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6月25日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/540428
真価問われる専門医改革
米の専門医制、「質」重視、研修医数もコントロール
米マサチューセッツ総合病院の島田氏、評価機構で講演◆Vol.1

レポート 2017年6月23日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 米国ハーバード大学マサチューセッツ総合病院の循環器内科指導医の島田悠一氏は6月21日、日本医療機能評価機構の第8回医療政策勉強会で「米国における専門医制度と医師の働き方」をテーマに講演した。

 米国の専門医制度は、初期研修(レジデンシー)と専門研修(フェローシップ)の2階建て。全国・州・病院、それぞれのレベルで、診療科ごとに受け入れ研修医数を決定、マッチングによる選抜を実施しているのが特徴。その数は、研修医1人当たりの経験症例数と指導医数から決定する。さらに、メディカルスクール卒業後に開始する初期研修では、「Teaching Round」という症例ベースの教育を毎朝1~1.5時間かけて実施したり、指導医や同僚だけでなく患者も含めた360度評価を実施するなど、島田氏は「質」を重視した専門医制度の現状を紹介した。

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循環器系を専門とする場合の米国の専門医制度(提供:島田氏)

 専門医資格の更新に当たっては、10年に一度の試験に合格することが必要。米国の医師が専門医資格の取得・更新に努めるのは、保険請求できる額が専門医の方が高いなど、インセンティブがあるためだという。

 医師の働き方については、初期研修をめぐる動きを中心に紹介。医療事故に端を発して、勤務時間や受け持ち患者数の制限が年々厳しくなり、1年目の研修医は週80時間が上限、連続勤務は16時間までなどのルールが設けられた。しかし、これらの時間制限がある場合、シフト制を組まざるを得ず、結果として診療の継続性が保てないなどの問題が指摘され、この3月に「振り子の揺り戻し」で連続勤務を24時間まで認める方針が決定した。日米ともに、医師の働き方は重要かつ解決が難しい課題となっていることが伺えた(『米国の研修医、勤務時間制限を一部緩和』を参照)。

 
 島田氏は、現在34歳。2007年、東京大学医学部医学科卒業。2008年から米国に留学後、内科と循環器内科専門医の資格を取得。2015年から、マサチューセッツ総合病院で循環器内科指導医として勤務する。ジョンズ・ホプキンス公衆衛生大学院修士課程を修了し、公衆衛生学修士(MPH)を持つ。

 講演の骨子は、以下の通り。

◆米国の専門医制度(初期研修、後期研修)の基本
・医学部(メディカルスクール4年)卒業後、初期研修(3~5年)、専門研修(1~3年)を行う。初期研修は、日本の基本領域の専門医研修に相当(2017年6月現在、28領域)。
・ACGME (Accreditation Council for Graduate Medical Education) が研修プログラムの認定などを、ABMS(American Board of Medical Specialties)が専門医試験などを、それぞれ実施。ACGMEは病院からの研修プログラムの認定料、ABMSは医師からの専門医資格認定料などで運営。
・医師は、学会に加入しなくても、専門医の取得は可能。

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ACGME、ABMS、学会、病院、医師の関係(提供:島田氏)

・各病院の診療科別の研修医受け入れ数は、研修医一人当たりの経験症例数(外科であれば手術症例など)と指導医数で決まる。したがって、全国・州・病院レベルで、診療科別の研修医の受け入れ人数に上限がある。年1回、マッチングを実施。「こうした要素を加味することで、診療科や地域による偏在が起きないようにしている」(島田氏)。医師にとっては希望する病院や診療科を選ぶのが、専門医になるための第一歩。

・研修は、基本は同一病院で実施。不足する症例がある場合には、他の病院で研修。
・「内科・小児科コンバインドプログラム」があり、合計4年程度で内科専門医と小児科専門医の両方の研修が可能なプログラムもある。

・「日本のように、症例レポートの提出などはない。研修医の質の担保を、各病院に委ねていることなるので、さまざまな工夫をしている」(島田氏)。
 その一つが、「Teaching Round」。毎朝1時間から1時間半かけて行う。1チーム、1年目の研修医2人、2、3年目の研修医1人、指導医1人という体制で、(1)夜勤帯に入院を受け入れた患者3~5人のうち1人について、控え室で研修医がプレゼンテーション、(2)ベッドサイドで振り返りを実施、(3)控え室に戻り、指導医が当該疾患の鑑別診断や治療法などについて30分くらいレクチャー、(4)15~30分くらい最近の医学トピックスについて話し合う――といった流れになる。他にも多くの教育的カンファレンスがある。
・研修医の質は、評価でも担保。毎月および年次の区切りに評価を実施、一定の基準に満たない場合には、進級できない。360度評価で、指導医、コメディカル、患者など、さまざまな立場からの評価を受ける。

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米国の初期研修1年次の1週間のスケジュール例(提供:島田氏)

・研修プログラムを修了すると、専門医の受験資格を得る。専門医試験に合格すれば、専門医を取得。例えば、内科専門医の場合、それで修了するか、専門研修に進むかという選択肢がある。専門研修でも、病院、州、全国レベルで研修枠が決まる。

・専門研修は、例えば、循環器内科の場合、1カ月ごとに、「心臓リハビリ、循環器病棟、CCU、心臓カテーテール、循環器病棟……」などとローテーション。週5~8時間程度の講義もある。3年目以降は自分が専門としたい分野を重点的に研修。 ・循環器内科の場合、指導医のバックアップの下、4日に1回程度、午後5時から翌朝8時まで当直。その間は、他のフェローの担当患者も担当するため、当直がないフェローは完全にオフになる。「米国の医師の働き方は、オンとオフがはっきりしている」(島田氏)。

◆米国の専門医の更新
・10年に一度、専門医資格更新に合格することが必要。3つくらいの専門医を持っていると、3年に1回程度という頻度で専門医試験を受けることになる。
・専門医維持のために、5年で100単位、10年で200単位などの取得が必要。学会出席、論文の査読、オンラインの講義など、さまざまな単位取得のやり方がある。「臨床医にとって負担は大きいが、最新の知見などを学ぶ機会になる」(島田氏)。

・米国の医師が、専門医取得・更新に努めるのは、インセンティブがあるため。「内科専門医では、循環器内科のフィーは請求できない。循環器専門医の資格を持たない医師が、心臓カテーテル検査を行い、訴訟になれば、必ず負ける。また専門医を持っている診療科しか標榜はできない」(島田氏)。

◆ACGMEの役割
・研修カリキュラムの整備、研修プログラムの認定、質の確保のための訪問査察、匿名アンケート調査などを行う。
・質の確保のための病院への訪問査察は、年に1回、抜き打ちで実施。アポイントなく病院を訪問して、研修医に研修の実際をインタビューする。ACGMEは大きな権限を持ち、研修の基準に違反したら警告、改善しなければ罰金、研修医の募集停止、最悪の場合には研修プログラム認定の取消、という段階的な罰則を講じる。
 「病院は、研修医を受け入れる教育病院であることがPRとなるため、研修自体は経済的には多少マイナスになっても、研修を継続する」(島田氏)。

◆ABMSの役割
・研修プログラム履修要項の作成、専門医試験の問題作成などは各学会が行い、それを基にABMSが試験を実施、専門医認定証の発行などを行う。学会はその対価を受け取る。
・教育関係に従事する医師のキャリアの一つとして、ABMSに出向することもある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540429
真価問われる専門医改革
米国の研修医、勤務時間制限を一部緩和
米マサチューセッツ総合病院の島田氏、「振り子の揺り戻し」◆Vol.2

レポート 2017年6月23日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医療機能評価機構の第8回医療政策勉強会で6月21日に講演した、米国ハーバード大学マサチューセッツ総合病院の循環器内科指導医の島田悠一氏は、米国の専門医に限らず、「医師の働き方」についても講演し、「振り子の揺り戻しが起きている」現状を紹介した(専門医制度の概要は、『米国の研修医、勤務時間制限を一部緩和を参照)。

 米国では初期研修について、勤務時間に制限があり、1年次の研修医の場合、連続勤務は16時間が上限だったが、2017年3月に2、3年次と同様に、「24時間勤務」を可能とする方針が打ち出された(7月から実施)。16時間の上限では、自分の診断や治療の結果が正しいかなどを、記録ではなく自ら経験できる機会を逸するなど、診療の継続性が保てないことが問題になっていたからだ。勤務時間の上限緩和に先立ち、ランダム化比較試験を実施、「勤務時間制限を緩めても、診療の質には影響しない」という結果は、2016年のNEJMに掲載された(NEJM.2016 Feb;374(8):713-727)。

 「研修医の勤務時間については、米国も試行錯誤している。長すぎると過労になる一方、短すぎると十分な研修ができない。どこかにスイートスポットがあるのだろう」(島田氏)。

 なお、指導医には、勤務時間の制限はなく、病院との契約時、外来、入院患者の担当目標数を決めるのが一般的だ。また研修医の勤務時間の制限に伴い、指導医クラスにしわ寄せが行ったという経緯もあり、それは今でもあるという。島田氏は、研修医か指導医かを問わず、医師の勤務時間短縮には、「医師でなくてもできる仕事は、医師以外に移譲するのが、解決策ではないか」と見る。

 
 900床規模、内科研修医は120人

 米国で、研修医の長時間勤務が問題になったのは、1984年のニューヨークの病院で発生した「リビ-・ジオン事件」がきっかけ。救急外来を受診した患者が医療事故で死亡、患者家族が病院や担当医らを提訴。担当した研修医は36時間連続勤務だった。「1986年のニューヨーク州高位裁判所の判決は、研修医の過重労働が悪影響を与えていると判断した、画期的な内容だった」(島田氏)。

 その後、各州で順次研修医の勤務時間の短縮が進み、2003年にACGMEが「週80時間労働規制」を導入。「20年の時を経て、ようやく全米に広がった」(島田氏)。

 今年3月の見直し前のルールは、(1)週当たりの勤務時間は80時間以内、(2)初期研修の2、3年次の研修医の連続勤務は、「24時間+3時間の引き継ぎ」、(3)初期研修の1年次の連続勤務は、16時間まで、(4)勤務と勤務の間は、8時間以上空ける――という内容。外来と入院ともに受け持ち患者数に制限があった。

 下図は、研修医の働き方の例。「非当番日」は、朝6時から午後5時まで、「当番日」の場合は、朝6時から午後8時までの勤務。例えば、4人で1チームを組み、「非当番日」は、午後5時の時点で勤務が終わるが、「当番日」は、他の3人の研修医の受け持ち患者も担当する。午後8時になると、夜勤チームに引き継ぐ。

 このようなシスト体制を組むことができるのは、例えば900床の病院で、内科研修医だけで120人もいるなど、医師数に余裕があるためだ(1年次から3年次までの合計)。

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米国の初期研修1年次の勤務形態の例(提供:島田氏)

 シフト制、「主治医としての責任感に育ちにくい」

 シフト制は、勤務時間の短縮になるものの、問題も生じている。それが「診療の継続性」だ。例えば、日中に自分が処方した薬が、夜間に現れると想定されても、午後5時には勤務が終わるため、結果を追いにくい。「『この患者のことは、自分が一番よく知っている』『患者の責任は自分が持つ』という覚悟を、医師になりたての頃に育てることが重要。シフト制では、主治医としての責任感が育ちにくい」(島田氏)。

 「診療の継続性」の問題は、多くの病院で生じており、全米の外科医4330人を対象に、ACGMEの勤務上限遵守群と緩和した群に分けたランダム化比較試験が実施された。その結果は、NEJMに掲載された。プライマリエンドポイントを、患者の死亡もしくは重篤な合併症発症として見たところ、非劣性だった。それを踏まえ、1年次でも「24時間連続勤務」が可能になった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540789
日医代議員会
医師偏在対策、カギは「地域医療構造の医師版」、中川副会長
第140回日医代議員会、「喫緊の課題は医師の偏在解消」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、医師不足問題について、絶対数は近く充足する見込みであり、「喫緊の課題は、医師の偏在解消」と指摘。2015年12月の全国医学部長病院長会議との合同の緊急提言を精査・進化させ、地域医療支援センターの強化、医学部の地域枠や地元出身枠の拡充のほか、「地域医療構想の医師版」の作成という3点に取り組む必要性を指摘した。

 「地域医療構想の医師版」とは、医師の必要数を地域ごと、診療科ごとに将来推計し、医師需給の「見える化」を図ること。中川副会長は、「新たに医師になる世代に、自らのキャリアを検討、判断するツールを提供できると考えている」と述べ、「行政から強制的に配置されるのではなく、医師自らが選択することを最後まで守っていきたい」と強調した。

 「喫緊の課題は、医師の偏在解消」との現状認識は、厚生労働省の関係審議会の見解ともおおむね一致しているほか、この6月に政府が閣議決定した「骨太の方針 2017」でも、「医師養成数のさらなる増加ではなく、2008年度以降臨時増員してきた医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえて精査を行う」としていると説明(『「医学部定員増、精査を」、骨太2017素案』を参照)。

 代表質問で、医師需給や偏在について、「日医主導による意見集約」を求めたのは、埼玉県代議員の金井忠男氏。金井氏は、現状の問題点として、病院勤務医が、過酷な労働環境に耐えられず、開業の道を選ぶことなどを挙げ、勤務医不足の解消が、喫緊の課題であると指摘。しかし、病院と診療所では意見の相違がある上、四病院団体協議会では医師養成強化を続けるべきと主張していることから、「日医のリーダーシップのもと、医師不足解消のための意見を統一すべき」と日医の見解と質した。

 医師増の要望、「病院経営者の危機感も」

 中川副会長はまず、「日医は、大勢として医師の絶対数は充足していくと考えている」と説明。その理由を以下のように説明し、この現状認識について日医がリーダーシップを取り、四病協や全国医学部長病院長会議と共有していくと表明。

 日医は、病院の医師不足の実態について、2008年と2015年に病院に対してアンケートを実施。この間、病院医師数は年平均約2%増えたものの、アンケートの結果、病院の必要医師数は、いずれの時点でもその時点で在籍する医師数の約1.1倍で減少傾向は見られなかった。必要医師数が1倍を超えているのは、「医療の高度化や、病院間の競争が激しくなっており、より多くの医師を確保して、生き残りを図りたいという病院経営者としての危機感もあるためかと思われる」(中川副会長)。

 また今後の高齢化の進展に伴い、医療需要が増加するという見方もあるものの、日医調査では、現在の100床当たり医師数は、急性期機能のみの病院と比較して、回復期機能のみの病院では約半分、慢性期機能のみの病院では約3割にとどまるという。高齢化で回復期、慢性期の医療需要が増えれば、全体の必要医師数はやや抑制される可能性があるほか、医療安全を最優先に位置付けつつ、今以上に多職種の連携も進むと見通した。

 「もちろん、ライフワークバランスの実現を目指した働き方改革を踏まえると、現状の病院勤務医は過重労働で、勤務医の負担軽減は引き続き重要な課題。一方で、これからは2008年度以降の医学部定員増による医師が大挙して医療現場に加わってくる」(中川副会長)

 「かかりつけ医の負担軽減も大事」

 以上のような現状認識を踏まえ、地域および診療科の医師偏在対策として、以下の3点に取り組んでいく必要性を指摘した。

(1)全国の地域医療支援センターの実効性を向上させる。2015年12月の緊急合同提言で、一歩進んで、各大学への「医師キャリア支援センター」の設置を提言したが、まずはその土台となる地域医療支援センターの機能の強化が必要。同センターの機能や運用は全国でさまざまであるため、日医が情報収集、意見交換を行い、好事例を速やかに全国展開できるよう支援。

(2)医学部の地域枠あるいは地元出身枠の拡充。地域に生まれ、地域に愛着を持つ医師の地元定着率が高いことは、厚労省の審議会などでも報告されている。

(3)医師需給の「見える化」を進める。例えば、地域医療構想では将来の患者数から病床の必要量を構想区域ごとに計算し、将来の見通しを示している。同じように将来の医療需要、つまり患者数に対する医師の必要数を、地域ごと、診療科ごとに推計すれば、新たに医師になる世代に自らのキャリア設計を検討、判断するツールを提供できると考えている。

 さらに中川副会長は、「過去10年間に病院の医師が3万1000人増加したのに対し、診療所開設者の増加は約1200人の増加にとどまっている」と説明。都市部では、医療モールなどの展開もあって、診療所が多い地域もあるものの、地方では医師自身の高齢化もあり、地域包括ケアシステムの構築に向けて、かかりつけ医の確保が課題となっているとした。「医師の不足、偏在の問題については、病院勤務医の負担軽減を念頭に置きつつ、同時にかかりつけ医の負担軽減も大事にしていきたいと考えている」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540329
地域医療の現場
夢見た地域完結の医療、「今は無力感と脱力感」 - 花輪峰夫・秩父病院院長に聞く◆Vol.1
「断らない救急、いつまでも強いるわけにはいかない」

レポート 2017年6月23日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 少子高齢化、人口減少が進み、日本全国で都市部も地方もそれぞれが変化が求められている。医療提供体制では団塊の世代が後期高齢者になる2025年に向けて、行政主導で改革の枠組み作りが進んでいる。一方で、政策的な思惑とは別に、各地で脈々と息づく地域医療の歴史がある。

 m3.com編集部では、地域医療の現場を取材する新企画をスタートさせる。現場の知見や取り組み、医療者の思いなどを紹介していく。第1弾は埼玉県秩父市にある医療法人花仁会「秩父病院」(1887(明治20年)設立、一般病床52床(10対1入院基本料)、13診療科、常勤医8人)の花輪峰夫院長に、秩父の救急医療や医師養成の在り方について話を聞いた(2017年5月24日インタビュー、全2回)。

――2017年4月1日に書かれた花輪先生のブログ記事「救急医療に対する今後の当院の方針」について、どのような背景、思いがあったかをお聞きしたと思います。
「救急医療に対する今後の当院の方針」
 地域医療計画の中で、当院の方針は大きな進路変更はしないこととしました。ただ、夜間と休日の救急診療については、来年度(平成30年度)より段階的に縮小させて頂きたいと考えています。
―中略―
 今、私は秩父地域の救急医療の現状を冷静に判断し、自分の考えをリセットしようと思っています。仮に当院が二次救急を完全に辞退したとしても、より広域的な救急医療体制が確立している今、大きな混乱は起こらないでしょう。
 得意分野に集中し、守備範囲外はより迅速に、より広域的に紹介・搬送する。これが患者にとって最も益のあることと思うのです。救急医療で大事なことは無理な地域完結でなく、適格なトリアージであると思うことにしました。地域完結を夢見てきましたが、今は無力感と脱力感、諦めの境地の中で、これが45年間、秩父の救急医療に関わって来て到達した、現時点での私の正直な気持ちです。

花輪峰夫氏 秩父地域は日本でも先駆けて、開業医の小さな病院の先生たちが有志で、夜間輪番制を作りました。当院も1887(明治20)年の開設当初から、普通の診療として当たり前のように救急医療を行っていました。1965年に救急告示医療機関となり、1976年にできた二次救急夜間輪番システムにも最初から参加し、半世紀以上にわたり救急医療に携わってきました。

 輪番システムには当初、7病院が参加していましたが、現在は3病院になっています。やはり救急体制を維持するのは困難ということでしょう。当院は水曜日と、ローテーションで回ってくる土日曜日を担当しています。当番日は外科系の先生が1人と勉強のため研修医が1人が当直に当たります。また、22時までは小児救急として医師会の先生に手伝っていただいています。

――何人の医師で担当しているのでしょうか。

 大変なのは人員の確保です。水曜日は、常勤の外科医4人と埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)、総合医療センター(埼玉県川越市)の救急の先生に来てもらって、回しています。水曜日以外の院内当直もあり、現場の職員の負担は大きいです。

 患者数はバラツキも大きいですが、平均して一晩に20-30人、そのうち入院に至るのは2人程度です。多くは緊急性の低い患者ですが、重症者で多いのは脳卒中と心臓病と大血管系の疾患です。しかし、当院も含め、秩父で脳卒中や心筋梗塞等は対処できないので、救急車で1時間弱の国際医療センター等にお願いすることになります。その手配も医師がやりますし、搬送時に患者について行くこともあります。当直医がついて行く場合には、代わりの医師が出てこなくてはなりません。

 採算面を考えればうちのような小規模な病院にとって、大変な負担であることも事実です。脳卒中や心筋梗塞が対処できるのであれば、救急でもペイできるかもしれませんが、重症患者の大半は転送先を探すことになります。

――秩父地域の救急医療はどのように変わってきたのでしょうか。
 私の考え方もあって、うちのスタッフたちには「医者なんだからなんでも診ろ。絶対に断るな」と言っていますが、大変です。それをいつまでも強いるわけにはいきません。私自身も、水曜日はいつでも出られるように自宅で待機しています。今年の12月で70歳になりますが、果たして次の世代に引き継いでいけるか。

 そういう大変さもスタッフが多い昼間はカバーできますが、夜間の重症患者に対応すると、地域から医師も救急隊もいなくなってしまう。6年前に現在の土地に移転しましたが、理由の半分は病院併設のヘリポートを作るためでした。昼間であれば、7分で国際医療センターに行けます。

――「無力感と脱力感、諦めの境地」というのはどのようなお考えからでしょうか。
 私が秩父の医療に初めて関わった1973年ころは救命救急センターもなく、地域の医療機関や医師同士が助け合いながら、地域で完結すべく懸命に努力していましたし、最近までそのように頑張ってきたつもりでいます。

 地域完結型医療を45年間目指してきて、今も諦めたわけではないですが、医療の進歩や個々の守備範囲の縮小などにより、医療全般にわたり、地域内での対処可能な症例は少なくなっている。つまり秩父地域の医療は中央の進歩に対し、遅れを取っていると言わざるを得ません。

 一方で、医療連携の取り組みも進み、最近では後方病院もずいぶん引き受けてくれるようになりました。秩父地域では年間380件ほど対応できずに管外搬送しています。そのうち50件程度は当院です。ある時、消防の人に聞いたら、それとは別に、年間計600件以上は、救急隊の判断で、管内の医療機関を通らず管外に連れて行っているそうです。

 無力感というといじけたみたいですが、救急救命士が気管挿管ができるようになったり、広域的なシステムができ上がったり、システム面の改善も進んでいます。何も、今までのように自分たちで完結させようとせずに、広い目で考えればより良い医療を患者さんに提供できるようになってきています。

――「段階的に縮小」というのはどのようなことでしょうか。
 具体的なことを決めているわけではなく、ぽんっと空けてしまうわけにはいかないので、今から準備してもらうためにブログで書きました。今年の秋頃には、来年度の輪番の予定が決まります。それまでに医局会を開いて相談しますが、「我々が頑張ります」と言ってきたら、現在のままかもしれません。いずれにしても救急告示病院としての最小限の使命は果たして行ければとは思っています。

――どのような救急医療が望ましいとお考えでしょうか。
 医療は社会保障であり、救急医療はその最たるものです。自治体病院がより多くの責務を負って行くべきと考えます。このことに税金が使われても、市民の誰しもが納得するでしょう。現状のような一般会計からの繰り入れも当然と思われます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540261
地域医療構想
「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認
地域医療構想WG、「過剰な病床機能への転換」も制限

レポート 2017年6月23日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は、6月22日の第6回会議で、地域医療構想調整会議の議論の進め方について議論、病院の新規開設や増床等の計画が判明した場合は、開設等の許可を待たずに、調整会議への参加を求め、計画の詳細を確認する方針を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 医療法上の基準病床数を下回る2次医療圏であれば、開設等は可能。ただし、例えば、2025年において急性期機能が不足していない地域で、急性期機能の開設等を希望する場合、調整会議で確認、それを基に都道府県の医療審議会において、開設等の許可に当たって何らかの条件を付与するか否かなどを検討する。地域で担う機能が大幅に変更する場合も同様に、調整会議での説明を求める。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「調整会議では、各構想区域内で、長年医療を提供してきた医療機関同士が相談して協議している。アンダーベッド(病床不足地域)の場合に開設を求めてきた場合、調整会議と医療審議会で、『ノー』という結論はあり得るか」と質問。厚労省医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「議論の内容によるが、それによって再考することはあり得る」と述べ、今後、実際に該当事例が生じた場合には、厚労省としても相談に応じていくとした。

 さらに「過剰な病床機能に転換しようとする計画」があった場合の調整会議での取り扱いも明確化。例えば、下図の場合、「X年度」と「X+1年度」の病床機能報告の医療機能を変更すれば、法的には「過剰な病床機能への転換」には当たらない。しかし、地域医療構想の実現には支障が生じかねないことから、調整会議へ参加し、説明を求める。

 
 「慢性期機能」、議論は3パターン
 22日のワーキンググループでは、調整会議における「慢性期機能」を担う病床に関する議論の進め方も整理。2016年度の病床機能報告制度によると、2025年の「病床の必要量」との比較で、3パターンに分類できる。特に問題となるのが、「ウ」。介護療養病床は2017年度末が設置期限だが、6年の経過措置がある。介護療養病床を除いてもなお、「慢性期機能」が「病床の必要量」を上回る場合、厚労省は、介護療養病棟と医療療養病床に続き、「一般病床(13対1、15対1入院基本料など)等の役割についても確認」という議論の進め方を提案。これに対し、全日本病院協会副会長の織田正道氏からは、「13対1、15対1」への言及について、削減への「圧力」とも受け取れるとの指摘が出た。

 なお、特に「慢性期機能」では、6月単月の実績報告では、入退院の実態が把握できないため、2017年度の病床機能報告制度からは、4つの医療機能とも、年間の入退院の報告を求める。

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(2017年6月22日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

 「地域医療構想は、天気予報」
 調整会議の具体例として、岩手、静岡、佐賀の3県の取り組みも報告された。

 「地域医療構想は、天気予報」とユニークな表現で説明したのが、佐賀県。予報する側の行政は精度を高め、分かりやすく伝える一方、予報を基に行動を判断するのは、各医療機関であるためだ。2015年度に地域医療構想の策定を終えた同県は、地域医療構想の構想期間を3期に区分。フェーズ1が2016~2017年、フェーズ2が2018~2020年、フェーズ3が2021~2024年だ。フェーズ1では、県全体で2回、各構想区域で2回、それぞれ調整会議を開催。地域医療支援病院である伊万里有田共立病院が、「急性期機能」の一部を転換し、ケア・ミックス化を検討したが、調整会議で再考を求めるなど、他県の調整会議の多くが「情報共有」にとどまる中、一歩踏み込んだ調整を実施している。

(2017年6月22日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)(略)

 岩手、静岡の両県も、さまざまなデータを分析し、関係者の共通理解を図っている現状を紹介。多くは厚労省が提示したガイドラインに準拠したものだが、静岡県は、在宅医療や地域包括ケアの担い手の現状把握のため、独自に「診療所医師」の年齢構成なども分析した。

 もっとも、岩手県や佐賀県では「急性期指標」を用いた分析も行っていたため、中川氏は苦言を呈した。「急性期指標」とは、4つの医療機能のうち、「急性期機能」の役割を定量化して示すために、検討されている指標。しかし、病床機能報告制度が病棟単位である一方、「急性期指標」は病院単位であるなど、いまだ研究途上で、同指標を現時点で使うには問題があるとされている(『「急性期指標」、「見える化」の第一歩だが、注意必要』を参照)。中川氏はこれらの問題点を挙げた上で、「急性期指標を使わないよう、(都道府県に)通知してもらいたい。せっかく全国各地で、(地域医療構想の実現に向けて)自主的に収れんしていくシステムができたのだから、これを壊すことはやめてもらいたい」と語気を強めた。

 これに対し、佐々木課長は、「急性期指標」については病棟単位にする研究も進められていると説明、その上で調整会議は、一つのデータではなく、多面的なデータを基に、議論していく場であるとして、理解を求めた。それでも中川氏は、「多面的なデータの一つとしても、使わないでほしい。(問題点を修正し)バージョンアップして初めて使えるものになる」と釘を刺した。さらに中川氏は、いまだ「回復期機能が非常に不足している」との誤解も正すことを努めるよう、厚労省に要求(『地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」』を参照)。

 地域医療構想は、47都道府県で2016年度内に策定を終えた。2017年度以降は、都道府県別、構想区域別の地域医療構想調整会議で、いかに関係者が話し合い、同構想を実現するかが課題になっている。本ワーキンググループでは、5月以降、6月22日までに計3回の会議で、2017年度の病床機能報告制度や調整会議の在り方について議論した。近く開催予定の親会「医療計画の見直し等に関する検討会」に報告する予定。

 さらに厚労省は近く、調整会議の進捗状況を把握するため、都道府県への調査を実施する。(1)調整会議の開催状況(構想区域毎)、(2)データ共有の状況等(構想区域毎)、(3)具体的な機能分化・連携に向けた取り組み(5疾病5事業および在宅医療等の中心的な医療機関が担う役割、新公立病院改革プラン、特定機能病院の役割など)、(4)調整会議での協議が調わない場合の対応、(5)地域住民・市区町村・医療機関等への普及啓発の状況――だ。結果は次回以降の本ワーキンググループに報告する予定。




https://www.m3.com/news/iryoishin/539307
地域医療構想「大学病院は別枠で」
医学部長病院長会議、大学病院の位置づけ明確化を要望

レポート 2017年6月20日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全国医学部長病院長会議は6月19日、東京都内で記者会見を開き、「地域医療構想における大学病院本院の位置づけに関する提言」を5月26日に厚生労働省に提出、6月2日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で報告したことを説明した(『地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」』を参照)。同会議が実施した調査では、今年度から具体的な病院名を出して病床数などを検討する地域医療構想の調整に当たって、「大学病院は一般病院と別枠でお願いしたい」などとする医学部長、病院長の意見が明らかになったと報告した。

提言の内容は以下の4点。

1.大学病院本院の地域医療構想を明確にすること。

2.大学病院本院が「地域医療構想」における構想区域を超えた、より広範囲の地域の住民を対象として、専門性の高い医療を提供していることから、その実情を踏まえ、地域医療構想調整会議において、その担うべき役割について十分に議論すること。

3.大学病院本院が所在している構想地域及びその周辺の地域医療計画においては、それを配慮して地域の病床構想を検討すること。

4.大学病院本院からの病床機能報告については、地域の他施設の病床と単純に合算するような対応は行わず、その特殊性を十分勘案した上で、集計するように配慮すること。

 同会議が2017年4月にまとめた「大学病院の地域医療構想及び地域包括ケアへの取組に関する調査」(中間報告)の一部も説明した。地域における地域医療構想の策定過程に対する大学および大学病院の構成員の参画状況では、(1)都道府県レベルでの「医療審議会等」には、「なし」が19大学、(2)都道府県レベルの「作業部会等」には、「なし」が26大学、(3)地域医療構想調整会議には、「なし」が15大学だった。大都市部にある大学ほど「なし」が多かった。調査をまとめた経営実態・労働環境WG座長の海野信也氏(北里大学病院長)は、「『ない』ことは良し悪しの問題ではないが、都心部で大学が関与できていないのが見えてきた」と解説した。

 調査で、自由記述で尋ねた「地域医療構想策定過程の問題点」として各大学から挙がってきた意見のうち、「大学の不安が表れている」(山本修一・千葉大学医学部附属病院長)として、配付資料で強調していた記述は以下の通り。

・高度急性期を担う大学病院としての立ち位置が不明確。

・大学附属病院や大規模一般病院が近隣に集中しており、行政による機能分化の采配がある程度必要と思料する。

・大学病院の位置づけは総論では理解されていると思われるが、病床数など具体的な話となると、さまざまな問題が生じる可能性がある。

・大学病院のような教育、研究機関については、厚労省で示している病床機能の分け方で分類し、病床配分できるものではない。

・大学病院は県内の全ての医療圏、並びに県外からも患者を引き受けており、医療圏ごとの病床数という考え方が適応されない。

・特定機能病院および教育病院としての大学病院の立場が考慮されるかどうかは不明なまま。

・大学病院を含め、関係施設・関連団体の意見が十分反映されているか、やや疑問。

・当院の患者は全体の54%が2次医療圏外から来院しており、2次医療圏ごとの策定には疑問。
・現行の2次医療圏を原則としているため、現実の患者の流れと一致していない。

・大学病院は一般病院と別枠でお願いしたい。



https://www.m3.com/news/iryoishin/539306
42国立大学病院、消費税補填不足額、3年間で514億円
「状況はいよいよ深刻」、国立大学附属病院長会議が推計

レポート 2017年6月20日 (火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は6月19日、東京都内で記者会見を開き、2016年度国立大学附属病院決算報告(見込み)を公表、消費税補填不足が3年間で514億円に達し、厳しい経営状況が続いているとし、「状況はいよいよ深刻化している」と訴えた。

 国立大学附属病院(42大学45病院)の2016年度決算概要(見込み)では、収入全体は1兆1691億円で、2015年度より224億円増加。内訳は病院収入が1兆511億円で、同364億円増。運営費交付金は1050億円で同71億円の減少だった。

 支出全体は1兆1552億円で、内訳は人件費が4374億円で2015年度比126億円増。看護職員の増加や人事院勧告を受けてのベースアップの影響で増加した。医療費は4495億円、その他(物件費等)1843億円、借入金償還費840億円だった。

 収支全体では2015年度比37億円増の139億円の黒字となったが、同会議常置委員会委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)は、「投資を抑制するなどして、どうにか黒字に持ってきているが、それでも(黒字幅は)1%程度。厳しい経営状況には変わりはない」と訴える。

 投資額は近年で最も多かった2013年度の658億円から314億円に減少。減価償却費とのギャップも約400億円に拡大しており、「年々、老朽化が進行している。必要な設備投資ができないと高度医療の提供という使命が果たせない恐れが出てくる」と危機感を募らせた。

 2014年度の消費増税に伴い、さらに深刻化している控除対象外消費税の問題では、2014年度からの3年間で514億円の補填不足が生じていると説明。「状況はいよいよ深刻化している。経営努力でどうにかなる数字ではないことを改めて強く訴えていきたい」と主張した。

 6月15、16日に開催した国立大学附属病院長会議総会では、初めての試みとして「ガバナンス体制」「地域医療構想」「医師の労務管理」の3つのテーマでグループディスカッションを行ったと報告。「例年は『会議らしい』会議だったが、今回は活発な議論を交わして、方向性が見えてきた」と報告した。



http://www.medwatch.jp/?p=14315
若者の人生変える恐怖の請求額―日米病院、ここが変だよ(1)
2017年6月19日|医療現場から MedWatch

 日本と米国の病院は、制度や組織、そこで働く医療従事者たちの考え方も大きく異なります。そのため、双方にそれぞれが学ぶべき点がある一方、理解できない点もあります。そんな日本と米国の病院における「ここが変だよ」というポイントについて、日米の医療や制度について研究するとある米国の医師が、日米双方の視点から解説します。初回は、若者だったら人生が変わってしまうほどの高額請求をされることもある、米国の医療費についてです。

ここがポイント!
1 入院1日で110万円の支払い
2 会計窓口なし、いくらかかるかも分からない

入院1日で110万円の支払い

 筆者が日米の医療や制度を比較し、最も興味を持っているのは「バラつき」です。中でも、「日米における術後アウトカムのバラつき」に関する研究(図表1)は、米国では医療費のバラつきが大きいが、日本は術後死亡率や術後合併症などの医療の質におけるバラつきが大きいことが分かり、衝撃を受けました。米国の医療費は、具体的にどういった問題を抱えているのでしょうか。

(図表1)日米における術後アウトカムのバラつき(略)
 米国は国民皆保険制度や高額療養費制度がある日本と異なり、無保険者もいれば、高額な医療に対する支払い額の上限もありません。例えば、無保険者が急な腹痛で病院に6時間ほど滞在し、画像検査と診察、薬の処方を受けて帰宅したとします。それだけで、いくらの支払いになると思いますか。処置内容や病院にもよりますが、筆者が入手した請求書には120万円と明記されています(写真1)。ある日本人が米国で盲腸となり緊急手術をした際は、2日の入院で280万円を請求されたといいます。

(写真1)ある無保険者が受け取った請求書(略)

 それでは、保険に入っている人ならどうか。入手した請求書を見ると、虫垂切除の手術を受けて在院日数1日で総額550万円。このうち、保険会社の支払いは440万円なので、患者の個人負担は110万円となります。請求額の内訳を見ると、入院した病室は1日50万円、術後2時間休憩したリカバリールームの部屋代が75万円と、かなり高額な内容になっています(写真2)。米国は請求に応じない患者も多いため、病院によっては料金を限界まで引き上げて請求してくるケースも少なくありません。

(写真2)虫垂切除術をしたある保険加入者が受け取った請求書の内訳(略)

 日本では高額療養費制度があるため、保険の範囲内であれば、どんなに高額な医療を受けても、患者の自己負担分は月額8万円程度を超えることはありません。これに対して、米国ではたった1日の入院でも100万円を超える請求があるのは決して珍しいことではありません。つまり、米国ではたまたま軽い病気で入院してしまうと、保険加入者であっても突如100万円規模の支払いを抱えることになります。支払い能力が低い20歳くらいの若者であれば、人生を変えてしまう事態にもなりかねないのです。

会計窓口なし、いくらかかるかも分からない


 上限のない支払いに加えて患者たちを不安にさせるのは、料金がその場で分からず、必ず後から請求されるということです。

(写真3)日本の病院に当然ある会計の窓口は米国の病院には存在しない(略)

 日本の病院では、どのような処置や手術でどれくらいの費用がかかるのかを事前にある程度は予測できますし、会計の窓口などで詳しい説明を受けることもできます。しかし、米国の病院では、基本的に日本の病院のような会計窓口がそもそもありません。「どれくらいの費用がかかるのか」「あの治療や薬は本当に必要なのか」などと病院で患者が思っても、その場の医療従事者の誰もがそれについて明確な答えを持っておらず、後日電話で問い合わせても、誰も答えてくれません。ただ、いくらになるか分からない請求書を待つことしかできないのです。

 医療費においては、やはり米国と日本を比較すると大きな違いが見られます。特に、上記のような米国の状況を知れば知るほど、上限額が定められ、国民皆保険制度ですべての国民が同じ価格で医療を受けられるというメリットは、かなり大きいと言えるでしょう。



http://www.medwatch.jp/?p=14318
良くも悪くもあくまで「ビジネス」―日米病院、ここが変だよ(2)
2017年6月20日|医療現場から MedWatch

 米国医師である筆者が日本と米国の病院における「ここが変だよ」を考える連載。2回目は、良くも悪くも一営利企業の「ビジネス」と割りきって展開される米国の病院について、日本の病院と比較しながら具体的な事例を見ていきます。

ここがポイント!
1 なぜ病院の食堂でジャンクフード?
2 ビジネス視点で誕生した「さまよう皮膚科医」

なぜ病院の食堂でジャンクフード?

 筆者がまず、日本の病院を「うらやましい」と思うのは、病院の食堂で出されるメニューです。写真1が米国の病院、写真2が日本の病院のメニューです。一目瞭然かと思いますが、米国の病院のメニューはカロリーやコレステロールが高そうな「ジャンクフード」のようなメニューばかりで、日本の病院は野菜の緑も多く、体に良さそうなメニューが多いです。医師が「塩分や油の多い食べ物は避けましょう」と言っても、病院の食堂が写真1のような状態では説得力がありませんし、いくら病院で特別食などを出しても、患者家族が食堂で写真1のような食べ物を購入し、患者に与えてしまえば、全く意味がありません。

(写真1)米国の病院にある食堂のメニュー一例 (略)
(写真2)日本の病院にある食堂の一般的なメニュー(略)

 食堂で出されるメニューに限らず、こうした信じがたい光景が米国の病院で見られる背景には、米国の病院は、あくまで「ビジネス」という立場にあることが大きいです。米国の病院は、利益を出すためコスト削減への意識が非常に高い傾向にあります。食事のほか医療材料、薬剤など病院で用いるあらゆるものをできるだけ低コストに抑えようとします。結果、写真1のようなメニューになっていると、筆者は考えています。

 こうしたビジネスライクな光景は、医師への報酬などでも見られます。代表的な例は、医師の技術料に対する「ドクターフィー」ですが、最近では医師それぞれに対する患者の満足度に応じてボーナスを決める仕組みがトレンドです。純粋に患者満足度を高めることに異議はないと思いますが、患者へ行った満足度のアンケート結果などを見ると、この仕組みが必ずしも歓迎すべきものではないことが分かります(図表1)。例えば、「受付嬢が笑顔」「待ち時間が短い」など医療の質と全く関係がないことに満足を感じていたり、医療の質においては「薬をたくさんくれた」「他の医師がしない検査をしてくれた」など過剰医療に満足感を得ている可能性も否定できません。つまり、ボーナスというインセンティブが、医療をあるべき方向とは違う方向へ導いてしまう危険性があるということです。

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(図表1)米国の患者満足度に関するアンケート結果の一例

ビジネス視点で誕生した「さまよう皮膚科医」

 ただ、「ビジネス」の感覚が必ずしも好ましくないわけではありません。

 米国最大級の病院グループ企業である「Kaiser Parmanente(カイザーパーマネンテ)」は、保険会社でありながら、独自の病院などの医療施設を所有して運営しています。カイザーの保険に加入している患者は基本的にカイザーの傘下病院で診る仕組みになっており、カイザーグループの保険に加入する患者が増えて医療費がかかればかかるほど、それだけグループの保険会社の支出が増え、グループ全体の利益を圧迫する仕組みになっています。

 従って、いかに入院しないように予防医療のレベルを高めるか、入院しても早期に退院させることはできないかなど、さまざまな工夫がなされています。最近、カイザーを見学して面白かった話として、「Roving Dermatology」があります。これは日本語に訳すと「さまよう皮膚科医」みたいになりますが、カイザーのコスト削減戦略の一つになります。

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(図表2)Roving Dermatology(さまよう皮膚科医)とは

 通常、皮膚の疾患の初診は、一般内科の診察を受けた上で、皮膚科の専門医につなぎます。ただ、皮膚の疾患は専門家が一目見れば、治療方針をすぐに決定できるものがほとんどです。従って、一般内科医の診察というワンクッションを置かず、外来で皮膚科医が文字通り「さまよう」ことで、皮膚科の専門知識が必要な患者がくればその場で診察し、治療方針も決めて、それを一般内科医がオーダーするというところまでします。こうすることで、皮膚科の外来診療の多くが効率化される一方、一度の通院で済むため患者負担も軽減されます。

 「ビジネス」の視点が医療を好ましくない方向へ導く可能性があることは否定できません。しかし、それが医療と経営の質向上に結びつけている事例も多数あります。そういう意味では、トライアンドエラーを繰り返しながら、良くも悪くもビジネス感覚が医療の進化に一役買っているのが、米国の病院の特徴の一つと言えそうです。



http://www.medwatch.jp/?p=14321
本当に必要?糖尿病の「教育入院」―日米病院、ここが変だよ(3)
2017年6月21日|医療現場から MedWatch

 日本と米国の病院における「ここが変だよ」を考える連載。3回目からは日本の病院の「ここが変だよ」を考えます。米国の医師免許を取得した筆者が来日し、まず日本の病院を見て疑問に思ったのは、糖尿病患者に対して行われる「教育入院」です。

ここがポイント!
1 健康管理は自己責任じゃないの?
2 病院は危険な場所との意識変容を

健康管理は自己責任じゃないの?

 教育入院とは、患者やその家族に糖尿病を正しく理解してもらうことを目的としたもので、医師、糖尿病療育指導士、管理栄養士、薬剤師、看護師などが患者の教育に当たり、2泊3日コースから2週間のコースなどに分かれて入院できるシステムです。費用は健康保険が適用され、医療機関や入院期間・検査内容によって異なりますが、一般的には3割負担として1日当り1万円程度かかります。

 まず、筆者は「教育」と「入院」という言葉の組合せと、提供内容が一致していないという印象を受けました。

(写真1)米国では糖尿病の「教育入院」は存在しない※写真はイメージです(略)

 米国でも患者に正しい知識を提供する講座を外来などで提供することはありますが、入院させてまで行うことはありません。米国では、外来の講座に来なかったら、「ただそれだけのこと」というスタンスです。なぜなら、米国では「自分の健康は自分で守る」という意識が高いためです(ただ、全く気にせずピザを食べまくる肥満の方も多いです…)。前回の米国の病院の記事でも指摘しましたが、米国では病気になってしまったら、その先には高額請求が待っているかもしれません。

 提供内容が一致していないと感じるのは、教育入院は治療の一環のシステムである前提の一方、コース別にパッケージ化してある上に、その選択権は患者側にあるためです。さらに、これが糖尿病疾患のためだけのシステムであり、他疾患などにはない特殊なものであるところにも、筆者は疑問を感じます。

 実際に教育入院のプログラムを見てみると、午前中は尿検査だけだったり、半日の間で何のプログラムもない日があったり、土日は何の予定もないのに入院していたりなど、内容が薄いと感じる項目があったり、医療の提供側の都合でプログラムが組まれていると考えざるを得ない内容が散見されます。ベッドという固定費をどう活用するのか、そこからどう収入を生むのかを考えた結果のシステムである可能性もあります。

病院は危険な場所との意識変容を

 筆者は、教育入院というシステムの根底にある問題として、医師や看護師が患者をコントロールしたいという考えと、患者側の「病院は危険な場所」との意識が低いこと挙げられるのではないかと考えています。

 米国では一般的に予定手術で術前入院をすることはありませんが、日本では当然のように術前入院を促し、検査や患者の体調コントロールを入念に行います。患者の管理を徹底することはメリットがある一方でデメリットもあるので、優劣を決することは難しいですが、患者の管理徹底の背景には「医療従事者が患者を信用しておらず、患者をコントロールしたいと考えているのではないか」と考えてしまいます。もちろん、米国の医療従事者の方が患者を信用しているという印象はありませんが、先ほどの指摘の通り「約束を守らなかったらそれまで」というのが米国の病院の考え方で、コントロールしようとも考えていません。

 医療機関の構造上の問題も影響していそうです。例えば、医療機関内における専門職員の人員リソースには限界もあり、患者を入院させることで、限りある専門職員を病院側は効率的に配置することができます。また、そうすることで収入面でもメリットを享受できる可能性があります。収入面へさらに目を向けると、専門職員からの疾患教育点数については外来と入院での差異はありませんが、外来より入院の方が全体の点数が高く設定されています。もっと言うと、専門職員からの疾患教育による報酬要件は、入院より外来の方がより高いハードルになっているという問題もあります。

(写真2)米国では「病院は危険なところ」の意識が根付いている※写真はイメージです(略)

 そして何よりも重要なことは、こうした需要を生み出している患者自身が、入院することのデメリットをしっかりと自覚すべきです。3割負担と言えども入院にかかる費用は高額で、経済的負担は免れません。入院の間一日中、医療従事者から管理されていることの精神的負担もありますし、そもそも入院することでの感染リスクが発生します。米国では、「病院は患者が集まることで感染リスクの高い危険な場所」との認識が広まっています。受診コストも高いため、国民はなるべく病院には行かないよう心がけています。ですから、「教育」を受けるために「入院」するという考え方を、米国人は全く理解することができないのです。



http://www.medwatch.jp/?p=14323
上司や医師へ注意しにくいのはなぜ?―日米病院、ここが変だよ(4)
2017年6月22日|医療現場から MedWatch

 日本と米国の病院における「ここが変だよ」を考える連載の最終回。米国医師である筆者は、日本の病院における手指消毒の不実行に対する違和感を覚えましたが、その根底には上司や医師へ注意しにくいという、日本人特有の文化的な特徴が見え隠れすると指摘します。

ここがポイント!
1 医師の手指消毒が徹底されていない?
2 「confrontation」の必要性

医師の手指消毒が徹底されていない?

