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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月24日 

https://www.yomiuri.co.jp/local/akita/feature/CO038652/20190320-OYTAT50000/
県病院協会長 小棚木均さん(65)
《1》医師不足県が対策を
 
2019/03/20 05:00 読売新聞 秋田

 29日告示、4月7日投開票の県議選を前に、医療、自殺対策、女性活躍、外国人労働者の受け入れ、地場産業振興――の五つの県政課題について、識者の意見を聞く。



 医師偏在の解消に向けた対策は、国も進めている。ただ、全国でも人口減が特に深刻な本県では、実態に即した独自の施策を考える必要がある。少子高齢化の最先端にあり、全国の歩調に合わせても問題の解決へは向かわないと考えられるからだ。

 行政が急務とするべきは1次医療を支えるシステムの構築だ。

 今、1次医療は地域の開業医の尽力で成り立っている。しかし、医師の高齢化も進んでおり、事業承継がうまくいっていないという側面がある。

 医師の「都会志向」もある。都市部の医療設備が整った医療機関で、多くの症例をこなすことで、専門性を高めることができるだろう。「働き方改革」が叫ばれる今の時代、地方の一人勤務の診療所では24時間、365日気が抜けない状態となるため敬遠するのも無理はない。

 地方の診療所の周辺にある病院も、診療報酬改定や新システムの導入などで経営が厳しく、多くの医師を受け入れる体力が損なわれているのが現状だ。患者数が多ければ、診療報酬も増え、病院経営が持ちこたえることもできるだろうが、人口減に歯止めがかからない状態では、先行きは厳しい。

 県民に身近な1次医療の態勢を充実させるため、財政状態が厳しいことは分かるが、県はもっとお金をかけるべきだ。

 一方、高度医療については、秋田市などの拠点となる都市に集約するのが現実的だろう。

 「良い医者がいる」と聞けば、患者さんはよその地域の医療機関でも出向いていくのが実際のところだと思う。高度な治療を2次医療圏の中で完結させようとこだわっているのは、行政や医療関係者だけではないだろうか。

 様々な症状に対応できる総合病院を整備するのはもちろんだ。併せて、患者さんが圏域をまたいで医療機関にかかりやすくなるように、救急車に準ずるような新たな公的交通手段を導入するなど、交通アクセスの整備にも力を入れるべきだと考える。

 人口減が進む中、提供する医療サービスはどうあるべきか。20年後、30年後を見据えた長期的な対策が求められている。

(聞き手・杉本和真)

「偏在指標」ワースト7位
 厚生労働省がまとめた医師の充足状況を示す「医師偏在指標」(暫定値)で、秋田県(180.6)は47都道府県(平均238.3)で7番目に低いことが判明。さらに全国335の2次医療圏別では、上小阿仁村と北秋田市で構成される「北秋田医療圏」(69.6)が最下位となっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667239
シリーズ 真価問われる専門医改革
専攻医のシーリング、「県、基本領域別」への変更検討
厚労省・医師専門研修部会、時期や詳細は今後の検討課題
 
レポート 2019年3月23日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、新専門医制度における専攻医数の上限(シーリング)の方法を見直し、「都道府県別、基本領域別」に設定することを、3月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で提案、おおむね了承された。ただし、時間切れで内容の詳細な議論には至らず、見直し時期については意見が分かれた。日本専門医機構は厚労省提案を基にシーリングの在り方を検討、その結果を踏まえ、本部会で検討する(資料は、厚生労働省のホームページ。22日の本部会の他の議論は、『23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り』を参照)。

 現行のシーリングは、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)で、14の基本領域(外科、産婦人科、臨床検査、病理、総合診療を除く)で、過去の採用実績を基に設定している。対象とする地域、基本領域が違うだけでなく、将来の医師需要を踏まえて設定し、医師不足地域の専攻医を増やすことを目的としている点で、厚労省提案は現行のシーリングと大きく異なる。

 具体的には、2016年の医師数が、医師の働き方改革を進めた場合に必要な医師数や将来の必要医師数(例えば、2024年)を上回る「都道府県、基本領域」について、シーリングを設定する。ただし、救急科と総合診療については対象外とする。これらのデータは、厚労省の医師需給分科会で議論されている(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』を参照)。同分科会では、「医師多数県」と「医師少数県」を設定し、医師偏在の解消を狙う。東京都、大阪府、福岡県は「医師多数県」だが、神奈川県と愛知県は「医師多数県」ではないことも、厚労省はシーリングを見直す理由として挙げた。

 シーリングの対象となった「都道府県、基本領域」では、「医師少数県」と連携プログラムを組むことを必須とする。

 ただし、「医師多数県」と「医師少数県」のいずれにも該当しない県の専攻医減少を防ぐため、「地域貢献率」(研修プログラムの所在地以外の都道府県で研修する専攻医の割合)も指標として、研修プログラムの定員を検討する。

 シーリングの考え方は支持、データの精査は必要

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「医師偏在対策ということで、医師偏在指標が出た。愛知県や神奈川県は、医師多数県でなかった」と指摘した上で、シーリングの方法を見直すという厚労省の提案自体は支持するが、「それ以外はこの(限られた)時間では判断できない」とコメント。

 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、「シーリングの考え方は賛成。将来の医師の需給予測と働き方改革を踏まえ、どれだけの医師を養成していくかを考えないと、地域医療は崩壊する」と厚労省提案を支持。

 長野県知事の阿部守一氏も、「医師の偏在是正につがる方向でのシーリングは、しっかりかけてもらいたい」と述べ、連携プログラムで「医師少数県」に行く仕組みを強化すべきと提案。

 ただし、「考え方はいいが、医師多数県や医師少数県の基になる数字には納得していない」といった意見も出た。

 参考人として出席した日本専門医機構理事長の寺本民生氏は、2019年度研修開始の専攻医数は、東京都のシーリングに限って、前年度比5%減としたことを説明した上で、「5%の根拠ははっきりしていないが、その社会への影響を検証した上で、次の検討をすべきだ」と指摘し、2020年度研修からシーリングを見直すのは「時期尚早」とした。さらにシーリングに一番関係するのは専攻医であり、医師偏在解消は専攻医だけの問題なのか、その辺りは慎重に考えてもらいたいと求めた。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏も、「地域医療を崩壊させないように、調整していくことが必要だが、専門医の問題で、診療科偏在の全て解決するわけではない。あまり重きを起きすぎると、専攻医は、シーリングをかけられることを苦痛に思う」と述べた。また厚労省が示したデータについても、関係者が納得できるよう検証する必要性を指摘した。



https://www.medwatch.jp/?p=25500
公立病院等、診療実績踏まえ「再編統合」「一部機能の他病院への移管」を2019年夏から再検証―地域医療構想ワーキング  
2019年3月20日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今年(2019年)3月までに、全国の地域医療構想調整会議において、まず「公立病院および公的等病院の機能改革」に関する合意を行うこととなっている。ただし、その合意内容について妥当性等を疑問視する声もあることから、厚生労働省で「地域で公立・公的病院等が担っている機能について、近隣の民間病院等で代替できないか」などを今夏(2019年夏)までに分析し、その結果を踏まえて、必要があれば「公立病院および公的等病院の機能改革」内容について厚生労働省から再検証・検討を要請する―。

3月20日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が概ね固められました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。厚労省は早速、分析に入る考えです。
 
ここがポイント!
1 がん手術や心筋梗塞治療などの診療実績を見て、公立・公的病院等の機能を分析
2 診療実績の分析から、公立病院等の機能を「他の民間病院で代替できないか」を再検証
3 病院の再編統合が進み寡占状態になった際、医療サービスの質が低下していないか検証を

がん手術や心筋梗塞治療などの診療実績を見て、公立・公的病院等の機能を分析

地域医療構想の実現に向けて、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)では、まず今年度中(2019年3月まで)に「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」に関する合意を得ることになっています。昨年(2018年)12月末時点の合意状況を見ると、ベッド数ベースで、▼公立病院は48%(2018年9月末から9ポイント向上)▼公的病院等60%(同8ポイント向上)―となっており、現在、最終的な調整論議が行われている最中です。

ただし、「合意を急ぐ」あまり、「形だけの機能改革」「現状追認」にとどまっているケースもあると指摘され、ワーキングでは「合意内容の検証が必要」と判断しています。

この点、厚労省は(1)地域の医療提供体制の詳細な分析を行う(2)分析結果を踏まえて、各調整会議で「「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」を再検証・検討する―という2段階で検証する枠組みを示しました。

まず(1)の分析については、以下の17項目について、地域の公立病院・公的病院等と民間病院等が、どのような診療実績を有しているのかを調べます。詳細な分析内容については、今後、ワーキング構成員とさらに詰めていくことになります。

【分析項目】
▽がん手術の実績(▼肺・呼吸器▼消化器(消化管/肝胆膵)▼乳腺▼泌尿器/生殖器―)
▽がん化学療法の実績
▽がん放射線治療の実績
▽心筋梗塞等の心血管疾患の診療実績(▼心筋梗塞▼外科手術が必要な心疾患―)
▽脳卒中の診療実績(▼脳梗塞▼脳出血(くも膜下出血を含む)―)
▽救急医療の実績(▼救急搬送等の医療▼大腿骨骨折等―)
▽小児医療の実績
▽周産期医療の実績
▽災害医療の実績
▽へき地医療の実績
▽研修・派遣機能の実績

 これら17項目それぞれについて、病床機能報告データなどをもとに今夏(2019年夏)までに厚労省で分析。その結果は各地域医療構想調整会議等に提示されるとともに、分かりやすく整理した形で公表もされます。

例えば、胃がん手術について、A公立病院が地域の大多数の症例に対応していれば、その公立病院・公的病院等は「地域において、他の民間病院ではできない機能を担っている」と考えることができます。

また、乳がん手術について、A公立病院とB民間病院とが、それぞれ半数程度の症例を診ている場合、「競合している」「すみ分けている」などと考えることができるでしょう。

一方、救急医療について、多くの公立病院・公的病院等で対応している場合、「分担をしている」ケースもあれば、「症例や医師等の医療資源が分散し、非効率になっている」ケースもあると考えられます。
地域医療構想ワーキング(1)の3 190130
 

診療実績の分析から、公立病院等の機能を「他の民間病院で代替できないか」を再検証

厚労省はこうした分析結果を踏まえて、地域の公立病院・公的病院等のうち、次のようなケースでは「調整会議で、機能改革内容(合意内容)を再検証する必要がある」と見ています。

(I)上記17項目のうち1つ以上の項目で、▼構想区域内に「一定数以上の診療実績を持つ医療機関」が複数あり、近接している▼診療実績が特に少ない―場合には、当該項目(機能)について、他の医療機関への代替可能性がある

(II)上記17項目のうち大半の項目で、▼構想区域内に「一定数以上の診療実績を持つ医療機関」が複数あり、近接している▼診療実績が特に少ない―場合には、当該公立病院・公的病院等は、再編統合を検討する必要がある

 前者(I)の「ある機能(例えば、胃がん手術)について他医療機関での代替可能性あり」との分析結果が示された公立病院・公的病院等については、調整会議において、当該機能を他医療機関に統合するべきか否かを、ベッド数も含めて改めて議論することになります。例えば、A県立病院の消化器外科(40床)とB民間病院の消化器外科(40床)とで、胃がん症例を同程度診ている場合、「A県立病院の胃がん手術機能を、B民間病院の消化器外科に集約できないか」「集約できるとして、スタッフ・設備等・患者などもB民間病院の消化器外科にどう移管していくか」「合計80床であるが、地域の人口減少動向を踏まえて60床に削減してはどうか」などといった点を調整会議で、改めて検討することになります。

また後者(II)の「多くの機能について他医療機関での代替可能性あり、または診療実績が特に少ない」との分析結果が示された公立病院・公的病院等については、調整会議において、当該病院を他医療機関と再編・統合すべきか否かを検討することになります。例えば、診療実績の低いC市立病院を、近隣のD県立病院に統合するなどのイメージです。

ところで17項目の分析結果で、例えば「胃がん手術についてA公立病院とB民間病院とが地域患者の半数程度ずつを診ている」ことが分かったとして、機械的に「胃がん手術はB病院に集約する」との結論が導かれるものではありません。例えば「ベッド数の関係でA・B病院で患者を分け合っている」ケースもあれば、「A病院が合併症などのある重症患者を診ており、B病院では比較的軽症の患者を診ている」ケースもあるでしょう。調整会議での再検証では、こうした点も十分に考慮することが求められます。

さらに、「医師の働き方改革が進められる中で、機能集約などによってかえって医師の負担が重くならないか」、「機能集約をすることで医師偏在が助長されないか」、「公立病院では補助金が投入され、公的病院等では税制上の優遇があり、民間病院と必ずしも同じ競争条件ではない」などの点も調整会議で勘案することが必要です。

  
調整会議での再検証・検討期限は今後検討していくことになります。厚労省は「新公立病院改革プランの対象期間が、2020年度を終期とすることが標準である」点を考慮する必要があると指摘しており、ここからは「2020年度央までに調整会議で再検証・検討する」ことなどが考えられますが、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「再検証とは、これまで2年間、調整会議で行ってきた議論を1からやり直すことを意味する。拙速な議論(例えば、従前の合意内容を安易に追認してしまうなど)を調整会議で行っても意味がない」と指摘しており、今後、具体的な再検証方法などについてワーキングで詰めていくことになります。

公立病院・公的病院等の機能改革に関するスケジュールは、次のように整理できるでしょう。

▽厚労省が今夏(2019年夏)までに地域の各医療機関の診療実績等を分析する

▽分析結果に基づいて、厚労省が「機能集約」「病院の再編統合」などを検討する必要性がある公立病院・公的病院等をピックアップし、調整会議に「機能改革の再検証・検討」を要請する(今夏目途)

▽調整会議で機能分化・再編統合の必要性について、地域の詳しい事情を踏まえながら再検証・検討する(検討期限については、今後、さらに検討)

▽再検証・検討結果に基づいて、機能集約や再編統合を各地域で進める(順次)


病院の再編統合が進み寡占状態になった際、医療サービスの質が低下していないか検証を

 ところで、一口に「機能集約や再編統合を進めよ」と言っても、地域の特性や病院の設立母体などによって、さまざまな課題があります。こうした課題について十分に検討し、打開策を準備しなければ、機能集約・再編統合は画餅に帰してしまいます。

3月20日のワーキングでは、田渕典之参考人(日本赤十字社医療事業推進本部技監)から、公的病院等において機能集約や再編統合を進めるにあたっての課題がいくつか整理されました。

まず、統合等を行う場合、多大なコストが発生します。例えば、A病院とB病院を統合し、新C病院を建築する場合には、莫大な費用がかかります。新病院建築には至らずとも、機能集約等を行えば、「増床」「設備整備」などに相当のコストがかかります。また、統合を良しとせず職場を去るスタッフも一定程度、出てくると考えられ、想定外の退職金が発生することも考えられます。さらにスタッフを引き留めるために「給与水準を高いほうに合わせる」ことなどが行われますが、その際には人件費が高騰します。

自治体病院が関係する統合再編では、こうしたコストについて公費による補填が行われることがあり(後述するようにこの点での課題もある)、また一般企業では、統合後の収益増(収益増を見込んで統合するケースが大半)によりコスト回収できます。しかし、公立病院等(例えば日赤)では補填の原資もなく、現行の診療報酬の下では「大幅な収益増」を見込むことも難しいでしょう。田渕参考人は「コスト回収」の視点が極めて重要であると指摘しています。

また、再編統合などが進めば、当然、地域において「寡占」状態が発生します。その際、「透明性やガバナンスの確保」が極めて重要となります。もちろん、医療者には高潔な方が多いのですが、一般的に「寡占状態が生じれば、経営管理が緩くなり、サービスの質が低下しがちである」という点を無視することも危険です(正しい競争こそがサービスの質を向上させる)。「診療の質が低下していないか」「患者の満足度が低下していないか」「コスト管理が適正になされているか」などを十分に把握していくことも、今後の重要な検討課題となるでしょう。

 
なお、青森県弘前市(津軽医療圏)において、2019年度には弘前市立病院と国立病院機構が統合した新たな急性期の中核病院が発足します。▼病床を削減する(従前の弘前市立病院250床+国立病院機構弘前病院342床(合計592床)→新中核病院では400-450床)▼病院運営を国立病院機構が担う(多くのケースでは自治体が運営権を希望するが、このケースでは首長が英断し、市民もこれを受け入れた)―などの特徴をもつ画期的な統合再編事例で、中川構成員は「全国の統合再編のモデルケースになる」と高く評価しています。

ただし、新中核病院への移行期間中である現在、▼スタッフのモチベーションが下がり、退職も少なくない(自治体立病院勤務を望むスタッフも少なくない)▼新病院建設等の営繕費用(コスト)などが嵩む―という大きな課題もあります。上述の田渕参考人は「自治体病院に関しては、統合コストを自治体が補填する」ことを指摘しており、事実、弘前市でも補填が行われるのですが、「原資の工面」「コストの平準化」などに大きな苦労をする実態もあるようです。

 
今後、厚労省の分析結果を踏まえ、調整会議で「機能集約や再編統合すべき」との再検証・検討が出てきますが、実際の再編統合等に向けた課題の整理や対応策も幅広く検討していくことが各所で求められるでしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/666764
シリーズ 地域医療構想
17項目で診療実績「見える化」、公立・公的病院の再編後押し
構想区域別に2019年年央までに公表、「代替可能性あり」なら統合も
 
レポート 2019年3月20日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)は3月20日の第20回会議で、地域医療構想の進捗状況を把握するため、9領域で計17項目について診療実績の分析を進めることを了承した。構想区域別に、がん、心血管疾患や脳卒中、救急医療などの各領域について、各病院がどのくらいの症例や手術を担っているかなどを「見える化」するのが狙い(資料は、厚労省のホームページ)。

 分析は厚労省が行い、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」の有無について、下記のような結果とともに、2019年年央までに各都道府県に通知する。「代替可能性」の有無は、人口当たりの診療実績、医療機関間の距離等など「一定の基準」を設けて判断する。この基準は分析を進める過程で今後、検討・決定する。地域医療構想調整会議では、「代替可能性がある」とされた役割について検証・協議し、結論を得ることが求められる。

地域医療構想の分析、検証の方向性

・1つ以上の分析項目について、「代替可能性がある」と分析された公立公的医療機関等を、「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」と位置づける。
・「他の医療機関による役割の代替可能性がある公立・公的医療機関等」のうち、大半の分析項目について「代替可能性がある」と分析された公立・公的医療機関等については、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」と位置づける。

 地域医療構想については、「2017 年度以降、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、地域医療構想調整会議において2年間程度で集中的な検討を進める」とされていた。特に公立・公的医療機関等については、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、民間医療機関との役割分担を踏まえ、公立・公的医療機関等でなければ担えない分野へ重点化された具体的対応方針であるかを確認することを求めた。今回の分析・検証は、それが実現しているかを評価するのが狙い。

 20日の会議では、厚労省が分析に入るなど、基本的な方向性が了承された。ただ、その検証の仕方については、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「検証はものすごい大仕事。一から議論をやり直すこと。そのためには調整会議も数段活性化させなければいけない」と述べ、本ワーキンググループで引き続き議論するよう求めた。厚労省は2019年年央に向けて、分析と並行して、検証の仕方について議論を深めると回答した。

 各地域の調整会議では、分析結果を受け、再編・統合の要否などを検討していくことになる。その結論を得る期限は未定で、今後の検討課題となる。健康保険組合連合会理事の本多伸行氏からは、新公立病院改革プラン等が2020年度に終わることを踏まえ、「再編・統合は難しいと思うが、あまり長引くとかえって不安をあおることになる。計画は可及的速やかに公表すべき」との声が上がった。一方で、中川氏は、これまで新公立病院改革プラン等が、あまり議論なく、調整会議で合意されてきた経緯を問題視し、「それを見直そうということ。拙速にならないようにしっかりとやった方がいい」と指摘した。

 そのほか、全日本病院協会副会長の織田正道氏からは、「公立・公的病院の統廃合は、全国で進んでいるが、うまく行っている事例ではなく、まずかった事例を参考にして統合のやり方を検討していかなければいけない」との意見も上がった。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏によると、全国876の自治体病院のうち、400近くが再編・統合され、経営形態の移行が終わっている。2020年度までにさらに五十数病院が再編・統合等の予定だという。


 公立・公的の「統合コスト」が課題

 20日の会議では、青森県弘前市と日本赤十字社へのヒアリングも行われた。公的・公立医療機関の再編・統合がテーマで、両者とも「統合コスト」、つまり2病院を統合する際に、統合までの過渡期において診療機能の転換が段階的に進むことで、その期間中は収入が低下したり、職員の退職手当あるいは雇用確保等の資金が必要になってくるという課題を指摘した。

 「津軽地域保健医療圏における中核病院の整備」では、国立病院機構弘前病院(342床)、弘前市立病院(250床)を再編・統合した中核病院の新設が進められている。弘前市健康福祉部長の外川吉彦氏は、「病院廃止に伴い、資金不足になると予想し、かなり多めに想定していたが、現実になるとかなりつらい。今は過渡期ということで、市の一般会計で支えるしかないが、なかなか厳しい。何らの資金を使って、平準化したい」と説明。

 日本赤十字社医療事業推進本部の田渕典之氏は、全国の3つの日赤病院の再編・統合の事例を紹介。「病院の利益率は数%で、統合コストを賄うことが可能な診療報酬体系になっていない。統合コストをどう考えるかがカギとなる。過去に成功している再編・統合事例は、自治体病院が片方にあり、“大きな財布”を持っている。これを公的、民間病院などにも広げていくためには、特に大規模の病院ではどう考えるかが重要になっていく」との考えを述べた。



 「国立病院機構主体の統合・再編」を支持する市長が当選

 津軽地域保健医療圏は、8市町村から成る。5つの公立病院のうち、国立病院機構弘前病院と弘前市立病院を再編・統合し中核病院にするとともに、他の3病院は回復期、慢性期病院への転換を進める方針。

 弘前市立病院の病床稼働率は、ピーク時は90%を超えるが、平均80%くらいだという。「決して低くない。これで再編・統合を進めるのは結構、思い切ったことだと思う」(中川氏)。

 もっとも、当初は国立病院機構が運営主体になるとの話でスタート。その後、市民等の意見を受け、市長が「市が中核病院の整備運営の主体になる可能性を示した」と発言し、議論が難航。2018年4月の市長選挙で、国立病院機構主体の再編を進める市長が当選し、交代。2018年10月にようやく再編・統合の基本協定の締結に至った。

 中川氏は、「市長選挙では、『市立病院を守らなければ負ける』と言われるが、この場合は逆だったのか。市立病院を国立病院機構にお願いして、弘前は身軽になることを市民が選択したということか」と質問。外川氏は、自身の感触と断りつつ、「中核病院ができる姿を市民が早く見たかったのだろう。県から提案があったものをベースにして進めていく、という市長を選ばれた。財政的な部分についてはそれほど大きな議論にならなかった」と回答した。

 本多氏は、再編・統合を進めるポイントについて質問。外川氏は、「最初は譲り合わなかったが、どちらか一方が主導するのではなく、お互いが譲歩し合うことで条件が整った」と説明。「協議の再開に当たって、顔を合わせ、自分たちが思うことを話す回数が格段に増えた。お互いに思うことが分かり、目指すところは一緒なんだ、ということで、最終的には協定にまで進んだのだと思う」(外川氏)。


 「日赤は本部主導か」との指摘に反論

 田渕氏が紹介したのは(1)兵庫県の県立柏原病院と柏原赤十字病院(2019年)、(2)広島県の庄原赤十字病院の地域医療連携推進法人への参加(2018年)、(3)北海道の道立北見病院の指定管理(北見赤十字病院との一括管理、2018年)――の3事例だ。「その他、統廃合の日赤への打診が、一桁だが、来ている」(田渕氏)。

 日赤病院全体の許可病床数は、2016年の3万4654床から、2018年には3万4358床へと、2年間で296床減少した。16病院の平均は20.5床減(1床減から49床減)。

 織田氏は、地域医療連携推進法人への参加で、「二重ガバナンスになる」との説明に対し、「現場で話し合われたことを追認するならいいが、そこで話し合われたことを否定していてはうまくいかない」と指摘。田渕氏は、「地域の意思を尊重することは重要」と答えつつも、災害医療などの日赤が担うべき事業との整合性なども勘案する必要があるとした。

 中川氏は、「地域医療連携推進法人は、日赤が入るのにやりにくいので、制度を見直すべきだと言うが、それは本末転倒。地域医療を支えるのは現場の医療機関であり、日赤がやりやすいように作ったわけではない。構想区域単位で物事を考えなければいけない。日赤本部の指示で、全国の地域医療構想を進めると考えているのであれば、決定的な間違い」と手厳しく批判。さらに「日赤と公的・公立病院とは、一般会計からの繰り入れの違いがあると言うが、医療法人の立場から言えば、はるかに日赤は優遇されている」とも指摘した。

 これに対し、田渕氏は、「地域医療構想の中で、いろいろな調整を経て、日赤の公的医療機関等2025プランが成立する。また水面下で進んでいる事例も、地元医師会などと話し合いながら進めている。日赤本部が全てリードして決めていくことは全くない」と反論した。



https://wired.jp/2019/03/19/why-your-doctor-should-also-be-a-scientist/
医学の発展には、臨床と研究をつなぐ「フィジシャン・サイエンティスト」の養成が不可欠だ  
019.03.19 TUE 09:00 Wired Promotion

医師として患者を診察しながら研究者でもある「フィジシャン・サイエンティスト」。臨床医療と基礎研究の橋渡し役として医学に革新をもたらす存在と認識されているものの、米国では“絶滅”寸前にまでなっている。医師の臨床志向が強まるなか、その役割を再認識し、改めて養成を強化すべきときが来ている──。ニューヨーク工科大学の生物医学教授による提言。

TEXT BY KURT AMSLER
TRANSLATION BY TOMOYUKI MATOBA/GALILEO

メリーランド大学の研究チームが、神経因性疼痛と呼ばれる神経の機能不全または損傷に起因する痛みの治療に関して、ブレイクスルーになりうる発見をなし遂げた。神経因性疼痛に苦しむ患者は米国だけで1億人を数え、その医療費は毎年5,000億ドル(約54〜55兆円)に上る。

神経因性疼痛の症状は、実際にけがを負って痛みを感じる状態とは異なる。だが、患者が訴える苦痛の度合いは、軽い不快感から耐えきれないほどの激しいものまで、広範囲にわたる。メリーランド大学のチームがこのほど開発したのは、超音波を使って痛みを消失させる新たな技術だ。

この研究チームは、一風変わった特徴をもつ。メンバー全員が医師であると同時に、科学者・研究者でもあるのだ。チームのメンバーたちは専門教育を受けた医療従事者として患者を治療するだけでなく、研究を通じて新たな薬剤や治療法の開発も手がけている。

「フィジシャン・サイエンティスト」は絶滅寸前

米国では、医師と研究者を兼ねる「フィジシャン・サイエンティスト(physician-scientist)」の不足が深刻だ。残念ながら、絶滅寸前の危機を迎えていると言っても過言ではない。いま何か手を打たなければ、患者の命を救う次世代の治療法は、日の目を見ずに失われてしまうかもしれない。

フィジシャン・サイエンティストの強みは何か。それは、典型的なラボの研究者とは異なり、臨床経験から学び得た患者側の視点をもっている点だろう。

フィジシャン・サイエンティストたちは、さまざまな薬剤の相互作用や、重要な外科手術の成功と失敗、患者一人ひとりの反応の違いを目の当たりにしてきた。こうした経験をラボにもち帰り、患者のニーズにあった研究に狙いを定め、成果を得るまでの時間を一気に縮めることができる。

正式な教育訓練を受けたうえ、医学学位に加えて生物学または物理科学の博士号も取得しなければならないという高いハードルがある。だからこそ、なせる技なのだ。

近年も相次いだ功績

メリーランド大学のチームが画期的な発見を発表してまもなく、今度はロサンジェルス市内の大規模な研究病院、シダーズ・サイナイ医療センターのフィジシャン・サイエンティストが、よくあるタイプの心不全に関連する血中たんぱく質を発見した。従来の研究では、明確なバイオマーカーは見つかっていなかった。この発見によって、将来的に簡単な血液検査で、深刻な心疾患の発症リスクを診断する手法を開発できるだろう。

こうした例は、枚挙にいとまがない。2018年6月には、オレゴン健康科学大学のフィジシャン・サイエンティストチームが、がん細胞の転移を阻止する成分に関する論文を発表。数年前には、サンディエゴのシンテロン研究所のフィジシャン・サイエンティストチームが、アルツハイマー病と2型糖尿病に共通する、未知の分子的経路を発見した。

このような画期的な発見は、まさにフィジシャン・サイエンティストの得意分野だ。臨床医療と学術研究をミックスすることで、素晴らしい成果が生まれることを見事に証明している。

助言者としての役割も

フィジシャン・サイエンティストの貢献はこうした例だけにとどまらない。研究の知見を生かし、患者が適切にインフォームドコンセントを行えるようアドヴァイスする役割も果たしているのだ。

例えば、イリノイ大学のフィジシャン・サイエンティストで博士号をもつジャリーズ・レーマンは、自身が執筆した『サイエンティフィック・アメリカン』の記事で、こんな体験を取り上げた。

ある患者がタイの民間クリニックで、物議を醸している心疾患治療法を提案されたと相談に来た。タイの医師たちは、進行した心疾患を治療するため、大金をはたけば骨髄液の注入を行うと述べたという。それは骨髄液中の幹細胞が、損傷を受けた心臓弁や心室、神経を修復するという内容だった。

心疾患治療で幹細胞を利用する研究のスペシャリストでもあるレーマンは、その治療法がインチキだと見破った。そもそも骨髄液に含まれる幹細胞はごくわずかであり、注入には健康上の甚大なリスクを伴う。この患者は彼の説得のおかげで、危険な治療を受けずに済んだ。

いまや絶滅寸前に

このようにヘルスケア業界には、薬剤や医療器具に関する一見すると魅力的なマーケティングがはびこっている。患者が本物を見極めるにはフィジシャン・サイエンティストたちのような専門家の知恵が必要だが、状況は厳しい。

米国医師会の調査によると、もとよりわずかだったフィジシャン・サイエンティストの数は、2003年から12年に約6パーセント減少。いまやフィジシャン・サイエンティストは、医師100人につきたった1人しかいない計算となる。

医療界のイノヴェイションに向け、次世代を担うフィジシャン・サイエンティストの養成は待ったなしだ。現行でも、連邦助成金制度があるが、その大部分が各分野ですでに業績を確立しているフィジシャン・サイエンティストに交付されている。こうした状況を考えれば、若いフィジシャン・サイエンティストを育てるための配分額を増やすことが解決の鍵となりそうだ。

米国医師会雑誌(JAMA)に寄せられた論文によると、12年から17年、米国立衛生研究所(NIH)が小児医療研究助成を交付した対象者は、10人中6人が研究主幹レヴェルのフィジシャン・サイエンティストだった。たいていの若いフィジシャン・サイエンティストは、助成金を得られなければ研究を諦め、臨床医療に専念する道を選ぶだろう。

研究助成金を上積みし、若いフィジシャン・サイエンティストの支援に充てることで、がんやアルツハイマー病などの治療のブレイクスルーを生む可能性がある。

教育機関がいまできること

大学などの高等教育機関にも取り組める対策はある。従来の医学学位しか取得できない学校は、フィジシャン・サイエンティスト養成プログラムを設けるべきだ。優秀な若い人材が集まり、学校にとってもメリットがある。

わたしが所属するニューヨーク工科大学オステオパシー(整骨医学)部は最近、オステオパシー学位と博士号の両方を取得できる7年制プログラムをスタートさせた。

フィジシャン・サイエンティストは、科学理論と臨床医学を橋渡しする存在だ。わたしたちには、その地位向上に努める義務がある。

カート・アムスラー|KURT AMSLER
ニューヨーク工科大学オステオパシー(整骨医学)部の生物医学教授。医学博士。



https://www.m3.com/news/iryoishin/666734
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
自民党PT、時間外労働上限「慎重に設定すべき」
取りまとめを承認、個別事項は今後も議論
 
レポート 2019年3月20日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 自民党厚生労働部会医師の働き方改革に関するプロジェクトチーム(PT、座長は羽生田俊参院議員)」は3月20日、PTとしての取りまとめ案を議論し、承認した。近く根本匠厚生労働大臣に提出する。医師の時間外労働の上限時間について「上限時間ありきで改革を進めるべきではなく、患者目線、医療安全、医療の質の確保を優先し、慎重に検討したうえで設定すべき」などとする内容で、羽生田氏は4月以降も議論の場を設ける考えを示し、「タスク・シフティングや、病院の中でどういうシステムがつくれるか、市や県の制度上の問題点なども着手していきたい。できる限り並行して動いていきたい」と述べた。

取りまとめは以下の通り。

 本PTは、政府による「働き方改革実行計画」を踏まえ、医師の働き方改革に関し、本年3月末までに方向性を打ち出すために昨年1月31日に設置された。各種団体等からのヒアリングを始め、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の検討状況の報告を受けるとともに議論を重ねて来た。

 医師の働き方改革は、①医師の健康の確保②地域医療の適正な確保という二本の柱を基本に検討することを確認した。

 昨年12月18日には、当直翌日の勤務軽減や勤務間インターバルの確保、地域医療を確保するための医療機関への財政支援など医師の健康の確保と地域医療の確保を両立するための対応等を求める中間提言を取りまとめ、政府に要請を行った。この中間提言の各事項については、その後の厚生労働省の検討会においても議論されるとともに、来年度政府予算においても必要な経費が盛り込まれているところである。

 本来、医師の時間外労働の上限時間は、どのような上限時間が制度上設定されようとも具体的な対応を検討・実行したうえでその効果を基に時間を設定することが望ましい。上限時間ありきで改革を進めるべきではなく、患者目線、医療安全、医療の質の確保を優先し、慎重に検討したうえで設定すべきである。

 この対応には①医師でなければできない業務②他の職種へ移管できる業務③病院のシステム及び地域の制度などの見直しが必要な業務に分類し、それぞれの項目を丁寧に検討し対応して行くことが必要である。また時間外労働の発生要因の一つに、国民の医療や医療保険への充分な理解、医療機関への正しいかかり方などを啓発・教育する必要性と国民の意識改革の必要性を確認した。また働き方改革を実行していくうえでの基本は医療安全であり、医療安全を基本に推進されなければならない。

 医師のみならず医療機関で働くすべての職員の勤務環境の改善が重要であり、ワークライフバランスを中心とした柔軟性のある働き方を実行する。また種々の検討事項については、必要があれば法律改正も含めて検討する。ICT の活用は医療者の時間外勤務の改善に有用であり十分な検討をする必要がある。

 また働き方改革については、勤務医だけでなく、地域医療を支える診療所の医師など医療機関の管理者についても適切に取り組まれる必要があることに十分留意する必要がある。

 働き方改革を実行するためには相応の財源が必要であり、医療者の健康確保、地域医療の確保、人材の確保、タスクシフト、ICTの推進、国民の意識改革等々のための充分な財源の確保を強く要望する。またこれからの5年間に働き方改革を進めて行くためには丁寧な議論が必要であり、本PTで引き続き検討する。

引き続き検討が必要な事項

○医師の健康の確保
 ・医療安全を基盤として、医師の健康をしっかりと確保する
 ・連続勤務時間の規制と勤務問インターバルの確保
 ・健康確保措置の確実な実行
 ・研鑽・研究を妨げることのないような、医師本人の希望や働く意欲を十分考慮した柔軟性のある制度の実現
 ・医師の健康と地域医療の両立を担保できるような上限時間の設定
 ・国民への医療機関へのかかり方の啓発

○地域医療の適正な確保
(1)医師でなければ行えない業務あるいは医師が行うべき業務
 ・応招義務の法的解釈の明確化
 ・研讃や研究の扱いの整理
 ・医療安全に配慮したタスクシェアの実行
 ・医師でなければできない業務と移管可能な業務の整理

(2)医師以外の医療職に業務移管、いわゆるタスクシフト、できる業務
 ・現行法律上可能な行為の確実な実行
 ・医療安全を前提とした業務移管の可能性の検討
 ・医師事務の軽減の為の対応策と検証
 ・業務移管される側の負担増への対応

(3)それぞれの医療機関内やその地域での制度やシステムに関わる業務
 ・過不足無き国民(患者)への診療(医療)提供体制の構築
 ・国民(患者)から見た医療の質の向上
 ・国民の医療機関のかかり方の啓発
 ・複数主治医制の検討と国民の意識改革
 ・副業・兼業の際の労働時間の取扱の整理
 ・地域医療資源の集約化の検討
 ・救急搬送の適正化の検討
 ・医師の将来需給を検討しつつ適正な医師数及び医師養成数の検討と検証
 ・医師養成システム及び専門医の適正な検討
 ・地域枠を含めた医学部定員数及び医師数の適正数・適正配置や将来推計の検討と検証
 ・医学の進歩・研究を阻害することのない体制の検討
 ・女性医師及びワークライフバランスに適した支援体制の検討

○財源の確保
 ・タスクシフトとタスクシェア等を行う際の人員増加や環境整備・体制構築の為の支援
 ・AIや事務軽減に資するシステム整備導入に伴う機器や設備の支援
 ・「医師の健康の確保」「地域医療の適正な確保」「女性医師支援」に資する為の財源確保



https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20190320-00118973/
本当に医者が死なせたのか?「人工透析中止」問題で続く“偽善報道”への大いなる疑問  
山田順 | 作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー
3/20(水) 17:59 Yahoo ニュース

「人工透析中止」により患者が死亡した問題が、大きな波紋を呼んでいる。この報道を始めた毎日新聞は、3月20日付の記事で「『再開要請』聞き入れず、都が認定 病院を指導へ」としている。 

 私は、3年前に腎臓を悪くして大きな手術をした経験があるので、この問題を注視してきたが、当初から報道がおかしいと感じてきた。

 それは、ほとんどのメディアが、ともかく命はなによりも大切、医者は患者の命をどうしても助けるべきだという思いにとらわれすぎているからだ。もっと、「死」という現実を直視し、医療とはなにかと真剣に考えなければならない。

 ところが、これまでの報道を見ていると、ほぼどのメディアも医療側に問題があったという視点でしか報道していない。舞台は、東京都・公立福生病院。ここで、昨年、人工透析治療の中止を希望した女性患者(44)が死亡したことが問題の発端だが、その患者さんは死の前日、透析再開を希望したという。しかし、透析中止(見合わせる)に際しては、すでに意思確認書を書いていて、夫もその意思に同意していたという。

 となると、再開を希望した死の直前の状態がどうだったかは別として、中止の意思は明確だったと考えざるをえない。透析の中止は、即「死」を意味する。それをわからずにサインする人間はいない。

 したがって、この患者さんは「死にたい」と願ったと思うほかない。その願いを、医療側は透析の中止で叶えたのだから、このどこに問題があるのだろうか?

 日本では、「安楽死」は認められていない。ただ、終末期医療の停止による「尊厳死」は認められている。したがって、今回、医師は患者の意思を尊重して、尊厳死を受け入れたことになる。

 ところが、毎日新聞が告発報道したため、その後の報道はすべてそれに引っ張られてしまった。以下、ざっと挙げると、ほぼどのメディアも医療側を非難している。

「人工透析中止、死への誘導ではないのか」(神戸新聞)、「自殺幇助に近い」(テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』コメンテーター玉川徹)、「医師の判断で透析患者を殺してもいいのか」(プレジデントオンライン、沙鴎一歩)、「茂木健一郎氏『看過できない』透析中止問題で持論述べる」(日刊スポーツ)、「透析患者の僕だから言える『透析中止事件』の罪」(ダイヤモンドオンライン、竹井善昭)、「人工透析中止 徹底検証が求められる」(北海道新聞)----etc.

 これらの報道は、私に言わせると、いずれも“偽善報道”だ。“エセヒューマニズム”である。なぜなら、患者の意思が「死にたい」にあるとすれば、医者はそれを無視して、最期まで生かさなければいけないと言っているのと同じだからだ。

 もちろん、いまとなれば患者の意思を確かめる方法はない。しかし、死の前日、痛みと苦しみのなかで再開を訴えたと想像すると、それ以前の意思のほうを尊重すべきだろう。それとも、意思確認書はただの紙きれに過ぎないのか?

 意思確認書は、いまではどこの病院でも用意されていて、終末期医療に関してどこまで延命治療をするか、患者の意思を尊重するようにつくられている。患者は、悩み抜いた末に最終的な結論として、これにサインする。したがって、医者がそれを逸脱した医療をすることはありえない。

 もちろん、医者の使命は最善を尽くして患者を救うことである。しかし、「救うこと=生かすこと」ではない。どんなに治療しても救うことができない病気がある。それが、腎機能の慢性的な低下で、最終的な救命方法は腎移植である。

 これまでの報道を見ると、病院側に説明不足があったり、担当外科医の透析技術に問題があったりしたことも指摘されている。また、日本透析医学会が示したガイドライン(これは高齢の終末期患者に対してのもの)に沿っていなかったこともあるかもしれない。

 しかし、これらはいずれも、この問題の本質ではない。この問題の本質は、患者の意思が明確かどうかの一点にある。前記したように、透析中止は、死を意味する。患者も夫も、透析を中止することが死を意味することを知らなかったはずがない。それでも、それを望んだのは、苦しみに耐えてどうしても助からない命を生きるより、死を選んだほうがいいと考えたからだろう。その意思は尊重しなければならない。

 欧州諸国が、尊厳死ばかりか安楽死まで認めるようになったのには紆余曲折がある。安楽死先進国とされるオランダの場合、安楽死を拒否された寝たきり患者が、それなら絶食をして餓死すると宣言、苦しみぬいて死んだことが、全面解禁の引き金になった。人には自分の人生を自分で決める権利がある。死を選ぶのもその権利の一つというのが、安楽死合法化の背景にあった考え方だ。

 つまり、オランダでは死にたいという意思を持った患者を無理に生かし続けたことが問題視されたのである。

 ところが、日本ではメディアが尊厳死すら認めようとしない。人間が人間らしく死ぬことを許さず、心も体もボロボロになるまで、医療側に治療を続けろと強制する。メディアは、本当に人間を尊重しているのだろうか?

 日本の人工透析には、大きな問題点がある。それは、これが腎移植の「つなぎ治療」であるにもかかわらず、最終的な延命治療になっていることだ。言い方は悪いが、日本は「透析天国」(透析患者数が諸外国に比べて圧倒的に多い国)である。しかも、透析患者数は年々増加していて、2016年には全国で32万9609人にも上っている。

 その原因は、腎移植がほとんど行われていないこと、また透析に保険が効くこと、透析が病院と製薬メーカーの利権になっていることにある。

 それを考えると、透析でしか生きるための選択肢が与えられていない日本の腎臓病治療のあり方を問題にするほうが、メディアの本来の役割ではないかと思う。

「透析天国」が解消され、腎移植が普及すれば、今回の患者さんも助かった可能性がある。



https://www.medwatch.jp/?p=25474
地域住民同士の互助を進め、医療・介護等の専門家の知恵も借りて「地域づくり」進めよ―厚労省・大島老健局長  
2019年3月19日|介護保険制度 MedWatch

 未曾有の少子高齢化を迎える我が国においては、今後、介護をはじめとする「地域づくり」を、市町村が地域住民を巻き込んで進め、これを国や都道府県がバックアップしていくことが必要となる。このためには、地域の高齢者に「通いの場」などに集ってもらうこと、地域住民同士の助け合い(互助)を進めていくこと、医療・介護・福祉の専門家に知恵を出し合ってもらうことが重要となる―。

 厚生労働省老健局の大島一博局長は、3月19日の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、このような内容を盛り込んだ「これからの地域づくり戦略 3部策―集い・互い・知恵を出し合い―」(1.0版)を詳説しました(関連記事はこちら)。

 市長村や都道府県との協議を通じて、逐次、バージョンアップ(版を改める)していくことになります。
 
ここがポイント!
1 まず、地域の高齢者などに「通いの場」に集ってもらう
2 地域の高齢者の日常生活を支援する「互助」の基盤づくりを進める
3 医療・介護・福祉の専門家の知恵を借り、制度でカバーしきれない課題を解決する

まず、地域の高齢者などに「通いの場」に集ってもらう

2025年度には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していきます。その後、2040年にかけて、高齢化のスピードは鈍化するものの、社会保障の支え手となる現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。減少する若人(現役世代)で、増加する高齢者を支えなければならず、介護保険制度をはじめとする社会保障制度の基盤は極めて脆くなっていきます。

このため、介護保険制度における給付と負担の見直しを進めると同時に、「介護予防も含めた健康づくり」「認知症高齢者対策」「質の高い介護サービス提供」などを進めることが重要となりますが、厚労省では「介護も生活の一部であり、自治体が生活の課題を広く把握し、解決することが今後、極めて重要になってくる」と捉え、介護分野にとどまらない「地域づくり3部策」を作成したものです。

 3部策は、名称どおり(1)集い(2)互い(3)知恵を出し合い―の3つのパートで構成されています。

まず(1)「集い」の部では、体操などの「通いの場」を数多く設置することを提案しています。歩いて5-10分程度の身近な場所で、軽い体操をしたり、お茶を飲みながらお喋りをする場を設置し、そこに住民がお客さんだけでなく、ホストとして主体的に参加するものです。
 
 すでに各地でさまざまな「通いの場」が設けられていますが、日本医療研究開発機構(AMED)の研究によれば、「通いの場への参加者」のほうが、そうでない方に比べて虚弱の割合が低いことが明らかになっています。虚弱が進めば、要支援、要介護状態となり、併せて医療の必要性も高まるため、医療費・介護費が高まる(保険料の上昇につながる)ことはもちろん、住民のQOLが大きく低下してしまいます。健康づくりのためには、まず「通いの場」により多くの高齢者に来てもらうことが重要です。
 
こうした「通いの場」の整備費用は、2018年度から実施されているインセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金)の対象にもなるため、各地でより多く設置することが求められます。

もっとも、「通いの場」が地域の高齢者に知れ渡り、「行ってみよう」と思うようになるまでには時間がかかります。「脳の健康教室」(タブレット端末を使用して指先を動かすトレーニングを実施)や「もの作り教室」(木工作品作りを実施)などを展開する熊本県長洲市でも、2009年の事業実施から3年間は参加人数が低迷していましたが、粘り強く事業を継続し、2017年には参加者は当初の10倍に急増しています。
 
また「通いの場」の先行事例から学べるポイントして、▼手軽・気軽・身軽(自治体や住民の負担が大きくならないように)▼住民参加型―の2点があげられそうです。後者については、茨城県で実施している「シルバーリハビリ体操指導士養成講座」が参考になるでしょう。専門家の研修を受けた住民を「指導士」として茨城県知事が認定し、地域住民に対応の普及を図る仕組みで、指導士は▼1級:講習会の講師を務める▼2級:地域活動のリーダーを務める▼3級:地域活動の実践に当たる―の3区分あり、例えば「3級の人は地域住民に体操を教えるとともに、2級や1級を目指す」ことで地域の活性化が図られているといいます。

さらに東京都西東京市では、医師会・歯科医師会・薬剤師会と協働で「フレイルチェック」等を「通いの場」においてセットで実施。虚弱高齢者の早期発見につなげると同時に、一般に「地域参画が難しい」と考えられている男性高齢者が「フレイルサポーター」として地域活動に積極的に参加するという大きな成果が得られています。

また、山口県防府市のように、「通いの場」を、例えば商業施設(スーパーマーケットやショッピングモールなど)に併設することで、「買い物支援」サービスなどを実施することも重要でしょう。「買い物のついでに体操教室にも寄っていこう」と感じ、より通いやすくなることが期待できる(通ってもらうことが重要)とともに、第2部の「互助」の基盤づくりにもつながります。


地域の高齢者の日常生活を支援する「互助」の基盤づくりを進める

次に(2)「互い」の部では、地域の高齢者を支える「互助の基盤」づくりを提案しています。

「介護が必要となっても、可能な限り住み慣れた地域での生活を可能とする」ことを目指し、各地域で地域包括ケアシステムの構築が進められています。▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を一体的に提供するものですが、例えば、「ごみの分別」「電球の取り換え」「役所での諸手続き」「病院への付き添い」「買い物支援」などは、オフィシャルなサービス(公助)よりも、身近な地域住民の助け合い(互助)により馴染みがあるでしょう。

こうした互助の取り組みを自治体がサポートしていくことが、地域包括ケアシステムの構築を含めた「地域づくり」において欠かせないと厚労省は指摘しています。

例えば、▼生活支援コーディネーター(SC)の養成やSC協議体の設置▼介護ボランティアの養成▼認知症サポーター・チームオレンジ(仮称)▼認知症地域支援推進員▼住まいの確保支援・生活支援―などの「互助基盤」を作成し、展開することなどが考えられます。
 
このうち「認知症サポーター・チームオレンジ(仮称)」は、厚労省が2019年度からの構築を目指している仕組みで、認知症サポーター研修を修了した人が、ステップアップ研修を受講し、チーム(チームオレンジ)を組んで、認知症の方が専門的なサービスを受けられるようになるまでの「空白期間」を支援するものです。
 
また「住まいの確保支援」は、京都府京都市や福岡県福岡市で進められているもので、社会福祉協議会などの「地域の支援団体」と不動産業者等が連携し、例えば「高齢者の見守りサービスを社会福祉協議会が行うので、安心して部屋を貸せる」(大家さんにとっては独居高齢者の健康状態などを考え、部屋を貸すことをためらうケースも少なくない)環境を整えるといった取り組みなどです。

もちろん、新たな「互助の基盤」づくりには、大きな障壁があります(住民自らに「助け合おう」という意識をもってもらうところから始めなければならない)。このため大島老健局長は、「まず生活支援コーディネーターを育成し、宮城県多賀城市のように、例えばお茶のみスペースを設けた街の商店について、地域の集いの場や見守りの場として機能する『お宝』であることを再発見するなどの取り組みから進めてはどうか」と提案しています。
 
こうした互助の取り組みも、前述した「インセンティブ交付金」の対象となるケースがあります。


医療・介護・福祉の専門家の知恵を借り、制度でカバーしきれない課題を解決する

 さらに(3)「知恵を出し合い」の部は、地域の医療・介護・福祉の専門家が集い、制度ではカバーしきれていない地域課題の解決を求めるものです。

この点、介護保険制度には「地域ケア会議」が位置付けられ、「個別事案を積み上げ、地域課題の解決につなげる」ことが求められていますが、「うまく地域ケア会議が機能しない」ケースも少なくないようです。厚労省はこの背景には、▼会議の目的などが共有されていない▼開催数が少なく、経験が蓄積されていない▼個別ケースの検討に終始してしまっている―という課題があると分析。

地域ケア会議の活性化に向けて、▼会議の目的を「その人(要支援者・要介護者)にとって普通の生活を取り戻すために、何ができるのか」という点に絞る(目的の明確化)▼市町村が主体的に地域ケア会議を数多く開催する(まず、やってみる)▼各種専門職の知恵とともに、介護保険サービス以外の資源(上述の生活支援コーディネーターなど)も広く活用する▼対応が欠けている施策については、市長村が制度化を行う―ことが提案されました。

例えば、愛知県豊明市や奈良県生駒市では、地域包括ケア会議の目的を可能な限りシンプルにし、明確化しています(「本人の望む自立は何か」→「自立阻害要因は何か」→「現在のサービス提供体制で解決できるか」など)。
 
また埼玉県和光市や長崎県佐々町では、日常生活圏域ニーズ調査(個別高齢者を訪問するなどした、形だけではないニーズの掘り起こし調査)に基づいて、地域住民のニーズを詳細に把握し、これを介護保険事業計画に反映させることで「ニーズにマッチした介護サービス体制の構築」が可能になっています。

もっとも、こうした取り組みをすべての市町村で今すぐに実施することは難しいでしょう。大島老健局長は「まず(1)の『集い』、(2)の『互い』を全市町村で進めてもらい、(3)の『知恵を出し合い』は余力のある市町村から実施してもらう」という考えも示しています。なお(3)の「知恵を出し合い」に関しては、都道府県による市町村のバックアップも重要な要素となります。

 
 なお、こうした「地域づくり」を進めるためには、市町村の体制整備や地域の風土づくりも重要となります。大島老健局長は、例えば▼担当課長・係長に、地域づくりに「向く人」を「長く」配置し、成果評価も長い目で行う▼「地域のことは地域で解決する」という自主性・自律性の認識を地域住民にも持ってもらう▼医療・介護の専門職や職能団体との良好な関係を構築する―ことなどを提案。さらに、上述したインセンティブ交付金や地域医療介護総合確保基金を活用することで「大規模な事業実施も可能となる」ことを紹介しています。

厚労省では、今後、市町村や都道府県と協議を行い、逐次、3部策のバージョンアップを行い、「地域づくり」の推進に役立ててもらいたいと期待を寄せています。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4279801022032019L60000/
地域医療維持へ日光の挑戦 病院連携、市の調整カギ
(北関東フォーカス)
 
ヘルスケア 北関東・信越
2019/3/22 22:00日本経済新聞 電子版

栃木県日光市や地元の病院、診療所が4月に地域医療連携推進法人を設立する。人口減と高齢化で地域の医療ニーズの変化が見込まれるなか、連携して地域医療の維持を目指す。病院間の役割分担をはっきりさせるのに加え、人材確保に共同で取り組むなどの目標を掲げる。ただ、母体の異なる医療機関が足並みをそろえるのは容易ではない。事務局を置く市の調整力が問われそうだ。

地域医療連携推進法人は2017年度に始まった新しい制度だ。設立する法人「日光ヘルスケアネット」は北関東で初、全国でも8番目となる。県医師会の太田照男会長は制度創設を知り、「日光地域にうってつけの仕組みだ」と直感したという。背景には市の厳しい医療環境がある。

少子高齢化の進展で市人口は45年に15年比で4割強も減る一方、75歳以上の割合は3分の1に達する見通し。県内の市町のなかでも人口構成の変化は著しく、急性期の患者の減少とがんや脳卒中といった疾患の回復期や通院が必要な慢性期の患者の増加が予測される。

日光市は平成の大合併で全国でも3番目に広い市となったが、市内に500床を超える総合病院はない。医療需要の変化には独協医大日光医療センターや今市病院など7つの民間病院が連携して対応する必要がある。足並みがそろわずに患者の奪い合いとなれば、「共倒れの可能性もある」と県医療政策課は危機感を募らせた。

急激な人口減は医師や看護師など地域医療の担い手確保にも痛手だ。鹿沼市も含めた県西地域で働く医師や看護師の人数(人口10万人当たり)は、いずれもすでに県平均を大きく下回っている。各病院ごとの採用では限界があり、奨学金の共同設立など連携を深める必要もあった。

県や医師会は18年1月、市や7病院などを集めた勉強会を始めた。当初は参加病院から「経営の自由度が奪われる」と不安視する声も上がったが、協議を重ねて懸念を払拭。1年余りで法人設立にこぎ着けた。28日の知事認定を経て、4月1日付でまず市と8病院3診療所が参画する形で発足する。

日光ヘルスケアネットの事業目標は患者の容体に応じた病院間の紹介・逆紹介に始まり、共同での採用・研修、医薬品購入、病床の融通など多岐にわたる。ある病院関係者は「患者の紹介・逆紹介については、当院などですでに取り組んでおり比較的スムーズに拡大できる」とみる。

その他の分野については病院経営に直結するだけに、実現までは曲折が予想される。人材確保などは現時点では全くの白紙で実施までに数年はかかる見通し。病院関係者のなかには「具体化は難航するのではないか」といぶかる向きもある。

法人設立を主導した県は認可者のため今後はオブザーバーに回り、協議のかじ取り役は法人の事務局を置く日光市が担うこととなる。ただ、公立病院を持たない市は医療行政に関する専門人材を欠く。県は3月末に退職する国保医療課長を事務局長として派遣するなどして支援する。

県医師会の太田会長は「日光モデルがうまくいけば、県内の他地域でも応用できる」と期待を寄せる。法人設立にとどまらない連携深化の成果を得られるのか、県内の医療関係者の注目も集まるなかの始動となる。

(宇都宮支局 上月直之)



https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201903/CK2019032202000151.html
【茨城】
なめがた地域医療センター 入院・救急受け入れ縮小へ
 
2019年3月22日 東京新聞

 JA県厚生連が四月から、運営する土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市)の病床数を五分の一に減らし、診療時間外の救急受け入れをとりやめる方針を示している。厳しい経営状況が理由。近く正式決定の予定だが、鹿行地域の医療の中核でもあり、地域医療への影響に不安の声が上がっている。(水谷エリナ)

 JA県厚生連によると、センターは二〇〇〇年六月に開院。内科や外科、産婦人科など診療科目は二十五科、病床数は百九十九床を数える。重症の救急患者に対応する三次救急医療機関として、救命救急センターに準ずる「地域救命センター」に県が指定している。

 経営的には開院から黒字はなく、本年度の赤字見込みは約五億円、累計で約六十億円に上る。医師確保も難しく、三次救急の受け入れができていない状況にもある。

 このため、四月から病床数を四十床に減らし、夜間や休日の救急受け入れをやめる。縮小分は本院の土浦協同病院(土浦市)で対応し、センターの外来は維持する。担当者は「土浦協同病院の強みを生かしたい」と説明する。

 一方、縮小方針に対し「事前の説明がなく驚き、いかがなものかと憤慨している」と本紙の取材に語るのは行方市の鈴木周也市長。「命に関わる問題で、地域医療の崩壊につながる恐れがある」と懸念する。

 鈴木市長によると、鹿行地域の医療においてセンターは大きな役割を果たしており、体制を維持してほしい思いは周辺の五市長間で共通しているという。今後の対応には「五市で県やJA県厚生連などに要望を続け、国にも要望したい」と話す。

 県医療政策課の担当者は「JA県厚生連との協議内容を踏まえ、対応を検討したい」としている。

意見交換会であいさつする額賀福志郎衆院議員(右から2人目)=行方市のなめがた地域医療センターで

◆機能縮小方針受け周辺市長ら 医療体制確保で協議へ
 土浦協同病院なめがた地域医療センターの機能縮小問題で、鹿行地域の市長や国会議員、県議が「鹿行地域医療に関する対策会議」をつくり二十一日、センター内でJA県厚生連と意見交換した。

 意見交換では、地域住民が安心できる医療体制をとれるよう、二〇二〇年三月末までに具体的な支援策をまとめることが決まった。JA県厚生連とは、土浦協同病院や地域の医療機関と連携して、現在の医療体制を維持できるよう協議することで合意した。

 対策会議は鹿嶋、潮来、神栖、行方、鉾田の五市の市長と衆院議員一人、県議三人で構成。座長には行方市の鈴木周也市長が就任した。今後、県や国などの関係部署の職員も加える方針という。(水谷エリナ)



https://www.medwatch.jp/?p=25193
わずか4か月で「地域医療支援病院」の基準満たした京都中部総合医療センター  
2019年3月20日|GHCをウォッチ MedWatch

 人口14万人弱の京都府南丹医療圏を支える急性期病院の京都中部総合医療センター(京都府南丹市、464床)。辰巳哲也病院長のリーダーシップの下、2019年1月から「地域医療支援病院」になりました。承認の背景には、短期間で医療連携を一気に推し進めた「驚異の4か月」があります。

 地域医療支援病院は、「かかりつけ医を支援する病院」として、1997年の医療法改正時に創設されました。診療所などで対応しきれない重症患者の受け入れや、高額な医療機器を共同利用できる機能などが期待されています(趣旨、役割、承認要件の詳細は下図参照)。

 二次医療圏当たり一つ以上存在することが望ましいとされている地域医療支援病院ですが、南丹医療圏は京都府で唯一、地域医療支援病院がない二次医療圏。同センターは、南丹医療圏で唯一、施設基準を満たす200床を超える急性期病院だったのです。

 辰巳病院長は、地域医療支援病院の認定に向けた取り組みを本格化させた2017年11月当時を、「僕はあきらめない人間なので、やると決めたら絶対にやる。今できないという人間は、来年もできない」と振り返ります。なぜなら、地域医療支援病院の認定を宣言した2017年度の半分が過ぎた2017年9月時点で、紹介率は45.7%(上図の承認要件③の目標50%)、逆紹介率は56.5%(同70%)。とても年度内に基準を満たすのは難しい状況だったからです。

 こうした状況下、同センターは限られた時間の中で、どのようにして地域医療支援病院の基準を満たすことに成功したのか――。辰巳病院長へのインタビュー記事も交えて、その全貌に迫ります。

 詳細は以下の記事タイトルと主なポイントをご確認いただき、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのホームページに掲載した事例紹介記事(『「地域医療支援病院」認定を決めた「驚異の4か月」舞台裏』)をご覧ください。

「地域医療支援病院」認定を決めた「驚異の4か月」舞台裏
今できなければ来年もできない
不安が希望に変わった瞬間
変わり始めた院内
増収効果5000万円
【病院長インタビュー】「患者のため」に勝る原動力はない
https://www.ghc-j.com/case/consulting/case-1905/



https://www.m3.com/news/iryoishin/667185
シリーズ 真価問われる専門医改革
23のサブスペ連動研修、「4月開始」は見送り
厚労省・医師専門研修部会、「専攻医の不利益回避」は必要
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、3月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、4月から開始予定だった日本専門医機構認定の連動研修について、「開始を見送るべきではないか」と提案、了承された。内科、外科、放射線の3つの基本領域で、計23のサブスペシャルティ領域との連動研修が予定されていた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 参考人として出席した同機構理事長の寺本民生氏や、日本内科学会と日本外科学会の代表は、機構認定の連動研修を認めるよう要望したが、委員からは「専攻医の不利益にならない手立てが必要」という意見は出たものの、厚労省提案を認めた。

 寺本氏は本部会後、「4月からの連動研修については、プログラム通りに動いていただき、日本専門医機構としては(サブスペシャルティ領域との連動研修が)認められた段階で、追認できるようにデータを蓄積していきたい」と語った。早急に専攻医や研修の責任者らに電子メール等でその趣旨を伝える方針。3月28日には日本専門医機構の社員総会が予定されており、遅くともそれまでには対応する。今後、同機構は蓄積したデータを用い、サブスペシャルティ領域や機構認定の連動研修の在り方を検証するとともに、本部会で了承を得ることを目指す。


(2019年3月22日の「医道審議会医師分科会医師専門研修部会」資料)
 卒後2年間の医師臨床研修が国の制度であるのに対し、2018年度からスタートした新専門医制度は、日本専門機構が運営する制度。新専門医制度が地域医療に影響する場合などに、国が同機構と基本領域を担う18学会に意見を言える仕組みは、2018年の医師法改正で新設された。サブスペシャルティ領域でも専門医数は、消化器内科は約1万4000人、循環器内科は約1万2500人であるなど、基本領域に匹敵する規模の領域があり、その在り方は地域医療に影響を及ぼす可能性が高い。

 新専門医制度は、基本領域とサブスペシャルティ領域の「二階建て」。連動研修は、基本領域の研修の一部に、サブスペシャルティ領域の研修を組み込み、トータルの研修期間を短縮するのが狙い。4月からの連動研修開始が見送られたのは、連動研修の在り方が問題視されたのではなく、そもそもサブスペシャルティ領域として何を認めるかが明確になっていないと判断されたため。

 日本専門医機構は、「サブスペシャルティ専門研修制度認定のための基準」(3月15日付)を本部会に提出したが、厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、「根拠を持った、エビデンスベースの議論ができるような状況にあるかを考えてもらいたい。私はそうした状況にないと思っており、このままで進めると、地域医療への影響について、自信をもって大丈夫と言うことはできない。実際に研修を受けている専攻医の不利益をどう回避するかを併せて考えていくことを前提に、もう少し立ち止まって議論すべきではないか」と厚労省提案の理由を説明した。

 サブスペシャルティ領域の在り方は、前回の本部会でも問題視する声が出ていた(『「サブスペ、乱立は避けるべき」、一部の領域に不要論』を参照)。寺本氏は3月18日の記者会見で、23領域については連動研修の開始を認めてもらう方針を語っていたが、関係者が納得できるデータ等を示すに至らなかった(『23のサブスペシャルティ領域、厚労省審議会での「追認」目指す』を参照)。

 厚労省「機構はサブスペの状況を把握しているのか」
 寺本氏は、「質を担保しつつ、早期に専門医を社会に送り出すのが使命であり、その意味で連動研修を組み込んだ研修プログラムを作った」と説明。内科ではJ-OSLER、外科ではNCDという症例登録システムがあることから、連動研修の管理も可能であるなどと説明し、4月からの連動研修開始を求めた。日本専門医機構のサブスペシャルティ領域検討委員会委員長の渡辺毅氏も、「全てが連動研修ではない、また既に手を挙げている専攻医がいる」と述べ、「連動研修においては、サブスペシャルティ領域の研修が基本領域の研修を脅かす可能性がある」といった批判も当たらないとした。

 これに対し、委員からは連動研修に反対、もしくは懐疑的な意見が大半を占めた。日本精神科病院協会常務理事の野木渡氏は、「考え方が逆。連動研修ありきで作るよりも、サブスペシャルティ領域に行った時に専攻医が優秀だったら、(研修を)早めに切り上げることができるようにすればいいのではないか」と述べたほか、「消化器内科など分かりやすいものはいいが、それ以外は見直すべき」と指摘し、老年病などをその例として挙げた。

 長野県知事の阿部守一氏は、「今後、どんな専門医が必要なのかをしっかり考えて養成していくことが必要。地域に必要なのは、専門分化した医師ではなく、ジェネラルな医師であり、制度が適合しているのか」と問いかけた。

 一方で、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授の片岡仁美氏は、「混乱を避ける必要がある」と述べ、23のサブスペシャルティ領域について、「ある程度、理解でき、歴史的な事実もある。老年病も大切な領域」と連動研修の開始を支持。

 その他にも、委員からさまざまな意見が出たが、厚労省医政局医事課は、この4月から都道府県が医師確保計画の策定を始めるなど、「サブスペシャルティ領域の在り方は、都道府県にとって非常に大きな問題。基本領域と同様に、サブスペシャルティ領域についても、どのくらいの専攻医がどのくらいの期間、どこで研修するかについて、法律上、都道府県に情報提供しなければいけない。日本専門医機構としてそれを把握しているかを聞かせてもらいたい」と質した。

 寺本氏は、「外科では、どのサブスペシャルティに行くかは把握しており、日本専門医機構は各領域から報告いただいている。内科でも、各学会でそれを把握している。それをわれわれの方に報告してもらう。それで数値は出てくるだろう」と回答。

 そこで議論を仕切る形で、強い口調で発言したのが佐々木課長だ。

 「既に専門研修を始めている方のことを一番大事に考えなければいけないが、今回の新専門医制度が1年間立ち止まって考えなければならなくなった原点を考えれば、やはり地域医療への影響がどうなっていくかが非常に重要。日本専門医機構として数字を把握しているとのことなので、できればわれわれも早くそれを拝見したい。都道府県にもデータを示して、地域医療への影響についての意見を聞く時間はぜひいただきたい。われわれは国会で決めた法律を施行する立場。機構がもしまだ持っておらず、各学会が持っているのであれば、それを早急に示してもらえるのかどうか、いつ示してもらえるのか、年度内と言っても、あと1週間と少ししかない。本当にその期間で示していただき、かつわれわれが都道府県の意見を聞くことができるかどうかも考えていただき、議論していただきたい。それで4月から初めていいのか、という結論を今日は出していただきたい」

 日本専門医機構や学会の反論も通じず

 佐々木課長発言に続き、聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長の山内英子氏は、「いろいろ出ている意見をまとめ、またデータも4月までに出さなければいけない段階で、無理に初めてしまうことの方が、専攻医にとって不利益になると思う」と述べた。専攻医に配慮し、連動研修の制度ができた場合には、症例数を後付けで連動研修として認めることも保証した上で、サブスペシャルティ領域の議論を本部会で続けるべきだと主張した。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏も、「連動研修の話は、ある時、突然出てきた。まだ懸念が払拭されない中で、見切り発車することは避けるべき。その後、皆が納得して認めていいという段階になってから始めるべき」とコメント。

 これらの意見に対し、日本専門医機構副理事長の兼松隆之氏は、「内科や外科では、サブスペシャルティ領域と連動研修をどのようにしていくかの話し合いをしている。長年の積み重ねがあって、ここまで来た。学会は23領域の連動研修が認められたということで、会員に通知して準備をしていると聞いている。連動研修を見送るのではなく、スタートさせることを考えてもらいたい」と求めた。

 しかし、日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、「事務局案(厚労省案)に賛成。サブスペシャルティ領域は、関係者が納得しないと認められないことを理解してもらいたい」と返した。ただし、専攻医に不利益があってはいけないことから、「しっかりと研修の履歴を残して、日本専門医機構認定のサブスペシャルティ領域となった時に、それが生きる形にしてもらいたい」と要望。

 全国町村会副会長の棚野孝夫氏も、「時期尚早という思いはある。サブスペシャルティ領域の乱立を避け、分かりやすい形にすることが大事」と述べ、日本専門医機構がサブスペシャルティ領域候補となる102学会に、レビューシート(各学会が持つ専門医制度を確認するための書式)を送付したことを踏まえ、「辞退した学会は幾つあるのか。どのような基準で認定していくのか」と尋ねた。

 寺本氏は、「全てを認めるという意味ではなく、各学会がどんな専門医制度をやっているかをレビューシートで把握する。最終的に、サブスペシャルティ領域として認めるか否かは透明性を持って示す」と答えた。

 続いて日本内科学会の前専門部会長の宮崎俊一氏も、「相当慎重にサブスペシャルティ領域を承認したといういきさつがある。非常に長い期間で形成されたものであることを理解してもらいたい。それこそが社会に浸透したことの裏返しではないか」などと現状を説明。連動研修についても、地域医療が悪化しないよう、研修期間もフレキシブルな設計にしていることなどを訴え、開始を認めるよう求めた。

 ここで再び、佐々木課長が発言。まず「参考人の意見も貴重だが、委員の意見で決めてもらいたい」と求め、その上で次のように続けたのだった。

 「根拠を持った、エビデンスベースの議論ができるような状況にあるかを考えてもらいたい。私はそうした状況にないと思っており、このままで進めると、地域医療への影響について、自信をもって大丈夫と言うことはできない。実際に研修を受けている専攻医の不利益をどう回避するかを併せて考えていくことを前提に、もう少し立ち止まって議論すべきではないか」

 これを受け、遠藤座長が次のように提案し、異論が出ず、議論は終了した。

 「われわれは地域医療への影響を考え、厚労大臣に伝えなければいけない。データが出ておらず、十分なプロセスを踏むことができず、4月からの日本専門医機構認定の連動研修を開始することを認めていいのか、というのが、厚労省提案の一番目。二番目は、その連動研修の在り方について、基礎的な分野についておろそかになるのではないか、地域偏在を招くのではないかなどの懸念について、機構に検証をしていただきたいということ。さらに、サブスペシャルティ領域をどう考えるかという議論がまだ続くので、本部会でも検討を進める。これらが厚労省の提案であり、さらに委員からは専攻医に不利益が生じないような手立てを講じてほしいという意見があった。この案について特段、反対、意見がある方はいるか。なければ、『専攻医の不利益を回避する』という一文を入れて、厚労省の原案をこの部会の結論としていいか」



https://www.m3.com/news/iryoishin/666898
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の時間外 「1860時間」に反対、厚労省に要望書提出
「医師の働き方を考える会」、署名も5500人超す
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師をはじめとする医療関係者らで構成する「医師の働き方を考える会」は3月22日、医師の時間外労働の上限を「1860時間」ではなく、他の職種と同様に、過労死ライン(960時間)を目安とすることなど、4項目から成る要望書を厚生労働省に提出した。同会が実施している「1860時間」への反対署名も、5500人を超えたという。同会は3月25日にも、自民党厚生労働部会長の小泉進次郎氏に要望書を提出予定だ。

 提出後の記者会見で、同会の共同代表で東京過労死家族会で活動する中原のり子氏は、厚労省医政局長の吉田学氏宛に提出し、懇談したことを説明。「医師の過労死があってはならないが、今のこの働き方では過労死は減らないのではないか」と危機感を募らせ、過労死した遺族の苦しみなどを吉田局長に訴えたという。厚労省の検討会では、時間外労働を過労死ラインの年間960時間の2倍近い1860時間とする方向で議論されている(『医師の働き方改革、報告書取りまとめへ大詰め』を参照)。

 吉田局長は、「世の中から医師の過労死をなくそうという点では、医政局も全く同じ立場。現状の労働時間がいいとは思っていない」と受け止めたものの、「他方で地域医療は大事で、さまざまな工夫がいる」と述べ、3月末までに検討会の報告書をまとめるのは、規定路線だと説明したという。さらに、▽医学生からSNSやメールで多数意見が寄せられており、真摯に受け止めるものの、中には制度を誤解しているケースがあり、正確な情報発信に努めていく、▽今後、2024年度の時間外労働の上限規制が始まる2024年度に向けてさまざまなルールづくりが必要になるとともに、それ以前の段階でも長時間労働をなくするためのさまざまなプロジェクトを実施していく必要がある、▽在職中の医師の過労死数等について、どんなデータがあるか、把握が可能か調べてみたい――と語ったという。

「医師の働き方を考える会」 の要望書
1.時間外労働上限は他の職種と同様に過労死ライン(脳・心臓疾患に係る労災認定基準)を目安とする。
2.医療機関に宿日直許可状況など36協定の内容公開と、当直を含めた医師の就労データ収集と公開を義務付ける。
3.過労による健康被害を予防する対策については、産業医の面談に留まらず、適切な対応を行うことを医療機関に義務付けるとともに、時間外労働上限が960時間を超える状況であっても、健康被害が発生した場合の労災認定基準は960時間であることを報告書に明記する。
4.労務管理違反に対する管理者への罰則規定適用を徹底し、その監督を行い、労働者からの相談を受け付ける第三者機関を設置する。

 会見には、筑波大学医学群医学類6年生の前島拓矢氏、都内の病院に勤務する30代の産婦人科医、全国医師ユニオン代表の植山直人氏、過労死問題を長年扱ってきた弁護士の尾林芳匡氏が出席。

 前島氏は、この4月からの初期臨床研修を前に、「ちゃんと人間らしい生活ができるかが不安。時間外労働の上限は1860時間なので、過重労働させられる懸念がある。厚労省は若い世代の声を反映してもらいたい」と訴えた。専門を選ぶ際、希望の診療科があっても、長時間労働を懸念し、避けることを考える医学生もいるという現実を説明。

 産婦人科医は、今回の働き方改革で、労働時間管理等が始まること自体は一歩前進であるものの、「1860時間」については、医療安全を守る観点からも「危ない」水準であると指摘した。「長時間労働で、仲間を亡くすことは二度とあってはならない」と心情を述べたほか、産婦人科や救急など、激務とされQOL悪いイメージがある診療科に若手が来なければ、現場は一層激務に陥る「負の循環」になることが懸念されるとした。

 植山氏は、「1860時間」は、憲法上、労働基準法上で問題があるとした上で、研修医等が該当することについて、「根拠がないのではないか。EUではこうした基準が設けられていないのに、なぜ日本だけが、過労死ラインの2倍の基準なのか」と指摘した。

 尾林氏は、約30年過労死の救済に取り組んできた立場から、今の過労死水準である「1カ月当たりの時間外労働80時間」は、厚労省自身が、医学的な知見を基に定めたものであるにもかかわらず、なぜ医師だけが「1860時間」が認められるのかと問題視した。

 「自ら命を断ってしまった医師も現実に複数存在」
 要望書では、先の4項目を解説として、「医療体制を守るためとはいえ、医師という職種のみ、基準を変えることは妥当ではないと考える。働きすぎ、健康を害し、自ら命を断ってしまった医師も現実に複数存在する。生命を守ることを職務とする医師として、二度と同様のことが起こることは看過できない」と訴えている。

