題視した。「大学医局への入局」と「研修プログラムの選択」は異なる問題であるとし、連携施設が専攻医を採用した場合には、連携施設での研修を担保できるようにすべきと指摘した。

 そのほか、議論は医師の地域、診療科偏在そのものの問題にも発展。地域医療機能推進機構理事長の尾身茂氏、聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、各地域の医療ニーズ、それを踏まえた必要医師数、専門医数を明確にする必要性を指摘、厚生労働科学研究で進めている研究結果が明らかになる時期を質した。厚労省医政局医事課は、「将来の医療ニーズをどう推計するか、テクニカルな難しさがあることも見えてきた。(医師偏在対策の)さまざまな制度改正を行う中で、その一環として検討していく」と述べるにとどまった。

 40都道府県が日本専門医機構に意見提出

 厚労省は専門医に関する都道府県協議会の活動実績も報告。2017年11月現在、47都道府県全てで設置済み。うち40都道府県で、日本専門医機構に意見等が提出された。「日本専門医機構から各都道府県協議会への情報提供の時期、内容等」「日本専門医機構の役割」「基幹施設、連携施設等の追加」「募集定員」「総合診療領域における一次審査等に関する」など多岐にわたる。しかし、奈良県の林氏によると、日本専門医機構からの回答はないという。

 さらに林氏は、「本来は、日本専門医機構、あるいは学会がチェックすべき研修プログラムの内容を、県が代わりに行った。都道府県協議会が本来の活動ができるように、検討してもらいたい」と求めた。



http://www.tonichi.net/news/index.php?id=65767
蒲郡市民病院 休床病床きょう再開
救急医療「今後もこだわった運営を」/地域の事情に応じた体制整備へ
 
2018/02/01 東日新聞

 蒲郡市民病院(平田町)は2月1日から、休床していた60床を再開させ、全382床での病院運営を行う。医師不足などにより、2008年から患者の受け入れ体制などを縮小。昨年度から経営状況や稼働率が回復しており、再開を決めた。担当職員は「今後も蒲郡の地域の事情に応じた体制を整備し、基幹病院の役割を果たしていきたい」と語る。

 病院は1997年に、同町に新築移転。計382床で運用を始めた。2008年に医師不足のため、診療制限や患者の受け入れ体制を縮小し、322床での運用を続けていた。

 市民病院の常勤医師の数は16年4月が40人、17年4月が44人で、今年4月にも増員が決まっている。常勤医師の増員などにより、17年4月~12月までの病床の稼働率は約78%。10月~12月の3カ月間は約82%と高い状況が続いている。

 今年4月からは、人間ドック事業を開始。検査で入院する患者の増加も見込まれることから、休床病床の再開を決めた。

 受け入れ体制の縮小を始めた当時は、60床ある4階の東病棟を閉鎖。13年以降は、各病棟へ休床する部屋を分散させていた。休床病床の再開により、患者のスムーズな受け入れが可能となり、各科医師の負担軽減の効果も期待される。
救急医療も維持して市民を支える
 近年に市消防本部の救急車は、年間に3000件前後の救急搬送を実施。そのうち、搬送先の90%以上が市民病院だった。

 病院は経営状態が悪化した際にも、採算が取りづらい救急医療を堅持。受け入れができない患者は、近隣市町の病院へ搬送されることになる。一刻を争う症状の市民を守るため、救急医療を担う機関としての使命感も高めている。担当職員は「民間の医師と連携しつつ、今後も救急医療にこだわった運営を続けたい」と話している。



http://www.saga-s.co.jp/articles/-/176278
公立病院の62%赤字
16年度、医薬品価格上昇
 
1/31 16:11 佐賀新聞

 赤字決算の公立病院の割合
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 全国873公立病院の2016年度決算を集計すると、61・7%に当たる539病院の経常収支が赤字だったことが30日、総務省の調査で分かった。前年度より3・3ポイント増え、6年連続で拡大。病院が受け取る診療報酬のマイナス改定や、医薬品などの価格上昇が影響した。

 公立病院は、民間では採算が取れない離島や山間部の地域医療を担っているケースが多く、自治体が特別会計を設けて運営している。総務省の有識者研究会は昨年末の報告書で、民間のノウハウを持つ外部人材の登用や経営の見直しを提言。これに沿って同省は自治体に改善を促す方針だ。

 赤字病院の割合は、医師不足が深刻化した06年度に74・3%となり、国は07年に病院の統合・再編を含む効率化を要請。10年度の赤字割合は46・1%まで減ったが、その後は地方の人口流出などで経営が再び悪化した。全病院の収支を合算すると16年度は831億円の赤字となり、15年度の542億円から1・5倍に拡大した。

 小規模な病院ほど、自治体の一般会計からの繰入金に依存する割合が高く、経営の維持が難しくなっている。



http://www.medwatch.jp/?p=18621
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会 
2018年1月30日|医療計画・地域医療構想MedWatch

 来年度(2018年度)から全面スタートする新専門医制度では、医師の地域偏在を助長しないように5都府県に専攻医採用の上限を設定したが、その数字や算出根拠となるデータを明らかにして、上限設定によって実際にどの程度偏在を抑えられたか検証する―。

 1月29日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(以下、検討会)で、松原謙二参考人(日本専門医機構副理事長、吉村博邦委員:日本専門医機構理事長の代理出席)が、このような考えを明らかにしました。公表されたデータを基に、新専門医制度が医師の地域偏在を本当に助長しないか、検討会などで確認することになります。

ここがポイント!
1 専攻医の偏在防ぐため、東京などでは採用者数「過去の実績の平均以下」に
2 上限値など確認し、今後の偏在対策に生かす
3 医学生が臨床実習中に「実施すべき医行為」を明確に

専攻医の偏在防ぐため、東京などでは採用者数「過去の実績の平均以下」に

 2018年度から新たな専門医制度が全面スタートします。専門医の養成・認定はこれまで各学会が独自に行ってきましたが、「質の担保」「国民への分かりやすさ」を目指し、学会と日本専門医機構が協働して、統一的な基準で養成・認定する仕組みへと変わります。

 ただし、「質を追求するあまり、専門医を養成する施設の基準が高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています

 偏在が生じる原因の一つとして、「医師の大都市集中」があげられます。これを新専門医制度が助長しないよう、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数を「過去5年間の後期研修医採用実績等の平均値以下に抑える」ことになっています(上限設定)。ただし、大都市においても不足が懸念される外科・産婦人科・病理・臨床検査の4領域では、この上限から除外されます。

上限値など確認し、今後の偏在対策に生かす

 日本専門医機構では、昨年(2017年)11月15日までの1次登録での採用状況(7791人分)を公表しています。その後18人が辞退したほか、今年(2018年)1月15日までの2次登録に応募した569人について、採用者の選考が進められています。2次登録の応募状況などはまだ公表されていませんが、1月29日の検討会で、松原参考人は「現時点では5都府県での上限が遵守され、都市部への専攻医集中が抑制されている」と説明しています(関連記事はこちら)。

1次登録での採用専攻医数(基幹施設の所在地・診療領域別)。7791人のうち18人は採用を辞退したという
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 しかし、検討会の渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は、「採用者数の上限がどのように設定され、専攻医の地域選択にどのような制御が働いたのか、数字で明らかにすべき」と指摘。その数字などに基づいて「偏在が明らかになった場合には、学会や日本専門医機構に是正を求めるとともに、今後の専攻医偏在対策に生かすべき」と主張しています。

 渋谷構成員の指摘を受けて、松原参考人は、▼各領域の5都府県の上限値▼上限値の根拠―などのデータを、次回の検討会に示す考えを述べています。

 領域ごとの上限値は、各基本領域学会が算出していますが、「5都府県それぞれで上限値は何人なのか」が明示されておらず、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成)なども公開を求めています(関連記事はこちら)。上限値などを踏まえた検討会での議論が注目されます。

医学生が臨床実習中に「実施すべき医行為」を明確に

 ところで、専門医研修をめぐって立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)からは「後期研修医として専攻医に来てもらうが、基本的な診療能力が備わっていない」との批判が以前からなされています。この背景には、▼初期臨床研修のプログラムが必ずしも十分に統一されていない▼大学医学部在学中の臨床実習中に学ぶべき医行為が十分に学べていない―という2つの課題があるようです。初期臨床研修までの養成過程を充実させれば、後期研修において「医師として」活躍できると期待されるのです。

 この点について、厚労省と文部科学省は共同して、医師の養成過程の見直しに着手しました。例えば後者の「臨床実習中に実施すべき医行為」については、臨床実習内容の実態調査結果を踏まえた上で、今年度内(2018年3月末まで)にも明確化させる考えです。

厚労省と文科省は、医師の養成過程を一体的に見直す(図 略)

今年度(2017年度)の厚生労働科学特別研究事業で、臨床実習での医行為実施の実態を調査している。今後、この調査結果を踏まえて「臨床実習中に実施すべき医行為」が明確化される(図 略)

 現在、「医学生が実施してもよい医行為」(1991年)をベースに各大学において、医学生に「臨床実習でどのような医行為を実施させるか」を決めていますが、今後は、上記の「臨床実習中に実施すべき医行為」の中で示される▼実施すべき医行為▼実施が望ましい医行為▼実施すべきでない医行為―の具体例をもとに、臨床実習の内容を充実させていくことになるでしょう。

「医学生が実施してもよい医行為」は、1991年に取りまとめられた「臨床実習検討委員会最終報告」で例示されている(図 略)



https://www.m3.com/news/iryoishin/583348
「臨床医学論文、日本は30位以下」と警鐘鳴らす、福原京大教授
第1回稲門医学会学術集会シンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」
 
レポート 2018年2月1日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

京都大学大学院医療疫分野教授福原俊一氏

 京都大学大学院医療疫分野教授の福原俊一氏は、1月28日都内で開催された稲門医師会主催の第1回稲門医学会学術集会のシンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」で、「データベース研究が医療の質に与えるインパクト」と題して講演、日本の臨床医学コア・クリニカルジャーナル120誌の合計論文採択数で、日本は30位以下に低迷しており、「わが国の医学アカデミアは、岐路に立たされている」と警鐘を鳴らした。

 日本の臨床研究低迷の理由として、臨床医の統計解析や英語力の不足が指摘されることが多い。しかし、福原氏は「研究デザイン学」が体系的に教えられなかったことこそが問題であると指摘し、イギリスの遺伝統計学者である故Ronald A.Fisherの「データを集めた後に統計家に相談するのは、確定診断のために死体解剖を依頼するようなものだ」という言葉を紹介した。
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(提供:福原氏)

 さらに福原氏は、臨床研究をめぐる問題として、「臨床研究=臨床試験」ではない点も強調。昨今は診療情報やレセプト情報などのビッグデータの研究での活用が可能になったため、むしろ観察研究こそ大きな可能性を秘めているとした。日本の学会では基礎研究、あるいは症例報告に関する演題が多く、時々臨床試験も見られるものの、日本で少なく、海外で圧倒的に多いのは分析的観察研究だという。「1990年代後半に、EBMという“黒船”が日本にやってきて医学・医療に良い影響を与えたが、一方で、誤解されて受け入れられ、RCTでなければ強いエビデンスではないという教条主義が日本に蔓延し、刷り込みが行われた」と問題視した。

 分析的観察研究の事例として、福原氏自身が約20年にわたって関わっている、12カ国、2万人を超す透析患者を対象とした観察研究である「DOPPS」(Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study)や、福島県南会津地区住民の運動機能、排尿機能、睡眠、物の見え方(QOL)などを測定し、その後のメタボ発症、転倒や受療行動などを追跡するLOHAS(Locomotive Syndrome and Health Outcomes in Aizu Cohort Study)の成果を紹介した。

 シンポジウム「医療×ビッグデータの最前線」には、横浜市立大学医学部臨床統計学教授の山中竹春氏も登壇、「医療分野では、ビッグデータが集まってきて、思いもかけない分析ができるところまで来ている。臨床試験も重要だが、観察研究の時代に入ってきているのだろう」とコメント。患者データの名寄せができ、患者の長期経過も異なる医療機関の情報をつないで分析できるようになれば、さまざまな分析が可能になるとし、「医療ビッグデータの環境構築によって、臨床研究のやり方が根本的に変わる時代が来る」と見通した。

 山中氏の講演テーマは「産官学連携を踏まえた医療データの利活用に関する横浜の取り組み」。NDB(ナショナルデータベース)を活用した、がん腫別の外来化学療法の治療実態や看取りの実態などのほか、高齢者増に伴い増加が見込まれる救急需要予測などの結果を紹介した。横浜市立大では、今年4月から「データサイエンス学部」を設置し、医療分野を含む多領域のデータサイエンス人材の育成に取り組むことを紹介した。山中氏によると、同学部の設置は、医学部や附属病院を有する大学として全国初という。

 稲門医師会は、早稲田大学卒業後、他大学医学部に入学、医師免許を取得するなど、早稲田大関係の医療者で構成する団体(『「早稲田・稲門医師会」、136人で発足』を参照)。1月28日の学術集会には、医療法人社団鉄祐会理事長の武藤真祐氏、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教授の渋谷健司氏、日本医師会会長の横倉義武氏の3人が基調講演したほか、シンポジウム、口演・ポスター発表が行われた。

 臨床医学の論文シェア、日本は2.64%

 福原氏が紹介したのは、北海道大学第一内科教授の西村正治氏の分析。各臨床領域のトップジャーナルである「Core Clinical Journals」をPubMedで調べた結果、臨床医学の論文採択数のうち、日本人による論文は、2000年代前半は年2200~2300本(約5%のシェア)だったが、2010年代は年1500本程度に減少した。2012年の場合、全論文採択数のうち日本人の論文が占める割合は2.64%にとどまる。一方で、米国は20%ものシェアを長期間持続している。

 日本の臨床研究の低迷改善に向け、前述のように福原氏は、「研究デザイン学」を教育する重要性を指摘。研究デザインとは、「構造化抄録形式の『研究の基本設計図』完成までのプロセス」であると説明。福原氏の教室では、優秀な大学院生でも、A4判1枚の研究の基本設計図をデザインするのに、約半年かけるケースが少なくないという。「研究デザインを発表させては、皆でディスカッションを行う。このプロセスの繰り返しが大事。研究の基本設計図を作成すれば、大学の倫理委員会に提出する研究プロトコルは、分厚いものでも1カ月ほどで作成できる」(福原氏)。

 分析的観察研究でエビデンス

 福原氏が講演で強調したもう一つの論点は、分析的観察研究の重要性。観察研究のうち、比較対照を置いて分析するのが分析的観察研究で、要因とアウトカムの測定タイミングと観察の向き(要因⇒アウトカムか、アウトカム⇒要因か)によって、コホート研究、症例対照研究、横断研究に分類できる。

 福原氏がSteering Committeeの一人として携わってきた「DOPPS」は、12カ国、2万人を超える透析患者に関する分析的観察研究。診療の実態・ばらつき(うつの診断の有無、シャント形成方法、透析時間、水質など)、診療のばらつきとアウトカム(イベント発生率、死亡率など)との関連性などを分析することによって、さまざまなことが明らかになってきており、「JDOPPS(日本のDOPPS)の結果が、世界の診療や日本の医療政策を変えた」(福原氏)。例えば、日本の透析は、諸外国に比べて、エンドトキシン濃度が低く水質が良く、それが日本の透析患者の死亡率の低さと関連している、シャントも日本の方法が良好な患者予後と関連している、ことなどが示されている。透析時間については、長いほど生命予後が優れるため、診療報酬も透析時間に応じた体系に改善された。

 福原氏は、「研究の参加施設、参加医師」は、「単なるデータ提供者から、リサーチ・クエスチョンの発案者、研究者」になるべきと期待を込めるとともに、若手臨床研究医の育成の重要性を強調し、講演を締めくくった。福原氏は、データベース研究等の振興と人材育成をミッションに掲げる日本臨床疫学会の代表理事を務め、第2回年次学術大会(2018年9月29、30日、京都大学)の会長も務める。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018013090123413.html
時間外労働で春日井市民病院に是正勧告 名古屋北労基署 
(中日新聞)2018年1月30日 12時34分

 愛知県春日井市の春日井市民病院が、時間外労働を可能にするための労使協定(三六協定)がないのに、医師をはじめとする病院職員に時間外労働させていたとして、名古屋北労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。勧告は昨年11月17日付。残業代は市の条例に基づき支給されていた。

 市によると、地方公務員は残業のための労使協定締結は必要ないとされるが、病院など現業職場の職員は該当しないという。春日井市民病院は「市役所の職員同様、病院も必要ないと認識していた。年度内には締結する予定」と説明している。

 また、昨年4~9月の時間外労働は、事務職員6人と医療技師1人が1カ月に100時間超、最大は医療技師の134時間だったこともあり、名古屋北労基署から過重労働による健康障害の防止に努めるように求められたことも分かった。

 同病院は「人員不足や昨年春の電子カルテへのシステム移行で業務量が増えた。各部門に労働時間を減らすように通達した」としている。



http://www.medwatch.jp/?p=18682
DPC病院や地域医療支援病院は病床稼働率の維持に苦労、規模が適正か検討しては―厚労省 
2018年2月2日|医療・介護行政全般 MedWatch

 病院の機能別に病床稼働率を見ると、地域医療支援病院やDPC病院では、年々下がってきているが、新規入院件数は増加している―。

 こういった状況が、厚生労働省が2月1日に公表した2016年度の「病院機能別 制度別医療費等の状況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちらとこちら)。「在院日数の短縮に新患獲得が追いついていない」状況であり、地域の医療ニーズに比べて現在の病床規模が適正なのか、という点も検討する必要がありそうです(前年度の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 1日当たり入院単価、特定機能病院で7万2141円、地域医療支援病院で6万436円
2 平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い
3 稼働率は低下傾向、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり

1日当たり入院単価、特定機能病院で7万2141円、地域医療支援病院で6万436円

 「病院機能別 制度別医療費等」は、病院を▼特定機能病院▼地域医療支援病院▼DPC病院—などの機能別に分類し、また患者が▼被用者保険▼国民健康保険▼後期高齢者医療制度―など、どの医療保険に加入しているのかで分類し、医療費を詳しく分析するものです。どの医療保険制度に加入する人が、どの機能病院にどれだけかかり、どれだけの医療費がかかっているのかなどが分かります。病院経営的には「どういった患者を積極的に受け入れれば、収益向上につながりやすいのか」といった視点で分析結果を眺めることができるでしょう。

 まず病院機能別の1日当たり医療費(いわば単価)を見ると、医科入院では▼特定機能病院7万2141円(前年度に比べて1788円・2.5%上昇)▼地域医療支援病院6万436円(同802円・1.3%上昇)▼DPC病院5万6470円(同450円・0.8%上昇)▼療養病床のみの病院2万1584円(同107円・0.5%上昇)―などとなっています。いわゆる高度急性期・急性期機能を持つ病院ほど、単価が上昇していることが分かります。

 また、療養病床のみの病院を除けば、「病院機能に関わらず『未就学児』で単価が高い」状況にあります(▼特定機能病院では8万8230円で、当該病院における医科入院全体よりも1万6089円・22.3%高い▼地域医療支援病院では7万1719円で、同じく1万1283円・18.7%高い▼DPC病院では7万2106円で、同じく1万5636円・27.7%高い)。

 逆に、75歳以上の後期高齢者では、療養病床のみの病院も含めて「病院機能に関わらず単価が低い」状況です(▼特定機能病院では6万9485円で、当該病院における医科入院全体よりも2656円・3.7%低い▼地域医療支援病院では5万4941円で、同じく5495円・9.1%低い▼DPC病院では4万9597円で、同じく6873円・12.2%低い)。

 また医科入院外に目を移すと、単価(1日当たり医療費)は▼特定機能病院2万4527円(前年度に比べて1251円・5.4%上昇)▼地域医療支援病院1万9581円(同552円・2.9%上昇)▼DPC対象病院1万8098円(同360円・2.0%上昇)▼療養病床のみの病院7376円(同4円・0.1%低下)―などとなっています。

 入院と異なり、未就学児では単価が低く、例えば▼特定機能病院で1万7594円(当該病院における医科入院全体よりも6933円・28.3%低い)▼地域医療支援病院で1万4055円(同5526円・28.7%低い)▼DPC病院で1万2017円(同6081円・33.6%低い)—などという状況です。

 逆に国民健康保険の加入者では単価が高く、▼特定機能病院で2万6647円(同2120円・8.6%高い)▼地域医療支援病院で2万1314円(同1733円・8.9%高い)▼DPC病院で1万9826円(同1728円・9.5%高い)—などとなっています。

1日当たり医療費は病院の機能によって異なる、さらに患者の属性(どの医療保険に加入しているか)によっても特徴がある(図 略)

 
傷病種類や診療報酬の支払方式(包括か、出来高か)なども勘案した、詳しい分析に期待したいところです。

平均在院日数、75歳以上の後期高齢者や国保加入者で長い

 次に、平均在院日数を見てみましょう。

 ▼特定機能病院16.3日(前年度に比べて0.4日短縮)▼地域医療支援病院15.2日(同0.2日短縮)▼DPC病院16.6日(同0.2日短縮)▼療養病床のみの病院169.7日(同8.3日短縮)―などとなり、短縮傾向が続いていることが分かります。

 未就学児では、在院日数が短い傾向にあります(地域医療支援病院では8.5日(同0.2日短縮)、DPC病院では9.1日(同0.1日短縮))が、特定機能病院では重篤な症例などが多く14.9日(同0.2日短縮)と比較的長めです。

 逆に在院日数が長いのは75歳以上の高齢者です(▼特定機能病院では17.3日、当該病院における医科入院全体よりも1.0日長い▼地域医療支援病院では19.0日、同3.8日長い▼DPC病院では21.7日、同5.1日長い▼療養病床のみの病院では175.1日、同5.4日長い)。

 また70歳未満でも、国保加入者は被用者保険加入者に比べて在院日数が長い傾向にあります(▼特定機能病院では2.4日▼地域医療支援病院では4.1日▼DPC病院では4.2日▼療養病床のみの病院では62.2日―長い)。国保加入者では「無職者」が増加しており、退院困難な患者が増えていることも予想されます。2018年度の次期診療報酬改定では、【入退院支援加算】(退院支援加算から名称変更)の算定対象患者に「生活困窮者」などが追加されますので、例えば無職者への入退院支援をこれまで以上に強化することで、「加算の算定」「在院日数の短縮」などにつながります。診療報酬改定に限らず、医療政策情報を積極的に収集し、かつ現場の業務に結び付けていくことが重要です(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

多くの機能で、新規入院患者数の増加(新患獲得)、平均在院日数の短縮がみられる(図 略)

稼働率は低下傾向、「適正な病床規模はどの程度か」を検討する必要あり

 さらに、病床の稼働率に目を移してみると、次のように推移しています。

【特定機能病院】▼2013年度:82.2% → ▼14年度:82.0% → ▼15年度:82.8% → ▼16年度:82.9%

【地域医療支援病院】▼2013年度:81.9% → ▼14年度:81.4% → ▼15年度:81.2% → ▼16年度:80.5%

【DPC病院】)▼2013年度:80.3% → ▼14年度:80.0% → ▼15年度:80.3%→▼16年度:80.1%

平均在院日数が減少傾向にある中で、多くの病院では病床稼働率低下に苦しんでいる状況がうかがえます。

地域医療支援病院やDPC病院では、病床稼働率が減少傾向にある(図 略)
 
 在院日数の減少は「空床の拡大」を意味し、同時に新規入院患者を多く受け入れなければ、病院経営は厳しくなっていきます。しかし、新規入院件数が前年度に比べてどれだけ増加(あるいは減少)しているのかを見ると、▼特定機能病院3.1%増▼地域医療支援病院6.5%増▼DPC病院4.3%増▼療養病床のみの病院5.5%増―などとなっており、多くの病院(DPC以外の一般病院ではマイナス6.6%)では、新規入院患者に向けた努力をしていることが伺えます。
 さらなる努力を検討することはもちろん重要ですが、地域の患者数は限られており、かつ大都市を除けば患者数そのものが減少している(人口が減少傾向にある)中では、努力にも限界があるでしょう。

 稼働率上昇が見られない地域医療支援病院やDPC病院では、「現在の規模(ベッド数)が適正なのか、地域の医療ニーズに比べてベッド数が多すぎないか」という点も含めた検討が必要です。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583340
医師の働き方改革、「医師とは何か」の議論を◆Vol.2
医師国会議員:自見氏、吉田氏、岡本氏が鼎談
 
スペシャル企画 2018年2月3日 (土)配信聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

医師国会議員:自見氏、吉田氏、岡本氏が鼎談
・3人の医師国会議員が語る日本の医療の課題と未来◆Vol.1
・医師の働き方改革、「医師とは何か」の議論を◆Vol.2

――医師として現場で働く中ではどのような問題を感じましたか。

岡本充功氏(内科)
 一番は、ドラッグラグの問題です。自分自身も大学院生の時に臨床研究や治験の手伝いをしており、血液・腫瘍内科は当時から全国的な臨床試験を行う組織を持っており、そこの事務局が名古屋大学にあり、さまざまな臨床試験のプロトコールを作るお手伝いをしていました。政治に参加しようと思ったのもドラッグラグが一番大きかったです。現場でできることは限られており、議員になって、日本でも臨床試験や治験がよりスムーズに行われる環境を作ろうとして、相当力を入れてきました。当選時に比べてだいぶ短くなったと思います。

吉田統彦氏(眼科)
 海外で研究、教育をしていたこともありますが、国産の医療機器、薬品を作って、国民の命と健康を守るとともにグローバルな競争力を持たせる必要があります。医療機器だけで毎年1兆円弱が海外に支払われており、次々と開発される高価な医薬品についても、どうやって保険診療に組み込んでいくかも含めて、考えていかなくてはならないと思います。

自見はなこ氏(小児科)
 最も問題を感じたのは女性医療職のことです。20代の医師の3割強は女性ですが、看護師、薬剤師など含めると、医療職の75%が女性だという統計があります。今まで医師、看護師、薬剤師、歯科医師など個々の団体で考えていた女性の働き方について、医療職全体を横断的に考えていく時期になりました。超党派の「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」で事務局長を務め、12月には加藤勝信厚労相に意見書を提出します(編集部注:12月15日に提出、『「女性医療職エンパワメント推進議員連盟」、加藤厚労相に決議文』を参照)。

 女性の働き方について、現場で働いている人たちは忙しくて調整などはできず、男性管理者は知りもしない、致し方ないのですが、気づきもしません。看護師は約160万人いますが、実際には外数で、約72万人が働いていません。人が足りないと嘆くのではなく、女性医療職が働きやすい環境を作れるかどうかは、医療界全体にとっての分岐点となるような死活問題です。そして、女性にとって働きやすい環境は男性も当然働きやすいはずですし、そうならなければいけません。道のりは長いですが、家で子どもと一緒に晩ご飯を食べられる社会が理想です。

――女性に限らず、2017年は医師の働き方改革の議論が多方面からなされました。

自見
 まず2017年3月の「働き方改革実現会議」の取りまとめが出た時点で、医師については特別に2年間の検討期間と約5年間の適用猶予期間をいただきました。それを受けて、医師の働き方改革については昨夏から厚労省で検討委員会ができていますが、最も問題なのは構成員の中に首長さん達が入っていないことです。新専門医制度の時もそうでしたが、最終的に日本では、社会保障制度の下に国民医療を提供していますから、地域における医療の最終的な責任者は首長さんになります。国家であれば安倍首相です。ですが、働き方について、狭い了見で議論がされているのではないかと危惧しています。

 地域医療とのバランスの兼ね合いがどうしたって出てくるのに、その検討の場に首長が入らないことは、今後の議論の一つの混乱の一因になってくるだろうと思います。また、医師の実際の業務を減らしていく話し合いの過程で、医師以外の職種が行った業務に対する責任の所在などの論点整理も必要です。さらに、私は自分のことを労働者と思って働いたことは一度もありませんが、一方で、医師は労働基準法から言えば、がちがちの労働者です。今までの習慣上のことと、法的な枠組み、その根底にある「果たして医師とは何だろう」という議論がないまま進んでいるようにも映ります。

 ご承知のように私と同じ小児科医である中原ドクターが過労死で亡くなりました。こういったことは、二度とあって欲しくないと思います。これからも、もちろん勤務環境改善に全力で取り組みますが、では、夜中に急変した患者さんを診に行くことが労働時間にカウントされ、それが超過したら病院に罰則がかかるのか。あるいは自分が経験させていただいた貴重な症例をまとめる時間も労働とカウントされ、土・日曜日の学会も労働時間かといった議論になってしまいます。自己研鑽と労働の切り分けをどこで区切るのか。

 医師の働き方改革については、議論を重ね、医師だけに適用する高度プロフェッショナル制度は選択肢としてあり得るのか、業務分担時の責任の論点整理も含めて、もう少し幅広く俎上に載せ、国民を巻き込んで議論し、柔軟に考えないと、経営者も当事者の医師も困り、現場は行き詰まると思います。そういった中で、小児科医として思うのは、小児科は本当にチームワークが得意だということ。チームでやっているから当直明けも帰れます。チームワークを良くしていくと患者の満足度も上がります。科を超えてチーム医療を徹底することで、今の人数でかなりの部分が上手く行くだろうと思っています。ただそれには医療資源の集約化など地域医療構想そのものにも触れる部分が出現することを予想し、医療資源の元々かなり乏しい地域に対しては、別の施策が必要になります。

岡本
 医師、患者双方の意識改革をしなくてはいけないと思います。医師も人間ですので、長時間労働が及ぼす体への影響から無理をするようなことを控えていかなくてはならない。患者さんにも医師の過重労働に理解を求めたいです。主治医による対応を求めることが多いですが、チームで医療ができることを知ってほしいです。

 一方で、高度プロフェッショナル制度導入、裁量労働制を拡大するという議論の中で、これに医師を入れてしまうかどうかについては、一定程度、注意が必要です。単純に年収が高いからと、医師を入れるとせっかくの改革の機運を無くすことになります。ややもすると、そうするのではないかと懸念しております。これが答えだとなると、医師の働き方改革はなんだったのかとずっこけてしまいます。

自見
 全く同感です。この議論で忘れてほしくないのは、新しく医師になる世代では、女性が約4割ということです。これはビッグファクターです。管理者の先生方や決定権を持つ方々は、まだまだ専業主婦の奥様を持つ人が多いです。今は約4割が女性であることを忘れては議論は進みません。

吉田
 そもそも日本の医師は働き過ぎです。ただ、海外の医師が働いてないわけではなく、海外の有名な医師は朝6時から外来をやったりしています。一般的には一人一人の患者を診る時間も長く、予約もきっちり機能しています。そして特に米国では給与は極めて高く、いろいろ守られています。

 どちらが幸せかというと、圧倒的に日本の方が患者は幸せで、医師はアメリカです。値段が全然違います。診療レベルは日本が高いことの方が多いです。最先端の極めて特殊な治療はアメリカでしかできないこともありますが、一般的な医療は数字上も日本が優れています。今の制度が維持できるなら圧倒的に日本の方が患者さんは幸せです。

 ヒラリー・クリントン氏は、本当は日本型の医療を米国に入れたかったそうですが、「日本の医療は聖職者並みの医師の自己犠牲に支えられている」といった言葉とともに断念したわけです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583639
厚労省の「働き方改革の論点整理」に対案提示へ
地域医療を守る病院協議会、「緊急的な対策」は対応
 
レポート 2018年2月1日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 5つの病院団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は2月1日の記者会見で、厚生労働省の「働き方改革に関する検討会」が2月に打ち出す方針の「中間的な論点整理」について、対案を示す方針を明らかにした。全国自治体病院協議会会長の邉見公雄氏は「地域偏在をなくす前に働き方改革を先にやると、『アベコベミクス』になってしまう。反対ばかりではなく対案を出していきたい」と説明。ただし、時間外労働についての労使協定「36協定」を点検することなど「緊急的な対策」については、「われわれもやらないといけない」と述べた(厚労省検討会は、『働き方改革の緊急対策、労働時間管理など5項目は「当然」』を参照)。

 2月1日の協議会では、新専門医制度についても議論。日本専門医機構の理事でもある邉見氏は、専攻医の4.5人に1人が東京に集まってしまったとして、「都道府県からおしかりを受けている」と明かした。専攻医の診療科ごとの応募状況を少ない順にまとめた資料を示して「群馬と高知は外科が1人。この人たちが働き盛りになる10年後に、この県で手術ができるのか。小児科は徳島と佐賀でゼロだ。ここでお母さんが子どもを産もうと思うのか」と嘆いた。対策としては、ある程度の強制的な措置や、それに基づいて地方に行く医師を支える仕組みも大切などの意見が出たという。

 全国国民健康保険診療施設協議会会長の押淵徹氏は、総合診療について、「制度が成熟するまでには時間がかかる」と指摘。日本専門医機構の「総合診療専門医に関する委員会」が長く開かれていないことを問題視し、早期開催を求める要請書を国診協副会長の金丸吉昌副会長と連名で、近く同機構に提出する意向を示した。



https://mainichi.jp/articles/20180203/ddl/k18/040/269000c
小浜病院
医師2人欠員 退職続き 地域に影響、後任探し急ぐ /福井
 
毎日新聞2018年2月3日 地方版 福井県

 昨年11月、女性看護師へのつきまとい行為で懲戒処分を受けた50代男性医師が退職した杉田玄白記念公立小浜病院(小西孝病院長)=小浜市大手町=で、先月末にも30代男性医師が退職したことが2日、分かった。現在、医師2人が欠員状態で、既に地域の医療体制にも影響が出ており、病院は後任探しを急いでいる。

 小浜病院によると、50代医師は急性心筋梗塞(こうそく)、30代医師は透析が専門。30代医師は「一身上の都合」で退職した。

 冬場は心筋梗塞のリスクが高まるが、50代医師退職後の昨年12月に6人、先月も5人の患者を小浜病院で受け入れられず、京都府舞鶴市の病院などへ搬送した。両月合わせて前年よりも2~3人増えたという。

 一方、透析の専門医はもう1人いるため、患者に迷惑をかけないよう勤務シフトを考慮しながら対応するという。【高橋一隆】



https://www.m3.com/news/iryoishin/582937
医学生の医行為、「3類型」に分類、厚労科研
卒前・卒後のシームレスな医師養成、5つの柱で遂行
 
レポート 2018年1月30日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、1月29日の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第6回会議で、厚生労働科学研究費補助金による「医学部の臨床実習において実施可能な医行為の研究」の進捗状況を説明した。主任研究者は日本医学会連合会長の門田守人氏が務め、2017年度中に結論を出し、それを基に、同省と文部科学省は、医学生の医行為を定めた1991年の“前川レポート”を四半世紀ぶりに改訂する予定だ(資料は、厚労省のホームページ。『医学生の医行為、四半世紀ぶりに見直しへ、今年度中に整理』を参照)。

 本研究では、全国の医学部を対象に、臨床実習で医学生が行っている医行為を調査し、臨床実習における医行為を(1)指導医の指導・監視のもとに実施すべきもの、(2)指導医の指導・監視のもとに実施が望ましいもの、(3)原則として指導医の実施の介助または見学にとどめるもの――に分類する。分類を踏まえた上で、医学生が行うことができる医行為の範囲を整理し、明確化する。「臨床実習において、今までなぜ医学生による医行為が進まなかったのか、その現状や今後の方針も各大学に調査する予定」(厚労省医政局医事課)。

 さらに厚労省は、「総合的な診療能力を持つ医師のシームレスな養成」の方針も説明。(1)医学生が行うことができる医行為を整理し、初期実習の充実(2017年度中に取りまとめ)、(2)臨床研修において、基本的な診療能力を身に付けるため、外科、産婦人科、小児科、精神科も必修化(2020年度を目指して改革)、(3)医学生の共用試験(CBT)の位置付けの整理((1)とセットで検討)、(4)医学教育において、「Post CC OSCE」の正式実施(2020年度からの正式実施に向けトライアルを実施)、(5)医師国家試験の出題傾向として「臨床実地問題」により重点を置く(既に一定程度進行、さらに対応を検討)――の5点だ。

 卒前・卒後の一環した医師養成を進めるため、医学教育、医師国家試験、臨床研修の改訂時期を将来的に揃える方針も提示した。

医学教育充実で臨床研修の短縮要望も

 卒前・卒後の一環した医師養成に関連して構成員から出たのは、医学教育を充実させることで、卒後2年間の臨床研修を短縮、あるいは省略できるのではないか、という意見だ。

 福島県相馬市長の立谷秀清氏は、臨床研修に続き、新専門医制度の開始により、さらに3年間研修を行うようになれば、「社会に出る時期がそれだけ遅れる」とし、「医学教育を充実させることにより、臨床研修でやるべき相当部分が、医学教育でこなせるのではないか。専門研修は2年間前倒しができる」と指摘した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、医学教育の充実に伴い、臨床研修が組み込まれれば、「将来的に臨床研修がなくなることもあり得るのか」と質問。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「医学教育改革に伴い、当然、臨床研修も変わってくるだろう。シームレスな医師養成を考える中で、しっかり検討していく」と答えた。

 一方で、臨床研修の短縮に慎重姿勢を示したのは、東京大学名誉教授の桐野高明氏。「いかに医学教育を充実させ、診療参加型の臨床実習の時間を増やしても、それでは基本的な診療能力は獲得できず、医療の高度化、複雑化にも対応できない。一方で医師を早く養成すべきという意見もあり、どちらがいいかは相当な議論が必要だろう」と指摘。

 日本精神科病院協会常務理事の森隆夫氏は、「医学生は今、かなり疲弊している。医学教育では、教えることがどんどん増えているので、その中で臨床実習を充実させるとなると、パンクする人も出てくるだろう」と警鐘を鳴らした。

 これに対し、東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、知識面の教育を今のやり方で進めるのではなく、取捨選択して必要最小限の知識に限り、それ以外は医学生が現場で考え、自分で解決策を見いだす教育への転換が求められると提案した。



https://www.asahi.com/articles/ASL2145WZL21UBQU00L.html
病院統合構想の関連予算案、弘前市議会が可決 
佐藤孝之2018年2月1日15時00分 朝日新聞

 青森県弘前市にある市立病院と国立病院機構弘前病院を統合する中核病院構想をめぐり、市議会臨時会が31日開かれ、市が提案した関連予算案など2議案がいずれも賛成14人、反対11人の賛成多数で可決された。これを受け、市は諮問機関を2月中に設け、中核病院と地域包括ケアシステムのあり方を諮問する。

 中核病院構想は、調整役の県が一昨年10月に国立病院機構の主導で整備する案を示し、協議が始まった。しかし、葛西憲之市長が昨年12月、「市が整備、運営の主体になる」と表明し、同時に中核病院を核とした地域包括ケアシステムを構築する方針を打ち出した。

 市がこの日提案したのは、医療コンサルタントへの業務委託料など計978万円の補正予算案と諮問機関設置の条例案。葛西市長は「短命脱却と健康寿命延伸などの課題解決に向け、地域包括ケアシステムの構築とその中心になる中核病院の整備計画を策定するため」と提案理由を述べた。

 ログイン前の続き質疑後の討論で、最大会派「自民・公明・憲政」(12人)を代表して工藤光志議員が「整備の方向性が定まらないことに不安が広がっている。計画を早く示し、国立病院機構などと合意形成しないといけない」と賛成を表明。これに対し、共産党(3人)の千葉浩規議員が「整備、運営の基本方針が明らかにされていない」、無所属の石岡千鶴子議員が「地域包括ケアシステムと中核病院は切り離して考えるべきだ」と述べるなど反対意見も出たが、採決で可決された。

 葛西市長は可決後、報道陣に「丁寧な説明をしたことで、市の取り組みへの理解が進んだと思う。議論が進めば、医師の確保など様々な好影響も出てくる。本日の議論を真摯(しんし)に受け止め、しっかり進めていきたい」と語った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/583918
大川がんセンター病院長を更迭、神奈川県立病院機構
土屋理事長「大川病院長に2度辞職を求められた」
 