 日本の病院を見学すると、米国よりも医療従事者の手指消毒の不実行に目が付きます。

 2016年に発表された論文「Hand Hygiene Adherence Among Health Care Workers at Japanese Hospitals: A Multicenter Observational Study in Japan.」(11年7月から11月に内科、外科、ICU、救急の場で4病院=大学病院1件および研修医がいる総合病院3件を調査)によると、3545人の医療従事者と患者を観察したところ、適切な手指消毒の実施は677人と全体の19%という結果でした(写真1)。サブグループの分析では、医師15%、看護師23%という結果で、医師の方が手指消毒の徹底がされていない可能性を示唆しています。

(写真1)日本の適切な手指消毒の実施率に関する論文(略)

 一方、同様の米国の調査を見てみると、年度や病院・病棟により違いもありますが、適切な手指消毒の実施率は30~60%程度となっています。英国では手指消毒の一大キャンペーン「Clean your hands campaign」が2005年から始まり、2008年にはMRSA発生率が半減、クロストリジウム・ディフィシルが40%に減少するなど効果を上げたことなどから、患者サイドから医療従事者に対する手指消毒の徹底への関心も大きいです。米国でも、患者が医療従事者に「手を洗ってください」と指摘することは珍しくない状況にあります。

 もちろん、日本と欧米の事例を単純比較することはできませんが、上記論文の指摘内容については、日本の病院における適切な手指消毒の実施率が低いとの印象を受けます。医療従事者出身者が多いGHC社内へ筆者がヒアリングすると、やはり適切な手指消毒の実施率が低いとの問題意識を持っているコンサルタントやアナリストは多いことが分かりました。

 ただ、日本の多くの病院では欧米と同様に感染対策部門があります。例えば、米国では担当者より指名された看護師が一週間、非公開で入退室時の両方における手指消毒を院内調査し、その数値結果を感染対策部門が管理しています。また、日本では医療従事者が携帯している消毒剤について全回収、消費量を計量して病棟単位で結果を管理するということもあります。手指消毒と医療の質の関係について報告する論文は多く、消毒剤の消費量が多いほど、感染症の発症率が少ないことが分かっているためです。

 筆者がGHC社内へのヒアリングの中で、「看護師の多くは消毒剤を携帯しているが、医師は看護師ほど携帯していない印象がある」との指摘に着目しました。実際、前述の論文では医師の方が適切な手指消毒の実施率が低い可能性が示されています。これについてGHC社内からは、「若手医師や看護師などの医療従事者が上司や医師に注意しにくい、患者も医師に注意しにくいという心理的障壁があるのではないか」との指摘がありました。

「confrontation」の必要性

 筆者はこの心理的障壁に違和感がある一方、実際に日本と米国の病院の現場を比較すると、うなずけるところもあるとの印象を受けます。

 米国では、医療従事者同士、医師や患者の間で意見を戦わせることは珍しいことではありません。医療従事者同士の「confrontation」(厳しさ、対立、衝突、向き合う)においては、職種間のものもあれば、先輩と後輩、上司と部下の間でも当然のようにあります。患者は医師と対面すると、「この医師は納得のいく医療やサービスを提供してくれるだろうか」と挑戦的な態度を取ることも少なくありません。

 一方、日本では米国ほど医療従事者同士の「confrontation」は少なく、患者も医師に対する信頼の姿勢を絶やさない傾向にあるのではないかと、筆者は感じています。こうした印象に筆者は日本の病院がうらやましいと思う反面、やはり「confrontation」は必要だとも考えています。

(写真2)米国の医師から見ると日本の医師と患者の関係は素晴らしい※写真はイメージです(略)

 例えば、米国に「院長回診」という言葉はありません。そもそも、米国に「院長」という存在はなく、病院のトップは「最高経営責任者(CEO)」で、各部門を「最高執行責任者(COO)」、「最高マーケティング責任者(CMO)」などのMBAホルダーが束ねていることが多いです。病院は一般的な会社と同じ組織体制になっており、経営が悪化すればトップは解任され、各部門や個人が競い合う土壌になっています。こうした競争環境の中では、「confrontation」は不可欠で、「confrontation」があるからこそ、改善や進化していくことも多いのです。

 連載を通じて、日米の文化や制度などさまざまな違いを背景に、同じ病院でも日米では大きな違いがあることを確認してきました。これらの違いに対して、今後も対策を検討する必要があると考えられます。その解決策には、根本解決に繋がるものや、根本解決はできないものの、その答えの一例は提供できるもの、解決が難しいものなどさまざまあると思われます。ただ、日米の差異を検討する中で、解決策の例が米国の例にありそうだったり、日本からも米国の現状の違和感や不便さを解決する方法を提案できそうな例もありました。日米相互にメリットを享受しながら、総合的な医療の質の向上を目指すことができればと、日米の医療を知る筆者は常に考えています。



http://news.ameba.jp/20170625-446/
封印される天下り報道 陰で文科省と大手マスコミが......
2017年06月25日 18時00分
提供:J-CAST会社ウォッチ

加計学園の獣医学部新設をめぐる騒動が続いているが、すでにあちらこちらで指摘されているとおり、民主党の鳩山政権時代に「特区設置を前向きに検討する」と決定されていた案件であり、基本的には何の違法性もない。むしろ問題があるとすれば、内閣の決定を7年間も無視し続けた文部科学省にあり、それこそ、この問題の本質と言っていい。

では、なぜ彼らは7年間もサボり続けたのか――。同じ国家戦略特区でありながら、2015年11月公募開始で17年春にスピード開校した千葉県成田市の国際医療福祉大学をみれば一目瞭然だ。

先輩方が住まう「ヴァルハラ」大学の存在 国際医療福祉大には現在6人の高級官僚が学長、理事といったポストに天下っており、過去には文科省トップの事務次官経験者も天下っていた実績もある。要するに文科省の大のお得意様であり、省益のために全力を尽くして戦った歴代の先輩方の住まうヴァルハラみたいな大学ということだ。

加計学園に天下りをよしとしない気骨があったのか、それとも文科省のほうが四国の獣医学部ポストなんていらないと思ったのかは、筆者には分からない。ただ、国際医療福祉大のポストに匹敵するだけのものが準備されなかったことが、7年間ほったらかされた理由だろう。

だが、国際医療福祉大には、もう一つの「天下り」問題が隠されている。この大学には、判明しただけで以下の大手メディアの出身者が教授ポストに再就職している。

教授  (元・朝日新聞論説委員) 特任教授(前・朝日新聞社社長) 学部長 (元・読売新聞 医療情報部長) 教授  (元・読売新聞 社会保障部長) 教授  (元・日本経済新聞論説委員) 一体、定年近くまで記事を書いていた人間が医療系の大学で何を教えるというのか。一人ならまだしも、有力紙ごとに何人も集める必要があるのか。低賃金・不安定雇用に苦しむポスドクをしり目に自社幹部を教授ポストに送り込む新聞に、紙面で偉そうに貧困問題を論ずる資格はあるのか。というか、前出の面々の中に博士号を実際に取得した人間はどれだけいるのか

。 さらに付け加えるなら、これらは対外的に公表される教授ポストなので、氷山の一角の可能性がある。たとえば事務方の事務局長やら総務部長やらに、この数倍のマスコミOBがいてもおかしくはない。

はっきり言って、筆者は人間の命を直接やり取りする医学部が、複数の天下りポストと引き換えに、80億円にのぼる自治体の補助金付きで開校されている事実のほうが、加計学園の一件よりはるかに問題だと感じている。

しかし、右も左もこれだけ大手マスコミのOBを揃えておけば、そりゃあどこも報道しないはずである。今のところ報じているのは日刊ゲンダイ(天下り官僚が暗躍か 私立医大『特区』認可にデキレース疑惑)くらいのものだ。言うまでもないが、日刊ゲンダイ出身の教授などというものは存在しない

。 わかる!? 産経と毎日が味わう悲哀 思うに、官僚やマスコミへの天下りポストというのは、ヤクザに払うみかじめ料みたいなものなのかもしれない。それを払っていない加計学園を(別の天下り問題発覚で官邸に辞任させられた)前事務次官が復讐目的で吊し上げ、同じくみかじめ料を貰っていない朝日新聞が紙面でどつきまわしているというのが、一連の加計学園報道の実態だろう。

ちなみに、朝日新聞が加計学園問題で政権批判を続けるのは、もちろん安倍政権が嫌いだからというのもあるが、「うちにみかじめ料を払わないとどうなるか」をアピールする狙いもあるのではないか。きっと、これから新設される大学や学部では朝日新聞OBが三顧の礼を持って迎えられることになるはずだ。

さて、筆者の大学時代の法学部の友人にA君という新聞記者志望の男がいた。志望する就職先を聞くと、朝日、日経、読売の3紙だという。3紙ともぜんぜん路線が違うじゃないか、というか産経や毎日は受けないの? と聞くと、ニヤニヤしながらこんなことを言っていた。

「産経と毎日なんかに東大生がいくわけないじゃん」

A君は無事に朝日新聞社に内定し、今でも元気に記者をやっている。

で、何が言いたいかというと、産経新聞とか毎日新聞って、東大卒から見ればそんな程度だということだ。そして、国際医療福祉大学に天下った官僚も、マスコミから再就職したマスコミOBの半分くらいもまた東大卒である。そういう東大OB専用ベルトコンベアみたいなもんを目の前で見せつけられて、産経と毎日は悔しくはないのか!

前出のマスコミOB教授リストには、なぜか産経と毎日の名が見えない。「その手が通じないほど気骨あるジャーナリストだから」と思われたのか、「大して影響力ないから別にいいや」と見下されたのか、筆者にはわからない。

だが、自らの紙面を使って問題を追求することで、自らの手で「気骨」を社会に示すことはできるはずだ。



http://ma-times.jp/51864.html
医療介護施設の医療法人社団誠広会、民事再生法の適用を申請 負債87億円
2017年6月21日 M&A タイムス

岐阜市北西部最大級の医療介護施設運営の医療法人社団誠広会は、6月19日、岐阜地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令を受けた。申請代理人は鈴木学弁護士(西村あさひ法律事務所)。監督委員には神谷慎一弁護士(弁護士法人神谷法律事務所)が選任された。

当法人は、1970年10月創業。医療介護分野では岐阜市北西部最大級の規模を誇り、岐阜市内の「平野総合病院」(199床)、「岐阜中央病院」(372床)の運営を主体に、「介護老人保健施設岐阜リハビリテーションホーム」「岐阜中央病院訪問看護ステーション」「岐阜市在宅介護支援センター平野」「岐阜市地域包括支援センター岐北」といった老人介護保健施設の運営のほか、訪問看護や在宅介護なども手がけていた。長年にわたって岐阜市北西部地域における有力医療機関として認知され、地域に根ざした医療および介護サービスを提供、2011年3月期には年収入高約88億5700万円を計上していた。

 しかし、医師不足に加え、地域に医療施設が相次いで進出するなどの影響で業容は低迷。2016年3月期の年収入高は約76億4200万円まで落ち込み、2期連続の最終赤字となった。また、医療機器の導入など設備投資によって借入金への依存度が高まっていたなか、債務超過に陥り今回の措置となった。

なお、地域医療を守るため持続可能な医療介護福祉サービスの提供体制構築を図る意向であり、今後は医療機関の支援を主たる事業とするコンサルティング会社の経営支援や金融機関からの融資を受けることにより財政基盤を確保する計画。事業は通常通り継続しており、誠広会グループの各法人も事業を継続している。

東京商工リサーチ及び帝国データバンクによると負債総額は約87億円。



https://mainichi.jp/articles/20170620/ddq/041/020/009000c
医療法人誠広会
民事再生法申請 岐阜

毎日新聞2017年6月20日 中部朝刊

 岐阜市で病院や介護事業を展開している医療法人社団「誠広会」は19日、岐阜地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約87億円。病院運営は今後も通常通り継続する。

 誠広会は岐阜市で、ともに総合病院の平野総合病院(1970年設立、199床)と岐阜中央病院(83年設立、372床)や、リハビリテーションホームなどを運営している。医師不足のため受け入れ可能な患者が減り、経営が悪化した。今年3月期の決算では約3億円の最終(当期)損失を計上していた。【駒木智一】



https://www.m3.com/news/iryoishin/540806
日医代議員会
成田特区の「医学部」、日医代議員会でも話題に
横倉会長「一貫して反対を続けてきた」と説明

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は6月25日、第140回日医定例代議員会後の記者会見で、今年4月に千葉県成田市に新設された国際医療福祉大学の医学部について、「我々は一貫して、国家戦略特区における医学部新設への反対を続けてきた」との見解を述べた(『国際医療福祉大学、医学部一期生140人迎え、入学式』を参照)。

 それでもなお新設に至った経緯について、「一部の医師の団体、特に病院関係の先生方は、『医師が不足しているから、医師は必要』との意見を言っていた。我々が参加できなかった会議の中で、(新設に)賛成意見が述べられていたのは事実。政府には、『医師会は反対しているが、医師を代表している意見とは言えないのでは』との受け止め方をされた。我々が意見も述べる間もなく、最終的に特区での新設が決まった経緯がある」と弁明した。「新設が決まった後は、地元千葉県の医師会としての対応も踏まえながら、日医としても対応を考えていかなければいけない」(横倉会長)。横倉会長が言及した「会議」とは、国家戦略特区の「東京圏」の成田市分科会など(関連記事は、『国際医療福祉大の医学部新設、対応を確認』などを参照)。

 記者会見で、国際医療福祉大学医学部についての質問が出たのは、代議員会で、医師需給や偏在対策についての中川俊男副会長の答弁に関連して、栃木県代議員の小沼一郎氏が、「日医は一貫して、新設医学部に反対してきたが、残念なことに、最近も成田市の国家戦略特区に、医学部が新設された。なぜ阻止できなかったのか」と質問したため。

 中川副会長は、「会長が本来は回答すべきことかもしれない」と断りつつも、次のように回答した。

 「我々は、きちんとした手続きを経て、医学部の新設を協議すると思っていた。その過程において、エビデンスを基に、医師養成数などのいろいろなデータを提示すれば、我々の主張は聞き入れられると思い、活動してきた。(2016年4月に医学部を新設した)東北医科薬科大学の場合は、きちんとした手続きを踏んでおり、一定の評価はしたいと思う。成田の方は、我々は『まさか』と思い、反対してきた。しかし、エビデンスを持ったデータとか、通常の大学設置認可の審査などとは違う、プラスアルファの部分があったのではないか。私としては、非常に残念で忸怩たる思い」

 さらに中川副会長は、「日医と全国医学部長病院長会議との2015年12月の緊急提言は、医学部の新設を阻止するために、必死の思いで作った。これをさらに進化をさせて、有用なものを作り、日医の底力、医師会の底力を示していきたい」と語った。代議員会で、その具体策を答弁している(『医師偏在対策、カギは「地域医療構造の医師版」、中川副会長』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/540807
日医代議員会
「急性期指標、地域医療を混乱に陥れる」、中川副会長
第140回日医代議員会、「議論の俎上に載せるのを阻止」

レポート 2017年6月25日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月25日の第140回日医定例代議員会で、地域医療構想の「急性期指標」について、「この指標が独り歩きすれば、地域医療が混乱に陥るのは明白」と強く問題視した。その理由として、急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれているほか、地域医療構想は病棟単位だが、「急性期指標」は病院単位であり、結果としてケア・ミックスの病院では指標が低く出ることなどを挙げ、「病院全体のイメージを左右。いわば情報操作に当たる」と指摘した。

 「急性期指標」は、地域医療構想の「急性期機能」の定量的に示す研究の一つとして、5月10日の厚生労働省「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で公表された(『「急性期指標」、「見える化」の第一歩だが、注意必要』を参照)。同会議の構成員でもある中川副会長は、「ワーキンググループで唐突に公表されたのは、大いに問題。以降、議論の俎上に載せることを阻止している」と説明した。

 「急性期指標」について代表質問したのは、北海道代議員の藤原秀俊氏。そもそも地域医療構想は2025年に向けて調整会議で協議を行い、自主的に医療機能を検討していくのが目的であると指摘した上で、(1)「急性期指標」は、病院がその立ち位置を理解するのが目的であれば、都道府県ではなく、まず医師会、各医療機関に先に公表すべき、(2)不完全で問題が多いデータを今後どう扱うべきか――と日医の見解を質した。

 「病院全体のイメージを左右、いわば情報操作」

 中川副会長は、「急性期指標」には、主に以下の4点の問題があると指摘。

(1)急性期病院が満たしそうな項目が恣意的に選ばれている。
(2)急性期の項目を点数化して積み上げ、これを病床数で割り算しているが、分母となる病床数には、療養病床も含めている。
(3)(1)や(2)の結果、民間病院に多いケアミックスの病院では、実態より低い急性期スコアが計算され、あたかも急性期機能が劣っているように見える。
(4)地域医療構想では病院の機能分化を病棟単位で進めているが、この急性期指標は病院単位。病院全体のイメージを左右しかねず、いわば情報操作に当たる。

 次に、「急性期指標」が取り上げられ、公表された経緯についての日医見解を説明した。

 まず地域医療構想は、「不足している病床機能を充足する仕組み」で、2025 年度の「病床の必要量」を見据え、各医療機関の自主的な取り組みや医療機関相互の協議を通じて、病床機能を収れんさせていくことが目的であると改めて理解を促した。地域医療構想調整会議では、各医療機関の実情に関する丁寧で慎重な議論が求められるとした。

 調整会議での検討に役立つように、「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、病床機能報告制度の見直しなども進めていると説明。特に「回復期機能」が「不足」と解釈される点について、次のように述べた。「多くの構想区域で病床機能報告制度の数と病床の必要量を比較し、回復期の病床が不足しているという計算結果が出ている。しかし、回復期の患者数は、医療資源投入量から計算された治療経過の病期における通過点の患者数にすぎない。現実には急性期から引き続き同じ病棟に入院しているケースが多く、回復期の患者が締め出されているわけではない。したがって、報告制度の数が、将来の病床の必要量に不足しているために、新たに回復期病棟を作らなければならないという発想は、慎重でなければならない」。

「唐突な公表、大いに問題」
 中川副会長は、「急性期指標が、一つの研究にすぎないとは言え、唐突に厚生労働省の検討会で公表されたことには、大いに問題」と語気を強めた。

 「急性期指標」は、厚生労働科学研究費補助金を受けた、奈良県立医科大学医学教授の今村知明氏らによる研究成果。一部の都道府県では、同指標を用いた分析が進んでいる(『「新規開設・増床」、許可前に調整会議で確認』を参照)。

 「そもそも急性期指標は、こんな不完全な状況で、公表すべきものではなかった。さらに、急性期指標に限らず、都道府県行政だけに情報を提供するのは大きな問題。都道府県において医師会と行政は、地域医療を守る車の両輪」。中川副会長はこう指摘し、今年5月の厚労省主催の都道府県行政職員向けの地域医療計画の講習会にも、日医の要請で都道府県医師会の関係者が実現したとし、「地域医療構想の達成には、行政と医師会との協力関係が極めて大事」と強調した。

 中川副会長は、「今回の急性期指標は、厚労省が財政当局の圧力に押され混乱、迷走した表れなのかもしれない」との見方を示しつつ、「日医は、地域医療計画や地域医療構想について、厚労省と二人三脚の心意気で進めてきたが、さらにしっかり掌握する。都道府県において医師会と行政がそうであるように、日医は厚労省を叱咤激励しながら地域医療を守り続ける」と答弁を結んだ。



http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20170623-OYTNT50323.html
保健所医師 足りない
2017年06月24日 読売新聞 中部

 保健所などを拠点に住民の健康を守る公衆衛生医師の不足が深刻だ。なり手が少なく、高齢化も進む一方で、愛知県などは「地域医療を支える大切な仕事」とアピールし、人材確保に懸命になっている。

 「地域医療のシステムをつくるダイナミックな仕事。ただ、医学生の選択肢には入りにくいようで」

 愛知県一宮保健所の所長渋谷いづみさん(60)は、そうため息をつく。

 渋谷さんは大学病院で約1年働いた後の1982年、公衆衛生医師として県に採用された。以来、小児医療の拠点整備に携わり、各地の保健所で食中毒・感染症対策や災害医療の体制づくりを進めるなどしてきた。

 現在、力を入れるのは医師やケアマネジャーらとの連携による在宅医療の充実だ。栄養士にも参画してもらおうと研修会を開き、大学を訪問する。「市や医師会、薬剤師会などと一緒にみなさんの健康を守る仕組みを作っていくことにやりがいを感じる」と言う。

 ただ、公衆衛生医師の数は危機的な状況だ。県内では12保健所や県庁の担当部署などに計25人が必要だが、勤務しているのは21人。随時募集しているが、最後の採用は2013年で、その前は10年、さらにその前は05年に遡る。21人の内訳は今年4月現在で40代2人、50代6人、60代13人。5年後には10人が減る見通しという。

 不足は、全国の自治体共通の悩みだ。厚生労働省の昨年10月の調査では、20道県で1人が複数の保健所のトップを務める掛け持ちを余儀なくされ、茨城県では兼務が6か所、北海道や群馬県でも5か所に上った。

 東海地方でも、三重県で尾鷲保健所長の中村公郎さん(60)が熊野保健所長を兼務している。中村さんは「感染症が同時に発生すると大変なことになる」と危機感を募らせる。岐阜県でも保健所の医師8人中5人が60歳以上という。

 なり手不足の背景には、医師と言えば患者を診る臨床医というイメージが強く、公衆衛生医師の業務が広く知られていない現状がある。また、病院の勤務医らと比べ、勤務時間が短いことも多い一方、給与も相対的に低いことが影響しているとみられる。

 事態を重視した厚労省は昨年、各自治体に参考にしてもらおうと、7都府県の人材獲得策をまとめた事例集を作成。公衆衛生の関係団体や学会でつくる専門医協会も今年、研修と試験で健康増進や疾病予防などの能力を持つ専門医を認定する制度をスタートさせて医療関係者に存在をアピールしている。

 愛知県では15年度から、担当幹部が医学部のある県内の4大学を訪問して医師の紹介を依頼。16年度からは名古屋大と名古屋市立大の地域医療の講義に派遣している職員を事務方から各大学OBの公衆衛生医師に変更し、業務内容を説明するよう見直した。公衆衛生医師で県保健医療局長の松本一年さん(60)は「医学生が関心を持つきっかけを作りたい」と話している。

 【公衆衛生医師】全国の保健所や都道府県庁などで働く医師。保健所長は原則、医師とされ、災害時の医療計画をつくり、生活習慣病対策やイベントでの食中毒対策などにも携わる。愛知県の場合、福祉相談センターで児童虐待の対応にあたることも。厚労省の2014年末現在の調査によると、行政機関で働く医師の数は1661人で、医師全体の0・5%。


  1. 2017/06/26(月) 05:35:07|
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6月18日 

https://mainichi.jp/articles/20170618/ddm/016/040/029000c
研修医自殺、疲弊する勤務医 長時間労働が常態化 過労死ライン超6.8%
その他 2017年6月18日 (日) 毎日新聞社

 昨年1月、1人の女性研修医が過労による自殺で命を絶ち、労働基準監督署から今年5月末に労災認定を受けた。そこから見えてきたのは、労使協定を無視した長時間労働の常態化だった。患者の安全のためにも、患者の命を預かる医師の過重労働の是正が求められている。
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 「自己犠牲によって自らの生活や将来を失ったりしてはならない」

 これは4月、厚生労働省の専門家会議がまとめた「医師・看護師等の働き方ビジョン」の一節だ。新潟市民病院の後期研修医だった木元文さん(当時37歳)の過労自殺は、この1年3カ月前に起きていた。

 医師の過重労働は、長い間改善が進んでこなかった。勤務医を対象にした厚労省調査によると、昨年6月の時間外労働時間は約5割が20時間以上で、6・8%は「過労死ライン」の80時間超。当直も多く、7割が宿直明けに通常勤務をしていた。日本外科学会の会員調査(2013年)では、医療事故やその手前の「ヒヤリ・ハット」の原因の81%に「過労・多忙」があった。

 なぜ過重労働は解消できないのか。一つには「正当な理由なく患者を断ってはならない」という医師法上の「応招義務」がある。

 また、東京大医科学研究所の湯地晃一郎特任准教授(血液内科)は「医師は看護師と違い、交代制になっていない。受け持ち患者の容体が急変すると、当直医に加えて主治医も呼ばれる」と指摘する。

 だが、高齢化や医療の高度化が進めば、医師の負担はさらに増す。ビジョンをまとめた渋谷健司・東大教授(国際保健政策学)は「女性医師が増え、働き方を変えなければ医療は回らなくなる。他の医療スタッフと仕事を分担し、医師本来の仕事の生産性を上げるべきだ」と訴える。

 こうした改革に取り組む施設の一つが、仙台厚生病院(仙台市)だ。病床数は約400床と中規模だが、診療科を心臓、呼吸器、消化器の3部門に絞り、病状が改善すれば他病院や開業医に積極的に紹介する。医師事務補助者も約40人配置し、検査結果の入力を委ねた。医師の残業時間は月30時間以内に抑えられたといい、運営法人の目黒泰一郎理事長は「医療界のモデルになれば」と話す。

 同じような動きは各地であり、東京都中央区の聖路加国際病院でも月残業時間が45時間になるよう当直医師の人数を減らし、6月から土曜日の外来診療を一部取りやめた。

 ◇「医師数増やすしかない」

 一方、抜本的解決には「医師数を増やすしかない」との声もある。

 政府は1982年、将来的に医師が過剰になるとの予測から、医師数の抑制方針を閣議決定。00年代に地域医療の崩壊が叫ばれ、地域枠などを設けて医学部定員を増やしたが、今も人口当たりの医師数は経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均より少ない。日本医師会は医師の偏在が問題だとし、増員そのものには消極的だ。

 労働組合「全国医師ユニオン」の植山直人代表は「入力作業などを他の職員に委ねても、医師の負担はあまり減らない。交代制勤務ができるよう医師数を増やすべきだ」と主張。聖路加国際病院の福井次矢院長は「救急や病理は医師不足が深刻で、国は診療科ごとに医師数の調整をしてほしい」と話す。

 政府が3月に公表した働き方改革実行計画は、医師については残業時間の上限規制適用を5年間猶予した。労働時間の短縮だけでは救急医療に支障が出るといった指摘もあり、議論は続きそうだ。【熊谷豪】

 ◇研修医自殺の新潟市民病院 「緊急対応」外来を制限

 木元さんが働いていた新潟市民病院は、医師にとって激務とされる総合病院の中でも過酷さが際立っていた。

 新潟労働基準監督署が認定した木元さんのうつ病発症1カ月前の残業時間は「過労死ライン」の2倍の160時間超。毎日新聞が情報公開請求で得た資料によると、同時期に後期研修医として在籍していた医師の7割以上の20人が、労使協定で定められた月80時間の上限枠を超える残業をしていた。

 病院側も手を打っていなかったわけではない。2009年に労基署から長時間労働の是正勧告を受けた後、医師数を2割増やし、医師の事務を代行する医療秘書も5倍以上に増員した。だが、外来患者も09年度の25万2753人から16年度は26万8703人に増加した。救急外来は過半数が軽症患者で「多くの市民が、うちに来れば何でも診てくれると思っている」(片柳憲雄院長)という状態だった。

 労災認定後の今月6日、市は同病院の「緊急対応宣言」を発表した。紹介状のない一般外来患者の受け入れ停止と、治療済みの患者を近隣病院へ回す対策が柱。篠田昭市長は「過重な負担が病院にかかり、これまで通り患者を受け入れて診察を続けるのは困難だ」と理解を求めた。

 同じく市内で3次救急を担う新潟大医歯学総合病院は、既に同様の対策を進めている。ここでは後期研修医の残業時間に労使協定違反がほとんどなく、過重労働の抑制に一定の効果が出ている。

 ただ市民病院は、地域住民の健康を守ってきた身近な存在だ。近隣病院が断った救急患者を「最後のとりで」として診てきた自負もある。「責任ある立場として患者を受け入れない選択肢はない」と複数の職員が語る。

 木元さんの夫は取材に対し「医師の使命感は分かるが、妻の死は病院による殺人だ」と訴えた。「全国過労死を考える家族の会」東京代表で、自らも医師の夫を過労死で亡くした中原のり子さんは警鐘を鳴らす。「医師の長時間勤務は、犠牲的精神など個人の力で解決できるものではない」【柳沢亮】



https://www.m3.com/news/iryoishin/538787
「地域包括ケアしか選べない」、内閣官房・唐沢氏
第19回日本在宅医学会大会特別講演

2017年6月18日 (日)配信高橋直純(m3.com編集部)

 第19回日本在宅医学会大会が6月17日に名古屋国際会議場で開催され、内閣官房地方創生総括官の唐澤剛氏が「超少子高齢社会に向けて私たちは何をすべきか~地方創生と地域包括ケア~」と題して講演し、今後の死亡者数が増加することに伴い看取りが問題になるが、病床の新たな整備は難しいことから、「我々は地域包括ケアしか選べない」と指摘した。

 メインシンポジウム「地域包括ケア~団塊の世代の高齢化を迎える今後の展望~」では、厚生労働省保険局医療課長の迫井正深氏が「ご当地システムを自分たちで考えて作ってほしい」と呼びかけた。

 唐沢氏は厚労省出身で保険局長を経て、2016年6月に内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官に着任。現在の仕事について、「地方創生と地域包括ケアシステムは半分ぐらい同じこと」と説明した。今日の講演は「私見である」と断った上で、「人口減少をどこかで平らにしたいと思っており、当面は1億人ぐらいにとどまればいいと思うが、そう簡単ではない」と語った。人口減、年齢構成の変化に伴い、最新の国勢調査では、就業人口が前回より400万人減少の6100万人になったとし、「大変動で、こんなに減ったことはない」解説した。

10年後、医療介護が最大の就労者数に

 産業分野も変化しており、最も多い製造業は960万人だが、1985年に比べると240万人減少している。2番目の卸小売業も200万人減の900万人。一方で、3番目の医療・介護・福祉は300万人増の700万人になっていると紹介、「東京圏以外の地方では、増加分の全てが医療・福祉・介護、東京圏でも50%を占める。10年後に1番目になると予想している」として「ここで働いている人を大事にしていかなくてはいけない」と強調した。

 内閣官房で地方創生が始まったのは2014年から。背景には東京圏への人口集中が止まらないという問題意識がある。2016年には11万7868人が転入超過で、そのほとんどが20代以下だった。「現在も転入が増えてしまっているが、我々の目標は転出入ゼロ。東京に来る人の半分は、大学や就職先が東京にあったからというだけ。そういう人には地元に戻っていく応援をしたい」と語った。

 高齢化は今後、都市部で急激に進むと指摘した上で、死亡者数は現在の年間127万人から2040年には167万人に増加するが、「病床を新たに整備することはできない。我々は地域包括ケアしか選ぶことはできない」と強調した。地域包括ケアシステムは、「地域(Community based)」「物語(Narrative based)」「包括(Integrated care)」の3つが重要な概念とし、「制度に人を合わせようとしがちだが、一人一人に寄り添うべき」。

 地域包括ケアシステムでは、縦軸は「医療と介護の連携・一体化」「地域における統合的なチーム医療」、横軸に「生活支援とまちづくり」「地方創生(経済、生活、文化)」があると説明する。医療と介護は自動的につながらないと指摘した上で、急性期病院に勤務する医師や看護師が、退院後の患者の生活を知らないことが問題と強調。「急性期の環境を前提にしていると困る」と述べた。

 縦軸に当たる「地域における総合的なチーム医療・介護」を作るには顔の見える関係が重要とし、医師には「責任ある地位として懐の深さを発揮し、多職種から意見を誘うよう、威張らないお医者さんであってほしい」と注文した。

 今後ますます深刻化する人手不足に対応するためには、(1)医療介護スタッフの総合力の評価、(2)ICT、移動支援機器、ロボットの活用、(3)複数資格取得者の評価――が必要と提案。一例として医療クラークやMSWは地域包括ケアの一員として、さらに活躍できる場があるとし、診療報酬上も評価すべきという考えを示した。

 最後に、20世紀は「同質性と効率化の時代」だったのに対し、21世紀は「多様性と高付加価値の時代」、すなわち「ごちゃまぜ」がキーワードであるとし、「地域包括ケア、地方創生はごちゃまぜであるべき」と提案した。

医療課長、「自分たちで考えて作ってほしい」

 迫井医療課長は、メインシンポジウムで、「地域包括ケアシステムの展開」をスピーチした。地域包括ケアシステムを「『「地域」で「包括ケア」を提供する』、『「地域」が「包括ケア」を提供する』という“掛け言葉”と考えれば分かりやすい」と説明。概念(考え方)であり、各地域の医療・介護関係者に期待される具体的な役割は書いていないとし、「ご当地システムを自分たちで考えて作ってほしいというのが、基本的な一番重要なメッセージ」と強調した。

 そのためには、「医療に“生活視点”をいかに導入するか」が重要と指摘し、「医療は白い壁で町と仕切られており、病院サービスを充実させることに力を入れてきたが、壁の外を知らなかった。それを何とかしていただきたい」と呼びかけた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/538385
不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会
非常勤医師でも多ければ経営改善

2017年6月16日 (金) 高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第5回会合が6月15日に開催され、不採算地区病院への財政措置充実や、医師確保支援の在り方などについて議論した。

 研究会は地方行政を担当する総務省内に設置されており、2016年9月に第1回会合を開催。2016年度に地方自治体が策定した「新公立病院改革プラン」の影響や改革推進策について調査検討を行っている。これまでの4回の議論を基に、事務局を務める自治財政局準公営企業室は論点を4つにまとめた。

論点
1.新たな公立病院の役割に応じた再編・ネットワーク化の取組をさらに促進するには、どのような方策が考えられるか。
2.地域医療の確保に資する公立病院の標準的な需要をどう捉えるか。
3.病院マネジメントの観点から更なる経営改革につながる方策の議論が必要ではないか。
4.地方独立行政法人化が困難な要因を取り除くにはどのような方策が考えられるか。

不採算地区、更なる支援必要か
 同日の検討会では、論点2に関連して、不採算地区病院の支援の在り方が議論された。現在、総務省が不採算地区(病床数150床未満、直近の一般病院までの移動距離が15キロメートル以上、又は、国勢調査の「人口集中地区」以外の区域に所在など)と定義する地域にある公立病院には、運営経費や医師確保に要する経費が特別地方交付税で財政措置されている。

 総務省の集計では、2015年の医業収支比率では、不採算地区病院の79.5%に対し、それ以外では90.5%で11ポイントの差がある。職員給与比率では、不採算地区病院65.2%、それ以外53.7%、病床利用率で不採算地区68.1%、それ以外73.4%と、いずれの指標でも不採算地区病院では経営状況が厳しいことが分かっており、近年は病院間の乖離が広がる傾向にあるという。2017年2月の「公立病院の実態調査等」では、6割以上が非常勤医師という病院の割合は、不採算地区病院で46.3%に対し、それ以外では25.6%だった。

 一方で、非常勤医師の給与が常勤医師の1.5倍以上の病院のみを分析すると、不採算地区病院であっても、「医師は充足している」と回答した病院の医業収支比率は85.8%に改善しており(「全体的に不足」病院は同81.5%)、「給与が割高な非常勤医師であっても、確保できれば医業収益の改善に寄与する」と分析している。

 その上で、事務局は「不採算地区病院に対する財政措置を充実する方向で検討してはどうか(その際、非常勤医師の給与負担の重さを考慮すべきか)」「医師確保対策に係る財政措置の拡充が必要か」と提案した。城西大学経営学部マネジメント総合学科教授の伊関友伸氏は「看護師、薬剤師、リハビリスタッフも地方だと雇用ができておらず、調査が必要。研修体制が弱いので勤務してくれないという所もある。総務省では難しいかもしれないが、質の部分も目配りが必要」と指摘。

 北海道奈井江町長の北良治氏は「支援を拡充してほしい。非常勤の派遣医師では派遣医師では入院や在宅医療が十分にカバーできず、収益性低下につながっている」と訴えた。

地方では公務員でないと職員来ず

 論点4について事務局は、「地方独立行政法人化が困難な要因」として、(1)住民説明や組織内の合意形成、利害関係者との調整に多くの時間や労力を要する、(2)自治体が短期間に多額の財政的負担を要する――の2点を指摘し、(1)については自治体自らが解決する必要があるとする一方、(2)については、制度の見直しが必要ではと提起した。

 伊関氏は独法化に当たっては、「職員を全員、分限免職で解雇できるかというとなかなかできない。市役所に戻るなどして、安くつくかと思ったが、案外高くつく」と指摘。また、独法化に当たって総務省は「非公務員型」を原則としているが、埼玉県職員として働いていた自身の経験から「公務員としてのプライドを持って仕事をしている医療職も多い。一定の基準があるが、それを緩めることも必要では」と提案した。島根県病院事業管理者の中川正久氏も、独法化でうまくいっているのは都市部ではと指摘し、「田舎の県では、独法化するという噂だけで、看護師の応募が減った。公務員がステータスになっている」と実例を紹介した。

 事務局が示した独法化した病院の経常収支比率が、2009年の104.3%から2015年には100.1%に悪化しているという資料について、どのような背景があるかという質問が出るも、事務局は「収支低下の理由は分かっておらず、分析したい」と答えた。地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長の田中一成氏は、自院の事例として、「独法化して黒字を出さなくてはいけないと、最初は設備投資を抑えていたが、ずっとはそうもいかない。人件費も年々、上がってくる」と紹介した。

 一方で、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「公立病院が抱えている問題は、ガバナンスが分散していること。独法化、指定管理にしたから良くなるわけではないが、今までとおなじようにやれないのも事実。権限が分散していると、他の病院との交渉をやっていかなくてはいけないときに迅速にできるのかと思う」と指摘した。



https://www.m3.com/news/general/538796
厚労省、妊婦禁忌3薬、容認 添付文改訂、要請へ
2017年6月18日 (日) 毎日新聞社

 妊娠中の女性には処方しないとされている医薬品が順次、使えるようになる見通しとなった。妊娠中の一部の禁忌薬について、厚生労働省が初めて処方を公式に認める方針を固めた。薬事・食品衛生審議会での検討を経て、薬の添付文書を改訂するよう製薬会社に通知する。第1弾として免疫抑制剤3品目の添付文書が改訂される見通しで、その後も対象は拡大する予定。

 妊婦は安全性の観点から薬の開発段階で臨床試験(治験)が困難なため、発売当初は動物実験の結果を根拠に禁忌を決めており、各社で差がない。多くの薬が製薬会社の判断で「禁忌」とされ、医師は妊娠を希望する患者に、薬の使用を中止するか、妊娠を避けるよう指導するのが一般的。

 改訂が見込まれる3薬剤は「タクロリムス」「シクロスポリン」「アザチオプリン」。臓器移植後の拒絶反応抑制のために処方されるほか、膠原(こうげん)病の治療薬としても使われる。処方されている15~44歳の女性は推計約3万人。改訂されれば禁忌の項から妊婦が外される。

 3薬剤は妊娠中に使用しても流産や奇形の自然発生率を超えないという研究もあり、日本産科婦人科学会が作成したガイドラインには「妊娠中でも必要があれば使用することが認められる」とされた。しかし、添付文書で禁忌とされ、現場の混乱を招いた。服薬を理由に妊娠を諦めたり中絶したりした患者や、妊娠のため薬をやめて症状が悪化した事例も後を絶たなかった。

 厚労省は2005年10月、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)に「妊娠と薬情報センター」を設け、調査研究や相談事業を続け、3薬剤の安全性を確認。村島温子センター長は「改訂で、難病患者の妊娠・出産の希望に配慮した治療の可能性を広げたい」と話す。免疫抑制剤以外も順次、禁忌薬から外す対象に加える方針。厚労省は「胎児への影響について、正しい情報を伝えていきたい」としている。【中川聡子】

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 ■ことば
 ◇添付文書
 製薬会社が作成し、医薬品につける公的文書。医薬品医療機器法(旧薬事法)で製造販売前と改訂時に届け出が義務づけられている。薬効や使用上の注意事項、用法用量に加え、薬剤を使用すべきでない場合が「禁忌」の項目に記載される。添付文書に従わない処方で医療事故が起きた場合は「特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される」との最高裁判例がある。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201706/CK2017061502000132.html
1年延命の薬 いくら払いますか? 厚労省「費用対効果」で調査
2017年6月15日 朝刊 東京新聞

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 厚生労働省は14日、医薬品の値段(薬価)に「費用対効果」を反映させる制度の導入を前に、一般市民を対象に全国で実施する意識調査の詳細を決めた。一年間延命を可能にする薬への支払額をいくらまで許容できるか面接で聞く。2018年度からの新制度では効果が価格に見合わない薬は値下げの対象。同省は薬価を判断する目安として調査結果を活用する。
 一五年度の医療費は約41兆5千億円。うち二割を占める薬剤費は、がん治療薬オプジーボなど高額新薬の登場で今後も増大が予想される。厚労省は費用対効果の仕組みで薬価を見直し、医療費抑制につなげたい考えだ。
 今夏、全国百カ所で数千人の自宅を訪ねて調査し、秋に結果を公表する予定。同日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に詳細を示した。
 調査では「完全に健康な状態で一年間生存することを可能とする医薬品や医療機器の費用」について「公的医療保険で支払うべきと考える」金額を一人一人に質問する。
 その結果、金額が高く支払いを許容する人の割合が少ない薬は費用対効果が「悪い」と判断され、値下げの対象となる。
 ただ実際の薬価決定に際しては、希少疾患や代替治療がないなど、倫理的・社会的影響の観点も考慮して判断する。
 この日の中医協では、委員から「患者の窓口負担と公的医療保険からの支払いを、一般市民が区別できるのか」など、調査の難しさを指摘する声も上がった。



  1. 2017/06/19(月) 06:23:29|
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6月16日 

http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/370207.html
湖西病院、管理者を公募 医師不足、経営改善期待
(2017/6/15 08:20)静岡新聞

 湖西市立湖西病院は15日から、経営管理のトップである病院事業管理者を公募する。同病院は医師不足などで市からの繰り入れ金が年間12億円に膨らんでいて、経営改善を図れる人材を求めている。
 同病院は一般病床196床を有するが、医師不足などで4病棟のうち2病棟が稼働できない状態にある。3月末まで寺田肇院長が病院事業管理者を兼務していたが、管理者を経営に専念させるため、兼務を解消した。
 応募資格は満25歳以上(7月1日現在)で日本国籍を有し、病院の財務・経営管理について優れた識見があることなどが条件。任期は4年間で、影山剛士市長が任命する。
 同病院ホームページから申込書をダウンロードして記入し、7月10日までに同病院に提出する。書類審査を経て、合格者には7月に面接を行う予定。
 問い合わせは同病院管理課<電053(576)1231>へ。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170617_63005.html
<いわき市>地域医療守る条例制定へ
2017年06月17日土曜日 河北新報 福島

 いわき市は、地域医療の維持・充実に向け、基本理念を記した「市地域医療を守り育てる基本条例」を制定する。深刻な勤務医不足を踏まえ、「病状に応じた医療機関での受診」など市民にも適切な行動を呼び掛ける内容。市によると、提出している条例案が開会中の市議会6月定例会で可決されれば、地域医療を守る理念を掲げた東北初の条例となる。
 市の基本施策として、救急医療体制の維持・強化や、医師らの確保・育成などを挙げ、「実施のため、必要な財政上の措置を講じるよう努める」と規定する。
 市民の役割として(1)かかりつけ医を持つ(2)病状に応じ救急車を適正に利用する(3)夜間・休日に安易な受診をしない-ことなどを定めている。
 市によると、市内の病院勤務医不足は東日本大震災後に拍車が掛かり、人口10万当たりの勤務医(2014年12月時点)は88.3人と全国平均(153.4人)を大きく下回る。一方、軽症なのに夜間や休日の救急外来に駆け込む「コンビニ受診」などが増え、医療現場からさらなる対策を求める声が上がっていた。
 清水敏男市長は「限られた医療資源を定着させる意味でも、市民にそれぞれの役割を理解してもらい、地域ぐるみで医療を守る土壌をつくりたい」と説明。市の姿勢を内外に発信することで医師などの人材確保にもつなげたい考えだ。



http://www.medwatch.jp/?p=14326
地域枠医師は地元出身者に限定し、県内での臨床研修を原則とする—医師需給分科会(1)
2017年6月15日 MedWatch 医療計画・地域医療構想

 医師偏在の是正に向けた「早期に実行可能な対策」として、地域医療支援センターの作成するキャリア形成プログラムにおいて▼大学との十分な連携を図る▼地域枠入学生は地元出身者に限定し、当該都道府県での臨床研修を原則とする▼勤務地や診療科を限定する—ことなどを促す。また来年度(2018年度)予算において▼代診医師の派遣▼遠隔診療—に関する補助の拡大を目指す―。

 15日に開催された医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)で、こういった方向が了承されました。厚生労働省は、近く通知などで都道府県に伝達する考えです。

 また分科会では構成員から「より大きな医師偏在対策」を求める声が相次いで出され、厚労省は、今秋から「抜本的な医師偏在対策」を議論することを説明しました。この点については別途、お伝えします。

ここがポイント!
1 医師偏在是正に向け、「早期に実行可能な対策」を整理
2 地域枠の医師の「地域定着」を目指し、臨床研修先などの限定を
3 地域医療支援センターとへき地医療支援機構、連携・統合を進めよ
4 へき地以外への代替医師派遣や遠隔診療支援への補助を目指す
医師偏在是正に向け、「早期に実行可能な対策」を整理

 地域間・診療科間の医師偏在が大きな問題となっており、例えば新たな専門医制度についても「医師偏在を是正しないよう、地域医療への十分な配慮を行う」ことになっています。しかし、偏在の解消に向けた規制的手段の検討などには時間がかかるため(関連記事はこちら)、そうした議論・検討を行いながら、まず「早期に実行可能な対策」を取ることが必要とし、今般、具体的な4つの対策案を提示しました。

