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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月18日 

https://digital.asahi.com/articles/ASLCD3SLDLCDUBQU001.html?rm=851
病院統合、進まないワケは 医師不足背景、大学が提案
倉富竜太2018年11月12日14時00分 朝日新聞

 地域の病院への常勤医の派遣などで、筑後地方の医療の中核を担う久留米大(久留米市)が、近接する二つの自治体病院に統合を提案している。医師不足が深刻になっており、統合すれば限られた人材を集中的に派遣できるようになる。だが、経営状態の違いもあって、話は進んでいない。

地域医療支える公立病院減少、統合や民間譲渡で存続図る

 2016年10月17日付で1通の文書が出された。差出人は久留米大の学長と医学部長。送り先は公立八女総合病院(八女市、300病床)を運営する八女市、広川町と、筑後市立病院(筑後市、233病床)を運営する筑後市のそれぞれの首長、議長だった。

 両病院に多くの常勤医を派遣している久留米大は「近い将来、両病院での診療の維持が困難になり、地域に大きな迷惑をかけることになる」と指摘。その上で、両病院が統合して400病床以上の新病院になるよう提案した。

 内村直尚医学部長は「数年前から、診療科によっては、派遣する医師の人数を減らしたり、中止したりせざるを得ない状況になっている」と事情を語る。

 2004年に始まった「新医師臨床研修制度」の影響が大きいという。同制度の導入で、医師免許取得後の2年間の研修先が自由に選べるようになった。それまで卒業した大学の病院に残るのが一般的だったが、最新の医療設備を持ち、生活も便利な都心部の大学や大手病院に研修医が集中するようになった。

 実績を反映して決まる研修医の定員は、久留米大は04~06年度が108人だったのが、15年度は42人、来年度は41人にまで減る。

 一方で、筑後市立病院の診療科は20、公立八女総合病院は31。診療科の多くが重なっているという。久留米大から派遣している医師の数は、公立八女総合病院が常勤医47人のうち43人、筑後市立病院が常勤医33人のうち30人だ(いずれも10月1日現在)。

 研修医が減ることで、大学側に余裕がなくなり、これまでのように医師を派遣することが難しくなっているという。「両病院は距離も近い。統合すれば1カ所に優秀な医師を派遣できる」と内村医学部長は語る。

 ログイン前の続き久留米大の提案に、公立八女総合病院は前向きだった。経営状況はよくなく、14~16年度は毎年7億円前後の赤字が続いた。

 一方の筑後市立病院。11年に独立行政法人化し、黒字経営が続く。今年7月、筑後市の西田正治市長は八女市の三田村統之市長に、現状での統合は難しいと直接伝えた。公立八女総合病院の経営状況や、筑後市立病院を建て替えた際の債務が残っていることが理由だったという。

 公立八女総合病院をともに運営する広川町は昨年9月、民間への譲渡を八女市に提案したという。だが、三田村市長は今年9月21日、市議会全員協議会で、八女市単独でも公立病院として維持する考えを明らかにした。「民間病院は民間企業と一緒ですから、運営が厳しくなった時に切り捨てられる可能性がある。市独自で再整備し医療設備を充実することで、久留米大も協力してくれると思う」

 静岡県では13年、掛川市立総合病院(450床)と袋井市立袋井市民病院(400床)が統合し、「中東遠総合医療センター」(500病床、掛川市)になった。同センターは「両市立病院に多くの医師を派遣していた名古屋大と浜松医大の医師不足が影響した」と背景を説明する。二つの病院が統合し、最新の設備を備えることで、医師が確保しやすくなり、13年では93人だったのが、今年4月で121人になったという。

 久留米大による統合提案から2年が過ぎたが、こちらの話は進んでいない。内村医学部長は「10年後の地域医療を見据えて統合を提案した。関係者の協議の場が設けられたら、今後の厳しい状況が理解してもらえると思っています」。

 地域医療に詳しい城西大経営学部の伊関友伸教授(行政学)は、「研修体制が充実し、ある程度の規模がなければ医師は集まらないし、勤務したがらない」と話す。病床数が1千を超える久留米大病院や聖マリア病院がある久留米市内から車で約30分圏内に両病院がある点を踏まえ、「統合しなければ、患者を奪い合って、共倒れになる可能性もある」とも指摘する。「自治体によって事情はあるだろうが、新たに400病床規模になることで、魅力を感じた若い医師が集まる」と話す。



https://www.medwatch.jp/?p=23391
医師の健康確保、「労働時間」よりも「6時間以上の睡眠時間」が重要―医師働き方改革検討会
2018年11月12日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の健康を確保するためには、「労働時間の短縮」よりも「睡眠時間の確保」が重要である。このため、「連続勤務時間制限」と「インターバル規制」をセットで実施することが重要である―。

 11月9日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で、順天堂大学医学部公衆衛生学講座の谷川武教授からこういった報告が行われました。医師の働き方改革に向けて、極めて重要な報告と言えます。
 
ここがポイント!
1 睡眠時間確保に向け、連続勤務の制限や勤務間インターバル、振替休暇などをセットで整備せよ
2 医療提供体制の確保も考えれば「タスク・シフティング」が不可欠
3 育児休業を取得できない最大の理由は、育児休業制度の「未整備」

睡眠時間確保に向け、連続勤務の制限や勤務間インターバル、振替休暇などをセットで整備せよ

 安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の一環として、勤務医も「罰則付き時間外労働規制」の対象となります。ただし、医師には応召義務が課されるなどの特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

検討会では、単に労働時間を規制するのみでなく、勤務環境の改善などさまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討することが重要と考え、来年(2019年)3月の報告書取りまとめに向けて、次の3分野を併行的かつ統合的に議論していくこととしています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)
(2)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)
(3)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)
 
 11月9日の検討会では、(1)のうち「医療従事者の勤務環境改善」に焦点を合わせ、我が国の睡眠医学の第一人者である谷川教授から「エビデンスに基づく医師の健康確保措置」について発表が行われました。

 谷川教授は、▼外国の研究結果▼厚労省のタイムスタディ調査結果の解析―をもとに、医師の健康確保にあたっては、労働時間の短縮よりも「睡眠時間の確保」(6時間以上)が重要と訴えました。例えば、厚労省のタイムスタディ調査を解析したところ、「高ストレス・抑うつ」の割合は、就労時間が「60時間以上」と「60時間未満」との間で、また「80時間以上」と「80時間未満」との間で有意な差は見られませんが、睡眠時間については「6時間以上」に比べて「6時間未満」では有意に増加するのです。この結果からは、「医師のストレスや抑うつには、労働時間の長短は関係ない」「睡眠時間が6時間未満になると、ストレスが高く、抑うつ状態になりやすい」ことが分かります。

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 また、夜勤等で「短時間の仮眠→救急対応などの業務→短時間の仮眠」等を繰り返すケースでは、合計の睡眠時間こそ確保していても、睡眠時無呼吸症候群と同じように「質の良い睡眠」は確保されません。

さらに、慢性的な睡眠不足となると、「主観的な眠気は感じないものの、客観的な覚醒度は低下する」という研究結果も報告されました。
 
 ところで、長時間労働の中には、▼「やりがいを持っている」ケース(ワークエンゲイジメント)▼「強迫的に働いている」ケース(ワーカホリック)—とが混在していると谷川教授は指摘します。労働者自身では、両者の峻別が困難なこともあり、例えば産業医が面談するなどして両者を峻別し、後者のワーカホリックでは「業務停止を促し、リカバリーする」ことなども重要となってくるでしょう。
 
こうした点を総合し、谷川教授は、医師の健康を確保するために、▼「連続勤務時間の上限」と「勤務間インターバルの確保」(例えば米国では8時間のインターバルが必須で、10時間以上が望ましいとされている)をセットで実施する▼振替休暇などの仕組みを導入する▼医師が面談などを行い、客観的に「睡眠不足である」旨などを示すとともに、必要があれば就業制限などを提案する―という施策を組み合わせて実施することが重要と提案しています。

 検討会委員からは、谷川教授の発表に対し「感銘を受けた」「自身の経験に照らして納得できる」との意見が数多く出されました。「時間外労働の上限規制」は、そもそも勤務医も含めた労働者の健康確保が目的です。この点、「労働時間の短縮では、健康は確保できない」ことが確認されたと言え、今後、「時間外労働の上限」(医師の特例)だけでなく、セットで実施すべき方策(連続勤務時間の上限やインターバルなど)も併せて検討していくことになるでしょう。

もっとも、救急医療を始めたとした「医療提供体制の確保」との両立も、極めて重要な視点です。ただちに「全勤務医に勤務間インターバルを●時間確保しなければならない」となった場合、現在の医療提供体制を維持するには「医師の増員」が不可欠です。しかし、慢性的な医師不足地域で、新たな医師を確保することは極めて困難です。そのためには、例えば「病院の統合・再編」によって医師1人当たり負担を軽減することなども重要な選択肢になってくることでしょう。今後の具体策検討論議が注目を集めます。

医療提供体制の確保も考えれば「タスク・シフティング」が不可欠

前述のとおり、「連続勤務時間の制限」などを実現した上で、医療提供体制を確保するためには、「医師の増員」が必要となってきますが、地方では慢性的な医師不足状態と指摘されています。このため検討会では「タスク・シフトティング」にも注目が集まっています。医師は、「医師免許保持者でなければ実施できない」業務に集中し、他職種でも可能な業務は、他職種に移管していく、というイメージです。

例えば長時間勤務の代表例ともされる外科医では、▼手術▼自己研鑽(症例検討など)—を他職種に移管することは困難なため、例えば「ICUや病棟での管理」「外来業務」「当直待機」などについて、どの部分を他職種に移管できるかを具体的に検討していく必要があります。
 
この点については、例えば「特定行為研修を修了した看護師」(一定の医行為を医師・歯科医師の包括的指示の下で実施可能)の活用などが、さらに重要になってきます。関連して委員からは▼業務の標準化(工藤豊構成員:保健医療福祉労働組合協議会事務局次長)▼医師の指示なく一定の医行為を実施できる「診療看護師」の検討・創設(山本修一構成員:千葉大学医学部附属病院院長、国立大学附属病院長会議常置委員長)属人性の高い業務は移管が極めて困難)▼各職種の業務内容の精査とタスク・シフティングの可能性の検討・検証(岡留健一郎構成員:福岡県済生会福岡総合病院名誉院長、日本病院会副会長)—などを求める声が出ています。

タスク・シフティングについては、すでに今年(2018年)2月に検討会が「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をまとめており、そこでは▼初療時の予診▼検査手順や入院の説明▼薬の説明や服薬指導▼静脈採血▼静脈注射▼静脈ラインの確保▼尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)▼診断書等の代行入力▼患者の移動―などの業務は、原則として他職種に移管し、医師が行うべきではない、との考えが明確にされています(関連記事はこちら)。
 
もっとも、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の調査(2018年5・6月に実施)では、こうした緊急的な取り組みの実施は、▼一般病院では26.8%が実施済で、33.7%が実施予定▼大学病院では30.3%が実施済で、55.7%が実施予定―などにとどまっており(関連記事はこちら)、さらに積極的な姿勢が期待されます。

厚労省では、「緊急的な取り組み」をさらに推進するとともに、▼「時間」を意識した医療機関運営▼タスク・シフティング、タスク・シェアリング(業務の共同化)、国民の医療のかかり方、医療機関の機能分化・連携▼医療提供の維持(縮小を招かないように)—などを更なる検討課題に掲げています。

育児休業を取得できない最大の理由は、育児休業制度の「未整備」

なお、関連して女性医師支援策として厚労省は、▼院内保育・病児保育などの整備▼育児休業を取得できる環境の整備▼出産や育児における休暇を取得できるよう、新専門医制度における「カリキュラム制」の整備(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)▼外来における「オンライン診療」の進展などを踏まえた、「入院におけるICT活用やチーム医療推進」などの検討▼男性の育児参加推進―などを今後の論点として掲げました。

この点、日本医師会の2015年調査では、女性医師が育児休業を取得しなかった最大の理由(35.5%)として「育児休業制度が整備されていない」という驚愕の結果が出ています。
 
1995年より全事業所で「育児休業」制度を整備することが義務付けられています。零細事業所等で未整備なところがあると聞きますが、病院においては、その社会的役割等にも鑑み、早急な整備が必要でしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/640852
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方「死んだら元も子もない」
順大教授プレゼン、睡眠確保に留意した負担軽減策が必要

レポート 2018年11月11日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長:岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は11月9日に第11回会議を開催し、勤務環境改善策について議論した。順天堂大学医学部公衆衛生学講座教授の谷川武氏のプレゼンテーションでは、慢性的な睡眠不足状態にある場合には脳・心臓疾患やストレス反応、抑うつ度は睡眠と有意に関連があるなどの研究を紹介。「労働自体は医師にとっては楽しいことが多く、ついついやり過ぎてしまう。だが、働き過ぎて死んだら元も子もない。せめて睡眠だけは確保しようということだ」と述べ、連続勤務時間の制限やインターバル規制などで睡眠時間確保に留意した健康確保措置が必要だと訴えた(資料は、厚労省のホームページ)。


 谷川氏は、厚労省が2017年から2018年にかけて行った病院勤務医の勤務実態調査(タイムスタディ調査)によれば、当直時でも一睡もできないことは稀で、一定程度は眠れていることが多いことを改めて紹介。一方で、米国で行われた、ディスプレイに数字が表示されたらボタンを押して反応速度を測り、客観的な「覚醒度」を調べる調査で、睡眠8時間未満、6時間未満、4時間未満、全く眠らせない群の順に反応速度は悪くなり、「覚醒度」が低下し続ける一方で、主観的な「眠気」はそれほど強くならないとの結果が出たことを説明。「全く眠らせない場合は眠気が強くなるが、4時間未満や6時間未満などの場合は慣れてしまい、『軽い眠気を感じている』程度にしか思わない。これは非常に大事なポイントだ。多くの医師は『まだいける』と思いながら無理を重ねている」と述べた。

 2017年の「国民健康・栄養調査」(医師に限らない調査)では、40代と50代で男性、女性ともに睡眠時間5時間未満が10%を超えており、「これは恐ろしいことだ。なんとか6時間睡眠を確保できるような方策が必要だ。6時間未満のときには次の日になるべく7時間寝るなどの振り替えをやることが大事だ」と強調した。

 さらに、谷川氏は、北里大学一般教育部人間科学教育センター教授の島津明人氏の研究を紹介した。そこでは、「活力」「熱意」「没頭」の三つの尺度で、仕事に積極的に向かい活力を得ている状態を評価する「ワークエンゲイジメント」という考え方が示され、谷川氏は「I want to work なのか、I have to work なのか。ワークエンゲイジメントとワーカホリックとを峻別しなければいけない」と述べた。

 岩手県立久慈病院副院長の遠野千尋氏は、外科医である自身も睡眠が5~6時間程度で、「谷川先生のお話の通りの生活をしている」と述べた上で、地方の病院では医師確保が難しいことから、勤務と次の勤務のインターバル(間隔)が取れず、取ろうとすれば「予定手術をこれまで2件行っていたところが1件になる。地域では難しい」と懸念を示した。日本医師会副会長の今村聡氏は、医療以外でも業種によって特別なルールがある場合もあり、「医師の特性を考えて、法制上位置付けるのが大事だ。医療は不確実性が大きく、それを前提に休暇を別途取らせることが必要だ」と述べた。

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は、「時間外勤務の規制がこの検討会の『一丁目一番地』だと思っていたが、インターバルも大事だ。現場と齟齬がないような案を事務局が出していただけないか」と提案。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏は、医師の睡眠の取り方が、まとまった時間よりも細切れである場合が少なくないことから、「睡眠の総時間よりも、細切れであることをどう考えたらよいか」と谷川氏に質問。同氏は、「細切れの睡眠を集めてもうまくいかない。非常に良くない。どこかでしっかり取らないといけない」と回答した。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018111702000128.html
医学部長会議が入試規範 来春新入生対象に性や年齢差別除名も
2018年11月17日 朝刊 東京新聞

 医学部を置く国公私立の大学が参加する「全国医学部長病院長会議」は十六日、性別や浪人年数、年齢といった属性により、医学部入試の合否判定で扱いに差をつけることは認められないとする規範を公表した。強制力はないが、これに反する行為が判明した場合は同会議からの除名を含む処分の対象にし、来春の新入生を対象とした入試から適用するとした。

 医学部入試を巡っては、文部科学省の緊急調査で複数の大学で不正が疑われている。

 女子に不利な合格ラインを設定した疑惑が浮上している順天堂大は、同会議の規範を踏まえて医学部入試に関する見解を示すとしており、各大学の対応や今後の入試運用の指針となりそうだ。

 作成に当たった嘉山孝正・山形大医学部参与は記者会見で「常識的な内容。各大学に守ってほしい」と述べた。

 規範では(1)国民から見て公平であること(2)良い医療人になり得る人材を確保すること-の二つの尺度でルールを整理。これに反する入試運用は「国民の理解が得られない」との考えを示した。

 全ての入試で、性別で一律に合否判定基準に差異を設けることや得点操作をすることは許容されないと規定。一般入試では、浪人年数や年齢も同様の対応を求める。

 愛校心や意欲の高さを理由に設定する大学があるとして、卒業生の子弟枠を許容し、選抜方法を入試要項に明記し、国民の容認を得るよう求めた。推薦入試枠も評価基準の明示を求めた。

 不足地域での医師確保のために設けられた「地域枠」に関しては、自治体と地域医療に必要な人材を協議する必要があるため、入試要項に記載すれば、年齢で差をつけることも認める。

◆文科省は大学名公表を
 医学部のあるほぼ全ての大学が入る「全国医学部長病院長会議」が規範を作ったことは、長年不適切な入試を正当化してきた大学に、公正さを示す意味で評価できる。大学側の感覚が一般と乖離(かいり)していることが明らかなためだ。昭和大は不正操作を公表した際、「文科省や社会の皆さまとの理解が違った」と釈明した。一方、規範には強制力がなく、同会議に調査権限もない。小委員会の嘉山孝正委員長は会見で「除名処分は重い」「これを平気で破る学校はないと信じている」と述べたが、実効性に疑問は残る。

 また、十二月に一般入試の出願が始まり受験シーズンが本格化するが、入試不正を知り動揺する受験生への配慮は進んでいない。大学側の自主的な公表に期待するとして、文科省が不正をしていた疑いの強い大学名をいまだに公表しないためだ。順天堂大学のように規範ができてから不正への見解を示すと決めた大学もあり、自主公表は進んでこなかった。

 文科省は、今回の規範を「各大学が入試方法を判断する指標になる」と歓迎するだけでなく、自ら指導力を発揮するべきだ。 (原尚子)

<医学部の不正入試> 文部科学省の私大支援事業を巡り、同省の佐野太前科学技術・学術政策局長(59)=受託収賄罪で起訴=が東京医科大に便宜を図る見返りに息子を合格させてもらったとする贈収賄事件をきっかけに発覚。東京医大は特定の受験生への不正な加点のほか、女子や長期浪人生を得点操作で実質減点していた。昭和大も現役・1浪の受験生や卒業生親族の優遇を認めた。文科省は全国81大学の入試を緊急調査し、63校で過去6年間における女子の合格率が男子を下回っていたとの速報を公表。今年末までに調査結果をまとめる方針。
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https://www.medwatch.jp/?p=23474
検体を紛失等してしまい、「病理検査に提出されない」事例が頻発―医療機能評価機構
018年11月15日|医療・介護行政全般 MedWatch

 検査のために患者の組織など(検体)を採取したが、検体を紛失したり、破棄してしまったため、病理検査に提出されなかった―。

 こうした事例が、2014年1月から2018年9月までに19件も報告されていることが、日本医療機能評価機構が11月15日に公表した「医療安全情報 No.144」から明らかになりました(機構のサイトはa href=”http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_144.pdf” target=”_blank”>こちら)。
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再度の検体採取は患者に大きな負担、再採取できないケースもあることに注意

 日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等については義務づけ)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に防いだが、ヒヤリとした、ハッとした事例)を収集し、その内容や背景を詳しく分析したうえで、事故等の再発防止に向けた提言等を行っています(医療事故情報収集等事業、関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。また事故事例などの中から、とくに留意すべき事例等を毎月ピックアップし、「医療安全情報」として公表し、医療現場に注意を促しています(最近の情報はこちらとこちらとこちら)。11月15日に公表された「No.144」では「病理検体の未提出」がテーマとなりました。

 ある病院では、骨生検の後、医師が病理検体とラベルを病棟看護師に渡しましたが、看護師は病理部の受付時間が過ぎていたことから、その検体を病棟で保管することにしました。しかし、そうした検体の置き場所が定められておらず、行方不明になってしまいました。1か月後に医師が骨生検結果を患者に説明する予定でしたが、結果が出ていないことから「病理検体が提出されていない」ことに気付いたといいます。
 
 また別の病院では、下垂体腫瘍摘出術を施行する場合、通常は「摘出した腫瘍を脳神経外科医師が病理検査に提出する」手順をとっていましたが、検体を処理する医師が手術室にいないことがありました。手術後に、器械出し看護師が執刀医に「腫瘍の処理」を確認したところ、執刀医は「すでに検体が病理検査に提出されている」と思い込み、「破棄してよい」と伝えました。看護師は、腫瘍を破棄してよいか疑問に思ったものの、すべて破棄。1週間後に、医師が「検査の結果が遅れている」と思い、問い合わせたところ、病理検査に提出されていないことが判明したといいます。

 患者の疾患・状態等を把握するために検査を行ったものの、その検体を滅失してしまっては意味がありません。再度の検査は患者の身心に大きな負担となります、上記の後者事例に至っては「再検査は不可能」なため、別の手法を取らなければなりません。

 こうした事態は、例えば▼手術終了時に病理検体の有無、個数、組織名を確認する▼病理検体の置き場所を(病棟内で)定め、検体提出手順を作成する―といったルールを明確にし、かつそれを遵守することで確実に防止できます。

 各病院において、自院において「ルールがそもそも定められていない」「ルールに不明確な部分がある」「スタッフ全員が適切に認識していない(1人でも認識していないスタッフがいれば意味はない)」「認識はあるが遵守されていない」といった事態が生じていないか、改めて確認する必要があります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/642166
地域医療支援病院、「2つの機能」追加に向け議論開始
中川日医副会長「一定の役割を終えたのではないか」との指摘も

レポート 2018年11月16日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月16日の「第15回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に、地域医療支援病院の見直しの方向性として、(1)地域でかかりつけ医等を支援するために必要とされる機能、(2)医師少数区域等を支援する機能――という2つの機能追加を提案した。承認要件とするか、通知等で努力義務規定とするかは未定。

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(2018年11月16日「第15回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」資料)

 今年の医療法改正で、医師確保対策として「医師少数区域等での勤務経験を厚労大臣が評価、認定」し、そのインセンティブとして「認定医師等を、地域医療支援病院の一部の管理者とする仕組み」が創設された。(2)はその関連で議論が必要な機能。ただ、構成員からは、これら2つの機能にとどまらず、地域医療支援病院に関する根本的な議論を求める声が相次いだ(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「(1997年の第3次医療法改正時の)設立の趣旨から考えて、地域医療支援病院は、一定の役割を終えたのではないかと思う。地域医療支援病院だけを取り上げて、『こうあるべき』などと議論するのではなく、地域医療構想の中で、どんな役割を果たすべきかを、一度、立ち止まって考えてはどうか」と提案した。地域医療支援病院の開設主体は、国公立、公的、民間のいずれもある。地域医療構想では、公立病院は「新公立病院改革プラン」、公的医療機関等は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ策定し、調整会議で議論することから、「地域医療支援病院の機能は、他の公立・公的医療機関と、求められるものと同じ」であることをその理由として挙げた。「地域医療支援病院になることが、ステータスになる時代もあったが、冷静に考えると、現状ではそうではない」(中川氏)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏も、昨年末にも本検討会で地域医療支援病院について集中的な議論をしたとし、厚労省提案の2機能の追加に限って議論するのか、既存の4つの承認要件も含めて一体的に議論するのか、疑問を呈したほか、診療報酬上での評価の在り方も射程に入れて議論していくべきだとした。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏も、「地域医療支援病院は、病診連携を強め、地域医療を強化する目的でスタートしたが、病診連携は当たり前のことになった。今は増加する高齢患者の医療をどうするかが課題であり、そこを議論しないで旧態依然の地域医療支援病院を手直しする程度では、だめだと思う。抜本的に議論しないと、余計に変な方向に行ってしまう」と懸念を呈し、地域にどんな病院が必要で、どのように連携していくかなどを抜本的に考えることを求めた。

 健康組合連合会理事の本多伸行氏は、「中川氏から、地域医療支援病院が形骸化しているという指摘があった。地域医療支援病院によって機能にばらつきがあり、都市部と人口が少ない地域の地域医療支援病院が同じか、という疑問もある。類型化を考えているのか」と質問。厚労省医政局総務課は、「類型化は、医療法改正の医師少数区域等を支援する機能との関連で検討する課題。それ以外についても、今日いろいろ意見が出たため、整理する」と回答した。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏も、「昨年末に集中的に議論した内容を基に、議論を進めたいという姿勢に変わりはない」と説明。厚労科研で、「地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究」(研究代表者:伏見清秀・東京医科歯科大学)を2017年度と2018年度の2カ年にわたり実施している。本検討会は、2018年度の研究で行う調査結果がまとまる2019年3月以降に議論を深め、2019年夏に取りまとめを行うスケジュールを予定している。「3月まで検討会を開催しないわけではなく、必要に応じて日程調整し、深めるべき論点はあると思う」(北波課長)。

 16日の検討会では、厚労科研の調査票についても議論。本調査は、地域医療支援病院が担うべき4つの機能(紹介患者に対する医療の提供、医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施)の現状を浮き彫りするのが目的。対象は、都道府県と全地域医療支援病院。

 「同じ構想区域で、(公立・公的が多い)地域医療支援病院と民間病院の機能が競合していないか、調整会議で議論しているかなどについて、自由記載欄を設けて聞いてもらいたい」(中川氏)、「医師の派遣について、どんな機関と連携しているのかなどが分かればありがたい」(本多氏)、「紹介率、逆紹介率だけでなく、地域医療支援病院がどんな施設と連携し、ネットワークを組んでいるかが重要」(相澤氏)、「都道府県だけでなく、医師会を対象とした調査も加えてもらいたい」(産業医科大学教授の松田晋哉氏)などの意見が出た。研究班では、これらの意見を踏まえ、調査票を作成、12月にも発送予定。

 沖縄県立中部病院と茨城県にヒアリング

 地域医療支援病院である沖縄県立中部病院と、人口当たりの医師数が全国46位の茨城県へのヒアリングも実施。沖縄県立中部病院は「島医者養成プログラム」などで、離島医師の育成と派遣への取り組みの現状を紹介。茨城県は、筑波大学の地域臨床教育センターである県立中央病院や、同大の地域医療教育センターである総合病院水戸協同病院からの地域への医師派遣の取り組みなどを説明した。

 沖縄県立中部病院に対して、中川氏は、「発表はすばらしいが、地域医療支援病院だからできたのではなく、医師や県の行政が熱心だったからこそ可能なのでは」と述べ、「今後も地域医療支援病院であることが必要なのか」、「地域医療支援病院と民間病院の機能が競合していることはないか」などと質問。

沖縄県立中部病院副院長の玉城和光氏は、「地域医療支援病院であるべきかどうかは難しい」と述べ、離島支援は、同病院が5、6割が担い、他は琉球大学、県内の臨床研修病院、本州からの沖縄県勤務希望医師などで対応していると説明。地域医療構想の調整会議での議論については、「県の方からも必要なものに特化すべきという話が出ているが、どの機能をどこに集約すべきかという話はできていない」とした。
 日本医療機能評価機構専務理事の上田茂氏は、茨城県の9医療圏のうち、2医療圏には地域医療支援病院がない一方、水戸医療圏には4施設あることについて、「役割分担をしながら、機能しているのか」と質問。

 茨城県保健福祉部医療政策課長の須能浩信氏は、2医療圏については、開業医が少なく、紹介率、逆紹介率が低いことから、地域医療支援病院になれないと説明。水戸医療圏については、4カ所の地域医療支援病院、水戸協同病院など複数の施設があり、「どの病院も、建て替えの時期を迎えている。県立中央病院と水戸協同病院以外は、大学の後ろ盾がないので、再編統合も視野に入れて議論を進めている」と答えた。

 中川氏は茨城県が公立、公的病院を中心に議論しているように映るとし、地域医療構想調整会議の議論の様子を聞いたほか、「水戸協同病院が地域医療支援病院になりたくてもなれないと言うが、なぜなりたいのか」と尋ねた。

 須能氏は、「新公立病院改革プラン等は、全ての対象医療機関が策定し、今、構想会議で議論をしている。半数以上のプランが合意をされた」と説明。さらに医療資源が少ない地域では、公立、公的病院中心にならざるを得なかったとし、「公立、公的病院しか担えない医療をやるということで議論が進んでいる」とした。水戸協同病院が地域医療支援病院を目指す理由については、「やはり大きいのは、“看板”という部分と、診療報酬の点数が高い、ということだと思う」と述べた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20181116140714
地域医療支援病院に医師少数区域の支援機能追加
厚生労働省が検討会に提示

2018年11月16日 14:45 CB News

 厚生労働省は16日、「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」に対し、地域医療支援病院の見直しに関する方向性を示し、医師少数区域を支援する機能を追加することを論点の一つに挙げた。今後、地域医療支援病院の医師派遣や地域医療との連携などに関する調査を行い、2019年夏ごろまでに議論を取りまとめる見通しだ。【新井哉】

 地域医療支援病院については、▽紹介患者に対する医療の提供▽医療機器の共同利用の実施▽救急医療の提供▽地域の医療従事者に対する研修の実施―を「主な機能」として求めており、「紹介患者中心の医療を提供」「原則として200床以上の病床」などが承認の要件となっている。

 今回の機能追加は、医療法改正による医師少数区域で勤務した医師を評価する制度の創設を踏まえた措置。地域医療支援病院の管理者については、医師少数区域などでの勤務経験を厚労相から評価された「認定医」であることが要件とされている。

 この日の検討会の会合で、厚労省は「医師少数区域等を支援する機能を有する地域医療支援病院の類型を設けてはどうか」と提案。具体的な支援機能として、医師少数区域などの医療機関へ医師を派遣したり、地域の医療機関に技術的な助言(24時間対応)を行ったりすることなどを挙げた。検討会の構成員からは、調査の方法などに関する質問や指摘などがあったが、明確な反対意見は出なかった。



https://www.yakuji.co.jp/entry68578.html
【日本イーライリリー】日本初の訪問型治験開始‐医師が患者宅で検査
2018年11月16日 (金) 薬事日報

高齢患者に機会を提供
 日本イーライリリーは、医師が治験に参加した患者の自宅を訪問して検査を行い、治験による治療効果を確かめる日本初の訪問型治験を開始した。急性期から慢性期に回復した患者が病院を退院し、在宅での訪問型医療・介護が日本で増えることが予想される中、治験でも患者が来院して行う検査を在宅で対応可能なものについて、訪問型治験に転換させることで、高齢患者などに治験の参加機会を提供する。現在、中枢神経系疾患領域を対象とした第I相試験を実施中で、今回の結果を踏まえ後期開発相試験への拡大や、将来的にはオンライン診療やデジタル技術を組み合わせたバーチャル治験の実装も検討する構想もある。

 都道府県が策定する地域医療構想により、回復期・慢性期患者に対する訪問型医療・介護のニーズが高まるものと見られており、2025年には日本全体で約100万人が訪問型医療の対象となる見通し。こうした医療環境の変化を踏まえ、同社では地域の訪問看護センターなどに日本の訪問医療の実施状況に関する調査を行い、医師訪問型治験の実施可能性を検討してきた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/641617
シリーズ 中央社会保険医療協議会
「予約で患者負担徴収」は708施設、2割増加
選定療養の報告状況、予約料の最高額は5万4000円

2018年11月14日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は11月14日の中医協総会に、2017年7月時点での主な選定療養の報告状況や施設基準の届出状況を報告した。選定療養では、「予約に基づく診察」が708施設で、前年の579施設から129施設(22.3%)増加した。予約料の平均は2205円だが、最高額は5万4000円。「診療時間以外の時間における診療」も増加傾向にあり、2017年は411施設で、前年の357施設から54施設(15.1%)増えた。

 施設基準については、一般病棟入院基本料の届出病床数が年々減少傾向にある一方、療養病棟入院基本料の届出病床数は2016年よりは増加。ただ、2017年は診療報酬改定の中間年に当たるため、施設基準の届出傾向に大きな変化は見られない(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 「診療時間外の診療」で負担徴収、411施設

 「予約に基づく診察」は、2014年477施設、2015年511施設、2016年579施設、2017年708施設と推移。予約料(保険診療に係る定率負担とは別の患者負担)は平均2205円だが、最高5万4000円、最低70円と大きな開きがある。

 「診療時間以外の時間における診療」は、2014年323施設、2015年342施設、2016年357施設、2017年411施設と推移。患者からの徴収額は平均2789円、最高額は1万6200円、最低額は200円。

 200床以上の病院の場合、「紹介状なし」の患者からは初診時に患者負担を求めることが可能。2017年は1279施設で、2016年の1305施設よりも微減。平均2960円、最高額1万800円、最低額200円。ここには徴収が義務化されている、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院が含まれる。なお、2018年度診療報酬改定で、地域医療支援病院については、「許可病床400床以上」と徴収義務の対象が拡大されたことから、2018年7月報告では徴収施設の増加が想定される。

 200床以上の病院は、他の医療機関(200床未満)に対し文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず、当該病院を患者が再診した場合も、患者負担を求めることができる。2014年101施設、2015年103施設と横ばいだったが、2016年344施設、2017年363施設と増加傾向にある。患者からの徴収額は平均2244円、最高額は8640円、最低額は210円。

 医療クラーク、後発医薬品関連の加算増加

 施設基準の届出状況を見ると、一般病棟入院基本料の届出は、2017年は4980施設(2016年比33施設減)、61万7411床(同1万3978床減)。これに対し、療養病棟入院基本料の届出は、2017年は3456施設で、2016年よりも55施設減少したが、22万2344床で2016年よりも830床増加した。

 医師の働き方改革が議論される中、医師の負担軽減策として注目される「医師事務作業補助体制加算」の届出は、2015年2528施設、2016年2728施設、2017年2778施設と増加傾向にある(同加算1と2の合計)。

 後発医薬品については、「2020年9月までに、使用割合を80%とする」ことが2017年6月に閣議決定された。入院料に対する「後発医薬品使用体制加算」は、2669施設(2016年比465施設増。同加算1~3の合計)、院内処方の診療所が算定対象の「外来後発医薬品使用体制加算」は、8512施設(2016年比1281施設増)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/642268
医療維新 シリーズ
無給医の実態2018
49歳以下の45.9%が 「無給医」経験あり◆Vol.1
直近5年間で無給、34大学 の名前挙がる

医師調査 2018年11月18日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 医師の働き方改革を巡る議論の中で、「無給医」の存在について改めてスポットが当たっている。NHKは10月、ニュース番組の中で特集を放送した。m3.com医師調査ではその実態を探るため、49歳以下のm3.com医師会員に「無給医」経験の有無を尋ねた。

Q: いわゆる「無給医」として働いた経験はありますか?
※本調査では無給医を「医師免許を持ち、病院で診療行為を行っているにも関わらず、本給が出ていない医師のこと。部分的に手当(当直手当)が出ている場合も含む。身分は問わない(専攻医、研究生、大学院生なども含む)」と定義した。
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 調査はm3.comを通じて11月13日から16日の4日間で実施。431人から回答があり、無給医の経験があるのは45.9%(198人)だった。内訳は男性176人、女性22人、平均年齢は40.2歳だった。

Q:「無給医」として働いた経験があるのはいつ頃でしょうか?【複数選択】

※複数選択(人)
 無給医経験のある医師198人を対象に、複数選択でその時期を尋ねた。「現在」は15.7%に当たる31人、「直近から5年前(2013年ごろまで)」は56人(29.8%)だった。重複を除くと現在および直近5年間で83人(回答者全体の19.2%)が無給医を経験していた。

Q:「無給医」として働いた勤務先について教えてください。※以下、複数の勤務先で「無給医」として働いた場合は最も勤務時間が長かった勤務先での状況についてお答えください。
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 直近5年間で無給医経験のある医師83人を対象に分析すると、勤務先は74.7% が大学病院だった。勤務する大学病院は国立16大学、公立4大学、私立14大学の計34大学 の名前が挙がった。

Q:「無給医」として働いていた時の身分を教えてください。【複数選択】
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※複数選択(人)
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 複数選択で無給医時代の身分を尋ねたところ、「大学院生」が38人と最も多く、「後期研修医」と「医員」がいずれも16人で続いた。

Q:無給医にまつわる諸問題についてご意見をお聞かせください。
・健康保険も入れない。雇用保険もあるのかないのかわからない。当直手当と、病棟手伝ったときのわずかな手当のみが大学から支給。外勤でそこそこ収入はあるから良いが、体を壊したらそれが無くなり、非常に不安定。【現在・卒後10年目】

・無給医問題は必要悪だから外部のよく分かっていない人間(行政など)が口を出すとろくなことにならないと思います。名義貸し問題をすっぱ抜いた後、臨床研修制度ができた後、 地方の救急病院がどうなりましたか?【現在・卒後12年目】

・必要悪だと思う。大学病院が給料を出さない代わりにバイト先を提供して生活は十分できるようにしてくれている。バイト先も大学から医師を派遣してもらえていてWin-Winではある。この仕組がなくなるとどちらも潰れてしまう。【直近から5年前(2013年ごろまで)・卒後13年目】

・無給どころか研修費?の名目で大学にお金を払えと言われた記憶があります。医局が出してくれましたが。スーパーローテート導入時に大学院生が病棟で仕事していたり、当時は色々聞きましたが、未だに無給医がいるとは思いませんでした。【2004年度~2013年度・卒後21年目】

・賠償保険は学会のに加入済み。一番下っ端で受け持ちはするけど何の権限もなく執刀もさせてもらえない丁稚の時代でした。土日も順番で日直してました。毎朝の採血点滴当番があるので、早朝から晩まで勤務でした。まともに常勤で給料が貰えたのは関連病院に出た40前からです。大学研究室勤務は非常勤(日雇い)の身分でした。文部教官には任用されませんでした。【2004年度以前・卒後35年目】



https://www.m3.com/news/iryoishin/642110
6NC連携、1つに統合?内部で連携?
NCあり方検討会、次回で決着「研究推進の役割果たして」

レポート 2018年11月16日 (金)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 厚生労働省の「国立高度専門医療研究センター(NC)の今後の在り方検討会」(座長:永井良三・自治医科大学学長)は11月16日、第8回会議を開き、第7回に引き続き、組織の在り方や果たすべき役割について議論した(『6NC連携、どんな方式で? 』を参照)。

 組織の在り方として、6法人のNC(6NC)を1つの国立研究開発法人に統合する案と、6NCの各法人格を維持したまま研究業務の横断支援機能を新設する案で意見が分かれた。12月12日開催予定の次回会議で、NCの組織体制について結論を出す方針(詳細は、厚労省ホームページ)。
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(2018年11月16日「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」資料)
 前回までの「NCが世界最高水準の研究開発をするため、横断的な取り組みにより、研究支援機能を強化する組織体制が必要」とする議論を踏まえ、厚労省はこの日、3つの組織案を示した。A案は、研究業務の横断支援機能を有する7つ目の新法人を設立。B案は、6NCを1つの国立研究開発法人として統合。C案は、6NCの法人格を維持しながら研究業務の横断的支援機能をNC内部に新設する。

 コストはA案が最も大きく、B案、C案と続く。A、B案は「高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律」を改正する必要があり、早くても2020年の通常国会を待っての動き出しとなるが、C案は決定次第組織の中身を整理し、2021年度から本格的に始動することが期待できる。

 A案は実現可能性が低いとして、この日はB案とC案に関して議論した。日本医療機器産業連合会会長の渡部眞也氏は、「産業界の視点からすると、B案のネガティブな面が強調されることに違和感がある。企業がHD(ホールディング・カンパニー)を形成するように、司令塔を作ることはより効率的に機能する形だ」と指摘。一方、日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「これまでのNCの役割を見れば、独立した法人のメリットが大きい。上に新しい法人組織を作るのは現実的ではない」と反論した。

 おおむねC案に賛同する構成員が多数を占めたが、C案に対し、「中心として引っ張る役割が不明確。本当に横断研究が進むのか」など有効性を危惧する声もあった。日本医学会会長の門田守人氏が、「Bの形にして初めて統括的な研究ができる。最終的にはB案を目指すべきだ」と述べるなど、複数の構成員が、C案としてスタートしたとしても、「状況を見てB案を目指す」といった継続的議論を求めた。

 「NCの今後の在り方検討会」は6年ごとに開催されているが、本来開催頻度の規定はない。今回、C案で結論が出た場合、6年を待たずに再び検討会を開き、内部横断組織の成果を検討することもできる。座長の永井氏は「検討会をどの時期でやるかも重要。3年目などでもいいのでは」と提案した。

 NCの役割については、厚労省が今までの議論を踏まえてまとめた「NCでなければ確保できない基盤的研究に取り組む」とする報告書案におおむね合意した。東京大学医学系研究科教授の岡明氏は、「大学では難しいデータ共有を、NCにやってほしいという期待がある。データセンターの構造を打ち出してほしい」と要望。日本医療研究開発機構理事長の末松誠氏は、「データの蓄積だけではなく、データをシェアし、R&Dにつなげるシステムが必要」と述べた。

 また、組織の在り方に関わらず、「爆発的に研究推進ができるところまで持っていく必要がある」、「データシェアリングを実現するためには、強いリーダ―シップが必要」、「組織改革には明確なミッションを決める必要がある」などの声も上がった。

 座長の永井氏はこれらを受け、「データ共有という生易しいものではなく、『開発研究プラットフォームを作ろう』というもう少し強めの表現をミッションとして掲げてはどうか」と、報告書の書き方に関して要望した。

 12月12日に開催を予定している次回会議で、一定の結論を得る予定。



https://www.m3.com/news/iryoishin/642028
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
全自病、労働と自己研鑽を整理、会員病院に周知
根本厚労相には要望書を提出

レポート 2018年11月16日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会は11月15日の記者会見で、「医師の労働と自己研鑽の考え方等について」とする文書を10月26日付けで会員病院に配布したことを明らかにした。厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」での議論の内容を踏まえ、労働と自己研鑽についての目安を示すもので、会長の小熊豊氏は「働くのが当たり前と思ってやってきたが、直さなければいけないと切実に考えている。改めるためには労働と非労働をどう考えるか」と、狙いを説明した。11月14日には、医師の働き方改革に関する要望書を厚生労働大臣の根本匠氏に提出した(要望書の内容は最下部に記載)。

 取りまとめに当たった副会長の望月泉氏は、「自己研鑽をしないと、医師の質を保てない。自己研鑽ができなくなるような働き方改革は困る」と説明。今回の文書はおおまかな目安を示すもので、病院ごと、地域毎に実情が異なるため、「グレーな部分は厚労省もなかなか決められないのでは」との見方も示した。

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(2018年11月16日全自病記者会見配布資料)

========  医師の働き方改革に関する要望  ========
 現在、国において行われている医師の働き方改革に関する検討に際しては、「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」を両立することを基本理念とし、以下の事項にも十分留意の上、慎重な検討を行っていただきますようお願いいたします。

 なお、当協議会においては、別添のとおり「医師の労働と自己研鑽の考え方等」について会員病院に周知し、対応を図っておりますので「医師の働き方改革に関する検討会」においてもご参照いただければ幸いです。

- - - - - - - - - - - - - - -  記  - - - - - - - - - - - - - - -

1. 医療の質の確保の観点から、時間外労働の上限規制の適用が医師のプロフェッション性を形骸化させることや医師養成の妨げとなり、医療の質・医療安全を低下させてはならないこと。

2. 医師の応召義務について、医師個人に過重な負担を強いることがないよう、その解釈や範囲を整理し、体系的に示す必要があること。

3. 医師の自己研鑽について、自己研鑽と労働時間を区分する基準や運用を示す必要があるとともに、医師としての生涯学習を阻害することがないよう留意すること。
 また、特に研修医は学習者としての側面を併せ持ち、医師としてのキャリアパスを実現するために十分な研修時間と症例数の確保は必須であることから、例えば海外の規定等も参考にし、研修医の健康に配慮した時間外労働規制を検討する必要があること。

4. 宿日直の許可基準のあり方について、「医師、看護師等の宿日直許可基準」を現代の医療提供体制の実態にあった基準に見直す必要があること。また、その検討に際しては、医師数が少ない地域、医療機関における医療提供体制の確保を考慮し、医療安全の観点からも医師の健康に配慮した対応を図ること。

5. 時間外労働規制を医師の地域偏在、診療科偏在や病院機能の違い等を考慮せずに適用すれば、救急医療、周産期医療、休日夜間診療など地域医療に大きな負の影響が生じる。医師の労働量の議論のみならず、医師の需給バランスからの議論も同時進行させていく必要があること。

6. 医師の勤務負担軽減を図るための一つの例として、一人主治医制を見直すことが考えられるが、その実現には社会全体、つまり国民や患者、家族の理解の浸透が不可欠であること。このためには、義務教育等で医療に関する項目を増やし、水や空気のように考えられている国民皆保険の危機的現状の認識の共有が必要であること。



https://www.m3.com/news/iryoishin/642029
シリーズ 医学部不適切入試
AJMC、「大学医学部入学試験制度に関する規範」公表
性差での差別は「NG」、多浪は一部容認、違反で除名も

レポート 2018年11月16日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)、大西裕康(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)は11月16日に記者会見を開き、「大学医学部入学試験制度に関する規範」を公表した。どんな入試枠であっても、性差で一律的に判定基準に差異を設ける事例は「不適切」であるとした。多浪についても一律的な差異は「不適切」だが、例えば地域枠では「各地域の状況を勘案し、社会に説明可能な範囲で入試要項に記載すれば実施可能」とした。規範は、16日の理事会で承認した。

 規範では、各大学がアドミッションポリシーに則り、入試を行う自治は認められるものの、「種々の法律や規則・通達等の広い意味での法を陵駕するものではなく、時代の社会通念や常識の域を超えてはならない」とした。この前提の下で、「公平性」(国民から見て公平であること)と「医療人確保」(国民にとって良い医療人、医学者になり得る人材を確保すること)という2つの尺度に照らし合わせ、公正な入試を行うことを原則としている。「全国の大部分の大学医学部が健全な法人として活動している中、一部の大学医学部が社会的に容認されない行為を行ってしまったことは大変遺憾」とも表明。

 2019年春の入学試験から適用する。今後、Q&A集を作成する予定。本規範を遵守しなかったと判断された場合には、同会議からの除名処分などの対象とする。東京医科大学について遡及して処分することはしない。なお、AJMCは全国80大学で組織。AJMCは医学部の新設に反対していたため、東北医科薬科大学、国際医療福祉大学は加盟していない。一期生が卒業し、医師になる時点で加盟を認める方向で検討している。

 規範を作成したAJMCの「大学医学部入学試験制度検討小委員会」委員長の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)は、「公平、いい医療人の確保のために、入試制度を変えてきた歴史がある。これら2つの尺度で考えることが柱。この他、アドミッションポリシーを勘案しながら、各事例(入試枠)について検証した」と説明した。「規範は、今後の社会の変遷の影響を受けると考える。本規範も経年的に検証されなければならない。今後、この規範に沿って、各大学で健全な入試が行われるだろう」(嘉山氏)。

 AJMCの「大学医学部入学試験制度検討小委員会」は、東京医科大学での入試不正問題を機に10月13日、検討を重ねてきた(『「公平 ・公正な医学部入試の在り方」、AJMCが検討』、『医学部入試、各大学が特色出せる「幅を示す」』を参照)。委員は、嘉山氏を含め、計8人から成る。

 議論になった「同窓生子弟枠」

 会長の山下英俊氏(山形大学医学部長)は、「皆の英知を集めて、自律作用を働かせて作成した。理事会で機関決定したことから、これは非常に重いものである」と位置付けを説明。嘉山氏は、「本規範は、文科省と厚労省と情報交換しながら作成した」と経緯を話し、「これを平気で破る大学はないと思う」と述べた。「規範の作成が遅かったのでは」との質問には、東京医大の件は、「われわれにとっては、“寝耳に水”」だったとし、それが規範作成にきかっけになったと答えた。

 議論になった一つが同窓生子弟枠。愛校心が強く、医師になるモチベーションがある、学力があるなどの条件で、従来から国民から認められているとし、「公平という点では満点ではないが、親が医師であれば、途中で脱落する可能性が低いと考えられる」(嘉山氏)。しかし、不正、不適切な要素が入る可能性があるため、「特定の人間の利益や権益に結び付かない制度を学内で確立する」ことで公平性の担保を求めた。「今後議論が起きれば、また議論になるだろう」(嘉山氏)。

 医学部入試の変遷も解説

 規範は、「はじめに」に続き、「1.大学医学部入学試験制度とアドミッションポリシー」、「2.大学医学部入学試験制度の歴史的概略」、「3.各論」、「4.本提言のまとめ」という構成。

 「はじめに」では、今後(2019年春の入学試験から)種々の検討を経て、AJMCの「大学医学部入学試験制度の規範」を遵守しなかったと「大学医学部入学試験制度検討小委員会」で判定された大学医学部(会員)は、検討と適切な手続きを踏み、AJMCから除名を含む処分の対象とすると明記。

 「1.大学医学部入学試験制度とアドミッションポリシー」では、医学部の特殊性として、▽卒業生のほぼ100%近くの学生が医師になり、医師国家試験に合格しなければ、製薬業界、行政などに行くにしても医学の分野においては活動がほぼ困難な学部である、▽教育費も他の学部と比較すると多額で、それを支える多くの税金が投じられている――を挙げ、理解を求めた。その上で、「入学した学生の一人の脱落もなく医療人、医学者として教育・育成しなければならない責務を負っている」とし、各大学はアドミッションポリシーに則り、入試ではさまざまな工夫をしているとの現状を説明。

 「2.大学医学部入学試験制度の歴史的概略」では、医学部入学定員や入試方法の変遷、学士編入試制度やAO入試など、入試の多様化を概観した上で、規範の基本的な考え方を提示した。

 入試の適不適の判定は、「公平性」と「医療人確保」という2つの尺度で行えば、問題点が整理できるとした。「学力試験のみの合否判定以外の要素は、時代背景や、社会の状況により変化した」とし、「不正」と「不適切」を明確に分けて考察する必要性も強調している。

「大学医学部入学試験制度に関する規範」における医学部入試の不正、不適正の例
「不正」:法令に違反した事例(贈収賄が絡むような事例、特定の人物が「枠」を使って金銭等のなにがしかの権益を得るような事例、学長や入試委員長等の特定の個人だけの判断で合否判定するような事例、合理的理由なく順番を飛ばして合否判定するような事例、合否判定以前に受験生および保護者に寄付金を依頼するような事例、など)。
「不適切」:「医療人確保」のためと考え、学内の承認を得ていても、社会的に「公平性」からかけ離れた事例、など。

 「3.各論」と「4.本提言のまとめ」では、(1)性差、(2)浪人年数(年齢)、(3)内部進学枠、同窓生子弟枠等、(4)その他の枠:推薦入試枠、学士編入枠、帰国子女枠等、(5)地域枠――に分けて、入試の適不適を整理している。

「大学医学部入学試験制度の規範」

(1)医学部入学試験においては、女性という属性を理由として合格基準に一律的に差異を設ける試験制度を施行してはなりません。試験制度としては不適切です。

(2)一般入学試験においては、入学者選抜に際して浪人年数(年齢)という属性を理由に一律的に判定基準に差異を設ける試験制度を施行してはなりません。試験制度としては不適切です。

