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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月14日 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000027306.html
医師812名が回答「大学病院で診療の医師 給与未払い」に関する調査
〜約7割の医師が深刻な問題と解答、一方で「慣例だから」と諦めの声も〜
 
株式会社メンタルヘルステクノロジーズ 2019年7月9日 11時00分

 “心の健康”を IT ソリューションで解決する株式会社メンタルヘルステクノロジーズ(所在地:東京都港区、代表取締役:刀禰真之介、https://mh-tec.co.jp/)は、「大学病院で診療の医師2千人超 給与未払い」に関する報道を受け、医師812名を対象に「大学病院の医師給与未払い問題」についてどう思うか調査しました。

 「深刻な問題だと思う」が68%、「問題だが仕方ないと思う」が27%、「問題だと思わない」が5%と、大学病院での“無給医”は医師も深刻な問題だと思っていることが判明しました。
 一方で、どの選択肢の中にも一定数は「昔からよくある話」「好きで(大学病院を)選んでいる」「修行の身だから仕方ない」という考えの医師もいることが、自由記述から判明しました。
 また、「医局秘書の前でアンケートを回答したので、教授をはじめとした上司への告げ口が怖く、実際は無給なのにも関わらず、給与をもらっていると回答してしまった。」「無給医なしと報告している大学病院でも、週5日勤務のうち、週1日〜2日分の給与しか支払っていないことがほとんどなので、今回の報告は氷山の一角。」という文部科学省の調査に回答した現在大学病院勤務の“無給医”や、“元無給医”からの生の声もありました。

<「深刻な問題だと思う」と回答した医師の意見>

働き方改革はここから改善しないといけない。/勤務医不足/労働条件は、医療の質に直結する。/大学病院のブラック企業体質/昔からある問題で、いままで解決されてこなかったことも問題。/医者も労働者としての権利をしっかり持つべきだ。/労働に対する対価は支払われなければならない。/労働の対価として給料は支払われるべき。/以前にも無給医の自殺などもあり問題化したにもかかわらずいまだに続いている。/医師の世界だけに限らず、職人的な世界にはよくあるひどい話。/

<「問題だが仕方ないと思う」と回答した医師の意見>

以前よりあたりまえのこと。/将来の出世のために仕方がない。/民間は医師不足で困っている。/大学病院は大赤字なので仕方ないのだと思う。/無給医を正規雇用したら医療経済が破綻します。/命を扱う職業であり、ある程度は目をつむらないといけないのではないでしょうか。/大学院生は研究の一環と考えられるため。/

<「問題だと思わない」と回答した医師の意見>

昔からの事。働き方改革で問題となるのは、わかっていた。/嫌なら大学を出ればいい。/私が若い頃は、無給が当たり前だったので、問題だと思わない。/希望して働いている。/以前よりあり、勉強だと思えば結構です。/大学病院以外でも時間外手当てのカットはあります。/研修先を自由に選べるようになったので、大学病院以外で研修可能。それを良しとしている人が、大学病院を選択すべき。/(大学病院と医師)双方納得済み。/

■株式会社メンタルヘルステクノロジーズ 会社概要
設立  :2011年3月8日
代表者 :代表取締役 刀禰真之介
所在地 :東京都港区赤坂3-16-11 東海赤坂ビル4階
資本金 :295,725千円
業務内容:メンタルヘルスソリューションサービス、ITソリューションサービス



https://www.excite.co.jp/news/article/Careerconnection_11623/
“大学病院の無給医問題” 医師の7割が「深刻な問題」と回答 一方で「私が若い頃は無給が当たり前。問題ない」と突き放した声も  
キャリコネ 2019年7月11日 07:00 0

“大学病院の無給医問題” 医師の7割が「深刻な問題」と回答 一方で「私が若い頃は無給が当たり前。問題ない」と突き放した声も

メンタルヘルステクノロジーズは7月9日、「大学病院の医師給与未払い問題」に関する調査結果を発表した。

大学病院で診察をしながら給与を受け取っていない医師が2000人以上いることが文科省の調査でわかった。同社はこれを受けて調査を実施し、医師812人から回答を得た。

「大学病院の医師給与未払い問題についてどう思うか」を聞くと、最も多かったのが「深刻な問題だと思う」(68%)で、以降、「問題だが仕方ないと思う」(27%)、「問題だと思わない」(5%)と、「大学病院での無給医」は医師も重大な問題だと思っていることが明らかになった。

■「労働の対価として支払われるべき」「無給医の自殺があり問題化している」と嘆く声も

「深刻な問題」と答えた医師からは、未払い問題は以前からあったとする声が寄せられた。

「昔からある問題で、いままで解決されてこなかったことも問題」「医師の世界だけに限らず、職人的な世界にはよくあるひどい話」

働き方改革などが進められている昨今、医療の現場も変わらなければいけない、という声も多い。「労働の対価として給料は支払われるべき」という至極真当なコメントもあった。

「医者も労働者としての権利をしっかり持つべきだ」「以前にも無給医の自殺などもあり問題化したにもかかわらずいまだに続いている」

ただ、「問題だが仕方ないと思う」と答えた医師からは、

「以前よりあたりまえのこと」「民間は医師不足で困っている」「大学病院は大赤字なので仕方ないのだと思う」

といった諦めの声が出ていた。他には、「将来の出世のために仕方がない」と、今は我慢の時期だと考える医師もいるようだ。

■「以前よりあり、勉強だと思えば結構です」「嫌なら大学を出ればいい」

一方で「問題だと思わない」と答えた医師からは、「嫌なら大学を出ればいい」と突き放した声が出ていた。

「私が若い頃は、無給が当たり前だったので、問題だと思わない」
「以前よりあり、勉強だと思えば結構です」「大学病院以外でも時間外手当てのカットはあります」

医療現場の過重労働の背景には、常態化している医師不足がある。人材を確保しながら適切に配置していかなければ、国全体の医療レベルが低下しかねない。国が主導となって対策を講じていくべきだろう。

また、文科省の調査に回答した大学病院勤務の「無給医」や、「元無給医」からは、

「医局秘書の前でアンケートを回答したので、教授をはじめとした上司への告げ口が怖く、実際は無給なのにも関わらず、給与をもらっていると回答してしまった」「無給医なしと報告している大学病院でも、週5日勤務のうち、週1日?2日分の給与しか支払っていないことがほとんどなので、今回の報告は氷山の一角」

という声も出ていた。実際は無給状態で働く医師はまだまだいると思われる。無給医があまりにも当たり前の存在になってしまっており、声を上げづらい状況になっているようだ。



https://www.kobe-np.co.jp/news/hokuban/201907/0012504195.shtml
加西市内の分娩医療機関ゼロに 加西病院が受け入れ休止へ  
2019/7/11 05:30神戸新聞NEXT

 市立加西病院(兵庫県加西市北条町横尾1)は、来年2月から分娩医療を休止する、と発表した。産婦人科の常勤医2人のうち1人が今年12月末で退職することになり、補充のめどが立たないため。休止によって市内で出産できる助産院はあるものの医療機関はゼロになる見通しで、今後も医師確保による再開を目指す。婦人科や妊娠初期の診療は続ける。(森 信弘)

 同病院によると、2018年度の産婦人科での出産は210件。既に来年2月ごろ出産予定の妊婦が診察に来ており、早めに対応するため休止を決めた。休止以降の出産予定者には、同県姫路市など近隣の医療機関を紹介する。

 同科では18年末に常勤医3人のうち1人が退職。緊急の帝王切開への対応など安全面を考えて休止も検討したが、市内唯一の分娩ができる医療機関であることなどから、常勤医2人の負担は増えるが、受け入れを続けてきた。

 来年3月に定年を迎える医師の退職が自己都合により12月末に早まった。全国的に産科医不足が問題になる中、同病院は公募などで採用を目指してきたが、現時点で見つかっていない。

 同病院の産婦人科は、06年にも神戸大から派遣された常勤医2人が他病院に移り、分娩を休止。07年11月、病棟を改造して「マタニティセンター」を開設して再開していた。06年の休止以降、産婦人科の常勤医は同大から派遣されていないという。

 北嶋直人・同病院事業管理者兼院長は「何とか常勤医2名態勢で市内の分娩機能を担ってきたが、苦渋の決断をするに至った。理解と協力をお願いしたい」などとするコメントを発表した。

■市の関係者や市民らからショックの声 移住・定住促進へ悪影響の懸念も

 分娩の受け入れ休止が決まった市立加西病院。市の関係者や市民らは一様にショックを受け、移住・定住促進への影響を懸念する声も聞かれた。

 ママの働き方応援隊北播磨校加西学級代表の馬渡友樹子さん(34)は6年前、里帰りして同病院で長男を産み、そのまま定住した。「産後も個室でゆったり過ごせて、スタッフの印象も良かったのに」と残念がる。「やはり近くで産めるのはいい。今後、加西に住もうと考える際のマイナスになるのでは」と心配する。

 分娩可能な医療機関が1カ所しかないのは、加西市の課題だった。2015年に策定した市地域創生戦略のアクションプランでも「産婦人科医院などの誘致」を掲げていた。同市ふるさと創造部の千石剛部長(55)は「これで、移住定住促進の手綱を緩めることにはならない」としながら「休止が弱みになるのは事実で、開業医確保など改善に努力したい」と強調した。

 「分娩は続くと思っていたのにショック」と話すのは「加西病院サポーターの会」副代表の熊谷佳代さん(76)。同病院は2006年にいったん分娩を中止し、07年に再開した経緯があり「再開に向けた運動を考えていきたい」と話した。

 同病院は16、17年度と市一般会計からの追加繰り出しを受けるなど経営が悪化し、現在は改善の取り組みを続け、将来構想の検討も進めている。事務局の片岡建雄総務課長(57)は「分娩が再開できるよう、なんとか医師を誘致したい」と力を込めた。



https://www.kobe-np.co.jp/news/touban/201907/0012500321.shtml
加古川中央市民病院 黒字が過去最大、21億円超  
2019/7/9 20:20 神戸新聞NEXT

 加古川中央市民病院(兵庫県加古川市加古川町本町)を運営する地方独立行政法人「加古川市民病院機構」は9日、2018年度の決算を公表した。経常収支は21億7千万円の黒字で、過去最大の黒字額だった17年度をさらに約2億円上回った。今月で開院から丸3年となる新病院は、年々経営の安定化が進む。

 同日にあった、外部の有識者らでつくる評価委員会で報告した。経常収支の黒字は6年連続。17年度に引き続き、設立者である市の一般会計から繰り入れる運営費負担金(16.6億円)を除いた収支でも黒字を達成した。

(DrG3註:加古川中央市民病院 600床、兵庫県立加古川医療センター 355床、東播磨医療圏(加古川、明石ほか)人口71万人)



https://www.medwatch.jp/?p=27440
1860時間までの時間外労働可能なB水準病院等、どのような手続きで指定(特定)すべきか―医師働き方改革推進検討会  
2019年7月8日|医療計画・地域医療構想

 2024年4月から医師に新たな時間外労働上限が適用される。医師の時間外労働上限は原則「960時間」以下であるが、救急医療現場などでは「1860時間」以下の特例が設けられる。この特例の具体的な動かし方(対象となる医療機関に、どのような要件を設け、どのような手続きで指定するのかなど)を詳細に検討してほしい―。

 厚生労働省は7月5日に「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(以下、今検討会)の初会合を開催し、こういった議論を要請しました。

 医事法制(医療法や医師法など)の改正も視野に入れた検討が行われ、厚労省医政局の吉田学局長は「年内(2019年内)に一定の結論を出してほしい」と要請しています。
 
ここがポイント!
1 B水準病院への特定、まず「評価機能」で労働時間短縮計画の内容などチェック
2 C水準病院、どういった枠組みで「特定」を行うのか詳細に検討
3 医師の健康を確保するための追加的健康確保措置、詳細を議論

B水準病院への特定、まず「評価機能」で労働時間短縮計画の内容などチェック

厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、前検討会)が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)(いわゆるA水準)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)

▽2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める
医師働き方改革検討会1 190328
 
このうちB水準の医療機関は、▼地域医療に欠かせない機能を持つ▼労働時間の短縮等に向けた努力を行ってもA水準達成が難しい▼労働法規に関する違反がない―などの要件を満たしているかを確認し、都道府県が「特定」(指定)。前検討会では「地域医療に欠かせない機能」として次のような例示を行っています。

●地域医療確保のための必要な医療機関(例)
▽3次救急医療機関
▽2次救急医療機関のうち、「年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関」
▽在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
▽公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療確保のために必要と認める医療機関(特に患者が集中する精神科救急や小児救急、へき地の中核的医療機関など)
▽特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替が困難な医療機関・医師(高度のがん治療、移植医療などの極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科など)

 こうした機能を持つ医療機関が「労働時間短縮にしっかり取り組んでいるか(計画を適切に定められているか、実践しているか)」などを、新たに設けられる「評価機能」(都道府県から独立した組織)で確認・評価し、その結果を踏まえて「要件を満たしている」と確認されて初めて、都道府県が水準B医療としての「特定」(指定)を行うのです。

今検討会では、このような「B水準医療機関特定」に関する仕組みをまず固めます。例えば、▼評価機能をどういった組織とし、その役割をどう設定するのか▼医師時間短縮計画の内容や対象医療機関をどう設定するのか▼都道府県による「特定」の仕組み(要件や実務)をどう設定するのか―などが重要な論点となるでしょう。

このうち「評価機能」は、「医療現場の実情・特殊性も十分に理解し、かつ労務管理などにも精通し、個々の医療機関の作成する医師労働時間短縮計画の内容が妥当なもので、その実践がなされているのか」を確認する機関です。B水準医療機関の特定において重要な役割を果たすことから、今検討会構成員からはさまざまな意見が出されました。

例えば今村聡構成員(日本医師会副会長)や城守国斗構成員(日本医師会常任理事)らは、「2024年4月に新たな時間外労働上限が適用されるためには、都道府県が23年度中にB水準医療機関等の特定を終える必要があり、そのためには評価機能による確認は遅くとも2022年度から行われなければならない。時間は極めて限られており、評価機能を新設するのではなく、都道府県に設置されている『医療勤務環境改善支援センター』を機能強化することで対応してはどうか」という旨を提案しています。
医師働き方改革推進検討会1 190705
 
また山本修一構成員(千葉大学医学部附属病院院長)は、「独立性にこだわらず、透明性を確保したうえで、既存組織を活用して制度を前に進めるという考え方も重要である」と指摘。今村構成員・城守構成員と同趣旨に考えと言えそうです。

医療勤務環境改善支援センターは、2014年10月施行の改正医療法に基づき各都道府県に設置されている「医療従事者の勤務環境を改善し、離職防止等に向けた専門的・総合的支援」を行う組織です。機能強化に向けて様々な取り組み(地域医療介護総合確保基金や地方交付税措置などによる人員拡充など)が行われており、医師・看護師等の働き方改革を進めるために「さらなる機能強化」が期待されています。

厚労省は、「評価機能と医療勤務環境改善支援センターとの関係性も含めて、近く『評価機能の在り方』に関する厚労省案を提示する」と述べるにとどめています。

なお、島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)らは「都道府県の業務は、これまでと次元の異なる、難しくハードなものとなる。都道府県がそこをきちんと受け止めなければ、絵に描いた餅になってしまう」と指摘しました。ただし、医師働き方改革は「地域医療の確保」と「医師の健康確保」とを両立させる仕組みで、「困難なので、片方を等閑にする」(地域医療のために医師に犠牲になってもらう、逆に医師の労働時間短縮のために医療水準を低下させる)ことは許されません。また上述のスケジュールを考えれば「都道府県の実情に鑑みれば、実現が難しい」というネガティブな議論をしている時間はありません。実現に向けて関係者が前向きに議論を行っており、島崎構成員にも「実現に向けて都道府県に〇〇の支援を行ってはどうか」というポジティブな提案を期待したいところです。

C水準病院、どういった枠組みで「特定」を行うのか詳細に検討

 また、研修医や高度な医療技術獲得を目指す医師には、一定期間の間に多くの症例を集中的に経験することが求められることから、より長時間の時間外労働がC水準として認められます。その際、例えば「年齢・経験の浅い研修医等では、長時間労働が強いられがちである」といった点などを考慮し、次のような運用を行うことが前検討会で固められました。研修医等が自主的に医療機関を選択し、かつ「不透明な長時間労働が強いられない」ような環境の整備を目指すものと言えます。

【C1】(初期臨床研修医、専攻医)
▼臨床研修病院等が、直近の研修医等の労働実態を踏まえて、自院の研修プログラムの中で「研修医等に関する時間外労働の上限(X時間:1860時間以内で設定する)」を明示し、都道府県知事にC水準医療機関としての特定を受ける

▼病院と勤務医等との間で36協定を締結する(36協定の中で「研修医等については、X時間の労働を可能とし、連続勤務28時間以内・勤務時間インターバル9時間以上などの健康確保措置を図る」ことを明示する)

▼病院側の条件(時間外労働上限X時間など)を踏まえて研修希望医等が応募し、採用され、業務(診療)を開始する

▼勤務実態が、条件(時間外労働上限X時間など)と乖離する場合には、各制度の中で是正(臨床研修病院の指定取り消しなど)し、健康確保措置の未実施については、都道府県知事が是正する(C水準の特定取り消しなど)

 
【C2】(高度技能(心臓血管外科の難易度の高い手術など)の修得を目指す医師)
▼「我が国の医療技術の水準向上に向け、高度な技能(先進的な手術方法など)を持つ医師の育成が公益上必要である」分野を、新たに設ける【審査組織】(医学会などで構成)が予め指定する

▼都道府県知事が、「高度な技能を持つ医師」の育成に必要な体制・設備を持つ医療機関を特定する

▼医療機関と勤務医等との間で36協定を締結する(36協定の中で「高度な技能獲得を目指す医師については、Y時間の労働を可能とし、連続勤務28時間以内・勤務時間インターバル9時間以上などの健康確保措置を図る」ことを明示する)

▼「高度な技能の獲得」を希望する医師が、自ら、主体的に「高度特定技能育成計画」を作成し、その必要性を所属する医療機関(当該医療機関は上述のとおりC水準医療機関として特定されている)に申請する

▼申請を受けた医療機関が、計画に必要な業務について【審査組織】に申請し、承認を受ける

▼この承認によって、当該医師について上記36協定が適用され、協定に基づいた業務を実施する

▼健康確保措置が未実施の場合には、都道府県知事が是正する(C水準の特定取り消しなど)

 
 今検討会では、C水準について▼特定の枠組み▼C2水準を承認する「審査機関」の組織と役割―などを詳細に検討し、固めることになります。

 この点について構成員からは、「C水準について、労働時間短縮に向けた取り組みなどをチェックする仕掛けが必要ではないか」という声がいくつか出ています。

 B水準医療機関では上述のように「評価機能が、医師労働時間短縮計画の内容と実践をチェックする」仕組みが設けられますが、C水準にはこうした仕組みがありません。C1水準では、研修プログラムとして「時短に向けた医療機関の取り組み」が研修医に示され、いわば「研修医がチェックする」とも言えますが、今村構成員らは「何らかの確認・評価を行うことを考えてもよいのではないか」とコメントしています。
医師働き方改革推進検討会2 190705
 

医師の健康を確保するための追加的健康確保措置、詳細を議論

ところで、B水準・C水準医療機関はもちろん、A水準医療機関であっても、一般の労働者よりも長時間の時間外労働が可能になることから、「勤務医の健康」確保が非常に重要です。このため、前検討会では一般的な健康確保(労働安全性法で定められる健診など)のほかに次のような「追加的健康確保措置」をとることをすべての医療機関に義務付ける考えを示しています。

【原則】(A水準)
▽やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務化し、あわせて連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などの努力義務を課す

【地域医療を確保するための特例】(B水準、地域医療確保暫定特例水準)
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とする

【技能向上のための特例】(C水準)
▽連続勤務28時間以内・勤務間インターバル9時間以上などを義務化するとともに、やむを得ず月100時間を超える場合には「産業医等による面接に基づく必要な措置(就労制限など)をとる」ことを義務とし、さらに初期臨床研修医(C1)については更なる配慮を行う
上限が1860時間

この考え方に沿って、今検討会では「追加的健康確保措置の義務化および履行確保」の枠組みについても固めます。厚労省は、特に議論が必要な論点として、▼追加的健康確保措置の履行確保に向けた「都道府県の権限」▼追加的健康確保措置の履行確保に向けた「日常的な管理」「定期的な確認」「未実施時の是正」▼「面接指導」について労働安全衛生法および医事法制面での検討▼追加的健康確保措置とB・C水準医療機関特定との関係―などを掲げています。

上述のとおり、医師の働き方改革は「地域医療の確保」と「医師の健康確保」とを両立するものです。後者の実現に向けた、追加的健康確保措置の詳細な内容がどう設定されるのか、今検討会論議に注目が集まります。

 
 なお、前検討会では、「医師の働き方の実態」を継続的に調査・確認し、B水準の上限(2024年4月から1860時間)の妥当性を確認する方針も固められています。医師の働き方改革が進めば、医師の労働時間が徐々に短くなり、B水準上限も引き下げていけるからです。

この点に関連して今検討会は、まず2019年9月に「医師の働き方実態調査」を行うことを決定しました。1万9000を超える病院・クリニック・介護老人保健施設・介護療養・介護医療院に勤務する14万人超の勤務医を対象に、労働時間の実態などを調べます。2016年に実施された、いわゆる「10万人調査」に続く、「新10万人調査」と言えるでしょう(厚労省のサイトはこちら(調査票案)とこちら(調査概要))。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687685
国立大学病院「増収減益」続く、2018年度決算
赤字は45病院中5病院 、借入金・消費損税も負担大
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学の2018年度決算は、附属病院収益は1兆1444億円で、2017年度よりも404億円増加したものの、人件費や高額医薬品の使用により医業費用が増加、医業利益ベースでは16億円減少で、「増収減益」の状態が続いていることが明らかになった。45の国立大学病院(42の医学部附属病院、2の歯学部附属病院、1の研究所附属病院)のうち、5病院が赤字。運営費交付金やその他の収益・経費などを含めた経常利益も、2017年度よりも50億円減少。7月11日に開催したプレスセミナーで明らかにした。

 国立大学病院長会議会長の山本修一氏は、「経常利益が乏しい上に、借入金償還による負担が大きく経営を圧迫している。特に近年の増収減益により、今後の投資財源は借入金に頼らざるを得ない状況」と述べ、政府の2020年度予算概算要求に向け、運営費交付金の確保のほか、働き方改革に向けた取り組みへの財政支援(医師の待遇改善に必要な財源確保、看護師の特定行為研修の実施機関への支援増額、タスクシフティングのための医師以外の増員に必要な経費の支援)などを求めていく方針。

 今年10月には消費増税も予定されている。2014年度の消費税率8%への引き上げ時には、診療報酬での補填が不十分だったため、2018年度までの5年間で969億円の補填不足が生じている。山本氏は、「10月の増税時には、基本診療料の見直しで100%補填がされるとのことだが、実際には、個々の病院で消費税の負担額は異なるので、病院間の不均衡は残る」と述べ、10月以降、消費税の補填状況を速やかに検証し、見込みと異なる場合には適切な救済措置を求めていく方針。

 その他、政府に対しては、2020年度診療報酬改定の重点的要望事項(特定入院料の算定期間の通算ルールの見直しなど)、臨床研究の推進・強化に向けた支援の充実(認定臨床研究審査委員会の設置と運営に係る費用の支援など)、地域医療への貢献に対する支援の充実(地域医療介護総合確保基金の活用による財政支援など)を求めていく。

 6月20、21日に開催された第73回国立大学病院長会議総会では、「医師の働き方改革」、「病院経営マネジメント」、「グローバル化への対応」という直面する3つの重要課題についてグループディスカッションした。7月からスタートした厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の構成員も務める山本氏は、大学病院の医師をめぐる課題について、「客観的な勤怠管理をどのように行っていくかが課題だが、まだ結論は出ていない。教育、診療、研究に分けて管理ができる仕組みをつくっていきたい」と述べた。その他、厚労省検討会が2018年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が必要になるとしたほか、「長い歴史の中で、慣習化した診療体制について、この機会にどう効率化できるかを、(医師に時間外労働の上限規制が適用される)5年後に向けて真剣に考えてもらいたい」と求めた。

 医療機器の更新間隔、耐用年数の2倍に

 附属病院の収益は2018年度1兆1444億円で、2017年度1兆1040億円から404億円増加。一方、2018年度の人件費は5049億円(2017年度4900億円)、診療経費は7492億円(同7221億円)で、合わせて420億円増加。医業利益は差し引き16億円の減額。

 人件費率は2018年度44.1%でほぼ横ばいだが、金額は増加。医療材料費は、共同購入や価格交渉などの取り組みを進めているものの、右肩上がりで39.7%だった。

 経営を圧迫しているのが、借入金償還。2004年度に国立大学法人化時点で、全体で1兆円を超す債務を承継、その返済は年々進めているが、一方で、施設設備投資は新規借入金に頼らざるを得ない状況。その結果、特に医療機器の更新が年々遅れ、2012年度は更新間隔が耐用年数の1.1倍だったが、2018年度には2倍程度まで延びている。

 「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」
 プレスセミナーではその他、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」も説明。国立大学病院長会議は、2012年に「グランドデザイン」を策定。2016年には、2025年のあるべき将来像を実現するために改訂した。その中に7分野で、計35の提言が盛り込まれており、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」には、2018年度の取り組みと成果、2019年度の行動計画、各大学のケースも掲載している。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190709-00010001-wordleaf-hlth
病院も「定額制」に?かかりつけ医普及のために政府が模索か  
7/9(火) 12:32配信 THE PAGE

 かかりつけ医が月額固定料金になるという新制度の検討が始まったと報道されています。根本匠厚生労働相はこの報道を否定しましたが、定額制の検討を行う意向を示しています。増え続ける医療費に歯止めをかけるため、政府は「かかりつけ医」の制度を普及させようとしていますが、定額料金制もその一環とみてよいでしょう。

背景には医療保険の深刻な財政状況

 このところ年金問題が世間を賑わせていますが、社会保障制度の財政問題という点では実は医療保険の方が深刻な状況です。2016年度における国民医療費の総額は42兆1381億円でしたが、このうち国民が支払う保険料と自己負担分(一般的には3割)でカバーできているのは26兆円に過ぎません。残りは政府や地方自治体などからの補助で成り立っているというのが現実です。医療保険には年金のような積立金はありませんから、その年に徴収した保険料で、医療費をカバーしなければなりません。医療費が高騰するとたちまち財源不足になるという制度的な特徴があります。

 これに加えて日本人は、医療機関を受診する回数が諸外国と比較して極めて多いという特徴があり、これが医療費の増大を招いています。ちょっとした風邪でも大病院の外来に行く人も多く、大病院に患者が集中するという問題も発生しています。政府では大病院への集中を防ぐため、2016年4月から紹介状なしで大病院を受診した場合には最低5000円の初診料がかかる制度を導入しましたが、効果はいまひとつのようです。同様に政府は、かかりつけ医の診断を受けてから、必要に応じて大病院を紹介する制度の導入を検討していますが、かかりつけ医制度に医師会が難色を示していることもあり、こちらもまだ実現していません。

 今回、日本経済新聞が報じたプランは、かかりつけ医を登録制にした上で、診察料を月額の定額とし、患者が気軽に受診できるようにするというものです。基本的にはかかりつけ医が患者の健康状態を把握していますから、必要に応じて大病院を紹介します。患者がかかりつけ医以外を受診した場合は、患者からは追加の自己負担を徴収するとしています。根本厚労相は報道を否定しつつも、定額制は「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」における検討事項であると発言しており、同工程表には「かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討」という記述がありますから、かかりつけ医の普及のために何らかの定額制の形を模索しているものと考えられます。

無駄な検査が減る一方、医師には負担に
 これまで、医療費については患者が受診するたびに支払われる仕組みだったことから、過剰な検査が多くなるという弊害が指摘されていました。定額制にすれば、過剰な検査をしても医師側の利益にならないため、ムダな検査が減るといわれています。一方、定額制にした場合、何度もクリニックを受診する人が増え、医師側に過度な負担がかかる可能性があることも否定できません。

 いずれにせよ高齢化が進む日本の場合、医療費の抑制は避けて通れない課題であり、何らかの対策が必要なことは間違いありません。国民の健康に関わる話ですから、もっとオープンな議論が必要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)



https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67793
中医協総会 人口減少がもたらす地域医療への影響を提起 地域医療構想の実現急ぐべき  
2019/07/11 03:53 ミクスOnline

厚生労働省保険局医療課は7月10日の中医協総会に、人口減少がもたらす地域医療への影響について提起した。同省が示した「2040年を見据えた人口階層別市町村の変動」と題する資料では、北海道夕張市が2015年比で70%人口減少すると指摘。全国の自治体データを示しながら、地域に見合う病院病床数の見直しを急ぐ必要性を指摘した。一方で無薬局町村が約150町村にのぼるとのデータも示し、医療資源の適正配分の必要性を訴求した。国は2025年の医療必要度を示す地域医療構想の実現を急ぐが、入院医療の診療報酬上の評価に加え、医療資源の少ない地域における報酬上の評価の検討など、今後の議論に様々な問題提起をした格好だ。オンライン診療をはじめ、医療ICTの利活用を含めて、リソースの再配分とテクノロジーの活用という新たな切り口での議論を中医協に投げかけた。

この日の中医協総会は、「地域づくり・まちづくりにおける医療のあり方」について保険局医療課が資料を提示する形で議論を行った。入院医療のあり方については、前回2018年度診療報酬改定で急性期一般入院基本料(急性期一般入院料1~7)や地域包括ケア病棟入院料、回復期リハ病棟入院料の見直しなどを行ったところ。改定内容については、検証が待たれるところだが、一方で厚労省の懸案事項としては、地域医療構想の議論の進め方について課題が指摘されていることにある。

◎政府は地域医療構想の実現を命題に

根本厚労相も経済財政諮問会議の席上、地域医療構想の進捗状況を報告し、2025年見込みの病床数について、当初見込みの121.8万床に対し、3.3万床減少するとの見方を報告している。この内容は、財務省の財政審建議や経済財政諮問会議の骨太方針2019でも取り上げられ、今後の医療費適正化策の一環として政府として取り組む姿勢を鮮明にしている。

中医協の議論は、今後診療報酬上の評価が争点となるが、この日の厚労省保険局が示した資料からは、人口段階別市町村の変動を踏まえ、早期に病床機能の見直しを促す狙いが込められている。なお、この日の資料によると、2040年段階で現状人口20万~50万の市町村が2015年に比べて40%に減少する地域として、石巻市、鶴岡市、桐生市など8団体を明示。さらに50%削減する地域として小樽市をあげた。一方、人口3~10万の地域では、滝川市、大船渡市、釜石市など117団体を列挙している。

入院医療提供体制について厚労省は、「医療機関間の機能分化・連携を進めやすくするような評価のあり方について、各入院料の届出等の状況や、前回2018年度診療報酬改定の対応を踏まえどのように考えるか」を論点にあげた。ただ、厚労省が指摘する通り、人口減少に伴う医療機関経営への影響も今後増大することが予想されており、この日の議論をみても、地域医療構想の実現に向けて、各自治体が主導する地域医療調整会議の重要性も再認識される結果となった。

◎薬局と訪問看護ステーションとの連携も重要に

医師の高齢化も進むなかで、各地域の実状に合致した医療提供体制の効率化も求められるところだ。特に在宅医療が中心となるなかで、医療機関と薬局や訪問看護ステーションの連携も重要になる。2018年度診療報酬改定では、多職種での情報共有を通じて地域医療に貢献する薬局に対する評価として「地域支援体制加算」を新設。さらに、医療機関の求めに応じて服薬情報の提供を行った薬局に対する「服薬情報提供料」の評価を拡充するなど、服薬後の安全性情報を把握し、医師と連携して医薬品適正使用に努める薬剤師に手厚い評価を行った。さらに、医療機関などに情報提供する訪問看護ステーションを評価する点数として「療養情報提供加算」を新設した。ただ、情報提供先は医療機関がほとんどで算定も約1割程度にとどまっている現状にある。

看護師や薬剤師へのタスクシフティングも重要になるが、薬局・薬剤師も医師と同様に地域で偏在していることが浮き彫りとなった。この日、厚労省は無薬局村が約150にのぼるとのデータも提示した。こうしたなかで、期待されるのが、遠隔資料や医療ICTを通じた情報共有などによる医療の効率化だ。実際、2018年度に厚労省が、医療資源の少ない地域の医療機関へヒアリングした結果によると、「ICTによる連携とケア会議の運営」や、「eラーニングによる研修」、「遠隔診療」、「ICTを用いた画像情報の連携」などの有用性が指摘されている。この日の中医協では、こうした医療ICT活用についての議論もスタートした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687448
シリーズ 中央社会保険医療協議会
遠隔医療やICT、「医療資源が少ない地域」での活用検討を
地域の実情踏まえた診療報酬求める声、相次ぐ
 
レポート 2019年7月10日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は7月10日、「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」をテーマに議論。日本医師会副会長の今村聡氏は、「医療資源が多いところと、少ないところを切り分けて考えることが必要」と述べ、「医療資源が少ない地域では、医療ニーズがありながら医療が提供できない。患者が医療機関を受診するのも大変。こうした地域でのICTなどの活用をまずはしっかりと議論をしてもらいたい」と求めた。


 厚労省保険局医療課長の森光敬子氏が、資料説明の際に「2040年に向けた人口増減は、各市町村で状況が大きく違う。この点を見据えて検討することが必要」と述べた通り、今村氏と同様に、診療側と支払側の双方から、地域の実情を踏まえた診療報酬の必要性を指摘する意見が相次いだ(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 「僻地とそれ以外の地域では分けて考え、遠隔画像診断やICTを活用した医療などについて、要件を見直す丁寧な議論が必要」(日医常任理事の松本吉郎氏)、「今の診療報酬は都市部を中心に考えられていると思う。今後、人口が減っていく中で、非都市部モデルの診療報酬を考えていくべきではないか」(全日本病院協会会長の猪口雄二氏)、「ICTの活用は、医療資源が少ない地域でこそ生かせるし、必要だと思う。オンライン診療も含めて、医療資源が少ない地域や僻地については考え方を切り離して、そこでどのように医療を提供できるかを考えてもらいたい」(全日本海員組合組合長代行の松浦満晴氏)といった内容だ。

 今後の診療報酬を考える上では、地域医療構想との兼ね合いも問題になる。日医常任理事の城守国斗氏は、「地域医療構想の実現に向け、診療報酬で誘導することは、医療提供体制が地域により多様であり、無理であることを共有してもらいたい。診療報酬が医療提供体制に寄り添う形で進めることを強く要望したい」と求めた。

 一方で、連合総合政策局長の平川則男氏は、「骨太方針2019」を踏まえ、「公立・公的医療機関等に偏った地域医療構想の進め方は問題であると指摘してきた。地域によっては、公立・公的医療機関等が2割くらいしかない。民間の医療機関も踏まえ、人口動態も含めて、真摯に話し合う対応が求められる」とコメント。「骨太方針2019」では、公立・公的医療機関等だけでなく、民間医療機関についても、「2025 年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す」と明記された。

 2040年に向け、人口50%減少する自治体も

 従来以上に地域の実情を踏まえた検討が求められるのは、森光課長が言及したように、今後の人口動態が各市町村によって大きく異なるためだ。厚労省は資料として下記を提示した。

 松本氏は「病床数が要件に含まれる主な診療報酬項目」について言及。許可病床数400床以上、200床以上といった要件がある点数について、同じ病床規模でも地域によって各医療機関が担う役割は異なることを踏まえて検討すべきだとした。日本病院会副会長の島弘志氏は、「どんどん人口が減っていく地域が多数ある。医療を提供することは医療機関の使命だが、一方で患者が減れば経営的に成り立つかという大きな問題もある。こうしたことも含めて、地域の実情に合わせたテーラーメードの考え方もあるべきではないか」と述べた。

 2018年度から都道府県で策定が始まっている「医師確保計画」では、人口10万人当たりの医師数ではなく、医師の年齢や性別、患者の受療行動などを踏まえた「医師偏在指標」を用いている。今村氏は、「(診療報酬上の医療資源の少ない地域の定義として)人口10万人当たりではなく、医師偏在指標を活用する予定はあるのか」と尋ねるとともに、「2040年に向けて人口が減っていく中で、医療・介護従事者の割合が増えてくる。医師については医師確保計画を策定することになっているが、それ以外の看護師や薬剤師などの偏在対策については何も検討されていない」と提起した。

 2018年度診療報酬改定では、一部の点数について要件緩和を行うなど、「医療資源の少ない地域等」に配慮した点数設定がなされた。ICTを活用した遠隔医療の要件緩和など、各地域の実情を踏まえた診療報酬設定をいかに行うかが2020年度改定の焦点の一つになりそうだ。

 連携に先立ち、電子カルテの標準化求める声
 「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」は、7月10日と、次回7月17日の2回に分けて中医協総会で議論する。

 10日の中医協総会のテーマは3つ。(1)地域の状況を踏まえた入院医療の在り方について、(2)地域における情報共有・連携について、(3)医療資源の少ない地域等における医療提供体制について――だ。

 全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、(1)について、2018年度改定で入院料の体系が抜本的に変わったことから、「病床機能の再編、急性期等の入院病床等の削減につながったのかなどを十分に検討すべき」と、同改定の検証を求めた。また各入院料には、退院先および入院元それぞれに応じた連携にかかる評価として、在宅復帰・病床機能連携率等の要件や、在宅や急性期病棟から患者を受け入れた場合の評価等がある。これらの見直しも2020年度改定の論点だが、吉森氏は疾患別に分析するなど、患者動向を細かく見ていくことを求めた。

 (2)については、各メーカーの電子カルテに互換性がないことを問題視し、国が標準規格をつくるべきとの意見が相次いだ。今年10月から、地域医療介護総合確保基金が「医療情報化支援基金」として活用できるようになる。その対象事象は、「オンライン資格確認の導入に向けた医療機関・薬局のシステム整備の支援」、「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入の支援」だ。診療報酬上でも、IT化や情報連携等関連でどんな支援が可能かを検討することになる見通し。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687557]
全自病「地域総合専門医(仮)」の創設を検討
地域医療構想WG、日医提出資料に反発も
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信高橋直純(m3.com編集部)

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は7月10日の定例記者会見で、同協議会などで総合診療専門医の2階建て部分として「地域総合専門医(仮)」の創設を検討する考えを明らかにした。また、日本医師会との意見交換があったことを報告。厚生労働省「地域医療構想に関するワーキンググループ」で日医が公立病院に対する繰入金をまとめた資料を出したことについて、「地域医療構想自体がずれてきており、それが(表に)出てきたのが22回の資料提出。日医には機能的すみ分けを壊すことにつながりかねないがそれで良いかと問いかけたい」と指摘した。

 日本専門医機構の総合診療専門医制度については、全自病と全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)とともに新たな検討委員会を立ち上げ、8月にも第1回の検討会を開くと説明。

(1)特任指導医への要件として認められている両協議会の地域包括ケア・ケア認定の教育部門の中身の充実が必要
(2)サブスペシャルティ(2階部分)が定まっておらず、新たに「地域総合専門医(仮)」(地域包括医療・ケア認定医)の検討

などの課題に早急に取り組む必要があるとしている。末永裕之氏(小牧市病院事業管理者)は、総合診療専門医について、「今のままでは総合診療専門医が育たない。裾野をもっと広くしないといけない」と指摘した。

地域医療構想巡り「日医と意見分かれる」

 7月1日にあった日医との定例意見交換では、地域医療構想について「意見が大きく分かれた(小熊会長)」という。副会長の竹中賢治氏は6月21日の第22回WGで、日医副会長の中川俊男氏が提出した資料について「繰入金の実態を中川氏が出されたが、ここに至っては、地域医療構想の方向性がだいぶ偏ってきていると危惧している。病院の8割は民間だが、地域医療構想の調整会議という利害関係者が集まるところで、公立病院の意義について議論できるのか」と指摘した(WGの議論は『公立・公的病院の「代替可能性」「再編統合」、検証手順おおむね了承』を参照』)。

 小熊氏も「民間がやれる範囲なら自治体としては引いてほしいということだが、『はい、そうですか』と引いてしまうことが住人にとって良いのか。その後に民間が引いて代替できないこともある」として、慎重な議論が必要との見解を強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687160
医学教育や医療の制度変更、私立大運営を圧迫 - 小川彰・医大協会長に聞く◆Vol.1
最大の課題は働き方改革、医学部教員は別扱いを要望
 
インタビュー 2019年7月10日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 大学医学部・医科大学は今、実にさまざまな経営課題に直面している。医学部定員や地域枠の在り方、不適切入試問題、“2023年問題”に向けた国際認証の取得や卒後までも含めたシームレスな医師養成などがその代表例だ。都道府県で2019年度から「医師確保計画」の策定が進む中、多くの医師を抱える大学病院は地域医療を支える役割も期待される。さらに医師の働き方改革への対応が求められる中、明るみになったのが “無給医”問題だ。
 これまで以上に難しい舵取りが求められる中、この5月に日本私立医科大学協会(医大協)会長に就任したのが、岩手医科大学理事長の小川彰氏だ。小川氏に、29の私立大医学部・医科大学を束ねる立場から、今大学が直面している諸問題への考え方、医大協としての対応などをお聞きした(2019年7月5日にインタビュー。全3回の連載)。

――例えば、10年前と比べて、大学医学部を取り巻く経営環境はどう変化したと捉えておられますか。先生が岩手医大学長に就任したのは2008年、理事長就任は2012年とのことです。

 大学は、経営基盤が安定しなければ、学生にいい教育を行うことができません。特に私立大においては経営と教育が連動しており、経営基盤の強化は極めて重要です。ただ、ここ数年の社会の移り変わりは激しく、私立大を取り巻く環境は極めて厳しいと受け止めています。

医大協会長の小川彰氏。課題山積の中、最も重視しているのは医師の働き方改革だという。

――私立大の経営基盤の強化には、どんな要素が関係してくるのでしょうか。

 極めて重要なのは、国の高等教育政策です。医学、医療がものすごく速いスピードで進展する中で、学生からいただく授業料だけでは、きちんとした教育環境を作ることは極めて難しい状況にあるからです。

 日本は資源に乏しい国なので、“人、頭脳が資源”。いい教育を行い、国民一人一人が財産になるための教育をしていくことが大事。戦後、日本が驚異的な経済復興、高度経済成長を成し遂げたのも、教育の成果だったと思います。

 日本はOECD加盟国の中でも、一般政府総支出に占める高等教育支出の割合(2015年現在)は小さく、公財政支出の1.7%であり、これはOECD加盟国平均3%の半分をやや超える程度で、最下位に近い割合です。

 国立大に対する運営費交付金の削減、私立大に対する経常的経費に関する補助の削減――。これらは間違った方向です。私立大については1975年に「私立学校振興助成法」が成立しました。「私立大学に対する国の補助は、速やかに経常的経費の2分の1とするよう努めること」とされましたが、その割合は年々低下、最近は10%を下回っています。中でも医学部教育にはお金がかかるので、その影響を最も受けているのは、私立医科大学、医学部だと思っています。

 こうした中、医学教育改革もさまざまな形で厳しさを増しています。2004年度から大学は文科大臣が認定する第三者機関の認証評価を受けることが法律で義務化されました。その上、医学部については“2023年問題”に対応するため、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準を満たし、日本医学教育評価機構(JACME)の評価を受けなければなりません。

 さらに大学病院において非常に大きいのは、消費税負担問題。働き方改革や男女共同参画への対応も必要で、医療安全・感染対策、臨床研究の推進なども重要課題です。さまざまな医学、医療に対する制度変更が、私立大運営を圧迫していることは確かです。

――その中で、特に重要な動きは何だとお考えですか。

 医師の働き方改革の行方です。これは私立大に限りませんが、大学の教員かつ臨床にも従事する医師の処遇がどうなるかが大変重要です。昔の話ですが、私が若い時、国立仙台病院、今の国立病院機構仙台医療センターの医長から、東北大に助教授(今の准教授)として移った時、給与は3分の1になりました(編集部注:小川氏は脳神経外科医)。

――それは大学教員としての給与。

 その通りです。例えば文学部と医学部の助教授は、仕事の内容が違っても、大学教員という身分は同じであり、給与体系も同じ。それがいまだに続いているわけです。

――大学教員は、専門業務型裁量労働制の適用が可能です。医学部教員の扱いは。

 そこはまだ何も決まっていません。

――医大協として、医学部教員の扱いについて提言などをされる予定は。

 これまでもやっていますが、「医学部教員は別扱いにしてもらいたい」という話はしています。他業種を参照しても、該当する働き方の体系がないからです。

――大学病院で勤務している際は、医療安全を考えると時間外労働の上限規制が必要だと思います。一方で、研究者や教育者としては、他学部の教員と変わらないという二面性があるから難しいから、「該当するものがない」ということ。

 その通りです。大学病院で臨床医として働く。同時に学生に教育を行う。大学に所属する以上、研究もしなければいけない。臨床研究の推進は国家としても重要課題です。

 臨床、教育、研究をどのように線引きし、労働時間の管理をするかは難しい問題です。その際、地域医療への影響も考えなければいけません。働き方改革を医師に強要すれば、地域医療は壊れかねず、結局、そのツケは国民に跳ね返ります。

――医大協として、さらに新たな提言をする予定はあるのですか。時間外労働の上限規制は2024年度からであり、あまり時間はありません。

 医大協には、総務・経営、教育・研究、病院の3つの部会があり、関連する32もの委員会等があります。その中に、働き方改革に関するワーキンググループも新たに設置します。厚労省の検討会等には、医学部・医科大学、大学病院の現状を知っている委員は極めて少ない。厚労省の議論の動向を見ながら、急いで検討していかなければいけないと思っています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/687685
国立大学病院「増収減益」続く、2018年度決算
赤字は45病院中5病院 、借入金・消費損税も負担大
 
レポート 2019年7月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 国立大学の2018年度決算は、附属病院収益は1兆1444億円で、2017年度よりも404億円増加したものの、人件費や高額医薬品の使用により医業費用が増加、医業利益ベースでは16億円減少で、「増収減益」の状態が続いていることが明らかになった。45の国立大学病院(42の医学部附属病院、2の歯学部附属病院、1の研究所附属病院)のうち、5病院が赤字。運営費交付金やその他の収益・経費などを含めた経常利益も、2017年度よりも50億円減少。7月11日に開催したプレスセミナーで明らかにした。

 国立大学病院長会議会長の山本修一氏は、「経常利益が乏しい上に、借入金償還による負担が大きく経営を圧迫している。特に近年の増収減益により、今後の投資財源は借入金に頼らざるを得ない状況」と述べ、政府の2020年度予算概算要求に向け、運営費交付金の確保のほか、働き方改革に向けた取り組みへの財政支援(医師の待遇改善に必要な財源確保、看護師の特定行為研修の実施機関への支援増額、タスクシフティングのための医師以外の増員に必要な経費の支援)などを求めていく方針。

 今年10月には消費増税も予定されている。2014年度の消費税率8%への引き上げ時には、診療報酬での補填が不十分だったため、2018年度までの5年間で969億円の補填不足が生じている。山本氏は、「10月の増税時には、基本診療料の見直しで100%補填がされるとのことだが、実際には、個々の病院で消費税の負担額は異なるので、病院間の不均衡は残る」と述べ、10月以降、消費税の補填状況を速やかに検証し、見込みと異なる場合には適切な救済措置を求めていく方針。

 その他、政府に対しては、2020年度診療報酬改定の重点的要望事項(特定入院料の算定期間の通算ルールの見直しなど)、臨床研究の推進・強化に向けた支援の充実(認定臨床研究審査委員会の設置と運営に係る費用の支援など)、地域医療への貢献に対する支援の充実(地域医療介護総合確保基金の活用による財政支援など)を求めていく。

 6月20、21日に開催された第73回国立大学病院長会議総会では、「医師の働き方改革」、「病院経営マネジメント」、「グローバル化への対応」という直面する3つの重要課題についてグループディスカッションした。7月からスタートした厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の構成員も務める山本氏は、大学病院の医師をめぐる課題について、「客観的な勤怠管理をどのように行っていくかが課題だが、まだ結論は出ていない。教育、診療、研究に分けて管理ができる仕組みをつくっていきたい」と述べた。その他、厚労省検討会が2018年2月にまとめた「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」が必要になるとしたほか、「長い歴史の中で、慣習化した診療体制について、この機会にどう効率化できるかを、(医師に時間外労働の上限規制が適用される)5年後に向けて真剣に考えてもらいたい」と求めた。

 医療機器の更新間隔、耐用年数の2倍に

 附属病院の収益は2018年度1兆1444億円で、2017年度1兆1040億円から404億円増加。一方、2018年度の人件費は5049億円(2017年度4900億円)、診療経費は7492億円(同7221億円)で、合わせて420億円増加。医業利益は差し引き16億円の減額。

 人件費率は2018年度44.1%でほぼ横ばいだが、金額は増加。医療材料費は、共同購入や価格交渉などの取り組みを進めているものの、右肩上がりで39.7%だった。

 経営を圧迫しているのが、借入金償還。2004年度に国立大学法人化時点で、全体で1兆円を超す債務を承継、その返済は年々進めているが、一方で、施設設備投資は新規借入金に頼らざるを得ない状況。その結果、特に医療機器の更新が年々遅れ、2012年度は更新間隔が耐用年数の1.1倍だったが、2018年度には2倍程度まで延びている。

 「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」

 プレスセミナーではその他、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」も説明。国立大学病院長会議は、2012年に「グランドデザイン」を策定。2016年には、2025年のあるべき将来像を実現するために改訂した。その中に7分野で、計35の提言が盛り込まれており、「将来像実現化年次報告2018/行動計画2019」には、2018年度の取り組みと成果、2019年度の行動計画、各大学のケースも掲載している。



https://www.asahi.com/articles/ASM774CQQM77PIHB00C.html
分娩継続、求める意見多く 兵庫・ささやま医療センター  
前田智 2019年7月8日14時00分

 「兵庫医科大学ささやま医療センター」(兵庫県丹波篠山市)の産婦人科で医師不足から分娩(ぶんべん)の取り扱い休止の方針が示されていることを受け、同市の「産科充実に向けての検討会」の第1回会合が6日、開かれた。医師確保などに大学側がどの程度努力をしているかを知りたいと複数の委員から要望があり、27日の次回検討会に大学側関係者を招くことを決めた。

 検討会の委員は医師や福祉関係者、子育て中の女性ら20人。この日の会合では、子育て中の父母や妊娠中の女性を対象としたアンケートの結果を市が報告。7割がセンターでの分娩(ぶんべん)取り扱い継続を希望し、「近くで分娩できることが非常にありがたいので、ぜひ存続を」「安心して出産・子育てができるところがなくなってしまうと、住むことができなくなると感じる」などの意見があったことを示した。

 酒井隆明市長は大学側との初めての正式協議を22日に実施すると報告。「(大学側が)全力を尽くして医師を確保したとは見受けにくい。センターでの分娩取り扱い継続に努力してもらうよう、まずはそこを詰めていきたい」と述べた。(前田智)



http://tanba.jp/2019/07/%e3%80%8c%e6%b2%bb%e3%81%99%e3%80%8d%e3%80%8c%e6%94%af%e3%81%88%e3%82%8b%e3%80%8d%e8%9e%8d%e5%90%88%e3%81%b8%e3%80%80%e5%8c%bb%e7%99%82%e5%b4%a9%e5%a3%8a%e3%81%8b%e3%82%8910%e5%b9%b4%e3%80%81%e7%b5%b1/
「治す」「支える」融合へ 医療崩壊から10年、統合新病院発足 新しい地域医療の船出(上)  
2019年7月9日 丹波新聞

 「一番乗りでええとこに来させてもらった。まっさらな設備で、ええ記念になった」。兵庫県丹波市の同県立柏原病院(県立)と柏原赤十字病院(日赤)の統合を受け、1日に開院したばかりの同県立丹波医療センター(医療センター)に県立から移送された入院患者の男性(85)は、真新しい病室でベッドに腰かけ、にかっと笑った。

 2病院の統合再編問題の発端は2006年。初期研修医の臨床研修制度の変更に端を発し、2病院の医師数が大幅に減り、診療機能が低下。経営も悪化した。14年に両病院の統合再編基本方針が示され、15年に基本計画ができた。着工は17年。隣接する同市立健康センター「ミルネ」と並行で整備を進めた。両施設(病院181億円、ミルネ約26億円)と同敷地内にある同市立看護専門学校(約16・5億円)で事業費は約223・5億円。

急性期と地域包括ケア病床で「病院完結型医療を」

 統合新病院は、閉院した県立と柏原赤十字(日赤)の2病院と同規模の238床で開院した。医療センターと「ミルネ」の2施設で2病院の機能を引き継ぎ、支える医療と治す医療が融合した新しい地域医療をめざす。在宅から急性期まで切れ目ない医療を提供する。

 県立は、急性期病院だったが、日赤にあった「地域包括ケア病床」が加わり、回復期機能を備えたのが新病院の特長。

 手術など急性期の治療は終えたけれど、自宅や施設に退院するにはもう少しケアやリハビリが必要だったり、介護保険サービスを利用するための調整や準備が必要な患者のための病床を1病棟(45床)設けた。

 同病棟専従の石原直幸主任理学療法士は、日赤で地域包括ケア病床を経験済み。「急性期の病床は長く入院をさせられないので『もう少しリハビリを』と思っても転院先を探さなければならないが、地域包括ケア病棟で、そういった患者さんを預かれる」と利点を話す。「病院から在宅へ」が時代の潮流だが、秋田穂束院長は、地域の医療、患者の状況を鑑み「時代に逆行する所があるかもしれないが、ある程度、病院完結型医療を提供していくことになる」とする。

診療所や健診、訪問看護などの機能も充実

 「ミルネ」は、診療所と健診センター、訪問看護ステーションなどが入居する。県が指定管理者になり運営する。診療所(内科)の担当医は、主に医療センターの後期研修医ら若手。訪問診療、訪問看護、訪問リハも提供し、在宅を支える。

 8日から一般健診を始めた健診センターには、4日までに600人の予約が入っている。6月20日から始めた予約受付の電話が鳴り続け、開院しやや落ち着いた。

 日赤時代は1・2階に分かれていた健診センターをワンフロア化。検査機器も最新のものをそろえた。健診に慣れた元日赤の職員が担当する。

 人間ドックのオプションのMRI、CT撮影は、医療センターで行う。

 「ミルネ」の医療・健診部門を統括する大野伯和医療センター副院長は「紹介状なしで受診できる診療所と、予防や早期発見につながる健診センターでみなさんのお役に立てれば。多くの方に使ってもらうことで施設が生きてくる」と話している。



http://tanba.jp/2019/07/%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E6%95%B0v%E5%AD%97%E5%9B%9E%E5%BE%A9%E3%80%81%E5%B8%B8%E5%8B%A450%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%8F%B0%E3%81%AB%E3%80%80%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%BB%E7%9C%8C%E3%81%8B%E3%82%89/
医師数V字回復、常勤50人の大台に 大学・県からの派遣増 新しい地域医療の船出(中)  
2019年7月13日 丹波新聞

 兵庫県丹波市の同県立柏原病院と柏原赤十字病院の統合を受け、1日に開院したばかりの同県立丹波医療センター。6月15日に行われた見学会で、県立柏原の内科患者の女性(77)は、病院ロビー近くに掲示されている各診療科の担当医師の表を指でなぞり主治医の名前を見つけた。「また、こっちでも世話にならんといかん」。友人と顔を見合わせた。

  「医療崩壊」後の2008年、一時期18人まで減った常勤医師は、V字回復。今年7月1日の開院時、50人の大台に乗った。県立時代を含めて最多。08年にゼロだった初期研修医(1、2年目)も過去最多の17人(1人は神戸大から)にまで増えた。

 医療センターの常勤医師の供給源は3つ。最大の供給源は、従来からの神戸大学からの医局派遣。8割ほどを依存しており、大学医局人事抜きでは成り立たない状況に変わりはない。医療センター開院の今年度一気に10人以上増えたのも、主に医局人事による。

 市民の期待が大きい脳神経外科では常勤医師の招へいは実現していないものの、兵庫医科大学の医局から週3日の外来派遣を受け、新たな関係を築こうと模索している。

 もう1つの供給源が、県。県が学費などを負担する代わりに9年間の義務年限を課す県養成医師が5人勤務している。全員が医師免許取得後、3―6年目の若手だ。うち4人が病院の柱の内科で、土台を支えている。

「県養成医師の育成拠点に」

 数年前まで養成医師の派遣は但馬に厚く、丹波は冷遇されていた。赴任前に井戸敏三県知事に、「兵庫県養成医師の育成拠点にしたい」と直談判し、支援を取り付けた秋田穂束院長の着任(13年4月)後、安定的に派遣されるようになった。県養成医師出身の見坂恒明・神戸大特命教授が、院内の「地域医療教育センター長」として教育を担当している点が、派遣される養成医師の安心につながっている。

 医療センターに隣接する丹波市の診療所「ミルネ」は主に、養成医師が担当する。4月から赴任した井崎真理医師(内科)もその1人。「多様な症例が診られるので勉強になる。教育が充実しており、研修医も優秀」と、好印象を持っている。

 大学や県のひも付きでなく、自身の考えで就職した医師も数人あり、神戸大学依存100%だった「崩壊前」と比べ、多様性が生まれている。

「崩壊前」水準に戻らぬ外科系

 医師数回復の端緒となった、今も続く、県市が費用負担し神戸大学と県立柏原で医師を育成する「循環型人材育成プログラム」で、09年に赴任した河崎悟内科部長は、自身が再開させた循環器内科の24時間365日の救急受け入れの継続に心を砕く。現在のチームは7人。「当番制で個々の負担を軽くし、以前のように医師の退職で診療体制が崩壊することがないよう留意している」と言う。

 18人を数える内科を除けば、各科1―6人。外科系は「崩壊前」の人数に戻っていない。他病院と比べ多い訳でもない。大学、県と連携しさらに医師を招へいし、診療を充実させていく。



  1. 2019/07/14(日) 06:24:08|
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7月7日 

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190703-OYTEW383804/
地域の医師不足解消に新提案 シニア医師のセカンドキャリアを支援  
2019年7月3日 読売新聞

医師が都市部に集中、深刻な地域偏在

 日本全体での医師の数は年々増えているのに、地域の医師不足は一向に解消されない。日本では医師免許があれば、どこの地域で働くかや、何の診療科を 標榜ひょうぼう するかは原則、自由であるためだ。医師が都市部に集中し、地方で不足する「医師の偏在」が生じる。

 地域の人口に医療ニーズなどの要素を加えて厚生労働省が推計した「医師偏在指標」によると、医師が最も充実している東京都と最も不足している岩手県では、約2倍の格差がある。同じ都道府県のなかでも、県庁所在地などの都市部と地方では差が大きい。

新設医大の卒業生が定年年齢に

 そんな中、あるNPO法人の発案で、ユニークな医師偏在対策の計画が進行中だ。

 名付けて「医師のセカンドキャリアと地域医療を支えるネットワーク」。都市部の病院で定年を迎えた医師の第二の人生を、地域医療のために役立ててもらおうという取り組みだ。

 呼びかけたのは、NPO法人「全世代」。地域医療機能推進機構(JCHO)理事長の尾身茂さんらが代表理事を務める。以前には医師偏在対策を提案し、地方で一定期間勤務することを将来の病院長になる要件とするなどの国の政策にも反映された“実績”もある。

 着目したのは、公立病院などで定年を迎える医師の急増が近年、見込まれること。実は、1970年代の「一県一医大構想」によって全国各地に医学部が新設され、医学部の入学定員は1学年4000人ほどから8000人程度へと倍増した。その「倍増世代」の医師が、そろそろ60~65歳の公立病院などでは定年を迎える時期になったというわけだ。

再就職の希望と病院の求人をマッチング

 定年を迎えたとは言え、医師としてはまだまだ現役。経験や知識を、医師不足に悩む地域で生かしてもらうことは、地域の医療のためにも、また医師の第二の人生のためにも有益ではないかとの構想だ。

 日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、全国自治体病院協議会、全国国民健康保険診療施設協議会などが集って、今年初めから会合を重ね、6月に事業の概要がまとまった。

 それによると、参加団体でつくる連絡協議会が運営の主体となり、NPO法人「全世代」が事務局となって、定年後の再就職を希望する医師と病院側の求人とのマッチング業務を行う。あっせんが成立したら、病院側から成功報酬を得て運営資金とする仕組みだ。

 2020年4月の医師の就業開始を視野に、定年退職後のセカンドキャリアを検討している医師や、地方の病院の求人調査を進めたい考えだ。

多様な働き方を地域医療に活用

 医師の転職をあっせんする民間業者は、実は数多い。地方の病院は求人を出しても、なかなか医師が見つからず、慢性的な医師不足状態にある。議論の中では、いかにして、定年後に地方で働く意欲のある医師の情報を把握するか、フルタイムではなくても、趣味などを楽しみながら週2、3日勤務するといった多様な働き方も考えられる――などの意見が出された。