(1) キャリア形成プログラムの改善
(2) へき地における医師確保
(3) 若手医師へのアプローチ
(4) 医師の勤務負担軽減

地域枠の医師の「地域定着」を目指し、臨床研修先などの限定を

まず(1)のキャリア形成プログラム改善を見てみましょう。地域枠の医師には、原則として「一定期間、地域の医療機関で勤務する」ことが求められます。これは医師が不足する地域や診療科を解消するために極めて重要かつ効果的な施策ですが、対象医師には「きちんとしたキャリアを形成できるのか」という不安もあります。そこで都道府県の地域医療支援センターが、主に地域枠の医師が▼2年間の初期臨床研修▼その後の専門研修—において、どの医療機関・診療科に従事するのかの選択肢を提示し、キャリアを積みながら、偏在解消に資する医師就業を目指すプログラム(キャリア形成プログラム)を策定するものです。
 
しかし、各都道府県のプログラムを見ると、▼未策定や大学との連携が不十分な地域がある▼修学資金貸与を地元出身者に限定していないケースが多い▼初期臨床研修を県内に限定していない—といった課題があります。厚労省の調査では「初期臨床研修を行った地域への医師定着率が高い」ことが分かっており、現在のプログラムでは「偏在の解消」効果が減殺されてしまっていると言えそうです。
 
こうした状況から、厚労省は「地域枠医師が増加していく中で、効果的な偏在対策を行うためにはキャリア形成プログラムの改善が必要」と考え、都道府県に対し、次のような点を促すことを提案しました。

▼全都道府県で、大学(医学部・付属病院)と十分連携して、必ずキャリア形成プログラムを策定する

▼地域枠の入学生は地元出身者に限定し、大学所在都道府県で初期臨床研修を受けることを原則とする

▼勤務地や診療科を限定する

▼修学資金貸与事業における就業義務年限を自治医科大学と同程度の年限(9年程度)とする

こうした見直しによって、キャリア形成プログラムの中で「地域枠の医師は地元出身者に限定され、本都道府県に所在する●●病院、◆◆病院、■■病院のいずれかで初期臨床研修を受ける」ことなどが原則になれば、地域に定着する医師が増加すると期待されます。

この提案に対し明確な反論は出ていませんが、鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は「静岡県では240名程度の臨床研修医が必要だが、浜松医科大学出身医師は1年間で120名程度しかおらず、他県からの医師を招くために奨学金などを出している。各県の事情なども考慮する必要がある」と要望。この点、今村聡構成員(日本医師会副会長)は、鶴田構成員の要望を「理解できる」と述べた上で、「国が一定のルールを示さなければ、都道府県も動けないであろう。その際、県の事情を汲んでもらえるようにすればよいのではないか」とコメントしました。厚労省医政局地域医療計画課の担当者も「臨床研修医が不足するなどの状況があれば、柔軟な対応を検討する」旨の考えを述べています。

厚労省は、今後、全国的な医師の分布状況などを詳細に把握するために▼氏名▼医籍登録番号▼主たる従事先▼従たる従事先▼就業形態▼専門医資格—などのデータベースを構築する予定です。厚労省はこのデータベースを、例えば「キャリア形成プログラムごとの県内定着率などを比較し、プログラムの改善し、医師定着率向上を図る」などといった用途にも活用したい考えです。
 
なお、厚労省の調査では、地域医療支援センターからの医師派遣は「公立病院に偏っている」ことが明らかになっています。そこでキャリア形成プログラムでは「特段の理由なく、特定の開設主体に派遣先が偏らない」よう留意することも求められます。もっとも、公立病院への偏りが、「へき地医療などを担い、医師不足が深刻な病院が公立病院である」からなのか、それとも「単に県立病院の職員を確保するためだけに派遣をしている」からなのか、今後、実態調査が行われる予定です。

地域医療支援センターとへき地医療支援機構、連携・統合を進めよ

(2)の対策は、「地域医療支援センター」と「へき地医療支援機構」との連携・統合を促す内容です。

両組織ともに都道府県が設置しますが、地域によっては十分な連携が取れておらず、別個の方針で医師を派遣するという非効率があると指摘されます。しかし青森県では両組織を統合し、効率的かつ効果的な医師派遣が実現できているといいます。
 
厚労省は、▼両組織の統合も視野に、一体的な医師確保(へき地を含めたキャリア形成プログラムの策定など)を行う▼統合が直ちには行えない場合でも、キャリア形成プログラム策定や派遣調整に当たって、両組織が十分な連携を図る—よう求めていきます。
この点についても鶴田構成員は「1県1大学であれば統合も可能であろうが、複数の大学医学部がある場合には困難である」と指摘し、柔軟な対応の余地を残すよう要望しています。

へき地以外への代替医師派遣や遠隔診療支援への補助を目指す

 また(4)の負担軽減は、▼代替医師の派遣▼遠隔での診療支援―に対する補助の対象拡大を目指すものです。

代替医師の派遣においては「へき地医療拠点病院からへき地診療所へ代替医師を派遣する場合」、遠隔での診療支援においても「へき地医療拠点病院がへき地診療所を支援するための機器導入など」を行う場合に限り、支援(補助金)が行われます。したがって、大学医学部が、へき地でない地域の医療機関に対して遠隔での診療支援を行う場合には、機器導入や運営維持経費は、すべて「自分たちで賄う」ことになります。
 
厚労省医政局地域医療計画課の担当者は、来年度(2018年度)予算に向けて、この経費の対象拡大(へき地以外での代替医師派遣、同時に複数の医師の派遣、他病院への代替医師派遣依頼、へき地以外での遠隔診療支援など)を目指す考えを示しています。

さらに、医師不足地域の病院勤務医の勤務環境を改善するために、地域医療支援センターと医療勤務環境改善支援センターの連携も促していくことになります(派遣前に医療勤務環境改善支援センターが勤務環境確認し、助言を行うなど)(関連記事はこちら)。

なお(3)は、若手医師の地方勤務を促すためにSNSなどを活用した広報を行うことなどを推進していくものです。

構成員からは、「こうした対策では抜本的に医師偏在を解消できないが、当面の方策としては了承する」との意見が出されています。厚労省は、2018年度からの第7次医療計画を作成するための指針を出していますが、そこでは医師確保に関する部分、いわば空欄になっています(関連記事はこちらとこちら)。今般の了承を踏まえ、厚労省は「早期に実行可能な医師確保策」として、上記(1)から(4)の内容を都道府県に通知などによって伝達する考えです。もっとも(3)の広報などは、来年度(2018年度)を待たずに実行できることから、都道府県による積極的な取り組みに期待が集まります。



http://www.medwatch.jp/?p=14349
医師の地域偏在解消に向けた抜本対策、法律改正も視野に年内に取りまとめ—医師需給分科会(2)
2017年6月16日 MedWatch |医療計画・地域医療構想

 医師偏在の解消に向けた抜本的な対策を考える上では、まず「ニーズ」をきちんと把握し、その上で医師の要請数や配置を考えていく必要がある—。

 15日に開催された医師需給分科会(医療従事者の需給に関する検討会の下部組織)では、構成員からこういった意見が相次ぎました(関連記事はこちら)。今秋から「抜本的な対策」の議論が分科会で始まりますが、どのようにニーズ把握などを行うかが重要な論点となりそうです。分科会では、法律改正も視野に入れて年内(2017年内)に意見をとりまとめます。

医療のニーズを把握した上で、医師の供給数を算出するロジックは維持

分科会では、昨年(2016年)春に中間まとめを行い、地域医療構想などを踏まえて将来における医師の需要量と供給数について「2024年頃に約30万人で需給が均衡し、2040年には医師が3.4万人過剰となる」(中位推計)といった試算を行いました(関連記事はこちらとこちら)。
 
推計のロジックは、次のようなものです。

【入院医療】
(1)一般病床・療養病床の医師需要について、医師・歯科医師・薬剤師調査で得られた「医療施設(病院・診療所)の従事者数」から推計する
(2)(1)の結果を、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に按分する。按分方法としては、「4機能における平均的な医療資源投入量に基づく方法」や「現状の病床機能報告制度などを活用する方法」など、いくつかの仮定を置いて、『複数の推計値』を示す
 
【外来医療】
▽無床診療所で外来医療を提供している部分の医師需要を推計する(病院・有床診療所については、入院医療の医師需要に包含して推計している)
▽「性・年齢階級別の推計人口」と「性・年齢階級別の外来受療率」に基づき、さらに受療の動向(患者調査や社会医療診療行為別調査を活用)を踏まえて、医師需要を推計する
▽在宅医療については、外来需要とは分離して、「将来、慢性期から在宅に移行する」部分を含めて医師需要を推計する
 
しかし、その後に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(以下、ビジョン検討会)が設置され、その報告書(ICTやAIの発展、地域包括ケアの推進など、医療を取り巻く環境の変化を踏まえた『医療従事者の新しい働き方』『今後求められる医療従事者像』などが固められている)を踏まえて、医師などの需給を推計しなおすことになっています(関連記事はこちらとこちら)。
この点について権丈善一構成員(慶應義塾大学商学部教授)は、「中間まとめのロジックと同様に、まずニーズを推計し、それを踏まえて医師の養成数や配置を検討する」必要があると指摘。福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)も同旨の見解を述べました。厚労省医政局地域医療計画課の担当者も「同じ考えである」ことを明確にしましたが、「病院の外来需要について、どのように把握すべきかが十分に検討できていない。厚労省でさらに検討する」と述べるにとどめています。前述のとおり、中間まとめの推計では「病院の外来需要は、入院医療需要と一体的に推計する」という考え方に立っていますが、新たな推計でどう考えるのか、今後の検討結果に注目が集まります。

また厚労省医政局の神田裕二局長も、「ビジョン検討会の報告書でも、権丈委員らの指摘と同様の指摘が行われており、『ニーズに応じた適正配置』という議論の根本は崩れていない」と強調しました。

ただし、鶴田憲一構成員(全国衛生部長会会長)は、「医療においては供給がニーズを作り出してしまう」面があることを考慮すべき、と注意を促しています。

なお、今後の医師偏在解消に向けた抜本改革のベースとなるのは、上記で指摘されている「ニーズ」はもちろん、中間まとめで掲げられた14項目の対策案(厚労省のサイトはこちら(中間とりまとめ))であることを厚労省医政局医事課の武井貞治課長は明確にした上で、年内に分科会の意見をまとめ、必要があれば来年(2018年)に医療法改正案などを国会に提出する考えを示しています。

(1)医学部(地域枠の在り方など)
(2)臨床研修(募集定員配分などに対する都道府県の権限強化など)
(3)専門医(都道府県による調整権限の明確化など)
(4)医療計画による医師確保対策の強化(将来的な自由開業・自由標榜の見直しを含めた検討など)
(5)医師の勤務状況等のデータベース化
(6)地域医療支援センターの機能強化
(7)都道府県が国・関係機関などに協力を求める仕組みの構築
(8)管理者の要件(特定地域・診療科で一定期間診療に従事することを、臨床研修病院、地域医療支援病院、診療所などの管理者要件とすることを検討)
(9)フリーランス医師への対応
(10)医療事業の継続に関する税制(地域の医療機関の事業の承継に関し、中小企業と同様な優遇税制について検討)
(11)女性医師の支援(病院における柔軟な勤務形態の採用など)
(12)ICTなどの技術革新に対応した医療提供の推進
(13)チーム医療の推進
(14)サービス受益者に係る対策(かかりつけ医の情報提供など)



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170616114414
専門医育成の重要研修拠点に「市中病院」明記
機構が整備指針の修正版公表

2017年06月16日 11:59  CBNews

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は15日、「専門医制度新整備指針」の修正版をホームページで公表した。専門医取得を義務付けていないことを指針に明記したほか、幅広い疾患の症例が豊富な「市中病院」を重要な研修拠点と位置付け、「大学病院に研修先が偏らないようにする必要がある」とした。【新井哉】

 今回の修正は、厚生労働省の医師養成と地域医療に関する検討会の会合で、「専門医取得は義務付けではない」といった意見が出たことなどを踏まえたもので、考え方を明確化したり、分かりやすい表現に改めたりした。

 例えば、「専門医の領域について」の項目では、「専門医はすべての医師が取得しなければならないものではなく、医師として自律的な取組として位置付けられるものである」といった文言を新たに加えた。

 また、「研修施設群の原則」の項目でも、大学病院に研修先が偏らないようにするため、「市中病院」を重要な研修拠点とする必要性を挙げ、「地域の中核病院等が基幹施設となれる基準を設定する」と追記した。

 このほか、地域医療従事者、出産や育児で休職・離職した女性医師などが専門医になれるように、「専門医育成の教育レベルが保持されることを条件に柔軟な研修カリキュラム制による専門研修を行う」などと明記した。



http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20170616-OYTNT50092.html
東北医科薬科大が新病院
9月 守病院事業譲受に合意

2017年06月16日 読売新聞 宮城


 昨年医学部を新設した東北医科薬科大(仙台市青葉区)は15日、名取市の医療法人社団・健守会が運営する同市増田の「守病院」(病床数62床)の事業譲受について、健守会と正式合意したと発表した。「東北医科薬科大学名取守病院」(仮称)として、9月1日に開院する計画。譲渡額は非公表。

 守病院は1956年にオープン。診療科は内科、呼吸器内科、循環器内科の3科で、2015年度の外来患者は1日平均65・6人、入院患者は同46・1人。建物は地上3階。所属する医師や看護師など94人の雇用は継続する予定という。

 同大の付属病院は、本院の東北医科薬科大学病院(仙台市宮城野区、466床)と、東北医科薬科大学若林病院(同市若林区、199床)とあわせて3病院体制、計727床となる。

 同大担当者は「今回の譲受で運営基盤がより強固になる。地域医療の拠点としていきたい」としている。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/health/health/1-0411091.html
出産年1千件、札幌・天使病院が予約中止 複数医師が退職意向
06/16 08:57 北海道新聞

 札幌市東区の天使病院(藤井ひとみ院長、260床)が新規の分娩(ぶんべん)予約を中止したことが15日、分かった。複数の産婦人科医が退職する意思を表明しているためで、同病院は産婦人科の診療体制を大幅に縮小せざるを得ないと判断した。

 同病院は全道に30施設、札幌市内に6施設ある、未熟児が生まれた際の治療や処置を行う地域周産期母子医療センターの一つ。52床の産科で、年に約千件の出産を扱っているほか、道央で最大規模の新生児集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)計26床を備える。緊急の帝王切開手術など危険性の高い分娩にも対応しており、同病院の受け入れ制限は、道央の産婦人科医療体制に影響を与えそうだ。

 関係者によると、研修医4人を除く産婦人科医6人のうち、4人が数カ月以内の退職を表明している。4人のうち3人は、北大医学部産婦人科を母体とし、所属する医師を地域に派遣している一般社団法人「ウインド」に所属、または所属していた医師。

 ウインドなどによると、天使病院の経営側が道内の別の病院で働くウインド所属の医師に対し、天使病院への移籍を持ち掛けたとされる。ウインドは天使病院側に抗議し、病院側は謝罪したという。

 ただ、離職を表明している医師の1人は「経営側と信頼関係が築けない中で、リスクが伴う周産期医療は続けられない」と話している。

 天使病院は「詳細についてお答えできない」と話している。既に分娩予約をしている妊婦に対しても他施設の紹介を始めているという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/537734
中央社会保険医療協議会
地域包括ケア病棟、「急性期の受け皿」が7割
2016年度入院医療等調査、「その他」の利用少数

レポート 2017年6月14日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告された「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)のうち、「地域包括ケア病棟入院料の包括範囲の見直しの影響について」では、地域包括ケア病棟・病室の利用に係る趣旨は「自院の急性期病棟からの受け皿として利用している」が55.4%で最も多く、「他院の急性期病棟からの受け皿として利用している」の15.8%と併せて約7割が急性期病棟からの受け皿としての利用だった。

 一方で、地域包括ケア病棟等の役割の一つである「在宅医療の後方支援として急変時などの受け皿として利用」が5.4%、「介護保険施設等からの急変時の受け皿として利用している」は0.9%にそれぞれとどまるなど、その他の利用は少数だった(資料は、厚生労働省のホームページ)。

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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 2016年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を含む)の包括範囲から、手術、麻酔に係る費用が除外されたほか、重症度、医療・看護必要度や在宅復帰率の施設基準が変更された。これらの影響を検証するため、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料の届出を行っている医療機関を対象に調査を実施した。

 改定前後の他病棟からの届出変更状況を尋ねると、2016年11月1日の時点で地域包括ケア病棟を届け出ていた医療機関についての当該病棟の2016年度改定前の状況は、同じく地域包括ケア病棟だった66.4%を除くと、7対1入院基本料が25.7%と最も多く、10対1入院基本料が15.0%で続いた。

 地域包括ケア病棟等を届け出ている理由については、「より地域のニーズに合った医療を提供できるため」が28.8%で最多。「収益を上げやすいため」と採算を考慮しての届出が次いで多く、18.0%だった。

 重症度、医療・看護必要度の該当患者割合別の分布では、施設基準である10%を大きく上回る医療機関が多い。回答した119施設のうち、基準以下は1施設のみで、20%以上25%未満が32施設で最多。15%以上20%未満が31施設、25%以上30%未満が20施設で続き、平均は22.5%だった。

 在宅復帰率も、回答した184施設のうち、施設基準の70%を下回る医療機関は5施設にとどまり、90%以上95%未満が57施設で最多となり、平均は87.2%だった。

 地域包括ケア病棟入院中に手術を実施した患者は、3.5%。2014年度に行った前回調査の0.7%からは増加したものの、入棟前に手術を行った患者は16.2%から21.3%に増えており、増加幅も入院中の手術の方が多かった。

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



https://www.m3.com/news/iryoishin/537656
中央社会保険医療協議会
7対1入院基本料、98.0%は「変更せず」
2016年度入院医療等調査、重症度等28.8%、在宅復帰率92.5%

レポート 2017年6月14日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)が6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告され、「一般病棟入院基本料・特定集中治療室管理料における『重症度、医療・看護必要度』等の施設基準の見直しについて」の結果では、2016年度診療報酬改定前に一般病棟で7対1入院基本料を届け出ていた施設のうち、同年11月1日時点で同様に7対1入院基本料を届けていた施設は98.0%に上った。

 2016年度改定では、重症度、医療・看護必要度と在宅復帰率の基準が厳しくなり、7対1入院基本料から他の入院料にどの程度変更するかが注目されたが、実際には同基本料のまま運営している病院が大半を占める。重症度、医療・看護必要度の該当患者基準は25%以上だが、2016年8~10月の平均は28.8%で前年同期比で9.6ポイント増、在宅復帰率は80%以上の基準に対し、平均92.5%だった(資料は、厚生労働省のホームページ)。
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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 2006年に7対1入院基本料が創設されて以降、届け出病床数は増加し、2014年以降はほぼ横ばいとなっている。2016年度診療報酬改定では、以下のような見直しが行われ、この影響の検証を目的に調査を行った。

・重症度、医療・看護必要度の見直し
(1)手術(2)救命等に係る内科的治療(3)救急搬送(4)認知症・せん妄の症状―等についての評価を拡充
・7対1入院基本料の基準の見直し
「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者の割合を15%から25%に見直す。在宅復帰率の基準を75%から80%に見直す。
・重症患者を受け入れている「10対1」病棟に対し、「重症度、医療・看護必要度」に該当する患者の受け入れに対する評価の充実
・7対1入院基本料から10対1入院基本料に変更する際に限り、2016年4月1日から2年間、7対1病棟と10対1病棟を病棟郡単位で有することを可能とする。

 調査で7対1入院基本料を届け出ている理由を尋ねたところ、「一般病棟(7対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」が49.4%で最も多かったが、「施設基準を満たしており、特に転換する必要性を認めないため」も23.0%と約4分の1を占めた。「一般病棟(7対1)の方が、他の病棟と比較して収益が上げやすいため」と採算性を挙げた施設も6.4%あった。

 一方で、7対1入院基本料から転換した理由については、「重症度、医療・介護必要度の基準を満たさないため」が32.7%で最も多く、2016年度改定が影響したことがうかがえる。。「他の入院料と一般病棟(7対1)を組み合わせることで、より患者の状態に即した医療を提供できるため」が25.0%、「一般病棟(7対1)から他病棟へ転換することで、より地域のニーズに合った医療を提供できるため」が21.2%で続いた。

 入院料別の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の平均を2015年度の前回調査と比べると、7対1入院基本料では19.2%から28.8%に9.6ポイント、10対1入院基本料では14.4%から19.1%に4.7ポイント、それぞれ上昇した。7対1入院基本料の重症度、医療・看護必要度該当患者割合別の医療機関の分布では、基準の25%を少し超える25%以上30%未満の医療機関が、回答した255施設のうち171施設と多くを占め、30%以上35%未満が60施設で続いた。

 一般病棟(7対1)の在宅復帰率については、2016年度改定後の基準である80%に満たないのは、回答した271施設のうち1施設のみで、90%以上の医療機関が202施設と大半を占めた。

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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)
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(2017年6月14日「中医協診療報酬基本問題小委員会」資料)

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



https://www.m3.com/news/iryoishin/537951
中央社会保険医療協議会
20対1療養病棟の理由、「医療需要あり」42.9%
2016年度入院医療等調査、基準満たせず「25対1」も

レポート 2017年6月15日 (木)配信水谷悠(m3.com編集部)

 療養病棟入院基本料を届け出ている理由は、医療需要があるため――。6月14日に開かれた中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会(小委員長:田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授)で報告された「2016年度入院医療等の調査」の調査結果(速報)のうち「療養病棟入院基本料等の慢性期入院医療における評価の見直しの影響について」で、療養病棟入院基本料1(20対1)を届け出ている理由は、「療養病棟(20対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」との回答が42.9%で最多だった。

 療養病棟入院基本料2(25対1)を届け出ている理由も、最多は「療養病棟(20対1)の施設基準を満たす医療区分2・3の該当患者割合まで患者を集めるのが困難であるため」の26.3%だったものの、「療養病棟(25対1)相当の看護配置が必要な入院患者が多い(医療需要がある)ため」が25.3%で続き、医療需要があることが主要な理由となっていた(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 2016年度診療報酬改定では、慢性期入院医療に関して次のような評価の見直しが行われ、その影響を検証するために調査を実施した。

(1)療養病棟入院基本料2の施設基準における医療区分2・3の患者割合に関する要件の追加
(2)医療区分の評価方法の見直し
(3)療養病棟における在宅復帰機能の評価に関する施設基準の見直し
(4)障害者施設等入院基本料等における脳卒中患者の評価の見直し

 療養病棟入院基本料2(25対1)では「入院患者のうち医療区分2か3の患者が5割以上」の要件が追加されたが、病棟で医療区分2か3の患者が占める割合の分布を見ると、5割を超えているのは回答した89施設のうち7割弱の61施設。療養病棟入院基本料1(20対1)では医療区分2か3の患者の割合の基準は8割以上だが、回答した219施設のうち199施設が基準を満たしていた。療養病棟入院基本料1(20対1)全体での医療区分2・3入院患者は「2」が54.7%、「3」が35.5%で、合わせて約9割。療養病棟入院基本料2(25対1)では「2」が38.6%、「3」が22.7%で、合わせて約6割だった。

 療養病棟の患者の流れを見ると、他院の7対1と10対1の入院基本料の病床からの患者が41.0%で最も多く、自院の7対1、10対1の入院基本料病床からが12.5%、自宅からが11.0%で続いた。退棟先は、死亡退院が40.1%で最多だった。

 調査は2016年11月~12月に郵送で行い、調査対象施設の区分ごとの回収結果の概要は次の通り。いずれの対象にも施設調査票、病棟票、入院患者票、補助票、対等患者票を配布した。

A:7対1・10対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1829、施設調査票回収数650(回収率35.5%)
B:地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、13対1・15対1一般病棟入院基本料等の届出医療機関―対象施設数1501、施設調査票回収数488(回収率32.5%)
C:療養病棟入院基本料―対象施設数1801、施設調査票512(回収率28.4%)
D:障害者施設等入院基本料等―対象施設数800、施設調査票(回収率35.3%)
E:有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料―対象施設数800、施設調査票270(33.8%)



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t221/201706/551698.html
シリーズ◎どうなる新専門医制度
都道府県協議会の位置付けを奈良県知事が強く批判
厚生労働省「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」

2017/6/14 石垣恒一=日経メディカル

 厚生労働省は6月12日、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:国立社会保障・人口問題研究所所長・遠藤久夫氏)の第3回会議を開き、基本領域7学会の新専門医制度への取り組みについてのヒアリングなどを行った。検討会構成員からは基幹施設の大学偏重の傾向などが質されたが、各学会の地域医療への配慮には概ね好意的な評価が示された。しかし、会議の終盤で奈良県知事の荒井正吾氏が、日本専門医機構が想定する都道府県協議会の位置付けについて、「全く受け入れられない。都道府県知事会を代表して出席している立場として、このままなら新制度をつぶすことも検討する」と強く批判する一幕もあった。

 荒井氏が強い不満を表明したのは、機構が資料として提出した専門医制度整備指針運用細則の改訂内容に対して。都道府県協議会についての改訂は以下のように記載していた。

専門医制度整備指針運用細則の改訂の主な内容について

(1と2は略)
3.都道府県協議会について
【改訂の方向性】
●地域の実情に応じた協議を協議会で実施するためには、連携施設への医師配置に関して、迅速にきめ細かく情報提供いただく必要があり、基幹施設等は協議会の求めに協力する。

<改訂案の要点>
●協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対し、ローテート内容等の情報の提供を求めることができ、研修施設群は機構の了解の上、協議会に情報を提供することができる。地域医療への配慮や専門研修レベルを改善するための必要性に応じて、機構は基本領域学会、研修施設群と協同して協議会の求めに協力することができる。

 この日の会議で荒井氏は「地域医療の確保等に関する意見」として確認事項を提出。都道府県協議会の実効性を高めるため、「研修施設が都道府県協議会に協力し、直接に必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と主張していた。機構の改訂細則では研修施設の協力は任意で、しかも機構を介する必要があると解釈できることで、冒頭の強い不満を露わにしたと見られる。

 「新制度を事前にいくら検討しても、限界がある。若い医師たちがどのような扱いを受けているかなど、大事なのは事後の検証で、その場が都道府県協議会になる」。荒井氏は都道府県協議会の重要性をこう語り、その活動の実効性の確保を強く求めた。

 機構理事長の吉村博邦氏は「ご指摘を受け止める」と回答。機構理事会などで速やかな検討がなされると見られる。

 都道府県協議会については、自治体によって体制や取り組みの内容に差があることが昨年から指摘されている。厚労省は各都道府県の協議会について調査を行うとともに、次回の検討会では取り組みの好事例についてヒアリングする方針を示した。新専門医制度のリスタートにおいて、都道府県協議会の体制整備がにわかに課題として浮上してきた。



https://mainichi.jp/articles/20170613/ddl/k21/010/114000c
医師の地域偏在解消へ 修学資金制度見直し 県方針 /岐阜
毎日新聞2017年6月13日 地方版 岐阜

 県は12日、医師の地域偏在解消に向け、県内勤務を条件に岐阜大医学部に設けている「地域枠」医学生向けの修学資金制度を見直す方針を県医療審議会で示した。県内の医師不足地域への勤務をより評価した制度を今後検討するという。

 勤務先が岐阜圏域に集中する傾向が見られる修学金貸与医師に、医師不足地域での勤務を促すのが狙い。修学資金制度を利用した医師が2026年には300人近く県内で勤務することが予定されている。

 地域枠に連動した医学生の修学資金制度は6年間で計約1070万円を貸与。県内で2年間の初期臨床研修後、9年間勤務すれば返還が免除される。県はへき地や岐阜圏域以外の医師不足診療科での勤務により、業務従事期間を短縮する措置も今年度から始めた。

 一方、県が設定する地域単位で複数の市町村にまたがる県内五つの二次医療圏のうち、国の見直し検討の要件に合致する飛騨圏域について、県は広大な面積や基幹病院へのアクセスなどを踏まえ、周辺との統合を考えない方針を示した。今年度策定する次期県保健医療計画では現行通りとする。【岡正勝】



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03227_02
第8回日本PC連合学会学術大会開催
週刊医学界新聞 第3227号 2017年06月12日

 第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(大会長=きたじま田岡病院/徳島大・板東浩氏)が5月13~14日,「総合診療が拓く未来――地域に新たな架け橋を」をテーマにサンポートホール高松,他(高松市)にて開催された。本紙では,医学部地域枠および総合診療専門医に関するシンポジウムの模様を紹介する。

地域枠入学制度と総合診療

 医学部入学定員は2009年度から順次,地域枠を主体とした増員が図られるようになった。定員に占める地域枠の割合は,16年度に17.5%(1617人)に達している。地域枠入学者が専攻医として後期専門研修に進むのに際して,地域への定着を図るためには総合診療専門医の育成が鍵となるだろう。シンポジウム「地域枠と総合診療」(座長=長崎大大学院・前田隆浩氏,高知大・阿波谷敏英氏)では,行政,大学専攻医,それぞれの立場から地域枠入学制度と総合診療について考察した。

 最初に登壇した角芽美氏(島根県立中央病院)は島根県の隠岐島出身。地元の高校を卒業後,地域枠で島根大医学部に進学した。初期臨床研修の経験から「出身地域での医療に従事するには総合的に診るスキルが必要」と痛感し,後期研修は総合診療専門研修を選択したという。へき地で医師がキャリアを形成する上では,「基幹病院との連携や代診医を利用しやすい環境づくりが重要」と指摘した。

 松本正俊氏(広島大)は,地域枠入学制度のアウトカムについて分析した。全国地域医療教育協議会・全国医学部長病院長会議の調査によれば,地域枠入学者の医師国試合格率およびストレート卒業率は,一般医学生よりも高い。また,大学病院を基幹とする総合診療専門研修プログラムの多くが地域枠入学者の受け入れを想定していることに言及。「地域枠入学→総合診療専門医取得→地元の地域医療に貢献」というシステムの構築が重要であるとの見解を示した。

 県と連携した地域枠入学者育成の取り組みについては,岡山雅信氏(神戸大大学院)が報告。取り組みの基本として,医学生・初期研修医に対する地域医療マインドの醸成のほか,専門研修以降の医師を育成・支援する仕組みも必要であると強調した。兵庫県では神戸大とも連携して,義務年限終了後のキャリアを支援する担当部署を今年度から設置。「契約期間(義務年限)終了後も安心して働ける職場の提供」を最重要課題に掲げた。

 行政の立場からは吉川裕貴氏(厚労省)が登壇。「遠隔地・地方での医療従事者確保のためのWHOガイドライン」(2010年)では,地方出身学生の受け入れが「エビデンスレベル中等度,強い推奨」とされていることを紹介。また,総合性の高い科の医師はへき地勤務率が3割程度高い[PMID:19463042]といった本邦の研究を紹介し,総合診療専門医への期待を述べた。

 討論では,地域枠出身者のキャリア選択を中心に議論が進んだ。総合診療専門医が地域医療に貢献することは明らかである一方,地方で不足する産科医や外科医のニーズも高いことから,地域枠入学者の進路選択をどこまで規定するかは難しい課題であるといった意見が出された。

総合診療専門医をめぐる議論は収束へ

 新専門医制度の延期が2016年7月に正式決定した後,制度の抜本的見直しを求める声が高まるなか,外科研修を必修化する案が出るなど総合診療専門医をめぐる議論も迷走した。シンポジウム「一体どうなっているの? 総合診療専門医制度」(企画責任者=北海道家庭医療学センター・草場鉄周氏)において,専門医制度担当副理事長の草場氏が現状を説明。草場氏は「議論は収束に向かいつつある」との見方を示し,2016年時点からの主な変更点(予定)を次のとおり提示した。

・「6つのコアコンピテンシー」を「7つの資質・能力」に変更
・内科研修は「6か月」から「12か月」に延長(総合内科研修を推奨)
・外科研修は初期研修で選択しなかった場合に推奨
・小児科・救急科研修は研修基幹施設がへき地に所在する場合はカリキュラム制が可能に
・総合診療専門研修Iの小児や後期高齢者の数値要件は撤廃
・総合診療専門研修と必修研修の最大6か月の読み替えが認められ,その場合に6か月の選択研修が可能
・へき地などで1年以上研修することを推奨

 内科研修の延長に伴うプログラムの再整備は課題となるが,ある程度の柔軟性は担保されたものとみられる。今後は,19領域同時に整備基準が正式承認され,プログラムの公募が開始される見通しだ。

 シンポジウムではこのほか,現行の学会認定専門医制度に携わる委員らが,現状と新専門医制度移行後の展望を解説。草場氏は,学会がこれまで培ってきたノウハウを生かしながら,日本専門医機構と連携して総合診療専門医の育成に尽力する意欲を示した。



http://www.medwatch.jp/?p=14354
特定機能病院の院長は「選考会議」で選出、医療機関ホームページでの虚偽表示など禁止―改正医療法
2017年6月16日 MedWatch |医療・介護行政全般

 特定機能病院の管理者(病院長)の選任に当たっては、選考会議などを設置し、そこでの審査を経て「適切な能力・経験を有する者」を選ばなければならない。医療機関のホームページも広告規制の対象とし、虚偽広告や比較広告をした場合に罰則の対象とする。「持分なし」医療法人への移行に向けた、厚生労働大臣の移行計画認定期限を2020年9月まで延長する—。

こうした内容の改正医療法が14日に公布されました。厚生労働省医政局長は同日に、その旨を周知する通知「『医療法等の一部を改正する法律』の公布について」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。各改正項目によって施行期日が異なりますので、ご留意ください。

ここがポイント!
1 医療機関ホームページも広告、ただし患者のための表示可能事項を明示
2 特定機能病院の院長、選考会議などで選出することが必要
3 持分なし医療法人への移行を促進
4 法令違反の程度に応じて、都道府県知事が段階的・柔軟に対応
医療機関ホームページも広告、ただし患者のための表示可能事項を明示

 今般の医療法改正の内容は、社会保障審議会・医療部会での議論をベースとしており、メディウォッチでも、その内容は順次お伝えしてきました(関連記事はこちらとこちら)。改正内容を、ポイントを絞って改めて振り返ってみましょう。

 まず、医療機関のホームページの位置づけについて、これまで「広告規制」の対象外とされてきましたが、この方針を転換し「広告である」としました。併せて、虚偽広告や比較広告を禁止し、ホームページ内容の適正化を図る考えです。「公布から1年以内」に施行されるので、早急なホームページ内容の点検を行う必要があります。

 具体的には、広告の定義を「医業・歯科医業・病院・診療所に関して『文書その他いかなる方法によるを問わず』、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」とし、▼虚偽の広告▼比較広告(他の病院・診療所と比べて優良である旨の項目)▼誇大広告▼公序良俗に反する広告—を行うことを禁止しました。施行期日は政令で定められますが、遅くとも「来年(2018年)6月13日まで」にスタートします。

ただし、医療機関ホームページには、患者・地域住民にとって有用な情報が少なくないため、▼医師・歯科医師である旨▼診療科名―などの広告可能事項以外についても広告できます。改正法では「広告がされても医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める」としており、具体的な表示可能内容は今後、明らかにされます。

あわせて、助産師・助産所に関しても同様の規定が設けられます。

特定機能病院の院長、選考会議などで選出することが必要

 特定機能病院のガバナンス強化も、改正法の重要事項です。一部の特定機能病院で医療事故が相次いだことを受け、厚労省は一昨年からガバナンス強化に向けた方策(医療安全に関する外部監査委員会の設置などを指定要件に加えるなど)を取っており、今般の改正内容もその流れを汲むものです(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。特定機能病院のガバナンス強化は、「公布から1年以内」に施行されます。

 例えば、特定機能病院の承認要件に、「医療の高度の安全を確保する能力を有する」ことを追加するほか、病院長の選任方法について「開設者(例えば学長など)が、選考のための合議体(選考会議など、厚生労働省令で含めるべき構成員を規定)で審査を行い、その結果を踏まえて『特定機能病院の管理・運営に関する業務遂行に必要な能力・経験を有する者』を選ばなければならない」との規定が設けられました。教授会による互選などは認められなくなります。

 また、特定機能病院の開設者に対して、▼病院長の管理・運営権限を明らかにする▼医療安全確保に関する監査委員会を設置する▼病院長の業務執行が法令に適合することなどを確保する体制を整備する—ことを義務付けたほか、病院長に対して、▼医療の高度の安全を確保する▼管理・運営上重要な事項(厚生労働省令で規定)は勤務する医師・歯科医師・薬剤師・看護師などで構成される合議体の決議に基づく—よう指示しています。

持分なし医療法人への移行を促進

 また、医療法人の非営利性担保に向けて「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への転換が推進されていますが、推進方策の1つである「持分なし法人への移行に関する厚生労働大臣の認定期限」を2020年9月30日まで延長することが決まりました(関連記事はこちら)。

認定を受けた場合、持分なし法人への移行期間(最大3年)において▼出資者の相続に係る相続税を猶予・免除する▼出資者間のみなし贈与税を猶予・免除する―という税制上の特例措置を受けられます

さらに今般の改正では、認定要件に「法人運営に関し、社員、理事、監事、使用人その他の法人関係者に対し 特別の利益を与えないこと」などが追加されます(詳細は厚生労働省令で規定)。この規定は今年(2017年)10月から施行されます(期限の延長は、もちろん6月14日から適用)。

法令違反の程度に応じて、都道府県知事が段階的・柔軟に対応

 また従前の医療法では、医療法人に対しては法令違反などへの段階的な、柔軟な対応(立入検査、改善措置命令、業務停止命令、役員解任勧告、認定取り消し)を可能としていますが、それ以外の、例えば自治体病院や社会福祉法人などの規定は硬直的(いきなり閉鎖命令など)なものでした。

 そこで今般の改正では、医療法人以外の医療機関に対しても、法令違反の程度などに応じて段階的、柔軟な対応がとれるような見直しが行われました。具体的には、次のような段階を設けています。この規定は「公布から1年以内」に施行されます。

▼都道府県知事など(知事のほか、保健所設置市長、特別区長)は、病院などの業務が法令などに違反している『疑い』、またはその運営が著しく適正を欠く『疑い』があると認めるときは、当該病院などの開設者の事務所などに立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査することができる【立入検査】

▼都道府県知事などは、病院などの業務が法令などに違反し、またはその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該病院などの開設者に対し、期限を定めて、必要な措置をとるべきことを命ずることができる【改善命令】

▼病院などの開設者が【改善命令】に従わないときは、都道府県知事などは当該開設者に対し、期間を定めて、その開設する病院等の業務の全部または一部の停止を命ずることができる【業務停止命令】
 
 このほか、次のような見直しも行われます。
▼病院などが検体検査業務を行う場合には、一定の基準(厚生労働省令で定める)への適合を義務付け(この基準を満たせば、検体検査業務を受託可能)【基準に関しては、厚労省が検討会を設置し、そこでの議論を経る必要があるため、「公布から1年半以内」に施行】

▼出張のみの業務に従事する助産師に、妊婦などの異常に対応する病院・診療所を定めることの義務付け【今年(2017年)10月から施行】

▼検体検査の詳細は厚生労働省令に移譲(柔軟に新たな検査を追加できるようにする)【公布から1年半以内に施行】―などの改正内容が盛り込まれています。

 

http://www.medwatch.jp/?p=14226
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
2017年6月13日 MedWatch |医療計画・地域医療構想

 新たな専門医制度によって地域・診療科の医師偏在が助長されないよう、専門医機構は、研修施設群の状況などを「必ず」都道府県協議会に情報提供し、かつ都道府県協議会で「是正の必要がある」などとの求めがあった場合には「必ず」協力するべきである—。

 12日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」(以下、検討会)では、荒井正吾構成員(奈良県知事)からこうした強い要請が出され、日本専門医機構の理事長である吉村博邦構成員(地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)は関連規定の修正を約束しています。

 厚生労働省医政局医事課の武井貞治課長は、「検討会では、機構や学会が地域医療へどう配慮しているかをフォローしていくことになる。今般指摘された規定修正の状況や、都道府県協議会の状況などを見ながら、次回の検討会開催を考えたい」とメディ・ウォッチにコメントしています。

ここがポイント!
1 都道府県側は「都道府県協議会の関与」を明確にするよう機構に強く要望
2 救急や産科婦人科など7学会からヒアリング、地域医療への配慮がうかがえる
都道府県側は「都道府県協議会の関与」を明確にするよう機構に強く要望

 専門医資格(学会)が乱立し、国民にとって分かりにくい制度になっているとの指摘を受け、「専門医の質を担保し、国民に分かりやすい」新たな専門医制度が来年度(2018年度)から全面スタートする予定です。専門医の認定や研修プログラムの認証を、日本専門医機構と各学会が共同して行うことが、新制度の大きな柱となっています。

日本専門医機構では、新専門医制度の憲法とも呼ばれる「整備指針」を昨年(2016年)12月に策定するなどの準備を進めてきました(関連記事はこちらとこちら)。しかし、全国市長会などから「地域医療への、さらなる配慮が必要」との強い要請を受け、塩崎恭久厚生労働大臣は本検討会を設置して「地域医療への十分な配慮がなされているか」のフォローアップを行うことにしたのです。これまでの検討会では、多くの構成員から「プログラム制(年限と研修施設を決め、その中で研修を行う仕組み)では、女性医師などが専門医資格を取得しにくくなる」などの指摘が相次ぎ(関連記事はこちらとこちら)、日本専門医機構では6月2日の理事会で、次のように新整備指針の見直すことを決定。12日に検討会で、その旨が吉村構成員から報告されました(修正内容はこれまでにもメディ・ウォッチでお伝えしているとおりです)(関連記事はこちら)。

▼「専門医はすべての医師が取得しなければならないものでなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられるものである。国民に信頼される安全・安心な医療提供のための専門研修は適正に施行されるべき」旨を明記

▼「基本領域の専門医研修はプログラム制が原則だが、▽専門医取得を希望する義務年限を有する医大卒業生▽地域医療従事者▽出産・育児などで休職・離職を選択した女性医師など▽介護・留学など合理的理由のある医師—などでは、カリキュラム制などの柔軟な対応を行う」旨を明記

▼「全般的、幅広い疾患の症例の豊富な支柱病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする。連携病院で採用した専攻医が希望した場合、長期間連携病院での研修を設定するなど柔軟なプログラムを作成する」旨を明記

▼「機構の研修プログラム承認に際し、▽都道府県▽市町村▽医師会▽大学▽病院団体—などからなる都道府県協議会と事前に協議し決定する。承認後も、連携施設などの医師配置状況を含めて協議会に情報提供する。協議会の意見を受け、機構は協議会・関係学会と協議・調整し改善する」旨を明記

 吉村構成員は、併せて下部規定となる「運用細則」について、次のように見直すことも報告しました。これも「カリキュラム制(年限や研修施設を定めず、必要な症例数などが蓄積された段階で専門医試験の受験資格を得られる仕組み)などの柔軟な対応を設けても、それに則って研修を受けられる仕組みが担保されなければ意味がない」旨の検討会構成員からの指摘を受けたものです。

(1)カリキュラム制などの柔軟な対応を担保するために、▼基幹施設などは専攻医からの相談窓口を設け、有効な研修を行えるよう配慮する▼専攻医は、相談窓口への相談後も有効な研修が行えないと判断した場合には、機構に相談できる—こととする

(2)都道府県協議会によるチェックを担保するために、▼協議会は、機構に連絡し、研修施設群に対しローテ―ト内容などの情報提供を求めることができる▼研修施設群は機構の了解の上、協議会に情報を提供できる▼地域医療への配慮や専門研修レベル改善のための必要性に応じて、機構は基本領域圧潰、研修施設群と共同して、協議会の求めに協力することはできる—こととする

 
しかし、運用細則見直しの(2)「協議会によるチェック」について、都道府県代表の荒井構成員は、「地域の医師偏在などが助長されていないか、都道府県協議会が事後チェックすることが重要である」とし、例えば「機構の『了解の上で』研修施設群が情報提供できる」「機構が協議会の求めに協力することが『できる』」といった表現ぶりについて、「協力しないという判断もできるように読める」ことは遺憾であると指摘。協議会の求めがあれば「必ず」対応するような表現に修正するよう極めて強い調子で要請しました。吉村構成員や、機構の理事でもある今村聡構成員(日本医師会副会長)は、この要請を受け運用細則を再度見直すことを約束しています。

また厚生労働省医政局医事課の担当者も、「厚労省も研修施設群に対し、必要な情報提供や改善をしてもらうよう協力する」考えを明確にしています。厚労省は、近く「協議会をどのように運営するのか、何をチェックすればよいのか」などを整理した通知を発出するとともに、新専門医制度に関する説明会(都道府県担当者向け)を開催し、都道府県協議会によるチェックが有効に機能するよう努める考えです。

救急や産科婦人科など7学会からヒアリング、地域医療への配慮がうかがえる

 12日の検討会では、▼日本救急医学会▼日本外科学会▼日本産科婦人科学会▼日本小児科学会▼日本整形外科学会▼日本精神神経学会▼日本麻酔科学会—の7学会から、各学会の研修プログラムにおいて地域医療にどのような配慮を行っているのかを聴取しました(前回会合では日本内科学会から意見聴取を行った、関連記事はこちら)。

 例えば産科婦人科学会では、▼基幹施設での研修は最長でも2年間(24か月)以内とし、基幹病院による「専攻医の抱え込み」が生じないようにする▼基幹施設の認定基準を必要に応じて緩和し、都道府県に複数の基幹施設を置くことを原則とする▼基幹施設でなく、かつ大都市以外に設置された連携施設において「1か月以上」の研修を必須とする—などの配慮を実施。もともと「統一プロトコル」で専門医研修を行うこととしている山梨県を除く、46都道府県で複数の基幹施設を設置する見通しが立っています(青森県や岩手県など24県で単一の基幹施設しかなかったが、学会が調整)。

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産科婦人科領域では24県で「県内に基幹施設が1病院しかない」状況であったが、もともと統一プロトコルで専門医研修を行うこととしいる山梨県を除き、すべての県で「複数の基幹施設設置」に向けた準備を進めている(山口でも候補病院が見つかっている)

 また整形外科学会でも、▼プログラム制とカリキュラム制とを併用する▼都市部(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県)の専攻医定員を過去5年の平均以下とする一方で、地域部の定員には上限を設けないことで、専攻医の都市集中を防ぐ▼大学病院しか基幹病院となっていない県について、市中病院の基幹病院を設置できるよう、施設基準の柔軟な運用を行う—などを実施。28県で「基幹病院が県内に1つ」という状況でしたが、学会の尽力によって佐賀県・岩手県以外は「県内に複数の基幹病院を設置」する見通しが立っていることが報告されました。
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整形外科領域では、28県で「県内に基幹施設が1病院しかない」状況であった
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基幹施設の基準緩和などにより、岩手県・佐賀県を除き、すべての都道府県で複数の基幹施設設置の目途がたっている

 こうした取り組みに対し、「整形外科領域では指導医5名以上という厳しい要件があるが、1県1基幹病院となっている地域には学会から指導医を派遣するなどの対応を考慮してはどうか」(邉見公雄構成員・全国自治体病院協議会会長)などの注文こそついたものの、多くの構成員からは「地域医療への配慮がなされている」と称賛の声があがりました。