 現在、医師の労働時間や宿日直、各々の医療機関における36協定の締結状況などを把握していない医療機関も少なくないことから、これらの把握は働き方改革を進める上で不可欠であるため、データを収集し公開とすることも求めた。

 ただし、一部の医療機関では、960時間を超える労働によらなければ医療の安定提供ができない場合も存在すると考えるとし、このような労働状況に際しては、健康被害予防として産業医による面接にとどまらず、積極的に休息を取らせるなど、より厳重な対策を講じることを明記することを求めた。その他、▽規定時間である時間外960時間を超える勤務を行い健康被害が起こった場合には、労災とすることを明記、▽労働者である医師の保護の観点から、36協定締結時に管理者から不当な圧力がかかり長時間労働が強制されないよう医療機関を監督する、▽労働状況に関し労働者が相談できる窓口の設置、▽雇用者罰則規定の適応の徹底――などを要望。



https://www.medwatch.jp/?p=25449
消化器内視鏡など23学会・領域のサブスペ認定に理解を求める、専攻医は安心して連動研修実施を―日本専門医機構  
2019年3月18日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 新専門医制度における「サブスペシャリティ領域」(2階部分)について、内科・外科・放射線科の各基本領域から「サブスペシャリティ領域とすべき」とされた23学会・領域(後述)は、日本専門医機構がすでに「認定済」である。今後、医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」で追認してもらうべく、各学会・領域の社会的意義などについて説明し、理解を得られるよう努力する―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は3月18日の定例記者会見で、このような考えを述べました。

 なお万が一、医師専門研修部会での追認に遅れが生じたとしても、「遡及追認」などにより専攻医の研修に影響が出ないような対応が図られる見込みであり、寺本理事長はメディ・ウォッチらに対し「安心して連動研修に臨んでほしい」と強調しています。
 
機構がすでに認定した23サブスペ学会・領域、社会的意義を改めて医道審に報告
 新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタートしました。以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

 サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認定する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認定することとなっています(例えば、地方の中核的病院で標榜されている診療科や、国民の「どこに専門医がいるのか知りたい」とのニーズの強い診療科など)(関連記事はこちらとこちら)。

 ところで、内科・外科・放射線科の各基本領域では、一部の学会・領域を「サブスペシャリティ領域とすべき」と推し、すでに日本専門医機構で「サブスペシャリティ領域とする」との認定を行っています。具体的には、以下の23学会・領域で、例えば、「消化器病」では、基本領域の「内科」と連動した研修(内科・消化器のいずれの領域でも重症な症例を経験した場合、内科と消化器病のいずれにおいても「経験済」とカウントするなど)を実施することで、より効率的な研修が可能となり、より早期に専門医資格を取得し、優れた医療を国民に提供できるようになると期待されています(連動研修はこの4月(2019年4月)からスターとします)。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―
 
 
しかし、2月22日に開催された医師専門研修部会では、この認定済の23学会・領域に対し「一部(消化器内視鏡など)、国民にとって分かりにくいものがあるのではないか」「整備基準(サブスペシャリティ領域として認定するための基準)をまず策定し、その上で認定を行うべきではないか」との意見が出されました(いわば「待った」がかかった)(関連記事はこちら)。

こうした意見を踏まえて寺本理事長は、23学会・領域の社会的意義を改めて整理し、3月22日開催予定の医師専門研修部会で「23学会・領域をサブスペシャリティ領域として認めることの必要性・重要性・妥当性」を説き、理解を得たいとの考えを強調しています(追認を求める)。

なお、これら23学会・領域については、すでに機構において「サブスペシャリティ領域」としての認定を受けています。新専門医制度では「プロフェッショナルオートノミー」の下に制度が構築され、ただし「地域医療に悪影響がある」ような場合には、厚生労働大臣の意見を踏まえて制度の見直しを行うことになり、医師専門研修部会で「まだ追認について結論を出せない」との見解が示される可能性もゼロではありません。

この場合、これら学会・領域の研修がどうなるのか気になりますが、23学会・領域の各研修プログラムは連動研修を念頭に置いて組まれていることから、仮に「未確定」であっても4月から連動研修をスタートし、後に「遡及して追認する」など、専攻医に不利益が生じないような対応が図られることになるでしょう。寺本理事長は、メディ・ウォッチらに対し、「23学会・領域で研修を受けている専攻医も、安心して研修に臨んでほしい」とのメッセージを述べています。

 
なお、新専門医制度において、初めての基本領域の研修は、基幹病院と連携施設とで、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を受ける「プログラム制」が原則とされています。

しかし、地域枠出身の医師(勤務地が限定される)や、出産・育児・介護などのライフイベントによって定められた年次の研修を受けられない医師、パワーハラスメントなどを受け別の施設での研修が必要となる医師などでは、期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医試験の受験資格を認める「カリキュラム制」の研修を選択することも可能で、2019年度には、80名程度の専攻医が当初からカリキュラム制を選択すると見られています。
 
日本専門医機構では、すでに「1か月フルタイムでの勤務を1単位とし、プログラム制研修と同等以上の単位取得等を新専門医資格取得試験の要件とする」などの方針を固めていますが(関連記事はこちら)、基本領域学会では「カリキュラム制研修の整備基準」がまだ整っていません。この点について寺本理事長は、各学会の整備基準策定は「6月頃になる」(2019年6月頃)になるとの見通しを明らかにしました。カリキュラム制の専攻医も4月から各病院研修をスタートし、「整備基準の策定後に、4月に遡って単位が認定される」(4月から整備基準策定までに経験した症例などは、すべて認定される)ことになる見込みです。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/orgnl/201903/560244.html
私の視点
「専門医数のシーリングは意味がない」
全国自治体病院協議会名誉会長邉見公雄氏に聞く
 
2019/3/18 聞き手:山崎大作=日経メディカル

へんみ きみお氏
1968年京都大学医学部卒。京都逓信病院などを経て、87年赤穂市民病院院長。2008 年から2018年まで全国自治体病院協議会会長を務めた。全国自治体病院協議会名誉会長、赤穂市民病院名誉院長。


 全国自治体病院協議会(JMHA)の会長として、新専門医制度について「医師の偏在を進め、地域医療に対して悪影響を与える」と指摘し続けてきた邉見公雄氏。それを回避するために、都市部の専攻医の数にシーリング(上限)を設けるよう働きかけてきたが、昨年末、その考えを変えたという。

─長年、新専門医制度が施行されると地域医療が崩壊するという主張をしてこられました。

 新専門医制度は「良い専門医を作る」「国民に分かりやすい専門医を作る」のが目的だが、その副作用として地域医療が崩壊する。その考えは今も変わらないが、これまでは東京都など医師の集まる都市部の専攻医の数にシーリング(上限)を設ければ医師の集中を緩和できると思っていた。

 だが昨年末、希望する地域での研修に外れてしまった専攻医の話を聞き、考えを改めた。シーリングで選から漏れた専攻医は、他の地域で研修するのではなく、浪人して次年度に受験したり、診療科を変えて元々希望していた地域に残っていた。シーリングさえかければ、都市部への医師集中に歯止めがかけられると思っていたが、全くそんな効果はなかった。

 各学会は「東京など都市部に所属する専攻医が、周辺の地域にローテートするので問題ない」と主張しているが、逆に地方の専攻医が東京に研修に来ている。学会の言い分は必ずしも正しくない。昨年、徳島県と佐賀県の小児科専攻医は0人だった。このような事態が続けば、当該県のその診療科は滅びる。大学に医師がいなくなって、教授にも当直が課せられるようになっては問題だ。

 我々が頭で考えていることと、当事者が考えることは異なる。我々は「住めば都」と考えてきた。今の若い医師たちは「都に住みたい」という思いが強いようだ。

─多くの症例を経験できる都市部に専攻医が集中するのはやむを得ないのではありませんか。

 職人気質の医師にとって、自分の専門領域のことだけを集中して勉強したい時期があるのは分かる。私もそうだった。勉強熱心な専攻医たちが、より良い教育が受けられる地域や施設に集まるのは当然のことだ。大学以外の場にも多くの専攻医を集めるために、1つの都道府県内に基幹施設を複数設置する試みもあるが、専攻医が集まるのは、いい指導医がいる特定の医療機関だけだろう。

 専門医の養成に当たっては、まず国がそれぞれの専門医の必要数を提示すべきだ。それに応じて学会が地域ごとの定員を定めればいい。それなら、地域住民も納得するはずだ。専門医数を絞って、その分、総合診療に従事する医師を増やす。地方では専門医よりも総合診療医の方が求められているのだから。現在、1年間に専攻医の研修プログラムに進む8500人のうち、総合診療を専攻するのは160人程度しかいない。せめて500人は超えてほしい。

─地方の医療提供体制の現状についてどう評価されていますか。

 北海道や九州の病院を訪ねると、院長や事務長が医師探しに飛び回っていて病院にいない。ダメな医者でもクビにできない状況になっている。とにかく頭数が必要だからだ。都市部と地方とで、住民は同じ保険料を支払っているにもかかわらず、地方ではまともな医療が受けられない。344の二次医療圏のうち、お産ができない医療圏が約50もある。

 都市部では医師を選べるが、地方は医師を選べない。「どんな医師でもいてくれればいい」という地域と、ドクターショッピングができるほど潤沢に医師がいる地域との差が激しすぎる。医師が少ない地域では、仮にいい専門医がいたとしても、その専門性で助かる患者は年に1人いるかどうか。むしろ、けがをしたときに縫ってくれる、吐いているときに制吐薬を注射してくれる、痛みがあるときに痛み止めを処方してくれる、そんな医師が求められる。研修医でもいい。地方はそんなに技術的に優れた医師を求めているわけではない。

─では、医師の地域偏在はどのように解決していけばよいのでしょうか。

 若い人が勉強したいというのを止めることはできない。大学入試の時点で将来働く場所を決めておくか、開業の際に地方での勤務経験を必須の条件にするか。その2つしか選択肢はないのではないか。

 大学医学部は東京都に集中している。これを一部移転し、自治医科大学方式にして全寮制で教育すればいい。東北医科薬科大学や国際医療福祉大学の医学部が新設された際には、そのような特色のある大学になることを期待したのだが……。

 とはいえ、若い人ばかりに偏在対策を押し付けるわけにはいかない。だから、ベテランになって開業する際に、地方での勤務を義務付ければいい。例えば、都市部で開業するなら、専門と関係なく離島などで 2~3年、総合診療医として働いてもらうのはどうか。地方は給与が高いことが多いので開業資金をためるのにも役立つ。

 現在、新専門医制度では、5都府県で専攻医の採用数にシーリングをかけているが、東京でも多摩地区などでは医師が不足している。都内でも全ての地域で医師が充足しているわけではない。住民人口に応じて医師を配置するという方法もあるが、鳥取県など幾つかの県の人口は東京都の世田谷区1区よりも少ない。人口密度が低い地域では医療へのアクセスが非常に悪くなってしまう。考えれば考えるほど難しい問題で、最終的には政府と国民が決めるべきことだと思う。



https://www.medwatch.jp/?p=25420
重症患者割合の向上に向け、地域連携の強化による「医師からの患者紹介」をさらに重視せよ―2017年受療行動調査(確定数)  
2019年3月18日|医療・介護行政全般 MedWatch

 入院患者の過半数、外来患者の4割り近くは「医師からの紹介」で病院を選択しており、重症患者の獲得が重要となる中では、「地域の医療機関との連携」をさらに強化する必要がある。また、入院患者が「不満」に感じる事項として「食事関連」などがあげられ、高齢の入院患者の増加に伴い「説明を受けていない」と感じる患者も1割近くいることなどを冷静に受け止める必要がある―。

 こういった状況が、厚生労働省が3月15日に公表した2017年の「受療行動調査(確定数)の概況」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(2017年の概数の分析記事はこちら)。

ここがポイント!
1 患者が病院を選ぶ際の最大の理由は「医師の紹介」である
2 入院では「食事」や「プライバシー」、外来では「待ち時間」で患者の不満大きい
3 入院患者の1.8%は「医師から説明を受けていない」と感じていることを受け止めよ
4 特定機能病院でも8%超の患者が、いわゆる社会的入院
5 特定機能病院でも、3割の患者が依然「紹介状」持たず


患者が病院を選ぶ際の最大の理由は「医師の紹介」である
 受療行動調査は、3年に一度、一般病院の患者を対象として「受療の状況」や「医療への満足度」などを調べるものです。すでに昨年(2018年)9月に概数が公表されており、重複部分もありますが、改めて調査結果を眺めてみましょう。

今般の2017年調査は、2017年10月に14万5700人(入院5万188人、外来9万5512人)から回答が得られました。患者の受診している病院の内訳は、次のとおりです。
▼特定機能病院:26.4%(入院29.8%、外来24.6%)
▼500床以上の大病院:33.6%(入院35.2%、外来32.8%)
▼100-499床の中病院:24.4%(入院22.7%、外来25.3%)
▼99床未満の小病院:8.2%(入院4.3%、外来10.2%)
▼療養病床を有する病院:7.5%(入院8.0%、外来7.2%)

 まず「病院を選んだ理由」を見てみると、入院・外来のいずれでも「医師による紹介」が最も多くなりました。外来では38.1%、入院では51.6%にのぼっています(複数選択)。

 2018年度の診療報酬改定では、入院料等の報酬体系が大きく見直され、看護配置などの「基本部分」と、重症患者受け入れ状況などの「実績部分」を組み合わせるものとなりました。急性期病棟はもちろん、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟、さらには療養病棟においても「重症患者をどれだけ多く受け入れている」かが報酬設定の重要要素となっています。今般の調査結果からは、「重症患者の受け入れには、他院からの紹介が極めて重要な要素である」ことが裏付けられています(関連記事はこちら)。

 また入院では▼専門性の高い医療の提供:25.7%▼医師・看護師が親切:25.0%—などが、外来では▼交通の便:27.2%▼専門性の高い医療の提供:24.1%—などが病院選択の重要要素となっていることも分かります(複数回答)。
 
 さらに病院情報の入手元として、入院では▼家族・知人・友人の口コミ:72.2%▼医療機関の相談窓口:25.1%▼医療機関の発するインターネットの情報:14.5%―などが、外来では▼家族・知人・友人の口コミ:70.5%▼医療機関の発するインターネットの情報:21.2%▼医療機関の相談窓口:16.4%▼医療機関・行政以外のインターネットの情報:12.1%―などが多くなっています(複数回答)。

 自院の機能等について、病院のホームページやパンフレットなどでPRすることも非常に重要な時代になっています。
 

入院では「食事」や「プライバシー」、外来では「待ち時間」で患者の不満大きい

 次に、患者の「満足度」を見てみると、全体では、入院患者の67.8%、外来患者の59.3%が「満足」と答えており、「不満」と感じる人は入院・外来ともに4.3%にとどまっています。

 病院の種類別に、「満足」と答えた入院患者の割合を見てみると、▼特定機能病院:76.7%▼大病院:74.8%▼中病院:69.9%▼小病院:67.4%▼療養病床を有する病院:63.5%—となっておいます。

逆に「不満」と答えた入院患者の割合は、▼特定機能病院:3.5%▼大病院:3.4%▼中病院:4.0%▼小病院:4.2%▼療養病床を有する病院:4.9%—となっています。

大規模な病院ほど、「満足」度が高まり、「不満」を感じる患者が減る傾向があります。これは病院選択時点ではなく、入院中の患者の見解であり、冷静に受け止める必要があります。
 
また項目別の満足度(「満足」と答えた患者の割合)を見てみると、入院では▼医師による診療・治療内容:70.7%(3年前の前回調査に比べて1.0ポイント向上)▼医師以外のスタッフの対応:70.0%(同0.4ポイント向上)▼医師との対話:65.9%(同0.7%向上)―で高く、▼食事内容:43.5%(同0.9ポイント低下)▼病室でのプライバシー保護:56.1%(同0.2ポイント低下)▼病室・浴室・トイレ等:57.0%(同0.2ポイント低下)―では、やや低めになっています。満足度の高い項目では、より満足度が高まり、低い項目では低下しており、「食事などでの工夫」が「選ばれる病院」としての重要要素になってきそうです。

 一方、外来では、▼医師以外のスタッフの対応:58.9%(同0.3ポイント向上)▼医師との対話:57.2%(同1.0ポイント向上)▼医師による診療・治療内容:55.5%(同1.1ポイント向上)―で満足度が高い状況は入院と同じですが、満足度そのものは入院に比べると低めに出ています。

また、外来でとくに満足度の低い項目として、「診療までの待ち時間」(28.9%)があげられます。病院の種類別に見ると、▼特定機能病院:満足22.9%・不満37.8%▼大病院:満足23.7%・不満35.2%▼中病院:満足26.5%・不満27.7%▼小病院:満足37.2%・不満18.7%▼療養病床を有する病院:34.7%・不満18.4%—となっており、大規模病院で「待ち時間に不満を感じる人が多い」傾向にあるようです。

もっとも、「軽症で紹介状を持たずに、かつ予約をせずに特定機能病院や大病院を訪れ、結果として待ち時間が長くなっているのではないか」との疑問も生じます。軽症患者が特定機能病院等の外来に多く訪れれば、本来「特定機能病院を受診すべき重症な紹介患者」の医療アクセスを阻害してしまうほか、医師の外来負担を重くすることにもなります。「医師の働き方改革」においては、「患者が上手に医療機関を受診するよう促していく」ことが非常に重要な施策の1つに位置付けられており、「適正な外来受診」をさまざまな機会を通じて周知していくことが重要でしょう。
 
なお、入院期間が長くなるにつれ、患者の満足度は下がっていきます。いかに整った療養環境であっても、「自宅の気楽さ」などには勝てず、「入院期間の長期化によって患者のQOLが下がっていく。より早期の退院がQOL向上にとって重要である」ことが再確認できます。
 

入院患者の1.8%は「医師から説明を受けていない」と感じていることを受け止めよ

 さらに、入院患者が「医師からの説明」をどのように感じて、受け止めているのかを見てみましょう。

 診断や治療方針にについて「医師から説明を受けた」と答えた患者は、入院・外来ともに95%程度に達しているものの、1-2%程度の患者が「説明を受けていない」と答えていることが分かりました(入院では1.8%、外来では0.6%)。

医師からの説明がなされない事例はなかなか考えにくいですが、患者と医師とでは知識量等に圧倒的な差があり、医師が「説明した」と思っても、患者が「説明を受けていない」と感じるケースがあると考えられます。高齢化が進行し、認知機能や聴力等が低下した患者が増える中では、こうしたケースがますます増加すると考えられます。一方で、説明を「主治医」のみが行うとすれば、その負担が過重になります。現在の医療はチームで行われており、主治医以外の医師、看護師・薬剤師などのメディカルスタッフ、さらにソーシャルワーカーや事務職員も含めた全てのスタッフが協働し、患者への説明についても可能な範囲でのタスク・シェア、タスク・シフティングを進めていくことが必要でしょう。

 さらに、医師の説明が十分であったかどうかを見てみると、「十分であった」と感じた患者は入院66.7%・外来59.7%にとどまり、入院の26.6%、外来の34.7%は「まあまあ十分であった」、入院の6.7%、外来の5.7%は「十分ではなかった」と答えています。こうした点からも、患者への説明に関するタスク・シェア、タスク・シフティングの重要性が伺えます。・
  
一方、患者が「説明に対する疑問や意見を医師に伝えられたかどうか」を見てみると、入院の83.3%・外来の88.8%は「十分に伝えられた」としていますが、入院の6.9%・外来の6.2%は「伝えられなかった」と感じていることも分かりました。「伝えられなかった」背景には、「時間が限られている」「気おくれしてしまった(医師にこんなことを聞いてよいのかわからない)」など、さまざまな要素があると考えられます。疑問の放置は、満足度の低下につながることはもちろん、「医療の質」にも関係するケースが少なくありません(痛みを我慢してしまうなど)。外来では「相談支援窓口」の設置や周知、入院では「患者に最も身近な看護師の工夫や気配り」(日々の会話の中から、疑問点をピックアップする意識を持つ)などが重要でしょう。
 

特定機能病院でも8%超の患者が、いわゆる社会的入院

ところで、入院患者が「今後の治療・療養」についてどのような希望を持っているのかを見てみると、「完治するまでこの病院にいたい」という声が特定機能病院でも44.7%あり、「他の病院や診療所、介護施設などへの転院・退院」を希望する声はそれぞれ数%にとどまっています。
 
これが病院・病床の機能分化・連携を阻む壁の一つとなっているとも考えられます。例えば、急性期治療を終えた患者に「ここでの治療は終わったので、より自宅に近いリハビリ病院に転院してはどうか」と提案すると、患者・家族は「大病院に見捨てられた」などと感じることもあるかもしれません。また、こういった事態が「患者切り捨て」と報道されてしまうこともあります。

「医療提供体制の在り方」について。一般国民・患者に分かりやすく周知していくことがこれまで以上に必要でしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 
なお、退院許可が出た場合でも「自宅療養ができない」患者(いわゆる社会的入院)の割合を見ると、全体では23.6%(3年前の前回調査から2.3ポイント減少)で、病院の種類別では、▼特定機能病院:8.3%▼大病院:10.0%▼中病院:14.7%▼小病院:20.6%▼療養病床を有する病院:35.1%―となっています。
 
徐々に減少はしているものの、入院患者の2割、特定機能病院でも1割近くが「社会的入院」であることは、依然として大きな課題です。なお、同居人のいる場合「社会的入院の割合は18.0%(一般病床に12.4%)にとどまりますが、同居人のいない場合には35.4%(同26.6%)に跳ね上がり、「家族介護」という要素が重要になってくることを再確認できます。
 
自宅療養できない理由を見ると、▼入浴や食事などの介助サービス:39.7%▼家族の協力:31.9%▼療養に必要な用具(車椅子、ベッドなど):25.0%▼緊急時の医療機関への連絡体制:23.0%▼医師・看護師などの定期的な訪問:22.7%▼療養のための指導(服薬・リハビリなど):21.9%—など多岐にわたっています。

しかし、これらの中には、例えば「車医師や介護用のベッドなどでは、介護保険の福祉用具貸与により自己負担が軽減される」、「訪問診療や訪問看護については、多くの地域では適切な紹介によりサービスが確保できる」など、既に制度的な手当てがなされており、患者・家族により十分な説明を行うことで解決可能な部分もあります。

一方で、「家族の協力」などは病院側ではいかんともしがたく、他分野からの支援や協力など、より広範な「退院支援」「自宅療養の支援」策を検討する必要もありそうです。

特定機能病院でも、3割の患者が依然「紹介状」持たず

最後に、外来患者が「最初にどの医療機関を受診したか」を病院種別に見てみましょう。

「最初から、今日来院した病院を受診した」、つまり他院からの紹介などを受けていない患者の割合は、▼特定機能病院:30.4%(前回調査から6.3ポイント減)▼大病院:40.2%(同7.5ポイント減)▼中病院:56.2%(同3.4ポイント減)▼小病院:64.6%(同0.7ポイント増)▼療養病床を有する病院:64.1%(同2.5ポイント減)—となっており、特定機能病院や大病院では「他の医療機関からの紹介患者」が増加していることが確認できました。外来の機能分化が進んでいることが分かります。
 
 ただし、「依然として3割の患者は特定機能病院を紹介状を持たずに受診している」と見ることもできます。こうした患者から、「なぜ、身近なかかりつけ医などを受診せず、直接に大規模病院を受診するのか」「紹介状を持たずに受診した場合の特別料金をどう感じているのか(負担にならないと感じているのか、いくらであれば負担と感じるのか)」などを詳しく聴取し、さらなる外来機能分化に向けた取り組みの基礎資料とすることも重要でしょう。
 



https://www.m3.com/news/iryoishin/663311
シリーズ 平成の医療史30年
大学の研究力低下、二つの“荒波”が原因【平成の医療史30年◆大学編】
清水孝雄・前東京大学医学部長に聞く◆Vol.1
 
スペシャル企画 2019年3月22日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 臨床、教育、研究――。これら3本柱を担い、医療をけん引している大学医学部とその付属病院。平成の時代を振り返ると、論文数が伸び悩むなど、日本の大学の相対的な研究力低下が指摘されている(『2000年代以降、科学立国の危機に』を参照)。2007年度から4カ年にわたり東京大学医学部長を務めた清水孝雄氏は、1990年代に進んだ大学院重点化のほか、国立大学については2004年度の法人化による運営費交付金削減という、二つの“荒波”がその原因と見る。清水氏に、大学を取り巻く研究環境がこの30年間にどのように変わったのか、お聞きした(2019年1月7日にインタビュー。全2回の連載)。

――大学の研究環境を変えた一つが、1990年代に進められた大学院重点化かと思います。


清水孝雄氏は、国立大学の研究力低下の一番の要因は、2004年度の国立大学の法人化にあるとみる。
 一般論ですが、大学院重点化には、二つの大きな問題があると思います。一つは、定員を増やしすぎたこと。大学院生の定員を学部生の1.5倍程度に設定し、全国的には重点化前の2.5倍になりましたが、教員の増員はなかったため、教員一人当たりの仕事は増えたため、研究の質低下につながった。「1.5倍」は明らかに多すぎだったでしょう。大学院生を増やすのだったら、教員数を増やし、それなりの設備も充実させなければいけないと思うのです。しかも、文科省からは、「1.5倍」とした定員を充足させていないと、いろいろと注文を付けられるので、学力が十分に伴わない場合でも入学させていたケースもあるでしょう。「大学院生の適正な数はどのくらいか」について、十分な議論がなされなかったのです。

 もう一つの問題は、大学院重点化の際に、講座の数を増やしたため、小規模の講座に細分化してしまったことです。それまでは「教授と准教授が各1人、助教2人」といった単位が普通でした。特に生命科学の分野ではチームで取り組む研究が多く、そうした体制が必要だったのですが、重点化に伴い、「教授または准教授1人、助教1人」といった講座が増えたのです。PIの数が増えることは良い、という発想があったと思います。

 大学院重点化は、「教授ポストが増え、ありがたい」ということで、飛び付いた大学が多いのですが、小所帯の講座に大学院生がたくさん入ってくる事態を招いてしまった。大型研究費をたくさん確保できる講座は、ポスドクや研究員などを雇用することができますが、そうでない講座は運営が相当大変になったと思います。

――そもそもなぜ大学院重点化を進めたのでしょうか。

 学部だけではなく、大学院で研究すれば、研究力が上がる――。もともとはナイーブな発想からだったと思うのです。しかし、やり方に問題があった。

 ただ東大医学部について言えば、臨床系は、例えばもともと大きな講座だった第三内科を糖尿病代謝、循環器内科、血液内科などと細分化して教授を増やしたため、それに対応するだけのスタッフを確保できました。一方、基礎の講座はあまり変えませんでしたので、臨床系と基礎系ともに「教授と准教授、助教最低2人」という体制は基本的には維持できました。

――大学院重点化についての見直しなどは、行われていないのでしょうか。

 二つの講座が協力して、機能的には一つのユニットとして運営したり、教授が二つの講座を兼任するなどの工夫をしているケースはあると思います。また、大学院生数の適正化も開始されています。

――大学院重点化で、本来の目的である研究力強化にはつながったのでしょうか。何をもって研究力とするかは難しいところですが。

 トップジャーナルに掲載された論文数などは、米国はもちろん、中国などでもどんどん伸びているのに対して、日本では増えないどころか減っています。先進国の中で、生命科学分野を含め、トータルの論文数が減っているのは、日本くらいではないでしょうか。

――中国をはじめ、欧米以外の国でも研究が盛んになり、かつテクノロジーの進歩で研究のスピードが上がる中で、大型研究費を獲得し、チームで取り組むべきところ、小規模の講座では太刀打ちができなかったのでは。

 そうですね。規模の大きい講座においては、研究テーマを分けてグループで取り組むことはできますが、反対に講座を細分化してしまうと、それらを統合することは簡単ではありません。

 さらに研究力の低下について言えば、やはり一番の原因は、2004年度の国立大学の法人化です。いつまでも国立大学のままであるのは、あまりいいことではないので、法人化は必要だったと思いますが、運営費交付金が毎年1%ずつ減らされているのに加えて、教員の定員も同様に毎年1%程度ずつ削減されたのが問題でした。これら二つはかなり致命的です。現実には大学単位ではなく、各学部単位で定員削減が進められましたが、医学部の場合、実収入につながる臨床系の教員ではなく、基礎系や社会医学系の教員を減らすケースが多かった。予算を削減された大学にとっては、大学が生き残る上でやむを得ない措置でした。また、法人と言っても、さまざまな制約や国の管理があり、中途半端な状態です。

 法人化に当たって、研究費の使い方も変わりました。運営費交付金は各大学が自分たちの考えで、計画的にその使途を決めることができます。日本学術振興会の科学研究費も、ボトムアップの発想で進めることのできる研究費です。運営費交付金削減の代わりに増えたのが、文部科学省や厚生労働省などがトップダウン的に課題を決め、期限(最大5年)を切ったプロジェクト型(課題設定型)の研究費や補助金です。研究活動に充当される資金はトータルとしては減らなくても、研究テーマが限定される上、研究費が期限付きのために、教員も任期付き雇用を増やさざるを得なくなりました。また、事務作業量が大幅に増えました。教員を疲弊させています。

 その上、比較的短期に達成できるテーマを選ぶことになり、すごく“当たる”こともあれば、研究不正に結び付く懸念もあるなど、いろいろな問題が起きていると思います。任期付きの教員もかなり増えてきていて、40代前半くらいの方も結構います。こうしたさまざまな変化が、法人化後に急速に進んできました。

――課題設定型となると、独自の研究に取り組みにくくなる一面もある。

 そうだと思います。

――課題の設定は、どのように行うのでしょうか。またそのやり方は妥当なのでしょうか。

 文科省や厚労省が官僚だけで決めているのではなく、研究者や産業界など、さまざまな分野の有識者等を集めた審議会で議論します。ただし、最終的には省単位、省の中の局単位で決め、公募します。

――AMED(日本医療研究開発機構)が2015年度に発足したわけですが、課題設定の方法や研究費の配分などには変化があったのでしょうか。

 明らかに良くなったのは、文科省、厚労省、経産省の3省の情報共有、連携が進み、研究テーマの重複も減ったことでしょう。しかし一方で、テーマ設定などについては問題があり、NIH(米国立衛生研究所)と異なり、AMEDの中に、しっかりとしたブレイン組織がなく、全体の政策立案のシステムができていません。理事長のリーダーシップも発揮できていないように感じます。結局、各省庁、各局が出資した割合に応じて予算を確保し、研究を公募するなど、基本的なところは変わっていません。AMEDの意思決定をどのように行っていくか、また適切なピア・レビュー体制を取れるかは、第二期に向けて、重要な課題だと思います。

――お話をお聞きしていると、平成の30年間、研究の追い風となるような改革は行われていなかったように思うのですが。国立大学の法人化にしても、「臨床が忙しくなったために、研究に割く時間が少なくなった」といった声も聞きます。

 それはその通りだと思います。付属病院の収入は、大学の運営費交付金と匹敵する額だからです。以前は、臨床に従事する中で、いろいろな問題意識を感じて、研究に何年間か従事したり、海外に留学したりしていました。今は現場が忙しくて「そんなことをやっている時間はない」となり、それも医学の研究力を落としている要因です。平成の間、良くなった点がないかというとそうでもなく、間接経費の導入、研究費の一部が基金化されたこと、産学の連携がスムーズになったことなどはあります。

 また、強調したいのは、東大やいくつかの研究大学に資金を集中しすぎるのも問題です。東大で育った人材も全て東大で研究を全うできるわけではなく、必ず別の機関に移るわけです。移る先の疲弊が見えると、東大の若手研究者の意欲も落ちます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663310
シリーズ 平成の医療史30年
「最後の砦」大学に財政的支援を【平成の医療史30年◆大学編】
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.3
 
スペシャル企画 2019年3月21日 (木)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――大学病院にとっては、ここに来て、「医師の働き方改革」という課題もクローズアップされるようになりました。

 千葉大でも、働き方改革は進めています。例えば、タスクシフティング。2019年4月採用に向けて、「診療看護師」を募集しています。ただ、研修期間は現場で働く看護師が減り、戻ってきても、例えば入院基本料算定に必要な看護師配置とは別に置くことになるので、その分、人件費がかかります。十数人配置するとしたら、合計1億円を超えてしまう。


「今のままでは、30年後の日本の医療レベルは低下しかねない」と警鐘を鳴らす、山本修一氏。
――医師の業務の一部を「診療看護師」が担うようになり、医師はその分を医師にしかできない業務に専念すれば、診療収入が上がるけれども、実際には医師の労働時間の短縮が先決であるため、そうはならない。

 その通りです。医師の働き方改革は、社会問題化しており、世間の関心も高い。だからこそ、公開の場であれだけの議論をしているわけです。この議論が、改革を進めるための財政的な支援につながることを期待しています。

――先生は、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の構成員です。医師の時間外労働の上限については「1900~2000時間」という案が出され、議論になっています(インタビューは2019年1月18日に実施)。

 大学病院の勤務医で難しいのは、病院で臨床に従事する傍ら、大学に戻れば研究者であるという点です。大学の他学部の研究者たちは、時間外労働規制の適用対象外です。

 病院にいる間は、タイムカードを使って時間管理が可能。しかし、例えば、たまたま外来が早く終わり、午後3時で臨床の仕事を終え、研究室に行って実験を始めたとしましょう。夕方、いったん自宅に帰り、夕食を食べてまた午後9時ころに戻ってきて、午前0時まで研究していた時に、どこまでを勤務時間として扱うのか。あるいは午後10時すぎまでオペをしていて、翌日は丸1日「研究日」として病院勤務がない場合もあります。

 初期研修医あるいは専攻医、つまり教員になる前の医師たちは、今、議論されている枠組みの対象でいいと思います。ただ問題は、助教以上、いわゆる教員。臨床以外にも、研究、教育に従事する職種の時間外労働は、本来であれば厚労省の検討会の議論では解決できない問題です。

 同検討会は、1月11日に「とりまとめ骨子」を公表しました。そこに一文だけ、「さらに、大学病院における研究を行う医師に対する労働時間制度の運用実態に鑑み、医師の研究を阻害しないような研究者のために必要な議論を開始すべきではないかとの意見もあった」と入りました。けれども研究者の労働時間管理は、日本学術会議まで巻き込んだ、医師以外の全体の研究者の議論にまで発展すると問題は複雑化してしまう。現実には難しいでしょう。

――先生は、大学の教員医師については、どんな時間外労働規制がいいとお考えでしょうか。

 基本的には裁量労働制にして、例えば午後5時以降、診療に従事した場合には、時間外手当を付けるなど、大学教員でもある勤務医の多様な働き方が可能な管理にしていただきたいと思います。

――大学は、最先端の医療や研究、あるいは教育などを担っているため、その魅力の故に、労働環境は厳しくても、あるいは給与は低くても医師が勤務している現状があります。

 「大変だ」と言いつつも、今後もそうした思いで大学病院に勤務する医師は続くでしょうが、一方で辞めてしまい、一般病院に就職する医師もたくさんいるわけです。どうつなぎ留めていくかが課題です。例えば、医師の給与を上げる原資もありません。

 それにはわれわれ自身も努力はしていきますが、繰り返しになりますが、やはり社会が大学病院の役割を考える必要があると思います。社会のためになぜ大学病院が必要か、必要ならどのように支援、維持していくかです。

 今の大学病院であっても、収益を簡単に改善する方法はあります。眼科であれば、診療所でもできる白内障手術を数多くやれば、収益は確実に良くなります。千葉大だって、毎日100件だってできるでしょう。でもそれは本来の大学病院の役割とは違うでしょう。

――医療機能の分化を進める国の方針とは、反します。

 そうであれば、「最後の砦」として大学病院を位置付けるなら、また医学研究に取り組み、新しい医療を切り拓くことを期待するなら、そのための支援が必要だということ。今のままでは、30年後の日本の医療レベルは低下しかねません。しかし、一般の方には身近な話題でないためか、残念ながらピンと来ないようですね。

――これまで国立大学附属病院長会議などから、大学病院の役割や改善策を提示しても、なかなか届かなかった。

 一つには、私たちがおとなしかったのかもしれません。それに病院長が短いサイクルで交代してしまうので、病院長在任中は問題意識を持っていても、それがうまく継承されにくいという問題もあります。大学および大学病院が抱える問題を理解してもらうために、これまで以上に情報発信をしていかないといけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663309
シリーズ 平成の医療史30年
大学勤務医の臨床の比重増加、経営悪化で【平成の医療史30年◆大学編】
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.2
 
スペシャル企画 2019年3月17日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その上、国立大学病院にとっては、控除対象外消費税の問題もあります。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、特定機能病院の補てん率は61.7%という結果でした(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 その通りです。2019年10月の税率10%への引き上げの際は、見直され、特定機能病院全体では補てん率が100%近くになるとのことですが、それはあくまで平均値。われわれは、病院の規模によって補てん不足が億単位でばらつくことを以前から主張してきました。その点は今回も改善される見通しはありません。

 厳しい経営環境が続く中、45ある国立大学病院全体の2017年度の決算は、前年度より18億円のマイナス 。また、医業による収益差額は31億円のマイナスで、前年度より悪化しています。それに運営費交付金が12億円入っても、収支は均衡しません。病院だけでなく、国立大学そのものが今、存続の危機なのではないかと思っています。収入は授業料と運営費交付金がほぼ全て。それ以外の特許料収入などはごくわずか。経営改善につながる手立てがなかなか見当たりません。

 大学病院がこうした厳しい環境に置かれているのは、そもそも医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか、役割は何か、医療の中でどう位置付けるのか、あるいは社会としてどう支えるかが明確になっていないことが大きいと思っています。

――それはどのような意味なのでしょうか。

 大学は、臨床、教育、研究の3つの柱を担っています。臨床面で言えば、「大学は最後の砦」とよく言われます。他で治せなかった患者さんが大学病院に来るわけで、もちろん一生懸命に治療はしますが、コストがその分、かかります。けれども、診療報酬で優遇されるのは、DPCの大学病院本院群の係数と入院基本料くらい。いずれも特定機能病院として高い点数が付いていますが、それは収入全体から見ればわずか。それ以外は、全く他の一般病院と同じ土俵で仕事をしなければいけません。

 DPCは、診断群分類別の評価ですが、あくまで「平均値」をベースに点数を設定しています。正規分布の端に位置するような、多くの医療資源を要する患者さんを診る割合が大きい大学病院では、採算が合いにくくなります。ICUの加算も同様で、2週間を過ぎれば加算はなくなりますが、2週間を超えてしまう重症の患者さんは少なくありません。

 また患者さんは「大学病院だから」と信頼して受診されます。それは有り難いことなのですが、その分、医療の内容や医療安全に対する目は厳しい。大学病院は、専門的で高度な医療が要求されます。しかも、医療が進展するスピードは速く、それにキャッチアップするとともに、高い安全性が求められます。

 大学病院には、臨床以外にも、研究という重要な役割があります。当院は全国で12カ所ある臨床研究中核病院の一つですが、倫理委員会をはじめ、体制を整え、維持するための持ち出しの方が多いのが現状です。

――厳しい環境の中で、医師をはじめ、医療従事者の献身的な努力で大学病院は成り立っている。

 献身的な努力というか、使命感なんですかね。いくら大変であっても、私たちはやめるわけにはいきません。


山本修一氏は、「医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか」を明確にすべきと強調。
――そのひずみなどは現れているのでしょうか。

 まずは大学病院として経営を安定させないといけない。結局、高度先進医療ばかりやっていたのでは、今の診療報酬体系では、経営が厳しいわけです。場合によっては、一般病院でもできるような医療までを手を出さざるを得ないというひずみは出てきています。

――法人化の前後、そして今との比較で、臨床、研究、教育にかける比重は変わってきているのでしょうか。

 臨床が忙しくなっており、教育、研究のウエイトが下がっています。収益を上げるために、われわれ経営陣はいかに数多くの患者さんに受診してもらい、しっかり診療して、地域の医療機関等にお戻しするかに腐心する。急性期病院として機能分化もあり、病床の稼働率、回転率ともに上げなければならず、以前なら1カ月くらい入院していたような患者さんでも、今は病状が安定したら、10日くらいで退院している。当然、労働密度の上昇につながるわけです。

――先生のご専門である眼科であれば、日帰り手術も増えた。

 その通りです。やや古いデータですが、国立大学病院の場合、臨床系教員が診療等に従事する時間の割合は、2002年のは35.8%から、2013年には51.5%まで増えています。一方で、研究に充てる時間は、28.8%から2割を切り、17.7%になっています。今の時点で調査すれば、診療等の時間はさらに増えていると思います。

――これは国立大学に限らないことですが、2004年度の臨床研修必修化で、大学で臨床研修を行う若手が減少した影響もあると思います。必修化前は、7割以上が大学病院で研修していましたが、今は5割弱のまま回復の兆しはありません。

 確かにその通りです。ただし、千葉大に関して言えば、新専門医制度により、後期研修医(専攻医)が増えています。以前は1学年約100人だったのですが、今は150人くらいになっています。千葉県は医師不足なので、東京都や神奈川県と違い、シーリング(専攻医の上限)がかからなかったことが大きいと思います。

 まずは専門医を目指す若手に対して、より良い研修環境を提供することが大事。問題はその先で、専門研修が終わった後、最先端の医療をやりたい、研究をしたいという医師をつなぎ留めるために、いかに魅力のある大学、病院にするかということです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/667134
時間外・休日の病状説明を選定療養として提案へ、日病協
10連休対応は人員配置基準の緩和など要望
 
レポート 2019年3月22日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本病院団体協議会は3月22日の代表者会議で、選定療養に導入するべき事例として、「時間外や休日に患者や家族側の都合で病状説明を行った場合」を提案することを決めた。議長の山本修一氏(国立大学附属病院長会議常置委員長)は、「各病院が患者へ要望しているが、より踏み込んで選定療養の対象にしてはどうかと、満場一致で承認された。医師の負担軽減を推進したいということで、時間外の仕事だということを社会に知っていただくことが重要だ」と述べた(「選定療養として導入すべき事例等」の募集は厚生労働省のホームページ)。


 院内でインフルエンザ感染者が出た場合に、同室の患者に抗インフルエンザ薬を予防投与する場合についても提案する。山本氏は「病室に余裕があれば隔離するという方法が取れるが、冬場はどこも病室が一杯で予防投与も選択肢の一つになり得る」と述べた。過去にも提案し、採用されなかったことがあるという。

 新天皇即位に伴う10連休の対応では、人員配置基準やオーバーベッドの緩和、レセプト提出の受付期限、処方箋の有効期間の猶予について、今月中に取りまとめて根本匠厚生労働大臣に提出する。



https://www.m3.com/news/general/667206
在宅診療にこだわり、南相馬を去る 京都の医師の3年間  
その他 2019年3月23日 (土)配信朝日新聞

 東京電力福島第一原発事故で一時休診した南相馬市立小高病院(小高区)の院長(管理者)が22日、最後の診療を終えた。3年前に京都から単身で移り住み、患者とのつながりを大切にした。しかし運営を巡り、市との溝が深まり、病院を去ることになった。

 「先生がいなくなるのは本当に惜しい。どうもありがとうございました」

 22日正午前、小高区長会長の林勝典さん(71)が病院を訪れ、院長の藤井宏二医師(63)と両手を握り合った。藤井医師は「京都からも見てますから」と応じた。

 藤井医師は京都第二赤十字病院(京都市)を辞め、2016年4月から小高病院で働き、その後唯一の常勤医になった。きっかけは1995年の阪神大震災だった。救護班として現地に入ったが、装備や連絡態勢が不十分で思うように活動できず、無力感を覚えた。いつかは被災地のために力になりたい――。持ち続けていた思いが強くなったのは60歳が近づいたころだ。東日本大震災が起き、「今度こそ役に立ちたい」と決意した。

 小高病院は14年4月、3年1カ月ぶりに外来診療を再開した。震災前はベッド数99床で7科がある地域唯一の総合病院だったが、外来診療に限られていた。医師も足りず、インターネットで医師を募集していた。妻(59)に相談すると、料理の本を渡され「早く行き」と背中を押してくれた。

 病院棟は配管などが壊れて使えず、リハビリ施設を改修して使う。高齢者を中心に毎日約20人が訪れ、藤井医師と非常勤医3人、看護師3人で内科や外科の診察をする。

 小高区の大部分では2年半前、避難指示が解除された。しかし、居住する人は3169人(2月末)と、震災前の約3割にとどまり、65歳以上の高齢者が半分を占める。足が悪かったり、車など移動の手段を持たなかったり、通院さえ大変な患者が多い。

 そこで藤井医師が力を入れたのが、在宅診療だった。2回のうち1回は医師が患者の自宅に行き、1回はタブレット端末を持った看護師が患者宅を訪れ、診察室のパソコンとつないで、遠隔で診察する。

 看護師が測る体温や血圧などの情報もパソコンに送られる。10分ほどの問診だが、「顔を見て話しすると、笑顔が出て満足してくれる」(藤井医師)。約20人が在宅医療を利用し、藤井医師は「地域の現状に合っている」と手応えを感じていた。

 しかし、今年2月に状況が一変した。市の市立病院改革プラン策定委員会が、小高病院に将来的に19床の入院機能を回復させる素案を発表した。それを支持する門馬和夫市長と、方向性の違いが決定的になった。



https://www.m3.com/news/general/666788
東京医科大は全額不交付 日大は35%減額 私学助成  
大学 2019年3月21日 (木)配信朝日新聞

 日本私立学校振興・共済事業団は20日、今年度の私立大学等経常費補助金(私学助成)の交付額を発表した。医学部で不適切入試が発覚した8私大は、「入学者選抜の公正性を害する」とされて減額された。特に前理事長と前学長が贈賄罪で起訴された東京医科大は、全額不交付となった。

 東京医科大は来年度も不交付となる。「十分な改善努力を行った」と判断されれば減額幅が徐々に小さくなるが、全額が交付されるようになるのは早くても5年後だ。アメリカンフットボール部の悪質タックル発覚後の理事会の対応も問題視された日本大は35%、岩手医科、昭和、順天堂、北里、金沢医科、福岡の6大学は25%減額された。

 一方、東京福祉大は「学校法人の管理運営が適正を欠く」として50%減額された。女性教職員に対する強制わいせつ罪で懲役2年の実刑が確定した元理事長を運営に関与させないと文科省に報告していたのに、実際には関与させていた点が問題とされた。(増谷文生)



https://www.m3.com/news/general/666620
読み解きワード:医師需給 偏在の解消が必要  
地域 2019年3月20日 (水)配信毎日新聞社

 医師の過不足のことを「医師需給」と言います。厚生労働省は将来の需給推計で「2028年ごろからは医師が余る」とする一方、「36年時点で医師が足りない地域や診療科がある」との推計もしています。一見矛盾する二つの試算から、どのような対策が求められるのでしょうか。【酒井雅浩】

 ◇全体数は右肩上がり 28年以降「過剰」に

 国内の医師数は右肩上がりに増えている。これは高齢化で引退・死亡する医師より、医学部を卒業して新たに医師になる人の方が多いからだ。00年代後半に地方の医療崩壊が叫ばれ、08年から大学医学部が一定期間その地方で働くことを義務付ける「地域枠」を設けて定員を増やしたことも、その傾向を強めた。

 一方、人口減少により、必要な医師数は徐々に減る。厚労省の検討会は昨年4月、医師が過労死認定の目安となる「月80時間」を上限に残業すると仮定した場合、28年ごろに約35万人で需給の均衡が取れ、以降は医師が余るとの推計をまとめた。医学部生が国家試験に合格し、臨床研修を終えるのは10年ほどかかるため、今春の新入生が一人前の医師になる頃は「供給過剰」になっている可能性がある。

 とはいえ、この推計は全体数だけを見たもので、実際には地域や診療科によって過不足が生じる「偏在」が起こる。日本の医師はどこでも開業でき、専門とする診療科も自由に選べるため、偏在の解消は簡単ではない。

 厚労省は働き方改革の一環で、これまで規制がなかった医師の残業時間も24年度から法律で上限を設ける方針だ。地域医療に従事する医師らは一般労働者より長時間の勤務を容認する構えだが、偏在対策が進まないまま規制が始まれば、地域の医療提供体制に支障が出かねない。

 ◇大都市、地方で二極化 医療の質に影響も

 医師の地域偏在を考える際に大切なのは「必要な医師数」をどう見積もるかだ。

 これまで厚労省は、都道府県ごとの10万人当たりの医師数で過不足を比較してきたが「実態を表していない」との指摘があった。そこで新たに、人口構成の将来予測▽年齢・性別による受診率▽昼夜の人口差▽医師の年齢構成や男女比、労働時間――なども考慮した「医師偏在指標」を算出。指標を基に16年の上位16都府県を「医師多数区域」、下位16県を「医師少数区域」と指定し、大学医学部の地域枠を少数区域の県向けに重点的に割り当てて将来的な偏在解消を図ることにした。

 それでも政府が医師偏在を解消する目標としている36年時点で、12道県で医師が不足する見通しだ。これは若手医師の地域定着を進めるなど最大限の対策を取った場合の想定で、医師不足地域はもっと広がっている可能性もある。

 一方で「全く対策を取らない」と仮定した場合でも、東京、大阪など13都府県では医師が過剰となる。過剰の地域では医師1人当たりの診療経験が必然的に乏しくなり「医療の質」確保の観点からも偏在対策が求められる。

 ◇残業規制で不足深刻化か 自主的な是正に期待

 診療科別の医師数は時代に応じ変動している。1994年から16年までに麻酔科はほぼ2倍、放射線科は7割、精神科は6割増えた一方、外科や産婦人科は横ばいだった。

 診療科の偏在も、放置はできない。医師が増えていない産婦人科や外科、さらに救急科の医師は労働時間が長い傾向にあり、厚労省の16年調査ではそれらの科の約半数の勤務医が残業月80時間を超えていた。上限規制が導入されると、医師不足が一層深刻化する恐れが大きい。

 そのため厚労省は、医療費の算定データから、診療科ごとの将来必要な医師数と、その数を満たすために毎年新たに養成しなければならない医師数を推計した。内科は16年の11万2978人に対し、36年には12万7167人と大幅な増加が必要。精神科は16年で1万5691人いるが、36年は1万4003人で足りる。今は人手不足が著しい産婦人科も、少子化の影響で必要数が減る見通しだ。

 厚労省は医療界の「プロフェッショナル・オートノミー(専門家による自律)」は引き続き尊重しつつ、診療科別の必要な養成数などを示すことで自主的な偏在是正に期待する。それでも解消しなければ、都道府県ごとの医師定員を設けるなど新たな対策の検討も必要になるだろう。



https://www.m3.com/news/general/666449
洲本の4診療所、累積赤字6億超に 一般会計から補てんへ  
地域 2019年3月19日 (火)配信神戸新聞

 兵庫県洲本市立の4国民健康保険診療所の赤字が、2018年度末までの累積で約6億600万円と見込まれることが18日、分かった。人件費や施設維持などにより、18年度だけで最大約7600万円の赤字が想定される。市は一般会計から4国保診療所の特別会計に繰り出し、赤字を補てんする措置を取る方針だ。

 同日の市会教育民生常任委員会で、市幹部が明らかにした。

 市によると、五色(洲本市五色町都志大日)、鮎原(同市五色町鮎原西)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の4国保診療所の累積赤字は、診療報酬に対して人件費などが膨らみ、17年度決算で約5億3千万円に上る。18年度の単年度赤字は、変動の可能性はあるが、現時点で約7600万円を見込み、これまでの分と合わせて約6億600万円になる計算だ。

 市は診療所の特別会計で赤字が出ても、一般会計から補てんしないことを原則としてきた。だが、今回、3月補正予算案に約6億600万円を計上し、補てんで累積赤字を解消させる考え。市は鮎原診療所を10月から閉鎖して民間移譲し、五色診療所の入院事業の休止を検討する方針を明らかにしている。事業整理に合わせた措置により、「持続可能な地域医療体制を目指す」という。

 常任委では、市幹部が鮎原診療所の民間移譲についても言及。「(診療所の建物の)無償譲渡も一つの選択肢」と述べた。



  1. 2019/03/24(日) 12:07:10|
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3月17日 

https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190313/CK2019031302000008.html
本当に「医師多数県」? 厚労省新指標、医療現場から戸惑いの声  
2019年3月13日  中日新聞 滋賀

 地域間の医師数の偏りを解消するために厚生労働省が二月に公表した「医師偏在指標」で、県は医師数が比較的多いとされる「医師多数県」に分類された。県内の医療現場では医師不足が長年課題となっており、新たな指標について「医師不足の実感と隔たりがある」と、戸惑いの声が上がっている。

 医師不足の指標では従来、人口十万人当たりの医師数が用いられてきた。県の医師数は二〇一六年度の調査で、十万人当たり二百三十一・四人で、都道府県別で三十四位だった。

 一方、新たに公表された医師偏在指標は、同様に人口十万人当たりの医師数をベースとしているが、住民や医師の年齢などのデータを考慮して、指標の数値を算出。県は全国平均の二三八・三を上回る二四三・五とされ、十六位となった。

 県医療政策課によると、県内では高齢化のペースが緩やかであることや、若い医師が比較的多いことが、数値が上がった要因だという。厚労省の分類で、上位十六位までとされる「医師多数県」に位置づけられ、今後は県外から医師を呼び込むことが難しくなる可能性がある。

 この指標に対し、県内の医療関係者からは「実態と合っていないのでは」と批判の声が上がる。指標の数値は県内でも地域ごとに差があり、県南部の大津保健医療圏(大津市)と湖南保健医療圏(草津、守山市など)を除いた地域は、全国平均を下回っている。

 湖北地域のある病院では、脳卒中に対応できる医師が四人しかおらず、一人の医師が月に十日近く、夜間など緊急の呼び出しに応じなければならない状態という。病院の関係者は「本来は倍ぐらいの医師を雇いたいが、募集しても全然集まらない」と話す。

 湖西地域の病院には産婦人科医の常勤医が一人しかおらず、非常勤の医師が交代で勤務することで、緊急時に対応しているという。県健康医療福祉部の角野文彦理事は「診療科や地域によっても状況は異なっており、全体としては、まだまだ医師不足を感じている。今回の新指標に関わらず、医師の確保に取り組みたい」と話している。

 (森田真奈子)




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-00009370-bengocom-soci
「医師の働き方改革」報告書、取りまとめに暗雲 残業「年1860時間」案めぐり  
3/15(金) 18:01配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月15日、東京・霞が関の厚生労働省であった。地域医療を確保するためやむを得ない場合に「年1860時間」までの残業を勤務医に認める案について、2日前に続いて意見が噴出。了承に至らず、取りまとめは次回に持ち越された。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、すべての勤務医が2024年4月時点で、業務の大幅増などの状況におちいったとしても休日労働込みで「年960時間」までの残業となることを目指す一方、やむを得ない場合には「特例」として、「年1860時間」までの残業を容認するとしている。

「年960時間」は一般労働者の上限と同じだが、「年1860時間」はその2倍近くの水準だ。

具体的には、医師不足のため「年960時間」を守ると地域医療の提供に支障が出る恐れがあったり、若手研修医が技能を集中的に磨いたりする場合などに、特例の適用を限定する。

特例適用のためには、都道府県が真にやむを得ないか状況を見極めたうえで、その病院を指定(特定)することが必要。さらに病院に対しては、勤務医に一定の睡眠時間(1日6時間程度)や勤務間インターバル、代休を与えるなどの措置をとるよう義務づける。

●「人間らしい生活ができる水準ではない」

この日の会合では、2日前に意見が尽きなかったことを受け、引き続き「年1860時間」の是非を中心にメンバーが意見を交わした。

連合の村上陽子氏は「1860時間は、一般社会では過労死水準を大幅に上回る非常識な水準だ。報告書案では(特例水準の)1860時間が、例えばいつ1500時間になるのか、1000時間になるのかも不明で、いつ引き下がるのかを明示し法律的にも明示してほしい」と注文。

保健医療福祉労働組合協議会の工藤豊氏は「1860時間という上限に改めて反対だと明確に言いたい。ここまで働かせることができる、と考えてもおかしくない」と指摘した。

自治労の森本正宏氏は「1860時間という、通常の労働者の2倍にあたるような水準は労災認定を大幅に超える。人間らしい生活ができる水準ではないので反対」などと述べた。

報告書案への賛成意見もあり、社会医療法人ペガサスの馬場武彦氏は「(特例の1860時間の)終了年限をガチガチにすると、地域医療の確保に影響を及ぼす。事務局案に賛成だ」。

日本医師会の今村聡氏は「できるだけ早く改善するというのは賛成だが、医師偏在の問題が前提としてある。偏在対策の年限は法律上記載されていないため、偏在対策との整合性という意味では法律に書くことはなかなか難しいのかなと思う」と話した。

●武勇伝を振りかざすベテラン医師の意識改革が肝

病院経営者や現場医師の意識改革の必要性を訴える声も上がった。

救急医の赤星昂己氏は「1860時間働かせていい、と勘違いしている経営者や病院長もいると思うので、周知を徹底的に進めてほしい」と厚労省に求めた。

外科医でコンサル会社を営む裵英洙氏は「『1丁目1番地』は労務管理だ。しっかり周知しないと絵に描いた餅になる。病院の現場で、いわゆる武勇伝を振りかざす方々(ベテラン医師)にどのように意識改革を迫るのかが肝だ」と語った。

岡山大学医療人キャリアセンターMUSCATの片岡仁美氏は次のように述べた。

「1860時間を、可能な限り少なくする努力をしてほしい。1年後に1500時間とか、段階を見える形にした方がいい。

院内で解決するにも研修医や若手は立場が弱くて声をあげにくい。院内、県内での解決ではなくて、声をあげられるシステムが必要だ。私は20年前に研修医で、長時間労働が当たり前だと身に染み付いていた。特に40代、50代は価値観から変わらないといけない」

弁護士ドットコムニュース編集部



https://blogos.com/article/363726/
【正論】医大入試の男女別枠は是か非か  
笹川陽平2019年03月13日 08:42産経新聞

 医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科や眼科に偏る女性医師

 合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

 厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、2016年の日本の医師数は約31万9500人。女性医師は約6万7500人で全体の21.1%に上る。全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2千時間とする案を示している。一般労働者の2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

 こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇

 それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした〝応急策〟の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

 地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除するなどの優遇措置も採られている。

 2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言って過言ではない。

 日本の女性医師の比率は経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、18年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2~3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療確保

 要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

 外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

 繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳(うた)いながら、現実の入試で差別をした各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのはやむを得ない。メディアの報道も不正入試を追及するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

 少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。

(ささかわ ようへい)



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190316-360126.php
全国初!福島県7病院で「遠隔病理診断」 AI診断実験開始へ  
2019年03月16日 08時00分 福島民友新聞
   
 福島医大は15日、県内で深刻化している病理医不足への対策として、同大付属病院と県内6病院を結び、遠隔で病理診断を行うネットワークの運用と、同ネットワークを利用した胃生検のAI診断システムの実証実験を始めると発表した。AI診断の実証実験は全国初、遠隔病理診断ネットワークの構築は県内初。

 同大医学部病理病態診断学講座の橋本優子教授が日本病理学会と共に取り組むプロジェクトの一環。病理医の業務負担軽減と、AI診断導入を通じた診断の質向上が狙いで、本県での活用状況を踏まえ、全国でのAI診断導入を目指す。

 病理医は、患者から提供を受けた組織を顕微鏡で調べるなどして最終的な診断を下す医師。本県の10万人当たりの病理医は1.27人、平均年齢は60.2歳とともに全国ワースト2位で、病理医不足と高齢化が課題となっている。2人以上の常勤病理医がいる県内の医療機関は福島医大だけで、ネットワークに参加するほかの病院は病理医が1人だけか、常勤医を置かず非常勤で対応しているという。

 ネットワークでは、同大が福島赤十字病院(福島市)、太田西ノ内病院(郡山市)、星総合病院(同)、総合南東北病院(同)、福島医大会津医療センター(会津若松市)、竹田綜合病院(同)とそれぞれ連携。6機関が福島医大に病理画像を送って同大で病理診断を行うことで、病理医が不足している機関でも診断ができる体制を整えた。将来的には難しい症例に関して参加機関同士が連携して判断することも見据えている。

 実証実験は、同ネットワークの遠隔診断で得られた胃生検の病理画像を同学会のサーバーに集積し、AIを使って胃がんを診断する。AIの判断に対して医療機関がフィードバックを行い、診断精度の向上を図る。

 橋本教授と同学会の北川昌伸理事長、倉田盛人福島病理ネットワーク担当が15日、県庁で開いた記者会見で明らかにした。橋本教授は「病理医の診断対象はこれまで以上に幅広くなっているが、AI診断が業務をカバーし、質の高い診断が行えることに大きな期待がある」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/663309
シリーズ 平成の医療史30年
大学勤務医の臨床の比重増加、経営悪化で【平成の医療史30年◆大学編】 
 
山本修一・国立大学附属病院長会議常置委員会委員長に聞く◆Vol.2
スペシャル企画 2019年3月17日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その上、国立大学病院にとっては、控除対象外消費税の問題もあります。2014年度に消費税率が5%から8%に引き上げられた際、特定機能病院の補てん率は61.7%という結果でした(『2019年度消費増税対応は基本診療料で、「議論の整理」(案)了承』を参照)。

 その通りです。2019年10月の税率10%への引き上げの際は、見直され、特定機能病院全体では補てん率が100%近くになるとのことですが、それはあくまで平均値。われわれは、病院の規模によって補てん不足が億単位でばらつくことを以前から主張してきました。その点は今回も改善される見通しはありません。

 厳しい経営環境が続く中、45ある国立大学病院全体の2017年度の決算は、前年度より18億円のマイナス 。また、医業による収益差額は31億円のマイナスで、前年度より悪化しています。それに運営費交付金が12億円入っても、収支は均衡しません。病院だけでなく、国立大学そのものが今、存亡の危機なのではないかと思っています。収入は授業料と運営費交付金がほぼ全て。それ以外の特許料収入などはごくわずか。経営改善につながる手立てがなかなか見当たりません。

 大学病院がこうした厳しい環境に置かれているのは、そもそも医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか、役割は何か、医療の中でどう位置付けるのか、あるいは社会としてどう支えるかが明確になっていないことが大きいと思っています。

――それはどのような意味なのでしょうか。

 大学は、臨床、教育、研究の3つの柱を担っています。臨床面で言えば、「大学は最後の砦」とよく言われます。他で治せなかった患者さんが大学病院に来るわけで、もちろん一生懸命に治療はしますが、コストがその分、かかります。けれども、診療報酬で優遇されるのは、DPCの大学病院本院群の係数と入院基本料くらい。いずれも特定機能病院として高い点数が付いていますが、それは収入全体から見ればわずか。それ以外は、全く他の一般病院と同じ土俵で仕事をしなければいけません。

 DPCは、診断群分類別の評価ですが、あくまで「平均値」をベースに点数を設定しています。正規分布の端に位置するような、多くの医療資源を要する患者さんを診る割合が大きい大学病院では、採算が合いにくくなります。ICUの加算も同様で、2週間を過ぎれば加算はなくなりますが、2週間を超えてしまう重症の患者さんは少なくありません。

 また患者さんは「大学病院だから」と信頼して受診されます。それは有り難いことなのですが、その分、医療の内容や医療安全に対する目は厳しい。大学病院は、専門的で高度な医療が要求されます。しかも、医療が進展するスピードは速く、それにキャッチアップするとともに、高い安全性が求められます。

 大学病院には、臨床以外にも、研究という重要な役割があります。当院は全国で12カ所ある臨床研究中核病院の一つですが、倫理委員会をはじめ、体制を整え、維持するための持ち出しの方が多いのが現状です。

――厳しい環境の中で、医師をはじめ、医療従事者の献身的な努力で大学病院は成り立っている。

 献身的な努力というか、使命感なんですかね。いくら大変であっても、私たちはやめるわけにはいきません。


山本修一氏は、「医療界、ひいては社会が大学病院に何を期待しているのか」を明確にしてすべきと強調。
――そのひずみなどは現われているのでしょうか。

 まずは大学病院として経営を安定させないといけない。結局、高度先進医療ばかりやっていたのでは、今の診療報酬体系では、経営が厳しいわけです。場合によっては、一般病院でもできるような医療までを出さざるを得ないというひずみは出てきています。

――法人化の前後、そして今との比較で、臨床、研究、教育にかける比重は変わってきているのでしょうか。

 臨床が忙しくなっており、教育、研究のウエイトが下がっています。収益を上げるために、われわれ経営陣はいかに数多くの患者さんに受診してもらい、しっかり診療して、地域の医療機関等にお戻しするかに腐心する。急性期病院として機能分化もあり、病床の稼働率、回転率ともに上げなければならず、以前なら1カ月くらい入院していたような患者さんでも、今は病状が安定したら、10日くらいで退院している。当然、労働密度の上昇につながるわけです。

――先生のご専門である眼科であれば、日帰り手術も増えた。

 その通りです。やや古いデータですが、国立大学病院の場合、臨床系教員が診療等に従事する時間の割合は、2002年は35.8%から、2013年には51.5%まで増えています。一方で、研究に充てる時間は、28.8%から2割を切り、17.7%になっています。今の時点で調査すれば、診療等の時間はさらに増えていると思います。

――これは国立大学に限らないことですが、2004年度の臨床研修必修化で、大学で臨床研修を行う若手が減少した影響もあると思います。必修化前は、7割以上が大学病院で研修していましたが、今は5割弱のまま回復の兆しはありません。

 確かにその通りです。ただし、千葉大に関して言えば、新専門医制度により、後期研修医(専攻医)が増えています。以前は1学年約100人だったのですが、今は150人くらいになっています。千葉県は医師不足なので、東京都や神奈川県と違い、シーリング(専攻医の上限)がかからなかったことが大きいと思います。

 まずは専門医を目指す若手に対して、より良い研修環境を提供することが大事。問題はその先で、専門研修が終わった後、最先端の医療をやりたい、研究をしたいという医師をつなぎ止めるために、いかに魅力のある大学、病院にするかということです。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190313-00009354-bengocom-soci
医師の残業「年1860時間まで」議論大詰め 救急医は「守れるルールを」  
3/13(水) 16:05配信 弁護士ドットコム

「医師の働き方改革に関する検討会」が3月13日、東京・霞が関の厚生労働省であった。年度末の取りまとめに向け報告書案が示されたが、例外的に勤務医の残業を「年1860時間」まで認める案などへの意見が尽きず、承認には至らなかった。次回は3月15日に開かれる。

●「年1860時間」適用にはいくつものハードル

報告書案では、まず前提として、医師も一般労働者と同等の残業時間規制とし、上限を「年360時間」とすることを明記。そのうえで、業務の大幅増など休日出勤がなければまわらない状況に直面したら、休日労働込みで「年960時間」まで認めるとした。

2024年4月時点で、こうした水準をすべての勤務医が達成している状況を目指す。ただ、現実的には、医師不足の地域などでは未達となるケースも想定される。このため、「地域医療確保暫定特例水準」という特例を設け、「年1860時間」まで容認するとした。

この特例の適用は2035年度末まで。具体的には、地域に十分な医療を提供するうえで真にやむをえないかどうか、都道府県が判断し、対象となる医療機関を特定する。特定されないと、「年1860時間」まで勤務医を働かせることは許されない。

さらに、行政による特定だけでなく、勤務医の睡眠時間(1日6時間程度)を確保し、疲労回復ができるよう勤務間インターバルや代休を与えるなどの健康確保措置を義務づける。

また、研修医が技術を重点的に磨く過程においても、医療機関が行政による特定を受け、健康確保措置をとることを条件に「年1860時間」まで認めるとした。

●「過労で命を落とす医師もいる」

「年1860時間」は、いわゆる過労死ラインを大幅に超える水準だ。すべての勤務医に適用されない例外的なものとはいえ、制度として位置づけられることに対し、検討会を見守る現役医師や過労死遺族たちは強い懸念の声をあげている。

この日の検討会でもさまざまな意見が出された。

連合の村上陽子氏は「1860時間が安易に認められることはないことは重々承知しているが、過労で命を落とす医師もいる。1860時間という時間には賛同できない」と発言。

救急医の赤星昂己氏は「守れるルールを作るのが一番大事かなと思う。960時間にすると、表面上このように見せかける病院が出て、本末転倒なことになるかもしれない」。

日本病院会副会長の岡留健一郎氏は「960とか1860は医療界にとって非常に厳しい数字だが、医療界が総力をあげて取り込んでいくことが大事。早く目標を決めて、4月以降、具体的な実行をしていくことが大事」と述べた。

「年1860時間」という数字がひとり歩きしているなどとして、報道への不満も複数聞かれた。ただ、どの意見も具体的な媒体を名指ししたものではなかった。

●副座長が辞任、「若手の医師が希望を持てるよう」

検討会では、2月22日付で副座長の渋谷健司・東大院教授が辞任したことも報告された。

医療系メディア「m3.com」が伝えたところによると、渋谷氏は「1860時間に納得できるロジックがあるわけではないので、前に進めるのならば僕ではない人を副座長に選んでまとめていただきたいと思っている」と語ったという。

座長の岩村正彦氏(東大院教授)は「渋谷さんが残念ながら辞任された。渋谷さんが、『若手の医師が希望を持てるような改革でなければならない』とおっしゃっていたのが印象的だった。そういう観点からも次回の議論を深めたい」と述べた。

弁護士ドットコムニュース編集部



https://www.yomiuri.co.jp/local/ehime/news/20190312-OYTNT50077/
八幡浜での分娩停止へ  
2019/03/12 05:00 読売新聞

 ◇産婦人科3月末で 診療、治療は継続

 八幡浜市内で唯一、出産が可能だった産婦人科医院(19床)が今月いっぱいで分娩ぶんべんの取り扱いを停止することがわかった。八幡浜保健所管内(八幡浜、大洲、西予3市と内子、伊方2町)で出産を取り扱うのは大洲市の2医院(計24床)のみとなる。

 医院によると、少子化や院長の高齢などを停止の理由に挙げている。分娩は扱わないが、一定時期までの妊婦健診を行い、その後は希望する産科施設を紹介するシステムに移行する。産婦人科疾患の診療や治療などの受け付けは継続する。

 八幡浜市内での出生数は2017年度で199人。市内では、市立八幡浜総合病院が出産業務の再開を目指すが、めどはたたない。

 八幡浜総合病院では、医師不足もあって12年1月から出産の取り扱いを中止。現在、産婦人科には医師1人と助産師4人がいるが、新年度には助産師が1人減る。昨年、将来的に分娩の取り扱いの再開を目指して助産師4人程度を募ることにし、資格取得を希望する病院内の看護師に必要経費などを助成する支援策を打ち出したが、希望者はいないという。

 市では愛媛大などに産婦人科医も含めた医師の派遣を要望している。大城一郎市長は「市立病院で出産できるよう今後も働きかけていく」としている。



https://www.sankei.com/affairs/news/190311/afr1903110005-n1.html
【主張】東日本大震災8年 被災地の思い次代に繋げ 新たな発想でまちの復興を  
2019.3.11 05:00社会地震・災害 産経新聞

 8年がたった。東日本大震災の死者は1万5897人、行方不明者は2533人に上る。一人一人の暮らしがあり、家族や友人がいた。それが突然引き裂かれた。

 時を経ても「3・11」は鎮魂の日であることに変わりはない。改めて犠牲者の冥福を祈るとともに震災の記憶と、困難を乗り越えた復興の取り組みを次代に伝えていく責任を共有したい。

 ≪鉄路に映る人々の願い≫

 復旧、復興はなお途上だ。岩手県沿岸を走る第三セクター・三陸鉄道(三鉄)の新生「リアス線」が、震災から8年を経て今月23日に繋(つな)がるのは、復興の道程(みちのり)の長さを象徴する。

 津波で不通だったJR山田線釜石-宮古間が三鉄に移管され、大船渡市の盛(さかり)駅から久慈市の久慈駅まで163キロが全通する。鉄路の再開は生活の足だけでなく、復興への勇気と希望を与える。

 東日本大震災では津波で駅舎が流されるなど寸断された。だが復旧をあきらめなかった。5日後から順次再開した三鉄の関係者の努力は、次代を担う子供たちのため岩手県が進める復興教育の教材にも取り上げられている。

 三陸を訪れた今月初め、北リアス線を運転していた宇都宮聖花さん(24)は宮古出身で、津波で友人を亡くした。首都圏の鉄道会社に入社し駅員を務めていたが震災5年を機に、運転士を募集していた三鉄に採用された。幼い頃から三鉄に親しみ、ふるさとを思う人材が今後を支えていく。

 もちろん「リアス線」を取り巻く環境は楽ではない。車窓から震災直後の凄惨(せいさん)な様子はうかがいしれないが、沿線で高い防潮堤や土地をかさ上げする工事が続いている。工事が終わっても人々のにぎわいが戻らない「空白」が広がる。他の被災地にも共通する。

 被災地の復興は転機にある。政府が総仕上げと位置づける「復興・創生期間」は残り2年と少なくなってきた。福島などを含め全体の避難者は当初の47万人から大幅に減ったものの、なお5万2千人に上る。仮設住宅で暮らす多くの人がいる。

 息長い支援が必要だ。そのためにも行政のみならず、一人一人が被災地をけっして忘れない、との強い思いを新たにしたい。ボランティア、観光を含め、さまざまな機会を捉え、被災地に足を運びその体験を知ることは復興の後押しになるはずだ。

 新生「リアス線」の駅の一つ「鵜住居(うのすまい)」(岩手県釜石市)は、今秋開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の会場となる新スタジアムの最寄り駅だ。スタジアムは津波で大きな被害が出た小中学校の跡地につくられた。

 市立釜石中学の川崎一弘校長は震災の前から市教委で防災教育にかかわった。津波から児童生徒が避難し「釜石の奇跡」といわれたが、奇跡でなく「日頃からの備えが重要」だと指摘する。「命の尊さを十分知っていればマニュアルに左右されず自然と必要な行動に繋がる」とも話す。

 ≪参加促す「芽」広げたい≫

 震災後、力を入れている一つが避難所の開設訓練だ。震災時、日頃から地域との交流が盛んな学校ほど教員らと役割分担し円滑な運営ができた。「学校が地域に何ができるか」双方向の発想は、防災教育だけでなく今後のまちづくりにも生かされるはずだと言う。

 人口減が止まらず、にぎわいが戻らない被災地の課題は、被災地以外の日本の将来を映す。

 地域の再興へ、若い医師の取り組みを紹介したい。震災を機に宮城県登米(とめ)市で地域医療にあたる田上(たのうえ)佑輔さん(38)だ。特徴的なのは東京など都市部と、登米市のそれぞれ在宅診療専門の拠点を設け医師が毎週、ローテーションで勤務する。同僚と立ち上げたが、参加しやすい仕組みで、いまでは仙台などの若手医師も加わり、約30人が参加している。

 東京大学付属病院に勤務していたとき震災が起き、宮城県南三陸町の避難所のボランティアを経て県に相談し、医師不足など深刻な登米市を紹介された。同市は震度6強に見舞われた地だ。

 田上医師は「震災でふるさとを離れても、戻りたい、貢献したいと思っている人は多い。まちづくりに、起業的発想で参加しやすい仕掛けなどが必要ではないか」と話す。震災を機に、絆を生かした復興の芽も息吹(いぶ)いていることを知っておきたい。



http://news.livedoor.com/article/detail/16163083/
医師の長時間労働、「上限規制」だけでは変わらない現実  
2019年3月15日 8時31分 HARBOR BUSINESS Online

「働き方改革」が進むなか、厚生労働省は医師の働き方にもメスを入れようとしている。残業時間に上限を設けることで、長時間労働を解消しようとしているのだ。しかし患者の命を守るという医師の職務の特性上、一筋縄ではいかないようだ。

◆「上限があっても、患者さんの具合が悪いと病院から帰れない」

 厚労省の「過労死等防止対策白書」によると、時間外労働が「過労死ライン」とされる月80時間を超える医師のいる病院が全体の20.4%に上る。月100時間以上も12.3%に上った。