(3)内部進学枠、同窓生子弟枠等などの選抜にあたっては、人数や選抜法などの選抜方法を入試要項に明記し、その内容が①「公平性」、②「医療人確保」に則り、内部進学枠や同窓生子弟枠等を行うに当たってのアドミッションポリシーが国民の容認が得られ、さらに、個人が金銭を含むなにがしかの利益を得ない制度を担保し、公正に行われることが必須です。さらに、特定の個人だけの判断で合否判定をすることは、いかに学内の承認があろうとも①「公平性」、②「医療人確保」の観点から国民に説明が困難ですので、不正あるいは不適切にあたります。

(4)その他の枠:推薦入試枠、学士編入枠、帰国子女枠等を採用するには、それぞれの評価方法をどの程度の比重で扱うのか等を具体的に示すことが求められている点を考慮し、入学試験要項に、試験内容を明確に記載することが必要です。さらに、特定の個人だけの判断で合否判定をすることは、いかに学内の承認があろうとも①「公平性」、②「医療人確保」の観点から国民に説明が困難ですので、不正あるいは不適切にあたります。

(5)地域枠については、学生の確実な確保のため一般枠とは別に公募しますが、その枠内での合否判定法は一般枠と同じ制度で運営されなければなりません。地域枠といえども性差で一律的に合否判定に差異をつけることは不適切となります。しかし、その他の要件に関しては、社会に説明できる範囲内で、入学試験要項に明確に記載すれば施行できます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/638236
シリーズ 医師・看護師に聞く「タスク・シフティング」
PAも外科系で期待◆Vol.6
「医師の業務であり反対」の意見も

医師調査 2018年11月17日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

Q: 医師の指示のもとで手術の助手など一定の医療行為を行う「フィジシャン・アシスタント(PA)」を新たな国家資格として検討することを求める意見も出てきています。 国家資格職としての創設について、どのようにお考えでしょうか?
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 医師全体では「創設するべき」が38.8%なのに対し、外科系に限ると57.7%と高い割合。看護師は31.2%で医師全体よりも低く、ナース・プラクティショナー(NP)と同様の傾向が出た。

Q: PAの国家資格としての創設について、お考えをお書きください
【任意】
【賛成】
国家資格となれば、国民に広く受け入れられやすく、安心感も増すでしょう。医療スタッフからもそのような職種として受け入れてもらいやすくなるとともに、信頼されるのではないでしょうか。【61歳男性、外科、開業医】
手術時に医師が1人の場合もあり、よい考えと思う。【57歳男性、内科、開業医】
手術スタッフの確保が大変な中において需要はあるかもしれない。【42歳男性、内科、開業医】
看護師に一定の研修と資格試験を課してPAにするのが最も近道かと思う。【68歳男性、精神科、開業医】
特定の分野に特化して普通の看護師ではできない処置を行える資格を作るのは良いと思う。医師の手助けになる。【51歳女性、看護師、民間病院】
オペ室(の業務)は特殊業務であり、オペ業務のスペシャリスト化の一環として賛成。【39歳男性、看護師、民間病院】
【反対】
これは完全に医師の業務の範疇であり反対。【54歳男性、内科、開業医】
手術は完全に看護師の領域を超えている。経験や立場などの関係性から、医師と看護師の立場が逆転することが考えられる。【35歳女性、看護師、民間病院】
【なんとも言えない】
どの程度の行為まで許可するかで違ってくると思うので、今のところはなんとも言えない。【65歳男性、外科、開業医】
手術という、何が起こるか分からない状況で、緊急事態も起こった時は特に、PAはどこまでやっていいのか混乱しそう。医師としても、どこまで求めていいのか混乱しそう。 そして、何か患者に不利益が生じた場合、医師に責任を押し付けられ、押し付けられたのでは無くても、訴訟になった場合、一般的に見て、看護師の技量不足などで看護師が訴えられそうで、不安で仕方ない。【37歳女性、看護師、公立病院】
【条件次第】
もし創設するなら手術看護師経験10年以上とかにした方がいい。【39歳女性、看護師、民間病院】
オペ室ナースは既にPA同様の業務を行っています。NP同様、働きながら資格を取得しやすい仕組みを考える必要があると思います。【45歳男性、看護師、公的病院】
【看護師が足りない】
看護師が不足していると言われている中で、現実感のない資格を増やすことに意味を感じない。【46歳女性、看護師、大学病院】



https://www.m3.com/news/iryoishin/641895
医師の地域偏在解消、「救急医の養成強化が急務」
大友・医科歯科大教授、自治体病院でも「救急医3.5人以上で常勤医増」

レポート 2018年11月15日 (木)配信大西裕康(m3.com編集部)

 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科救急災害医学分野教授の大友康裕氏(同大学医学部附属病院副病院長・救命救急センター長)は11月15日、同大学が開いた記者懇談会で講演し、医師の地域偏在を解消する有効策として、救急科専門医の養成強化が急務と改めて訴えた。日本救急医学会が2016年に実施した調査の結果として、救急医が3.5人以上いる病院では常勤医が増加する傾向にある状況などを示しながら、救急科専門医が救急当直を担う体制があれば他の診療科医師の負担軽減につながり、特に医師不足が顕著な地方の自治体病院でも常勤医が増えると強調した(日本救急医学会の2016年調査結果などは、『「医師に選ばれる」病院に「救急医の充実」』を参照)。

 大友氏は、医師の地域偏在解消のために取り組んだ医学部の定員増などのさまざまな施策で良い結果は出ていないと指摘。「医師不足が顕著なのは地方の中核市ではない地域に位置する自治体病院であり、公的な病院は救急診療をしなければならず、それが大変な負担になっている。一方、救急の体制がしっかりしているところでは、他の診療科医師数も増えている」と述べ、救急科専門医の増加を柱に据えるべきと訴えた。救急科専門医の具体的な意義については、以下の3点を挙げた。

1.救急医療の質を保証する
2.各種専門診療科の業務効率化が図れる
3.良質な救急初期診療研修の提供


 救急医療の質保証に関しては、「救急蘇生治療に習熟」、「各種の救急初期診療の標準化」、「診断ミスにつながりやすい救急診療上のピットフォールに精通」、「救急診療中に実施する各種処置・治療のトラブルを回避する手技と合併症発生時の対処法について習熟」の4つを利点として列挙。その上で、「広い診療範囲をカバーし、地域の救急医療を支える救急科専門医を多く養成することが、医師の地域偏在の有効な対策である」と述べ、医師偏在対策などを検討している厚労省の「医師需給分科会」でも議題として取り上げるべきとの考えをにじませた。

11月1日に「災害テロ対策室」を設置
 大友氏は講演で、同大学が11月1日に国立大学として初めて「災害テロ対策室」を設置したことも報告。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに備える一環として、自然災害のみならずテロや犯罪を含む多数傷病者の発生に対応する。JR東日本などとも連携しているという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/641103
シリーズ 地域医療構想
「在宅医療充実に向けた都道府県の役割」、厚労省通知へ
厚労省WGが取りまとめ、かかりつけ医の記載求める声も

レポート 2018年11月12日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(座長:田中滋・埼玉県立大学理事長)の11月12日の第7回会議で、在宅医療の充実に向けて「都道府県が取り組むべき事項」を盛り込んだ、「議論の整理(案)」を提示、文言修正の上、座長一任で了承された。同省は年内もしくは年明けに都道府県に対し、通知する予定(資料は、厚労省のホームページ)。

 「都道府県が取り組むべき事項」は、下記の囲みの通り。全日本病院協会副会長の織田正道氏からは、在宅医療を進める上で、かかりつけ医が重要であるとし、その役割等の追記を求める意見が上がった。全国在宅療養支援診療所連絡会会長の新田國夫氏、日本医師会常任理事の松本吉郎氏も、織田氏の意見を支持、災害時の在宅医療対応やACP(アドバンス・ケア・プランニング)の取り組みのためにも、かかりつけ医が必要であるとした。

 金沢市保健局担当局長の越田理恵氏は、医療・介護の連携にはICTが必要になるが、市町村レベルでの整備は難しいとし、都道府県の役割として求められると提起。また「都道府県が取り組むべき事項」についての基本的考えとして、地域包括ケアシステムの構築は各地域一律ではなく、市町村がオーダーメイドで進めるべきで、都道府県はそれを支援する役割であると述べた。

 2018年度から開始した第7次医療計画では、地域医療構想において推計した将来必要となる訪問診療の需要に対応するための「訪問診療を実施している診療所・病院数に関する整備目標とその達成に向けた施策」のほか、「退院支援」「日常の療養支援」「急変時の対応」「看取り」という場面に応じた4つの医療機能を確保することが求められる。在宅医療の整備自体は、各市町村が進めるべき課題だが、それを支援する都道府県が取り組むべき事項を整理したのが今回の通知になる。12日に厚労省が提示した「議論の整理(案)」は、9月の本WGの議論を踏まえ修正した内容(『厚労省、「在宅医療の充実に向けた議論の整理」(案)を提示』を参照)。

 厚労省は通知発出後、通知内容の実施状況などをフォローアップしていくほか、2020年度の第7次医療計画の中間見直しに向けた整理、災害時の対策――について議論を続ける予定だ。

「都道府県が取り組むべき事項」
(1)第7次医療計画の改善(「訪問診療を実施する診療所・病院数に関する数値目標」を設定していない8府県については、第7次医療計画の中間見直しの際にその目標を設定、「在宅医療の整備目標及び介護のサービス量の見込み」を設定していない4府県については、中間見直しの際に按分の上、医療計画と介護保険事業(支援)計画に反映、など)
(2)都道府県全体の体制整備(本庁の医療政策部局と介護保険部局の連携の推進、年間スケジュールの策定、在宅医療の充実に向けた市町村支援)
(3)在宅医療の取組状況の見える化・データ分析(KDBシステムのデータ活用、医療機関や訪問看護ステーションへの個別調査、市町村や関係団体当との情報共有体制の整備)
(4)在宅医療に関する各種ルールの整備(入退院支援ルールの策定支援、後方支援病院等との連携ルールの策定、急変時の患者情報ルールの策定、運用)
(5)在宅医療に関する人材の確保・育成(医療従事者への普及・啓発事業やスキルアップ研修の支援、多職種連携に関する会議や研修の支援)
(6)住民の普及・啓発(人生の最終段階における医療・ケアについての意思決定支援に関する普及・啓発、在宅医療や介護に関する地域住民への普及・啓発)



  1. 2018/11/18(日) 13:11:03|
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11月11日 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3757802009112018MY7000/
医師の不足と過剰 桐野高明著 データ踏まえ論争に答え
2018/11/10付日本経済新聞 朝刊

日本の人口当たり医師数は先進国では少ない方とされてきた。実際、地方によって医師不足は深刻だ。一方、人口が減っていくのだから、そのうち医師は余るとの説もある。

必要以上に医師が存在すると、医療費が無駄に費やされ、国家財政に悪影響を与えるという人がいる。逆に医師は多いほど医療現場に余裕が生まれたり、競争原理が働いたりして医療の質は上がるという人もいる。一体何が正しいのだろうか。

本書は正確なデータや医師養成の仕組み、歴史などを踏まえてこのような論争に答えを出そうというものだ。著者はどちらかといえば、野放図に医師を養成するのではなく、養成数には一定の管理が必要との立場。それは法曹人口を増やそうとして設置された法科大学院の失敗や、増えすぎて経営が成り立たない歯科診療所の増加などを見ればわかるという。

とはいえ医学部の定員を一気に減らすなどの急激な変革を訴えたりはしていない。様々な要素を考慮し、慎重かつ早めに対応していくことが肝心との穏やかな主張だ。

不安定な時代に医師は手堅い職業だと、成績優秀な学生がこぞって医学部を目指す傾向が強まっている。本当にそれでいいのだろうか。若い人にもぜひ読んでもらいたい。(東京大学出版会・2900円)



https://www.yomiuri.co.jp/national/20181103-OYT1T50042.html
残業上限が月200時間、市立病院に是正勧告
2018年11月05日 08時10分 読売新聞 福井

 福井県敦賀市の市立敦賀病院が、時間外労働の上限について、労働基準法の規定の4倍を超える「月200時間」とする労使協定(36協定)を、労働組合と結んでいたとして、昨年8月に敦賀労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。

 労基法は、時間外労働の上限を月45時間、年360時間と定めている。病院によると、昨年度の労使協定は医師について月200時間、年1600時間とし、繁忙期は月250時間とする特別条項も設けていた。

 昨年度に協定の上限を超える時間外労働はなかったが、常勤医師43人中20人が「過労死ライン」とされる月80時間を超え、最長は産婦人科医の174時間だった。勧告を受けた後の今年度についても、月197時間、年1600時間を上限とする労使協定を結んでいる。

 市立敦賀病院総務企画課は「慢性的な医師不足が要因。今後、協定を見直すとともに、医師の業務負担が軽減できるような体制作りを進めていく」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/639235
シリーズ m3.com意識調査
臓器別講座の弊害「専門外を診られない」「一臓器で臨床は成立せず」
ナンバー制、臓器別それぞれの弊害を調査◆Vol.3

レポート 2018年11月10日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

Q 臓器別講座の弊害を実感したことがある場合、具体的にどのような出来事でしたでしょうか。
調査結果はこちら⇒臓器別講座の弊害、年齢上がるごとに実感

・臓器別で対象疾患がストライクゾーンである場合は問題ないが、そうではなく、疾患臓器が多岐にわたる場合など、すんなり引き受けてくれない。どこが中心で見るかあやふや、どこの科も中心で診たくない。今までいた病院が悪かったのかもしれませんが、勤務医は押し付け合いばかりでした。ある程度、臨床に対しての向上心がなければ仕事が少なくても多くても給料など見返りは一緒ですからね。楽するか、自分の経歴にかかわる研究に時間を割くかですよ。【内科その他】

・医局員が少なく、自分が依頼した患者の術後の管理体制の不十分さを家族からよく不満や苦情をもらった。【内科その他】

・入院患者は、多種の病気を持っているから、専門外のことは、素人並みになってしまっている。【内科その他】

・専門外として患者の訴えを無視する医師がいる。【内科その他】

・臓器別に薬が出て結果的にポリファーマシーになる【内科その他】

・特に内科で、少しでも自分の専門を外れると全く診れないダメ医師が増えたこと。【内科その他】

・臓器別になったので、同門会がおかしくなった。【内科その他】

・重複疾患の場合、患者の押し付け合いや取り合いが発生する。【内科その他】

・内科は全身を診る分野なので、質問自体が不謹慎です。【内科その他】

・メインの教授の臓器には研究費が潤沢で、その他の臓器には研究費が回されない状況がある。【内科その他】

・初期研修医にとっては、症例が偏りすぎるように思った。【内科その他】

・相談したいときにいちいち対診を出さないといけない。【内科その他】

・全身の状態把握がおろそかになる。【内科その他】

・手術に関連する臓器のグループを、それぞれ招集しないといけない。【内科その他】

・ナンバー講座からいきなり臓器別講座にしたって、以前のナンバー講座が臓器別になっていなくて、一部の臓器が重複していたのでかえって大混乱。ナンバー講座を全て完全に解体してから臓器別にして再構築しないと弊害ばかりとなってしまう。けど、今の日本でそんなこと本当にできるのか?【内科その他】

・専門科のエクスパートを自認するかのような若手医師が増えてきており、かつ以前のナンバー内科、外科のイズムが教えられないので、人として患者を診る力に深みがない印象を持っている。【内科その他】

・その臓器担当講座の実力に問題があった場合に、他に紹介する選択肢がない.【外科系】

・田舎に行けば行くほど、一般外科が大事になるが、専門医は応用が効かない。【外科系】

・風邪薬も出せない専門医や指導医集団に、あっけにとられて、コンサルトすることすら忘れてしまつた。【外科系】

・中規模病院で麻酔科をしていて、術前検査で肝機能障害が見付かった患者さんを消化器科の一番適切そうな先生に相談したが、「僕は膵臓が専門なんだよね」と言われてしまった。内科学会認定医ってなんのためにあるの?と思いました。【外科系】

・やってみたい臓器の治療にかかわることができなかった。【外科系】

・各臓器班しばりの方が多く、その臓器の手術ができても、執刀することができない。【外科系】

・特定臓器以外を診療しない医師が居る。【外科系】

・それぞれの専門科が自科の治療法に固執するあまり、患者全体の治療方針を考えないことが多い。キャンサーボードを利用しないと、患者の治療方針を決められず対応が遅い。【外科系】

・人数が少なくなって手術件数が減った。ナンバー制で動いていたら消化器外科専門でも呼吸器の手術を手伝いに行けたが、臓器別になると手伝いに行きにくいです。【外科系】

・整形外科領域で、頚椎と腰と膝で担当医が別れていた患者が、病院に住んでいるみたいだと嘆いていた。確かに、毎週のように病院に来て、何時間も待たされてみるのは1カ所と言うのがかわいそうに感じていた。【―】

・仲が悪いので、疾患によって腕の良い方に任せるということができない。【小児科系】

・大学では学問の場ということもあり、専門化はあってもいいと思います。【小児科系】

・多臓器にまたがる疾患や病態の場合、「うちの科ではない」と断られまくる。他院からお願いしている身ではあるが、それはこちらに言わずうちわでやってくださいよ、といつも思う。【循環器科系】

・特に外科は総合的な臓器の知識、扱い方が重要な科と考える。複数の臓器が扱えるのは、専門の臓器を扱う上でもプラスになるはず。医者が不足している地域では特に問題となるだろう。【消化器科系】

・一般に一臓器で臨床は成立しない。【消化器科系】

・外科専門医のくせに、一つの臓器しか診れない(卓越した専門医と勘違いしている)医師が多い。【消化器科系】

・一人の患者の手術で多臓器を手術するとき、一つの講座だけで完結できない。【消化器科系】

・臓器別は確かに必要だが、他の科目の疾患の知識がない医者がたくさんいるので、見逃されている疾患だらけになっている。【消化器科系】

・外科医が救急患者を率先して診て当然という気運が失われた。【消化器科系】

・臨床で、うちの科ではないという若手がでてきてしまったこと。【消化器科系】

・最寄りの大学の呼吸器内科から紹介されてくる患者の糖尿病コントロールは、大概無茶苦茶。内分泌科に御老人を紹介すると、1週間後には全員誤嚥性肺炎。神経内科は首から下の病気には恐ろしく無頓着だし、循環器内科は認知症と慢性硬膜下血腫の区別が付かず、脳の画像も撮らずに抗認知症薬だけで放置している。その後始末をやらされるのが老人病院というのは、何か間違っていないか。【脳神経系】

・コンサルトするときに、その専門とする臓器しか診てくれないため、その患者全体を診る科が必要だなってずっと思っていました。最近流行の総合内科ってヤツですね。患者さんの疾患が複数臓器にまたがる疾患だった場合、何個も何個も併進する必要があり、またそういう疾患には臓器別の先生方は不慣れでした。【脳神経系】

・境界領域の疾患をどこも診てくれない。自分の領域なのに診てくれないと、合併する他疾患を診療している科が診療せざるを得ない(肺炎になっても呼吸器内科が診てくれないため、神経疾患を診ている脳神経内科の病棟に入院させざるを得ない、など)。【脳神経系】

・紹介する科をこちらがある程度絞らなければならない。【脳神経系】

・呼吸器内科を受診して、血圧が高かったら循環器内科に紹介され、そこでまた1〜2時間待たされる。【脳神経系】

・いくつかの疾患を抱えた患者のマネージメントが専門家がいないためできない。コンサルテーションで病院中を回らなければならず、馴れない病棟では苦労する。学会の時に病棟に誰もいなくなる。【糖尿病】

・臓器別講座の弊害は、臓器の特異的な所見や検査所見がないと診断できないところにある。腎障害や肝障害、神経障害、喘息など多彩な症状を呈する疾患が、例えば血管炎などと診断できるのは膠原病やリウマチ、血液、神経内科を専門にする先生だったりすることはよくあります。【糖尿病】

・腹部大動脈瘤の経過観察のため、血管外科で胸腹部造影CT。血管の3D画像も作って、著変なしと診断されました。でも直後の単純CTで、肝臓内に多発性の転移癌所見が明らかに。専門分野のことだけを判断すればいいって、うらやましいなと思いました。【精神科系】

・頭頸部、食道、胃の同時重複癌でどの科が主治医になるかでもめた。【耳鼻咽喉科】

【調査の概要】
調査期間: 2018年10月22日 (月)~28日 (日)
対象:m3.com会員
回答者数:1763人 (開業医 : 350人 / 勤務医 : 1199人 / 歯科医師 : 6人 / 看護師 : 32人 / 薬剤師 : 153人 / その他の医療従事者 : 23人)
回答結果画面:ナンバー講座、弊害を感じたことある?



https://webronza.asahi.com/science/articles/2018103100010.html
医学部受験で女子が差別される問題の本質的な背景
男子よりも強い「医師志向」と、彼女たち自身の性役割意識をめぐって

小島寛之 帝京大学経済学部教授
2018年11月05日 Web RONZA

 東京医科大学による入試不正は、受験生と保護者に大きな衝撃を与えた。女子受験生と多浪受験生は一律減点の、また、卒業生の子弟には加点のハンディキャップを課す得点操作だ。その後、文部科学省の調査によって、少なくない私大医学部が同じような得点操作をしていることが判明しており、今、社会問題として大きな拡がりを見せている。

 とりわけ、女子受験生に対する減点の理由は、単なる大学経営上の都合ではなく、いわば社会構造に立脚するものであり、深刻である。その理由とは、女性が医師になった際、専門科が偏ったり、結婚・出産・子育てで長期的に医師業務を離脱したりする、ということだ。私大は附属病院の医師に不足が生じることから、女子の入学を制限したいのである。しかし筆者は、この問題に関して、これとは別の二つの視点を持っている。
優秀な女子受験生は、東大より医学部を志向する傾向があり、
そういう医学部を志向する女子は、性役割意識が強い。
 という視点だ。ここに、問題の本質を見ているのである。

優秀な女子高生は東大より医学部を目指す

 今回の医学部の女子受験者に対する一律減点は、二重の意味でひどい仕打ちである。なぜなら、男子よりも医学部志向の強く、医師になることへの固い決意と情熱を持っている女子に対し、得点でハンデを負わせているからだ。優秀な女子は東大よりも医学部を志望する傾向がある。

 筆者が昔、塾の講師をしていた頃、女子を鍛えても塾の実績にならない、というぼやきをよく耳にした。優秀な女子は医学部を受験する傾向が強いからだ。塾の実績では東大合格者数がものを言う。だから、東大合格者を増やしたい塾側としては、女子の医学部受験を不満に思っていたのである。

 この実感は本当なのか、良い機会なのでデータで検証してみた。東大合格者がたくさん輩出する有名男子高校と有名女子高校で、東大合格者数と国公立医学部合格者数の比率をとってみたのである。表は、東大合格者と国公立医学部合格者の両方の上位校から、男子校と女子校を抜き出し、それぞれについて、

  国公立医学部合格者数 ÷ (国公立医学部合格者数 + 東大合格者数)

 を計算したものだ。
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高校別での医学部志向の傾向。「週刊朝日」のデータから筆者が作成

 表において、数字が大きいほど、「東大より医学部を志向」という傾向の高校であることを意味する。統計の取り方において、合格者の重複や進学先の数字ではないなど問題点は多いが、おおよその検証ぐらいには使えるだろう。

 医学部率が異様に高い男子校の灘やラサール、医学部率が非常に低い女子校の女子学院のように例外はあるが、おおよそ、「男子有名校に比べて、女子有名校のほうが医学部志向が高い」ということがわかる。塾の先生方の実感はそこそこ正しかったと思われる。

女子の医学部志向の理由

 それでは、優秀な女子が東大より医学部を目指す理由はなんだろうか。筆者の推測ではジェンダーの問題が大きく関わっていると思われる。 ・・・ログインして読む
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https://www.47news.jp/national/2924232.html
第1部「ポスト平成の病院改革」(5) 県境またぐ病院移転で紛糾 住民vs医師会、利害衝突 
2018.11.5 15:35 共同通信

 2025年に向け国が進める医療提供体制の再編は、自分が住む地域の病院がなくなることも、時に意味する。佐賀県と長崎県では公的病院の移転を巡り、県境をまたいで住民や医師会の利害が激しくぶつかった。

 「松浦中央病院の開設は、地域包括ケアシステムの構築を進める大きな一歩と捉えています」

 18年3月2日、長崎県松浦市議会。施政方針演説に立った市長の友田吉泰(54)は、20年にオープン予定の新病院について意義を強調した。

 松浦中央病院は、隣の佐賀県伊万里市にある「伊万里松浦病院」が移転して開設される。運営主体は、旧社会保険病院を引き継いだ独立行政法人「地域医療機能推進機構」。建物が老朽化し、伊万里市内の別地区での建て替えを考えたが、近くに別の公立病院があり、病床が過剰になるとして地元医師会が反対した。

 一方、松浦市内には救急病院がなく、救急患者の約7割が市外に搬送されていたため、住民が熱烈な誘致活動を展開。17年9月に開いた「決起大会」は参加者が会場のホールからあふれ、自治会連合会会長の向井勝正(75)が「市民はいつも不安を抱え、安心した生活を送れない」と訴えた。

 ところが、市の医師会からは反発の声が上がった。新病院が救急・重症患者向けのベッドだけでなく、リハビリ向けの回復期病床も設ける計画であることが分かり、民間病院が患者を奪われると懸念したためだ。病院経営者らが集まって地域の医療提供体制を調整する会議は紛糾した。

 会議での承認を2回持ち越した末に、新病院が回復期の病床数を減らすことでようやく決着。向井は「思いが届いてよかった」と喜ぶが、収まらないのが伊万里市側だ。病院の周辺住民は「地域が廃れる」と心配する。

 こうした利害の衝突は今後、各地で起きる可能性がある。25年に向け病院ベッドを再編する各都道府県の「地域医療構想」実現へ議論が本格化するからだ。慢性疾患を抱える高齢者が増えるのに合わせて病院ごとの役割分担を見直さないと、医療費に無駄が生じる。厚生労働省は全国341の「構想区域」で18年度内に具体的な病院名を挙げた議論に入るよう、都道府県の尻をたたく。

 ただ、多くの知事が地元医師会から選挙の支援を受けているため、担当職員は下手に動けず腰が引けがち。思うように進まない地域も多い。厚労省OBの一人は「医療政策を担える都道府県職員の育成が必要だ。知事の姿勢も問われる」と指摘する。(敬称略、年齢は取材時点)



https://www.47news.jp/national/2924225.html
第1部「ポスト平成の病院改革」(4) 消耗戦を脱却、共存の道探る 原点に県立・市立病院の再編統合
2018.11.5 15:34 千葉響子  47 News/共同通信

 「国の政策に振り回されず、地域の実情に応じた医療や介護の提供体制を主体的につくれないか」。2018年4月1日、山形県酒田市の栗谷義樹(71)ら地元の医師たちが主導して「日本海ヘルスケアネット」が産声を上げた。

 同市内の9法人が参加。重症患者対応の急性期を担う「日本海総合病院」を核に地元医師会、介護事業者も名を連ねる。

 人口減と高齢化が進む地域では、病院単体で運営していては効率化が望めず収益を上げにくい。酒田市を含む庄内地域の人口は約27万人だが、25年には15年比で3万人も減り、高齢化率は40%に近づくという。

 「この状況で何もしないって120パーセントあり得ない」。ネット設立に奔走した栗谷が言う。日本海総合病院を運営する地方独立行政法人の理事長だ。

 日本海ネットは「地域医療連携推進法人」という枠組みで、17年度にできた新制度に基づく。合併するわけではないが、病院間での入院用ベッドの機能分担や、医師や看護師の人事交流も可能になる。医療機関同士の連携がスムーズになり、地域住民にとっては急性期から回復期、慢性期と、症状に応じて受診しやすくなる利点がある。

 ただ、18年度に入っても連携推進法人の設立は全国で1桁にとどまる。「大病院の独り勝ちになるのでは」と疑心もうずまき、関係者の調整が難航しがちなためだ。

 日本海ネットには前史がある。「原点は県立病院と市立病院の統合再編だ」と、かつて酒田地区医師会で会長を務めた本間清和(70)。

 「このままでは病院は破綻し、自治体財政に深刻な影響が出ます」。本間は13年前、当時の県知事と面会し、市内の公立2病院を統合するよう直訴した。半径2キロ内に両病院が併存。重複する診療科も多く、県立病院の経営は赤字続きだった。

 08年に2病院の統合再編が実現、現在の日本海総合病院が誕生。急性期機能を集約してベッドを減らし、経営は改善した。だが周辺の他の病院では、医師の高齢化もあり「宿直回数が多く体力的に厳しい」といった声が上がる。人材を確保して地域医療を守るには病院間の連携が不可欠。収益を競う“消耗戦”から脱却し、共存の道を探ろうと栗谷らは説き続け、ネット設立にこぎ着けた。

 栗谷は「病院の『突然死』を防いだだけで、これは時間稼ぎ。うちの病院も何年持つか。期間限定のビジネスモデルだ」と話し、さらに先を見る。過疎化が進んで医療需要が縮めば、次の一手が必要になる。どこの地方も直面する課題だ。(敬称略、年齢は取材時点)



https://www.m3.com/news/iryoishin/639891
シリーズ m3.com意識調査
医師として「3浪以上は不利」「差はない」3割拮抗
多浪で「苦労の味知る」、格差「やむを得ない」

レポート 2018年11月10日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 東京医科大学の前理事長と前学長の贈賄疑惑から始まった医学部不適切入試問題では、同大が三浪以上、昭和大学が二浪以上の受験生に不利な扱いをしたことが明らかになっている。文部科学省の緊急調査でも、「不適切な可能性の高い事案」として現役生に加点して浪人生には加点しないなど、属性によって取り扱いに差異を設けていると見られる例があることが指摘された。

 浪人年数により医学生として、または医師として不利があるかどうかをm3.com医師会員に聞いたところ、全体で「差はない」が32.0%、「三浪以上は不利」が32.2%と拮抗する結果が出た。自由回答では、多浪や社会人を経ることにより、さまざまな経験を積めることのメリットを指摘する意見がある一方、入学後の成績などで差が出るとしてやむを得ないとする意見も多数寄せられた。

Q1:浪人年数により、入試の合否ではなく医学生として、あるいは医師として不利があると思いますか?

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Q2: 入試で浪人年数によって扱いに差異を設けることについて、ご意見をお書きください。
【チコちゃんに怒られる】

多浪であれば、医師になりたいという意思が極めて強いとも考えられる。医療の世界も先進医療、緩和ケア、老人医療、地域医療と多様性が求められるわけで、いろんな人材がなければ問題解決が困難なこともある。さらに、国民が70歳まで働かなければならなくなった日本で、20代そこそこで、多浪だとかいって将来を限定されることはおかしい。「ぼーっと生きてんじゃネーヨ!」とチコちゃんに怒られますよ。【56歳女性、勤務医】
【賛成】
受験勉強に費やせる時間が年単位で違うのだから、浪人生の傾斜配点は当然だと思う。3年間で実績を出せる人の方が、4年間で実績を出した人より優秀と判断するのは、そんなにおかしなことか?【38歳男性、勤務医】
私学であれば学校の判断として、入試合格ラインまで学力を付けるのに1年でできる人と3年かかる人では、入学後の学業も同様に時間がかかる可能性が高いと判断して差をつける、というのはあっても良いと思います。【42歳男性、勤務医】
あってよい。三浪以上の学生は、留年、退学率が二浪以下よりも高いから。【53歳女性、勤務医】
【反対】
不当だ。普通に公平に勝負させて選抜すべきだ。同じ理由でほぼ現役以外認めない推薦枠や地域枠も撤廃すべきだ。入試の公平性は絶対に必要だ。【58歳男性、勤務医】
浪人年数での差異を付けることは、人生経験のある、医師としての資質を秘めた人の排除となり反対です。【64歳男性、勤務医】
多浪で頑張った結果が良ければ、それに報いてあげるのが筋だと思う。 【54歳男性、勤務医】
厳密に試験のみで選抜してほしい。自身、一浪して入学しました(地方帝大)。現役生の方が優秀という気持ちも分かるが、”浪人して入学した人”の方に”苦労しただけあるな”と感じる人が多かった。【59歳男性、勤務医】
【問題なし】
受験案内に記載さえしていれば問題ない。【40歳男性、勤務医】
学校の方針だから仕方ない。マスコミや無関係の人が騒ぐことではない。【42歳男性、勤務医】
【多浪にこそ味がある】
同級生に、多浪も学卒者も、当たり前のようにいました。学内では、寧ろむしろ色々な経験者として、尊敬される方も多かった気がします。純粋に学力で、選考で、と考えていました。【60歳男性、勤務医】
本当に医師になりたい人が、苦労の味を知って選んでいるのだから、医師として科学者としても、良いことが多い。【72歳女性、勤務医】
【やむを得ない】
多浪であるほど留年率が高いというのは実感としてあります。記憶力が問われる教科が多いので、浪人を重ねるほど不利でしょう。ですから多浪を差別するのはありだと思います。大学側も留年率や国試合格率などの客観的データを示して条件を公開して傾斜配点を行えば良いのではないでしょうか。ただし、学士入学や社会人を経て入学された方はみなさんモチベーションが高く、優秀な成績で進級されていたので、そこは差を儲けなくてもよいかも知れません。【49歳男性、勤務医】
 入学にある程度の年齢制限は必要ではないでしょうか。以前歯医者として勤務後に医師を目指して医学部に入学し医師になった研修医がいましたが、医師になった時点で40歳を超えていました。体力的にも辛そうで医師になってからの勉強についていけなくて。研修医外科医局やめて、当直がない科に行きました。医師になってからも医師は勉強が必要ですので困難ではないでしょうか。あくまで私見ですが。【48歳男性、勤務医】
過去の留年率や国家試験の合格率から見て行われているところもあるので、容認されると思う。国師の合格率の順位付けを行い大学のランキングみたいになっていることがおかしいと思う。【61歳男性、勤務医】
三浪以上は入学後について行けないことが多いので、制限もやむを得ない。【68歳男性、勤務医】
浪人は、1年中真剣に受験勉強しているはず。それでも合格に2年以上かかるなら、その後の医者としての勉強について来られるか疑問です。【56歳男性、勤務医】
入学後も全員が順調に卒業にこぎつけるわけではなく、留年問題もある。卒業時年齢があまり高いのは研修医として少々問題がある!【72歳男性、勤務医】
三浪ぐらいは良いが、医者は体力勝負のところもあるので医者になった後体力的にもきついと思うし、生産性を考えるなら大学側としたら長く働ける人を医師にしたいとお思うことは当たり前のことと思います。【41歳男性、勤務医】
個々の事情はあるかかも知れませんが、何回トライしても合格できない場合は本人のためにも別の進路を目指した方が良い。【60歳男性、勤務医】
入学時の年齢にもよるのでは?ハードな研修医や専門医、当直業務などきついのではないでしょうか?【57歳女性、勤務医】
人間性には問題はないと思う。しかし、実際は、結局なかなか卒業できなかったり、国試浪人を繰り返したりしている人を知っているので、多浪してまで「医師になることが、自分の人生にとって良いことなのかどうか?」を考えた上でなら、構わないと思う。【63歳男性、開業医】
医学部は大学として学術としての場であるだけでなく、医師養成の場でもある(むしろ学部はそちらがメイン)。医師としての寿命が浪人年数分だけ短くなることを考えると、差異を設けてよいと思う。【35歳男性、勤務医】
浪人して現役とそれほど差が付かない人間であれば、合格させるメリットは少ない。伸び代の期待できる現役生(浪人すれば来年受かるような)を早々と採用して、医師養成の場に持ち込む方が、メリットがありそう。【35歳男性、勤務医】
【5浪以上なら】
五浪以上は、医者になったとしてもその後が不安なので、差を付けてもいいと思う。【33歳女性、勤務医】
【高齢の受験は無理では】
通常は浪人年数で差を設けるのは反対。ただし、60歳の浪人生の受験については医学部では…やはり無理があると思う。【61歳男性、勤務医】



https://www.medwatch.jp/?p=23391
医師の健康確保、「労働時間」よりも「6時間以上の睡眠時間」が重要―医師働き方改革検討会
2018年11月12日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の健康を確保するためには、「労働時間の短縮」よりも「睡眠時間の確保」が重要である。このため、「連続勤務時間制限」と「インターバル規制」をセットで実施することが重要である―。

 11月9日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)で、順天堂大学医学部公衆衛生学講座の谷川武教授からこういった報告が行われました。医師の働き方改革に向けて、極めて重要な報告と言えます。
 
ここがポイント!
1 睡眠時間確保に向け、連続勤務の制限や勤務間インターバル、振替休暇などをセットで整備せよ
2 医療提供体制の確保も考えれば「タスク・シフティング」が不可欠
3 育児休業を取得できない最大の理由は、育児休業制度の「未整備」

睡眠時間確保に向け、連続勤務の制限や勤務間インターバル、振替休暇などをセットで整備せよ

 安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の一環として、勤務医も「罰則付き時間外労働規制」の対象となります。ただし、医師には応召義務が課されるなどの特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

検討会では、単に労働時間を規制するのみでなく、勤務環境の改善などさまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討することが重要と考え、来年(2019年)3月の報告書取りまとめに向けて、次の3分野を併行的かつ統合的に議論していくこととしています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

(1)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)
(2)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)
(3)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)

 11月9日の検討会では、(1)のうち「医療従事者の勤務環境改善」に焦点を合わせ、我が国の睡眠医学の第一人者である谷川教授から「エビデンスに基づく医師の健康確保措置」について発表が行われました。

 
 谷川教授は、▼外国の研究結果▼厚労省のタイムスタディ調査結果の解析―をもとに、医師の健康確保にあたっては、労働時間の短縮よりも「睡眠時間の確保」(6時間以上)が重要と訴えました。例えば、厚労省のタイムスタディ調査を解析したところ、「高ストレス・抑うつ」の割合は、就労時間が「60時間以上」と「60時間未満」との間で、また「80時間以上」と「80時間未満」との間で有意な差は見られませんが、睡眠時間については「6時間以上」に比べて「6時間未満」では有意に増加するのです。この結果からは、「医師のストレスや抑うつには、労働時間の長短は関係ない」「睡眠時間が6時間未満になると、ストレスが高く、抑うつ状態になりやすい」ことが分かります。
 
 また、夜勤等で「短時間の仮眠→救急対応などの業務→短時間の仮眠」等を繰り返すケースでは、合計の睡眠時間こそ確保していても、睡眠時無呼吸症候群と同じように「質の良い睡眠」は確保されません。

さらに、慢性的な睡眠不足となると、「主観的な眠気は感じないものの、客観的な覚醒度は低下する」という研究結果も報告されました。
 
 ところで、長時間労働の中には、▼「やりがいを持っている」ケース(ワークエンゲイジメント)▼「強迫的に働いている」ケース(ワーカホリック)—とが混在していると谷川教授は指摘します。労働者自身では、両者の峻別が困難なこともあり、例えば産業医が面談するなどして両者を峻別し、後者のワーカホリックでは「業務停止を促し、リカバリーする」ことなども重要となってくるでしょう。
 
こうした点を総合し、谷川教授は、医師の健康を確保するために、▼「連続勤務時間の上限」と「勤務間インターバルの確保」(例えば米国では8時間のインターバルが必須で、10時間以上が望ましいとされている)をセットで実施する▼振替休暇などの仕組みを導入する▼医師が面談などを行い、客観的に「睡眠不足である」旨などを示すとともに、必要があれば就業制限などを提案する―という施策を組み合わせて実施することが重要と提案しています。

 検討会委員からは、谷川教授の発表に対し「感銘を受けた」「自身の経験に照らして納得できる」との意見が数多く出されました。「時間外労働の上限規制」は、そもそも勤務医も含めた労働者の健康確保が目的です。この点、「労働時間の短縮では、健康は確保できない」ことが確認されたと言え、今後、「時間外労働の上限」(医師の特例)だけでなく、セットで実施すべき方策(連続勤務時間の上限やインターバルなど)も併せて検討していくことになるでしょう。

もっとも、救急医療を始めたとした「医療提供体制の確保」との両立も、極めて重要な視点です。ただちに「全勤務医に勤務間インターバルを●時間確保しなければならない」となった場合、現在の医療提供体制を維持するには「医師の増員」が不可欠です。しかし、慢性的な医師不足地域で、新たな医師を確保することは極めて困難です。そのためには、例えば「病院の統合・再編」によって医師1人当たり負担を軽減することなども重要な選択肢になってくることでしょう。今後の具体策検討論議が注目を集めます。

医療提供体制の確保も考えれば「タスク・シフティング」が不可欠


前述のとおり、「連続勤務時間の制限」などを実現した上で、医療提供体制を確保するためには、「医師の増員」が必要となってきますが、地方では慢性的な医師不足状態と指摘されています。このため検討会では「タスク・シフトティング」にも注目が集まっています。医師は、「医師免許保持者でなければ実施できない」業務に集中し、他職種でも可能な業務は、他職種に移管していく、というイメージです。

例えば長時間勤務の代表例ともされる外科医では、▼手術▼自己研鑽(症例検討など)—を他職種に移管することは困難なため、例えば「ICUや病棟での管理」「外来業務」「当直待機」などについて、どの部分を他職種に移管できるかを具体的に検討していく必要があります。
 
この点については、例えば「特定行為研修を修了した看護師」(一定の医行為を医師・歯科医師の包括的指示の下で実施可能)の活用などが、さらに重要になってきます。関連して委員からは▼業務の標準化(工藤豊構成員:保健医療福祉労働組合協議会事務局次長)▼医師の指示なく一定の医行為を実施できる「診療看護師」の検討・創設(山本修一構成員:千葉大学医学部附属病院院長、国立大学附属病院長会議常置委員長)属人性の高い業務は移管が極めて困難)▼各職種の業務内容の精査とタスク・シフティングの可能性の検討・検証(岡留健一郎構成員:福岡県済生会福岡総合病院名誉院長、日本病院会副会長)—などを求める声が出ています。

タスク・シフティングについては、すでに今年(2018年)2月に検討会が「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をまとめており、そこでは▼初療時の予診▼検査手順や入院の説明▼薬の説明や服薬指導▼静脈採血▼静脈注射▼静脈ラインの確保▼尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)▼診断書等の代行入力▼患者の移動―などの業務は、原則として他職種に移管し、医師が行うべきではない、との考えが明確にされています(関連記事はこちら)。
 
もっとも、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の調査(2018年5・6月に実施)では、こうした緊急的な取り組みの実施は、▼一般病院では26.8%が実施済で、33.7%が実施予定▼大学病院では30.3%が実施済で、55.7%が実施予定―などにとどまっており(関連記事はこちら)、さらに積極的な姿勢が期待されます。

厚労省では、「緊急的な取り組み」をさらに推進するとともに、▼「時間」を意識した医療機関運営▼タスク・シフティング、タスク・シェアリング(業務の共同化)、国民の医療のかかり方、医療機関の機能分化・連携▼医療提供の維持(縮小を招かないように)—などを更なる検討課題に掲げています。

育児休業を取得できない最大の理由は、育児休業制度の「未整備」

なお、関連して女性医師支援策として厚労省は、▼院内保育・病児保育などの整備▼育児休業を取得できる環境の整備▼出産や育児における休暇を取得できるよう、新専門医制度における「カリキュラム制」の整備(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)▼外来における「オンライン診療」の進展などを踏まえた、「入院におけるICT活用やチーム医療推進」などの検討▼男性の育児参加推進―などを今後の論点として掲げました。

この点、日本医師会の2015年調査では、女性医師が育児休業を取得しなかった最大の理由(35.5%)として「育児休業制度が整備されていない」という驚愕の結果が出ています。
 
1995年より全事業所で「育児休業」制度を整備することが義務付けられています。零細事業所等で未整備なところがあると聞きますが、病院においては、その社会的役割等にも鑑み、早急な整備が必要でしょう。



https://www.m3.com/news/general/640631
県立病院検討委:4病院運営、独立行政法人で 報告書 /埼玉
地域 2018年11月9日 (金) 毎日新聞社

 厳しい経営が続く県立4病院の運営について議論する「県立病院の在り方検討委員会」が8日、さいたま市内で開かれ、契約でコスト削減の工夫ができることなどから「地方独立行政法人化が望ましい」とする報告書をまとめた。独法化後も県が引き続き運営費負担金などを支出することも求めた。

 検討委は近く、県に報告書を提出。県は年度内に新しい運営形態の方向性を打ち出す。

 対象は、循環器・呼吸器病センター▽がんセンター▽小児医療センター▽精神医療センター。4病院をまとめた病院事業会計が5期連続で赤字に陥っていることなどから、6月から検討を進めていた。【内田幸一】



https://www.m3.com/news/general/640092
むつ病院が弘大医師の車両送迎実証運行

地域 2018年11月7日 (水)配信東奥日報

 青森県むつ市のむつ総合病院は1日から、診療応援で派遣される弘前大学医学部付属病院(弘前市)の医師を車で送迎する実証運行を始め、6日、報道陣に運行を公開した。医師の移動負担を軽減し、医療態勢の充実を図るのが狙い。1カ月間の運行で効果や課題を検証した後、2019年度の本格運用を目指す。



https://www.m3.com/news/general/639855
甲府市立病院 18年連続赤字
地域 2018年11月6日 (火) 山梨日日新聞

 市立甲府病院がまとめた2017年度決算は、収入88億7324万円に対し支出が94億3807万円で、純損失額は16年度の約2・4倍の5億6484万円だった。入院、外来ともに患者数は増えたものの、薬品費の増額や医療情報システム入れ替えに伴う出費が影響した。単年度赤字は18年連続で、累積赤字は120億円を突破した。

 病院事務局によると、収入は16年度に比べて3806万円(0・4%)増えた。入院患者や紹介患者、手術件数が増加し、主な収入に当たる医業収益は5152万円(0・6%)多い79億9886万円だった。病床利用率は75・1%で、0・4ポイント上昇した。

 一方、支出は16年度比で3億7175万円(4・1%)増加。電子カルテや医事会計などの医療情報システムを入れ替えたことによる費用がかさんだほか、人事院勧告や職員数の増加に伴う給与費の増額なども影響した。純損失額は前年度より3億3369万円(144・4%)増え、累積赤字は121億9413万円となった。

 病院は16年度、新改革プラン(17~20年度)を策定。病床利用率や患者の紹介率を向上させ、20年度の単年度収支で600万円の黒字化を目指している。



  1. 2018/11/12(月) 05:57:28|
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11月4日 

http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20181102/CK2018110202000038.html
4機関に是正勧告、嶺南では医師不足深刻 県内公的医療機関の労働環境 
2018年11月2日 中日新聞 福井

 医師の長時間労働が深刻な問題となる中、本紙は県内の主な公的医療機関の労働環境を取材した。回答があった八機関のうち四機関が、二〇一六年度以降に労働基準監督署から長時間勤務に関する是正勧告を受けていたことが判明。うち三機関が嶺南にあり、深刻な医師不足が過酷な長時間勤務につながっている実態が浮かび上がった。

 基準に適合しない労使協定(三六協定)を結んでいたとされた敦賀市立敦賀病院。担当者は「うちが受診を断ると患者はほかに行く病院がない。医師を派遣してくれるよう県などに頭を下げるしかない」と悲鳴を上げる。中でも産婦人科は一人欠員状態の医師三人体制で、敦賀市や美浜町のほぼ全ての分娩(ぶんべん)を同院と民間病院の二院で受け入れている。最長百七十四時間と指摘された医師も産婦人科医だったという。

 嶺南ではほかに、国立病院機構敦賀医療センター(同市)、公立小浜病院(小浜市)の二機関がいずれも昨年度、過労死ラインとされる月八十時間には及ばないものの、三六協定を超えた残業があったとして是正勧告を受けていた。

 県のまとめによると、十万人当たりの実質的な医師数は二百四十六人と全国平均をわずかに上回っているが、嶺南では百六十五人。さらに開業医も減少傾向にあり患者が公立病院に殺到。丹南、奥越に比べて患者が福井市などの病院を受診しにくいため、医師一人当たりの負担が大きい。

 県によると、医師に嶺南勤務を促しやすくするための奨学金制度を〇九年度から実施。ようやく昨年度から医師の卵が現場に立ち始めている。県地域医療課の担当者は「医師の地域偏在は課題。今はまだ、全ての病院からの医師の派遣希望には応じられない」と弁明する。

 一方で嶺北では、福井大や県済生会、福井赤十字、国立病院機構あわらの四病院では長時間労働に関する是正勧告はなかった。唯一、県立病院が三六協定を超える時間外労働があったとして勧告を受けており、指摘された最長の時間外勤務は月百三十時間だった。

 県立病院では、三六協定違反を避けるための措置として、昨年度までなかった特別条項を新たに設けて年六回を限度に月百時間の時間外勤務を可能にした。また、担当する患者数が一部の医師に集中していた体制の見直しなどを進めている。担当者は「行政サービスが低下しないよう努めながら、働き方を見直していきたい」と話している。

 (梶山佑)
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https://www.asahi.com/articles/ASLC336PBLC3UBQU004.html
残業月200時間の労使協定 市立敦賀病院に是正勧告 
2018年11月3日13時00分 朝日新聞 福井

 福井県敦賀市の市立敦賀病院が昨年度、労働基準法に基づく時間外労働の上限を大幅に超えた労使協定を労働組合と結んでいたとして、敦賀労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、病院への取材でわかった。

法定時間越える教員、書類に追われる医師 過労死白書
 病院によると、是正勧告は昨年8月23日付。現行の労基法は、時間外労働の上限を月45時間、年360時間と定めているが、昨年度の病院の労使協定は、時間外労働の上限を月200時間、年1600時間としていた。実際に上限を超えた時間外労働はなかったが、月100時間以上が9人いて、最長は産婦人科医の月174時間だったという。

 病院は今年度、労働組合と時間外労働の上限を月197時間とする協定を結んでいる。病院総務企画課の担当者は「医師が不足している状態だが、組合とも話し合いながら、段階的に時間外労働を減らしていきたい」と話した。



https://www.asahi.com/articles/ASLBV5K4LLBVULBJ012.html
医学部「地域枠」、一般枠とは別に選抜を 厚労省が通知 
阿部彰芳2018年11月2日09時21分 朝日新聞

 医師不足などの地域で将来、一定期間働く条件がある大学医学部の地域枠学生について、厚生労働省は、一般学生と別枠で選抜する方式に限ることを決めた。地域枠学生の確実な確保が狙い。臨時的に認めている医学部の増員分が対象で、都道府県に10月25日に通知し、2020年度以降の入学者から対応を求める。

 医学部定員は国が上限を決め、08年度から地域枠用の臨時増員が認められている。だが、厚労省の調査では、増員分の1割超の学生が、都道府県が貸す奨学金を受け取っていないことが判明。返済免除を条件に地域で働いてもらう仕組みなので、厚労省は奨学金の貸与がなければ、地域枠に当てはまらないとしている。

 入学選抜は一般枠と共通で、地域枠に入る学生を募る「手挙げ」は、一般枠とは別に選抜する「別枠」よりも奨学金を貸与される人の割合、地域への定着率とも低い。このため、厚労省は、都道府県が策定する医療計画に記載する必要がある増員分の地域枠の人数は、別枠方式に限り、事前に各大学と書面で合意することとする。

 地域枠の問題をめぐっては、医師偏在の是正を求める自民党の議連(河村建夫会長)が24日、決議文をまとめ、文部科学省にも大学への指導を求めている。(阿部彰芳)



http://news.livedoor.com/article/detail/15510355/
医師増員・診療報酬増を/「働き方改革」で医療は?/東京でシンポ 
2018年10月28日 9時30分 しんぶん赤旗

 国が進める「医師の働き方改革」によって医師不足や医療崩壊など現場が抱える問題はどうなるのか考えようと27日、東京都千代田区でシンポジウムが開かれました。幅広い医療関係者でつくる「ドクターズ・デモンストレーション実行委員会」の主催。約70人が参加しました。

 厚労省の検討会は医師の時間外労働の上限の設定などの方向性を今年度中にまとめる予定ですが、医師不足を抜本的に改める議論なく進められています。医療現場で働く出席者から、医師増員を求める声が相次ぎました。