レポート 2018年2月3日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 神奈川県立がんセンターで放射線科医が一斉退職した問題で、センターを運営する神奈川県立病院機構理事長の土屋了介氏は2月2日、記者会見後に、大川伸一病院長を更迭する人事を同日付で発令したことを明らかにした(会見の内容は『神奈川県病院機構、県に真っ向から反論、医師退職問題(2月3日追記)』を参照。)。

2月2日付の人事発令は以下の通り。
金森平和:神奈川県立がんセンター病院長代行(がんセンター企画情報部長)
小林寿光:神奈川県立がんセンター病院長補佐(神奈川県立病院機構みらい臨床研究支援センター長)
大川伸一:神奈川県立がんセンター企画情報部長(がんセンター病院長)
※括弧内は発令前の所属

 がんセンターの病院長は当面の間、不在となる。病院管理者は病院長代行の金森氏が務める。土屋氏は「責任を明確にし、人心を一新し、管理体制を強化すべく、体制整備の第一弾として人事異動を発令した」と説明している。

 2月2日の記者会見では、土屋氏は副知事2人から辞職を求められたことを明らかにしたが、その前段階として、2017年11月に大川病院長から2度、「先生が原因だから辞めてほしい。先生がパワハラをしたから4人が辞める」と言われたことがあると説明した。土屋氏は「(辞めると言っている4人の医師とは)ヒアリングだけで、直接接したことがない」として、全く身に覚えがないと説明している。

 土屋氏によると、辞任を求めた背景として大川病院長は「医師派遣を求めた群馬大と東京大から「土屋理事長が怖いので、やめないと人を出せない」「土屋理事長がいる限り、一月いっぱいで引き上げる」と言われたから」と説明したという。土屋氏が後日、群馬大教授を訪問した際に直接確認したところ、明確に否定されたという。東大についても土屋氏が「『私がやめたらどういう体制で人を出してくれるのか』と聞くと、下を向いてしまった」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581264
日病会長、「医師は普通の労働者と違う」
産婦人科学会フォーラム、現状を議論
 
レポート 2018年1月22日 (月)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本産科婦人科学会は1月21日、東京都内で「拡大医療改革委員会」兼「産婦人科医療改革公開フォーラム」を開催し、産婦人科医や弁護士らが産婦人科の現状や医師の働き方改革について議論した。講演した日本病院会会長の相澤孝夫氏は「今の働き方改革で本当にいいのか。医師も労働者だが、高度な『知識労働者』。普通の労働者とは違うことを強調しなければいけない」と述べ、医師の特殊性に応じた改革が必要だと強調した。

 相澤氏は、病院の職員は医師を筆頭に、ピーター・ドラッガー の言う「知識労働者」(英語でKnowledgeworker、日本で言う『プロフェッショナル』)であり、労働時間や病院に忠誠を誓うのではなく、成果や達成に対して忠誠心があり、知識・思考を生産手段として問題解決を行うことを生きがいとして仕事をするもの、との考えを披露。その中でも特に医師は高度な知識労働者であって管理を忌避し、成果を出すためには働きがい、やりがいを持って働けるようにすることが大事だと強調した。

 一方で社会的な風潮として労務管理の重要性が高まっている中で、日病会長として各病院を回り、人事部門に「時間外労働が80時間を超えた医師と話をしているか」などと尋ねても、「人事が医師の所へなんて行けない、と答えが返ってくる」と言い、医師に関する労務管理が難しい現状を明らかにした。時間外勤務時間が長くなる要因の一つである当直・日直については、「これを労働時間に入れられたら、(時間外勤務手当の支払いで)病院はお手上げだ」と指摘する一方で、当直明けの勤務の軽減などの対策はすぐにでもできると述べた。

川人弁護士、「5年間猶予は疑問」

 過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博氏は、東京都内の公的医療機関の産婦人科に勤務していた30代男性医師が2015年7月に自死し、2017年7月に労災認定された件を改めて紹介(『産婦人科後期研修医の自死、労災認定 代理人弁護士「産婦人科医療がそうさせている」』を参照)。その上で、医師の働き方改革に向けて次のような提言をした。

 まず、「とりわけ過労死が出るのは建設業、運送業、そして医師ら医療従事者で、上限規制の例外を設けるのはおかしい。罰則付き上限規制を5年間猶予するのははなはだ疑問だ」と述べ、医師についても労働時間規制をしっかりとかけることを主張。また、医師の増員や医師以外でもできる業務の移譲、応召義務の削除または軽減のほか、「(時間外に説明を求めるなど医師の負担が大きい事例で)患者を聖域に置かずに 適切な対応をすること」や、「医療事故・訴訟に関連するストレスをいかに軽減するか」、「『俺たちの若い頃は…』などと言って長時間勤務を正当化するような医療機関側の意識の改革」などを挙げた。

 総合討論では、川人氏が改めて、「産婦人科は国家的な要請のある分野だ。診療報酬を改善し、産婦人科をやることが医療機関の安定につながるよう学会から厚生労働省に求めてはどうか」と提言。また、診療科の偏在を解消するためには、ある程度、誘導するような制度も必要との見解を示した。

 フロアからは、横浜市立大学の医師が「働き方改革をする前提として、医師は自分がどういう雇用条件で働いているのか、知らないケースが多すぎると思う。そこから始めないと、問題点すらあぶり出されてこない」と提案。宮崎県の県立病院医師が「産婦人科ってこんなに優遇されているよと若手に話しても、興味を示さない。就業の自由をあまり縛るのもどうかと思うが、ある程度国家政策として、数そのものを増やすことも含めてやってほしい」と述べた。

 最後は相澤氏が「『お上がそう言うならそうなのか』という感じで、こうしてほしいというようなことを医療界からあまり言ってこなかった。あれができない、これができないと言うばかりでなく、何をやっていけばいいのか議論して変えていくべきだと考えている」と総括した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582543
マッチングに「研究医育成枠」を検討、臨床研修部会
過去2カ年強、研修医の1.2%が研修中断
 
レポート 2018年1月27日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)は1月25日、医師臨床研修マッチングにおいて、臨床研修と基礎研究を両立するための「基礎医育成・研修コース」を設置し、一般のマッチング枠・募集定員とは別枠にすることについて議論した。3月中にまとめる、2020年度からの見直しに関する報告書にも盛り込まれる見通し(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省事務局は研究医養成をめぐる現状の課題として、▽基礎医学系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合が低下▽基礎医学論文数は、国際的に見て日本は低調であり、基礎研究分野の国際競争力は相対的に低下傾向▽基礎医学研究を行う医師であっても、診療(健康診断等を含む)を行う場合は、臨床研修を修了する義務がある▽臨床研修病院の募集定員については、基礎医学に従事する予定の医師も含め設定されている――と指摘。

 医学部でのMD-PhDコース(医学部在学中から大学院を見越した研究活動をできる)の設置も進んでいるが、臨床研修期間中は研究から離れざるを得ない状況もあることから、「臨床研修と研究をより円滑な形で行き来できる仕組みを構築することが必要」とする見直し方針を示した。

 具体的には、「基礎医学に意欲があり、基礎系の大学院に入学する者(MD-PhDコースを含む)」を対象に、一大学につき原則1人(基準に応じて変更)を基礎枠限定の選考を行い、初期研修と基礎研究を同時にできるようにする案を提示した。48週の選択科目の期間に基礎系の研究室に通うことを認めるというもの。事務局は「臨床的な到達目標を満たす範囲で、研究をしてもらうということ」と説明している。

 順天堂大学学長の新井一氏は「制度が導入されれば基礎系に行くモチベーションが高まるのでは」、和歌山県立医科大学学長の岡村吉隆氏も「どっぷり研修をやっていると基礎への意欲が薄れていく。研修中に基礎の教室に行けるのはすごく良いと思う」と歓迎した。

 一方で、参考人として出席した聖路加国際病院長の福井次矢氏は「臨床研修必修化の前から基礎系に進むMDは減っている。原因は研修制度以外にあるということ。大きな潮流についてアタックしないとだめだと思う」と指摘、理学系の学生も減っているとの指摘もあった。

 3月に提出する医師臨床研修部会報告書にむけて引き続き議論する。

研修医の1.2%が研修中断

 事務局は2015年度から2017年度(7月まで)中に、研修医の1.2%(2006~2009年度は平均1.3%)が研修の中断を経験していると報告。大学病院、市中病院ともほぼ同様の数値だった。

 その理由としては「病気療養」が37.4%、「妊娠・出産・育児」が9.9%、「研修内容への不満」が4.1%、「家族等の介護」が2.4%、「研修体制の不備」が0.3%、「その他」が45.9%だった。「病気療養」では「メンタルヘルス上の事情を有する研修医が多い」、「その他」では「プログラム変更、自己都合及び研修医同士のトラブル等が多く挙げられる」と付記している。

基幹病院「年間入院患者数3000人以上」の是非

 今年度中に提出する「医師臨床研修部会報告書」をめぐっては、基幹型臨床研修病院の要件について再び議論となった。「年間入院患者数3000人以上」が指定基準とされている一方、それに満たない病院については、訪問調査の結果によって指定が認められてきた。3000人以上を満たす病院でも訪問調査が必要ではという意見や、病床の機能分化が進む中で3000人という基準そのものを見直すべきではという意見も出た。



  1. 2018/02/04(日) 10:22:58|
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Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年1月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 7,160
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 18,000
First 5 in Google in English 


Surge in DO students could help ease physician shortage
Crain's Chicago Business‎ - January 11, 2018(米国、イリノイ州)

A report touted this week by the American Osteopathic Association shows an 85 percent increase in osteopathic medical students since 2007. Now, about 1 in 4 medical students attends an osteopathic medicine college—an enrollment figure that has increased an average of 25 percent every five years. The report comes amid concerns that the United States is facing a physician shortage: The gap between physician supply and demand will range between 61,700 and 94,700 physicians by 2025, according to the American Association of Medical Colleges. A chunk of the shortfall is projected to be in primary care, a field in which many osteopaths specialize.


No Physician Shortage Despite Dire Warnings: Zeke Emanuel
Medscape‎ - January 24, 2018 (米国)

We can get into so many topics because you have had a big influence on healthcare policy in the United States with the Affordable Care Act (ACA) and many other things. But today's topic, a "physician shortage," is a special interest. You have had multiple writings on this, including a notable op-ed in the New York Times back in December 2013 with none other than our current Food and Drug Administration Commissioner, Scott Gottlieb.[1]
More recently, your reaction to the Association of American Medical Colleges (AAMC) report [predicting a shortage] was published in JAMA in May,[2] with subsequent correspondence—as you might expect because of controversy—going back and forth in September. Why don't you give us your own sense about a physician shortage in the United States.


Doctor shortage: Population outpacing physicians
IllinoisHomePage.net‎ - Jan 16, 2018 04:28 PM CST (米国 イリノイ州)

ILLINOIS (WCIA) -- The population is quickly outpacing doctors. Medial professionals are bracing for a massive shortage. Experts estimate, by 2025, there could be a shortage of up to 90,000 physicians nationwide. But, there's hope. A new survey shows an increase in medical students. A Chief Medical Officer from Southern Illinois University's medical school offered insight. He says more students are enrolling because there are more opportunities. For the past 20-years, more and more medical schools have opened up around the country; especially in rural areas where a shortage of doctors could have a bigger impact.


Doctors Nova Scotia blames doctor shortage on fee-for-service system
CBC.ca‎ - Jan 06, 2018 5:34 PM AT (カナダ ノバスコチア州)
 
Nova Scotia is losing family doctors to other provinces, notably New Brunswick, because of the "antiquated" way it pays for their services, says the president of Doctors Nova Scotia.
On Saturday, a group of family doctors met in Dartmouth to discuss different options of being paid for their work.
"We're in an antiquated model right now where the majority is fee-for-service, so it's a volume-driven service. Nova Scotia has to consider options other than fee-for-service or salaried models that don't really, frankly, do much for anyone," Dr. Manoj Vohra said.


Estevan hospital wait times rise due to physician shortage
Globalnews.ca‎ - January 24, 2018 7:22 pm (カナダ サスカチュワン州)

“Two of them were departures with virtually no notice. One was a suspension from the [College of Physicians and Surgeons of Saskatchewan] and another one left town to move home to South Africa almost overnight. That left an enormous amount of patients without a physician.”

The shortage of family physicians in Estevan has increased the amount of non-emergency cases in the emergency room and increased wait times. Physicians also aren’t taking on any new patients.

Hoffort says to address the shortage, St. Joseph’s Hospital has stationed a family physician in the emergency room from 8 a.m. to 5 p.m. Monday to Friday. Normally, the emergency room is covered by family physicians on an emergency, call-in basis.



(他に10位以内のニュースは、米国 アイダホ州、カナダ(サスカチュワン州2, ノバスコチア州)、ニュージーランド、からも)


  1. 2018/01/31(水) 08:18:00|
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1月28日

https://news.yahoo.co.jp/byline/takerodoi/20180127-00080935/
「西高東低」を2025年度までに縮小!…これは医療の話 
土居丈朗 | 慶應義塾大学経済学部教授
1/27(土) 18:52 YAHOO ニュース

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「西高東低」は冬の気圧配置だけでない。1人当たり医療費も(厚生労働省資料より)

1人当たり医療費の「西高東低」現象は、長年にわたり起きていて、知る人ぞ知る現象だった。今、初めてご覧になる方もおられるだろう。

厚生労働省が毎年公表している「医療費の地域差分析」によると、冒頭の図のように、都道府県別に1人当たり医療費をとると、概ね西日本の県で全国平均値より高く、東日本の県で低い。図の横軸(値が0)よりも上に棒グラフが伸びると、その県は全国平均値より高いことを意味する。横軸よりも下に棒グラフが伸びると、全国平均値より低いことを意味する。

もちろん、高齢化が他県より進む県だと、1人当たり医療費は高くなる。若年者より高齢者の方が1人当たり医療費は多くなるからだ。都道府県によって異なる年齢構成は、冒頭の図では調整済みである。年齢構成調整済みの1人当たり医療費を、北は北海道から南は沖縄県まで順に並べると、左側(東日本の県)では下側に棒グラフが伸び、右側(西日本の県)では上側に棒グラフが伸びる傾向がある。これを指して、「西高東低」と呼んだ。

2015年度において、1人当たり医療費が最も多い県は福岡県で、最も少ない県は新潟県である。冒頭の図は指数で示しているが、実額でいうと、1人当たり年間医療費は最も多い福岡県で64.1万円、最も少ない新潟県で46.6万円と、17.5万円の差がある。全国平均は53.7万円である。

こうした地域差があることが、なぜ問題なのか。

それは、わが国は「国民皆保険」で、全員が何かの公的医療保険に加入していて、同じように保険料を払っているのに、地域によって費やしている医療費が多いところと少ないところがあるからだ。しかも、あらゆる治療の単価(診療報酬)は、国が決めていてどの地域でも同じなのにである。

医療費を多く費やしたからといって、医療保険料や税金の負担が個人的により重くなることはない(患者負担は多くなるといえども)。でも、医療費の財源は、患者負担は1~3割であって、残りの7~9割は保険料と税金で皆が負担を分かち合っている。医療費をより多く使う県は、同じような負担でたくさん医療の給付を受けていることになり、より少なくしか使わない県は、医療費を多く使っていないのに他県の分までも負担をより多く負わされることになる。それは、公的医療保険制度が都道府県別の完全独立採算にはなっていないことに起因する。

もちろん、健康な人は医療費がかからないが、病弱な人やけがをした人は医療費が多くかかる。そうした個人差は、ここでは都道府県別に分析しているから、この「西高東低」現象には影響しない。なぜなら、どこの地域でも、10万人や100万人という単位でみれば、統計的にみて病弱な人やけがをする人は一定割合いるし、健康な人も一定割合いて、個人差は統計上薄まる(統計学の用語でいうと大数の法則が成り立つ)からである。最も多い福岡県の人が、最も少ない新潟県の人より、平均的にみて顕著に病弱だという話は聞いたことがない。もし、どこの都道府県でも同様の疾病率(病気にかかる確率)であれば、年齢構成調整済みの1人当たり医療費は、ほぼ同じになって不思議ではない。

なのに、現実にはそうではないことを、冒頭の図は物語っている。つまり、保険料や税の負担はほぼ同じなのに、受けている医療の給付(医療費)が都道府県によって異なるということだ。

過疎部で医師不足とか病院の閉鎖とかが問題となっていて、都市部との間で受けられる医療に格差があるという現象もある。ただ、冒頭の図を見ると、過疎部の県で1人当たり医療費が少なく、都市部の都府県で多いというわけでは決してない。だから、僻地医療の問題は別途解決すべきだが、それと「西高東低」とは様相が少し異なる。

医療費の「西高東低」現象の背景には、単純化していえば、同じ傷病で似たような状態でありながら、地域によってその治療法が異なり、割高な治療法を使っている地域もあれば、うまく医療費をかけずに治療ができている地域もあるということである。逆に見れば、1人当たり医療費が高い県では、恩恵を受けているというより、同じ傷病でもより割高な治療費(の患者負担)を払わないと治してもらえないという意味で不幸なことでもある。同じように医療保険料や税金を負担してお互いに支えあっているのだから、せめて医療費で目に余る地域差があれば縮められるようにしてはどうか。

それに、医療保険料は、毎年のように引き上げられ、将来どれほど負担増になるか先行きが見えない。国民に負担に余力があって、こうした地域差に目くじらを立てなくてもよいではないかというならいざ知らず、さすがに負担増にも限界があるというなら、こうした地域差をより良い形で縮小する方策が望まれる。

ここでいう地域差の縮小は、あらゆる差異を遮二無二なくせ、というわけではない。同じ傷病で似たような状態の患者に、うまく医療費をかけずに治療ができる地域があるなら、その好事例を他の地域でも見倣えば、なくせる不合理な地域差を是正できる。つまり、地域差の縮小は、好事例に他地域も倣うということだ。そうすることで、わが国全体の医療費をうまく節約できる。

地域差縮小の方策

医療費を抑制できれば、我々が支払う保険料や税金の負担をより軽くできる。ただ、必要な医療が受けられないことがあってはいけない。必要な医療を適切に残しつつ、患者の健康のためにもなっていない医療費があれば、それを節約してゆく。ではどうすればよいか。

冒頭の図をみると、「西高東低」現象の要因を分解すると、最も大きいのは「入院」(赤色の棒グラフ)によって起きていることがわかる。既に政府もその原因を突き止めていて、入院医療費が1人当たりで多い西日本の県では、人口に比して概ね、病床(病院のベッド)が多かったり、入院患者の割合(入院受療率)が高かったりしていた。だから、病床の配置を患者のニーズにマッチさせるように再編することで、不必要な病床をなくし、必要な病床を整備することができ、全体として医療費を節約できる。この取組みが、「地域医療構想」である。「地域医療構想」についての詳細は、拙稿「少子高齢化社会でも日本の医療費は見直せる 地方の医療を救う『病院再編』とは?」を参照されたい。

「地域医療構想」は、2025年度までに各地域で病床の機能分化と再編を進めるよう、2015~2016年に各都道府県で既に策定された。これを踏まえ各都道府県が策定する「第7次医療計画」が、2018年度から6か年計画でスタートする。「地域医療構想」に盛り込んだ入院医療での地域差を縮小する取組みは、「第7次医療計画」がスタートする2018年度から、いよいよ本格化する。

入院医療だけではない。外来医療についても、「第7次医療計画」と同時期に策定し実行する「第3期医療費適正化計画」で改善に取り組む予定である。「第3期医療費適正化計画」では、特定健診・保健指導の実施率向上、後発医薬品の普及、糖尿病の重症化予防、多剤投薬や重複投与の是正について、具体的な医療費抑制額も含めて、各都道府県で策定し実行することとしている。その中でも、キーワードとなるのが、地域差の縮小である。効能がほぼ同じでより安価な後発医薬品の使用促進や、飲み合わせが悪く副作用が生じる恐れのある多種類の薬を同時に処方しないようにする取組みなどが、他県より遅れていれば、それを是正するよう努力することで、その地域の患者の健康のためにもなるし、医療費を抑制することにも貢献する。

医療費の地域差縮小の先にあるもの

上記の話は、既に昨年までに議論が進んでいるもので、最新ニュースというわけではない。なのに敢えてなぜ、今取り上げたか。それは、1月23日に開催された経済財政諮問会議で、今夏に取りまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2018」に、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成時期、その裏付けとなる具体的かつ実効性の高い計画を盛り込むための議論がキックオフしたからである。

同会議で内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算(2018年1月試算)」では、基礎的財政収支の黒字化が後退する姿が示された。その含意は、拙稿「経済成長率低下は、基礎的財政収支にこう影響した:内閣府中長期試算の含意」で述べた通りだが、要するに、2020年代前半にかけてさらなる歳出改革が必要であることが浮き彫りとなった。

内閣府の「中長期試算(2018年1月試算)」には、前掲した「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」の改革効果は織り込まれていない。もちろん、介護や教育など他の歳出改革も織り込まれていない。実は、介護にも、医療と似たような地域差があり、その地域差の縮小が2020年代前半にかけて求められる。介護でも、他県の好事例に倣えば、質を落とさずに介護費を適切に抑制できる。ただ、介護の話は稿を改めることにしたい。

歳出改革は医療だけではないが、関係者も合意の上で「地域医療構想」や「第3期医療費適正化計画」が取りまとめられ、その中で地域差の縮小が進められようとしている。これらは、当然ながら、第一義的には国民のQOL(生活の質)向上のためだが、意義ある副次的な効果として基礎的財政収支の改善にも貢献する方策となる。追加的な負担増を避けつつ、国民のQOL向上にも資する方策を、積極的に推進してゆくことが求められる。



https://dot.asahi.com/dot/2018012400075.html
国が推進する「総合診療医」を、現役医師がオススメしない理由 
連載「メディカルインサイト」
上昌広2018.1.26 07:00 dot.朝日

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。そのような中、現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、医学生にも人気の「総合診療医」について解説している。

*  *  *
 近年、厚生労働省は「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師の養成」を目指しています。

 NHKも「総合診療医ドクターG」という番組を放送しており、人気を博しているようです。ホームページには「病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する!」と書かれています。新聞でも、「総合診療医」について好意的な記事が目立ちます。医学生にも、「総合診療医」になりたいという人が珍しくありません。

 しかし、総合診療医の実態は、世間一般のイメージからかけ離れています。

 私は、総合診療医に憧れている医学生に対しては考え直すように勧めています。厚労省が言うように「一人の人間を全人的に診る総合的な診療に対応できる医師」が養成できれば、実に素晴らしいことです。しかし、医師は一つの診療科に習熟し、一人前になるまでに、10年近くかかるといわれています。いくつかのジャンルで習熟できたとしても、全ジャンルでエキスパートになることは、現実的ではありません。

 厚労省が総合診療医を勧めるのは、患者や医師にとってメリットがあるからではありません。総合診療医が厚労省にとって都合がいいからです。

 私は、その本当の理由を医療費削減だと考えています。 

 総合診療医の議論が始まったのは1980年代です。当時、医師誘発需要説・医療費亡国論が議論されていました。厚労官僚の友人は、「一人の医師が複数の専門領域を診ることができれば、医療費は抑制できると考えたようだ」と言います。

 このように考えるのは、我が国に限った事ではありません。経済協力開発機構(OECD)は「健康増進のための最も費用対効果が高い方法はGeneral Practitioner によるプライマリケアである」と述べています。総合診療医を推進する理由は、患者満足度ではなく、金ということになります。

 医師不足が社会問題化したため、厚労省にとって、総合診療医の価値がさらに上がりました。総合診療医を育成すれば、医師不足を緩和できるかもしれないと考えているからです。つまり、総合診療医推進は、専門医偏重の医療界、特に大学に疑問を持つ医師と、医療費抑制や医師不足対策を進めたい厚労省の思惑が合致した結果と考えられるのです。

 我が国の財政状況を鑑みれば、確かに医療費抑制は課題の一つでしょう。私も、総合診療医を増やすことが医療費の抑制に貢献する可能性は十分にあると思います。ただし、これはあくまで政府の視点です。これが国民にとって、本当にいいことかはわかりません。

 この問題を考える際には、正確な情報を国民と共有し、オープンに議論すべきです。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/388884/
揺れる竹田市の救急医療 医師会病院で「拒否」増 「適正な受け入れ水準に戻した」 [大分県] 
2018年01月25日 06時00分 西日本新聞朝刊

 竹田市医師会が運営する竹田医師会病院(同市)で、元院長の懲戒解雇に端を発し、混迷が続いている。元院長が不在となった2017年12月に救急拒否の件数が増加。市民からの不安の声を受けて、市は病院に救急医療体制の確保を要請した。一方、病院側は「今までが無理をして受け入れており、適正な水準に戻しただけだ」と主張する。竹田市は県内でもとりわけ高齢化が進む自治体だけに、地域医療の危うさも見え隠れする。

 元院長は石井一誠氏(42)。関係者によると、医師会は「看護師へのパワハラや患者情報の漏えいなど、コンプライアンス(法令順守)違反があった」として昨年12月1日から自宅待機とし、同22日付で懲戒解雇にした。石井氏は「事実誤認で不当解雇」と大分地裁竹田支部に地位保全の仮処分を申し立てている。

 病院は内科、外科、整形外科、小児科、リハビリテーション科を掲げ、ベッド数は156ある総合病院。石井氏が16年1月に院長に就任し、同4月に2次救急病院の指定を受けた。竹田市の2次救急指定病院は他に大久保病院(同市久住町)があるが、市中心部からは約11キロ離れている。同市は救急患者の受け入れ数に応じて補助金を出しており、補助金額(16年度)は医師会病院が1660万円で、大久保病院は1400万円だった。

■院長解雇が影響か

 竹田市消防本部などによると、16年4月以降の医師会病院の救急受け入れは、ほぼ100%。毎月の拒否件数は0~2件だった。しかし17年12月は「専門外」「他の患者対応のため」などの理由で23件を断った。受け入れ要請の約3割に当たる。

 医師会側は「医療体制に変化はなく、救急治療も変わらず行う。拒否件数については、そもそもマンパワーが足りておらず、専門外の措置も行って医療過誤の可能性もあったので、適切に受けられる範囲に切り替えただけ」と説明する。24日には市役所を訪れ、非公開で同様の説明をしたという。

 同本部によると、現段階で拒否に伴う深刻な影響はない。ただ、市民からは「救急病院として今後、大丈夫なのか」「救急をやめるのではないか」といった懸念が出ている。「石井氏がいなくなった影響ではないか」という指摘もある。

■熊本県からも関心

 こうした事態について、ある医療関係者は「専門外でも応急処置などできることはある。点滴のルート確保だけでも全然違う」と指摘する。病院関係者の1人は「医師会病院が拒否すれば、場合によっては大分市まで運ばなければならない。けがや病気への対応が地域で完結できなくなり、住民に申し訳ない」と声を潜める。

 竹田市の高齢化率は44・29%(17年3月末現在)で県内では姫島村に次ぐ高さ。住民の男性(70)は「みんな医師会病院を救急病院として頼っている。税金が入っているなら、地域医療を充実させる責任を果たすために行政も対策を練るべきだ」と話した。

 県境を越えた熊本県阿蘇地域でも関心を呼ぶ。同地域は16年4月の熊本地震で熊本市内への交通アクセスが悪くなり、医師会病院と冬季の救急について協力態勢を構築しているためだ。阿蘇地域の医師会や消防の関係者は「今のところ影響はない」としつつも「推移を見守りたい」と状況を注視している。

■市は医師確保要請

 「ドクターヘリやDMAT(災害派遣医療チーム)の出動などで石井院長が果たしてきた役割は大きい。その院長がいなくなると、市民の不安は計り知れないものがある」。同市の首藤勝次市長は、17年12月27日付の自身のブログに書いた。市は18年1月9日付で医師会病院に提出した要請書で石井氏の解雇に伴い医師数が減ったことから、2次救急病院として体制を堅持できるよう速やかな医師の確保に加え、市民の不安の払拭(ふっしょく)などを求めた。

 県医療政策課は「患者の行き場がなくなるような状況ではないと認識しているが、救急態勢の維持に向け、いま一度、関係病院や機関で意思疎通を図りたい」としている。高齢化は進み、社会保障費が膨らむ中、医師の不足や偏在、過重労働の問題も指摘されている昨今。医療サービスの受け手である市民も含め、あらためて地域医療を考えることが求められている。



http://www.medwatch.jp/?p=18436
医師不足地域で勤務した医師を「社会貢献医」として認定、2020年度の施行目指す―社保審・医療部会 第59回(2) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MEDWATCH

 医師不足地域で勤務した医師を、厚生労働大臣が「認定社会貢献医」(仮称)として認定する新制度について、2020年度の施行を目指す―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会で厚生労働省は、このような内容の医療法・医師法改正案の概要を示しました。認定制度の創設には、医師不足地域での勤務を医師個人に促す狙いがあり、認定された医師を雇用する医療機関に「経済的インセンティブ」を与えることで、医師不足地域で勤務したい医師を医療機関も後押しする仕組みにします。厚労省は、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指しています。

 医療部会では、▼早急に実施する医師偏在対策▼地域医療構想の進め方▼救命救急センターの充実段階評価の見直し―などが議題となっています。本稿では、医師偏在対策の概要をお伝えします。

ここがポイント!
1 「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間
2 都道府県の体制強化は3段階で実施
3 医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

「認定受けた医師」であることを管理者要件にするまでに一定の経過期間

 今般の医師偏在対策の柱は、(1)医師少数地域での勤務を医師に促す環境整備(2)都道府県の体制強化(3)外来医療機能の偏在などへの対応―です。

今般の医師偏在対策は、▼医師の少ない地域での勤務を促す環境整備▼都道府県における体制整備▼外来医療機能の不足・偏在等への対応―3つの柱で構成される (図 略)

 このうち(1)の環境整備は、▼医師不足地域にある医療機関での医師の勤務環境を良くする▼医師個人に、医師不足地域での勤務にメリットを感じさせる―の両面から進めます。

医師不足地域で一定期間以上勤務した医師を「認定社会貢献医」(仮称)に認定する制度が創設される。医療機関には、認定を受けた医師を雇用することなどにインセンティブが付与される (図 略)

 現状、医師不足地域での勤務に対して医師が抱くイメージには、「自分の代わりに働く医師がいないため、休みがとりづらい」「自分の専門外の患者にも対応せざるを得ないが、別の医師からアドバイスをもらいづらい」のようにネガティブなものもあります。

 そこで厚労省は、次のような対策に取り組む方針です(どちらも法改正は不要)。

▼都道府県が医師不足地域に医師を派遣するに当たり、複数人を交代で派遣することで、休みをとりやすくする
▼医師不足地域に派遣された医師が、専門外の患者に対応できるように、地域の中核病院の医師が助言などを行う

 一方で、今般の医療法改正では、「医師不足地域で一定期間勤務した医師」を厚生労働大臣が「認定社会貢献医」に認定する制度を2020年4月に創設。一定の経過期間を置いた上で、この認定を受けた医師でなければ「厚生労働省令で定める病院」の開設者(院長)に就任できないと規定する見通しです。

 「厚生労働省令で定める病院」としては今のところ、地域医療支援病院のうち、医師派遣機能を有する病院が当たると想定されています。ただし、全国に543施設(2016年10月時点)ある地域医療支援病院の多くが、医師派遣機能を有していないのが実情で、「厚生労働省令で定める病院」の範囲は、今後も重要な論点になりそうです(関連記事はこちら)。

 なお、厚労省医政局総務課の榎本健太郎課長は、認定された医師を雇用する病院などを「予算面や税制面でも併せて評価する」ことにより、認定を目指して医師不足地域で働く医師を増やしたい考えを強調しています。この点、病院に与えられるインセンティブの例には「診療報酬上の評価」も挙がっています。2020年度以降の診療報酬改定で、何らかの加算が創設される可能性もあり、地域医療支援病院以外の病院にとっても注目すべき制度となります(関連記事はこちら)。

都道府県の体制強化は3段階で実施

 (2)の「都道府県の体制強化」について今般の法改正では、「A県出身の医師が、A県内の大学医学部に入り、卒後2年間の臨床研修をA県内の病院で行うと、臨床研修修了後もA県内で勤務する割合が高い」という厚生労働省調査結果を踏まえた対策を、都道府県が講じるための体制整備が、▼第1段階(改正法の公布日に施行)▼第2段階(2019年4月施行)▼第3段階(2020年4月施行)の―3段階で進められる見通しです。

都道府県が大学などとしっかりと連携し、地元出身医師の養成・定着策などを講じることが求められる(図 略)

 まず第1段階(改正法の公布日に施行)では、都道府県の医師確保関係の会議体が、「医師派遣については地域医療支援センター運営委員会」「専門医養成については都道府県協議会」のように乱立している状況を改め、「地域医療対策協議会」で一括して協議する体制に再編します。地域医療対策協議会には、大学医学部やその付属病院、主要な医療機関の関係者を参加させることで、後述する「地元出身者枠」の設置のような医師確保対策を、大学などと連携して実現させやすくします。

 次に第2段階(2019年4月施行)では、都道府県知事が大学医学部に対して「地元出身者枠」や「地域枠」を設けるよう要請できる権限を付与します。また都道府県に、医療計画の中で「医師確保計画」を規定するよう義務付けます。医師確保計画は、「地域の医療需要に見合う医師確保の目標値」などで構成され、その達成に向けた協議は地域医療対策協議会で行うことになります。「医療需要」を計算する際には、▼今後の総人口や人口構成の変化▼患者の流出入▼交通アクセス―などを加味します。なお、施行日から一定の猶予期間が設けられ、例えば、第7次医療計画の中間見直し時期(2021年4月)までに、医療計画に追記することが求められる見通しです。

 さらに第3段階(2020年4月施行)で、都道府県知事に▼臨床研修病院の指定権限▼臨床研修病院ごとの研修医定員の設定権限―を付与し、都道府県自ら「地元出身者らに魅力的な研修医プログラム」を用意できる体制を整えます。ただし、都道府県の裁量をあまりに大きくすれば、臨床研修の質を確保することが難しいため、研修の質を担保するために、大本となる「臨床研修病院の指定基準」や、「都道府県ごとでの研修医定員」は引き続き国が定めます。

 これら都道府県知事の権限強化によって、医師不足地域にある医療機関では、必要な医師数を確保しやすくなると期待されます。

医療計画に、外来医療の提供体制確保策も記載

 (3)の「外来医療機能の偏在対策」は、地域医療対策協議会ではなく、医療関係者が地域ごとに集まって検討していくことになります。具体的には、今般の法改正で、外来医療の提供体制に関する「協議の場」(医療提供者や保険者、住民代表などで構成)を、二次医療圏単位で都道府県知事が設置する規定が設けられる見通しです(2019年4月施行)。いわば「外来版の地域医療構想調整会議」に当たり、地域医療構想調整会議を充てることも認められます(関連記事はこちら)。この「協議の場」では、現存する外来医療機関の数や診療科などを踏まえて、「救急の外来患者にどの医療機関が対応するか」や「医療設備・機器などの共同利用をどう進めるか」などを話し合います。さらに、都道府県が医療計画に、外来医療に関する提供体制を確保するための施策などを記載することも求められるようになります(2019年4月施行)。

外来医療の提供体制については、二次医療圏単位で関係者が協議する(図 略)

 ほか、今般の法改正では、来年度(2018年度)から全面スタートする新専門医制度が、医師の地域偏在を悪化させる事態を招かないように、厚生労働大臣に、専門医の認定や養成を行う日本専門医機構に対して「必要な措置の実施」を要請する権限が与えられる見通しです(改正法の公布日に施行)。

厚生労働大臣から日本専門医機構に意見を述べる仕組みを法定する(図 略)

 この点、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は、厚生労働大臣が、日本専門医機構のほか「専門医養成に携わる学会」に対しても、必要な要請を行える体制にしたいとの考えを示しましたが、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「行政が学会に対して権限を持つことは、学会の本来の有り様と相容れない」と慎重な姿勢を表明しました。その一方で、神野正博参考人(全日本病院協会副会長、猪口雄二・全日本病院協会会長の代理出席)は「学会に対する権限も確保した方が、偏在対策には有効だ」と主張しており、学会への関与の在り方が論点となりそうです。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0122512632/
医師が長時間残業、杏林大病院に是正勧告...割り増し不足分3億円を支給〔読売新聞〕 
(2018年1月22日 読売新聞)

 杏林大学病院(東京都三鷹市)が、医師に労使協定(36協定)の上限を超える残業をさせ、残業代の支払いも不十分だったとして、病院を運営する杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。

 同学園は、医師約600人に残業代の割り増し不足分計約3億円を支給した。

 同学園によると、病院に勤務する研修医を含む医師計約700人との間で、特段の事情が発生した場合の残業時間を最大月70時間とする労使協定を締結。

 しかし、同労基署から、医師の残業時間について、厚生労働省が「過労死ライン」とする2~6か月平均80時間を十数人が超え、月100時間を超えた医師も数人いたとの指摘を受けた。体調を崩した人はいなかったという。

 また、医師約600人の残業代の割り増し分も、労働基準法の割増率を下回っていた。同学園は昨年12月、同労基署の調査対象となった昨年4~9月の不足分を一括で支給した。

 担当者は「是正勧告を重く受け止め、改善に着手している」と話している。



https://www.kochinews.co.jp/article/155534/
室戸中央病院が内科外来 医療確保へ高知県室戸市と協定 
2018.01.27 08:30 高知新聞

 高知県室戸市と、室戸中央病院(同市室津)を運営する医療法人「愛生会」は26日、地域医療の提供に関する協定を結んだ。室戸病院(同市元甲)が今月末で閉院するのに伴うもので、愛生会は外来診療の強化や一般病床の確保などに努め、市は必要な機器の整備や医師、看護師らの雇用に対して経費を補助する内容。協定を受け、まずは室戸病院の常勤医師1人を2月から室戸中央病院で雇用し、内科の外来と往診を行う。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582473
日病協議長「7対1、30%はハードル高い」
大学病院は「対策迫られる」
 
レポート 2018年1月26日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会議長の原澤茂氏(全国公私病院連盟常務理事)は1月26日の記者会見で、同日の中央社会保険医療協議会総会で入院医療の再編・統合で現行の一般病棟入院基本料「7対1」に相当する「急性期一般入院料1」の「重症度、医療・看護必要度」該当患者割合の基準値が2018年度診療報酬改定での新定義で30%とすることが決まったことについて、「地域や病院によってクリアできないところもある。かなり厳しい、ハードルが高いと受け止めている」と述べて懸念を示した(『入院医療「7対1」相当の患者割合は新定義で30%』を参照)。

 副議長の山本修一氏(国立大学病院長会議常置委員長)は、「公益裁定による結論のため粛々と受け入れて対応しなければいけない」と述べた上で、特定機能病院入院基本料の該当患者割合は新定義で28%になるのではとの見方を示し、重症度、医療・看護必要度の基準として加わる「モニタリング及び処置等に係る得点(A得点)が1点以上、患者の状況等に係る得点(B得点)が3点以上で、かつ『B14 診療・療養上の指示が通じる』又は『B15 危険行動』のいずれかに該当」について、「大学病院は認知症やせん妄の患者が少ない。この基準で現行の25%から3ポイント分増えるかどうか。対策を迫られると認識している」と述べた。

 山本氏によると、1月26日の代表者会議で出た意見は、入院医療に関して「中間的な評価ができ、7対1から下りやすくなった」、「看護師の奪い合いをしなくてよくなる」など。また、働き方改革で医師をはじめとして医療従事者の常勤配置に関する要件が緩和され、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算が可能になることについて、「働き方改革の方向性に一致する」として評価する声もあった。1月26日の中医協総会で提示された附帯意見案については、救急に関する項目がないため、追加してほしいとの意見が上がった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/582223
「外科専攻医1人のみ」が3県という現実直視を - 末永裕之・日病副会長に聞く 
新専門医制度による医師偏在、検証データの公表不可欠
インタビュー 2018年1月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 新専門医制度はこの1月に2次募集を締め切り、2月には2018年度から研修を開始する専攻医数が確定するが、2017年12月に1次募集の採用数が判明した時点で、既に医師の地域、診療科偏在が増長する懸念が呈せられている。
 当初は2017年度からスタート予定だった同制度は1年延期されたが、仕切り直す以前の制度に対して早くから地域医療に影響する可能性を指摘していた一人が、日本病院会副会長の末永裕之氏(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。末永氏に、新専門医制度の現時点での受け止めをお聞きした(2018年1月25日にインタビュー。全1回)。