 医師が少ない地方では、一人の医師が幅広い患者を診ることができる「総合医」の果たす役割が大きい。それと同時に、豊富な経験と技術を持つシニアの「専門医」の存在も求められている。

 国は、専門医の養成数に都道府県別、診療科別の枠を設ける検討も始めた。先に述べた地域勤務の病院管理者要件などとも合わせ、医師の偏在解消には総合的な取り組みが重要になる。シニア医師のセカンドキャリアを支援する今回の新提案がその一助になるか、注目だ。(田村良彦 読売新聞専門委員)



https://digital.asahi.com/articles/ASM6P7J69M6PPTIB00L.html?rm=316
外来も当直も1人で 医師流出にあえぐ山あいの総合病院  
市野塊 2019年7月5日10時00分 朝日新聞

 都会への人材流出は医療現場も例外ではない。島根県内の多くの医療機関は慢性的な医師不足に陥っている。

開業医と病院勤務、兼業OK 医師確保へ島根で取り組み

 人口約6千人の山あいの吉賀町。社会医療法人「石州会」が運営する総合病院「六日市病院」(110床)は2000年に18人だった常勤医が現在、3分の1の6人だ。鹿足郡で唯一の24時間対応の救急病院だが、谷浦博之院長(61)は「今は救急を維持するぎりぎりの人数。これ以上減ると回せない」と打ち明ける。

 医師の減少に合わせて診療方法を工夫してきた。14あった診療科の区分はなくなり、一般外来は数年前から基本的に医師が1人で対応する。手術に先立って必要な麻酔科の医師は非常勤しかいないため、別の病院に手術をお願いすることもしばしばという。

 夜間の急患や入院患者に対応する当直も1人で受け持ち、急患が立て続けに来ると、受け入れを断ることも以前より増えた。

 一方、院内感染を防ぐための対応策の取りまとめなど、院内環境の管理のために医療法上、医師が務めなければならない業務は多い。医師が会議や資料作成などに費やす時間は年々増えているという。

 医師不足を招いた原因は、大学の付属病院が各地の病院に医師を派遣してきた医局制度の弱体化だ。2004年に新臨床研修制度が始まり、研修医が自由に研修先を選べるようになると、多くが医療施設の充実した都会の大病院に流れ、医局に所属する医師も減った。六日市病院もそのあおりを受け、島根大学付属病院からの派遣が見込めなくなった。独自に医師を募集しても、なかなか採用には至らず、ここ10年は慢性的な医師不足にあえぐ。

 今春、2人の医師が病院を去ることになり、谷浦院長が母校の島根大にかけあい、ようやく1人を確保できた。ただ、単年度の契約のため、次年度も派遣が続くかは見通せない。

 六日市病院で救急対応できなければ、車で1時間ほどの山口県岩国市や益田市まで搬送しなければならない。谷浦院長は「生死に関わる救急はやめるわけにはいかないが、どこまでやれるのだろうか」と漏らす。

必要な医師数満たせず

 県と厚生労働省によると、100平方キロメートルあたりの医師数(医師密度)は全国平均85人に対し、島根は全国41番目の29人。特に松江、出雲、安来以外では7~18人となっている。

 また、半径約4キロ以内に50人以上が住みながら、医療機関の受診が困難な地区「無医地区」は、同省によると14年時点で県西部などに計21地区もある。

 町立奥出雲病院では常勤医が08年に10人いたが、現在5人。大田市立病院は、医師不足で10~12年に一時的に救急告示病院ではなくなることもあった。

 県独自でまとめた2018年度の勤務医師実態調査によると、個人で開業している診療所と島根大学病院を除いた、県内の病院と公立診療所で働く医師の実働数は990人で、県が各医療機関に聞いた、必要だと思う医師の数の1237人には、247人足りない。調査を始めた06年の不足数232人から状況はほとんど変わっていない。

UIターンの支援も

 県も対策は打ってきた。

 02年から全国に先駆けて、県内外の医師に登録してもらい過疎地の医療機関の働き口を紹介する「赤ひげバンク」制度を始めた。毎年約10人がUIターンするという。卒業後に県内の医療機関で働けば返還を免除する奨学金も作った。医師確保などの事業費は当初予算で09年度で約4億2600万円だったが、19年度は約8億円と倍増した。

 県健康福祉部の木村清志医療統括監は「医師も不便な地方での暮らしへの抵抗感があり、行きたがらない。高齢化が進む地域医療の意義ややりがいに関心がある人材を若いうちから育てていきたい」と話す。(市野塊)



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47029310V00C19A7CR8000/
地域枠出身者、5病院で不適切採用   
2019/7/5 20:42 日本経済新聞

都道府県から奨学金を貸与される見返りに卒業後は一定期間、指定された地域で医療に従事する大学医学部の地域枠制度を巡り、東京医科大病院(東京都)を含む5つの病院が2018年度中、勤務地制限に反する地域枠出身者を研修医として採用していたことが5日分かった。厚生労働省は不適切な採用だったとして、これらの病院への補助金減額を検討する。

医師不足地域の解消に向け、医学部は地域枠に限って臨時の定員増が認められてきた。勤務地制限を無視した採用や就職は、制度の形骸化につながる恐れがある。

厚労省によると、不適切採用をしていたのはほかに、新松戸中央総合病院(千葉県松戸市)、相模原協同病院(相模原市)、製鉄記念広畑病院(兵庫県姫路市)、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県南風原町)。東京医科大を含め、国からそれぞれ1千万円前後の補助金が交付されている。

東京医科大病院と新松戸中央総合病院は、茨城県が設けた地域枠の学生を採用。製鉄記念広畑病院は高知県の地域枠の学生、相模原協同病院と沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは宮崎県の地域枠の学生を採用していた。

東京医科大病院に採用された地域枠出身の女性は茨城県に奨学金を返済。県の聞き取りに「都内にある祖母が開業した医院を継ぎたい。都内の病院で臨床研修をして人脈を早く築きたい」と理由を説明。新松戸中央総合病院に採用された地域枠出身者は「母親の具合が悪いので、そばにいたい」と話したという。〔共同〕



https://www.m3.com/news/iryoishin/686140
医師確保計画は「自由開業制」規制にあらず - 今村聡・日医副会長に聞く
専門医制、“高久検討会”報告を上書きしない限り根本変わらず 
 
レポート 2019年7月4日 (木)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)
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 6月23日の第145回日本医師会定例代議員会で、複数の代議員から呈せられたのが、4月から医師偏在対策として各都道府県で策定が始まった「医師確保計画」と、新専門医制度でのシーリング(専攻医の募集定員の上限)への懸念だ。開業規制や診療科選択の制限になるのでは、との指摘が相次いだ(『「診療科、開業の選択の権利を保障」今村日医副会長』を参照)。
 日医の担当副会長で、厚生労働省の関係審議会等の委員、日本専門医機構副理事長を務める今村聡氏に、代議員会の議論の受け止めと、2つの課題への日医の基本的な考え方などをお聞きした(2019年7月1日にインタビュー)。

――定例代議員会では、「外来医療計画」が自由開業制の制限につながるのではないか、という懸念が呈せられました。

 「外来医療計画」については今年3月の代議員会でも質問が出て、「自由開業制を制限するものではない」と説明しましたが、まだそう捉える方が多いようです。


日医副会長の今村聡氏
 私は厚労省の「医師需給分科会」の議論にずっと関わってきました。まず2016年6月の第1次中間取りまとめでは、マクロの医師需給推計を行いました(『医学部定員、最低でも「9262人」、2019年度まで』を参照)。ただし、いくら医師養成数を増やしてもなかなか偏在解消にはつながらないことから、2017年12月の第2次中間取りまとめでは具体的な偏在対策を盛り込み、それが医療法・医師法改正につながりました(『厚労省、医師偏在対策で関連法案、来年国会提出へ』を参照)。2018年5月の第3次取りまとめでは2020年度と2021年度の医学部定員を決定(『医師需給の「第3次中間取りまとめ」、了承』を参照)。今年3月の第4次取りまとめを基に、「医師確保計画策定ガイドライン」「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」が作成されました(『医師偏在対策、第4次中間取りまとめ(たたき台)を提示』を参照)。この流れをまずご理解いただきたい。

 従来から医療計画では、「医療従事者の確保」を定めることを求めていましたが、具体性に欠けていました。都道府県も検討の基となるデータ等がない中で、何をやるべきか分からなかったのだと思います。そこで今回の医療法改正を受けて、具体的な施策を盛り込んで策定を求めているのが、「医師確保計画」です。「人口10万人当たりの医師数」の代わりに、医師の年齢や性別、患者の年齢や受療行動、働き方改革に基づく医師の労働時間規制などの要素を盛り込んで試算した結果について、上位3分の1を「医師多数区域」、下位3分の1を「医師少数区域」に設定。2036年までを5期に分けて、「医師少数区域」を段階的に解消していこうというのが、「医師確保計画」です。

 また「外来医療計画」の中で、地域の外来医療の現状を“見える化”するよう提案したのは、我々です。今、開業される先生方の中には、医療コンサルタント等の業者に言われるがままに、既に供給過剰な状況の地域で開業してしまい、経営が成り立たず、すぐにやめてしまうケースも多いからです。開業するにはどの地域が適切かを“見える化”する。「外来医師多数区域」で開業する場合には、在宅医療、初期救急(夜間・休日の診療)、公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)など、「地域に必要とされる医療機能」を担うようお願いできないかという枠組みなのです。これは強制力を持つものではなく、決して国の管理でも、自由開業規制でもありません。

――新専門医制度における地域別、診療科別のシーリング(専攻医の募集定員の上限)についても懸念の声が上がりました。

 今の専門医の仕組みの土台となっているのが、いわゆる「高久検討会」(編集部注:当時の日本医学会会長の高久史麿氏が座長を務め、2013年5月に報告書をまとめた、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」)です。その報告書に「少なくとも、現在以上に医師が偏在することのないよう、地域医療に十分配慮すべきである」と書かれています。この報告書を上書きするようなことがない限り、今の専門医の仕組みを根本的に変えるのは難しいと思います。

 シーリングは、医師の働き方改革とも密接に関連しています。厚労省は地域医療構想、医師偏在対策、医師の働き方改革を「三位一体改革」と呼んでいますが、もともと3つの改革を絡めて制度を設計したわけではなく、それぞれ進められていました。最後に出てきたのが医師の働き方改革。2024年度から時間外労働の上限規制が適用になり、罰則もあるため、(時間外労働が長時間になる診療科の医師を確保するため)診療科偏在の是正が喫緊の課題となり、その一つの方法として専攻医のシーリングがあると認識しています。

 いろいろな改革が複雑に絡んでいる中で、厚労省が機械的な試算の結果を十分な説明もないままに示したことで、現場の先生方が地域医療の実態、現場感覚と乖離していることを強く懸念しているというのが私の受け止めです。

――医師不足、診療科偏在是正には、総合的な診療能力を持つ医師を養成すべきとの意見が、その延長線上では出てきます。

 細分化されたサブスペシャルティ領域の専門医ばかりが養成されると、事実上、医師不足がますます加速してしまうでしょう。特に超高齢社会においては、複数の疾患を抱える患者さんが増え、総合的に幅広く診ることができる医師のニーズが高まり、総合診療専門医ができたのだと思います。総合診療専門医は、専門研修プログラムの下で研修した、学術的な裏付けを持つ専門医。その養成は他の領域と異なり日本専門医機構が担っており、現在走りながら改善を図り進めているところです。

 もっとも、短時間で多数の総合診療専門医を養成することはできません。今は自分の専門領域を持ちながら開業し、診療領域の幅を広げる先生方がかかりつけ医機能の大半を担っています。「日医かかりつけ医機能研修制度」に力を入れているのもそのためです。今後、そうした先生方と連携を取りながら、総合診療専門医が地域で果たす役割は極めて大きいと感じています。

――総合診療専門医はどのくらいの数が必要だとお考えですか。

 総合診療専門医の必要性は認めていますが、目標数を決めて養成するやり方は違うのではないかと思っています。それは目標数を決めると、専門医の「質」よりも、「量」に重点が置かれる懸念があるからです。また総合診療専門医がどんな地域で、どんな活躍していくかなどを見極めながら、丁寧に養成していく必要があると考えています。例えば、臓器別専門医が多い大都市で、かつ円滑な医療連携体制が構築されているところであれば、総合診療専門医のニーズはそれほど高くはないかもしれません。今は、学問的に高い総合診療能力を持つ医師を養成しつつ、その方々がどんな地域で働くことになるのかを見極めながら、養成をしていくプロセスにあると理解しています。

――では、「医師確保計画」の各都道府県の進捗はどんな状況なのでしょうか。

 まだ各都道府県の首長や担当者、医師会などの理解が進んでいない状況かと思います。「医師確保計画」を作成し、医師の偏在解消を進めるという考え方自体は間違っていないと思います。ただ、関係者に理解してもらうためのプロセスが事務的で、丁寧な説明が十分にできているとは思えません。

――「医師偏在指標」や「外来医師偏在指標」が妥当なのか、その根拠、検証を求める声が強いです。

 先ほども触れましたが、偏在指標は、絶対数の多寡を表わしたものではなく、相対的な指標です。例えば、高齢医師が多いA県の医師100人と、若手~中堅も多い東京都の医師100人では、全体の仕事量が異なるのは当然です。また高齢化が進んだB県の住民100人と、東京都の住民100人では、医療ニーズはおのずから違います。従来の「人口10万人当たりの医師数」に代えて、こうした要素を加味した数値が偏在指標です。考え方を決めて機械的に計算しただけなので、あとは各地域でどう解釈して対応していくか、丁寧に議論していただきたい。

 「医師確保計画」の第一期は、「医師少数区域」とされた県が、あとどのくらい医師を確保していくのかという対策を立てるわけですが、それを機械的に算出することはできても、実際に必要な医師を確保していくのはとても大変なことです。

――「地域枠」において診療科選択までも、規定するのでしょか。

 既に産科や小児科、あるいは外科系、内科系など、卒業後の専門領域まで提案して、「地域枠」を運営しているところがあります。入学後に強制的に指示することは問題ですが、入試の段階で幾つかの選択肢を提案して、双方の合意の基に運営するのであれば問題ないと思います。

――「地域枠」による対策が効果が出るまでには、医学部、初期臨床研修を経ることを考えると、6~8年間かかります。それまでの間は、どう乗り切ればいいのでしょうか。

 確かに、すぐには解決できないでしょう。しかし、このままでは何も解決できません。手を打てるところから始めていく以外にありません。

――各都道府県医師会は、地元で「医師確保計画」の議論に参加していくことになります。

 既にある県からは、「説明に来てほしい」との依頼も受けています。当然、困っている点があれば支援するのが、日医の役割であり基本的なスタンスです。



https://www.medwatch.jp/?p=27410
医師・看護師等の宿日直、通常業務から解放され、軽度・短時間業務のみの場合に限り許可―厚労省  
2019年7月5日|医療計画・地域医療構想 MedWatch


 医師・看護師等の宿日直は、「通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のもの」で、「特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務」実施のみを行う場合に限って認められる。例えば、夜間の救急搬送患者が常に多く、それに少ない宿直医等で対応しなければならないなど、「通常の業務と同態様の業務」が稀でないような場合には、宿日直は認めらない(夜勤である)―。

 厚生労働省は7月1日に通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」を示し、こうした考えを明らかにしました(関連記事はこちら)。

ここがポイント!
1 少数の要注意患者の状態変動に対応した問診や看護師への指示等は、宿日直業務の範囲内
2 宿日直担当医と患者数のバランス見て、通常業務が稀でないケースは宿日直不許可

少数の要注意患者の状態変動に対応した問診や看護師への指示等は、宿日直業務の範囲内

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(検討会)が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)。ただし地域医療確保に欠かせないケースや、症例経験を積む必要があるケースでは、特例的に年間1860時間以下までの時間外労働を可能とする

▽2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める

 
 ところで、労働時間をカウントするにあたり「宿日直の時間をどう考えるのか」という問題があります。

 「宿日直」は、労働基準法において「労働密度がまばらで、労働時間規制を適用しなくとも、必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働」として、労働基準監督署長の「許可」を受けた場合には労働時間規制の適用から除外されます。逆に、労働密度がまばらでないなどの場合には、宿日直としては許可されず、時間外労働と扱わなければなりません。宿日直を許可する基準が緩すぎれば「実際に労働に近い勤務を行っているにもかかわらず、労働時間にカウントされない」という問題が、逆に基準が厳しすぎれば「休息しているにすぎないにもかかわらず、労働時間にカウントされてしまう」という問題が生じます。

この点、医療(医師、看護師等)においては、▼病室の定時巡回▼異常患者の医師への報告▼少数の要注意患者の定時検脈、検温—など、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務に限る」といった基準(宿日直許可基準)が1949年に設けられていました。しかし、医療が高度化した現代社会には、この基準は医療現場の実態に合っておらず、検討会では「宿日直として許可されるケースが少なく、いわゆる寝当直も労働時間にカウントされてしまう」との指摘が相次ぎ、「現代の医療に合った内容に見直す」方針を決定(関連記事はこちら)。厚労省がこの方針に沿い、今般、具体的な考え方を示したものです。

まず、医師・看護師については、一般的な宿日直の要件(常態としてほとんど労働する必要がないなど)を満たし、「次の条件のすべてを満たす」かつ「夜間に十分な睡眠がとり得る(宿直の場合)」場合に許可される(宿日直手当の支給が必要だが、労働時間にはカウントされない)ことが明確にされました。

▽通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものである

→通常の勤務時間終了後もなお、通常の勤務態様が継続している間は、通常の勤務時間の拘束から解放されたとは言えず、その間の勤務は宿日直の許可の対象とならない(労働時間である)

▽宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限る

【医療における特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務の例】
▼医師が、少数の要注意患者の状態変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む、以下同)や看護師等に対する指示、確認を行う
▼医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(非輪番日など)に、少数の軽症外来患者や、かかりつけ患者の状態変動に対応するため、問診等による診察等や看護師等に対する指示、確認を行う
▼看護職員が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(非輪番日など)に、少数の軽症外来患者や、かかりつけ患者の状態変動に対応するため、問診等や医師への報告を行う
▼看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行う

 
なお、医師が▼突発的な事故による応急患者の診療▼入院患者の死亡、出産等への対応―を行ったり、看護師等が医師にあらかじめ指示された処置を行うことなどの「通常の勤務時間と同態様の業務」は、「医療における特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務」には該当しません。

宿日直担当医と患者数のバランス見て、通常業務が稀でないケースは宿日直不許可

上述の基準を満たし「宿日直の許可」が得られ、宿日直を行っている場合に、医師が▼突発的な事故による応急患者の診療▼入院患者の死亡、出産等への対応―を行ったり、看護師等が医師にあらかじめ指示された処置を行うことなどの「通常の勤務時間と同態様の業務」に従事することが生じます。この点について厚労省は、「稀で、一般的にみて、常態としてほとんど労働することがない勤務である」かつ「宿直の場合には、夜間に十分な睡眠がとり得る」場合には、「宿日直の許可を取り消す必要はない」ことを示しました。ただし、こうした「通常の勤務時間と同態様の業務に従事する時間」については、労働基準法に基づく割増賃金が支払われなければいけません。

厚労省では、こうした点に鑑み、▼宿日直に対応する医師等数▼宿日直で担当する患者数▼当該病院等に夜間・休日に来院する急病患者の発生率―との関係等から「通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが常態」と判断される場合には、宿日直の許可は得られないことも示しています。

 
 さらに、厚労省は▼宿日直は、1つの医療機関等でも「所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って許可する」ことができる(例えば、「医師以外のみ許可する」「医師について深夜帯のみ許可する」「外来対応業務は許可基準に該当しないが、病棟宿日直業務は許可基準に該当する場合に、病棟宿日直業務のみ許可する」など)▼小規模医療機関では医師等が医療機関等に居住している場合があるが、これを宿日直として取り扱う必要はない(ただし、通常の勤務時間と同態様の業務に従事するときには割増賃金が必要)―ことなども示しています。



https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20190704-OYT1T50308/
社説
「無給医」問題 不適切な労働慣行を改めよ 
 
2019/07/05 05:00 読売新聞

 診療に携わりながら、働きに見合う給与を支給されない。不適切な「無給医」の慣行を改める必要がある。

 文部科学省が全国108の大学病院を調査したところ、2191人の無給医が確認された。大学教員らを除いた約3万人の勤務医の約7%に当たる。

 「精査中」と回答した大学病院もあり、最終的な無給医の人数はさらに増える可能性がある。

 文科省が労務管理の改善を求めたのは当然だ。各大学病院は適切な支払いに努めてもらいたい。

 無給医の多くは、医師免許を持つ大学院生や、専門医を目指す専攻医らだ。大学病院は、こうした医師が自己研鑽けんさんや研究目的の一環で診療を行っている、という理由で給与を払っていなかった。

 ところが、実際は診療のローテーションに入るなど、通常の勤務医と変わらない仕事をしていた。労働者としての実態があるのは明らかである。労働者への給与支払い義務を定めた労働基準法に抵触する疑いが強い。

 大半の無給医は、他の病院でのアルバイトで生計を立てており、過剰労働に陥りやすい。疲れのたまった状態で診療を行えば、ミスの可能性が高まり、患者を危険にさらすことになりかねない。

 見過ごせないのは、雇用契約が結ばれていない医師と労災保険に未加入の医師が、全国の大学病院に6000人以上いたことだ。

 雇用契約がなければ、勤務時間や休暇の管理が行われない。労災保険に加入していないと、院内感染などの際に、労災認定を受けられなくなる。大学病院は、早急に是正しなければならない。

 無給医の慣行が大学病院で続いていた背景には、「医局」の仕組みがある。医局は、教授を頂点とするピラミッド構造で、大学院生や専攻医は底辺にいる。

 医局の教授は、博士号の取得や、専攻医らの就職先となる関連病院の人事に強い影響力を持つ。このため、不適切な処遇を受けても、大学院生らは改善を要求できなかった面もあるのだろう。

 大学病院では給与を払える医師の数は限られている一方で、業務量は多いため、無給医で業務を維持させているとの指摘がある。

 医師の少ない地方の病院に、大学病院から無給医がアルバイト医師として派遣され、地域医療を支えている実態もある。

 医師の人手不足を無給医で穴埋めするという、いびつな構造をどう改善していくのか。総合的な対策の検討も求められる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/685483
シリーズ 参院議員選挙2019
地方の医療現場の声を「医師確保の困難、都会に分からない」―小松裕・参院選立候補予定者に聞く
働き方改革「働く=つらい」が間違い
 
スペシャル企画 2019年7月3日 (水)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 今夏の参院選で、自民党からの長野選挙区での出馬を予定している医師、小松裕(ゆたか)氏。スポーツドクターとして5度のオリンピックに参加した経験などを持ち、2012年に自民党の公募に応募、衆院議員2期5年間を務めた。今回は参議院に鞍替えし、国政復帰を狙う。参院選にかける思いを聞いた(2019年6月26日にインタビュー)。

――2期5年間(2012―2017年)の衆院議員としての医療関係の実績をお聞かせください。

 脳卒中・循環器病対策基本法(2018年12月公布)は最初、自公の議連から始まりました。この中身は、石井みどり氏(自民党参院議員)らと一緒に私が走り回り、固めました。成立は私が落選してからでしたが(笑)。昨年末の国会で成立した成育基本法もそうです。


 健康とスポーツの関わりでは、2015年に発足したスポーツ庁も、初当選以来、議連PTの幹事としてその設立を後押ししてきました。これまではオリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省が所管でしたが、スポーツ庁ができて一緒に支援するようになりました。私は医師として障害者スポーツを支援してきましたが、政治家としても障害者を支援する仕組みができました。

 女性の健康という課題も、自民党女性局局長代理として提言をまとめ、女性の健康を包括的に支援する法律を議員立法で作りました。これは残念ながら、廃案になりましたが。女性とスポーツに関しても、男性指導者の理解を促すという課題に超党派で取り組みました。

――医療界では「医師の働き方改革」が大きな問題になっています。先生はどのようにお考えでしょうか。

 地方選出の議員として本音を言えば、働き方改革通りになったら、地方の医療はなくなってしまう。お産も救急もできなくなる。都会の議論で働き方を一面的に変えたらどうなるかと。地方の声をしっかり上げていかなくてはならないと感じています。

 そもそも働き方改革の議論は、一般論として、「仕事はつらいものだ」というのが前提になっています。でも、私は医師ですし、多くの医師がそう思っていると思いますが、「患者さんにありがとうと言ってもらってうれしい」、「手術が上手くいって、俺じゃなかったら助けられなかった患者さんを助けた」――。そういった満足感を得られる仕事ではないでしょうか。医師の仕事が本当につらいのか。私はそうではないと思っているし、同じ思いの医師もたくさんいます。

 働き方改革が「仕事=つらい」からスタートしているのが間違いでしょう。仕事が楽しければ、寝る時間を削っても楽しいと思える。だから、働き方改革を進めると同時に、「医師の仕事は楽しい」と思えるようにすることが大切です。理不尽なこと――クレーマーの対応をしたり、訴えられたり――がなるべく起きないように政治の力で手助けをしたい。

――時間外労働の上限規制が過労死ラインとされる月80時間を超えて、最大で月155時間もあり得るとされている点についてはいかがでしょうか。

 もちろん、医師の健康を守ることはしっかりやっていかなくてはならない。長時間労働を余儀なくされる環境があるのも分かっています。「修業だから」「若いうちだから」というのではなく、休みを取れて、家族の時間を持てるような仕組みを作っていきたいです。

――先生ご自身の若い頃の働き方はどうだったのでしょうか。

 全く休みがなく、胆膵の内視鏡治療を専門にしていたので、急患もありました。中堅になっても、上手くいかないときは夜中でもしょっちゅう呼ばれていました。それだけ一生懸命やったから今があるとも言えます。ただ、家族は理解してくれていますが、子ども達ともっといる時間が欲しかったな、とは感じています。
――医師の地域偏在についてはどう考えますか。

 政治の世界では、「医学部の定員を増やせば良い」と短絡的な議論になるけど、それでは、偏在が解決しないのは現場の人間が一番分かっています。厚労委員会でもよく質問しましたが、専門医制度が医師の偏在を助長しないようにしないといけない。地方の医師としてはそう感じます。

――専門医制度を使って偏在解消をすべきでしょうか。

 こういうこと言うと、批判があるかもしれませんが、思い切った改革が必要だと思います。例えば学校の先生はどんなへき地にもいます。そういうことも考えなくてはいけない。

――教員は公務員だからかと思いますが、そういうことでしょうか。

 公務員にすべきとは言わないけど、思い切った改革をしないとへき地の医療は本当に苦しいままです。ある村の村長さんは、80歳の先生が「辞めたい」と言っている状況で、次の医師を探す際に「なんとかしてほしい。患者の手だけ握ってくれるだけでいい」とお願いしているそうです。都会の人には分からないかもしれないけど、それぐらい過疎地域の医師確保は大変なのです。

 今は(基礎)自治体がやっていますが、それでは、たまたま来てくれることがあるかもしれませんが、限界があると感じています。だから、細かい手段は別としても、国、県が必ず医師が配置できるような思い切った政策が必要だと思います。

――長野県としてはどのような医療課題を抱えているのでしょうか。

 長野は広いので、医師不足、医師偏在という課題があります。インフラ整備ができていないところもあり、救急にも課題があります。県境の問題もあり、場所によっては隣県の方が近いこともあり、県境を越えた医療圏構想を国がしていかなくてはならないと考えています。「健康長寿なのに医療費が安い『信州モデル』を国の政策に」、「医師不足や地域偏在の解消」、「長野県内に薬学部を誘致」ということも主張しています。

――いつまで臨床に携わっていたのでしょうか。

 国会議員になる直前までスポーツドクターをしていました。2017年に選挙で落選してからは、医師不足ということもあり、内視鏡検査や介護施設での回診を手伝ったりしていました。久しぶりの臨床も勉強になりました。参院選の候補者に決まるまでの、1年間ぐらいの間でした。

――医師資格を持つ国会議員の意義はどこにあるでしょうか。

 普通の国会議員は、大学教授は高給取りだと思っていたりもします(笑)。実態はそうではないですし、医学生が卒業してどうやって診療科を選ぶかも知らない。医療の現場、研究の現場をよく知っている者として、現場の思いを形にしていく役割は大きいと思っています。

6月27日に長野市内で開催された決起集会での小松氏の挨拶の概要
 昨年の暮れに若林健太氏(自民党衆院長野1区立候補予定者)が次の衆院選に挑戦し、私はこの夏の参院選に出ることが決まった。いよいよ戦いの日が間近に迫った。私は今まで3回の選挙に出た。3回目は落選したが、世のため人のために頑張りたい、この思いで活動を続けてきた。

 いまだに小松は「なぜ医者から政治の世界に入ったのか」、「医者をやっていた方が楽だったのでは」、「どうしてそんなに苦労するのか」――という話をいただくことがある。私はこの信州で生まれ育った。信州大学を出て医師になり、専門は消化器内科、内視鏡を使って胆嚢や膵臓の治療をする医師をしてきた。一方で、オリンピック選手達を支えるスポーツドクターとして5度のオリンピックにも行った。一流の選手、コーチ達は本当に素晴らしいな、このスポーツの力を社会の力にしていきたいな、そう思ったのが政治を志したきっかけとなった。

 今から15年ほど前、私は東大病院で勤務医をしながら、世界的な研究、また、20人ぐらいのグループのトップとして、さまざまな手技の開発をしていた。その頃に、“医療崩壊”が問題になった。救急車がたらい回しされてその間に患者さんが亡くなる。医師を育てる仕組みが少し変わったら田舎から医師がいなくなり、代わりに来る先生もいない、そんなことが社会問題になった。

 そんなニュースを聞きながら、どんなに医学が進歩してもそれを支える政治がしっかりしていないとみんなが幸せになれないと思った。私自身が日々、命と向き合ってきたが、命を守るのは政治だ、戦争のない平和な世界を作っていくのも政治の役割、貧困をなくして、餓死する子ども達を少なくしていくのも政治の役割である。命を守るという点で、医学ではできないことをやりたい、この思いで政治を志した。

 ただ、全く政治とは無縁だったので、どうしていいのか分からなかった。さまざまな出会いがあり、そして、吉田博美先生(自民党参院議員、長野選挙区)との出会いがあった。今から12年前の吉田先生の選挙を手伝った。10日間寝泊まりしながら、選挙はこういうことなのかと勉強させていただいた。みんなが吉田先生のためにと一生懸命に動いている。みんなが「この人のため」と思ってくれなければ選挙なんてできない。そのためには自分自身を磨いて、人間力を付けないと選挙は戦えないと感じさせていただいた。

 その後、医師を続けながら政治の勉強をして、チャンスがあったら挑戦したい、そういう思いで活動を続けてきた。そして7年前に、衆院長野1区(長野市を中心とした北信)の候補者が公募になって、私は北信とはあまり縁がなかったが、同じ信州だからという思いで応募した。2期5年間衆院議員を務めさせていただいた。

 私は北信のみなさんに本当に感謝している。だれも小松裕を知らない、顔も見たことない状況から、国会議員として育てていただいた。今、長野県中を走りながら、自分が生まれ育った諏訪に行っても、「小松さんは長野(市)の人だと思っていた」と言われる。もっともっと自分を広めていかなければと思った一方で、そう思っていただけるのはちょっとうれしい。北信の皆さんに育てていただいたおかげかなと、感じている。

 志を持って臨んだ衆院議員としての5年間、やはり命を守ることができるやりがいのある世界だと感じた。社会保障、医療と介護、障害者施策、スポーツ振興を自分の専門としてやってきた。今、国の予算の3分の1が社会保障費が占めている。みんなが政治に望むのは子どもからお年寄りまでが、みんなが安心して暮らすことができる社会。将来の子ども達にツケを残さず、しっかり残していくことが我々の世代の役割だと感じながらさまざまな仕事をしてきた。

 5年間で一番感じたことは、もちろん医療や自分の専門分野も大事だが、都会の議員が多い中で、地方の声をしっかりと届けること。都会の議員には分からない問題がある。自民党、公明党の信頼関係のある与党の中でしっかり意見を出して、それを予算や政策に実現させていく。もちろん国だけでなく、県、市、みなさんといっしょになって課題を解決していくことが国会議員として一番大事な仕事だなと、強く感じた。

 再び、長野のためにも、その仕事を小松裕にやらせていただきたい。自民党に対して、もっとまじめにやってほしいという声もたくさんいただいた。そういった思いもしっかり胸において、まじめに誠実にこれからも政治を貫いていきたいと思う。自民党の中から、おかしなことはしっかりおかしいという姿勢を貫いていきたい。

 最後に石破茂先生の演説の話をしたい。3年前の若林先生の選挙の時にいらして、こう演説した。素晴らしい演説だったので、石破先生に他でも使わせてもらいたいとお願いした。長野県中でこの話をしている。みなさん大好きな「ふるさと」という歌がある。三番に「志を果たしていつの日にか帰らん」というのがあるが、私は信州に対する思い、信州気質を持って、都会に出ており、いつもふるさとに帰りたいと思って、胸がじーんとなる。

 しかし、石破先生は「志を果たしてから帰ってくるふるさとでは駄目なんです、志を果たすために帰ってくるふるさと」それが地方創生だと。定年後に親の面倒を見るために帰ってくるのではなく、若いうちから帰ってくる仕組みが必要だ。

 そのためには医療や教育がしっかりしなくてはならない。経済も安定して、雇用がなければいけない。子どもを安心して産んで育てられる環境がなくてはいけない。長野は地域の絆、それをできる能力がある。地方創生が最近話題にならなくなったが、今こそそれをやっていかないと、将来の長野、日本がないと感じている。一番大事なのは少子化対策、将来を見据えて少しでも早く実現させていく、これを小松にやらせてほしい。

 厳しい戦いだが、しかし、皆さんのおかげでだんだん、だんだん良い状況になってきたと感じている。必死にやれば必ず乗り越えられる壁だと思っている。


6月27日に長野市内で開催された決起集会



https://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20190702/CK2019070202000005.html
「市立野洲病院」運営開始 経営難で民営から市の直営に  
中日新聞 滋賀 2019年7月2日

 野洲市は一日、経営が行き詰まった民間の野洲病院(小篠原)の事業を引き継ぎ、直営方式による「市立野洲病院」として運営を始めた。経営難の公立病院が民営化されるケースは多いが、逆のパターンは全国的にも珍しいという。

 野洲病院は市内唯一の総合病院で、特定医療法人社団御上会が運営してきた。だが、過度な設備投資や医師不足による診療報酬の減少などで経営が悪化。金銭支援を続けてきた市は、地元の中核医療を守るため、市立化して経営を存続させることにした。

 開院式で事業管理者の山仲善彰市長は「旧病院の良い点を引き継ぎ、課題を解決して、素晴らしい病院運営をしていきたい」とあいさつ。引き続き、院長を務める岡田裕作氏は「職員一丸となって市民の健康と福祉の増進を担い、全身全霊で頑張っていきたい」と述べた。この後、病院前で新しい看板を除幕した。

 市立野洲病院は、従来と同じ十一診療科体制。非常勤を含めた医師十九人、看護師百四人など総勢二百二十九人が勤務する。

 市は今後、同病院を母体にした新市民病院の建設をJR野洲駅南口で進めていく。六月末に実施設計が終わり、今秋に工事発注を予定。二〇二一年秋ごろに完成すれば、市立野洲病院は廃止する。

 (平井剛)



https://biz-journal.jp/2019/06/post_106512.html
連載 上昌広「絶望の医療 希望の医療」
外科医、近い将来に大余剰で大半が失業…がん患者が急速に減少し始めた 
 
2019.06.30 Business Journal
上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長

「早晩、外科医の大部分は失業する。外科医を目指すなら、日本にいたらダメだ」

 外科を志す医学生や若手医師から相談を受けると、このようにアドバイスすることにしている。これは世間一般の感覚とは正反対だろう。我が国では外科医志望者が減少し、外科医の不足が深刻な問題となっているからだ。

 その理由として挙げられるのは、医学生や若手医師が過酷な勤務を嫌がることだ。昨年、不正入試が露顕した東京医科大学の幹部はメディアの取材に答え、「体力的にきつく、女性は外科医にならないし、僻地医療に行きたがらない。入試を普通にやると女性が多くなってしまう。単なる性差別の問題ではなく、日本の医学の将来に関わる問題だ」とコメントしている。

 掛谷英紀・筑波大学システム情報系准教授は、自著の中で「今後、数十年のうちに、日本では外科医の数が半数近くまで落ち込むことが見込まれています。なぜ外科医が劇的に減るのか。ハッキリと数字で示せる答えは『女医の増加』です。女医が増え続けている一方、外科を選ぶ女医は極めて少ないため、診療科に偏りが生じているのです」と記している。

 私は、このような主張に賛同できない。外科医志望者の減少をこのように論じている限り、問題は解決しない。私は外科医志望者の減少は、社会構造の変化を受けた合理的な対応だと思っている。本稿では、この問題について解説しよう。

 まずは、図1をご覧いただきたい。国立社会保障・人口問題研究所が発表したデータだ。年齢階級別の死亡者数の将来推計であり、医療需要を反映すると考えていい。

図1 (略)

 一見して明らかなように、今後、わが国では死亡者数は急増する。ピークは2039年だ。その後、緩やかに減少し、この図には示されていないが、死亡者数が2010年のレベルに戻るのは2100年頃だ。厚生労働省は2028年には医師数は充足し、その後は過剰となり、問題は地域偏在と主張しているが、この主張は額面通りには受け取れない。

 医師不足問題に関して、厚労省は「嘘」をつき続けてきた。高度成長期から一貫して医師過剰論を唱え続けている。医師増加を嫌がる日本医師会の「圧力」など、厚労省にも同情の余地はあるが、彼らが何を言っても、もはや信頼されない。医療の将来推計は、厚労省や彼らの主張をそのまま紹介する全国紙の記事を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えねばならない。外科医不足対策も同様だ。

外科のニーズは大きくは伸びない
 図1で注目すべきは、84歳以下の死亡例が2010年をピークに減少に転じていることだ。急増しているのは85歳以上の死亡だ。このことは、高齢者を対象とした認知症やリハビリ、在宅医療のニーズは増えるが、がんや心臓病などの大きな手術を受ける患者は減少することを意味する。今後、外科のニーズは大きくは伸びない可能性が高い。

 医学の進歩も外科には逆境だ。図2は胃がん患者の死亡数だ。北海道大学の津田桃子医師らの研究だ。2010年代に入り、急速に減少している。

図2(略)

 これは、胃がんの原因とされるピロリ菌の感染が減ったことが原因だ。かつて日本人の多くが井戸水などを介して幼少期に慢性感染し、50歳以降に胃がんを発症していた。ところが、衛生状態が改善し、40歳以下のピロリ菌の感染率は約10%まで減った。さらに、横須賀市などいくつかの自治体は中学生のスクリーニング・除菌を実施中あるいは準備中だ。横須賀市内で内視鏡クリニックを経営する水野靖大医師は「早晩、患者さんはいなくなる」という。

 これは胃がんに限った話ではない。HPVワクチンが開発され子宮頸がんは減少するし、肝炎ウイルス対策が進み、肝臓がんもすでに急減している。心臓病ではさまざまなカテーテル手技が開発され、従来型の心臓外科手術と遜色ない成績を示している。心臓外科の需要も急減する。

 さらに、診療報酬の抑制も外科医にとって逆風だ。内科と異なり、外科は手術室の整備、そのスタッフの確保などコストが高い。診療報酬も高いが、患者が集まらなければ大赤字を出す。病院は生き残りのため、特定の診療科を中心に「選択と集中」に取り組まざるを得なくなった。

 また、2000年代に入り、マスコミが手術数などを報じるようになった。この結果、がん患者は特定の専門病院に集中した。『手術数でわかるいい病院2019』(朝日新聞出版)によれば、2017年関東地方ではトップ60の病院で6,560件の胃がんの手術を行っている。症例数が多いのはがん研有明病院538件、国立がん研究センター東病院297件、同中央病院291件と、がん専門病院ばかりだ。総合病院の代表である東京大学は116件、慶應大学は114件。外科医志望者を増やすために、女性受験者を差別した東京医大は72件だ。

 胃がんの手術では、トップ60病院に31の大学病院が含まれる。大学病院の平均手術数は91件で、医師1人あたりで16件だ。一方、大学病院以外の平均手術数は129件で、医師1人あたり24件だ。トップの3病院に限定すれば75件である。

 今後、病院は生き残りのために、さらに「選択と集中」を加速するだろう。医師の稼動率が高まり、必要とされる外科医は減る。胃がんの手術をすべて専門病院で行うとすれば、現在、関東地方の胃がんを専門とする外科医の75%が職を失う。日本では病院に勤務する「臓器別外科医」が多すぎるのだ。

 これは胃がんに限った話ではない。肺がんも同じだ。日本胸部外科学会によれば、2010年の呼吸器外科の手術数は約6万件。毎年2000件ずつ増加しているそうだ。このうち48%が肺がんで、手術を受ける患者の「平均年齢は70歳近くとなり、約10%が80歳以上の方々(同学会ホームページより)」らしい。前述したように、この年齢層は、今後、急速に減少していく。

 一方、同学会が認定する呼吸器外科専門医は1,315人。260の基幹施設と385の関連施設で働いている。我が国の呼吸器外科手術をすべて専門医がやったとしても、手術数は年間46件、肺がんは22件だ。これでは技量は維持できない。

 胃がん同様、患者は専門病院に殺到している。関東地方の場合、手術数が多いのは国立がん研究センター中央病院536件、同東病院442件、順天堂大学423件、神奈川県立がんセンター354件、がん研有明病院336件だ。この5つの病院の常勤医は合計で20人。一人あたりの年間の症例数は105件となる。

 肺がんの手術をすべてこのレベルの専門病院で行えば、必要な専門医は274人でいい。日本胸部外科学会が認定する専門医のうち1041人(79%)は職を失う。

外科医の育成はアジアを見据えるべき

 患者数が減少し、集約化が進むわが国で外科医を養成するのは容易ではない。専門病院で研修して、技量を身に付けても就職先はない。このような状況を考えれば、医学生や若手医師が外科を専攻しないのは合理的な判断だ。

 女性が外科医を選ぶには相当の覚悟がいる。私がこれまで見てきた女性医師は、男性医師より権威に媚びる人が少なく、滅私奉公型の大学医局勤務に固執しない。彼女たちが将来性のない外科を敬遠するのは、ある意味で当然だ。これが一部の医師には「女医が増えたから外科医が減る」と映るのだから、物は言いようだ。

 では、どうすればいいだろうか。わが国の外科は低成長領域だ。外科医が症例数を稼ぎ、経験を維持するには「成長国」で働くしかない。私はアジアと連携することだと考えている。米カリフォルニア大学サンディエゴ校の医師たちは、2017年に世界各地の外科医の不足と、それが原因で実施されていない手術数を推計した研究を「ランセット・グローバルヘルス」に報告した。

 この研究によれば、アジアでの外科医不足は深刻だ。南アジア、東アジア、東南アジアでは、必要な外科医の21%、52%、52%しか供給されておらず、実施できていない手術数は年間に5,779万件、2,796万件、1,248万件と推計されている。

 幸い、アジアの多くの国で日本の医師免許は通用する。上海出身の整形外科医で、現在福岡市内の病院に勤務する陳維嘉医師は「中国は日本人の医師にぜひ来てもらいたいと希望している」という。

 アジアの経済発展は急速だ。人的交流も加速している。医療も例外ではない。アジアから若手医師を日本に受け入れ、日本からも腕を磨きたい若手外科医をアジアに派遣すればいい。外科医が腕を磨くだけでなく、臨床研究も加速するだろう。外科医の育成は日本国内に固執せず、アジアを見据えて考え直すべきである。

(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)



https://www.sanyonews.jp/article/914605
岡山県、広島大医学部地域枠廃止 岡山大は継続方針  
(2019年07月01日 21時02分 更新) 山陽新聞

 岡山県は1日までに、奨学金を貸与する代わりに、卒業後、県内の医療機関で働くことを条件として広島大医学部に設けた「地域枠(ふるさと枠)」(定員2人)について、2020年度の入学者から廃止することを決めた。岡山大医学部の「地域枠」(4人)は継続する方針。

 地域枠は地方の医師不足解消が狙いで、岡山県は、岡山大で09年度、広島大で10年度の入学者から設けている。県によると、広島大での廃止は「県内の将来的な医師の需給バランスを勘案した結果」(医療推進課)という。

 岡山大での地域枠は19年度入学者まで、岡山県のほか、広島県(2人)、兵庫県(2人)、鳥取県(1人)が設定。同大は20年度入学者の募集について、詳細が確定次第公表する方針。

 岡山県は地域枠で入学した学生に、月20万円の奨学金を貸与。卒業後に9年間、指定の医療機関に勤務すれば返還を免除する。岡山大、広島大合わせて24人が卒業し、48人が在学している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/686620
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革「推進」、来年国会への法案提出目指す
時間外労働の上限規制の例外、評価機能の在り方が論点 
 
レポート 2019年7月6日 (土)配信水谷悠(m3.com編集部)

 厚生労働省は7月5日、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を設置し、今年3月に報告書をまとめた「医師の働き方改革に関する検討会」で積み残しとなっていた事項についての検討を開始した。時間外労働上限規制の例外「地域医療確保暫定特例水準」と「集中的技能向上水準」の対象医療機関の特定や、医師労働時間短縮計画とその評価機能の枠組みなどについて年内をめどに一定の結論を得て、2020年の通常国会での医療法などの改正を目指す(資料は、厚労省のホームページ)。

 座長には国立社会保障・人口問題研究所長の遠藤久夫氏が就いた。この日の第1回では厚労省が論点を提示し、各構成員が意見や質問を出し合った。次回から各論に入る。また医療機関等1万9112施設、医師14万1880人を対象に、「医師の働き方実態調査」を実施することも決まった。

(1)地域医療確保暫定特例水準(B水準)および集中的技能向上水準(C水準)の対象医療機関の特定にかかる枠組み

・各水準の対象となる医療機関について、都道府県が指定、認定等の行政行為により特定するスキーム(要件および実務フロー)をどのように構成するか。

・特に、当該特定に当たって、後述(3)の医師労働時間短縮計画、評価機能をどのように関連づけるか。

(2)追加的健康確保措置の義務化および履行確保にかかる枠組み

・追加的健康確保措置の義務化及び履行確保スキームについて、どのように構成するか。

・特に、履行確保については、I日常的な管理、II定期的な確認、III未実施時の是正、VI(B)・(C)水準適用対象の特定との関係等の観点から検討する必要。

(3)医師労働時間短縮計画、評価機能にかかる枠組み

・医師労働時間短縮計画(時短計画)、評価機能は、効果的に医師の労働時間を短縮していくために、どのように構成するか。

・特に、評価機能の役割、担い手をどう考えるか。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、医療機関での医師の労働実態や時短計画の取り組み状況を分析・評価する「評価機能」について、「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書で「都道府県から中立の機能であること」などが必要とされていることについて、「医療の現場のことを熟知していて評価できる組織をつくれるのか。医療勤務環境改善支援センターがまだまだ機能しておらず、強化しないといけないところで別の組織をつくって屋上屋を重ね、きちんと支援ができるのか心配だ」と指摘した。

 高知県健康政策部副部長の家保英隆氏は、「『都道府県から中立』とは、地域医療とは違う観点で評価する趣旨だと思う。時短計画、労務関係について統一的な判断で見直しをするということで、統一的に都道府県ではない観点で検討いただければありがたい」と述べ、中立という点から都道府県ではない枠組みでの設置が好ましいとの見解を提示。千葉大学医学部附属病院病院長の山本修一氏は、「審査も評価も実施も何でも都道府県となると、人材確保も難しいと思う。独立ということにあまりこだわらず、透明性を確保しながら進めるという考え方もあるのではないか」と述べた。政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏も「心配なのは都道府県の体制の問題だ」と同調した。

 「評価機能」の在り方について、厚労省医政局医事課の担当者は会議後、報道陣に対し、時短や労務関連の取り組みについて評価をするもので、家保氏が示した「中立」についての認識が妥当であるとの考えを示した。また、「医師の働き方改革に関する検討会」報告書で都道府県がさまざまな役割を担う想定となっており、もし都道府県が担わないことになれば「労働基準監督署が前に出る」と述べ、従来通り国、すなわち労務関連の問題を所管する労基署が指導する状況が続く説明した。

働き方改革の意識、今一つか?

 横浜市立大学産婦人科医師・横浜市医療局がん対策推進専門官の鈴木幸雄氏は医師の働き方改革に関する意識について、「現場の若手・中堅医師がキャッチアップできていないのが現状だ。私は興味を持って勉強してきたが、周りに話を振っても全く分からない人が多い。ポジティブな印象に変えていかないと、いい制度をつくっても受ける側が受け入れられないと感じている」と見解を述べた。これについては、山本氏も「中の意識がどうかというと、どうも他人事だ」と述べた。

 九州大学消化器・総合外科教授で日本医学会副会長の森正樹氏は、外科系の各診療科で労働時間と若手の志望者数が「見事に反比例する、悲惨な状況にある」と苦境を訴えた上で、具体的な労働時間短縮対策について「タスク・シフティングでは全く足りない。具体的にどう短縮していくか、国としてアイディアを教えてほしい」と述べた。厚労省医政局医事課医師養成等企画調整室室長の堀岡伸彦氏は「タスク・シフティングは院内のことだが、院外の要素、例えば医療提供体制の効率化や診療科偏在をトータルで直していかないと減らすことはできない。まずは医療機関内でできることとしてはタスク・シフティングなどを一生懸命やっていただきたい」と回答した。

 また、山本氏は「地域医療構想が並行してきっちり進んでいないと、各医療機関の努力に限界ある。横目で見ながら進めるとはどういうことか、厚労省の考えはどうか」と質問し、遠藤座長も「そこは私も興味がある。地域医療構想、医師偏在対策、医師の働き方改革の『三位一体改革』は相互依存している」と同調。厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は「当然全てリンクしている。議論の状況を必要に応じここで紹介することもあると思うが、まずはここでは働き方の細部について議論を進めてほしい」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/686456
シリーズ 医師臨床研修部会
東京医大の地域枠3人離脱、1人は自大学病院で採用
臨床研修部会「採用が妥当ではない」5病院に補助金減額等 
 
レポート 2019年7月5日 (金)配信高橋直純(m3.com編集部)
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 厚生労働省は7月3日、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会(部会長:桐野高明・東京大学名誉教授)で、2019年度から臨床研修を始める新卒医師で地域枠制度利用者879人のうち9人が地域枠から離脱したことを報告した。都道府県等が離脱を妥当と評価していない学生を採用した5病院に対しては、同部会でヒアリングを実施。特に東京医科大学の茨城県枠から3人が離脱、うち1人は東京医大病院で採用したことについて、委員や茨城県担当者からは厳しい指摘が相次いだ。同病院を含む5病院に対しては「採用が妥当ではない」として、医師臨床研修費補助金の減額等を行うことが決まった(資料は、厚労省のホームページ)。

 2019年度開始の臨床研修において、地域枠制度利用者(以下、利用者と表記)は879人だった。臨床研修での従事要件がある利用者は861人。そのうち要件に従って研修しているのは797人(従事要件対象者861人を分母として92.6%、以下同様)、従っていないのが64人(7.4%)だった。地域枠非離脱者は55人(6.4%)で、内訳は国試不合格37人、卒試不合格2人、留年13人、既卒(病気療養中)1人、卒業保留1人、国試未試験1人だった。

 地域枠離脱者は9人(1.0%)で、国試不合格1人、離脱者であるが従事要件内で研修中1人だった。7人が従事要件外で研修しており、そのうち5人が「都道府県等が離脱を妥当と評価していない者」だった。内訳は茨城県2人(東京医大)、高知県1人、宮崎県2人。離脱者9人のうち3人が、東京医大の茨城県枠だったことも明らかになった。

 厚労省は地域枠学生の一覧を各病院に提供するほか、2018年には採用時に「研修希望者の臨床研修期間中の地域医療への従事要件等を必ず確認すること。その際、該当する都道府県や大学が従事要件からの離脱を妥当なものと評価しているかの有無を十分に確認すること」を求める通知を出している。2018年の同部会でも地域枠離脱者を採用する病院に対してはペナルティが必要という議論になっており、2019年4月には、県や大学が離脱を妥当と評価していない研修希望者を採用した臨床研修病院に対して補助金を減額する通知を発出している(『「地域枠離脱者」採用病院に公開ヒアリング、臨床研修部会』を参照)。

 この日の部会では、県や大学が離脱を妥当と評価していない研修希望者を採用した5病院の幹部および都道府県担当者などに対して、採用の経緯などをヒアリングした。

各病院の説明は以下の通り。※ヒアリング順

■茨城県の地域枠学生

東京医大病院(東京都)

 2018年7月28日に筆記、面接で採用試験をした。地域枠リストが来ることもあり、面接の際に受験者一人一人に地域枠かどうかの確認はしていない。地域枠リストには当該受験者の名前がなかった。10月18日にマッチし、国試、卒試に合格したので採用した。学生に対して地域枠の確認をしておらず、学生からの地域枠である申し出もなかった。大学、県へは照会していない。

新松戸中央総合病院(千葉県)

 当該学生(東京医大生)について、8月28日に採用試験を実施。地域枠リストには載っていなかった。面接の時には慎重に聴取したところ、「実は地域枠だ」と言われた。「茨城県以外では就職できないのでは」と尋ねると、「奨学金は返済している。県から契約解除通知をもらった。大学の臨床研修担当教授2人に相談して、承知された」と言われた。茨城県の担当者とメールしており、「茨城県から従事義務はなくなった、と言われた」と説明があった。それを根拠に採用したが、県への問い合わせはしていない。

茨城県の担当者

 東京医大病院の離脱者は2つの理由を挙げた。(1)亡くなった祖母が開業していた都内の医院を継ぐために人脈作りを早くしたい(2)母親が体調不良で都内でサポートしたい。1つ目については従事要件を果たしてから開業するよう、また2つ目も、つきっきりでする必要もないようであり、東京に行きやすい茨城県南部で研修しては、と提案した。2018年3月に連絡があり、大学にも協力してもらいながら説得を試みたが、翻意をしてくれず7月に離脱となった。

 新松戸中央総合病院の離脱者も同じ時期に相談があった。「都内の祖母の具合が悪く、サポートしていた母も体調が悪くなった。自分がサポートするしかなく東京で働きたい」ということだったが、父親も健在で兄弟もいる。2人とも離脱は妥当とは考えておらず、大学に相談したが、2人を翻意させることはできず7月に離脱となった。

「自大学で採用『知らなかった』はずさん」

 和歌山県立医科大学理事長・学長の岡村吉隆氏は、東京医大の対応について「自大学病院で採用して、『知らなかった』はあまりにもずさんでは。(学生の行為は)倫理観がないと思う。大学として、医師の倫理観を身に付けた者を卒業させるべき。卒業させないということもあるのでは」、社会医療法人財団董仙会理事長の神野正博氏は「大学は県から離脱の相談を受けている。それが附属病院に伝わっていないのは解せない」と指摘した。

 三木保・東京医大病院長は、「従来は個人情報ということで地域枠か聞いていなかった」、参考人として招致されていた林由紀子・同大学長は「学生達がどこにマッチングを希望しているかを本学では十分把握していなかったのはまずいことだったと思う。何度も説得をしたが、聞く義務があったかもしれないが、学生から県から離脱したという連絡はもらっていないので、最終的な状況は把握していなかった」と釈明した。

 地域枠リストに当該学生の名前がなかったことについては、事務局は8月10日時点の情報で作成しており、それ以前に離脱すると記載されなかったと説明。今年度から入学時点で地域枠だったかどうかが分かるように改めると説明した。また、マッチングのシステム上でも分かるようになるという。

■高知県の地域枠学生

製鉄記念広畑病院(兵庫県)

 地域枠だと分かり、県の理解がないと採用できないと話をした。当該学生から「大学、県から理解を得た」と言われた。マッチングの順位は下位にしたが、結果として採用となった。

高知県の担当者

 5年時の4月に離脱の意向があると大学から連絡があった。担当教員の面談があった。5月に県に電話で学生から相談があり面談をした。6月に医学部長が2度面談をし、説得をした。6月に口頭で正式に奨学金を辞退したいと言われた。7月25日に県、高知大医学部長、本人、父親と面談をした。離脱理由は「母親がメンタル不調で、地元で傍にいながら医師として働きたい」というものだった。心情的には理解できないわけではないが、妥当ではないと判断した。しかし、奨学金は、県と借り受け者は同等なので拒むことができない。8月に取り消しをした。採用病院から県、大学への問い合わせはなかった。

■宮崎県の地域枠学生

相模原協同病院(神奈川県)

 2018年3月に見学。地域枠という話は聞いていなかった。8月3日に面接試験をした。面接試験の時に「地域枠だが、臨床研修については制約がない」と申し出を受けた。学生からの書類を確認し、本人の主張を了解した。採用担当の医師が7月下旬に骨折入院して、対応が取れなくなった。8月21日に地域枠の学生に関する通達が来たが、これまでに受け入れた産業医大出身者のように、義務要件は臨床研修が終わってからだろうと考えていた。事務の確認が不十分だったと反省している。2019年2月に宮崎県から、「本来は宮崎で研修をしていただきたかったが、募集要項のこともあるので臨床研修後に宮崎で働いてもらうようにお願いをする」という連絡がきた。

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県)

 8月30日に面接。地域枠かどうかを確認した。地域枠と分かったので、宮崎県外で研修できるのか確認してもらうように依頼した。病院からも県に確認すると伝えた。9月25日に県に連絡をした。10月5日に県から返事をいただいたが、マッチングのあとだった。マッチングのリストに載せてしまったが、それは反省すべきことだった。順位的には公平に並べており、採用は難しいと判断していたが、マッチングした。

 マッチ後に急遽、県に連絡をした。11月9日に大学に確認したところ、本人との面接がまだ終わっていないことが判明した。しかし、マッチングが終了して、戻すのは難しいかと思い、11月20日に病院長、沖縄県の担当者、研修センター長が、宮崎県に伺い、大学で県、大学担当者と検討した。そのときの判断として、(1)マッチング結果を受け入れて沖縄県で採用するとして、宮崎県のプログラムにする、(2)マッチング結果を受け入れて沖縄県で研修してその後に宮崎県で研修する――という案があった。医学部長が再度、学生と面談をして臨床研修修了後に宮崎県で専攻医として働くということで合意した。当該学生は沖縄県で研修しても必ず宮崎県に戻るということを言っている。

宮崎県の担当者

 2人ともリストに掲載していた。相模原協同病院の離脱者は、8月下旬に県、9月に宮崎大が県内で研修するように要請したが、自分でマッチングを進めていた。最終的に病院から県に連絡がなかった。マッチングに決まった後に大学が学生と面談したときに報告を受けた。沖縄県立南部医療センターの離脱者は病院から連絡を受けて、県、大学で協議をしていた。10月1日に採用しないようにと電話で伝えている。その時に、病院から文書にしてほしいと言われて、遅れて文書を出した。

 宮崎県の地域枠は入試が別枠で、奨学金の貸与有無で2種類がある。当該学生の当時の入試要項に「卒後研修を県内で受けなければいけない」という記載がない。ただ、臨床研修は当然、県内で行っていただくべきという考えで、大学と県で指導しているが、理解してくれない一部の学生がいる。この時は10人のうち2人が県外に出て行こうと考えてしまった。現在、この2人には定期的に面談をし、臨床研修後に戻ってくることを口頭で確約を得ている。

宮崎の地域枠、初期研修で従事要件は?