 全国保険医団体連合会の竹田智雄理事は「最大の課題は、医療の質を落とさず医師の過酷な勤務環境を改善すること。医師の労働環境を整えてこそ、安全で質の高い医療が提供できる」と主張。必要医師数が確保されるまで計画的な医師養成と、診療報酬の拡充が必要だと訴えました。

 全国医師ユニオンの植山直人代表は、医師不足のまま「働き方改革」が進められれば「深刻な地域医療の崩壊が懸念される」と述べました。全国自治体病院協議会の原義人副会長は、医師の偏在による地域格差を指摘し「地域偏在が解消されない限り医師数は足りているとはいえない。地域医療の継続性と医師の健康への配慮の両立を基本理念とし、国民的議論が必要」と強調しました。

 全日本病院協会の美原盤副会長は、同協会会員病院を対象にした医師の働き方改革アンケートの結果を示し「約半数の病院が医師増員なしには現状の救急体制が維持できないと回答した」と紹介しました。

 医療制度研究会の本田宏副理事長が司会を務めました。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37102320Q8A031C1000000/
医学部の地域枠増員 一般枠に使われる実態が判明  
2018/10/30 13:00 [日経メディカル Online 2018年10月29日掲載]

厚生労働省は10月24日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会を開催。分科会では2036年までに医師の地域偏在の解消を目指すことをおおむね了承した。また、現状の医学部入試地域枠において制度の抜け穴を用いた一般枠の増員があることが報告され、改めて、今後は地域枠を別途設けた入試を行う方針を示した。

2018年7月に改正された医療法および医師法により、医師少数区域を認定し、都道府県に対して医師確保計画を策定することを求めることが定められている。同日の分科会では、医師少数地域の医師を充足させるため、地域医療対策協議会で協議を行った上で知事が大学に対して地域枠の設置・拡充を求めることや、当該自治体で医師不足を解消できない場合には他の都道府県の大学に対して地域枠の設置・拡充を要請できるようにすることを了承した。22年4月以降の医学部入学者を対象とする。

目標医師数は、二次医療圏、三次医療圏ごとに、3年ごと(20年~24年だけは4年)に計画期間の終了時点で確保すべき目標医師数を、地域ごとの人口構成の違いや医師の性別・年齢分布などを反映した医師偏在指標を用いて算出。医師偏在指数が下位の一定の割合以下の地域の医師を、医師の派遣調整や地域枠による増加分で確保する。どの程度の割合の地域を対象にするかについては、今後議論する。最終的な解消のスケジュールは36年を設定するが、分科会では、「医師需給のピークは36年より前にくる。年度ごとにモニタリングが必要なのではないか」(産業医科大学教授の松田晋哉氏)という意見の他、「医師数の偏在だけでなく、診療科偏在まで踏み込まなければいけないのではないか」(全日本病院協会副会長の神野正博氏)という意見も出された。

■手挙げ方式の地域枠に「ずる」との厳しい声も

地域枠については現在、入学試験時に地域枠を別途選別する「別枠方式」と、一般枠と地域枠を共通で選抜する「手挙げ方式」がある。だが、同日の分科会では、文部科学省より、別枠方式では89%の入学者に奨学金を貸与し、うち93%が地域で働く義務を最後まで履行していたのに対して、手挙げ方式の場合は、奨学金の貸与は60%にとどまり、義務の履行者も82%にとどまるという調査結果が示された。地域枠として増員された医学生が一般枠として入学していることに、委員からは問題視する意見が相次いで出された。NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子氏は「手挙げ方式は“ずる"だ」と一刀両断。「医師需給分科会としては、緊急医師確保対策という名目での定員増だったが、なし崩しになってしまう」と主張した他、聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、「地域医療への意志を持った受験生を切り落としている可能性がある」と指摘した。

今後、厚労省では文科省と連携しながら、地域枠の各大学の状況を実名を公表していくと同時に、なるべく早く別枠方式に統一する。ただし、厚労省では、別枠方式にすることで地域枠が埋まらなくなった場合も、一律に枠の返上を目指さず、医師の偏在状況を見ながら調整をしていく。

(日経メディカル 山崎大作)



https://medical-tribune.co.jp/news/2018/1031516881/
医学部「地域枠」定員削減へ...充足率低い大学、2020年4月入学分から 
2018年10月31日 11:49 (2018年10月31日 読売新聞)

 文部科学省は、地方の医師確保を目的に医学部の定員増を認めた「地域枠」について、充足率の低い大学の地域枠定員を2020年4月入学分から減らすことを決めた。厚生労働省は、地域枠を入試段階から別枠とする場合に限る運用の厳格化を決めており、さらに一歩踏み込んだ形になる。

 国は、医学部定員を抑制する中、医師不足が深刻な地域もあるとし、08年度から原則、地域枠に限って、臨時の定員増を認めてきた。ところが、厚労省が地域枠の実態を調べたところ、定員の1割以上が埋まっておらず、その分、一般枠の学生が増えており、見直しが求められている。



http://news.livedoor.com/article/detail/15519005/
医師、書類作成で多忙=人手不足深刻-過労死白書 
2018年10月30日 9時53分 時事通信社

 政府が30日閣議決定した2018年の「過労死等防止対策白書」で、医療関係者が書類作成事務に追われる姿が明らかになった。

 残業が発生する理由を聞いたところ、医師の57.1%、看護職員の57.9%が「書類作成のため」と答え、ともに最多となった。過重労働防止に必要な取り組みでは、医師、看護職員いずれも「増員」がトップだった。

 病院側に対する調査では、過重労働防止への取り組みとして最多の59.5%が、「医師事務作業補助者や看護補助者の増員」を挙げた。実施に向けた課題に関しては、約半数が「募集しても応募がない」と回答。医療現場でも深刻な人手不足が浮き彫りとなった。

 また、教職員への調査では、残業の理由は「業務量が多い」が69.6%、過重労働防止に必要な取り組みは「教員の増員」が78.5%で、ともに最も多かった。一方、学校に対策を聞いたところ、「会議時間の短縮」や「管理職から教員への積極的な声掛け」が上位となり、増員は6.8%にとどまるなど対応のちぐはぐさが目立った。 



https://kenko100.jp/articles/181030004701/#gsc.tab=0
「塀の中」の深刻な医療事情 
2018年10月30日 06:00 公開 健康百科 by Medical Tribune

 「刑を犯した者に手厚い医療が必要なのか」、「悪いことをした者をなぜ助けるのか」といった声は世間に根強くある。しかし受刑者の大半は有期刑であり、いずれ「塀の外」に戻ってくることを考えれば、刑務所医療※の問題はわれわれ自身の社会的な課題でもある。

 ほとんど知られていない刑務所医療の実態について、「ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」シンポジウムの発表から紹介する。

入所前に処方されていた薬剤をもらえない
 刑務所医療の問題に関連して、とりわけ深刻なのは所内の医師(矯正医官)の不足である。その背景として、医師の待遇や職業的な魅力の問題などがある。

 一方、受刑者からは「医療を受けようとしても、刑務官の段階で拒否される」、「患者としての訴えを聞いてもらえない」といった声が聞かれる。

 NPO法人監獄人権センターによれば、「外部の専門機関での診察が認められないうちに食道がんが見つかり、既にリンパまで転移していた」、「白内障で外来の医師から手術を勧められているが、いつまでも認められない」といった訴えがあるという。

 また、入所前に処方されていた薬剤をもらえないという相談も多い。精神疾患の治療薬や、鎮痛薬の処方希望が、大半を占めるという。精神的ストレスが影響を及ぼす慢性的な痛みなどは、痛みを訴えても受け入れられない状況そのものが、痛みの増強につながりかねない。

 しかし処方薬が限定され、生活リズムが確保された刑務所内の環境は、薬物乱用などの傾向のある者を健康にする最適の環境でもある。医師が適切に介入し、啓発することで、多くの違法薬物使用者の再犯率低下にも寄与すると言われている。

地域医療機関との緊密な連携を
 刑務所における医療事情を改善するためには、所内でのすべての医療を、地域医療機関が担うといった制度改革が必要とされる。これによって医師不足が解消されるとともに、所外の医師の診療が受けられ、刑務所と地域の連携が構築しやすくなるなどのメリットがある。

 フランスや英国では、このような改革が行われた結果、医療に対する被拘禁者の不満は大幅に減ったとの報告がある。日本でも、法務省による刑務所医療の改革が行われている。保安体制からの刑務所医療の独立性を確保し、厚生労働省へ管轄を移すなどの行政面での対応が求められる。

※国内に4か所ある「医療刑務所」とは異なる

(あなたの健康百科編集部)



https://www.medwatch.jp/?p=23199
消費税対応改定、「入院料への財源配分」を大きくし、病院の補填不足等を是正―消費税分科会 
2018年10月31日|2019年度消費税対応改定 MedWatch

 来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げを踏まえ、医療機関の負担(控除対象外消費税)を補填するために特別の診療報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)が検討されているが、その際、医療機関の補填のバラつきを是正するために、▼直近のNDBを用いた適切な配点▼医療機関の分類の精緻化▼収入に占める「入院料のシェア」の勘案▼病院における入院料への財源配分の引き上げ―などを検討してはどうか―。

10月31日に開催された診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、こういった方向が検討されました。12月の予算編成に向けて議論を深めていきます。
 
ここがポイント!
1 病院による「収益に占める入院料のシェア」にも着目した配点を実施
2 個別点数での対応、補填のバラつきを誘引しかねないが、支払側は検討を要望

病院による「収益に占める入院料のシェア」にも着目した配点を実施

保険医療については「消費税は非課税」となっているため、医療機関や薬局(以下、医療機関等)が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる「控除対象外消費税」)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担も増加することから、1989年の消費税導入時より消費税対応改定が行われており(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度と2014年度)、来年(2019年)10月に予定される消費増税改定でも同様に対応される見込みです。
 
2014年度には消費税率が5%から8%に引き上げられたため、初診料や再診料、各種入院料といった「基本診療料」を引き上げる、消費税対応改定が行われました。しかし、補填状況を詳細に調査した結果、特に急性期病院を中心に、大きな補填不足・補填のバラつきがあることが分かりました(関連記事はこちら)。
 
厚生労働省が、この補填不足・バラつきの要因を分析したところ、大きく次の4つに起因していることが判明しています(関連記事はこちら)。
(1)基本料の算定回数が、「見込み」と「実績」とで異なっていた(「見込み」>「実績」であれば補填不足となる。例えば一般病棟入院基本料では、見込みに対して78.2%、特定機能病院入院基本料では、同じく88.7%にとどまった)

(2)補填(改定財源の配分、点数の引き上げ)の基礎となる課税経費率について、「見込み」と「実績」とでずれがあった(例えば、「病院:診療所」の比率が、▼2012年度は73.0:27.0→▼2014年度は76.1:23.9→▼2016年度は75.8:24.2—と変化し、病院に配分されるべき財源が相対的に小さくなり、診療所に相対的に多くの財源が配分されてしまった)

(3)病院については、例えば「一般病棟入院基本料」という大くくりで課税経費率を捉え補填を行っており、看護配置(7対1、10対1など)による細かい分類をしていなかった(分類ごとに、財源配分や点数引き上げの基礎となる課税経費率が異なっている)

(4)「収益に占める入院料等の割合」を考慮していなかった(例えば特定機能病院では、手術等を多く実施し、収益に占める入院基本料の割合(シェア)が小さいため、入院基本料への点数上乗せ効果が相対的に薄まってしまう)
 
厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の樋口俊宏室長は、こうした点に次のような対応をとることで「補填不足・バラつきを相当程度解消できるのではないか」と提案しています。

(1)への対応
→直近の通年実績のNDBデータを使用して、基本料の算定回数を精緻に見ることで、より適切な配点を行う

(2)への対応
→2014年度改定では「初・再診料への配点において、一般診療所の財源をほぼ使い切る」(結果として初・再診料の増加分が大きくなる)こととしたが、これを、▼まず無床診療所において、初・再診料を「消費税負担」に見合うように引き上げる → ▼病院の初・再診料、外来診療料を診療所と同額に引き上げる → ▼残りの財源を用いて入院料の引き上げを行う―こととする
 
 病院では、初診料等のシェアが小さいため、「初診料等での補填」の効果も相対的に小さくなってしまいます。そこで、上記の対応によって「入院料により多くの財源」を充て、補填効果の大きな「入院料の引き上げ」の充実を目指すことになります(ただし、病院では初・再診料等の比率が小さいため、この対応の効果は一定程度にとどまると見込まれる)。

(3)への対応
→▼一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料については「療養病床の割合」で病院を分類する(例えば、許可病床のうち療養病床が6割未満の病院を「一般病棟入院基本料」届出病院とし、6割以上の病院を「療養病棟入院基本料」届出病院とする)▼精神病棟入院基本料については「精神科病院」のみとする―など、課税経費率をみる際の病院の分類を見直す。ただし、分類によりサンプル数が小さくなってしまう場合もあり、その場合には、細かい分類は行わない

(4)への対応
→病院種別や入院料別の「収益に占める入院料のシェア」を勘案して補填点数を決定する

 こうした見直し方針に特段の異論は出ませんでしたが、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)らは、「見直しによって補填不足・バラつきがどの程度是正されるのか、試算をしてほしい」と要望しました。

 ただし、見直しによって点数が変更されれば、「診療行動の変化」が生じ、さらに課税経費率にも影響が出てしまう(結果として、試算においてもバラつきが生じ、堂々巡りになってしまう)ため、試算をしたとしても、その結果にどこまでの意味があるのか(実態にどれだけ近いのか)は不透明です。樋口保険医療企画調査室は、どういう手法が考えられるのかも含めて検討すると答弁するにとどめています。

個別点数での対応、補填のバラつきを誘引しかねないが、支払側は検討を要望

 また、10月31日の分科会では「個別点数での対応」の是非についても議論が行われました。

 1989年・97年の消費税対応改定では「個別点数での対応」が行われましたが、その後の診療報酬改定で「引き上げを行った点数が改廃された」ため、事後に、「どの程度の補填が行われているのか」を検証することが極めて困難となっています。また、個別点数の算定状況は、同規模・同施設基準の病院でも相当程度異なるため、大きな補填のバラつきを誘発すると懸念されます。そこで、2014年度改定では「基本料での対応」が採用されたのです。

 診療報酬に占める個別点数でシェアが大きな項目(点数引き上げを行った場合に、補填の効果が大きな項目)としては、「検査」や「手術」があげられます。しかし、「検査」はDPC制度下では包括点数に含まれるため正確な実態を把握することは困難です(算定状況が明確でなく、どの程度の点数を上乗せすると、どういった効果が出るのかも見極められない)。また「手術」は、出来高算定でき、「手術件数の多い病院では、補填割合が小さい」(十分に補填されていない)という関係がありますが、病院によって手術の算定件数は極めて多様であり、「バラつきのない補填」を行うことはできないでしょう。厚労省は「個別点数での対応」には慎重姿勢を示していると見ることができそうです。また、中川俊男委員(日本医師会副会長)をはじめとする診療側委員は、「個別点数での対応」に明確に「反対」を表明しています。

しかし、支払側の委員(吉森委員や幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事))は、「(上記4点の)見直し後にも不合理な補填不足・バラつきが残る可能性があり、その場合には『基本料での対応』にとどまらず、『個別点数での対応』も選択肢として考えるべき」と主張しています。今後も、議論が続けられることになりそうです。

なお、幸野委員は「初・再診料での対応によって、診療所の過補填(消費税負担増を上回る補填)がある」旨を指摘し、個別点数での対応を検討するよう要望しています。しかし、過補填の原因は上記(2)の「財源配分」によるところが大きく、診療側委員との議論にかみ合わない場面もありました。個別点数での対応は、上記のように「バラつきを誘発する」「事後に検証できない」という大きな課題があり、慎重に検討すべきでしょう。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/638712
シリーズ 中央社会保険医療協議会
「個別項目での消費税補てん」、診療側と支払側で意見対立
消費税分科会、「初再診料、病診で同一」は維持の方針
 
レポート 2018年10月31日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、10月31日の中医協の診療報酬調査専門組織「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長:荒井耕・一橋大学大学院商学研究科教授)で、2019年10月に予定されている消費増税への対応として、消費税の補てん不足や補てん率のばらつきをなくす対応策を提示した。

 「病院と診療所の初再診料は同一点数」という原則を維持して、初再診料、入院基本料など、基本診療料で対応する原則についてはおおむね合意が得られた。しかし、それに加えて、検査や手術料など、個別項目でも補てんするか否かについては、意見集約に至らなかった。

 厚労省は、DPCのデータなどを基に、手術料に上乗せして補てんする妥当性を検討。その結果、収入に占める「手術」の割合と、補てん率の根拠となる課税経費率との相関は見られないことなどを踏まえ、「病院ごとのバラツキが出ない個別の配点は現実的に困難。個別の配点については、事後的な検証も困難になることが見込まれるのではないか」とした(資料は、厚労省のホームページ)。

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 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、厚労省の提案は基本的には支持したものの、これらを実施した結果、医療機関種別の補てん率がどの程度、是正されるか、シミュレーションが必要だとした。「その結果として、不合理なところがなければ個別項目での対応を考える必要はないと思う。完璧にするのは難しいことは分かっているが、不合理なところがあれば個別項目について議論することが必要」(吉森氏)。

 これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「診療報酬で補てんする以上、医療機関種別で補てん率にばらつきが生じるのは当然。極力少なくする努力はすべきだが、補てん率のばらつきがなくならないからと言って、個別項目での補てんを検討すべき、というのは短絡的ではないか」と反論。1989年の消費税導入や1997年の税率引き上げの際に、個別項目で補てんした結果、その後の診療報酬改定で項目が変更され、補てん状況の把握が難しくなった事情がある上、「どの項目に、どの程度上乗せすればいいか」など作業的にも困難、といった問題を解決できないかぎり、個別項目の議論は難しいとした。

 吉森氏はシミュレーションを前提に個別項目の議論を求めたが、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「まず診療所の初再診料の補てん率を決めて、それを病院に当てはめるということだが、そのやり方が本当に正しいのか。検査や画像診断などで、補てんすることも考えられる。(診療所について)初再診料だけで補てんすることには、違和感を覚える」と訴え、シミュレーションの結果にかかわらず、議論が必要だとした。

 中川氏は、幸野氏の主張にも反論。「なぜそこにこだわるのか。診療所の何が気になるのか」。厚労省調査によると、2014年4月の消費増税時の診療所の補てん率は、111.2%(『中川日医副会長「厚労省の二重、三重の不手際」、消費税補てん率調査にミス』、『厚労省保険局長が「お詫び」、消費税の補てん状況調査ミスで』を参照)。中川氏は、幸野氏がこの数字を念頭に置いていると想定し、この結果は消費税率が5%から8%に上がった部分についての補てん率であり、0%から5%までも含めれば、補てん率は下がるとし、「111.2%にこだわって、基本診療料以外の個別項目での補てんも検討すべきだ、というのは趣旨が違う」と強調した。「個別項目の一つ一つについて、課税経費率を出すのは、そもそも不可能」(中川氏)。

 厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の樋口俊宏氏は、シミュレーションについては「検討する」と引き取ったものの、2014年4月以降、診療報酬改定があり、点数自体も、また点数の算定回数も変化し、課税経費率も変わってきていることから、「きれいにやるのは、難しいかもしれない」などと難色を示した。31日の分科会に提案したのは、全体の補てん不足や医療機関種別の補てん率のばらつきの原因を一通り挙げて、それに対する対応策を提案しているとし、「相当程度、改善すると考えている」(樋口保険医療企画調査室長)。

 それでも幸野氏は納得せず、手術の分析がDPCデータだったことから、「このままでは、個別項目では補てんしないという流れになる。これ以上、データを取るのは不可能なのか」と質問。厚労省保険局医療課長の森光敬子氏は、「私どもの持っているデータの中で、DPCは、一番情報量が多いデータ。また医療機関と紐付けて取れるので、一番精緻なデータだと思っている」と答えた。

 病院の入院料の補てん不足を考慮

 厚労省の調査で、2014年4月の消費増税への対応で、消費税の補てん不足や医療機関種別ごとの補てん率のばらつきの存在が明らかになっていた。同省は、これらの問題を解決するために、(1)一般病棟入院基本料・療養病棟入院基本料について、療養病床の割合(6割未満以上)で病院を分類して課税経費率を見る、(2)病院種別ごとの入院料シェアを考慮して、消費税負担に見合う補てん割合を設定、(3)病診間で初再診料の点数差を設けずに、病院の入院料の割合を高める方法を検討――を提案。

 (1)は、「一般病院」の区分でも、一般病床と療養病床の割合によって、課税経費率が異なることから、「療養病床が6割以上か、未満か」を区切りとして、課税経費率を見ていく考え方だ。

 (2)は、入院基本料については、特定機能病院や精神科病院など、病院種別によって収入に占める入院料シェアが異なる点を考慮して、補てん点数を決定する提案だ。2014年4月の増税時は、病院種別を考慮せず、補てん点数を決定したため、入院シェアが相対的に高い精神科病院では補てん超過の傾向に、入院シェアが相対的に低い特定機能病院では補てん不足の傾向になったと考えられる。

 また、2014年度改定時は、診療所に配分される財源についてはほぼ初再診料で使い切る配点としていた。病院への対応は、まず診療所と合わせて初再診料で補てん、残る財源で入院料の補てんをしたことから、結果として入院料への財源配分が少なくなっていた。それが、病院での補てん不足の一因とされることから、(3)では、病診間で初再診料の点数差を設けずに、病院の入院料の割合を高める方法を検討する。具体的には、まず無床診療所(補てん項目は初再診料のみ)の補てんを考慮して、初再診料に配分を行うこととし、病院における初再診料と入院料の比率を変え 、入院料の割合を高める方針。

 全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、いずれの提案も支持。特に(2)について、「(2018年度改定前の)7対1、10対1入院基本料などの急性期や、特定機能病院での補てん不足の原因は、この点だと思っている。ぜひ“シェア”という考え方を入れてもらいたい」と求め、特定入院料なども含め、細かに設定していくべきだとした。一方で、個別項目での対応は難しいとし、「まずは基本料で、どこまで精緻化されるかがカギ」と述べた。

 「診療科別のばらつき」是正が必要?

 全日本海員組合組合長代行の田中伸一氏は、「各診療科別の検証は可能か。もしばらつきがあるなら、それも是正する必要があるのではないか」と指摘。

 日医常任理事の松本吉郎氏は、「診療科と医師、疾患が一対一で対応しているわけではない。グループ(同じ診療科)の中でも、ばらつきがあり、そこまで考えていくのは意味がない」と反論。

 猪口氏は、「診療科のばらつきを是正しようとしても、最後は病院別のばらつきが生じる。診療報酬上でいくら精緻化しても、無理であり、報酬以外の対応が必要になってくる。ばらつきが残るのを前提に、どこまで精緻化できるかを話していかなければいけない」と述べた。中川氏も、「診療報酬で補てんする以上、ばらつきは生じる。個別項目で対応する作業は、天文学的になる上、さらにばらつきが激しくなる危険性が高い。同じ診療科であっても、医療機関によって内容は異なるので、報酬で補てんした上で、何らかの新たな仕組みが必要、という結論になる」と続いた。

 その他、田中氏と中川氏の間では、消費税率0%から5%までの補てんの在り方についても議論があった。田中氏は、「5%の時点で、診療報酬で措置をされているという前提で、(2014年4月以降の)補てんの過不足を踏まえたものが、今回の消費税対応だ」との認識。これに対し、中川氏は、「補てん率についての検証が可能なのは、5%以降。それ以前については決着が付いたのではなく、不問に付し、議論を蒸し返すつもりはないと言っている。我慢の上の議論をしている」と主張した。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65567/Default.aspx
地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」 地域フォーミュラリを開始 PPIとα-GIから 
公開日時 2018/11/02 03:52 Mix on line

地域医療連携推進法人「日本海ヘルスケアネット」(山形県酒田市)は11月1日、酒田市を中心とする北庄内地域での推奨医薬品を示すフォーミュラリを策定し、運用を始めた。まずは消化性潰瘍などに用いるPPIと糖尿病などに用いるα-GIの2薬効群から開始。PPIは3成分、α-GIは2成分で、推奨後発医薬品(GE)群として1成分あたり2~3メーカーの製品を選定した。処方、調剤において推奨医薬品以外の使用は制限しない形だが、推進法人としては、医療費抑制など地域のコスト管理の取り組みの一環であり、推奨医薬品に集約されていくことを期待する。実施内容は、製薬企業や医薬品卸関係者には正式に通知されておらず、情報を入手した卸関係者は、得意先がフォーミュラリにどう対応するのか確認を急いでいる。

地域フォーミュラリは推進法人の事業。7月以降、推進法人のメンバーである山形県・酒田市病院機構の日本海総合病院、酒田地区の医師会、薬剤師会が中心に検討してきた。地域フォーミュラリを「薬剤に関する有効性、安全性および経済性を考慮した医薬品使用における指針」と位置付ける。PPIを対象にしたのは、先発品の売上が大きく、フォーミュラリ実施で薬剤費節減効果が期待できるため。α-GIは地域としてばらついている採用薬剤の一定の集約が可能と判断した。

推奨医薬品(カッコ内は規格/推奨GEメーカー)は、PPIでは▽ランソプラゾール(15mg、30mg/武田テバ、東和薬品、沢井製薬)▽ラベプラゾール(10mg、20mg/サンド、日医工、キョーリンリメディオ)▽オメプラゾール(10mg、20mg/東和薬品、共和薬品、日医工)の3成分。α-GIでは、ボグリボース(0.2mg、0.3mg:OD錠/沢井製薬、東和薬品、高田製薬)、ミグリトール(25mg、50mg、75mg/東和薬品、沢井製薬(OD錠))の2成分。患者の病態や各施設の事情もあることから、推奨品の処方、調剤を義務付けるものではない。

対象薬効群は、日本海総合病院、医師会と薬剤師会からなる「地域フォーミュラリー作成運営委員会」が選定。推奨成分とメーカーは、薬剤師会内に設置した、推進法人メンバーの薬剤師による「地域フォーミュラリー検討委員会」が決めた。地区内の調剤実績とシェア、安定供給、製品ごとの「生物学的同等性試験」「原薬の産地」「一包化の安定性と利便性」「薬価」「錠剤印字」なども含めて「有効性、安全性および経済性を総合的に検討」したという。AGの登場や原薬供給の不安定化など状況に変化があれば推奨医薬品を再検討することもあるとしている。

地域フォーミュラリに関する説明会を11月6日、酒田市内で薬剤師会会員、医薬品卸関係者を対象に開催し、選定経緯などを解説する。

今後、実施状況をみながら、生活習慣病領域を中心にフォーミュラリの対象薬効群を増やすことも検討する。

「地域フォーミュラリー協議会」設置 自治体ともコンセンサス

地域フォーミュラリの実施にあたり、酒田地区の医師会、薬剤師会、日本海総合病院と、酒田市健康福祉部の国保年金などの関係課をメンバーとする「地域フォーミュラリ―協議会」を設立し、自治体のコンセンサスを得ながら進めることにした。今回の開始も、10月22日の協議会での確認を経て行われた。

なお、推進法人は、日本海総合病院などを運営する地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構、医療法人健友会(本間病院)、医療法人宏友会(上田診療所)、社会福祉法人光風会、医療法人山容会(山容病院:精神科専門)、社会福祉法人かたばみ会のほか、酒田地区の医師会、薬剤師会、歯科医師会の9法人からなる。全て酒田市内にある。



https://www.jiji.com/jc/article?k=2018103000589&g=eco
過剰病床の削減求める=地域医療を効率化-財務省提言 
(2018/10/30-12:23)時事通

 財務省は30日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)分科会で、医療機関の病床数が一部地域で過剰な状態にあると指摘した上で、ベッド数の削減を通じた地域医療の効率化を提言した。11月下旬にもまとめる財政審の建議に盛り込み、地方自治体などの取り組みを促す。
 同省は、各都道府県の一定人口当たりの病床数と、1人当たりの入院医療費の関係を分析。その結果、高知県が双方でトップになるなど、病床数の多い自治体ほど入院医療費が増大する傾向にあることが確認された。提言は「医療費は医療提供体制の強い影響を受ける」とし、各自治体が病床数などを見直す必要性を強調した。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65550/Default.aspx
財務省 地域財政の安定化へ医療構想の推進加速 都道府県のガバナンス強化を提案 
公開日時 2018/10/31 03:50 Mix on line

財務省主計局は10月30日の財政制度等審議会財政制度分科会で、地域医療構想の推進に向けて、都道府県のガバナンス強化を提案した。国は、地域医療構想の実現を通じ、急性期病床など過剰病床を適正化し、医療費を適正な水準に抑制する絵を描いた。これに対し主計局は、進捗状況に都道府県で大きな開きがあると指摘。2020年度以降の目指すべき姿として、「提供体制改革・医療費適正化のインセンティブと権限・手段を付与」することで、都道府県が「単位化」し、「住民のために持続可能な医療提供体制の構築に向けて主体的な役割を果たす」ことを求めた。

政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2018)では、公立・公的病院の再編・統合に向けた議論を地域単位で進めるよう求める一方で、病床の機能分化・連携が進まない場合は、「都道府県知事がその役割を適切に発揮できるよう、権限のあり方について速やかに関係審議会等において検討を進める」ことを明記した。さらに高齢化のピークを迎える2025年に向け、2次医療圏単位で高度急性期・急性病床、慢性期病床を「削減」、回復期を「増床」するなど、医療必要度に合致した医療提供体制を構築することを求めてきた。

◎今年6月現在の病床再編状況を報告 調整会議に「進捗管理、さらなる対応」を要請

この日の財政審に主計局は、今年6月現在の病床再編状況を報告した。高度急性期・急性期病床は目標の-21万床に対し、実績ベースで病床再編が合意されたのは、わずか-1989床に止まると指摘。同様に慢性期病床は目標の-7万床に対し、実績は-457床。回復期は+22万床に対し、実績は+2882床となっていることを報告した。その上で都道府県に設置した地域医療調整会議に対し、「進捗管理、さらなる対応」を求めた。さらに秋田県や福島県、沖縄県は、公立病院・公的医療機関でも議論がスタートしていない状況にあると指摘。主計局は、「民間医療機関も含めて具体的対応方針の策定を一層促進するとともに、病床の機能分化・連携を進めるため、都道府県の権限強化について検討すべき」と提案した。

主計局はまた、一人当たり医療費(厚労省:2015年度医療費地域差分析)の地域格差の資料を示した。全国平均の53万7000円に対し、最高額の福岡県は+10万4000円。一方で最小額の新潟県は-7万1000円に収めるなど、都道府県間でバラツキがあると指摘した。入院医旅費では病床数と相関が高く、病床数の多い高知県で突出して高いなど、医療提供体制に大きな影響を受けていると分析している。このほか、国民健康保険(国保)の運営主体が市町村から都道府県へと移管されるなかで、公費に加えて補填などの目的で市町村から毎年度3000億超の法定外一般会計繰り入れが行われていることも問題視した。

◎財政安定化を達成した都道府県にインセンティブの付与も

こうした状況を踏まえて主計局は2020年度以降の目指すべき姿を図示し、「医療計画、地域医療構想」、「医療費適正化計画」、「国保財政運営」を一体的に検討することを求めた。そのために、病床の機能分化や連携に補助金や規制を重点配分する実効手段・権限を都道府県知事などに与えることを提案した。財政安定化に寄与した都道府県にはインセンティブを与えることも検討する。

◎地域医療構想の進捗遅れに医師会の影

この日の財政審は、ニッセイ基礎研究所の三原岳准主任研究員からヒアリングを行った。同氏は、地域医療構想実現に向けて、「都道府県は病床適正化よりも提供体制構築を優先し、地元医師会との共同歩調をとった可能性」を指摘するなどと、地域医師会の関与に懸念を示した。三原氏は、地域医療構想の実状として、地域医療構想には、「過剰な病床の適正化による医療費の効率化」と「切れ目のない提供体制構築」という2つの目的が混在しているとの考えを表明。地域医療構想において、「強制的に病床削減するものではない」など、病床削減を目的としていない都道府県が29にのぼったことを指摘。「日本医師会が都道府県に対して、必要病床は削減目標ではないと明記するよう要請していたことが影響」していたとの見方を示した。

さらに、地域医療構想、国保の都道府県化、医療費適正化を明確にリンクさせたのは奈良県だけだったと指摘。「地域医療構想を医療費に絡めて説明すると、地元医師会が反発する可能性があるので、それを避けた可能性がある」などとの見解を披露した。



https://www.medwatch.jp/?p=23151
地域医療構想調整会議、多数決等での機能決定は不適切―地域医療構想ワーキング 
2018年10月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想調整会議の中には、病院の機能などを考えるにあたり「多数決」を採用しているところもあると漏れ聞こえてくる。病院の機能などは、データや議論をもとに、当該病院が「自主的に」転換などを考えていくもので、「多数決」などは不適切である―。

 10月26日に開催された地域医療構想ワーキンググループ(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった意見が構成員から相次ぎました。
 
ここがポイント!
1 2018年度中に具体的対応方針を決定する必要があるが、「多数決での合意」は不適切
2 既存病床数などが2025年の必要病床数を上回る場合、都道府県が増床等を拒否可能に

2018年度中に具体的対応方針を決定する必要があるが、「多数決での合意」は不適切

 医療提供体制の再構築に向けて、地域医療構想の実現が急務とされています。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療・介護ニーズが急速に増加していくことから、現在の医療提供体制では、こうしたニーズに効果的かつ効率的に応えることができないためです。

 地域医療構想の実現は、データをもとに、▼将来の地域の医療ニーズ等▼自院の状況▼他院の状況―などを客観的に把握し、地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で議論を行った上で、各医療機関が自主的に「適切な機能」を考えていく(転換の選択肢もあれば、現状の機能を維持するという選択肢もある)ことがベースとなります。

 ただし、調整会議の議論が十分に進んでいないとの指摘もあったことから、骨太の方針2017(経済財政運営と改革の基本方針2017―人材への投資を通じた生産性向上―)では、「個別の病院名・病床数を掲げ、機能転換に向けた具体的対応方針を速やかに策定するため、2017・18年度の2年間程度で集中的な検討を促進する」旨が指示されました。この指示を受け、ワーキングでは、例えば「都道府県における4機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期等)の定量的基準の設定」や「地域医療構想アドバイザーの選定、養成」などの「活性化」方策が議論されているのです(関連記事はこちら)。

 その一方で、2018年度の終わりまでには、あと半年ほどしかないため、調整会議では具体的方針の策定を急ぐあまり「機能転換等を多数決で決定している」事例があることが、伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)から報告されました。

 調整会議の要・本質は、「将来の地域の医療提供体制と自院の機能等を十分に検討し、納得(合意)して機能転換を進める」ところにあります。多数決は、この要・本質から大きく外れていることは明らかでしょう。厚生労働省も「実際には合意に至っていないにも拘らず、(多数決などで)合意済とすることは不適切である。適切な運営がなされるよう、地域医療構想アドバイザーなどに改めて依頼する」考えを示しました。

多数決を初めとする拙速な結論は、かえって「時間の無駄」となるばかりか、地域の医療機関の信頼を損ない、調整会議における実効性のある議論を阻害してしまいます(A病院について「自院は急性期を希望しているが、地域の医療機関が慢性期への転換を多数決で決めた」として、A病院が納得して慢性期に転換するだろうか?)。本質に立ち返った議論が望まれます。

 とはいえ、今年(2018年)9月末時点における調整会議の議論の状況を見ると、▼公立病院については、機能等に関する合意済はベッド数ベースで39%(6月末時点から25ポイント増)▼公的病院等については、機能等に関する合意済は同じく52%(同32ポイント増)▼全医療機関については、機能等に関する合意済は同じく19%(同12ポイント増)—にとどまっています(関連記事はこちら)。確実に進捗はしていますが、残り半年でどこまで本質的な議論を行い、機能等に関する合意が完了するのか、引き続き注目していく必要があります。

既存病床数などが2025年の必要病床数を上回る場合、都道府県が増床等を拒否可能に

 ところで改正医療法・医師法では、地域医療構想の実現に向けて都道府県知事の権限が強化されました。ただし、「民間病院に機能転換を命じる権限」などを付与されたわけではなく、「将来、病床過剰になることが確実な場合には、現時点で病床過剰でなくとも、病床の増設等を許可しない」といった権限を付与するにとどまっている点には留意が必要です(前者は、憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する可能性があり、極めて慎重な議論が必要である)。

 10月24日のワーキングでは、厚労省から、▼基準病床(医療計画)▼既存病床(実際に、現時点で何床のベッドがあるのか)▼病床の必要量(地域医療構想)—の関係と、都道府県知事との関係について下図のような整理が行われました。
 
 新たに付与された都道府県知事の権限が執行されるのは、第7次医療計画では「27医療圏」あることが分かります。

 この点に関連して中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「自由診療であれば、病床過剰地域であっても病院を開設してよいであろうとして、高度急性期病院を開設・増床するケースがあるようだが、大きな問題だ。厚労省は実態を把握してほしい」との注文を出しています。
 
 このほか、10月24日のワーキングでは▼介護医療院▼地域医療構想アドバイザー―の状況も報告されています。

 前者の介護医療院は、▼医療▼介護▼住まい―の3機能を持つ新たな介護保険施設です。当面は、介護療養や医療療養からの転換が見込まれています。

 昨年(2017年)の病床機能報告では、約35万床の慢性期機能を持つ療養病床・一般病床がありますが、うち介護医療院への転換を予定しているのは1万6000床あり、「医療療養のうち旧【療養病棟入院基本料2】(25対1看護)を届け出ている病棟」が多いことが分かりました。

2018年度の診療報酬改定では、医療療養の報酬体系が大きく見直され、また2018年度の介護報酬改定では、介護医療院の基本報酬や加算、構造・設備基準などが明らかになったことから、「介護医療院への転換意向」の状況が変化していく可能性があります。慢性期機能病床から介護医療院への転換は、地域医療構想実現の中でも重要な事象の一つであり、今後とも、詳細な状況が報告される見込みです。

なお、この点に関連して、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は、「介護医療院への転換を希望するが、介護保険の保険者である市町村側が首を縦に振らないケースがあると聞く。地域医療構想の実現に向け、対策を考える必要がある」と指摘しています。

「介護療養→介護医療院」では問題が生じませんが、「医療療養→介護医療院」では、費用が医療保険から介護保険に移り、小規模な町村では、大幅に介護保険料が増加してしまうことが危惧され、転換に待ったをかけるケースがあると指摘されています。この点、2018年度介護報酬改定の総指揮を執った厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長(前、老健局老人保健課長)は「現在、担当課(介護保険計画課)で対応を準備していると聞いている」旨のコメントをしています。



https://www.medwatch.jp/?p=23257
「地域別の診療報酬」特例は最終手段、まず地域住民の健康増進に注力を―日医総研 
2018年11月2日|医療保険制度 MedWatch

 財務省などは「都道府県別・地域別の診療報酬」(診療報酬の特例)の実施に向けた準備を進めよと要請するが、これは医療費適正化計画が達成できない場合の「最終手段」であり、また、「医療資源の偏在助長」などの弊害が懸念される。まず、「地域住民の健康増進」に力を入れるべきである―。

 日本医師会のシンクタンクである日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が11月1日に公表したリサーチエッセイ「診療報酬の特例についての解釈と課題—都道府県医師会の役割を中心に―」では、こういった考えが示されました(日医総研のサイトはこちら)。

「診療報酬の特例」発動は、厚労相・都道府県・保険者協議会で慎重に検討を

高齢者医療確保法(高齢者の医療の確保に関する法律)第14条では、「厚生労働大臣が、都道府県知事と協議のうえで、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときに、1の都道府県の区域内における診療報酬について、合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる」旨を規定しています。いわゆる「都道府県別、地域別の診療報酬」「診療報酬の特例」と呼ばれる規定です。

財務省や一部自治体、さらに骨太の方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)からは、医療費の伸びを抑えるために、この「診療報酬の特例」について、▼具体的に活⽤可能なメニューを国として⽰す▼2018年度からの第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活⽤していくための枠組みを整備する―よう要請があります(関連記事はこちらとこちら)。

この「診療報酬の特例」を実施するためには、次のような厳格な手続きを踏む必要があります。

(1)都道府県において、医師会等も参画する「保険者協議会」と協議のうえで、医療費適正化計画を作成・実施する(高齢者医療確保法第8条、第9条)
  ↓
(2)医療費適正化計画終了の翌年度に、厚生労働大臣が、都道府県の意見を踏まえて医療費適正化計画の実績を評価する(高齢者医療確保法第12条)
  ↓
(3)各都道府県において「保険者協議会」での議論も踏まえて、「診療報酬の特例」適用の必要性を検討する((2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)
  ↓
(4)厚生労働大臣が実績評価を踏まえ、都道府県と協議のうえで「診療報酬の特例」適用の必要性を判断する(2018年3月29日付けの厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知)

 大まかに整理すれば、▼厚生労働大臣▼都道府県▼保険者協議会(地域の保険者や医師会、歯科医師会などが参画)—で、医療費適正化計画の達成状況を詳細に分析し、「診療報酬の特例」が必要か否かを慎重に判断することが求められていると言えます。

 日医総研では、この「診療報酬の特例」は、「地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内」(高齢者医療確保法第14条)で、謙抑的かつ慎重に必要性を判断することが重要と指摘。さらに、医療費適正化のための「最終手段」であり、そこに至らないように▼地域の実情を踏まえた医療費適正化計画を策定する▼医師会や保険者が協力して計画を実施する▼計画の実績評価に当たっては、保険者協議会で議論を尽くす―ことが必要と強調します。

さらに、財務省等の要請に対しては、▼都道府県が予防・健康づくりをおろそかにして、診療報酬のコントロールに頼るおそれがある▼患者・医療従事者の移動によって地域医療資源の偏在が助長されるおそれがある(経済理論に照らせば、患者は単価の安い地域での受診を希望し、医療提供側は単価の高い地域への移動を希望すると考えられる)—などの弊害を指摘。医療費適正化を推進・達成するためには、まず「地域住民の健康増進」に取り組むことを重要と、強く訴えています。



https://www.medwatch.jp/?p=23184
新専門医制度は「地域で必要とされる優れた臨床医の養成」に主眼を置くべき―日病・相澤会長 
2018年10月30日|医療現場から MedWatcch

 従前の専門医制度では、例えば「個々の医師が専門領域を持ちながらも、内科や外科といった領域を超えて、カバーしあいながら地域医療を支える」形となっていた。しかし、現在の新専門医制度ではこうした形をとれない方向に進み、むしろ医師偏在を助長することになるのではないか。新専門医制度は、「地域で必要とされる優れた臨床医の養成」に主眼を置き、偏在対策は別の仕組みの中で行うべきである。こうした点について、日本病院会としての意見を表明していってはどうか―。

 日本病院会の常任理事会ではこうした懸念等が示され、今後、新専門医制度の在り方について意見を表明していく方針が固められたことが、10月30日に記者会見を行った相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会相澤病院理事長)から発表されました。
 
新専門医制度で、「質の担保」と「地域偏在の是正」を両立させることには無理がある
従前の専門医制度に対し、「学会が乱立し、各々で専門医資格を授与しているため、専門医の質が担保されているのかが不明確で、また国民にとって分かりにくいものとなっているのではないか」という課題があり、これを解決するために新専門医制度が構築されたのです。そのポイントは、▼「18領域+総合診療専門医の基本領域」を1階部分とし、その上に基本領域と関係の深いサブスペシャリティ領域(2階部分)を設け、専門医の認定は、日本専門医機構と学会が共同で行うことで「国民への分かりやすさ」を担保する▼専門研修プログラムを、日本専門医機構の策定した整備指針に則って、各学会が責任をもって作成することで「専門医の質」を担保する―などと整理でるでしょう。

 新専門医制度は、今年度(2018年度)から全面スタートし、現在、来年度の専攻医(新たな専門医の資格取得を目指す後期研修医)の登録が始まっています。

しかし日本病院会の会員病院からは、新専門医制度の施行状況を踏まえて次のような問題点が指摘されているようです。

▽従前の専門医制度に比べて、一般病院(日病の会員病院など)での研修医(専攻医)が減っている

▽内科や外科でも研修医が減少しているが、とくにそれ以外の診療科では、専門研修プログラムの基幹病院からはずれた一般病院では、自ら専攻医(研修医)を募集することができず、ゼロ人となっているところも少なくない

 
 新専門医制度には、上記のような「研修医の質を担保し、かつ国民に分かりやすいものとする」といった要請のほかに、「地域の医師偏在を助長させない」といった要請も加わりました。

 しかし、上述のように地域の一般病院では研修医(専攻医)が減り、地域偏在が助長されている面があるようです。相澤会長は、さらに「若手医師は、指導医の下で学ぶとともに、失敗を指導医にカバーしてもらいながら経験を積んでいく。しかし、新専門医制度のベースとなるプログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って、定められた施設で研修を行う仕組み)の下では、『優秀な指導医の下で研修(指導)を受ける』ことが難しくなっているのではないか」(例えば、研修プログラムの下で、必ずしも優秀でない指導医の下で研修せざるを得ないケースが出ていく可能性も否定できない)との考えも示しました。後者は「質の確保」を揺るがすものとも言えます。

 これでは、両方の要請に対して「どっちつかず」の結果に終わることも懸念されます。この背景には、新専門医制度に課せられた「2つの要請」(▼質の担保▼地域の医師偏在の是正―)を同時に達成しなければならないことがあると相澤会長は指摘した上で、後者の「地域の医師偏在の是正」は別の仕組みで対応し、新専門医制度は前者の「質の担保」、つまり「良い臨床医の育成」に主眼を置くべきではないか、と訴えました。

 この点、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会で構成される「四病院団体協議会」が、新専門医制度に対する意見を表明していますが(関連記事はこちら)、「日本病院会としての意見」(日病で養成を始めている『病院総合医』と、新専門医制度における『総合診療専門医』との関係、地域で求められる専門医像と、必要とされる能力など)を別途、取りまとめ、表明していくことになりそうです。今後、日病内部でさらに議論を詰めていくことになります(病院総合医の関連記事はこちらとこちら)。

 
さらに相澤会長は、地域医療においては「総合的な診療能力を持つ医師」の存在が非常に重要であるとも強調。新専門制度では、19番目の基本領域として「総合診療専門医」を位置付け、養成を開始していますが、早くとも2021年度以降にならなければ総合診療専門医は誕生しません。その間にも、地域において総合的な診療能力を持つ医師が不可欠なことは述べるまでもありません。

この点、相澤会長は「従前の専門医制度の下では、専門医は、特定の専門領域を持ったうえで、内科医も軽度の腰椎圧迫骨折などの外科領域をカバーし、外科医も肺炎などの内科領域をカバーするという形で、総合的な診療能力を持ち、地域医療を支えてきた。しかし、新専門医制度の下ではそういう形での地域医療の支え方ができなくなっていくように見える」と懸念しています。今後の動向に要注目です。



https://www.medwatch.jp/?p=23262
介護医療院は2018年9月末で63施設・4583床、6月末から3倍に増加―厚労省 
2018年11月2日|介護保険制度 MedWatch

 今年(2018年)9月末時点で、63施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は4583床となった。介護療養と介護療養型老健施設からの転換がほとんどである―。

 こうした状況が、厚生労働省が11月1日に公表した「介護医療院の開設状況等(平成30年9月末)」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

 6月末時点と比べて、施設数は3倍(21施設→63施設、42施設増)に、ベッド数は3.3倍(1400床→4583床、3183床増)となり、着実に転換が進んでいます(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 介護療養・転換老健からの転換が多く、医療療養からは一部にとどまる
2 施設数最多は北海道・山口県の6施設、ベッド数最多は広島県の492床

介護療養・転換老健からの転換が多く、医療療養からは一部にとどまる

 介護医療院は、2017年の介護保険法改正で創設された▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ、新たな介護保険施設です。2018年度の介護報酬改定で単位数や構造・設備基準が設定され、この4月から各地で開設がスタートしました。

 この9月末(2018年9月末)の状況を見ると、日本全国では63施設・4583床が開設されており、3か月前(2018年6月末)の3倍の施設数・ベッド数になりました。

もっとも、2017年の病床機能報告結果からは「一般病棟・療養病棟から、全国で約1万6000床が介護医療院への転換を希望している」(2023年度の意向)ことが分かっており、「転換意向はあるが準備中」であるのか、「転換意向がある、準備も完了しているが、自治体(市町村)の認可が下りない」のか、詳しく見ていく必要もありそうです(関連記事はこちら)。

 報酬区分別・転換元別・地域別の内訳をみると、次のような状況です。

【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】(775-1332単位):35施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2425床(同1743床増)
▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】(731-1221単位):26施設(同18施設増)・2059床(同1440床増)
▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):2施設(ベッド数は上記に含まれている)
 
【転換元別】
▽介護療養(病院)から:32施設(2018年6月末に比べて22施設増)・2549床(同1928床増)
▽介護療養型老健施設(転換老健)から:20施設(同13施設増)・1382床(同753床増)
▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:12施設(同8施設増)・383床(同286床増)
▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:5施設(同4施設増)・235床(同216床増)
▽有床診療所から:2施設(同増減なし)・24床(同増減なし)
▽介護療養(診療所)から:1施設(同増減なし)・10床(同増減なし)

 医療療養からの転換が、合計17施設・618床あります。介護療養はもちろん、医療療養から介護医療院への転換は「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていますが、小規模な自治体(町村)では、「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」へ転換が生じた場合、介護費が急増し、保険料が高騰してしまうため「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されます(下図表のように、医療療養から介護医療院への転換に一定の制限を掛けている自治体もある)。現在、厚生労働省で対応が練られており、今後の動きに注目する必要があります(関連記事はこちらとこちら)。

施設数最多は北海道・山口県の6施設、ベッド数最多は広島県の492床

【地域別】

●6施設ある自治体(2道県)(ベッド数の多い順に記載、以下同)
▽北海道:6施設(同4施設増)・440床(同252床増)
▽山口県:6施設(同4施設増)・369床(同294床増)

●5施設ある自治体(1県)
▽岡山県:5施設(同5施設増)・270床(同270床増)

●4施設ある自治体(1県)
▽富山県:4施設(同3施設増)・317床(同147床増)

●3施設ある自治体(6県)
▽広島県:3施設(同2施設増)・492床(同450床増)
▽静岡県:3施設(同2施設増)・282床(同224床増)
▽埼玉県:3施設(同2施設増)・232床(同134床増)
▽長崎県:3施設(同増減なし)・231床(同増減なし)
▽愛知県:3施設(同2施設増)・219床(同177床増)
▽徳島県:3施設(同1施設増)・109床(同58床増)

●2施設ある自治体(6県)
▽群馬県:2施設(同1施設増)・217床(同150床増)
▽石川県:2施設(同1施設増)・203床(同60床増)
▽香川県:2施設(同増減なし)・130床(同増減なし)
▽大分県:2施設(同2施設増)・104床(同104床増)
▽鹿児島県:2施設(同2施設増)・88床(同88床増)
▽佐賀県:2施設(同1施設増)・74床(同52床増)

●1施設ある自治体(12府県)
▽奈良県:1施設(同1施設増)・238床(同238床増)
▽沖縄県:1施設(同1施設増)・100床(同100床増)
▽福井県:1施設(同1施設増)・80床(同80床増)
▽茨城県:1施設(同1施設増)・60床(同60床増)
▽長野県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽福岡県:1施設(同1施設増)・58床(同58床増)
▽島根県:1施設(同増減なし)・52床(同増減なし)
▽秋田県:1施設(同1施設増)・42床(同42床増)
▽大阪府:1施設(同1施設増)・39床(同39床増)
▽岐阜県:1施設(同1施設増)・36床(同36床増)
▽愛媛県:1施設(同増減なし)・31床(同増減なし)
▽青森県:1施設(同1施設増)・12床(同12床増)

●ゼロ施設の自治体(19都府県)
▽岩手県▽宮城県▽山形県▽福島県▽栃木県▽千葉県▽東京都▽神奈川県▽新潟県▽山梨県▽三重県▽滋賀県▽京都府▽▽兵庫県▽和歌山県▽鳥取県▽高知県▽熊本県▽宮崎県—

 最も施設数が多いのは北海道と山口県の6施設、最もベッド数が多いのは広島県の492床、2018年6月末に比べて最も施設数が増加したのは岡山県の5施設増、同じく最もベッド数が増加したのは広島県の450床増、という状況です。



  1. 2018/11/04(日) 09:18:15|
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Google Newsでみる医師不足 2018年10月31日

Google Newsでみる医師不足 2018年10月31日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 12,400
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 13,400
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First 5 in Google in English 


New primary care centre in Langford just the first step to address doctor shortage says B.C.’s Health Minister
October 29, 2018 CHEK, News (カナダ ブリティッシュコロンビア州)

On Friday Premier John Horgan announced a new urgent primary care centre in Langford to try to close the doctor shortage gap on the West Shore. It will be run similar to a walk-in clinic where you don't make appointments or see the same doctor but B.C.’s Health Minister insists it will help thousands find the care they need.