 長時間労働は、医師本人の健康を害するだけでなく、医療ミスを引き起こす可能性もある。医師ユニオンが1803人を対象に医療過誤の原因を複数回答で聞いたところ、56.4%が疲労による注意不足と答えている。

 こうした中、厚生労働省は、2024年4月から勤務医に適用となる残業時間の上限を年960時間とする方向で検討を進めている。ただ、地域医療を担う医師の上限は1860時間とされそうだ。医師の過重労働を解消するためには、上限を引き下げていく必要があるだろう。

 しかしそもそも残業時間の上限を設けるだけで、医師の労働時間を削減することができるのか。そう疑問を投げかけるのは宮崎春香医師(仮名・40代)。専門は血液内科で、これまで大学病院や総合病院で勤務してきた。

「残業時間の上限を設けたところで、受け持ちの患者さんの具合が悪ければ実際には病院から帰れません。大学病院に勤務していた頃は、病棟で10~20人くらいの患者さんを持っていましたが、常に誰かが熱を出したり、誰かの容体が急変したりするので土日も関係なく仕事をしていました。当直の先生もいらっしゃいましたが、当直の先生1人で全ての患者さんを診るのは無理があります。結局、何かあれば担当の医師が呼び出されることになるわけです。20~30代の頃は友人の結婚式をドタキャンしてしまったことも何度かありましたね」

 受け持ちの患者の容体が悪いと病院から帰れないのが実情なのだ。実際、一週間病院に泊まり込んだこともあったという。

 医師が病院を離れられないのは、診療のためだけではない。患者の家族への対応も医師の負担になっている。

「患者さんのご家族にも病状を説明する必要があります。家族への説明も大切な仕事の一つなんです。ただ家族の方が夜遅くや土日しか来られないことも多い。患者さんに何かあったときに『この先生はきちんと説明すらしてくれなかった』ということになってしまうので、結局、夜遅くまで家族の方を待っていたり、土日に出勤して対応することになってくるんです」

◆医師の数だけでなく、「医師事務作業補助者」の拡充も

 こうした状況を改善するためには、医師の勤務をシフト制にして、医師の業務時間と業務でない時間を分ける必要があるという。

「主治医がいつでも対応し夜間も呼び出されて診るのではなくて、シフト制にしていく必要があると思います。シフト制にするには医師の人数を増やさねばならないでしょうし、患者さんにも理解してもらわなければなりません。」

 さらに、医師が担っている周辺業務を減らしていく必要もある。「過労死等防止白書」によると、時間外労働の原因は「診断書やカルテなどの書類作成」が57.1%で最も多かった。伝票や保険会社に提出する診断書の作成を、通称「ドクターズクラーク」と呼ばれる医師事務作業補助者が肩代わりしていく必要があるだろう。

◆徹夜で業務の「当直」、労働時間に算入されないことも

 どこからどこまでを労働時間に算入するのかという問題もある。夜間の当直は、本来の業務を行わずに待機しているだけであれば、労働時間に算入されない。しかし宮崎医師によると、当直も普段の勤務と同じように働いているのが実情だという。


「当直は、何かが起きたときに備えて待機している、要するに寝ているということになっているのですが、実際にはほとんど眠ることができません。ちょっと寝ようと思っても、30分経たないうちに呼び出しが掛かったり、救急車が来たりするんです」

 こうした現状にもかかわらず、当直を勤務時間として扱っていない医療機関も少なくない。厚労省は、労働時間に算入されるかどうかの基準を見直しているが、当直が労働時間にならない限り、過重労働の削減は実現しないだろう。

◆「女性はいらない」時代は終わり

 医師の過酷な労働環境は、女性の排除にもつながってきた。医師の転職支援サービスを提供するメディウェルが医師653人を対象に調査を実施したところ、「医療の現場は男性でないと無理だと思う」といった声がいくつも寄せられた。女性の医師は、“体力面で男性に劣る”、“産休や育休を取得するから迷惑だ”と考える医師が少なくないのだ。

 東京医科大学が女性の受験者を一律で減点したことに対しても、「必要な措置」が8%、「良いことではないが必要悪だと思う」が47%で、過半数が容認している。宮崎医師自身も差別にあったことがある。外科を志していたにもかかわらず、「女はいらない」とはっきり言われたという。

 しかし長時間労働を放置して、体力に自信のある人だけが医師になればよいという考えは改めなければならないだろう。女性の医師が産休や育休を取得しても、働き続けられる環境の整備が必要だ。

「最近は男性でもワークライフバランスを求める人が増えてきています。長時間働けない人でないと医師になれない、外科には進めないとなると担い手が不足してしまうでしょう。誰もが長く働き続けられるような環境が必要ではないでしょうか」

<取材・文/HBO取材班>



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190315-12550000-cbn-soci
残業上限の厚労省案、「地域医療守るためやむなし」 - 全自病・小熊会長  
3/15(金) 12:55配信 医療介護CBニュース

 全国自治体病院協議会(全自病)の小熊豊会長は14日の記者会見で、暫定特例として医師の時間外労働(残業)の上限を年1860時間までとする厚生労働省案について、地域医療を守るためにはやむを得ない対応だとの考えを示した。【松村秀士】

 医師の働き方改革を巡って、厚労省は「医師の働き方改革に関する検討会」で、地域での医療提供体制を確保するための暫定的な特例水準として、想定外の業務量の大幅な増加などによって限度時間を超えて医師に労働させる必要がある場合、時間外労働時間の上限を年1860時間とすることなどを提案している。

 これについて、小熊会長は、「地域の医療を維持するために、ある程度やむを得ないのではないか」と一定の理解を示した。その上で、各病院は医師の時間外労働を現状よりも減らす努力をする必要があるとしたが、そのためには医師の代替者などの人件費がかかると指摘。医師の働き方改革を進める際には、代替者の人件費などを国が補助すべきとの考えを示した。

■医師の働き方改革で会員向け調査、5月ごろ結果公表

 14日の会見で全自病は、医師の働き方改革に関する調査を実施していることを明らかにした。対象は、会員の875病院で、▽医師の労働時間の短縮に向けた緊急的な取り組みの進捗▽医師の研さんと労働時間の管理の取り扱い▽医師の宿日直やオンコール、救急医療体制▽経営への影響―などを聞く。

 全自病では、22日に調査票の提出を締め切り、5月ごろに結果を公表する予定だ。



https://www.medwatch.jp/?p=25413
医師の時間外労働上限、医療現場が「遵守できる」と感じる基準でなければ実効性なし―医師働き方改革検討会  
2019年3月15日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が、佳境に入っています。

すでにメディ・ウォッチでお伝えしたように3月13日には、厚生労働省による、これまでの検討会論議を踏まえた「報告書」案をベースに熱い議論を行い、さらに15日にも最終に近い意見表明が各構成員からなされました(関連記事はこちらとこちら)。

後述するように、いわゆる「B水準」(地域医療を確保するための暫定的な特例水準)である「時間外労働上限1860時間」には、労働組合を代表する構成員から「過労死認定基準を大きく上回る非常識な数字である」といった根強い反対意見も出ています。しかし、労働法制研究の第一人者である荒木尚志構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」旨を冷静に述べ、当初案としての「年間1860時間」の妥当性を説いています。
 
ここがポイント!
1 医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない
2 B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
3 2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
4 医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ

医療現場が「遵守できるわけがない、遵守しなくてもよい」と考える基準では意味がない

 医師(勤務医)の健康を確保しながら、地域医療提供体制を守る―。こうした難しい課題の両立に向けた議論が検討会で進められています。

まず、▼医師の労働時間を的確に把握し、管理する(いわゆる36協定の締結が前提となる)▼医師でなくとも実施可能な業務を他職種に移譲(タスク・シフティング)していく▼病院のマネジメント改革を行う―といった取り組みによって医師の労働時間短縮を進め、2024年4月以降、「原則として、すべての医療機関・医師において時間外労働の上限をA水準(年間960時間)に収める」ことを目指します。

しかし、地方の救急医療機関などでは医師確保が難しいことも手伝い、どれだけ労働時間短縮を進めても「A水準の達成が困難」な場合が出てきます。また、「高度な医療技術を獲得するため、短期間で集中的に多数の症例を経験したい」という医師の志・意向も十分に汲む必要があります。こうした点を踏まえ、厚労省は、2024年4月からの「医師の時間外労働上限」(仮に医師が望んでも超えてはならない上限)を次のように設定してはどうかと提案しています。

【原則】(A水準)
▽年間960時間以下・月100時間未満
▽やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などの努力義務を課す

【地域医療を確保するための特例】(B水準、地域医療確保暫定特例水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とする

【技能向上のための特例】(C水準)
▽年間1860時間以内
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とし、さらに初期臨床研修医(C1)については更なる配慮を行う
 
 3月15日の検討会では、このうちB水準の「年間1860時間」という数字について、多くの構成員から「最終的な見解」が提示されました。

 労働組合を代表する村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)や工藤豊構成員(保健医療福祉労働組合協議会事務局次長)、森本正宏構成員(全日本自治団体労働組合総合労働局長)らは、「A水準の2倍近い、過労死認定基準を大きく上回る非常識な数値である」「長時間勤務可能な医師でなければB水準医療機関に勤務できなくなり、長期的に見て医療提供体制は脆弱化する」とし、「年間1860時間」案を改めて批判しました。

 これに対し、医療者代表として参画する岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「すべての医師に1860時間を強いるわけではない。A水準(年間960時間)に向けて医療界が一丸となって努力していこうとの姿勢を明確にしている」とし、理解を求めています。また実際に地域医療を守る遠野千尋構成員(岩手県立久慈病院副院長)は、「年間1860時間がすべての医師に適用されるわけではない。労使が協議して締結する36協定においても、超えてはならない上限が年間1860時間である点を十分に理解すべき」と強調しています。

 さらに、労働法制研究者である荒木構成員は、「仮に現場で遵守できないような基準を設定しても実効性がなく、罰則を付けても、『患者の命守るために、このような規範は守る必要がない』と考える医師も少なからずでてくる。『遵守しよう』と医療現場が納得できる基準が必要である」と冷静にコメント。厚労省の提案する「年間1860時間」の妥当性を説きました。

地域医療提供体制を守りながら、医師の健康を確保していくことが目的であり、「報告書に少しでも短い時間外労働上限を書き込む」ことが重要なわけではありません。荒木構成員のコメントどおり、実現可能性のない目標を設定し、医療現場が「このような無体な目標は遵守できるわけがない。遵守しなくともよい」と考え、「実際は長時間働いているにもかかわらず、罰則を逃れるために形だけ労働時間を短くする」ような事態が生じる可能性もあります。これでは、働き方改革には何の意味もなくなってしまいます。まず「実現可能な当面の目標」を定め、それに向かって努力(労働時間短縮)をし、結果を踏まえて次の新たな目標を考えることが重要ではないでしょうか。

B水準の2025年度解消に向けた取り組みを、気概を持って進めることが重要
B水準(年間1860時間)は「暫定的な特例水準」に位置付けられ、「働き方改革」の必要不可欠要素の1つである「医師偏在対策」が完了する2036年3月(2035年度末)を解消目標とすることになっています
 
この点、村上構成員や森本構成員は、実効性を持たせるために、「2035年度がB水準の終了年度であることを法律などに明示すべき」と改めて主張しています。

 ただし、例えば厚労省や都道府県が「A医師は●●病院の外科で勤務すること、B医師は◆◆センターの救急科で夜間対応すること」などの強制権限を持てば、2035年度末に医師偏在対策が完了し、医師働き方改革のB水準解消も確実となるでしょう。しかし、当然、行政にこうした強制権限はなく、仮に権限があっても実行すべきではありません。このため、医師偏在対策・働き方改革についても不確実な要素が多々あり、終了年度を法定することに大きな意味があるとは考えられないのです。

もっとも、村上委員らの指摘は「2035年度末のB水準解消に向けて、気概を持って取り組むべき」との趣旨であり、終了年度の法規での明示は別にして、厚労省では「報告書の書きぶりを強調する」考えを示しています。

 なお、B水準の対象は、▼労働時間短縮を進めても、なおA水準を満たせない▼地域医療の確保にとって必要不可欠な機能を持つ―ものとして都道府県が特定した医療機関となります。

後者の「地域医療の確保にとって必要不可欠な機能」として、厚労省は次のような例示を行っています。
▽3次救急医療機関
▽2次救急医療機関かつ「年間救急車受け入れ台数1000台以上また年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画の5疾病5事業に位置付けられた医療機関」
▽在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
▽「公共性と不確実性が強く働く」として、都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関(例えば、特に患者の集中する精神科救急や、小児救急、僻地中核医療機関など)
▽特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替が困難な医療を提供する医療機関(例えば、高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科など)

 この点について岡留構成員は、「都道府県間で、解釈にバラつきが生じないようにすべき」と指摘しています。B水準として特例されるか否かは、病院の存続にもかかわる極めてセンシティブな問題であり、病院側が「不公平がある」と感じれば制度への信頼が揺らいでしまうためです。

2024年4月までに、全医療機関で「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を推進
 時間外労働上限(A・B・C)は2024年4月から適用され、これからの5年間で、▼適切な労務管理▼労働時間の短縮―をすべての医療機関で進めることが必要となります。多くの構成員からも「5年間の取り組みが極めて重要である」との意見が相次ぎました。
 
例えば、若手医師代表の1人である三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)は「すべての医療機関における労務管理や労働時間短縮の事態を把握し、公表すべき」と提案。また裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「労務管理の徹底においては、ミドルマネジャー層(医長など)への周知が重要となる。『俺の若い頃は』というミドルマネジャー層の意識を改革することが必要である」と訴えました。

また、救急現場で命を守る赤星昂己構成員(東京女子医科大学東医療センター救急医)は、「労務管理のために書類が増えては、医師の負担が増加し、本末転倒となってしまう」と述べ、「優れた労務管理を行っている病院」などの好事例を横展開することが重要と指摘しています。

 なお、産業医でもある黒澤一構成員(東北大学環境・安全推進センター教授)は、「現状、2000時間、3000時間という長時間の時間外労働をしている医師がいる。そうした医師への緊急対策(労働時間の短縮や健康確保措置の実施)が必要である」と強調しており、これがまさに厚労省の提案内容そのものです。このためには適切な労務管理が大前提となり、これは今すぐにすべての医療機関で進めるべき事項です。

医師の働き方改革では、「地域医療構想の実現」が必要不可欠要素の1つ
また、労働時間短縮などは「個別医療機関だけでは実施できない」部分も少なからずあります。例えば、地域に複数の病院が乱立し、それぞれが救急医療を実施すれば、医療資源が分散しているために、個々の医師の負担は大きくなってしまいます。このため、働き方改革においては「地域医療構想の実現」も必要不可欠な要素の1つとなります(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

検討会では、「地域医療構想調整会議において、『平日夜間の救急は●病院に集約する』などの議論を行う必要がある」(鶴田憲一構成員:全国衛生部長会会長)、「医療機関の集約化を進める(医療資源が集中し、効率的な診療が可能となり、労働時間短縮も可能となる)とともに、患者の医療機関へのアクセス確保策を講じるべき」(戎初代構成員:東京ベイ・浦安市川医療センター集中ケア認定看護師)、「個別医療機関へのペナルティよりも、地域の医療提供体制の再構築支援を重視すべき」(今村構成員)といった具体的な提案がなされています。

 厚労省では、3月13日・15日の両日に出された意見を踏まえて「報告書」案を修正。今後、ギリギリの調整を検討会で進め、3月中(2018年度内)に「報告書」を取りまとめることになります。



https://dot.asahi.com/dot/2019031100067.html
連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」
“奨学金”を返済したのに希望する病院で働けない 医師が語る「地域枠入試は誰のため」 
 
山本佳奈2019.3.13 07:00 アエラdot.#大学入試
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は医学部入試の「地域枠」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

*  *  *
 2月末、全国各地で行われた国公立大学医学部の前期入試。昨年、東京医科大が、私立大支援事業に選んでもらう依頼をした見返りに文部科学省の前局長の息子を入試で合格させたとして、同大学の前理事長と前学長が贈賄罪で起訴されるなど、医学部における女子受験生や多浪生減点といった不正入試が明るみになってから初の入試。医学部受験生にとっては、昨夏以降、複雑な思いを胸に抱いたまま、受験に挑まれたことと察します。

 裏口入学だけなら、もしかしたら「まあ、裏口はあると思っていたよね」で終わっていたかもしれません。けれども、女子受験生を一律に減点していたという事実は日本国内にとどまらず、「女子差別である」と、米国や英国をはじめ、世界各国で報道されました。

 これら一連の報道や文部科学省の調査により、女子差別や多浪性差別に隠された医学部入試における闇が明らかとなることを期待したものの、究明されたとは言い難いまま迎えた入試となったのではないでしょうか。

 受験シーズンも佳境を迎えている今、医師の偏在を解決するために、国や県が主導し、2009年の導入以降、大部分の医学部に設置された「地域枠」について、自身の受験体験記も交えながらお話したいと思います。

■地域枠入試とは

「地域枠」とは、自治体から奨学金を得る代わりに医師になったら、約9年間、当該の自治体で医師として勤務することを“約束”するものです。仕組みは様々ありますが、自治体の多くは、地域枠で入学した医学生に、10%以上の年利で月20万~30万円の奨学金を貸し付けます。医学部卒業時に、借金が2000-3000万円にも上ることになりますが、奨学金が支払われた自治体の指定された医療機関で一定期間医師として勤務すれば、奨学金の返済が免除されるという仕組みです。
 医師になる夢を諦められなかった私は、1年間だけ浪人して医学部を目指すことを決めました。

「私立の医学部に入るお金はない」

 そう両親からはっきりと言われた私には、国公立の医学部に合格するしか医師になる方法はありませんでした。しかし、受ける模擬試験全てでD判定かE判定ばかり。「地域枠は一般枠よりも偏差値が下がるから、医学部に入りやすくなる」という噂を予備校で耳にしていた私は、願書を出す際、「医者になるチャンスが、ほんの少しでも広がるなら」と思い、「地域枠」を本気で検討したのでした。

 募集要項には、滋賀で働く意思や義務年限、授業料や入学金が奨学金でまかなわれるということについての内容の記載はあったものの、奨学金返済時の利子のことなど詳しい記載はなかったように記憶しています。地元で医師として働けば、奨学金を返済しなくていいという制度は、親の負担も減るのでは、と少なからず魅力に思えたのでした。

 けれども、生まれ育った滋賀にいるか分からない。卒業後、滋賀にいたいと思うかどうかわからない。県外に出てみたいと思うかもしれない――。そう考えた私は、地域枠を希望することをやめてしまいました。

■「19歳の私」に6年先の人生を決めさせる

 医師になるまで、最短でも6年かかります。つまり、「地域枠」を選択するということは6年先の人生を決めるということ。19歳の私にそんな先のことが、分かるはずも想像できるはずもありませんでした。今思うと、将来のことの約束を守る自信が私にはなかった、というのが正直なところだったと推測しています。

 医師になり、私は生まれ育った関西を離れました。19歳の私と、25歳の私とでは、見ている世界も見えている世界も考え方もまるで違います。医学部の門すら叩いていない19歳に、将来の勤務の仕方を決めさせるのは酷なのではないでしょうか。

 奨学金給付を受けている地域枠の医学生数名に話を聞いたところ、「年利に関する記載が入学願書になく、よくわからなかった」といった声や、「卒後9年間の義務年限や、10%もの金利を考慮すると、もっといい条件の奨学金があったのではないか」と漏らす医学生もいました。

 文部科学省によると、2017年には全医学部入学者の20%を占めるまでになっている「地域枠」ですが、一方で、過去11年間で地域枠の定員の1割以上を占める800人以上の学生が、実際には勤務地に制約のない「一般枠」の扱いになっていることが昨年の厚生労働省の調査で判明しました。つまり、「地域枠」の定員が埋まらなかったというわけです。

■制度の“離脱者”は「採用しないように」

 厚生労働省は「地域枠」離脱者対策として、病院側に、入学時の取り決めを違反した地域枠卒業の医師を採用しないよう事実上の指示を出しています。これは借金を返済した医師を含めて、です。この結果、地域枠で入学した学生は、借金を返済しても希望する病院で働けなくなってしまうというありさま。さらには、地域枠の医学生が、地域枠から離脱しないようにするにはどうすればいいか、という議論すら行われているのです。

 日本国憲法では就業の自由が定められおり、就業場所を強制することはできません。「地域枠」という制度は、10%もの年利付きの奨学金という形でお金を押し付けて多額の借金を背負せることで、勤務先や居住地を選択する自由を奪い、就業場所を強制していると見ることができるのではないでしょうか。

 最近お会いした医師会の先生は、「開業医の子弟をいれるための制度だよね」と、はっきり言っていました。「息子や娘が医師として地元に残って働いてくれるのは大変ありがたい制度。それが地域枠の目的の一つなんだろうね」と。

 現行の「地域枠」は、医師偏在を解消することに特化されており、若手医師の教育に対して十分に注意が払われていないことが最大の問題だと思います。地域医療が抱える問題は個別具体的であり、医師偏在を解消するための数合わせにしかすぎない「地域枠」では、地域医療に取り組む医師を集める解決にはならないのではないでしょうか。



https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00631/00001/
データで斬る、地域医療の今!
在宅医療支える医療機関、400以上の自治体で空白
選択肢ある豊かな「人生会議」ができる町へ 
 
前田 健太郎=ミーカンパニー 代表取締役
日経 xTECH

 自らが望む人生の最終段階における医療やケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い考える――。これは厚生労働省が啓発している「アドバンス・ケア・プランニング」の内容である。2018年11月30日に愛称が「人生会議」に決まった。

 しかし人生会議を経て、もしものときに望む医療サービスやケアを決めたとしても、その選択肢であるはずの在宅医療の環境整備は、地域によって追い付いていない現状が、データから明らかになった。

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図1:在宅療養支援診療所・病院の整備状況
(出所:ミーカンパニー)
[画像のクリックで拡大表示]
 最新の医療施設データベース(SCUEL DATABASE)で、2018年7月(厚生局への届け出時点)の在宅医療を支える医療機関を調べると、全国の2割に当たる400以上の地方自治体で、いまだに環境が整っていないことが分かった。空白地域は主に東日本に目立っている。

 在宅医療を支える医療機関は、「在宅療養支援診療所・病院(在支診・病)」と呼ばれる。24時間連絡および往診可能な体制、他の医療機関との連携機能を備え、在宅医療サービスを提供する。在支診・病の数は、ここ数年、微増にとどまりあまり伸びていないのが実態だ。2018年12月時点で全国に1万5453(2017年は全国で1万5114)あり、内訳は病院が1374、診療所が1万4079となっている。

 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」(2017年度)の結果を見ると、末期がんとなった時の療養場所の希望は、医療機関や介護施設を抑えて自宅が過半数に迫る第1位(47.4%)である。自宅で療養するときに、日々の容体に合わせ寄り添ってくれる医療サービスがあることは、本人にとっても家族にとっても、非常に重要であることは間違いない。早急に在宅医療の環境整備が求められる。訪問診療の実施回数に大きな開き
 在宅医療の環境整備は、対応する医療機関の数だけでは判断できない。医療機関の報告書「在宅療養支援診療所(病院)に係る報告書(2018年7月報告)」から構築したデータベースによって、診療の実施回数に大きな開きがあることが分かった。


図2:月間訪問診療実施回数(年間の報告を12カ月で割った値)別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 計画的に診療を行い日常の容体に寄り添ってくれる「訪問診療」の実施回数について、ある医療機関では1カ月に5000回を超えていた。一方で1年間に0回または回答がなかった医療機関は、報告全体の約11%になる1562医療機関に上った。申請をしているが実態として実施が難しいという別の課題を抱えている医療機関もあるだろう。そういった医療機関を含めて、実施回数が1カ月に100回未満の医療機関は1万934あり、全体の約4分の3を占めることが分かった。

 急に診てもらう必要があるときの「往診」実績についても同様だった。年間往診実績がゼロ回もしくは回答がなかった医療機関は10.7%で1546医療機関、1年間の往診回数が12回以下の医療機関は全体の約34%である。


図3:年間往診実績回数別の医療機関数
(出所:ミーカンパニー)(略)

 実施件数が突出して多い医療機関は、介護施設などへのサービスを実施しているケースが主に想定される。逆に上記のような実施件数が少ないところは、非常に多忙な中、地域の患者のために実施しているケースなども想定される。


図4:医療機関ごとの訪問診療回数と自宅看取り実績の状況
(出所:ミーカンパニー)
[画像のクリックで拡大表示] (略)

 日々の訪問診療が手厚いからといって、そのまま自宅での看取り(みとり)まで寄り添い、診てもらえるかといえば、現状は必ずしもそうではないようだ。往診や看取りは連携の医療機関に任せていると思われる医療機関も多い。

 訪問診療の多い医療機関について、患者の自宅での死亡数を見るとそれがよく分かる。在宅医療サービスとして求められる(1)退院支援、(2)日常の療養支援、(3)看取り、(4)急変時の対応の4つの機能を分担しながら、複数の医療機関で24時間体制をとり、在宅医療の機能を維持しているところも多い。

 誤解のないよう付け加えると、在宅医療のサービス提供は在支診・病でのみ提供されているのではない。24時間体制とはいかなくても、訪問診療・往診などは在支診・病以外の医療機関でも行われている。急変時は救急車も呼べる。介護保険での訪問看護のサービスも提供されている。

 しかし、前述した在宅医療に求められる4つの機能を積極的に担う医療機関が在支診・病である。在宅サービスの提供体制が整ってきているかを判断するには、在支診・病の実態のデータを分析し、検討すべきである。

図5:地図で見る在宅医療の実際(出所:ミーカンパニー)
23の在支診・病がある水戸市のそれぞれの訪問診療・往診・看取りの実態
[画像のクリックで拡大表示](略)

地域のサービスの見える化に期待

 自分や家族の住む地域で、訪問診療や往診、看取りといったサービスが、今どこで受けられるのか知ることは、重要なはずだ。まだ整備は十分とは言えない。しかしデータがあるのだから、それぞれが望む適切な医療機関に本来アクセスできるのだ。分かりやすい「見える化」の仕組みが必要だ。

 2019年1月に厚生労働省は通知「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」で、在宅医療の市区町村単位での見える化を都道府県に促した。これによりまた、地域医療の整備が進むと考えられる。

 自らの残された時間を住み慣れた街や自宅でと考えるとき、在宅医療サービスが選択肢になる。安心して寄り添ってもらえる医療機関や必要なサービスがあってこそ、人生会議にも取り組みやすくなるだろう。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42430380T10C19A3EE8000/
病院の高額医療機器、共同利用へ指針 厚労省、無駄な検査抑制   
2019/3/14 1:00日本経済新聞 電子版

厚生労働省は磁気共鳴画像装置(MRI)など高額な医療機器について、近隣の病院間での共同利用を促す。地域ごとに住民の年齢構成や性別を加味して機器の過不足が分かる指標を作り、新規購入や機器の更新を検討する病院に提供する。国内の高額医療機器の配置数は主要国の中で多い。病院が稼働率を上げるために必要以上に検査を促す環境を改め、医療の効率化につなげる。

指標は、複数の市町村をまたぎ一般的な入院医療を提供できる地域単位の「二次医療圏」や都道府県ごとに定める。2019年度にも人口10万人あたりの高額な医療機器台数の配置状況を示す方向だ。機器が普及している地域では共同利用のためのネットワーク作りを支援する。

MRIやコンピューター断層撮影装置(CT)など高額機器の購入には数千万円から高いもので10億円を超える。費用は医療機関が負担するが、検査は基本的に公的医療保険の対象だ。例えば、MRIの検査費は2万~3万円程度だ。自己負担が3割の患者で2万円の検査費がかかったとすると、1万4千円は公費で負担する。医療機関が機器の稼働率を上げる目的で、過剰に検査を行うと医療費の膨張につながる。

国内の病院と診療所は合計で約11万施設ある。約1万施設でCT、5千施設にMRIが設置されている。人口10万人あたりでみるとCTの台数は10.7台で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均の2.6台を大きく上回る。MRIの検査数を人口1千人あたりでみると、主要7カ国ではドイツに次いで2番目に多い。

地域格差も大きく、CTは国内で最も多い徳島県が10万人あたり21.8台、最少の神奈川県は6.4台だ。人口あたりの機器の台数が多いほど、1台あたりの稼働率は低くなる傾向にある。施設の充実ぶりを示すために高額な医療機器を置くケースがあり、厚労省によると検査の実績がない施設もある。OECDは日本の医療事情について「高額な機器の使用効率が低い」と指摘する。

医療機関の間での共同利用はまだ進んでおらず、財務省によると高性能なMRIで1割台にとどまる。一部の実施例では効果が上がっている。熊本県の「天草医療圏」では8割近くの医療機関が共同利用のネットワークに加入。必要に応じて、機器のある病院の専門医と診療所の医師が同じ画像を見ながら治療方針を相談するなど、医療の質向上にもつながっている。

国内の総人口は直近1年間で約30万人減り、人口減は加速することが見込まれている。地方ではMRIなどが増えなくても、医療機関が機器を更新して維持するだけでも需要を上回る設備投資になっていく可能性が高い。厚労省は高額な医療機器の購入制限という強制的な措置には踏み込まず、機器の配置状況を「見える化」することで、医療機関に周辺の病院との共同利用を促す狙いだ。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/190311/prl1903111320050-n1.htm
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表  
2019.3.11 13:20 SANKEIBIZ


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 2019年3月11日、東京・福島 世界の医療団日本(理事長:ガエル・オスタン)と相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ、理事長:大川貴子)は、7年にわたる福島県相双地区での協働の経験によって編み出された包括的なこころのケアのノウハウとパートナーシップの教訓を広く共有する目的で、冊子「福島のこころのケア:実践と教訓」を発表します。

 東日本大震災後8年経てども、終わりの見えない原子力災害の影響で、福島のこころのケアのニーズは時とともに変遷し複雑化してきました。被災から復興の過程で地域のつながりが分断されてしまった浜通り地区では、生活基盤や周囲の環境の激変や度重なる移転のストレスや疲労だけでなく、帰還先や避難先で多様な背景を背負ってくる人々と新たにコミュニティを築いていかねばならず、住民は大きな精神的、心理的、社会的な負担を経験します。

 一方では、原子力災害に起因する子育て世代の専門家の県外流出が著しい福島では、肥大するニーズに対して保健医療福祉人材が慢性的な支援者不足に陥っています。全国的にも保健医療福祉分野の人手不足が深刻化する中、福島県沿岸部では中長期的な保健医療福祉人材の育成、確保、定着に取り組みつつも、短期的には県内外からの人材派遣に頼らざるを得ません。

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福島におけるこころのケアのニーズは、天災に起因するものとは異なり、長期化する復興の過程において新たな課題が提起されます。2012年初めより、世界の医療団となごみは地域の主体性を重んじつつ、外部の知見やスキルを導入する協働体制を組み、当事者の意思を尊重し、個々人に寄り添った包括的で柔軟な支援を心掛けてきました。

 [画像3]https://digitalpr.jp/simg/200/31891/300_199_201903111122095c85c6510470f.jpg

災害直後のこころのケアの手法については、「サイコロジカル・ファーストエイド」のようなガイドがあるものの長期化する災害、またその復興の段階におけるこころのケアについての著作は多くありません。「福島のこころのケア:実践と教訓」は、避難指示解除が続く被災地で帰還先、避難先で今後も必要とされるこころのケアのニーズに応えると同時に、福島を越えて、今後も発生しうる災害の被災者に対するこころの復興に資するものと期待されます。
また、本冊子は、復興の過程における地域の保健医療福祉機関と外部支援団体の連携のあり方を考察し、震災後10年の節目が迫る中、被災3県におけるこころのケアを支える恒常的な支援体制の議論に一石を投じるものです。

 なごみ理事長 大川貴子
「地震・津波・原子力災害という幾重もの被害を受け、かつ精神科医療が崩壊してしまった相双地区において、なごみは地域のニーズを把握しながら、精神医療、保健、福祉に関する新しい支援システムの構築を目指し活動しています。世界の医療団との協働活動を行なうことで得られた教訓を、多くの皆さまと共有し、様々な場で活用頂ければと思います」

 世界の医療団日本 事務局長 畔柳奈緒
「世界の医療団はなごみの理念に共感し、地域の支援者自身が主体的に取り組む復興の過程に関与し、緊急援助から復興まで当事者に寄り添った切れ目のない支援を心掛けてきました。震災後10年を控え、今、外部支援団体として役割やビジョンが改めて問われています」

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 「福島のこころのケア:教訓と実践」2019年3月発行
 執筆・編集・発行
世界の医療団
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会(なごみ)
 https://www.mdm.or.jp/mdm/cont/uploads/2019/03/fukushima_cocoro.pdf

 [画像4]https://digitalpr.jp/simg/200/31891/700_286_201903111123425c85c6aec16b8.jpg

 本件に関するお問合わせ先
■お問い合わせ先■
特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド・ジャポン
(認定NPO法人)
広報マネージャー/証言活動担当 石川
TEL: 03-3585-6436
Email: ishikawa@mdm.or.jp
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特定非営利活動法人
相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会
相馬広域こころのケアセンターなごみ センター長 米倉
TEL: 0244-26-9353
Email: yonekura-k@soso-cocoro.jp

 関連リンク
世界の医療団日本、相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会 過去7年間の「福島こころのケアの実践と教訓」を発表
https://www.mdm.or.jp/news/14075/
福島そうそうプロジェクト
https://www.mdm.or.jp/project/805/

プレスリリース詳細へ 提供:Digital PR Platform



https://www.m3.com/news/general/665812
透析せず死亡、福生病院に立ち入り調査 専門医らの学会  
2019年3月15日 (金) 朝日新聞

 透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)の調査委員会は15日、公立福生病院を立ち入り調査した。透析治療の中止の選択肢を提示され、その後死亡した患者への担当医と病院の対応などについて病院側に確認した。月内にも見解をまとめる方針だ。

 調査はこの日昼過ぎに始まり、午後4時ごろまでに終了した。独自に調査委を立ち上げた日本腎臓学会も調査委員を派遣。詰めかけた報道陣が建物の外から遠巻きに様子をうかがった。学会、病院とも調査内容については明かさなかった。

 透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析の中止などを検討する場合として、がんなどを併発した終末期の患者らを想定。透析を見合わせる際には、患者や家族への十分な説明や、医療チームで検討した上で決めることを求めている。

 透析医学会の調査委は今後、聞き取りをもとに病院を受診した腎不全患者の当時の容体が終末期にあたるのかを検討。さらに、担当医の治療の選択、患者や家族への説明がどうだったかについて調べる。提言についての担当医や病院の認識についても検討し、不適切な点がなかったか評価するとみられる。

 調査委は、早ければ22日の学会理事会に調査結果を報告。学会は内部の倫理委員会で検討し、月内にも見解を示す方針だ。

 腎不全患者の治療に長年携わってきた、大塚台クリニック(東京都豊島区)院長の高橋公太・新潟大名誉教授は「速さを優先して部分的な調査にとどまるのではなく、時間をかけてもしっかりと事実を解明するべきだ」と指摘している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664550
問題は「透析中止」にあらず、マスコミ報道に違和感
核心は「十分な選択肢の提示と納得のいく対話」の有無 
 
オピニオン 2019年3月10日 (日) 永井康徳(医療法人ゆうの森理事長)

 公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題でのマスコミ報道が止まらない。多くのマスコミの論調はこうだ。

 「透析を中止すれば死に至るのが分かっているのに、透析の中止の選択肢を提示して患者は死亡した。そもそも医師は患者を死に至らしめる選択肢を提示していいのか」

 医師が透析の中止を選択肢と提示することはいけないことなのか。そもそもこの出発点のボタンが掛け違っている。私が理事長を務める医療法人ゆうの森(愛媛県松山市)は、在宅医療を主体にする医療機関を運営しており、法人全体の看取りは年間約200人に上る。私自身、透析中止の選択肢を提示した経験が何度もある立場から、一言申し上げたい。

 まずは、現在の日本の人工透析について再確認しておこう。人工透析患者の数は、年々増加し、2016年には全国で32万9609人に上る(日本透析医学会ホームページによる)。

 透析に至る原因は、糖尿病性腎症が最も多く、約4割を占めているが、現在は高齢化に伴う腎機能悪化による透析患者も増加している。1カ月の透析治療の医療費は、患者一人につき外来血液透析では約40万円、腹膜透析(CAPD)では30万~50万円程度が必要と言われている。このように透析治療の医療費は高額だが、患者の経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立している。

 人工透析は、医療機関側から見ると最初の医療機器の初期投資は必要だが、一度人工透析を開始すると継続的安定的な患者確保が可能で、透析医療に取り組む医療機関の中には、一種の利権とも言える医療が展開され、人工透析の安易な導入もあるようだ。

 一方、透析患者は基本的に週に3回、1回につき数時間の透析の時間が必要で透析には患者家族にも大きな時間と労力がかかり、公的医療機関では、患者の利便性を考え、人工透析に取り組まざるを得ない状況もある。

 腎不全の患者が、腎機能が悪化した時、人工透析で人工的に腎臓の機能を代用する選択肢が日本にはある。人工透析には多額の医療費がかかるが、日本ではほとんどが公費負担で人工透析を受けられる体制が整っている。多くの海外の国では、医療費が高額のためこの人工透析を受けられない国も多い。

 腎機能が悪化して人工透析が必要になった際、患者家族は、まずは人工透析を導入するか否かという選択を迫られる。医師は透析を導入した場合と導入しなかった場合、その後どうなるかを患者家族に丁寧に納得がいくまで説明する必要があるが、そもそも透析を実施する選択肢もあれば、実施しない選択肢もある。それは、呼吸状態が悪くなったときに人工呼吸器を装着するかどうか、食べられなくなったときに胃瘻栄養などの人工栄養や点滴を行うかどうかを選択することと同じである。医師は、治す医療の選択肢を提示すると同時に、何もせず自然に経過を看る選択肢まで全ての選択肢があることを患者家族に説明する義務があり、患者家族はそのどの選択肢を選択してもよいはずだ。

 ある記事の中に、日本透析医学会監事の医師のコメントがあった。「患者に人工透析を中止する提案をすることは少なく、私自身は経験がない」と発言している。そもそも透析をしない選択や透析を中止する選択はあり、医師はその全てを提示した上で、その患者本人家族にとって最善の方法を選択できるように支援するべきであり、透析をしない選択や中止の選択を提示しないことの方が問題である。

 私たちは、多くの高齢者を診てきたが、最近は、超高齢の患者も多く、腎機能が悪くなっても人工透析を選択せずに、自宅で自然に看取るケースも多い。高齢だからという理由だけで、人工透析をするかどうかを決定できるわけではなく、患者本人にとって最善かどうかが選択の大きなポイントとなる。

 一番問題なのは、人工透析の中止を選択肢として提示して死に至ったことではない。患者家族と十分な話し合いがもたれていたのかということだ。これは、まさにアドバンスケアプランニング(ACP)の問題である。意思決定支援で大切なこととして、本人の気持ちが分からないと家族の気持ちが優先されてしまいがちだが、あくまで本人の命であり、体なのだから、本人が何を望んでいるのかを最優先に考えることがまず大切である。

 そして、自然に診る選択肢から、とことん治療する選択肢も含め、全ての選択肢を関係する全ての人と十分に議論することが大切である。さらに、本人に代わって道筋を選択する家族の重荷に配慮しながら、気持ちは揺れてもいいことをお伝えすることが大切だ。

 本人にとっての最善は何か、正解はない中で、「当事者と支援する医療者で十分に悩んで出した結論が正解なのだ」と言ってあげられるようなプロセスを踏んでいくことが大切ではないだろうか。最終的に出た「結論」ではなく、悩んだ「過程」が大切だと思う。

意思決定支援で大切なこと
 (1)家族だけではなく、本人の意思を最優先する
 (2)とことん治療する選択肢から、何もしない自然の選択肢まで考え得る全ての選択肢を提示する
 (3)その時点で関係する全ての人と十分に議論する
 (4)決断に迷う当事者に寄り添い、決断は変わっても良いことを伝える
 (5)後で「これで正解だったんだ」と言ってあげられるプロセスを踏む(結果ではなくプロセスを大切に)

 現在の社会は超高齢社会となり、今後、団塊の世代の方が後期高齢者となり、死亡者がかつてないほど増加する多死社会を迎える。この多死社会で死亡者が多くなるのは、高齢化が進み、治せない病や老化で亡くなっていく人たちが増えるためだ。

 高齢で亡くなっていく人たちが増えていく時代に、全ての人が最期まで治療を続けて亡くなっていく社会でよいのだろうか。病気だけではなく、人は人生のあらゆる場面で決断を迫られる。もちろん、一人一人にとって最善は違う。どのような決断をしようともその決断をする権利が患者家族にはあるはず。そして、人の命に関わる重要な決断をするときに、迷ったり、決断が変わったりするのも当然のことだと思う。

 支援者にとって大事なのは、本人や家族が命に関わる重大な決断をするときに、「迷ってもいい」というスタンスを示し、十分な説明と対話を繰り返すこと。支援者も当事者と同じ立場に立って一緒に悩んで考えることが大切である。

 そして、一人一人にとっての最善が違う以上、その人にとっての正解は何かは誰にも分からない。そして、一緒に全ての選択肢を十分に議論して出した結論は本人や家族にとっても納得のいくものとなるだろう。一緒に悩んで考える過程を経て、出た結論は「それが正解だった」と後押しをすることが支援者にとって大切である。「結果」ではなく、一緒に悩む「過程」を大切にする。

 今回のこの「透析中止」の報道での核心は、この部分であると思う。十分な選択肢の提示と納得のいく対話が行われていたのか否かなのかが問題であって、透析の中止の選択をして死に至ったことが問題ではない。この点を報道するマスコミの方々にも十分に認識していただきたい。

ACPの3つのコア概念
 (1)人によって最善は違う
 (2)気持ちは変わってもよい
 (3)結果よりも過程を大切にする

 生まれたら人はいつか必ず亡くなる。亡くなるまで全ての人が治療を受け続けなければいけないわけではない。

 医療者はむしろ治療を続ける方が楽であり、死に向き合って、治療を選択しない選択をする方がつらいものである。

 「死」は医療の敗北ではない。それでもいつか亡くなる「死」に患者本人も家族も医療者も向き合って、いつか亡くなるときにどんな最期を迎えたいのかを考えることがこの多死社会では大切になってくるのではないだろうか。

 人生とは「いつか亡くなるまでどうよりよく自分らしく生きるか」だと思う。長く生きることだけが善ではない。このような報道で透析の中止や死に向き合って治療をしない選択が全て非難されるようなことにならないことを私は祈る。



https://www.m3.com/news/general/665562
神栖再編統合 厳しさ続く医師確保 分院完成に遅れ  
2019年3月14日 (木) 茨城新聞

 神栖市の神栖済生会病院(同市知手中央)と鹿島労災病院(同市土合本町)が4月1日、再編統合する。残り1カ月を切り準備が急ピッチで進むが、鹿島労災の駐車場に新設される分院(10床の診療所)の完成は最大で約3カ月遅れる見込みで、医師確保も難航しているのが現状だ。統合し、将来的には地域の中核病院の役割を担う350床の二次救急病院を目指すとしているが、その道のりは険しい。

■最大3カ月

 両病院の再編統合は、神栖済生会を本院とし、3月末で廃止となる鹿島労災の敷地に分院を新たに整備する計画。神栖済生会は増築工事を段階的に行い、現在179床を2021度中に240床、25年度中に350床に増やすことを目標に掲げる。

 分院は鉄骨平屋で延べ床面積719平方メートル。診察室4室、処置室、検査室、エックス線撮影室などが設けられ、診療科は(1)内科(2)和漢(3)整形外科(4)外科(5)小児科―が予定されている。4月1日の開院を目指し、昨年11月に着工した。

 ところが、神栖済生会が今年1月、開院の延期を明らかにした。「来年の東京五輪や昨年相次いだ自然災害の影響で建築資材が不足している」(神栖済生会)のが主な原因で、工期が最大3カ月程度遅れる見通しという。

■鹿島労災3人

 統合で将来的な病床数増加を目指す中、最大の懸案である医師確保は依然厳しい状況が続いている。

 神栖済生会によると、鹿島労災の常勤医は12人。当初大半が移籍し、引き続き勤務することを期待していたが、鹿島労災の派遣元の大学から神栖済生会に派遣されるのは、現時点で3人と分かった。鹿島労災の機能継承や地域で発生率の高い交通事故の外傷患者に対応するため、最重点の一つとして交渉していた整形外科医の移籍は、実現が厳しい状況という。

 神栖済生会の常勤医は23人(18年4月現在)。県が昨年9月に最優先で医師確保に取り組む必要のある医療機関として公表した県内五つの病院の一つで、整形外科3人が必要医師数として挙げられた。4月以降、非常勤の整形外科医1人が勤務する見込みにとどまっている。

■ワースト水準

 厚生労働省が2月に公表した医師の充足度合いを表す医師偏在指標によると、最も医師が充足している東京都の「329・0」に対し、本県は全国ワースト6位の「179・3」で医師少数県に指定された。県内九つの2次医療圏(全国335医療圏)を見ると、つくばが「442・9」で全国4位の医師の多さを誇る一方、鹿行は全国ワースト水準の「86・9」で329位、県内で最下位だった。

 両病院の所在地で、医師確保を重点施策に位置付ける神栖市は、19年度当初予算案に7億5646万円を計上。東京医科大や日本医科大、筑波大などへの寄付講座継続や、指導医確保に対する補助金制度などに取り組む方針を示す。

 神栖済生会も「関係機関と連携して医療体制の充実に努めたい」とし、引き続き各大学を回るなどして医師派遣の実現に全力を挙げる考えだ。

 統合によって医療資源を集約し、地域の中核病院を目指した再編統合。関係者は「鹿島労災の閉院だけで終わらせてはいけない」と口をそろえる。地域医療の再建と山積する課題の解消に向け、関係機関と行政の連携した取り組みが一層求められる。(鹿嶋支社・関口沙弥加)



https://www.m3.com/news/general/665222
医学部入試不正 学生多数 差別を批判…医学連調査 中間報告 「仕方ない」意見も  
2019年3月13日 (水) 読売新聞

 東京医科大の不正入試問題を受け、全国の大学医学部の学生自治組織で構成する「全日本医学生自治会連合(医学連)」は12日、全国の医学部生を対象としたアンケート調査の中間報告を公表した。入試での女子・浪人差別に対し、批判的な回答が数多く寄せられる一方、「仕方がない」との意見もあった。面接では、女子の15%が結婚や出産について質問されていた。

 アンケートは昨年11月以降、ネットなどを通じて実施。2月1日現在で50大学の男女計2186人(男1257人、女890人、無回答39人)から回答を得た。

 東京医科大は医学部医学科の一般入試で、女子と4浪以上の男子の得点を一律に減点していた。差別は、順天堂大など他大学でも発覚した。アンケートでは、「どんな合理的な理由で説明されても、差別や人権を無視することはあってはならない」(6年女子)、「個々人をしっかり見て判断すべきで、一律の減点は個人の尊重に反する」(1年男子)などの批判や憤りが多数寄せられた。

 一方、「医療現場の体制を考えたら正直仕方がない」(6年女子)、「公表していれば不正とは考えない」(4年男子)など一定の理解を示す意見もあった。

 差別の背景には、結婚や出産で職場を離れる可能性のある女性医師を敬遠する医療現場の実情があるとされる。入試の面接では、女子の15%が「出産、育児で退職するつもりか」(2年女子)「妊娠はメリットかデメリットか」(同)などの質問を受けた。年齢についても、全体の5%が「本当に今から医者になる気があるのか」(医学部を受け直した3年男子)などと聞かれていた。

 医学連中央執行委員会の山下さくら委員長(23)は12日、東京都内で記者会見し、「問題の背景には医師の過酷な労働環境があり、不正入試の根絶だけでなく、医師の働く環境を変えていかなければ差別はなくならない」と訴えた。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。




https://www.m3.com/news/general/665039
うつ症状、仕事の満足度が関係 富大大学院助教調査  
地域 2019年3月13日 (水)配信北國新聞

 富大大学院医学薬学研究部(医学)の立瀬剛志助教が、北陸の公務員2088人を対象に仕事と健康状態の関係について1年間の追跡調査を行った結果、抑うつ症状の発症は労働時間より、仕事への満足度が大きく関わっていることが分かった。働き方改革で労働時間短縮に関心が集まる中、立瀬助教は「労働時間が重要なのはもちろんだが、仕事に満足を感じられる職場環境づくりを忘れてはならないとデータで裏付けられた」と指摘している。

 立瀬助教が2010年5月から1年間調査したところ、「あなたは仕事に満足していますか」との設問に否定的な答えをした人は、肯定的な解答をした人に比べて1年後に抑うつ症状を発症したリスクが1・94倍高かった。

 一方で労働時間だけを見ると、9時間と答えた抑うつ症状発症者数を1とした場合、9~11時間1・04、11時間以上0・86で、抑うつ症状発症との間に明確な関係が見られなかった。



https://www.m3.com/news/general/665009
健康促進は切り札か 医療費抑制の「甘い夢」 「2025年 超寿社会」「さまよう財政」  
行政・政治 2019年3月12日 (火)配信共同通信社

 元気に暮らすのに重要な「歩行年齢」を姿勢などから測る機器や、ミネラル豊富な歯磨き粉...。東京都内で2月に開かれた健康長寿産業展は、近年の健康ブームを一段と刺激しそうな商戦に沸いていた。「高齢化が進む日本は有望市場」と話すのは米国系食品大手の担当者だ。独自開発した大豆粉や甘味料を手に「世界に先駆けた新商品ですよ」と力を込めた。

 長寿社会で花開くヘルスケア産業を利用するのは、介護施設や高齢者らにとどまらない。生産性向上を急ぐ企業は、従業員らの健康診断データを解析するシステムを導入し始めている。

 オフィス機器大手の内田洋行(東京)の健康保険組合は2013年に採用。血糖値などから特定の指導が要る人を自動抽出でき、加入者7千人のうち109人の「ハイリスク者」の生活習慣の改善を重点支援して効果を上げた。保健師らの余力を生かし、慢性的な腰痛や若手社員の食事の改善にも手を広げている。

 「生き生きと働ける状態をつくることが企業がもうかる土台になる」と事務長の中家良夫(なかいえ・よしお)(64)。医療費負担の高止まりに悩む企業健保では、収支改善に向けた先行投資の意味合いも帯びる。

 経費圧縮の思惑を込め、健康促進の追求は国レベルでも進む。合言葉は「治療から、予防や健康管理へのシフト」。腹囲を調べる特定健診(メタボ健診)の実施率向上や糖尿病患者数の抑制といった目標達成に加え、先進技術を生かす予防医療の議論が政策の前面に出てきた。

 半面、健康づくりが財政再建の「切り札」になるとの説には異論が強い。首相、安倍晋三(64)が昨年「予防、健康にインセンティブ(動機づけ)を置くことで医療費が削減されていく方向もある」と、今後の社会保障改革に絡めて発言したことで論争に火が付いた。

 専門家の間では効果の一方、施策に伴う支出がかさむとの指摘が相次ぎ、日本福祉大名誉教授の二木立(にき・りゅう)(71)は「世界的に、むしろ医療費は増えたとの研究結果が定着している。そもそも予防医療は生活の質を上げるためのもので、費用抑制手段と考えるべきではない」と断じる。

 08年度に始まったメタボ健診は年2兆円の医療費削減効果がうたわれたが、検証した対象者の実績は1人年約6千円にすぎず、投じた予算を下回った。時の政権が再び「甘い夢」に浸る光景に、政府内では「超長寿社会に備えた財源確保という『苦い現実』からの逃避だ」と冷ややかな声も出ている。(敬称略)



  1. 2019/03/17(日) 09:32:35|
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Never Forget 11-3-11

8th year after disaster
Never Forget 2011-03-11


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  1. 2019/03/11(月) 05:21:38|
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3月10日 

https://www.afpbb.com/articles/-/3214196
フランス、地方の医師不足に住民の不満噴出  
2019年3月6日 10:00 発信地:パリ/フランス [ フランス ヨーロッパ ] AFPBB News

【3月6日 AFP】仏パリ南方にある小さな町、モンタルジ(Montargis)で医師や歯科医を受診することは実に難しい──。首都から100キロ程度しか離れていないにもかかわらず、それは月の裏側に住んでいるのと変わらないほど困難を極めるという。

 この町では先ごろ、地域社会の問題について話し合うタウンミーティング(政治家との対話集会)が行われた。参加したある女性は、「心臓の専門医を受診するまでに、2年も待たなくてはならないというのは到底受け入れられない。それまでに死んでしまう」と訴えると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 タウンミーティングは、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、自身の政策に対する抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」への対応の一環と位置付けて各地で開催されているものだ。

 人口約1万5000人のモンタルジや多くの町で、医師不足は大きな問題となっている。フランスでは第2次世界大戦(World War II)終結以降、ほぼ無料で医療を提供する国民健康保険制度を誇りにしてきたが、すべての患者が平等な治療を受けているわけではない。

 公式統計によれば、フランスの医師の数は現在約22万人。1980年からは2倍に増えている。しかし、その多くは地方部や小さな都市よりも、大都市で働くことを好む。

 例えばパリでは住民10万人当たり約798人の医師がいるが、モンタルジ地区では一般開業医が同76人と、全国でも最低水準だ。

■医療砂漠
 フランスでは、全人口の8%が暮らす約9000か所の小都市で、一般開業医の数が不足している。黄色いベスト運動が大きな支持を集めるモンタルジでは、新たな患者を引き受ける一般開業医は一人もいないと住民らは話す。
 地元出身の国会議員で、自身も心臓専門医であるジャンピエール・ドール(Jean-Pierre Door)氏は「誰もかつての休日なし、1日20時間労働だった医師のようにはなりたがらない」と話す。
 マクロン大統領は最近、医師の増員を目指す医学部改革を発表した。だが、ドール氏によれば「医師の養成には12年かかる」。
 モンタルジでは、地区一帯の住民15万人に対して病院は1か所しかない。130人の医師が働いているが、救急医療は依然、人手が足りない。「15年前、この病院では年間1万5000人の患者を扱っていたが、今では6万人だ。しかも、病院での待ち時間は平均5~6時間だ」とドール氏は話す。
 一般開業医が不足しているため、救急外来を受診する患者の60%以上が、耳の炎症や処方箋の更新といった一般外来で対応できる処置のために来院する。

■診断の遅れ
 数か月前に開業したばかりの若手のがん専門医、フランソワ・カミュ(Francois Camus)氏は、受診後の経過観察が十分に行われていないことに驚いたと明かした。「進行がんの患者を何人か診たが…一般開業医が足りないせいで、診断が遅れてしまった人たちだ」

 婦人科医も、同様に不足している。「女性患者の中には20年以上もの間、医師による経過観察が行われていなかったために、腫瘍が大きくなってから診察に訪れた人もいた」とカミュ氏は語った。
 インターネット上の討論サイトでも、医師不足に関する不満が噴出している。ある女性は、「医大を卒業したばかりの若い医師は、医師を必要としている地域で4~5年経験を積むことを義務化すべきだ」とコメントした。
 だがドール氏は、強制しても解決策にはならないと言う。それよりも過去2年間にわたって試験運用されてきたように、開業可能な医師らに無料で診療所となる場所を提供するよう、地元当局に奨励すべきだと同氏は主張する。
 フランスでは現在、カナダ・ケベック(Quebec)州やスウェーデン北部の遠隔地の例を参考に、モンタルジの町が強く要望しているインターネットを通じたオンライン診療の試験運用を行っている。(c)AFP/Anne CHAON



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201903/20190305_13043.html
<地域医療>登米から発信 訪問診療の医師が講演 医師不足・赤字経営「市民が関心を」  
2019年03月05日火曜日 河北新報

 「登米市の未来を創造する講演会」が3日、宮城県登米市迫公民館であり、市内で訪問診療を行うやまと在宅診療所登米院長の田上(たのうえ)佑輔氏が「地域医療は登米市から 地域の声が全て、市民が創(つく)る医療」と題し講演した。
 市民約150人が参加。田上氏は「都市と地方を循環する医師の働き方」をテーマに訪問診療を市内で展開し、現在医師25人が全国から登米市にやって来て、交代で地域医療に携わっている現状を解説した。
 看護師や薬剤師がゲストスピーチし、介護施設など他職種の人々が情報共有し連携して在宅療養ができる体制を市内で構築していることも紹介した。
 医師不足や赤字経営が課題となっている市の病院事業について田上氏は「市民が無関心でいることが一番良くない」と指摘。地域住民、医師、病院、自治体の役割を整理、再考した上で「登米市民病院の良いところを応援していく姿勢が必要だ」と語った。
 田上氏は医療問題を含め「将来のまちづくりには人づくりが大切」と教育の重要性を強調。「頑張っている人を世界一応援してくれるまちに登米がなることを目指そう」と呼び掛けた。



https://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/feature/CO038191/20190306-OYTAT50038/
医師確保「寄付講座」拡充  
2019/03/07 05:00 読売新聞

 つくば4位、筑西・下妻328位、鹿行329位――。

 全国に335ある2次医療圏の医師偏在の状況を指標化し、順位をつけるとこんな結果になる。厚生労働省が、今夏の正式導入を前に、先月試験的に算出した「医師偏在指標」(暫定値)だ。

 新指標は、人口構成や医師の年齢分布などを考慮しているため、これまで全国比較に使われていた人口10万人当たりの医師数と比べ、地方の医師不足の実態がより反映されるという。暫定値では、県内に9ある2次医療圏のうち上位3分の1に入ったのは、つくばを含め3。一方で、下位3分の1は、筑西・下妻、鹿行を含め5。本県の医師偏在の深刻さが改めて浮き彫りとなった形だ。

 県庁で2月21日に開かれた県医療審議会。県の木庭愛保健福祉部長は「新年度にこの指標を基に医師確保計画を策定する。本県の医療保健政策を進める上で重要だ」とあいさつし、協力を呼びかけた。

■行動宣言4・83%増

 大井川知事の就任後、県は昨年2月に「医師不足緊急対策行動宣言」を発表、「あらゆる手段を講じる」ことを明らかにしている。宣言に基づく医師の確保や育成などの関係費用は、今年度当初予算の22億7643万7000円から、新年度は4・83%増の23億8648万円に拡充される。予算案には主な事業として▽地域医療支援センターの体制強化(1億1735万円)▽県外からの医師確保(2億401万円)▽県立学校への医学コース設置(883万円)――などが盛り込まれた。

 地域医療支援センターの体制強化では、若手医師への情報提供を通じたキャリア形成支援といった既存の事業に加え、新たにセンター分室を筑波大に設置し、県内唯一の医師養成機関である同大との連携を強化する。

■つくば「一極集中

 県外からの医師確保では、県の負担で大学に期間限定の「寄付講座」を開く事業を拡充する。

 この事業は県内ですでに一定の成果が出ている。県は昨年9月に医師不足を最優先で解消する県北、鹿行、県南地域の5病院を公表。うち県北の中核病院である「日立総合病院」(日立市)の産婦人科には4月以降、筑波大の医師4人が派遣される。県が新年度、同大に寄付講座を追加で開講するためだ。

 ただ、常陸大宮済生会病院や神栖済生会病院など、残り4病院は「(公表から)2年以内の医師確保を目指して水面下で進めている」(県医療人材課)段階で、まだ実現していない。さらに県は今年1月、日立総合病院で新たに小児科医2人の優先的な確保が必要と発表した。

 本県は、人口10万人当たりの医師数で全国ワースト2位が続くが、医師偏在指標では同ワースト6位と、依然“下位ゾーン”ながらもやや改善する。全国4位となったつくば医療圏への「一極集中」の影響が大きいとみられる。

 県医療審議会の委員でもある県医師会の諸岡信裕会長は取材に対し、「(偏在指標で上位3分の1に入った)つくば、水戸、土浦から、県北や鹿行などに、どうやって医師に移ってもらうかが課題。医師本人だけでなく、家族にも配慮した生活環境の整備などが必要だ」と指摘した。(山波愛)

 2次医療圏 手術や入院治療など、一般的な医療を受けられるようにするため、都道府県が設定する地域の単位。圏域内の中核病院に車で1時間以内で到着できるなど、患者の受療動向、地理的条件や交通事情などを考慮して決める。多くの場合、1次医療圏は市町村、3次医療圏は都道府県全域。
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https://japan-indepth.jp/?p=44548
福島に新しい医療の風、吹く  
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長) 投稿日:2019/3/8 Japan in-Depth

2018年3月20日、NPO法人医療・健康社会研究所が日本能率協会の「KAIKA(カイカ)アワード」を受賞した。東日本大震災以降、メンバーの若手医師が福島県浜通りで診療に従事しながら、国内外に情報を発信してきたことが評価された。

このNPO法人の主要メンバーは4人だ。理事長は坪倉正治医師、理事は尾崎章彦医師と森田知宏医師、幹事は関家一樹氏だ。4人とも学生時代から、当時、東京大学医科学研究所にあった私どもの研究室に出入りしていた。

医師は坪倉・尾崎・森田の3人で、いずれも東京大学医学部の卒業生だ。坪倉医師は2011年4月、尾崎医師は2014年10月、森田医師は2014年4月から浜通りの病院に勤務している。

彼らは、「被災地の役に立ちたい」と自ら進んで飛び込んだ。診療を通じて関係者との信頼関係を構築し、地域の課題を共同で解決した。地元の人に魅了され、気がつけば今でも現地で働いている。その間に現地での活動を臨床研究として発表した。医師は現場で育つ。彼らの存在は新しい医師育成の在り方を体現している。

福島が医師不足であることは言うまでもない。人口10万人あたりの医師数は196人。全国平均の240人を大きく下回り、埼玉(160人)、茨城(180人)、千葉(190人)、新潟(192人)、岩手(194人)に次いで少ない。偏在も深刻だ。3月18日、厚生労働省が発表した「医師偏在指標」は177。全国で岩手(169)、新潟(170)、青森(172)に次ぐワースト4位だ。

福島県内でも特に酷いのが相馬市・南相馬市などの相双地区だ。福島第一原発が位置する双葉郡も含まれる。2016年末現在、この地域の人口10万人あたりの医師数は145人。福島市を含む県北医療圏の266人の半分程度だ。紛争が続くシリア(150人)よりも少ない。

ただ、相双地区の医師不足は悪化の一途を辿っているという訳ではない。興味深いことに、人口10万人当たりの医師数は、震災前(2010年)の120人から2016年の145人に25%も増えている。県北地域の19%増よりも高く、福島県の二次医療圏で最高だ。

勿論、原発周囲の住民が避難し、人口が減少した影響もあるだろう。医師の実数は236人から160人に減っている。ただ、この地域の医師密度が増加したという点は注目に値する。

これは坪倉医師をはじめ、今回受賞した若手医師の存在が大きい。現在、彼らが勤務する相馬中央病院と南相馬市立総合病院には合計13人の40歳以下の常勤医が勤務している。震災前の5人から大幅に増加した。興味深いのは、このうち7人が地元の福島医大の医局員でないことだ。震災前、このような医師は名古屋大学脳外科から来ていた1人だけだった。

東日本大震災以降、彼らは自ら進んで浜通りにやってきた。それは、この地域で働くことがキャリアアップに繋がるからだ。今春、南相馬市立総合病院は3人の初期研修医を受け入れるが、このうち2人は志望動機を「論文が書けるようになるから」と言ったという。

昔から医師教育の両輪は診療と研究だった。近年、「やり方」が変わりつつある。かつて医学研究は大学にいなければ出来なかった。大学には大勢の患者だけでなく、文献、実験器具、さらに研究をサポートするスタッフがいた。ところが、状況はかわった。高齢化が進み、大学病院で高度医療を受けたい患者は減り、自宅での終末期医療や介護の需要が高まった。

医学研究の中心は基礎医学から臨床研究、さらに公衆衛生研究や情報工学などと共同した学際的な研究にシフトした。このような研究では高価な実験器具を揃える必要はなく、SNSなどIT技術を駆使すれば、どこにいても論文は書けるようになった。

近年は地球温暖化が進み、世界中で豪雨や干ばつが生じている。災害医療は世界のトピックとなった。中国をはじめとした新興国で原発の建設が進み、原発事故の情報は貴重だ。このように考えると、東日本大震災後の浜通りには世界の医療が抱える問題が凝縮されている。坪倉医師たちは、この地で診療を続け、その結果をまとめていった。

2011年から2018年までの間に、彼らは合計115報の英文論文を発表している。うち95報は福島関係だ。図1に示すように2017年を除き、毎年発表数は増えている。
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▲図1:坪倉グループの英文医学論文数の推移

筆頭著者として発表したのは、坪倉医師19報、尾崎医師8報、森田医師7報だ。これ以外には、彼らの「仲間」である野村周平氏10報、西川佳孝氏9報、澤野豊明氏8報、村上道夫氏7報、レポード・クレア氏4報だ。8人で全体の76%を占める。

特記すべきは、この8人全員が40歳以下の若手だ。坪倉・尾崎・森田・西川・澤野氏は臨床医で、残る3人は公衆衛生学を専門とする研究者だ。臨床医は全員が浜通りの病院で診療を続けている。研究者も福島県で活動している。村上氏は震災後、勤務していた東京大学から福島医大に移籍した。

クレア氏はエジンバラ大学の修士課程に在籍中に南相馬市立総合病院に約1年間勤務して、研究に従事した。彼女の修士課程の論文は東日本大震災が浜通りの住民の健康に与えた影響だった。

野村氏は震災直後に東京大学医学系研究科修士課程に入学した。指導教員は渋谷健司教授(国際保健政策学)。渋谷教授は筆者とともに震災直後から被災地で活動を続けていた。野村氏は渋谷教授とともに被災地で活動し、修士課程の学位論文を書いた。その後、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程に進んだが、そこでも原発事故の健康影響について研究を進め、博士号を取得した。

彼らは、論文を書くために被災地を「利用」した訳ではない。全員が腰を据えて福島で活動し、その活動を世界に発表したのだ。

例えば、2012年8月に坪倉医師がアメリカ医師会誌『JAMA』電子版に発表した内部被曝に関する論文だ。

相双地区で、まっさきに内部被曝検査を始めたのは南相馬市立総合病院だった。この論文では2011年9月~2012年3月までに同院で内部被曝検査を受けた住民9,498人の検査結果をまとめた。小児の16.4%、成人の37.8%で内部被曝が確認されたが、被曝量の中央値は小児で590ベクレル(範囲210-2,953)、成人で744ベクレル(210-12,771)だった。預託実効線量(放射線被曝をした場合の生涯での被曝量の推計)が1ミリシーベルトを超えたのは1人だけで、多くは問題となるレベルでなかった。

これは福島第一原発事故による内部被曝の実態をはじめて世界に報告したものだ。『JAMA』は世界でもっとも権威がある医学誌の1つである。この論文が発表されると、世界中のメディアが紹介した。「福島原発事故の被曝は問題とならないレベル」と報じられ、福島の風評被害対策に貢献した。

私はこの論文を高く評価する。それはインパクト・ファクター47.6という超一流誌に掲載されたからではない。内部被曝に悩む住民を支えるための活動の結果だからだ。

南相馬市立総合病院で内部被曝検査を立ち上げるのは至難の業だった。政府は、専門家集団である放射線医学総合研究所や日本原子力研究開発機構に指示して、原発事故被災地の支援に従事させたが、対象の中心は原発周辺の高度汚染地域だった。南相馬市立総合病院の内部被曝検査をサポートする余裕はなかった。

南相馬市立総合病院での内部被曝検査立ち上げの中心的な役割を担ったのは坪倉医師だった。ノウハウを有する自衛隊や早野龍五・東大理学系研究科教授(当時)らと相談し、試行錯誤を繰り返した。

内部被曝検査開始後は、検査に立ち会い、検査結果が出たあとは希望する住民の相談に乗ってきた。坪倉医師は「立ち会った検査は10万件、個別相談に応じた住民は数千人を超える」と言う。

地道な活動は坪倉医師に限らない。2013年4月、野村氏は米『プロスワン』誌に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。この研究では、避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。

この研究は世界の原発事故対策に大きな影響を与えた。この論文が発表されるまでは、原発事故が起これば避難することが最優先された。ところが、福島では避難が死亡を招いた。チェルノブイリやスリーマイル島と比較して、福島では高齢化が進んでいたからだろう。長時間に渡る移動および見知らぬ土地でのストレスが寿命を縮めた可能性が高い。

野村氏の研究成果は、国際原子力機関(IAEA)の「福島事故最終事故報告書」にも盛り込まれ、高齢化社会では避難がリスクを伴うことがコンセンサスとなった。

野村氏は、この論文を東京で書いたわけではない。相双地区に入り、坪倉医師とともに全ての介護施設をまわった。南相馬市立病院で泊り込み、震災後の記録をデータベースに打ち込んだ。

論文が発表されたあとは、結果を持って協力してくれた介護施設に回った。あるスタッフからは「感じていた通りの結果だった。これで後世に記録が残せました。まとめて頂いてありがとう」とお礼を言われたという。

尾崎医師の活動も興味深い。昨年、彼は英『QJM』誌に故高野英男・高野病院院長の生涯についての論文を発表した。

高野病院は広野町の唯一の入院施設で、故高野院長は震災後も現地にとどまり診療を続けた。ところが2016年末、たった一人の常勤医である高野院長が急逝した。この状況で尾崎医師は「高野病院を支援する会」を立ち上げ、仲間の医師とともに高野病院をサポートした。その記録がこの論文だ。

坪倉チームは、このスタンスを貫いている。長期間にわたり、被災地での活動を続けている。大学の医局から医師不足の病院に派遣される若手医師とは対照的だ。彼らの在勤機関は通常1-2年間だ。これでは病院スタッフは勿論、地域住民と信頼関係が構築出来た頃に異動することになる。

では、なぜ、浜通りではこのような若手医師が活動を続けられるのだろうか。それは、地元が彼らを迎え入れ、応援してくれるからだ。その筆頭が立谷秀清・相馬市長だ。福島医大を卒業した内科医で、坪倉医師や森田医師が勤務する相馬中央病院の理事長でもある。この病院には、森田医師と東大医学部で同期の藤岡将医師も常勤の消化器内科医として勤務する。

本項で詳述はしないが立谷氏は東日本大震災の被災地の復興の象徴的存在だ(上昌広『今知る、震災市長のリーダーシップ』)。そのリーダーシップのもと、相馬市の復興は速かった。実績を評価され、昨年、全国市長会会長に選出された。相馬市の人口は3万5,307人(2月1日現在)。地方の小都市から初めての選出だ。

立谷氏は平素より「復興したければ、自分たちでやらないとだめ。政府や県を批判しても事態は改善しない」という。実力のある政治家だ。私は東日本大震災直後、仙谷由人氏から「被災地の医療を応援してやってほしい」と立谷市長を紹介されたが、携帯電話で少し話しただけで、その力量がわかった。

立谷市長に最初に紹介したのが坪倉医師だった。当時彼は29歳。4月から東大医科研の大学院に進み、私が指導することになっていた。若者は苦労を経験することで成長する。必要なのはメンターだ。坪倉医師にとって、立谷市長は得がたいメンターとなった。彼は4年間の大学院生活を福島と東京を往復して過ごした。

立谷市長の支援もあり、坪倉医師は福島で多くの「人財」と知り合った。数人をご紹介したい。

まずは、産婦人科医である故高橋亨平・原町中央産婦人科医院院長だ。地元を愛し、行動する医師だった。坪倉医師は、高橋医師とともに空間放射線量を測定し、地元の幼稚園の除染作業に従事した。彼は亡くなるまで「この地域に生まれてくる子ども達は、賢く生きるならば絶対に安全であり、危険だと大騒ぎしている馬鹿者どもから守ってやらねばならない」と言い続けた。この言葉は、坪倉医師に強烈な印象を残した。

高橋氏以外にも、南相馬市には気骨がある医師が大勢いた。既に、他の媒体でも広く報じられているため、本稿では詳述しないが、南相馬市立総合病院の金澤幸夫院長(当時)、及川友好副院長(現院長)がいなければ、この地域の医療は崩壊していた(参考:『FACTA』上昌広「南相馬 名もなき『赤髭』物語」)。

同院は福島第一原発から23キロに位置する基幹病院だ。原発事故後、この病院には医薬品はもちろん、食糧も入ってこなくなった。避難を余儀なくされる医師・看護師も大勢いた。残った医師は4名だった。金澤院長のリーダーシップのもと、彼らは獅子奮迅の活躍をする。5人目としてやってきたのが坪倉医師だった。短期的なボランティアではなく、まずは非常勤医師として定期的に勤務することになった。それから8年にわたる長いお付き合いの始まりである。

南相馬市の学習塾経営者である番場さち子先生にもお世話になった。「ベテランママの会」というお母さんたちの集まりを組織し、地元住民を対象とした「正しい放射能のお話し会」を繰り返した。講師は坪倉医師だ。この会を通じて、病院では知りあうことができない住民の声に耳を傾ける機会を得た。また、彼が実際に測定した内部被曝検査の結果を住民に直接伝える貴重な機会となった。

相馬中央病院を支える事務方の佐藤美希さんもかけがえのない存在だ。病院には多くの専門家や事務職が勤務している。多くは旧知の地元の人だ。余所者である坪倉医師や森田医師が働きやすいよう細心の注意を払ってくれた(参考:『HUFFPOST』上昌広「事務方に学べ 若い医師にとっての『先生』は、院内のいたるところにいる」)。

地元紙である福島民友の五阿弥宏安社長の存在も大きかった。2015年1月より坪倉医師に連載のチャンスを与えてくれた。毎週日曜日の「坪倉先生の放射線教室」だ。この連載は現在も続いているが、これを通じて坪倉医師たちの研究が福島県民にとどくようになった。

最後は竹之下誠一・福島医大理事長だ。昨年4月、彼の推薦で坪倉医師は福島医大公衆衛生学教室の特任教授に就任した。現場の診療・活動の傍ら、大学院生も指導するようになった。福島医大は社会人大学院があり、病院で働きながら学びたい医師・看護師が坪倉医師の元に集っている。今年4月には大学院生は9名となる。

大学院生の研究内容は福島関連だけでなく、人工知能を用いた病理診断、在宅医療など多岐にわたる。また、エジンバラ大学博士課程に進学したクレア氏など海外との交流も進めている。ネパール、フィリピン、イギリス、フランス、ロシアなどとも共同研究が進行中だ。坪倉チームは福島原発事故問題に留まらず、多分野かつ国内外に活動の幅を拡げている。

変革は常に辺境から起こる。東日本大震災後に集った若手医師を中心に、福島から新しい医療が生まれようとしている。



https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201903/CK2019030802000324.html
<東日本大震災8年>山谷-福島 魂の医療往復 労働者支え35年・本田さん  
2019年3月8日 夕刊 東京新聞