――1次募集の採用結果をどう見ておられますか。

 皆さんが心配されているように、「東京一極集中」「内科、外科の専攻医が減少」などの報道があります。シーリング(東京都など5都府県の14の基本領域の専攻医は、過去5年間の専攻医の採用実績を超えないとするルール)がかかっているのに、なぜ東京都の専攻医が増えたのでしょうか。「マイナーな科に専攻医が流れている」という話もありますが、シーリングがあるのはマイナー科でも同様です。

 私も「東京一極集中」などの傾向については、恐らくそうかもしれないと思っていますが、過去5年間の専攻医の採用実績などのデータが公表されていません。日本専門医機構がデータを公表しない限り、医師の地域、診療科偏在が増長したのか否か、確たることは言えないのです。

 もっとも、現時点で明らかなことがあります。それは1次募集で採用が決定した外科専攻医数を見ると、5人以下が14県、うち3県は1人のみという事実です。内科専攻医数も、1桁が2県、20人未満が計16県。

  外科専攻医が1、2人しかいない状態が続いたら、その県では中小病院はもちろん、県立中央病院クラス、さらには大学病院ですら成り立たなくなってしまうでしょう。もし私がこうした県の大学教授だったら、暗澹たる気持ちになります。

 内科でも同様です。専攻医数が最小の県は5人であり、9人、11人の県もあります。この程度の数では将来的に、県内の各病院が内科医確保に苦労するのは目に見えています。

  基本領域の中でも、内科と外科の専攻医を確保できない県は、本当に大変です。こうした県で働いている医師たちはとても不安に思うでしょう。それをどう解消していくかも課題です。専攻医が来なければ、「将来の見通しが暗い」と考え、それより上の医師も集まらなくなってしまうでしょう。

 日本専門医機構は問題があれば、早急に対応すると言っていました。仮に日本全体の総数として、内科や外科の専攻医数を問題なく確保できたとしても、専攻医少数の県がある以上、日本専門医機構は検証のためのデータを早く集め、地域医療の崩壊につながるようなことが生じていないかを検討し、必要があれば調整を図る必要があります。各学会も対応を検討する必要があると考えています。

――そもそも新専門医制度の運営の在り方を検証するためのデータが公表されておらず、現時点で比較可能な公のデータは「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)です(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。

 日本専門医機構は、新専門医制度では、「本籍地」(基幹病院)の専攻医数として登録されるため、「現在地」(基幹病院から連携病院に派遣されている専攻医数)を踏まえて分析する必要があると言っています(『「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構』を参照)。

 ただ、(末永氏が病院事業管理者を務める小牧市民病院のある)愛知県の場合には、県をまたいで派遣されている専攻医数はわずかです。「現在地」が重要であれば、それが明らかになるよう調査する必要があります。他にも1次募集による採用数と、2014年三師調査を比較できない理由を説明されていますが、それも推測にすぎません。だからこそ、医師偏在が増長したか否かを検証するためのデータを出してもらいたいと考えているのです(『四病協、専攻医登録で「丁寧な情報開示を」』を参照)。

  新専門医制度が始まり、問題が起きればそれを早く直すことが必要です。修正がないまま数年続いたら、その問題が固定化してしまいます。仮に東京都で研修したいために、内科専攻医の定員がいっぱいでマイナー科を志望した専攻医が多いとしたら、医師養成数を増やしても偏在対策には何の意味もないことになります。

  私は日本専門医機構の理事をしていた時に、「各地域の疾患別患者数を分析、どのくらいの専門医が必要かをシミュレーションし、それぞれの地域で必要な専門医を養成していくことが必要」と言ったことがあります(編集部注:末永氏は2016年6月まで同機構の理事)。その際は、「新専門医制度はより良い専門医を養成することが目的であり、医師偏在の問題を考えるのは行政の仕事」と言われました。しかし、今の状況を見るとそれでいいのでしょうか。これはプロフェッショナル・オートノミーの中で考えていかなければいけない問題だと思います。

 仮に大都市部の大学や病院に専攻医が集中するなら、地方の医療機関にいかに派遣するか、そのシステムを検討していかないと、地方の医療は崩壊しかねません。

――ところで愛知県では、「名大方式」、つまり初期、後期研修は市中病院で行い、その後に大学に戻る医師が多いとお聞きしています。

 はい。だから愛知県には、新専門医制度そのものについて、以前から反対の声がありました。医師は、基幹となる市中病院で5年以上研修して専門医を取得、その後に大学に戻るケースが一般的でした。しかし、新専門医制度では循環型研修のため、市中病院は、専攻医を一定期間、他の病院に派遣しなければならなくなります。その間はどう対応すればいいのでしょうか。

  なお、愛知県の人口10万人当たりの医師数は、47都道府県別で見れば少ないのですが、シーリングの対象になりました(編集注:2016年三師調査で38位)。シーリングはどんな基準でかけ、どんな制御が働いたのかについても、明らかにする必要があります。愛知県の場合、内科専攻医数が減っており、この減少した数値を基に翌年もシーリングがかかれば、どんどん内科専攻医が減少していくことになりかねません。

  循環型研修については、身分保障の問題もあると思います。私が日本専門医機構の理事をしていた時から検討していましたが、まだ規定はできていないと思います。給与や各種保険の扱いなどは病院によって異なってくるでしょう。給与もあまり出ず、生活のために当直のアルバイトなどに行くのは本末転倒です。そうした辺りの詰めも含めて、制度設計が甘いのでは、と思います。

――いまだ基本領域とサブスペシャルティの関係も整理されていません。

 その点も含め、新専門医制度は「見切り発車」と言えるのではないでしょうか。

――プロフェッショナル・オートノミーがうまくいかなければ、行政の関与が強まる可能性があります。 

  だからこそ各学会、各地域の大学、地域の病院の先生方が声を上げ、まずは各種データの公表を求めていく必要があります。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52085
一度は廃院を決めた小さな病院の再生物語
地域包括ケアの重要拠点として専門医も続々参加へ
 
2018.1.26(金) 藤井 雅巳 JB PRESS

 2017年12月14日木曜日、東京都町田市の小高い丘の上に温かな風が吹いた。

 今までは、人気(ひとけ)も全くなかったとある小さな病院のロビーフロアは、地域の医療機関や介護・福祉施設、地元の高校の学生や地域の住民であふれ返っていた。

 それは、東京都町田市の自然豊かな丘陵地帯にひっそりと存在してきた「まちだ丘の上病院」が地域を支える医療機関として蘇生し、2025年問題*1へ挑戦蘇生するを始めた物語の序章である。

 実際にこの病院で起こった小さな奇跡とも言える物語を、事実関係と奇跡の要素要因を分析を踏まえながら紹介したい。キーワードは「夢(ビジョン)を持つこと」そして「有言実行」である。

*1=2025年問題:団塊の世代が75歳以上になり、全国で約43万人が施設と専門人材不足を背景に必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による問題。

類を見ない障害者の治療をする病院

 「まちだ丘の上病院」は、つい半月前までは「南多摩整形外科病院」という名称で呼ばれていた。地域の住民もそこに病院があるのかどうかも知らない、人気(ひとけ)のない丘の上に存在するこの病院は、実は知る人ぞ知る著名な医療機関だった。

 「南多摩整形外科病院」は、脳性麻痺による重度身体障害児(者)の機能改善を手がける、全国や時には海外から患者が指名で集まる医療機関だった。

 故・和田博夫博士の甚大なる尽力により、当時の美濃部東京都知事の政策的な後押しもあり、「南多摩整形外科病院」は産声を上げることとなった。その後、和田博士の急逝もあり、一時期はこの特異な専門医療を中断しなければならない時期があったという。

 しかしながら、病院を必要とする患者の会や多くの支援者の支えもあり、松尾隆前院長を迎えて、機能改善医療を再開するに至ったという歴史を持つ。多くの支えの中で歴史を刻んできた医療機関だった。

 しかし、継承者不在という全国の中小病院が等しく抱える課題は「南多摩整形外科病院」にとっても同様だった。

 しかも、あまりにも特殊な技能を持った医師によって支えられていたこの医療機関にとっては、経営の継承問題は人間国宝の伝統工芸を継承するかのごとく難しい課題だった。

 そんなアキレス腱を抱えながら存続していた「南多摩整形外科病院」に不幸が襲いかかることになる。院長が倒れたのである。2016年暮れのことだった。

 松尾隆院長は一命をとりとめ、その後現場復帰するも、長い休養期間と年齢という生命の限界には抗うことができず、「南多摩整形外科病院」は、かつての活気を取り戻すことはできなかった。

 そればかりではなく、期間損益で大幅な赤字計上を余儀なくされていたため、財政的にも窮状に瀕していた。そんな中、一人また一人と多くの医療専門スタッフは離れていった。

絶望の中訪れた転機、そして蘇生へ

 もはや、この病院が蘇ることはないのだろうか。多くの職員はそう考えていたに違いない。

 職員も含め、皆があきらめそうになりかけた時、この医療機関にとって大きな転機が訪れた。

 医療・福祉で地域を元気にする活動をしている諏訪中央病院名誉院長の鎌田實を所長とする我々「地域包括ケア研究所」との出会いがあり、経営の支援が決まった。

 そして、この厳しい状況下にありながらも未来に向かって歩み始めた医療機関に対して温かい心ある金融機関が現れた。融資実行を決断してくれたのだ。

 それらの出会いは、とても細い細い糸をたどるように偶然の出会いによって訪れた。しかし、その偶然は「夢(ビジョン)を持つこと」、そして掲げた目標を実践するという「有言実行」を成し遂げることを通じた、必然によってもたらされていると言えるのではないだろうか。

 病院の中に一握りの希望を持ち続けた職員がいたことがきっかけとなり、その希望を形にする方針と具体的な行動目標を示し、職員が皆で実行し切ったことが要因にほかならない。もう少し具体的に順を追って説明していきたい。

 2017年12月1日、ひっそりと「南多摩整形外科病院」はその歴史は幕を下ろした。「まちだ丘の上病院」として、蘇ったのだ。名誉院長には地域包括ケア研究所の鎌田實所長が就任した。

 そして、院長には最先端の外科医から教育者を経て、複数の医療機関の病院長を経験した経験豊富な金良一医師が着任した。

 院長は、我々が描く「温かい地域創り」に医療分野から取り組んで行く活動に共感して集まった夢(ビジョン)を共有した仲間だ。初めの「有言実行」は、組織の中心となる医師体制を構築することだ。

 本来なら潰れかけの病院へわざわざ飛び込んで来る医師はいない。ましてや輝かしいキャリアを持った医師であればなおさらだ。地域包括ケア研究所が医師体制構築という実現困難な有言実行を果たしたのだ。

 職員は当日を迎えるまで半信半疑だったに違いない。しかしながら、その日新たな院長を迎えたことは、組織に小さな自信をもたらした。

地域の多くの期待が後押しに

 閉院寸前まで来ていた病院は、こうしたメンバーに支えられて蘇った。そして、「まちだ丘の上病院」を地域にお披露目する12月14日を迎えた。

 これまで、地域の医師会にも入らず、自治会にも顔を出さず、地元の住民ですら知らないような外来患者数人という病院のお披露目などに人々は来てくれるのか。職員の多くはそんな不安を抱えながら当日に向け準備を進めてきた。

 我々が掲げたお披露目会の集客目標は50人だった。50人でもこれまでの経緯を考えると出来過ぎた数字かもしれない。しかし、蓋を開けてみれば、その目標の2倍以上、100人を超える参加者が足を運んでくれた。

 余ったら職員の夕食にでもしようかと思い、かなり余裕をもって用意していた弁当が足りず、用意した椅子も足りず、ついには立ち見の人々までが出るほどだった。

 これだけ多くの人が集まったのは、準備した職員が一丸となって決めた役割を果たしたこと、地域の住民や医療機関からの大きな期待(ニーズ)があったからにほかならない。

 2週間足らずの準備期間で、リストアップした約300の地域の医療機関や介護・福祉施設、訪問看護ステーション、地域包括支援センターへの案内を行い、地域住民には職員が手分けして個別訪問も行った。

 「ここで頑張らないでいつ頑張るのか」。職員の想いは1つになった。潰れかかり活気を失っていた職員の間に自然と笑顔と充実感が現れてくるようになった。

 また、地域を支える医療機関として「温かな医療」と「確かな医療」そして「共に歩む医療」という理念を掲げた「まちだ丘の上病院」が目指す医療は、まさに地域に求められているものだった。

 町田市は多摩丘陵の南端に位置し、古くは街道があり宿場として栄えた町だった。南北に長く古い町並みが残ることから交通の便が悪いことに加え、多くのほかの地域と同様に少子高齢化問題を抱える地域である。

 さらに丘陵地であるために坂道が多い地形は、地域の高齢者にとっても医療機関への通院は深刻な問題となっていた。そんな地域住民の抱える課題からくる期待は大きく、掲げた夢(ビジョン)が確かに地域の届いたのだろう。

 1つの出来事に過ぎないが、病院の職員には「有言実行」を果たした小さな成功体験になった。

 そして、何よりこの日を境に患者さんが病院に集まりだした。病床稼働は、新たな体制でスタートした12月1日から1か月で約30%増加し、1か月半経過したところで約45%の改善が実現した。

2025年問題への挑戦

 町田の丘の上に吹き始めた温かな風は、追い風となってくれたようだ。一度は潰れかけた病院を辞めていった職員が、再び戻ってきた。

 そして、新たに「まちだ丘の上病院」が取り組む医療を目指す仲間になりたい専門家が少しずつ集まり始めた。


 病床稼働改善によって必要になる看護師の採用計画は当初今年度3月末までに5人を計画していた。これは医療機関として充足させなければならない必達の基準だ。

 それが、2か月弱で5人の看護師が仲間になってくれ、採用計画を前倒しで達成した。この規模の病院ではいかに難しいことか。

 アベノミクスによる好景気と少子高齢化による生産年齢人口の減少もあり、人手不足は全国的にも深刻な問題だ。

 さらに、医療・介護の分野についていうと有効求人倍率は3倍以上にもなる。医療機関や介護施設は看護師集めに大変な苦労を強いられ、看護師や専門スタッフが集まらないという理由で潰れていく医療機関や介護施設は後を絶たない。

 そんな苦しい採用市場の中で、とても立地上利便性が良いとは言えない古ぼけた医療機関に専門スタッフが集まり始めたのだ。

 そこには、2025年問題を乗り越えるために地域を支えるという明確な夢(ビジョン)を掲げ、それを実行する有言実行型の組織へと変化し始めていたことが背景として挙げられる。

 夢(ビジョン)を持ち有言実行できる組織は、医療・介護の専門家の成長のための場としても望ましい環境と言える。

 まだ「まちだ丘の上病院」は、小さな小さな一歩を歩み始めたに過ぎない。まずは入院患者をもっと増やして、次に外来患者も増やしていかなければならない。融資を受けた借入金を、責任もって返済していかなければなない。

 まだマイナスからのスタートを切ったばかりで、一(いち)医療機関として自立しているとはとても言えない状況だ。

 しかし、この病院が立ち向かっていく課題は、病院と言う小さな単位でも、町田という地域に限ったことでもない。

 我が国は全国で約43万人が必要な介護を受けられない「介護難民」になると言われている世界的にも例をみない少子高齢化による2025年問題という大きな坂道に向かっていかなければならない。

 私たちの小さな一歩は、そんな日本の未来に向けた坂道を上る第一歩にほかならない。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180125202441
医師臨床研修、精神科など4科目を必修化へ
医道審の部会が報告書素案を大筋了承
 
2018年01月25日 20:45 CB NEWS

 厚生労働省は25日、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会に対し、医師臨床研修制度の見直しに関する報告書の素案を示し、大筋で了承された。精神科と外科、産婦人科、小児科の4科目については、「必修分野とする」と明記した。厚労省は報告書を踏まえて研修制度を見直す方針で、2020年度からの必修は、従来の3科目(救急、内科、地域医療)に、精神科などの4科目が加わり計7科目になる見通し。【新井哉】

 精神科などの4科目をめぐっては、10年度に必修科目から外されたため、4科目の関連団体や関係者らが必修化を求めていた。

 素案では、「外科や小児科、産婦人科、精神科を含む複数の診療科をローテートすることで、研修医の基本的な診療能力に一定の向上が見られた」と指摘。一般的な臨床で頻繁にかかわる負傷・疾病に対応できるようになるため、4科目の必修化によって基本的な診療能力を身に付ける方向性を示している。

 また、「地域保健」とされている選択研修については、地域医療との混同を防ぐため、「保健・医療行政」とし、「国際機関、行政機関、矯正施設、産業保健等での研修も可能であることを明確化する」としている。次回の会合で、素案を修正した報告書案について議論する。早ければ3月中にも報告書が公表される予定。



http://www.medwatch.jp/?p=18453
公立・公的病院の役割、調整会議で見直せるのか?―社保審・医療部会 第59回(3) 
2018年1月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公立・公的病院が2025年に担う役割や、機能ごとの病床数について、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で今年度(2017年度)中に協議し、明確化させる―。

 1月24日に開催された社会保障審議会・医療部会では、厚生労働省医政局地域医療計画課の佐々木健課長が、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)が整理した「地域医療構想の進め方」を踏まえ、このような内容の通知を都道府県に宛てて発出する考えを示しました(関連記事はこちらとこちら)。

 医療部会では、公立・公的病院の将来の役割などを調整会議で優先的に話し合う方向性に複数の委員が賛同した一方で、公立病院などの役割を見直すことが本当にできるか疑問視する声も上がっています。

ここがポイント!
1 公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認
2 公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も
3 将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ
4 准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

公立・公的病院の役割、「他病院では担えないか」確認

厚労省は、「地域医療構想に関するワーキンググループ」が整理した「地域医療構想の進め方」の内容を通知にまとめて、都道府県に宛てて発出する方針だ(図 略)

 地域医療構想に関するワーキンググループが整理した「地域医療構想の進め方」についてはメディ・ウォッチでお伝えしています。おさらいすると、調整会議で次のような協議を行うよう求めています。

▼公立・公的病院の2025年時点の役割などについて、調整会議で今年度(2017年度)中に協議する
▼医療機能などを大きく変更する予定のある医療機関の役割についても、速やかに協議する
▼遅くとも来年度(2018年度)末までに、全医療機関の2025年時点の役割について協議する

 このうち、公立病院に関する協議では、公立病院が策定した「新公立病院改革プラン」(地域医療構想を踏まえた自院の役割などを明記)を基に、公立病院が2025年に、地域でどのような役割を担うべきかを話し合います。

 公立病院には「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」がなされていることから、「民間医療機関では担えない分野」に重点的に取り組むことが求められます。そこで、例えば「近隣にある民間医療機関のA病院が救急医療に力を入れているが、公立B病院でも同様の役割を担うべきか」といった観点で検討し、「B病院ではA病院が対応できない患者をカバーする」のように公立病院の役割を見直す必要があります。

公立・公的病院の役割を協議するに当たっては、「補助金などの財政補てん」や「税制上の優遇」の状況も重視することが求められる(図 略)

 一方、「公的医療機関等2025プラン」は、公立病院以外の公的医療機関(日本赤十字社、社会福祉法人恩賜財団済生会、厚生農業協同組合連合会などが開設する医療機関)や、地域医療支援病院などが策定することになっています。

 これら医療機関にも「税制上の優遇」などがなされていることから、「公的医療機関等2025プラン」に記載された「自院の今後の役割」が、ほかの医療機関で担えない内容か調整会議で確認し、「税制上の優遇」などに見合う役割にする必要があります。

公立病院などの方針に「おかしい」と言えるか疑問も

 今般の医療部会では、加納繁照委員(日本医療法人協会会長)が、「公立病院や公的医療機でなければ担えない分野に重点化すべきことが明記され、非常に良いことだ」と述べたほか、中川俊男委員(日本医師会副会長)も、「民間との役割分担を踏まえて公立病院などの役割を確認する良い仕組みになった」と述べ、公立病院などの役割をめぐる議論が、各地の調整会議で進むことへの期待を示しました。

 ただし加納委員は、「繰入金の規模が、公立病院の役割を見直す上での重要な資料となるが、調整会議に示していない都道府県もある。繰入金情報を出すようにお願いしたい」と要望。中川委員は、「新公立病院改革プラン」や「公的医療機関等2025プラン」が調整会議で議論されない懸念があると訴え、佐々木課長は「全国で議論が進むように、さまざまな形で取り組みたい」と応じました。

 また、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、自身が理事長を務める地域医療支援病院が策定した「公的医療機関等2025プラン」について調整会議で今月協議したところ、「プランに対して何の意見も出なかった」ことを紹介しています。その理由を相澤委員は、「病院が『こうしたい』と言えば他の病院は『おかしい』と言えないし、『頑張る』と言われれば『頑張って』と言わざるを得ない」ためと考察し、厚労省から調整会議で協議するよう求めるだけでは、公立・公的病院の役割を適切に見直すことが、実際にはできないのではないかと問題提起しています。公立・公的病院の役割見直し論議を実際に進めるために、どのような方策が有効なのかが、今後の重要な検討課題となりそうです。

将来の病床過剰状態を防ぐため、都道府県知事の権限強化へ

 今般の医療部会には、2025年時点の必要病床数を超える病床新設を「許可しない権限」を都道府県知事に付与する方針も佐々木地域医療計画課長から報告され、了承されています(関連記事はこちら)。

赤枠の部分の権限を都道府県知事に付与するため、厚労省が、医療法などの改正を目指す(図 略)

 現行制度では、地域における病床数上限となる「基準病床数」を、現在の病床数が上回る地域(病床過剰地域)で、増床や病院新設を認めない権限が、都道府県知事に付与されています。ただし、「基準病床数」が直近の人口をベースに計算されているために、人口が今後大きく減少すると見込まれる地域(東京都の「島しょ医療圏」など)では、「2025年時点で必要とされる病床数<現在の病床数<基準病床数」という状況になっています。そうした地域では、知事が病床新設を認めざるを得ず、2025年時点で「実際のベッド数が、必要病床数よりもかなり多い」(過剰)状態になってしまいかねません。

 そこで、厚労省は医療法などを改正し、「2025年時点の必要病床数<現在の病床数<基準病床数」となっている地域で、病院新設が実質的に認められなくなるように、都道府県知事の権限を強化する方針で、今年(2018年)の通常国会への法案提出を目指します(関連記事はこちら)。

准看護師試験、都道府県が外部機関に委託できる制度に

 今般の医療部会では、准看護師試験の事務(出願受付や、試験・合格発表の実施など)を、都道府県が外部の「指定試験機関」に委託することを認める方針が、厚労省医政局看護課の島田陽子課長から示され、了承されています。

都道府県に掛かる准看護師試験の事務負担を軽減するため、厚労省は、保助看法改正を目指す(図 略)

 現行制度では、准看護師試験を他の都道府県と共同で行うことが可能で、昨年度(2016年度)は全国6グループに分かれて実施され、1万7841人が受験しています。しかし、共同で実施しても都道府県側の事務負担が大きいままという指摘があることから、厚労省は、2019年度の試験から、外部の「指定試験機関」への委託を認める考えで、今年(2018年)の通常国会への保助看法(保健師助産師看護師法)改正案の提出を目指します。日本医師会や病院団体は「准看護師の重要性」を以前より強調しており、この見直しで「都道府県の負担が減り、准看護師育成が継続される」ことを歓迎しているとみられます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581973
医師偏在対策に向けた医療法等改正は2段階で実施 「医師少数区域等」勤務医師にインセンティブ 
レポート 2018年1月25日 (木)配信長倉克枝(m3.com編集部)

 厚生労働省は1月24日に開催した社会保障審議会医療部会(部会長:永井良三・自治医科大学学長)で、医師偏在の解消を目指し、医師少数区域等で勤務した医師の評価制度創設を盛り込んだ医療法・医師法の改正法案の概要を示した。同省は医師法・医療法の改正法案の今年通常国会への提出を目指す。医師少数区域等で勤務した医師の評価制度など一部については2020年度から、その他は2019年度からと、2段階に分けて施行する予定だ。

 新設する医師少数区域等で勤務した医師に対する評価制度は、医師少数区域等で一定期間勤務した医師に対してインセンティブを与えるもの(『医師偏在対策、「一歩踏み込んだ」「全然進んでいない」』などを参照)。厚労省が評価・認定し、認定された医師でなければ厚労省令で定める病院の開設者になれない。一方で、「30歳くらいで地域で勤務して認定されたとして、(病院開設者になる時期の)20年後や25年後に新たに開設される地域医療支援病院は100施設くらいだと思うが、これはものすごく小さなご褒美だと感じる」(部会長代理の慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏)とインセンティブが低いのではという意見のほか、この「医師少数区域等」の定義についても明確にすべきとする意見があった。

 また、改正法案には医学部、臨床研修、専門研修の医師養成過程を通じた医師確保対策も盛り込込む。臨床研修病院の研修医の定員数を都道府県知事が定めるなどとした臨床研修関連の対策については、2021年度研修開始分(医師臨床研修マッチングは2020年に実施)から適用する。

 専門研修では、国から日本専門医機構等に対して研修機会の確保の要請権限や、地域医療の観点から必要な措置実施を意見する仕組みを創設するとしている。日本専門医機構等には学会等も含まれるとの同省の説明に対して、委員からは「学会はそのような性質のものではない」(日本医師会常任理事の釜萢敏氏)とした異論が相次いだ。一方、改正法案で日本専門医機構の位置付けを明記することについては、同機構理事も務める、参考人で全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「機構に情報公開を求めているが、なかなか出てこない。ガバナンスが利いていないのは非常に問題。厚労省から機構に対する権限を法的にも確保した方が、医師の偏在対策にも重要だと思っている」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=18420
地域包括ケア病棟、自宅等患者を多く受け入れる中小病院の評価を手厚く―中医協総会 第386回(2) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定では、地域包括ケア病棟のうち、「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などが高い200床未満の病院に設置された病棟を高く評価する―。

 1月24日の中央社会保険医療協議会・総会に示された「短冊」には、こういった内容も盛り込まれています。同じ地域包括ケア病棟でも、病院の規模や自宅等患者割合で評価が異なることになり、今後の病床戦略にも影響が出てきそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実
2 回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価
3 看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も
4 療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

自宅等入院患者割合の高い、中小病院に設置する地域包括ケア病棟の評価を充実

 2018年度には、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料の再編・統合という歴史的な診療報酬改定が行われます。急性期(7対1・10対1)の再編・統合については既にメディ・ウォッチでお伝えしており、今回は後方病床(地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、13対1・15対1、療養病棟)の再編・統合案に焦点を合わせてみます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 まず地域包括ケア病棟については、看護配置13対1を基本部分とし、診療実績として「自宅等から入棟した患者の割合」「自宅等から緊急入院した患者の受け入れ数」などを勘案した4種類の入院料に再編・統合される方針が示されました(病室単位の地域包括ケア入院医療管理料も同様の再編・統合が行われる)(関連記事はこちら)。

 基本部分の基準を見ると、▼看護配置13対1以上▼一般病棟用の重症度、医療・看護必要度IまたはIIを満たす患者割合が一定以上▼院内への在宅復帰支援者の配置▼病棟への常勤PT・OT・STの配置▼疾患別リハビリテーション料の届け出—などが盛り込まれます。

 ここに診療実績を組み合わせ、次の4種類の入院料が設定されます。

【地域包括ケア病棟入院料1】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料2】:▼在宅退院患者割合が一定以上▼1人当たりの病室床面積が内法で6.4平米以上

【地域包括ケア病棟入院料3】:▼許可病床数200床未満▼入棟患者に占める「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上▼自宅等からの緊急入院患者受入数が一定以上▼3か月間の「在宅患者訪問診療料」「在宅患者訪問看護・指導料等」「同一敷地内の訪問看護ステーションにおける訪問看護基本療養費等」「開放型病院共同指導料(Ⅰ)(Ⅱ)」などの算定回数が一定以上(選択要件)▼介護保険の訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなどの実施(選択要件)▼「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」等(以下、ガイドライン等)を踏まえた看取り指針の策定

【地域包括ケア病棟入院料4】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 現在の【地域包括ケア病棟入院料1】及び【地域包括ケア病棟入院料2】のうち、診療実績(「自宅等からの入棟患者」割合が一定以上など)が高い200床未満のところを新たな【入院料1】【入院料3】として高い報酬を設定することになります。

地域包括ケア病棟の再編統合、「自宅等からの患者受入割合」などに応じ実績評価を行い、自宅等患者割合の高い200床未満の中小病院の地域包括ケア病棟で手厚い評価が行われる (図 略)

また【救急・在宅等支援病床初期加算】を、▼急性期一般病棟からの転院・転倒患者の受け入れを評価する【急性期患者支援病床初期加算】▼自宅や介護施設などからの入院患者に対する、患者や家族の「治療方針に関する意思決定」支援を評価する【在宅患者支援病床初期加算】—に細分化し、後者を手厚く評価する方針も明確にされました。
これらから、「自宅などからの急性増悪患者・救急患者をより多く受け入れる」「200床未満の病院に設置される」地域包括ケア病棟では収益が増加(基本料のアップ+加算のアップ)することが予想されます。逆に、点数や基準値の設定如何によっては、「大規模病院に設置され、7対1の受け皿として機能している地域包括ケア病棟」では収益減少の可能性もあります。今後の病床戦略に大きな影響を与える見直し内容であり、詳細に注目する必要があります。

回復期リハビリ病棟、リハビリ実績指数の高い病棟を手厚く評価

回復期リハビリ病棟では、看護配置15対1以上、PT2名・OT1名配置などの基本部分と、リハビリ実績指数(リハビリ提供によるADL改善度合いを指数化したもの)や重症患者割合、自宅等退院患者割合などの診療実績に応じた段階的評価を組み合わせた報酬体系への見直し(6種類の入院料を設定)が行われます(関連記事はこちら)。

基本部分の基準を見ると、▼回復期リハビリの必要性が高い患者割合80%以上▼回復期リハビリが必要な患者への1日2単位以上のリハビリ提供▼病棟への専任・常勤医師1名以上配置▼看護配置15対1以上(回復期リハビリ病棟入院料1・2では13対1以上)▼看護職員に占める看護師割合4割以上(同、7割以上)▼看護補助配置30対1以上▼病棟への専従常勤PT2名以上、常勤OT1名以上配置(同、専従常勤PT3名以上、常勤OT2名以上、常勤ST1名以上配置)▼データ提出加算の届け出(回復期リハビリ病棟入院料5・6では200床以上の病院のみ)—などとなっています。

ここに診療実績を組み合わせ、次の6種類の入院料が設定されます。

【回復期リハビリ病棟入院料1】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料2】:▼病棟への専任・常勤の社会福祉士1名以上配置▼休日を含めた週7日間のリハビリ提供体制▼新規入院患者に占める重症患者割合が3割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(4点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料3】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料4】:▼新規入院患者に占める重症患者割合が2割以上▼重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善(3点以上)▼自宅等退院患者割合が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料5】:▼リハビリ実績指数が一定以上

【回復期リハビリ病棟入院料6】:基本部分の要件(施設基準)を満たす

 【入院料1と2】【入院料3と4】【入院料5と6】は、それぞれセットで、「重症患者の受け入れ割合」や「リハビリ体制の充実度合い」に応じて階段が設けられます。各セットの中で、リハビリ実績指数に応じた階段が設定される形です。より効果的なリハビリを提供し、ADL改善効果が高い回復期リハビリ病棟が経済的にも高く評価される形になります。

回復期リハビリ病棟の再編統合、看護配置15対1以上、PT2名配置などを基本部分とし、「重症患者受入割合や重症患者のADL改善度合い」、さらに「リハビリ実績指数」に着目した実績評価を行う (図 略)

 こうした見直しに伴い、現在のリハビリテーション充実加算(1日6単位以上の濃厚リハビリ提供などを評価している)は廃止されます。
このほか回復期リハビリ病棟については、▼リハビリ実績指数が一定以上などの要件を満たす場合には、専従のPT・OT・STであっても「回復期リハビリ病棟退院から3か月以内の患者」に対し外来リハビリの提供、在宅患者訪問リハビリの提供を可能とする(専従要件の緩和)▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に、管理栄養士のリハビリ実施計画作成への参画、管理栄養士・医師・看護師らによる計画に基づく栄養状態の定期評価と計画見直しなどを盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】の要件に「病棟への専任・常勤管理栄養士配置が望ましい」旨を盛り込む▼【回復期リハビリテーション棟入院料1】において、入院栄養食事指導料を包括から除外する(出来高算定可能)—といった見直しも行われます。

看護必要度を測定する13対1病棟を高く評価、将来、重症患者割合の設定も

13対1・15対1一般病棟入院基本料は、次の3種類の【地域一般入院料】に再編・統合されます。

【地域一般入院料1】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内▼入院患者について、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Iの評価を行う

【地域一般入院料2】:▼看護配置13対1以上▼看護職員に占める看護師割合7割以上▼平均在院日数24日以内

【地域一般入院料3】:▼看護配置15対1以上▼看護職員に占める看護師割合4割以上▼平均在院日数60日以内

13対1・15対1の再編統合、15対1を基本部分とし、看護配置13対1以上とし、さらに重症度、医療・看護必要度の測定を行っているとこを手厚く評価する (図 略)
 
 【地域一般入院料1】では、重症度、医療・看護必要度Iの測定が必要となり(現在の一般病棟看護必要度評価加算を入院料に組み込む形)、このデータに基づいて2020年度以降の診療報酬改定で「重症患者割合」が導入される可能性があります。今から、「より重症な患者を受け入れる」ための取り組み(重症患者を紹介してくれるクリニックや介護施設などとの連携強化、必要に応じた救急患者受入、急性期を脱した患者の在宅復帰や介護施設への退院支援の充実など)を進めることが重要です。

療養病棟は20対1に一本化、医療区分2・3患者割合に応じた点数を設定

 療養病棟については、看護配置20対1に一本化し、ここに医療区分2・3患者割合に応じた実績評価部分が組み合わされます(療養病棟入院料1と2)。看護配置25対1などの療養病棟は「経過措置」として存続が可能ですが、「看護体制の強化、重症患者の受け入れ強化によって医療保険の療養病棟としての存続」を図るのか、「介護医療院などへの転換」を図るのか、などを早期に決断する必要があります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

【療養病棟入院料1】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【療養病棟入院料2】:▼看護配置20対1以上▼看護職員に占める看護師割合2割以上▼看護補助20対1以上▼医療区分2・3の患者割合が一定以上

【経過措置1】(当面2年間、減額された入院料を算定可能):療養病棟入院料2の基準のうち、▼看護配置20対1以上(ただし看護配置25対1以上は満たすこと)▼医療区分2・3の患者割合が一定以上—のいずれかのみ満たさない場合(現行の看護配置25対1である療養病棟入院基本料2が相当する)

【経過措置2】(2年間、さらに減額された入院料を算定可能):▼看護配置25対1—を満たさない場合(ただし看護配置30対1以上は満たすこと)(現行の療養病棟入院基本料2の経過措置が相当)

療養病棟入院料の1と2は、看護配置などは同じで、「医療区分2・3の患者割合」によって区分されます(例えば、入院料1では80%以上、入院料2では50%以上など)。

療養病棟の再編統合、医療区分2・3患者割合に応じた実績評価を行い、現在の療養病棟入院基本料2は経過措置としての存続のみ認められる (図 略)
 
 このほか療養病棟に関しては、▼医療区分3のうち「医師・看護職員により、常時、監視・管理を実施している状態」については、他の医療区分3・2の項目に1つ以上該当する場合に限り医療区分3として取り扱う▼在宅復帰機能強化加算について、点数および「一般病棟等から入院し、在宅へ退院した患者」割合の基準値を見直す▼日常生活の支援が必要な患者(ADL区分3)を多く受け入れ、手厚い夜間看護配置(16対1以上)を行い、身体拘束を最小化する病棟を評価する【夜間看護加算】を新設する▼救急・在宅等支援病床初期加算について地域包括ケア病棟と同様の見直しを行う(上述)▼200床以上の病院でデータ提出を義務付ける―などの見直しが行われます。



http://www.medwatch.jp/?p=18400
7対1・10対1を再編した急性期一般入院料、重症患者割合をどう設定するか—中医協総会 第386回(1) 
2018年1月24日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 7対1・10対1一般病棟入院基本料を再編・統合し、7種類の「急性期一般入院料」を新設する。10対1看護配置・平均在院日数21日以内をベースとし、重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合に応じた段階的な点数設定とする—。

1月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会で、厚生労働省はこういった内容を盛り込んだ2018年度診療報酬改定の個別改定項目(いわゆる短冊)を提示。ただし、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者割合」をどの程度に設定するのかについて、診療側と支払側の意見には大きな隔たりがあり、今後の調整に注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定
2 現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張
3 看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当
4 DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

7種類の急性期一般入院料、中間評価では「DPCデータ」による重症患者割合を設定

 2018年度改定に向けた議論がいよいよ佳境を迎え、短冊に基づく「点数や基準の詰め」に関する議論に入りました。1月24日には、改定内容のうち「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」に関する項目が議論の対象となり、「質の高い医療の実現・充実」や「医療従事者の負担軽減・働き方改革」などに関する項目は次回(1月26日)に議論されます。

 改定項目は膨大なため、ここでは「急性期入院医療」に関連の深い事項にポイントを絞って見ていきましょう。

 すでにメディ・ウォッチで何度かお伝えしているとおり、急性期から長期療養に至る入院基本料・特定入院料について、「看護配置などに基づく基本部分」と「診療実績に基づく段階的評価部分」とを組み合わせ再編・統合が行われます。急性期入院医療(7対1・10対1一般病棟入院基本料)については、次の7種類の「急性期一般入院料」に再編されます。もっとも高い「急性期一般入院料1」については、現在の7対1からの移行が見込まれるため、「看護配置7対1以上」「平均在院日数18日以内」という7対1の施設基準が設定されますが、ほかの入院料では「看護配置10対1以上」「平均在院日数21日以内」という10対1の施設基準がベースになります。しかし、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、統一基準・指標に基づく5段階の入院料を「急性期入院医療の将来イメージ」として提示しており、現在の7対1の施設基準を踏襲している「急性期一般入院料1」の基準も2020年度以降の改定で見直されていくことになりそうです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

【急性期一般入院料1】(現行7対1相当):▼看護配置7対1以上▼平均在院日数18日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上▼自宅等退院割合が一定以上▼常勤医師配置10対1以上

【急性期一般入院料2】(7対1と10対1の中間その1):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料3】(7対1と10対1の中間その2):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IIが一定以上▼届け出前3か月間、急性期一般入院料1を届け出ている

【急性期一般入院料4】(10対1+看護必要度加算1のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料5】(10対1+看護必要度加算2のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料6】(10対1+看護必要度加算3のイメージ):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度IまたはIIが一定以上

【急性期一般入院料7】(現行10対1相当):▼看護配置10対1以上▼平均在院日数21日以内▼データ提出加算の届け出▼重症度、医療・看護必要度Iを測定している
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
7対1・10対1を再編統合し、7種類の急性期一般入院料(仮称)とする案を厚労省は提示した
 なお、2018年3月31日時点で「7対1を届け出ている病院」は【急性期一般入院料1】を、「200床未満で25%以上を満たさず、23%以上となっている7対1病院」「病棟群単位の入院基本料を選択している病院」は【急性期一般入院料2】を、「看護必要度加算を届け出ている10対1病院」は【急性期一般入院料4-6】を、一定期間取得できる経過措置が設けられる見込みです。