Critical shortage of doctors prompting range of solutions
By: Gina Mangieri
Posted: Oct 29, 2018 03:39 PM HST KHON (米国 ハワイ州)

The neighbor islands and parts of rural Oahu are suffering a critical doctor shortage. Whether it's older doctors retiring sooner, or young doctors driven out of Hawaii by high costs or lured by mainland incentives, it's been an uphill battle finding a cure for a physician workforce that's way too small.



FOX 11 Investigates a growing doctor shortage in Wisconsin
Fox11online.com‎ - 2018年10月1日 (米国 ウィスコンシン州)

MADISON (WLUK) -- Wisconsin is facing a doctor shortage forcing patients to wait longer for treatment, and in some cases prompting residents to go without medical care. Hardest hit by the shortage are rural communities, like those that dot Northeast Wisconsin.



Republicans' Drive To Tighten Immigration Overlooks Need For Doctors
BY KAISER HEALTH NEWS | OCTOBER 30, 2018 (米国)

The U.S. is grappling with a doctor shortage that's expected to grow to as many as 120,000 physicians by 2030. Foreign-born doctors are vital to the national healthcare delivery system. Doctors there hesitated to grant the family practitioner and general surgeon privileges to the local hospital when he arrived in 1981.



N.S. health authority hopes new recruitment website will help decrease doctor shortage  (カナダ ノバスコティア州)
By Graeme Benjamin
October 3, 2018 3:29 pm Global News

The Nova Scotia Health Authority (NSHA) has launched a new physician recruitment website, with hopes of chipping away at the family doctor shortage facing the province.
The website was launched on Wednesday, using feedback from physicians about their decisions to work and live in Nova Scotia.



(他に10位以内のニュースは、オーストラリア2、米国 (全米, ニューヨーク州)、からも)


参考(#10)
Facing a doctor shortage, NYC looks to Grenada
The city's struggling public hospitals have a partnership with a controversial med school in the Caribbean.
By JEFF COLTIN
OCTOBER 16, 2018 City & State NY

Eric Behar was an aspiring doctor with a master’s degree in neurobiology under his belt when he saw the subway ad that would save him $62,000.

The eye-catching advertisement was for CityDoctors, a partnership between New York City’s public hospital system and St. George’s University School of Medicine, which is based in the Caribbean island nation of Grenada. New York City residents pursuing a medical career can have their tuition covered at SGU if they pledge to work a certain number of years as a primary care doctor at New York City Health + Hospitals, the city’s struggling public hospital system.

“Why not?” Behar thought after seeing the ad. “There’s no better place to give back, and I’m from here, and I want to stay here.”

He returned to New York after completing his studies at SGU in 2017, working as a resident psychiatrist at Metropolitan Hospital Center close to where he grew up on Manhattan’s Upper East Side. He received a two-year scholarship, so he’ll owe the city two years of employment once he completes his residency and becomes an attending physician.



  1. 2018/10/31(水) 08:54:46|
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10月28日 

https://this.kiji.is/426925911802610785?c=39546741839462401
新制度で医師不足の拍車懸念 長崎県内医療者がシンポ 
2018/10/22 11:1010/22 11:11updated 長崎新聞

 若手医師が分野ごとの高度な知識や技術を身に付けるため、本年度導入された新専門医制度について、県内の地域医療関係者が意見を交わすシンポジウムが13日、長崎市内であった。同制度では若手医師の研修先が大都市圏に集中しており、県内の医師不足や偏在に拍車が掛かることを懸念する声が上がった。
 同制度は2年間の初期臨床研修を終えた医師が、内科や外科など19の基本領域(診療科)から1領域を選び、専門医を目指す。全国で、大病院を基幹施設に複数の病院が連携する各領域の養成プログラム(3~5年程度)を用意しており、毎年度、専攻医を募集する仕組み。ただ、大病院が多い大都市に研修先が集中すれば地方の医師確保が一層難しくなるとの指摘があり、東京など5大都市圏では募集定員の上限がある。
 シンポは14日まで開かれた第40回県地域医療研究会(県病院企業団主催)の一環。同企業団運営の離島・へき地の病院などに勤める医師、看護師ら約200人が参加した。同制度では、長崎大学病院(長崎市)や長崎医療センター(大村市)が企業団の病院と連携したプログラムを展開しており、シンポでは関係者ら4人が講演した。
 同企業団が運営する県上五島病院(新上五島町)の八坂貴宏院長は、初年度の研修先が予想どおり東京などに集中したことを指摘。本県については専攻医83人が研修先に選んでいるが、眼科や皮膚科など誰も選ばなかった診療科があったことなども課題として挙げた。「地域偏在がどんどん進むかもしれず、医療が崩壊しない形の専門医制度にすべきだ」と述べた。
 県内で質の高い研修を展開することも課題。長崎医療センター総合診療科・総合内科の和泉泰衛医長は、連携先の同企業団側に対し「(医師や看護師、事務職員らが)制度に理解を深めると、専攻医はより良い研修ができる。専攻医がスムーズに専門医を取得できるよう協力していきたい」と呼び掛けた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637310
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
必要医師数「2036年」時点で推計、「地域枠」は別枠の入試で
「地域枠」義務年限履行、別枠方式95%、手挙げ方式86%
 
レポート 2018年10月24日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は10月24日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)で、将来的な「医師確保計画」について、「2036年」をターゲットとして「医師偏在指標」や「必要医師数」を設定、対策を講じる方針を提示し、おおむね了承を得た(資料は、、厚労省のホームページ)。

 将来的な計画は、「地域枠・地元枠設定の政策効果が一定程度蓄積」するのが前提。「地域枠」については、入試段階でそれ以外の入試枠と分け、特定の地域における診療義務がある「別枠方式」を原則とすべきだと提案している(下図の②で、「XX」年が2036年)。

 「地域枠」には、入試は同じ枠で行い、入学前後に地域枠希望者を募る「手挙げ方式」もある。2008年度以降の医学部の臨時定員増関連の「地域枠」を見ると、「手挙げ方式」の義務年限の推定履行率は86%で、「別枠方式」の95%よりも低い。24日に開催された自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」でも、「別枠方式」とすべきだと決議した(『「医学部の地域枠、一般枠と峻別を」、自民議連が決議』を参照)。

 「医師確保計画」は、早期に効果を発揮する短期的な対策も策定する(上図の①)。三次、二次医療圏間の医師偏在については、2019年度から各都道府県が「医師確保計画」(初回は2020~2023年度、以降は3カ年サイクル)を策定する。三次、二次医療圏のいずれについても、「計画終了時点」の医師偏在指標の値が、計画開始時点の医師少数医療圏の基準値(下位○%)に達することとなる医師数を、「目標医師数」として設定。都道府県内での医師派遣調整をはじめ、各種の対策を実施して偏在解消に努め、段階的に三次、二次医療圏間の医師偏在の解消を目指す。


 「地域枠」見直しの効果が十分に出るのは2036年度以降

 2036年度をターゲットとして将来時点の「医師偏在指標」や「必要医師数」を設定するのは、「地域枠」に「別枠方式」を2022年度から徹底しても、その効果が十分に出るのは2036年度以降と想定されることなどが理由だ。2020年度と2021年度の医学部定員は、「2019年度の医学部定員を超えない範囲」とすることが決まっている(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。

 将来時点において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の「医師偏在指標」の値(全国値)を算出し、地域ごとに将来時点の「医師偏在指標」が全国値と等しい値になる医師数を「必要医師数」とする方針。一方、都道府県別の供給推計は、「各都道府県の性・医籍登録後年数別の就業者の増減が、将来も継続するものとして推計をすることとしつつ、都道府県別の供給推計が、マクロの供給推計と整合するよう必要な調整を行う」ことなどを基本的な考え方とする。

 聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、「区切りはいいが、その間に何らかの中間的な評価のポイントを設けるのはどうか」と発言。産業医科大学医学部教授の松田晋哉氏は、「マクロはいいが、高齢者自体が減っている地域がある。医療需要のピークは、都道府県によって差があるので、都道府県別の推計とモニタリングが必要」と指摘した。


 「地域枠」と「地元出身者枠」、区別して活用

 2017年7月に成立した改正医療法により、「都道府県知事から大学に対して、地対協の協議を経た上で、地域枠または地元出身者枠の創設、増加を要請できる」仕組みが新設された(2019年4月1日施行)。「地域枠」は、都道府県内でも特定の地域での勤務義務があるため「都道府県内の偏在調整機能」、一方、「地元出身者枠」は、当該大学の所在地である都道府県内に、長期間にわたり8割程度の定着が見込まれているが、特定の地域等での診療義務があるものではないため「都道府県間の偏在調整機能」がそれぞれ期待される(「地元出身者枠」は、他の都道府県の大学に創設・増加を求めることが可能)。

 これらの特性を踏まえ、厚労省は「地域枠」は都道府県内に「医師少数区域がある場合」に、「地元出身者枠」は都道府県が「医師少数都道府県である場合」に、都道府県知事が大学に対してそれぞれ要請できるようにすることを提案。さらに「地域枠」については、「原則、大学に対して、特定の地域における診療義務のある別枠方式を要請することとしてはどうか」とした。

 厚労省提案はおおむね支持されたが、問題視する声が相次いだのは、「地域枠」の現状について。厚労省がこの9、10月に都道府県に調査したところ、暫定的な集計結果として、「地域枠」で「手挙げ方式」の場合、義務年限の推定履行率は86%にとどまるなどのデータが提示された。

 臨時定員増の2008年度から2018年度までの11年間で、「地域枠」は合計で6533人。奨学金貸与実績は5689人。その差、844人は一般枠扱いとなった。

 慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「普通の人が、日本語として理解できる仕組みにすることは賛成」と述べ、「地域枠」を「別枠方式」とすることを支持した。「モチベーションが高い人が入学すると、国家試験の合格率も高いので、その辺りのことも考慮して取り組むことが必要」。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「地域枠がこれまで有効に機能していなかった部分を検証する必要がある」と指摘し、厚労省調査の結果が都道府県単位だったことから、個別大学の「地域枠」のデータを基に、今後の方針を議論することが必要だとした。認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「地域枠は、もともと別枠(の入試枠)だと思っていた。地域枠の名前で確保した学生を一般枠で教育してきたことではないか」と指摘した。

 文部科学省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「別枠方式でなければいけないわけではない」と断りつつ、地域枠のフォローアップが十分ではなかったことは認め、「大学の状況を今、調査している。地域枠の設定の仕方や、(2008年度以降の)臨時定員増との関係も議論できるよう、調査結果を報告する」と回答した。

 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、入試要項に「地域枠」の定員を明記していなかったり、定員が充足していないケースがある現状を挙げ、「文科省にも責任があるのではないか」と質した。

 西田課長は、「別枠方式」の場合は、入試の段階で選抜を行っているので、募集要項に記載している一方、「手挙げ式」で入学後に選抜する場合であれば、「入試要項」に記載しないこともあり得るとした。文科省は今年8月、厚労省とともに各大学に対して、2019年度の入学定員について、「別枠方式」で定員を充足するよう努力することや、2020年度については「地域枠」の充足率の状況を踏まえ、入学定員を精査する旨を通知したと説明した。


 「まず医師が少ない地域をどうするか」

 短期的な施策は、「医師偏在指標の算出」⇒「医師多数区域・医師少数区域の設定」⇒「医師確保計画」を策定、その後、PDCAサイクルで回しながら計画を実行していく。「まず医師が少ない地域をどうするか、という議論をしていく」(厚労省医政局医事課長の佐々木健氏)。「医師多数区域・医師少数区域」の設定の仕方は、前回会議で議論した(『医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定』を参照)。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏は、「流れとしては賛成。うまくデータを活用することが必要」と述べた上で、三次医療圏(基本は都道府県単位)では充足していても、不足している二次医療圏がある都道府県もあることから、三次医療圏と二次医療圏で医師の多寡をマトリックスにして、施策を検討していくことが必要だとした。小川氏も、神野氏の指摘を支持。さらに大学病院のある二次医療圏から、医師不足の地域に診療応援に行っていることなども踏まえて、医師確保計画を策定するよう求めた。福井氏も同様の意見を述べた。

 具体的施策の一つが、今年7月に成立した改正医療法で新設された「医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度」。山口氏は、この制度を利用するインセンティブとして、「地域医療支援病院等の管理者として評価」等では不十分ではないかと問いかけ、再度議論をするよう要望した。今村氏からは「医師少数区域に派遣される医師のキャリア形成は重要だが、誰が責任を持つのか、それをある程度、明確にしていくことが必要」といった意見も上がり、厚労省は改めて議論すると回答。



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181025-OYTET50012/
医学部「地域枠」、入試段階で「一般枠」と別枠に…厚労省が大学に要請へ 
2018年10月25日 読売新聞

 地方の医師確保を目的に、大学医学部の定員増を認める「地域枠」が、一部で「一般枠」扱いになっていた問題で、厚生労働省は24日、入試の段階で一般枠と分ける「別枠方式」でなければ認めないことを決めた。今後、実施時期を検討し、各大学に要請する。同日開かれた有識者会議で了承された。


 国は医学部定員の抑制策を閣議決定しているが医師不足が深刻な地域もあるため、臨時措置として2008年度から原則、地域枠に限り定員増を認めている。

 定員増の対象になるのは、地域で一定期間、勤務することを条件に奨学金を貸与する地域枠。厚労省が地域枠の実態を調べたところ、08~18年度の11年間で、定員の1割を超える800人余が埋まらず、その分、一般枠の学生が増えていた。

 調査で、定員が埋まりにくいのは、入試の段階では一般枠と区別せずに選抜し、入学後に地域枠の希望者を募る「手挙げ方式」と判明。厚労省と文部科学省は、これまで各大学に任されていた募集方法を別枠方式に統一すべきだと判断した。

【解説】地域枠の厳格運用だけでなく…魅力ある教育の充実を

 医師不足対策の切り札として設けられた地域枠の一部が、実際には機能していなかったことがわかった。定員が埋まりにくい「手挙げ方式」を大学が採用するのは、高い学力の学生を確保したいためだ。ただ、それでは、必ずしも地域医療に貢献する意志のある学生が集まるとは限らない。

 手挙げ方式を採用し、地域枠の欠員が多かった大学の中には、地域医療より研究に重点を置いている主要大学もある。希望者が集まらないなら、そもそも定員を増やす必要があったのか。ほかにもっと増やすべき大学はなかったのか。

 この地域枠の仕組みが始まって10年以上になるが、医師が都市部に集中する「医師偏在」は解消していない。地域枠で学びながら、都市部に流れる医師がいることも問題になっている。

 地域枠の厳格運用だけでなく、地域に関心を持つ受験生にとって魅力があり、しかも、実際に選択した場合に満足できる教育の充実も不可欠だ。学生や大学にとっても、よりよい仕組みづくりが求められている。

(医療部 加納昭彦)



https://japan-indepth.jp/?p=42624
仏で女性医急増、男性超えへ 
Ulala(ライター・ブロガー)
2018/10/26 Japan in Depth

フランスでは、現在、女性医師の割合が年々増加しています。2022年には女性医師の人数が男性医師の人数を追い抜くと予測される(参照:LA CROIX)ほど急速に増えており、「医者は女性向けの職業」と言われるほどです。30年前にはそんな状況は考えられないことでした。なぜそこまで女性医師が増えることになったのでしょうか?そこで、フランスで女性の医師が増加している理由を探ってみたところ、実は、政府が行った二つの改革が大きく関係していることが浮かび上がってきました。

■ 女性医師の割合増加要因となった改革

女性医師の割合が増加する要因の一つは、過去に医学を学ぶ学生数に制限を設けたことが大きく関係しているようです。

1972年以前は、研修を受ける医学生の数に制限はありませんでした。医学部に入るためには、試験に合格する実力があれば十分だったのです。しかし、制限しなかった結果、医者の数があまりにも増加してしまい、予算削減のためにも医学を学ぶ学生の数に制限を設けることとなったのです。

1972年に大学一年目の試験に合格した医学生は、現在60歳代の医者となっていますが、この年には8,588人の学生が試験に合格し、2年目に進んでいます。しかし、それでは多すぎるとされ、徐々に定員が削減されていきます。1982年には6,409人、1993年にはとうとう3,500人にまで減らされていきました。(参照:Cris et Chuchotements Médicaux)この厳しい定員の削減数と反比例するかのように、女性の占める割合が増加していきます。

図1は、2016年における年齢層別の医師の数のグラフです。これを見ると、定員削減により、数が激減したのはあきらかに男性であることが見てとれます。

女性の人数も確かに減ってはいますが、どちらかと言えば一定の数を保ち続けているとも言えるのではないでしょうか。55歳~60歳未満の男性医師が16,407人おり、同年代の女性医師の8,100人の約2倍の数であったのにもかかわらず、定員制限が行われた後の40代になると、男性医師は11,349人減少し、5,058人となっています。一方、女性医師は4,692人と、減少したのは3,408人で、割合にして男性医師は約70%減少しているのに対し、女性医師の減少は約40%に過ぎないのです。

これはいったいどういうことでしょうか。
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▲図1 フランスの 2016年における年齢層別の医師の数のグラフ 出典:CARMF

女性の方が男性よりも試験の結果がよく、男性の合格数が少なくなっただけでは?とも考えられますが、もちろんそうではありません。実際の話、女性の方が男性よりも合格率が低いのは事実です。

例えば、2010年頃から一年目の年にいる女性の割合は65%ほどですが、2年目に上がるための試験を受けた後は50%台にまで落ちます。(参照:資料のgraphique 2を参照)これは、35%しかいない男性の方が優秀で、多くが試験に受かることができており、女性の方が合格率が低いと言えます。

それならば、なぜ、男性が少なくなったのか。

その大きな疑問を、ナントのCNRSの研究員、アーディー・アン・シャンタル氏は、当時の男性が医学ではなく、金融や経営など他の分野に行ったからだと説明しています。(参照:仏Canal-U)

当時は景気も良くなってきており、男性にとっては狭き門の医学を目指すよりも、他の分野で管理職として活躍する方が魅力的だったのでしょう。

しかし、反対に多くの頭脳明晰な女性には医学の道に行くことの方が魅力的でした。自分の人生を考えた時に、会社の管理職になるよりも、医者の方が長く確実に使える資格であり、子供を育てながら働くのに適していると判断されたからでもあります。


■ 「一般医」資格取得方法の見直し

また、もう一つ女性の進出に大きく影響を与えた改革がありました。1982年に行われた改革は、さらに女性が医師として働く場を大きく広げたのです。その改革は、医学部での「一般医」の資格取得方法の見直し、及び「病院医」と「専門医」が二つに分かれていたものを、一つに編成し直したものです。

この頃は、「一般医」と「病院医」はとても男性が多い傾向にあり、反対に「専門医」は女性が多い傾向にあったため、同じ医師と言っても、男女が働く場に境界線のようなものが存在していたような形でした。しかし、改革後は一般医の試験がなくなり、あわせて病院医と専門医が同じ教育となったことで、男女の働く職場の境がなくなったのです。

この結果、女性医師の活躍する場が多様に広がり、男性を基準に作られていた職場も、女性も働きやすい環境やシステムに変えられるようになっていきます。一般医にしても、土日や深夜に出かけることがある職業であったのものを、何人かの一般医のグループで診療所を回すことで一人にかかる負荷を軽減させるなど経営形態を変えていき、女性向きの仕事に変えたり、フルタイムで働く代わりに女性は80%で働くシステムを採用したりすることで、子育て時間の確立と仕事を両立することを可能にしたのです。

そして、現在では、医者と言う職業は、すっかり女性に適した職業だと言われるようになり、さらに人気は高まりつつあるのです。


■ 女性医師は増加していくか?

これだけ高い女性の医学部の学生割合と、この何年かで多くの男性医師が退職をしていく状況の中、フランスでの女性医師の割合は男性を追い抜くことは間違いないと思われます。しかしながら、今年になって、もしかしたらその状況は長く続かないかもしない可能性がでてきました。

というのも、医師が多かった時代の60代以上の世代の医師が次々と退職し始めた結果、現在フランスでは医師不足に悩まされることとなり、マクロン政権は医学生の定員制限を撤廃するなどの改革を行い、医師を増やしていくことを発表したのです。

この改革が行われれば、決められた人数だけが医学を学べるのではなく、ある一定のレベルに到達していれば医学を学べるという、より自然な選抜が実施されることになります。また、他の分野にも行ける道を増やし、もし医師の試験に受からない場合でも容易に他の分野に進めるようになるとしています。

そうなると気になるのは男子学生の動向です。現在はすっかり女性が多い職場になったフランスの医学界ですが、学生の定員制限が撤廃され、失敗したとしても他の道にも行きやすいとなれば、もともと実力のある男子学生がまた医学の道を志すようになる可能性もでてくるのではないでしょうか。

実際どうなるかは蓋を開けてみなければわかりませんし、結果を知るのはまだまだ先の話になりますが、12年~15年後には男性医師が増大する可能性が大いに出てきたということです。しかし、いずれにしても、すでに作られた女性が働きやすい環境がこれからも持続する限りは、女性からの人気も衰えることがないことは間違いないでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637274
「医学部の地域枠、一般枠と峻別を」、自民議連が決議
文科・厚労両省に提出、地域枠の一般枠への振り替えを問題視
 
2018年10月24日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 自民の衆参両院の国会議員約180人で組織する「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」(会長:河村建夫・衆院議員)は10月24日の総会で、大学医学部入試において、地域枠は「別枠方式」、つまりそれ以外の入試枠と峻別して募集を行い、必要な地域枠学生の確保を確実にすることなど、3項目から成る医師偏在対策の決議文を採択した(文末を参照)。来週、柴山昌彦文科相、根本匠厚労相に提出予定。

 医学部の地域枠の定員は、2008年度の医学部定員増に伴い、増加してきた。医師偏在対策が目的だが、決議文では「地域枠による臨時定員増と称しながら、一部の大学において地域枠が充足されていない上、その不足分を一般枠等に用いてきたという実態が明らかになった」と問題視している。

 地域枠には、入試段階から別に行う「別枠方式」と、入試は同じ枠で行い、入学前後に地域枠希望者を募る「手挙げ方式」に大別できる。厚生労働省が都道府県に対して、この9月から10月にかけて実施した調査では、「別枠方式」は、募集数の91%に奨学金貸与実績(確保率)があり、義務年限(卒後9年相当)の推定履行率は95%(2008年度以降の医学部の臨時定員増関連)。一方、「手挙げ方式」の確保率は79%にとどまり、推定履行率も86%。決議文で、「別枠方式」を求めているのはこのためだ。同日開かれた厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第23回医師需給分科会でも、都道府県知事は大学に対して、「別枠方式」の地域枠を要請することで意見の一致を見ている。

 議連後、事務局長を務める自見はなこ・参院議員は、「地域枠に関する実態が明らかになるのは今回が初めて」と断った上で、「地域枠卒の医師は、地域医療に従事していると思っていたが、手挙げ方式では思ったほど高くはなかった」と語った。地域枠として定員増が認められた部分を一般枠に振り替えることは「不誠実」であり、定員が埋まらなかった場合にはその分を返上すべきだと指摘。「文科省には、突っ込んだ対応をしてもらうことが必要」(自見氏)。

 議連では、宮下一郎・衆院議員は「地域枠として上乗せした分なので、希望者がなかったからといって、定数はそのまま(一般枠への振り替え)とするのは、焼け太り」と指摘し、別枠方式を求めた。一方で、「まず入学させて、その中から地域枠の学生を選ぶ方が、公平性が担保されるのではないか。医学部6年間でいろいろ考えも変わってくる」(三ツ林裕巳・衆院議員)といった意見もあったが、決議文は了承された。

 古川俊治・参院議員は、2021年度までは現行の医学部定員がほぼ維持される見通しであることから、「早く減らさないと大変」と指摘し、地域枠とそれ以外をどんな割合で減らすべきかを議論する必要性を強調(『医学部定員、「2022年度以降、減員に向けた議論が必要」』を参照)。厚労省医政局長の吉田学氏は、地域枠の現状などを踏まえて、検討していく方針を示した。

 冨岡勉・衆院議員は、「長崎県では、医師が余っている現状がある」と指摘し、医師不足や医師偏在の現状認識を質した。厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「将来的には医師が過剰になっていくのは明らかだが、地域や診療科の偏在があるのは確かなので、偏在問題については引き続き是正をしていくことを考えている」と回答した。

「地域枠に関する入試のあり方について」
一、 文部科学省及び厚生労働省は、地域枠の充足や定着の状況について、引き続き精査をし、個別都道府県及び大学ごとの状況を早急に明らかにすること。

一、 臨時定員の要件である地域枠については、地域枠以外の入学枠と峻別した上で学生の募集を行うことにより、必要な地域枠学生の確保が確実になされるよう、文部科学省は大学に対して指導を行うとともに、厚生労働省は、各都道府県において今後の地域枠の需要を明らかにし、必要な地域枠が確実に設置されるよう、当道府県に対し指導及び支援を行うこと。

一、 これらは医学部医学科の入試に関わることであることから、地域医療に従事したい学生に対して公平な選択の機会が与えられるよう、現在入試の公平・公正なあり方について議論されている全国医学部長病院長会議・大学医学部入学試験制度検討小委員会においても、地域枠についての整理も行うこと。



https://resemom.jp/article/2018/10/25/47379.html
医学部の地域枠、2,594人定員割れ…厚労省調査 
リセマム 2018.10.25 Thu 13:15

 地域の医師不足解消を目的とした医学部の地域枠は、2008年度から2018年の11年間の合計募集数1万835人のうち、2,594人分が埋まらず定員割れしていたことが、厚生労働省の調査結果より明らかになった。

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地域枠の履行状況

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地域の医師確保を目的とした都道府県地域枠

 地域の医師不足解消を目的とした医学部の地域枠は、2008年度から2018年の11年間の合計募集数1万835人のうち、2,594人分が埋まらず定員割れしていたことが、厚生労働省の調査結果より明らかになった。

 地域枠は、地域の医師確保を目的に、都道府県が大学医学部の学生に奨学金を貸与する制度。医師免許取得後、都道府県内の特定の地域や医療機関に貸与期間のおおむね1.5倍(9年間)の期間従事した場合、奨学金の返還が免除される。

 地域枠履行状況等調査は、各都道府県が奨学金を貸与する代わりに地域医療へ従事する「地域枠」の履行状況を調べたもの。調査対象は47都道府県、調査対象期間は2008年度から2018年度の11年間。

 地域枠学生の選抜方法は、一般枠と別枠の募集定員を設ける「別枠方式」と、一般枠などと共通で選抜し、事前または事後に地域枠学生を募集する「手挙げ方式」とに大別される。

 地域枠の履行状況は、11年間の合計募集数1万835人のうち、貸与実績は8,241人(76%)で、2,594人分が埋まらず定員割れした。方式別にみると、別枠方式は募集数5,956人、貸与実績5,290人(89%)、手挙げ方式は募集数4,879人、貸与実績2,951人(60%)だった。

 地域枠の離脱状況は、別枠方式では93%が義務履行すると推定されるのに対し、手挙げ方式だと82%しか義務履行されないと推定される。手挙げ方式は、地域枠の履行状況や離脱状況がよくないことから、厚生労働省の検討会では、都道府県や大学に対して「別枠方式」による地域枠を要請するとしている。
《工藤めぐみ》



https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018102400004.html
東京医科大学「性差別」入試から見えるもの
女性医師が増えて困ることは何もない
 
上野千鶴子 社会学者
2018年10月25日 朝日新聞

 東医大不正入試によって、ようやく医師の「働き方」が、問題視されてきた
拡大東京医大の不正入試によって、医師全体の「働き方」も問われるようになってきた

 医師が過重労働になるのは、人口当たりの病床数が多く、外来受診数が多く、保険診療点数が抑制されており、医師が不足しているからである、と日本の医療システムの構造的な原因を指摘するひともいる。個人的な問題の背後には構造的な問題が横たわっている。だが、その構造を厚生官僚と共に長期にわたるなれ合いのもとで維持してきたのは、医師会自身ではないのか。開業医と勤務医とのあいだには大きな格差がある、医師会は開業医主導だったというなら、それを放置してきたのは誰なのか。

 八つ当たりのように、医師の過重労働は国民健康保険制度のせいだという人すらいる。日本の医療は質が高く、相対的に安価で、病院のアクセスへのハードルが低い、だから病院へ患者が押し寄せる、と。だが5時間待ち3分診療の現実が、ほんとうに「質が高い」医療と言えるかどうかは疑問だし、何より病院へ好きで行くひとはいない。安価で民主的な国民皆保険は、日本の誇るべき財産だ。患者に診療抑制を求める前に、安易な診療行動を誘発したのは、これも誰なのか?

 診療の完全予約制を採用すれば、医療現場は医師にとっても患者にとっても劇的に改善するだろう。できないはずはない。歯科診療の多くはとっくにそうなっているのだから。予約がとりにくくなれば、自ずと診療行動は抑制される。今でもすでに専門病院の敷居は高くなっている。緊急性の判定は、家庭医が行えばよい。


つくられる医師不足

 医師が足りない、という。なら増やせばよい。だがそうすれば医療費が高騰する、という。「医師の賃金が現状のままならば」という前提なら、そうなる。医師の働き方改革を唱えるひとたちが、触れようとしないのは、医師の報酬問題だ。

 医師と並んで高給取りの専門職は弁護士だが、司法改革で弁護士業界は激変した。アメリカなみの司法サービス需要が増えると見込んで始まった司法改革によって司法試験合格者が増えたにもかかわらず、見通しを誤り、法曹市場は拡大しなかった。そのため、現在ではかえって司法試験合格者の引き締めに入った。法曹人口が増えても法曹市場が拡大しなければ、1人あたりの分配が減る。

 法曹養成のために導入した法科大学院は、合格率にばらつきが大きく、一部はすでに閉校に追い込まれた。苦労して合格した後にも、司法修習生は就職難に苦しむようになった。法曹のプロの平均所得は、これから低下するだろう。そうなれば弁護士は特権的な職業ではなくなる。弁護士がもうかる職業でなくなれば、経済動機ではなく、社会貢献動機で法曹を志す若者たちが参入してくれるだろう。これは弁護士に限らない。税理士、公認会計士など、士業一般のサービスの価格破壊は進行中である。(以後有料記事)



https://www.medwatch.jp/?p=23066
「成長なしコスト増時代」が到来、増収・増益戦略ない病院は生き残れない―GHCコンサルタントが警鐘 
2018年10月24日 | GHCをウォッチ MedWatch

 グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC、ホームページはこちら)は10月20日、急性期病院の幹部向け講演会「GHCマネジャーが徹底解説!急性期病院経営、増収・増益セミナー―単価アップ・患者増の秘訣―」を開催しました。

 イントロダクションでGHCマネジャーの森本陽介は、「コンサルタントとして全国の病院の財務状況を俯瞰すると、コストが年々増加している一方で、収益がゼロ成長、マイナス成長という病院の事例が後を絶たない」と指摘。「こうした厳しい状況の中で、明確な増収・増益戦略がない急性期病院は生き残れない」と警鐘を鳴らしました。

ここがポイント!
1 5つの背景で厳しい環境を突破する3つの戦術
2 ハードとソフトに分け「改善できること」を推進
3 冷静なデータとウエットな関係の両輪が必要
4 聖域「職員の生産性」に踏み込む2つの切り口


5つの背景で厳しい環境を突破する3つの戦術

 本講演会は、「成長なしコスト増時代」には増収・増益の戦略が欠かせず、そのための具体的な戦術を提案。森本は、収益伸び悩みの背景として、▼市場規模の頭打ち・制度厳格化(顧客:Customer)▼競争環境の激化(競合:Competitor)▼医師等確保の難しさ・業務非効率(自院:Company)―のマーケティングにおける3Cが主因と指摘。費用増大の背景には、▼過剰投資(人・設備・IT)▼医療の高度化(薬剤・診療材料費率高騰)―の2点があると指摘しています。
 
 その上で、こうした環境下で増収・増益を実現するための戦術を、(1)医療の質向上と両立する「コスト削減」(2)急性期症例の「徹底的な集患」(3)院内マンパワーを最大限に活用する「生産性向上」―の3つに整理。それぞれを、多数の改善事例を支援してきたGHCコンサルタントが解説しました。

ハードとソフトに分け「改善できること」を推進

 (1)医療の質向上と両立する「コスト削減」については、マネジャーの冨吉則行が「診療部を巻き込んだコスト削減の手法(パスによる薬剤適正化、コスト削減)」について解説しました。
 
 診療部を巻き込んだコスト削減手法は、他病院の診療情報と比較するベンチマーク分析を用いて、在院日数の短縮や材料コストの最適化などを進めていく活動です。これについて冨吉は、ハード面(どこで)とソフト面(どのように)の大きく2つに分けて解説。例えば、ベンチマーク分析の結果に課題があれば、自院の入院医療の状況をチェックする機関としても機能するDPC委員会が、課題への対応を協議するのに最も適した場となります。その際、医事課職員などが同委員会に参画していれば、「医事課の一職員の意見にとどまらず、DPC委員会を代表した意見になる」(冨吉)ため、現場の医師たちも無視しづらくなります。こうしたハード面を意識することは、診療部を巻き込んだ活動をするには欠かせません。
 
ソフト面で重要となるのはパスの見直しなどです。DPC制度下では、「経営的にマイナス」のインパクトとなる要素は、(1)在院日数が長すぎる(1入院での複数疾患、合併症、過剰な検査や画像)、(2)在院日数が短すぎる(化学療法など)、(3)標準化できる疾病で診療にバラつきがある(パスが浸透していない)、(4)診断を要するまでに時間がかかる(救急患者の検査や画像など)、(5)DPCコーディングが間違っている(病名の選択、処置1と2漏れなど)――に集約できます。ただし、これらの課題には、(a)標準化、パス推進(エビデンスやベンチマークなどで)、(b)診療ガイドライン遵守、(c)適切なDPCコーディング―などの明確な改善策を明示することができるのです。これらは「改善すべきであり、改善が可能なこと」ゆえ、理解さえしてもらえれば、医師の関与と協力を格段に得やすくなります。自院の状況を再確認してみてください。

冷静なデータとウエットな関係の両輪が必要

 (2)急性期症例の「徹底的な集患」については、シニアマネジャーの塚越篤子が「患者増に直結する戦略的地域連携」について詳説しました。
 
「医療連携を実践するための8つのステップ」のテーマを軸にし、大きく▼データ分析▼ウエットな関係強化▼紹介先と患者を直接結び付けられる関係強化―の3つを重点項目として解説しました。
 
 まず欠かせないのが、勘や経験、度胸に頼らない「データ分析による診療内容の可視化」です。例えば、疾患ごとに入院患者がどの医療機関から紹介されているのか、その患者は手術あり症例なのか、などを可視化した上で、どの医療機関との連携を強化すべきかを判断します。その上で、手紙やメールだけではなく、電話や対面で直接、連携先の医療機関の医師と自病院の医師が話し合える関係を構築できれば、信頼を得て次につながるきっかけにもなりえます。これは逆紹介においても同じで、こうした「ウエットな関係」を下地に、逆紹介する患者と紹介先が電話で直接話をする場などをセットできれば、その患者が紹介先医療機関へ確実に訪れる可能性も高まります。
 これらを踏まえつつ、実践的な医療連携を推進するための8つのステップを解説していきました。中でも塚越は院内の「つまり」の解消が重要であると強調。「つまり」とは、在院日数の長期化などでベッドが埋まってしまい、新患を受け入れられないような状況を指します。経皮的冠動脈形成術(PCI)の症例が年間84件だったところ、データを可視化した上で在院日数の短縮などに取り組んだところ、症例数が182件に倍増した事例に触れて、地域連携と言えども「課題は院外だけではなく、むしろ院内にあることの方が多い」と塚越は強調しています。

聖域「職員の生産性」に踏み込む2つの切り口

 (3)院内マンパワーを最大限に活用する「生産性向上」については、シニアマネジャーの湯原淳平が「生産性の向上による収支改善」を詳しく紹介しています。
 
 生産性は、「アウトプットを高めながら、コストを下げる」ことで向上します。つまり病院経営において、生産性を向上させるには、職員1人当たり収益を増やしながら、患者1人当たりのコスト減らすことが必要となるのです。
 
 職員1人当たりの収益は、人手不足で悩む病院経営者が多い中、踏み込みづらい領域とも言えます。ただし、医師1人が1日に何人の患者を診療しているのか、薬剤師1人が何件の薬剤管理指導料を算定しているのかなどをベンチマーク分析すると、明確に他病院と比較することができます。比較の結果、平均から大きく下回っている場合には、「現場がいくら多忙にみえても、さまざまな視点で業務を見直していくことで、改善点が浮かび上がってくる」と湯原は指摘します。こうして患者数を増やし、ケースミックスを重くしたり、加算など出来高収益を増やすことで、職員1人当たりの収益増につながっていきます。

 他方、患者1人当たりコストを削減するためには、医師や看護師など人件費の高い職種の業務を軸に「業務移譲」(タスク・シフティング)することが欠かせません。また、仕組みによってコストを削減する手法も重要で、その代表的な例が、外来時点から患者の入退院を支援する「Patient Flow Management」(PFM)の導入です(関連記事『外来から患者の入退院を支援するPatient Flow Management(PFM)が急性期病院の将来を救う』)。

 PFMは、入退院支援センターを設置するなどし、在院日数の短縮や入院時の検査の外来化など「入院医療の最適化」を目指す手法です。外来時から予定入院患者に介入することで、直前の手術中止などの無駄を最小化することにもつながり、医療の質向上にも貢献します。こうした業務移譲や業務最適化を目指した仕組み化による人件費削減のほか、薬剤や医療材料コストの削減など、コスト削減の切り口は一つではありません。

 湯原は、こうした一連の生産性向上の流れを説明した上で、本セミナーの増収・増益戦略の重要性を改めて強調するため、近代看護教育の母であるフローレンス・ナイチンゲールの言葉を引用し、「あなた方は進歩し続けない限りは退歩していることになるのです。目的を高く掲げなさい」として、講演を締めくくりました。

 講演会では、高度急性期病院の4割が導入(DPC特定病院群を経験した病院と定義して算出)する「病院ダッシュボードχ(カイ)」の体験コーナーを設置。多数の人たちが訪れました。病院ダッシュボードχは近く、塚越の集患をテーマにした講演と大きく関係する新機能「地域連携」をリリース予定です。詳細については追ってご案内しますので、是非、ご検討ください。



https://www.m3.com/news/iryoishin/637826
シリーズ 地域医療構想
地域医療構想調整会議、「多数決で採決」はNG
厚労省WG、「役割変更なしの民間病院」は議論の対象外
 
レポート 2018年10月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第16回会議が10月26日開催され、地域医療構想調整会議について、「多数決」による採決ではなく、全会一致で進める方針が確認された。「担うべき役割」を大きく変更する以外の民間病院も調整会議に諮るが、「議論」ではなく、役割の「確認」にとどまるなど、調整会議の進め方について幾つかの認識合わせが行われた(資料は、厚労省のホームページ)。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、「進行を早めることに重きを置いて、多数決を採用している県もあるようだが、それはない。調整会議は自主的に医療機能を収れんさせることを目的としており、こうしたことが出ると、ゆがんだ形になる」と指摘。

 日本医師会副会長の中川俊男氏も、「調整会議の性質上、全会一致で合意しなければ、『合意できなかった』という結論。例えば、ある公立病院が方針を出し、合意をできなかったら、それを返すことになる。自主的に医療機能を収れんさせることが調整会議の目的なので、多数決は問題」と続いた。

 厚労省医政局地域医療計画課は、調整会議の趣旨にそって、適切な運用を都道府県に求めていくと説明。伊藤氏は、「合意をしないという考え方があることを伝えてもらいたい」と念を押した。

 その他、調整会議の進め方として、「地域医療構想の定量的な分析に当たっては、各都道府県の実態を把握した形で進めるべき。また病床機能報告と診療報酬とのリンクを危惧し、調整会議で議論が進まないことがあるので、リンクはないという指導をしてもらいたい」(伊藤氏)、「定量的な分析はあくまで例であり、必ず実施しなければならないわけではない。誤解のないようにしてもらいたい。定量的という言葉を安易に使わないでもらいたい」(中川氏)など、「自主的な収れん」で地域医療構想の実現を目指すべきとの意見が相次いだ。


 公立・公的と民間の扱い異なる

 地域医療構想の実現に向け、現在、各地域で調整会議が開催されている。その際、(1)公立病院、公的医療機関等は、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、2017年度中に協議、(2)その他の医療機関のうち、担うべき役割を大きく変更する病院などは、今後の事業計画を策定し、速やかに協議、(3)上記以外の医療機関は、遅くとも2018度末までに協議――が求められている。

 (1)については、協議を終えて「合意済み」が、公立病院は39%にとどまり、公的病院等はやや多いが52%(いずれも病床数ベース)。

 全日本病院協会副会長の織田正道氏は、(3)について、「役割を大きく変更する病院以外も、対象になるのか」と質問。厚労省医政局地域医療計画課は、「(調整会議で)病院の中身について一度、議論してもらうということ」と回答。

 これに対し、中川氏は、「議論というと、『A病院はどうするのか』といった話になる。県によっては、(状況を把握するために)あせってアンケートをやっているところもある」と指摘。「変更なく今の病床機能をやっていくことを確認」することが、「協議」に当たるとの解釈を示し、厚労省医政局地域医療計画課は中川氏の意見を支持した。


 中川氏「自由診療の病院増床、けん制」

 2019年4月から施行される改正医療法では、地域医療構想の達成を図るために、都道府県知事の権限が強化される。「既存病床数が基準病床数を下回るような地域であっても、許可病床数が既に将来の病床の必要量に達している場合には、必要な手続を経た上で、都道府県知事が許可を与えないこと(民間医療機関の場合には勧告)ができる」権限が加わった。

 尾形座長が、「これはあくまでも都道府県知事の権限。民間病院に対しては、勧告にとどまるので、追加的な整備(増床)ができないわけではないとの解釈か」と確認。厚労省医政局地域医療計画課は、保険医療機関の指定をしないといった対応は可能なものの、増床も可能とした。

 これを受け、中川氏は、本ワーキンググループの議論の範囲をやや超えると断りつつ、「全国で自由診療はどのくらい実施されているのか、その医療費はどのくらいなのかを、構想区域ごとに実態把握をしてもらいたい。最近、自由診療として、病床を作る動きがあるので、ぜひ関連部署と早急に考えてもらいたい」と要望した。伊藤氏は自由診療の病床の扱いを確認。厚労省医政局地域医療計画課は、地域医療構想の4機能のいずれに該当するかなどは、調整会議の議題になるとした。


 介護医療院への転換、2017年報告では低調

 26日の会議では、地域医療構想が定める4つの医療機能のうち、「慢性期機能を有する病床の機能分化・連携」についても議論した。2017年度病床機能報告では、約35万床の慢性期病棟のうち、「6年後」に介護保険施設等へ転換予定とした病床の詳細は、「介護医療院」約1万6000床、「介護老人保健施設」約1100床、「その他の介護サービス」約500床という内訳。

 奈良県立医科大学教授の今村知明氏は、介護医療院への移行数が少ないことを指摘。市町村が策定する介護保険事業計画に介護医療院が位置付けられていないことが、その理由として挙げた。第7期の同計画は2018年度から3カ年のため、次の計画策定まで3年待たなければいけない。「移行したくても、移れない状況は非常に問題。対策を取ってもらいたい」と求めた。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、医療療養型から介護医療院への転換は介護保険事業計画の整備数の枠外になるという通知を発出していると説明。一方で一般病床からの介護医療院への転換は、事業計画の対象となるので、次の第8期の計画で検討することになるとした。また2017年病床機能報告は、2018年度介護報酬改定で、介護医療院の報酬が決まる前だったことから、2018年の病床機能報告の分析を進めるほか、転換事例を先行事例として分析し、対策を立てていくとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/636706
シリーズ 真価問われる専門医改革
「厚労相の16の意見・要請」に回答・了承得る、日本専門医機構
東京の専攻医採用数の上限、今後2カ年は削減せず
 
2018年10月22日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は10月22日の記者会見で、同日12時から2019年度専門研修開始の専攻医の登録を開始したことを公表した。それに先立つ10月19日の理事会では、厚労相からの新専門医制度に対する意見・要請について議論、回答し、了承を得たという。1次登録は10月22日から11月21日まで(詳細は、『2019年度専門研修、専攻医登録は10月22日から』を参照。資料は同機構のホームページ)。

 厚労相からは16の意見・要望があり、情報提供の徹底のほか、シーリング(5都府県、14の基本領域の専攻医採用数の上限)体制、研修プログラム制と研修カリキュラム制の在り方、事務局体制の強化などについて回答した。

 理事会で最も議論になったのは、シーリング体制。5都府県のうち、東京都については、今年度のシーリングが昨年度から5%削減された。寺本理事長は、「機構として危惧しているところがある。5%減として理解してもらったが、東京都からも要請は来ており、これ以上の削減は厳しいという印象を持っている。2019年度と2020年度に行う専攻医登録の際のシーリングについては、現状を維持することを、厚労省に理解してもらっている」と説明。シーリングとして設定している数は適切なのか、シーリングが有効なのかを今後、専攻医のデータベースを使うなどして検証していく方針。

 「シーリングを遵守していなかった」とされる領域・地域がある点については、研修カリキュラム制を選んだ専攻医数を的確に把握できていなかったことが要因として考えられることから、2018年度の専攻医登録からは、研修プログラム制、研修カリキュラム制のいずれを選択したか、またシーリングの在り方と関係する地域枠の出身者であることが分かる形で行う。

 研修プログラム制については、専門医制度新整備指針の中で、連携施設でも「3カ月以上の研修」としているが、3カ月未満のケースがあることが指摘されている。寺本理事長は、「ある程度、柔軟な対応をするとしている」と断った上で、多くの事例が出てきた場合は事情を聴取した上で対応する方針。一方、研修カリキュラム制については、十分に理解されていない、あるいは採用していない基本領域もあることが問題視されている。「学会によって、研修カリキュラム制の捉え方が違うので、カリキュラム制の要件を整備する」と寺本理事長は語る。

 事務局体制の問題については、今年度中に、現在は不在の事務局長を採用するとともに、事務職員も増員する方針。「理事会では、ある一定の期限を決めて事務局体制を整備してもらいたい、という意見があった。この点についてもしっかりと対応していきたい。それ故(事務局体制が弱い故)に情報提供の徹底ができず、いろいろなところからの要望に対する対応も十分ではなかった」(寺本理事長)。

 事務局体制関連では、日本専門医機構の情報漏洩も問題になっており、第三者委員会で検証を進める。9月25日に委員が最初の顔合わせを行い、その場で今後の方針などを議論したという。「年内に報告してもらいたいと考えている」(寺本理事長)。

 さらにサブスペシャルティについては、サブスペシャルティ領域検討委員会で議論を進めている。今年内に基準を決め、今年度内には、研修プログラムの認定を行い、来年4月から募集を開始するスケジュールを想定している。

 新専門医制度については、今年の通常国会で成立した改正医師法・医療法に伴い、地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合などは、厚労相が「必要な措置」の実施を要請できる仕組みが創設された。10月15日の厚生労働省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会でその内容を決定、日本専門医機構に通知され、同機構はその回答を求められていた(『厚労省、専門医機構に16の意見・要請を通知へ、基本領域学会にも』を参照)。


 「補助金の不正利用」は否定

 日本専門医機構は10月12日、ホームページ上で「補助金の取り扱いについて」との情報を掲載した。「この度、本機構が厚生労働省から受領致しました『補助金』につきまして、一部雑誌に誤った情報が掲載されましたが、下記のとおり、交付確定額と振込額(送金額)の相違はありませんのでお知らせいたします」との説明だ。

 問題視しているのは、9月28日付の業界紙(FAX)と10月1日発行の月刊誌の記事。日本専門医機構副理事長の今村聡氏は、「機構が、厚労省の補助金を不正に利用しているのではないか、という指摘がされた。機構に対する信頼性を失いかねず、誤解を招くことから、訂正記事を出した」と説明。厚労省から同機構に対しては、データベース構築費用として補助金が出ている。今村副理事長は、次のように補足した。「対象となる事業の2分の1の補助を受けている。例えば、4800万円の交付額が決定しても、実施した事業の額が少なく、補助額が4500万円になった場合は、確定額は4500万円となる。交付額と決定額の差は補助されないだけだが、機構に振り込まれた額と交付決定額との間に差額があるので、誤解を招いたのだろう。私は、財務担当の副理事長として責任を持っている。責任ある立場に確認してもらえば、こうした誤った認識にはならなかっただろう」。



https://www.medwatch.jp/?p=23034
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会 
2018年10月23日|2020年度診療報酬改定 MedWatch



 2018年度の診療報酬改定で再編・統合された【急性期一般入院基本料】や【地域包括ケア病棟入院料等】【回復期リハビリテーション病棟入院料】【療養病棟入院基本料】により、医療現場にはどのような影響が出ているのか―。

 10月17日に開かれた診療報酬調査専門組織の「入院医療等の調査・評価分科会」(以下、入院医療分科会)では、こういった点を把握するための調査票が概ね固められました(関連記事はこちら)。親組織である中央社会保険医療協議会の了承を待って、近く調査が開始されます。
 
ここがポイント!
1 入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の調査・議論がベース
2 「医師の指示の見直しの頻度」は、患者の状態とは相関しない


入院医療に関する診療報酬改定、入院医療分科会の調査・議論がベース

 2018年度の診療報酬改定では、さまざまな見直しが行われました。とくに、入院料については、「看護配置などに基づく基本部分」と「重症患者の受け入れ状況などに基づく実績評価部分」を組み合わせた評価体系に再編・統合するなど歴史的な大改定と言えます。

 また、急性期病棟における「重症患者」を評価するための「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)についても、▼基準の見直し(認知機能を低下した患者の評価)▼DPCのEF統合ファイルに基づく評価(看護必要度II)の導入—など、大きな見直しが行われています。

 こうした入院医療に関する診療報酬の見直しに関しては、中医協病棟で議論を行う前に、入院医療分科会で詳細な調査を行い、技術的な課題の整理等を行っていきます。例えば、上述の看護必要度IIについては、「看護必要度評価票に基づく評価結果」と「EF統合ファイルを用いた評価結果」の突合などを行い、実現可能性を慎重に検討していました。

 このように、入院医療に関する診療報酬改定について、入院医療分科会の議論は極めて重いものとなっており、2020年度以降の次期診療報酬改定でも、同様の構図になると考えられます。

 10月17日に開催された入院医療分科会では、2018年度改定によって医療現場にどのような影響が出ているのかを把握するために、次の4項目に関する調査(2018年度調査)の調査票が概ね固められました(関連記事はこちら)。

(1)急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料等の評価体系の見直しの影響(その1)
(2)地域包括ケア病棟入院料および回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系の見直しの影響
(3)療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響(その1)
(4)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態