また小児科学会では、各都道府県において「募集定員と採用数(実際に採用できた数)との間にギャップがある」といったデータを示し、定員数と採用数とは分けて議論する必要があるとの見解も示しました。現在、都市部への集中を避けるために、領域によっては「定員に上限を設ける」ことになっていますが、より精緻に見ていく必要があるとの見解です。

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日本小児科学会では、専攻医の定員(募集人数)と採用数との間に、そもそものギャップがあることを指摘している

しかし渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は「大学が地域ニーズを把握せずに定員を設定しないために需給にミスマッチが起きている」と指摘。尾身茂構成員(地域医療機能推進機構理事長)も、「地域にどの程度の医師が必要になるのか、▼人口動態▼疾病構造の変化▼医療提供体制の変化や交通事情—などを踏まえた根本的な議論をする必要があるのではないか。すぐにはできないと思うが、これまでは単に『足りない』という議論しかしてこなかった」との見解を示しています。
【更新履歴】記事中、奈良県の荒井知事のお名前が「新井」となっている個所がございました。お詫びして訂正いたします。記事は訂正済です。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/537263
真価問われる専門医改革
「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング
都道府県協議会の「実効性」向上、奈良県知事が強く要望

レポート 2017年6月13日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)は6月12日の第3回会議で、基本領域7学会の新専門医制度への対応についてヒアリングを実施した(資料は、厚労省のホームページ)。

 「研修プログラム制と研修カリキュラム制の区別が次第になくなり、必要な症例を経験することが大事という考え方になってきている。地域で活躍する医師にもできるだけ専門医を取得してもらいたい、良医を育てたいという意図がうかがえる」(相馬市長の立谷秀清氏)、「各学会ともフレキシブルに対応し、かなり前向きに改訂してもらった」(東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏)など、おおむね評価する声が挙がった一方、7基本領域とも、「基幹施設が大学病院1カ所のみ」という都道府県が残っていた。新専門医制度で「大学医局」の力が強まる懸念の声はあり、合理的な理由がある場合を除き、どこまで「複数基幹施設」が実現できるかが今後の課題となる。

 さらに奈良県知事の荒井正吾氏からは、「専門医制度新整備指針」の運用細則改訂案への強い修正意見が出た。「都道府県協議会」の実効性を高めるために、「研修施設が、協議会に協力し、直接必要な情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある」と提案。「協議会は、医師の囲い込みを防ぐのが目的。そのためには事後のチェックが必要」(荒井氏)。運用細則改訂案は、「直接」ではなく、日本専門医機構を通して情報提供等を行う仕組みを想定していた。

 日本専門医機構理事長の吉村博邦氏は、「重要な意見であり、十分に検討したい」と回答。厚労省医政局医事課も、都道府県に今後通知を出すなどして、都道府県協議会が十分に機能するよう努めていくとした。その後に厚労省は、各都道府県に対し、協議会の開催状況などについて調査、その結果を本検討会で説明する予定。さらに、第4回の検討会でも、他の参考になるよう、都道府県協議会の好事例などについてヒアリングを行う。

 7学会に対し、共通して出た質問は、Webなどを用いた専攻医の登録や研修実績の管理システムの有無。出産・育児などに伴う研修の中断・再開を容易にしたり、研修の質の評価・向上につながると期待されるからだ。現在は、日本外科学会のNCD(NationaL Clinical Database)など、一部の基本領域学会が独自に運営している。

 立谷氏は、「Web管理システムの基準あるいは全体のシステム構築こそ、日本専門医機構の仕事ではないか」と指摘。聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、「専門医の管理、症例登録システムは各学会が作るのではなく、機構が作るべきではないか」と述べたほか、「今は各学会が研修プログラムを作るが、将来的には日本専門医機構が作成するべき」とし、第三者機関として日本専門医機構を設置する意義を問う意見も出た。

 これに対し、日本医師会副会長で、日本専門医機構の監事でもある今村聡氏は、日本専門医機構は、前身の日本専門医制評価・認定機構を引き継いだとはいえ、「全く新しく構築された組織」であるとし、現状では人や財源の問題があるとした。「最終的なゴールとして担当することを目指すとしても、今の段階では日本専門医機構が全てを担うのではなく、まずは学会と機構が連携して進めるのが現実的な手段」「各学会の話を聞くと、かなり配慮している。2018年度に始めないと、若い先生方が心配している」とも述べた。

 今村氏の発言に対し、荒井氏は、「来年度からの実施が、前提になっていると言われると問題」と述べつつ、「ここまで来たため、できるように思えてきた。来年度から開始できるようスケジュールの管理と議論の中身を詰めてもらいたい」と求めた。渋谷氏は、「来年度から始めることは決まっているのか。研修プログラム制と研修カリキュラム制が並行して運営されていることを誰が担保するのか。(それを検証する)PDCAのプロセスはあるのか」と質問。立谷氏からは、そもそも論として、本検討会の役割を問う意見も出た。

 今村氏は、「2018年度からの開始は決定ではなく、日本専門医機構として、2018年度に開始できるように準備を進めているということ。本検討会があったからこそ、さまざまな課題、意見を受けて、各学会が対応し、改善が進んできたと理解している。関係者が納得する形で進められるのであれば、前向きに議論するという捉え方でいいのではないか」と答えた。

 厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、「最終的には、日本専門医機構と各学会に地域医療への配慮をしっかりやってもらうことが、本検討会の目的。今日は、現在調整中だったり、あるいは課題があってもその是正がなされているという説明がされた。最終的には新整備指針の基準に準拠した対応がなされているかを確認する。今後の本検討会の中では、進捗状況を管理して、この検討会で議論していくことが大事」と、本検討会の役割を改めて説明した。

 以上のような懸念や質問が出て、やり取りがあった一方、各学会へのヒアリングでは、柔軟に研修プログラム制を運用するなどして、出産・育児等で研修を中断せざるを得ない専攻医への配慮がなされていることや、2017年度から研修プログラム制を暫定的に採用した学会でも、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)に専攻医が集中しなかったことなどが報告された。

 渋谷氏は、日本産科婦人科学会に対し、専攻医の採用自体を連携施設が行い、「連携施設で2年半、基幹施設で6カ月」といった研修形態が可能かを確認。同学会は採用自体は可能としたものの、大都市部への専攻医集中を防ぐほか、高難度医療も含めて幅広い症例の経験を求めるなどの理由から、「連携施設1施設での研修は24カ月以内」としていると回答。ただ3年間で研修を修了しない場合、1年単位で最大9年まで研修期間を延長できるほか、研修プログラムの変更も認めるなど、専攻医を想定したさまざまな対応をしていると説明した。

第3回会議では、基本領域7学会へのヒアリングを実施、2時間40分の長丁場だった。
 
「複数基幹施設で地域医療崩壊の懸念も」
 日本専門医機構は、「専門医制度新整備指針」の運用細則で、過去5年間の平均採用実績が350人以上の基本領域は、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることを求めている。該当するのは、8つの基本領域。内科領域を担当する日本内科学会へのヒアリングは、第2回会議で実施(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』、『内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院』を参照)。

 第3回会議では、残る7つの基本領域について、日本救急医学会、日本外科学会、日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本整形外科学会、日本精神神経学会、日本麻酔科学会へのヒアリングを実施した。

 「1県、1基幹施設」というケースは、各基本領域とも存在する。1基幹施設の場合、大抵は大学病院本院だ。

 日本小児科学会の場合、2017年度は暫定的に研修プログラム制を導入した。47都道府県中、21県が基幹病院は大学病院1施設のみ。21の大学病院に対して「大学以外で基幹病院となり得る施設を具体的に挙げ、新たな基幹施設を認定する際に配慮すべき点、想定される問題があれば具体的に記載する」ことを求めた調査を実施した。その結果、20大学病院から、「市中病院は、都市部のみしかカバーしていない可能性があり、県内へき地の医療崩壊を招く」との懸念が呈せられた。基幹病院として認定する場合には、へき地等の医療機関との連携を条件とするなどの対応が必要になるという。この点も踏まえ、現在、複数の基幹病院を設置できるよう調整中だ。

 日本整形外科学会は、47都道府県中、28県が1基幹施設。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、「28県あるのは問題。改善していく可能性があると理解していいのか」と質問。NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、指導医5人以上という基幹病院の基準が厳しいのでは、と問いかけた。

 日本整形外科学会は今後、大学病院しか基幹施設がない県では、原則として複数が基幹病院になれるよう整備基準を改訂する予定であり、佐賀県と岩手県以外は設置の見通しが立っていると説明。「指導医5人以上」という基準については、整形外科領域は細分化しており、幅広い研修のためには複数の指導医が必要だとし、理解を求めた。ただし、この基準を満たすのが困難な場合は、個別に対応していくとした。

 日本産科婦人科学会の場合、47都道府県中、24県が1基幹施設。ただし、山梨県では「専門医制度に係る関係者連絡協議会」から、2018年度は産婦人科領域については、1つの研修プログラムで実施する要望が提出されている。それ以外の22県は、新たな病院が基幹施設への「申請準備中」であり、「候補探索中」は山口県のみ。

募集定員の設定、妥当か?
 新専門医制度では、5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)には、過去3年間の平均採用実績を募集定員の上限とする方針。

 日本小児科学会の場合、「2015年と2016年」と「2017年」の専攻医の応募者数を比較すると、5都府県では、7.6%減(283.5人から262人に減少)、5都府県以外では、6.3%増(547.0人から542人に増加)であり、研修プログラム制の導入で募集定員を設けたことで、「都市部への集中を増長した事実は恐らくない」とした、日本整形外科学会も同様だ(『新専門医、「大学の専攻医囲い込み」は誤解 - 丸毛啓史・日本整形外科学会理事長に聞く』を参照)。

 日本小児科学会の研修制度で議論になったのが、募集定員の在り方。2017年度の専攻医の募集定員は、全国で1135人。採用実績は542人。神奈川県では計23人の専攻医を採用、その大半が横浜市立大学の小児科に集まっているとし、残る3大学は1人かゼロ。人気がある病院に集まる傾向があるとし、同学会理事長の高橋孝雄氏は、「募集定員を決めても、実際に応募者があるかは分からない。両者は、分けて考えることが必要」と説明した。

 これに対し、渋谷氏は、「地域のニーズを話し合わず、需給のミスマッチが生じるのは当たり前」とし、地域のニーズを踏まえた基幹病院や募集定員設定の必要性を指摘した。山口氏は「実際の必要数よりも多めか、あるいは実際の必要数なのか」と述べ、そもそもどんな考えで募集定員を設定しているかを質問。高橋氏は、特に採用数が1桁の場合など、年度ごとに採用人数の変動が大きいことから、余裕を持って募集定員を設定せざるを得ない現状を説明、理解を求めた。



http://www.asahi.com/articles/ASK6D7TWHK6DUBQU017.html
新専門医制度、都道府県協議会めぐり議論 厚労省検討会
野中良祐
2017年6月13日06時00分 朝日新聞

 2018年度から導入される予定の新専門医制度について議論する厚生労働省の検討会が12日、開かれた。地域医療に配慮した実施体制づくりを進める、都道府県協議会の位置づけを明確にするよう求める意見などが出た。

 検討会では、専門医を認定する第三者機関の日本専門医機構の吉村博邦理事長が、制度の運用指針や細則を地域医療に配慮した内容に改訂する案を説明。案では、機構が都道府県協議会に「情報提供することができる」「協力することができる」といった任意性を含めた表現にした。

 これに対し、検討会のメンバーの一人、荒井正吾・奈良県知事が反発。「実効性を高めるために、情報提供や協議を行うことを明確にする必要がある。改訂案は受け入れがたい」と話した。機構は改訂案を再度、練り直すことにした。

 各都道府県協議会で取り組みに差があることから、厚労省は実態を調査することを明らかにした。6月中に自治体の担当者らを集めた説明会を開く。

 

https://www.m3.com/news/iryoishin/538288
医療従事者の需給に関する検討会
「地域枠、地元に限定」「医師データベースで異動を追跡」
「早期に実現可能な医師偏在対策」は地域医療支援センター強化

レポート 2017年6月16日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の第10回医師需給分科会(座長:片峰茂・長崎大学学長)は6月15日、「早期に実現可能な医師偏在対策」として、医学部地域枠の入学生は原則として地元出身者に限定、卒後は都道府県の地域医療支援センター等が策定する「キャリア形成プログラム」に沿って、大学所在地の都道府県において研修することを求めるなどの方針を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療支援センターが派遣調整できる地域枠医師の増加が今後見込まれるため、同センターを強化するのが厚労省の狙い。2008年度以降、医学部定員増に伴い地域枠入学者が今後増え、2024年度には臨床研修を修了した地域枠医師は、厚労省による単純推計で9676人(留年、中途離脱等は考慮せず)。

 主に地域枠医師を対象に「キャリア形成プログラム」を策定、医師のキャリア形成に配慮しながら、医師不足地域に実効的な医師派遣を行うことを目指す。同センターについては、大学と十分に連携するなどして運営体制を強化、類似機能を有する「へき地医療支援機構」や「医療勤務環境改善支援センター」との連携も進める。

 都道府県が医師確保対策に活用できるよう、2017年度予算事業として、厚労省は、「医師の地域的な適正配置のためのデータベース」も構築。医師の出身大学に加え、臨床研修、専門医研修、その後のそれぞれの勤務先など、医師の異動・キャリアパスを経年的に追跡できるようになる見通しだ。

 さらに地方勤務の医師の負担を軽減するため、現在の予算事業ではへき地等に限定される代替医師の派遣や遠隔での診療支援等の対象範囲を、2018年度には拡大できるような予算要求を目指す。

 2018年度からの第7次医療計画の作成指針には、「医療従事者の確保」対策は盛り込まれていない(『医師確保対策は“未定”、医療計画の「作成指針」』を参照)。厚労省は、地域医療支援センター強化などを踏まえた計画を作成するよう、都道府県に対して通知する予定。

 医師需給分科会は、4月に親会の「医療従事者の需給に関する検討会」と合同会議を開いたが、単独の開催は、2016年10月以来、約8カ月ぶり(『医師偏在対策、5月から集中的議論、医療計画に盛り込む』を参照)。「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書待ちの状態だった(『医学部定員増に歯止め、「偏在対策、成果を出すラスト・チャンス」』を参照)。

 2016年6月の中間報告に盛り込んだ14項目の医師偏在対策のうち、「5.医師・診療行為情報のデータベース化」「6.地域医療支援センターの機能強化」を具体化したのが、15日の分科会で提案された内容だ(『偏在対策「強力」に、「医師の働き方ビジョン」も策定』を参照)。

 厚労省は今後のスケジュールとして、今秋以降、「抜本的な医師偏在対策」を検討、今年末を目途に「法案提出を視野に取りまとめ」を行い、2018年から2020年度以降の医学部定員の取り扱いについて判断するため、医師需給推計の結論を得るという案を提示。

 もっとも、医師偏在対策や医師需給対策、医師の働き方について、複数の場で並行して検討されているため、4月の合同会議と同様、15日の会議でも今後の検討の進め方についての質問が相次いだ。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、働き方ビジョン検討会の報告書は、今後の検討に生かすとした上で、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」は、新専門医制度について議論した後、卒前と卒後の一貫したシームレスな医師養成の在り方を議論する一方(『「基幹施設は大学のみ」残る課題、7学会にヒアリング』を参照)、医師需給分科会は医師偏在対策を議論すると改めて説明し、理解を求めた。

 医師需給分科会は次回以降、女性医師の立場として聖路加国際病院副院長の山内英子氏、勤務医の対場として国立がん研究センター人材育成センター副センター長の堀之内秀仁氏をそれぞれ加える。

 「キャリア形成プログラム」、未策定7県
 地域医療支援センターは、47都道府県の全てに設置済み。しかし、「キャリア形成プログラム」の未策定が7県、大学と連携していない県があるなど、都道府県によって取り組みは異なり、運営が成功しているとは言い難い。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、「確かに今までは機能していなかった」と指摘しつつ、医療法に位置付けられ、税金を投入している以上、なぜ機能していないのか、その検証が必要だとした上で、「国が一定のルールを設ける方針か」と質問した。厚労省医政局地域医療計画課は、地域定着を図るために、上図のような方策の検討を提案したと回答。

 全国医学部長病院長会議会長の新井一氏も、地域医療支援センターの運営実態の検証が必要だとしたほか、大学が日常的に医師の派遣を行っていることから、「大学がコミットしないとうまく行かないのではないか」と提案した。日医常任理事の羽鳥裕氏は、「へき地医療支援機構」や「医療勤務環境改善支援センター」、さらに新専門医制度についての都道府県協議会など、類似機能を有する組織が複数あるため、連携あるいは統合した運営を求めた。

 一方で、全国衛生部長会会長の鶴田憲一氏からは、例えば、「1県1大学」の県と、それ以外の県では医療事情が異なるほか、類似組織も目的、人員体制、予算などがそれぞれ違うことから、画一的な対応の難しさを指摘する意見も上がった。

 「三師調査」活用し、医師データベース構築
 厚労省が構築し、都道府県が活用する「医師の地域的な適正配置のためのデータベース」は、2年に一度実施する「医師・歯科医師・薬剤師調査」の届出情報、医籍情報、専門医に関する情報を用いて構築。医師の異動やキャリアパスの経年的な追跡な可能になる仕組みだ。

 今村氏は、医師のデータベース作成には賛成したが、「適正配置」との名称を問題視。地域枠医師以外の医師情報もデータベースに入るため、行政が全医師を「適正配置」すると受け取られないからだ。自発的に地方勤務が進むよう、魅力ある「キャリア形成プログラム」を作るなどの動きと齟齬が生じかねない。厚労省医政局長の神田裕二氏は、行政が「適正配置」するのではなく、地域医療支援センターは各地域で医療者や住民も交えて議論し、医師の偏在解消に取り組む場であると説明。

 国際医療福祉大学医学部長の北村聖氏は、医学教育ではIR(Institutional Research)、臨床研修ではEPOCなど、さまざまなデータベースを既に用いていることから、将来的にはこれらとの連動も検討すべきと提案。岩手医科大学理事長の小川彰氏は、「医師偏在対策には、フリーランス医師への対応が問題」と指摘。「どんな医師がいかなるキャリアを積み、どんな実力を持て、どこで働いているか」の把握が必要だとした。

 “ソフトツール”か、“ハードツール”か
 もっとも、15日の「医師需給分科会」で強かったのは、「早期に実現可能な医師偏在対策」ではなく、「抜本的な医師偏在対策」をめぐる意見だ。

 聖路加国際病院院長の福井次矢氏は、「医師の地域偏在と同様に大切なのは、医師の専門性(診療科)の偏在の問題」と述べ、早急な着手を求めた。小川氏は、「医師数は西高東低。地域枠医師の問題だけを議論しても、医師の偏在は解消しない。日本全体の地域偏在と診療科偏在の議論をしないと意味がない」と指摘。

 津田塾大学総合政策学部教授の森田朗氏は、「現時点では、このような形で議論をまとめるのが妥当ではないか」と、地域医療支援センター強化の取り組みを支持しつつ、医師需給分科会の議論を次のように総括した。「インセンティブや情報提供などの、“ソフトツール”ではなく、“ハードツール”でないと問題は解決しないという議論になったところで、(2016年10月以降)医師需給分科会は中断した。しかし、今は地域医療支援センターや地域枠医師の活用など、また“ソフトツール”の議論に戻っているところに、むなしさを感じているのだろう」。



https://www.m3.com/news/iryoishin/538385
不採算地区病院への支援拡大を検討、総務省審議会
非常勤医師でも多ければ経営改善

レポート 2017年6月16日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)

 総務省の「地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会」(座長:辻琢也・一橋大学副学長)の第5回会合が6月15日に開催され、不採算地区病院への財政措置充実や、医師確保支援の在り方などについて議論した。

 研究会は地方行政を担当する総務省内に設置されており、2016年9月に第1回会合を開催。2016年度に地方自治体が策定した「新公立病院改革プラン」の影響や改革推進策について調査検討を行っている。これまでの4回の議論を基に、事務局を務める自治財政局準公営企業室は論点を4つにまとめた。

論点
1.新たな公立病院の役割に応じた再編・ネットワーク化の取組をさらに促進するには、どのような方策が考えられるか。
2.地域医療の確保に資する公立病院の標準的な需要をどう捉えるか。
3.病院マネジメントの観点から更なる経営改革につながる方策の議論が必要ではないか。
4.地方独立行政法人化が困難な要因を取り除くにはどのような方策が考えられるか。

不採算地区、更なる支援必要か
 同日の検討会では、論点2に関連して、不採算地区病院の支援の在り方が議論された。現在、総務省が不採算地区(病床数150床未満、直近の一般病院までの移動距離が15キロメートル以上、又は、国勢調査の「人口集中地区」以外の区域に所在など)と定義する地域にある公立病院には、運営経費や医師確保に要する経費が特別地方交付税で財政措置されている。

 総務省の集計では、2015年の医業収支比率では、不採算地区病院の79.5%に対し、それ以外では90.5%で11ポイントの差がある。職員給与比率では、不採算地区病院65.2%、それ以外53.7%、病床利用率で不採算地区68.1%、それ以外73.4%と、いずれの指標でも不採算地区病院では経営状況が厳しいことが分かっており、近年は病院間の乖離が広がる傾向にあるという。2017年2月の「公立病院の実態調査等」では、6割以上が非常勤医師という病院の割合は、不採算地区病院で46.3%に対し、それ以外では25.6%だった。

 一方で、非常勤医師の給与が常勤医師の1.5倍以上の病院のみを分析すると、不採算地区病院であっても、「医師は充足している」と回答した病院の医業収支比率は85.8%に改善しており(「全体的に不足」病院は同81.5%)、「給与が割高な非常勤医師であっても、確保できれば医業収益の改善に寄与する」と分析している。

 その上で、事務局は「不採算地区病院に対する財政措置を充実する方向で検討してはどうか(その際、非常勤医師の給与負担の重さを考慮すべきか)」「医師確保対策に係る財政措置の拡充が必要か」と提案した。城西大学経営学部マネジメント総合学科教授の伊関友伸氏は「看護師、薬剤師、リハビリスタッフも地方だと雇用ができておらず、調査が必要。研修体制が弱いので勤務してくれないという所もある。総務省では難しいかもしれないが、質の部分も目配りが必要」と指摘。

 北海道奈井江町長の北良治氏は「支援を拡充してほしい。非常勤の派遣医師では派遣医師では入院や在宅医療が十分にカバーできず、収益性低下につながっている」と訴えた。

地方では公務員でないと職員来ず
 論点4について事務局は、「地方独立行政法人化が困難な要因」として、(1)住民説明や組織内の合意形成、利害関係者との調整に多くの時間や労力を要する、(2)自治体が短期間に多額の財政的負担を要する――の2点を指摘し、(1)については自治体自らが解決する必要があるとする一方、(2)については、制度の見直しが必要ではと提起した。

 伊関氏は独法化に当たっては、「職員を全員、分限免職で解雇できるかというとなかなかできない。市役所に戻るなどして、安くつくかと思ったが、案外高くつく」と指摘。また、独法化に当たって総務省は「非公務員型」を原則としているが、埼玉県職員として働いていた自身の経験から「公務員としてのプライドを持って仕事をしている医療職も多い。一定の基準があるが、それを緩めることも必要では」と提案した。島根県病院事業管理者の中川正久氏も、独法化でうまくいっているのは都市部ではと指摘し、「田舎の県では、独法化するという噂だけで、看護師の応募が減った。公務員がステータスになっている」と実例を紹介した。

 事務局が示した独法化した病院の経常収支比率が、2009年の104.3%から2015年には100.1%に悪化しているという資料について、どのような背景があるかという質問が出るも、事務局は「収支低下の理由は分かっておらず、分析したい」と答えた。地方独立行政法人静岡県立病院機構理事長の田中一成氏は、自院の事例として、「独法化して黒字を出さなくてはいけないと、最初は設備投資を抑えていたが、ずっとはそうもいかない。人件費も年々、上がってくる」と紹介した。

 一方で、政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は「公立病院が抱えている問題は、ガバナンスが分散していること。独法化、指定管理にしたから良くなるわけではないが、今までとおなじようにやれないのも事実。権限が分散していると、他の病院との交渉をやっていかなくてはいけないときに迅速にできるのかと思う」と指摘した。



  1. 2017/06/17(土) 09:32:02|
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6月11日 

https://dot.asahi.com/dot/2017060100037.html?page=2
西の医師は東に来ない? 医学部多いのに首都圏で医師不足が続く理由
(更新 2017/6/ 6 07:00) AERA

 東京を中心に首都圏には多くの医学部があるにもかかわらず、医師不足が続いている。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、改善されない首都圏の医師不足の問題点を指摘している。

*  *  *
 首都圏の医師不足が改善されない理由を説明しましょう。

 東京都に13もの医学部が存在するため(2位は大阪府の5つ)、首都圏には医学部が多いと考えている方が多いでしょう。しかし、首都圏の人口は約3930万人ですが、医学部は19しかありません(地域医療への影響が限定的な防衛医大を除く)。人口207万人に1つです。

 人口約625万人の千葉県には千葉大学、人口約730万人の埼玉県には埼玉医大しか医学部はありません(防衛医大を除く)。神奈川県は人口約911万人で4つです。一方、四国は人口約395万人で4つの医学部があります。人口99万人に一つの割合で医学部が存在することになります。北陸地方は人口約304万人に4つで、人口76万人に一つの医学部があります。人口比でみれば、首都圏の2倍以上です。

 東京以外の首都圏は極度の医師不足にあります。多少、東京で医師を養成しようが、周辺地域が不足しているため、完全な充足は期待できません。

 首都圏の医療現場はどのように対応してきたのでしょうか。私たちの研究室では、慶應義塾大学医学部の学生である岡田直己氏が中心となって、医師の移動状況を調査しました(図)。図の中の数字は、医師の流出入の人数の差を示します。

 首都圏には多数の医師が流入しています。埼玉県は年間平均228人、千葉県は226人、神奈川県は121人もの医師が流入しています。千葉県、埼玉県、神奈川県の医師養成数は、それぞれ年間98人、103人、375人ですから、千葉、埼玉県は養成数の2倍以上、神奈川県は養成数の3分の1の医師が流入してきていることになります。

【図】医師は多い地区から少ない地区へ。東京からは流出する(『病院は東京から破綻する』より)
06111_20170612062225556.jpg

 興味深いのは、東京が医師流出都市であることです。東京の年間の医師養成数は1286人ですから、17%の医師が都外に流出していることになります。マスコミが言うように、医師が移動するのは、必ずしも「都会を目指す」からではないようです。

 千葉県や埼玉県へ医師を供給している地域のひとつは、東京都です。そのほかは東北地方と甲信越地方で、いずれも養成した医師の約3分の1が首都圏に流出しています。東京から埼玉県・千葉県への医師の流出を考慮せず、この現象だけを見ると、確かに「医師は都会で働きたがる」ように見えます。

■西の医師は東に来ない

 しかし、おそらくそれは実態ではありません。医師の流出入と人口あたりの医師の養成数は高度に相関します。人口10万人あたりの医師の養成数が1人増えると、医師の流出率は約13%増えます。つまり、日本の医師は、医師養成数の多いところから、少ないところに移動する傾向が強いのです。地方か都会かは、私たちの調べた範囲では、医師の移動にあまり関係がありません。

 一見ありがたいことですが、医師の移動にはある特徴があります。医師の多い西日本から東日本への医師の移動は少ないのです。

 日本の医師の移動は、基本的に九州、関西(四国・中国・近畿)、中部(北陸・東海)、東日本(東北・甲信越・関東)、北海道という地域内でほぼ完結しています。地域をまたいだ医師の移動は無視できるほど少ないのです。

 東日本では医師を求め、東日本内でゼロサムゲームを繰り返すことになります。人口あたりの医師養成数が最も少ない首都圏に、それよりは多い東北地方や甲信越地方から流入することになります。

 最近、状況は、首都圏にとって悪い方に変わりつつあります。東北地方や甲信越地方の医師不足が深刻化したため、「医学部の地域枠の拡充」や「義務年限と引き替えの県からの奨学金の貸与」のような制度が整備されつつあるからです。

 地元の医学部を卒業した医師を抱え込む施策が行われれば、東日本での医師の移動が制限されます。首都圏の医師不足はさらに深刻化してしまうのです。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.m3.com/news/iryoishin/536754
安倍政権の医療制度改革
「参照価格制、骨太の方針2017から削除」、日医が評価
未来投資会議の「遠隔診療」、経過観察なら可

2017年6月10日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会は6月9日、同日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2017」について、素案の段階で盛り込まれていた、いわゆる参照価格制度の記述が最終的に削除されたことを「高く評価する」とし、今後もこうした提言がなされることがないよう、強く求めていくとの見解を公表した。

 同じく9日に閣議決定の「未来投資戦略 2017」で提言された遠隔診療については、「初診は必ず対面診療」としつつ、かかりつけ医がICTを活用して経過観察や指導を行う場合には有効とし、必要な財源の手当てを前提に、診療報酬上の評価を中央社会保険医療協議会で議論すべきとしている。見解は、横倉義武会長名で、来年度の概算要求、予算編成に向けて、適切な財源を求めていくとしている(資料は、日医のホームページ)。

 「骨太の方針2017」の素案では、「先発医薬品価格のうち、後発医薬品価格を超える部分について、保険財政の持続可能性や適切な給付と負担の観点を踏まえ、原則自己負担とする」と記載、いわゆる参照価格制度の検討を求めていた(『「先発薬引き下げや差額自己負担」を削除、骨太2017』を参照)。参照価格制度は、社会保障審議会医療保険部会や中医協などでも議論され、反対意見が多数を占めていた(『先発品と後発品の「差額」徴収、反対が多数』、『「先発品薬価、後発品まで引き下げ」、診療・支払側とも反対』を参照)。日医見解では、「自由民主党厚生労働部会をはじめとする自民党内の良識ある判断等によって最終的に削除」と評価。

 素案では「看護師の行う特定行為の範囲の拡大などタスクシフティング、タスクシェアリングを推進する」とされていたが、「十分な議論を行った上で」が加筆された点については、「医療安全や医療の質の向上の視点に立ち、十分かつ慎重に議論することが必要と考える」としている。

 「骨太の方針2017」の記載はないものの、経済財政諮問会議における議論で、民間議員が「かかりつけ医の普及が課題となっており、総合診療専門医との関係も含め定義を明確にしていく必要がある」との資料を提出したことについては、日医としてフリーアクセスを守りつつ、外来の機能分化・連携の推進を検討するとともに、かかりつけ医機能の評価を高め、普及・定着を図っていくと表明。受動喫煙対策に関しては、署名活動を含め、対策の強化・実施に向けた活動を進めていくとした。

 「未来投資戦略 2017」の遠隔診療については、「対面診療が原則」と釘を刺しつつ、長期処方の例を挙げ、患者が自己判断で中止して容態悪化に気づくのが遅れるケースがあることなどから、「かかりつけ医がICTを活用して経過観察や指導を行う遠隔心労は有効」とした。「電話・テレビ画像等による再診」の評価を参考に、中医協で議論するよう求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/536411
m3.com意識調査
改正個人情報保護法、詳細把握はごく少数
「研究に支障」、懸念の声も

レポート 2017年6月11日 (日)配信水谷悠(m3.com編集部)

 5月30日、個人情報の取り扱いを厳格化する改正個人情報保護法が全面施行された。日常診療や病医院運営に関わる患者情報の取り扱いは従来通りだが、学会での症例報告や広く情報を集めての研究などの第三者提供には、オプトアウト(明確に拒否しない限り、同意したと見なす)の方法が使えず、患者から明確に同意を取る必要がある。

 所属先での個人情報の取り扱いについてm3.com意識調査で尋ねたところ、改正法の詳細を把握しているのは開業医が2.2%、勤務医が6.2%とごく少数にとどまった。自由回答では「研究に支障が出る」、「良く理解していて解説してくれる人が周囲にいない」など、対応に悩む声が挙がった (関連記事は、『山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞くVol.1、Vol.2』、情報の取り扱いに関するガイドライン等は厚生労働省のホームページ) 。

Q1: 改正個人情報保護法の内容をご存知ですか?
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 詳細を把握しているのは全職種で少数にとどまり、「改正したことも知らない」が開業医の41.2%を筆頭に、数多く見られた。

Q2: 改正法全面施行に伴い、個人情報の取り扱いに関する勤務先の内規などの改定がありましたか?
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 「既に改定」と「近く改定する予定」を合わせて、開業医が15.7%、勤務医が26.4%にとどまり、対応が必ずしも進んでいない現状がうかがえた。

Q3: ご自身の研究や学会報告など、日常診療や病院運営以外で困難が生じると思いますか?
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 「困難が生じると思う」との回答が開業医で20.2%、勤務医で35.3%と影響を懸念する意見がある一方、「分からない」が開業医で62.7%、勤務医でも44.7%に上った。

Q4 その他、改正法や個人情報保護の取り組みについて、見直した内容、あるいは対応や解釈で悩んでいる点などをご自由にお書きください。【任意】
【情報の慎重な取り扱いが必要】
・治験をする際に、従来以上に細かな配慮が必要で、治験を今後行う際はこれまで以上に手間と心遣いが必要になると感じています。【開業医】

・患者の個人情報に関しては一層厳しい取り扱いとなった。【勤務医】

・職員から誓約書をもらっている。個人情報に係る書類は鍵付きキャビネットにしまうようになった。署名活動の紙を待合室に置くことができなくなった。【開業医】

【研究への影響を懸念】
・医師主導の臨床試験が少なくなる。これで日本発の論文がもっと少なくなる。【勤務医】

・学会準備のデータ管理が大変になった。患者からの同意書が増えて大変。【勤務医】

・多施設共同研究など締め切りがある時などで、担当する患者さんの同意を取るための時間で本来の診療に充てる時間が少なくなる。【勤務医】

・手続きが煩雑化し、学術活動が下火になると思います。【勤務医】

・臨床研究がますますやりにくくなった。やる気がなくなってきた。【勤務医】

【改正法は厳しすぎる】
・情報時代であり個人情報保護は必要かつ重要だが、あまりに神経質になりすぎかも・・・。【開業医】

・個人情報の保護は極めて大切なことと思うが、現実には過剰な保護解釈のために逆に弊害をもたらしているように思う。【開業医】

・行き過ぎた個人情報保護は、業務効率の低下や臨床研究の支障になると思われる。【勤務医】

【対応に苦慮】
・何もしていないが大丈夫だろうか。【開業医】

・改正法の勉強会を、弁護士を呼んで実施したが、個別の判断は微妙で難しい。【勤務医】

・良く理解していて解説してくれる人が周囲にいない。【勤務医】

・どうやって対応したものか、本当に悩んでおります。【勤務医】

・オプトアウトの取り扱いについて若干悩んでいる。【薬剤師】

【調査の概要】
調査期間:2017年6月1日~6日
対象:m3.com会員
回答者数:1252人(開業医228人、勤務医760人、歯科医師5人、看護師21人、薬剤師197人、その他の医療従事者41人)
回答結果画面:改正個人情報保護法への対応は?



https://www.m3.com/news/iryoishin/531339
医療情報の利活用と保護、両立が肝要 - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.1
日常診療での取り扱いは従来通り

インタビュー 2017年5月25日 (木)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 医療情報の取り扱いを厳格化する改正個人情報保護法が5月30日に施行される一方で、医療情報を利活用するための次世代医療基盤法が4月28日に成立した。この二つの法によって、医療や医学研究の現場はどう変わるのか。医療情報システム開発センター理事長の山本隆一氏に聞いた(2017年5月19日にインタビュー。計2回の連載)。

改正個人情報保護法のポイント(5月30日施行)
・医療情報は大部分が「要配慮個人情報」に指定され、下記の取り扱いとなる。
(1)患者の同意を得ずに収集できない。
(2)利用目的の変更が認められない。
(3)オプトアウト(明確に拒否しない限り、同意したと見なすこと)による第三者提供ができない。
・当該患者の医療に必須な利用や、病医院の運用に必要な利用は従来通り可能。
・匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者の対応表を作成して管理する場合、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能。

次世代医療基盤法のポイント(来春施行見込み)
・高い情報セキュリティを確保するなど一定の基準を満たし、医療情報などの管理や利活用のための匿名化を行える事業者を、国が「認定匿名加工医療情報作成事業者」として認定。
・医療機関などは、あらかじめ患者本人に通知した上で、オプトアウトで上記の認定事業者に医療情報を提供できる。

※改正個人情報保護法と関連する政令や規則、ガイドラインは、「個人情報保護委員会」のホームページ、次世代医療基盤法は参議院のホームページを参照。

 ――改正個人情報保護法の施行後、医療機関は医療情報をどのように扱えば良いのでしょうか。
 患者情報は「要配慮個人情報」に位置付けられます。要配慮情報というのは、同意を得ずに収集してはいけない、目的の変更が認められない、それから一番大事なのは第三者提供のオプトアウトが使えない。この三つが主な特性ですけども、患者の医療に必須の利用は、今まで通り認められています。紹介状を書くなど第三者提供であっても同様です。日本では患者さんが医療機関を自由に選択できるわけですから、医療機関に来たということは医療を受けることに同意されている。つまり、医療を実施するための情報利用にも同意をされているわけです。介護事業者との連携についても、患者を中心に進めるのは問題ありません。

 また、病医院の運用のための利用も認められる。例えば病棟で男部屋と女部屋の割合をどうするかということを決められないと、病院はやっていけない。そうしたものは医療に必須の利用と認められています。それから、レセプトを出す、感染症の届けを出すといった法律で定められた利用も、もちろんできます。こうした点はこれまでと変わりません。

 ――では、医学研究や教育、新薬開発での利活用など、医療以外の場面ではどうでしょうか。
 患者の医療に直接関係なく、病医院の運用のためでもなく使う第三者利用は同意を得なければなりません。例えば学会などでの症例報告。これは患者の治療や病医院の運用には関係ないので、同意を得なければなりません。個人情報とは生きている人の個人情報ですから、もし患者が亡くなっている場合は個人情報保護法の範囲から外れますが、遺族に関係する問題などがありますので、倫理審査委員会を通して発表を認めていただくなどの第三者的な評価が必要です。

 学術研究は改正個人情報保護法第4章の規定からは外れますが、医学研究に関しては、同法の4章以外の部分と「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など各種の研究指針の制約を受けます。同指針では、匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者さんの対応表を作成して管理する場合でも、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能です。しかし、そうではない複数の施設から情報を集める場合は、集める段階そのものは研究ではないので、法をそのまま解釈すれば、患者さんの同意を得なければならない。

 しかし、ビッグデータを使って、例えば1000万人の患者さんのデータを集めたら、医療機器の開発や薬の開発の他、医療経済的な分析もあり得る。そうした目的が、情報を集める段階で全て決まっているわけではない。また、ある薬で副作用が出ているらしい、調べてみようという場合。そういう問題が起こるから調べることになるわけで、事前に同意を取れるかと言ったら、取れない。その時点で目的が決まっていないわけですから。

 ――そうした事態に対応するのが、次世代医療基盤法ですね。
 患者が特に断らなければ、情報をオプトアウトで集められる。集めた上で、本人に絶対に迷惑がかからない形、プライバシーを侵害しない、個人の権利を侵害しない形で活用する。「そういう利用は困ります」と言われない限りは、「医療情報」を集められるようにするのが、次世代医療基盤法です。ただし、改正個人情報保護法とは、若干考え方が違います。医療情報の場合、遺族や子孫、そういったことに関係する、遺伝する情報を扱わなくてはいけない。

 その場合は、もちろん本人に加えて遺族や子孫にも迷惑がかからないようにしなければなりません。それが個人情報保護法にはない概念です。個人情報とは、あくまでも情報を提供する本人が「第一者」、受け取る人が「第二者」、それ以外は全て第三者ですから、遺族や子供も第三者になります。そういうものをきちんと定義するため、次世代医療基盤法では「個人情報」という概念を使わず、「医療情報」と言っている。ここには、死者の情報も、子孫に影響する情報も含みます。亡くなった人の情報が対象外になってしまうと困りますから。
 ――「匿名加工医療情報作成事業者」はどのような事業者が想定されるのでしょうか。大学などの研究機関が、自らなる必要はあるのでしょうか。
 どのような事業者が想定されるかは、まだよく分かりませんが、(政府による認定が)相当厳しい基準になるとは思います。また、この事業者は研究をできません。匿名加工して提供するのが仕事なので、大学の一部がなってもいいのかもしれませんが、難しいでしょう。それに、ある大学病院の中で、そこに来た患者の病気のことを、自分たちで匿名加工して研究に使うことはできる。個人情報保護法で匿名加工することが認められていますから、この法の枠内でやればいい。次世代医療基盤法はあくまで複数の医療機関から情報を集めて研究に使う場合を想定した法律です。

解説
 5月30日に、改正個人情報保護法が全面施行される。同法によって医療情報の大部分は「要配慮個人情報」と定められ、患者の同意を得ずに収集できず、利用目的の変更が認められず、オプトアウトによる第三者提供も行えなくなる。医療機関で想定される「要配慮個人情報」とは、診療記録や介護関係記録に記載された病歴、診療や調剤の過程での患者の身体状況、病状、治療などについて医療従事者が知り得た診療情報、健康診断の結果および保健指導の内容、障害の事実、犯罪により害を被った事実などだ。

 改正法では、このような本来的に慎重な取り扱いが求められる医療情報の保護が厳格化される一方で、医学の発展のための研究や教育、新薬の開発などでの利活用を難しくするという側面も持つ。これらは患者自身の治療には直接関係しないために、全て第三者提供の扱いとなるからだ。

 その懸念を解消するものとして4月28日、「次世代医療基盤法」が新たに成立した。同法では、オプトアウトによる第三者提供が可能だ。特定の個人を識別できないように医療情報を匿名加工する事業者を政府が「匿名加工医療情報作成事業者」として認定。医療機関から集められた情報をこの事業者が匿名化し、医学研究や教育、新薬開発などの用途に活用できるようにした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/531340
医療情報の特殊性を意識した法制を - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.2
予防接種歴など「医療以外」の情報の扱い課題

インタビュー 2017年5月31日 (水)配信聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 ――改正個人情報保護法は5月30日に全面施行されますが、次世代医療基盤法の施行は来春が見込まれます。この1年弱の間に、医療情報を使えないことで困るような事態があり得るのではないでしょうか。
 止まってしまう可能性がなくはないと危惧されるプロジェクトはあります。例えば、ナショナルクリニカルデータベース(NCD)です。外科系のデータを収集していて、日本で行われる手術のほとんどが登録される。これはデータを集めるもともとの理由が、外科医の専門医の申請に使う症例データとしての登録です。民間のNPO法人が運営していますし、匿名化はしていますが、患者の治療や病医院の運用には直接関係がありません。遡及はされないので、今まで集めたデータは大丈夫ですが、改正個人情報保護法では、きちんと患者の同意を取ってくださいということになる可能性があります。

 外科医の技術向上という、広い意味で公益目的ですし、貴重なデータでもあります。次世代医療基盤法が施行される1年先はそういうことを考慮してやれる方向に持って行けると思いますが、それまでの期間はどうしようもないので、ひょっとするとこのようなケースでトラブルが起こる可能性は、ゼロではないと思います。

 ――次世代医療基盤法の施行後はオプトアウトで情報を集めることができますが、そのために情報を利用することを患者に説明する必要はありますね。
 病医院内に掲示しておけばいいというのではなく、患者に対してしっかりやらないといけません。やり方の一つは、初診の際に診察の申込書などを書くと思いますが、そのときにこれを読んでくださいという方法でしょう。それから、「匿名加工医療情報作成事業者」に情報を提供する医療機関は、主務大臣に届出をしなければいけません。審査があるわけではありませんが、届出が必要です。

――新たな二つの法律はできましたが、個人情報保護と医療データの利活用に関して、残る課題はどんなものがあるでしょうか。
 一つは、遺伝する情報を本当に守れるのか、というところがまだ不十分です。これは個人情報保護法の仕組みでは無理です。遺伝する情報を理由に人を差別するということを禁止しなければいけません。例えば米国のGINA(Genetic Information Nondiscrimination Act)の他、ドイツや英国、韓国にもそういう法律がありますが、日本はそういう部分が不十分です。

 また、次世代医療基盤法の仕組みは、今のところ医療情報にしか使えません。定義の部分で、「医療情報」が定義されているので、他の情報では使えません。扱ってはいけないとまでは書いていませんが、基本的には扱えない。そうすると、例えば海外旅行に行った履歴は病気によってはかなり重要なデータですし、予防接種の履歴も重要ですが、病医院できちんと取れるわけではないので、入ってこない可能性もある。それから、介護情報についてはどこにも書いていません。医療と介護の密接な連携は不可欠ですが、書いていない。個々の患者の治療や介護について情報をやりと取りすることはできますが、情報を集めて分析するようなことは十分にできないのです。

 それから、人間、最後は死ぬわけです。いつ亡くなったかというのは、蓄積される情報の中では非常に大きな意味を持ちます。例えば胃がんの人が手術したけども、再発して7年後に亡くなったというときに、亡くなった日までいかなくても年くらいは入っているといいのですが、そういう情報が入ってくる保証はない。そうすると、匿名加工情報の中では生きているように見えるかもしれません。「匿名加工医療情報作成事業者」が持つデータの中に、同じ人の情報が別々に登録されていることも十分あり得ます。次世代医療基盤法は、マイナンバーではなく医療で使う番号制度ができて、医療機関が変わっても1人1人のデータをきちんとつなげることが前提の仕組みなのです。番号制度がいつできるか分からない状態では、不安ですね。

 日本の個人情報保護法は、今回の改正で、少なくとも意図しないことに情報が使われる危険性はだいぶ減ったと思いますが、かなりルールが包括的なため、そのことによって社会的な弊害が起こることへの対応は不十分です。EUのGDPR(General Data Protection Regulation)が来年施行されますが、これには医療情報だけをわざわざ特記してある部分が何十カ所もあります。なぜかというと、やはり医療情報がものすごく特殊な個人情報だからです。犯罪履歴や政治信条、人種などは、記入する場面はそうそうない。大事な情報だけど、あまり使わないわけです。一方で、医療情報はものすごく使う情報です。人間の機微に触れる情報であるにも関わらずものすごく使う情報は、医療情報ぐらいですよ。本来は、そういうことを十分に意識した、個人情報保護法制にすべきだと思います。

 いつまで経ってもそうならないのが日本の特徴ですが、困るのは国民です。医学研究の発展は絶対に大事で、医療情報の公益的活用は止めるわけにはいかない。一方でプライバシーの侵害は絶対に起こしてはいけない。それを両立させることが、改正個人情報保護法と次世代医療基盤法の目的ですが、まだ不十分な恐れがある、ということが現状と考えます。



http://news.livedoor.com/article/detail/13182547/
常識はずれの医師を作らないために 京大が挙げた問題事例の驚愕
2017年6月9日 18時36分 J-CASTニュース

プロフェッショナルな医師になるためには

患者の個人情報をSNSに出してしまう、がんの告知中に居眠りをする、無断で遅刻や欠席を繰り返す――。倫理観や態度に問題のある医師に、万が一診断されることになったら不安で治るものも治らないかもしれない。