 横浜市立大学附属病院長の相原道子氏は、「当該者ではないが、宮崎大の地域枠学生と話すと『うちの地域枠は臨床研修はしばりがない』と聞く。県がそう思っていても、本人達が悪いとは思っていないのでは」、他の委員も「入試要項に明示していないのでは、扱いを分けて考えるべき」と指摘した。

5病院いずれも「妥当ではない」

 審議の結果、5病院全てについて「採用は妥当ではなかった」と判断し、厚労省が医師臨床研修費補助金の減額等を検討することになった。ただし、5病院で妥当性に軽重があるとして、減額の幅には差を設けるとしている。

 議論の最後に、東京医大の林学長は「大学として不備があったことはよく分かっている。倫理感を教育していく必要があるが、離脱した学生を卒業させない権限を大学は持てないだろう。どこまで大学として強制力を持てるのかの線引きは難しい。入学者を受け入れる大学としては、(入学時に)契約解除になってもきちんと地域で医療に携わらなくてはいけないと指導していただくことができれば、学生も離脱できないという自覚を持って希望してくれると思う。離脱のできない仕組みを作っていくことも必要。地域枠の学生を地域にお返しするという教育で、ご協力できるところはしようと思うが、大学の倫理的教育がうまくいかなかったからと言って、大学が責任を取れと言われても、そこのところはなかなか難しいと思う」と述べた。

 岡村氏はすぐに「ずいぶん感覚が違うと思う。地方の大学だと県の結び付きを常に意識している。東京の私学はお客さんのような感じだ。必ず地域に送る学生を育てなくてはならないという感覚であれば、先生が今言ったようなことは起こらないのでは」と述べた。

 神野氏は「離脱した者へのペナルティーをどうするかという議論も必要」、日本医師会常任理事の羽鳥裕氏は「医師一人一人の動向を把握していくデータベースを作っていくのが大切。約束していることが守れないのはペナルティーを課すべき」と指摘した。

 高知県の担当者は「委員からは、県が簡単に離脱を認めているという意見をいただいた。本当にそう思うが、各県とも簡単に手放しているわけではない。県、大学と面会を数回繰り返している。個人的な理由で離脱することの問題を説明し、地域枠の道義的責任を重ね重ね説明している。最終的に奨学金は金銭賃貸契約であり、返還の申し出があれば断ることは難しいので、認めざるを得ないという結果だけが残る。地域枠入学の責任をどう担保するか、奨学金制度をどのように実効性があるものにするかを検討していきたい」と話した。

 林氏は「卒後9年間はいろいろなライフイベントがある時期でもある。結婚して、子どもができ、相手の異動についていくこともある。そういう場合で、別の地域で地域医療に従事することで許される仕組みができれば、柔軟に対応できると思う」と述べた。桐野部会長は「地域枠が鎖につながれた存在とは全く違って、全体として育てていくという立場でやらないとうまくいかない。絶対に金輪際、離脱できないということでもないので、離脱の手順も必要ではないかと思う」と述べた。

臨床研修医の評価試験を「推奨」

 議題の2つ目として、臨床研修における研修医の能力評価のために特定非営利活動法人日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP、代表:黒川清氏)の「基本的臨床能力評価試験等の客観的能力試験」を活用するかについて検討した。同試験は既に2011年度に第1回が行われ、2018年度は503病院、研修医約6200人(1、2年目含む)が受験する規模になっている。審議の結果、活用を「推奨」する方向で大筋合意した。試験問題の作成体制や活用の仕方などについて指摘があり、通知の時期などは今度の検討とする。

桐野部会長「臨床研修反対に2つのベクトル」

 2011年8月から部会長を務めていた桐野氏は、同日の会議をもって任期満了で勇退となった。「ずいぶん長い間やらせていただいた。最初は臨床研修制度は大もめにもめた。議論を進める中で採用数などもほぼ安定してきた。ただ、臨床研修制度には『とても良い』という意見は少なく、まだまだ改善の余地がある。『良くない』という人には全く違う2つのベクトルがある。一つは『シームレスなプログラムを発展させて、学ぶべきことは医学生時代にやってしまうので臨床研修は廃止すべき』、もう一つは『もっと臨床研修制度の質を向上させて、がっちりとして教育すべき』。全然違うベクトルがあるとき、一致してこの制度は全然駄目だと議論になってしまう。そこを区別して議論していただきたい。私自身はこの制度は改善をして今後も日本の医学教育、医師の資質向上に貢献していただきたいと考えている」と挨拶した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/686130
宿日直や自己研鑽の通知「医師の業務を明確化、現代化」、日医
「院内での周知、院内のルールづくりと管理が大切」 
 
レポート 2019年7月3日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の松本吉郎氏は7月3日の定例記者会見で、7月1日付で厚生労働省から発出された医師の宿日直許可基準と自己研鑽の通知に関して、「医師の活動の実態を踏まえ、医師の業務を明確化、現代化したものと考えている」との見解を表明した(通知の詳細は、(『医師の宿日直、3条件かつ「十分な睡眠」で許可、厚労省通知』を参照)。

 宿日直許可基準の通知については、宿日直中に従事できる「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務」の具体的な例示がされたほか、一つの医療機関内でも所属診療科等ごとに宿日直扱いとするか否かを区分できることが明示されたことが、ポイントであると述べた。従来の宿日直に関する通知との相違については、松本氏は「厳しくなった、あるいは緩くなったということでもなく、現代化された」と回答。

 自己研鑽の通知については、「医師の自主性を重視しつつも、研鑽かどうかの判断が適切に行われるよう、自己研鑽の3つの類型を提示し、それぞれの判断基準を明確にしている」と松本氏は説明した。

 松本氏は今後、各地域での説明会が、都道府県の労働部局、医師会、医療勤務環境支援センター等の共催で開催されていくと説明。宿日直や自己研鑽に対する院内での周知や説明、院内のルールづくりと管理が大切になるとし、各医療機関への対応を求めた。

 医師の時間外労働の上限規制の適用は2024年度から。それまでの間に働き方改革を具体化していかなければならず、7月5日には厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の第1回会議が開催される。松本氏は、医師の健康管理の在り方、上限規制の例外である「B水準」や「C水準」に該当する場合の認定の仕方などが議論になると見通した。さらに働き方改革を進めるため、「診療報酬、その他の別財源での何らかの手当てについても検討していかなければいけないのではないか」と付け加えた。

 宿日直「医療環境に適用した見直しが必要」

 松本氏は、宿日直許可基準の通知は1947年に発出されたもので、「医療環境に適用した見直しが必要」だと日医として主張、その考えが今年3月の厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書にも反映されたと説明。

 「今回の通知は、医師の健康への配慮と、地域医療の継続性の両立という観点から取りまとめられた報告書に基づき、改定され、発出に至ったと理解している」(松本氏)。

 通知では、宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、「特殊の措置を必要としない軽度の、または短時間の業務」と明記。松本氏は、(1)医師が少数の入院患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や看護師等に対する指示、確認を行う、(2)医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間において少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行う――などの具体的な例示がされたことがポイントだとした。「さらに宿日直の許可は、一つの病院、診療所等において、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って与えることができるものであると明記されたことも重要なポイント」。

 宿日直許可基準が「現代化された」とは、「これまでは(夜間等の勤務が)宿日直、あるいは全てが労働時間のどちらかだと判断されてきたが、厚労省の医師の働き方改革に関する検討会では、『中間的な働き方があるのではないか』という議論になった」ことから、それが反映されたことを指すという。

 通知で、「宿日直中に、通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが稀にあったときについては、一般的にみて、常態としてほとんど労働することがない勤務であり、かつ宿直の場合は、夜間に十分な睡眠が取り得るものである限り、宿日直の許可を取り消す必要はないこと」と記載された辺りが、「中間的な働き方」に相当すると、松本氏は見る。

 その他、2次救急を担う医療機関の夜間等勤務の扱いについての質問に、松本氏は、「100人の医師がいれば、100通りの働き方がある。あくまで個々の状態に則って、考えていくことだと思っている」と述べ、宿日直に該当するか否かは一概には言えないとした。

 自己研鑽「3つの類型の判断基準を明確化」

 自己研鑽について、松本氏は、「臨床、研究、教育が入り組んでいる医師の活動において、研鑽と仕事は一体不可分で、二面性を持っていることから、現在のような一般的なルールの下では、医師の研鑽に関する労働時間の考え方を整理することは困難であると主張してきた」と述べた。

 今回の通知で、(1)一般診療における新たな知識、技能の習得のための学習、(2)博士の学位を取得するための研究及び論文作成や、専門医を取得するための症例研究や論文作成、(3)手技を向上させるための手術の見学――といった3つの類型を示し、それぞれの判断基準が示されたと説明。「また適切な運用確保のため、医療機関ごとに研鑽に対する考え方、労働に該当しない研鑽を行うために、所定労働時間外に在院する場合の手続き、労働に該当しない研鑽を行う場合には診療体制に含めない等の取り扱いを明確化し、書面等に示すこととされた」。

 所定労働時間外の自己研鑽中の医師は、「診療体制には含めない」とされていることから、「その体制を取るには、より多くの医師が必要になってくるのではないか」との質問には、松本氏は「その恐れはあると思う」と述べつつ、まずは何が自己研鑽か労働かなど、院内のルールづくりが必要だとした。



  1. 2019/07/07(日) 09:06:20|
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Google Newsでみる医師不足 2019年6月30日

Google Newsでみる医師不足 2019年4月30日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 15,000
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 35,200
First 5 in Google in English 



https://www.cbc.ca/news/canada/ottawa/perth-doctor-shortage-looking-to-ontario-government-help-1.5192749
'This is a crisis': Perth, Ont., bracing for family doctor shortage
Julie Ireton · CBC News · Posted: Jun 28, 2019 4:00 AM ET (カナダ オンタリオ州)

The town of Perth, Ont., is bracing for the impending departure of two physicians, potentially leaving a third of the community without primary care.
In the past, when doctors left town or retired, other local physicians were able to absorb some of the patient load.
But there's no way that will be possible this time around, said Dr. Alan Drummond, who practises in the retirement community of about 6,000.



https://www.weeklytimesnow.com.au/news/regional/flu-fears-as-bundys-doctor-shortage-woes-deepen/news-story/640e03c4ae3265320b0f0d36bc4eaf0c
Flu fears as doctor shortage woes in this south eastern town deepen
Rhylea Millar
June 29, 2019 4:00amThe Weekly Times‎ (オーストラリア)

Meanwhile, a doctor service at Bargara had to close its doors due to the shortage.
Last year doctors were flown into Bundaberg from Brisbane and inter-state to help handle what was a much milder flu season.
This year with only six doctors on its list, House Call Doctor looks like it will have to do the same thing, even if doctors can be found to operate here.



https://www.fosters.com/news/20190602/life-saving-solution-to-americas-doctor-shortage
A life-saving solution to America's doctor shortage
By Dr. Richard Liebowitz
Jun 2, 2019 at 3:15 AM Foster's Daily Democrat‎ (米国)

Doctors are hard to come by in rural America. Nearly 20 percent of Americans live in rural communities. But only 10 percent of doctors practice there. Patients often must drive for hours to see a physician.
Such barriers to care can prove deadly. A former director of the Centers for Disease Control and Prevention recently warned that “there is a striking gap in health between rural and urban Americans.” CDC research from 2017 indicates that up to 25,000 heart disease deaths and 19,000 cancer deaths could have been prevented in 2014 if rural patients had better access to health care.



https://www.hawaiinewsnow.com/2019/06/15/uh-proposes-using-medical-students-help-ease-neighbor-island-doctor-shortage/」
UH proposes using medical students to help ease Neighbor Island doctor shortage
By Ellie Nakamoto-White | June 14, 2019 at 5:49 PM HST (米国 ハワイ州)

The University of Hawaii School of Medicine is proposing to use doctors-in-training to combat the growing physician shortage in the islands.
Under the proposal, the school would have cohorts of five to six students train at a neighbor island site ― and hope they end up wanting to stay there after graduation.
But getting the proposal off the ground won’t be cheap.
The school estimates the effort will cost about $1.4 million a year, and they’re hoping the state can foot the bill through the Board of Regents or the state legislature.



https://www.myyellowknifenow.com/40894/hay-river-doctor-shortage-continues-this-summer/
Hay River doctor shortage continues this summer
Emelie Peacock
My Yellowknife Now Monday, Jun. 24th, 2019 (カナダ ノースウェスト準州)

Hay River's medical clinic could see reduced hours throughout the summer as the town deals with a shortage of doctors.
For the week of June 24th to 28th, the town is experiencing a shortage of both doctors and nurse practitioners. Booked appointments are not available at the medical clinic and walk-in appointments are limited. Residents can refill their prescriptions Saturday, June 29th from 10 a.m. to 2 p.m. at the health centre.



(他に10位以内のニュースは、バングラデシュ、カナダ ブリティッシュコロンビア州、米国(ハワイ州、ペンシルバニア州)、オーストラリア、からも)



  1. 2019/06/30(日) 12:37:18|
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6月30日 

https://www.asahi.com/articles/CMTW1906273300002.html
島根)吉賀の病院、医師不足 外来・当直1人  
2019年6月27日13時03分 朝日新聞

◆吉賀の病院 外来・当直1人◆ 

 都会への人材流出は医療現場も例外ではない。県内の多くの医療機関は慢性的な医師不足に陥っている。

 人口約6千人の山あいの吉賀町。社会医療法人「石州会」が運営する総合病院「六日市病院」(110床)は2000年に18人だった常勤医が現在、3分の1の6人だ。鹿足郡で唯一の24時間対応の救急病院だが、谷浦博之院長(61)は「今は救急を維持するぎりぎりの人数。これ以上減ると回せない」と打ち明ける。

 医師の減少に合わせて診療方法を工夫してきた。14あった診療科の区分はなくなり、一般外来は数年前から基本的に医師が1人で対応する。手術に先立って必要な麻酔科の医師は非常勤しかいないため、別の病院に手術をお願いすることもしばしばという。

 夜間の急患や入院患者に対応する当直も1人で受け持ち、急患が立て続けに来ると、受け入れを断ることも以前より増えた。

 一方、院内感染を防ぐための対応策の取りまとめなど、院内環境の管理のために医療法上、医師が務めなければならない業務は多い。医師が会議や資料作成などに費やす時間は年々増えているという。

 医師不足を招いた原因は、大学の付属病院が各地の病院に医師を派遣してきた医局制度の弱体化だ。2004年に新臨床研修制度が始まり、研修医が自由に研修先を選べるようになると、多くが医療施設の充実した都会の大病院に流れ、医局に所属する医師も減った。六日市病院もそのあおりを受け、島根大学付属病院からの派遣が見込めなくなった。独自に医師を募集しても、なかなか採用には至らず、ここ10年は慢性的な医師不足にあえぐ。

 今春、2人の医師が病院を去ることになり、谷浦院長が母校の島根大にかけあい、ようやく1人を確保できた。ただ、単年度の契約のため、次年度も派遣が続くかは見通せない。

 六日市病院で救急対応できなければ、車で1時間ほどの山口県岩国市や益田市まで搬送しなければならない。谷浦院長は「生死に関わる救急はやめるわけにはいかないが、どこまでやれるのだろうか」と漏らす。

計21の無医地区

 県と厚生労働省によると、100平方キロメートルあたりの医師数(医師密度)は全国平均85人に対し、島根はログイン前の続き全国41番目の29人。特に松江、出雲、安来以外では7~18人となっている。

 また、半径約4キロ以内に50人以上が住みながら、医療機関の受診が困難な地区「無医地区」は、同省によると14年時点で県西部などに計21地区もある。

 町立奥出雲病院では常勤医が08年に10人いたが、現在5人。大田市立病院は、医師不足で10~12年に一時的に救急告示病院ではなくなることもあった。

 県独自でまとめた2018年度の勤務医師実態調査によると、個人で開業している診療所と島根大学病院を除いた、県内の病院と公立診療所で働く医師の実働数は990人で、県が各医療機関に聞いた、必要だと思う医師の数の1237人には、247人足りない。調査を始めた06年の不足数232人から状況はほとんど変わっていない。

「赤ひげバンク」

 県も対策は打ってきた。

 02年から全国に先駆けて、県内外の医師に登録してもらい過疎地の医療機関の働き口を紹介する「赤ひげバンク」制度を始めた。毎年約10人がUIターンするという。卒業後に県内の医療機関で働けば返還を免除する奨学金も作った。医師確保などの事業費は当初予算で09年度で約4億2600万円だったが、19年度は約8億円と倍増した。

 県健康福祉部の木村清志医療統括監は「医師も不便な地方での暮らしへの抵抗感があり、行きたがらない。高齢化が進む地域医療の意義ややりがいに関心がある人材を若いうちから育てていきたい」と話す。(市野塊)

 医療機関に人口減少の深刻な影響が及んでいる。「しまね人口減」第2弾・医療編は、高齢化が進み、必要性が高まる中で、体制の維持が困難になっている現状と対策を3回にわたって報告する。



https://www.asahi.com/articles/ASM6P5WVXM6PPTIB00H.html
島根)病院勤務医と開業医の兼業可能に 医師不足対策  
市野塊 2019年6月26日03時00分 朝日新聞

 医師不足の改善をめざして、開業医が総合病院の勤務を兼務できる試みが、島根県江津市で始まった。済生会江津総合病院と市医師会などが地域医療連携推進法人「江津メディカルネットワーク」を6月1日に設立した。開業医は病院でも一定時間働くことで収入を安定でき、病院側も開業医によって医師を確保できる利点があり、市内への医師の呼び込みを狙う。

 済生会江津総合病院によると、ネットワーク内では、病院と診療所で個別に雇用契約を結び、病院の勤務医と診療所の医師を兼務できるようにした。業務に応じて双方から給与が与えられる仕組みという。

 主に想定しているのは、市内で新たに開業する医師。開業前後など収入が安定していない期間に病院で働くことで安定した収入を得ることができ、自身で設備投資をしなくても病院の高額医療機器を利用することが可能になるという。

 病院側は、病院の診療の一部を…

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https://www.m3.com/news/iryoishin/684290
シリーズ 日医代議員会
「診療科、開業の選択の権利を保障」今村日医副会長
第145回日医定例代議員会、「外来医師多数区域」での開業調整に関心高く
 
レポート 2019年6月25日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 「自己の意志による専門性や開業の選択」、今後も堅持を訴えていくのか――。

 6月23日の第145回日医定例代議員会では、この4月から医師偏在対策として各都道府県で策定が始まった「医師確保計画」が開業規制につながるほか、新専門医制度でのシーリング(専攻医の募集定員の上限)が診療科選択の制限になる懸念が相次いだ。その一方で、経営コンサルタントなどが地域の実情を勘案せず、勤務医に開業を勧める動きに対しては制限をかけるべきとの意見も出るなど、地域の実情等によって、外来医療体制が抱える課題やその対応方法への考えに違いがあることも浮き彫りになった。

 日医副会長の今村聡氏は、開業規制への懸念に対し、「個々の医師の判断による診療領域の選択および開業の選択については、今後とも日医はその権利を保障し、強制的な手法を制限していく」との方針を表明した。

 「医師確保計画」では、「外来医師多数区域」に指定された地域で新規開業する場合には、在宅医療など「その地域で不足する医療機能」を担うように求める仕組みが導入される(『「外来医師多数区域」での新規開業、2020年度以降厳しく』などを参照)。その協議の場は、地域医療構想の調整会議などが想定されている。今村副会長は、厚生労働省の社会保障審議会医療部会での議論を引用しながら、次のように説明した。

 「ある病院団体の代表からは、『今回のような仕組みで外来機能を“見える化”して、不足している機能をぜひやってくださいと言うだけでは、何の強制力もない。これで病院を辞めてどんどん開業する動きを止められるのか。もっと厳しくやれ』という意見も出た。日医のスタンスとして、医師の自主的な判断や自由開業制を最大限尊重しながら、その中で正しい判断をしてもらう手段が今までなかったので、それをやっていきたいという第一歩であると理解してもらいたい。これができないと、強制力という話になる」

 調整会議での協議の難しさを指摘する意見に対しては、日医副会長の中川俊男氏が答弁した。「病床の調整については、調整会議の強大な権限が医療法上で規定されている。一方、外来機能については、例えば調整会議の場を利用して、医療需要などを“見える化”して、新しく開業したいという若い先生に見てもらい、判断してもらう仕組みになっており、それ以上でも、それ以下でもない」と説明。その上で、「今日の話を聞いていると、外来についても、それ以上の権限を調整会議に持たせる方がいいのではないかという気もする」と付け加えた。

 医師偏在対策以外にも、地域医療構想など医療提供体制の改革、医師の働き方改革が各地域単位で進む中、「管理医療になるかもしれないが、強制力がないと何もできない」との意見も出たため、日医会長の横倉義武氏は、「今回のいろいろな改革で、本当に医師会が試されている。医師会の力を出す時」と述べ、「医師確保計画」などを踏まえずに、勤務医に新規開業を紹介するコンサルタントなどに対し、「地域の医師会が団結して対抗していかなければいけない」と訴えた。

 「コンサルが落下傘的に新規開業を誘導」と問題視

 「医師確保計画」や専攻医のシーリングについて質問したのは、富山県代議員の馬瀬大助氏と、福岡県代議員の平田泰彦氏。

 馬瀬氏は、地域医療構想、医師確保計画、新専門医制度における地域別・診療科別の専攻医のシーリング(募集定員の上限)などを設定する動きがあり、「自由開業制」とも言われる自己の意志による開業選択の自由も失われるのではないか、と懸念を呈した。これに対し、答弁したのが今村副会長。

 平田氏は、「医師確保計画」について、医師は各々多種多様な専門領域を持ち新規開業を希望していること、さらに医業経営コンサルタントが外来医療機能の偏在などを考慮せず、建物や土地を医師に提供し、落下傘的に新規開業を誘導している動きがあるなどの現状を例示。(1)調整会議等での医師会の開業の調整権限が不明確であり、調整の結果として開業規制にシフトする懸念、(2)日医の自由開業制、自由標榜制を守るという方針の下、役割・責任の多くが地域医師会に帰する憂慮――を呈した。

 関連質問多く、質疑は1時間に及ぶ

 日医定例代議員会におけるブロック代表質問とその答弁は計16題で、計4時間。「医師確保計画」関連の2人の代議員による代表質問に続き、数多くの関連質問が出て、質疑が計1時間に及ぶなど、関心の高さがうかがえた。

 日医常任理事の羽鳥裕氏は、平田氏の質問のうち、(1)には次のように回答。「全ての新規開業に対して調整会議での協議を求めているわけではなく、決して開業規制ではない。この外来機能の偏在対策は、自主的な行動変容を促すことが主眼なので、行政には開業を止める法的権限はなく、(協議の結果に従わなかった場合などの)罰則もない。他方、郡市区医師会長が議長を務める調整会議は、地域医療の提供者を代表する立場から大きな役割を担っている。開業しようとする医師に、地域の医療需要や医療資源などの客観的データを“見える化”して提供して、医師自らが十分に検討し、自主的に判断していただく必要がある」。

 (2)について、羽鳥常任理事は、「日医としては、自由開業制を守りつつ、偏在の解消に向けた制度の設計に全力を尽くす。その役割、責任の多くが地域医師会に帰するという指摘だが、日医が細部にわたって全国一律の方針を決定することは適切ではない。地域の実情に基づいた医師偏在対策を進めていく役割を担えるのは地域医師会しかない。ボトムアップによる医療政策への転換が、今、まさに求められている」と答弁した。

 「外来医師偏在指標」、ブラックボックス

 「医師確保計画」についての意見は、「外来医師偏在指標」に基づく「外来医師多数区域」の設定の仕方と、調整会議での協議の在り方に大別できる。「この数値(外来医師偏在指標)が厚労省から出たのが一番の問題であり、これはわれわれから検討して出すべきだった」(大阪府代議員の茂松茂人氏)などの意見も出た。

 今村副会長は、「外来医師偏在指標」は、従来の人口10万人当たりの医師数に代わり、さまざまな要素を加味した数値であるものの、あくまで一定の仮定を置いた機械的な数値であり、絶対的な医師不足を表わすものでないなどと説明。ただし、計算方法がブラックボックスであり、「地域の実態と乖離しているという指摘もある」と認め、問題点があれば言ってもらいたいと求めた。

 「そこで開業してはいけない」とは言えない

 今村副会長の答弁に対し、馬瀬氏は、「調整会議で議論して、『そこで開業してはいけません』とは言えない。各診療科の開業の具体的なケースについて議論するのも無理。本当にこれはうまくいくのか」と質問。平田氏は「管理医療になるかもしれないが、強制力がないと何もできない、何のための会議なのか」などと提起。

 今村副会長は、「名前が調整会議なので、診療科の調整まですると考えるのは、間違い」と述べ、「先生方は、勤務で忙しく、自分の開業場所の医療需要や将来の人口動態が分からないまま、経営コンサルタントなどに言われて、開業しているのが実態だろう。まずはこうした先生方に情報提供をして、自身で自主的に判断する仕組みになっている」と繰り返し強調した。また「外来医師偏在指標」などのデータは、医師だけでなく、関係者に早めに情報提供する仕組みになっていると説明。「国が一律の数値を出して仕切るのか、という話になる。そうではなく、地域で考えてもらうのがこの仕組みだ」。

 専攻医のシーリング「根拠が不明確」

 徳島県代議員の木下成三氏は、行政から「専攻医のシーリングは不可欠なものであり、地域医療対策協議会であまり議論するな」との説明を受けたことを紹介。またシーリングをかけること自体に反対はしないものの、その根拠が不明確であると指摘、「新専門医制度の検証がまだ始まっていない時点で、シーリングをかけることが医療崩壊につながるのではないか」との懸念も呈した。

 日本専門医機構の副理事長でもある今村副会長は、基本的に頻繁にシーリングのやり方を変えないというのが、同機構のスタンスであると説明。しかし、厚労省の医道審議会医師分科会医師専門研修部会で、「自治体代表などから、シーリングを強化すべきだという意見が出てきた」と言い、「厚労省の当初案は、機構としては受け入れられない数値だったので、機構から部会に逆提案した経緯がある」などと説明。1年やってみて、悪影響が出てくれば、強く意見を言っていくと表明した。

 岡山県代議員の松山正春氏は、「専攻医にとっては教育の問題なので、医師偏在の問題とは全く関係はない」と指摘。同県の地域医療対策協議会では、根拠が理解できるようになるまでは新たなシーリングを導入しないとの決議文を採択したという。



https://www.medwatch.jp/?p=27155
勤務医の時間外労働960時間以下に抑えるには1.2倍の医師が必要だが、医師不足は深刻―全自病  
2019年6月25日|医療現場から MedWatch

 公立病院に勤務する医師の一定割合が年間960時間を超える時間外労働を行っており、その背景には「医師不足」がある。いわゆるA水準・960時間以下を実現するためには、現在から1.2倍の医師が必要となる。現状でも医師が不足している中では「救急医療体制の縮小を検討しなければならない」と考えている病院も一部にある―。

 全国自治体病院協議会が6月21日に公表した「医師の働き方改革に関するアンケート調査結果」から、こういった状況が明らかになりました(全自病のサイトはこちら(全自病のトップページ、「協議会情報一覧」からアンケート調査結果をダウンロード可能)。

ここがポイント!
1 500床以上病院の6割超で労基の立ち入り調査、36協定未整備などを指摘
2 研修医の9.5%、非管理職医師の7.8%が960時間超の時間外労働
3 960時間以下達成には、全体で1.2倍の医師が必要
4 救急診療体制の縮小を検討せざるを得ない公立病院も

500床以上病院の6割超で労基の立ち入り調査、36協定未整備などを指摘

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(以下、検討会)が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す、いわゆるA水準)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB推進)

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)

▽2024年4月までの間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める

 そうした中で全自病では、公立病院における「医師の働き方の現状」を明らかにするため、アンケート調査を実施したものです。調査は今年(2019年)2月末から3月中旬にかけて行われ、270病院から有効回答が得られました。

まず2017年8月から昨年(2018年)2月にかけて労働基準監督署による立ち入り調査を受けたかどうかを見ると、全体の26.3%の病院に立ち入り調査が入っています。病床規模別にみると、▼99床以下:4.8%▼100床台:14.7%▼200床台:35.0%▼300床台:14.6▼400床台:41.9%▼500床台:61.0%―で、大規模病院で立ち入り調査が多く行われています。

立ち入り調査で労基から指摘された事項としては、▼36協定の定めなく、または定めを超えた時間外労働:59.2%▼適切な労働時間管理(把握)がなされていない:45.1%▼割増賃金の不払い:35.2%▼衛生委員会や産業医の選定等に係る不備:22.5%▼賃金台帳の記入漏れ:8.5▼有給休暇付与が適正に行われていなかった:4.2%―など(複数回答)で、「36協定」や「労務管理」に問題のある病院が多いことが浮き彫りとなりました。

上述のとおり、今後、すべての病院で「まず労務管理を徹底する」(まず36協定の締結と労働時間管理の徹底)必要がありますが、自治体病院では大ナタを振るう必要がありそうです。

研修医の9.5%、非管理職医師の7.8%が960時間超の時間外労働

 次に医師は実際にどの程度の時間外労働をしているのか、具体的には2018年度に960時間(A水準)を超える時間外労働を行っていた医師の割合を見てみましょう。

職位別に見ると、▼初期・後期臨床研修医:9.5%(前年度に比べて0.9ポイント減)▼非管理職医師:7.8%(同1.3ポイント減)▼管理職医師:2.2%(同0.5ポイント減)―。
 
病床規模別に見ると、▼99床以下:2.6%(同0.5ポイント減)▼100床台:4.0%(同0.6ポイント増)▼200床台:3.8%(同0.1ポイント減)▼300床台:5.6(同1.0ポイント増)▼400床台:7.0%(同2.6ポイント減)▼500床台:8.6%(同1.9ポイント減)―。
 
医療機関種類別に見ると、▼3次救急:8.5%(同2.6ポイント減)▼2次救急:5.6%(同0.9ポイント減)▼その他:5.1%(同0.9ポイント減)―。
 
3次救急を中心とする大規模病院で、超長時間労働医師が減少している状況が伺えます。なお、時間外労働が長くなる理由を職種別に見ると、初期・後期臨床研修医では「緊急手術、オンコール」「医師不足」「カンファレンス・術後管理・急患対応等」「救急部門のシフト」「時間外勤務と研鑽の区別が不明確」などが、非管理職医師では「専門分野により、特定の医師に業務が集中する」「医師不足」「集中治療科である」「ICUなどで宿直業務を時間外勤務として行っている業務がある」などがあがっています。

病院の種類や規模、医師の役職などにより「労働時間短縮」の手法が異なってくることが再確認できます。

960時間以下達成には、全体で1.2倍の医師が必要

 医師の役職にかかわらず、時間外労働が長くなる理由として挙げられている項目として「医師不足」があります。

 この点、どの程度の医師がいれば、時間外労働をA水準(960時間)に抑えられかを見ると、▼99床以下:1.5倍▼100床台:1.3倍▼200床台:1.2倍▼300床台:1.2倍▼400床台:1.2倍▼500床台:1.2倍―と考えていることが分かりました(全体では1.2倍)。小規模病院ほど、医師1人当たりの負担が相対的に大きなため、必要な医師数も多くなります。
全自病調査(働き方)5 190621
 
 ところで検討会では、取りまとめの1年前(2018年3月)に、まず、病院において▼医師が医療機関にいる時間(在院時間)の客観的把握▼36協定の確認▼医師の業務負担軽減のためのタスク・シフティング▼多様で柔軟な働き方の推進―など「緊急的な取り組み」を実施するよう求めていました。この点について全自病の調査では、▼勤務間インターバル▼連続勤務時間制限▼複数主治医制の導入▼シフト制(交代制)の導入―などが難しく、その背景には「医師不足」があることも分かりました。
 
 つまり、現時点でも「医師不足」(厳密には偏在による医師不足の面が大きいと考えられる)があり、このために労働時間短縮等に向けた取り組みが難しいのです。そこに、さらに厳しい時間外労働上限規制がかかり、さらなる労働時間短縮に取り組めと求めるのは、なかなか厳しそうです。

医師不足を緩和するためには、病床規模の拡大(これにより1人当たり負担が相対的に小さくなる)が避けられず、「再編・統合」も視野に入れることが必要となってきそうです。

救急診療体制の縮小を検討せざるを得ない公立病院も
 また、救急医療体制を確保するための医師の勤務体制を見ると、▼99床以下:宿日直60.0%、オンコール18.0%など▼100床台:宿日直55.8%、オンコール30.2%など▼200床台:宿日直49.2%、オンコール36.5%など▼300床台:宿日直49.3%、オンコール35.8%など▼400床台:宿日直42.3%、オンコール26.9%など▼500床台:宿日直38.9%、オンコール34.7%など―となっており、小規模病院ほど「宿日直」での対応が多くなっています。

 今後は、「当面は、時間外勤務+夜勤勤務に振り替える」「 交代制勤務の導入を検討する」「宿日直からオンコールへ切り替える」ことなどで、救急医療体制を維持する病院がある一方で、「救急医療体制の縮小について検討せざるを得ない」と考えている病院もあることが分かりました。地域全体で考えるべき課題と言えます。

 
 なお、医師働き方改革に向けた意見・要望としては、「医師不足、地域・診療科偏在の解消」を求める声が圧倒的です。医師偏在の解消に向けて、都道府県が新たに「医師確保計画」を作成し、医師多数の地域から医師少数の地域への「派遣」促進などに2020年度から取り組むこととなります。

 また、医療機関や機能の散在が医師の長時間労働を誘発している面もあり、地域医療提供体制の再構築、つまり「地域医療構想の実現」も急務となっています。

 このように、「地域医療構想の実現」「医師偏在対策」「医師の働き方改革」が相互に連関していることに疑いはありません。しかし、地域医療構想の実現に向けて、実質的に「手一杯」となっている地域医療構想調整会議で「偏在対策」「働き方改革」も同時に検討せよと求めることは難しいかもしれません。国や学識者(地域医療構想アドバイザー)による一層の支援も待たれます。

 


https://www.asahi.com/articles/ASM6M6X29M6MUJUB01C.html
岩手)深刻な医師偏在、県内格差も拡大 医療アクセスは  
加茂謙吾 2019年6月30日03時00分 朝日新聞

 深刻化する医師の偏在は、大都市圏と地方との間だけでなく、岩手県内の地域間でも医療格差を生んでいる。国は偏在是正やICT(情報通信技術)を活用した医療の普及を進めるが、地域医療は現場の熱意によって何とか支えられている状況だ。

 広田半島(陸前高田市)の高台に立つ広田診療所。東日本大震災の津波で被災し、2017年に新しい建物が完成した。だが、18年春まで1年以上、常勤医のいない状態が続いていた。

 「地域で医療を完結させるのがどんどん難しくなっている」。所長で医師の岩井直路さん(63)は危機感を募らせる。元々は千葉県松戸市の市立病院長で、医師不足に悩む被災地の医療を支えようと18年4月、所長を引き受けた。

 診療所は津波で医療機器などが…

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https://www.m3.com/news/iryoishin/685254
シリーズ 日医代議員会
医師の働き方改革「負担軽減に必要な手当て求める」長島日医常任理事
第145回日医定例代議員会、「医師個人へのインセンティブは制度上、困難」
 
レポート 2019年6月29日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師不足や医師偏在対策として、時間外労働が多い診療科の医師個人に診療報酬上のインセンティブを付けることは制度上困難であると判断しているため、診療報酬では医師軽減に必要な対策への手当を求めていくとともに、地域医療介護総合確保基金を活用した医師への手当など、総合的な対策を検討していく――。

 日本医師会常任理事の長島公之氏は、6月23日の第145回日医定例代議員会で、医師の働き方改革推進と偏在問題解決に向けた質問にこう答弁した。また救急車の有料化についても、「救急車の無料利用が国民に深く浸透している日本では、解決すべき問題が多いため最終手段と考えており、その前に他の方法による対策を進めていく」と述べ、子ども医療電話相談事業「#8000」や、救急安心センター事業「#7119」の拡充や、救急車の利用の仕方も含めた上手な医療のかかり方を啓発することが必要だとした(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。

日本医師会常任理事の長島公之氏。
 山口県代議員の加藤智栄氏は、医師の長時間労働の主因は、医師の地域と診療科の偏在にあると指摘。ギリギリの状態で医療を担っている地域や診療所では、タスクシフトやシェアは限定的で、勤務間インターバル制は採用できないとし、医師の働き方改革を進めるため、(1)地方で働く医師、産婦人科や救急、外科など時間外労働が多い科の医師個人に診療報酬上のインセンティブを付ける、(2)救急車の適正利用と働き方改革を推進する財源として救急車の有料化――について、日医の見解を質した。

 関連で奈良県代議員の岩井誠氏は、大阪府三島救急医療センターが人材確保に関わる運営資金をクラウドファンディングで募集したことについて、「病院単体ではなくて、日医なり、組織としてそういうことが可能なのかどうか」と質問。

 長島常任理事は、クラウドファンディングでは、市民・住民の理解と協力を得ることがまず重要であるとし、まず上手な医療のかかり方を理解してもらうことが必要だと強調した。「その中の1つの方法として、クラウドファンディングというのも考えるといいかと思っている。検討させていただく」。

 長島常任理事の答弁要旨は、以下の通り。

【長島常任理事の答弁要旨】
 まず医師個人への診療報酬のインセンティブについて。公的医療保険制度に基づく診療報酬は、医療機関に対し支払われる仕組みであり、医療機関が受け取った報酬を医師、医療従事者にどのように配分するかは各医療機関の判断による。従って、診療報酬を医師個人のインセンティブに直結させるのは制度上困難であると判断しているため、日医としては次に述べる対策を講じていく。

 診療報酬に関しては、医師の負担を減らすために必要な対策にはしっかり手当をすることを要望していく。2018年度改定では、業務分担、協働の促進、常勤配置や専従要件の見直し、24時間対応体制の要件緩和など、医療提供の質の確保に配慮しつつ、より弾力的な運用が可能になるように見直しが行われた。今年5月の中医協においても、医師事務作業補助体制加算のさらなる拡大など、診療以外の業務負担の効率化・合理化を求め、地域医療を支えている中小の民間医療機関の現況に即した、診療報酬上の手当という視点で検討するよう要請した。診療報酬以外にも、医師個人のインセンティブになるものとして、地域医療介護総合確保基金を活用して、救急医、産科医、小児科医等に手当を支給する事業を行っている例があり、各地域の実情に応じた地域の活用を検討してもらいたい。

 医療機関へのさまざまな資金的・人的支援も国に要望していく。2019年度税制改正では、医師および医療従事者の勤務時間短縮に資する一定の設備についての特別償却制度が新設された。2020年度の政府予算要望では、働き方改革関連として厚労省に対し、医療のかかり方の普及を啓発、医療機関連携、タスクシフト、医療チーム補助者育成、医療機関経営者支援、女性医師支援といった項目を挙げた。さらに国に対し、特に人員や資金が限られている2次救急医療の担い手である民間医療機関への財政的支援を行うことを要求している。

 医師個人へのインセンティブという観点では、医療機関経営者、勤務医への適正な対応が重要になる。各都道府県で開催される医療機関のトップマネジメント研修において、勤務した内容に応じた適切な配分や健康管理の重要性について、改めて経営者に認識してもらいたいと考えている。また、医療界として、医学生や若手医師に対し、医師として働くことの意義、やりがいを理解してもらえるよう取り組み、医師としての職業倫理観を醸成していくことがインセンティブにつながるものと理解している。日本医師会としても医学教育によって実践されるよう、関係省庁に要望していく。

 2番目の救急車の有料化だが、救急車の無料利用が国民に深く浸透している日本においては、有料化には解決すべき問題が多いため最終手段と考えており、その前に他の方法による対策を進めていく。

 救急車の有料化については、生活困窮者等が救急要請を躊躇する、有料・無料の区別・判断が難しい、傷病者とのトラブルが増加、料金徴収等にかかる事務的負担が増加などの懸念がある。また導入に当たっては、料金徴収の対象者の範囲や決定、料金の額や徴収方法などが検討課題になる。さらに、市町村消防で営まれている救急搬送サービスを有料化した場合に、どのようにして医療現場にその収益を転用するかという、技術的な問題もあると考えられる。

 日医は、子ども医療電話相談事業「#8000」や、救急安心センター事業「#7119」の拡充・普及、救急車の利用の仕方も含めた上手な医療のかかり方を国民に広めることを、厚労省に要望していく。また、近年問題となっている高齢者の救急搬送増加に対応するために、かかりつけ医機能のさらなる推進と各地域における在宅患者の搬送受け入れ体制づくりを含めた地域包括ケアシステムの構築、充実の支援を行っていく。さらに、地域医師会による病院救急車の活用、身近な入院機能を担う中小病院や有償診療所の支援などを国に対し強く求めていく。



https://www.m3.com/news/iryoishin/684380
シリーズ 参院議員選挙2019
「医師の働き方はずっと大きなテーマ」 - 小池晃・参院選立候補予定者に聞く◆Vol.1
強制的な民間病院の病床削減「資本主義国であっていいのか」
 
スペシャル企画 2019年6月29日 (土)配信聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

 今夏の参院選で、日本共産党からの出馬を予定している医師、小池晃氏。1998年に初当選、現在3期目で、現在は日本共産党書記局長を務める。臨床現場での経験を基に初当選時から取り組んできた「医師の働き方」や高額薬剤などについても国会で問題提起をし続けており、今回も比例区からの出馬で4期目を狙う。参院選にかける思いを聞いた(2019年6月20日にインタビュー。全2回の連載)。

――小池先生は現在3期目ですが、この6年間の実績を教えていただけますでしょうか。

 3期目の最初の3年間は参院の厚生労働委員で、毎週のように国会で医療問題も取り上げました。後半は党の書記局長にもなり、政治全般の課題に取り組むことが増えましたが、その中でも予算委員会などで社会保障関連の問題は取り上げてきました。


小池晃氏
 オプジーボが保険収載された際には薬価の問題を予算委員会(2016年10月6日) で取り上げましたが、大きな話題になりました。日本の薬価がアメリカやイギリスでの販売価格に比べてあまりにも高いのではという問題提起をしたところ、政府もかなり敏感に反応して、外国の実勢価格と大きな乖離があることを認め、薬価の臨時的な引き下げにつながりました。

 薬そのものの価値は僕も十分評価していますが、あまりにも薬価算定過程が不透明だと思うのです。透明性を確保するように求めてきましたし、高すぎる薬価にはメスを入れて、技術料にまわしていくべきです。

――この6年間の医療関連施策をどのように評価していますか。

 安倍政権下で社会保障費の伸びの抑制が行われ、その結果、医療現場にしわ寄せが来ていることを国会でも問題提起してきました。地域医療構想では、都道府県を司令塔にしてかなり強権的に医療給付費の削減をする仕組みが導入されるのではと指摘してきましたが、それが徐々に現実になろうとしている。

 また、医師の働き方改革についても議論してきましたが、本当に改革するなら、今の医療費抑制政策と同時に進めるのは矛盾だらけ。手足を縛って泳げというものです。医師の働き方改革を進めるためにも、医療費抑制から舵を切るべきです。

――医師の働き方改革の関連では、初当選後の2001年には国会で関西医大の研修医過労死問題を取り上げていますね。

 私が医療現場から国会に来てまだそんなに経っていない時期で衝撃的な事件でした。「医師は労働者ではない」という見方が今以上に強かったです。医師には研修、研鑽が不可欠で、トータルで見なくてはいけないとは思いますが、やはり労働者としての権利は守らなければなりません。きちんと労働法制を適用すべきだと取り上げました。そういう意味では、医師の働き方はずっと大きなテーマとしてきました。

――今の働き方改革の方向性を、どのように評価されているのでしょうか。

 月80時間が過労死ラインと言われているのに、医師の時間外労働時間の上限時間が最大月155時間(年間1860時間)というのは過労死促進のようですよね。勤務間インターバル9時間、代償休暇という制度も実質的には抜け穴になってしまう。研修医ほど過酷な労働条件に追い込まれやすいのに、このような緩い基準になってしまうと働き方改革の名に値しないものになるのではと思います。

 もちろん、地域医療の現場が医師不足で深刻になるおそれがあるのは、十分に理解しており、単に時間規制すれば良いというものではないです。診療報酬上の手当てと同時に、やはり医師の絶対数を増やす必要があります。医師の偏在も問題になっていますが、人口当たりの医師数がOECD加盟国29カ国中26位という水準です。現状のままで偏在対策をしても結局は医師の取り合いになってしまう。

 将来的には医師が過剰になるという予測もありますが、現場の実態を考えるとまだ早いと思う。もちろんお金の手当てなしでやれば大変なことになるから、全ての土台として医療費抑制という路線を転換していく必要があることは先ほど述べた通りです。

 厚労省も、全体の枠が決められていて、その範囲で何とかするしかないから1860時間という話になってしまう。そこは政治の力が必要です。

――先生自身は医師としてどのように働いていたのでしょうか。

 若い頃は過労死水準を遙かに超える、24時間働いているような生活でした。僕らの世代の働き方ははっきり言って異常で、こういう働き方は長続きしなくて、実際、燃え尽きて、第一線を離れる人も多かった。健康、家庭、子育て、自己研鑽が両立しうるライフスタイルを実現する改革が必要です。

――医師の偏在対策や地域医療構想では、強制性を発揮すべきという意見もあります。

 強権的なやり方では上手くいかないと思う。地域医療構想でも都道府県知事の権限を強化して、民間病院まで含めて病床削減を命令できるようにしようとしていますが、僕が言うのもちょっと変かもしれないけど、資本主義国でそういうことがあっていいのか(笑)。

 医師の偏在についても、そもそも全体的に地域が衰退しています。医師だけが偏在しているわけではないのに、医師だけ強権的に配置しようとするのはおかしな話です。「地方創生」と盛んに言っていましたが、これまでの取り組みは失敗している。

 だから後ほど詳しくご説明しますが、必要なのは全国どこでも安心して暮らせるだけの賃金、労働を確保することです。最低賃金は全国一律にすべきだと思う。世界はほとんど一律で、州別になっているのはアメリカや中国、カナダなど巨大な国がほとんどです。


https://www.m3.com/news/iryoishin/684871
シリーズ 志賀隆の「救急医療の現場から」
NPの増加こそ医療界を救う秘策
医療の質は向上も、医療費は上がらない!
 
レポート 2019年6月28日 (金)配信志賀隆(国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長)

―エピソードー
 以前、こんな場面がありました。

 私が駆け付けると80歳の女性が救急搬送で到着したばかりでした。老人ホームで朝ごはんを食べた後に失神したとのこと。同僚の田中さんが、バイタルサインを測り、モニターを着け、静脈路確保、採血、心電図、心エコーをてきぱきとこなしてくれているところでした。そこに「35歳の男性が階段の踊り場で耳から血を流して倒れていた」という新たな受け入れ要請が。すかさず、田中さんが「先生!この患者さんは痙攣の既往で当院受診歴もあるようです。意識も悪く、耳からの出血ということで頭蓋骨骨折も疑われるので放射線を呼んでおきますね。まずABCの確認とは思いますが、頭部CTと採血、静脈路確保はオーダーしておこうかと思います!」とタイミングよく提案をしてくれる。その後も「今日の脳外科オンコールは松村先生だ!CT取ったらすぐ電話、電話」と田中さんはつぶやく……。


 実にテキパキとした働きぶりです。研修医の先生は2~3カ月で次の科へ行ってしまいますが、田中さんとは同じ職場で働くようになってもう2年になる。もちろんプロとして意見が対立することもありますが、とても心強い仲間であると思っています――。

 さて、先生方の病院に診療看護師(Nurse Practitioner:NP)はいますか?そうです。この頼もしい「田中さん」の様子は、私が普段一緒に働いているNPさんたちの色々な実際のエピソードから書いてみました。
 今回は、今後の高齢化・医師偏在など、取り組むべき課題の多い日本の医療現場に必要不可欠と思われるNPについて考えを述べてみます。医師の働き方改革などの観点からも話題になっている、タスクシェアやタスクシフトの考え方とも密に結び付きますので、避けては通れない話題になってきています。医行為のうち、医師が事前に手順書などを定めて包括的な指示を出しておける行為については研修を修了した看護師に実施を認める『特定行為研修制度』を国が進めておりますが、ここでは、日本NP学会が認定するNPについて述べます。私自身、国際医療福祉大学の大学院でNPの教育に講義や実習という形で携わっております。また、研修医の臨床研修と同様に、NPの卒後研修制度を院内で整備しています。

●どういう訓練を積むとNPと呼ばれるの?
 NPになるためには、5年以上の看護師の実務経験の後にNP養成の大学院(2年間)に通います。日本には、現在7つのNP養成の大学院があります。多くの大学院では1年目は座学が中心で、大学院の2年目は臨床現場の実習で医師とともに記録の記載やアセスメントの実際を体験します。そして大学院の卒業時にはNP学会の実施するNP認定試験を受験します。一般的に、この全てをクリアした看護師さんをNPと呼んでいます。

 NPの資格を取った後には、卒後の研修をするNPもいます。私たちの施設では研修中は、救急、内科、外科など複数の科をローテ―トすることで現場における診療能力を高めていきます。その後、卒後2~3年を目安に、救急、内科、外科と、それぞれのキャリアのゴールに合わせながら研修を進めます。日本でも米国でも研修修了後には、循環器内科のNP、消化器外科のNP、救急のNPといったように、自身がメインで働く領域を決めて長い期間働く方が多いです。

●NPが必要な3つの理由
 今後の日本の医療にNPが必要だと私が考える主な理由は下記の3点です。

1)医師と看護師、両方の仕事を知っているため、業務が円滑に

 職場のデザインが良かったり、優秀なリーダーがいたりして、NPがいなくても医師と看護師が問題なくスムーズに働けている部門も多いです。ただ、解決すべき課題のある部門もあります。例えば、アクティブな外科系の日中の病棟や、患者はたくさん運ばれるが人手に限りのある救急外来などは典型的ですね。内科系であっても、ベテランの医師が外来で忙しく入院患者の対応が後手に回ったりすることがあります。こんな病棟にNPがいると、質を保ちながら収益の柱である入院診療を支えることができます。


 例えば、午前のラウンドをNPさんに任せて(重要な報告は適時してもらいつつ)医師は午後に回ることにするのも可能でしょう。職場にNPがいると、看護と診療、患者と診療チームなどのコミュニケーションがとても円滑になります。実際、私も複数の患者さんが搬送された際にあるNPさんが「先生!この患者さん手術になりそうなので心電図と胸部X線を撮影しようと思います!」と提案してくれてとても助かったことがあります。加えて、医師が多忙で取り組めなかった人工呼吸器設定、輸液栄養管理、輸液路の確保、創傷管理など大小の問題に、NPがタイムリーに取り組むことができます。結果、診療の質の向上が得られていきます。

2)地方の医療機関を支える

 今、医療に限らず地方の企業や病院に人手を集めるのは容易ではありません。医師の場合、若いうちには研修などの関係で地域の医療機関で働くことはあります。しかし、スキルアップ、子供の教育などの観点から、長期間地域の医療機関で働くわけにはいきません。「必ず地方で働きたい!」と思っている人も少数派でしょう。この問題の有効な解決策の一つは、医学生の「地域枠」になるかと思います。しかし、地域枠にも限界がある。そこでNPの出番です。


 「外来はなんとかこなしているが入院管理までは手が回らない」、「手術が忙しくて病棟管理がとても辛い」などを理由に少しずつ、病院の勤務医が減っていてしまう状況をよく見かけます。ただ、ここにアップデートされた知識を持ったNPさんがいてくれたらどうでしょうか。看護師さんたちの多くは病院のある地域に長く住んでおり、キャリアアップとしてNPになってもらえれば研修医の先生のように「せっかく教えたのに去っていく」可能性はそれほどありません。主体的に仕事することになるので、やりがいを持って取り組んでくれます。加えて、まさに看護師さんですから、医師と看護師の関係だけでなく、他のコメディカルも含めた診療チーム全体の関係を絶妙に保ってくれます。看護の視点を生かして、入院中の患者さんやご家族との関係を円滑にしてくれるほか、退院に向けた準備・支援もバッチリです。

3)無駄な医療「医師誘発性需要」を減らそう

 医療政策や医療経済の分野には「医師誘発性需要」という言葉があるように、医師が多くなると医師の給与を捻出するために過剰な医療が行われることは世界的に知られています。ある地域の入院医療を維持するために医師を複数名雇用したものの、医業収入は雇用した医師たちの給与をねん出するまでには至らない場合、「CTを多く取ろう!」や「なるべく入院を増やそう!」といった議論は、病院経営の観点ではよくあるようです。


 一方、入院医療を維持するため新たに雇用されたのがNPであれば、医師ほどの給与ではなく、また忙しい医師をサポートする仕事の多くを担ってもらえるため、医師の勤務負担を軽減する可能性があります。そのため、医師誘発性需要を抑制するだけでなく、減らすことにもつながります。特に医師不足の地方や過疎の地域にNPが増えることによって、日本の医療は持ち直すのではないでしょうか。

 将来的には、法律に基づく制度の整備と、遠隔診療のビデオモニター、さらには遠隔聴診なども使うことによって、NPがへき地の診療や時間外診療のキーパーソンになったらと期待しております。


志賀 隆 Takashi Shiga
国際医療福祉大学准教授/同大三田病院救急部長

1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代から総合診療・救急を志し、東京医療センター初期研修後、在沖米国海軍病院,浦添総合病院救急部での勤務を経て渡米。米国メイヨー・クリニックでの救急研修後、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた後、11年に帰国し、東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長就任。17年7月から国際医療福祉大学医学部救急医学講座准教授/同大学三田病院救急部長を務める。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し日々活動。総合救急医学研究会のメンバーとして活動するほか、 自身のtwitterアカウントなどでも日々情報発信している。近著は「研修医指南書『今の若者は・・・・・・』って、嘆いていませんか?」や 「ER・救急999の謎編著」など。



https://www.m3.com/news/iryoishin/682125
シリーズ Dr.木川の「川越救急クリニックから見えた医療の現実」
実効性ある地域枠制度はどうすればいい?
 
オピニオン 2019年6月23日 (日)配信木川英(川越救急クリニック副院長)

 令和になりましたね。その前後の10連休のゴールデンウイーク、皆様はどのように過ごされたでしょうか。もう1ヵ月くらい前のことですので、記憶も薄れている頃でしょうか。

 当院は年末年始と同じ体制で、5日間ずつ、院長と私で分担して夜間から翌朝までという通常営業しました。連日50人前後の外来患者の診察、4-5台の救急車患者の受け入れをしました。発熱患者は連日半数以上で、その他は外傷系でしたが、この時期ですのでインフルエンザはほとんどいませんでした。その代わり、ウイルス性胃腸炎の患者さんがとても多かった印象です。またも自虐的ですが、当院が成り立っているのは、このような日々があるからであって、ゴールデンウイーク後は例年通り閑散としております。

 そのような中、このコラムのテーマである(?)医師不足問題を偏在という観点から再考してみたいと思います。

・2018年度の地域枠充足率81.6%、24府県が「8割未満」

以下は厚労省資料を要約

 地域枠は、地域の医師確保を目的に、都道府県が大学医学部の学生に奨学金を貸与する制度である。医師免許取得後、都道府県内の特定の地域や医療機関に貸与期間の1.5倍(9年間)の期間従事した場合、奨学金の返還が免除されるなどの仕組み。
 地域枠学生の選抜方法は、一般枠と別枠の募集定員を設ける「別枠方式」と、一般枠などと共通で選抜し、事前または事後に地域枠学生を募集する「手挙げ方式」とに大別される。
 地域の医師不足解消を目的とした医学部の地域枠は、2008~2018年の合計募集数10835人のうち、2594人定員割れしていた。
方式別にみると、別枠方式は募集数5956人、貸与実績5290人(89%)、手挙げ方式は募集数4879人、貸与実績2951人(60%)だった。
 厚生労働省の検討会では、都道府県や大学に対して「別枠方式」による地域枠を要請するとしている。

 掲げている理念としてはいいとは思うのですが、やはりお役所感覚としか思えません。地域枠でも何でもチャンスがあれば医学部に入りたい受験生にとって重要なのは「医学部に受かること」ですので、その後のことは二の次になっているのが現状だと思います。別枠方式の地域枠を増やしたところで、倍率が低下するくらいにしか思わないのが受験生の心理と考えられます。受験時には「この地域の医療に貢献したいです!卒後もこの地に残るつもりです!」のように言っていた医学生も、医師免許取って一人前になったら、都会へ…という話も聞きます。

 地域枠での学生の進路としまして、おそらくは総合診療医のような人材を想定しているものと思われます。全員が総合的になる必要はありませんが、例えば眼科医、精神科医ばかりが多かった場合、地域医療は従来通り、志のある先生の熱量に依存してしまうことになりかねません。

 地域枠という制度自体には賛成するものの、医学生の段階から進路科目を付けるのは難しいとは思います。この制度を絵に描いた餅としないためには、最初の段階で、「ここの地域にこの科目の医師が不足しているから、この科目(あるいはそれに類似した科目)の医師になるための医学生を募集する」のような抜本的な改革が必要な印象を受けます。入り口(それこそ地域枠などの)にある程度の規制がないと、自由気ままな今までと同様のスパイラルになっていくと懸念されます。旧態依然の「現場の頑張り」頼みでない、新しい方策にするべきで、『医学部』自体の改革が必要なんだと思います。

 そういう意味では、診療科の偏在が問題となりそうなのですが、どうやら厚労省は数が重要と考えているようです。

・医師最多は東京都、最少は岩手県、2倍の格差

以下は厚労省資料を要約

 医師偏在の度合いを示す新たな指標として「医師偏在指標」の導入が決まっている。4月に施行された改正医療法では、都道府県が2次医療圏単位で医師偏在指標に応じ、医師少数区域・医師多数区域を設定した。医師多数/少数区域の基準値として、上位3分の1を医師多数三次医療圏、医師多数区域、下位3分の1を医師少数三次医療圏、医師少数区域とした。
 都道府県別(3次医療圏)で医師が多い地域は、上位から東京都(329.0)、京都府(314.9)、福岡県(300.5)、沖縄県(279.3)、岡山県(278.8)。一方、医師が少ない地域は、下位から岩手県(169.3)、新潟県(169.8)、青森県(172.1)、福島県(177.4)、埼玉県(178.7)という結果で、医師少数3次医療圏として、下位3分の1に当たる16県が暫定で設定された。
 医師少数3次医療圏・医師少数区域(2次医療圏)が医師偏在を解消するための目標として、計画終了時点の医師偏在指標の値が、計画開始時点の医師少数区域の. 基準値に達することとなる医師数を目標医師数に設定された。計画開始時点で基準値を下回る医療圏では医師の確保が必要、基準値を満たす医療圏では目標を達成済と捉えられるが、医師の多寡状況は、現在時点と将来時点の両方を見据えなければならない。

 
 新たな指標で考えるのはいいとは思うのですが、根本が医師数に依存しているので、見えてくる結果は「人口10万対医師数」とほぼ同じな印象しか受けませんでした。我が埼玉県がどちらも下位にいますし。

 頭数だけの問題ではないことは現場では当然のことと認識していることと思いますが、どうやらお国の机上では兎にも角にも数が大事なんでしょう。医学部の定員も増加傾向でしたし、医師の資質や科目は重要視されていないような印象です。

 医師の都会志向は個々人の問題ですし、外科、小児科、産婦人科医などの成り手不足も強要ができないのが現状です。例によって、「この問題に対しては議論もしてますし、手も打ってます」のような感じで、時間稼ぎをして現状を乗り切ろうというパターンになっている印象しか受けません。

 僕個人の考えとしましては、都道府県単位または市町村単位で必要な診療科の人数はすでに出されていますし、それに合うように雇用するのが良いと思っています。特定の科ばかりでは、上手く回らないので。さらに、病院の集約化なども必要になってくると思います。とてつもなく、困難な対策ですが…

・医師確保「少数区域は多数区域から」、可能か?