 
 調査内容は多岐にわたりますが、例えば(1)のうち【急性期一般入院基本料】(従前の7対1・10対1一般入院料→新たに7種類の【急性期一般入院料】に再編)を眺めてみると、▼各病棟の届け出内容(急性期一般入院料1-7のいずれか、など)とベッド数、入院患者数▼過去3か月間における新入棟患者数・新退棟患者数と在院患者延日数▼看護必要度の種別(I、IIのいずれか)と選択の理由▼過去3か月間における重症患者割合▼過去3か月間における在宅復帰・病床機能連携率▼改定前後における病床利用率の変化▼夜間の看護体制、看護補助体制▼他病棟への転換意向とその理由▼入退院支援の状況(体制や加算の算定状況、入退院支援が困難なケースなど)▼患者の要介護状態や介護保険の活用状況―などを詳しく調べることになります。

 とくにメディ・ウォッチが注目したのは、「7対1一般病棟入院基本料→急性期一般入院料1」という届け出をした病院に対し、「急性期一般入院料1を届け出ている理由」を聞いている点です。

 2018年度改定では、いわば「旧7対1と旧10対1の中間に位置する、【急性期一般入院料2】【急性期一般入院料3】」の新設が行われました。7対1からの転換を促すための措置であり、例えば「看護配置を8対1や9対1として、急性期一般入院料2や3に転換する」という選択をした場合、旧7対1相当の【急性期一般入院料1】よりも利益率が向上します。地域での看護職員確保が困難さを増す中では、急性期一般入院料1(旧7対1)への固執は病院運営上、厳しさを増していくため、急性期一般入院料2・3は「極めて魅力的な選択肢」となります。

 この点、厚生労働省は、▼7対1看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)▼他に転換すると、地域の連携先医療機関からの要請に応えられない▼施設基準を満たしており、転換の必要性がない▼転換した場合、余剰人員が発生してしまう▼収益を上げやすい▼転換した場合、職員のモチベーションが低下する▼転換した場合、職員負担の増加が懸念される―といった選択肢を用意し、【急性期一般入院料2や3】に転換しない理由を探る考えです。


「医師の指示の見直しの頻度」は、患者の状態とは相関しない

 また、入院患者の状態については▼疾患▼入院時のADL▼認知機能▼栄養状態▼褥瘡▼医療提供▼手術▼リハビリ▼ケアマネジャーの有無▼今後の見通し―などを調べます。

 このうち「医療提供」については、前回改定より「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」や「医師の指示の見直しの頻度」が調べられていますが、入院医療分科会委員からは「指示の見直しの頻度は、診察の頻度に包含される。調査する必要はない」との指摘が相次ぎました。
 
 この点については、過去に次のような変遷がありました。

▽2014年度・16年度改定に向けた調査:「医師の指示の見直しの頻度」を調べた
  ↓
改定論議の中で、「『指示の見直しの頻度が低い患者』=『状態が安定している患者』との誤解を生む。診察の結果、現在の指示を見直す必要はないと判断し、結果、指示の見直しの頻度が低くなるケースは往々にしてある」との指摘
  ↓
▽2018年度改定に向けた調査:「医師の指示の見直しの頻度」に加え、「医師による診察の頻度」を調べた(関連記事はこちら)

 さらに、今般の調査に関しては、神野正博委員(全日本病院協会副会長)や石川広己委員(日本医師会常任理事)らから、上記のような指摘があり、おり、「医師による診察の頻度」に包含して調査されることになったものです。この点、10月19日の日本病院団体協議会・代表者会議でも「指示の見直しの頻度は、決して患者の状態とは相関しない」ことが再確認されています。

 
調査結果は来年(2019年)6月頃から順次公開される見込みですが、その際の議論に注目が集まります。

 
 なお、入院医療分科会の調査では「回答率が低い」(3割程度のときもある)ことが問題視されており、委員からは「病院団体に早期から調査協力を依頼するべき」「調査項目を精査して負担軽減を図るべき」といった声が出ています。入院医療の診療報酬見直しに向けて、非常に重要な調査であり、多くの病院の協力に期待が集まります。



https://www.medwatch.jp/?p=23090
2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ 
2018年10月24日|医療保険制度 MedWatch

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2018年)6月時点で76.3%となり、前月から0.3ポイント上昇した。都道府県別に見ると沖縄県・鹿児島県・岩手県の3自治体で、政府の第2目標「80%以上」をクリアし、第1目標「70%以上」を達成できていないのは徳島県のみ(67.3%)となった―。

 こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が10月24日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)1月に後発品割合80%をクリア
2 80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手、70%未達は徳島のみ


直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)1月に後発品割合80%をクリア

 高齢化の進展や医療技術の高度化などによって医療費が増加する一方で、現役世代が減少していくため、公的医療保険制度の基盤が脆弱になってきています。公的医療保険制度が崩壊、つまり「誰でも保険証1枚あれば低額の自己負担で医療を受けられる」仕組みがなくなれば、医療へのアクセスが大きく阻害され、我が国の健康水準は大きく低下してしまいます。

 そこで、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(適正化)が非常に重要なテーマとなってきています。例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化▼後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼健康寿命の延伸―などさまざまな角度から取り組みが進められています。

 このうち後発品については、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定するとともに、診療報酬・調剤報酬において各種加算の設定や充実などを行うなど、使用促進策が講じられています。

 「協会けんぽ」の運営主体である全国健康保険協会でも、従前から積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば、医療機関を受診し医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、あなたの自己負担額は○○円軽減されます」といった通知の発出や、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。10月24日には、今年(2018年)6月の後発品使用割合が公表されました(前月(2018年5月)の状況はこちら)。

 まず全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)は、前月(2018年5月)から0.3ポイント上昇し、数量ベースで76.3%となりました。
 
 第2目標「80%以上」との間には、3.7ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年7月から2018年6月)では、単純計算で「1か月当たり0.56ポイント」のペースで後発品割合が上昇しています。仮に、このペースが継続すると仮定すれば、計算上は来年(2019年)1月に第2目標「80%」をクリアできることになります。ただし、昨年(2017年)1年間のように「後発品の使用が思うように進まない」状況に陥る可能性も決して否定できず、今後の動向を注視していく必要があります。


80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手、70%未達は徳島のみ

 後発品割合は協会けんぽ全体では着実に上昇していますが、都道府県別に見ると、まだまだ大きなバラツキがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で86.3%(前月から0.4ポイント上昇)、次いで鹿児島県の82.3%(同0.1ポイント上昇)、岩手県の82.2%(同0.2ポイント上昇)で高くなっています。第2目標「80%以上」をクリアしているのは3自治体のままです(2018年3月から3自治体)。

 逆に、最も低いのは徳島県で67.3%(同0.1ポイント上昇)で、第1目標「70%以上」すらクリアできていない自治体は、ついに徳島県のみとなりました(山梨県は前月から0.5ポイント上昇し70.4%となった)。
 
 最高の沖縄県と最低の徳島県との間には、19.0ポイントの差があり、格差は広がってきています。医療費の膨張は、前述のように「医療保険制度の崩壊」をも引き起こす可能性があり、徳島県における一層の努力に注目が集まります。今年度(2018年度)からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されることから、「医療費適正化」はまさに「我が事」となります。先進県(沖縄県や鹿児島県、岩手県)の取り組みも参考に、後発品の使用促進に取り組むことが期待されます。



https://www.m3.com/news/general/637865
望まぬ受験生排除…根深い不正、あらゆる場面で 
2018年10月27日 (土) 読売新聞

 東京医科大が23日に公表した第三者委員会(委員長・那須弘平弁護士)の中間報告は、同大にはびこる不正入試の根深さを改めて浮かび上がらせた。受験生に対する差別は、性別や浪人回数にとどまらず出身校にも及び、特定の受験生を合格させる「個別調整」は一般、推薦入試を問わず、あらゆる場面で行われていた。同大は来週にも、不正によって不合格となった受験生の救済策を決める見通しだ。

 「自分たちが望まない受験生を内々に排除しようとしている」。医学部進学予備校「エースアカデミー」の高梨裕介代表はそう話す。

 同大は2006年から一般入試や大学入試センター試験利用の2次試験で小論文の得点を操作し、女子と浪人回数の多い男子を不利に扱ってきた。中間報告によると、今年と昨年は、合格ラインに達していたのに得点操作で不合格となった受験生が、女子55人と浪人回数の多い男子14人の計69人に上った。



  1. 2018/10/28(日) 09:30:31|
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10月21日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181015_13012.html
<どうする登米の医療>(下)
経営難 効率化計画奏功せず
 
2018年10月15日月曜日 河北新報

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 「累積赤字が151億円ある。資金不足も発生し、経営は危機的な状況だ」
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 9月7日にあった登米市議会本会議。熊谷盛広市長は2017年度の市病院事業会計決算の厳しい現状を議員らに説明した。

<毎年十数億円も>
 05年の9町合併で誕生した登米市は南方、石越の2町を除く7町が運営していた5病院2診療所と債務を引き継いだ。05年度末の累積赤字は58億円だったが、その後急増。東日本大震災後の11年度から3カ年は横ばいとなったものの、14年度から再び毎年十数億円ずつ赤字が積み上がった。
 17年度は資金不足が約7億5000万円発生し、医業収益に占める割合は12.7%となった。地方財政法が定める10%基準を初めて上回ったため、市の病院事業は借り入れの際に県の許可が必要となる「起債許可団体」に転落した。
 巨額赤字の解消に向け、市も手は打ってきた。08年に「市立病院改革プラン」を策定。合併当時は五つだった病院のうち、08年度に登米(とよま)病院(旧登米町)、11年度によねやま病院(旧米山町)を診療所化して、経営効率化に取り組んだ。
 16年度から10カ年の市病院事業中長期計画もまとめた。医師確保に重点を置き、東北大医学部などとの連携を図ってきたが、勤務医の減少に歯止めがかからず、患者も減少して医業収益は右肩下がりが続く。
 常勤医の数を近隣自治体の拠点病院と比べると、人口13万の大崎市の大崎市民病院は161人、人口6万9000の栗原市の栗原中央病院が31人。これに対し人口8万の登米市民病院は18人と極端に少ない。

<「医師の集約を」>
 17年4月に就任した登米市の大内憲明病院事業管理者(元東北大医学部長)は「医師不足や医療を取り巻く時代の変化に、登米市が対応してこなかった結果だ」と断じる。
 大内氏が指摘するのは、医師免許を取得した医師に2年間の研修を義務付けた臨床研修制度への対応だ。登米市民病院は国から臨床研修病院(基幹型)の指定を受けていないため、研修医の受け入れができない。指定には17年度に2684人だった入院患者数を3000人にする必要がある。
 県によると、県内では登米市近隣の大崎市民病院、栗原中央病院、石巻と気仙沼の両市立病院を含む18病院が指定を受け、若手医師の定着を図っている。
 大内氏は「医師が地域に根付くには、若い時に勤務した初任地の経験が物を言う。登米市は若手が来たくとも来られない環境にあるから、医師が増えない」と指摘。「臨床研修病院指定は必須条件。入院患者数を増やすためにも拠点となる市民病院に医師を集約するしかない」と強調する。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181019_11020.html
<登米市議会>医師不足への危機感、市民と共有 市内5ヵ所で意見交換会 
2018年10月19日金曜日 河北新報

 宮城県登米市議会は18日、市民と議会の意見交換会を開き、「登米市の地域医療を考える」をテーマに、市立病院の医師不足問題などについて話し合った。
 意見交換会は市内5カ所で開かれ、うち2カ所で医療問題についての議論が行われた。中田農村環境改善センター(同市中田町)であった交換会には市議5人と市民25人が参加した。
 議会側が、国が進める地域医療政策の動向や地域包括ケアシステム、市の病院事業中長期計画や経営状況などについて説明し、参加者から意見を聞いた。
 人口8万の登米市で、3病院と4診療所(登米、津山は休診中)ある市立病院の医師が30人と他市に比べて極めて少ない現状について「医師不足は市の大問題」「市も議会ももっと危機感を持って取り組んでほしい」という声が上がった。
 医師免許取得者に義務付けられている臨床研修の受け皿病院がなく、若手医師が市内に勤務できない現状については「継続的に医者が来ることができるシステムを、早急につくる必要がある」との意見が出た。
 6日に市が主催し、約300人が聴講した市民公開シンポジウムも聞いた女性は「市長も病院事業管理者も、経営は非常にひどい状態だと言っていた。切迫感は大きく、市民が医療についてもっと真剣に考えていく必要がある」と訴えた。及川昌憲議長は「広く市民の声を聞きながら、きちんと向き合っていきたい」と述べた。
 19日は午後7時から、登米(とよま)、南方の両公民館で地域医療をテーマに意見交換会がある。連絡先は議会事務局0220(22)1913。



https://www.asahi.com/articles/ASLBL46LYLBLPLXB00H.html
香川)県立3病院に是正勧告 労基署 背景に医師不足 
多知川節子2018年10月19日03時00分

 香川県立の3病院が、医師らに違法な時間外労働をさせたとして、2015年から今年にかけて労働基準監督署から是正勧告を受けた。各病院が取材に対し、明らかにした。長時間労働が常態化する背景には、慢性的な医師不足の問題がある。

 勧告は、県立白鳥病院(東かがわ市)が15年11月と17年6月の2回、県立中央病院(高松市)と県立丸亀病院(丸亀市)が今年1月に各1回、受けていた。いずれも時間外労働に関する労使協定(36協定)を超えて働かせたとされた。

 白鳥病院では14年度、「過労死ライン」とされる月80時間を上回る月100時間超の時間外労働が、医師、技師、事務職で1人ずつあり、回数もそれぞれ4回、3回、9回にのぼった。

 医師は昨年度、技師は今年度に…人ずつ増やし、事務の業務分担も見直した。ただ、緊急の手術や重症患者への対応があり、医師の長時間労働は完全に解消できていないという。

 中央病院では昨年6月、最多の9人が月100時間を超えて時間外労働をしていた。最長で月198時間の医師もいた。勧告後に常勤医師7人を採用したが、「診療科によっては、なお不足気味で100時間超えが残っている」(事務局)という。

 精神科の救急拠点病院である丸亀病院は、精神科の医師2人が36協定の月上限70時間を超える時間外労働をしていた。20カ月間で1人は20回、もう1人も13回あり、最長で月217時間もあった。

 今年度、精神科医師1人を増やし、さらに募集を続けているが、採用に至っていない。事務局の担当者は「救急対応で精神科医が当直をせざるをえないが、特定の医師に偏らないよう平準化したい。法令順守と医師の健康管理の観点から是正に努めたい」と話す。

背景に医師不足 地域偏在も
 医師らの長時間労働は全国的な問題になっている。医師不足は県内でも顕著で、地域による人数の偏りや高齢化が課題だ。

 県によると、丸亀病院は精神科医が足りず、6病棟のうち3病棟を14年から休止している。白鳥病院では、10年の開院時に予定していた脳神経外科、耳鼻咽喉(いんこう)科、呼吸器外科の3科が開設できないままだ。中央病院も救急、麻酔など一部の診療科で人手不足感が強いという。

 厚生労働省の調査(16年)では、県内の医療機関における医師の届け出数は2683人。人口10万人当たり276人となり、全国平均(240・1人)を上回る。

 ただ、地域別でみると、高松エリアでは342・4人なのに対し、東讃の大川エリアは153・5人、小豆エリアは158・2人と平均を大きく下回る。指導医や症例が多い都市部に集中する傾向が強いといい、地域偏在は大きな課題だ。

 また、45歳未満の医師の割合は35・9%で、全国の41・5%を下回る。香川大医学部を卒業しても、臨床研修の段階で県外に出ることが多く、若手医師の確保も重要な課題という。

 こうした状況を受けて、県は修学資金を貸し付け、指定する医療機関で一定期間働けば返還を免除する「地域枠」を香川大医学部の入試で設けている。07年度に始め、今年度は14人分。県立病院でも、幹部が近隣県の大学を回り、地域貢献の視点から医師確保の依頼を続けているという。(多知川節子)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20181019175148
市立病院の医師が「大量離職」、厚生病院と統合へ
岐阜県土岐市が再編案
 
2018年10月20日 05:00 CB News

 岐阜県土岐市は、病院事業の再編・ネットワーク化と経営形態の見直しに関する案をまとめた。市立総合病院(350床)の医師の「大量離職」で外来や救急医療を縮小したため、近隣病院がしわ寄せを受けていた。医師不足による診療制限を解消するため、市立総合病院と同市と隣接する瑞浪市の東濃厚生病院(270床)と「経営一体化を図る」との方向性を打ち出している。【新井哉】

 土岐市の再編案によると、市立総合病院を中心とする半径10キロほどの圏内に8つの病院が集中しており、同市在住者の医療機関の利用は分散している。また、将来の人口減少による歳入の減少、少子高齢化への対応にかかる社会保障費の増加が見込まれており、市に財政的な余裕はない。

 市立総合病院については、現在地への移転・開院から29年が経過し、老朽化による大規模修繕が必要で、多額の費用負担が見込まれている。こうした状況に加え、2017年度末には医師9人が離職し、救急受け入れ態勢の維持が困難となった。

 9月6日に開かれた同市病院事業改革プラン推進委員会の会合では、委員から「東濃厚生と一緒にならない限り、大学医局は医者を出してくれない」「どの病院も医師の取り合いになっている。早く一病院化にならない限り、どんどん医師は減っていってしまう」などと統合を求める意見が相次いだ。

 こうした状況を踏まえ、再編案は、近隣病院と統合し、医療機能を再編する必要性を示している。統合の具体的な方法については、関係者の瑞浪市、東濃厚生病院を運営するJA岐阜厚生連と協議を行う方向性を明記。「JA岐阜厚生連が指定管理者となり、東濃厚生病院との経営一体化を図ることで、両病院間の連携強化、機能分化を進め、東濃中部における医療提供体制を確保する」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/636077
「現状を国民に知らせて世論作れ」保団連
損税、診療報酬改定、医師の働き方に課題
 
レポート 2018年10月19日 (金)配信岩崎雅子(m3.com編集部)

 全国保険医団体連合会(会長:住江憲勇氏)は10月18日、マスコミ懇談会を開き、「(行政を変えるためには)医療業界の現状を国民に知らせることで、地域と人と患者を巻き込んで世論を形成していく必要がある」と訴えた。住江氏は「国民の命、健康、暮らしをどう守るか、それを支える地域での第一線の医療機関をどう守るかという観点で情報を提供したい」と懇談会の趣旨を説明。▽消費税損税問題▽診療報酬改定の周知期間▽医師の働き方改革──の3 点を取り上げた。

 消費税損税問題では理事の馬場一郎氏が、損税発生の仕組みと診療報酬に上乗せする現在の損税対応策を説明。保団連が2018年3~4月に実施した「消費税負担額概算調査」の結果、無床診療所で年間平均218.6万円、有床診療所で年間平均767.9万円の損税が発生しているとし、「医療は非課税と言いながら、現実には患者が消費増税を負担することを国民に知ってほしい」と訴えた。

 馬場氏は、診療報酬による補てんは患者への負担転嫁だと強調。「診療報酬の上乗せでは限界があり、ゼロ税率を実現する必要がある」と主張し、「ゼロ税率は医療機関が潤うものではなく、患者のためだと理解してほしい」と述べた。

診療報酬改定周知「最低2カ月確保を」
 診療報酬改定に関しては、「改定内容の周知期間が短すぎる」と説明。診療報酬の改定内容は2018年3月 に公表され、疑義解釈は3月30日に通知された。保団連には医師から「準備が整わないまま4月1日になる」などの意見が届いているといい、理事の武田浩一氏は、「告知から実施まで、疑義解釈を含めて少なくとも2カ月以上の期間が必要」と強調。「レセプト出力のシステムが間に合わない可能性もあり、患者への説明もままならない。現場が混乱する」とした。

 また、診療報酬の複雑さにも言及。「会計窓口事務が煩雑で人件費がとても高く、医師と看護師を助ける人を雇えない矛盾がある」「在宅医療をやってみようかなという先生が、『診療報酬が複雑すぎる』とやめてしまう例がある」などと実情を述べた。

医師は「圧倒的に足りていない」
 医師の働き方改革では、日本医学会連合「労働環境検討委員会」委員の本田宏氏が、「地域医療の確保のためには人的支援、財政的支援が必要。このままでは、消費増税で地域診療機関がなくなる」と主張した。日本は国民1人当たりの診療医師数が、一番充足している徳島県でもOECD加盟国内の平均に満たないとし、「圧倒的に医師が足りないのに、厚生労働省 は『医師が余る』と人数を削減している」と指摘。「過労死ラインを超えれば、安全な医療は守れない」と訴えた。

 本田氏は医師の雇用環境改善に向け、フィジシャン・アシスタント(PA)導入の必要性も強調し、「PA導入を裏打ちする財源を確保していく必要がある」とした。医師の働き方改革に関しては、ドクターズ・デモンストレーションが10月27日、シンポジウム『医師不足・医療崩壊「働き方改革」でどうなる!?~あなたの命は守られますか?~』を開催する。全国自治体病院協議会副会長の原義人氏や、全日本病院協会副会長の美原盤氏らが登壇する予定だ(詳細は、全国医師ユニオンホームページ)。



https://www.news-postseven.com/archives/20181015_754804.html
医師の競争が激しいのは西日本、東日本では重大医療事故目立つ 
2018.10.15 07:00 ※SAPIO2018年9・10月号

 国民皆保険の制度下では病院に支払う受診料は全国一律。提供される医療サービスも同じと考えがちだ。だが、実際は東日本と西日本の医療環境は厳然たる格差がある。厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数が最も多いのが徳島県の315.9人、次いで京都府314.9人、高知県306.0人、最も少ないのが埼玉県160.1人、次いで茨城県180.4人、千葉県189.9人となっている(「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査」より)。
 
 なぜ関東に医師が少ないのか。最大の要因は大学医学部が圧倒的に西日本に偏在していることだ。医療行政などを研究する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が問題の本質に迫る。

 * * *
 医師不足はそのまま地域の医療レベルに直結する。競争相手が多ければ、患者の取り合いになり、サービスの質の低い医療機関は淘汰される。

 福岡県久留米市のある開業医から、顧客となる患者を勧誘するためにバーに飲みに行き営業活動をすると聞いたときは本当に驚いた。患者が来るのを待つばかりの関東周辺の開業医とは大違いだ。

 大学病院においても関西では京都大と大阪大が、中国地方では広島大、岡山大、山口大が、九州・沖縄では8つの国立大学医学部が競い合っている。至近距離にライバルがいることで、必然的に医療レベルは高まる。

 一方、東日本では重大な医療事故が目立つ。2014~2015年には、群馬大学医学部附属病院や千葉県がんセンターで、過去、腹腔鏡手術のあと患者が相次いで死亡していたことが発覚。

 さらに、東京慈恵会医科大学附属病院で、肺がんの疑いがある男性の画像診断報告書を主治医が確認せず、約1年間放置した問題(2017年)や、東京女子医科大病院で抗てんかん薬を投与された女性が副作用で死亡した問題(2014年)など、医療事故の多さは医療レベルの低さを示している。

 こういうと、「東京に集中する全国メディアが報じるから目立つだけ」と反論する人がいる。しかし、医療の質につながる指標として大学病院の医師100人あたりの臨床論文発表数を調べてみると、上位4位まで非関東圏の医学部が占め、京大(1位)、阪大(3位)、神戸大(10位)と関西圏の医学部が健闘している。

 医学研究への力の入れ具合が、地域の医療レベルに反映しているのではないか。

●上 昌広 かみ・まさひろ/1968年兵庫県生まれ。1993年、東京大学医学部卒業。1999年、同大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所特任教授などを経て2016年よりNPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、研究活動を続けている。『日本の医療格差は9倍』(光文社新書)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など著書多数。



https://news.nifty.com/article/domestic/society/12180-107742/
医療の首都圏一極集中は幻想 看護師も医学療法士も西高東低 
2018年10月19日 07時00分 NEWSポストセブン※SAPIO2018年9・10月号
上 昌広

人口10万人あたりの看護師・准看護師数
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 国民皆保険の制度下では病院に支払う受診料は全国一律。提供される医療サービスも同じと考えがちだ。だが、実際は東日本と西日本の医療環境は厳然たる格差がある。医療行政などを研究する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が格差問題の本質に迫る。

 * * *
 関東には医師が少ない。ひとりの医師が診察できる患者数は物理的に限界があるから、絶対数でなく人口比で見るべきだ。

 厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数が最も多いのが徳島県の315.9人、次いで京都府314.9人、高知県306.0人、最も少ないのが埼玉県160.1人、次いで茨城県180.4人、千葉県189.9人となっている(「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査」より)。

 なぜ関東に医師が少ないのか。最大の要因は大学医学部が圧倒的に西日本に偏在していることだ。

 例えば、人口約398万人の四国には4つの医学部があるが、人口約4260万人の関東には25しかなく、人口比では2倍近い差がある。国立大学医学部に限れば、関東には5つで四国はすべてが国立大だから、実に9倍もの差がある。

 医師とともに働く医療スタッフの数も西高東低の傾向にある。医学部に比例して関東で看護学校や看護学部が少ないのに加え、特に看護師は女性の割合が高いことから医師以上に地元での就職傾向が強く、他地域への移住が期待できない。

 2014年、千葉県は県内59病院で合計2517床が稼働していないと発表したが、このうち38病院は看護師不足が理由だった。病床が閉鎖されれば、住民はまともな医療サービスを受けられなくなるばかりか、医療事故も起きやすくなる。

 リハビリを行う専門家である理学療法士も関東で不足している。最近のリハビリは、怪我や脳卒中の回復期だけでなく、心筋梗塞や呼吸器疾患、さらにはがんの手術後などにも行われるようになり、その守備範囲は拡大している。理学療法士が少なければ、適切なリハビリが行えないせいで、寝たきり患者が増えることも考えられる。

 関東で医師数を増やそうにもライバルを増やしたくない日本医師会がなかなか首を縦に振らないし、看護師、理学療法士の養成も遅きに失している。今後団塊世代が後期高齢者となって需要が激増すると、医師が少し増えたくらいでは大きく改善する見込みはない。

 さらに、医療先進地の西日本では、最近新たな動きがある。遠隔画像診断の技術を確立した、広島にあるエムネスという医療ベンチャーは医療とITを融合させて新たなサービスを展開しており、そこに目を付けた米グーグルは共同で日本での遠隔診断事業を進めようとしている。

 こうした事例には事欠かないほど、時代は動いている。少なくとも医療に関しては「首都圏一極集中」など幻想にすぎないことを認識するべきだ。

●かみ・まさひろ/1968年兵庫県生まれ。1993年、東京大学医学部卒業。1999年、同大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所特任教授などを経て2016年よりNPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、研究活動を続けている。『日本の医療格差は9倍』(光文社新書)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など著書多数。



https://www.medwatch.jp/?p=22908
医師の働き方改革、地域医療提供体制が崩壊しないよう十分な配慮を―四病協 
2018年10月15日|医療現場から MedWatch

 地域医療を守りながら、医師の働き方改革を進める必要がある。宿日直許可基準については医師の働き方の実態を踏まえた見直しを行うとともに、厚労省医政局でガイドラインを定めて、医療行政当局が運用・監督することが求められる。より多職種にタスク・シフティングできるような仕組みを検討する。時間外労働の上限については、地域医療を確保するために「特例」「例外」を検討する必要がある―。

 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で構成される四病院団体協議会(四病協)は10月10日、根本匠厚生労働大臣に宛てて、こういった内容の「医師の働き方改革」に向けた要望を行いました(日病のサイトはこちら)。

「医療の質低下」「地域医療の崩壊」が生じないような働き方改革が求められる
 安倍晋三内閣の進める「働き方改革」の目玉の1つに「罰則付き時間外労働の上限規制導入」があります。時間外労働の限度を「1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間」等と定め、これらに違反した場合には事業主に罰則が科されることになります(労使合意による上限超過も可能だが、そこにも厳格な制限を課す)。

勤務医も、この時間外労働規制の対象に含めることとされましたが、医師の応召義務など、医療には特殊性があるため、「医療界の参加の下で検討の場(検討会)を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る」こととされました。

検討会では、「単なる労働時間」の議論では、地域医療の確保が難しくなり、また将来の医療水準が低下してしまうことなどを危惧し、さまざまな角度から「医師の働き方改革」を検討。今年度末(2019年3月)の意見とりまとめに向けて、(A)働き方改革の議論を契機とした、今後目指していく医療提供の姿(▼国民の医療のかかり方▼タスク・シフティング等の効率化▼医療従事者の勤務環境改善—など)(B)働き方改革の検討において考慮すべき、医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務など)(C)医師の働き方に関する制度上の論点(▼時間外労働の上限時間数の設定▼宿日直や自己研鑽の取扱い―など)—の3つのテーマを併行して議論していく方針を決め、これまでに「宿日直許可基準を現代の医療に合うように見直す」「自己研鑽と労働の区分けを明確にしていく」などの方向が固められています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

さらに、検討会には「医療界の統一見解」となる「医師の働き方改革に関する意見書」も提示されました。また、日本医師会や四病協の幹部のみならず、若手医師も交えて、▼医師の労働時間上限に関する特別条項を設け、過労死ライン等を参考に労働時間上限を設定する▼「特別条項」を超えた労働をしなければならない時期等もあり、「特別条項の特例」を設け、第三者機関で特例の対象としてよいかの承認を得る―といった仕組みを検討する必要性を訴える内容となっています(関連記事はこちら)。

 
そうした中で四病協では、根本厚労相に宛てて(1)医師の応召義務(2)タスク・シフティング(3)宿日直許可基準(4)自己研鑽(5)時間外労働時間の医師特例―の5点について要望を行いました。今後、佳境を迎える検討会論議に大きな影響を与えそうです。

まず(1)の応召義務については、▼地域の医療提供体制▼医療機関の義務▼医師個人の義務―の関係、「労働時間規制と応召義務」の関係を明確に整理するよう求めています。この点、厚生労働省研究班では「応召義務は、倫理的規定に過ぎず、医師は厳しく捉え過ぎている」(これが長時間労働を招く一因)とし、今後、▼救急医療▼勤務時間外の対応▼病状等に応じた適切な医療機関への転院▼患者の迷惑行為―など、場面に応じた「応召義務の在り方」を体系的に示していく考えを示しています(関連記事はこちら)。

ただし四病協では、「常に労働時間規制が優先され、結果として患者の生命が脅かされることがあってはならない」と強調。国民の医療へのニーズや医師の社会的使命に鑑みた整理が必要と訴えています。

また(2)のタスク・シフティングについては、現在でも「特定行為研修制度」(定められた特定行為研修を修了した看護師は、医師の包括的指示の下に一定の医行為(特定行為)を実施できる)があり、医師の業務負担軽減に一役買うと期待されています。しかし現在の特定行為研修制度では、「個別行為(行為・分野ごとに特定行為研修が定められている)ごとにしか業務を担えない」ため、十分にタスク・シフティングを進められないと四病協は指摘。今後、例えば「術後の病棟管理業務」など、一連の業務を担えるよう、財政支援も含めた制度の見直しを行うよう求めています。

この点、特定行為研修制度の見直しが、医道審議会・保健師助産師看護師分科会の「看護師特定行為・研修部会」で議論されており、厚労省は「在宅」「介護」「周術期管理」という一連の行為を対象にした研修実施を可能とする仕組みを提案しています。四病協の要望とどこまで合致するのか、今後の部会論議にも注目が集まります(関連記事はこちら)。

さらに四病協では、▼薬剤師▼看護師▼臨床工学技士▼救急救命士―などの有資格者に対し、「一定の教育」の下で、役割分担にとらわれない業務移管が可能な仕組みも検討するよう求めています。特定行為研修制度を他職種にも広く拡大するイメージに近いかもしれません。

 
さらに(3)の宿日直許可基準については、検討会で議論されているように「現在の医師の働き方に即したもの」へ見直すとともに、▼厚労省医政局で「ある行為が宿日直許可基準に該当するのか」のガイドラインを作成し、医療行政当局が監督する(医療の専門家でない労働基準監督署では判断内容が区々となってしまうため)▼宿日直許可を受けられない勤務実態にある病院では、労務管理・勤務管理適正化に向けた財政支援を行う(宿日直許可を得られない場合、夜間の医師業務には時間外手当の支払いが必要となり、また時間外上限に達してしまうため、より多くの医師を雇用する必要がある)—よう求めています(関連記事はこちら)。

一方、(4)の自己研鑽については、「医師は、患者の治療に自ら参加することでしか十分な研鑽を積めない」点を重視し、「研鑽を抑制しないような制度」を検討するよう強く求めています。検討会では、「労働に近い自己研鑽」「労働に該当しない純粋な自己研鑽」などの区分けをすることが議論されていますが、例えば「自己研鑽の多くが労働に近い」とされれば、より早く時間外上限に達してしまうため、自己研鑽を十分に行えなくなってしまう可能性があります。また医師が自主的に自己研鑽を行おうとしても、病院側が労基法違反等を恐れ「早く帰宅しなさい。病院に残っていてはいけない」との指導を行えば、医師のモチベーションは下がりかねず、結果として「医療の質低下」につながる可能性があります。これは患者・国民にとっても大きな不利益となるため、現場の実態にマッチした仕組みが求められます(関連記事はこちら)。

なお、(5)の「上限の特例」に関しては、「一律に医師の労働時間を制限すれば、医療提供体制の崩壊につながる」ことを四病協は危惧。1人1人の医師の労働時間を制限した上で、今の医療提供体制を確保しようとすれば、「より多くの医師」を確保しなければなりません。しかし、現在でも「医師不足」が叫ばれている地域では、これ以上の医師確保は困難であり、また、医師が不足していない病院であっても「人件費の高騰」に直結してしまいます。一方、医師を増やさずに、労働時間を制限すれば、それは「医療提供の縮小」(救急医療の制限など)を意味します。四病協では、こうした状況を総合的に考え、「時間外労働の上限の『例外』『特例』に十分に配慮する」よう強く求めています。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/181018/prl1810180902001-n1.htm
<医師653名が語る!>東京医大の不正入試のようなことが起きるのは何故?アンケートから浮かび上がる医師の深刻な労働実態 
2018.10.18 09:02 SANKEI Biz

 東京医科大学が大学入試において女子受験生を減点していた問題について、株式会社メディウェルは会員医師へアンケート調査を実施し、653名から得た回答結果を公表しました。
7つの自由回答項目で総計1,495件もの回答が集まり、東京医大の入試での女子減点に関する医師向けの調査として最大規模のものとなっています。

 URL: https://epilogi.dr-10.com/articles/3146/

 匿名の医師653人から寄せられた総計1,495件の本音の自由回答からは、東京医科大学の入試での女子受験生減点の背景には、先行する調査からはうかがい知れなかった単なる入試問題に収まりきらない、医師の労働環境をめぐる構造的な問題があることが浮かび上がってきます。

 本アンケートでは単なる入試問題の是非にとどまらず、その背景として考えられる、医師間の性差別の問題や、女性医師の割合増加に伴う医療現場への影響、また、医学部入試とその後の大学医局への入局との関係などについても調査しています。

 調査の概要については、以下のようになっています。

 ■調査概要
調査内容 : 東京医科大学での入試における女子減点や
その背景事情に関する医師へのアンケート調査
調査対象 : 株式会社メディウェルに登録している医師会員
調査時期 : 2018年8月28日~2018年9月9日
有効回答数: 653件
公開URL : https://epilogi.dr-10.com/articles/3146/

 ■結果の概要
・東京医科大学の入試での女子減点の対応については「必要」が55%
・医学部生・医師として性別による不当な扱いを受けた(見聞きした)経験は「ある」が44%
・67%の医師は「女性医師の割合の増加が医師不足や診療科の偏在につながる」と回答
・「女性医師の割合の増加により現場が回らなくなることが実際に起きている」と回答した医師は44%(「起きていない」の33%よりも多い結果)
・「本件の背景に、医学部入試が実態としてその後の医局員の選抜・確保の機能を兼ねていることがある」と考える医師が59%

 ■自由回答(一部抜粋)
<医学部生・医師として性別による不当な扱いを受けた(見聞きした)経験>
「どうせ辞めるから女は要らない、と公言してる医局があった」
「内科、外科などの入局時に3年間は妊娠しないという誓約書を書かされた」
「男性優先で症例を決める、医局派遣先は男性優先、バイト先も男性優先」
「手術をする際に女医は嫌だと言われた」
「パワハラが問題となっている病院で女性では耐えれないとの判断で男性医師が度々送り込まれる」
「男性医師への負担増、でも女性医師への給与は同じ。医師になってからはむしろ男性医師への逆差別と感じる」

 <東京医大の女子減点のニュースやその背景となる問題に関する自由回答>
「当直や時間外当番などしない女医でも男性医師と同じ1名と換算されるので、一緒に働く男性医師の負担は増えるだけです」
「表向きは良くない事だが、現実問題仕方ないのではないか。美容皮膚科医ばかり増えても国民は救えない。理想を語るばかりで現実を直視しないと医療現場は崩壊する」
「不可能な予測で女性の医師は皆が皆やる気が低いと言われるのは間違いと思います」
「職場環境の改善を怠り、そのしわ寄せを女子学生に押し付けていた形だと思われる」

 東京医科大学では、入試での女性減点の報道を受け、初の女性学長が就任する見通しとなっています。しかし、今回の調査を踏まえると、本件は一大学の問題として片づけられるものではなく、医師の働き方や医療体制に根付いた構造的な問題があることが浮かび上がります。

 これまで35,000人以上の医師の「納得のいくキャリア」の実現を支援してきた株式会社メディウェルは、医師の現場の意見が反映された本調査の公表を通じて、医師にとってより働きやすい環境作りに少しでも貢献できればと考えております。

 調査の詳細に関しましては以下のURLをご参照ください。
https://epilogi.dr-10.com/articles/3146/

 ■引用・転載時のお願い
・本調査結果の引用・転載時には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記をお願いいたします。

 ・WEB上での引用・転載を行なう場合には、「株式会社メディウェル」による調査である旨の明記と、引用元のURL( https://epilogi.dr-10.com/articles/3146/ )へのリンク付与をお願いいたします。

 ■サービス・会社概要
【エピロギ】
URL : https://epilogi.dr-10.com/
サイト概要: 2015年より運営している医師向けキャリア支援ウェブマガジン

 【医師転職ドットコム】
URL : https://www.dr-10.com/
サイト概要: 2004年より運営している会員数35,000人以上の医師向け転職支援サイト

 【会社概要】
企業名 : 株式会社メディウェル( https://www.mediwel.net/ )
所在地 : 〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西5丁目2番地 興銀ビル9階
事業内容: 医療機関を対象とした経営コンサルティング事業、
病院経営に関する情報発信、
医療従事者の紹介事業、医療関係職員の研修、
セミナー並びに各種イベント企画、立案
代表者 : 代表取締役 中村 知廣



https://www.medwatch.jp/?p=22958
11月にも「大学医学部入試に係る規範」制定、不合理な入試制度には改善求める―医学部長病院長会議 
2018年10月17日|医療現場から MedWatch

 「国民に理解される医学部入試」制度とするため、1か月ほどかけて「各大学医学部の拠り所となる規範」を構築。その後、各大学医学部の選抜要綱などを精査し、必要があれば本年度(2018年度)中に改善を求める―。

 全国医学部長病院長会議は10月16日に緊急記者会見を開き、こうした方針を明確にしました(関連記事はこちら)。
 
規範に沿った入試制度を各大学で構築し、それを一定の範囲で公表することが必要
 一部の大学医学部において、学生の選考にあたり女学生や浪人生を不利に扱っていることが明らかになっています。そうした中で全国医学部長病院長会議では、「国民に理解される公正・公平な入試制度の実現」を目指し、(1)▼性別▼浪人年数▼内部進学▼地域枠—など「様々な入学枠に関する公平性」の考え方(2)募集要項など「受験生への事前の情報提供」の在り方—などの自律的な検討を開始しました(関連記事はこちら)。

10月16の緊急記者会見では、全国医学部長病院長会議「大学医学部入学試験制度検討小委員会」(以下、小委員会)の嘉山孝正委員長(山形大学医学部参与)が検討に向けた考えを詳細に説明しました。
 
嘉山委員長は、まず医学部における学生選抜の大原則が、「国民にとって良き医療人になりうる人材」を選ぶ点にあることを強調。臨床に携わる医師は、常に「患者という人間」を相手に業務を行うため、学力のみを備え(ペーパーテストの成績が良い)ていればよいというわけにはいきません。嘉山委員長は「疾患に罹患すれば心に痛み(pain)が生じる。これを取り除くのも医師の仕事である」と説明します。
こうした大前提に立って、各大学医学部では独自の「アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)」を固め、さまざまな入試制度を設けています。例えば北海道大学医学部では、通常の大学入試のほかに、▼AO入試(学力試験を課さず、高等学校における成績や小論文、面接などで人物を評価)▼学士編入試▼帰国子女入試―を実施しています。

現在、この各大学医学部独自の「アドミッションポリシー」について、「不適切なものがあるのではないか」「公平・公正な仕組みとなっていないのではないか」といった指摘が出ているのです。嘉山委員長は「小委員会で、どこまでアドミッションポリシーの独自性が認められるのかを早急に議論し、1か月ほどで『規範』を示す」考えを提示しました。例えば、一部大学では「現役・1浪には加点を行うが、2浪生には加点を行わない」、「男子学生に加点を行い、女子学生には加点を行わない」などの選抜ルールを設けているといいますが、これらが不合理なのか、合理的なのかを判断する基準となるイメージです。

非常に難しい議論となることが予想されます。例えば、東京女子医科大学では男子学生は入学できません。これは「性差別」に該当すると見ることもできますが、「女性医師の育成に特化する」という大学の考え方があり、さらに長年の歴史の中で国民から認容されているため「アドミッションポリシーとして認められる」と判断されそうです。しかし、新たに「女子医科大学を設置し、そこには男子学生は入学できない」というケースが生じた場合、アドミッションポリシーとして認められるかは極めて不透明です。

さらに「地域枠」についても、医師少数地域への対策として広く許容されていますが、人口減少が進み、仮に「医師不足が解消されてきた」暁には、「アドミッションポリシーとして認容できるか」という議論が生じる可能性もあります。

「どこまでがアドミッションポリシーとして許容され、どこからが『不公正・不公平』として許されないか」が規範の中で示されますが、どのような内容となるのか要注目です。

 
また、ある大学医学部が、例えば「多浪生よりも現役生の方が、将来、学力等が伸びるというエビデンスがある。これに基づき現役生を優先する」というアドミッションポリシーが合理的と判断され(そう判断されるかどうかは、現時点ではもちろん不明)、打ち立てたとして、それが受験生に公表されていることが求められます。多浪生は、そのアドミッションポリシーを見て、「やはり当該大学医学部に入学したい」と考えるか、「他大学医学部を目指そう」と考えるか、その検討の機会が与えられてしかるべきだからです。

ただし嘉山委員長は、▼「公表すれば、すべてが認められる」わけではない(当然、規範に合致しなければならない)▼あまりに細かい数字などを示すことが難しい場合もある―とし、公表の方針についても整理を行う考えを示しました。後者については、例えば「附属高等学校の成績優秀者について、別途の合格枠を設ける」というアドミッションポリシーが設定されたとして、「その人数までも公表すべきか」という問題です。

今後、各大学医学部では「規範」に則ったアドミッションポリシーを設定し、それを一定の範囲で公表することが求められるようになります。もっとも、来年度(2019年度)の入学生に関しては、各大学医学部ですでに入試要項等を固めているため、現時点で変更を求めるとなれば受験生も混乱しかねません。制度的には「2020年度の入学生に向けた入試」から規範が適用されることになります(もちろん、不合理な内容については、2019年度においても各大学において是正・改善することが求められる)。

さらに嘉山委員長は、規範に照らして「不合理」なアドミッションポリシーがあれば改善を求めていくことになるとも言及。現在、文部科学省で各大学医学部の入試要項等の詳細が調査されており、その結果を規範に照らし、必要があれば改善勧告などが出されることになるでしょう。
 


https://www.asahi.com/articles/ASLBK3VTRLBKUBQU00C.html?iref=com_apitop
公設民営の新病院、課題解決になるか 地域格差の懸念も 
太田康夫2018年10月17日15時00分 朝日新聞

 赤字経営が続く公立病院は閉鎖し、「公設民営」の新病院で将来の医療体制を整える――。兵庫県川西市がそんな基本構想案をまとめ、4年後の開院をめざしている。総事業費は274億円。計画は課題解決の「特効薬」なのだろうか。21日に投開票される市長選で誕生する新リーダーが、そのかじ取りを担う。

市立病院の公設民営化、指定管理者決まる 兵庫・川西
 構想を進めてきたのは、3期目の大塩民生市長(72)。市長選には立候補せず、今任期で引退する。市は、市民の意見を聴くパブリックコメントの受け付けをすでに終え、年内に計画を確定させる方針だ。

 市によると、閉鎖するのは、市北部にある市立川西病院(250床、東畦野5丁目)。築35年が経ち、市は「老朽化し、建て替える必要がある」とする。

 一方、新病院「市立総合医療センター」(仮称)は市が建設し、運営は市内の医療法人「協和会」が担う。市議会は3月、協和会を指定管理者とする議案を賛成多数で可決した。

 新病院は、中心市街地に移転する本院「キセラ川西センター」(400床、火打1丁目)と、現在の市立川西病院の敷地内につくる分院「北部診療所」からなる。協和会も市役所そばの協立病院(中央町、313床)を閉じ、新病院に統合する。

 市立川西病院の経営は「火の車」だった。

 医師不足による診療科や病床数の減少などで、経営は2002年度から赤字が続く。14年度決算では、資金不足比率が国の基準値を超え、「経営健全化団体」に転落した。

 市は毎年約10億円の補助金を病院に投じてきた。だが、市の財政も厳しいなか「それも限界」というのが、公設民営化の計画につながった。

 ただ、反発もある。

 一つは地域格差を不安視する声だ。市立川西病院がある北部地域では、総合病院の存続を求める運動が起きた。北部診療所には24時間対応の内科を置くが、入院や二次救急に対応する機能はなくなる。

 「安定した経営基盤を築くための計画。市民全体の利便性と医師らを確保しやすい立地を考えた」と市の担当者。だが、住民団体は計画撤回を求める署名を集め、今月までに計約1万7700人分を市に提出した。

 もう一つは膨らむ事業費への懸念だ。総額は昨年5月に公表された当初計画で176億円。それが今年7月の基本構想案で、98億円多い274億円になった。

 本院は一般病棟の377床が全室個室。7割の部屋で差額ベッド代を無料にする。市によると、患者や家族にとって快適で利用しやすい環境となるよう、協和会側が提案し、約10億円の費用を上積みした。このほか資材単価や建設コストの上昇などを見込んだという。

 借入金に対し、今後30年間に払う利子分を含めると、総事業費は355億5千万円にのぼる。

 協和会が50%(177億7千万円)を負担し、国からの財政支援として36%(128億7千万円)を地方交付税で見込む。市の負担は全体の14%(49億1千万円)になるという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/634740
シリーズ 医師・看護師に聞く「タスク・シフティング」
タスク・シフティング、緒に就いたばかり-医師・看護師調査◆Vol.1
「医師は医師にしかできないことを」
 
レポート 2018年10月14日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省での議論が佳境に入ってきた「医師の働き方改革」。勤務医の負担を軽減するための対策の一つが、必ずしも医師でなくても可能な業務を他の医療職に移管する「タスク・シフティング」だ。その中でも、医師の包括的な指示のもと、一部の医行為を行える看護師を養成する「看護師の特定行為研修制度」(ポータルサイトを参照)が2015年10月にスタートするなど、看護師にはチーム医療で多くの役割を果たすことが期待される。「タスク・シフティング」の進み具合や医師と看護師の関係について、m3.com医師会員・看護師にアンケートを実施した。

Q: 勤務先でタスク・シフティングは十分に進んでいるとお考えでしょうか?
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 「進んでいる」は全体で7.5%。「進んでいない」が48.8%を占め、まだまだ十分に進んでいるとは言いがたい状況だ。勤務先の種別ごとに見ると、「進んでいる」が公的病院で12.9%と比較的多く、次いで診療所開業医の8.6%。公立病院は7.0%、民間病院は7.1%だった。いずれの勤務先でも「どちらとも言えない」が4割前後を占めている。これに対して、看護師も「進んでいる」が比較的多く、10.4%だった。

Q: タスク・シフティングの推進について、お考えをお聞かせください【任意】
【反対】
全くもって無意味、トラブルの元凶。【55歳男性、精神科、開業医】

【医師の仕事に専念するため、推進を】
医師にしかできないことに専念するためには重要。【57歳男性、消化器内科、民間病院】
業務の集中化が解消され、業務効率が上がる。【48歳男性、小児科、公立病院】
医師には、医師にしかできない業務を集約することで、病院全体の利益につながると考えています。【47歳男性、整形外科、民間病院】
チーム医療の一環として共通の意識のもとに行えば、円滑な医療行為ができる。【66歳男性、内科、診療所勤務医】
開業医なので看護師に任せられる事は、既にもう任せている。例えば、抜糸だったり傷の消毒、ギプス巻き直しだったり。【59歳男性、整形外科、開業医】

【連携は重要】
連携不足によるミスが生じる可能性があるため、連携をしっかりすることが重要。タスク・シフティングにより、患者さんの話をしっかり聞く時間を作ることが大切だと思う。【47歳女性、小児科、診療所勤務医】
看護師のミスは結局医者の責任(医師の管理下で行うことになるので)になる。看護師達は責任を一切負いたくないのが現状。タスク・シフティングには意識改革が必要。【40歳男性、麻酔科、大学病院】
責任の所在、医学的知識に関する医療スタッフのレベルの差など、さまざまな問題をはらんでおり、一概に推進するのは賛成ではない。内容を吟味した上で少しずつ移行していくのが良いと思う。【60歳男性、内科、公立病院】
最終的な責任まで負ってくれるのであれば推進してください。どうしようもなくなって、医師に回すことはやめてください。患者側も同様に、意識改革が必要です。あと司法も最後に泥をかぶった医師をターゲットにするのはやめてください。【46歳男性、麻酔科、公的病院】

【移管される側の負担は?】
初期研修医ができる程度のことは誰でもできるので、看護師でも問題ないと思います。しかし、現在の看護師の忙しさを改善することなく、タスク・シフトをすると、看護師の業務が増えるだけで意味がないと思います。当然、病院間の差はありますが。【38歳男性、その他、公的病院】
看護師が忙しくなりそう。【50歳男性、その他、民間病院】
良いとは思うが、仕事が増えるので看護師が嫌がりそう。【28歳男性、整形外科、公立病院】
医療関係の免許を有していない看護助手などにコメディカルの業務をタスク・シフティングしないと、今度はコメディカルがオーバーワークになると思う。【40歳男性、内科、大学病院】

【待遇】
医師と看護師の能力が近づく半面、給与の面も考えなければならない。【40歳男性、循環器内科、診療所勤務医】

【意識の問題も】
指示待ちでしか働かない方も多い。プロ意識の向上が必要。【41歳女性、耳鼻咽喉科、診療所勤務医】

【患者側の受け止め方】
これまで医師のみ行えた行為を看護師が行うことで、どのように研修するか、処置のレベルをどう保つか、ミスが生じた時の対応がすぐに単独で行えるか、責任の所在がどうなるか、などいくつかの問題があります。全てをクリアしたとして、今度は患者さんがそれをどう捉えるかも個々の患者さんで異なり、難しさがあります。【54歳男性、内科、開業医】
小児科なので、家族との信頼関係がないと、推進できないです。医師と看護師が共有でき、意識や知識、いろいろな考え方が同じでも、相手の感じ方が違う、家族などの人間性に左右されるので、とても難しいところだと考えます。【54歳女性、小児科、開業医】

【調査の概要】
・調査期間:2018年10月10日~11日
・対象:m3.com医師会員、看護師
・回答者数:勤務医252人、開業医251人、看護師500人



http://medg.jp/mt/?p=8636
MRIC Vol.207
専門医制度を止めるべき13の理由 ~今からでも遅くはない この制度は一旦止めるべき~
 