 東京・山谷地区(台東、荒川区)で日雇い労働者らを35年間、支えた内科医本田徹さん(71)が、先月から東日本大震災の被災地、福島県広野町の高野病院で働き始めた。東京電力福島第一原発の30キロ圏内で唯一、事故後も診療し続けた病院だ。本田さんは「一人一人が居場所を見つけて暮らせる社会に」と思いを新たにしている。 (中村真暁)
 「医師がいれば、故郷に戻ろうという人がいるかもしれない」
 原発から南に約二十キロの高野病院。白衣姿の本田さんが思いを打ち明ける。
 本田さんは三人目の常勤医で、福島と東京を行き来しながら週四回勤務する。医師不足は深刻で、七十代の本田さんも当直に入る。「在宅で生き通したい人を支えたい」と抱負を語り、訪問医療にも取り組むつもりだ。
 高野病院の高野己保(みお)理事長(51)は「高齢者が高齢の家族をみる『老々介護』が問題になっている。本田さんが私たちの病院を見つけてくれたことは、住民のためになると喜んでいる」と歓迎する。
 青年海外協力隊の医師としてアフリカに赴任した経験を経て、本田さんが山谷の街と出合ったのは一九八四年のこと。低料金の簡易宿泊所が立ち並び、日雇い労働者や路上生活者が多い。地域を支援するNPO法人「山友会」が運営する無料診療所で、ボランティアで医療を担い始めた。
 医師不足で診察が受けられない矛盾を目の当たりにする一方、たくましく生きる人々に魅了された。
 「過去の人生に悔いがある人も、充実していたころがある。明るさ、精神的な強さ、多くのことを『人生の先生たち』から教えられた」
 未曽有の原発事故が起きた二〇一一年の東日本大震災。その翌年からは「わずかでも役に立ちたい」と、被災地の福島県いわき市の病院で週一回の勤務も始めた。もともと医師の少ない地域だったが、津波被害と原発事故で医療者は激減していた。
 患者の中には、「なぜこんな目に…」と精神的に追い詰められたり、十分な栄養が取れずにひどい糖尿病で命を削る除染作業員もいた。さまざまな健康被害を眼前にし、「余生は福島で医療をしたい」との思いを強めてきた。
 本田さんは高野病院に勤め始めた今年二月以降も、山谷にある山友会の診療所にも、週一回通っている。高度経済成長期などの日本経済を支えてきた日雇い労働者たちが集まった山谷と、日本の原発政策の舞台となった福島。いずれも国策の陰に置かれた場所として重なって見えるという。
 「住人を大切にしているか」「本当の福祉国家とは何か」。こう問い掛け、国策の果てに苦しむ人々と向き合い続ける。



https://special.sankei.com/a/life/article/20190309/0001.html
医師の残業「過労死ライン」の2倍容認へ 学会など反発 
2019.3.9 産経新聞

 厚生労働省が、一部医師の残業時間の上限「年1860時間」を含む医師の働き方改革の報告書案を13日に開かれる有識者検討会に提出し、今月内に決定することが分かった。「過労死ライン」の2倍となる上限案は既に前回の検討会に示されているが、「納得できない」として会の副座長が辞任したことも判明。各医療学会も相次いで抗議声明を出しているものの、厚労省側は「地域医療を守るため」として押し通す方針だ。
 4月から施行される働き方改革関連法では、罰則付きの残業上限規制が規定される一方、医師はその特殊性から5年間猶予されている。同法による一般労働者に定められた残業上限は、労使協定を結び特別条項を設ければ、年720時間となる。
 医師の残業上限を決める際に考慮されたのは、勤務医約1割の残業が実際に年1920時間を超えていることだ。このまま一般労働者と同様の規制になれば、患者の診療に影響が出る。特に医師が不足している地域では深刻な状態になることを懸念した。
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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190305-00010000-socra-pol
【舛添要一の僭越ですが】
医学部定員の増加策は反故にされた

舛添 要一 (国際政治学者)
3/5(火) 14:01配信 ニュースソクラ / 産経新聞

いまだに医師は足りていない
 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を(1)医師多数、(2)中程度、(3)少数に分類した。
 (1)は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀
 (3)は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを伝える新聞記事は、いずれも「医師偏在」という大きな見出しである。そこから読者が受けるのは、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するというメッセージである。

 しかし、それは本当であろうか。医師の数は既に十分なのであろうか。次のようなことを考えてみる必要がある。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 また、医師免許を持つ医師が永遠に働き続けるわけではない。高齢で引退する者も、結婚・出産・育児で医療の現場を去る女医もいる。とくに近年、医師全体に占める女性医師の比率が増えていることを忘れてはならない。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 私が厚労大臣になったとき、妊婦のたらい回し事件などが起こり、医師不足や医療崩壊が大きな社会問題となっていた。しかし、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。

 そこで、私は方針を転換して医師数を増やすべきだと考えたが、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭ってしまった。開業医にとっては、医師が増えれば、商売敵が増えて減収につながるからである。また、役人にとっては、医学部定員を制限することが、私学や病院に対する自らの規制権力を強めることになるからである。

 しかし、世論やマスコミの支持もあって、2008年6月17日、私は、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80~90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。激務でも自分の希望する診療科で頑張るという学生のほうが多いと思うが、診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならない。そうなると、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 どの診療科を希望するか、どの地域で医療を行うかは、個人の自由であり、憲法で定められた基本的人権である。厚労省や日本医師会の思惑で医学部定員を決めるべきではない。

 厚労省は、地域枠制度などを活用して偏在を是正することを考えているが、それには限界がある。開業医も、過当競争で減収になれば、稼ぎの多い医師不足地域に移るインセンティヴは増す。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展をとげることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。要は、「この国のかたち」に深く関わっているのである。



https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/808813
論説 医師偏在、国が新指標
地方と連携し具体策示せ
 
2019年3月5日 午前7時30分  福井新聞

 【論説】厚生労働省が、医師が足りているかを示す新たな指標をつくり、都道府県ごとの数値を初めて公表した。「医師偏在指標」で、従来の目安である「人口10万人当たりの医師数」に比べ、より実態に即した数字になる。ただ、同省が医師の効果的な確保策を持ち合わせているのかは疑問だ。国は地方と緊密に連携し、具体策を示す必要がある。

 医療ニーズの充足状況を地域ごとに把握するには、少子高齢化の進展、他地域との間での患者の流出入、医師の年齢構成などを踏まえる必要がある。

 例えば、高齢化がより進んだ地域は医療ニーズが高まることが想定される。医師数が同じでも平均年齢が高くなった場合、提供される医療サービスに影響することも考えられるという。

 10万人当たり医師数はシンプルな半面、地域実情を表せなかった。医療ニーズにかかわる各種の要素を数値化し、それを特定の計算式にあてはめたのが医師偏在指標である。これなら、より地域実態を反映しているといえる。

 厚労省は、指標の数値の下位16県を「医師少数県」と位置付けた。福井は25位でこの中には入っていないが、四つある2次医療圏のうち丹南、奥越が医師少数区域とされた。指標は、こうした地域課題を整理する材料にできるだろう。

 しかし、医師偏在解消への道のりは遠い。同省は2036年度までの医師偏在解消を目指し、医師少数県に対応を求めている。だが、地方の医師不足対策の切り札といわれた大学医学部の「地域枠」制度は、全国的に欠員が目立つのが現状。医師総数そのものは過去最高なのに、「医師不足の地域は勤務が過酷」として若手医師が避ける悪循環も起きている。診療科ごとの偏在もある。

 こうした課題に医療現場からは国の具体的な施策を知りたい、との要望が聞かれる。国はこの声に応えなくてはならない。

 医師偏在問題には、働き方改革の行方も絡む。24年4月から勤務医に適用される時間外労働(残業)上限の特例を、厚労省が1月、最大年2千時間とする案を示したところ、過労自殺した医師の遺族や労働組合の強い反発を受けた。過労死ラインの約2倍の水準で、批判はもっともだ。ただ、同省によると、特例を設けなければ地域医療体制が持たない現実もあるという。

 医師の負担軽減へ、地方も知恵を絞る必要がある。例えば、識者には、緊急性の低い軽症者がコンビニへ行くような感覚で救急医療機関を利用する「コンビニ受診」を減らすため、救急車の有料化を訴える意見がある。全国では実際に、導入を始めた自治体も出てきているという。

 医療ボランティアが活発だったり、地域医療を考える住民団体が活動していたりする地域では、医療に関する理解が進み、医師の働きやすさに結びつくことも考えられる。国と地方が連携し、それぞれの役割を果たしながら、医師確保の具体策を練り上げたい。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42159300X00C19A3000000/
産業医の3割が「対応する自信ない」 4月の働き方関連法施行で民間調べ
働き方改革 ヘルスケア
 
2019/3/7 17:29 日本経済新聞

産業医の3分の1が長時間労働を受けた面談の増加に「対応する自信がない」――。4月施行の働き方改革関連法で、労働者が医師の面談を受ける残業時間の要件が引き下げられる。メドピアが7日発表した産業医を対象としたアンケート調査によると、多くの医師が現状のままでは面談の需要増に対応できないと感じている現状が浮かび上がった。

調査は2月中旬にインターネットを通じて実施した。産業医519人(常勤120人、非常勤399人)の回答を得た。

産業医は企業内で従業員の健康管理について指導や助言をする役割を担う。現行の法制度では1カ月の残業時間が100時間を超えると医師の面談が受けられる。4月の法改正で同要件は80時間に引き下げられ、長時間労働やメンタル不調に関する面談数の増加が予想される。

これに対してアンケートでは常勤医師の32%、非常勤医師の30%がそれぞれ「対応しきれる自信がない」と回答した。理由としては「面談者が増えており、今の勤務時間では不足する」「常勤医での仕事が忙しく、面談が多くなれば対応できない」といった声が相次いだ。「メンタルヘルスへの対応に自信がない」といった言及も目立った。

医師側の時間の不足と専門性の不足――両面での問題解決が、働き方関連法の施行に伴い、課題となりそうだ。
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詳細: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000010134.html



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15517854072706
なめがた地域医療センター 入院機能を縮小し継続
県厚生連方針 救急・休日夜間休止へ
 
2019年3月6日(水) 茨城新聞

土浦協同病院なめがた地域医療センター(行方市井上藤井)の規模縮小問題で、運営するJA県厚生連が4月から、同病院の入院機能を約5分の1に縮小して継続する一方、診療時間外の救急は休止する方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。救急や休日夜間の患者は、道路距離で約25キロ離れた「本院」扱いの土浦協同病院(土浦市)と連携して対応する。

同センターの規模縮小は当初、今年4月からの休日夜間の救急受け入れ休止のほか、入院病棟の将来的な閉鎖などが浮上。地元自治体などから機能を継続するよう要請を受け、県厚生連は地域医療に与える影響を最小限にする方向で、医師派遣元の筑波大や自治体などと協議している。

複数の関係者によると、同センターの病床数は199床から40床に大幅縮小するが、入院機能は「地域包括ケア病棟」として継続する見通しとなった。

一方で、診療時間外の休日夜間や救急の患者受け入れは休止し、本院機能を担ってきた県南地域の基幹病院の一つ、土浦協同病院が代替する形で調整を進めている。常勤医は16人から8人程度に半減する見込みだが、土浦協同から非常勤医の派遣を得て診療機能の維持強化を図る。通院患者の利便性を図るため県厚生連は両病院間を結ぶシャトルバス運行も検討している。

同センターは2000年6月に開院。全国最下位レベルの医師不足に悩む鹿行地域の拠点として役割を担ってきた。土浦協同が16年3月、土浦市の中心部から約4・5キロ東側の同市おおつ野に移転し、鹿行地域寄りとなったのを機に、土浦協同との連携を強化し、18年10月からは土浦協同の「分院」に位置付け機能分担を図ってきた経緯がある。

同センターは、24時間365日体制で重症の救急患者を受け入れる3次救急に指定されてきたものの、実際は医療体制が整わず、重篤な患者は水戸地区や土浦協同に運ばれているのが実態だった。規模縮小後は土浦協同との役割分担をより明確にした上で、鹿行地域の救急患者の扱いなどに関し県厚生連が関係機関と協議している。

県厚生連の財務事情は、土浦協同の移転新築に伴う設備投資で悪化した。さらに、なめがた地域医療センターは開院以来一度も単独で黒字を計上できず、近年は患者数の減少が進み、18年度収支は赤字が5億円を超えるまで膨らむ見通しとなった。同センターは199床のうち稼働が179床にとどまり、実稼働病床はさらにその半数程度に低迷しているという。

「働き方改革」による人件費の増加や今年10月の消費増税などコスト高も今後見込まれるため、県厚生連は経営状況のさらなる悪化を防ぐため、最小限の入院機能を残した上で、同センターの規模縮小を判断したとみられる。

規模縮小について県厚生連は、茨城新聞の取材に「関係機関と協議中で、方針は正式に決まっていない」としている。(成田愛、石川孝明、黒崎哲夫)



https://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20190309-OYTNT50170/
<震災8年>地震想定 護衛艦に医療施設  
2019/3/9 05:00 読売新聞

府や舞鶴市など初の設置訓練
 東日本大震災から11日で8年を迎えるのを前に、府と舞鶴市、海上自衛隊舞鶴地方隊は9日、府北部での大規模地震を想定し、海上自衛隊舞鶴基地の護衛艦「ひゅうが」に負傷者の搬送拠点となる臨時医療施設(SCU)を設置する初の訓練を実施した。

 約30機関1200人が参加。午前7時30分、府北部を震源とするマグニチュード7の地震が発生し、舞鶴、綾部両市で震度6強を観測、140人の負傷者が出たとの想定で行われた。

 府が海自にSCU設置を要請し、海上保安庁などが、周辺の海域を漂流していた負傷者役の海上保安官をヘリでつり上げて救助し、ひゅうがの格納庫に搬送。災害派遣医療チーム(DMAT)が、ほかの負傷者役の女性らに「せきをしていますが大丈夫ですか」などと話しかけ、氏名を確認するなどした。海保の巡視船から、陸上自衛隊などの車両に給水する訓練もあった。

 参加した西脇知事は、「『ひゅうが』なら同時に(複数の)ヘリが着艦できるので、救急救命に有効だと実感した」と述べた。



https://www.medwatch.jp/?p=25254
東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例、福島では継続するが、宮城・岩手は最長2021年3月で終了―中医協総会(2)  
2019年3月7日|医療保険制度 MedWatch

 東日本大震災を受けた診療報酬の被災地特例について、福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続けるが、宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末まで(最長2021年3月まで延長)とする。また熊本地震および北海道胆振東部地震に伴う被災地特例は、この3月(2019年3月)末で終了し、西日本豪雨に伴う被災地特例については、2019年9月末まで延長する―。

 3月6日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点も了承されました。
 
ここがポイント!
1 診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断
2 2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始
3 「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

診療報酬の被災地特例、利用状況や解消見込みなど踏まえ、継続の可否を判断

 大地震などの大きな災害に見舞われた地域では、▼多くの傷病者が発生する▼医療機関の中にも通常診療が行えないところが出てくる▼医療スタッフが十分に確保できなくなる―などの事態が生じます。

 こうした事態に、「入院患者に対しスタッフが不足しているので、診療報酬を減額する」などといった対応をとることは人道に悖るでしょう。そこで、厚生労働省では▼一時的な定員超過入院▼平均在院日数や重症度、医療・看護必要度などの施設基準の一部欠如―などが起きた場合でも、通常の診療報酬算定を認めるなどの特例(被災地特例)を設定しています。

 現在、次の4つの「被災地特例」が設けられており、「半年に1度、現地の状況を中医協で確認し、特例の延長を認めるか否かを判断する」ことになっています。
(1)東日本大震災に伴う特例
(2)熊本大地震(平成28年)に伴う特例
(3)西日本豪雨(平成30年7月)に伴う特例
(4)北海道胆振東部地震(平成30年)に伴う特例

 このうち(1)の東日本大震災特例に関しては、▼岩手県の1医療機関では2019年12月中に特例解消▼宮城県の1医療機関では2020年3月に、同じく宮城県の1医療機関では2021年3月に特例解消―が見込まれています。一方、福島県の1医療機関では「帰還困難地区の入院患者を受け入れており、特例解消の時期が見込めない」状況にあることが報告されました。

これを受け、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は、▼福島県では、当面「半年ごとの状況を受けての延長の可否判断」を続ける▼宮城県・岩手県については「半年ごとの状況確認」は行うが、2020年3月末までとする(最長2021年3月末まで延長)―ことを提案しました。

 また、(2)の熊本地震特例に関しては、現在1医療機関が利用していますが、この3月末(2019年3月末)までに「閉院」が決まっており、(3)の北海道胆振東部地震に関しては、現在、利用している医療機関がないことから、森光医療課長は「2019年3月末で被災地特例を終了する」ことを提案しました。

 一方、(4)の西日本豪雨特例に関しては、現在、7医療機関等が利用しており、継続の要望も強いことから、「2019年9月まで延長し、再延長の可否を改めて判断する」ことを森光医療課長が提案しています。

 特例の実際の活用状況を十分に踏まえた対応案で、中医協ではこれらを了承しています。

2020年度の次期改定に向け、まず「医療全体に関連する総論」から検討開始

 また3月6日の中医協総会では、森光医療課長から「2020年度の診療報酬改定」に向けた検討スケジュールが報告されました。

 夏頃まで「医療全体、入院・外来・在宅等に関する総論」(第1ラウンド)の議論を行い、秋以降「個別改定項目」(第2ラウンド)の議論を行う、というものです。第1ラウンドでは、まず「医療全体」に関連する幅広い事項についての検討が行われる見込みです。医療提供体制に目を向ければ、▼医師の働き方改革▼医師の偏在対策▼地域医療構想の実現―という3つの連環する動きがあり、診療報酬もこれを下支えしていく(少なくとも方向を合わせる)ことが求められるでしょう。2020年度改定に向けたスタートの議論は、こうした点もにらんだ「幅広」なものとなると考えられます。

 もちろん、併行して下部組織(診療報酬調査専門組織等)で▼入院医療やDPC制度の改革▼2018年度改定の結果検証―などに関する議論も行われ、逐次、中医協総会に検討状況や中間とりまとめなどが報告されることになります。

「選定療養」「療養の給付と関係なく実費徴収可能な事項」の拡大も検討

 このほか、2016年度・18年度の診療報酬改定に倣い、2020年度の診療報酬改定に合わせて「選定療養の拡大」なども検討されます。

 選定療養は、快適な療養環境を求める患者の要望に応えるために、「保険診療と保険外診療を組み合わせ」を認めるものです。例えば▼特別の療養環境(個室などの差額ベッド)▼予約診療▼時間外診療▼大病院の紹介状なし患者に対する初診・再診▼180日超の入院(入院料が減額され、その減額分を患者から徴収可能)▼制限回数を超える医療行為―などが選定療養として認められています。

 厚労省は、医療関係団体や関係医学会、国民から広く「新たな選定療養」要望を募り(2019年3月から1-2か月程度)、中医協に示す(2019年7月予定)考えを提示しました。あわせて「医療通訳」など「『療養の給付』とは直接関係なく、実費徴収が可能な事項(テレビ貸与料金などもこれに該当)」の拡大も検討することになりそうです。



https://www.kobe-np.co.jp/news/awaji/201903/0012119999.shtml
洲本の鮎原診療所10月から閉鎖 建物は民間公募へ  
2019/3/6 05:30神戸新聞NEXT

 兵庫県洲本市は、同市五色町鮎原西の「洲本市国民健康保険鮎原診療所」を10月1日から閉鎖する方針を固めた。近年、医師が減って入院事業を休止するなど診療体制の見直しを進め、年々利用者は減少。ほかの診療所を含めた累積赤字は約5億3千万円に上り、危機的な経営状況に陥っていた。今後、民間医療機関への施設移譲を目指す。平成の大合併により現在の3市体制になって以降、島内で市立診療所の廃止は初めて。(上田勇紀)

 市は1日に開会した市会3月定例会に関連議案を提出した。

 洲本市立診療所は2種類5カ所。鮎原のほか、五色(同市五色町都志大日)、堺(同市五色町上堺)、上灘(同市相川組)の国民健康保険診療所と、応急診療所(同市港)で、鮎原は旧五色町が1988年に現在の場所に開設し、市合併後も引き継がれた。

 五色地域の基幹的な診療業務を担い、医師2人体制で内科などの診察や19床の入院も受け入れてきた。だが、退職に伴い2010年度からは医師1人になり、14年度に入院事業を休止。16年度から通所リハビリテーション事業を休んだ。

 週2回は診療時間を延長するなど地域医療の確保に努めたが、近隣の専門的な医療機関の利用もあり、13年度に9808人いた外来患者数(延べ)は、17年度には5082人に半減。診察による診療報酬に対して人件費や施設維持の費用がかさみ、17年度決算で4国保診療所の累積赤字は約5億3千万円に膨れ上がった。旧五色町地域では、鮎原診療所の外来患者数の減り幅が、五色診療所より大きいという。

 市は4月以降、約1300平方メートルの鮎原診療所の建物を利用する民間医療機関を公募する。貸与か譲渡かなど詳しい条件は未定だが、民間による20年4月の開業を目指す。市健康福祉部は「住民サービスが低下しかねず、苦渋の判断となった。利用者に不安を与えないよう、民間医療機関を見つけたい」としている。

 淡路市は三つ、南あわじ市は五つの市立診療所があるが、いずれも市発足後に廃止されたケースはないという。



https://www.medwatch.jp/?p=25163
病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日で、依然大きなバラつき―2017年・患者調査  
2019年3月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2017年の1日当たりの入院患者数(推計)は131万2600人で、3年前(2014年)に比べて微減。人口10万対の入院受療率も1036で同じく微減。入院患者の年齢構成など見ると、高齢者が大きく増加しており、各医療機関においては「地域の医療ニーズ」を十分に勘案する必要がある。なお、平均在院日数は短縮が続くが、都道府県間のばらつきが依然として大きい―。

厚生労働省が3月1日に公表した2017年の「患者調査」結果から、こうした状況を伺うことができます(厚労省のサイトはこちら(概要)とこちら(詳細な統計表、e―Statサイト https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450022&tstat=000001031167&cycle=7&tclass1=000001124800&tclass2=000001124802&second2=1))。

ここがポイント!
1 入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要
2 精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%
3 入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差
4 病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日
5 在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

入院患者数の減少続く、地域の医療ニーズ見極めが極めて重要

 患者調査は、医療機関を利用する患者の傷病などの状況を明らかにするもので、3年に1度行われます。「どの地域に、どのような疾病が多いのか」「年齢によって、どのように疾病構造が異なるのか」などを詳細に知ることができます。病院にとっては、地域のニーズを把握するために極めて重要なデータと言えます。

2017年の患者調査は、6427の病院、5887の一般診療所、1280の歯科診療所を対象に行われました。

 まず2017年の1日当たり推計患者数(2017年10月17日から19日のいずれか1日)を見てみると、入院131万2600人(3年前の前回調査に比べて6200人減少)、外来719万1000人(同4万7400人減)となりました。

 年次推移を見ると、入院では2008年調査から概ね「減少」を続けています。さまざまな理由(入院医療から外来医療へのシフト(例えば抗がん剤治療など)、入退院支援の充実、人口減少など)で入院医療ニーズが減少しており、病床規模が適切なのかを再検証することが重要です。

 
一方、外来では2005年調査からほぼ横ばいとなっていますが、病院では「減少」傾向にあります。外来医療の機能分化(一般外来は診療所で、病院は専門・紹介外来を担う)が進んでいることが伺えます。
 
なお、年齢階級別に見ると、65歳以上の高齢者で入院・外来ともに患者数の増加が続いています。医療ニーズの内容についても、「回復期・慢性期」のニーズが増加していることが伺え、とくに病院において「機能転換」を積極的に考える必要性がさらに高まっていると言えるでしょう。
 

精神障害・循環器疾患・がん・損傷などの4傷病分類で入院全体の57.9%

 次に、入院患者の傷病に着目してみましょう。

入院患者数のトップ4は、依然として▼精神及び行動の障害:25万2000人(前回調査比1万3500人減)▼循環器系の疾患:22万8600人(同1万1500人減)▼新生物:14万2200人(同1900人減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:13万7700人(同6400人増)―です。

それぞれが入院患者全体に占める割合は、▼精神及び行動の障害:19.2%(前回調査比0.9ポイント減)▼循環器系の疾患:17.4%(同0.8ポイント減)▼新生物:10.8%(同0.2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:10.5%(同0.5ポイント増)―となっており、これら4分類で入院患者全体の57.9%を占めています。4大傷病のシェアは徐々に低下しており、傷病が多様化している状況が伺えます。

 
 入院患者の重症度合いを見てみると、全体では(1)生命の危険がある:5.9%(前回調査比0.2ポイント増)(2)生命の危険は少ないが入院治療を要する:75.2%(同0.9ポイント増)(3)受け入れ条件が整えば退院可能:12.9%(同0.7ポイント減)(4)検査入院:1.0%(同0.1ポイント減)(5)その他:4.9%(同0.5ポイント減)―という状況で、入院患者の重症化が進んでいるように感じられます。

また(3)のいわゆる「社会的入院」の割合を年齢階級別に見ると、▼全体:12.9%(同錠)▼0-14歳:7.0%(前回調査比0.6ポイント増)▼15-34歳:9.7%(同増減なし)▼35-64歳:11.8%(同0.8ポイント減)▼65歳以上:13.6%(同0.8ポイント減)▼75歳以上(再掲):14.0%(同0.9ポイント減)―と、前回調査から減少傾向にあるようです。今後の推移を注意深く見守る必要があるでしょう。

入院受療率、最高の高知と最低の神奈川で2.98倍の格差

 次に人口10万対の受療率を見てみましょう。患者数そのものは、人口の多い都市部で必然的に多くなるため、人口規模の差などを除外して地域比較をすることが重要なためです。

 全国の受療率は、入院1038(同2ポイント減)、外来5675(同21ポイント減)となりました。入院・外来とも微減、あるいは横ばいと見ることができそうです。

 年齢階級別に見ると65歳以上で高くなることが再確認できます(これが高齢者の医療費が高騰する大きな要因です)。ただし、年次推移を見ると65歳以上の受療率は入院・外来ともに下がってきていることが分かります。
 
 傷病分類別に見ると、患者数と同様に▼精神及び行動の障害:199(前回調査比10ポイント減)▼循環器系の疾患:180(同9ポイント減)▼新生物:112(同2ポイント減)▼損傷、中毒及びその他の外因の影響:109(同6ポイント増)―の4大分類で受療率が高いことが分かります。

 さらに都道府県別に受療率を見てみると、入院では、▼高知県:2101(前回調査比114ポイント減)▼鹿児島県:1880(同5ポイント減)▼長崎県:1803(同9ポイント減)―などで高く、逆に▼神奈川県:706(同23ポイント増)▼東京都:745(同14ポイント減)▼埼玉県:753(同30ポイント増)―などとなっています。

 全国平均との乖離状況を見ると、高い方では▼高知県:2.03倍(前回調査から0.8ポイント低下)▼鹿児島県:1.81倍(同増減なし)▼長崎県:1.74倍(同0.1ポイント低下)―と、低い方では▼神奈川県:0.68倍(同0.2ポイント上昇)▼東京都:0.72倍(同0.1ポイント低下)▼埼玉県:0.73倍(同0.3ポイント上昇)―となっています。最高の高知県と最低の神奈川県との格差は2.98倍で、前回調査に比べて0.26ポイント縮小しましたが、いわゆる「西高東低」の状況に変化はありません。

 一方、外来の受療率は、▼佐賀県:7115(前回調査比265ポイント増)▼香川県:6952(同443ポイント増)▼長崎県:6812(同307ポイント増)―などで高く、▼沖縄県:4586(同269ポイント増)▼京都府:5014(同36ポイント増)▼長野県:5033(同89ポイント減)―などで低くなっています。最高の佐賀県と最低の沖縄県との格差は1.55倍で、前回調査から若干縮小しています(0.04ポイント減)。

病院の平均在院日数、最長は高知の56.2日、最短は宮城の20.9日

 また2017年9月中に退院した患者について平均在院日数を見ると、慢性期や精神科病院なども含めた病院全体では30.6日となりました。3年前の前回調査に比べて2.6日減少しており、年次推移を見ても着実に減少していることがわかります。
 
 傷病分類別に平均在院日数(診療所も含めた全体)を見ると、▼精神及び行動の障害:277.1日(前回調査比14.8日短縮)▼神経系の疾患:81.2日(同1.0日短縮)▼循環器系の疾患:38.1日(同5.2日短縮)―などで長くなっています。より細かく見ると、▼統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害:531.8日(同14.3日短縮)▼血管性及び詳細不明の認知症:349.2日(同27.3日短縮)▼アルツハイマー病:252.1日(同14.2日短縮)▼気分[感情]障害(躁うつ病を含む):113.9日(同0.5日短縮)▼脳血管疾患:78.2日(同9.3日短縮)▼慢性閉塞性肺疾患:61.5日(同6.6日短縮)―などが長い状況です。
 
 次に、一般病床について在院期間別の推計退院患者数の構成を見ると、▼0-14日:71.9%(同1.3ポイント増)▼15-30日:15.9%(同0.6ポイント減)▼1-3か月:10.5%(同0.4ポイント減)▼3-6か月:1.3%(同0.2ポイント減)▼6か月以上:0.3%(同0.2ポイント減)―となっており、在院日数の短縮化が進んでいることが分かります。

 さらに、退院患者について「入院前の居場所」と「退院後の行き先」をクロス分析してみると、「家庭に帰る」人の割合は、「家庭から入院した人」では90.2%(前回調査比0.1ポイント増)なのに対し、「他の病院・診療所から入院(転院)した人」では43.2%(同0.4ポイント増)にとどまることが分かりました。「転院患者(他院からの入院患者)の自宅復帰は難しい」ことが患者調査でも裏付けられた格好です。
 
2018年度の診療報酬改定では、▼急性期一般病棟1における「在宅復帰率」の見直し(「在宅復帰・病床機能連携率」と名称変更等)▼地域包括ケア病棟、療養病棟における「救急・在宅等支援(療養)病床初期加算」の見直し(急性期患者支援(療養)病床初期加算と在宅患者支援(療養)病床初期加算との2分し、後者を高く評価)―などの見直しが行われました。こうした報酬改定が、患者の流れにどのように影響するのか、今後の調査結果にも注目する必要があります。
 
 ところで、都道府県別の平均在院日数(病院のみ)を見てみると、▼高知県:56.2日▼佐賀県:48.1日▼長崎県:44.1日―で長く、逆に▼宮城県:20.9日▼神奈川県:23.9日▼愛知県:34.6日―で短くなっており、依然として大きなばらつきのあることが分かります。受療率の高い地域で、在院日数が長い傾向があり、「不適切な入院の長期化」あるいは「入退院支援の努力放棄」(消極的な入院の長期化)などが生じていないか、詳しく見ていく必要があるでしょう。在院日数の不適切な長期化は、▼ADLの低下▼院内感染リスクの上昇▼患者や家族のQOL低下(職場復帰等が遅れることによる経済的な損失なども含めて)▼高齢者における認知機能の低下―などのデメリットが大きく、厳に慎むべきでしょう。

在宅医療受給者、「訪問診療」が特に増加

 最後に在宅医療の状況を見てみると、2017年10月17から19日のいずれか1日に在宅医療を受けた患者数は18万100人で、前回調査に比べて2万3700人増加しています。

 2008年以降、とくに「訪問診療」が急増していることが分かります。厚労省は、患者自身が医師等の適切なアドバイスを受けて「入院医療を選択するのか、在宅医療を選択するのか」を選べる環境の整備を進めています。あわせて、地域医療構想の中では「2025年には、『療養病床に入院する医療区分1の患者』の7割を、在宅や介護施設等で受け入れる」こととなっており、高齢化による在宅・介護施設ニーズ増に加えて、「約30万人分のニーズ増」が新たに生じる計算です。在宅医療提供体制のさらなる整備が期待されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25215
2018年、病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄していないか―全国公私病連  
2019年3月6日|医療現場から MedWatch

 2017年から18年にかけて、病院の平均在院日数は延伸している。病床利用率を維持するために「在院日数短縮の努力」を放棄している可能性も考えられ、各病院において「病床の規模は、地域の医療ニーズに照らして適正か」を客観的に考えていく必要がある。また病院経営は依然厳しく、全体の75%近くの病院が「赤字」である―。

 こういった状況が、全国公私病院連盟が2月26日に公表した2018年の「病院運営実態分析調査の概要」から明らかになりました(全国公私病連のサイトはこちら(概要)とこちら(図表1)とこちら(図表2))(前年の記事はこちら)。

ここがポイント!
1 病院の平均在院日数は短縮しているが、、、
2 病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も
3 2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行
4 赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る
5 入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

病院の平均在院日数は短縮しているが、、、

 この調査は、全国公私病連に加盟している病院等について、毎年6月分(項目によっては6月末日)を対象に行われており、2018年調査では915病院から回答を得ています。設立母体別の内訳は、▼自治体:443(調剤客体の48.4%)▼その他公的:215(同23.5%)▼私的:225(同24.6%)▼国立・大学付属等:32(同3.5%)―となっています。

 まず平均在院日数を見てみると、病院全体では14.92日で、前年(14.84日)から0.08日延伸してしまいました。

 一般病院の平均在院日数を病床規模別に見ると、次のような状況です。
▽全体:14.32日(前年から0.11日延伸)
▽700床以上:12.94日(同0.34日延伸)
▽600-699床:11.34日(同0.45日短縮)
▽500-599床:12.10日(同0.32日延伸)
▽400-499床:12.70日(同0.18日短縮)
▽300-399床:14.35日(同0.38日延伸)
▽200-299床:17.32日(同0.14日短縮)
▽100-199床:23.35日(同0.08日短縮)
▽99床以下:22.03日(同1.41日短縮)
 
 前年に比べて、とくに大規模の病院で「延伸」が目立ちます。大規模な病院では急性期入院医療を提供しているケースが多く、今般の結果から「急性期入院において在院日数の短縮に限界が来ている」と見ることもできます。しかし、先進諸国と比べて我が国の急性期入院医療の平均在院日数が長いことが知られており、次項の「病床利用率」とあわせて考えると、違う景色も見えてきそうです。

病床利用率を維持するために、在院日数短縮の努力を放棄している可能性も

 次に病床利用率を見ると73.37%で、前年同月(73.18%)に比べて0.19ポイント向上しました。

 一般病院の病床利用率を、病床規模別に見ると次のような状況です。
▽全体:72.39%(同0.29ポイント低下)
▽700床以上:77.44%(同0.63ポイント向上)
▽600-699床:75.86%(同0.53ポイント向上)
▽500-599床:75.99%(同0.01ポイント向上)
▽400-499床:72.52%(同0.39ポイント向上)
▽300-399床:68.90%(同3.64ポイント低下)
▽200-299床:69.90%(同1.42ポイント低下)
▽100-199床:71.64%(同0.25ポイント低下)
▽99床以下:67.54%(同0.16ポイント低下)
 
 400床以上では向上、400床未満では低下とくっきり分かれています。利用率だけを見れば「大規模な病院で新規患者獲得等の努力が実を結んでいる」と見ることができるかもしれません。

 しかし、前述した平均在院日数の動向と併せて見てみると、「大規模病院では、病床利用率を維持するために、平均在院日数を調整している(少なくとも短縮に向けた努力を抑えている)」のではないかという可能性が考えられるのです。

 メディ・ウォッチでは、たびたびお伝えしていますが、病院の収益性を高めるためには平均在院日数を短縮するとともに病床利用率を向上させることが不可欠です(在院日数短縮のみで、病床利用率向上を目指さなければ単なる減収になってしまう)。利用率向上のためには「重症な紹介患者の獲得」や「救急搬送患者の積極的な受け入れ」などが重要ですが、地域によっては人口減少傾向に入っており、限界があります。このため、病床利用率の低下を抑えるために、平均在院日数の短縮に向けた努力を放棄してしまうケースもあります。

在院日数の短縮、つまり早期退院には▼ADL低下の防止▼院内感染リスクの軽減▼患者のQOL向上(経済的な面も含めて)―などのメリットがあり、すべての入院医療で進めるべきテーマです。ただし、「病院の経営を二の次にして、在院日数短縮を進めよ」と求めることも非現実的です。

この点、医療現場では「地域の医療ニーズを踏まえたダウンサイジング、再編・統合」を進めると同時に、行政(厚生労働省)では「DRG/PPS」などの1入院当たり包括支払い方式の検討を進める必要があると考えられます。

2018年、大規模病院の外来患者減続く、外来の機能分化が進行

 次に患者数の動きを見てみましょう。2018年6月における1病院当たりの入院患者は前年同月(7531人)に比べて209人減の7322人、外来患者も929人減の1万1337人となっています。

 一般病院の入院患者数を病床規模別に見てみると、次のようになっています。在院日数の延伸によって、入院患者が見かけ上増加していると考えられるでしょう。
▽700床以上:2万987人(同836人増)
▽600-699床:1万5795人(同116人増)
▽500-599床:1万3078人(同166人減)
▽400-499床:1万625人(同289人減)
▽300-399床:7702人(同101人減)
▽200-299床:5707人(同95人増)
▽100-199床:3552人(同46人増)
▽99床以下:1514人(同77人増)
 
 また外来患者数は、次のようになっています。
▽700床以上:3万4209人(同553人減)
▽600-699床:2万5170人(同247人減)
▽500-599床:2万1303人(同1639人減)
▽400-499床:1万6869人(同319人減)
▽300-399床:1万2120人(同454人減)
▽200-299床:8777人(同282人減)
▽100-199床:5577人(同349人減)
▽99床以下:2972人(同320人増)

 99床以下を除き、外来患者数が前年から減少していることが分かります。厚労省は「大病院は専門・紹介外来に特化し、一般外来は中小病院やクリニックが担当する」という外来機能分化の方向を描いており、また病院経営という面で見ても、スタッフの負担や収益性などを考慮すれば「大病院で軽症の外来患者を多く受け入れる」ことは好ましいことではありません。

今般の結果から見られる「大規模病院の外来患者減少」は、こうした方向に沿っていると見ることができます。ただし、中小規模の病院における外来患者の減少は、「地域ニーズにマッチしていない」ことや、そもそも「地域ニーズが減少している」可能性もあるため、十分な分析が必要です。

赤字病院の割合増加、医業費用増が、医業収益増を上回る

 さらに、病院の規模の違いを除外するために、2018年6月における「100床当たりの収支」を見てみましょう。

総収益は1億9836万7000円で、前年(1億9896万1000円)に比べて60万円・0.3%の微増となっています。一方、総費用は2億1117万6000円で、前年(2億1095万円)に比べて22万6000円・0.1%の微増です。赤字基調(赤字額は1280万9000円)で、赤字幅は前年に比べて82万円拡大しています。

 収益の内訳を見ると、▼入院収入:1億2963万7000円(前年に比べて44万6000円・0.3%増)▼外来収入:5778万3000円(同99万3000円・1.7%増)―など。

 一方、費用の内訳としては、▼給与費:1億792万6000円(同67万5000円・0.6%増)▼材料費(医薬品・医療材料):5256万8000円(同9万円・0.2%減)▼委託費:1607万円(同8万円・0.5%増)▼減価償却費・1393万1000円(同31万8000円・2.3%増)―などとなっています。
 
2018年6月の医業収益を100とした場合、医業費用は106.7(前年より0.5ポイント増加)で「医業だけに絞っても赤字」となり、また、給与費は55.6(同0.5ポイント増)、材料費(医薬品・医療材料)は27.1(同0.1ポイント増)という状況です。
 
 また黒字病院と赤字病院の比率を見ると、2018年は黒字26.4%、赤字73.6%となっています。赤字病院の比率は、前年に比べて4.6ポイント減少しており、病院経営の厳しさが増していると考えられそうです。
 
 なお、「医師の働き方改革」に関連して、「医師の負担」をどう軽減するかが重要課題となっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。この点、「医師1人・1日当たり患者数」を見てみると、入院の平均は4.3人で前年から増減ありません。患者数が多いのは、▼精神科:14.3人(同0.3人減)▼リハビリ科:13.7人(同1.2人増)▼整形外科:7.9人(同0.2人減)—などの診療科となっています。
 
またDPC病院における「医師1人・1日当たりの診療収入」(入院)を見てみると、平均では22万6000円で、前年から増減ありません。診療科別で見ると、▼心臓血管外科:52万4000円(同2万4000円増)▼リハビリ科:45万7000円(同3万円減)▼整形外科:44万6000円(同2000円減)▼循環器内科:41万1000円(同9000円増)▼脳神経外科:40万5000円(同1万7000円減)―など、診療科によってバラつきがあります。

入院患者の1日当たり単価、心臓血管外科15万5600円、小児外科10万9400円

 最後に、DPC病院について、主な診療科別の入院患者1人1日当たり診療収入(つまり単価)を見てみると、次のような状況です。自院の状況と平均とを比較してみてください。
▽総数:6万500円(同900円増)
▽内科:4万8100円(同増減なし)
▽呼吸器内科:4万7000円(同1500円増)
▽循環器内科:9万4100円(同700円減)
▽消化器内科:5万300円(同800円増)
▽皮膚科:4万3000円(同増減なし)
▽小児科:6万6600円(同100円減)
▽外科:6万7300円(同1100円増)
▽呼吸器外科:9万6400円(同7200円増)
▽心臓血管外科:15万5600円(同4100円増)
▽消化器外科:7万5100円(同2200円増)
▽脳神経外科:6万6600円(同3300円増)
▽整形外科:5万9800円(同1600円増)
▽小児外科:10万9400円(同3300円増)
▽産婦人科:6万6900円(同2500円増)
▽リハビリ科:3万8100円(同6000円減)
 
診療科によってバラつきがあり、「呼吸器外科では大幅向上」「リハビリ科では大幅減少」などが目立ちます。



https://globe.asahi.com/article/12171782
英国のお医者さん
家庭医ってどんな医者?トリブリッドな視点が生み出す調和とバランス
 
2019.03.04 朝日新聞 GLOBE

みなさん、家庭医というと、どんな医者をイメージしますか?

家族を診る医者、町医者、幅広く診る医者...。

これらは決して間違いではありませんが、必ずしもそうとは限りません。前回お話ししたプライマリ・ケア同様、家庭医がどういった医師であるかをご存知の方は少ないと思いますし、ご存知でも、誤解されていることがある印象です。今回はそんな家庭医の知られざる姿についてお話しします。

一言で言うと、家庭医は、「プライマリ・ケアを専門とする医師」です。世界で関心が高まっているプライマリ・ケアを強化していく上で欠かせないピースの一つと国際的に言われています。聞き慣れないかもしれませんが、内科や外科などの医師と同様に重要な役割を担う、専門の研修を受けた医師です。日本でも家庭医としての働きが期待される「総合診療専門医」の育成がいよいよ始まろうとしています。

ただ、この家庭医という医師を分かりやすく説明するのは簡単ではありません。なぜなら、家庭医の本質は「患者・地域のニーズに応える」ことで、これらニーズは千差万別であるため、これが家庭医!とひとくくりのイメージで表現するのは難しいのです。家庭医は自分が診る問題を自分で定義しません。加えて、家庭医の仕事は国の制度にも影響を受けるので事はより複雑です。水が注がれた器によって形を変えるように、また家庭医も状況に合わせてその姿を変えていく存在です。

こうした専門性をより良く発揮するために、家庭医は以下のように「部分」「全体」「自分」を見る3つの視点を持ち、状況に応じてこれらを使い分けるがことできる「トリブリッド型」とも言える医師です。

(1)部分を見る視点(細胞・臓器・病気・治療など)
(2)全体を見る視点(患者を人としてまるごと・家族・地域社会・システム・国・世界など)
(3)自分を見る視点(医師としての知識・技術のみではなく、自己の感情・姿勢・価値観など)

なぜ家庭医にとってこの3つの視点が重要なのか?

医療の専門家としてはまず、部分を診る(1)の視点は不可欠です。けれども、家庭医の専門性である「患者・地域のニーズに応える」ことをより良く行うためには、ものごとの一部にとらわれず全体にも目を配る(2)の視点も必要になります。また、患者のことをより良く知るためには、(3)の自分を診る視点が欠かせません。なぜなら、自分の外をより良く知るためには自分の中を知ることが必要になるからです。例えば、医師自身の感情や姿勢、価値観という内面によっても患者が医師に伝える情報は変わってくる上、医師によるその情報の解釈さえも変わってきます。

健康問題の原因やその影響の多くは単純ではなく複雑です。そのため、部分を見て、全体を見て、自分を見て、それらの結びつきを理解することが重要です。

ここまではやや抽象的な話になりましたが、では、家庭医の専門的な能力とは具体的に何でしょうか?家庭医は、その柔軟性を持ってニーズに応えようとすることで、前回でまとめた現代医療の課題のすべてに対応できるよう発展してきました。そのため、現代版プライマリ・ケアのすべての要素にフィットする専門性を持っています。ここでは主な6つを紹介します。

(1)あらゆる相談に乗り、適切なサービスへと導くゲートオーブナー

家庭医は、保健医療サービスの玄関口として、すべての人のあらゆる健康上の問題や相談に対応します。どの問題を何科で相談すればいいのか、迷う必要はありません。また、外来診療の他にも電話相談や在宅診療など、サービス利用者のニーズに合わせた多様な受診方法を提供します。

もちろん家庭医がすべての問題を解決できるわけでも、すべきでもありません。けれども、複雑で専門性の高い保健医療という世界の中で患者が適切なサービスを受けられるよう、責任を持ちます。

チームケアを基本とし、他の様々な職種や各科医師と連携を取り、必要に応じて、他科の医師や他の医療機関はもちろん、介護・福祉など、適切なサービスへと導いていく「ゲートオープナー」とも言える存在です。チームが役割分担し、連携し合うことによって、お互いの専門性をさらに高めていくことができます。

これを適切に行うには、自分が何を知っているかよりも、何を知らないかを知ることが重要で、家庭医はこのマインドを大切にする文化を持っています。一方で、前回お話ししたように、いつ医療を提供しないべきかを理解し、判断することも大切で、家庭医はこれに長ける医療者でもあります。

(2)当事者本人を中心に据えたケア

医療に絶対的な正解はありません。ですから、医学的な視点、患者の視点、両方を大切にしながら、何が問題なのか、それぞれのシチュエーションにあった解決策は何かを一緒に考えます。二人三脚で事を進める医療のパートナーの存在によって、医療がもっと身近で主体的なものになります。患者が本当に伝えたいことを伝えられるように、医師は聞き上手、引き出し上手である必要があります。また、難しい医学情報をわかりやすく伝えられるように説明上手である必要もあります。こうしたコミュニケーションスキルを専門的に学び、それと同時に自分自身を知るトレーニングも受けます。

(3)環境に応じた適切な臨床アプローチ

第6回で、地域や病院といったリスクの違う環境によって、求められる臨床アプローチが本質的に異なることについてお話ししました。家庭医はそれを理解し、環境に応じた適切な臨床アプローチを取ることができます。加えて、地域は基本、患者が初めに医療サービスを受診する場であり、曖昧な症状が早期に、かつ多様に訴えられる環境です。また、複数の慢性的な病気や複雑な問題の対応も求められます。家庭医はこうした状況にも適切に対応できる専門のトレーニングを受けます。

(4)生活や地域の目線を持った包括的なケア

生活や地域の目線に沿った広い視野も家庭医には求められます。食生活、運動、喫煙、飲酒などの生活習慣に関するアドバイスや、予防接種や検診などの予防も含めて、個人だけではなく地域全体に健康を広める役割を持ちます。また、必要に応じて地域の介護支援専門員などとも情報を共有しながら、介護と医療の連携を図ります。

(5)安全性と高い質を保ち、個人と地域のニーズのバランスを取る

患者を第一に考える家庭医は、提供するサービスの質と安全性にこだわります。だからこそ、その科学的裏づけ(エビデンス)を大切にします。一方で、地域のニーズにも応えるため、その地域で利用可能な資源の分配にも気を使います。結果、家庭医は患者個人のニーズと地域のニーズが相反する際に上手くバランスを図るバランサーでもあるのです。

(6)患者を人としてバランス良くサポート

現代医療で見失われがちな、患者を一人の人間として診ることを家庭医は大切にします。人間が人としての感情を内に秘め、家族、社会といった集団の中で生活する心理的・社会的存在でもある以上、訴えられる身体的問題のみに表面的に対応するだけでは、健康における重要な側面を見逃してしまいます。例えば、風邪の症状で頻繁に医療機関にかかる一人暮らしの高齢患者に対し、その影にある社会的孤立や寂しさ、メンタルヘルス、喫煙といった状況にも注意を払うことができなければ、問題のより良い解決は難しいでしょう。

このように家庭医は、患者・地域のニーズにより良く応えることを専門とするゆえの多面性を持っていて、調和とバランスを大切にします。家庭医が本当はどういった医師であるのか、少しでもお伝えできたら幸いです。

次回からは、話の内容をイギリスに移していきます。

澤憲明 英国GP
1980年富⼭県⽣まれ。英国GP(General Practitioner)。レスター⼤医学部卒業。英国初期研修を経て、2012年英国GP専⾨医研修・試験を修了。現在、英中部リーズ近郊の診療所にて勤務。NHK『視点・論点』、NHKスペシャル⽇本新⽣『⽇本の医療は守れるか?〜“2025年問題”の衝撃〜』などに出演。



https://www.m3.com/news/iryoishin/664435
<シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
時間外「1920時間以上」、産婦人科医の4人に1人
筑波大・石川氏らの調査、厚労省水準6割が「長い」
 
レポート 2019年3月8日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの石川雅俊氏は、「全国の産婦人科医師の勤務実態等を踏まえた医師の働き方改革の推進に向けたアンケート調査結果(暫定値・速報)」をこのほど公表、時間外労働が過労死水準に当たる年960時間以上の医師が65.5%、年1920時間以上の医師も27.1%で、月5回以上当直をしていた医師は52.7%と半数を超えるなど、過酷な勤務実態が改めて明らかになった。

 「勤務環境を理由に病院をやめたい」あるいは「勤務環境を理由に産婦人科をやめたい」と1年以内に考えたことのある医師はそれぞれ63.0%、40.2%。「希死念慮あり」と回答した医師も3.0%おり、勤務環境の改善が急務なことが確認された。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」では、時間外労働の上限を「年1900~2000時間」(2月の調査開始時点。現時点では年1860時間)を軸に検討しているが、39.1%が「とても長い」、19.0%が「やや長い」と回答、合計で約6割に上った。一方で、「ちょうどよい」「短い」と回答したのは計22.0%。「分からない」は20.0%。

 適正な勤務時間については、「週60時間以下」という過労死水準以下の水準を求めていたのは計77.4%。

 厚労省は、時間外労働上限の特例として「年1860時間」を認めるのは、「勤務間インターバル」と「連続勤務時間制限の導⼊」などが条件。「とても厳しい」「やや厳しい」の合計は、「勤務間インターバル」82.1%、「連続勤務時間制限の導⼊」82.0%で、いずれも8割を超えた。

 石川氏は、「厚労省において現在、医師の働き方改革に関する検討が進められている。しかし、診療科別に見ると、産婦人科医は最も時間外労働が長い水準にあるにもかかわらず、公の場で現場医師の意見が表明される機会は限定的」と述べ、「暫定値・速報」ながら、結果を公表したのは、議論が佳境を迎える厚労省の検討会の議論に間に合わせるためだと説明。

 「働き方改革を本当に推進するためには、過労死水準に十分に配慮した時間外労働時間の上限を設定するとともに、勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏は指摘する。労働時間の短縮や医師の健康確保に係る施策、労働に対する対価の支払いなどに加えて、タスク・シフティング、医療機関の集約化や医師の地域・診療科偏在対策などを強力に進めていく必要があると考えている」(石川氏)。

 調査は、2018年度の文部科学省科学研究費補助金による研究。2019年2月18日から開始、全国の分娩取り扱い施設893病院を通じて、個々の産婦人科医にWebアンケートへの回答を依頼した。労働時間等は、直近の1週間(外勤・アルバイトを含む)について聞いた。

 今回の暫定値・速報では、3月3日時点で、194施設、864人から得た回答を集計した。回答者の属性は男性49.8%、女性50.2%。年齢は、30歳未満8.5%、30歳代42.3%、40歳代24.3%で、50歳未満が計75.1%を占める。本記事で紹介した時間外労働の項目以外にも、調査項目は多岐にわたる。

 タスク・シフティング「労働時間1時間以上短縮可」は65.8%

 「勤務時間と労働時間の関係を明確化することが必要」と石川氏が指摘するのは、現在厚労省から示されている宿日直の定義を踏まえた「労働時間」を試算したところ、時間外労働にカウントされない宿日直が一部あることから、年1920時間以上の医師は、「勤務時間」ベースより7%少なかったからだ。「厚労省は、時間外労働時間の上位10%を上限とする提案をしている。仮に厚労省の宿日直の定義を踏まえると、上位10%の水準はもう少し下がるはずだ」と石川氏。

 もっとも、そもそも「過労死水準」以下に抑えるべきだというのが石川氏の考え。そのための方策として、重要視されるのがタスク・シフティング。今回の調査では、事務作業系、診療行為系の両方について選択肢を提示し聞いたところ、「今後は移管すべき」項目、「今後も移管すべきでない」項目、「両者が拮抗した」項目は、以下の結果だった。

・今後は移管すべき:オーダー代行、紹介状や退院サマリーの代行入力、症例登録、造影剤や化学療法のラインの確保、オンライン診療、患者からの問い合わせへの対応、胎児エコー、ルーチンの薬の処方、陣発時や破水時の内診など。
・今後も移管すべきでない:電子カルテの代行入力、陣痛促進薬の開始、手術の助手、会陰切開・会陰縫合、術中の麻酔・呼吸・循環管理など。
・両者が拮抗:胎児スクリーニング、陣痛促進薬の調節、産後1カ月健診、術後の創部管理

 「働き方改革による医療の質・安全への影響」は、「かなり向上する」「やや向上する」が計37.9%、「変わらない」20.2%、「やや低下する」「かなり低下する」が計26.2%(残りは、「分からない」)。

 タスク・シフティングによる労働時間の短縮は、「2時間以上」20.2%、「1時間以上2時間未満」45.6%。タスク・シフティングで、時間外労働の短縮は期待できるものの、さらなる短縮を進めるために、医療機関の集約化などの必要性を石川氏は説く。



https://www.m3.com/news/general/664465
東京・公立福生病院:透析中止 「独断専行、事実ない」 福生市長、問題受け  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をやめる選択肢を示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、病院は8日、「(女性の)家族を含めた話し合いが行われ、記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はない」とするコメントを発表した。

 病院を運営する「福生病院組合」の管理者である加藤育男・福生市長と、松山健院長の連名。女性の死亡について「悪意や手抜きや医療過誤があった事実もない」と主張している。また、都が6日に実施した病院への立ち入り検査や日本透析医学会が設置した調査委員会の調査を念頭に、「第三者機関の検査結果等も待ちつつ、早急な事実関係の把握に努め、適正に対応する」としている。

 一方、東京都の小池百合子知事は8日の定例記者会見で「患者の意思確認が適切にされていたのかどうか、一連の経緯を含めて確認を進めている」と述べた。

 また、立ち入り検査の結果などを踏まえ、「医療法に基づき適切な指導を行っていく」との考えを示した。【梅田啓祐、森健太郎】

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 ◇情報をお寄せください

 人工透析治療に関する情報、疑問や悩み、記事へのご意見をお寄せください。郵便は〒100―8051(住所不要)毎日新聞生活報道部。メールは表題を「透析治療」としてkurashi@mainichi.co.jp。ファクス(03・3212・0256)でも受け付けます。



https://www.m3.com/news/general/664462
東京・公立福生病院:透析中止で女性死亡 「腹膜透析」示さず 治療法限定  
その他 2019年3月9日 (土)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で外科医(50)から人工透析治療をやめる選択肢を提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、女性に対して「腹膜透析」という別の治療法の説明はなく、「血液透析」をやめるか続けるかという二つの選択肢しか示されなかった。透析治療に詳しい関係者は「医療を受ける患者の権利が奪われている」と指摘している。

 透析治療には(1)腕などに針を刺したり首周辺から管(カテーテル)を入れたりして血液を浄化する血液透析(2)腹腔(ふくくう)内に透析液を入れて毒素や老廃物を取り除く腹膜透析――の2種類がある。女性は腕からの血液透析が難しくなったため、昨年8月9日、福生病院を受診。外科医は、首周辺に管を挿入する治療法と、「死に直結する」という説明とともに透析治療をやめる選択肢を示した。同席した夫(51)によると、外科医はこの際、腹膜透析を女性に示さなかった。翌10日には腎臓内科医(55)も女性と面談したが、説明はしなかった。

 腹膜透析は腹部に管を一度埋め込む必要があり、血管ほど長期間は使えず、10年程度が限界とされる。一方で、針を刺す必要はなく、透析液の交換も1日1~4回。生活の自由度は比較的高いといわれる。厚生労働省は「外国と比べ、腹膜透析や腎移植が普及していない」として、普及・推進が必要との立場だ。日本腎臓学会や日本透析医学会などによると、血液透析と腹膜透析は相互移行ができる。

 外科医と腎臓内科医は「(腹膜透析を)やってできないことはなかった」としたうえで、「女性の容体を考えた時、数カ月で血液浄化に不具合が出る。かなり困難と判断したので提示しなかった」と説明している。

 女性の長男(28)によると、女性は血液透析の針を刺す痛みを嫌がっていたという。長男は「母は生前、『痛くないなら透析を受けたい』と話していた」と話す。透析治療に詳しい春日井市民病院(愛知県)の渡辺有三院長は「すべての治療法が提示されておらず、患者の権利が奪われている」と指摘する。

 一方、遺族によると、女性は1999年に抑うつ性神経症を発症し自殺を図ったことが3回あったという。外科医は当時、この病歴を把握していなかったことを毎日新聞の取材に認めた。【斎藤義彦、田口雅士】



https://www.m3.com/news/general/664424
透析中止で死亡「密室で独断専行してない」 病院が反論  
地域 2019年3月8日 (金)配信朝日新聞

 腎臓病患者の40代女性が人工透析治療を中止し、死亡していた公立福生(ふっさ)病院(東京都福生市)で、医師が終末期ではない患者に透析治療をしない選択肢を提示していたことがわかった。透析をしない選択をした約20人のうち複数が死亡したとみられる。このほか、透析中止後に死亡した患者が女性以外に3人以上いることも判明。日本透析医学会の提言から逸脱している可能性もあり、学会は来週後半にも病院に立ち入り調査に入る方針だ。

 福生病院は8日、透析治療をめぐる手続きについて「多職種で対応し、家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されている。密室的環境で独断専行した事実はございません」とのコメントを公表し、病院の対応に問題はないとの考えを示した。

 都などによると、福生病院では2013年以降、腎臓病患者149人が受診。透析を始めるかどうかの相談の際に、医師が透析をしない選択肢も示していた。学会の提言では、透析を中止もしくは始めないことを検討できる状況について、全身の状態が極めて悪い場合などに限定。しかし福生病院では、終末期のように極めて悪い状態でなくても透析をしないことを検討し、実際に約20人が透析を選ばなかった。病院側はいずれのケースでも、患者の同意書をとっていると説明しているという。



https://www.m3.com/news/general/664399
東京・公立福生病院:医師から透析中止提示 「命諦めろ」感じた 治療継続の患者親族  
2019年3月8日 (金)配信毎日新聞社

 公立福生病院(東京都福生市)で人工透析治療をしない選択肢を外科医(50)から提示された女性(当時44歳)が死亡した問題で、外科医は昨年、終末期ではない80代女性と70代男性に治療中止の選択肢を示し、いずれも断られていた。分路(シャント)に障害が発生した場合などに「(治療中止の選択肢を)必ず提示している」と外科医は話している。【斎藤義彦】

 関係者によると、腹腔(ふくくう)に透析液を入れ、腹膜を利用して老廃物を除去する「腹膜透析」をしていた80代女性は昨年3月、腹膜が使えなくなったため外科医に相談。外科医は女性の親族に対し、首周辺に管(カテーテル)を入れて透析を継続する治療法とともに「中止する選択肢もある」と話したという。

 親族は「『透析する人は国のお金をたくさん使っているので、もう透析はしないでほしい』『命を諦めろ』と言われたように感じた」という。結局、女性は管にしたが、ショックを受けた親族は治療中止の選択肢を示されたことを女性に明かせなかったという。

 また昨年11月、40年以上透析を続けている70代男性が、血液交換のために針を入れる血管の分路の検査で病院を受診したところ、外科医から「透析をそのままやっていくのか?」「今後分路が使えなくなった時、透析をしない選択もある」と中止の選択肢を示された。男性は承諾しなかった。

 妻は「今までそんなことを言われたことは一度もなかった。医療が変わったのか」と振り返り、男性も「(家族もいて)自分だけで決められない」と戸惑ったという。

 分路に障害が出た場合などに「(透析中止の選択肢を)必ず提示する。(透析継続という)選択肢を取らない決定も当然あるべきだ」と外科医は話す。そのうえで、透析は延命治療で、腎不全は治らないことを理解した上で患者が治療法を選ぶべきだと主張。「適正な選択の話を聞いていないから患者は衝撃を受ける。最初から聞いていれば普通に考えられる」とし、「『さじを投げられた』と感じる患者もいるが仕方ない」と話している。



https://www.m3.com/news/general/664334
来週にも学会が病院調査へ 透析中止の女性死亡で  
2019年3月8日 (金)配信共同通信社

 東京都福生市の公立福生病院で昨年8月、腎臓病の女性=当時(44)=に医師が人工透析治療をやめる選択肢を示し、治療中止を選んだ女性がその後死亡した問題で、日本透析医学会が設置した調査委員会が来週にも、病院に調査に入る見通しであることが8日、関係者への取材で分かった。

 医師だけでなく病院が組織としてどう対応したか、患者の生命に関わる判断をチェックする仕組みが院内にあったかなどを確認。2014年に学会の作業班が作成した透析治療の継続や中止に関する提言に沿って今回の手続きを行ったかどうかも調べる見通しだ。

 調査委員会は委員長の土谷健(つちや・けん)・東京女子医大教授のほか、腎臓が専門の医師委員6人、国会議員や弁護士などの外部委員5人で構成し、結果のまとめを急ぐ。

 根本匠厚生労働相は8日の閣議後記者会見で、病院を立ち入り検査した東京都や日本透析医学会の対応について「注視していきたい」と述べた。

 病院の運営組合を構成する福生市と羽村市、瑞穂町も8日までに事実関係の把握に乗り出した。病院側は「2市1町に説明する機会をつくる」と説明しているが、時期の見通しは立っていないという。

 福生病院では昨年8月、医師が腎臓病を患った女性に、治療継続と治療をやめる選択肢を両方提示、治療中止のリスクも説明した。女性は治療をやめることを決め、意思確認書に署名。その後、体調が悪化し死亡した。東京都は今月6日、病院の管理運営体制を確認するため、医療法に基づき立ち入り検査した。



https://www.m3.com/news/general/664264
病院「透析選ばなかった患者20人」…死者も  
2019年3月8日 (金)配信読売新聞

 東京都福生市の「公立福生病院」の医師が、腎臓病患者の女性に人工透析治療をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した問題で、同病院がほかにも、透析治療を検討するために来院した患者に対し、透析治療を行わない選択肢を示していたことがわかった。病院側は都に「透析治療を選ばなかった患者は約20人」と説明。死亡した患者がいるとみられ、都は事実関係を調べている。

 都によると、同病院は過去に、他の医療機関からの紹介で来院し、これまで透析治療をやったことのない患者に対して、透析をしなければ命に関わるとの説明をした上で、今後の治療で透析治療を行わない選択肢を示していたという。

 病院側は都に、透析治療を受けないと決めた患者約20人は大半が高齢者と説明しているという。

 日本透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析治療の見合わせを検討する状況について、「患者の全身状態が極めて不良」「患者の生命を著しく損なう危険性が高い」などとしている。

 都は今後、約20人についても、カルテや患者の生死の確認、関係した医師の聞き取りなどを行い、一連の医療行為が適切だったかどうかを慎重に調べる。



https://www.m3.com/news/general/664536
医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ  
行政・政治 2019年3月10日 (日)配信朝日新聞

 勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めた。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直す。

 医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化される。だが、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もあった。

 入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられている。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じる。だが軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができる。

 今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていない。基準を満たすことが、ほぼありえない状況だった。

 現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ている。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もあった。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いだ。



https://mainichi.jp/articles/20190305/k00/00m/040/249000c
複数主治医制が必要 医師の働き方改革で自民PT提言  
毎日新聞2019年3月5日 20時29分(最終更新 3月5日 20時29分)

 医師の働き方改革を巡り、長時間労働是正のために「複数主治医制」の普及や救急車利用の適正化が必要だとする提言を5日、自民党のプロジェクトチーム(PT)が大筋でまとめた。厚生労働省は一連の働き方改革で、地域の医療体制維持のため、一部医師の残業時間を一般労働者の2倍の年1860時間まで容認する方針で、PTは負担軽減には患者側も意識を変える必要があるとしている。今月末に厚労省に提出する。

 提言案では、医師の長時間労働を改善するために「医療機関への正しいかかり方の啓発と、国民の意識改革が必要」と指摘。日本の医療は入院患者の診察から手術、術後の経過観察まで1人の主治医が担う形が一般的だが、診察と手術に別々の主治医を置くことを検討すべきだとした。軽症での夜間・休日の受診を控えることや、軽症と判断した場合は救急搬送を見送ることなども課題に挙げた。

 厚労省は医師の負担軽減策として、一部の医療行為や患者への説明を看護師に移管する「タスク・シフティング」の導入を目指している。PTは人員確保に向けた財政措置や、医療機関への人工知能(AI)などのシステム導入の支援を求めた。【酒井雅浩】

自民PTの主な提言内容
・複数主治医制
・救急搬送の適正化
・タスク・シフティングに向けた環境整備
・AIなどのシステム整備の支援



  1. 2019/03/10(日) 15:57:55|
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3月3日 

https://www.carenet.com/news/general/carenet/47580
会員医師が感じる医師不足・偏在の問題 
ケアネット  2019/02/28

 2月15日に厚生労働省において「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)」が開催され、将来の医師数不足、診療科による医師数偏在に関する資料が公開された。CareNet.comでは、この発表をうけ、「現在・将来の医師不足、偏在について」をテーマに緊急アンケートを会員医師に行った。今回、その結果がまとまったのでお伝えする。

 調査は、2019年2月20日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は340名。

約6割の医師が「医師不足、診療科偏在を実感」
 Q1で「今回発表された医師不足や偏在、将来の推計の数字への実感の有無」を質問したところ、「実感できる」という回答が58.2%、「実感できない」という回答が41.8%だった。

 Q2でそれぞれの理由について聞いたところ、「実感できる」と回答した会員医師では、「東京一極集中への懸念」「医師の都会志向」を危惧する声が一番多く、続いて「外科、小児科、産婦人科医の成り手不足」「小児科医の高齢化、産科の閉院」「開業する医師の増加」など診療科の偏在を心配する声が多かった。また、「医局人事の崩壊」「地方での医療崩壊」「医師の就業環境が悪化の一途」など医療全般や労働環境からの声もあった。

 一方、「実感できない」と回答した会員医師では、「医師数だけは足りている」「患者の過剰受診が問題」「医師が医療に専念できない環境に問題」など医師の人数よりもその働き方や偏在への是正を求める声が多かった。

医師不足はマイナー診療科を超えた!
 Q3で「医師が不足していると思う診療科」を質問したところ、「産婦人科」(175)、「外科」(155)、「小児科」(139)、「内科」(136)、「救急科」(119)、「病理科」(77)、「麻酔科」(58)、「脳神経外科」(57)の順番で多かった(以上は複数回答)。少子化による人口減少社会の中で「産婦人科」「小児科」の担い手が減少、多忙な勤務環境や訴訟リスクなどから「外科」「救急科」を目指す医師が少なくなっているだけでなく、地方の医療機関では高齢者医療の担い手である内科医師の不足も顕在化しつつあることが示唆された。

地方で勤務する医師には特別な配慮を
 Q4で「医師不足・偏在」への解決策について質問したところ、「病院・診療所・クリニックの適正配置」(155)、「診療報酬で地域差を設ける」(119)、「医師の就業の流動性」(107)、「患者の診療抑制の実施」(100)、「専門医制度の改革」(76)などの順番で多かった(以上は複数回答)。

 また、具体的な提言について質問したところ「地方勤務医師の専門医資格の緩和」「地域枠採用の医師の拡大と固定化」「医師免許の2段階化」など、地方と都会で働く医師に差を設ける施策を求める声が多かった。また、医療制度全般では「外科の診療報酬増額」「患者の多い診療科の診療報酬減額」「大学医学部の再編成と地域義務医療の創設」など診療報酬制度や医学教育制度への変革を求める声があった。

 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントなどはCareNet.comに掲載中。

■参考
医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第28回)

■関連記事
推計1万6,226人の内科医が2030年に不足
16県が医師少数、改正医療法で是正となるか?
(ケアネット 稲川 進)



https://www.medwatch.jp/?p=25136
医師偏在対策まとまる、2019年度に各都道府県で「医師確保計画」定め、2020年度から稼働―医師需給分科会(2) 
2019年3月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 お伝えしているように、厚生労働省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)が2月27日に医師偏在対策に関する意見とりまとめを行いました(第4次中間とりまとめ)(関連記事はこちら)。

 医師偏在の解消に向け、法律の改正を行い(医療法・医師法)、膨大なデータを駆使した精緻な議論の結果である今回の第4次中間とりまとめには、構成員からも「画期的である」との賞賛の声が出ています。
 
ここがポイント!
1 医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める
2 医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可
3 将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定
4 外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に


医師多数の地域から、医師少数の地域への「医師派遣」などを強力に進める

 医師偏在対策は、都道府県が新たに作成する3年を1期とした「医師確保計画」(2020年度からの当初計画のみ4年計画)に沿って進めます。第4次取りまとめの内容をもとに、偏在対策の概要を眺めてみましょう。

 医師確保計画には、▼医師確保に向けた方針▼医師確保の目標値▼具体的な医師確保策―を盛り込みますが、「医師が少数の地域」と「医師が多数の地域」とでは、そもそもの方針の立て方が異なってきます。医師の養成数には限りがある(2017年度の医学部入学定員は9420人)ため、「医師が多数の地域」が「もっともっと医師が必要だ」と考えて医師確保を進めれば、「医師が少数の地域」での医師確保がますます難しくなってしまうためです。
 
そこでまず、1つ1つの都道府県・医療圏について「医師が多数なのか、少数なのか」を客観的に把握することが求められます。このため、「人口10万対医師数」に▼地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なる)▼地域医師の性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が大きく異なる)―などを加味した、新たな「医師偏在指標」を設定。これを用いて全国の都道府県・医療圏の「医師配置状況」に順位をつけ、▼上位3分の1を医師多数3次医療圏・医師多数区域▼下位3分の1を医師少数3次医療圏・医師少数区域―と定めました(関連記事はこちらとこちら)。

医師少数とされた地域では、3年後(1期の医師確保計画終了時点、当初は4年後)に「現在の下位3分の1ラインに到達できる」ように、医師確保の方針・目標数を設定し、医師確保施策を進めていきます。
医師需給分科会(2)の4 190130
 
一方、医師少数でない地域では、医師確保計画の中に「他地域からの医師確保」方針などを盛り込むことは原則としてできません(偏在が進んでしまうため)。ただし、医師多数と判断された都道府県でも、一部に医師少数の地域が存在することもあり、また将来は医師が少数になる可能性もあります(人口増等で医療ニーズが増加するなど)。こうした場合には、もちろん「医師確保」に向けた施策などを盛り込むことが可能です(関連記事はこちら)。

 どの地域が医師少数なのか、多数なのかについては、すでに候補が厚労省から示されています。今後、各都道府県で「患者の流出入」の調整を行い、最終決定がなされます。

【医師少数の都道府県】(候補)
▼岩手県▼新潟県▼青森県▼福島県▼埼玉県▼茨城県▼秋田県▼山形県▼静岡県▼長野県▼千葉県▼岐阜県▼群馬県▼三重県▼山口県▼宮崎県―の16県

【医師少数の2次医療圏】(候補)
▼秋田県北秋田▼北海道宗谷▼北海道日高▼山梨県峡南▼鹿児島県曽於▼岩手県宮古▼茨城県鹿行▼茨城県筑西・下妻▼愛知県東三河北部▼静岡県賀茂▼鹿児島県熊毛▼北海道南檜山▼福島県相双▼北海道根室▼熊本県阿蘇▼石川県能登北部▼岡山県高梁・新見▼島根県雲南▼秋田県湯沢・雄勝▼千葉県山武⾧生夷隅▼茨城県常陸太田・ひたちなか―など112医療圏

●全体の状況(候補)はこちら

 なお、産科・小児科については「特別の考えに基づく対策」を採ることを、既にメディ・ウォッチでお伝えしています(関連記事はこちら)。


医師多数の地域、医師偏在を進めないよう、「医師派遣」等の実施は原則不可

 医師確保のための施策は、「他地域からの医師派遣」などの短期的施策と、「大学医学部での地域枠・地元枠設定」などの長期的施策に分けられます。医師の不足状況に応じて、これらを組み合わせていきます。

 後者の地域枠等については、効果が出るまでに時間がかかる(医学部入学から医師免許取得・初期臨床研修修了まで早くでも8年間が必要)ため、「今、医師が不足している」という状況には対応できません。一方、前者の「医師派遣」では、「いずれ派遣を終えて帰ってしまう」ため、継続的な仕組みが構築されない限りは、一時的な効果しかありません。このため、「現在の医師不足」へは短期的施策によって、「将来の医師不足」へは長期的施策と短期施策の組み合わせによって対応することが原則となります。

 このため、短期的施策は、「医師多数3次医療圏・医師多数地域」では採用できず(医師偏在が進んでしまうため)、「医師少数」の地域などでのみ実施できます。その際、どの地域に派遣を要請すればよいのかが分かるように、国において「医師のキャリアなどを可視化した全国データベース」を構築することになります。
 医師多数区域では、偏在の助長を防ぐために、「他地域からの医師派遣など」を医師確保計画に盛り込むことはできない(好ましくない)(その1、2次医療圏)
 
 また「医師少数区域等での勤務」を認定する仕組みも、短期的施策の1つと考えることができそうです。
 6か月以上(1年以上が望ましい)、医師少数区域等で勤務した医師を厚生労働大臣が認定するもので、2020年4月以降に初期臨床研修を受ける医師では、この「認定」がない限り、「医師派遣機能などを有する地域医療支援病院」の管理者(主に院長)になることができません。なお、卒後10年以上のベテラン医師では、「断続的な勤務」(例えば週に2日、医師少数区域等で勤務する)の合計が180日となれば、この認定を受けることができます(関連記事はこちらとこちら)。

 医師少数区域等を抱える都道府県では、「医師が勤務したくなる」ような支援(「若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備」のためのプログラム整備など)を積極的に行うことが必要です。

 また、医師需給分科会では、各団体が自ら「病院管理者の要件として、認定制度を活用する」と考えることへの期待も寄せています。


将来の医師不足に対応するため、医学部に地域枠・地元枠を設定

 長期的施策(地域枠等)は、「将来の医師不足」に対応するものです(今般の改正医療法・医師法で、都道府県知事が大学医学部に地域枠等設定を要請できることとなった)。将来、医師がどれだけ不足するかは、地域ごとに「将来の医療ニーズ」と「将来の医療供給数」とを勘案して把握することができます。

 ところで、医師を無計画に増員していけば、人口減少社会にある我が国では、いずれ医師過剰となり、例えば「医師の生活維持が困難になる」「不適切な過剰な医療提供を行う」といった弊害がでてしまいます。そこで、医療ニーズを勘案して、精緻に「医学部の入学定員」を設定しています(恒久定員、医師偏在に対応するための臨時定員)。このうち臨時定員については2021年で一旦廃止され、2022年度以降は、医師の働き方改革などを踏まえた需給バランスを踏まえて検討しなおすことになっています。

 こうした点を踏まえ、医師需給分科会では次のような方針を固めました(関連記事はこちらとこちら)。

【将来、「医師少数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:上記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【将来、「医師多数」となる都道府県】
○うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:上記青色部分)のみ要請できる(後述するように「地元枠」設置は不可)

○うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない

 なお、地域枠は、専ら「地域の特定の2次医療圏の医療機関に勤務することを条件に奨学金等を貸与する」もので、都道府県内で「医師少数の2次医療圏」における医師確保(2次医療圏間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。一方、地元枠は、「地元出身者には奨学金貸与等をせずとも、地元の医療機関に定着する」というエビデンスから、各都道府県において医師を確保する(都道府県間の医師偏在を是正する)機能を持ちます。