 医師確保計画の「医師確保の方針」等が提案され、医師が多い区域から少ない区域にもってくるのが基本的な考え方。これもアイデアとしては全くその通りできれば最高だと思います。これには都道府県自体が、医師を雇うならば大きな医局として機能するかも知れませんが、各々の医療機関に雇われている勤務医を駒のように動かすことは現状では不可能だと思います。これもあまりに現場を見ていない机上の空論にしか思えません。

 さまざまな意見や提案を考えてみたのですが、結局は今のまま何も変わらず、「現場の頑張りに依存」している大筋はこのまま継続するものと思われます。そうこうしているうちに、時間が経過して日本の人口が減少して、人口対医師数が上昇して厚労省の思惑通りに進むというのが、シナリオでしょうか…。

 未来に依存して、現在の問題点をなおざりにするいつものパターンになりそうな予感しかしないのですが、皆様はどうお考えでしょう。まあ、ほとんどの日本の事案(憲法なども含めて)に当てはまりますが、古い法律が幅を利かせすぎなんでしょうね。医師法や医療法など戦後から高度経済成長期に通用していたことが、令和の時代で運用させること自体に無理があると思います。

 結局、現場や患者のことを棚上げしている『お役所体質』が問題なんでしょうけど、末端の人間(木川)が叫んでも何も響かないでしょうね…。まあ、それでもこれが僕のアイデンティティーなので叫び続けたいとは思いますが。

 令和最初に再び、暗い話題ですみません。


木川英(川越救急クリニック副院長)
2005年東海大学医学部卒後、神奈川県茅ケ崎徳洲会総合病院初期研修医、2008年青森県八戸市立市民病院救命救急センター。2013年から川越救急クリニック。院長の上原と共に、地域の救急医療を変えようと日夜色々なモノやコト(行政や法律、病魔や睡魔)と戦っている。



https://www.medwatch.jp/?p=27151
「都道府県別・診療科別の必要医師数」、2020年早々までに日本専門医機構や基本領域学会等の協議会で検証  
2019年6月24日|医療現場から MedWatch

 新専門医の資格取得を目指す専攻医(研修医)について、2020年度採用分から「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)をベースにした新たなシーリング(採用数上限)が導入される。現在、基本領域学会で研修プログラムを作成しており、早ければ今年(2019年)9月にも専攻医登録開始となる。また2020年早々までに「都道府県別・診療科別の必要医師数」の検証を関係学会等を交えた協議会で進め、2021年度以降のシーリングに活かす―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は6月24日の定例記者会見で、このような考えを改めて説明しました。
 
「都道府県別・診療科別の必要医師数」推計、離島等への派遣医師は勘案しているのか
 従前の専門医資格は、各学会が独自に基準を設けて、養成・認定を行っていましたが、「国民に分かりにくい」「質の担保が不明確である」との批判を受け、2018年度から、学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

ただし、「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設(研修病院)の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまう」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。その一環として、「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限(シーリング)を設ける」などの対策が図られています。

もっとも、現在のシーリング制度には明確な根拠がなく、日本専門医機構と厚生労働省の「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」は、来年度(2020年度)から「診療科別・都道府県別の必要医師数」(厚労省推計)をベースとした、次のような「新たなシーリング」を導入することを決定しました。ただし、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療では、さまざまな動きを勘案しなければならないためシーリングはかけられません(関連記事はこちら)。

(1)2016年の医師数(実数)が「2016年または2024年の必要医師数」(以下、必要医師数)を上回っている都道府県・診療科をシーリング対象とし、2020年度の採用数は「2019年度の採用実績」を上回らないこととする(例えば東京都・内科では2019年度の採用実績と同じ515名とする)

(2)採用数上限のうち、一部(2割程度を上限)を「シーリングのかかっていない都道府県」(内科では東京都・石川県・京都府・大阪府・和歌山県・鳥取県・岡山県・徳島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県以外)での勤務期間が50%以上となる連携プログラムとする(研修医視点では地域研修プログラム)とする(東京都の内科では77名分)

(3)連携プログラムの一部(5%を上限)を「医師不足が顕著な都道府県」(2016年の医師数が必要医師数の80%未満。内科では青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・埼玉県・千葉県・新潟県・福井県・山梨県・長野県・静岡県・宮崎県)での勤務期間が50%以上となる「都道府県限定分」連携プログラムとする(東京都の内科では12名分)

 来年度(2020年度)は、この(1)―(3)に則ったシーリングが適用され、現在、基本領域学会に「連携プログラム」等の要請がなされていることを寺本理事長は明らかにしています。基本領域学会の研修プログラムが出そろった段階で、各都道府県の地域医療対策協議会(新専門医制度について地域医療への悪影響がないかを検証し、考えを述べることができる会議体)にシーリング等に関するデータを提示。その意見を踏まえて、早ければ9月にも2020年度の専攻医登録が開始される見込みです。

 
 なお、厚労省の推計した「都道府県別・診療科別の必要医師数」に対しては、例えば「離島の多い自治体(長崎県や沖縄県など)については、『離島への派遣医師』分を考慮すべき」「精神科領域では『措置入院へ対応する医師』分を考慮すべき」という声が各学会から出ています。

そこで寺本理事長は、2021年度のシーリング設定に向けて、▼日本専門医機構▼関係学会(基本領域の学会)▼医師の人口動態(医師数動態)の専門家▼厚労省担当者―などで構成される「協議会」を設けて厚労省推計を検証する考えを示していました。協議会の立ち上げは、当初「2019年6月中」を目指していましたが、若干、遅れ「7月を目指す」ことになっている点が6月24日の定例記者会見で寺本理事長から明らかにされました(関連記事はこちら)。

基本領域学会は18あり(総合診療については基本領域学会がない)、1か月に一度、5学会が協議会に出席したとして、全基本領域学会の意見を吸い上げるだけで4か月かかります。さらに、最新の医師配置状況と言える「医師・歯科医師・薬剤師調査結果(2018年末の状況)」が今年(2019年)12月に公表される予定で、シーリングとの突合も必要となります。その後、年明け(2020年1月)にも具体的なシーリング設定に関する議論を行うことになります。

このため寺本理事長は、「都道府県別・診療科別の必要医師数に関する疑問を解消し、2021年度のシーリング方針が固まるのは、来年(2020年)早々になるのではないか」とも見通しています。



https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062802000273.html
無給経験の医師「患者の命が危ない」 激務で疲労、手術居眠り  
2019年6月28日 夕刊

 「患者の命を危険にさらしている」。無給医を経験した東京都内の大学病院に勤める三十代の男性医師は、こう警鐘を鳴らす。契約では、給料は安いが働く時間も短いとされながら、実際は毎日がフルタイムの勤務。当直勤務を繰り返し、疲れ切って手術中に居眠りをしてしまうこともあったという。 

 男性は大学院に所属し、医局内の規定により一定の時期に大学病院で働くことが求められる。月給は数万円で勤務は月に十数時間のはずが、基本的に日曜を除いて午前七時から、長くて午後十時まで働いた。外来診療に加え、手術もこなさなければならなかった。

 卒業までに数百万円かかる学費や生活費のため、月の半分ほどがアルバイトの当直で埋まることも。「ずっと眠くて疲れ切っていた」。慢性的な睡眠不足のため、患者に聴診器を当てている時や、手術時に意識が飛んでしまう経験もした。

 職場には大学院に通っていない同僚医師もいて、同じような働き方で月給は数十万円。理不尽さを感じて上司に改善を求めたが「自分や金のことばかり考えてわがまま言うな。組織の論理に従え」と叱責(しっせき)された。

 医師としてのキャリアを築くため、大学院を辞めるつもりはなかった。多くの無給医がいることから、知人にはストライキさえ勧められたが「患者さんという人質を取られているから絶対できない。大学病院は人の善意につけ込んで搾取している」と漏らす。

 「無給でかわいそうな僕らを助けて、ということではない。睡眠不足などで仕事に支障が出て、手術中に倒れでもしたら、危ないのは患者さんの命だ」と男性。無給医の実態解明と抜本的な改善を訴えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/684354
シリーズ 日医代議員会
「医業承継問題、喫緊の課題」平川日医常任理事
第145回日医定例代議員会、経営と地域医療の安定化の観点から解決
 
レポート 2019年6月25日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会常任理事の平川俊夫氏は、第145回日医定例代議員会で、診療所の開設者や法人の代表者、約7万人の平均年齢は61歳であり、うち70歳以上が約2割を占めている現状を踏まえ、医業承継問題への対策が喫緊の課題であるとし、「経営の安定化と地域医療の安定化の2つの観点からの解決が必要だと考えている」との考えを表明した。

 経営安定化については、相続税・贈与税の負担が医療経営を圧迫することがないよう、認定医療法人制度の延長・要件緩和、個人立診療所についても、今年度の税制改正において個人版事業承継税制を創設したと説明。地域医療の安定化の観点からは、今年度から秋田県内において複数の医療圏をモデル地域として、民間事業者と協働して医業の第三者承継のトライアルを開始しており、大都市圏でのトライアルも検討中だ。その他、厚生労働省に対し、診療所第三者承継の支援事業について予算措置を要望していると説明した。

 医業承継問題について質問したのは、福島県代議員の星北斗氏。かかりつけ医の普及、在宅医療、学校医、産業医など、地域の診療所の役割が大きくなっているものの、医師の高齢化が進み、事業継承が問題になっていると提起。継承する第三者が見付かった場合でも、後継者探し、継承成立に向けた対応や手続き等に多大なエネルギーを要するとした。福島県では2019年2月から医業継承バンクを設置したが、県内外の求職者に情報を伝え、バンク登録に結び付けることが課題だと指摘。日医の医業継承問題に対する認識と対応を尋ねた。

 平川常任理事の答弁要旨は、以下の通り。

【平川常任理事の答弁要旨】

 地域包括ケアを軸とした地域医療体制の構築のために、かかりつけ医機能の強化が求められている中で、診療所の果たす役割はますます重要となっている。2016年のいわゆる三師調査によると、診療所の開設者または法人の代表者、約7万人の平均年齢は61歳であり、このうち70歳以上が約2割を占めており高齢化が見られる。今後の診療所による診療体制の維持・発展のためには、これら高齢化する医師が抱える医業承継問題への対策が喫緊の課題だ。

 しかし、現実には診療所の医業承継は必ずしも円滑に行われているとは言えない。民間の調査では、後継者がいない開業医の半数以上が第三者への医業承継を、また第三者への医業承継を望む医師会員の7割近くが医師会に第三者承継の情報提供や相談の窓口となることを希望している。日医は、この医業承継問題について、経営の安定化と地域医療の安定化の2つの観点からの解決が必要だと考えている。

 まず経営の安定化については、医業承継資産にかかる相続税・贈与税の負担が医療経営を圧迫することのないように、納税を猶予する特例制度の創設等を税制改正要望として繰り返し求めてきた。その結果、診療所も利用できる認定医療法人制度の延長に際して、旧制度では高いハードルであった同族要件が贈与税の非課税基準から外れ、大幅な要件緩和が実現された。個人立診療所についても、今年度の税制改正において個人版事業承継税制を創設し、承継時の税負担を軽減する措置が同様にされた。このような税制改正の内容と医業承継の要点については、都道府県医師会およびTKC医業・会計システム研究会との3者共催による医療機関経営セミナーの開催を本年度も引き続き予定している。

 次に、地域医療の安定化の観点からは、地域で重要な役割を果たしている診療所が、後継者不在のために閉院を余儀なくされることのないよう、地域医療を志す若い医師をつなぐ取り組みも極めて重要。福島県医師会における福島県医業承継バンクは、極めて先進的な試みであり高く評価。ほかにも医業承継への取り組みは東京都、岐阜県、京都府、岡山県などでも行われており、今後は全国の都道府県でこのような取り組みが展開されることを期待している。

 日医は今年度より、秋田県内において複数の医療圏をモデル地域として、民間事業者と協働して医業の第三者承継のトライアルを開始。これは承継が医師の不足地域からの引き抜きとならないこと、地域の医師会に必ず確認することを要件としている。大都市圏でのトライアルも検討中だ。

 今年度より厚生労働省に対して、都道府県医師会等による地域の診療所第三者承継の支援事業を要望している。さらに本年9月下旬には、医業の第三者承継に関する都道府県医師会担当理事連絡協議会を開催し、福島県など全国の先進事例を共有して連携を深めることや、日医総研による研究報告などを通して、地域による医業の事業承継の在り方を共に考えるよう検討している。



https://www.medwatch.jp/?p=27144
公立・公的等病院の「再編・統合」、地域医療提供体制の在り方全体をまず議論せよ―地域医療構想ワーキング  
2019年6月24日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 公立病院・公的病院等の機能改革案を、診療実績データに基づいて再検証する。その際、「再編・統合が必要ではないか」と考えられる公立病院・公的病院等が見いだされた場合、個別医療機関の再編・統合のみを議論するのではなく、まず「地域の医療提供体制の在り方」そのものを地域医療構想調整会議で議論し、合意を得る必要がある―。

6月21日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった議論が行われました。
 
ここがポイント!
1 地域で必要な公立・公的等病院の数・ベッド数や民間との連携方針などをまず固めよ
2 脳梗塞患者へのtPA投与件数、超急性期脳卒中加算の算定件数と別に把握すべきか

地域で必要な公立・公的等病院の数・ベッド数や民間との連携方針などをまず固めよ

 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて後期高齢者となり、医療・介護ニーズが今後急速に増加していくとみられます。このため、より効果的・効率的に医療・介護サービスを提供する体制が求められ、その一環として「地域医療構想の実現」に向けた取り組みが進められています。2025年の医療ニーズを踏まえて、▼高度急性期▼急性期▼回復期▼慢性期等―の各ベッド数がどれだけ地域で必要となるかを推計し、この構想にマッチするように病院・病棟・病床の機能分化を進めていくものです。

地域医療構想の実現に向けて、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)では、まず「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっており、2018年度末(2019年3月末)時点では、ベッド数ベースで、▼公立病院は95%(2018年12月末から47ポイント向上)▼公的病院等は98%(同38ポイント向上)―と、ほぼすべての公立病院・公的病院等で「機能改革」に関する合意ができたように見えます。

ただし、機能別の病床数割合の推移を見てみると、次のように2017年度から2025年度にかけて大きな変化は見られず、また「合意ありきで議論が進み、形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」との指摘が相次いでいます。

【公立病院】
▽高度急性期:2017年度・20.3% → 2025年度・20.9%(0.6ポイント増)
▽急性期:2017年度・65.8% → 2025年度・62.5%(3.3ポイント減)
▽回復期:2017年度・8.2% → 2025年度・11.6%(3.4ポイント増)
▽慢性期等:2017年度・5.7% → 2025年度・5.0%(0.7ポイント減)

【公的病院等】
▽高度急性期:2017年度・35.8% → 2025年度・34.5%(1.3ポイント減)
▽急性期:2017年度・50.2% → 2025年度・49.7%(0.5ポイント減)
▽回復期:2017年度・6.2% → 2025年度・8.1%(1.9ポイント増)
▽慢性期等:2017年度・7.8% → 2025年度・7.7%(0.1ポイント減)
地域医療構想ワーキング(1)2 190516
 
 このためワーキングでは「合意内容の検証が必要」と判断。次のような枠組みで検証を行い、必要があれば「機能改革に関する再検討を求める」方向を固めています(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

(1)地域の医療提供体制の詳細な分析を行う
(2)(1)の分析結果を踏まえ、各調整会議で「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」を再検証・検討する

このうち(1)では、構想区域ごとに、各医療機関における▼がん手術の実績▼がん化学療法の実績▼心血管疾患の診療実績▼脳卒中の診療実績▼救急医療の実績▼小児医療の実績▼周産期医療の実績―などを洗い出します(厚労省で分析中、2019年夏頃に結果が示される見込み)。

さらに(2)では、(1)のデータをもとに、個々の構想区域で、例えば▼手術等の診療実績が高い公立・公的等病院と民間病院とが各1施設程度存在する▼手術等の診療実績が一定程度ある公立・公的当病院と民間病院が数多く存在する(大都市部など)▼複数の公立・公的等病院が手術等の多くを担っている▼多くの病院に手術症例等が拡散している―などに分類し、そのうえで、個々の公立・公的病院等の機能を次のように見極めていきます。
 
(α)例えば「胃がんの手術について、A公立病院が地域の大多数の症例に対応している」ことが明らかになれば、「胃がん手術」について、A公立病院は「他の民間病院では担えない機能」を担っていると判断できる(言わば【現在の機能を維持する公立・公的病院等】)。

(β)例えば「乳がん手術について、B公的病院とC民間病院とで症例を分け合っている」ような場合には、C民間病院のキャパシティなども考慮した上で、「乳がん手術の機能を、B公立病院からC民間病院へ移管することができないか」といった点を検討する(言わば【他の医療機関による役割の代替可能性がある(一部の機能転換を検討すべき)公立・公的病院等】)。

(γ)多くの項目について、X公立病院とY公立病院とで「症例が分散している」ことが明らかになった場合には、地理的要素なども考慮したうえで、「病院同士の再編・統合」を検討する(言わば【再編・統合等の必要性について特に議論が必要な公立・公的病院等】)。

  
 6月21日のワーキングでは、こうした再検証・再検討をどのようなプロセスで議論していくべきかを議論しました。厚労省の提案を、ワーキングとして了承した格好です。

 厚労省は、まず(β)の【他の医療機関による役割の代替可能性がある(一部の機能転換を検討すべき)公立・公的病院等】については、従前どおり「2020年3月まで」に、個別医療機関の機能転換について議論し、合意を得る必要があるとの考えを示しました。

 例えば、地域に民間のA病院と、公立・公的等のB病院・C病院の3病院がある地域で、「経皮的冠動脈形成術」の実績がB病院で著しく少ない、ような場合には、調整会議で「B病院の経皮的冠動脈形成術機能をA病院またはC病院に移管できないか」を検討し、2020年3月までに合意を得ることが求められます。B病院の循環器内科医や設備などをA・C病院に移すべきなのか、なども含めて議論することが必要となります。
地域医療構想ワーキング1 190621
 
 この点、今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は、例示について「経皮的冠動脈形成術(PTCA)経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とを混同した議論にならないように留意する必要がある」「PTCAについて、夜間・休日も実施しているのか、平日のみを実施しているのか、なども見ていく必要がある」ことを指摘。こうした点は現場でなければ十分に把握できず、調整会議でしっかりと見ていく必要があるでしょう。

 
 一方、(γ)の【再編・統合等の必要性について特に議論が必要な公立・公的病院等】については、個別医療機関単位の議論にとどまらず、地域の医療提供体制全般を議論することが求められる、との考えが厚労省から示されました。

 例えば、地域に公立・公的等のA病院・B病院・C病院・D病院と民間のE病院の5病院がある地域で、B病院では「救急車の受け入れ・経皮的冠動脈形成術・消化管悪性腫瘍手術・脳動脈瘤クリッピング術」など、さまざまな項目で診療実績が他院に比べて劣っている、ような場合には、「B病院については、他の病院と再編・統合すべきではないか」と議論していくことが求められます。

もっとも、再編・統合論議は一筋縄では進みません。地域の住民には「私の通っていた病院がなくなる。なぜなのか。今後、どうすればよいのか」と、また当該病院に勤務するスタッフにも「新病院の風土なども分からない。適切な診療を行えるのだろうか」との不安が生じることでしょう。首長や議会が「選挙公約で病院存続を打ち出している。再編・統合には応じられない」と反対するケースもありそうです。この点、総務省から「地域の不安を煽らないよう、慎重な情報発信を求める」要請がなされています。

 さらに、「どの病院に吸収させるのか」「1つの病院に吸収させるのか(ある機能はA病院に、別の機能はC病院に吸収させることも考えられる)」「単純に廃止するのか」などさまざまなパターンが考えられ、当事者となる病院に再編・統合論議を全て委ねることは困難でしょう。

 そこで厚労省は、まず▼地域でどの程度、公立・公的等の医療機関が必要と考えられるのか(公立・公的等の医療機関数、および機能別病床数の合計)▼公立・公的等と他の医療機関との連携方針―などを議論することが必要との考えを示しました。まず「地域の医療提供体制方針」を明確にし、その中で「現在、B病院が持っている各機能を、どの病院に担ってもらうことが適切か」と考えていくものです。
 
 この点に関連して岡留健一郎構成員(日本病院会副会長)は、「地域医療においては、公立も民間もない。地域全体で、医療提供体制をどう見直していくかを議論する必要がある。再編・統合は病院にも地域住民にもショッキングな話題であり、データを十分に提示し、地域医療構想アドバイザーの力も借り、慎重に議論していく必要がある」とコメントしています。

 また小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は、「公立病院は歴史的に『税金を投入してても、この地域の医療を確保しなければならない』というところから始まっている。確かに税金が投入されているが、その分、決して黒字にならない分野の医療を提供しなければならず、その点は議会のチェックを受けている。給与の高さも指摘されるが法令で定められており、我々には如何ともしがたい部分もある。住民が必要としている医療提供体制は何か、住民に要求される医療は何か、重点化すべき医療は何かを第一に考える必要がある」と指摘し、安直な公立・公的等病院の再編・統合には警鐘を鳴らしています。

 
なお、厚労省は、都道府県との協議の上で「再編・統合等に向けて国が重点的に支援する地域」(重点支援区域)を定め、国が「直接の支援」を行う考えを明確にしています。この点について中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「地方にとっては、厚労省から職員が派遣されてくるのはとても大きなことだ。地方が委縮したり、不快になったりしないよう、慎重に行動すべき」と指摘しています(関連記事はこちら)。

脳梗塞患者へのtPA投与件数、超急性期脳卒中加算の算定件数と別に把握すべきか

 また6月21日のワーキングでは、2019年度の病床機能報告(2019年7月1日時点の機能等を、2019年10月に都道府県に報告する)について、「脳梗塞に対するtPA投与件数」を把握すべきか否かも議論されました。

 脳梗塞発症直後の患者には、血栓を溶解する「組織プラスミノーゲン活性化因子」(tPA)を投与する治療法が効果的で、現在、こうした治療体制が地域でどの程度整っているのかを判断するために、A205-2【超急性期脳卒中加算】(発症から4.5時間以内のtPA投与を評価する入院基本料等加算)の算定状況を調べています。

 ただし、【超急性期脳卒中加算】の施設基準を満たさないながらも、tPA投与を実施し、脳梗塞患者に迅速・適切な治療を提供している病院があると考えられることから、厚労省は【超急性期脳卒中加算】の算定状況と合わせて、「tPA投与を行ったレセプト件数」も把握(NDBから把握し、医療機関サイドの負担は大きくない)してはどうかと提案したのです。
地域医療構想ワーキング3 190621
 
 しかし、中川構成員や今村構成員は、まず「tPA投与の実態」を詳しく調べるべきと指摘。今後、「【超急性期脳卒中加算】の取得病院で、加算適応外の患者であっても、医学的な見地からtPA投与を行っている」ケースが多いのか、それとも「【超急性期脳卒中加算】を取得していない病院で、tPA投与を行っている」ケースが多いのか、などを分析し、報告内容を見直すべきか否かを改めて検討することになりました。



https://www.m3.com/news/iryoishin/684765
地域医療支援病院、「医師の少ない地域」支援が基本的役割
特定機能病院の承認要件は意見対立、「議論の整理」は先送り
 
レポート 2019年6月26日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、6月26日の「第18回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に対し、「議論の整理」(案)を提示、地域医療支援病院の見直しについては了承されたが、特定機能病院の見直しに関しては意見が対立してまとまらず、次回会議で改めて議論することになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療支援病院については、「医師の少ない地域」の支援を「基本的な役割」として位置付け、既存の4つの承認要件に加えて、都道府県知事の権限により、「医師の少ない地域」の支援など、地域の実情に応じた要件を追加できるようにする。また「医師少数区域等」で勤務した医師を厚労大臣が認定、この認定を受けた医師であることを「一定の病院の管理者の要件」とする仕組みが導入されるが、「一定の病院」は全ての地域医療支援病院とする。

 一方、特定機能病院の見直しは、医療の質と医療安全の向上に向け、日本医療機能評価機構などの第三者評価を組み入れた承認要件とすることが柱。ただし、第三者評価の「受審」とするのか、その結果としての「認定」のどちらを要件とするかが、前回会議までの論点だった(『特定機能病院の承認要件見直し、厚労省案でまとまらず』を参照)。

 厚労省は、「受審」を要件とすることを前提に、下記のように整理。

【特定機能病院の承認要件の見直し案】
・「第三者による評価を受け、病院が主体的に取り組む」という枠組みの中で、第三者評価を受審し、指摘事項へ対応するよう努力するとともに、審査状況および指摘を受けた改善策について公表することを特定機能病院の要件とすべきである。
・指摘事項のうち、特定機能病院の要件に係る事項への対応状況については地方厚生局における医療監視においても確認すべきである。
・評価を行う第三者については、特定機能病院の医療安全管理体制等を評価できる機関の中から、病院が主体的に選択できることとすべきである。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏は、「受審」とした理由について、「仮に受審ではなく、認定とすると、国が第三者機関と評価基準を決めることになり、既存の第三者評価とは全く違うものを作ることになる」などと説明。国が特定機能病院の最低基準を見て、第三者機関が最低基準を上回る、より高度な医療安全体制を確保しているかを見るという役割分担をし、全体として底上げを図るのが、厚労省提案の枠組みと言える。

当初、6月26日の会議で、「議論の整理」(案)を取りまとめる予定だったが、次回に持ち越した。
 岡山大院長、厚労省案を最後まで問題視

 厚労省案に強く異議を唱えたのが、岡山大学病院病院長の金澤右氏。これに対し、他の構成員は、基本的には厚労省案を支持した。

 金澤氏は、第三者評価を承認要件とすること自体は認めたものの、審査状況・指摘を受けた改善策の公表、医療監視の確認などの要件に対し、「全く合点が行かない。第三者評価は、我々のディシプリンとして受審する。しかし、医療監視にも使うなど、認定に近いように見える。こんなことを書かれたら、臨床研究法や働き方改革などで、特定機能病院の体力がどんどん衰えている中、地域でのミッションが果たせなくなる」などと語気を強めた。国立大学病院長会議の常置委員会でも、問題視する意見が出ていることを紹介。

 北波課長は、「議論の整理」(案)は、これまでの議論を整理したものであるとし、「改善への自主的な取り組みを見るのであれば、認定とは違うが、どのような改善をしたかを公表する方法はあるだろう」などと説明。医療監視では、「特定機能病院の要件に係る事項への対応状況」を確認することを想定しているという。

 金澤氏は、それでも「医療監視を、エンハンスしているように見える。医療監視を第三者評価に丸投げしているようにも見える」などと反論。

 金澤氏と厚労省とのやり取りが何度か続いた後に、日本医師会副会長の中川俊男氏が、「これでも全然足りない。第三者評価の認定とすべき」と指摘したものの、厚労省案は、第三者機関による「受審」のみではなく、改善策の公表や医療監視との組み合わせが入ったことから、容認し得るというニュアンスで発言。

 中川氏は、今回の特定機能病院の承認要件の見直しは、群馬大学医学部附属病院や東京女子医大病院は、日本医療機能評価機構による病院機能評価の「一般病院2」の認定は受けており、かつ地方厚生局の医療監視も受けているにもかかわらず、医療事故が発生。これが発端となって、今回の承認要件の見直しにつながっていることを忘れてはいけないと強調した。特定機能病院等向けの新たな「一般病院3」を受審した19病院の中で、「評価C」(一定の水準に達しているとは言えない項目)があったのは18病院に上ることなどを挙げ、「こうした状況で、『受審』でいいというのは、国民に対して説明ができない。特定機能病院は日本の病院の最後の砦。ものすごく信頼しているために、厳しくしている」。

 日本薬剤師会副会長の川上純一氏も、大学に勤める立場から、「今回の案は、現実的には受け入れることはそれほど難しくはないと思う」と述べ、第三者評価を受審する以上は、最終的には認定を目指しており、指摘事項の改善策の公表も問題ないとした。「表現や書きぶりは検討の余地はあるが、ここに書かれている内容は妥当ではないか」。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、2017年6月の医療法等の一部改正法案に対する参議院の附帯決議で、他の附帯決議は「~検討すべき」となっているのに対し、「広域を対象とした第三者による病院の機能評価を承認要件とすること」と明記されていることから、「国会の強い意志を受け止めなければいけない」と指摘した。「受審」と「認定」のスキームは異なり、今回「認定」までやる必要があるかのかどうかと問いかけつつ、「『受けっぱなし』では済まされないだろう。それの結果等を公表すれば、実態上、問題はないだろう」。

 金澤氏は他の構成員のさまざまな意見が出てもなお、「受けるだけでいい、とは思っていない。改善すべきところはする。厚労省が直接やるなら納得がいくが、第三者がやることを認定するのはおかしいということ」などと反論。働き方改革などの改革が重なっている現実に触れ、「皆がギリギリになっている。だが、医療安全をないがしろにするわけではない」と訴えた。

 地域医療支援病院、地域の実情に応じて承認要件追加
 地域医療支援病院の見直しは、地域医療構想調整会議における協議で、地域の実情に応じて承認要件の追加を可能としたことがポイント。追加要件は、地域によってさまざまだが、想定される一つが、「医師の少ない地域」の支援。前回会議では、厚労省が定める「医師少数区域等」の支援とされていたが、「医師の少ない地域」との表現に変更し、地域の実情を踏まえ決めることができるようにした。

 要件を追加する場合、その地域の全ての地域医療支援病院か、あるいは一部か、新規承認時のみかなど、詳しい仕組み、さらに法改正か省令改正かなどは今後検討する。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、「従来の地域医療支援病院は、かかりつけ医や中小病院を支援する役割だったが、今後、医師が少ない地域へ医師を派遣する機能が追加されると意味合いが変わってくる可能性がある。こうした承認要件を追加していただければ、地域にとってありがたい」とコメント。

 中川氏は、厚労省が「医師の少ない地域」を支援する具体的な取り組みとして、下記の3つを例示したことから、これらに限らないよう分かる表現にすべきと釘を刺した。

【地域医療支援病院における「医師の少ない地域を支援する機能」の具体的な取り組み例】
・医師少数区域等における巡回診療の実施
・医師少数区域等の医療機関への医師派遣(代診医の派遣を含む)の実施
・総合診療の部門を持ち、プライマリ・ケアの研修・指導の実施



https://www.m3.com/news/iryoishin/685254
シリーズ 日医代議員会
医師の働き方改革「負担軽減に必要な手当て求める」長島日医常任理事
第145回日医定例代議員会、「医師個人へのインセンティブは制度上、困難」
 
レポート 2019年6月29日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 医師不足や医師偏在対策として、時間外労働が多い診療科の医師個人に診療報酬上のインセンティブを付けることは制度上困難であると判断しているため、診療報酬では医師軽減に必要な対策への手当を求めていくとともに、地域医療介護総合確保基金を活用した医師への手当など、総合的な対策を検討していく――。

 日本医師会常任理事の長島公之氏は、6月23日の第145回日医定例代議員会で、医師の働き方改革推進と偏在問題解決に向けた質問にこう答弁した。また救急車の有料化についても、「救急車の無料利用が国民に深く浸透している日本では、解決すべき問題が多いため最終手段と考えており、その前に他の方法による対策を進めていく」と述べ、子ども医療電話相談事業「#8000」や、救急安心センター事業「#7119」の拡充や、救急車の利用の仕方も含めた上手な医療のかかり方を啓発することが必要だとした(『「国民全体が医療危機に取り組むべき」デーモン閣下、宣言発表』を参照)。

 山口県代議員の加藤智栄氏は、医師の長時間労働の主因は、医師の地域と診療科の偏在にあると指摘。ギリギリの状態で医療を担っている地域や診療所では、タスクシフトやシェアは限定的で、勤務間インターバル制は採用できないとし、医師の働き方改革を進めるため、(1)地方で働く医師、産婦人科や救急、外科など時間外労働が多い科の医師個人に診療報酬上のインセンティブを付ける、(2)救急車の適正利用と働き方改革を推進する財源として救急車の有料化――について、日医の見解を質した。

 関連で奈良県代議員の岩井誠氏は、大阪府三島救急医療センターが人材確保に関わる運営資金をクラウドファンディングで募集したことについて、「病院単体ではなくて、日医なり、組織としてそういうことが可能なのかどうか」と質問。

 長島常任理事は、クラウドファンディングでは、市民・住民の理解と協力を得ることがまず重要であるとし、まず上手な医療のかかり方を理解してもらうことが必要だと強調した。「その中の1つの方法として、クラウドファンディングというのも考えるといいかと思っている。検討させていただく」。

 長島常任理事の答弁要旨は、以下の通り。

【長島常任理事の答弁要旨】
 まず医師個人への診療報酬のインセンティブについて。公的医療保険制度に基づく診療報酬は、医療機関に対し支払われる仕組みであり、医療機関が受け取った報酬を医師、医療従事者にどのように配分するかは各医療機関の判断による。従って、診療報酬を医師個人のインセンティブに直結させるのは制度上困難であると判断しているため、日医としては次に述べる対策を講じていく。

 診療報酬に関しては、医師の負担を減らすために必要な対策にはしっかり手当をすることを要望していく。2018年度改定では、業務分担、協働の促進、常勤配置や専従要件の見直し、24時間対応体制の要件緩和など、医療提供の質の確保に配慮しつつ、より弾力的な運用が可能になるように見直しが行われた。今年5月の中医協においても、医師事務作業補助体制加算のさらなる拡大など、診療以外の業務負担の効率化・合理化を求め、地域医療を支えている中小の民間医療機関の現況に即した、診療報酬上の手当という視点で検討するよう要請した。診療報酬以外にも、医師個人のインセンティブになるものとして、地域医療介護総合確保基金を活用して、救急医、産科医、小児科医等に手当を支給する事業を行っている例があり、各地域の実情に応じた地域の活用を検討してもらいたい。

 医療機関へのさまざまな資金的・人的支援も国に要望していく。2019年度税制改正では、医師および医療従事者の勤務時間短縮に資する一定の設備についての特別償却制度が新設された。2020年度の政府予算要望では、働き方改革関連として厚労省に対し、医療のかかり方の普及を啓発、医療機関連携、タスクシフト、医療チーム補助者育成、医療機関経営者支援、女性医師支援といった項目を挙げた。さらに国に対し、特に人員や資金が限られている2次救急医療の担い手である民間医療機関への財政的支援を行うことを要求している。

 医師個人へのインセンティブという観点では、医療機関経営者、勤務医への適正な対応が重要になる。各都道府県で開催される医療機関のトップマネジメント研修において、勤務した内容に応じた適切な配分や健康管理の重要性について、改めて経営者に認識してもらいたいと考えている。また、医療界として、医学生や若手医師に対し、医師として働くことの意義、やりがいを理解してもらえるよう取り組み、医師としての職業倫理観を醸成していくことがインセンティブにつながるものと理解している。日本医師会としても医学教育によって実践されるよう、関係省庁に要望していく。

 2番目の救急車の有料化だが、救急車の無料利用が国民に深く浸透している日本においては、有料化には解決すべき問題が多いため最終手段と考えており、その前に他の方法による対策を進めていく。

 救急車の有料化については、生活困窮者等が救急要請を躊躇する、有料・無料の区別・判断が難しい、傷病者とのトラブルが増加、料金徴収等にかかる事務的負担が増加などの懸念がある。また導入に当たっては、料金徴収の対象者の範囲や決定、料金の額や徴収方法などが検討課題になる。さらに、市町村消防で営まれている救急搬送サービスを有料化した場合に、どのようにして医療現場にその収益を転用するかという、技術的な問題もあると考えられる。

 日医は、子ども医療電話相談事業「#8000」や、救急安心センター事業「#7119」の拡充・普及、救急車の利用の仕方も含めた上手な医療のかかり方を国民に広めることを、厚労省に要望していく。また、近年問題となっている高齢者の救急搬送増加に対応するために、かかりつけ医機能のさらなる推進と各地域における在宅患者の搬送受け入れ体制づくりを含めた地域包括ケアシステムの構築、充実の支援を行っていく。さらに、地域医師会による病院救急車の活用、身近な入院機能を担う中小病院や有償診療所の支援などを国に対し強く求めていく。



https://blogos.com/article/388041/
医療の可能性と若手医師育成  **   
NEXT MEDIA "Japan In-depth"2019年06月29日 21:52
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)


【まとめ】
・医師の育成の在り方が議論されている。
・「兼業」は医師の生産性を上げる可能性がある。
・若手医師を育てながら地域医療を守っていかねばならない。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46462でお読み下さい。】

医師の育成の在り方が議論されている。本稿では詳述しないが、一般社団法人日本専門医機構が中心となって、カリキュラムおよび研修する病院を「統制」しようとしている。これは衰退する大学医局の復権を目論んだものだ。

さらに、医師不足に悩む地方からの要望に応える形で、厚労省が医師偏在対策を、この制度に盛り込み、東京などの都心部の定員は制限された。病院経営者にとって、若手医師は安い給料でよく働く貴重な労働力だ。医師確保は容易に利権化する。新専門医制度でも、日本専門医機構からはデータ改竄を示す内部資料が流出した。

当初、地方の医師不足を緩和するために、東京などの定員を制限したが、結果は正反対だった。すべての診療科で東京一極集中が加速した。例えば、内科の場合、東京は77人増加し、周辺の千葉(30人減)、埼玉(10人減)、神奈川(5人減)から医師を吸い寄せた。11の県(秋田、富山、福井、鳥取、島根、山口、徳島、香川、高知、佐賀、宮﨑)では内科志望者が15人以下となった。高知にいたっては5人だ。

このようになったのは、地域医療の中核である内科や外科ではへき地勤務を義務づけられるため、眼科や泌尿器科に研修医が流れたこと、および都市部の定員にキャップがかかるため、都市部の病院が過去の実績を「水増し」して要求したことが原因だ。なにやら喜劇のような話だ。

このような議論を通じて感じるのは、医学界の重鎮や厚労省が「若い医師はへき地勤務を嫌がる」と信じ込んでいることだ。必ずしもそうではない。日本専門医機構が推奨する大学医局の指示に従って関連病院をローテションするやり方が現状にそぐわないだけだ。やり方次第で、地方での勤務を希望する医師はいる。その代表が福島県浜通りだ。本稿では、福島県浜通りで活躍する若手医師をご紹介したい。彼らの働き方は、これからの医師の在り方を考える上で示唆に富む。

「南相馬と広島・上海で働かないか?」

坪倉正治医師は嶋田裕記医師に提案した。坪倉医師は福島県浜通りで診療する傍ら、福島県立医科大学の特任教授として、大学院生を指導している。坪倉医師の専門は血液内科。福島では震災直後から被曝対策に従事し、福島県立医大では公衆衛生学も教えている。嶋田医師は博士課程の大学院生の一人だ。

嶋田医師は2012年に東京大学医学部を卒業後、千葉県の名戸ヶ谷病院で初期研修を終え、2014年5月に南相馬市立総合病院に就職した。専門は脳外科だ。前述したように、昨年4月福島県立医大の博士課程に進んだ。南相馬市立総合病院で診療の傍ら、臨床研究を行う。


彼が研究テーマに選んだのは、遠隔画像診断だ。かつて脳卒中は「東北地方の風土病」と言われた。以前ほどではないが、現在も脳卒中の頻度は高い。

この領域の診断・治療は近年、急速に進歩したが、東北地方ではその成果が充分に患者に還元されているとは言いがたい。脳外科および放射線科の専門医が少ないからだ。

南相馬市内の民間病院に勤務した経験がある山本佳奈医師は「夜間、当直中に意識障害の患者にCTを撮っても、専門医に読影してもらうことは出来ません。転院を受けてくれる病院はほとんどなく、そのまま保存的に診るしかありません。(脳卒中の後遺症を大幅に減らす最新の治療である)血栓溶解療法などやったことはありません」という。これがへき地医療の実際だ。

遠隔画像診断は、この状況を変える可能性がある。萌芽的な営みは既に始まっている。山本医師は「脳卒中の患者でCT画像をスマホで写真にとって、嶋田先生に送ったことがありました。すぐに読影してくれて、そのときは南相馬市立総合病院に転院させてくれました」という。

これは山本医師と嶋田医師が旧知でスマホで連絡を取り合える仲だったからできたことだ。どこでも、誰でも利用できるようにシステム化するにはどうすればいいか。

この問題に取り組んでいるのが、広島市内で霞クリニックおよび株式会社エムネスを経営する北村直幸医師だ。CTやMRIの遠隔診断システムを開発している。


北村医師のことは、多くのメディアで取り上げられており、ご存じの方も多いだろう。総合情報誌『選択』は2018年9月号で「グーグルが支配を狙う日本の医療」という記事を掲載し、その中でエムネスのことを紹介している。北村医師の活動の世界的な意義が理解できる。ご興味のある方はお読み頂きたい。

ポイントだけを紹介すると、エムネスの売りは画像データをクラウドに集約していることだ。彼らが利用するのがグーグルクラウドプラットフォームで、グーグルはエムネスを「テクノロジーパートナー」に認定している。

エムネスのシステムを導入した医療機関では、撮影されたCTなどの画像はクラウドにアップされ、エムネスと契約する放射線診断専門医が読影する。結果は、画像に読影レポートをつけて、クラウドを介して、医療機関に戻される。

エムネスの売りは料金が安いことだ。それは画像の保管にはグーグルクラウド、やりとりにはインターネット回線を使うため、経費を圧縮できる。医療機関は専用回線や専用サーバなどの初期費用を負担する必要がない。負担する費用はMRIやCT 1台あたり月額3万円で、読影は一件で3,000円だ。

エムネスは急速に顧客を増やしている。楽天OBたちが銀座に立ち上げた「メディカルチェックスタジオ」という脳ドック専門のクリニックに導入されている。脳ドックの値段は1万8900円だ。通常の値段は4〜8万円程度であり、破格の安さだ。開業後1年半で2万人が受診したという。エムネスのシステムが脳ドック業界に革命を起こしていると言っていい。彼らの活躍は国内だけに留まらない。モンゴルなど海外からの画像も受け付けている。


こうなると大量の画像データがエムネスに蓄積される。これは研究者にとって宝の山だ。特に人工知能関係者からは注目されている。エムネスは、東京大学発のベンチャーであるエルピクセル社と共同で、人工知能診断を臨床現場に導入している。嶋田医師は、大学院のテーマとして、エムネスと協力して、この領域を専攻したいと希望している。

現在、嶋田医師は岐路に立たされている。彼は南相馬市立総合病院で脳外科の診療を続けながら、新しい可能性にもチャレンジしたい。彼が希望する研究は、専門医不足に悩む浜通りの脳外科診療の改善に直結する。

ところが、彼が南相馬市立総合病院で働きながら、エムネスで診断業務に携わると「兼業規制」に抵触する。どうしてもやりたければ、南相馬市立総合病院を辞めるしかない。

従来、他施設が有する先進的な技術を学ぶなら、研修目的で出張するのが通常だった。嶋田医師も、南相馬市立総合病院からエムネスに研修にでかければいいとお考えの読者が多いだろう。なぜ坪倉医師は南相馬市立総合病院とエムネスの二ケ所勤務にこだわるのだろうか。

それは、エムネスとの共同研究が長期にわたり、かつ嶋田医師がエムネスで「研修生」や「見学者」でなく、画像診断という実務の「当事者」として関わらなければ実効性のある仕事ができないと考えているからだ。我々が従事しているのは臨床医療という実学だ。文献を読んで机上の空論を弄ぶのではなく、実際に現場で試行錯誤しなければ、研究は進まない。そのためには、一定期間、現場で当事者として働かねばならない。そのためには、南相馬市立総合病院とエムネスで「兼業」しなければならない。

医療に限らず、先端的な研究は学際的な分野で発展する。いい仕事がしたければ、一ヶ所で縦割りの狭い世界に閉じこもるのではなく、様々な経験を積むべきだ。「兼業」は医師の生産性を上げる可能性がある。

私たちのチームでは複数箇所で働く若手医師が多い。坪倉正治医師自体がそうだ。相馬市の相馬中央病院特任副院長を「本職」に、福島県立医大の特任教授および南相馬市立総合病院・ひらた中央病院(福島県平田村)・ときわ会常磐病院(福島県いわき市)、さらにナビタスクリニック立川(東京都立川市)で非常勤医師として診療している。担当するのは高齢者を対象とした内科診療、都内での「コンビニクリニック」での診療から被曝対策まで幅広い。さらに今年の末にはフランス政府から招聘され、4ヶ月間、現地で被曝対策に従事する。

尾崎章彦医師も同様だ。2010年に東大医学部を卒業したあと、千葉県内の病院を経て、竹田綜合病院(福島県会津若松市)に就職した。その後、2014年10月に南相馬市立総合病院、2018年1月に青空会大町病院(福島県南相馬市)、2018年7月にときわ会常磐病院(福島県いわき市)に移籍した。

現在、ときわ会常磐病院での乳がん診療をメインに、大町病院でも診療している。また、週末は東京にもどり、私どもの研究所で研究する。

山本佳奈医師の働き方は坪倉、尾崎医師とは少し違う。2015年に滋賀医科大学を卒業後、南相馬市立総合病院で初期研修を修了した。その後、福島県内の大町病院、ときわ会常磐病院の勤務を経て、2018年10月からはナビタスクリニック新宿に拠点を移した。彼女の目標は「女性を総合的に診療できる医師」になることだ。30代の女性が多く受診するナビタスクリニック新宿が格好の修業の場だが、現在もときわ会をはじめ、福島県内の複数の施設で非常勤医師として勤務している。

彼らの特徴は、一ヶ所の病院に留まることなく、複数箇所で勤務することだ。勤務先は自ら開拓した。大学病院に勤務しながら、医局の関連病院でアルバイトをしているのとは違う。

私は尾崎医師や山本医師の進路相談に乗ってきたが、彼らが南相馬市立総合病院を辞職するにあたり、公務員の兼業禁止規定は大きく影響した。幅広い分野で経験を積みたい彼らにとって、この規制が大きな障害となった。あまり議論されることはないが、若手医師にとって公務員になることは、さまざまな弊害がある。公的病院は地域医療で中核的役割を担うことが多い。私は、この兼業規制が地域の公的中核病院の経営の足を引っ張っていると考えている。

若手医師の中には「海外との兼業」を始めた者もいる。それは森田知宏医師だ。2012年に東大医学部を卒業しており、嶋田医師の同期だ。千葉県の亀田総合病院での初期研修を終え、相馬中央病院(福島県相馬市)に内科医として就職した。現在は日曜の当直から水曜までを相馬中央病院で勤務し、木曜と金曜は東京のベンチャー企業miupに取締役として勤務する。

miupの主たる業務はバングラデシュでの医療ビジネス、特に臨床検査ビジネスの立ち上げだ。森田医師は、毎月一週間程度、バングラデシュで勤務する。仕事柄、地元の医師と交流する。会社の業務の一環として臨床研究を進めるとともに、経済的な側面も含め、バングラデシュの若手医師を支援する。昨年はアビデュラ・ラーマン医師が福島医大の病理学教室に留学した。


坪倉、尾崎、山本、森田医師、いずれもが福島をベースに国内外で「兼業」している。これは私がグランドデザインを描いたわけではない。東日本大震災直後から福島で診療を続ける中で、自然に確立した働き方だ。彼らは「福島で働き続けるためにはどうすればいいか」を考えて、「複数ケ所勤務」の方法を確立していった。

厚労官僚や有識者が頭の中で想像したことを、国家や業界の力を用いて、現場に押しつける新専門医制度とは全く違う。どちらが実情に即しているかは議論の余地がない。

福島の地域医療に従事するのは、やりがいがあるが、症例数も少なく、十分な経験を積めない。幸い福島と東京は近い。我々の研究所が存在する東京の高輪から南相馬市立総合病院に行くのに要するのは約4時間だ。毎日の通勤は無理でも、二ヶ所勤務は十分な可能な距離だ。

このような勤務を続けるうちに、彼らは「東京から南相馬に行くのも、上海に行くのも変わらない」と言い出した。

これまで私たちのグループは上海の復旦大学と共同研究を続けてきた。2017年には森田・山本医師が復旦大学に約一ヶ月間留学した。

上海はダイナミックだ。意志決定は速く、規模は大きい。上海に足りないのは有為な人材だ。現在、ノウハウを有する人材を求めている。これまで、我々のグループは谷本哲也医師や加藤茂明・ときわ会常磐病院先端医学研究センター長、いわき明星大学教授(元東大分子生物学研究所教授)が中心となって、復旦大学の研究者と共同で『ランセット』のレターなども含め10報以上の学術論文を発表してきた。

最近、加藤教授は復旦大学公共衛生学院の客員教授に就任し、谷本医師と復旦大学との交流は同学院のホームページで紹介された。

5月24~26日まで、我々のチームは復旦大学を訪問した。筆者に加え、谷本、坪倉、森田、嶋田、山本医師、加藤教授も参加した。


先方から「学術論文が着実に出ていることが高く評価された。益々、交流を加速したい」と提案があった。

そこで坪倉医師が提案したのが冒頭の嶋田医師の働き方だ。とりあえずは脳卒中の共同研究から入るが、やがて診療まで拡充させたいと考えている。

上海は近い。東京との所要時間は約3時間。費用は格安航空券を使えば往復で3万円だ。南相馬と東京を往復するのと大差ない。やる気になれば、すぐにでもできる。

超高齢化が進むわが国で、脳外科のような高度先進医療のニーズは急速に減少する。人口減少が進む南相馬はなおさらだ。若手医師が南相馬で働きながら、症例数を積むのはどうすればいいか。私は国内はもちろん東アジアと連携することだと考えている。

冒頭にご紹介したように、現在、我が国では地域の医師不足を解決するため、若手医師を地域に強制派遣する議論が盛り上がっている。私は東日本大震災から8年にわたり浜通りで活動しているが、このようなやり方が上手くいった例をみたことがない。若手医師が派遣されても、その期間が短ければ、職場になれたころに異動となる。少なくとも数年間は腰を落ち着けて活動しなければ、実力はつかないし、研究成果もでない。若手医師も長期的に関わるとなれば、仕事先を本気で考える。坪倉医師をはじめとした若手医師が浜通りで成長できたのは、立谷秀清・相馬市長をはじめとした優秀な方々がいて、彼らを指導してくれたからだ。だからこそ、彼らはこの地で活動を続けている。

ただ、このようなケースは稀だ。僻地医療の議論は、医師数の辻褄合わせで終わることが多い。このことを熟知した大学医局の中には、へき地の病院を不都合な人材を派遣するポストとみなしているところもある。浜通りには何人も前職で問題を起こした医師が派遣されてきた。つい最近も破廉恥行為が発覚し、処分された医師がいた。この医師が勤務する病院長は管理責任を問われて処分されたが、派遣元の教授は頬被りを決め込んでいる。これがへき地の病院の実態だ。

なぜ、このような医師しかこなかったかと言えば、公務員医師の場合には兼業規制が大きいだろう。

嶋田医師は「給料は減らされてもいい。非常勤でもいい。この地域に軸足をおいて、さまざまな経験を積みたい」と言う。彼の理想は、週の前半を南相馬市で、後半を広島と上海で隔週で働くことだ。先だって、及川友好・南相馬市立総合病院長に正式に要望を伝えた。

どうすれば若手医師を育てながら、地域医療を守れるか、既成概念にとらわれず柔軟に考えねばならない。



https://www.nikkei.com/article/DGXKZO46526270V20C19A6EA2000/
かかりつけ医とは 欧州では専門医へのゲートキーパー
きょうのことば
 
2019/6/25付 日本経済新聞

▼かかりつけ医 患者が継続的に診察してもらう医師。日本医師会などは(1)なんでも相談できる(2)最新の医療情報を熟知している(3)必要な時に専門医を紹介できる(4)身近で頼りになる(5)地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師――と定義している。「家庭医」として定着している欧州では、専門医への取り次ぎを選別するゲートキーパーとしての機能を持つ。

   日本医師会による定義
・ なんでも相談できる
・ 最新の医療情報を熟知している
・ 必要な時に専門医を紹介できる
・ 身近で頼りになる
・ 地域医療、保険、福祉を担う総合的な能力


旧厚生省は1980年代に家庭医の制度化に乗り出したものの、医師会の反対などで頓挫した経緯がある。英国のようにゲートキーパー制度を設けようとしていると受け止められ、医師会は「医療費抑制策」と反発した。

ただ政府の社会保障制度改革国民会議が2013年にまとめた報告書は、「緩やかなゲートキーパー機能を備えたかかりつけ医の普及は必須」とした。近年は病院勤務医の過重労働も問題視されるようになり、かかりつけ医と専門医の役割を明確にする機運が高まっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/684981
シリーズ 真価問われる専門医改革
サブスペシャルティ専門医の協議会、7月に設置へ
日本専門医機構が社員総会、2018年度事業報告・決算報告了承
 
レポート 2019年6月27日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構の定時社員総会が6月27日、都内で開かれ、2018年度の事業報告と決算報告が了承された。社員総会後、取材に応じた理事長の寺本民生氏は、7月にサブスペシャルティ専門医に関する協議会をこの7月にも設置する方針を明らかにした。シーリング(専攻医の募集定員の上限)に関する協議会も7月中に設置予定で、同機構が抱える2つの問題に対し、アドホックの議論の場を設け、検討を進めることになる(『専攻医シーリングの協議会、早ければ7月にも』を参照)。サブスペシャルティ専門医については今秋、2021年度研修開始の専攻医のシーリングに関しては年明けを目途に、それぞれ一定の結論を出す方針。

 シーリングについては、6月23日の日本医師会の代議員会でも議論になっていた(『「診療科、開業の選択の権利を保障」、今村日医副会長』を参照)。日本専門医機構の社員である日医会長の横倉義武氏は社員総会後、「地域医療に混乱をもたらさないような研修の在り方、若い医師が夢を持って研修できる仕組みを作ってもらいたい」とコメント。地域別などの具体的な数ではなく、総論的な指摘をしたという。

 社員総会では、2018年度の事業報告と決算報告について協議、了承したほか、サブスペシャルティ専門医とシーリングなどについて議論した。

 寺本理事長によると、サブスペシャルティ専門医について、横倉氏からは「ある程度、整理しないと、前に進めないのではないか」といった意見が出たという。サブスペシャルティ専門医については、常設の「サブスペシャルティ領域検討委員会」があるが、それとは別にアドホックに協議会を設置、内科系と外科系の関係学会を集め、サブスペシャルティ専門医についての基本的な考え方を整理する方針。

 シーリングについても、「(シーリングの在り方が)頻繁に変更されるのはたまらない」、「自分たちの診療科の状況を反映していない」など、多くの意見が出たという。「いろいろな意見が出たので、機構としてもこれから協議をし、それを厚生労働省にも伝えていく」(寺本氏)。シーリングの協議会は、5領域ぐらいずつに分けて関係学会を集め、議論をしていく予定。



https://www.medwatch.jp/?p=27151
「都道府県別・診療科別の必要医師数」、2020年早々までに日本専門医機構や基本領域学会等の協議会で検証  
2019年6月24日|医療現場から MedWatch

 新専門医の資格取得を目指す専攻医(研修医)について、2020年度採用分から「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)をベースにした新たなシーリング(採用数上限)が導入される。現在、基本領域学会で研修プログラムを作成しており、早ければ今年(2019年)9月にも専攻医登録開始となる。また2020年早々までに「都道府県別・診療科別の必要医師数」の検証を関係学会等を交えた協議会で進め、2021年度以降のシーリングに活かす―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は6月24日の定例記者会見で、このような考えを改めて説明しました。
 
「都道府県別・診療科別の必要医師数」推計、離島等への派遣医師は勘案しているのか

 従前の専門医資格は、各学会が独自に基準を設けて、養成・認定を行っていましたが、「国民に分かりにくい」「質の担保が不明確である」との批判を受け、2018年度から、学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

ただし、「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設(研修病院)の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまう」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。その一環として、「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限(シーリング)を設ける」などの対策が図られています。

もっとも、現在のシーリング制度には明確な根拠がなく、日本専門医機構と厚生労働省の「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」は、来年度(2020年度)から「診療科別・都道府県別の必要医師数」(厚労省推計)をベースとした、次のような「新たなシーリング」を導入することを決定しました。ただし、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療では、さまざまな動きを勘案しなければならないためシーリングはかけられません(関連記事はこちら)。

(1)2016年の医師数(実数)が「2016年または2024年の必要医師数」(以下、必要医師数)を上回っている都道府県・診療科をシーリング対象とし、2020年度の採用数は「2019年度の採用実績」を上回らないこととする(例えば東京都・内科では2019年度の採用実績と同じ515名とする)

(2)採用数上限のうち、一部(2割程度を上限)を「シーリングのかかっていない都道府県」(内科では東京都・石川県・京都府・大阪府・和歌山県・鳥取県・岡山県・徳島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県以外)での勤務期間が50%以上となる連携プログラムとする(研修医視点では地域研修プログラム)とする(東京都の内科では77名分)

(3)連携プログラムの一部(5%を上限)を「医師不足が顕著な都道府県」(2016年の医師数が必要医師数の80%未満。内科では青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・埼玉県・千葉県・新潟県・福井県・山梨県・長野県・静岡県・宮崎県)での勤務期間が50%以上となる「都道府県限定分」連携プログラムとする(東京都の内科では12名分)

 来年度(2020年度)は、この(1)―(3)に則ったシーリングが適用され、現在、基本領域学会に「連携プログラム」等の要請がなされていることを寺本理事長は明らかにしています。基本領域学会の研修プログラムが出そろった段階で、各都道府県の地域医療対策協議会(新専門医制度について地域医療への悪影響がないかを検証し、考えを述べることができる会議体)にシーリング等に関するデータを提示。その意見を踏まえて、早ければ9月にも2020年度の専攻医登録が開始される見込みです。

 なお、厚労省の推計した「都道府県別・診療科別の必要医師数」に対しては、例えば「離島の多い自治体(長崎県や沖縄県など)については、『離島への派遣医師』分を考慮すべき」「精神科領域では『措置入院へ対応する医師』分を考慮すべき」という声が各学会から出ています。

そこで寺本理事長は、2021年度のシーリング設定に向けて、▼日本専門医機構▼関係学会(基本領域の学会)▼医師の人口動態(医師数動態)の専門家▼厚労省担当者―などで構成される「協議会」を設けて厚労省推計を検証する考えを示していました。協議会の立ち上げは、当初「2019年6月中」を目指していましたが、若干、遅れ「7月を目指す」ことになっている点が6月24日の定例記者会見で寺本理事長から明らかにされました(関連記事はこちら)。

基本領域学会は18あり(総合診療については基本領域学会がない)、1か月に一度、5学会が協議会に出席したとして、全基本領域学会の意見を吸い上げるだけで4か月かかります。さらに、最新の医師配置状況と言える「医師・歯科医師・薬剤師調査結果(2018年末の状況)」が今年(2019年)12月に公表される予定で、シーリングとの突合も必要となります。その後、年明け(2020年1月)にも具体的なシーリング設定に関する議論を行うことになります。

このため寺本理事長は、「都道府県別・診療科別の必要医師数に関する疑問を解消し、2021年度のシーリング方針が固まるのは、来年(2020年)早々になるのではないか」とも見通しています。

 

https://www.sakigake.jp/news/article/20190626AK0002/
JA厚生連、2病院の経営再建に本腰 不採算部門廃止も視野  
2019年6月26日 秋田魁新聞

 JA秋田厚生連は、赤字が続いている秋田県鹿角市のかづの厚生病院(199床)と湯沢市の雄勝中央病院(366床)の経営再建に本腰を入れる。地域医療の維持に配慮しつつ、不採算部門の廃止も視野に検討を進め、2021年度をめどに一定の方向性を示したい考えだ。

 厚生連は、各地域の中核医療機関である9病院を運営。かづの厚生と雄勝中央の2病院は医師不足で赤字が続いており、17年度の事業損益は、かづのが約3億8千万円、雄勝中央が約2億1千万円の赤字だった。18年度もいずれも赤字となる見込みだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/684113
シリーズ 日医代議員会
「都道府県別診療報酬、断固阻止」中川日医副会長
第145回日医定例代議員会、現行制度でも厳しい手続き必要
 
レポート 2019年6月24日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 法改正をして、仮に地域別診療報酬が導入されたとすれば、その当該県の医療の質は低下すると思う。住民の安全、安心が脅かされることは間違いない――。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、6月23日の第145回日医定例代議員会で、地域別診療報酬に対し、このように答弁。現行制度でも導入するには非常に厳しい手続きが必要である上、仮に法改正の動きがあった場合には断固阻止すると主張した。

 奈良県代議員の安東範明氏は、「都道府県保険者協議会と第2期医療費適正化計画の実績評価」について質問(『「保険者協議会、都道府県医師会が正式参画を」、江澤日医常任理事』を参照)。これに関連して、6月19日の財政制度等審議会の建議で、地域別診療報酬について言及していることについて、中川氏に質した。建議では、「その他国保改革の取組みについて」の項で、「県による受益と負担の総合的マネジメントの一環として地域別診療報酬の活用を検討。県庁組織を整備」と記載。

 中川氏は、「地域別診療報酬については、高齢者医療確保法(高確法)第14条に定められている。この第14条は医療費適正化計画の中の医療の効率的な推進に係る目標、つまり2つの目標を達成するために必要だと言う時に初めて発動する」と説明。

 2つの目標とは、後発医薬品の使用促進に関する数値目標と、医薬品の適正使用の使用促進。「これら2つの目標について、全国目標と都道府県目標の両方が達成できない時に厚生労働大臣を起点として、この高確法第14条を発動することになる。ただし、この際にも全国の都道府県医師会が構成員になることができる保険者協議会が防波堤の役割を果たす。このように高確法第14条を発動するためには、非常に厳しい手続きが必要になってくる。財政審の建議に書かれているような医療費を直接抑制するために、診療報酬単価を引き下げることは、高確法の仕組みにはない」。

 中川氏はこう述べ、「ただ、法改正をして、仮に都道府県別診療報酬が導入されたとすれば、その当該県の医療の質は低下すると思う。住民の安全、安心が脅かされることは間違いない。日医は社会保障は全ての国民に平等に給付されるべきだと考えているので、その時は日医の総力を挙げて断固阻止する」と主張した。さらに「医療費については、自らも考えなければいけない。会長(横倉義武日医会長)が言っているように、都道府県版の日本健康会議を全国で作り、医師会と行政、関係者が一丸となって、予防・健康づくりに取り組む。その結果として在るべき医療費に収れんさせることを目指していきたい」と付け加えた。



https://www.m3.com/news/general/685089
無給医2千人、50大学病院 調査対象の7%、文科省 雇用契約なく労災未加入も  
2019年6月28日 (金)配信共同通信社

 文部科学省は28日、労働として診療を行っているのに給与が支払われない「無給医」が、50の大学病院に計2191人いたと発表した。調査対象とした医師約3万2千人の7%に上るが、まだ各大学が精査中の医師が1304人いて、人数がさらに増える可能性がある。無給医の多くは雇用契約を結ばず、労災保険も未加入だった。各大学は文科省の指導に基づき、給与の支払いや雇用契約の締結を進める。

 大学病院には、大学院生らのほか、自己研さんや研究目的の医師が在籍し、その一環で診療に携わる場合には給与を支払わない慣習が広く存在する。今回の調査では、診療のローテーションに組み込まれていた場合などを実質的な労働だったとし、給与の支払いがない医師を無給医とした。判断は各大学が専門家らに相談して行った。

 調査は1~5月、国公私立99大学の108付属病院に在籍する医師と歯科医師を対象に実施。昨年9月に診療に従事した計3万1801人(教員や初期研修医を除く)について、同月の給与の支給状況などをまとめた。