医療ガバナンス学会 (2018年10月15日 06:00)
つくば市 坂根Mクリニック
坂根みち子
2018年10月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 本年度から専門医制度が開始されている。筆者は一開業医であり、専門医制度と何の利害関係もない。それでも制度の開始前から繰り返しこの制度を一旦止めるよう進言してきた(1)(2)(3)(4)。一番の理由は、本制度が、次世代のためにならないからである。つまり若い医師たちにとっては、彼らを育てる制度ではなく、管理するための制度設計になっている。人として当たり前の人生を過ごしながらキャリアを積むことが出来ない。さらにこれからの医療にとっては本来の目的である医師の質が向上する仕組みになっておらず制度を開始した意味がないからである。90%以上の若手医師が登録するシステムの大きな変更でありながら、あまりに拙速に事を運びすぎた。そして、検討不十分な制度のために地方の医療システムが暴力的に破壊されている。
 日本の医療界は、権威や利害関係を優先させて止めるべきものを止めずにたくさんの犠牲を払ってきた。陸軍軍医だった森鴎外らの「東大閥の権威」が脚気の原因をビタミンB1不足であると認めず、陸軍を中心に多くの脚気による死者を出したのは有名な話しである。また、1930年代にはハンセン病患者の隔離不要を唱えていた小笠原登医師の意見も「学会の権威」により潰され、らい予防法が廃止されるのは1996年まで待たなければいけなかった。
 医師の働き方改革も、長らくその必要性を指摘されてきたが、医療界は抜本的な改革を怠り、医師の健康を損ない、その家族に負担をかけてきた。結果として「患者の安全」を損なっている。今回の日本専門医機構の稚拙な事のすすめ方もまた、医師と国民に多大な負担を強いていくであろう。医療界は変革を嫌い一旦始めたことは検証せずに続ける傾向がある。

 この7月から日本専門医機構現理事長に就任した寺本民生氏は、「敢えて火中の栗を拾い」無償で理事長を引き受けられた(5)という素晴らしい方だが、残念ながら寺本新理事長もまた一旦立ち止まるという選択肢を持たれないようだ。
 今からでも遅くはない。しばらく現場が混乱したとしても、この制度により医療システムが壊滅的な被害を被る前に一度立ち止まった方が良い。

 以下に専門医制度を止めるべき13の理由を挙げる。

1.  専門医機構は未だにこの制度の目的である「質」の担保をしていない。各学会が行なっているものを検証せずに認証しているに過ぎない。それではこの制度を開始した意味がない。

2.  出産や子育てしながらの研修が困難になった。今までも女性医師が出産し、子育てしながら専門医を取得するには、大きな困難が伴ってきた。ところが、今回の制度では循環型プログラム制を採用しており、短期で各地を転々としながら研修しなければいけなくなり、出産場所、身分・経済的保障、保育園の確保等、持続可能なサポートシステムを構築することがより困難になった。夫婦ともに研修中の身分であれば、それぞれが各地を移動しなければならずさらに困難が伴う。そういった場合現状では大抵男性医師のキャリアが優先されてきた。今以上に女性医師の能力が発揮出来なくなる。女性医師の活躍を阻害する制度設計である。

3.  カリキュラム制が整備されず実害が出ている。妊娠出産・留学など、循環型プログラム制に登録出来ない人のためにカリキュラム制が整備されるはずであった。ところが実際には準備が間に合っておらず、選択肢がないまま、機構はカリキュラム制を選ぶ場合も、いずれかのプログラム制に登録するように勝手にルールを変更した。プログラム制の登録に関しても現場の一存で決められ、機構への相談も放置されている例が出ている(6)。

4.  機構に制度の抜本的改善の見通しがない。見切り発車したこの制度、あちこちから問題点を指摘する声が上がっているが、機構は問題対応能力を欠いている。原因のひとつに機構のメンバーの同質性が挙げられる。何度理事の首をすげ替えようが、選ばれるのはいつも同質の「子育てせずに医療に身を捧げてきた年配の男性集団」なので、発想が変らないのである。理事に子育てしながらキャリアを積んできた医師がたった一人もいないというのは絶望的である。かくして現場の声は反映されない。

5.  「循環型プログラム制」を強要したために良質の単一研修施設が潰された。何年にもわたり、各地で行なわれてきた研修方式が、大学病院を中心とした「循環型プログラム制」の強制により、無理矢理終了させられた。世界を見渡せば単一施設で継続して医師を育てる方式のほうが一般的であり、「質」の担保のためには短期で施設間を循環する方式が良いとは限らず、むしろ弊害が大きい可能性すらある(7)。多様な選択肢が必要であるが大学教授中心の機構ではそのような意見は通らない。きわめて理不尽である。

6.  医師の偏在と診療科の偏在がさらに進んだ(8)。東京の一極中集が進んだが、機構は「循環型なので最初の登録で東京が多いだけ」と詭弁を弄して事実を認めず(9)、かつ基本的なデータも開示してこなかった。今回寺本新理事長がようやく東京一極集中を認めたが、制度に無理矢理偏在対策を盛り込んでおきながら大失敗した責任は誰も取っていない。すでに地域医療が崩壊に向かっている地域が出ている(10)(11)。
診療科の偏在もさらに進んだ。研修が大変な内科、外科を選択する医師が減った(12)。産科、小児科、内科、外科の医師たちが減ってしまったら医療は成り立たない。これがどうして責任問題に発展しないのか不思議である。

7.  基本19領域が検討不十分のまま固定化されてしまった。専門医制度の始まりは厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」である(13)。この報告書が、制度の「憲法」として、しっかり検討されないまま開始された。この在り方検討会の座長だった高久史麿・前日本医学会長は、m3の「18の基本領域は既定路線で、根本から議論する予定はなかったのでしょうか」という質問に「(予定は)なかった。議論しておけば良かった」と答えている(14)。再検討が必要である。

8.  サブスペシャリティの検討も遅すぎる。今後は、サブスペシャリティ取得が従来の専門医に相当するが、未だに制度設計が不十分である。6年で医学部を卒業して、2年の研修を受け、そこから専門医の研修に入り、内科であれば3年研修して、そこから循環器内科等に枝分かれしていく。大学に入学してから12年以上拘束されてようやく専門医となる。人生のイベントの多いこの時期、これだけ長い拘束を課すことの検討も不十分だが、制度設計そのものが未完成のまま見切り発車したことの弊害は大きい。

9.  機構の事務局の事務処理能力が絶望的。 一部の理事と事務局長代行しか知らない情報が多すぎた。機構内で情報の共有が出来ていない。機構の理事でさえ実態がわからず、本来なら機構幹部がすべき講演会を“事務局長代行”が講演していた(15)。説明責任を果たしていないのだ。驚いたことに、それについて誰からもどこからもクレームがつかなかったようである。また国からデータベース構築のための予算がついているにもかかわらず、未だ基本的なデータベースが構築されておらず、必要な情報が公表されない。さらに最近、国から得た予算が適正に使われていないという情報さえある(16)。

10.  機構のガバナンスは危機的状況にある。今まで書いてきたような多くの深刻な問題に対して、機構は答えていない。2年毎にトップが代わり責任がうやむやとなっている。あまりの出鱈目ぶりにとうとう内部資料が流出した(17)が、内部資料の流出に対して第三者委員会を設置するという。機構のガバナンスの根本的な問題を放置して、内部資料流出の「犯人探し」を始めないか注視する必要がある。

11.  機構はすでに学会から独立した中立的な第三者機関ではなくなっている。専門医機構の在り方は、「学会から独立した中立的な第三者機関で認定する新たな仕組みが必要」ということで始まった。ところが、見切り発車したために、日本医師会や学会からお金を借り入れざるを得なくなり、独立性はすっかり消え去った。各所からの意向は無視出来なくなっているのである。
  
12.  当事者能力がないために、とうとう国の管理下へ入ってしまった(18)。 m3の記事から抜粋する。「先の通常国会で成立した改正医師法で、新専門医制度において、国が日本専門医機構等に対し、意見を言う仕組みが新設された。地域医療に重大な影響が及ぶ懸念がある場合など、特に必要があると認めるときなどは、「必要な措置」の実施を要請することができる。その対象は同法上、「医学医術に関する学術団体その他厚生労働省令で定める団体」となっている。省令案では、日本専門医機構だけでなく、基本領域の18学会を加え、計19団体とした。厚労大臣が、同機構を通さず、学会に直接要請ができる枠組みが誕生することになる」
来るべきものが来てしまったというべきか。

13.  機構が立ち止まれないのは借金のためである。何故、これほどひどい状況にもかかわらず一旦立ち止まることが出来なのか。図らずも、寺本新理事長がm3のインタビューに答えている(19)。「予算的に十分ではないのです。各学会からの借り入れも、再来年の3月には返済しなければいけません。サブスペシャルティの整備指針ができ、プログラム認定料などの収入が得られれば、少し余裕が出てくると思いますが」
拙速に始めて作ってしまった借金のためにさらに傷口を深くしている。

 まとめる。
 機構の暴走が行政の管理下に置かれる隙を作り、自滅した。
だが、制度を構築した重鎮たちは、若い医師たちと医療の将来に重い負担を残したまま、この制度を押し進めることが予想される。
 「質」のための制度が、大きく変質している。
 もう一度言う。この制度は一旦止めた方がいい。
 若い医師たちには、自分たちの問題として声を上げ、専門医制度を選択しないと選択肢をお勧めする。

参考
(1) Vol.054 「新専門医制度」の平成 30 年度からの開始に反対します
2017年3月9日http://medg.jp/mt/?p=7407
(2) 絶望の専門医制度 2017年1月25日http://medg.jp/mt/?p=7259
(3) Vol.148 日本専門医機構は新専門医制度の2018年度開始をごり押しするのか
2017年7月14日http://medg.jp/mt/?p=7704
(4) Vol.164 これから専門医を取ろうとしているドクターへ この制度の問題点を知ろう 2017年8月4日http://medg.jp/mt/?p=7749
(5) 真価問われる専門医改革
2018年9月17日 https://www.m3.com/news/iryoishin/629476
(6) 医療崩壊を招く専門医制度 ~日本専門医機構の欺瞞 ある女性医師の事例~
2018年5月24日http://medg.jp/mt/?p=8334
(7) Vol.167 新専門医制度の拙速な実施は日本の医療に大きな禍根を残す
進藤克郎2017年8月9日 MRIC  http://medg.jp/mt/?p=7760
(8) 2018年1月5日Vol.003 東京一極集中を招いた新専門医制度の弊害 ~医師偏在対策は予想通り大失敗~
2018年2月15日 http://medg.jp/mt/?p=8066
(9) 新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構
メディウォッチ 2018年2月13日 HTTPS://WWW.MEDWATCH.JP/?P=18852
(10) Vol.193 「新専門医制度」が地域医療を崩壊に追い込んでいる
仙台厚生病院 遠藤希之2018年9月24日 MRIC http://medg.jp/mt/?p=8596
(11) Vol.142 新専門医制度に関する精神科の問題を岩手県から見た状況
村川泰徳2017年7月6日 MRIC http://medg.jp/mt/?p=7688
(12) Vol.008 なぜ新専門医制度が地域医療を崩壊させるのか
安藤哲朗2018年1月15日 MRIC http://medg.jp/mt/?p=8079
(13) 2013年の「専門医の在り方に関する検討会 報告書」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000300ju.html
(14) 新専門医制度、「自由標榜制の制限」が念頭に – 高久史麿・前日本医学会長に聞く
2017年11月1日 https://www.m3.com/news/iryoishin/564238
(15) 第36回臨床研修研究会、日本専門医機構事務局長代行が講演
2018年4月22日 https://www.m3.com/news/iryoishin/598898
(16) 医薬経済 2018年10月1日 P16-17補助金が消えた日本専門医機構 川口恭
(17) 専門医機構の内部資料が流出 日経メディカル 2018年7月10日
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201807/556913.html
(18) 厚労相「専門医機構+18学会に要請」が可能に
2018年9月28日https://www.m3.com/news/iryoishin/632100
(19) 真価問われる専門医改革
2018年10月6日 (土) https://www.m3.com/news/iryoishin/629480




https://www.asahi.com/articles/ASLBF5GRVLBFUBQU008.html
来春廃止の八代市立病院、2医療機関と病床引き継ぎ協定 
村上伸一2018年10月14日09時00分 朝日新聞

 来年3月末に廃止予定の熊本県八代市立病院をめぐり、八代市と熊本総合病院(同市)、八代北部地域医療センター(氷川町)の3者が12日、病床の引き継ぎや外来診療事業の譲渡に関する基本協定に調印した。厚生労働相の同意を得たもので、市立病院の66病床のうち、熊本総合病院が56床、八代北部地域医療センターが9床をそれぞれの病院内で増設し、外来診療は熊本総合病院が市立病院の仮設病棟にスタッフを派遣して運営することになる。

 熊本総合病院の島田信也院長は外来診療について「(今はない)整形外科を備えるなど、必要に応じて態勢を整え、地元の皆様方の要望に応えたい」と語った。八代市の中村博生市長は「安定して質の高い医療サービスをしていただけるよう、バトンタッチに全力で取り組む」と話した。



https://www.m3.com/news/general/635280
粗悪学術誌:削除応じず 掲載続け手数料請求 東京の医療機関被害 
その他 2018年10月17日 (水)配信毎日新聞社

 インターネット専用の粗悪な学術誌「ハゲタカジャーナル」が増えている問題で、東京都内の医療機関の研究論文が、ハゲタカとされる海外の学術誌に、執筆者の要望を無視する形で掲載され続けている。研究チームは論文を投稿後、粗悪学術誌と気付いて取り下げを求めたが、出版社側が応じない。著作権侵害の被害に加え、二重投稿に当たるため別の学術誌での発表も機会が奪われた状態だ。【鳥井真平】

 被害にあったのは、東京都立小児総合医療センターの堀越裕歩医長(43)らのチーム。「ハゲタカの存在を広く知ってほしい」と、毎日新聞の取材に応じた。

 堀越さんらは2017年11月、膝の骨髄炎に関する症例を論文にまとめ、ネット上で見つけた学術誌に投稿した。ホームページに掲載された論文リストを見ても、当初は粗悪だとは感じなかったという。

 ところが1週間後、出版社から論文掲載の承認の連絡と掲載料約40万円の請求が届いた。通常、査読には数カ月以上かかり、内容の問い合わせもあるため、早すぎる掲載決定に疑念を抱いた。

 この出版社を詳しく調べたところ、拠点はロンドンにあるとされ、専門家の間でハゲタカとして有名なインドを本拠地とする出版社との関連が判明した。研究費を交付する米国の政府機関から「公正さを欠き、虚偽がある」などと提訴されたこともあった。

 堀越さんが論文の取り下げを求めると、出版社から「値段が理由なら安くする」「取り下げる場合は手数料約11万円を請求する」と返信があった。「インドなまりの英語を話す人物から、値段交渉を持ちかける電話も複数回あった」という。

 堀越さんらは同12月、別の国内の学術誌に同じ論文を投稿し、査読が終わりに近づいた今年4月ごろ、ネット上の学術誌に既に論文が掲載されていることに気づいた。

 論文の二重投稿は捏造(ねつぞう)や改ざんと同様に研究不正とみなされるため、堀越さんらは、国内の学術誌から論文を取り下げるしかなかった。

 堀越さんは出版社に抗議し、論文の削除を求めたが返答はない。「出版社には『東京の大きな病院の論文も掲載している』とアピールできるメリットがあるのだろう。ハゲタカに加担してしまったことが腹立たしい。論文を『人質』にとられ、どうしようもない」と肩を落とす。

 毎日新聞社はこの出版社にメールで経緯を尋ねたが、14日までに回答はなかった。

………………………………………………………………………………………………………

 ◆東京都立小児総合医療センターの 研究論文が掲載された経緯◆

<2017年>
11月10日 研究チームが論文を投稿
   17日 出版社から「掲載承認」のメール
      掲載料約40万円の請求
   20日 査読に疑問を持ち論文の取り下げ連絡
      出版社から値下げ交渉と取り下げ料約11万円の請求
   21日 出版社が論文を掲載
      返答を催促するメールが届く
   24日 再度、返答催促のメールが届く
12月    チームが別の学術誌に論文を投稿

<2018年>
 4月   既に論文が掲載されていることに気づき、別の学術誌に論文取り下げを連絡。出版社に抗議
 7月   抗議文を病院ホームページに掲載



https://www.m3.com/news/general/635875
【10月17日放送】クローズアップ現代+
「アートの力で健康長寿▽症状が改善!効果実証▽世界も注目」
 
テレビ 2018年10月18日 (木)配信Live on TV
10月17日(水) 22時00分~22時25分/1ch NHK総合

 今、アートの力で医療や介護を変えようという取り組みが世界中ではじまっている。アート作品であふれるとある病院では、患者の入院日数が短くなるなどのデータが出ている。人間の健康にも影響を与えるアートの力にせまる。

 香川県善通寺市の病院「四国こどもとおとなの医療センター」は、世界から注目を集めている。

 病院内にはからくり時計などのアートが設置されている。この病院がアートを取り入れたのは、入院のストレスから、患者が壁などを破壊する行為があとをたたなかったことがキッカケで、患者とともに壁にアート作品をつくったところ、破壊行為はなくなったという。この病院では、一緒に問題解決をしていくようなアートの“ものづくりのプロセス”を、「ホスピタルアート」と呼んでいる。

症状が改善 医療費も削減
 ロンドン市内の「チェルシー&ウェストミンスター病院」では、アートが取り入れられているだけではなく、実際にそれが患者にもたらす効果についても調査をしている。病院内の小児救急エリアには、子供が好きな動物の写真を飾るなどの工夫がされており、調査によれば87%の患者が「痛みが軽減した」と感じているという。さらに高齢者病棟では、プロのダンサーがダンスを教えるなどしており、多くの患者に認知症の改善がみられているという。

アートが変える終末期医療
 また、アートは完治が難しい終末期の患者の支えにもなっている。イギリスの「聖クリストファーホスピス」では、アート専門のセラピストなどが毎日のように患者の希望にそった創作活動をサポートしている。創作活動をしている患者は「病気のことを考えずに他のことに集中できるのがうれしい」などと話していて、創作活動を通じて患者の不安が和らいでいるという。

 こうした、医療や介護へのアートの導入を国家政策として進めようという議論もはじまっている。レベッカ・ゴードン=ネスビット博士は、「もちろんアートは特効薬ではありませんが、健康維持を助ける強い効果があります」などと述べている。イギリスは日本と同じように高齢化が進んでいて、医療費の削減が急務になっている。その方策の1つとして、アートが注目されている。

医療・介護の現場に革命
 医療とアートについてのトーク。武田真一さんが「大村智さんは膨大な絵画を収集していて、大学の病院に展示しているそうですが、患者さんの回復にはどんな影響があるのでしょうか?」と問いかけると大村さんは「患者さんだけではなくて、患者さんの親が絵を見て心を持ち直したことがありました」と述べた。栗栖良依さんは「アートというのは、出来上がった作品にばかり目がいきがちですが、アートを作り上げる過程にも良いことはあると思います」と述べた。

地域のつながりを育む
 アートを活かした病院づくりは、地域とのつながりも生み出している。「四国こどもとおとなの医療センター」では現在、10代~90代まで、140人以上がボランティアに登録。患者をはげますプレゼントづくりや花壇の手入れなど、特技をいかしてアートづくりに参加している。また、「金沢市立病院」は、年に1度3日間だけ美術館に変身する病院で、患者や市民からの公募作品を展示している。

健康・長寿・地域を変える
 医療とアートについてのトーク。田中泉さんは「紹介した病院では、他にも地域の多くの人たちがアートの活動に参加しています」などと述べ、病院で行われたヴァイオリンの演奏などの映像が流れた。栗栖さんは「アーティストは常識にとらわれない人たちなので、個人個人が属するコミュニティの間にある垣根を壊してくれる。それによって、地域が一体になっていく」、大村さんは「現代は科学技術が大きく進歩したが、心の問題が取り残されている。アートによって、科学技術の進歩と心の問題の歪を解決できたら良いなと思います」などと述べた。



  1. 2018/10/21(日) 09:42:06|
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10月14日 

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181013_11042.html
<どうする登米の医療>(上)
診療所休診 患者1000人超、他病院へ
 
2018年10月13日土曜日 河北新報

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 市登米診療所が休診となった8月1日。「バス停」として開放された診療所待合室で、近くに住む82歳の女性がつぶやいた。
 「胃の調子が悪くてね、月1回お薬をもらいに来ていたの。ここ新しくてきれいで便利だったのに…。どうして休みになったの?」
 この日は、市が用意した他病院への患者送迎バスの初運行日で、女性は約20分かかる市立豊里病院に通うためやって来た。

<人繰りがつかず>
 登米診療所は内科など4科。休診により患者1069人に紹介状が出され、約半数の531人が登米市民、豊里、米谷の市立3病院に、302人が登米町域の2カ所の開業医に移った。
 登米市は県内でも医師不足が最も深刻な地域だ。人口10万人に対する医師数は105人(2016年度県調査)。全国平均の251人、県平均の242人を大幅に下回る。
 登米診療所は医療法の規定で、常勤医1人を置かないと診療が続けられない。市は県の医師確保事業「ドクターバンク」を利用して16年度から2年間、常勤の内科医1人の派遣を受けてきたが、今年3月末で任期が切れた。昨年から県に再度の派遣を要請したが人繰りがつかなかった。
 市は4月から、他の市立病院の医師を同診療所に応援として派遣。内科を午前診療にしてしのいだが、応援医の勤務が加重になりすぎ「病院本体の診療に支障が出る」として、やむなく休診に踏み切った。

<地元からは反発>
 昨年度、同じく市立病院から応援医1人を派遣してきた津山診療所も、人繰りがつかず4月に休診した。
 登米診療所は元は入院病床98床の旧登米町の拠点病院。合併後の08年に無床化され診療所となった。それだけに今回の休診に対する地域の反発は強い。
 旧登米町地域から6月下旬、「診療継続を求める陳情書」が地域住民の3分の2に当たる3374人分の署名を添えて市に提出された。取りまとめた登米地区町内会振興協議会の佐々木康明会長(71)は「明治から続く登米病院が診療所となり今度は休診。住民の多くは悲哀を感じている」と語る。
 始まったばかりの患者送迎バスの運行は、利用者の低迷で10月末に打ち切られることになった。
 佐々木さんは「医師が来る環境を整えることが最善の方法。市は10年以上、医療改革を進めてきたと言っているが、根本的な改革がなされていないのではないか」と苦言を呈する。
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https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181014_11021.html
<どうする登米の医療>(中)
 医師の苦悩 昼夜問わぬ勤務限界
 
2018年10月14日日曜日 河北新報

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 8月下旬の月曜日午後6時、登米市迫町の登米市民病院。通常の診療時間を過ぎても1階救急外来に患者は続々とやって来る。
 「どっちの指が痛い? こっちかな」。診察室に当直の内科医、大坂英通さん(45)の声が響く。指を挟んでけがをした男の子が、母親とともに駆け込んだ。
 10分後にはもう一人、腎結石の疑いがある中年男性が来院。その6分後には救急車が入り、ベッドから落ちた男性が老人ホームから運ばれた。その後も薬疹が出た女性らが来院し、大坂さんは分刻みで診察に追われた。一段落したのは午後9時すぎのことだ。
 「きょうはまだ楽な方。金曜の夜や年末は、もっと忙しい」と言う。

<当直と救急兼務>
 大坂さんのこの日の勤務は、外来の新患診療。午前9時から午後6時まで、昼食を取る暇もなく働き、そのまま当直勤務に入った。翌日は正午に帰宅するのが決まりだが、午後も勤務を続けることが多い。
 大坂さんは当直と内科週末当番(電話待機)をそれぞれ月1、2回こなす。週末に2日連続でしっかり休日が取れるのは、2週に一度だという。
 市民病院の常勤医は18人。うち60歳以上の4人を除く14人が、夜間の入院患者百数十人の急変に備える当直医として、翌朝8時半まで泊まり込みで勤務する。加えて夜間の救急外来も同じ当直医が1人で担当することが市民病院の慣例となっている。
 「本来なら当直医は入院患者担当の医師が1人、救急外来担当の医師1人の計2人いるのが理想。でもローテーションが回らないからそうはなっていない」と大坂さんは言う。
 医師の絶対数が足りず、夜間の当直医の半分は、東北大からの医師派遣に頼っているのが実情だ。

<増える定年退職>
 7月4日、同市登米(とよま)町であった登米診療所休診に伴う説明会。住民から休診に至った責任を問う厳しい意見が相次いだのに対し、市民病院の松本宏院長は医師不足の窮状をこう訴えた。
 「安易に休診する訳ではない。このままでは中核の市民病院が立ち行かない。登米市の医療全体が成り立たなくなる」
 市医療局によると、市立病院の医師は2005年の広域合併時には計45人いたが、現在の3病院4診療所体制で30人。高齢化が進んでおり、今後5年間で11人が65歳の定年で退職する見通しという。

[登米市民病院]1950年、県厚生連佐沼病院として開院、55年に旧迫町立、2005年に登米市立、11年に現名称。市立医療機関(3病院4診療所)の中核・災害拠点病院で、内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科など13診療科。稼働病床は227床。



https://www.m3.com/news/iryoishin/634898
シリーズ 真価問われる専門医改革
社会医学系の専攻医、2年目も100人超え
専門研修プログラムは73、47都道府県で養成可能に
 
レポート 2018年10月12日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 社会医学系専門医を目指す専攻医数は、2018年度は112人で、制度初年度の2017年度の109人と合せると221人に上ることが明らかとなった。一般社団法人社会学系専門医協会の9月末の総会で報告された。専門研修プログラムも新たに20プログラムを追加認定し、計73。47都道府県の全てで研修が可能な体制が整った。

 2年連続で専攻医数が100人を超えたことについて、同協会理事で、日本衛生学会理事長の大槻剛巳氏は、「制度開始前は、年30~50人と想定していた。しかも、初年度よりも2年目は減ると考えていたので、想定よりも多い数字」と語る。制度初年度は、社会医学系の大学院に在学中、あるいは行政の仕事に従事している医師などが一斉に研修開始。2年目の専攻医数が減少すると想定していたのは、新たに社会医学系の分野に入る医師数は限られると見ていたからだ。

 社会学系専門医協会は、2015年9月に設立され、2016年12月に法人化。社会医学系の各学会、日本医師会、日本医学会連合など計14の学会・団体から成る。社会医学系専門医の養成は、2017年度からスタートした。制度開始に先立ち、移行措置として、社会医学系分野での一定の経験年数などを条件に、専門医と指導医の認定も開始した。9月末現在、専門医は381人、指導医(専門医資格も有する)は2679人、合計で3060人。

 2019年度研修開始の専攻医の募集は、今秋から来年初めにかけて実施する予定。さらに2019年8月には、経験年数不足などで移行措置による専門医を取得できなかった医師向けの試験も行う。社会医学系専門医の専門研修プログラムは3年。初年度の専攻医は2020年3月に研修を修了、2020年8月に新制度による第1回の専門医試験を予定している。

 専門医制、社会医学系へのキャリアを後押し
 社会医学系専門医の専門研修プログラムでは、「行政・地域」「産業・環境」「医療」のいずれか1つを主分野、他の2分野を副分野として研修する。主分野の専攻医数は、ほぼ3分の1ずつだという。各領域の修了者は、国や都道府県などの行政、職域での産業衛生、医療のほか、教育・研究機関で活躍することが想定されている。

 川崎医科大学衛生学教授でもある大槻氏は、医学生や若手医師の意見を踏まえ、次のように語る。「新専門医制度が始まったこともあり、臨床医を目指す若手にとっては、専門医取得は当たり前のことになりつつある。臨床医か、社会医学系の医師かを迷った若手にとっては、行政分野に進んでも専門医を取得できることはメリット。県庁の部長などの肩書きだけではなく、医師としてのキャリアに、専門医というステータスを付与されることは、『社会医学系に進もう』と考える若手の背中を押す一因になっているようだ」。

 サブスペシャルティも検討
 社会学系専門医協会の構成学会のうち、独自に専門医制度を有するのは、日本産業衛生学会のみ。社会医学系専門医のサブスペシャルティの位置付けになる。今後、他の学会でも、サブスペシャルティの専門医制度を構築するか否かは今後の検討課題だ。

 また社会学系専門医協会の発足当初は、新専門医制度の20番目の基本領域とするか、あるいは別の立ち位置にするかも、検討課題だった(『社会医学系専門医協会、700人超す医師登録』を参照)。制度運営が順調に進んでいることもあり、別の立ち位置で協同し合う道を進むものと見られる。同協会幹部は、日本専門医機構の新理事長、寺本民生氏とこの9月に面談。新専門医と社会医学系専門医の双方の制度で共通する「医療倫理」「感染対策」「医療安全」講習については、相互に協力し合うことを提案したという。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36275850Z01C18A0L01000/
津軽に新中核病院、国立弘前病院と弘前市立病院を統合  
2018/10/9 22:00 日本経済新聞 北海道・東北

国立病院機構と青森県弘前市、青森県、弘前大学の4者は、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を再編して新たな中核病院を整備することで合意し、このほど基本協定を結んだ。新中核病院は国立病院機構が事業主体となり、現在の国立弘前病院の敷地に整備する。2022年の運営開始を目指す。

津軽地域の2次救急体制を維持するため青森県が提案していた。整備費は126億円と見込まれ、弘前市が40億円を負担する。病床は約450床で、弘前大学医学部付属病院に次ぐ規模となる。診療科は24で、精神科、リハビリテーション科、救急科、総合診療科、歯科を新たに設置する。

協定締結式で弘前市の桜田宏市長は「医師不足、医師の偏在化の状況から再編が必要だった。津軽地域の人々の命を守る第一歩」などと述べた。三村申吾知事は「医療機能の集約によって医療対応が充実・強化できる。また若手医師の育成拠点にもなり県全体への好影響も期待できる」と強調した。



https://www.m3.com/news/general/634918
複数大学の医学部、不適切入試疑い 順天堂大や昭和大か 
2018年10月13日 (土) 朝日新聞

 柴山昌彦文部科学相は12日の会見で、全国81大学の医学部医学科を対象とした入試をめぐる調査で、複数の大学で不適切な入試が行われた疑いがあることを明らかにした。性別や浪人年数で合格率の差が大きく、特定の受験生を優遇させている懸念がある大学を中心に訪問調査をしているが、差が生じている理由について合理的な説明を得られていないケースがあるという。関係者によると、不適切な疑いが持たれている大学には順天堂大や昭和大が含まれているという。

 柴山氏は疑いのある大学名などは明らかにせず、「大学の自主的な公表をお願いしたい」と求めた。また、すでに入試不正が判明している東京医科大を除く80大学を訪問調査する方針を新たに示し、月内に中間報告、年内に最終結果を公表するとした。

 医学部入試をめぐっては文科省幹部が起訴された汚職事件をきっかけに、東京医科大で一部の受験生への点数加算や、女子や浪人回数の多い男子への不利な扱いが発覚。文科省は他大学についても男女別の合格率や、不正がないか報告を求め、約30大学を優先的に訪問したという。

 文科省は9月、大学ごとの過去6年間の男女別合格率を公表している。それによると、順天堂大は男子の合格率が女子の1・67倍で、昭和大は1・54倍だった。東京医科大は1・29倍、全大学の平均は約1・2倍だった。順天堂大は取材に対し「文科相の発言を受け、今後の対応を検討するので、コメントは差し控える」とした。昭和大は「文科省で調査中なので、回答は差し控える」とした。(矢島大輔)



https://www.m3.com/news/general/634921
不正入試、昭和大なども…8割で男子合格率高く 
2018年10月13日 (土) 読売新聞

 東京医科大(東京)が医学部医学科の一般入試で女子受験生らの合格者数を抑制していた問題で、複数の私立大学にも不正入試の疑いがあることが、文部科学省の調査でわかった。女子や浪人を重ねた受験生を不利に扱っていたとみられ、関係者によると、順天堂大(同)や昭和大(同)などが含まれているという。

 同省は、東京医科大の問題を受け、8月以降、全国81大学の医学部医学科を対象に緊急調査を実施。過去6年間に行われた入試の男女別平均合格率で、約8割の63校で男子が女子より高いことが判明した。

 不正入試については、東京医科大を除く全校が否定したが、同省は、女子の合格率の低い大学を中心に約30大学を訪問し、詳細な聞き取り調査を実施。一部の私大が、性別や年齢で受験生の取り扱いに差をつけたり、特定の受験生を有利に扱ったりしていたことを申告し、それをうかがわせる資料も見つかったという。



https://www.m3.com/news/general/634841
くらて病院:「移転新築は構想通り」 町長が見直し主張撤回 /福岡 
2018年10月12日 (金) 毎日新聞社

 鞍手町の岡崎邦博町長は11日、記者会見し、地方独立行政法人「くらて病院」の移転新築について「整備基本構想通りに進める」と述べた。岡崎町長は、9月の町長選などを通じて「整備基本構想の収支計画は現状を反映していない」として、構想見直しを主張していた。

 岡崎町長は就任以降、病院側と協議を重ねる中で、収支計画の見直しを要請。病院側が来年4月に内科常勤医が4人増となることを踏まえた新収支計画を提出した。岡崎町長は「収支の改善が見込め、地域医療を守るには、現時点で、構想通りに進めることが最善という結論を得た」と述べた。また、構想で野球場を建設地としていたことについても岡崎町長は再検討を訴えていたが「他の町有地を検討したが、現予定地より費用も建設期間もかかり、断念せざるをえなかった」とした。

 会見に同席した同病院の河野公俊理事長は「今回の町長の決断で地域医療を守ることができる。ありがたい判断だ。医師の招へいにも有利に働く」と歓迎した。

 構想は、総事業費約65億円で、財源として2020年度末の完成が条件の過疎債を利用するとしている。しかし、官製談合事件などで逮捕、起訴され辞任した前町長が人事などに不当介入したとして、当時の内科常勤医6人全員が3月末で辞任。患者数減少などで収支が悪化していた。【武内靖広】
〔筑豊版〕



https://www.m3.com/news/general/634653
「科学研究費増やして」ノーベル賞の本庶さん、文科相に 
2018年10月12日 (金) 朝日新聞

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)が11日、東京・霞が関の関係省庁で大臣と面会した。

 柴山昌彦文部科学相との面会では、科学研究費助成事業(科研費)の増額幅がわずかなことに触れて「基礎研究は科研費が基本。少しずつ増やしていただくのが重要だ」と要望した。柴山文科相は「基礎、それをどう応用するか、私の方でもしっかり支援します」と応じた。

 午後は根本匠厚生労働相と面会。本庶さんの研究がもとになったがん治療薬「オプジーボ」は高い薬価が、医療財政の面で課題とされてきた。本庶さんは「薬価が高いという不満の声も聞き、実際、医療費が増えている」と指摘したうえで、病気の予防への投資を呼びかけた。子宮頸(けい)がんの原因ウイルスの感染を防ぐ「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン」が現在、積極的に勧奨されていないことも取り上げた。「世界中で使われ、有効性があるという結果が出ている。WHO(世界保健機関)も非常に問題視している」とし、「ぜひすすめるべきではないか」と訴えた。

 本庶さんは、若手研究者を支援する基金を京大に設立する意向を示している。ノーベル賞の賞金や、がん治療薬「オプジーボ」の販売で得られた利益の一部を受け取るロイヤルティー(権利使用料)などを投じるという。国内の基礎研究費低迷が背景にある。



https://www.m3.com/news/general/634584
市立旭川病院:赤字続き、医師ら給与削減へ 市議会可決 /北海道 
2018年10月11日 (木) 毎日新聞社

 旭川市議会は10日、赤字が続く市立旭川病院の経営再建をするため、11月から2年間限定で医師や看護師らの給与を削減するための条例改正案を可決した。市は年約1億3000万円の経費削減を見込む。

 市によると、2017年4月以降の採用者らを除く約430人が対象。給料本体を削減するのは、管理職、課長補佐級を中心とした医師や看護師、薬剤師らで、削減割合は20~1・8%。ボーナスに当たる年2回の勤勉手当は、若手も含め0・5~0・25カ月分削減する。市はこうした方針を労組に提示し、8月に合意したという。

 同病院は近年、患者数の減少などで経営が悪化し、医師不足も深刻化。17年度の赤字は約6億2000万円に上り、立て直しが急務となっている。16年12月に旭川医大と連携協定を締結。60%台にとどまっていた病床稼働率は80%台まで向上してきたが、さらに給与削減に踏み込むとともに、高利率の起債を低利率へ借り換えるなどで黒字化を目指す。【横田信行】



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54332
世界に取り残される日本の「子宮頸がんワクチン」
議論に必要な情報提供を行う役割を放棄する日本のメディア
 
(文:上昌広)
2018.10.11(木) 新潮社フォーサイト / JB Press

 ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんを起こす。HPV感染を予防するためのワクチンが開発され、2009年にわが国でも承認された。2010年には公費接種の対象に加えられ、2013年の予防接種法改正では法定接種に追加された。

 ところが、接種後に疼痛などの訴えが続発し、厚労省は2013年6月、「積極的な接種勧奨を差し控え」を通達した。先立つ3月には全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が組織され、2016年に集団訴訟が提訴された。

 その後、HPVワクチンの取り扱いについて、わが国は迷走する。詳細は2016年4月7日に筆者が紹介したとおりだ(「『子宮頸がんワクチン訴訟』で明らかになった『情報』と『制度』の不足」)。

「副反応報道」をなかったことにする『朝日』

 この記事から2年半が経過するが、状況は変わらない。むしろ、ますます悪化したと言っていい。それは、HPVワクチンの記事がばったりと減ってしまったからだ。新聞記事のデータベースである「日経テレコン」を用いて調べたところ、『朝日新聞』が過去1年間に掲載した「HPVワクチン」か「子宮頸がんワクチン」を含む記事は、わずかに10件だった。副反応が話題となった2013年の58件の5分の1以下だ。一連のあの報道は何だったのだろう。

 知人の『朝日新聞』記者は「村中璃子さんの記事を掲載したことで、すでに方向転換し、副反応を大袈裟に騒いだのはなかったことになっています」という。

 村中さんの記事とは、『朝日新聞』が2017年12月19日に掲載した、英科学誌『ネイチャー』などが主催するジョン・マドックス賞を受賞したことを報じたものだ。村中氏は、一貫して、HPVワクチンの副反応騒動は医学的な根拠がなく、一部の活動家や研究者の影響を受けていると主張してきた。権威ある『ネイチャー』の編集部が彼女を表彰したということは、世界の科学界は村中氏の主張を支持したことを意味する。HPVの副反応を強調し続けた『朝日新聞』の報道は適切でなかったと言っていい。

 人は誰しも間違える。副作用が疑われた際、マスコミが被害者の視点で報じるのは当然だ。ただ、当初の報道が不適切と分かったら、頬被りしてはいけない。医学研究は日進月歩だ。正確な情報を国民に伝えねば、国民が医学の進歩の恩恵を享受する機会を奪ってしまう。HPVワクチンを打つべきか、打たざるべきか、決めるのは国民だ。そのためには、国民に正確な情報を提示しなければならない。それができるのはメディアだけだ。本稿では、『フォーサイト』というメディアの場をお借りして、HPVワクチンの研究の現状をご紹介したい。

今年1月に「予防効果あり」の報告

 まずは有効性だ。2011年6月、オーストラリアの研究者たちは、英国の医学誌『ランセット』に、4価のHPVワクチンであるガーダシルの接種プログラムの導入後2年で、18歳未満の女性から、前癌病変である高度異形成が38%低下したと報告した。

 2014年3月には、同じくオーストラリアのグループが英国の医学誌『BMJ』に続報を発表し、高度異形成を46%減らしたと報告した。

 前癌病変である異形成の発症を抑制することについては、カナダなど他の国からも報告されており、医学的なコンセンサスといっていい。

 一方、HPVワクチンの接種プログラムが導入されてからまだ10年程度しか経っていない現在、子宮頸がんの予防効果についてのコンセンサスはない。ただ今年1月、フィンランドの研究者が、14~19歳の約2万7000人を7年間フォローしたところ、子宮頸がんの発症率はワクチン非接種群で10万人あたり6.4人だったが、接種群では0だったと『International Journal of Cancer』誌に報告した。今後、子宮頸がんの予防効果については、他のグループからも報告されるだろう。その結果も踏まえ、近いうちにコンセンサスが形成されると考えている。

集団内の感染率低下が、非接種の人の感染リスクを低下

 では、HPVワクチンは社会に、どのような影響を与えるだろうか。麻疹や風疹に対するワクチンは、ワクチン接種を推奨することで、集団内の感染率を低下させ、接種していない人の感染のリスクを低下させることが知られている。この現象を集団免疫と呼ぶ。

 HPVは性感染症なのだが、HPVワクチンの集団免疫効果はどうだろうか。これについても、研究が進んでいる。

 2012年7月、米シンシナティ小児病院の研究者たちが、HPVワクチンがカバーするHPV-6、-11、 -16、-18の感染率が、ワクチン接種者で69%、非接種者で49%減少したと報告した。HPVワクチンの集団免疫効果を示した初めての研究だった。

 2016年9月には続報が米国の『Clinical Infectious Disease』誌に報告され、HPVワクチンの接種率が7割を超えたシンシナティでは、ワクチン接種者の感染率は91%、非接種者の感染率は32%低下していたことが確認された。

 さらに同様の研究結果は、別の研究グループからも報告されている。2016年2月、米国の疾病予防センター(CDC)の研究者たちは、接種プログラムが導入された2006年から6年間の、米国の14歳から19歳の女性におけるワクチンがカバーするタイプのHPV感染率は、ワクチン接種者で64%、非接種者で34%低下していたと報告した。複数のグループから一致する結果が報告され、ワクチンの集団免疫効果は裏付けられた。

 接種時期に関する研究も進んでいる。HPVワクチンが、性交歴のある女性にも効くのかどうかという点については、まだコンセンサスはない。だが2014年9月には、オーストラリアの研究者が、HPVワクチンが25歳以上の女性にも有効であることを示した。その年代の多くの女性には性交歴があるため、持続感染への抵抗効果、あるいは再感染を予防する可能性が示唆されたのだ。

 HPVワクチンが初めて承認されたのは2006年6月、米国においてのことだ。米メルク社の4価ワクチンであるガーダシルが承認された。当時の接種対象は9歳~26歳の女性だったが、一連の研究を受けて、米食品医薬品局(FDA)は27歳~45歳の女性に適応を拡大した。

 HPVワクチンの効果の持続性についても、研究は進んでいる。2017年11月、米国の研究者たちは米メルク社の治験の最終解析結果を発表し、接種者の8割以上で抗体が維持されており、効果は10年以上持続していることを確認した。かくのごとく、HPVワクチンの有効性に関する研究結果は世界各地から報告されている。

「世界標準ガーダシル9」は日本では未承認

 HPVワクチン研究を進める原動力は、製薬企業間の競争だ。当初、HPVワクチンは米メルク社のガーダシル(4価)と英グラクソ・スミスクライン社のサーバリックス(2価)が存在した。

 日本では2009年にサーバリックス、2011年にガーダシルが承認され、サーバリックスが先行したが、カバーするタイプが多いこともあり、海外ではガーダシルが支持された。

 2011年11月、英国政府は12歳~13歳の女児の定期接種に用いるHPVワクチンを、サーバリックスからガーダシルに変更すると発表した。サーバリックスを販売するグラクソ・スミスクラインは英国の企業だ。この判断は世界を驚かせた。

 両社の競争にケリをつけたのは、2014年12月に米FDAが9価のガーダシルを承認したことだ。従来の4つの型に加え、HPV-31、 -33、-45、-52、-58をカバーするようになった。従来の4価ワクチンがカバーするのは子宮頸がん全体の7割だったのが、9割に増えた。

 さらに2015年3月、米CDCの諮問委員会がガーダシル9の使用を推奨し、2016年10月にはグラクソ・スミスクラインが米国でのサーバリックスの販売を停止した。ガーダシル9は世界標準のHPVワクチンとしての評価を確立した。もっとも、日本では未承認である。

様々ながんにHPVが関係している

 HPVワクチンの研究が進んでいるのは子宮頸がんだけではない。肛門がん、陰茎がん、膣がん、外陰がん、頭頸部がんの一部はHPVが原因であることがわかっており、このようながんに対しても研究が進んでいる。

 特に注目されているのは頭頸部がんだ。2011年10月に米国がん研究所の研究者が、1984年から2004年の間に収集した271の中咽頭がんのサンプルを調べたところ、HPVに感染していたのは、1984年~89年は16%だったのに、2000年~04年は72%に増加していたと報告した。

 2012年1月には米オハイオ州立大学の研究者たちが、14歳~69歳の健常男女5579人を対象に口腔内のHPVの感染状況を調べたところ、感染率は10.1%だったと報告した。これは女性の3.6%より統計的に有意に高かった。

 頭頸部がんは男性に多いがんだ。これまで喫煙との関係が指摘されていたが、近年、喫煙率は低下傾向にある。現状はむしろ、HPVの影響が顕在化したのかもしれない。専門家たちは、いまや全世界の頭頸部がんの7~9割はHPVによると考えている。

 HPVと関連するがんは、これだけではなさそうだ。2011年には世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)が、肺がんとHPV感染の関係を、2013年にはオーストラリアの研究者が食道がんとHPV感染の関係を報告した。因果関係は確立していないが、研究者はHPV感染が多くのがんの発症に関係していると考えている。

現在の問題は接種率の低さ

 当然だが、このようながんに対してもHPVワクチンによる予防が試みられている。

 2011年10月には米メルク社は、男性同性愛者を対象にガーダシルの肛門がん(上皮内腫瘍)の予防効果を検討した研究結果を、世界最高峰の米国『ニューイングランド医学誌』に報告した。この研究によると、ガーダシル投与により、肛門がんは半減していた。

 頭頸部がんに関しては、いまだ確定的なデータはないが、2015年5月にオランダの研究者たちが、女児とともに男児にもHPVワクチンを接種することで、男性の頭頸部がんなどで蒙る逸失利益(本文ではQALYsという指標を用いている)を37%低下させることができると報告した。

 このような研究成果を世界の医学界は積極的に社会に訴え、一部は政策に反映されている。

 例えば、2011年10月に米国CDCの諮問委員会が、2012年2月には米国小児科学会が、男児・男性にもガーダシルの接種を推奨することを公表した。米国では男児もガーダシル接種の対象に含まれている。

 米国での現在の問題は接種率が低いことだ。2015年7月、『米国医師会誌』はプリンストン大学の研究者の報告を掲載した。彼らは、米国でHPVワクチンの接種を義務づけているのはワシントン特別区と2州だけであること、接種率は目標の80%を大幅に下回り、3回接種を済ませている思春期の女児は38%、男児は14%に過ぎないと指摘した。

 この状況を受けて、小児科や感染症の専門誌では近年、どうすればHPVワクチン接種率を高めることができるかという研究が数多く紹介されている。

 例えば、2016年12月、米ノースカロライナ大学の研究者たちは、HPVワクチンの接種率を向上させるには、医師が保護者に、その必要性をはっきりと説明することが有用であると報告している。HPVワクチンに関する議論がタブー視され、接種率がほぼゼロの日本とは雲泥の差である。

WHOは日本でのワクチン騒動を意識した声明

 では、マスコミが喧伝し、多くの国民が関心を抱く副作用についてはどうなっているだろう。こちらについても、数多くの研究成果が報告されている。

 まずは2012年10月に、米国の医療保険会社であるカイザー・パーマネンテの医師たちが、約19万人の若年女性がガーダシルを接種後に救急外来を受診、あるいは入院したかを調べたが、特に大きな問題はなかったと小児科専門誌に報告した。

 同月には、同じくカイザー・パーマネンテの医師たちが、HPVワクチンは接種した女児たちの性行動に特に影響を与えなかったことを、小児科専門誌に発表している。

 さらに2013年10月には、スウェーデンの研究者たちが英国の医学誌『BMJ』に、HPVワクチンが自己免疫疾患、神経疾患、静脈血栓症を増加させなかったこと、2014年6月にはデンマークの研究者たちが『米国医師会誌』に、深部静脈血栓症を増加させなかったこと、2015年9月には米国国立衛生研究所の研究者たちが英『BMJ』誌に、妊娠に悪影響を与えないことを報告している。

 こうした一連の研究を受け、2013年6月には、WHOの諮問機関である「ワクチンの安全性に関する諮問委員会」が「HPVワクチンは世界で1億7000万回超が販売されており、多くの国で接種されている。市販製品の安全性に懸念はないことを再確認した」と総括している。

 このような見解を述べたのは、WHOだけではない。2015年11月には、欧州医薬品庁(EMA)が、HPVワクチンは安全であるとの声明を出している。この声明の中で、“Review concludes evidence does not support that HPV vaccines cause CRPS or POTS”という強い論調で副作用の懸念を否定している。“CRPS or POTS”とは日本の医師たちが指摘したHPVワクチンの副作用のことだが、WHOは日本でのワクチン騒動を意識して、それを否定する声明を発表したわけだ。ところが日本のメディアは、この声明を取り上げなかった。

 以上、わが国でのHPVワクチン騒動以降の世界での研究の動きを紹介した。もちろん、どんなワクチンにも副作用はある。わが国の接種者の一部に重大な副作用が生じた可能性は否定できない。ただ、ワクチン接種の是非を議論する際に重要なのは、効果と副作用を冷静に天秤にかけることだ。その際には正確な情報が欠かせない。日本のメディアは、その役割を完全に放棄している。本稿がその一助になれば幸いである。

上昌広
特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。



https://www.medwatch.jp/?p=22824
病床過剰地域で「ダウンサイジング」が進むよう、効果的な方策を検討せよ―経済財政諮問会議 
2018年10月9日|医療・介護行政全般 MedWatch

 (1)予防・健康づくりの推進(2)効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現(3)社会保障サービスにおける産業化の推進(4)生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上—を柱として社会保障改革を進めよ。とくに(2)では、「病床過剰地域でのダウンサイジング」を進める必要がある―。

 10月5日に開催された経済財政諮問会議では、有識者議員からこういった提言が行われました。

 新内閣(第4次安倍改造内閣)の発足に伴い、安倍晋三内閣総理大臣は「少子高齢化に真正面から立ち向かい、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていく」考えを強調しており、今後も活発な議論が行われると予想されます。

少子化を見据えて、「生産性向上」「タスクシフト」なども進めよ
 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その後、2040年にかけて高齢者人口の増加の程度は鈍化するものの、「生産年齢人口」が急激に減少していくため、社会保障制度の基盤が極めて脆くなっていきます。

このため、給付と負担の見直しにとどまらない「社会保障改革」が求められているのです。

 経済財政諮問会議の有識者議員(▼伊藤元重議員:学習院大学国際社会科学部教授▼高橋進議員:日本総合研究所チェアマン・エメリタス▼中西宏明議員:日立製作所取締役会長兼執行役▼新浪 剛史 サントリーホールディングス代表取締役社長)は、まず2019年度の社会保障関係予算について「高齢化の伸びが緩和される」点を指摘。つまり、2018年度までよりも「伸びを抑制する」、厳しい改革を行うよう強調しています。
 
その上で、改革の視点として(1)予防・健康づくりの推進(2)効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現(3)社会保障サービスにおける産業化の推進(4)生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上—の4点を掲げました。

まず(1)の「予防・健康づくり」(生活習慣病、認知症予防等への重点的取組)に関しては、関係府省が地方自治体・医師会等と協力して、▼現役世代への「特定健診受診、健康増進等のインセンティブ」として、ポイント制度の導入を促進する▼自治体の判断で「包括的・広域的な民間委託の仕組みを導入する」など、多様なPPP(Public Private Partnership:官民連携)/PFI((Private Finance Initiative:公共施設等の建設、管理、運営等に、民間の資金、経営能力等を活用する仕組み)の活用手法を推進する▼認知症対策について、「予防モデル構築に向けて官民を挙げて取り組む重点プロジェクト」の規模・民間資金受け入れの仕組みを具体化する▼ACP(Advanced Care Planning)や、在宅看取りを推進する―よう提案しています。