こうした医師を世に送り出さないためには、学生のころから「プロフェッショナリズム」を評価・指導することが重要であると考え、京都大学医学部医学科が4年前から「アンプロフェッショナルな学生の評価」という取り組みを行っている。

学生のうちに問題を洗い出し改善する

京都大学医学部医学科医学教育・国際化推進センターのウェブサイト上で公開されている評価の書式によると、「アンプロフェッショナルな学生」とは、

「診療参加型臨床実習において、学生の行動を臨床現場で観察していて、特に医療安全の面から、このままでは将来、患者の診療に関わらせることが出来ないと考えられる学生」
と定義されている。つまり患者の診療にあたっている現場での実習で、医師として明らかに不適切と思われる態度や行動が見られた医学生を指導している医師が報告するというものだ。あくまでも成績とは独立した評価だが、報告があった場合は指導の対象となり、報告が複数の診療科から出された場合は留年もあり得る。

なぜこのような評価を始めたのだろうか。評価法の考案者である同センターの錦織宏准教授にJ-CASTヘルスケアが取材をしたところ、「医療現場で起こる可能性のあるトラブルの原因を、学生のうちに見つけだし改善させる」ことが目的だと答えた。

「(卒業後に経験を積むための研修を受けている)研修医になってしまうと忙しくなってしまい、こうした指導を受ける余裕がありません。学生の段階で評価が必要であると考えました」
医師にプロフェッショナリズムが徹底されていないことで起きるトラブルは医療現場でも常に問題になって、早期の改善が求められているという。では、具体的にはどのような態度がアンプロと見なされるのか。「アンプロフェッショナルな学生の報告例」に上がっている事例を見てみると、

「ナースステーション内でゲームをしていたので看護師が注意をすると『看護師のくせに』と逆ギレした」
「患者に失礼な態度を取り、クレームが来たことを伝えると『あんな患者は来なくていい』と言い出した」
「実習で担当した外国人の患者からクレームが入ると、差別的な発言を患者に聞こえるような大声でした」
「インフルエンザに感染していることを隠して患者に接していた」
など、全12例からいくつか抜粋しただけでも常識はずれの驚きの内容だ。すべてが実際に報告された内容ではなく、多施設での事例などを参考に作成したものだが、類似したようなトラブルが起きているとすれば大変なことだ。

評価に賛否はあるが

錦織准教授は、

「気をつけなければパワハラやアカハラの原因となる危険性もあるため、賛否を含めた意見やフィードバックを踏まえつつ、今後も評価の設計を考えていくつもりです」
ちなみに、現場でアンプロフェッショナルな医師が増えているという実態はあるのだろうか。都内で総合病院に勤務するある医師は、J-CASTヘルスケアの取材に「現場全体がどうかはわからないが、私が把握する限りここ数年で急にコミュニケーションや態度が原因でトラブルを起こす医師が増えたとは思わない」としつつ、こう話した。

「かつては治療に関する技術や知識を有していれば、多少の"欠点"には目をつぶるという風潮もあったかもしれません。診療をしていればいいのではなく、プロとしてどのような姿勢で医療を提供するかがより問われるようになったのではないでしょうか」


  1. 2017/06/12(月) 06:26:21|
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6月4日 

https://dot.asahi.com/dot/2017053100092.html
厚労省発表の「医師不足解消」 現役医師が指摘する重大な見落とし
(更新 2017/6/ 4 07:00) AERA dot

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【図1】75歳以上人口1000人あたりの60歳未満の医師数の推移(『病院は東京から破綻する』より)

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【図2】性別、年齢別の病院勤務医師の労働時間(『病院は東京から破綻する』より)

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【図3】2010年と2035年の医師数の内訳(『病院は東京から破綻する』より)

 首都圏の医療システムは急速に崩壊しつつある。それには、患者だけではなく医師の高齢化も影響している――。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、「老老医療がやってくる」と指摘している。


*  *  *
 迫りくる病院破綻のポイントは、団塊世代の高齢化です。

 団塊世代とは、第二次世界大戦直後の1947年から49年にかけて生まれた人々を指し、この3年間の年間出生数は260万人を超え、合計約806万人もいます。

 団塊世代は高度成長期に製造業などの労働力として、地方から首都圏や関西圏などの大都市圏に移住しました。移住先の都市で生活基盤を築き、永住している人が多いと言われています。首都圏の団塊世代人口は約180万人と推定されています。

 この団塊世代が2012年には65歳、22年には75歳を超え、医療需要が急増するとみられています。これが医師不足にどのような影響を与えるのか、我々の研究結果をご紹介しましょう。

【図1】は首都圏の75歳以上人口1000人あたりの60歳未満の医師数の推移についてシミュレーションしたもので、情報工学を専門とする井元清哉教授(東大医科研)との共同研究です。

 図の通り、首都圏の全ての県で、医師不足は、少なくとも今後35年間は悪化し続けます。団塊世代の多くが亡くなる35年頃に一時的に状況は改善しますが、その後団塊ジュニア世代が高齢化するため、再び医療ニーズは高まります。多くの県で、50年には75歳以上の人口1000人あたりの60歳未満の医師数は、現在の3分の2程度になります。

 その頃の東京の医師不足の状況は、10年当時の千葉県や埼玉県とほぼ同じです。両県では医師不足によって閉院する病院が相次ぎ、急患の受け入れが難しいため、救急車のたらい回しが発生しやすい状況になっています。

 ところが、厚労省は、15年7月に、日本の人口10万人あたりの医師数が10年後には経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均を上回るという推計をまとめ、医師不足が解消されるという見通しを発表しました。

 これは、私たちの研究成果とは正反対です。厚労省の推計には重大な見落としがあります。我々の推計では国民と医師の高齢化を想定していますが、厚労省の推計は想定していないのです。国民は高齢化するほど病気に罹りやすくなり、医師は高齢化するほど働けなくなります。人口と医師数を単に比較するだけでは、将来の見通しは立ちません。

■「老老医療」と「過重労働」の限界

 厚労省の発表によれば、20歳代の医師は男女とも週平均で80時間程度働いています。しかし、50歳代の男性は約70時間、女性で60時間に減ります。医師が高齢化すれば、医師を増員しても、その分だけ医師全体の労働時間が増えるわけではありません。

 高度成長期、医学部が40校新設されたことにより、日本の医師数そのものは増加しましたが、その1期生はすでに50代半ばを超え、「当直をこなせるバリバリの勤務医」から引退しようとしつつあります。

「2010年と2035年の医師数の内訳」を見ると、2010年と比べて、35年に増えるのは、もっぱら65歳以上男性医師と60歳未満女性医師であることは一目瞭然です。高齢医師が高齢者を診察する「老老医療」の世界が、日本の日常風景になる日は遠くありません。

 60歳以上の医師に、若手医師と同じような当直や救急患者対応はできません。老眼になれば、細かいところは見えなくなります。反応も鈍くなり、手術のミスも増えるでしょう。体力・持久力が必要な手術や当直業務は、医療安全のためにも、若手医師が行うべきでしょう。高齢医師は豊富な経験を生かして、外来を中心に診察してほしいものです。

 医師の過重労働も、医師不足によりさらに深刻化するだろう問題です。

 医師の平均労働時間は週80時間。20代の若い医師に限れば、週90時間労働はザラにあります。人を助けることを目的にこの道を志したとはいえ、さすがに心身の限界もあるでしょう。しかも、医師の過重労働は、そのまま医療の安全へ直結します。

 医師も人間です。当直の徹夜明けで睡眠不足ならばミスも出やすくなります。頻発する医療事故や医療過誤を受けて、医師の労働環境をせめて欧米の水準に近づけるべきではないかという動きも出始めています。

 欧米の医師の平均労働時間は、週50から60時間。つまり、現在よりも20~30時間も減らさなくてはいけないのです。

 医師が現状すでに過重労働であるという実態を踏まえ、欧米並みの労働時間を基準に、私が井元清哉教授らとシミュレーションしてみると、医師の毎年の養成数を今より55%増やさねばならないという結果になりました。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.m3.com/news/iryoishin/534673
地域医療構想
地域医療構想「大学の理解不十分」「『回復期不足』も誤解」
2017年度の病床機能報告マニュアル追記、項目も追加

レポート 2017年6月3日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)は、6月2日の第5回会議で、2017年度の病床機能報告に向けて、診療報酬の入院基本料との組み合わせなど、医療機能選択の際の考え方を「病床機能報告マニュアル」に追記するほか、施設単位の医師数などの「人員配置」、稼動していない病床がある場合の理由など、計5項目を報告内容に追加・見直すことを了承した。

 「病床機能報告マニュアル」への追記は、実際に提供している医療に見合った医療機能の報告を促すのが狙い。特に大学病院本院が、80病院中、54病院が全病床を「高度急性期」と報告したり、「回復期機能」は、回復期リハビリテーション病棟入院料や、地域包括ケア病棟入院料の算定病床に限られると誤解するなどの問題が生じている。

 今後、「医療計画の見直し等に関する検討会」や社会保障審議会医療部会で議論、決定する。「病床機能報告マニュアル」は今夏に公表予定(資料は、厚労省のホームページ)。2017年度の病床機能報告は、今年10月に行う。

 医療機能選択の際の考え方として提示するのは、(1)4つの医療機能のうち、最も多くの入院患者が該当する機能を報告、(2)4つの医療機能と入院基本料との組み合わせを提示し、これらと異なる機能を選択する場合には、地域医療構想調整会議で確認、(3)回復期機能については、リハビリテーションを提供していなくても、「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療」を提供している場合には回復期機能の選択が可能――など。

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「4つの医療機能のうち、最も多くの入院患者が該当する機能を報告」のイメージ(2017年6月2日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)

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「4つの医療機能と入院基本料との組み合わせ」の考え方(2017年6月2日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)
 日本医師会副会長の中川俊男氏は、大学病院本院の地域医療構想への理解が不十分であると問題視、その典型例として、全病棟を高度急性期と報告している病院が多いことを挙げた。「地域医療構想は、2025年の医療需要を患者数から推計したもの。その推計に対し、医療の提供が足りているのか、あるいは不足しているのかを調整会議で確認し、不足しているのであれば手当てするのが地域医療構想」と、基本的考え方を改めて解説した。

 回復期についても、中川氏は「どの構想区域でも、『回復期が非常に足りない』というのが、医療界の一般常識になりつつあるが、考えを直さなければいけない」と強調。「回復期」とは、例えば手術をした患者でも、病状の経過として通る病期であり、独立した「回復期病棟、病床」が必要なわけではなく、高度急性期あるいは急性期の病床であっても、そこには回復期の患者が入院しているのが当然であるとし、「回復期が少ない、といたずらにあおる必要はない」と理解を求めた。

 さらに、中川氏は、病床機能報告制度と診療報酬との関係について、中央社会保険医療協議会での厚労省の説明を引用しながら、次のようにコメントした。「なぜ医療提供の実態と報告が乖離するのか。それは高度急性期として報告しないと、特定入院料(救命救急入院料など)を算定できないのではないかと心配しているからではないか。また回復期か急性期かを迷った場合にも、急性期関係の点数が算定できなくなると考え、急性期として報告しているのではないか。診療報酬は、報告機能と関係なく算定できる。ぜひ懸念を払拭して報告してもらいたい」(『「診療報酬、地域医療構想に“寄り添う”」、迫井医療課長』、『地域包括ケア病棟、「大病院の届出、本来の趣旨にあらず」』を参照)。

 日本病院会会長の相澤孝夫氏も、本ワーキンググループに参考人として出席した大学病院関係者からは、4つの医療機能を区分した際に用いた「医療資源投入量」(例えば、高度急性期と急性期の区分は、3000点)の意味を誤解している点を指摘した。「医療需要をマクロの視点で計算するために、ある一定の線を引いたのが、医療資源投入量。医療政策を進める上では必要だが、病床機能報告をする際には関係がない。また『高度急性期の患者が何%入院していれば、高度急性期』などと精緻化すると窮屈であり、常識的な範囲で考えてもらいたい」。相澤氏はこう述べ、「地域医療構想は、調整会議で議論し、2025年以降の医療提供体制を構築していくことが大切」と語り、大学病院に対し、調整会議への参加を呼びかけた。

 病床機能報告に追加する5項目は、文末の通り。回復期・慢性期の機能を「見える化」、つまり定量的な指標の導入については、2018年度報告に向けて引き続き検討する。

 高度急性期「90.2% vs.37.6%」

 厚労省は、2016年度病床機能報告を基に、実際提供している機能に見合った医療機能が報告されていないことを示唆する分析結果を提示した。

 高度急性期については、400床以上(特定機能病院に係る承認要件)の病院について分析。総数は535施設で、うち大学病院本院を含む特定機能病院は85施設、その他の病院は440施設。高度急性期と報告したのは、特定機能病院の場合は全病床の90.2%に上るのに対し、その他の病院は37.6%と大きな開きがある。

 85の特定機能病院の報告状況を見ると、「高度急性期+それ以外の機能」と報告した病院は、病床機能報告制度がスタートした2014年度は10病院、2015年度は28病院、2016年度は31病院と年々増えている。しかし、いまだ54病院は全病床を高度急性期と報告しており、2015年度は「高度急性期+それ以外の機能」と報告したものの、2016年度は高度急性期のみに変えた大学病院も二つある。

 さらに、特定機能病院において、同じ診療科同士で「手術件数」と「全身麻酔件数」を比較した場合、高度急性期の方が、急性期の約2倍の標榜科(脳神経外科、循環器内科)もある一方、高度急性期と急性期はほぼ同水準の標榜科(耳鼻科、眼科、整形外科)もあった。これらの結果を踏まえ、厚労省は「地域ごとにどのような役割を担うべきかを十分に議論、確認し、その結果を踏まえつつ、実態に則した報告の必要があるのではないか」と提案。

 急性期と報告された病床についても、(1)13対1、15対1入院基本料の病棟では、主として回復期機能を担う特定入院料(回復期リハビリ病棟など)の病棟と同等の看護職員数になっている、(2)診療科別に比較した場合、7対1入院基本料から15対1入院基本料まで開きがあり、「手術件数」と「全身麻酔件数」との間で一定の関係が見られる――などと分析。厚労省は「急性期と報告している場合であっても、必ずしも急性期機能を担っていない場合も一定程度あり、自主的な報告を原則としつつも、回復期機能等の適切な機能を選択することが必要ではないか」としている。

【病床機能報告制度の見直し】(2017年6月2日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」資料)
◆「構造設備・人員配置等に関する項目」について、2017年度報告(2017年10月実施)から見直し
1.人員配置」について以下を追加
・医師数、歯科医師数(施設単位のみ。既存の「病院報告」等の内容を転記)
・管理栄養士数(施設単位、病棟単位等の部門別)、診療放射線技師・臨床検査技師(施設単位のみ)

2.「6年が経過した日における病床の機能」に関連し、6年後の「転換先の施設類型」を把握するための項目を追加
・例えば、「介護医療院」「介護老人保健施設」などを想定。

3.「入院前・退院先の場所別の患者数」「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を現在の1カ月間から1年間に変更
・療養病床では、1カ月間では適切に患者数を把握しにくいため。医療機関の負担を考え、2017年度病床機能報告においては、1カ月間を基本にしつつ、可能な医療機関については1年間の報告を追加、2018年度報告からは1年間の報告を原則。

4.稼動していない病床がある場合はその理由を併せて報告
・地域医療構想調整会議において、病棟の役割分担について具体的な議論を進めることが目的。今は病床数のみが報告項目であり、原則として「病棟単位」で稼動していない場合、その理由の報告を求める。

5.その他
・医療機関の設置主体の選択肢を追加。
・特定機能病院、地域医療支援病院等の承認の有無の選択肢を追加。

◆「医療の内容に関する項目」について、2018年度報告(2018年10月実施)に向けて、2018年度診療報酬改定を踏まえ、抜本的見直しを検討
・回復期・慢性期の機能を見える化する項目の検討など。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201706/551500.html
立ちはだかった医師会の“岩盤”
2017/6/5 千田 敏之=編集委員 日経メディカル

 2015年の医療法改正で制度化が決まった地域医療連携推進法人制度がこの4月にスタートした。施行日の4月2日には、全国で4法人が各県知事の認可を受けた。

 地域医療連携推進法人は「医療機関相互の機能の分担および業務の連携を推進し、地域医療構想を達成するための一つの選択肢」として創設された。「競争よりも協調を進め、地域において質が高く効率的な医療提供体制を確保」するとしている。それぞれの経営理念、方針に基づき運営されている複数の病院などを一つの方向性に導き、地域においてより良い機能分担や連携、経営効率化を進めるための制度だ。

 4月に認可された4法人の内訳は、学校法人藤田学園・藤田保健衛生大学を中心に22の医療機関、介護施設22が集まった「尾三会」(愛知県)、県立姫路循環器病センターと社会医療法人製鉄記念広畑病院の統合再編に向けて組織された「はりま姫路総合医療センター整備推進機構」(兵庫県)、広島県の内陸部、三次市、庄原市の3病院(まもなく4病院に)で作る「備北メディカルネットワーク」、鹿児島県の奄美大島南部町村地域の3法人(医療法人、国保診療所を有する2町村)で構成される「奄美南部メディカルケアアソシエーション」だ。

  巨大基幹病院を核に中小病院や介護保険施設などが集まり、地域包括ケアシステムの構築も視野に入れるものから、僻地において医師確保や医療機器の効率利用などに主眼に置くもの、県立病院と民間病院の統合をスムーズに進めるための前段階として認可を受けたものまで、制度の活用の仕方は実に様々だ。

ローカルルールで申請断念

 制度スタートと同時に、晴れて県知事の認可を受けた連携推進法人がある一方で、準備を進めてきたものの、様々な理由から申請を断念したり作業を中断しているところもある。

 札幌市の社会医療法人カレスサッポロと学校法人東日本学園・北海道医療大学が取り組む連携推進法人については、準備を進めながら申請を断念している。カレスサッポロ理事長の大城辰美氏は「北海道は3法人以上の連携でないと地域医療構想に寄与することは難しいとの判断だった。連携推進法人の申請のためだけにもう1法人加えるのも困難なので、申請は取りやめた。北海道医療大学との共同事業は今後も進め、強化していく」と話している。「3法人以上」というのは法律にも定められていない明らかなローカルルールだが、カレスサッポロはそれに従った格好だ。

 また、制度の検討段階から注目を集めてきた岡山大学病院を中心とする岡山メディカルセンター構想も、一般社団法人の設立までは行ったものの、参加を想定していた他の大規模病院の賛同が得られず、申請のめどは立っていない。

「見送りでは連携推進法人にこだわる意味なし」

 日経ヘルスケア2016年7月号で紹介した鹿児島市の相良病院とにいむら病院の連携推進法人については、県医師会の反対などにより医療審議会の了承が得られず、継続審議となり、その後、両病院は申請を取り下げている。

 相良病院を経営する社会医療法人博愛会理事長の相良吉昭氏は日経ヘルスケアのインタビューに対し、こう話している。

 「社会医療法人博愛会と、泌尿器科専門のにいむら病院を経営する医療法人真栄会で進めていた地域医療連携推進法人だが、全ての要件を整え、鹿児島県に申請した。しかし今年3月、医療審議会において認定見送りとなったとの連絡を受け、申請を取り下げることにした。地元の医師会への事前の挨拶がなかったなど、医師会への配慮不足が主たる理由と聞いた。我々としては、鹿児島の地域医療を守るための取り組みであり、新しい医療連携の形を示す良い機会と考えていたので、非常に残念だ。全国初の連携推進法人としてアピールする意味もあったので、見送りでは連携推進法人にこだわる意味もなくなったことが、取り下げの理由だ。病床の融通以外、現段階で連携推進法人でないとできないことはない。逆に言えば、医療連携の真のメリットや意義が分かっていれば、連携推進法人になることは簡単だし、連携推進法人という形にこだわる必要はないということだ」

 旧態然とした医師会という“岩盤”が、先進的な病院経営者の新しい試みに立ちはだかったという構図だ。実際、人口減や患者減少を背景に、地域で病床機能の効率化が叫ばれ、地域医療構想の達成が求められる中、同様の“岩盤”が医療改革を阻んでいる地域は少なくない。地域医療構想調整会議が参加者のエゴでまとまらず、地域医療構想の実現に暗雲が垂れ込めている地域もある。しかし、10年、20年先を客観的に見通すことができない病医院経営者に未来はないだろう。

 なお、日経ヘルスケアの最新号(6月号)では、断念事例だけではなく、地域医療連携推進法人制度を上手に活用した先行事例についても詳しくレポートしている。関心のある方はぜひ、読んでいただきたい。
 


https://www.m3.com/news/general/534695
伊万里松浦病院移転問題:新病院87病床を計画 市長、医療機関に協力要請 /長崎
地域 2017年6月4日 (日) 毎日新聞社

 独立行政法人「地域医療機能推進機構」が運営する伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)の移転問題で、松浦市の友広郁洋市長は2日の定例会見で、12診療科・87病床の新病院基本構想を明らかにした。2020年4月の開設予定だが、同市を含む医療圏は基準を上回る過剰病床地域で、県に新設を認めてもらうため、市は同規模の病床削減を市内の医療機関に求める。

 市は昨年秋に地元医師会「松医会」(11医療機関)にアンケートした結果、合計病床数は16年10月現在の334から22年3月には284に減ると予測。離島の市営診療所(38病床)を医療機能を残して介護施設に転換すれば、総計88の病床削減が可能とした。

 調査結果を踏まえ、同機構は87病床の基本構想をまとめ、4月に松医会に説明したが、市によると、11医療機関の賛否は五分五分。「地元調整が進んだ段階」(橋口忠美副市長)で同機構が県に新設を申請する。友広市長は協力を求めて5月12日から医療機関を回っているといい、「地域の中核病院として全力で誘致に取り組む」と述べた。【峰下喜之】

〔長崎版〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/534517
安倍政権の医療制度改革
「医学部定員増、精査を」、骨太2017素案
経済財諮問会議「先発品の一部自己負担、年内結論を」

2017年6月3日 (土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 経済財政諮問会議は6月2日の会議で、「経済財政運営と改革の基本方針2017(仮称)」素案を議論した。社会保障分野では9項目が立てられ、医学部定員増に対して、「2008年度以降臨時増員してきた医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえて精査を行う」ことが盛り込まれた。併せて医師の抜本的な地域偏在・診療科偏在対策を検討することも求めている。

 後発医薬品の利用促進を巡っては、社会保障審議会医療保険部会で反対意見が相次いだ、先発医薬品と後発医薬品の価格差を「原則自己負担」とすることや、先発医薬品の価格を「後発医薬品価格まで価格を引き下げること」について、「本年末までに結論を得る」ことを求めている(社保医療部会の議論は『先発品と後発品の「差額」徴収、反対が多数』を参照)。そのほか医薬品については、2016年12月の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、薬価の毎年改定なども提言した(『薬価制度の抜本改革案、明らかに、4大臣会合へ』を参照)。

 会議後の記者会見で、石原伸晃・内閣府特命担当大臣は「次回の諮問会議で答申を行いたいと考えている」と話した(資料は、内閣府のホームページ)。

「経済財政運営と改革の基本方針2017(仮称)」の医療関連部分の概要
■社会保障

(1)基本的な考え方
(2)地域医療構想の実現、医療計画・介護保険事業計画の整合的な策定等
・病床の役割分担を進めるためデータを国から提供し、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的な検討を促進する。
・自主的な取組による病床の機能分化・連携が進まない場合には、都道府県知事がその役割を適切に発揮できるよう、権限の在り方について、速やかに関係審議会において検討を進める。
・地域医療構想における2025年の介護施設、在宅医療等の必要量(30万人程度)を踏まえ、都道府県、市町村が協議し整合的な整備目標・見込み量を立てる上での推計の考え方等を本年夏までに示す。
・かかりつけ医の普及に向けて、病院への外来受診時の定額負担に関し、現行の選定療養による定額負担の対象の見直しを含め、関係審議会等において本年末までに結論を得る。
・国保の財政運営責任を都道府県が担うことになること等を踏まえ、アウトカム指標等による保険者努力支援制度、特別調整交付金等の配分によりインセンティブを強化する。
・2008年度以降臨時増員してきた医学部定員について、医師需給の見通しを踏まえて精査を行う。
・医師等の負担を軽減しつつ医療の質を確保するため、看護師の行う特定行為の範囲の拡大などタスクシフティング、タスクシェアリングを推進するとともに、複数医師によるグループ診療や遠隔診療支援等のへき地等に勤務する医師の柔軟な働き方を支援するなど抜本的な地域偏在・診療科偏在対策を検討する。

(3)医療費適正化
・医療費の地域差の半減に向けて、外来医療費については、医療費適正化基本方針で示されている取組を実施するとともに、できるだけ早く取組を追加できるよう検討する。
・入院医療費については、地域医療構想の実現によりどの程度の縮減が見込まれるかを明らかにする。
・「地域別診療報酬の特例」について、第2期医療費適正化計画の実績評価を踏まえて、必要な場合には活用ができるよう、2017年度中に関係審議会等において検討する。

(4)健康増進・予防の推進等
・必要なデータを収集・分析するためのデータベースについて、2020年度の本格運用開始を目指す。
・インセンティブを強化するとともに、全保険者の特定健診・保健指導の実施率を2017年度実績から公表する。
・健康増進の観点から受動喫煙対策を徹底する。
・アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症に関する実態を踏まえ、民間団体の活動しやすい環境整備を含めた相談・治療体制の整備を推進する。

(5)2018年度診療報酬・介護報酬改定等
・医療機関の地域連携強化に向けたこれまでの診療報酬改定内容を検証する。
・地域医療構想の実現に資するよう病床の機能分化・連携をさらに後押しするため、介護施設や在宅医療等への転換等の対応を進める。
・自立支援に向けた介護サービス事業者に対するインセンティブ付与のためのアウトカム等に応じた介護報酬のメリハリ付け(介護報酬)。
・生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和やそれに応じた報酬の設定及び通所介護などその他の給付の適正化(介護報酬)。

(6)介護保険制度等
・介護医療院について、介護療養病床等からの早期転換を促進するための報酬体系・施設基準を設定する。

(7)薬価制度の抜本改革、患者本位の医薬分業の実現に向けた調剤報酬の見直し、薬剤の適正使用等
・保険適用時の見込みよりも一定規模以上販売額が増加する場合には、市場拡大再算定も参考に速やかに薬価を引き下げる仕組みとする。
・全品を対象に、毎年薬価調査を行い、その結果に基づく薬価改定に当たっては、相応の国民負担の軽減となる仕組みとする。
・新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度について、革新性のある医薬品に対象を絞るなどにより革新的新薬創出を促進しつつ国民負担を軽減する。
・エビデンスに基づく費用対効果評価を反映した薬価体系を構築するため、第三者的視点に立った組織・体制をはじめとするその実施の在り方を検討し、本年中に結論を得る。
・類似薬と比べて画期性、有用性等に乏しい新薬については、革新的新薬と薬価を明確に区別するなど、薬価がより引き下がる仕組みとする。
・長期収載品の薬価をより引き下げることで、医薬品産業について長期収載品に依存するモデルから高い創薬力を持つ産業構造に転換する。
・後発医薬品の価格帯を集約化していくことを検討し、結論を得る。
・調剤報酬については、薬剤の調製などの対物業務に係る評価の適正化を行うとともに、在宅訪問や残薬解消などの対人業務を重視した評価を、薬局の機能分化の在り方を含め検討する。
・医師の指示に基づくリフィル処方の推進を検討する。
・健康サポート薬局の取組を促進する。
・2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とする。
・先発医薬品価格のうち、後発医薬品価格を超える部分について、保険財政の持続可能性や適切な給付と負担の観点を踏まえ、原則自己負担とすることや後発医薬品価格まで価格を引き下げることを含め検討し、本年末までに結論を得る。

(8)人生の最終段階の医療
・住民向けの普及啓発の推進や、関係者の連携、適切に相談できる人材の育成を図るとともに、参考となる先進事例の全国展開を進める。

(9)生活保護制度、生活困窮者自立支援制度の見直し
・頻回受診対策や後発医薬品の使用促進を強化するとともに、データヘルス実施の仕組みを検討する。

 安倍晋三首相は会議で、「今年の骨太方針では、人口減少、少子高齢化の克服と一億総活躍社会の実現に向けて、成長と分配の好循環を加速させるためには、働き方改革や成長戦略の実行に加えて、人材への投資を通じた経済社会の生産性の向上こそが鍵となることを示したい。改革に当たっては、基礎的財政収支を2020年度までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。このため経済再生なくして財政健全化なしとの方針の下、デフレ脱却と経済再生、歳出改革、歳入改革という3つの改革を確実に進めていかなければならない。石原大臣にはこれまでの議論を踏まえて、与党とも議論を進め、スピード感を持って骨太方針として取りまとめるよう御尽力いただきたい」と話した。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/57598/Default.aspx
骨太方針・素案 地域医療構想の具現化で病院の診療実績データ公開 18年度改定で病床転換や連携を後押し
公開日時 2017/06/05 03:50 ミクスオンライン

政府の経済財政諮問会議が6月2日に公表した「骨太方針2017・素案」(一部速報・薬価制度編)では、47都道府県が今年3月末までに策定した「地域医療構想」を具現化するため、病床の役割分担や転換を支援する診療実績データを国が都道府県に提供する方針を盛り込んだ。都道府県はこのデータを基に、個別の病院名や転換する病床数を明示し、高齢化のピークを迎える2025年度にむけて医療提供体制を再構築する。各都道府県とも、高度急性期、急性期病床を削減、回復期を増床する計画を打ち出している。骨太方針では、都道府県の権限を強化し、財政面から病床転換を支援するほか、2018年4月実施の診療報酬・介護報酬同時改定において、病床の転換や医療機関の連携を後押しする報酬水準、算定要件を盛り込む方針を示した。

骨太方針における社会保障制度改革の柱は、高齢化に伴う医療費の伸びの適正化だ。ポイントはデータへルスの実現。国が有する診療情報をデータベース化し、地域の政策担当者、医療関係者、施設経営者、保険者などの当事者に共通データを「見える化」することで、医療費の地域格差、施設格差の是正にむけた“医療費適正化”についてオープンで議論する場を整える。保険者に対しては、健康づくりや予防などについて、データへルスを通じて支援する方針も盛り込んだ。都道府県別保険料を含めたインセンティブの強化なども視野に入れている。

◎「保健医療データプラットフォーム」を構築 データを都道府県に提供

具体的な施策では、2025年の高齢化のピークに向け、地域包括ケアシステムの導入を視野に、地域単位で医療提供体制を再整備する。素案では、都道府県の保健ガバナンスを強化する方針を示した。具体的には各都道府県に権限と予算などを移譲するというもの。各都道府県が策定した「地域医療構想」について、地域ごとに設置した「地域医療構想調整会議」で具体的な議論を行う。病床の役割分担を進めるためデータを国から提供し、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針の速やかな策定に向けて、2年間程度で集中的に議論するとした。

厚労省は各地域の議論を側面的に支援するため、「保健医療データプラットフォーム」などのビッグデータを提供する。同プラットフォームは、健康、医療、介護の各種ビッグデータを統合するもの。医療分野では、病院の機能分化や構想区域(2次医療圏)内における地域完結型の医療提供体制の議論に応用できる。実診療データ(ビッグデータ)には、レセプトなどの実診療データ以外に、脳卒中患者の治療後の医療・介護サービスの傾向や、抗生物質の処方や重複投与の状況などに関するデータも含まれる見通し。地域の医療ニーズを分析を通じ、医療費の適正化や住民に対する医療サービスの検証、施策立案に役立てるよう促す考え。このため、医療政策やビッグデータに対応できる人材を国が養成し、都道府県に派遣するなどの連携策も盛り込んでいる。

◎選定療養による定額負担の対象については見直し

このほか、かかりつけ医を普及させる観点から、まずは病院・診療所間の機能分化の観点から、医療保険財政の持続可能性の観点等を踏まえつつ、病院への外来受診時の定額負担に関し、現行の選定療養による定額負担の対象の見直しを行う。関係審議会等において具体的な検討を進め、年末までに結論を得るとした。

2018年度診療報酬・介護報酬同時改定については、地域医療構想の実現に資するよう病床の機能分化・連携を更に後押しするため、患者の状態像に即した適切な医療・介護を提供する観点から、報酬水準、算定要件、入院基本料のあり方について検討する。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20170603327635.html
センター病院の指定管理更新せず
上越医師会方針、「役目終えた」

【地域】 2017/06/03 15:00 新潟日報

 上越地域医療センター病院の指定管理者となっている上越医師会が、来年3月末で満了する契約を更新しない方針を固めたことが2日までに分かった。同会はセンター病院の経営は安定しており、医師会としての役目は終わったことを理由に挙げている。

 センター病院は2000年、旧国立高田病院を上越市が国から譲り受けて開院。上越医師会は公共施設の管理運営を自治体直営や公共団体に限定する「管理委託制度」に基づき、同年、市から運営を任された。地方自治法改正で民間事業者の参入が可能となった「指定管理制度」移行後も、市からの要請で5年や3年ごとに契約を更新してきた。

 医師会によると、ことし2月の理事会で、指定管理契約を来年3月までとする方針を決定、市に伝えた。

 新潟日報社の取材に対し、上越医師会の早津正文会長(65)は「赤字の地方自治体病院が多い中、センター病院は経営的に安定し、良い病院になった。医師会として任務は終えたと考えている」と述べた。

 来年4月以降の経営形態について、市地域医療推進室の小林元・室長は「専門家の話を聞きながら、病院の改築に向けた基本構想策定検討委員会の中で話し合いたい」と話している。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/366112.html
島田市民病院 12月末で分娩一時休止 市、産科医派遣要請へ
(2017/6/3 07:06)静岡新聞

 島田市は2日、市民病院(同市野田)の産婦人科常勤医が2018年3月末で退職することになったため、17年12月末で分娩(ぶんべん)を一時休止すると発表した。現時点で新たな常勤医は確保できていないという。
 市によると、18年1月以降の分娩はすでに予約した人だけ対応する。婦人科外来は、現在浜松医科大から派遣されている非常勤医4人により、週2日の診療体制を継続する。
 市によると、退職する常勤医(55)は06年から1人で同病院の分娩を担当しているが、5月下旬に退職の申し出があった。同病院での分娩件数は15年度は193件、16年度は171件。市内ではほかに、分娩を受け入れる診療所が1カ所ある。
 市は同大に常勤医派遣を要請する方針で、染谷市長は「(医師確保に向け)最善の努力をしたい」と説明。周辺の医療機関には、市内の妊婦の受け入れを依頼していくという。
 同病院は、21年春の開院を目指した建て替え計画が進んでいる。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170602212858
在宅患者に対応できる総合診療専門医育成へ
専門医機構が「モデルケース」提示

2017年06月02日 23:00 CB news

 日本専門医機構(吉村博邦理事長)は2日、総合診療専門医に関する研修の「モデルケース」を示した。3年間の研修期間中、へき地や離島、被災地、医療資源の乏しい地域で1年以上の研修を行うことや、総合診療1と同2に計1年半を充てることを推奨しており、在宅の患者を診療できる専門医の育成を目指す。【新井哉】

 同機構によると、総合診療専門医の研修内容は、内科(1年間)、救急と小児科(いずれも3カ月間)、総合診療1と同2(いずれも6カ月間)。残りの6カ月間を総合診療1と同2に充てることを求めている。

 臨床研修で外科を学ばなかった専攻医を対象にした総合診療専門医の研修プログラムでは、外科の研修期間(6カ月間)を加えた3年半のプログラムも認める見通しだ。

 研修を担当する指導医は、総合内科専門医の資格を持つ内科医などを充てる。また、指導医を確保できず研修ができないような医療資源の乏しい地域に配慮し、へき地や離島などで研修を行う場合は、到達目標などを定めたカリキュラム制でも対応できるようにする。

 2 日に行われた記者会見で、同機構の松原謙二副理事長(日本医師会副会長)は、「内科医としての素養をきちんと付けて、小児科、救急の指導医を付けて勉強した上で、総合的な診療ができる地域に出て行って、実際に治療を行うという概念に基づくもの」と説明した。

 研修内容・期間などが盛り込まれた総合診療専門医の整備基準については、同日の理事会で了承しており、同機構のホームページで近く公開する予定。


  1. 2017/06/05(月) 06:15:26|
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6月2日 

http://digital.asahi.com/articles/ASK615JLQK61UOHB016.html?rm=616
長時間労働でうつ病、研修医の自殺を労災と認定 新潟
寺崎省子、野中良祐
2017年6月2日08時28分 朝日新聞

 新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37)が2016年1月に自殺したのは極度の長時間労働によるうつ病発症が原因だとして、新潟労働基準監督署が労災と認定したことが1日、分かった。遺族の弁護士が明らかにした。認定は5月31日付。

研修医自殺「過重労働が原因」 労災認定の方針 新潟

 亡くなったのは新潟市の木元文さん。看護助手をしながら医師を志し、07年に新潟大医学部に合格。15年4月から研修医として新潟市民病院の消化器外科に勤務し、同年秋ごろから体調不良を訴えるようになった。16年1月、自宅を出た後に行方不明となり、近くの公園の雪の上で倒れているのを家族が発見。そばには睡眠薬があり、低体温症で死亡した。

 遺族は長時間労働が原因で自殺したとして同8月、労災認定を求めていた。遺族が調べたところ、時間外労働は4カ月連続で200時間を超え、最も多い月で251時間だったという。

 これに対し、病院側は木元さんの自己申告をもとに、時間外労働時間は1カ月平均約48時間だったとしていた。

 遺族の弁護士によると、労基署は「うつ病の発症は15年9月ごろで、直近1カ月の時間外労働が160時間を超えていたため認定した」と説明した。木元さんの夫(37)は弁護士を通じ、「使用者による殺人にほかならない。医師不足は何の理由にもならない」とコメントした。今後、同病院に長時間労働の改善を求めるという。

 新潟市民病院は「労災が認定されたことは真摯(しんし)に受け止める」とコメントした。

■診療時間見直しも

 診療を原則、拒めない「応召義務」のある医師。労働問題が議論されることは少なかったが、長時間労働に労働基準監督署が是正勧告を出し、病院の外来を縮小する動きも出てきた。

 昨年6月に是正を求められた聖路加国際病院(東京都中央区)は3日から、土曜日の外来診療を14診療科に絞り、神経内科や皮膚科など20診療科を休診する。

 同院によると、労基署は医師の残業時間が月平均95時間に達していると指摘。当直は時間外労働にあたるとした。シフトの調整だけで対応できないため、土曜の一部休診を決めた。医師の「意識改革」もすすめ、午後6、7時には病院を出るよう促している。

 残業時間の削減は達成できる見込みだが、家族らへの都合に合わせて夜にしていた患者への病状説明を昼間にするよう指示し、救急患者の受け入れを断らざるを得ない例も出ているという。福井次矢院長は「最新の治療について調べ、多職種での話し合いが必要。医師は無駄に病院にいるわけではない。国として医師の労働とは何か基準を示すべきだ」と話す。

 宮崎の3県立病院は昨年、当直を労働時間に入れるよう求められた。病院局の担当者は「労働時間に入れると、今度は超過勤務の違法状態になる」と頭を抱える。佐賀県医療センター好生館(佐賀市)も4月、当直について勧告を受けた。2人の従業員が月200時間を超す勤務をしていたとして勧告を受けた関西電力病院(大阪市)は4月、医師の書類作成を補助する人員を増やした。

 政府が3月に公表した働き方改革実行計画は、時間外労働を罰則付きで規制する方針を示す。ただし患者の急変への対応や救急という特殊な業務を担う医師には、5年間の猶予期間を設けた。厚生労働省の検討会で今後、対策を議論する。(寺崎省子、野中良祐)



https://www.m3.com/news/general/534029?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170601&dcf_doctor=true&mc.l=226327491&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
研修医自殺:労災認定へ 労基署「過労が原因」 新潟市民病院
2017年6月1日 (木) 毎日新聞社

 2016年1月、新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37歳)が自殺したのは過労が原因だったとして、新潟労働基準監督署は31日、労災認定する方針を決めた。遺族に対しても、方針を通知している。【柳沢亮】

 ◇遺族「最長、月251時間残業」

 亡くなった研修医は木元文(あや)さん。看護助手をしながら医師を目指して勉強を続け、2007年、新潟大医学部に合格。卒業後の13年から研修医となったが、15年4月に後期研修医として同病院に移ると、救急患者対応の呼び出し勤務が激増。16年1月24日夜、行き先を告げず一人で自宅を出たまま行方不明になり、翌朝、家族が自宅近くの公園で遺体を発見した。

 新潟県警によると、死因は低体温症で、遺体のそばには睡眠薬と飲み終えた酒が落ちていた。自殺前、家族に「人に会いたくない」と漏らしていたといい、県警は自殺と判断している。

 木元さんの夫は16年8月、「長時間労働による過労と精神疾患が自殺の原因」などとして同監督署に労災を申請した。木元さんの電子カルテの操作記録から月平均時間外労働(残業)時間は厚生労働省が「過労死ライン」と位置付ける80時間の2倍を超える約187時間、最も多い月では251時間に達していたと主張した。

 一方、病院側は木元さんが自己申告していた残業時間は月平均約48時間だったと反論。「電子カルテの操作記録の多くは医師としての学習が目的で、労働時間に当たらない」と説明していた。

 木元さんの夫は毎日新聞の取材に「労災認定され安心したが、亡くなった人は戻らない。過労死は病院による殺人に等しい」と話した。「全国過労死を考える家族の会」東京代表で、自らも医師の夫を過労死で亡くした中原のり子さんは「勤務医の過労死は全国的な問題。聖職者意識や犠牲的精神など個人の力で解決できるものではなく、社会的な支援をすべきだ」と話している。

 ◇勤務先、残業80時間常態化 「使命との間で葛藤」

 木元文さんが勤務していた新潟市民病院では、毎日新聞の情報公開請求による取材で、残業時間を月80時間以内とする労使協定無視が常態化していた。

 「過労死ライン」の月80時間に対し、基本的に死亡の1カ月前に100時間か、2~6カ月前の平均で80時間を超える残業があれば過労死認定される。

 毎日新聞では、情報公開請求により、木元さんが亡くなった2015年度に在籍した後期研修医27人の残業自己申告記録を調べた。200時間を超える残業月は1人 ▽ 150時間超は3人 ▽ 100時間超は9人 ▽ 80時間超は7人 ▽ 80時間以内は7人で、後期研修医の7割以上の20人が協定違反の労働をしていた。また、管理職を除く136人中、62人に80時間を超える残業月があった。ある臨時職員の年間残業時間は1523時間で、平均月約120時間を超えた。

 同病院はこうした実態を踏まえ、今年度の労使協定改定で、残業上限を年6カ月以内の範囲で月100時間以内まで緩和した。上限緩和は過労対策の趣旨に反するが、同病院の担当者は「協定を守れる範囲にした。中核病院としての使命と労働時間の問題との間で葛藤がある」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/531339
医療情報の利活用と保護、両立が肝要 - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.1
日常診療での取り扱いは従来通り

2017年5月25日 (木) 聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 医療情報の取り扱いを厳格化する改正個人情報保護法が5月30日に施行される一方で、医療情報を利活用するための次世代医療基盤法が4月28日に成立した。この二つの法によって、医療や医学研究の現場はどう変わるのか。医療情報システム開発センター理事長の山本隆一氏に聞いた(2017年5月19日にインタビュー。計2回の連載)。

改正個人情報保護法のポイント(5月30日施行)
・医療情報は大部分が「要配慮個人情報」に指定され、下記の取り扱いとなる。
(1)患者の同意を得ずに収集できない。
(2)利用目的の変更が認められない。
(3)オプトアウト(明確に拒否しない限り、同意したと見なすこと)による第三者提供ができない。
・当該患者の医療に必須な利用や、病医院の運用に必要な利用は従来通り可能。
・匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者の対応表を作成して管理する場合、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能。

次世代医療基盤法のポイント(来春施行見込み)
・高い情報セキュリティを確保するなど一定の基準を満たし、医療情報などの管理や利活用のための匿名化を行える事業者を、国が「認定匿名加工医療情報作成事業者」として認定。
・医療機関などは、あらかじめ患者本人に通知した上で、オプトアウトで上記の認定事業者に医療情報を提供できる。

※改正個人情報保護法と関連する政令や規則、ガイドラインは、「個人情報保護委員会」のホームページ、次世代医療基盤法は参議院のホームページを参照。

 ――改正個人情報保護法の施行後、医療機関は医療情報をどのように扱えば良いのでしょうか。
 患者情報は「要配慮個人情報」に位置付けられます。要配慮情報というのは、同意を得ずに収集してはいけない、目的の変更が認められない、それから一番大事なのは第三者提供のオプトアウトが使えない。この三つが主な特性ですけども、患者の医療に必須の利用は、今まで通り認められています。紹介状を書くなど第三者提供であっても同様です。日本では患者さんが医療機関を自由に選択できるわけですから、医療機関に来たということは医療を受けることに同意されている。つまり、医療を実施するための情報利用にも同意をされているわけです。介護事業者との連携についても、患者を中心に進めるのは問題ありません。

 また、病医院の運用のための利用も認められる。例えば病棟で男部屋と女部屋の割合をどうするかということを決められないと、病院はやっていけない。そうしたものは医療に必須の利用と認められています。それから、レセプトを出す、感染症の届けを出すといった法律で定められた利用も、もちろんできます。こうした点はこれまでと変わりません。

 ――では、医学研究や教育、新薬開発での利活用など、医療以外の場面ではどうでしょうか。
 患者の医療に直接関係なく、病医院の運用のためでもなく使う第三者利用は同意を得なければなりません。例えば学会などでの症例報告。これは患者の治療や病医院の運用には関係ないので、同意を得なければなりません。個人情報とは生きている人の個人情報ですから、もし患者が亡くなっている場合は個人情報保護法の範囲から外れますが、遺族に関係する問題などがありますので、倫理審査委員会を通して発表を認めていただくなどの第三者的な評価が必要です。

 学術研究は改正個人情報保護法第4章の規定からは外れますが、医学研究に関しては、同法の4章以外の部分と「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など各種の研究指針の制約を受けます。同指針では、匿名化する場合や、症例番号などを新たに発番して、番号と患者さんの対応表を作成して管理する場合でも、同意なしに情報を取得して研究目的に使うことが、単独施設内や共同研究契約を結んだ複数施設内で研究する場合には可能です。しかし、そうではない複数の施設から情報を集める場合は、集める段階そのものは研究ではないので、法をそのまま解釈すれば、患者さんの同意を得なければならない。

 しかし、ビッグデータを使って、例えば1000万人の患者さんのデータを集めたら、医療機器の開発や薬の開発の他、医療経済的な分析もあり得る。そうした目的が、情報を集める段階で全て決まっているわけではない。また、ある薬で副作用が出ているらしい、調べてみようという場合。そういう問題が起こるから調べることになるわけで、事前に同意を取れるかと言ったら、取れない。その時点で目的が決まっていないわけですから。