 無給医と確認された2191人のうち、合理的な理由なく給与を支払っていなかったのは50病院のうち27病院の751人。契約上は週2日なのに実際は週4日診療しているような例も含まれ、最大2年間さかのぼって支払う。残る1440人は50病院のうち35病院に所属し、無給の合理的な理由はあるが、診療の頻度や内容を踏まえて今後は給与を支給する。

 これらとは別に、66病院の3594人が、ほかの所属先から大学病院で働いた分も含めて給与を受け取っているなど、合理的な理由があり給与を支給しない現状を維持するとした。

 病院別では、無給医が最も多かったのは順天堂大順天堂医院の197人(対象者の46%)で、北海道大病院146人(同24%)、東京歯科大水道橋病院132人(同62%)が続いた。昭和大歯科病院は119人、愛知学院大歯学部病院118人で、それぞれ対象者全員が無給医だった。

 無給医かどうか精査中の1304人の内訳は、日本大板橋病院321人、東大病院239人、日大歯科病院211人、慶応大病院200人など。

 全対象者のうち、合理的な理由なく雇用契約を結んでいなかった医師は1630人、労災保険の対象外だったのは1705人だった。

 多くの無給医は深夜や休日に、別の医療機関でアルバイトなどをして生活費を得ており、過重労働による診療への悪影響などが懸念されている。

 ※無給医

 大学病院などで実質的に労働の実態があるのに、給料が支払われていないと判断された医師。病院の人件費が限られているため、便宜的に無給とされたり、一部しか支払われなかったりするケースがある。(1)大学院生らが教育や研修名目で働かされる(2)契約した以上に勤務に入れられる―など、形態はさまざま。病院で診察や病棟管理を担う一方、生活費を稼ぐために深夜や休日にアルバイトをして、過労死した医師もいる。文部科学省は全国の大学病院に対し、弁護士や社会保険労務士を交え、実態を調べるよう指示していた。



https://www.m3.com/news/general/685075
50大学病院、医師・歯科医師2191人の給与未払い  
その他 2019年6月28日 (金)配信朝日新聞

 大学病院で診療をしていながら適切に給与が支払われていない医師、歯科医師が全国50病院に2191人いたと、文部科学省が28日発表した。研究しながら診療もする博士課程の大学院生も含まれ、診療は学位をとるための研究や自己研鑽(けんさん)として、大学が安い労働力として利用している実態が浮かび上がった。

 昨年9月時点で、全国99大学の108付属病院で大学院生や医局員として働く医師や歯科医師ら3万1801人の給与や雇用契約の状況を調べた。

 大学が給与をきちんと支払っていなかった医師のうち、「労働者としての実態が強い」などとして、これまで働いた分もさかのぼって支払われるのは27病院に751人(2%)いた。今後は支払われるのは35病院に1440人(5%)だった。

 給与を適切に支払っていなかった理由として、自ら取り組む臨床研究の一環や診療技術の向上が目的と大学側が判断していたケースが大半だった。別の病院から給与が出ているなどとして、今後も払わないとした例も66病院で3594人(11%)いた。

 合理的な理由もなく雇用契約を結んでいなかったのは41病院1630人に上った。雇用契約がないと、労災保険の対象とならない場合がある。文科省は2008年、診療に携わる大学院生と雇用契約を結ぶよう求める通知を出し、13年と16年の調査で全ての大学が大学院生と雇用契約を結んでいることを確認していた。

 改めて発覚したことに、文科省医学教育課の西田憲史課長は「漏れがあったのは事実。合理的な理由がなく給与が支払われていない場合もあり、労働基準法に違反する可能性が高い。適切な労務管理を指導する」と話す。同省は28日、各大学に医師の適切な雇用、労務管理を求める通知を出した。



https://www.m3.com/news/general/684753
労働時間の3割だけで研究? 大学教員、他の仕事多く…  
行政・政治 2019年6月27日 (木)配信朝日新聞

 大学教員が研究に使えるのは働いた時間の3割強で、16年前より10ポイント以上減っていることが、文部科学省が26日に公表した調査でわかった。学生を教育するのに費やす時間や、医学教員が診療する時間の割合が増えたことなどが影響した。事務作業には2割弱が割かれており、担当者は「事務時間を研究に回せる対策が必要だ」と話している。

 調査では、常勤の教授と准教授、講師、助教をまとめた大学教員の昨年度の研究時間は、働いた時間の33%だった。2002年度は47%、08年度は36%、13年度は35%で、減少が続いている。

 立場ごとでは、教授が32%、准教授が33%、講師が29%、助教38%。任期付きの研究者らが77%、博士課程の学生は86%、大学病院で診療しながら研究もする「医局員」は15%だった。政府は23年度までに助教の研究時間を5割以上にするなどの目標を掲げているが、なお隔たりがある。

 理学や工学、農学の研究時間の割合は08年度以降、あまり変わっていなかったが、医局員ら保健分野で研究時間の割合が減ったことが全体を押し下げたとみられる。

 今回初めて、競争的資金を申請するための書類作成に費やした時間も調べた。平均して年間43時間で、研究時間の5%、働く時間の1・7%だった。

 調査は大学教員や博士課程の学生らをそれぞれ無作為に選び、計9440人から回答を得た。回収率は57・5%。調査は02年から約5年ごとに実施している。(合田禄)



  1. 2019/06/30(日) 12:36:03|
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6月23日 

https://blogos.com/article/385430/
医師の長時間勤務:医者はまだ不足しているのではないか  
舛添要一
2019年06月19日 07:31 BLOGOS

 政府は、6月18日、認知症対策の新大綱を閣議決定したが、高齢化社会においては、「2000万円」のみならず、十分な数の医師も必要である。

 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を①医師多数、②中程度、③少数に分類した。①は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀、③は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。

 このデータを見ると、医師偏在、つまり、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するという印象を持つ。しかし、医師の数は既に十分なのであろうか。

 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。

 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。

 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。

 2007年に私が厚労大臣になったとき、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。私は、開業医が主体の日本医師会や厚労官僚の猛烈な抵抗に遭いながら、2008年6月17日、11年ぶりに閣議決定を変更して医学部の定員増に踏み切った。

 そのときに、私は記者会見で、「(政府は従来)医師数は十分だ、偏在が問題だと言ってきたが、現実はそうではない。週80〜90時間の医師の勤務を普通の労働時間に戻すだけで、勤務医は倍必要だ」と述べたのである。

 そして、8000人の定員を毎年400人ずつ増やし、10年後に1万2000人にまで増やすことにしたのである。この方針決定から10年が経ったが、2018年度の定員は9419人であり、私の方針がいつの間にか反古にされてしまっている。しかも、2022年度以降は定員を削減するという。

 診療科の偏在に関しては、医学生たちに小児科や産婦人科や外科が敬遠されるのは、勤務時間が深夜などに及ぶからである。皮膚科や眼科など志望する学生が増えても不思議ではない。診療科によるある程度の偏在は計算に入れねばならず、やはり医師の全体数の増加が必要である。

 医師偏在の問題の背景には、中央と地方の格差がある。とくに、医師が地方の勤務を嫌うのは、子どもの教育を考えてのことである。アメリカやドイツのように、中央集権から連邦(道洲)制に移行し、各地域が他の地域との自由な競争を通じて、特色ある発展を遂げることができるようになれば、医師の偏在も解消するであろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683446
シリーズ 医道審議会・医師分科会
医学生による医行為の「法的担保」、早ければ年内結論
共用試験の公的化も検討、シームレスな医師養成目指す
 
レポート 2019年6月19日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の医道審議会医師分科会(会長:中谷晴昭・千葉大学 理事・副学長)は6月19日、「シームレスな医師養成に向けた取り組み」に関する議論を開始、同省は(1)共用試験(CBTとOSCE)の公的化についてどう考えるか、(2)「Student Doctor」の位置付けやその医行為について、法的にどのように考えるか――という2つの論点を提示した。併せて「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」も公表した。

 共用試験は、任意の試験だが、全82大学で導入している。CBT合格者の質を均てん化し、全国医学部長病院長会議(AJMC)の認定制度である「Student Doctor」に公的な位置付けを与え、医学生が診療参加型で実践的な臨床実習を行えるようにするのが狙い。将来的には医師国家試験の負担も軽減するなど、卒前・卒後のシームレスな医師養成ができる体制づくりを目指す。

 厚労省は数回の議論を経て、早ければ年内にも議論を取りまとめる方針。厚労省が提示した2つの論点を実現するには、医師法等の改正が必要になることも想定し得る(資料は、厚労省のホームページ。『「卒前・卒後シームレスな医師養成が進展」、厚労省』を参照)。

 シームレスな医師養成の必要性は、卒前の臨床実習、医師国試、卒後の臨床研修、専門研修とそれぞれ改革が進められる中で、これまでさまざまな場で指摘されてきた。今回の議論の直接的なきっかけは、2018年7月公布の改正医療法・医師法の附則で、下記のように明記されたこと。公布から「3年以内」、つまり2021年7月までに措置することを求めている。

 「臨床実習をはじめとする医学に係る教育の状況を勘案し、医師の資質の向上を図る観点から、医師法の規定について検討を加え、その結果に基づき、この法律の公布後3年以内に法制上の措置その他の必要な措置を講ずるもの」

 2018年5月には、日本医師会とAJMCの連名で、(1)共用試験を公的なものにする、(2)「Student Doctor」として学生が行う医行為を法的に担保する、(3)医師国試の抜本的見直し、診療参加型臨床実習に即したものに限定し、CBTとの差別化を図る――を提言している。今回の論点はこれを踏まえたものだ。

 19日の医師分科会では、2つの論点への反対意見はなかったが、共用試験が公的な性格を帯びることで、医学生が医学部に入学した途端に共用試験の準備を始めるなど、医学部が「医学教習所」化したり、専門教育の前倒しが進み、教養教育が手薄にならないよう釘を刺す意見が出た。

 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、2つの論点以外にもさまざまな意見が出たことから、「医師養成に関しては、いろいろなところで議論している。ある部分を変えることは、他にも連動していくという理解」と述べ、19日の意見を整理し、医師分科会と他の審議会等と連携させながら、議論を進めていく方針を示した。

  「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」を提示

 「シームレスな医師養成に向けた改革全体案」で検討すべき課題は多々あるが、今回の論点は前述の2つ。医師法第17条には、「医師でなければ、医業をなしてはならない」と記載されている。古くは1991年の「前川レポート」、最近では2018年の「門田レポート」で、臨床実習において実施可能な医行為が示され、医学生による医行為の違法性が阻却されている(『医学生の医行為、27年ぶりに改訂へ、パブコメ経て決定』を参照)。

 共用試験はCATO(公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構)が、希望する大学を対象に実施。知識を問うCBT(320問、6時間)と、技能・態度を評価するOSCE(客観的臨床能力試験)の2つから成る。臨床実習に入る前の医学部4年生の時期に行う。

 2015年からCBTについては全国統一の合格最低基準が設定され、AJMCは共用試験合格者に対し、「Student Doctor」の認定証を発行してきた。今回の論点はこれらに公的、法的な性格を与えるかどうかだ。共用試験導入後も、医学生の医行為の修得率は依然として低い傾向にあると指摘されている。

  厚労省案支持も、幾つかの懸念

 佐賀県医療センター好生館理事長の桐野高明氏は、「シームレスにする考えを持つことはいい」と厚労省案を支持しつつも、医学部に入学した途端に共用試験の準備を始めるなど、医学部が「医学教習所」化したり、専門教育の前倒しが進み、教養教育が手薄にならないよう釘を刺した。

 医療法人愛の会光風園病院副理事長の木下牧子氏も、卒後の臨床研修等に携わる立場から、「シームレス化には大賛成。もっと臨床ができる研修医が入ってくれば、という思いだ。ただ、それは手技ではない。診療態度や人間性も含めて、患者を診ることができるようになっていれば、より効率的な臨床研修ができる」と述べた。ただし、共用試験や医師国試など、幾つものハードルがあると、「逆に“小さな医師”がでてきてしまう」とも付言した。

 聖隷福祉事業団顧問の清水貴子氏は、違法性の阻却ではなく、法的な根拠を持って医学生が医行為を実習できるようにすることが必要と指摘。ただし、共用試験が国家試験のようになると、その対策に医学生の関心が向きがちになることへの懸念を呈した。

 参考人として出席した、CATO理事長で、慈恵大学理事長の栗原敏氏は、2年間の教養課程とその後の専門課程がバラバラとの指摘があり、教養課程が短縮された経緯があると説明。「倫理などの教養教育は、教室の中だけではなく、医療現場で教えていく。それが適切な臨床実習の在り方ではないか」。栗原氏はこう述べ、医学教育が盛りだくさんで6年間で不足するなら、臨床研修も含め、8年間で医師養成を考えるという根本まで立ち戻った議論が必要になるとした。

 一方で、参考人として出席した愛知医科大学医学教育センターの伴信太郎氏は、日医やAJMCの提言について、「問題認識が違うと思う。共用試験を公的化したり、医行為を法的に担保したら、きちんとした診療参加型の臨床実習ができるのか」と問題提起。「前川レポート」等が出ても、診療参加型臨床実習が進まなかったのは、1、2カ月といった短期間で実習先が変わるなど、教育内容、教え方に問題があるからだとし、「非常によく考えなければいけいない。学生を(共用試験の)準備に走らせるだけで、臨床実習はあまり変わらないという事態も起こり得る」とけん制した。

 大学教員への配慮が必要

 栗原氏は、共用試験の実施について、「地方の大学では、医師や事務員が少なく、なかなか立ち行かないという声も聞いている。大学間の格差をどうするかという視点も考える必要がある」と述べ、支援が必要な大学への手当ても検討すべきだとした。

 清水氏は、大学教員は、医学生、研修医、専攻医の教育研修や評価を担わなければならず、共用試験の公的化などを進めれば負担が増すと予想。「大学教員のゆとりも考えなければならない」と述べ、臨床研修病院の人員等も巻き込んで取り組む必要があるとした。



https://www.toonippo.co.jp/articles/-/206886
八戸赤十字病院の累積欠損金65億円  
2019年6月17日 東奥日報

 八戸赤十字病院(青森県八戸市)の2018年度決算で、総収支の単年度赤字が前年度比8.7倍の4億4864万円と大幅に悪化したことが17日、分かった。18年5月に抗菌薬がほぼ効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の感染者が確認されて以降、入院患者数が減ったのが響いた。電子カルテの整備費用が増えたことも影響した。累積欠損金は65億1178万円に膨らみ、この10年で最大規模となった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683842
シリーズ 地域医療構想
公立・公的病院の「代替可能性」「再編統合」、検証手順おおむね了承
「大半が代替可能性あり」なら再編統合を議論
 
レポート 2019年6月21日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月21日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」(座長:尾形裕也・九州大学名誉教授)の第22回会議で、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」を検証するための具体的な手順等の案を提示、おおむね了承を得た。21日の議論を「具体的対応方針の検証に向けた議論の整理(たたき台)」に反映させ、次回以降の会議で取りまとめを目指す(資料は、厚労省のホームページ)。

 地域医療構想では、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」については、「役割の代替可能性がある」、「再編統合の必要性について特に議論する必要がある」という視点から検証し、公立・公的医療機関等しか担えない機能に重点化することが求められる(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。厚労省は、検証のために必要な各構想区域別の診療実績(急性期医療に関する9領域、17項目の予定)の分析結果を2019年央までに公表する予定。

 「役割の代替可能性がある」とは、(1)各分析項目について、診療実績が特に少ない、(2)構想区域内に、一定数以上の診療実績を有する医療機関が2つ以上あり、かつ、お互いの所在地が近接している――のいずれかの要件を満たす分析項目。大半の分析項目について「役割の代替可能性がある」とされた医療機関を、「再編統合の必要性」を議論する医療機関とする。

 全国自治体病院協議会会長の小熊豊氏は、「役割の代替可能性がある」ケース(図2のB病院)について、「他の医療機関が代替できる能力が本当にあるのかは、どこで判断するのか」と質問。また議論の対象は、公立・公的医療機関等となっていることから、診療実績が少ない民間病院(図3のE病院)についても考えなければいけないのではないかと質した。

 厚労省医政局地域医療計画課は、「代替可能性や再編統合の議論は難しく、議論は一筋縄で行かないことは認識している」と断った上で、他の医療機関に診療機能を移す場合、医師や設備などの体制も含めて検討する必要があり、地域の事情を踏まえ、地域医療構想の調整会議で議論することが重要だとした。さらに大学医局から医師が派遣されている場合なども想定し、県単位の調整会議を利用することもあり得るとした。また、民間病院の扱いについては、今の議論は公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」の検証が出発点であると説明。

 日本医師会副会長の中川俊男氏が、厚労省に続いて、「代替可能性があるかどうかは、全国一律の基準で判定することはできず、またしてもいけない。スタッフと設備などを踏まえて、各構想区域で判断する」と補足説明。さらに、「同じように診療実績が低いような場合でも、民間病院の場合は間もなく消えるが、公立・公的医療機関等は、(補助金等があることから)生き残る」などと形容し、公立・公的医療機関等の「具体的対応方針」を検証する必要性を指摘した。

  脳梗塞に対するtPA投与件数の取扱について」も議論

 21日の会議では、「病床機能報告における脳梗塞に対するtPA投与件数の取扱について」も議論。病床機能報告では、「超急性期脳卒中加算」のレセプト件数を報告することになっているが、同加算の施設基準を満たせない医療機関でも、tPAを投与している実態がある。厚労省は、「脳梗塞に対してtPAの投与を実施した件数についても、報告を求めることとしてはどうか」と提案。脳梗塞は、診療実績の分析項目の一つ。

 しかし、中川氏は、人員配置なのか、あるいは患者の病態の問題なのかなど、「超急性期脳卒中加算」のレセプト件数と、tPA投与件数の相違の理由について、まずは調べるべきと提案。奈良県立医科大学教授の今村知明氏も、「大きな都道府県だと(両者が)パラレルだが、小さい県ほど差が大きい。一つの数字だけ使うとミスリードする」と述べた。厚労省はこれらの意見を踏まえ、再検討する。

 中川日医副会長「国が重点的に支援する区域」をけん制

 その他、会議で中川氏は、構想区域のうち「国が重点的に支援する区域」を設定、国が直接助言するやり方について、「本ワーキンググループで議論をしたことがない」と指摘。厚労省が5月23日の社会保障ワーキング・グループで提案、6月7日の2019年度の第1回医療政策研究会/第1回地域医療構想アドバーザー会議でも説明していた(『地域医療構想、「国が重点的に支援する区域」設定し推進』を参照)。

 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、「名称は今後決めるが、特に厚労省として強く支援する地域を設定することを考えている。その際は、厚労省の職員を派遣して支援する」と説明。

 これに対し、中川氏は、「将来の医療提供体制に向けて自主的に収れんさせることが、地域医療構想を進める大前提」と述べ、「厚労省が支援するのは大変なこと。厚労省の職員がきたら、十分に圧力を感じる。強制的に何かをやるようなことは慎重になるべき」と強く釘を刺した。

 健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、「国の関与については、私が発言した。地域の医療機関には利害関係があるので、外から“行司役”が入った方がいい場合があり、状況によっては国が行司役にならないと、なかなか進捗しないのではないか」と述べた。

 中川氏は、「調整会議の“行司役”は、各地域の医師会会長などを想定している。国が“行司役”になることは基本的にはあり得ないと私は考えている」と重ねてけん制した。



https://www.medwatch.jp/?p=27101
公立病院等改革の検証、都道府県知事の民間病院機能転換命令権、急性期一般1の要件厳格化など検討せよ―財政審建議  
2019年6月21日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療構想の実現に向けて、公立病院・公的病院等の機能改革案が将来の必要病床数(地域医療構想)と整合的でない場合、改革案の再検討を求めるとともに、民間医療機関への機能転換命令権を都道府県知事に付与すべきである。また、2018年度診療報酬改定が急性期病床数適正化にどの程度の効果を及ぼしたのかを検証し、次期2020年度改定では「更なる急性期一般病棟入院料1などの要件厳格化」などを検討すべきである―。

財政制度等審議会(財政審)が6月19日、麻生太郎財務大臣に宛てて、このような内容を盛り込んだ建議(令和時代の財政の在り方に関する建議)を行いました(財務省のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医療費増に合わせ、「患者負担増」「診療報酬引き下げ」を自動的に行う仕組み検討せよ
2 次期介護制度改革、軽度者への給付の在り方など検討せよ


医療費増に合わせ、「患者負担増」「診療報酬引き下げ」を自動的に行う仕組み検討せよ

 建議では、「令和時代の税財政運営においては、財政健全化どころか一段と財政を悪化させた平成時代の過ちを繰り返すことは許されず、財政健全化の成果を着実に上げていくことが求められる。更に、厳しい財政状況を乗り越え、その先に見えてくるであろう財政問題の『出口』を模索することも、令和時代における税財政運営の責務である」と指摘し、財政健全化の必要性を強調。

 また税財政運営の要諦は「国民の受益と負担の均衡を図る」ことにあるとし、社会保障に関して、「負担増を伴わないままに給付を先行させてきた」ことが我が国財政の悪化の最大の構造的要因と痛烈に批判したほか、古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」(ホメロス)の第12歌に登場する「セイレーン」を引き合いに、「甘い誘惑に負けてはならない」とも指摘します。
 
 さらに財政健全化の道のりを航海に例えて、「時には荒波を乗り越える必要はあっても、現時点で国内の民間貯蓄超過が政府部門の赤字を上回っているという我が国の強みも踏まえつつ、リスクマネジメントを適切に行えば、必ず辿り着く港があろう」と見通し、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめる2022年度より前に、社会保障について次のような改革を行うべきと訴えています。

 まず医療については、▼保険給付範囲の在り方の見直し▼国民健康保険改革▼医療提供体制改革▼公定価格の適正化▼高齢化・人口減少下での負担の公平化―に取り組む必要性を指摘。

 このうち保険給付範囲については、現在は「風邪などの小さなリスクも、がんなどの大きなリスク」も同様の給付(年齢・所得により7-9割負担、さらに高額療養費制度で手厚くカバー)となっていますが、今後は「小さなリスク」について、▼薬剤自己負担の引き上げ(医薬品の種類に応じた保険給付率設定など)▼少額受診等における追加負担(かかりつけ医・かかりつけ薬局等への誘導策として定額負担に差を設定することも視野に)▼民間保険の活用―などを検討するべきと訴えています。
 
 また医療提供体制改革では、「地域医療構想の実現」に向けた動きを加速・強化するよう要望。例えば、▼公立病院・公的病院等の機能改革内容が地域医療構想の必要病床数と整合的でない場合には、期限を付して直ちに再検討を要請する▼民間医療機関への機能転換命令権など、都道府県知事の権限を一層強化する▼地域医療介護総合確保基金のメリハリをつけた活用―を提案するとともに、2020年度の次期診療報酬改定での対応も求めています。
 
 公定価格の適正化とは、現在の診療報酬や薬価の設定が不適正であるとの指摘です。前述した地域医療構想の実現に向けて「2018年度診療報酬改定が病床再編・急性期入院医療費削減に与えた効果を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を2020年度改定で実施する」よう求めたほか、薬価制度抜本改革に関する残された課題の解決、調剤報酬の適正化(かかりつけ薬局・薬剤師の推進など)を実施するよう要請しています。
財政審建議5 190619
 
さらに負担の公平化では、相対的に「収入に比べた負担の度合い」が軽い高齢者に適正な負担を求める(若人と高齢者との世代間の公平を確保)ことが必要とし、まず「75歳以上の後期高齢者の窓口負担2割化」を要望。そこでは「新たに75歳以上に到達する人」はもちろん、数年をかけて段階的に「すでに75歳以上となっている人」についても2割負担へ引き上げていくべきとしています。
財政審建議6 190619
 
あわせて、「保険給付率」(保険料・公費負担)と「患者負担率」とのバランス等を定期的に「見える化」し、▼診療報酬▼保険料・公費負担▼患者負担―で総合的な対応を検討するという、いわゆる「医療版のマクロ経済スライド」導入も求めています。具体的には、保険料・公費負担が一定以上に増加した場合には、自動的に「患者負担を引き上げ」「診療報酬を減額」していく仕組みを検討せよと求めるものです。

 診療報酬については中央社会保険医療協議会で(関連記事はこちらとこちらとこちら)、医療保険制度については社会保障審議会・医療保険部会で(関連記事はこちらとこちら)、地域医療構想に関しては地域医療構想に関するワーキンググループで(関連記事はこちらとこちらとこちら)、それぞれ議論が行われていますが、建議を受けて、議論がどう動くのか注目する必要があるでしょう。

次期介護制度改革、軽度者への給付の在り方など検討せよ
一方、介護に関しては、次期介護保険制度改革に向けて、▼保険給付範囲の在り方の見直し(軽度者サービスの市町村事業への移行)▼効率的なサービス提供(1人当たり介護費の地域差解消)▼高齢化・人口減少下での負担の公平化(利用者負担の2割化、補足給付の見直し、ケアマネジメントへの利用者負担導入)―などを提言しています。

 現在、社会保障審議会・介護保険部会では、次期介護保険制度改革に関する議論が行われています。秋からの個別項目論議に、この建議がどのような影響を与えるのか注目が集まります(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 なお、国民健康保険や公立病院には、地方自治体から毎年度、地方財政計画における計上額を超える多額の支出(公立病院への基準外繰出金は2017年度には3484億円とされている)が行われていることを問題視し、▼地域医療構想▼医療費適正化計画▼国保の財政運営―一体的に担う都道府県が、国や市町村と連携しつつ「抑制」に取り組むべきとも訴えています。

ただし、参議院選挙を控え金融庁報告書で揺れる中、政治がこの建議をどう受け止めるのか注視する必要もあります。



https://www.m3.com/news/iryoishin/683725
三位一体改革「病院混乱しないよう丁寧に」四病協
看護補助者の位置付けなど検討も
 
レポート 2019年6月21日 (金)配信水谷悠(m3.com編集部)

 四病院団体協議会は6月19日に総合部会を開き、地域医療構想、医師・医療従事者の働き方改革、医師偏在対策のいわゆる「三位一体改革」や新専門医制度、看護補助者に関して議論した。終了後に記者会見した日本病院会会長の相澤孝夫氏は三位一体改革について「3つが関係していることは疑いのない事実で全く切り離しては考えられないが、一度にドーンと進めていくことには、病院団体としては細かな配慮を持って病院が混乱しないように進めてほしいと意見があった」と述べた。


 地域医療構想について地域の調整会議でいろいろな議論が進行中だとして、「地域の調整が非常に重要であるところに、医師・医療従事者の働き方や偏在対策は国がある程度の計算式で二次医療圏に『こうしろ』と言っており、それが入ってくることで地域医療提供体制の改革を進めていくことにブレーキがかかる、変な方向に行くのではないかという意見があった」と指摘した。

 看護補助者については、病棟の看護助手が年々減ってきており、病院で募集してもなかなか応募がないのが現状だと説明。介護に関わることが増えてきており、病棟の看護補助者で介護の仕事を担う人と介護福祉士の棲み分けや評価をどうするかについて、「大きな問題ではないかということで、詰めていく必要があるのではないか」として今後検討していくことを明らかにした。

 厚生労働省がタスク・シフティングに関するヒアリングを開催し、日本医師会が新職種創設に反対、日本脳神経外科学会からは前向きな陳述があったことについては、相澤氏自身の考えとして「医師の働き方改革を含めていくと、看護師にある程度のことをやってもらっていかないと医師の労働時間は多分縮まらないと思う。将来の方向として十分に考えていく、認めていくにはどうしたらいいのか、何が障壁になるのかを前向きに検討していくべきではないかなと思っている」と述べた(『日医、「新職種の創設反対」を強調』を参照)。

 新専門医制度に関しては、シーリングが決まる過程について、「既に決まってしまっていることなので了承してくれという(日本専門医機構の)理事会だった」という報告が、病院団体推薦の機構理事からあり、「日本専門医機構についてはどうしていったらいいかを真剣に考えながら、意見を申し上げていくことを続けていくことになった」と説明した。



https://dot.asahi.com/aera/2019061900075.html?page=1
地方なら1人辞めれば丸ごと閉鎖する科も…救急医の一斉退職問題が深刻化  
小田健司2019.6.21 17:00 ※AERA 2019年6月24日号

 地域医療を支える病院で医師の一斉退職が起きた。こうした事態は過去にもたびたび起こっている。背景には何があるのか。

*  *  *
 地方独立行政法人・市立大津市民病院(滋賀県大津市)で、救急医6人が今月末に一斉退職する。今月10日、病院関係者は大津市議会の会派を回っていた。その2日前の朝日新聞の朝刊でこの問題が報道され、急遽、議会対応を迫られていた。

「7月からのER(救命救急室)の体制はどうなるのか」

 議員の質問に、増田伊知郎理事長はこう断言したという。

「ほかの医療機関からの医師の応援や院内の調整などで、7月以降もこれまでと同じ体制を維持できる」

 病院法人事務局の説明によると、退職するのは「救急診療科・集中治療部」の7人の常勤医師のうち6人。「指導医」を務めていた診療部長が退職を申し出たことから、4人の「専攻医」と呼ばれている若手の医師も続き、別の1人も退職を決めた。

 会派への説明の場で個別の医師の退職理由について説明はなかったというが、増田理事長は、退職が一斉になったことについて、こう説明した。

「指導医が辞めれば専攻医も辞めてしまう。医師の世界ではあり得ることだ」

 背景事情は一様ではないだろうが、地域医療を脅かす医師の一斉退職は、過去にもたびたび起きている。

 2017年末から18年にかけては神奈川県立がんセンター(横浜市)で、放射線治療医5人が相次ぎ退職。放射線治療と、国が先進医療に位置づける重粒子線治療の継続が危ぶまれた。

 地方独立行政法人「くらて病院」(福岡県鞍手町)では18年、内科医全6人が一斉に退職し、一時、入院患者や透析患者を他の医療機関に転院させるなどの対応をとった。当時の町長による権限を超えた病院人事への介入が背景にあった。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)では14年、小児集中治療室(PICU)の医師9人が一斉に退職し、病床数を減らして対応せざるを得ない事態に陥った。

 今回の大津市民病院の一斉退職について、同病院での実習経験がある医師によると、専攻医たちが辞める理由については、院内でこう見られているという。

「指導医がいなくなれば、専門医の認定が受けられなくなるからではないか」

 大津市民病院は日本救急医学会の専門医指定施設、日本集中治療医学会の専門医研修施設になっている。ここで指導医の指導を受け経験を積めば、専攻医は専門医への道が開けるというわけだ。指導医の存在こそが、専攻医にとっては魅力だった可能性はある。

 前出の医師は、医療現場全体の問題として、長時間労働やストレスフルな職場環境があると指摘し、一斉退職の大きな背景になっていると語る。

「東京をはじめ大都市に医者が集中する状況が根本的に変わらなければ、医師が厳しい労働環境下にある医療の現場でこうした問題はどこにでも起こり得る。地方なら、1人、2人が辞めただけで科が丸ごと閉鎖されることだってある」

 地域医療の問題に詳しい城西大学経営学部の伊関友伸教授は、「少し時間が経過して、忘れられているのではないか」とあらためて問題提起する。

 十数年前には、各地の公的な総合病院を中心に医師が大量退職することが相次ぎ、地方の「医療崩壊」が大きな社会問題となった。

「一般的に、過酷な勤務や医師の働きがいに配慮しない病院が舞台になっているケースが多かった」

 と伊関教授は言う。そのうえで、人材を確保するために必要なこととして、こう指摘した。
「研修機能が充実した病院に若い医師は集まる。そうした体制づくりを地域全体でどう作っていくのか、真剣に考えるべきだ」

(編集部・小田健司)



https://www.medwatch.jp/?p=27070
2020年度診療報酬改定、特定行為研修修了看護師の評価新設やDPC再入院ルールの廃止など行え―全自病  
2019年6月20日|医療現場から MedWatch

 2020年度の次期診療報酬改定において、「常勤加算」規定を拡大するほか、入退院支援加算の増点や、特定行為研修を修了した看護師による在宅での特定行為実施の評価新設などを行ってほしい。またDPCについては、高額薬剤の取り扱い見直しや再入院ルールの廃止などを実施すべきである―。

 全国自治体病院協議会は6月18日に、こうした内容を盛り込んだ2020年度の「社会保険診療報酬に関する改正・新設要望書」を厚生労働省保険局の樽見英樹局長、同局医療課の森光敬子課長に宛てて提出しました(全自病のサイトはこちら(全自病のトップページ、「協議会情報一覧」から要望書をダウンロード可能)。

「常勤換算」規定の拡大や入退院支援加算の増点、看護必要度見直しなども検討せよ
 全自病の要望内容は非常に多岐にわたります。気になる項目をピックアップしてみましょう。

 まず出来高報酬に関する重点要望項目としては、次のような項目が目立ちます。

▼「常勤換算」規定の拡大

▼2科目の【初診料】の増点(141点→188点)、3科目の【初診料】の新設(94点)

▼A207【診療録管理体制加算】(加算1)の増点・要件の緩和

▼A207-2【医師事務作業補助体制加算】の増点(15対1:125点増、20対1:100点増、25対1・30対1:60点増、40対1・50対1:25点増、75対1・100対1:10点増)

▼A207-3【急性期看護補助体制加算】の増点(210-130点→300-150点)

▼A230-4【精神科リエゾンチーム加算】の拡大(週1回300点→週2回400点)

▼A234【医療安全対策加算】の増点(加算1:85点→200点、加算2:30点→100点)

▼A244【病棟薬剤業務実施加算】の拡大(回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟などの包括評価病棟における算定を認める)

▼A246【入退院支援加算】の増点(加算1の「一般病棟入院基本料等」の場合:600点→800点)

▼A308-3【地域包括ケア病棟入院料】における「リハビリ要件」の緩和(入院料3・4については1日2単位→1日1単位に緩和など)

▼B001の12【心臓ペースメーカー指導管理料】の名称変更(「不整脈デバイス指導管理料」へ)と、拡大(両心室ペースメーカーによる場合:420点、植込型除細動器による場合:480点、両室ペーシング機能付き植込型除細動器による場合:540点)

▼B001の23【がん患者指導管理料】のハ「医師・薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬・注射の必要性等について文書で説明を行った場合」の算定上限(患者1人につき6回まで)の撤廃

▼B011-4【医療機器安全管理料】の拡大(生命維持管理装置を用いて治療を行う場合:50点など)

▼地域医療支援病院におけるE200【コンピューター断層撮影(CT撮影)】、E202【磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)】の算定要件緩和(【画像診断管理加算2】の届け出を不要とする)

▼【入院時食事療養費】の増額(療養費I:1食640円→700円、療養費II:1食506円→557円、特別食加算:76円→84円)

▼糖尿病患者を対象とした新たな疾患別リハビリテーション料の新設

▼特定行為研修を修了した看護師が在宅で、特定行為(医行為)を実施した場合の評価(200点)の新設

▼【医療被曝管理料】の新設

 
 またDPCに関しては、次のような重点要望を行っています。

▼機能評価係数IIの「地域医療指数・体制評価指数」における精神疾患の受け入れ拡大(精神病床が無い急性期病院においてもA300【救命救急入院料】の注2加算「精神診断治療」・A248【精神疾患診療体制加算】の算定実績で評価する)

▼高額薬剤の取り扱いについて、「薬価収載と同時の出来高決定」、「診療報酬改定での包括評価における『分岐設定』」を行う

▼「短期滞在手術等基本料について点数設定方式Dを設定する」こととなったが、短期滞在手術3と比較して不利益のない効率的な入院を担保する点数設定への見直し

▼「病理組織標本作成」「免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製」の出来高算定

▼「他院受診」について、現状(入院病院が外来受診先病院に診療費等を支払う)を踏まえて、「高額医療機器による診療が必要な場合」「かかりつけ医(精神疾患の患者等)等の外来受診を受ける場合」など、患者にとって必要な外来機能がなく、自院の主治医の許可を得るなどの条件を満たした場合は、「他院分を出来高にて他院側で算定する」ような明確なルール設定を行う

▼「退院時処方」に関して、「転院の契機となった疾患に対する処方」以外の薬剤は転院元医療機関での退院時処方ができるようなルール設定を行う

 
 このほか、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について▼一連の再手術についてもC項目の評価対象とする▼歯科の患者を「DPCのEF統合ファイルを用いる看護必要度II」の評価対象から除外する―ことを、DPCに関して▼「脳動脈瘤破裂後に(遅発性)脳血管攣縮を合併した場合」について、全身的薬物療法やTripleH療法など多くの医療資源を用いるため、「(遅発性)脳血管攣縮」を定義副傷病名に設定し、日当点を高くする▼再入院ルールの廃止―なども求めています。



https://www.medwatch.jp/?p=27058
看護補助者と介護福祉士、病棟で勤務する際の業務区分けなどを検討していく―四病協  
2019年6月19日|医療現場から MedWatch

 看護補助者についての位置づけを検討していく必要がある。とくに、「病棟で勤務する看護補助者」と「病棟で勤務する介護福祉士」とで、業務の区分けをどう考えるのか、評価をどう考えるのか、などを今後、病院団体として検討する必要がある―・

 6月19日に開催された四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会において、こういった点で4団体の意見が一致したことが、日本病院会の相澤孝夫会長から報告されました
 
ここがポイント!
1 「看護補助者の位置づけ」を、病院団体として今後検討していく方向を確認
2 医師からのタスク・シフティング先、NPやPAについても前向きな議論を
3 専門医制度、根本に立ち返った議論をしなければ誤った方向に進みかねない

「看護補助者の位置づけ」を、病院団体として今後検討していく方向を確認

 医療従事者にも「働き方改革」が求められています。医師については後述するように2024年4月から特別の時間外労働上限が適用されますが、医師以外のメディカルスタッフ、例えば看護師については、すでに「時間外労働上限」が適用されています。このため「労働時間の短縮」などを積極的に進める必要があります。

 一方で、これも後述するように看護師は「医師からのタスク・シフティング先」としての期待が高まっており、「労働時間の短縮」が求められながら、「さらに高度かつ広範な業務に携わる」ことも求められています。

 こうした中では、看護師は「看護師資格を保有していなければ実施できない業務」に集中し、「看護師でなくとも実施可能な業務」は他職種に移管していくことが必要です(タスク・シフティング)。この点、「看護補助者の位置づけ」を検討していくべきとの指摘が従前よりあります。

 看護補助者について、現在は「特段の資格」が求められていません。このため、例えば介護福祉士や救急救命士の資格保有者が、看護補助者として病院に勤務している実態があります。しかし、「保有資格で独占されている業務」に従事するわけではないことから、経済的評価(つまり給与等)は低く、最近では「看護補助者」のなり手が不足している実態もあるようです。

こうした点について四病協でも、「看護補助者の位置づけを検討していく必要がある。とくに『病棟で働く看護補助者』と『病棟で働く介護福祉士』について、業務の区分け、評価の在り方などを今後詰めていく」という点で意見が一致したことが相澤日病会長から報告されました。

 将来、メディカルスタッフの活躍の場が広がることが期待されます。ただし、例えば病棟における介護福祉士の位置づけが明確となり、さらに診療報酬の施設基準などで「一定の介護福祉士配置」が求められるようになった場合には、病院側の負担増になることも考えられます。どのような検討が行われるのか、今後の動きに注目が集まります。

医師からのタスク・シフティング先、NPやPAについても前向きな議論を

前述したように医師(勤務医)にも「働き方改革」が求められ、2024年4月から罰則付きの「時間外労働上限」規制が適用されます。原則として「年間960時間以下」(すべての医療機関で960時間以下を目指す、いわゆるA水準)を適用しますが、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、暫定的に「年間1860時間以下」(いわゆるB水準)とし、また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、当面「年間1860時間以下」(いわゆるC水準)という特例の水準が適用されます。

 このため、2024年4月までの5年間、すべての医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結、労働時間の管理など)と「労働時間の短縮」を進めることが求められます(関連記事はこちら)。
 
後者の「労働時間の短縮」を実現するためには、多忙な医師の業務量自体を減らす必要があることから、「医師免許を保有していなくとも実施可能な業務」は他職種に移管し、医師は「医師でなければ実施できない業務に集中する」ことを進める、いわゆる「タスク・シフティング」に注目が集まっています。

この点についてNP(ナース・プラクティショナー、米国等で活躍する「医師等の指示を受けずに、独自の判断で一定の医行為を実施する」ことが認められている看護師)やPA(フィジシャン・アシスタント、医師の監督のもとに▼診察▼薬の処方▼手術の補助―など、医師が行う医療行為の相当程度をカバーする医療資格者)の養成を求める声が高まってきています。一定の医行為をNPやPAに移管していってはどうか、という考えに基づくものです。

四病協の総合部会でも「NPの位置づけについてきちんと議論していく必要がある」との意見が出ています。この点、相澤日病会長は、「我が国では『特定行為研修を修了した看護師』(医師の包括的指示の下で一定の医行為を実施できる)を養成しており、複合的な研修(パッケージ化)を実施することになっている。こうした動きも踏まえて、NPやPAについて『認めるにはどうすれば良いのか。何が障壁になっているのか』などを十分に考えつつ、前向きに検討していくべきであろう」との考えを総合部会終了後の記者会見で述べています(関連記事はこちら)。

厚生労働省の開催するヒアリングでは、日本医師会は「新職種創設に反対」と、医学会は「PAに期待」との考えを示し、NPやPAへの考えに「温度差」があることが分かりました。今後、四病協もヒアリングに出席することになりますが、そこでどのような「タスク・シフティングに向けた具体的な考え方」が示されるのか、こちらも注目が集まります(関連記事はこちら)。

専門医制度、根本に立ち返った議論をしなければ誤った方向に進みかねない

なお、6月19日の四病協総合部会では、「地域医療構想・医師の働き方改革・医師偏在対策は、それぞれ連関していることは紛れもない事実だが、地域で3施策を一体的に議論し進めるとなると現場に混乱も生じかねない。3施策の関連性に十分配慮しながら、丁寧に医療提供体制改革を議論する必要がある(関連記事はこちら)」「新専門医制度について、良い方向に進むよう提言を行っていく」という点も確認されました。

特に新専門医制度に関して、相澤日病会長は「既に動き始めており、難しいが。▼国民が求める専門医▼行政の求める専門医▼医学会の求める専門医―はそれぞれどのような医師像なのかを改めて整理し、『専門医とは何か』『専門医制度はどうあるべきか』を根本に立ち返って議論しなければ、誤った方向に進みかねない」と警鐘を鳴らしています(関連記事はこちら)。



https://www.medwatch.jp/?p=27003
フィジシャン・アシスタント(PA)等、医師会は新職種創設に反対するも、脳外科の現場医師などは「歓迎」―厚労省  
2019年6月17日|医療現場から MedWatch

 医師の働き方改革に向けて、今後、強力に「労働時間を短縮」していくことが求められ、そこでは医師から他職種へのタスク・シフティング(業務移管)が必要不可欠となる。この点について、例えば手術場で医師を補助し、一定の医行為を実施可能な「フィジシャン・アシスタント」(PA)などの新職種創設をどう考えていくか。また現行の「特定行為研修を修了した看護師」の業務範囲などをどう考えていくべきか―。

 厚生労働省が6月17日に開催した「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」で、こういった点について意見聴取・意見交換が行われました。
 
ここがポイント!
1 医師会や学会、病院団体等の意見踏まえ「どうタスク・シフティングを進めるか」検討
2 日医は「新職種創設」に明確に反対するが、学会はPA等に期待寄せる
3 特定行為研修を修了した看護師、「特定行為」の拡大についてどう考えるか
4 職能団体は、法令の壁も越えて「我々にこの業務を任せてほしい」と要望

医師会や学会、病院団体等の意見踏まえ「どうタスク・シフティングを進めるか」検討

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が3月末(2019年3月末)に報告書をとりまとめ、次のような方針を明確にしました(関連記事はこちら)。

▽2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)(いわゆるA水準)

▽ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)

▽また研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)

▽2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる36協定の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める
 
 このうち「タスク・シフティング」については、医師から他職種に、また他職種からさらに別の職種に「当該職種でなくとも実施可能な業務」を移管し、当該職種が「その資格保有者でなければ実施不可能な業務に集中できる」環境を整えるものです。もっとも、ある業務を他職種に移管した場合でも、安全性・有効性などの『質』が担保されなければなりません。また、業務移管を行ったとしても、例えば「指示等に膨大な時間がかかるが、軽減される業務量はごくわずかである」ような場合には、当面は業務移管を見合わせるという判断も必要となってくるでしょう。

このため厚労省は、30超の医療関係職能団体や関係医学会など(三師会、四病院団体協議会、新専門医制度の基本領域学会、日本専門医機構、日本看護協会ほか)に、「どの業務を、どの職種に移管することが可能と考えられるのか」「業務移管によって、どの程度の負担軽減効果が得られるのか」「業務移管後も医療の質を担保するために、どのような施策が必要と考えられるのか」といった点について意見を聴取するとともに、厚労省幹部との意見交換を行う場を設置したものです。

今夏を目途に意見聴取を終え、その後、厚労省で「タスク・シフティングを進めるために何をすればよいのか」を検討していきます。
 
6月17日の会合では、▼日本医師会▼日本技師装具士協会▼日本視能訓練士協会▼日本医師事務作業補助研究会▼言語聴覚士協会▼日本臨床工学技士会▼日本脳神経外科学会▼日本病理学会▼日本形成外科学会―の9団体から意見聴取を行いました。膨大な量の意見が示されており、ここではポイントを絞って眺めてみましょう。

日医は「新職種創設」に明確に反対するが、学会はPA等に期待寄せる

まず日本医師会からは、タスク・シフティングを進めるにあたっての考え方として、次のような5つの基本方針を会内で取りまとめていることが報告されました。
(1)医療安全を守るため、医師による「メディカルコントロール」(医療統括)の下での業務が原則である
(2)新職種の創設ではなく、「既に認められている業務」の▼周知徹底▼実践されていない場合の着実な検証―を実行する。
(3)法令改正や現行法解釈の変更による業務拡大をする場合には、適切なプロセスを経て行う
(4)「タスク・シフティング先の医療関係職種」への支援が必要である。
(5)AI等のICTの活用は、医師のタスクをサポートするものとして推進すべき

 このうち(2)の「新職種創設」は、「医師の働き方改革に関する検討会」でも時間をかけて議論された▼ナース・プラクティショナー(NP)▼フィジシャン・アシスタント(PA)―などを念頭に置いたものと考えられます。NPは、米国等では「医師等の指示を受けずに、独自の判断で一定の医行為を実施する」ことが認められています。また、PAは医師の監督のもとに▼診察▼薬の処方▼手術の補助―など、医師が行う医療行為の相当程度をカバーする医療資格者をさします。

この点、意見発表した日医の今村聡副会長は「若年人口が減少する中で医療関係職種を確保することが困難なため、新たな職種を創設するべきではない」との考えを明確にしました。

 
しかし一方で、日本脳神経外科学会の新井一理事長は「米国で修業をした若手の脳神経外科医を中心に、学会ではPAの創設に前向きな意見が圧倒的に多い」ことを紹介しています。PAが活躍する場を目の当たりにし、かつ過酷な急性期医療の現場で日々手術等に携わる医師にとっては、「非常に魅力的なタスク・シフティング先」と捉えられているようです。

ただし新井理事長は「若手医師のトレーニング」とのバランスを考慮することが必要とも指摘しています。手術場では、シミュレーションでは得られない経験を得ることができ、若手医師にとって貴重な実践訓練の場と言えます。ここで、PAにあまりに多くの業務を移管してしまえば、若手医師が「お客さん」になってしまいかねません。「働き方改革」と「技能習得」の双方を考慮したタスク・シフティングを検討していくことが重要なようです。

なお、日医の今村聡副会長は、既存の医療関係職種の中でも「病院に勤務する薬剤師」「医療秘書」の活躍に期待を寄せています。

特定行為研修を修了した看護師、「特定行為」の拡大についてどう考えるか

学会からは、具体的な「タスク・シフティング」案も提示されました。

例えば、日本脳神経外科学会は、看護師へ▼血管撮影、血管内治療後の圧迫止血、止血確認、圧迫解除▼気管チューブの位置の調整、呼吸器管理、中心静脈カテーテルの抜去、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入、創部ドレーンの抜去、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保、抗痙攣剤の臨時投与▼鎮静が必要な患者・アレルギーのある患者の検査への立会い▼血管内治療の介助業務(血管撮影における圧迫止血・止血確認・圧迫解除を含む)▼脳卒中の初期対応(病歴聴取、検査オーダー等)▼救急車での患者移送の際の同伴(重症例は除く)―などを業務移管することを提案しています。

このうち「血管内治療の介助業務」などは現行法令では、看護師の実施が「認められてない」「明確に示されていない」ものではあるものの、新井理事長は「特定行為(一定の研修を修了した看護師について、医師の包括的指示の下で実施可能となる医行為)として、トレーニング(特定行為研修)を必須とすることで看護師への業務移管が可能ではないか」と期待を寄せています。手術場や病棟において看護師の働きぶりを見る中で、「こうした業務も十分に実施できるであろう」との判断がなされているものと思われます。

これらは「特定行為」の範囲拡大につながっていきますが、日医の今村副会長は上記(2)に関連して、「特定行為研修を修了した看護師」について、「特定定行為の拡大」をするのではなく、▼研修のパッケージ化▼修了者の増加―を最優先に進めるべきとも強調しており、医師の間(例えば、急性期医療の現場に従事する医師と、診療所等の開業等との間など)では、考え方に違いのあることが伺えます。

もちろん「一方が正しく、一方が誤っている」類の話ではありません。タスク・シフティングの必要性という点では、医師会も学会も完全に同じ方向を向いており、「第1段階としてどこまで進めるか」という点で温度差があるに過ぎません。さまざまな機会を通じてエビデンスに基づいて議論をする中で、「まず、ここまで広げてみよう。次にその結果を検証し、さらなる拡大を行うべきか考えていこう」と意見を擦り合わせていくことが重要でしょう。

また日本病理学会の佐々木毅理事は、▼臨床検査技師(専ら病理検査を担当する臨床検査技師・認定病理検査技師であることが望ましい)へ「手術検体等に対する病理診断における切り出し補助業務」を移管する▼臨床検査技師へ「画像解析システムによるコンパニオン診断(免疫染色)等(乳がんHER2など)に対する計数・定量判定補助」を移管する▼バイオインフォーマティシャンへ「分子病理診断(高度な解析技術を要する遺伝子診断)」を移管する▼臨床検査技師へ「デジタル病理画像の取り込み・機器の調整・データ管理等」を移管する▼認定病理検査技師へ「病理診断報告書のチェック」を移管する―ことを提案しています。

さらに佐々木理事は既存の「臨床検査技師の業務」について、一部の衛生検査書では「無資格者が実施しているという話も聞く。検査の質を担保するためにも、国家試験に合格した臨床検査技師の業務独占とすべき」と訴えています。

職能団体は、法令の壁も越えて「我々にこの業務を任せてほしい」と要望

 またヒアリングでは、タスク・シフティング先となるメディカルスタッフの団体から「我々に個の業務を移管すべき」との逆方向からの提案も行われました。

 例えば、日本技師装具士協会は「四肢切断術後のドレッシング等の断端形成や、切断者への断端管理に関する指導」などを、日本視能訓練士協会は「白内障・屈折矯正手術におけるオペレーター業務や、脳障害・外傷・高次機能障害などの後遺症に対する視機能回復訓練」などを、日本医師事務作業補助研究会は「検査手順の説明業務や電子カルテの記載」などを、言語聴覚士協会は「高次脳機能障害(認知症含む)・失語症・言語発達障害などの評価に必要な臨床心理・神経心理 学検査種目の選択・実施、および検査結果の解釈、嚥下訓練・摂食機能療法における食物形態等の選択」などを、日本臨床工学技士会は「心・血管カテーテル治療時のカテーテル操作の補助(カテーテルの保持、身体への電気的負荷等)」などを、「我々に任せてほしい」と要望しています。

もちろん、さらなるスキルアップに取り組むことを前提とした要望で、各職種の「向上心の高さ」が伺えますが、法令で規定された業務の範囲を超える内容も多数含まれています。今後、場合によっては「法令(医師法や保健師助産師看護師法など)」の見直しに向けた検討が行われる可能性もあります。

ただし、「法令で規定された業務」に基づいて教育・国家試験の内容が規定されていることなどもあり、法令の見直しに当たっては、多くの関係者を交えた慎重な議論が必要となります(1つの職種の業務範囲見直しは、他職種の業務内容にも影響を及ぼすため、総合的な検討が必要となる)。要望内容が「即、法令改正につながる」ものと考えることは早計に過ぎるでしょう。まずは、現行法令の範囲の中で、「●●行為は〇〇職種の業務の範疇に含まれる」ことなどを明確化していくことが現実的かもしれません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680487
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の健康、働き方は「自身の手で管理」- 中嶋義文・三井記念病院精神科部長に聞く◆Vol.1
産業保健は集団的・多面的アプローチ必要で
 
インタビュー 2019年6月16日 (日)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制ばかりに注目が集まるが、産業保健の視点が欠けているとの指摘は少なくない。時間外労働の上限を超える場合には、面接指導を行う必要があるなど、制度上も医師の健康管理にも留意するよう設計されている。
 日本医師会の「医師の働き方検討委員会」の委員などを務め、産業保健に造詣の深い三井記念病院精神科部長の中嶋義文氏に産業保健の大切さ、三井記念病院での取り組みなどをお聞きした(2019年5月22日にインタビュー。全3回の連載)。

――産業保健の立場から、医師の健康管理の現状をどう見ておられるのかをまずお聞かせください。

 私は、日本医師会の「勤務医の健康支援に関する検討委員会」に十年来所属、最近は「医師の働き方検討委員会」の委員を務めるなど、産業医として活動しています。医師の場合、自分の健康に対しての意識が低いことは、前々から指摘されてきました。「勤務医の健康支援に関する検討委員会」が医師を対象に「健康状況」を調査した結果、2009年と2015年の比較では、健康状態がやや改善傾向にありました。ただし、自分自身の不調について、他の医師に相談するケースも少しは増えていますが、まだ十分ではないことが明らかになっています。


日本医師会の「勤務医の健康支援に関する検討委員会」の健康状況に関する結果
――なぜ医師は、自身の健康問題への関心が低いのでしょうか。

 恐らく「自分は大丈夫」といった自信を持っておられるのではないでしょうか。健康診断の受診率も低く、他の職員に比べて、多忙を理由に受診しない人が多い傾向にあります。

 医師は職業柄、他の人の面倒を見る立場にあり、自分の弱さを認めるのが苦手、あるいは認めたくないという心理も働くのではないかと思います。だから、何らかの健康問題を抱えても、他の医師に相談するのがどうしても遅れてしまう。ましてや疲労、あるいはメンタル面の問題については、そのような傾向があるのでしょう。


働き方改革では、病院長がイニシアチブを取ることが重要だが、同時に個々の医療従事者も「自分の健康は自分で守る」という意識を持つことが大切だという。
――医療機関の産業保健の体制も、やはり遅れているのでしょうか。

 日医の「産業保健委員会」が2017年3月から4月にかけて、日医会員の医療機関施設長を対象に実施した「医療機関における産業保健活動に関するアンケート調査」では、体制はある程度整っている一方で、実務上はまだ課題があることが分かりました。例えば、産業医の選任率は92.3%と高かったものの、施設管理者である医師が、産業医を兼任している施設が19.3%ありました。兼任は法的にも、また実務的にも問題です。一方、施設外の医師が産業医を務めるのは17.3%にとどまっています。

 具体的な産業保健の取り組みとして、長時間労働者に対する面接指導も、25.0%が実施しており、これは私の予想よりは高い結果でした。今後、時間外労働の上限を超える労働者に対しては、面接を行うことが必要になります。産業医の役割が増す中で、自院の産業医では対応できない場合に、外部に委託するような体制づくりが必要になるのではないかと考えています。

 働き方改革に先んじて、取り組みが進んでいるのは、ストレスチェック。高ストレス者への面接指導は、60.6%の施設で実施していました。メンタルヘルス担当の産業医も約半数が置いており、担当産業医がいなくても相談先を持っている施設が2割、合わせて約7割なので、それなりに体制が整いつつあるように思います。

――医師の時間外労働の上限規制は2024年度から適用ですが、それ以外の職種についてはこの4月から既に上限規制が始まっています。産業保健の基本的な考え方をお教えください。

 重要なのは、「包括的管理の推進」という視点です。産業保健活動を進めるには、誰か一人、あるいは一つのグループだけではなく、複数の人、部署が連携しながら集団的・多面的に取り組むことが必要です。産業医だけではなく、病院長や管理監督者、あるいは医療従事者自身、それから患者さんや地域にそれぞれお願いしなければいけないことがあるという考え方です。その中で、産業医は、“旗振り役”という位置付けです。

 何より病院長が、今回の労働基準法等の改正内容を理解し、働き方改革を進めなければいけないという、強いイニシアチブを持って進めていただくことが第一。

 同時に管理監督者、具体的には診療科長など各部門のトップの役割が、とても重要になります。医療機関の場合、各部門によって仕事の量や内容、進め方が異なるからです。医師に限らず、各スタッフにどんな仕事を、どのくらい任せるかなどを決めたりするほか、疲れ具合の把握など、現場の労務管理は各部門の管理監督者が行う立場にあります。中には、いまだ労働法制に関する基本的な知識が不足している方もおられるので、勉強していただかなければなりません。

 そしてやはり医療従事者自身、特に医師には、「自分の健康は、自分自身で守る」という意識を強く持っていただきたい。睡眠を確保し、乱暴な生活をしない、あるいは適切な飲酒や運動習慣を身に付けるなど、一般的な意味での健康管理を意識しなければなりません。

 さらに今回、働き方改革が法制化されたわけなので、「どんな仕事を、何時間実施しているのか」など、時間管理に対する意識を持つと同時に、自分の働き方を自分で決めるという意味での勤務時間管理も意識する必要があります。

――「自分の働き方を自分で決める」というのは。

 医師は業務独占で、自律度の高い職業です。それ故、本当に大変になった時に、その職場やその職から離れて、異動や転職することは可能です。自由度が高い分だけ、自分を守ることはできるはずですが、中には命じられるがままに、あるいは求められるがままに働いてしまう習慣が見られます。あるいは意気に感じたり、「懸命に働くことが医師の本分」と考え、働き過ぎてしまって、それで良し、と考えられている方もおられるでしょう。それ自体は立派なことだと思いますが、医師も生身の人間。自分自身がどれぐらい疲れているか、睡眠や食事、飲酒などについて自己管理しないと、結局は自分、ひいては患者さんの診療体制を守れないと思います。

 ワークライフバランスという言葉があります。仕事をしている時間と、それ以外の時間とのバランスを取ることではなく、働き方について自分で決めることが、ワークライフバランスだと私は考えています。多少忙しくても、自分自身で決めたことなら、バランスが取れているのだと思います。ただし、その前提として、先ほども言いましたが、自分の健康は自身を保つように意識付けをしていただくことが大事です。

――「患者や地域医療体制」の役割も重要になる。

 医師の働き方改革の議論を進めると、いつも医師の応召義務の話が出てきます。あるいは不要不急の受診、時間外や休日の患者・家族への説明なども問題になります。患者さんにとっては便利なのかもしれませんが、医師をはじめとする医療従事者にとっては、疲弊につながります。国も、「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を立ち上げて2018年末に報告書をまとめましたが、制度として、これらを防ぐ体制、あるいはコンセンサス作りが必要でしょう。



https://www.m3.com/news/general/683041
病床利用 70%届かず 経営形態変更の可能性も 坂井市立三国病院  
2019年6月19日 (水)配信福井新聞

 坂井市立三国病院の病床利用率が2011年度以降、70%未満にとどまっていることが17日、分かった。20年度中に70%以上を達成できない場合、国から指定管理者や地方独立行政法人などへの移行を迫られる可能性がある。

 同日の市会一般質問で、辻人志議員(政友会)がただした。坂井哲夫事務局長が答弁し「状況は極めて厳しい」と述べた。

 国は15年3月、公立病院改革の新ガイドラインを定め、病床利用率が、継続して70%未満の病院は経営形態の見直しなどを検討すべきとした。三国病院は105病床あるが、利用率は60%前後で推移。70%を確保するには、さらに10~15人の入院患者が必要になる。

 同病院は16年度に20年度を目標とする新改革プランを策定。17年7月には、病状が安定した患者の在宅復帰に向け医療管理やリハビリ、退院支援などを効率的に行う地域包括ケア病床を43床導入するなどしているが改善には至っていない。

 坂井事務局長は「認知症高齢者ら慢性期療養型病院が対象となる患者も柔軟に受け入れる体制にしなければならない」と答弁し、年内の目標達成を目指すとした。



https://www.m3.com/news/general/683030
医師定着結びつかず 岩手・奥州市の養成奨学金制度  
2019年6月18日 (火)配信岩手日報

 岩手県奥州市は17日、市の医師養成奨学金制度を活用した学生13人中5人が、条件である市内の病院への勤務をせずに奨学金を償還したことを明らかにした。最近6年間は応募者ゼロの状況も続いており、制度の目的だった地元の医師確保に結びついていない。市は奨学金増額など制度の見直しを検討する。