厚労省では、すでに高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する仕組みの構築に向けた検討を進めており、今後、とかく縦割りと言われる「行政内部での連携」も重要課題となってくると考えられます。

また(2)の「効率的な医療介護制度、地域医療構想等の実現」では、「病床過剰地域におけるダウンサイジング支援に向けて、民間病院等の誘因になる効果的な追加方策を検討する」よう求めている点が注目されます。

地域によっては、すでに「人口減少」が進んでいます。こうした状況の下では、新規患者の獲得が困難で、「病院等の病床の稼働率を維持するために、退院を伸ばす(つまり在院日数を短縮させない)」という操作が行われがちです。不要な在院日数の延伸は、医療費の高騰につながる(現在の入院料は1日当たりで設定されているため)だけでなく、▼ADLの低下や院内感染のリスクを向上させる▼患者の社会復帰・職場復帰を遅らせ、経済的な困難をもたらす―という弊害もあります。

「本当にその病床規模が必要なのか」を、公立・公的病院だけでなく、民間病院も含めて検証する必要があるでしょう。

さらに(3)の「社会保障サービスにおける産業化」に関しては、▼「マイナンバー」「被保険者番号の個人単位化」を活用し、健康関連データの蓄積と活用を推進する▼AIを活用した予防、健診、治療の最適化に向けて、改革工程を具体化する▼医療システム全体のデジタル化を推進し、関連サービスにおける産業化を推進する▼医療関係者の業務分担の見直し・効率的な配置、多様な人材の活用を進め、負担軽減と生産性向上を実現する―といった幅広い改革を求めています。

少子高齢化の進行は、「社会保障費の増大」→「保険料等負担の増加」だけではなく、「医療・介護現場等で働く人材が不足する」ことを意味します。「保険あってサービスなし」という事態が、日本全国で生じる可能性も否定できず、「タスクシフト・タスクシェア」「AI等最新技術を用いた生産性の向上」に向けた取り組みを早急に進める必要があるでしょう。
 
 さらに、社会保障改革で重視しなければならないのが、いわゆる「元気高齢者」にも支え手になっていただくという視点です((4)の「生涯現役時代の制度構築を通じた経済活力の向上」)。

 年金制度改革はもちろん、元気高齢者が「医療・介護」サービスの周辺部分を支えることで、「人材不足」に一定の効果が期待できます。

 この点、臨時議員として出席した根本匠厚生労働大臣は、「高齢者の『若返り』が見られ(日本老年学会・日本老年医学会も指摘するように、「10-20年前と比べ、5-10歳程度の若返りが生じている」(加齢に伴う身体機能変化の出現が遅れている))、就業率も上昇している」点を強調し、今後、国民誰もが、より長く、元気に活躍できるよう、▼多様な就労・社会参加の環境整備▼健康寿命の延伸▼医療・福祉サービスの改革による生産性の向上▼給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保—に向けた検討を進めていく考えを示しています。
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https://www.medwatch.jp/?p=22813
2019年度地域医療係数設定に向け、DPC病院は10月16日までに「がん拠点病院等の状況」の届出を—厚労省 
2018年10月9日|医療保険制度 MedWatch

 2019年度の「DPC地域医療係数」設定に向けて、DPC病院においては「がん診療連携拠点病院などの指定を受けているか」などを10月16日までの都道府県に届け出なければならない―。

 厚生労働省は9月28日に通知「平成30年度地域医療指数(体制評価指数)等の確認に係る手続きについて」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

届け出漏れがあれば、2019年度の医療機関別係数に反映されなくなる点に留意を
 DPC制度において、包括部分の請求額は「診断群分類ごとの1日当たり点数」×「在院日数」×「医療機関別係数」で計算します。
 
「医療機関別係数」は、▼基礎係数(大学病院本院群(旧I群)、DPC特定病院群(旧II群)、DPC標準病院群(旧III群)のそれぞれで設定)▼機能評価係数I(入院基本料等加算などを係数化)▼機能評価係数II(個別医療機関の機能を係数化)▼激変緩和係数(診療報酬改定時の係数の激変を緩和)の和となります。

機能評価係数IIは、今般の2018年度改定で次の6項目に整理しなおされました(関連記事はこちらとこちら)。
(1)保険診療係数:適切なDPCデータの作成、病院情報を公表する取組み、保険診療の質的改善に向けた取組み(検討中)を評価する
(2)効率性係数:各医療機関における在院日数短縮の努力を評価する
(3)複雑性係数:各医療機関における患者構成の差を1入院あたり点数で評価する
(4)カバー率係数:様々な疾患に対応できる総合的な体制について評価する
(5)救急医療係数:救急医療の対象となる患者治療に要する資源投入量の乖離を評価する
(6)地域医療係数:地域医療への貢献を評価
 
 DPC病院の機能はさまざまであり(例えば、特定の疾患に専門特化した病院、多くの診療科を有する総合病院など)、6項目の機能評価係数によって多角的に評価を行うものです。

このうち(6)の「地域医療係数」は、例えば「がん診療連携拠点病院」への指定や「脳卒中地域連携」への取り組みといった「体制」を評価する【体制評価指数】と、地域の患者のシェア(つまり、地域の患者にどれだけ支持されているか)を評価する【定量評価指数】で構成されます。この【体制評価指数】の内容についても、2018年度診療報酬改定で整理しなおされたため(関連記事はこちらとこちらとこちら)、厚労省は今般の通知において、その内容と確認手続きを詳しく示しました。確認手続き(報告・届け出)に漏れがあった場合、がん診療や脳卒中に力を入れていたとしても、翌年度(今回であれば2019年度)の地域医療係数に反映されないこととなってしまうので、ご留意ください。
 
 各DPC病院では、下記の地域医療指数(体制評価指数)の評価項目の参加・指定等状況を、厚労省の定める様式1「救急医療等の参加状況について」によって、2018年10月16日(火)までに「病院の所在地を管轄する都道府県衛生主管部(局)」に提出することが求められます。

その後、都道府県衛生主管部(局)が、がん対策主管部(局)と連携して、病院の提出様式を確認して、登録状況等を各病院に回答。回答を受けた病院は、当該様式1と様式2「施設基準の届出状況等に係る報告」を、2018年11月30日(金)までに地方厚生(支)局医療課に提出します。

地方厚生(支)局は、提出された様式2の内容を確認し、様式1・2を厚労省に報告し、厚労省で集計の後、「地域医療指数(体制評価指数)等の拡大」→「各病院への内示」を経て、2019年3月に医療機関別係数(機能評価係数Ⅱ)が告示されます。
 
【確認項目】

●がん
▽がん診療連携拠点病院(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院)、特定領域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院(国立がん研究センター中央病院・同東病院は、「都道府県がん診療連携拠点病院」とみなす)
▽小児がん拠点病院

●へき地医療
▽へき地医療拠点病院
▽「へき地医療」の要件を満たすことで社会医療法人の認定を受けている病院
▽「へき地医療」の要件以外の要件を満たすことで社会医療法人の認定を受けている病院、または社会医療法人ではない病院で、「へき地医療」の業務実績における基準に該当している病院

●災害医療
▽災害拠点病院
▽災害派遣医療チーム(DMAT)への参加(都道府県・政令指定都市が独自に認定する災害派遣医療チーム(DMAT)は届出の対象外)
▽広域災害・救急医療情報システム(EMIS)に参加し、災害時に医療施設の状況を入力可能な病院(都道府県の運営する救急医療情報システムのみの参加は届出の対象外)

●周産期医療
▽総合周産期母子医療センター
▽地域周産期母子医療センター

●救急医療
▽病院群輪番制病院、共同利用型病院
▽救命救急センター



https://this.kiji.is/423648763828044897?c=92619697908483575
八代市立病院、病床移転、外来譲渡へ協定 
(2018年10月13日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

 八代市は12日、本年度末に廃止予定の市立病院(同市妙見町)について、一般病床の再編移転や外来診療の事業譲渡を来年4月に行うための基本協定を、熊本総合病院(同市通町)、八代北部地域医療センター(氷川町)とそれぞれ結んだ。

 病床の再編移転に必要な厚生労働相の同意が9日取れたという。市は「廃止に向けた準備がほぼ整った」として、12月定例市議会に市立病院の廃止条例案を提出する方針。

 協定によると、市立病院の一般病床全66床のうち、56床を熊本総合病院、9床を八代北部地域医療センターへ移転。全床を八代地域に不足している回復期に充てる。市の運営補助金は交付しない。

 熊本総合病院には仮設外来棟や医療機器などを無償で譲り、現地での外来診療を引き継いでもらう。現地診療は来年4月からひとまず10年間とし、市は必要に応じてその後も継続を求める。

 市鏡支所で、中村博生市長と両医療機関の代表が協定書に調印。熊本総合病院の島田信也病院長は「住民の要望が強い整形外科の新設も含め、外来診療の充実に努める。10年過ぎても続けるつもりだ」。八代北部地域医療センターの吉田光宏院長は「八代北部の住民に身近な病院として、機能強化につなげたい」と述べた。

 市立病院の廃止を巡っては、地元・宮地校区の一部の住民らが不安を訴え、反対運動を展開している。(益田大也)

G3註:八代市の病院
            高度  急性  回復  慢性
国保八代市立病院    —   66   —   — 
熊本労災病院       6   404   —   — 
八代北部地域医療CTR  —   46   —   34 
桜十字八代病院     —   55   51   −
八代医師会病院     —   —   —   100 
JCHO熊本総合病院   54   286   —   — 



https://www.medwatch.jp/?p=22832
新専門医制度、2019年度の専攻医登録を控えて「医師専門研修部会」議論開始 
2018年10月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度における2019年度の専攻医(専門医資格取得を目指す後期研修医)の登録を控え、9月28日には医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門部会)の初会合が開かれました。

部会では、近く、各都道府県の「地域医療対策協議会」の意見を踏まえた「厚生労働大臣の意見」(日本専門医機構や基本領域学系に向けた要望)を取りまとめます。また、一部学会ではカリキュラム制の専攻医を合算すると「シーリング(上限)を超えた採用がなされている」ことも明らかとなり、2019年度の登録状況についても「シーリングを遵守しているか」の確認が行われます。
 
ここがポイント!
1 「東京への専攻医集中」は抜本的に見直すべきとの指摘も
2 カリキュラム制を含めると、一部基本領域学会ではシーリングを超過

「東京への専攻医集中」は抜本的に見直すべきとの指摘も

 医師偏在是正を大きなテーマに掲げた改正医療法・医師法では、新専門医制度について「各都道府県の地域医療対策協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣が新専門医制度に内容に関して意見を述べる(日本専門医機構は、意見を反映させる努力義務を負う)」仕組みが創設されました。

 地域医療対策協議会には、▼都道府県▼市町村▼医師会▼病院団体▼期間病院等▼大学―などが参加し、地域医療確保の観点で新専門医制度等に関して協議を行い、意見・要望を都道府県・厚生労働大臣を通じて日本専門医機構に伝えることができます。
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 具体的には、新専門医制度において日本専門医機構・基本領域学会が▼専門医制度新整備指針(日本専門医機構で制定)▼専門医制度新整備指針運用細則(同)▼総合診療専門研修プログラム整備基準(同)▼総合診療専門研修プログラム(同)▼各基本領域の専門研修プログラム整備基準(各基本領域学会で制定)▼各基本領域の専門研修プログラム(同)—を制定・変更する場合に、各都道府県・協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣の意見・要望を日本専門医機構・基本領域学会に提示します。ただし、各研修プログムの細部(「●●疾患を○○症例以上、経験すること」など)については、各基本領域学会のプロフェッショナルオートノミーを基盤に設計されるべきものであり、都道府県や厚生労働大臣の意見・要望は「地域の医療提供体制の確保に重大な影響を与える事項」「研修を受ける機会の確保に関する事項」に限定される点には留意が必要です(近く、厚労省令の交付、関係通知の発出等が予定されている)。

 10月中旬(15日予定)の専門部会で、各都道府県・協議会の意見を踏まえて、厚生労働大臣の意見・要望を取りまとめることが確認されました。
 
 9月28日の初会合では、この意見・要望取りまとめも睨み、委員からさまざまな意見が出されました。

このうち立谷秀清委員(全国市長会会長、福島県相馬市長)は、「新専門医制度で、東京への専攻医集中が助長されてしまった」点を重く見て、「シーリング(定員上限)を思い切って厳しくする(例えば現在の30%減)などの見直しが必要」と強調しています。

これに対し日本専門医機構の副理事長である今村聡参考人(日本医師会副会長)は、「例えば、東京都でのシーリング設定で、仙台のある基幹病院から『東京からの医師派遣がストップし、困っている』といった声も出ている。2019年度からはさらに東京都のシーリングを5%減らす(厳しくする)ことになったが(関連記事はこちら)、数字だけではなく、医師の動向などを丁寧に見ていかなければいけない」と説明しましたが、立谷委員は「そもそも、仙台を初め、地方の病院が、東京からの医師派遣を受けなければ医療提供体制が維持できない状況がおかしい」とし、抜本的な「東京への専攻医集中の是正が必要」と改めて訴えました。

カリキュラム制を含めると、一部基本領域学会ではシーリングを超過

ところで、厚労省の調べでは、「2018年度において、カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、一定の症例数などを経験することで専門医試験の受験資格を得られる仕組み)の専攻医を加味した場合には、一部基本領域学会において、シーリングを超過して専攻医を採用している)ことも明らかになりました(2018年度は外科や産婦人科などの一部領域を除き、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡の5大都市圏では、シーリングを「過去5年間の後期研修医受け入れ実績の平均」とした、関連記事はこちら)。プログラム制(年次ごとに定められた研修プログラムに則って、定められた施設で研修を行う仕組み)の専攻医に限定すれば、シーリングを遵守していると考えられますが、「医師の地域偏在を助長しない」という趣旨に遡って考えれば、「カリキュラム制の専攻医も含めてシーリングを設定し、それを遵守する」ことが求められるでしょう。
 
この点、牧野憲一委員(日本病院会常任理事、旭川赤十字病院院長)は「シーリングを超過した採用は許されない。超過を防止する仕組みが必要」と指摘。山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「専門部会で、シーリングの遵守状況を確認する必要があるのではないか」と提案しました。採用状況が揺れ動く中では十分な確認は行えず、かと言って専攻医の採用が決定してから「シーリングを超過しているので、●名の採用を取り消せ」と関係学会に要望することは難しく、厚労省ではタイミングを見て「専門部会でシーリングの遵守状況を確認する」考えを示しています。

なお、牧野委員は「5年後、10年後に地域でどういった医師が求められているのかを明らかにした上で、専門医養成の在り方を考える必要がある」とも指摘しており、「診療科別の医師需給」「医師の働き方改革」なども含めた、総合的な検討が今後求められていくでしょう。



https://www.asahi.com/articles/ASLBD4386LBDUBQU004.html
市立札幌病院の経営改善で報告書 「地域と役割分担を」 
戸谷明裕2018年10月12日15時00分 朝日新聞

 4年連続の収支不足が続く市立札幌病院(札幌市中央区)の経営改善を議論する専門家検討会が10日夜開かれ、「高度急性期病院として、地域を支援する役割を十分に果たすことが経営改善への近道」などとする最終報告書をまとめた。今年度中にまとめられる次期中期経営計画に盛り込まれる見通し。

 5回目となる検討会では、同院について、地域に任せるべき外来患者を多く抱えており、地域が担えない入院治療や検査などの役割が果たせていないと指摘した。

 改善策については、外来患者を地域に紹介する「逆紹介」をしたり、救急患者や入院治療を増やすために、救急病棟の入院患者を各病棟へ早期に移すなど、病院全体のベッドコントロールを強化したりして、地域に任せるところは任せ、地域が担えない患者の受け入れ態勢の整備を進めるよう提言している。

 検討会の金子貞男会長は9月発生の地震時に果たした病院の役割について「災害拠点病院として救急患者の受け入れや災害派遣医療チームを派遣し、検討の方向性に間違いはなかった」とした上で、「市民最後のとりでとして、断らない医療を高い使命感を持って実践してほしい」と総括した。

 同院の関利盛院長は「患者の受け入れ態勢など、指摘されたことをさらにブラッシュアップして、強化していきたい」と話した。


  1. 2018/10/14(日) 11:37:10|
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10月7日 

https://www.medwatch.jp/?p=22737
消費税問題、税率が20%、30%に上がることも踏まえ「抜本的な対応」も検討すべき―日病・相澤会長 
2018年10月3日|医療保険制度 MedWatch

 医療に係る消費税問題について、病院経営が逼迫している点を踏まえて、当面は三師会(日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会)と四病院団体協議会(日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会)の提言に沿って「特別の診療報酬プラス改定を維持した上で、個別医療機関の補填の過不足を調整する」ことで対応すべきだが、消費税率が今後20%、30%と上がっていくことも見据え「抜本的な対応」についても協議していく必要がある―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は10月2日の定例記者会見で、このような考えを述べました。
 
ここがポイント!
1 当面は、病院経営の厳しさ踏まえて三師会・四病協の提言に沿った対応が必要
2 医師の働き方改革、安易に結論を急がず、慎重な検討が必要

当面は、病院経営の厳しさ踏まえて三師会・四病協の提言に沿った対応が必要

 保険医療については「消費税は非課税」であることから、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できず、医療機関等が最終負担しています(いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれる)。このため、物価や消費税率が上がれば、医療機関等の負担が大きくなるため、1989年の消費税導入時から「医療機関等の消費税負担を補填するために、特別の診療報酬プラス改定を行う」(以下、消費税対応改定)こととなっています(消費税導入時の1989年度、消費税率引き上げ時の1997年度および2014年度)。
 
しかし、診療報酬の算定状況は個々の医療機関等で区々であることから、個別医療機関の消費税負担を過不足なく調整することは極めて困難です。2014年度の消費税対応改定の結果分析でも、▼病院全体の補填状況は85.0%にとどまる(2016年度)▼特定機能病院に至っては61.7%の補填しかなされていない(同)—ことが明らかになっています(関連記事はこちらとこちら)。

来年(2019年)10月には「8%から10%への消費税率引き上げ」が予定されており、この状況を放置すれば、ますます「病院経営の逼迫」「補填のバラつき」が進む恐れがあります。そこで三師会と四病協では、こうした問題を解消するために、次のような仕組みを新たに創設することを提言。厚生労働省も来年度(2019年度)の税制改正に向けて同様の要望を行っています(関連記事はこちらとこちら)。

(1)特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填方法を維持する

(2)その上で、個別の医療機関ごとに、▼診療報酬本体に含まれる消費税補填相当額▼控除対象外消費税の負担額(医薬品・特定保険医療材料を除く)—を比較し、医療機関の申告に基づいて「個別の過不足」に対応する

 相澤会長は、昨今、病院経営状況が極めて厳しくなっている背景には、2014年度消費税対応改定による「補填不足・バラつき」が大きく影響しているとし、当面、「三師会・四病協提言に沿った対応をとるしかない」と強調しました。

 その一方で、消費税率が将来20%、30%と引き上げられていった場合、「診療報酬プラス改定の維持は難しくなる」とも見通し、「抜本的な対応」について改めて検討していくことが必要との考えも示しています。

 消費増税に対応するために診療報酬のプラス改定を行えば、それは患者負担・保険者負担にも跳ね返りますが、これは「消費税非課税」の趣旨と矛盾する側面もあります。このため、日病内部には「診療報酬プラス改定での対応には限界がある。別の手法を考えた方がよい」との指摘も強いと言います。相澤会長は、「『消費税率を大幅に引き上げる』となってから検討したのでは遅い」とし、国民も交えて、抜本的な検討を早急にしていくことの重要性を強調しています。

医師の働き方改革、安易に結論を急がず、慎重な検討が必要

 また「医師の働き方改革」について、厚労省の検討会(医師の働き方改革に関する検討会)では、これまでに▼宿日直許可基準を現在の医療実態を踏まえて見直す▼自己研鑽について「労働に近いもの」「純粋な自己研鑽に当たるもの」などに区分けしていく—方向が示されていますが、相澤会長は「ある程度の幅を持たせるべき」と指摘しています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。

 例えば、前者の宿日直許可基準に関しては、仮に「救急外来でどこまでの処置は業務に該当しない」「入院患者の急変について、どこまでの対応は業務に該当しない」などと厳密なラインを引いたとしても、医療現場では「救急外来にも夜間の患者急変時にも必要な対応を必ずとる」(「看護師に指示を出すのみ」などの対応はあり得ない)ため、そうしたラインは「極めて非現実的である」と相澤会長は指摘。

 また、業務の内容などは、医療機関等の立地条件(都市部で医療資源が豊富なのか、地方で医療資源が少ないのか、など)や病院の種類(急性期か慢性期か、など)に応じて大きく異なり、一律のラインを引くことは極めて難しいでしょう。さらに、例えば後者の自己研鑽については、さまざまな要素が複雑に絡み合っており、一律に●●は労働、●●は純粋な自己研鑽と言いきることは難しく、「安易にラインを引いた場合、医師の業務範囲が狭くなり、現場が回らなくなる(さらに医療の質も下がってしまう)」懸念もあると相澤会長は指摘します。

相澤会長は、医師の働き方改革には、このような難しい問題があり「安易に結論を急げば将来に禍根を残す」とし、慎重に議論していく必要性を訴えています。



https://www.medwatch.jp/?p=22797
「ここに行けば正しい医療情報が得られる」サイト構築等の検討を―厚労省・上手な医療のかかり方広める懇談会 
2018年10月5日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 患者・国民が「正しい医療の情報」を入手するためのサイトなどを構築することで、患者側も安心でき、不要・不急な医療機関受診などを減らし、医師の負担軽減が一定程度はかれるのではないか。ただし、「分かりやすく」「おしゃれなデザイン」であることが必要不可欠であり、国・医療機関・患者団体・マスメディアなどが協働していくことが求められる―。

 厚生労働省が10月5日に開催した「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」(以下、懇談会)の初会合で、構成員からこういった意見が多数出されました。
 
ここがポイント!
1 「医師の働き方改革」と同時に、国民に「適切な医療のかかり方」を広めることが必要
2 医療情報が氾濫する中で、「正しい情報」を入手できるサイト等の必要性高まる
3 まず#8000、#7119のPRを充実してはどうか

「医師の働き方改革」と同時に、国民に「適切な医療のかかり方」を広めることが必要

 医師の過重労働を減らし、医療の質の維持・向上を図り、医療安全を確保するために「医師の働き方改革」が求められています。その際、患者側が「上手に医療機関にかかる」ことが同時に求められます(関連記事はこちら)。
 
 「医師の時間外労働の上限を●時間までとする」「医師の業務の一部を他職種に移管する」などの制度的手当を行っても、患者・国民側が「医療機関が空いているので、夜間に受診しよう」などと考えていたのでは、医師が過重労働からは解放されないからです。

10月5日の懇談会では、こうした患者側の意識・行動変容をどう促していくか、と言う観点で自由討議が行われました。そこでは、「適切な医療情報提供」の必要性を指摘する声が数多くでています。

医療情報が氾濫する中で、「正しい情報」を入手できるサイト等の必要性高まる

医療に関する情報はネット上にあふれるほどあります。しかし、実態は玉石混交で「何が正しい情報なのか」「どこに知りたい情報が掲載されているのか」が極めて分かりにくくなっています。佐藤尚之構成員(ツナグ代表取締役)は、「震災の折に行政からは非常に重要な情報が発信されたが、検索しにくく、かつ表現が難しすぎた。そこで、コピーライターにわかりやすく翻訳してもらい、『助け合いジャパン』のサイトに載せるなどした」旨の経験を紹介。

また鈴木美穂構成員(マギーズ東京共同代表理事)も、「●●という疾病にはこういうタイプがあり、こういう治療法がある、などの情報を整理し、ワンストップで提供できるようなサイトが必要」と指摘。ただし、鈴木構成員は「おしゃれで、分かりやすい」サイトにしなければ国民側はアクセスしないとも述べています。

さらに医療提供者の代表として参画する城守国斗構成員(日本医師会常任理事)も、こうした意見に賛同し、「ここに行けば正しい医療情報が入手できる」というサイトを、行政・医療機関・国民が協働して構築すべきとコメントしました。

 
ところで、医療機関情報を網羅的に入手できるツールとして、各都道府県の「医療機能情報提供制度」(医療情報ネット)があり、ここの医療機関検索サイトでは、都道府県内の病院・診療所の詳細な情報(機能、設備、診療報酬の届け出状況など)を入手できます。まさに、構成員が提案する「正しい医療情報」サイトと言えるものです。しかし、当該サイトの認知度はあまりに低く、また厚労省や各都道府県のコーポレイトサイト(ホームページ)のトップページから当該サイトにたどり着くことは、そう容易ではありません。「情報の正しさ」「既存資源の活用」などを考えれば、「医療機能情報提供制度」(制度内の医療機関検索サイト)のリニューアルが現実的な選択肢となり、今後の予算確保などが期待されます。

もっとも、佐藤構成員は「SNSのコアユーザーは900万人程度と推計され、実は1億人あまりの日本国民は、それほど活用していない。インターネットの検索サイトも、地方ではあまり活用されていないというデータもある。ネットを過信してはいけない」とも指摘。また吉田昌史構成員(宮崎県延岡市健康福祉部地域医療対策室総括主任)は、「高齢者の中にはネットを使いこなせない人も少なくない。世代に応じた情報提供方法を検討する必要がある」とコメントしており、適切な医療情報の提供に当たって、「ネット情報は医療情報を提供する1つのツールに過ぎない」点をきちんと認識しておくことが重要です。

なお、いかに「おしゃれで」「わかりやすい」医療情報サイトを構築したとしても、その運用には多くの苦労が伴います。たしかに新サイト等の構築時には、関係者も熱心に参画します。しかし運用段階になると、その「熱」も冷め、一部の人のみが運用に携わりますが、限界もあり、「情報の更新などが疎かになる」→「利便性が下がる」→「利用者・閲覧者が減る」→「運用担当者のモチベーションが下がる」→「さらに情報更新が疎かになる」という負のスパイラルに陥りがちです。こうした点についても、事前に十分に検討しておくことが必要でしょう。

 さらに、いかに優れたサイトを構築・運用しても、「本当に見てほしい、知ってほしい無関心層」に情報を確実に届けることは非常に難しいのが実際です。こうした「情報提供の限界」も踏まえた議論が期待されます。

まず#8000、#7119のPRを充実してはどうか

 不要・不急の医療機関受診を適正化するために、国と各都道府県は「子ども医療電話相談事業(#8000)」と「救急相談センター(#7119)」を開設しています。例えば、夜間に子どもの具合が悪くなった際、「様子を見るべきか、医療機関を受診すべきか、救急車を要請すべきか」が一般人にはなかなか判断できず、「大事に至ってはいけない」と考え、救急搬送の要請等をしてしまいがちです。その際、まず#8000に電話することで、担当の小児科医・看護師から「どう対応すればよいか」の指示を得られるものです。

この仕組みについても認知度が低く、デーモン閣下構成員(アーティスト)は「厚労省から聞いて初めて知った。まず、この素晴らしい仕組みのPR・周知を行うべきではないか」との考えを述べています。
 
なお、「医師の負担軽減のために、患者にも上手な医療機関へのかかり方を考えてもらう」となれば、一部の患者や国民は「受診抑制をするのか」と誤解しがちです。この点、根本匠厚生労働大臣は「決して受診抑制を目指すものではない」と強調していますが、豊田郁子構成員(患者・家族と医療をつなぐ特定非営利活動法人架け橋理事)は、「都市部で医師不足ではない地域で、『医師の負担が過重』と伝えても患者や国民には理解されにくい。丁寧に説明していくことが必要」と訴えました。豊田構成員は「高齢者等ではインターネットを十分に活用できない人も少なくない。医療機関の多職種による患者支援を充実する必要がある」とも指摘しています。
 
懇談会では、月1回程度のペースで議論を深め、今年(2018年)12月頃に議論の経過などを「医師の働き方改革に関する検討会」に報告する予定です。その際、例えば都道府県の「医療機能情報制度における医療機関検索サイト」のリニューアル案などができていれば、そうした成果物を報告することなども考えられそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631952
労基署の介入、医療不信時の警察と同じ違和感 - 山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長に聞く◆Vol.2
働き方改革「医療の特殊性を踏まえて」
 
インタビュー 2018年10月5日 (金)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――改めて審議会の委員の活動についてお話をお伺いします。2017年度は国で29、医療団体なども含めると、95の委員会に参加していたとのことですね。
 患者会の方は、自分たちの疾患に対してプラスになる施策を得ることが目的だと思いますが、COMLは特定の疾患に対する団体ではないのでお声がけいただくことが多いのだと思います。

 そのような立場で、どのような働きをすべきかを試行錯誤してきましたが、一番大きな変わり目が2015年3月に群馬大学と東京女子医科大学が特定機能病院承認取り消しになったことを受けて設置された「大学病院等の医療安全に関するタスクフォース」です(『6月から集中立ち入り検査、特定機能病院』を参照)。

 3人の顧問のうちの1人として参加し、22病院の集中立ち入りに同行。厚労省や地方厚生局の職員も含めて誰よりも多く行ったのだそうです。その全てでリポートを作り、最終的には総合的なリポートを3枚にまとめて提出しました。2017年度から特定機能病院では医療安全監査委員会を設置することが求められるようになり、委員には「医療を受ける者その他の医療従事者以外の者」が外部から参加することが義務付けられました。私も8病院で委員を務めています。

――いわゆる団体選出の委員だと、その組織の事務方や調査担当とともに発言内容を検討することも多いと思います。山口さんもブレーンと相談したりするのでしょうか。
 定まったブレーンがいるわけではありませんが、さまざまな方から情報をいただきます。また、意識していろいろな立場の人の意見を聞くようにはしています。患者代表のような位置付けで呼ばれますが、これまでに2万件の相談を聞いてきたことが私の発言の基礎になっています。

 ただ、患者の声としても、いろいろな方が発言する方が健全だと思って、現在は発言する人を養成する取り組みもしています。それまであった「医療で活躍するボランティア養成講座」をリニューアルする形で、基礎コース「医療をささえる市民養成講座」を開催しています。基礎コースを修了した人を対象に「医療関係会議の一般委員養成講座」を昨年度から始めました。7回の講座で、最後に模擬検討会で合否判定をして、合格者の中から希望者を「COML委員バンク」に登録するようにしています。模擬検討会には厚労省の医系薬系技官の課長補佐レベルの方々が協力してくださっています。既に7人がバンクに登録されて、実際に委員会などでも活動し始めています。委員会に参加する際の肩書は「COML委員バンク登録会員」で通用しています。

――厚労省の使い勝手のいい委員が選ばれる可能性はないでしょうか。
 見ていただくと分かると思いますが、現在の厚労省の審議会などは形ばかりのアリバイ作りの場ではなく、侃々諤々議論が行われていると思っています。私も厚労省が嫌がる意見を出すこともあります。それでも委員になってくれと言われるわけです。最後の模擬検討会での採点基準も、その人の考えの内容を採点しているのではなく、きちんと的を射た内容をタイミングよく、分かりやすく適切に発言できるかということに視点を置いています。

――COMLができてから28年間、または山口さんが理事長になってから日本の医療はどのように変わってきたとお感じでしょうか。
 全体的には良く変わってきたと思っています。私が患者になった頃は情報が完全に閉ざされていた時代で、患者のことより医療者の都合が優先されて、全部決められていたわけです。しかし、時代とともに情報提供が積極的に行われるようになり、コミュニケーションや接遇にも意識が向くようになりました。今はふんぞり返っている医師なんてほんとに減りました。

――著書のタイトルでもある「賢い患者」には、どのようにしたらなれるのでしょうか。
 子どもの頃からの意識付けだと思っています。その一翼を担えればと思い、仲間たちと2014年に「いのちとからだの10か条」を作成しました。

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――医師の働き方改革など医療提供体制に関連する委員会でもご発言されていますね。
 例えば当直明けの手術など患者から見ても危険なことは、改善する必要があるだろうと思います。ただ、今の働き方改革の議論を聞いていると時短ばかりに目が行きすぎていて、もっと多様な働き方を認めることが大事だと思うのです。やはり私は医師であれば研修医や専攻医のときなど集中的に学ばないといけない時期が必ずあって、それを一律時間でくくってしまうと成長にブレーキがかかってしまうことになるのではと思います。

 他の職業と同じようなことを医療に求めたときに、医師不足の地域では完全に崩壊してしまいます。だから、医療の特殊性を踏まえて、具体的に考えていく必要があると思います。現在、労基署が医療機関に入っているというニュースが多いですが、医療への不信感が高まったときに、医療のことを理解してない警察がズカズカ医療現場に入っていった際に抱いた違和感と同じものを感じています。

 地域偏在も何とかしないといけない。同じ日本の中にいて医師がころころ代わっても、来てもらえるだけましという地域もあります。どの地域でも安心して医療が受けられる仕組みづくりができるかが求められています。

 もちろん働く人の環境も整えなくてはならず、そのためには、患者も医師の実態を知らなくてはいけないです。電話相談でも「何でこんな重症の患者がいるのに夏休み取るんだ」とか、「夜中でも何で駆けつけてこないんだ」と言う人もいますが、それを求めていたら医療制度自体がつぶれてしまいますよね。それに、夜遅くや土日に説明を求めて医師の負担を増やしていることも見直し、「家族が病気で医師から説明を受けるので、仕事を抜けさせてください」と言えるように、社会全体として理解していく必要があると思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/631949
シリーズ 2018秋◆著者インタビュー
29の政府審議会で委員「医療を受ける側の声を」-山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長に聞く◆Vol.1
電話相談は月150件、医療不信ピーク時の3分の1
 
インタビュー 2018年10月1日 (月)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 「賢い患者になりましょう」と呼びかけ、医療に関する電話相談や病院訪問などを行う認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏がこのほど、岩波新書で『賢い患者』を発刊した。COMLは1990年に発足、電話相談や病院訪問などだけでなく、医療政策を決める検討の場にも患者代表として参画することが多い。山口氏は2017年度、29の政府審議会委員、95の医療関連の委員を務めた。新刊に込めた思い、患者の医療参加のあり方、創始者・辻本好子氏の思い出などを聞いた(2018年9月8日にインタビュー。全3回の連載)。

――m3.comの記者は日々、厚労省の審議会などを取材していますが、山口さんがいつも参加しているような印象があります。どのくらいの委員会に参加しているのでしょうか。
 昨年度は厚労省、文科省を合わせて、政府の審議会などでは29の委員会に呼んでいただいております。そのほか、医療関係団体の役員や、倫理審査委員会の委員、特定機能病院の医療安全監査委員会などを合わせると年間95の委員会で委員を務めていました。京大病院の医療安全監査委員会では委員長を仰せつかっており、依頼があったときは「何かの間違いですか」と驚いて電話したほどです。

――たくさんの委員への依頼が来るのはなぜでしょうか。

山口育子・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長
 1990年代後半ぐらいから、ちらほらとCOMLに依頼が届くようになりました。最初は大阪府の会議などでしたが、次第に厚労省からも依頼が来るようになりました。だんだん医療政策を議論する場に、患者の立場の委員を誰か入れなくてはという空気になってきました。

 私はこのような会議に出るまでに、医療に関する2万件以上の電話相談を受けてきました。一般の人がどう考えるか、どんなことに不安を持つのか、今までどんな迷いがあったか、山のようにお聞きしてきていることを私の中の基礎にして、発言しています。

 国の会議では傍聴者が100人以上になることもあり、最初の頃は「患者の立場の人間が何を言うんだ」と刺すような視線を感じていました。私自身も「ずれたこと言っていないだろうか」「流れの中でこのタイミングでいいんだろうか」と悩みながら、試行錯誤してきました。

 一般の立場での参加が私1人しかいないという会議も多いので、必ず1回以上発言することを自分に課してきました。私が発言しなかったら、医療を受ける立場の者の発言が一切入らないことになってしまうから。今まで1回も発言しなかったのは、残り15分しか参加できなかった会議だけです。

――改めてですが、COMLはどのような団体なのでしょうか。
 1990年9月に活動をスタートしました。「賢い患者になりましょう」と呼びかけて、患者が自立・成熟し、主体的に医療参加することを目指しています。患者と医療者が対立するのではなく、“協働” する医療の実現が目的です。創始者・辻本好子が「医療を受けるときも、ほかの消費活動と同じように、しっかり吟味、選択しよう」と、Consumer Organization For Medicine and Law の頭文字を取って「COML(コムル)」と名付けました。

 ただ、活動を続けて行く中で、「お金を払っているのだから、良い医療を提供して」みたいな風潮が世間で出てきて、そういう意味で使っていたわけではないので、今は英語名称は使っていません。強いて言うなら、ConsumerよりはCommunicationの意味が強いです。

 辻本はもともと愛知県在住だったのですが、知り合いだった大阪の弁護士さんたちが「大阪に出てくるなら支援するよ」と言ったことがきっかけで、本気にして大阪で立ち上げました。大阪はNP0活動においても「やってみなはれ精神」が生きていて、何となく面白そうなことやっているというだけで話が進むところもあります。東京に姉妹グループを作ろうとした際は、組織の裏付けや規約を求める声が多くて、なかなか進みませんでした。

――活動経費はどのようにまかなっているのでしょうか。
 現在は認定NPOなので、会員からの会費と、寄付金扱いになる賛助会員費、あとは事業収入です。一番多いのは私の講演による収入ですが、それだと不安定なので、今は団体賛助会員の拡大を目指しています。

――どのような活動をしているのでしょうか。
 活動の柱は電話相談で、これまでの総数は6万件を超えています。現在は月150件前後ですが、医療不信が過熱していた2003、2004年頃は月500件を超えていました。1999年から目に見えて不信感を訴える相談が増え始めて、ピークが2003年、2004年でした。最近は本を出版し、メディアで紹介される機会が増えた影響で少し増える傾向にあります。電話相談を受けているのはボランティアも含めて、研修を受けたスタッフ10人程度です。

――新刊『賢い患者』では、たくさんの相談事例が具体的に紹介されています。
 その人が“医療”だと思ったことで電話をかけてこられるので、内容はとても幅広いですね。最近、多いのは症状について相談。特に精神疾患の方の相談は10年前からすると倍増して、全体の2割を超えるようになりました。情報社会になったことで逆に基本的なことを相談してくる方も増えている印象です。次に多いのはやはりドクターへの不満です。

 年に2回、医療者の協力を得ながら「COML110番」という集中相談をやっていますが、7月に開催したときに毎日放送がお昼のローカルニュースで紹介してくれ、放送が流れた瞬間から5台の電話が一斉に鳴り出しました。何であんな一瞬にして相談したいことが思い浮かぶのか不思議なぐらい。2日間で130件も届きました。ニーズはあるんだなと感じています。相談は無料で、ご負担は電話代だけです。医療者からの相談も届くのですよ。

――普通の人にとっては、医療について相談できる場がないということでしょうか。
 病院の患者支援室、健保組合・ 生命保険などの健康ダイヤル、がんだったらがん診療連携拠点病院の中の相談センターなどもあります。行政機関では都道府県や保健所に設置されている医療安全支援センターも相談を受けていますが、そこの初任者研修には長年COMLから講師を派遣しています。

 それらこれらの相談機関との違いですが、私どもは時間を制限せずに十分にお聞きすることにしています。もちろん私たちが医療に介入した答えを出すわけではなく、「何でお医者さんに質問できないのか」「聞いたけど分からないというなら、どんな聞き方をしたのか」をお聞きして、相談に至った背景を把握していくと、次にどんな行動を取ればいいかというアドバイスはできます。

 本来、医療者とコミュニケーションを取ってそこで解決できるのが一番良いと思いますが、やっぱり今は医療現場が忙しすぎることや、患者さんの側もちょっと遠慮しすぎていたり、不信感を持っていたりで、直接のやり取りができてないことはあると思います。

――他にも「模擬患者の研修」や「病院探検隊」などもされていますね。
 OSCE(オスキー:客観的臨床能力試験)の中には医療面接があり、模擬患者役をする人を派遣しています。2020年度からは臨床実習修了後のOSCEも予定され、そのトライアルも始まっています。そこに派遣する模擬患者は標準化されてマニュアル的ですが、もっとコミュニケーション能力を高めてもらうためのSimulated Patientと呼ばれる模擬患者も派遣しています。これは、患者の症状や背景を詳しく設定して演技をするということになりますが、台詞があるわけではなく、その人のキャラクターがにじみ出てきます。設定の数は100を超えています。

 演技やアドリブ力も重要ですが、相手とのコミュニケーションで自分がどんな気持ちになったか、自分の心の動きをしっかりと捉えて、きちんとフィードバックできることが求められます。自分の心の動きに鈍感だったらできないことに加え、俯瞰して自分を見られるような人でないとつとまらないです。

 最盛期は年間120回ぐらい派遣していましたが、最近は60回ほどでしょうか。私ども以外にも大学を中心に模擬患者を養成しているところは増えてきています。

――「病院探検隊」はどのような活動でしょうか。
 これまで88の医療機関から依頼を受けて“出動”しました。大学病院では8病院、診療所なども多いです。患者視点で医療機関を改善しようとしているのは時代の変化だと感じます。待合室一つをとっても、実際に患者として待つのと、働いている人が見ているのとでは感じ方が違いますよね。医療者が見えてないところが見えるのです。

 2015年には慶應義塾大学病院から「臨床研究中核病院に名乗りを上げたら、厚労省から待ったがかかった。患者目線の欠落と言われた」とのことでした。そこで立ち上げられた病院改革タスクフォースの委員になり、病院側の強い要望で1カ月後に病院探検隊を実施。フィードバック内容をポイントにして改革が進められました。2016年には慶大病院の院長の勧めもあり、千葉大学医学部附属病院の院長からもお声がかかりました。

 さまざまな地域で、地域の人たちで病院探検隊を結成し、患者の視点を入れて改革する病院が増えることが夢の一つでもあります。



https://www.medwatch.jp/?p=22692
新たな指標用いて「真に医師が少ない」地域を把握し、医師派遣等を推進―医師需給分科会 
2018年10月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

地域における「医師の多い少ない」は現在、「人口10万対医師数」を用いて判断しているが、ここに「地域住民の年齢・性別」「医師の年齢・性別」「患者の流出入」などを加味して「真に医師が不足している」区域を適切に把握する。その上で、相対的に医師多数区域から、医師少数区域への医師派遣などを促していく—。

9月28日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方向が概ね了承されました。

また診療科偏在の是正も重要テーマとなっていますが、▼まず「産科・小児科」について暫定的な偏在指標を定めて、医師確保対策を進める▼外科を初めとする他の診療科についても、偏在指標の検討を進め、将来的に「医師養成計画」などにも反映させていく—方針が概ね固められています。
 
ここがポイント!
1 地域の人口だけでなく、「性別・年齢別の受療率」や「患者の流出入」なども勘案
2 医師偏在指標に基づき「真に医師が少数の地域」を抽出、そこに重点的に医師派遣
3 診療科別の医師偏在指標も今後検討、ただし産科・小児科について「暫定指標」を設置
4 医学部の地域枠、「趣旨に沿わない運用」をしている大学も一部に

地域の人口だけでなく、「性別・年齢別の受療率」や「患者の流出入」なども勘案

医師の地域偏在・診療科偏在が大きな課題となっています。「医師需給分科会」と「医療従事者の需給に関する検討会」では、昨年(2017年)後半に偏在対策是正案を検討し、それをもとにした改正医療法・医師法が今年(2018年)7月に成立しました。

改正法では、▼医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度▼都道府県における医師確保対策の実施体制の強化(新たな「医師確保計画」を策定など)▼医師養成過程を通じた医師確保対策の充実▼地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応—などに関する枠組みを設けており、今後、施行にむけて具体的な仕組みを医師需給分科会などで詰めていくことになります。

 
9月28日の医師需給分科会では、まず都道府県における「医師確保計画」の策定に向けて、(1)医師偏在指標の策定(2)医師少数区域・医師多数区域の設定―を議題としました。今年度(2018年度)中に厚労省で、偏在指標などを定めた「医師確保計画」作成のための指針を設け、来年度(2019年度)に各都道府県で「医師確保計画」を策定。翌2020年度から具体的な医師確保対策を稼働させるスケジュールになります。

まず(1)の「医師偏在指標」について見ていきましょう。

現在でも、医師の地域偏在を是正するために「2次医療圏における人口10万対医師数」を指標とし、さまざまな取り組みが行われています。ただし、この「人口10万対医師数」だけでは、地域の医療ニーズを的確に把握できておらず、「真に医師が少なく、医療ニーズに対応しきれていない」地域のあぶり出しが十分になされていない(結果として医師偏在対策が十分に機能していない)との指摘があります。

そこで厚労省は、「人口10万対医師数」に次のような要素を加味した、新たな「医師偏在指標」を設け、これを基にした偏在対策を進める考えを提示しました。

(i)年齢や性別によって受療率は大きく異なる(乳幼児・高齢者では受療率が高く、地域の医療ニーズは多くなる)ため、「地域の年齢・性別の構成」を調整する

(ii)患者の流出入(例えば、東京都では、「昼間の人口は多いが、夜間の人口は少ない」、さらに「近隣県から多くの患者が受診する」といった患者の移動がある)を勘案する

(iii)「医師が比較的多い2次医療圏」の中にも、「医師が少数の区域」がある点を勘案する

(iv)医師の年齢・性別によって医療提供量が異なる(例えば、高齢になると労働時間が短くなりがちで、高齢医師の多い地域では、より多くの医師が必要となる)ため、「医師の年齢・性別の構成」を勘案する

 
 2次医療圏ごとに、次の計算式で「医師偏在指標」を算出し、比較することで「A医療圏では、B医療圏に比べて相対的に医師数が多い(少ない)」と判断し、「真に医師が少ない(多い)地域」を抽出することが可能となります。

●医師偏在指標=標準化医師数/[地域の人口 ÷ 10万 × 地域の標準化受療比

・標準化医師数とは、「年齢・性別の平均労働時間を調整した勘案した医師数」である[Σ性年齢階級別医師数×(生年齢階級別平均労働時間÷全医師の平均労働時間)]

・地域の標準化受療比とは、「受療率について、地域の年齢・性構成の違いを調整したもの」である[地域の期待受療率÷全国の期待受療率(Σ【全国の生年齢階級別受療率×地域の性年齢階級別人口】/地域の人口)]

また(ii)の患者の流出入については、都道府県ごとに「昼間・夜間人口の実態に応じた重み付け」「患者住所地を基にした流出入の調整」を行います。(iii)の「2次医療圏の中にある医師少数区域」については、後述する別途の対応を行うことも提案されました。

 なお、無床診療所の地域偏在という問題もあります。無床診療所は都市部に多く、医師数は多くなりますが、入院医療ニーズは対応できません。こうした問題について厚労省は、まず「診療所の地域偏在に関して現状分析」を行い、それをもとに対応策を検討する考えを改めて説明しました。

  
 こうした考え方に医師需給分科会の構成員からは、特段の異論は出ていませんが、いくつか「将来を見据えた提案」がなされています。

 例えば山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「患者に適切な受療を促すような取り組みをしなければならない(さもなければ医師が何人いても不足してしまう)」と指摘。この点、医師働き方改革の一環として、厚労省で別途の検討が進められます(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

 また、医師偏在指標では「相対的な医師の多い少ない」は分かりますが、「絶対量」は明らかになりません。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)は、将来的に「本来、医師が何人必要なのか」という点も検討課題とするよう要請しています。後述するように「医師の多い地域」から「医師の少ない地域」への医師派遣等が進められますが、「医師の多い地域」で医師が「充足しているのか、本来、必要な人員が確保されているのか」は明らかになっておらず、こうした点も将来的に考慮しなければならないと福井構成員は強調しているのです。仮に「医師の多い地域でも、本来必要な人員は確保されていない」のであれば、そこから医師を派遣すれば、当該地域の医師にも「さらに過度の負担」が強いられることにつながってしまうことから、将来的には重要な検討テーマになってきそうです。

 一方、北村聖構成員(国際医療福祉大学医学部長)は、「臨床に携わる医師養成には8年(学部教育6年、初期臨床研修2年)かかるが、8年後には人口動態や疾病構造も変わる。そうした点も考慮すべき」と提案。今後検討テーマとなる「将来の医師養成計画」などの中で、こうした点が勘案されることになるでしょう。また、各都道府県の作成する「医師確保計画」は3年単位となっており、定期的に最新の人口動態等を踏まえたアップデートが行わることになります。

医師偏在指標に基づき「真に医師が少数の地域」を抽出、そこに重点的に医師派遣

 前述の医師偏在指標(計算式)によって、全国335の2次医療圏すべてについて、医師の「相対的な多い少ない」が、数値化されます。厚労省は、この数値に基づいて、▼上位の地域を「医師多数区域」▼下位の地域を「医師少数区域」—と設定。医師多数区域から医師少数区域への医師派遣等を促していくことになります。具体的に、医師少数区域を「下位●か所」とするのか「下位●%」とするのか、などは、今後、施策の詳細なども踏まえて検討していくことになります。

 また、前述(iii)のように、「2次医療圏全体では医師少数ではないが、その中にある『真に医師が不足している区域』」については、都道府県と厚生労働大臣が協議した上で、「医師少数区域」と設定できる仕組みとなる模様です。「市町村単位」や、より小さな「中学校区単位」など、協議によって柔軟に「医師少数区域」を設定できるような仕組みが期待されます。

 この考え方も医師需給分科会で了承され、今後、具体的な「基準」(上記の「下位●%」など)を詰めていくことになります。その際、「道路事情なども勘案すべき」(神野正博構成員・全日本病院協会副会長)、「実際に医師派遣が行われるよう、『週単位での医師派遣』などの好事例を各都道府県に示していく必要がある」(永井康徳構成員・医療法人ゆうの森理事長)といった提案がなされています。

診療科別の医師偏在指標も今後検討、ただし産科・小児科について「暫定指標」を設置

 医師偏在は「地域」だけではなく、「診療科」でも大きな問題となっています。ただし、前述の医師偏在指標では、「地域の医師数が多いか、少ないか」を把握できますが、例えば「外科医が少ないのか、小児科医が少ないのか」などは把握できません。

そこで厚労省は、「診療科別の医師偏在指標」策定にも取り組む考えを示しています。そこでは、診療科ごとに「関連の極めて高い疾患や診療行為」等を設定し、当該疾患の受療率や、人口動態、将来の技術進展などの要素を総合的に勘案していくことになります。ただし、データ取集や分析には時間がかかるため、2019年度に各都道府県が作成する「医師確保計画」には盛り込まず、「将来の医師養成計画」などに反映させることになりそうです(例えば、新専門医制度における基本領域ごとの専攻医定員上限などに反映させる)。

ただし、▼産科▼小児科―の2診療科については、医療計画における「5疾病・5事業および在宅医療」の中に盛り込まれた政策医療であることや、地域の医療ニーズが高いことなどを踏まえ、「暫定的な医師偏在指標」を設定し、これを都道府県の作成する「医師確保計画」(2019年度に作成)に盛り込むことになりました(将来の医師養成計画などにおいては、前述した「診療科別の医師偏在指標」を、精密に検討して設定し、これを用いる)。

産科では、地域における▼15-49歳女性人口当たりの分娩件数▼性・年齢等による平均労働時間—を基準とし、小児科では、地域における▼性・年齢調整を行った15歳未満人口▼性・年齢等による平均労働時間—をベースに「暫定的な偏在指標」を設定する方向が確認されています。

医学部の地域枠、「趣旨に沿わない運用」をしている大学も一部に

ところで、現在でも地域偏在是正に向けた重要施策の1つとして「大学医学部の地域枠」がありますが、羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は「一部大学では、入学後に『地域枠』への手上げをさせるなど、地域枠を十分に活用していない(例えば地域枠として10名の定員増を行うが、実際の地域枠は1、2名とするなど)」ことを問題視。