 このため、地域枠は「医師少数の2次医療圏(医師少数地域)」がある場合に、地元枠は「医師少数の都道府県」において設置要請が可能となります。

 厚労省の試算では、「将来も医師少数」となる都道府県は限られており(▼北海道▼青森県▼岩手県▼秋田県▼福島県▼群馬県▼埼玉県▼新潟県▼長野県▼静岡県▼山口県▼宮崎県―の12道県)、ここが「地元枠」「臨時定員を活用した地域枠」の設定候補になると考えられます。

 一方、「将来も医師少数」となる区域(2次医療圏)はほとんどの都道府県にあり、「恒久定員における地域枠」の設定は、ほぼ全都道府県で可能になると思われます。
●全体のデータはこちら(厚労省、医師需給分科会のサイト)


外来医師が多い地域での新規開業、在宅医療や初期救急の実施が必要に

 なお、「自由開業制が医師偏在を助長している」との議論もあり、医師需給分科会では、まず▼外来医師(クリニック)の状況を見える化する▼外来医師が多数な地域での新規開業には、「在宅医療」「初期救急(夜間・休日の診療)」「公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)」の機能を求める▼地域において外来医療のあり方を議論する―仕組み創設を提言しました(関連記事はこちら)。

 こうした仕組みの効果を見て、将来、「より強力に自由開業に一定の制限を加える必要がある」といった議論が行われる可能性もあります。

 
 近く、親組織(医療従事者の需給に関する検討会)との合同会議で正式とりまとめを行い、これをもとに厚労省で「医師確保計画」作成のための指針(ガイドライン)等を策定します。各都道府県は指針(ガイドライン)等に基づいて2019年度中に「医師確保計画」を作成し、2020年度から各種の医師確保策を進めることになります。

 取りまとめにあたり、「大学医学部での教育過程において、地域医療の重要性をより強力に伝えるべき」(福井次矢構成員:聖路加国際大学学長ら多数)、「国民の『上手な医療のかかり方』の重要性等をより強く説いていくべき」(権丈善一構成員:慶應義塾大学商学部教授)などの意見が出ています。

 
 なお、診療科別・都道府県別の地域偏在対策に関する研究も厚労省で進められています。そこでは、「医師の働き方改革」の方向に合わせ、診療科別に「年間960時間を超える時間外労働を行っている医師を、960時間までに抑える」形で医療ニーズを把握していく考えが示されています(関連記事はこちらとこちら)。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/662417
医療従事者の需給に関する検討会
2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ
医師需給分科会第4次取りまとめ、「医師偏在の見える化」がカギ
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の第29回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)が2月27日に開催され、二次、三次医療圏の医師偏在指標や医師確保計画の方針などを盛り込んだ「第4次中間取りまとめ(案)」を、修文を座長一任の上、了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 厚労省は3月下旬に開催予定の「医療従事者の需給に関する検討会」との合同部会に諮った後、医師確保計画の策定方針を作成、3月末までに都道府県に通知する。都道府県は4月から医師確保計画を策定、2020年度から計画を実行に移す。マクロ、つまり全国平均では2028年頃に医師需給は均衡すると推計されるが、医師の偏在解消、つまり全ての都道府県において医療ニーズを満たす医師を確保するのは2036年度が目標となる(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。


 今後の医師偏在対策の一番のポイントは、「医師偏在」の実態の見える化だ。医師が多い地域から少ない地域へと医師が移動することを期待する。その際に活用するのが、「医師偏在指標」。人口10万人当たりの医師数に、将来の人口構成の変化や患者の流出入などを加味して、二次、三次医療圏(都道府県)単位で算出する。その下位33.3%を「医師少数区域」、上位33.3%を「医師多数区域」に設定する(『医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差』を参照)。

 医師偏在解消に取り組む主体は都道府県で、大学なども参加する地域医療対策協議会を開催し、「医師偏在指標」などを基に、地域医療支援センターが行う医師の派遣調整などについて議論する。医師少数区域等に6カ月以上勤務する医師を厚労大臣が認定する仕組みや、医学部地域枠の卒業生なども活用して、医師確保を進める。「医師偏在」の見える化は、外来医療のほか、診療科別では産科・小児科でも行う(『「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく』、『産科医と小児科医、都道府県で2.2倍の格差』を参照)。

 医学部定員は、2008年度から続いてきた臨時定員増の全てが2021年度に期限を迎える。2022年度以降の臨時定員は、医師の働き方改革に関する検討会などの結論も踏まえ、今後、改めて議論の場を設ける。

 「第4次中間取りまとめ(たたき台)」は2月18日の第28回医師需給分科会で提示され、おおむね了承を得ていた(『医師偏在対策、第4次中間取りまとめ(たたき台)を提示』を参照)。

 大学教授にも医師少数区域での勤務経験求める声
 「第4次中間取りまとめ(案)」はおおむね了承、幾つか修正、追加意見などが出た。

 医師確保対策の一つとして新設されるのが、医師少数区域等における勤務経験を厚生労働大臣が認定する仕組み。地域医療支援病院のうち医師派遣・環境整備機能を有する病院の管理者要件とすることが、認定のインセンティブの一つ。慶應義塾大学商学部教授の権丈善一氏は、「対象病院の範囲を拡大していくことが重要」と述べ、地域医療支援病院等以外でも、病院側が自発的に認定医師を管理者要件にできるような表現にするよう求めた。

 過去の議論で、大学関係者の要件にも加えるべきだとの意見が出ており、この日の会議でも同様の議論があった。全国医学部長病院長会議の前会長の新井一氏は、「将来的な方向性として、大学に残る医師であっても、地域医療にエクスポージャーすることは必要だろう。そうした方向で検討してはどうか」と提案。

 文科省高等教育局医学教育課長の西田憲史氏は、「認定医師を大学病院の病院長の要件とすることは、将来の検討対象となり得るだろうが、医学部教授全体について、となると、大学の人事そのものの話になるので、難しいのではないかと考えている」と回答した。

 地域枠、「別枠方式」の把握、公表へ
 医学部地域枠の卒業生をいかに地元に定着させるかも、重要になる。2020年度以降は、臨時定員における地域枠は、一般枠とは別枠の募集定員を設ける「別枠方式」しか認められなくなる。別枠方式の方が地元定着率が高いためだ(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「手挙げ式はやめて、別枠方式とすることにより、どれだけ地域枠が埋まるかを確認する必要がある」と述べ、実態を継続的に把握するだけでなく、その公表を求めた。

 医師確保計画においては、都道府県知事が大学に対し、地域枠の創設または増員を要請できる。恒久定員枠、あるいは臨時定員枠に設けることになるが、新井氏は、恒久定員に占める地域枠の割合については「5割という数字が独り歩きしないよう、慎重になってもらいたい」と要望した。過去の議論で、「5割程度までは可能ではないか」といった意見があったからだ。

 厚労省医政局医事課は、2022年度以降の医学部定員については、恒久定員に地域枠を設け、それでもなお地域枠が足りない場合に臨時定員を認めるかどうかという議論になると説明した。文科省によると、地域枠には幾つかの種類があり、広義の地域枠の占める割合は平均1割程度だという。

 適切な受診呼びかける国民への啓発も必要
 「第4次中間取りまとめ(案)」の「地域住民に対して、医療のかかり方に関する啓発を行っていくことも、限られた医師で医療を提供していくうえで重要」との一文について、権丈氏は、国民が適切に医療機関を受診するよう国民の努力義務を定めた、2014年6月に成立した改正医療法第6条2の3の一文を追加するよう提案。本改正は、2013年8月の社会保障制度改革国民会議報告書が基になっているとし、「疲弊おびただしい医療現場を守るためにも、フリーアクセスを『必要な時に必要な医療にアクセスできる』と理解する」という説明の追加も求めた。

 その他、今回の取りまとめは、医師の地域偏在対策が主眼だが、聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、診療科偏在を是正する必要性を強調。特に総合的な診療を担う医師の養成数を議論し、提示することを求めた。「どのくらいジェネラルな医師を養成するかによって、他科の必要医師数などが変わってくる」とした。

 全日本病院協会副会長の神野正博氏も、「問題は診療科偏在が解消されていないことであり、ここがものすごく医師需給に影響してくるのではないか」と述べ、早急な検討を求めた。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、福井氏の発言に対し、総合診療の専攻医はさほど多くはない一方、地域には、総合的な診療能力を発揮しているかかりつけ医がいるとし、「できるだけ多くの医師にそうした力を発揮してもらうかが重要ではないか」と述べ、総合的な診療能力を持つ人がどのくらいか、という議論はいいが、総合診療の専攻医の割合を決めるのは問題だと釘を刺した。

 「画期的な取りまとめ」との指摘も
 岩手医科大学理事長の小川彰氏は、地域医療対策協議会の役割が重要になるものの、現状では温度差があるとし、「同じスタンダードで、できるのか。厚労省が介入しないとやっていけないのではないか」と指摘。厚労省医政局地域医療計画課は、丸投げではなく、都道府県の医師確保計画を把握するほか、具体的な助言、好事例を共有、担当者レベルの人材育成支援などに取り組んでいくと回答。

 小川氏は会議の最後に、次のように発言した。「過去の医師需給推計では、(医師不足対策等の)方法は打ち出されなかったが、今回はかなり突っ込んだ議論をし、第4次中間取りまとめになった。多少不満は残るが、今回の医師需給分科会の議論ほど着実に進んだものはなく、その意味では画期的な取りまとめになった」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/661496
真価問われる専門医改革
47都道府県別の「診療科別、2036年の必要医師数」暫定版公表
診療科偏在解消に向け「専攻医数でコントロール」を検討
 
レポート 2019年2月25日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は2月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、47都道府県別の「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」を公表した。18の基本領域別の医師数の2036年までの将来推計で、全国推計は2月18日の医師需給分科会で公表されていた(『内科、外科など10科は必要数増、精神科など8科は減』を参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/660394)。

 厚労省は「今後、専門医制度を通じて専攻医の診療科偏在や地域偏在を是正するために、都道府県別診療科別の必要医師数の活用を具体的に検討してはどうか」と提案、委員からは異論は出なかった(資料は、厚労省のホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03730.html)。


内科と小児科の推計例(2019年2月22日「医師専門研修部会」の参考資料7 https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000482825.pdf)
 日本病院会常任理事の牧野憲一氏は、専攻医の募集人数(定員数)は、研修を希望する医師数の約2倍になることから、「好きな領域に行けるので、不足する領域の医師はいつまで経っても不足する。不足する領域で医師を確保できる募集の仕方を今後、考えるべきではないか」と提案した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、「いつどんな形で、これから専門医を目指す人に情報提供していくのか」と質問。厚労省医政局医事課は、今回のたたき台はあくまで暫定版であり、医師需給分科会で出された意見を踏まえて修正を加えていくことから、「具体的な時期はまだ言えない」と答えた。

 日本医師会常任理事の釜萢敏氏は、医師需給分科会についての報道で、「医師が足りなくなり、養成しなければいけない、といった論調の報道が多かったが、これまでのマクロの医師養成数と整合性が取れているのか」と確認した。厚労省医政局医事課は、診療科別の将来推計とマクロの推計は整合性が取れていると回答。同省は、医師需給分科会で医師不足対策の議論を進めているが、その際、「将来時点(2036年)において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、地域ごとに、将来時点の医師偏在指標が全国値と等しい値になる医師数を必要医師数とする」などとし、2036年までには医師需給が均衡することを前提としている。

 「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)」は、従来の人口10万人当たりの医師数という指標ではなく、(1)診療科ごとの医師の需要を決定する代表的な疾病・診療行為を抽出し、診療科と疾病・診療行為の対応表を作成、(2)現状の医療の姿を前提とした人口動態・疾病構造変化を考慮した診療科ごとの医師の需要の変化を推計し、現時点で利用可能なデータを用いて、必要な補正を行った将来の診療科ごとの医師の需要を推計――という手法で実施(詳細は、2月22日「医師専門研修部会」の資料3を参照)。



https://www.m3.com/news/kisokoza/661899
埼玉県、医師確保事業に7億7000万円、2019年度予算案 
2019年2月27日 (水)配信m3.com地域版
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 埼玉県は2月20日、2019年度当初予算案を発表した。保健医療部全体では昨年度比マイナス1.1%の1750億2041万円の予算を計上。医師確保事業に7億6916万円を計上する。県の予算全体では、1兆8884億6000万円で、前年度より227億円、1.2%の増となっている「医師確保対策の推進」として7億6919万円を計上した。

事業の概要は

 (1)埼玉県総合医局機構の推進 1億156万円

  臨床研修医の県内医療機関への誘導、若手医師が安心して地域医療に従事できるキャリア形成支援、地域医療教育センターの運営など、埼玉県総合医局機構において一元的・総合的な医師確保対策を実施する。

 (2)医学生・研修医の誘導・定着促進 6億5519万円

  医学生や研修医に奨学金や研修資金を貸与することにより、医師が不足している診療科や医師不足地域(特定地域)への医師の誘導・定着を促進する。

 (3)医師にとって魅力ある「埼玉ブランド」の構築(新規)1243万円

 最先端の知識・技術を習得するための留学支援制度の創設や、外部機関による臨床研修プログラム評価制度の県内臨床研修病院への導入促進により、研修医等の若手医師にとって魅力的な「埼玉ブランド」を構築し、医師の確保・定着と質の高い医師の育成を図る。


 医師の不足及び医師の偏在を解消するため、医学生に奨学金を貸与すること等により医師の確保を図るとともに、若手医師へのキャリア形成支援や地域医療教育センターによる医師等の教育・研修環境の向上により、医師の県内医療機関への誘導・定着を図る狙いだ。

 看護職員確保対策の推進として予算総額10億4447万円を計上した。

事業概要は

 (1)看護職員の養成  6億5338万円

看護職員を新たに育成するため、看護師等養成所の運営に必要な経費の一部を補助するとともに、看護学生の実習受入れを拡充する施設を対象に実習指導者の養成などを支援する。

 (2)潜在看護職員の復職支援  3129万円

 ・ナースセンターにおいて、資格を持ちながら就業していない方を対象に、 無料の職業紹介を実施するとともに、離職時の届出制度を活用した情報提供・相談体制を強化する。

 ・ 離職している方の技術的な不安を解消し復職を支援するため、県内各地の病院など医療現場での講習会や個人の希望や経験に応じた採血などの基礎技術に特化した講習会を実施する。

 (3)離職防止・職場定着の促進  3億5979万円

 ・子どもを持つ看護職員等の離職防止と復職を支援するため、病院内保育所を運営する医療機関に対して、その運営に必要な経費の一部を補助する。

 ・新人看護職員の早期離職の防止、職場定着及び看護の質を向上させるため、看護実践能力の修得を図る新人看護職員研修の実施を支援する。
 急速な高齢化による医療ニーズの増大が見込まれており、看護職員の更なる確保を図るため、看護職員の養成、復職支援、離職防止・職場定着を促進する。

 保険診療部の担当者は、新規事業である埼玉ブランドの構築について、「留学支援」、「外部評価制度の導入支援」の2つの事業を柱としていると説明。「留学支援に関しては海外留学を対象とし、1人最高1年間、最大300万円で2名の支援を予定している。外部評価制度の導入支援については、臨床研修の第三者機関による評価の導入を目的として、県内の臨床研修病院36カ所の内、今年度は10カ所への支援を目標としている。初回費用の50万円を支援する予定」とコメントした。

 新規事業では地域医療体制を充実させるため「医療提供体制のあり方の検討」「救急医療体制の充実」「移行期医療支援体制の整備」の3事業を策定した。

 「医療提供体制のあり方の検討」では2317万円を計上。国保データベースを活用し、県内の医療需要を把握。需要を踏まえた医療提供体制と保険・医療・介護予防をすすめる取組を検討する。

(1)有識者等を含む検討プロジェクトチーム  45万円
(2)国保データベース(KDB)加工及び分析業務委託 2205万円
(3)ビッグデータ分析ОJT研修参加費  66万円
が主な事業。データの分析により、医療課題の見える化と対応策を目標とする。

 「救急医体制の充実」には予算総額  920万円を計上。

(1)救急医療情報システム機能強化費  600万円
(2)救急医療機関外国人対応サポート事業 320万円
の2事業を柱としている。救急医療情報システムにスマートフォンなどを活用した新たな機能を追加し、救急搬送の更なる迅速・円滑化を図るとともに、救急病院から後方病院への円滑な転院を支援する。 また、ワールドカップ開催などで急増が見込まれるため、救急病院等における外国人患者の円滑な受入れも推進する。

 「移行期医療支援体制の整備」には590万円の予算をあて、移行期医療支援センター(県内医療機関を想定)を開設し、以下の事業を行う。

(1)小児期医療機関と成人期医療機関の連携促進
(2)在宅介護や緊急時対応も含めた、受け入れ医療機関の確保
(3)各医療機関の取組支援及び患者の自立(自律)
 支援在宅緩和ケアの推進には2186万円の予算をあて

(1)在宅緩和ケア地域支援事業 1301万円
(2)在宅緩和ケア地域連携構築事業  885万円 を行う。

 患者のための薬局のかかりつけ機能の強化推進に予算総額 490万円を計上し、2つの事業を行う。

 (1)認知症対応薬局の推進(新規)

薬局での窓口対応で薬剤師が認知症の疑いのある人に早期に気付き、受診を勧めたり、 地域包括支援センターやかかりつけ医などと連携したりすることにより、早期に対応 できる体制を築く。
 (2)ポリファーマシー対策の推進(継続)

 複数の疾患を抱え多剤を処方される高齢者を対象に、保険者、医師及び薬剤師が連 携してポリファーマシー(多剤併用による薬物有害事象の発生)対策を実施することにより、患者本位の安全な薬物療法と医療費の適正化を推進する。

 病院事業会計全体では昨年比7.8%増の707億8822万円の予算を計上。新規事業として、
1.循環器・呼吸器病センターにおける「脳神経センター」の設置 2億1609万円
2.がんセンターにおける総合診療体制の構築 2億4256万円
の取り組みを行う。

 県立病院の診療体制の強化を行う。医療ニーズの高度化、多様化に対応する必要から、県立病院の診療体制を整備・強化し、脳血管内治療を必要とする救急患者や心臓疾患等の合併症があるがん患者の受入体制を構築し、高度で専門的な医療を提供する。

 経営形態の見直しを目的として、地方独立行政法人化の準備 1億9392万円を計上した。



https://blogos.com/article/360171/
医大入試の男女別枠は是か非か 
日本財団2019年02月25日 15:01
(産経新聞【新春正論】2019年2月21日掲載)
日本財団会長 笹川陽平

医学部不正入試をめぐり昨年12月、個人ブログに「天下の暴論か?」と題して各大学医学部の定員をあらかじめ「男子〇名、女子〇名」と決め、それぞれ成績順に合格者を決めたらどうか、私見を記したところ、賛成、反対を含め多数の意見をいただいた。

皮膚科、眼科に偏る女性医師
合否判定が募集要項に即して厳正に行われるべきは言うまでもなく、女子や浪人生を不利に扱った各大学の対応を肯定するつもりはない。しかし、急速な高齢化で医師不足が深刻化する中、女性医師が皮膚科や眼科などに偏る現実を前にすると、外科や救急などハードな医療を維持していくには、どうしても多くを男性医師に頼らざるを得ない現実がある。

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、日本の医師数は2016年、約31万9500人。女性医師は約6万7500人、全体の21.1%に上る。

全国の病院で働く医師の性別を診療科別に見ると、女性医師のトップは皮膚科が54.3%。以下、産婦人科、眼科、産科などが40%台前半で続き、外科は乳腺外科など一部を除き1桁台。男性医師に比べ診療科の広がりが欠ける傾向にある。

 医師不足が進む地域医療が、医師の献身的な努力でようやく成り立っている現実が指摘されて久しい。昨年6月に成立した働き方改革関連法では医師の残業規制が適用除外となり、厚労省はその後、地域医療に携わる勤務医の残業上限時間を年1900~2000時間とする案を示している。

一般労働者の約2倍を超す数字で、もともと地域医療への女性医師の進出は少なく、当面、地域医療の多くは男性医師頼みの状況にある。

こうした現実を受け、「試験結果だけで判定すると女性医師ばかりが増え、地域医療や救急医療が崩壊しかねない」と危惧する医療関係者の声も何度か耳にした。男性より女性が成績上位を占める傾向は医学部に限らず一般企業の入社試験でも顕著、小論文や面接で加点して男性社員の採用を増やすケースが多いと聞く。

「医学部入試でも同様の対応がなされ、医学部関係者にとって不正入試は、ある意味で常識だった」との声もある。

「地域枠」は地元出身を優遇
それならば、当面は男性医師に多くを頼らざるを得ない医療現場の実態を広く説明した上で、最初から男性の定員枠を女性より多めに設定する方法もあるのではないか。筆者の提案は深刻な医師不足を前にした“応急策”の色合いが強いが、医療の現状を前にすれば国民の理解を得られる余地も大きいと考える。

地域の医師不足解消に向け1997年に札幌医科大、兵庫医科大で始まった「地域枠」も、地域医療に従事する意思のある地元出身者を優遇する点で、形の上では「機会均等」、「公平性」を欠く。一般入試に比べ入試偏差値もやや低い傾向にあるようで、国家試験合格後、9年間、地元の医療機関で働けば奨学金の返済を免除する、などの優遇措置も採られている。

2017年度には71大学、全医学部定員の18%、1674人分までに広がり、札幌医科大のように定員110人のうち90人を地域枠が占める大学もある。政府の後押しもあるが、特段の批判が出ないのは、それだけ地元住民が地域医療の確保を強く求めている、と言っても過言ではない。

日本の女性医師の比率はOECD(経済協力開発機構)加盟36カ国の中でも最低水準にあるが、2000年以降16年までに比率は6.7ポイント、人数も3万人以上増えた。医師国家試験の合格率も、2018年は男性の89.1%に対し女性は92.2%と女性が男性を2%〜3%上回る傾向が続いている。女性医師は今後も確実に増える。

問題とすべきは将来の医療の確保
要は20年、30年後に医療を少しでも健全な形で引き継ぐには何が必要か、換言すれば、人口が減少する縮小社会の中で高齢者を中心に急増する医療需要にどう応えていくか、という問題である。

院内保育や短時間勤務制度など女性医師が子育てを両立できる職場環境や男性が育児や介護、家事に参加する社会環境の整備が進めば、多くの女性医師が30歳代で離職する事態も緩和される。

外科や内科などへの女性医師の進出も間違いなく増え、多くの診療科で男性医師と女性医師のバランスが取れるようになれば、男女平等の本来の入学試験に戻れば済む。

繰り返して言えば、入試要項で男女平等を謳いながら、現実の入試で差別をしたのは各大学の姿勢が厳しい批判にさらされ私学助成金のカットを招いたのは止むを得ない。メディアの報道も不正入試を追求するあまり、医療の課題や将来に向けた問題提起が二の次になった感が否めない。

少子高齢化の中で国民の医療をどう育んでいくか、世界共通の課題である。最先端を行く日本が医師の育成を含め、今後の医療にどう取り組んでいくか、世界が注目している。報道関係者には新しい時代の国民医療の在り方について実のある提案を望みたい。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190226-00010000-jij-sctch
奨学金・修学資金はお得か=医学部「地域枠」の特徴は? 
2/26(火) 17:15配信 時事通信

 医学部の奨学金・修学資金は、どのような大学で給付がされるのか。大学時代に奨学金を利用した場合、貸与型給付金であれば卒業後に返済しなければならず、苦労をしている人も多いようで、たびたびニュースにも取り上げられています。では医学部の場合は、学費が高額になりますが、これらのことがどのようになっているのか。

 ◇地域医療を支える入試枠
 その説明の前に、ほぼ医学部だけに存在する「地域枠入試」という入試区分に触れる必要があります。ご存じの方も多いかと思いますが、「地域枠入試」は、主に地方での医師不足や診療科の偏在が問題となっている地域で、将来、地元の医療を支えてくれる受験生のために行われる入学試験枠です。
 「地域枠入試」には、主に次のような特徴が考えられます。

(1)医師不足の解消
(2)地元占有率が高まる(他県からの受験者が減少)
(3)本当に医師になりたい人が合格する(面接試験も重視)
(4)地方においては、少し入りやすい大学も出てきた
(5)現役合格率のアップ(出願資格を現役生に限った場合)
(6)奨学金・修学資金の貸与によって、一般家庭からの進学者の増加

 今回の話では(6)の内容が関係します。

 国公立、私立を問わずにほぼ全ての大学が「地域枠」での入学者に対して、奨学金・修学資金の貸与を行っています。「一般入試」や「推薦入試」「センター利用入試」の中で「地域枠」を募集する大学が多いですが、入学後に希望者を募る大学もあります。大学によって異なるため注意が必要です。

 ◇生活費の支給も
 例えば、先述の順天堂大学を例に挙げると、「東京都地域枠」「新潟県地域枠」「千葉県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」の五つの地域枠があります。「東京都地域枠」の奨学金=正式名称「東京都地域医療医師奨学金(特別貸与奨学金)制度」=は、6年間総額の学納金に加えて、月額10万円の生活費も支給されます。これだと一般家庭の受験生でも順天堂大学に通うことは可能です。

 一般的な奨学金と医学部地域枠の奨学金は、どのように違うのか。

 ほとんどの「地域枠入試」は、『貸与』という形式で奨学金を支給しています。それでは医学部卒業後に全額を返済しなければならないかと言えば、その限りではありません。一定条件を満たせば返還が免除されます。順天堂大学の「東京都地域枠」の場合には、大まかには次の二つの条件を満たすことです。

(1)大学を卒業した日から2年以内に実施される医師国家試験に合格し、合格後は速やかに医師免許を取得すること。
(2)医師免許取得後、直ちに、東京都内の地域で、小児医療、周産期医療、救急医療、へき地医療を担う医療機関において、奨学金貸与期間の1.5倍の期間、医師として従事すること。

 ◇9年間は大学に拘束
 「奨学金貸与期間の1.5倍の期間」ですから、通常は大学に6年間在籍しますので、卒業後に9年間は卒業した大学に拘束されることとなります。

 なお返済免除に関する条件などは大学ごとに異なります。地域枠に関しては、各大学のホームページや、公益財団法人へき地ネットをご参照ください。

 参考までに、支給金額の大きな大学のみをまとめています。

 学納金が支給・貸与される「地域枠入試」は、経済的理由から医学部受験を諦めなければならない人にとっては朗報ではないかと思います。ただし、「地域枠入試」の場合には、出願の際には多くの大学で出身高校や出身地の制限がある場合があります。順天堂大学の場合には、「東京都地域枠」や「千葉県地域枠」の場合には出願条件の制限がありますが、「新潟県地域枠」「埼玉県地域枠」「静岡県地域枠」については制限がありません。

 ◇「地域枠入試」は、よく考えて受験を!
 そして、本当に地域医療のために尽力したいとの気持ちがなければいけませんが、これに関しては、面接試験で医師志望の理由とともに、しっかりと面接官にアピールできなければなりません。

 一般枠入試で入学した場合、医学部卒業後は初期の研修先として全国から自分の希望する医療機関を選択することができます(臨床研修マッチングプログラム)。また、例えば、将来は研究医となりiPS細胞を研究したいと考えていた場合、そのような進路の選択が可能です。しかし、「地域枠入試」で入学・卒業した場合は、少なくとも9年間は自分の進路を自分自身で決定できない可能性があります。

 「地域枠」での入学を考えている場合には、自分が受験を考えている大学について、卒業の条件などがどのようになっているのかを調べた上で、受験をしなければなりません。

 それでも「地域医療への貢献」と「学納金」また、大学によっては志願者倍率や合格に必要な偏差値が一般入試よりも低い大学も多いことから、「地域枠入試」は一考の余地があると思います。(医系専門予備校メディカルラボ 山本雄三)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190228-OYTET50039/
医師充足度、最大2・2倍差…産科・小児科の都道府県別推計 
2019年2月28日  読売新聞

 医師が都市に集中し、地方で不足する「偏在」の解消を目指している厚生労働省は27日、産科医と小児科医の都道府県別の充足度について、両科とも最大2・2倍の開きがあったとの推計結果を明らかにした。

 単純な人口比の医師数ではなく、医師の性別や年齢、患者の需要などの影響も加えた指標で示した。値が大きい方が充足度が高い。

 産科で1位は東京(18・4)で、秋田(15・8)、和歌山(14・3)と続いた。最下位は新潟(8・2)で、熊本(8・6)、福島(8・8)の順だった。

 小児科では1位が鳥取(173・8)で、東京(142・4)、京都(140・6)が続いた。最下位は茨城(78・3)で、埼玉(79・0)、鹿児島(82・7)の順だった。

 医師全体の偏在指標でみると、1位は東京で、最下位の岩手とは1・9倍の開きがあった。値はいずれも暫定値としている。

 厚労省は、この日開かれた有識者検討会に産科、小児科の推計結果を示すとともに、医師の偏在解消策などを盛り込んだ中間とりまとめ案について大筋で了承を得た。
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https://gentosha-go.com/articles/-/20156
連載勤務医の「キャリア&資産形成」戦略【第3回】
「医局ブランド」ではもう稼げない!? 医学部教授の懐事情
藤城 健作2019.2.28医師向け勤務医キャリア設計資産形成開業医
 

今回は、医学部教授というブランド力の変遷と、2004年に施行された「新研修医制度」が医局に与えた影響を考察します。※医師を取り巻くキャリア環境が激変しています。医局に頼ってきた従来とは異なり、自らキャリアを形成し、開業医を目指す医師が増えているのです。しかし、安易な開業が取り返しのつかない失敗を招く場合もあります。本連載では、開業医を志す医師に向け、開業を成功に導くポイントと、開業を磐石なものにする資産形成の方法を解説します。

かつては様々な収入源があった「医局の教授」だが…
大学病院の医局は、多くの人がドラマの「白い巨塔」でイメージするように、医学会の頂点に君臨する存在として認識されていました。

大学病院のなかには、外科医局、産婦人科医局など数十の「医局」と呼ばれる組織が存在し、それぞれの医局には数十人から数百人の医師が所属。医局のなかにもピラミッドが存在していました。

医師としての出世コースにおいてゴールになる「教授」を頂上として、助教授(准教授)、講師、助手(助教)、医員、研修医という明確な序列があったのです。

一般的に大学病院で教授のポストに収まるには、大学を卒業してから20年から30年ぐらいかかると言われています。長年かけてようやくたどり着ける教授の地位。医局におけるその力は絶大でした。

有力な大学医局は多くの関連病院を持っており、医局員は自分で就職先を探す必要がありません。それは就職先に困らないということを意味しています。

ただし、それは医局のサポートがある場合だけ。医局を牛耳る教授に睨まれれば一転して就職先が閉ざされ、医師であるのにもかかわらず職にあぶれてしまう危険性と表裏一体だったのです。

医局は関連病院の人事権をも掌握しており、博士号を授けるだけではなく、市中病院への就職も教授の推薦が重要という時代もありました。このような絶大な権力を持った医局では教授同士の派閥争いも激しく、派閥争いに負けると地位を追われることも珍しくありませんでした。

大学病院から支給される給料は第2回でご紹介した通りさほど多くはなく(関連記事『医師の年収…開業医と勤務医ではどのくらいの差があるのか?』参照)、教授になってもそれほど高給取りというわけではありません。

しかし、教授の年収は給料で決まるのではなく、教授の肩書きを利用したアルバイトによって決まります。

有名な教授ともなれば、大学病院だけでなく、他の病院にアルバイトに出かけることもあります。そうしたアルバイトの年間報酬が500万円以上になることも珍しくないのです。

たとえば、大学病院でも特別診療として特別な患者に対して回診することで1回5万円から10万円の報酬を得られるという話もあります。そのほかにも、人手が不足している病院に対して教授の力で若手医師を配置することで、その病院から大きな報酬を得ることもできていたそうです。また、芸能人や政治家などを相手にした完全個室の病院などでは、教授のブランドを求めて半日で10万円ぐらいのアルバイト料を払ってくれるケースもあったといいます。

他にも、医局の絶対君主制が機能していた時代には、医師が博士号を取得する際、研究費の名目で教授に数十万円を渡すこともざらにあったようです。

地方病院に医師を派遣するときの謝礼や仲人のお礼、製薬会社からの袖の下、講演料や原稿料・・・医局の頂点に立つ教授になれば、さまざまな収入源を駆使して懐を暖めることができたのです。

「新研修医制度」施行で、医局に属さない研修医が急増
しかし、近年、大学医局の衰退によって教授のブランド価値は大きく低下し、アルバイトの収入も減っているといわれています。

そのきっかけとなったのが2004年4月、新研修医制度の施行です。新研修医制度とは、医師免許を取ったばかりの新人医師が、2年間特定の医局に属さずに多数の科を回るという制度です。

この制度に合わせて導入されたのが、医師臨床研修マッチング制度です。臨床研修を受けようとする研修医と臨床研修を行う病院の研修プログラムをお互いの希望を含めて、一定の規則に従って、コンピューターでマッチングするシステムです。

自分自身や研修先の希望に基づいてマッチングする研修の仕組みが導入されたおかげで、出身大学の大学病院の医局に属さずに、待遇の良い市中病院で研修を行う研修医が増えたといわれています。

新研修医制度が導入された2004年、大学病院で研修する研修生の数は4216名だったのに対して、臨床研修病院の研修生の数は3784名でした。ところが、それから13年後の2017年、臨床研修病院の研修生の数が5285名であったのに対して、大学病院の研修生の数は3738名。臨床研修病院の研修生の数が大きく増えたのです。

藤城 健作
ウェルス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長



https://www.medwatch.jp/?p=25046
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2018年度から全面スタートした新専門医制度について、基本領域の2階部分となる「サブスペシャリティ領域」をどう認定するかが議論になっている。これまでに内科学会等から推薦されている23領域のうち、「消化器内視鏡」や「老年病」については、「国民への分かりやすさ」という視点からサブスペシャリティ領域として妥当と言えるだろうか―。

12月11日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)で、こういった議論が行われました。

日本専門医機構と関係学会で、「サブスペシャリティ領域としての必要性」などを改めて精査し、3月の次回専門研修部会で改めて検討されます。
 
ここがポイント!
1 サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘
2 カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき
3 診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示


サブスペシャリティ領域候補の消化器内視鏡や老年病に「分かりにくい」との指摘

 新専門医制度は、「専門医の質の担保」と「国民への分かりやすさ」を基本理念として今年度(2018年度)から全面スタートしています。従前、各学会が独自に専門医を認定していたため、「質の担保が難しく、国民に分かりにくい」との批判があり、学会と日本専門医機構とが連携し、研修プログラムの設定や専門医の認定等を行う仕組みを設けています。

 以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

 サブスペシャリティ領域については、「国民への分かりやすさ」という基本理念を踏まえ、日本専門医機構と基本領域学会とで「認証する基準」(整備基準)を設け、その基準に合致する学会・領域のみを認証することとなっています。

現在、サブスペシャリティ領域への認証を希望する学会に対し、「研修体制は整っているか」「国民への認知はなされているか(基幹的な病院に当該分野の診療科はあるか)」などの項目について自己レビューを求め、そのレビューシートに基づく事前審査が始まっています。今後、「認証する基準」(整備基準)を設定し、その基準をクリアしているかを審査(本審査)することになります(関連記事はこちらとこちら)。

事前審査の希望は、約90の学会・領域から出されており、その中には、すでに基本領域学会である内科・外科・放射線科の各基本領域から「サブスペシャリティ領域とすべき」とされた23学会・領域も含まれています。例えば、「消化器病」については、基本領域である「内科」と連動して研修ことで、より効率的に症例経験を積むことができるとされ、この4月(2019年4月)からサブスペシャリティ領域としての研修が始まることになります(関連記事はこちら)。

【内科領域】
▼消化器病▼循環器▼呼吸器▼血液▼内分泌代謝▼糖尿病▼腎臓▼肝臓▼アレルギー▼感染症▼老年病▼神経内科▼リウマチ▼消化器内視鏡▼がん薬物療法―

【外科領域】
▼消化器外科▼呼吸器外科▼心臓血管外科▼小児外科▼乳腺▼内分泌外科―

【放射線領域】
▼放射線治療▼放射線診断―

 
しかし、2月22日に開催された専門研修部会では、この23学会・領域の一部に「待った」がかかりました。

例えば、「消化器内視鏡」領域。この領域について、▼日本肝臓学会▼日本消化器病学会▼日本消化器内視鏡学会―の3学会が連名で「サブスペシャリティ領域」を希望し、基本領域学会である内科学会が「消化器分野は非常に幅広く、患者数も多く、すべてをカバーすることは難しい。消化器内視鏡の分野は、社会的にも既に存在が確立している。行政の行う健診でも『内視鏡使用』が必須とされてきている」といった状況を踏まえ、サブスペシャリティ領域として認証する方針が固められているものです。

これに対し、専門研修部会では、「一般国民からは、『消化器病』と『消化器内視鏡』とどう違うのは分からないのではないか」(棚野孝夫構成員:全国町村会副会長、北海道白糠町長)、「学会の要請を1つ1つ聞いていれば、サブスペシャリティ領域が乱立し、国民に分かりにくくなってしまう」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)という意見が相次ぎました。山内構成員は、「乳腺外科分野では、マンモグラフィの技術等に関する研修・試験を行い、それを専門医とは別に認定する仕組みを設けている。内視鏡に関しても、消化器病分野の専門医資格とは別の認定としたほうがよい」とも提案しています。

また、老年病についても、「若人とは異なる薬剤治療などを行う必要がある」「複数の疾患を抱えることが多く、臓器別でなく、全人的に診る必要性が高い」「小児が成人のミニチュアではないことと同じように、老年者も若人の延長というわけにはいかない」といった点を考慮して、内科分野のサブスペシャリティ領域として認証する方針が固められていますが、「医師であれば老年の診察は誰でもできるはずである」(立谷秀清委員:全国市長会会長、福島県相馬市長)、「かえって患者はかかりにくいのではないか」(棚野構成員)といった厳しい声が出ています。

さらに専門研修部会では、「サブスペシャリティ領域とは何か」を明確にした上で、「認証の基準」を設け、その基準に合致する学会・領域をサブスペシャリティ領域として認証すべき、との指摘も数多くだされました。

牧野憲一構成員(日本病院会常任理事)は、「基本領域は、その分野について標準的治療を習得した『詳しい医師』レベルなのに対し、サブスペシャリティ領域の一部では、相当な『エキスパート』のイメージを持つ。一般国民に同じ『専門医』として理解できるだろうか」と指摘。この点、寺本民生参考人(日本専門医機構理事長)は「専門医制度で育成する専門医はエキスパートではない。取得領域について標準的治療を習得し、ある程度の知識を持つ医師である」旨を説明しています。基本領域のみの専門医もいれば、サブスペシャリティ領域も習得した専門医もおり、少し一般国民には難しいかもしれず、十分な「説明」「PR」が必要でしょう。

また立谷構成員は、「内科や外科といった基本領域がメインであり、サブスペシャリティ領域はあくまで補完である。『自分の専門分野しか診ない』という医師の存在が地域医療確保における大きな課題となっている。サブスペシャリティ領域に重きを置けば本末転倒になるのではないか」との見解を示しています。

こうしたさまざまな指摘を踏まえ、日本専門医機構と関係医学会では、サブスペシャリティ領域の「認定の基準」(整備基準)を早期に設定するとともに、上記の23学会・領域についての審査を行うことが求められるでしょう。その結果を専門研修部会にあげ、構成員の了承を得ることが必要になります。

 なお、サブスペシャリティ領域については、次のように類型化して、「認定の基準」(整備基準)の在り方を考える方向も探られています。

【A型】日常診療を担い、医療需要が高く、偏在対策が講じられるべき領域(例えば、循環器内科などのイメージ)→研修体制は都道府県単位で整備する(各都道府県に研修施設を設定するなど)

【B型】専門性が高く集約化が進むものの、単独領域として一定の患者数が見込まれる領域(例えば、小児がんなどのイメージ)→研修体制はブロック単位で整備する(関東ブロックに1つ専門研修施設を整備するなど)

【C型】特殊性が高く、研修を行える施設が限られる領域(例えば、臨床遺伝など)→研修体制に地理的要件は設けない(全国に数か所の専門研修施設を整備するなd)

一部のサブスペシャリティ領域では、上述の「連動」研修が、この4月から行われることになっており、専攻医(新専門医の資格取得を目指す後期研修医)に不安・混乱が生じないようにしなければなりません。なお、仮に専門研修部会の了承が得られず、連動研修部分のサブスペシャリティ領域としての認証が4月に間に合わない場合について、釜萢敏構成員(日本医師会常任理事)は「遡及して単位取得を認めることが必要」と提案しています。


カリキュラム制の選択、より専攻医が柔軟に行えるようにすべき

 また2月22日の専門研修部会では、「カリキュラム制」の整備についても議論が行われました。

 新専門医制度では、年次ごとに定められた研修プログラムに則って研修を行う「プログラム制」による研修が原則となっています。基幹施設と連携施設で研修施設群を作り循環型の研修を行うもので、「初めての基本領域の研修では、集中的に必要な標準治療を学ぶ必要がある」と説明されています。

 ただし、医師免許取得後に定められた医療機関での勤務が求められる自治医大出身の医師や、出産・育児・介護などで一時休職しなければならない医師では、このプログラム制に沿った研修が困難となります。そこで、期限の定めを設けずに研修を受け、基準を充足した時点で専門医資格取得を可能とする「カリキュラム制」(単位制)による研修も認められています。

日本専門医機構では、カリキュラム制の対象となる医師について、▼義務年限を有する医科大学卒業生、地域医療従事者(地域枠医師など)▼出産、育児、介護等のライフイベントにより、休職、離職を選択する医師▼海外、国内留学する医師▼その他領域学会と日本専門医機構が認めた「相当の合理的理由」のある場合(パワーハラスメントを受けたなど)―とし、また、「1か月フルタイムでの勤務を1単位とし、プログラム制研修と同等以上の単位取得等を新専門医資格取得試験の要件とする」などの方針を固めています(関連記事はこちら)。

この方針に対して大きな異論は出ていませんが、「カリキュラム制選択をより柔軟に行えるようにすべき」「カリキュラム制の研修認定施設は、柔軟に認定すべき」との指摘が立谷構成員や牧野構成員らから出されています。カリキュラム制堅守はすべての学会で設けることとなっていますが、現状では、十分な整備がなされていないようであり、早急な検討・整備が求められます。


診療科別の必要医師数、「都道府県別の数値」も厚労省が提示

なお、厚労省からは「診療科別の必要医師数の見通し」(たたき台)も報告され、都道府県別の数値も示されました(関連記事はこちら)。

現状でも「大きく不足している」と試算された、外科と内科について見てみると、2036年(医師偏在解消の目標年)の医療ニーズを満たすための「年間の医師養成数」は、次のようになっています。また2018年度の専攻医登録状況と比較し、不足分・過剰分をカッコ内に単純計算で示しました。カッコ内が「不足●」となっている場合には、2018年度の専攻医登録が、2036年の医療ニーズ充足までに「●名の医師不足」状態となっていることを示します(あくまで単純計算ですが)。なお、全体と都道府県合計とは、ここでは合致しません。

【内科】全体で2978名(不足307)
▼北海道:137名(不足40)▼青森県:39名(不足21)▼岩手県:37名(不足16)▼宮城県:56名(不足5)▼秋田県:28名(不足12)▼山形県:32名(不足11)▼福島県:57名(不足36)▼茨城県:85名(不足44)▼栃木県:50名(不足15)▼群馬県:55名(不足30)▼埼玉県:214名(不足144)▼千葉県:175名(不足90)▼東京都:222名(過剰314)▼神奈川県:224名(不足46)▼新潟県:66名(不足22)▼富山県:28名(不足9)▼石川県:22名(過剰17)▼福井県:20名(不足7)▼山梨県:22名(不足3)▼長野県:61名(不足26)▼岐阜県:47名(不足17)▼静岡県:111名(不足67)▼愛知県:187名(不足54)▼三重県:45名(不足5)▼滋賀県:34名(不足6)▼京都府:37名(過剰48)▼大阪府:163名(不足54)▼兵庫県:130名(過剰17)▼奈良県:30名(不足2)▼和歌山県:16名(不足7)▼鳥取県:13名(過剰2)▼島根県:13名(不足1)▼岡山県:35名(過剰31)▼広島県:67名(不足20)▼山口県:36名(不足22)▼徳島県:14名(不足5)▼香川県:23名(不足10)▼愛媛県:34名(不足12)▼高知県:14名(不足6)▼福岡県:84名(過剰73)▼佐賀県:17名(過剰2)▼長崎県:26名(過剰8)▼熊本県:35名(不足7)▼大分県:25名(不足過剰なし)▼宮崎県:31名(不足22)▼鹿児島県:34名(不足4)▼沖縄県:35名(不足4)―

【外科】全体は1217名(不足410)
▼北海道:51名(不足17)▼青森県:12名(不足6)▼岩手県:12名(不足4)▼宮城県:19名(過剰1)▼秋田県:9名(過剰1)▼山形県:10名(不足5)▼福島県:17名(不足6)▼茨城県:26名(不足15)▼栃木県:17名(不足2)▼群馬県:20名(不足19)▼埼玉県:73名(不足56)▼千葉県:56名(不足30)▼東京都:123名(過剰54)▼神奈川県:88名(不足46)▼新潟県:24名(不足16)▼富山県:10名(不足4)▼石川県:10名(不足4)▼福井県:7名(不足5)▼山梨県:7名(不足6)▼長野県:19名(不足5)▼岐阜県:19名(不足3)▼静岡県:34名(不足27)▼愛知県:75名(不足24)▼三重県:16名(不足9)▼滋賀県:13名(不足4)▼京都府:16名(過剰7)▼大阪府:74名(不足3)▼兵庫県:49名(不足19)▼奈良県:12名(不足9)▼和歌山県:8名(不足2)▼鳥取県:5名(過剰2)▼島根県:6名(不足3)▼岡山県:15名(過剰10)▼広島県:23名(不足5)▼山口県:11名(不足7)▼徳島県:6名(不足1)▼香川県:9名(不足5)▼愛媛県:11名(不足6)▼高知県:6名(不足5)▼福岡県:41名(不足2)▼佐賀県:7名(不足3)▼長崎県:10名(不足4)▼熊本県:16名(不足4)▼大分県:10名(不足2)▼宮崎県:9名(不足6)▼鹿児島県:14名(不足3)▼沖縄県:14名(不足5)―



https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20190226-OYTNT50186/
小高病院「赤字でも継続」 入院機能 南相馬市 住民向け説明会 
2019/02/27 05:00 読売新聞

 東京電力福島第一原発事故後に入院機能を休止している南相馬市立小高病院について、市は26日、小高区内で住民説明会を開催した。市の担当者は、集まった帰還住民ら約100人に、将来的な入院機能の再開を目指す考えを改めて示した。


 同病院を巡っては、地元医師会などでつくる委員会が、人手不足の解消を図り19床の入院機能を整備するとした素案を、門馬和夫市長に提出している。一方、市側と考えが異なるとして、ただ1人の常勤医が退職届を提出する事態となっている。

 会場の住民からは、「病院があれば不安も解消される、と思って帰還した。病院が今後どうなっていくのか不安だ」との意見が出た。また、「病院の赤字を市の財政で負担できるのか」との質問もあり、門馬市長が「赤字でも市民に必要ならば、国の補助を受けたり、市の税金の一部を回したりしても継続しないといけない」と述べて理解を求めた。

 市は原町区でも2月27日、説明会を開催する。3月12日までは、住民からの意見を公募している。



https://www.medwatch.jp/?p=25051
2019年の10連休、診療報酬に関する施設基準等の一時的な緩和を―日病協 
2019年2月25日|医療現場から MedWatch

 今年(2019年)の10連休において、一部の医療機関に患者が集中することも予想される。その際に診療報酬に関する施設基準を一時的に満たせなくなる可能性もあり、一定の要件緩和をしてほしい―。

 日本病院団体協議会は2月22日の代表者会議で、厚生労働省に宛てて近くこうした要望を行う方針を固めました。
 
一時的な定員超過などが生じる可能性あり、診療報酬上の配慮を

 今上天皇陛下が今年(2019年)4月30日に退位され、皇太子殿下が5月1日に新たな天皇に即位されます。これに伴い、政府は4月27日から5月6日まで「10連休」とすることを決定しました(天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律)。

 10連休の間には、医療機関の稼働が縮小することになると考えられるため、救急患者などが一部の稼働医療機関に集中することが予想されます。その際、一時的に入院患者数が増加し、診療報酬の施設基準(例えば、看護配置など)を満たせなくなる可能性もあります。

 また、急性期病院から回復期・慢性期機能を持つ病院への転院等が一時的に困難になることも予想され、この場合、急性期病院において「重症度、医療・看護必要度」の基準を一時的に満たせなくなる可能性もあります。

国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、こうした可能性を踏まえ、一時的な「診療報酬に関する施設基準等のな緩和」を厚労省に要望する考えをまとめました。

具体的な要望内容は今後さらに詰められますが、山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から、▼10連休中の人員配置基準緩和▼救急患者の集中による定員超過入院にかかる減算緩和▼レセプト提出期限の延長―などが例示されました。

10連休中の医療確保に関しては、すでに厚労省から「都道府県ごとに救急医療機関などの稼働状況を調べ、必要な連携体制を確保するとともに、十分な情報提供を行う」、「休日加算などについては、従前どおり算定でき、投与日数制限を超える医薬品投与などを可能とする」旨の通知が発出されています。今般予定される日病協要望は、さらなる配慮を求めるものと言えるでしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=25113
病院の人材確保・育成費用、厳しい経営環境の中で「医業費用の1.52%」と大きなシェア占める―日病 
2019年2月28日|医療現場から MedWatch

 医療の質向上のためには、「医療人材の確保・研修」に係るコストを投下する必要がある。日本病院会の会員病院を対象に行った調査では、病院の医業費用の「1.52%」を研究費、研修費、福利厚生費、諸会費、寄付金に充てていることが分かった。病院経営が厳しく、限られた財源しかない中で、比較的高額な費用を人材・確保に投下している現状が伺える―。

 2月26日の日本病院会・定例記者会見において、万代恭嗣副会長(JCHO東京山手メディカルセンター名誉院長)と医業税制委員会の安藤文英委員長(西福岡病院理事長)から、こういった状況が報告されました(日病のサイトはこちら)(関連記事はこちらとこちら)。
 
ここがポイント!
1 費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷
2 認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


費用の1.52%を人材確保・育成に投下することは、病院に大きな負荷

 医療の質向上は、すべての医療機関にとって永遠の命題と言え、その一環として「優秀な医療人材の確保」が極めて重要となります。このためには相応のコストが必要ですが、病院経営が厳しさを増す中では、このコスト捻出にも大きな苦労を伴います。

 こうした背景を受けて日病では、会員病院を対象に「医療人材確保と育成に係る費用」に関する調査を実施。321施設から有効回答が得られました(有効回答率は12.9%)。

回答病院の内訳を見ると、我が国の病院全体とは大きく異なる構成(▼全体では公的等の割合が18.9%だが、今回調査では62.0%と公的等の割合が大きい▼全体では200床以上病院の割合が小さい(31.5%)が、今回調査では74.1%と大きい―など)となったため、結果分析に当たっては「日本の病院の状況に近い姿」への補正が行われています。

補正を行ったうえで、321病院の「100床当たり医業収入」合計を見ると7296億7491万円。対して「100床当たり医業費用」合計は、7555億8188万円で、収支差額はマイナス259億円余り(マイナス3.43%)の赤字となっています。先頃発表された日病・全日本病院協会・日本医療法人協会合同の「2018年度 病院経営定期調査」では、病院の医業損益はマイナス6.46%となっており、安藤委員長は「近しい数字である」とし、今般の調査結果の信頼性を強調しています(関連記事はこちら)。

さらに日病では、「医療人材確保と育成に係る費用」として▼研究費▼研修費▼福利厚生費▼諸会費(学会費用など)▼寄付金―に着目。これら費用の合計は114億5116万円で、あり「100床当たり医業費用」の1.52%を占めています。

医業税制委員会では、この「1.52%」という数字について「ほとんどの病院の収支差額がマイナス(赤字)である中、全費用の1.52%をこの領域に充当するのは経営上、大変な負荷である」とし、病院が多大な努力をしている現状を強調するとともに、人材確保・育成に向けたさらなる支援の必要性(助成など)を訴えています。なお、現在の各種助成(地域医療介護総合確保基金や人材開発支援助成金など)については、交付を受けている病院が少なく、ハードル(交付要件)の高さが妥当かどうかも検証していく必要がありそうです。


認定看護師の資格取得研修中も、7割超の病院が給与・賞与を全額支給


次に、人材確保・育成に関する費用の中身を少し見てみると、▼95.3%の病院が雑誌、書籍等の購読料を負担している▼90.3%の病院が各種学会年会費を負担している▼98.1%の病院が各種学会等参加費を負担している▼97.5%の病院が各種学会等旅費を負担している▼64.2%の病院が研究経費を負担している▼94.1%の病院が内部研修会・勉強会の費用を負担している▼95.0%の病院が外部研修会・勉強会の費用を負担している―ことが分かりました。また8割程度の病院が住宅費等の補助を行う一方で、従業員の慰安や懇親会等の費用については、補助を行っている病院は4割程度にとどまっており、内容に応じた傾斜を付けていることも分かります。

 
さらに、外部研修・技術習得への支援状況について「認定看護師」「専門看護師」を例にとって見てみましょう。

まず認定看護師については、321医療機関中、272医療機関・84.7%に総数2951人が配置されています。認定されるためには、一定期間(6か月以上)、日本看護協会の所定プログラムを受講する必要などがあります。つまり病院を離れることとなりますが、▼75.7%の病院では、その期間中「研修扱い」(33.0%)または「出張扱い」(42.7%)とする▼期間中の給与・賞与について、71.0%の病院では「全額支給」する▼受講費用(入学金、受講料、旅費など)について、60.1%の病院が「公費として全額・一部負担」をし、9.3%の病院が「奨学金として助成」をし、4.7%の病院が「補助金として助成」をする―など、さまざまな形でバックアップをしています。なお、認定資格取得のために「退職」を求める病院はありませんでした。医業税制委員会では、優秀な看護師確保とともに診療報酬の獲得に向けて多くの病院が努力していると見ています。

また専門看護師については、321医療機関中、117医療機関・36.4%に総数288人が配置されています。やはり資格取得のための研修受講などに対し病院のバックアップが一定程度ありますが、認定看護師に比べて履修期間が長い(2年)ため、▼期間中「研修扱い」(11.8%)または「出張扱い」(15.0%)とする病院は28.3%にとどまる▼期間中の給与・賞与を「全額支給」する病院は27.7%で、給与等の支払いを「なし」とする病院も12.1%ある―状況です。ただし、受講費用(入学金、受講料、旅費など)については、回答のあった病院(152%)のうち3分の2で何らかの支援(公費として病院負担:78病院、奨学金で助成:14病院、補助金で助成:3病院)が行われています。

なお、「特定行為研修を修了した看護師」については、まだ若い制度(2015年10月からスタート)であるため、配置は56病院・17.4%にとどまり、費用助成などを行っている病院も少数派にとどまっています。

 
また、人材確保・育成全般に関する病院の考え方を見ると、▼45.8%が「人材の過不足で病院経営が阻害されている」と感じている▼31.8%が「自院のみでの人材育成に限界があると感じている▼人材育成ツールとしては、「院内研修」「育成プログラム実施」「院外セミナー」などが多く用いられている▼42.1%がグループ病院、39.3%が外部病院、20.2%が教育専門機関に人材育成への連携を求めている▼離職防止策としては「医師事務作業補助者や看護補助者の配置」(88.5%)、「子育て・介護中の職員への配慮」(87.9%)、「メンタルヘルス対策、ハラスメント対策等」(72.6%)、「ワークライフバランスの確保に向けた風土づくり」(72.0%)、「多職種による役割分担等」(68.8%)などが多い―ことなどが明らかになりました。

なお、医業税制委員会では、公立病院等には補助金が投入されている状況を横目で見ながら、「人材の育成・確保において設立母体の違いによる差があってはならない。人材育成・確保に関するコストの補填は、診療報酬本体の中に組み込んでいくべき」旨も提言しています。今回の調査からは、「公立病院等と私的病院等との間で、人材育成・確保に投下する費用には明確な差はない」ようです。補助金等の投入に鑑みれば、「民間病院において人材の育成・確保により大きなコストを投下しなければならない(大きなコストを投下しなければ医療従事者が確保できない)」と見ることもでき、それが今般の提言につながっているものと推察されます。



https://www.medwatch.jp/?p=25083
医師の働き方改革論議、「地域医療をどう確保するか」などの議論なく遺憾―日病・相澤会長 
2019年2月26日|医療現場から MedWatch


 医師の働き方改革に向けた議論が進められ、原則960時間以内(いわゆるA水準)、救急など地域医療確保に不可欠な場合には当面1860時間以内(いわゆるB水準)などの時間外労働上限案が提示されている。しかし、病院側では「想像を絶する努力」をしなければ、これをクリアすることはできない。またB水準医療機関として特定される要件として、「救急車受け入れ台数が年間1000件以上」などが示されているが、病院団体への事前のすり合わせもなく、非常に遺憾である。怒りすら覚える―。

日本病院会の相澤孝夫会長は、2月26日の定例記者会見でこのような見解を述べました。
 
 なお、同日の記者会見では、ほかに▼医療人材確保・育成費用に関する調査結果▼新専門医制度に関するアンケート調査結果―の報告も行われており、これらは別稿でお伝えします。
時間外上限クリアには、医師増員が必要だが、地域には医師がいない
厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)の議論が大詰めを迎えています。これまでに、勤務医の時間外労働上限(いわゆる36協定を結んでも超過できない基準)について、▼原則として年960時間以内・月100時間未満(いわゆるA水準)▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1860時間以内(いわゆるB水準)▼研修医など医療技能獲得のために必要な水準として年1860時間(いわゆるC1・C2水準)―という案が厚労省から示されています(関連記事はこちらとこちら)。
 
これら上限は2024年4月から適用されることとなり、すべての医療機関で「労働時間の管理」を徹底した上で、「労働時間の短縮」を可能な限り進め、A水準(年間960時間以内)クリアを目指すことになります。

ただし、救急医療機関などでは、労働時間短縮をしてもなおA水準をクリアすることが難しいと考えられるため、一定の要件を満たすことを条件に都道府県知事の特定を受けた上で、B水準(年間1860時間以内)クリアを目指すことになります(関連記事はこちらとこちら)。
 
2月23日の日病常任理事会では、「こうした上限をクリアするためには医師の増員が必要となるが、費用が嵩むことは当然として、そもそも地域に医師がいない。タスク・シフティング(業務移管)の必要性も言われるが、業務のシフトを受ける看護師等の教育も必要となり、そこでも費用が嵩むと同時に、やはり地域での看護師確保も難しい。想像を絶する努力をしなければ上限クリアはできない」との悲鳴が出ていることを相澤会長は紹介しました。

また、個別病院の努力には限界があるため、地域で、例えば「救急患者が各病院に分散されるような体制を組む」(1病院に救急患者が集中すれば、当該病院の医師負担が過重になってしまうため)などの、機能分化・連携の強化がどうしても必要となります。しかし、「病院の機能分化・連携の強化は20年以上も前から指摘されているが、十分には進んでない。これをあと5年間(2024年3月まで)で進められるのか」といった疑問の声も多数出ているといいます。

さらに、上限クリアにおいては、「宿日直」が労働と扱われるのか、労働ではないと扱われるのかが、非常に重要となります。例えば、週に1回、16時間の宿日直があったとして、これが「労働である」とされれば、それだけで時間外労働が768時間になってしまいます。この点について、検討会では「労働とみなされない宿日直許可の基準」を、現代の医療実態に沿ったものに改訂することが決まっていますが、その見直し内容は必ずしも明確になっておらず、医療現場での不安は非常に大きいようです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

こうしたことを考えれば、上限クリアをするために「診療時間の縮小」や「救急搬送患者の受け入れ制限」などをしなければならない病院の出てくる可能性も小さくありません。これでは、「地域医療を守る」ことはできず、また病院によっては「経営の維持」が困難になるところも出てきそうです。相澤会長は、「時間外労働の上限をはじめとする働き方改革の制度づくりの議論はなされているが、その上で、どう地域医療を守るのか、といった議論がまったくなされていない」と指摘。

さらに、B水準(1860時間以内)として特定されるための要件として、「2次・3次救急医療機関」で、かつ「年間の救急車受け入れ台数が1000件以上」などの要件案が示されていますが、「同じ救急車受け入れでも、夜間と日中、平日と休祭日では、まった意味合いが異なる。1000件の根拠はどこにあるのか」と疑問を呈した上で、「要件案を示す前に病院団体と、実現可能性などをすり合わせるべきだが、そうしたことが一切ない。極めて遺憾であり、怒りすら覚える」と強い調子で述べました。

検討会では、「医師の健康確保」と「地域医療の確保」とは、トレードオフの関係(一方を求めれば、他方を犠牲にしなければならない)にはない、ことが確認され、「両立」が不可欠とされています。しかし、「労働時間の短縮」論議は、その必要性も含めてさまざま指摘・提案がされますが、「どのように地域医療を確保していくのか、どういった体制を組んで救急患者に対応するのか」などの議論は活発とは言い難い状況です。検討会では、「働き方改革」に関する制度を固める(2019年3月までに結論を得なければならない)場であり、後に、別の場などで「地域医療確保」論議を行うことになると思われますが、この議論が不十分な点に医療現場の不安は大きくなっているようです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/662413
「二次医療圏の考え方を整理しないと」四病協
働き方改革、2024年度までの対応を懸念
 
レポート 2019年2月27日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は2月27日の総合部会で、厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」や「医師の働き方改革に関する検討会」の内容について議論した。終了後に記者会見した全日本病院協会会長の猪口雄二氏は、「公立・公的と民間の役割分担になるであろうということはみんな理解しているが、約300の二次医療圏、構想区域を一つの規則で動かしていくのは無理なのではないか。そもそも二次医療圏の考え方を整理しないといけないのでは」などの意見が出たことを紹介した(地域医療構想に関するWGについては『病床機能報告「稼働病床数」は廃止、3項目を見直し』などを参照 https://www.m3.com/news/iryoishin/661408 )。


 WGで厚労省が提出した資料では、「公立・公的病院等」と「民間医療機関」で色分けした図やグラフが多くあった。地域医療支援病院は「公立・公的病院等」に分類されているが、民間の地域医療支援病院もあるため、総合部会では「不正確ではないか」との指摘があったという。また、大半が構想区域と一致する二次医療圏自体が人口数万人から数百万人まで幅があることや、ある医療圏に急性期病院が集中して隣にはない、これは良くないという議論になったとしても、「交通網が整備されて患者が行き来できれば何の問題もないではないか」という意見も出た。

 猪口氏は「調整会議で話して公立は公、民ができることは民でという考え方は出ているが、実際には人口が減っているところで公のベッドを減らしましょうと書いていても全然減らないで、地域包括ケア病棟に鞍替えをするとかいう話もある」と指摘。調整会議でそうした指摘が出ても、医療機関が減らすことを拒否しても法的拘束力がないため、「あと6年で2025年だから、本当に有効な動きになるのかどうか」という危惧が出席者からは上がったという。

働き方改革「5年間でどうなるか」

 医師の働き方改革に関する検討会については、最終的な結論がまもなく出る見通しだが、2024年度に時間外労働時間の上限などが適用されることになった場合に「(それまでの)5年間でどうなるのか」という危機感が示されたという。

 猪口氏は例として、これまで大学病院などで当直に対し時間外勤務手当は付けずに、それよりも少ない当直料で運用してきているが、「これを整理しないといけないが、そうすると今よりも医師の数がうんと必要になる。大学病院も基幹病院的なところも医師がふんだんにいるわけではないので、大変だ」と指摘。2016年に労働基準監督署から是正勧告を受けて診療体制を縮小するなどの対策をした聖路加国際病院を例に挙げ、「東京は急性期の病院がいっぱいあるので、他の病院がカバーする形で社会問題にはならないが、全国一斉に始まるとどうなるか」と説明した。



https://www.medwatch.jp/?p=25040
公立病院等の機能、▼代表的手術の実績▼患者の重症度▼地理的状況―の3点で検討・検証せよ―地域医療構想ワーキング 
2019年2月25日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 全国の地域医療構想調整会議において、今年度(2018年度)中にまず「公立病院および公的等病院の機能改革」に関する合意を行い、その合意内容の妥当性等を検証していくことになる。その際、(1)がんなどの代表的な手術等の診療実績(2)手術以外の診療実績や患者像(3)地理的条件―を確認し、公立病院・公的病院等(以下、公立病院等)が民間病院ではなしえない機能を担っているかを見ていくこととしてはどうか―。

 2月22日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が概ね固められました。
 
ここがポイント!
1 手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる
2 人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要
3 病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に


手術実績が拮抗していても、患者の重症度を見ると「棲み分け」の可能性も出てくる

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと見込まれます。そうした中では、より効果的かつ効率的な医療提供体制を構築することが求められ、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において「地域医療構想の実現」に向けた議論が進められています。

調整会議では、まず「公立病院等の機能改革等」について、今年度(2018年度)中に合意を得ることとなっています。そこでは、「公立病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が1つの指針として掲げられており、具体的な公立病院等が担うべき機能として、▼高度急性期・急性期機能▼山間へき地・離島など過疎地等における一般医療▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門の医療▼がんセンター、循環器病センターなどの高度・先進医療▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣拠点機能―など例示されています。

 前回(1月30日)のワーキングでは、各地域医療構想区域(以下、構想区域)において、「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院がどの程度実施しているかという診療実績を見ていく方向が確認されました。代表的な手術実績を厚労省で分析したところ、多くの構想区域は次の4パターンに分類できそうなことが分かってきています(他のパターンも存在する可能性がある)(関連記事はこちら)。

【パターン(ア)】手術(例えば胃がんや乳がんなど)を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが存在する構想区域

【パターン(イ)】手術を一定程度実施する病院(公立・公的等、民間の双方)が数多く存在する構想区域(東京や大阪などの大都市に多いパターン)

【パターン(ウ)】複数の公立・公的等病院が一定程度の手術を実施する構想区域

【パターン(エ)】複数の病院に手術が拡散し、いずれの病院でも手術実績が低い構想区域
地域医療構想ワーキング(1)の3 190130
 
 ただし、【パターン(ア)】のような構想区域でも、例えば「公立病院等と民間病院とが『競合』している」構想区域もあれば、「公立病院等が重症患者を引き受け、民間病院では比較的軽症患者を診ている、という具合に『棲み分け』をしている」構想区域もあるでしょう。

そこで厚労省は、「手術以外の診療実績や患者の状態(患者像)を確認する」必要があると考えています。

例えば、実在のB構想区域では、代表的な手術の1つとされる「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」実績について、民間のA病院と公立病院等のB病院とか拮抗していますが(【パターン(ア)】に該当)、患者像を見ると「A病院が重症の患者(観血的動脈圧測定や人工呼吸器を実施)を多く受け入れている」ことや、手術以外の化学療法や放射線治療について「A病院がより多く実施している」ことが分かりました。B病院では、「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

一方、別の実在するA構想区域では、複数の公立病院等が存在し、代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」についてそれぞれ一定の実績を持っています(【パターン(ウ)に該当】。しかし、患者像や手術以外の化学療法等の実績を見ると、「A・B・C3つの公立病院等では、重症患者を受け入れ、化学療法等も実施している」のに対し、公立病院等のD病院では「重症患者等の受け入れ実績が低い」ことが分かりました。この場合、D病院では、やはり「公立病院等でなければ担えない機能」を、現時点では十分には果たしていないようです。

 さらに厚労省では、「各病院の地理的状況を勘案する必要がある」と考えています。

 例えば上記のA構想区域では、実績のやや低いD病院は、A病院・B病院と近接しており(自動車で10-15分程度の距離)、D病院の手術機能等をA・B病院に移管したとしても、患者のアクセスを大きく阻害する可能性は小さいでしょう。

 また上記のB構想区域では、重症患者等の受け入れ実績がやや低い公立病院等のB病院と、A病院(重症患者を多く受け入れ)とは、一定程度近い場所に位置しています(自動車で25分程度)。この場合、民間のA病院のキャパシティが許せば、公立病院等のB病院が持つ手術機能等をA病院に移管することも選択肢の1つに入ってきそうです。

一方、別の実在するC構想区域では、多くの病院がありますが、2つの公立病院等が代表的な手術の1つである「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」を数多く実施(【パターン(ウ)】に該当)。重症患者等の受け入れも、両病院ともに積極的に行っていることが分かります。さらに、地理的状況を見ると、両病院は自動車で80分もかかる離れた場所に位置しており、A・Bいずれかに機能を集中した場合、例えば急性心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの緊急を要する患者に、適切な医療提供をできなくなる恐れが出てきます。こうした場合には、安易に「再編・統合」を考えることは危険でしょう。

このように、「公立病院等の機能改革等」に当たっては、次の3つの視点で検討・検証していくことが重要となります。

【視点1】:「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術」「乳がんの手術」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」などの代表的な手術を、どの病院が、どの程度実施しているかという診療実績を見ていく(パターン(ア)から(エ)のいずれか、あるいは別のパターンとなるか)

【視点2】:手術以外の診療実績や患者像を確認し、「棲み分け」をしているのか、「競合しているのか」を見ていく

【視点3】:地理的条件(位置関係や移動に要する時間など)を確認し、再編・統合等による医療提供体制への影響を見ていく

 こうした方向はワーキングでも確認されましたが、例えば「地理的条件については、近隣の構想区域(2次医療圏)も併せて考えるべきである」(今村知明構成員:奈良県立医科大学教授)、「構想区域はもちろん、より広域的な都道府県単位での医療提供体制の確保も重要だ。そのため、都道府県単位の構想区域でも、十分な検討をする必要がある」(織田正道構成員:全日本病院協会副会長)といった注文も付いています。

 さらに中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「個別医療機関のキャパシティや、担当医師の状況などは、各調整区域でなければ把握しきれない。視点1-3を指標として、地域の状況を十分に勘案する必要がある」と強調。厚労省も同じ考えを示しています。


人口減少進む中では「急性期病院の集約」が喫緊の課題、医療圏の見直しも必要

調整会議で議論を進め、「病院の再編・統合が必要になる」との結論が出た場合でも、実際の再編・統合には大きな課題があります。とくに、経営母体が異なる場合には、「職員の身分・待遇をどう考えるのか」などの調整が難しくなります。

この点に関連し、2月22日のワーキングでは、▼自治体立の弘前市民病院と国立病院機構の弘前病院の再編(2022年の新病院スタートを目指す)▼市立の酒田市立酒田病院と県立の山形県立日本海病院の再編(日本海総合病院として2008年スタート)―の事例についてヒアリングが行われました。

後者は、稀有な「市立病院と県立病院との合併『成功』事例」として知られ、メディ・ウォッチでも、栗谷義樹理事長にインタビューを行っています。日本海総合病院では、統合後に診療実績が大きく向上するとともに、経営も改善。結果として自治体からの法定外繰入金が大幅に縮小しています。

さらに栗谷理事長は、今後、地域で人口減少が加速度的に進むことを踏まえ、▼急性期基幹病院の集約化(症例の確保による医療の質の向上はもちろん、働き方改革においても重要な要素となる)▼医療圏の見直し(より広域から患者を受け入れなければ、急性期病院の経営基盤が安定しない)▼行政によるアクセスへの予算確保(集約化により、患者のアクセスは一定程度悪化するため対策が必要)―が緊急に必要であると訴えています。

また、前者では、250床の市立病院(弘前市民病院)と342床(国立病院機構弘前病院)を再編・統合し、142床ダウンサイジングした中核病院を新設することになりますが、「統合までの間に、看護師等の退職が続く。新中核病院の発足までに、どのように両病院の機能を維持するかが当面の重要課題である」ことが紹介されました。

さらに、設立母体の異なる病院同士の再編・統合では、個別病院間の協議・調整(人事やクリニカルパス、使用薬剤など)はもちろん、設立母体同士(ここでは国立病院機構や自治体)の協議・調整の重要性も指摘されています。そこでは「住民への十分な説明」も重要となるでしょう。一般の住民は「医療機関へのアクセス」を重要事項と捉えがちですが、実は「医療機関が複数あり、症例が拡散すれば、医療の質が下がってしまう」という点を、丁寧に説明していくことが非常に重要と考えられます。


病床報告制度見直し、2019年度から「病棟の築年数」報告も必要に

なお、2月22日のワーキングでは、病床機能報告制度の見直しに関する議論も行いました。一般病床・療養病床を持つすべての医療機関(病院・有床診療所)は、毎年、自院の機能と、将来担おうと考えている機能、さらには診療実績などを都道府県に報告することが義務付けられています(病床機能報告)。この報告内容は、調整会議の論議においても極めて重要となるため、適切な報告が求められます。

一方で、報告を実施する医療機関の負担にも配慮する必要があります。過重な負担では正確な報告ができなくなってしまうためです。

厚労省は、こうした点を勘案し、▼2019年度の報告から「病棟ごとの築年数」の報告を求める(建て替え時期の目安を把握するため)▼2020年度の報告から「稼働病床数」の報告を廃止する(許可病床数と近似するため)▼2021年度から「通年データ」の報告を求める(6月単月の診療実績では、季節変動を勘案できないため)―という3点の見直しを提案しています。

見直し方向に異論は出ていませんが、「稼働病床数の報告廃止」について中川構成員は「2019年度から見直すべき」と提案。厚労省では「廃止の影響などを踏まえ、2020年度見直しとしたい」と考えており、今後の調整が待たれます。



https://www.medwatch.jp/?p=25092
<新専門医制度スタート後、地域の基幹病院で専攻医(研修医)数は激減―日病・末永副会長 
2019年2月27日|医療現場からMedWatch

 新専門医制度がスタートし、地域の基幹病院での専攻医数は激減した。大学病院での研修が増加していると考えられ、新専門医制度の改善に向けた幅広い議論が今なお必要である―。

 日本病院会の末永裕之副会長は、2月26日の定例記者会見で、こういった考えを明らかにしました(日病のサイトはこちら https://www.medwatch.jp/?p=25083)。
 
ここがポイント!
1 日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施
2 基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき


日本病院会の役員病院を対象に緊急アンケートを実施

 今年度(2018年度)から新専門医制度が全面スタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定について、学会と日本専門医機構が協働して、統一的な基準で行うことで、「専門医の質の担保」「国民への分かりやすさ」を目指すものです。

 もっとも、「質を追求するあまり、専門医を養成する施設の基準が高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。例えば、「従前、後期研修施設であった医療機関を、新制度下での連携施設等に組み込む」「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限を設ける」などの対策が図られています。

ただし、こうした対策にもかかわらず、医療現場では「新専門医制度により、医師の地域偏在等が進んでいるのではないか」との指摘が後を絶ちません。このため日本病院会では「感覚ではなく、データに基づいて新専門医制度を検証する必要がある」と考え、日病役員が所属する病院を対象にアンケート調査を実施。73病院(回答率9割超)からの回答を分析した結果が、末永副会長から発表されたものです。

まず、2017年度の後期研修医(専門医資格取得を目指す研修医)数と、2018年度の専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)数とを比較すると、次のように大きく減少していることが分かりました。