 同日の市議会6月定例会一般質問で答弁した。市医療局によると、償還した奨学生は2017年度1人、18年度3人、19年度1人。いずれも市外出身者で、600万~2千万円程度貸し付けしていた。

 専門は消化器内科や産婦人科など。家庭事情や診療体制が希望にそぐわないことなどを理由に挙げている。

 07年度創設の同制度は、市立病院や診療所に勤務する意思がある学生を対象に入学一時金(上限720万円)と月額(同20万円)で計最大2160万円を貸し付ける。一定期間勤務すると返済を免除し、地元の医師定着を促す仕組みだ。

 県医療政策室によると、県などの医師養成の奨学金制度は08年度スタートし、19年度は53人(前年度比11人増)が県内の公的病院の現場に配置された。4月1日現在、計537人に貸し付け、返還者は43人。返還は在学中が目立ち、医師になってからは18人で、奥州市の割合は高いといえる。

 市医療局によると、現段階で奨学生の勤務実績はなく、20年度着任予定の小児科医が最初となる見込み。奨学生のうち、同市出身者は2人。14年度から応募者がおらず、岩村正明病院事業管理者は「他の奨学金制度と比べて魅力がある制度にする必要がある。貸し付け額の増額を含め、利用しやすい制度に見直しする」と語る。



https://www.m3.com/news/general/682792
秋田・厚生連2病院、公設民営を検討 赤字解消へ県と協議  
2019年6月17日 (月)配信河北新報

 秋田県内9カ所で総合病院を運営する県厚生農業協同組合連合会(厚生連)が、慢性的な赤字経営に陥っているかづの厚生病院(鹿角市)と雄勝中央病院(湯沢市)の公設民営化を視野に入れて検討していくことが分かった。厚生連は既に、県と病院経営の在り方を議論する協議会を設立。財政面の支援策も話し合い、県内の各医療圏域で中核的役割を担う総合病院経営の健全化を図る。

 厚生連は3月、安定的な病院運営のための長期ビジョン(2019~25年度)を策定。第1期経営健全化計画でかづの厚生病院と雄勝中央病院を主な協議対象に据え、4月に協議会を発足させた。

 長期ビジョンでは両病院の公設民営方式に言及し「行政と本格的な検討に着手する」と明記した。稼働率の低い病床の廃止や医療機能集約も選択肢に入れ、地域医療維持の方策を探る。

 17年度の事業損益はかづのが約3億8863万円、雄勝が約2億1718万円の赤字だった。18年度はかづので若干の改善があるものの、雄勝は約1億2900万円の赤字増が見込まれる状況だ。

 協議会は年2回の会合を予定し、厚生連と県の双方の関係者が病院の決算や運営状況の内容を共有する。厚生連は地域の医療事情に配慮しながら、赤字解消を図るため経営面を重視した事業計画を提案。県から助言を仰ぎ、必要に応じて財政支援を求める。

 厚生連グループ全体としては、採算が合わない病棟の閉鎖や医薬品の共同購入などにより経営改善を進める。特にかづの、雄勝両病院は人口減少に伴う患者数の先細りや医師不足の傾向が顕著で、経営努力だけでは限界があるという。

 厚生連は「地域医療を維持するために県と意識を共有し、具体的な方向性を定めていきたい」と説明している。



  1. 2019/06/23(日) 09:43:28|
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6月16日 

https://www.asahi.com/articles/ASM6752KXM67OIPE01B.html
小児科医不足で9月からお産休止 愛知・津島市民病院  
2019年6月9日11時00分 朝日新聞

 愛知県の津島市民病院は7日、小児科医が不足するため、お産を9月から休止すると発表した。再開は未定。

 病院によると、2人いる常勤の小児科医がいずれも6月末で退職する。常勤の産婦人科医はいるが、新生児の対応などで常勤の小児科医がいないと、安心安全なお産を続けることが難しいと判断したという。

 妊婦の出産予約の受け付けも休止し、すでに7月以降の予約がある54人については、津島市民病院で出産するか、ほかの医療機関を紹介するかを医師が決めるという。産婦人科のほかの診療や妊婦健診、小児科の外来診療は続ける。



https://mainichi.jp/articles/20190611/k00/00m/040/167000c
運営難でネットの寄付募る 6日で目標2000万円達成 大阪府三島救命救急センター  
毎日新聞2019年6月11日17時56分(最終更新 6月11日17時56分)

 医師不足による運営難を乗り切るため、大阪府三島救命救急センター(同府高槻市)がインターネットで寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めてわずか6日後の11日、目標額の2000万円に達した。医療機関が医師の人件費などを対象にする異例のCFで、募集期間は9月3日までだった。

 同センターの小畑仁司所長は「温かいご支援に感謝する。皆様の志にお応えし、人員を配置して『断らない救急医療』を守っていきたい」と話している。

 重症救急患者を24時間態勢で受け入れる同センターは総合病院を母体とせず、国や府、地元3市1町から約6億円の補助金を受けて財団法人が運営する。医師不足は深刻で、2010年度に27人いた常勤医師は今年4月に14人に減少。非常勤医師の雇用などで当面の運営を安定させるため、今月5日からCFを募っていた。募金は予定通り9月3日まで継続する。【山本真也】



https://www.m3.com/news/iryoishin/682238
シリーズ 医学部不適切入試
不正入試の解決に医師の労働・研修改善が必要
医学連調査報告書、学内でのハラスメント事例も集まる
 
2019年6月13日 (木) 大西裕康(m3.com編集部)

 全日本医学生自治会連合は、不正入試に関して医学部学生を対象に調査し、58医学部の計3017人から得た回答を集計・分析した最終報告書をまとめ、医学連ホームページで公表した。調査の結果を踏まえ、「性別・年齢による受験生への不当な扱いを根本から解決するためには、医師の労働環境や研修制度の改善が必要」と訴える内容などを含む3つの提言も盛り込んだ。医学部内に存在する差別・セクハラが浮き彫りなったとして、医学生から寄せられた実体験なども複数示した。最終報告書は医学連が医学生らに周知するなど今後の活動で用いる。

 調査は、全国81大学の全医学生を対象に、2018年12月から2019年3月末まで実施。3017人から回答を得た。回答時点の学年別内訳は1年生780人、2年生658人、3年生746人、4年生452人、5年生239人、6年生142人(中間報告を2019年2月2日に公表。回答者プロフィールは文末を参照)。

 報告書に盛り込んだ提言は下記3事項。

1.受験生を公正に選抜するべく、性別・年齢を理由にした不公平な扱いを撲滅する
2.労働環境の改善と、柔軟なキャリア設計を保証する研修制度を実現する
3.大学内での差別・ハラスメントを根絶する

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医学連ホームページより抜粋

 「受験生を公正に選抜するべく、性別・年齢を理由にした不公平な扱いを撲滅する」では、不正入試の背景について「医学部を卒業後に厳しい労働環境の中、医師として就労できるのかといった大学側の懸念」と指摘。その上で、「高等教育機関である大学が、卒業後の就労に関することを理由にして、医学・医療を学びたい受験生を不公正に選別することは許されない」と厳しく批判。「医師の過重労働は、医師不足や地域偏在などさまざまな要因で起こっているにもかかわらず、学生に対してのみ将来的な自己犠牲を強いるような姿勢も誤っている」と述べた。

一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応を
 「労働環境の改善と、柔軟なキャリア設計を保証する研修制度を実現する」では、「今回の問題で顕在化した性別・年齢による受験生への不当な扱いを根本から解決するためには、医師の労働環境を早急に改善することが必要」、「休職により専門医取得に大幅な遅れを取ってしまうような研修制度の改善や、復職を支援するプログラムの充実、職場の環境作り、そして地域枠学生が卒業後に専門医取得やライフイベントによって指定地域からの異動を必要とした際の柔軟な対応等も不可欠」との考えを示した。

 「大学内での差別・ハラスメントを根絶する」に関しては、今回の調査の結果、「医学部内に存在する差別・ハラスメントが浮き彫りになった」と説明した上で、「入試段階での不正・差別と、入学後の医学部内における差別やハラスメント、柔軟さに欠ける医療界の労働環境は互いに補強し、助長し合っていると考える」と表明。その上で、学内での差別・ハラスメントの放置は、入試不正・差別、さらには医師の労働環境の改善を遅らせるとの考えを示し、医学連として「差別や不当な扱いを受けずに学ぶことができる医学部、差別のない医療界を目指し、広く訴えていく」と結んだ。

 差別・セクハラ調査に関する回答としては、男女両方の目線から実体験が寄せられた。例示として、下記などを挙げた。

「大学の授業で『女は知能が低い、頭が小さいから脳も小さい』と堂々と言われた」(女性、6年)

「(臨床実習で教員から)ベーチェット病の症状を聞かれて『陰部潰瘍』と答えたら『お前はいつも陰部のことしか考えていないのか』と患者さんに聞こえる大きな声で笑われながら言われた」(女性、5年)

「解剖実習で、女性に手厚く教え、男性には全く質問を受け付けないという性別による差別が露骨」(男性、4年)

「駐車許可証は、住居が大学から2km以上離れていれば申請できるが、女性のみ2km未満であっても教員の許可があれば申請できるという制度がある」(男性、6年)

 東京医科大学での問題が発覚して以降、複数の大学が入試で不適切に点数を操作していた実態が明らかになった一連の報道を受けて、将来の働き方について「不安に思うか」を聞いたところ、全体の回答では「とてもそう思う」(20.0%)と「まあそう思う」(46.7%)の合計が6割強を占めるなど不安感が広がっている状況が分かった。

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提供:医学連

 属性別に見ても、2割弱から2割強が「とてもそう思う」と回答。4割強が「まあそう思う」と答えている。一方、「あまりそう思わない」が全体で26.0%、「まったく思わない」は同7.3%と、一定の回答を集めた。

 調査の回答者内訳は下記の通り。

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医学連ホームページより抜粋



https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201906/20190615_41003.html
秋田・厚生連2病院、公設民営を検討 赤字解消へ県と協議  
2019年06月15日土曜日 河北新報

 秋田県内9カ所で総合病院を運営する県厚生農業協同組合連合会(厚生連)が、慢性的な赤字経営に陥っているかづの厚生病院(鹿角市)と雄勝中央病院(湯沢市)の公設民営化を視野に入れて検討していくことが分かった。厚生連は既に、県と病院経営の在り方を議論する協議会を設立。財政面の支援策も話し合い、県内の各医療圏域で中核的役割を担う総合病院経営の健全化を図る。
 厚生連は2月、安定的な病院運営のための長期ビジョン(2019~25年度)を策定。第1期経営健全化計画でかづの厚生病院と雄勝中央病院を主な協議対象に据え、4月に協議会を発足させた。
 長期ビジョンでは両病院の公設民営方式に言及し「行政と本格的な検討に着手する」と明記した。稼働率の低い病床の廃止や医療機能集約も選択肢に入れ、地域医療維持の方策を探る。
 17年度の事業損益はかづのが約2億8862万円、雄勝が約2億1718万円の赤字だった。18年度はかづので若干の改善があるものの、雄勝は約1億2900万円の赤字増が見込まれる状況だ。
 協議会は年2回の会合を予定し、厚生連と県の双方の関係者が病院の決算や運営状況の内容を共有する。厚生連は地域の医療事情に配慮しながら、赤字解消を図るため経営面を重視した事業計画を提案。県から助言を仰ぎ、必要に応じて財政支援を求める。
 厚生連グループ全体としては、採算が合わない病棟の閉鎖や医薬品の共同購入などにより経営改善を進める。特にかづの、雄勝両病院は人口減少に伴う患者数の先細りや医師不足の傾向が顕著で、経営努力だけでは限界があるという。
 厚生連は「地域医療を維持するために県と意識を共有し、具体的な方向性を定めていきたい」と説明している。



https://www.sankei.com/west/news/190611/wst1906110008-n1.html
滋賀県立総合病院、違法残業や残業未払いで是正勧告  
2019.6.11 06:22産経WEST

 滋賀県立総合病院(滋賀県守山市)が、労使協定に基づく時間外労働の上限(月75時間)を超えて医師や事務職員を働かせたとして、大津労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが10日、分かった。是正勧告は1月7日付。労働基準法と労働安全衛生法の違反が計28項目あった。同院は6月末までに改善策をまとめ、是正報告書を労基署に提出する。

 同院は昨年度、職員組合と結んでいた労使協定(三六協定)が時間外労働の上限を月75時間と定めていたにも関わらず、医師7人が延べ12回超過していた。残業が最も多い医師は月104時間、年1028時間に達したケースもあった。

 また、ある事務職員は月114時間、年789時間に達していた。いずれも慢性的な医師不足や、事務職員の欠員補充ができていなかったことが理由という。

 さらに、違法残業のほかにも残業をした看護師への割増賃金の未払いや、特定の化学物質を扱う作業主任者を選任・配置していないことなども指摘された。

 同院の正木隆義事務局次長は10日、滋賀県庁で記者会見し、「事態を重く受け止めている。速やかに違法状態を改善する」と説明した。すでに医師の負担を軽減するために補助職員を追加採用したり、欠員が出ていた事務職員を補充したりして対応しているという。同院は「県立成人病センター」の名称だった平成28年度にも看護師への残業代未払いで是正勧告を受けていた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/677394
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
医師の働き方改革、影響大は大学病院 - 迫井正深・厚労省審議官に聞く◆Vol.5
「無給医」の問題は実態把握が不可欠
 
インタビュー 2019年6月13日 (木)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――個人的な見解としてお聞きします。今後、医師の働き方改革の進捗とともに、かなり医療提供体制も変わっていくとお考えですか。

 変わっていくと思います。2012年度に診療報酬と介護報酬の同時改定から、その6年後の2018年度の同時改定までの間にも、いろいろなことが変わりました。

 7対1入院基本料にしても、単に看護師さんを配置すれば算定できるという動きが、かつてはあったと思います。けれども、マンパワーは有限、もっと言えば患者さんも際限なくいるわけではありません。急性期の患者で病床を埋められず、病棟閉鎖やダウンサイジングしている病院も少なからず出てきています。介護分野でも、人手不足でベッドをフルに稼働できない特別養護老人ホームも多数見られます。医療も介護も、マンパワーの需給と、医療の需給を真剣に考えないと、単純な拡大路線はもはや成り立ちません。

 だから今後も変わっていくと思います。

「無給医」の問題については、実際の雇用形態や診療実態を見て、議論することが必要だという。
――これまでは稼働率を上げる、拡大路線を取ることで対応してきたけれども、今の一番の経営リスクは人口減少。医療ニーズも今後は減少し、生産年齢人口も減っていく。

 その通りです。

――医師の働き方改革で、一番影響を受けるのは、やはり大学ではないでしょうか。

 大学は現在の運営方法の見直しは不可避であり、まず絶対的に改革をしてもらわないといけない、一番影響を受ける病院だと思います。さらに地域によって対処の方法はかなり異なると思います。聖路加国際病院の話(『労基署介入「労働時間の短縮のみ、センスがない」、聖路加・福井院長』を参照))が先行して出ていますが、同院が実施した働き方改革が実現できたのは、大都市部に位置し、周囲に対応できる施設があったからと言われています。医療提供体制が充実した地域と、それ以外の地域とでは、おのずから対応が異なってきます。

――最後に、これは管轄が違うかと思いますが、大学病院の「無給医」の問題をどう捉えておられますか。医師の働き方改革とどう関係してくるのでしょうか。「無給医」をどう定義するかにもよると思いますが。

 私自身、必要な情報を全て持っているわけではなく、報道やネット等の情報で知る範囲でのお答えですが、ご指摘の通り、まず定義をはっきりさせなければいけません。「労働者なのに、給与をもらっていない」のであれば、それは議論以前の問題です。一方で、大学院生のステータスを自ら得ていて、本来、診療担当の勤務医、つまり労働者ではないのに大学病院で医療をしている医師もいるようです。拒否できない事情があるのかもしれませんが、なぜそれを自ら容認しているのか、それはおかしいという意見も、報道されました。そういった状況を容認している大学院生ご自身にも、もっと考えていただきたいという趣旨の意見だったと思います。

 恐らく、そうしたステータスになることについて、何等かのメリットがあるのではないかと考えらえるでしょう。その辺りは、ケース・バイ・ケースの部分が正直あるように思います。いずれにせよ、なぜそのようなことになっているのか、実態を解明していただきたい。

――大学院に行きながら、週に何日か、病院で臨床をやり、けれども無給というケースがあるようです。

 契約関係をきちんとすることが現場感覚からすれば形式的に感じているのかもしれませんが、そういったことが可能なのか、あるいは適切なのかが疑問です。研究の一環で臨床をやるならば、まだ分かります。しかし、保険医療機関として指定を受け、医師も保険医として登録しないと、保険診療として診療報酬は請求できません。

――保険医として登録する以上、勤務先とは労働契約があるはずで、給与も当然発生する。

 それで診療を行い、無給という扱いなら、そもそも議論以前の問題ですよね。

――文科省が現在アンケートを実施していますが、回答の集計が容易ではないとも聞きました。

 大学医局に所属し、バイトで報酬をもらっていても、大学からは安い本給しかもらえない助手、あるいは本給はもらえない大学院生が実態論としておられるのだと思います。「割に合わない」という意味で、「無給医」と言っているのかもしれません。

 しかし、医療保険上の契約関係や労働基準遵守が求められる現状で、不適切な処理をやっている大学があるというならば、ちょっと大丈夫かな、と思うのです。かなり前世紀的なお話に聞こえてしまうように思います。

――「無給医」については、実際の雇用形態や診療実態を見ないと議論はできない。

 その通りです。

――「無給医」であっても、実際には、バイトで報酬を得ているので、生活には困らない医師もいる。

 そこで時間管理も含めた労務管理が必要になるのです。勤務医、つまり労働者として従事しているのか、どうなのか。そうした実態をあぶり出すことにつながるわけです。

――医局からのバイトなら把握できますが、医師が個人的に見つけてきたバイトの時間管理は難しいのでは。

 各病院が自院の職員の労働管理を行うのは当然ですが、それを超えたところまでの管理を求めるのは、病院と勤務医のどちらにとってもアンフェアになりかねず、当然ながら限界があると思います。これは勤務医、医療分野の話というより、全ての労働分野に適用されるダブルワークに係る労働基準行政の話であって、残る課題だと思います。

――原点に戻り、個々の医師が自分自身の管理をしなければならない。

 どこまで制度で担保するか、という合意形成が必要でしょう。労働は日常生活の上に成り立つ生業ですから、現実的な対応が不可欠です。厳密な管理を行うようになれば、ダブルワークのようなことは限りなく抑制されることになり、そのインセンティブもなくなる。さりとて、野放しというのも行き過ぎだと思いますが、では一から十まで全て制度で担保するかという話になるわけで、労働基準行政として慎重に整理する必要があるのではないでしょうか。私個人の感覚ですが、最終的には個々の医師の自主性をどこまで尊重するかという話に行き着くのではないか、とは思います。



https://www.sanyonews.jp/article/907717
庄原赤十字病院の産科再開1年余 近隣機関と連携、中山間モデルに  
(2019年06月11日19時52分 更新) 山陽新聞

 庄原市西本町の庄原赤十字病院の産科が昨年4月に12年ぶりに再開し、1年余。昨年度は97人(うち市内在住は71人)が生まれた。常勤医は1人だが、市をはじめ日赤グループや近隣の医療機関との連携、助産師の業務マニュアル作成などで安全管理に徹底して取り組み、中山間地域の周産期医療のモデルケースとして根付きつつある。

 「地元で産みたかったし、近いと何かと安心。産科再開は本当にうれしかった」

 昨年11月14日に同病院で第2子となる次男を出産した作業療法士(21)=同市=は満面の笑みをみせる。長男長女の時は三次市の病院に通ったが自宅から1時間以上かかるため「陣痛がきてから間に合うのか」と不安だったという。

 再開後の病院は病室も新しく、出産直後、助産師が入浴や仮眠時に子どもの面倒を見てくれることもあった。「良かったと周囲に話している。4人目があれば、またここで産みたい」

■ 安全管理を徹底

 現在、病室は5室7床。三次市立三次中央病院(東酒屋町)から赴任したベテラン産婦人科医の赤木武文医師(65)が常勤し、非常勤医2人、助産師8人の体制で昼夜を問わない分娩(ぶんべん)と、週5日の外来に当たる。非常勤医2人は広島大病院(広島市南区)、近隣の庄原同仁病院(庄原市川北町)から来てもらい、助産師のうち2人はグループの岡山赤十字病院(岡山市北区)などから派遣を受けている。

 妊婦と新生児を扱うため、安全な分娩体制の確保は最優先事項。帝王切開の場合は必ず三次中央病院に応援を頼み、合併症や切迫早産で集中治療が必要なときは専門の医療機関を紹介するなどして対応する。少人数体制維持に向けた負担軽減の意味もあり、他医療機関との連携は不可欠となっている。

 助産師の業務では産科休止による空白期間や他病院からの派遣もあるため、庄原赤十字病院独自のマニュアルを作成し意思統一を徹底している。「勤務地により微妙に違う部分をすり合わせ、互いの経験も持ち寄り、一から作り上げた」と寺本辰美看護副部長(55)。若手が夜勤の場合、ベテランが自宅待機することや新生児の体調管理方法などを細かく明記。心肺蘇生や帝王切開の模擬研修も繰り返し行っている。

 こうした医療体制の構築に加え、「可能な限り受け入れたい」という赤木医師の思いもあり、昨年度の同病院での出生数は想定の1・5倍となった。中島浩一郎院長(64)は「地域のために頑張ろうという医師らの献身的な心意気で成り立っている。今の形を維持するため最大限の努力を続けていきたい」と話す。

■ 市も積極支援

 医師不足により同病院の産科が休止となったのは2005年4月。広島県内では公立や公的病院での再開は数例しかなく、過疎高齢化が進む地域とあって、庄原市も積極的に支援を続ける。昨年度までの2年間で超音波診断装置や母子の集中監視システムの導入などに計8600万円の予算を付け、19年度からは産婦健康診査の助成事業も始めた。近くには小児科診療所と病児・病後児保育施設を備えた複合施設「こども未来広場」(西本町)を昨年7月にオープン。子育て環境を整えることで少子化に歯止めを掛け、市内で出産する若者世代を増やそうと力を入れている。

 市生活福祉部の兼森博夫部長(59)は「産科再開は市にとって悲願だった。今後も病院と協力しながら子どもを安心して生み、育てられるまちとして発展していきたい」と明るい未来を願った。



https://www.medwatch.jp/?p=26856
医師派遣機能、地域医療支援病院の「すべて」には求めるべきではない―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(1)  
2019年6月10日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 地域医療支援病院への「医師派遣機能」付与について、「すべての病院」には持たせるべきではない。地域医療支援病院の指定要件について、地域の実情に応じて「プラスアルファの要件」を定めることは妥当である―。

 6月6日に開催された「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった議論が行われました。

 4月25日の前回会合では「地域医療支援病院のすべてに『医師派遣機能』を持たせてはどうか」との厚生労働省提案に反対意見は出ていませんでしたが(関連記事はこちら)、今回の反論多数を受け、「地域の判断で、医師派遣機能をプラスアルファ要件として設定する」ことなどが今後、模索されます。
 
ここがポイント!

1 地域の実情に応じて「プラスアルファ」の要件設定を可能としてはどうか
2 医師派遣機能をすべての地域医療支援病院に求めれば、「効果が薄くなる」との指摘も

地域の実情に応じて「プラスアルファ」の要件設定を可能としてはどうか

 検討会では、地域医療支援病院と特定機能病院の承認要件の見直しに向けた議論を行っており、今夏(2019年夏)に意見を取りまとめる予定です。6月6日の会合でも、前回に引き続き、▼地域医療支援病院の見直し▼特定機能病院の第三者評価―の2点を議題としており、ここでは前者の「地域医療支援病院」に焦点を合わせます(特定機能病院については別稿でお伝えします)。

 地域医療支援病院は、1997年の第3次医療法改正において「かかりつけ医を支援する病院」として創設されました。現在、(1)紹介患者への医療提供(かかりつけ医への逆紹介も含む)(2)医療機器の共同利用(3)救急医療の提供(4)地域の医療従事者への研修の実施―という4つの役割・機能が求められ、それぞれが「承認要件」に落とし込まれています(すべての要件を満たさなければ地域医療支援病院として承認されない)。

 しかし医療現場からは「地域医療を支援する機能を同じように果たしていても、地理的な事情などにより要件をクリアできず、地域医療支援病院となれないことから、診療報酬上の評価も低く、不公平がある」といった課題などが指摘されています。厚労省では、こうした指摘なども踏まえて、次の2つの見直し案(指定要件の厳格化)を提示しています。

(A)地域の実情に応じて、プラスアルファの要件を設定できることとしてはどうか
(B)すべての地域医療支援病院に、「医師派遣機能」を新たに求めてはどうか

 まず前者の「プラスアルファ」案に対しては、方向性そのものに反対する意見は出ていませんが、要件設定方法に関してはまた意見が割れています。

 吉川久美子構成員(日本看護協会常任理事、欠席のため代理人出席)や本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)は、「プラスアルファの内容を国が例示すべき」と提案。地域で承認要件に大きなバラつきが出ることに懸念を示しています。

これに対し中川俊男構成員(日本医師会副会長)は、「地域の状況・事情はさまざまであり、国がそれらをすべて把握することなどできるわけがない」とし、プラスアルファの要件は「地域に委ねることが適当」と反論しました。

地域の実情に応じた要件は、あくまで「プラスアルファ」となる見込みです。そうであれば、プラスアルファに多様性が出たとしても、「機能の低い病院が地域医療支援病院になる」という事態は生じないでしょう。現時点でも、極めて多様な機能を持つ地域医療支援病院もあれば、要件クリアぎりぎりの地域医療支援病院もあります。これを地域の実情に応じて「要件を厳しくしていく」ものに過ぎないからです。

地域医療支援病院には、診療報酬上のメリット(A204【地域医療支援病院入院診療加算】:入院初日に1000点、など)が設けられており、本多構成員らは「機能の低い病院が加算を取得する」不公平を懸念していると思われますが、この点は大きな問題にはならないと見込まれます。


医師派遣機能をすべての地域医療支援病院に求めれば、「効果が薄くなる」との指摘も

後者の「医師派遣機能」は、医療提供体制に関する最重要課題の1つとなっている「医師偏在」について、すべての地域医療支援病院が取り組んではどうかという提案です。

医師偏在対策に関する改正医療法では、▼「医師少数区域等に一定期間勤務(6か月以上)することで地域医療への知見を持った医師」を厚生労働大臣が認定する(認定医師)▼一定の病院では「認定医師であることを管理者・院長の要件」とする―という仕組みが設けられました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

対象となる病院は「医師派遣・環境整備機能を有する地域医療支援病院」とされ、具体的な対象を検討会で議論することになっています。

この点について、厚労省は、「73.7%の地域医療支援病院では、医師派遣や巡回診療など、なんらかの医師少数地域支援を行っている」との調査研究結果を踏まえ、地域医療支援病院の新要件として▼医師少数区域等における巡回診療▼医師少数区域等の医療機関への医師派遣(代診医派遣を含む)▼総合診療部門をもち、プライマリケア研修・指導機能―のいずれかを求める、こととしてはどうかと提案したのです(関連記事はこちら)。
特定機能病院・地域医療支援病院検討会1 190606
 
この提案について4月25日の前回会合では反対意見は皆無でしたが、6月6日の今回会合では、例えば次のような反対意見が相次ぎました。

▽地域医療支援病院でない別の「医師派遣機能を担う病院」がすでにある場合(例えば北海道の名寄市立総合病院)、新たに地域医療支援病院に機能付与することになるのか。効果的な医師派遣を行うには、「医師派遣機能を集約」すべきである。すべての地域医療支援病院に医師派遣機能を求めれば、効果は薄くなり、非効率となる(島崎謙治構成員:政策研究大学院大学教授)

▽地域医療支援病院の地元に「医師少数の地域」がなければ、地域を跨いで医師派遣を行うことになるが、その場合「地域医療を支援する」病院ではなくなる(相澤孝夫構成員:日本病院会会長)

 
 こうした意見を踏まえ、厚労省医政局総務課の北波孝課長は、「地域の実情に応じたプラスアルファ要件(上記(A))の中で、医師派遣機能を盛り込む」ことも含めた再提案を行う考えを示しました。なお、上述の「認定医師」(医師少数区域等での勤務経験を持つ医師)を管理者・院長要件とする「病院」は、当初より「医師派遣機能を持つ地域医療支援病院」とされており、医師偏在対策が決して「後退」したわけではない点に留意が必要です(関連記事はこちらとこちら)。
特定機能病院・地域医療支援病院検討会2 190606
 
 さらに6月6日の検討会では、中川構成員から「地域医療支援病院は、その役割を終えた。在り方などを抜本的に見直してはどうか」との指摘も出ています。島崎構成員も「4機能を個別に(診療報酬等で)判断・評価すべき」と、相澤構成員も「要件クリアのみに終始し、地域の医療連携ネットワークなどを意識していない地域医療支援病院も実際にある。地域医療支援病院の在り方を原点に返って考えるべき」と述べています。

 ただし北波総務課長は「今夏に向けてはファインチューニング(言わば改善)を検討してほしい」と要請しています。上述したように地域医療支援病院の指定は、診療報酬とも直結していることから、抜本的な見直しには一定の時間が必要になると考えられ、「将来の課題」に位置付けられることになりそうです。



https://www.medwatch.jp/?p=26901
特定機能病院、国と異なる「プロフェッショナルの第三者」視点での評価受審を義務化してはどうか―特定機能病院・地域医療支援病院あり方検討会(2)  
2019年6月11日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 特定機能病院の指定要件に、新たに「第三者評価の受審」を盛り込んではどうか。また評価のプロセスで「改善が必要」と指摘された事項については、「改善に向けた努力義務」を課してはどうか―。

 6月6日に開催された「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(以下、検討会)では、こういった議論も行われました。

 構成員からは「努力義務では甘いのではないか。認定・認証を受けることを義務化すべき」との意見も根強く、結論に至るまでにはまだ時間がかかりそうです。
 
第三者機関の評価、国と異なる「医学・医療のプロフェッショナル」の独自視点で実施

 検討会は、地域医療支援病院と特定機能病院の承認要件の見直しに向けた議論を行っており、今夏(2019年夏)の意見取りまとめを目指しています。6月6日の会合では、前回に引き続き、▼地域医療支援病院の見直し▼特定機能病院の第三者評価―の2点を議題としました。すでに前者の「地域医療支援病院」に関する議論はお伝えしており、今回は後者の「特定機能病院」に焦点を合わせます。

 東京女子医科大学病院と群馬大学附属病院とで相次いで重大な医療事故が発生した点への反省を踏まえて、2017年の改正医療法などで、特定機能病院における▼ガバナンスの強化(外部監査委員会の設置など)▼医療安全体制の強化(副院長をトップとする医療安全管理部門の設置など)―などの体制強化が図られました(関連記事はこちら)。

 併せて日本医療機能評価機構でも、こうした特定機能病院の体制強化を評価するための受審プログラム(一般病院3)を新設。国とは異なる視点で、つまり「体制を整えているか」にとどまらず、「ガバナンス強化や医療安全に向けて病院が一体的に取り組んでいるか、実際に動いているか」を調査・評価し、不備があれば改善を促すものです。

 「一般病院3」プラグラムは2018年4月から運用され、これまでに19の特定機能病院が受審し、すでに7病院(静岡県立静岡がんセンター、名古屋市立大学病院、大阪国際がんセンター、長崎大学病院、獨協医科大学病院、和歌山県立医科大学附属病院、九州大学病院)が認定を受けており、他院は「改善」に向けて取り組んでいるところです。

2017年の改正医療法を審議した国会(参議院)では、「(日本医療機能評価機構などの)第三者評価を特定機能病院の指定要件に加えるべき」旨の付帯決議(言わば行政への宿題)を行っており、検討会でこの点を議論しているのです。

厚生労働省は6月6日の検討会では、「第三者評価の受審」を指定要件とした場合の影響、「第三者評価の認証・認定」を指定要件とした場合の影響を次のように整理しました(関連記事はこちら)。

【受審を要件とした場合】
第三者機関が「認定しない」と評価したとしても、特定機能病院の指定の可否に影響はないが、「改善が必要」と判断された事項について特定機能病院に努力義務を課すべきか否かを検討する必要がある。第三者評価機関の限定は特段不要(ただし、特定機能病院を評価する能力を持たない機関を受審した場合には、その理由等を十分に説明することが求められる)

【認証・認定を要件とした場合】
第三者機関が「認定しない」と評価した場合には特定機能病院としての指定が受けられなくなるため、国が「第三者評価を行う機関」を決定し、監督することが求められる。当然、受審すべき第三者機関は限定される

 このように「認証・認定を要件とする」には、まず▼国が第三者機関を定め、監督する▼病院機能評価のプログラムについても国が認証する―ことなどが必要となります。この場合、国の視点(指定要件を満たしているか)と第三者機関の視点とが、事実上同一になり、「医学・医療のプロフェッショナルで構成される第三者機関の『より高所から見た、独自の』視点」が十分に活かされなくなる恐れがあります。

 このため厚労省は、▼第三者機関の「受審」を指定要件とする▼第三者機関の評価プロセスで「改善が必要」と指摘された事項については、改善に向けた「努力義務」を課す▼第三者機関は、「特定機能病院の医療安全管理体制等を評価できる機関」(例えば、日本医療機能評価機構、JCI(Joint Commission International)、ISO9001など)の中から病院が選択する―こととしてはどうか、と提案しました。

 検討会では、厚労省案に賛成する意見が多数出ましたが、「認証・認定を要件とすべき」との意見も複数だされました。

 本多伸行構成員(健康保険組合連合会理事)や三浦直美構成員(フリージャーナリスト)は、「評価プロセスで指摘された事項について、努力義務を課すだけというのは疑問だ。医療安全に支障がある場合などは、早急な改善を義務付ける必要がある。少なくとも更新の時点で『改善を必須とする』ことを求めるべきである。また、第三者機関について、例えばISO90001では、特定機能病院に特化した評価は行われない。特定機能病院について一定水準の審査・評価が可能なのか国がチェックすべきである」旨を述べ、事実上の「認証・認定の要件化」が必要と訴えました。

 これに対し、「JCIなどは外国に本部があり、国(厚労省)が監督することは事実上不可能であろう」(中村康彦構成員:全日本病院協会副会長)、「機能評価の本質は、病院が継続的にPDCAサイクルを回しているか、回せているかを確認するところにある。改善を第三者機関が確認することを担保すれば、『受審』の要件化でよいのではないか」(坂本哲也構成員:帝京大学医学部附属病院病院長)などの考えを述べています。

 今後、さらに「受審を指定要件とすべきか、認定・認証を要件とすべきか」の議論が継続されますが、第三者機関を受審するにあたり、病院側は「院内の体制やプロセスを再点検している」のが実際です。つまり、受審の申請を行う時点で、相当程度、ガバナンス体制や医療安全確保体制を自主点検し、整備していると言えます(もちろん第三者の目からは「甘さ」が見え、それが要改善の評価につながる)。遠藤久夫座長(国立社会保障・人口問題研究所所長)は「受審を指定要件とするだけでも、相当進んだ、厳しい要件となる」との感想を述べています。



https://www.m3.com/news/iryoishin/681366
シリーズ 医師の働き方改革とキャリア
「宿日直の許可基準、現状より改悪は許されず」、全医連
第12回シンポジウムで公表、「働き方改革に背く」
 
レポート 2019年6月9日 (日) 橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医師連盟は6月9日、都内で開催した第12回シンポジウム「医師の働き方~先行事例の紹介と、これからの展望」で、「宿日直の許可基準、現状より改悪することは許されない」という声明を公表した。近く厚生労働省が公表予定とされる、宿日直に関する通知をけん制することが狙い(声明は、全医連のホームページ)。

 声明では、現状では宿日直体制で時間外診療を行っている“違法状態”の病院が少なくないと指摘。宿日直基準の見直しが文言や医療行為の現代化に留まるのであれば問題ないが、宿日直中に容認される「通常業務の頻度」と「労働時間の上限」の設定次第では、現状の“違法状態”を合法化することになると問題視している。宿日直基準の緩和は、医師の働き方改革の方向性に真っ向から背くことになる上、これまでの裁判所の判決とも整合性が取れなくなると指摘する。

 全医連代表理事の中島恒夫氏は、「介護老人保健施設や介護医療院などは宿日直で対応できるだろうが、2次救急の告示病院だったら、宿日直で対応できるわけはない」と指摘した。「勤務医が過重労働で心身を壊され、過労死したら、誰がその病院に、その地域に後任として赴くのか。だからこそ、仲間を失いたくはない」と述べ、真の医師の働き方改革を進める必要性を訴えた。

 宿日直に関する厚労省通知では、宿日直許可を取り消さない宿日直の通常業務の日数や労働時間の上限が示されている。声明が言及した「裁判所の判決」とは、奈良県立奈良病院の2人の産婦人科医が、未払いだった「時間外・休日労働に対する割増賃金」の支払いを求めた裁判での大阪高裁の判決で、通知の基準が大きく影響していると考えられるとした(『「宿直扱い」違法、最高裁不受理で確定』を参照)。

 声明では、夜間診療・休祝日診療を宿日直扱いすることで、以下の3つの大きな問題が生じると指摘している。
1.手薄な人員による医療提供体制
2.宿日直業務時間を労働時間にカウントしないことによる長時間労働の隠蔽
3.正当な時間外労働手当を支払わず、些少な宿日直手当で誤魔化している労働基準法違反

 シンポジウムでは、「先行事例」として、淀川キリスト教病院(大阪市)産婦人科の柴田綾子氏と、仙台厚生病院(仙台市)の医学教育支援室室長の遠藤希之氏が講演。産業医の林恭弘氏が労基法の基礎知識について解説した(記事は、別途掲載)。

 「医師の働き方改革は、病院管理者の働かせ方改革」

 「先行事例」の紹介に先立ち、中島氏は「医師の働き方改革について、勤務医の立場からの議論が少ない」とシンポジウムの企画趣旨を説明。その上で、「医師の働き方改革は、病院管理者の働かせ方改革」として、管理者に改革を呼びかけるとともに、勤務医に対しては自己防衛する必要性を訴えた。

 中島氏は、「過労死隠しも犯罪」、「賃金不払いも犯罪」と指摘。「時間外労働や休日および深夜労働に対する割増賃金の未払い」は、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑」、ひいては医道審議会で処分の対象になり得ると警鐘を鳴らし、病院管理者の自覚を促した。

 この3月に報告書をまとめた厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」について、中島氏は「現状は働き方改革的に問題なので、現状を合法化する」といった議論が展開されたと見る。病院管理者の代表は、(1)「労基法違反を前提にしなければ病院を経営できない」ことをはっきりと発言する、(2)そのツケを自分の病院の勤務医にではなく、行政に対してぶつけるべきだった、(3)法律違反を前提とした労務体制でしか医療を提供できないのであれば、厚労省にこれまでの失政を認めさせ、国民に謝罪させる――という対応をすべきだったと問題視した。

 医師が過重労働になる要因は複数あるとし、主治医制からグループ制(複数主治医制)など運営体制を見直すとともに、勤務医自身も労働契約書の内容を確認するなど「自己防衛策」が必要だとした。研修医、研修修了後に分け、注意点も提示した。



https://www.m3.com/news/general/682581?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD190615&dcf_doctor=true&mc.l=452386220
【新潟】加茂病院外来9月から 産科開設は見送りに  
地域 2019年6月15日 (土) 読売新聞

 県は14日、老朽化に伴い建て替え工事を進めている加茂市の県立加茂病院について、9月20日から新病院で外来診療を受け付けると発表した。小池清彦前市長が目指した産科の開設は、産科医を確保する見通しが立たず見送られた。

 県病院局業務課によると、新病院は鉄筋コンクリート一部鉄骨造の6階建てで、延べ床面積は約1万4000平方メートル。総事業費は約100億円で、市民らが利用できる多目的ホールを設けた。

 開院時に稼働する病床は県央地域初の緩和ケア病棟の20床を含めて計120床。診療科は現病院と同じ12。新病院の工事は今月28日に終わる予定で、医療機器の搬入などを進めて9月17日に現病院から入院患者を移す。

 現病院は来年度以降、解体し、約190台分の駐車場を整備する。同課は「引き続き産科の医師確保に努めて対応を検討したい」としている。



https://www.m3.com/news/general/681682
【北海道】7対1から10病院1419床減 90病院1万6928床に 急性期1 本紙集計  
地域 2019年6月16日 (日) 北海道医療新聞

 道厚生局資料に基づき本紙が行った集計によると、2018年2月31日時点で7対1一般病棟入院基本料を算定していた道内100病院・1万8247床のうち、18年度診療報酬改定から丸1年の19年4月1日現在も急性期一般入院料1を算定していたのは10病院減の90病院、算定病床数は1419床(7・7%減)の1万6928床となった。経過措置が終了した昨年10月1日時点からは2病院減、病床数は240床減っていた。

 18年度改定では、一般病棟入院基本料(7対1、10対1)が7段階の急性期一般入院基本料に再編され、「7対1」に相当するのは急性期一般入院料1。重症度、医療・看護必要度(看護必要度)要件は、従来基準を見直した看護必要度1の該当患者割合30%(従来基準の26・6%相当)以上に引き上げられ、DPCデータに基づく看護必要度2で評価する場合は25%以上に設定された。

 4月現在、入院料1を算定している90病院のうち、昨年2月末から算定病床数に増減がないのは63病院(昨年10月比13病院減)。増床したのは5病院(同1病院増)で、昨年10月以降に増床した1病院は混合病棟群届け出から入院料2に移行後、看護必要度を満たして入院料1にアップした。減床は22病院(同10病院増)。

 昨年10月以降の半年間に、入院料1から入院料2にダウンしたのが2病院あり、うち2病院は今年5月に急性期一般入院基本料を辞退し、地域包括ケア病棟入院料に移行した。また、1病院が入院料4から入院料1にアップした後、再び入院料4に戻っている。

 4月現在で入院料2を算定しているのは9病院(同2病院増)で、理由は「入院料1の看護師配置基準や看護必要度要件を満たせない」が多い。入院料2算定病院はなく、昨年2月末に7対1を算定していた1病院が入院料5にランクダウンしている。

 2次医療圏別で、7対1算定病院があった16圏域は、各1病院あった北渡島桧山と遠紋がともに他の入院料に移行したため、入院料1算定病院がある圏域は14圏域となった。うち算定病床数に増減がなかったのは4圏域にとどまり、宗谷圏は増えたが、残る9圏域で減らしている。減床幅が大きかったのは、札幌202床、後志292床、十勝276床が目立つ。

 道内の「7対1」病床数は、急性期への重点的評価が行われた12年度改定で2万床を超えたが、その後は減少。16年度改定で看護必要度が15%から25%(200床未満は23%)に引き上げられ、経過措置終了後の16年10月以降は1万8千床台となっていた。



https://www.m3.com/news/general/682508
檜枝岐村:常勤医の確保に苦慮 4月から不在、募集に申し込みなく /福島  
地域 2019年6月14日 (金) 毎日新聞社

 檜枝岐村で今年4月以降、常勤医不在の事態が続いている。唯一の医療機関である村営檜枝岐診療所の男性常勤医が2月末で退職したためで、村は後任を募集しているものの、2カ月近くが経過しても申し込みはない。現在は県立南会津病院(南会津町)から医師派遣を受けるなどしてしのいでおり、村は医師確保に苦慮している。

 村によると、退職したのは2017年度から単身赴任で勤務していた70歳代の男性医師。昨年秋ごろ、高齢や家族の事情などを理由に退職の意向を示していた。村の慰留にも意思は固かったという。

 村は医師を募集。1月にいったん後任者が内定したが、契約に至らなかった。その後も問い合わせはあっても応募はない。村は県西端の山間部にあり、会津地方の主要都市・会津若松市から車で約2時間かかる。「檜枝岐のようなへき地に、医師はなかなか来てくれない」と村の担当者は嘆く。

 医師不在を回避するため、村は県立南会津病院に週1回の医師派遣を要請。5月からは北塩原村の診療所医師が月1~2回、檜枝岐村に出張診療している。村は「村民に安心感を持ってもらう意味でも常勤医は必要」とし、後任の募集を続ける考えだ。

 募集対象は70歳くらいまでの医師で、診療科目は内科と小児科。17年度の1日平均患者数は11・5人。報酬は年2000万円(税込み)で、木造2階建ての医師住宅も用意している。問い合わせは村総務課(0241・75・2500)。【湯浅聖一】



https://www.m3.com/news/general/682117
さぬき市民病院 出産休止  
 2019年6月13日 (木) 読売新聞

 さぬき、東かがわ両市で民間も含めて唯一、出産ができるさぬき市民病院(さぬき市寒川町)は、医師不足を理由に7月末で出産の取り扱いを休止する。大山茂樹市長は12日の記者会見で「医師確保を急ぎ、出産を早期再開させたい」と述べ、医師ではなく助産師が出産を介助する院内助産の整備も検討していくという。(妻鹿国和)

香大付属病院で対応

 同病院によると、2018年度の出産取り扱い件数は222件。

 今年2月まで産婦人科は常勤医2人体制だったが、うち1人が同月末で定年退職、4月から非常勤嘱託医として再雇用されていた。ところが、その後もう1人の常勤医が7月末で派遣元の医局へ戻ることになり、嘱託医1人での出産は困難と判断。同月21日をもって休止することになった。

 出産予定日が7月15日までの妊婦は受け付けるが、予定日がそれ以降の妊婦は約10キロ離れた香川大医学部付属病院(三木町池戸)が担う。市民病院は8月以降も妊婦健診などの外来診療は引き続き行うが、夜間休日の急変時の対応や出産については、同付属病院が引き受ける。

 市民病院経営管理局は「あらゆる手立てを通じて常勤医師の確保に努め、早期再開に向けて取り組む」としているが、医師の確保ができずに休止が長引くことも考慮し、院内助産の体制整備を検討するという。

 院内助産は、緊急時の対応が可能な医療機関で、助産師が中心となり、妊婦健診や出産の介助を行う仕組み。医療行為を伴わない出産は行うことができ、産科医不足への対応策として全国で導入が進んでいる。

 大山市長は12日、6月市議会の議案説明の記者会見で、出産休止について問われ、「非常に残念で申し訳ない」と陳謝。「安心して子どもを産み育てられないことへの市民の批判は大きく、一刻も早くこの状況を脱したい」とし、上村一郎・東かがわ市長と共に香川大に医師の派遣協力を求めていくという。



https://www.m3.com/news/general/681802
カリフォルニア州、不法移民も公的医療保険の対象に 来年1月から 米国初  
2019年6月12日 (水) AFPBB News

【AFP=時事】米カリフォルニア州議会は9日、公的医療保険制度の適用範囲拡大のため約1億ドル(約110億円)の支出を承認した。これによって同州は、不法移民の一部も公的医療保険の対象とする米国初の州となる。

 民主党が支持したこの政策により、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権時代に拡充された同州の低所得者向け公的医療保険制度「Medi-Cal」を通じて、19~25歳の成人が医療を受けることができようになる。

 議会での数か月にわたる折衝の末、2130億ドル(約23兆円)の2019~20年州予算から、同政策に約1億ドルを支出することで合意に達した。この予算は今週中に承認され、7月から執行される。

 Medi-Calの適用範囲拡大は来年1月から実施され、新たに9万人が対象となる。各国の国内総生産(GDP)と比較すると世界第5位の経済規模を誇る同州は、財政黒字が過去最高の200億ドル(約2兆2000億円)以上となっていることもあり、今回の措置が可能になった。

 同州議会で多数を占める民主党は当初、在留資格に関係なくすべての低所得者の成人をMedi-Calの適用対象にすべきだと提案。しかし、ギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)知事が、その提案では推定34億ドル(約3700億円)という高額な予算が必要となるとしてちゅうちょしていた。

 共和党は、米国民に不当な税負担を強いるとして、民主党の提案を批判していた。【翻訳編集】 AFPBB News


  1. 2019/06/16(日) 09:30:53|
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6月12日 

次のような連絡があり、該当部分が削除されました。
該当部分だけでなく、それを含むベージ 269件 が削除されました。
2014.6.10 から 2019.3.24 までの記事を含みます。
URLを直接入力しても記事は表示されません。
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          Doctor G3



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  1. 2019/06/12(水) 06:03:36|
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6月9日 

https://www.fnn.jp/posts/00046633HDK
なぜ?医師数は過去最多32万人でも“医師不足” 「地域医療が成り立たぬ」現場の声  
めざましテレビ  2019年6月5日 水曜 午後0:30

常勤医師不在の間に11人死亡 施設側は「地域医療成り立たない」

全国各地で医師不足が深刻化している。

今月、熊本県八代市にある介護老人保健施設「アメニティゆうりん」で、条例で義務付けられている常勤の医師が不在だった2018年2月から5月までの間に、入所者11人が亡くなっていたことが判明した。

カルテに不審な点はなく、県は施設に対して速やかに医師を配置するよう勧告した。
しかし、施設の理事長は「一生懸命、いろいろな方のツテを頼って医者を探したが見つからなかった。非難されるのであれば地域医療は成り立っていかない」と話した。

医師数は過去最多 なのになぜ医師不足?

厚生労働省のデータによると、全国で医師の数は過去最多となる約32万人。その一方で、専門家は問題を指摘する。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
医師の数は地域によって違いがあり、医師が集中するのは大都市です。
最先端の医療技術があり、情報が多くあるので都会に集中する傾向があります。
その影響で人口の少ない過疎地には、どうしても医師が不足するということになります。

医師不足 の背景に“県内格差”
人口10万人に対する医師の増減データをみると、「大都市医療圏」にくらべると、「過疎地域医療圏」では医師の数が減少している地域が多いことがわかる。
そして意外にも、全国で最も少ないのが埼玉県である。

医療ジャーナリスト油井香代子氏:
東京に近くて県庁所在地のある、比較的人口密集した都会は医師が足りているが、郊外に行って都心からどんどん離れるに従い医師の数は減ってきています。

埼玉の北部に位置する熊谷市の「熊谷生協病院」に内情を聞いた。

「熊谷生協病院」小堀勝充院長:
3月まで整形外科の外来をやっていましたが、医師不足の影響で派遣をしてもらえないことがあり、4月から整形外科の外来を閉じている状態です。
入院患者や救急患者の対応が十分にできないことと、休日夜間の緊急患者の対応が十分にできない現状。
常勤の医師はあと4人くらい欲しい。

医師不足解消も視野に、熊谷生協病院では研修制度を導入しているという。

「外来が患者であふれかえっている」

医師不足が更に深刻な地域では、自治体が主体となって非常勤の医師を雇っているという。

ある女性医師は、住居のある埼玉県や東京都内の医療機関に勤務しながら、定期的に北海道などで非常勤で勤務しているという。

消化器内科医・産業医 渡辺由紀子医師:
ピンチヒッター的に数日間、呼ばれたので行ってみると診療体制がとても大変なことになっていた。
外来が患者で溢れかえっていてそのときはかなりショックを受けました。
“ありがとうございます”という手書きの手紙をもらうこともあり、感謝していただける事が一番やりがいにつながります。

常勤医師不在の3年を経て診療再開

そんな中、秋田県湯沢市唯一となる市立の診療所・皆瀬診療所で、3年以上にわたる常勤医師不在が解消され、ついに常勤の医師による診療が始まった。

岩手から赴任した55歳の男性医師は内科と外科が専門で、傷の縫合手術や胃の内視鏡検査も可能に。
今後、湯沢市は必要な設備を充実させていくという。

湯沢市福祉保健部の佐藤恒雄部長は「お医者さんがいなくなってからの3年間で6割程度患者さんが減少し、少ない時で10人というような状態になっていた。人口も減っていて、これから医療は少しずつ変わっていくと考えているが、地域の住民が安心して生活できるような医療を目指し、医師と一緒に市全体の医療を作っていきたい。」と話す。

総務省と厚労省は今後、医師の確保が困難な地域の公立病院に対して、財政措置を拡充していくということだ。

遠隔診断やAIが医師不足解消の糸口に

地域の医師不足の対策として専門家は、最新技術の活用を提案する。

医療ジャーナリストの油井香代子氏:
オンラインによる遠隔診断やAIを使った検査や診断も医師不足解消の糸口になる。

(「めざましテレビ」6月5日放送分より)



https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45727200V00C19A6000000/
救急病院がネット資金調達 2千万円、医師不足が深刻  
社会
2019/6/5 19:08 日本経済新聞

大阪府三島救命救急センター(高槻市)は5日、深刻な医師不足で存続が危ぶまれるとして、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで2千万円の調達を目指すと発表した。人手不足で急患の受け入れを制限しており、非常勤の医師ら4~5人を採用する資金に充てる。病院がネットで人件費などの運営資金を調達するのは全国的にも珍しいという。

同センターは、総合病院などを母体とせず独立採算で運営する「単独型」の救命救急拠点。心筋梗塞や脳卒中、交通事故のけが人などの救急患者を24時間受け入れている。2018年度の搬入患者は926人だった。

施設の老朽化などで3年後に高槻市にある大阪医科大学内への移転を予定しているが、10年度に27人だった医師数は今年7月には13人に半減する見込みで、当面の運営維持も厳しいという。

高槻市や近隣自治体などから補助金を年約6億円受け取っているが増額は見込めず、医療機関としては異例のネットでの資金調達に踏み切った。9月3日午後11時まで受け付けている。

5日にセンター内で記者会見した福田真樹子副所長は「医療者の不足で患者が受け入れられず、医療収入が落ちる悪循環に陥った」と説明。「地域医療を続けるため支援していただきたい」と訴えた。〔共同〕



https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000010134.html
「医師の数は不足していると思うか?」について、医師の45%が「不足している」と回答
MedPeer会員医師へのアンケート調査
 
メドピア株式会社 2019年6月7日 11時22分

メドピア株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 CEO:石見 陽)は、医師12万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営し、医師同士が経験やナレッジを「集合知」として共有する場を提供することで、医師の臨床やキャリアを支援しています。この度、会員医師を対象に、「医師の数は不足していると思うか」についてのアンケートを実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。
※本アンケートは、会員医師から投稿された質問を中心に行っている「MedPeer」内の公開型アンケートサービス「FORUM Survey(フォーラム・サーベイ)」で実施されたものです。

調査結果:「医師の数は不足していると思うか?」
(回答者:MedPeer会員医師3,000人、調査期間:2019/5/17~2019/5/17)
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・「医師の数は不足していると思うか?」の質問に対し、3,000人の医師が回答した。最多回答は「どちらとも言えない」(34%)であったが、「不足している」および「どちらかといえば不足している」と回答した医師が計45%を占め、医師の数について不足を感じている医師が多いことが分かった。

・「不足している」「どちらかといえば不足している」と回答した医師のコメントでは、不足していると思う理由として、地域や診療科による「医師の偏在」や、医療の細分化と高度化、医療への要求レベルの高まり、働き方改革によって必要な医師数が増えていることを挙げる声が多かった。

・「足りている」「どちらかといえば足りている」と回答した医師のコメントでは、問題なのは「医師の偏在」や事務作業などの「無駄な業務の多さ」であり、医師の総数自体は足りている、という声や、「人口減少により将来的には余る」という声が多く見られた。

回答コメント(一部を抜粋)

「不足している」  497件
・医療の細分化や多岐にわたる医療ニーズで必要医師数も増えているため。働き方改革などで今後ますます不足すると思われる。(50代、勤務医、消化器内科)
・都会の病院でさえ、今も医師を集め続けています。地方も、郡部はいわずもがなですが、都市部でさえ、昼間の医師数はなんとか足りているとしても、夜間・休日の医師数は全く足りません。(60代、勤務医、消化器外科)
・医師の労働時間を減らすためには、色々な案が出されていますが、主治医制を撤廃する事だと思います。チーム医療にして、誰が抜けてもチームの他の医師で補い合える状態を目指すには、やはり医師数が足りません。(60代、勤務医、消化器外科)
・自由に科を選択でき、自由に開業できることは素晴らしいですが、医師の偏在による医師不足はその影の部分だと思います。(30代、勤務医、一般外科)

「どちらかといえば不足している」  844件
・地方でも都心でも、救急や総合病院では常に人手不足です。このまま進行すると、医師が自分の好きな科を選べず、強制的に配置される時代がくるのでは…と思ってしまいます。(30代、勤務医、精神科)
・救急とか産婦人科とか、大変な部署は不足していると思います。あと、へき地もです。医師の数は増えても、自分は楽をしようという考えの若い先生が多いので、今後も地域格差、部門格差は改善されないと思います。(50代、勤務医、一般内科)
・地方勤務医ですが、東京で勤務していた時に比べて勤務医の偏在化を顕著に感じます。また、マイナー科(血液内科、膠原病内科など)は明らかに足りておらず、どの科に注目するのかで話が変わるかと思われます。(40代、勤務医、腎臓内科・透析)
・丁寧な診察をする、救急特に夜間に対応するには不足していると思います。しかし、政治的に医療費を抑制する方向に導いているので、病院の経営としては増やしがたいのでは。(60代、勤務医、循環器外科)

「どちらとも言えない」  1,011件
・地方では医師の絶対数が不足しているのかもしれない。しかし自分の開業している付近では病院やクリニックはたくさんあり、医師に不足はしていない。(50代、開業医、皮膚科)
・周りを見回してみて、足りないという印象はありません。さらに患者受診数が減ればますます不足感はなくなると思います。自己管理を啓蒙啓発することで無駄な受診は減らすことができるはずです。病気かどうかわからない人の病院通いが多すぎます。(60代、勤務医、一般内科)
・どちらでもなく、医師に課せられたどうでもいい業務量が圧倒的に多すぎるのだと思います。業務に限らず臨床研究における書類申請しかり、専門医制度しかり。生産性の低い国民性が全ての原因でしょう。(40代、勤務医、放射線科)
・病院の数が多すぎるのと、フリーアクセスで専門医への受診も患者が自由に選べることで医師の負担が増えている。医師の数自体は集約すれば足りるのではないでしょうか。(30代、勤務医、家庭医療)

「どちらかといえば足りている」  415件
・地方都市の急性期病院レベルでは患者数が減り始め、医師がそこまで不足している実感はないです。急性期病院の医師数の問題は、病院を集約すれば概ね解決するような気がします。(40代、勤務医、精神科)
・医師数としてのみ考えれば、当然足りて余るぐらいでしょう。しかし、現実は偏った診療科に大都市集中により、当院も慢性的な医師不足が10年以上も続き、もうじき私自身も定年へ。(50代、開業医、一般外科)
・絶対数は足りていると思います。偏在(地域・診療科)の問題と、常勤ではなくバイト・育休産休からそのまま復帰しない医師などが問題かと思います。(30代、勤務医、一般内科)
・医師不足ではなく、医師の労働内容の無駄が医師の診療時間を制限していると感じます。(50代、開業医、産婦人科)

「足りている」  233件
・既に人口比で医師数は足りている。足りない様に思えるのは診療科と地域の偏在のため、そう見えるだけ。不要なのに医学部を今更増やすなどで、近い将来医師は大々的に余ってくるだろう(60代、勤務医、脳神経外科)
・以前、不足している病院にいてものすごく大変でしたが、隣の病院には医師があふれていました。偏在しているだけです。地域というより、病院ごとに違います。楽な病院ほど人気があり、医師が余っています。(50代、開業医、一般内科)
・私たちが医師になるときには「医師過剰時代」「医者では食っていけなくてタクシー運転手になる」などと脅され、以降も毎年8000人以上が医師になっているのになぜ未だに不足なのか理解できない。(50代、勤務医、健診・予防医学)
・足りないんじゃなくて、偏っているだけです。臨床研修医制度が始まる前はそこまで医師不足とは言われていませんでした。(40代、勤務医、血管外科)

調査概要

調査期間:2019/5/17 ~ 2019/5/17
有効回答:3,000人(回答者はすべて、医師専用コミュニティサイトMedPeerに会員登録をする医師)
調査方法:MedPeer内の「FORUM Survey」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。


医師不足や地域偏在に関連する報道をよく見ます。
地域で見れば開業医が多く、総合病院の医師が少ないだけで、医師の数はそこそこという都市もあると思います。そのせいか日本の医師数は他のOECD(経済協力開発機構)加盟国と比べると少ないが、病院数は1番多いです。
医師の数は不足しているのか、それとも不足しておらず医師配置など他に問題があるのか皆さまはどう思いますか。
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1. 足りている
2. どちらかといえば足りている
3. どちらとも言えない
4. どちらかといえば不足している
5.不足している



https://www.medwatch.jp/?p=26812
公立・公的病院等の再編・統合、国が「直接支援」する重点地域を2019年夏に策定―厚労省・医療政策研修会  
2019年6月7日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 今夏から「各地域(地域医療構想区域)の病院がそれぞれどのような診療実績を有しているのか」などのデータをもとに、公立病院・公的病院等の機能改革内容を再検証し、検証結果によっては再編・統合等の検討を行うことになる。それと前後して、国と都道府県とで協議し、「再編・統合等に向けて国が重点的に支援する地域」を定め、国が「直接の支援」を行う―。