 ――そうした事態に対応するのが、次世代医療基盤法ですね。
 患者が特に断らなければ、情報をオプトアウトで集められる。集めた上で、本人に絶対に迷惑がかからない形、プライバシーを侵害しない、個人の権利を侵害しない形で活用する。「そういう利用は困ります」と言われない限りは、「医療情報」を集められるようにするのが、次世代医療基盤法です。ただし、改正個人情報保護法とは、若干考え方が違います。医療情報の場合、遺族や子孫、そういったことに関係する、遺伝する情報を扱わなくてはいけない。

 その場合は、もちろん本人に加えて遺族や子孫にも迷惑がかからないようにしなければなりません。それが個人情報保護法にはない概念です。個人情報とは、あくまでも情報を提供する本人が「第一者」、受け取る人が「第二者」、それ以外は全て第三者ですから、遺族や子供も第三者になります。そういうものをきちんと定義するため、次世代医療基盤法では「個人情報」という概念を使わず、「医療情報」と言っている。ここには、死者の情報も、子孫に影響する情報も含みます。亡くなった人の情報が対象外になってしまうと困りますから。
 ――「匿名加工医療情報作成事業者」はどのような事業者が想定されるのでしょうか。大学などの研究機関が、自らなる必要はあるのでしょうか。
 どのような事業者が想定されるかは、まだよく分かりませんが、(政府による認定が)相当厳しい基準になるとは思います。また、この事業者は研究をできません。匿名加工して提供するのが仕事なので、大学の一部がなってもいいのかもしれませんが、難しいでしょう。それに、ある大学病院の中で、そこに来た患者の病気のことを、自分たちで匿名加工して研究に使うことはできる。個人情報保護法で匿名加工することが認められていますから、この法の枠内でやればいい。次世代医療基盤法はあくまで複数の医療機関から情報を集めて研究に使う場合を想定した法律です。

解説
 5月30日に、改正個人情報保護法が全面施行される。同法によって医療情報の大部分は「要配慮個人情報」と定められ、患者の同意を得ずに収集できず、利用目的の変更が認められず、オプトアウトによる第三者提供も行えなくなる。医療機関で想定される「要配慮個人情報」とは、診療記録や介護関係記録に記載された病歴、診療や調剤の過程での患者の身体状況、病状、治療などについて医療従事者が知り得た診療情報、健康診断の結果および保健指導の内容、障害の事実、犯罪により害を被った事実などだ。

 改正法では、このような本来的に慎重な取り扱いが求められる医療情報の保護が厳格化される一方で、医学の発展のための研究や教育、新薬の開発などでの利活用を難しくするという側面も持つ。これらは患者自身の治療には直接関係しないために、全て第三者提供の扱いとなるからだ。

 その懸念を解消するものとして4月28日、「次世代医療基盤法」が新たに成立した。同法では、オプトアウトによる第三者提供が可能だ。特定の個人を識別できないように医療情報を匿名加工する事業者を政府が「匿名加工医療情報作成事業者」として認定。医療機関から集められた情報をこの事業者が匿名化し、医学研究や教育、新薬開発などの用途に活用できるようにした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/531340
医療情報の特殊性を意識した法制を - 山本隆一・医療情報システム開発センター理事長に聞く◆Vol.2
予防接種歴など「医療以外」の情報の扱い課題

2017年5月31日 (水) 聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

 ――改正個人情報保護法は5月30日に全面施行されますが、次世代医療基盤法の施行は来春が見込まれます。この1年弱の間に、医療情報を使えないことで困るような事態があり得るのではないでしょうか。
 止まってしまう可能性がなくはないと危惧されるプロジェクトはあります。例えば、ナショナルクリニカルデータベース(NCD)です。外科系のデータを収集していて、日本で行われる手術のほとんどが登録される。これはデータを集めるもともとの理由が、外科医の専門医の申請に使う症例データとしての登録です。民間のNPO法人が運営していますし、匿名化はしていますが、患者の治療や病医院の運用には直接関係がありません。遡及はされないので、今まで集めたデータは大丈夫ですが、改正個人情報保護法では、きちんと患者の同意を取ってくださいということになる可能性があります。

 外科医の技術向上という、広い意味で公益目的ですし、貴重なデータでもあります。次世代医療基盤法が施行される1年先はそういうことを考慮してやれる方向に持って行けると思いますが、それまでの期間はどうしようもないので、ひょっとするとこのようなケースでトラブルが起こる可能性は、ゼロではないと思います。

 ――次世代医療基盤法の施行後はオプトアウトで情報を集めることができますが、そのために情報を利用することを患者に説明する必要はありますね。
 病医院内に掲示しておけばいいというのではなく、患者に対してしっかりやらないといけません。やり方の一つは、初診の際に診察の申込書などを書くと思いますが、そのときにこれを読んでくださいという方法でしょう。それから、「匿名加工医療情報作成事業者」に情報を提供する医療機関は、主務大臣に届出をしなければいけません。審査があるわけではありませんが、届出が必要です。

――新たな二つの法律はできましたが、個人情報保護と医療データの利活用に関して、残る課題はどんなものがあるでしょうか。
 一つは、遺伝する情報を本当に守れるのか、というところがまだ不十分です。これは個人情報保護法の仕組みでは無理です。遺伝する情報を理由に人を差別するということを禁止しなければいけません。例えば米国のGINA(Genetic Information Nondiscrimination Act)の他、ドイツや英国、韓国にもそういう法律がありますが、日本はそういう部分が不十分です。

 また、次世代医療基盤法の仕組みは、今のところ医療情報にしか使えません。定義の部分で、「医療情報」が定義されているので、他の情報では使えません。扱ってはいけないとまでは書いていませんが、基本的には扱えない。そうすると、例えば海外旅行に行った履歴は病気によってはかなり重要なデータですし、予防接種の履歴も重要ですが、病医院できちんと取れるわけではないので、入ってこない可能性もある。それから、介護情報についてはどこにも書いていません。医療と介護の密接な連携は不可欠ですが、書いていない。個々の患者の治療や介護について情報をやりと取りすることはできますが、情報を集めて分析するようなことは十分にできないのです。

 それから、人間、最後は死ぬわけです。いつ亡くなったかというのは、蓄積される情報の中では非常に大きな意味を持ちます。例えば胃がんの人が手術したけども、再発して7年後に亡くなったというときに、亡くなった日までいかなくても年くらいは入っているといいのですが、そういう情報が入ってくる保証はない。そうすると、匿名加工情報の中では生きているように見えるかもしれません。「匿名加工医療情報作成事業者」が持つデータの中に、同じ人の情報が別々に登録されていることも十分あり得ます。次世代医療基盤法は、マイナンバーではなく医療で使う番号制度ができて、医療機関が変わっても1人1人のデータをきちんとつなげることが前提の仕組みなのです。番号制度がいつできるか分からない状態では、不安ですね。

 日本の個人情報保護法は、今回の改正で、少なくとも意図しないことに情報が使われる危険性はだいぶ減ったと思いますが、かなりルールが包括的なため、そのことによって社会的な弊害が起こることへの対応は不十分です。EUのGDPR(General Data Protection Regulation)が来年施行されますが、これには医療情報だけをわざわざ特記してある部分が何十カ所もあります。なぜかというと、やはり医療情報がものすごく特殊な個人情報だからです。犯罪履歴や政治信条、人種などは、記入する場面はそうそうない。大事な情報だけど、あまり使わないわけです。一方で、医療情報はものすごく使う情報です。人間の機微に触れる情報であるにも関わらずものすごく使う情報は、医療情報ぐらいですよ。本来は、そういうことを十分に意識した、個人情報保護法制にすべきだと思います。

 いつまで経ってもそうならないのが日本の特徴ですが、困るのは国民です。医学研究の発展は絶対に大事で、医療情報の公益的活用は止めるわけにはいかない。一方でプライバシーの侵害は絶対に起こしてはいけない。それを両立させることが、改正個人情報保護法と次世代医療基盤法の目的ですが、まだ不十分な恐れがある、ということが現状と考えます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/534485
真価問われる専門医改革
新整備指針は4点改訂、総合診療専門医の基準も了承
日本専門医機構、「2018年度開始」は厚労省検討会待ちか

2017年6月2日 (金) 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構は6月2日の理事会で、専門医取得は義務付けないなど、計4点を修正した「専門医制度新整備指針」の改訂を、全会一致で了承した。修正内容は、5月の同機構理事会で議論後、5月25日の厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の第2回会議で提示し、了承されていたものだ(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。改訂新整備指針を近く同機構のホームページに掲載予定。

 理事会では、19番目の基本領域に位置付けられる総合診療専門医の研修プログラム整備基準を了承、日本専門医機構の基本問題検討会の下にサブスペシャルティに関するワーキンググループを設置することも決めた。

 ただし、理事会後の記者会見では、新専門医制度の開始時期について、「我々は、2018年度から始めることを目標とし、準備を進めている」(日本専門医機構副理事長の松原謙二氏)と述べるにとどまった。これは、6月中旬に予定されている厚労省の第3回検討会を念頭に置いた発言だ。第2回検討会で日本内科学会にヒアリング済み。第3回検討会では、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科の7領域の各学会からヒアリングを行う予定。これらの学会は、過去3年間の専攻医の平均採用実績が350人以上であり、地域医療への配慮から、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置くことなどが求められている。

 理事会ではこのほか、新整備指針の運用細則の見直しや、「新専門医制度概説とQ&A」への追記について議論した。

 運用細則には、厚労省の第2回検討会で出た議論に対応するため、(1)研修カリキュラム制を運用する場合の対応体制、(2)都道府県協議会での役割や位置付け――などを盛り込む予定。今後、基本問題検討会で議論、最終的に理事会で決定する。

 「新専門医制度概説とQ&A」は、5月12日付けの内容が、日本専門医機構のホームページに掲載されている。日本専門医機構の現執行部は2016年7月に発足したが、以前の制度と現在検討されている制度との相違がより明確になるよう、追記する予定。具体的には、(1)内科をはじめ、8領域については、都道府県ごとに複数の基幹施設を設置できる基準とする、(2)東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の5都県については、過去 5 年間の都市部の専門医の採用実績の平均値を超えないものとする、(3)都道府県協議会が、研修プログラムの基幹施設、関連施設、連携施設などの構成に偏りがないか、募集定員が適切かどうかなどを検証する役割を担う、(4)卒後に義務年限を有する専攻医(自治医科大学や各大学の地域枠の卒業生など)、出産・育児、介護、留学など、合理的な理由がある場合は、研修カリキュラム制も可能とするなど、柔軟に対応――といった点だ。

 総合診療専門医と内科専門医、「オーバーラップ」

 総合診療専門医の研修プログラム整備基準は、5月の理事会でほぼ固まっていた(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記へ』を参照)。

 同整備基準は、近く公表予定で、記者会見では、松原副理事長が概要を説明。「内科専門医と総合診療専門医は、当初は対立するものとして制度設計が始まったが、話し合いを重ね、オーバーラップした制度となった」。研修期間は、3年が基本。内科1年、救急と小児は各3カ月、総合診療I(中小病院や診療所等で研修)と総合診療II(病院で研修)が各6カ月以上(IとIIの合計で18カ月以上)、残る6カ月は選択研修。医療資源が乏しく、救急や小児の研修が難しい場合には、研修カリキュラム制も認める。

 内科専門医と総合内科専門医を持つ内科指導医のほか、日本臨床内科医会の専門医・認定医なども、指導医になるという。専門医試験は、1次は内科専門医試験、2次は総合診療専門医専用の試験を行う。内科専門医は、都市部への専攻医集中是正策が講じられるため、「総合診療専門医についても、都市部に専攻医が集中しないよう、日本専門医機構で研修プログラムを選定する」(松原副理事長)。


  1. 2017/06/03(土) 09:04:08|
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Google Newsでみる医師不足 2017年5月31日

Google Newsでみる医師不足 2017年5月31日
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First 5 in Google in English 

Missouri targets doctor shortage, expands first-in-nation law
STLtoday.com‎ - May 30, 2017 (米国、ミズーリ州)

JEFFERSON CITY • Numerous additional doctors from around the U.S. could become eligible to treat patients in Missouri’s underserved areas as a result of a planned expansion of a first-in-the-nation law aimed at addressing a growing doctor shortage.
The newly passed Missouri legislation would broaden the reach of a 2014 law that sought to bridge the gap between communities in need of doctors and physicians in need of jobs. That law created a new category of licensed professionals — “assistant physicians” — for people who graduate from medical school and pass key medical exams but aren’t placed in residency programs needed for certification..



Obamacare, Congress to Blame for Upcoming Doctor Shortage
Newsmax‎ - Tuesday, 30 May 2017 02:07 PM (米国、全国)

The future two decades in the U.S. will see a major physician shortage due to Obamacare and Congress, wrote Kevin Campbell, an internationally-recognized cardiologist, in an article in the Washington Examiner on Tuesday. The problem stems from mid-career physicians leaving the field, disillusioned or burned out by the level of electronic recordkeeping necessary under Obamacare. And, fewer young people are entering the field.



Hong Kong's chronic doctor shortage can be cured with new tech and new blood.
South China Morning Post‎ - Tuesday, 30 May, 2017, 11:08am (Hong Kong)

Hong Kong boasts 5.2 hospital beds per thousand people, a ratio higher than most OECD countries. However, our public hospitals and clinics regrettably suffer from an acute shortage of doctors – cited as a cause for most medical blunders in recent years. The Food and Health Bureau says public hospitals have a shortfall of some 250 doctors.
Increasing medical school enrolment is one way to resolve the supply crunch and relieve the workload of doctors in public hospitals. We currently have about 420 medical graduates each year. But if we expand enrolment, we must overcome the challenge of funding. The government heavily subsidises the tuition fee of each medical student, and a substantial amount is needed to train a doctor.



Pilot program in Buffalo could cure area's doctor shortage
Buffalo News‎ - Thu, May 25, 2017 (米国、ニューヨーク州)

Many Buffalo-area medical practices will receive a big financial boost – and patients likely will get easier access to health care – thanks to the region's selection for a new Medicare pilot program that eventually could help cure the area's physician shortage.
Insurance executives who pushed for the program said Wednesday that the pilot program is likely to pump hundreds of millions of dollars in federal funding into local medical practices that choose to take part. Those would be practices that serve the region's 90,000 or so people on the traditional fee-for-service Medicare program, not the popular, HMO-like Medicare Advantage plans.
What's more, insurers and doctors said the initiative to improve Medicare – the hugely influential government health insurance program for seniors – could have ramifications throughout the local health care system.



FOX13 Investigates: Doctor shortages in parts of the south
FOX13 Memphis‎ -May 8, 2017 - 7:43 PM (米国、テネシー州)

In a comprehensive report released by The Association of American Medical Colleges, AAMC, the doctor shortage in America is real and significant. Over the next 10 years, we could see a doctor shortage ranging from 62-to 95-thousand.

This is from the AAMC report:
"To help alleviate the shortage, the AAMC supports a multipronged solution, which includes innovations in care delivery, better use of technology, and increased federal support for an additional 3,000 new residency positions a year over the next five years. Medical schools have done their part to increase the overall number of physicians by expanding their class sizes, and now Congress must approve a modest increase in federal support for new doctor training if the United States is to increase its overall number of physicians..."



(他に10位以内のニュースは、米国 (全米 2報)、米国・ニューメキシコ州、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、ニュージーランド、からも)


  1. 2017/05/31(水) 19:57:17|
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5月30日 

http://blogos.com/article/225460/
福島県いわき市の医療崩壊
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
NEXT MEDIA "Japan In-depth"2017年05月27日 10:31 BLOGOS

■いわき市が直面する医療崩壊
福島県いわき市の医療が崩壊の瀬戸際にある。本稿では、この問題について解説したい。

いわき市の人口は34万6439人(2017年5月1日現在)。中核市に認定され、福島県内最大の都市である(郡山市は33万4928人、福島市28万2184人)。

この地域の医師が不足している。人口10万人あたりの医師数は172人、全国平均の234人はおろか、福島県平均の189人を下回る。これはブラジルやエクアドルなどの平均とほぼ同レベルだ。

今年2月には市立総合磐城共立病院が肺結核患者の入院受け入れの停止を発表した。年度末で呼吸器内科の常勤医が定年退職し、後任が確保できなかったためだ。現在、いわき市内に呼吸器内科の常勤医はいない。

■救急医療も危機的状況
もっと深刻なのは救急医療だ。震災前の2009年に救急車が出動したのは1万1256件だったのが、年々増加し、2015年には1万3477件となった。平均して毎年3%ずつ患者が増えたことになる。この間、増加した搬送患者の86%が高齢者だ。高齢化が進めばますます救急医療のニーズは高まる。

この間、いわき市内の医師数は横ばいだ。この結果、救急車は「たらい回し」されることになる。救急車が現場に到着してから、病院に収容されるまでの時間は2009年に30分24秒だったのが、2015年には36分18秒に延長した。

特に悲惨なのが脳外科だ。東北地方は脳卒中の発症率が高く、脳卒中の治療は時間との争いだ。ところが、脳卒中を治療する脳外科医の数が足りない。

2014年12月現在、いわき市内には脳外科専門医は12人しかおらず、人口10万人あたり3.6人だ。これは全国平均の5.0人、福島県の平均の4.5人を下回る。患者は多いのに、医師は足りない。

この地域で活動する救命救急士は「いわき市内で受け入れて貰えない場合、遠く離れた郡山や南相馬市内に搬送します」という。いずれも距離は80キロを超える。郡山に行く場合、阿武隈高地を超えねばならない。冬場は積雪する。片道2時間以上かかることもある。これでは助かる命も助からない。

医師がいないため、脳卒中を含む神経系疾患の約30%がいわき市外で治療を受けている。

どうすればいいのだろう。対策は簡単だ。いわき市内に医師を集め、救急外来を開設するのがいい。

■いわき市で気を吐く「ときわ会」
実は、いわき市内で救急医療に力を入れようとしている医師たちがいる。ときわ会グループだ。泌尿器科医である常盤峻士会長が設立し、透析医療を中心に成長してきた。2010年4月に市立常磐病院を譲渡され、総合病院も経営するようになった。

その一年後、東日本大震災を経験した。このとき、約600名の透析患者を東京・新潟・千葉県に避難させた。私もお手伝いしたが、見事なチームワークだった。

東日本大震災での大活躍でときわ会の知名度は一気にあがった。「ときわ会で働きたい」と全国から若き医師や看護師が集まった。日経新聞は2016年7月3日に「医師の都市集中歯止め?」という記事の中で、ときわ会の取り組みを成功事例として紹介した。

私どもの研究所の関係者からも複数の医師・看護師が就職した。

森甚一氏(血液内科)のように、首都圏の大学病院の「センター長」のポジションを断って就職した医師もいた。(関連記事)

今春には、徳島県立中央病院の院長を辞した永井雅巳氏が、在宅医療部門に移籍した。永井氏の経営手腕は医療界では知らない人がいない。さらに、私も昨年3月に東大医科研を辞してからは、ときわ会の非常勤医師となった。震災時8名だった常勤医師は現在24名に増加している。いわき市内の病院で、震災後医師が増加したのは、ときわ会だけだ。

この結果、240床の病床は常に満床だ。一般病床の稼動率は90%を超える。新村浩明院長の悩みは「医師がいても、入院させる病床がないこと」だ。

新村院長たちは救急医療にも力をいれてきた。2015年4月には救急専門医である岩谷昭美医師も赴任した。昨年は1216件の救急車を受け入れており、2014年度の750件から急増した。

いわき市内の救急医療の中核は、磐城共立病院だ。三次救急を行い、2014年度は4271台の救急車を受け入れた。前出の新村院長は「この地域の医療を守るには、関係者が協力しなければなりません。磐城共立病院の負担を下げるためにも、我々が二次救急の患者を受け入れる必要があります」という。

さらに、新村院長は「病床があれば、脳卒中の患者さんにも対応したい」ともいう。福島県内の病院長は「もし、ときわ会が脳卒中センターを開設するなら、是非、脳外科医を紹介したい」と言う。いわき市民にとって有り難い話だ。ところが、話は簡単には進まない。それは、常磐病院の病床が増やせないのだ。

■病床が増やせないわけ
厚労省は医療費を削減するため、入院病床を削減し、在宅医療に誘導しようとしている。2025年までに全国で11.6%、福島県で28.4%の病床が削減されると予想されている。

我が国では病院は勝手に病床を増やせない。厚労省の許可がいるのだ。病床は貴重な経営資源であり、どの病院も削減には応じたくない。

いわき市内の多くの病院の病床稼動率は低い。例えば、磐城共立病院は病床数761床(うち一般709床)だが、一日平均入院患者数は547人(2014年6月分)だ。福島労災病院も状況は変わらない。病床稼動率は75%だ(2015年度)。常識的に考えれば、磐城共立病院や福島労災病院の病床を常磐病院に譲る、あるいは売却すればいいだろう。ところが、この話は一向に進まない。

いわき市の職員は、その理由を「ときわ会に対する嫉妬」という。私が知る限り、いわき市民の多くはときわ会を高く評価している。医療関係者の中でも、ときわ会に好意的な人は少なくない。いわき市内で開業する医師は「このままではいわきの医療はジリ貧です。ときわ会のような元気なグループが、この地域が生き残るために必用です」という。ただ、業界団体がまとまると、「一人勝ちを許さない護送船団方式」となってしまう。福島県やいわき市の行政は彼らの意向を忖度する。

■行政に求められる「市民目線」
私はこのような土壌こそ、福島の復興が進まない本当の原因だと思う。福島県もいわき市も市民目線で考えず、強力な政治力を有する業界団体の都合を優先する。地元紙は、知っていながら、一切報じない。この結果、市民は問題点に気づかない。

有望な病院経営者は、やがて県外に進出する。郡山を拠点にする南東北病院など、その典型だ。2012年には、220億円を投じ、川崎市に新百合ヶ丘病院(377床)を開業した。2018年9月には大阪の難波に「大阪なんばクリニック」を開設する。ときわ会も、このままでは、早晩、いわき市から重点を移すことになるだろう。福島県民にとって、それでいいのだろうか。

いわきの医療は崩壊しつつある。待ったなしだ。地域で情報を共有し、市民目線で議論しなければならない。



http://www.medwatch.jp/?p=13949
2018年度診療報酬改定で、DPC病棟における持参薬管理の評価を—全自病
2017年5月30日|2018同時改定 MedWatch

DPC病棟において、患者の持参薬を鑑別し、処方の指示や服薬管理を行うことを評価する係数を新設する必要がある—。

全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長(赤穂市民病院名誉院長・兵庫県)は、25日の定例記者会見でこのような要望を2018年度の次期診療報酬改定に向けて行っていく考えを明らかにしました。

ここがポイント!
1 持参薬管理で人的・物的コスト増、DPC係数での評価を
2 医療・看護必要度、内科的治療の拡大などを
3 地域医療構想、自治体病院に偏重した対応は許されない

持参薬管理で人的・物的コスト増、DPC係数での評価を

全自病の改定要望は、出来高110項目、DPC18項目と多岐にわたっています。目立つものをピックアップしてみましょう。

まずDPCでは、18の要望項目のうち▼機能評価係数IIにおける地域医療係数の配分を重くする▼重症度係数を廃止する▼敗血症、播種性血管内凝固(DIC)における診断群分類を細分化する▼川崎病における診断群分類を細分化する▼心不全におけるコーディングルールを見直す(医療資源投入量の多寡で心不全か、原疾患かを選択する)▼持参薬管理を評価する—という6項目を重点要望に掲げました(関連記事はこちら)。

このうち持参薬管理については、全自病が会員DPC病院を対象に行ったアンケート調査(有効回答189病院)から、EFファイルへ持参薬を出力するために「4割弱の病院で最大400万円以上のシステム変更費用が生じた」「薬剤師、医療事務、医師、看護師の業務が増加した」ことなどが明らかになったと指摘。その上で、DPC病棟で持参薬を使用しないメリットは理解できるものの、「廃棄薬・残薬の増加」「採用薬・在庫の増加」「人的・物的コストの増加」「リスクの増加」といったデメリットもあり、「患者の持参薬を鑑別し、処方の指示や服薬管理を行うことを評価する係数を新設する必要がある」と訴えています。

このほか、「再入院7日ルールにおいて、『受傷日が異なる外傷』は対象外とする」「血漿成分製剤輸血は出来高とする」ことなどを求めています。

医療・看護必要度、内科的治療の拡大などを

また出来高では110項目のうち、29項目を重点要望に位置付けました。次のような項目が目立ちます。

▼一般病棟入院基本料の重症度、医療・看護必要度について、「救急搬送後の入院」は3日までA項目に該当することとし(現在は2日まで)、「胸腔鏡・腹腔鏡手術」を5日(現在は3日)・「救命等に係る内科的治療」を3日(現在は2日)までC項目に該当することとする。またC項目に「糖尿病性ケトアシドーシス」「JSD30以上の重症脳卒中」を追加する

▼小児入院医療管理料において、「救急医療管理加算」を出来高算定可能とする

▼リンパ浮腫複合的治療料の施設基準について、「リンパ浮腫指導管理料算定50回以上」などの要件を緩和する

▼栄養サポートチーム加算(週1回200点)を、「週1回400点」に増店する

▼同一日に複数科を初診で受診した場合、2科目を188点(282点の3分の2、現在は2分の1の141点)、3科目を94点(282点の3分の1、現在はゼロ点)とする

▼同一日に複数科を再診で受診した場合の減算を廃止する

地域医療構想、自治体病院に偏重した対応は許されない

また25日の記者会見では、2018年度の予算編成に向けて、厚生労働省や総務省に(1)東日本大震災の被災地における医療提供体制の確保に向けた支援の継続(2)地域医療介護総合確保基金の自治体病院における十分な活用や、地域医療構想の実現に向けて「自治体病院に偏重した対応」とならないような配慮(3)新専門医制度における地域医療への配慮(4)医療事故調査制度の国民への正しい周知(5)診療報酬における消費税について「仕入れ税額控除」措置―などを要望したことも報告されました。

このうち(2)について邉見会長は、「社会保障審議会などで地域医療構想の議論の際、自治体病院がターゲットにされがちである。日本医師会の中川俊男副会長らは『日赤や済生会などの公的病院についても、公立病院改革ガイドラインのようなものを設けよ』とし、公立・公的病院の役割を制限して、地域医療構想を進めるべき旨を主張される。しかし、中川副会長の『地域の実情に合わせて、医療機関が自主的に機能分化を進めるべき』との主張に反する。地方では救急車のほとんどを自治体病院が受けており、『実績』に応じて機能分化を進める必要がある」と強く訴えています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。



http://toyokeizai.net/articles/-/173997
病院の「診療データ」は一体誰のものなのか
改正個人情報保護法施行で問われること

「CBnews」編集部 2017年05月30日 東洋経済オンライン

改正個人情報保護法が5月30日に施行された。医療での個人情報は、診療録や処方せん、検査データといったものがもともと該当するとされていたが、改正法により、その取り扱いがより厳格化されるほか、DNA配列データなどの個人の身体の一部の特徴を電子化したデータなどが「個人識別符号」として新たに定義される。自分の健康情報を把握・活用して意思決定すべきという、いわゆるヘルスリテラシー意識の向上が叫ばれる中で、同法施行をきっかけに、診療データは果たして誰のものなのかや、どう向き合えばいいのかが問われるかもしれない。

「私の受診記録を抹消してほしい」

最近、医療機関に対して「私の受診記録を抹消してほしい」との問い合わせが増えている。

診療録、いわゆるカルテについては、医師法24条で、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と規定され、さらに同条で診療録は、「五年間これを保存しなければならない」と定められている。

毎日、外来患者3000人弱を受け入れている虎の門病院(東京都港区)では、患者が診療録の抹消を求めてきた場合、法律によって保存義務があると丁寧に説明している。

同病院事務部の北澤将次長は、「法改正で取り扱う情報が5000人分以下の事業者も対象になりますが、当院はもともと、対象医療機関でしたので、直接的な影響はなく、個人情報へのスタンスは従来と変わりません。しかし、法施行をきっかけに『私の受診情報がどのように扱われているのか』といった照会が増えてくると予想しています」と話す。

カルテの保存期間については、保管スペースの関係で5年を経過したら破棄している医療機関もあるが、虎の門病院では、医療の継続性を担保するために院内で定めた一定期間保存している。北澤次長は、「カルテは誰のものかというと、患者さんのものでもありますが、そのファイルは病院のものですし、私たちのスタッフが記載していますので、カルテの所有権自体は、病院のものと言えると思います」と話す。

しかし、電子化された「診療データが誰のものか」という問いに対して、今は多くの医療機関で電子カルテ化に伴いデータ保存されているため、その判断はより難しくなっている。

患者にとって、診療データが個人情報だという意識が高まれば、自分の情報なのでより気軽に開示してほしいとの要望も出てくるかもしれない。

個人情報保護法に詳しい橋本愛弁護士はカルテについて、「患者さんご自身の個人情報が記載されているものではありますが、病院自体にそれを保存する義務があるという点で、他の個人情報とは異なる特殊性があります」と指摘する。

個人情報とは、生きている人間の情報のことを指し、家族歴が含まれれば別だが、その人が死んでしまうとその情報は、個人情報に該当しない。これを踏まえて橋本弁護士は、こう続ける。

「個人データの消去について、改正法で個人データの消去の努力義務が定められました。その個人データを利用する必要がなくなったときには、遅滞なく消去するように努めなければなりません。しかし、その患者さんが生きている間は、いろいろな病気にかかる可能性があり、病歴は非常に重要ですので、安易に削除することはできません。『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)』には、個人データの消去の努力義務について、『法令の定めにより保存期間等が定められている場合は、この限りではない』と記載されていますので、カルテに記載された個人データについても消去の努力義務の対象外になると考えられます。患者さんから削除要請があったとしても、カルテには保存義務があることを丁寧にご説明せざるを得ないと思います」

カルテを含めて診療データの消去は医療機関にとって、大きな負担になる。例えば紙のカルテの場合、消去するには溶解する作業が必要になったりもするほか、電子カルテでもその患者が死亡するなどした場合、その分の個人情報を抽出する作業の手間も小さくない。

重要性増す医療者と患者の協働の意思決定

診療データは誰のものなのか、そして、どのように向き合えばいいかを考える上で、医療者と患者との関係性で注目されつつある、「協働の意思決定(Co-production)」という考え方がカギになりそうだ。

東京女子医科大の山口直人教授は、日本医療機能評価機構の医療情報サービスMinds(マインズ)事業で2002年度から、エビデンスに基づく診療ガイドラインの普及推進に携わり、診療ガイドラインを通じて医療者と患者が協働の意思決定をする重要性を訴え続けている。山口教授は、診療データについても、それに基づき医療者と患者が協働の意思決定をすべきだと指摘する。

山口教授は「私が医師になった1970年代、患者に診療情報を伝えると、かえって不安になるので、『伝えないで治療してしまおう』というような風潮がありました。私が国立がんセンター(現在の国立がん研究センター)にいたころは、がんを告知するという言葉がありました。今は、ほとんど使われなくなりましたが、告知すると医学的に患者の状態が悪くなることもあって、患者に診療情報を伝えないこともありました」と、当時を振り返る。診療データは誰のものかという問い掛けが起こる今に比べると、隔世の感がある。

ちょうど70年代の海外。「医原病」という言葉が生まれ、医療行為が原因で生ずる疾患を問題視するムーブメントが強まった。それらをきっかけに、海外から患者の自由意思を尊重するためのインフォームドコンセント(説明と同意)という考え方が入ってきた。今、少しずつ医療の現場で浸透し始めている協働の意思決定という考え方は、インフォームドコンセントとは別のもので、患者の意思を尊重する次のステージと言える。

山口教授は、「どんな治療も検査も、望ましい『益』と好ましくない『害』があります。患者さんごとに、『益』と『害』のどちらに重みを付けるかが違ってきます。医師は診療データなどを丁寧に説明し、患者さんが適切に判断できるようにする役割があります。これからの医療では『益』と『害』のバランスで、協働の意思決定をするのが望ましい形ではないかと思うのです」と話す。

「診療データを冷静に受け止めることが大事」

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者の電話相談などの活動を続ける認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の山口育子理事長は、ヘルスリテラシー意識の向上が、重要な課題の一つになっていると考えていると話す。その上で、「患者それぞれが自分の診療データを客観的、かつ冷静に受け止めることが大事」と強調する。

COMLで電話相談を始めた90年ごろは、医療の専門的なことは分からないという患者が多かったが、最近は大きく変化して、尊大な態度の患者も出てきたという。インターネットなどにあふれる情報に振り回されていることも背景にありそうだ。ある男性は、たまたまネットで検索して自分と同じ病気に対する薬剤の情報を知り、そこに書いてあることをすべてうのみにして、診察した医師がその薬剤を処方しなかっただけで、「やぶ医者」だと言ってきたというのだ。

山口理事長は、こう話す。

「ネットなどで知った誤った情報をまるで武器のようにする患者さんもいます。患者さんが一度、自分なりの解釈をしてゆがめられた情報がインプットされると、それを解きほぐすには相当なエネルギーを要します。ヘルスリテラシーはすごく大事ですが、その前提として医療には正しい一つの答えがあるわけではなく、不確実性と限界があることを認識する必要があります」

最後に山口理事長は、「私は27年間、COMLで電話相談などの活動をしてきました。一人の患者として何が変わったかというと、医療に過度な期待は、一切しなくなりました。でも、医療に対してあきらめもしていません。どうすれば医療の力を借りることができるのか、どのようなことなら医師に聞いて答えてもらえるのかをある程度、取捨選択できるようになりました。これは翻ると、冷静に医療を受けられるようになったのかなと思います。これがヘルスリテラシー意識の向上につながるのだと考えています」と述べた。

(文:君塚 靖)



http://www.nikkei.com/article/DGXKZO17049160Q7A530C1MM8000/
医療の改革なぜ慎重? 患者、我々しか守れない 医師16万人のトップ 横倉義武氏
それぞれの責任(2)

2017/5/30付日本経済新聞 朝刊

 総額40兆円を超える医療費は毎年数千億~1兆円程度増え続ける。医療制度の改革は待ったなしだ。そんな医療分野で大きな影響力を持つのが約16万8千人の会員を抱える日本医師会。選挙での集票力も依然強く、医療費抑制の「抵抗勢力」ともみられている。改革の必要性をどう考えるのか。横倉義武会長に聞いた。

■負担まだできる

 ――医療費が膨らみ、給付と負担のバランスが崩れてきています。国民皆保険制度は危うい状況です。

 「私はそう考えていない。国が大きな借金を負っているのは事実だが、基本的に国民生活を支えるために必要なお金は、国民が等しく負担すべきだ」

 「家計の金融資産は約1700兆円、企業の利益剰余金(内部留保)は約380兆円ある。一部にお金がたくさんあって、広く国民生活を支える部分への配分が十分ではない」

 ――消費税を上げたり、富裕層や企業に増税したりするという意味ですか。

 「消費税だけでなく、所得税など必要なところは上げていかなければならない。企業には様々な税制優遇がある。そうした面もしっかり見た方がいい」

 「医療の役割は国民の健康を守ることだ。それにはコストがかかる。負担が将来大きく増えるのではないかという国民の不安があるのも事実。その時々で負担を可能にしていくことが課題だ。日本は公的医療保険による皆保険制度を作ってきた。これは支え合いの気持ちでできたものだ」

 ――制度が始まった時点と現在とでは人口構成も大きく変わり、高額な薬剤なども登場しています。

 「私は会長になってから経済と医療提供のバランスをどう取るかをいつも考えてきた。今は価格が高い抗がん剤でも使用者が増えれば当然下がってくる」

■抑制実績に自信

 ――それでも給付も抑制すべきです。過剰診療を抑えるため、受診時に定額を払う「ワンコイン」負担などが検討課題です。

 「ワンコインを一律で導入するのは少し早すぎる。もちろん、いきなり大病院に行くというのはできるだけやめた方がいい」

 「2006年、11年に国民医療費の将来推計が出ている。たとえば06年推計では15年度に44兆円、11年推計では同45兆7千億円としたが、実際には41兆5千億円で済んでいる。不要な医療費はできるだけ減らそうとしていて、それは実績に表れてきている」

 ――医師会は医療のことは専門家の自分たちが決めることに常にこだわりを持っています。それが改革への「抵抗勢力」のように映るのではないでしょうか。

 「利益団体のようなイメージを持つ人もいるだろう。確かにそういう歴史もあった。ただ医師会の綱領は『国民の健康を守ることが重要』とうたっている。患者の権利より政府の方針を優先するようなことがあったときに、専門家としての倫理で対抗するためだ」

 ――そのわりに政治家への献金が多くないですか。

 「日本の医療提供体制は素晴らしいといわれているが、これを変えようという動きがどうしてもある。それを阻止するには政治の力がいる。ダメなものはダメと言うためにも、政治家と良い関係はつくっておかないといけない面はある」

■医師偏在、解消に向かう

 ――地域によって人口あたりの医師数に大きな差があったり、特定の診療科に偏っていたりという「医師の偏在」が問題になっています。本当はもっと医師を増やしてもいいのでは。

 「『総数としては不足ではない』というのが医師会の公式な考えだ。人口対比で見た場合、たとえばドイツでは医師が保険医として働ける期間に一定の決まりがあるが、日本は能力があれば何歳になっても仕事ができる。一概に人口対比だけで判断するのは難しい」

 「ただ、偏在の問題は危惧している。医学部の入学枠に(一定期間の地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す)『地域枠』が設けられた。年間定数を1千人以上増やし、昨年からやっと卒業生が出てきた。地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう。診療科の偏在についても医師としてのやりがいという意味で、地域に不足する診療科があるならそこに行こうと判断できるようになり、解消していくだろう」

 ――全医師が加入する組織が必要とする内部の報告書がまとまりました。

 「現在の加入率は56%くらいだ。強制入会というと反対する人はずいぶんいるだろう。意見は分かれるところだが、私個人としては地域で診療する医師は皆加入した方がいいと考える」

 ――加入率の低下で力が発揮できなくなることを危惧しているのですか。

 「それはやはりある。組織内候補を出している参院選挙などで皆の力を結集したいという思いはある」

 よこくら・よしたけ 1969年(昭和44年)久留米大医卒。専門は外科。福岡県医師会会長、日本医師会副会長などを経て2012年から会長。10月からは世界医師会の会長も務める。72歳。

<聞き手から> コスト抑制策、医師会は提言を

 医療費などが青天井で増えていけば、とても今の社会保障制度はもたない――。これが取材班の認識だ。社会保障の給付と負担のバランスはすでに崩れかけていると考えるが、横倉氏の「そう考えていない」という発言は意外だった。

 誰でも必要な時に必要な医療を受けられる皆保険制度は守るべきだ。ただ、横倉氏の言う「相互扶助の精神」だけで解決するのか。今のままでは国民医療費は50兆円を超えるのも時間の問題だ。医療の効率化に加え、自由に受診できる「フリーアクセス」への一定の制限といった「給付」の方にももっと切り込んでいく必要があるのではないか。

 たとえ皆保険制度を守っても、莫大な借金という形で将来世代にツケを残しては意味がない。医師会は「専門家集団」としてコスト抑制策についても、もっと提言してほしい。(井上孝之)



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO17045690Z20C17A5EE8000/?n_cid=SPTMG002
砂上の安心網それぞれの責任(2)医師偏在、解消に向かう
2017/5/30付日本経済新聞 朝刊

 ――地域によって人口あたりの医師数に大きな差があったり、特定の診療科に偏っていたりという「医師の偏在」が問題になっています。本当はもっと医師を増やしてもいいのでは。

 「『総数としては不足ではない』というのが医師会の公式な考えだ。人口対比で見た場合、たとえばドイツでは医師が保険医として働ける期間に一定の決まりがあるが、日本は能力があれば何歳になっても仕事ができる。一概に人口対比だけで判断するのは難しい」

 「ただ、偏在の問題は危惧している。医学部の入学枠に(一定期間の地域での勤務を義務付け、代わりに奨学金を出す)『地域枠』が設けられた。年間定数を1千人以上増やし、昨年からやっと卒業生が出てきた。地域間の偏在はここ10年間で相当解消するだろう。診療科の偏在についても医師としてのやりがいという意味で、地域に不足する診療科があるならそこに行こうと判断できるようになり、解消していくだろう」

 ――全医師が加入する組織が必要とする内部の報告書がまとまりました。

 「現在の加入率は56%くらいだ。強制入会というと反対する人はずいぶんいるだろう。意見は分かれるところだが、私個人としては地域で診療する医師は皆加入した方がいいと考える」

 ――加入率の低下で力が発揮できなくなることを危惧しているのですか。

 「それはやはりある。組織内候補を出している参院選挙などで皆の力を結集したいという思いはある」



https://news.biglobe.ne.jp/trend/0530/sgk_170530_5386151720.html
60歳以上の医師 全体で23.5%、“町医者”では44.5%
NEWSポストセブン5月30日(火)7時0分

 主治医の年齢が60歳以上になると患者の死亡率が急上昇する──米ハーバード公衆衛生大学院の研究者で内科医の津川友介氏らが、英国の医学雑誌の権威『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』(5月16日付)に発表した論文の要旨である。

 津川氏らは、2011〜2014年に内科系の疾患で米国の病院に入院した65歳以上の患者約73万人の主治医1万8854人について、年齢や性別、どの大学を何年に卒業したか、どんな医学研修を受けてきたか、といった経歴が、患者の「30日死亡率」(入院してから30日以内に死亡する割合)にどう影響するのかを検証した。

 その結果、「年齢」に関して驚きのデータが出た。40歳以下の若手医師が担当したケースの30日死亡率が10.8%だったのに対し、40代だと11.1%、50代なら11.3%となった。さらに60歳以上になると12.1%と、主治医が高齢になるにつれて死亡率は上がっていったのである。

 人口全体の高齢化に伴い、日本では医師の高齢化も着実に進んでいる。厚労省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、60歳以上の医師の人数は、2004年で5万1870人(医師全体の20.3%)だったが、2014年には6万9857人(同23.5%)まで増加。今では日本の医師の4人に1人が60歳以上。70歳以上の医師は2万6725人で全体の9.0%にあたる。ベッド数が19床以下の診療所(町医者)になると、60歳以上の割合は44.5%にまで跳ね上がる。米国の医療事情に詳しい医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が指摘する。

「津川氏らの研究はあくまで米国人に対するものです。日本と米国では医療システムや医師の仕事内容が異なるため、一概に日本の医療事情にあてはめることはできない。

 しかし、医師の年齢が医療に与える影響が大きいことは日米で共通しています。一般的には日本でも、60歳を過ぎた医師はそれまで勤めていた大学病院を退職して個人医院を開院するといったことがきっかけで診療数が減ったり、大学病院に残っても後進の指導が忙しくなったりすることで、新たな知見を学ぶ機会が少なくなると考えられている。

 医師の高齢化は、日本の医療全体の地盤沈下をもたらすリスクを孕んでいる。患者は自衛策として“医師を選ぶ”という視点がこれまで以上に必要になってくる」

 経験豊富なはずの老医師が抱えるリスクは確かに存在する。米国では1〜2年(州によって異なる)で医師免許の更新があるように、日本でも医師の高齢化に対処するための議論が活発に行なわれるべきではないだろうか。

※週刊ポスト2017年6月9日号

Physician age and outcomes in elderly patients in hospital in the US: observational study.
Tsugawa Y, Newhouse JP, Zaslavsky AM, Blumenthal DM, Jena AB.
BMJ. 2017 May 16;357:j1797. doi: 10.1136/bmj.j1797.
PMID: 28512089 Free PMC Article
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28512089



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201705/551435.html
コラム: 色平哲郎の「医のふるさと」
新専門医制度、地方の現場は依然強い懸念

2017/5/30 色平 哲郎(佐久総合病院)日経メディカル

 地方で診療に携わる医師の目から、日本専門医機構と各学会が来年度の「再スタート」に向け準備を進めている新専門医制度を見ると、懸念材料が多々ある。

 同機構の吉村博邦理事長が4月24日、厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」に示した資料によれば、専門医制度の主役は「国民と専攻医(後期研修医)」だとされている。卒後2年間の初期臨床研修は必修化されたものの、その後の系統的(標準的)な専門研修の仕組みを欠いたことで、「フリーター医師」(十分な専門研修を受けない医師)が増加した点を指摘。基本的な診療科については、初期研修修了後に全員、3年間程度の専門研修を行ってほしいと述べている。

 このことは「患者、国民の希望」なのだという。確かに多くの国民は、疾病に対する知識や診断の正確さなどを医師に求めている。しかしながら、初期研修を終えた貴重な若手医師たちを、専門医研修のプログラムが組める大学病院や都市部の大病院などに3年間も囲い込みかねないような仕組みを、本当に国民は求めているのだろうか。若手医師が地方の第一線、中小病院から大病院にごっそり移りかねない新制度を期待しているのだろうか。

 全国市長会は4月12日、「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」を厚生労働大臣に提出した。この要望書では、以下のような懸念が表明されている。

(1)中小病院が危機に陥る懸念
 すべての医師を機構の認定する専門医に振り分けるとなると、専門外の診療を敬遠する傾向が生まれ、多くの専門科を整備できない中小病院での診療が困難になる。小規模自治体の地域医療が崩壊する危険に対する議論がなされていない。

(2)地方創生への逆行と医師偏在助長への懸念
 同機構は、専攻医を研修施設の連携病院に派遣することで、地方の医療崩壊を回避できると主張するが、派遣期間は短く、そもそも地域医療の底辺を支える中小病院が研修施設の認定を受けることは現実的に困難。1つの県の中でも大学病院所在地と郡部の小規模自治体との格差は顕著であり、新制度で過疎地域の医師不足が助長される。

(3)医師の診療活動開始年齢の遅延とコスト増大への懸念
 6年間の医学部の学生生活に加え、5年以上の研修を積まないと専門医として第一線に立てないとなれば、結果的に地方の医師不足に拍車がかかる。あらゆる疾患への専門的な検査や診療がなされれば、医療費増大による財源問題も浮上する。

 さらに要望書では、「フリーの立場で地域医療に貢献する医師たちの権利・自由も尊重されるべき」といった点も指摘。総合的に診ることができる医師を育てるという初期研修制度導入時の理念に立ち返り、まずは初期研修を含め医学教育を見直すところから始めるべきだ、と訴える。

 機構側は、様々な批判を受けて、研修施設の基準を緩和したり、大都市部への専攻医集中を回避するための対策を打ち出してきたが、根本的なスキームは変わっていない。

 塩崎恭久厚生労働大臣は昨年6月、「地域医療を崩壊させることのないよう、一度立ち止まって集中的な精査を早急に行うべき」とする談話を発表し、これが契機となって制度開始の延期が決まったが、全国市長会が緊急要望を出したように、特に地方の医療現場の懸念は依然として強いものがある。ここでもう一度立ち止まり、「患者、国民」を含めた根本的な議論を行うことが必要ではなかろうか。



http://www.medwatch.jp/?p=13913
論理的に考え、患者に分かりやすく伝える能力を養うため、専門医に論文執筆は不可欠—医学部長病院長会議
2017年5月29日|医療現場から MedWatch