現行の重症患者割合、支払側は30%、診療側は25%を主張

 今後の議論で最大の争点となるのが「重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)を満たす患者割合」(以下、重症患者割合)をどの程度に設定するかです。

 このテーマに関しては、(1)患者割合のそもそもの基準値を引き上げるべきか(2)項目の見直しを行った場合、基準値をどう見直すのか(3)計算方法として、現在の看護必要度評価票に代えて「DPCデータ(EF統合ファイル)」を用いた場合の基準値をどう設定するか—という3つの論点があります。それぞれについて見ていきましょう。

まず(1)は「現在の7対1の重症患者割合【25%以上】そのものを引き上げるべきか」という論点で、当初から診療側は「現状の25%を維持すべき」、支払側は「引き上げるべき」との姿勢を崩していません。

1月24日の中医協総会で支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、厚労省の提示した資料から▼現行の7対1病床を、重症患者割合に応じて3種類(7対1相当の急性期一般入院料1、中間的評価の急性期一般入院料2および3)に区分していくことになるが、現在の重症患者割合の基準値【25%以上】を維持したのでは、実績評価として妥当ではない(25%をクリアできない病院は12.8%程度にとどまり、9割近くの7対1病院が最も高い評価を得ることができてしまう)▼7対1と10対1とで重症患者割合の分布をみると、【25%】程度では混在しており、評価にメリハリを利かせることができない―とし、「30%以上」に引き上げるべきと改めて強調。同じく支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も「25%を維持したのでは、再編・統合の課題などを見極めることができない」と述べ、やはり「引き上げ」が必要と訴えています。

これに対し、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)や松本吉郎委員(日本医師会常任理事)、今村聡委員(日本医師会副会長)、猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、▼報酬体系の大幅な見直しが行われ、ここに重症患者割合の見直しまで伴えば医療現場は大混乱する、現行並みの評価である「急性期一般入院料1」(7対1相当)と「急性期一般入院料7」(10対1相当)では現状の基準を維持するべき▼支払側の主張するように重症患者割合の基準値が30%以上に引き上げられば、68.8%程度の7対1病院は7対1の基準を満たせなくなり、病院経営が圧迫される—などの点をあげ。「25%の維持」を強く求めています。

なお、診療側の主張する「30%に引き上げられれば68.8%程度の7対1病院が7対1の基準を満たせなくなる」点について幸野委員は、「現在の報酬体系であれば7対1と10対1の格差が大きく、30%への引き上げは非現実的だが、新たな報酬体系では『7対1と10対1の中間的評価』(急性期一般入院料2と3)が設けられ、弾力的に対応可能となる」と反論しています。

両側の主張は、いまだ平行線を辿っており、「診療側と支払側のいずれかの主張を取り入れるのか」「両者の中間を探るのか」、今後の調整が注目を集めます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

現在の看護必要度項目で重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合26.5%以上」と設定したときである (図 略)

看護必要度の評価項目を一部見直し、開腹手術は4日までC項目に該当

看護必要度に関する(2)の論点は、評価項目について次の2点の見直しを行うというもので、これは中医協・総会で既に了承されています(関連記事はこちら)。

▼「A項目1点以上かつB項目3点以上」(現在は重症患者に非該当)のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当すれば、「重症患者に該当」と扱う

▼C項目の開腹手術(現在は5日間)について、所定日数4日に短縮する

 厚労省は1月24日の中医協・総会に、この2点の看護必要度項目見直しで、重症患者割合がどの程度変化するのかを示しました。

上述したように、現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないことが分かりました(単月分データ、1割以内の変動では救済措置があるため、直ちに7対1を取得できなくなるわけではない点に注意)。上記2項目の見直し後に、「12.8%程度が基準を満たさなくなる」(つまり現在の25%と同水準の基準値となる)数値を探ると「27.9%」であることが分かりました。

また、現在の重症患者割合の基準値を支払側の主張する「30%以上」とした場合、7対1病院の68.8%程度が基準を見たさないことも分かっています(同)。上記2項目の見直し後に「12.8%程度が基準を満たさなくなる」数値は、「35.2%」となります。

このため、仮に診療側の主張するとおり「現在の25%は維持する」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「28%」に、支払側の要求する「現在の基準値は30%に引き上げる」ことになった場合、上記2項目の見直し後は「35%」に、引き上げられるものと見込まれます。

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直して重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合29.8%以上」と設定したときである (図 略)

DPCデータによる重症患者割合、現行25%と同水準の基準値は「23.0%」

看護必要度に関する論点(3)は、現在の「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」に代えて、DPCデータ(EF統合ファイル、診療実績データ)に基づいて計算した重症患者割合を用いるケースです。

上述のように「7対1と10対1の中間的評価」(急性期一般入院料2と3)では、DPCデータによって重症患者割合を計算することが義務付けられますし、また他の病棟でも「看護必要度評価票に基づく重症患者割合」と「DPCデータに基づく重症患者割合」とを選択できることになります。

迫井医療課長は、この点について▼現在の看護必要度評価票に基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度I』(以下、看護必要度I)とする▼DPCデータに基づく看護必要度・重症患者割合を『一般病棟用の重症度、医療・看護必要度II』(以下、看護必要度II)とする—考えを明示。看護必要度IIについては、次のような考え方も示しています。

▼届け出前3か月間の平均値を用いる(看護必要度Iは現行通り1か月の平均値)

▼看護必要度IIを選択できるのは、「看護必要度Iに基づく重症患者割合」と「看護必要度IIに基づく重症患者割合」の差が一定の範囲内にある病院に限る(詳細は、今後示される)

▼看護必要度IIを選択する場合には、地方厚生(支)局への届け出が必要(一定期間をおいてIとIIを変更することも可能)

 
 ところで、看護必要度の評価票と診療報酬項目(DPCデータ)とは内容が異なるため、看護必要度Iと看護必要度IIとで重症患者割合は異なります。これまでに、厚労省は「7対1病棟全体で見た場合、現行の基準(看護必要度I)に基づくと重症患者割合は28.8%だが、DPCデータに基づくと重症患者割合は23.3%になる」との分析結果を示していました(関連記事はこちら)。

1月24日の中医協総会には、さらに詳細な次のような分析結果が示されました。

▼現在の重症患者割合の基準値「25%以上」では、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさないが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「23.0%」である

▼現在の重症患者割合の基準値を「30%以上」に引き上げると、7対1病院の68.8%程度が基準を満たさなくなるが、これと同水準となるDPCデータの重症患者割合(上述の(2)の看護必要度項目見直しを実施後)は「31.5%」である

現在の看護必要度項目に基づいて「重症患者割合25%以上」と基準を設定すると、7対1病院の12.8%程度が基準を満たさなくなる。「看護必要度の項目見直し」と「看護必要度の項目見直しおよびDPCデータへの置き換え」を行った場合、現在と同水準(12.8%が基準を満たさず)となるのは、それぞれ27.9%、23.0%である (図 略)

看護必要度の評価項目2点見直し、DPCデータを用いて重症患者割合を計算したとき、7対1病院の25%が「看護必要度の基準値」を満たさなくなるのは「重症患者割合25.3%以上」と設定したときである (図 略)
 
今後、(1)の「現在の7対1の施設基準である重症患者割合25%以上」を維持するか、引き上げるかの議論を集中的に行い、その結果に基づいて、(2)(3)への対応は「機械的に行われる」見込みです。さらに、急性期一般入院料2-7のそれぞれいついて、「なだらかな傾斜」になるように重症患者割合と点数が設定されることになるでしょう。



https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/180123/cpb1801231919003-n1.htm
医師に時間外労働100時間超 日赤和歌山が労使協定違反で是正勧告  
2018.1.23 19:19 メッセンジャー登録 Sankei Biz

 日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)が労使協定(三六協定)で定められた1カ月100時間を超えて医師に時間外労働をさせたなどとして、和歌山労働基準監督署から昨年8月、是正勧告を受けていたことが23日、分かった。

 センターは医師との間で特段の事情がある場合、月100時間の残業を可能とする協定を締結。しかし、平成28年11月~29年4月、常勤医約200人のうち毎月10~20人の残業時間が上限を超過し、最長で150時間に達した。宿直勤務の医師に対し、時間外手当の未払いもあったという。

 同センターは勧告を受け、宿直勤務にかかる未払い分の計数千万円を支払った。同センターは「地域医療の質を担保しつつ、労働環境の改善にも努めたい」としている。



http://www.huffingtonpost.jp/tetsuo-ando/new-medical-system_a_23340706/
なぜ新専門医制度が地域医療を崩壊させるのか
実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。
 
安藤哲朗 安城更生病院 副院長/神経内科部長
2018年01月23日 16時26分 JST | 更新 2018年01月23日 16時26分 JST ハフィントンポスト

新専門医制度で公表された一次募集の結果は、内科激減、東京の大学一極集中という衝撃的なものであったが、これは十分予想された結果であった。少なからぬ研修医は、内科の新専門医制度が自分の将来にとって不具合であることや、地方では専門医資格を取得するのに苦労しそうなことを察知して、合理的な選択をした。まさに「上に政策あれば、下に対策あり」である。私の病院や近隣病院の研修医で、進路を内科とマイナー科を迷っていた研修医のほとんどがマイナー科を選択した。内科は専門医取得まで無意味にハードルが高くなったのに対して、マイナー科は従来とそれほど変わらないと考えたようだ。今までならば内科を選択してくれそうな素養を持っている研修医が、ことごとくマイナー科を選んだことに私は衝撃を受けた。

専門医機構と内科学会は、この結果を真摯に受け止めて、速やかに大胆な改善をするべきである。ところが、専門医機構は「偏在はない」と、内科学会は「内科志望者は減っていない」と合理的根拠を示さずに主張している。これでは制度の改善はままならない。

専攻医の内科激減、東京の大学一極集中による直接的な地域医療への悪影響も重大であるが、実は今後の日本の地域医療に対してもっと重大な悪影響を及ぼすことが二つある。

一つめは、地域医療に役立つ医師を育てるのが難しくなったことである。バトルフィールドに役立つ能力を身につける最も効果的な方法は、そのバトルフィールドに入って学ぶことである。忙しい地域医療現場では、たくさんのcommon diseaseの患者を効率よく診療する能力が必要で、その能力を身に着けるには、地域医療の現場に直接入って学ぶのが効果的である。都会の大学病院に入れば都会の大学で役立つ能力は身に着けやすいだろう。しかしその能力が必ずしも地域医療の現場で役立つ訳ではない。もちろん指導医の存在は重要で、地方の病院の中でも指導医の能力によって、研修効果は差があるだろう。その点で都会の大学病院には指導医が豊富にいるからよいという反論も予想される。しかし都会の大学病院の少なからぬ指導医は、専攻医教育よりも自分の研究業績をあげることに関心がある。総体的に、地域医療現場で後期研修をする医師が減少したことは、将来の地域医療を担う人材が減少したと言ってもいい。

二つめは、使命感を持って地域医療を担いながら研修医教育に努力してきた指導医達の士気を奪っていることである。日本各地の市中病院には多くの志の高い指導医がいる。しかし、新専門医制度によって施設基準のハードルが上がり、後期研修医を採用できなくなる場合もあり、強制的な循環型プログラムやローテートで教育や診療がしにくくなる。また新専門医制度のために大量の書類仕事の増加が見込まれ、時間を奪う形式的な委員会も増える。このような状況ですでにやる気をなくしつつある医師もいるだろう。社会共通資本としての医療は、医師集団の使命感、志に支えられているところが大きい(1)。かつてサッチャー政権時に医師達がmotivationを失ってイギリスの医療が崩壊したように、日本の医師達がこのままmotivationを失ったら、それを取り返すのは容易ではない。

超高齢社会、縮小社会に突き進む日本は重大な転換点に来ている。この局面でこの新専門医制度は日本の医療に致命的なダメージを及ぼす危険性がある。今後の日本の医療を守るために、速やかな制度の再検討が必要である。

参考文献
(1)宇沢弘文:人間の経済.新潮新書、2017.
(2018年1月15日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



https://mainichi.jp/articles/20180125/ddm/008/070/157000c
解説
働き方改革と医療=国家公務員共済組合連合会理事長・松元崇
 
毎日新聞2018年1月25日 東京朝刊

 この正月、大阪府医師会の新春互礼会で会長が「働き方改革を突き詰めると、医療ができなくなる」と話したと報じられていた。「医師には応招義務(患者を診る義務)があり、研究や診療の時間など、いろいろな時間がある。その中で自分で勉強しながら医療・医学を学ぶ仕事だ」。働き方改革の議論にも、その理解が不可欠というのだ。

 私が勤めている国家公務員共済組合連合会も、年金事業などと並んで全国33カ所で病院経営を行っている。霞が関近くの虎の門病院などで、国家公務員に限らず地域の人々に頼られる医療を提供すべく、約1万8000人の職員が日夜励んでいる。医師たちは、研究熱心で、高度で良質な医療を提供するとの使命感にあふれている。まさに「自分で勉強しながら医療・医学」を実践している。

 そんな医師の働き方改革で悩ましいことの一つが、救急医療対応の宿日直だ。病気やけがは時を選ばない。そこで、夜間や休日にも医師が宿日直している。ところが、働き方改革ということで、宿日直の時間もすべて勤務時間にするようにといった指導が行われることがある。それでは、医師の勤務時間はすぐに時間外労働の限度を超えてしまう。また、残業代を支払うと病院経営は大幅なコスト増から赤字になりかねない。勤務医の給与は開業医より少ないとはいえ、年収で1000万円から2000万円なのだ。

 そんなこともあり、厚生労働省も「医師の働き方改革に関する検討会」を設置して2年後をめどに結論を出すことにしている。もちろん、医師のワーク・ライフ・バランスも大切だ。そういったことを踏まえたバランスの取れた議論によって、患者にとっても医師にとっても病院にとってもより良い医療の実現を期待したい。



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/0125512649/
専門医機構、医師数の比較報道に異議
登録者数と三師調査結果の違いを説明
 
2018年01月25日 11:45 Medical Tribune

 1月15日に専攻医の2次登録の募集が終了し、新専門医制度下における各診療科の登録者数がおおむね明らかになった。日本専門医機構は1月19日、東京都内で記者会見を行い、副理事長の山下英俊氏が現在の登録状況について説明した。また、同機構で算出している登録者数は、研修プログラムの基幹病院が所在する都道府県に基づいている点を強調。一部報道で今回の登録者数と、厚生労働省が実施している三師(医師、歯科医師、薬剤師)調査の結果を比較していることについて、同副理事長の松原謙二氏が「両者は精度や算出方法が異なるため、その数値で新旧の同制度における医師数を比較するのは不適切である」と述べた。(関連記事:「新専門医、大都市圏で定員調整完了」)

三師調査の限界を指摘

 山下氏は2次登録の登録者数が約570人で、1次登録者数と合計すると約8,500人前後に達したと報告。

 2次登録の採否は2月15日に登録者へ通知される予定であるが、大都市圏とされる東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都府県において、専攻医の偏りが助長される状況は避けられているとの見解を示した。なお、1次登録終了後、大都市圏では既に専攻医の定員を満たした研修プログラムに対して2次登録の申請を受け付けない措置が取られている。

 また松原氏は、一部報道において今回の登録者数と、厚労省が2年置きに公表している三師調査の結果を用いて新旧の専門医制度下における医師数の増減を比較していることを問題視。その比較は不適切であるとの考えを示した。

 同氏は論拠として三師調査の精度に限界があることを示し、「同調査の回答割合は8割程度で、医学部卒後3年目の若手医師でも約1割はこの調査に回答していない。よって、この数値は実数より過少になる傾向が強い」と解説した。

登録者数は基幹施設ごとに集計

 さらに山下氏は、地域別の医師数についても今回の登録者数と三師調査では算出方法が異なることに言及。

 新専門医制度下での登録者数は研修プログラムの基幹施設ごと、三師調査では医師が現在業務に従事している施設ごとに集計されているため差異が生じると説明した。

 例えば、同制度下における東京都の登録者数は約1,800人だが、三師調査では約1,200人と算出されている。

 この差異について、山下氏は「新専門医制度の専攻医(登録者)は、研修プログラムの基幹施設が所在する都道府県にとどまることなく、各地域の連携施設でも研修を受けながら地域医療を支えることになる」と強調。「数字だけに注目すると、新専門医制度によって東京都などの大都市に専攻医が集中しているように見えるが、実状は異なる」と補足した。

 なお、同機構は今後、各地域で実際に研修を受けている専攻医の数などを、そのときの状況に近い形で把握できるようなシステムの構築を目指しており、各学会に協力を要請しているという。

(陶山 慎晃)



  1. 2018/01/28(日) 10:34:58|
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1月21日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201801/554415.html?n_cid=nbpnmo_mled_html-new-arrivals
専攻医募集で総合診療が「惨敗」、その理由は?
 
2018/1/15 加納 亜子=日経メディカル

 4月の新専門医制度のスタートに向けた専攻医の1次募集が昨年11月15日に締め切られた。12月16日には日本専門医機構が、専攻医登録をした約7800人のうち総合診療領域のプログラムを選んだ専攻医は153人にすぎなかったと発表。さらに、11県で専攻医の応募が1人もいなかったことを明らかにした(参照記事)。

 筆者はこの結果を聞いて、非常に驚いた。2013年ごろ、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」で総合診療領域の創設が決まった当初は、「総合診療専門医は英国のGP(一般医)のようなゲートキーパーの役割を果たす医師。全医師の3~4割程度がこの機能を担わなければ、日本の医療が持たない」(同検討会座長を務めた高久史磨氏)などといわれていたからだ。

 専門医制度における総合診療領域の新設は、今後各地域で増える複数疾患を抱えた高齢者に対応する必要性から、長年の議論を経て準備が進められてきた。地域の医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮しつつ、在宅医療や緩和ケア、高齢者ケアなどを包括的に提供することが期待され、新専門医制度の目玉として注目されていた。その注目度と制度創設までの経緯を考えれば、総合診療領域が専攻医の募集で「惨敗」したのは明らかだ。

専攻医はなぜ総合診療を選ばなかったのか

 なぜ惨敗したのか。幾つか理由は考えられるが、最大の要因は、総合診療領域の医師像の構築、プログラムの策定、取得可能なサブスペシャリティーの決定、専攻医の応募を担う日本専門医機構の準備・調整不足だろう。さらに、公平性・透明性を欠く形で制度の構築、審査を機構が進めたことで、研修施設や総合診療専門医を目指す専攻医の不信を強めた結果、応募者が非常に少なくなったのではないかと筆者は考える。

 新専門医制度は、学会や病院団体などで構成する「中立的な第三者機関」の機構が、専門医の認定と養成プログラムの評価・認定を統一的に行う仕組みだ。機構が関連学会の協力の下で、認定・更新基準、養成のための研修プログラム、研修施設の基準の骨子となる「整備指針」を診療科ごとに作成。この整備指針に基づき、各研修施設は研修プログラムを作る。それを適切なキャリアパスを築ける内容か、診療科間や地域で偏在が助長されないかなどの観点から関連学会と自治体、機構が確認・調整をして認定することで、専門医研修の質を担保する仕組みだ。

 だが、総合診療領域だけは関係学会の協力を得る形ではなく、認定・更新基準、養成プログラムの基準の策定から研修プログラムの認定、専攻医の募集、定員数の調整の全てを機構が行うことになっていた。総合診療専門医の医師像や研修要件、研修体制などを固める過程で、関連学会と日本医師会などの間に意見の相違が見られ、その調整には第三者機関である機構が当たるのが適切とされたためだ。

 議論の過程で日本プライマリ・ケア連合学会は「学術的に高いレベルを目指すべき」「地域のニーズに合わせた診療を行えるよう大都市部での研修も重要」と主張。一方、日本医師会は「今、活躍しているかかりつけ医が、総合診療専門医の姿。主に一般内科を中核として、基本的なレベルの医療を行う医師」と総合診療専門医を定義して「総合診療は僻地・過疎地域など多科にわたる診療をしなければならない場所での診療が想定されている診療科」と述べていた。その他、専攻医の流出などを懸念する関連学会なども様々な意見・要望を主張していた。

研修プログラムの審査で起きた波乱

 しかし、機構が全ての行程を担うことで、逆に問題が生じてしまった。昨年9月に機構が公表した総合診療専門研修プログラムの審査基準と1次審査結果を見て、研修プログラムの審査プロセスを問題視した複数の医療関係団体が、機構に対して反発する要望書や意見書を相次いで公表したのだ。

 研修プログラムの募集時には「優先する」としか記載されていなかった要件「半年以上の僻地・過疎地域、離島、被災地、医療資源の乏しい地域での研修」が、審査結果とともに示された審査基準では、実質的な必須要件になっており、それを組み込んでいなかった研修プログラムはこぞって不合格となっていた。この審査基準の変更はプログラム募集時には示されておらず、さらには不合格となった研修プログラムの責任者に判定理由の説明が行われなかったため、研修施設からの不信感は審査結果が発表された後にも一層募ることになった。

 全日本民主医療機関連合会は9月27日、機構理事長の吉村博邦氏宛てに「総合診療領域のプログラム1次審査の結果をうけての意見と緊急要望」を提出。10月3日には四病院団体協議会もプログラム認定のプロセスが公正さに欠けるとする意見書を提出し、審査に関する疑義への説明を求めた。

 しかしその後、公の場でこれらの疑義に対する日本専門医機構からの返答はされていない。研修プログラムを申請した医療機関の担当者らも、「文書やメールで説明を求めたがその返答は得られなかった」と口々に不満を訴えていた。

「審査基準は7月末の理事会で決定していた」

 この経緯について、総合診療専門研修プログラムの審査を行った機構副理事長の松原謙二氏(日本医師会常任理事)に尋ねたところ、僻地・過疎地域などでの研修を実質的な必須要件とすることは「7月末の理事会で決定しており、8月10日や8月28日に(機構のウェブサイトで)公開した研修プログラム作成者宛ての文書では、その決定事項を踏まえて僻地などでの研修をプログラムに組み込むように求めていた」という答えが返ってきた。

 8月10日には、確かに総合診療専門研修プログラム申請者宛ての文書が機構のウェブサイトに掲示されていた。その文書には「総合診療専門研修プログラムについては、地域医療に配慮し、さらに1年以上の僻地等の専門研修が含まれるものを優先すること」と記載されている(機構ウェブサイト)。半年以上の僻地などでの研修が事実上の必須要件になったと、この文章から読み取るのは困難だ。

 また、審査基準変更の情報提供について松原氏は、「理事会で『大学病院には伝えるべき』という意見が出たため、大学病院を中心とした一部の医療機関には、審査基準の変更を伝えたり、プログラムの修正を依頼する電話をかけた。そして(研修プログラムの1次審査は)審査基準に合致しているかどうかを私が確認した上で、事務局がダブルチェックをする形で行った。審査に落ちたプログラムの大半は整備基準に記載された要件を満たしていなかった」と説明している。

 どの医療機関が総合診療専門研修プログラムを策定するかが分からない状況で、想定される全ての医療機関に情報提供をするのが難しいという理由は理解できる。とはいえ、大学病院を中心とした一部の医療機関という枠は狭過ぎる。せめて情報提供の公平性を考慮して、ウェブサイトで掲示するだけではなく、プログラムを作る可能性が高いと考えられる臨床研修施設には伝えるべきだったといえる。

 さらに言えば、機構には総合診療専門医の在り方について議論する目的で設置された「総合診療専門医に関する委員会」が存在し、整備指針についてはこの委員会で検討されていた。それを考えれば、プログラムの審査基準の策定や審査は、複数団体の担当者が集うこの委員会に任せるべきだったのではないだろうか。

 だが、同委員会の委員は「整備指針の策定前には数回開催されたが、その後は開催されておらず、審査基準を変える話や具体的な審査方法についての話は議論されなかった」と話している。この委員会には日本医師会の意見と異なる意見を持つ日本プライマリ・ケア連合学会の委員が参加している。「松原氏は相対する意見を持つ委員と議論になることを嫌い、委員会での検討を避けたのではないか」とみる関係者もいる。

 結果としてプログラムの審査基準は閉じられた場の議論で決められ、公平性を担保したとは言い難い形で情報提供が行われていた。さらに、多くの医療機関、病院団体から説明を求められてもそれに返答をしていないことを踏まえると、病院団体からプログラムの審査が「公平性・透明性を欠く」といった批判を受けても仕方がない状況だったといえる。

 診療科選択は医師人生における大きな選択の1つだ。どんなに魅力的なプログラムがあったとしても、上記のように制度設計時の議論に不透明性が残るのであれば、専攻医が他の診療科を選ぶ気持ちも理解できる。

 将来の地域医療の担い手たる総合診療専門医は新専門医制度の目玉とされていた存在だ。その診療科の制度設計と研修プログラムの審査を、公平性・透明性を欠くと批判を受けるような形で進めた日本専門医機構の責任は重い。

 機構の取り組みは理事会での決定を経る形で進められたが、多くの医療団体の委員が機構の理事に名を連ねているにもかかわらず、事が起きた後に疑義を唱える意見書・要望書が出る事態こそが、理事会が適切に機能していない表れだ。今一度、機構の意思決定方法を見直す必要があるだろう。

 専攻医の応募は既に始まっている。まずは、総合診療領域の研修プログラムに応募をした専攻医を、確たる診療技術を身に付けた総合診療専門医に育て上げるために、関連学会や病院団体が協力し、専攻医を支える体制を築くことが求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/581029
「大都市集中、内科激減は間違い」、日本専門医機構
2018年度新専門医制度の専攻医数、8300人超の見通し
 
レポート 2018年1月20日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、1月19日の理事会後の記者会見で、2018年度開始予定の新専門医制度の専攻医の2次募集状況を報告、「5都府県については、過去5年間の採用実績を超えて採用することはない。大都市圏への専攻医集中を増長しないことが担保できた」と説明した。1月15日に締め切った2次募集で登録したのは569人で、その採否は2月15日までに決定、通知する。1次募集で採用された7791人のほか、その後に辞退をした人、2次登録で採用された人を加減すると、現時点では8300人超が2018年度からの新専門医制度の専攻医になると想定される(1次募集の結果は、『198人、専攻医1次登録で研修先決まらず』を参照)。

 さらに2月15日の後に1次、2次募集でも採用されなかった医師について、専攻医の追加募集を行う。ただし、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)の14の基本領域(19の基本領域から、外科、産婦人科、病理、臨床検査、総合診療を除く)では募集が行われない見通し。

 新専門医制度については、地域医療への影響が懸念されたため、5都府県の14の基本領域については、過去5年間の採用実績を超えないことが条件とされた。現時点ではその採用実績は公表されていないが、各学会の了解が得られれば公表する予定だという。

 山下副理事長は、会見で「三師調査と比較して、(大都市圏に)専攻医が集中したというのは誤解であり、論理的に間違い。(過去5年間の採用実績を超えないという)5都府県のシーリングはきっちりと守られている」と強調した。日本専門医機構副理事長の松原謙二氏も、「三師調査と比べて、内科が激減したというのは大きな間違い。データの検討の仕方が間違っている」と指摘した。

 三師調査とは、「医師・歯科医師・薬剤師調査」。厚生労働省が2017年3月にまとめた2014年三師調査に基づく卒後3~5年目の医師数が、現時点で入手可能な各都道府県、各基本領域の1年次当たりの専攻医の参考数だ(『「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合』、『京都50.8%増、東京50.0%増、専攻医の地域差は拡大』を参照)。


記者会見は、日本専門医機構副理事長の山下英俊氏(右)と松原謙二氏(左)が実施。理事長の吉村博邦氏は、病気療養中で、2017年10月以降、理事会を欠席。1月末には退院し、2月の理事会には出席予定だという。(写真略)

 山下、松原両副理事長は、2018年度からの新専門医制度の専攻医数と、2014年三師調査のデータを比較できない理由として、二つを挙げた。一つは、三師調査には全ての医師が回答しているわけではなく、実際の医師数は三師調査の数字よりも多いこと。もう一つは、新専門医制度では研修プログラム制を採用しているため、専攻医数は、基幹施設の所在地、つまり「本籍地」でカウントされる一方、三師調査では、基幹施設から関連施設等にローテーションしている場合、その「現在地」でカウントされるという相違がある点だ。

 松原副理事長は、「三師調査は、調査に全員が答えているわけではなく、きちんとした数字ではない。免許を取った医師の数の方がかなり多い」と説明。2014年三師調査では、東京都の卒後3~5年目の1年次当たりの医師数は1171人。松原副理事長は、「(新専門医制度で)1800人前後が東京都での研修を希望され、採用される」としたものの、新専門医制度における専攻医数はあくまで「本籍地」のデータであると説明、実際には連携施設で研修する専攻医もいるため、「現在地」の専攻医数を把握できるよう、その調査を各基本領域の学会に依頼したという。「本籍地だけで調べると、びっくりするデータになるかもしれないが、そこから他の都道府県に専攻医を送っている」と松原副理事長は述べ、「現在地」のデータを見なければ、「どこにどんな医師がいるかを言うことはできない」と強調した。

 また今回専攻医として登録、もしくは採用された医師の大半は、この4月から卒後3年目を迎える医師が大半だが、卒後4年目以降に当たる医師も含まれている。その数は、関東だけで100人程度はおり、今後精査する予定だという。

 さらに、松原副理事長は、内科の現時点での専攻医予定数は2658人である一方、三師調査による内科の卒後3~5年目の1年次当たりの医師数は2650人であり、「8人増えた」と説明。卒後3年目に当たる医師は、医学部定員増に伴い、2018年では2014年よりも1000人前後は増えていると推計される上、三師調査が全数把握でなければ2014年の内科医師数は2650人よりも多いと考えられるが、この点についての質問に、「内科に専攻医が来なかったのは事実だが、内科は減っていない。総合診療専門医は183人の予定であり、そこに内科から流れ、相殺された可能性がある」と松原副理事長は答えた。

 なお、内科の場合、過去5年の採用実績として参考にしたのは、認定内科医の資格認定試験の受験者数だが、そこから、複数回受験した医師や既に他領域で専門医を取得した医師を除いた数をベースにしているという。

 「確かに東京におけるマイナー科の専攻医が増えているのは事実」と松原副理事長は述べたものの、全国では、外科は807人で、三師調査の763人よりも増加、産婦人科も442人で三師調査の350人よりも増えていると説明した。

 総合診療専門医の専攻医数について、松原副理事長は、専攻医には医学部地域枠の卒業生が約400人含まれることなどを踏まえ、「もともと200人前後だと考えていたので、予想通り。地域枠の卒業生全員が総合診療専門医になるわけではない。総合診療専門医のスタートとしては教えやすい数であり、良質な研修ができるとして期待している」との見解を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=18221
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病 
2018年1月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度の2018年度からの全面スタートに向け、専攻医登録が進められているが、地域間・診療科間の偏在が助長されているように見える。10数年後には大学病院でも外科手術ができくなるといった事態が起こるかもしれない―。

 全国自治体病院協議会の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長)は、1月11日に開催した新年初の記者会見でこのように述べました。

ここがポイント!
1 群馬、山梨、高知では、外科専攻医が大学病院を含めて1名(1次登録結果)
2 公的・公立の精神科病院で構成する「日本公的病院精神科協会」を設立

群馬、山梨、高知では、外科専攻医が大学病院を含めて1名(1次登録結果)

 2018年度から全面スタートする新専門医制度は、これまで各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことで「質を担保するとともに、国民に分かりやすい」専門医養成を目指しています。ただし、「質の担保を追求するあまり専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘などがあります。

 このため日本専門医機構や都道府県、厚生労働省らが重層的に「医師偏在を助長させない仕組み」を設けており、その1つとして「各基本領域学会の5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)のそれぞれにおける専攻医の登録総数は、▽外科▽産婦人科▽病理▽臨床検査—の4領域を除いて、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限値が設けられました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

2018年度の専攻医募集が始まっており、12月15日には日本専門医機構から第1次登録の採用数が公表されました(日本専門医機構のサイトはこちら)。その中で、邉見会長は外科領域に着目。オールジャパンでは767名の専攻医がいますが、▼群馬県▼山梨県▼高知県—で、大学病院を含めて、専攻医1が1名にとどまっています。この点いついて邉見会長は、「今の専攻医が働き盛りになる10数年後には、大学病院でも外科手術ができないという都道府県が現れるかもしれない」と危惧し、地域偏在・診療科偏在が助長されているのではないかと訴えています。

厚生労働省は「地域医療への影響が懸念される場合には、厚労省から日本専門医機構と関係学会に対し実効性ある対応を要請する」こととしています。今後、2018年度からの専攻医登録確定を待ち、「地域医療への影響が懸念されるのか」も含めた検討が行われることになりそうです。

公的・公立の精神科病院で構成する「日本公的病院精神科協会」を設立

 なお、中島豊爾副会長氏(岡山県精神科医療センター理事長)からは、精神科病棟を持つ公立・公的病院で構成される「一般社団法人日本公的病院精神科協会」(公精協)を設立することも発表されました(1月26日に設立総会を開催)。当面、▼自治体病院▼国立病院機構▼日赤▼済生会▼厚生連—の5団体の病院(当初は128病院が参加)でスタートし、将来的に「精神科外来を持つ病院」「大学病院」にも参画を呼びかけます。

中島副会長は「我が国の精神科医療は諸外国に比べて20年ほど遅れていると指摘される。精神科医療の質の向上・改善に向けて政策や診療報酬に関する要望をしていきたい」と抱負を語っています。厚労省への政策等要望ルートとして四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)があります。しかし、中島副会長は「公的・公立病院は、日本精神科病院協会には事実上加盟できない」とし、新たな要望ルート確立のために新団体を設立したと説明しています。



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0118/jbp_180118_8220256997.html
新専門医制度、医療崩壊を招く驚きの新事実 
上 昌広
1月18日(木)6時0分 JBpress

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図1:新専門医制度が診療科選択に与えた影響

 日本の地域医療が崩壊の瀬戸際にある。きっかけは、今春から始まる新専門医制度だ。
 昨年12月15日、日本専門医機構は4月から始まる新専門医制度の1次募集の結果を公開した。この時応募したのは7791人の医師だ。
 この制度は、主に初期研修を終える3年目の医師が対象となる。2016年の医師国家試験に合格したのは8630人だから、約9割の医師の進路が決まったことになる。

地域偏在の是正どころか拡大

 研究職や行政職に進む一部の医師を除きほぼ全員が、この制度に沿ったカリキュラムに従い研修する。
 日本専門医機構が公開した結果を仙台厚生病院の遠藤希之医師と齋藤宏章医師が分析した。
 当初、日本専門医機構は専門研修の充実に加え、診療科と地域偏在を是正することを目標に掲げていた。ところが、結果は正反対だった。
 遠藤医師らは、2012〜2014年の間に後期研修医を始めた医師数と、今回、内定した医師数を比較した。
 まずは診療科の比較だ。図1をご覧いただきたい。内科が激減し(123人減少)、麻酔科(93人増)、眼科(82人増)、精神科(64人増)などのマイナー科が増加していることがお分かりいただけるだろう。
 内科は2012〜2014年と比較し、約1割減少した。
 舛添要一氏が厚労大臣の時、医学部定員を増やしたため、今年度、専門研修を始めるのは、2012〜2014年の平均(6926人)よりも12%も多かった。内科は実質的に2割減である。
 外科も同様だ。専攻医の数は764人から767人とほぼ横ばいだったが、全専攻医に占める割合は11%から10%に低下した。

内科と外科が減りマイナー診療科が増加

 内科と外科が減り、マイナー診療科が増えた。
 さらに、医師不足対策の切り札として、厚労省が進めてきた「総合診療医」に至っては、登録者はわずか153人だった。形成外科の希望者と同数だ。誰も想像しない結果となった。
 診療科の偏在悪化も問題だが、地域偏在に与える影響は、さらに深刻だった。
 すべての診療科で東京一極集中が加速した。図2は2012〜2014年の平均と比較した場合の各都道府県の医師の増減の状況を示す。東京への一極集中が一目瞭然だ。
 東京では585人増加した。次いで増加したのは、京都(92人)、岡山(59人)、大阪(43人)だ。いずれも戦前からの名門医学部がある地域だ。
 一方、減少したのは静岡(60人)、千葉(22人)、香川(20人)だ。東京や岡山に医師が「吸収」されたのだろう。
 この傾向は診療科別でも変わらない。内科の場合、東京は77人増加した。周辺の千葉(30人減)、埼玉(10人減)、神奈川(5人減)から医師を吸い寄せたことになる(図3)。(図 略)


内科志望医が15人以下の県も

 深刻なのは全国で内科志望医が15人以下の県が11(秋田、富山、福井、鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮﨑)もあることだ。高知に至っては5人である。
 外科も同様だ。
 東京は69人増加した一方、静岡は20人、神奈川は10人、千葉は7人減少した。14の県で志望者は5人以下だ(青森、山形、群馬、山梨、福井、奈良、島根、山口、徳島、愛媛、香川、高知、佐賀、宮﨑)。群馬、山梨、高知に至っては1人である。
 志望者が激増した眼科ですら、一極集中だ。東京は36人増加し、2位の京都(12人増)を大きく引き離す。
 一方、16の県で志望者が減少し、青森・山形・新潟・山梨・長野・奈良・徳島・大分・長崎では志望者はいなかった。他のマイナー診療科も状況は変わらない。このままでは、地域医療は間違いなく崩壊する。


日本専門医機構の幹部に大きな責任

 新専門医制度については、全国市長会をはじめ、多くの関係者から懸念が表明されていた。日本専門医機構は、このような懸念を「無視」して、強引に進めた。
 彼らの「公約」は守られなかった。吉村博邦理事長以下幹部は原因を究明し、制度を見直すこと、および責任を取る必要がある。
 最近になって、この問題が一部の関係者の間で議論されるようになった。
 知人の与党議員が厚労省を呼び出して、質問したところ、「地方の医師不足は以前からです。問題ですが、日本専門医機構が独自にやっていて、私たちは介入する権限がありません」と説明したという。
 新専門医制度は、日本専門医機構と厚労省が二人三脚で進めてきたこと、そのガバナンスに問題があったことは周知の事実だ(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49835)。改めて厚労官僚の厚顔無恥ぶりに驚いた。
 このことを知人の政府関係者に伝えたところ、「権限がないとは呆れ果てました。厚労省の得意な「行政指導」や「技術的助言」など駆使されたらいかがでしょう。補助金の交付要綱を変えるのも可能です」とコメントした。
 新専門医制度を放置すれば、我が国の医療に深刻な後遺症を残す。ところが、大手メディアはこの問題を報じず、国会も取り上げない。
 日本専門医機構、それを支援する日本医師会や厚労省は、失敗の責任を取らず、頬被りを決めている。「日本人は十二才」のままだ。我々、大人の覚悟が問われている。
筆者:上 昌広



http://www.medwatch.jp/?p=18302
【病院総合医】養成する施設、2018年度は91病院を認定―日病 
2018年1月18日|医療現場から MedWatch

 複数疾病をもつ高齢患者などに総合的な診療を行い、チーム医療、ひいては病院全体を牽引する力を持つ「病院総合医」の養成が来年度(2018年度)から開始されるが、初年度は91病院を認定する—。

 日本病院会は1月12日にこのように決定し、公表しました(関連記事はこちら)(日病のサイトはこちらとこちら)。

将来の病院幹部候補となる【病院総合医】を、病院自ら養成

新たな専門医制度の中で「総合診療専門医」の養成が始まりますが、「病院において複数疾患を抱える患者への総合診療提供や、術後管理などを行う医師」の養成が可能か、という点には疑問を持つ医療関係者も少なくありません。

このため日本病院会(日病)では、「病院において総合診療を行う医師である【病院総合医】」を、総合診療専門医(新専門医制度)とは別に養成する方針を固めました。

【病院総合医】は、(1)多様な状態を呈する患者に包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療能力を持つ(2)全人的に対応できる(3)地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携の中心的役割を担う(4)多職種をまとめチーム医療を推進できる(5)地域医療にも貢献できる—医師で、日病の相澤孝夫会長と末永裕之副会長は「将来、病院経営幹部の1ルートとなることが期待される」と強調しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