 厚生労働省が6月7日に開催した「都道府県医療政策研修会」(以下、研修会)で、こういった点が明確にされました。

ここがポイント!
1 診療実績データもとに、公立・公的病院等の機能改革について再検証
2 公立・公的病院等の機能改革、「民間との競合がないか」などが重要な視点
3 国が再編・統合を「直接支援」する重点地域を、都道府県と協議して設定
4 地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策の整合性が重要

診療実績データもとに、公立・公的病院等の機能改革について再検証

2025年度の「地域医療構想の実現」を目指し、各地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で「病院の自主的な機能改革」に向けた議論が進められています。まず2018年度中(2019年3月まで)に「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっており、ベッド数ベースで、▼公立病院は95%(2018年12月末から47ポイント向上)▼公的病院等は98%(同38ポイント向上)―の合意が得られています(ほとんどの公立病院・公的病院等で「機能改革」に関する合意ができた)。
 
ただし、機能別の病床数割合の推移を見てみると2017年度から2025年度にかけて大きな変化は見られず、また「合意を急ぐあまり、形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっているケースがある」との指摘もあります。
 
そこで、厚労省の「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、次のように「合意内容の検証をする」ことを決めました(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

▽各医療機関(民間も含めて)における▼がん手術の実績▼がん化学療法の実績▼心血管疾患の診療実績▼脳卒中の診療実績▼救急医療の実績▼小児医療の実績▼周産期医療の実績―などの精緻なデータを洗い出す(厚労省で分析中、2019年夏頃に結果が示される見込み)

▽データをもとに、公立病院・公的病院等の果たしている機能を分析し、合意内容を検証。検証結果を踏まえて、必要な対応を要請する

▼公立・公的等でなければ果たせない機能に特化していると判断された場合
→現在の機能を維持する公立・公的病院等

▼民間病院と競合している機能(例えば、がん診療、循環器領域など)があると判断された場合
→民間病院のキャパシティなども考慮した上で、当該機能を民間病院へ移管することができないかを検討する(【一部の機能転換】等の検討)

▼多くの病院に手術症例等が拡散しているなどと判断された場合
→地理的要素(患者のアクセス)なども考慮したうえで、「病院同士の再編・統合」を検討する(【再編・統合】等の検討)

公立・公的病院等の機能改革、「民間との競合がないか」などが重要な視点
 
 地域医療構想の実現に関しては、「病棟が実際に果たしている機能」と「病床機能報告で報告されている機能」とをできる限りマッチさせることが重要です。病床機能報告結果が「実際の機能」と乖離していれば、調整会議での「急性期と報告する病床がニーズに比べて過剰なので、不足する回復期機能への転換を促してはどうか」などといった議論が意味をなさないからです。

さらに公立病院・公的病院等では、上述のように「公立病院・公的病院等でなければ果たせない機能に特化しているか」「民間病院との競合はないか」という視点が欠かせません。

この点、例えば、ある公立病院の「急性期」病棟について、「実質的には回復期である」として回復期機能への転換を考えたとします。機能のマッチという視点からは「回復期への転換」が妥当ですが、「公立・公的等の役割」「民間との競合」という視点では、疑問も残ります。地域では「公立病院が高度急性期から回復期までの機能を網羅し、患者の囲い込みをしている」との指摘も出ており、地域で「当該公立病院が回復期病棟を持つことが適当か」という点を十分に議論する必要が出てきます。

国が再編・統合を「直接支援」する重点地域を、都道府県と協議して設定

 この再検証スキームについて厚労省は、「診療実績データの多くは、病院名も明らかにした上で公表する」との考えを提示。全国の病院の等身大の姿が「見える化」されることになり、客観的なデータに基づいた再編・統合論議が各調整会議で進むことが期待されます。

もっとも調整会議の議論が難航する地域も出てくると考えられます。例えば【再編・統合】等となった場合、吸収・廃止等される側の自治体などからは「近隣に病院がなくなってしまう。我々を見捨てるのか」という反対意見が出てくることも予想されます。また、首長が「病院の建設・存続・増床」などを公約に掲げている場合には、再編・統合論議は「政治的」な様相を帯びてくることも予想されます。こうした中で「調整会議で議論を進めよ」と依頼することは酷な場合もあります。

このため国は、「再編・統合論議を国が重点的に支援する地域」を定める仕組みも準備する考えを示しています(5月31日の経済財政諮問会議で根本匠厚生労働大臣が発表)。さらに、6月7日の研修会では、▼重点的に支援する地域は、国と都道府県とで協議する▼重点的に支援する地域の決定は、診療実績データの提示・公表と前後して行う(2019年夏頃の予定)▼国が「直接」支援を行う―考えが厚労省医政局地域医療計画課から明らかにされました。
 
対象地域がどの程度になるのかは明らかにされていませんが、国が「直接」に支援を行うためにその数は限られ、多くとも「十数程度」になるのではないか、と考えられます。今後、国と都道府県とで対象地域を検討します。

なお、5月29日の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」取りまとめでは、民間病院についても「大規模化・協働化」を提言しており、これは「民間病院についても再編・統合を進める」内容と言えます(関連記事はこちら)。
 
今夏(2019年夏)以降、公立・公的等にとどまらず、民間をも含めた「病院の大再編」が進む可能性があります。今後の様々な動きに注目する必要があります。

地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策の整合性が重要

なお、こうした医療提供体制改革は、「医師の働き方改革」「医師の偏在対策」とも整合性をとって進める必要があります。厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長もその点を強調するとともに、「今後、医療環境がめまぐるしく変化していく。各施策(地域医療構想・医師働き方改革・医師偏在対策)の狙いを自治体・関係団体(医師会・病院団体等)にも十分に理解してもらい、医療行政の推進に協力してほしい」と強く要請しました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
 このため研修会では「医師働き方改革」について、▼勤務医の時間外労働上限を、2024年4月から「原則960時間以下」「地域医療確保に欠かせない救急科などは暫定的・特例的に1860時間以下」「研修医や高度技能獲得を目指す医師は暫定的に1860時間以下」とする▼今後、5年の間に「労務管理の徹底」「労働時間の短縮」を強力に進める―ことなどが詳細に解説されました。
 
また医療提供側がどれだけ働き方改革を進めても、患者が「夜間のほうが待ち時間がない」などと考えて夜間救急外来を一般の外来のように受診したのでは、医師の労働時間は短縮しません。このため厚労省は、有識者も交えて「上手な医療のかかり方」の考えをまとめ、これを普及・啓発していく考えを強調しています。この点について、11月を「上手な医療のかかり方月間」とし、都道府県にも振興に向けた協力を要請しています。



https://www.medwatch.jp/?p=26723
「医師確保計画」作成に当たり、医師個々人のキャリアパスなど丁寧に勘案せよ―医学部長病院長会議  
2019年6月4日|医療現場から MedWatch

 医師偏在の解消に向けて都道府県が「医師確保計画」を作成するが、そこでは単なる人数合わせでなく、医師個々人のキャリアパスなどを十分に勘案しなければならない。都道府県は医師確保計画作成に当たり、当初より大学医学部と緊密に連携する必要がある。また医師の働き方改革に向けて、労働時間短縮等を強力に進めていくが、そこでは「病院の財政基盤強化」が必要であり、国が補助などを検討すべきである―。

 全国医学部長病院長会議が5月31日に総会を開催し、こういった提言をまとめました。
 
ここがポイント!
1 千葉県や九州の一部県では、都道府県と大学医学部が連携して医師確保を進めている
2 医師の働き方改革実現に向けて、病院の財政基盤強化が不可欠
3 日本専門医機構、「専門医の質担保」よりも「社会的要素」に傾きすぎていないか

千葉県や九州の一部県では、都道府県と大学医学部が連携して医師確保を進めている

 医療提供体制の改革に向けて、審議会・検討会の論議は大方まとまり、これから「実行」に向けた動きが加速化します。▼地域医療構想▼医師偏在の解消▼医師の働き方改革―の3施策を、整合性を持った形で進めることになります。

 そうした中で全国医学部長病院長会議では、とくに▼医師偏在の解消▼医師の働き方改革―の2点に関する提言をまとめました。

 前者「医師偏在の解消」に向けては、人口10万対医師数に「地域の性・年齢別人口」「地域の性・年齢別医師人口」などを加味した新たな「医師偏在指標」に基づいて、都道府県・2次医療圏を、▼医師多数の地域(相対的に医師が多い上位3分の1の地域)▼医師少数の地域(同じく下位3分の1の地域)▼医師多数・少数のいずれでもない地域(同じく中間の地域)―に区分けし、「医師多数の地域から医師少数の地域への医師派遣を進める」「医師多数の地域では、他地域からの医師派遣を認めない」などの方針が打ち出され、これから各都道府県で「医師確保計画」の作成が進められます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
 
 この点について全国医学部長病院長会議は、「単なる人数合わせで進めては日本の医学・医療の発展を阻害する。医師の人材育成やキャリアパスの観点を考慮しなければならない」と強調し、例えば次のよう提言を行っています。

▽医師はそれぞれのキャリアパスの中で様々な経験を積み、自らの能力を高めるために大学や地域の医療機関を循環する。そうした医師育成の観点を踏まえずに、医師多数の地域から少数の地域への配置を行うことは不可能である。それぞれの医師の人材育成・キャリアパスを適切に考慮すべき

▽医師派遣の対象は「地域枠医師」を中心とし、また医師多数の地域では他地域からの医師確保は行わないとしている(一定の柔軟な取り組みが可能)。しかし、特定の集団(例えば地域枠医師)だけで調整しようとすれば、医師の人材育成やキャリアパスに歪みを生じさせかねず、また大学医学部ばかりが困難な派遣調整を迫られることにもなりかねない。「地域全体での医師の適正配置」の視点が不可欠である

▽「医師偏在の解消」と「医療提供体制改革」とは表裏一体であり、現状の医療提供体制を前提に医師確保計画を定めるのではなく、病院の再編・統合も含めた医療提供体制見直しを視野に入れて医師の適正配置を検討すべきである

この提言について嘉山孝正・専門委員長会委員長(山形大学医学部参与)は、「医師少数の地域から多数の地域への医師移動が認められないとなると、例えば『他県に派遣されていた医師が東京の病院に戻れない』などの事態が生じはしないのか。また医学部から病院へ医師を派遣する際には、その医師の能力(派遣先の病院で求められている能力を持っているのか、当該医師が抜けた穴は他の医師でカバーできるのか、など)を見極めて実施する。乱暴の医師の配置を決めれば、チーム医療体制が崩壊してしまう」ことを強調。都道府県が、今後、医師確保計画を作成するにあたっては、当初から大学医学部と緊密な連携をとることが必要と訴えています。

この点について山本修一・大学病院の医療に関する委員会委員長(千葉大学医学部附属病院長)は、「千葉県や九州のいくつかの県では、すでに大学医学部と連携し、医師のキャリアパスなどを考慮した医師確保の検討を始めている。特に医師不足が深刻な小児科や産婦人科について、医師確保をどう進めるかなど、具体的な検討も行っている」ことを紹介。他の都道府県でも、大学医学部と連携を強化していくことが喫緊の課題と言えそうです。

医師の働き方改革実現に向けて、病院の財政基盤強化が不可欠

 また後者の「医師の働き方改革」については、2024年4月から新たな時間外労働上限が勤務医に適用され、▼原則として年間960時間以下とする(いわゆるA水準)▼救急病院など地域医療確保に不可欠な場合には、暫定的・特例的に1860時間以下とする(2035年度の解消を目指す、地域医療確保暫定特例水準、いわゆるB水準)▼研修医や高度技能獲得を目指す医師については、暫定的・特例的に1860時間以下とする(技能獲得に必要な研修時間数などのエビデンスを構築する、集中的技能向上水準、いわゆるC1・C2水準)―ことが決まっています。今後、5年の間に全医療機関において、労務管理を徹底するとともに、タスク・シフティングやマネジメント強化などにより労働時間の短縮を進めることが求められます(関連記事はこちら)。
 
 ただし、B水準の対象はどの医療機関なのか、複数の医療機関で勤務する場合、労働時間は単純に通算するのか、など詳細についてはこれから詰めることになります。

 この点について全国医学部長病院長会議は、次のような提言を採択しました。可能な限り早期に、勤務医の負担をできるだけ軽減することを求める内容です。

▽B水準(地域医療確保暫定特例水準)の対象医療機関は、2024年4月の段階で「最小限」とし(広範に認めることは許されない)、その後、「対象医療機関の縮小」「終了年限(2035年度予定)の前倒し」を図るべき

▽C1水準(集中的技能向上水準、初期研修医・専攻医)について、早期に労働時間に関するエビデンス(何時間程度が技能獲得に望ましいのか)を構築し、それに基づき上限時間を適正化すべき

▽C2水準(集中的技能向上水準、高度技能獲得を目指す医師)について、その必要性を含めた総合的検討を行い、対象となる診療領域・指定医療機関等を決定し、そのうえで適正な時間設定を行うべき

▽労働時間短縮に向け、▼医師の業務効率化(主治医制からチーム診療性へのシフト、特定行為研修修了看護師を含む他職種へのタスク・シフティング、診療アシスタントの活用、ICT技術の導入など)▼医師の継続的就労・臨床現場への復帰支援体制の整備(弾力的な勤務形態の確保、24時間院内保育・病児保育体制整備など)▼病院の財政基盤強化―を図るべき

労働時間短縮方策の1つとして「他職種へのタスク・シフティング」が注目されます。また、「医師でなければ実施できない業務」は現状少なくないため、タスク・シフティングでは足らず「タスク・シェアリング」も重要でしょう。ただし、いずれにせよ「スタッフの増員」が必要となってきます(現時点で時間を持て余す医療職はなかなか見当たらない)。人員増には当然コストが伴うため、「財政基盤の強化」に向けた措置をとるよう全国医学部長病院長会議は強く求めています。

また、C2の対象について、厚生労働省は「専門医では広すぎ、いわゆるスーパードクターでは狭すぎる」と述べるにとどめていますが、山本委員長も「現時点でイメージがない。専門医資格を取得した後、特定の技術獲得を志す医師が対象になると思うが、具体的な議論はまだ進んでいない」と述べ、早急な対象の設定論議を希望しました。

 なお、大学病院の勤務医も、この働き方改革の対象となっていますが、山本委員長は「臨床系教員(助教以上)は、▼診療▼教育▼研究―の各分野の業務を並行的に遂行しており、診療中心の一般病院の医師とは働き方や業務内容が異なる」とし、「専門業務型裁量労働制」(対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労. 使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度)を基本とした働き方を可能とするなどし、「研究等へのモチベーション低下が生じないようにする必要がある」と訴えています。

日本専門医機構、「専門医の質担保」よりも「社会的要素」に傾きすぎていないか

 さらに全国医学部長病院長会議では、新専門医制度についても次のような提言をまとめています。

▽新専門医制度に関する日本専門医機構の業務は、「専門医の質の担保」以外の「社会的要素」に傾きすぎている。専攻医採用上限(シーリング)についても、基幹病院から関連病院に循環する要素を考慮しておらず、現場に即していない。例えば「基幹病院から関連病院に所属する人数」の扱いなどを反映させるべきである

▽日本専門医機構の執行部が一部の意見を取り入れすぎている。基本診療領域学会からの意見を十分に取り入れるとともに、全国医学部長病院長会議から副理事長を採用すべきである

▽日本専門医機構の独立性を担保するため、社員以外の団体からの資金導入はなるべく少なくすべきである

 このうちシーリングについては、2020年度採用の専攻医から、厚労省の示した診療科別・都道府県別の必要医師数をベースに、「医師不足地域での勤務を50%以上とする」などの連携プログラムを組み込んだ、新たな仕組みが導入されます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。日本専門医機構の前副理事長も務めた山下英俊会長(山形大学医学部長)は、「新たなシーリングの仕組みでも、提言にある課題は解消されていない。今後、全国医学部長病院長会議の提言も踏まえた仕組みとすべき」と指摘するとともに、「当初は『シーリングの効果』を数年間(少なくとも3年間)検証し、そのうえで必要な見直しを行う方針であった。しかし毎年度、制度をいじってしまっており、本来の趣旨から逸脱してしまっていないか懸念している」ともコメントしています。

日本専門医機構に対しては、病院団体からも提言が行われており、今後、これらをどう受け止めるのか注目が集まります(関連記事はこちら)。



https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20190607000084
存続危機の診療所に医師3人勤務希望 京都・南丹  
【 2019年06月07日 13時13分 】 京都新聞

 医師の後継者不足で存続が危ぶまれている京都府南丹市美山町の美山診療所について、西村良平市長は6日、運営法人の美山健康会に対して3人の医師から勤務希望があったことを、市議会一般質問で明らかにした。

 西村市長は3月定例会で、診療所でただ一人の常勤医が美山健康会の理事長を兼務している現状を踏まえ、後を継ぐ医師の負担軽減を視野に市直営による運営も検討する方針を示していた。

 美山健康会によると、3月以降、東京都、兵庫県、京都市で働く30代、40代、60代の医師3人から、勤務希望があった、という。

 一般質問で西村市長は「面談した医師は地域の医療に真摯(しんし)に向き合いたいと思っておられた。ただ、医師によって通勤や周辺病院との役割分担に温度差がある。健康会と意見を擦り合わせた上で一定の流れを整理したい」と答弁した。

 さらに、有識者や医療関係者らでつくる市医療対策審議会を7月上旬から開始し、美山町の医療体制を継続する方向性を議論する方針を示した。

 西村市長は「美山健康会がつないでいる3人を市が将来、設置したところに移行していただく。診療所に籍を置くのか、高度な情報が手に入れやすい近隣の病院から派遣する形を取るのか、医師の希望がある。ともかく美山に関心を持っている医師を逃がさないようにしたい」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/677393
シリーズ  医師の働き方改革とキャリア
働き方、地域医療構想、医師需給は「三位一体」- 迫井正深・厚労省審議官に聞く◆Vol.4
勤務医が自分自身の問題として捉えるのが原点
 
インタビュー 2019年6月5日 (水)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)、水谷悠(m3.com編集部)

――「医師の働き方改革に関する検討会」では、2018年2月に「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」をまとめ、その実施状況調査を実施しました。今後も、働き方改革の進捗状況を把握するために、こうした調査を実施していく予定ですか。

 労働時間の管理や「36協定の締結」など、「緊急的な取組」でお願いしたことは、やっていて当然のことばかりです。その上で、それぞれの地域で必要な医療提供体制を考えながら、時間外労働の短縮に向け、PDCAサイクルを回していく。毎年かどうかは別として、その実施状況等の実態の把握は必要だと思います。


「医師の働き方改革は、将来の医療需要を見据えた医療提供体制とマンパワーの配置に体制を転換するための非常に強いドライビングフォースになる」
――「やっていて当然」とのことですが、調査結果が最初に出た時、どう受け止められましたか(『「緊急的な働き方改革」、実施は大学30.3%、大学以外26.8%』を参照)。実施率は高くはありません。

 皆さんも、「低い」と思われたのではないですか。私たちは、危機感を持ち、「意識改革こそがスタート地点」だと受け止めました。

――時間外労働がゼロとは想定しにくいですが、「36協定を結んでいないから、見直しの必要はない」との回答もありました。

 それはちょっと考え難い、ちゃんと向き合ってください、ということです。

――36協定は、管理者が労働者の過半数で組織されている労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者と締結する必要がありますが、労組に入っている医師は多くはないと思います。

 管理者との交渉の場に、医師も参画するのが望ましいとは思います。ただ、それ以前に、まず全ての勤務医に、自分自身の問題として考えていただきたい。医療界だけでなく、社会全体で働き方改革を進めようとしており、人ごとではないのです。最終的に、労働契約を結ぶのはご自身なのだから、どんな労働契約になっているのかをチェックしてくださいということです。

――先日の日本外科学会をはじめ、各学会で医師の働き方改革のシンポジウムが企画されるようになっています。

 外科学会は、働き方改革の影響を強く受ける学会の一つであり、それ故に危機感が強いのだと思います。しかし、長い目で見ると、働き方改革を進めることが外科医不足の解消にも大きく貢献するとの思いから、私は学会で講演させていただきました(『「外科医こそ率先して働き方改革を」、迫井厚労省審議官』を参照)。外科については、タスクシフティングをはじめ、具体策を比較的実行しやすい診療科だと思います。

――その他、今後の検討課題として「兼業、副業」、研究医の取り扱いの問題があります。

 研究職の扱いは、医学部だけの問題ではありません。研究内容は違いますが、他学部でも働き方改革については同様の課題を抱えておられるのですから、まずはアカデミアの中で、しっかりと考えていただきたい。

 「兼業、副業」が主に問題になるのは、大学病院の勤務医。兼業は賃金のため、という捉え方もされますが、私自身の認識はやや違います。大学病院などで開発あるいは有効性が認識された最先端の技術、新しい医療を、地域に広めていく、均てん化するプロセスでもあるわけです。さらには大学病院の医師が、日常生活に近い実地診療に触れることで医療の実相を理解することにもつながります。つまり、「兼業、副業」によりマンパワーを共有し、地域で必要な医療を、地域全体で支えることにつながっているという“意義”も理解すべきだと思います。この仕組みを壊さないような運用の仕組みを考えていくことが必要です。

――つまり、地域医療構想、医師の需給、そして医師の働き方改革は、「三位一体」であり、相互に関連してくるテーマ。昨日(4月24日)の医療部会でも議論になりました(『2040年の医療提供体制構築に向け「三位一体」改革推進』を参照)。

 その通りです。地域医療構想と医師需給の問題、そして医師の働き方改革を整合的に取り組まなければいけないと捉えているので、「三位一体」という表現を使っています。

 医療提供とマンパワーの在り方を最適にしていく取り組みがあり、それをどう動かすのかという話なのです。従来は、診療報酬や補助金がドライビングフォースとなり、支援をしてきました。医師の働き方改革は、将来の医療需要を見据えた適切な医療提供体制とマンパワーの配置に向かって、体制を転換するための非常に強いドライビングフォースになるのです。

――第一義的には、各医療機関レベルの働き方改革ですが、兼業・副業も含めて、地域全体で考えていかなければいけない問題になると思います。この辺りは、どこの場で議論していくことが想定されますか。

 出発点は、個々の医師、そして個々の病院ですが、次に地域で考えて行くという順になるでしょう。

 まずは個々の病院の課題を洗い出し、自院でできることを、しっかり検討して実施していただく。その上で、「自分の病院は、今のこの診療体制では働き方改革への対応は無理」となった時、地域でまとめた地域医療構想を一つの対応の方向として、重点化や集約化も視野に取り組むのが自然だと思います。

 このような個々の病院を超えた調整を進めるのは、やはり地域医療構想調整会議になるでしょうが、構想区域を越えた対応が必要になる場合も少なくないと思います。また、病院の診療体制の見直しは医師確保とセットで進めざるを得ない。そのような場合には、やはり都道府県に間に入っていただきたい。関係する病院にも入っていただき、お互いに各病院の状況を見ながら、皆で方向性を見いだし、地域での改革に取り組んでいただくことになります。

――医師の時間外労働規制は2024年度から。地域医療構想が目指すのは2025年。都道府県単位の医師偏在が解消するのが2036年であり、「B」(地域医療確保暫定特例水準)も2035年度末で終了です。

 その間に、6年に一度の医療計画の見直し、3年に一度の中間見直しがあります。これらをマイルストーンとしてやっていくことが必要です。



https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190605474040.html
県央基幹病院「計画の見直しを」
有識者会議、周辺の病院集中を問題視
 
【社会】 2019/06/05 11:00 新潟日報

 新潟県財政の危機的な状況を受け、県が設置した行財政改革有識者会議は4日、新潟市中央区で2回目の会合を開いた。新潟県が三条市で2023年度の開院を目指す県央基幹病院について、周辺に既存の県立病院が多くあることなどから計画を見直すべきだとの意見が大勢を占めた。県は19年度中に病院建築工事の発注手続きを終える予定だが、有識者会議での意見を踏まえ、計画が見直される可能性が出てきた。

 県央基幹病院は燕労災病院と三条総合病院を統合再編する計画。450床を備え、県央地域にない救命救急センターを併設する。

 有識者会議は冒頭以外、非公開。終了後に記者会見した座長の小西砂千夫・関西学院大大学院教授によると、県央基幹病院計画について「相当問題がある」との認識を共有した。20年度に着工を予定するなどスケジュールが迫っていることから「即刻対応すべき」「何か手を打たないといけない」と計画の見直しを求める意見が相次いだという。

 見直しが必要な理由として、県央医療圏(三条、燕、加茂、田上、弥彦の5市町村)には、県立の加茂、吉田、公設民営の燕労災、民間の済生会三条、三条総合など病院数が多いこと=地図参照=や、統合する燕労災と三条総合の職員が全員転籍しても医師や看護職員が不足することなどを挙げた。

 ただ、併設される救命救急センターについて小西氏は「(県央の)現状では救急医療に対応できていない。救急機能を持った基幹病院を決して否定するものではない」とも強調。計画全体を具体的にどう見直すべきかについては有識者会議で踏み込んだ議論はなかったという。

 県によると、県央基幹病院は実施設計を終え、建築工事に向けた発注手続きの準備を進めている。会見に同席した県福祉保健部の福岡肇副部長は「県での議論も踏まえ、必要な対応を考えていく」と述べた。
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県の財政に「二つの洪水来る」

 県行財政改革有識者会議の小西砂千夫座長は、4日に開かれた会合後の記者会見で、県財政について近い将来に借金の返済増加と病院経営の悪化という「二つの洪水が来る」と強い危機感を示し、早急な対応を求めた。

 小西座長は国の地方財政などに関する審議会の委員を歴任し、自治体財政の第一人者として知られている。

 小西氏は4日の会見で、県の公債費負担が増大して予算編成が難しくなることと、県立病院事業の赤字が膨らみ、各病院を強制的に再編しなければならなくなる事態をそれぞれ「洪水」と表現。「もうすぐ二つの洪水がやって来るようなもの。相当危機的だ」と指摘した。

 県財政の歳入規模に対する借金(県債)残高の割合は2017年度決算で全国最悪。借金返済に充てる公債費のうち、自己負担分は年々増大し、22年度には県債発行に国の許可が必要な「起債許可団体」に転落する可能性が高い。

 さらに、県が毎年100億円以上を繰り出して支えている県立病院事業も、人件費増と患者数の減少により経営状況が悪化。20年度末にも、運転資金に当たる「内部留保資金」が不足する恐れが出ている。

 小西氏は県財政を取り巻く現状について「川の上流で洪水が起き、下流に必ず来る。この危機は避けられない」と述べ、県民生活への影響を最小限にとどめるため早急な対策が必要だと強調した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/681196
シリーズ  地域医療構想
地域医療構想、「国が重点的に支援する区域」設定し推進
厚労省、医療政策研究会/地域医療構想アドバーザー会議開催
 
レポート 2019年6月7日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月7日、都道府県や関係団体を対象とした2019年度の第1回医療政策研究会/第1回地域医療構想アドバーザー会議を都内で開催。同省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は冒頭のあいさつで、経済財政諮問会議からの「(具体的対応方針の)合意内容が、地域医療構想の実現に沿ったものになっていない」との指摘を紹介し、各医療機関の診療実績データを分析し、「代替可能性がある」または「診療実績が少ない」公立・公的医療機関を特定し、具体的対応方針の再提出、調整を求める方針を改めて説明した。

 同省医政局地域医療計画課課長補佐の松本晴樹氏は、地域医療構想について「公立・公的医療機関における具体的対応方針を今後明確化していくことが大きなミッション」と述べ、診療実績データを分析は019年の年央までに完了、その結果は、「代替可能性がある」等の公立・公的病院等の名称も含めて公表するほか、「国が重点的に支援する区域」を設定、都道府県と連携し、データ分析や再編統合の方向性等について直接助言する方針も明らかにした。

 地域医療構想において、公立病院は「新公立病院改革ガイドライン」を、公的病院等は「公的医療機関等2025プラン」をそれぞれ作成、公立・公的病院等は地域の民間医療機関では担えない分野に重点化することが求められる。作成したガイドライン・プランに基づく具体的対応方針を、2018年度までに地域医療構想調整会議で議論し、合意を得ることになっていたが、全体で見れば現状維持となっており、厚労省の地域医療構想に関するワーキンググループで問題視された(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。鈴木課長は、さらに5月31日の経済財政諮問会議でも問題視されたことを紹介(『麻生財相「地域医療構想は不十分」、経済財諮問会議』を参照)。

 診療実績データを分析し、具体的対応方針を検証する方法は、地域医療構想に関するワーキンググループで議論されている。「国が重点的に支援する区域」を設定、支援する方針は、5月23日の社会保障ワーキング・グループで厚労省が提案した。対象となる区域には、調整が難航する区域も含まれると想定される。地域医療構想は、基本的には都道府県あるいは構想区域(2次医療圏が基本)単位で進めるものだが、国が支援に乗り出すことで、公立・公的医療機関等の再編等を後押しする構えだ。

 経済財政諮問会議は「骨太の方針2017」、「骨太の方針2018」で、地域医療構想に言及。年々、公立・公的医療機関等に厳しいスタンスになっており、6月中に閣議決定予定の「骨太の方針2019」でも、民間医療機関で担えない機能に重点化するよう求める見通し。

 「三位一体」でも、各改革のスケジュールは当初通り

 鈴木課長は、会議冒頭のあいさつで、「地域医療構想、医師偏在対策、医師の働き方改革はそれぞれが密着に関連し、一体のものとして取り組む必要がある」とも説明した。

 松本課長補佐は、その趣旨について、「地域医療構想という先に進んでいる改革がある。これを徹底的に進めていく中で、医師の働き方改革や医師偏在対策も進めていただきたいということ」と述べ、3つの改革を三位一体で進めることは、それぞれを横目で見ながら改革を進めていく必要があると説明した。地域医療構想は既に具体的に進んでいる一方、医師の働き方改革は始まったばかりで、時間外労働の上限規制の適用は2024年度から。医師偏在対策も、「医師確保計画」策定が2019年度から都道府県でスタート、2020年度からの実施となる。松本課長補佐は、地域医療構想が、他の二つの改革を待つ、あるいは進捗を遅くするといった意図はないと強調、「各改革は、それぞれのスケジュールで着々とやっていただきたい」と求めた。

 会議では、医師の働き方改革についても説明。出席者から、医師少数区域で、しかも医師が少ない医療機関が少数で救急医療を担っている場合、「年960時間」の時間外労働の上限規制が適用されると、救急医療が崩壊するとの懸念も呈せられた。

 厚労省医政局地域医療計画課は、それ故に「地域医療確保暫定特例水準」(時間外労働の上限が年1860時間)を設定したと説明。また医師確保計画と並行して、働き方改革を進めていくことが必要だとした。同時に、地域に救急医療機関が複数あり、それぞれが働き方改革が難しい場合、救急医療体制そのものも再考が必要になるとした。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680987
「医師少数区域等を支援する機能」、全地域医療支援病院に必要か
厚労省が承認要件追加を提案も、反対意見が相次ぐ
 
レポート 2019年6月6日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は6月6日の「第17回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)に、「医師少数区域等を支援する機能」を全ての地域医療支援病院の承認要件として追加することを提案したが、反対意見が相次いだほか、これまでの会議と同様に地域医療支援病院そのものの存在意義を問う声が上がった。一方、地域の実情に応じて承認要件の追加を可能とすることには支持が得られた。

 「医師少数区域等を支援する機能」とは、(1)医師少数区域等における巡回診療、(2)医師少数区域等の医療機関への医師派遣機能、(3)総合診療の部門を持ち、プライマリ・ケアの研修・指導機能を持つ――のいずれかを満たす機能。

 厚労省は、第17回会議で特定機能病院の承認要件の見直し案も提案したが、やはり異論が出て、地域医療支援病院の見直しとともに、次回会議で引き続き議論する(特定機能病院の議論は『特定機能病院の承認要件見直し、厚労省案でまとまらず』を参照。資料は、厚労省のホームページ)。

 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、「全ての地域医療支援病院について、医師少数区域等を支援する機能を承認要件化するのはおかしい」と問題視。地域医療支援病院以外の病院が医師派遣機能を担っている地域において、あえて新たに地域医療支援病院に医師派遣機能を持たせる必要があるのか、と疑問を呈した。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、全ての地域医療支援病院の承認要件とする以前に、「公立・公的病院に派遣機能を持たせる方が先ではないか」と指摘。

 日本病院会会長で、地域医療支援病院である相澤病院を経営する相澤孝夫氏は、既に2次医療圏内で医師派遣を行っており、医師の働き方改革も進む中で、「他の2次医療圏に医師を派遣する余裕はない」と訴えた。さらに、そもそも地域医療支援病院が支援する「地域」は2次医療圏であるにもかかわらず、他の「医師少数区域」(2次医療圏単位)を支援することは、「地域」の概念に「ずれ」があるのではないか、と指摘した。

 中川氏は、「やはり地域医療支援病院は一定の役割を終えたのではないか」と、持論を展開。島崎氏も、地域医療支援病院の4つの機能(紹介患者に対する医療の提供、医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修の実施)をセットで持つ必要はなく、「個別に判断していくことが必要」と根本的な議論を求めた。

 厚労省医政局総務課長の北波孝氏は、この日の資料である「議論の整理(たたき台)」の中で、「今後の検討課題」として、「地域医療支援病院が、地域医療構想や、地域の医療提供体制の中で、真に必要な役割を果たしているかどうか、今後も検証が必要である」と記載していると説明。今回は、4つの機能は変更せず、「ファインチューニングさせていただければ」と述べ、理解を求めた。

 承認要件の見直し、医師偏在対策と関係

 地域医療支援病院の要件見直しは、医師偏在対策と関係する。2018年の医師法・医療法改正により、「医師少数区域等で勤務した医師」を厚生労働大臣が認定し、この認定を受けた医師であることを一定の病院の管理者の要件とすることとされた(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』などを参照)。

 この管理者要件の追加対象となる病院は、地域医療支援病院のうち「医師派遣・環境整備機能を有する病院」だが、厚労省提案のように「医師少数区域等を支援する機能」を全ての地域医療支援病院の承認要件とした場合、対象となる病院は全地域医療支援病院となる。

 厚労省提案に対し、真っ先に異論を唱えたのが、島崎氏。地域医療支援病院以外の病院が医師派遣機能を担っている地域において、あえて新たに地域医療支援病院に医師派遣機能を持たせる必要があるのか、と疑問を呈した。また福岡県を例に挙げ、10を超す地域医療支援病院を持つ2次医療圏が2つもあることから、「それぞれに医師派遣機能が必要と考えられるか」とも提起。厚労省がこうした地域を検証したのかを尋ねた。

 厚労省医政局総務課は、医師派遣機能を担っていない地域医療支援病院の理由については、検証していないと回答。また福岡県のような地域では、2次医療圏の中でも医師が少ない地域、あるいは隣接する2次医療圏や他県などへの医師派遣が想定されるとした。また医師派遣機能に限るわけではなく、前述の(1)から(3)のいずれか一つの機能を満たすことを求めていると説明。

 しかし、島崎氏は厚労省の回答に納得せず、「本格的な医師派遣機能を分散するのは、むしろマイナス」などとも指摘。医師派遣機能を持たせることが必要かどうかは、各地域で決めるべきだとした。

 まず公立・公的病院に医師派遣機能を

 中川氏は、地域医療支援病院の中には、公立・公的病院と、民間病院があるにもかかわらず、一括りにしていることを問題視した。「民間、特に社会医療法人でもない民間病院にとって、地域医療支援病院は要件が厳しい割に、税制の優遇措置がないなど、恩恵が少ない。医師派遣機能を全ての地域医療支援病院に持たせるのは、筋が悪く、“民間医療機関いじめ”ではないか。それよりも、(地域医療支援病院ではない病院も含め)公立・公的病院に医師派遣機能を持たせる方が先ではないか」と提言した。

 北波課長は、「地域医療支援病院の機能として、困っているところの地域を支援するという考え方は、あり得るべきもの。ただし、全ての地域医療支援病院の要件化することに、疑義が呈せられているのだろう。他で果たしている時に、重複させて機能を持たせることを本当にするのか、またどこに優先順位を付けてこの医師派遣機能を果たしてもらうのか。我々は全ての地域医療支援病院に果たしてもらいたいと考えるが、地域の実情に応じて要件を加えるという考え方と組み合わせることもあり得るだろう」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680721
2020年度改定「医師偏在是正」要望へ、「地域医療を守る病院協議会」
公精協が新規加入、総合診療専門医の増加に向けた議論も
 
レポート 2019年6月5日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 6つの医療関係団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は6月5日の会議で、2020年度診療報酬改定に向けて協議、7月上旬をめどに厚生労働省に提出する方針を確認した。各団体から医師偏在是正に関連するものなど24項目の要望が挙がったという。事務局を務める全国国民健康保険診療施設協議会(国診協)会長の押淵徹氏が会議後の会見で説明した。

 5日の会議では総合診療専門医についても議論。臓器別専門医に比べ、総合診療専門医を目指す専攻医が少ない現状が問題視された。日本慢性期医療協会(日慢協)会長の武久洋三氏は、「今後、対象とする患者の層と、医療側が目指す方向が食い違ってくる可能性があるのではないか」と述べ、今がそのギャップを是正するターニングポイントであると指摘した。専攻医の約半数は総合診療専門医を目指すべきだと考えているという。

 日本公的病院精神科協会(公精協)の新規加入も認め、「地域医療を守る病院協議会」の構成団体は、公精協のほか、国診協、日慢協、全国自治体病院協議会(全自病)、地域包括ケア病棟協会、全国厚生農業協同組合連合会(JA厚生連)の6団体となった。地域医療機能推進機構(JCHO)がオブザーバーとなる。

 「特定行為研修修了の看護師」、評価は時期尚早

 押淵氏は、「改定に向けた要望の根幹にあるのは、地域における医師偏在が大きな課題であるということ」と述べ、その解決につながる改定を要望していくとした。例として、常勤職員の配置が要件になっている点数の見直し、タスク・シェアリングやタスク・シフティングを推進するための支援などを挙げた。「看護師が特定行為研修を受けるためには、現場を離れることになる。しかし、現実には十分な人員を配置していないので、研修中には診療体制が維持できない。それを何とかできないかという協議をした」(押淵氏)。

 特定行為の研修を修了した看護師は、約1200人(2018年9月末現在)。その診療報酬上の評価について、全自病会長の小熊豊氏は、「まだ人数が少ないため、時期尚早ではないか」と述べ、医療の中でどう位置付けるかを議論した後に評価すべきだとコメント。武久氏も、評価しても現時点で算定できるのは一部の医療機関に限られると指摘した。

 総合診療専門医、「大学医局」が障壁か

 武久氏は、総合診療専門医のニーズが高まっている理由として、患者の高齢化に伴い、複数の疾患を合併しているケースが増えていることなどを挙げた。「一番多く必要とされるサービスをサプライ(供給)するのが常識。しかし、(専攻医数の分布は)全く反対の方向に動いている」と武久氏は指摘。日本よりも人口の高齢化率が低いイギリスでも、約半数がGeneral practitioner(GP)になっている。武久氏はこうした現状を挙げ、専攻医の約半数は総合診療専門医を目指すべきだとした。現状で目指す専攻医が少ないのは、大学医局に所属し、キャリアを積む医師がいまだ多い中、総合診療の講座を持つ大学が少ないからだと見る。

 地域包括ケア病棟会長の仲井培雄氏も、「地域包括ケア病棟は、総合診療専門医のベースキャンプ」と称する医師がいることを紹介。特に地方では、人口が減少していく中で、総合診療専門医のニーズは今後も高まっていくとした。

 新専門医制度の関係では、シーリング(専攻医の募集定員の上限)についての質問に、押淵氏は、国診協の医療機関は地方に多いことを踏まえ、「地方の診療の現場で専攻医を育成する準備できている。むしろ歓迎したいという思いだ」と回答。小熊氏も、「シーリングをかけようというのは、偏在是正の試みだろう。大都市圏などに専攻医が集中しており、地域では悲鳴が挙がっている。地域に必要な医療需要に沿って、ドクターを配置すべきだ。それに向けてようやく動き始めていると受け止めている。地方に配置されるドクターが納得できる形態が取れ、実効性が担保されればいい」と述べた。

 なお、小熊氏は、公精協の新規加入を認めた理由について、「日本精神科病院協会は、私立病院の団体。特に精神科救急、急性期の精神科医療は、公的・公立病院が中心となっているにもかかわらず、これらの病院が正しく評価されていないという思いから、公精協が発足した」と述べた上で、地域医療を守るという意味で、「地域医療を守る病院協議会」の理念と一致していたことを挙げた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/680578
日医会長「まずは都道府県内の医師偏在是正を」
専門医で都道府県内での連携プログラムなど求める
 
レポート 2019年6月5日 (水)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会会長の横倉義武氏は6月4日の定例記者会見で、日本専門医機構が2020年度の専門医研修から導入する連携プログラムについて、「専門医研修によって医師の地域偏在・診療科偏在が助長されないよう対応することはもちろん必要だが、まず是正されるべきは都道府県内の偏在であると考える」と述べ、同一都道府県内の連携プログラムや、従来通り近隣都道府県の連携施設とのローテートによる医師派遣も可能にするなど、柔軟性弾力性を持った対応が必要との認識を示した。今後、同機構や厚生労働省に働きかけていく(『2020年度専攻医シーリング、日本専門医機構理事会で了承』などを参照)。

 横倉氏は、厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会で公表された医師偏在指標について、「数字が地域の実態、実感と乖離しているとの指摘、懸念が各地域から示されている」と指摘。医師偏在指標は一定の仮定を置いた上で機械的に試算した相対的な指標で、これに地域の実情をいかに反映させ、実効性のある医師確保対策につなげていくかが「各都道府県の地域医療対策協議会に求められている重要な役割だ。地域の実情に応じた具体的な方策が、地域からのボトムアップで国の政策が実行されることが望まれている」と強調した。

 その上で、「トップダウン方式から地域からのボトムアップ政策による転換が今まさに求められており、そこにこそ真のオートノミーが求められている」と説明。新たなシーリングに関して日本専門医機構の提案で一定の緩和策が採られたものの、連携プログラムの設定の可否によって影響が異なることや、従来の連携施設ではなく他の都道府県の医療機関と連携プログラムを結ぶためには時間的にも余裕がないのが実情だとして、「柔軟性弾力性を持った対応が必要であろうと思う。各都道府県の地対協では地域の実情を踏まえた十分な議論が行われることを改めて期待する」と述べた。

 5月には日本専門医機構の在り方に関して病院団体から要望が出されていることに関しては、病院団体からも同機構の理事や監事を出していることから、「そういう中で議論をしながら病院団体もある程度理解を進めてもらう機構にしたい」と述べて慎重な姿勢を示した(『専攻医シーリング「現場に即した制度とは言い難い」、AJMC』、『日病、新専門医制度で機構などに要望提出』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679207
シリーズ  真価問われる専門医改革
内科専攻医の経験症例、「J-OSLER」で“見える化”
最多は長野県、最小と10倍差、上位プログラムも公表
 
レポート 2019年6月3日 (月)配信聞き手・・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 日本内科学会はこの4月、専攻医登録評価システム「J-OSLER」の2018年度の登録実績概況を公表、内科専門医制度の専攻医一人当たりの経験症例数(承認済み症例数)の都道府県別の平均は、長野県が最多で87.00症例、一方で最低の高知県は8.44症例であるなど、都道府県による差が大きいことが明らかになった(図1)。

 内科専門研修プログラム別で見ると、承認済み症例数(専攻医1人当たり)は、全国トップは福井県済生会病院で125.00症例、国立病院機構栃木医療センター118.50症例、名古屋掖済会病院102.00症例などと続く。内科専門研修プログラムは計542で、うち上位50位の実績を公表した(図2)。さらに北海道、東北など、支部別の上位3位、または5位のプログラムも公表した(詳細は、日本内科学会のホームページに掲載)。

 「J-OSLER」は、2018年度の新専門医制度の開始に伴い、研修の進捗状況を把握することなどを目的に、運用を始めたシステム(図3)。専攻医が症例を登録後、指導医がその内容を確認し、承認する仕組み(初期臨床研修で経験した内科症例についても、日本内科学会指導医が指導し、専門研修に匹敵する研修がなされたと考えられる症例は登録可能)。病歴要約の登録、専攻医、指導医、研修プログラムの評価機能なども兼ね備える(詳細は、日本内科学会のホームページを参照)。2018年度に登録された症例数は10万7426症例、うち2018年度開始の内科専門研修分は7万2227症例に上った(図4)。

 内科専門医制度では、主病名で56疾患群以上・160症例以上の経験を修了要件としている。研修3年目からその評価に入ることから、1年目は平均60症例程度を想定していた。日本内科学会の専門医制度審議会会長を務める横山彰仁氏は、「理想的にはもっと進んでほしかったところ」と述べ、「J-OSLER」の使用1年目ということもあり、専攻医と指導医、双方の慣れの問題も症例数が伸び悩んだ一因と見る(横山氏へのインタビューは別途掲載)。

 「都市部偏在、大病院への偏在」当たらず

 2018年度の新専門医制度の開始に当たっては、内科に限らず、専攻医の都市部偏在、大病院への偏在が懸念されていた。研修プログラム別の「J-OSLER」の登録実績概況を見ると、内科では、これらの懸念は必ずしも当たらないことが分かる。「教育県と言われる地域、あるいは研修病院や専攻医が多く、お互いが切磋琢磨している地域で登録症例数が多い印象だ」と横山氏は語り、こう付け加えた。「専攻医一人当たりの症例数が多い中小病院もある。こうした中小病院では、指導医と専攻医の距離も近く、満足度が高い研修を受けられるのではないか」。

 専攻医の研修先施設の規模を見ると、内科専門医制度では「200床未満」をはじめ、中小規模の病院での研修が増加(図5)。2次医療圏別でも、専攻医2年目(2019年4月時点)の研修先分布は、344のうち283の2次医療圏に及び、旧制度(2015年卒業者が後期1年目を終えた、2018年4月時点)の194の2次医療圏と比較して地域分布は広がっている(図6)。

 「J-OSLER」では、「専攻医によるプログラム評価」も年1回実施する。その結果、「全体評価」「技術技能手技経験」「メディカルスタッフ協力」など、市中病院(500床未満)の方が、大学病院や市中病院(500床以上)よりも高い項目が大半を占めた(図7)。




http://news.livedoor.com/article/detail/16589433/
市民病院で救急医が一斉退職へ 診療体制の維持に危機  
2019年6月8日 21時4分 朝日新聞デジタル

 大津市の地方独立行政法人・市立大津市民病院で、救急医療に携わる医師の大半が一斉に退職することが、滋賀県幹部らへの取材でわかった。

 院内の救急以外の医師で対応する一方、近接する複数の病院に応援を打診している。しかし医師不足を解消し、診療体制を維持できるかは不透明な状況だ。

 市民病院は、救急外来「ERおおつ」が24時間態勢で、休まずに救急患者を受け入れている。集中治療室(ICU)に8床あり、屋上のヘリポートではドクターヘリが離着陸できる。

 市消防局によると、昨年1年間に救急搬送した約1万6千人のうち、24・7%にあたる4044人は市民病院が受け入れたという。


https://www.m3.com/news/iryoishin/677638
シリーズ 佐々江龍一郎の「英国GP、日本に戻る」
英国GPが感じる「患者中心の医療」が必要な理由
「家庭医にとって主訴が医療的問題かどうかは重要ではない」
 
オピニオン 2019年6月8日 (土)配信佐々江龍一郎(NTT東日本関東病院総合診療科・国際診療部総合診療医)
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「あなたが一番困っていることは何ですか?」
 私はMr.Pという69歳の慢性気管支炎の患者を、かかりつけ医として長年フォローしていた。これまでの説得の甲斐もあり喫煙も辞め、症状は安定していると思っていた。しかし、ある日の朝にいつも通り地域の総合病院から送られてくる紹介状・逆紹介状に目を通していたところ、Mr Pが息切れを訴え、頻回に総合病院の救急外来を受診していることが分かった。

 英国は国民の税収により国営保険サービス(National Healthcare Service; NHS)を運営しており、国民の治療費は原則として無料である。しかし、限りのある公共予算を守り、不必要や過剰な医療が行われないように監視・調整し、費用対効果の高い治療を考えるのも私たち家庭医の仕事だ。このため、総合病院の救急外来の受診頻度をモニターし、家庭医で対応できるような内容であれば家庭医が積極的に介入することになる。私もMr Pに連絡を取り、彼の都合の良い時に受診いただくことにした。

 来院した彼に「ご来院ありがとうございます、今日のご気分はいかがですか」と聞いてみると、「あまり良くありません」と床を見ながら一言口にした。あまり浮かない表情をしていた。病院の救急外来の受診については触れずに、まずは彼の話を聞くことにした。普段より少し長い間を置いて、お穏やかな口調で「どんな風に、良くないのでしょうか?」と聞いてみる。すると彼は、「とにかく辛くて……泣くことをやめられないんです」とすすり泣き始めた。

 「それはお辛いですね。今あなたが一番困っていることは何ですか?」

 そう尋ねると彼は心の中に閉まっておいた気持ちを吐き出すかのように、50年以上連れ添った妻が最近肺癌で他界し、毎日がつらく、人生に意味を見出せていないと語った。孤独、失望、不安に苛まれ、外出することもなく、生活も不規則になり、定期薬の服用も守れていないようだった。

 英国も高齢化社会を迎え、老年医療、終末期医療だけでなく、高齢者の孤独とそれに関連したメンタルヘルスの問題など、さまざまな課題が出てきている。これらに対して家庭医は、自治体やチャリティー(慈善団体)、市民グループと連携しながら、個々の患者に合った方策を練ることになる。患者それぞれの置かれている環境に介入することにより、患者の“well-being(健全な、幸せな生活状況)”を改善し、自己の健康に責任を持たせることを「社会的処方」と呼ぶ。

 私はその地域を担当している「社会処方ナビゲーター」に連絡を取り、翌日に面談を調整した。「社会処方ナビゲーター」は、地域単位のチャリティー団体や非営利団体の活動などを統括し、紹介や調整をする役割を担っている。

 Mr.Pは歴史好きとのことだったので、地域の歴史愛好会を紹介し、外出のきっかけを作ることになった。また、不安や悲しみに対して、カウンセリングサービス(話し合い療法サービス)に直接電話するように私が提案した。近年英国ではメンタルヘルス問題に対して積極的に介入するために、地域がカウンセリングサービスなどのケアを無料で提供し、家庭医の紹介がなくともアクセスが可能となっているのだ。

 慢性気管支炎に対してはサポートグループ(それぞれの疾患についての教育や支援することによりセルフケアを推進する患者グループ)を紹介し、かかりつけ薬局とも連携し、服薬コンプライアンスを監視してもらうことになった。1カ月後にMr.Pに連絡を取ってみると、幸いにも歴史愛好会では友人ができ、慢性気管支炎についての理解も深まり、定期服薬の自信もついたようだった。そして、その後の病院救急の頻回受診もなくなった。

患者中心の医療の必要性はどこにあるのか
 英国では、学生から家庭医専門研修まで一貫して「患者中心の医療」を教育される。患者中心のアプローチを通じて、医療者が患者の要望や期待、選択を尊重し、ニーズに即したケアを提供することにより、患者自身にも健康の責任と選択を与えることが重視されているのである。

 特にプライマリーケアを担う家庭医の専門研修では、医療面接における、「あなたに何が起こったのか」(”what’s the matter with you”)だけではなく、「あなたにとって何が重要なのか」(“what matters to you”)にも目を向けることの大切さが強調されているのが印象的である。家庭医にとっては、主訴が医療的問題かそうでないかというのは、大して重要ではないのだ。

 患者のさまざまな訴えを聞き出し、それぞれのニーズを理解するには医療面接が肝要である。故に、家庭医の専門研修では患者中心の医療コミュニケーションを実践すべく、標準化された医療面接を学ぶ。3年間の専門研修のうち、前半の病院での研修を終えた後、後半の診療所での研修では主に指導医から1対1で実際の診察について教わる。

 筆者も専門研修医時代は、実際に自分が行った医療面接を毎週ビデオに撮り、指導医との振り返りを繰り返し行っていた。患者との目線、言葉使いからテーブルの配置までこと細かく指導され、患者の精神、社会的問題を抽出し、不安や期待について理解を示すことを実践的に学んだ。このように医療面接が標準化されているのは、患者中心の医療によって患者の満足度が上がるだけではなく、慢性疾患のアウトカムや服薬コンプライアンスが改善し、セルフケアも推進されるのがさまざまな研究で示されていることが背景にある。

 つまりこれは、単なる精神論ではなく、サイエンスに基づいた学術的なアプローチなのだ。故に、家庭医の専門医試験は、専門研修2年目から受験可能な筆記試験(コンピュータによる試験、計200問・3時間)と、専門研修3年目から受験可能な臨床技能評価(13場面で、1場面当たり10分間の模擬患者との医療面接)、職場基盤評価(日常診療の評価)から成り、患者対応が重視されている。臨床技能評価に関しては、模擬患者に対する患者中心の医療面接の結果、英国国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインなどで公表されている最新のエビデンスに基づいた費用対効果の高い医療を実践しているかなどが細かく問われる。患者中心の医療を体系的、かつ実践的に学ぶのが英国家庭医療教育の特徴だ。

 日本では諸外国に例のないスピードで高齢化が進行している。高齢者が、自分らしい暮らしを住み慣れた地域で人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを目指す必要がある。その為には地域のかかりつけ医と連携し、患者の様々な社会的問題やメンタルヘルスなどの多様で複雑な問題やニーズにも対応していく医療が求められる。この様な多様な患者のニーズを引き出し、対応するにあたり、患者中心の医療とコミュニケーションは今後重要性が更に増してくる。教育等を通じて若い医師に患者中心の医療を標準化し、地域での社会的処方などの環境や制度を見直し、整える必要があるのではないかと感じている。



  1. 2019/06/09(日) 06:42:15|
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6月2日 

https://www.asahi.com/articles/ASM5K4JYKM5KPLXB00L.html
さぬき市民病院、8月からお産休止 医師不足が背景に 
江湖良二 2019年5月30日12時54分 朝日新聞

 香川県さぬき市民病院(同市寒川町石田東)は8月から、お産の取り扱いを休止することを明らかにした。さぬき、東かがわ両市で唯一、対応してきたが、医師が足りなくなった。8月以降は、約10キロ西にある香川大学医学部付属病院(三木町池戸)が担う。

 市民病院によると、常勤の医師1人が3月に定年退職し、残る1人では対応が難しくなったため。新たな常勤医の採用は、見通しが立っていないという。

 出産予定日が7月15日までの人ならば他院からの紹介や里帰り出産を受け入れるが、翌16日以降の人はしない。妊婦検診などの外来診療は8月以降も受け付ける。2018年度に取り扱った出産は223件。

 県の統計では、18年の県内の出生数は6974人。県の担当者は「不便をかけるが、安心な出産ができる環境づくりを考えたい」。香川大病院によると、18年度の出産取り扱いは706件で、対応は可能という。(江湖良二)



https://www.sankei.com/region/news/190531/rgn1905310021-n1.html
医師不足対策に5400万増 茨城県6月補正案 
2019.5.31 07:03地方茨城 産経新聞

 県は30日、今年度一般会計を5400万円増額する6月補正予算案を発表した。医師不足対策が柱で、補正後の一般会計は1兆1357億6800万円となる。

 県職員として採用した医師に対し、海外を含む自主研修期間中も給与を支払う制度のPR費として330万円を計上した。特定の県内医療機関で3年間勤務する医師を紹介した人に30万円の謝金を払う制度の経費380万円も盛り込んだ。



https://www.medwatch.jp/?p=26604
新専門医制度の新シーリング、2021年度実施までにコンセプト固めたい―日本専門医機構 
2019年5月28日|医療現場から MedWatch

 新専門医の資格取得を目指す専攻医(研修医)について、2020年度の採用分から「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)をベースにし、医師が不足する都道府県との連動研修を加味した、新たなシーリング(採用数上限)が導入される。ただし、「都道府県別・診療科別の必要医師数」(厚生労働省推計)については疑問点もあることから、関係学会等を交えた協議会を新たに設置し、年内(2019年内)に疑問点解消などに努め、2021年度以降のシーリング設定に生かす―。

 日本専門医機構の寺本民生理事長は5月27日の定例記者会見で、このような考えを明らかにしました。
 
厚労省の「都道府県別・診療科別の必要医師数」推計を、専門医機構や学会で検証
 専門医資格は、従前、各学会が独自に養成・認定を行っていました。しかし、「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判を受け、2018年度から、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

もっとも、「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との声が医療現場に根強く、日本専門医機構、学会、都道府県、厚生労働省が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」こととしています。その一環として「東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、福岡県の5都府県では、基本領域ごとの専攻医採用数に上限(シーリング)を設ける」などの対策が図られています。

ただし、現在のシーリングには明確な根拠がないことから、日本専門医機構・厚労省「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」では、来年度(2020年度)から次のような新たなシーリングの仕組みを導入することを決定しました。なお、外科・産婦人科・病理・臨床検査・救急・総合診療では、さまざまな動きを勘案しなければならないためシーリングはかけられません(関連記事はこちら)。

(1)2016年の医師数が「2016年または2024年の必要医師数」(以下、必要医師数)を上回っている都道府県・診療科をシーリング対象とし、2020年度の採用数は「2019年度の採用実績」を上回らないこととする(東京都の内科では2019年度の採用実績と同じ515名とする)

(2)採用数上限のうち、一部(2割程度を上限)を「シーリングのかかっていない都道府県」(内科では東京都・石川県・京都府・大阪府・和歌山県・鳥取県・岡山県・徳島県・高知県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県以外)での勤務期間が50%以上となる連携プログラム(研修医視点からすれば地域研修プログラム)とする(東京都の内科では77名分)

(3)連携プログラムの一部(5%を上限)を「医師不足が顕著な都道府県」(2016年の医師数が必要医師数の80%未満。内科では青森県・岩手県・秋田県・山形県・福島県・茨城県・埼玉県・千葉県・新潟県・福井県・山梨県・長野県・静岡県・宮崎県)での勤務期間が50%以上となる「都道府県限定分」の連携プログラムとする(東京都の内科では12名分)

(図表13点 略)
 
 新たなシーリングは、厚労省の推計した「都道府県別・診療科別の必要医師数」をベースに、激変を避ける仕組みとなっています。ただし、日本専門医機構や学会には厚労省の推計に一部疑問の声も出ているようです。例えば、「離島の多い自治体(長崎県や沖縄県など)に関しては、離島への派遣医師の分を考慮すべきで、この推計では不十分なのではないか」「東京都や福岡県などの精神科領域では、措置入院へ対応する医師が相当数必要になるが、推計に織り込まれているのだろうか」という声が出ているといいます。

こうした疑問を放置することはできないため、寺本理事長は、早急に(早ければ6月にも)▼日本専門医機構▼関係学会(基本領域の学会)▼医師の人口動態(医師数動態)の専門家▼厚労省担当者―などで構成される「協議会」を設置し、そこで、厚労省推計に関する検証を行い、年内(2019年内)に疑問点の解消を目指すことを明らかにしました。この検証結果を踏まえ、さらに今年(2019年)12月発表予定の医師・歯科医師・薬剤師調査結果(2018年末の状況)を勘案して、2021年度にさらなるシーリングの見直しなどが行われる可能性もあります。

なお、寺本理事長は「年内(2019年内)に協議会で疑問点を解消し、シーリングのコンセプトを固めたい。その後はコンセプトを維持したまま、医師配置状況を踏まえた上限数そのものの修正は行われる可能性がある」旨の考えを示しています。例えば、▼X県のA診療科にシーリングが設けられ、そこでの研修ができない → ▼隣県のY県に多くの専攻医が集まる → ▼Y県で医師が多数となることから、翌年度に「Y県のA診療科でシーリングを設定する」―といった修正が考えられます。

また、新たなシーリングが固まっている来年度(2020年度)の専攻医採用スケジュールについて寺本理事長は、▼6月中にも、研修プログラム(連動研修プログラムも含めて)を基本領域学会で作成する▼7月頃にも、各都道府県の地域医療対策協議会(新専門医制度について地域医療への悪影響がないかを検証し、考えを述べることができる会議体)に2020年度研修のデータを提示する▼地域医療対策協議会の考えを踏まえて、必要があれば厚生労働大臣から意見が提示される▼8月下旬から9月上旬にかけて、厚労省「医道審議会・医師分科会・医師専門研修部会」で最終確認を行う▼9月中旬から下旬にかけて、専攻医の登録を開始する―との考えを示しました。ただし、地域によっては「医師不足の我が自治体になぜシーリングがかかるのか」との声が出ることも予想され、遅れる可能性もあります。

 さらに、寺本理事長は、日本専門医機構において専攻医の研修実績を入力・確認するシステムを構築する考えも明らかにしました。専攻医が研修状況を「マイページ」に入力し、研修の統括責任者がこれを承認するというイメージです。これにより、「どの研修医が、●年●月●日から〇年〇月〇日まで、どの県のどの病院で、どのような研修を行った」かが可視化でき、医師偏在対策に向けた迅速な動きが取れることも期待されます。

 この点、内科学会では、すでに同様のシステム「J-OSLER」を稼働させていますが、これと日本専門医機構システムとの連動は将来の課題となり、当面は「両方への入力」が必要となる見込みです。