【全 体】  2017年度:615名 → 2018年度:387名(マイナス228名・37.1%)
【内 科】  2017年度:238名 → 2018年度:151名(マイナス87名・36.6%)
【小 児】  2017年度:49名 → 2018年度:27名(マイナス22名・44.9%)
【皮膚科】  2017年度:11名 → 2018年度:4名(マイナス名7名・63.6%)
【精神科】  2017年度: 7名 → 2018年度:4名(マイナス3名・42.9%)
【外 科】  2017年度:99名 → 2018年度:67名(マイナス32名・32.3%)
【整形外科】 2017年度:39名 → 2018年度:20名(マイナス19名・48.7%)
【産婦人科】 2017年度:28名 → 2018年度:18名(マイナス10名・35.7%)
【眼 科】  2017年度:18名 → 2018年度:8名(マイナス名10名・55.6%)
【耳鼻咽喉科】2017年度:15名 → 2018年度:2名(マイナス13名・86.7%)
【泌尿器科】 2017年度:17名 → 2018年度:12名(マイナス5名・29.4%)
【脳神経外科】2017年度:14名 → 2018年度:13名(マイナス1名・7.1%)
【放射線科】 2017年度:14名 → 2018年度:9名(マイナス5名・35.7%)
【麻酔科】  2017年度:19名 → 2018年度:10名(マイナス9名・47.4%)
【病 理】  2017年度: 3名 → 2018年度:5名(プラス2名・66.7%)
【臨床検査】 2017年度: 0名 → 2018年度:0名(プラスマイナス0名)
【救急科】  2017年度:29名 → 2018年度:21名(マイナス8名・27.6%)
【形成外科】 2017年度: 8名 → 2018年度:8名(プラスマイナス0名)
【リハビリテーション科】2017年度:1名 → 2018年度:2名(プラス1名・50%)
【総合診療】 2017年度: 6名 → 2018年度:6名(プラスマイナス0名)

 この大幅減少について末永副会長は、「従前は地域の病院で専門研修(後期研修)を受けていたが、相当数が大学病院で研修を受けるようになったと考えられる。特に内科と外科の減少は大きく、このままでは地域で内科・外科を担う医師がいなくなってしまう。非常に大きな危機感を持っており、待ったなしの対策が必要である」と強調しました。

 新専門医制度のスタート前には病院団体を中心に、「大学病院が、地域の基幹病院からも医師(指導医)を引き挙げ、また研修医の確保もままならなくなるのではないか」との危惧がありましたが、これを裏付けるデータとなってしまいました。地域の基幹病院で医師確保がさらに難しくなっている状況が明らかになったと言えるでしょう。なお、ここからは地域偏在が進んでいるのかを見ることはできません。


基本・サブスペシャリティ領域、そもそもの「専門医の在り方」など改めて議論すべき

 このように、病院団体の懸念が一部実際のものとなっていることも手伝い、新専門医制度に対し、病院経営者は次のように厳しい評価を行っています。

▼43.8%が新専門医制度の開始は「時期尚早」と考えている

▼74.0%が新専門医制度で「地域偏在・診療科偏在が進む」と考えている

▼43.1%が新専門医制度の「新整備指針」(基本規定)を全面的に見直すべきとし、52.8%が修正の必要ありと考えている(問題なしはわずか4.2%)

▼基本領域については84.9%が、サブスペシャリティ領域については86.1%が、「見直し」「再検討」が必要と考えている

▼78.1%が「日本専門医機構に問題あり」と考えており、具体的には「学会主導である」「事務局体制に不備がある」などと考えている

 
また「専門医」の在り方については、現在、3年間の基本領域に関する研修を終えた医師から「専門医」を名乗れる(広告できる)方向で検討が進められていますが、26.4%は「サブスペシャリティ領域を終えてから名乗るべきではないか」と考え、中には「少なくとも10年以上の臨床経験がなければ『専門医』を名乗るべきではない」「基本領域の専門医と、サブスペシャリティ領域の専門医を分けた呼称とすべきではないか」との指摘もあります。

一般国民からすれば、専門医という呼称からは、どうしても「エキスパート医師」を想像しがちであり、今般のアンケート結果からも、「国民に分かりにくい部分がある」と考えている医師も相当程度いることが分かりました。今後の、広告に関する検討(医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会での議論)においても、こうした問題・課題が浮上してくる可能性があります。

 
もっとも批判ばかりではありません。今回のアンケートでは、新専門医制度の改善に向けて、次のような提案も行われています。相反する提案もありますが、まさに「意見が割れている」部分であり、医道審議会・医師分科会「医師専門研修部会」も含めた検討が期待されます。

▼地域・診療科偏在を解消するために、「地域ごとの、基本診療科ごとの医療需要把握を行う」「医師の計画的配置を行う」「総合医を育成する」「自由開業を制限する」ことなどを検討すべき

▼専門医はどのような医師かと言う議論を、「国民から見て理解しやすい専門医」といった原点に立ち返って議論するべき(あわせて能力に応じた呼称設定なども)

▼専門医や指導医にも診療上の利点(診療報酬上の加算など)を付与すべき

▼専門医制度と地域偏在対策とは切り離して考えるべき

▼各領域の地域ごとのニーズを算出し、それに合わせた専攻医の定員上限を設けるべき

▼専攻医数のせいぜい1.1-1.2倍を定員上限とすべき(現在は2倍超)

▼3年の研修で、本当に専門医レベルに達しているのか疑問も残り、十分に検討すべき

▼専攻医の給与体系を含めた処遇の在り方を明確にし、身分保障を行うべき



https://www.m3.com/news/iryoishin/660324
シリーズ 佐々江龍一郎の「英国GP、日本に戻る」
「病気ではなく患者を治療しろ」人生に関わる英国GP
なぜ日本は高度医療を提供しているのに患者の満足度が低いのか
 
オピニオン 2019年3月2日 (土)配信
佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部総合診療医)

 英国の家庭医の診療所で勤務していると机の上にある沢山の書類、絶え間ない患者からの電話と家庭訪問の要求などで忙殺されそうになることがある。英国の家庭医ひとりにつき登録患者は平均約1500人、フルタイムの家庭医がひとつの診療所に4~5人勤務しているとすると、診療所単位では大体6000~8000人を受け持つことになる。この数には近年大きな変化はないのだが、日本と同様に高齢化社会の到来、そして従来総合病院で診ていた患者を可能な限りプライマリーケア(家庭医)にシフトする長年の政策の結果、家庭医が担当する疾患の範囲は明らかに拡大し、また患者個々の病態も複雑化してきている。

 英国では勤務時間が増えることはないが、昨今では社会からの安全性、医療および接遇の質、EBMに対する期待も増し、患者と触れ合う時間が相対的に削られて来ている印象を受ける。診療以外の仕事に忙殺されそうな時には原点に戻り、何故自分が家庭医になったのかを考えることにしていた。

 私が2005年に英国ノッティンガム大学医学部を卒業した年に、英国でも研修制度改革があった。従来の制度では研修医が労働者として扱われ教育の側面が不十分であったことが問題視され、Modernising Medical Careerという機関のもと、研修制度は一新された。その結果、日本の初期研修と似たFoundation programという二年間の初期研修プログラムが必修化された。そして、私たちはその新プログラムの第一期生であった。2段階のマッチングを経て、私は、母校の関連病院を選択、勤務する事になった。新制度では旧制度とは異なり、家庭医療(GP)が選択科の中に積極的に組み込まれていたことも特徴的だった。

 私が家庭医療の初期研修を行なった診療所は5人のパートナーで経営されており、そこは家庭医療専門研修医の研修施設でもあった。初期研修医は通常家庭医が患者ひとりに対して10分の診察を行うところ、30分ほどの時間を与えられ、問診、診察、指導医への報告、フィードバック、そして必要があれば指導医とともに患者を診察して学ぶという実質的な研修をする。家庭医寮を肌で触れる経験するには、理想的な環境である。私の指導医はDr H、普段は笑顔が印象的な優しい先生だったが、ある日私が診た患者についてプレゼンテーションをしたところ、彼は珍しくきつい口調でこう言った。

 「Practicing General practice requires you treating a patient and not just the disease. We need to go back and listen to the patient」(家庭医寮では病気を治療するだけではなく、患者を治療をする必要がある。戻ってもう一度患者の話を聞こう)。

 この時診察をした48歳の女性患者は、長年原因不明の動機や息切れなどに苦しみ、様々な症状を訴えていた。これまで総合病院にも紹介されあらゆる検査を受けていたが、いずれも明らかな異常が指摘されず、途方に暮れていた。そんな患者に対し、私は症状や鑑別疾患ばかりに気をとられ、彼女の精神的や社会的な背景について何一つ問診を行なっていなかった。

 その後Dr Hとともに患者を再度診察したが、衝撃的だったのは彼女がDr Hを見た瞬間、私としゃべっていた時とは打って変わり、昔からの友人を見たかのような笑顔になったことだった。Dr Hは患者から彼女の不幸な結婚生活、叶わなかった夢や自己表現の難しさといった悩みを限られた時間の中で巧みに聞き出していた。診察が終わる頃には患者は笑顔になり、特に薬も要することなく満足な笑みを浮かべて帰って行った。病院での先進医療だけでは救えない患者がいることを身に染みて感じた瞬間であった。

 私が家庭医療に惹かれたのはこうした人間的な側面である。英国の病院は日本の様にフリーアクセスではないため、全ての患者は近所のいくつかの家庭医診療所から選択・登録する。緊急でない限り、患者はまずこの診療所の家庭医にかかることになり、必要があれば病院への紹介を受ける。つまり、家庭医は継続的に同じ患者を診る環境にあるため、医師と患者は常に二人三脚の関係となり、医師の患者に対する理解度は病気のみならず私生活にまで及び、深い。沢山の患者に対して医療以上に彼らの人生に関わり、地域へ貢献しているという実感も湧きやすいのだ。

 例えば看取りの時である。長い間を知っている患者を家で看取ることは医師にとって非常につらいことではあるが、同時に患者や家族が普段は見せない感情を垣間見ることができる。安らかに死を迎える患者の周りに輪になり、家族の方々が口を揃えて私に言うのだ、「長い間家族を支えてくれてきた先生には心から感謝しています、彼も天にいっても感謝をしているはずです」と。こうした何気ない言葉が、私にとって大変な時の支えであった。クリスマスの時期になると家庭医の診療所は決まって患者からのギフト、手紙で埋め尽くされる。地域の患者からの満足感と喜びが、まさに英国家庭医の活動の原動力となっていると感じる。

 英国では家庭医に対する患者の満足度は非常に高い。英国政府が2018年に220万人の患者を対象にしたGP Patient survey という大規模調査によると、診療所受診の総合評価に、「よい」と答えたのは83.8%(回答数75万人)にのぼる。一方、2014年のNHKの国際比較調査グループの調査によると、日本の医師の治療に満足している人は70%、医師を信頼している人は62%。統計に参加した31カ国中22位と、順位は高くない。

 ある日本人の医師がこんなことを言っているのを思い出す。「なぜ日本はこんなに高度医療を提供して、医療アクセスは良好なにも、患者満足度は低いのだろうか」と。これについて私は、「患者が求めているのは、単に高度医療やアクセスの良い医療だけではないからだ」と考える。継続的な関係から築かれた揺るぎない信用と安心感、患者中心のコミュニケーションや全人的なアプローチなど、人間的な側面が患者の満足度につながっていると英国の家庭医の経験から私は感じている。私も家庭医後期研修医時代には患者との診療をビデオで撮り、指導医と共にそれをよく振り返っていた。このため、現在英国の家庭医療では標準化されたコミュニケーションスタイルが定着している。

 日本ではかかりつけ医制度が広がりつつあるが、医療連携の「継続性」だけではなく、医師患者の関係を「継続」し、それをもとに包括的な「人間味」のある医療を提供できるようになれればと考える。


佐々江龍一郎
NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部 総合診療医

1981年4月生まれ。2005年英国ノッティンガム大学医学部卒業。英国の家庭医診療専門医の資格を取得し、キングスミル病院、ピルグリム病院、テームズミードヘルスセンター、WEST4家庭医療クリニックなど、英国内の医療機関で約12年間家庭医として活躍。2016年に日本の医師免許を取得し、帰国。2017年からNTT東日本関東病院総合診療科、国際診療部に勤務。



  1. 2019/03/03(日) 11:16:54|
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Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日

Google Newsでみる医師不足 2019年3月3日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 14,900
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 18,900
First 5 in Google in English 


https://www.columbiavalleypioneer.com/news/b-c-medical-students-call-for-more-residency-spots-to-curb-doctor-shortage/
BC medical students call for more residency spots to curb doctor shortage
Columbia Valley Pioneer‎ - Mar. 2, 2019 (カナダ ブリティッスコロンビア州)

Now, a group of students and alumni are calling on the B.C. government to fund more residencies to increase the number of practicing doctors, especially as the province deals with a doctor shortage. No Docs Left Behind, organized by members of the Medical Undergraduate Society, estimates that for every unmatched graduate, 1,875 patients in the province lose out on stable health care. That’s 26,250 patients each year.



https://www.star-telegram.com/news/local/community/fort-worth/article225525290.html
Why does it take so long to get a doctor's appointment?
Fort Worth Star-Telegram‎ - MARCH 01, 2019 07:00 AM (米国 テキサス州)

Ashley's experience is a common symptom of the physician shortage in Texas, where there are 63,871 practicing doctors serving a population of 28 million. The results are often long wait times for patients to get appointments and limited access to healthcare.



https://www.reviewjournal.com/life/health/las-vegas-hospitals-add-residencies-to-ease-doctor-shortage-1608396/
Las Vegas hospitals add residencies to ease doctor shortage
Las Vegas Review-Journal‎ - March 1, 2019 (米国 ネバダ州)

The Valley Health System will welcome 26 new resident physicians in general surgery and family medicine in July as the Las Vegas-based hospital chain aims to make its mark in graduate medical education. The hospitals will enroll 10 will enroll 10 first-year family medicine residents and 16 general surgery residents in their first and second years of residency, said Dr. Andrew Eisen, chief academic officer for Valley Health.



https://www.star-telegram.com/living/health-fitness/article226862939.html
Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas
Fort Worth Star-Telegram‎ (米国 テキサス州)

Population grown and lack of residencies contribute to physician shortage in Texas ... Texas is facing a doctor shortage. ... of Health and Human Services predicts that the state could see a shortage of 3,375 primary care physicians by 2030.



Doctor shortage being felt in Nova Scotia ERs: Sydney doctor
Cape Breton Post‎ Feb 27 at 6:07 p.m. (カナダ ノバスコシア州)

With increasing numbers of people showing up at emergency departments who don't have family doctors, ER physicians are having to deal with people who have much more serious health concerns, a Sydney doctor says. The NDP this week released figures it obtained through Freedom of Information on increases in the numbers of patients presenting at regional hospital emergency departments from 2013-2018 who identified as being without family doctors.



(他に10位以内のニュースは、米国 フロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州、カナダ ノバスコシア州、インド、からも)



  1. 2019/03/03(日) 11:06:31|
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2月24日 

医師不足220地域で2万4千人、36年推計 偏在対策を拡充へ  
2019/2/18 22:41 日本経済新聞

厚生労働省は18日、複数の市町村を1つの地域単位として医療提供体制を整備する「二次医療圏」(全国に335)をめぐり、2036年時点の医師数の過不足を公表した。医師が必要数に足りないのは約220地域。計2万4千人が不足するとした。必要数を満たす約60地域では約4万2千人が過剰になる。

医師の少ない地域に医師を配分する偏在の解消対策を拡充する必要がありそうだ。厚労省は人口あたりの医師数を基に、地域住民の人口構成などを考慮したうえで必要な医師数を算出した。偏在の解消をめざす36年時点で二次医療圏の過不足を推計した。

推計では医師が足りない地域で、需要をすべて満たすよう医師を配置しても全体で1万8千人が余る。厚労省は二次医療圏のうち下位3分の1の約110の地域を「医師少数区域」と定め、20年度から都道府県を主体にした偏在対策を始める。医師の派遣を求めやすくしたり、地元で一定期間勤務する大学医学部の「地域枠」を拡充したりして対策を強化する。



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO4164360022022019EA5000/
2.4万人 医師不足、2036年に「220地域」 
2019/2/23付日本経済新聞 朝刊

厚生労働省は地域ごとの医師の過不足の将来推計を18日に公表した。都道府県内の複数の市町村からなる「二次医療圏」(全国に335)でみると、2036年時点で医師が必要数を下回るのは約220地域で、計2万4千人が不足する。一方、必要数を満たせるのは少なくとも約60の地域で、計4万2千人が過剰になる。偏在を是正する対策が急務だ。

02240.jpg

全体で見れば1万8千人は余る計算だが、医師の配置に偏りがある。医師が少ない地域の患者は必要な医療を受けにくく、多い地域では過剰受診につながる恐れがある。

対策にあたり厚労省は人口あたりの医師数をベースに、地域の人口構造なども考慮した新たな指標を作成。現時点の都道府県ごとの指標も公表した。東京、京都など上位16を「多数」とし、岩手や新潟など下位16を「少数」と位置づけた。

4月1日に施行される改正医療法・医師法に基づき、各都道府県は19年度中に医師確保計画を作成。20年度から少数地域への医師の派遣や、少数地域で働く医師の養成など対策を拡充させる。だが偏在を解消できるかは不透明だ。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190218-00000114-jij-pol
「医師少数」16県を公表=偏在是正を促進-厚労省 
2/18(月) 22:50配信 時事通信

 厚生労働省は18日、都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」について、現時点の推計を公表した。

 都道府県別では下位の岩手や新潟など16県を「医師少数3次医療圏(都道府県)」として、重点的に医師不足解消を促進する方針。同日開いた医師需給に関する有識者検討会の分科会で示した。

 推計によると、16県は岩手、新潟、青森、福島、埼玉、茨城、秋田、山形、静岡、長野、千葉、岐阜、群馬、三重、山口、宮崎。

 厚労省は2036年度の医師偏在解消を目指している。19年4月施行の改正医療法では、都道府県が複数の市区町村などで設定する「2次医療圏」ごとに、医師数や人口などを基に算出する医師偏在指標に応じ、医師少数区域・多数区域を指定。少数区域の医師確保のため重点的に対策を進める。 



https://www.m3.com/news/iryoishin/658180
シリーズ 一介の外科医、憧れの人に会いに行く:中山祐次郎・対談企画
医師不足対策は医師同士夫婦の禁止? - 外科医/漫画家・さーたり氏◆Vol.2
「仕事のためバリキャリの女性と結婚するのは無理だと思っていた」
 
スペシャル企画 2019年2月17日 (日)配信まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

さーたり
医学部を卒業後、外科医を志し早数年。専門は消化器外科、時に肝臓・胆道・膵臓、移植外科。同期の夫と結婚し出産。現在3人の子どもの絶賛子育て中。
※コミックエッセイ『腐女医の医者道』より引用

中山:今、女性医師が増えているのは紛れもない事実で、女性医師を活用するような医療現場にさっさと変えるしかないと僕は思っていますが、それが全然動いてないという印象があります。ある特定の病院の医師は残業上限2000時間にするという案が出ていましたが(『時間外上限「地域医療確保暫定特例水準」1900~2000時間』を参照)、家庭のある人を想定しているとは到底思えませんね。

さーたり:男女関係なく。

中山:そうです。結婚しているとしても、パートナーが完全に家のことだけやってくれている専業主婦・主夫でないと2000時間の時間外労働はできない。女性活躍のまだ2段階、3段階ぐらい手前にいるんだろうなと思っていますけど。

さーたり:それに関連していうと、医師不足対策として、女性医師が男性医師と結婚しなければいいという意見もあるんです。

中山:女性医師が?男の医師と結婚しなければいい?

さーたり:そう、男の医師と結婚するとみんな辞めちゃうから。

中山:なるほど、両方ともフルタイムだと仕事と家庭を両立することができない。だから女性医師は、専業主夫をしてくれそうな男性と結婚すべきと。

さーたり:男も女も、医師以外と結婚すればいいんじゃないかという意見を目にして、へ?と思ったけど……。

中山:極端ですね。

さーたり:でも、実際周りを見てフルタイムで頑張っている女性医師は、やっぱり、ご主人が医師以外の人が多い。男性も奥さんが専業主婦だったり、違う業種の人の方が無茶ができそうな印象もあります。


中山:いや、それは結構、まじでそうですよね。僕も一昨年、35歳で結婚したのですが、なかなか結婚に踏み切れなかったのは、結婚して家事や育児が自分に来たら、外科医として仕事できねえな、とびびり続けていたというのが正直あります。自分が仕事するためには、フルタイムでバリキャリの女性と結婚するのは無理だろうと思っていました。

さーたり:だから難しいです。共働きの夫婦も増えているのに、医師の世界だけそれでいいのかというと良くない。医療現場をどうにかしないといけないですよね。

中山:だから、さーたり先生は外科医同士の結婚をされて、お子さんも3人いて、漫画も書いていて、もう、死ぬほど大変そうじゃないですか。どうやってこの5年とか10年を生きてきたのだろうと思うぐらい。すごいです。

さーたり:結局は私自身のキャリアや働き方を犠牲にせざるを得なかったということです。1人目の時は結構やれたんです。病院の近くに住んでいて、病院の近くの保育園に朝7時から夜7時まで12時間預けていました。夜の7時でも、「すいません、早く帰らせてもらいます」みたいな申し訳ない意識でした。12時間働いたから十分じゃないの?と今は思うんですけど。

中山:世間一般的には、超フルタイムですよね。

さーたり:で、2人目の時に無給になるという話を聞いて、それでも私は復帰しようと思ったんですけど、夫や周囲の人にすごい反対されて。高い保育料を払って12時間も子ども預けて、無給で、それで何が得られるのかと……。

中山:旦那さんからも?

さーたり:そうです。大学病院は、やはりちょっと異常な、周りもすごく働くし、もうそれだけという働き方しかない環境だから、無理にこだわらなくてもいいだろう、しかもお金ももらえないしという。私は戻ろうとしたんですけど……。

中山:それもすごいですね。僕も旦那さんと同じことを思います。他の病院でいいんじゃないかと。

さーたり:今となっては私もそう思います。当時は、私もそういう環境に毒されていたというか、もう、朝から夜中までいて当直もやるのがフルタイムの仕事だと思っていたので、当直免除されて12時間しか病院にいない私は時短をしているという意識でした。

中山:いや、すごい。ちょっと、だんだん目まいがしてきました。今、無給というお話がありましたが、妊娠出産とは関係あるのですか。

さーたり:2人目は9月に出産予定で、8月で産休に入ることになります。当時は有給ポジションで、産休もらって復帰するつもりでしたが、3月の時点で医局長に呼ばれて、「ポストが足りない」と言われました。後輩が何人か大学に戻ってくるけど、その子たちが無給になってしまう。だから、後輩に譲る気はないかと。

その場では「嫌です」と言ったんですけど、親しい後輩だし、医局長も別に意地悪で言っているわけではなくて、もう苦肉の策というのが分かるし、すごく悩みました。確かに私は出産で休んで、復帰後も当直とかもすぐできるわけではないので、その分やってくれる後輩に給料が行った方がいいなと思って、結局、ポストを譲る形で私は無給になったんです。

私的には、まあ、しょうがないかなという感じですが、客観的にも見たら、妊娠出産があるから降格になったという形です。実際、妊娠出産の予定がなければ、そのまま有給枠でフルタイムで働いていたはずなので。

しかも、無給医になったら給与明細がなくて、私の就労実態が証明できない。すると、保育園の申請ではねられちゃうんです。だから、バイトやブログの収入とかの書類をかき集めて出しましたが、フルタイムにはならず、待機児童になってしまいました。

中山:そんな話あります? ひどい。

さーたり:ちなみに1人目の時に引っ越しで保育園を転園するときは、夫婦とも大学院生でした。実際はフルタイムで働いてバリバリやってるはずなのに、書類上は学生扱いで、保育認定の点数が下がっちゃう。じゃあ、もう大学院辞めますと言ったら、新卒社会人扱いになると言われて、それもまた点数が下がってしまいます。引っ越し先は保育園激戦区だったので、どこにも引っ掛からないとなって幼稚園に入れました。だから、お金だけじゃなくて、地位とかそういうのも絡んでくるんで、結構、難しいんです。ちゃんと労働者として認めてほしい。

中山:恐ろしいな、ほんとですよね。その無給医問題で言うと、昨年(2018年)、NHKがニュースで取り上げて、さーたり先生も出て発言していましたよね。どのような経緯だったのですか。

さーたり:最初の入試男女差別の話で、女性医師向けメディアで発言をしたところ、NHKから取材できる人を探していると言われて、お会いしました。その時に、流れの中で無給医の話をしたらとてもびっくりされて。「え?って。今、何て言いました? 無給ってどんな字書くんですか」と(笑)。そこでNHKの記者が取り上げてくれました。

中山:ちなみに、顔出しで発言して、大学に怒られたりすることはなかったのですか?

さーたり:分院にいるからか、直接はないです。センシティブな時期だからあんまり悪口は言うなよとは直の上司には言われましたが。

中山:さーたり先生が証言をしてNHKが無給医を取り上げたので、そのことで僕もYahoo!ニュース個人に記事を書いたら、NHKが取材に来ました。

さーたり:そうですよね。

中山:僕も、友人たちから無給の話や窮状を聞いていたんですけど、1人で声を上げるのは怖過ぎてずっと黙っていました。ですが、今しか無給医問題を顕在化させるチャンスはないと思い、取材を受けました。今、文部科学省が調査していますね。大学を通した調査ですから、どこまで踏み込めるか分かりませんが。

さーたり:報道を受けて、時給1000円を払いますと言い出したらしいです。でも、私の後輩とかは、そんなお知らせ聞いていないと(笑)。でも、陰ながら私の活動を応援しますという声はたくさん来ています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/660420
シリーズ 医療従事者の需給に関する検討会
医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差
厚労省、三次医療圏別、二次医療圏別の「医師偏在指標」公表
 
レポート 2019年2月19日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師多数区域(16都府県):1位 東京都(329.0)、2位 京都府(314.9)、3位 福岡県(300.5)……

 医師少数区域(16県):47位 岩手県(169.3)、46位 新潟県(169.3)、45位 青森県(172.1)……

 厚生労働省は2月18日の「医療従事者の需給に関する検討会」の第28回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学前学長)に、三次医療圏別(47都道府県別)、355の二次医療圏別の「医師偏在指標」を公表。三次医療圏別では、医師が最も多い東京都(329.0)と、最も少ない岩手県(169.3)では、1.9倍の差があることが明らかになった。医師偏在指標の全国平均は238.3(いずれも数値は、精査中。資料は、厚労省のホームページ)。

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三次医療圏別の医師偏在指標。上位16都府県が「医師多数区域」、下位16県が「医師少数区域」(2019年2月18日の医師需給分科会資料)
 「医師偏在指標」とは、2036年に向けて医師偏在解消を目指すための指標。人口10万人当たりの医師数に加えて、5つの要素〔医療ニーズおよび将来(2036年)の人口・人口構成の変化、患者の流出入、へき地の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の単位(区域、診療科、入院/外来)〕を加味している。従来、医師の地域偏在を表わす指標としては、人口10万人当たりの医師数が用いられてきたが、これらの5要素を加えることで精緻化した。

 二次医療圏別でも、最多の東京都の区中央部(759.7)と、最少の秋田県の北秋田(69.6)では、10.9倍の開きがある。

二次医療圏別の医師偏在指標の上位10医療圏(2019年2月18日の医師需給分科会資料)(略)

二次医療圏別の医師偏在指標の下位10医療圏(2019年2月18日の医師需給分科会資料)(略)

 二、三次医療圏のいずれについても、「医師偏在指標」の上位33.3%を「医師多数区域」、下位33.3%を「医師少数区域」として、それぞれ位置付ける。三次医療圏は、16都府県が「医師多数区域」、16県が「医師少数区域」。二次医療圏は、335医療圏のうち、「医師多数区域」と「医師少数区域」はそれぞれ112医療圏。

 さらに厚労省は、二次医療圏別の外来医師偏在指標の公表(数値は精査中)。全国平均は105.8。上位3位は、いずれも東京都で、区中央部192.3、区西部181.2、区西南部164.9。下位3位は、福島県・相双48.1、香川県・小豆48.4、岩手県・宮古54.6。

外来医師偏在指標(上位10の二次医療圏)(2019年2月18日の医師需給分科会資料)(略)

外来医師偏在指標(下位10の二次医療圏)(2019年2月18日の医師需給分科会資料)(略)

 都道府県ではこの4月から、医師偏在指標などを用いて、医師偏在対策などを盛り込んだ「医師確保計画」を策定、2020年度から対策を本格化する。目標年度は2036年で、3年ごとに進捗状況を確認、医師の地域偏在解消を目指す。具体的な施策としては、「医師少数区域等」で勤務する医師を認定、評価する仕組みの導入や、大学医学部の地域枠の活用などが想定されている(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。

 外来については、「外来医師多数区域」を設定、可視化することで開業のハードルを高めるとともに、同区域で開業する場合には、在宅医療をはじめ、「地域で不足する医療機能」を担うことなどを求める(『「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく』を参照)。

 医師偏在解消進むも、12道県では5323人不足、医学部定員で調整へ
 もっとも、2036年時点で、医師偏在解消が最も進んだ場合(上位推計)でも12道県では5323人分が不足、偏在解消が進まない場合(下位推計)では34道県で2万3739人分の不足(他の都府県は、いずれも医師過剰)。都道府県を越えた医師偏在対策に加え、2021年度で期限が切れる医学部の臨時定員増をどのように設定するかが、今後の重要課題となる。

 医学部の臨時定員増は、2020年度と2021年度については、「暫定的に現状の医学部定員をおおむね維持しつつ、トータルとして現状程度の医学部定員を超えない範囲」とされた(『2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」』を参照)。2019年度の臨時定員(地域枠関係)は906人。厚労省の上位推計では、恒久定員のうち1402人を地域枠とし、加えて全国で計243人の臨時定員を行えば、都道府県レベルでの医師不足は解消されると見込んでいる。



https://medical-tribune.co.jp/news/2019/0221519066/
地域勤務医の残業時間上限、年1860時間...厚労省が見直し案〔読売新聞〕 
2019年02月21日 15:08 (読売新聞)

 医師の働き方改革について厚生労働省は20日、特例で「年1900~2000時間(休日労働含む)」としていた地域医療に従事する勤務医の残業時間の上限について、年1860時間とする見直し案を有識者検討会に提示した。当初案は過労死ラインの2倍を超える水準にあたり、批判が相次いでいた。

 特例の対象は、地域の救急医療などを担う病院で都道府県が指定する。厚労省は全国で約1400か所程度が対象になるとみている。期間は、医師不足の解消が見込まれる2035年度末まで。それ以降は、一般の医療機関や一般労働者と同じ「年960時間(休日労働含む)」とする方針だ。年960時間は、脳卒中などで労災認定される目安の「過労死ライン」(月80時間超)を踏まえている。

 厚労省は1月に特例の当初案を示したが、「過労死を招く」などとする批判が噴出。医師が自分の勉強にかける時間を除くなど、当初案の根拠とした調査を再集計した。

 また厚労省はこの日、集中的に技能を磨く研修医らに対する残業時間の上限案も示した。初期研修医や専門医を目指して研修中の医師などが対象で、本人の申し出に基づいて適用する。特例病院の上限と同じ年1860時間とし、将来に向け減らす方向としている。

 残業の上限規制は24年度から。厚労省は今年3月末までに規制の全体の枠組みをまとめる方針だ。



https://www.medwatch.jp/?p=24990
救急病院などの時間外労働上限、厚労省が「年間1860時間以内」の新提案―医師働き方改革検討会(1) 
2019年2月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2024年4月から適用する「勤務医の時間外労働上限」について、▼原則として年960時間以内・月100時間未満▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1860時間以内―としてはどうか―。

厚生労働省は2月20日の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)に、新たにこういった提案を行いました。
 
ここがポイント!
1 勤務医の時間外労働は「年間960時間以下」が原則、救急医療機関などでは長い上限を
2 データ精査(労働から研鑽を除外)し、「救急医療機関等で年間1860時間」の新提案
3 B水準・1860時間にも賛否両論
4 医師働き方改革が、地域の医師偏在等を助長しないか

勤務医の時間外労働は「年間960時間以下」が原則、救急医療機関などでは長い上限を

 この4月(2019年4月)より「時間外労働の限度を、1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間とする原則を設け、これに違反した場合には、特例の場合を除いて罰則を課す」「労使が合意して協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間(特例)を年720時間(=月平均60時間)とする」といった改正労働基準法が適用されます(看護師などにも適用される)。

ただし医師(勤務医)については応召義務などの特殊性があることから、今年(2019年)3月までに「規制の在り方」を検討会で固め、その適用を5年後(2024年4月から)とすることになっています。

検討会では、「医師でなくとも実施可能な業務を、他職種に移譲していく(タスク・シフティング)」「労働と研鑽の切り分けを明確化していく」などの方針を固め、現在、「時間外労働の上限をどの程度に設定するべきか」という詰めの議論を行っています。

この時間外労働上限(仮に労使が合意したとしても、超過が認められない)については、これまでに次のような提案が厚労省からなされていました(関連記事はこちら)。

【原則(A水準)】
年間960時間以下・月100時間未満(やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などの努力義務を課す)

【地域医療を確保するための特例(B水準)】(地域医療確保暫定特例水準、救急医療機関など)
年間1900-2000時間以内(やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」こと、連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化する)

【技能向上のための特例(C水準)】(研修医や専攻医など)
A水準よりも長い上限を設定する(やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」こと、連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以内などを義務化する)

 2月20日の検討会では、B水準・C水準について新たな提案がなされ、非常に活発な議論が行われました。本稿では「B水準」についてお伝えし、C水準については別稿で紹介します。

データ精査(労働から研鑽を除外)し、「救急医療機関等で年間1860時間」の新提案
 B水準の旧提案である「1900-2000時間」は、勤務医の10%程度が「脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準」の2倍となる年間1920時間を超えて労働を行っている(さらに1.8%の勤務医は、「脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準」の3倍となる年間2880時間超)とのデータを踏まえ、こうした超過重労働(上位10%)を「まず1900-2000時間程度以内に抑え、健康確保に努める必要がある」との考えに基づいて設定されました。

 検討会では、このデータについて「労働時間の中に、労働に該当しない研鑽などが含まれているのではないか」との指摘があり(関連記事はこちら)、厚労省で精査。具体的には、これまでの議論で「労働は管理者や上席の指示を受けるもの、研鑽は指示なしに行うもの」という一定のラインが引かれつつあることを踏まえ、「時間外のうち、指示のない時間」を削除しています。この結果、勤務医の労働時間はわずかながら「短い」方向にシフトしました(上位10%の時間外労働は、旧データでは1944時間、精査後の新データでは1904時間)。

これを受け、今般、厚労省はB水準の時間外労働上限として「年1860時間以下」という新たな提案を行いました(1904時間を下回り、12か月で割り切れる、切りの良い数字というイメージ)。旧提案に比べて一定程度「短い上限」となりましたが、これは、上述のようにデータの精査に基づくものと言えます。
 
 また、繰り返しになりますが、B水準の医療機関では「勤務医すべてが年1860時間の時間外労働をしなければならない」わけではありません。当該病院において、例えば「救急医療に従事する医師を対象として、年間●●時間の時間外労働が可能」という協定(36協定)を結ぶことになり、その●●時間の上限が「1860時間」となるのです(病院によって「1500時間」のことも、「1000時間」のこともある)。

 なお、B水準の対象医療機関は、都道府県で特定することになりますが、その目安として、厚労省は、(1)3次救急医療機関(2)2次救急医療機関かつ「年間救急車受入台数1000台以上」かつ「医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関」(3)在宅医療で特に積極的な役割を担う医療機関(4)都道府県知事が地域医療の確保のために必要と認める医療機関(小児救急医療機関や、へき地の中核医療機関など)(5)特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療を提供する医療機関(高度がん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等)―というより詳しい例示を行いました(案)。(1)から(4)で約1400施設が該当する((5)は推計が困難)とみられます。

B水準・1860時間にも賛否両論

この新提案(B水準・1860時間以内)に対し、検討会委員からはさまざまな意見が出されました。

若手医師の代表とも言える三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)は、健康確保措置(連続勤務28時間以内や9時間以上の勤務間インターバルなど)の確実な実行などを条件に、B水準(年間1860時間以内)は「許容できる水準である。制度の建付けとしては良い」と厚労省案を評価。

他方、病院経営者でもある馬場武彦構成員(社会医療法人ペガサス理事長)は、大阪府で実施した独自調査結果(救急搬送の4割程度は、大学病院等からのアルバイト医師がいることで対応できている)も踏まえ、「地域医療を守るためには、旧提案である1900-2000時間程度の上限設定が必要である」と強く訴えました。

これに対し、労働組合の立場として参画する森本正宏構成員(全日本自治団体労働組合総合労働局長)は、「B水準は、現状の労働(超過重労働)を追認するもので、容認できない」と明確に反対しました。

賛否両論があり、今後も意見調整を進める必要があるでしょう。

 
さらに、時間外労働上限の設定をめぐって渋谷健司副座長(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)は、「病院経営者サイドは『地域医療を守る』と言うが、それは患者を人質にとって、若手医師に苛酷な労働を強いているだけではないか」「そもそも、なぜ『上位10%』ラインを上限に設定するのか、その根拠が明確でない」「若手勤務医がこの上限をどう捉えているのか、きちんと検討すべきだ」と強い口調で指摘しました。

この指摘に対し厚労省大臣官房の迫井正深審議官(医政、医薬品等産業振興、精神保健医療、災害対策担当)(老健局、保険局併任)は、「勤務医の労働実態に関するデータを精査し、また地域医療の実態を踏まえて、『ここまでなら実現できる』というライン(上限)が1860時間である」「地域医療の確保と医師の健康確保は渋谷副座長の指摘するようにトレードオフの関係にはない。ただし、働き方改革を進めると同時に、守らなければならないものもある(地域医療が崩壊することは許されない)」「全病院において労務管理等を適切に行ってもらう必要がある」旨を述べ、厚労省提案への理解を求めました。しかし、渋谷副座長は「このままの議論では、副座長を辞させてもらう」とも述べており、議論が大詰めを迎える中、どのように調整が行われるのか、を進めるのか注目が集まっています。

 
働き方改革に限らず、政策には「解」がありません。仮に「解」があれば、関係者が貴重な時間を使って議論する必要はないのです。可能な限りのエビデンスに基づいて選択肢を用意し、その中から、より「納得感の高い」もの、より「実現可能性が高い」ものを探り、さらに効果を検証して「選択肢を修正していく」しかないのです。

 その「実現可能性が高い」選択肢として、今回「B水準・1860時間」が導きだされたものですが、未来永劫「B水準・1860時間」が続くわけではありません。継続した実態調査が行われ、徐々に時間短縮を行い、さらに現時点では「2036年の解消を目指す」こととされています。労働法制の研究者である荒木尚志構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は「スタートとして悪くない水準ではないか。実態法規として、健康確保措置などが盛り込まれたことは非常に大きい」と厚労省案の実現可能性の高さを評価しています。

 また岩村正彦座長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)も、「働き方改革後の行動変容は読み切れない。まず最も苛酷な労働を行っている医師の救済に絞って、上限の設定や健康確保措置を組み合わせて医師の健康を守り、あわせて地域医療への影響も検証していく方向で検討すべきではないか」とコメントしています。

医師働き方改革が、地域の医師偏在等を助長しないか

 ところで、勤務時間の長い医師が多く在籍している医療機関として「大学病院」があげられます。大学病院長である山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)は、「これまで大学病院では労務管理の意識が薄かった。現在、個々の病院でも、大学病院の集まり(医学部長病院長会議など)でも労務管理に努めている」ことを説明しています。
 
 ただし、大学病院で徹底した労務管理を行うとすれば、「大学病院本院において、より多くの医師が必要となり、地域の病院から派遣医師を引き揚げる」ことにつながるのではないか、との懸念もあります(検討会では今村聡構成員(日本医師会副会長)が指摘)。そうした場合、「医師偏在が助長されないか」という別の問題も出てくるため、地域医療への影響を十分に見ていく必要があるでしょう。この点、地域の病院の合併・統合が極めて重要な選択肢となります。

 
 また、中井修参考人(日本病院会常任理事、岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)の代理出席)は、「勤務医の労働時間が長くなる背景には、医師不足があり。この一因として、勤務医でいるよりも、診療所を開業したほうが、収入が良くなることがあげられると思う。病院への診療報酬財源を手厚くし、勤務医の処遇改善を図る必要がある」と述べ、医師の働き方改革は、▼医師需給▼診療報酬―とも関連する問題であると指摘しています。

たしかに、医師の働き方改革論議が決した後には、「上限を守りながら(つまり医師の健康を確保しながら)、地域医療を守るためには、医師の増員が必要である」といった方向が示される可能性もあるかもしれません。



https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/201902/0012091745.shtml
赤字積みあがる三田市民病院 審議会、規模拡大促す 
2019/2/24 05:30神戸新聞NEXT 三田

 兵庫県三田市は19年度予算案で、一般会計から17億円を市民病院に投入する。

 このうち9割以上の15億7千万円は、救急(3億6千万円)や小児医療(7千万円)など市民の命を守るため、もうからなくて当然の部分に充てられる。病院の建設費を30年かけて分割返済する資金(10億円)も含まれる。こうした支出は国の基準で決まっている。

 一方、補助金を投入しても赤字額が大きいため、市は国の基準外で独自に補助金を上積みしている。07年度に医師不足などから年間10億円超の赤字となり、市は経営を安定させるため、09年度から毎年約2億円を“援助”している格好だ。

 ところが18年度は約7千万円、19年度予算案では約2千万円をそれぞれ前年度から減らした。財政再建を進める市が、病院にも歳出カットを求めたからだ。

 病院はカテーテルや注射器など診療材料の調達に医師が関与し、より価格を抑えるなど地道なコストカットを進める。その一方で、ここ数年は「稼ぐ力」も高めてきた。

 開業医と連携を深め、患者を市民病院に紹介してもらうほか、より診療報酬の高い急性期の患者を多く受け入れようと「断らない救急」を徹底。70%台だった病床の利用率は16年度以降、80%を超えている。こうした取り組みは成果を挙げているが、黒字経営には至っていない。

 ただ、ベッド数が300という中規模病院には構造的な課題がある。病院経営の専門家らが1年間にわたり、市民病院の将来像を議論した審議会では「24年前の開業当初は十分な規模だったが、現状では中途半端」との声が上がった。

 若手医師の研修制度が変わり、大規模で多くの経験を積める病院に志望者が集まるようになった。大学が地域の病院に医師を派遣する時代ではなくなっている。

 また、中規模では救急対応ができる医師や診療科が限られる。三田市民病院は循環器や消化器科はいつでも受け入れ可能だが、脳神経外科は土日は対応できない。

 市内の救急搬送に占める同病院の割合は65%(17年度)にとどまり、20%以上の患者は神戸市内の病院に運ばれている。審議会は今月「現状のままでは将来にわたる存続は難しい」と結論づけ、統合・再編による規模の拡大を促した。

 病院が市から借りる5億円には返済義務がある。赤字が積み上がっても、いずれ市が面倒を見てくれる-。そんな時代は終わった。(高見雄樹)



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190223-353705.php
福島県・内科医...5年後579人「不足」 厚労省、外科医は136人 
2019年02月23日 12時00分 福島民友

 厚生労働省は22日、2024年に診療科ごとに必要とされる医師数に達するには、現状では内科医が1万4468人、外科医が5831人不足しているとする推計結果をまとめた。同省が診療科ごとに将来必要となる医師数を算出するのは初めて。

 47都道府県ごとの推計結果も公表。本県の診療科ごとの必要医師数で内科医は、2024年には現状より579人多い1953人が必要とされ、達成には年間97人の養成が必要。外科医は現状より136人多い523人で、年間28人を養成するべきだとしている。必要医師数の達成に向けてはこのほか、整形外科で年間19人、小児科で年間11人の養成が必要とされた。
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https://www.medwatch.jp/?p=24959
2036年の医療ニーズ充足には、毎年、内科2946名、外科1217名等の医師養成が必要―医師需給分科会(3) 
2019年2月20日|医療・介護行政全般 MedWatch

 医師偏在対策に向けた医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)の論議が大詰めを迎える中で、厚生労働省は2月18日の会合に「診療科別の必要医師数の見通し」(たたき台)を提示しました。

 今後、「医師の働き方改革」や「総合診療専門医」の動向なども踏まえながらブラッシュアップし、将来的に、専門医資格取得を目指す専攻医の基本領域別定員上限の設定などに活用していくことを狙います。
 
ここがポイント!
1 診療科と疾患の紐づけを行い、将来の患者数を勘案して「必要医師数」を推計
2 診療科の偏在是正、新専門医制度の「専攻医定員」での厳格な調整が必要
3 喫緊の課題である産科・小児科の医師確保は、暫定的指標に基づいて実施

診療科と疾患の紐づけを行い、将来の患者数を勘案して「必要医師数」を推計

 地域の医師偏在対策の解消が重視され、医師需給分科会では、各地域(都道府県・2次医療圏)の医師配置状況を可視化するとともに、各都道府県で新たに「医師確保計画」を定め、実行し、2036年度に偏在を解消する方向に向けた検討を進めています(関連記事はこちらとこちら)。

しかし、「例えば産科医師が不足している地域に、皮膚科医師がどれだけ派遣されても、本当の意味での医師不足解消にはならない」ことから、「診療科別の医師偏在対策」を進める方針も確認されています。

診療科別の医師偏在を解消するためには、「診療科別の必要医師数」と「診療科別の供給医師数」を推計し、その差を埋めていくことが必要となります。

ただし、例えば脳梗塞であれば、脳神経外科や内科、さらにはリハビリテーション科で対応するなど、1つの疾患を複数の診療科で診ている実態があることから、「●●診療科の医師がどれだけ必要なのか」を推計することには多くの苦労が伴います。そこで、「診療科別の医師偏在対策」は、将来的な課題に位置付けられ、2020年度から本格スタートする医師偏在対策と同時並行的に「研究」が進められることとなりました。ただし、後述するように「産科」と「小児科」については医師確保が喫緊の課題となることから「暫定的な対策を一先ずとる」ことになっています(関連記事はこちら)。

2月18日の医師需給分科会には、「診療科別の必要医師数」の推計に関する、いわば「これまでの研究結果」が厚労省から提示されました。

上記のとおり、同じ疾患であっても、異なる診療科で対応している状況があることを踏まえ、厚労省はまずDPCデータなどを用いて、「どの疾患には、どの診療科が対応しているのか」を分析しました。例えば、脳梗塞であれば▼脳神経外科:48%▼内科:46%▼リハビリテーション科:4%▼外科:1%▼救急科:1%―などとなっています。

これを裏返しに見ると、どの診療科が、どういった割合で疾患を診ているのかが分析できます(内科では、A疾患を●%、B疾患を●%、C疾患を●%診ている、というイメージ)。

ここに、「医師・歯科医師・薬剤師調査による診療科別の医師数」や「厚生労働科学研究で明らかにされた診療科別の医師の勤務時間および全体との比率」などを組み合わせることで、「2016年時点における診療科別の必要医師数(ニーズ量)」を推測できます。

さらに、「患者調査と人口動態推計から導かれる将来の疾患別医療ニーズ」などを加味することで、「将来時点における診療科別の必要医師数(ニーズ量)」を推計することが可能となります。

大雑把なイメージを示すと、「内科の医師は2016年時点で●名いる」→「内科では、脳梗塞患者を●%、心疾患患者を●%診ている」→「内科の勤務時間を医師全体の勤務時間と比較・調整し、2016年に必要な内科医数は●名と分かる」→「脳梗塞の患者は将来◆%増加し、心疾患患者は◆%増加することが統計から推測されるので、この増加ニーズに対応するためには、内科医師は◎名必要と考えられる」といったロジックで推計する、と言えるでしょう。

また推計に当たっては「診療科別の医師の勤務時間」が、「医師全体の平均になる」方向での検討も一部行われています。例えば、救急科の医師は全体平均よりも1.21倍勤務時間が長いことが厚生労働科学研究結果から明らかになりました。これを将来、1.00倍にするためには、「より多くの救急科医師(単純計算では1.21倍の医師)が必要になる」ことから、その点も勘案した推計がなされています。ただし、現在議論中の「医師の働き方改革」については、結論が出ていないことから、現時点では勘案されず、今後の研究課題の1つに位置付けられています。

こうしたロジックに基づいて機械的に推計された結果を見ると、例えば内科や外科では、次のように大幅な医師不足状況にあるようです。
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【内科】
▽2016年時点では12万2253名分の内科医が必要だが、実際には11万2978名しかおらず、9275名分不足している

▽2024年時点では12万7446名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年3910名分の内科医養成」が必要となる

▽2030年時点では12万9204名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年3246名分の内科医養成」が必要となる

▽2036年時点では12万7167名分の内科医が必要となり、これを充足するには「年2978名分の内科医養成」が必要となる

【外科】
▽2016年時点では3万4741名分の外科医が必要だが、実際には2万9085名しかおらず、5656名分不足している

▽2024年時点では3万4916名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1587名分の外科医養成」が必要となる

▽2030年時点では3万4605名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1323名分の外科医養成」が必要となる

▽2036年時点では3万3448名分の外科医が必要となり、これを充足するには「年1217名分の外科医養成」が必要となる

 
 一方、皮膚科や精神科などでは、すでに医療ニーズに対し医師数が過剰となっている状況が分かります。

【皮膚科】
▽2016年時点で8376名分の皮膚科医が必要であるのに対し、実際には8685名おり、309名分過剰となっている

▽2036年時点では皮膚科医師は7270名分必要になると見込まれ、1414名の過剰になると推計される

【精神科】
▽2016年時点で1万5437名分の精神科医が必要であるのに対し、実際には1万5691名おり、254名分過剰となっている

▽2036年時点では精神科医は1万4003名分必要になると見込まれ、1688名の過剰になると推計される

 皮膚科や精神科において「現時点で医師数が過剰」と推計される背景には、「皮膚科や精神科では医師全体の平均に比べて勤務時間数が短い」ことがあります。皮膚科では医師全体平均の85%、精神科では同じく91%となっています。つまり、皮膚科医・精神科医が医師全体平均と同水準の勤務を行うと仮定すれば、計算上は同じ仕事量を85%・91%の医師数で回せる計算になるのです。

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診療科の偏在是正、新専門医制度の「専攻医定員」での厳格な調整が必要

 こうした「診療科別の必要医師数」をもとに、偏在を解消するためには、「専門科を選択する時点・場面での対策」をとるよりありません。すでに精神科として活躍している医師に、「外科が不足しているので、外科に転向してほしい」と要請することは、現実的には極めて困難でしょう。この点、医師多数地域で働くA医師に、「医師の不足するB地域で勤務してほしい」と要請する、地域偏在解消とは大きく様相が異なる点に留意が必要です。

 医師が専門科を選択する時点・場面としては、「新専門医の資格取得に向けた専攻医登録」が考えられます。この専攻医登録の時点で、「貴殿は皮膚科の専門医資格を目指し専攻医登録しているが、医師が不足している外科専門医を目指し、専攻医登録の内容を変えてはどうか」などと勧奨すること、あるいはさらに強力に「皮膚科の専攻医登録定員数を減員し、その分を不足する内科や外科に振り向ける」ことなども考えられるかもしれません。

 ちなみに、日本専門医機構が明らかにした、今年度(2018年度)の専攻医採用状況(2018年3月15日時点)と、上述の「必要医師数を充足するために、年間に養成すべき診療科別医師数」とを比較とする、次のような状況が分かります。

【内科】
2018年度専攻医採用数は2671名で、▼2016年度の維持水準(2289名)に比べ382名過剰▼2024年度の必要数充足水準(3910名)に比べ1239名不足▼2030年度の必要数充足水準(3246名)に比べ575名不足▼2036年度の必要数充足水準(2978名)に比べ307名不足―

【外科】
2018年度専攻医採用数は807名で、▼2016年度の維持水準(907名)に比べ100名不足▼2024年度の必要数充足水準(1587名)に比べ780名不足▼2030年度の必要数充足水準(1323名)に比べ516名不足▼2036年度の必要数充足水準(1217名)に比べ307名不足―

【皮膚科】
2018年度専攻医採用数は275名で、▼2016年度の維持水準(193名)に比べ78名過剰▼2024年度の必要数充足水準(115名)に比べ160名過剰▼2030年度の必要数充足水準(147名)に比べ128名不足▼2036年度の必要数充足水準(159名)に比べ116名過剰―

【精神科】
2018年度専攻医採用数は430名で、▼2016年度の維持水準(293名)に比べ137名過剰▼2024年度の必要数充足水準(208名)に比べ222名過剰▼2030年度の必要数充足水準(243名)に比べ187名過剰▼2036年度の必要数充足水準(257名)に比べ173名過剰―

 例えば、皮膚科や精神科の定員をより厳しくし(100名程度減員)、その分を内科や外科に振り向けると、計算上は「診療科別の偏在」が解消されていく見込みです。後述するように精緻化に向けた課題があるものの、「たたき台となる数字が示されただけでも非常に大きなステップである」との賞賛の声が福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)らから相次ぎました。

  
 もちろん、このロジックの中には、「医師の働き方改革」や「総合診療専門医の動向」(総合診療専門医が増えることで、他診療科で診る疾患等の構成も変わってくる)などが勘案されていません。こうした点も研究しながら、より精緻な「診療科別の必要医師数」「診療科別の養成が必要な医師数」を推計し、新専門医制度において「診療科別の専攻医定員上限(シーリング)」設定論議の基礎資料としていくことなども検討していくことになるでしょう。

 なお、厚労省はさらに「都道府県別」の「診療科別の必要医師数」なども推計していく予定を示しています。

喫緊の課題である産科・小児科の医師確保は、暫定的指標に基づいて実施

 前述したように、「産科」「小児科」については医師確保が喫緊の課題とされていることから、両科に特化した「医師偏在指標」(産科の医師偏在指標、小児科の医師偏在指標)を暫定定期におき、新たな「医師確保計画」の中で、「産科・小児科医の確保」に向けた方針や目標数を設定し、具体的な施策を実施していく方針が2月18日の医師需給分科会で了承されています。

 将来的に、「診療科別の必要医師数」などが精緻に設定されれば、産科・小児科についてもその中で「専攻医増加」などの対策を打っていくことになるでしょう

 産科の医師偏在指標は、都道府県別・2次医療圏別の「分娩件数1000件当たりの産科・産婦人科医師数」をベースに設定され、小児科の医師偏在指標は、同じく都道府県別・2次医療圏別の「15歳未満の年少人口10万人当たりの小児科医師数」をベースに設定されます。
医師需給分科会(3)の4 190218(略)
医師需給分科会(3)の3 190218(略)
 
 この産科・小児科の医師偏在指標をもとに、下位●%(今後、設定する)を「相対的医師少数三次医療圏(都道府県)」「相対的医師少数区域(2次医療圏)」に定め、産科医・小児科医の確保を進めていくことになります。ただし、全国的に産科医・小児科医が不足している状況なども勘案し、例えば「医療圏の見直し(広域化)」や「産科医・小児科の勤務環境改善」など、幅広い医師確保策を各都道府県で検討・実施することが求められます。
医師需給分科会(3)の5 190218(略)
 
 この点に関連して鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は、産科医確保のために「適正な分娩費用の設定」(分娩費用が低すぎれば、産科医を確保する原資が不足する)などを要望しています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/661023
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「働き方改革」への姿勢で激論、厚労省検討会
「上限引き下げ反対」「現状維持と経営者の視点ばかり」
 
レポート 2019年2月21日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は2月20日の第19回「医師の働き方改革に関する検討会」に、地域医療を適切に確保するための「地域医療確保暫定特例水準」を「年1860時間、月100時間(例外あり)」として再提案し、構成員の一人が「非現実的な労働時間上限設定」などとして引き下げに反対。これをきっかけに激論となった。(資料は、厚労省のホームページ。提案の詳細は『時間外上限「年1860時間」で再提案』を参照)。

「大阪でさえ、大学依存」と上限引き下げに反対

 社会医療法人ペガサス理事長で日本医療法人協会副会長の馬場武彦氏は参考資料として、医法協を含む四病院団体協議会が大阪府内の会員病院を対象に実施したアンケートの結果を提出。回答した26の医療機関で1カ月の当直のうち平均約39.5%、延べ人数ベースでは約28.9%を大学病院からの非常勤医師に頼っているとして、「比較的医師の数が恵まれていると思われている大阪府でさえ、夜間の救急は多くの部分を大学病院からの非常勤医師で支えている。非現実的な労働時間上限設定は即、非常勤医師派遣の大幅な縮小を招き、患者の生命に直接関わる。当初の事務局案通り1900~2000時間でお願いしたい」と主張した。


 これに対し、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏は、「頑張る人が頑張れるようにするためには適切な労務管理が必要で、本来は医療界自らが対策をしなければならなかったにもかかわらず、できていない現状がある。だからこそ刑事罰で抑止しようという方向になっている」との認識を示した。その上で馬場氏の主張に対し、医療機関が24時間365日患者のために使命を全うする特殊性と、医師に過重労働させることを「同じ状況で議論すること自体が間違っている。医療機関のキャパシティーを超えて医療ニーズが発生しているのならそれは地域医療計画の話だ。むしろ単独の施設に責任を負わせるのは先生方が強く反対しなければいけない。患者の命を人質にして神風特攻隊的な話ばかり、現状維持と経営者の視点ばかりで、そこには医師や患者の姿がない」と厳しく指摘した。

 また、事務局案が病院勤務医の10%が1920時間以上の時間外労働をしているというデータを基にして上限時間案を提示していることについて、なぜ10%で区切ったのかを質したが、事務局からはその根拠は示されなかった。

 馬場氏は勤務間インターバルや連続勤務時間制限、医師による面談などの健康確保措置については「かなり厳しい条件だが、受け入れなければいけない」とした上で、「1900~2000時間でも絶対大丈夫とは言えないが、実現可能でかつ国民が死なないラインと思っている。絶対に医療が守られるという根拠なしに引き下げるのはおかしい。施行後に検討するべきだ。兼業も考えると、かなり高い水準が必要だ」と反論した。

 日本医師会常任理事の城守国斗氏は「今までやってこなかったから強制的にという意見も分からなくはないが、現場の人間からすると医療提供体制が一度壊れると数十年以上かかるという不可逆性がある。やってみればいいじゃないかという問題ではない」と発言。これに対し渋谷氏が、「やってみればいいなどと無責任なことは一言も言っていない。崩壊するかもしれないし、しないかもしれない。分からないので、神学論争にしかならない。どうなるか根拠が知りたいということだ。そこは誤解を解いておきたい」と述べると、城守氏は即座に「お言葉だが、全く分からないということではない。非常に過酷な労働条件の人が最大限カバーしようという割合が一定程度いて、その中で10%だと思う。決して生ぬるい改革案だとは私は思わない」と反論した。

 日本医師会副会長の今村聡氏は「何時間なら大丈夫だ、何時間なら医療崩壊するのかというエビデンスもない中の議論なので、まずは少しずつ上限を設定して、特例は必ずなくなるので、スタートの時点では余裕を持った方がいいのではないか」と長めの設定にする方がいいと提案。
「僕ではない人を副座長に選んでまとめを」と渋谷氏

 ハイズ株式会社代表取締役社長の裴英洙氏は「これまで無制限に強制労働させていた実態にメスを入れる。メスを強く入れすぎると当然出血多量になるが、何もせず放置するのが医療界をますます悪化させるのは間違いない」と述べた。渋谷氏は「960時間がゴールだというのは総意だと思う。1860時間に納得できるロジックがあるわけではないので、前に進めるのならば僕ではない人を副座長に選んでまとめていただきたいと思っている」と辞意を示した。
 岩村座長は「上位10%であるか20%であるかはおいても、いずれにせよどこかで線を引いたときに医療機関、そこで働く医師、関連職、患者たちの行動がどう変わるかが完全には読めないのがこの問題の難しいところだ。私個人は最も長時間働いていて過酷な労働条件にある方にターゲットを絞って、医師の健康と生命を守る。他方で地域医療体制の整備、これは政策の問題だと思うがそこに対応していく、その組み合わせで考えていくしかない」と述べた。

大学による医師引き揚げの懸念も

 今村氏は大学病院医師のアルバイトについて、「大学病院が労務管理をしっかりやるようになるとどうなるか。自分の病院を犠牲にして外の病院を支えることはしなくなる。今までも医師を引き揚げて地域医療に大きな影響が出るということがあった」と指摘。また、労務管理が厳格化して大学病院がアルバイトをさせない方向に向かったとすれば、若手医師が収入を得るために「(大学に)分からないところでアルバイトをするようになれば何のための働き方改革かということにもなってしまう」とも述べた。東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏も、「大学病院も背に腹は代えられないので、全く出さないわけではないが、絞ると思う」と同調した。



https://www.medwatch.jp/?p=24929
90学会・領域がサブスペシャリティ領域を希望、2019年9月には全体像固まる見込み―日本専門医機構 
2019年2月18日|医療現場から MedWatch


 現在、新専門医制度におけるサブスペシャリティ領域に、90の学会・領域(複数学会で1つの領域を構成するケースもある)から認定希望が出ている。日本専門医機構の理事会で定めた要件等に合致しているかの審査(事前審査、本審査)を行い、今年(2019年)9月にはサブスペシャルティ領域を決定し、その後に次のステップに進みたい―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は、2月18日に定例記者会見を行い、こうした考えを示しました(関連記事はこちら)。
 
2019年中に循環器内科など基本的学会・領域をサブスペシャリティ領域として認定
 新専門医制度は、以下の19「基本領域」(1階部分)と「サブスペシャリティ領域」(2階部分)の2層構造となっています。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

基本領域の多くでは、2年間の研修期間を設けていますが、外科や内科では「基本領域とサブスペシャリティ領域とを連動させる」構造も認められ(例えば基本領域の「内科」とサブスペシャリティ領域の「消化器内科」の研修を連動させ、基本領域の研修期間を短くし、サブスペシャリティ領域の研修を早期から長期にわたって実施する、など)、早ければ今秋(2019年秋)から「サブスペシャリティ領域」の研修がスタートすることになります(関連記事はこちら)。

日本専門医機構では、昨年12月にサブスペシャリティ領域の認定要件を次のように定め、関連医学会等に「当該要件に合致するか否か」の事前評価(自己評価)を行うよう要請しました。既に大枠は示されていますが、今回、要件等の内容が詳細に明らかにされています(関連記事はこちら)。

【サブスペシャリティ領域への認定要件】(概要)
(1)▼社会的使命▼対象となる患者像と推定数▼専門医の素養と必要な知識、実施可能となる手技▼現状で該当する社会的役割(例えば難病指定医の要件となっているか、など)―について説明可能であること【必須要件】

(2)基本領域の承認・同意があること(基本領域とサブスペシャリティ領域が1対1対応にあるカテゴリーA(内科と循環器内科など)、1つのサブスペシャリティ領域に複数の基本領域が関連するカテゴリーB(リハビリテーション科と整形外科が1つのサブスペシャリティ領域を形成するなど)、多くの基本領域が関連するカテゴリーC(緩和ケアなど)が考えられ、それぞれに承認・同意のあること)【必須要件】

(3)サブスペシャリティ領域として社会的認知に認知されていること(例えば、大学病院本院や主管型臨床研修指定病院、地域医療支援病院などの一定数で独立した診療科・部門がある、など)

(4)すべての大学病院本院に1名以上の当該サブスペシャリティ領域専門医が常勤し、全都道府県に当該サブスペシャリティ領域専門医が2名以上いることなど

(5)全都道府県に研修施設が1施設以上あり、かつ各研修施設に指導医が必要数配置されていることなど【必須要件】

(6)専門医制度創設から10年以上が経過し、明確な基準で1回以上資格更新した専門医数が一定程度いることなど

(7)日本専門医機構に承認された「客観的な試験」を行い、専門医の診療能力の質が担保できること

(8)更新基準に十分な診療実績を含めること

また、(3)の「社会的認知」については、例えば「小児がん」や「指定難病」などの希少疾患では、臨床研修指定病院や地域医療支援病院には独立した診療科・部門が設置されていないことも多いでしょう。しかし、こうした疾患の専門医がどこにいるのかと言う情報を患者・国民は渇望しているため、柔軟な要件設定(例えば地方ブロック単位で、当該診療科・部門が存在するなど)も可能となる見込みです。

さらに、具体的な指導体制や経験症例数などについては、日本専門医機構で検討中の「専門研修整備基準」で定められることになります。

 
今般、1月31日までに、90の学会・領域から「当該基準に概ね合致している」旨の返答が日本専門医機構に寄せられていることが寺本理事長から明らかにされました(基本領域学会の推す23学会も含まれる)。今後、日本専門医機構で事前審査(上記項目への記載が不十分な場合などには問い合わせも行う)・本審査を行い、4月以降、順次、サブスペシャリティ領域としての認定を進め、9月には全体像が固められる見込みです。したがって、当面、サブスペシャリティ領域は90学科・領域以下となります。

事前評価(自己評価)結果の返答を行っていない学会も16ほどあり、これらは少なくとも、今年(2019年)10月からのサブスペシャリティ領域には認定されません。寺本理事長は、「国民に分かりやすい専門医制度という考えに立ち返れば、基本的な学会(循環器内科や呼吸器内科)はサブスペシャリティ領域として認めなければならない。今年(2019年)は、このような地固めをして、後に次のステップ(今回、認定されなかった学会について、サブスペシャリティ領域として認定していくかの検討など)に進みたい」との考えを示しています。

 
なお、今年(2019年)4月からの専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)登録について、寺本理事長は「8500名強になる見込みで。今年度(2018年度)よりも若干増加しそうだ。新専門医制度の安定運営が一定程度行えていると考えている」旨の説明も行っています(2月15日で2次登録が完了し、現在、採否決定中。3月15日まで、空席があれば、未採用者は登録可能)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/660479
シリーズ 今どきU35ドクター調査2018
医師偏在、新専門医制度で拍車 ◆ Vol.11
若手医師の意見、「医療崩壊が必要かもしれない」との声も
 
医師調査 2019年2月23日 (土)配信大西裕康(m3.com編集部)

 「今どきU35ドクター調査2018」として35歳以下の若手医師に考えや意見を聞いた結果をお届けしてきたシリーズ最終回は、未来の自分へのメッセージなど、今回の同調査に協力して感じたことなどについて寄せてもらった自由回答を紹介する。新専門医制度が医師偏在に拍車をかけているとの意見や、患者の受療行動を適正化するため何らかの強制力が必要との意見があったほか、今後の進路について自分自身にエールを送る回答などもあった。

Q、同調査に関するご意見・ご感想、未来の自分へのメッセージなどを、ご自由にお書きください。

【医療のあるべき姿とは】
医師の負担を平準化するべきであるが、現状は難しい。[大学勤務]
年功序列などの制度は廃止を。有害な金儲け医療をする開業医をどうにかしてほしい。[開業医]
新専門医制度では、3~5年目医師は多岐にわたる症例を集めるため都市部の大規模病院で働かざるを得なくなっており、新専門医制度が医師の地域偏在に拍車をかけているように感じます。後期研修のうち1年は地方の基幹病院も回るようにするなど、何かしら対策が必要ではないでしょうか。[大学勤務]
時間外に受診する患者が多いことは、医師の首を少なからず絞めている感じる。応召義務の解釈を広げるなどして、どうにかそこを抑制することはできないか。また、2交代制などのシフト化を進めて、体を壊さず働ける勤務形態を国全体で早くつくってほしい。というかそういう風潮をもっと推し進めていくべき。[大学勤務]
今の保険料で高額医療も受けられるのでは、今後も医療保険制度を維持するのは厳しいだろう。[病院勤務]
一度医療崩壊というきっかけが必要かもしれません。[病院勤務]
診療科別に給料を変えるべきである。[大学勤務]
AI(人工知能)の進化で医師の働き方や在り方が変わってくるのではないかと思っている。[病院勤務]
大学とは月40時間の非常勤契約しかしてないのに、当直に外来にと使われてブラックす過ぎます。[病院勤務]
透析、生保、母子家庭の医療費無料は逆差別だと思います。[病院勤務]
若手として色々意見はあるが、結局全ての決定権を掌握しているのは60歳以上の大御所であり、大御所は往々にして根性論を展開しがちなので、常に諦めの気持ちになる。[病院勤務]

【今の自分、未来の自分へ】
大学病院を辞めようとしている私、きっと良かったと思えるはず。[大学勤務]
明るい話題の少ない時代だが、未来でも楽しく働けていることを願いたい。[大学勤務]
初心忘るべからず。[病院勤務]
無理せず家族を大切に。[病院勤務]
ワークライフバランスを大事にしつつ、働いていきたい。[病院勤務]
ドロップアウトしないようにしたい。[病院勤務]
先行きは全く想像できず、今を生きています。[病院勤務]

【編集部に要望です】
結果をまとめて厚労省に送ってください。[大学勤務]
こういった若手対象のアンケートを増やしてほしい。[大学勤務]
(完)



  1. 2019/02/24(日) 09:24:45|
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2月17日 

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0216m040001/
2036年の医師不足2.4万人 厚労省試算 「偏在解消」達成できず 
2019年02月16日 06時30分 毎日新聞

2036年の2次医療圏の医師不足数合計

 厚生労働省が将来の地域の医師数を新たに試算した結果、医師の偏在を解消する目標年としている2036年でも全国335地域のうち約220地域で約2万4000人の医師不足が見込まれることが、関係者への取材で判明した。厚労省は試算に基づき青森、千葉、静岡、山口など15県を「医師少数区域」と定め、地元で一定期間働くことを義務付ける大学医学部の「地域枠」を重点的に配分するなど対策を加速させる。

 4月に施行される改正医療法は、ほぼ都道府県単位の「3次医療圏」と、県内をブロックに分けた「2次医療圏」ごとに、医師不足の地域を定めるとしている。その指標として、人口10万人当たりの医師数を基に、年齢・性別による受診率、昼夜の人口差、医師の労働時間などを考慮して、実際に働く医師数と必要な医師数を算出した。

 36年の試算では、2次医療圏で見ると奈良県を除く46都道府県で医師不足の地域があり、不足分を積み上げると約2万4000人に上る。3次医療圏全体で見ても、新潟、埼玉、福島など12道県で計約5320人が不足する。

 厚労省の有識者検討会が昨年4月にまとめた医師需給推計では、医師の残業時間の上限を過労死認定の目安の月80時間(休日労働を含む)とすると、28年ごろにその時点で必要な医師数34万9000人を満たすとしていた。今回の試算は、全体数を増やすだけではなく偏在の解消が急務であることを示す。【酒井雅浩】
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https://www.m3.com/news/iryoishin/659871
シリーズ 地域医療構想
地域医療構想、医師確保計画、働き方改革は「一体的に」
厚労省、47都道府県担当者向けの医療政策研修会
 
レポート 2019年2月15日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は2月15日、2018年度の第3回医療政策研修会と第2回地域医療構想アドバイザー会議を、47の都道府県担当者、医師会、医療関係団体を集めて都内で開催した。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、現在進めている地域医療構想、この4月から始まる医師確保計画、医師の働き方改革という3つの施策は密接に連動しており、一体のものとして取り組む必要性があると説明した。2020年度からは、臨床研修病院の指定などの事務は厚労省から都道府県に移管され、地域医療における都道府県が担う役割は、今まで以上に高まる。鈴木課長は、各種施策の実施に当たって、都道府県が医師会や大学と広く連携していく必要性も指摘した。

 鈴木課長は、地域医療構想については、公的・公的医療機関等の役割の明確化する必要性を強調した。公的・公的医療機関等については、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、地域医療構想調整会議に諮り、関係者の間で合意形成することが求められる。2018年12月末までに、合意形成に至ったのは50%強にとどまることから、2019年3月までに全てのプランについて合意形成に至るよう、鈴木課長は協議の徹底を求めた。

 その際の注意点として、「具体的な対応方針の協議に当たっては、現状追認の機械的な合意にならないように」と釘を刺した。「公立・公的医療機関等でないと担えない分野に重点化をおいたプランが練られているかどうか、といった点も確認し、協議をすることが必要」(鈴木課長)。

 厚労省の地域医療構想ワーキンググループで現在、2019年度以降、合意形成に至った具体的な対応方針の検証方法について議論していることも説明(『「公の重点化」が必要な構想区域、4つのパターン例示』を参照)。「手術などの詳細な診療実績に着目して、公民の競合状況を確認することにより、本当に民間医療機関では担えない機能の重点化が図られているかどうかについて、検証することを想定している。検証の結果、例えば、重点化、将来の需要に向けた対応がなかなか確認しにくいものについては、協議の再検討を要請することも念頭に、必要な対策を講じていく予定だ」。鈴木課長はこう語り、地域医療の診療実績を可視化して、医療機関での実績が比較できるような資料も充実させていく方針であるとし、調整会議での協議の充実を求めた。

 医師偏在対策については、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で現在、取りまとめに向けた議論を進めている(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。鈴木課長は、「今年度末までに、医師偏在指標も含む医師確保計画、外来医療計画、および外来医療に関する協議の場の方針を示すこととしている」と述べ、次回2月18日の会議に、地域ごとの医師偏在指標、それに基づく「医師少数区域」「医師多数区域」の結果を示す予定であるとした。

 医師の働き方改革についての議論の場は、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」(『医師の健康確保措置、実施しなければ「暫定特例解除」も』を参照)。鈴木課長は、2024年4月から、医師にも時間外労働の上限規制が適用されることから、同検討会で3月までに結論を取りまとめる予定であると説明。また医師以外の医療関係者については、この4月から時時間外労働の上限規制が適用されることから、働き方改革を進めるよう求めた。「医師が仕事と家庭を両立し、健康に働き続けることができるよう、関係団体とも協力しながら着実に改革を進めていきたい」(鈴木課長)。

 臨床研修事務については、2020年度から、都道府県が地域医療対策協議会の意見を聞いた上で、臨床研修病院の指定、定員設定等を行う仕組みが導入される。「地域の実情を把握している都道府県が事務を行うことにより、県内の医師不足と言われる地域における臨床研修医の増加など、きめ細やかな対応が可能になると考えている。今後、都道府県向けの事務説明会の開催のほか、事務処理マニュアルについても提供する予定」(鈴木課長)。



https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41275310U9A210C1EE8000/
医師不足解消へ重点地域 派遣要請しやすく
実効性には疑問の声も
 
2019/2/15付日本経済新聞 朝刊

厚生労働省は全国で医師少数地域を選定し、重点的な医師不足対策に乗り出す。近隣の複数の市町村でつくる全国335の二次医療圏のうち、医師の過不足状況を順位付けし、3分の1にあたる約110の地域を少数区域と認定。都道府県が多数区域から少数区域に医師の派遣を求めることなどがしやすくなる。2036年までに医師の偏在解消をめざすが、実効性を疑問視する声もある。

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東京都内の医師数は、16年末時点で約4万4千人。日本医師会総合政策研究機構によると、千代田区や中央区など区中央部医療圏で人口10万人あたりの医師数が1174人で全国有数の多さだ。一方、同じ都内でも青梅市や奥多摩町など西多摩医療圏は163人で、区中央部と7倍の差がある。

18年に改正した医療法・医師法では、医師偏在の度合いを示す指標をつくり、対策を進めることを規定。厚労省はこれに基づき、人口あたりの医師数をベースに、住民の男女比や年齢、近隣の医療圏への行きやすさなども考慮した値を算出する。医療圏ごとに指標の値で順位をつけ、下位3分の1を少数区域とし、上位3分の1を多数区域とする。厚労省によると、少数区域で働く医師数は全体の7%にとどまる見通し。地域住民が必要な医療を受けにくい恐れが生じているという。

少数区域や多数区域に該当する医療圏は都道府県が指定する。各都道府県が19年度中に原則3年ごとの医師確保計画を作成。医療圏ごとに目標の医師数を設定し、対策もつくる。20年度からこれに基づく偏在対策に着手する。

想定される短期的な対策は、多数区域から少数区域への医師の派遣だ。少数区域で勤務経験が一定期間ある医師を認定する制度を設け、この認定を地域医療を担う病院の管理者になる際の要件とする。

都道府県間で医師数を調整しやすくするため、少数区域での勤務を希望する医師の情報を集めたデータベースを作成する。医師が足りない都道府県が、医師が多数の都道府県に医師の派遣を求めやすくなる。一方、厚労省は多数区域でさらに医師が増えないような医師確保計画をつくるよう都道府県に求める方針だ。

長期的な対策では、大学医学部の「地域枠」などの活用が柱となる。地域枠は地元で一定期間働く代わりに奨学金の返済を免除する制度で、卒業後にへき地など医師少数区域での医療を担ってもらう。19年度から都道府県知事が大学の医学部に設置や拡充を要請できる権限を持つようになる。厚労省は、この制度が軌道に乗って卒業者が本格的に医療に従事する36年までに医師偏在の解消が進むよう働きかける。

もっとも、厚労省や都道府県が具体的な偏在対策を進めても、原則として民間の医療機関での医師の採用を制限することは難しい。計画通りに偏在を是正できるか実効性を疑問視する声もある。



https://www.47news.jp/3264607.html
医師不足対策の支援拡充、総務省
過疎地医療維持に向け
 
2019年2月12日 午後5時44分 共同通信

 総務省は2019年度、過疎地の医師不足対策に取り組む都道府県などへの財政支援を拡充する。医師の派遣費用や、先端技術を活用した遠隔医療の経費が対象。医師不足を理由とした産科・小児科の閉鎖などを防ぎ、地域医療の維持につなげたい考えだ。

 医師数は全国的には増えているが、各都道府県内では、都市部に集中し、過疎地では不足が生じている。政府は昨年、医師法などを改正し、医師不足対策に関する都道府県の役割を強化。総務省の支援は、この動きを後押しする狙いがある。

 支援対象とするのは、過疎地の公立病院に、都市部にある拠点病院の医師を派遣するケース。
(共同通信)



https://biz-journal.jp/2019/02/post_26614.html
連載 武神健之「優良健康文化をつくるために」
働き方改“悪”の危険性…厚労省、医師等の一部職種に「月160時間」残業を容認か
 
文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事
2019.02.11 Business Journal

 紆余曲折の末、本年4月から、働く人の残業時間(時間外労働時間)に上限が設けられます。いよいよ安倍政権による働き方改革が始まります。

 働き方改革により、働く人の時間外労働時間は原則月45時間、年360時間となります。特別な場合でも単月100時間未満、年720時間とすることが法律で定められました(中小企業においては、いきなりの実施は困難が予想されるとのことで、2020年4月から適用となります)。

 しかし、ワークライフバランスを推進するはずの働き方改革のなか、一部の職種においては、年間1920時間、月の平均に換算すると160時間までの時間外労働を容認する方向で、厚生労働省が調整しているとのニュースが発表されました。

 わかりやすくするために計算してみると、単月の時間外労働時間160時間とは、週休2日の場合1カ月に労働する平日が21日となるので、毎日約7時間30分の残業となります。9時から業務開始の場合、就業8時間+昼休み1時間+残業7.5時間で、午前1時30分まで働くことになります。1カ月間休みなく働く場合は、月に30日間働くとして毎日約5時間20分の残業で、午後11時20分までとなります。

 この一般的労働者よりも長時間残業が容認された職業は、「医師不足の地域や診療科に勤める医師たち」です。理由は、患者や地域医療への影響を考慮したためとのことで、厚生労働省は本年3月末までに規制の内容をまとめることにしています。

 そもそも厚生労働省は、時間外労働時間は月に45時間を超えると健康に影響が出始め、80時間以上では健康障害のリスクが増加するとして、平成18年から長時間労働者に積極的に医師面談(過重労働面談)の受診を勧奨しています。

医療過疎地の医師不足は悪化の懸念

 月160時間までの時間外労働が許容されるのであれば、残念ながらここから推測される時間外労働と健康に関することは2つです。

1. 時間外労働時間が80-100時間を超えると健康障害リスクが高まるが、一部職種においては、健康障害があって構わない。

2. そもそも時間外労働時間と健康障害リスクには、いっているほど相関はなく、月160時間までの時間外労働も健康被害はない。

 私も一人の医師として、このような働き方改革には疑問を感じずにはいられません。また、医療過疎地における医師不足事情は、このような労働環境を理由に、さらに悪化することを懸念します。

 同じ働き方改革のなかで、終業時間から始業時間までに11時間は空けて最低限の休息時間を確保するためのインターバル制度も提案されています。が、医師不足の地域や診療科に勤める医師たちに関しては、インターバル時間は7.5時間しかなく、仕事の前後に1時間ずつの食事・通勤・身支度やシャワー時間を設けると、睡眠可能な時間は毎日5.5時間となり、世界一短い日本人の平均睡眠時間6.5時間をさらに更新することになってしまいます。
 私は産業医として通算1万人以上の働く人と面談をしてきました。その経験から申しあげると、時間外労働が40時間でも健康障害を起こす人もいますし、120時間でも元気な人もいます。

 誤解を恐れずに言えば、時間外労働が多ければ「疲労」がたまります。それが健康障害につながるか否かは、個々人の体力や気力、許容度、やりがい、やらされ感、自己成長の実感や上司同僚からの承認等、残業時間以外に複数の要素があることを感じています。

 さらに、同じ働き方改革のなかで、有給休暇を最低でも年5日間は取らせることも法律で定められました。時間外労働の上限をどこまで伸ばせるかだけよりも、それと同時に、時間以外の要素のことを議論したり、有給休暇をどれだけ増やすか、強制的にするか、いっそのこと3カ月連続勤務し1カ月間連続休暇などの勤務形態を検討したほうが、まだ少しは有給休暇に希望をのせて、忙しいなかでも僻地医療に勤しむ医師たちも「夢」をみることができるのではないかと考えずにはいられません。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)

●武神健之(たけがみ・けんじ)
医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20190215120650
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医師の働き方改革、「不足」「偏在」対策と一体で推進を
全自病・小熊会長
2019年02月15日 12:30 CB News

 全国自治体病院協議会(全自病)の小熊豊会長は14日の記者会見で、国が進める医師の働き方改革について、医師の不足や偏在の対策と併せて進めるべきとの考えを示した。また、労働時間の短縮に向けた取り組み状況などを聞く会員病院向けの調査を改めて実施する方針も明らかにした。【松村秀士】

 小熊会長は、特定の医療機関での勤務医の時間外労働の上限を年1900―2000時間まで認める厚生労働省の特例案に触れ、「医師の健康は非常に重要だが、地域医療(の確保)も大変な問題だ」と指摘。その上で、医師の働き方改革について、「医師の不足、偏在と三者一体となって進めてほしい」と述べた。

 小熊会長はまた、会員病院を対象にした医師の時間外労働短縮に関する調査で、厚労省の検討会がまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」の項目内容を、自院でどれくらい実施できているかなどを聞く予定だと説明。「現実的に難しい項目や改善に向けて立ちふさがっている項目があると思うが、それらについて個々の病院がどういうふうに努力しているかを調査し、次に生かしたい」と強調した。

 全自病では、今月中に会員病院へ調査票を配布し、5月に予定している「ブロック会議」で結果を公表する予定だ。全自病が医師の働き方に関する調査を行うのは、今回で3回目となる。

 厚労省の検討会は、医療機関での「緊急的な取組」として、▽医師の労働時間管理の適正化に向けた取組▽36協定の自己点検▽既存の産業保健の仕組みの活用▽タスク・シフティング(業務の移管)の推進▽女性医師等に対する支援▽医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組―の6項目を挙げている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/659613
「医師増は現実的でない、医療提供体制の改革を」
日医・医療政策シンポジウム2019「医師の地域偏在」
 
レポート 2019年2月14日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会は2月13日、医療政策シンポジウム2019「医師の地域偏在」を開催、『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)の著者で、ジャーナリストの河合雅司氏は、日本が直面している課題は人口減少であり、「支え手不足の中で、今足りないところに医師を充足させるのではなく、地域社会や町づくりを進める中で、医療提供体制そのものを変えることが必要だろう」と発想の転換が求められると強調した。

 シンポジウムには、河合氏を含め、3人の演者が講演、その後、パネルディスカッションが行われた。世界医師会事務総長のオトマー・クロイバー氏は、人口減少は日本が進んでいるものの、他の国もそれに続いており、河合氏と同様に、医療提供体制を含めた社会の在り方を変えていく必要性を指摘した。聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、臓器・疾患別専門医と総合診療医の組み合わせが望ましい医療提供体制であるとし、総合診療医養成の重要性を強調した。


 日医会長の横倉義武氏は、冒頭のあいさつで、2018年7月の医療法・医師法改正は、「医師偏在解消に向けた第一歩。これからの運用が非常に重要」と指摘し、国から都道府県等に対する説明と的確な情報提供が今後、重要になるとした。「医師の地域偏在を考える場合、何らかの仕組みをもって、医師の配置を考えていかなければならない」とも述べ、例えば眼科、耳鼻咽喉科などの専門科の医師を確保できない場合などを想定して、総合的に診る医師や、「Doctor to Doctor」のオンライン診療の在り方なども考えていかなければいけないと指摘。さらに患者や地域住民の医療に対する理解も深める必要があるとした。

 最後のあいさつで、日医副会長の中川俊男氏は、「未来を考えると人口減少や高齢化など心配なことが多いが、医師は国民にどう寄り添っていくのか、国民には医療のかかり方を考えていただきたい。未来に向けて資源の量に医療を合わせるだけではなく、驚異的に進む技術革新の力も借り、創意工夫して明るい未来を切り拓くことが必要」と締めくくった。

 プライマリ・ケアの担い手、看護師ではなく医師

 最初に登壇したクロイバー氏は、プライマリ・ケア領域において医師が果たす役割という視点から講演。OECDやコクラン・レビュー等で、「看護師が担うべき役割は拡大、看護師によるプライマリ・ケアは、医師によるものよりも、同等かそれ以上の患者満足をもたらす」との論文があることを紹介。ただし、看護師が提供するプライマリ・ケアは個別の行為にすぎないとし、医師が総合的に提供するプライマリ・ケアの重要性を強調。国民皆保険(Universal Health Coverage)の実現、必要な時には医師に診てもらうことができる体制のためにも、人的資源に対して適切な投資をしていく必要性を指摘した。

 続いて登壇した河合氏は、「これからは当面、少子化が進んでいく。人口減少を大前提に日本社会を考えていかなければいけない。これは避けられない未来」と指摘。人口減少は、(1)全体の人口は減るものの、2042年頃までは65歳以上の高齢者人口は増える、(2)その後は高齢者人口自体も減少する――という2段階で進むと説明。こうした状況にあって、「医療従事者を増やしていくことは理想なのかもしれないが、現実的ではない。他のセクターも不足している」と指摘。「地域自体を凝縮していく方が現実的な解決策ではないか。医療についても、今足りないところに医師を充足させるのではなく。医療提供体制そのものを変えることが必要だろう」と発想の転換が求められるとした。

 福井氏は、自身が構成員を務める厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」の議論の内容などを紹介。施策自体は評価するものの、「都道府県内での医師派遣調整」をはじめ、都道府県が主体となる施策が多く、実効性に不安があるとした。さらに医師の地域偏在解消には、幅広い診療能力を持つ総合診療医が有効であること、診療科偏在には専門研修の“入り口”でコントロールする必要性などを強調した。特に総合診療医については、医学教育において大学がジェネラリスト養成にネガティブな雰囲気があり、この点を変えることが求められるとした。

 医師が地方に行くためには?