まず日病会員病院の中で、「自院の中堅医師を【病院総合医】として育成したい」と考えている施設や、「【病院総合医】を目指す医師が勤務している」施設が手をあげ、必要な研修を行えるかどうかが審査されます。

審査をパスした施設(病院総合医育成プログラム認定施設)において、【病院総合医】を目指す医師(卒後6年目以上の医師を対象)に必要な指導を行います(医師からすれば研修を受講する形、もちろん他施設との連携指導も行われる)。2年間、必要な症例などを経験した上で、日病で「要件を満たすかどうか」の審査を受けます。審査では、▽インテグレーションスキル(包括的診療の展開・実践)▽コンサルテーションスキル(必要な場合に専門診療科へ速やかな相談・依頼)▽コーディネーションスキル(多職種の連携・調整)▽ファシリテーションスキル(チーム医療の促進・実践)▽マネジメントスキル(地域包括ケアシステムや日本全体を考慮した病院運営)―の5能力を評価し、「要件を満たす」と判断されれば、晴れて【病院総合医】の資格を手に入れることができます。
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病院総合医認定・更新にかかる大きなスケジュール概要
 
日病では、研修期間中に▼ショック▼急性中毒▼意識障害▼全身倦怠感▼心肺停止▼呼吸困難▼身体機能の低下▼不眠▼食欲不振▼体重減少・るいそう▼体重増加・肥満▼浮腫▼リンパ節腫脹▼発疹▼黄疸▼認知脳の障害▼頭痛▼めまい▼失神▼言語障害▼けいれん発作▼視力障害・視野狭窄▼聴力障害・耳痛▼鼻漏・鼻閉▼鼻出血▼嗄声▼胸痛▼動悸▼咽頭痛▼誤嚥▼誤飲▼嚥下困難▼吐血・下血▼肛門・会陰部痛▼熱傷▼外傷▼褥瘡▼背部痛▼腰痛▼関節痛▼歩行障害▼四肢のしびれ▼肉眼的血尿▼排尿障害(尿失禁・排尿困難)▼乏尿・尿閉▼多尿▼不安▼気分の障害(うつ)―といった幅広い症例を経験することが必要と考えています。またチーム医療を牽引していく能力を養うために、さまざまなチーム医療活動、とくに「医療安全」「感染制御」チームへの参画は必須となります。
さらに、将来の「病院経営幹部」候補であることも踏まえ、病院経営・管理に関する各種講習会やセミナーに積極的に参加することも求められます。末永副会長は【病院総合医】資格を取得した医師が、次の病院総合指導医になることを期待し、「臨床研修指導医講習会には必ず参加してほしい」と求めています。

今般、公表された「病院総合医育成プログラム認定施設」は91施設。【病院総合医】が医療関係者に浸透していけば、「【病院総合医】を目指しており、認定施設に勤務したい」という医師が増えていくことでしょう。2019年度以降、認定施設が増加していくと予想されます。

【北海道】 ▽市立札幌病院 ▽砂川市立病院 ▽北見赤十字病院 ▽札幌徳洲会病院

【青森県】 ▽十和田市立中央病院 ▽八戸市立市民病院

【岩手県】 ▽岩手県立中央病院

【福島県】 ▽かしま病院

【茨城県】 ▽水戸済生会総合病院

【栃木県】 ▽足利赤十字病院 ▽済生会宇都宮病院

【埼玉県】 ▽埼玉県済生会川口総合病院 ▽戸田中央総合病院 ▽丸山記念総合病院 ▽埼玉医科大学国際医療センター ▽自治医科大学附属さいたま医療センター

【千葉県】 ▽千葉市立海浜病院 ▽成田赤十字病院 ▽柏厚生総合病院(千葉県) ▽幸有会記念病院

【東京都】 ▽東京山手メディカルセンター ▽杏雲堂病院 ▽玉川病院 ▽多摩南部地域病院 ▽小豆沢病院 ▽藤﨑病院

【神奈川県】 ▽湘南鎌倉総合病院 ▽湘南藤沢徳洲会病院 ▽総合川崎臨港病院 ▽東名厚木病院 ▽葉山ハートセンター ▽山近記念総合病院

【新潟県】 ▽新潟県立十日町病院 ▽糸魚川総合病院 ▽上越総合病院(新潟県)

【富山県】 ▽富山市民病院 ▽石川県立中央病院

【長野県】 ▽市立大町総合病院 ▽飯山赤十字病院 ▽諏訪赤十字病院 ▽相澤病院 ▽相澤東病院

【岐阜県】 ▽総合病院中津川市民病院 ▽美濃市立美濃病院

【静岡県】 ▽藤枝市立総合病院 ▽静岡済生会総合病院 ▽NTT東日本伊豆病院

【愛知県】 ▽春日井市民病院 ▽小牧市民病院 ▽名古屋第一赤十字病院 ▽名古屋第二赤十字病院 ▽海南病院 ▽大同病院 ▽東海記念病院 ▽トヨタ記念病院

【三重県】 ▽伊勢赤十字病院 ▽田中病院 ▽津生協病院

【滋賀県】 ▽市立大津市民病院

【京都府】 ▽京都民医連中央病院 ▽武田総合病院 ▽洛和会丸太町病院 ▽三菱京都病院

【大阪府】 ▽阪南市民病院 ▽大阪府済生会泉尾病院 ▽松下記念病院 ▽淀川キリスト教病院

【兵庫県】 ▽加古川中央市民病院 ▽姫路赤十字病院 ▽兵庫医科大学ささやま医療センター ▽三菱神戸病院

【島根県】 ▽浜田医療センター(島根県)

【岡山県】 ▽倉敷中央病院

【広島県】 ▽広島共立病院

【山口県】 ▽昭和病院

【徳島県】 ▽徳島県立中央病院 ▽徳島赤十字病院

【香川県】 ▽四国こどもとおとなの医療センター ▽KKR高松病院

【愛媛県】 ▽HITO病院

【福岡県】 ▽福岡赤十字病院 ▽福岡記念病院

【熊本県】 ▽熊本赤十字病院 ▽済生会熊本病院 ▽済生会みすみ病院 ▽宇城総合病院 ▽菊池中央病院 ▽くまもと森都総合病院 ▽にしくまもと病院 ▽谷田病院

【鹿児島県】 ▽種子島医療センター



https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201801/0010915249.shtml
疲弊の勤務医 当直後に通常業務、救急呼び出し… 
2018/1/21 06:30神戸新聞NEXT

 過労死が社会問題となる中、厚生労働省は長時間労働が常態化している医師の働き方改革を目指すが、実現までの道のりは多難だ。兵庫県内でも救急対応や緊急手術で疲弊する勤務医は少なくないが、医師には正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」が課せられ、残業時間の削減はハードルが高い。「目の前に苦しむ患者がいれば、睡眠不足でも診療せざるを得ない」との声も根強く、医師不足や高齢化を背景に現場は使命感とのはざまで揺れている。(末永陽子、佐藤健介)

 医師の過労死は後を絶たない。2016年1月、新潟市民病院で女性研修医が過労自殺した。東京都内の病院に勤務していた産婦人科の男性研修医が15年に自殺した件も、17年7月に労災認定された。兵庫県内でも養父市の公立病院で07年、当時34歳の男性医師が長時間労働やパワハラを苦に宿舎内で自殺した。

 全国医師ユニオンなどが昨秋公表したアンケート結果によると、常勤医約1600人のうち当直後にそのまま通常業務を行う医師は78%に上り、8%が直近1カ月に休日を1日も取れなかった。

 「人ごとではない」。兵庫県内の病院で働く30代男性研修医は強調する。

 多い時で週2回の宿直に入るが、診療していない時間は労働ではなく「学習」とみなされる。宿直明けで通常業務に就き、36時間連続で働くこともある。勤務記録上の残業は過労死ラインの月80時間を下回るが、「その倍の時間は病院にいる。医師も人間。それを病院にも患者にも分かってほしい」と訴える。

 神戸市内の30代研修医は、毎日数時間の残業が当たり前という。容体の悪い入院患者を診療しようとした矢先、救急対応に呼び出されることも。疲労で心電図の異常を見落としかけたこともあった。「地域や診療科によって医師数に偏りがある」と感じ、「いつミスが出てもおかしくない」と表情を曇らせる。

 「過重労働の最大要因は救急」。県内基幹病院の幹部は断言する。地域の救急患者の大半を抱え、「軽症者を扱う1次救急は個人病院でお願いしたいが、医師の高齢化でマンパワーは不十分だ」と嘆く。自院も赤字で「増員すれば経営が持たない」と打ち明け、「病気を減らす視点も大切。医療費をもっと予防医学に割くべきだ」と語る。

 厚労省は緊急対策の柱として医師以外へのタスク・シフティング(業務移管)などを掲げるが、現場レベルで先行実施する動きもある。

 兵庫医科大病院(西宮市)の血液内科は約5年前、診療業務をできる限り夕方で終える方針を打ち出した。さらに、電子カルテの入力や研究データ収集を担う事務スタッフを雇った。同科の小川啓恭(ひろやす)教授(65)は「医者しかできないことに仕事を限れば、睡眠や研究の時間が確保でき、良質な治療にもつながる」と話す。

【医師の働き方改革】政府は昨年3月に罰則付き残業規制の実行計画を作成したが、医師法上の「応召義務」がある医師には適用を5年間猶予する方針を打ち出した。厚生労働省は有識者検討会で残業時間の上限や勤務環境改善策などを議論し、2018年度末をめどに意見をまとめる予定。検討会では「勤務時間制限を守り、かつ医療の質を担保する資金や医師数が確保できていない」との指摘があった。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2595271020012018CC1000/
杏林大、医師に長時間労働 労基署勧告  
2018/1/20 16:47 日本経済新聞

 東京都三鷹市の杏林大医学部付属病院が、労使協定(三六協定)の上限を超えて医師らに時間外労働(残業)をさせ、割増賃金も不十分だったとして、運営する学校法人「杏林学園」に対し三鷹労働基準監督署が是正勧告と改善指導をしていたことが分かった。杏林大が20日、明らかにした。勧告や指導は昨年10月で、杏林大の担当者は「勧告を真摯に受け止め、是正に着手している」と話している。
 杏林大によると、就業規則と協定により、医師は週39時間の所定労働時間、月最大70時間の残業時間が定められている。労基署の調査で、約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる月80時間超の残業をし、100時間を超えた医師も数人いたことが判明した。
 さらに、一部では残業に対する割増賃金が法定の割増率を下回っていた。大学は昨年末、同年4~9月の不足分として、医師数百人に計数億円を支払ったとしている。
 長時間労働について、杏林大の担当者は「医師には、診療を求められたら拒めない応召義務がある。救命救急もやっており、分厚い態勢を取らざるを得ない面もある」と説明した。
 同病院は高度医療を提供する「特定機能病院」の一つ。2016年度は1日平均の外来患者が2205人、入院患者が809人だった。〔共同〕



https://www.asahi.com/articles/ASL1N4DJRL1NUTIL00F.html
東京)杏林大、診療縮小の懸念も 付属病院で残業不正 
河井健 2018年1月21日03時00分 朝日新聞

 三鷹市の杏林大学医学部付属病院で複数の医師が労使間の時間外労働の取り決め(36協定)を超える残業をさせられていたなどとして、開設者の杏林学園が、三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けた。杏林大は「真摯(しんし)に受け止める」として働き方の見直しを進めているが、医師の大幅な増員は困難とみられ、診療態勢の縮小など地域医療への影響を懸念する声も出ている。

 同病院は高度な医療を提供する施設として国が承認する全国85の「特定機能病院」の一つ。2016年度の外来患者は約64万9千人、入院患者は約29万5千人に上る。全国39カ所、都内でも4カ所だけの「高度救命救急センター」を備え、16年度は1500人超の重篤な患者を受け入れた。生命に関わる病気やけがの患者を24時間態勢で広域から受け入れ、「救急医療の最後の砦(とりで)」とされる。

 政府の「働き方改革」を踏まえ、近年、各地の大規模病院が労基署から長時間労働の是正などを求められるケースが相次いでいる。医師の残業時間が月平均95時間に達すると16年に指摘された聖路加国際病院(中央区)では、シフト調整だけでは対応できず、土曜日の診療を一部取りやめた。

 昨年10月26日付で勧告と指導を受けた杏林大は、約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる残業月80時間を超え、100時間を超える医師もいるとされた。朝日新聞の取材に対し、杏林大は「地域医療に引き続き貢献する立場で、さまざまな角度から対応策を検討する」として、診療態勢の縮小については明言していない。

 一方、地域医療の関係者からは、過労死の恐れがある長時間労働は望ましくないとした上で、仮に診療態勢が縮小されれば「影響は大きく、救える命が救えない事態が生じる可能性もある」との懸念も出る。

 厚生労働省は有識者会議で医師の働き方についての議論を進めており、18年度末までに具体案を取りまとめる予定だ。担当者は「労働時間の規制により、医療の質の確保や提供態勢が維持できなくなるのでは本末転倒。両立できる取り組みを進める」と話している。(河井健)



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011700881
医師の勤務時間定めず=北里大病院に是正勧告 
(2018/01/17-16:30)時事通信

 北里大学病院(相模原市)が就業規則で医師の勤務時間を定めていないなどとして、相模原労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告と指導を受けていたことが17日、分かった。同病院を運営する学校法人北里研究所がホームページ(HP)で明らかにした。
 同研究所によると、医師の勤務時間などを就業規則で定めていなかったほか、職員と労働契約を締結する際、労働条件を書面で交付していなかった。また、時間外労働や休日労働に関する三六協定を労働者の過半数を代表する者と結んだが、代表者選出のプロセスが法令の手順を踏んでいなかった。
 各部署の労務管理者や人事担当者の教育不足も指摘され、法令知識を改めて教育することなどを指導されたという。



http://www.medwatch.jp/?p=18290
医師の労働時間規制、働き方を変える方向で議論深める―医師働き方改革検討会(2) 
2018年1月18日|医療計画・地域医療構想MedWatch


 医師の今後の労働時間規制は、現状の長時間労働を是正する方向で議論する。具体的な上限は、医師の「診療科」や「勤務先医療機関の役割」に応じてきめ細かく設定する―。

 1月15日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)では、厚生労働省が、このような内容の「中間的な論点整理」の骨子案も示しました(関連記事はこちら)。骨子案には、他職種への業務移管のような「医師の労働時間短縮策」に関する論点も盛り込まれています。検討会は、次回会合で「中間的な論点整理」を取りまとめた後、「医師の労働時間規制」と「医師の労働時間短縮策」の具体案を来年(2019年)3月末までに取りまとめるため、議論を本格化させます。

ここがポイント!
1 医師の労働時間規制の在り方、今後の検討に向けて論点を整理
2 診療科別の分析進め、多様性を踏まえた上限設定
3 労働時間に当たる自己研鑽の基準も論点に
4 医師の業務見直し、実効性ある働き方改革に

医師の労働時間規制の在り方、今後の検討に向けて論点を整理

 現在の労働基準法では、労働時間を「1日8時間・1週40時間」内と規定しています。しかし、使用者(病院の管理者ら)が労働者(勤務医ら)などと協定(労働基準法36条、ゆえに36協定と呼称される)を結んで労働基準監督署に届け出れば、この基準を超える長時間労働が、「年360時間まで」のような範囲内で認められるため、実際のところ、病院勤務医の40.6%が週60時間以上勤務しています(単純計算で、時間外労働時間が月80時間以上)。
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勤務時間が週60時間以上である割合が5割を超える診療科もある

 政府は「働き方改革」として長時間労働の是正などを推進しており、厚労省が今年(2018年)の通常国会への提出を目指している労働基準法改正案は、▼時間外労働時間の上限を原則、月45時間・年360時間とする▼臨時的に特別な事情がある場合でも、年720時間・単月100時間未満(休日労働含む)・複数月平均80時間(休日労働含む)を限度とする▼来年(2019年)4月から施行する―といった内容になる見込みで、上限規制に違反した使用者には罰則が科されます。

 ただし、医師には応召義務(医師法第19条)が課されるなどの特殊性があることから、▼上限規制の適用を5年間猶予する▼「医師に適用する規制の具体的な在り方」や「医師の労働時間短縮策」を、検討会で議論し、来年(2019年)3月末までに結論を得る―ことが決まっています。検討会は昨年(2017年)8月に設置され、【1】今年(2018年)の「年明け」に中間整理を行う【2】来年(2019年)3月末までに結論(規制などの具体的な在り方)を得る―スケジュールで検討を進めてきました。

 【1】の中間整理に当たる「中間的な論点整理」は、これまでに委員から出た意見(論点)をまとめたもので、【2】の最終取りまとめに向けた議論の土台となります。本稿では、「中間的な論点整理」の骨子案の中から、今後の検討の注目ポイントとなる、(a)医師に適用する規制の具体的な在り方(b)医師の労働時間短縮策―に関連する論点に焦点を当ててお伝えします。

診療科別の分析進め、多様性を踏まえた上限設定

 まず(a)の「上限規制の在り方」について骨子案では、働き方改革関連法案で上限とされる「単月100時間未満・複数月平均80時間」を超えた長時間労働を医師に認めることには「慎重であるべき」だと強調。長時間労働が常態化する現状に合わせた規制を設けるのではなく、「医師の労働時間をできるだけ短くする」ことを前提として議論していくべきと指摘します。

 その上で、現状から大きくかけ離れた「画一的な上限時間」を設定すれば医療提供体制の崩壊を招く恐れがあることから、「『医療機関の役割』や『診療科』ごとの多様性を踏まえて、時間外労働の上限時間を設定する」方向性を示しています。

 この点、昨年(2017年)4月に公表された「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(いわゆる10万人調査、2016年12月に実施)では、「救急科」(平均勤務時間が週63時間54分)や「外科系」(同59時間28分)、「産婦人科」(同59時間22分)などの診療科で病院勤務医の労働時間が長いことが分かっています。ただし、単純に救急科や外科系で上限を緩く設定するのでは、「現状の働き方に制度を合わせる」ことになってしまいます。そこで検討会では今後、救急科や外科で労働時間が長期化してしまう原因を明らかにした上で、医療提供不足を招かない「適正な上限時間」を、診療科ごと・医療機関の役割ごとに、きめ細かく検討することになります。
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現状、病院常勤勤務医の平均勤務時間には診療科ごとにばらついている。医師の労働時間の上限も、診療科別に設定される可能性がある

 骨子案では、「診療科ごと分析にも資する追加的な調査を行い、10万人調査の結果と併せて分析することで、議論の前提となる『医師の勤務実態の詳細』を明らかにする必要がある」とも指摘しています。厚労省は現在、勤務医のタイムスタディ調査を行い、▼診療時間(外来診療や入院診療など)▼診療外時間(教育や研究、会議など)▼待機時間(通常の勤務時間外に、応急患者に備えて院内に待機する時間)―の構成などのデータを集めています。このデータを、勤務先(大学・大学以外)や診療科ごとに分析し、長時間労働の原因究明の手がかりにすることが期待されます。
1月15日の検討会に、タイムスタディ調査の結果が一部示された。データの集積が進めば、勤務医の労働時間に関する課題を診療科ごとに解明できる可能性がある(解像度低く、解読困難のため図 略)

労働時間に当たる自己研鑽の基準も論点に

 勤務医の労働時間をめぐっては、▼診療ガイドライン改訂をキャッチアップしたり、論文を執筆したりする自己研鑽時間▼宿日直―が労働時間に該当するかどうかも重要な論点です。このうち自己研鑽時間について検討会では、「具体的にどのような内容であれば労働時間に該当するか、関係者間で共通認識がない」と指摘。今後の検討で、「労働時間に当てはまる自己研鑽時間」の考え方を示す方針です。

 一方、宿日直には、現在、「応急患者の診療または入院、患者の死亡、出産などがあり、昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなもの」は労働時間に当たるという基準があります。ただし、この基準ができた1949年から医療現場が変化していると想定されることなどから、見直しに向けて議論することになりそうです。
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宿日直の許可基準の見直しも重要な論点となる

医師の業務見直し、実効性ある働き方改革に

 骨子案では、「医療機関における働き方改革の実効性を確保するためには、時間外労働規制だけでなく勤務環境改善策も重要である」と指摘し、上述した(b)の医師の労働時間短縮策として次の4点を挙げています。

(1)医師の業務の整理
(2)他職種への業務移管
(3)医師同士での業務の共同化
(4)ICT(情報通信技術)の活用

(1) の「医師の業務の整理」については、▼医師の参加が要件となる会議(介護保険制度のリハビリテーション会議など)▼医師が作成しなければならない書類(死亡診断書など)―を洗い出して医師の業務の全体像をまず明らかにし、効率化を図る必要性が指摘されています。

この点、死亡診断書については、ICTを活用して遠隔で交付する仕組み(この場合、患者宅を訪問した看護師が代筆)の整備が進んでいます(関連記事はこちら)。また、医師の業務見直しは、(2)の業務移管も密接に関係します。例えば静脈注射などは、看護職員に移管可能であることを、厚労省は2007年に発出した通知「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」で明示しています。なお、医師の業務負担を軽減する効果が期待できることから、検討会では、検討結果の取りまとめを待たずに業務移管を徹底するよう、医療機関に呼び掛ける方針です(関連記事はこちら)。

 一方、(3)の業務共同化の具体策としては例えば、複数主治医制やシフト制の導入が想定されます。ただし、一定程度の医師数がいなければ負担を分散できず、検討会では、「医療機関の集約化の議論をしなければならない」とも指摘しています。この点、複数の病院が統合して全体として医療の質を高める米国の「IDS」(Integrated Delivery System:統合型医療提供システム)の手法が、医師の働き方改革を進める上でも重要な手法と言えます(関連記事はこちら)。

 ほか、▼応召義務を含む患者との関係性の見直し▼勤務時間以外の勤務環境改善策(例えば健康管理の着実な実施)―なども、今後の重要な論点となります。



http://www.medwatch.jp/?p=18340
2018年度診療報酬改定で、機能分化や地域包括ケア構築を進めよ―中医協・公聴会 
2018年1月19日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2018年度の次期診療報酬改定に向けて、「医療機能の分化・強化、連携の推進」や「地域包括ケアシステムの構築」に力を入れる必要がある―。

 1月19日に開催された中央社会保険医療協議会の公聴会で、支払側・診療側を問わず、現場関係者からこういった要望が出されました。

ここがポイント!
1 7対1の重症患者割合、病院代表から「現行の基準値を維持せよ」との要望
2 クリニック代表からは「再診料の2点増点」の要望も
3 患者代表から「看護師やMSWも交えた、治療と仕事の両立支援」を求める声
4 オンライン診察や医学管理、支払側は積極推進を求めるが、診療側は慎重姿勢

7対1の重症患者割合、病院代表から「現行の基準値を維持せよ」との要望

公聴会は、中医協委員と厚生労働省保険局医療課の担当者が地方に赴き、診療報酬改定に関する一般市民の意見を聞き、改定内容に反映させることが狙いです。2018年度改定に向けた公聴会は、1月19日に千葉県千葉市で開催されました。

意見発表を行ったのは10名で、▼健康保険組合▼労働組合▼協会けんぽ▼国民健康保険―の関係者に患者代表を加えた支払側5名、▼クリニック▼病院▼歯科医院▼薬局▼訪問看護ステーション―の診療側5名、という構成です。

意見は多岐にわたりますが、診療側・支払側双方に共通する内容として、(1)我が国の公的医療保険制度の維持が重要であり、何らかの手を打たなければならない(2)機能分化の推進(3)地域包括ケアシステムの構築(4)治療と仕事の両立支援(5)医療安全の確保―の5点があげられます。

このうち(2)の機能分化に関しては、中医協において「急性期から長期療養に至るまでの入院基本料・入院料の再編・統合」案が議論されています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。とくに急性期については、7対1と10対1を統合し、看護配置などに応じた【基本部分】と重症患者割合などに応じた【実績評価部分】(段階的評価部分)を組み合わせ、7段階の「急性期一般入院料」(仮称)を創設してはどうかとの考えが厚労省から提示されました。

この点について病院代表という立場で出席した川越一男氏(医療法人芙蓉会五井病院理事長)は、「医療経済実態調査結果では7対1病院の経営が極めて厳しい。統合・再編後に最も高い評価となる『急性期一般入院料1』の重症患者割合については、現在の7対1の基準値『25%以上』から引き上げるべきではない」と求めています。

川越氏は、▼地域包括ケア病棟は、当初「中小病院での設置」を想定していたはずであり、この考えに立ち返った「中小病院の地域包括ケア病棟」の評価充実を行うべき▼医療安全に係るコストを踏まえた医療安全対策加算の引き上げを行うべき—とも要望しました。

クリニック代表からは「再診料の2点増点」の要望も

また(3)の地域包括ケアシステム構築に向けては、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の推進が重要になりますが、クリニック代表の立場で出席した佐藤孝彦氏(医療法人社団孚誠会浦安駅前クリニック院長、千葉県医師会理事)は「2010年度の診療報酬改定で再診料が2点引き下げられたままである(消費増税対応で引き上げが行われているが)。地域医療・地域包括ケアシステムの要であるクリニックの再診料について、基に戻して(2点引き上げて)ほしい」と訴えました。

さらに佐藤氏は、▼医療機関の大きな負担となっている医療廃棄物の処理費用を診療報酬でみてほしい▼残薬につながる長期処方をさらに是正してほしい—とも要望しています。

患者代表から「看護師やMSWも交えた、治療と仕事の両立支援」を求める声

(4)の治療と仕事の両立については、患者代表として出席した香川由美氏(NPO法人患者スピーカーバンク理事長)から、「2018年度改定に向けて主治医と産業医との連携が評価される見込みだが、これにとどまらず、看護師や医療ソーシャルワーカー(MSW)も参画した多職種による患者支援(医療だけでなく、生活面を含めた支援)を診療報酬で評価してはどうか」と提案しました。香川氏はI型糖尿病に罹患していますが、認定看護師が自身の悩みを聞き「●●の問題は◆◆職が担当する、○○の問題は◇◇職が担当する」との振り分けを行ってくれたことが非常に助かったと振り返り、こうした支援が広まることに期待を寄せました。

オンライン診察や医学管理、支払側は積極推進を求めるが、診療側は慎重姿勢

ところで、次期改定では、「ICTの利活用推進」を診療報酬で後押しする方針も明確になっています。その中で注目されているのが、テレビ会議システムなどを活用した「オンライン診療・医学管理」の評価です。例えば、外来医療を受けている慢性疾患患者について、状態が安定してきたことから「毎月の外来受診」を「2か月ごとの外来受診と、2か月ごとのオンライン診察」に置き換え、通院負担を軽減して、治療継続からの脱落を防ぐ、といった考えが浮上しています。

この点について、支払側代表として参画した上野洋一氏(千葉銀行健康保険組合常務理事)は、「例えば生活習慣病患者について、医師・保険者・行政が連携し、治療から脱落しないような環境を整えるべきである。ICTツール(上記オンライン診察など)も活用して、より効率的な医療提供を行う必要がある」と指摘。

一方、クリニック代表の佐藤氏は、「ICTの利便性ばかりが強調されれば、かえって患者に不利益が生じる。診療の原則は『対面』であり、ICTを活用した遠隔診療については安全性・有効性を慎重に見極める必要がある」と述べ、やや慎重な構えを見せました。

 
2018年度の次期改定に向けた国民の意見聴取は「パブリックコメント募集」という形でも行われています(1月19日締め切り)。中医協の田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、公聴会とパブリックコメントの双方の意見も踏まえて、これから「詰めの協議」を行っていく考えを述べています。



https://www.j-cast.com/2018/01/20318641.html
病院の食堂、地域に開放してみたら・・・ 地域包括ケア座談会で提案 
2018/1/20 13:00 J-CAST news

厚生労働省は医療・介護機関が連携する地域包括ケア制度を推進しているが、現状やあり方をめぐる新春座談会が2018年 1月10日、東京で開かれた。
一般社団法人医療介護福祉政策研究フォーラム (中村秀一理事長) の主催。司会の田中滋・慶応大学名誉教授 (医療経済学) はじめ厚労省、日本医師会、病院、大学病院らの代表 7人が意見を述べ、よりよい制度になるよう提言もした。

地域の医療、介護の連携は大きな課題
医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでない


厚労省は病院を高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分け、高度・急性期を減らし、回復期を増やそうとしている。

猪口雄二・全日本病院協会会長は
「病院は現実には様々な患者が入院しており、回復期の極端な不足論は疑問」
「都道府県 (医療) と市町村 (介護) の連携が不十分だ」
と指摘した。

後藤隆久・横浜市大市民総合医療センター病院長は
「大学職員の目的は急性期の研究業績で他との連携が乏しく、学生や医師に地域包括ケアを教えることも難しい」
と、率直に懸念を述べた。

医師で弁護士の古川俊治・参議院議員は近年の医療の動向を鋭く批判した。
「医療は病院でなく医師で成り立つ。知事が公的病院に指示しても、医師は教授や先輩でない知事に従わない」
「医局の力を弱めた臨床研修制度の廃止も検討すべきだ」
「技術を高める専門医制度で地域医療充足はできない」
などなど。

座談会では、往診義務や研鑽が伴う医師の働き方は他の仕事と同一視すべきでないことでは一致した。「労基署の介入で救急や産科が崩壊する」 (猪口さん) 、「外科は手術したがり麻酔医が過労、と診療科でも違う」 (後藤さん) 、「フランスでは一般には週35時間で医師は39時間労働」 (松田晋哉・産業医大公衆衛生教授) 。
地域ケアを担当する職員は「地域差が大きく、市町村と医師会の連携必要」 (伊原和人・厚労働省審議官、今村聡・日本医師会副会長)。
だが、「医師会・行政・大学合同の勉強会が多い福岡は模範例」 (松田さん) 。
「病院は食堂も開放、周辺にいろんな施設ができて町づくり、生活の中心になるのが望ましい」 (古川さん、田中さん) といった未来像も示された。
(医療ジャーナリスト・田辺功)

G3註: 現場を知らない人のおとぎ話と感じます



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2018/0120512296/?_login=1#_login
医療経営の観点で考える地域連携 
ハイズ株式会社 加納 一樹、裵 英洙
2018年01月20日 06:00 Medical Tribune

地域連携室にはエース級の人材を配置しよう

 地域医療連携が必要不可欠な時代だ。医療の高度化が進み、平均寿命が延びたことにより、複数疾患を抱える高齢患者が多くなった。今後の複雑な医療ニーズに対応するためには、個々の医療機関の取り組みだけでは不十分で、地域における多様な医療機関がお互いに手を取り合い(連携)、患者を"面"で支えなければならない。これからは「病院完結型」から「地域完結型」への転換の必要性は加速していくだろう。

 まず、連携先として地域から選ばれる医療機関になるためには、自院の強み弱みをしっかりと認識し、効果的かつ効率的にそれらを地域に情報発信していくことがスタートとなる。その情報発信基地が「地域連携室」である。効果的な連携を実現するためには、地域連携室は一昔前の"よろず相談所"的な位置付けとは異なるものでなければならない。地域に対する情報発信基地として、病院ブランディングの戦略策定部門でもあるのだ。だからこそ、院内のエース級の優秀な人材を配置し、広報や営業活動に積極的に力を入れる必要がある。いまだに地域連携室を重要と考えず、人員を割くことを考えない医療機関があり、場当たり的に引退間近の看護師や事務員が兼任しているケースをしばしば目にする。

 診療報酬上でも、紹介・逆紹介率などの地域連携のKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が評価される流れにあり、今後も地域連携の推進が加速していくのは間違いないだろう。今後の病院経営を考える上で、地域連携は経営戦略の中枢に位置する重要成功要因と考えられるからこそ、地域連携室が取るべき具体的アクションには注目したい。

 今回は、病院経営の視点、つまりマネジメント視点から見た地域連携の3つのポイントをお伝えしよう。


ポイント1:連携医療機関リストの整備

 近隣の医療機関全てと全方向性の良好な関係を築くことができれば最良だが、それには膨大な時間と労力が必要となる。まずは、自院がどの医療機関と良い関係性を築いておくと、患者と自院の経営面に良い効果を挙げることができるかを整理する必要がある。いわゆる、"お得意様"はどの医療機関か、というように自院が深くお付き合いする優先順位を明確にしていく。そのためには、連携医療機関リストの整備が不可欠である。医療機関名、自院からのアクセス、病床数、得意科目、紹介率、逆紹介率、紹介された患者の入院率、重症度、入院単価、窓口担当者の人柄などさまざまな要素をリスト化していく。

 リストができ上がったら、自院の経営にプラスになる順にSランク、Aランク、Bランク、Cランクと分類する。次に、Sランクを維持するための策、下位ランクを上位ランクに格上げするための策をそれぞれ考えていくのだ。例えば、「Sランクは関係性維持のために最低でも月に1回訪問しよう」「今月はCランクをBランクにするための強化月間にしよう」などのアクションを考えていく。もちろん、お得意様でない医療機関をないがしろにする、という話ではない。やみくもに近隣の医療機関と連携するのではなく、限られた資源である時間と労力を効率的かつ効果的に配分するためのステップである。

ポイント2:オフラインとオンラインの情報発信を行う

 自院の良さを伝えるための情報発信のポイントは、「相手がどのような情報なら耳を傾けてくれるか」である。地域連携室のみならず、医療機関からの情報発信は相手を考えない一方的な情報発信がまだまだ多い。

 自院の情報を発信する場合、相手に合わせた文脈を理解することは必須であり、かつ情報発信の手段も相手に合わせて使い分けたい。ある医療機関の担当者はFAXより電子メールがよいかもしれない。別の担当者はメールよりもパンフレットを持参して、口頭での説明を好むかもしれない。もしくは、SNSでの簡単なやり取りでよいという担当者もいるだろう。「どのような情報を好むか」「どのような媒体を好むか」などの視点を持って、連携先の医療機関の担当者に会った際に擦り合わせをすることをお勧めする。

 つまり、「私たちの病院はこの形でしか情報発信しません」と思考停止に陥るのではなく、"相手"に気に入られるにはどの媒体がよいか?どのような情報か?と常に柔軟に考えるようにしたい。

ポイント3:「3つの共有」を意識する

 地域連携はある意味、コミュニケーションでもある。もし、地域連携室がコミュニケーション下手な場合、その病院の窓口が閉鎖しているに近い。だからこそ、コミュニケーションの達人になってほしい。

 一般的に、人は「3つの共有」があるときに、コミュニケーションが深まるといわれている。「時間」「空間」「経験」の3つだ。この3つのバランスを取ることが良好なコミュニケーション関係を築くためのポイントである。

 例えば、電話をかけるという行為を考えよう。電話をすることでお互いの「時間」は共有できるが、実際に会ってはいないため、「空間」の共有はできない。よって、会って話すという行為に比べて、電話はお互いの理解の深まりに時間を要する。「経験」の共有とは、「一緒に何か同じ経験をする」というものだ。一例を挙げると、懇親会や旅行などで一緒の体験を共有することだ。共有体験の頻度が高いと人は親密になりやすくなる。"同じ釜の飯を食う"とは、この3つがそろっている状況を創ることであり、コミュニケーションは深化しやすい。地域連携でも、地域で開催される症例検討会などの一緒にディスカッションする場で、「時間」「空間」「経験」の3つを積極的に持つようにしたい。

 さて、読者の皆さんの職場の地域連携室は、この3つの共有を積極的に取得するように動いているだろうか。管理者は「連携先と密なコミュニケーションを取りなさい」とお題目だけを唱えるのではなく、Howの部分もセットでマネジメントすることが大切である。



 今回ご紹介したのは、マネジメントでいうところのマーケティング、広報、営業に当てはまる。それぞれを単体で実践しても効果はあるが、同時に行うことでより大きな効果を発揮する。地域連携はつかみどころがない概念かもしれないが医療経営にとっては核心でもある。地域連携室の特別の職員だけが"人間力"で地域連携を推し進めるパターンもあるが、その担当者がいなくなると連携力が低下するのは経営管理としてはいただけない。だからこそ、属人的でない地域連携室の構築が大切なのである。そのためにもマネジメント視点で地域連携業務を眺める視点を身に付けたい。

【まとめ】
 地域医療連携に「マーケティング、広報、営業」などのマネジメント視点を取り入れて、より効果的に実践をしよう。

G3註: 現場を知らない人のおとぎ話と感じます



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554409.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《5》
2040年、医療機関と医師の動きはこう変わる
 
2018/1/17 満武里奈、加納亜子、三和 護=日経メディカル

 ■ 病院の統廃合と機能再編が進む
 ■ 診療縮小の地域は遠隔診療で対応
 ■ 在宅担う診療所は複数医師体制に

 人口や医療需要が大きく変化する地域では、需要に見合った形で各医療機関の診療機能を見直したり、病院を統廃合するなど、診療機能の再編が進むのは必至。それに伴い医師の働き方が変わるケースも増えそうだ。

 2040年に先駆けて人口減に直面した結果、既に病院の統廃合に踏み出した地域もある。長崎県の五島列島では、2009年から2014年にかけて2つの二次医療圏にあった6つの公立病院を3つに集約。残りの3施設は診療所に転換した(図8)。

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図8 五島医療圏と上五島医療圏における医療機関の再編(取材を基に編集部作成)

 五島列島の五島医療圏と上五島医療圏は、人口がそれぞれ3万7327人、2万2278人で、高齢化率は36.7%、38.5%に達する(2015年時点)。若年人口ばかりか65歳以上人口の減少も止まらず、2010年から2015年にかけての人口減少率はそれぞれ8.11%、10.61%という状況だ。

診療所への転換で勤務負担減

 人口減に伴い入院患者数が減少。空床も目立ち、診療所に転換した3病院の病床稼働率は奈留病院が43.6%(2013年)、奈良尾病院が12.6%(2010年)、有川病院は10.8%(2009年)にまで落ち込んでいた。

 再編は、6病院の経営主体だった長崎県病院企業団が断行した。「『おらが町から病院がなくなる』ということで住民からは当然、不満の声が上がった。だが、3~4人の医師で50床規模の病院を運営し続けるとなると、毎日の当直配置を含め医師の確保は難しく、さらには人口減少のため患者は減り続け赤字を免れない。10年後も変わらず必要な医療を提供し続けるためには病院再編が不可欠と考え、皆に理解を求めた」と同企業団企業長の米倉正大氏は振り返る。

 五島医療圏では、基幹病院である五島中央病院(304床)が奈留病院を吸収し、奈留病院は19床の有床診療所に改組。高機能診療所として夜間救急にも対応できるようにした。

 一方の上五島医療圏では、有川病院と奈良尾病院を無床診療所に転換。看護師が基幹病院である上五島病院(186床)に移ったことで、同病院では休止していた療養病床を再開したほか、一般病棟の看護配置を10対1に引き上げた。

 無床診療所に転換した2病院で働く医師は、当直や病棟業務の負担がなくなったことで長時間労働が是正され、残業がなくなった。「医師の負担は大きく減った」(米倉氏)。

若手医師が集まる病院に変貌

 こうした再編が、2040年には全国至るところで見られるようになるだろう。そして機能再編の動きは、都道府県の「地域医療構想」の運用により加速することになりそうだ。

 地域医療構想とは、各地域の実情に応じた医療提供体制を再構築するプラン。原則として二次医療圏を単位とする「構想区域」ごとに診療機能別の病床数を明らかにして、病床配置の見直しを図るとともに、在宅医療・介護など受け皿の整備を目指す。現在、2025年に向けた構想が出そろったところで、今後も定期的に見直していく。

 奈良県では既に、地域医療構想に基づく病院再編が進んでいる。県南部の南和医療圏で、急性期医療を担っていた町立大淀病院(常勤換算医師数13.0人)、県立五條病院(同25.7人)、国保吉野病院(同9.7人)の3つの公立病院を2016年に再編、統合。大淀病院を廃止して232床の南奈良総合医療センター(同58.2人)を開設した。同センターに各病院の急性期の診療機能を集約し、「重症患者を断らない医療機関」として機能強化を進める一方で、吉野病院と五條病院は回復期・慢性期入院医療などに特化した。