 なお、日本病院会から日本専門医機構に対して組織見直しなどの要望書が出されています。これに対し寺本理事長は「日本専門医機構に課題のあることも事実で、理解できる部分もある。しかし、機構だけで解決できない問題もあり、日本病院会の相澤孝夫会長には『検討する』と返答するにとどめている」とコメントしています(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/678634
真価問われる専門医改革
2020年度専攻医シーリング、日本専門医機構理事会で了承
専攻医募集「10月にずれ込むことは避けたい」、協議会新設し妥当性検証
 
レポート 2019年5月27日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 日本専門医機構理事長の寺本民生氏は5月27日の定例記者会見で、2020年度研修開始の専攻医の募集に関する地域別・診療科別のシーリング(募集定員の上限)について、5月24日の同機構理事会で了承したことを明らかにした。ただし、理事会や基本領域の学会などから、シーリングについてはさまざまな意見が出ていることから、関係者による協議会を6月頃に設置し、シーリングの妥当性などを検証、2021年度の専攻医募集に備える方針だ。

 2020年度の専攻医募集については、4月中にシーリングを決める予定だった。寺本氏は「ほぼ1カ月遅れ」と述べた。専門研修プログラムの申請、審査を今後、急ぐ。「7月くらいには、(都道府県の)地域医療対策協議会にデータを提出しないと、対応できないだろう」(寺本氏)。地対協での意見は、都道府県知事から厚生労働省に提出される。「8月下旬から9月上旬くらいに、(厚労省の医道審議会医師分科会の)医師専門研修部会が行われることを期待する。9月の中旬、下旬くらいには、登録を開始できる可能性はある。10月にずれ込むことはできるだけ避けたい」と語った。

 寺本氏は、「専攻医研修実績システム」の使用を開始することも発表した。検証テスト等を行うほか、今後、関係学会等の了解を得て、稼働させる予定だが、本格稼働時期は未定。専攻医のフォローアップが目的で、専攻医別の「マイページ」があり、いつどこの医療機関で、どんな研修をしていたかなどを登録、プログラム統括責任者等が承認する仕組みで、登録は義務。登録内容を基に修了認定などを行う。将来的には、専門研修に関するデータベースとしての活用を視野に入れる。ただし、日本内科学会の専攻医実績評価システム「J-OSLER」など、既存の専門研修関連のシステムとは連動していないなど課題は残る。

 診療科偏在は“入り口”で是正
 地域別・診療科別のシーリングは、5月14日の医師専門研修部会で、日本専門医機構案が了承されていた(『2020年度専攻医シーリング、機構案通りに厚労省医道審で了承』を参照)。2016年の医師数と2024年の必要医師数を踏まえ、内科をはじめ、13の基本領域(診療科)で都道府県別に設定するのが骨子。外科など6診療科は対象外。

 2019年度については、東京都だけ2018年度のシーリングから5%減となった。寺本氏はその影響を見極めないことには、次のステップに進めないとしていた。今回新たなシーリングを導入した理由について、次のステップとして、厚労省が医師偏在指標などのデータを提出したことを挙げた(『2036年度に47都道府県で「必要医師数」確保へ』などを参照)。

 寺本氏は、「一番はっきりしているのは、診療科偏在があるということ」と語った。「地域偏在については、シーリング設定という形である程度、貢献ができても、日本専門医機構として医師が不足している地域に、医師に行ってもらうわけにはいかない。しかし、診療科偏在については、“入り口”の段階のことであり、(機構として)貢献すべきだと考えている」(寺本氏)。医師の働き方改革、外科や産婦人科など、医師の充足率が低い診療科がある現状を踏まえ、今回のシーリングを決めたという。

 シーリングの特徴の一つは、医師不足の都道府県および診療科に配慮し、これらの都道府県・診療科での研修を組み込んだ「連携(地域研修)プログラム」を導入したこと。寺本氏は、「連携プログラムを入れれば、(今回のシーリングは)それほど激変ではないと思う。医師を育てる時に、都会のある一定の病院だけで研修するのは、いかがなものかという思いがある。地域医療もしっかり見ていただくことで、それなりに力が付く」と述べ、連携プログラムには、教育的な意味合いもあると説明した。

 シーリングに関する協議会、学会などで構成
 今回のシーリングについては、各学会あるいは地域からさまざまな意見が出たという。寺本氏は、「幾つかの問題を抱えているため、日本専門医機構が主体となり、この問題をきちんと解決していくための協議会を設置する」と説明。基本領域の学会のほか、シーリングの在り方について意見をもらうため、社会医学系の学会、データ分析の専門家などが入る見通し。

 「今年末くらいになると、2018年度の三師調査(医師・歯科医師・薬剤師調査)の結果が出揃う。基本的なシーリングのコンセプトを変えるつもりはないが、その結果も見ながら、次のシーリングを考えていく」。寺本氏はこう述べ、2020年の早々には、2021年度のシーリングを決める意向を示した。

 プライマリ・ケア学会認定のサブスペ、「コメントする立場にない」
 日本病院会は5月16日に、日本専門医機構に対し、第三者性の担保、組織強化、位置付け明確化、偏在対策の4項目から成る要望書を提出した(『日病、新専門医制度で機構などに要望提出』を参照)。寺本氏は、副理事長の人数などは日本専門医機構理事会で決めることができないものの、要望書については真摯に対応していくとした。

 日本プライマリ・ケア連合学会は5月18日、総合診療専門医のサブスペシャルティ専門医として、同学会認定の「新・家庭医療専門医」の創設を打ち出した(『「新・家庭医療専門医」、総合診療専門医のサブスペ創設へ』を参照)。その受け止めについて、寺本氏は、そもそも全ての学会によるサブスペシャルティ専門医を日本専門医機構として認めるわけではないと断り、「学会がやることについて、コメントする立場にない」と述べるにとどまった。



https://www.medwatch.jp/?p=26573
日本専門医機構の組織再編し、病院の意見も踏まえた「国民に分かりやすい新専門医制度」構築せよ―日病 
2019年5月27日|医療現場から MedWatch

 新専門医制度は漂流している。数十年後の地域医療に大きな悪影響を及ぼさないよう、▼組織再編による第三者性の確保▼病院の意見を踏まえるための副理事長設置―などを行い、国民に分かりやすい新専門医制度を目指すべきである―。

 日本病院会の相澤孝夫会長は、5月25日の社員総会後に記者会見に臨み、このような申し入れを日本医師会や日本専門医機構に行ったことを明らかにしました。5月27日には根本匠厚生労働大臣にも申し入れを行う予定です(関連記事はこちらとこちら)。

ここがポイント!
1 医師の地域偏在・診療科偏在にも、厚労省と共同した対応を
2 末永副会長は勇退、新たに茅ヶ崎市立病院の仙賀名誉院長が副会長に就任


医師の地域偏在・診療科偏在にも、厚労省と共同した対応を

 2018年度から新専門医制度が全面的にスタートしています。従前は、各学会が独自に専門医の養成・認定を行っていましたが、学会が乱立し、「国民に分かりにくくなっている」「質が担保されているか不明確である」との批判がありました。そこで2018年度からは、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みへと改められました。

 しかし医療現場からは、新制度においても「専門医の質を追求するあまり、専門医養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との根強い批判があります(関連記事はこちらとこちら)。

日病が昨年(2018年)末に役員所属病院(73病院)を対象に実施した調査では、次のように新専門医制度の全面スタート後に「専門医資格の取得を目指す研修医」が大きく減少していることが明らかになりました(関連記事はこちら)。

【 全 体 】2017年度:615名 → 2018年度:387名(マイナス228名・37.1%)
【 内 科 】2017年度:238名 → 2018年度:151名(マイナス87名・36.6%)
【 小 児 】2017年度:49名 → 2018年度:27名(マイナス22名・44.9%)
【 皮膚科 】2017年度:11名 → 2018年度:4名(マイナス名7名・63.6%)
【 精神科 】2017年度:7名 → 2018年度:4名(マイナス3名・42.9%)
【 外 科 】2017年度:99名 → 2018年度:67名(マイナス32名・32.3%)
【整形外科】2017年度:39名 → 2018年度:20名(マイナス19名・48.7%)
【産婦人科】2017年度:28名 → 2018年度:18名(マイナス10名・35.7%)
【 眼 科 】2017年度:18名 → 2018年度:8名(マイナス名10名・55.6%)
【耳鼻咽喉科】2017年度:15名 → 2018年度:2名(マイナス13名・86.7%)
【泌尿器科】2017年度:17名 → 2018年度:12名(マイナス5名・29.4%)
【脳神経外科】2017年度:14名 → 2018年度:13名(マイナス1名・7.1%)
【放射線科】2017年度:14名 → 2018年度:9名(マイナス5名・35.7%)
【 麻酔科 】2017年度:19名 → 2018年度:10名(マイナス9名・47.4%)
【 病 理 】2017年度:3名 → 2018年度:5名(プラス2名・66.7%)
【臨床検査】2017年度:0名 → 2018年度:0名(プラスマイナス0名)
【 救急科 】2017年度:29名 → 2018年度:21名(マイナス8名・27.6%)
【形成外科】2017年度:8名 → 2018年度:8名(プラスマイナス0名)
【リハビリテーション科】2017年度:1名 → 2018年度:2名(プラス1名・50%)
【総合診療】2017年度:6名 → 2018年度:6名(プラスマイナス0名)▼

 
調査対象病院の多くは、いわゆる「地域の基幹病院」であり、こうした病院においてもなお「研修医減」が生じている現状に鑑み、さらに日本専門医機構の対応が十分でないことを重く見て、日病では会内の「専門医に関する委員会」(中佳一委員長:社会医療法人三思会会長)で「専門医制度の改善」に向けた検討を実施。今般、相澤会長が日本医師会および日本専門医機構に申し入れを行ったものです。5月27日には根本厚労相にも申し入れを行う予定です。

具体的な申し入れ内容・改善要望は次の4項目です。

(1)第三者性を担保するため、組織、財務体制の強化に取り組むべき
(2)組織構成の強化に取り組むべき
(3)「専門医」の位置づけの明確化に取り組むべき
(4)地域偏在、診療科偏在への適切な対応に取り組むべき

 このうち(1)について中委員長は、「日本専門医機構の社員構成は、関係学会からの強い要望で、学会代表が多数となる第三者性が失われてしまっている」とし、学会から一定の距離を置き、「第三者性」を担保する必要があるのではないかと指摘。さらに末永裕之前副会長(小牧市民病院事業管理者、日病の副会長職から5月25日の社員総会で勇退)は「将来的には公益財団法人を目指すべき」と提案しています。
 
 また(2)は、専門医の活躍の場の多くが「病院」であることを踏まえ、日本専門医機構の副理事長職について「病院代表者を1名加え、3名体制とすべき」(現在は2名体制)と提案。制度設計や運用に関し、病院の意向をより反映させる必要があると訴えています。
さらに(3)に関しては、2018年8月の四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の提言に基づき、専門医制度の改善を図るべきと強調。四病協では、▼初期臨床研修終了後3年程度の研修(後期研修)を修了した医師を「(認定)専門研修修了医師:certified doctor」と位置づける▼十分な臨床経験を積み、science・art・coordinate能力を持つ医師を「専門医:specialist」と位置付ける―こととし、両者をは区別して「国民の分かりやすさ」を担保する、さらに柔軟に専門研修を受講でき資格取得を可能とすることなどを提言しています(関連記事はこちら)。

また(4)について末永前副会長は、「日病調査では医師偏在が助長されていることが明らかになった」とし、厚生労働省と共同して「適切な対応」を図るよう求めています。

 
こうした申し入れに対し、日医は「内容は理解できる。医学部教育の段階から改善を検討していく必要がある」との見解が示されたことが相澤会長から紹介されました。また日本専門医機構も「内容は理解できる」との見解を示したものの、「改善に向けて理事会等で積極的に検討していこうという雰囲気」にまでは至っていないようです。

この点について末永前副会長は、「日本専門医機構側は『制度が動いており、すでに研修を受けている専攻医(新専門医資格取得を目指す研修医)に不利益があってはいけない』としている。それはもちろんだが、今、改善しなければ、数十年後の地域医療に大きな悪影響を及ぼしてしまう」と強調し、改善の必要性を訴えています。


末永副会長は勇退、新たに茅ヶ崎市立病院の仙賀名誉院長が副会長に就任

 5月25日の日病社員総会では、次のような新役員体制が固められました(敬称略)。前述のとおり、末永副会長が勇退され、新たに茅ヶ崎市立病院(神奈川県)の仙賀裕・名誉病院長が就任しました。

会長:相澤孝夫(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
副会長(会長代行):岡留健一郎(福岡県済生会福岡総合病院名誉院長)
副会長(会長代行):万代恭嗣(医療法人社団大坪会北多摩病院院長)
副会長(業務執行):仙賀裕(茅ヶ崎市立病院名誉病院長)
副会長(業務執行):島弘志(社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院院長)
副会長(業務執行):小松本悟(足利赤十字病院院長)
副会長(業務執行):大道道大(社会医療法人大道会理事長、森之宮病院院長)

 なお、社員総会で挨拶に立った相澤会長は、医療制度改革について、▼地域医療構想の実現に向けて2019年度・20年度には、相当強引な「病院の収斂」を迫られるのではないか(関連記事はこちらとこちら)▼医師働き方改革について、「宿日直の取り扱い」がいまだ不明確であるが、6月には方向性が示される見込みで、それを踏まえて岡留副会長を中心に病院の動き方を考えていく(関連記事はこちら)▼医師偏在対策について、病院の勤務医数などのデータが十分に示されていない(関連記事はこちら)―旨を指摘。会員の協力を得て、厚生労働省や政治、関係団体に「あるべき医療の姿」の構築に向けた働きかけを行っていく考えを強調しました(関連記事はこちら)。
日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
日本病院会の相澤孝夫会長(社会医療法人財団慈泉会理事長、相澤病院最高経営責任者)
 
 なお、医療における消費税問題について、個人的見解と前置きをした上で、「診療報酬では個別病院間の補填過不足を解消することはできない。論理的には、『病院については消費税を課税』し、個別病院ごとに補填を行っていく方策しかない」との考えを示しています。こちらは、長期的な検討課題となるでしょう(関連記事はこちら)。




http://tanba.jp/2019/05/%E3%80%8C%E5%88%86%E5%A8%A9%E3%81%AF%E6%96%B0%E7%97%85%E9%99%A2%E3%81%AB%E9%9B%86%E7%B4%84%E3%80%8D%E3%80%80%E3%81%95%E3%81%95%E3%82%84%E3%81%BE%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC/
「分娩は新病院に集約」 ささやま医療センター 産婦人科は継続し診療 
2019年5月29日 丹波新聞

 兵庫医科大ささやま医療センター(片山覚院長)は5月23日、丹波新聞社の取材に応じ、産婦人科における分娩は中止して、丹波市に完成する「県立丹波医療センター」にその機能を集約させるが、産婦人科自体は継続し、従来通り妊婦健診や妊娠中のトラブルについては入院も含めて対応する―との方向性であることを明らかにした。片山院長は、「産科医が全国的に不足する中、より安心・安全な周産期医療を提供するためには、『丹波医療圏』という広域で考えることは大前提で、市の問題ではなく、国レベルの課題」と話している。

分娩を中止しても、産婦人科自体は継続し、受け入れ病院の考え方にもよるが、リスクが高まる分娩直前の9カ月まで診ることは可能という。

 ささやま医療センターの産婦人科は医師2人体制で、助産師などのスタッフも「十分でない」状況。長年、献身的に産婦人科を支えてきた池田義和医師が今年3月末で退官。また、医師にも「働き方改革」が求められており、7月には県立丹波医療センターが開院することから、「これを機に、より市民にとって安全・安心な周産期医療をめざし、舵を切りたい」と、市に協議を申し入れる方向。

 片山院長によると、リスクを伴う分娩は、24時間対応で、小児科、麻酔科、場合によっては脳外科も必要な領域で、広域(丹波医療圏)で整備されるべき医療という。2018年4月に改訂された「県保健医療計画」においても「新病院(丹波医療センター)においては(中略)、小児・周産期医療の基幹病院としての役割を果たすことが望ましい」としている。

 ささやま医療センターの産婦人科は、医師2人体制は維持しているものの、労働条件は過酷だ。妊婦の体調の急変に備え、24時間、できるだけ2人で対応できるよう心がけ、また、どちらかの医師が病院にいるか、1時間以内に駆けつけられる範囲に外出を自制している。田中宏幸部長は敷地内の官舎で寝泊まりし、出張などの際は医大にバックアップを要請する。休日はなく、田中部長は少なくとも、池田医師が退官した4月以降、西宮の自宅で夜を過ごしたことはない。

 医師を輩出する兵庫医大においても、産科医を目指す学生は減少傾向といい、「過酷な労働条件が、産科医を敬遠する原因になっている。学生は症例が多く、働き方改革が進んでいるところへ行きたがるし、医大としても現状のささやま医療センターのように、リスクの高い現場に行かせられない」と話す。

 片山院長は、「市の分娩数が減っている中、市域における共存という意味では、『地元で産みたい』という人は、幸い市内には産婦人科医院があり、そこを利用してもらえばよい。医療センターでなければならない理由はない」と話す。

 ささやま医療センターの「分娩休止を検討」との意向を受け、酒井隆明市長は20日、同センターの産科充実に向けて市民の意見を聞く検討会を6月にも立ち上げることを表明した。

 昨年6月に医科大と結んだ「ささやま医療センターの運営等に関する基本協定書」では、医科大は、同センターにおける婦人科や小児科などの「存続と充実に努める」とし、医療従事者の不足や経営状況などでやむを得ない事情となっても「当該診療科の存続、再開について可能な限り努力する」と明記している。市は同センターに対し運営補助金として年1億2600万円を交付している。





https://www.medwatch.jp/?p=26653
病院の保険診療には消費税を「課税」し、病院間で消費税負担に不公平のない仕組みとせよ―四病協 
2019年5月30日|医療現場から MedWatch

 医療の消費税問題について、病院では「原則、課税」とし、抜本的な解決を図るべきである。それまでの間は、診療報酬プラス改定での対応となるが、個別病院間の補填の過不足に対応するための措置を行うべきである。また、医師の働き方改革の実現に向けて「人材確保に向けた予算措置」「ICT化に向けた財政支援」などを行うべきである―。

 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会(四病協)は5月24日に、根本匠厚生労働大臣に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度の「予算概算要求に関する要望」書を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

ここがポイント!
1 医療の消費税問題、非課税のままで「不公平解消」はできない
2 働き方改革実現のための人材確保や、ICT化などを支援せよ
3 電子カルテの標準化に向けた医療情報化支援基金、確実な実施を


医療の消費税問題、非課税のままで「不公平解消」はできない

 四病協の要望項目は、▼消費税▼働き方改革▼医療従事者の能力向上▼介護施設・介護従事者▼地域医療介護総合確保基金▼医療機関のICT化▼社会の国際化等への医療の対応▼障害保健福祉▼災害対策―の大きく9項目。多岐にわたっているため、ポイントを絞って眺めてみましょう。

 まず「消費税」に関しては、病院の保険診療について「原則、課税」とし、個別医療機関の補填過不足を解消すべきと要望しています。

保険診療については消費税非課税となっているため、医療機関が物品購入等の際に支払った消費税は、患者・保険者負担に転嫁できず、医療機関が最終負担しています(いわゆる控除対象外消費税)。消費税率の引き上げによりこの負担が増加するため、特別の診療報酬プラス改定(消費税対応改定)による補填が行われますが、個別医療機関により診療報酬の算定内容は異なることから、補填の過不足が生じてしまいます。2019年度の消費税対応改定では、病院の種類に応じた補填を行うなどの「精緻な対応」が図られていますが、個別病院の補填過不足を解消することはできません(関連記事はこちらとこちら)。
 
この点、昨年(2018年)夏には四病協と三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)との合同で、▼消費税非課税・消費税対応改定による補填は維持する▼個別の医療機関ごとに、補填の過不足に対応する(不足の場合には還付)―という仕組みの創設が要望されましたが(関連記事はこちらとこちら)、与党の税制調査会は「税理論の中で、非課税制度を維持したまま税の還付を行うことはできない」とし、事実上のゼロ回答にとどまりました(関連記事はこちら)。
日本医師会は「消費税問題は解消」としていますが、物品購入量が多い病院(特に急性期病院)では補填不足が生じやすく、また民間病院では、クリニックと異なり、いわゆる四段階制(社会保険診療報酬の所得計算の特例措置で、概算経費率を診療報酬収入が2500万円以下の医療機関では72%、2500万円超3000万円以下では70%、3000万円超4000万円以下では62%、4000万円超5000万円以下では57%の4段階とする)などの優遇措置もありません。このため四病協では、抜本的な解決が必要と判断し、「原則課税」とするよう求めているものです。消費税課税となれば「還付」も可能となり、個別医療機関の補填過不足を解消することが可能と考えられます。

もっとも、非課税措置を課税に改めるには時間をかけた論議が必要となることから、四病協では「現行の非課税制度の中で、補填によるバラつきが完全に解消されるまで、補てん不足医療機関には必要な財源措置を講ずる」ことも求めています。


働き方改革実現のための人材確保や、ICT化などを支援せよ
 
 また「働き方改革」に関しては、▼医師の増員が必要となることから、「診療報酬以外に医師の人件費に相当する部分への予算措置」▼タスク・シフティング(医師から他職種への業務移管)、タスク・シェアリング(医師間での業務分割)に必要な医療人材確保・養成に係る財政的補助▼医療従事者に対する処遇改善への予算確保(介護現場では処遇改善加算の予算が従前から確保されている)▼看護職員の離職防止に向けた施設(宿舎や院内保育施設)整備の補助▼仕事と家庭の両立支援の推進(看護職員等再就業支援事業)▼育児休暇に係る財政的補助▼医療人材資源を補完するICT・ロボット等導入への財政的補助▼病院給食における新調理システム等の導入に関する補助―などを求めています。

 勤務医については2024年4月から、看護師など他職種に関しては今年(2019年)4月から新たな時間外労働上限規制が導入され(てい)ます。労働時間短縮を進めるためには、タスク・シフティング、タスク・シェアリングが必要となり、このためには職員の増員(前者であれば他職種、後者であれば医師)が欠かせません。こうした職員増には、当然、コストが必要となり、「予算措置」を訴えているのです(関連記事はこちらとこちら)。

 もっとも、多くの病院が「職員増」に動くことから、医療人材の確保は「困難」の度合いを高めていきます。さらに少子化に伴い、人材確保ができない事態も生じます。このため四病協は、▼ICT・ロボットの導入▼新調理システムの導入―なども併せて求めています。


電子カルテの標準化に向けた医療情報化支援基金、確実な実施を
 
 また、高齢者患者では多くの疾病を抱え、また全身の機能が低下していることから、「個々の臓器に着目した治療」ではなく、「全身を管理する総合的な治療」が必要となります。高齢化が進行する中では、こうした「総合的な治療」能力を持つ医師に期待が集まり、日本病院会では「病院総合医」(新専門医制度の総合診療専門医とは異なる)の養成を進めています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 この取り組みがより多くの病院に浸透することが期待される中、四病協は「医師が専門性を有しつつ、総合的診療能力の獲得を促すキャリア支援事業を実施している病院団体に対して、経費補助を行う」よう求めています。

 
さらにICT化に関しては、今年度(2019年度)予算で創設された「医療情報化支援基金」(医療ICT化促進基金)による「電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等導入支援」の確実な実施とともに、「医療機関における初期導入経費」への補助を求めました。

電子カルテは多くの医療現場に浸透していますが、ベンダーが独自に開発し、個々の医療現場の要望を踏まえた進化が行われているため、「異なるシステム間で、事実上、データの互換性がない」と指摘されています。これは、ベンダーによるユーザー(医療機関)の囲い込み(システムの乗り換えをすると、システム上で過去のデータが活用できない)であると批判されるとともに、地域医療連携を阻害する大きな要因になっているとも指摘されます(異なるシステムを利用する医療機関間でデータの連結等ができない)(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちら)。

そこで厚労省は、2019年度予算において「電子カルテデータを連結するためのコンバータシステムなどを導入する医療機関に対し、その費用の一部を補助する」ことなどを目的とした医療情報化支援基金(300億円)を設置したものです(関連記事はこちら)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/678564
地域医療構想「追加推進策の議論も必要」と示唆
土生・厚労省大臣官房総括審議官、鹿児島医法協で講演
 
レポート 2019年5月27日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)
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 厚生労働省大臣官房総括審議官の土生栄二氏は5月25日、鹿児島県医療法人協会創立55周年記念講演「社会保障の展望~医療を巡る課題を中心に~」で、「社会保障・税一体改革は2025年をターゲットとしてやってきたが、今後の一つのターゲット・イヤーは2040年」と指摘、その上で当面の課題として、「地域医療構想の実現に向けて、ここ数年で道筋を付けていくことが、医療提供体制の面では一番重要なのではないか」との見解を述べた。「地域医療構想を検証して、より良いものにしていくことが、今年度から来年度に向けての大変重要な課題だと思っている」。

 土生氏は、経済財政諮問会議でも、地域医療構想が議論になっていることにも触れた。「地域医療構想は現場の自主的な取り組みに重きを置いているものの、そうではない、という意見もある。都道府県知事の権限の在り方についての議論を求める意見、あるいはインセンティブ、より背中を押す仕組みを整えていくべきだ、という意見もある」と述べ、機能再編やダウンサイジングをどう推進していくかなど、「もう一弾、二弾の推進策についての議論も必要になってくるのではないか」と見通した。


 “医療事故調”創設を担当
 鹿児島県医療法人協会会長を務める小田原良治氏は、厚労省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」(2015年3月に「取りまとめ」)の構成員を務めるなど、医療事故調査制度に造詣が深い(『“医療事故調”、当事者の一証言を記録に - 小田原良治・医療法人尚愛会理事長に聞く』を参照)。当時、同検討会の事務局、医療事故調査制度の創設準備を担当した厚労省医政局総務課の課長を務めたのが土生氏で、この日の記念講演につながった。小田原氏は、「当時、土生氏が総務課長だった故に、医療事故調査制度が妥当な制度として仕上がった」と紹介した。

 医療事故調査制度は、2014年6月に公布された医療法改正で創設された。「“事故調”という重たい制度が含まれており、荷が重い法改正だったが、役人冥利に尽きる。関係者とオープンな議論をさせていただき、いい制度になったと言っていただけることは、勇気付けになる」と振り返った。

 今は医政の直接の担当審議官ではないと断りつつも、講演では、昭和から平成の時代の医療政策を振り返るとともに、今後の医療を展望した。

 「令和の新しい時代に向けて、少子高齢化、生産年齢人口の急減が今後の大きな課題」と指摘。これまでの日本の医療は、欧米諸国と比べて人口の高齢化は進んでいるものの、医療費はかなり抑制的になっているとの分析を示し、「自助、共助、公助がうまく組み合わされてきた結果」と評価。「OECD Health at Glance 2017」も引用し、日本の医療のアウトカムは優れているとし、健康的な生活スタイル、医療アクセスの良さ、質の高い医療がそれを生み出しているとした。

 今後の医療政策のターゲット・イヤーを2040年とする理由について、「高齢者数がほぼピークになる一方、生産年齢人口は減少する」ことを挙げ、これらを念頭に置いて改革を行う必要性を指摘。「一人一人に、就労に参加していただき、社会の活力を保っていく。そのためには健康寿命の延伸が必要になる。ITの活用も視野に入れて提供体制の効率化もやっていかなければいけない」と述べ、並行して給付と負担の見直しも実施していかないことには、社会保障の維持は難しいと見通した。

 その上で、「地域医療構想の実現に向けて、ここ数年で道筋を付けていくことが、医療提供体制の面では一番重要なのではないか」とコメント。

 地域医療構想は現在、公立・公的医療機関等が、「新公立病院改革プラン」もしくは「公的医療機関等2025プラン」を策定、公立・公的医療機関等しか担えない機能に特化しているかなどを検証するフェーズにある(『公立・公的病院の病床機能、2025年度も全体では「現状維持」』を参照)。

 「進んでいる地域もあるが、全体としてはまだ明確な絵を描きにくい状況だと聞いている。仮に絵を描けたとしても、それぞれの医療機関がどんな役割を果たすかを決めていくのは、そう簡単ではないことは理解できる。その中で、現在の地域医療構想の案を分析して、どう見直していくのか、検証して、より良いものにするかが、今年度から来年度に向けての大変重要な課題だと思っている」。

 地域医療構想、諮問会議でも議論に
 経済財政諮問会議の議論については、次のように説明。「地域医療構想は、現場の自主的な取り組みに重きを置き、医療界の自律性を大事にしている。その枠組みの中で、ビジョンを描き、実現できないかと考えているが、そうではないという意見もある。都道府県知事の権限の在り方について議論をしていくべきとの意見、あるいはインセンティブ、より背中を押す仕組みを整えていくべきだという意見もある。基金や診療報酬の在り方をどう考えるのか、機能再編やダウンサイジングをどう推進していくのかなど、もう一弾、二弾の推進策の議論が必要になってくるのではないか」。

 土生氏は、「ダウンサイジング」という言葉よりも、「いかに今ある資源を適正に配置、配分するか」という表現の方が適切だとした。「人口構成が変わった時に、急性期、回復期、慢性期という機能の転換、重点の置き方のバランスをどう変えていくのか、つまりニーズに合った医療、介護をいかに展開していくかだ。そのために必要なお金は厳しい財源の中でも、何とか確保しなければいけないと思っている」。

 「日本の医療制度、全体としては大変すばらしいものだと思っている。次の時代に引き継いでいくことが、私たちの使命だと思っている」とも述べ、医療機関に対しては、自立的な協議の推進を念頭に置き、地域医療構想等に対応していくことを要請した。

 最後に土生氏は、「制度的には、公立・公的医療機関等の役割は限定されていると思う。そうしたところからまず取り組むということ。ただ、最後は民間医療機関も含めた全体で、地域の医療提供体制をどうするかについて、地域で合意形成していくことが必要。合意形成にはまだツールが足りない部分が出てくるかもしれない。『こんな仕組み、補助金等があれば』ということがあれば、現場から挙げていただきたい」と述べ、講演を締めくくった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679823
大学臨床系教員「専門業務型裁量労働制を基本とすべき」、AJMC
人材育成・キャリアパスを踏まえた「医師確保計画」も提言
 
レポート 2019年6月1日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)は、5月31日に記者会見を開き、大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員は、専門業務型裁量労働制を基本とするほか、地域医療確保の観点や、初期・後期研修医で特例的に認められる時間外労働の上限規制である「年間1860時間」はあくまで暫定的なものであり、エビデンスに基づき是正すること、働き方改革を実現するため病院の財務基盤の強化などを盛り込んだ「大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員の働き方改革に関する提言」を公表した。

 併せて「今後の『医師確保対策』の進め方について」も公表。今年度から都道府県が医師偏在対策として策定する「医師確保計画」において、医師の人材育成やキャリアパスの観点を考慮せず、人数合わせのような進め方をすると、かえって地域医療に弊害をもたらすと警鐘を鳴らし、計5点について要望した。

 2つの提言は、同日に開催されたAJMCの社員総会で了承され、今後、関係各所に提出予定。厚生労働省は、地域医療構想、医師の働き方改革、医師偏在対策を「三位一体」で進めていく方針(『2040年の医療提供体制構築に向け「三位一体」改革推進』などを参照)。その際に、医療提供体制や人員配置、時間外労働時間の上限規制を数合わせではなく、業務内容やキャリアなど医師の特性を踏まえて進めるべきだと釘を刺すのがこれらの提言と言える。

 「年1860時間」の時間外上限は暫定的

 AJMC大学病院の医療に関する委員会委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)が、「大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員の働き方改革に関する提言」を説明した。

 臨床系教員について、「専門業務型裁量労働制を基本とし、労働時間全体がみなし労働時間と大きく乖離しないように適切に把握、管理を行う必要がある。そして、時間外の教育・臨床業務に対しては、適正な処遇を行うこと、格段の健康確保措置を行うことが必要と考えられる」と提言。臨床系教員は、助教以上の常勤教員が該当する。山本氏は、提言の背景を「裁量の幅が比較的広い研究者としての働き方と、患者の状況等に応じた対応が必要な臨床医としての働き方の二重性を有している」と説明。

 山本氏によると、専門業務型裁量労働制は、国立大学医学部・病院は30大学超、私立大学医学部・病院は2大学が採用している。全ての教員、あるいは講師以上や手挙げ式など、大学によってそのパターンはさまざま。専門業務型裁量労働制を適用する場合、「それぞれの大学で事情が違うので、各大学で検討し、労働基準監督署と相談しなら、36協定を結ぶことになる」(山本氏)。

 医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制が2024年度から適用される。「地域医療確保暫定特例水準」(B水準)は「年1860時間」が上限だが、「あくまで暫定的なもの」と指摘。(1)2024年度の段階で、対象病院数を最小限とし、その後も削減を図る、(2)2035年度末に終了予定のB水準そのものの終了年限の前倒しを図る――などを提言した。

 初期・後期研修医が対象の「集中的技能向上水準」(C-1水準)については、教育効果と時間外労働との関係性を明らかにし、エビデンスに基づき適正水準に設定することを求めた。高度特定技能育成の業務を担う医師が対象の「集中的技能向上水準」(C-2水準)については、その必要性も含めた総合的検討を行い、対象診療領域・指定医療機関を早期に決定し、その上で適正な時間設定を行うべきだとした。

 その他、働き方改革実現のため、医師の負担軽減と業務効率化に必要な人材の確保、施設・機器の導入等による経費増に対応できるよう、財政基盤の強化なども提言。

  「困難な派遣調整」で大学敬遠を危惧

 「今後の『医師確保対策』の進め方について」は、AJMC専門委員長会委員長の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)と、同委員会オブザーバーの村上正泰氏(山形大学医学部教授)が説明。

 嘉山氏は、「医師確保計画」について、厚生労働省の基本的なコンセプトは、「医師が多いところから、少ないところに回すというのが原則。例えば、都内の大学から、北関東や東北の病院に医師を派遣している。医師が多い地域から派遣された医師が帰ってくることができない懸念もあり、乱暴かと思う。コンセプトに柔軟制を持たせることが必要」と求めた。

 具体的には、(1)医療圏を越えて動くことも少なくない医師育成の観点を十分に考慮せず、医師の多数地域から少数区域へと医師廃止を行うことは、現実的に不可能、人数合わせではなく、医師の人材育成やキャリアパスを適切に考慮すべき、(2)困難な派遣調整を大学医学部ばかりが強いられると、大学以外の医師との間で不公平が生じ、大学が敬遠され、人材が集まらなく恐れがあり、地域全体で医師の適正配置という視点からの対応が不可欠、(3)厚労省の「医師偏在指標」は、医師個人間や2次医療圏間の均一性を前提とし過ぎており、指標を杓子定規に用いるのではなく、指標に内在する限界を踏まえた検討が必要、(4)病院の再編・統合を含めた医療提供体制の見直しも視野に入れながら、医師の適正配置を検討すべき、(5)「医師確保計画」の策定、実行には都道府県と大学医学部の綿密・実質的な協力が不可欠、卒前・卒後を通じた医師育成の在り方を含め、医師の適正配置や働き方改革への対応などを総合的に検討する共通の場の設置――の5点を提言した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/679834
「卒前・卒後教育のシームレス化」提言へ、AJMC
卒前で可能なことは前倒し、臨床研修7科目必修を疑問視
 
レポート 2019年6月1日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議(AJMC)は、5月31日の記者会見で、総合的な診療能力を持つ医師をシームレスに養成するため、卒前教育でできることは前倒しし、2020年度から7科目必修になる卒後2年間の臨床研修についても見直しを求めていく方針を明らかにした。

 特に、臨床研修については、7科目のうち5科目の研修期間は「4週間」が基本であるため、AJMC医学教育委員会委員長の松村明氏(筑波大学脳神経外科教授)は、「4週間では、学生実習と変わらないのではないか。各科に必要な診療能力を身に付けるのは4週間では難しいのではないか」と疑義を呈した。卒前教育に前倒しする分、将来のキャリアを見据えた研修を取り入れていくことを求める。卒前・卒後教育のシームレス化に関する原案を。今後提言として取りまとめる予定。臨床研修の見直しは5年に1回が基本。2020年度の次は、2025年度になるが、それよりも早い時期に見直すよう、厚生労働省をはじめ、関係各所に働きかけていく方針だという。

 松村氏は、卒前・卒後教育のツールとして、2020年度から稼働予定の臨床研修評価システム「EPOC II」を挙げた。現在の「EPOC」は、約7割の臨床研修病院で使用しているという。

 卒前の臨床実習は、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準を2023年までに満たすため、充実が進んでいる。「EPOC II」では、評価の仕方を「経験したかどうか」ではなく、「補助が必要か、独り立ちしてできるレベルか」など、到達度を評価できるようになるほか、臨床実習記録の閲覧も可能になる。

 松村氏は、シームレス化を進めることで、卒前にできることは前倒しし、臨床研修を見直す必要性を指摘した。「真に地域医療に役立つ医師を養成していきたい。診療能力を身に付けるには、1つの診療科を最低でも2、3カ月回ることが必要ではないか」と述べた。さらに診療科ではなく、症候や疾患ベースでプログラムを組む必要があるとも指摘。

 AJMC専門委員長会委員長の嘉山孝正氏(山形大学医学部参与)も、必修として「診療科」を挙げると、各科の主張が強くなる」と指摘、「獲得目標を定めて研修制度を構築していくのが、AJMCの総意」と述べた。



https://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201905/0012383459.shtml
不適切入試 神戸大医学部、今後は特定地域重視の配点行わず 
2019/5/31 17:32神戸新聞NEXT

 神戸大は31日、医学部の推薦入試地域特別枠で過疎地域出身の受験生に不適切な加点をしていた問題で、2020年度入試(19年度実施)以降は特定の地域を重視した配点を行わず、書類審査や面接、口述試験で地域医療への意欲と適性を重視して選抜する方法に改める、と発表した。

 新たな選抜方法は学生募集要項に明記。18年度入試の採点やり直しで追加合格者が出ていたが、編入学の辞退で欠員が生じたため、20年度の募集定員は10人のまま維持する。

 不適切な加点をした関係者については、入試担当の理事と医学部長、医学科長を学長からの厳重注意処分、地域特別枠専門委員会委員8人を理事からの厳重注意処分とした。

 再発防止策として今後、地域特別枠の審査基準などを変更する場合は、事前に医学科長と医学部長の同意を得た上で、関係委員会の審議を経て医学科会議で承認を得る体制に改めたという。(石崎勝伸)



https://www.medwatch.jp/?p=26634
医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2) 
2019年5月29日|医療計画・地域医療構想 MedWatch

 医師の働き方改革を診療報酬によっても推進していくべきだが、その際、「入院基本料の引き上げ」や「加算の創設・増点」などを行うべきだろうか―。

 5月29日の中央社会保険医療協議会・総会では、こうした点に関する熱い議論が行われました(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
 
ここがポイント! [非表示]

1 診療側は「コストを点数増で賄うべき」と主張するも、支払側は「違和感あり」と反論
2 入院基本料の「看護師夜勤72時間」要件、柔軟にすべきか、堅持すべきか
診療側は「コストを点数増で賄うべき」と主張するも、支払側は「違和感あり」と反論
 すべての医療機関において労務管理の徹底・労働時間の短縮などを進め、2024年4月以降は「年間の時間外労働960時間以下」を目指す。もっとも、労働時間短縮を進めてもこの上限に収まらない労働が必要な救急医療機関等では、暫定的に「年間1860時間以下」の特例を目指す―。

 我が国の優れた医療提供体制は、実は「個々の医師の過重労働」によって支えられています。こうした状況を改善するために、「医師の働き方改革」が求められているのです(関連記事はこちら)。
 
改革を進めるために厚生労働省では、例えば▼「医療機関の勤務環境マネジメント向上支援事業」(2019年度には4800万円の予算を確保)▼患者・国民が適切な受診を行うことを目指した「医療のかかり方普及促進事業」(同じく2億円弱)―などの支援を行っています。
 
さらに、かねてより診療報酬で様々なサポートをしており、例えば、広範かつ高度な医療提供を行う病院を評価するA200【総合入院体制加算】(加算1:240点、加算2:180点、加算3:120点)は、「医療従事者の負担軽減・処遇改善」を実施している病院でなければ算定することはできません。逆に言えば、「医療従事者の負担軽減・処遇改善」、つまり働き方改革に取り組んでいる病院に、経済的インセンティブを与えています。

 
また、働き方改革では「医師でなくとも実施可能な業務を他職種に移管し、医師は『医師でなければ実施できない業務』に集中する」というタスク・シフティングが非常に重要となります。

この点、例えば、A207-2【医師事務作業補助体制加算】は、医師が行っている事務作業を補助者(クラーク)に移管することを経済的に後押ししています。

また、A244【病棟薬剤業務実施加算】は、病棟薬剤師が「入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集」などを行うことで、医療安全の向上を狙うとともに、「医師の負担軽減」の実現をも目指した点数と言えます。

 
一方、医療の質や安全性を確保するためには、高度なスキルを持った医療職種が配置されていることが求められ、例えば▼専従の常勤医師・常勤看護師の配置▼専任の常勤医師・常勤看護師の配置―などが、さまざまな点数の施設基準で求められています。ただし、医療現場では「厳しい施設基準をクリアするために、医師や看護師などのスタッフの労働が過剰になっている面もある」との指摘もあります。そこで、昨今の診療報酬改定では「施設基準の緩和・柔軟化」が図られており、例えば「常勤職員が産前・産後休業、育児・介護休業を取得した場合、同等の資質を有する『複数の非常勤職員』を常勤換算して施設基準を満たすことを原則認める」などです。
 
さらに、医療従事者にとって非常に大きな負担となっている、提出書類などについても簡素化が図られています。
 
こうした診療報酬による「医師をはじめとする、医療従事者の働き方改革」サポートは極めて重要で、2020年度の次期診療報酬改定でも「最重要項目」の1つに位置付けられると見込まれます。

5月29日の中医協総会では、診療側委員から「診療報酬による働き方改革サポート」の充実を求める具体的な声が相次ぎました。

猪口雄二委員(全日本病院協会会長)は、「夜勤スタッフの確保のためにコスト(人件費)が高騰し、病院経営はますます厳しくなっている。全病院に共通する入院基本料の引き上げなどを検討すべき」と提案(関連記事はこちらとこちら)。

また松本吉郎委員(日本医師会常任理事)や今村聡委員(日本医師会副会長)、猪口委員は、「A207-2【医師事務作業補助体制加算】は、医師の負担軽減に大きな効果があるが、届け出は病院全体の3割程度にとどまり、とくに中小病院で届け出がなされていない」と指摘。背景を詳しく分析し、施設基準緩和などの対策をとるべきと訴えています。
 
こうした診療側の指摘・要望に対し支払側委員は「違和感を覚える」と反論。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「医師の働き方改革を診療報酬でサポートする場合、業務効率化を阻害する要因の排除(例えば過剰な書類の整理など)を念頭に置くべきで、入院基本料の引き上げや加算創設・増点などではない。働き方改革は、▼トップ(院長等)のマネジメント改革▼医療従事者の意識改革▼業務の効率化―という順で進めるものだ。診療報酬はだれが負担しているのかを考えるべきである」と述べています。

この点、診療側の今村委員・松本委員は「医師の働き方改革は、医療安全の向上に資する」点を強調しています。▼点数の引き上げ→▼スタッフの確保→▼医師の負担軽減→▼医療の質の向上―という流れを考えれば、点数(入院基本料や加算など)の引き上げを行う方向は誤ってはいないとの再反論と言えるでしょう。

今後も(おそらく2020年度診療報酬改定以降も)議論すべき、非常に重要な論点といえます。

この点をどう考えていくべきでしょうか。まず医療においては「質の低下は許されない」ことを考えなければなりません。例えば、最近では「コンビニエンスストアの24時間営業の是非」が問われています。人件費高騰による経営圧迫や、そもそもスタッフ確保が困難なため、オーナーサイドから「必ずしも24時間営業をする必要はないのではないか」との声がにわかに高まっています。しかし、医療において、院長が「スタッフが確保できず、また人件費が嵩むので24時間の救急体制はとれない」と判断することは非常に困難でしょう(仮に判断するとしても断腸の思いでのものと推測されます)。通常のサービスと異なり、医療は「人の生命を預かっている」という点に留意が必要です。

また、一般のサービスにおいて「人件費増を価格に上乗せする」ことは頻繁に行われます。保険医療の価格は「診療報酬」であり、改定論議の中で「人件費増を価格に上乗せする」という判断も選択肢の1つと言えそうです。保険医療機関では、公定価格である診療報酬が主な収入源となるため、人件費や物価の変動は診療報酬の中で勘案する必要があるためです。

一方で、財源には限りがあることも事実です。こうしたさまざまな要素も踏まえた、積極的な改定論議に期待が集まります。

なお島弘志委員(日本病院会副会長)は、この点に関連して「現在でも多くの病院に労働基準監督署が入るが、そこで最も大きなダメージを受けるのが『救急医療』である。医療の質を落とさずに、労働時間をどう短縮していけばよいのか、皆で知恵を出し合う必要がある」と述べています。医療現場が疲弊すれば、それは我々国民に跳ね返ってきます。良いサービスを受けるには、それなりの対価が必要になることをしっかりと理解し、「より良い医療が提供され、同時に、より良い医療が受けられる」体制に向けて建設的な議論をしていく必要があります。

入院基本料の「看護師夜勤72時間」要件、柔軟にすべきか、堅持すべきか
なお、働き方改革が求められるのは「医師」だけでなく、「看護師」などのメディカルスタッフも同様です。この点について、猪口委員は「入院基本料の施設基準の1つに盛り込まれている『看護師夜勤72時間』要件について柔軟な取り扱いを検討してはどうか」との考えを示しました。しかし、吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「72時間要件は堅持すべき」と強く反論、入院基本料に関する「重要論点」として今後も議論が継続されると考えられます。

 
さらに猪口委員は「専従・専任等の運用をさらに緩やかにしてはどうか」とも提案しています。A業務に専従するスタッフが、B業務との兼務も可能となれば、より少ない人数でより広範な業務を遂行できる、つまり「生産性が向上する」と期待されるのです。これに対し平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「専従・専任のスタッフ配置をはじめとする診療報酬の施設基準は、安全性確保のために設定されたと考えられる。緩和等で安全性がどうなっているのかを見ていく必要がある」と慎重姿勢をとっています。

上記の72時間要件も施設基準の1つであり、さまざまな角度からの検討が行われることになるでしょう。



https://www.medwatch.jp/?p=26592
病院の働き方改革等に向け、多職種の行為を診療報酬で評価し、入院基本料を引き上げよ―日病協 
2019年5月27日|2020年度診療報酬改定 Medwatch

 医師をはじめとする医療従事者の働き方改革が求められている。これを実現するには「スタッフの増員」などが不可欠となり、全病院の収入のベースとなる【入院基本料】の引き上げが必要となる。また、メディカル・スタッフが主役となる行為の診療報酬での評価を充実させることで、タスク・シフティングなども円滑に進むと考えられる。さらに、救急医療患者の増加・状態の多様化に対応できる「新たな評価体系・報酬体系の構築」が必要である―。
 日本精神科病院協会や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」は5月24日に、厚生労働省保険局の樽見英樹局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020年度診療報酬改定に関する要望書を提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

メディカル・スタッフの行為を診療報酬で評価することで、モチベーションアップも

 日病協の2020年度改定に向けた要望項目は、次の5項目。▼地域医療構想や地域包括ケアシステムの推進▼医師の働き方改革▼医師偏在の解消―など、医療を取り巻く課題が山積する一方で、病院経営はさらに厳しい状況になっていることを訴え、我が国の医療の「さらなる向上」と「持続可能性」を追求するための診療報酬改定が必要と強調しています。

(1)医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援
(2)医療機関の機能分化・連携強化
(3)多職種協働・チームアプローチとタスクシフティング・タスクシェアリングの推進
(4)救急医療体制評価の充実
(5)医療版 ICT 推進と診療報酬体系や基準届出・保険請求業務の簡素化

 2020年度診療報酬改定に向けて、中央社会保険医療協議会・総会では「総論」論議を行っている最中であり(関連記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)、個別具体的な点数項目の要望ではなく、大きな「2020年度改定方針」に向けた要望と言えるでしょう。
 
 まず(1)の「働き方改革」については、もっぱら「病院における医療従事者(勤務医、看護師など)」の労働時間短縮、業務改善(生産性の向上やタスク・シフティングなど)が重要である点を確認したうえで、▼病院の医療従事者の人件費のベースとなる【入院基本料】の増額▼専従・専任要件をはじめとする各種施設基準・関連加算要件等の抜本的な緩和措置―を求めています。
 例えば医師の働き方改革では、2024年4月からの年間時間外労働の上限を▼原則960時間▼救急病院などの地域医療確保に欠かせない場合の暫定的特例として1860時間―とすることが決まり、今後、5年間で全医療機関(特に病院)において労務管理を徹底するとともに、労働時間短縮に、強力に取り組んでいくことが求められます。
 この点、例えば救急科や外科などで医師の労働時間を短縮するためには、▼医師の増員を図る▼他職種への業務移管(タスク・シフティングを進める)▼不要な業務の整理を行う―ことなどが考えられますが、医師の増員はもちろん、他職種への業務移管をする場合でも、その他職種の確保が必要となり、「人件費増」が予想されます。日病協では、この人件費増を賄うために、全病院に共通の収入源となる【入院基本料】の増点を求めていると考えられます(【手術】などの特定診療料の増点では、必ずしも収入増とならない病院が出てくる)。
 
 また(2)の機能分化・連携強化は、2025年度に向けた「地域医療構想の実現」において不可欠です。2025年度には、いわゆる団塊の世代が、すべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増大すると見込まれ、現在の医療・介護提供体制ではこれを賄えないと目されるためです。
 この点、日病協では、【特定入院料】算定病棟で高額薬剤等を含む包括評価などが「機能分化を阻害する要因の1つ」になっていると分析。▼特定入院料の包括範囲見直し▼同一医療機関の複数科受診時の算定要件緩和―などを行うよう求めています。
 
 一方、(3)の「多職種協働」などは、昨今の医療提供体制において最重要テーマの1つとされています。またこれらは、(1)の「医師の働き方改革」の実現においても不可欠の要素となります。
 日病協では、▼「医師・看護師中心の病棟配置基準」から「薬剤師・管理栄養士・リハビリ専門職などの多職種を加味した配置基準」への抜本的な見直し▼各種加算などの見直しによるタスク・シフティング、タスク・シェアリングの推進―を要望しています。
後者については、より多くの専門職の「行為」を診療報酬で評価することを求めるものと言えるでしょう。例えば、A244【病棟薬剤業務実施加算】は、病棟薬剤師が「入院患者の過去の投薬・注射、副作用発現状況などの情報収集」などを行うことで、医療安全が高まり、医師の負担が軽減されることなどを評価する、「メディカル・スタッフ(薬剤師)が主役」の診療報酬項目です。しかし、診療報酬項目を見ると、こうした「メディカル・スタッフが主役」の加算は、ごくごく少数派にとどまっているのが実際です(A242【呼吸ケアチーム加算】、A233-2【栄養サポートチーム加算】などなど)。診療報酬での評価は、病院における「メディカル・スタッフ配置への経済的インセンティブ」になるにとどまらず、メディカル・スタッフが「自らの行為が経済的に評価され、病院経営に役立っている」と自覚できる極めて重要な機会となります。メディカル・スタッフがこうした意識を持てば、チーム医療がより積極的に組織され、円滑に稼働することが期待され、これは確実に「医療の質向上」につながります。非常に重要な要望項目と言えるでしょう。
 
また(4)では、A205【救急医療管理加算】で主に評価されてきた救急医療体制について、救急患者の増加・多様化を踏まえた「新たな評価体系・報酬体系」を求めています。
A205【救急医療管理加算】は、重症の救急患者を受け入れる医療機関を評価する点数項目ですが、従前より「対象患者が曖昧である」「軽症患者でも算定しているケースがある」と指摘され、さまざまな見直しが行われてきています(加算の区分化と、症状が明確でない患者の点数引き下げなど)。日病協では、こうした見直しが、必ずしも救急医療の現場にマッチしておらず、抜本的な見直しを行い、「新たな評価体系」を構築せよと要望しています。日病協の描く「新たな救急医療の評価体系・報酬体系」がどのようなものか、注目を集めそうです
 
さらに(5)では、▼電子カルテ等のシステム導入・維持・更新、システム平準化に対する診療報酬上の評価▼年々複雑化する診療報酬体系の簡素化―を求めています。



https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67526
メーカー公取協 自社医薬品に関連しない講演会「共催」要件緩和 制度関連テーマも可能に 
公開日時 2019/05/27 03:52 ミクスオンライン

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)は5月24日に行った通常総会で、自社医薬品に関連しない講演会等に関する運用上の考え方を見直したことを明らかにした。メーカーが医療機関や医療関係団体と共催する場合のテーマについて、「医学・薬学をテーマとする」ものに限られていたが、医療保険制度や診療報酬制度等といった医療に関連するテーマでも「規約で制限しない」と改めた。地域包括ケアシステムの進展などで、制度を含めた医療に関する幅広い情報提供は、地域医療の発展に寄与すると判断した。

一方、自社医薬品に関連しない講演会等の開催時に医療担当者等への茶菓・弁当の提供は禁止した。これまでは、参加者1人当たり3000円(消費税除く)を超えない範囲で提供できた。しかし、検討の結果「不当な景品類提供に該当するおそれがある」と判断した。

これら見直しは1月1日に実施した。ただし、自社医薬品に関連しない講演会等の開催時の医療担当者等に対する茶菓・弁当の提供は、既に予定されてる会合もあることから、12月31日までは禁止せず、認めることにした。

メーカー公取協は19年度、見直し内容の周知を重要事業とし、本部、支部の説明会、研修会を通じ理解を深める。

◎自社医薬品関連の講演会のあり方、見直しを検討 違反被疑事案相次ぎ

メーカー公取協は同日、自社医薬品に関連する講演会のあり方について見直しを検討することも明らかにした。18年度に違反に対する「注意」措置1件のほか、自主改善報告16件のうち13件が講演会、説明会、研修会に関連したケースだったことから、対応が必要と判断した。19年度中の基準や運用、指導方法の見直しも視野に議論する。医療担当者等に対する弁当を禁止する議論を進めることはないとした。

注意措置となった1件は、自社医薬品の説明会を午前8時から実施したが、弁当を午前11時30分に昼食として提供。説明会に参加していなかった者にも提供したというもの。自主改善報告でも、説明会に参加していない者への弁当の提供といったケースが目立つ。研修会後の講師慰労会で1人あたり2万円を超える飲食を提供した事案もあった。



https://this.kiji.is/506633968901932129?c=39546741839462401
松阪の医療、年度内提言 3病院の機能分化、連携 三重 
2019/5/30 10:00 (JST) 伊勢新聞社

 【松阪】三重県の松阪市議会の「地域医療と松阪市民病院のあり方調査特別委員会」(西村友志委員長、8人)は29日、4回目の会合を開いた。ベッド数を減らす国の地域医療構想に対応するため設けた同院院長ら有識者でつくる「第2次地域医療構想をふまえた松阪市民病院の在り方検討委員会」で本年度内に、市内3基幹病院の機能分化・連携の方向性を出し、3院で協議する見通しが示された。

 県内8医療圏のうち松阪区域は同市と多気郡、度会郡大紀町。県の審議会「松阪地域医療構想調整会議」では、2025年に向け「病床総数は189床過剰であり、全体的なスケールダウンが必要」とされた。

 特別委で同院は「急性期病棟の患者の4割は回復期ステージの患者。高齢化により回復期機能の需要がさらに高まる。このままいけば実際の患者とマッチしなくなる」と述べた。

 一方、「救急医療体制は当然守られる。医師看護師スタッフを維持する必要がある。検討委員会では3病院の機能の分化、連携を議論していく」と説明。

 その上で、「本年度中には何らかの結論、提言をまとめるべき。一定のものが出た段階で3病院での協議になると思う」と話した。



  1. 2019/06/02(日) 11:06:08|
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Google Newsでみる医師不足 2019年6月1日

Google Newsでみる医師不足 2019年6月1日
Google (日本語) での検索件数 _ _ _ キーワード 医師不足 過去一か月のニュース 7,980
Google (English) での検索件数 _ _ _ Key word: Doctor shortage, past month 37,200
First 5 in Google in English 


https://www.chron.com/neighborhood/memorial/opinion/article/A-life-saving-solution-to-America-s-doctor-13911057.php
Dr. RICHARD LIEBOWITZ: A life-saving solution to America’s doctor shortage
Chron Dr. Richard Liebowitz, Guest columnist Updated 12:31 pm CDT, Friday, May 31, 2019 (米国)

Doctors are hard to come by in rural America. Nearly 20 percent of Americans live in rural communities. But only 10 percent of doctors practice there. Patients often must drive for hours to see a physician.

Such barriers to care can prove deadly. A former director of the Centers for Disease Control and Prevention recently warned that “there is a striking gap in health between rural and urban Americans.” CDC research from 2017 indicates that up to 25,000 heart disease deaths and 19,000 cancer deaths could have been prevented in 2014 if rural patients had better access to health care.
...........
Doctors who graduate from international medical schools are more likely to serve rural patients. According to a report from the American College of Physicians, international medical school graduates — also known as IMGs — are “often more willing than their U.S. medical graduate counterparts to practice in remote, rural areas.” A study published in the journal Family Medicine found that IMGs are key to “addressing existing rural shortages.”




https://www.npr.org/sections/health-shots/2019/05/21/725118232/the-struggle-to-hire-and-keep-doctors-in-rural-areas-means-patients-go-without-c
LIFE AND HEALTH IN RURAL AMERICA
The Struggle To Hire And Keep Doctors In Rural Areas Means Patients Go Without Care

NPR: National Public Radio – May 21, 20194:53 PM ET(米国 ネブラスカ州)

"I was just having some terrible pain with this pregnancy and I couldn't get in with my doctor," she says.
……..
This inconvenience is part of life in Arthur County, a 700-square-mile slice of western Nebraska prairie that's home to only 465 people. According to census figures, it's the fifth least-populated county in the nation.
……..
Rural hospitals are in decline. Over 100 have closed since 2010 and hundreds more are vulnerable. As of December 2018, there were more than 7,000 areas in the U.S. with health professional shortages, nearly 60 percent of which were in rural areas.




https://www.scmp.com/comment/letters/article/3012025/lessons-hong-kong-how-singapore-tackled-its-doctor-shortage
Lessons for Hong Kong in how Singapore tackled its doctor shortage
South China Morning Post‎ - 1:00pm, 31 May, 2019(シンガポール)

Singapore gives out overseas training scholarships, recognises certain foreign medical qualifications, and does not require further exams and internships for foreign doctors to practise

Both Singapore and Hong Kong face a shortage of doctors. Yet from 2008 to 2017, Singapore raised its ratio of doctors from 1.6 per 1,000 residents to 2.4, against Hong Kong’s 1.8 to 1.9. What can we learn from Singapore?
Singapore is brave and decisive. From 2007 to 2016, Singapore imported more than 500 doctors on average annually (including permanent residents) against Hong Kong’s 25. As of 2017, the latest year for which figures are available, Singapore had 5,873 foreign-trained doctors, 60 per cent of whom were foreigners and permanent residents.




https://www.foxbusiness.com/healthcare/association-of-american-medical-colleges-predicts-major-doctor-shortage-by-2032
Major doctor shortage predicted by 2032
Daniela Berson Published May 06, 2019 Fox Business (米国)

The Association of American Medical Colleges recently predicted the United States may experience a physician shortage of 122,000 by 2032 and in Wang’s opinion, there are multiple factors impacting the medical field.
……..
Wang also cited large amounts of paperwork, high insurance costs and even the increased digitization of health records as factors in doctors' decisions to change jobs. “You have all of these policies that actually compromise patient care like prior authorization and non-medical switching, and they just burden you with so much paperwork - I just thought to myself, 'you know, I don't really want to do this," he said. “I've been in science all my life so I actually wanted to explore the more creative side of my brain.”




https://www.richmond.com/opinion/our-opinion/editorial-virginia-s-looming-doctor-shortage/article_54247440-3cfb-5662-8899-8fe3280aa82d.html
Editorial: Virginia’s looming doctor shortage
May 5, 2019 Richimond Times Dispatch (米国 バージニア州)

A new study finds that 35 states, including Virginia, are already below the number of physicians needed to adequately care for their residents, and the doctor shortage is likely to get worse in the coming years.
According to The Senior List, 283 physicians are needed per every 100,000 residents to maintain a baseline balance between doctor supply and patient demand. Virginia currently has 262.4 physicians per every 100,000 residents, but nearly a third (29.3%) of them are over the age of 60 and likely to retire in the next decade.




(他に10位以内のニュースは、米国(カリフォルニア州)、全米、カナダ、オーストラリア、ニュジーランド からも)




  1. 2019/06/02(日) 11:05:10|
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