 パネルディスカッションで議論になった一つが、医師偏在の具体的な解消策。クロイバー氏は、地方での仕事を魅力のあるものにするとともに、都市部で生活し、地方には週2、3日行くことが可能な体制などを構築することも有効だとした。

 河合氏は、町づくりと一体的に医療提供体制を考える必要性を指摘。四国の例を挙げ、商店街の中に住宅をつくり、そこに医療機関も開業するなど、「普通の暮らしの延長線上に医療があるという町づくり」が求められるとした。

 福井氏は、経済的なインセンティブもやらざるを得ないとしたが、「最も重要なのは、地域で働くことに魅力を感じるマインドセットを植え付けること」と強調した。

 横倉氏は、「地方で働く医師をどうバックアップしていくかが重要であるとし、「Doctor to Doctor」のオンライン診療を例に挙げた。さらに第一線を退いた世代が、地域医療に取り組む環境を作ることも必要だとした。



urumukechinpolove.tumblr.com
無診察で処方箋発行 地域医療、脆弱さ露呈 上小阿仁村 
2019年2月14日 秋田魁新聞

 秋田県上小阿仁村唯一の医療機関・国保診療所の内科常勤医が、不在で患者を診察していないにもかかわらず、処方箋を発行していた問題。無診察での処方箋発行は医師法に抵触する行為で、診療所を運営する村は「法に対する認識が甘かった」とする。常勤医はインフルエンザに感染し診察できなかったが、代わりの医師が診察する支援体制は整っておらず、地域医療の脆弱さも改めて浮き彫りとなった。

 村によると、内科常勤医の柳一雄所長(80)は5日午前8時ごろ、診療所内の検査でインフルエンザに感染していることが分かり、隣接する住宅へ戻った。村は4日間の休診を決め、午前10時半に村内全戸に設置されているIP端末機で知らせた。

 しかし、継続的に服用する持病の薬がなくなったという高齢者が、休診を知らせる前から診療所を訪れていた。「薬だけもらえればいい」と言う患者の体調を看護師が聞き取り、血圧測定などを行った上で柳所長に電話連絡し、処方箋を発行したという。



https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/133152
日光に医療連携法人 栃木県内初、4月設立へ 病床融通、包括ケアも 
2/13 9:46 下野新聞

 日光市と同市内の医療機関が連携し、安定した医療体制の確保を目指す「地域医療連携推進法人」について同市は12日、市内の11団体が3月末までに一般社団法人を設立し、福田富一(ふくだとみかず)知事に地域医療連携推進法人の認定申請を行うことを明らかにした。4月1日の設立を目指す。全国では7県で例があり、本県では初めての設立になる。

 同市議会議員全員協議会で明らかにした。昨年1月以降、日光市内の7医療法人(8病院)は県が行う「日光地域の医療連携に関する勉強会」に参加してきた。今月の勉強会で、さらに3診療所が最終的な参加の意思を示した。

 同市を加えた11団体が3月末までに一般社団法人を設立し、その法人が知事に認定を申請する。市は設立後も市内の医療機関に参加を呼び掛ける。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190215-00000008-mai-soci
南相馬小高病院に危機 市長と対立、唯一の常勤医が退職届 
2/15(金) 9:18配信 毎日新聞 福島

 福島県南相馬市立小高病院が4月以降、診療できなくなる恐れが出てきた。唯一の常勤医、藤井宏二医師(64)が6日、今年度いっぱいでの退職を届け出たことで、このままでは法律上、診療が認められないためだ。藤井医師はIT機器を使った在宅医療に力を入れており、同病院の入院機能再開を目指す門馬和夫市長との意見対立が退職する理由だ。ともに地域医療の充実を目指す思いは変わらないものの、打開策は見えていない。【高橋隆輔】

 同病院は99床の入院用ベッドがあったが、東京電力福島第1原発事故後、小高区に避難指示が出されて閉鎖された。2014年、避難指示解除に備えて外来診療を再開。16年4月に藤井医師が着任し、同年7月に避難指示が解除された。

 ただ、本来の病院棟は震災の揺れで損傷し、現在はリハビリ施設を改修して診療している。小高区は人口減少が進み、病院の収支も悪化した。市は17年12月、入院機能のない診療所とする議案を市議会に提案した。

 しかし、当時市議だった門馬氏は、翌月の市長選に入院機能再開を公約して立候補を表明しており、門馬氏を支持する市議たちが議案に反対し、小差で否決された。門馬市長は初当選後、入院機能再開を目指し、18年8月に市立病院改革プラン策定委員会を設置して検討を重ねてきた。

 門馬市長が小高病院の入院機能再開を目指す理由は二つある。一つは、住民の帰還を促すため。もう一つは、原発事故で受けられる支援の違いから生じた市内の3地区(小高区、原町区、鹿島区)の間の住民のわだかまりを解消したいとの思いからだ。3地区は第1原発からの距離の違いによって、東電の賠償金額や高速道路無料化の対象となるかどうかなど、支援に違いが生じ、市政の課題になってきた。震災で小高区のみになくなった入院機能を取り戻すのは、門馬市長の重視する政策の一つだ。

 一方、藤井医師は17年5月から、通院が困難な患者がパソコンやタブレット端末を利用して自宅で診察を受けられる遠隔診療を始めた。看護師が患者宅を訪ね、モニター画面を通じて診察することで、患者の生活の様子が医師に伝わるようになったという。

 藤井医師は、入院機能の再開について「患者は誰も必要と言っていない。市長はほとんど現場に来ない」と反対してきた。小高区の住民らでつくる小高区地域協議会も先月、遠隔診療・在宅医療の充実を求める一方で「医師確保や財政上の課題がクリアできない限り、入院機能は必要ない」とする提言書を門馬市長に提出した。

 また、藤井医師は「入院機能があるかどうかで建物の規格がまったく違う。入院機能再開を目標とすれば、それが実現するまで施設の再建も進まない」とも指摘。自身が市立病院改革プラン策定委員会のメンバーに選出されていないことなど、議論の進め方にも不信感を募らせている。

 策定委が6日に門馬市長に答申した内容は、当面、小高病院は無床診療所として在宅医療を推進する▽将来的な入院機能の再開を認めるものの、周辺医療機関に影響を及ぼさずに医師や看護師を確保し、市の財政負担も縮小する――などと入院機能再開に高いハードルを課したが、藤井医師には受け入れられなかった。

 退職届の提出後、両者は直接の対話の場も持ったが、藤井医師の退職の意思は変わらない。小高病院事務課総務係の高野真至係長は「常勤医の確保は喫緊の課題だが、誰でもいいというわけにはいかない。藤井先生のような熱意のある医師をまた見つけるとなると、ハードルは相当高い」と表情を曇らせた。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201902/559826.html
日本医師会が医療政策シンポジウムを開催
医師偏在対策、都道府県の重過ぎる役割に懸念
 
2019/2/15 江本 哲朗=日経メディカル

 日本医師会は2月13日、医師の地域偏在をテーマに医療政策シンポジウム2019を開催した。登壇した聖路加国際大学学長の福井次矢氏は、国が策定を進めている医師偏在対策の大部分が都道府県に委ねられていることに対して懸念を示した。

 厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」では、主な医師偏在対策として、(1)地域枠や地域医療支援センターに所属する医師の派遣調整、(2)へき地に派遣される医師のキャリア形成プログラムの策定、(3)勤務環境の改善支援、(4)地域医療への知見を有する医師の大臣認定、(5)臨床研修病院ごとの研修医の定員設定──を挙げている。このうち、(4)以外の対策が都道府県に任されていることについて、「都道府県の実行力が偏在解消の決定的な因子となるが、質を担保できるのか」と問題提起した。

 また福井氏は、医師が地域に定着するためには、「経済的なインセンティブや資格を付与することで短期的な対策になる」とした上で、「そもそも地域でやりがいを持って働けるマインドセットを医師にいかに植え付けられるかが重要になる」と話した。

 2018年7月に成立した「医療法及び医師法の一部を改正する法律」では、医師偏在の是正のために都道府県が主体となって対策を行うこととされており、現在、医師需給分科会で具体策が詰められている。それによれば、まずは国が年齢別人口などを踏まえた医療ニーズに基づき、「医師偏在指数」を設定。2次医療圏ごとに医師偏在指数の上位3分の1を「医師多数区域」、下位3分の1を「医師少数区域」とする。都道府県は医師少数区域に対して、上記の(1)(2)(3)(5)の内容などを盛り込んだ医師確保計画を2020年4月に策定する。その後、3~4年のサイクルで見直すことが決まっている。



https://www.medwatch.jp/?p=24821
2017年度DPC退院患者調査、「医療の質」の担保を認―中医協総会(2) 
2019年2月14日|医療保険制度 MedWatch

 2017年度における「DPC制度導入の影響」を調査したところ、計画外の再入院率や再転棟率については、前年度と変わっておらず、「粗診粗療」は生じず、医療の質が担保されていることが分かった。また「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを両立できていることも明らかとなった―。

 2月13日に開催された中央社会保険医療協議会総会と、これに先立って開催された中医協の「診療報酬基本問題小委員会」に、こういった状況が報告されました。
 
ここがポイント!
1 計画外の再入院率等の上昇傾向にストップ、急性期病院全体で医療の質を確保
2 急性期病院全体として、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを両立
3 先進医療A、多焦点眼内レンズ用いた水晶体再建術や陽子線治療などの実施が多い

計画外の再入院率等の上昇傾向にストップ、急性期病院全体で医療の質を確保

 DPC/PDPSのような包括支払方式では、診療の標準化・効率化が期待できる一方で、粗診粗療が生じはしないかという懸念が常に付きまといます。そこで厚生労働省は、DPC対象病院・準備病院等に対して詳細な診療データの提出を求め(義務化されている病院も)、これを集計・分析し毎年度公表しています【退院患者調査】。この集計・分析結果等を中医協で評価し、「経営のみを追求し、粗診粗療が生じていないか」「医療の質が下がっていないか」を確認しているのです。

 今般、中医協に2017年度の退院患者調査結果が報告されました。

 粗診粗療が生じていないか、を判断する指標としては、「再入院率」「再転棟率」があげられます。

 DPCにおいても、入院期間に応じて算定点数が逓減します。このため、収益アップのためには、「早期の退院(遅くとも当該診断群分類の平均在院日数である入院期間II以内)を目指し、回転率を上げる」ことが重要となります。しかし、この早期退院のみを考え、例えば「治療が不十分なまま」に、あるいは「患者の回復が不十分なまま」に患者を退院させれば、退院後に患者の容体が悪化し、短期間に再入院するケースが増えてきます。

 また、同じ病院の中に「急性期病棟(DPC)」と「回復期や慢性期の病棟(地域包括ケアや療養病棟など)」とを併設しているケアミクス病院では、同様の論理で「DPC病棟 → 回復期等の機能を持つ病棟」への転棟を過度に促進し、転棟後に患者の容体が悪化し、「回復期等の機能を持つ病棟 → DPC病棟」への再転棟となるケースが増えてきます。

こうしたことから、DPC病棟において十分な治療等が行われているか(=粗診粗療が行われていないか、医療の質が担保されているか)を見る指標として、「再入院率」「再転棟率」が重視されているのです。

もっとも、がん治療などにおいては、例えば「手術後、一度、退院等して十分に体力等の回復を図り、後に再入院して抗がん剤や放射線治療を行う」という具合に、「再入院・再転棟を計画的に行う」ケースもあります。こうした再入院は「粗診粗療の結果」とは言えないでしょう。

そこで、粗診粗療が行われていないかを的確に見る指標として、「計画外の再入院・再転棟率」が重要となってきます。この「計画外の再入院・再転棟率」は、2016年度から17年度にかけて大きく変化しておらず、「粗診粗療は生じていない」「医療の質は一定程度担保されている」と、厚労省保険局医療課の森光敬子課長は分析しています。

【I群(大学病院本院)】
▼計画外の再入院率:16年度・3.3% → 17年度・3.3%(増減なし)
▼計画外の再転棟率:16年度・0.00% → 17年度・0.00%(増減なし)

【II群(大学病院本院並みの医療提供を行う病院)】
▼計画外の再入院率:16年度・4.2% → 17年度・4.2%(増減なし)
▼計画外の再転棟率:16年度・0.01% → 17年度・0.01%(増減なし)

【III群(I群・II群以外の病院)】
▼計画外の再入院率:16年度・4.5% → 17年度・4.5%(増減なし)
▼計画外の再転棟率:16年度・0.08% → 17年度・0.08%(増減なし)

【DPC準備病院】
▼計画外の再入院率:16年度・4.2% → 17年度・4.1%(0.1ポイント改善)
▼計画外の再転棟率:16年度・0.19% → 17年度・0.20%(0.01ポイント悪化)

【出来高病院(データ提出加算取得病院)】
▼計画外の再入院率:16年度・4.3% → 17年度・4.2%(0.1ポイント改善)
▼計画外の再転棟率:16年度・0.30% → 17年度・0.29%(0.01ポイント改善)

 2012-15年度の「予期されぬ再入院率」については、若干の増加(悪化)傾向にありましたが、2016年度以降、この傾向にストップがかかり、「医療の質が担保されている」と見ることができそうです。

 なお、この再入院率等については、2015年度調査まで「計画的」「予期された」「予期されぬ」の3分類となっていたため、2分類に変更された2016年度以降調査との比較は困難です。

急性期病院全体として、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを両立

 上述したように、DPC病院においても収益増のためには、「早期の退院(遅くとも当該診断群分類の平均在院日数である入院期間II以内)を目指す」ことが重要です。

 これを裏付けるように、平均在院日数は短縮傾向にあります。在院日数の短縮は、「病院の収益」という面だけではなく、「ADL低下の予防」「院内感染リスクの提言」「早期の社会復帰による患者のQOL向上」という面でも大きなメリットがあります。また大学病院本院以外のDPC病院に限れば、「医療の質を維持した上での在院日数を短縮」は、「診療密度の向上」(係数の高いDPC特定病院群の要件の1つ)にもつながります(逆に言えば、診療密度向上のためには、在院日数の短縮が重要となる)。
 
 しかし、単に在院日数を短縮するだけでは、「空床」を生み、逆に収益の悪化を招いてしまいます。そこで、在院日数の短縮と併せて、新規患者獲得(紹介患者の確保や、重症救急搬送患者の受入れなど)を同時に進めることが重要になるのです。

 この点、全体として病床利用率は下表のように「上昇傾向」にあることが分かりました。なかなか難しい、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを、急性期病院全体として両立できている格好です。

 中医協では、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)から「DPC病棟を退院した患者の多く(70-85%程度)は、自宅等へ退院し自院の外来を受診することになる。その後の状況についても、追跡していく必要があるのではないか」との提案がありました。森光医療課長は、他の入院医療に関する調査結果と併せて、「後の状況」を把握・分析していく考えを示しています。

 
 なおグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では、間もなく、退院患者調査のデータを次世代型病院経営支援ツール「病院ダッシュボードχ」に反映させます。ご期待ください。

先進医療A、多焦点眼内レンズ用いた水晶体再建術や陽子線治療などの実施が多い

 2月13日の中医協総会では、先進医療の状況報告も行われています。
 
 先進医療には、薬事承認等を受けている医薬品・医療機器等を用いる「先進医療A」(現在28技術)と、薬事承認等を受けていない医薬品・医療機器等を用いる「先進医療B」(現在64技術)があります。
 いずれも、保険適用されていない医療技術(先進医療)について、保険診療との併用を認めることで症例を確保しやすい環境を整え、効果検証等を踏まえて「将来的な保険導入」を目指す仕組みです。

保険導入に向けて、各技術がどのような成果をあげているのか、その進捗状況を定期的に中医協でチェックすることとなっており、今般、「2017年7月から2018年6月までの実績」が厚労省保険局医療課の古元重和企画官から報告されたものです(十分な効果なく、漫然と実施することは、医療安全・医療保険財源など様々な面から許されない)。

▽先進医療A
・794施設で、2万7832人の患者に実施
・総費用は274億2000万円で、うち患者負担は85.9%にあたる235億7000万円
・実施件数・費用等が大きなものとして、▼多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術(2万3859人の患者に実施し、総費用170億円強、うち患者負担総額は156億円強、1件当たり患者負担は66万円弱)▼陽子線治療(1663人の患者に実施し、総費用は54億円強、うち患者負担総額は45億円強で、1件当たり患者負担は271万円強)▼重粒子線治療(1008人の患者に実施し、総費用34億円強、うち患者負担総額は32億円弱、1件当たり患者負担は313万円強)―など

 
▽先進医療B
・233施設で、707人の患者に実施
・総費用は10億4000万円で、うち患者負担は41.9%にあたる4億4000万円(入院期間等が長く、保険診療部分のシェアが大きくなり、逆に患者負担のシェアが先進医療Aに比べて小さくなる)
・総費用が数百万円から数千万円の技術が多いが、「S-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法(腹膜播種を伴う初発の胃がん)」では、総費用が1億円強となっている(58人の患者に実施、1件当たり患者負担は8万円弱)



  1. 2019/02/17(日) 09:38:13|
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2月10日

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/150300
むつ病院の常勤医5人増の見通し 市長発表 
2019年2月8日 東奥日報

 青森県むつ市の宮下宗一郎市長は8日、慢性的な医師不足が続いている同市のむつ総合病院に、2019年度末までに、新たに常勤医5人が赴任する見通しになったと明らかにした。弘前大学医学部から派遣を受ける。ほかに、弘大などからの非常勤医の診療応援も増える見込み。常勤医が不在だった脳神経外科は手術対応が可能になるほか、新たに腎臓内科の診療ができるようになる。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190209-349714.php
小高病院唯一の常勤医が退職届 入院機能再開を巡り市長と相違 
2019年02月09日 10時25分 福島民友

 南相馬市の門馬和夫市長が目指す市立小高病院の入院機能再開を巡り、同病院の管理者で唯一の常勤医を務める藤井宏二医師(63)が、市に退職届を提出したことが8日、分かった。藤井医師は「医療過疎地域で入院機能を再開させることは非現実的」とし、小高の医療の在り方について門馬市長の考えと相違があることが理由としている。

 藤井医師は入院機能の再開を望む患者はいないとし、「在宅医療など新たな診療体制の充実を図る方が重要だ」と話し、3月いっぱいで退職する意向。

 市立病院改革プラン策定委員会が6日、医師確保などの条件付きで同病院の入院機能を再開させるとする市立病院病床再編計画の素案を門馬市長に提出。これを受けて、藤井医師は辞意を固め、市は7日に退職届を受け取った。

 市によると、医療法では病院の管理者を務める常勤医がいない場合は診療行為ができないとし、藤井医師が退職した場合、市は4月までに小高病院の常勤医を確保できなければ診療は休止となる。

 藤井医師は京都府から同市に移住し、2016(平成28)年4月に小高病院などの非常勤医として着任。翌17年4月から同病院の常勤医として勤務している。

 小高病院は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故前、7診療科と99床を備えていた。14年に外来診療を再開させた。入院機能は医療従事者不足などにより再開していないが、遠隔診療システム(オンライン診療)の運用など在宅医療の充実を図ってきた。同病院では現在、常勤の藤井医師のほか、非常勤の医師3人が診療に当たっている。

 門馬市長は8日、「(藤井医師に)引き続き小高の地域医療のためにご尽力いただけるようお願いしたい」とコメントを発表。管理者の任命権を持つ門馬市長は今後、藤井医師と話し合いを進めながら対応を検討する。



https://www.sankei.com/region/news/190205/rgn1902050020-n1.html
桐生など3地域に医師優先配置 県や群大など不足深刻化で提案 
2019.2.5 07:04 産経新聞 地方群馬

 県や群馬大などは、県内の医療関係団体が参加する「ぐんま地域医療会議」にて、平成31年度に向けた県内の医師の適正配置方針をまとめた。医師不足が特に深刻化し、緊急の対応が必要とみられる県内3地域に医師を優先的に配置することを提案した。

 会議は、県内の医師の適正配置などに向けた方針を協議する場として、昨年3月に発足。これまでに4回会合を開き、群馬大が県内の130病院に対して行った医師の勤務実態に関する調査や県内病院からの医師配置の要望を基に意見交換などを行ったという。

 会議では、桐生厚生総合病院の外科医が流出する恐れがある桐生市▽当直可能な医師の不足で、小児二次救急輪番体制の維持が困難になっている西毛圏域(高崎・安中・藤岡・富岡)▽県立小児医療センターで産科医が不足する渋川市-の3地域に関して緊急の対応を実施することが提案された。

 調査では、消化器や循環器などの内科分野でも医師配置の要望が多かったことが判明。総合診療や整形外科の医師配置を求める要望も寄せられたという。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201902/20190209_11041.html
<栗原市>産婦人科・小児科開業に助成 新年度予算案、宮城県内で初めて 
2019年02月09日土曜日 河北新報

 深刻な産婦人科、小児科医不足に対応するため、宮城県栗原市は2019年度、市内で開業する産婦人科医と小児科医を対象に開設経費の一部を助成する方針を決めた。上限額は1億円で、19年度当初予算案に同額の債務負担行為を設定する。市によると、開業経費を自治体が負担して民間医を招請する試みは県内で初めて。
 対象は施設整備や医療機器の購入などで、助成額は経費の2分の1以内。新規開業のほか、現在ある施設を活用して診療所を継続する際も充当できる。期間は19~23年度で、市は各年度に1億円の債務負担行為を設定する。
 市内には産婦人科と小児科を専門とする診療所が一つずつしかなく、ともに医師が60代で、後継者の確保が課題だ。市は18年4月に助成事業の検討を始め、北海道北広島市が導入した同様の施策を参考に事業化を決めた。
 千葉健司市長は「民間医の再生は大きな課題だ。自身が選挙公約にした市立病院への産婦人科設置に向けた取り組みは継続しつつ、市民の不安払拭(ふっしょく)を図っていきたい」と述べた。



https://dot.asahi.com/toyo/2019020400056.html
「病院大淘汰」都心立地ですら安泰じゃない過酷 
井艸 恵美2019.2.5 10:30東洋経済  #病院
週刊東洋経済 2019年2/9号 [雑誌](病院が消える)

実需次第で再編すれば今の半分でも成り立つ

「医は仁術」というが、経営が安定しなければ医療の質は保てない。赤字経営を放置すれば、病院の存続自体が危うくなる。

 2月4日発売の『週刊東洋経済』は、「病院が消える」を特集。人口減少や医師不足、コスト上昇で病院の経営は厳しい。診療中止や民事再生に至った病院を追っている。

 今年1月、東京都中央区の石川島記念病院は白い仮設の壁で囲まれていた。壁には診療中止を知らせる貼り紙があり、道行く近隣住民が足を止めて眺めていた。近くのマンションに住む女性は、「自分もかかったことがあるが、休院とは知らなかった」と驚く。

 この病院は47床の入院病床があり、内科や整形外科、心臓病センターなどの診療科を設けていた。が、昨年12月から経営悪化を理由に診療を休止していた。近くに住む男性は、「突然診療をやめて困っている。この地域は高齢者が多いが、整形外科が少ない。腰を痛めた母親が通っていたが、ほかの病院を探さなければいけなくなった」。また、中央区に3つある2次救急指定病院の1つだったが、9月から救急患者の受け入れも中止していた。

 中央区医師会の遠藤文夫会長は、「廃止は寝耳。医師会にも直前まで連絡がなかった。中央区は治療後のリハビリや療養が必要な患者に対応する病院が不足している。石川島記念病院は、こうした患者の受け皿になっていた」

 昨年9月、病院側から東京都に連絡があった時点で、病院は休止ではなく廃止の予定だった。石川島記念病院は、もともと大手重工業メーカー・IHIの健康保険組合が運営していた病院だ。それが2012年、医療法人社団健育会に特例で譲渡されていた。それにもかかわらず、たった6年で休止になったのだ。病院に対し東京都は再開を要請しているが、都の担当者は憤りを隠せない。

「健育会に引き継がれたのは、特例措置だった。本来なら病院を廃止したうえで開業という流れになるが、この地域はすでに病床数が多かったため、新しい病院を設立できなかった。しかし、『地域医療を守る責任を果たす』という条件で、特例的に引き継ぎが認められた」

『週刊東洋経済』は、法人の直近3期分の財務諸表を入手した。2015年は約5億円の最終赤字、2016年は約1200万円の黒字を出しているものの2017年は17億円の最終赤字に転じていた。健育会は石川島記念病院以外にも、板橋区の竹川病院や静岡県の熱川温泉病院、神奈川県の湘南慶育病院など7病院を運営している。健育会の担当者は、病院ごとの財務の詳細は明かせないというが、石川島記念病院について「2014年に新設した心臓病センターが地域のニーズに合わず、患者が集まらなかった」と説明した。

 この病院の元職員は、こう実情を明かす。

「診療中止には驚かなった。石川島記念病院の赤字によって法人が運営する他の施設の黒字を帳消しにする状態だった。もともと高齢者向けのリハビリや療養の病院に強い法人で、心臓病治療に関しては素人。近くに聖路加国際病院などの有力病院がある中で、素人集団が心臓病センターを構えても儲からないのは当たり前だ。心臓病を手術する医師とのつながりがないから有力な医師を確保できず、周りの診療所からの紹介も得られない」

 東京都と医師会からの要請を受けて同院は、心臓病治療からリハビリや整形外科を中心にした診療に切り替えて、今年9月以降に再開を予定している。

●病院数が過剰な日本、再編と淘汰の時代へ

 この病院のように地域のニーズを見誤れば、たちまち経営が傾いて存続不可能になる。個別の経営だけが問題なのではない。日本は、世界の中で圧倒的に病院数が多い「病院過剰」国だ。人口当たりの病院数は、OECD(経済協力開発機構)加盟国中2位。しかも、患者数(人口)は長期的に減少する。一方で、人口当たりの医師数はOECDの中で26位と、医師の数は多くない。

 日本病院会の相澤孝夫会長は、「日本の病院は天空の城」だと言い切る。「地上で何が起こっているかは見ていない。アンバランスな供給体制を実需に合わせて再編すれば、病院は多くても今の半分の4000病院あれば成り立つ」。

 厚生労働省は地域医療体制の再編を目指す「地域医療構想」を掲げ、人口動態を基に2025年のあるべき日本の病床数を試算した。それによると13年度対比で約15万床過剰とされている。多くの地域で再編と淘汰は避けられない。

 日本の病院経営は厳しい。医療法人は全体の約34%が赤字経営だ。自治体立病院は自治体からの繰入金を含めなければ約9割が赤字、含めても約6割が赤字である。

 社会保障費抑制の流れを受けて、医療サービスの価格(診療報酬)は伸びない。だが消費増税によって病院側のコスト負担は増えた。患者が支払う医療費には消費税がかからないが、薬剤費など病院が払うコストには消費税がかかるためだ。

 追い打ちとなるのは、働き方改革関連法だ。医師への本格的な適用は2024年4月からだが、これまで青天井だった医師の時間外労働が是正されることになる。年々低下してきた利益率がさらに圧迫されると予想される。コスト削減や業務の効率化など生産性を上げる努力が急務である。

●患者減少、医師不足…消耗戦の末共倒れに

2017年に民事再生法の適用申請に至った岐阜市の医療法人社団誠広会は、医師不足と患者数の激減が経営悪化の一因となった。この法人が運営する岐阜中央病院は、ピーク時の2008年は年間11万人だった患者数が6万人まで激減した。「最盛期は警備員が必要なほど駐車場が埋まっていたが、最後にはがら空きになった」と元職員は話す。

 大学病院から派遣されていた医師が徐々に引き挙げられ、内科の医師は2人にまで減っていた。周囲の診療所から患者を紹介されても入院を受け付けられず、別の病院に紹介するという事態まで起こっていた。「残った常勤医師は70代。372床の病床数はとても回せない。いつまでもつかという状況だった」(元職員)。

 現在は医療法人清光会に譲渡され、岐阜清流病院として再起を図っている。清光会理事長の名和隆英医師は、「急性期病院から回復期に移行する患者の受け皿となるように、リハビリ機能を強化している」と話す。名和医師は元大学病院の勤務医で、大学とのつながりが強い。医師の確保に尽力し、現在は徐々に患者が戻ってきているという。

 日本は急病や重症患者に対応する急性期の病院が多い。地方都市では急性期の病院がひしめき合っているが、実際は患者数上位の5~6病院が大部分のシェアを占めている。中位以下の病院は現在のままの病院形態に固執すると生き残りが難しい。郊外ではすでに上位の病院でも患者数減少が始まっている。今後も消耗戦を続ければ、共倒れしかねない。

「命のために」という大義があっても、すべての病院は生き残れない。病院大淘汰の時代が迫ってきている。

(井艸 恵美 : 東洋経済 記者)



http://yamagata-np.jp/news/201902/06/kj_2019020600095.php
分娩が20年2月で終了・天童 市民病院、医師定年で妊婦健診のみに 
2019年02月06日 07:26 山形新聞

 天童市民病院が2020年2月をもって、分娩(ぶんべん)の取り扱いを終了することが5日、分かった。2人いる産婦人科医が19年度いっぱいで定年退職するため。産婦人科の医師不足を踏まえ、県と山形大医学部が始めたモデル事業「県産科セミオープンシステム」に参加し、妊婦健診のみを担う。

 同病院産婦人科の常勤医は現在、高橋秀幸医師と金子尚仁医師。外科のベテラン医師の協力を得ながら、年間170件ほどの出産に当たっている。2人とも19年度で65歳の定年退職を迎える。

 県産セミオープンシステムは「妊婦検診は近くの病院・診療所で、お産は体制が整った総合病院で」をコンセプトとした周産期システム。妊婦は妊娠した段階で共通診療ノートの発行を受け、妊娠33週までの通常健診は自宅や職場から近い病院・診療所で行い、34週以降は分娩準備のため総合病院で健診を受ける。

 今年1月、村山地域で運用を開始。市によると、分娩施設は県立中央病院、山形済生病院、山形市立病院済生館、山形大医学部付属病院の4施設、通常の健診施設は山形、天童、上山、東根、寒河江の5市の12施設からなる。通常健診を担う公立施設には、天童市民病院のほか、18年4月に分娩を休止した北村山公立病院(東根市)も名を連ねている。

 同市民病院は常勤医がいなくなる20年3月以降は、現在の常勤医2人を非常勤で再任用する方針で、妊婦健診と婦人科業務を担う。同病院事務局は「産婦人科医の不足は全国的な流れであり、分娩終了はやむを得ない。病院の機能分担により分娩は医師や設備が整った施設に任せ、われわれにできることに専念したい」としている。



https://www.medwatch.jp/?p=24685
「将来においても医師少数の都道府県」、臨時定員も活用した地域枠等の設置要請が可能―医師需給分科会(3) 
2019年2月4日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 2022年度以降、医学部の臨時定員増などを改めて議論することとなるが、その際には「医師が少数の都道府県では、知事が臨時定員も活用した地域枠・地元枠の設置を要請できる」が、「医師が多数の都道府県で、医師が少数の2次医療圏がある場合には、知事は恒久定員を活用した地域枠・地元枠の設置のみ要請できる」こととする―。

 1月30日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、こういった点が議論されました(関連記事はこちらとこちら)。
 
将来の医師の多寡については、必要医師数と供給数で判断する
地域の医師偏在を解消する最も有効な手段の1つとして、大学医学部の地域枠・地元枠(以下、地域枠等)があげられます。一定期間、当該都道府県での勤務を条件に、奨学金等が支給される仕組みで、2018年の改正医療法・医師法では、都道府県知事に地域枠等の設置要請権限を付与しています。

ただし、医師養成には10年程度かかる(医学部6年、初期医師臨床研修2年など)ことから、その効果が現れるまでには一定の時間が必要です。このため、新たな「医師確保計画」に基づく医師偏在対策の中では、「長期的な偏在対策」に位置付けられています(短期的な偏在対策として医師派遣や医師少数地域等での勤務認定などがある)。
 
現在、地域枠等は、医学部入学定員のうち「臨時定員増」(下図の赤色部分)の中で設けられていますが、この臨時定員増は2021年度の入学者で一旦終了し、2022年度以降の定員をどう考えていくかは、新たな需給推計に基づいて別途議論していくこととなっています(関連記事はこちら)。
 
ただし、その議論のベースとなる考え方、つまり「どの都道府県知事に、地域枠等の設置要請権限を認めるか」については、医師需給分科会で、これまでに次のような方針が固められています(関連記事はこちら)。

【後述する考えに基づいて「医師が少数である」と判断された都道府県】
▽うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員:上記青色部分)の設置・増員▼地元出身者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員:上記赤色部分、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる

▽うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→該当なし

【後述する考えに基づいて「医師が多数である」と判断された都道府県】
▽うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県
→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員:上記青色部分)―のみ要請できる

▽うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県
→地域枠等の設置・増員要請はできない
 
 ここで、医師の「少数、多数」を判断する際には、「現時点で少数なのか、多数なのか」それとも、「将来において少数なのか、多数なのか」によって、異なる考え方をする点に留意が必要です。

 前者の「現時点で少数なのか、多数なのか」は、すでにメディ・ウォッチでお伝えしたように、新たな医師偏在指標(人口10万対医師数に地域住民・医師の高齢化などを勘案)を用いて判断します(下位33.3%が医師少数地域と判断される、関連記事はこちら)。一方、後者の「将来において少数なのか、多数なのか」を判断する際には、新たな偏在指標を「2036年時点」に置き換えることが必要です。地域枠等を考える際には、この考え方で「医師が少数・多数の地域」を判断していきます。
 
 このような考えに基づいて、「都道府県全体が医師少数か多数か」「当該都道府県の中に医師少数2次医療圏はあるか、ないか」を組み合わせ、上記の4分類となるのです。

 
 「医師が少数である」と判断され、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県では、前述のように、都道府県知事が大学医学部に対して地域枠等の設置を要請できます。その際に、「地域枠等を何名程度にするのか」については、2次医療圏ごとの「必要数と供給数との差」の累計で考えることになります。

 医師の必要数は、▼高度急性期・急性期・回復期・慢性期の機能ごとの推計患者数▼医師の働き方改革(時間外労働上限が厳しくなれば、必要な医師数は増加する)―などを勘案して地域ごとに推計します。一方、医師の供給数は、「医学部入学定員」をベースに推計します。

 例えばX県にA・B2つの医療圏があり、A医療圏では「必要数が供給数を10名上回っている」(将来、10名の医師不足となる)、B医療圏では「必要数が供給数よりも5名下回っている」(将来、5名の過剰となる)といった場合には、X県知事は大学医学部に対し「5名(10-5)の地域枠等を設定してほしい」と要望することが可能です。

恒久定員(上記青色部分)はもちろん、臨時定員(上記赤色部分、具体的な数等は今後検討)も活用して、地域枠等を設置することが可能です。恒久定員100名の大学であれば、例えば、恒久定員の中で3名分の、臨時定員2名分の地域枠を設けるようなイメージで、この場合、当該大学の定員は102名に増員されます(通常枠97名(100-3)、恒久定員の地域枠3名、臨時定員の地域枠2名)。
 
 
一方、「医師が多数である」都道府県のうち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県では、当該2次医療圏について地域枠等設置が可能ですが、この場合には、当該県全体で見れば多数の医師が配置されているため、臨時定員を活用することはできません。恒久定員(上記青色部分)を活用してのみ、「医師が少数の2次医療圏」対応を行うことが可能となります(恒久定員が100名の大学に対し、10名の地域枠等設置を要請した場合、当該大学では通常枠90名、地域枠等10名となる)。

 
 地域枠等と医学部入学定員をクロスされた議論は、少々複雑なため、1月30日の医師需給分科会では「完全了承」とまではいかず、次回以降、改めて整理して議論することになっています。もっとも、既に医師需給分科会(2018年10月24日の会合等)で議論済の内容であり、この方向で了承されることになるでしょう。



https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15495360609455
なめがた地域医療センター 病院規模、大幅縮小へ JA茨城県厚生連検討 
2019年2月8日(金) 茨城新聞

■入院や夜間救急中止

JA茨城県厚生連が「土浦協同病院なめがた地域医療センター」(行方市)の大幅な規模縮小を検討していることが7日、関係者への取材で分かった。今春からの入院病棟の段階的な閉鎖や、夜間救急の受け入れ中止案が浮上している。同病院は医師不足が顕著な鹿行地域に2000年開院し、救命救急を含む地域医療の中核的な役割を担っており、規模縮小となれば地域住民に深刻な影響を与えそうだ。

関係者によると、今年4月から急性期病棟を1カ所閉鎖し、20年4月からは入院患者の受け入れ自体の取りやめを視野に入れている。夜間救急の取りやめも検討している。背景には運営状況の悪化などがあるとみられる。

厚生労働省調査(16年時点)の人口10万人当たりの医師数別で見ると、鹿行医療圏は95・7人と県内で最も少なく、全国的に見てもワーストクラスとなっている。同地域の医師を確保するため、県とJA県厚生連、筑波大が連携して筑波大に寄付講座を設置し、同病院は筑波大から医師の派遣を受けている。

同病院は24時間365日体制で重い症状の救急患者を受け入れる「地域医療センター」として県が指定。行方、鉾田両市などの救急医療の中核を担う。17年の救急受け入れ件数は約1600件で、このうち約800件が夜間救急だった。

行方市の鈴木周也市長は茨城新聞の取材に、同病院の規模縮小について「正直驚いている。鹿行地域は医療機関の体制が脆弱(ぜいじゃく)で、(同センターの)救急部門や入院機能などが撤退するとなると、地域の医療を守ることができなくなってしまう恐れがある」と危機感を示し、「今後、厚生連や県に対し、地域医療を守るための対策を講じてもらうよう要望活動を行っていきたい」と話した。(成田愛、石川孝明)

★土浦協同病院なめがた地域医療センター

JAグループ茨城の県厚生連が県内6番目の病院として2000年6月、行方市井上藤井に「なめがた地域総合病院」として開院。一般病床199床。06年4月には救命救急センターを開設。鹿行地域で唯一、重篤な救急患者に対応する三次救急医療機関として、救命救急センターに準じた「地域救命センター」に県から指定されている。16年3月、土浦協同病院の移転に伴い現名称に変更し、同病院との連携を強化した。



https://toyokeizai.net/articles/-/263911
日本で「病院が足りてない町」は一体どこなのか
市町村別の全国偏差値をマップで見てみよう
 
井艸 恵美 : 東洋経済 2019/02/05 5:10

病院は身近にあって当たり前。日本は、世界的に見ても「病院天国」といってよい。しかし、人口減少や医師の働き方改革によるコストアップなど、病院を取り巻く環境は年々、厳しくなっている。

いつも行っていた病院が突然なくなる――。そんな日が現実味を増している。2月4日発売の『週刊東洋経済』では、「病院が消える」を特集している。

患者が気になるのは、「自分の住む町の医療サービスは充実しているのか」ということ。日本は人口当たりの病院数が韓国に次いで多いが、国内では偏在が起きている。病院が足りていない地域、過剰な地域はどこか。

医療経営コンサルティングの「グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン」の協力で、①急性期病床(急患や重症な病気に対応)数、②回復期病床(急性期の後の治療に対応)数、③常勤医師数について、市町村ごとに偏差値形式で計算した。

郊外のベッドタウンで病院が不足
偏差値は、平均50と置いたうえで、それぞれのデータの平均からの隔たりを測るもの。今回の偏差値で、どの数値からが過剰あるいは不足とは言い切れないが、偏差値が70に近い、あるいは40に近いということは、医療資源(病院と医師)が全国平均よりかなり乖離(かいり)していることを示している。

本特集に併せて『週刊東洋経済プラス』で公開した二次医療圏マップ(https://toyokeizai.net/sp/visual/tkp/medicalarea/)は、人口10万人に対する、①急性期病床数、②回復期病床数、③常勤医師数、の3つについて、国の公開データを基に計算した。地域性を示すため、人口動態を基に都市区分を「大都市」「地方都市」「過疎」に分類している。

医療資源が不足している地域は、急性期病床、回復期病床、常勤医師数がいずれも、全国平均(偏差値50)より見劣りする地域だ。

埼玉県の川口市、蕨市、戸田市では、急性期が40.2、回復期が39.5、医師数は44.4といずれも偏差値が低い。また東京都八王子市、町田市、日野市、多摩市なども全国平均より低い。これらの地域はベッドタウンとして発展してきたが、病院や医師の供給が追いついていないことがわかる。

一方、病院数が過剰な地域は、急性期病床と回復期病床の偏差値が高い地域である。とくに回復期病床は西日本に多く、日本の医療の「西高東低」ぶりが表れた。

例えば、高知県の高知市、土佐市を中心とした地域の偏差値は、急性期が69.2、回復期が66.5と高い。高知県は、1日の平均外来患者数と1人当たりの医療費が全国1位になっている。過剰な供給体制が需要を生み出している可能性がある。

注目したいのは、病床数の偏差値が高いのに、医師数が低い地域だ。例えば、広島県の三原市を中心とする地域では、病床数はいずれも偏差値60を上回るが、医師数の偏差値は49.7。病院(病床)数に見合う医師がいないということだ。住民としてはやりきれないかもしれない。

千代田区、中央区、文京区…都心部で高齢者医療が不足
日本は高齢化社会がいっそう進む。今後増加する高齢者に対応する病院が不足している地域はどこか。

着目すべきは、急患や重症患者に対応する急性期病床は足りているが、治療が終えた後の回復期の病床が足りていない地域である。例えば、東京都の千代田区、中央区、港区、文京区、台東区などでは、回復期の偏差値が41.2と低い。

「国際的な統計を踏まえると、日本の急性期病床はOECD(経済協力開発機構)平均のほぼ倍だ。急性期病床が国内の平均より少ない地域であっても、国際比較では過剰という地域は多い。一方、回復期病床は、国際的な平均からすると圧倒的に足りていない。日本の平均を上回っていても、現実的には不足している地域がある点に注意したい」とグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの森本陽介氏は指摘している。 

体力が落ちている高齢者にとって、治療後に自宅に戻るまでの支援を行う回復期の病院は欠かせない。回復期が少ない地域では、今後、急性期病院の機能を回復期へと変えていく必要があるだろう。



https://www.medwatch.jp/?p=24721
地域医療提供体制の再編、データの背景を読まなければならない 
2019年2月5日|GHCをウォッチ  MedWatch

 地域医療提供体制の再構築を目指して、「地域医療構想」の実現に向けた議論が各地で進められているが、一般には十分な情報提供はなされていない。公表されている「病床機能報告」データからは地域における医療提供体制の「歪み」が明らかになるが、そのデータの背景までも十分に勘案した議論が必要である―――。

 こうした問題意識に基づき、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)は公開データを用いた分析を実施。その結果が東洋経済新報社の発行する2月4日の「週刊東洋経済」(一部記事紹介はこちら)へ、5日の「東洋経済オンライン」へ掲載されました(データ詳細はこちら)。

ここがポイント!
1 「人口動態」「病床数」「医師数」をもとに、各地域の現状を分析
2 病床機能報告データは「病棟単位」で機能を決めるという限界がある
3 二次医療圏には合理性なし、根本から見直す必要がある
4 医療提供体制改革・働き方改革のカギ握る「IDS」

「人口動態」「病床数」「医師数」をもとに、各地域の現状を分析

 「週刊東洋経済」では「病院が消える」と題した特集を企画。そこではGHCによるデータ分析結果のほか、GHCが経営支援する相澤病院の相澤孝夫・日本病院会会長のインタビュー(記事詳細はこちら※無料会員限定記事)、旭川赤十字病院と社会医療法人宏潤会大同病院でのGHCによるデータ分析に基づく経営改善事例、GHCがサポートした魚沼基幹病院での病院統合の事例などが紹介されています。GHC創業者であるアキよしかわのインタビューも掲載されています(記事詳細はこちら※有料会員限定記事)。

 冒頭に述べたように、各地で地域医療構想の実現に向けた議論が進められています。そこでは、さまざまな診療実績データなどをもとに、医療提供体制の機能分化、連携の強化に向けた検討が行われていますが、そうしたデータは機微性が極めて高いことから一般には公開されません。

 そこでGHCでは、唯一の公開データとも言える「病床機能報告」結果をもとに、今後、各地域の動向を左右する変数と考えられる「人口動態」「病床数」「医師数」の3つを用いて地域の状況を可視化。今後の各地の動向を探る一助とすることを目指しました。データ分析結果の一部は「週刊東洋経済」の本誌に、全データ分析結果は「東洋経済オンライン」に掲載されています。

 具体的には、国勢調査の人口等基本集計と病床機能報告結果のデータをクロスさせ、人口10万人当たりの「急性期病床数」「回復期病床数」「医師数」を算出。さらに全国の二次医療圏を「大都市地域」「地方都市地域」「過疎地域」の3つに分類した上で、偏差値を用いて各二次医療圏の状況を可視化しています(文末にデータ出典と定義詳細を掲載)。その結果、各地の医療提供体制には大きな「歪み」「バラつき」のあることが再確認されました。

病床機能報告データは「病棟単位」で機能を決めるという限界がある
 ところで今回のデータ分析結果は、日本国内を対象にした相対評価であり、あくまで今後の地域の動向を占う上での参考として捉えるべきものです。このデータのみをもとに「自地域では他地域や全国平均に比べて病床が不足している。増床や病院の新設が必要である」と考えることは早計に過ぎます。

 国際統計を踏まえると、日本は先進諸国(OECD)の平均と比較して人口当たりの医師数が少なく、その一方で急性期病床数はOECD平均(人口千人当り3.7床)のほぼ倍(同7.8床※一般病床の回復期リハビリテーション病床と地域包括ケア病床を除くと7.0床)となっており、「ベッド数が多いために、患者1人当たりの医師数が少ない」状況にあることが分かっています。この、いわば「病床の分散」は、後述するように「医療の質」を低下させる要因となっています。国内平均と比べれば「急性期病床が少ない」(今回の分析結果では偏差値が低い)とされる地域であっても、国際比較すると「過剰である」という地域が多いのが実情なのです。

 ここで、データ分析結果を見る上での、重要なポイントを2点紹介しましょう。

 1つ目は、「病床機能報告」結果の限界です。病床機能報告に当たっては「当該病棟に最も多いと思われる患者の状態を、当該病棟の機能とする」というルールがあります。したがって、40床ある病棟で、21名の急性期患者が入棟し、19名の回復期患者が入棟している場合には、当該病棟の40床すべてが「急性期」と報告され、「19床分は実質的に回復期を担っている」といった点はおもてに出てこないのです(データ上は判別できない)。

 さらに、「病床機能報告」では、定性的な基準しかなく、病院自らが機能を選択します。したがって、「手術を月1に一度も実施していない急性期病棟」が存在してしまっているのです。

 一方で、地域医療構想は、地域の推計患者数をベースに、「2025年に必要となるベッド数」を算出しています。このため、病床機能報告結果と地域医療構想とは全く性質が異なり、両者を単純に比較して、「この地域では、○○機能が●●床不足している」と結論を出すのは早計に過ぎるのです。

 地域医療構想では、2025年の回復期病床ニーズは2013年度に比べて3.4倍必要と推計されており、(下図=医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会より抜粋=参照)、現状では絶対的な不足が指摘されています。極めて大きな乖離があることから、「急性期等から回復期機能への転換」が求められている点に疑う余地がありませんが、「どの程度、地域で回復期機能が不足しているのか」は、今回のデータからは明確になっていません。

二次医療圏には合理性なし、根本から見直す必要がある
 2番目に、「患者の流出入」の勘案をしなければならないという問題があります。これは、例えば「埼玉県の患者であっても、東京都へのアクセスがよい地域の居住者は、東京の医療機関を受診・入院する」ことが珍しくないといった問題です。埼玉県は病床が少ない地域として有名ですが、本当に病床が少なく、不足しているのかどうかは、東京都への患者流出などを十分に勘案しなければ判断できないのです。

 このため、医療提供体制を考えるにあたり、もはや「二次医療圏」という概念は不適切ではないか、という意見も少なくありません。日本病院会でも、こうした点について精力的な検討が進められています。

 さらに、国際的な医療経済学の草分けでもあるアキよしかわは、この問題について20年も前に指摘しています。アキは二次医療圏について、「病院間の競争や患者の流出入の観点から、その概念と定義は形骸化しており、単なる行政上の区分けに過ぎない」と強調。約20年前の1996年に出版された『Health Economics of Japan』(東京大学出版会)では、「患者統計の個票を使い、どこに住んでいる人が、どの病気で、どの病院を受診したかを考察し、二次医療圏の受診行動の流出入を疾病別に判別することができた。その結果、患者の流出入を勘案すれば約400(当時)の二次医療圏の区分けには合理的な意味がなく、医療圏の数はその3分の1程度で十分と結論付けることができた」と訴えています。

 残念ながら、20年前の政策決定者(厚労省官僚や審議会委員となる研究者ら)には、この指摘が「難しかった」ようで、十分に勘案されることのないまま、現在も「合理的でない二次医療圏」が政策のベースとなってしまっているのです。今後の医療提供体制改革にあたっては、こうしたベースとなる考え方の見直しも必要でしょう。

医療提供体制改革・働き方改革のカギ握る「IDS」
 今後の地域医療提供体制を考える上では、「医療の質向上」を忘れることは許されません。上述のとおり、我が国では先進諸国に比べて、「ベッド数が多く、患者1人当たり(1床当たり)の医師数が少ない」という問題点があります。これは、症例数が分散していることを意味します。GHCと米国メイヨ―クリニック、スタンフォード大学との共同研究では、「症例数と医療の質は相関する」、つまり症例数の分散は、医療の質を下げてしまう、ことが分かっています。

 データ分析結果だけを見て、「我が地域では、全国より病床が不足しているようだ。早急に病院の新設や増床が必要だ」と考えるのは、かえって「医療の質低下」を招きかねない点には最大の留意が必要です。医療へのアクセスも重要な要素であることはもちろんですが、アクセス偏重は「医療の質低下」というクリティカルな弊害にもつながりかねないことを、政治・国民が十分に理解する必要があります。

 逆に考えれば、こうした事態を是正するため、つまり医療の質を向上させるには、症例の集約化を進めることが必要です。そこでは、地域において病院の再編・統合を進めていくことが重要ポイントの1つとなります。病院の再編・統合は「医師の働き方改革」においても重要なテーマで、すでに地域によっては病院の再編・統合が進められており、GHCも地域の「医療の質向上」に向けて積極的な支援を行っています。

 米国ではこの病院統合を「IDS(Integrated Delivery System)」と呼んでおり、GHCではIDSが日本国内で展開されることの意義や有用性について議論し、どのように展開すれば成功に導けるのかを長年研究をしてきました。

 IDSは約20年前に米国の各地で発生した病院の再編・統合を実現してきたサービスメニューの総称です。GHCは、米国で最も多くのIDS案件をアキよしかわと手がけてきたベテラン医療経営コンサルタントのマーティー・マイケル氏(弊社顧問)、米国のトップ病院であるメイヨー・クリニックなどからIDSの知識やノウハウを学び、国内向けのカスタマイズを繰り返することで、サービスメニューを洗練させてきました。

 再編・統合を進めていく上、最も困難なことが「診療統合」です。2月4日の「週刊東洋経済」で掲載されている魚沼基幹病院内山聖院長のインタビューでは「診療統合による病院・地域・住民の混乱」が触れられています。

 現在、GHCでは、魚沼圏域における診療統合の最適化を支援しています。

 地域医療提供体制の再編のカギを握るIDSについて、以下の関連記事、事例紹介、関連サービスを是非ご覧ください。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201902/20190205_61004.html
診療所と医師マッチング 福島県「医業承継バンク」開設、後継者不足解消目指す 
2019年02月05日火曜日 河北新報 福島

 福島県は4日、県内での勤務を希望する県外の医師と、後継者がいない診療所をつなぐ「県医業承継バンク」を福島市の県医師会館に開設した。定住促進などの施策を紹介して医師を呼び込み、過疎地の医療を支える診療所の減少に歯止めをかける。県によると、東北での開設は初めて。
 バンクは県医師会に運営を委託。登録してもらう県内の診療所と、勤務を希望する医師に対し、マッチングの提案や支援を行う。
 まずは、県内の診療所に承継希望の有無といった意向を確認する予定。県外からの招請を想定する医師は専用のホームページなどで募る。診療所のある地元自治体と連携し、住まいなどの定住促進策も紹介していく。
 県は2008年1月、「ドクターバンクふくしま」を開設したが、病院勤務医の紹介やあっせんが中心だった。今回は診療所の医業承継に絞った窓口を設け、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で細った地域医療の基盤強化を図る。
 県地域医療課によると、県内の診療所医師は、60歳以上が52.2%(16年)で、全国平均を4.9ポイントも上回る。後継者不在なども加わり、診療所は10年の1457施設から、16年には87施設減った。
 県医師会の佐藤武寿会長は「郡部の医師確保が課題だ。県出身で古里に戻ろうと考えている医師を中心に働き掛けたい」と強調。県保健福祉部の佐藤宏隆部長は「医師会と連携を強め、地域医療全体の基盤強化につなげる」と話した。



https://digital.asahi.com/articles/ASM274449M27UBQU002.html?rm=622
医師の労働時間短縮へ、病院に計画作りの義務づけ検討 
姫野直行、阿部彰芳 2019年2月7日13時00分 朝日新聞

 勤務医に残業時間の罰則つき上限が5年後に適用されることを控え、厚生労働省は、勤務医の労働時間を短縮する計画の作成を医療機関に義務づける検討を始めた。残業が長くなる要因を医療機関ごとに客観的に評価、指導する体制づくりも進める。

 医師の働き方改革を議論する検討会で6日、提案した。計画を義務づける医療機関などの詳細は今後詰め、今年4月以降の開始を目指す。

 昨年成立の働き方改革関連法で、大企業は今年4月、中小企業は来年4月から罰則つきで残業が最大年960時間に規制される。ただ、勤務医は例外扱いで上限は別途決めることになり、2024年4月から適用される。

 厚労省は先月、一般勤務医の上限は年960時間と提案。この上限では地域医療を守れない場合があるなどとして、「年1900~2千時間」という特例を設ける案も示した。

 特例は35年度末までの期限つき。医療機関を特定し、次の勤務までの休息を9時間以上確保させたり、連続勤務を28時間までに制限したりする措置を条件としている。ただ、一般労働者の2倍とする案への異論は強く、今後5年間に労働時間の短縮を進め、特例の対象を絞り込む構えだ。

 厚労省案では、特例の対象になり得るかを医療機関が検討し、短縮に向けた計画をつくる。また、ひとつの医療機関だけの対応には限界があるため、地域の実情を踏まえて長時間労働の要因や取り組み状況を評価、指導する仕組みも設ける。評価結果は医療機関や都道府県に知らせる。

 また、これらの前提として、労働時間の適正管理や働き手に残業させるための労使協定の締結を医療機関に徹底させるとしている。

 厚労省の調査によると、残業が年1920時間超の病院勤務医は推定約2万人。2880時間超は約3600人いるとみられている。1920時間超の勤務医が1人でもいる病院は全体の3割あり、大学病院では9割、救命救急センター機能がある病院では8割に上る。



https://www.yomiuri.co.jp/local/tokushima/news/20190209-OYTNT50106/
「県立中央」「徳大」病院の壁撤去 
2019.2.10 読売新聞 徳島

道路開設 行き来便利
路線バス乗り入れ検討

 隣接する県立中央病院と徳島大病院が一体となって地域医療を担う「総合メディカルゾーン構想」の一環として、県と徳島大は両病院を隔てる壁を撤去し、車で往来できる「メディカルストリート」を開通させた。4月以降、新たにバス停を設け、路線バスの乗り入れを検討する。利便性の向上によって患者の増加が見込まれ、関係者は「医療の質を向上させ、多くの期待に応えていきたい」としている。(浅野榛菜)

 両病院は、県立中央病院が前身の国立病院だった時代から隣接し、国立病院は1953年、県に移管され、県立中央病院となった。県立中央は救命救急センターを備える急性期病院として機能。一方、徳島大は、高度医療の提供と、研究の場としての役割を担っている。

 連携して相乗効果を生み出そうと県と徳島大は2005年から数度にわたって合意書を締結。地域医療を担う医師の育成や、周産期医療で協力を続けている。さらに「総合メディカルゾーン」として施設面での一体化を図り、敷地を隔てていた壁を取り壊し、16年から道路を敷設する工事に着手し、今年1月に完成した。

 これまで患者らは、互いの病院を行き来する際、約200メートルを歩く必要があり、車の場合はいったん敷地外に出て、それぞれの離れた入り口から入り直す必要があった。また、両病院で異なっていた駐車場の料金は、開通を機に統一した。

 道路の開通式が今月2日にあり、出席した飯泉知事は「両病院の中をバスやタクシーで行き交うことができる」と、妊産婦や高齢者にとって優しい医療拠点になったことを改めて喜んだ。

 総合メディカルゾーンは、近い将来に発生が予想される南海トラフ巨大地震などを想定し、災害時の医療拠点としての役割も期待されている。県病院局は「医師や関係者の往来も緊密にし、高度で困難な要請に応じられる強い拠点に育んでいきたい」としている。



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41038020X00C19A2L60000/
日光市と11医療機関、4月に連携法人設立へ 北関東初  
2019/2/7 22:00日本経済新聞 電子版 北関東・信越

栃木県日光市と市内の11医療機関は4月、地域医療連携推進法人を設立する。治療の段階に応じた患者の相互の紹介のほか、人材の融通や医療品の購入などに共同で取り組む。人口減・高齢化が急速に進むなか、市と医療機関が連携して地域医療を維持する狙いだ。

地域医療連携推進法人の設立は全国で8番目で、北関東では初となる。

市と市内の8病院、3つの診療所がメンバーとなって一般社団法人を設立する。事務局は日光市が務め、代表理事には設立総会を経て副市長が就任する見通し。合計病床数は1000床に迫る規模になる。

日光市の人口は2045年に15年比でほぼ半減する一方、高齢化率は50%に達すると予想されている。このため、急性期の医療需要が減る一方、がんや脳卒中からの回復期の患者は増加が見込まれる。

地域医療連携推進法人はこうした医療需要の変化に対し、各医療機関の役割を明確にする一方、患者の相互紹介や病床・人材の融通などで対応を図る。患者の奪い合いによる共倒れを避け、地域医療の維持を目指す。



https://www.medwatch.jp/?p=24756
勤務員の健康確保に向け、勤務間インターバルや代償休息、産業医等による面接指導など実施―医師働き方改革検討会(2) 
2019年2月7日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師は一般労働者に比べて長時間労働が生じやすいため、「健康確保」措置が極めて重要になる。このため、28時間以内の連続勤務時間制限や9時間以上の勤務間インターバルの設置が求められるが、医療現場の実態を踏まえれば、これらをクリアできない場面もでてくる。そうした際、事後に「代償休息」を付与することなどを医療機関に義務付けてはどうか―。

 2月6日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われました。構成員から出された意見・提案などを踏まえ、詳細な制度設計を行うことになります。
 
ここがポイント!
1 医療現場では勤務間インターバルの厳格実施が困難なケースも、代償休息制度が必要
2 月100時間超の時間外労働となる勤務医を対象に、産業医等が面接・指導
3 追加的健康確保措置はB水準医療機関の義務、未実施は「特定の取り消し」も

医療現場では勤務間インターバルの厳格実施が困難なケースも、代償休息制度が必要
 お伝えしているように、検討会では、「地域医療の確保」と「医師の健康確保」との両立を可能とする「医師の働き方改革案」策定に向けて議論を進めいます(2019年3月までに意見を取りまとめる)。これまでに、2024年4月から適用される「勤務医の時間外労働上限規制」について、厚生労働省は▼原則として年960時間・月100時間未満(いわゆるA水準)▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1900-2000時間程度以内(いわゆるB水準)―としてはどうか、との提案を行っています(関連記事はこちらとこちら)。
 
 医療には、▼不確実性(患者の急変等は完全に予見できない)▼公共性▼高度の専門性▼技術革新と水準向上—という特殊性があることから、当面、一般労働者よりも長時間上限を設定するものですが、医師の健康確保を確保するために、各医療機関に次のような措置(追加的健康確保措置)をとることを義務付けてはどうか、とも厚労省は提案しています。

【追加的健康確保措置1】
▼連続勤務時間を28時間までに制限する▼9時間以上の勤務間インターバルを設ける―ことを、A水準の医療機関では努力義務、B水準の医療機関では義務とする

【追加的健康確保措置2】
インフルエンザ流行などで「月100時間」を超える時間外労働となる勤務医に対しては、医師が「面談」を行い、その結果を踏まえて「勤務制限」(ドクターストップ)を行うことを全医療機関に義務付ける

  
2月6日の検討会では、この【追加的健康確保措置】について厚労省からより詳しい提案が行われ、これに基づく意見交換が行われました。

まず【追加的健康確保措置1】の連続勤務時間制限などは、「医師の健康を確保するためには、連続した6時間以上の睡眠が極めて重要である」との研究結果を踏まえたものと言えます。しかし、医療現場において、こうした仕組みを極めて厳格に運用することが難しい場面も出てきます。例えば、医師が手術中に「連続勤務時間が28時間となった」からといって、メスを置いてしまう、といった有り得ないケースを考えれば、厳格運用の難しさを理解できるでしょう。

このため厚労省は、やむを得ず連続勤務時間制限などをオーバーしてしまう場合には、「代償休息」を付与することを提案しています。具体的な制度設計はこれからですが、オーバー事例等が発生する都度に時間単位での休息を付与する(時間単位の休息や、インターバルの延長など)ことも、まとめて「1日分の休暇」とすることも可能ですが、オーバー事例発生の「翌月」に付与することが必要となる見込みです。

この提案に対し、労働組合を代表する立場で参画している村上陽子構成員(日本労働組合総連合会総合労働局長)は「連続勤務制限などを骨抜きにしてしまう」として、代償休息の仕組み導入に反対していますが、上述のような医療の特殊性に鑑みれば、現実的な健康確保措置の導入を考えるべきでしょう。勤務医代表として参画する猪俣武範構成員(順天堂大学附属病院医師)も「合理的な仕組みだ」と厚労省案を高く評価しています。

月100時間超の時間外労働となる勤務医を対象に、産業医等が面接・指導
 【追加的健康確保措置2】は産業医等が面接指導を行うもので、▼B水準の医療機関では、例えば月80時間の時間外労働となっている医師を対象に、「事前」に月100時間超となることを想定して面接スケジュール等を組む▼A水準の医療機関では、例えば月80時間の時間外労働となっている医師の疲労状況(睡眠負債、うつ、ストレスの状況)を検査し、基準値を超える(疲労の程度が重い)医師では事前に、そうでない医師では事後(月100時間超となった後)に面接を行う―こととしてはどうか、と厚労省は提案しています。

また、すべての医療機関で産業医を確保することが難しい状況に鑑み、当該医療機関の医師が一定の研修を受けた場合には、面接担当者になることを認めることになりそうです。ただし、院長などの「管理者」が面接を行うことは認められません(中立性を確保するため)。

この点について三島千明構成員(青葉アーバンクリニック総合診療医)は「医師にはヒエラルキーがあり、若い勤務医が上司に十分にものを言えないこともある」とし、中立性の担保を十分に行うことが重要と強調。また黒澤一構成員(東北大学環境・安全推進センター教授)は、「医師には『自分が休めば、誰が患者を診るのか』という思いがあり、実際の面接でもそう述べる」とし、「休んでも代わりの医師が確保されている」体制を組み、それを的確に伝えることが必要であると訴えています。

追加的健康確保措置はB水準医療機関の義務、未実施は「特定の取り消し」も
こうした健康確保措置は、医療機関の「義務」となります(追加的健康確保措置2は全医療機関での義務、追加的健康確保措置1はA水準では努力義務、B水準では義務)。この義務について厚労省は「医療法などの医事法制で規定してはどうか」と提案しています(医療現場は医事法制に馴染みが深く、関心も高いため、実効性が期待できる)。しかし、村上構成員らは「労働安全衛生法などの労働法制で規定するべきか」と再三指摘しています。この点、例えば「医事法制で規定されたとして、労働行政担当部局が追加的健康確保措置についてノータッチとなる」わけではなく、いずれの法制で規定されたとしても大きな違いはないようです。

別稿で述べたように、B水準医療機関として特定されていても、追加的健康確保措置が実施されていない場合には、「特定の取り消し」となります。したがって、都道府県では「追加的健康確保措置が確実に実施されているか」を確認する(例えば年1回の医療監視・指導の一環として確認するなど)ことが、各医療機関では確認のために「追加的健康確保措置の実施状況・内容を記録し、保存する」ことが求められます(関連記事はこちら)。

さらに、厚労省では、こうした記録確認等を行うことで、「産業医でない医師が面接を行う場合でも、一定の中立性が担保されるのではないか」と考えています。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t301/201902/559771.html
厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」
医師の健康確保措置、「代償休息」は翌月末までに取得を
 
2019/2/8 満武 里奈=日経メディカル

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が2月6日に開催され、地域医療提供体制の確保の観点から「時間外労働の年間上限960時間」を満たせないケース(地域医療確保暫定特例水準の適用施設)に対し義務付けられる「追加的健康確保措置」のあり方について、さらなる事務局案が提示された。