 この病床再編により、地域全体の急性期入院機能が向上。3病院の医師数は計48.4人から60.8人に、救急搬送の受け入れ件数は年間2086件から4104件に増えた。症例集積や研修機能の向上に伴い若手医師が集まり、病院の役割が明確になったことで大学医局からの医師派遣協力も得やすくなった。圏内で急性期から慢性期まで切れ目のない医療提供が可能になったという。

 このように病院の統廃合や機能再編は、勤務医師の負担軽減に加え、その確保にもプラスに働き得る。国は現在、都道府県ごとに「医師確保計画」を策定し、医療計画に盛り込む検討を進めている(後日公開記事参照)。医師不足の地域で一定期間、勤務した医師を厚労相が認定し、経済的なインセンティブを付与する方向だ。これから医療現場に出てくる医師が対象となるため、その効果が現れるまでには時間がかかりそうだが、2040年には地方の医師不足が今よりも改善している可能性は高い。

ヘリや遠隔診療システム活用も

 病院の統廃合を進めると、診療機能が縮小する地域の住民にとっては、専門的な医療を受けるために遠方の病院への受診を余儀なくされるなどの不利益が生じる。2040年までには、そうしたマイナスの影響を和らげる様々なツールの活用が進みそうだ。

 五島列島では、長崎大学や長崎医療センターなどの専門科の医師をヘリコプターで輸送する「NIMAS」(Nagasaki Island Medical Air System)を利用して、診療所に転換した施設に専門医を派遣している。

 「診療体制を縮小した分、医療の質を維持するためにNIMASを活用する体制にした」(米倉氏)。例えば、上五島病院の付属診療所2施設には、長崎大学病院から泌尿器科、精神科の医師が毎週、循環器内科医が隔週、内科、眼科、耳鼻咽喉科の医師が月2回、神経内科の医師が月1回派遣されるといった具合だ。

 遠隔診療も、診療機能の縮小を補う有力な手段となる。長崎県では2017年、以前から運用している患者情報共有システム「あじさいネット」を活用し、離島を含む過疎地の患者に専門的な医療を提供し始めた。

 まずは睡眠時無呼吸症候群の診療に導入。患者は井上病院(長崎市)の睡眠センターを受診し、1泊入院して睡眠時のポリグラフ検査を受ける。その後は自宅に戻り、かかりつけ医のいる地元病院を訪れる。そこでかかりつけ医同席の下、あじさいネットのテレビ会議画面で、井上病院副院長の吉嶺裕之氏から検査結果と今後の治療方針の説明を受ける仕組みだ(図9)。

図9 井上病院と上五島病院間における遠隔診療の様子(提供:井上病院・吉嶺氏)(図 略)

 あじさいネットの運用に関わる長崎大学医療情報学准教授の松本武浩氏によれば、今後は、他の疾患についても遠隔診療の実施を検討しているという。「睡眠時無呼吸症候群や神経内科疾患などは潜在患者数が多いにもかかわらず、過疎地にはなかなか専門の医師がいない。将来的には各離島にある基幹病院に遠隔診療外来を開設し、専門科の医師とネットワーク回線を通してやり取りをしてもらうことで、住み慣れた場所で診断と治療をできるようにしていきたい」と話す。

携帯型分娩監視装置が標準に

 患者の状態を離れた場所でチェックする遠隔モニタリングも、2040年には導入が広がっていることだろう。その効果は、現時点でも実証済みだ。鹿児島県奄美市の名瀬徳洲会病院で産婦人科常勤医として働く小田切幸平氏は、遠隔モニタリングを駆使して、奄美群島の産科医療を支える活動を続けている。

 同病院は常勤の産婦人科医1人、助産師3人の体制で、遠方の妊婦にまで対応するには限界がある。そこで小田切氏が導入したのがモバイルCTG(持ち運びできる小型分娩監視装置)システムだった。

 自宅で妊婦が自己装着し、得られた胎児心拍数と子宮収縮のデータは通信回線を通じて医療機関のパソコンや医師の携帯電話に送信される。「おかげで胎児仮死や切迫早産のケースも、何とか救命もしくは早めに対処することができるようになった」。

 名瀬徳洲会病院では、このシステムを、通院が困難な遠方の妊婦でかつ頻回のCTGチェックが必要なケースに導入している。例えば、羊水過少や胎児発育不全、出産予定日超過などの胎盤機能不全が懸念される症例、あるいは切迫早産などの子宮収縮のモニタリングが必要な症例などだ。送られてくるデータは、産科医1人と助産師2人でチェックし続けている。

 モバイルCTGを利用した妊婦からは、「わざわざ病院に行かなくても医師とつながっている安心感があった」「胎児への愛おしさが強まった」という声が寄せられている。小田切氏らの遠隔分娩監視の取り組みは、他の地域にも十分に応用が可能だろう。

 地方では、一般診療は身近な医療機関で受けつつも、集約化が不可欠な専門診療は遠隔受診する──というスタイルが2040年には標準になっているかもしれない。


在宅は複数医師対応が当然に

 一方の大都市やその周辺部で、在宅医療の需要が急増していくことは、これまで述べてきた通り。当然のことながら病院だけでは対応しきれず、診療所も訪問診療などに取り組まなければ地域医療は崩壊しかねない。

 だが、医師が1人しかいない診療所では、多様な疾患を有する高齢者への対応には限界がある。《3》で紹介したホームケアクリニック横浜港南が、医師5人体制を敷いているのはそのためだ。実際、高い診療報酬が算定できる機能強化型の在宅療養支援診療所は「常勤医師3人以上」が要件となっている。2040年に在宅診療に携わる診療所は、複数医師体制が当たり前になっているだろう。

 そして地方か都市部かを問わず、これからの医師に求められるのが、患者を「総合的に診る力」だ。今後は急性期後の回復期・慢性期医療の入院需要や、在宅医療需要が高まっていく。入院患者の在宅復帰を支援したり、高齢者の様々な合併症に対応するには、生活環境も含め幅広く診る能力が欠かせない。

 「国民の医療ニーズに応えるには、将来的には医師の半数以上が総合診療医になるような政策を採ることを考えてもいい」と元内閣官房社会保障改革担当室長の中村氏は指摘する。

 こうした将来の医療需要に対応するため、2018年4月に始まる新専門医制度では、総合診療科を19番目の診療科に追加した。また、日本医師会は「日医かかりつけ医機能研修制度」を実施。全日本病院協会も、10年以上の臨床経験を持つ医師がどのような疾患・病態の患者にも対応できるようにするため、不足しているスキルを補う研修「全日本病院協会総合医育成事業」を始める方針を示している。

 これらの研修が実臨床に合った形で実施され普及すれば、総合的な診療能力を持つ医師は着実に増えていくことが見込まれる。

 2040年に向け、各病院が担う診療機能や地域の医療提供体制は大きな変貌を遂げていくだろう。現場の医師としては、自身が勤務する地域の人口や医療需要などの予測値を把握し、今後の変化に対応する手立てを早めに講じておきたいところだ。



http://www.medwatch.jp/?p=18338
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長 
2018年1月19日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 厚生労働省は1月18日に、全国厚生労働関係部局長会議を開催し、次年度(2018年度)における厚生労働行政の重要事項を、都道府県などの保健福祉担当者に説明しました(厚労省のサイトはこちら)。

 医政局の重要事項については、厚生労働省医政局の武田俊彦局長が、地域医療構想や医師偏在対策を中心に説明しました。

ここがポイント!
1 地域医療構想調整会議での議論、「2018年度までが特に重要」
2 地域医療構想調整会議を外来医療についても検討する場に

地域医療構想調整会議での議論、「2018年度までが特に重要」

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となることから、医療(特に回復期・慢性期)・介護ニーズが飛躍的に高まり、地域における医療提供体制の再編(機能分化・連携の強化)が必要となります。このため、各都道府県が「2025年における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能別の必要病床数」などを推計し、地域医療構想(いわば「2025年における医療提供体制像」)として昨年(2017年)3月までに策定・公表しています。

 地域医療構想の実現に向けては、都道府県が地域ごとに開催する地域医療構想調整会議(以下、調整会議)などで医療関係者らが話し合い、医療提供体制を再編して「2025年における医療提供体制像」に近づけるために「各医療機関がどのような役割を担えばよいのか」を具体化していきます。

 厚労省は、「都道府県が何をしなければいけないのか」「どういう点から検討していけばよいのか」などを、これまでも通知の発出や研修会開催などで都道府県に伝えてきましたが、昨年(2017年)12月、「都道府県がすべきこと」がより明確になるように、地域医療構想に関するワーキンググループ(医療計画の見直し等に関する検討会の下部組織)での議論を整理しています(関連記事はこちら)。武田局長は、この「議論の整理」の中で、調整会議での協議の進め方が次のように明確化されたことを説明しました。

▼公立病院や公的医療機関などの具体的な対応方針(2025年時点の医療機能ごとの病床数など)について、調整会議で今年度(2017年度)中に協議する
▼医療機能などを大きく変更する予定のある医療機関の対応方針も、速やかに協議する
▼遅くとも来年度(2018年度)末までに、全医療機関の対応方針を協議する
▼調整会議で関係者の合意が得られた対応方針を、都道府県が毎年度取りまとめる

 また武田医政局長は、昨年(2017年)6月に閣議決定された「骨太方針2017」(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)の中で、「2年程度かけて、調整会議で集中的な検討をする」よう促されていることを挙げ、「今年度(2017年度)から来年度(18年度)が重要な年になる。議論を加速化してほしい」と都道府県担当者に呼び掛けました。
地域医療構想調整会議では、地域にある全医療機関の対応方針について、2018年度末までに協議することになる(図 略)

地域医療構想調整会議を外来医療についても検討する場に

 医師の偏在対策については、医師需給分科会が昨年(2017年)12月にまとめた「早急に着手すべき対策」に基づいて、医療法や医師法の改正案を厚労省が準備しています(2018年通常国会に提出予定)。武田医政局長は、今般の医師偏在対策の柱は、(1)医師少数地域での勤務を医師に促す環境整備(2)都道府県の体制強化(3)外来医療機能の偏在などへの対応―であることを確認(関連記事はこちら)。

 医師少数地域の診療所などで医師が働くに当たっては、現状、「自分の代わりを務める医師がおらず、休暇が取れない」「自分の専門外の患者を診療することになった場合に、相談できる医師が身近にいない」といった不安を感じるかもしれません。そこで、偏在対策の(1)では、▼医師が交代で勤務できるように、医療機関からの医師派遣を複数人セットで行うを派遣する ▼地域の中核病院が、専門外の症例に関する助言などを行う―ことで、安心して診療できる勤務環境を整えていきます。医師派遣や助言提供を行い、勤務環境整備に貢献する医療機関には、経済的なインセンティブ(補助金など)が付与されることになります。

 また、そもそも医師不足地域での勤務を希望する医師の数を増やすために、「医師少数地域で一定期間勤務した医師を厚生労働大臣が認定する制度」を新設。武田局長は、「認定を得た医師に対しては、さまざまなインセンティブを検討したい」と述べています。

今後、医療法や医師法などが改正され、医師に医師不足地域での勤務を促す仕組みが設けられる見込みだ(図 略)

 一方、(2)の「都道府県の体制強化」では、3か年の「医師確保計画」の策定が都道府県に義務付けられます。「医師確保計画」には、「地域の医療ニーズに見合う医師確保の目標値」などを盛り込み、目標達成に向けて、都道府県が大学医学部やその付属病院などと連携しながら、医師派遣や医師の地域定着策に取り組めるように、都道府県に権限(例えば、医学部に「地元出身者枠」を設けるよう大学に要請する権限)を与えます。

医師偏在対策では、地域ごとの医師偏在の度合いを示す指標も導入される
都道府県では今後、医師確保計画を策定して医師偏在解消に取り組むことになる見通しだ
都道府県には、「地元出身者枠」の設置を大学に要請する権限などが付与される見通しだ
診療科偏在の解消に向けて、厚労省は都道府県から日本専門医機構に意見を述べる仕組みが法定される見通しだ
(解像度が低く、文字情報が解読できないため、上記4点図 略)

 また、(3)の「外来医療機能」の関連では、無床診療所の開設場所が都市部に偏ってしまっている現状を踏まえて、「外来医療の需要があるにもかかわらず供給が不足している地域=開業が成功しやすい地域」の情報 を、開業を希望する医師に提供する仕組みを設けます。「外来医療の供給が不足している地域」での開業を促す狙いがあり、どのような情報を提供するかは、二次医療圏ごとに医療関係者らが話し合って決めることになります。この外来医療に関する協議の場について武田局長は、「地域医療構想調整会議も活用してはどうかと考えている」と述べています。
地域医療構想調整会議では今後、外来医療の提供体制についても話し合うことになりそうだ
(解像度が低く、文字情報が解読できないため、図 略)



https://mainichi.jp/sunday/articles/20180115/org/00m/010/003000d
社会保障
「国民健康保険」「介護保険」 これは許せん! “大改悪”が家計を破壊する!
 
2018年1月17日  Texts by サンデー毎日

 2018年は「惑星直列の年」と呼ばれる。惑星が一列に並ぶように、社会保障の制度改正が重なるためだ。医療や介護などの「負担増」「給付減」の波が、ますます家計を圧迫する。安心して医療や介護を受けるために何を知り、備えておくべきなのか。

「2018年は、2年に1度の診療報酬と3年に1度の介護報酬の“ダブル改定”が実施されるほか、4月からは地域の医療機関の病床再編が本格化する『地域医療構想』がスタートします。同じく4月からは国民健康保険(国保)の財政運営が市町村から都道府県に移管されるなど、重要な改革が目白押しです。これだけ大規模な制度改正が一斉に行われるのは珍しく、私たちの暮らしや家計に大きな影響を与えます」

 そう話すのは、三原岳・ニッセイ基礎研究所准主任研究員だ。

 これらの改革は、団塊の世代のすべてが75歳以上の後期高齢者になる25年に向け、膨らみ続ける社会保障費を抑制するために行われる改正だ。何がどう変わるのかみていこう。

国保の都道府県化で保険料がさらに高騰
「家賃5万円を払い、子どもに食べさせるお米や野菜を買えば手元に残るお金はほとんどありません。これ以上何を削ればいいのか……。とても保険料に回せるお金はありません」(東京都足立区・38歳自営業女性)

「勤めを辞めて会社の健康保険から国保に移ったら、1カ月に3万円もの保険料になり、高いことにビックリした」(横浜市・66歳男性)

 定年退職した人や自営業者らが加入する市町村の国保は、年々保険料(税※)が高騰し、「高すぎて払えない」との悲鳴が上がっている。

 たとえば、所得が年250万円の3人家族(30歳代の夫婦と子ども1人)の場合、国保料は東京23区で35万2800円、大阪市34万7100円、福岡市35万2100円など、所得の1割を大きく上回っている。1カ月の給与が吹き飛んでしまうほどの高負担は限界だろう。

 高騰を招いている要因は、加入世帯の低所得化と国の予算削減だ。国民健康保険制度に詳しい立教大コミュニティ福祉学部の芝田英昭教授はこう話す。

「かつての国保加入者は、農林水産業や自営業者が多かったのですが、現在は年金生活などの無職者や非正規雇用者が約8割となり、所得なし世帯が約3割、所得100万円未満の世帯が半分を占めています。所得に占める1人あたりの保険料負担は会社員らが加入する組合健保の約2倍で、最も所得の低い層が最も重い負担を強いられている状況です」

 被用者保険の保険料は会社と折半なので自己負担は半分で済むが、国保は全額自己負担だ。また、給与によって保険料が決められている被用者保険は扶養家族が何人いても保険料は同じだが、国保は家族が多いほど保険料が比例して高くなる、という構造的問題もある。

「加えて、1984年には約45%だった国庫補助が、2015年度には20・3%にまで削減され、その結果、高すぎる保険料を払えなくなる人が続出しているのです」(芝田教授)

 16年度の滞納世帯は312・5万世帯と全加入世帯(1968万世帯)の約16%が滞納しているのだ。

 財政難にあえぐ自治体は、未納者や滞納者を「差し押さえ」などの処分で締め上げる。国保料を払えずに差し押さえられた世帯数は、06年の9・5万件から29・8万件とこの10年で3倍にも増えている。

 こうした赤字財政の国保を立て直すため、今年4月から、国保は市町村と都道府県の共同運営に変わる。1961年の制度開始以来の大改革だ。

 都道府県化して規模を大きくすれば財政基盤が安定し、移管に伴い国から財政支援(2018年度約1700億円)も受けることができる、というのが国の説明だ。保険料の払い方は変わるのだろうか。

「新制度になっても、国保料の額を決め、住民から保険料を徴収するのは引き続き市町村の仕事です」(芝田教授)

 では都道府県はどのような仕事をするのか。

「これまでは、市町村が医療費の推計や保険料の決定、徴収を行っていましたが、今後は、都道府県が医療医の推計を行い、市町村に『納付金』を割り当てます」(同)

 次のような流れになる。

(1)都道府県が市町村に対して「納付金」の金額を提示する

(2)「納付金」の提示を受け、市町村は「納付金」がまかなえる保険料率を決める

(3)加入者から保険料を徴収する

(4)市町村は、都道府県に「納付金」を納める

「納付金は100%完納が義務づけられ、減額は認められません。そうなると市町村は住民から集める国保料の徴収を強化するしかありません。納付金とあわせて、都道府県は各市町村の『標準保険料率』も公表することになっていて、この標準保険料率を参考に市区町村が実際の保険料を決めるのです」(同)

 標準保険料率はあくまで“参考”であって市町村は従う義務はない、とされている。しかし、芝田教授はこう話す。

「建前はそうなのですが、県から提示された“あるべき保険料”の提示が、市町村への圧力となって働きます」

 さらに保険料アップに影響を及ぼすのが、保険料を抑制するために、一般会計から国保会計に投入している「法定外繰入金」だ。

「政府・厚労省は繰り入れを『計画的に解消していくべきだ』という方針で、その“指導役”の役割を都道府県に果たさせようとしているのです」(同)

 税金の補てんがなくなれば急激な保険料上昇を招いてしまう。

 今でも多くの市町村は、国保料の収納率を上げるために正規の保険証を取り上げたり、預金や財産を差し押さえするなど強権的な手法をとっている。具合が悪くても病院を受診できず、治療が手遅れになって命を落とすケースも相次いでいる。

「国保が抱える構造的問題を放置したまま、市町村に徴収強化を促すような都道府県化を導入すれば、加入者はますます貧困に追い込まれ、医療を受けられない人たちも増えるでしょう」(同)

 市町村でバラバラの保険料を統一すべきかどうかは、都道府県によって対応が分かれている。現状通り、財源不足分を一般会計から補てんし続ける予定の自治体もある。自分が住む自治体の保険料がどうなるのか、注視していきたい。

病床削減で医療難民が出る!?
 国保の都道府県化に限らず、今後はあらゆる医療行政において「都道府県の役割」が強まっていく、と先の三原さんは言う。

「一律の財源対策が難しくなってきた国は、病床を削減したり、保険料上昇を抑えるために都道府県の役割と責任を強化しようとしています。都道府県によって異なる診療報酬(医療の公定価格)が導入される可能性もあります。後で振り返ると18年は医療行政の都道府県化が進んだ元年と言われるかもしれません」(三原さん)

 昨年末までに、47都道府県は、医療提供体制の将来像(ビジョン)を示す「地域医療構想」を策定した。それによると、現状約127万4500床の全国の病院のベッド(病床)数は25年に約119万床に減る見通しだ。

 特に、重い病気で入院している患者向けの「急性期病床」が削減される。

「急性期病床は病院にとって採算性の高い部門なので、政府はこれが医療費増大の原因とみて、減らそうとしているのです。急性期病棟には現在、患者7人に対して看護師1人が配置されていて、最も報酬が高いのですが、政府はこの算定方法を見直して報酬を引き下げ、再編を促そうとしているのです」(全国保険医団体連合会の寺尾正之さん)

 介護施設や在宅介護ができる態勢が整っていなければ、病院から追い出されて行き場をなくす“医療難民”や“介護難民”が出かねない。

「在宅に戻されても、生活援助の利用が制限されるなど介護保険サービスも十分に使えなくなっている現状です。途切れない医療介護体制を国の責任でつくるべきです」(寺尾さん)

 一方、前出のニッセイ基礎研究所の三原さんは、こう話す。

「地域医療構想は病床削減目標だけでなく、地域の医療提供体制と、その理念を描くことを求められています。都道府県が発表した地域医療構想を子細にみていくと、地域特性を生かした独自の医療体制を構築しようとしている自治体も見受けられます」

 つまり、都道府県の“やる気”“意欲”によって、医療体制の格差が広がる可能性が出てくるということだ。

「高齢者が増えていくなか、『治す医療』だけでなく『生活を支える医療』の重要性が増していきます。住民もいきなり大病院に行くのではなく、身近に相談できる医師を探したり、そうした医師の情報を提供している医療機関や自治体の情報を収集したりして、自ら能動的に考え動いていくことが大事になります」(同)

介護保険からの「自立」「卒業」という非道
「年金から高い保険料を天引きされながら、いざ介護サービスが必要になると、『要支援の人の調理や掃除はヘルパーじゃなくボランティアにやってもらえ』なんておかしいですよ」

 要支援2で週1回の訪問介護サービスを利用している75歳の男性は憤る。

 膨張する介護給付費に歯止めをかけるために、サービスを使いにくくしたり、利用者負担を重くする施策がここ数年、次から次へと繰り出されてきた。

 (1)要支援1、2のホームヘルプ(訪問介護)、デイサービス(通所介護)は保険からはずされ市町村の事業に(2)特別養護老人ホームへの入居は原則要介護3以上の人に(3)所得にかかわらず1割だった自己負担は一定所得以上の人は2割に(4)非課税世帯でも預貯金が一定額あれば、介護保険施設の食費や部屋代の補助(補足給付)は打ち切り――。

 そして今、盛んに言われているのが介護保険利用者の「自立支援」だ。介護保険サービスの利用が必要なくなった状態を「自立」と呼び、介護保険から「卒業」させる動きが全国の自治体で広がっている。

 身体機能を高めて要介護度を改善した市町村には、財政的に優遇する「インセンティブ」(動機づけ)の制度が改正介護保険法に盛り込まれた。

「ヨボヨボになっているのにリハビリを一生懸命やって自立しよう、なんてハッパをかけられるのは拷問に近い」と76歳男性(要介護1)は憤る。

 リハビリなどを行った高齢者が「元気」になることは喜ばしいことに違いないし、多くの人の要介護度が下がれば介護給付費も抑えられて一石二鳥ともいえるが、「大きな危険性をはらんでいる」と前出・三原さんは指摘する。

「すべての高齢者が、リハビリなどによって要介護度を下げられたり、介護保険を卒業できるわけではありません。そもそも介護保険制度は、高齢者のニーズに応じて自らサービスを選択し、その人らしく暮らすことを支援する、という理念だったはずです。次々行われる見直しをみていると、利用者の選択権を奪い、行政が使うサービスを決めていた介護保険導入前の『措置』制度に戻りつつある気がします」

 ヘルパーが料理や掃除などを手助けする「生活援助」についても、使いすぎないように利用を制限する仕組みが今年10月から始まる。生活援助を行うヘルパーの資格を短い研修でも可とする基準緩和が4月の介護報酬改定で盛り込まれた。いずれも“軽度者”を介護保険から切り捨てる意図が透けてみえる。

「介護保険は保険である以上、保険料を払った人には反対給付を伴う必要があります。要支援や要介護状態の人に介護サービスの利用を制限したり取り上げたりするのは、約束違反であるし、詐欺のようなものです。国保も同じですが、財源が厳しいとか、保険料を払える、払えないとは関係なく受給権を保障するのが社会保障です」(芝田教授)

 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利「生存権」が脅かされつつあることに私たちはもっと声を上げていかなければいけない。

(本誌・藤後野里子)

※「国民健康保険税」として徴収している自治体もある。本誌では、以下「保険料」と表記

(サンデー毎日1月28日号から)



http://www.medwatch.jp/?p=18240
2025年に向けて、地域の医療・介護提供体制の再構築を最大限支援する―加藤厚労相 
2018年1月16日|2018年度診療・介護報酬改定 MedWatch

 2025年に向けて、地域医療構想の実現、医師偏在の解消、働き方改革の実現、地域包括ケアシステムの構築などに国を挙げて取り組んでいく—。

四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)が1月12日に開いた2018年の賀詞交歓会で、加藤勝信厚生労働大臣はこのような考えを述べました。

ここがポイント!
1 医療・介護ニーズの多様化に対応するため、医療・介護提供体制の再構築が不可避
2 保険医療サービスに係る消費税問題、抜本解決を求める
3 自院の等身大の姿を見極め、地域の事情も踏まえながら、地域での役割を考える

医療・介護ニーズの多様化に対応するため、医療・介護提供体制の再構築が不可避

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが飛躍的に高まるとともに、そのニーズが多様化していきます。加藤厚労相は、この多様なニーズに対応するために「地域の医療・介護提供体制を再構築していかなければならない」点を強調。

さらに、今年(2018年)は、▼新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートする▼6年に一度の診療報酬・介護報酬同時改定が行われる—という重要な節目の年となるため、次のような施策を通じて、2025年に向けた医療・介護提供体制の再構築を、国を挙げて支援していくことを強く訴えました。

▼地域医療構想の実現に向けて、データ分析を推進し、医療提供における役割分担(機能分化)の好事例を共有するとともに、地域医療介護総合確保基金をはじめとして、進捗状況に応じたきめ細かな支援を行う

▼医師偏在という大きな課題に対応するために、都道府県が主体的に医師確保を行える体制を確保し、医師の地方勤務を後押しできるように、今通常国会に医療法等の改正案を提出する

▼医師の働き方改革を実現するために、地域医療への影響を考慮した上で、関係者の議論を深化させていく

▼2018年度の診療報酬・介護報酬改定において、地域包括ケアシステムの構築、医療・介護連携の推進、ICT活用も含めた医療現場の負担軽減などによって、質の高い効率的な医療提供体制を再構築する」ことになります。

保険医療サービスに係る消費税問題、抜本解決を求める

また日本医師会の横倉義武会長の代理として来賓挨拶を行った今村聡副会長は、四病院団体協議会と日本医師会とがこれまで以上に連携し、「医政を正し、国民の信頼の応えていかなければならない」と訴えました。
 
とくに保険医療サービスへの消費税問題について、来年(2019年)10月には消費税率が10%に引き上げられ、このままでは医療機関の負担がさらに増してしまうことから、「抜本解決を主張していく」考えを強調しています。医療機関が購入する物品やサービスについては消費税が「課税」されますが、医療機関が患者に提供する保険医療サービスでは消費税が「非課税」となっているため、医療機関が負担した消費税は、最終消費者となる患者・保険者に転嫁することはできません。このため、消費税導入時・消費税率引き上げ時には、特別の診療報酬プラス改定で対応されてきましたが、医療現場からは「医療機関の消費税負担を十分に賄えていない」との強い批判があります。消費税率が引き上げられれば、医療機関の消費税負担はさらに重くなるため、経営がさらに厳しくなってくるのです。日医らは「保険医療サービスについて、消費税をゼロ%で課税し、医療機関が収めた消費税が償還される仕組みを設けるべき」ことなどを提案しており、今後の税制改革論議がさらに熱を帯びてきそうです。

自院の等身大の姿を見極め、地域の事情も踏まえながら、地域での役割を考える

さらに、主催者として挨拶した日本病院会の相澤孝夫会長は、今年(2018年)を「将来に向けた改革の重要な第一歩である」と位置づけ、▼自院の等身大の姿をきちんと見極める▼周辺がどのような状況になっているかをきちんと把握する▼時代の潮流を見て、自院が地域で何をしなければならないかをしっかりと考える—という3つの取り組みに、覚悟をもって踏み出さなければならないと、出席者に檄を飛ばしました(関連記事はこちらとこちら)。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554399.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《3》
「入院難民」「在宅難民」が深刻な社会問題に
 
2018/1/15 三和護=編集委員、満武里奈、加納亜子

救急患者が4年で40%も減少

 産科や小児科の患者は減る一方だが、現状では高齢患者が増えているため、全体的に見れば医療ニーズの明らかな減少は見られない。しかし、2040年の日本を先取りする形で人口減が進む地域では、既に医療ニーズの縮小が顕在化している。市場としての医療が縮みつつあるのだ。

 「私が当地に赴任したのは5年ほど前だが、それから毎年のように患者数が減っていった」。青森県南津軽郡大鰐町で町立大鰐病院の院長を務める佐藤新一氏はこう話す。

 大鰐町が2017年3月にまとめた「町立大鰐病院新改革プラン」を見ると、同病院の患者の減少ぶりが明らかだ。町で唯一、夜間の救急診療に対応してきた同病院だが、救急患者数は年々減少。2013年度には延べ747人だったが、翌年度以降は569人、453人と推移し、2016年度は423人にとどまると見込まれている(図6)。つまり、4年間で4割以上の患者がいなくなってしまったことになる。

図6 町立大鰐病院の救急・入院患者数の推移 (図 略)

 入院患者数も、2010年度をピークに減少に転じた。2013年度に延べ1万3727人だった入院患者数は、2016年度には1万人を割り9500人になると予想されている。

 患者減少の原因は、言うまでもなく少子高齢化の進展と人口減だ。大鰐町の人口は2015年度に1万701人だったが、2016年度は1万人を下回る見通しだ。2016年末現在の高齢化率は39.4%に達しており、若年層人口はもとより高齢者人口も既に減少に転じている。

 こうした事情から大鰐病院には、地域の病院再編プランの中で、病床規模の縮小とともに、救急から手を引き回復期・慢性期医療に特化する方針転換が求められている。しかし、転換後に救急患者が発生した場合、弘前市内まで30分から1時間をかけて搬送する必要が出てくる。冬場であれば、さらに時間が必要だ。救急に対応する病床を完全になくしてしまうことには、佐藤氏も抵抗感を抱いている。

 減少したとはいえ、いまだに外来患者数が毎年3万3000人(1日平均114人)規模で推移していることから、再編プランも病院廃止までは想定していない。「有床診療所への転換も検討項目に挙がっている」。こう話す佐藤氏は、夜間救急対応や中核病院から退院してくる患者への回復期リハビリテーションの提供、さらには訪問診療の継続を担う医療機関として、病院を残すべきとの立場だ。「幸いにも大鰐町は温泉が豊富であり、リハビリにはもってこいではないかと思う」。

 今後の方針が定まっていない町立大鰐病院だが、2040年には同様の選択を迫られる病院が、どの地域にも少なからず存在しているはずだ。

患者減への危機感から県外へ

 大鰐病院ほどではなくとも、外来患者の減少に見舞われ始めた病院は少なくない。兵庫県赤穂市の赤穂はくほう会病院も、その1つだ。外来患者数は2006年には17万8127人だったが、5年後の2011年には17万4538人へと2.0%減少。さらに2016年には2011年比で7.8%減の16万952人となり、患者数の減少スピードは加速している。

 赤穂市を含む西播磨医療圏の高齢化率は2015年時点で30.4%に達しており、2010年から2015年にかけて人口は4.46%減少。この人口減少が、赤穂はくほう会病院の外来患者減少に結びついている。同病院を経営する医療法人伯鳳会理事長の古城資久氏によれば、入院患者が減少する傾向はまだ見られないということだが、医療需要の減少に対する同氏の危機感は強い。

 「赤穂市は今後も人口が減っていき、患者も減っていくことが予想される。高齢化によって疾病構造も変化するため、特に小児科の患者が減少していくだろう。他にも最近の患者動向から、心筋梗塞や脳梗塞が減っていくのではないかとみている。そのため人口増加が見込めて、かつ高齢化率が高くない地域に事業を展開していかないと、じり貧になる」。

 こうした考えから伯鳳会では、2005年から2007年にかけて、同じ兵庫県内の明石市と姫路市の2病院をM&Aによってグループ傘下に収めた。さらに2010年には、事業承継の形で大阪市内の2病院を、2013年には東京都墨田区にある病院をグループ化した。

 各地で医療ニーズの縮小が顕在化する2040年に向けて、人口減少地域の医療機関が、高齢化率が相対的に低い都市部に打って出るケースが増えていくことになりそうだ。

回復期病床の需要が増加

 これとは対照的に、大都市やその周辺部では、増大する高齢者の入院医療需要に応えきれなくなるケースが増えてくるとみられる。

 図7はPART1にも出てきた、青森、岡山、神奈川の特徴的な二次医療圏における必要病床数の推計値を予測したものだ(メディチュアの渡辺氏による)。このうち神奈川の川崎南部医療圏(川崎市幸区など)は、2040年には高齢化率が28.2%に達し、2050年ごろまで医療需要が増え続けると見込まれている。

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図7 青森、岡山、神奈川の必要病床数推計予測(メディチュア・渡辺氏による)

 入院医療でとりわけ需要が増えるとみられるのが、高齢者の在宅復帰支援や在宅患者の急性増悪時の受け入れに対応できる病床だ。実際にこの予測でも、必要病床数が最も増えるのは「回復期」とされている。

 国は今、機能別の病床数を定める「地域医療構想」(詳しくは後日公開記事参照)によって、二次医療圏ごとに必要とされる病床の適正配置を進めようとしている。だが、どの病院がどのような機能を担うかは関係者の話し合いによって決まるため、必ずしもスムーズに事が運ぶとは限らない。

 地域医療構想に基づく病床配置が首尾よく進まなければ、2040年には「入院難民」が発生しかねない。「都市部で入院先が見つからなくなり、それが社会問題化することで、空床がある地域に高齢者が移住する動きが出てくる可能性もある」と国際医療福祉大学医療経営管理分野教授の高橋泰氏は指摘している。

団地は都市部の高齢化の縮図

 2040年に向けて高齢者が増え続ける大都市と周辺部では、病床数に限りがあることから、在宅医療のニーズも急増すると予測されている。既に、その兆候が見られる地域も現れてきた。

 高度成長期に建てられた大規模団地は、その代表的な存在だ。住民が完成時に一斉に入居するため、団地の世帯主には同世代が多い。そのため年月を経て子どもたちが独立すると、高齢化率が一気に跳ね上がる。

 横浜市港南区は、昭和40年代以降に建てられた大規模団地が多く、市内でも高齢化が一足早く進行中の地域だ。大規模団地における高齢化率は35%を超えるが、これは神奈川県の将来推計による2040年時点の県全体の高齢化率35.0%とぴったり一致する。つまり団地は、都市部の高齢化の縮図なのだ。

 そんな団地を診療圏に抱える同区の機能強化型在宅療養支援診療所、ホームケアクリニック横浜港南は現在、常勤医師5人体制で約720人の在宅患者に訪問診療を行っている。隣接する横浜市栄区で2004年に開業した際は、定期訪問する患者は30人程度にすぎなかったが、「癌やALS(筋萎縮性側索硬化症)などの在宅患者がどんどん紹介されて受け入れられなくなり、移転して体制を拡充した」(院長の足立大樹氏)という。それでも人員体制などの面から受け入れができず、依頼を断ることもあった。

 その後、港南区内の在宅療養支援診療所が増え、在宅医療の需給バランスは幾分緩和した。ただ、依然として予断を許さない状況が続いている。

 足立氏が挙げる問題の1つが、後方支援病床の不足だ。港南区内や近隣地域には急性期の大病院が多い一方、地域包括ケア病棟や療養病床を有する中小病院が少なく、急性増悪した在宅患者の受け入れ先を探すのに苦労することもある。「現状では基幹病院に受け入れをお願いしているが、これが断られるようになったら厳しい状況だ」と足立氏。

看取りを担う?在宅医療

 もう1つの問題は、いわゆる「困難事例」や、在宅医療の支援が届いていない高齢者の存在だ。

 高度成長期に建てられた高蔵寺ニュータウン(愛知県春日井市)の中で開業し、春日井警察署の依頼を受けて2005年~2015年に577例の検死を行ってきた田島クリニック院長の田島正孝氏は「高齢化が進み、独居の高齢者が増えているからか、死後24時間以上経過してから発見される高齢者が目立つようになってきている」と言う。独居の高齢者では、地域の民生委員などの積極的な介入を拒む人も少なくなく、「外出の機会が減りやすく、医療を自ら受ける機会も減るため生活指導や医療的な介入もしづらい。また、認知症などの疾患の拾い上げや治療、生活習慣病のコントロール、不摂生な生活の是正が困難なケースは少なくない」(田島氏)。

 高齢者のみの世帯が増えたことで、本人、家族とも認知症を有するなど対応が難しい事例も増えている。しかし、在宅医療を手掛ける診療所が全てのケースを拾い上げ、対処できるわけではない。

 前述のホームケアクリニック横浜港南では、ソーシャルワーカーなどを配して困難事例も積極的に受け入れている。だが、同様の体制の診療所が他にも出てこなければ、これから増大するであろう在宅医療の需要をカバーしきれなくなる。その先に待っているのは、「在宅難民」の発生だ。

 PART1でも触れた通り、2040年には都市部を中心に、49万人分の看取りの場所が不足するとみられている。しかし、病床数や介護施設の定員数が大幅に増えることは考えづらく、現実的には高齢者住宅などへの訪問も含めた在宅医療に頼らざるを得ないだろう。2040年に向けて、在宅医療のニーズは増えこそすれ決して減ることはないはずだ。

 これまで述べてきた医療ニーズの変化によって、医療機関や医師の動きがどう変わっていくのか。それを、次ページからのPART3で考察する。



https://mainichi.jp/articles/20180116/rky/00m/040/004000c
県立北部病院
眼科休診へ 来月から、医師不足で /沖縄
 
2018年1月16日 毎日新聞

 【名護】名護市大中の沖縄県立北部病院が、医師不足のため2月1日から眼科を休診することが分かった。知念清治院長は「医師不足が危機的状況だ。一生懸命探しているが見つからない状態だ」と述べた。北部病院では産婦人科の救急休止や外来外科診療の制限も続いており、やんばる全体で医師不足が深刻化している。
 県立北部病院によると、これまで対応していた眼科医1人が退職するため、1月31日が最終診療となる。眼科の休止で、未熟児網膜症の診断ができなくなるため、7月末までは必要に応じて名護市内の眼科医を派遣して対応することが決まっている。8月以降は白紙で、医師確保のめどが立っていない。
 未熟児網膜症は重症になると網膜剥離が起き、視力障害につながる可能性がある。過去には、眼科休診により未熟児網膜症の診断ができなくなり、30週未満の妊婦の受け入れを制限していた病院もある。
 北部病院では妊婦の受け入れの制限は現段階では行わない。知念院長は「県が全国の大学病院や施設から医師の派遣を模索しているが、後任医師の確保が非常に難しい状態だ」と話した。
(琉球新報)



http://www.mutusinpou.co.jp/news/2018/01/49739.html
浪岡病院建て替え 病床数35床に

2018/1/21 日曜日 陸奥新報

 青森市は20日までに、浪岡病院を現在地に建て替える方針を決めた。病床数は35床規模で2021年度の開院を目指しており、精神病床は廃止する。市民病院は病床数を削減するほか、がん診療支援室の設置などを検討している。両病院の経営改善に向けて、今後取り組みを加速していく。
 市は17年5月に「市公立病院改革プラン2016―2020」を策定。地域医療に関する有識者会議での協議を本格化させ、市民病院と浪岡病院の経営改善に向けた取り組みを模索している。これまでの協議を踏まえ、早急に取り組むべき課題として浪岡病院に関しては4項目、市民病院については6項目をまとめた。
 浪岡病院については、近年の利用状況から、病床数92床(うち稼働病床50床)を18年度から35床とし、35床規模で現在地に建て替え、21年度の開院を目指す。同病院は1970年に建設され、老朽化が進み設備も古くなっているという。

G3註:浪岡病院 総病床数 199床(一般病床数 92床 精神病床 107床)、青森市中心部と弘前市中心部のほぼ中間点



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52096
「医療崩壊」を防ぐには混合診療規制を撤廃せよ
破綻の危険性が高いのは東京の総合病院
 