この点、医療法・医師法改正案の審議において、衆議院では「地域枠は、地域枠以外の入学枠と『峻別』した上で学生の募集をすることにより、必要な地域枠学生の確保が確実になされるよう厚労省と文部科学省が必要な対応を行う」旨の附帯決議(いわば宿題事項)がなされており、羽鳥構成員の指摘したような大学の対応は好ましくありません。

全国医学部長病院長会議の前会長である新井一構成員(順天堂大学学長)も「一部大学において地域枠の趣旨に添わない運用がなされている事例があり、課題と認識している」とコメントしており、今後、必要な是正対策がとられそうです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/633717
「2018年、後世に影響が及ぶ重要な議論の年」
第60回全日本病院学会、吉田厚労省医政局長が特別講演
 
2018年10月6日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 10月6日に東京都で開催された第60回全日本病院学会で、厚生労働省医政局長の吉田学氏が、「より良い医療に向けて~医療をめぐる最近の動きから」と題して特別講演。「当面の主な課題」として、地域医療構想の着実な推進、医師偏在対策、「医師の働き方改革」の具体化などを挙げ、「2018年は、後世にまで影響を及ぼす重要な議論が行われている年」と位置付けた。

 さらに2025年に向けた議論と、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年に向けた議論を並行して進めるために、「少し先を見ながら、物事を進めていかなければいけない」と長期的な視点の必要性を指摘。これらの議論を進める際、「改めてより良い医療とは何かを少し立ち止まって考える必要がある。大きな文脈の中で、より良い医療に向けて、何が具体的な課題であるかを考えていかなければいけない」との見解も述べた。

 吉田局長が「当面の主な課題」として挙げたのは、地域医療構想の着実な推進、医師偏在対策、「医師の働き方改革」の具体化、医薬品産業の振興・医薬品流通の改善、技術進歩への対応・研究開発の進行、情報通信技術の実装「データヘルス」――の6つだ。「もちろん、2019年度税制改正・ヨハン編成に向けた対応も」「さらに2040年に向けた、さらなる議論も」と付け加えた。

 地域医療構想「進捗は地域差が大きい」

 地域医療構想は、47都道府県で策定を終え、地域医療構想調整会議で現在、実現に向けた議論が進められている。吉田局長は、「骨太の方針2018」で、「地域医療構想の実現に向けた個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針について、昨年度に続いて集中的な検討を促し、2018年度中の策定を促進する」とされ、特に公的・公立医療機関について、先行して議論を進めることを政府決定していると紹介。調整会議の進捗は、(1)議論がキックオフしているか、(2)具体的に物事が進んでいるか――という2段階で見ていく必要があるとした。47都道府県別の進捗状況には「地域差が大きい」と指摘し、前に進めていくために、各地域の取り組み状況を「見える化」するなどの工夫をしている。地域医療構想は、在宅医療や介護施設等の整備とも関係してくることから、「地域医療構想は、都道府県が進めていくが、実際には(介護保険を担当する基礎自治体である)市町村と一緒にやっていくことが必要」とも指摘した。

 医師偏在対策「マクロの数より地域偏在対策」

 医師偏在対策については、今年の通常国会で医療法・医師法を改正した。「医学部入学定員は、2008年度から増員を続け、2017年度は9420人で、過去最高になった。地域枠も増え、その卒業生が積み上がっていくので、2025年には、1万人くらいの地域枠出身者が働くというボリュームになる」(吉田局長)。しかし、増えた医師は大都市部に集中する傾向があることから、「医師の偏在は前よりも厳しくなっている。マクロの数を増やすよりも、地域や診療科の偏在に取り組んでいくことが必要ではないか」と述べた。

 その上で、改正医療法・医師法に盛り込んだ医師偏在対策を紹介。「医師偏在指標」については、吉田局長は、「できれば今年度中に取りまとめを行い、各都道府県で、二次医療圏単位で、どこが医師少数区域、医師多数区域かを検討してもらう」と説明(『医師偏在指標、全国一律に「医師多数区域」「医師少数区域」を設定』を参照)。

 さらに、都道府県における医師確保対策の実施体制、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実などの施策も紹介。新専門医制度については、国が日本専門医機構に意見を言う仕組みが法改正で導入された(『専攻医採用数「実はシーリング超え」、3都府県、延べ6領域』を参照)。「最適解は難しいかもしれないが、関係者とコミュニケーションを取りつつ、かつプロフェッショナル・オートノミーも発揮していただきながら、うまくいくようにしていきたい」(吉田局長)。

 「医師の働き方改革」、労働時間だけの問題にあらず

 吉田局長は、「働き方改革」は、医師に限らず、オールジャパンでの取り組みであると説明。週60時間を超えて働いている医師が少なくない中、「オールジャパンで改革を進める中で、どう調和を図っていくかが課題」であるとした。

 厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」は、今年2月に「中間論点整理」と「緊急的な取り組み」を取りまとめた(『次回以降「本丸」の上限規制など議論』を参照)。働き方改革は、労働時間だけの問題では終わらないとし、(1)今後目指していく医療提供の姿(医療のかかり方、タスク・シフティングなど)、(2)医師の特殊性を含む医療の特性(応召義務の制度など)、(3)医師の働き方に関する制度上の論点(時間外労働の上限時間数の設定等)――という3つの柱で議論を進めていると説明。「できれば年内、あるいは年明けに一定の取りまとめ案を出し、年度末に意見を集約していきたい」(吉田局長)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/632851
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
安易な働き方改革「禍根を残す心配ある」
日病・相澤会長が懸念、消費税問題も
 
レポート 2018年10月2日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は10月2日の定例記者会見で、議論が進む医師の働き方改革について「あまり安易にやると禍根を残すのでは、という心配がある」と述べ、宿日直や自己研鑽の扱いをどのように決めるか、慎重な議論が必要という見解を示した。9月29日の常任理事会では、働き方改革と、控除対象外消費税問題を主に議論した。

 働き方改革では、「医師の健康を守り、同時に地域医療を守る」ことは当然だが、現実には病院ごと、地域ごとの事情など、さまざまな問題があることは出席者間で共通の認識だったという。宿日直については、いわゆる手待ち時間をどうするか、これを全て勤務時間にするとなると「そのままやれば病院が持たない。基準をきちんとつくるのがいいか、おおよその時間でくくるのがいいか」という懸念が出た。また、細かく規定しすぎると、「狭い範囲でしか医師が行動できなくなる」という声もあったという。また、多くの医師がアルバイトで他院の当直を行うが、これは勤務時間に入るのか、という疑問も上がった。

 自己研鑽についても、研修医や専攻医をどう捉えるのか、OJTの時間があるために、勤務時間をどう設定するのかなど、相澤氏は「よほど議論をしないと、医師の健康と地域医療の確保の両立は難しいのではないか」との見方を示した。

 控除対象外消費税問題では、「三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会の提言でいくしかないのではないか。病院間の差があまり出ないようにしてほしい」との意見があったという(『消費税率10%「新たな仕組み」で対応、三師会と四病協が提言』を参照)。相澤氏は、今後消費税率が20%や30%に増税されることもあり得るとして、現在の初診料や入院基本料に上乗せする方式では額も大きくなり、病院ごとの差も大きくなっていく危険があるため、「これ以上増えるとなると、限界がある」と説明。そのため、「将来的にどうするかを早めに議論していく必要がある」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=22706
2020年度の「第7次医療計画中間見直し」に向け、5疾病5事業等の進捗状況を確認―医療計画見直し検討会 
2018年10月1日|医療計画・地域医療構想 MED WATCH

 2020年度の「第7次医療計画の中間見直し」に向けて、都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」における指標の活用状況などを把握し、課題を抽出する。また「中間見直し」においては、指標の見直しは、追加など小幅にとどめ、2024年度からの第8次医療計画に向けて、大幅な見直しを検討する―。

 9月28日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方向が確認されました。
 
ここがポイント!
1 2019年度に国で「見直し指針」を定め、2020年度に各都道府県で医療計画を中間見直し
2 5疾病5事業等の評価指標、都道府県での活用状況は項目によって大きなバラつき

2019年度に国で「見直し指針」を定め、2020年度に各都道府県で医療計画を中間見直し

 2018年度から新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしました。従前は「5年」計画でしたが、地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律、2014年)により「6年」計画に改められました。3年単位の介護保険事業(支援)計画と足並みを揃えるためです(関連記事はこちら)。

 ただし、「6年」は長期間であるため、医療現場の実態を踏まえ3年目に「中間見直し」を行うこととなりました。第7次計画については、2020年度が中間見直し年にあたります。厚生労働省は9月28日の検討会に、▼各都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」の状況などを定期的に把握する▼2019年度中に国で「医療計画作成指針」を見直す▼2020年度に各都道府県で医療計画の中間見直しを行う―というスケジュール案を提示し、了承されました。

 なお2020年度の「中間見直し」では、都道府県の負担等も考慮して、それほど大規模な見直しを行わず、主に「5疾病5事業および在宅医療」に関する指標の追加などがメインとなる見込みです。さらに、その後の状況なども踏まえて、2024年度の第8次医療計画において、大規模な見直しも検討されます。

5疾病5事業等の評価指標、都道府県での活用状況は項目によって大きなバラつき

 9月28日の検討会では、各都道府県における「5疾病5事業および在宅医療」に関する指標の策定状況なども報告されました。

 医療計画では、病床数の整備目標などのほかに、「5疾病5事業および在宅医療」の整備目標なども定めます。その際、一定の指標をおいて目標の進捗状況を確認し、PDCAサイクルを回していくことが求められます。

例えば5疾病のうち、がん医療については、予防・早期発見に関して「がん検診受診率」や「年齢調整罹患率」など、治療に関して「がん診療連携拠点病院数」「がん患者の年齢調整死亡率」など、療養支援に関して「末期のがん患者に対し在宅医療を提供する医療機関数」「がん患者指導の実施件数」「入院緩和ケアの実施件数」「外来緩和ケアの実施件数」「がん性疼痛緩和の実施件数」などが指標となっています。取り組み状況を、統一指標に基づいて評価することで、各都道府県において「自県は近隣県に比べて進捗が遅れている。さらなる取り組みを進めるために病院団体や関係学会と一層の連携を強めよう」などの行動変容につなげることが期待されているのです。

しかし、各都道府県における指標の設定状況を見てみると、例えば「がん検診受診率」(全都道府県の77%で設定)、「がん患者の年齢調整死亡率」(同64%)などは、多くの自治体で活用されていますが、「年齢調整罹患率」(同17%)や「がん診療連携拠点病院数」(同15%)、「入院緩和ケアの実施件数」(同2%)、「外来緩和ケアの実施件数」(2%)などは限られた活用にとどまっています。

「脳卒中」や「心血管疾患」など他の疾病・事業でも、同様の状況にあることも明らかとなっています。

一定程度統一された指標に基づかなれば、都道府県間の取り組み状況の比較は難しく、多くの都道府県で指標の設定が望まれます。また、状況を総合的に把握するためには、細かい指標設定が必要となりますが、それは都道府県・医療機関等の負担増にもつながります。検討会では、「都道府県によって医療資源の状況なども異なる」(城守国斗構成員:日本医師会常任理事)、「細かな指標を定めれば、そこにばかり目が行っています。大枠の指標にとどめてはどうか」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)という指摘も出ており、2024年度の第8次医療計画に向けて「指標の在り方」を改めて検討していくことになりそうです(「中間見直し」で、大幅な見直しをすることは困難)。

 
なお、関連して厚生労働省は「地域医療構想調整会議において、5疾病5事業および在宅医療の体制に関する議論が行われているか」という資料も提示しました。例えば、がん医療については、20の自治体で議論が行われています。この点、織田構成員や加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)らは、「地域医療構想調整会議では、まず公立病院や公的病院等の機能分化について議論を進めることになっている。詳細な医療機能に関する議論を求めているように見え、混乱を招くのではないか」と指摘。厚労省も「各都道府県において『地域医療構想調整会議において、5疾病5事業および在宅医療の詳細を議論しなければならない』と誤解しないよう努める」との考えを示しています。

ただし、一昨年(2016年)12月の検討会意見では、「将来の医療提供体制を構築していくための方向性を共有するため、構想区域における医療機関であって、地域における救急医療や災害医療等を担う医療機関が、どのような役割を担うか明確にすることが必要である。その際に、『構想区域の救急医療や災害医療等の中心的な医療機関が担う医療機能』などを踏まえ、地域医療構想調整会議で検討を進める」旨が確認されており、5疾病5事業および在宅医療の中でも、▼救急医療▼災害医療—については、地域医療構想調整会議において、中心となる医療機関の機能などを確認しておく必要があることを忘れはいけません。

  

https://www.medwatch.jp/?p=22745
2016年度1人当たり医療費の地域差、最大の要因は「後期高齢者の入院受診率」—厚労省 
2018年10月4日|医療保険制度 MEDWATCH

 2016年度の1人当たり医療費(市町村国保+後期高齢者医療)は全国では54万3931円だが、都道府県別に見ると最高の福岡県(64万6488円)と最低の新潟県(47万1857円)との間では1.37倍の格差がある。医療費の地域差には、入院における受診率と1件当たり日数(つまり在院日数)、入院外における1件当たり日数が大きく関係している—。

厚生労働省は9月28日に、2016年度の「医療費の地域差分析」を公表し、こういった状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)(前年度の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 医療費「西高東低」の傾向は依然継続
2 入院医療費の地域差、「受診率」が大きく影響、不要な入院がないか検証が必要
3 入院外医療費の地域差、「1件当たり日数」が大きく影響、不要な受診や訪問はないか
4 入院医療費には「後期高齢者の受診率」が大きく影響、社会的入院が生じていないか
5 年齢調整後の1人当たり医療費、市町村別に見ると北海道雨竜町が最高


医療費「西高東低」の傾向は依然継続

 2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、今後、医療・介護ニーズが急速に増加するため、「医療費の適正化」対策が重視されています。この点、「1人当たり医療費には大きな地域格差があり、これを是正していく必要がある」ことが骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)でも指摘されています(関連記事はこちら)。

地域別の医療費は、「地域の人口」と「当該地域の1人当たり医療費」に分解することができます。ただし、1人当たり医療費は年齢との関係が強く、また地域によって年齢構成は区々であるため、「1人当たり医療費の地域差」を分析するにあたっては、「地域ごとの年齢構成(高齢者割合など)の差」を調整することが重要です。

市町村国保加入者と後期高齢者医療制度加入者を合計した「1人当たり年齢調整後医療費」は2016年度には、全国54万3931円となりました。都道府県別に見ると、最高は福岡県の64万6488円(全国の1.189倍、前年度に比べて0.005ポイント低下)。次いで、高知県64万1114円(同1.179倍、同0.007ポイント低下)、佐賀県63万5168円(同1.168倍、同増減なし)と続きます。

また、最も低いのは新潟県の47万1857円(同0.867倍、同増減なし)。次いで、岩手県48万1479円(同0.885倍、同0.007ポイント低下)、千葉県48万6182円(同0.894倍、同0.006ポイント上昇))、静岡県47万8000円(同0.890倍)などと続きます。最高の福岡県と最低の新潟県では1.37倍の開きがありますが、前年度からわずかですが地域差が縮小している状況が伺えます。

医療費の地域差を、日本地図を色分けした医療費マップで見てみると、「西日本で高く、東日本で低い」(西高東低)傾向が依然として継続しています。
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市町村国保+後期高齢者医療における都道府県別の「年齢調整後の1人当たり医療費」をマップ化したもの。西日本と北海道で高く、東日本で低い
 
入院医療費の地域差、「受診率」が大きく影響、不要な入院がないか検証が必要

 では、1人当たり医療費の地域差が生じる原因はどこにあるのでしょう。この考察には、医療費を次の3要素に分解することが有用です。

▼1日当たり医療費:単価(単価の高低の評価は容易には行えませんが、例えば「不必要な検査をしていないか」「後発品の使用は進んでいるか」などを考えるヒントになります)

▼1件当たり日数:1回の入院や外来でどれだけの日数、医療機関にかかるのか(例えば、同じ疾病、同じ重症度の患者間で入院日数が大きく異なれば、「退院支援がうまくきのうしているのか」などを考えるヒントになります)

▼受診率:どれだけの頻度で医療機関にかかるのか(例えば「頻回受診、重複受診がないか」などを考えるヒントになります)

また医療費の地域差に、「入院」「入院外」「歯科」がどれだけ影響しているのかを見ると、「入院」の影響が大きいことが分かりました。
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市町村国保+後期高齢者医療の地域差への寄与度は、入院医療費が最も大きいことがわかる
 
そこで、入院医療を3要素に分解して、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、入院医療費の高い地域(高知県、福岡県、鹿児島県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向があることが分かりました(前年度と同じ傾向)。また、入院医療費の小さな地域(静岡県、新潟県、岩手県など)では「受診率が医療費を低くする方向に寄与している」ことも分かります(やはり前年度と同じ傾向)。
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市町村国保+後期高齢者医療における「入院医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「受診率」の要素が強く影響していることがわかる
 
大づかみに、次のような傾向があると言えそうです。
▽「1日当たり医療費」は、医療費の高い地域では「医療費を低くする」方向に、医療費の低い地域では「医療費を高める」方向に寄与する(1件当たり日数の低い地域では、短い入院期間中に濃密な医療を行うため、必然的に単価が高くなる)

▽「1件当たり日数」は、医療費の高い地域では「医療費を高める」方向に、医療費の低い地域では「医療費を低くする」方向に寄与する

▽「受診率」は、医療費の高い地域では「医療費を高める」方向に、医療費の低い地域では「医療費を低くする」方向に寄与する

 とくに「受診率」が入院医療費の地域差に大きく寄与していることが分かります。「入院医療が必要な疾病の罹患率に違いがある」のか、「入院が不要であるにもかかわらず、入院医療を提供している」のか、など詳細な分析が待たれます。

入院外医療費の地域差、「1件当たり日数」が大きく影響、不要な受診や訪問はないか

 次に、入院外医療費(調剤を含む)について、同様に▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解した寄与度を見てみると、入院外医療費の高い地域(広島県、大阪府、佐賀県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院外医療費の小さな地域(新潟県、沖縄県、富山県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります(入院と同じ構造)。
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市町村国保+後期高齢者医療における「入院外医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「1件当たり日数」の要素が強く影響していることがわかる
 
入院外については、「1件当たり日数」が地域差に大きく寄与していることが分かり、「一連の治療において、不必要な外来受診・訪問診療などが行われていないか」確認する必要がありそうです。

入院医療費には「後期高齢者の受診率」が大きく影響、社会的入院が生じていないか

 また医療費において、「どの年齢層の医療費が地域差に寄与しているのか」を見ると、高齢者、とくに75歳以上の後期高齢者の影響が大きなことが分かります。

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市町村国保+後期高齢者医療における「医療費の地域差」を年齢階層に分解したもの、「高齢者」の要素が強く影響していることがわかる
 
 そこで、高齢高齢者に限定して、入院医療費(やはり地域差への寄与度は入院外や歯科に比べて入院で大きい)を3要素に分解し、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、「市町村国保+後期高齢者医療」と同様に、▼受診率▼1件当たり日数―が、地域差に大きく影響している、つまり「入院医療費の高い地域では、後期高齢者の受診率が高く、入院日数も長い」ことが分かりました。
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後期高齢者医療における「入院医療費の地域差」を3要素に分解したもの、「受診率」の要素が強く影響していることがわかる
 
「本当に入院医療が必要な医療で、入院をしているのか」「いわゆる社会的入院などの是正は進んでいるのか」などを適切に分析する必要があるでしょう。

年齢調整後の1人当たり医療費、市町村別に見ると北海道雨竜町が最高

 次に、市町村別に「市町村国保+後期高齢者医療の1人当たり実績医療費」(年齢調整をしていない)を見てみると、最も高いのは高知県大豊町の93万1830円。次いで高知県馬路村92万1224円、北海道雨竜町90万7190円、北海道積丹町89万456円、高知県北川村87万3927と続きます。前年度は高知県の自治体が上位を独占していましたが、やや様相が変わってきています。

 逆に1人当たり実績医療費が低いのは、下から東京都御蔵島村27万9309円、長野県川上村31万169円、東京都青ヶ島村31万6262円、沖縄県北大東村32万9493円、福島県檜枝岐村33万2012円となっており、離島や山間地が目立ちます(医療資源が少ないため、必然的に医療費が低くなる)。

 また年齢構成を調整した上で、医療費が全国平均からどれだけ乖離しているのかを示す「地域差指数」を市町村別に見てみると、もっとも高いのは北海道雨竜町の1.469で、北海道積丹町1.391、北海道壮瞥町1.384、高知県奈半利町1.356、高知県芸西村1.354と続きます。

逆に地域差指数が低い自治体は、長野県売木村0.640、長野県天龍村0.648、新潟県津南町0.657、山形県大蔵村0.662、東京都小笠原村0.665となっています



https://www.medwatch.jp/?p=22775
地域包括ケア病棟の質向上を目指し、「急性期大病院の地域包括ケア病棟」の実態把握が必要―地ケア病棟協・仲井会長 
2018年10月5日|医療保険制度 MEDWATCH

 「急性期の大病院内に設置された地域包括ケア病棟」の中にも、「自院の急性期後患者の受け入れ」だけでなく、「在宅や介護施設からの患者受け入れ」に力を入れているところがあるかもしれない。地域包括ケア病棟でもっとも重要な「在宅復帰支援・在宅医療提供」をより充実・向上させるため、実態を把握し、細分化などを検討する必要がある―。

 地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は10月4日に定例記者会見に臨み、こういった要望を厚生労働省に宛てて行ったことを明らかにしました(関連記事はこちら)。
 
200床以上の急性期ケアミクス型の地域包括ケア病棟では、質の低下が懸念される

 2018年度の診療報酬改定では、入院料の再編・統合が行われ、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料(以下、地域包括ケア病棟入院料)についても、例えば次のような見直しが行われました(関連記事はこちら)。

(1)200床未満の病院に設置され、診療実績が高い(自宅等からの入棟患者割合:10%以上、自宅等からの緊急患者受け入れ件数:3か月で3人以上、在宅医療の提供など)病棟については、高額の基本報酬を設定する(入院料1・3)
 
(2)救急・在宅等支援病床初期加算(1日につき150点)を、急性期病棟からの患者受け入れを評価する【急性期患者支援病床初期加算】(1日につき150点)と、在宅や老健施設、介護医療院などからの患者受け入れ、治療方針に関する患者・家族等の意思決定を支援することを評価する【在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点)とに区分する
 
(3)在宅復帰先から「老人保健施設」を除外する
 
 仲井会長は、とくに200床未満の病院に設置された地域包括ケア病棟等では、「在宅復帰先が狭まった」(3)ことや、「在宅患者の受け入れを強化して高い加算を取得する」(2)ことが、post acute患者のより積極的な受け入れと、在宅復帰促進・在宅医療提供につながり、結果として「診療実績の充実」(1)に結びついている状況を説明。これらはすべて関連して、地域包括ケア病棟において最も重要な「在宅復帰支援・在宅医療提供機能」が充実してきていると分析しています。
 
 ところで、地域包括ケア病棟協会では、かねてから地域包括ケア病棟を次の3つに分類(独自分類)し、それぞれの動向を調査するとともに、進むべき方向等を模索しています(関連記事はこちら)。
▼急性期一般入院料(従前の10対1・7対1)病棟と併設し、病院全体で急性期機能を最重視している【急性期ケアミクス型】

▼施設全体として、他病院からの「高度急性期・急性期の治療を終えた患者」が概ね半分以上を占める【post acute連携型】

▼急性期ケアミクス型・post acute型のどちらでもない【地域密着型】

 このうち【地域密着型】との【post acute連携型】は、ほとんどが200床未満の病院に設置されており(地域密着型の9割、post acute型の8割5分弱)、上記の2018年度改定の効果が如実に現れています。地域包括ケア病棟協会の調査(500病院が回答)では、【地域密着型】の76.9%、【post acute連携型】の75.4%が、上記(1)の入院料1・3取得または取得予定となっています。在宅復帰に力を入れ、かつ在宅医療等に力を入れることで診療実績を高め、高い基本報酬を算定するものです。今後も、在宅復帰支援・在宅医療提供に力を注いでいくことが期待されます。

一方、【急性期ケアミクス型】では、200床以上の病院も多く(4割強)、また「自院の高度急性期・急性期病棟での治療を終えた患者」が大半を占めているため、上記(1)の入院料1・3を取得または取得予定の病院は46.8%と半数に届きません。さらに(2)の【在宅患者支援病床初期加算】も取得していない場合には、「在宅復帰支援・在宅医療提供などの実態が見えず、post acute機能に関する検証が行われない。結果として機能・質の低下が懸念される」と仲井会長は不安視します。
 
この点、そもそも【急性期ケアミクス型】には、「地域の急性期基幹病院で、旧7対1(現在の急性期一般入院料1)を維持するために重症度、医療・看護必要度の低くなった患者を、回復期機能等の他院に転院させたいが、医療資源が少ない(近隣に病院がない)ため、それが叶わない。そこで、自院の急性期病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換した」という病院が多く、新設された入院料1・3との親和性は低いようにも思えます(大規模で、自院の急性期病棟からの転棟患者がほとんど)。
しかし、仲井会長は、「200床以上の病院では入院料1・3を取得できず、これは『在宅復帰支援』機能などの地域包括ケア病棟の質を評価・検証していないに等しく、機能・質が低下してしまいかねない」「200床以上の病院でも、在宅復帰機能を強化し『ときどき入院、ほぼ在宅』を支える病院もあるのではないか」と推測。今後、200床以上の急性期ケアミクス型病院の実態を詳しく調べた上で、▼診療実績▼質の評価―を検討してはどうか、と厚労省に提言を行っています。

200床以上病院の地域包括ケア病棟でも、在宅や介護施設で急変した患者を積極的に受け入れ、上記(2)の【在宅患者支援病床初期加算】(1日につき300点)を算定することは可能です。しかし、この加算の取得よりも「自院の急性期一般入院料1(旧7対1)の維持のほうが、より重要である」と考え、事実上、自院の急性期後患者の受け入れのみに特化する病棟では、地域包括ケア病棟に求められる機能の1つ(sub acute機能:地域の急変患者の受け入れ機能)を満たしていないことになります。これでは、2014年度の診療報酬改定で地域包括ケア病棟が創設された際の、▼post acute機能(急性期後患者の受け入れ)▼sub acute機能(地域の急変患者の受け入れ)▼在宅復帰支援機能―の「すべてを提供することが求められる」との厚労省保険局医療課の創設趣旨に反することになってしまいます。
 
今後の実態調査により、例えば「200床以上の急性期ケアミクス型の中にも、sub acute機能に力を入れている病棟がある」ことなどが明らかになった暁には、上記(1)(2)とは異なる、別途の評価の道が整備される可能性も出てくることでしょう。今後の、地域包括ケア病棟協会の調査に注目が集まります。



http://blogos.com/article/329610/
医療の東西格差 西日本に医学部が偏在している理由とは 
NEWSポストセブン2018年10月05日 07:00
※SAPIO2018年9・10月号

国民皆保険の制度下では病院に支払う受診料は全国一律。提供される医療サービスも同じと考えがちだ。だが、実際は東日本と西日本の医療環境は厳然たる格差がある。医療行政などを研究する医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が問題の本質に迫る。

***
人、モノ、金……あらゆる面で東京を中心とする「首都圏一極集中」が指摘されて久しい。だが、こと医療に関しては西日本のほうが整っているのが実情だ。

まず、関東には医師が少ない。ひとりの医師が診察できる患者数は物理的に限界があるから、絶対数でなく人口比で見るべきだ。

厚生労働省によると、人口10万人あたりの医師数が最も多いのが徳島県の315.9人、次いで京都府314.9人、高知県306.0人、最も少ないのが埼玉県160.1人、次いで茨城県180.4人、千葉県189.9人となっている(「2016年医師・歯科医師・薬剤師調査」より)。

なぜ関東に医師が少ないのか。最大の要因は大学医学部が圧倒的に西日本に偏在していることだ。

例えば、人口約398万人の四国には4つの医学部があるが、人口約4260万人の関東には25しかなく、人口比では2倍近い差がある。国立大学医学部に限れば、関東には5つで四国はすべてが国立大だから、実に9倍もの差がある。

筆者らの調べでは、医学部卒業生は出身大学の近くで就職する「地産地消」の傾向が強いことがわかった。医学部が多い地域ほど医師が多くなる。就職後に地域をまたいで移動する医師もいるが、それは一部であり影響は限定的だ。

西日本に医学部が偏在しているのは、明治政府を仕切ったのが西国雄藩だったことが関係している。鹿児島大や九州大など歴史が古い九州の国立大学医学部は、幕藩体制下の教育機関である藩校を前身としている。一方、戊辰戦争の戦後処理により、佐幕派の東北・関東周辺諸藩は武装解除させられると同時に、藩校も廃止の憂き目に遭った。

さらに1970年代に進められた「一県一医大構想」もその状況に拍車をかけた。戊辰戦争で勝者となった西国雄藩は、薩摩藩=鹿児島県、土佐藩=高知県のようにそのまま独立を維持したが、敗者は11の藩が合わさった福島県のように、周辺の諸藩と合併させられた。そのため、人口が少ない西日本の県にも医学部がつくられたというわけだ。

医療の東西格差の背景にはこうした賊軍差別があるのだ。

●かみ・まさひろ/1968年兵庫県生まれ。1993年、東京大学医学部卒業。1999年、同大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医科学研究所特任教授などを経て2016年よりNPO法人医療ガバナンス研究所を立ち上げ、研究活動を続けている。『日本の医療格差は9倍』(光文社新書)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など著書多数。



  1. 2018/10/07(日) 10:48:28|
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The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018

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https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2018/summary/
The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018  


James P. Allison
Prize share: 1/2

Tasuku Honjo
Prize share: 1/2


The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018 was awarded jointly to James P. Allison and Tasuku Honjo "for their discovery of cancer therapy by inhibition of negative immune regulation."

Press release
2018-10-01

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet
has today decided to award
the 2018 Nobel Prize in Physiology or Medicine
jointly to

James P. Allison and Tasuku Honjo

for their discovery of cancer therapy by inhibition of negative immune regulation


SUMMARY
Cancer kills millions of people every year and is one of humanity’s greatest health challenges. By stimulating the inherent ability of our immune system to attack tumor cells this year’s Nobel Laureates have established an entirely new principle for cancer therapy.

James P. Allison studied a known protein that functions as a brake on the immune system. He realized the potential of releasing the brake and thereby unleashing our immune cells to attack tumors. He then developed this concept into a brand new approach for treating patients.

In parallel, Tasuku Honjo discovered a protein on immune cells and, after careful exploration of its function, eventually revealed that it also operates as a brake, but with a different mechanism of action. Therapies based on his discovery proved to be strikingly effective in the fight against cancer.

Allison and Honjo showed how different strategies for inhibiting the brakes on the immune system can be used in the treatment of cancer. The seminal discoveries by the two Laureates constitute a landmark in our fight against cancer.

Can our immune defense be engaged for cancer treatment?
Cancer comprises many different diseases, all characterized by uncontrolled proliferation of abnormal cells with capacity for spread to healthy organs and tissues. A number of therapeutic approaches are available for cancer treatment, including surgery, radiation, and other strategies, some of which have been awarded previous Nobel Prizes. These include methods for hormone treatment for prostate cancer (Huggins, 1966), chemotherapy (Elion and Hitchins, 1988), and bone marrow transplantation for leukemia (Thomas 1990). However, advanced cancer remains immensely difficult to treat, and novel therapeutic strategies are desperately needed.

In the late 19th century and beginning of the 20th century the concept emerged that activation of the immune system might be a strategy for attacking tumor cells. Attempts were made to infect patients with bacteria to activate the defense. These efforts only had modest effects, but a variant of this strategy is used today in the treatment of bladder cancer. It was realized that more knowledge was needed. Many scientists engaged in intense basic research and uncovered fundamental mechanisms regulating immunity and also showed how the immune system can recognize cancer cells. Despite remarkable scientific progress, attempts to develop generalizable new strategies against cancer proved difficult.

Accelerators and brakes in our immune system
The fundamental property of our immune system is the ability to discriminate “self” from “non-self” so that invading bacteria, viruses and other dangers can be attacked and eliminated. T cells, a type of white blood cell, are key players in this defense. T cells were shown to have receptors that bind to structures recognized as non-self and such interactions trigger the immune system to engage in defense. But additional proteins acting as T-cell accelerators are also required to trigger a full-blown immune response (see Figure). Many scientists contributed to this important basic research and identified other proteins that function as brakes on the T cells, inhibiting immune activation. This intricate balance between accelerators and brakes is essential for tight control. It ensures that the immune system is sufficiently engaged in attack against foreign microorganisms while avoiding the excessive activation that can lead to autoimmune destruction of healthy cells and tissues.

A new principle for immune therapy
During the 1990s, in his laboratory at the University of California, Berkeley, James P. Allison studied the T-cell protein CTLA-4. He was one of several scientists who had made the observation that CTLA-4 functions as a brake on T cells. Other research teams exploited the mechanism as a target in the treatment of autoimmune disease. Allison, however, had an entirely different idea. He had already developed an antibody that could bind to CTLA-4 and block its function (see Figure). He now set out to investigate if CTLA-4 blockade could disengage the T-cell brake and unleash the immune system to attack cancer cells. Allison and co-workers performed a first experiment at the end of 1994, and in their excitement it was immediately repeated over the Christmas break. The results were spectacular. Mice with cancer had been cured by treatment with the antibodies that inhibit the brake and unlock antitumor T-cell activity. Despite little interest from the pharmaceutical industry, Allison continued his intense efforts to develop the strategy into a therapy for humans. Promising results soon emerged from several groups, and in 2010 an important clinical study showed striking effects in patients with advanced melanoma, a type of skin cancer. In several patients signs of remaining cancer disappeared. Such remarkable results had never been seen before in this patient group.

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Figure: Upper left: Activation of T cells requires that the T-cell receptor binds to structures on other immune cells recognized as ”non-self”. A protein functioning as a T-cell accelerator is also required for T cell activation. CTLA- 4 functions as a brake on T cells that inhibits the function of the accelerator. Lower left: Antibodies (green) against CTLA-4 block the function of the brake leading to activation of T cells and attack on cancer cells.Upper right: PD-1 is another T-cell brake that inhibits T-cell activation. Lower right: Antibodies against PD-1 inhibit the function of the brake leading to activation of T cells and highly efficient attack on cancer cells.

Discovery of PD-1 and its importance for cancer therapy
In 1992, a few years before Allison’s discovery, Tasuku Honjo discovered PD-1, another protein expressed on the surface of T-cells. Determined to unravel its role, he meticulously explored its function in a series of elegant experiments performed over many years in his laboratory at Kyoto University. The results showed that PD-1, similar to CTLA-4, functions as a T-cell brake, but operates by a different mechanism (see Figure). In animal experiments, PD-1 blockade was also shown to be a promising strategy in the fight against cancer, as demonstrated by Honjo and other groups. This paved the way for utilizing PD-1 as a target in the treatment of patients. Clinical development ensued, and in 2012 a key study demonstrated clear efficacy in the treatment of patients with different types of cancer. Results were dramatic, leading to long-term remission and possible cure in several patients with metastatic cancer, a condition that had previously been considered essentially untreatable.

Immune checkpoint therapy for cancer today and in the future
After the initial studies showing the effects of CTLA-4 and PD-1 blockade, the clinical development has been dramatic. We now know that the treatment, often referred to as “immune checkpoint therapy”, has fundamentally changed the outcome for certain groups of patients with advanced cancer. Similar to other cancer therapies, adverse side effects are seen, which can be serious and even life threatening. They are caused by an overactive immune response leading to autoimmune reactions, but are usually manageable. Intense continuing research is focused on elucidating mechanisms of action, with the aim of improving therapies and reducing side effects.

Of the two treatment strategies, checkpoint therapy against PD-1 has proven more effective and positive results are being observed in several types of cancer, including lung cancer, renal cancer, lymphoma and melanoma. New clinical studies indicate that combination therapy, targeting both CTLA-4 and PD-1, can be even more effective, as demonstrated in patients with melanoma. Thus, Allison and Honjo have inspired efforts to combine different strategies to release the brakes on the immune system with the aim of eliminating tumor cells even more efficiently. A large number of checkpoint therapy trials are currently underway against most types of cancer, and new checkpoint proteins are being tested as targets.

For more than 100 years scientists attempted to engage the immune system in the fight against cancer. Until the seminal discoveries by the two laureates, progress into clinical development was modest. Checkpoint therapy has now revolutionized cancer treatment and has fundamentally changed the way we view how cancer can be managed.



Key publications
Ishida, Y., Agata, Y., Shibahara, K., & Honjo, T. (1992). Induced expression of PD-1, a novel member of the immunoglobulin gene superfamily, upon programmed cell death. EMBO J., 11(11), 3887–3895.

Leach, D. R., Krummel, M. F., & Allison, J. P. (1996). Enhancement of antitumor immunity by CTLA-4 blockade. Science, 271(5256), 1734–1736.

Kwon, E. D., Hurwitz, A. A., Foster, B. A., Madias, C., Feldhaus, A. L., Greenberg, N. M., Burg, M.B. & Allison, J.P. (1997). Manipulation of T cell costimulatory and inhibitory signals for immunotherapy of prostate cancer. Proc Natl Acad Sci USA, 94(15), 8099–8103.

Nishimura, H., Nose, M., Hiai, H., Minato, N., & Honjo, T. (1999). Development of Lupus-like Autoimmune Diseases by Disruption of the PD-1 gene encoding an ITIM motif-carrying immunoreceptor. Immunity, 11, 141–151.

Freeman, G.J., Long, A.J., Iwai, Y., Bourque, K., Chernova, T., Nishimura, H., Fitz, L.J., Malenkovich, N., Okazaki, T., Byrne, M.C., Horton, H.F., Fouser, L., Carter, L., Ling, V., Bowman, M.R., Carreno, B.M., Collins, M., Wood, C.R. & Honjo, T. (2000). Engagement of the PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation. J Exp Med, 192(7), 1027–1034.

Hodi, F.S., Mihm, M.C., Soiffer, R.J., Haluska, F.G., Butler, M., Seiden, M.V., Davis, T., Henry-Spires, R., MacRae, S., Willman, A., Padera, R., Jaklitsch, M.T., Shankar, S., Chen, T.C., Korman, A., Allison, J.P. & Dranoff, G. (2003). Biologic activity of cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4 antibody blockade in previously vaccinated metastatic melanoma and ovarian carcinoma patients. Proc Natl Acad Sci USA, 100(8), 4712-4717.

Iwai, Y., Terawaki, S., & Honjo, T. (2005). PD-1 blockade inhibits hematogenous spread of poorly immunogenic tumor cells by enhanced recruitment of effector T cells. Int Immunol, 17(2), 133–144.



James P. Allison was born 1948 in Alice, Texas, USA. He received his PhD in 1973 at the University of Texas, Austin. From 1974-1977 he was a postdoctoral fellow at the Scripps Clinic and Research Foundation, La Jolla, California. From 1977-1984 he was a faculty member at University of Texas System Cancer Center, Smithville, Texas; from 1985-2004 at University of California, Berkeley and from 2004-2012 at Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York. From 1997-2012 he was an Investigator at the Howard Hughes Medical Institute. Since 2012 he has been Professor at University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, Texas and is affiliated with the Parker Institute for Cancer Immunotherapy.

Tasuku Honjo was born in 1942 in Kyoto, Japan. In 1966 he became an MD, and from 1971-1974 he was a research fellow in USA at Carnegie Institution of Washington, Baltimore and at the National Institutes of Health, Bethesda, Maryland. He received his PhD in 1975 at Kyoto University. From 1974-1979 he was a faculty member at Tokyo University and from 1979-1984 at Osaka University. Since 1984 he has been Professor at Kyoto University. He was a Faculty Dean from 1996-2000 and from 2002-2004 at Kyoto University.


Illustrations: © The Nobel Committee for Physiology or Medicine. Illustrator: Mattias Karlén

The Nobel Assembly, consisting of 50 professors at Karolinska Institutet, awards the Nobel Prize in Physiology or Medicine. Its Nobel Committee evaluates the nominations. Since 1901 the Nobel Prize has been awarded to scientists who have made the most important discoveries for the benefit of humankind.

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2018100100978&g=soc
本庶氏にノーベル賞=がん免疫療法開発-医学生理学、2年ぶり 
(2018/10/01-22:05)時事通信

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学生理学賞を、がんの免疫療法を開発した京都大の本庶佑・特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授(70)に授与すると発表した。研究に基づいて新薬が開発され、人間が本来持っている免疫力を使った新たな治療法として期待されている。

【特集】本庶佑氏にノーベル賞

 日本人のノーベル賞は16年の大隅良典東京工業大栄誉教授以来、2年ぶり。医学生理学賞は大隅氏に続き、5人目。日本の受賞者は米国籍取得者を含め計26人となる。
 本庶氏は京都大で記者会見し、「驚いた。このような賞をいただき、幸運な人間だと思う」と話した。
 がん治療では、外科手術と放射線療法、抗がん剤などの化学療法が主流。本庶氏らが開発した免疫療法は、第4の治療法として近年注目されている。カロリンスカ研究所は授賞理由で「2人の発見はまったく新しいがん治療を打ち立てた」と評価した。
 人間には、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を攻撃する免疫の仕組みが備わっている。T細胞などの免疫細胞は、体内で正常な細胞から変化したがん細胞も異物と見なして攻撃するが、がん細胞は免疫の働きにブレーキをかけ、攻撃を阻止する。

 本庶氏は、研究室の大学院生が1992年にT細胞の表面で偶然発見した分子「PD-1」の研究を進め、T細胞のブレーキ役になっていることを突き止めた。がん細胞の表面にある「PD-L1」がT細胞のPD-1と結合することで、免疫の働きが抑制されていた。
 結合を阻止してブレーキを解除し、T細胞を活性化させれば新たながんの治療法になると考えた本庶氏は、小野薬品工業(大阪市)と協力。PD-1を標的とした世界初の皮膚がん治療薬「オプジーボ」は2014年7月、製造販売承認を取得した。患者によっては大きな効果があり、肺がんや腎臓がんの治療にも使われている。アリソン氏も同様に働く分子を発見し、がん治療薬につながった。
 授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。賞金900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は2人で等分する。



https://www.asahi.com/articles/ASL9D5TKHL9DPLBJ00B.html
本庶さん、がん治療「第4の道」導く 衝撃の新薬に結実 
2018年10月1日21時03分 朝日新聞

 スウェーデンのカロリンスカ医科大は1日、ノーベル医学生理学賞を京都大の本庶(ほんじょ)佑(たすく)特別教授(76)と米テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン教授(70)に贈ると発表した。2人は、免疫をがんの治療に生かす手がかりを見つけた。新しいタイプの治療薬の開発につながり、がん治療に革命をもたらした。

 本庶さんの成果は、「オプジーボ」などの免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬に結びついた。

 体内では通常、免疫が働いてがん細胞を異物とみなして排除する。しかし、免疫細胞には自身の働きを抑えるブレーキ役の分子があるため、がん細胞はこれを使って攻撃を避け、がんは進行してしまう。

 2人はそれぞれブレーキ役の分子の役割を発見し、この働きを抑えてがんへの攻撃を続けさせる新しい治療を提案した。

 がん治療は従来、外科手術、放射線、抗がん剤が中心だったが、「免疫でがんを治す」という第4の道をひらいた。

 1日の会見で本庶さんは、「回復して『あなたのおかげだ』と(患者から)言われると、自分の研究が意味があったとうれしく思う。これからも多くの患者を救えるよう研究を続けたい」などと話した。

 本庶さんのグループが見つけたブレーキは「PD-1」という分子。京都大医学部教授だった1992年、マウスの細胞を使った実験で新しい分子として発表した。さらに、PD-1をつくれないマウスの体内ではがんの増殖が抑えられることを確認。この分子の働きを妨げる抗体をマウスに注射し、がんを治療する効果があることを2002年に報告した。

 PD―1の働きを抑える薬は、本庶さんと特許を共同出願した小野薬品工業と、米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブが開発。末期のがん患者でも進行をほぼ抑え、生存できることがあり、世界中に衝撃を与えた。薬は「オプジーボ」と名付けられて14年、世界に先駆けて日本で皮膚がんの悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として承認された。肺がんや胃がんなどでも効果が確認され、現在は60カ国以上で承認されている。

 ジェームズ・アリソン教授は90年代半ば、PD-1とは別の病原体を攻撃する免疫細胞の表面にある「CTLA-4」という分子が、免疫のブレーキ役を果たしていることを解明。この分子の働きを妨げることで免疫を活性化し、がん細胞を攻撃できると発案。マウスの実験で証明した。

 CTLA-4については、「ヤーボイ」というメラノーマの治療薬として60カ国以上で承認されている。

 日本のノーベル賞受賞は、16年の医学生理学賞の大隅良典・東京工業大栄誉教授に続き26人目。医学生理学賞は87年の利根川進・米マサチューセッツ工科大教授、12年の山中伸弥・京都大教授、15年の大村智・北里大特別栄誉教授、16年の大隅氏に続いて5人目。授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金の900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)は受賞者で分ける。



https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/01/honjyo-tasuku_a_23546981/
本庶佑氏、ノーベル生理学・医学賞を受賞。京都大学の特別教授
がん治療法に関する発見の功績で受賞しました。
 
2018年10月01日 18時50分 JST | 更新 2018年10月01日 19時42分 JST ハフポスト
濵田理央(Rio Hamada)

2018年のノーベル生理学・医学賞に、京都大学の特別教授の本庶佑氏が選ばれた。スウェーデンアカデミーが10月1日に発表した。

本庶氏は、がん免疫治療に関する発見をした功績で、ジェームズ・P・アリソン氏と共同で受賞した。

本庶氏は、免疫をつかさどる細胞の表面にある「PD-1」という新たな分子を発見。この分子が、免疫活動のブレーキ役を果たすことを突き止めた。この発見が、新しいタイプのがん治療薬「オプジーボ」の開発につながった。

京都大学院医学研究科の公式サイトによると、本庶氏は京都市生まれ。京都大学医学部を卒業後、大阪大学医学部や京都大学医学部などで教授を務めた。免疫ゲノム医学を専門とし、2012年に受賞したドイツで最も権威のある「ロベルト・コッホ賞」など、名だたる数々の賞を受賞した。

京都大学の公式サイトによると、日本人がノーベル賞を受賞するのは24人目(受賞時に日本国籍でなかった人を除く)で、ノーベル生理学・医学賞の受賞は、2016年の大隈良典氏についで5人目となる。




https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/05/honjotasuku-cancer-medical_a_23552540/
ノーベル医学生理学賞の本庶佑さん、根拠ない免疫療法に苦言「金もうけ非人道的」
「わらにもすがる思いの患者に証拠のない治療を提供するのは問題だ」
 
2018年10月06日 09時39分 JST | 更新 23時間前 ハフポスト
朝日新聞社提供

本庶さん、根拠ない免疫療法に苦言「金もうけ非人道的」

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)が5日、愛知県豊明市の藤田保健衛生大で講演した。受賞決定後、初めての講演となり、集まった同大の研究者や学生ら約2千人から、大きな拍手で迎えられた。本庶さんは研究の過程や、がん治療薬「オプジーボ」の開発までの経緯などを紹介。「21世紀は、免疫の力でがんを抑えられるのではないか」と語った。


 本庶さんらは、免疫細胞の表面にあるブレーキ役の分子「PD―1」を発見し、この分子の働きを妨げる「オプジーボ」の開発につながった。ただ、これらの研究はネイチャー、サイエンスなどの有名科学誌に載ったものではないとし、「そういう雑誌に載らないからだめだと思うのは間違い」とし、外部からの評価にこだわらないことの大切さを学生らに訴えた。

 本庶さんは「免疫力こそががんを治す力だが、オプジーボが効く効かないの判断は、まだ十分でない。副作用への対応の仕方も課題だ」とも指摘した。



  1. 2018/10/07(日) 10:24:25|
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Google Newsでみる医師不足 2018年9月30日

Google Newsでみる医師不足 2018年9月30日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 6,450
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 14,000
First 5 in Google in English 



https://www.businessinsider.com/us-primary-care-physician-shortage-solutions-2018-9
The US is facing a doctor shortage as the country grays, and nurses could be the answer
Business Insider-2018/09/12 (米国)
The US healthcare system is facing a physician shortage, especially in the field of primary care.
The shortage could impact 44 million Americans, especially those who live in rural areas.
Part of the problem is that not enough medical students and graduates are choosing to go into the primary care field.
UnitedHealth Group suggests in a recent report that there might be two ways to extend access to primary care. One is to allow nurse practitioners to practice primary care independently, and the other is through urgent care centers and retail clinics.



http://www.eagletribune.com/opinion/computer-demands-partly-to-blame-for-looming-doctor-shortage/article_107660d3-99b4-5d72-8ed5-7d8336748531.html
Computer demands partly to blame for looming doctor shortage
Eagle-Tribune-2018/09/27(米国ニューハンプシャー州)
America faces a physician crunch. The American Academy of Medical Colleges projects a physician shortage of between 42,600 and 121,300 doctors by the year 2030. Certainly, there's no shortage of demand for medical care. More of us are living longer, with more complicated health problems. But practicing physicians are accelerating their retirement plans, even as fewer and fewer doctors enter the physician workforce.



https://www.city-journal.org/why-america-faces-doctor-shortage-16194.html
Why America Faces a Doctor Shortage
City Journal-2018/09/26 (米国 ニュージャージー州)
Health outcomes are adversely affected by the shortage. In lower-income areas, which are feeling the impact of too-few physicians already, patients are increasingly being treated by practitioners who attended for-profit medical schools in the Caribbean. These schools, known for their lower standards, are the kinds of institutions that LCME was founded in 1942 to police and prevent. Patients of such doctors tend to have higher mortality rates than those of physicians who attended medical school in the United States.



https://www.forbes.com/sites/sallypipes/2018/09/17/free-med-school-wont-solve-the-doctor-shortage/#4712fd3e42f1
Free Med School Won't Solve The Doctor Shortage
Forbes-2018/09/17 (米国)
The New York University School of Medicine just eliminated tuition for all current and future students. Administrators believe the reform will help solve the nation's doctor shortage. Dean Robert Grossman suggests that "without the prospect of overwhelming financial debt," more people will pursue medical careers. And they'll be more willing to become primary care providers in underprivileged areas, rather than highly paid specialists in affluent communities.



https://www.nj.com/opinion/index.ssf/2018/09/what_new_jersey_can_do_to_address_doctor_shortage.html
What New Jersey can do to address doctor shortage | Opinion
NJ.com-2018/09/06 (米国 ニュージャージー州)
By Lawrence Stankovits. The Star-Ledger recently reported that lawmakers in Washington are looking to close a decades old loophole that is leading to a doctor shortage in New Jersey. While New Jersey's Congressional delegation should be praised for their efforts to overturn the cap on Medicare-funded slots for doctors in training, it is only one of the reasons why New Jersey residents are losing access to medical doctors and surgeons.



(他に10位以内のニュースは、カナダ(全国、ノバスコティア州)、香港、米国*、中国、からも)




*: Educators/Mentors SHOULD READ
https://www.heritage.org/health-care-reform/report/americas-looming-doctor-shortage-what-policymakers-should-do

America’s Looming Doctor Shortage: What Policymakers Should Do
September 5, 2018  The Heritage Foundation

Kevin Pham

SUMMARY - America is faced with the very real threat of a shortage of doctors to serve the needs of a growing and aging population. America’s doctors are under stress, and many are demoralized, burned out, and looking toward an early retirement. Their problems have very little to do with actually delivering medical care to patients. They have much more to do with the non-clinical requirements imposed on them while running a medical practice. The laws, the rules, and the regulations that have interfered with the doctor–patient relationship have driven American physicians’ morale lower, and encourage them to leave medical practice at precisely the time the American public needs them most. For policymakers in Washington and in the states, there is a serious lesson here: Any serious reform must shift the focus back to the patient–doctor relationship, unburden the practice of medicine, and let doctors be doctors.



  1. 2018/09/30(日) 12:37:52|
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