専門医の資格要件の1つに「論文執筆」や「学会発表」が盛り込まれることが多いが、不明な症例について原因や治療法を論理的に考えて探っていく能力、また患者に分かりやすく状況や治療内容などを伝える能力を養うためには不可避である—。

全国医学部長病院長会議は26日に緊急記者会見を開き、全国市長会による「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」への反論をし、その中で上記のような考えを強調しました。

ここがポイント!
1 複雑な症例をどうすれば治せるのかを「論理的に考える」ことが医師の務め
2 新専門医制度、「地域の医療機関に医師を循環させる」システム

複雑な症例をどうすれば治せるのかを「論理的に考える」ことが医師の務め

新専門医制度については、日本専門医機構と関係学会が共同し、「質の確保」と「地域医療への配慮」の両立に向けた検討を進めていますが、全国市長会などから「さらなる地域医療への配慮が必要」という要望が出されています。このため、塩崎恭久厚生労働大臣は省内に「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」を設置し、地域医療への配慮に向けた対応を議論しています(関連記事はこちらとこちらとこちら。

25日に開かれた検討会では、日本内科学会から「どのように地域医療への配慮をしているか」が詳細に報告され、検討会構成員から称賛の声が上がる一方、立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)から「内科学会の配慮は素晴らしいが、専門医資格取得要件の中に『論文』発表を含めている点に違和感を覚える」といった指摘もなされています(関連記事はこちら)。

この点について全国医学部長病院長会議の新井一・会長(順天堂大学学長)は、「症例報告は医師の原点である。珍しい症例を解析して、そこから普遍的な原理を見出すことは医師に必要な能力である。また自分の治療内容を反芻し、正しいのかを検証することも重要である。論文の本数については議論があると思うが、決してスキップしてはいけない」と強調。

また日本専門医機構の副理事長でもある山下英俊・専門委員長会医学教育委員会委員長(山形大学医学部長)も、「論理的に考え、患者が分かるような表現で説明するために論文執筆は欠かせない。複雑な病態に直面したとき、原点にかえってどうすれば治せるのかを論理的に考えなければいけない。ただ患者を診ていればよいというのは暴論ではないか。地方学会では、大学病院以外の病院に勤める医師も多く発表しており、これを求めている。患者に役立つ医師になるために、論文執筆は必要である」との考えを示しました。
さらに同会議の稲垣暢也・広報委員会委員長(京都大学医学部附属病院病院長)も「学会発表ではその場で終わってしまう。論文にすれば(形として残り)次につながる」と、論文執筆の重要性を説明しています。

新専門医制度、「地域の医療機関に医師を循環させる」システム

また新井会長は、全国市長会などには「大学病院への誤解」があるのではないかとし、次のような反論も行っています。

(1) 全国市長会は「新専門医制度で中小病院が危機に陥り、地方創成に逆行する」としているが、研修プログラム制は「地域の病院に医師が循環する」ことを担保するもので、またカリキュラム制を柔軟に取り入れる形で地域医療に配慮している

(2) 全国市長会は「2年の初期臨床研修で十分」な旨を述べているが、現在の2年間の卒後臨床研修(初期研修)で一人前の医師となり、診療を行うことは危険である。それこそ国民の理解が得られるのだろうか

(3) 全国市長会は「初期臨床研修導入時に立ち返り、PDCAで考えるべき」と主張するが、まさにその通りで、初期臨床研修への反省をもとに生まれたのが、現在の「新専門医制度」である。初期臨床研修制度が医療崩壊を招いたというエビデンスもあり、その点に関する議論を行うことはやぶさかではない

(4) 全国市長会は「若手医師に医局生活を理不尽に強いる」とするが、何十年の前の「白い巨塔」の発想で大学病院を捉えてもらっては困る。現在の大学病院は、地域の病院への医師派遣などを初め、地域医療にしっかり取り組んでいる

(5) 全国市長会は「専門職自律(プロフェッショナルオートノミー)という国民不在」と指摘するが、プロフェッショナルオートノミーは患者の命を預かる医師の根本の行動規範であり、これをベースに専門医機構が制度構築することは理に適っており、国民不在という指摘は当たらない

全国市長会を初め、厚労省検討会でも「地域医療への配慮」という指摘が出されますが、同会議の島田眞路・専門医に関するワーキンググループ座長(山梨大学学長)は、「地域医療の崩壊は初期臨床研修制度で始まった。山梨大学では、相当数の卒業生が東京に行ってしまい、医師確保に難渋した。そこで行政や大学医学部などで地域の医療機関に医師が循環するような仕組みとして、現在の専門医制度を作ってきた。もう少しで『質の担保』と『地域医療への配慮』を両立する良い仕組みができるところである」と強調し、新専門医制度への理解を求めています。



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10102/433008
治療の実施率 都道府県で濃淡
2017年05月27日 18時11分 佐賀新聞/共同

治療の実施率 都道府県で濃淡
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■東北大院教授、ビッグデータ10億件分析 

 医療機関の受診時に発行されるレセプト(診療報酬明細書)に記された患者のビッグデータについて、東北大大学院の藤森研司教授(医療政策学)が2015年度の約10億件を分析したところ、都道府県の間で病気やけがの治療の実施率に濃淡がみられることが分かった。地域によって医療提供が過剰だったり、逆に必要な医療が不足したりしている可能性がある。分析結果は政府の経済財政諮問会議に報告された。政府は医療ビッグデータの活用を進め、こうした地域差の解消を図って平準化し、医療費の抑制につなげる方針だ。

 分析では、全国平均を指数100として比較。胃に直接栄養を注入するため腹部に穴を開ける「胃ろう」の造設は、最も低い静岡県が69なのに対し、最高の沖縄県は185で2・68倍。佐賀県は119だった。

 MRI(磁気共鳴画像装置)による撮影や、人工透析でも2~3倍の地域差があった。

 これまで1人当たり医療費については地域差がみられるとの指摘があったが、高齢化率の違いが要因と説明されてきた。

 藤森教授は今回、地域ごとの年齢や性別の偏りを調整した上でレセプトを精査し、約1500種類の治療項目を分析。その結果、高齢化率の影響を取り除いても、項目によっては実施率に地域間でばらつきがあった。実施率が高いほど医療費は膨らむ。

 4月に開かれた諮問会議では、民間議員が治療実施の地域差を問題視。各都道府県に地元医師会や健康保険組合などが協議する場を設け、住民の受診行動や医療機関の診療行為の変化を促すべきだと提案した。

 分析データは内閣府ホームページに掲載。治療項目ごとに都道府県別、市町村別に示している。【共同】

■何が適正医療か議論を

 データを分析した藤森研司・東北大大学院教授の話 地域によって有病率が明らかに違う病気もあるが、ほとんどは有病率に地域差はなく、行われるべき医療にも違いはないはずだ。平均値の100を挟んで大きくぶれている都道府県は、過剰に医療が介入しているか、逆に提供体制が不足している可能性がある。何倍もの地域差は縮小すべきで、まずは「何が適正な医療か」という議論をしなければならない。医療費は主に公費や保険料で賄われている。医療関係者や患者に行動変化を促すための資料として提示した。

■データの分析方法

 電子レセプト(診療報酬明細書)を患者が特定できないよう匿名化した国の「レセプト情報・特定健診等情報データベース」(NDB)を基に、2015年度に保険診療で扱った約10億件について、都道府県ごとにレセプトを分析した。「件数」で比べると、高齢化率が高い地域では特定の治療項目が多くなったりするため、高齢化の影響を除く調整をデータに施した上で指数化し、比較した。医療機関の所在地ごとに集計し、都道府県をまたぐ患者の流出入は考慮していない。


  1. 2017/05/31(水) 05:59:52|
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5月26日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/532074?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD170526&dcf_doctor=true&mc.l=225111232&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
真価問われる専門医改革
新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承
日本専門医機構、6月2日の理事会で改正予定

2017年5月25日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は5月25日、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第2回会議を開催、専門医の取得は義務化しないことを明記するなど、日本専門医機構が提示した「専門医制度新整備指針」の4つの対応方針について了承した(資料は、厚労省のホームページ)。

 同機構は6月2日に開催する理事会で、25日の議論も踏まえ、「専門医制度新整備指針」の改正を行う予定。厚労省は、新専門医制度に関する通知発出と、都道府県への説明会を6月中に行う計画だ。同通知には、新専門医制度に関する最近の動向や都道府県協議会の目的・構成・進め方などを詳細に記載する方針。これらがスケジュール通りに進めば、2018年度からの新専門医制度のスタートがほぼ確定する見通し。

 4つの対応方針は、以下の通り。4月24日の本検討会の第1回会議で出された意見を踏まえ、5月12日の日本専門医機構理事会で議論された内容だ(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記へ』を参照)。遠藤座長は、「新整備指針改正案は、理事会で確定するが、前回会議のさまざまな意見が反映されている。今日の意見に特段の配慮をすることを前提に、直近の理事会で整備指針の改定をお願いすることで、合意をする」と諮り、構成員の了承を得た。

◆「専門医制度新整備指針」の改正の主な内容
1.専門医取得は義務付けていないことを整備指針に明記
2.地域医療従事者や女性医師等への配慮したカリキュラム制の設置を整備指針に明記
3.研修の中心は大学病院のみではなく、地域の中核病院等であることを整備指針に明記
4.都道府県協議会に市町村を含め、研修プログラム承認後も、地域医療の確保の動向を日本専門医機構が協議会に情報提供し、協議会が意見を提出した際は、研修プログラムを改善することを整備指針に明記

 25日の検討会では、日本内科学会が新専門医制度の準備状況について、地域医療への配慮と、専攻医のキャリア形成への配慮という2つの視点から説明した(詳細記事は、別途予定)。地域医療への配慮については、(1)基幹施設は、当初よりも基準を緩和した結果、2016年度の段階の523(8割以上が市中病院)から545まで増加、(2)研修施設は、現行制度の1204施設から2.4倍の2937施設に増加、(3)研修施設の分布は、294医療圏から、全344医療圏に増加――などと説明。相馬市長(全国市長会副会長)の立谷秀清氏は、一部再考を求めたものの、「前回の会議で、地域医療を守る立場で発言した意見が、相当盛り込まれている」と述べた。

 また専攻医のキャリアへの配慮の中で、構成員からの評価が高かったのは、「J-OSLER」という、Web上で専攻医の登録、研修実績管理や研修評価などを行うシステム。研修の質の担保につながるほか、出産・育児等で研修を中断して再開した場合でも、研修実績が引き継ぐことができるメリットがある。そのほか、内科専門医では、初期の臨床研修、あるいはサブスペシャルティとの連動研修も可能とするなど、多様な研修プログラムを用意する方針。

 次回の第3回会議では、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科の7領域の各学会からヒアリングを行う予定。これらの学会は、過去3年間の専攻医の平均採用実績が350人を以上であり、原則として都道府県ごとに複数の基幹施設を置く基準とすることが求められている(『新専門医制、8月から専攻医の募集開始を予定』を参照)。

 新整備指針、改正内容の実効性を求める

 第1回の本検討会の意見を集約し、厚労省は5月10日に日本専門医機構に対して対応を求める「事務連絡」を出していた。「専門医制度新整備指針」の対応方針は、それを踏まえたものだ。日本専門医機構理事長の吉村博邦氏が説明した(第1回の議論は、『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「意見を反映してもらった」と述べた上で、日本内科学会以外の他の学会でも、地域医療等に配慮した制度設計になっているかを確認するため、基幹病院における大学病院と市中病院の割合、研修プログラム制と研修カリキュラム制の割合などのデータについて、次回以降の会議での提出を求めた。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏は、前述の「改正の主な内容」の「2」で、「研修プログラム制が原則だが、相当の合理的理由がある医師等は研修カリキュラム制による専門研修を行うなど、柔軟な対応」とされていることから、「非常にありがたい改正」と評価。その上で、専攻医が、途中で研修プログラム制から研修カリキュラム制への変更を求めても、プログラム責任者等が認めない場合の対応を質した。吉村氏は、「その辺りの手順は、(新整備指針の)運用細則で定める」と回答した。

 対応方針以外にも、「専門医制度新整備指針」について幾つかの意見が出た。日本医療法人協会会長の加納繁照氏は、専門医取得後の更新条件が厳しくなると、市中病院等の勤務医の更新が難しくなる懸念を呈した。吉村氏は、「更新についても、新整備指針では地域医療への配慮を求めている。地域に勤務している医師に、過度な負担が生じないようにする」などと回答。

 関連して山内氏も、専門医の更新と指導医取得のハードルが高いと、市中病院等に専門医・指導医が少なくなり、結果的に専攻医が採用できなくなる懸念もあるとした。参考人として出席した日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「その通りだ。そのため以前よりも、指導医を取得しやすくした学会がある」と説明、地域の病院において指導医の確保が難しい場合の対応も検討するとした。

 都道府県協議会、活動への懸念も

 都道府県協議会とは、新専門医制度について、「地域医療に配慮した研修体制を形成するための、地域の医療の関係者が協議する場」。2016年1月に厚労省の「事務連絡」で、都道府県に設置を求めていた。47都道府県で設置済みだが、その運営状況がカギとなる。

 都道府県協議会の開催状況や議論の内容を質問したのは、日本医師会副会長の今村聡氏。厚労省医政局医事課長の武井貞治氏は、活動実績について現在照会中であり、「活発な県もあるが、(2017年度開始予定だった)新専門医制度が延期されため、開催を待っているところもある」と答えた。

 山内氏は、既存の地域医療支援センターと、都道府県協議会との関係について質問。武井課長は、「既存の仕組みと連携しながら進めていくのが前提」と回答した。

 全国自治体病院協議会会長の邊見公雄氏も、都道府県協議会が機能しているのは、山形県、山梨県、静岡県、島根県くらいにとどまると指摘。

 山内氏や邊見氏の発言を踏まえ、山下氏は、自身が医学部長を務める山形大学の「蔵王協議会」の例を説明。医師だけでなく、県内の全ての医療関係者が参加し、教育だけでなく、医療や研究などを総合的に協議する場であり、その一環として、新専門医制度を議論しており、総合的な組織での検討が有用であると説明した。

 相馬市長の立谷氏は、自治体の首長ではまだ新専門医制度自体への理解がないとし、「協議会が、どの程度、役割を果たせるのかは疑問」と述べ、協議会の活動をチェックしたり、全国的な議論をする場として、「全国レベルでの組織を作る必要があるのではないか」と提案した。これに対し、今村氏は、「全体を包括するような議論の場はあっていいが、まずは都道府県協議会を機能させることが大切」と述べ、都道府県協議会の実態について検証も、本検討会のミッションであるとした。

 奈良県知事の荒井正吾氏は、欠席したため、文書で、「都道府県協議会に対しては、日本専門医機構経由ではなく、協議会の求めに応じ、地域の基幹施設から直接情報を得る仕組み」など、地域の実情に応じて運営できる仕組みを求めた。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526125421
専門医制度担う都道府県協議会、機能強化目指す
厚労省、担当者向けの説明会開催へ

2017年05月26日 14:00 CB news

 厚生労働省は、日本専門医機構が認定する専門研修プログラムの把握・調整を担う「都道府県協議会」に関する説明会を開催することを決めた。都道府県などの担当者を対象に来月中に開催する予定。専門医制度をめぐる最近の動向や協議の進め方などを伝え、協議会の機能・調整力の底上げを図りたい考えだ。【新井哉】

 専門医制度では、各領域(内科、精神科、外科など19領域)の研修プログラムを同機構が承認するが、都道府県、医師会、大学、病院団体などで構成する都道府県協議会と事前に協議することになっている。

 協議会は47都道府県で設置済みだが、関係者からは、自治体によっては十分機能しておらず、大学病院を中心とした研修プログラムが組まれた場合、医師の偏在が進みかねないといった懸念が出ていた。

 厚労省は昨年1月、協議会に関する通知を都道府県に出したが、協議会の枠組みが一部変更される見通しとなったため、協議会の目的、プログラムの把握・調整の進め方などを改めて周知する必要があると判断した。同機構の協力を得て6月中をめどに説明会を開催する方針だ。

 6月以降、各領域の研修プログラムの公開が相次ぎ、協議会を開催する回数が増えることが見込まれている。このため、厚労省は今年度の開催経費として前年度比2倍超の3100万円を補助する予定。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526141253
地方にバランスよく若手・女性医師配置を
全自病が厚労省などに要望書

2017年05月26日 15:00 CB news

 全国自治体病院協議会(全自病)と全国自治体病院開設者協議会は26日までに、新専門医制度や精神科医療などに関する要望書を厚生労働省と総務省に提出した。新専門医制度については、地方にバランスよく若手・女性医師が配置されるような仕組みとし、勤務医の地域偏在を是正するよう求めている。【新井哉】

 要望書は、新専門医制度や精神科医療、地域医療構想・医師確保、看護師確保対策など12項目で構成。来年度から始まる新専門医制度については、地方の研修施設への専攻医の応募が少なく、地域医療の確保に支障を来す可能性があることを挙げ、「その対応は喫緊の課題」とした。

 新専門医制度では、こうした問題を解決した上で、若手・女性医師らの地方勤務の促進を図り、「勤務医の地域偏在や診療科偏在が是正されるよう進める」と要望。新専門医制度によって、こうした偏在が助長されないか国が責任を持って検証し、必要な対策を講じるよう求めている。

 地域医療構想については、構想に基づいて病床の機能分化・連携を推進する際は、「機能転換によって自治体病院の経営に影響を及ぼすことのないよう財政支援策を講じる」と要望。精神科医療に関しても「高齢化が進み、認知症対策をはじめ精神科と一般科が協同した地域医療体制の構築が喫緊の課題」とし、病院勤務医の不足と医師の地域偏在を抜本的に改善する必要性を挙げている。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526104226
医師の働き方で今年秋にも見解
全自病

2017年05月26日 11:30 CB news

医師の働き方で今年秋にも見解

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は25日に記者会見を開き、医師の働き方に関する全自病としての見解を、早ければ今年秋にもまとめる方針を明らかにした。【敦賀陽平】

 政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」では、残業時間に罰則付きの上限規制を設ける法律の施行から5年間、医師の労働時間を規制の対象外にするとともに、2019年3月をめどに、医師の労働時間の規制の在り方について結論を得ることになっている。

 邉見会長は会見で、主治医が退院まですべての診療に責任を持つ「主治医制」や、正当な理由がなければ診察・治療を拒めない医師法の「応召義務」があることなどから、「医師の労働については(規制が)難しい」と指摘。その上で、「まだ2年間の猶予があるが、秋ぐらいまでに議論を煮詰め、パブリックコメントも頂いた上で、全自病の方針を国に出したい」と語った。

■病床の整備は「地域の実情で」

 また、邉見会長は地域医療構想に沿った地域ごとの病床再編ついて、「田舎では、自治体病院がほとんど救急車を受けているのに、『(自治体病院の)急性期病床を減らせ』『民間病院は税金をもらっていない。死活問題だから、お前たちから減らせ』と言う人が多いが、地域によって違う」と主張し、地域の実情に応じた病床の整備を改めて求めた。



http://www.medwatch.jp/?p=13877
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
2017年5月26日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

専門医制度の憲法とされる「専門医制度新整備指針」に、▼専門医取得が義務でない▼プログラム制が原則だが、地域医療従事者や女性医師などに配慮し、カリキュラム制も含めた柔軟な対応を行う▼研修の中心は大学病院のみでなく、地域の中核病院なども含める—ことなどを明記する—。

25日に開催された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」で、吉村博邦構成員(日本専門医機構理事長、地域医療振興協会顧問、北里大学名誉教授)がこのように報告。検討会の了承が得られたため、6月2日開催予定の日本専門医機構理事会で新整備指針が改訂・修正されます。

ここがポイント!
1 専門医制度新整備指針の見直し方針を検討会が了承、機構で6月に正式改訂
2 研修プログラムをチェックする都道府県協議会、6月に厚労省が運用通知を発出
3 内科学会、J-OSLERシステムで研修実績を把握し「柔軟な対応」を可能に

専門医制度新整備指針の見直し方針を検討会が了承、機構で6月に正式改訂

数多ある専門医の質を担保し、国民に分かりやすい制度とするため、「専門医の研修プログラム認証や、専門医の認定を各学会と日本専門医機構が共同して行う」新専門医制度が来年度(2018年度)から全面スタートする予定です。ただし、質の担保を求めるあまり「研修を行う施設(病院)の要件が厳しすぎれば、地域医療の現場から医師が去ってしまい、医師の地域偏在が進み、地域医療が崩壊してしまう」との指摘を受け、日本専門医機構では昨年(2016年)12月に策定した『専門医制度新整備指針』や、下部規定の中で「地域医療への配慮を行う」旨を示しました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

しかし、全国市長会などは「さらなる配慮が必要」と強く要請。4月24日の前回検討会でも、厳しい指摘が構成員から相次ぎ、日本専門医機構では新整備指針の見直しを検討。5月12日の理事会で次の4点を明記する見直し方向が固まり、25日の検討会にその旨が日本専門医機構の理事長である吉村構成員から報告されました。

(1)「専門医はすべての医師が取得しなければならないものでなく、医師として自律的な取り組みとして位置づけられるものである。国民に信頼される安全・安心な医療提供のための専門研修は適正に施行されるべき」旨を明記

(2)「基本領域の専門医研修はプログラム制が原則だが、▼専門医取得を希望する義務年限を有する医大卒業生▼地域医療従事者▼出産・育児などで休職・離職を選択した女性医師など▼介護・留学など合理的理由のある医師—などでは、カリキュラム制などの柔軟な対応を行う」旨を明記

(3)「全般的、幅広い疾患の症例の豊富な支柱病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする。連携病院で採用した専攻医が希望した場合、長期間連携病院での研修を設定するなど柔軟なプログラムを作成する」旨を明記

(4)「機構の研修プログラム承認に際し、▼都道府県▼市町村▼医師会▼大学▼病院団体—などからなる都道府県協議会と事前に協議し決定する。承認後も、連携施設などの医師配置状況を含めて協議会に情報提供する。協議会の意見を受け、機構は協議会・関係学会と協議・調整し改善する」旨を明記

この見直し方向について、「(2)の柔軟な対応を担保するための仕組みが必要。指導医の要件についても臨床を重視すべき」(山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長)、「専門医資格の更新についてハードルが高くなりすぎないようにすべき」(加納繁照構成員:日本医療法人協会会長)、「基幹施設の状況について、日本専門医機構などを経由せず、直接、都道府県協議会に情報提供できる迅速な対応を図るべき。協議会では、研修プログラムだけでなく連携施設の医師配置も協議できるようにすべき」(荒井正吾構成員:奈良県知事、林修一郎・奈良県医療政策部長が代理出席)といった注文が付いたものの、大枠で了承されました。日本専門医機構では6月2日に理事会を開き、新整備指針の改訂を決定する予定です。

研修プログラムをチェックする都道府県協議会、6月に厚労省が運用通知を発出

上記のうち(4)の都道府県協議会は、地域の医師偏在が助長されないよう、都道府県単位で▼行政(都道府県・市町村)▼医師会▼病院団体—などの関係者が出席し、専門医研修プログラムについて「これまでに専門医研修を行っていた施設が漏れていないか」などをチェックする組織です。

厚生労働省は昨年(2016年)1月に、都道府県に対して「協議会設置に関する通知」を発出していますが、厚労省医政局医事課の武井貞治課長は、「最新の動向(新整備指針の見直しや、検討会での議論など)を踏まえて、改めて協議会の設置・運営に関する通知を6月に発出する」考えを示しました。

協議会は全都道府県で設置されていますが、専門医制度の全面施行が1年延期されたため開催状況にはバラつきがあるようです。今村聡構成員(日本医師会副会長)は「開催状況などを検討会に報告してほしい」と要望しています。

また山内構成員は、「専門医だけでなく、地域医療全体を包括して議論する協議の場とすべき」と提案。山下英俊参考人(日本専門医機構副理事長、山形大学医学部長)も「山形県では蔵王協議会として、▼大学▼医師会▼行政▼病院▼看護協会―などすべての地域医療関係者が集い、医師教育だけでなく、医療事故防止や研究などを総合的に検討している。多層的な組織で情報交換することが望ましい」と山内構成員に賛同しました。

この点、武井医事課長は、「都道府県協議会について、昨年(2016年)に発出した通知では『地域医療対策協議会などを活用する』よう示している」ことを説明。地域医療対策協議会は、▼行政▼医師会▼大学▼病院▼住民—らが参画し、都道府県内の医療提供体制や医師確保などについて幅広く協議する場であり、厚労省も山内構成員や山下参考人と同じ方向で考えていることが分かります。

なお、住民に最も身近な自治体である市町村の立場で出席した立谷秀清構成員(相馬市長、全国市長会副会長)は「都道府県協議会の全国組織を立ち上げる必要がある」と指摘。尾身茂構成員(地域医療機能推進機構理事長)も「全国と各都道府県とで情報をフィードバックしあうメカニズムが必要」と賛同しています。もっとも今村構成員は「まずは各都道府県で協議会を開催してもらうことが重要」と指摘し、全国組織の設置などは中長期的に考えるべき論点かもしれません。

内科学会、J-OSLERシステムで研修実績を把握し「柔軟な対応」を可能に

このように新専門医制度に対しては「地域医療への配慮」が強く求められています。25日の検討会では、内科領域における「配慮」に向けた取り組み状況も報告されています。

内科領域では、「専門医の質の担保」(必要な研修の確保)と「地域医療への配慮」との両立を目指し、次のような対応を行っています。

▼研修プログラムに参加する施設の基準を一部緩和し、基幹施設・連携施設・特別関連施設(一定要件を満たせば指導医が常勤していなくても、研修プログラムに参加できる)のない2次医療圏を解消した

▼研修プログラムの基幹施設は市中病院を中心とし、大学病院が連携施設になるケースもある

▼J-OSLERというWEBシステムを構築し、そこに研修実績などを登録することで研修状況をリアルタイムで把握できるようにした。これにより、一時研修が中断しても、過去の研修実績が研修再開時に引き継がれ、柔軟な対応(実質的なカリキュラム制)を可能としている

▼3年間じっくりと内科の研修を行う「標準研修コース」に加えて、早期のサブスペシャルティ領域研修を行う「サブスペ重点コース」や、余裕を持たせて内科領域とサブスペシャルティ領域の研修を行う「内科・サブスペ混合コース」など、多様な研修コースを準備し、専攻医の実情にあった研修を可能としている

この内科学会に取り組みを検討会構成員は高く称賛。とくに「J-OSLERシステムによって、研修実績・状況をリアルタイムで把握できることで、質を担保しながら柔軟な対応(実質的なカリキュラム制)を可能としている」と渋谷健司構成員(東京大学大学院国際保健政策学教授)は評価し、「日本専門医機構から各学会に対してこういったシステムの構築を呼びかけるべき」と提案しています。

なお立谷構成員から「内科学会の配慮は素晴らしいが、専門医資格取得要件の中に『論文』発表を含めている点に違和感を覚える」と指摘がありましたが、宮崎俊一参考人(日本内科学会副会長)や山下参考人は「データをもとにして1つの症例にじっくりと向き合うことが、優秀な医師養成のプロセスには不可欠である」と説明し理解を求めました。この点、渋谷構成員は「『2編の学術発表または論文発表』とされている。3年に2編程度の学術発表は必要であろう」とコメントし、内科学会の要件を支持しています。

検討会では、次回会合に▼外科▼整形外科▼産婦人科▼小児科▼救急医療▼麻酔科▼精神科—の7学会を招き、同様に「地域医療への配慮」に向けた取り組み状況についてチェックを行う予定です。なお武井医事課長は、今後の検討会論議について「専門医制度は、機構の整備指針→学会による整備基準→研修プログラムという流れで制度を詳細に規定していく。検討会でも同じ流れで議論していく必要があるのではないか」との考えを示しています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/532301
真価問われる専門医改革
内科専門医、基幹施設8割以上は市中病院
厚労省検討会で説明、「J-OSLER」で質担保と柔軟な運用

2017年5月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本内科学会は5月25日、厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第2回会議で、「新しい内科専門医制度 制度移行に向けた特徴的なポイント」と題して、地域医療への配慮と専攻医のキャリア形成への配慮という2つの視点から説明した(本検討会の議論は、『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療への配慮では、研修プログラム数は545で、基幹病院のうち市中病院が8割以上を占め、研修施設数は現行制度の2.4倍に増え、全344医療圏にわたる。キャリア形成についても、「J-OSLER」(専攻医登録評価システム)の活用で、研修の中断・再開・変更を容易にするほか、研修の質を担保。さらに早期のサブスペシャルティ取得にも配慮し、最短では初期研修修了後4年で、内科専門医とサブスペシャルティの取得が可能だ。

 同学会の説明に対して、相馬市長(全国市長会副会長)の立谷秀清氏は、一部再考を求めたものの、「前回(4月24日の本検討会)の会議で、地域医療を守る立場で発言した意見が、内科専門医制度には相当盛り込まれている」と受け止めた。さらに立谷氏は、早期にサブスペシャルティを取得する希望者を念頭に、内科専門研修では「初期研修の研修実績を大幅に取り入れて工夫」としている点を評価、新専門医制度の議論を機に、初期研修の見直しにも発展させるべきと主張した。

 東京大学大学院国際保健政策学教授の渋谷健司氏は、「J-OSLER」を評価。国際標準の専門医制度構築には、客観的なデータベースによる「見える化」と質の担保が重要である上、研修プログラム制と研修カリキュラム制の双方が可能な柔軟な制度にするためにも、「J-OSLER」などで研修実績の引き継ぎを容易にすることが求められるとし、内科以外の基本領域でも必要なことから、「日本専門医機構こそ、このようなデータベースを構築すべきではないか」と提案した。

 「内科専門医+サブスペシャルティ」、4年で取得可能

 内科専門医制度について説明したのは、認定医制度審議会副会長の宮崎俊一氏と、専門委員(認定医制度担当)の鈴木昌氏。

 地域医療への配慮では、研修施設の拡大が柱。2015年度頃に、新専門医制度に向けて検討していた時点では、研修プログラム数が200~300となる可能性も予見されたが、その後、基幹施設の条件を見直したり、施設基準を緩和した特別連携施設を設けた結果、2016年度の段階では523となり、うち8割以上は市中病院が占める。大学病院が連携施設になり、基幹病院の市中病院を補完する研修プログラムもある。

 さらに研修内容に柔軟性を持たせたり、各施設に手挙げを促した結果、研修プログラム数は545まで増え、研修施設(基幹、連携、特別連携の各施設の合計)は、現行制度の1204施設から、2.4倍の2937施設まで増加、うち200床未満が1723施設(58.7%)を占める。研修施設の分布も、現行の294医療圏から、全344医療圏に増加。

 専攻医のキャリア形成については、(1)専攻医のさまざまなキャリア志向に応じた多様な研修コースを設定、研修の中断・再開・変更が容易になるよう、「J-OSLER」も導入、(2)修了要件の見直しやプログラムの改善をリアルタイムで客観的に検証するため、「J-OSLER」で研修状況等を把握、(3)早期のサブスペシャルティ取得志向に配慮(初期研修の研修実績を大幅に取り入れて工夫)――などの配慮をしている。

 現行制度は、「内科認定医研修1年+サブスペシャルティ研修3年」が基本。新専門医制度では、「内科専門研修3年+サブスペシャルティ研修3年」のほか、サブスペシャルティの早期取得を目指す場合、「内科・サブスペシャルティ混合タイプ」として最短4年の研修プログラムも可能だという。ただし、いずれの場合も、内科研修の修了要件は同じだ。

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内科専門研修の到達目標(日本内科学会、2017年5月25日の厚労省「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」提出資料)

 さらに、「研修プログラム制をフレキシブルに運用することによって、研修カリキュラム制と同様の研修を担保することができる」(宮崎氏)との考え方で、研修期間の途中でも、研修の延長を認めるほか、「J-OSLER」の活用で、ライブイベントなどで研修プログラムの中断・再開・変更の場合にも、研修実績を引き継ぐことが可能とした。「J-OSLER」は日本内科学会が独自に開発した、症例や病歴要約の登録、研修技能・技術の登録、指導医やメディカルスタッフの評価などを登録するシステム。

 「学術発表または論文発表」は高いハードルか
 相馬市長の立谷氏が再考を求めたのは、「所定の2編の学術発表または論文発表」が、修了要件になっている点。立谷氏は、「内科専門医は、当初はハードルが高く、優等生以外は排除する理屈に思えたものの、見直しにより、『皆が、がんばって内科専門医を取得してほしい』という制度に変わったと指摘、しかしながら、地域医療に従事する医師に論文執筆を課すのは、「間尺に合わない」としたほか、メディカルスタッフによる専攻医評価に疑義を呈した。そのほか、初期研修の研修実績を取り入れた内科専門研修になっている点は評価したものの、「初期研修が、日本の医療にどれほど大きな役割を果たしたのか。初期研修をもう少し改善すべきであり、そこから議論を始めなければいけない」との問題も提起した。

 論文への質問に、宮崎氏は、「学術発表または論文発表」であり、学術発表は地方会での症例報告でも可能であり、「医師の出発点として、3年間のうち2回程度は発表をした方がいい」と説明。メディカルスタッフによる評価については、「昨今、医療事故あるいは患者接遇などで紛争になることが多い。メディカルスタッフにも、日頃から専攻医の態度などを評価してもらうことが有意義ではないか」と答えた。

 東大の渋谷氏は、専門医制度のベンチマークになり得るとし、「症例報告はいいのではないか」と述べたほか、参考人として出席した日本専門医機構副理事長の山下英俊氏は、「症例報告には、学術的な目的のほか、患者の病態をゆっくりと考える機会を作る意味がある。ハードルを高くするというより、教育、優れた医師を育成するための大事なプロセス」とコメントした。

 専門研修のデータベース、必要との指摘
 「J-OSLER」について、渋谷氏は評価する一方、専門研修の客観的な質の担保のほか、研修プログラム制と研修カリキュラム制を柔軟に運用するためには、内科以外の領域でも同様のシステムが必要だとし、「日本専門医機構こそ、このようなデータベースを構築すべきではないか」と提案した。

 聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、研修プログラムを変更する際に、「自分の症例を持って行けることはすばらしい」と評価、さらに外科系領域で使用している「NCD」(National Clinical Database)では、データを用いた研究も可能になったことから、「J-OSLER」のようなシステムは必要としたものの、入力する負担などの軽減は必要だとした。

 日本眼科学会理事長でもある山下氏は、眼科でもNCDの活用を検討したが、症例登録の在り方が異なることなどから難しいと判断した経緯を紹介、データベースの必要性は認めたものの、「各基本領域で統一するのは難しい」と答えた。

 日本医療法人協会会長の加納繁照氏も、「J-OSLER」について質問。費用がかかることから、「これは内科領域だけでなく、他の学会でも使えるのか。各基本領域でJ-OSLERのようなシステムを用意しなければならないのか」と質問した。

 宮崎氏は、初期とメンテナンス費用がかかるため、専攻医から使用料を徴収して運営することを想定していると説明。鈴木氏は、「内科領域への転用は可能かもしれない」と述べたものの、手技などの登録は想定していないと説明。

 そのほか、地域医療機能推進機構(JCHO)理事長の尾身茂氏は、総合診療専門医と連携について質問。「幅の広いジェネラリストを養成するため、研修の段階で何か協力できないのか。ぜひ考えてもらいたい」と求めた。宮崎氏は、総合診療専門医の3年間の研修のうち、1年間は内科研修になっていることから、「総合診療専門医の研修については、内科学会が全面的に協力する。J-OSLERの使用も求めていきたい」と回答した。



https://www.cbnews.jp/news/entry/20170525202235
専門医取得「義務付けていない」、指針に明記へ
機構が検討会に改訂案提示

2017年05月25日 21:00 CB news

 日本専門医機構の吉村博邦理事長は25日、厚生労働省の医師養成と地域医療に関する検討会の会合で、専門医制度の整備指針の改訂案を示し、「専門医取得は義務付けていないことを整備指針に明記する」と述べた。この改訂案については、来月2日に開催予定の同機構の理事会で正式に決定される見通しだ。【新井哉】

 前回の会合で構成員から、「専門医取得は義務付けではない」などとの意見が出たことを踏まえ、厚労省は今月10日、同機構に対して整備指針の修正を含めた対応を求める事務連絡を出した。

 これを受け、同機構は改訂案をまとめた。それによると、専門医制度について、現在の整備指針では、法的に規制されるべきものではないと位置付けていたが、改訂案では、「専門医はすべての医師が取得しなければならないものではなく、医師として自律的な取り組み」と説明し、義務付けではないことを強調した。

 また、研修の中心となる施設に関しても、検討会で大学病院に偏ることを危惧する意見が出ていたため、改訂案では「地域の中核病院等」も研修の中心に位置付けた。

 その理由について、吉村理事長は「専門医となるのに必要となる全般的、幅広い疾患の症例の豊富な市中病院を重要な研修拠点とし、大学病院に研修先が偏らないようにする必要がある」と説明した。

 このほか、出産や育児などで休職・離職を選択した女性医師に配慮した研修を行うことや、同機構が各領域の研修プログラムを承認する際は、市町村を含めた都道府県協議会と事前に協議することも整備指針に記載する方針だ。



http://www.asahi.com/articles/ASK5V6GNWK5VUBQU014.html
「新専門医こそ地域医療の担い手」大学側が市長会に反論
野中良祐2017年5月26日19時33分 朝日新聞

 2018年度に開始予定の新専門医制度をめぐり、国公私立大学の医学部で構成する全国医学部長病院長会議は26日、地域医療に支障をきたすと懸念する全国市長会に反論する会見を東京都内で開いた。

 市長会は、新制度によって若手医師が中小規模の病院から、研修施設となる大学病院に移り、若手医師が医局生活を強いられるなどと危惧。卒後2年の初期臨床研修を終えた時点で総合診療ができるようにすべきだと主張している。

 これに対し、同会議会長の新井一・順天堂大学長は「過去の封建的な医局に焦点を当てている。地域医療の中心的役割を担う、現在の大学病院の役割を正しく理解していない」と反論。「現行では、2年の卒後研修をしても一人前の医師としてはまったく不十分。(新制度での)専門医こそがまさに地域医療の担い手になる」と語った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/532401
真価問われる専門医改革
「大学病院への過度な不信感に基づく誤解」
全国医学部長病院長会議、全国市長会に反論

2017年5月26日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議は5月26日に記者会見を開き、全国市長会の「国民不在の新専門医制度に対する緊急要望」に対する反論を、同25日に塩崎恭久厚労相に提出したことを公表した。

 反論は、卒後2年の臨床研修を修了しても一人前の医師としては不十分であり、卒後3~5年の専門研修の必要性を指摘。その上で、全国市長会の要望は、過去の封建的な「医局」のみに焦点を当てており、「大学病院への過度な不信感に基づく大いなる誤解」であるとし、現在の大学病院は、質の高い安心安全な医療、チーム医療の実践の場であり、地域医療や女性医師支援・キャリア支援にも積極的に行うほか、卒前と卒後のシームレスな医師養成の制度設計にも関わっていると説明。専門医制度と大学病院が、地域医療や我が国の医療・医学の発展において果たす役割は大きいとし、関係者の理解を求めている。

 同会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、「確かに過去には硬直した医局システムがあったが、今はない。地域医療に貢献しているなど、大学病院の役割を正しく理解していないのではないかと懸念し、やはり反論せざるを得ないと考えた」と、反論に至る経緯を説明した。


 全国市長会の緊急要望は4月14日に塩崎恭久厚労相に提出(『「国民不在の新専門医制度を危惧」、全国市長会』を参照)。その後、厚生労働省の新専門医制度をめぐる議論において緊急要望が影響を及ぼしていたことから、国立大学医学部長会議も5月17日に、反論を公表していた(『「重大な事実誤認、看過できず」、国立大学医学部長会議』を参照)。

 5月26日の記者会見では、反論に関連して、新専門医制度、大学医局の役割や地域医療との関係についての質問が出た。新専門医制度については、前日25日の厚生労働省の検討会で、日本専門医機構の「専門医制度新整備指針」の改正方針が了承された(『新整備指針の「4つの対応方針」、厚労省検討会が了承』を参照)。

 全国医学部長病院長会議の「専門医に関するワーキンググループ」座長の島田眞路氏(山梨大学学長)は、「専門医取得は義務ではない」という新整備指針の改正方針について、「やはり患者を診る臨床医であれば、基本的には19の基本領域のいずれかで、きちんとした研修を受けてもらい、質を保証すべきと考えている」との見解を述べた。

 大学医局の役割に関して、同会議副会長で広報委員会委員長の稲垣暢也氏(京都大学医学部附属病院長)は、「良質な医師の養成が、医局の一番重大な使命だと考えている。地方では、医局人事で地域医療が保たれており、それを否定的に捉えると、逆に地域医療の崩壊につながりかねない」と理解を求めた。

 同会議医学教育委員会委員長の山下英俊氏(山形大学医学部長)は、「医局は、教育のためのシステムであり、山形大学は、医局機能を強化すると明言している」と紹介、医師は生涯にわたって教育・研修をしていく必要があり、それを支えるのが大学医局であるとした。一方で、医師の人事については、各医局独自に行うのではなく、「山形大学蔵王協議会」内に、「地域医療医師適正配置委員会」を設置、医師以外の人も交え、透明性を確保しつつ、適材適所を進めているという。

 さらに大学医局と地域医療との関係について、新井氏は、「大学医局は、医師の質保証と地域医療への配慮を両立させるための重要な機能を果たしている。それが否定されると、いったいどうなるのか」と提起した。「医師養成の基本は、屋根瓦方式であり、これができるのが医局」とし、新専門医制度では、研修プログラム制の採用により、地域医療に配慮しながら研修できる体制になっていると説明した。

 5つの柱で全国市長会に反論
 全国医学部長病院長会議は、全国市長会の6つの緊急要望に対し、5つに分けて反論。特に医師養成に携わる立場から強調したのは、「医師の診療活動開始年齢の遅延と医療コスト増大」と「.若手医師たちに義務的に医局生活を強いる理不尽」という二つの緊急要望への反論だ。

 「医師の診療活動開始年齢の遅延と医療コスト増大」については、「専門医となるためには、しかるべき研修施設で、しかるべき指導医・指導体制のもと、卒後臨床研修後3~5年の勉学、研修は必要最低限」と指摘。「現行制度では2年の卒後臨床研修を修了しても、一人前の医師としては全く不十分で、独り立ちはできない」とし、専門的な知識や技術を持たない医師が増えれば、結果として質と安全性が低い医療が蔓延することになり、「それこそが医療費の無駄遣い。国民の理解が得られるのか。大いに危惧する」と反論した。

 「.若手医師たちに義務的に医局生活を強いる理不尽」については、「過去において硬直した医局システムが存在したのは事実」と認めたものの、批判を真摯に受け止め、自己改革を進めてきたとし、現在の大学病院は、質の高い安心安全な医療、患者中心のチーム医療を実践し、地域医療、女性医師支援・キャリア支援、医学教育の改革や卒前・卒後のシームレスな医師育成の制度設計などにも積極的に関わっていると主張した。

 そのほか、「中・小規模病院が危機に陥る懸念」と「地方創生に逆行する危険と医師偏在の助長」については、「研修プログラム制を原則取ることで、地域の病院にも医師が循環することが担保される」「研修カリキュラム制は、例外的に認めている」とし、医師偏在は2004年度に始まった臨床研修制度にその原因があり、「新専門医制度は改善こそすれ、悪化させるものではない」と反論した。

 「初期研修制度導入時に立ち返りPDCA で考えるべき」に関しては、「まさにPDCAの発想で対応し、同制度の反省のもとに生まれたのが、新専門医制度と言える」と指摘。「専門職自律という国民不在の議論」については、プロフェッショナルオートノミー(専門職自律)は、医師の行動規範であり、「日本専門医機構が、専門職自律を専門医育成の基本的な概念とすることは、極めて自然」との見解を示した。



https://www.m3.com/news/general/532371
伊万里松浦病院の移転で特例適用を 松浦市が県に要望
2017年5月27日 (土) 長崎新聞

 松浦市は25日、誘致を目指す伊万里松浦病院(佐賀県伊万里市)を市に移転するために必要な特例措置の適用など10項目を県に要望した。

 松浦市は、伊万里松浦病院を市内に移転する方向で、病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構と協議を進める。しかし同市を含む「佐世保県北医療圏」の病床数が基準を上回っているため、同機構は県と国から特例措置の適用を受ける必要がある。

 友広郁洋市長は市内に中核となる公的医療機関がなく、救急患者の7割が市外に搬送されている実情などを挙げ、病院移転の必要性を強調した。

 中村法道知事は「地域の医療ニーズに応えることは大きな課題。特例措置を視野に手続きが進められるよう、まずは地元で合意形成を図ってほしい」と応じた。

 このほか老朽化が進む松浦魚市場の再整備への支援や九州電力玄海原発の再稼働に絡む原子力防災対策の充実を国に働き掛けることなどを求めた。
伊万里松浦
G3作成:松浦市伊万里市の地図/県境をまたぐものの隣接のほぼ同一の生活圏


  1. 2017/05/27(土) 06:20:26|
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5月21日 

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170520/asahi_2017051100039.html
病院難民が首都圏で続出! 中東並みの医師数で日本の医療は崩壊
AERA dot. 2017年5月20日 11時30分 (2017年5月21日 10時52分 更新)

 首都圏の医療システムは急速に崩壊しつつある。近年、相次ぐ病院閉鎖から、その様子をうかがい知ることができる。人口あたりの医師数は中南米以下、優秀な医師は地方に流出し、大学病院や私立病院は倒産、首都圏に病院難民が続出する――。現役の医師であり、東京大学医科学研究所を経て医療ガバナンス研究所を主宰する上昌広氏は、著書『病院は東京から破綻する』で、迫りくる首都圏の医療崩壊を警告している。

*  *  *
 医師不足による入院診療の閉鎖は、首都圏ではありふれた話になりつつあります。

 2009年7月末には千葉県松戸市の新八柱台病院と五香病院、二つの民間病院が休止しました。二つの病院を併せて入院は124床。閉院時、両病院で合計約90人の患者が入院しており、松戸市立病院など近隣の病院に転院しました。

 11年末には、埼玉県の志木市立市民病院が「小児・小児外科入院診療の看板を下ろし、高齢者向けの訪問看護や在宅診療の充実などに比重を移そうと考えている」と発表し、小児科診療を止める方針を明らかにしました。小児科の常勤医は59~64歳の3人だけですから、継続のしようがありません。

 志木市立市民病院は、地域の中核医療機関でした。突然の話に市民は猛反対し、志木市は12年1月に有識者による志木市立市民病院改革委員会を設置しました。委員会では、短期施策として「大学病院の重点関連病院としての指定を要請する」ことが提言されました。志木市は日大医学部に医師派遣を要請しましたが、「若い医師が卒業後、研修の場とするには機能が十分ではない」(日大広報課)と断られてしまいます。結局、14年3月末で志木市立市民病院は閉院。民間の「TMG宗岡中央病院」として再出発しました。