(文:上 昌広)
2018.1.19(金) 新潮社フォーサイト

 2018年が明けた。今年、医療はどうなるだろう。私は医療崩壊が加速すると考えている。その理由は、我が国の医療制度が高齢化・情報化・グローバル化した世界に適合しなくなっているからだ。

 我が国の医療は、官僚がグランドデザインを描き、価格統制と供給量の規制を通じて現場を統制する。手足となるのは、医師会や大学医局だ。高度成長期、潤沢な補助金と高価な診療報酬に支えられ、医療機関の経営は安泰だった。典型的な護送船団方式だった。

 ところが、状況は変わった。財政難に喘ぐ我が国に、護送船団を支え続ける余力はない。医療システムを維持するには、1990年代末に金融界が経験したような大改革を避けては通れない。当面は、試行錯誤を繰り返しながら、新しい仕組みを作り上げるしかない。

 では、今年どこに注目すべきだろう。私は、今春に予定されている診療報酬改定と、今春から始まる新専門医制度だと思う。本稿では、前者を解説しよう。

有名・名門病院も大赤字

 昨年末の予算編成で、診療報酬本体が0.55%引き上げられたことが話題になった。医療界にとっては福音だ。ただ、医師・看護師不足などの理由で人件費が上がっている昨今、この程度では焼け石に水だ。このままでは、立ちゆかなくなる医療機関がでてくる。意外かもしれないが、最初に破綻するのは東京の病院だ。

 なぜ東京かと言えば、我が国の診療報酬が厚生労働省によって全国一律に決められているからだ。診療報酬が抑制されれば、物価が高い東京の医療機関がもっとも影響を受ける。

 では、どのような医療機関が特に危険なのだろうか。それは総合病院だ。不採算の診療科を切り捨てる経営上の「選択と集中」ができないし、すべての診療科を揃えるために、逆にすべてが中途半端な結果になってしまう。

 例えば、2014年度の胃がん治療数ランキングの首位はがん研有明病院の1417件。そして静岡県立静岡がんセンター(1348件)、国立がん研究センター中央病院(1310件)、国立がん研究センター東病院(867件)と続く。上位陣にはがん専門病院が名を連ね、東京の大学病院でもっとも症例数が多い東京大学は611件で16位だ。

 症例数がこんなに違えば、収益性は変わってくる。かつて総合百貨店が専門店に淘汰されたのと同じ状況が既に起こっている。実際、東京女子医科大学、日本医科大学、聖路加国際病院のような有名病院でさえ、大赤字を出している。最近になって、名門三井記念病院も債務超過であることが判明した。

 収益性の低下は、設備投資・人的投資の抑制を招く。東京女子医大で医療事故が続くのは、このような背景を考えれば納得がいく。

 この状況は危険だ。なぜなら、東京の急性期医療を担ってきたのは、私大附属病院を中心とした民間病院だからだ。

 東京には13の医学部があるが、11は私立だ。ちなみに、埼玉県の埼玉医大も私立だし、神奈川県に4つ存在する医学部のうち3つは私立だ。この状況は西日本とは対照的だ。近畿地方以西に位置する33の医学部のうち、25は国公立である。

 民間病院は、赤字が続けば「倒産」するしかない。補助金で穴埋めされる国公立病院とは違う。どうすれば、東京の医療を守ることができるか、本気で考える時期がきている。

どの施策も実現せずに5年以内に崩壊へ

 医療関係者の間では診療報酬の増額を要求する声が大きいが、現実的でない。我が国の財政にそんな余裕はない。

 まずやるべきは、コストの削減だ。だが悲しいかな、医療業界は合理化に抵抗する。

 医療のコストの大部分は、医師や看護師の人件費だ。人件費を下げるには、低賃金国から医師や看護師を受け入れるのが、世界の医療の常道だ。この方法は毀誉褒貶があるものの、私の知る限り、外国からの医師や看護師をほぼ完全に閉め出している先進国は日本しかない。

 例えばフィリピンの看護師の月給はおおよそ6万円、外科医でも20万~30万円程度。日本人と同じだけ給料を出せば、優秀な人材を招聘できる。みな英語が堪能で優秀、かつハングリーだ。外科や放射線科など、日本語を使わないで済む診療科から受け入れればいい。これまで世界最大の医師・看護師受け入れ国であった米国が、移民受け入れ制限政策を進めつつあるトランプ政権となったいまこそチャンスだ。このまま無策を決め込めば、中国に囲い込まれるだけである。

 ただ、現在の政治状況を鑑みれば、このような規制緩和が実現することはないだろう。医師にとってもっともありがたいのは、医師不足の状況が続くことだからだ。

 現状で医療費を抑制しながら、東京の医療を救うには、診療報酬を東京は1点12円、僻地は1点9円のように傾斜配分するのも1つの解決策だ。しかしながら、これもまた政治的に困難だ。

 医療機関は、基本的に地方ほど儲かる。医師不足の地方都市は、医師さえ確保できれば規模を拡大できる。東京の病院が経営難に喘ぐ中、東北地方や九州の病院が都心に進出しているなどが、その証左だ。

 地方の医療機関の経営者の多くは、地元の名士だ。カネも名誉も併せ持つ。国会議員の有力な支援者であることも多い。この状況は自民党に限ったことではない。2009年の民主党への政権交代で、中央社会保険医療協議会の日本医師会推薦メンバーが一新されたが、代わって入ったのは、民主党を支持する医師会メンバーだった。地方都市の診療報酬を下げるような、後援者の不利益となる政策を国会議員に期待する方が無理だ。

 このままでは近い将来、医療財政は破綻する。いまのままでは、ある日突然、病院が閉鎖されるようなハードランディングしかない。ある厚労官僚は、そのタイミングを「5年以内」と言う。

保健から外す範囲を決めるのは国民

 コストも下げられなければ、医療費の傾斜配分もできない。どうすればいいのだろう。厚労省は、健康保険がカバーする範囲を制限(免責)しはじめた。ただ、厚労省が主導すれば、政治が関与する。真っ先に免責されるのは、政治力が弱い中小の民間病院が担っている慢性期医療になる。

 製薬企業が開発した抗がん剤には、一部の高齢者を数カ月延命するくらいしか効果がないのに、薬代として年間に数千万円の健康保険適用を認めている。一方、慢性期病院に入院する患者には「在宅医療推進」というかけ声のもと、退院を強いる。このやり方のおかしさに、多くの国民が気づき始めている。

 私たちがやるべきは、国民視点に立った免責の議論だ。どこまでの医療を公的保険でカバーし、どれを外すかという個別具体的な話だ。風邪薬、先進医療、高齢者の慢性期ケアのどれを保険から外すかは、官僚、医師会、製薬企業でなく、国民が決めるべきだ。

 おそらく、高額な抗がん剤はまっさきに免責されるだろう。抗がん剤の新薬の承認や保険償還では、費用対効果を考慮することが世界的な流れになっている。

 ただ、新薬などの先進医療を免責すれば、「有効性が証明された医療行為は、すべて健康保険でカバーされている」という前提が崩れる。一部の患者から「有効だが優先順位が低い医療」を受ける権利を奪う。

 これは命に関わる問題だ。このような患者に治療の機会を提供するためには、保険診療と保険外診療を自由に併用できるよう「混合診療」の規制を緩和しなければならない。

「混合診療の解禁は富裕層優遇」は誤り

 私は、混合診療規制の緩和が、東京の医療を再生するきっかけになる可能性があると考えている。

 それは、東京には多くの医療ニーズがあり、付加価値に対して対価を払おうとする大勢の患者がいるからだ。

 ところが現在の保険制度は、このようなニーズに応えることができていない。混合診療が原則として禁止されているため、少しでも保険外の医療を併用すれば、本来は保険がカバーする分まですべて自費で支払わなければならないからだ。

「混合診療を解禁すれば、金持ちしか医療を受けられなくなる」と反対する人もいるが、現実は反対だ。混合診療が禁止されているからこそ、保険外の医療サービスを受けることができるのは富裕層だけという皮肉な結果になっている。現に、都内では富裕層を対象とした「完全自費医療サービス」が急成長している。

 例えば、私が社外取締役を務めるワイズ社(東京都中央区)は、健康・介護保険でリハビリがカバーされない回復期の患者を対象に、自費でのリハビリサービスを提供している。まさに、医療費抑制のために免責された領域だ。

 ワイズ社は首都圏を中心に9施設を展開しており、利用者は3年間で2000人を超えた。「パソコンができるようになりたい」、「料理ができるようになりたい」といった個々の目標に応じたパーソナルなリハビリを提供している。費用は月額約30万円で、多くの利用者の状態が改善している。自費なので、状態が改善しなければ、すぐに来院しなくなる。ワイズに勤務する理学療法士は、「病院時代より遙かに真剣です。やりがいもあります」と言う。

 また、私が理事長を務める「医療ガバナンス研究所」の研究員である坂本諒さん(看護師)は、在宅看護を研究している。自費の訪問看護を受ける場合、メニューは本人が決めるため、利用時間は1日数時間から24時間まで様々だ。24時間であれば、1日で10万円以上の費用が請求されるが、坂本さんは「『いいケアが受けられるならいくらかかってもいい』と話す人は珍しくない」と言う。

 都内では、このように高付加価値サービスの「市場」が急成長している。興味深いのは、このようなニッチ領域に飛び込んだのが、これまでのところ大学病院や有名病院でないことだ。これら既存の大学・有名病院は、保険医療と自費医療を併用することで混合診療の規制にひっかかることを怖れている。患者の医療ニーズは変わりつつあるのに、厚労省の規制のために、変化にまったく対応できていないのである。

医療制度崩壊を防ぐことが次世代への責任

 前述したように、保険財政はすでに破綻目前となっており、厚労省による「護送船団システム」はもはや継続できないことは明らかだ。このままでは、体力の弱い病院から破綻する。そうした状況下では、医療機関は自らの努力で生き残るしかない。そのためには、患者から評価される高付加価値サービスを開発し、提供するしかない。

 繰り返すが、病院は「混合診療禁止」という規制で手足を縛られている。この規制は患者のためにも、病院のためにもなっていない。

 混合診療規制を緩和すれば、「悪徳医師が患者を騙す」と主張する人もいる。確かに、そのような医師が皆無とは言わない。ただ、私はそのリスクは低いと考えている。その理由は、メディアの医療報道が増え、患者の医療知識が増えていること、医師が多い東京では、医師間の競争が熾烈で悪徳医師は淘汰されること、混合診療を対象とした民間の保険商品が開発されるはずで、保険加入者が悪徳医師をチェックするようになるからだ。

 私は、混合診療規制が緩和されれば、むしろ医療費は下がる可能性が高いと考えている。現在、都心部の医療機関は激しく競争している。各種媒体に広告を出し、マーケティングに詳しいコンサルタントに依頼するなど、様々な手を使って患者を集めようとしている。

 ところが、患者集めも厚労省が規制している。最大の規制は、「値下げを認めない」ことだ。クリニックを受診した際、患者は2~3割の自己負担を支払う。不思議なことに、医療機関はその自己負担分を「値引き」できない。患者に負担をかけたくない院長がいて、この自己負担を受け取らなければ、厚労省から処分される。

 現在、風邪の診察は数分で4000円程度の収入となる。もし、混合診療規制が緩和されれば、2000円でやろうとするクリニックが出てくるだろう。赤字に悩む健康保険組合は、組合員をこのようなクリニックに誘導するだろうから、結果として医療費は抑制される。

 このような規制緩和には、日本医師会が猛反対し、厚労省も同調せざるをえない。記者クラブ制度が続く限り、マスコミからもこのような問題意識は出てこないだろう。

 もう、こんなことはそろそろ止めてはどうだろう。何もしなければ、日本の医療制度は確実に崩壊する。私たちは現代社会に適合した医療システムを確立し、次世代に渡さねばならない。その責任は重い。



  1. 2018/01/21(日) 12:05:09|
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1月14日 

https://www.asahi.com/articles/ASL1C5VPGL1CUBQU00Z.html
海外医学部卒の研修医、医師不足の解消につながるか 
松浦新2018年1月12日06時00分 朝日新聞

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大総合診療内科で専門医の研修をする横山央(まどか)医師(38)は4年前の会話を忘れない。

 「実習ができたら一生、俺のところに来い」

 「はい。一生、先生についていきます!」

 相手は同科の中元秀友教授。中元教授は「律義なやつです」と笑う。

 横山医師がそこまで思い詰めたのは、中国の大学医学部卒だからだ。高校時代に修学旅行で行った中国が好きになり、高校を卒業した後、北京に2年間、語学留学をした。その後、上海の大学医学部を受験して合格した。

 それからが大変だった。授業も教科書も中国語。中国の医学部は5年制だが、2回留年して卒業した。2007年に帰国したが、日本の医師国家試験の前に「予備試験」を受けなければならなかった。書類を整えるだけでも苦労し、何度も落ちて12年に予備試験に受かったが、さらに国内で「実習」も求められた。

 相談できる人がおらず、途方に暮れてたどりついたのが埼玉医大の中元教授。13年9月から1年間実習後、15年の医師国家試験に合格。日本で7年半かけてようやく医師として働くことができた。横山医師は「日本の医学部のほうが早かっただろう」と話す。

 とはいえ、医学部は難関だ。埼玉医大で研修医をしている小澤純一医師(31)は、日本の国立大学医学部の入試に3回落ちた。

 小澤医師は、中学の時から医師として海外で国際貢献することを夢見てきた。そこで、父が教えてくれたハンガリーの医学部に行く決意をして07年に同国に渡り、翌年、首都ブダペストにある国立センメルワイス大学医学部に合格した。学費は父が出したが、月10万円ほどの生活費は日本で奨学金を借り、いまも月約13万円を返済する。

 授業も教科書も英語。小澤医師によると、入学は比較的簡単だが、進級が大変で、同期入学の日本人11人のうち、留年せず6年で卒業したのは小澤医師含め3人だけだったという。

 ハンガリーの医学部卒だと予備試験なく医師国家試験が受けられる。小澤医師は1度落ちたが、16年に合格し、埼玉医大の研修医になった。

 海外の医学部卒業生が大学病院で働く背景には、国家試験に合格した医師が自由に研修先を選べる、04年からの「新医師臨床研修制度」がある。教授が研修医らの人事権を握ってきた大学の「医局」に医師が残らなくなった。埼玉医科大病院の織田弘美病院長は「外国で学んだ医師の受け入れには医師確保の期待がある」と話す。埼玉医大では現在、中国で学んだ2人、ハンガリーで学んだ3人が働いており、日本各地でも同様の動きがある。



http://www.kochinews.co.jp/article/151453/
高知県内で若手医師が増加 奨学金貸与など支援が結実 
2018.01.12 08:15 高知新聞

 長らく減少が続いていた高知県内の40歳未満の若手医師数が増加に転じたことが11日、県のまとめで分かった。国の統計によると、2014年の517人から2016年は552人に増加。県は「医学生への奨学金貸与やキャリア形成の支援などが実を結んだ」としている。

 全国の医師数は2年ごとに厚生労働省が発表しており、最新の16年の医師数がこのほど発表された。県医師確保・育成支援課によると、40歳未満の医師数は県が把握する最も古い1996年の818人以来、減り続けていた。

 特に2004年度に臨床研修制度が新しくなり、「都市部の病院で多くの症例を経験したい」と考える研修医が増加。郡部を中心に県内の医師不足に拍車が掛かった。

 このため、県は医師確保対策に着手し、2007年度に「医師養成奨学貸付金」を創設。医学生に月額15万円を貸与し、卒業後に県内の指定医療機関で貸与期間の1・5倍勤務すれば返済が免除される制度を作った。さらに高知大学、高知県医師会などと「高知医療再生機構」を設立し、専門医養成支援事業などのキャリア形成支援策を打ち出した。

 この結果、県内の病院に採用される初期臨床研修医が増加。2009年の36人から、2014年以降は50人台が続き、17年は58人となった。

 高知県健康政策部の家保英隆副部長は「支援策が周知され、若手医師に高知でもしっかりとキャリア形成ができると認知されてきたことが大きい」と増加要因を分析し、「高知市など県中央部に医師が集中し、郡部で不足する地域偏在はまだある。引き続き医師確保を進めたい」。

 高知医療再生機構の倉本秋理事長は「研修医や若手医師のグループが自主的に勉強会を開催したり、高知大で地域医療教育に取り組んできたことも要因」と指摘。「若手医師の増加は当直態勢が充実するなど地域医療の質の向上にもつながる」と話している。



http://www.yomiuri.co.jp/local/shimane/news/20180111-OYTNT50199.html
県内医師充足率77% 
2018年01月12日 読売新聞 島根

◇昨年1.5ポイント改善も不足続く

 県内で2017年に医療機関が必要とする勤務医数1260人に対して、実数は969・7人(前年比29・5人増)で、充足率が77%だったことが県のまとめでわかった。調査を始めた2006年以降で最低だった前年より1・5ポイント上昇しわずかに改善したものの、医師不足が続いている。(中筋夏樹)

 県が島根大付属病院を除く県内の50病院と40診療所の17年10月時点の医師の必要数と実数を調べた。
 県内を7地域に分けた2次医療圏別では、73・7%(前年比4・1ポイント減)の益田以外は前年を上回った。前年比4・5人増の隠岐が最も高い92・4%(前年比1・1ポイント増)。雲南は70・1%で2・5ポイント改善したが、最も低かった。
 16の診療科別では、眼科(53・9%)、リハビリテーション科(58・7%)、救急(60・1%)、耳鼻咽喉科(68%)、泌尿器科(68・3%)が70%に満たなかった。
 診療科を2次医療圏別にみると、松江の救急が17・5%と6年連続で著しく低い。松江市医療政策課は救急医療の激務が背景にあるとして「軽症の場合は救急を利用しないよう呼び掛けたり、休日診療所を設けたりしている」と話す。
 常勤医師数は前年比26人増の1138人で、06年以降で最多となったが、病院機能の充実や医療の専門化などで必要数も増加傾向にあり、充足率は07年に8割を超えた以外は70%台が続いている。
 県は19年での充足率80%を目指しており、今年度は不足している産婦人科と小児科の専門医などを目指す医師らに研修資金を貸与する制度を2年ぶりに復活させた。県内で勤務すれば年240万円の貸与金は返済不要で、現在3人が利用している。県内での勤務に関心を持つ全国の医師を登録する「赤ひげバンク」の登録者のうち、16年度までの15年間に149人が県内での医療に携わった。
 県医療政策課は充足率の微増について「取り組みの成果が表れた」と話す。一方、産婦人科や小児科など診療科別の偏在が解消されないのは、厳しい勤務実態や訴訟リスクが高くて医師が集まらないためとみられ、同課は「医学部のある山陰の大学や医療機関、市町村と連携して医師の養成と確保に努めたい」としている。

◇看護職員は96・4%

 県は県内全51病院の看護師や助産師、保健師ら看護職員の2017年10月時点の調査結果もまとめた。必要な看護職員6513人に対して充足率は96・4%で、10年の調査開始以降、最低だった前年より1・2ポイント増だった。
 2次医療圏ごとでは、松江以外で前年を上回った。前年最低だった隠岐は2・4ポイント改善して92・3%になった。
 県は19年に97%を達成するため、院内保育所の運営費として16年度は12医療機関に計約4800万円を補助したほか、過疎地域や離島に5年間就職すれば返済を免除する看護学生向け修学資金の貸与制度を開始。16年度は20人、今年度は19人が利用した。



https://mainichi.jp/articles/20180110/dde/041/040/023000c
長時間労働
過重労働、悩む若手医師 上限基準を「守れず」7割、制限だけでは医療崩壊 厚労省に環境整備求め提言
 
毎日新聞2018年1月10日 東京夕刊

 医療現場の長時間労働問題を考える医師らのグループが、若手医師や医学生を対象に実施したアンケートで、労働時間の上限基準が守れていないと感じている医師が7割に上ることが明らかになった。人手不足などが要因で、現場からは「疲れていては医療の質も保てない」と悲鳴が上がる。一方で「若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量を減らさず、時間だけを制限すれば医療崩壊につながる」との声もあり、苦悩する医師らの姿がうかがえる。【古関俊樹】

 医師の長時間労働は、一昨年1月に新潟市民病院で37歳の女性研修医が過労自殺するなど大きな問題となっている。政府は働き方改革で残業時間の上限規制を検討しているが、医師には原則診療を拒めない「応招義務」があるため、規制のあり方の検討が必要だとして適用を5年間猶予する方針を示している。

 アンケートをしたのは、東京などの若手医師を中心とするグループ。厚生労働省の有識者検討会で進む医師の働き方についての議論に同世代の意見を反映させようと昨年11月、大学卒業後10年以内の医師と医学生を対象にインターネットで調査を実施。約2週間で約800人から回答を得た。

 調査結果によると、労働時間の上限基準について医師の約77%が「守るべきだ」と答える一方、現状について約71%が「守れていない」と回答した。理由では、業務量の多さや人員不足など医療体制の問題に加え、長時間労働を美徳とする医師の慣習を挙げる意見があった。残業や休日勤務などを取り決める労使協定(36協定)などのルールについては、医師も医学生も6割前後が「理解していない」と回答した。

 調査では900件を超えるコメントも寄せられた。「疲労を少なくすることで質の高い医療を提供できる」と長時間労働の是正を求める声の一方、「時間を規制されて技術が向上する機会を奪われる方が嫌」という意見も。「残業している方が評価されやすい」と現場の雰囲気を問題視する声も多かった。

 グループは調査結果を踏まえて「『壊れない医師・壊さない医療』を目指して」と題する提言書をまとめ、先月22日に有識者検討会に提出した。国民や行政、医師会などが協力して長期的な目標を設定し、医師が労働基準法を守れるような環境を段階的に実現していくよう求めている。

 提言書の取りまとめで中心となった東京大大学院医学系研究科の医師、阿部計大さん(35)は「若手医師が国民の健康を第一に考えながらも、自身の健康状態が患者に及ぼす影響などに大きな危機感を抱いていることが伝わってきた」と話した。

寄せられたコメント(抜粋)
・救急外来の呼び出し、患者の急変など自分ではコントロールできない業務がある(外科男性)

・自主的に、休日に患者の回診をすることが暗黙のルールになっている(小児科男性)

・医師は24時間365日働くものだと考えているベテラン医師、患者が存在する(内科男性)

・気合とプライドで乗り切れるとみんな思っている雰囲気がある(麻酔科女性)

・若手が働かなければ誰が働くのか。仕事量の軽減を考えずに時間だけを制限すれば医療崩壊につながる(救急科男性)

・病院にいてこそ症例が拾える面がある。オンとオフを区別することが重要(整形外科女性)

・医師も家族を持つ一人の人間。自分を大事にできなければ患者さんも大事にするのは難しい(総合診療科男性)

・自分が患者なら、寝不足で判断力が低下した医師の治療を受けたくない(眼科男性)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180110-OYTET50006/
ニュース・解説
新人医師の臨床研修に産婦人科必修…2020年度から
 
2018年1月10日 読売新聞

 勤務環境の厳しさなどから産婦人科医が不足するなか、厚生労働省は2020年度から、新人医師の臨床研修で産婦人科を必修にすることを決めた。

 10年度に必修科目から外れたが、研修医全員に産婦人科の現場を経験してもらい、志望者を増やすきっかけにしたいと、関係学会が再び必修化するよう求めていた。

 国家試験合格後に受ける臨床研修は、医師法で2年以上と定められている。現在、内科、救急、地域医療が必修で、産婦人科は選択可能な科目の一つ。20年度からの必修は、従来の3科目に、産婦人科、外科、小児科、精神科が加わり計7科目になる。

 日本産婦人科医会の調査によると、昨年の産婦人科医の人数は1万1573人。10年以降、微増傾向が続くものの、不足は解消していない。同医会の昨年の推計では、リスクが高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が、労働基準法を守る上で必要な人数を確保できていなかった。

 日本産科婦人科学会は「産婦人科医が増えるきっかけになることが期待される。受け入れ体制を整えて産婦人科の魅力を伝えたい」としている。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018011402000120.html
【社会】
日赤、月200時間残業協定 渋谷のセンター 過労死基準2倍
 
2018年1月14日 朝刊 東京新聞

 日赤医療センター(東京都渋谷区)が医師の残業時間を「過労死ライン」の二倍に当たる月二百時間まで容認する労使協定(三六協定)を結んでいることが十三日、分かった。医師二十人は二〇一五年九月からの一年間で月二百時間の上限を超えて残業。渋谷労働基準監督署は昨年三月、センターに協定を順守するよう是正勧告した。
 政府は働き方改革の一環として次期通常国会に、残業時間を罰則付きで規制する法案を提出する方針だが、医師への適用は五年間猶予される。適用の前倒しを巡る議論も必要となりそうだ。
 労災の過労死が認められる目安は月百時間の残業とされているが、現行では労使間合意があれば残業時間の上限に制限はない。
 日赤医療センターは日本初の赤十字病院で常勤医師約二百六十人、約七百床の大型総合病院。月二百時間の上限を過重だったと認め、協定を見直すとしている。非常勤を含めた医師の補充や近隣医療機関との連携で「まずは全医師の残業月百時間以内を目指す」と説明している。
 労使協定では、特段の事情が発生した場合に限り時間外労働を「一カ月二百時間(年六回まで)、年間二千時間」まで延長できると規定。ただ、センターによると、二百時間超えも頻繁に発生し、一五年九月からの一年間で四回超えた医師が二人、二回が三人、一回が十五人いた。昨年一月以降も、毎月四十~五十人の医師が百~百五十時間の残業をしている。残業が多いのは外科や小児科、救急科だった。厚生労働省は「医師の働き方」に関する検討会を設置している。病院の労使協定を巡っては、国立循環器病研究センター(大阪府)が残業月三百時間を可能にする協定を結んでいたことが昨年九月、明らかになっている。

◆過酷な労働実態を反映

 勤務医の過労死問題に詳しい松丸正弁護士の話 月二百時間の労使協定は過労死ラインの二倍で異常だが、救急医療に携わる勤務医の過酷な労働実態と懸け離れたものではない。現実を見ながらやむを得ず結んだ協定だろう。行政も日本医師会自身も長時間労働の議論を十分にしなかった結果、勤務医の残業を減らせば、医療が崩壊するという二律背反の状況が生まれている。勤務医の過労は医療の安全にもつながる問題で、早急な解決が必要だ。
<三六協定と過労死ライン> 労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間までと規定するが、同法36条に基づく労使協定(三六協定)を結べば、企業は労働者に時間外労働(残業)を命じることができる。厚生労働省は三六協定の残業を月45時間、年360時間までとの基準を示すが、労使で合意すれば上限はない。厚労省は脳・心臓疾患を労災認定する目安として、発症前1カ月に100時間、または2~6カ月にわたり月80時間超の残業を設定。「過労死ライン」と呼ばれる。



http://www.medwatch.jp/?p=18208
医療介護の地域別データの2017年度版を公表―日医総研 
2018年1月12日|医療・介護行政全般 MedWatch

 日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は1月10日、ワーキングペーパー「地域の医療介護提供体制の現状(2017年度版)」を公表しました。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」と「市区町村別データ集」があり、▼都道府県▼二次医療圏▼市区町村―の単位で、人口動態や医療需要、介護保険施設の設置状況などを把握できます。病院経営者が自院の将来像を描く際の参考になりそうです(日医総研のサイトはこちらとこちら http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_553.html)。

日医総研のワーキングペーパーでは、人口分布を地図上に示すなど、情報が分かりやすく提示されている(図 略)

自院の将来像を模索する上で参考になるデータ集の最新版


 人口減少社会に入った我が国では、入院患者数そのものも減少していきます。また少子・高齢化の進展に伴い、疾病構造も変化します(肺炎や骨折での入院需要が増え、大手術が必要な急性疾患での入院需要は減る)。このため病院には、▼地域医療構想(地域の将来の医療提供体制像)▼病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▼自院の実際の姿▼地域の医療需要(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉え、将来の姿を模索することが求められます。

 高齢化は介護サービスの需要増大も引き起こすため、「治療によって状態が落ち着いたが、介護サービスを利用するめどがつかず退院できない」高齢患者が増える恐れもあります。病院経営者は、「地域にどの程度の医療・介護資源があり、どの程度の供給不足(もしくは過剰)が見込まれるか」を把握することが求められます。

 日医総研が今般公表したワーキングペーパーは、医療・介護資源の現状や、今後の人口動態などを地域別に示すもので、病院経営者には、最低限このデータを活用して「自院の歩むべき道」を考えることが求められます。

 「都道府県別・二次医療圏別データ集」は2012年、「市区町村別データ集」は2015年から毎年公開しています。2017年度版では、各地の人口データを2015年の国勢調査に基づいて更新するなどして、現状により近い値を示しています。

 上述した2つのデータ集で確認できる情報を、都道府県→二次医療圏→市区町村という具合に、焦点を絞りながら見ていきましょう。北海道→札幌二次医療圏(札幌市など6市1町1村)→札幌中央区を例にとると、次のようなことが確認できます。

【北海道】
▼人口は、▽2005年:562万7737人→(4%減少)→▽2015年:538万1733人→(8%減少)→▽2025年:495万9984人と推移する
▼患者の受療行動が大きく変わらなければ、高齢化の影響により医療需要が2015年から2025年にかけて4%程度増える
▼介護保険施設やサービス付き高齢者向け住宅の定員数は、現状では75歳以上人口に対して比較的多い(偏差値にすると60)ものの、75歳以上人口が増える2025年までに現状の1.1倍程度に増やさなければ不足してしまうので、施設・住宅の増設か、在宅療養のためのインフラ整備が求められる

【札幌二次医療圏】
▼人口は、▽2005年:231万15人→(3%増加)→▽2015年:237万5449人→(3%減少)→▽2025年:229万3364人―と推移する
▼医療需要は2015年から2025年にかけて12%程度増加する
▼75歳以上人口に対する介護保険施設などの定員数の偏差値は現在69で、全国平均レベルを大きく上回っているが、現状の1.3倍程度まで増やさなければ、やはり2025年には不足する

【札幌市中央区】
▼人口が、▽2015年:23万7627人→(1%増加)→▽2025年:24万488人→(1%減少)→▽2040年:23万8093人―と推移する
▼人口当たり病床数の偏差値は現在、一般病床が81と非常に高く、▽回復期病床:57▽地域包括ケア病棟:57▽療養病床:57―の偏差値も高い
▼サービス付き高齢者向け住宅の75歳人口当たり戸数が、1000人当たり92.6と多く(全国平均は13.5)、偏差値は119に達し、飽和状態にあると想定される
▼75歳以上人口当たりの通所介護事業所数と短期入所事業所数の偏差値はどちらも43で、地域の需要に対して不足している可能性がある

これらは、病院経営者が「自院の病床戦略を立てる」際や、「介護サービスへの参入を検討する」際などに必要な最低限の情報となります。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20180112142123
【中医協】18年度診療報酬改定を諮問、厚労相
12日から1週間程度でパブコメ募集
 
2018年01月12日 15:49 CB News

 加藤勝信厚生労働相は12日、中央社会保険医療協議会(中医協)に2018年度診療報酬改定を諮問した。中医協は同日の総会で、これまでの議論をまとめた整理案を大筋で了承。厚労省はこれを受け、整理案のパブリックコメントの募集を同日にも開始し、1週間程度の日程で意見を受け付ける。これらで集まった意見を踏まえ、診療報酬点数の配分を決める議論を今月下旬以降、本格化させる。2月中旬の答申を目指す。【越浦麻美】

 この日の総会で厚労省は、昨年12月に決めた診療報酬の改定率や同月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会が取りまとめた「診療報酬改定の基本方針」に基づいて、従来通り答申を行うよう求めた。

 整理案は、中医協によるこれまでの審議結果を基本方針に沿ってまとめたもの。18年度診療報酬改定では、入院医療の評価体系を抜本的に見直す。一般病棟入院基本料や療養病棟入院基本料などを、▽急性期一般入院料(仮称)▽地域一般入院料(同)▽療養病棟入院料(同)-に再編・統合し、入院医療の基本的な診療の「基本部分」と、診療実績に応じた「実績部分」への評価を組み合わせた体系に再編・統合することなどが盛り込まれている。

 厚労省は、18年度診療報酬改定をめぐる整理案について、医療現場や患者などから意見を募集し、それらを踏まえて中医協で議論を深めていくとしている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t305/201801/554391.html
特集◎「2040年問題」で日本の医療はここまで変わる《2》
外来需要は2025年に減少に転じ入院需要は増加

2018/1/12 三和護=編集委員、満武里奈、加納亜子 Medical Tribune

 ■ 外来需要が減少に転じ入院需要は増加へ
 ■ 肺炎や心・脳血管疾患が増えるも癌は横ばい
 ■ 都市部は看取り場所不足で在宅需要が急増

外来需要のピークは2025年

 2040年に向けて、医療ニーズはどのように変化していくのか。それを示す格好のデータがある。経済産業省の「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」(座長:慶應義塾大学教授の土居丈朗氏)がまとめた、外来・入院別の医療需要推計がそれだ。

 2015年に設置された同研究会は、高齢化や人口減少がさらに進行する2040年までを見据えた将来の医療需要を地域ごとに推計。現状の医療提供体制を踏まえて、地域ごとに医療の需給ギャップを可視化している。

 それによると今後、外来の医療需要は微増して2025年にピークを迎え、その後は減少に転じる。一方、入院の医療需要は2040年までハイペースで増加を続け、ピークを迎えた後はおおむね横ばいで推移すると推計されている(図4)。

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図4 外来・入院医療需要の推移


 推計の根拠には、高齢化率の上昇と人口減が挙がっている。入院の医療需要は、加齢に伴いほぼ直線的に増加する。また、外来の医療需要は80歳を超えると減少に転じる傾向があるが、それまではやはり増え続ける。そのため、団塊の世代が後期高齢者となる2025年にかけては、外来・入院ともに医療需要は増加する。

 2025年以降も高齢化が引き続き進行するため、入院の医療需要はさらに増加する。これに対して外来の医療需要は、団塊の世代が80歳代に差し掛かるとともに、それより若い世代の人口減が進行するため、減少に転じるとみられている。

 こうした外来と入院の医療需要の推計を基に同研究会は、「将来的に多くの地域において、診療所をはじめとする外来医療需要に対応している医療資源を、在宅による訪問診療・看護に活用し、回復期・慢性期機能病床の医療需要の増加へ対応していくことが考えられる」と見通している。

肺炎や心・脳血管疾患が増加

 では、疾病の種類別に見た医療需要はどのように変化するのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計と患者調査から厚労省が作成した入院患者の将来推計によれば、肺炎や心疾患、脳血管障害などが大幅に増加する(図5)。一方で意外なことに、癌(悪性新生物)は2025年まで微増で推移した後、減少に転じると予測されている。

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図5 入院患者の原因疾患の将来推計

 さらには高齢化の進展に伴い、認知症の患者も急増する。認知症について長期的・縦断的に調査した久山町研究を基にした内閣府の将来推計では、2012年に462万人だった認知症患者数は2040年には802万~953万人まで増加し、65歳以上の有病率は21.4~25.4%に達するとみられている。「高齢化のスピードが速い日本では、認知症の患者数も急速に増加する」と九州大学大学院医学研究院附属総合コホートセンターの二宮利治氏は指摘する。

 このような疾病構造の変化を踏まえ、奈良県立医科大学で公衆衛生学講座教授を務める今村知明氏は次のように語る。「今後は急性期よりも急性期後や回復期、慢性期の医療の比重が大きくなる。それに伴って、介護保険における要支援・要介護認定者数も大幅に増えていくことが見込まれる」。

産科・小児科は集約化が加速

 診療科別に見ると、少子高齢化と人口減の進展の影響を最も大きく受けるのが産科と小児科だろう。2016年の医療施設調査・病院報告によれば、産婦人科または産科を標榜する診療所は、2008年の3955施設が2014年には3469施設と12.3%減少した。病院も同様で、2008年の1496施設から2016年には11.0%減となる1332施設にまで減っている。

 分娩に着目すると、日本産婦人科医会のまとめでは、2016年の分娩取扱病院数は1063施設まで落ち込んだ。2007年の1281施設から9年間で2割近くの減少となった。この間の合計特殊出生率は、1.34から1.45へと増えていた。にもかかわらず分娩取扱病院数が減少したのは、施設の集約化が進んだことが影響している。1病院当たりの分娩数を見ると、2007年の446人が2016年には531人と2割ほど増えている。

 では、2040年代の産科医療はどうなっているのか。日本の将来推計人口によると、2040年の出生率(中位推計)は1.43となっており、現状とそれほど変わらない。ということは、分娩取扱病院数が増える可能性はまずない。むしろ人口減の影響で、各地域で産科施設の集約化がさらに進むと考えられ、分娩取扱病院数は減るばかりというのが現実的な予測といえそうだ。

 産科ほどではないが、小児科も標榜施設数の減少や患者減が著しい。先の医療施設調査・病院報告によれば、小児科を標榜する診療所は2008年の2万2503施設から2014年には2万872施設へと7.2%減少した。病院も2008年の2905施設から2016年の2618施設へと9.9%も減っている。

 また、厚労省の研究班が日本小児科学会に登録されている医療機関924施設を対象に実施した調査によると、2005年から2014年までの10年間で、小児の外来患者は23.6%、入院患者は15.9%、それぞれ減少したことが明らかになっている。

 その後も少子化には歯止めがかかっておらず、2015年に1589万人だった14歳以下の小児人口は、2040年には1194万人にまで減る見込みだ。小児患者の減少がさらに進んでいくことに疑いはない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/579386
「大学病院こそ地域包括ケアを理解、教育する場」
医療介護福祉政策研究フォーラムが新春座談会
 
レポート 2018年1月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人「医療介護福祉政策研究フォーラム」は1月10日、「地域医療構想と地域包括ケア」をテーマに新春座談会を都内で開催した。司会を務めた慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏は、2018年度診療報酬改定の基本方針として、「地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進」が掲げられた一方、介護報酬改定でも「医療」という言葉が頻出するなど、2000年度の介護保険制度の創設当初は、医療と介護の間には非常に距離があったが、今は密接に関係するようになった点を強調、その上で、「急性期病院は、世間から孤立して急性期医療をやっていればいい時代ではない」と指摘した。

 約3時間にわたった新春座談会の最後のあいさつでも、田中氏は、「医療機関が地域に期待される役割は何か。入院、外来、訪問機能、介護関係職種への教育機能など、さまざまな機能を果たし得る。その中で一つの機能にすぎないベッドを埋めることにこだわっていてはいけない」と述べ、多世代共生の町づくり、地域づくりという視点も踏まえ、医療の在り方を再考する必要性を強調し、関係者の意識改革を促した。

 横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長で、同大麻酔科教授の後藤隆久氏は、「大学病院は、地域包括ケアシステムをきちんと学生に見せ、学生が進路を考える場を提供していかないと、大学が病院を持つ意味がない」と強調、「特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」と述べ、大学自体も地域医療構想や地域包括ケアシステムの構築が進む中で変革を迫られている現状を紹介した。

ディスカッションでは、医師の働き方改革・新専門医制度・医師偏在対策、地域医療構想等における都道府県が果たす役割への期待、地域創生の在り方について、各シンポジストが発言。

 「地域医療構想と地域包括ケア」は、行政や経営者の視点から語られることが多いが、現場の医師の意識改革、関与の必要性を指摘する声が挙がり、産業医科大学公衆衛生学教授の松田晋也氏も、「地元福岡のケアマネジャーに聞いたところ、一番連携しなければいけないのは医師だが、最も連携しにくいのも医師とのこと」とエピソードを紹介。

 「地域医療構想と地域包括ケア」がターゲットとするのは、団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年。松田氏は、75歳以上人口の推移と予測データも提示。75歳以上人口が増え始めたのは、1985年くらいからであり、その後、急速に増加しており、「“2025年”の意味はただ一つ。それは、後期高齢者の激増が止まる時期。そこから15~20年はほぼ横ばいになる。この時期を乗り切るために、2025年までにメドを付けておく必要があり、そのために地域医療構想、地域包括ケアなどがあることを理解してもらいたい」(松田氏)。