 事務局案では、28時間までの「連続勤務時間制限」と「勤務間インターバル」(次の勤務までに9時間のインターバルを確保、当直時は18 時間)を実行できなかった場合、(1)「代償休息」として1日の休暇(8時間分)が累積してからではなく、発生の都度、時間単位での休息をなるべく早く付与する、(2)所定労働時間中に「時間休」として付与する、もしくは「勤務間インターバル」時間を延長する、(3)取得期限は代償休息を生じさせる勤務が発生した日の属する月の翌月末までとする――などの考えを示した。

 また、「面接指導」については、(1)時間外労働が「月100時間未満」の水準を超えるよりも前に実施する、(2)地域医療確保暫定特例水準で働く医師は、月の時間外労働が100時間以上となることも少なくないため、前月に時間外労働時間が80時間超となった場合はあらかじめ面接指導のスケジュールを組んでおくことを推奨する、(3)面接指導を行う医師は講習を受けてから従事する(医療機関管理者は認められない)――とする案も示された。

 一方、地域医療確保暫定特例水準が適用されない、時間外労働が「年間960時間以内」の医師の時間外労働が月80時間超となった場合は、まず睡眠および疲労の状況(睡眠負債、うつ、ストレスの状況)を確認し、これらの指標の基準値を超える者に対して「事前面接」を必須とする案も示された。

 なお、面接指導の結果によって、当直・連続勤務の禁止や時間外労働の制限、就業日数の制限等をすべき場合、医療機関管理者は医師の健康確保のために必要な就業上の措置を最優先で講じることになる。追加的健康確保措置の実施状況は事後的に確認できるよう、医療機関管理者に記録を保存するように義務を課す。実施されない場合は、地域医療確保暫定特例水準の対象から除外する。

 1月の検討会では、地域医療提供体制の確保の観点から「時間外労働の年間上限960時間」を満たせないケースについては、追加的健康確保措置を義務化した上で、時間外労働時間の上限時間を休日労働込みで「年1900~2000時間以内」に設定する経過措置(地域医療確保暫定特例水準)を取ることが事務局案として示されていた(関連記事:医師の時間外労働の上限規制案は「1900~2000時間」)。

 同日には、罰則付き時間外労働の上限時間が適用される2024年4月までの各医療機関の取り組みイメージも示した(図1)。まず各医療機関は時間外労働の実態を的確に把握した上で、自施設に適用される上限時間がどれになるのかを検討し、時間外労働の短縮幅を見極めて、医師労働時間短縮計画を作成。PDCAサイクルによる短縮を図る。なお、医療機関の努力のみによって労働時間短縮を達成できる場合ばかりではないため、都道府県は各医療機関の役割分担を含めた医療提供体制のあり方を考え、支援する。

 代償休息に関する事務局案に対し、「勤務医の立場からは、『代償休息』は追加的健康措置の選択肢の1つとしてリーズナブルと感じる。連続勤務時間制限やインターバル時間確保などの定期的な休息に比べると、肉体的な休息の効果は弱いかもしれないが、『来月はオフィシャルに休める』ということでストレス軽減につながるのでは」(順天堂大学付属病院医師の猪俣武範氏)、「(産業医として)措置する立場からすると、時間休があるのは、休みの取り方に柔軟性が保てるのでありがたい」(東北大学環境・安全推進センター教授の黒澤一氏)などの賛成の意見が医師側から上がった。一方で、「(代償休息を設定することでインターバル時間の確保よりも)代償休息の方に流れてしまう恐れがあるので、代償休息はない方が良いのではないか」(全日本自治団体労働組合総合労働局長の森本正宏氏)、「『代償休息』の管理は煩雑で、取得できないのではないか。細切れで休んでも(追加的健康確保措置として)実効性がないのではないか」(日本労働組合総連合会総合労働局長の村上陽子氏)などの意見も出て、事務局が「『代償休息』は絶対必要なものと考えている。医療の世界では『この医師でないと救えない』という事態が起こり得るので、インターバル時間中であっても呼び出されてしまう可能性がある。実態が陰に隠れてしまう(呼び出されているのに呼び出されていないことにする)ことが起きないためにも、制度として作らせていただきたい」と理解を求める場面もあった。

 また日本医師会女性医師支援センター長の今村聡氏は、「今の案はどちらかというと面接指導によるメンタル面の評価を重要視していて、身体的な評価が少し弱いのではないか。面接の際に『大丈夫です』と言われたらそれで終わりになってしまう。客観的な評価ができるよう、身体的な指標を設定することが必要ではないか」と指摘。さらに黒澤氏は、「休むように指導しても『私が休んだらまわりに影響が出てしまうので休めない。変わりの医師はいない』と言われてしまうケースがある。その医師が休んでも大丈夫だと担保をしてあげることが必要では」と話した。
時間外労働上限規制の枠組み全体の整理(案)を提示
 なお同日には、36協定上の上限時間数の設定案も整理して提示された(図2)。一般則と同等の働き方を目指すという視点に立ち、地域医療確保暫定特例水準の対象を含む医師の「平日の時間外労働」を一般則と同じく「月45時間、年360時間」と記載する案を提示した。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t301/201902/559673.html
<シリーズ◎医師の働き方改革
このままでは産婦人科医がまた過労死してしまう
日本産科婦人科学会医療改革委員長の海野信也氏に聞く
 
2019/2/4 満武 里奈=日経メディカル

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は1月11日、2024年4月から適用される罰則付き時間外労働の上限時間を、休日労働込みで年間960時間以内・月100時間未満とし、地域医療提供体制の確保の観点からやむを得ずこの水準を満たせない場合には「年間1900~2000時間」とする事務局案を提示した(関連記事:医師の時間外労働の上限規制案は「1900~2000時間」)。この案に対し、日本産科婦人会学会は1月18日、「『医師の働き方改革に関する検討会』へ意見と要望」を公表した。産婦人科医の労働環境改善を担当する日本産科婦人科学会医療改革委員長の海野信也氏(北里大学病院周産母子成育医療センター長)に話を聞いた。

うんののぶや氏〇1982年東京大学卒業。東京大学医学部附属病院、長野県立こども病院などを経て、2004年より北里大学医学部教授、2012年から2018年まで北里大学病院長、現在同病院周産母子成育医療センター長を務める。日本産科婦人科学会では、2005年から現・医療改革委員会の委員長。

――「『医師の働き方改革に関する検討会』へ意見と要望」を厚生労働省に出した経緯を教えてほしい。
海野 この意見と要望は、「時間外労働の上限設定においては、いわゆる過労死ラインを大きく超えないこと」を要望するものだ。

 日本産科婦人科学会は、国が医師確保総合対策を策定した2005年から産婦人科の医療提供体制の確保と労働環境改善のため、長年、検討を続けてきた。翌2006年には、福島県で妊婦が残念ながら亡くなった大野病院事件が発生したが、その年も、そしてその後も、学会として提言し続けてきた。今回、厚労省の事務局案を見て、産婦人科医の働き方の特性を踏まえた上で提言することが改めて必要と判断した。

――産婦人科医の働き方の特性とはどんなものか。
海野 産婦人科は分娩を取り扱うため、24時間体制を敷くことが求められる。しかし、そのための十分な医師数が確保できているわけではないので、当直など夜間帯の勤務拘束回数が他科よりも多く、時間外労働時間が最も長い診療科だ。

 あとは、ここ10年で女性医師が徐々に増え続け、今では45歳未満の学会会員の6割が女性となっているのも特徴だ。

 図1を見てほしい。これは日本産科婦人会学会の会員の勤務先を年齢別・男女別に調べたものだが、ハイリスク分娩と周産期救急を取り扱う「総合周産期母子医療センター」(※図表中の「総合男性」「総合女性」)と「地域周産期母子医療センター」(※図表中の「地域男性」「地域女性」)は、30代を中心とした若い世代が支えている。そして年齢を重ねるごとに分娩を取り扱わない施設で勤務する医師が増えることも分かった。

図1 日本産科婦人科学会の会員の年齢別・男女別分布(2014年時点)(略)
(2014年度の厚生労働省科学研究費補助で行われた「地域格差是正を通した周産期医療体制の将来ビジョン実現に向けた先行研究」のデータより)

 今回、厚労省が示した案は、時間外労働時間は原則960時間だが、地域医療提供体制の確保の観点からやむを得ずこの水準を満たせない場合には「年間1900~2000時間」という例外(地域医療確保暫定特例水準)を設けている。この例外が適用される対象医療機関としては「2次・3次救急医療機関」や「5疾病・5事業」に関わる医療機関などが想定されているが、「5疾病・5事業」には周産期医療が入っている。

 周産期医療体制は、各都道府県が地域医療計画に基づき、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターを指定している。つまり総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターはこの例外規定(地域医療確保暫定特例水準)が適用される可能性がある。検討会資料によると、時間外労働が1920時間を超えて働く医師は全体の1割ほどだと見積もられているが、産科婦人科領域だけを見れば、日本産科婦人科学会の若い先生が勤務する施設のほとんどが例外規定に該当し、そこで働く産婦人科医、つまり学会に所属する若い先生の時間外労働時間の上限が過労死水準を大幅に超えた「年間1900~2000時間」となってしまわないかと危惧するのだ。
 この例外規定の期限は2036年3月末と示されている。若い産婦人科医にしてみれば、地域医療確保暫定特例水準を適用された医療機関で働くということは、この先10年間は時間外労働1900~2000時間で働くことを強いられる可能性があるということだ。そのような仕事を続けられるだろうか。

 既に産婦人科医の過労死は発生している。2017年8月に、日本産婦人科医会とともに、分娩取り扱い病院における産婦人科勤務医の労働環境改善を求める声明を出したのも、東京都内の病院で産婦人科医専門医研修を行っていた医師が、長時間労働によって精神疾患を発症し、それを原因とする過労死が労災認定されたことを受けてのものだ。

 もし1900~2000時間という例外規定が設定されたら、2036年までは、とんでもなく長い時間外労働を許容する特別条項付き36協定を結べることになり、産婦人科医の過労死の可能性を残してしまうことになる。国としてこんな労働環境を認めるのはあまりにもひどい話ではないか。そもそも働き方改革の議論はいわゆる「過労死防止大綱」を基に、過労死を防ぐという観点から議論が始まったはず。その理念が今回の医師の働き方改革の議論からは抜け落ちていると言わざるを得ない。

 厚生労働省は医師の労働時間の実態について正確なデータを示していない。学会としても、時間外労働の上限を何時間にすべきなのか、根拠をもって答えることはできないのが実情だ。でも今、日本の分娩の現場を支えてくれている若い世代の医師は、大野病院事件の後に産婦人科医になってくれた医師たちだ。過酷な労働環境を承知の上で産婦人科医になってくれた彼らのことを守りたい。だから、今回改めて「過労死ラインを大きく超えないように」と厚労省に要望した。

 厚労省は2018年3月、他職種に業務移管(タスク・シフティング)することや、自院の36協定の点検を行うことなどを求める「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取り組み」を発出したが(関連記事:医師の時短に向け直ちに実施すべき事項を明示)、1つの医療機関だけの努力でタスクシフトを行うことは難しい。産科医療の働き方改革を行うためには施設の大規模・重点化や新規専門医の育成、チーム医療の推進が必要だ。だから2018年9月には日本産婦人科医会とともに「産婦人科医の働き方改革の宣言・提言」を出したし、我々自身も働き方改革に積極的に取り組んでいく。検討会も、診療科や地域ごとに異なる特性を踏まえた各論も十分に議論してほしい。

 繰り返しになるが、今の事務局案では過労死が起き得る状況が温存されてしまう危険がある。それを防ぐのが国の政策のはずだ。

□参考サイト(日本産科婦人科学会)
医師の働き方改革に関する検討会への意見と要望
http://www.jsog.or.jp/modules/news_m/index.php?content_id=572



https://www.medwatch.jp/?p=24698
2019年の10連休、医療機関等は休日加算等を算定可能、また処方日数制限を超えた処方も―厚労省 
2019年2月5日|医療保険制度 MedWatch

 2019年度の10連休において、医療機関は従前どおり休日加算等を算定できる。また、旅行等に出かける患者に対し、処方日数制限を超えた医薬品の処方を行うこともでき、その場合、処方箋に「理由」記載が求められる。

 厚生労働省が1月30日に通知「本年4月27日から5月6日までの10連休等の長期連休における診療報酬等の取扱いについて」を発出し、このような点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)。
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000475441.pdf
  
 今上天皇陛下が今年(2019年)4月30日に退位され、皇太子殿下が5月1日に新たな天皇に即位されます。これに伴い、政府は4月27日から5月6日まで「10連休」とすることを決定しました(天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律)。

 この10連休における医療提供体制(とくに救急医療)の確保が重要となることから、厚生労働省は1月15日に通知を発出し、地域の医療提供体制を確認・調整し、情報提供することを都道府県知事に要請しました(関連記事はこちら)。

今般、厚労省は、当該10連休に医療機関等が保険診療等を行った場合、休日加算等を従前どおり算定できる旨を明確にしました(平日扱いなどとはならない)。

【A000 初診料】
▼注7の加算:時間外加算(85点、6歳未満の乳幼児では200点)、休日加算(250点、同365点)、深夜加算(480点、同695点)、夜間救急の加算(230点、同345点)
▼注8の加算(小児科標榜医療機関):時間外加算(200点)、休日加算(365点)、深夜加算(695点)

【A001 再診料】
▼注5の加算:時間外加算(65点、6歳未満の乳幼児では130点)、休日加算(190点、同260点)、深夜加算(420点、同590点)、夜間救急の加算(180点、同250点)
▼注6の加算(小児科標榜医療機関):時間外加算(135点)、休日加算(260点)、深夜加算(590点)

【A002 外来診療料】(200床以上の病院で算定)
▼注8の加算:時間外加算(65点、6歳未満の乳幼児では130点)、休日加算(190点、同260点)、深夜加算(420点、同590点)、夜間救急の加算(180点、同250点)
▼注9の加算(小児科標榜医療機関):時間外加算(135点)、休日加算(260点)、深夜加算(590点)

※歯科、調剤も同様

 
 ところで、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」では、投薬・処方箋について次のようなルールが定められています。

【投薬】
新薬や麻薬など厚生労働大臣の定める内服薬・外用薬・注射薬に関する14日・30日・90日の投与日数制限(第20条第2号ヘおよびト、第21条第2号ヘ)

【処方箋】
 処方箋の使用期間は「4日以内」とし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りでない

 10連休においては薬局等が閉まっていることも考えられ、また患者が長期間の旅行等に出かけることも少なくないでしょう。この場合、医薬品等について上記の制限を超えた日数分の投与(連休が明けるまでの日数分)を行わざるを得ないケースも出てくる可能性があります。こうした場合、医療機関等では、昭和51年(1975年)の厚生省通知「診療報酬請求書等の記載要領等について」に倣い、処方箋の「備考」欄に、当該投与日数制限を超えて投与する【理由】を記載することが求められます。

 また、処方箋の有効期間(使用期間)が4日以内のままでは、患者が当該処方箋を用いた調剤を受けられなくなることもあるでしょう。この場合、医療機関では、上記厚生省通知に倣い、処方箋の「使用期間」欄に、当該処方箋を有効とする【年月日】を記載することが求められます。

10連休対応通知(保険局) 190130の図表
0210_20190210105048579.jpg
 



https://www.m3.com/news/general/658660
塩釜市立病院:移転新築で安定経営 役割大きく存続念頭に 中間報告 /宮城 
地域 2019年2月9日 (土) 毎日新聞社

 塩釜市は、同市立病院(同市香津町)の老朽化対策や経営改善策の調査の中間報告をまとめ、議会に報告した。経営不振の最大の要因は「建物・設備の老朽化と狭隘(きょうあい)化」とし、「移転新築ができれば、安定した経営が十分可能」との方向性を示した。議会などの同意を得られれば来年度から移転先選定や新病院の構造、収支などの具体的計画に入る。

 報告によると同病院は、2014年度以降、医業収支が3億円前後の赤字で推移し、入院・外来患者数の減少も深刻▽建物3棟は建設から古くは59年、新しくても35年を経過し、老朽化による非効率性やイメージ悪化がネック▽収益ダウンの中で現場スタッフの業務負担だけが増加――と現状分析している。

 一方、塩釜地区2市3町唯一の公立病院で、急性期から在宅医療まで切れ目のない診療や「地域包括ケアシステム」の中心的病院として役割は極めて大きく医療水準も高いと評価し、病院の存続と移転を念頭に安定経営の方策を示した。

 その中で、正職員数は据え置き▽現在161床の病床を140床前後に縮小し稼働率アップ▽病棟編成を工夫し地域包括ケア病棟の拡大▽病棟の「全室個室化」検討▽診療科によらない「ユニバーサル外来」導入▽電子カルテなどICT活用――などを掲げている。規模は小さくとも特徴ある「キラリと光る病院」を目指す。

 移転新築の場合、設備・機器の更新だけでも約8億円の支出が見込まれ、建設費は少なくとも数十億円規模の大事業になる。同病院の荒井敏明・事務部長は「新病院実現には5~6年を要すると考えられる。市民の声を何より大切に、じっくり計画を練りたい」と話した。

 同病院は05年度、医業収益に対する不良債務比率が136・5%となり、全国ワースト4に悪化したのを機に有識者を交えた経営改革プランを開始。13年度に不良債務を解消できたが、その後も苦戦は続き、医業収支は17年度も2億8390万円の赤字だった。【渡辺豊】



  1. 2019/02/10(日) 10:56:21|
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2月3日 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201901/CK2019013102000169.html
【群馬】 医師不足 桐生は複数の外科医 県西部、小児科医確保へ 
2019年1月31日 東京新聞

 県内でも深刻化する医師不足に対応するため、県と群馬大病院や県内の医療関係団体でつくる「ぐんま地域医療会議」は三十日、二〇一九年度に向けた医師適正配置方針を発表した。桐生市の桐生厚生総合病院に複数の外科医、県西部の主要病院に一人の小児科医、渋川市の県立小児医療センターに一人の産科医をいずれも常勤で確保することを目指す。(菅原洋)

 同会議は昨年三月に設置され、県内の約百二十の病院を実態調査し、今回初めて方針を決めた。三十日に方針への協力を求めて各病院に通知を出した。

 桐生厚生総合病院は複数の外科医師の異動や退職が見込まれ、がん診療や救急・災害時への対応が懸念されるという。

 県西部では、高崎市の高崎総合医療センターなど設備が整った主要な三病院が小児救急の輪番体制を維持してきたが、小児科の産休や育休によって当直できる医師が不足している。

 県立小児医療センターでは、特に労働環境が厳しい産科医が全国的に不足する中、少なくとも一人を確保する必要がある。

 不足している医師は喫緊の課題とし、県内外に呼び掛けて一九年度中に充足できるように取り組む。中長期的な課題としては、総合診療、整形外科、消化器や循環器などの内科でも医師配置の要望が多かった。医師適正配置方針は今後も毎年度更新する予定。

 県庁で記者会見した群馬大病院の田村遵一院長は「大学病院だけではなく、県や医療団体と一丸になるのは全国的に先進的な取り組みだ。群馬大だけで医師不足に応じるのは不可能で、地域で安心できる医療環境を整えるため、県外へも働き掛けたい」と述べた。



https://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20190130-OYTNT50003/
医師不足解消進まず 
01/30 05:00 読売新聞

 投開票が2月3日に迫った愛知県知事選。県の抱える課題を現場から探る。

 「陣痛から出産まで時間があったから良かったが、早く生まれていたらどうなっていたか」

 愛知県設楽町の未就学児を持つ母親の子育てサークル「ひまわり」の会合。メンバーの女性(31)は、同町から車で約1時間半かけて浜松市の病院へ行き、次女(1)を出産した体験をこう振り返った。昨年次男を出産した女性(34)は、地元で産むのは諦め、静岡県に里帰りしたと打ち明けた。

 同町を含む東三河北部地域では、新城市民病院が2006年に産科を休止して以降、産科の空白状態が続く。受け入れ先の一つ、同県豊川市民病院産婦人科の保條説彦たつひこ主任部長(56)は「新城市からの出産は、全体の約2割を占める。新城市に産科が復活すれば良いが、一度休止すると、医師のほか助産師、看護師ら人材をゼロから確保しなければならず、再開は極めて厳しいだろう」と指摘する。

 不足しているのは、産科だけではない。県によると、県内の医師数は人口10万人あたり218・6人(2016年)で全国37位。全国平均の251・7人を大幅に下回る。名古屋市に隣接する尾張東部地域が最多の393・4人に対し、最少の東三河北部地域は128・9人で、偏在解消が課題だ。

 地方の医師確保を目的に医学部の定員を増やす「地域枠」を認めた国の方針を受け、県は09年度から、卒業後、指定地域で9年勤めれば返還免除となる修学資金制度を開始。「地域枠」で資金の貸与を受けてきた学生らは今年度で188人になった。研修を経て20年度以降、医師不足の公立病院に配置される見通しだが、初年度は5人。県によると、病院側の需要を満たすには10年以上かかるという。

 国は昨年、医療法と医師法を改正、今年4月以降は、都道府県が大学に地元出身者の定員枠の創設や増加を要請できるようになるなど、医師養成や配置に関する都道府県の権限が強化される。県は新年度、確保すべき医師数の目標などを定めた「医師確保計画」を策定する方針で「まずは現状を見極め、必要に応じて大学や病院に働きかけたい」としている。

 設楽町で開業する伊藤幸義・北設楽郡医師会長(71)は東京などで勤務後、故郷に戻り、05年に父親の後を継いで院長となった。自らの経験を踏まえ、技術を持つ勤務医らに定年後、地方で活動してもらう仕組みづくりを提案し、「子どもを産み育てられる環境がなければ若者は定着しない。地域医療の崩壊は、地域社会の崩壊につながりかねない」と警鐘を鳴らしている。(山下智寛)



https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0130/kyo_190130_8888758702.html
医師不足地域勤務、最低6カ月に
厚労省案の優遇措置、偏在解消へ
 
2019/1/30 19:00 ©一般社団法人共同通信社

 医師が都市部などに集中する偏在問題の解消に向け、厚生労働省は30日、優遇措置の条件となる医師少数区域での勤務期間を「1年以上が望ましいが最低6カ月」とする案を有識者検討会に示した。こうした地域での勤務経験がある医師を認定する制度を設け、地域医療を担う一部病院の管理者になる際の評価項目とする方針。

 認定されるために必要な業務として、患者の生活背景を考慮し、継続的な診療をすることに加え、介護・福祉事業者との連携を図るための地域ケア会議などへの参加、地域住民の健康診査や保健指導を挙げた。



https://www.medwatch.jp/?p=24659
医師数順位が下位3分の1の地域を「医師少数区域」とし、集中的に医師派遣等進める―医師需給分科会 
2019年2月1日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 人口10万対医師数に高齢化状況などを加味した「新たな医師偏在指標」によって、地域の医師確保状況を順位付けし、下位3分の1(33.3%)を「医師少数区域」、上位3分の1を「医師多数区域」とする。今後、医師多数区域から医師少数区域への医師派遣を促したり、医師少数区域での勤務を評価するなどして、医師偏在対策を集中的に進める―。

 1月30日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、こういった点も固められました。
 
ここがポイント!
1 医師確保状況の低い、下位33.3%の地域を「医師少数区域」とする
2 外来医師の多い(上位33.3%)の地域での新規診療所開業、在宅医療等提供も必要

医師確保状況の低い、下位33.3%の地域を「医師少数区域」とする

 メディ・ウォッチでお伝えしているとおり、医師需給分科会では、都道府県が新たに作成する「医師確保計画」の拠り所となる指針を策定すべく、(1)医師少数区域・医師多数区域の設定(2)医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度(3)地域枠・地元枠の必要医師数(4)外来医師多数区域の設定—などに関し、詰めの議論を行っています(関連記事はこちら)。

 このうち(2)の「医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度」については、医師少数区域等での勤務期間を「最低6か月」とすることなどが固められています(関連記事はこちら)。

 今回は(1)(2)の「医師少数区域」等設定について詳しく見てみましょう。(3)の地域枠・地元枠については、別稿でお伝えします。

 医師偏在対策の大枠は、真に「医師が少数な地域」と「医師が比較的多数配置されている地域」を明確に定め、後者(多数の地域)から前者(少数の地域)への派遣などを促すとともに、医師が少数な地域に従事する医師を養成していく、と整理することができます。

 この「医師が少数な地域」などを判断するために、医師需給分科会では、人口10万対医師数に、▼地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なるため)▼地域医師の性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が異なるため)―などを加味した「新たな医師偏在指標」を設定しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
 3次医療圏(都道府県)・2次医療圏ごとに、この「新たな医師偏在指標」の計算式に基づいた数値を比べることで、「A県・医療圏では、B県・医療圏に比べて相対的に医師数が多い(少ない)」と判断することできます。

 厚労省が、具体的な数値を算出して、都道府県別・2次医療圏別の医師の多寡を見たところ、従前の「人口10万対医師数」を用いた場合に比べて、「医師が少ない地域」の順位が変わっており、「新たな医師偏在指標を用いたほうが、より的確に医師が少ない地域をあぶりだせる」ことが分かりました。住民・医師の高齢化が進んだ地域、患者流入の多い地域では、当然、医療ニーズが多くなるため、より「医師が少ない」と判断される傾向があります。
 
 1月30日の医師需給分科会では、さらに、この新たな医師偏在指標を用いて都道府県・2次医療圏の状況を比較し、▼上位33.3%を「医師多数区域」とする▼下位33.3%を「医師少数区域」とする―ことを決めました。全国を「医師多数」「中程度」「医師少数」に3等分する形です。

 新たな「医師確保計画」は3年を一期とします(当初のみ2020-24年度の5年計画)が、その計画期間の間に下位33.3%の医師少数区域で集中的に医師確保対策を進め、計画終了時点(つまり3年後)に「下位33.3%の医師少数区域のすべてが、下位33.3%ラインに到達する」ことを目指します。例えば、下位33.3%ラインとなる新たな医師偏在指標が「230人」であった場合、3年後に「新たな医師偏在指標の最低値が230人」となる(230人に満たない2次医療圏がなくなる)ように、集中的に医師確保を進めるというイメージです。これを5期繰り返し、2036年度に「全国で医療需要を満たせるだけの医師確保を完了する」スケジュールが描かれています。
 
 こう考えると、2020―2024年度を対象とする最初の「医師確保計画」で最も医師確保に労力を要し(4000人超の医師派遣等が必要と見込まれ、今後精査していく)、徐々にその労力が小さくなっていく、ことが分かります(医師偏在の度合いが徐々に解消していくため)。この点について厚労省は「2024年度は、地域医療構想の実現年度となる2025年度の1年前であり、あわせて新たな勤務医の時間外労働上限も適用される。このような重要な年度に向けて、計画当初から『医師確保を進めなければならない』という強いメッセージを打ち出す必要がある」との考えを提示。今村聡構成員(日本医師会副会長)もこの考えに賛同するとともに、「仮に各地域で同じ労力を投入していけば、医師偏在がより早期に解消できることになる」と見通しています。

 どの医療圏等が下位33.3%に該当するのか、などは2月中旬予定の次回会合で示される見込みです。ここに、各都道府県で「患者の流出入」を勘案し(都道府県同士の調整が必要)、「医師少数区域」等が確定します。
 
 なお、下位・上位の基準は5期間を通じて「33.3%」が維持される見込みですが、偏在解消の進捗を見て、設定しなおされる可能性もあります。

 具体的な医師確保策としては、例えば、既にお伝えした「医師少数区域等での勤務を認定する仕組み」(この仕組みにおける「医師少数区域」は、上述した医師少数区域である)を活用するほか、医師多数区域からの派遣促進などが考えられます(関連記事はこちら)。厚労省・都道府県・医療機関や大学が、協働して、▼医師少数区域でも研鑽を積める体制の整備▼子育てしながら働ける環境の整備▼医療機関の勤務環境改善の支援―などを進めることになります。この点について裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「特に医師が少数の区域(最下位近辺)には、より強力な医師確保策とその支援が必要である」との見解を示しています。
 
また、時間はかかるものの「大学医学部における地域枠・地元枠の設定」は、医師確保に向けて最も効果的な施策と考えられており、医師派遣促進などとセットで進められます。

外来医師の多い(上位33.3%)の地域での新規診療所開業、在宅医療等提供も必要

 ところで、医師需給分科会では「医師が不足している地域がある一方で、都市部では診療所の新規開業が事実上、自由に認められている。これが医師配置の不均衡是正を阻害しているのではないか」と指摘されます。

しかし、「自由開業の制限」には▼日本国憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する恐れがある(保険指定拒否でも同様)▼駆け込み開設が増加する恐れがある―といった問題点があります。

そこで、まず「地域のクリニック(診療所)開設状況などのデータを示し、新規開業を考える医師が、『この地域で開業すべきか、別の地域で開業すべきか』を判断できる環境を整える」「外来医療のあり方について、地域で関係者が協議する」ことから始める、こととなりました。

ある医師がA都市での開業を考える際に、「A都市ではすでにクリニック(診療所)が多数開設されている」「地域の人口は減少傾向に入っている」などのデータを目にすれば、「A都市での開業は控えたほうがよさそうだ。病院にとどまる、あるいは医師が不足しているB地区で勤務等も視野に入れよう」と考えなおしてもらえるのではないか、という期待があります。

 具体的には、▼外来医療機能の偏在・不足などを客観的に把握できる「指標」(外来医師偏在指標)によって、「外来医師多数区域」を設定する▼外来医師多数区域で新規開業を行う場合には、「在宅医療」「初期救急医療」「公衆衛生(学校保健や産業医、予防接種等)」の機能を担うよう求める▼すべての地域で、各医療機関が、今後どのような外来医療機能を担っていくのかを検討・協議する―ことになります(関連記事はこちら)。

1月30日の医師需給分科会では、「外来医師多数区域」について、「外来医師偏在指標が上位33.3%の地域とする」ことが決められました。

都道府県は、ホームページなどさまざまな機会を通じて、「2次医療圏ごとの外来医師偏在指標」や「診療所・病院の所在マップ」などを情報提供します。地域の患者数は一定程度決まっていることから、クリニック(診療所)数が多くなれば、競争が厳しくなり(1クリニック当たりの患者数が減る)、収益も相対的に悪くなります。こうした情報を得た医師が、上記のように「この地域はクリニック(診療所)激戦区であるな。ここでの開業は控えよう」などと判断する助けをするもので、いわゆる「ビル診」や「自由診療(美容整形など)のみのクリニック(診療所)」も同様の手続きを踏むことになります。

 この取り組みに対する反論はありませんが、「診療科別の開設状況を明らかにすることでより効果が上がる」(神野正博構成員:全日本病院協会副会長、山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長ら)、「クリニック(診療所)の開業・廃業は頻繁に発生しており、短期間(少なくとも1年毎)で情報更新を繰り返していくとよい」(裵構成員)―などといった注文も付いています。

 医師偏在については、「地域偏在」のみならず「診療科偏在」も指摘されており、現在、厚労省で「診療科と特定疾病等の紐づけ」(●●病患者は主に○○科で診ているなど)等を踏まえた偏在状況の可視化に向けた分析が進められている途中です(具体的な議論は、この分析を待つことになる)。外来の診療科となれば、複数科を標榜しているなど、さらに複雑なため、「将来の検討課題」となりそうです(関連記事はこちら)。



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190131_11019.html
<涌谷町>財政非常事態を宣言 病院会計が圧迫、21年度にも財調赤字の恐れ 
2019年01月31日木曜日 河北新報

 宮城県涌谷町の大橋信夫町長は30日、町財政が危機的状況にあり、このままでは2021年度にも財政調整基金(財調)が赤字になる恐れがあるとして「財政非常事態」を宣言した。
 大橋町長や町企画財政課によると、町国保病院事業会計の繰り出しが15年度以降は毎年度4億円を超え、19年度以降も同様の予算編成を続けると、21年度には財調が約425万円の赤字になる試算だという。
 同町の標準財政規模は約50億円。町によると少子高齢化に伴い病院への繰り出し金が増えているほか、自主財源の伸び悩みと社会保障費の増額で、単年度収支に不足が出ているという。新年度に新たな財政健全化計画を策定するほか、事業見直しなどを行う方針。
 大橋町長は「病院側も医師不足の中、地域の医療に貢献している。町側も身の丈に合った財政を目指す上で、町民の協力をお願いしたい」と話した。
 町国保病院管理事業者の大友和夫町民医療福祉センター長は「町や医師会との連携を深め、思い切った改革を進めたい」と述べた。




https://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/483286/
竹田市小児科医不在の恐れ 診療所医師が辞意 市民5300人署名 [大分県]  
2019年01月31日 06時00分   西日本新聞

 竹田市の唯一の小児医療機関「市立こども診療所」で所長を務める男性医師(50)が市への不信感から辞意を示唆し、診療所が2月にも休診する恐れが出ている。市内から小児科医がいなくなることを危惧(きぐ)し、女性でつくる「竹田の小児医療を守る会」は30日、診療所の継続などを求める約5300人分の署名を首藤勝次市長と医師に提出した。

 こども診療所は市内に小児科の医療機関がなかったことから、市が2009年に開設。以来、現在勤務する医師が1人で診療を担ってきた。年約1万6千人が受診し、約1千万円の黒字。老朽化に伴い、現在建て替え工事が行われている。

 市は17年12月、人手不足が続く看護師の採用などで柔軟に対応できるよう、指定管理者が診療所の運営をできるように条例を改正。市によると、指定管理者による病院の運営条件などを巡って市と医師に確執が生じ、医師は今月21日の市議会で辞意を示唆したという。

 子どもを持ち、小児科医不在を恐れる市内の女性4人は23日、「竹田の小児医療を守る会」を発足させ、診療所の継続などを求める署名活動を実施。市の人口の約4分の1となる約5300人から賛同の署名を得て、30日に提出した。

 首藤市長は「コミュニケーション不足で医師とすれ違いが生まれ、不安を与えて申し訳ない」と謝罪。市は今月から特命課長を置いて医師との関係修復などを図っていることを明らかにした。

 関係者によると、診療所は2月からインフルエンザのワクチン接種を中止する予定で、アレルギーで定期的に受診する患者には他院への紹介状を渡すなどしているという。会の古森佳代代表(50)は「診療所が無くなると片道30分~1時間以上かけて市外の病院に行かないといけない。なんとか診療を続けてほしい」と訴えた。



https://www.asahi.com/articles/ASM213SPTM21UGTB003.html
福島)中山間地の診療所減に歯止め 県が医業承継バンク 
小泉浩樹 2019年2月2日03時00分 朝日新聞

 中山間地などの診療所の後継者不足を解決するため、県と県医師会は1日、「医業承継バンク」を設置すると発表した。後継者を探している診療所の医師を登録したデータベースを作る。開業を希望する医師とマッチングをはかり、診療所の減少に歯止めをかけたい考えだ。

 県地域医療課によると、2010年には1457施設があった診療所は16年には1370に減っている。主に高齢化による医師の引退が原因だという。県内の診療所医師の高齢化率は16年で52・2%と全国平均(47・3%)より5%近く高い。

 一方で、県内診療所の医師へのアンケートで「後継者が決まっているか」と尋ねたところ、233人中、7割以上の170人が「決まっていない」と答えたという。県地域医療課は「70、80代で診療を続ける医師は多く、5年、10年で一気に減る可能性がある」と話す。

 医業承継バンクは県が委託し、県医師会に設置。バンクに登録した医師に後継者候補を紹介し、マッチングをする。県医師会は2月~3月に医業承継を希望する医師を対象にセミナーを4回開くという。

 後継者は医師向けのメルマガやネット広告を通じて情報提供し、主に県外を対象に開業を希望する医師を探すという。ただ、中山間地の診療所を希望する医師は少ないのが現状で、うまく後継者が見つかるかは未知数だ。(小泉浩樹)



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190131_11021.html
登米市病院、独法化も検討 累積赤字膨張、経営形態見直し 
2019年01月31日木曜日 河北新報

 宮城県登米市は30日、2018年度末の市病院事業会計の累積赤字が、前年度より約6億円増えて157億円となり、資金不足が約2億4479万円増の10億4478万円に上る見通しを明らかにした。累積赤字は今後も増える見通しで、熊谷盛広市長は、病院事業の地方独立行政法人化も視野に入れ、経営形態を抜本的に見直す方針を示した。
 市医療局によると、18年度病院事業会計は医師不足などの影響によって入院・外来患者数が目標に届かず、医業収益が当初見通しより5億6561万円減の60億1005万円にとどまった。
 資金不足が新たに発生したため、金融機関から2億5000万円を一時借り入れして対応。穴埋めとして一般会計から2億3703万円を繰り入れる18年度補正予算案を2月定期議会に提出する。
 また市は19年度、一般会計から前年度比6.9%増の19億4304万円を病院事業会計に繰り入れる予算案を組んだ。
 定例記者会見で熊谷市長は「このままでは累積赤字が膨らむ一方で展望が開けない。独法化も一つの選択肢として経営形態を見直したい」と明言。医師確保の努力を続けるとともに、経営効率化や病院・診療所の集約、再編ネットワーク化を進めていく考えを示した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/655801
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
産婦人科医の不安、疑問続出「5年でゼロにできるのか」
日本産科婦人科学会、働き方改革テーマに公開フォーラム
 
レポート 2019年1月28日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本産科婦人科学会は1月27日、2018年度「拡大医療改革委員会」兼「産婦人科医療改革 公開フォーラム」を都内で開催した。テーマは「産婦人科医の働き方改革を実現させるための方策」。

 基調報告として登壇した、厚生労働省医政局医事課・医師養成等企画調整室室長の堀岡伸彦氏が、今まさに同省で議論の佳境を迎える医師の働き方改革について、「原則的には大多数の医師が一般の労働者と同じ考え方(休日労働込みで年間時間外960時間)の上限レベルとなる」と説明。「年1900~2000時間」の時間外労働が認められるのは、救急搬送件数が一定数以上といった「医療の不確実性」に対応しているなどの一部の医療機関で、管理者がマネジメント研修を受け、タスク・シフティングなどを行う要件を満たす場合であるとしたものの、出席者からは「5年後に、年1900~2000時間超の医師をゼロにすることは可能なのか」「宿日直の定義が曖昧」「そもそもどこまでが労働時間か」「タスクシフトは可能なのか」といった現場の不安、疑問が続出した。

 堀岡氏は「5年後にゼロにできるのか」との質問に、「できる、できない、といった話ではなく、やらなければいけない」と回答。

 「宿日直の定義が曖昧」と指摘したのは、日本産婦人科医会常務理事の中井章人氏(『「宿直」の定義が先決、時間外労働の議論に“注文” 』を参照)。「宿直」であれば、時間外労働にカウントされないが、「宿直」に該当しなければ時間外労働となる。堀岡氏は、厚労省の検討会で「病棟当直において、問診等の診察を行う」などの業務にとどまる場合は宿直に当たるなど、宿直の定義(詳細は、後述)を議論したと説明したが、中井氏は納得せず「ほとんどの産科では、(夜間の)分娩が常態化している。宿直として認められないのではないか」と問いかけた。

 日本産科婦人科学会医療改革委員会委員長の海野信也氏は、「そもそも労働時間の定義が分からない」と質問。「年1900~2000時間」を決める根拠となった厚労省研究班の調査は、「診療時間、診療外時間、待機時間の合計でありオンコールの待機時間は除外。医師が回答した勤務時間数であり、回答時間数全てが労働時間であるとは限らない」とされている。「労働時間」をベースにした検討が必要だとしたほか、実際の運用上、「労働基準監督署は、労働時間と勤務時間を分けて考えてくれるのか」との懸念も呈した。堀岡氏は、「研究班の調査は、医療機関ではなく、各医師に回答してもらった調査であること、また「就業構造基本調査」(2012年)の結果とも近いと説明。

 フロアから発言した全国医師ユニオン代表の植山直人氏は、「医師は非常に厳しい中で、努力している。憲法が守られていないのが一番の問題ではないか」と指摘し、長時間労働の現状を問題視。「医師の時間外労働の上限は、法律の趣旨に近いものであるべきで、勝手に省令で決めていいものではない」と述べたほか、学会に対しても「若手を必ず守るというメッセージを出せるのか」とも問いかけた。

 その他、「メディカル・クラークは非常に助かっているが、公的な病院だと定員の枠があり、常勤として雇用しにくい。タスク・シフティングされる人の立場も考えないといけない」、「大学ではアルバイトがなければ生活できない医師がほとんど。アルバイトも労働時間とカウントするのであれば、アルバイトができず、給与は下がる。大学から医師が去ってしまったり、大学の医師派遣先の医療機関が成り立たなくなる恐れがある」などの意見も出た。アルバイトの問題について、堀岡氏は「現状でも、アルバイトは労働時間に含まれる。今回の検討で始まったことではない」と答え、上限を超えるほどの時間外労働であれば、その分の時間外手当を受け取るはずであると指摘した。

「ポスト平成時代、サステナブルなのか」

 冒頭であいさつした日本産科婦人科学会副理事長の木村正氏は、産婦人科の特徴として、「予定が立たない、夜間のニーズがある、女性の比率が多い」などを挙げ、非常に厳しい勤務を昭和の時代に卒業した医師はこなしてきたものの、「ポスト平成の時代になって、この体制がサステナブルなのか」と問いかけた。

 「基調報告」として、最初に登壇したのが堀岡氏。厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論の現状を説明。時間外労働の上限を「年1900~2000時間」とした根拠は、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査研究」(2016年度厚生労働科学特別研究班)。同研究では、医師の10.5%が時間外労働が「年1920時間」(月160時間)を超す水準だった。全国平均では26%の医療機関に該当医師がいることになるが、施設による差があり、大学病院では88%、救命救急機能を有する病院では82%と高い。

 現状で「年1920時間」を超す医師は、この4月の改正労基法施行から5年後には「年1900~2000時間」以内に短縮、さらに「年960時間」を目指して短縮することが必要だと説明した。

 堀岡氏は、原則は「年960時間」であるとし、どんな医療機関でも「年1900~2000時間」が認められるわけではないと強調。「管理者のマネジメント研修やタスク・シフティングを義務にしようと思っている。医師に点滴をやらせているけれど、時間外労働が長いケースなどは許されない。限界までマネジメントしても、どうしてもできないところが認められる。また5疾病・5事業を担っていたり、ある一定以上の救急搬送件数があるなど、医療の不確実性に対応している医療機関に限定している。今は定性的に説明しているだけなので今後、細かい要件について議論することを考えている」(堀岡氏)。

「特定行為研修制度のパッケージ化」、1万人の養成目指す

 労働時間の短縮方法は種々あるが、堀岡氏は、特に「特定行為研修制度のパッケージ化」と医学部の地域枠の卒業生の地域定着を挙げた。「特定行為研修制度のパッケージ化」とは、看護師の特定行為研修は現状では個別行為について実施しているが、「外来術後管理」「術中麻酔管理」「在宅・慢性期」の3つの領域について、各領域に関連した特定行為をまとめて研修する方法。あくまで医師の包括的指示の下で行うが、「包括的指示でできる行為の範囲が拡大する」(堀岡氏)。2020年度から養成を開始、2024年度までに1万人を目指し、「医師の働き方改革を進めるために、全ての大学病院が研修機関になってもらいたい。限界まで政策的な誘導をかける」(堀岡氏)。

 「よく受ける質問」として、(1)宿日直の扱い、(2)想定される働き方の変化――などについて説明。(1)の宿日直については、「病棟当直において、少数の要注意患者の状態の変動への対応について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと」、「外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動について、問診等による診察、看護師等他職種に対する指示、確認を行うこと」であるとし、「2次、3次救急の輪番は宿日直ではない」(堀岡氏)。

 (2)については、▽「連続勤務時間制限28時間、インターバル9時間」であることから、「当直の次の日、午前中で帰れる」、▽点滴や採血、尿道バルーン、診断書の作成等は医師が原則直接手を動かす仕事ではない、はっきりと断ってください、厚労省も明示している、(3)「眠れない」当直をした場合には、当直手当ではなく。時間外手当が支払われる――と説明。医師の働き方改革を進めるためには、「労務管理とタスクシフトが両輪」であるとした。

産婦人科医の医師偏在指標、「少数区域」のみ

 「基調報告」として続いて3人が登壇。海野氏は「産科医の地域偏在指標について」について講演。この4月から、都道府県で医師確保計画の策定が始まる。「医師多数区域」と「医師少数区域」を設定、「医師少数区域」での医師増を目指すのが狙い(『医師確保「少数区域は多数区域から」、可能か?』を参照)。その際、産婦人科と小児科に限っては、診療科別の「医師偏在指標」を作成、それを基に計画を講じる。

 海野氏は、厚労省の「産科における医師偏在指標作成検討委員会」のメンバー。産婦人科医の立場としては次のように考えているという。「もともと産婦人科医は総数が不足しているという認識。医師多数区域を設定することで、(ここから他の区域に医師が移動し)この区域の周産期医療が崩壊する危険性がある。医療需要は分娩数を用い、偏在指標としては、相対的医師少数三次医療圏、相対的医師少数区域を設定するが、医師多数区域は設定しない方針」。「他区域からの医師派遣のみを対策とするのは適当ではない。必要に応じて、医療圏の見直しや医療圏を超えた連携によって医師偏在解消を図ることを検討することが必要ではないか」(海野氏)。既に2回検討委員会を開催、1月31日にも第3回検討委員会を開催予定だ。

 中井氏は、「日本産婦人科医会施設情報調査2018」を説明。宿直を除く週平均労働時間は46.2時間のため、「宿直を除く勤務時間はほぼクリアしている。結局、問題なのは宿直。労基法上は週1回、月4.3回だが、2018年の調査では5.6回であり、これを上回っている」(『「宿直」の定義が先決、時間外労働の議論に“注文” 』を参照)。「そもそも、われわれが宿直と呼んでいるものが、本当に宿直なのか、定義を明確にした丁寧な議論が必要」。

当直明けは、半数以上の施設で「通常日勤」、

 日本産科婦人科学会・医療改革委員会の重見大介氏は、「第11回産婦人科動向意識調査・タスクシフト調査」の中間報告を担当。「動向意識調査」は、産婦人科専門研修施設を対象に、2008年から毎年実施している。2018年の調査は、2018年12月11日から2019年1月4日にかけて実施、978施設の回答を集計した。「1年前と比較して、全体としての産婦人科の状況」、「1年前と比較して、自施設産婦人科の状況」などは、前回(2017年調査)とほぼ同様の結果だった。

 今回の調査では新たに、「勤務環境の現状調査」と「タスクシフト現状調査」を実施。「勤務環境の現状調査」では、(1)大都市圏で約4割、地方で7割が勤怠管理システム未導入、(2)2割弱で「オンコール手当なし」、(3)2割の施設で「当直回数上限なし」、(4)7割の施設で「週1回以上の当直あり」、(5)当直明けは、半数以上の施設で「通常日勤」、「当直明けで終業」は地方でわずか2%――などという厳しい勤務の現状、労務管理の不徹底さが浮き彫りになった。

 「タスクシフト現状調査」では約60項目を調査。「ほとんどの施設で実施」が「説明代行関連〔服薬指導(入院)〕」、「実施は少ないがシフトに前向きなタスク」としては「説明ビデオ(動画等)」などが挙がった一方、「分娩にかかわる手技関連(会陰切開)」については「ほとんどの施設がシフトするつもりはない」と回答。

 公開フォーラムでは、「基調報告」に続いて、計6人の産婦人科医が働き方改革への取り組みを紹介。産婦人科医は、女性医師の割合が増加傾向にあることから、女性医師の就労支援に関する報告が大半だった。

 最後にあいさつした、日本産科婦人科学会理事長の藤井知行氏は、「医療の質を低下させないよう、働き方改革を進めるものの、医療の集約化や時短を進めると、サービスは低下しかねない」として、例として2018年末に政治主導で凍結が決定した「妊婦加算」を例に挙げ、医師の働き方改革は国民の理解を得ながら進める必要性を強調した。最近産婦人科に進む医師が増えているのは、医学部定員増の影響があるとし、「医師の総数が増えれば、この問題は解決する」とも指摘した。



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20190131-346925.php
「小高病院」入院機能再開へ 策定委素案、人材確保の条件付き 
2019年01月31日 09時20分    福島民友

 南相馬市の医療関係者らでつくる市立病院改革プラン策定委員会は30日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い休止している市立小高病院(小高区)の入院機能について「当面は市立総合病院(原町区)のサテライト診療所とし、医師確保などの課題を解決した上で、19床の有床診療所として再編する」との素案をまとめた。市は素案を踏まえ、課題を解決した上で入院機能を再開させる方針。



 素案では、99床あった小高病院の入院機能を19床に縮小し、総合病院との連携、在宅医療の強化を図るとした。条件として、〈1〉医師や看護師らの人材確保策を明確にする〈2〉市財政の負担額縮小を図る計画の策定〈3〉中長期的に介護サービスなどの機能を担う施設も想定した計画の策定―の三つの対応を求めた。総合病院は70床増の300床とすることも盛り込んだ。

 小高病院は震災と原発事故前、7診療科と99床を備えていた。2014(平成26)年に外来診療を再開させたが、入院機能は震災による建物の損壊や医療従事者不足により休止している。

 同病院の入院医療を巡っては、前市長が医療従事者不足や財政赤字などを理由に17年12月の市議会で「小高病院の99床を総合病院に移管、小高病院を無床診療所として再編」とする条例改正案を提出し、否決された。門馬和夫市長は前市長の方針を転換し、小高区内の入院機能再開に向けた協議を進めてきた。

 素案は2月上旬、策定委の樋口利行委員長が門馬市長に提出する。市はその後、地域協議会やパブリックコメントなど、市民の意見を踏まえ素案を修正した上で、3月議会で市立病院再編案を報告する考え。

 南相馬市小高区の住民でつくる小高区地域協議会は小高病院の入院機能再開について、「医療人材や財源の確保ができない場合は再開を希望しない」などとする提言書を門馬市長に提出している。



https://www.medwatch.jp/?p=24581
地域医療連携推進法人、病院の再編・統合や医師確保に向けた重要ツールの1つ―厚労省・地域医療連携推進法人連絡会議 
2019年1月28日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療連携推進法人は、病院の再編・統合を進める際、また地域での医師確保等において極めて有効なツールである。ただし、診療報酬算定などで壁もあり、柔軟な対応ができないか検討してほしい―。

 厚生労働省が1月25日に開催した「地域医療連携推進法人連絡会議」で、こうした議論が行われました。
 
ここがポイント!
1 これまでに7つの地域医療連携推進法人が発足、先達の意見踏まえて制度改善目指す
2 病院の再編・統合の前段階として地域医療連携推進法人を設立し、人事交流等を
3 大学と地域病院との間に地域医療連携推進法人が入り、医師派遣の調整を
4 パスの共有ヤフォーミュラリ構築を進め、医療・経営の質向上を狙う
5 地域医療連携推進法人への参加で、民間病院から自治体病院への医師派遣がスムーズに

これまでに7つの地域医療連携推進法人が発足、先達の意見踏まえて制度改善目指す

 2022年からは、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年には、すべての団塊の世代が後期高齢者となります。その後、2040年にかけて高齢者の増加ペースそのものは鈍化するものの、現役世代の人口が急激に減少していきます。このように少子高齢化が進行すれば、医療従事者の確保などが困難になり、限られた医療資源を、これまで以上に効率的かつ効果的に活用することが求められ、「医療提供体制改革」が極めて重要なテーマとなります。

このため、病院・病床の機能分化・連携を強化する「地域医療構想」の実現や、高齢者の在宅限界を高めるための「地域包括ケアシステム」の構築が急務となっています。その一環として、厚労省は「地域医療連携推進法人」制度を2017年4月からスタートさせました(地域医療連携推進法人制度の詳細はこちら(厚労省サイト))(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
地域の医療機関等が、いわばホールディングカンパニーである「地域医療連携推進法人」を設立。そこで参加医療機関等が、それぞれ地域でどのような役割を担うかの方針を定め、その方針に沿って機能分化・連携を進めていきます。参加医療機関間では、「病床の融通」や「人事交流」「医薬品や医療機器などの共同購入」が可能となり、限られた医療資源をより効率的・効果的に活用することが可能となります。
これまでに、次の7つの地域医療推進法人が発足しています((1)-(4)は2017年度発足、(5)-(7)は2018年度発足)。
(1)尾三会(愛知県、藤田保健衛生大学病院などが参加)
(2)はりま姫路総合医療センター整備推進機構(兵庫県、兵庫県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院が参加)
(3)備北メディカルネットワーク(広島県、三次市立三次中央病院などが参加)
(4)アンマ(鹿児島県、瀬戸内町与路へき地診療所などが参加)
(5)日本海ヘルスケアネット(山形県、山形県・酒田市病院機構(日本海総合病院、日本海酒田さリハビリテーション病院)などが参加)
(6)医療戦略研究所(福島県、医療法人社団正風会などが参加)
(7)房総メディカルアライアンス(千葉県、富山国保病院、安房地域医療センターなどが参加)

1月25日の連絡会議初会合では、厚労省医政局の吉田学局長が「地域医療連携推進法人の普及・改善に向けて、先行者である7法人から、行政に期待するさらなる支援策や制度の深化などに関する提言・アドバイスをしてほしい」と要望しました。定期的に連絡会議を開き、アドバイス・提言等を踏まえて制度改善につなげていくことになります。

各法人の状況や提言などを紹介しましょう。

まず(1)の「尾三会」は、特定機能病院である藤田保健衛生大学病院が参画し、参加病院の中で高度急性期医療から回復期・在宅医療までを切れ目なく提供することを狙っています。すでに30の医療機関等が参画し、「人材育成」「人事交流」などによって医療水準の底上げ・標準化を進めるとともに、「医薬品等の共同購入」などによる経営の効率化も進めているといいます。

ただし、「地域医療構想の実現」や「地域医師会との連携」といった点に関しては、参加法人によって温度差もあるようです。また、「地域医療連携推進法人の業務において、医療連携推進業務(研修や共同購入、参加医療機関等への貸付、医療機関の開設など)の比率が50%以上」といった規定により、例えば「看護師の派遣」(大学病院から地域の中小病院等への派遣など)などにおいて若干の「使い勝手の悪さ」もあるようです。

病院の再編・統合の前段階として地域医療連携推進法人を設立し、人事交流等を

また(2)の「はりま姫路総合医療センター整備推進機構」は、兵庫県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の再編・統合に向けた前段階として設立された地域医療連携推進法人です。

病院の再編・統合に当たっては、「医療従事者の壁」「診療内容の違い」「風土の違い」などを解消するために、十分な準備期間が必要となるため、まず地域医療連携推進法人を設立して人事交流等を進め、機が熟すのを待ち、実際の再編・統合を行うこととしたものです。機構の八木聡理事は、「地域医療の中でどういった役割を果たすべきかを職員1人1人が考えて行動するようになってきている。再編・統合の推進に向けて、地域医療連携推進法人の設立は極めて有用である」と強調しています。

大学と地域病院との間に地域医療連携推進法人が入り、医師派遣の調整を

(3)の「備北メディカルネットワークでは、これまで「大学(広島大学)と個別病院との間では、医師派遣要請等の議論が必ずしも十分できていなかった」点を踏まえ、参加病院間での医師派遣等を円滑にするために発足。医師派遣について「大学 → 地域医療連携推進法人 → 個別医療機関」といった流れの構築に向けた取り組みが進められているといいます。

いくら大学医学部とは言え、数多ある地域の医療機関の要望をすべて吸い上げ、それを調整して医師派遣を行うことは、大変な労力を要します。また、個別医療機関側が大学へ医師派遣を要請するには大きなハードルがあることは想像に難くありません。そこで地域医療連携推進法人が間に入ることで、各医療機関の要望を吸い上げて調整することが可能となり、医師派遣が相当程度円滑に進むと期待されます。

地域医療連携推進法人は、医師偏在対策においても重要ツールの1つとなりそうです。

 
一方、(4)の「アンマ」は、へき地医療を支えるための連絡協議会を核として設立されました。へき地においては、医療・介護資源が極めて限られているため、連携を強化し、相互補完を行い、機能強化を図ることが必要不可欠です。

ただし、現時点では「病院」が参加していません(クリニックと介護施設のみが参加)。病院については、設立母体が研修等を実施しているため、「地域医療連携推進法人への参加メリットが現時点では薄い」との判断があるようです。このため、連絡協議会も残し、2本立て(地域医療連携推進法人と連絡協議会)で、地域の病院や薬局、助産所等との連携を図っているといいます。今後、「病院の参加」が重要な課題であると桂和久代表理事は強調しています。

パスの共有やフォーミュラリ構築を進め、医療・経営の質向上を狙う

また(5)の「日本海ヘルスケアネット」では、かねてから地域医療連携を進めている山形県・酒田市病院機構の栗谷義樹代表理事が音頭を取り、機能分化・連携を推し進めています。▼入退院に関するクリニカルパスの共有▼病床回転率の向上▼フォーミュラリ(医薬品の処方ルール)の構築▼ポリファーマシー(弊害のある多剤投与)の解消―などの成果が出始めており、医療内容の質向上・標準化が図られるとともに、経営の質も向上してきています(関連記事はこちらとこちら)。

栗谷代表理事は、「地域全体で黒字が達成できなければ、地域医療におけるキャスティングが難しい」(1病院だけ黒字では、地域医療連携は不可能である)と強調し、現在、地域医療連携推進法人の中で「費用の連結管理を可能とする手法」を検討しているといいます。医療提供体制はもちろん、経営面についても地域連携を進める時代に入ってきたと言えるかもしれません。

なお栗谷代表理事は、「フレイル高齢者の再入院の繰り返し」が地域医療において大きな問題となっていると指摘し、地域医療連携推進法人の中での対応や手続きの簡素化などが今後の検討課題になると指摘しています。

 
また(6)の「医療戦略研究所」では、東日本大震災により「地域医療が完全に崩壊した」地域における地域医療の再構築に取り組んでいるといいます。人間関係・信頼関係が構築されている地域医師会の有志が核となって、「地域における医療・介護連携モデル」を研究・構築し、それを県内に普及することを目指しています。そのために例えば、「電子カルテデータの連結」などに向けた研究も進めています。

石井正三代表理事は、そうした連携に当たってのハードルとして、診療報酬等の厳格な「施設基準」を例示しました。地域の医療機関が連携し、例えば、重症症例に対応するために「一時的な人材(医師や看護師等)の集中的配置」を行おうとしても、診療報酬の施設基準を満たさなくなるため(当然、診療報酬が算定できなくなる)実施が困難であると強調。一定の柔軟化を検討してほしいと要望しています。

地域医療連携推進法人への参加で、民間病院から自治体病院への医師派遣がスムーズに

他方(7)の「房総メディカルアライアンス」は、医師が数名ずつしか配置されていない自治体病院への医師派遣等を行うことを目指しています。民間病院から自治体病院への医師派遣には法令の壁等がありますが、地域医療連携推進法人を設立することで、参加病院間では、設立母体の壁を越えて医師や看護師等の派遣が比較的スムーズに実施できるためです。

この点について亀田信介代表理事は、「ICTを活用した遠隔診療が進んでいく。地域医療連携推進法人への参加については、距離よりも活動内容に重きを置いて認められるような仕組みとすべきではないか」との考えを示しました。地域医療連携推進法人への参加は、都道府県をまたぐことも可能ですが、どこまで柔軟な参加を認めるべきなのか、今後、より具体的に例示することなども検討する余地がありそうです。
 
 

https://www.medwatch.jp/?p=24604
【病院総合医】育成プログラム認定施設、2019年1月に134施設へ拡大―日病 
2019年1月30日|医療現場から MedWatch

 日本病院会はこのほど、「病院総合医育成プログラム認定施設」を更新。今年(2019年)1月11日時点で、全国134施設で「病院総合医」の育成を行う体制が整ったことが分かりました(病院総合医に関する日病のサイトはこちら)(2018年1月の認定状況に関する記事はこちら。

複数疾患を抱える患者への総合診療提供や術後管理を担う【病院総合医】を養成

 本年度(2018年度)から新たな専門医制度が全面スタートし、そこでは「総合診療専門医」の養成も始まっています。総合診療専門医は、専ら「かかりつけ医」として地域におけるプライマリケア提供のリーダーになると期待されますが、「『病院』において複数疾患を抱える患者への総合診療提供や、術後管理などを行う医師」の養成が可能か、という点には疑問を持つ医療関係者も少なくありません。

このため日本病院会(日病)では、「病院において総合診療を行う医師である【病院総合医】」を、総合診療専門医(新専門医制度)とは別に養成する方針を固めました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

【病院総合医】について、日病の相澤孝夫会長と末永裕之副会長は「将来、病院経営幹部の1ルートとなることが期待される」と強調し、次のような医師像を描いています。
(1)多様な状態を呈する患者に包括的かつ柔軟に対応できる総合的診療能力を持つ
(2)全人的に対応できる
(3)地域包括ケアシステムにおける医療・介護連携の中心的役割を担う
(4)多職種をまとめチーム医療を推進できる
(5)地域医療にも貢献できる

日病会員病院の中で、「自院の中堅医師を【病院総合医】として育成したい」と考える施設や、「【病院総合医】を目指す医師が勤務している」施設が手をあげ、必要な研修を行える体制等が整っているかが審査されます。

審査をクリアした施設(病院総合医育成プログラム認定施設)において、【病院総合医】を目指す医師(卒後6年目以上の医師を対象)に必要な指導を実施(医師からすれば研修を受講する形、もちろん他施設との連携指導も行われる)。

【病院総合医】を目指す研修医(病院総合専修医)は2年間、▼急性中毒▼意識障害▼全身倦怠感▼心肺停止▼呼吸困難リンパ節腫脹▼認知脳の障害▼失神▼言語障害▼けいれん発作▼胸痛▼吐血・下血▼熱傷▼外傷▼褥瘡▼歩行障害▼排尿障害(尿失禁・排尿困難)▼気分の障害(うつ)―などの症例などを経験した上で、日病で「当該医師が病院総合医としての能力を保有しているかどうか」が審査されます。

【病院総合医】を目指す研修医(病院総合専修医)審査では、▼インテグレーションスキル(包括的診療の展開・実践)▼コンサルテーションスキル(必要な場合に専門診療科へ速やかな相談・依頼)▼コーディネーションスキル(多職種の連携・調整)▼ファシリテーションスキル(チーム医療の促進・実践)▼マネジメントスキル(地域包括ケアシステムや日本全体を考慮した病院運営)―の5能力を評価し、「要件を満たす」と判断されれば、【病院総合医】の資格を手に入れることができます。

 
 今般、新たに43施設が「病院総合医の研修を行える体制が整っている」と判断され、合計134施設が「病院総合医育成プログラム認定施設」となりました。今年(2019年)2月頃に【病院総合医】を目指す研修医(病院総合専修医)の登録が始まります。

【北海道】
▽市立札幌病院 ▽市立千歳市民病院(新規) ▽砂川市立病院 ▽北見赤十字病院(北海道) ▽清水赤十字病院(新規) ▽済生会小樽病院(新規) ▽札幌徳洲会病院(北海道)
【青森県】
▽十和田市立中央病院 ▽八戸市立市民病院
【岩手県】
▽岩手県立中央病院
【宮城県】
▽仙台赤十字病院(新規)
【秋田県】
▽秋田県立脳血管研究センター(新規)
【福島県】
▽かしま病院
【茨城県】
▽水戸済生会総合病院 ▽鹿島病院(新規)
【栃木県】
▽足利赤十字病院 ▽済生会宇都宮病院
【埼玉県】
▽埼玉県済生会川口総合病院 ▽戸田中央総合病院 ▽丸山記念総合病院 ▽北里大学メディカルセンター(新規) ▽埼玉医科大学国際医療センター ▽自治医科大学附属さいたま医療センター
【千葉県】
▽千葉市立海浜病院 ▽成田赤十字病院 ▽板倉病院(新規) ▽柏厚生総合病院(千葉県) ▽幸有会記念病院 ▽東葛病院(新規) ▽安房地域医療センター(新規)
【東京都】
▽東京医療センター(新規) ▽東京城東病院(新規) ▽東京山手メディカルセンター ▽杏雲堂病院 ▽玉川病院 ▽多摩南部地域病院 ▽小豆沢病院 ▽世田谷中央病院(新規) ▽立川相互病院(新規) ▽藤﨑病院 ▽立正佼成会附属佼成病院(新規)
【神奈川県】
▽横須賀市立うわまち病院(新規) ▽湘南鎌倉総合病院 ▽湘南藤沢徳洲会病院 ▽総合川崎臨港病院 ▽東名厚木病院 ▽葉山ハートセンター ▽山近記念総合病院
【新潟県】
▽新潟県立十日町病院 ▽糸魚川総合病院 ▽上越総合病院(新潟県)
【富山県】
▽富山市民病院
【石川県】
▽石川県立中央病院
【長野県】
▽市立大町総合病院 ▽飯山赤十字病院 ▽諏訪赤十字病院 ▽相澤病院 ▽相澤東病院
【岐阜県】
▽総合病院中津川市民病院 ▽美濃市立美濃病院 ▽白川病院(新規)
【静岡県】
▽藤枝市立総合病院 ▽静岡済生会総合病院 ▽NTT東日本伊豆病院
【愛知県】
▽春日井市民病院 ▽小牧市民病院 ▽西尾市民病院(新規) ▽名古屋第一赤十字病院 ▽名古屋第二赤十字病院 ▽海南病院 ▽大同病院 ▽東海記念病院 ▽NTT西日本東海病院(新規) ▽トヨタ記念病院
【三重県】
▽伊勢赤十字病院 ▽田中病院 ▽津生協病院
【滋賀県】
▽市立大津市民病院 ▽彦根市立病院(新規)
【京都府】
▽京都民医連中央病院 ▽武田総合病院 ▽洛和会丸太町病院 ▽三菱京都病院
【大阪府】
▽大阪みなと中央病院(新規) ▽市立ひらかた病院(新規) ▽阪南市民病院 ▽大阪府済生会泉尾病院 ▽松下記念病院 ▽医誠会病院(新規) ▽北摂総合病院(新規) ▽森之宮病院(新規) ▽淀川キリスト教病院
【兵庫県】
▽北播磨総合医療センター(新規) ▽明石市立市民病院(新規) ▽加古川中央市民病院 ▽姫路赤十字病院 ▽兵庫医科大学ささやま医療センター ▽三菱神戸病院
【奈良県】
▽おかたに病院(新規) ▽土庫病院(新規) ▽吉田病院(新規)
【島根県】
▽浜田医療センター(島根県) ▽島根県立中央病院(新規) ▽六日市病院(新規)
【岡山県】
▽倉敷中央病院 ▽倉敷リバーサイド病院(新規) ▽金光病院(新規) ▽水島協同病院(新規) ▽岡山旭東病院(新規)
【広島県】
▽広島共立病院
【山口県】
▽小野田赤十字病院(新規) ▽昭和病院
【徳島県】
▽徳島県立中央病院 ▽徳島赤十字病院
【香川県】
▽四国こどもとおとなの医療センター ▽さぬき市民病院(新規) ▽KKR高松病院
【愛媛県】
▽HITO病院
【福岡県】
▽福岡市民病院(新規) ▽福岡赤十字病院▽福岡県済生会飯塚嘉穂病院(新規) ▽福岡県済生会福岡総合病院(新規) ▽聖マリア病院(新規) ▽福岡記念病院 ▽宗像水光会総合病院(新規)
【熊本県】
▽熊本赤十字病院 ▽済生会熊本病院 ▽済生会みすみ病院 ▽宇城総合病院 ▽菊池中央病院 ▽くまもと森都総合病院 ▽にしくまもと病院 ▽谷田病院
【鹿児島県】
▽種子島医療センター

 

https://www.medwatch.jp/?p=24576
医師働き方改革、宿日直許可基準や研鑽などの不確定要素も踏まえた上限設定論議を―日病協 
2019年1月28日|医療現場から MedWatch

 勤務医の時間外労働の上限について、一般では年間960時間未満、地域医療確保に必要な場合には年間1900-2000時間という数字の議論が進んでいるが、「宿日直許可基準」や「労働と研鑽の切り分け」「病院の再編・統合」などが明確にならないまま上限時間だけを設定して良いのだろうか。5年後の適用段階になって、地域医療が崩壊するようなことがあってはならない―。

 1月25日に開催された、日本病院団体協議会の代表者会議では、こういった点で意見が一致していることが山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から報告されました。
1月25日の日本病院団体協議会・代表者会議後に、記者会見に臨んだ山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって右)と長瀬輝諠副議長(日本精神科病院協会副会長、医療法人社団東京愛成会理事長・同会高月病院院長、向かって左)
1月25日の日本病院団体協議会・代表者会議後に、記者会見に臨んだ山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって右)と長瀬輝諠副議長(日本精神科病院協会副会長、医療法人社団東京愛成会理事長・同会高月病院院長、向かって左)
 
ここがポイント!
1 宿日直許可基準や研鑽と労働の切り分けなどは不明確、バッファー置いた上限設定を
2 10連休、一時的な重症患者割合の低下などにどう対応するのか

宿日直許可基準や研鑽と労働の切り分けなどは不明確、バッファー置いた上限設定を

 医師の働き方改革に向けた議論が進み、厚生労働省は「医師の働き方改革に関する検討会」に、2024年4月から、勤務医の時間外労働上限を▼原則として年960時間・月100時間未満▼救急医療機関など地域医療確保のために必要な特例水準として年1900-2000時間程度以内―としてはどうか、と提案。賛否両論がありますが、この「上限時間」をどう設定するかが最重要論点の1つとなっています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
 この点について国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、時間設定そのものよりも「不確定要素が多い中で、上限時間だけ先に設定してよいものか」という懸念を持っているようです。

 たとえば、「宿日直」については、「労働密度がまばらで、労働時間規制を適用しなくとも、必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働」として、労働基準監督署長の「許可」を受けた場合には労働時間規制の適用から除外されます(時間外労働に該当しない)こ。許可すべきかどうかの判断基準(宿日直許可基準)については、現代の医療にマッチするようなアップデートがなされる予定で、大筋の合意は得られていますが、その内容はまだ確定していません(関連記事はこちら)。

 また、勤務医が時間外に行う症例検討や術式の検討などについて、「労働」なのか「研鑽」なのかを明確にするため、例えば上司が「研鑽を行う」旨を確認した上で「通常と異なる場で研鑽を行う」「白衣の着用を避ける」などし、「労働時間」との混同を避けるような取り組みを行う方向は固められましたが、詳細は明らかになっていません(関連記事はこちら)。

さらに、医療資源を集約してオーバーラップする業務内容を効率化することが生産性向上に向けて不可欠なことから、「病院の再編・統合を進めるべき」との意見が検討会で散見されており、そうした観点での検討も進められる必要がありそうです(関連記事はこちら)。

これらの要素が固まらないままに上限時間のみを確定した場合、「2024年4月の適用時点で蓋を開けてみたら(厚労省通知などを確認してみたら)、地域医療確保がままならないものとなっていた」という事態が生じかねないと各病院団体の代表者は感じているといいます。山本議長は「助かる命が、働き方改革で助からなくなってはいけない。不確定要素の明確化には時間がかかるため、バッファーを置いた上限設定を考える必要があるのではないか」とコメントしています。

10連休、一時的な重症患者割合の低下などにどう対応するのか

なお、10連休問題については、厚労省医政局長が医療提供体制を確保するよう求める通知が発出していますが(関連記事はこちら)、保険制度面では、対応方針がクリアになっていないと山本議長は訴えます。

10連休中は稼働医療機関が減ることになるため、▼一時的に入院患者数が過剰になる可能性があるが、診療報酬はその場合でも減算されてしまうのか▼容態が比較的安定した患者でも退院先・退所先が確保できず、一時的に重症度、医療・看護必要度が下がる可能性があるが、どう考えるのか(2018年度改定で1割以内変動の救済措置が廃止されている)―などの問題が生じかねません。この点について日病協では、2月中に要望書をまとめ、厚労省に提示する考えです。
 


https://www.medwatch.jp/?p=24594
常勤医師が必要か、非常勤でもよいのかを明確にした上で、「医師確保計画」策定を―日医総研 
2019年1月29日|医療現場から MedWatch

 医師確保等のベースとなる医師・歯科医師・薬剤師調査には、現在「兼務医師を重複カウントしている」などの問題があり、「兼務状況の調整」「地元のリアルタイム情報による調整」が必要となる。また、医師偏在解消に向けて都道府県が策定する「医師確保計画」に向けて、各医療機関が求める医師の「業務形態」を明確にしておく必要がある―。

 日本医師会のシンクタンクである日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は1月22日にリサーチエッセイ「医師偏在の解消にむけたデータの活用について―『医師・歯科医師・薬剤師調査』をそのまま活用することの限界—」を公表し、このような提言を行いました(日医総研のサイトはこちら)。

三師調査の活用では、医師の「兼務」状況の調整や、地元情報に基づく調整が必要

医師の地域偏在・診療科偏在がこれまで以上にクローズアップされています。医師偏在はかねてから問題視され、さまざまな対策が採られてきましたが、必ずしも十分な効果を生んでいないと指摘されます。

このため、昨年(2018年)の通常国会で、医師偏在対策を柱の1つとする改正医療法・医師法が成立し、現在、施行に向けた詳細な制度設計が厚生労働省の「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で行われています。都道府県が、地域の状況を踏まえた「医師確保計画」(●年までに○人の医師を、どのような方法で確保するのか)を策定し、医師派遣や地域枠・地元枠などを活用し、偏在を解消していく方向と、その詳細が固まりつつあります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
ところで、医師偏在対策をはじめとした医師確保政策を議論する際、その基礎データの1つとして、厚労省が2年に一度実施する「医師・歯科医師・薬剤師調査」(以下、三師調査)が用いられます。施設の種類別、年齢別、性別、診療科別、都道府県別等に、医師等がどれだけ在籍しているのかを調べるものです。

例えば、医師需給分科会では、新たな医師偏在指標を固めましたが、このベースは三師調査の「人口10万対医師数」です。

また、今年度(2018年度)から全面スタートした新専門医制度については、「医師の地域偏在等を助長する恐れがある」との指摘を受け、三師調査結果との比較が行われました。

このように、非常に重要な基礎データとなる三師調査ですが、2014年までは、勤務地のみを補足するに過ぎず、例えば、A市の大学病院に勤務する医師が、B町の病院で週1回勤務するような場合、B町での勤務はカウントされていませんでした(関連記事はこちら(2014年調査に関する記事))。

そこで2016年調査では、上記例で「B町での勤務」もカウントすることとなりました(さらに2018年調査(本年(2019年)12月公表予定)では宿日直状況も把握)が、依然として次のような課題があると日医総研は指摘します(関連記事はこちら(2016年調査の関する記事))。

▽複数医療機関等で「兼務」している医師は全体の14.8%(4万6978人)おり、単純にカウント(重複カウント)すると、この分「医師が多く」なってしまう

▽重複カウントによって、2次医療圏別、市区町村別、診療科別に細分化していくと、実態との乖離が広がってしまう

 これらの課題は2018年調査では相当程度解消されますが、そのデータが示されるのは、今年(2019年)12月予定であり、当面の最新データは課題のある2016年調査となります。日医総研では、「地域別医師数の分析にあたっては兼務状況の集計結果も活用すべき」「地元(地域の自治体)が把握するリアルタイム情報をもとに三師調査を調整すべき」と提言。

さらに、前述した都道府県による「医師確保計画」策定に向けて、各医療機関で「どのような勤務形態の医師が必要なのか」(自前確保(常勤等)か、派遣(非常勤等)でよいのか、など)を明確にしておくことが重要とも付言しています。「当面は、非常勤の医師を確保できればよい」と考える医療機関が多ければ、確保すべき医師数は少なく済み、当然計画の内容も変わってくるためで、重要な視点と言えるでしょう。
 


  1. 2019/02/03(日) 10:34:08|
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