 志木市によれば、収益源だった整形外科医の退職などにより経営が悪化し、10年度以降の4年間で総額約20億円の公費を投入し、病院の赤字を埋めてきたそうです。歳入約230億円の志木市にとり、大きな負担であったことは間違いありません。

 災害による影響で、医師不足に追い込まれた病院もあります。北茨城市立総合病院(現北茨城市民病院)では、福島第一原発事故の影響を受け、大勢の医師が退職しました。

 北茨城市立総合病院は199床の地域の拠点病院です。震災前は14診療科があり、16人の常勤医がいましたが、11年9月17日付けの東京新聞夕刊によると、3月31日付けで常勤医2人、4月30日付けで2人が退職したそうです。5月に着任予定だった医師も内定を辞退し、常勤医は11人に減りました。16年末時点で、常勤医は15人に回復しましたが、28人いた04年には遠く及びません。

 このような病院崩壊の例は氷山の一角に過ぎません。首都圏は、山手線の内部など一部を除き、どこも似たような状況です。このままでは、東京のベッドタウンに広大な「無医村地区」ができてしまいます。

 なぜ、医師が不足しているのでしょうか。それは、戦後、首都圏の人口が急増したのに対し、十分な医師が確保できていないためです。医師不足を議論する際には、人口あたりの医師数で考えるべきです。一人あたりの医師が診ることができる患者数には限界があるからです。

 首都圏は医師の絶対数は多いものの、住民も多く、住民の人口あたりに直すと、決して多くありません。人口10万人あたりの医師数は首都圏230人に対し、四国は278人、九州北部は287人。実に2割以上の差があります。

 東京都以外の首都圏の医師不足は、極めて深刻です。人口10万人あたりの医師数は東京都323人に対し、埼玉県159人、千葉県189人、神奈川県209人。これは、南米や中東並みの数字です。

 医師など医療資源が足りない地域では、十分な医療を受けられないために新生児死亡率が上がり、寿命も短くなる傾向があります。たとえば、15年度のトルコの新生児死亡率は1000人あたり7.1人、平均寿命は男性72.6歳、女性78.9歳です(日本の新生児死亡率は1000人あたり0.9人、平均寿命は男性80.5歳、女性86.8歳)。

 がんの手術のように、ある程度の時間をかけて準備できる医療は別として、外科や産科、小児科などの救急医療は近所に病院がなければ対応できません。埼玉県や千葉県の住民が、このような病気を発症すれば、なかなか引き受けてくれる病院が見つからないのです。

 ところが、埼玉県や千葉県に在住の方の多くは、地元で医師が不足しているという問題自体を認識していません。地元のメディアの影響力が弱いのも一因です。この地域の住民の多くは全国ネットのテレビをみて、朝日新聞や読売新聞など全国紙を購読しています。各県で地域のニュースも紹介されますが、その絶対量は少なく、地元で起こっていることを十分に伝えることはできていません。

 このため、住民は地元の問題を驚くほど認識していないのです。

 私が勤務した大宮赤十字病院のスタッフの中にさえ、「何かあれば、東京の病院に行くから大丈夫よ」という人がいたくらいです。

 医師不足は、政府や役所任せでは解決しません。メディアも含め、地域の総力を挙げて取り組むべき問題です。その際、メディアは重要な役割を果たすと考えています。

※『病院は東京から破綻する』から抜粋



https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/205734
深刻な首都圏の医師不足 元凶は厚労省と医師会!?
2017年5月20日日刊ゲンダイ

 日本の医療システムは今、根底から崩壊しつつある。原因は、医師の不足。しかも、その崩壊は首都圏から始まっているという。

 上昌広著「病院は東京から破綻する」(朝日新聞出版 1500円)では、医師である著者が、先進国とは思えぬ日本の医療崩壊のありさまについて明らかにしていく。

 地方からは、首都圏の医療体制は充実しているように見えるかもしれない。しかし、医師不足の問題は人口当たりの医師数で考える必要がある。1人の医師が診ることのできる患者数には限界があり、日本の人口分布は首都圏に偏り過ぎているためだ。人口10万人当たりの医師数を見てみると、四国では278人、九州北部では287人などとなっているのに対し、首都圏では230人と大きな差がある。

 さらに、東京都以外の首都圏の医師不足は極めて深刻だ。神奈川県の人口10万人当たりの医師数は209人、千葉県は189人、埼玉県に至っては159人で、これは新生児死亡率が高く寿命も短い、南米や中東並みの数字である。2013年、埼玉県久喜市で救急車を呼んだ75歳の男性が、25の病院から合計36回も受け入れを断られ、最終的には県外の病院で死亡するという痛ましい事態が起きた。これも医師不足の弊害であると本書。

 医師不足解消には、医学部の新設や医学部の定員増員を行う必要があるが、これを阻む勢力がある。まずは、医師が増えると医療費も増えると考え、これを何としても避けたい厚労省。そして、医学部の定員増員で将来的なライバルを増やしたくない、日本医師会だ。医学部新設の是非を議論する文科省の検討会では、「数が増えて儲からなくなった歯科医のようになりたくない」と公言してはばからない医師会幹部もいるというから呆れるばかりだ。

 実は、この反対勢力と戦っていたのが厚労大臣時代の舛添前都知事で、10年間で医学部定員を5割増やすことを決定。2009年に与党となった民主党も、これを踏襲していた。しかし自民党政権となった現在、この方針はすっかりうやむやになっている。医療崩壊の実態と原因を、私たちは早急に知る必要がある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/526566
医療維新
医師からの業務移譲、夢物語にあらず - 渋谷健司・厚労省ビジョン検討会座長に聞く◆Vol.3
「高付加価値、高生産性」体制の確立が先決

インタビュー 2017年5月20日 (土)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――報告書について、幾つか各論をお聞きします。「ビジョンの方向性」を打ち出し、それぞれについて「具体的アクション」を提示しています。例えば、タスク・シフティング、タスク・シェアリングを掲げ、診療看護師(仮称)の創設も打ち出しています。この辺りの実現可能性をどうお考えでしょうか。

 タスク・シフティング、タスク・シェアリングは、ビジョン検討会でヒアリングした病院をはじめ、日本でも幾つかの病院で既に実践されています。だからあえて、診療看護師(仮称)が可能な医行為の例として、「胸腔穿刺」などを例として挙げたのです。現行法の中でできるのだったら、なぜやろうとしないのでしょうか。中心静脈カテーテル留置も同様です。

 もちろん、タスク・シフティング、タスク・シェアリングは、医師から仕事を奪うゼロサム・ゲームが目的ではありません。本来医師がやるべきことに注力して生産性を上げるため、そして、連携をスムーズに進めることが目的です。ここは強調させていただきたいと思います。


若手医師や女性医師に向け、「医療は、全人生をかけて追求すべきプロフェッショナルな仕事。プロとして道を極めていただきたい」と語る、渋谷健司氏。
――報告書の「具体的アクション」は、実際に既に誰かが実践していることであり、実現可能性があること。

 はい、多くは今すぐにも可能であると思います。歯科医、薬剤師、看護師など、他職種へのタスク・シフティング、あるいはタスク・シェアリングは、国内外で現実に実践している方から聞いた話であり、別に突飛なことを言っているつもりは全くなく、夢物語とは考えていません。医療関係者は真面目な方が多いので、そうした人に勇気を持ってもらいたいというのが一番の思いです。

 確かに、タスク・シフティングなどについて、「以前、議論したけれど、難しかった」という話は何度も聞きました。民主主義社会なので、実際に施策として推進するには、関係者の間で議論し、コンセンサスを得ることは必要だと思います。しかし、ビジョン検討会では、医師への実態調査やヒアリングを通して、できるだけ現場からの声を拾おうとしました。現場の方に聞いてみてください。多くがビジョン検討会の案を支持してくれるのではないでしょうか。

 報告書を公表した後、報道やネットなどでのリアクションをチェックしています。各医療関係団体からのオフィシャルなステートメントは予想された通りです(『「医師養成数増は不要」は一致、各論には異論』などを参照)。ただアクティブな薬剤師さんや看護師さんのツイートを読むと、「よく言ってくれた」「自分たちが考える薬剤師の在り方はこのようなものだ」といった意見があります。限られた意見かもしれませんが、こうした意見さえも組織がバックにあるとなかなか言えない。

 タスク・シフティングやタスク・シェアリングに対しては、医師の間でも根強い抵抗があるのは知っています。しかし、もっとそれぞれの役割分担を明確にして、医師なら医師にしかできない仕事に特化し、専門性を追求し、医師としての生産性と付加価値を上げるべきでしょう。それがプロとしての責務だと思うのです。

――利害関係を離れて調整することが必要。

 先ほども触れたように、「新たなビジョンは、伝統的な政策形成の論理や利害調整を机上で展開するだけでは策定できない」と記載しています。もちろん最後は利害調整が必要になってきますが、そこに行く前にきちんとしたビジョンに基づき将来の方向性を示し、ある程度議論のハードルを上げておく。この報告書は、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」に回答した1万6000人の現場の医師の声に基づき、議論や調整をした上で公表され、多くの人が読んでいるわけです。利害調整の場でも、それからかけ離れた結論は出しにくいと思います。

――医師の需給については、あまり踏み込んでいません。

 いえ、医師の需給については、基本的な考え方はきちんと示したつもりです。報告書の中でも、「従来からの医師等の需給・偏在に関する議論は、ともすれば、行政単位等の地理的区分に基づいた外形的な従事者数や施設等をどう配置するかという点に重点が置かれていた」「『医師不足』の定義と判断基準が曖昧若しくは機械的なままでは、真の課題解決にはつながらない」(報告書の12~13ページ)と強調しました。

 そして、「今後必要となる医師数の在り方については、一概に増減の必要性を判断することが困難である」とも書きました。これは、逃げているわけではありませんし、正直なステートメントだと思います。そもそも、医師の必要数を規範的に決めるのは困難です。また、ある一面から見れば医師数の増加が必要でも、別の一面から見れば減らしても大丈夫ということもある。結局、神学論争になります。また時代とともに変わリます。だから、実態調査などのエビデンスを重視して行くべきだと思います。

 ただ言えるのは、医師需給の議論をする前に、ビジョン検討会報告書に盛り込んだ施策を実施し、今あるリソースで、生産性と付加価値を高めることをまずやるべきということです。そして、「長期的な医師需給の在り方を考える上では、本報告書に掲げる具体的方策の達成状況やそれぞれの効果を継続的に検証するとともに、定期的に働き方実態調査を実施した上で需給推計を行うことにより、その都度必要な医師数と養成数のバランスを図っていくことが必要である」(報告書の15ページ)と考えます。

――報告書の最後には「提言の実現に向けて」として、「厚労省内に、ビジョン実行推進本部(仮称)を設置し、5~10年程度の政策工程表を作成した上で、内閣としての政府方針に位置付け、進捗管理を行うよう求める」と記載しています。

 「保健医療2035」の時もそうですが、本部を置き、提案した施策の工程表を作らないと、トップが代わったら、実行が危うくなるからです。「5~10年程度」と書いたのは、希望ではありません。構成員の皆が、「報告書の具体的アクションは、5年、10年あれば、できる」と言っていました。それくらい早いスピードで進む可能性があります。医療のパラダイムが今、大きく変わりつつあるという実感を持っています。

――進まないと、優秀な人材は皆、海外に行ってしまう可能性がある。

 そうした時代が来ることも考えられます。現に、最も優秀な高校生は、東大ではなく海外の大学に直接行く時代ですからね。医療もそうしたグローバルな流れから無縁ではないと思います。だからこそ、専門医制度や日常診療において、国際標準の質を担保し、バリューに基づく医療を提供すべきであると思います。

――最後に、ビジョン検討会が対象とした、若手医師や女性医師へのメッセージをお願いします。
 ともすると、医療はコストセクターで、お金ばかりがかかる、“お荷物的”なイメージがあります。しかし、時代は変わりつつあります。医師をはじめとする医療者は、素晴らしい職業です。医療は、全人生をかけて追求すべきプロフェッショナルな仕事。プロとして道を極めていただきたいと思っています。今後の制度設計に当たっては、そうした現場で頑張る人たちが報われるような仕組みにしていく必要があるでしょう。ビジョン検討会報告書を自分たちの問題として、ぜひ読んでほしいと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/529509
真価問われる専門医改革
「重大な事実誤認、看過できず」、国立大学医学部長会議
全国市長会による新専門医制度の「緊急要望」に反論

2017年5月17日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学医学部長会議は5月17日、記者会見を開き、全国市長会の4月12日の「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」に対して、「聞くべき主張もあるものの、我々国立大学医学部が担ってきた地域医療への貢献方策や実績に対する重大な事実誤認がある。看過できない」との反論を、5月17日に同会に提出したことを公表した(全国市長会の要望は、『「国民不在の新専門医制度を危惧」、全国市長会』を参照)。

 常置委員会委員長の内木宏延氏(福井大学医学部長)は、「地域医療を預かっているのは、市町村長だけでなく、我々国立大学もその役割を担っている」と指摘。その上で新専門医制度では、地域医療への配慮も重要だが、「優れた専門医制度を確立することが本来の目的」であり、その観点から議論していく必要性を訴えた。

 「反論」は42の国立大学医学部の総意であるという。内木氏は、この時期に反論に至った経緯として、4月24日に開かれた厚生労働省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」の議論を挙げ、「緊急要望が非常に大きな影響を及ぼしており、正しい方向に議論が進んでいないのではないかと懸念した」と述べ、アカデミアの立場から指摘すべき点をまとめたとした(『「専門医取得、義務ではない」、新整備指針に明記か』を参照)。

  2018年度からの新専門医制度の開始について、内木氏は、「運用細則に全面的に賛成しているわけではないが、我々の立場としては賛成。新専門医制度の本来の趣旨は、医師偏在の解消ではなく、医療水準を維持・向上させることにあり、その観点から検討すべき」と答えた。

 常置委員会相談役の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)は、「従来の専門医制度は学会認定であり、専門医認定の基準にはバラツキがあり、中には書類を出し、試験を受ければ合格だった制度もあった。循環型の研修体制で、簡単な症例から難しい症例まで幅広く経験できる研修プログラム制を採用するなど、新専門医制度においては、日本専門医機構と学会が共に手を携えて、専門医の質を担保することが重要」と強調した。

 「反論」では、まず医学の進歩は著しく、医療水準の維持・向上には卒後医師の質保証が不可欠であると指摘。また、国立大学医学部42校のうち、29校は都道府県唯一の医育機関であり、過去数十年にわたって地域医療振興に貢献してきたと説明。その上で、全国市長会の緊急要望で、「新専門医制度が医師偏在を増長する」としている点に対し、「医師配置の地域格差を生んだ根本原因は、2004年4月に創設された新医師臨床研修制度にあると考える」と指摘、同制度の改革なくして、地域の医師不足の根本的な解決がなされることはないとしている。嘉山氏は、「医師が40年間、臨床に従事すると、専門医研修は3年間にすぎない。その後の専門医がどのように分布するかが医師偏在問題にとって重要」とコメントした。

 さらに全国市長会の緊急要望における「若手医師たちに、義務的に医局生活を強いる理不尽」との指摘の具体的内容についても、下記のように反論している。

◆「若手医師たちに、義務的に医局生活を強いる理不尽」への反論
(1)「医療倫理の教育をはじめ学会が認める論文発表など基幹施設での過剰と思われる履修項目」
 医療倫理は、言うまでもなく医師にとって学習必修の項目。また実際に論文を書くことで、自分の行っている医療を深く論理的に考える力を養い、それが患者治療のレベルを向上させるために役立つ。OECDが世界一のレベルと評価している日本の医療は、日本の医師が「知識だけの医師」ではなく、「知識もあり、考えることもできる医師」であるため。従って、論文執筆は、医師として当然の責務であり、若手医師育成の重要なプロセス。決して過剰な履修項目には当たらない。
 また論文を執筆するのは必ずしも大学医局のみではなく、大学以外の医療施設でも多くの学会発表、論文発表がなされている。いわばこのような学術活動は医師の日常活動であり、決して大学医局生活を強いるものではない。

(2)「初期研修終了後に地域医療に従事している医師達を基幹施設に引き揚げることにより、地域医療にとって重大な支障を来す」
 国立大学医学部は、専門医育成において積極的に循環型教育を行ってきた。全国47都道府県のうち、33県では医育機関(医学部)が1つのみであり、これらの大学は、それぞれの所在地の医療機関にこれまで多くの医師を供給してきた実績がある。
 「今後も、都道府県の協議会などを通じて、医師の派遣、調整などを行っていくので、基幹施設に医師を引き揚げることはない」(内木氏)。

(3)「若手医師達の生活に多くの影響を与えることになる。特に若手女性医氏にとって、結婚・出産・育児の機会を奪い取ることになりかねない」
 国立大学病院の臨床各科では、女性医師のライフイベントなどに最大限配慮し、勤務形態や勤務場所の調整を行う。その上で各自の望むキャリアパスを実現するため、学位や専門医の取得を支援している。大学病院が若手医師を縛り付けるという論理は成り立たない。

(4)「社会的な制約や経済的条件により大学病院などに馴染まず、フリーの立場で地域医療に貢献する医師たちの権利・自由も奪われる」
 医師たるもの、一生の勉強が重要なので、卒業後専門とする領域の勉強をするのは当然。専門医を取得するかどうかは別として勉強する必要がある。勉強するための方法、場所を提供しているのが専門医制度であり、この精神に沿って大学病院は卒後教育を行っている。一方、この仕組みを全ての若手医師に強制することは不可能であり、実際強制はしていない。



http://www.huffingtonpost.jp/mareyuki-endo/faculty-of-medicine_b_16698634.html
「国立大学医学部長会議」はなぜ「全国市長会」への反論をしたのか?
遠藤希之
医学教育支援室長、臨床検査センター長(兼務)、東北大学病院臨床教授
投稿日: 2017年05月20日 16時27分 JST 更新: 2017年05月20日 16時27分 JST ハフィントンポスト

国立大学医学部長会議は5月17日、全国市長会の4月12日の「国民不在の新専門医制度を危惧し、拙速に進めることに反対する緊急要望」に対して、反論文を同会に提出したことを公表した。

(m3. Com. https://www.m3.com/news/iryoishin/529509)

この報道をみて、強い違和感を覚えたのは筆者だけではあるまい。市長会に「専門医機構」が反論するならわかる。しかし、なぜ、医学部長の集まりが市長会に反論するのか?

この疑問を解くには日本専門医機構の内情からみていくと判りやすいだろう。5月17日付けのJB press 「日本の医学界をいまだに仕切るゾンビ組織」に機構内情の詳しい解説が載っている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50005

この記事によると、機構では発足当初から、以前医師派遣の見返りに裏金を貰っていた経歴のある人物が事務局長を務めており(現在は退職)、現理事長も「地域医療振興協会」という医師派遣を行っている団体の「常勤顧問」だという。つまり医師派遣の見返りとして金銭を受け取る事に抵抗がない人間が機構中枢だった、ということだ。

結果として「基幹施設」が「連携施設」を従え、それらに医師を「循環」させるという仕組みが出来上がった。研修制度といいながら、基幹施設側にすれば使い勝手のいい「医師派遣制度」なのである。そして国公立大病院はほぼ全ての領域の「基幹施設」に手を挙げている。

国立大医学部長会議は、この「新」医師派遣「制度」がのどから手が出るほど欲しい、ゆえに「市長会」に筋違いの反論をしてしまった、と勘ぐられても仕方なかろう。

また、反論もとってつけたような内容が多く、それこそ「事実誤認」も目立つ。紙面の都合上、本論考では一点だけあげる。

「「医師配置の地域格差を生んだ根本原因は、2004年4月に創設された新医師臨床研修制度にあると考える」と指摘、同制度の改革なくして、地域の医師不足の根本的な解決がなされることはないとしている。」

地域格差に対して過去にもしばしばなされてきた主張だ。しかしこの主張を裏付ける具体的なデータを筆者は寡聞にして知らない。

逆に、昨年12月に森田知宏氏が発表したデータ(http://medg.jp/mt/?p=7248)は、臨床研修制度が始まったのち、むしろ医師数の地域格差は減少傾向にあることを示している。氏は「ジニ係数」と呼ばれる一般には所得格差を表す指標を用いて解析した。所得を市町村人口あたり医師数に置き換えてジニ係数を計算したのだ。その結果、新臨床研修制度が始まった2004年から2014年までに、ジニ係数は0.60から0.56と減少傾向にあったとのことだ。

医学部長会議も、仮にも科学者であるなら論拠となるデータを示すべきである。それがなければ、やはり「事実誤認」と反論されても仕方あるまい。

なお市長会は「新専門医制度が医師偏在を増長する」と述べているだけで、新専門医制度で「医師偏在を解消しろ」とは言っていない。医師数の地域格差に対して新医師臨床研修制度が問題なのであれば、強大な力をもつ医学部長会議としてそちらを先に改善したらどうだろう。

個人的には、今回の市長会への反論で、図らずも医学部長会議は自ら「日本専門医機構」という「医師派遣の利権追求団体」と同じ穴のムジナであることを証明してしまった、と思えてならないのだ。

最後に提案がある。筆者も真に質の高い「新専門医制度」を切望している者だ。この際、全国市長会、医学部長病院長会議、専門医機構、そして現場の医師達を含めた形での公開シンポジウムを開き、議論をつくしてはどうだろう。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50005
日本の医学界をいまだに仕切るゾンビ組織
問題だらけの日本専門医機構に巣食う東大と自治医科大

2017.5.17(水) 上 昌広 JB Press

 4月26日号で『認定料目当てに早くも贅沢三昧、日本専門医機構』という文章を発表し、日本専門医機構(以下、機構)のガバナンスを批判した。

 この中で、機構は収入がないのに、賃料が1坪あたり12万6421円の東京フォーラムに事務所を借り、交通費3699万円、会議費463万円の「無駄遣い」をしていることを紹介した。その後、私のところには様々な情報提供が寄せられた。

 「我々は、間違ったことはしていない。お金の問題は一切ない」と連絡してきた大学教授もいた。「19領域の学会関係者が関わるので、年間に3699万円もの交通費が必要になったのでしょう」という教授もいた。

 もちろん、こんな説明は通用しない。

こっそり退職していた事務局長

 そもそも、19領域の学会関係者の議論に機構が旅費を支給する必要はないし、仮にそうだとしたら、機構は最初から予算に計上すればいい。年初に計上された交通費の予算は1万円なのだから、「使途不明」と言われても仕方ない。

 私のところに寄せられた連絡の多くは、このように中味のないものだったが、例外もあった。知人の専門医機構関係者からは「事務局体制がお粗末で、特に事務局長が、がんでした」と連絡があった。

 この人物のことを調べたらK氏だった。どのような経緯かは分からないが、昨年末に機構を退職していた。

 このK氏は医療ガバナンスの研究者の間では知らない人がいない有名人だ。1994年に自治医大を揺るがした「茎崎病院事件」で「中心的役割を果たしたとされる人物」(『選択』2013年9月号)とされている。

 この事件では自治医大が医師派遣の見返りとして金銭授受を行っていたことが分かっている。併せて同時期に資産運用の失敗や二重帳簿が内部告発によって問題化している。

 金銭の授受については、多くのメディアが報じ、K氏も「15万円を7~8回にわたって受け取ったのは事実」(朝日新聞1994年2月22日)と認めている。

 その後、K氏は、自治医大関連の「地域医学研究基金」へ出向している。

 前出の『選択』2013年9月号では、「このK(筆者変更。本文では実名)を重用したのが高久(筆者注;髙久史麿・日本医学会会長)である。Kはその後も専門医制評価・認定機構や、医療安全全国共同行動の事務局を仕切ると同時に、会長選で高久の集票マシーンとして動いた」と説明されている。

 新専門医制度は医師派遣を通じて、大きな利権を生み出す。その事務局を、かつて医師派遣で金銭的問題の「前科」のある人物が仕切っていた。これは、一般的な社会常識と乖離する。

地域医療振興協会との利益相反も

 問題は、これだけではない。理事長を務める吉村博邦氏の肩書きだ。

 吉村氏は昭和41年に東京大学医学部を卒業した胸部外科医で、北里大学の医学部長を務めた。ただ、現在の主たる肩書きは地域医療振興協会の顧問だ。

 同協会が経営する練馬光が丘病院で、呼吸器外科の外来を担当している。同病院は、2011年に日本大学から運営権を引き継ぐ際に、必要な医師数が揃えられなかったことで社会の批判を浴びた。

 地域医療振興協会は、自治医大の卒業生が中心となって立ち上げた組織だ。事務局は千代田区平河町の都道府県会館の中にある。同じフロアには、自治医科大学も入居している。

 会長を務めるのは髙久氏だ。理事には自治医大と東大卒業生が名を連ねる。

 この組織は経常収入1123億円を上げる巨大グループで、その中核事業は、医師派遣・診療支援事業だ。機構の仕事と見事に重なる。


 機構の理事長である吉村氏が、地域医療振興協会の顧問を務めることは、常識的に考えて利益相反だ。

 このように専門医制度のことを調べると、自治医大・東大関係者の陰がちらつく。髙久氏を頂点としたピラミッドがお手盛りで決めているように見える。有力者が密室ですべてを決める点は、自民党の派閥全盛時代を髣髴させる。

 情報開示が進んだ昨今、こんなやり方は通用しない。

組織は頭から腐る

 前回もご紹介したが、髙久氏は2016年6月18日に公開されたエムスリーのインタビューで「立ち止まっていたら、きりがなく、財政的にももたなくなる」と語っていた。従来のようなごり押しが効かなくなっていることを認めている。

 私は髙久氏のことを尊敬している。本当に実力のある人物だ。戦後の日本の医学界を、現在のレベルにまで押し上げたのは彼の功績だ。

 残念なのは、彼の弟子に人材が育たなかったこと。彼をかつぎ、そのやり方をそのまま踏襲したが、いつの間にか時代に合わなくなった。その時に、どうすればいいか、髙久氏のように柔軟に対応できない。

 新専門医制度は、その象徴だ。

 厚労省と医学会が一致して決めたことが、在野の医師が反発し、それが国民に伝わり、抜本的見直しを余儀なくされつつある。

 どうして、医療界の合意を形成するか。時代に見合った透明でオープンなやり方を確立しなければならない。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201705/CK2017051702000177.html
【栃木】
佐野市民病院の民間譲渡 現指定管理者の青葉会と優先交渉へ

2017年5月17日 東京新聞

 佐野市は市民病院(同市田沼町)の民間譲渡について、現在の指定管理者「医療法人財団青葉会」(東京都)と優先的に交渉することを市議会議員全員協議会で報告した。今後、二〇一八年四月移譲などを含んだ基本協定締結に向けて交渉を進める。
 市民病院は市が直営していたが、深刻な医師不足に陥り、〇八年十月に指定管理者制度を導入、青葉会が運営している。医師確保などで改善は見られたが、経営状態は厳しく、一四年度は約二億六千万円、一五年度は約一億六千万円の赤字で、一六年度は約二億八千万円まで赤字が膨らむ見込みとなっている。
 市は一八年三月末で青葉会の指定管理が期間満了となるのに合わせ、病院の存続を目指して民間に譲渡する方針を固め、市政策審議会に諮問。市民への説明会や有識者会議を重ね、青葉会を優先的な交渉相手に決めた。
 市市民病院管理課の担当者は「まず移譲時期、医療規模の維持、耐震強度が不足している病棟の建て替えの三点を協議したい」と話し、九月の市議会定例会で一定の交渉結果を提示する考えを示した。 (吉岡潤)



http://blogos.com/article/224023/
医師の時間外労働は削減すべきなのか
武矢けいゆう
毒舌系消化器外科医 / 某市民病院で外科医
2017年05月19日 16:24 BLOGOS

働き方改革実現会議での時間外労働に対する法的規制—

こうした変革は、医療界にも大きな波紋を呼んでいる。

実際、複数地域の基幹病院に労基署の立ち入り調査が入った結果、医師の時間外労働削減と未払いの時間外賃金支給、救急車搬送の受け入れ抑制、外来枠の削減といった、著しい診療体制の縮小が行われている。

今後もこうした変化は加速し、全国的に医療体制が縮小の方向に向かう可能性が高い。

これまで厳しい労働条件に耐えてきた勤務医らにとっては朗報かもしれないが、患者にとっては、少なくとも短期的には、多大な不利益となる。

果たして、医師の時間外労働を一律に削減し、診療体制を縮小することは本当に得策なのだろうか。

私は、もっと根本的なところに問題があると考えている。

病院では「能率的な分業体制が成立し得ない」という構造的な問題である。

これは、「白い巨塔」の時代から変わらない、勤務医内での硬直した封建制が原因である。

上記のようなニュースがあると必ず、

「医師は患者の命を預かる仕事、若手医師は無給の時間外労働も、自己研鑽と思って喜んで引き受けるべき」

との反論が起こる。

若かりし頃に先輩に厳しくしごかれ、朝から晩まで薄給で働き、家に帰るのも週に1、2日という厳しい労働に耐えてきたベテラン医師たちは、「体力、気力のない奴は医師をやめてしまえ」と公言して憚らない。

勤務医の間には昔から、「自分が味わった苦労を同じだけ味わって成長しろ」という精神論が蔓延り、若手医師たちは厳しい年功序列制の中で、これまでその泥臭い労働で病院を支えてきたのである。

しかし時代は変わりつつある。医療界も変わらなければ、旧態依然との謗りを免れない。

確かに若手医師の精神を鍛えるのは大事なことである。上下関係をわきまえ、礼節を重んじることのできる医師を養成することも大切だ。

どの職場でも、若手の仕事は必然的に雑務が多くなるが、「下っ端」なのだから当然である。そういった仕事も丁寧にこなすのが若手の役目だ。

若手の仕事は野球部の球拾いと同じだ。球拾い自体で野球の技術が上達することはないが、先輩たちは、球拾いという雑務を黙々と誠実にこなす後輩に、バッターボックスに立つチャンスを与えたいと思うものだ。

私の周囲にも雑用が多すぎると不平ばかり言う若手医師がいるが、そういう姿勢では自らチャンスを捨てているようなものである。

「若手は文句ばかり言わず仕事に励め」

確かにその通りである。

だがその一方で、「自分が体験した辛い苦労を後輩にはさせたくない」と思う先輩が一定数いなければ、組織全体のパフォーマンスは上がらない。

自分が苦労して何かをやり遂げて、歩いてきた道を振り返った時、「こうすればもっと効率的にできたのに」と思うことが必ずある。

先輩とは、後輩が困難を前に立ち尽くした時、それを乗り越える「近道」を知っている唯一の存在だ。

その道のベテランならなおさらそうだ。若手に対して、百戦錬磨の経験から他の誰も提示することのできない最適な解決策を伝えられるはずである。

こうして、同じ業務をより簡単に、より能率的に行うためのノウハウの蓄積によってこそ、組織のパフォーマンスは高まっていくのである。

病院において、目指すべき最大のゴールは「患者の利益」である。そして、病院全体が組織として、患者に最大の利益を提供するにはどうすれば良いかを考えなければならない。

果たして、一律に医師の時間外労働を削ることが、我が国の医療の利益に資するかどうか。もう一度よく考えたいところである。



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16665010Q7A520C1M10400/
がん死亡、私の街は…
2017/5/21付日本経済新聞 朝刊

 自分が住んでいる街と隣の街で病気の死亡率に大きな格差があったとしたら……。日本経済新聞が全国1741市区町村のがんの死亡率を調べたところ、同じ県内なのに2倍を超える格差があることが分かった。医療費を使わずに死亡率が低い地域がある一方、医療費を多く使っているのに死亡率が高い地域もある。どこに問題があるのだろうか。日経電子版ビジュアルデータ「全国市区町村マップ」ではがんのほか、心臓病、脳卒中のデータも掲載した。まず自分が住んでいる市区町村、都道府県の実態を見てみよう。(1面参照)
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(地図の詳細)
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/health-expenditures-map/


 「医療費を多く使えば死亡率は低くなるのでは」。そう思う人がいるかもしれない。だが日本経済新聞が全市区町村の死亡率と1人当たりの医療費の関係を比較したところ、医療費が高くても死亡率が高い自治体もあり、必ずしもそうではないことが分かった。

 「散布図」というグラフで、横軸は死亡率が右にいくほど高くなるようにし、縦軸は1人当たり医療費を上にいくほど高くなるようにして全国平均との関係で比較すると、4つのタイプが浮かび上がる。

 右上は「医療費が高く、死亡率も高い」タイプ。「多くの医療費を使っているのに、死亡率が高い」地域だ。医療機関が多い大都市が目立つ。病気になる人が多く、医療費がかさんでいる可能性もあるが、投じた医療費が死亡率の改善に寄与していないのかもしれない。

 右下は「医療費は低く、死亡率が高い」タイプ。東北など医療過疎とされる地域が多い。医療機関が少なく、必要な医療を受けられていない可能性がある。

 左上は「医療費は高いが、死亡率が低い」タイプ。右上のタイプと同様、大都市が多いが、治療が死亡率の低減に結びついているとも推測できる。

 左下は「医療費が低く、死亡率も低い」という理想的なタイプ。健康長寿とされる長野県などの自治体が多い。同じ死亡率ならば医療費は低い方がいい。他のタイプが費用対効果を見直す参考になりそうだ。



http://www.nikkei.com/article/DGXLZO 166659 10Q7A520C 1EA3000/
医療費の伸び抑制、地域差是正がカギ 市区町村で最大2.2倍
20 17/5/2 1 1:3 1日本経済新聞 電子版

 日本経済新聞社の調査で、市区町村ごとに 1人当たりの医療費に大きな格差があることが分かった。人口 1万人以上では最大2.2倍あった。医療がより必要になる高齢者の増加に加え、医療技術の進歩や医療サービスの充実で医療費は増え続けている。伸びを抑制するため「まず 1人当たり医療費の地域差を半減すべきだ」との指摘も出ている。

 人口 1万人以上でみると、北海道や熊本県で 1人当たりの医療費が60万円を超える自治体がある一方、群馬県や千葉県などで30万円前後にとどまる自治体があった。

  1人当たりの医療費を押し上げているのは高齢化の影響がある。今回の調査では75歳以上の人口の割合が高いほど、全年代の 1人当たりの医療費が高い傾向があることが分かった。

 一方で今回の調査では75歳以上の人口の割合が 15.6%の長野県佐久市は医療費、死亡率ともに全国平均を下回っていたが、 1 1.5%の札幌市はいずれも全国平均を上回るなど、高齢化だけではない格差も判明した。

 食事や運動といった生活習慣の改善などによる「 1次予防」のほか、がん検診などによる早期発見・早期治療の「2次予防」の取り組みが影響している可能性がある。

 厚生労働省によると、地域によって入院期間の長さや受診回数、薬剤の使用量は大きな違いがあることが分かっている。

 政府の経済財政諮問会議も医療費の伸びを抑制するため、こうした地域差を問題視。民間議員は「入院、外来を含め地域差の半減を推進すべきだ」として、自治体の取り組みを検証する仕組みなどを求めている。(社会部次長 前村聡)



http://www.nikkei.com/article/DGKKZO 16670880R20C 17A5MM8000/
砂上の安心網がん死亡、同じ県内で格差
本社調査 医療費の効果、検証必要

20 17/5/2 1付日本経済新聞 朝刊

  1人当たりの医療費が高いのに、全国平均と比べてがん死亡数が多い市区町村が全体の3割に上ることが20日、日本経済新聞社の調査で分かった。がん死亡の割合を比較したところ、同じ都道府県内でも市区町村間で大きな格差があった。約40兆円の国民医療費は膨らみ続けており、社会保障の持続可能性を高めるため費用と効果を検証し、地域の特性に合わせた対策が必要になる。(砂上の安心網特集面、関連記事総合3面に)

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 日本経済新聞社は年齢調整をした死亡率(死亡数の対全国平均比率=総合2面きょうのことば)と、 1人当たり医療費のデータを入手し、全国 174 1市区町村を初めて分析した。死亡率は全国平均( 100)に対し、死亡数がどのくらい多いか少ないかを示す。 1 10なら 1割高く、80なら2割低いことになる。

 がんは日本人の死因のトップで2人に 1人がかかるとされている。抗がん剤など高額の治療も増え、国の医療費に大きな影響を与えている。

 調査結果から浮かび上がるのは、医療費を多く使っている自治体が必ずしもがんの死亡率を抑えられていない現実だ。男性のがんで医療費と死亡率の関係を調べたところ、いずれも全国平均を上回る自治体は520に上り、全体の29.9%を占めた。札幌市や高知市、大阪市といった医療機関が充実している都市部の自治体が目立った。

 医療行為の価格(診療報酬)は全国で同じだ。 1人当たり医療費が高くなる理由は、同じ疾患でも入院期間が長かったり、受診する回数や検査などが多かったりすることが挙げられる。食生活や運動など生活習慣の違いで地域の患者数が多いことも影響する。

 東京都を分析すると、奥多摩町は男性のがんの死亡率が全国平均を上回っている。特に胃、肝がんの死亡率が高い。医療費は高齢化の影響だけでなく、予防や治療などの対策に課題もあり、全国平均を上回っている。

 対照的に医療費と死亡率がともに全国平均を下回る自治体は428で、全体の24.6%だった。長野県佐久市など健康長寿で知られる自治体が目立った。

 東京都でも杉並区はがんの死亡率が全国平均より2割以上低く、医療費も全国平均を下回っている。区の担当者は「区独自にがん対策の5カ年計画を策定し、予防を中心に対策を強化している」と説明、さらに死亡率を下げる取り組みを推し進めている。

 今回の調査では、このように同じ県内でも市区町村別で医療費と死亡率に大きな格差があることが判明。人口 1万人以上の自治体で比較したところ、死亡率の県内格差は男性は北海道が 1.78倍、女性は鹿児島県が2.30倍で最も大きかった。

 医療費の総額は現在約4 1兆円で、毎年数千億~ 1兆円程度増え続けている。高齢化と医療技術の進歩で医療費の伸びには拍車がかかる見通しで、少子化で支え手が減るなか、効果の検証を通じた抑制策が不可欠になっている。

 政府は7月にも今後6年間のがん対策の基本方針を決定する予定で、都道府県は年度内にがん対策の基本計画を作る必要がある。 10年前の計画で掲げた死亡率などの目標達成は難しい状況だ。

 これまで都道府県の計画は市区町村別の対策まで踏み込んでいないケースが多い。医療費を有効に使うためにも、こうしたデータから死亡率の高い原因を分析し、きめ細かい対策を講じる必要がある。



 日本経済新聞社は日経電子版にビジュアルデータ「全市区町村マップ」を掲載した。住んでいる市区町村を選択すれば、死亡率や医療費の現状を知ることができる。

 調査の概要 市区町村別のがんの死亡率は厚生労働省が算出している「標準化死亡比」を使って都道府県ごとに格差を算出した。年齢構成の違いは調整されているが、人口が少ないと誤差が大きいため人口 1万人以上の市区町村で比較した。
 市区町村別の 1人当たり医療費は、75歳以上の後期高齢者医療制度を運営する各都道府県の広域連合から独自に入手。厚労省が公表している75歳未満が加入する市町村国保のデータと、国勢調査の人口から20 14年度分を推計した。



http://www.medwatch.jp/?p= 13769
収入の大きな病院はさらに収入が増加する傾向、病院の競争が激化―厚労省
20 17/05/ 18 MedWatch

20 15年度における医科病院の 1施設当たり医療費の平均は26億円で、(前年度に比べて7800万円・3. 1%増加)、バラつきがさらに大きくなっている―。

こうした状況が、厚生労働省が 19日に公表した20 15年度版の「施設単位でみる医療費等の分布の状況~医科病院、医科診療所、歯科診療所、保険薬局~」から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院収入のばらつきは年々拡大、収入の大きな病院では、より収入が増加

厚生労働省では、毎月の「医療費の動向」(MEDIAS)の中で医療機関 1施設当たりの医療費データなどを明らかにしています。もっとも、医療機関の規模や状況はさまざまなので、医療機関の規模( 1施設当たりの医療費階級別)別でも医療費の状況を分析しています(前年度の状況はこちら、前々年度の状況はこちら)。

医科病院について見てみると、20 15年度の 1施設当たり医療費は平均で26億円ちょうど。20 1 1年度からの変化を見ると、平均医療費は増加傾向にあり( 1 1年度:23億4900万円→ 12年度:24億 1600万円→ 13年度:24億6400万円→ 14年度:25億2200万円→ 15年度:26億円)、かつ、バラつき(標準偏差)も大きくなっています( 1 1年度:37億3900万円→ 12年度:39億900万円→ 13年度:40億600万円→ 14年度:40億9800万円→ 15年度:42億8 100万円)。

 
後述するように、 1施設当たり医療費は「病院収入」に読み替えることができ、このバラつきが大きくなっていることから、「地域における競争が激化している」ものと伺えます(収入の大きな病院はより大きく、収入の小さな病院はより小さく)。平均在院日数の短縮が進む中で病床稼働率を維持するためには、新規患者をこれまで以上に獲得することが必要となります。このため「より広域での新規患者獲得」を目指すことになりますが、この状況は競合となる病院も同じなので、競争が激化することになるのです。自院の状況を確認することはもちろん、「競合となる他院の状況」「全国における自院の状況」「地域での立ち位置」(今後果たすべき機能)「地域の患者動向」などを総合的に把握して、病床削減や統合・再編すらも視野に入れた経営戦略を練る必要があります(関連記事はこちら)。
また 1施設当たりの医療費階級別に「 1施設当たり医療費の伸び率」を見ると、医療費の少ない病院では医療費の伸び率に大きな幅があり、逆に、医療費の多い病院では、伸び率の幅が小さいこと、また医療費の多い病院のほうが医療費の伸び率が高くなることも分かりました。


「 1施設当たりの医療費」は、いわば「病院収入」と考えることができます。したがって、「収入の少ない病院群では、増収病院と減収病院のばらつきが大きく、収入が大きくなるにつれて増収病院と減収病院の格差が収斂していく」、「収入の少ない病院では、収入源となる病院もあるが、収入の多い病院では安定して収入が増加している」ことが伺えます。入院と入院外に分けると、入院外においてこの傾向がより強いようです。これが、前述の「収入のバラつき拡大」につながっていると考えられ、早急な経営戦略の策定・見直しが必要と言えるでしょう。

 
なお、機能別に病院の「 1日当たり医療費」を見ると、▼特定機能病院で高く、かつバラつきが小さい(施設数が少ないことも関係するが)▼DPC対象病院とそれ以外とでは、DPC病院で高い—ことなども明確になっています。



http://www.medwatch.jp/?p= 13756
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
20 17/05/ 18 MedWatch

従前、各学会が独自に運用していた専門医制度を、国民に分かりやすく標準化するために新専門医制度が創設された。地域医療確保へのさまざまな配慮を行うと同時に、柔軟な仕組みを導入している—。

日本専門医機構は 17日、新専門医制度の詳細をかみ砕いて解説する「概説とQ&A」(平成29年5月 12日版)を公開しました(機構のサイトはこちら)。

新専門医制度の概要や養成方法などを分かりやすく解説


新専門医制度の来年度(20 18年度)からの全面スタートに向けて日本専門医機構では、熱のこもった議論が続けられています。その中で「一部に、新専門医制度や機構に対する誤解がある」ことが分かり、国民や専攻医を含めた関係者に向けて、分かりやすいQ&Aを作成し、順次改訂していくこととしたものです(関連記事はこちら)。

今回公表されたのは初版(平成29年5月 12日版)では、▼専門医制度とは何か、なぜ必要か▼従来の専門医制度と新制度との違いと、その理由▼日本専門医機構とは何か▼専門医の養成方法▼専門医の更新方法▼専攻医を受け入れる施設の対応—などについて解説しています。

例えば、専門医制度とは何かについて、神の手を持つスーパードクターではなく(もちろんこういった医師も必要)、「それぞれの専門領域で、その領域の専門研修を受け、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」であることを明確化。

従来は、各学会が独自に専門医を養成・認定していましたが、国民に分かりやすくするために「専門医制度の標準化」が必要とされたこと、新制度では学会と日本専門医機構が連携して、専門医の養成・認定を行うことを明確化。

養成方法については、▼基本領域ではプログラム制を原則とする▼サブスペシャルティ領域ではプログラム制・カリキュラム制のいずれでもよい—点にも言及。プログラム制とは「定められた年限と研修施設で、必要な症例数などを経験し、専門医資格を取得する仕組み」、カリキュラム制とは「年限や研修施設を定めず、必要な症例数などを経験し、専門医を取得する仕組み」です。カリキュラム制は、「地域医療に従事しながら、自身の状況にあわせて、5年、 10年と時間をかけて専門医資格を取得する」ことが可能ですが、日本専門医機構では「若いうちに集中的に標準的な知識・技術を学ぶことが重要」との考えから、基本領域についてはプログラム制を基本に据えています(関連記事はこちら)。

ただし、厚生労働省に設置された「今後の医師養成の在り方と地域医療の確保に関する検討会」において全国市長会副会長の立谷秀清構成員(相馬市長)らから、カリキュラム制の設置を求める指摘も出ており、今後の議論によっては「基本領域においても必ずカリキュラム制を設置すること」という見直しが行われる可能性もゼロではありません。そうした場合、Q&Aも改訂されることになるでしょう(関連記事はこちらとこちら)。

また研修施設については、次の3つに分類されることを説明しています。

▼基幹施設:それぞれの領域のほとんどの到達目標を経験できる施設(要件は各領域学会が「専門医制度新整備指針」に基づいて定める)

▼連携施設:少なくとも到達目標のある項目について、特に研修することが可能な施設(常勤の指導医勤務が必要)

▼関連施設:専門医研修の継続的な指導体制が整っており適切な研修が行えると判断される施設(常勤の指導医が勤務していなくてもよい)

このうち基幹施設の要件が厳しく「大学病院しか基幹施設になれないのではないか」との指摘が出たことを受け、「専攻医の採用実績が年間350名以上の領域(当面、内科、外科、小児科、整形外科、麻酔科、精神科、産婦人科、救急科)については、原則として、大学病院以外でも基幹施設になれる基準とする」ことを説明しています。もっとも、医師の少ない地域で基幹施設が複数できれば、専攻医も症例も分散してしまうため、日本専門医機構と学会、さらに都道府県協議会(専門医研修に関する協議を行う、都道府県、医師会、大学、病院団体などからなる組織)とで調整を続ける」ことも明確にされています(関連記事はこちらとこちら)。

さらに地域医療への配慮(医師偏在を助長しないように)として、▼東京▼神奈川▼愛知▼大阪▼福岡―の大都市では、「過去5年間の都市部の専門医採用実績の平均値を超えない」ことを原則とする(医師数の減少している外科と産婦人科、採用実績の少ない病理、臨床検査は除く)ことも示しました。


  1. 2017/05/21(日) 20:40:19|
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