 松田氏は、現状および将来の医療の在り方を考える際に必要なデータも示した。その一つが、広島県の医療と介護のレセプトを連結して分析した「脳梗塞のために急性期病院で入院利用を受けた患者の入院前後のサービス利用状況」であり、介護保険のサービスを利用していたのは、入院6カ月前は約4割、入院後6カ月後には7割以上が利用していた。「介護の現場から急性期病院に入院し、また介護の現場に帰っていく」と松田氏は述べ、医療・介護を総合的に考える重要性を強調した。

「なぜ大学病院は急性期病院か」、横市大

 シンポジウムには、田中氏、後藤氏、松田氏のほか、厚生労働省大臣官房審議官(医療介護連携担当)の伊原和人氏、日本医師会副会長の今村聡氏、全日本病院協会会長の猪口雄二氏、参議院議員の古川俊治氏の各氏が登壇。

 地域医療構想や地域包括ケアは、制度論や一般病院経営の立場から語られることが多いが、地域医療の現状を踏まえ、大学病院の立場から発言したのが後藤氏。

 後藤氏が院長を務める横浜市立大学附属市民総合医療センターは、大学病院分院の位置づけ。726床でDPCII群。病院のある横浜市は人口約370万人だが、400床以上の急性期病院が計16病院ある。2025年には急性期の病床の必要量は減る見通しであり、「既に急性期病院は、“レッドオーシャン”で、患者の取り合いが起きている」(後藤氏)。2年前に後藤氏が病院長に就任した際に、病床機能の転換も考えたものの、大学病院は急性期以外にはダメだとされたと言い、「なぜ大学病院は、急性期病院なのか」と思ったという。

 「大学病院の医師のインセンティブとは何か。なぜ大学病院の医師は、安月給なのに、あえて大学にいるのか」と問いかけた後藤氏は、その一つの理由として、次のように説明。「医師同士の間でとにかく認められたい。そのためには困難な患者をより多く見て、その診療成績を発表したり、論文を書く。それにより学会の中での地位を上げていくことを追求する。困難な患者は診療密度が高いので、大学病院はやはり急性期病院になる」。

 さらに医学部教授には、“領土問題”、つまり担当科の病床数や医師数の減少に対する抵抗感は強いという事情もあり、「大学病院的な手厚い人員配置で、回復期・慢性期病床の経営が成立するのか」という現実も踏まえ、結果的に「大学病院の病床転換は困難」「急性期病院としての地域での大学病院の在り方を、教授をはじめ医学部教員に理解してもらわないと、大学病院としてはやっていけない」との結論に至ったという。

 2016年の秋頃から、最重要課題として取り組んだのは、「頼まれた救急患者、紹介患者、当院に受診歴がある患者は必ず診る」ことだった。「『大学病院で診るべき患者ではない』と言って、門前払いをすれば、われわれが本来診るべき患者も送ってもらえなくなる」。こうした話を臨床部長会で繰り返した後藤氏。

 今年の課題は、近隣病院と連携を深めること。「高機能、重装備だが、高コストでもある大学病院で診なくてもいい患者は、他に紹介する。そのために顔の見える関係を構築していくことが課題」。

 「なぜ大学は附属病院を持っているか」「なぜビジネススクールは附属会社を持っていないのか」。その答えとして、後藤氏は次のように説明。「大学は、医学、医療を教える場。昔は急性期医療を教えていればよかったが、今は地域包括ケアシステムを教える必要がる。それを学生に見せ、学生が自分の進路を考える場を作ることができなければ、大学病院である意味がない。特に教授がこれからの医療の在り方を理解すべき」。

 横浜市立大学では、文部科学省補助金による「課題解決型高度医療人養成プログラム」として、2018年度から、大学病院のマネジメントの在り方や、都市部の医療システム構築に貢献できる人材育成に取り組むことになっている。



http://www.medwatch.jp/?p=18177
2016年から17年にかけて在院日数が短縮し、利用率も低下―病院報告、2017年9月分 
2018年1月11日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 ここ5年における「9月分」の平均在院日数・病床利用率を見ると、「平均在院日数」の減少傾向が続く中で、2015年まで月末病床利用率が上昇していたが、2016年以降は低下してしまっている—。

 このような状況が、厚生労働省が1月10日に公表した2017年9月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

安定経営と在院日数短縮を両立させる難しさが際立つ

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として公表しています(2017年8月分の状況はこちら、17年7月分の状況はこちら、17年6月分の状況はこちら)。

 昨年(2017年)9月における(1)の1日平均患者数は、病院全体で入院124万3329人(前月比7261人・0.6%減)、外来134万7495人(同1万5268人・1.1%減)となり、入院・外来ともに前月から減少しています。病床種別(医療法)に入院患者数の動向を見ると、▼一般病床:66万8005人(同5421人・0.8%減)▼療養病床:28万6177人(同1165人・0.4%減)―などと全種別で前月を下回っています。

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.1日で前月から0.7日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床16.0日(前月比0.4日延伸)▼療養病床150.9日(同1.6日延伸)▼療養病床のうち介護療養病床326.9日(同10.8日延伸)▼精神病床265.5日(同1.2日延伸)▼結核病床69.3日(同2.5日短縮)―となり、残念ながら全病床種別で前月より延伸してしまっています。

一般病床の平均在院日数は、2017年8月から9月にかけて0.4日延伸した(図 略)

 また(3)の月末病床利用率に目を移すと、病院全体では77.0%で、前月に比べて3.0ポイント低下してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床70.5%(前月比4.7ポイント低下)▼療養病床87.1%(同0.8ポイント低下)▼療養病床のうち介護療養病床91.0%(同0.1ポイント低下)▼精神病床85.7%(同0.5ポイント低下)▼結核病床34.2%(同0.8ポイント低下)―という状況です。

 在院日数が延伸しているにもかかわらず、病床利用率を維持できておらず、後述するように「新患獲得」などに苦労している状況が伺えます。

 次に一般病床における「9月分」の平均在院日数を5年前から見てみると、▼2012年:17.8日→(0.3日短縮)→▼2013年:17.5日→(1.0日短縮)→▼2014年:16.5日→(変化なし)→▼2015年:16.5日→(0.3日短縮)→▼2016年:16.2日→(0.2日短縮)→▼2017年:16.0日―と推移しています(厚労省のサイトはこちら、下にスクロールすると毎月の状況が示されています)。少しずつではありますが、短縮が着実に進んでいる状況が伺えます。

 一方、月末病床利用率は、▼2012年:70.9%→(2.1ポイント上昇)→▼2013年:73.0%→(0.1ポイント上昇)→▼2014:73.1%→(0.9ポイント上昇)→▼2015年:74.0%→(1.1ポイント低下)→▼2016年:72.9%→(2.4ポイント低下)→▼2017年:70.5%―という状況です。こちらは、2015年まで上昇が続いた後に低下してしまっています。

 メディ・ウォッチで度々お伝えしているとおり、「平均在院日数の短縮」は、▼7対1や10対1病院における重症患者割合の向上▼DPCのII群要件の1つである「診療密度」向上―などに大きく寄与するなど、経営面では極めて重要なテーマの1つとなります。また経営面から離れて、院内感染・ADL低下のリスク低減といった「医療の質向上」にもつながります。つまり、在院日数短縮の努力は急性期に限らず、すべての医療機関で進めていくべきテーマであり、2018年度の診療報酬・介護報酬同時改定でも、例えば早期退院に向けた介護サービス事業者との連携が促されている見通しです。

 とはいえ、単純に在院日数を短縮するだけでは、「病床利用率の低下」(空床の発生)につながり、経営状況の悪化を招く恐れもあります。そこで、▼かかりつけ医と連携する▼救急搬送患者を受け入れる―といった新入院患者の獲得策とセットで在院日数を縮めることが重要と言えます。この点、2016年8月と2017年8月とを比較すると、平均在院日数が0.1日短縮する一方で月末病床利用率が0.6ポイント上昇し、困難な「両立」を実現していました。しかし、2016年9月と2017年9月とを比較すると月末病床利用率が低下しており、「両立」の難しさが際立ちます。

 なお、人口減少社会に入った我が国では、地域の患者数そのものが減少しています(近い将来、大都市でも人口が減少していく)。その中では、▽病床機能報告の結果(地域における他院の動き)▽自院の実際の姿▽地域の医療ニーズ(人口動態や疾病構造など)―などを総合的に捉えて、「ダウンサイジング」(病床の削減)や「近隣病院との再編・統合」を視野に入れることも必要となるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/59387/Default.aspx
中医協総会 かかりつけ医機能を初診時に加算で評価へ 機能分化、病診連携を後押し 
公開日時 2018/01/11 03:51 ミクスOnLine

厚生労働省保険局は1月10日の中医協総会で、次期診療報酬改定の焦点である“かかりつけ医”について、初診時の加算新設を提案した。地域包括ケアシステム構築が求められる中で、かかりつけ医が予防から入院、在宅までのステージで中核を担うことが期待されている。患者にとって気軽に相談でき、必要に応じて専門医へ紹介するなどの機能を担う医療機関の評価を新設することで、かかりつけ医の機能を明確化。あわせて、大病院との病診連携を推進し、医療機関の機能分化、地域包括ケアシステム構築に向けて後押しする考えだ。

高齢化が進み、在宅で治療を受ける生活習慣病患者が増加する中で、かかりつけ医は、①日常的な医学管理と重症化予防、②専門医療機関等との連携、③在宅療養支援、介護との連携―と予防・外来、入院、在宅の各ステージにかかわることが求められている。

かかりつけ医を評価する点数としては、地域包括診療料、地域包括診療加算などの点数があるが、初診の機能を重視し、新たに評価する方針を打ち出した。専門医療機関との連携として具体的には、合併症の入院が必要な場合などで精密検査や治療が必要なケースや急性増悪への対応などが想定される。ただし、異なる疾患での再診となる患者については、診療報酬上での区分が難しいことから、初診時に限ることも提案した。

2018年度診療報酬改定の議論では、大病院受診時の定額負担については、現行の一般病床500床以上の地域医療支援病院との対象範囲を400床以上に拡大する方向で議論が進められている。今回要件に示された、専門医療機関への紹介機能はこうした観点からも重要性を増すこととなる。

診療側は提案を歓迎した一方で、支払側の間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、「初診で、患者が気軽に相談できるというのは当たり前。必要であれば専門医療機関を紹介できるのも当然のことだ。患者にとっては、そういった機能があるところに行くときは高いお金を払わないといけないことになる」と指摘するなど、支払側からは、患者負担の増加を懸念する声もあがった。

◎急性期の入院基本料は7段階に 重症患者割合が今後の焦点に

この日の中医協総会では、一般病棟入院基本料(看護配置7対1、10対1)の見直しについても議論がなされた。7対1入院基本料と10対1入院基本料を再編・統合。7対1と、10対1の間の中間的な評価を2段階新設し、7段階の評価とすることを提案した。

今後、急性期医療のニーズは減少傾向となることが推計されており、急性期病床から地域包括ケア病棟などへの転換が求められている。一方で、現行の7対1入院基本料(1591点)と10対1入院基本料(1332点)との間には診療報酬点数上に格差があり、病院経営の観点からも転換を阻んでいる現状があった。こうした中で、看護配置などの基本部分に加えて、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合を評価する診療実績に応じて段階的な評価とすることで、医療機関の「弾力的で円滑な選択・変更」を後押しする見直し方針が示されていた。

中医協に示された具体案では、現行の7対1入院基本料に相当する「入院料1」、10対1入院基本料に相当する「入院料4、5、6、7」に加え、両者の中間的な水準となる基本料として、「入院料2」、「入院料3」を新設する。この新たな基本料は、入院料1の届け出や診療情報データ(DPCデータ)を用いた判定が必須であることなどを要件化する。

診療実績の基準に用いられる「重症度、医療・看護必要度」も見直す。重症度、医療・看護必要度は、A項目(モニタリング及び処置等)、B項目(救急搬送後の入院)、C項目(手術等の医学的状況)を基準に判定することになる。①A得点が2点以上かつB得点が3点以上、②A得点が3点以上、③C得点が1点以上―について、毎日測定し、直近1か月の該当患者の割合を算出する。7対1入院基本料を算定するには、該当患者が25%以上となることが必須要件。10対1入院基本料では、12%以上、18%以上、24%以上と重症患者の割合に応じて段階的な評価がなされている。

厚労省は、見直し案を2案提示したが、診療・支払各側ともに、①「A得点1点以上かつB得点3点以上」かつ「診療・療養上の指示が通じる」または「危険行動」のいずれかに該当している患者を該当患者に追加、②開腹手術の所定日数を5日から4日へ変更――を支持した。

今後焦点となるのが、現行の7対1入院基本料を取得できる重症患者の割合だ。認知症患者の影響もあり、見直し後は重症患者の受け入れ割合が増加することとなる。支払側は、これまで30%以上への引上げを求めてきた。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、基準の見直しにより、「該当患者が3~4%増加する新たな付加的な要素が出てきた」とし、「現行7対1入院基本料の基準を34%に引き上げる」ことを求めた。

一方、支払側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、現行制度でも赤字に陥っている急性期病院があると指摘。10対1入院基本料に相当する基本料については、該当患者割合の基準引き下げを求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=18163
かかりつけ機能持つ診療所など、初診料の評価アップへ―中医協総会 第382回(2) 
2018年1月10日|2018年度診療・介護報酬改定

 かかりつけ医機能を持つ医療機関について、初診に係るコストを考慮した評価を行ってはどうか。また、薬価調査の正確性を担保するために、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか―。

 1月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点についての議論も行われました。

ここがポイント!
1 かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的
2 単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的

 2013年8月に取りまとめられ、現在進められている社会保障・税一体改革のベースとなっている「社会保障制度改革国民会議報告書」では、外来医療の機能分化を進める方針が打ち出されています。

「診療所や中小病院が一般外来を受け持ち、大病院は紹介・専門外来に特化すべき」との方針で、これまでの診療報酬改定等でも▼紹介状なしに大病院外来を受診した患者の特別負担(初診5000円以上、再診2500円以上)▼主治医機能を評価する【地域包括診療料】や【地域包括診療加算】などの創設・拡充―など、外来医療の機能分化に向けた見直しが行われてきています。

2018年度の次期改定においても、当然、同じ方向が打ち出されており、▼紹介状なし外来受診患者から特別負担を徴収する病院の拡大▼【地域包括診療料】などの要件緩和▼オンライン診察・医学管理の診療報酬上の評価新設―などが既に議論されています。

1月10日の中医協総会では、これらに加えて、「かかりつけ医機能のさらなる評価」案が厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長から提示されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた基本方針や、政府の財政再建に向けた計画(経済・財政再生計画)の改革工程表に盛り込まれた「かかりつけ医機能の推進」をさらに強化していく狙いが見て取れます。

かかりつけ医機能については、昨年(2017年)2月の中医協総会で議論されており、そこでは、次のような機能を診療報酬で評価していくことが重要であるとの共通認識が醸成されています(生活習慣病の指導管理を例に)。

(1)日常的な医学管理と重症化予防:▽疾病教育▽生活指導▽治療方針の決定▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師と連携)▽治療効果の評価▽重症化の予防・早期介入―など
(2)必要に応じた専門医療機関などとの連携:▽専門医療機関への紹介、助言▽合併症に応じた療養指導▽急性増悪への対応―など
(3)在宅療養支援・介護との連携:▽在宅医療を行う場合の管理・療養指導▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師との連携)▽要介護状態などに応じた療養指導▽介護との連携▽急性増悪への対応▽看取り支援―など
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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その1)

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日医・四病協の提言をベースにした、かかりつけ医機能の具体的なイメージ(その2)
 
 こうした機能を評価する診療報酬項目として、上述した【地域包括診療料】【地域包括診療加算】などがありますが、算定対象は「高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち2疾患以上を有する患者」(地域包括診療料など)、「認知症と他疾患を合併する患者」(認知症地域包括診療料など)に限られています。また、そもそも「施設基準などが厳しい」と指摘され、2016年度の前回診療報酬改定で緩和したものの、届け出医療機関数は2016年7月時点で6000施設に届いていません(2018年度改定で緩和される見込み)。
 また2016年度の前回診療報酬改定では、小児患者に総合的な診療・医学管理を提供する医療機関を評価する【小児かかりつけ診療料】が創設されましたが、こちらも施設基準の厳しさなどにより、届け出医療機関数は2016年7月時点で876施設にとどまっています(同じく2018年度改定で緩和される見込み)。

 さらに在宅版のかかりつけ機能を評価する診療報酬項目として【在宅時医学総合管理料】が設定されるなど、「かかりつけ医を評価する診療報酬」はありますが、「限定的な評価」にとどまっているとの指摘もあります。

 そこで迫井医療課長は、初診に係るコスト(診療時間が再診に比べて若干長め)に着目し、「初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価してはどうか」との論点を提示しました。具体的な制度設計は、今後の議論を待つ必要がありますが、例えば、「患者が気軽に相談できる機能」や「専門医療機関へ紹介できる機能」を持つ医療機関(診療所や中小病院)について、【初診料の加算】(かかりつけ医機能加算など)を新設することなどが考えられそうです。

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初診のほうが、再診に比べて、診療時間が長くコストがかかる傾向にある
 
この提案を診療側委員は歓迎。松本純一委員(日本医師会常任理事)は「継続的な診療を行っている再診患者でも、新たな病気を発見した場合には、初診患者と同様にコストがかかる。今後は、この点の評価も検討してほしい」と求めています。
 
これに対し支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「かかりつけ医機能の推進」という方向性には異論を唱えていないものの、「対象医療機関の要件」を厳格に規定するよう要望。

また幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「同じ診療行為について、医療機関の基準などで報酬が差別化されることに違和感を覚える」と述べ、「慎重な制度設計」(厳格な施設基準設定など)を求めています。

さらに間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』は、かかりつけ医として当然の機能ではないか。そこを評価して患者に負担増を強いることに違和感を覚える」と指摘しました。

このように、方向性そのものは「概ね了承された」と言えますが、具体的にどう点数をつけ、施設基準などをどう設定するかでは、診療側・支払側で意見の隔たりもあり、今後の詰めの議論に注目が集まります。ちなみに、2016年の初診料算定回数は2億1300万件(6月の1か月分で1770万件あり、これを12倍)程度と推測されます。「全診療所が対象となる」と仮定した場合、新加算が1点であれば21億円余り、2点であれば43億円弱、3点であれば64億円弱、の医療費増が見込まれる計算です。

2016年6月、診療所では1777万回程度、初診料が算定されている(図 略)

単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額

 現在は2年に一度、医薬品の公的価格の見直し(薬価改定)が行われています(今後は毎年度)。医療機関や薬局が、卸業者から購入している価格(市場実勢価格)と、公定価格(患者や保険者の負担)である薬価との乖離を、合理的な範囲で埋めていくことが薬価改定の重要な目的の1つです。

 その際、「価格交渉の途中で、まだ購入価格・販売価格が決まっていない」という医療機関・薬局が多ければ、市場実勢価格を適切に把握できません(薬価改定も適切に行えない)。

このため、2014年度の診療報酬改定において、「価格妥結率の低い医療機関や薬局では、基本診療料(初・再診料、外来診療料、調剤基本料)を減算する」規定(未妥結減算)が導入され、スピーディな価格交渉が推進されています。

医薬品の価格妥結率が50%に満たない場合、初・再診料、外来診療料、調剤基本料が減額される(図 略)

未妥結減算の導入で、妥結率そのものはアップしたように見える(図 略)
 
しかし価格交渉を急ぐあまり、本来であれば「A医薬品は●円で、B医薬品は◆円で」という「単品単価取引」が阻害され、「X医療機関は、まとめて薬価から●%引きで購入する」などといった、いわゆる「総価山買い取引」が増えてきてしまったとの指摘もあります(関連記事はこちらとこちら)。

医薬品の単品単価取引(青部分)は十分に進んでいないことが分かる(図 略)

 
そこで今般、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか、との提案を行いました。
上記の未妥結減算とセットの減算規定となる見込みで、「価格妥結率50%未満」または「▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務懈怠」の、いずれか、あるいは双方に該当する場合には、初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額されます(減額されないためには、価格妥結率を50%以上とし、報告義務を果たすことが必要)。

この報告状況を分析し、2020年度改定以降に「▼単品単価契約率が低い▼一律値引き契約が多く行われている—医療機関・薬局における減算」(いわば総価山買い減算)が導入される可能性もあります。
 
このほか、未妥結減算に関連して、▼留意事項に「原則、全品目を単品単価契約とする」「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎む」旨を明記する▼妥結率の報告期間について、現在の「10月の1か月間」から「10-11月の2か月間」に緩和する▼調剤報酬における、「未妥結減算」(25%減算)と「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を発揮していない場合の減算」(50%減算)とを、後者に統合する形で簡素化する—との見直し案も提示され、概ね了承されています。


  1. 2018/01/14(日) 12:52:22|
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1月7日

https://www.m3.com/news/iryoishin/578074?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD180105&dcf_doctor=true&mc.l=268276684&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
真価問われる専門医改革
「内科15.2%減、外科10.7%減」、専攻医の領域別割合
新専門医制度、1次登録採用数の結果を分析◆Vol.1 
 
2018年1月4日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構が12月15日に公表した2018年度新専門医制度の1次登録領域別採用数をm3.com編集部が分析した結果、「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」(2014年三師調査)から把握できる卒後3~5年目の領域別医師数(2014年12月31日現在数)と比較して、内科では人数で4.6%減(2650人から2527人)となったことが明らかになった。

 専攻医の候補となる医師国家試験合格者数は、この間に約13%増加(2010~2012年の平均合格者数7637人、2016年合格者数8630人)。基本領域に占める割合(領域別割合)が同一で、卒後3年目に専攻医となると仮定すれば、約13%増加すると試算されるが、内科の1次登録採用数の領域別割合は15.2%減(38.3%から32.4%)となったことが、人数減につながった。

 外科でも人数は0.4%増だが、領域別割合は10.7%減。領域別割合は、整形外科0.5%減、小児科0.2%減の微減だが、それ以外の領域では増加しており、「専攻医の内科、外科離れ」が生じていることが分かる。人数が増加したのは形成外科、眼科、耳鼻咽喉科など。内科志望者の選択肢となり得るのが、基本領域に加わった総合診療だが、領域別割合は2.0%にとどまる。

 現在1月15日まで2次登録が行われている。1次登録領域別採用数は7791人であり、卒後2年目の臨床研修医の約9割に当たるため、最終的な人数や領域別割合は変わるが、基本的な傾向は今回の分析と大差ないと見られる。

 「1次登録で決まらず」、眼科がトップ
 1次登録者は7989人、1次登録領域別採用数は7791人(『198人、専攻医1次登録で研修先決まらず』を参照)。差し引き198人が1次登録で研修先が決まらなかったが、m3.com編集部が独自に入手したデータによると、「1次登録の採用先未定数」が最も多かったのは、眼科の36人。2桁を超えたのは、内科(27人)、小児科(24人)、精神科(24人)、耳鼻咽喉科(14人)、皮膚科(13人)、泌尿器科(10人)。 (※表の後に本文続く)

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「2014年医師・歯科医師・薬剤師調査」3~5年目医師数:厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料による。

 専攻医増のトップ3、「形成外科、眼科、耳鼻咽喉科」

 新専門医制度では、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)においては、18の既存基本領域のうち、「外科、産婦人科、病理、臨床検査の4領域を除く領域について、過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値を超えない」という上限規制が設けられた。「1次登録領域別採用数」を決定する際、上限規制の対象となった都府県と領域のほか、過去の採用実績数などのデータは、2018年1月4日現在、公表されていない。

 また、日本専門医機構の調査による18の基本領域の後期研修医採用実績数の5年間(2010~2014年度)の平均は、年8300人で、専攻医数の目安となる国試合格者(2008~2012年の年平均合格者数は7663人)を大幅に超える(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料。厚労省のホームページ参照)。

 そのため本分析では、1次登録領域別採用数を、「2014年三師調査」に基づく「主たる診療科・従業地による都道府県別医籍登録後3~5年目の医療施設従事医師数」(厚生労働省「新たな専門医の仕組みに関する説明会」2017年3月15日開催資料)と比較した。本調査の3~5年目の医師総数は2万1536人。うち総合診療を除く18の基本領域のいずれかに属している医師は2万778人(1年次平均6926人)。

 その結果、人数が減少したのは、内科(4.6%)のみで、それ以外の領域では増加している。なお、前述の日本専門医機構調査の内科の5年間の平均(年3147人)を基に計算すると、人数で19.7%減になる。

 一方、人数が少ない臨床検査、転科するケースが多い病理やリハビリテーション科を除くと、人数の増加率の最多は形成外科(44.8%)で、以下、眼科(40.0%)、耳鼻咽喉科(31.0%)、泌尿器科(30.5%)、麻酔科(25.7%)などと続いた。

 領域別割合が最も多いのは内科だが、2014年調査の38.3%から32.4%へと15.2%減少している。外科も人数では0.4%増だが、領域別割合は10.7%減(11.0%から9.8%)。一方、形成外科(28.7%)、眼科(24.5%)、耳鼻咽喉科(16.5%)、泌尿器科(16.0%)、麻酔科(11.7%)では2桁の増加。

 1年延期された新専門医制度が2018年度開始に向けて準備が可能になったのは、2017年8月2日の『新たな専門医制度」に対する厚生労働大臣談話』がきっかけだ(『「新専門医制度、厚労省が関与」、塩崎厚労相が談話』を参照)。本談話では、「厚生労働省においては、新たな専門医制度が地域医療に影響を与えていないかどうか、基本領域ごとに確認をする」という意向を表明している。

 そのためには、「過去の実績と大差はない」という検証が第一。今回は入手可能な中で、最も信頼性が高いと思われる「2014年三師調査」のデータを用いたが、地域および基本領域ごとの最新の「過去5年の後期研修医の採用実績数」など、検証に必要なデータの公表が、今後の制度改善のためにも求められる。



http://www.medwatch.jp/?p=18100
公立病院改革に向け、経営人材の確保、統合・再編など進めよ―総務省研究会  
2018年1月5日 | 医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今後、人口の減少、高齢化が急速に進む中で、公立病院には▽地域医療構想を踏まえた役割の明確化▽経営の効率化▽再編・ネットワーク化▽経営形態の見直し―などの点で課題がある。今後、こうした課題の解決に向けて、▼事務局の強化▼経営人材の確保・育成▼経営指標の見える化▼財政支援▼再編・ネットワーク化—などを進める必要がある。

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(以下、研究会)が昨年(2017年)12月28日、こういった報告書を取りまとめ公表しました(総務省のサイトはこちら(概要版)とこちら(本文))。

研究会報告書の概要(全体像)
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ここがポイント!
1 公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題
2 地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を
3 経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ
4 再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に
5 総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき


公立病院改革には「人事異動などによる経営人材確保の難しさ」などの課題

 公立病院においては、地域医療構想と整合性のとれた「新公立病院改革プラン」の策定が求められ、すでに2016年度末時点で全体の92.7%でプラン策定が完了しています。今後、各病院の策定した改革プランに沿った改革を、地域医療構想調整会議の議論と並行して進めることになりますが、研究会では改革を進めるに当たり、次の4つの課題があると指摘します(関連記事はこちらとこちら)。

(1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化の視点では、「地域医療構想調整会議に際し、公立病院としてのミッション(使命、任務、目標)やポジショニング(位置づけ)を踏まえた役割の明確化」が課題である
(2)経営効率化の視点では、「事業管理者や事務局に医療制度・実務等の専門的な知識や経営能力が求められるが、公立病院特有の『短期間での人事異動』サイクルなどから、知識・能力の蓄積」、さらに「公金による支援を受けながら医療サービスの質や採算性の向上といった改革意欲をより向上させるため、全職員の意識改革が必要となる」といった課題がある
(3)再編・ネットワーク化の視点では、「相手先医療機関との合意形成」「地域住民等の関係者の理解促進」といった課題がある
(4)経営形態見直しの視点では、「経営形態見直しの先に、何を目指すか」「地方公営企業と地方独立行政法人との間の退職給付引当金の計上方法の相違や、事業廃止などの場合に生じる多額の財政負担といった制度面」での課題がある

 さらに、とくに地方部の公立病院には「地域医療の砦」という重要な使命がありますが、地方の医師不足は深刻です。

こうした課題を放置したまま改革を進めることはできず、研究会では課題解決に向けた具体的な提言を行っています。

地域での役割明確化に向けて、「経営比較分析表」導入し、具体的手法の立案を

 まず(1)の「地域における役割の明確化」という課題には、▼経営比較分析表の導入などに基づく「見える化」の推進▼経営指標の分析に基づく取組、PDCAサイクルの展開—によって対処することが求められます。

 前者の経営比較分析表は、例えば▼経営の健全性(経常収支比率、医業収益比率、病床利用率など)▼老朽化の状況(有形固定資産減価償却率、機械備品減価償却率、1床当たり有形固定資産)—などの経営指標について、「自院の経年比較」「類似団体(同規模の公営企業)との比較」、さらに「これらのクロス分析」を可能にするものです。この経営比較分析表の導入により、「等身大の自院の姿」を確認できるようになります。その上で、単なる現状分析に終わらせないよう、【病院幹部による目標設定(収支改善などの経営目標だけでなく、コンプライアンス、公立病院として果たすべき役割などの目標も含む)】→【目標達成のための具体的な手法や行動の検討】→【これらを日常業務に結びつけるための、組織や構造の主体別に検討(部門別のアクションプランなど)】に落とし込み、これらの検証・改善につなげていくことが重要です(PDCAサイクル)。
 
 研究会では、一例として【大目標:収支改善】→【手法:医業収支の改善、職員給与費対医業収益比率の引き下げ】→【部門別アクションプラン:医師では「初診や所見時間の効率化に向けた、所見目標時間の設定」「手術開始時間の厳守」、看護師では「業務時間の効率化に向けた、バーコード管理による定型的な看護行為時間データの分析」「看護必要度と看護実施データを用いた業務量の比較」など】→【部門ごとのフィードバック】→【アクションプランの改善】というサイクルを紹介しています。

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経営状況改善という大目標に向かい、各部門がどう動くかまでに落とし込んだプランを立てることが必要

経営人材確保のため、「人事サイクルの見直し」を自治体と協議せよ

また(2)の「経営人材」の課題に対応するためには「公立病院の事務局の強化、経営人材の確保・育成」を行うことが必要不可欠です。このため、▼地方公営企業法全部適用の場合、事業管理者に対し人事・予算等の権限が付与されるので、▽高い知見▽経営意識▽実務能力—を有する者を選定する▼地方公営企業法一部適用の場合、知見のある現院長を事業管理者に、若手副院長を院長に登用することで、人材育成を図る▼経営実務を担う事務長・事務職員について人事異動サイクルを見直し、医療制度や病院経営に関する研修体制を構築する▼医事業務などに関しては、全てを外部委託するのでなく、中心ポストに継続的に事務職員を配置し、診療報酬改定などに的確に対応する▼事業管理者や病院長、事務長と、自治体の首長や人事部局との間で協議し、「組織・定員の適正化」を行う▼看護師その他の医療職員で経営感覚・改革意欲に富む人材を経営幹部へ登用するなどの、人事運用の弾力化を検討する—ことを提案しています。院内で可能なこと、自治体サイドとの協議が必要な事項など、さまざまですが、速やかに「検討」を開始すべきでしょう。

再編・ネットワーク化、財政支援ツールを活用し、地域医療の確保を念頭に

 また(3)の再編・ネットワーク化に関しては、総務省による「再編・ネットワーク化に伴う病院事業債の活用」を推奨しています。これは、再編・ネットワーク化では、通常の施設・設備整備よりも多くの経費がかかることを踏まえ、「通常は元利償還金の25%である地方交付税措置を、40%に拡充する」(病院事業債・特別分)ものです。

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公立病院の再編・ネットワーク化で必要となる経費について、病院事業債(特別分)で措置が行われる
 
あわせて、再編・ネットワーク化や経営形態見直しなどに伴う精算等に要する経費について、▼再編・ネットワーク化に伴う新たな経営主体の設立等に際し、病院経営基盤の強化のために行う出資(不良債務額を限度)について、病院事業債(一般会計出資債)で措置する▼医療提供体制の見直しに伴って不要となる病院等の施設除却等に要する経費の一部を特別交付税で措置する—ことなどが講じられており、自治体はもとより公立病院の財政負担軽減にもつながるため、研究会では「これらの措置を活用できるか否か確認すべき」と強く求めています。
もっとも地方財政措置の手厚さを求め、▼対象となる病院間の距離や立地▼交通条件—などを考慮しない再編・ネットワーク化は「地域医療の崩壊」につながることも忘れてはいけません。また再編によって、結果的に「病院がなくなる(病院までの距離が遠くなる)」、「規模・機能の縮小などで、これまでどおりの医療サービスが受けられなくなる」「診療所になってしまう」という点で地域住民からの反対が生じることもあるため、「当事者間はもとより、自治体内・関係自治体間・地域の医療関係者等でしっかり認識を共有し、地域住民への丁寧な説明を行い、住民の不安を払拭し、その理解を得ることが重要」と強調しています。

総務省は、不採算地区病院への特段の財政支援を検討すべき

 一方、(4)の課題について研究会は、国に対して、「公立病院と公立病院以外の病院との統合等で『公営企業を廃止する』場合には、不良債務等に対する地方債などの発行は現行制度ではできない」といった制度面での不都合を解消するよう努めることを要望しています。

 なお、いわゆる不採算地区病院(150床未満で、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる一般病院、150床未満で、直近の国勢調査に基づく当該病院の半径5km以内の人口が3万人未満の病院)では、「とくに病院経営が厳しい」状況を踏まえ、研究会では「財政支援の充実」「医師確保措置」を要望。

また、2020年の東京オリンピック開催などの影響で建築単価が上昇していることを踏まえて、「公立病院の施設整備に係る地方交付税措置の単価について、建築単価の実勢を踏まえ、定期的な見直しの仕組みを検討すべき」と要請したものの、一方で「公立病院の建築単価が、公的病院等に比べて全体的に高い」ため、建築単価抑制策なども検討するよう求めています。

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公立病院(上段)では、公的病院等(中断および下段)に比べて、建築単価が高い傾向にある



https://mainichi.jp/articles/20180105/k00/00m/040/071000c
<へき地勤務医>厚労省が「お墨付き」 地域偏在解消図る 
1月4日(木)19時49分 毎日新聞

 厚生労働省はへき地など医師不足が深刻な地域での勤務経験を評価した認定医制度を創設する。厚労省の「お墨付き」を与えることで地方での勤務を促し、医師の偏在の緩和を期待する。今月召集の通常国会に医療法改正案を提出する。

 厚労省は今後、医師不足地域の判断基準について、人口10万人当たりの医師数や高齢化の状況、近隣地域の医療機関の利用しやすさなどを考慮した新たな指標も設定する。

 その上で、医師不足地域の診療所などに派遣された若手研修医や病院勤務医らの経験を評価する。勤務経験が一定の年数を超えると、申請に基づいて厚労省が認定証を交付し、看板などへの記載を認める。

 医師不足問題について議論している厚労省の有識者検討会は2016年5月の中間とりまとめで、診療所などの開業前に医師不足地域での一定期間の勤務経験を義務づける方針を示した。その後、厚労省の調査で医師の44%は県庁所在地などを除く地方で勤務する意向があるとの結果が判明。省内で「強制的に地方に行かせる必要はない」との意見が強まり、開業要件という強い規制策から地方勤務経験者の優遇に方針転換した。

 現在、専門医・認定医の多くは各学会が独自に認定しており、厚労省が認定しているのは、強制入院に携わる「精神保健指定医」などわずか。このため厚労省では、同省の「お墨付き」を受けることは医師にとってのメリットとみている。

 名称については、医療界の意見を聞いたうえで決定する方針だ。【熊谷豪】



https://www.m3.com/news/general/578214
弘前市立病院外科、1月から1人体制  
2018年1月4日 (木)配信 東奥日報

 弘前市立病院の外科の常勤医1人が31日付で退職することが28日、病院への取材で分かった。2018年1月からは非常勤医師の診察もなくなり、残る常勤医が1人で外科の診療、手術を行うことになるため、手術件数や入院患者数の減少は避けられないとみられる。弘前市の外科の2次救急輪番の割当数も変更になる。

 市立病院によると、退職するのは、消化器外科を専門とする30代の男性医師。16年10月から勤務し、12月に入って依願退職を申し出たという。外科は、常勤医2人と非常勤の弘前大学医学部付属病院医師の計3人が担当し、平日の午前中に医師2人で外来診療を行っている。

 市立病院の常勤医は、12月1日時点で29人(うち研修医7人)。このうち外科医は、退職する医師を含む外科と乳腺外科の3人で、17年3月末時点の6人から半減していた。

 櫻田靖事務局長は「市立病院で対応できないような複雑な手術を要する場合は、他の病院を紹介することになる。医師確保に向け、引き続き派遣要請や公募を行う」と話している。内科、小児科、整形外科など外科以外の科の診療体制は変わらないという。

 市立病院は、外科の2次救急輪番を担っているが、市健康福祉部の赤石仁部長は「参加病院間で割り当てを調整してもらった。1月以降も輪番制は維持される」と説明する。外科の輪番はほかに、国立病院機構弘前病院、健生病院、弘大高度救命救急センターが参加している。

 市立病院をめぐっては、県が16年10月に国立弘前との統合による中核病院整備を提案したが、17年6月以降は協議が停滞。12月5日、葛西憲之市長が「県の構想は市民の立場に立っていない」などと主張、市主体で整備運営したい考えを示している。



https://www.m3.com/news/general/578259
看護職員の7割が「辞めたい」 病院で深刻な人手不足  
地域 2018年1月4日 (木)配信 紀伊民報

 和歌山県内の病院で、深刻な人員不足のため、看護職員の仕事量が増え、健康状態悪化や医療ミス・ニアミスなどにつながっている現状が日本医療労働組合連合会(医労連)の調査で明らかになった。県医労連が27日に発表した。看護職員の7割が「仕事を辞めたい」と考えながら働いていることも分かり、県医労連は職場環境改善の緊急性を訴えている。

 医労連が5、6月、全国を対象に看護職員の労働実態調査を実施し、県医労連が県内結果をまとめた。

 県内では10病院の看護職員205人を対象にアンケートした。前回は4年前の2013年に調査しているが、当時から労働実態の改善は見られないという。

 1年前と比べた仕事量を聞いたところ「大幅に増えた」が34・0%、「若干増えた」が29・0%で、合計は63・0%。増えたと答えた人の割合が前回調査より6・5ポイント上がった。

 医療ミス・ニアミスの経験が「ある」と答えたのは83・0%で、要因で最も多かったのは「慢性的な人手不足による忙しさ」(82・4%)で、次に「交代制勤務による疲労の蓄積」(29・1%)だった。また、患者への十分な看護が「できている」と答えたのは10・0%しかなく、できていない理由で最も多いのが「人員が少なく、業務が過密」だった。

 仕事を辞めたいかについては「いつも思う」が20・0%、「ときどき思う」が51・0%。合計は71・0%で前回並みとなった一方、その理由(三つまで選択)については「人手不足で仕事がきつい」が59・3%と、前回の41・8%から20ポイント近く上昇。次に「思うように休暇が取れない」も52・4%と、34・9%から大幅に上がった。一方「賃金が安い」は29・0%で44・0%から大きく減った。



  1. 2018/01/07(日) 09:27:05|
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謹賀新年2018

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新年あけましておめでとうございます。
医療供給体制、医師育成体制、等々
様々な問題が山積したまま年を越しました。
戌 という字に dog の意味はないそうです。
戊(生い茂ったもの) を束ねる 一 の字を加え
みのりを束ねるという説と
減 という意味という説 とがあるようです。
個人的には 成 に繋がるみのりと解釈したいです。
将来に夢が広がるいい年になることを期待しています。

ドクター爺さん


  1. 2018/01/01(月) 10:41:12|
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